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山本正和君 まず、関連で時間をいただいたわけでありますが、私はきのう七十代のかつて三重県下の小中学校の校長会長をしておった人たちと話をしておりました。そしてまた先般、文教
委員会で林寛子
先生が団長で長崎県に行ってまいりました。そういう各県の
教育長やあるいは学校の校長経験の方たちといろいろ話をしておる中で、いわゆる若い
先生ですね、初めて教員になった、あるいは教員になってから五年目、六年目という若い
先生たちの
状況についてのいろいろな話し合いをしたわけでございます。その中で、これはもう長崎の
教育長さんも、あるいは長崎県は大変ユニークな選抜制度をやっておりまして、長崎市内の五つの公立高等学校を全く平等に、成績が全く平等に配置されるような格好での選抜制度をとっておみえでございますが、そこの校長
先生とも話をしたわけです。大変立派な学校運営をしておみえでございましたけれども、異口同音に言うのは、若い
先生方が勉強したいと、そして一生懸命に取り組んでいきたいと、これはもうどこにもあると。教員になった瞬間に、これは恐らく
大臣も若かりし
時代に「坊っちゃん」という小説だとか、あるいは石坂洋次郎の「若い人」とかいろいろお読みになった御経験もおありになろうかと思うんでありますが、教師になった瞬間にいやでも応でも子供を目の前にしていろいろなことを思うわけです。その若い
先生たちをどういうふうに
指導していったらいいか、また立派な
先生になっていったらいいかというのは、当然校長やあるいは
教育長が一生懸命真剣に
考える、または先輩教師も一生懸命
考えるわけですね。
そこで、今
文部省が教員の資質向上と、特に若い
先生方の資質向上ということで取り組まれる、そのことを私も決して反対するものではないわけです、やらなければいけないと思うんですね。ところが、今
文部省がモデルとして出されている案の
一つですね、これは全部そうじゃありませんけれども、例えば学校現場でマン・ツー・マンで一人の若い
先生に一人の
先生をつけてその
指導のもとに一年間やらせるんだと、あるいは画一的にこういう計画でもってやるということをもしもするとしたならば、一体どうなんだろうかという議論が行われたわけです。
そこで、これは長崎の
教育長あるいは校長さんや三重県の校長連中も言うのは、若い
先生の
指導というのは学校全体でやっていきたいと。ところが、小さな学校で仮に十五名しか教員がおらぬ中で五名若い
先生が来たという学校もあるわけですね。その学校はやっぱり学校運営上困ると。そうすると、その五名の
先生を
指導するのに残りの十名で一生懸命いろいろやっていって、それにプラスして例えば年輩の
先生五人をつけて画一
指導してもらうというよりも、むしろ学校に例えば若い
先生が五名配置されたら、それの研修用として二人なら二人の定数をいただいたら、その中で担任の経験等もしながらやっていけると。できたらひとつあなたも東京へお帰りになったらそういうことを言ってくれと。これは長崎の校長さんのお話でございました。林
先生からもそういう話が
大臣のところに行くと思いますけれども。
ですから、この初任者研修という問題は、実は各県あるいは各学校にかなり大きなウエートがかかった仕事だろうと私は思うんです。そういう意味から言いますと、今の
久保先生の発言の中にありました、一体これは総定数として県全体に来たんですよというのか、あるいは初任者研修の分として、若い
先生の
指導分として来たというのかはぜひ区別をしていただきたい。そして
文部省としては六十六年度までに四十人学級をちゃんとやろうとしているんですから、それと要するに研修に要する分との数ははっきりした
数字でもって出していただきたい。そして各県それぞれの運用がある程度できるようにしていかなければ、現場ではいただいてもなかなかそうはいかないと。
特に私もう少し時間をいただきたいのは、きのう話しておりまして、七十を超えたある小中学校の校長会長をしておった人でありますけれども、この人が、実は最近三重県の
教育文化会館というところで会報を出しておりまして、その会報に投稿をした。投稿を見て若い教師が感激をしたわけです。そしてまた三重
大学の学生で
教育学部の学生も感激をして、その
先生のところに教えを請いに行った。それは何かといいますと、つづり方です。現在はつづり方という
指導はいたしておりません、個別にやっている人もおりますけれどもね。つづり方というのは、まさに子供にとっての人間の生きる叫び、生きているという存在感を表現する仕事だと思うんですね。それを
指導するのに今言った
指導がされていないんです。されていないというのはいろいろな原因がありますけれども、最大の原因は偏差値
教育ですけれども。そういう中で若いときの児童書を書かせておったころということで簡単な文章をお書きになった。それを見て大変感激しているんですね。ですから、そういう意味でいきますと、若い
先生たちが
指導するというけれども、実は若い
先生自体が一生懸命勉強をやろうと思っている。ところがこの初任者研修制度というものが何か大変な誤解を受けている部分がある、誤解か正解かわかりませんけれども。要するに洗脳するんじゃないかと、昔の大
日本帝国
時代の
教育を受けた校長
先生の古手によって洗脳するんじゃないかというふうな誤解を受けたとするならば、これはまた大変な問題だろうというふうに私は思います。そういう意味を含めまして若い
先生方の
指導の
あり方も絡めて、これは
大臣に初任者研修という問題とそれから教職員の定数増、要するに行き届いた
教育をするための四十人学級というものについての、これは違うものだというふうに
大臣がお
考えになっておられるというふうに私は思うんですけれども、その辺でちょっと
大臣からの御見解を承っておきたいと思うんですけれども。