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1987-08-27 第109回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年八月二十七日(木曜日)    午前十時七分開会     —————————————    委員異動  八月二十五日     辞任         補欠選任      本村 和喜君     服部 安司君      上杉 光弘君     志村 哲良君  八月二十六日     辞任         補欠選任      志村 哲良君     上杉 光弘君      服部 安司君     本村 和喜君      高杉 廸忠君     渡辺 四郎君      八百板 正君     鈴木 和美君  八月二十七日     辞任         補欠選任      北  修二君     永田 良雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岡部 三郎君     理 事                 高木 正明君                 水谷  力君                 宮島  滉君                 稲村 稔夫君                 刈田 貞子君     委 員                 青木 幹雄君                 上杉 光弘君                 浦田  勝君                 大塚清次郎君                 熊谷太三郎君                 坂野 重信君                 鈴木 貞敏君                 永田 良雄君                 初村滝一郎君                 本村 和喜君                 菅野 久光君                 鈴木 和美君                 渡辺 四郎君                 及川 順郎君                 諫山  博君                 下田 京子君                 三治 重信君                 喜屋武眞榮君                 山田耕三郎君    国務大臣        農林水産大臣   加藤 六月君    政府委員        農林水産大臣官        房長       甕   滋君        農林水産省経済        局長       眞木 秀郎君        農林水産省農蚕        園芸局長     浜口 義曠君        農林水産省畜産        局長       京谷 昭夫君        農林水産省食品        流通局長     谷野  陽君        農林水産技術会        議事務局長    畑中 孝晴君        食糧庁長官    後藤 康夫君        水産庁長官    佐竹 五六君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        厚生省生活衛生        局食品保健課長  大澤  進君        厚生省生活衛生        局乳肉衛生課長  難波  江君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○大豆なたね交付金暫定措置法の一部を改正する  法律案(第百八回国会内閣提出、第百九回国会  衆議院送付) ○食糧管理法の一部を改正する法律案(第百八回  国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、高杉廸忠君及び八百板正君が委員辞任され、その補欠として渡辺四郎君及び鈴木和美君が選任されました。     —————————————
  3. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 大豆なたね交付金暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 菅野久光

    菅野久光君 きょうは大豆なたねに関する法案の審議でありますが、大豆はおかのたんぱく質であります。まず、たんぱく質ということに絡むので、海のたんぱく質の方を先にひとつちょっとお聞きをしたいというふうに思います、  日韓政府間漁業交渉の問題については、私も委員会のたびにお聞きをしておるわけでありますが、まず、先日、八月の上旬に行われました交渉状況等について御説明をいただきたい、このように思います。
  5. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 八月六日、七日、ソウルにおきまして実務者協議が行われたわけでございます。今回の協議におきまして、日本側といたしましては現行協定枠組み改正必要性を再度強調し、韓国側理解を求めたところでございます。これに対して韓国側の見解は、従来と一貫いたしまして、現在の協定改定条件が成熟してないということでございます。  韓国側主張を一応御紹介いたしますと、韓国側としては漁業協定は単独に漁業協定だけとして存在しているのではなくて、四十年当時、平和条約を初め一連の諸協定パッケージのものと考えている、二十年たって漁業について実態が変わったことは認めるけれども実態が変わったという点ではほかにももろもろもう変わった点があるわけで、それらのものを直すならば初めて漁業協定改定条件が成熟すると、こういう言い方でございまして、現行協定が永久に不変のものとは考えていないし、また実態の変わったことも認めるけれども協定そのもの見直しをする条件が熟してないと、かようなことでございました。  これに対して我が方といたしましては、引き続き枠組み改定必要性につきましては主張し、協議を続ける、そういうことを前提にいたしまして、当面本年十月末に期限が来るわけでございますので、最小限十月末までに解決すべき問題といたしまして、第一点としましては、北海道におけるオッタートロールラインからの韓国船撤退、それから第二点といたしましては、西日本、主として九州、山陰沖におきます国内規制遵守、特に昭和四十年以降に制定されました沖合底びきあるいはまき網の禁止ライン遵守、これは現行日韓協定上は韓国側遵守義務がないという仕組みになっておりますので、この遵守。それから第三点といたしましては、最近特に船名隠ぺい船、恐らく韓国船というふうに推定されるわけでございますけれども船名隠ぺい船操業がふえているという実態から見て、これに対して取り締まりをいかにするかと、この三点につきまして具体的な説明をしたわけでございます。  これに対して韓国側からは、一部については受け入れられるものもあるけれども、しかしなお全体として、韓国側としてはそのまま了承するわけにはいかないと、かようなことでございまして、かなりの隔たりがあるわけでございます。今後これらにつきまして具体的に一つ一つ詰めようということでございまして、次回の協議を九月上旬に行うということで、具体的な日程につきましては外交ルートを通じて決めるというようなことで協議を了したと、かような状況にございます。
  6. 菅野久光

    菅野久光君 何か十月末まであとわずかな期間の中で、言えばさっぱり進展がないと言ってもいいような状況ではないかというふうに思いますが、対韓二百海里適用という、この韓国漁船問題の抜本的解決を目指す基本的な考え方ですね。これについては変わりはないのかどうか。あるいはその後、こういうあと二カ月というような期限を迎えて、この基本的な考え方を変えてきているのか。政府のこの対処の仕方、基本的な考え方というものをお聞かせいただきたいと思います。
  7. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 対韓二百海里適用問題につきましては、それが問題の根本的な解決の方策の一つであるということは、私どもそのとおりであろうというふうに本委員会でも御答弁申し上げているわけでございますが、他面、現在韓国に対して一方的に二百海里を適用するということになれば、現在の、これも御答弁申し上げたかと思いますが、日韓漁業協定破棄をしなければならないわけでございます。したがいまして、二百海里体制に移行するためには双方が合意し、将来の操業秩序についてある程度合意はした上でお互いに二百海里を引き合うというふうなことになろうかと思うのでございますけれども、現在韓国側にその用意はないというわけでございます。そういうことから、私ども二百海里体制移行と実質的に同じような内容の枠組み改定、つまり日韓漁業協定改定韓国側に申し入れたところでございますが、現在の状況につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
  8. 菅野久光

    菅野久光君 十月末の期限切れを目前にして、悲願であります韓国漁船への二百海里法の適用というのが現実的には非常に難しいような状況だ、したがって基本的枠組み見直し実現困難ということで、韓国漁船段階的撤退を期待して、現行暫定措置の一部手直しによる決着と、こういったようなことで行かざるを得ないというふうにお考えだというふうに受けとめてよろしいですか。
  9. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、基本的枠組みについては引き続き検討するけれども、少なくとも十月三十日までに解決すべきものとして三点を考えているわけでございます。
  10. 菅野久光

    菅野久光君 それでは、安易な妥協をしないということで、この一年を最長とした協定の延長ということは実質的には無理だと、できないというふうに今の段階から判断しているように受けとめざるを得ないようなことであります。  北海道漁民は、この韓国漁船操業によって、ここ十数年来、漁場やあるいは資源の荒廃、漁業秩序の崩壊、そして漁具被害等の塗炭の苦しみにあえいできたことはもう御承知のとおりであります。加えて昨年は国際的な二百海里体制の定着あるいは強化に伴って北洋漁業大幅減船犠牲を強いられました。このような中で北海道沖韓国済州島沖がリンクされた現行暫定措置改定により事態収拾を図ろうとすることは、いたずらに北海道西日本、この国内漁業対立を誘引するものではないか。また、基本的には国内二百海里体制再構築への道を閉ざして、まさに我が国漁業発展にとって重大な影響を与えるものであるというふうに思わざるを得ないわけですが、その辺はいかがですか。
  11. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 日韓あるいは日ソ漁業関係でございますが、これは相互に入り会いをしているような関係になっているわけでございまして、したがいまして、韓国周辺水域あるいはソ連周辺水域に出漁している漁業と、それから韓国あるいはソ連日本近海に出漁してその操業によって影響を受ける漁業種類と、こういうものが出てくるのはこれはやむを得ないところでございまして、これはやはり国内調整問題として私どもが処理しなければならないのではないかというふうに考えておるわけでございまして、私どもとしてはできるだけ公平な立場に立ってこの問題の処理を図りたい、かように考えておるわけでございます。
  12. 菅野久光

    菅野久光君 公平にということはこれは行政の私は原則だというふうに思うんですが、現実の問題としては公平じゃないんですね。一方的に北海道漁民犠牲を強いているというのがこの日韓漁業の問題ではないかというふうに思うんですが、その辺の認識はいかがですか。
  13. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 事実としては、北海道漁民が確かに韓国周辺水域には出てまいらないわけでございますので、そういう意味では公平ではないではないかというのが先生の御指摘であろうかと思います。しかしまた逆に、北海道沖合底びきがソ連二百海里の水域内で操業いたすために、ソ連のトロール船の日本近海太平洋岸における操業を認めているわけでございまして、これは茨城なり福島、それから岩手の漁民にとってみれば大変迷惑な話であるということはあるわけでございます。  確かに受益する者とそれから被害影響を受ける者とが一致しない場合には公平と言うことはできないではないかとおっしゃられれば、そういう事実はこれは事実として認めざるを得ないわけでございますけれども、その被害の受け方についてやはり例えば北海道の場合であれば少なくとも韓国船国内漁業秩序を守ってもらう、現在はそれもできていないわけでございますけれども、そういうことによってやはり一定日本漁民である以上、我が国の他の漁民一定の利益を受けるために一定限度で、もちろん一定限度はございます、一定限度我慢していただくことはこれはやむを得ないのではないか、そこのバランスをどうやってとっていくかということが私どもの重要な仕事ではないかと、かように考えているわけでございます。
  14. 菅野久光

    菅野久光君 北海道西日本との綱引きだとか何とかといろいろなことが言われております。トータル的に言えば日本韓国ということで、それはお互いの取引の状況というものがあろうと思うんですが、国内的なそういうバランスの形から言えばこれは大きな差があるわけでありますから、その辺について十分認識をして政府としてこれは対応していかなきゃならぬ。  そして、今の中で最低限国内規制遵守管轄権の行使、これをもう早急に実施すること、ここに最重点を置いてやるんだということでありますが、このことは韓国漁船の問題が出たときからずっとやっているわけですね。幾らやってもやってもなかなか解決ができなくて、最近は先ほど長官が言われたように、船名を隠ぺいしてどこの国の船、何という名前の船がわからないようにして、そして違反操業をやるというようなところまできているものですから、もうこれ以上の我慢はできないということになってきているわけです。  ですから、北海道漁民人たちを含めて二百海里をまずやるということが根本的なやはり漁業規制を守らせるなり、あるいは管轄権を行使できることになる。そういうことで早く二百海里の適用をと言っているのであって、四十年当時の漁業の問題も含めたパッケージ一つの問題だと。ほかのものもいろいろあるということであれば、ほかのものも含めてそういったようなことの解決の道というのはどうなんですか。政府としてそれらも含めてこの問題を解決していくためには、そういったもろもろの問題があるということであれば、もろもろの問題についてやはり総合的な韓国との間の交渉というものが持たれて、そしてもうこの十数年来大変な問題になっている日韓漁業の問題を解決していくという道筋をたどるべきだ。これだけじゃだめですよということを向こうで言っているわけですから、そういう腹づもりというのは政府にあるんですか。
  15. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 先ほど韓国側主張を御紹介申し上げたわけでございますが、私ども水産庁として答弁できる範囲を超えた問題でございますので、その点はお許しいただきたいと思うわけでございます。  それからまた、確かに国内規制遵守ということはもう七年前あるいは十年前から主張をし続けたわけで、それでもできなかったのじゃないか、それをどういうふうな見通しがあるのかという御質問かと思うのでございますが、特に北海道のオッターラインについては御指摘のとおりでございますが、私ども自身としても北海道漁民にこれ以上の我慢をしていただくことはできないというふうに判断いたしましたのは申すまでもなく北洋減船でございます。韓国船操業をさせる海域があるなら日本沖底減船しなくても済んだのじゃないかという御指摘はまことにごもっともでございますので、これを最大限の重点と考えているわけでございます。  そこで、私ども政府間の交渉だけでは必ずしもはかばかしく進展いたしませんものでございますから与党の水産部会先生方に訪韓していただきまして政治的な立場からの問題の重要性、つまり日韓友好関係を保つためにはどうしてもこの問題を解決しないといけない。この問題を避けて通ればかえって日韓が抜き差しならない状況になるということをるる御説明いただきまして、韓国側もその事態についてやや認識を改めていただいたということで、この一年間そういう意味では私ども交渉を取り巻く事情というのは若干変わってきたというふうに判断しておるわけでございまして、最低限先ほど申し上げました三点につきましては実現を図りたい、かように考えているわけでございます。  特に取り締まり権につきましては、これは協定改定いたしませんと旗国主義は改められないものでございますから、この点は私どもとしては大変いわば泣きどころになるわけでございますが、しかしとにかく船名隠ぺい船が非常にふえているという事実があるわけでございまして、それに対して現在の旗国主義では機能しないわけで、何かいろいろ知恵を出すことを検討しておりまして、それによって少なくとも皆様方から事態がこう変わったということについて多少なりとも評価していただけるような案で決着を図りたい、かように考えておるわけでございます。
  16. 菅野久光

    菅野久光君 とにかく二百海里の問題については、まさに北海道だけではなくて、最近特に韓国漁船に荒らされている漁民人たち悲願でもあるわけですから、政府としてもとにかく何としてもこれの方向に向けて今後努力をしてもらわなきゃならないというふうに思うんですが、過日来から何か新聞報道等を見ると、大臣の中で北海道西日本との対立をあおるかのごとき発言をしているような報道がなされております。極めて私は残念だというふうに思うんですが、これは大臣お聞きになっているかどうかはわかりませんけれども、対韓国との交渉をやっている中で、国内において少なくとも内閣の一員である大臣が仮にそういう発言をしたとすれば私は大変な問題だというふうに思っております。  このことについてはまた別な機会に申し上げなければならない、そのように思っておるわけですが、少なくとも最長一年を限度としていままでの協定を延長したわけですね。それで安易な妥協をしないということで約一年にわたって交渉をしていったけれども、結果的にそれがうまくいかなかったときに一体どうするのか。国内規制の問題あるいは取り締まり権の問題は何としてもやらねばならぬという御覚悟のほどはこれは当然のこととして私はそうしてもらわなければならないと思うんですが、それ以降、以降の問題ですから、また次の機会ということになるんでしょうが、そのときには政府としても相当なやはり漁業者に対する何らかの考え方というものを示していかなければこれはおさまりがつかないことに私はならざるを得ないというふうに思うんです。また不測の事態が起きかねない。そういったような空気等もあります。当初九月の三日には北海道、そして四日には全国でという緊急の漁民大会が行われる予定でしたけれども、とてもその時期までは待たれないということで、この二十四日には北海道で、そしてついこの前二十五日には全国韓国漁船操業問題の全面解決を求める緊急漁民大会が持たれているというような状況であります。  こんな状況を踏まえて、あと残された期間わずかですけれども、対韓国漁船問題についての交渉に当たっての大臣決意をひとつここでお聞かせいただきたいと思います。
  17. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 先ほど来長官にお答えいたさせましたが、要は日本の問題として日韓漁業交渉を最終的にまとめていきたい。日韓漁業協定を決めて以来の国際的あるいは我が国変化というものもあります。韓国側漁業変化発展というものもあるわけでございます。そういう中で北海道西日本云々という問題がありましたが、これら全体をうまく取りまとめていかなくてはなりません。  我々がまとめる場合にはいろいろな手段方法はあるわけでございますが、お互い政治家として判断する場合にはソフトランディングを心得るということが一番大切であるわけでございます。そのソフトランディングをやる場合に日本全体としての傷をより少なくし、そしてまたそれぞれの地域の特性、事情というものも十分配慮した上での決着というのが一番望ましいと思います。二百海里問題といいますか、根本的問題の解決、このアプローチには日韓の間に大きな相違があることは事実でございまして、大変な困難が伴うわけでございます。  前回たしかお答えいたしたと思いますが、日韓漁業協定破棄に始まり、李承晩ラインと言われたラインの復活が始まるというこういうような問題は我々避けて、何とかして話し合いによらなくてはならないわけでありますが、こういった基本的問題につきましては今後とも両方鋭意話し合いをし、そして先ほど申し上げました当面の問題につきましては何といたしましても全力を傾注して十月末までに解決をいたしたいという立場でございます。その際少しでも日本の全体のためにそして日本漁民のために喜んでいただけるような案が日韓双方の間でうまく結べないものか、目下あらゆる方法を検討しあらゆる手段を通じて韓国側理解を得るように努力をいたしておるところでございます。
  18. 菅野久光

    菅野久光君 中曽根総理の任期が十月末までということでありますが、大事な時期に農林水産大臣をやっておられる実力者加藤大臣ですから、この大事な時期にまた引き続き農林水産大臣ということも十分にあり得るわけですから、そういう点ではぜひ責任を持って日本の将来のためにひとつ頑張っていただきたいというふうに特に要請をしておきたいというふうに思います。  では次に、ちょっと鯨の問題なんですが、調査捕鯨、それから生存捕鯨についてその後政府としてどのような努力をしておられるのか、その状況についてひとつ説明をいただきたいと思います。
  19. 佐竹五六

    政府委員佐竹五六君) 調査捕獲につきましては、七月三十日当委員会の御決議をいただきまして、不退転の決意をもって関係各国理解を求めつつ、また必要とあらばIWCからの脱退も辞さぬ覚悟で、今漁期からの鯨類調査捕鯨実現に向けて最大の努力をすることという、そういう御決議をいただきました。この御決議趣旨に従いまして、私ども関係国理解を求めつつ、何とかことしの調査捕鯨実現できるように努力しているところでございます。  まず、その一環といたしまして、我が国調査捕獲につきまして、これは疑似商業捕鯨ではないかという批判が国際的にあるわけでございまして、その非難を避けるために調査主体として国際機関調査主体になってもらえないかどうか、その可能性をまず一つ探っているところでございます。それからまた、先回のIWCにおきます延期勧告提案者である米国に対しまして海洋漁業部長を派遣いたしまして、米国商務省、国務省の担当官に対し、我が国立場正当性、それからまた国会決議趣旨説明させたところでございます。これに対して米国側といたしましては、米国側の置かれている立場、つまり米国国内法であるパックウッド・マグナソン法の発動をせざるを得ないという立場を繰り返しているわけでございます。日本側条約上の権利ということで行使すれば、これはアメリカ側法律国内法に従って、この法律パックウッド・マグナソンを発動せざるを得ないということを繰り返しておりまして、平行線に終わっているところでございます。このように米国側との事態を打開する可能性についてはまだ出ていないわけでございますけれども、私どもとしてはさきの決議も体しまして、引き続きあらゆる方途を通じまして米国側理解を得るように努力してまいりたいというふうに考えておるところでございます、  また、生存捕鯨につきましては、生存捕鯨として来年のIWCにおきまして関係国理解が得られるように、つまりこれが実現するためには条約の付表の改正が必要でございまして、四分の三の同意が必要となるわけでございますので、そういう意味でも関係国理解が必要不可欠となるわけでございますが、現在IWCで認められております原住民生存捕鯨、これはアラスカ、グリーンランド、ソ連等について原住民生存捕鯨が認められておるわけでございますが、我が国の沿岸小型捕鯨について、それらの既に認められている捕鯨と同じような内容のものとするように検討して明年度のIWCに臨むことが必要であろうと考え、その内容についてさらに現在検討中、こういうことでございます。
  20. 菅野久光

    菅野久光君 調査捕鯨については、全く国際条約で認められていることが、アメリカのPM法ということを発動する、しかし実際は発動される前からもう漁獲量をどんどん減らされてきているわけですね。それを発動されて全くだめになってしまうと、関係する漁民やあるいは加工工場、そういったところが大変な状況になることはわかりますが、しかし一歩下がれば三歩押してくるということで、後退に次ぐ後退、これは私もこの前申し上げましたけれども、これでは全く国際条約なんというものが一体何のためにあるのかということにもなってきますし、言えば全くめちゃくちゃですね。本当に今の日本のいろいろな、まあココムの問題なんかもそうなんですけれども、一方的にとにかくアメリカからやられたら、はい、そうでございますかとまではいかなくても、それと似たような形でどんどん後退してしまう。こんなことでは一体我が国の主権というのはどこにあるのかということにならざるを得ないんで、やはり調査捕鯨は、あるいは生存捕鯨ども当然これはあってしかるべきものでありますから、政府としては何としてもそれを実現するために今後ともひとつ努力をしていただきたい、このように思います。特に調査捕鯨の問題については、出漁の時期なども迫っておるわけでありますから、海洋漁業部長がアメリカに行っていろいろ努力されていることは新聞報道などでも見ておりますが、さらに一層のひとつ努力をお願いいたしたいと思います。  海のたんぱく質の問題についてはその程度にいたしますが、ちょっとこの前の二十日の衆議院の農林水産委員会大臣発言の中に、三度目の米過剰は避けたいということで、水田農業確立対策で六十二から六十四年度の目標を固定しているととの意味は重い、しかしことしの作柄、在庫数量、需要、ことしの転作実績を見る必要もある、三度目の過剰は起こさないように検討しなくてはならないという趣旨発言をされたということであります。けさの新聞などを見ますと、七十七万ヘクタールというあの減反目標に対し実績は二%ほどふえているというようなことでありますが、それでもまあ米過剰というようなことで大臣がこういうような発言をされると、すわ、ポスト三期のあの減反にさらにまた上積みをする人じゃないかということで恐れおののいているというのが特に北海道なんかの実態なんです。ここで六十二年度から六十四年度の目標を固めたわけでありますから、それは六十四年度まではそういうことはないんだということをこの際ひとつ明言をしていただきたいと思うんですがいかがですか。
  21. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 昨日の午後発表しました本年度の作柄、これは八月十五日調査でございまして、今後さらに九月十五日、十月十五日の調査、大体十月十五日の調査で本年度の数量がはっきりしてくると思います。もちろん早場米地帯はもうほとんど収穫が終わっておるということ等がございますが、なおこの八月末から九月の天候その他いろいろの問題が今後の作況、生産量に大きく影響するものでございまして、先般衆議院の農水委員会で御質問を受けまして、私は水田農業確立対策前期三年、これは最大限守っていくようにしたいということは言ったわけでございますけれども、なおかつ米作というものは天候その他いろいろなものに影響を受けるわけでございまして、そういう原則はなるべく変えたくないけれども、しかし絶対というわけにはいかない状態もあるかもわからぬ。しかし、そういう中で我々が考えているのは、ゆとりある在庫管理というものと第三次過剰を起こしてはならないという二つの大きなことを頭の中に入れて今後見ていかなくてはならない。前半の原則を守りたいという分と後半の分と、後半の分が大きく伝えられたのではないかと思いまして、翌日の農政クラブとの記者会見におきまして、そこら辺を私は、後半ではない、前半の分が大切であるということを相当強くは申しておきました。  生産者、米作農民の皆さん方がせっかく血の出るような思いで七十七万ヘクタールの減反を実施していただいた瞬間に、さらにこれに上積みが来るのではないかという不安こそ、今後の我が国の水田農業を確立していくについて一番大きな障害になるという認識ははっきり持っておるわけでございます。
  22. 菅野久光

    菅野久光君 何だかちょっと、わかるようなところもあるし、わからないところもあって、やっぱりすぱっと物を言えないんですね。守らなければならないと思っているとか、思っているんじゃやっぱりだめなんですね、思っているのがいつひっくり返るかわからないので、六十二年から六十四年まではこのポスト三期で決めた七十七万ヘクタール、それは実質的には二%上回っているんですから、それは守りますと。そして、この米の過剰対策については、大変困った問題だと思っているから何とかしなければならないが、減反の上積みなどということで解決しようとは思わないとか、思っていないとか、何とかそういうことを農民の人に、回りくどい言い方じゃ、ちょっとあれなんで、わかりやすい言葉で言っていただけませんか。
  23. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 問題は食管制度を守る、食管制度の根幹を維持していくということが一番大切でございます。そして仮に何らかの、政府あるいは団体、農民等との間の施策に誤りを生じて第三次過剰というものを招いたら、これは食管制度そのものがつぶれるんです。そこの基本を我々は食管制度の基本を守るということが第一義でございます。そこがあるわけでございますし、そのために我々はいろいろな手法を講じ、今回も水田農業確立対策というものを打ち出して、政府国会も、そしてまた生産者の皆さん方も大変苦しい思いをしてこれをやってもらっておるわけです、  要は食管制度の基本を守るということに尽きるわけでございます。その食管制度の基本を守るということを念頭に置きながら、お互い十分考え、検討して、政府国会も、そして団体も生産者もやっていこうと。したがって、自主調整保管というようなことも団体にも今回から新しくやってもらったわけでございます。そういうもろもろのものを念頭に置きながら、もちろん水田農業確立対策、昨年大変な議論、各界各方面の意見を聞きながら決定したものでございますから、これはあくまでも守っていきたい。しかし要は食管制度の基本を崩さないようにするということ、これが一番大事です。  それからその次は、そういう基本的精神やお互いが一生懸命、政府国会も団体も農民もやっていっておるけれども、第三次過剰というような状態が起きたら、これは食管制度そのものを守ることは難しくなるという前提に立って、いろいろな配慮、相談をしていくというわけでございますから、そこら辺はよろしく御理解のほどお願い申し上げたい。水田農業確立対策前期三年は決定したことでありますから、最大限これは守るようにしていくのは当然のことでございます。
  24. 菅野久光

    菅野久光君 守るのは当然のことだということで、当然のことを当然のようにひとつやっていただきたい。どうも政府の言うことは、あの高率補助の問題も一年限りというやつが次になったらまた出してきて、一年限りといってまたやられるものだから、今度は三年にするというようなことを平気でやられるので、非常にそういう意味では心配をしておるわけでありますが、余り今後のことについて、今でさえも不安な思いをしているわけでありますから、不安な思いをさせないように特段のひとつ今後の御努力をお願いいたしたいと思います。  今度の大豆なたね交付金暫定措置法の一部を改正する法律案でございますけれども、今度の制度改正に当たっては大豆研究会を設置して、ここから報告書をもらって、そして報告書に沿った形で今度の法案が出されてきたいきさつがありますが、この報告で、「交付金制度については、国産大豆の生産性の向上及び品質の改善を促進するとともに、過度な財政負担への依存からの脱却を図るとの観点から、その根幹を維持しつつ、以下の方向で改善を図る必要がある。」ということで、交付金制度の改善の方向を示したわけであります。  それは四点になるというふうに思いますが、まず第一に、基準価格の算定に当たって、農業パリティ価格を基礎としている現行算定方式を見直し、「生産費、需給動向、物価等を総合的に勘案する方式に改めること。」、そして第二に「基準価格を種類、銘柄又は等級の別に応じて定めることができるように改めること。」、第三に「標準販売価格に最低標準額を設定すること。」、第四に「本制度の運営に当たって、大豆の生産性の向上及び品質の改善が一層促進されるよう努めること。」、このようになっております。  そこで、大豆研究会の報告で言う「過度な財政負担」、換言すれば適正な財政負担というのはどうあるべきだというふうに考えておられるのか、そこのところをまずお聞かせいただきたいと思います。
  25. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) ただいま先生からお話がございました大豆研究会でございますが、この研究会におきましては学識経験者ということで各種の、実需者の方々はもちろんでございますが、実際に生産をされている方々あるいはその団体、あるいは行政の関係、その他の方々がお集まりになりまして熱心な御議論を賜ったわけでございます。  ただいま先生指摘のところは、この大豆研究会の報告におきましては、これも申し上げる必要はないと思いますけれども大豆そのものの、特に国産大豆の意義というところから解きほぐしまして、現在実施をしております交付金制度といったようなものについての御提言を賜った、こういうことでございまして、その中に先生ただいまお読みいただいたような「過度な財政負担への依存からの脱却」といった点も御報告の中にあった、こういうことでございます。  この言葉は、ごらんのように、やや抽象的な意味におきまして、過度でない財政負担というものが必要だとお考えになっているというふうに我々は理解しておりますけれども、この歴史というものを四半世紀にわたりまして振り返ってみますと、もちろん物価等々の問題はございますけれども、当初五億円程度の負担金といったような状況でございましたし、その途中で一億円前後といったような事態もあったわけでございますが、一つは最近におきます国際市況の極端な需給の緩和という問題もございます。さらに円高の問題もありまして、輸入大豆の価格低下の影響というものもございまして、内外価格差は拡大をしておりまして、具体的に交付金の金額の絶対額で申し上げますと三百八億といったような状況になっているわけでございます。そういう状況を、生産者の手取りの水準となる基準価格の中におきます交付金の割合といいましょうか、財政負担の割合というものを見ますと、六十三年産でもかなりの高比率になっているわけでございます。  こういう状況を踏まえまして、昨年十一月の農政審報告、これは「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」ということに関連いたしまして、この点、関連の御提言があるわけでございます。財政負担に大きく依存することなく、可能な限り生産者、消費者及び実需者の納得の得られる価格でいわば農産物を安定的に供給することという提言がございます。これが今後の我が国の農業の課題とされているわけでございまして、大豆につきましても基準価格の水準を生産性向上を反映したものとするために、算定方式の見直し等の指摘がなされているところでございます。  このような情勢に対応するということを考えてまいりますと、私どもといたしましては、価格政策あるいは構造政策の諸施策といったようなものを通じまして、できる限り農家の方々に生産性の向上あるいはコストダウンを図っていただきたい、そういうものの中で、さらに国民各層が国産大豆に期待しているような良品質の生産流通を促進していただきたいというふうに考えるわけでございまして、先生の御指摘の、この財政への過度の依存といったような点の具体的内容につきましても、私どもは国民各層の納得し得る水準、そういうようなことで、今後とも具体的な水準というものはどういうところにあるのかということも考えながら、本改正案あるいは研究会の御提言の方向といったものを探っていきたいというふうに考えているところでございます。
  26. 菅野久光

    菅野久光君 現行方式は、農家が生産性向上に努力すればその成果の多くが手取りということで入ってくるような仕組みになっておるんですね。逆に改正案は、生産性向上が進めばこれは基準価格の引き下げだとかということで、農家の平均的手取り価格の引き下げに結びつきやすいわけです。そうなると農家の生産意欲を損なうというようなおそれがある、そういう心配もあるわけですが、しかしどっちをとるかということで今回は改正案をとったわけですね。そういうことで、農家の生産意欲を損なわないために、これは大豆研究会の報告あるいは農政審の報告等でも言っておりますが、どのような配慮がなされるかという点、これは考えていかなきゃならないことだというふうに思います。政府は、この算定方式の変更がこれらの作物の生産に及ぼす影響についてどのような見通しを持っておられるか、あるいは生産農家にどんな影響を与えるというふうに思っておられるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  27. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) ただいま先生お話しの点でございますが、私ども理解では、この交付金制度におきましては具体的な販売価格、それと基準価格の差というものを埋めていくという形になっております関係から、具体的なところにおきましては、販売努力の問題とか、あるいは生産状況といったような、意欲が具体的な数字の上で反映をしなくとも、その価を埋めるというふうに悪用されるという事態というものの危険性というものがあるように我々思うわけでございます。  もちろん、交付金制度といったようなもので四半世紀の中にいろいろな場面がありましたけれども、この制度によりまして今日の日本大豆生産といったようなものが、かつてはかなりの低い水準まで落ち込みましたけれども、水田利用再編対策といったようなこととも相まちまして、今日のように生産性の向上あるいは具体的な生産量の拡大という方向の局面に入ってきたように考えておりますが、今申し上げましたような状況の中で、具体的な状況変化の中で、さらに生産性の確保と農家所得の安定というものが図られるような制度というものに変えていただきたい、こういうことを考えているところでございます。  先ほど先生指摘のように、大豆研究会においての相当の議論ということにおきましても、制度発足後の四半世紀の経過、その間におきます生産事情あるいは需給の事情変化といったようなものを御議論賜りまして、現行制度におきましてこの変化に的確に対応し得ない場面も生じてきているという御認識があったわけでございます。このような状況に対応するために、大豆及び菜種に対する交付金制度につきまして生産状況等を的確に反映させるとともに、一層の生産性の向上、さらに生産性の向上のほかに品質の改善に資するというような制度にするということで、今次の改正をお願いをしているわけでございます。  農家におきまして、これまでの当初の考え方あるいは今回の考え方においてどういう影響があるかという御指摘の点でございますが、私どもといたしましては、この交付金制度というものの存続の中で、今回の改正をもちまして大豆の生産性の向上あるいは品質の改善というものが日本農業において図られまして、さらに農家のお立場の上でも農業経営の安定が確保されていくのだろう、そういうふうに考えるところでございます。
  28. 菅野久光

    菅野久光君 いろいろと言われておりますが、大体限られた時間の中でやるものですから、局長の方の答弁、どの質問者も同じだと思いますけれども、要領よくひとつ簡潔にお願いをしたいというふうに思います。  それで、今回のこの大豆をめぐる内外の情勢が大変厳しいことは、これは生産著自体もよくわかっているわけであります。まあ私の住んでいる北海道におきましても、品質の向上だとか、あるいは需要に応じた品種への誘導及び生産性の向上に関係機関や団体が一体となって努力しておりますが、この種のものは成果が上がるまでにはなかなか時間がかかるんですね。しかし生産者は今回のこの大豆なたね交付金暫定措置法の一部改正の動き、これが百八国会、前国会に出された、そのことによって強い不安を持っておりました。その不安の結果がこの五月十五日調査の作付動向においてはっきりとあらわれてきているわけです。  六十一年産の実績は二万三千七百ヘクタールでありますが、六十二年産の動向でいきますと約一万九千ヘクタール、前年対比八〇%、これは作付面積です。これが出されたために二〇%も作付面積が減っているんですよ。これは六十二年産の作付指標面積が二万四千三百ヘクタールですから、このことからいきましても五千三百ヘクタールも減っているというような実態がある。農家の人もやっぱり自分たちの経済をよくしていくために、自分たちのつくる作目の価格がどうなるかということは、これは敏感に考えるわけでしょう。ですから、こういったような実態になってきております。  加えて、でん粉の問題なんかもいろいろありまして芋の作付の面積なんかも、これも生産調整ということで、ぐっと下げられる。そうした中で、どこへも逃げ場がないから農家の人たちは雑豆の方に行った。そうすると、これは今度ガットの問題で、何か聞きますと二千ヘクタールほど多い、これがあったらこれは自由化はもう守れない、だから何とか今のうちにこの二千ヘクタールをつぶしてくれと、こういうような話があるというふうに聞いているわけです。これは今もう目の前に実がなっているんですよ。それはとっちゃいかぬ、つぶしたという実績がなければ自由化は守れないぞ、だからもうみんなの責任でつぶせと、こういうふうに言われているようでありますが、その辺のところはどんなことなんでしょうか。
  29. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) ただいま先生北海道におきます豆類の動向についてのお話をされたわけでございます。我が国全国的な状況におきまして、昨日発表さしていただきましたけれども、各都道府県におきます転作関係大豆の生産状況というものを見てみました場合に、もちろんこれは転作大豆ではございますけれども、各種いろいろの作物の中で大豆の生産の計画というのは対前年比におきまして三五%の増という状況になっております。ただいま先生指摘のとおり北海道におきましては減少というような形ではございますけれども全国的な中では大豆というのは大幅な伸びというようなことになっておりまして、いわばこれまであぜ大豆の形で作付をしておられた農家の方々、水田におきましてのかなりの広域で生産組織を挙げてつくられようということで、あるいは地域輪作農法の拡大、展開といったような考え方にお立ちいただきまして、大豆の生産というのが振興をされているわけでございます。  もちろん都道府県におきましてもいろいろの勘案すべきほかの作物、具体的に申し上げまして、例えば雑豆と先生おっしゃられましたけれども、小豆との関係をどういうふうに考えていくかということで、農家の方々のいろいろの選択がおありになったというふうに思いますけれども、都府県におきましては大幅な大豆の作付といったようなものが行われたわけでございます。一方、これも先生指摘のとおり、北海道におきましては、端的に申し上げまして、小豆との格差というようなものもいろいろお考えの上でそちらの交換というものが行われたというふうに我々理解しておりますけれども大豆、小豆におきましては、これは北海道等々といろいろ御商談をいたしまして、現在種々米国との関係で厳しく自由化を迫られております雑豆につきましては生産を制限する、生産を調整していただくという前提の上で作付の計画というものを決めていただいているわけでございます。そういう中で、これは行政あるいは系統の中でもいろいろの事前の計画といったようなものが十分あったというふうに我々理解しておりますけれども、結果的に大豆と小豆との勘案というものを、北海道におきましての交換が行われたということで、いわば当初の小豆の計画生産に対しましてかなりの生産が見込まれるというようなことになったというふうに理解をしております。  そういう状況におきまして、当初の計画等に合わせるべく水田農業確立対策におきましてもそうでございますが、いわば計画的な生産といったようなものに応じまして、その中でのいろいろな方式、いろいろな考え方ということで、実際のものをそれに合わしていただくような御努力を賜っているというふうに我々理解しておりまして、そういう意味で、全国的な問題、あるいは北海道におきますいろいろなほかの作物との問題といったようなものも、私ども需要動向に応じまして生産が図られていくべきであろうと、そういうような観点に立ちますると、具体的な局面におきましていろいろな考え方に応じまして調整の努力をとっていただくものではないかというふうな考え方に立っているわけでございます。
  30. 菅野久光

    菅野久光君 全国的に大豆の作付が伸びたんだと、こんなの当たり前の話で、七十七万ヘクタールという減反面積をふやしたんだから、これは大豆か麦かどっかにいかなきゃならないのは当たり前ですよ。転作大豆をやらざるを得ないところと、それから畑作専業でやっているところとの差というのはこれは大きく違うわけですよ。畑作専業農家と、転作で大豆か麦かという選択を迫られて小麦だけつくるわけにいかないということで大豆を持ってくる。そんなことはもう違うのは当たり前じゃありませんか。それを、全国的な動向はそうなってないというようなことを言われるというのは私は心外だというふうに思わざるを得ません。そこは私は局長認識というのはおかしいのじゃないかというふうに思いますよ。  それから、今の雑豆の問題なんですけれども、そうでなければもう自由化は守れない、本当にそれじゃ二千ヘクタールをつぶしたら自由化は絶対に守れると。そういうことを農水省が今の段階、それは農水省の指導あるいは団体の指導、いろいろあると思いますけれども、それが本当に守れるという確約が得られるのであれば、私は農民の人たちも泣く泣く目の前のやつをやっぱりつぶさなきゃならぬと思うんですが、もしもつぶしたはいいけれどもそれが守れないという事態になったときに一体責任はどこがとることになりますか。簡単に言ってください。
  31. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 具体的な問題等におきまして、例えば十二品目等々におきましての私ども考え方というのは、諸外国の要求に関連いたしまして、地域地域の重要作物について、最後まで日本重要性日本の農作物の重要性ないしは地域における位置づけというものを主張いたしまして、その努力を傾けているわけでございます。本件につきまして、もちろん交渉ということではございますが、私どもといたしましては全力を挙げて雑豆の重要性を諸国、相手国の外国に対しまして主張し説得をしていく考え方でありまして、その考え方は毫も変わらないところでございます。
  32. 菅野久光

    菅野久光君 いや、考え方はいい。もちろんそういうことでやってもらわにゃいかぬ。だけれども、実際にそれができなかったときに、それじゃこうやってもうこれはやらぬと守れないのだからということで、現地で指導してつぶさせるその責任者、団体の人たちに、これが守れなかったときに、じゃ、どこが責任を持つのかということですよ。これは大変な問題じゃないでしょうか。本当に政府として責任持ってそれは守る、守るからこれはつぶしてくれということで言えるような状態なんですねということなんです。もしもそうでなかったときには政府としてきちっと責任をとってもらわなければならないんじゃないかというふうに思うんですが、そこのところはいかがですか。簡単に答えてください。
  33. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 繰り返すようでございますが、私ども交渉の過程においてその農作物の重要性というものを挙げて主張し、あらゆる手段を、説明の方式を使いまして説明努力をしているわけでございます。そういう意味におきまして、今後とも具体的な事例等も挙げながら先生指摘考え方に立ちまして説得をしているわけでございまして、説得といいますか、主張しているわけでございまして、そういう意味で今後とも政府考え方に立ちまして進めていくところでございます。
  34. 菅野久光

    菅野久光君 いずれにしろ、そういう事態であるということであれば、ちゃんと責任者との間できちっとした意思統一をして、そしてやらなければ、私は後に大変な問題、これ起こすのじゃないかというふうに思いますので、あえてこの点を指摘しておきたいというふうに思います。  そしてまた、今回のこういったようなことを通じて私が思いますのは、これはもう六十二年産から大豆や菜種のこのことについて、このことを適用していくということは非常に無理があるのではないかというふうに思うんです。いつも私は思うんですが、もう実際につくらせておいてしまってから、後からこの価格を決めたりするということはちょっとおかしいんじゃないか。ですから私は、手順としては、本来ならば法改正をして、そしてその上で価格の決定、それに従って自分の経済、農家の経済、経営の経済、そういったものをずっと経営状態などを見ながら作付を決めていくということが筋道ではないかと思うんですよ。  いつも私はそのことを思うんですね。もうつくっちゃってから価格を決める、あるいは法律改正する、こういったようなことで、これはたまたま継続審議になったから今やっているんだということかもしれませんが、やっぱり農家の経営計画なんというのは雪のあるうちにやるんでして、前の国会で決めていただければそんなことないなんということは、これ絶対ありませんよ。やったとしても四月でなけりゃこれはできないわけでありますから。そんなことで私は無理があるんではないかというふうに思いますが、この辺については大臣どうでしょうね、これ。手順の問題含めて、価格決定だとかそういうものを先にしてから次の年度で適用する、もう現実につくっちゃっているものを、つくっている最中にこういったような価格決定などの問題をやるということは逆さまじゃないかというふうに思わざるを得ないということです。
  35. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 六十二年産大豆の基準価格につきましては、他の畑作物と同様に十月三十日までに決定することになっております。したがいまして、できるだけ早期に生産者等に本改正法の内容の周知徹底を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。そういう意味におきましても、ひとつ速やかな御審議をお願いいたしたい、お願いでございます。
  36. 菅野久光

    菅野久光君 終わります。
  37. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 大臣、申しわけありません。今菅野委員への答弁を伺っていて、どうも菅野委員が聞きたいということについて大臣と今度御答弁が極めて食い違っておるような感じがしておりますので、なおその辺は私も確かめたいというふうに思います。  要するに、農家が生産計画を立てていく上で、計画を立てるときにはもう来年度の収入、肥料設計からいろいろなことをみんなやるわけです。収入、支出をやっぱりはじいて計画を立てるわけですから、そうすると価格というのは、できてしまってから収穫をしたときの価格が決まったのでは困るので、言ってみれば事前に価格が決まってないと困るんじゃないか、そういう仕組みになっていかなきゃいかぬのじゃないかと、こういう観点から聞いたと思いますので、その辺はいかがですか。
  38. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 両先生からの御指摘の点につきましては、私どもといたしましては、現下におきます農政審の報告あるいは大豆研究会の報告といったようなものに依拠いたしまして、できる限りこの具体的な方向というものを事前に農家の方々にもわかっていただくというようなことで行っていかなければいけないというふうに思っております。また、今御指摘のように、法案の提出等におきましてもできる限り事前に行うようにということでございまして、もちろんこの提案等におきましても、前国会において提案をさせていただいたということでございますが、私どもといたしましては、この具体的内容の周知徹底方、御法案を決定していただきました後、努力をいたしまして対応をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  39. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 どうも何とかのはしの食い違いみたいなところになってきていると思うんですけれども、その辺はなかなかはっきりしたことが言えないのかもしれませんが、これはこれからの課題ということで、私は提起をしておきたいというふうに思います。  そこで、菅野委員から、それこそ食資源としてのたんぱく源の問題から、日本農業全体の観点等を踏まえながら、いろいろと大豆の法案についても質問があったわけでありますが、私はそこで今回のこの法案改正について集中的にいろいろとお伺いをしていきたい、こんなふうに思うわけであります。そこで、先日大臣から提案理由の説明がございましたし、局長からも補足説明がありました。この提案理由の説明と補足説明を聞いていて、どうももっと詳しく伺わないとわからない点がありますので、その点を伺いたいと思います。  まず最初に「畑作においては輪作体系を構成する基幹作物として」大豆、菜種を位置づけておられるようでありますが、そうすると、畑作における輪作体系を構成する、こういうんですが、この輪作体系というのはどういう輪作体系を考えておられますか。
  40. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 先生指摘の畑作における輪作体系の問題でございます。具体的な問題に入ります前に、水田等におきまして畑作と比較いたします場合に、水の力で養分が供給される等々から生産が比較的安定をしているわけでございます。一方、畑作については、作物栽培によって地方が奪われるというようなことから、どうしても輪作を組むことが我が国のみならず諸外国でも通例となっているわけでございます。  ところで、我が国におきます畑作における輪作体系ということにおきましては、一つ先生御案内のとおり連作障害の防止であるとか、あるいは地方の増強であるとか、あるいは気象災害からの危険分散、あるいは実際に農家の方々の労働の配分の標準化、平準化ということもございましょう。そういったような観点から具体的に対象とされるものは豆科あるいは禾本科、あるいはてん菜等の根菜類等性質の違った作物を組み合わせているわけでございまして、その場合におきましてもどのような作物を取り上げるか、どのような輪作体系を組むかということにつきましては、我が国におきます南北に長い状況の地形からいきましても、地域の気象条件あるいは土壌条件によってかなり違うわけでございます。  これも先生御案内のとおりでございますが、一つの例という形でやや類型的に申し上げてみますと、北海道の例えば十勝地方におきましては、豆類、麦類、バレイショ、てん菜というような四年の輪作体系を組んでおられるわけでございまして、これが大体主流であろうというふうに我々考えております。一方、畑作地帯の代表的な地方として関東が考えられますけれども、この場合におきましてはカンショ、落花生それからカンショ、あるいはカンショ、野菜、カンショ、そういったような三年三作といいますか、二年三作といいますか、そういったようなものが組まれております。南九州におきましてもたばこ、大豆、カンショ、あるいは菜種、カンショ、麦といったような輪作体系が組まれて畑作の振興が図られているというふうに考えております。
  41. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 大豆を輪作体系を構成する基幹作物として位置づけをしておられる、こういうことでありますから、大豆を輪作体系の中でなぜこれを基幹作物として重視をしていくのかという問題が一つあるわけですね。それは今いみじくもいろいろと言われた中に豆科の植物の窒素供給能力というようなものを組み込んでいくということ、これはわからぬわけではありません。  しかし、今の例示の中でもありましたが、例えばここでは大豆と菜種を並列に置いておられますので、そうすると大豆は、それでもわからぬわけじゃありませんけれども、菜種ということになりますと、これはおのずと大豆と純技術的にかなり輪作についての取り入れ方の物の考え方というのは変わってくるんではないだろうか。つまり窒素の供給というような、そういうものとは変わってくるということになりますが、そうすると輪作体系というけれども、これは必ずしもそういう何というのか、大豆、菜種というものを常に一つの基幹的作物として、一つの大事なポイントにして、そしてそれを中心にして輪作を組んでいくという考え方ではない、こういうふうに理解をしていいんでしょうか。  それから、今も言われたけれども、気象条件、土壌条件その他立地条件の違いから、いろいろと輪作体系というのは変わってくるわけでありますが、そうすると、そういう体系の中でいけば必ずしも大豆、菜種というのが基幹作物というふうにはなっていない地域も結構ある、こういうことなんでしょうか。
  42. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) ただいま先生指摘のとおりでございます。  まず、大豆と菜種というふうな形で現在の法律は一本になっておりますが、これは一つは油糧作物といったような点に視点を置きましての一つ法律の組み方であったわけでございまして、ただいま先生指摘のとおり、私どもが申し上げた輪作体系といったような観点からも、今内容を御説明しましたように、各地域地域で異なっておりますし、大豆と菜種の位置づけといったようなものも輪作体系の中ではそれぞれ異なっているわけでございます。  さらに第二点に、先生指摘のとおりでございまして、この菜種についてだけ申し上げますと、菜種の場合は、先ほど申し上げたような形で麦にかわるべき一つの作付の場合に菜種が置きかえられているというのが、少なくとも明治以来これまでの状況でございました。また、菜種につきましては極めて生産が落ちておりますが、そういうような考え方に立ちまして畑作物におきます菜種というのは一つの基幹的作物として機能をしてきたというふうに考えているところでございます。
  43. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私が申し上げておりますのは、ここで「畑作においては輪作体系を構成する基幹作物」というふうにこう言われている、位置づけをされているけれども、地域によってはかなり違ってくる。例えば先ほど挙げられた関東なんかの場合、輪作体系の中に大豆も入ってこないし菜種も入ってこないわけでしょう。ですから私は、これは主要な地域ではとかなんとかという言葉じりをつかまえて言うのではないけれども、そういうやっぱりもう少し正確な表現をしていただかないと、我が国の農林水産省が指導する輪作体系の中には必ず大豆か菜種が位置づけられているということにならなかったら、この文案からいったらおかしい、そう思うのでして、その辺のところはもっと正確な表現をきちんとしていただきたい、こんなふうに思います。  その次に、すぐ続いて「水田作においては地域輪作農法の導入等による水田農業の確立を図る上で重要な農作物」、こう規定しておられますけれども、この「地域輪作農法の導入」という地域輪作農法というのが私よくわからぬのですけれども、ちょっと具体的に説明してください。
  44. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) この「地域輪作農法」という言葉は、本年度から発足をいたしております水田農業確立対策におきまして、特に農林水産省といたしまして一つの柱として打ち出させていただいた際に使わせていただいた言葉であります。もちろんこの言葉が急に造語的な意味でできたということでございませんで、私ども水田農業確立対策といったようなものを立案する場合におきまして、これまで実施をしてまいりました水田利用再編対策、あるいは稲作転換対策といったような過去におきます農家の方々が行われた経験といったようなものを十分議論をし考えたわけでございます。  その場合におきまして、先生御案内のとおり、これまで二毛作とか、あるいはカタカナでございますがブロックローテーションといったようなものが各地域で水田の転作におきまして実施の経験の中から生み出されてきたわけでございます。ブロックローテーションというような言葉はまさにそういう中で各地域地域におきます具体的な知恵といたしまして転作の一形態として農家の方々が生み出されたものでございます。そういったような状況のもとに立ちまして私どもは地域輪作農法、農法という言葉は先生指摘のとおりやや少し古めかしいことでございますが、日本的な農法といったようなことも、いろいろな学者の先生方から日本農法の復権というような言葉で御提言なられたということもございます。  それから一方、もう一つ「地域」という言葉でございますが、この地域という言葉につきましては昭和五十年代から地域主義といったようなことが言われてまいりました。地域という言葉をどこまで広げるかという問題がございますが、私ども考え方といたしまして、これも端的に申し上げまして一つは集落といったようなものを考えられるんじゃないか、あるいはもう少し広くて旧村あるいは市町村という単位で考えていくべきではないかというような議論がありましたのですが、そういうような過去のいろいろな実績あるいは経験、あるいは農家の方々のいろいろの姿といったようなものを見ましてここで地域輪作農法というようなことを言わせていただいたわけでございます。  この場合におきまして、私どもが考えておりますものを簡単に申し上げますと、集落等の一定の地域の広がりの中で集団的な田畑輪換というものを行うような合理的な土地利用作付体系を実現していく必要があるのではないか。そういうことが我が国古来、二千年来培いました水田の持っている高い生産力を発揮する上で、一番転作の作物の定着を図り得る姿ではないかというふうに考えたわけでございます。  この実現のために私どもいろいろ言っておりますけれども、三つの点に絞って申しております。一つは、やはり排水対策というものがどうしても必要だという土づくりの問題でございます。土地改良等の、あるいは小規模土地改良等の関係の土づくりの問題としての排水の問題でございます。それから組織化を推進するためのいわゆる基幹的な施設といいますか、施設づくりの整備でございます。それから各地域地域においても、例えば北海道等においては大きな規模の農家の方々が単独でおやりになる地域輪作といったようなものもあろうかもしれませんが、零細なる規模の方々が相集いまして生産の組織化といったようなものが第三点に挙げられるのではないか。そういうような三点に重点を志向いたしまして総合的、計画的に実施するということが考えられのんではないかということを、その具体的な地域輪作農法の確立の中に込めましてこの言葉を使わせていただいているところでございます。
  45. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 どうもよくわからぬのですが、そうすると、地域輪作農法と言っておられるのは田畑輪換、これを中心にして考えておられるようであったという気はいたしますけれども、先ほどの御答弁の中ではどうも裏作も含めて考えておられるというふうにも受け取られる面があったんですけれども、その辺はどうなんですか。
  46. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 今申し上げました私どもの二毛作といった点が先生指摘の裏作というようなことだろうと思います。したがって米、麦、大豆というような二年三作を考えた場合には裏作といったようなものが今申し上げた麦の場合はあり得るわけでございまして、そういう水田におきます二年三作といったようなところは、繰り返すようでございますが、二毛作あるいは裏作というものの形を頭において構成された地域輪作農法だろう、こういうふうに考えております。
  47. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私は、農法という言葉が随分古めかしいというお話もあったけれども、私どもも随分昔からいろいろと聞かされてきました。例えば大井上農法とか松島農法とか、あるいは最近で言えばプラウレス農法などと言われるのもあるようでありますし、だが、農法と言ったときには一つの目標を持った体系的な技術的な対応というふうに我々受け取ってきておるわけですよ。ところが今のお話を伺っていると田畑転換の場合もある、それから二毛作地域での裏作と組み合わせてのものもあるということになってきますと、その辺はかなり土地利用の目的等のかかわり等も違ったものが、要因が含まれてきて、そして言ってみれば一つの体系というふうにこれを見ていくのが果たして適当なんだろうか、そういう気もするんでありまして、まず農法という言葉が使われたこと、これもちょっと言葉にとらわれていて恐縮でありますけれども、農法という言葉が使われていることにやっぱり何かちょっとそぐわないような気がいたしております。これは意見として申し上げておきます。  次に「制度発足後四半世紀が経過し、その後の生産事情、需給事情変化に伴って、現行制度ではこれらの変化に的確に対応し得ない場面が生じております。」と、こういうふうに書かれております。これは先ほど大豆研究会のお話もありましたけれども、一体現行制度ではどんな点で的確に対応できなくなっていると、こういうことなんでございましょうか。少し具体的に聞かせてください。
  48. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 基本的に申し上げまして二点あろうかと思います。これは提案理由等の説明の中でもございましたとおりでございますが、一つは生産性の向上あるいは第二点といたしまして品質の改善、そういった点におきまして現行制度のいわゆるパリティ制度参酌方式というのがやはり十分ではないのではないかというのが私ども考え方であります。  そういう意味でございますが、前提といたしまして先生指摘の四半世紀といいましょうか、二十五年間を振り返ってみますと、やはり発足のときには我が国農業におきます大豆作といったようなものはもちろん北海道の畑作における専業地帯というものもございますが、達観して申し上げますと、やはり自家消費、みそ、しょうゆ、納豆といったようなものについての自家消費の材料として農家の方々がつくっておられたということでございます。その後やはりつくってこられました農家の方々の数というものも急激に実は減っておりますが、その中におきまして、いわゆる商品作物としてつくってこられた、そういうようないわば生産構造というのが二十五年前と今日とでは大きく変わっているということでございます。  それから、需給事情につきましても、もちろん自分でお食べになるというような自家生産ということと、それからそれを実需者に対しまして大量的にといいますか均質的にやるということと大分違うわけでございまして、今日におきまして、例えば豆腐業界の方々といったようなものについての国産大豆に対する期待あるいは要求というのは極めて厳しくなるといいますか、水準が高くなってきているようでございます。もちろんこれは諸外国から輸入されております大豆との競合といったような状況を前提にしてでございますが、そういうような意味で、生産事情あるいは需給事情といったようなものが二十五年前と今日では大幅に変わっているということでございます。そういうようなことが今のパリティ方式では具体的にその間について誘導策として十分ではない。  したがいまして、具体的に何かという御指摘でございますが、この点は二つに絞りまして、一つは農家の方々が生産性の向上というものに眼目を置いてやっていただくということ、あるいは現状の需要の方から提起されております良品質の生産を行うようにするということ、そういうことに具体的に重点を絞りましてこの改正というものを御提案申し上げているところでございます。
  49. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 一つは、大豆の輸入自由化後、大豆の作付面積はかなり減っていますね。そして五十三年ごろから、またその作付面積が上向いてきています。これは何のために増加に転じていっているのか、こういうこともあるわけであります。一つは、減反の転作作物ということが大きなウエートを占めていたでしょう。そして、それにやはりそのパリティ価格参酌方式というんですか、そういうものが一定程度の刺激をしたことも私はあるというふうに思います。そういう点ではパリティ方式というものを私は必ずしも現行制度としてそぐわなくなったというふうには、すべてが万全だというものはないわけでありますから、これはいろいろな価格問題やるときには常に議論になることでありますが、しかし私はパリティ方式というのも決してまだそんなに捨てたものではないと思っています。  それにいたしましても、今需給事情変化のことに触れられましたけれども、そしてその中で品質ということに触れられました。これは局長の補足説明の中でもそういうふうに述べられておりますけれども、何か輸入大豆または菜種に比べて品質的にすぐれている国産大豆というふうに言われております。品質的にすぐれている——品質的にすぐれているというのはどういうことを言うんでありましょうか。それによって今の需給事情とのかかわりでちょっと私は気になるものですから。
  50. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 補足説明におきまして、品質的にすぐれている国産大豆というふうに補足をさせていただきました具体的な点を一つ端的に申し上げますと、やはりこれも先生御案内のとおりでございますが、我が国の研究会等でも、第一に国産大豆の特徴として指摘をされているところでございますが、たんぱく質の含有量でございます。これは栄養学的等々の観点からいきまして、中国産の大豆あるいは米国産の大豆というものと我が国大豆というものを比べてみました場合に、決定的に違います点は、三五%という高さにおきまして我が国大豆が一般的にそもそも高い作物であるということが言われておりまして、その点を私ども一つの国産大豆の特徴というような点で言わしていただいております。もちろん付加的にこれに、このたんぱく質の中の必須アミノ酸の問題、あるいはその他のビタミンE等の問題等々もございますが、まず基本的に端的に申し上げるということであります場合には、我が国の品質の上で諸外国に誇り得る点はこのたんぱく質の高さだというふうに考えております。
  51. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そのたんぱく質の高さというふうに言われますが、そうすると、これは品質を何か決める物差しというのはあるんですか。商品になるわけですね。商品になれば商品価値というのが問題になりますから、その商品価値の中に品質問題というのもありますけれども、その品質ということを言ったときに、何か品質をはかる物差しはあるんですか。今の例えばたんぱく質が高いと、こういうふうに言われた。そうすると、たんぱく質の量を基準にして品質を決めるんですか。
  52. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 輸入大豆と国産大豆といったようなものを比べてみますと、繰り返すようでございますが、たんぱく質の高さということがあるわけでございまして、それの具体的な利用のされ方というのは、これは先生御案内のとおり、我が国の伝統的な食品として、例えば豆腐でありますとか油揚げでありますとか、あるいはさらにみそ、しょうゆ、そういったような点で見られるわけでございまして、そういう具体的な中身、特に煮豆等におきましては、これは量はそう多くは確かにございませんけれども、ほとんど一〇〇%我が国大豆が使われているわけでございます。  そういった点は、結果論といたしまして、なぜそういう煮豆について大豆が国産をもってたっとしとして使われているかと言われる場合には、私どもはやはりたんぱく質の高さといったようなものをまず出発点にいたしまして、もちろん味とかなんとかございますけれども、そういったものに対する実需者方の評価が定まっているのではないかというふうに考えているところでございます。そういう意味で、先生指摘の国産大豆の諸外国に比べて品質のよさといったようなものはたんぱく質の高さといったようなものにあるものというふうに考えるところでございます。
  53. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私はどうも今の御答弁ではよくわからないですね。というのは、品質のよさ、たんぱく質が多いということですと、それならそれで結構ですと。そうすると、商品としてはその品質を保証するものは、たんぱく質というのは、やっぱりこれだけ輸入大豆よりも、このものはたんぱく質が高いんですよと。しかし、国産の大豆だといったって品種によってはいろいろなたんぱく質含有量のものもあるでしょう。そうすると、同じ国産大豆の中だって品質といったことは均一じゃないわけですね。ですから、こういうふうに言われるならば、品質というもの、一定程度の品質の基準というものが引かれていてもしかるべきなんではないでしょうか、こんなふうにも思うんです。  それからもう一つは、その品質というのは用途によってもかなり違うわけですね。用途によって求める品質の内容は性格が違ってくるわけです。そうすると、今話をされたのは、納豆とか豆腐とか、それから煮豆とか、こういう話をされたわけだけれども、必ずしも国産大豆でなければならぬというよりも、価格的に安くてしかも粒がそろっているとかなんとかということの方が品質的にいいということだって用途によっては起こり得るわけですよ。ですから、品質的にすぐれているというふうに言われるからには、品質的にすぐれているということをきちんとすることができる何かの物差しがなければ、今言うように、ただたんぱく質が高いですと、こう言われたって、私は畑を持っていないから何とも言えないけれども、私の庭でつくった大豆たんぱく質がそんなに高くないかもしれませんよ。生産場所によっても品種によっても随分たんぱく質の含有量だって違ってくるんでしょうからね。  だから、品質を云々されるのであれば、その品質について何かきちっとしたものをお持ちになっているんですか、こういうことを聞いているんです。
  54. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) ただいま先生指摘の、いわゆる私ども補足説明で書きました点につきましては、私の理解するところ二つの点だろうと思います。一つは、やはり良質であるかどうかという問題、それからもう一つは、やはり私が補足説明のときに申し上げました無条件でといいますか、無前提で品質のよさというのは正しくないので、用途に応じましてそれを考えるべきじゃないか、こういう御指摘だろうと思います。  おっしゃるとおり、その点につきましては、特に後者につきましては、先ほど来たんぱく質の問題をるる申し上げているわけでございますが、この大豆におきまして、世界の生産から考えますと、大豆の用途としては油質というものがもちろんあるわけでございます。そういう点から考えますと、先生指摘のとおり、油といったような点につきましてはむしろ我が国は劣位であります。例えばむしろ米国産の方が高い、こう言われておるわけでございます。そういうことはございますが、私どもの言葉の意図する点は、先生指摘の最初の方の良質の問題、それからもう一つ、これは言葉足らずではございますけれども、食用生産としての品質といったような点に視点を置きまして申し上げていたのが真意でございます。  確かに、全体の大豆の商品学というような形から考えますれば、我が国の商品の中でも大宗を占めております、八割を占めております油糧といったような視点もこれは大豆の品種の中でもかなり大きい点であるということは事実でございます。ただ、私どもが、現在、国産大豆でこれから良質のものを追求していく、それから現に売れていくといったようなものは、言葉が十分ではございませんでしたけれども、専ら食用大豆といいますか、油を除いた食用大豆の範囲というようなところで我々は議論をしていたわけでございます。  そういう意味で、先生指摘のとおり、品質といったようなものを考える場合には、まず良質化、これからは我々のこの法案等で御審議を賜り、それから方向を示していただこうと考えております。悪いものではなくて、よいものをという意味における良質の問題。それからまた、どの程度のものに限定して我が国の自給力を考えていくのかといった場合に、油糧のものなのか、あるいは食糧のものなのか、こういうような問題におきまして十分その点を明確にしていかなきゃいけないという意味におきまして、先生の御意見を十分これから参酌していかなければいけないというふうに考えております。
  55. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 局長、これは大豆なたね交付金暫定措置法の一部を改正する法律案、つまり、先ほどあなたもいみじくも言われたけれども、菜種を含んで油糧作物としての側面というのをかなり持っていますね。そして、なおかつ食糧としての重要な意味大豆の場合は持っていますね。  そういたしますと、今のお話のように、議論は食糧としてのことを中心にして議論をしていましたというふうに言われるとちょっと困るんですよ。第一、この法律で扱うのは、例えば基準価格であり、そして最低標準額を今度は設けるんですとか、そしてそれは生産性の向上分を含むとか、それから良品質の大豆を誘導していくのだとかいうようなことがいろいろと述べられていますね。目的の中にあるわけですね。そうすると、例えば良品質の大豆を誘導していくといったときに、一体、我が国における良品質の大豆というのはどういうものなのか。その大豆の品質についての一定の見解がやっぱりきちんとできていなかったら、そうでしょう、今度等級間格差もつけるんでしょう。等級はどうやってつけるんですか。
  56. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 等級の問題等におきましては、現行におきまして農産物検査法に基づきまして、これは生産者の形におきます規の一というものと規の二というものがございますが、規の一につきましては一等から四等まで、規の二につきましては一等から三等までといったような検査を行っているところでございます。  もちろん、これは先ほど来先生お話しのように、商品学といたしましての実際の慣行等々を踏まえまして、粒のそろいぐあいであるとか、あるいは來雑物といいますか、いろいろなものが入っていないかどうかといったようなものを一つのロットを見ながら検査で決めているわけでございまして、そういうものの中で等級といったようなものも現に行われております。こういうものはもちろん、先ほど申しましたように、規の二の場合等について流通というのが行われておりますが、そういったものが行われているものにつきましては、これは流通の慣行といったようなものの上に立ってこの検査というものが行われる、そういうのがこれまでずっと行われてきたところでございます。
  57. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 困っちゃったな。先へなかなか進めなくて弱っているんですけれどもね。  でも、例えば油糧用のものと、それから食用では品質についての要求されているものが違うわけですよね。ですから、今の一等とか二等とかと等級をつけて等級間格差を設けていくということを言われた。それはどういうところに使われるのかということによって、例えば食用に向いている大豆が油糧として一等になるのかどうかということだってあるわけでしょう、そういう問題だって。ですから、こういう大豆の等級間格差をつけていくというときには、そうすると一体何を基準にしてそういう等級のあれをつけるのか。今お話があったのを聞いていると、どうも物理的形状というか、それが中心であるように思いますけれども、ところが、良質ということを主張されたときはたんばく質が高いということを言われた、食用として高いと。そうすると、たんぱく質が高くても、物理的形状ということの方での等級だけで、価格問題は一切物理的なものしかない、こういうことになるわけですか。
  58. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 今先生の御指摘のところは、現行の等級というものは現実に行われているわけでございまして、これは農産物規格規程というもので行っているわけでございます。  その点につきましてまず申し上げますれば、最低限度あるいは最高限度という二つの形で決めておりますが、端的に申し上げまして現状の見た目、いわゆる物理的な形状といったようなものから差がなされているわけでございます。では、この場合におきますたんぱく質の含有量等々の内容的な問題等につきましては、これは私ども理解では、現行でも銘柄というものを決めておりますけれども、この国内産の農作物における大豆の中で決めておりますけれども、その銘柄の中に反映をされているというようなことであるというふうに我々は理解をしております。
  59. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 非常に私は難しい問題だという気がしているんですけれども、その品質、今、等級間格差を設けていくと、そういうことがみんな問題になっていきますよ。そうすると、まず大豆は品種的にはどのぐらいあるんですか。そして、そのうち銘柄と言われているものがどのぐらいあるんですか。
  60. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 私ども、現時点におきまして把握をしております品種は全国の中で約八十程度だろうと思います。それから、既に産地品種銘柄という形で、例えば北海道、青森、群馬等で生産をされております産地品種銘柄という形、公的に言われておるものでございますが、これが大粒それから中粒等で大体十二程度あるというふうに考えております。
  61. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 大粒と中粒と合わせて十二程度ですか、それとも大粒と中粒、ちょっとこれ用途も違うと思うのですけれども
  62. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 大粒あるいは中粒というのを冠しまして現行行われておるわけでございますが、今十二と申し上げましたけれども、十四でございます。それぞれ合わせてでございます。
  63. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 その辺はこれから皆さんが随分苦労されることになるんじゃないかということを私はむしろ懸念をしております。ということは、八十何品種もあるわけでしょう。八十何品種の中から等級をそれぞれ設けていかなきゃならない。ところが、物理的な等級ということだけでは解決できない問題がこれからいろいろと出てくるわけですね。それが今、先ほどのお話のように銘柄の問題だとか何とかという、市場の食いつきやすいものとか、いろいろそういうものが出てきます。あるいは新しいものがさらに開発されていくという可能性もあります、そういう中で全体的に品質的なものを取りまとめていくということは非常に難しい問題ではないかと思います。  にもかかわらず、ここで等級間格差をつけるということになると、これは私はいろいろと価格形成上の問題として問題が起こってくるのではないだろうか。これはそういう意味では米と全然違うんですよ。米は比較的そういうのでは等級なんかというのをきちっとつけて大体あれができるという性格を持っていると思いますけれども大豆についてはそれが非常に難しいというふうに感じておりますので、これはあなた方がこれから随分御苦労されることが出てくるのではないだろうか。むしろ苦労の種を今一生懸命つくられているのではないかという気もしないわけではありません。  時間がもうなくなってきましたから次へ進めさせていただきますが、今度ここで今のように基準価格を決めていくということに相なりますけれども、そうすると、この算定の方法、方式というのは具体的にはどういうふうになりますか。
  64. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 今回の交付金制度の中での改正点というのは、先生ただいま御指摘のパリティ価格参酌方式というものから、三つの要素というようなものを総合的に勘案するということに変わるわけでございます。この具体的な点につきましては、やはり中心になりますのは順序からいきまして生産費等の問題、生産条件、それから需給の問題、さもに物価等の状況というようなものから考えていかなきゃならない・・
  65. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 だから、抽象的なことはここへ書かれているんです。その抽象的なことの内容がわからないから、具体的にどういう算定方式になりますかと、こう伺っているんです。
  66. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) この具体的な点につきましては、今申し上げました三つの点を勘案いたしまして、私ども具体的な算定方式というものをこれから決めていくという形になります。そういう意味におきまして、実はこの大豆研究会というものを、生産者の方々あるいは学識経験者の方々等々お集まりいただきましてこれまで議論を重ねてまいっておりますが、この法律案を御審議賜りました上で、私どもその大豆研究会といったようなものの中で、その場でさらに具体的な算定方式というものを詰めていただくということで、今後価格の決定といったようなものに向けて作業を進めていただくということを考えているわけでございます。
  67. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 大豆大豆研究会ということでこれから——これからなんですね、全部そうすると、具体的なことは。菜種は菜種研究会をつくるんですか。それで、その菜種の場合は算定方式どうなりますか。
  68. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 今、大豆研究会と申し上げましたけれども、私どもできれば菜種につきましても、この大豆研究会の方式といったようなものに準拠いたしまして、それに基づいての基準算定方式というものを決めさしていただく、こういうふうに考えております。
  69. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 それから、いろいろと参酌するものが抽象的に述べられていることが、内容がわからないから私は具体的にというふうに伺ったんですけれども、例えばそうすると「物価その他の経済事情」と、こういうふうに言われています。物価といったっていろいろとありますね。卸売物価もあれば小売物価もあれば、あるいは消費者物価もあれば農村のあれを対象にした物価もあります。パリティもそういう意味では、パリティの基準になるものは農村の物価ですね。ということですけれども、この物価というのは一体何を指しているのかということがあります。それから、もっとわからないのは「その他の経済事情」と、この「その他の経済事情」というのはどういうことを意味するのか、これもわかりません。この二つをお聞かせください。
  70. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) ここで第三番目の勘案状況といたしまして、先生指摘のように「物価その他の経済事情」というものを掲げております。この場合の考え方といたしまして、行政価格は一般的な物価の動向と無関係ではないというような考え方に基づいてこういう形を、価格の算定に当たりまして物価を参酌するという意味を込めまして、このように書かしていただいておりますが、他の法令においても一般的であるというふうに我々考えております。  具体的に先生指摘のとおりでございまして、しからば、じゃ、この物価の中にどういうものを盛り込んでいくのか、こういう問題が出てくるわけでございます。今先生指摘のとおり、これまで二十五年間に行われましたパリティといったようなものも確かに一面におきまして物価の一つの指標であったわけでございます。そういう意味で、これまでの連続性等々も一方含めまして、この物価といったようなものを決めていかなければならないというふうに考えております。そういう意味で、具体的な意味は、じゃ、しからばどういう具体的な消費者価格をとるのかあるいは卸売物価をとるのかといったような問題は、これから研究会というものにおきまして決めていただくということになりますけれども、我が農水省におきましても、例えば米価審議会等々においての御議論、それからさらにそういったようなものの蓄積等もございます。そういうものを反映した生産者の方々あるいは関係の実需者の方々というふうなお集まりもあるわけでございますので、私どもといたしましてはそういった、この法律で決めていただきますれば、そういうことの中で具体的なものをさらに詰めまして価格の算定の一つの要素として、参酌事項として作業をさしていただくというふうに考えておるわけでございます。
  71. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 「その他の経済事情」。
  72. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 「その他の経済事情」という御質問がございました。ただいまのところ、これは具体的に今私どもの中で考えております部分については、畑作物相互間の価格関係とか、あるいは他の農水省が決めております米麦価といったような関係、そういったもの、あるいは経済事情一般といいます中に、その他の大豆または菜種の生産を取り巻く経済事情というようなことも一つの具体的内容として考えていかなければならないのではないかというふうに考えております。
  73. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 これは輸入価格もその経済事情の重要なウエートを占めることになる、こう書かれていると、そう受け取りますが、どうなんですか。
  74. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 先生指摘の輸入の点でございますが、「需要及び供給の動向」というのが第二にございます。そういった点の方にまず私ども考えていかなきゃいけないのではないかと思っておりますが、広く言う意味で逆に第三・・
  75. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 「その他の経済事情」。
  76. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) の中でも一つ考えていく具体的な要素であろうというふうに考えます。
  77. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 納得ができるわけじゃありませんけれども、時間がなくなってきますからもう一つここで聞いておきたいと思いますが、今度最低標準額を決めるということですが、この最低標準額というのはどうやって計算をするんですか。算定方式はどうなりますか。
  78. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) この最低標準額の設定の方法でございますが、国産大豆は伝統的な食品の原料として、輸入価格に比べまして、先ほどちょっと私ども説明が十分じゃございませんで御指摘を受けましたけれども、輸入大豆に比べまして品質的にすぐれているというようなことがあるというふうに理解しております。そういう意味で輸入大豆よりも一定の高価で、高い値段で販売されてきたというこれまでの地域実勢があるわけでございます。そういったこの水準が最低限維持されるように定めていきたいという意味でございまして、このように最低標準額は国産大豆または菜種の販売として最低維持すべき水準として定められるということでございます。  この場合、じゃ、どういうことで考えるかということでございますけれども、最低標準額を定めた趣旨、今のような形でございますので、国産大豆または菜種の販売価格の動向というのが一つございます。それから輸入大豆または菜種の販売価格の動向といったようなものが一つございます。それにやはり想定される流通経費といったようなものがこの前提になろうかと思います。そういう三つの条件あるいはその他の条件を含めましてこの最低販売価格といった線を決めさしていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  79. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 細かいようですけれども、また「その他の」ことだなんてつけ加えられるから、その他のことって何だって、また聞かなきゃならなくなってくるんですが、大体、最低標準額というの、今度交付金と重要なかかわり持つわけでしょう。決め方によってはこれは交付金の足切りというふうになりませんか。
  80. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 私どものこの最低標準額といったようなものは、基本的にはその販売努力のものというふうに考えておりまして、現行制度がこれまで運用されてまいっております。もちろん円滑に運用されてまいったわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、現在の仕組みの上からは具体的に現実に販売をされたもの、それと基準額の間を十分に埋めるというような形になっておりますので、その点については現行の運用の状況を踏まえまして、一つの最低販売価格という努力目標を決めるということはいいというふうに考えているわけでございます。今、先生指摘の足切りになるのではないかということでございますが、私ども一つのターゲットということでそれをクリアしていただけるものというふうに考えておりまして、結果的に足切りになるというようなことはないというふうに期待をしているところでございます。
  81. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 水田の転作大豆の場合には必ずしも技術水準が安定をしているわけでもなし、生産をしているものが決して良品質だとは言えないものの場合も結構あります。それから、立地条件、そういう転作の場合には立地条件等が幾ら努力してもそういう良質なものを生産ができないということ、そういう地域もあります。いろいろなことがあるわけでありますけれども、やはり私はそういう中で生産者によってはこの最低標準額というのが、あなた方が意図していることとは違って、やはり足切りの役割を果たしてしまうということもあり得るというふうに私は思っております。  ここで、もう時間が随分来て、厚生省にも来ていただいて、まだちょっと聞かなきゃならないこともあったものですから、ここの入り口の部分でここまで時間とっちゃったわけでありますが、この程度にしておきたいと思いますが、最後にここで大臣に伺いたいんであります。今までいろいろと伺ってきた中で、それぞれ相当まだ不明確な点、これから掘り下げていかなけりゃならない点、これから決めていかなけりゃならない点、いろいろあるわけでありまして、一口に言ってしまうと、私は、どうも今度の改定というのは、大臣大豆価格、菜種価格をお決めになるときに、物差しに使うのがゴムひもに目盛りを打ったような形で、大臣がどの程度引っ張るかなということで目盛りが伸び縮みするような、そういう物差しになりはしないかということを大変懸念をしております。  いずれにしても、こうした極めてまだ、例えば品質問題一つ、これはまた後でいろいろ出るかもしれませんが、生産者の側からいったって、品質についてのきちんとした体系的なものがまだ、何といいますか、チェックの方法といいましょうか、そういうものは確立をされていないように思いますし、商習慣としてしかないように思いますし、それから消費者の立場からすればなおいろいろと問題が出てくるんじゃないかというふうにも思います。そういうこと、今例えば品質のことを言いましたが、先ほど来のいろいろとありますように、不明確な点等あるわけでありますけれども、こうしたまだ明らかでない点は早急に具体化を進めていただいて、そしてゴムひもだなんていうことじゃなくて、だれが見てもわかる、こういう物差しではかれるようなことにしていただきたいと思うんですけれども、いかがでありましょうか。
  82. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私はよくゴルフをやって、六インチ球を動かしてもいいというというときに、金の六インチかゴムの六インチかと言ってよく笑わしておったんでありますが、金の物差しにして、わかりやすくしていく。そして大豆の品質の改善と生産性向上をやってもらい、そして我が国の伝統的食品でありますみそ、しょうゆ、納豆その他の自給率をぜひ向上させていきたいと考えておるところでございます。
  83. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 大臣のお答えで、もう一つ教えていただきたいんですが、今の食糧としての体制で見ておいでになる部分はわかりました。そうすると、油糧の方は、これはもう外国の輸入に大体頼るというお考えですか。
  84. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 先ほど来先生指摘のように、大豆と菜種の問題というふうに、こう一つ併存しておるわけでございますが、大豆につきましては、私ども事務的に見まして、やはり現行の中で油糧等においての日本大豆という点についてはかなり難しい点があろうというふうに考えております。やはり伝統食品と言われております大豆については、それはあくまでも食品と申しますか、みそ、しょうゆから始まりまして雑豆に至るものだというふうに私ども考えております。
  85. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 それで、ちょっとはしょりまして、せっかくきょう厚生省おいでをいただきましたので、輸入農産物についての安全性のチェックの体制がどうなっているか、このことを伺いたいんであります、  きょう、私はこのことを中心に伺うわけでありませんから、ただ例示として出すにすぎませんけれども、豪州牛肉から農薬がこの間アメリカで一つ問題になって、今度は我が国でというようなことになりました。十二トンの流通を禁止ということで新聞記事には載っておりますけれども、例えばこういうことが起こってまいりますと、外国で輸入農産物については、やはり一つは残留農薬のチェック体制というのが非常に重要な意味を持っているんではないか、こんなふうに思うわけでありますけれども、残留農薬のチェック体制、具体的にどういうふうにしておられるのか。これで十分、今私から見ていくと、もうまるで洪水のように農畜産物が輸入されているという感じなんでありますけれども、その残留農薬に対するチェック体制というのは十分なんでありましょうか。これはそれに従事しておられる職員の皆さん、どことどこでそういうチェック体制をつくっておられるかというようなことについてお聞かせをいただきたいと思います。
  86. 大澤進

    説明員(大澤進君) 食品の問題は、輸入、国内を問わず安全衛生というのが大変基本になるかと思います。特に輸入食品につきましても、外国から入ってくるということで水際でチェックをしているところでございますが、現在輸入食品、農産物、もちろん食品でございますが、チェック体制全国に二十カ所の海と空の検査をするところがあります。具体的には検疫所というところがございます。これは北は北海道の小樽から始まって、南は沖縄まで検疫所があります。これは全国、食品の検査をやるところが二十カ所あります。そこに食品衛生関係の専門家である食品衛生監視員という職員を、専門職七十二名、全体で配置しました。
  87. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 何名。
  88. 大澤進

    説明員(大澤進君) 七十二名でございます。
  89. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 けた違うんじゃないの。
  90. 大澤進

    説明員(大澤進君) いや、二十カ所で七十二名、二十カ所に窓口がございまして、ですから平均で三・三四名になりますが、大きなところは二けたの数字がございますが、いずれにしましても、食品監視員をそれぞれの窓口に配置いたしまして、輸入食品につきまして、書類審査を当然行うほか、必要に応じては細菌学あるいは理化学的検査を行います。  特に必要に応じてどういう観点からやるかとしますと、もちろん最近では放射能等、あるいはワインの事件がございましたが、国内外を問わず特別の問題があるという場合にはもちろんのこと、あるいは輸送中について事故がしばしば起こることがあります。あるいは水ぬれしたり海水ぬれ、あるいは機械の故障とかあるいは冷蔵冷凍の故障とか、その他そういう事故がある場合があるわけでございます。そういう事故のあった場合、あるいは本邦に初めてある食品が入ってくる、あるいは過去に違反があったと、こういう情報等を踏まえて、それらについては特に厳しくチェックしていく、その他につきましても一定のスポットチェックをやっていく、こういうことでチェックをしていますが、特に農産物の農薬の問題、これは先生御承知かと思いますが、我が国は現在二十六農薬、五十三の食品につきまして残留農薬基準を設定しているところでございます。これらの基準に基づき、これを踏まえて、スケールにして適宜農産物の残留農薬もチェックしている、こういう現状でございます。
  91. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私ちょっとけたが違うんじゃないですかなんというようなことを申し上げて大変失礼でしたけれども、しかしこれはかなり、こういうふうにしているから有効に極めて迅速に体制がきちんととられていて大丈夫なんだということがお示しいただければ、それなりに納得できるものがあるのかもしれませんが、一つは七十二名という体制というのは、今の農産物の輸入、大豆一つを考えても、今審議をしているこの大豆一つにしましても、かなりのほとんどの部分が自国の生産は二けたになっていないですからね。そうすると、もうほとんどが輸入なわけですから、そうすると、その体制というものがこれは大豆だけだって実際はなかなか大変なことだと思うんです、本当に真剣に残留農薬のことを心配したら。ということで、そうすると、例えば輸入先の国がどういう農薬を使ってどういう処理の仕方をしている、輸送の途中にはどういう農薬の処理の仕方をしているか、こういうことがわかっているから、それだけに特にこういう点は留意してやっているんだとかなんとかということがあれば、それも能率的な方法一つかもしれません。その辺はどうなんですか。
  92. 大澤進

    説明員(大澤進君) 今時に大豆に限って申し上げますと、御承知かと思いますが、大豆関係では、残留農薬基準、現在六項目定められております。BHC、DDT、パラチオン、マラチオン、ダイアジノン、フェニトロチオン、この六項目でございますが、さらに最近輸出国の・・
  93. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 ちょっと声が聞こえない。今の薬品の名前、もう一度きちんと言ってください。
  94. 大澤進

    説明員(大澤進君) BHC、DDT、パラチオン、マラチオン、ダイアジノン、フェニトロチオン、これは大豆については六項目我が国で残留基準が定められております。もちろんこれらは基準の定めておるものについて検査をするとともに、最近先生も御指摘のように、輸出国その他の食品衛生にかかる情報に基づきまして、今回は残留農薬でございますが、それらの情報を踏まえて必要な項目も追加していく、こういうことをやっておりますが、現在大豆につきましては、キャプタンについてもこれは我が国で基準がございませんが、キャプタンにつきましても検査をしているところでございますが、過去最近の五カ年間でございますが、これにつきましてはこれらのそれぞれの項目で検査した結果、これまでのところ基準を超えたものはない、こういう状況にございます。
  95. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 今の、基準を超えたことがないというのは、それはそれなりに伺いましたが、ただ安全性についてはいろいろと私は問題があると思うんですよ。例えば去年のこれは農業新聞に出ていた記事でありますけれども、去年の二月に横浜の山下埠頭で臭化メチルの薫蒸中に作業員が中毒で倒れたというような事実が載ったりしております。  要するに、農薬というものの使用状況というのは非常に大きな問題がある、我が国の中でも問題がある。ところが、それは我が国の中での問題だけではなくて、問題は相手国でどれだけどういう使われ方をしてきたか。そして船の中でかなり長い間、船で来るわけですから、輸送途中時間かかかるわけですからね。そういう中でどういうふうにしてきたかということがこれがわからないと、私は実際の体制というのはうまくできないと思うんで、そこで農水省とあれに両方に伺いたいんですが、輸入先国の農薬使用状況、それから輸送途上の農薬使用状況というのはこれは資料がありますか。データがありますか。
  96. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 今お話しの外国における農薬の使用基準等々の点につきまして私ども国内におきます農薬の問題を取り扱っている者として承知している点について簡単に申し上げたいと思います。
  97. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 いやいや、ちょっと時間がないから、データをお持ちですか。
  98. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 基本的な農薬の使用基準というようなもの、米国におきまして登録をされております使用基準、登録の使用基準につきまして私どもデータを持っております。
  99. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 それはアメリカだけ。
  100. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) はい、アメリカについて持っております。
  101. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 よその国でも皆あるわけでして、例えばそういうことがきちっとしていればこんなことが起こる前に、もっとアメリカでもって牛肉が問題になってくる前にチェックをすることというのができたのじゃないかと思うんですね。私、ここで申し上げたいのはそういう安全性について例えば相手国の輸入先の使用状況等についての、きちんとした、何もアメリカだけじゃないんですからね、いろいろなところから来るんですから、輸入しているんですから、そういう体制をきちんとしてもらわなければならないというふうに思うわけです。  で、きょうは私は法案の審議ということでやってまいりましたけれども、もう時間がなくなってしまいましたから安全性についてはもうこの辺で打ち切らせていただいて、最後にもう一度大臣に伺いたいと思うわけであります。  大豆、菜種いずれにいたしましても、今水田農業確立対策ということと結びつけて一方では推進をされているという部分があります。それから畑作の専業の地域もあります。ここにはいろいろな違いというものがあると思いますけれども、特に水田農業確立対策と結びつけていく限りにおいては、先ほどの菅野委員の質問ではありませんけれども、これは政府が推進をしていく、政府が推奨していくという、そういうことについての大きな責任があると思うんです。そういう中で私は今後もう大豆はばかばかしいからつくらないよというようなことにならないように、そのことは特に強調をしておきたいし、大臣がその点を十分に心がけていただきたい、このことを大臣の御決意があればお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。
  102. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 今回の法改正に伴いまして国産大豆、菜種生産を後退させないばかりか前進させる、そういう意味に今回の法改正趣旨もあるわけでございます。私としては、先ほど来いろいろ御議論いただきました点を十分踏まえまして前進をさせるように図っていきたい、こう考えておるところでございます。  今もちょっと話をしておったんでありますが、例えば需要拡大というので最近アメリカ製の技術を使った豆腐のアイスクリームが大分東京都内にも出回っておりまして、先般試食も相当いたしてみたのでありますが、国産大豆を使って国産の技術で豆腐アイスクリームという非常に栄養価値のあるおいしいいいものが何か普及する方法はないか、やれないかなとここでひそひそ話はそのことを言っておったのであります。そういうあらゆる努力をして前進させるように頑張っていきたいと考えております。
  103. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 大豆づくりが冷たくならないようにお願いをいたします。
  104. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      —————・—————    午後一時十七分開会
  105. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、大豆なたね交付金暫定措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  106. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は、大豆なたね交付金暫定措置法の一部を改正する法律案質疑させていただくわけでございますけれども、それに先立って、昨日来から報道されております豪州牛肉の汚染について質問をさせていただきます。  本日、厚生省分とそれから農水省分の記者会見資料をいただきましたけれども、それらを読ませていただいて、まず一番最初に私が遺憾に思ったことは、これはまず厚生省に伺うわけですが、今回のこの汚染事故、これはいわゆるディルドリンの問題でございますが、これはアメリカからの情報が入らなければ、我が国の水際チェックはできていなかったというふうに了解してよろしいでしょうか。
  107. 難波江

    説明員(難波江君) 私ども厚生省といたしましては、六月下旬に情報をちょうだいしたわけでございますけれども、アメリカ政府ではなくて、アメリカ政府と豪州政府の間でいろいろそういうことがあるということをほかのルートを通じて承知したところでございます。
  108. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 いずれにしても、我が国の水際チェックでは確認できなくて、そして横浜、神戸、東京と、既に上陸して、そして畜産事業団の倉庫に入ってしまっているものであることには間違いないわけですね。
  109. 難波江

    説明員(難波江君) 厚生省といたしましては、従来から輸入時における検査につきましては、輸出国等の種々の情報を入手しながら、必要に応じ必要なものについて検査をするという体制をとってきたわけでございます。今回の牛肉の問題につきましては、六月下旬に情報を入手しました後、直ちに米国並びに豪州政府に対して正式に事実関係の確認及び対応策について詳しい情報を入れるよう求めてきたところでございます。それらの情報に基づきまして、七月十七日以降三つの検疫所に入ります牛肉について検査をすることとしたわけでございます。そのうち現在まで判明した検査結果の中で、一部からディルドリンが検出されたということで、昨日発表したような必要な処置をとることとしたところでございます。
  110. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それからもう一つは、今回問題になりましたこのディルドリンとDDTとヘプタクロールの三種については、牛肉に関する許容値の基準がなかったということも一つあるんじゃないでしょうか。
  111. 難波江

    説明員(難波江君) 残留農薬の基準値につきましては、直接農薬を使用する野菜であるとか果実等については我が国でも決められていたわけでございますが、食肉の場合の農薬というのはいわゆる汚染物質でございます。そういうことで、かつて我が国におきましてもDDTあるいはBHC等の汚染が昭和四十六年当時問題になりました。当時汚染の高かった牛乳等につきましては暫定規制値を決めたところでございますが、その時点では牛肉等につきましては特に問題はなく、その後我が国が順次農薬の使用が禁止をされるというようなことで、その後実態値も非常に下がってほとんど問題ないレベルにあるということで、特に食肉につきましては暫定規制値を決める必要がないという判断から決めてなかったところでございます。
  112. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それで、急いでWHOの基準にのっとって、我が国でも基準を決めたわけでありますけれども、それによって、この豪州牛肉を検査することによってどのくらいのものが汚染対象となると考えられますか。
  113. 難波江

    説明員(難波江君) 厚生省が実施いたしましたものは、現在まで判明したのは三十検体でございまして、その中の一検体が基準値を超えているということでございますが、オーストラリア政府の検査の状況、あるいはアメリカ政府の検査の状況等から見て、汚染のあるものは非常に限られた検体であるということがわかっておりますので、我が国が今後検査体制を強化してもそうたくさんのものが出てくる可能性は少ないのじゃないかという一応推定はしております。
  114. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 生体輸入の分の牛肉ございますね。こういうものについての汚染はどのように検査をなさいますか。
  115. 難波江

    説明員(難波江君) 食肉として輸入されるものにつきましては、先ほども申し上げましたように、輸入時の検査体制を強化することで対応するということでございますが、生体で輸入されまして、いわゆる屠畜場直行という形で国内の食肉の処理場で直ちに肉に処理されるものにつきましては、都道府県に対しまして、それらについて検査をし、違反があった場合には排除をするようにという指示をしたところでございます。
  116. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そこで、先ほど来お話ありましたように、我が国では既に十何年前にこの有機塩素系の農薬というのは使用中止の状況にあるから、その基準等も設けてないし、それからまた、それに対する検査等もなされていなかったということになるんだろうと思うんですけれども、私は消費者問題の出身なものですから、そういう話をつい出すわけですが、IOCU、世界の消費者会議ですね。こういうIOCUなんかの会議に参りますと、我が国で使われていないDDTやBHCが発展途上国、第三国に輸出されている。そして、そういう国でそういうものが使用されていて、つまり今回は、これはオーストラリアを私は発展途上国とは申しませんけれども、その手のブーメラン現象が起きているというようなことは既に情報としていろいろあるはずなんですね。だからやっぱりそういう世界の事情をしっかり踏まえた上で検査体制というものを私は強化していただきたいと、このように今回のこの事故を通して思うものでございます。  ちょうど概算要求の時期でもありますので、先ほど来同僚委員の方からも水際チェックの体制について大分お話が出まして、単位が違うのじゃありませんかという七十二人の話が出たわけでございますけれども、こうした検査官の状況なんかも、もっと私は、まあこれでもふえたことはよく存じておりますけれども、もっと強化をしていかなければ今後やはりこうした手のことが幾らでも起き得るということを思いますので、これは厚生省の方に希望しておきますので、どうぞこうした検疫体制しっかりしてほしい、こういうように思います。  それから農水省の方に伺いますが、この汚染されているであろう牛肉が畜産振興事業団の倉庫にしまってあるわけでございますね。これについては、農水省としては今後どういう対応をなさるんですか。
  117. 京谷昭夫

    政府委員(京谷昭夫君) 昨日、厚生省の方から豪州産牛肉についての検査を強化して実施すると、またその残留基準も示されましたので、私どもとしては、現在これから新たに輸入されるものについては、水際におきまして必要な調査を行って、安全が確認されたものだけを国内で受け取る。それから現在既に国内に入っておるもので畜産振興事業団が在庫しているものにつきましては、厚生省から通告をされました基準に従いまして検査を行いまして、そこで安全性が確認されたもののみを放出をしていく。さらに民間段階に在庫されているものにつきましても、事業団の措置に準じた措置を講ずるよう、昨日関係業界を集めまして早速に指導を行ったところでございます。
  118. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 豪州政府の方からの回答として、五月二十五日以降はその検査体制を強化したということで、それ以後出荷されたものについては問題ないということでございますから、五月二十五日が一応そのボーダーラインになるわけですけれども、それ以前のものというのはどのぐらいあるんですか、それは確認されていますか。
  119. 京谷昭夫

    政府委員(京谷昭夫君) 畜産振興事業団が在庫しております豪州産牛肉、八月十五日現在の状況でございますが、総体として一万二千トンでございます。その中に、五月二十五日以前のものと以後のものの内訳については現在チェックをしている最中でございまして、直ちにお答えすることはできません。  いずれにしましても、私ども、厚生省から示されました考え方というのは、五月二十五日以前の何といいますか処理が行われたもの、及び従来の内外での検査によって基準値を超える残留量が検出されたサンプル牛肉の製造工場がこれが特定をしておりますけれども、この工場から購入されたものすべてについては一〇〇%のカバー率で検査を行う、それから五月二十五日以後に処理されてきたものについては一〇%以上のカバー率で検査を行うという基準が示されておりますので、これに沿って適切に検査を行って安全なものを放出していくという体制で臨んでおるつもりでございます。
  120. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 今回のこの例でもわかりますように、農薬汚染というのは、直接植物だけでなく、植物を介してこういうものの中にも残留していくということがわかるわけですね。したがいまして、これから質疑しようとする大豆の畑作について諸外国ではどんな農薬の規制をしているかというような質問が午前中出たわけでありますけれども、そういうものだけを知るのではなくて、今度それを食べて、飼育しているものにまでそういうものが残留していくというようなことについても私たちはやっぱり知っていかなければならない大事な教訓であったろうと思います。  そこで、大臣、これから秋にまた、秋といってもそろそろ輸入牛肉の交渉等も始まるわけでございますけれども、消費者はやはり安定的に供給していただくことを第一としながら、しかし安全性を確保していただくということは一番の食物の根幹でございます。そしてしかも外国産の物というのはなかなかそれが確認しにくい状況にあるということの中で、やはりこうしたものの安全性を確保していく上では、かなりのコストはかかるかもしれないけれども、大事な行政の仕事としていかなければならないというふうに思いますけれども大臣の御所見、この件について、一言承りたいと思います。
  121. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 食べ物の安定供給ということと、その食べ物が安全であるということは何よりも大切なことでございます。特に、最近国民の間から安全性に対する強い要請がますます強くなってきておるわけでございます。農林水産省としましては、厳しい財政事情、苦しい予算の中ではございますけれども、こういった動植物検疫問題につきましては今まで以上にやりくりをし、大いに充実するように頑張らなくてはならない、省内でいろいろ勉強し、申し合わせもしておるところでございます。
  122. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 畜産局長さん、ありがとうございます。それから厚生省さんどうも御苦労さまでございました。  それでは本論の大豆の方に入らせていただきます。  私は午前中の稲村委員のお話を伺っていて非常に納得しかねる部分から、大変つまみ食い的になりますけれども、伺わせてみていただきたいというふうに思います。そこで、今回のこの改正で、先ほど稲村委員が何回も重ねて尋ねておられた品種、銘柄、等級等について格差をつけていくという話のところを私も実は質問の中に入れてあるわけですけれども、あの話を聞いている限りでは私もよくわからないんですね。やっぱりわからないんです。いろいろ昨日伺うところによりますと、きのう私が通告している段階でグルーピングの話が出てきた。市場評価の高いもの、それから中ぐらいのもの、それから奨励できないものというふうな分け方の話をなさったんですが、これはどういうことでしょう。
  123. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) ただいま先生指摘の品質による格差はどういうふうにかという問題でグルーピングのお話をされたわけでございます。これにつきまして先ほど来お話にございまして、私ども考え方ということにつきまして申し上げますと、大豆の品種別ということにつきましては、現在農産物検査法に基づきまして農産物規格規程に規定されております種類、銘柄、等級別を指すというふうに我々は考えております。  もう一度申し上げますと、種類といたしますと普通大豆と種子大豆というふうに分けられますが、それぞれに大粒、中粒、小粒、さらに極小粒の別が現実にあるわけでございます。それから、銘柄というのは、先ほど稲村先生の御指摘ございましたが、銘柄とは産地、品種、銘柄ということでございまして、現時点におきまして十四の産地、品種、銘柄があるわけでございます。さらに、等級でございます。等級は品位区分を指すわけでございまして、これには普通の、先ほど種子大豆、普通大豆と申し上げましたが、この普通大豆におきまして規格一と規格二がございまして、その規格一は一等から四等、規格二は一等から三等というふうに現実に区分をされているわけでございます。  この基準価格を種類銘柄別に定める場合におきましては、市場のマーケットでも品質評価等を考慮いたしまして、米麦の銘柄格差等を参考にいたしまして、種類、産地、銘柄に応じて数ランク程度にグルーピングをして格差を設けることになるというふうに我々予想、考えてはおりますけれども、具体的な格差を設ける仕方につきましては、改正法の成立後に速やかに農業団体あるいは実需者の団体等の代表者及び学識経験者から成ります、これまでも実施してまいりましたけれども研究会というものを開催していただきまして、ここで検討を行いましてランキングづけの区分をさしていただければというふうに考えておるわけでございます。  なお、先生の御質問にはございませんが、等級間格差につきましては、もう既に農産物検査法におきまして等級別の品位、この場合は、先ほどのことを繰り返すようでございますが、物理的な整粒ぐあいであるとか被害粒のぐあいであるとか、そういったものもございますが、それを厳に行われておるわけでございます。そういうことで、これに着目をいたしまして、現に市場流通で形成されております具体的な金額の格差あるいは基準価格及び販売価格の水準、需要動向等々のことを考慮いたしまして総合的に勘案していきたい、こういうふうに考えます、
  124. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 局長、私がなるべく前委員の質問にダブらないような形で質問しているつもりですので、お答えもダブらないで答えてください、そのお話午前中聞いたばかりですから。  それで、もっと端的に申し上げますと、どうも今言われた、グルーピングができそうなそのものにさらに基準価格の参酌要件を付加して、そして具体的にやった場合にどんな価格になるんですかというところが本当のこと言うとみんな一番実数、数字が知りたいわけですよ。だけれども、それはまだ出ませんというふうにおっしゃるのならお伺いいたしますが、六十二年分のものはこれを既に適用するという、十月から始まる今年度、大豆年度ですね。その中で使うんでしょう。施行期日はもう近づいているんじゃないですか。それなのに、まだこれから一生懸命検討いたしますという段階のものなのか、それとも、もうその下敷きは持っているんだけれども今は発表できないというのか。そこのところをおっしゃったらいかがですか。今すぐその数字を言いますといろいろ実勢価格に響きますので言えませんけれども実は下敷きはできております、これを通していただけばすぐスタートできる状況になっているというふうになっているのか、本当にこれからさらにこれを、参酌要件を乗せて実際にやっていくのか、どっちかなんですよ、それで、後段の部分の方だったら、そんな急いでスタートする必要ない。これからもうみんなまたさらに一生懸命考えようじゃございませんか、こう言いたいのでございますけれども、いかがでございましょうか。
  125. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 先生指摘のこの品質の格差の場合は、今るる申し上げましたように、やはり現実の中から時間がかかるもの、現実におきまして等級ができているということからすぐ今の状況をこの基準価格に反映をしてできるものと二種類あると思います。そういう意味で、先生指摘の点についてお答え申し上げれば、この点につきまして、等級間格差につきましては法案成立後早急に実施できる体制に現実にあると思います。ただ、種類の銘柄等につきましては、やはり私ども、それが十分関係者の納得を得るというようなことを考えなければいけませんので、これにつきましてはやはり研究会等についても十分御論議を賜りたい、そういう考え方であります。
  126. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大豆研究会で相当もう御論議なさったんでしょう、私はできていると思って質問しているところなんでございますけれどもね。よろしゅうございます。  そうすると、さっき菅野委員のお話しの中で、北海道では大豆の生産がどんどん下がってきているというふうな話が出ていましたね。一方で、その他地域は大豆の生産がふえてきている。ところが、六十年度の実績でいくと、北海道地域では第二次生産費はカバーできているけれども、その他地域では第二次生産費はカバーできていないというような状況にありますでしょう。そういうことも含めてこの生産費の問題が一番やっぱり課題になると思うんだけれども、今回いろいろおっしゃったけれども、その作業をやることによって、そういう従来からなおかつ生産費さえカバーできないような基準価格がよくなるのか悪くなるのか教えてください。
  127. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 先生指摘北海道の問題でございますが、北海道を含めまして、大豆につきましてはここのところ一たんかなり低迷をしておりました生産量が現在の生産強化策、あるいは具体的な転作の展開といったようなものでふえてまいっております。そういう意味で、昨今といいますか、昨年、ことしにおきます北海道の問題というのは、端的に申し上げまして小豆との連携ということの反映のところではないかというように思っております。基本的に言いまして、生産の面は、我が国におきます動きといたしましてはふえているというのが傾向だと思います。そういう中におきまして、一つは技術上の問題、それぞれ、例えば収穫の段階とか、あるいは具体的な作付の段階等におきましての技術の進歩によりまして、この点につきましては今後とも基準価格という全体の数字の中におきます中で、この交付金制度の枠組みの中で大豆の生産は各地域において伸びていくだろうというふうに考えているところでございます。地域におきましていろいろ大豆自体が、繰り返すようでございますけれども、かつては自給体制、あぜ大豆というようなところが特に都府県の場合あったわけでございますけれども、そういったものが輪作農法の確立といったようなものの中でやはり本当に商品として、売られるものとしてつくられる、そういう形になってまいりますれば、生産性向上というような形で出てくるものだというように思っているわけでございます。  具体的に申し上げますと、共励会等におきまして、やはり反当ですね、一般の平均が百七十七キロと言われておりますけれども、三百五十キロぐらいのものがかなり輩出しているわけでございます。そういうような作付の計画というものが、現実には地域間格差というのが先生の御指摘のとおりございますけれども、米と同じようにと申しますか、他作物と同じように日本農家の方々の知恵と努力発展をしていくだろうというふうに考えますので、私ども基準価格の中で誘導策と申しますか、品質の格差等々のものが十分機能すれば、その中で各地域でそれぞれの大豆生産の有力な農家、生産地帯というのがかつてのような勢いで出てくるものだというふうに確信をしているところでございます。
  128. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 生産性が向上するということは、法改正することによって自給率も上がっていくということでしょうか。
  129. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 自給率の前にやはり生産自体が現状よりもふえるということだと思います。一方、そういうことはもちろん需要というものがふえていくという状況にありますので、達観してまいりますと、その中でどの程度の位置づけというふうになるかという問題がありますが、まず食用につきましては、その需給の点につきましては少なくとも生産のスピードの方が高まる、高まってもらいたい、あるいは高まるように努力したい、そういうことでございますので自給率を高めていきたい、そういうふうに考えます。現状の時点よりは少なくとも大豆に限って申し上げますと、大豆におきます食糧の生産につきましては自給率を高める、高めていきたい、こういうことでございます。
  130. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 四十七年、四十八年のときの豆腐騒動のとき、私は消費者運動のリーダーをやっておりましてね。国会先生方が中国大豆を手に持って、こういうものは消費者ニーズに合うかどうかというのを聞きに来られたことを私覚えておりますけれども、七円から十円ぐらいだった豆腐が一気に七十円、百円になってしまったという、あの時期のことのあの教訓はやっぱり今後とも生かされていかなければならないわけですね。私は自給率を確保していくということは今後において非常に大切な課題だと思うんですけれども、この法改正することによって、まず生産性が向上される、完全に生産がふえていくということの見通しはつくけれども、自給率がどうなるかということについてはまだ先は見えないというふうに考えていいんですか。
  131. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 先ほど私が申し上げましたことは逆でございまして、結論として言いますと、私どもといたしましてはやはり自給率を高めていきたい、こういうことでございます。ただ、言い方としまして、くどいようですけれども、生産の増強が先にありまして、それから需要がどうなるかという問題がございますから、直ちにということじゃございませんが、まず生産を増強し、したがって需要以上の生産力を増強し自給率を高めていく、こういう考え方に立ちたい、そういうことでございます。
  132. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それでは、時間がないので、私は今の国内産の需要を高めていくにはどんなふうにしていけばいいのかというところの御通告、申し上げた一番最後のテーマから逆にさかのぼって、時間がある限りやってみたいと思います。  それで、国内産の利用の状況を調べてみると、豆腐業界が一〇%、しょうゆ、みそで九%、納豆でやっと二〇%ということですね。また煮豆業界は一〇〇%、その他いろいろゆばとか豆乳とか高野豆腐、もろもろありますね。それは微々たるもので、この辺の国産大豆を使用している業界の利用度、利用比率というんですか、使用度というんですか、これがいかにも低いということ、私は今回びっくりしたんですね。豆腐、油揚げ業界で一〇%というのはいかがなものだろうかということでね。(「品質がいいにもかかわらずね」と呼ぶ者あり)  そうなんですよ。品質がいいのにかかわらず、なぜ使わないのかというのでいろいろあれさせていただいて、大豆供給安定協会のアンケートを見ました。そしたらそれに、あなたのところはなぜ国産大豆を使用しないのかという質問に対して、一二%ほどではあるけれども、必要なときに買えないという回答があるんですね。必要なときに買えないという回答がありますね。これは非常に重要な回答でありましてね。それで今後国産大豆の使用をふやしていくための五つの御質問をさせていただいたうちの一つに、適期の生産体制と、それから出荷体制をつくっていくことが大変な命題になっていくであろうということを私は申し上げるわけでございます。それがとりもなおさず生産地へ波及して、いわゆる付加価値が乗った、必要のときに出荷をすれば高く売れるわけですから、そういう付加価値の乗った大豆を生産していくということにつながっていくわけでしょう。だから、私はこの必要なときに必要なものが買えないということが非常に問題だというふうに思って、これを一つチェックしてみました。  それからもう一つは、一体それではいつが一番ピークになっているのかというのを調べてみたところ、大豆は全農、全集連によって交付金大豆が動いているわけですが、大体販売のピークというのは二月から四月に山があるんです。このグラフ、供給安定協会がおつくりになったデータですから、そちらでもお持ちだと思いますけれども、四月からあたりのところに山が来るわけ。ところが具体的に今度は販売価格の推移を見ますと、そこが一番安いときなんですね。私は、それは結局量がたくさん出回るから価格が落ちるという考え方もあると思うんだけれども、逆に一番販売価格の高いのはやっぱり十二月から一月のときですね。これは非常に今度は実需者の方の需要があるときでしょう。ところがそのときに出荷できる体制になっていないというのが非常に問題だというふうに思うんですけれども、一番最初に御提案申し上げた適期の生産体制、出荷体制の問題についてはどのように思われますか。
  133. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 先生指摘のとおりでございまして、国産大豆は先ほど来申し上げておりますように諸外国と比べまして良質でもありますし、具体的に国民の方々は伝統的な食品だということで大いに外国産に比較しまして使っていただきたいというふうに考えるわけでございます。この点につきましては先生指摘のとおりだと思います。  そういう意味で、一つはもちろん国産大豆の作期あるいは収穫期というものがかなり現実に影響するという点が一つあろうと思いますけれども、もう一つはやはり地域におきます作物の生産形態がある意味では零細、ある意味では分散をしているというようなことから、統一的、均一的な商品としての大豆を収穫できていない、そういったようなこと等も起因しているというふうに思っております。一つは、そういう意味で生産の状況の中で販売の体制に十分諸外国の大きなロットで入ってくるものに対抗できていないということと、それから流通問題だろうというふうに我々は考えているわけでございます。先生指摘のとおり、我が国の伝統的な食物についてそれぞれ一〇%とか九・九%とかそういう状況であります。確かに先ほど一つだけ申し上げましたように、煮豆につきましてはこれは全部一〇〇%ということではございますけれども、私どもといたしましては今申し上げた流通の問題という隘路を、ボトルネックを克服するような体制を整えてできる限り国産大豆日本の消費者の方々、あるいは実需者の方々が使っていただきたい、こういうふうに考えているものであります。
  134. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 国産大豆を使えばおいしいのはわかっているんですね、みんな、業者は。国産大豆を使うメリットというのも、ここにアンケートで出ていますけれども、つくった製品の味がよくなるというのが大部分、六〇%答えていますね。だからわかっているわけよ。だけどやっぱりこれは今言ったコストの関係であるとか必要なときにないというような問題があるんですね。例えば煮豆業界なんかにしても暮れなんかにいい豆を煮込みたいわけです。ところがその時期にいい豆が出てこなかったり、こういう状況があるようでございます。市場にも聞いてみました。それからみそ、しょうゆで九%。しょうゆはこれは今脱脂を使っているようでちょっと例外だと私は思うんだけれども、みそに限って言えば一〇〇%国内産の大豆を使ってもいいと思うのね。ところがこれやっぱり非常に使用頻度が少ないわけでございますけれども、実は寒仕込みなんというときに大量に欲しいんです。そのときに国内産が我々がつくるほど供給できないというようなことを言っているんですね。だから今言った私は適期における生産体制を組むということもこれから物すごく大事な要因だと思いますのでもう一度念を押して言わしておいていただきます。  それから、今ロットの話が出ましたけれども、このロットの大口化の問題については、やっぱりこれは言う側、使う、かかわる側にとって大口化によっていろいろメリット、デメリットがあると思うんですよ。例えば入札に参加する業者でも小口なら買えるけど、中小の卸でしょうね、小口なら買えるけど大口ロットになれば応札の資格が出てこないというようなこともあり得るわけでございますから、やっぱりこうしたロットの編成についてもやはり実需者及び消費の状況を十分踏まえた上でロット編成をしていかなければ、大きくすることだけがいいことではない。確かにコストは下がるでしょうけれどもいいことではないというふうに思うんですけれども、このロット編成はいかがですか。
  135. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) おっしゃるとおり、やはり需要側の要請するようなロット体制というのが生産側で常に弾力的に編成できることが必要だと思います。言うなれば、おっしゃるように地域の小さな加工業者というものについては小さい形、それでも全国的な消費という形で加工されるようなところについてはできる限りそれに応じるような、均質のものを大量にできるような生産体制が必要だと思います。ただこの点、現実の姿は、生産だけを申し上げますと、出荷体制というものが極めて小そうございます。先生御案内のとおりでございまして、六十年の集荷数量で農協単位に見ますと、百俵未満のものが約半数近くやっているということでございまして、やはり基本的にはこの出荷体制の零細さというのが起因しているだろうと、先生もこれ御指摘のとおり、これが流通経費の増高という形になるんだろうというふうに考えております。
  136. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 まさに大豆研究会もその辺のところを指摘しておられますよね。やっぱりそういうところが変わっていかないと事実上国産大豆の利用度も上がっていかないし、それからやっぱりこれは価格の問題とも欠きにかかわってくる、つまりこれは全部付加価値を乗せていくというテーマなんです。そういうふうに私は思います。したがいまして、そういう問題をこれからかなりの形で改善していくためには相当な努力が私は必要だと思いますし、これまでこういう努力がされてこないで、そして交付金等に頼ってきたこの大豆をめぐる体制というものについてはやはり反省もあってもいいかなという部分を少し私は勉強してみて思いました。  もう一つは調製の共同化の問題ですね、乾燥調製の。これなんかについてもやっぱり大口化をしていかなければいけないわけですね。こういう体制づくりをしていくために今後どういうことか、考えておられるかどうか。これがやっぱり調製、選別等を含めた作業が統一化されていくことによって品質も均一化していくわけでしょう。そうすると、例えば今回のこのアンケートを読ませていただきますと、なぜ国産大豆を使わないのかというものの中に、品質が非常にまちまちで使いにくいというアンケートがあるんです。その回答が三二%あるんですね。そういたしますと、やっぱりこの品質の統一化ということも今後大きに課題になってくるであろうというふうに思うんです。これは次の検査体制の問題にもかかわってくるというふうに思いますけれども、この乾燥調製の共同化というようなことについては今後どんな御指導をなさっていくおつもりでいらっしゃいますか。
  137. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) ただいま先生指摘のところは、流通の問題と生産の問題をつなぐ極めて重要な点だというふうに思っております。そういう意味で、一つの収穫段階での広域的な共同乾燥施設の整備を図るということがどうしても国産大豆をこれから振興していくための喫緊の課題といいますか、キーポイントである、先生指摘のとおりだというふうに考えております。  そういうふうな施設ができ、かつ生産体制が組め得ますれば、これも先生指摘のところでございますが、品質の均一化と出荷の単位の大型化というものが実現できるのではないか。カントリーエレべーターといったようなものが既に麦であるとかあるいは米におきまして各地域で具体的な姿として展開をされております。そういったようなものにつきまして大豆は極めておくれているわけでございまして、そういうものを契機といたしまして大豆の生産と流通というものが改善されますれば、今のところ他穀物に比較いたしまして極めておくれている状況でございますので、逆に申し上げれば、大豆発展の余地が極めて残されている、これからもそういう改善の努力あるいは施策の充実というのが相呼応しますれば国産大豆発展が図られるというふうに確信するものでございます。
  138. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 先ほど言われたように、既に単収三百を超える技術というものはあるわけですね。ところが、やっぱりそれが平準化していかないというようなことも含めて、こういう共同化が進んでいくことは、そういうものをやはり普及していくことにもまたつながっていくというふうに私は思うんですね。そういう意味で今まさに言われたとおり、これからここのところがやっぱり大事なキーポイントであろうというふうに思います。  それから、アンケートに大変興味があってしっかり読んだものですから、その検査体制のことについても話が出ておりました。これは食糧庁の方のことになると思うんでございますけれども、この検査体制についても、これは実は先ほど言った品質とか規格とかいうものとまた連動してくる話になるんですけれども、この中では、いわゆる等級がこんなにあっていいのかとか、品質がこんなにたくさんあっていいのかとかというふうなことも出ているんですね。だけれども、それは生産段階が小口でばらばらに適地に合ったものとして皆上がってくるから規格をつくるよりしようがないというような、こういうことになっているんだろうと思うんですけれども、これからこのことによっていろいろその生産段階の技術も進み、いろいろ良品種がだんだん推奨されて出てくれば、ここに当たる検査の状況もまた変わってはくるだろうというふうに思いますけれども、今の段階では細かい規格のものをいろいろな格差で検査していかなきゃならないというのが現実だろうと思います。  これはやっぱり声として一番ある声は、等級数が余り多いのでいわゆる別々に置いておかなきゃいけないためのその倉庫スペースが非常にロスが多いとか、そういう細かい答えとして返ってきているんですよ。それから種類別に分けることのその苦労さとか、そういうのがアンケートの中には返ってきておりまして、これは私はさもありなんというふうに思うんです。ただ問題に思ったのは、同一等級または産地間による検査にばらつきが多過ぎるということが一つこれはあるわけです。この辺のところについては、適正検査という意味からどんな御意見をお持ちでしょうか。
  139. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) お尋ねのございました同一等級、産地間で検査にばらつきが多いというような御意見についてでございますが、御案内のとおり、検査規格におきまして例えば整粒歩合で申しますと、大豆の規格その二という規格で申しますと、整粒歩合が一等の場合は九〇%、二等の場合は八五%、三等の場合は六五%ということでございますから、整粒歩合におきましても一定の幅があるわけでございます。  一定の下限値のところで区切りますものですから、同じ二等のものの中でもぎりぎり二等になっているものから一等にかなり近いものまでというこれは検査規格というものを非常に細かく決めない限りはある程度の幅というものは出てまいるわけでございまして、そういうことによります若干の差が生じますことはこれはある意味ではやむを得ない。さらに、それをできるだけ縮めるということになりますと、等級をもっとふやさなければいけないという問題になってまいりますと、今申しましたように、また倉庫の中で、はいつけをしますときに別はいにする数が多くなるというふうな問題もございまして、そういうものとの兼ね合いで等級の数を決めていることによります幅の問題がございます。  それから、ただそういうことだけでは、もちろんこの問題、説明がつくというふうには私ども割り切っているわけではございませんで、やはり検査をいたします場合に検査規格に即して公正な検査をするために検査官が現場で検査をします技術を常に錬磨をしていかなければいけない。そのために私ども、検査技術向上のために検査官に対します研修でございますとか、あるいはまた鑑定会というようなもので一種のコンクールのようなものをやりましたり、いろいろな形で検査の技術の向上に努めているわけでございます。また、等級ごとの検査標準品というようなものをつくりまして検査を実施します際に検査官にこれを携行させるというようなことで、技術の上でも的確な検査の実施ができるように心がけておるところでございます。
  140. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そちらへ通告しておきました私の五番目の、国産大豆を使っていこうということで販売促進活動の推進というテーマを挙げておきましたけれども、これは私は今まで自分が運動でやってきたことの中で感じてきたことがいろいろあるものですから私の意見も含めて申し上げたいんですが、その前に流通局長に伺いたいんですけれども、今検査体制の中でしっかりと等級別、種類別で検査していますね。ところが、丸大豆の小売の小袋物、三百グラム入りとか二百五十グラム入りの小袋入りの大豆が相当流通しているんです。  今、御存じのとおり、各社のメーカーさんお出してございますけれども、電気みそづくり器というのあるのね、大臣大豆を圧力がまで煮ます、つぶします、入れます、おみそができるんですね、その機械の中に入れると。それから電気納豆器、あるんです。電気みそ、納豆。豆腐づくり器もあるんです。私は、かつてはにがりで、自分でこういうふうにかき回してつくっていた時代があるけれども、上手にできないんです。難しいんです。本当につるの子大豆という国産大豆を使いますと、いい豆腐ができて、そして中国大豆を使うとなかなかいいフレーバーが出てこない、こういう感じを持った者の一人でございます。主婦の間で手づくりでそういうものをやっていくのが時流として出てきております。  今、食生活は、物すごいインスタント物に偏っている食生活のこのナウい派閥と、物すごく手をかけていこうとする、食生活を楽しみながらここに付加価値を乗せていこう、そういう食生活をやっていこうと、極端に分かれていますね。この手づくりでやっていく人たちの間で実は小袋物が出ているんです。これは数字等は押さえられないと思いますけれども、そのことについてこれは私消費者の立場から申し上げたいんですが、品質表示法による一括表示、これ局長、やってもらいたい。生産段階でせっかく等級別、何列、品種別なんてやって一生懸命判定してもらっても、小袋で流れる大豆には何を買うているかわからないんです。産地が書いてあればいい。新物なんて書くのもありますけれども、表示も含めて全部ばらばら。これは一括表示の規定がないのね。これはいかがなものでしょうか。
  141. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) ただいま先生指摘のところは、現在低迷をしております、まあ低迷という言葉はいいかどうかわかりませんが、大豆の需要の拡大の問題ということだと思います。そういう意味で、一般消費者の方々がグルメ志向の上から少し自分で手をかけてやろうということは、貴重なる動きといいますか、これから大豆の需要拡大にプラスの大きなルートの問題のように思います。そういう意味で、御指摘のような一般消費者が小袋入りの豆大豆を購入する際に、どういう産地であるとか、あるいは銘柄、品質等の内容が十分把握できるようにするということもどうしても必要のように私考えます。そういう意味で、この表示の統一ということにつきましては、大豆研究会というものを今までやってきたその延長の中で、大豆研究会で生産者の方々あるいは実需者の方々、あるいは消費者の意向を代表する学識経験者の方々の御意見を出していただいて御議論していただこうと思っております。  今御提案の先生の問題につきましては、その上で関係局といいますか、流通局長参っておりますので、農林省の内部でも相談をしていきたいと、そういうふうに考えるものでございます。
  142. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 食品流通局から御意見ないんですか。
  143. 谷野陽

    政府委員(谷野陽君) ただいま表示の問題の御質問でございまして、表示一般につきましては私どもの方で検討さしていただいておるわけでございます。  ただいま農蚕園芸局長からお答えがございましたように、最近いろいろなものについてこれを包装いたしまして小袋で売るということが行われておるわけでございます。それの表示につきましては、大豆に限りませず、いろいろと私どもの方にも御意見が寄せられてきておるわけでございます。加工食品につきましては、JASのようなものがございまして、統一的なルールを決めましてマークを付きしておるわけでございますけれども、そういうもの以外のものについての表示をどのように考えていくかということは、最近の物の流通の実態から申しますと大変重要な課題になってきているのではないかというふうに考えておるわけでございます。  そういう観点から、私どもといたしましても、いろいろな種類の品物につきまして、あるいは地域産品については地域JASでございますとか、あるいは新しい新食品等につきましての表示の考え方というものを従来から逐次打ち出してきておるわけでございますが、今後、ただいまお話がございましたような農産物そのものもしくはそれに非常に近いものについて消費者の皆様のところへ直接お手元に届くもの、それもいわゆる小袋物等のいわゆる消費者包装のものについての表示の問題につきましても十分検討を重ねてまいりたいというふうに考えるわけでございます。
  144. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 さっき大臣、アイスクリームの話していましたね、アイスクリーム。奇抜だと思うんだけれども、その前に私がJAS委員会において仕事をさしていただいていたころ、今の消費者の部屋の室長の大島さんが一生懸命研究していた植たん、一生懸命研究していたんです。植物たんぱくね。あれが一時ブームになった時期があるんです。私もあの時代に植たんを一生懸命やりました。今はレトルト、それからあと何に使っているかな、魚肉ハム、ソーセージに使っていますね。入れていますね。ああいうふうな使い方があるんですね。  それで、植物たんぱくについて最近余り熱入れてないの。これどのくらいの生産量になっているか、私も調べようと思って一生懸命やったんですけれども、量はわからないんですね。後でわかったら教えていただきたいんですが、アイスクリームの前にもっとそういう手元の一番使いやすい状況大豆をつくって、そして、植たんの用途というのはあるんです。私、あのときにこの植たんをクッキーに焼きました、クッキーに。そうしましたら大島さんにえらい褒められまして、これは大変な開拓だというふうに言われたことがあるんです。実にいいクッキーなんです。  私、今一生懸命国産大豆の需要拡大の話をしているんですよ、大臣。もう確かに一生懸命昔からよくやってきた人はかりなんです。手づくりみそもやってきた、手づくり豆腐もやってきた、国産大豆が一番いいのも一番よく知っているわけ。それにしては熱の入れ方がもう一つじゃないかなというふうに思うんで、もっともっと国産大豆使用のための、今局長、販路拡大の努力とおっしゃいましたけれども、それがやっぱり広がっていけば生産地が一生懸命またつくるようになるんですから、やっぱりこれを一生懸命連動させてやっていくのは非常に大事な課題だと思うんですよ。  それで、豆腐、納豆、みそ、しょうゆ、ゆばとか高野豆腐のようないわゆる伝統食品ですね。これに対して、私、JAS委員やっていたときにミニJASをつくりましてそういうの、地域認定制度をつくって地域認定食品というのを決めて推薦、推奨してあげていた時期があるんですけれども、こういう制度の中でもどんどんやっぱり二次加工食品というこういう種類のものを推薦してあげていって、国産大豆の用途を広げていくというようなこと、こういうものも非常に大事だと思うのね。前は、今お豆腐なんかにしてみれば充てん豆腐のスタイルしか残っていないと言っていいほど手づくり豆腐はなくなってしまいましたけれども、JASの工場認証では充てん豆腐は対象に入っていなかったんです。今どういう状況になっていますか。
  145. 谷野陽

    政府委員(谷野陽君) ただいま御指摘がございましたように、JASの対象といたします品物はいわゆる加工食品で比較的加工度が高いものを中心といたしておりまして、地域的に流通する品物につきましては地域食品認定制度、いわゆるミニJASで対応しておるわけでございます。これにつきましては、ただいま先生指摘のとおりいろいろと御協力をいただきまして現在かなりの品物がミニJASの対象となっておりますが、その中で一番多いのがただいま御指摘の充てん豆腐でございまして、これにつきましては二十五県でいわゆるミニJASが制定をされております。あと大豆関係では油揚げが二十四県、納豆が二十県におきましていわゆるミニJASが制定をされているところでございます。  なお、先ほど植物たんぱくの御質問がございましたので手持ちの資料でごく簡単に申し上げますと、現在植物たんぱくの年間の生産量は六万二千トンでございます。これは、率直に申しまして、現在のところ、搾油をいたしまして大豆と分かれたいわゆる油分以外の部分、これが植物たんぱくとして売られておるわけでございますけれども、これの用途も大変拡大をしてまいりまして、最近はいわゆる物にまぜるのではなくて単独に植物たんぱく食品として、例えば空揚げのような形で流通するような形になってきておるわけでございまして、そういう意味では大豆のたんぱく食品としての認識が高まる上では大変重要な役割を果たしているのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  146. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 いずれにいたしましても、これから国産大豆の使用をふやしていこうとする業者の方が多いんでございまして、五五・一%の人が現状よりなお取り扱い数量をふやしていきたいということを言っているわけです。だから、取り扱いたいのだけれども取り扱いがたい状況一つ一つやはり削除していかなければ、これは伸びないわけですね。だから、そういう意味から言いましても、国産大豆の使用を進めていくために、私は重要な御提言を申し上げていると自分で思っております。  最後に、大臣に一番最初の質問に戻りまして、今回のこの法改正をすることによって、大豆生産の向上が見込めると思いますか、いかがですか。これによって質問を終わらせていただきます。
  147. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 午前中もお答え申し上げたわけでございますが、今回のこの法改正によりまして、国産大豆の振興、そして生産性の向上、品質の改善を図るというのがねらいでございます。そして実需者のニーズに応じ大いにやっていきたいというのが法律の裏にある本当のねらいでございますので、よろしく御審議をお願いしたいと思います。  私も、需要拡大というので今ここで話をしております。先生のおっしゃった小袋というのは、それは一般消費者はどういうルートで店頭へその小袋は並べてあるんだということを両局長に今尋ねておったところでございますが、一般消費者がそういうものに対してさらに入手しやすいように、そして今御指摘にあったような産地とか銘柄とかができるようなことを講じたり、また大豆の用途で高野豆腐のお話が先ほど先生からも出たわけですが、国産ゼロという数字になっておったが違うよと、我が家では寒い夜は豆腐を切って高野豆腐をつくるようにやって、随分使っておるんだからゼロとは言わせないよと、こういうことを言ったりなんかしておるんですが、こういう面もあるいはPR等をやっていきますと、いろいろおもしろい自家用のいい大豆の変わった製品の使い方等も出てくるんではないかと、いろいろ知恵を出しまして、食物用の我が国伝統食品あるいは新規食品を含めて国産大豆で賄っていくように、自給率の向上を図りたいと考えておるところでございます。
  148. 下田京子

    ○下田京子君 法案の質問に入る前に、豪州産牛肉の残留農薬問題で質問します。  二十五日に、大臣、共産党国会議員団として、この問題を重視して検査基準をつくって回収せよ、こういうことで申し入れしました。そのとき大臣は、基準をつくって国民に迷惑をかけないようにしたいけれども回収は難しいなと、こうおっしゃったようなんですが、ただ、きのう発表された内容を見ますと、回収のために努力するようなことがいろいろと書かれてある。これはこれで評価したいんですけれども、ただ御報告いただいたことで果たして問題がないのかという点で大変いろいろ私は問題を感じております。  この点をまず指摘して、最初に農蚕園芸局長に聞きたいことは、この検出されましたDDTあるいはディルドリン、ヘプタクロール、いずれも有機塩素系の農薬なんですけれども、どのような毒性を持つものなのか、そしてかつて我が日本国では四十六年使用禁止に至った経緯、端的にお答えください。
  149. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 先生指摘のDDT、ディルドリン、ヘプタクロールにつきましてお答えをいたします。  これはいずれも有機塩素系殺虫剤でございます。DDTは作物残留性があるということでございまして、昭和四十六年に販売が禁止され、登録が失効しております。ディルドリンは土壌残留性があるために昭和四十六年に土壌残留性農薬に指定されまして使用規制が行われましたけれども昭和四十八年に登録が失効しております。ヘプタクロールにつきましても、これら一連の使用規制の中で昭和四十八年以降農薬としての出荷は一切なくなりまして、昭和五十年に登録が失効しております。
  150. 下田京子

    ○下田京子君 大事なところが抜けているんですが、この有機塩素系農薬、いずれも発がん性物質ということで問題にされている、そういうことですね。
  151. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 今申し上げましたように、農薬的にはそれぞれにつきまして作物の残留性それから土壌残留性及び・・
  152. 下田京子

    ○下田京子君 いやいや、発がん性あるかないか聞いているだけ。あるんです。
  153. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 等について失効をしたところでございまして、私どもそれについてはその疑いがあるというふうに考えております。
  154. 下田京子

    ○下田京子君 そうなんです。  それで、厚生省にお聞きします。今回の豪州の牛肉、この残留農薬問題で第一にはっきりさせたいことなんですけれども、三十検体を検査した。で、WHOの許容値を超えるディルドリンが検出された。これは一・二四ppmというふうに聞いているんですけれども、その他のものがどの程度検出されたのか、いずれ公表いただけますか。
  155. 難波江

    説明員(難波江君) 現在までに検査結果の判明した三十検体でございますが、先生指摘のように一検体からディルドリンが一・二四ppm出たということでございますが、その他の検体については、DDTにつきましてはほとんど検出されないレベル、具体的に申し上げますと三〇ないし四OPPbの範囲で検出されたということでございます。それからディルドリンにつきましては、先ほどの一検体を除きましてほかは一〇ないし三〇ppmぐらいのレベルで、いわゆるバックグラウンドレベルの検出、ほとんど無検出に近い状態であったということでございます。
  156. 下田京子

    ○下田京子君 いずれ資料でいただきたいと思うんですが、次に検査実施機関なんですけれども、これはどの機関が行うんですか。国立衛生試験所及び厚生省の指定した検査機関というふうに発表されておりますけれども、幾つの機関で、何人の体制で、いつまでにやれるのか。
  157. 難波江

    説明員(難波江君) 先ほど御説明申し上げました三十検体、まあその他追加をしてございますが、国立衛生試験所でやっております。きのう発表いたしましたように、今後の監視体制の中での検査は、現在までの厚生省が考えておりますのは八つの検査機関の十三検査施設を考えでございます。
  158. 下田京子

    ○下田京子君 一回言ったらちゃんと答えてください。人数、いつまでとも言ったんです。
  159. 難波江

    説明員(難波江君) 具体的な機関の人数については、私、今承知をしておりませんけれども、この十三検査施設全部で一週間に大体六百検体ぐらい検査できる能力があるということで、検査能力としては十分対応できるというふうに考えております。  それから、どれぐらいかというと、この残留農薬の検査は、通常の状態で行われますと、検体が持ち込まれましてから大体七日間ぐらいで検査結果が出るというふうに言われております。今後どんどん検体を取って持ち込みますので、順次それらの検査結果が出てくるということでございます。
  160. 下田京子

    ○下田京子君 今、八検査所それから十三検査室と言いましたか。
  161. 難波江

    説明員(難波江君) 施設です。
  162. 下田京子

    ○下田京子君 施設ですか。どこどこなのかは後でいいですから資料いただけますね。よろしいですね。
  163. 難波江

    説明員(難波江君) 結構でございます。
  164. 下田京子

    ○下田京子君 次なんですが、生体輸入、これは全体では昨年三万五千頭、豪州から二万八千頭と伺っていますけれども、都道府県等にこれから具体的な指示通達をお出しになって実際の検査をやりたいということですが、どのような通達お考えですか。
  165. 難波江

    説明員(難波江君) 多分きょうじゅうに発送できると思いますけれども、乳肉衛生課長名でオーストラリア産の牛肉に対する輸入監視体制その他を説明した上で、なお都道府県に対しましては、直接生体で輸入されてと畜場で処理されるものについても同様に検査をし、その結果、基準値を超えるものがあった場合には販売を認めないような処置をとるようにということで通知を出してございます。
  166. 下田京子

    ○下田京子君 きょう通達出すのですから通達の中身ぐらい今お話しになったってしかるべきなんですね。これはまた後でいただくことにしますけれども。  次に、DDT、ディルドリン、ヘプタクロール、これらがなぜ牛肉の脂肪中に残留されたのか、えさからの移行と考えられる、こういうふうなお話なんですけれども、原因は明らかになっていますか。
  167. 難波江

    説明員(難波江君) この問題が発生いたしましてから、厚生省といたしましてオーストラリア政府に対してその原因につきましても照会をしてきたところでございますが、現在まで回答の寄せられた中身といたしましては、限定された州または地域においてこれらの農薬が使われたことによりまして環境を汚染し、飼料、水等を介して牛の体内に蓄積されたものだろうというふうに考えているというような回答が寄せられております。
  168. 下田京子

    ○下田京子君 畜産局に質問しますが、現在、今の話なんですけれども、飼料、水等を介して、でもって生体に移行されたと考えられる、こういうことなんですけれども、畜産局は現地に畜産事業団もお持ちですね。それから商社等と連絡もとれますね。ですから、どのようなえさに何が原因でそういったものが使われて、そして生体に移行して残留されたのか、承知していますか。
  169. 京谷昭夫

    政府委員(京谷昭夫君) 私どもも今回の残留問題の発生原因について豪州側の在日大使館を通じて事情を聞いておりますけれども、ただいま厚生省の方からお伺いした以上の情報は得ておりません。
  170. 下田京子

    ○下田京子君 厚生省のみならず、私は畜産局として、つまり農水省として独自にどのような対応をされたかということを伺っているんです、今のえさ等々、そうした原因にかかわるところをみずからの努力で調査されたかされないのか。
  171. 京谷昭夫

    政府委員(京谷昭夫君) 私どもとしては、やはり外国で起こっておることでございますので、外国側の政府に対して、その残留原因について調査の上、その内容を判明次第、我が方にも説明をしてほしいということを申し入れているわけでございます。
  172. 下田京子

    ○下田京子君 全くそれは相手国任せですよ。自主的な責任というものを感じてないんですか。  私があえてなぜ畜産事業団や商社の話を出したんですか。取引商社どのくらいなのか、三十六商社、ここにいただいておりますが、全部申し上げるつもりはありませんけれども、いつも名前に上がってくる問題の三菱商事を筆頭に、これはジエチレングリコールのあの毒入りワインのときも出てきたんです。たばこのディカンバという成長促進剤ですか、そのときにも出ているんです、この三菱商事を含めてそれから三井物産、住友、伊藤忠などなど大手全部あるわけです。そういう商社からの聞き取りなさっていますか。
  173. 京谷昭夫

    政府委員(京谷昭夫君) 私ども輸出農産物の安全確保について第一義的な責任というものは輸出国側にあるというふうに考えておるわけでございます。  確かに我が方も在外公館もございまするし、あるいはまた畜産振興事業団の外国への駐在事務所もございます。あるいはまた、商社活動を行っております会社の店が外国に所在をしておりますが、それぞれ独自の機能役割を果たしておりまして、私ども、やはりこの種の問題というものは相手国政府のパイプを通じて相手国政府の見解をよく問いただして対応をすべきものであるというふうに考えるわけであります。もちろん、その信憑性について必要がありますれば私どもとしても相手国政府の了解のもとに必要な調査をしていくということが通常の方法ではなかろうかと考えておりまして、現在のところ、少なくとも畜産振興事業団駐在事務所あるいは我が方の商社出先等を通じまして今回の原因究明をするための調査は今のところ独自には行っておりません。
  174. 下田京子

    ○下田京子君 必要があれば独自な調査を行うということだけれども必要性を認めなかったということになりますと、大臣、これちょっと問題だと思うんです。つまり——そちらの話聞く前に私の質問をよく聞いてください。六月段階で現地で問題になったんです、そしてそのときに厚生省に連絡をとった。厚生省はすぐにそれぞれアメリカの大使館あるいはオーストラリア大使館に問い合わせを行った。厚生省待ちだったんです、農水省の態度は。いまだに畜産事業団やあるいはまたそうした商社等からの聞き取りをやってないということは、必要がないというふうに、まだ、いまだに感じているということですよ。  私、大臣ね。製造工場、これは当該工場という形で出ているんですが、一体当該工場というのは幾つぐらいあるのかなとなど今聞きたいんですけれども、いずれにいたしましても、独自に情報を得るということも必要です。独自に調査をすることも必要です、そうした上で相手国政府に必要があればきちっとした対応を求めるということなんです。独自の調査を得ること抜きにして全く相手国任せということになれば、発表がなかったら事知らなかったということになりまして、日本の行政のあり方が問われると思うんです、そういう点で、大臣、私はぜひこれは検討していただきたいと思うんです。えさからもしくは水から移行したというふうに推定される、こう言われています。どういう形でそれがやられているかいまだにはっきりしてないんですね。もしえさということになれば、草地だけでなくて濃厚飼料なんかもあるでしょう。麦もあるかもしれません。等々、えさ問題にも発展していきかねぬことだと思うんです。ぜひその点の検討をいただきたいと思います。
  175. 京谷昭夫

    政府委員(京谷昭夫君) 今回の残留問題の原因究明につきましては、私ども引き続き豪州政府に外してその解明なり判断について問いただしていきたいというふうに考えておるわけでおります、その結果をまちまして、私どもの調査が仮に必要であることになりましても、やはり相手国の国内問題でございますので、相手国政府との相談の上でこれは対応していくべきものだというふうに考えておるところでございます。  それからまた、えさあるいは水を媒介にして今回の問題が発生しているのではないかというふうな認識が相手側にもありますし、その可能性もあり得ると思っておりまして、さすればその原因解明の上に立ちまして、こういった汚染問題が発生することを防止するための具体的な措置を相手国政府にやはり求めていきたいというふうに私ども考えておるわけであります。
  176. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私はことしの一月オーストラリアに参りまして、ある農場を視察いたしました。主として日本向けの牧場であったわけでございます。そのときあの水の状態はどうであったかな、あるいは、牧草を相当刈って積んでおりましたが、あの牧草かな、あるいはえさをやっておるところ、あるいはその場所も視察したりなにかしたんですが、そういうことを思い浮かべながら御質問を承っておったところでございますが、先ほど畜産局長がお答えいたしましたように、過度の内政干渉的なことにならないように、しかしまた、ある面では安全な肉類を国民に安定供給する、そういう問題を十分配慮しながら関係省庁とも、そしてまたオーストラリア政府とも緊密に連絡をとりながら、安全という問題を重視していく行政を展開していこうと考えております。
  177. 下田京子

    ○下田京子君 大臣がおっしゃるように、内政の干渉にならないようにというのは当然なんですが、同時に自国の自主性、今おっしゃったように、安全な食糧を安定的に国民に供給するという責任からして、私繰り返し申し上げておりますけれども、独自に商社、畜産事業団、これらの聞き取り等は当然なされるべきだというふうに承知いたします。よろしいですね。
  178. 京谷昭夫

    政府委員(京谷昭夫君) 私ども、この原因究明問題については第一義的にまず豪州政府からの回答をこれからも追求をし、また必要な措置についても豪州政府の内政問題としてまず処理をしてもらうということが本来の姿であろうと。その過程におきまして必要な調査活動等が必要でありますれば、私どもの出先機関を通じまして必要な情報を収集し、相手側の改善策を促進するよう最大限に努力をしたいと思っております。
  179. 下田京子

    ○下田京子君 あくまでも商社、畜産事業団からの独自の調査をやるかやらないかというのをはっきり答えてないじゃないですか。やるんですか、やらないんですか。私は必要だと思うんです。  そこで、大臣に資料を届けてくれませんか。  問題は、相手国政府云々というのは、これは私は大事だと思うんですよ。しかし日本に入ってきている問題からも検出されているんです。お聞きしましたところ、実は豪州産牛肉の残留農薬だけについて今回は検査を強化するということなんです。ただし、これを契機に食肉全体についての残留基準値を暫定的につくったと、この暫定的につくったということは必要なことなんです。しかし検査は豪州産の牛肉しかやらないということになると問題です。  何が問題か。ちょっとごらんください。東京都食品衛生監視員協議会、これは東京都衛生局の研究室が五十七年から六十一年までに行ってきたものなんですけれども、特に「食肉類」のところをごらんになってみてくれませんか。食肉は十一種類二十八検体行っております。そして、どういう結果が出ておるかといいますと、ページ二十六のところをごらんください。どういうふうになっているか。  「二十八検体中十八検体から農薬を検出し、検出率は六〇%と高かった。食肉の種類別検出状況は、母数が四以上のものでは鶏肉一〇〇%、馬肉六〇%、牛肉三三%、豚肉二五%」ということで、特に鶏肉の検出率が高いというんですね。特に余り食べられておりませんけれども、ウサギ肉やスズメの肉からはBHC、DDTの検出量が高かった。確かに基準値以下ではあったけれども、こういったものから検出されたということなんで、別途(「スズメも輸入しておるんか」と呼ぶ者あり)スズメも輸入しているんですよ。それで見てください。これが六十年度と六十一年度と。大臣、厚生省にだけ回しちゃって、ごらんになってないじゃないですか。それがだめなんだって言うの、厚生省任せにしちゃ。局長、何にやにやしながらやっているんですか。おかしいですよ。もう笑ってなんかおれないじゃないですか。  細かく言いませんけれども、例えば豚肉なんかもオーストラリアだけじゃないんです。韓国産の中から出ているんですね。馬肉はアメリカなんですよ。それから、いやスズメもかと言ったけれども、これ中国なんです。鶏肉はタイなどなど。ということで、資料を後でよくごらんいただきたいんですが、畜産局長、こういう情報を知っていましたか。
  180. 京谷昭夫

    政府委員(京谷昭夫君) 具体的に拝見しましたのは初めてでございます。
  181. 下田京子

    ○下田京子君 厚生省、御存じてしたか。
  182. 難波江

    説明員(難波江君) 食品衛生監視員協議会の研究成果として、東京都から入手しておりました。
  183. 下田京子

    ○下田京子君 いつ入手したんですか。
  184. 難波江

    説明員(難波江君) 七月上旬でございます。
  185. 下田京子

    ○下田京子君 つまり発表されてからなんです。私はこの種の研究をやられていたというのはもう昨年から知っていたんです。ただし基準値を超えてないと。しかし日本では輸入食肉についての基準がないから、これはいつか問題を提起しなきゃならないなと思っていた。先ほど他の委員に対して、世界各国、いろいろ水際チェックができるように情報等集めているとおっしゃっていましたが、情報集めてないですよ。情報を集めているんだったら、こういうようなことが現地のアメリカの新聞で問題になって初めて出るなんということはないと思うんです。そういう点で大臣、私は重ねて言いたい。独自に調査、聞き取りというのが大事なんです。  もう一つ、牛肉だけでなくて、こういう状況ですから、問題が起きてからではなくて、せっかくつくったこの食肉輸入についての基準、これに合うような形で速やかに情報を得る。と同時に、それらにやっぱり検査が行えるように体制をこれから強化していただくための検討をしてください。
  186. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 厚生省ともよく相談し、また他の関係省庁とも相談して、安全という問題には十分に配慮していきたいと思います。ただ、先ほどから先生のお話をずっと承って、もし私がそれにイエスというようなことを言いますと、ほかの方面に利用されて、JCIAをつくる意向があるというようにとられてもかないませんから、そういうことは私はお答えしないことにしております。
  187. 下田京子

    ○下田京子君 ただ、検討の必要はあるでしょう。さっき言ったように、今回の事件というのは、安全基準もなしに農産物を輸入して、拡大していくことがどんなに、大臣が言われておるように、国民に対して安全な食糧を安定的に供給するという点から問題があるか。そういう問題を投げかけたことだということの御認識はございますでしょう。
  188. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) あります。
  189. 下田京子

    ○下田京子君 それが大事なんです。であったなら、具体的な対応という点で、私はやはり相手国任せでなくて、本当に輸入依存で、今またアメリカからそういう要求が非常に大きくなっている。  実は大臣、私きょうこれは御質問しませんけれども、紹介だけしておきます。これはアメリカの牛肉の話なんです。今度はECからやられているんですね。ECで輸入したアメリカの牛肉に成長ホルモン剤が使用されている、とんでもないから輸入禁止するぞという話があるんですね。かつてこの成長ホルモン剤が残留している牛肉を食べたプエルトリコで三千人も異常成熟児ができて、十五カ月で乳房が大人のようになっただとかというようなことも報道されていることをいただいております。こういうことについて後ほどまた機会を見て御質問しますけれども、本当に日本政府が責任を持って今不足する物のみを輸入する、しかも輸入に当たっては万全な基準を設けて、しかもきちっとした体制をとるということがいかに大事なのかということを繰り返し私は指摘しておきたいと思うんです。  次に、法案の質問に入ります。法案に即して御質問を以下申し上げますけれども、今回販売を主たる目的として生産を行っている生産者の生産費を価格算定の一つり要素に入れてきましたね。衆議院の答弁を見ますと、基準を決めるのだったら二十から三十アール規模を区切りにしたいんだと、こういう御答弁がなされているんですけれども、この規模の生産農家数、収量数、販売量、幾らでしょう。
  190. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 一つの計算といたしまして二十アール以上の収穫面積の階層といったものを具体的に考えております場合の作付面積、これは八千九百ヘクタール、農家数におきまして二十万戸強でございます。
  191. 下田京子

    ○下田京子君 二十アールは全体のどのぐらいになりますか、シェアとして。
  192. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) シェアで申しました場合に、作付面積でいきますと、全国計が十三万八千ヘクタールというふうに一応置きますと、シェアの数字から六五%に達するのではないかと考えます。一方農家戸数でございますが、今申し上げました数字を全国計で割ってみますと、この全国計の場合百二十八万戸というものをとりました場合に一六%になります。
  193. 下田京子

    ○下田京子君 収穫量、販売量は計算できないんですね、お答えがないから。大豆の作付規模が全国平均今七アールでしょう。北海道を除いて他の都府県の平均が六アールですね。十アール未満の都府県は七七・五%を占めているんですね。北海道でさえも四七・四%ということになりますね。ですから二十アール以上の生産費ということで、その平均値で価格を考えるんだ、こういうことになりますと、この大部分の大豆作農家というものが政府の価格政策から除外される、こういうことになりますね。
  194. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) この法案の考え方でございますが、基準価格の算定に関連いたしまして、現行のパリティ価格を参酌する方式から、販売することを主たる目的として大豆または菜種の生産を行っていると認められる生産者の生産費というものを参酌する方式に改めようとしているわけでございます。そういう形になりますれば、やはり主たる販売を行っているという形になりますれば一つの積算として今のような形になろうかと思います。ただ作付面積等につきましては今お答えしたとおりでございまして、約六割を超えるという形になろうかと思われます。
  195. 下田京子

    ○下田京子君 ですから、今お認めになったように、販売を主たるという形で今度生産費の出し方をも変えていくわけでしょう。だから結果として大豆作農家の半分ぐらいが価格政策から除外される、否定されなかったわけですね。平均生産費は「販売することを主たる目的」という形にしていった場合に、それに限定していったときに基準価格というのは幾らぐらいになりますか。
  196. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 基準価格の積算につきましてはやはりこの価格の決定前にお示しをするといいますか、試算につきましてお話をするということにつきましてはやはりいろいろと問題が起ころうと思います。また、私ども考え方といたしまして、先ほど来申し上げておりますように、この法律案を成立さしていただきました後、具体的な算定方式について関係者の御意見を大豆研究会の場ということを通じましてお聞きをし、それで決めていただきたいという考え方でおりますので、そういう意味で、事前にここで幾らというような具体的な数字をお示し、お答え申し上げるということは現時点で差し控えさせていただきたいというふうに考えます。
  197. 下田京子

    ○下田京子君 それじゃ、角度を変えますが、販売を主たる目的として生産を行っている生産者の生産費、その生産費はお出しできますか。整ってますか、数字が。
  198. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 私ども、この価格算定の前に統計情報部から出てまいります生産費、そういったものに基づきまして計算をするという形でございまして、そういう意味においてまだ私どもその生産費というものを入手しておりません。
  199. 下田京子

    ○下田京子君 いいえ、昨年の六十一年なら六十一年であってもサンプリング調査というのを行ってやっているわけですから、法律が通ったらすぐに今のような形で販売を主たる目的とした生産を行っている農家のいわゆる生産費でいくわけですから、それで計算ができる、きちっとした基礎的なものは整っているのかと聞いているんです。私はレクチャーのときには整ってないと伺っておりました。サンプルは九十だ、なので無理だと。六十二年から百九十に伸ばしてやっていくから実質来年からは可能かなと言っていたんですよ。どうなんですか。
  200. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 具体的に私お答えしたわけじゃございませんのであれですが、私の同僚がお話を申し上げたと思います。このことにつきましては、具体的にそういう数字に基づきまして、法律に基づいて改正された生産費という形で価格の決定の時期においては本年度、この法律が可決していただければ本年度におきまして、来年度以降を含めまして、それで計算をしてまいる条件が整ってまいると思います。
  201. 下田京子

    ○下田京子君 六十二年産について生産費に基づく計算できるんですね。
  202. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 私どもはデータでもそろえまして、それに基づいてやりたいというふうに考えております。
  203. 下田京子

    ○下田京子君 やりたいというんじゃなくて、やれるのかと聞いているんです、私は。
  204. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) やれる条件が整っているという意味でございます。
  205. 下田京子

    ○下田京子君 じゃ、もう繰り返しやめます。いずれにしても、それでしたらお示しいただきたいと思います。もう十月、間もなく価格決定ですからそのときにわかるでしょう。  次に、需給動向と経済事情を参酌して云々ということが書いてあるんですけれども、現行法二条二項一号の中には需給動向を参酌するという条項はないんですね。今回なぜ入れたのかということなんですが、恐らくこれは国際的な需給動向を参酌するということではないんだろうか。つまり、そうなりますとどういうことか。国際的に生産量が今一億トンですね。輸出量が二千百万トン、在庫量は二千四百万トンで史上最高で、何と生産量に対して在庫量二四%ということになります。ですからこういうことと無関係ではなくなるんだよということに理解してよろしいんでしょうね。
  206. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) これは先ほど稲村先生のときの議論もありましたけれども、この時点で私の解釈といいますか、私どもの解釈について申し上げたいと思います。  御案内のとおり、今回三つの要素を・・
  207. 下田京子

    ○下田京子君 もう端的に答えてください、質問していることに。
  208. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 端的に申し上げまして、やはり先生のおっしゃる点の国際的需給一億トンとかいうようなベースの問題は第三の範疇というふうに理解しております。
  209. 下田京子

    ○下田京子君 三つの要素がある、第三の範疇に入ると。しかし、いずれにしてもそれは大きな要素になるわけですね。これはどういうことを意味していくかといいますと、御承知のように、大豆というのは投機商品ですね。その代表みたいなものです。市価も相場で決められるんですけれども、この乱高下たるや物すごいものでしょう。昭和三十五年に一ブッシェル当たり二百十五セントでございましたのが四十八年になりますと七百二十セント、ところが五十年は五百四十九セント、逆に二年後、五十二年で七百十セント、今、六十一年ですね、これが五百十四セント、非常に乱高下する。それから日本に対するCIF価格がどうなっているか、資料をいただいておりますけれども昭和三十五年、トン当たり三万四千二百八十円、ところが大豆パニックの影響を受けて五十年、トン当たり何と八万三千八百三十八円ですね。そして現在、六十一年です、三万八千七十一円ですけれども、これは異常円高の影響の中だと。いずれにしてもこういうことの中に日本大豆をもさらしていくということは、これは否定できないわけですね。
  210. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) その他の事情という中で、外国のそういう事情、あるいはグローバルな、世界的な規模での過剰状況というものを勘案するかという点につきましては私ども肯定的に、肯定的にといいますか、そういうことだというふうに申し上げます。ただ先生のお話のように、しからば、じゃ、そういった乱高下あるいは商品の市場におきますいろいろな値動きを、そのもの自体を奇貨といたしまして、価格の中に反映するかということは私どもややそれについては否定的であります。  というのは、これまさに先生が御質問の中でおっしゃったように、そういう具体的な乱高下自体のものをつかまえるということはなかなか難しゅうございます。私どもは第一におきましてやはり第一のカテゴリーの中に出しました生産費等々の生産条件というものを土台に考えまして、それに付加的にと申しますか、後順位の需給の状況、さらに全国的、世界的な状況というものを参酌条件という形でやや抽象的に申し上げましたが、勘案していくべきだというふうに考えております。したがいまして、先生の御質問のように、具体的なアップダウンを繰り返しているものを如実にといいますか、そういうものの反映というのは事実上にもなかなか難しゅうございますので、先生の御指摘の点については、前半についてはイエスであり、後半についてはノーであるということでございます。
  211. 下田京子

    ○下田京子君 国際的な需給事情を参酌するということは否定してないわけです。これはどういうことかとなると、結果としてこういう価格の乱高下が国産大豆の価格にも反映してくるんです。いみじくも、それでもって、内外価格差が云々でもっていろいろな攻撃の材料にも使われているんです。  そもそもこの法律昭和三十六年当時制定されたときにどうであったか思い起こしてください。私も会議録読ませていただきました。政府原案の中に、パリティ価格及び生産事情、需給事情、その他の経済事情を参酌して基準価格を決めるというふうになっておりました。ところが、国会で修正されたんです。どこがというと、今問題にしている需給事情なんです。落とした理由は何か。そのとき当時の安田食糧庁長官はこう説明されております。昭和三十六年十月三十一日付の参議院の委員会での内容なんですが、かいつまんで申しますと、「需給事情を端的に現わすというと、貿易の自由化の供給が非常に多くなる」、「特に需給事情と書くのは影響もよくないだろうというので削られ」たというんですね。こういうことなんです。しかも、当時大豆の自給率はどうだったかといいますと、御承知のように三八%、現在わずか五%なんです。こういう状況からいきますと、この需給事情を反映させるということがどんなに影響が大きくなるかという点ではこれは否定できませんね。
  212. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) この法律ができまして二十五年たっているわけでございます。先生指摘のとおりでございまして、当時の自由化の問題、あるいは先ほど来諸先生から御指摘のある四十七、八年の問題、それから現時点というものにつきましては、やはり相当の基本的など言うべき状況が変わっております。  特に四十七、八年を前後といたしまして、世界的に六、七千万トンオーダーでありましたものが、やはり各国の需要等の緩和あるいは生産増強によりまして一億トンのオーダーにならんとしております。そういう状況は、極めて大きなこの大豆の生産、大豆の需要といったようなものを取り巻く変化だというふうに理解しております。したがいまして、そういうものの反映というのは、先ほど制定当時のお話をお聞きになりましたが、そういう点を十分勘案しておりますけれども、具体的に変化といったようなものの大きさというものも考えているところでございます。
  213. 下田京子

    ○下田京子君 いいですか。今の変化を考えたら、むしろ国内の生産量、自給率をどう高めていくかということを柱に置かなかったら、国際的生産量一億トンでしょう。しかも、すごくだぶついているわけでしょう。なのに日本はわずかの自給率五%になっているんですよ。こういう状況の中で考えるとなれば、正しい答えは、国内にあって生産振興、自給率向上、これが百点満点の答えだと思うんです。そう理解してよろしいんですね。
  214. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 先ほど来大臣及び私から申し上げてお答えもしておりますように、この大豆におきましての国産大豆の優位性、品質のよさ、それから流通の問題あるいはその他から、私ども現時点におきます基本的問題としては生産の振興である、さらにその結果としての自給力の向上であるということはたびたび申し上げているわけでございます。そういう意味におきまして先生指摘のとおり、生産部面におきましての生産増強、生産の振興ということはおっしゃるとおりでございます。
  215. 下田京子

    ○下田京子君 自給率の向上でなくて自給力の向上と生産振興ということですが、いずれにしても国産大豆の生産を振興させていこうということは否定されなかった。  じゃ、次に聞きたいことは、また経済事情等も参酌してということが入っている。この「経済事情」というのは何を指して言うのか。私ずばり申し上げまして、政府の財政事情のことじゃないかなと思うんですが、違いますか。
  216. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 先ほどこの点に関連しても御質問がありまして私がお答えいたしましたのは、畑作物相互間の価格の関係あるいは米麦価との関係等を申し上げたわけでございます。  ただいま先生指摘の財政事情の問題が入っていないかということについては、私どもその場合も勘案する一つの項目としてあり得るだろうというふうに考えておりますが、私どものこの場合、物価その他の経済状況といった点につきましては、大豆以外の分野というような意味におきまして、第一義的に例年どおり私どもが価格を決める際に総合的に決めております畑作物の相互間の価格関係といったものが一番重要であろう、そういうことでそれが中心になろうと思います。そういう意味でございます。
  217. 下田京子

    ○下田京子君 畑作物が中心だとおっしゃいましたけれども、食管法の規定の中には経済事情というのは今度入ったんですね。そして生産者米価を三十一年ぶりに引き下げた経過を考えますと、大豆なたね交付金の規定も全く同じなんです。だから、経済事情はこれは専ら私は財政事情じゃないか。これは入るか入らないかというと、それは入りますということなんですけれども、農政審報告を見ましても「転作による生産量の増加及び販売価格の低下によって財政負担が増大しており、ますますその傾向が強まるおそれがあるため、現行制度の見直しが重要な課題となっている。」のだというわけでもって、いろいろとまだ条件が整ってないのに、まず現行価格の政策の見直しということが出てきたんではないかと思うんです。この財政負担の軽減ということがやはりまず目的であって、次に生産性向上というのが手段になってきているんではないかというふうに私は理解できるんです。  なぜかというと、これは端的に聞きたいんですけれども、六十一年産大豆、六十二年当初予算でもって交付金は二百三十六億円でしたね、予想。実際には三百十億円の見込みになるだろう。では六十二年度産の大豆はどうなのかということなんですが、これは農水省、昨年十二月末に試算されていて北海道の農協中央会の資料等にも出ているんですけれども、四百六十億円になる。つまり二百三十億から三百十億になって四百六十億になる。だから、もう何が何でも、財政的な負担はどうにもならないのでこれを削れ、農政審も言われているのでこれはやろう、こういうことになったんじゃないんですか。
  218. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) まず、具体的に財政負担の本年度といいますか、本年度産が四百六十億になるというような状況ではございません。確かに先生指摘のとおりいろいろな試算がございますので、一部のそういう試算の中に我が農蚕園芸局の事務、ベースでいろいろの試算をやったということを私は否定しておりませんが、現実に今おっしゃったような金額、ただいま六十一年産でいきますと三百八億でございますけれども、例えばそれが一挙に四百六十億というようなことというのは現実的なことではないと私は思っております。  それはそれといたしまして、先生指摘のように財政的な観点からこの法律を考えたのかということについては、基本的な考え方という形においては違います。私どもは、先ほどからるる申し上げておりますように、私どもの対応しております国産大豆というものをこれまでの状況からより振興をしていこう、そういったような状況において、現実に置かれておりますのは、甚だ残念なことではありますけれども、私どもの国産大豆に対する要請というものが多い。需要が多いというにもかかわらず、それに対して十分こたえていない。そういったような品質の問題であるとか、あるいは他作物についていろいろな条件があったと思いますけれども、生産力の増強というような点で十分でなかったというようなことから、あるいは地域間の格差が極めて大きいわけでございます。こういう作物を抱えているという中で高位平準化をやっていこう、そういうことから考えているわけでございまして、そういう一つの経済情勢、生産状況というものの背景といいますか、あるいはそれを取り巻く一つの因子といたしまして財政事情があることは私どもも絶対に否定はしませんけれども、それが目的であるというようなことではございません。
  219. 下田京子

    ○下田京子君 目的でないということだけれども、それも一つの大きな理由だということは否定してないですね、  それで、品質向上だとかあるいは生産性向上だ、こうおっしゃっておりますけれども、今度種類、銘柄、品質別の格差導入ということも入れているんですね。じゃ、これを一体だれが決めるのかというと、これまた時間がないからあれなんですけれども、今後研究会で検討していくんだということなんでしょうが、この銘柄等を研究していくメンバーというのは今の大豆研究会のメンバーが大体やられるんですか、いつその結果決まるんですか。
  220. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) この法律の実施等に関連いたしまして大きい問題の一つという形で今先生が御指摘の点ございます。大豆研究会につきましては、私どもの中で学識経験者あるいは生産者、あるいは生産者に関連する各地域の、各地域といいますか、北海道あるいは九州の行政部局の方々も入っていただいたということでございますが、私どもはこの具体的なお集まりいただいた方々のメンバーでできれば御議論をしていただきたい、端的に申しまして大豆研究会のメンバーでこの点について御議論をしていただきたいというふうに考えております。
  221. 下田京子

    ○下田京子君 種類、銘柄、品質格差、どういうふうにしていくかということはこれからだと言っているんです、まだ決まってないのに法案を通すというわけでしょう。これも全く道なんです。ですから、なぜこういうことをしなきゃならないのか、一体必要なんだろうかということなんですけれども、品質格差の問題なんですけれども、現実には今基準価格そのものは一本で決められております。実際の取引については、これは二等がゼロになって、一等になるとプラス二百円で、でもって三等になるとマイナス二百円、四等はマイナス五百円、こういうことになるわけですけれども、今回の法案通りまして、決まれば、この等級間格差はさらに拡大していこうと、こういうことになるわけでしょう。
  222. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 具体的にどのくらいの格差をどういうふうに拡大していくかという問題については、率直に申し上げましてまだ現時点で煮詰めていないわけでございます。先ほど来申しておりますように、研究会のメンバーの方々からの御意見を聞いていきたいと、こういうことでございます。現実には、先生もう既に御指摘のように、一つの商品の流通として格差があるわけでございます。そういうようなことでございますので、現在私どもは基準価格が一本になっているのをそういうような実態に反映をしていきたいということでございます。
  223. 下田京子

    ○下田京子君 そういう格差をどうするかということは研究してこれからだと言うんですけれども、私これ必要じゃないと思うんです。だから検討して必要でなかったらおやめなさいよ。  どのくらいの格差になるかということで計算できないかと聞いたんです。麦のモデルを伺ったんです。私は今大きくは申し上げませんけれども、麦の場合には格差がついているんですね。六十二年産で麦は一等が一万八百二十五円になっています。大豆の場合には六十一年産ですけれども一万六千九百二十五円、こういうことで大豆は一・六倍になっております。麦の一等と二等の価格格差は幾らかというと四百三十五円なんです。これをそっくり大豆の方に当てはめますと、一・六倍ですから六百九十六円、ざっと七百円の格差になる、こういうモデルが出てくるんですね。  私が冒頭今言いましたように、実需者のニーズに応じるというふうなことで今回こういう品質格差を設けるんだというような話なんですけれども大豆供給安定協会、これは会長さんは農水省のOBの堀川さんなんですけれども、この方が中心になって「国産大豆利用促進流通消費等実態調査報告書」というのを昨年九月に提出されておりますね。その意向を見ますと、国産大豆の利用をふやしたいという方が五六・四%、減らしたいという方はわずか二・六%なんです。ふやしたい理由は、製品の味がいい四五%、高く売れる二五%、国産の品質がよいと、こういうことになっているんですね。だから圧倒的に、今局長がずっと言われておりますように、国産大豆の利用をふやしたいんだと、こういうことなんです。その中でこういうことを言っていますね。国民食糧は自国生産品を基本とすべきだ、同時に品質問題にあって、同一品種の場合、等級間格差は必要じゃない、さらに高品質、上位等級への格付率を向上させるというのは収穫以後の作業過程の問題にかかわっているんだと、こういうような御指摘されております。  ちょっと長くなりますが、もうまとめちゃいますと、その報告書の「むすび」のところではどう言っているかというと、高品質それから上位等級への格付率を向上させるためには体制の整備が今必要なんだ、そのためには一定時間がかかりますよ、こういうことも言っているんです。だから地道に着実にその解決を図っていかなきゃならない、こういうことを言っているんです。なのに法律を先に出して品質格差を拡大して固定化していこうというのは問題だというふうに同報告からいって言えるんじゃないでしょうか。
  224. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 先生お引きになりました報告等についての一つ考え方は、具体的に私詳細に読み尽くしてはおりませんけれども、そういう考え方もあろうかと思います、ただ、議論をいろいろしていただきまして、提出をしていただいた大豆研究会におきましては、具体的にこの品質の問題について、やはり良質の生産の誘導策として導入すべきだという御提言、御報告を受けているところでございます。
  225. 下田京子

    ○下田京子君 この大豆供給安定協会は、一つ考え方ですか。  私さらに申し上げたいのは、「現代農業」という雑誌に書いてあります「豆腐屋が喜ぶ紫斑病ダイズ」、この紫斑病というのは被害粒の代表的なものなんです。厳しいチェックをされます。ところが、詰めてぱっぱっとやるとなくなっちゃうんです。お豆腐というのは皮じゃない、中を使うんです。しかも、この紫斑病の大豆というのはコクがあって歩どまりもいいというふうなことがちゃんとありまして、国産大豆の需要を大歓迎、豆腐屋さんが喜ばれる紫大豆、欲しがっているんです。しかもお豆腐の場合には国産大豆が五五%を占めているということなんです。こういう点からいきましても、品質規格を導入するというようなことは私はやっぱり無理があるんじゃないか。お豆腐屋さんがわかるように説明してください。
  226. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 品質の問題につきましては、やはり基本的な良質のものと良質でないものというのがあろうと思います。今先生がおっしゃったのは、私のそんたくするところ、基本的な品質のよさというものと具体的な実施の場合におきます価格との関係からどちらが商売に有利かというようなことの問題点の問題的な指摘発言だというふうに思っております。もちろんそういう意味におきまして、やはり現行の流通の中で規格というものは現にあるわけでございますし、既に実態上におきましても何らかの差で取引をされているというのが大勢でございます。そういうものの中でやはり一般の人たちが基準となるような規格のもとでそういう品質の差が合理的に納得のいくように決められるというのが、私はやはり筋ではないかというふうに考えております。
  227. 下田京子

    ○下田京子君 そうでしょうか。皆さん方がよく参考にされますが、国際的な中でも、大豆生産の大半を占めるアメリカで銘柄規格ございますか。等級はありますけれども、ないですよ。しかも、それらがどっと輸入されてきているんです。同じようにそれが国内で利用されているんです。なのに、日本にあっては厳しい銘柄規格がどうして必要なのかということなんです。  これはもう指摘にとどめますけれども、さらに申し上げたいのは限度数量です。この限度数量がどうなるかという点で大変心配されているわけですけれども、生産性向上、品質向上、これを誘導するために一定限度数量を決めるわけですけれども、五十九年度から、大豆、これは一部規格外大豆が除外されるようになりました。六十年になって全部除外された。四等大豆は六十一年に五〇%除外されて、六十二年に全部除外されたんです。ですから、現実にこうやって運用上は改悪してきたんですね。問題なのは、今後三等まで除外していくんでしょうか。
  228. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) ただいまお話しのように、規格外あるいは四等大豆といったものを現実の問題といたしましてアメリカから導入される品種との対抗上というような観点も含めまして実施をしてまいったことは事実でございます。そういう意味におきまして、先生指摘の三等大豆というようなものについてどういう扱いかということでございます。私どもの現時点におきます考え方におきましては、三等大豆というものにおきましては、もちろん一等大豆、二等大豆に比べましての劣位はあるわけでございますけれども、この点におきましては諸外国との競争というものについて対抗し得る品質を持っているというふうに思っております。したがいまして、今後の生産の振興等において三等大豆を現時点におきまして切っていくとか、あるいはそういうふうなものを特別な扱いにするというようなことは現時点では考えておりません。
  229. 下田京子

    ○下田京子君 現時点で考えていないということは大事なことです。ただ、それはあしたまた考えるというようなことも残してくるわけです。そういう問題があるということを指摘しながら、この限度数量なんですけれども、政令で三十一年—二十四年の平均販売数量などを参酌して十九万トンにすると、こうなっているんですが、長期見通しとの関係でいけば十九万トンでは私は問題だと思うんですね。全体の長期見通していけば四十二万トンということを言っておられます。この四十二万トンというものが現在の交付金対象比率では五六%ですから、それを掛けますと二十三万五千トンということで十九万トンを上回ります。それから、現在の自家保有販売量ですか、これ十一万七千トンですから、これから見ても三十万三千トンということで十九万トンを上回っているわけです。  いずれにしても、長期見通しそのものをも四十二万トンでいいなんということは思っておりません。しかし、さっきおっしゃったように、生産振興、自給率向上ということになれば当然十九万トンが限度だということにはならないでしょう。それをさらに伸ばしていこうというふうに理解して当然でしょうね。
  230. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 今の点につきまして、限度数量をどういうふうに考えていくかという問題を御提起になりましたけれども、具体的な数字として私どもその数字を幾らにする、あるいは今お話しの三十一年から三十三年の大豆の平均出回り量の数量の十九万トン強の問題との関連づけでどうする、こういうことを今の時点では考えておりません。
  231. 下田京子

    ○下田京子君 そこが大事なところなんです。財政事情は考えてないとか、国際的な需給はそれは第三番目の柱だとか言われておりますけれども、実際に国産の大豆をどれだけ高めていくかということは本当に大事なことなんですよ。考えていけば、十九万トンじゃなくて、むしろそれはふやしていきたいという方向だということでしっかり数字が出てしかるべきじゃないですか。ですから、こういう点でやはり大豆振興、農家の生産意欲向上というなら、十九万トンを限度としてなんということではなくて、やはりさらにそれは量を拡大していく、むしろ財政的にも価格政策の改悪で本当に問題を起こさないように農家の再生産と所得を確保していく方向を考えることだということを私は申し上げたいんです。私は、今回の価格政策の見直し方というのは大豆の第二次安楽死政策じゃないかと申し上げたいんです。  るる言いたいことたくさんあるんですが、それはなぜかというと、大豆は御承知のように輸入制限一切ありません。関税もありません、いわば丸裸でしょう。国際的には、何度も申し上げておりますけれども、空前の過剰で相場も低迷しているでしょう。それを理由に内外価格差縮小ということでもって大変な攻撃も受けて、そして国産大豆の価格を引き下げていこうというわけじゃないですか。輸入もふやしていく、こういうことになったら一体どうなるかということはもう明らかなんです。  私は、問題さらに言いたいのは、日伯セラード農業開発事業なんです。このセラード開発というのは、第一次の試験事業で七九年から四年間でやられましたね。第二次の段階に今入っておられると思いますが、大豆について作付面積、第一次で一万六千百四十五ヘクタール、拡大計画一万六千百九十九ヘクタール、合計して三万二千三百四十四ヘクタール、間違いないですね。
  232. 眞木秀郎

    政府委員(眞木秀郎君) おっしゃったとおりでございます。
  233. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、このセラード開発について具体的に融資等もやられているわけですけれども、海外経済協力基金を通じて何百億円、何%融資されているんでしょうか。
  234. 眞木秀郎

    政府委員(眞木秀郎君) 海外経済協力基金の方は本格的事業に充てるための費用として融資を行っておるわけでございますけれども、現在までの貸付額は百九十六億八千万円でございます、
  235. 下田京子

    ○下田京子君 融資率。これ二・五%の低金利で融資して、融資額は第一段階で五十一億です。拡大計画においては三百四十九億、合計四百億円です。大臣よろしいですか。問題なんですよ。面積でさっきお話し申し上げましたように、これ合計いたしますとどうなるか。三万二千三百四十四ヘクタール、これだけの作付は、これは日本大豆作付の何と四分の一に匹敵するんです。北海道の作付面積の一・四倍に当たるんです。しかも、今、国内大豆生産農家が非常に苦しんでいるときに二・五%の低利融資、こういうことを行っているんです、そしてその生産量も大変ふえております。こういう状況で本当にこれからまた拡大していくということになりますと、今申し上げましたように世界的に一億トンの大豆生産がなされているのに、ブラジルでの大豆生産を振興させて、それで日本への輸入をして国産大豆がつぶされるというふうな図柄が出てくるじゃありませんか。このことについてどうお考えですか。
  236. 眞木秀郎

    政府委員(眞木秀郎君) セラードの拡大計画におきましては、試験的事業とそれから本格的事業を加えまして、約十五万ヘクタールの耕地をつくるということになっておるわけでございますけれども、その中で現在大豆先生指摘の面積ということでございます。そのほかの作物もあるわけでございます。  いずれにいたしましても、現在の大豆のこの地区の生産量といいますのは、ブラジル全体の作付面積九百二十万ヘクタールに比べますと〇・四%ということで、ごくわずかでございます。我々といたしましては、開発途上国援助ということで、中長期的に見ればやはり先進国での過剰というものは二十一世紀になった時点において開発途上国の食糧不足をようやく補てんするというような状況でございますので、中長期的に見ましてこの開発途上国援助の一環として、世界の食糧需給の安定という、そういう見地からこの事業を行っているわけでございます。また、これは直ちに開発輸入ということを目的にしているわけじゃございませんで、結果的に、ブラジルの大豆が今でも百二十万トン程度輸出されておりますけれども、セラード地区の中のものが来るということはあり得ますけれども、直接に日本への開発輸入等を目指してやっているものではないということを申し上げておきたいと思います。
  237. 下田京子

    ○下田京子君 いずれにしても、今第一次で全体で六万ヘクタールの規模の中で試験事業のときに大豆だけで一万六千ヘクタールやった。これは平均しての話で、多いときには約二万四千ヘクタール作付やっているんですよ、ですから、本格事業も含めましてこれを仮に倍にいきますと、さっきも申し上げましたけれども、国産の二分の一ところか半分を超えるような作付面積になるんです。今、経済局長はブラジルにおいてはわずかだということを言いましたが、日本に比べたらどうなるかということなんですよ。大変な状況なんです。現在であっても日本の作付面積の四分の一にも当たると言うんです。それが拡大されていったらば六割を超えていくことになるだろう。あげくの果てに二・五%の低利融資ですよ。  そして、何とこれはだれのためにやっているのかということと、申し上げますと、今おっしゃいました開発途上国への援助は必要です。しかし、それらが本当にその国の人々のために役に立つものかどうなのかという点なんです。ここにもまたいろいろ出てくるんですが、商社が押しなべて悪いとは申し上げませんけれども、かなりの商社がずらっと参加しているんですね、全部一覧表ありますけれども。そしてこれらの事業に全部関係してきているんですよ。低利融資でもって、商社が絡んで日本大豆を輸入しないなんという、そういう確約がどこにありますか、現にブラジルからだって輸入されてきているわけです。まあ輸入のほとんどがアメリカでありますけれども、しかしそういう点での開発輸入という点で非常に問題がある。  むしろ国産大豆をもう少し振興していくという点で、繰り返し申し上げておりますが、言葉だけの自給率向上、生産振興ではなくて、具体的に再生産が確保されるような、そういうものが必要ではないか。せめて大臣、ここの点でだあっと問題になっておりますけれども、例えば汎用コンバイン、これはもう質問する時間がないから、最後答弁いただきたいんですけれども、新農構などでおやりになっていて約一台一千万、二分の一補助金出してやっているんです。しかし転作奨励金四万円もらってでも三百キロとって約十二万円だ、所得にしますと六万程度だと言うんです。現実には今百五十キロもとれてないような状況が明らかになっておりまして、これは福島県の湯川村で四機入っているんですけれども、転作奨励金がなくなったらもう赤字なんです。  ですから、本当に機械の更新期に助成なりあるいは現在借りている農家負債の金利の引き下げ、こういったことについては積極的に考えていかなきゃならないだろう、この点についての御答弁を求めて質問を終わります。
  238. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 農産物価格に占める農機具の比率というものより安くしていくように今後とも最大限努力していかなくてはならない、関係方面とも十二分に意見交換をやりながらやっていきたいと、こう思っておるところでございます。そしてまた、いろいろな面におきまして、昭和六十三年度予算におきましても、こういう面に対するいろいろな援助、助成方法等も考えるようにいたしておるところでございます。要は我が国の農業をして、より生産性を向上させるように、そして品質のいい品物を安定的に供給していくためのもろもろの英知と努力を結集してやる覚悟でございます。
  239. 三治重信

    ○三治重信君 今度大豆、菜種の補助金のやり方で、今までのパリティ方式から生産費方式に変える、こういうことでありますが、私は考え方とすればこれが筋だと思うんです。筋だと思うんだが、ちょっと遅過ぎた。非常に遅過ぎた。考えを、これを切りかえるのが、早ければ十年ぐらい前に切りかえておくと、きょう今日のこの円高の経済状態の中で非常に耐えることができただろうと思うんです。  この円高の中でこういうふうな切りかえをやると、午前中同僚の方から北海道の作付が変えるという情報だけでぱっと減ったというふうに、非常に私はやはり農家としてみれば恐怖を感ずるような状態だろうと思うんです、その大きな原因は、私は円高で農産物の価格が下がる、下がっているときだということだと思うんです。そういう意味において非常にこの切りかえの考え方はいいけれども、これは現実にやっていく上においては非常な困難といいますか、農家に対する説明の仕方が非常に難しい問題だと思うんです。  その一つは、やはりパリティ方式から生産費方式に変えるということは何かといったら、やはりこれは生産者から見れば価格を引き下げられるんだなと、こういうことを感ずる。感じないように説明すると、今度はこれからやっていく政策が矛盾をしてくると思うんですね。だから、パリティから生産費方式へどうして変えるんだということがけさから質問に、なっているんだけれども、その説明では、これは何といいますか、市場経済に入る、また外国輸入大豆に対抗する品質のいいやつ、そして何と申しますか、生産費を安くする。    〔委員長退席、理事高木正明君着席〕 こういうことには説明づくんだけれども、農家に対して今まで農水省がやってきたいわゆる生産農家に対する手取りを減らさないのだということについてのやり方は全然これじゃ説明つかぬと思うんです。  そういうことであるわけなんで、よほど私はこの説明のやり方を変えていかなければならぬ、こういうふうに思うわけなんですが、その変える方式をきょうから説明していくとまた同じ説明になるかもしらぬけれども、それは農家に対して手取りが減る傾向にいきますよと、これに対する対応策を農家の人はきちんと考えてくださいよというふうな言い方までできなければ、この方式は、私は法律は通るけれども、今度は実際の農家の方とすれば、皆さん方農水省がやろうとするこの大豆の作付面積を拡大しようというやっと逆の方向にこの法律はいくのじゃないか、大まかに考えると逆の方向にいくのじゃないか。こういう心配をするわけなんです。その間の逆の方向に行かぬ歯どめは何を考えるかということになるわけだと思うんですが、どうなんですか、
  240. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 先生指摘の基準価格の算定方式をこの法律におきまして変更していただくわけでございますので、具体的にどういう説明ぶりをするのか、あるいはそういう意図をどういうふうに表明するのかということが極めて重要な課題であるわけでございます。  まず、私どもは繰り返し御説明をしておりますのは、ただいまの先生のお話にもございましたように、時期におきまして現在の状況のとき、いつから実施するかというタイミングの問題があるというお話しのとおりでございまして、既に私ども考え方、この現行法律は二十五年といいますか、長期にわたって実施をされておりまして、その間世界的な大豆の需給等も波動的にあったわけでございまして、いろいろの経験を積んでいるところでございます。そういうものの中で一番強調してまいりたい点におきましては、二十五年前と現在の時点というものが、やはりある程度がなり大きな一つは農家の生産条件といいますか、生産構造といいますか、そういう点が変化したというところにあるわけでございまして、その点を第一的義に御説明を申し上げているわけでございます。  これはかつて大豆生産の農家というのは、生産の観点だけをつかまえますれば、ほとんどの農家の方々が必死にこれに従事をしてこられたということでございまして、その当時の数字を挙げますれば四百数十万戸の農家の方々がやっていた。ところが今日におきましては百二十万のオーダーになってきている。これが第一点でございます。  さらに内容的に申し上げますと、需給の関係にも関連をいたしますけれども、これは自家の消費というようなことが主体になっておりましたところ、販売農家といったような方というのは未分化であったと思います。そういうようなところで今日商品生産といったようなものが出てまいりまして、それがかなり大豆生産の生産性の向上とか、あるいは労働時間のダウンとか、そういったことをリードしていただいているわけでございます。そういう意味で生産構造というものが大きく変わりまして今日に至っております。  一方、この販売農家といった点をトレースしてみますと、具体的に物を売るわけでございまして、そういう意味で、かつての二十五年前の状況を、アメリカの大豆とかあるいは中国の大豆との競争条件というものがさらに加わっておりまするから、どうしても消費者の方々、あるいは先ほど来議論がありますように、販路拡大といったような点に視点を置きますと、品質の問題といったようなことがどうしても出てまいります。流通の問題が出てまいります。そういうような点からやはりこの中に、おきまして私どもが唯一に目指すといいますか、唯一にというと語弊があるかもしれませんが、基本的に目指す点というのは消費者の方々あるいは実需者の方々が納得をしてやっていただくというような価格水準、あるいは具体的に好んで使っていただくという品質の問題というふうに考えるところでございまして、その点につきまして私ども説明重点を考えているところでございます。  そういう意味で、現実を取り巻く農家の方々の状況といったものは、実需者の良質な品質を求めているということも受けとめていただいておるというふうに考えておりますし、またやはり具体的な状況におきまして、一方では平均的には百七十七キロという水準でございますけれども、私ども共励会ということを催しますと三百五十キロの農家の方々というのは各地にいらっしゃるわけでございます。    〔理事高木正明君退席、委員長着席〕 これにつきましては、一方ではコンバインの問題あるいは具体的な乾燥の問題というものは関連いたしますが、そういう状況からくれば、一つの汎用コンバインというものが昨年から実用化されているというような状況から考えますれば、やはり射程距離にかなり水準を上げていくという状況に立ち至っているのではないかというようなことがございます。 そういう意味で、先生御危惧の農家の方々に対する御説明といった点について私ども意を用いまして、現状に置かれております厳しさといいましょうか、逆に言いまして大豆発展性といいましょうか、そういったような点につきまして農家の方々にも十分御説明をしていきたい、あるいはこれを取り扱っておられる方々というのは系統組織を中心にしておられるわけでございますが、その方々のルートを通じまして農家の方々にも納得をしていただきたい、そういうふうに考えているところでございます。
  241. 三治重信

    ○三治重信君 大体私も余り納得ができないんだけれども、それで、大豆、菜種だけだね、農産物の支持価格政策の中で不足払い方式をやっているのは。そうすると、結局不足払い方式をやっているのは、ほかの農産物の方は輸入したやつにみんな課徴金を取って、そして国内品に上積みしてごっちゃごちゃにまぜて、そして売っている。だから、こういうやり方に対してはこれはだんだん私は国際的な市場開放を迫られると思うんですね。日本の農業に対する、バレイショでもカンショでも、それから、後でこれは聞くんだけれども、砂糖でもでん粉でも、これは開放を迫られたときの対応というのは、それはちょっと対応できぬのだろうと思うんだが、これから日本の農業で、開放経済の中で生産を奨励し、維持して対抗していくためのいわゆる農業価格政策というのは、私は、この不足払い方式をやって、そして農家に生産の拡大をさして、そして両方から経済的にペイするような努力というものがあって初めて開放経済に対抗される日本農業が成り立つと思うんです。  そういう中で、パリティ価格というものが農産物の国際化というものをやっていく場合における主な障害と考えられた理由は、さっきの説明と逆なことなんだと思うんだけれども、それ以外に、パリティ価格の決定ではなくして、農産物の国際化における流通を国際価格並みにしていって不足払いをやっていこうという場合のパリティ価格では、どうも都合が悪かったということは、先ほど言われた理由以外に何かありますか。
  242. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) これは繰り返すようでございますけれども、一番の基本は、このパリティ価格というものを基本といいますか、参酌方式でいった場合に、やはりその基準年度の生産状況といいましょうか、あるいは生産構造というものを前提にいたしまして、それにスライドをして価格を決めていくという状況がある場合には、このパリティの方式というのは極めて有効であろうというふうに考えております。そういう意味でこれまで二十五年間といいますか四半世紀実施をされてきたわけでございます。やはりその基準自体といったものと現状の問題が変わっていく場合には、パリティ価格方式といったようなものにつきましてはやはり欠陥があるというふうに言わざるを得ないと思います。  そういう意味で、繰り返すようでございますけれども、しからば、じゃ、どういう点に重点を志向してやるかということにつきましては、現在の生産構造あるいは流通構造から求められておりますのは、より一層の、諸外国に対抗し得る足腰の強い生産性の向上といいますかコストダウンであり、さらにまた良質の生産をよりつくりやすいような価格体系というものではなかろうかということでございまして、その二点に絞りましてお話を申し上げているところでございます。
  243. 三治重信

    ○三治重信君 そこで、生産費を低下さしていくというのは、こういうような土地利用型の耕種農業だと耕地面積を拡大する以外に生産費低下の方策はないと思うんですね。だから、農林省から出していただいたこの資料でも、北海道と内地とえらい生産費が違う。それから水田と畑作とえらい違うのはどういうことか。そうなりますと、水田の転作に大豆をえらい奨励品目の中に入れているのだけれども、畑作よりかえらい生産性が低い。これに対して縮める方策というものは、水田の大豆の生産性向上、同じ面積当たりの生産性向上の対策というものはどのようにしておられるのか、  それで、まとめて聞きますが、交付金の中に価格奨励金というのが入っておるね。生産振興奨励金というのが入っている、価格の中に。これは非常におかしいと思うんだけれども、しかし、こういう奨励金の使い方、農家に余計っくったら奨励金を出す、少ないやつには出さぬという、一つの生産費の調査を二十アール以上のところでやるというようなことになれば、そういう一定の作付規模以上の農家に対して生産奨励をやるけれども、こういうように小さいごちゃごちゃしたやつは、生産奨励金なんというのは、補助金なんていうのはやめる方が私はいい、こういうふうに思うんですが、どうですか、
  244. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 先生指摘の点は都合三点あろうかと思います。  まず第一の点は、生産基盤を拡大していくことが王道ではないかということでございます。この点につきまして、大豆の一戸当たりの耕地面積は、六十年あたり見まして全国平均でいきますと、わずかに七アールでございます。確かにこれも先生指摘のように北海道で六十七アールございます。そういう大きいところもございますけれども、基本的に申し上げまして零細だということでございますので、現実に生産力の一つの指標として出てまいっております汎用コンバイン、大豆のコンバインあるいは乾燥施設というような点を考えますと、やはり規模は大きくなるべきである、なるような技術的な状況があるというようなことでございまして、やはり少なくとも作業単位というものを大きくしていこうというような方式がどうしても必要だというふうに考えます。  その次のこれに派生する問題といたしまして、先生、これ今の御指摘のとおりでございまして、大豆の場合には極めていろいろな意味での格差があるわけでございます。地域間の格差もありますし、さらに田と畑の格差が大きゅうございます。そういった場合におきましては、やはり水位といいますか、水田の水位の問題がかなり大豆の根に対する悪影響を与えるということから、収量に対する影響あるいは生産費の増高というのにつながってくると思いますので、水田の対策としていきますと、やはり排水改良といいましょうか、排水をしやすくするという点が重大になろうかと思います。そういう意味で田畑輪換という作付を頭に置きつつ、土地改良あるいは小規模土地改良といったようなもので、土地基盤の条件で排水改良を追求していくということが第二の問題であろうというふうに考えております。  第三の問題は、いわゆる奨励策の奨励振興補助金でございます。これはこの大豆の振興等におきまして、低迷してまいりました大豆の生産振興のために奨励金を別額で出したわけでございますが、その後この基準価格の中に振興奨励補助金を織り込むという形で麦と同様に入れ込んだわけでございます、そういったようなことと関連をいたしまして、その時点からやや上向きの生産振興がなされました。  その後、転作といったようなことで、この大豆の振興が図られたわけでございますが、結論的に申し上げまして、やはり奨励金の問題については、この中に、基準価格の中に入れだということが現実の問題でもございますし、そういうものの中で、農家の方々に実際に大豆を振興していただいたということもございます。したがいまして、奨励金を含んでの基準価格の水準といったようなものが、私ども今後の基準価格を考える場合の一つの前提になるのではないかというふうに考えるところでございます。
  245. 三治重信

    ○三治重信君 もう一つは、日本の生産性を上げるためには品種の改良だと思うんですね。米は非常に品種改良でよくできているんだけれども日本のこのやり方で大豆の品種改良というのがどういうふうに行われているのか。これはよほどやらぬと、耕種農業でやっていって、米、麦に匹敵するような生産増強をやろうとすると相当品種改良をやらなきゃいかぬと思う。その中で、法案の先ほどの質問にもあったけれども、こういうような原料の問題に銘柄とか種類なんというやつを法律に書いてやるのは余り意味ないと思うんだけれども、製品になってしまえば、つくれば皆一緒になっちゃうわけです。だから品質改良でも余計どれて、あるいはいい品質のものとかということにして、それは結果として、一等、二等、三等、特等とかいうぐらいだけでいいんで、銘柄とかなんというようなものを品種改良の中へ余り取り入れぬ方がいいと思うんだが、種類ね。それどうなんですか。
  246. 畑中孝晴

    政府委員(畑中孝晴君) 大豆の品種改良は、現在国とそれから県の試験場でやっておるわけでございまして、先生おっしゃいました多収性、できるだけたくさんとりたいという、それからまたこの高たんぱくの品種というようなそういう品質、それから大豆の場合には非常に病害虫が多いものですから、そういうものに耐える品種、そういったものを今そういう国公立の試験場でつくっておりまして、現在大体五十五年前後の品種、そのころにできました品種が今主力の品種になって流れておるわけでございます。  今の銘柄でございますけれども、やはり我が国の場合には、大豆の場合ですと日長、日の長さによってかなり感度が違いますので、余り一つの品種で全国をカバーするというわけにまいりませんので、ある程度品種の数というものをたんさんつくりませんと、全体のいろいろな立地条件に応じてつくることができませんので、そういう意味で品種改良をやっておるわけでございます。稲に比べてというお話がございましたけれども、県も入れましてかなりの人数を割いて品種改良をやっております。特に六十二年度からは大豆とかあるいは麦とか、そういったものの品質のいいものを重点的に早い時期につくっていこうということで、新しいプロジェクトも発足をさせたところでございます。  銘柄ということになりますと、その産地、同じ品種でも産地によってでき方が違いますので、そういうものも取引のときの一つの材料になるのだろうと思いますが、私どもの方は、いわゆるいろいろな特性を持って農家の人がつくりやすく、また利用する方がいろいろな目的に応じて使えるような、そういう品種を出していくという方が仕事でございますので、いろいろなものを工夫して出しておるわけでございます。特に最近は、みそとかあるいは豆腐ということだけではなくて、納豆用の品種というようなことで、六十二年度に新しくコスズという名前の品種を出しましたけれども、これなどは放射線を利用した新しい育種法に基づいた品種でございます。そういう用途に応じたものを研究開発しているということでございます。
  247. 三治重信

    ○三治重信君 これは先ほどの質問との関連があるわけなんですけれども、現在の大豆作の単位面積当たりの所得、収穫と言うんですか、収益と言っても同じようなものなんだろうが、一部の解説によると水稲の三分の一、麦の二分の一、労働時間は麦の二倍から五倍を要している現状だと、こういうふうになっているわけなんで、そうすると同じ単位面賛でありながら大豆をつくると麦の二分の一しか収益が上がらぬ。まあ水稲は制限されているからこれはわからぬが、麦との比較においてもそういうことだということになると、少なくとも当面は麦と同じような収益性を確保していかぬと、不足払いのやつだというと、財政当局からも指摘された場合にどうしようもなくなってくるだろうと思うんですが、それはどう考えますか。
  248. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 先生指摘の点は、具体的な数字的に申し上げれば、単収にかかる問題であろうかと思います。具体的に出てまいります例えば水稲の場合の単収五百キロ近い、それにおきまして、同じ広さのところに大豆を出しても重量的には百七十七キロというようなことでございます。そういう状況におきまして値段がスライド的に決まるということでありますれば、おっしゃるような収益の格差という形になるわけでございます。  そういう状況におきまして、一方大豆自体を見てみますと、先生これのお話がございましたのですが、北海道と内地といいますか、都府県の場合がなり違いますし、田と畑も違っております。それで地域間あるいは作物の使用の仕方というようなことでかなり違っているわけでございます。もちろんその米のところまでいくというのは平均的にはなかなか難しゅうございますけれども、私どもが関与しております共励会というものがございまして、品評会、コンクールみたいなものをやっておるわけでございますが、そこにおきますと各地域でかなり広い面積で反当三百五十キロというような大体倍半分の違いのあるような生産性のすぐれたと言いましょうか、収量を上げている農家がかなりの地域で輩出をしているわけでございます。  そういう状況にかてて加えて、先ほど事務局長からお答えをいたしましたように、品種の改良が進みます、あるいは機械といったようなものの奨励策ということで、ごくごく直近の昨年からコンバインというものも実用化されるというような状況でございますので、そういうことと相まちますれば米にあるいは麦に近づくような生産性を上げていくということもできるということでございまして、反当の上でもかなり篤農家の方々はそれだけの数量を上げていただいております、そういうことで私どもはそれを普及という組織の中で広げていこうという努力を今後も続けていこうというふうに考えているところでございます。
  249. 三治重信

    ○三治重信君 まあひとつしっかりと、この大豆、菜種の開放市場の中で生産をどういうふうにして維持していくかということは非常な試金石だろうと思うんです。これはだから生産をふやせば財政事情とぶつかるし、それから財政事情から押さえていけばせっかく重点の作物としてやろうとしたのが農家の方がついて来ぬようになるし、そこで本当の苦労が始まるんだね。よほど何と言うんですか、単位面積拡大と今おっしゃったようないわゆる高収益農家をとにかく育てていくということにひとつ全精力を挙げてもらいたいと思います。  最後に一つ。だからこういうような大豆、なたねが先行していくと、てん菜、サトウキビ、カンショ、バレイショ等のパリティ方式の価格決定というものが今行われているわけなんだが、こういうのも生産費方式に変える考え方はあるのかないのか。またさらに、これは今のように不足払い方式に転換、これは相当な財政事情が要るわけなんですが、そういうようなことについて検討が行われているのかどうか。
  250. 谷野陽

    政府委員(谷野陽君) ただいま御質問がございましたように、現在甘味資源につきましてはいわゆるパリティ方式での価格決定を行っておるわけでございます。先ほど来農蚕園芸局長からいろいろ御説明申し上げましたとおり、大豆とそれから甘味資源、すなわちてん菜、サトウキビ、でん粉用の芋等との生産流通の事情はかなり違っているわけでございまして、大豆全国的な生産が行われておりますし、その中で大変な構造変化が進んできておるということでございまして、これが今回の改正の大変重要な要素であるわけでございます。  他方、てん菜、サトウキビ、それからでん粉用の芋につきましては、てん菜につきましてはその産地は北海道に限定をされておりますし、またサトウキビにつきましても沖縄と鹿児島県の南西諸島に限定をされておるわけでございます。またでん粉用のバレイショも北海道、あるいはカンショは鹿児島県がほとんどである、こういうようなことでございまして、そのあたりにつきましては大豆士はかなり事情が異なっておるわけでございます。また甘味資源につきましては、生産はただいま申し上げましたいろいろな農作物から生産をされるわけでございますけれども、消費の形態となりますと、同じ砂糖でございますとか、あるいはでん粉から生産されますいわゆる異性化糖というようなことで流通、消費の形態のところでかなり重なり合いがある、こういうような事情があるわけでございます。このようなこれらの作物の実情にかんがみまして、私どもといたしましては現行方式のもとで生産性の向上とその価格への反映に努めてきておるわけでございまして、今後より一層そのような方向で運営の改善に努めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  251. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大臣にお尋ねいたしたいと思います。  今回の改正の目的をまず見た場合に、抽象的で本当にこの改正の意図がどこにあるのかという力点が浮き彫りにされていないのではないか、そういう感じを抱いております。例えば生産性の向上と財政負担の軽減、自給率の向上云々とありますけれども我が国の農業の実態、あるいはまた農産物の輸入の状況、そして国民生活のいろいろな面から考えてみました場合に、どうしても自給率の向上ということがもっと具体的に強調されなければいかぬじゃないか、こう感じてなりませんが、大臣いかがでしょう、その点は。
  252. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) けさほど来お答えいたしたところでございますけれども、提案理由の説明に申し上げましたような趣旨でございます。一層の生産性の向上、品質の改善、これをよりはっきりさすために今回の法律案を提出したわけでございますが、それを通じて、これまた同じくけさほど来いろいろ議論されておりましたが、食用大豆、伝統的な我が国大豆にかかわる食品というものの自給率、豆腐、あとみそ、しょうゆが約一〇%、納豆が二〇%前後でございますが、これらのものの自給率をさらに上げるというのがある面では究極の目的になってくるわけでございますけれども、具体的にそのことは先ほど、午前中来申し上げましたように、生産性の向上、品質の改善というのを通じてできるという意味でございますのでよろしく御理解のほどお願い申し上げるところでございます。
  253. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私が最初にその点を申し上げました意図は、今日長寿国日本と言われておる。その長寿国日本の国民生活のいわゆる日本型食生活ということが今国際的にも羨望の的になりつつあるわけですね。その点から日本型食事のまた中核をなすものは大豆が中心であると私は思っております、大豆が不可欠の食品である、  こういう点から今度は特に最近栄養食品という面からのバラエティーに富んだ内容を持っておりますが、特に最近栄養食品という立場からと、今度は健康食品という、この面が最近特に強調されつつありますね。ただ栄養価値があるだけじゃなくて、本当に人間の、そして日本人の命を、健康をつくっていく健康食品である。こういった点からと、それから日本の農業経営の面から見た大豆の位置づけですね。合理的な輪作体制の確立とか、そういう面から大豆の持つ意義というのが、使命というのが非常に大事な、重要な面あるわけですが、それが果たしてそれに沿って裏づけられつつ、広まりつつあるかということに対して考えた場合に、前途ほど遠し、こういう実感を持つわけでありますが、生産の実態からさらに眺めた場合に、国民生活の中につながるいわゆる消費の面からの総需要量というのは増加しつつある。すばらしい勢いで消費需要量、国民の食生活に対する理解と関心、健康に対する理解と関心から大豆の消費量が非常に高まりつつある。けれども、需要量が増加する一方、大豆国内産の量が逆に終戦後の傾向を見た場合に減っておる。  例えば昭和三十五年では二八%、それから昭和五十二年には三%に自給率がダウンしておる。ごく最近は少しアップしつつあるわけでありますが、このようなことも、いわゆる需要量が、国民の消費量が多くなったということは、結局国民、国土の、国内の増産が伴うべきでありますけれども、結局外国輸入に向けられておる。ところが、その外国大豆国内大豆とのまた内容の比較からしますと、日本大豆が栄養あるいは健康の面からもはるかにいいと言われておるわけなんですね。  それならば、ますます国内自給を高めていってこそこれにマッチする、国民要求にこたえていくわけでありますが、その国内産量が減少の一方、ところが、総需要量は増加しつつあるというこの矛盾ですね。アンバランスからも私はそこに疑問を持っておるわけでありますが、そういう目標あるいはこの呼びかけに対するアドバルーンを上げたが実際内容は伴わぬじゃないかと、こういう矛盾を感ずる。ここに日本農政の厳しい反省がなければいかぬじゃないかと、こう思われてなりません。そういう点から私最初にこの問いを発したわけでありますが、もう一遍ひとつ私のこの提言に対して、指摘に対してひとつどう思っておられるか答えていただきたい。
  254. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 具体的には局長からお答えしますが、まあ昔は我々は田のあぜにこの大豆を植えておったときがありまして、稲作の稲を植えるときにあぜをつくりまして、そしてそこに一定の間隔をくわの先で穴をあけて大豆を植えて、その上に焼いたツクモを置いていった。あれが一時的にはゼロになったわけでございますが、私はその間における生産量の推移あるいはこれに伴う自給率というのを考えるときに、全国の田んぼのあぜに植えておったあの大豆の量というものが意外に大きかったんだなということをしみじみ感じておるわけでございます、  そういうあぜに植えておった方式から、農家が正式に所得の対象として、そして大豆を販売するために植えるという方式に変わってきました。そういう過程においていろいろな変化があります。したがいまして、今回の法改正というのは、今先生がおっしゃったような問題すべてを含んで、これからさあ本格的に大豆の生産向上、質の向上を図りながらやりましょうという、ひとつの意気込みにもなってくるんではないだろうか。  それからもう一つは、日本型食生活ということ、私も実は農林水産大臣を仰せつかって、一体日本型食生活というのはどういうのを言うんだろうか。諸外国へ行っても随分日本料理屋もふえ、また日本食に対する諸外国の人々の関心と、あるいは普及というのが急激に深まってきております。それはけさほど来議論されました植物性たんぱく質を中心にとるのかどうか、あるいはそれ以外のいろいろな要素もあるでしょうが、戦後いろいろな政府国会、国民の努力によって世界最長寿国に我が日本がなったという、これにはいろいろな要因もあると思います。しかし、その中に、ある面では食べ物が豊富になり、そして安定供給されてき、いわゆるさらにこれが進んで飽食の時代とまで言われておるわけでありますけれども、そういう中で一貫してやってきたのは、ある面では日本型食生活であると、こうも思うわけでございます。  そういうもろもろのものを含んで今後私たちは総合的に判断しながら、日本の国民の長寿、健康という問題、さらにはこれらをまとめて世界の国民の健康増進に資するような日本型食生活というものをいま一層PRをする必要があるのではないか。そういう中で、私も学者ではございませんから、植物性たんぱく質あるいは大豆というものが、動物性たんぱく質とどう我々の寿命あるいは機能、健康に影響がおるのかどうかというのはわかりませんが、これは幅広く研究していただく必要があると考えております。  何はともあれ、いろいろな変化我が国の食生活、あるいは特にこの大豆をめぐるものではあったわけでございまして、今のような問題、あるいはまた外国からの問題としては輸入禁止に遭って大変慌てふためいたときもあります。こういうものを経ながら着実に経験を踏まえて、これから我が国の国民の食生活、伝統的といいますと、余り日本型食生活というといろいろ問題が起こってくるんですが、日本人の好きなみそ、しょうゆ、あるいは豆腐、あるいは納豆、納豆は私関西の生まれですから実は東京へ出てくるまで食べてなかったのでありますけれども、こういう物を中心にこれらの本当の自給率を上げていく、あるいはこれらの普及を図っていくということは、政府としても今後大いにやっていく必要があると思います。
  255. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 余談になるかと思いますが、いい機会でありますので。実は長寿国日本国の中でまた長寿県は我が沖縄県でございます。その沖縄県民生活の食生活の中で、いわゆるごちそうという名のつく食べ物の内容は、特に抜いてはいけない三つの要素があります。沖縄でごちそうしてあげようという場合のそのごちそうの中に中身が三つあります。三要素と言っております。その一つはそのごちそうの中、お料理の中に豆腐が入っておるかどうか、これが一つ。二つには昆布が入っておるかどうか、三つにはお肉で、お肉は沖縄では豚肉が主でございますが、だから豆腐と昆布と豚肉、そのほか抱き合わせの十品、何品か入りましょうが、いかなる場合でもその三つの要素が入っておる、これをごちそうの三要素と私は言っておりますが、そう言うほど豆腐というものが、いわゆる大豆というものが、非帯に県民生活のこれは昔から伝統的に食生活の豆腐というのは非常に大事にしてまいっております。いい機会でありますので申し上げておきたいと思います。  そこで次に、沖縄の大豆の問題に触れたいと思いますが、沖縄におきましては、この大豆とサトウキビとカンショ、この三つが適当に組み合わされていわゆる輪作作物として地方を維持増進するという大きな寄与をして、これが沖縄農業のまた姿でございますが、ところが、この戦争を契機にして大豆の生産が減少した。これはもう戦争につながる基地の問題、そして農業開発の問題、そういった点から沖縄の農業形態が大きく変わってきておるわけでありますが、その輪作体系が崩れて、そして農業生産の粗放化や単作化が進行しまして、あるべき姿がぶち壊された格好になっておるわけであります。  そこで、沖縄県における大豆生産の推移は、特徴的な面を申し上げます。昭和三十年の統計を見ますというと、作付面積が六千百十八ヘクタール、そして収穫量が七千七百七十三トン、これが昭和三十年の統計でございますが、昭和六十年、一昨年の統計は、作付面積が五ヘクタール、収穫量が六トン、このようにもうゼロに近い。ところが、これは人為的に生産農家が、沖縄の農家がそれを求めたのではございません。こういう現状に落ち込んでおるわけでありますが、大臣、沖縄における大豆生産の振興対策について政府はどのようにお考えであるか、伺いたい。
  256. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 沖縄県におきます食生活の面で、今先生お話しのように大豆生産の生産物である豆腐というものがかなり大きい位置を占めておるということでございますが、今の点に関連をいたしまして先生指摘の沖縄県における大豆の生産の推移ということにつきましては、これも数字で御説明いただいたところでございまして、私どもといたしまして昭和三十年後半の段階というところから四十年あるいは六十年、現状におきまして、六十年現在で作付面積五ヘクタール、収量五トンということでございまして、現在はほとんどが自給的生産の状況で行われている、あるいはサトウキビの前作として作付られているというふうに把握をしているところでございます。  そういう状況に対応いたしまして、しからば沖縄県の大豆生産の役割をどう考えているかということでございますが、その歴史的な状況を見ますと、これも先生指摘のとおりでございますが、カンショの前作として作付られまして、輪作をすることによりまして地方の維持、あるいは培養といったような観点から後ろ作の生産の安定に寄与したということであったと思います。大豆の作付は、その後パイナップル及びサトウキビの作付増加に伴いまして急速に減少をしてきたというのが具体的な作物の移動から見られるような推移であろうかと思います。  この場合に、私どもといたしましてやはり午前中のお話にもありましたが、畑作物にありましてはやはり輪作によりまして地方の維持増強というのがどうしても図られなければならない、それが極めて重要であるというふうに考えます。大豆を含め、現在基幹作物となっているサトウキビなどの作物に組み合わせるのに適当な作物を、一方では輪作という関係から言えば、組み合わして輪作を実施する形によって畑作の振興というのを図っていかなければいけないということだと思います。この大豆のかわりといっては問題があろうかもしれませんが、適切な作物という形で、野菜とか芋類とか飼料作物の導入が行われておるわけでございます。それが今日の姿でございます。  この大豆は、もう一方作付条件の問題というものを見てみました場合に、大豆の栽培適温というものが、具体的な大豆の世界的な状況から見まして一応二十度から三十度と言われておりまして、高温下における栽培については十分虫害であるとか干害の障害といったようなものの発生を防止しながらやっていかなきゃいけないというふうに、特に注意を必要とするものではないかというふうに作目上の特性から考えるものであります。  一方、国産大豆の生産については、実需者から品種の向上等が強く求められております。そういったようなことを勘案いたしますと、やはり沖縄県におきますこの趨勢、減少の趨勢ということを現実的にかなり厳しく受けとめていかなきゃいけないのではないかというふうに思いますが、私どもはこういった事情を十分踏まえまして、大豆が作物の上、先ほどから日本型食生活といったような意味においての重要性ということは私どもも極めて強く認識をしておりますが、大豆が一方では生産の上での地方維持作物の一つであるというようなことも勘案いたしますと、適正な輪作体系を確保する上で、沖縄県におきます気象条件そういったものを十分注意しながら、沖縄県におきましても安定的な大豆作が行われるよう、沖縄県当局とも十分相談をしながら振興策を模索してまいりたいというふうに考えるものでございます。
  257. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 今おっしゃる方法でひとつ具体的に前向きで啓蒙、指導、実現をしていただくよう期待いたします。  時間が参りましたので、次に、これは大臣に、特に差し迫った国際的な自由化の問題、そして制限品目の問題、それとも関連して、沖縄の基幹作目は申し上げるまでもなくサトウキビとパイナップルであります。ところがここで考えていただきたいことは、結論はそれだけ申し上げれば賢明な大臣お察しだろうと思いますが、私が特に余りそこまではお気づきになっていないのじゃないかという点をずばり申し上げたいのでありますが、狭い沖縄の土地では、基地に接収されて金網に囲まれて、その余白に農業をしておる。そうすると、作物のよく実る土地は金網に大分接収されて、基地に接収されて、その金網外の土地に基幹作目であるサトウキビを栽培しておる。ところが、基幹作目のまた一つであるパイナップルは山の手を開拓して、開墾して、そこにパイナップルを栽培しておる。こういう形で沖縄の基幹作目、しかも亜熱帯農業という立場から、サトウキビにしても奄美大島、一部本土にもあるわけですが、ほとんどと言ってもいい、サトウキビも県単位では沖縄。そしてパイナップル、これはまた日本では沖縄県のみである。その大事な、国民生活にとっても必要欠くべからざるこの基幹作目は、そのような形で細々と営んでおる。そして毎年シーズンになればキビ代をどうしてもらいたいとかパインをどうしてもらいたいとか、必死になって私も訴え、生産者農家もパッカーの皆さんもお百度を踏んでおられる。この姿を大臣あるいは政府の皆さんはどうお考えだろうかと思うわけであります。  そこで、今後のあの十二品目をめぐる日米関係の見通しとこれに対する日本政府の方針をお伺いしたい。特にパイナップル缶詰についての政府の考えを明らかにしていただきたい。まずそれを伺いたい。
  258. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 先般といってもやや前になりますが、沖縄の関係者の皆さん方が大挙上京せられまして、アメリカ大使館その他にも猛烈な運動をされ、その中で特にパイナップルは米軍政府が指導して戦後沖縄で始めたものである、それを今になって自由化するとは何事だというまでの強い要請が行われたことも私は十分承っております。  問題の十二品目につきましてはいろいろ各方面に報道されておるところでございますが、現在パネルで審査が進行中でございます。我が国としては、二国間協議による現実的な解決を図りたいという立場に変わりはございません。先般も眞木経済局長を訪米させまして、二国間協議に応ずるように米側と話し合いをさせたところでございます。アメリカ側としては、二国間協議の場合には全品目段階的自由化、いわゆるオール・フェーズ・アウトの原則を強く主張しておるところでございます。また一方、パネルの場における結果、結審といいますか、も予断を許さないものがある、こういうところでございますが、十二品目の重要性必要性、あるいは地域農業、地域経済に及ぼす問題等々全体を含めまして、今後とも精力的に、パネル並びに米国政府理解と納得をしていただくように頑張っていく覚悟でございます。
  259. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そこで、機を逸せず援護射撃をいたします。  繰り返すようでありますが、このパイナップル缶詰の輸入枠の拡大、それから缶詰加工を目的とした冷凍パイナップル輸入増加の問題等々、国内生産が大きく圧迫されつつある現状であります。さらにパイナップル缶詰の輸入自由化が強行されるとするならば、沖縄におけるパイナップル生産はもちろんのこと、関連産業、ひいては沖縄の経済、雇用情勢、失業、雇用の問題に甚大な被害を及ぼすことが予想されます。そこで、少なくともパイナップル缶詰に関しては今後とも輸入自由化を行わないという政府決意を持ってその方向に実現していただきたいということを、繰り返すようでありますが、先ほどの大臣の御決意もお聞きしてほっともいたしておりますが、しかし、なってみないとわからぬというのが私の警戒心であります。  最後に、基幹作目であるパインの問題、サトウキビの問題、特にサトウキビの問題については、従来パリティ方式を生産費・所得補償方式へと十年一日のごとく繰り返し繰り返し訴えてきましたが、実現しませんでした。先ほどの三治委員の御質問によって何か明るい曙光が、パリティから生産費方式の方向へ進めていくという御答弁がありましたが、そのように理解していいでありましょうね。また間違いなくその方向に進めていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  260. 谷野陽

    政府委員(谷野陽君) ただいま御質問がございましたサトウキビの価格決定の方式でございますが、ただいま御質問ございましたようにサトウキビにつきましてはパリティを基幹とする方式をとっておるわけでございます。この点につきましては先ほど三治委員からの御質問に対しましてもお答えをしたわけでございますが、砂糖の場合には、同じ砂糖を生産いたしますのにも、てん菜とサトウキビと両方あるわけでございますし、また、芋からとれますでん粉、それをさらに加工いたしました異性化糖と用途においてはほぼ競合する部分がかなり重なっておるわけでございます。  かような実態から申しまして、私どもは、現行の方式というのはこのような砂糖の生産、流通の実態を踏まえてできておるというふうに考えておるわけでございまして、現在の方式のもとで生産性の向上の促進とその価格への反映に努めてきているわけでございますので、今後そのような方向で運用の改善に努めてまいりたいというふうに考えるわけでございます。     —————————————
  261. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま北修二君が委員辞任され、その補欠として永田良雄君が選任されました。     —————————————
  262. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 私は、ただいま審議中の大豆なたね交付金暫定措置法の一部を改正する法律案は未確定な部分もありますようであり、したがってわからない部分もございますが、大豆研究会の御報告にも指摘されておりますとおり、その真意は政府の財政負担の軽減を意図するものであり、このまま施行された場合には大豆、菜種作農家の崩壊につながりかねないと心配をしております。その立場から質問をいたします。  第一点は、政府我が国の食糧政策上、国産大豆、菜種の位置づけをどのように考えておいでになるのかについてお尋ねをいたします。大豆研究会の報告にもありましたし、ただいまの質問にもございましたように、国産の大豆は栄養価の高い食品として古来から日本人に親しまれ、特に米飯の副食として摂取するときには多様な栄養素をバランスよく吸収することができ、最近見直されつつあります日本型食生活には欠かすことのできない食品どころか、単に栄養食品としてではなく、健康食品としての価値も高まってきており、わけても成人病の原因の一つである血漿中のコレステロールを低下させる作用を有しておりますところから、お米の消費量が減り続けております現状にもかかわりませず、食用大豆は消費量を年々増加しており、昭和二十五年対比、約四倍になっております。また、経営面から見ましても、畑作においては地方の維持培養作物としてすぐれており、連作障害の回避の点からも合理的な輪作体系を確立する基幹作物であります。水田作においては重要な転作作物であり、農地の有効利用と農業所得確保に寄与をもいたしております。  以上のとおりでありますが、現実には生産は停滞ぎみであり、生産理場には余りにも不安材料が多いように見受けられますが、我が国農政の中における大豆、菜種をどのように位置づけておいでになりますのか、まずお尋ねをいたします。
  263. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 先生今御指摘のとおり、大豆につきましては大豆研究会の食生活の面から見た大豆の位置づけという点、あるいは農業生産の面から見た大豆の位置づけといった点にありますように、大豆につきましては植物性たんぱく資源あるいは油脂資源といたしまして国民の食生活上欠かすことのできない重要な農産物というふうに考えております。また、農業生産面におきましても、大豆におきましては輪作体系を構成する基幹作物といたしまして、または水田農業を確立する上で重要な農作物であるというふうに考えております。このように大豆の国民食生活及び農業生産の重要性は今後とも、将来ともますます高まれこそすれ変わるものではないというふうに考えております。  特に昭和六十二年度から開始されております水田農業確立対策におきましては水稲と転作作物の合理的な組み合わせによります地域輪作農法の確立を推進することとしておりますが、これによりまして水田利用の高度化と水田作農業の生産性を目指すことということでございまして、大豆は水稲、麦と組み合わした上での合理的な輪作体系を確立する上での基幹的な作物であろうというふうに考えているわけでございます。したがいまして、従来以上に重要な役割を果たすものと考えているわけでございます。  他方、菜種につきましても、水稲と転作作物の合理的な組み合わせの中に取り入れる条件が整いつつあるというふうに考えております。  ところで、大豆及び菜種作の現状というものを見てみますと、生産性の向上等が立ちおくれているということ、あるいは地域間の格差が他の作物に比べましてかなり高い、大きいということが考えられるわけでございます。内外の価格差の拡大に伴いまして財政負担の増大しているということも問題の一つとして我々大豆作等の問題の直面している大きな課題でございます。このため今後の大豆及び菜種の生産におきましては、構造政策あるいはその他の生産振興対策の推進によりまして生産性の向上あるいはコストダウンを図るとともに、現実にこれを扱っておられる実需者あるいは消費者のニーズに応じました良品質の大豆及び菜種の生産流通を促進いたしまして、国内生産の確保及び健全な大豆及び菜種作農家の育成に努めていかなければならないと考えております。
  264. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 ただいま指摘させていただきましたように、農林当局とされましては極めて重要に位置づけておいでになります。しかし政策運営の中で果たしてそのようになっておりますのかどうか、昭和五十五年閣議決定の「農産物の需要と生産の長期見通し」との関連においてお尋ねをいたしたいと思います。あわせて国産大豆の生産の現状と課題について所信を求めます。  まず「農産物の需要と生産の長期見通し」の中で大豆の部におきましては、食用需要の過半を国内産で供給することを見込み、作付面積は基準年、すなわち昭和五十三年十三万ヘクタールの約六割増、生産量は基準年、すなわち昭和五十三年十九万トンの約二・二倍を見込むとあります。目標年次は昭和六十五年のことでありますのであと三年はありますけれども、九年を経過いたしておりますので、おおむねの推測はできます。生産量におきましては達成率二四%、生産面積におきましては達成率わずかに一一%であり、その上近年面積の推移は停滞を示しており、過半を国内産で供給する見込みは大きく崩れておりますし、閣議決定事項の権威は別といたしましても、この政策を続ける限り生産が伸びるどころか食糧に関する重要施策が空文になってしまっておるようで今後のことが心配をされますが、これらはどのように展開をして目標年次に到達しようとしておいでになるのかをまず開陳をしていただきたい。  確かに我が国大豆、菜種の生産には、構造的にはもちろん、生産者の意欲においてもいろいろの問題点があり、供給問題解決の困難なことは理解ができます。しかし日本が専ら製油原料としてではありますが、国内需要の八〇%までを輸入しておりますアメリカで、つい先年すなわち昭和四十八年六月に大豆の輸出規制が実施をされますと、豆腐騒動が起こりました苦い経験を持っておりますことから考えて供給問題はおろそかにはできないと思います。そういったことは生産の問題と直接関連をいたしますが、今日生産上の問題点として一般的に次のようなことが挙げられております。  第一点は、北海道の畑作地帯を除き、自家消費主体の栽培であったために生産性向上に対する意欲が低い。二つ目には、新品種の育成及び栽培技術の低位性。三つ目には、作付規模の零細性と圃場の分散。四つ目は、品種の多様性と集出荷単位の零細性。以上がまず一般的な原因で作業の合理化や流通コストの低減が阻害をされております。で、この阻害要因は、ひとり生産者だけの責めに帰せられるものではなく、生産者団体や行政もその責任を感じてもらわなければならないことは当然であります。  以上の問題点を克服して、競争力のある大豆、菜種作農家の育成が果たして可能だとお考えになっておられますのか、この点もあわせてお答えをいただきたいと思います。
  265. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) ただいま先生指摘の点は、六十五年の見通しについて大豆の現状がどこら辺まで来ておるのか、そういう形で数字をお挙げになられたわけでございます。私どもの具体的な数字は先生の点の作付面積あるいは十アール当たり生産量等々同じだというふうに考えますが、繰り返して申し上げますと、六十五年の見通しにつきましては、作付面積は二十一万ヘクタールでございますが、六十一年の状況というのは約十四万ヘクタールということでございますので、これは六六%の達成をしているというふうに考えております。一方、十アール当たりの収量というのは六十五年の見通しが二百二キロということでございます。したがいまして、この十アール当たりの面につきまして六十一年の数字百七十七キログラムは八八%の達成率ということになろうかと思います。生産量につきましては六十五年の見通しが四十二万トンでございます。これにつきましては低うございまして二十四万五千トンというのが六十一年産の達成率でございますので五八%ということでございます。  私ども考え方といたしましては、この六十一年の状況という数字でございますので、先生指摘の六十五年の間はむしろ四年という形でございますので、こういう一応の見通しということで政府が掲げたものでございますので、それに対する努力を今後とも傾注していかなければいけないというふうに考えているところでございます。  さらに先生は、現実のいろいろの生産が伸び悩んでいるというような点に関連しての原因と申しますかボトルネックの点についてのお話がございました。私ども先生お挙げになりました四点につきまして、先生のおっしゃるとおりだというふうに思っておりまして、そういう意味におきまして、大豆の生産の諸施策といったようなものを総合的に講じていく必要があろうというふうに考えているところでございます。  この点に関連してつけ加えさせていただきますと、やはり生産の構造といったものが、繰り返す結果になりますけれども、地域間の格差というものが大きいというのが、他の作物、特に稲作との比較で言えることでございます。北海道の畑作地帯と都府県の田の大豆といったようなものの生産性の格差、あるいは地域間におきます私どもの持っております優良事例といったものと平均の格差というものが極めて大きいわけでございます。相対的にも大きいわけでございます。現実におきまして、稲作につきましては構造政策、生産対策等におきまして各般の施策が傾注されましたけれども、これにおきましても、大豆の生産の過程におきまして、あるいは作付の問題、あるいは収穫の問題、あるいは乾燥等の調製の問題についても、今後発展の余地といいますか、改善の余地の大きい点を痛感しております。  現実の例を一つだけ申し上げさせていただきますと、調製乾燥等に至る前の収穫の段階でのコンバインといったものにつきまして、大豆に適当なコンバインというものが、つい最近といいましょうか、昨年から実用化の段階に入っております。そういった各種機械あるいは施設、そういったものを総合的に加えると同時に、本法律案の中で言っておりますような生産性の向上、あるいは品質格差の導入といった価格体系の誘導策というものと相まちまして、先生指摘の現状から、その理想といいましょうか、一つの見通しというものを経由いたしまして、大豆発展方向に対して施策を総合的に傾注をしていかなきゃいけないというふうに考えており、今後ともその路線を歩んでいく覚悟でおります。
  266. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 過去の経験の上に立って問題点を克服して目的を達成しようとするために今回の法改正になったことと存じます。果たして今回の法改正でその目的が達せられるかどうか、私は大きく危惧いたしておりますものですけれども、その点について論議をいたしたいと思います。  これらの改正点は、いずれも価格政策でありますが、まずその内容の第一点といたしましては、生産構造や生産性の向上を的確に反映したものにしていきたい、第二点は、良品質の大豆、菜種の生産を誘導する、第三点は、生産団体等による一層の販売努力を促進するた目標準販売価格に最低標準額を設ける等であるように見受けます。生産性の向上、品質の改善、販売努力の促進と、いずれももっともなことであり、これに向かって努力をすることは当然なことであります。しかし、その方法に余りにも多くの問題点がありますことを指摘せざるを得ません。  その一つは、なぜ農業パリティ価格を基礎とした現行算定方式を見直さなければなりませんのか。生産費その他の生産条件、需要及び供給の動向、物価等を参酌して決めるとありますが、生産費その他の生産条件の文言が示すように、与件が特定化されず、従来の制度よりも政府の裁量の幅が大きくなり、使い方によっては政府が生殺与奪の権を握ることになりかねません。良品質の大豆、菜種の生産を誘導するとあるが、その手法が指導ではなく価格政策による誘導であり、こういった場合、得をする人も確かにありますことと思いますが、損をするより多くの人をつくらなければならないのは歴史の示すところであります。  その次には、生産者団体の販売努力を促進するため、最低標準額を設けるとありますけれども、午前中の答弁にもありましたとおり、努力目標として最低標準額が設けられました場合、それは政府の裁量のままでありまして、もし、販売努力の実が上がらなかった場合に泣かされるのは零細な生産者ではないのですか。  これらの問題点の多くが我が国大豆、菜種作の零細性に原因があり、生産性や品質に地域間格差はあっても、おくれた都府県における実態にはそれはそれなりの原因があります。また生産者団体の販売努力にもおのずから限界がありましてのことだと考えられますし、さらに、多くの場合買い手市場であることを余儀なくされたことも推測をされます。生産者個々の自助努力だけでは解決できない歴史的経過過程を考えたときに、むしろ適地適作や栽培技術向上の指導を怠り、さらには、品種改良や栽培の省力化の手だてにおくれをとった政治の責めに期せられるものも少なしとはしない現状において、生産者だけの犠牲で急激な変化を求めることは、大豆、菜種作農家の崩壊を招きかねないと心配をする立場から政府の見解を尋ねます。  すなわち、この法改正で生産構造が改善をされ、生産性が向上、さらに生産者団体の販売努力の結果、流通が活性化し、これが生産者の生産意欲を刺激し、良品質の大豆、菜種の増産が実現すると本当に考えておいでになりますか。もし、そのように考えておいでになるとすれば、その道筋を簡潔にお答えをください。
  267. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 先ほど来お話を申し上げておりますとおり、戦後におきます大豆生産あるいは大豆農家の生産構造というものに思いをいたしました場合に、これまでの生産の組織あるいは生産の作付状況という点につきまして、具体的には規模が零細であり、かつ、その生産が二十五年前以前等におきましては自家消費的なものを中心に構成されていたというところにあろうと思いまして、その後におきます二十五年間の経緯の中に、先ほど来るる申し上げておりますように、各地におきます農家の方々の地域に即した営農といったようなものの中で、生産性もかなり上がっている事例が多々輩出しているところでございます。  そういったような状況を見ました場合に、今後の大豆作の振興におきましては、構造政策あるいは生産対策あるいは品種改良等の試験研究対策というものを総合的に行いました場合には、我が国におきます大豆生産におきまして、特に都府県におきましてのあぜ大豆の生産状況から大規模の、あるいはかなり広範囲の面積を前提にいたします輪作体系の一環としての大豆作が育成されていくものと考えておるところでございます。  そういう意味で、繰り返すようでございますが、生産対策あるいは構造政策と相まちまして、今回御提案申し上げております価格政策の交付金制度の改善によりまして、需要者あるいは国民各層の求めている良質の大豆の生産が供給をされていくであろうと。その点におきまして、我が国農業を取り巻く厳しい状況の中で、特に大豆におきましては、諸外国からの輸入大豆というものの価格が、それと競争関係におきましても、諸施策の総合的な実施によりまして生産性の向上あるいは良品質の育成がなされれば、我が国の国産大豆が大きな地歩を占めていくであろうというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、先生指摘の点でございますが、現行におきます二十五年間実施してまいりました価格対策につきましても、現状のニーズあるいは状況変化に即しまして所要の改正をしていただきまして、以上申し上げました大豆生産の育成を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  268. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 最後に、加藤農林水産大臣に所信をお尋ねいたします。  以上申し述べてきましたとおり、本法律改正案は政府の財政負担軽減の願いを込められたものと推測せざるを得ません。今の時代、生産農家の英知は、今はだれが得をし、だれが恵まれないかはちゃんと知っております。その恵まれない農民がなぜこんなに世間からたたかれなければならないのだろうか。そういったことに歯ぎしりをしておる人も多いと思います。物を生産しなくてもお金の操作だけでおもしろいほどお金のもうかる財テクの時代、この炎天下、はしかい目をしながら麦作を終わって、その後作の手間のかかる上に稼ぎの少ない大豆作に黙々として働いてくれる人がいなければ、午前中の答弁にありましたとおり、良品質の国内大豆を原料とした豆腐や納豆が食べられないとすれば、多少の財政負担くらいは許されるのではありませんか。人間の労働の価値観を単に経済指標だけではかるのではなく、哲学的発想で根本的に変えて見るべきだと思います。  転作の場合、麦作の後作に大豆を組み込めば採算性が向上することは当然です。そのことは生産農家にもちゃんと十分わかっておるはずです。それでも農業人口の高齢化した今日、意欲をかき立てる限界に来ておりますのか、大豆作を放棄をする集団転作地がふえてきております。お金で苦痛な労働を強要することさえ控えなければならない時代です。ましてや生産性向上や品質改良の名のもとにこれ以上の交付金支給条件の悪化はやっぱり問題があり過ぎると思いますし、これは直ちに減産に連なり、長期計画など画餅に帰してしまいますと思いますが、大臣に御見解を求めて、質問を終わらしていただきます。
  269. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 本朝以来、我が国農業における大豆作の重要性並びに国民食生活における植物性たんぱく大豆重要性等については、もう十分に御議論をいただいたところでございます。そしてまた、けさほど局長が発表といいますかお答え申し上げた中に、本年度水田農業確立対策におきまして三五%大豆作付面積がふえたというようなこと等もあるわけでございます。そういう中で、本法案を提出いたしました趣旨を繰り返し申し上げてきたわけでございますが、大豆及び菜種にかかる交付金制度について、生産状況等を的確に反映させるとともに、一層の生産性の向上及び品質の改善に資するようにこの法律案を提出したものでございます。  改正法を成立さしていただきますと、我々は積極的に大豆、菜種生産に取り組もうとする生産者による生産の振興を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  270. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  271. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  272. 諫山博

    ○諫山博君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております大豆なたね交付金暫定措置法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。  我が国大豆は、古来でん粉を主食とする我が国の食生活において、豆腐やみそなど多彩な形態で多様な栄養素をバランスよく摂取するための食品として、日本人にとっては欠かすことのできない食品であります。にもかかわらず大豆の自給率は、一九六〇年には二八%だったものが一九七〇年には四%にまで落ち込み、近年わずかに五%に回復してきました。  ところが本法律案は、大豆などの自給率向上の方向をとるのではなく、価格政策の改悪により大豆増産にブレーキをかけ、国の財政負担を免れようとするものであります。  本法律案は、第一に、基準価格引き下げを目的として算定方法を改悪しています。  大豆などの場合、パリティ価格は麦価とは違い参酌事項の一つでありますが、これまでの運用上、パリティ価格を最大の基準とし、生産費を下回る低価格を押しつけてきました。ところが本法律案は、さらに低価格を押しつけるためにパリティ価格を参酌事項から外し、恣意的に価格引き下げが可能となる算定方法に改悪しようというのであります。その一方で、参酌事項に現行の生産事情にかえて生産費を明記していますが、その生産費について、平均作付規模七アールという大豆生産の実態を無視して、販売することを主たる目的として生産を行っていると認められる生産者に限定し、圧倒的多数の大豆作農家を切り捨てようとしています。また、需要と供給の動向を参酌事項に入れていますが、今日の円高のもとで、アメリカ産大豆の輸入拡大を前提とした需給動向参酌による市場原理導入は、低価格押しつけの根拠とされるのは明白です。さらに、生産性向上や品質の改善に資するという配慮規定も、価格の引き下げに結びつくことになり、生産性向上や品質改善のための生産者の意欲を損なうものであり、これら農産物の生産を減退させるものとなるでしょう。このように基準価格算定方法改正内容は、現行パリティ方式をさらに反動的に改悪するものです。これが本法律案に反対する第一の理由であります。  反対の第二の理由は、基準価格に種類銘柄別の価格を導入し、実質農家手取りの格差を一層拡大し、品質格差の水準次第では、再生産の確保を旨とする基準価格の基本を崩しかねない点です。  反対の理由の第三は、この法律案が生産者を儀牲にした財政負担軽減策であるということです。  今回の改正案は、さきに指摘した問題点のほかに、最低標準額を設定し、標準販売価格がこの最低標準額を下回った場合、最低標準額までしか不足払いしないとしています。これは交付金単価の上限額の設定であり、財政負担軽減策であることは明白です。特に、この最低標準額については、輸入大豆価格も含めた市場価格で設定するとしており、この水準いかんでは基準価格が農家の実質手取り額を意味しなくなり、不足払い制度の根幹を崩しかねないものです。  今、大豆などの生産を振興し、自給率を向上させること、そのために価格政策を充実し農家の再生産を確保することこそが求められているのであります。こういう当然の方向に背を向けた本法案に強く反対することを表明して、反対討論を終わります。
  273. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  274. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  大豆なたね交付金暫定措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  275. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  稲村君から発言を求められておりますので、これを許します。稲村君。
  276. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私は、ただいま可決されました大豆なたね交付金暫定措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘の各派及び各派に属しない議員山田耕三郎君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     大豆なたね交付金暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   大豆及びなたねは、国民の食生活に不可欠な農産物であるばかりでなく、畑作における輪作体系の中の基幹作物として、また、近年では水田における重要な転作作物として、農地の高度利用と農家の所得確保を図るうえで大きな役割を果たしている。  よって、政府は、中長期的展望に立って、国内大豆及びなたねの自給力の向上を図るための諸施策を強力に推進するとともに、本法の施行に当たっては、次の事項の実現に努め、生産農家の経営安定に万全を期すべきである。  一 基準価格については、生産者の理解が得られる算定方式を確立するとともに、その算定に当たっては、従来の経緯、生産実態等をも十分勘案し、再生産を確保し得る価格を実現すること。  なお、生産性向上の反映については、農家への還元にも十分配慮して行うこと。  二 種類等別基準価格の設定については、関係者の意見が十分反映できるよう必要な措置を講ずるとともに、各品種の地域的な適応性、優良品種の開発普及状況等地域ごとの制約にも十分配慮すること。  三 最低標準額については、従来の国内大豆及びなたねの市場実勢を尊重し、生産者団体等の販売努力により達成し得る水準に決定するとともに、輸入価格の低落等が国内産価格の低落に著しい影響を及ぼす場合には、速やかにその変更を行うこと。  四 大豆及びなたね作の生産性向上を図るため、土地基盤の整備、経営規模の拡大、生産の組織化及び団地化、機械化一貫作業体系の確立等生産条件の早急な整備に必要な各種施策の拡充強化に努めること。  五 品質の向上と出荷単位の大型化を図るため、共同乾燥調製施設の整備、広域的な案出荷体制の確立等を積極的に推進すること。  また、良質かつ安定多収品種の育成、地域に応じた栽培技術の改良、高性能機械の開発等の試験研究の充実強化を図るとともに、その成果が生産農家に円滑に普及するよう努めること。  六 水田転作としての大豆及びなたね作については、狭小な作付面積、不良な排水条件、多様な品種、低い栽培技術水準、割高な機械費用等、不利な生産条件の下にある実態にかんがみ、その克服のための諸施策を強力に推進すること。   右決議する。  以上でございます。
  277. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) ただいま稲村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  278. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 全会一致と認めます。よって、稲村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの附帯決議に対し、加藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。加藤農林水産大臣
  279. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処してまいりたいと存じます。
  280. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  281. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  282. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 次に、食糧管理法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。加藤農林水産大臣
  283. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  麦は、国民の食生活において米と並んで主食としての地位を占める農産物であるとともに、我が国農業において、代表的な土地利用型作物の一つとして、また、水田農業の確立を図る上での有力な転作作物、裏作作物として、重要な地位を占めております。  一方、麦作をめぐる現下の諸情勢を見ますと、生産性の一層の向上を図るとともに、実需者等のニーズに即した品質のよい麦の生産を誘導していくことが重要な課題となっております。このため、これらの課題にこたえることを基本として麦作の振興を図っていくことが必要であると考えております。  麦の政府買い入れ価格につきましては、食糧管理法の現行規定において、昭和二十五年産及び昭和二十六年産の麦の政府買い入れ価格の平均価格に農業パリティ指数を乗じて算出したいわゆるパリティ価格を下回らず、かつ、これを基準とするものとされておりますが、昭和二十五、二十六年当時と現在とでは麦の生産構造は大きく変化しており、また、現行規定では、生産性の向上、良品質麦への生産誘導といった今日的課題に十分対応し得ない等の問題を有しております。  このため、この法律案により、麦の政府買い入れ価格については、生産性の向上及び品質の改善に資するように配慮しつつ、生産費その他の生産条件、需要及び供給の動向、物価等を参酌して定めることとするものであります。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  284. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。後藤食糧庁長官
  285. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提案いたしました理由につきましては、既に提案理由説明において申し述べましたので、以下、その内容につき若干補足させていただきます。  この法律案におきましては、麦の政府買い入れ価格につきまして、麦の生産費その他の生産条件、麦の需要及び供給の動向並びに物価その他の経済事情を参酌し麦の再生産を確保することを旨として定めるものとするとともに、この場合においては麦作の生産性の向上及び麦の品質の改善に資するように配慮するものとすることとしております。  なお、附則におきましては、この法律の施行期日を公布の日から一年を超えない範囲内で政令で定める日とするとともに、この法律による改正後の規定は、昭和六十三年産の麦から適用することとしております。  以上をもちまして、食糧管理法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
  286. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  287. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  食糧管理法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  288. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  289. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十九分散会      —————・—————