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1987-12-18 第111回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年十二月十八日(金曜日)     午後一時開議 出席委員   委員長 福島 譲二君    理事 愛野興一郎君 理事 麻生 太郎君    理事 金子原二郎君 理事 野田  毅君    理事 中西 績介君 理事 藤原 房雄君    理事 小渕 正義君       尾形 智矩君    北村 直人君       古賀 正浩君    自見庄三郎君       竹内 黎一君    鳩山由紀夫君       岡田 利春君    中沢 健次君       鍛冶  清君    青山  丘君       児玉 健次君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君  委員外出席者         資源エネルギー         庁長官     浜岡 平一君         資源エネルギー         庁石油部長   内藤 正久君         資源エネルギー         庁石炭部長   鈴木 英夫君         労働政務次官  浦田  勝君         労働大臣官房政         策調査部長   甘粕 啓介君         労働省労働基準         局賃金福祉部長 石岡愼太郎君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       竹村  毅君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ————————————— 十二月十一日  一、石炭対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 福島譲二

    福島委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。麻生太郎君。
  3. 麻生太郎

    麻生委員 まずもって、本日、閉会中の審議にもかかわらず、石炭対策現状にかんがみ、今回の石炭対策特別委員会の開会をお願い申し上げましたところ、大臣ほか衆議院副議長初め大勢の方方に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げる次第であります。  御存じのように、今、石油の値下がり並びに円高等によりまして、石炭の諸政策を遂行するに最も必要な財源であります石油税制が大きな問題になっております。これは従来、一番大きいところで四千五百億ぐらいあったと記憶をいたしますけれども、それが大幅に下がって、千五、六百億まで下がろうかという状況でありますので、この税金を体系ごと変えなければならぬような事態になっておるというようなところまで至っておる、そのような感じがいたしておりますが、それに対して今後どのような形でこの財源不足を補っていこうとしておられるのか、まずその点についてエネルギー庁長官に伺いたいと思います。
  4. 浜岡平一

    浜岡説明員 石油税税収現状あるいは見通しにつきましては、ただいま御指摘のとおりでございます。これへの対応といたしまして、基本的には従来の従価税仕組み従量税仕組みに変更させていただく、それによりまして、価格、レートの変動にかかわらず安定的な財源が確保できるようにしていきたいというぐあいに思っている次第でございます。  現在、関係の方面と意見調整中でございますが、大筋におきましてはこの考え方を実現することができるのではなかろうかと思っております。六十三年度からとりあえず租税特別措置法で八月ぐらいから従量税化をいわばテスト的に行いまして、さらにその先のあり方をそれを踏んまえながら考えていくというような手順になろうかと思っております。その調整過程で、なおさまざまの意見があろうかと思っておりますけれども大筋におきましては今申し上げましたような方向で進めていけるのではないかと思っております。
  5. 麻生太郎

    麻生委員 この石油税制体系部分は、石炭特別会計財源でありますいわゆる十二分の十、十二分の二等々の部分の比率の問題等、今後八次政策を遂行していくに当たりましての一番大事な財源であろうと思いますし、その点の確保がされるであろうかということが一番の関心事であろうと思いますので、その点をお答えいただきたいと思います。
  6. 浜岡平一

    浜岡説明員 エネルギー対策財源といたしましては、ただいま申し上げました石油税のほかに、御指摘のように原重油関税があるわけでございます。従来、原重油関税収入の十二分の十を石炭対策に投入をいたしまして、残りました十二分の二を石油対策あるいは石油代替エネルギー対策に充当をしてまいりました。  今回、石油税体系見直します過程で、この十二分の二の部分につきまして原油にかかって知ります暫定措置を廃止する。と申しますのは、本則で五百三十円パー・キロリッターでございますけれども、そのほかに暫定で百十円パー・キロリッターというものがかかっております。これがほぼ十二分の二に相当するわけでございますけれども、この原油にかかっております暫定措置を廃止しよう、石油税を上げるものですから、平たい言い方でございますが、それといわば込みで使っております部分を廃止しようという考え方がございます。ただ、重油にかかっております十二分の二は、別途タリフクォータというような関連もございまして別の政策的意味もございますから、廃止をすることは考えておりません。重油にかかっております十二分の二につきましては、先ほど申し上げましたように、従来は石油石油代替エネルギー対策に充当しておりましたけれども、今後はこの部分石炭対策に充当しようというぐあいに考えておりますので、この部分は、むしろ結果としまして石炭対策費に上積みになるということになろうかと考えております。  そういうことで、八次対策財源につきまして今回エネルギー税制見直しがございますが、八次対策の遂行に影響を及ぼすことがないよう十分配慮をしておるつもりでありますし、むしろ若干プラスになる面があるのではないかと考えておる次第でございます。
  7. 麻生太郎

    麻生委員 ありがとうございました。  この十二分の二の点につまましては一番懐心のあるところだろうと思っております。今、重油原油を分けるというお話がありましたけれども、そういうことで従来重油の十二分の二が回っておった分も石炭勘定の方に回ってくるということになると、製品の輸入等々ふえてくる可能性がありますから、その点におきましては従来並み、うまくいけば若干プラスという点も期待できるところでありますので、こういった形でもし現実実現化いたしますと、これは関係者としては大変安心をいたすところであります。こういうことまでしていただきました長官の御努力に感謝を申し上げるところであります。ありがとうございました。  石炭がこのような形になってきた一番のもとは、石油エネルギー革命というのが昭和三十四、五年ぐらいから非常にはっきりしてきたような形になっておりましたけれども、それがさらに別な意味での非常に大きなエネルギー問題となってきたのは、何といっても石油ショックという一九七三年からの部分が一番大きな問題を提起したのだと思っております。それに伴いまして、いろいろだ意味で、従来石炭から石油にかわり、さらにその石油から別の代替エネルギーというものを考えねばならぬ。私ども石油依存をしております部分というのが当時七十数%あったと思います。それが皆様方の大いな御努力によって約五五、六%まで今下がっておると思いますけれども、その五五、六%まで下がっている分のうち、私ども日本輸入をいたします石油の五割以上、五五、六%が今非常に危険水域になっておりますペルシャ湾並びホルムズ海峡通過という現状であります。  したがいまして、代替エネルギー開発する傍ら、同時に備蓄をやらねばならぬという部分を同時並行的に行っておられるのは皆さん方御存じのとおりでありますので、まず最初に伺ってみたいのは、石油が余ってくると何となく代替エネルギーというものが余り必要じゃないような話も出てきて、結果として、新聞に「通産省は十六日、石油税財源とする石炭石油特別会計石油代替エネルギー開発費を大幅カットする方針を決めた」と書いてありますけれども、これに対してどのような見解をお持ちなのか、伺いたいと思います。
  8. 浜岡平一

    浜岡説明員 御指摘のとおり、石油依存度が低下してまいりますプロセスで、石油代替エネルギーが大きな役割を果たしているわけでございます。昭和六十一年度、代替エネルギーの中で大きな柱は、石炭の一八%、それから原子力の約一〇%、天然ガスの約一〇%でございますが、原子力天然ガス石油ショックが起きました四十八年度ころには一%前後だったわけでございますから、この十数年の間に随分と大きな役割を果たすようになったということかと思います。二十一世紀まで十数年という期間があるわけでございますけれども石油ショックが起きてから現在まででも十数年でございますから、今後新しいエネルギー源というものを、今の段階から着実にその技術を育てていくということは必要不可欠だと考えております。  ただ、先ほど申し上げました石油税につきまして、従量税化というような方向で今後の財源安定化を図ろうとしているわけでございますけれども、現在浮上いたしております案が、石油で申し上げましてキロリッター二千円程度でございます。現在、従価税仕組み現実従量ベースに引き直した負担というのが約八百円・キロリッターでございますので、二・五倍ぐらいになるというようなことでございます。かつて従価税のもとで御負担いただいたことのあるレベルを超えないということで調整はいたしているわけでございますが、いずれにいたしましても、やはり引き上げにも限度がございます。そういう状況下で考えてみますと、石油対策につきましても、代替エネルギー対策につきましても、かなりの緊縮といいますか、調整はやはり必要であろうかというぐあいに思っております。  しかし、代替エネルギー政策につきましては、二十一世紀へ向かいまして生まれてきております芽を殺してはならないと考えております。ある程度プロジェクトの規模でございますとか、あるいはスケジュールについて見直しをするというようなことは避けがたい面もあるかもしれないと思っておりますが、二十一世紀に花を開く可能性のある芽は決してつぶさないということで何とか対応していきたいと考えております。
  9. 麻生太郎

    麻生委員 一番大事なものの一つは、何といっても国家の場合、エネルギーがないと今動かぬわけでありますので、石炭がこういう状況になって石油もない日本という国の現実を直視した場合においては、何といってもエネルギーの問題は優先順位の一番に考えねばならぬほどの大事な点だと思っております。今、例えば石炭液化とかコールカートリッジシステム、CCS等々の研究がなされておったと思いますが、その現状は今どうなっておりますか。
  10. 浜岡平一

    浜岡説明員 石炭の新しい利用につきまして、御指摘のようなプロジェクトがこれまで進められてきているわけでございます。なかんずく、一番大きな柱になっておりますのが石炭液化でございます。  現在、大きく分けまして二つのプロジェクトがございますが、一つは褐炭の液化でございます。これは五十トン・パーデーパイロットプラントオーストラリアと協力いたしまして、オーストラリア研究開発を進めております。これにつきましては既にパイロットプラントの建設が終わりまして、六十三年度あたりから本格的なテストランを行いまして知見集積を行うという段階にかかってきております。まずこれが今後二年か三年かかるのではないか、それでほぼ知見集積が終わるのではないかと考えております。  それから、もう一つは歴青炭の液化でございまして、これにつきましては、現在のところ、鹿島に二百五十トン・パーデーパイロットプラントを建設するというような方向で取り組んできているわけでございます。ほぼ基本設計が終わっている段階でございますけれども、今後次のステップにどういうぐあいに進んでいくかということが課題になっておりまして、先ほどの御質問にございました今後の石油代替エネルギー対策をどういうぐあいにまとめていくかという際の焦点になろうかと思っておりますが、基本的には、先ほど申し上げましたように、芽はつぶさないという姿勢で取り組んでまいりたいというぐあいに考えております。  なお、現在日本がやっておりますのは、今申し上げましたようにいずれもパイロットプラント段階でございまして、この段階につきましてはアメリカは既に幾つかのプロジェクトを終えまして、いわば知見集積を終えているという状況でございます。西独につきましては日本とほぼ同様でございまして、現在パイロットプラントを建設し、あるいはテストランを行っているという状況かと理解をいたしております。それからイギリスは、むしろこれからパイロットプラントをやるかどうか考えているというくらいの段階かと思っております。なお、よく例に出ます南アのプラントというのは、これはもう御承知のとおり、特別の石油事情等もございまして商業プラントでやっておりますけれども、これはちょっと別の次元でございます。日本でやっておりますのもパイロットプラントでございます。これはやはり何らかの形で進めていきまして知見集積し、二十一世紀近くになるかと思いますが、その時期に花を開かせることができるならば花を開かそうということで取り組んでまいりたいと思っております。
  11. 麻生太郎

    麻生委員 今、アメリカお話があっておりましたけれども、ドイツもアメリカと同じような状況で、基礎技術研究集積がほぼ終わり、目下お休みという形になっておると思います。しかし、浜岡長官もきっと人が勉強してないときに勉強していい学校に入ったのだろうと思いますので、我が方もほかのところが休んでいる間に大いにやっていただかぬと、アメリカ石油産油国であり、石炭産炭国でもあり、日本より有利な状況にある国で既にそこまで行っておるということでありますから、こういう一回集めた技術屋というのは一たん散ってしまうとなかなか再開が難しいことになりますので、いろいろな事情はあろうかと思いますが、今お言葉にもありましたので少し安心したのですが、こういう技術集積というのは今後とも必ず継続をしていただきたい、その点の御確約をお願いしたいと思います。
  12. 浜岡平一

    浜岡説明員 新しいエネルギー技術というものが芽を開くまでの間には、原子力の例を見ましても、十五年、二十年というような時間がかかるものだと思っております。今の時点でございますとまさに二十一世紀にかかっていくわけでございますけれども、二十一世紀日本エネルギーというものを考えながら取り組んでいくという姿勢は堅持したいと思っております。
  13. 麻生太郎

    麻生委員 ありがとうございました。  もう一点、同じくこの石油ショックに伴って私どもが大いに必要性感じた話の一つに、何といっても石油備蓄があろうかと思います。石油備蓄というものを考えた場合、全国で約十カ所程度だと記憶しますが、日本じゅうのあちらこちらに今、備蓄する場所を建設しておられます。その中の一つに、若松に白島備蓄基地がありましたが、新聞を読まれた方もおみえだと思いますが、過日、毎日新聞一面トップででかでかと出ました「白島計画備蓄 寝耳に水の衝撃」、この新聞の真偽について伺いたいと思います。
  14. 内藤正久

    内藤説明員 今御指摘白島備蓄基地でございますけれども新聞で報道されておりますのは、被災の事実については真実でございますが、それ以外のところにつきましては引き続き原因究明中という状況でございます。御承知のとおり、ことしの二月四日に大しけによりまして被災をいたしました。その結果、そのよって来る原因がどこにあるかということを英知を集めて今探求中でございます。  それで、まず、水理模型実験と称しておりますけれども、水槽に模型を並べまして、波とケーソンとの挙動関係実験によって調べるという研究をこの秋までやってまいりまして、九月十八日に二次元模型と言っております特定断面に対する波の影響という結果を報告しておりますし、かつ、より立体的な形で三次元模型の判定を十一月十四日、いずれも白島石油備蓄株式会社から港湾管理者でございます北九州市に既に報告しておるところでございます。さらに気象条件あるいはケーソンそのものの耐波性、そういうもののデータを現在整理をいたしておりまして、先ほどの実験とこれらのデータとを総合的に整理をいたしまして、国家備蓄会社から改めて北九州市に原因の総合的な報告書を提出する予定をいたしております。その上で、北九州市におきましては、専門家から構成されました委員会で総合的な検討が行われて、被災原因究明されるという手順になっております。  したがいまして、本プロジェクトの取り扱いにつきましては被災原因究明を待って判断をするということで、新聞報道にあるような判断をするに至るような事実関係はまだないということでございます。全く原因究明段階というのが現状でございます。
  15. 麻生太郎

    麻生委員 新聞記事に自分のことが載りますと大体半分はうそだなと思っておるのですが、人のことが出ると皆本当のように見えるところが新聞のおもしろいところであります。こういうのを見まして、何となくこれはえらいことになったなという感じになっております。確かに、起きた状況が今までにないような異常な状況であったことは地元の漁師も皆認めておるところではあります。これがもし事故につながった場合は非常に大きな問題が出てくるというのは重々承知をいたしておりますが、結論はもう出ているのだという記事でありましたので、私どもは大いに心配をしたところであります。今後ともこの問題につきましては、皆様方の積極的なる御理解をいただき、かつ地元のいろいろな要望もありますので、早急にこの問題の結論が出て、前向きに検討されることを大いに期待を申し上げておるという事実を申し述べて、この質問を終わりたいと思います。  もう一点、御存じのように、真谷地炭鉱閉山等々今あります炭鉱閉山が、昨年、ことしという形で相次いております。そういう状況で、今後閉山が行われるということになったときに、ほとんどの場合、その炭鉱ができたためにその地域に新しく町ができたというのが大体炭鉱のあります町の共通点であろうと思っております。もともと大きな町のあるそばに炭鉱ができたというよりは、炭鉱ができて町ができたという町が非常に多い、そういう状況であります。そういうところが閉山をいたしますと、その町の再開発地域の再浮揚というものを考えたときに何が今日問題になっておるかというと、非常に広大な土地が真っただ中に存在をしておるというところであります。これは何も新しい炭鉱に限らず、古いところも同じような状況になっておるのです。現在、それらの土地が果たして有効に使われておるのであろうかという問題を考えたときに、各市町村等で問題になっておりますのは、町の中にあるその土地がどうしてもひっかかるものだから、地域の再開発ができないという状況が各地で起こっておるはずであります。何も九州に限ったごとではないと思っております。  また、今後出てくるであろう、これは労働省の問題にもなろうと思っておりますが、北海道等でこういう新たなる閉山が起きた場合、その後に新たにそこに先端産業を持ってくるという地域的、地理的条件が余りよくないために、基本的にそれを再開発するに当たっては、この間、産炭地域振興審議会からの建議が出されておりますけれども、こういう中にも、そこにリゾートとかレジャーランドとか、そういうような三次産業観光産業というものをやっていった方がそこにいる人たちが勤めやすい、再就職しやすい職場というものは先端産業よりはむしろそういうものの方がやりやすいということが書かれてあり、そのとおりだと私どもも思っております。  現実問題としては、それを行うに当たっては、広大なリゾートの場合であればあるほど土地が要る。その産炭地の真っただ中にあるところがいわゆる有資力であった場合は、それは私有地というかその会社土地でありますので、通産省として、いわゆる私権の介入になるという部分があることは百もわかっておりますが、それがあるためにその町の再活性ができないというのもまた現実であります。そういう意味で、こういう町の問題に関して、例えば市がやるとか、または公共団体がやるとか学校とか、そういうようなものに関してある意味での指導をしていただく、その土地の一部を公共の施設に提供するとか売却するとかいうようなことを指導していただくということは不可能でしょうか。
  16. 鈴木英夫

    鈴木説明員 ただいま先生指摘のように、去る十一月十二日に産炭地域振興審議会から十五年ぶりに建議がなされまして、今後の特に閉山地域縮小地域におきます産炭地域振興対策あり方について、いろいろ御示唆をいただいたわけでございます。その中で、特に産炭地域の今後につきましては、地元の発意によります活性化プロジェクトといいますか、再生プロジェクトを大いに育てて地域再生を図っていくということが必要であり、そのために、地元の持っておりますいろいろな意味での資源を活用してそういう総合的な活性化事業を進めていく必要があるであろうというふうに認識されていると承知をしております。  その場合に、特にこの炭鉱跡地の問題につきましては、先生が今いろいろおっしゃいましたように難しい問題もございまして、特に私的な権利の問題あるいは抵当権の設定の問題等々難しい問題もございますが、私どもといたしましては、この建議の中でも炭鉱跡地の整備につきまして御示唆をいただいておりまして、地元会社あるいは地元金融機関等の話し合いを促進すること等によりまして、炭鉱跡地の実情に応じて配慮あるいは指導を行う、あるいは各般の対策を講じるということを積極的に検討してまいりたいと考えております。
  17. 麻生太郎

    麻生委員 ありがとうございました。  過日、まだ残っておりますボタ山の中で、子供がその現場で遊んでいて亡くなったりいたしております。ボタ山それ自体ではなくてそのボタ山のすそ野のところでありますので、そのボタ山が崩れたというわけではないのでありますけれども、まだまだこの旧産炭地という地域にもいろいろな問題が多く残されております。何となく、周りがどんどん再開発されていっている部分にあってそこだけ残っているという感じがどうしても町から見るといたしますので、こういった問題を今後、今言っていただいたような形で、これは何といつでも担保の問題というのは一番大きいのだとは思っておりますけれども金融業界、また石炭業界等々との間でいろいろな話を煮詰めていただかなければならぬことは間違いありません。何として谷、現実としては今その地域のみが開発がおくれているという感じがする部分が今後ますます出てぐるということになろうかと思いますので、いろいろな意味通産省の適切なる行政指導なり適切なる御指摘をいただくようにして、その地域の再開発というものにお力添えをいただきたいと思うものであります。こういうものがうまくいきますと、その地域で一番問題になります離職者対策ということを考えていった場合に、その地域離職者が就職しやすいという企業、しやすいという事業が出てきて、その地域のいわゆる民生の安定にも一番つながっていくことではないかと思っておりますので、今後一層の御理解と御指導を賜るようにお願いを申し上げて、時間になりましたので質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  18. 福島譲二

    福島委員長 次に、岡田利春君。
  19. 岡田利春

    岡田(利)委員 石特質問が行われた九月の七日以来、実は久しぶりに質問のある委員会であるわけです。その後、北炭真谷地炭鉱閉山が行われまして、大変な社会的摩擦が発生するのではなかろうかという状況の中で、通産大臣初め通産省としても、この摩擦を解消するために大変な御努力をいただきました。改めて敬意を表する次第であります。  私は、きのうNHKのテレビで、高島炭鉱離職者が島を離れてほかに転出をする光景を実況放送していたアナウンサーが、画面の中で絶句するという場面にぶつかったわけであります。高島に次ぐ三井砂川、また北炭の真谷地、そしてすべての炭鉱で今縮小合理化が進められておるわけです。  今年度は第八次政策の初年度でありますけれども、第七次政策の最終年度は政策の変更が行われましたから、そういう意味では昭和六十一年度以来新しい八次政策である、このように受けとめることが極めて妥当だろうと思います。何せ昭和六十一年度は鉄鋼の引き取りが半減いたしたのでありますから、これは七次政策の予想を大幅に変更したものであるわけです。そういう意味で、私は、今後残された四年間の第八次政策を進めるに当たって、との一年間の総括をまずする必要があるのではないのか。したがって、三山の閉山、そして全山の縮小合理化の状況、こういう情勢について通産省は現時点でどのように総括をして、この評価をされておるのか。この点、まず基本的に考え方を承っておきたいと思います。
  20. 鈴木英夫

    鈴木説明員 先生指摘のように、第八次石炭政策のもとで、ただいま石炭企業各社は鋭意生産体制の合理化に努めておるところでございまして、答申にもうたわれておりますように「需要動向をも十分勘案した生産体制とすべきである。」ということで、その線に従って努力が払われているというふうに私ども認識をいたしております。本年度の国内炭の供給規模につきましては、昨年に比べまして約二百五十万トン減、千四百五十万トンというふうになる見込みでございまして、七月十四日には砂川炭鉱閉山をいたし、十月九日には真谷地炭鉱閉山をしたという状況になっております。私ども、この二百五十万トンの減少のうち約百万トンが閉山による分、百五十万トン程度が縮小による分というふうに認識をいたしております。  私ども当省といたしましては、このような石炭企業の努力を支援するという観点から、過剰貯炭対策あるいは規模縮小円滑化対策等各般の施策を実施させていただいているところでございまして、特に貯炭対策につきましては、第三・四半期までに約三百二十六万トンの貯炭買い上げを行いまして需給のギャップ等に備え、円滑な生産体制の集約化というものに合致するような条件の整備を行っているところでございます。また、需要面におきましても、需要業界の最大限ぎりぎりの御協力をいただきまして、六十二年度は千三百八十五万トンの引き取り量を確保したところでございます。  こういう中で、石炭鉱業は今後ますます厳しい局面に立たされると思いますけれども、ぜひ八次策答申の線に従いまして円滑なる集約化を進めていくべきである、本年度はその初年度として位置づけられるものであるというふうに認識しております。
  21. 岡田利春

    岡田(利)委員 各論については後からまた質問することにしまして、ここで、労働省としてこの閉山、合理化の状況について、私はやはり雪崩的な縮小過程が今年の特徴ではなかろうかと思うわけでありますが、そういう意味で雇用情勢について、この一年間を振り返ってみて労働省としては一体どういう総括をされておるのか。承っておきたいと思います。
  22. 浦田勝

    ○浦田説明員 三菱炭鉱閉山以来、第八次石炭政策のスタートによる合理化、閉山によって、現在まで七千人を超える炭鉱離職者が発生しております。これら離職者を取り巻く環境は、第一に、円高等により雇用失業情勢は現在まで厳しい状況にあったこと、第二に、とりわけ炭鉱が所在する地域は専ら炭鉱のみに依存してきた地域が多いことから雇用情勢は深刻であり、地元では多くの雇用の場は見込めないこと、第三に、炭鉱離職者は従来のように他の炭鉱へ再就職することはほとんど不可能であり、他の産業に再就職せざるを得ないことなどから、再就職については非常に厳しいものがあると深刻に受けとめているところであります。  このため、労働省といたしましては、第一に、手帳制度の活用による生活の安定と再就職援助施策の実施、第二に、職業転換を円滑に進めるための職業訓練の積極的実施、第三に、全国的な規模での求人の確保及び住宅の確保等による広域職業紹介の推進、第四に、地域雇用開発等促進法に基づく地域における雇用機会の開発などにより、今後とも炭鉱離職者の早期再就職の促進に全力を挙げて取り組んでまいりたいと存じます。
  23. 岡田利春

    岡田(利)委員 労働省の認識についても今お話しいただいたわけですが、しかし、実際問題として、七千二百四十名の炭鉱離職者が出て、求職者が六千五百十三名いて、就職した人数は一千三百二十八名である、これが実績なんですね。今の政務次官の答弁について異議を唱えるものでありませんけれども、問題はどう実効を上げるかということで、それが今具体的に問題になっていると思うのです。そういう意味で、労働省としても、従来の炭鉱離職者に対する対策を一歩越えて、実効の上がる就職あっせんという点についてぜひ今後検討を願いたいということを、時間がございませんから申し上げておきたいと思います。  そこで、先ほど財源の問題について質問がございましたけれども、つまり、十二分の十の原重油関税プラス十二分の二の重油関税、これが石炭勘定財源だということですね。
  24. 浜岡平一

    浜岡説明員 ただいま先生がおっしゃったとおりでございます。
  25. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうしますと、来年度予算要求に税収として一千億計上しているわけですね。そして借り入れその他で三百六億、一千三百六億が石炭関係の予算の総額であります。そうしますと、この税収が一千億というのは、一千七十億なら一千七十億に修正されるものだ、こう思いますけれども、いかがですか。
  26. 浜岡平一

    浜岡説明員 ちょっと細かい話になりまして恐縮でございますが、先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、現在、原重油関税は本則でキロリッター当たり五百三十円、暫定で百十円上乗せになっております。今回議論の対象になっておりますのは、この暫定分百十円でございます。両方足しますと六百四十円でございますので、六百四十円のうちの百十円が議論の対象になっているということでございます。きちっと計算しますと、十二分の二・〇六が今回の問題ということでございます。  原油につきまして十二分の二・〇六を廃止いたしますので、従来の十二分の二と比べますと、原油につきましては十二分の〇・〇六だけ減るわけでございます。現在、原油からの収入が約一千百億でございますので、十二分の〇・〇六ですと六億円前後になろうかと思います。他方、重油部分でございますが、従来の十二分の二・〇六の部分というのは石油対策へ回っておりました。これを今後石炭対策へ残すことにいたすわけでございますが、重油の収入が約百億でございます。したがいまして、それの十二分の二は十六億円ぐらいになります。原油につきまして約六億の減がございますが、この十二分の二・〇六を石炭へ回すことによりまして十六億円程度プラスになりますので、差し引きいたしますと、大ざっぱに約十億円従来よりプラスになるという感じでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、今回の調整措置は多分来年八月ぐらいからやるということになりますので、その辺の出入りがございますが、その出入りは今後の予算編成の段階調整をされまして歳入面に反映をされることになるのではないかと思っております。この辺は、今後財政当局との詰めということになろうかと思っております。
  27. 岡田利春

    岡田(利)委員 昨年、石特会計では、借り入れが二百五十億、繰り越しその他があって大体三百三十億が上積みになった予算が計上されたわけです。今年も借入金は二百四十億、繰り越しその他の関係を含めて三百六億で、一千三百六億の予算要求ですね。ですから、五百億程度の借り入れを行っているわけです。来年もまたさらにふえる見込みでしょう。そうすると、この返済をするということは今の中では大変な問題になってくるのではないかということを私は懸念するわけです。そういう点については、どういう姿勢通産省としては対処しようとしているのか、この機会に承っておきたいと思います。
  28. 浜岡平一

    浜岡説明員 原重油関税につきましてただいま申し上げましたような徴調整はあるわけでございますけれども、基本的に従量税でございますし、石油の今後の輸入量につきましてはおおむね横ばいということではないかと見ておりますので、第八次石炭政策の実施期間中の五年間を通じまして財源はほぼ横ばいで推移するということかと考えております。御指摘のように、政策期間の前半におきましては、減産対策費の支出というようなことで歳出はある程度高い水準になりますので、その原重油関税の収入分を上回るところを借り入れで対応をしていくということにいたしておりますが、後半になりますと、閉山減産対策費でございますとか、あるいは稼行炭鉱助成が減ってくるというようなことで歳出が原重油関税のレベルをかなり下回ってまいりまして、全体の期間を通じますと、原重油関税収入政策費のトータルがほぼバランスをするのではないか。政策期間の後半に借入金の返済という局面が出てくるということを考えまして、こういう借入金の仕組みというようなものを導入いたしているわけでございます。  今後、そういう展望に立ちながら、かつ正確に八次対策を推進しながら、この借入金の返済につきましては、政策の期間の終局の段階において責任を持って対処しなければならないと考えております。
  29. 岡田利春

    岡田(利)委員 現在の石炭予算というのは硬直的な内容になっているわけですね。鉱害に四三・二%、産炭地に六%、労働省関係が一五%、その他三%で、いわゆる石炭合理化の関係は三〇・六%なんですね。三〇%を切る段階なんですよ。だから、一千三百億あってもこれは三百九十億程度。そういう点で非常に硬直化しているわけですから、この点の対応について、特に私は強い要望を今からいたしておきたいと思います。  そこで労働省にもう一問お聞きしますけれども、現在の炭鉱労働者の労働条件は他産業に比べてどういう水準にあるのか。例えば製造工業、最も似通っている非鉄金属の業種、そして炭鉱、こう比較した場合に一体どういう状況にあるのか、ここ四、五年間の変動はどうなっているのか。この機会に、賃金、期末手当についてお知らせ願いたいと思います。
  30. 甘粕啓介

    ○甘粕説明員 お答えいたします。  私ども労働省の毎月勤労統計調査で調べた結果でございますが、比較は、石炭鉱業及び金属鉱業につきましては坑内夫を、それから製造業につきましては男子生産労働者ということで比較してございます。  最初に六十一年の状況でございますが、いわゆる定期給与みたいな賃金につきましては、これは残業手当も入ったものでございますが、石炭鉱業の坑内夫の賃金が月間平均で約二十八万五千円という状況でございます。これは製造業と比較いたしますと、製造業を一一%程度上回っている状況にございます。また、金属鉱業と比較いたしますと六%程度下回っているという状況でございます。それから、ほぼボーナスに該当いたします特別に支払われた給与でございますが、石炭鉱業の場合は五十三万三千円程度でございます。特に六十一年は、石炭鉱業の場合ボーナスが非常に悪かったということでございますので、製造業に比較いたしまして四一%程度下回っているという状況でございます。また、金属鉱業と比較いたしましても三七%程度下回っているという状況でございます。それから、こういう賃金とボーナスを合わせた金額にいたしますと、月間平均で約三十二万九千円ということでございまして、製造業を一%程度下回り、金属鉱業を一二%程度下回っているという状況でございます。  それから、ここ四、五年程度の変化ということでございますが、賃金、ボーナス全体を合わせた金額でまいりますと、五十八年の場合には製造業を一二%程度上回っていた、これが現在六十一年では一%程度下回っている、それから金属鉱業に対しては七%程度上回っていたという状況でございます。
  31. 岡田利春

    岡田(利)委員 私はあえて炭鉱労働者の今日の労働条件について聞いたわけですが、第五次政策のときには、炭鉱労働者の労働水準をメタルの労働水準に引き上げるという方向調整をされたのであります。それがボーナスにおいて四割下回っている、また賃金においても金属鉱業を著しく下回っているという点について我々は注意を払っていかなければならぬのではないか。やはり労働者のことを考えないでは石炭鉱業は安定しないわけでありますから、そういう意味で、これからの八次政策を進めるに当たって、この注意を忘れて八次政策の推進はないということを特に強調しておきたいと思います。  そして、次にお伺いいたしますのは資金関係の問題であります。近代化資金それから開発資金、整備資金、経営改善資金、災害復旧資金、この五つの資金があって、開銀関係としては、石炭鉱業の合理化に資する設備資金という制度があるわけであります。そしてまた、これ以外に四つの保証制度が存在いたしておるわけです。  時間がありませんから、特に近代化資金についてお尋ねしますが、私の調査したところによると、六十年を境にして近代化資金の償還と貸し付けが逆転しているわけですね。そして毎年毎年この差は広がっていっておるわけであります。この傾向をこのまま放置しておくのかどうか。あるいはまた整備資金という制度がございますけれども、整備資金の貸し付けを見ますと非常に少額なんですね。回収の方が多いわけです。貸し付けは極めて少ない。ここ四、五年前などはゼロだったわけです。そういう状況を見ますと、整備資金と関連して考えますと、融資制度については再検討しなければならぬのではないか。現時点のニーズ等も考えて調整をするといいますか見直しをするというか、そういう段階にあるというのが状況ではないかと私は認識をいたしておるのでありますけれども、この点の見解はいかがでしょうか。
  32. 鈴木英夫

    鈴木説明員 先生指摘の新エネルギー総合開発機構の近代化資金につきましては、昭和五十八年度をピークにいたしましてその貸付額が減少してきております。これを受けましていわゆる揚げ超といいますか、近年は償還の方が上回っておるというような状況になっております。一方におきまして、今御指摘のありました整備資金、これもこれまで活用が少なかったことも御指摘のとおりでありますが、これにつきましては今年度予算措置を講じまして、約十二億円でございますけれども石炭各社の資金負担の緩和等を図っているところでございます。当省といたしましては、これら近代化資金等につきましては、これまでも貸し付け対象の拡大ということで、私の記憶していますところでは、たしか昭和四十年には保安設備を加え、四十四年には福利厚生設備を加えたと思います。また対象工事に対します融資比率のアップ、これもかつては四〇%程度だったものが現在は七〇%になっておるというところでございまして、そういうことを通じまして、政策需要あるいは近代化資金の需要にこたえてきたところでございます。第八次石炭政策のもとにおきましては、生産規模の縮小等に伴います資金需要の減少傾向が見込まれるわけでございますけれども石炭各社の資金需要には適切に対処してまいりたいと思います。  ただ、この制度の充実の問題でございますけれども、現段階でも他産業に見られない非常に手厚い融資制度が講じられてきておりますので、私どもといたしましては、現行制度の範囲内で所要の支援を行うことが基本ではなかろうかと考えている次第でございます。
  33. 岡田利春

    岡田(利)委員 今、部長の答弁でありますけれども、近代化資金は九百五億というのが六十一年度の残高ですね。そして昨年度の貸し付けが九十九億、償還が百五十七億なんですね。傾向的に見ますと、貸し付けするお金と返すお金では、来年度あたりは二対一近い関係になってくるんじゃないかと思います。  今、一方ではもうボーナスも四割減、賃金も非常に低いところで炭鉱労働者は働いている。そして一方においては、極端な会社を見れば閉山コストがかかる、そしてまた縮小もしなければならない、同時にまた、原料炭と一般炭で山手が高かったけれども、一般炭化するわけですから山手が下がる。これは考えてみますと三重苦なんですね。そういう状況に対してどう対応するのか。他の金融機関では金融がつかないからこういう制度をつくっているのでありますから、そういう意味では、大体この一年間を総括して補強しなければならぬ面はほぼ明らかになってきているのではないのか。そういう意味でこの点はぜひ宿題として検討していただきたい、こう思いますが、検討する意思はないですか。
  34. 鈴木英夫

    鈴木説明員 先生指摘の中の労働環境等も含めまして、第八次石炭政策の答申では、「石炭企業は、地下産業という炭鉱の特殊性を十分考慮し、それにふさわしい労働条件の確保に努め、」生活環境の整備あるいは労働者の方々の教育訓練の強化を図る必要があるというような御指摘もございまして、労働条件等につきましては、今後とも企業サイドで十分留意していくべき問題であるというふうに考えております。  それに伴いましていろいろな資金需要も生じるわけでございますが、私どもといたしましては、現在のところ、現行制度の範囲内での適切な運用ということが基本ではなかろうかというふうに考えている次第であります。
  35. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は制度を変えると言ったのではないのですよ。制度の中の基準を検討したらどうかということを言っているのです。制度を変えるということになると今のような構えた答弁だと思うのですけれども、制度ではなくてその基準があるわけでしょう。そういうものをある程度充実するとか拡大するとか、あるいはまた返済期間を多少計画的に延伸するとか、そういう点については今後の宿題として私は議論を続けていきたいと思いますので、ぜひ検討願いたいということを強く申し上げておきたいと思います。  次の問題は、需要動向と在庫の関係であります。  当初の審議会の計画を二分の一にして比較をしますと、六十二年上期だけで原料炭の需要では二十五万四千トン減、一般炭の関係では三十九万八千トンの減、これを合わせますと六十五万トンになるわけです。一般炭の場合、電力がマイナス二十三万九千トン、一般産業向けが十五万九千トン、こういう数字になっているわけです。これは機械的に二分の一にしましたから、下期の方の需要が大きいことは私も常識的に承知をいたしているわけですが、この落ちつき見込みは、三月末にはこの審議会で審議をして決定した数字になるという確信がおありかどうかというのが一つであります。  なお、在庫についてもそういう傾向が出て、既に九月末では四百九十一万五千トン、十月末には四百九十七万トン、審議会の三月末は四百五十三万トンという数字でありますから、これを上回っておるわけであります。十月の末ではもう百三万トン程度上回っておるという数字が出ております。したがって、在庫については、来年三月末の見込みについて一体どうか。同時にまた、買い上げは既にそれぞれ三百二十六万トン行われておりますけれども、三百六十万トンの枠というものが設定されておるわけであります。したがって、第四回目の買い上げになると思いますけれども、これはいつ実施をするのか、この点についてもお答え願いたいと思います。
  36. 鈴木英夫

    鈴木説明員 先生指摘のように、上期の国内炭の引き取り量でございますけれども、原料炭は鉄鋼が二十九万トン、ガス、コークスが二十三万トンの合計五十二万トンでございました。一般炭は電力が四百七十万トン、そのほか六十四万トン、そのほか暖房、山だき等を入れまして合計で五百六十六万トンということで、上期の国内炭の引き取りが六百十八万トンということになっております。これは実は、八月末に石鉱害で本年度の引き取り等について最終的に決めていただいたということもございまして、それまで特に鉄鋼の引き取りが、大ざっぱに言いまして年六十万トンペースということで非常に低いペースでの引き取りが行われておったという関係上、上期の引き取りが極端に少なくなっておるということであろうかと認識しております。  一方、下期につきましては、鉄鋼あるいは電力で約六百三十万トンの引き取り量が見込まれておりまして、かつ、このほか一般産業あるいは暖房関係の需要増も見込まれますので、年度末の供給、需要の関係あるいは在庫の関係につきましては合理化実施計画どおりに進むのではないか、今のところ私どもはそのように見通しておるわけでございます。特にこれから石炭の需要期に入るということもありまして、そういう方向での期待をしておるわけでございます。  在庫につきましては、先生もただいま御指摘のように、十月末の速報では四百九十八万トンということになっておりますけれども、これも下期には、国内炭の引き取りが電力あるいは鉄鋼等を中心にいたしまして堅調に推移するものというふうに考えておりまして、年度末には在庫は四百五十万程度に落ちつくのではないか。四百五十万トンで、かつ適正在庫を差し引きますと、約三百六十万トンという貯炭買い上げ枠でほぼ買い上げ需要は満たせるのではないかというふうに考えておるわけでございます。なお、在庫の状況につきましては、今後とも注意深く見守ってまいりたいと考えておりますけれども、この在庫の買い上げにつきましては、さらに第四・四半期に入りましてなるべく早い機会に実現をしてまいりたいというふうに考えております。
  37. 岡田利春

    岡田(利)委員 さらにそれぞれ内容分析しますと、例えば三池炭鉱を見れば、十月末の貯炭量は二百五十四万トン、買い上げ量は百九十九万トン、非常に突出しておるわけですね。これはやはり三池炭鉱対策を集中的にやらなければならないということを教えていると思うのです。個別企業にわたる問題でありますけれども、特にそういう点を含めて、マクロの計画と個々の単位炭鉱状況というものを結びつけていかなければこれからの石炭政策はうまくいかないのではないかということを申し上げておきたいと思うのです。  そして最後に、通産大臣に伺っておきますけれども昭和二十年代というのは石炭の傾斜生産の時代、昭和三十年代はエネルギー調整の時代、石炭と油のフィフティー・フィフティーの年が昭和三十六年です。そして昭和四十年代は、これはスクラップ・アンド・ビルドといいますけれども、スクラップの時代、縮小の時代、そして昭和五十年代、これは安定期です。縮小された状況で十年間、オイルショック後安定したわけです。閉山も非常に少なかったわけです。そして、この昭和六十年代は大幅な縮小の段階を迎えているわけです。ですから、そういう段階になりますと、今までの時代と違って、炭鉱を離れて別の炭鉱に行くことはできないわけです。それは直轄であっても組夫であっても同じなんです。下請であっても同じ状況なんです。前は下請は別の炭鉱の下請に行けたわけです。ですから、時代が変わってきているわけです。  私どもも、石炭政策を進めるに当たって、下請に離職金を支払う問題をこの委員会で決議をしたりしてこれが実現をする。あるいはまた今まで緊就、開就でやってきた仕事を黒手帳でもって三年間補償するという方向で、下請の坑内と坑外の運搬関連もこの対象にしたという段階がありました。また、買い上げ方式も炭量を買い上げる、同時に設備をプラスして買い上げる、これが初めの段階で、その次は炭量を買い上げる、三番目には今度は鉱区を封鎖して買い上げる、封鎖して交付金を出す、最終的には鉱業権を抹消して交付金を出す、こんなふうに変わっているわけです。しかし、総合的に考えますと、六十年代の今日の状況を見ますと、離職者はどこにも行けないわけです。全然別の仕事に転換しなければならぬわけですから、そういう点では、炭鉱の下請関連についても閉山交付金の対象にして、退職債務が完全に補償されるという道を切り聞かざるを得ない段階に来たのではないのか、今そういう要望が強いわけです。そういう点について通産大臣のお考えをぜひこの機会にお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  38. 田村元

    ○田村国務大臣 実は、私もそういうような考えを持っておる一人なんですが、何とか下請労働者に対して報いたいというふうに考えて、事務方にいろいろ検討もさせました。ただ、閉山交付金制度の適用という点では、法制上なかなか困難であるという法解釈を持っておるようであります。そこで私は、この下請労働者の問題は非常に重要ですから、この実態の把握と今後の対応策について検討してみたい。そのためには、これは私の単なる意見ですが、ぜひやらせたいと思っておりますからあえて申しますと、学識経験者などによって委員会をつくってもらって、そこで御検討を願うというのも一つの案かな。いずれにしても、私自身これを放置しておくことはためらいを感じますから、そういうようなこともあわせ考えながら、しかも、逆に言えば下手の考え休むに似たりにもなりますから、なるべく早くこういうことを実行するように実は浜岡長官にも指示したところでございます。この前私は北海道へ行きまして皆さんにお目にかかって帰ってきて、長官にそれを指示したというところでございます。
  39. 岡田利春

    岡田(利)委員 終わります。
  40. 福島譲二

    福島委員長 次に、中沢健次君。
  41. 中沢健次

    ○中沢委員 実は私、北海道の夕張の出身でもございますが、残念ながら十月の九日に北炭の真谷地炭鉱閉山になりました。しかし現実問題として、旧労務債の返済の問題あるいは新たに発生をいたします労務債の支払いの問題が大変な社会問題になりまして、私も何回か委員会質問をさせていただき、そして通産大臣あるいは労働大臣関係者から、その事態の深刻さについてしっかり受けとめて、最終的に政治決断も含めてこの問題の解決に当たる、こういう御答弁をいただいてまいりました。結果的に新旧労務債について労使交渉の中で基本的に合意を行いまして、しかも旧労務債については年内にほぼ全額支給になる。それと、新しい労務債につきましては八割方年内に支給がされまして、残った関係につきましては明年の三年までということになった。閉山そのものは大変残念でありますけれども、新旧労務債の処理の問題につきまして、私どもとしては両大臣、両省の関係者に、この間の努力に対して心から厚くお礼を申し上げたいと思います。そして、前委員長の竹内先生を初めといたしまして、この委員会に所属をされます各委員先生方の御理解と御支援をいただいてまいりましたことに対しても、この席で厚く御礼を申し上げたいと思います。  さて、きょうは私、三十分しか時間がございませんので、要点を絞りましてできるだけ簡潔に質問をしたいと思います。したがって、御答弁も焦点を絞りまして、簡潔にわかりやすい御答弁を特にお願いをしたいと思います。  まず、一番最初に通産の担当の方にお尋ねをしたいと思うのであります。  実は、八次政策がスタートをいたしまして、二つの山が閉山になる、谷山が合理化をする、結果的に大変な生産体制の縮小になりました。十二月十七日の一番新しい数字を改めていただいたのでありますけれども、二百十五万トン、こういう数字でございます。ただ、これは例えば砂川あるいは真谷地、年度の途中まで石炭を掘っておりますので、結果的に来年の四月一日ではこの分が完全にゼロになる、そういう計算でいきますと、トータルをすると二百八十九万トンの大変な縮小の結果になるわけでありまして、この現実一つの前提にして具体的にお尋ねをいたします。  六十三年度の概算要求では前委員会で私も質問をいたしまして、部長の方からも数字については余りこだわらない、こういう趣旨の御答弁をいただいたのでありますが、重ねて六十三年度の予算の中で閉山と縮小で百四十五万トン、そういうものを大蔵の方に提起をしておるわけであります。この時期に概算要求の百四十五万トンを修正するということはなかなか大変であるとは思うのでありますが、仮にその修正ができない場合、今後の行政指導の問題として、六十三年度については、本当に言葉だけではなしに実態も含めて緩やかな生産体制の縮小ということに基本的に心がけていただいて、そういう観点での行政指導を徹底的に行っていただきたい。これについてのお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  42. 鈴木英夫

    鈴木説明員 六十三年度の概算要求の中で、生産規模の縮小七十五万トン、閉山が七十万トン、合計百四十五万トンという想定をいたしまして予算要求をしておることは事実でございます。ただ、この予算要求の数字は、概算要求の積算を行うためのあくまでもいわゆる機械的な想定といいますか、一つのメルクマールとしての想定で予算を要求しておりまして、特に閉山、縮小の問題につきましては、石炭企業がみずからの経営判断を行った上で最終的に判断をすべきであるということで考えております。したがって、予算要求が各社の生産あるいは合理化計画を逆に規制をするということにはならないというふうに考えておりまして、当省といたしましては、過剰貯炭対策を初めといたします諸施策を通じて雪崩閉山を回避いたしまして、円滑な生産規模の縮小が行われるよう今後とも努力してまいりたいと考えております。
  43. 中沢健次

    ○中沢委員 この問題は委員会の都度また指摘をしながら質問をさせていただきたいと思いますが、二つ目の問題についてお尋ねをいたします。  具体的に今度の八次政策で、新しい減産あるいは規模縮小に伴う補給金あるいは交付金、こういう制度を新設されました。内容といたしましては、安定補給金の加算補給金、これが一つの制度、いま一つは、人員の縮小に伴います規模縮小の交付金の制度、これがこの四月から新設をされたのでありますけれども、制度の内容については承知をしておりますが、NEDOに対しまして特にこの交付金の交付申請が出されていない、そういう事態が発生をしております。申請が出されていない、したがって交付の実績がない、こういうことをお聞きをしているのであります。  それはともかくといたしまして、先ほど先輩の岡田委員の方から、合理化に伴う各種の補給金あるいは補助金の問題等について質問があったのでありますが、実は制度としてスタートをしたばかりでありますので、直ちにこの見直しをしろということについては非常に先を急ぎ過ぎるという嫌いもないわけではありませんけれども、この制度そのものは、専門家の皆さんですから御承知のように、減産体制に伴ってどうしてもコストアップをする、それに対してこの種の補給金、交付金を交付することによって何とか経営上のメリットを捻出をして、そして労働条件の安定についても図ろう、こういう趣旨で制度が設定をされたのであります。私自身いろいろ産炭地を回りまして、会社の幹部の皆さんや組合の役員の皆さんにお会いをして話を聞くのでありますが、まだ正式にいろいろな科学的な分析をしておりませんけれども、せっかくつくっていただいた制度なんだけれども、実際問題としてこのコストアップにどの程度の効果があるのか、せいぜい二分の一程度じゃないだろうか、こういう話でもございます。  そこで、具体的にひとつお願いをしておきたいのは、この際、制度発足直後でありますけれども、そういう具体的なコストアップに対する効果の実態、そしてもっと言いますと、せっかくつくった制度でありますから、もう少しこの効果が上がりますように早急に制度の見直しについても検討をすべきではないかと思うのでありますが、いかがでしまうか。
  44. 鈴木英夫

    鈴木説明員 第八次政策の答申を御議論いただきます際に、国内炭の生産費というのが生産体制の集約化の過程におきまして、非常に固定費比率が高い等のこともありまして、減産をしようとするときにどうしてもコストアップになる可能性があるという御議論がなされたわけでございます。そういうものをカバーするために、第八次策におきまして、炭鉱が円滑な生産の集約化を行い得るように、貯炭管理制度と並びまして規模縮小交付金、減産加算金等の助成制度をスタートさせたところでございます。  これらの諸制度につきましては、先生今御指摘のように、コストアップの全部をカバーし得ているのかという問題がございますが、他面におきまして、縮小合理化におきまして石炭企業の相応の自己努力ということもやはり必要だというふうに考えておりますので、私どもといたしましては、今後ともこの制度を積極的に活用することによりまして、円滑な生産体制の集約化の実現を目指してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  45. 中沢健次

    ○中沢委員 次の問題に移りますけれども産炭地の振興問題について少し具体的にお尋ねをしたいと思います。  先ほどもあったのでありますが、実は十五年ぶりに産炭地域振興審議会建議をされました。私もこれをつぶさに拝見をいたしまして、私なりにいろいろ研究もしたのでありますが、内容としては非常に過不足はありますけれども、今までの通産省産炭地振興に対する基本的な考え方がかなりよく修正をされまして、しかも、具体的な地域問題についても幾つか取り上げでまとめられている。これはひとつ評価をしたいと思うのです。ただ、この建議が具体的な政策あるいは制度として本当に実現するのかどうか、これが非常に重要な問題ではないか。単にスローガンをつくる、文章をつくるということだけで終わらないように、必ず実現をする、肉づけをする、こういうことに積極的に今後とも取り組んでいただきたい、基本的にはそのように要望しておきたいと思うのです。  具体的に三つほどまとめてお尋ねをいたします。  これも六十三年度の予算に関連をするのでありますが、新しい発想として、産炭地については地域社会の基盤整備、これは従来と同じような発想の延長線に一つはありますけれども、新しい発想として脱石炭化による地域活性化、こういうことを提起されております。その関連で、一つ地域開発の国際コンペ、概算要求では五千万円、あるいは産炭地の大規模なプロジェクト開発事業に対する助成、全国三カ所、金額で一億五百万、こういう概算要求にもなっているのでありますが、大蔵と今いろいろやっていると思うのでありますけれども、その辺の見通し、あるいはどこの産炭地を想定して通産としては考えていらっしゃるか、あわせてお尋ねをしたい。これが一つ。  もう一つは、かねてこの委員会でもいろいろ議論がありましたところの、これは通産省労働省の連係プレーの問題になると思うのでありますが、リクルートの関係でございます。この建議の中で、補足の説明をずっと見ますと、何とか全国に先駆けて北海道を第一号でやりたいのだということが読み取れるのでありますけれども、そういう私の受けとめ方でいいのかどうか、第二点目としてぜひひとつ具体的にお答えをいただきたい。  それからもう一つは、かねてから産炭地の中小商工業者対策についていろいろ要望もし、指摘もしてまいりました。現実問題として、閉山地区の中小商工業者の経営がもう大変でございます。当面、金融問題について、現在の五%の金利について、ほかの制度にありますように例えば三・五%だとか、そういう低利融資の道を、単に検討する検討するという繰り返してはなしに、そろそろそういう結論を出して、やります、そういう時期に来ているのではないかというふうに私は考えるのでありますけれども、以上申し上げましたこの三つについて具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
  46. 鈴木英夫

    鈴木説明員 お尋ねの第一点の産炭地域の振興でございますけれども、これにつきましては、産炭地域振興審議会建議に盛り込まれております「脱石炭化による地域再生」ということで、大型の民活プロジェクトをぜひ造成をしていく必要があるのではないか、そのために、地元の発意、発想で広域的な観点からつくられますいろいろな開発計画をつくる準備のためにいろいろ予算措置も講ずべきではなかろうかということで、産炭地域総合支援事業というのを来年度の予算概算要求で要求をさせていただいておるわけでございます。非常に厳しい財政状況のもとではございますけれども、やはり地域再生活性化のためには、プロジェクトシーズを育てていくところから必要な支援を行う必要があると私ども認識しておりまして、これにつきましては、さらに実現に向けまして全力を挙げて財政当局と折衝してまいりたいというふうに考えております。ただ、どこに適用するのかということにつきましては、やはり地域の自発的な努力、自主性ということが大事でございますので、さらに予算制度もまだできておりませんので、今後十分検討させていただきたいというふうに考えております。  次の御質問のリクルートセンターでございますけれども、これにつきましても、先般の産炭地域振興審議会建議も踏まえまして、今後積極的に検討してまいりたいと考えておりますけれども、ただいま事務的には、本年度中に設立が予定されております北海道地域産業活性化センター、仮称でございますけれども、この設立の検討がなされておりまして、そういうものに附置する方向で検討していきたい。広く労働需要を開拓し、あるいはミスマッチを解消するという観点からリクルート機能というものを検討していくべきではないかと考えております。  それから、三番目の閉山地区の中小商工業者融資の問題でございますけれども、御指摘のとおり、土砂川町あるいは夕張市等炭鉱閉山した地域におきます中小商工業者対策は極めて重要であるというふうに認識をいたしております。当省といたしましては、これも産炭地域振興審議会建議を受けまして、閉山地区中小商工業者融資制度に関しまして、炭鉱と非常に関連の深い中小商工業者につきましては、特定地域中小企業特別融資制度第一種という制度がございますけれども、現行の金利は三・五%というふうに理解をしておりますが、これ並みの低利の貸付利率を適用できますように措置したところでございまして、ただいま五%でございますけれども、低利融資が可能になったということでございまして、今後、需要に応じまして土砂川町あるいは夕張市につきましてもこういうものを適用いたしまして、低利融資が行われるよう早急に検討をしてまいりたいと考えております。
  47. 中沢健次

    ○中沢委員 予算の関係で言いますと、大蔵省と政治的な力関係でまたいろいろ折衝の余地がある、そのとおりだと思いますが、大変な期待が込められた内容でもありますので、ひとつぜひ頑張っていただきたいと思います。  産炭地振興の最後の質問は、これはぜひ通産大臣にお答えをいただきたいのでありますが、工業技術院で、地下無重力環境実験センター、こういう構想がまとめられておりまして、実は九月の委員会で私も若干の指摘をいたしました。その後いろいろな経緯があると思うのであります。内容は一々申し上げませんけれども、これは産炭地域活性化という観点もそうでありますけれども日本の科学技術の進歩にとって非常に重要な構想ではないか。ただ、聞きますと科学技術庁も同様の構想を持っておりまして、岐阜県に鉱山跡地の二百メーターの立て坑の跡地利用で考えている。しかし、工業技術院の方は三井の砂川の立て坑の跡地であります。私もあの立て坑に乗りまして採炭現場に行った経験がありますけれども、八百メーターあるわけです。ですから規模からいいましても、あるいは産炭地活性という観点からいいましても、通産大臣としては、今度の予算の政治的な問題はたくさんあるとは思いますけれども、この際、これも大きな目玉の一つにしてぜひひとつ科学技術庁に競り勝っていただいて、大蔵省も説得をしていただいてぜひ実現をしていただきますように希望申し上げたいと思います。大臣の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  48. 田村元

    ○田村国務大臣 今お話しのあったように、科学技術庁でよく似た構想があるようであります。ただ、よく似た構想でありますけれども、全然同じものではありません。基本的に違います。科技庁の場合はウラン鉱山で、立て坑の落差が約百五十メートルということで検討しておるようであります。それなりに意義の深いことと思いますけれども、私どもが土砂川で検討しております地下無重力落下実験施設というものは、炭鉱の立て坑の落差が約八百メートルでありまして、文字どおり世界一の規模となるものであります。でありますから、科学技術の振興とともに、産炭地の振興にも大いに資するものありというふうに考えております。全然規模の違うものでございますし、第一、立て坑の深さそのものの規模が全然違いますし、また、産炭地という特殊の悪条件下にある地域に我々が計画しておるものでありますから、私自身、この問題について一切譲る気はございません。
  49. 中沢健次

    ○中沢委員 大変心強い大臣の答弁でありまして、一〇〇%期待をしておりますので、今後とも全力を挙げていただきますようにお願い申し上げます。  最後に、雇用問題につきまして労働省中心にお尋ねをしたいと思います。きょうは大臣がお見えでございませんが、政務次官がわざわざ出席をされておりますので、まず、政務次官に基本的な問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。  先ほど岡田委員の方からも指摘があったのでありますが、実は、全国的に雇用情勢がやや上向きになって環境がよくなってきたとよく言われております。具体的な数字を私も少し検討してみたのでありますが、例えば、有効求人倍率を昨年の十月とことしの十月を比較いたしますと、昨年の十月、全国で〇・六九、本年で〇・八七、言われるように状況が好転をしておる。北海道は〇・三〇から〇・三八、全国的な傾向よりもまだ下回っておりますけれども、少しよくなってきているのかな。ところが夕張は、真谷地の閉山なんかもございまして、〇・三〇が〇・一五ということで極端に落ち込んでいるわけです。つまり、全国的な傾向としてはやや環境がよくなってきつつある、しかし地域的に見ますと非常に落差がありまして、専門家でありますからもう多く申し上げませんが、不況地域、不況業種については極端な雇用不安になっておる。そうなりますと、労働省の行政としては、三十万人のプロジェクトという大きな柱を持ってやられておりますけれども、もっと地域の実態に立脚をして、職業訓練あるいは再就職のあっせん等々についてきめの細かい政策の実施をすべきではないか、基本的にそのように考えておりますが、政務次官の御見解をお尋ねいたします。
  50. 浦田勝

    ○浦田説明員 ただいま先生お話のように、雇用関係は、やや緩やかにではございますけれども上向きになったということでございますが、北海道、とりわけ産炭地域炭鉱閉山、合理化等により厳しい状況下にあり、炭鉱離職者の再就職をめぐる環境は極めて厳しいものとして深刻に受けとめておるところでございます。  労働省といたしましては、このような厳しい状況を踏まえ、手帳制度の活用により失業中の生活の安定を図るとともに、職業転換を円滑に進めるため、職業訓練の積極的な実施、全国的な規模での求人の確保及び住宅の確保等による広域職業紹介の推進を図り、地域雇用開発等促進法に基づく地域における雇用機会の開発等により、炭鉱離職者の早期再就職に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたい、かように存じております。
  51. 中沢健次

    ○中沢委員 ぜひひとつそういう問題意識を持っていただいて、きめの細かい行政を展開していただきたいと思います。  具体的に事務当局の方にお尋ねをいたしますが、しばしば取り上げておりますけれども、例の黒手帳の支給対象者を拡大する問題で、これは昭和三十八年の労働省通達で現在の範囲が定められております。それ以降、下請労働者がどんどんふえる、あるいは会社が系列会社をつくることによりまして、それまで直轄夫でありました人たちが全部関連労働者ないし下請に変わってしまう、こういう実態があるわけでありまして、したがって、この現状に合うような形で範囲の拡大ということを文字どおり積極的に真剣に、しかもこういう時代でありますから早急にやるべきではないか、このように一つは考えます。あわせまして、例の緑の手帳の内容につきましても、労働省当局の努力の成果については一定の評価をするのでありますけれども、しかし、黒手帳から見ますと若干の格差をまだ持っている、こういう内容でもありますので、この際、緑の手帳の制度上の充実を具体的に検討をすべきではないが。  それから、時間がありませんので、最後の問題も含めてお尋ねをしておきたいと思いますが、先ほども岡田委員の方から指摘があったのでありますけれども、下請関連労働者は閉山交付金の対象になってない。これは通産省に対する質問になろうと思うのであります。現在の制度においてはなかなか困難だということについては、現実問題としてわからぬわけではございません。しかし、もう大変な数の下請労働者が離職をしている。直轄夫と違いまして退職制度がほとんどない実態でもありますので、この際、閉山交付金制度の見直し。あるいは先ほど通産大臣の方から、この際、そういうことも前提にして学識経験者を含めた一つ委員会をつくって積極的に検討したい、こういう非常に前向きの答弁もあったのでありますが、そういう委員会を仮につくるということであれば、学識経験者だけではなしに、例えば労働組合や会社側のそういう代表者も正式に委員会の中に入れて、そして客観的な、あるいは当事者としての意見も聞く、こういう配慮もぜひまたお願いをしておきたい。  同時に、労働省の方としては、下請労働者に、いわゆるそういう中小企業そのものに、事業主に退職制度がないということにもともとの大きな問題があると思うのです。中小零細企業に対しましてそういう退職制度を持つということについて今日までどういう指導をしているのか、あるいはこれからどういう指導をされるのか、こんなこともできればお聞かせをいただきたい。  少しまとめて申しわけございませんけれども、以上お答えをいただきたいと思います。
  52. 田村元

    ○田村国務大臣 私が学識経験者に委員会でもつくってもらうということが一つの方法かなと申し上げた。会社側、労使を問わずその人たちを、学識があるかどうか、経験があるかどうか、実際どうかは私も知りませんけれども」少なくとも私は学識経験者だというふうに思っております。
  53. 竹村毅

    ○竹村説明員 私の方から、御質問のございました黒手帳の発給対象範囲、そしていわゆる緑の手帳と呼んでおります。その二点についてお答え申し上げます。  現在、石炭企業の下請につきましては、採掘等の坑内業務、そして一連の基本的工程というものに従事していた離職者に対しましては、地下労働という特殊性にかんがみまして、いわゆる炭鉱離職者求職手帳、俗称黒手帳というものを発給しております。一方、このほかに補助的な仕事とか附属する施設における業務、いろいろあるわけですけれどもお話がございましたように、こういう業務につきましては、下請の方々にはいわゆる特定不況業種離職者求職手帳、緑の手帳というものを発給しております。そして、こういう坑内業務及び基本的工程以外の労働者につきましては、他産業におきましても類似の業務に従事している労働者もたくさんおりまして、それらと著しい差異がないということで、現在がような分けた手帳の発給をしておるところでございます。また、特に緑の手帳を持っております石炭鉱業の離職者につきましては、本年五月から就職促進手当を一年間支給するとか、そういう特別の制度の改善もしておるところでございます。  私どもといたしましては、当面、いわゆるこの黒手帳、緑の手帳というものを活用しながら、下請労働者の雇用の安定に努めてまいりたいというふうに思っております。
  54. 石岡愼太郎

    ○石岡説明員 中小企業におきましては、独自に退職金制度を設けることが一般的になかなか困難な事情にございますので、労働省といたしましては、中小企業退職金共済制度というものを設けまして、その加入促進に従来から努めてきたところでございます。ちなみに、北炭真谷地の下請企業十四社を調べてみますと、そのうち二社が今申し上げました中小企業退職金共済制度に加入していただいております。  労働省といたしましては、今後この制度の改善を図るとともに、さらに一層中小企業の加入促進に努めまして、中小企業における退職金制度の確立に努めてまいりたいと思っております。
  55. 中沢健次

    ○中沢委員 時間ですので終わります。ありがとうございました。
  56. 福島譲二

    福島委員長 次に、藤原房雄君。
  57. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 予算も大詰めに参りまして大変お忙しい中、大臣及び政務次官が御出席下さいまして本日委員会が開かれますことを心から感謝申し上げます。また、私どもの立場からしますと、本日の論議が今度の予算の中に少しでも反映ができればという思いもまたあるわけでございます。まずもって、時間をとっていただきましたことを感謝申し上げる次第でございます。  最初に、先ほどいろいろ議論がございましたから大臣の見解だけをちょっとお伺いしておきたいと思うのでありますが、石油税のことでございます。先ほど同僚委員からるるお話がございまして、私もまた同じ思いで考えておったところでございます。  何といいましても石特会計の安定確保といいますか、これがこの八次策を遂行する上において最も重要なことだろうと思うわけであります。一方では、今税制調査会を中心としまして税制のいろいろな見直しも行われているわけでございまして、事務的な立場では、従価税から従量税へ明年の八月かというお話のようでございますが、ぜひ安定的な財源の確保をしていただきたいということと、今回のこの措置は、租税特別措置とかその他のことからいいまして問題を先送りにしたといいますか、これからの税調の審議の中でどういう形になるかという大きな問題もございます。しかしながら、先ほど来同僚委員からお話しございますように、石炭そのものに対する施策もさることながら、地域に及ぼす影響の大きさ、そしてまた産業構造転換という大きな立場に立ちましてこれからしなければならないこともまた非常に多うございまして、その大事な財源であるということを考えますと、安定的な財源の確保という上から、石油税のこの問題につきましては大臣としても特段にひとつ御配慮をいただき、また税全体の体系の中で揺るぎのないものにしていただきたい、こういうことで、大臣からこの石油税についての基本的なお考えをまずお聞きをしておきたいと思うのであります。
  58. 田村元

    ○田村国務大臣 我々はエネルギー対策というものを考えますときに、その財源について、まず目先の問題と同時に、長期的な展望に立たなければならないことは申すまでもございません。我が国の一番の悩みの一つというのは、やはり何といってもエネルギー供給構造が依然として脆弱であるということであろうと思います。IEAなんかの会議に出ましても、一九九〇年代には再度の石油供給の不安定化が来るのではないか、あるいは予想されるというか、懸念されるということでしょうか、あるいは需給の逼迫が予想される、またペルシャ湾情勢が緊迫化の度を深めておる。こういうことを考慮いたしますと、今後とも、短期的な石油需給動向にかかわらず、長期的な観点に立って備蓄あるいは石油の自主開発、また代替エネルギー対策等の総合的なエネルギー対策を引き続き着実に進めていく必要がございます。  そこで、この石特会計でございますが、石特会計の主要財源でございます石油税収は、近年の原油価格の大幅な低下、また円高によりまして激減いたしておることは御承知のとおり。六十三年度の石特会計の財源事情は、現時点では二千億円にも及ぶ財源不足が見込まれるという非常に厳しいものになっております。このために、石特会計の財源問題につきましては、安定的財源確保の観点から、六十三年度において石油税を現行の従価税から従量税体系変更する、所要の税率調整を行おう、こういうことでございまして、その際に、石油税改定と同時に、原油関税の暫定上乗せ分、百十円パーキロリッターでありますが、これを廃止したいというふうに考えております。廃止すればどうか、実際にはこういうふうになるということは先ほど御説明申し上げたとおりでございますが、逆に十億円ぐらいプラスになる可能性もあるわけでございますけれども、このように、石油税の改定による財源確保によりましてエネルギー対策の着実な推進に万全を尽くしたい。  今御懸念のありました、租税特別措置法で一年ぽっきりということなのでいささか不安を感じるということでございましたが、いかに租税特別措置法でございましても、従価税従量税体系変更で切りかえるということを明確にしたということは、これはやはり大きな変革でございますから、単なる一年ぽっきりというその場しのぎの思いつき、あるいは窮余の一策というものではないということはどうぞ御理解を願いとうございます。
  59. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 私どもも、これは八次策としまして本年からスタートした事業でございますし、日本産業の中で重要な位置を占めておりますエネルギー、その石炭政策の所要の措置でございますから、今大臣お話のように、これはしっかりした安定的な政策が遂行できるような財源を確保するということをまず一義的にしなければならぬ、こういうことで申し上げておるわけであります。今お話にございましたようにいろいろな論議があろうかと思いますが、大臣、ぜひひとつ貫き通していただきたい、このように要望申し上げる次第でございます。  さて、本年の八次策のスタートに当たりまして三井砂川、北炭真谷地の閉山があったわけでございますが、さらにまた、芦別、赤平、大夕張、それぞれ合理化がございました。当初の計画からしますと、本年度六十二年度の予算要求の時点から見ますと合理化のテンポが速いということで、これは緩やかなということが去年の八次策のいろいろな議論のときにあったわけでありますが、そうではなくて雪崩的な傾向にあるのではないかという危惧を私どもは抱いておったわけであります。  過日、エネルギー庁におきまして昭和六十二年度石炭鉱業合理化実施計画をおつくりになったようでございますが、これによりますと、六十二年度は千二百七十万トンということでございます。これは先ほど来議論がありましたように予算要求のときの概算とかなんとかではなくて、実施計画ということでありますから、合理化の目標、さらにまた近代化を進めていくためのいろいろな施策が実施計画の中に盛り込まれておるわけであります。この実施計画によりまして六十二年度、しかしこれはもう半分以上実際に現象としてあらわれているわけでありまして、後はこれをどう実施計画に合わせていくかということだろうと思うのでありますが、この計画と現状とをどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。現在までの推移と、こういう計画を立てられてこれを遂行する間にいろいろこれから考えられることがあろうかと思うのでありますが、その辺のことについてお伺いしておきたいと思います。
  60. 鈴木英夫

    鈴木説明員 実施計画の関連でございますが、石炭企業各社が第八次答申の趣旨を踏まえまして本年度に入りまして相次いで合理化計画を策定し、かつ労使間で同意がなされまして、現在その実施に努めておられるところであります。その結果といたしまして、実施計画の見通しによりますと、六十一年度千五百二十万トンに対しまして、六十二年度千二百七十万トンということでございまして、二百五十万トン程度の生産減が本年は行われるという計画になっておるわけでございます。  このような中におきまして、私どもといたしまして、石炭企業各社の合理化努力を支援する観点から、先ほどの御質問にもお答えいたしましたように、過剰貯炭対策あるいは規模縮小円滑化対策等の各般の施策を講じると同時に、今年度需要業界に本当にぎりぎりの御協力をいただきまして、千三百八十五万トンの国内炭の引き取りというようなことも決められたわけでございます。今後ともこれらの措置を通じまして、集中閉山の回避を基本にいたしまして生産体制の円滑な集約化を推進してまいりたいというふうに考えております。今年度の実施計画につきましては、実施計画に盛り込まれましたような姿でおおむね推移をするのではないかというふうに考えておるところでございます。
  61. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 報ぜられるところによりますと、幌内におきましては合理化案で百二十万トンから九十万トンに縮小計画を立てられ、また従業員が百二十人ですか、こういうこともいろいろ検討され、提案がされるように言われておるわけであります。全体のこの五年間の計画、五年間の措置が八次策の中に盛り込まれておるわけでありますけれども、これは企業ベースでしなければならぬということでありますから、役所的にそれを一つ一つどうこうするというわけにはいかないのかもしれませんが、先ほど来同僚委員からもお話ありましたように、閉山になりました三井砂川、また北炭真谷地にいたしましても、その債務の問題や地域の問題、離職した従業員に対する対策、こういうことがまだまだ山積いたしておりまして、十分にこれらの解決の方途が見出されていない。そういう中で、また次々と雪崩的な方向に行くようなことがあってはならぬというある程度の見通しなり、そういうものが定まってこなければ、狭い北海道の産炭地域の中でのことでありますから、財政的にも、また地域経済ということからいきましても非常に重大な問題だろうと思うのであります。こういうことで、現在閉山になりましたところにつきましてはぜひ早急な対策を講ずるとともに、この合理化実施計画等につきましても、これらの本年前半の諸問題等をひとつ十分に勘案しまして、計画の実施は慎重に進めていただきたい、このように思うわけであります。  特に真谷地につきましては、先ほど中沢委員からお話ございましたように、労務債の問題にっきましても当局の大変な御努力によりましていろいろな措置をしていただいたわけでありますが、これは完全に実施されるかどうか、この見通しについてはその後どのように受けとめていらっしゃるのかということや、また下請関連でお働きになっている方々に対してのことは、大臣からも委員会等で、法的な面からいってなかなか難しいということで、検討させる、そういう場をつくりたいというお話でございますが、これはぜひひとつ積極的にお取り組みをいただきたい。それから、地域の中小企業というのは非常に大変な状況の中にある。さっきもお話あったわけでありますけれども、それらのこともあわせまして、真谷地の方の現状、労務債を初めとしましてのいろいろ対策を講じたそれらの諸問題がどのような現況になっているのか、簡単で結構ですが、お伺いしておきたいと思います。
  62. 鈴木英夫

    鈴木説明員 真谷地炭鉱につきましては、先生指摘のように、この炭鉱が幌内あるいは空知各炭鉱とともにいわゆる北炭傘下に属しておりまして、本社も含めまして各社が相互に債務の連帯保証をしておるというようなことから、一時、真谷地炭鉱閉山に伴いまして、これが幌内あるいは空知炭鉱等に波及をするのではないか、雪崩閉山のおそれもあるのではないかというふうな認識が持たれておったわけでございます。このため、私どもといたしましては、この真谷地の閉山に伴います債務あるいは費用につきまして、北炭本社あるいは真谷地炭鉱に対しまして万全を期すよう指導してまいったわけでございますけれども、最終的に閉山時に、大口金融債等につきましては猶予をお願いをいたしまして、残りました約九十億円の資金につきまして、各方面の協力のもとで資金対策ができ上がったというふうに承知をしております。北炭グループの自己努力はもちろんでございますけれども、国におきましても閉山交付金等の交付、あるいは石炭業界におきましても貯炭の売りさばき等について協力をする、あるいは道におきましては新たな融資をしていただくというようなことで、八万の協力でこの九十億円の原資対策ができ上がったわけでございます。  一方、この原資をもとにいたしました支払い問題につきましては、未払いの退職金が二十三億円ほどございましたけれども、そういうものを含めまして、やはり労働者、離職者の方々がこのお正月を何とか越えるための資金というものも必要であるというような実態も勘案をいたしまして、さらに北炭を指導いたしまして、現在のところ十二月中に、七十四億円の労務債につきましては約六十五億円、九割近いものが支払われるという見通しでおるわけでございます。もちろん、下請労働者に対します退職金等につきましても既に手当てされたというふうに承知しておりますし、少なくとも、北炭真谷地社から下請企業を経由いたしまして真谷地社関連の下請労働者に行くことになっております見舞い金等につきましては、十一月三十日付で支払いが完了しているというふうに承っております。
  63. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 それでは大臣、先ほど来お話がございました労務債に関します問題等につきまして、重複は避けますが、ひとつ積極的にお取り組みをいただきたいと思います。  それに伴いまして労働省にお伺いをいたしますが、雇用の開拓とか訓練とか、こういうことがどうしても最重要課題となってまいりますし、また、社宅から出なければならないということになりますと住宅問題、しかも、札幌に相当多くの方方が出ていらっしゃる。おおよそ四千人ほどかとかいろいろ言われているわけであります。こういう雇用の開拓、訓練、現場的にはいろいろ御努力をなさっていることも私どもよく存じておるわけでございますが、札幌に来るということになりますと住宅や何か、そうでなくとも一極集中で札幌に集中するような傾向にあるのですから、そういう点も十分に勘案していただかなければならぬと思うのですけれども労働省のお考え、また施策についてお伺いしておきたいと思います。
  64. 浦田勝

    ○浦田説明員 炭鉱関係離職者の再就職を促進するための職業訓練につきましては、重要かつ緊急な課題として従来から取り組んできておるところでございます。閉山等により多数の離職者が発生する場合におきましては、公共職業訓練施設内において、既設の訓練科への積極的な受け入れ、定員の拡大、特別コースの設定等により訓練の規模を弾力的に拡大してまいりたいと考えておりますが、さらに、これらによっても訓練受講希望者のニーズを十分に満たすことができない場合には、工場の建物や公民館等の施設を借り上げ、公共職業訓練施設から指導員を派遣して行う訓練や、専修、各種学校、他企業等への委託による訓練を機動的に実施することで対応することといたしております。また、今後とも、従来より一層離職者及び労働市場のニーズを勘案した訓練を機動的かつ弾力的に実施してまいる所存でございます。  次に、御指摘のように、現実には地元で多くの雇用の場を確保することは極めて困難な状況にあり、早期再就職を進めるに当たっては、他の地域推移転して就職していただくのもやむを得ないと考えております。このため、労働省といたしましては、雇用促進住宅及び公営住宅への優先入居等に配慮するとともに、今年度の補正予算において、雇用吸収力のある大都市周辺に七百戸を追加設置すべく措置したところでございまして、そのうち二百戸を札幌地区に設置することを決定したところであります。また、やむを得ず民間賃貸住宅へ入居せざるを得ない方には、入居費の一部を助成する制度を設けているところでございます。  移転に伴う子弟の転校問題の解決については、産炭地域振興関係各省庁等連絡会の場において関係省庁に要請するなど、移転就職に伴う問題の解決に万全を期しているところでございます。
  65. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 これは国のすること、地方自治体のすること、そして本来会社のしなければならないこと、そしてまたそこに働く方々、家族の方方、こういうことからいいますと、労働省の担当なさることというのは一番大事なことでございますし、今お話がございましたように、個々の問題について対策をきめ細かにしていただきたい、こう思う次第でございます。  また、十四日に真谷地炭鉱閉山に伴う関係各省庁等の対策がいろいろ話し合われたようでございます。これは関係の各省庁の方々がお集まりになりましてなさるということでありますから、非常に時宜を得たといいますか、各省庁それぞれの関連があって、一堂に会してそこでお話をなさるということは、そしてまたそこでできること、後々検討しなければならないこと、こういうことをきちっと話し合うことは非常に大事なことだと思います。  それで、三井砂川におきましても、出された地元の要望に対していろいろ検討されたものもいただいておりますし、また、過日の真谷地の閉山に伴います各省庁の連絡会においての問題等についてもいただいておりますが、一つは、「実施済み、実施中及び実施予定の対策」ということで、法律にかかわる諸問題につきましては当然予算化しておったり、また、すぐできること、こういうことはすぐなさるようになっているようであります。それから「検討中の対策」、これはいろいろ問題でありますが、確かに検討中という項目も何項目かございますし、それから「条件が整えば検討する対策」というのもございまして、今後検討するという課題もいろいろあるようであります。  一義的には地方自治体ですから、地方自治体としましてそれをしなければならないということなんだろうと思いますが、国にかかわる諸問題につきましては国の補助金なり、また道の補助金をもらってする事業もあるわけでありますけれども、私ども石炭特別委員会で夕張に視察に参りましたとき、地元でも強い要望がございましたが、地方自治体の財政はこういう閉山に伴います前後から大変に窮迫をする。特に三井砂川におきましては、一々数字は申し上げませんが、土砂川町におけるその実態も明らかであります。特に夕張におきましては、真谷地に、対します市税の減収、滞納、それから閉山に伴います市税の減収ということで、いろいろな計画を見ましても、国で二分の一補助するとか、こうなりますが、地方自治体に力があればその二分の一も国からいただいてまあできるということなんでしょうが、財政ということになりますと、各般の諸問題について対策を講じなければならぬということで、当初はそれらのものを十分にするには裏づけになる財源が非常に厳しい。大体、そういう財源の厳しいものは「条件が整えば」という方に入っている。「地方財政対策 閉山に伴う特別の財政需要の増大及び税収の減少等については、地元自治体の財政運営に重大な支障が生ずることのないよう適切に対処」ということでございまして、しかし、そこに住民がおるということですぐしなければならない諸問題もあるわけでございます。こういうことで、財源対策というのは最重点にひとつ御配慮いただきたい。  それから、これも私ども委員会調査に行ったときに地元から強い要望が出されておりましたが、先ほどの石特会計につながるわけでありますが、これからいろいろな財源問題に対処されていく。先ほど同僚委員からも、この石特会計の使途が非常に硬直的だというお話もございました。これから閉山になる地域対策に前向きの形でいろいろ措置しなければならぬことがたくさんあるわけでありますが、いわきの産炭地を見ましても二十年かかっている。しかも、ああいう立地条件のところですから卒業することができたのかもしれませんが、北海道の空知地方のようなところは、それぞれの隣接町村が同じ問題を抱えているということで大変であります。そういう中にありまして閉山または減産合理化ということが今後また八次策の遂行とともに続いていくのでしょうが、今まで交付をしておりました補助金等は、厳しい財政ということで削るのではなくして、前向きの施策にできるだけ財源を充てるような方向に進めていただきたいというお話もございました。ここ数年間につきましては、確かに地方自治体の財政運営というのは大変なことだと思います。  それから、今度の各省庁の連絡会の中にもいろいろございますが、各地域でそれぞれ大型のプロジェクトをいろいろ計画いたしております。芦別市は「星の降る里(まち)」、それから赤平市では「リフレッシュふるさと」とかいろいろ立てておるわけですが、これを遂行するにはそれ相応の財源を必要とするわけでありますし、民間活力といいましても、ある程度の基盤ができなければ民間はそこへなかなか出てこない。そういうことで、地元としましては、環境整備をする場合には、地域振興整備公団の事業等によって基盤整備を進めてもらいたいという強い要望があるわけであります。  さらに、各町村におけるプロジェクト、夕張には十八、広大な地域でありますし、農業関係から、また地域に合ったレジャーを初めとしましていろいろな計画が立てられておりますが、これらのものに対します財源ということも、国の施策の中にもいろいろございますが、やはり先ほど申し上げた産炭地の財政力の非常に疲弊した中でいろいろな事業を組まなければならぬ。計画を立てることから調査から、そこから出発しなければならぬということで、それに対しては国の温かいお力添えもあるのですけれども、とにかくすっかり疲弊した中から物事を進めておるということでありますから、これには相当の裏づけになる財源を充てて、地方自治体の現状に即した形でこれを推進することが必要だろうと思うわけであります。  空知なんかへ参りますと、町村、町村によりましてそれぞれ独自にいろいろなことを考えております。これらの町村が何とかそこからはい上がろうという気持ちでおりますけれども、裏づけになる財源ということになると非常に難しい状況の中にある。一つはその計画を立てることすらも、また調査をする段階においてもなかなか困難を来しているような現状もございます。そういう産炭地の振興については、笛や太鼓で看板だけじゃなくて、その裏づけになることも十分ひとつ配慮していただきたい。過日の真谷地炭鉱閉山に伴う各省庁の連絡会におきましても、検討中ということはいつまでに検討して結果を出すのかということについてもいろいろお話がなされたのだと思います。今予算措置の重要な段階にもございますし、条件が整えば早急にこれは進めていただきたいと思うのですが、大臣、いかがでしょう。
  66. 田村元

    ○田村国務大臣 先ほど来るるお述べになりましたことは、すべての人がひとしく感じておることだろうと思います。御指摘のいろいろな問題も含めて、種々の問題について最善を尽くす決意でございます。
  67. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 大臣は過日の委員会でもいろいろお話しされまして、北海道のことはおれもよく知っているのだということでございました。地元からは高速化、飛行場とどう速く結ぶかということで、今高速道路ができつつありますが、その高速道路と芦別、赤平、また土砂川、そして夕張は横断道、こういうもので結びまして飛行場への高速化を図る。あるいは芦別等につきましては旭川の飛行場、こういう高速化という時代に即応した高速交通体系をぜひということで、国道の整備とともに道道の国道昇格、こういうアクセスの問題、これは過日大臣は尽力をしたいというお話をしておりましたが、産炭地であります空知地方につきましてはそういう点では非常におくれている一面もございますので、環境問題につきましてはぜひひとつ推進をしていただきたいし、公共事業を重点配分といいますか、今度の産炭地域振興審議会におきましてもそういう問題についての建議がございますが、環境整備の問題については、公共事業推進ということでぜひひとつ進めていただきたい。  私はよく思うのですが、北海道では、土砂川の三井砂川の閉山のときにも相当企業が立地するような情報もありましたけれども、いざ来るということになりますといろいろな問題があって、なかなかこれは大変なことであります。産炭地のすぐそばに空知の中核団地がございますが、あれだけの条件が整いながらなかなかそこに企業が張りつかない。また三笠にいたしましても、何年かかかりまして今企業がようやくやっておる。これから一つ会社で何百人も雇用するような大きな企業が来るわけはなかなかないだろうと思いますが、いろいろな調査をしたところを見ますと、企業がそこに来るには来るいろいろな条件がやはりあるわけであります。  そういうことからいいますと、先ほど大臣も言っておりましたが、土砂川で世界最大の落下型無重力実験施設の事業計画は、これは是が非でもこういう形の実験センターのようなものをつくるということでした。聞くところによりますと、そういうものができると企業もそこへ行ってそういうもので製品をつくる、そういうことで行きたいという希望もたくさんあるようでございますが、次の世代の機能素子用、材料の開発とか、こういうものに大きな貢献をする。東京にある企業が北海道に来て仕事をするということになりますと、電気料金から水からいろいろな環境の——企業としてそこに立地するだけの優位性というのは一体何かということになるわけでありますが、こういう実験センターのようなものが、新しい素材がそこでなければできないという形のものができるということは、そこにそれを求めて企業がたくさん張りつくということで、これは非常に大事なことだ、こう思うのであります。科学技術庁にもいろいろ計画はあるようでありますが、工業技術院、大臣、そういうこともぜひ実施していただくように私からも要望いたしたいと思います。  そういうことをいろいろ考えますと、北海道は半年雪の中にあるということで、南北三千キロの日本列島の中で、積雪寒冷の悪条件の中で企業活動を営むということはなかなか大変なことです。最近、景気も上向いたということでいろいろな調査がございます。雇用状況も上向いたと言われておりますが、季節的に雇用の場が創出されたということであって、雇用創出がされて新しい企業かということでは決してない。労働者の動き等を見ましても非常に難しい条件の中にある。  北海道では、大臣御存じのとおり、北海道の通産局でつくりました二百人委員会で、北海道の活性化のためにどうするかということでいろいろなことが議論されている。お読みになったと思うのでありますが、その中に、北海道はフリーゾーン、自由貿易地域という形にしなければ北海道はほかの地域産業活動で対抗していけないのではないか、こんなお話もございます。南北に長い日本列島を一緒にした規制で積雪寒冷の北海道が同じように縛られるなんということでは、手足を縛って仕事をしてみろというようなもので、規制からの自由ということや負担からの自由、優遇措置からの自由、こういうことが二百人委員会の中に盛られておるのです。同じ条件下で同じ企業活動をするというならいいのですが、北海道の場合には非常に厳しい条件がある。最近はこういうことでフリーゾーンということが言われておるわけでありますが、開発庁では、沖縄につきましては指定をしたようでございます。北海道にすぐしろといってもいろいろな条件があろうかと思いますけれども、北海道については、大臣も何度かいらっしゃっていろいろな角度からごらんになっていらっしゃる。夏は夏、また寒風吹きすさぶ冬の北海道の現状もよく御存じのことだと思うのであります。企業活動は何も産炭地ということだけではないのですが、特にその中で産炭地は非常に厳しい条件の中にあるわけであります。その中で企業活動を推進するということになりますと、今議論になっておりますこういうことも十分に勘案しなければならないのではないか。  もちろん、北海道に住む者は一生懸命努力をして、どんな条件であろうと歯を食いしばって頑張ろうという意識はありますけれども、余りにも違いがあり過ぎたのでは、どんなに頑張っても北海道で芽を出すことは業種によってはなかなか難しいということも言えるのではないか。円高の中で大変な不況の中にある。各業種においてもそれぞれ同じだと思うのでありますけれども、特に北海道の厳しい現状の中で、特に産炭地の振興という問題で北海道全体としても今いろいろ議論になっております。そういう中で、産炭地に対しましては特段の配慮と、また発想の転換といいますか考え方を持たなければ、もう石炭しかない山に何が定着できるか、こういうことが今非常に厳しく論じられているのですけれども、北海道のことをよく御存じ大臣、立場は違うかもしれませんが、閣僚の一員として北海道の現状をぜひ御認識していただいて、いろいろな角度からバックアップをしていただきたいものだ、こう思うのであります。大臣の御決意のほどを伺いたい。
  68. 田村元

    ○田村国務大臣 私は、かつて北海道開発委員長という党の役職をいたしました。また、それをやめましてからも、北海道関係の予算には今までずっと携わってまいりました。あの広い北海道のほとんどを隅々まで踏破いたしました。私は、恥ずかしい話ですが、江差、松前だけ知らないのです。あとは大体知っています。そういうことでありまして、北海道の気候の厳しさというものも自分の肌で十分知っておるつもりでございます。この天然の気象条件を我々は変えるわけにはいかない、おてんとうさまにはかなわない。けれども、その中にあっていかに幸せに生きるかという努力は大いにできると私は思う。  ですから、例えば企業誘致をするというのであれば、まずアクセスをどのように考えるか。道路であれば、しかも市町村道であれば地元に負担がかかりましょうから、道道あるいは国道等にしてこれに予算をほうり込んでいけば、少なくとも市町村の負担はないというようなこともありましょう。私は今道路だけを取り上げましたが、いろいろな面で一つ一つの問題を取り上げて、そして北海道の人々が幸せに生きる道、繁栄につながる道と言ってもいいかもしれませんが、それを模索しなければいけないし、また実行しなければいけないと思うのです。そのように考えまして、例えば公共事業費の傾斜配分でも、ことしは北海道は多かったですよ。御承知と思うけれども、全国で恐らく一番だったのじゃないですか。それもなるべく早期に着工してもらいました。雪寒の気候になるべくダブらないように私、自分で行ってお願いをしましたが、おやめになった天野建設大臣などは本当に親身も及ばぬ御協力をいただきました。そのようにしてどんどんとやっていきたい。そして、そういうふうに環境がよくなる、あるいはよくする、そこへいろいろなプロジェクトを誘致するということだろうと思います。  とにかく、いつぞや私は申し上げましたが、まさか再任されるとは思わなかったものですから、あのときはお別れのつもりで物を言ったわけですけれども、私もいずれかの日には通産大臣をやめることになりましょう。なりましょうけれども、やめてからも私は通産族として、商工族として残るつもりでございます。そして石炭のお世話は、私の政治家としての生ある限りずっとお世話をし続けるつもりでございます。
  69. 福島譲二

    福島委員長 次に、小渕正義君。
  70. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 私、前回の委員会の際に、政策の一貫性といいますか行政の持続性といいますか、そういう立場から考えて、大臣が一年ぐらいでかわられるのは非常に残念だという意見大臣に申し上げたと思います。このたびは一番難しい状況の中で再任されたわけでありまして、特に日米貿易摩擦等を頂点とする大変な時期でございますが、関係者の皆さん方は大臣に大いなる期待を持っておりますので、大変御苦労だと思いますが、よろしく頑張っていただきたいと思う次第であります。  今回は、冒頭から石油税の問題が大きな焦点になっております。再三にわたりまして大臣の御見解もお伺いをいたしておるわけでありますが、エネルギー関係のいろいろな仕事に関係する人たちにとりましては、この問題は実は非常に大変な問題でありまして、そういう意味では、従価税から従量税にたとえ暫定的に一年だといいながらも切りかわった、一応見通しが立ったということは極めて画期的なことだということのようでございます。  たまたまここ二、三日来の新聞記事等を見ますならば、今回のこういった石油税問題等通産省としての所期の目的だけの財源がどうしても確保できない、若干縮小せざるを得ないのではないか等の見方から、今後のエネルギー関係の諸対策についてもやはり若干縮小せざるを得ないのではないか、こういう報道等がなされておるわけでありますが、そういう点も含めてこの石油税について、財源確保という立場からそこらあたりとの兼ね合いについてはいかが考えておられますか。そういった報道は報道として、大臣としては、所期の目的で従価税から従量税に変えると言ったわけでありますから、そういう点で今後ともエネルギー関係対策については後退させない、ぜひひとつこういうかたい決意で臨んでいただきたいと思うわけでありますが、その辺の大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  71. 田村元

    ○田村国務大臣 この件につきましては、通産省の所管でありながらやはり大蔵省の主税局というのが税の直接の窓口でございます。そういう点で、時に意見を同じゅうし、時に意見を異にする、それはあり得ることでございますが、私ども、当初の考え方を放棄するつもりは毛頭ございません。たまたま租税特別措置になりましたけれども、これは先ほど申し上げましたように、税体系としては重大な根幹に触れる変更をしたわけでございますから、その点では、私は一年ぽっきりの気休めというふうには思っておりません。  それから、これで大丈夫なのかという御懸念でございますけれども、もちろん潤沢とは言えません。言えませんけれども、何とかやっていけるという範疇の中にはあるものというふうに考えております。とにかく、これで可能な限りの努力をいたします。
  72. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今後ともそういう意味での御努力を期待する次第であります。  それに関連しまして、先ほどからもお話があっておりました原重油関税の中の十二分の十ですか、これはそのまま持続するということでいくということになっておりますが、これも、単年度で見ますならば一応とりあえず来年きりということになるとは思いますが、少なくとも関係当局としては、八次政策をずっと推進される以上はこの点は確保していくということで理解しておっていいかどうか、その点をお伺いいたします。
  73. 浜岡平一

    浜岡説明員 先ほど来御説明申し上げておりますような措置は、石油税従量税化という仕組みといわば一体のものとして決定されようとしているものでございます。ただいま大臣からもお話がございましたように、私どもといたしましては、六十四年度以降いわゆる税制の抜本改正という問題とも絡んでこようかと思っておりますけれども、ぜひ同様の考え方を継続してまいりたいと思っておりますし、またその際には、先ほど申し上げましたような原重油関税の取り扱いも一体のものとして継続をしていきたいと考えているわけでございます。
  74. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 これも最近の新聞報道でありますが、通産省資源エネルギー庁の首脳が、石油税の引き上げとあわせて、第八次石炭政策終了後に原重油関税制度の撤廃を含めた大幅な負担軽減措置をとる、こういうことを言明したやに報道されているわけでありますが、この点の状況、真意等について御説明いただきたいと思います。
  75. 浜岡平一

    浜岡説明員 資源エネルギー庁首脳といいますと私のことになるのではないかと思いますが、思い当たる節があるといたしますと、いわゆるプレス懇談会の席におきまして今後の原重油関税の取り扱いについて聞かれました際に、第八次石炭政策が原重油関税を裏づけに進行中である、第八次石炭政策の推進に影響を及ぼすようなことは決してできないということを申し上げたわけでございます。その反対解釈がおっしゃるようなことになるのかどうか、私は極めて疑義があると思っております。今お話がございましたようなニュアンスで発言をしたつもりはございません。
  76. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 この問題は非常に重大な問題でございます。第八次政策の終わる状況の中で果たしてその先がどうなるのか、非常にこれは大変な問題でありますが、そういう中でこういった報道がされまして、非常に大きなショックを与えておるわけであります。今の御説明を伺いますならば、そういった言葉の裏を逆にとって報道されたのではないかと思いますが、現在の段階ではさらさらそういう考え方は持ってない、こういうふうに確認してよろしいですか。
  77. 浜岡平一

    浜岡説明員 繰り返しになりますが、第八次石炭政策が原重油関税を裏づけに進行中でございまして、これを揺るがすようなことがあってはならないという発言をいたしたわけでございまして、その裏に何らかの意図があるというぐあいに受けとめられるのは全く私の真意に反しております。  今後、第八次石炭対策の先をどうするかという問題は、またその時点で総合的に検討されるべき問題でございまして、現在の時点におきまして、その財源対策等について何らかの予断あるいは予測を行うのは、御指摘のとおり適当でないと考えております。
  78. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 石炭部長にお尋ねいたしますが、第八次政策がスタートしましてから閉山が二カ所、それから閉山しなくても現行のそれぞれの、例えば三井三池が生産規模の縮小、また来年から松島、池島も百五十万トンから百二十万トン体制へとか、この苦しい状況の中で生き抜くための一つの方策として、生産規模をある程度縮小しながら何としてでも生き残るということでの努力がそれぞれ行われておるわけでありますが、第八次政策は一千万トン体制を一応の最終的な決着ということで、大体そこに数字を置かれているわけでありますが、今のペースでいきますならば、一千万トン体制は第八次政策が終わるころにはもう割り込んでしまうのではないかという懸念が非常にするわけであります。こういう点について、部長としては現在のこういった推移というものをどのように理解されているのか。第八次政策の終了時点のとき果たして一千万トン体制まで行くのかどうか、残るのかどうかという点については、今各社が一生懸命努力されているが、そういうペース等を考えるならば、果たして可能かどうか非常に危惧されるわけであります。そこらあたりに対する見解をお伺いしたいと思います。
  79. 鈴木英夫

    鈴木説明員 第八次石炭政策におきましては、御高承のとおり、かつての千七百万トンの供給規模、需要規模というものを六十六年度までに一千万トンに下げるということでございまして、大ざっぱに平均をいたしますと年間二百万トン内外の閉山、縮小というのが行われて、円滑にこの一千万トン体制に移行するということではないかと思っております。  ただ、石炭閉山、縮小の場合には、可変的といいますか、数字の縮小の規模あるいは閉山の規模がある一定の規模に制約をされる関係上、可変的に縮小するというようなことも片方でできないような面がございまして、年度におきまして若干の凹凸が生じるといいますか、そういう事態になることはこれまた片方において想定されるところであろうと思います。このため、反面におきましてやはり需給のギャップというのが生じるわけでございますので、私どもとしては、こういう需給ギャップに対しましては、貯炭買い上げ制度等によりまして適切に対処してまいりたいというふうに基本的に考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、この最終年度一千万トンの供給規模を確保いたしますために、石炭業界におきましても自己努力をしなければいけませんし、あるいは需要業界におかれましてもぎりぎりの御協力をいただくことが大前提になるというふうに考えております。私、個人的な感じで申し上げますと、これらの御協力あるいは御努力を前提にいたしますれば、第八次策の遂行は可能であるというふうに考えております。
  80. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 いや、第八次政策は可能と言うが、問題は、第八次政策の終了時点で、一千万トン体制をそれぞれの企業側の自主的な努力によって結果的には割り込んでしまうようなことが非常に懸念されるというのが現在のペースではないかと思うわけです。そういう点から考えて、監督官庁としての行政当局としては、一千万トン体制を一つの歯どめとして、これだけは、絶対この線までは、何とかこれを割り込むようなことだけはしないように、もしそういう状況ならば、そういう意味での歯どめ策としての行政指導という方向で、そういう立場から行う考え方があるのかどうか、その点についてはいかがですか。
  81. 鈴木英夫

    鈴木説明員 第八次石炭政策が最終年度一千万トンを目標にしておりますので、私どもといたしましては、そういう体制が確保できるような諸環境の整備に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  82. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 では、これは後でまた時間があったらゆっくりいろいろお聞きをしたいと思いますが、先へ急ぎます。  実は、高島が閉山になりまして約一年を迎えようとしているわけであります。高島のその後の産炭地域振興という中で、今後いかにやるかということでそれぞれいろいろな角度からの検討が進められているわけでありますが、どうもいろいろそういった動きを見ておりまして、やはり今日のこういう閉山を迎えた地域振興については、通産当局も一枚かんだ中で、この地域には適切な振興計画としてはどういうものを重点に考えたらいいか、この地域においてはどういうものを重点に考えたらいいかということで、ある程度アドバイスができるような形でそういう地域の振興計画というものを考えていかないことには、それぞれ地域ごとに自前でいろいろの関係者意見を聞きながらいろいろ練られておりますが、ちょっとそこらあたりでは、本当に四囲の状況に応じた中で振興計画が地についたような形に果たしてなっていくのだろうかという懸念もなしとしないわけであります。もしその点についての考え方があればお聞きしたいと思います。
  83. 鈴木英夫

    鈴木説明員 高島炭鉱は、ただいま現在で閉山後既に一年を経過したわけでございます。本年十二月現在の人口が千九百七十二人ということだと思いますが、閉山当時の約五千五百人に比べまして三千五百人の方々が島を離れられるというようなことで人口の流出が続いておるわけでございます。  通産省といたしましては、こうした状況の中で、高島町に対しまして産炭地域振興臨時交付金の基準額を交付いたしますとか、あるいは地域振興対策につきまして、先生がおっしゃいましたいろいろな地域開発プロジェクトの芽を育て上げるということで、高島町の海洋開発ビジョンの作成あるいは高島の観光、スポーツ、レジャープラザに関する調査、こういうような調査を実施するための各種の支援を強化してまいったところでございます。  さらに、この地域開発プロジェクトにつきましては、基本的にはやはり地元の方々の自主的な発想あるいは自己努力というようなものが必要であるというふうに考えておりますが、私ども、さらにそれらに加えまして、産炭地域振興審議会に設けられております地域部会での御議論、これは地元の実情というものを十分反映された御議論が行われておりますので、こういうものを踏まえまして、地元関係者の取り組みが実効を上げ得るように引き続きいろいろな御支援をしてまいりたいというふうに考えております。  特に、六十三年度概算要求をしております産炭地域の総合支援事業につきましては、やはり地元に適した開発プロジェクトを育てることが重要であるということで、プロジェクトのシーズといいますか、そういうものを生み出しますために、地域公団に委託をいたしましていろいろな地域開発のための条件調査をやってもらうというようなこと、あるいはそこで出てまいりましたプロジェクトのアイデアに対しまして、それをいかに事業化に結びつけていくかということでこの事業化に必要な調査に対します予算措置、こういうようなものも要求をいたしておりまして、地元のお考えをなるべく伸ばせるように、私どもとしても、こういう制度を通じまして積極的な支援をしてまいりたいと考えております。
  84. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 実は高島町では、いろいろな計画の一つとして現在具体的に進められているのがオートレースの開設なんですね。あそこでオートレースをやろうということで今準備を進められているようでありますが、通産省としては、これが申請された場合ただ認可するということだけなのか、そういうことであるならば通産省としても支援できるようなものが何かあるのかどうか。そこらあたりはいかがなっておりますか、ちょっとお尋ねいたしたいと思います。
  85. 鈴木英夫

    鈴木説明員 高島町におきましてオートレースを誘致したいという御要望がありますことは十分承知いたしております。ただ、オートレース場の建設というようなことになりますと、やはり採算性というようなものが非常に問題になってまいりますので、私どもも、活性化支援事業の制度を活用いたしまして、採算性の検討も含めて調査に御協力をしているという段階でございまして、今後どうなるかということにつきましては、それらの調査も踏まえまして適時適切に対応してまいりたいと考えております。
  86. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 もう時間が来ましたので最後になりますが、高島炭鉱閉山になりましてからの離職者人たちの現在の就職状況について、ごくかいつまんでで結構ですから御報告いただきたいと思います。
  87. 竹村毅

    ○竹村説明員 お答えいたします。  昨年十一月末の高島炭鉱閉山に伴いまして、千五百八人の方が私ども公共職業安定所の窓口に求職の申し込みをされております。このうち、本年十一月末現在で五百五十八人の方が就職しているということでございます。就職率は三七%ということで必ずしも高くはございません。また、現在、所轄の職安でございます長崎職安管内におきまして、五百八十九名の方が未就職者としてまだ残っております。この中には、地元高島での職業訓練を含めて、百七十五人の方が職業訓練を受講中であるということでございます。私どもとしては、できるだけ早期に就職していただくよう今後も最善の努力を尽くしたいというふうに思っております。
  88. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 これは労働省への御要望になりますが、この人たちの年齢別はまだ聞いていませんが、今回の円高不況等による雇用調整によって失業された人たちの就職状況を見ますならば、中高年齢層というか、大体四十五歳以上の人たちについてはほとんど困難、ましてや五十歳以上の再就職なんてほとんどなしと言ってもいいぐらいに中高年齢層の人たちの就職は極めて難しいのが現状だと思います。したがって、きょうも新聞に、高齢者雇用促進事業団かなんかからのいろいろな助成金制度があるというようなことが出ておりましたが、やはり中高年齢層、四十五歳以上の人たちの再就職問題についてはもう少し別途に何らかの対策を考えなくては、せっかくの労働省努力が結果的には実らないことになってしまうのじゃないか。そういう意味で、現行の高齢者雇用促進事業団の制度も皆さんに余り知られてない面もありますし、現行制度の一層の活用とあわせて一つ一つの特別な考え方で今後対策を立てないと、結果的にはそういう人たちばかりがいつまでも就職困難という状況になってしまう、非常にそういう感じがするわけでありますので、そういう意味で、ひとつ労働省はこの問題については特に重点的に取り組んでいただきたいと思いますが、その点についての御見解があれば伺いたいと思います。
  89. 竹村毅

    ○竹村説明員 ただいま先生指摘ございましたように、高島におきましても離職者の平均年齢が非常に高いという、炭鉱離職者の就職の困難性に加えてそういう条件がございます。私どもといたしましては、緑の手帳そして黒手帳、こういう手帳制度に基づく援護措置を十分活用すると同時に、高齢者に対する特別の、また高齢者だけにあるという援助助成措置もございますので、そういうものもフル活用しながら、できるだけ早く安定した職場に離職者の方々がつけるよう最大の努力をしたいというふうに思っております。
  90. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 終わります。
  91. 福島譲二

    福島委員長 次に、児玉健次君。
  92. 児玉健次

    ○児玉委員 田村通産大臣が、私たちが今この委員会で論議していることと関連して、どうしてもよんどころない事情で早目に退席をしなければならぬということですから、恐縮ですけれども質問の順番をちょっと変えさせていただいて、最初に大臣に対して御質問をしたい、こう思います。  この十月に北炭真谷地炭鉱閉山したとき、北炭真谷地及び関連業者と建設一般夕張炭鉱関連労働組合両者の間で、北海道民の強い世論の支持のもとに粘り強い交渉が進められて、下請労働者に対して閉山見舞い金、退職金などを支払う協定が締結されたことは非常に重要なことだったと私は受けとめています。閉山に至ったことはまことに残念ですが、この交渉の出発点、その後の経過で通産省労働省の御努力があったことを、私は心から御苦労さまでした、このように申し上げたいと思います。  そこで、単刀直入にきょう私が一番申し上げたいことに入りますが、大臣もよく御存じのように、炭鉱における下請労働者の多くが炭鉱の最前線である坑道掘進に従事をしております。したがって、過去の炭鉱災害にあって最も多くの犠牲者を出してきております。そういう人たちがこれまで炭鉱の問題では表に出ることがなかった。それだけに、先日、北海道の夕張の下請労働者の代表が直接大臣にお会いする機会があった、これは彼らを非常に励ましました。  そういう中で、私は一つの事実をまず挙げたいのです。全国の坑内鉱員に占める下請労働者の人数はこのところ年々その比率を上げている。時間もありませんから数字を申しますと、昭和四十年には一二・五%、昭和五十年には一八・八%、昭和六十年には二四・〇%。通産省昭和三十八年にこの下請労働者を限定的に炭鉱で働くことを認めるということをなさってから、下請労働者の比率が今ふえています。そういった中で、例えば三井三池の出炭人員計画案というのを私は今ここに持ってきているのですが、六十二年度の上期、直轄三千百八十八名、請負千四十一名、こういうふうにそれぞれの炭鉱の出炭計画に完全に組み込まれて、その労働力に依存しなければ出炭計画は達成されない、これが現在の実態だと思うのです。大臣、まずこの実態認識についてお考えを伺いたいと思います。
  93. 鈴木英夫

    鈴木説明員 坑内の鉱員に占めます下請労働者の方々の比率でございますが、ただいま先生指摘のように、昭和四十年度におきましては一二・五%でございました。その後上昇をいたしまして、昭和六十年度には二四%ということになっております。私どもエネルギー生産・需給統計年報によりますれば、六十一年度末におきましては若干減少をいたしまして、坑内直轄労働者数が約一万一千五百人、坑内の下請労働者数が約三千百八十人でございまして、下請労働者の坑内労働者に占めます比率は約二二%、正確に言いますと二一・七%ということになっております。
  94. 児玉健次

    ○児玉委員 今お話のあったのは事実そのとおりですが、それは、八次策のもとで山の合理化が進む過程で真っ先に職場を追われているのが下請の労働者であるというところから若干の下降を示しているものだ、私たちはそう受けとめております。  そこで、大臣にお伺いしたいのですが、私は今手元に、夕張真谷地の栄真建設株式会社というところが、ある下請の労働者に対してことしの九月十一日に出した解雇予告の写しを持っております。「あなたを、労働基準法第二十条に基づき解雇の予告をします。 事項 真谷地炭鉱閉山の為 解雇する日 昭和六十二年十月十一日付」こういうふうに書いております。昔から三くだり半という言葉がございますが、これは三くだり半までもいきません。  そういった中で、鉱業権を所有している炭鉱が鉱業権を放棄したとき、そのことに基因して、直轄の鉱員だけでなく下請の労働者も今ではその職場、生活の根拠を奪われる、これが現状です。かつて炭鉱が数多くあったときには山から山に移動するということがありましたが、今日はそういった状態は残念ながらありません。石炭鉱業合理化臨時措置法施行令によれば、「石炭の採掘及びこれに附属する選炭その他の業務に従事していた鉱山労働者であって」、間は省きますが、「その石炭鉱山における鉱業を廃止することに基因して退職したもの」、に閉山交付金を支給するというふうになっております。まさしくそのものずばり、山が鉱業権を手放すとき一蓮托生で下請労働者も職場を奪われる。  そこで、大臣に私は申し上げたいのですが、これまで本石炭特別委員会では、この問題について非常に真剣な論議を進めてきております。これは大臣もよく御存じだと思います。例えば、昭和四十八年四月十二日の石特、当時の通産大臣は中曽根康弘氏であります。そして石特委員長は我が党の田代文久議員でした。この日、石炭対策特別委員会は附帯決議を採択いたしまして、その五項目、「離職金、賃金等の労務債の支払いについては、下請労働者に対しても本従業員に準じた取扱いをすること。」この項目を含めた附帯決議を全会派一致で採択しております。そして昭和五十年五月七日、質問に立った委員の、下請に対して差別的待遇があってはならぬという質問に対して当時の通産省の高木石炭部長は、離職金の制度について触れながら、「むしろ事前に、早く雇用関係を直轄夫という形でお結びいただいた方がいいのではなかろうか」と示唆しつつ、この問題について「十分検討させていただきたい」と答弁しております。  そこで、私は大臣に要望するものですが、今八次策のもとで炭鉱の置かれている状況は極めて厳しいものがあります。そういった状態の中で、昭和六十三年度予算での措置も含めて、この際、直轄労働者と下請労働者の大きな隔たり、差別を解消する方向で積極的な措置をとられるように大臣にお願いしたい。その点について大臣の御答弁を求めます。
  95. 田村元

    ○田村国務大臣 先ほども申し上げましたように、交付金でこれに対応することが可能かどうか、私もこの点は非常に関心があるものですから、下請の方々は本当に気の毒に思いますから、特に附帯決議の重さというものも考えなければなりませんし、事務方にいろいろと検討させました。なかなか法的になじまないところもあるということでありますが、だからといって、法的になじまないからといってこれを放置するわけにもいかない。そこで、学識経験者による委員会をなるべく早く設置して、そうしてこの委員会であらゆる角度から御検討願う。とにかく何とかしてあげようよというのが実は私の気持ちでありまして、強くそれを長官に指示したところでございます。
  96. 児玉健次

    ○児玉委員 この問題については、いろいろと問題は深いわけですが、雇われている会社が鉱業権を持っているかどうか、ただそれだけのことで鉱山労働者に大きな隔たりがあるということはあっては」ならないことだと思いますから、この後、機会を得て議論をしていきたいと思います。  そこで、二番目の問題に入ります。先ほどもこの場所での論議の中で提起があったことですが、八次策に基づく規模縮小交付金に関連してちょっとお伺いをしたいのです。  規模縮小交付金の対象となるケースとして、出炭量が前年度五%減の場合、人員が百五十人減の場合、その二つを満たすということがございますが、この百五十人減の中には下請労働者はカウントされるのかどうか。もしカウントされるのだとすれば、下請労働者に対して閉山交付金見合いのものが、この制度自身が閉山交付金の二分の一ですが、それに見合ったものが支給されるのかどうか、この点について事実だけをお答えいただきたいと思います。
  97. 鈴木英夫

    鈴木説明員 お答え申し上げます。  第一の点の、規模縮小の基準の中に入るかどうかということでございますが、これにつきましては基準の中に含めております。  それから第二点の、規模縮小交付金の対象になるのかどうかということにつきましては、閉山交付金のケースと同様、交付の対象にはいたしておりません。
  98. 児玉健次

    ○児玉委員 そこが閉山交付金制度が持っている矛盾の反映だと思うわけでありますが、もう少し具体的なケースでお聞きしたいと思うのです。  北炭幌内鉱で、十一月の上旬に「規模縮小交付金制度による合理化」なる提案が会社から労働組合に行われた、このように報道されております。私たち、その中身を完全に承知しているわけではありませんが、聞くところによると、昭和六十三年十二月までに「一年以内の停年予定者」そして「当該作業不適の者」、何とも私は「当該作業不適の者」というのは不適当な表現だと思うわけですが、そういった言い方で百二十名が直轄及び職員の中から合理化の対象となる。それで、北海道における新聞報道によれば「人員百五十人以上削減となっているため、同鉱は三十人以上の下請け労働者を解雇する」、こういうふうに言われている。そうなると、下請労働者は規模縮小交付金制度の数合わせには使われるけれども交付金の対象にはならない、これでは余りにひどい実態ではないかと言わざるを得ないのです。その点が一つです。  もう一つは、問題になっている北炭幌内ですが、ことし三月の委員会で私は幌内の問題について触れました。そのときよりもっと退職金未払いがふえておりまして、この十一月末の段階で九百二十八人、六十六億九千七百万円の退職金未払いが累積している。そういう中でこういった事態が起きるというのは非常に大きな問題を含んでいる。この点についてお考えを伺いたいと思います。
  99. 鈴木英夫

    鈴木説明員 下請労働者の方々は炭鉱におきます主要業務の支援あるいは附帯業務に従事しておられまして、炭鉱の規模縮小がこのような支援、附帯作業の合理化を中心にして行われるというケースも多いということは認識しております。したがいまして、先ほどの御質問に関連いたしますが、炭鉱におきます規模縮小の規模を見る場合には、この下請労働者の方の数をカウントしておるわけでございます。ところが、交付金の交付につきましては、これまでもるる御説明申し上げましたように、閉山交付金制度と同様、石炭企業の賃金債務を対象にして支払うということに法律上なっておりまして、石炭企業自体の債務でございません下請労働者の方の賃金債務についてこの制度の対象にすることが極めて困難であるという状況にあるわけでございます。  そういう中で、この幌内炭鉱が合理化提案というようなものを行っておるわけでございますけれども、幌内炭鉱石炭各社の来年度の生産計画につきましては、来年初めヒアリングを行うことにしておりまして、私ども、現時点ではまだその詳細を把握しておらないわけでございますけれども、幌内炭鉱におきまして、先生指摘のように未払い退職金が非常に多額に上っておるということも事実でございますので、このような未払い退職金につきましては、今後とも労働省とも連携をとりつつ、早急にこういうものが完済されるように指導してまいりたいと思っております。  なお、同時に下請離職者に対します措置につきましては、これもかねがね申し上げておりますように、石炭企業からの工事代金等の支払いを円滑に行わせるというようなことを通じまして、石炭企業に対しましても強力に指導してまいりたいというふうに考えております。
  100. 児玉健次

    ○児玉委員 この問題はどういうわけですか、十月の六日だと伺っているのですが、労使交渉の場で提起がされて、そして私たちがそれを承知したのは十二月に入ってですが、今部長のお話にもありましたが、縮小交付金支払いの対象になるかどうかというのは、要は雇われている会社が鉱業権を所有しているかどうか、そこが結局分水嶺になっているわけで、この点についての議論は大いにこの後やらなければいけない、私はこういうふうに思っています。もし、こういった合理化提案が強硬に進められれば重大な事態が生まれるので、その点については、通産省としても労働省としても極めて慎重に、あくまで地域の経済とそこで働いている労働者利益を主眼にして対処してほしいということを述べておきます。  最後に、お待たせして大変恐縮でしたが、労働政務次官にお尋ねをしたいと思います。  先ほどからの議論もありましたが、北海道で、昨年の四月からことしの十月までの間で石炭鉱業の離職者の数は四千四百十九名です。その中でいまだに再就職先を見つけていないのが三千四百二十四名、七七・五%に上ります。これは北海道の調査です。そういった状態の中で職場を追われ、生活の場を失った労働者の再就職、そのあっせん、そしてそれを可能ならしめるための職業訓練等の実施に当たって、ぜひ労働省に直轄、下請の区別なく最大の努力を尽くしていただきたい。先日も労働省の方から、そもそも労働省には直轄、下請を区別するという理念を持ち合わせていない、こういうお話もありましたが、直轄、下請の別なく再就職のあっせん、職業訓練の実施に当たって努力をしていただきたい、これが第一の点です。  二つ目は、下請関連企業の労使協定及び就業規則がどのような場に直面しようと十分に守られるように、労働省として努力をさらに強めていただきたい。  この二つの点について政務次官からお答えをいただきたいと思います。
  101. 浦田勝

    ○浦田説明員 閉山に伴う炭鉱離職者については、下請企業からの離職者も含め、手帳制度に基づき、きめ細やかな職業相談や機動的かつ効果的な職業訓練等を実施することにより、再就職の促進に全力を挙げて取り組んでいるところであります。  また、退職金の支給についてでございますが、就業規則等において明確に定められておる退職金は労働基準法上の賃金であることからして、労働基準監督機関としては今後ともこの履行確保に努めてまいる所存であります。
  102. 児玉健次

    ○児玉委員 時間で、まことに恐縮ですが、一つだけ重ねて伺いたいのですよ。  再就職のあっせんや職業訓練に労働省が現在のさまざまな制度を駆使して御苦労なさっているということはよく承知しております。私がお聞きしたいことは、その事業を進めていくに際して、直轄、下請の区別なく全力を挙げる、その点についてお答えをいただきたいのです。
  103. 浦田勝

    ○浦田説明員 実は、私もきのう大牟田の炭鉱に行ってまいりました。そして各種のそういう機関を見てもまいりましたし、またいろいろ事情等もお聞きをいたしてまいりました。極めて深刻に受けとめております。御調のとおり、下請の皆さん方についても我々としてはさらに努力をして、これらの皆さん方が安定的に再就職ができるように努力をしてまいらなければならない、そういう気持ちを持って帰ったようなところでございます。事態は極めて深刻であると十分承知をいたしております。弾力的にやっていきたいと思います。
  104. 児玉健次

    ○児玉委員 ありがとうございました。終わります。
  105. 福島譲二

    福島委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時十七分散会