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国務大臣(
田村元君) 御承知のように、東芝機械のココム違反、特に我が国の国内法に対する犯罪行為について米側が報復制裁措置に出る、しかも東芝機械だけでなしに東芝グループ全部を対象にするというようなことでございましたから、もしそういうことになったら大変なことになりますから、私は、
国会開会中、特に
衆議院の
予算委員会の最中でございましたが、急遽訪米をいたしました。
実は、私はもっと早く訪米をする予定でございました。ところが、米側の方へ内々で打診いたしましたところ、今やってくると半導体とこんがらがってしまうから、議会筋を非常に刺激することになるから時期を見たらどうだと、こういうことでありました。で先般まで待っておったわけであります。中には今ごろまでというように厳しい
批判をなさる向きもありましたし、私自身も少し時期がおくれたかなという
感じを持たないでもありませんでしたが、逆に、
アメリカへ行って
感じた印象は、最もよい時期に来たということでございましたから、その点ではけがの功名ということになったのではないかと思います。
今回の訪米では、ワインバーガー国防
長官、ボルドリッジ商務
長官、シュルツ国務
長官、ヤイターUSTR代表、その他政府要人、それから特に重点を議会に置きましたから、ガーン上院議員、ハンター下院議員、あのハンター下院議員というのは、御承知と思いますが例のハンマーで……、ああいう方々、たくさんの方とお目にかかりました。とにかくよくあれだけ会えたと思うほどたくさんの方にお目にかかった。特に、三日間おりましたが、その真ん中の日は
アメリカは休日扱いの日でございましたけれども、全部自分の日程を変更して会ってくれました。で私はいろいろとお話を申し上げたわけであります。
その会談におきまして、今回の東芝機械問題は、我が国はもとより、西側自由主義陣営の安全保障について重大な懸念を生じかねないものとして遺憾の意を表明するとともに、重大な決意をもって再発防止のための徹底した措置を講ずる
考えがあることを表明いたしました。
次に、以上の認識の上に立ちまして、政府のこれまでとりました制裁措置、また再発防止策について
説明をいたしました。例えば東芝機械並びにその社員を通産省が告発し、検察庁がこれを起訴したというような問題もありますが、そういう問題。また、とりました再発防止策、行政処分とかいろんなことを
説明したわけでございます。と同時に、今後とるべき措置というものも私は御
説明申し上げました。刑事罰の強化などを内容とする法律改正案の今
臨時国会への提案。これは相手から、議決するのか、こういう質問がありましたが、それは私自身が
アメリカ流で言う下院議員ではあるけれども、議会がどのように
審議をするかということについて行政府の長である私が言及すべきことではない、ただ、今
国会に提案をするということだけは私の
責任においてここではっきりと申し上げる、こういうことを申しました。それから東芝機械の、ソビエトブロックに対してもう未来永劫出しませんということを言ってきた話なんかもいたしましたけれども、通産省における戦略物資の輸出管理人員の増強、検査体制の拡充強化、それからココムへの積極的な貢献を行うというようなもろもろのことを私は明言してきたわけであります。
これに対しまして行政府は、
日本の対応を評価するとの反応が一般的でありまして、再発防止措置など今後の対策が重要との立場でありました。日米間の輸出管理についての
協力関係の推進についても意見の一致を見ました。実は、これは現地のワシントン・ポストのビジネス欄でありますが、これに商務
長官のボルドリッジが私の言ったことに対して満足をした、サティスファイしたと。こういうような記事まで大きく出まして、その点よかったと思います。
ただ、議会
関係はそうはいきません。議会というのはどこも難しいものだなとつくづく思いましたが、中には非常に私に好意的な意見もありました。特に上院議員は非常に客観的に見てくれました。私たち下院議員から見ると学ぶべきことが多いな、やはり上院というのは非常に客観的だなという
感じがいたしましたが、しかし中には厳しい人もおりました。
それから、特に下院の軍事
委員会というんでしょうか、十数名すらっと並んでこれは厳しいものでございました。
説明をしようと思っても質問の方が激しい。私は必死になってそれは
説明をいたしましたが、何か査問
委員会に呼び出されたような
感じでありましたけれども、しかしここでへこたれてはいかぬ、自分も
日本の
政治家だと思って必死になってやってまいりましたが、まあいろんなことがございました。