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1987-09-03 第109回国会 参議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年九月三日(木曜日)    午前十時一分開会     —————————————    委員異動  九月二日     辞任         補欠選任      世耕 政隆君     宮崎 秀樹君      星  長治君     福田 幸弘君   出席者は左のとおり。     委員長         田沢 智治君     理 事                 仲川 幸男君                 林  寛子君                 粕谷 照美君                 佐藤 昭夫君     委 員                 小野 清子君                 川原新次郎君                 木宮 和彦君                 山東 昭子君                 杉山 令肇君                 寺内 弘子君                 福田 幸弘君                 宮崎 秀樹君                 柳川 覺治君                 久保  亘君                 山本 正和君                 高木健太郎君                 高桑 栄松君                 勝木 健司君                 下村  泰君    国務大臣        文 部 大 臣  塩川正十郎君    政府委員        文部大臣官房長  古村 澄一君        文部省高等教育        局長       阿部 充夫君        文部省高等教育        局私学部長    坂元 弘直君    事務局側        常任委員会専門        員        佐々木定典君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○学校教育法及び私立学校法の一部を改正する法  律案(第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆  議院送付)     —————————————
  2. 田沢智治

    委員長田沢智治君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二日、世耕政隆君が委員を辞任され、その補欠として宮崎秀樹君が選任されました。  また、同日、星長治君が委員を辞任され、その補欠として福田幸弘君が選任されました。     —————————————
  3. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 学校教育法及び私立学校法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する質疑は既に終局いたしておりますので、これより直ちに討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  4. 久保亘

    久保亘君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、ただいま議題となっております学校教育法及び私立学校法の一部を改正する法律案に対して、反対立場を明らかにいたします。  今日私たちは、変化が激しく流動的で不透明、不確実な状況の中で、新しい時代を迎えつつあります。こうした時代を生き抜いて、教育基本法に定める社会と文化の進歩に貢献し、人類の福祉と平和を実現するためには、真理の追求を基本とした学問研究創造と、先見性創造性等を身につけた人材の養成、さらには国民の高い学習意欲にこたえる体制整備が極めて重要であります。その意味で、大学中心とする高等教育改革に真剣に取り組まなければならないことは当然であります。  しかし、言うまでもなくその大学改革は、大学の理念と歴史を踏まえ、憲法の保障する学問の自由と大学自治基本として、長期的視野に立って行わなければなりません。いやしくも、資本の論理や経済の効率性論理に立つ拙速な改革であってはなりません。  ところが、今回政府から提案された大学審議会等設置案については、政府財界都合のよい大学改革を進める道具、手段になるのではないか、また、それをねらったものではないかとの疑念をぬぐい去ることができないのであります。されば、今日多くの大学関係者等反対の声が起こっているのであります。  本法律案の主要な問題点について、以下、簡単に指摘したいと存じます。  まず第一に、今回の法律案は、臨教審答申実施に関する最初の法案と言われておりますが、臨教審答申大学改革構想をどう受けとめ、今後どう対応していくかという総合的検討が行われることなく、大学審議会についてのみ、場当たり的、つまみ食い的に提案されているのであります。しかも、大学関係者等の合意を得るための十分な時間と手続を経ることなく、まことに拙速に提案されてきたのであります。したがって、多くの大学関係者等政府の意図に不安を感じ、反対するのは当然であります。本法案が極めて不十分な審議にもかかわらず、衆議院強行採決され、本院においても審議不足のまま本日委員会採決が行われようとしていることはまことに遺憾であります。  第二には、文部大臣諮問機関として位置づけられ、しかもその人選文部大臣の自由にゆだねられていることであります。今日の我が国大学画一化等問題状況をもたらした大きな原因の一つに、これまでの文部省大学政策大学行政があることはだれしも否定できないところであります。このこれまでの文部行政にメスを入れることなく、今後の大学改革の道を探ることは不可能であります。したがって、行政から相対的に独立した審議機関設置こそ必要であります。  また、委員人選大学関係者意向を十分に反映されるように行われる保障はどこにもないのであります。臨教審大学改革に関する研究協議会に見るように、総理好み財界人官僚出身者中心になるおそれが強いのであります。  さらに、文部行政の隠れみのになりやすいこのような審議会に、勧告権等強い権限を与えていることは、かえって審議会の名のもとに、政府財界都合のよい改革が強行される危険を感ずるものであります。臨教審そのものも、設置に当たって我々が指摘したとおり、文部官僚の手のひらの上で、その官僚主義権威主義秘密主義瑣末主義に陥って、教育改革に対する国民期待にこたえていないとの批判があります。臨教審委員の中からさえこの点について強い不満が述べられているのであります。  第三に、審議会運営あり方についでもすべて政令事項とされている上に、その基本的内容も全く明らかにされていないのであります。大学関係者国民に開かれた運営が行われるかどうか、大変疑問であります。  第四に、私立大学審議会を廃止して大学設置審 議会と統合し、従来の私大審議会権限学校法人分科会権限とする点につきましても、私学自主性を尊重するという私立学校法精神が生かされるのか大変不安を覚えるものであります。私学に関する基本法たる私立学校法の規定から、その中心部分である私大審議会を削除することは、私立学校法をいびつ化し、形骸化をもたらすことにつながらないかを憂えるものであります。  最後に、文部大臣文部行政責任者として、大学に対する外部からの正当な批判を真剣に受けとめて対処すべきは当然でありますが、しばしば見られるような誤解、偏見や、大学に関する不十分な知識に基づく不当な批判に対しては、大学に関する深い理解に基づいて、大学立場を擁護する姿勢こそ必要であります。しかるに、一部の例をもって殊さらに大学大学関係者を強く非難し、不信感をあおるような発言に終始されていることはまことに残念であることを強く指摘したいと思います。これでは大学関係者等文部行政不信感を増大させるのは当然であると言わなければなりません。  教育基本法十条は、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」と述べています。「不当な支配」とは、同じく十条後段に定める教育行政目標である必要な教育条件整備確立の任務を放棄し、教育そのものを政治的に管理支配しようとすることであります。金は出さぬが口は出すという最も誤った今日の教育行政あり方を根本的に改めることが教育改革の大前提であることを、大学審議会設置を急ぐ政府、特に文部省に強く警告したいと思います。  以上、本法律案反対する理由を述べて、私の反対討論を終わります。
  5. 林寛子

    林寛子君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております学校教育法及び私立学校法の一部を改正する法律案賛成討論を行います。  本法律案は、臨時教育審議会答申を具体化するための法律改正の第一号であります。二十一世紀へ向けての我が国発展の基礎となる教育改革を断行していくため、臨教審答申を一刻も早く実施に移すよう努めることが私どもに課せられた最大の責務であろうと思うものであります。  本法律案は、我が国高等教育あり方を全体として調査審議し、文部大臣答申、勧告する大学審議会を新設しようとするものであり、従来からその必要性が強く認識されていたものであります。御承知のとおり、我が国高等教育は、今日では十八歳人口の四割近くが入学するほどまでに発展、拡大してまいっております。しかしながら、我が国高等教育の現状には多くの問題があり、国民期待社会要請に適切にこたえていないとの厳しい批判があることもまた事実であります。新設される大学審議会がかような批判に耳を傾け、我が国高等教育国民社会要請に適切にこたえていくための政策を立案、提供してくれることは、まことに意義あることと言わねばなりません。  また、本法律案は、現行の大学設置審議会私立大学審議会を再編統合して、大学設置学校法人審議会と名称の変更を行い、私立大学設置認可等業務円滑化効率化を目指しております。まことに歓迎すべき結構な措置であると思います。  このように本法律案は、我が国高等教育の今後の発展に資するところ大変大と思うわけでありますが、一部の大学関係者の間に、理解が不十分なためか、残念なことに、本法律案大学自治を侵害し、学問の自由を脅かすものであるとか、私学自主性を否定するものであるといった批判があるようであります。しかし、大学審議会は、大学に関し広くかつ高い識見を持つ人々から選ばれた委員が、我が国高等教育基本政策について審議するものでありますし、また、私立大学審議会業務を引き継ぐ学校法人分科会委員は、私学の代表を中心に構成されることになっているわけでありますから、そのような心配は要らないものと確信いたすものであります。  私ども自由民主党は、戦後一貫して我が国高等教育発展、振興のために努力してまいりました。今後もなお一層の努力を傾注してまいりたい所存でございます。  私は、大学審議会我が国大学改革に明確かつ適切な指針を提供してくれることを期待し、最後にその一日も早い設置を希望いたし、本法律案に対する賛成討論を終わります。
  6. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、議題、すなわち大学審議会設置法案に断固として反対討論を行います。  まず討論に先立ち、本法案衆議院文教委員会強行採決が行われ、本委員会でも定例審議日を残したまま強引に採決されることに強く抗議するものであります。  さて、本大学審議会設置法案の意図するところは、自民党政府財界による日米軍事同盟体制強化国家づくりに役立つように大学を再編することであります。そして、その最大の障害となっていた大学自治破壊する仕組みを確立しようとするものであります。  このねらいは、中曽根内閣の戦後政治の総決算路線を概観するだけで、すなわち、年々増大する軍事費日米共同作戦体制強化など、一路ばく進する軍事大国化の道、それと一体のものとして、靖国神社への閣僚大挙参拝や君が代・日の丸教育強制等を初めとする臨教審最終答申によって明瞭であります。  以下、具体的に反対理由を述べます。  反対理由の第一は、大学審議会学問の自由と大学自治を根本から破壊するものとなることであります。この審議会は、内閣承認の二十人の委員から構成され、文部大臣に対して勧告権を持つものです。審議対象大学管理運営あり方教育研究あり方、教員の人事や教授会権限などを含め大学制度全般大学の評価に至るまで広範にわたるものであります。本来、大学自治に属する事柄までも調査審議し、勧告権を行使して文部省を通じての大学への介入、統制を行うことができるのであります。まさに大学審議会創設は、政府がこれまでなし得なかった大学自治学問の自由に公然と干渉できる仕組み創設であります。  反対理由の第二は、この大学審議会軍事目的財界奉仕に役立つ大学づくりを進めるものであるからであります。これまでの臨教審答申が示しているように、日米軍事同盟体制国家づくりと、産業構造転換などの国家目標に沿った大学の再編が意図されています。SDI研究への大学の参加、寄附講座の導入やインテリジェントビルなどはその最たるものであり、それらを大々的に進める土台となるのは火を見るよりも明らかであります。  反対理由の第三は、大学審議会臨教審流教育改革全体の突破口としての役割を果たすものになるからであります。川下を変えれば川上が変わるのとおり、大学多様化を通じて高校以下の教育にも広げることができるのです。我が国学校体系全体を、エリート養成と新しい労働力養成という差別選別体制へと全面的につくり変えようとしています。この反動的な教育改革が実現されるならば、憲法教育基本法の示す機会均等教育全面的破壊となります。  私が本法案反対する主な理由は以上であります。  大学自治破壊学問の自由への干渉が国民民主的権利を根こそぎ奪い尽くし、あの大戦の惨禍に至った歴史の教訓は決して忘れてはなりません。  我が党は、広範な民主勢力大学人とともに、歴史反動的転換を絶対に許さないことを表明し、私の反対討論を終わります。
  7. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  学校教育法及び私立学校法の一部を改正する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  9. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 多数と認めます。よって、本案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  粕谷君から発言を求められておりますので、これを許します。粕谷君。
  10. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党日本社会党護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘各派共同提案による附帯決議案提出いたします。  案文を朗読いたします。     学校教育法及び私立学校法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府及び関係者は、新たな時代要請に応え、大学自治を尊重しつつ、大学改革を積極的に推進するため、次の事項について特段の配慮を行うべきである。  一、大学審議会審議に当たって、大学関係者意向が十分反映されるよう、委員構成及び審議方法に配慮するとともに、広く各界の意見も反映されるよう留意すること。  二、大学設置学校法人審議会に置かれる学校法人分科会運営等に当たっては、私立大学審議会と同様、私立学校法制定精神を堅持すること。  三、大学審議会審議体制運営等については、その活動状況を踏まえ、審議会発足一定期間を経た後に検討すること。  四、大学の個性ある教育研究体制の推進に必要な諸条件整備に努めること。  右決議する。  以上でございます。
  11. 田沢智治

    委員長田沢智治君) ただいま粕谷君から提出されました附帯決議案議題とし、採決を行います。  本附帯決議案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  12. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 多数と認めます。よって、粕谷提出附帯決議案は多数をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、塩川文部大臣より発言を求められておりますので、これを許します。塩川文部大臣
  13. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) ただいま御決議いただきましたが、その趣旨に十分に留意いたしまして、対処してまいります。
  14. 田沢智治

    委員長田沢智治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十時二十分散会      ——————————