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1987-12-11 第111回国会 参議院 法務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年十二月十一日(金曜日)    正午開会     —————————————   委員氏名     委員長         三木 忠雄君     理 事         鈴木 省吾君     理 事         猪熊 重二君     理 事         橋本  敦君                 梶木 又三君                 工藤万砂美君                 下稲葉耕吉君                 土屋 義彦君                 徳永 正利君                 中西 一郎君                 中村 太郎君                 長谷川 信君                 林  ゆう君                 秋山 長造君                 安永 英雄君                 宮本 顕治君                 関  嘉彦君                 瀬谷 英行君                 西川  潔君                 藤田 正明君     —————————————    委員異動  十二月八日     辞任         補欠選任      下稲葉耕吉君     吉川  博君  十二月九日     辞任         補欠選任      吉川  博君     下稲葉耕吉君  十二月十日     辞任         補欠選任      梶木 又三君     上杉 光弘君      土屋 義彦君     二木 秀夫君      中村 太郎君     松浦 孝治君      宮本 顕治君     吉川 春子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         三木 忠雄君     理 事                 工藤万砂美君                 鈴木 省吾君                 猪熊 重二君                 橋本  敦君     委 員                 上杉 光弘君                 下稲葉耕吉君                 徳永 正利君                 中西 一郎君                 長谷川 信君                 林  ゆう君                 二木 秀夫君                 松浦 孝治君                 秋山 長造君                 安永 英雄君                 吉川 春子君                 関  嘉彦君                 西川  潔君    国務大臣        法 務 大 臣  林田悠紀夫君    政府委員        法務政務次官   藤野 賢二君        法務大臣官房長  根來 泰周君        法務大臣官房司        法法制調査部長  清水  湛君        法務省民事局長  藤井 正雄君        法務省刑事局長  岡村 泰孝君        法務省矯正局長  河上 和雄君        法務省入国管理        局長       熊谷 直博君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   山口  繁君        最高裁判所事務        総局人事局長   櫻井 文夫君    事務局側        常任委員会専門        員        片岡 定彦君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国政調査に関する件 ○裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○検察官俸給等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○検察及び裁判運営等に関する調査  (派遣委員の報告) ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月十九日、斎藤十郎君及び守住有信君が委員辞任され、その補欠として中村太郎君及び工藤万砂美君がそれぞれ選任されました。  また、昨十日、梶木又三君、土屋義彦君、中村太郎君及び宮本顕治君が委員辞任され、その補欠として上杉光弘君、二木秀夫君、松浦孝治承及び吉川春子君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事工藤万砂美君を指名いたします。     —————————————
  5. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、検察及び裁判運営等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  7. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から両案について順次趣旨説明を聴取いたします。林田法務大臣
  8. 林田悠紀夫

    国務大臣林田悠紀夫君) 裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して説明いたします。  政府は、人事院勧告趣旨等にかんがみ、一般政府職員給与を改善する必要を認め、今国会一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職職員給与に関する法律及び国際花と緑の博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を提出いた しました。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は、次のとおりであります。  第一に、最高裁判所長官最高裁判所判事及び高等裁判所長官報酬並びに検事総長次長検事及び検事長俸給は、従来、特別職職員給与に関する法律適用を受ける内閣総理大臣その他の特別職職員俸給に準じて定められておりますところ、今回、内閣総理大臣その他の特別職職員について、その俸給増額することとしておりますので、おおむねこれに準じて、最高裁判所長官最高裁判所判事及び高等裁判所長官報酬並びに検事総長次長検事及び検事長俸給増額することといたしております。  第二に、判事判事補及び簡易裁判所判事報酬並びに検事及び副検事俸給につきましては、おおむねその額においてこれに対応する一般職職員給与等に関する法律適用を受ける職員俸給増額に準じて、いずれもこれを増額することといたしております。  これらの給与改定は、一般政府職員の場合と同様、昭和六十二年四月一日にさかのぼって行うことといたしております。  以上が、裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案趣旨であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
  9. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。  これより、両案に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 安永英雄

    安永英雄君 今回の裁判官報酬それから検察官俸給の改善に当たりまして、これもまた従前どおりいわゆる一般職特別職給与改定アップ率に準じて行うというふうな形をとって提案されておるわけであります。時間がありませんから端的に聞きますけれども検察官あるいは裁判官の独自の給与表をつくるというか、検討していくというお考えはないかどうか、お聞きしたいと思うのです。  特に、これを説明しますと、いわゆる国家公務員地方公務員公務員の中でも、現在の人事院勧告の決定については各職域において非常に不満があるというふうに私も感じておるわけでありまして、いわゆる人事院官民較差というものをはじき出して、そのままそれが国家公務員そして裁判官検察官、こういった形に全部準じていく、こういうものについて私は従前から疑問を持っておるわけでありますが、この際裁判官検察官特殊性といったものを勘案して、この職責にふさわしい給与表というものを独自につくっていく、直ちにはできぬかもしれぬけれども検討ぐらいには入る時期じゃないかというふうに私は考えますが、その点どうですか。
  11. 清水湛

    政府委員清水湛君) お答え申し上げます。  裁判官報酬につきましては、先生既に御承知のとおり憲法にも規定がございますし、また、検察官につきましては司法官に準ずるということで裁判官と同様の俸給体系が定められているところでございます。  裁判官報酬あるいは俸給につきましては、裁判官検察官職責重要性、責任の度合いあるいは独立性というようなことが考慮されまして、それにふさわしい報酬あるいは俸給体系が現在つくられておるというふうに一応考えられるところでございます。例えば、行政職に比較いたしましても相当の優位を持って報酬俸給体系がつくられておるという状況でございます。  ただ、そういう状況の中で、報酬俸給改定につきまして、一般の官吏につきまして、生計費とか一般賃金事情変動ということを理由にしてこの賃金アップが行われるというような場合には、それと同じような割合で裁判官につきましても報酬改定を行うべきであるというふうに裁判官報酬法十条に規定があるわけでございます。検察官につきましても、この裁判官報酬法の十条の趣旨に従いまして同じ改定をする必要があるということで今回の改正案になったわけでございまして、今回の改正案につきましては、そういう生計費賃金事情というような一般的な事情変動に伴うものでございますので一律の改定になる、このような次第でございます。
  12. 安永英雄

    安永英雄君 今おっしゃったことについて私は多少疑問を感じます。  現在の給与表そのものがいわゆる国家公務員よりも有利にできている一有利とか不利とかいう関係じゃなくて、裁判官検察官としてのいわゆる職務にふさわしい給与表というものをつくるべきだと私は言っているわけですが、この点は私の考え方だけを述べておきます。  そうすると、先ほど言ったように、官民較差をはじき出す、そのはじき出す基礎というものも非常に限られた民間の事業所を特に選択しまして、そしてアップしないような形で出てくるという、こういったものじゃなくて、例えば、弁護士さんとの間の格差を出していくという方法も私は一つ方法じゃないかと思うんですけれども弁護士さんの収入についての調査——この中にも弁護士さんいらっしゃいますけれども調査とか、あるいは例えば初任給、それから十年後、二十年後の収入というふうなものをお調べになったことがありますか。
  13. 清水湛

    政府委員清水湛君) 弁護士さんの収入実態調査するということになりますと、それぞれの弁護士さんについて収入状況をお知らせいただく、こういうことになるわけでございますけれども、これまでのところ弁護士全体についての収入実態調査ということをいたしたことはございません。  ただ、初任給調整手当を決める関係がございまして、御承知のように裁判官検察官というのは修習生の中から採用する、この修習生弁護士にも裁判官にも検察官にもなれるということでございまして、どうしても収入の多い弁護士の方に流れるというような傾向がございます。そういうことを是正するために初任給調整手当という制度があるわけでございまして、これは弁護士になりまして他の弁護士に雇われる、そういう弁護士についての収入実態調査ということが必要になるわけでございます。そういうことから、いわゆるいそ弁収入につきましては、日弁連の協力を得まして実態調査いたしたことがございます。以上でございます。
  14. 安永英雄

    安永英雄君 公務員よりも有利にしてあるというので調整手当説明もされましたけれども、六十一年に調整手当改定してから引き上げられておらぬですね。調整手当改定されてから今回に至るまで上げてないですね。なぜですか、これ。給与が高いからですか。こんなものせっかくあるものを、毎年毎年使ったらどうなんですか、調整手当
  15. 清水湛

    政府委員清水湛君) お答え申し上げます。  裁判官検察官初任給調整手当につきましては、昭和四十六年の四月一日にこの制度が設けられたのでございます。当時は初任判事補につきまして、あるいは検察官につきまして二万三千円でございましたが、これが長らくそのままに据え置かれ、六十一年の四月一日になりまして初めて二万三千円の金額が七万三千六百円というふうに改められたところでございます。このように改められた背景は、先ほど申し上げましたように弁護士、つまり雇われ弁護士さんの収入検事判事収入格差があったということからこのような金額になったわけでございます。  その後、状況等について私ども関心を持って見ているところでございますけれども実態は、若干のもちろん変動はあろうかと思いますけれども、ほぼこの状態でその格差は埋められている状況になっておるというふうに今のところ考えられます。私どもといたしましては、今後の推移を見まして、また必要になれば随時、適切に初任給調整手当増額を図りたい、こういうふうに考えております。
  16. 安永英雄

    安永英雄君 もう時間がありませんので、もう一点だけお聞きしたいのですが、苅田町の疑惑捜査の問題です。四月初めに告発され、直ちに特捜部が現地に乗り込んでいって調査をしておる。それから六月末には福団地検の方に移送された、こういうことでございますが、一向にこの捜査が動いていないような気がするのです。これだけの事件ですから、もう基礎捜査も終わって積極的な捜査に当然入るのだろうと思うのですが、この点について区切りをつける時期だというふうに私ども素人考えるのですが、その後の捜査状況について御報告願いたいと思います。
  17. 岡村泰孝

    政府委員岡村泰孝君) 福団地検におきましては、ただいま御指摘のありましたように住民税にかかわります業務上横領事件につきまして、東京地検から移送を受けたところでございます。その後、これに関連いたしまして地方自治法違反、あるいは地方公務員法違反事件等につきましても告発がなされているところでございます。これらの事件をあわせまして、現在福団地検におきましては事案の真相を解明いたしますため、関係人取り調べ等を含めまして厳正な捜査を行っているところでございます。
  18. 猪熊重二

    猪熊重二君 現在審議中の給与法案は、人事院勧告に基づく一般行政職給与改定に準ずる改定でありますので、法案自体について特別問題はないと私も考えておるわけです。  ただ、先生方法案をごらんになって、給与法案と言いながら、何かどうも法案規定の仕方というか体系というか、この辺にちょっとおかしな、あるいは不思議なところがありますので、その点についてお伺いしたいと思います。  まず、裁判所にお伺いしますが、裁判官報酬法についてお伺いすると、要するに裁判官報酬については、第二条によって「別表による。」こういうことになっているわけです。ところがその別表には、最高裁判所長官から簡易裁判所判事十七号に至るまでがずっときれいに書いてあるわけです。  ところがそのほかに、今回の改正案でもそうですけれども附則十五条に関連して、特別に判事及び簡易裁判所判事について金額増額するというふうな規定がなされているわけです。そうすると、一般的に考えると、第二条の別表で全部金額が書いてあるのに、そのほかになおかつ判事一号よりも金額の多い特別の判事、あるいは簡易裁判所判事一号よりも金額の多い特別の簡易裁判所判事というものを規定しているように思われるわけですが、この附則十五条というものと第二条の原則規定である別表規定との関係についてお伺いしたいと思います。  この裁判官報酬法昭和二十三年に制定されたわけですが、その二十三年当時、この附則十五条というものはあったんでしょうか。
  19. 櫻井文夫

    最高裁判所長官代理者櫻井文夫君) 昭和二十三年当時にはこの第十五条の規定はございませんでした。
  20. 猪熊重二

    猪熊重二君 附則十五条が制定されたのはいつでしょうか。
  21. 櫻井文夫

    最高裁判所長官代理者櫻井文夫君) 第十五条で判事について特別の報酬が設けられたのは昭和三十四年でございます。
  22. 猪熊重二

    猪熊重二君 昭和三十四年に至って、判事一号よりもさらに給与の上の判事、これを仮に判事特号と呼ぶとすれば、こういうふうな判事特号制度をこのときに設けた理由はどこにあるんでしょうか。
  23. 櫻井文夫

    最高裁判所長官代理者櫻井文夫君) いわゆる符号が設けられましたのは、裁判官職責重大性にかんがみまして、給与の上でも検察官あるいは行政官に対する裁判官優位性を認めるという考えと、それから同時に、裁判官行政官と比べて相当長く勤務いたします。また検察官と比べましても定年が二年長くなっておりますので、経験豊富な裁判官の処遇ということも図る必要がございますので、そういった点を考慮されて設けられたものでございます。
  24. 猪熊重二

    猪熊重二君 今のような理由も私は理解できるわけですが、昭和三十四年に設けられた符号という制度は、その後引き続き今日まで実施されているんでしょうか。
  25. 櫻井文夫

    最高裁判所長官代理者櫻井文夫君) 現在も、この規定のとおりで実施されております。
  26. 猪熊重二

    猪熊重二君 現在、符号該当者というのはおよそ何人ぐらいいるんでしょうか。
  27. 櫻井文夫

    最高裁判所長官代理者櫻井文夫君) 現時点ということで申しますと、四十名程度でございます。
  28. 猪熊重二

    猪熊重二君 裁判所としては、判事特号という制度が現在もあるということは、現在も必要性があるということだろうと思うんですが、この判事特号という制度は今後も裁判官報酬の中に位置づけしていくことが妥当だというふうにお考えなんでしょうか。
  29. 櫻井文夫

    最高裁判所長官代理者櫻井文夫君) この符号制度、先ほど申しましたような考えで設けられたわけでありますが、現在もそれ相当役割を果たしておるように考えております。
  30. 猪熊重二

    猪熊重二君 私が申し上げたいのは、判事特号という給与の方がおられるということは妥当なことだろうと思うんです。ただ、法文の形として第二条で別表でずっときちんと書いてあるのに、一つだけ特別に判事特号——時間がありませんので簡易裁判所判事の方は伺いませんけれども簡易裁判所判事特号というふうなものをつくって、しかもそれが三十四年からといえばもう二十数年間実施されている。しかもこういう符号という制度が必要なんだということであるとすれば、附則十五条という何かいつ消えてしまうかわからぬというふうな形でなくして、別表そのものの中に、判事一号の上に判事特号というふうなものを設けることが、裁判官としても符号は固定的にあるんだということになってぐあいがよろしいようにも思うんですが、その辺について裁判所として判事特号ないし簡裁判事特号というふうなものを別表の中に組み入れるというふうなことはお考えじゃないんでしょうか。
  31. 櫻井文夫

    最高裁判所長官代理者櫻井文夫君) 立法の問題では、ございますが、裁判官の問題でございますので私の方からお答えいたします。  判事符号が設けられまして、この条文にもございますように「当分の間」というふうにしてございます。この趣旨は、判事報酬については裁判官任用制度とも絡んでいろんな議論があったということでございます。そこで、例えば法曹一元というような考えから将来根本的に判事報酬体系というものを考えていくということになった場合に、そういう時期での再検討が必要であるというようなことからこういう形で条文ができたものというふうに言われております。  もちろん、もう相当年数だっておりまして、ほぼ固定的な役割を果たしているわけではありますけれども、しかし理念として申しますと、裁判官任用制度とも絡めた形での報酬体系のあるべき姿というものがいまだ実現されない形で残っておるということになりますので、そういうことから今回は従前立法の経過を踏まえた形で改正していただくということになったわけでございます。
  32. 猪熊重二

    猪熊重二君 同じ問題が検察官俸給に関する法律についてもございますので、法務省にも簡単にお伺いしますが、検察官俸給表も第二条に別表があって、検事総長から副検事何号までと全部書いてある。それに対してやはり副検事特号というふうなものが設けられているわけですが、これの設けられた趣旨等については私もお伺いしておりますので結構でございますが、今申し上げたような形でこれを別表の中に組み込むということについては、法務省としてはどのようにお考えでしょうか。
  33. 清水湛

    政府委員清水湛君) お答えいたします。  検察官俸給表附則の九条の問題でございますけれども、副検事につきましていわゆる符号が設けられた趣旨というのは、先ほど最高裁判所の方からお答えになったような趣旨と同趣旨のものでございます。つまり、副検事の中に検事第一号俸のまま長期間在職し、いわば俸給が頭打ちになって いる者が相当あらわれたということ。それから、老練で優秀な副検事検察事務官より優遇するというようなことのためにこういう制度がつくられたわけでございます。  ところで、このような制度がつくられるに至りました背景事情というのは、現在も依然として存在するわけでございまして、私どもといたしましてはこの符号制度の運用が必要であるというふうに考えているわけでございます。  ただしかし、法文の上で「当分の間」、いかにも暫定措置というような感じで設けられているという点につきましては全く御指摘のとおりでございまして、本来ならこれを正規の俸給体系の中に組み込むことが望ましいということが言えるのであろうと思いますけれども、しかしこの問題になりますと副検事職務評価を正面からどうするかというような問題とも絡んでくるわけでございまして、そういうようないろんな問題、裁判官待遇等の問題とも絡めまして、いずれ抜本的に検討すべき時期が来ればそのときにやはりすっきりした形に改めるべきものであろうというふうに考えております。  しかしながら、そうであるとすればいつかということはちょっと今のところ申し上げかねるというところでございます。
  34. 猪熊重二

    猪熊重二君 抜本的な改正まで待つというのも一つ方法でしょうが、抜本的改正といってももう二十年も三十年もたっていることですから、暫定的な何か不必要なものだけれども、とりあえずというふうな形でなくして別表に入れたらどうか、こう考えて質問したわけです。  この点について、法務大臣何か御意見があれば簡単にお伺いして、終わりたいと思います。
  35. 林田悠紀夫

    国務大臣林田悠紀夫君) 承っておりますると先生の御意見もごもっともでございます。しかし、この制定の経緯が暫定的ということでもあったものですから、それが踏襲されておるわけでありまするけれども十分検討をいたし、また人事院当局とも話し合いまして善処してまいりたいと存じます。
  36. 猪熊重二

    猪熊重二君 終わります。
  37. 橋本敦

    橋本敦君 きょうは、法案について十分の質問という異例中の異例審議になっておるわけですが、法案に入る前にどうしても大臣に一言聞いておきたいことがございますので伺います。  例の大韓航空機事件に関連して、我が国の旅券の偽造が明らかになり、これが使用された。それが墜落もしくは飛行機の事故との関連で人物がどう関係をしていたか、これはわかりませんが、旅券が偽造されたということ、疑惑の人物が我が国の偽造された旅券を使っておったということははっきりしているわけですね。そこで、我が国として当然捜査権があると思うんですが、問題の身柄の引き渡しを含めて、捜査について大臣の御所見を一言承っておきたいと思うのです。
  38. 林田悠紀夫

    国務大臣林田悠紀夫君) 偽造日本旅券の行使事犯につきましては、現在警察において捜査中のものでありまして、日本人であるかどうかその国籍も不明であるというような状況でございます。そういう観点から、同人の身柄の措置に関心を有してはおりまするが、我が国としまして身柄の引き渡しを請求するかどうかにつきましては、同人の身分事項に関する捜査結果等を含めまして、諸般の状況を総合的に検討の上判断すべきものと考えておりまして、先般官房長官の記者会見におきまする発言のとおり、今のところ請求すべき段階にまで至っていないというような状況でございます。
  39. 橋本敦

    橋本敦君 そうすると、捜査の進展によっては考えることもあり得るという含みがあっての御答弁なのかどうか、その点はどうですか。
  40. 林田悠紀夫

    国務大臣林田悠紀夫君) 捜査権あるいは裁判管轄権は日本にもあるわけでございまするが、今こういうようなまだ警察で捜査中の段階であり、はっきりしていないということから、請求は当面しないということでございます。
  41. 橋本敦

    橋本敦君 きょうは、その程度にお聞きしておきまして、法案に関連して質問をしないと時間がなくなりますので、以上でその点は終わります。  裁判官検察官給与については、三十九年の八月の臨時司法制度調査会でも、職務の独自性、責任の特殊性、こういうことにかんがみて、これにふさわしい独自の体系を樹立すべきではないかという意見が出されておるんですが、この意見をどういうように当局は受けとめておられますか。
  42. 清水湛

    政府委員清水湛君) お答え申し上げます。  裁判官あるいは検察官報酬俸給体系をどうするかということにつきましては、裁判官検察官の任用システムをどういうふうな形に持っていくかということとも密接につながる問題だろうというふうに考えております。  臨時司法制度調査会におきましてもいわゆる法曹一元の問題が議論されまして、法曹一元ということになりますと、先生も御存じのように、例えばアメリカあたりですと、裁判官報酬はすべて定額である、昇給とかそういうこともない、全部一定の年俸を受けるというような形になってくるわけでございます。しかしながら、日本におきましては、まだそういうような法曹一元制度が現実の問題としては実現しておりませんし、むしろ、いわゆるキャリアシステムということで修習生から裁判官検察官弁護士に分かれる、こういうようなシステムになっているわけでございます。  そういう状況の中で、それでは憲法で言う裁判官にふさわしい報酬というものは一体何であるか、どういうようなシステムが最も望ましいのかということが当然問題になるわけでございます。そういうような観点、つまりキャリアシステムというような観点から見ますと、現在の裁判官検察官給与の仕組みにおきましては、その職務重要性とか責任の特殊性というものを相当程度反映するものに現在の報酬俸給体系がなっておるというふうにも考えられます。またさらに、一般行政官と比較いたしまして相当優位のものになっておる。さらにまた、賃金、生計費等の変動に伴うものにつきましてはスライドしてこれをアップするというような形になっておりますので、現在のシステムのもとにおきましては相当の合理性を有するものであるというふうに私ども考えているところでございます。
  43. 橋本敦

    橋本敦君 優位性、あるいは高くなっているからということはそれは一つの要素にすぎないんであって、憲法が考えているのは高ければよいというだけのことじゃないと思うんです。したがって、憲法が言っておるような趣旨を踏まえて、今のような答弁にとどまらないで、将来にわたってどういう給与体系が独自的にあるべきかということについての検討はやっぱりされなきゃならぬ、こう思うんですよ。その点で裁判官はみずから研修、学習、また教養も深め、法律の研究等いろいろやっていかなきゃならぬという自己責任もあるわけですが、それには書籍を買うための費用、法律書というものは専門書は高いものですから大変なんですが、裁判官の若い人を含めて、生活実態の中でそういった自己研修や書籍費が実態的にどうなっているかというようなことをお調べになったことありますか。
  44. 櫻井文夫

    最高裁判所長官代理者櫻井文夫君) 若い人たちの書籍費という形で調べてみたことはございませんが、ただ、裁判官の場合、初任裁判官でも初任給調整手当を含めますと一般行政官に比べまして相当高い収入が保証された状態になっておりますし、必要な書籍等を手に入れるということには支障がないものというふうに思っておりますし、また、現在各裁判所における資料の整備ということもかつてに比べますと格段によくなっておりまして、判事室において必要な書籍は大体全部見ることができる程度にまで進んでおりますので、そういった面で研究等にはほぼ支障がないような状態にできているのではないかというふうに思っております。
  45. 橋本敦

    橋本敦君 時間がないから突っ込んで聞きませんが、思う思うとおっしゃることでとどまっていい問題ではないんですね。だから、給与問題はこれからも毎年議論されるということになりますから、法案を出される際に資料として、今私が言っ たような実際の実態調査、あるいは外国との比較、これも含めた資料を、憲法が言っているような方向に向けて議論ができるような資料を責任を持って提出するということで御検討願いたいと思うんですが、いかがですか。
  46. 櫻井文夫

    最高裁判所長官代理者櫻井文夫君) 十分検討さしていただきたいと思います。
  47. 橋本敦

    橋本敦君 最後に、週休二日制の問題が人事院から言われておるわけですが、この週休二日制という問題を、裁判という実際の手続の中、あるいはまた検察官という緊急に対処しなきゃならぬという事犯の発生等いろいろありますね、こういう中でできるのかどうか。これの週休二日制の適用はどうなるのか。ここらは研究あるいは検討されておりますか。また、してもらわなくちゃならぬと思っておりますが、いかがでしょうか。
  48. 櫻井文夫

    最高裁判所長官代理者櫻井文夫君) 現在、週休二日制の方向へ向けての例えば現在ですと四週六休制の試行が行われております。これは裁判所でも裁判官を含めまして現在試行をやっている状況でございますが、他官庁と並んで実施できるようにということで試行状況を見詰めておりますけれども、非常に順調に進んでおりまして、本実施に移行できるものと考えております。  さらに現在、土曜閉庁の問題が云々されておりますが、この点も裁判所は特殊な緊急事務等がございますけれども、それに対処できるような体制を組むように現在いろいろ方策を検討しているところでございます。そして、各省庁と並んで積極的に実施していけるように検討しているところでございます。
  49. 岡村泰孝

    政府委員岡村泰孝君) 検察官の場合でございますが、現在日曜あるいは休日におきましては当直員を置きまして、事件の発生あるいは身柄事件の送致等に関します事務を担当させるということで処理いたしておるところでございます。したがいまして、週休二日制が本格的に実施されまして、土曜日が閉庁されるというような場合におきましても同じような体制で臨み得るものというふうに考えておるところでございます。
  50. 橋本敦

    橋本敦君 なお、具体的にはありますが、時間が来ましたので……。
  51. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、他に御発言もなければ質疑は終局したものと認めて御異議、ごさいませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより両案に対する討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  53. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  54. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  56. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 検察及び裁判運営等に関する調査を議題といたします。  去る十一月十六日から十八日まで当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。  それでは御報告を願います。猪熊重二君。
  57. 猪熊重二

    猪熊重二君 ただいまから委員派遣報告をさせていただきます。  去る十一月十六日から同月十八日までの三日間、三木委員長、守住理事橋本理事、下稲葉委員安永委員、関委員西川委員と私、猪熊は、検察及び裁判に関する調査の一環として、最近における司法行政及び法務行政に関する調査のため、福岡県及び長崎県に行ってまいりました。  第一日は、福岡高等裁判所において、福岡高等裁判所、福団地方裁判所、福岡家庭裁判所、福岡高等検察庁、福団地方検察庁、福岡法務局、福岡矯正管区、九州地方更生保護委員会及び福岡入国管理局の各機関から管内概況について説明を聞きました。  第二日は、福岡刑務所の実情を視察し、次いで長崎地方裁判所において、長崎地方裁判所、長崎家庭裁判所、長崎地方検察庁、長崎地方法務局、長崎刑務所、佐世保刑務所、佐世保少年院、長崎少年鑑別所及び長崎保護観察所の各機関から管内概況等について説明を聞きました。  最終日は、大村入国者収容所と大村難民一時レセプションセンターの実情を視察いたしました。  まず第一に、司法行政及び法務行政に関する概況について申し上げます。  まず、昭和五十九年度から同六十一年度までの期間の各裁判所における事件処理の概要につき申しますと、民事事件におきましては、執行事件等について増加傾向が見られるものの、他はおおむね横ばいの傾向にあり、特に調停事件は各庁いずれも一時期、急増を示しましたが、昭和六十年度から大幅な減少に転じました。これは、都市部においてサラ金関係事件が増加し、これに対処するため、昭和五十八年、いわゆるサラ金二法が施行されたことの効果によるものと思われます。  次に、刑事事件におきましても、各庁の間で多少の増減はあるものの、全体的には、ほぼ横ばいないし減少傾向にあり、事件の内容としては、覚せい剤取締法違反事件や道路交通法違反事件等が相当部分を占めております。なお、略式事件のうち道路交通法違反事件について、昭和六十一年の道路交通法一部改正により、交通反則金通告制度適用範囲が拡大されたため、最近は減少傾向を示してきたとの指摘もございました。  次に、家事事件及び少年事件について申しますと、新受件数はおおむね横ばい傾向にあります。内容的には、家事事件では子の氏の変更、保護義務者選任、相続放棄の申述等が多く、また、長崎家庭裁判所管内では離婚率が高いということでありました。少年事件におきましては、窃盗が第一位、以下、業務上過失致死傷、傷害等の順で、年齢的には十四、五歳が最も多く、犯罪の低年齢化がうかがわれますとともに、性別では女子の占める割合が増加する傾向が認められます。  なお、いずれの裁判所におきましても、事件処理の状況は順調に進んでいるということであります。  次に、同じく最近三年間の法務省関係の概況について申し述べます。  まず、検察当局の刑事事件処理の状況について申しますと、最近の犯罪情勢は全般的におおむね通常の状態にありますし、受理件数もほぼ横ばい傾向にありますが、内容的には、凶悪重大事犯、暴力団の対立抗争事犯、地方公共団体職員らによる汚職事犯、あるいは韓国漁船による我が国専管水域及び領海内における違反漁業事件等が多発し、しかも九州は、覚せい剤の供給源となっている近隣諸国と地理的に近いため、福岡空港や博多港を経由する出入国者や漁船等を使用した不法出入国者による覚せい剤の大量密輸事犯が後を絶たないとのことであります。  次に、法務局関係について申し述べます。  福岡法務局管内には、長崎地方法務局管内を初めとして、離島に所在する支局、出張所が少なくなく、小規模分散の機構であり、そのたか離島勤務職員はその子弟の教育、医療、その他、生活上種々の不便を免れず、そのため離島勤務を希望する職員はほとんどおらず、大事に苦慮していると いうことであります。また、その業務については、登記申請等事件及び謄抄本交付等事件が大幅に増加し、内容的にも複雑困難なものが多く、他方、関係職員の増員はほとんど認められていません。また、訟務関係におきましても、水俣病事件を初めとする幾つかの大型困難な事件を抱え、その他、国籍、人権等に係る事務量も多いということであり、関係職員の大層な努力によって事務を処理している状況にあります。  次に、矯正管区関係でありますが、各矯正施設が広大な区域に分散し、しかも離島に所在するものも幾つか存在し、また石炭、製鉄等の基幹産業が大きく変容して刑務作業の受注量が減少するなど、施設の適正な管理や刑務作業の円滑な実施に当たって困難な事情が少なくありません。また、福岡刑務所を視察してまいりましたが、同刑務所は医療センター、分類センターとして当管区内で重要な役割を受け持っており、さらに、ここはB級施設として犯罪傾向の進んだ者が主体を占めております。収容者は、暴力団関係者がほぼ四〇%を占め、覚せい剤事犯に係る者が多く、また、再入者も少なくないのでありますが、職員は厳正な規律のもとに、その更生改善のため日夜御苦労を重ねておられます。  次に、九州地方更生保護委員会関係について申し述べます。  保護観察では、対象者にシンナー等乱用少年及び覚せい剤事犯対象者が多く、分類処遇、集団処遇等、処遇上の創意工夫を重ねて、保護観察の効果を高めることに努力しておられます。また、管内の全保護司のうち、女性保護司の占める率が徐々に高まってきているとのことであります。  次に、福岡入国管理局関係について述べます。  本管内は、離島や半島が多いため、出張所の数も全国一ということであります。九州は、韓国と至近距離にあり、同国からの不法入国者の上陸地点ともなり、韓国、台湾等の漁船の領海侵犯等の違反事件が多いとのことであります。また、福岡空港を初め、鹿児島、那覇、熊本、長崎の各空港で国際定期便が運航され、空港審査業務の伸びが著しく、職員の派遣その他の対応策が急務となっております。さらに志布志港の入港船舶の増加が見込まれ、今年度の予算要求のうちにも、同港出張所の設置の項目が掲げられたとのことであります。  次に、大村入国者収容所について申し上げます。  本収容所は、被退去強制者を本国へ送還するまで一時収容する施設でありますが、昭和二十五年以来今年七月の第百十二次集団送還までに二万二千百九十四名を集団送還し、その他個別送還した韓国人、朝鮮人、フィリピン人等は、今年十月までに二千三百九十八名に達しました。現在、収容者の数は百余名であり、収容期間はおおむね一、二カ月から四カ月であります。収容中の食費等及びチャーター機による集団送還に要する費用は、国が負担しておるということであります。入、出所人員は、昭和五十七年以来減少の傾向にありましたが、昨年度に至り増加に転じました。出稼ぎ目的の不法入国者の増加がその主な原因と認められます。  次に、大村難民一時レセプションセンターにつき申し述べます。  同センターは、出入国管理及び難民認定法による一時庇護のため上陸許可を受けた、いわゆるボートピープル等の難民を定住先等へ送るまで一時収容する施設でありますが、その業務は法務省の所管とされ、その実際の業務運営は財団法人アジア福祉教育財団に委託されております。また、費用関係では、センターの運営経費を法務省が、難民の生活費等を国連がそれぞれ負担し、その額はほぼ相半ばしているとのことであります。  在所者数は、今年十月末日現在百数十名で、入所者数はこのところ減少してまいりましたが、難民は今後も後を絶たない状況にあると認められます。難民はその救難の経緯、気候風土の変化、風俗習慣の違い等もあって、職員の方にはその日常の処遇や健康管理等に幾多の御苦労があるとお見受けいたしました。  第二に、庁舎施設及び宿舎の営繕状況について申し上げます。  まず、庁舎施設でありますが、特に法務局におきましては、近隣の出張所の統合受け入れを行ったり、事務量が著しく増加したこと等により、事務室、書庫等が狭隘となり、そのため庁舎の新営や適地の検討を進めているところが少なくありません。宿舎につきましても、法務局関係を初めその他の部局も、民間借家や遠距離通勤を余儀なくされる等不十分な状況が存在します。特に、離島宿舎については、気象条件等の特殊事情からも早急な改善を図る必要があると見受けられます。  第三に、関係諸機関から管内状況等を伺った際、派遣委員の方からも熱心に質問その他がなされましたが、その項目の概要について申し上げます。  暴力団に関する状況、覚せい剤その他薬物事犯の状況、拘置所、少年刑務所等の被収容者の状況、刑務所における作業や宗教教講の実施状況、刑務所に収容中の老人の処遇の状況、戸籍公開とプライバシー保護の状況簡易裁判所の統廃合が実施される場合及び特別養子法が施行される場合に備えての現場における対応の状況、不法入国者の韓国への送還費用の負担関係等の問題が取り上げられました。  第四に、本委員会に対する要望事項について申し上げます。  特に、福岡法務局及び長崎地方法務局から、増員、施設宿舎の整備、紋別定数の改定等について強い要望がございました。その状況については既に触れたところでありますが、当地は離島や半島が多い等特殊な事情もあり、相当の要望ではなかろうかと存ずる次第であります。  第五に、以上で概要を申し上げましたが、私ども直接現地の関係部局の方々にお目にかかり、種々勉強をさせていただきました。特に、人を収容して処遇するという困難なお仕事などは御心労もひとしおかと存じます。皆様の御健勝を祈念いたします。  また、調査に当たり、現地関係機関から御懇篤な御協力をいただきましたこと並びに最高裁判所及び法務省当局から手厚い御便宜をお図りいただいたことを、この席をかりて厚く御礼申し上げる次第であります。  以上であります。
  58. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。  次に、ただいまの報告に関し、法務省及び最高裁判所側から発言を求められておりますので、これを許します。林田法務大臣
  59. 林田悠紀夫

    国務大臣林田悠紀夫君) 委員各位には平素から法務行政の運営に格別の御尽力をいただきまして感謝を申し上げます。  このたびは、福岡県、長崎県の法務省所管各庁を視察され、ただいま猪熊理事からその結果についての御報告を拝聴いたしましたが、法務省所管各庁の業務及び職員に対し温かい御理解をいただき心から御礼を申し上げます。  私も、ただいま御報告されました種々の問題については今後とも必要な措置を講じてまいりたいと考えておりますので、よろしく御指導、御支援をお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  60. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 山口最高裁判所総務局長
  61. 山口繁

    最高裁判所長官代理者(山口繁君) このたびは、福岡、長崎の各裁判所を親しく御視察いただきましてまことにありがとうございました。  ただいまは、その結果につきまして猪熊委員からの詳細な御報告を拝聴させていただいたところでございます。御報告にもございましたように、これらの各裁判所におきましては、各種の立法措置の影響もございまして、受件の動向も安定してまいっており、受件の処理も比較的順調に行われているようでございます。  私ども司法行政を担当する者といたしましては、今回御指摘いただきました事柄を念頭に置き まして、引き続き裁判の円滑な運営に努力してまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。     —————————————
  62. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  検察及び裁判運営等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十四分散会      —————・—————