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1987-09-10 第109回国会 参議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年九月十日(木曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員の異動  九月八日     辞任         補欠選任      久保田真苗君     鈴木 和美君  九月九日     辞任         補欠選任      鈴木 和美君     久保田真苗君  九月十日     辞任         補欠選任      柳澤 錬造君     井上  計君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         名尾 良孝君     理 事                 板垣  正君                 岩本 政光君                 大城 眞順君                 野田  哲君     委 員                 大島 友治君                 岡田  広君                 亀長 友義君                 古賀雷四郎君                 永野 茂門君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 小野  明君                 飯田 忠雄君                 峯山 昭範君                 吉川 春子君                 井上  計君                 柳澤 錬造君                 宇都宮徳馬君    国務大臣        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君    政府委員        内閣官房内閣安        全保障室長        兼内閣総理大臣        官房安全保障室        長        佐々 淳行君        内閣法制局第一        部長       関   守君        防衛庁参事官   瀬木 博基君        防衛庁参事官   古川 氏温君        防衛庁参事官   児玉 良雄君        防衛庁参事官   筒井 良三君        防衛庁長官官房        長        依田 智治君        防衛庁防衛局長  西廣 整輝君        防衛庁教育訓練        局長       長谷川 宏君        防衛庁人事局長  松本 宗和君        防衛庁経理局長  日吉  章君        防衛庁装備局長  山本 雅司君        防衛施設庁長官  友藤 一隆君        防衛施設庁総務        部長       弘法堂 忠君        防衛施設庁施設        部長       鈴木  杲君        防衛施設庁建設        部長       田部井博文君        防衛施設庁労務        部長       山崎 博司君        外務大臣官房審        議官       渡辺  允君        外務省中近東ア        フリカ局長    恩田  宗君        外務省条約局長  斉藤 邦彦君    事務局側        常任委員会専門        員        原   度君    説明員        運輸省航空局首        席安全監察官   大竹 勇二君        運輸省航空局技        術部運航課長   加藤  晋君        海上保安庁警備        救難部長     邊見 正和君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案(第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆 議院送付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(第  百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送  付)     —————————————
  2. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  久保田真苗君が一たん委員辞任されたため、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事野田哲君を指名いたします。     —————————————
  4. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案並び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 小野明

    小野明君 まず長官お尋ねをいたしたいと思いますが、長官は、去る五月の二十九日から六月四日まで、中国国防部長招待で、現職の長官としては初めて中国を訪問されたわけですね。そこで国防部長あるいは万里首相会談をされまして、各地の部隊の視察を行われたことは、テレビでも拝見をいたしております。最近の日中関係というのは、防衛費の一%枠突破問題とかあるいは靖国神社の公式参拝問題あるいは光華寮問題等がございまして、非常なきしみが出ておるように思われます。そこで、こういった中で中国を訪問されました意義について、まず長官感想といいますか、所信をひとつお述べをいただきたいと思うんです。
  6. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 今小野さんからお話のありましたとおり、私が中国側から御招待をいただきましたその時期は、いろいろ中国側日本に対する考え方などが取りざたされている最中でございましたので、これは率直に中国側と話をしなきゃならないと、そういう気持ちで参りまして、国防部長張愛浮さん、それから副首相万里さん等と率直に話をいたしました。私は、GNPの一%を超えるような予算になったけれども、これは決して俗に言う軍事大国になるようなものじゃない、そのゆえんのものを我が国議会制民主主義観点からお話をして、御理解を求めたわけであります。その他の靖国神社の問題あるいは光華寮の問題、教科書問題につきましても、忌憚ない意見の交換を行ったわけでございます。  結論的に言いますと、非常にフランクにしかも友好裏——自分で言うとおかしいんですが、非常に友好裏に話をいたしまして、どの会談予定時間を三十分ないし一時間超えると、そういう会談でございました。日本防衛政策につきましては、これは中国側日本の言うことはよくわかる、節度ある防衛力整備をやっていかれるということについては私どもも賛成であるし、日米安保についても我々はこれを支持する立場にある、そういうようなお話があったのでございまして、いろいろと取りざたされておりましたけれども、極めて友好裏に率直な会談ができたことについて大変満足をしておるというのが、私の感想でございます。
  7. 小野明

    小野明君 一%問題についても中国側理解を得られた、あるいは友好裏会談を進められたと。友好裏会談を進められたということは理解をいたしますが、種々報道されておるところによりますと、一%問題につきましては中国も非常な懸念を内外に表明をされておるように思います。今の御答弁では、どうも私もすんなり中国側が納得をしたというふうには思われないんですが、いかがですか。
  8. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 中国側が、一%を超えた、それはよくわかりました、結構でございましょう、そういうようなことを言ったわけじゃございません。私の方でどうして一%を超えざるを得なかったかというその事情を申し述べ、我が国防衛政策についていろいろ話をしたところで、中国側から日本防衛政策については節度ある防衛力をやられるということでそれなり理解を示した、こういうことでございまして、その翌日の人民日報は、日本防衛政策について理解を深めたと、こういうふうに書いております。ですから、向こう側からは一切一%問題について触れなかったんです。中国側のいろいろの様子を見ていますと、例えば今度は二階堂さんが行かれたけれども二階堂さんに対して一%問題は向こうは言わなかったようですね、これ。ですから、そういう意味合いで、中国側は人によっていろいろ対応されるのかなあというふうにも思いますが、私の場合には一%問題はこちらから触れたのにかかわらず、向こうは一切触れなかった。のみならず、日本が節度ある一定の防衛力を持つのはこれは当然のことである、日米安保も我々は支持しておると、こういうことでございますから、私ども中国側に御理解をいただいたものと、そういうふうに考えております。
  9. 小野明

    小野明君 それは私は、長官の受けとめ方は非常に甘いのではないか、こういうふうに思っているわけです。というのは、防衛白書が発表された後、プラウダあるいは新華社通信がそれぞれ見解を表明いたしておるわけです。プラウダ報道については若干問題があるような感じがいたしますが、中国は、新華社通信はこういうふうに発表し、RPで発表されております。防衛庁が対前年比六・二%増の六三年度防衛予算概算要求を正式に決めたことについて論評防衛予算全体の約六〇%が武器装備購入にあてられることを指摘し、日本防衛はいまや「質」の向上から軍事力拡充の重視に移った、と警戒の念を表明した。  同通信はまた、日本防衛重点洋上防空・対潜探知能力向上に置かれていることについて、これは攻撃力の強化を意図していると述べた。このように報道されているわけです。ですから、新華社通信ですけれども日本防衛力整備について中国が大きな懸念表明をしておるということについては、どうもやはり長官の御認識の方が多少甘い、誤られておるんじゃないかという感じがいたしますが、いかがですか。
  10. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 今小野さんの御質問の中で、中国を訪問した時点においての私の感想と、こういうように私は感じたものですから、そのときには、今私が言ったとおり、大変フランクに、しかも友好裏に話をしている、理解が進んだと思っておるんです。  その後、いろいろの新聞報道もされておりますので、これは防衛白書その他が出まして、日本でもいろいろの論評がございますわね。そういうものとやはりいろいろと関係がないとは言えないと思うんです。そういう意味合いで、今御指摘のとおり、中国側懸念があるならば、それに対しては機会をとらえて我々はこう考えているということを丁寧に話をしなきゃならぬなと、こういうふうに考えております。
  11. 小野明

    小野明君 それと、きょう私は初めて防衛二法の質問に立ったわけですが、きのうの新聞報道によりますと、八日の衆議院本会議で、総理が隣の金丸総理に「防衛二法は流れたけど、ほぼ一〇〇%の国会だった」と語ったと、こういうことが報道されておりました。私はこれを見て力が抜けたような感じがするわけですね。もう初めから抜けている。総理がこういう表明をされておるのに何も一生懸命にやる必要はないとも思われますし、また防衛庁側の肝心の当局の答弁も、これは手抜き答弁ばかり出てくるんじゃないかという感じがいたすわけですが、こういった総理お話といいますか、意見については担当長官としてはどうお考えですか。
  12. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) あのときの本会議は、総理金丸さんそれから私ですよね、田村さんがいないものだから。雑談しておりましたけれども、僕のいるところですよ、状況で。そこで、防衛二法は通らないけれどもあと通ってよかったなんて、総理が言うはずがないんです、状況証拠として。私にすぐ聞こえるんですから。しかも、これは新聞社人たちがそういうことを書いたのであって、総理が直接言ったことじゃございません。私は総理がそのような話をするということはあり得ないと思っています。私が防衛問題の直接の責任者でございますから、私の態度にふらちなことがあったらおとがめをいただきたいと思いますけれども、私の態度にふらちなことがない限り、どうぞ審議を進め、慎重審議の上御可決あらんことをお願い申し上げます。
  13. 小野明

    小野明君 私も熱心に質問をいたしますから、ひとつ手抜きじゃなくて慎重、丁寧な御答弁をお願いいたしておきたいと思います。  そこで、防衛計画大綱の問題に入りますが、去る五十一年に国防会議並び閣議防衛計画大綱が決定されております。その見直し論が絶えずくすぶっておるわけでございます。この見直し論が出てくる最大の根拠の一つ国際情勢変化という点にあるのではないか、こう思います。そこで、防衛計画大綱前提とされておる国際情勢判断は、この白書あるいは防衛ハンドブックにも出ておりますが、一つ米ソ全面戦争の回避という点、それから二つ目は中ソ対立の根本的な解消はない、三番目は米中関係の調整は持続しつつある、四番目に朝鮮半島に大武力紛争はない、こういう四点ではなかったかと思います。こういった諸点について、防衛計画大綱見直しに通ずるような大きな国際情勢変化はないと、このように私は判断をしております。白書にはいろいろソ連脅威論が殊さらに書かれておるんですが、これらの四点について、大綱の示す情勢認識という点について長官の御判断はいかがですか。
  14. 瀬木博基

    政府委員瀬木博基君) ただいま、大綱に示される国際認識についての御質問がございました。国際認識の中で大綱が示しております諸点は、ただいま先生がおっしゃられたような基本的な幾つかの情勢もございますが、大きくいきまして、大綱が示しているところの国際情勢の基本的な枠組みというものは、私は二つに分かれるのではないかと思います。  一つは、グローバルな観点でございます。このグローバルというか全世界的な観点から見ますと、東西関係というものは、一方においては核の抑止力を含む軍事的な均衡がある、他方においては国際安定化のために努力が続けられている、そういう状態から全面的な軍事衝突は起こりにくいであろうということであろうかと思います。この点は、先生がおっしゃられました米ソ間の全面的な対決というか、衝突ということは起こらない、起こりにくいであろうというところと軌を一にするところであろうと思います。  もう一つ要素は、これは当然のことながら我が国でありますから、我が国周辺はどうかということでございます。この我が国周辺状態を見ますと、確かに先生の御指摘の中にもありますような、朝鮮半島の問題も依然としてあるわけでございますが、こういう不安定な要素ははらみつつも、米ソ間または中国を含めたような大国の間の均衡状態が一応保たれているということ、また日米安保体制というものが堅持されておって、こういう状態から我が国周辺においても大規模な紛争が生起しにくい状態にある、こういうことではないかと思います。  そういうようなグローバルな環境から見ても、また我が国周辺状況を見ても、この大綱前提としておりますような枠組みというものは変わっていないというのが、我々の分析でございます。
  15. 小野明

    小野明君 それで結構だと思いますが、したがって、お尋ねをしておるのは、防衛計画大綱見直しに通ずるような大きな国際情勢変化はないのではないかというのが私の質問です。いかがですか。
  16. 瀬木博基

    政府委員瀬木博基君) 我々が白書等でも明らかにいたしておりますのは、国際情勢というのはこれはもう一進一退いたしますし、その中にあっては安定的な要素もあれば、また不安定な要素もある。しかし、防衛計画大綱を支えておるところの基本的な枠組みというものはこれは崩れていない、そういうことでございます。
  17. 小野明

    小野明君 次に、白書の問題に移りますが、白書を見ますと、大綱別表見直しはないと断言をされておるかと思うと、あるいはそうではない、いろいろ見直しというものが示唆されている部分がございますね。そこで、しかし、見直しというのは、陸海空三自衛隊の仕切り、あるいは主要装備の数量に限定されているようにも読めるわけで、なかなかこれはあいまいなところがありまして読みにくいわけですが、最近防衛庁内の洋上防空体制研究会が、OTHレーダーあるいはイージス艦導入措置に加えて、空中給油機導入をもほのめかしているわけでございます。これらのひとつ全貌を大綱との関係で明らかにしていただきたいと思います。
  18. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) まず、大綱見直しあるいは字句修正等関係でございますが、御承知のように、大綱が五十一年にできた当時から、私どもこういった思い切った目標というものを大胆に政府として設定をしたということで、その当時からそんな低いことでいいのかという御意見もあれば、逆に大綱水準というのは高過ぎるのではないかという御意見も出た。それなりにいろいろな御意見が出て、国内の防衛問題に対するコンセンサスを得るための一つの指標になり得たのではないかと思っております。  ところで、大綱見直しといいますか、大綱の物の考え方そのものをどうするかということにつきましては、先ほど瀬木参事官からその前提となっている国際情勢、そういった枠組みは変わっていないということでありますので、私どもそういったものについて毫も変える考えはございません。また、個別の細かい字句修正その他につきましては、一昨年来理論的問題としてそれが可能か可能でないかという御議論がいろいろありました。そして、ことしも引き続いてそういった御議論があったわけでありますが、そういった理論的にどう考えるかということについての整理を一応今回の白書でさせていただいておるものでありますが、それはあくまで理論的問題であって、我々としては五カ年計画というもので防衛力整備政府方針というのは決まっております。その政府方針に従って整備をする限り、大綱については別表の細部の字句修正も含めてそういったとは全く行う気持ちもなければ、行う予定もないということであります。  なお、お尋ね空中給油機等洋上防空研究の一環として浮上してきておるのではないかということでございますけれども、御承知のように、洋上における防空の問題については、最近の軍事技術の進歩というものに関連をして、非常に我々としては重視せざるを得ない問題であるということで、閣議決定の五カ年計画でもこの点について十分検討するようにというように定められておるわけであります。あわせて空中給油機については、空中給油機の問題について期間内に勉強しろということになっております。この両者は全く関係がないというものではございませんで、確かに空中給油機というのは航空機の滞空時間、空中にいる時間を延伸できるということで、例えば洋上における防空のように、かなり基地から離れた地域における防空という際に役立つという面もあろうかと思います。一方、そういったこと以外に本土そのもの防空において、例えば基地航空機が待機するのではなくて上空で待機するというような際には、空中給油機というものは必要になってくるわけであります。果たしてそういったことが必要であるのかないのかというようなことについて、これからまだ五カ年計画も四年ほど残っておるわけで、その間に勉強しろということになっておりますので、我々は引き続き勉強したいと思っておりますが、いずれにしましても、この現在政府として定められておる中期計画期間空中給油機について整備するという考えは全くございません。
  19. 小野明

    小野明君 そうすると、空中給油機導入については、これは考えていないということでございますか。
  20. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 五カ年計画としてその種の計画は全くございません。
  21. 小野明

    小野明君 そこで、それでは次の同じく洋上防空体制研究会の問題でございますが、早期警戒管制のためのAWACSですね、これは来年度白書重点になるのではないかということも巷間言われておるわけですが、現在のE2Cを導入するときに、より大型のE3Aも検討の対象としながら、高価なこともあって小型の主に艦載用のE2Cに決定したいきさつがございます。これはよく御存じだと思います。これからE3Aに切りかえるとなると、E2Cにしたのは何のためであったのかという疑問が残るわけでございます。これは防衛庁判断ミスとするには余りにも高価な買い物であったわけですが、この点はいかがですか。
  22. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) E3A、いわゆるAWACSでございますが、大型のかつ高性能の早期警戒機、この問題については、現在のところ防衛庁としてこれを研究するという状況にはまだ至っておりません。  御承知のように、現在防衛庁はE2Cというプロペラ型の早期警戒機を既に装備をいたしております。また、現在政府決定されておる五カ年計画におきましても、同様のE2Cという早期警戒機をさらに五機追加整備をするという計画になっております。これらの早期警戒機というのは、御承知のように、現在レーダーサイトというものを基盤にした本土防空態勢全般防空態勢があるわけでございますが、その中のいわゆるギャップといいますか、地上からのレーダーで発見したのでは間に合わないようなギャップを埋めるため、あるいは地上レーダーサイトが被害を受けたときのバックアップ、そういった意味でE2Cというものが必要であるということで、かねがね整備が続けられているものであります。したがって、あくまでこれは本土防空全般防空のためのレーダーサイトバックアップ機能なりの役割を果たすものでありますから、機動的にそれを運用するというものじゃありません。ある空中に滞空して敵の侵入を監視するということでありますので、そう大きな機動性、スピードとかを要するものではないということで、我々としては、今でもE2Cというものが最も最適の機種であろうというように考えておるわけであります。  お尋ね洋上防空等に関連して、AWACS、E3A等が浮上してくるのではないかということでございますが、我々としてはまだそこまで勉強は進んでおりませんし、果たしてその種の早期警戒機というものが必要であるかないか、必要な場合に、E2CよりもE3Aがいいのかといったようなことについて研究はいたしておりませんが、いずれにしましても、この五カ年計画における早期警戒機整備というのはE2Cの五機の追加整備ということが決まっており、これをいずれ実行したいというように考えておる次第であります。
  23. 小野明

    小野明君 この点では、「防衛アンテナ」という雑誌の七九年の二月号に、「早期警戒機導入について」ということで防衛庁が発表された資料がございます。そこで、「E−3Aが適当でない理由」ということで、E2Cを導入するんだと、「高価である。」というようなことも書かれておるわけですね。ところが、洋上防空体制研究会ではこれの導入をしたいということが入っているように仄聞をするわけですが、現在は、局長、E3Aに切りかえるというお考えはないということでございますか。
  24. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) ただいまの先生の御質問で、洋上防空研究を通じてE3Aを必要とするというようにお受け取りになっておられるような御質問でございましたけれども現状までの洋上防空体制研究会で、その種の結論なりあるいは意見が出ているということは全くございません。したがいまして、現状ではE3Aを入れるという考えはございません。
  25. 小野明

    小野明君 次にまいりますが、中防の問題です。中防が六十年秋に、国防会議あるいは閣議で決定されたわけですが、その際、防衛庁が、同じくこの「防衛アンテナ」という雑誌に、この中期防衛力整備計画が達成された場合における「本土防空能力」、あるいは「海上交通安全確保能力並びに「着上陸侵攻対処能力」のそれぞれについて、説明をいたしておるものがございます。しかしながら、この昭和六十年十月号のこの発表、防衛庁説明は余りにも簡単過ぎて、結果としては何も説明していないのと同じことではないかと、こう思われるわけです。そこで、この中防達成時の能力ということについて御説明がいただきたい。  同時に、いま一つは、この中防で十八兆四千億という数字が積み上げられておるわけです。この総額明示方式が歯どめであると、こういう言い方もなされておるわけですが、この十八兆四千億の積算根拠を明示しなければ私は意味がないと思うわけです。積み上げた個々の費用について、詳細な品目に至るまで、数量、単価等を明らかにして初めて有効性を持ち得ると思います。この手続をとって初めてシビリアンコントロールの基礎を提供することになることと思いますが、この十八兆四千億の積算の根拠について資料を提出をしていただきたい、基礎を提出いただきたい、こう思います。今までいろんな資料で私も見てまいりましたが、正面装備の点はそれぞれ単位というものが出されておるんですが、後方あるいは人種、この後方の問題については特に何ら説明がなされていない。六兆五百億円というのが計上されておるんですが、これについては何ら説明がないという現状だと思います。この二つについて御説明がいただきたい、こう思います。
  26. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) まず、第一のお尋ねの中期防が達成した際の能力ということでございますが、防衛能力というものにつきましては、正直申し上げて具体的な数値を申し上げるということが非常に難しいと同時に、かつある特定の状態というものを設定して申し上げるということになりますと、具体的な我が国防衛能力というものがあからさまになってしまうということで、これまた大変差しさわりが多いといいますか、出すことを御遠慮させていただきたいという面があるわけであります。したがって、どうしてもある程度抽象的にならざるを得ないことをお許しいただきたいわけであります。  前々から申し上げておりますように、大綱そのものの考え方というのが、限定的かつ小規模な侵略事態に独力で対応できることということになっております。それじゃ、その限定的かつ小規模とはどんなものだということ、これまた何度がお答え申し上げておりますが、まず、限定的というのは通常兵器による侵攻であるということが当然のことであります。しかも、それが地域的かつ時間的にも限定されたものということになりますから、相手方が大々的な準備あるいは他の地域から多くの軍事力というものを移動してきて侵攻するということではなくて、周辺の国等がそれなり周辺に存在しておる軍事力を短期間に動員できる範囲で我が国に当ててくるという状況を想定しておりますので、数量的に細かく言うことは控えさせていただきますが、いずれにしましてもそう大きなものではない。陸で言えば数個師団程度のものプラス空挺であるとか空中機動の旅団であるとか、そういったものが付加されたもの程度である。航空機についても、所在する航空機の中の四分の一とかあるいは五分の一といったような数量のものが来得るのでないかというようなことを前提にして考えておるわけであります。  そこで、能力ということになりますと、この中期防衛力整備計画におきまして、ともかく大綱水準を達成したいということで、中期防衛力整備計画は我が方からお願いをいたしました。そして、ごく一部のものを除いてはそれが達成されるものと我々は期待をしております。したがって、ごく一部のものをまず除く点から申し上げますと、一つは、着上陸侵攻等に対応するための洋上における阻止、あるいは上陸されてからの陸上部隊の陸上戦闘を支援するための支援戦闘機部隊というのがございます。これにつきましては、現在支援戦闘機の数というものが大綱所定の百機体制というもの、部隊配置百機体制というものが満たされないまま、七十機弱の形で今F1というものが配備されております。これに代替する航空機というものをこれから得なくちゃいけませんので、これをどうするかという問題が決まり、かつそれを整備していくということになりますと、この五カ年計画中には発注が終わり切らないという問題がありますので、この問題は若干後まで穴があいたまま残らざるを得ないという点がございます。  それから、もう一点申し上げますと、中期防衛力整備計画の中で指摘されておりますように、空からの脅威の変化というものに伴って洋上における防空、いわゆる船舶の防空であるとか、あるいはレーダーサイト等に対するミサイル攻撃、そういった脅威というものが増大しておりますが、これについてはまだ十分な対抗手段というものが我々としては検討が終わっていない。この五カ年計画中に研究をするということになっておりますので、その種のものについての実際の施策というものはこの五カ年間で行われないという二点がございます。そういったものがございますが、概して言えば、大綱水準というものは私どもはこの五カ年計画が整々と実施されれば、達成できるというふうに考えております。  それはどういうことかといいますと、まず着上陸侵攻について申しますれば、これをすべて水際までで小規模侵攻といえども撃退してしまう、一切国土内に入れないということは実際問題として不可能でございますが、相手方が仮に我が領土内に取りついたにしましても、相当な地域というものを確保してしまって既成事実をつくってしまうという状況がない程度に、常に国土の防衛戦闘というものが流動的な状態で維持される、あるいは相手方が取りついた地域というものがごく局所に限られるといった状態が保てる程度の能力は持ち得るのではないかというように考えております。  それから、海上交通の安全保護の関連につきましては、これは従来から潜水艦による海上交通の破壊というものに主眼を置きまして、それにどう対抗するかという防衛力整備をしてきたわけでございますが、これにつきましても、相手方が引き続き潜水艦による我が国海上交通の破壊を続けるということが困難であるといいますか、相手方も相当な被害を受けますので、こちらの海上交通を完全に封鎖してしまうとか、あるいはそういう状況を長く続けることを困難ならしめる程度の対潜能力というものは、保持できるのではないかというように考えております。  同様に、防空能力につきましても、相手方の航空攻撃というものが、地域によって我が方の防空能力にも差異は生じますけれども、全般として相手方の航空攻撃によって我が方が破滅的な状況に陥るということがない状態、要するに彼我拮抗している状態というものが継続できる状況が維持できるのではないかというように考えておる次第であります。  次に、中期防の所要経費の関係についてお答え申し上げますが、御承知のように、中期防衛力整備計画ということで閣議決定されておるものにつきましては、当然のことながら、まず正面については細部まで積み上げて一応財政当局等と調整はいたしております。ただ、閣議として決定されたものというものは、そのうちの主要なものについて数量等を決定しております。と申しますのは、五カ年分について金額なりあるいは個々の事業内容というものを閣議で決定してしまうということは、年度年度の財政の裁量権といいますか、財政当局を中心とした予算編成権といったものまで手を縛ってしまうということになりますので、事務的には一応詰めた上で確定的な閣議として決めた数量というものは、ごく主要なものについての数量、それと全体としての十八兆四千億という天井、上限を示したという形になっております。  そこで、先生お尋ねのそれでは後方等の中身がどうなっておるかということでございますが、いずれまた資料等をもって十分御説明したいとは思いますけれども、まず人件費等につきましては、六十年度時点に既におる人間、これらがベースアップ等そういう要素を除きまして通常の昇給をしていく、そしてある者は退職をし新しい人間が入ってくる、そういった状況を計算をしまして、五カ年間の人件費というものが積み上げてある。それにさらに、この五カ年計画を実施していくに当たって必要な現在お願いしております増員あるいは充足率の向上、そういったものに充て得る人件費というものが、余分に枠組みとして追加されておるというようにお考えいただきたいと思います。  なお、後方経費につきましては、その内容は多岐にわたります。大口としては、まず例えば施設庁の経費、あるいは研究開発の経費ということでありますが、それ以外のものは修理費であるとか、あるいは光熱水料であるとか、さらには燃料であるとか、そういったもろもろのものがあります。さらに言えば、非常に細々とした通信機その他の機材等もございます。したがって、それらを個々の物品別に積み上げるということは不可能でございますので、過去における修理費なり、そういったものの全体予算の中に占める比率があるとか趨勢であるとか、そういったものをにらんで枠組みとして後方経費というものが決められておるというように御理解をいただきたいと思います。
  27. 小野明

    小野明君 後の問題からまいりますが、十八兆四千億というものを我々が聞いたときに、これは大変じゃないかと、こう思ったわけです。この十八兆四千億というのは、国民にもう知らされているわけですね。ですから、これの積算の基礎、これは六十年度価格で決められたものであると思いますが、今の御説明では、十八兆四千億という数字がまずありきということになって、その積算の基礎というものは何ら説明をしていないと同じことだと、こう私は思います。  それから、中期防の達成時の能力、これも今御説明がありましたのは、昭和六十年十月号の「防衛アンテナ」に発表されている「本土防空能力」、「海上交通安全確保能力」、あるいは「着上陸侵攻対処能力」、こういった三項について書かれておるわけですが、それの域をまだ出ていないと思います。だから、この点は、今の御答弁では私は納得できません。ですから、この十八兆四千億の、きのうも質問の通告をしておるわけですから、積算の基礎、これをきちんとひとつ出してもらいたい。同時に、中防達成時の能力についても、これをひとつ納得のいくように文書で出していただきたい、こう思います。それがなければ、私はこれ以上質問を続けるわけにはまいりません。  さらにもう一つ、今これにつけ加えてまいりますと、自衛隊が独力で対処する限定小規模侵略時のレベルをいろいろ想定しておるわけですが、その具体的な規模を問われたときに、政府が以前はたしか二ないし三個師団だ、こう答弁をしたことを記憶しております。ところが、先月二十七日の衆議院内閣委員会防衛局長が、三ないし四個師団の陸上兵力プラス一個空挺団及び空中機動旅団、これが最大侵略規模、こういうふうに答弁されておりますね。そこで、この場合にそれぞれの部隊の人員、装備内容、こういった侵略規模と見積もった根拠、あるいは衆議院では着上陸兵力のみを対象としておりますが、侵略時に対日指向をされる空軍力あるいは海軍力の規模、これらについてはどう予想されておるか。また、巻上陸兵力が三ないし四個師団プラスアルファとしても、それが一日で上がってくるとは思われませんので、どれだけの期間でそれだけの兵力が対日指向ないし着上陸可能と見積もっておるのか。これらの問題も疑問として私は持っておるわけでございます。ですから、大綱達成時の我が国の能力及び十八兆四千億の積算基礎、これを当委員会に明示していただきたい。お願いしたいと思いますが、いかがですか。
  28. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) まず、後段の小規模限定侵略時における侵攻規模の問題についてでございます。私の過去の答弁についての御意見がございましたので若干補足して申し上げますが、私はかねがね申し上げていますように、我が国に対する侵略をするという特定の国を想定しているわけじゃございません。その際、先ほどの三ないし四個師団云々と申し上げたときも、例えば我が国周辺の国というものがございますと、それらの国の現在の配備状況というものを見ると、それらがよその例えば我が国周辺から遠く離れているところから持ってくるということを考えずに、そのままの状況で来ることになりますと、例えばソ連という国が我が国の近くにございますが、その中の近辺におる師団ということになると、北方領土の一個師団あるいは樺太におる三個師団といったものがやはり中心になるのではないでしょうかということで、三、四個師団というような数字を申し上げた次第であります。したがって、具体的に我が国に侵攻する国がどこであり、幾ら来るというようなことを我々申し上げるような状況にありませんので、その点はお許しをいただきたいと思うわけであります。いずれにしましても、我が国周辺に現に存在しておる軍事力というものは、我々無視することはできない。それについて、それらが現状を大きく変更しないで来得る物理的な範囲はどういうものであるかということに関心を持っていることは事実でございますが、それが侵攻兵力であるというように申し上げることは御遠慮させていただきたいわけであります。  それから、繰り返すようになりますが、中期防衛力整備計画の経費の内容につきましては、後ほどできる限りの資料をつくって先生の方に提出したいと思っておりますけれども、先ほど来申し上げておりますように、後方につきましては個々の積み上げということは事実上不可能でございますし、これは、当然のことながら、年度年度の予算で精査をされ決定されていくものというように考えておりますので、それなりの内容にならざるを得ないということもあわせ御理解をいただきたいと存じます。
  29. 小野明

    小野明君 それは了解できませんね。中期防達成時の能力、さらに局長が衆議院の内閣委員会で、三ないし四個師団の陸上兵力プラス一個空挺団及び空中機動旅団と答弁をされておるわけですね。そうすると、明らかにそういう兵力を必要とする想定というものがなければ、こういう答弁はできないはずですね。ですから、中期防達成時の能力あるいは十八兆四千億の積算根拠あるいは今の独力対処の最大侵略規模、この三つについて御説明がない限り、私の質問はこれ以上続行するわけにはまいりません。
  30. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 繰り返すようになりますけれども我が国に対して特定の国が侵略意図を持ってこれだけの兵力をもって侵攻してくるであろうというような想定は私どもはいたしておりませんので、そのような申し上げ方はできない。要するに、小規模限定というような考え方に立つ場合にどういう思考過程をとるかということについては、私たびたび御説明申し上げておりますし、本日もそういう趣旨で御説明申し上げておりますので、その点は御理解いただきたいと思います。
  31. 小野明

    小野明君 納得できません。長官、今の答弁では私は納得するわけにはまいりません。特に、十八兆四千億という国民に周知されたお金がつぎ込まれております。その積算根拠もあいまいである。それから、中期防達成時の能力も発表ができない。詳しく説明ができない。あるいは、独力対処の際の想定というものもこれは明らかにすることができない。この三つでは、私の質問はこのまま続行するわけにはまいりません。
  32. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 私は、十八兆四千億の話は、今聞いておりまして、ぴしっとできるところはぴしっとやる。しかし、どうしてもぴしっとできないというところは、いわゆる今までのデータをもととして推定をする。しかも、この十八兆四千億というのは上限ですからね、これはいろいろの場合に厳密に一銭一厘どうのこうのというような、そういう契約はその時点によってできないものがあるわけです。ですから、私は十八兆四千億について積算の根拠を明確にして、これとこれとこれを出さなきゃ絶対に許さぬというような御議論は、いかがなものかと思いますね。  それから、もう一つの問題は何かといいますと、これは小野さんがきょう出されたやつは小野さんが初めて出されたわけじゃないんですね。今までに随分経過があるわけですね。政府としては出せるものは出しますが、出せないものについては御容赦いただきたい、こういうことでございますので、今ここに初めて出たというのなら話は別でございますが、そうでございませんので、今までの経過に徴しましてひとつ御理解を賜りたい、こういうことであります。
  33. 小野明

    小野明君 今まで出されたものは私も承知をしておるわけです。それぞれ十八兆四千億の積算の根拠も、私どもの方で政府答弁をつなぎ合わせながら資料として持っておるわけです。同時にまた、中期防達成時の能力についても、防衛庁が既に発表したものは私も知っておるわけです。それでは私は納得はできませんと、こう申し上げておるわけです。
  34. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  35. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午前十一時休憩      —————・—————    午後一時三十二分開会
  36. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案並び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  37. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 本日は、私の質問は、シーレーン、洋上防空、それからシビリアンコントロール、この三つの問題につきまして、主として法律的な根拠を中心に御質問を申し上げます。  まず最初、シーレーンの問題でございますが、このシーレーンというものの法律上の意義及び限界についてお尋ねをいたします。このシーレーンという言葉は、これは現在日本語として用いられておりますが、どうもその内容が明確ではございません。それで、幾つかの問題点を提起してお尋ねをいたしたいと思います。まず、シーレーンという言葉は何を意味するのか、またどこの言葉を持ってきて日本語としたのかという点について、御説明をお願いします。
  38. 依田智治

    政府委員(依田智治君) これはこれまで数々の機会に防衛局長の方からもお答えしておるわけでございますが、現在私どもでシーレーンというのはどういう形で用いているかといいますと、有事の際、国民の生存を維持しあるいは継戦能力を保持する観点から、港湾、海峡の防備、哨戒、護衛等、各種作戦の組み合わせによる累積効果によって海上交通の安全を確保する、こういうような意味で使っておるわけでございます。
  39. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 有事の際に海上交通の安全を確保するものだと、こういうお話でございましたが、シーレーンそのものはやはりそうしたものとは意味が違うのではないかと思われますが、もう一度正確な定義をお願いいたします。シーレーンというものは一体何を言うのかという問題ですね。
  40. 依田智治

    政府委員(依田智治君) これは、今私が申し上げたような意味で、海上交通の安全の保護というようなことで用いておるわけでございます。法的には、自衛隊法の七十六条に基づきまして自衛隊防衛出動が命ぜられたような場合、我が国防衛のための行動の一環として行うという意味で使っておるものでございまして、現在私どもがいろいろ御説明している場合では、我が国防衛力整備に当たってこういう言葉を使っておるというようなことでございます。厳密な意味の法律用語ではございませんが、防衛力整備観点説明する場合に使わせていただいているというようなことでございます。     —————————————
  41. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、柳澤錬造君が委員辞任され、その補欠として井上計君が選任されました。     —————————————
  42. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 ただいまの御答弁によりますと、海上交通の保護がシーレーンだと、こうおっしゃいましたが、それであるならばそれは自衛隊の行動の一種であって、必ずしもシーレーンという言葉を使う必要はないのではないか。海上交通安全確保ということでいいわけですが、それをなぜシーレーンという言葉を使うのか、この点はいかがですか。
  43. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) かねがね海上自衛隊防衛出動時に行います行動の任務について、海上交通の保護という言葉をずっと長年使っておりました。シーレーンの防衛という言葉はそう古い話じゃございませんで、公式の場ではたしか鈴木総理が記者会見の場でそういう言葉を使われたということ以来、シーレーン防衛という言葉がかなり使われるようになっておるわけでありまして、我が方としては内容的には海上交通の保護という言い方をしております。シーレーンということをそのまま訳せば、日本語に直せば航路というような意味だろうと思いますけれども、現在約束事のような形で政府見解も出しておりますが、有事における国民の生存を維持するためあるいは継戦能力を維持するための海上交通の安全確保を図ることをシーレーンの防衛というように申しております。
  44. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それならば、法的根拠として自衛隊法の八十二条に海上における警備行動の規定がございますね。この規定との関連はどうなりますか。
  45. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 先ほど御説明しましたように、シーレーン防衛という場合にはあくまでも自衛隊法の七十六条によりまして自衛隊防衛出動を命ぜられた事態において、我が国防衛するための行動の一環として用いる言葉でございまして、この自衛隊法八十二条におきます海上における警備行動というこれは、私どもとしては、海上における人命財産の保護あるいは治安の維持について、通常においては海上保安庁が一次的に対処するということになっておるわけでございますが、その海上保安庁だけでは対処が不可能なような場合、または著しく困難なような場合に行われる警察的行動というようなことで考えておるわけでございます。
  46. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 シーレーン防衛を有事のときだと、こうおっしゃいましたが、現在は有事でないですね。現在、有事とは言えないでしょう。シーレーン防衛に関して、現在有事でない平時のときにどうしてこういう問題がクローズアップされてきておるのか、どうもその辺が理解がいきませんがね。つまり、有事に一体なるのかならぬのかさえもわからないのに、どうしてシーレーン防衛ということを問題にしなけりゃならぬのか。また、これが百事になるかもしれぬので予防的にやっているんだどいうことであれば、予防的措置としての行動しかシーレーン防衛ということはあり得ないわけです。そういう予防的措置をする法的根拠というものが自衛隊法のどの条文になるのかということが明確でないわけですが、その点はどうですか。
  47. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 現在シーレーン防衛ということが、私どももそういう研究をしたりあるいは国会等で御議論いただいておりますのは、主として防衛力整備に関連して行われているわけでありまして、これはシーレーン防衛関連の防衛力整備に限りませんが、敵上陸侵攻にしろ防空にしろ、我々としては平時から最小限備えておくべき防衛力というものについてそれを整備をし、侵略を未然に防止をし、かつ万々一侵略があった場合には十分な対応行動をとろうということで、防衛力整備をいたしておるわけでございますが、海上交通の保護につきましても、有事、海上交通の破壊というようなことが行われないように、行われた場合に最低限の国民生活を確保でき、かつ継戦能力を確保するための防衛力整備をするにはどの程度のものが必要であろうかというようなことで、シーレーン防衛について常々研究をし、かつ整備をお願いしておるという次第であります。
  48. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、考え方を統一するためにひとつお尋ねいたしたいんですが、有事というのは一体どういうことなのか、これがどうもはっきりしないんです。有事ということが、実際に我が国が外国から攻められて戦闘状態になったときを言うのか、それともそういう時期ではないが、地球上のどこかで争いが起こって、どうも我が国の船舶がそれに巻き込まれるおそれがある、こういうことも有事の意味に入るのか。例えばペルシャ湾における状態のごとき、これは有事になるのかならぬのか、いろいろな疑問点があるわけです。  それから、シーレーン防衛というのは有事の場合だけだということになると、これは法的根拠として七十六条をお挙げになりましたが、これは防衛出動の根拠でございますので、防衛出動の根拠が、いつ起こるかもしれぬ、まだ現在は有事じゃないのに、そういう時期に七十六条を根拠としてシーレーン防衛ということをなし得るのかという問題もございますね。こういう点はどうですか。
  49. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 先ほど防衛局長から答弁いたしましたように、現在私どもとしましては防衛計画大綱等に基づき、中期防衛力整備計画に基づき、防衛力整備をしておるわけでございますが、それはやっぱり我が国に対して限定小規模な侵略事態があった場合は独力で対処する、それだけの対応力を持っておかねばならないということで、平時から整備に努めておるわけでございますので、それで、平時にシーレーン防衛という問題を云々するのはどうなのかということは、これはちょっと意味がわからないわけでございます。もともとシーレーン防衛というのは私どもは七十六条に規定しておりますように、外部からの武力攻撃に際して我が国防衛する必要がある場合、これが有事であろうと解しておるわけですが、こういう有事において我が国海上交通の保護をする、そのためにはそれに足るだけの防衛力整備しておく必要があるということでこの整備をしておる。こういう中において従来から用いられてきた言葉であり、我々も今日平時において有事を想定した防衛力整備をするということは、これは当然なことでございまして、そういうことでやっておるわけでございます。
  50. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 そうしますと、シーレーンというものが防衛出動の対象になるものだと、こういうお考えでしょうか。
  51. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 御質問の意味が——やはりそういう我が国の場合には島国でございまして、必ずしも自給できないという状態になっておりますし、いろんな意味で我が国が存立していくためにも、また継戦能力というものを確保していくためにも、海上交通というものの安全が大事であるということはこれは当然のことでございまして、そういう意味で私どもはこのシーレーン防衛という問題を重視しておるわけでございます。
  52. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 私は、最初にシーレーンとは何であるかということをお尋ねをしたわけですが、そのときに海上交通の安全の確保の問題だと、こういうお答えがございました。そういうことでいきますと、地球上のどの地帯の問題かということが明らかにならぬわけですね、抽象的に海上交通の安全の確保ということになると。シーレーンという言葉はそうした意味合いではなくして、何か地球上のどこかの場所を意味するのではないかというふうにもとれるわけですがね、そのシーレーンという場所はどこかという点について御見解を伺います。
  53. 依田智治

    政府委員(依田智治君) これはシーレーン防衛に関連して、我が国のそのシーレーン防衛の地理的限界の問題というか、そういう問題についてのお尋ねじゃないかと思うわけでございますが、地理的には、これまでも数々の場でいろいろな答弁がなされておるわけでございますが、我が国の領域内に限らず公海上及びその上空にも及び得るということは、これはしばしば答弁されていることでございます。しかし、それが具体的にどこまで及び得るかということにつきましては、我が国に対する武力攻撃の態様等によりまして異なり、一概には言えないという面があるわけでございますが、我が国防衛するための必要最小限度の範囲にとどまるべきであるというのは、これは憲法の精神から当然のことであろうと。ただ、従来から防衛力整備の対象とする範囲というようなことでしばしば答弁されておりますのは、我が国周辺数百海里、航路帯を設ける場合には一千海里を目標として行われているということから見ますので、説明しておりますように、そういう面から当然世界の裏の方まで行けるというものではなくて、能力的に見ておのずから限界があるというように考えておるわけでございます。
  54. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 先ほど防衛出動の七十六条を根拠としてシーレーンの防衛は行うと、こういうお話でございましたが、ただ、これはまだ緊急な場合ではないわけですね、現在は。緊急な場合でないならば、七十六条には「国会の承認」を得てやれと、こうなっておりますが、「国会の承認」ということは、一口に言えば法律をつくってやれということですね、一般的には。それで、シーレーン防衛ということがどうしても必要でありやらねばならぬということであれば、この七十六条だけを根拠としてやられたのでは差しさわりがあるので、やはりその防衛出動の準備段階としての問題として解決する法律がないと都合が悪いとこう思いますが、そういう法律をおつくりになる御意思があるのか、それともそういうものはつくらないとこういうことであるのか、その点はいかがですか。
  55. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 七十六条の「国会の承認」というのは、武力攻撃があった場合に防衛出動をするかどうかという面の国会の承認の問題でございまして、平時においてこのシーレーン防衛のために整備をしておくという問題とは、またこれは別の問題であろうと考えておるわけでございます。  なお、私どもとしては、現在の防衛力整備というのは憲法並び自衛隊法等に基づきまして必要最小限度の防衛力我が国を自衛するための防衛力ということで、七十六条等に基づきまして進めておるわけでございまして、そういう意味におきましては、法制上そういう面からの不備があるというようには特に考えておりません。
  56. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 日米安全保障条約というのがございますね。その第五条に、「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」と、こういうふうに書かれておりますが、この「日本国の施政の下にある領域における」防衛、それを安全保障条約でも考えております ね。日米が両方で守り合うというのはそういうところの問題だということになりますと、このシーレーン防衛ということを考える場合に、その場所的な限界というものは、やはり日本国の施政のもとにある領域内の問題ではないかというふうにも読めますが、そういう点についてはどのような御見解をお持ちですか。
  57. 斉藤邦彦

    政府委員(斉藤邦彦君) ただいま御指摘のございました安保条約第五条の規定は、安保条約に規定してあります義務の発生の要件として、どのような地域に攻撃が加えられたときに義務が発生するかという規定でございまして、それがただいま御指摘になりました「日本国の施政の下にある領域」という表現になっているわけでございます。こういうような攻撃が行われました結果として、それに対処するためにとられるべき行動の範囲がどうかということは、この五条は直接には扱っていない次第でございます。
  58. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 この安保条約というのは、我が国とアメリカ合衆国との間に取り交わした相互防衛条約ですね。一体どこの範囲で防衛をやるかという問題でしょう。地球上あらゆるところでの問題ではなくて、日本政府の施政下、日本の国の施政下にある領域において発生した場合の問題ですから。したがって、この防衛出動をするという場合にも、その範囲内の問題であると考えざるを得ないわけですね。この安保条約の五条に書いてある地域以外で防衛出動をやるということは、実際上そういうことは法的に考えられないのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  59. 斉藤邦彦

    政府委員(斉藤邦彦君) 御質問の趣旨を理解したかどうか自信がございませんが、五条に書いてございます領域、すなわち「日本国の施政の下にある領域」という記述は、これはこれらの地域に対する武力攻撃が、日米双方とも「平和及び安全を危うくするものである」ということを認めて、「共通の危険に対処するように行動する」ということを約束し合っている地域でございます。これに反しまして、日本及び米国がとるべき行動の範囲ということは、安保条約に直接は書いてございませんけれども、第六条には米軍が日本にその軍隊を駐留させることの目的といたしまして、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、」という記述がございます。このように、五条に書いてございます「日本国の施政の下にある領域」というのは、米軍あるいは日本自衛隊、これの行動の範囲を定めるという趣旨から書かれているものではないわけでございます。
  60. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、この五条に書いてあるのは一体どういう内容のことが書いてあるんでしょう。
  61. 斉藤邦彦

    政府委員(斉藤邦彦君) 五条の趣旨は、日米安保条約の趣旨といたしまして、平たい言葉で申しますと、日本に対する攻撃があった場合には、日米両国ともそれを自国の安全を危うくするものであることを認めて、共通の危険に対処するということを約束し合っているわけでございます。で、我が国我が国の領域に対する攻撃に対処すべきことは、これは何も条約等をまつまでもなく当然のことでございますが、米国が自国以外の国であります日本、この領域に対する攻撃があったときにも一定の措置をとるということを約束しているわけでございまして、これは国際法上は集団的自衛権の行使ということをこの第五条で米軍が約束しているという関係になっているところでございます。
  62. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 この問題はまだ私納得いかぬ点がありますが、一応、余り時間をとってもいかぬから先へ行きます。  このシーレーン防衛というのは端的に言って軍事行動なのか海上警備行動なのか、そういう点はいかがですか。
  63. 依田智治

    政府委員(依田智治君) これは再三申し上げておりますように、七十六条に基づく防衛出動、そういった事態における行動でございます。通常、海上における警備行動という用語は、八十二条で平時においていわゆる海上の治安を維持するという意味での警備行動というように使われております。
  64. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、この定義の問題はまだ明らかでないし、どうもシーレーン防衛ということも内容がはっきりしませんけれども、これを明らかにするためにまず限界の問題からお尋ねいたします。このシーレーン防衛というものの場所的限界の問題で、公海に関する条約とか領海に関する条約とかいう条約がございますね、これとの関係はどういうふうに考えておられますか。
  65. 斉藤邦彦

    政府委員(斉藤邦彦君) ただいまの御質問我が国に対して武力攻撃が発生して、我が国がシーレーン防衛を行っているときに、ただいま御指摘のありました公海条約、領海条約との関係がどうなるかという御趣旨であったとすれば、シーレーン防衛の態様はそのときの情勢により千差万別でございますけれども、国際法上の理論の一般論として申し上げれば、我が国に対して武力攻撃を加える国があった場合、その国との関係におきまして、我が国の自衛権の行使として認められる限度のものである限り、領海条約、公海条約の権利義務関係から我が国が一部逸脱するということは、これは認められるべきものと考えます。
  66. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 シーレーン防衛というものは現在の問題ではない、これははっきりしていますね。これはいつ起こるかわからない戦時の問題だというふうに先ほどの御答弁からは想像されますね。  そこで、いつ起こるかわからぬ戦時のときの問題だということで、そういうことでお考えになっておることだから、それはそうとしておきましょう。戦時において起こる問題がシーレーン防衛問題であって、平時はそういう問題はないという御見解だとすると、我が国の場合は、これは我が国の方から戦争をしかけるということはあり得ない、憲法上。しからば、外国からしかけられることがあるのかどうかという問題についても、これも非常に判断が難しい。あるいは、ないのじゃないかと思われるくらいの希少性の問題です。それで、そういう事態の問題について、これはあれですか、七十六条は極めて少ない場合なんだが、それに絡めての問題だと、七十六条の問題、シーレーンというのは。つまり、シーレーンというのは防衛出動の中身の問題だと、こういうような御見解がどうか、そうでないのか、その点はどうですか。
  67. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 私どもとしましては、この七十六条に基づきまして、内閣総理大臣から防衛出動を命じるような事態における問題というように考えておるわけでございます。
  68. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 わかりました。そういうことであれば、シーレーン防衛という問題はさしあたり余り問題として重視する必要はない、まあ防衛出動が起こるような事態が生じてから考えたって構わないんだと、こういうようなふうにとれますが、そういう御見解ですか。
  69. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 平時におきまして、海上等におきましてやっぱりいろんな危険な状態とかその他がある場合もあるわけでございますが、そういう場合は、現在の日本の法律の建前におきますと自衛隊法八十二条によりまして、海上における警備行動ということで、一次的には海上保安庁の力をもって当たると、しかし、それがどうしても当たり得ない場合、または特別の必要がある場合には自衛隊が出るという形になっておるわけでございまして、そういう建前で対処する。もっとも、我が国のこの七十六条に基づきます防衛出動を命ずるべき事態というのが個別に生じたと判断されるような事態があれば、それは突発的事態に対してもこれは当然出なければならないことになるかと思いますが、一般的には、今言いましたように、防衛出動の事態であると、一般の状態においては八十二条における「海上における警備行動」ということで対処するというように考えておるわけでございます。
  70. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 私は、シーレーンという言葉の意味を、防衛庁から今承ったような狭い意味に理解しなきゃならぬということは、どうにも納得がいかないわけです。シーレーンという言葉のもとの意味は、あれですか、防衛行動という意味なんですか。これは海のある一つの航路のようなものを意味するんじゃありませんか。
  71. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 再三申し上げておりますように、現在私どもが用いておるシーレーン防衛という言葉は、有事の際に国民の生存を維持したり継戦能力を保持するための、海上交通の保護のための一連の活動というものを言っておるわけでございまして、私どもはそういう形で有事の際の行動として考えておるということをひとつ御理解願いたいと思います。
  72. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、防衛庁の御見解はそういうこととして、私は別に、しからば防衛庁のお考えとは違ったシーレーンというものについて、政府はどう対応するかということについてお尋ねをいたします。  御承知のように、一口で海上交通の安全と言いますけれども、それは商船なりが通る航路上における侵害排除の問題ですね。今は余り起こりませんが、最近でもちょくちょく新聞にはインドネシア周辺の海域で海賊に襲われたという記事も載っております。船舶が海の盗賊に襲われる、それによって海上交通の安全が侵害されるというのはずっと昔から今日まであったわけで、ただ、今日は海上治安が回復されましたので余り起こらないというだけのことですね。  それから、現在起こっておるペルシャ湾における状態、これなども航路の侵害である。明らかに輸送航路の侵害であります。こういうものについても、やはりこれは航路である以上シーレーンではないかと。つまり、防衛庁で独自におつくりになった言葉の意味内容というものは、聞いてみないとわからないんだね。普通日本語の字引を引いて、あるいは英語の字引を引いてわかる言葉、それでいきますと防衛庁のように限定された言葉は出てこないんだ、これね。一々聞かなきゃいかぬ。あなたはシーレーンという言葉はどういう意味内容で使っておいでですかと、一々聞いて議論しないと話がいませんね。そういう言葉をわざわざ使わないで、もっとわかる言葉を使ってほしいわけです。それで、私どもとしては、シーレーンというと航路と間違えるんです。航路が一番よく似ているんだな、シーレーンという言葉に。間違えるわけです。  そこで、そういうものとしてどうしても理解いたしますので、そういう観点からお尋ねをいたしますと、公海に関する条約あるいは領海に関する条約というのは、まさにシーレーンの保護の規定なんです。海上交通安全を保障する規定でありますね。公海に関する条約の中に相当の分量として、海賊行為に関する規定がございます。この海賊行為に関する規定は明らかに海上交通の安全を保全するために設けた条約でございまして、海賊に対しては世界各国がこれを討伐する義務を負うわけですね、昔から。これは人類の敵である。こうして、それに対してはどこの国も全部討伐権を持つ、こうなっております。そういう権利義務がある。これは空賊の場合も同じですね。空で荒らし回る、海賊に相当する空賊。海賊、空賊については、やはり公海に関する条約の原理が適用になるということは、私は防衛庁は御存じだと思うんです。そういうような問題を殊さら議論から抜いて、またわけのわからぬ言葉にすりかえて議論されたのでは困ると思いますがね。シーレーン防衛という言葉は、今防衛庁で御説明になったようなそういう意味内容で使うということは、恐らくだれも想像もしない。できないんですよ。もっと正当な、普通だれが見てもわかる言葉でやはりやってもらわないと困るわけです。  このシーレーン防衛というものが必要であるということは、海上交通の安全が必要だという言葉と置きかえておると同じだというふうに私は考えておったのです。シーレーン防衛というのは、海上交通の安全、航路の安全を保つということであろうと思っておったんです。ところが、きょうお伺いしますとそういうことではないと、戦争の話なんだと、こういうことでやっておりますので、いささかびっくりしておるわけですが、これは本当にシーレーン防衛というのは戦争の話ですか。もう一度念のためにお伺いしますが。
  73. 依田智治

    政府委員(依田智治君) このシーレーン防衛について一般的にどう定義するかという問題は、例えば飯田先生の定義というのもまたあろうかと思うんですが、私どもの方で従来から使っておりますシーレーン防衛という意味は、これは防衛力整備の一環として有事における海上交通の保護という意味から、そういう面から使っておるわけでございます。それをさらに平時における海賊、空賊等に対する海上交通の保護も含めて何かもっと適切な言葉で広範に検討せよということかどうかあれですが、私の方は、今言いましたように、防衛力整備の一環として限定的に考えておるということでございます。また、平時におけるそういう海賊、空賊等に対する対応は我が国としてはどうかという問題は、また別の問題であろうかと考えておるわけでございます。
  74. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 自衛隊法の八十二条ですか、「海上における警備行動」の規定がございます。これには、「長官は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。」、こうございますね。この海上警備行動というのは、自衛隊が平素から行うべき任務として与えられた権限法規です、これはね。自衛隊の本来の任務は元来これじゃないかと。戦争のようないつ起こるかわからぬ、また日本は戦争を放棄している、放棄したような戦争のことを考えて、それが主たる任務だというふうにお考えになって業務を行っておるということでありますと、これは問題ではないでしょうか。せっかく規定があるのに、この「海上における警備行動」は余り御関心をお持ちにならぬということは、これは重大な問題だと思いますよ。先般の質問のときに、私は災害派遣の問題について御質問申し上げました。これも「災害派遣」の規定があるのに、わざわざ防衛庁はやろうとしない。今度、「海上における警備行動」の規定があるのに、これも極めて軽視してしまう。そして、いつ起こるかもしれない「防衛出動」のことだけをやろうと、こういうお考えであるとすると、少しくこれは憲法が考えておる警備態勢とは違うのではないかと思いますがね、いかがですか。
  75. 依田智治

    政府委員(依田智治君) この八十二条、先ほど先生お読みになりましたが、一般的にいつでもやりなさいというようには書いてないように思うわけでございます。これは、「海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合」に、しかもこれは「内閣総理大臣の承認を得て」やりなさいということで、「特別の必要がある場合」というのは、私どもとしましては、通常は海上保安庁が一般的な海上における警備行動をとっているわけでございますが、しかし、海上保安庁だけでは対処できないか、もしくは著しく困難であるような特別の場合というように解しておるわけでございまして、そういう点で、私どもは通常の国内における災害出動の規定等とはちょっと違うのではないかというように考えておるわけでございます。
  76. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 これは自衛隊の本来の本質というものが必ず問題になると思いますが、本来の本質を忘れて戦争だけを考えるということであれば、これは問題だと思いますよ。憲法はいわゆる国権の発動たる戦争はこれを放棄する、しかもそれは国際紛争解決のための手段としては放棄する、こうはっきり書いておるんですよ。そうなりますと、外国から無理やりに攻めてきた場合、その場合にだけ防衛出動というものは存在するわけですね。我が国からちょっかいを出すことはあり得ない。それからまた、防衛考える場合も、日本国の施政のもとにある領域での防衛活動、これが憲法の趣旨でしょう。専守防衛、専守防衛といっていつもおっしゃっている専守防衛ということはどういうことかといえば、日本国の施政のもとにある領域における攻撃から我が国を守ると、こういうことでございますね。そうじゃありませんか。
  77. 依田智治

    政府委員(依田智治君) これは日本国の領域を守るということはもちろんですが、その守る行動は領域内でなきゃできないというようには解していないわけでございまして、守るべき対象は日本国でございますが、そのために行動する範囲というものについては、おのずと必要に応じて公海にも及び得るということは、これは過去答弁させていただいているところでございます。
  78. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、その次に進みます。これは私は大変重要な問題が残されておると思いますが、きょうの質問が終わった段階で時間があったらまたやります。次に行きます。  現在、ペルシャ湾におけるタンカー攻撃が行われております。これは新聞にも載っておりますね。これはあらゆる日本の新聞に載っておりますから御承知だと思いますが、このタンカー攻撃を日本の船舶が受けておる。日本の船舶だということを名のってわかっておるにもかかわらず、攻撃を受けたということが新聞に載っております。そうすると、そういう問題について、これはシーレーン防衛とは無関係がということをお尋ねしたい。
  79. 依田智治

    政府委員(依田智治君) これは、シーレーン防衛が七十六条に基づき我が国に対する外部からの武力攻撃があった場合に武力行使できるという規定との関連において、日本商船に対する攻撃というものが武力攻撃に当たるという判断になれば、それはまたシーレーン防衛とも関連してくるという問題になるわけですが、それに当たるかどうかという判断は、これは公海上におきまして船舶がそういう攻撃を受けたような場合に当たるかどうかというのはいろんな状況を勘案して判断すべき問題で、ここで直ちにこれがシーレーン防衛と関連あるというようなこと、あるいは全く関係ないと言えるのかどうか、その点は状況に即してまた慎重に判断すべき問題だろうというように考えるわけでございます。
  80. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 旗国主義というのは御存じですね。日本の旗を掲げた船、これは我が国の船であるからこれに対する安全を確保するのは我が国の任務である、こういうことは当然お認めになるでしょう。それで、ペルシャ湾で日本国の商船が、タンカーがあるどこの国か知りませんけれども攻撃を受けた、しかも相手の国はそのタンカーが日本船籍のものであるということを承知の上で攻撃を加えたということになりますと、それは日本に対する攻撃ではありませんか。
  81. 依田智治

    政府委員(依田智治君) それもなかなか直ちに日本に対する攻撃と判断できるかどうか、非常に難しい問題があろうかと思います。ただ、全く一般論として述べます場合に、例えば特定の国によりまして我が国に対する組織的、計画的など認められるようなそういう攻撃があったと、こう判断できるような場合には、これは七十六条の問題ということになってくるかと思いますが、現在先生が御指摘の事態がそういうものに当たるかどうかということは、ここで判断することはなかなか難しい問題じゃないかと思います。
  82. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 今、私これお尋ねしておるのは、シーレーン防衛という言葉の限界の問題として確かめるためにお尋ねしておるんですよ。  それで、ペルシャ湾におけるタンカー攻撃、これは明らかに日本船舶に対して行ったと。日本の国旗に対して行った、これは。これは、現在は政策上これに対して相手の国の不法行為を免除して黙っておると、こういうことなのか。あるいは、実はそうでなくて、腹が立ってやっつけたいけれども力がないからやらずにおるのか。それとも、そのほかの理由なのか。そういう点はいかがですか。
  83. 依田智治

    政府委員(依田智治君) この点につきましては、いずれにしても、総理も答えておりますように、我が国としては、現在、そういうところに自衛隊等を派遣する考えはないということをお答えしておるわけでございまして、それが具体的にどういう理由であるかというのは、私も実は伺っておりません。そういうことで、現在申し上げられることは、現在そういう派遣する考えはないということではないかと思います。
  84. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、次にお尋ねしますが、ある正規軍からその国の統制を離れて勝手な行動をとる軍艦なり航空機なりは、これは正規の軍隊から離れたものですから、当然それが違法行為をやれば海賊行為、空賊行為とするのがこれは法律の条文上の考え方でございますが、これについて政府はそういうことは考えないんだという御見解なのか、どうですか。
  85. 斉藤邦彦

    政府委員(斉藤邦彦君) お尋ねのようなケースは、具体的な例に即して考えませんと、非常にいろいろなケースがございますので一概にお答えずるのは難しいわけでございますけれども、正規軍でない一部の人間が他国を攻撃した場合、そのもともとの国がどのような責任をとるかという点に関しましては、正規軍による攻撃に関しましてはその国の正統政府が一〇〇%責任を負うべきであるのに反しまして、正規軍でない場合にはもちろん同じような限度での責任はないわけでございます。しかしながら、相当の注意義務というのにどのぐらい違反しているかというようなことも考慮しないといけないと思いますし、それからその海賊行為がどうかという点に関しましても、海賊行為というのは、これは飯田委員の御専門の分野でまことに恐縮でございますけれども、海賊行為の定義といたしまして、これは私的目的のためという限定がついておりますので、この正規軍でないグループの行動というのが私的目的のためのものかどうかというような点も判断した上でないと、なかなかただいま御質問の点にはお答えしかねると考えられます。
  86. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 目的が私的であるか公的であるかということは、国家を中心として言うことではありませんか。国家目的の場合は、もちろんこれは公的だと言えますね。国家目的から離れて個人としてだけの目的でやった場合、これが私的目的でしょう。すべて国家を中心としているわけです。国家から離れた無関係、国家を一切考えない状態で私的公的ということが一体あり得るかという問題です。私はないという見解をとりますが、あるとお考えですか。
  87. 斉藤邦彦

    政府委員(斉藤邦彦君) いろんなケースが想定されますので、一概にそういうことはあり得ないということは断定できないかと存じます。ただ、ただいまの御指摘のとおり、通常の場合においてなかなかそういうことは考えにくいであろうということは、私も同感でございます。
  88. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 私的公的の区別は、それじゃ何をもってするんですか。よく靖国神社へ公的参拝をしたとか私的参拝をしたとおっしゃるでしょう。あの私的公的というのは、何をもって私的公的と言うか。
  89. 斉藤邦彦

    政府委員(斉藤邦彦君) その辺になりますと私の答弁する資格を超えてしまうわけでございますけれども、例えば公海条約で言っております私的目的というのは、これは国家の目的ないし政府の目的というのに対しまして少数の人間の例えば財産上の目的とか、そういう私的利益を目指して行うという趣旨において、私的という言葉が使われているんだろうと考えます。
  90. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 そうしますと、海賊行為、空賊行為というものは結局私的な行為なんですね。国家としての行為ではない。だから、軍隊の場合でも、国の正規軍の場合は海賊行為と言わないし、空賊行為とは言わない。そのかわり、そういう違法行為を行った国家に対して責任を追及するでしょう。ところが、海賊行為とか空賊行為という場合は、国家に対する責任はないのであるから、これは人類の敵としてどこの国でもその船舶なり航空機を撃ち落としてあるいは沈めても構わない、あるいは拿捕して奪い取っても構わない、こういうような規定に読めるようなのが公海に関する条約に書いてありますが、いかがですか。
  91. 斉藤邦彦

    政府委員(斉藤邦彦君) ただいま御指摘の点は全くそのとおりでございまして、海賊行為は人類一般に対する行為として、どの国が取り締まってもいいという趣旨の規定が公海条約にあるわけでございます。
  92. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 そうでありますならば、シーレーン防衛というものに関連をいたしまして、シーレーンというものは海上交通の安全の問題だと先ほどおっしゃいましたが、海上交通の安全ということは航路の安全でしょう。船舶が通る航路の安全なんだ。船舶が通る航路の安全を抜いて海上交通の安全なんというものはあり得ないと私は考えるんですが、その点はいかがですか。
  93. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) たびたび私並びに官房長がお答え申し上げていますように、シーレーン防衛と私どもが申しておりますのは、我が国に対する直接侵略が発生をしておる、そしてそれに対して我が国が個別的自衛権の範囲で実行する、そういう行動の中における海上交通の安全の確保ということを申し上げておりまして、そういう事態でない、まだ我が国に対する直接侵略事態が生じていない、あるいは我が国に自衛権の発動である防衛出動命令が、自衛権が発動されていない、そういう状況下におきます海上交通の保護はその範疇でないということを再々申し上げておるわけでございます。これはシーレーン防衛という言葉からそのまま出てくるということではなくて、私どもが申し上げておるシーレーン防衛はこういうことでございますということを政府の統一見解としても申し上げ、かつそういうお互いの認識のもとに御論議申し上げているという点を先ほど来御説明申し上げておるわけであります。
  94. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、この問題も議論してもしようがないから先に延ばしまして、旗国主義との関係で少しく考えていきたいと思いますが、公海上におきまして我が国の国籍の船舶、これの安全確保というのはどの官庁がどのような方法で現実に実施しておるのでしょうか。
  95. 邊見正和

    説明員(邊見正和君) 通常の状態におきます海上における安全確保につきましては海上保安庁本来の任務でございまして、海上保安庁が担当しております。
  96. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 現在、実際上ペルシャ湾で起こっておる事態、これは公海上における正規軍による攻撃でございますが、こういうものを排除する義務を負うのはどこの官庁でしょうか、日本政府の場合。
  97. 斉藤邦彦

    政府委員(斉藤邦彦君) ペルシャ湾において起こっております我が国船舶に対する攻撃、これは事実関係が非常にわからないところがございまして、まずどの国が攻撃しているかということが不明でございます。それから、ただいま飯田委員は正規軍による攻撃と言われましたけれども、実はこの点も確定し得ない状況でございます。したがいまして、このような事実関係を特定いたしませんと、ただいまの御質問にはなかなか答えにくい次第でございます。
  98. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、正規軍じゃなくて何でもいいんですが、ペルシャ湾でどこかの航空機によって日本国籍のタンカーが、日本国籍のタンカーですということを名のっておるにもかかわらず攻撃を受ける、こういうような事態に対してその日本国籍の船舶を保護しなければならないはずですが、その保護をする義務を負うのはどの国のどの官庁であるか、こういう質問です。日本ならどこがそれをやるのか、あるいはアメリカがやるのならアメリカはどういう根拠に基づいてそれを保護してくれるのか、そういう点の質問でございます。
  99. 斉藤邦彦

    政府委員(斉藤邦彦君) ただいまの御質問は旗国主義との関連でのお尋ねかと存じますので、私からお答えいたしますけれども、国際法上の一般論といたしましては、公海上におきましてある国の船舶が攻撃を受けた場合、原則としてその旗国、したがいましてただいま御指摘のケースであれば我が国でございますけれども、その旗国が個別的な自衛権の行使として攻撃を排除し得る立場に立つという関係にございます。我が国の場合どこの官庁が責任を負うかという点に関しましては、私の方からはちょっとお答えする立場にございません。    〔委員長退席、理事岩本政光君着席〕
  100. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 この問題は実は未解決のまま現在放置されておる問題でありますが、こういう問題について未解決でなくて何らか保護対策を講ずるということが必要ではないか。これは現在船主協会が大変心配いたしまして、もうペルシャ湾に船を送るのはやめようじゃないかということを言っておるということが新聞に載っております。そういうような事態を生じておるにもかかわらず放置するということは、これは我が国政府としては怠慢ではないかとこう思われます。それは外務省の仕事か防衛庁の仕事か海上保安庁の仕事かわかりませんが、その点はどうでございますか。
  101. 邊見正和

    説明員(邊見正和君) ペルシャ湾海域におきます我が国船舶の攻撃等に対しましては、海上保安庁の航行安全の確保の業務の一環といたしまして、情報の提供という形で現在対応をしております。ペルシャ湾内においてどういう船舶がいつどういう海域において攻撃を受けたかというようなことを、海上保安庁の無線通信を通じまして、通航船舶に情報として提供しているというような対応をしているわけでございます。
  102. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 シーレーン防衛につきましてどうも明確でないのでもう少し御質問申し上げますが、シーレーン防衛における戦争の意義ですね、先ほどからシーレーン防衛を戦争と絡めて防衛庁はお考えになっているので、したがって、その戦争の意義を質問いたします。  一体シーレーン防衛における戦争というのは事実上の事態を言うのか、あるいは法律上の概念としての戦争を言うのか、その辺はいかがですか。
  103. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先ほど来お答え申し上げておりますように、自衛隊防衛庁の基本的な任務というのは我が国の平和と安全を守る、直接侵略に対応して我が国の平和と安全を守るということにあります。  なお、我が国に対する直接侵略とは何かと申しますと、外部の組織的、計画的な武力の行使が我が国に対して直接侵害がされておる、そして我が方にとって現にそういう状態が生じ、他に方法がない場合に自衛権が行使されるわけでありますが、その自衛権の行使の一態様として海上交通の保護という活動、行動も行われるということを先ほど来申し上げておるわけでありまして、平時における任務ということになりますと、それは通常の場合自衛隊の任務ではございませんし、また現にある国の、あるいは国かどうかわかりませんが、あるところから不正な侵害が行われておりましても、それによって直ちに自衛隊がそれに対応するものではございませんので、それらについては我々としては、防衛庁が言っておるところの海上交通の安全確保ということとは別のまた問題であるというふうに理解しておるわけでございます。
  104. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、現在行われておるイランとイラクの間の武力の行使、これは戦争と言っちゃいかぬとおっしゃるならまあそういうことですが、あれは一体戦争でないのか戦争なのか、イランとイラクがお互いにやり合っているのは。もしあれが戦争でないなら、なぜ戦争でないのか、その御説明をお願いします。
  105. 斉藤邦彦

    政府委員(斉藤邦彦君) ただいまの御質問は、戦争という言葉の定義いかんによるものだろうと考えられます。今世紀に入りまして、いわゆる伝統的な国際法のもとにおきます戦争が違法化されるようになってまいりまして、国連憲章のもとにおきましては武力行使が原則的に禁止されるようになっております。このような現状におきましては、伝統的な意味での戦争というものは既に認められなくなっております。したがいまして、現在のイラン・イラク紛争が国際法上の伝統的な意味での戦争に当たるかどうかという御質問だといたしますと、これは当たるとは言えないということになるかと思います。他方、事実の問題といたしまして、このイラン、イラク間の紛争というのが国際的に非常に大規模な武力紛争であるという点に着目いたしまして、この現象を戦争と言うことも、一般的と申しますか、政治的な意味でならばこれは可能であろうと存じます。
  106. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 イランとイラクの間のような関係我が国周辺に生じた場合に、我が国はそれを戦争と認めてシーレーン防衛をなさるのかなさらないのか、この点はどうですか。
  107. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先ほど来申し上げているように、私どもがシーレーン防衛と申し上げておるのは、我が国に対して急迫不正の侵害が行われておる、組織的な武力攻撃が行われておる、つまり我が国に対する直接侵略事態が現に生じておって、他に手段がない場合の自衛措置として自衛隊が行動する場合のみを申し上げておりまして、第三国間でその種武力紛争が起きたからといって、直ちにシーレーン防衛と我々が言っております自衛権の行使としての自衛隊の行動というのは起こり得ないということでございます。
  108. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それじゃ、この問題はこのぐらいにして次に進みます。  今度は、機雷の除去の問題とシーレーン防衛との関係についてお尋ねをいたします。  九月二日の読売新聞ですが、総理大臣と外務大臣の御発言のことが書いてございまして、それによりますと「海上自衛隊が、舞鶴沖の公海で、機雷を除去するが、それをペルシャ湾の公海で行っても、法的に違いがあるとは思わない。日本の船舶を守るためであり、武力行使、海外派兵には当たらない」、こういうふうな御答弁がございます。八月二十七日の衆議院内閣委員会での総理答弁でございますが、同じような答弁が外務大臣からもあったということが新聞に載っております。  そこで、お尋ねをいたしますが、舞鶴の湾外に浮いておる浮遊機雷ですね、ぶかぶか浮いている浮遊機雷、これを除去するということは、明らかにこれは海上交通の安全を保護するための邪魔物を取り去る平時の行動でございますね。ですから、これを行うことがいわゆる武力行使とは私も考えないし、あれは武力行使じゃない。だれがやってもいい問題でね。しかし、ペルシャ湾における公海上で機雷を除去するということになりますと、これは違うのではないかと私は考えます。ペルシャ湾では現に、外務省のお方は戦争でないとおっしゃったけれども、事実上の戦争が行われておる。そして、事実上戦争をやっておる一方の国が機雷を敷設した。その機雷を日本から行って取り除くといったようなことをやれば、これは明らかに兵力の行使ということになる。つまり、戦争行為として相手が行ったことに対して邪魔することですから、これは舞鶴湾外の公海でやる浮遊機雷の取りのけとはおよそ違うのではないか。これは敷設してある機雷を掃海艇を持っていって引っかけてとる作業でございますから、浮いておる機雷をとる問題ではない。これは明らかに違うのですが、これが同じようなものだという御答弁がございました。どうして同じことになるのか、お尋ねをいたします。
  109. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 機雷の除去につきましては、舞鶴沖の関係はこれは平時でも自衛隊法九十九条に「海上自衛隊は、長官の命を受け、海上における機雷その他の爆発性の危険物の除去及びこれらの処理を行うものとする。」ということで、私どもは海上警備行動の中の特殊なものとして法律上認められておるということで、これに基づいてやっておるわけでございます。  今お尋ねの、中曽根総理がペルシャ湾について発言ということでございますが、私が中曽根総理の真意を答える立場でもないかと思うんですが、ちょうど内閣委員会のときにもちょっと同様の、同趣旨に近い発言がありましたので、私の方で理解しておるところをお答えさせていただきますと、一般的には九十九条によりまして私どもは海上における機雷等の除去及び処理というものは海上自衛隊の任務として考えております。これは舞鶴沖等にあるような場合は九十九条に基づきましてやると。これは外務省の方がお答えするのがよろしいかと思うんですが、例えば公海上に遺棄されたような機雷のように、どの国からもいかなる権利の主張も行われることのないというような機雷につきましては、これを航行の安全を確保するというために除去する行為は、国際法上武力の行使に当たらないというように解釈されておるわけでございまして、そういうような点を総理は以上の趣旨を踏まえて答弁があったんじゃないかというように理解しておるわけでございます。
  110. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 外務省の方の御見解はどうですか。
  111. 斉藤邦彦

    政府委員(斉藤邦彦君) ただいま防衛庁の方から御答弁があったのと同様でございます。
  112. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 これは実は会議録がまだ出ておらぬので見ることができませんが、少なくとも新聞が責任を持ってこれ書いておると思うのです。かきで括弧して書いておりますので。読売新聞がうそを言っておるという御主張なら、これはまた別問題ですよ。一応うそは言ってないということであれば、そこに書いてあるのは「法的に違いがあるとは思わない。」、こうおっしゃっておるんですよ。事実を無視した法的な解釈というのはあり得ない。事実の基礎の上に立って法的問題は考えなきゃいかぬでしょう。舞鶴の湾外の公海での掃海というのは、何回も申し上げておるように、浮いておる、敷設されたのが浮き上がってきてぶかぶか海上で浮いておるそういう機雷であって、それは邪魔だから取り去るというわけで、これは武力行使じゃないんです。サルベージに頼んだっていいんだし、海上保安庁がとったっていいんだし、あるいは海上自衛隊がとっても、それは武力行使としてやったのではない。  ところが、ペルシャ湾まで出ていってやるということになると、ペルシャ湾の機雷はあれは敷設した機雷なんです、そうでしょう。敷設した機雷とぶかぶか浮いておる浮遊機雷とは違う。敷設機雷というのは軍が戦争用の目的で敷設した、その戦争目的に対して反抗することになりますからね、我が国が出ていって。だから、戦闘ですとか戦争なんです。相手が戦争のためにやったことに対してこちらは刃向かうんですから。国際法上の戦争とは言えませんけれどもね、宣戦布告してないんだから。しかし、戦闘行為だ。戦闘行為になるのではないか、そういうことをやれば。それを私がお尋ねしたんですよ。ところが、それは武力行使ではない、海外派兵には当たらぬ、こうおっしゃっておるから、総理が。私は海外派兵ではないかと思うんですよ。そういう敷設した、ペルシャならペルシャね、これはどこかわかりませんよ、そこへ出ていってそれを取り除くんですから、あれは明らかに兵力の行使である。兵力の行使をわざわざそこまで自衛隊を派遣してやるということであれば海外派兵だと思われますが、この点について防衛庁及び外務省の御見解を伺います。
  113. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 私どもとしましては、先ほど答弁いたしましたように、この機雷除去という場合に自衛隊法九十九条に基づきまして機雷除去するというのは、舞鶴沖にあるような遺棄されたような機雷、こういうものがペルシャ湾上に浮かんでおっても、これは武力行使には当たらないというような意味で理解しております。  常識的に見ましても、例えば戦争当事国が武力攻撃の一環として意識的に自国または相手国に敷設したというような機雷を取り除くということは、やはり相手の武力行使に対するこちらの武力行使と考えられる場合が非常にあるわけでございまして、これはそういう常識的に判断できることまでも超えて総理がお答えしていると私どもは実は考えておりませんで、やはり舞鶴沖の浮遊機雷等がペルシャ湾等にあったような場合には、法理論的には同一に考えられる。したがって、そういう機雷を除去するときは武力行使には当たらない。現実の状況下において戦争が当事国、イラン、イラクで行われるところに、意識的か流れてきたかはっきりわからない機雷を取り除くということは明白に武力行使に当たらないというまで、私ども総理が明言したとは実は理解しておりません。そんなことで、防衛庁側としましては、九十九条の機雷除去、これと同じような状況下における公海上の機雷除去は武力行使には当たらない、このように解釈しておるわけでございます。
  114. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 日本の船舶を守るためであるなら武力行使、海外派兵には当たらない、こう言っておられるんですよ。つまり、日本船舶を守るためなんだから、ペルシャ湾に出して機雷を取るということは。だから、それは海外派兵に当たらない、こういう御見解なんです、新聞によると。しかし、そういう御見解は少し間違っているんじゃないかと私は考えるんです。明らかにこれは武力行使である。また、海外派兵に当たる。ペルシャ湾で現在戦闘行為があるところへ行って、戦闘行為をやっておる当事者が敷設した機雷を取り除く行為ですから、これは明らかに武力行使であり海外派兵に当たると理解すべきであるのでね。  ただ、私は総理が言い間違えたというならいいですよ。こういうことは人間というのは思いもせぬことを言い間違えることがありますからね。だから、総理が実は考えてないのにうっかり間違えて言ってしまったというのなら、それはそれで弁明されてもいいですよ。ところが、これは内閣委員会で述べられた答弁だから、私はこれを問題にするわけです。これは、これを認めますとそういうことをおやりになる可能性があるかる、だから申し上げるので、これは明確に、そういう現在のペルシャ湾の状態における機雷除去に海上自衛隊を派遣するということは許されない、海外派兵になって憲法違反になる、そういう見解をおとりになるようにしていただかぬと困りますがね、どうですか。
  115. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 政府としては、イラン・イラク紛争の続いておるようなペルシャ湾に自衛隊を派遣する考えはないということは、再々明言されておるところでございまして、その点は私の方も確信しておるわけでございます。  なお、総理の見解につきましては、私の方であれですけれども、また締めくくり等早くやっていただきまして、その際に総理に御質問いただくようによろしくお願いしたいと思います。
  116. 斉藤邦彦

    政府委員(斉藤邦彦君) 先ほどお尋ねの機雷の除去に関する法律的な考え方につきましては、外務省の考え方は先ほど防衛庁の方から御答弁がありましたのと全く同様でございます。一般論といたしまして、公海上における機雷の除去が武力の行使に当たるか否かということは、それがいかなる具体的な状況のもとでいかなる態様で行われるかにより判断されるべきものでございまして、一概に言うことは国際法上非常に難しいと考えられます。
  117. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 この問題は今回はこのぐらいにしておきます、もう切りがない。私は非常に不満ですよ、政府の御答弁はね。不満だけれどもしようがないから。  それで、次は洋上防空について私はお尋ねしたい。まず、洋上防空という言葉の定義がどうも明確でないんです。それでまずお尋ねするわけですが、これは海上防空とか海上警備とかいう言葉とどういう点が違うのでしょうね、お尋ねします。
  118. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 洋上防空という言葉は最近使われ出しておりますので、まだ特段定義ということをいたしておりませんが、私どもは単に洋上における防空というような意味で使っております。
  119. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 そうしますと、この場合の洋上防空洋上という範囲はどの範囲になるでしょうか、日本の領土から見て。
  120. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 洋上といいますと、私ども防空という任務から考えますと、まず防空につきましては本土、我が領土の防空ということでございます。したがって、その領土の防空に必要な範囲ということが一つございます。もう一つは、洋上にあります船舶の防空という意味で、船舶防空に必要な洋上の範囲というのがございます。なお、その船舶の安全確保につきましては、かねがね申し上げておりますように、防衛力整備の対象といたしましては我が国周辺数百マイル、航路帯を設ける場合には一千マイルの範囲を航行しておる船舶の安全確保ということを申しておるわけであります。
  121. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 ただいまの御見解は、これは政府でそういうふうに考えられたことなのか、あるいは何らか法的根拠があっての問題なのか、そういう点はいかがですか。
  122. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 洋上防空という言葉を法的にといいますか、法律の中で用いたりというようなことはいたしておりません。なお、洋上防空という言葉が公式の文書として載っておりますのは、現在実施されつつあります中期防衛力整備五カ年計画閣議決定文の中に、洋上防空について検討するとか、そういった形で洋上防空という言葉が使われておるわけであります。
  123. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 洋上防空自衛隊が実行なさるということは、もしそれが何らかの法的根拠に基づいておやりになるというのであれば、これはだれも疑念を持たないでしょう。ところが、洋上防空という言葉は法律上どこにも出てこないということになりますと、やはりこれに対して疑いを持つ人がなきにしもあらず、こう私は思います。    〔理事岩本政光君退席、委員長着席〕  そこで、洋上防空というのは自衛隊法ではどういう言葉から変わってきた言葉なのか。何かもとに自衛隊法に何か言葉があってそれを言いかえておる、洋上防空という言葉に。それはどういうことですか。
  124. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 自衛隊法のまず「自衛隊の任務」というのがございます。これは、御承知のように、正確に読みますと、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」と。ここで我々考えておりますのは、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略に対し我が国防衛することを主たる任務としております自衛隊としましては、かねがね申し上げておりますとおり、国土、国民を守るための防衛のために防空という任務が必要でございますし、かつまた、国民の生存を確保するための物資を輸送するための船舶の安全を図ること、あるいは防衛行動が既に行われておる際に継戦能力を維持するための輸送を行う船舶の安全を図ることもまた必要である、そのための防空というものは必要な機能であるというふうに考えております。洋上防空は、その防空機能の一部であるというように理解をいたしておるわけであります。
  125. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それは三条だというお話ですが、この三条というのは一般的な基礎になる任務の範囲を決めておるわけですね。そして、それに基づいていろいろの権限行使ができる規定があるわけですよ。例えば防衛出動という規定もできておるし、海上警備行動という規定もできておりますし、いろいろな規定が任務規定を根拠にしてつくられておりますね。ですから、そういう点からいきますと、やはり洋上防空という任務を行う規定が当然つくられなければならない。ところが、そういう規定はつくらないでおられるわけですね。今度の防衛二法の改正を見ましても、そういうことはちっとも載ってないんです。人員の問題しか載ってない。そういうことになると、これは自衛隊法というものをまじめに取り上げて論議をされておるのかどうかというところが疑わしくなりますね。そういう点はどうですか。この任務の上に、実際に権限行使をできる洋上防空をするための根拠法、そういうものが今ないのだが、これは法的根拠がないままに今後とも実行されるのか。それとも、法的根拠を設けておやりになるのか。そういう点どうですか。
  126. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 我が国に対する侵害への対応ということは千差万別でありまして、その種直接侵略事態に自衛権の範囲で対応するという任務を自衛隊に与えておりまして、その際の個々具体的な対応というものはとても千差万別で記しがたいということで、それは基本的な任務として与えており、かつ防衛庁設置法の方においても防衛庁の任務なり権限の中に同様に与えられておるものと我々は考えております。先生のおっしゃった、例えば海上における警備行動なり領空侵犯措置等における任務というのは、そういった自衛隊の基本任務以外に、平時におきまして自衛隊に特に与える任務として一つの事態というもの、状況というものを想定した付加的な任務として個別に記せられておるものというふうに私は理解をいたしております。
  127. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 この問題は論ずべき点が大変多いのですが、実は私に割り当ての時間がなくなってきましたので、この問題はこれだけにしておきましょう。  それで、次は、これは防衛庁と運輸省にお尋ねするわけですが、航空法という法律がございます。航空法という法律は、どの程度防衛庁航空機に適用になるのかという問題でございますが、これは一般的に適用になるのか、あるいは例外的に適用になるのか、その点はいかがですか。これは、運輸省の航空局からおいでですね。
  128. 加藤晋

    説明員(加藤晋君) お答えいたします。  航空法の一部を除きまして、自衛隊に対して航空法は適用されます。
  129. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 もう少しはっきり言ってください。
  130. 加藤晋

    説明員(加藤晋君) 航空法の中で、自衛隊法におきまして適用除外をされておりますもの以外については自衛隊に適用はされます、航空法につきましては。
  131. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、先ほどから問題になっておる洋上防空ですね、洋上防空というのはこれは航空機が走ることでしょう。航空機が大体なかったらどうにもならぬことですからね。それは洋上防空をする航空機というものは運輸大臣の監督は一切排除されるのか、それとも運輸大臣の監督を受けるのか、その点はどうですか。
  132. 加藤晋

    説明員(加藤晋君) 突然の御質問なものですから、私ちょっとただいま適切な答えを持ち合わせておりません。御勘弁をお願いしたいと思います。
  133. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 実は、どうしてこういうことをお尋ねをするかといいますと、ニアミスが起こっておりますね。ニアミスの問題の法的根拠をお尋ねするために問題にしているんです。  それで、まあ洋上防空が制度として実施されるということでありますと、当然訓練が必要になりますね、訓練。制度として洋上防空というものがあるとするとですよ。制度としてそんなものは認めないというのなら、訓練もありません。それで、制度としてどうも設けるような、設けたいといったようなお考え防衛庁の方でおありのようにきょう実は聞いていますととれますので、そうなりますとやっぱり訓練というところが出てくる。それで、航空自衛隊が訓練を行います場合に、その航空自衛隊航空機を統制管制する法規というものは、これは航空法なのかあるいは自衛隊法なのか、自衛隊法ならば自衛隊法の第何条なのか、航空法ならば航空法の第何条なのか、そういう点はどうなっておりますか。
  134. 大竹勇二

    説明員(大竹勇二君) お答えいたします。  先生の御質問は航空管制に関するものと承っておりますが、航空管制は運輸大臣が一元的に行っておりまして、航空法百三十七条の3によりまして一部を防衛庁長官に委任しておるものでございます。また、百三十七条の四項によりましてこれを統制いたしております。
  135. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 航空自衛隊航空機の運用あるいはその統制については、運輸大臣は防衛庁長官に任務を委任しておると、こう今おっしゃったんですか。その点どうですか。
  136. 大竹勇二

    説明員(大竹勇二君) これは先生も御案内のように、航空機の飛行方式には二つございます。一つは計器飛行方式と、もう一つは有視界飛行方式でございます。計器飛行方式におきましては、管制機関の管制を常時受けて飛行しておる航法でございまして、これ以外の飛行方式を有視界飛行方式と申しておるわけでございます。  高知沖の件に関しましては、防衛庁機は有視界飛行方式でございましたし、片一方の全日空機は管制官に常時管制指示を受けて飛んでおる計器飛行方式でございました。
  137. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、まあそういうことにしておきますがね、問題はニアミスが発生する、これを防止するための法制はあるのかないのか、なければ設ける必要があるのではないかということなんですが、どのような御見解でしょうか。
  138. 大竹勇二

    説明員(大竹勇二君) 私の現在の立場では非常に難しい問題でございまして、ちょっとお答えいたしかねます。
  139. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 これは大変な問題でしょう、現在。新聞にも時々載りますね、衝突問題。それから、大変危険な状態まで近寄ってくる問題がございますが、こういう問題は何ら法的な制限なしに行われるということになると、いつ危険が発生するかわからない。当然、航空の安全ということは運輸大臣の責任ですが、運輸大臣は自己の責任を防衛庁長官におっかぶせて逃げてしまうということでは困るではありませんか。どうですか。
  140. 大竹勇二

    説明員(大竹勇二君) これもまた非常にお答えしにくい問題でございますが、そういうことにはなっておらないのではないかと思っております。
  141. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、時々起こるあの事態ね、ニアミスという事態はどうしてああいうことになるとお考えですか。
  142. 大竹勇二

    説明員(大竹勇二君) これは管制官の管制指示の誤りとか、あるいはパイロットが見張り義務を十分に行っていなかった、いろいろな諸条件が考えられますので、一概にニアミスの原因につきましては——ニアミスという言葉を私今申し上げましたけれども、航空法上ではニアミスという言葉はございません、異常接近という言葉でございますが、異常接近はいろいろな条件によって発生いたしますので、一概には言えないところでございます。
  143. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 この問題はやっぱり運輸大臣に来てもらわにゃいかぬ。あなたでは答弁できぬ、これは、責任ある答弁は。少なくとも政府委員じゃないと答弁できないでしょう。だから、きょうはもう時間がないから、おいでくださいと言っても無理だから、きょうはこれ以上追及しませんが、これは大変重要な問題を含むわけです。立法まで考えなきゃならぬ重要な問題を含むので、きょうは残念ながら、あなたは責任者じゃないからもう質問できない。やめます。  それでは、次はシビリアンコントロールの保障機構について質問をいたしたいんですが、今日はよくシビリアンコントロールという言葉を言われますけれども、それは本当にできるのかどうかということが問題なんです。口ではシビリアンコントロールと言いますが、できるかどうかが問題なのでお尋ねをいたしますが、現在、形式的な保障とか実質的な保障はどうなっておりますか。
  144. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  シビリアンコントロールという定義でございますが、これは政治が軍事を統制するという意味で民主主義国家の基本理念だろうと思います。どういう形式的な保障機構があるかとお尋ねでございますが、一番強力にして重要なるシビリアンコントロールの機関は国会であろうかと存じます。この国会予算あるいは法律その他を審議し、決定をしていただく。次は、大きな機構といたしましては、内閣全体であろうかと存じます。御承知のように、内閣総理大臣政府を代表いたしまして自衛隊の最高司令官であり、この下には文民であるところの防衛庁長官、これを支える同じく文民であるところの内局の参事官会議等がございます。昨年の七月一日発足いたしました安全保障会議は、国防会議にかわりまして、現在、総理大臣の諮問機関といたしましてこのシビリアンコントロールの機能を果たしておるところでございます。
  145. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 時間が参りましたのでこれでやめますが、実はきょうの質問は非常に重要なことでございますので、また後刻機会がありましたら質問させていただきます。きょうはこれでやめます。
  146. 吉川春子

    ○吉川春子君 前回の委員会のときに途中で時間切れになってしまいました沖縄、勝連の海洋観測所について、引き続きお伺いいたします。  国会議員の視察を断るほど重大な秘密があるんだということでしたけれども、衆議院の内閣委員会での西廣局長答弁によれば、SOSUSも日本にはないということです。加えて、照合すべき音紋あるいはノイズを分析する手段などもないとすれば、一体そのほかにどんな重要な機密事項があるのか、国会議員を入れられないほどの機密事項があるのか、お伺いします。
  147. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 沖縄にあります海洋観測所、これは下北半島にもございますが、先生の御質問は、潜水艦の音等をとるというようなお話、SOSUSの話が出ましたけれども、私ども申し上げておりますのは、ここは海洋環境の調査をするところでありますということを申し上げておるわけであります。したがって、まずそういう目的が違うということを御理解いただきたいと思います。  それから、もう一点申し上げたいのは、我が方といたしましては、もろもろの海洋調査その他のいわゆる我が方の情報収集の問題につきましては、それがどの程度までできたのかということについては、潜水艦の運用あるいは対潜水艦戦をやる、そういった際に非常に重要な要素になりますので、そういった内容にかかわる問題であるので御容赦をいただきたいということを申し上げておるわけであります。
  148. 吉川春子

    ○吉川春子君 今、シビリアンコントロールの定義も伺いましたけれども、国会議員が自衛隊の施設の中に立入調査ができないとすれば、シビリアンコントロールという点からはどうなるんでしょうか。前回の御答弁では、収集した情報は横須賀の海洋業務群から米軍へも送られるとのことです。建物の中に国会議員さえも入れられない重大な場所で収集した機密情報を、米軍へはコンスタントに提供するということはおかしいと思います。  同時に、海洋観測所には、先日の答弁でやはり明らかになりましたけれども、米軍属が立ち入りしています。アメリカの民間人でさえ常時立ち入りできるのに、日本の国会議員を立ち入らせない。この法的根拠をお伺いしたいと思います。
  149. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) どの施設を公開するか、あるいはどの施設に議員の先生方を御案内するかということにつきましては、やはりその施設なり部隊の性格上、従来から情報部隊その他については直接の御見学等は御遠慮いただきたいということで、お願いをいたしております。
  150. 吉川春子

    ○吉川春子君 アメリカの民間人が入れるのに国会議員は入れない、その根拠はどこなんですか。
  151. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) アメリカの民間人が入っておりますのは、その施設の中に置かれておる器材、これが米側から提供を受けている器材あるいは米側から購入した器材が置いてありますので、その整備なり運用、チェック等のために彼らを必要とするので来てもらっておるということでございます。
  152. 吉川春子

    ○吉川春子君 私たちは、秘密に属する部分についての資料の説明とか、そういうのを拒否されたわけじゃないんです。とにかく建物の門をくぐること自体拒否されたわけなんです。だから、きっと私たちが中に入ればもう重大な機密がたちどころに見えるんでしょうね、あの中に入れば。だから入れないと言ったんだと思うんです。しかし、アメリカの民間人は立ち入りしている。保守点検に来ているんだということですけれども、それだけでは敷地の中にも入れないという理由の説明にはならないと思うんですけれども、いかがですか。
  153. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 海洋関係にとどまらず、各種の情報部隊あるいは調査部隊等については、それぞれの部隊が非常に小そうございますし、それぞれの業務をしている担当者等の階級も低い者が多いわけであります。そういったところに外部の方にお入りいただいて、個々の器材なりいろいろな御質問に対して、どこまでが秘密の部分でありどこが言えないかというような判断をその現地にゆだねる状況にない。そういったこともございまして、私どもとしましては、情報機関その他については見学を御遠慮いただいておるというのが実情であります。
  154. 吉川春子

    ○吉川春子君 米国のシビリアンに対して、どこがこれはお給料を払っているんですか。
  155. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 私が答えられるかどうかわかりませんが、アメリカの軍属と聞いておりますから、米国政府が払っておるのではないかと考えております。
  156. 吉川春子

    ○吉川春子君 自衛隊の海洋観測所のいろいろな器械の点検、保守整備に来ているわけですね。その人の給料はアメリカが払っていると、こういうことですか。
  157. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 日本は払っておりません。
  158. 吉川春子

    ○吉川春子君 もう一つお伺いします。  SOSUSが提供されていない、あるいは集めた情報を分析する能力も日本には十分にないということですけれども、今度東芝のココム問題を契機に、アメリカと原潜探知についての協力を進めるということですけれども、そうすると、日本は米国にどういう面で協力できるんですか。
  159. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 今、大きく分けまして三つあると思います。  一つは、海洋なり音響等の調査したもののデータ交換というのがあります。我々としましては、艦艇が訓練をするあるいは航空機が訓練をする、そういう際に当然のことながら各種の海洋調査も行いますし、音響調査も行っております。そういったデータを逐次蓄積しつつございます。そういったものについて米側と、向こう側からしかるべき反対給付があれば、データ交換をするにやぶさかでないというように考えております。そういった海洋調査の面があろうかと思います。さらに言えば、そういった海洋調査なり音響調査のための各種技術ということがございます。これらの技術は直接的に何かの装置をつくるということもありますが、それ以前のより基礎的な技術についても、よりよいものをつくるためにどういうことがお互いに協力できるかといったことで、技術的な交流ということも可能であろうというように考えております。  第二番目は、音響の探知、捜索等についての問題であります。これについては具体的にまだ方法等を考えておりませんが、状況によってはいろいろな調査のための手段を新たに持って調査をする、あるいは現在の得られている情報をよりよく分析するための何らかの機能を強化する、そういったことも考えられるのではないかというふうに考えております。  三番目は、対潜訓練の問題でありまして、対潜訓練について日米がより協力して、対潜訓練のための練度を上げていくための各種の施策があろうというように考えております。
  160. 吉川春子

    ○吉川春子君 海洋観測所を硫黄島を初め各地につくっていく、こういう計画があるんですか。
  161. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 現在のところそのような計画はございません。
  162. 吉川春子

    ○吉川春子君 硫黄島についてもないんですね。
  163. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) ありません。
  164. 吉川春子

    ○吉川春子君 もう一つ確認しておきたいのは、そうしますと、自衛隊の海洋観測所の機器の整備点検に来ているシビリアンにアメリカが給料を払っているということは、日本にサービスでそういうことをやってくれているんですか。
  165. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 日本がそういう装備を買ったことに対するアフターサービスと考えてもいいと思います。
  166. 吉川春子

    ○吉川春子君 東芝事件を契機にして、ソ連の原潜の探知能力の強化について日米の協力を進める、こういうようなことが行われようとしておりますけれども、潜水艦一般ではなくて、ソ連の潜水艦の探知というようなことは非常に重要だと思うんですね。やはりこれはソ連を仮想敵国として見ることではないのかと思いますし、私たちはこういうことはやめるべきだと思います。  そしてまた、シビリアンコントロールについて長官の御意見を伺いたいんですけれども、今の御答弁でも前の委員に対する御答弁でも、国会の果たす機能というのが非常に重要だというふうにおっしゃっておられますので、やはり国会議員に基地に立ち入りを認めないと、調査を認めないと、こういうようなことについては私は好ましくないと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
  167. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) シビリアンコントロールで国会が非常に重要だという答弁をしましたけれども、それはそのとおりなんです。ですから、最終的に予算を通すとか法律を通す、そういう意味合い国会が国民を代表して非常に重要である、これがシビリアンコントロールの最後のとりでである、こういう話なんです。個々の施設その他につきましては、一人一人の国会議員に、はい、どこでもごらんください、そういうわけにはまいらない。お見せできないところもあるわけです。そういうことで、お見せできないところがあったからこれはシビリアンコントロールを外れると、国会議員を軽視する、そういうことに私はならぬと思います。
  168. 吉川春子

    ○吉川春子君 私たちは法案の審議あるいは予算審議などのために自衛隊の施設等も視察するわけですから、そういう点で今度の国会議員の立ち入りも拒否したということは大変遺憾であるというふうに私は申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  次は、防衛白書の問題について幾つかお伺いしたいと思うんですけれども、ことしの防衛白書は去年までの白書に比べて幾つかの点で踏み出しています。「軍事力の意義」では、日本を軍事力を持たない国とは区別して、「軍事力の役割ないし機能は、究極的には力によって相手に対する要求を充足させ」ることにあると露骨にそのねらいを語った上で、「軍事力を備えることが、その地域の安定的均衡の維持、ひいては国際平和に貢献することとなる。」とまで言い切っています。憲法は怒っているんじゃないかと私は思います。前回の委員会で防衛庁長官は私の質問に対して、日本も世界的に見れば、軍事力と言えるそういうものを持っているというようにお答えになりました。この防衛白書は、この軍事力の増強をさらに必要だと、そういうことを説いて、洋上防空まで持ち出して高価な装備をそろえるための際限もない軍事費の増大に根拠を与えようとしているものであります。なぜ軍拡をしなくてはならないのか。日本はどこから侵略されようとしているか。直接にその国の名前を挙げてはいません。しかし、白書では、ソ連の軍事力の増強は日本に対する潜在的な脅威を増大させているとしています。これに対して、アメリカの軍事力はソ連軍とは対照的に抑制されたものであり、平和と安全のために努力を重ねているという記述が各所に見られるわけです。ソ連は悪玉、アメリカは善玉と、こういうふうに決めつけているように私はこの白書を読んで感じました。  そこで、長官にお伺いしたいのは、アメリカの軍事力はよい軍事力、ソ連の軍事力は悪い軍事力と、こういうふうに私はこの白書から受け取れたんですけれども、そういう認識でよろしいんでしょうか。
  169. 瀬木博基

    政府委員瀬木博基君) この点は、先回かその前の当委員会でも御質問がございました。私どもは、世界の軍事情勢ないし国際情勢というものを分析する際に、善玉悪玉論というものは一切とらないつもりでございます。善玉悪玉というような既定の観念に立って国際情勢を分析するということは、むしろ判断を誤らせるないしは鈍らせるということではないかと思います。我々としては、できるだけ客観的に国際的な情勢を分析したというものが、この白書であると思っております。
  170. 吉川春子

    ○吉川春子君 予算委員会での中曽根総理の御答弁で、私たちが、自民党のパンフレットの中でソ連の核兵器は悪い核だと、アメリカの核兵器はよい核であるかのような表現があるという問題について質問をしたときに、総理は、よい核、悪い核という考えはとらないんだと、こういうふうにお答えになっておられるわけです。この防衛白書の軍事力の点についても、アメリカの軍事力はよい軍事力、ソ連の軍事力は悪い軍事力、こういうお考え防衛庁長官もおとりにならないんじゃないかと思いますけれども、そういう認識でよろしいわけでしょうか。
  171. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 今政府委員が言うたとおり、客観的な事実として記述をしている、そういうことです。
  172. 吉川春子

    ○吉川春子君 それでは、客観的な事実としてどのように記述されているのか、お伺いしていきたいと思います。  この白書の中で、ソ連のチェコ、ハンガリー侵入そしてアフガニスタン侵入については、四カ所で記述しています。私が気がついたのが四カ所だから、もっと多いかもしれません。我が党は、ソ連のこういう行為に対しては、社会主義国としてあるまじき行為だということで、批判的な態度を明確にしています。しかし、一方、だからといってアメリカは常に平和の勢力と言えるのか。例えば、アメリカが自分の国から何千キロも離れたベトナムにああいう行為をしかける。そしてまた、最近では、グレナダ、ニカラグア、ペルシャ湾、こういうところのアメリカの軍事力の行使について、白書の中で一言も触れていない。これはどういう理由なんですか。客観的じゃないじゃないですか。
  173. 瀬木博基

    政府委員瀬木博基君) 米国、ソ連のそれぞれの軍事活動につきまして、これまでいろいろな機会に議論があったと思います。ここで私ども防衛庁としてこの点について一々の例について申し上げることは適当でない、防衛庁という機構からいたしましてそういうところの判断をここで下すものではないかと思いますが、我々としては、米国の行っておりました活動、それの基本にありますのは集団安全保障体制というものから発した行動であって、それぞれ国連憲章にのっとった行動であろうと存じております。他方、ソ連の行動につきまして、ただいま委員がおっしゃられたように、共産党を含めて、我が国においては非難が行われているというように存じております。
  174. 吉川春子

    ○吉川春子君 アフガニスタンを四回書くのもいいですけれども、だからアメリカが現在いろいろなところでやっている——私はニカラグアにも実は行ってきたんですけれども、本当にアメリカの行為に対しては腹が立つ思いをいたしました。そういう行為を、客観的にと言うんだったらば、やっぱり、両方ともやっているんだから、客観的に書くべきじゃないかと私は思うんです。  それで、八五年四月号の雑誌「世界」に、進藤榮一筑波大学助教授が論文を書いておられるわけですけれども、その中で、ソ連外交の特徴の一つとして軍事介入の相対的な小ささを挙げ、それはソ連の経済における原料資源の自給自足の高さで、戦略資源についても米国よりずっと自給率が高い、こういうことを挙げているわけなんです。そして、F・キャプランという人の資料を引きまして、一九四四年春から七九年夏まで、ソ連の軍事力行使の百九十の事例のほとんどがソ連と陸続きの国であった、それからもう一つは、エンデという人の資料を挙げて、例えば六七年から七六年の十年間の軍事介入を世界的にピックアップして、そして米国を中心とした西側諸国とソ連を中心とした社会主義諸国を比べています。アメリガ側は六十五件、累積年数にすると二百五十七年、ソ連の方は六件、二十一年、十分の一にも満たない数なわけですね。これは日本の学者ではありませんけれども、外国の学者の調査によっても、こういう数字が出ているんです。だから、私は、この防衛白書に言うように、一方的にソ連がアメリカより侵略的な国なんだ、そういうような記述はよくないんじゃないか、客観的ではないんじゃないかと思うんですけれども、それはいかがですか。
  175. 瀬木博基

    政府委員瀬木博基君) ソ連の行動、アメリカの行動について、いろいろな学者がいろんな考え方を述べられている。それは、委員の御指摘になられた著述もあろうかと存じます。他方、アフガニスタンにおけるソ連の行動、これは七九年から行われて現在なお続いておるわけでございまして、国連におきまして多数の国によってソ連のこの行動に対する非難が寄せられているわけでございます。これについては、国際世論としてその行動に対する評価は定まっていると考えます。したがいまして、現在行われているところの地域紛争というものが幾つか特色的にあるわけでございますけれども、その中の大きなものとしてアフガニスタンというものに対して注目するということは、我々政府としても一つの義務ではないかと存じます。  他方、ソ連が常にあらゆる機会をとらえて侵略的な行動をとるのかどうか、これはいろいろな見方があるだろうと思います。我々としては、ソ連の極東方面における軍備の拡張というか増強というものを見れば、これは我が国に対する潜在的な脅威というものが大きくなっていると考えざるを得ないと思いますが、それで我々がソ連を敵視するとか潜在的な敵国であるというような、そういう仮想敵国というような形で見ているわけではないわけでありまして、我々としては隣国としてのソ連とできるだけ善隣友好の関係をつくりたいというのが、これは日本政府の方針でございまして、防衛庁といえどもその中で行動しているわけでございます。
  176. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、ソ連のその軍事的な行動を書いていることについて、それは事実として書くことについていいと思うんですけれども、しかし、同時にアメリカも書かないと判断が狂うでしょう、一方的にそういうふうに書いたら。そして、まるっきりアメリカのことは何も書いていない。こういう白書のアンバランス、これはもう公平でもないし客観的でもないし、そういう誤った資料を国民に与えて、何か特別な意図のもとに特別な意識を国民に与えようとしているんじゃないか、そういうことを思わざるを得ないほど書き方が客観的でないんですね。  もう一つ伺いますけれども、ゴルバチョフ・ソ連書記長がウラジオストクにおいて演説をしたということをこの白書の中で何カ所か書いておりますけれども、ゴルバチョフ書記長の、日本との経済協力、広島での太平洋会議、それから太平洋における艦隊縮小について交渉開始など、こういう提案について、これは単なるソ連の宣伝でもう意に介しない、こういうお立場なのかどうか。いかがですか。
  177. 瀬木博基

    政府委員瀬木博基君) ただいま御指摘のゴルバチョフ書記長の演説というのは、昨年の七月二十八日ウラジオストクで行われた演説と存じますが、これはソ連がアジア・太平洋地域に関しまして当面の外交政策について包括的に述べられたものと承知いたしております。この演説は、ソ連のアジア・太平洋地域への関心というものを示すとともに、対中、対米及び我が国に対する改善の、またはその改善の促進ということの期待を表明したものとして、当時も注目されましたし、今日も注目されているところであろうと思います。  他方、この演説は、当時行われたときもそうでございましたけれども、問題は言葉ではなくていかなる行動であるか、行動がこの演説の後出るかということが世界的な期待でもあり、また評価であったと思うのであります。で、この評価を下したのは、我が国ももちろんそういう立場でございましたけれども、典型的には中国が同じような評価を下したわけでございます。その行動という形で見てみますと、演説の行われたときに表明された期待ほどには必ずしもいろいろな行動がとられていないということが、遺憾ながら事実ではないかというふうに考えております。個々の問題につきましては、委員も既に御案内のことではないかと思います。
  178. 吉川春子

    ○吉川春子君 最近のヨーロッパあるいは日本の新聞でもそうですけれども、それからアメリカのレーガン大統領の演説などを見ますと、今までのソ連に対する考え方と若干見方を変えてきている、こういうことが言えるんじゃないかというふうに思うわけです。INF交渉でのソ連の非常な譲歩であるとか、あるいは一方的な核実験の停止であるとか、このウラジオストクの演説の後どうかというよりも、それに前後してのソ連の行動について、やはり今までの見方とは違った動きがあると思うんですけれども、もし防衛庁長官がこのゴルバチョフのウラジオ演説を読まれておられれば、その感想を含めて伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  179. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 私はあの演説を全部詳細に見ておりませんが、概説しました。しかし、今これ政府委員が言いましたが、言葉というものは行いとマッチしなきゃいかぬ。しかも、ある程度時間を置かないとこれはわからない。私が中国に行ったときも、中国の首脳がこのゴルバチョフの声明につきましては極めてクールでございました。そういうことでございますので、最近の米ソのいろいろな歩み寄り、これは私も期待を持っておりますけれども、だからすぐにと、これは決して何といいますかためらうわけじゃないけれども、すぐにと、そういう考え方で処理をすると間違う。これが着実にいくようになってほしいし、それを見守っていかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
  180. 吉川春子

    ○吉川春子君 言葉は実行を伴わなければというお話はごもっともで、公約してもそれを守らなくてはならないという国民の強い批判もあったわけです。そのことについては私は異論はないんですが、期待を持って見守っておられる、そういう長官の発言を受けとめておきまして、具体的にゴルバチョフ書記長は、太平洋に関心のあるすべての国の参加する太平洋会議を広島で開催することを提案した。そして、我々は太平洋における艦隊、何よりもまず核兵器搭載艦の活動の縮小について交渉を始めることを提案する、対潜水艦兵器の分野における競争の制限、特に太平洋の一定地域における対潜活動を控えることについての合意は安定の強化に役立つだろう、こういうふうに言っているわけです。  実はきのうの朝日新聞の論壇に竹岡勝美氏が投稿しておられますが、その中で、「この際、太平洋における関係各国が全戦闘艦艇を撤収して、太平洋を文字通り「平和の海」と化することも決して軍事論理に違背する夢ではなく、日本こそが、自国の安全保障策としてのみならず、世界の平和と軍縮を要求する歴史的提案となし得るのではないか」、こういう投書をされております。そして、「太平洋におけるSLBMの全面撤収を日本が提言することは、核超大国から軍事的音痴と笑われることはあるまい。」としています。もしその太平洋のSLBMがなくなれば、米ソの艦隊の存在意義は薄れ、海上自衛隊の主力護衛艦、潜水艦、対潜哨戒機、こういうものも不要になる、日本は、米ソ戦争に巻き込まれる不安もなくなるし、在日米軍の撤収に伴い、厚木、三宅、池子の問題も解決される、こういうふうにおっしゃっておられるわけですけれども、こういうような考えについて長官は一笑に付されますか。私は、むしろソ連の脅威をあおるんじゃなくて、本当に隣の大きな国ですから、脅威をあおるよりはもっと仲よくしていこう、そういう立場からの積極的な提案をする、そういう立場に日本は立つべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  181. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 私も防衛庁長官ですけれども、世界の平和、それを願うことにおいては決して人後に落ちないつもりです。ですから、私はワインバーガー長官と会うときには必ず軍縮、平和の問題から入るんです、これ。話をしていってなぜアメリカはソ連に対して警戒心を持つのかと言うと、ソ連は最後の段階になると、検証というところになると絶えずそこで行き詰まっちゃうと、公正な効果的な検証の問題になると行き詰まっちゃうということを今まで言っていましたよ。今後これがどうなるかわからぬけれども、根強いやっぱり不信感ですわ。そういう根強い不信感というものが米ソの中にまだある。なお、世界の各国の中にある。そのときに、いわゆる理想像を掲げてこうあったらよかろうと言うのは、それはそれなりの意味があるけれども、現実政治の中でこれをどう処理していくか、その道筋というものをやっぱりある程度はつけていかなければいけない、それが私の今の感じであります。
  182. 吉川春子

    ○吉川春子君 リアルにいろんなものをつかむということが御答弁の中でも強調されておりますけれども、私は防衛白書に沿ってもう少しお伺いしたいと思います。  ことしの防衛白書によりますと、極東ソ連軍の海上兵力は主要水上艦艇が九十五隻、潜水艦百四十隻、総隻数八百四十というふうになっています。これに対応する自衛隊そしてアメリカの総隻数はどういうふうになるんですか。
  183. 瀬木博基

    政府委員瀬木博基君) ソ連の太平洋隊艦に対応するアメリカということになりますと、恐らく委員の御念頭にあるのはアメリカの第七艦隊というものをお考えではないかと思います。アメリカの第七艦隊というものもこれは出入りがあって、艦隊でございますから同じ船が同じ艦隊に常にあるというわけではございませんが、おおむね七十隻、七十万トンということでございます。他方、日本につきましては百六十一隻、二十六万トンという数でございます。
  184. 吉川春子

    ○吉川春子君 これ、第三艦隊を加えないんですか。
  185. 瀬木博基

    政府委員瀬木博基君) アメリカの海軍は太平洋を東側と西側とに一応責任を分担しておるわけでございまして、東経でいきますと百六十度というところで第三艦隊と第七艦隊と分かれているわけでございます。第三艦隊では、これはまた先ほど申し上げましたように、固定的に必ずしも船の数が決まっているわけではございませんけれども、主要な戦闘艦艇が七十二隻、両用の艦艇が二十六隻、支援の艦艇が三十二隻属している。またそのほかにSSBN、攻撃型のミサイル潜水艦というものも五隻あるということが「ミリタリー・バランス」等に載っております。
  186. 吉川春子

    ○吉川春子君 第七艦隊の七十隻の中には何を含めて考えておられるんですか。
  187. 瀬木博基

    政府委員瀬木博基君) 七十隻の主なものといたしましては、空母、巡洋艦、駆逐艦等の主力水上艦艇及び潜水艦その他の艦船でございます。
  188. 吉川春子

    ○吉川春子君 続けてちょっとお伺いしてしまいますが、ソ連の空母について白書の中に記載がありますけれども、この二隻の艦載機の数とかこの空母の役割をどういうふうにとらえておられますか。
  189. 瀬木博基

    政府委員瀬木博基君) ソ連の航空母艦は、現在、キエフ級と言われております三万七千トン級の航空母艦一種類でございまして、四隻これまでございますが、そのうち二隻が太平洋艦隊に属しているわけでございます。このキエフ級の空母というものは、いわゆるVSTOLという型の戦闘機と対潜ヘリコプター合わせて三十機、及び対艦のミサイル、対空のミサイル等を備えた空母でございまして、対潜作戦、水上戦闘、上陸作戦などに使用されるものと考えられております。
  190. 吉川春子

    ○吉川春子君 ソ連の空母、ミンスク、キエフ、この空母の評価について、例えば垂直離着陸の艦載機しかないとかあるいはこれは対潜型空母であるとか、そういうことが一般に書かれていますけれども防衛庁もそういう御認識ですか。
  191. 瀬木博基

    政府委員瀬木博基君) 委員御存じのとおり、ソ連が航空母艦というものをつくりましたのはこれが最初でございます。したがいまして、現在のところのこの持っております四隻のキエフ級の空母というものの能力は、大型の空母というものには匹敵できるものではないだろうと。したがいまして、その能力及び役割については限られたものにならざるを得ないだろうと思っております。
  192. 吉川春子

    ○吉川春子君 第七艦隊の空母の艦載機の種類とか役割についてお伺いいたします。
  193. 瀬木博基

    政府委員瀬木博基君) 第七艦隊に属しております空母、これまた変わるわけでございますが、例えばミッドウェーとかカールビンソンというものを例にいたしますと、積んでおりますところの航空機は、F14、F18、またA6、それから哨戒機というようなもので、およそ八十機程度積んでおるということだろうと思います。
  194. 吉川春子

    ○吉川春子君 ちょっと全体的に比較する時間がありませんけれども、例えば空母の今の例をとってみても、アメリカのミッドウェー、カールビンソンなどは八十機も艦載機を載っけておりまして、物すごい力を持っていると。それに対して、ソ連の空母というのは比較的まだ力が余り大きくないんだと、役割も限定されていると、こういう今お返事がありました。そのソ連の艦船の艦齢ですね、一般的に十五年とか二十年とかそれ以上だとか、非常に老朽船が多いとか、そういうことがこういう本にも書いてありますけれども、そういうことについてどういう御認識ですか。
  195. 瀬木博基

    政府委員瀬木博基君) 平均的な艦齢につきましては、我々資料を持ち合わせておりません。最近、ソ連の海軍力というものは非常に増強されておりますが、全体としてどの程度の年齢になるのか、ちょっと資料がございません。
  196. 吉川春子

    ○吉川春子君 資料を持ち合わせていないというだけで、自衛隊としてはわかってはいるんですよね。
  197. 瀬木博基

    政府委員瀬木博基君) 御存じのように、ソ連全体を見てみますと、ソ連の軍艦の数は二千九百隻という数でございますので、これを全貌について計算するということは非常に至難のわざでございまして、まだそれだけの作業は行ったことはないということでございます。
  198. 吉川春子

    ○吉川春子君 答弁をはぐらかしていただくと困るんですけれども、私は主な潜水艦とか空母とかそういうものについて、主要艦艇について言っているのであって、二千何百隻全体についてつかめということじゃないんですけれども、それは資料が出ますか。
  199. 瀬木博基

    政府委員瀬木博基君) 空母については割合簡単に四隻でございますので出ますが、それ以外の船についてはちょっとお約束しかねます。
  200. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間の関係で、じゃ次の質問に進みます。  ソ連の軍事力の把握について、日本防衛白書というのは非常に大げさにつかんでいるということがいろいろなところで批判されているわけです。私も今度見てみまして、その批判が当たっているということを痛切に感じたわけです。ソ連の軍事力、アメリカの国防総省の報告でも、太平洋艦隊の役割というのが非常に防衛的なものなんだということも書いているわけですけれども、そういう意味で、私は必ずしも防衛白書の把握がリアルではないということを指摘しておきたいと思います。  その次の質問なんですけれども、今回の白書と昨年の白書を読み比べてみますと、防衛力についての記述のところに、去年までは「必要最小限」という形容詞がついていたわけです。ところが、ことしはほとんどすべての防衛力のところから「必要最小限」という形容詞というか、言葉が消えています。私たちの党は自衛隊は合憲であるという立場をとらないわけですが、自衛隊を合憲であるというふうに考える立場の解釈のよりどころとして、必要最小限の防衛力であるということを歴代の内閣も説明してきたわけです。これは単なる形容詞ではなくて、だから憲法に反するのがその枠内なのかということの、その重要な意味を政府としては持たせてきたわけです。今回の白書から一斉にこの言葉が消えていると、削ったのはどういうわけなんでしょうか。
  201. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 「必要最小限」という言葉は我が国が憲法上持ち得る防衛力の際にその限界として使われておる言葉でありますので、今回の白書ではそこのところを厳密に憲法の記述のところには「必要最小限」というふうに書かれていると思います。それ以外の現実に持っている防衛力、それは必要最小限に達しておるとか、そういうことじゃございませんので、憲法上の枠組みと現実に持っておるものとの表現があいまいにならないように、その部分を削除しておるということであります。
  202. 吉川春子

    ○吉川春子君 去年まではずっと書いてきているんですけれども、あいまいにならないように削除したという意味はどういうことですか。
  203. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) これは先般もこの委員会であるいはお答えしたかと思いますが、これをつくるに際しての各省協議の関係で余り公にすべきことではないと思いますが、「必要最小限」という言葉は、先ほど私が申し上げたように、憲法解釈上合憲である範囲の防衛力というようなことで厳密に使うべき言葉であるので、それをみだりに他の部分で使うとその両者が紛らわしくなる、そこのところを明快にするために憲法の部分以外では使わないでほしいという御意見がありましたので、我が方としてもそれを取り入れたというものであります。
  204. 吉川春子

    ○吉川春子君 その意見はどこからあったんですか。
  205. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) まあ内容的に類推はされると思いますが、政府部内のことでございますので、具体的にどの省庁と言うことは御遠慮さしていただきたいと思います。
  206. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、その防衛力が必要最小限度であるという今までの政府考え方と、考え方には変わりはないと、表現上の問題としてだけ削ったと、こういうことですか。
  207. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 我が国が持ち得る防衛力というのは自衛のための最小限度であるということは、考え方としてももちろん変わっておりませんし、憲法との対比における表現としても全く変わっていないというふうに御理解いただきたいと思います。
  208. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、もう一つ、去年までの防衛白書の表現が適切でなかったからことしは削ったということになると思うんですけれども、私はこの防衛白書を読みまして、去年の防衛白書と違ったいろいろな軍事力の点とか、まあソ連のことについては今までと同じようですが、洋上防空の問題とか、あるいは大綱見直しの問題とか、いろいろと踏み出すような表現があるわけです。その一環として防衛力も必要最小限度じゃないと、必要な防衛力は持つんだと、こういうふうに踏み出すための試金石としてことしそういう形容詞を削ったんじゃないかと、そういう受けとめ方もできると思ったんですけれども防衛庁長官、それはそうではないということですか。
  209. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 繰り返すことになると思いますが、第二章の「防衛政策の基本と防衛計画大綱」という部分の第一節の一番に「憲法と自衛権」というところがございます。八十三ページになろうかと思いますが、そこに明確に書かれておりますように、「わが国が憲法上の制約の下において保持を許される自衛力は、自衛のための必要最小限度のものでなければならない。」云々、以下あと自衛権の行使その他についてもそうでございますが、いずれにつきましても必要最小限度のものでなくちゃいかぬということは繰り返し言っておりまして、憲法との関係その他についての問題は政府としては終始一貫変わっていないし、今後も変えるつもりはないということでございます。
  210. 吉川春子

    ○吉川春子君 長官にお願いして、終わります。
  211. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) この白書、いろいろ御意見がございまして、それは本当に白書というのは国民の皆さんに御理解いただきたいというものですから、いろいろの御意見はぜひ出していただきたい、そういう意味で承っておりますが、私は今度の白書というのは、今まで国会で一年間いろいろやりましたな、それを理論的に整理して出したと、その理論的に整理して出したところが、これは踏み切るんじゃないか、突出するんじゃないか、そういうふうにいろいろの価値観がありますから、我々と違った価値観の方から見ると踏み出すための理論武装じゃないか、こういうふうにお考えになったのかなという感じがいたします。しかし、私が当委員会で申し上げましたとおり、私は防衛計画大綱というのは限定かつ小規模、そういうものに対応できるものと、防衛計画大綱を見直す気持ちはないということを申し上げておる。そういうことで御理解を賜りたいと思います。
  212. 井上計

    井上計君 委員長長官政府委員も大分お疲れのようだし、私の質問時間を十分提供するから、ちょっとトイレかなんか休憩していただいたらどうですか。どうぞ、私、十分質問短縮しますから。
  213. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  214. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 速記を始めて。
  215. 井上計

    井上計君 次元の高い質疑が続いておりますが、私は補欠で委員に入っておりますので、改正案等について幾つかお尋ねをいたします。  今回の三法の改正案でありますけれども、増員が目的でありますが、現在陸自の定員が十八万人。しかし、資料にありますけれども、充足率が依然として八六・四%。今最高とはいいながら、まだ定員にはかなり不足をしておる。計算すると一万五千五百五十人の不足だということになろうか、こう思います。陸自は四十九年度以降定数増を全くしていないわけであります。したがって、それ以降常に充足率は低い。しかし、一般的にいいますと陸自は一万五千五百人も不足しているわけですから、海自あるいは空自等を特に増員をしなくても、いわば防衛庁の枠内でやればいいではないかという意見もあるんですね。だから、現在のように陸自、空自、海自等々を何も別に定数を決めなくても、全体の枠の中でやれば陸自のいわば充足率の足りない分を十分カバーできるではないか、こういう考えはあると思うんですよ。したがって、今後の問題でありますけれども、特に陸上自衛隊が創設されたこういうふうな定数が決められたときから見ると、いわば技術の革新あるいは国際環境の変化等々から、やはり戦略あるいは国土防衛というものが大幅に変わってきておる中で、いつまでもこういうふうな三自衛隊別の定数を設けておかなくても、防衛庁全体の定数という中で考えていってもいいのではないか、見直すべき時期にあるのではないか、こういう私考え方を持っておるんですが、そのような点を含めてどうお考えであるのか、さらに今後の自衛官の定数の水準というふうな計画はどの辺をお考えであるのか、お伺いしたいと思います。
  216. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 自衛官の定数につきましては、一般官公庁等の定員とやや違った性格を持っているということをまず申し上げたいと思うわけでありますが、防衛庁でもいわゆる自衛官以外の定数につきましては、日常の業務を処理できる必要最小限のものを定員として組んであるということでありまして、業務がつつがなく処理できればそれでいいということになろうかと思います。一方、自衛官の場合には、あくまで実際に部隊等が機能しますのは有事の際であります。したがって、有事の際に十分な機能をし得る枠組みというものがなくちゃいけない。平時から有事の際に必要な枠組みそのものが全部充足されているということは、自衛隊にとっては望ましいことでありますけれども、ある意味では人件費等かなりの経費負担が大きくなるという問題がございます、そこで、各国とも自衛官の定数なりあるいは予備役等と組み合わせて平時どのように維持し、有事の枠組みをどうするかという点について工夫がなされているところだろうと思います。  日本につきましては、御承知のとおり、完全志願制ということで徴兵制じゃございませんので、やはり自衛官の定数と予備自衛官というもので枠組み考えざるを得ないという状況にありますので、定数というものは師団なら師団というものが何人いなければ有事有効な機能を発揮できないかということから積み上げざるを得ないと。あるいは海空でございますれば、航空機なり艦艇が二十四時間、相当期間連続して行動するためにはこれだけの定員がなくちゃいかぬという枠組みというものがございます。一方、平時においてはそれのうち有事予備自衛官から補充するなり新規に募集するなりして埋められる、比較的技能が練達でなくても済む職域もございますので、そういったものについてはできるだけ平時からの充足は遠慮しておこうというようなことでございますので、現員と定員との間に乖離が行われているということはある程度御理解いただきたいと思います。  一方、先生指摘のように、そういった定員と実員という問題は十分御理解の上の御発言だと思いますが、といえども一つの定員の全体としての枠組み、陸上自衛隊のみならず海空も含めて、どの程度の水準で相当長期にわたって耐え得る枠組みというものが考えられるのかという御趣旨のことだろうと受けとめております。私どももそういった考え方は十分持っておるわけでありまして、そういった方法になれば自衛隊としてはいわゆる防衛力の水準を示すものとして、装備等のみならず人員についても一つの水準というものが示し得ればそれにこしたことはないというように考えておりますが、陸上自衛隊の場合は相当なまず数がある。人員そのもののベースが大きい。その中で装備等を近代化しながら、人員としてはある者が、例えば普通科いわゆる小銃部隊の者がより重装備の部隊の人員に移っていくということで、彼此融通していくということがかなり器が大きいものですから可能な部分がございます。  一方、海空について言いますと、今までは装備そのものに着目して、航空機が一機入ればそれを運航するため整備するために何人要るかという、微細な積み上げから定員が積み上げられてぎりぎりの定員になっておるということでございまして、そういった状況が数十年続いてきたわけなので、その間にゆとりというものを全く持っていない定員に現在なっております。しかも、装備体系そのものが陸以上に日進月歩の傾向があって、それによって人が非常にふえたりあるいは人が要らなくなったりという点の、変動の多い要素が海空自衛隊については多うございます。  そこで、今までのところまだかなりの期間泳げるための一定水準の定員というものを我々としても見出し得ないで来ている。しかし、先生の御指摘は全くそのとおりでございまして、我々としても今後とも引き続きそういうものを追求していきたいというように考えておる次第でございます。
  217. 井上計

    井上計君 よくわかります。お考えもそのとおりだろうと思いますが、やはりすべての条件といいますか、あるいは環境が変わっておる、また変わりつつある中で、当然、今局長おっしゃったように、将来的なやはり自衛官の枠、水準といいますか、もう必要なものがどんどんふえる、あるいは必要でないものが減る、そういう中でのやっぱり整備というふうなこと、それによっての定員をどうするかというふうな、これは重大な問題だと思うんです。だから、これらのことについてはやはり十分至急に検討されて、そういうふうなことについての方針を示していただくことが必要ではなかろうか。これは要望しておきます。  次に、予備自衛官の今回員数増それから手当の増額というふうな改正案の内容でありますが、予備自衛官の員数についても、先ほどの自衛官の定数の水準、そのような計画と同じようにどのようなふうにお考えになっておられるのかということが一つ。  ついでにお伺いしますけれども、今回の予備自衛官に対する手当の千円増額、これは一カ月に三千円を四千円とするということですから、今の経済感覚ではもうどうも実はおかしいなという感じがやっぱりこれはします。それから、訓練等々の招集手当が日額四千七百円というのは、五十六年度改正のままで一向に変わっていないわけです。このようなものがそのままでいいのかどうかということについて、私は大変疑問を持っておるわけですけれども、これらの点はどういうふうなことであるのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  218. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) まず、前段の御質問についてお答えしたいと思いますが、予備自衛官のいわば持つべき水準なり考え方についてお答えを申し上げたいと思います。  予備自衛官につきましては、現状では、陸上自衛隊について申し上げますと、一つは主動部隊、例えば師団等が現在それぞれの地域に配備をされております。これが侵攻された地域に移動をする、そういった場合の後詰めとしてその残された地域の警備に当たるといったものを有事編成するための警備部隊の要員、さらには現在の陸上自衛隊の各部隊というのはあくまで本土の中で戦うわけでありますし、ましてや平時の訓練その他は本土の最も合理的な方法で編成をされておりますので、有事必要な補給部隊その他については部隊編成をいたしておりません。有事急速に例えば野戦病院をつくるとかそういったことをしなくちゃいかぬわけでございますが、その種の部隊はつくらないままにしておいてあるわけでありますが、そういったものを有事には急速編成をしなくちゃいけない、そういった要員に充てる。さらには、実際に戦闘が行われて負傷その他で欠けた人間の補充をしなくちゃいけない、そういったものを含めて陸上自衛隊としての予備自衛官の所要数というものをはじいております。  一方、海上自衛隊につきましては、一つは現在いろいろあります要員の中で、例えば陸上のある種の人間については二十四時間態勢ではなくて八時間なりあるいは昼間態勢だけをとっておるといったような部隊がございます。そういったものについて二十四時間態勢に有事は切りかえなくちゃいけないというものもございますし、港湾の警備その他平時よりも厚くしなくちゃいけない部隊というものもございます。そういったものについて予備自衛官を充てようということで、予備自衛官の員数を一応描いておるわけであります。  航空自衛隊も、海上自衛隊とほぼ似たことでございますが、平時比較的手薄になっております基地警備なり基地防空要員、レーダーサイト等の防空要員、そういったものにつきましてはごく基幹になる人間だけを抱えておりまして、有時は急速にそういったものを予備自衛官で編成をして、レーダーサイト等の防空に当たらせるということを考えておりますので、その種の考え方に基づきまして予備自衛官計画というのを持っております。  そして、御承知のように、現在予備自衛官というものは陸海空合わせまして四万四千九百人ございます。これに今回の改正案で千五百人の増員をお願いをいたしております。その結果、四万六千四百人になるわけでございますが、五カ年計画といたしましては、我々としては希望としては五万数千人のところまで、今言ったような考え方で持っていきたいというように考えております。これが現在の予備自衛官についての考え方からきた目標でございます。  一方、予備自衛官制度につきまして、今より広い立場から検討をいたしております。それは二つの側面がございまして、一つは現在自衛官が担当しております各種の後方支援業務、例えば整備とか修理、そういったような要員がございます。こういったものについては、自衛官が直接やらなくてもシビリアンあるいは外部に委託してもいいのではないかというものもさらに探せば出てくるのではないかということであります。ただ、そうすることによりまして、平時はよろしゅうございますが、有時そういった人間が、失礼な言い方ですが、倒産してしまって使えなくなってしまうというようなことになると大変困る。そういったことに対して有時も十分な裏づけができるためには、予備自衛官制度等が適用されなければいかぬのじゃないかという考え方一つございます。  もう一つは、先ほどの先生の御質問と非常に関係があるわけでございますが、今の自衛隊の定数といいますか枠組みは、先ほどお話し申し上げたように、定員と予備自衛官ということで考えられておりますが、その定員の中にも平時はやや恒常的に欠になっている部分がある。そういったものは定員として今までどおり抱えておくのがいいのかどうか、あるいは予備自衛官という形に変えた方がいいのかどうかといったようなこともこれから考えられると思います。そういったことも含めて、予備自衛官制度というものをさらに検討しておるというのが現状でございます。
  219. 井上計

    井上計君 今お答えありましたが、私も実はその点を、自衛隊の定員と予備自衛官というふうなものを今後セットで考えていって、枠組み見直しをする必要があるというふうに思っております。お答えがありましたから結構でありますが。  先ほどちょっと申し上げた、これは特に質問の通告をしていませんでしたが、一カ月四千円という手当も、今の経済感覚からいうとどうであろうかなという感じはします。それはさておいても、訓練招集に一日四千七百円で果たして——予備自衛官としてはもう全部働いているわけですね、現場で。そういうふうなところから、もちろんそれは予備自衛官に任用されていますから、招集があるときには事前に連絡し、あるいは有給休暇の方法をとるかどうか知りませんが、事業主との了解の上でそれは出てくるんでしょうけれども、四千七百円というのはちょっと安過ぎはせぬか、こういう感じがするんですね。特にこの資料の中にある予備自衛官の職業別の内訳を見ても、サービス業の二六・二%というのは多分警備保障等々の社員が多いのであろうと思いますが、製造業だとか商業だとかそういうところにかなり従事していると考えても、やはりその四千七百円という招集手当についても、難しい問題がありますから今すぐとは言いませんが、今後やはり検討していく必要があるのではなかろうかなと。これは私だけじゃありません、そういう気持ちを持っている人が多いということを防衛庁に申し上げておきます。  次に、自衛官の人たちはいろんな厳しい環境の中で常に災害出動あるいは訓練にも励んでおるわけであります。我が国の平和、独立、安全、これを祈念して国民の生命財産を守る、こういう崇高な信念を堅持してもらっておるわけです。また、そうでなくちゃ困りますし、そうであるわけでありますが。とすると、それらの自衛官に自信と誇りをもっと持ってもらわぬと困ると思うんですね。中にはなかなか自信を持てない、誇りを持てないという自衛官もあるのではなかろうかというふうに仄聞することがあるんですが、そのようにもっと自信と誇りを持ってもらうためには、ことわざでよく言われておりますが、衣食住足りて礼節を知るということわざのように、いろんな給与その他の待遇面でやはり自衛官らしい待遇をすることをもっと考えていかなくちゃいかぬ。その一つに、まず住の問題ですけれども、全国的に見て隊舎や宿舎の整備が大変おくれておる、こう聞いておるんですが、今後どのような整備の方針でおられるのか、現状はどうなっておるのか、これをちょっとお尋ねいたします。
  220. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 隊舎について申し上げます。  隊舎は隊員の生活、勤務の基盤になるところでありまして、隊員の活力を維持し士気の高揚を図る上から、またいい隊員を確保していくという見地からも、装備の充実や教育訓練の推進などとともに、質の高い防衛力整備していく上で欠くことのできないものであると思っています。こういう考え方で、隊員の生活関連施策の一環といたしまして、隊舎などの改善にも一層努力をしていかなければならないと思っております。  現在自衛隊が持っております隊舎は、六十一年度末で二百十五万平方メートルということになっておりますが、その約四分の一は大正時代に建設されたものを初めといたしまして建設後相当の年月がたっておりますために、老朽化していると。それから、昭和三十年ごろに建てられましたものは、一部屋に多人数が起居するような構造の建物になっておりまして、現在の生活感覚からいいますと旧型になっております。さらに、居室のスペースが足りないために、居室のベッドの一部を二段にして詰め込んでいるというような狭隘なものがございます。このような隊舎の現状にかんがみまして、隊舎の整備につきましては、まず二段ベッドを解消するということで、新しく隊舎を増設するというのを第一にいたしまして、あわせて、今申し上げました老朽化しているもの、旧型化しているものにつきましては、その実態に応じて建てかえあるいは改修をしていく、こういう考え方で年々予算化を図っているところでございます。
  221. 井上計

    井上計君 大正時代のものがまだ相当残っておるということは驚くべきことなんですが、国民はほとんど知らないですよ。そういうふうな、いわばもう考えられぬような隊舎で自衛隊員が生活しておるというふうな事実を、もっとやっぱり国民に知ってもらう必要があります。  それから、同時に、もちろんそれは予算関係でそう急速に建て直し、改築、改善というわけにはなかなかまいらぬことはわかりますけれども、そういうふうなものの予算を組むことがすぐ防衛費の増強だというふうな非難もあるわけですね。だから、そこのところをもっと明確にしてもらって、国民にやはり理解してもらう。訓練あるいは災害出動等々で非常に感謝されておる自衛官、そういう人たちがそういう過酷な隊舎状況の中で生活しておるということを国民に知ってもらうことも、もっと大事だと思うんですね。大いに御留意をいただきたいし、また速やかにそういうふうな老朽隊舎、宿舎の改善、それから改築、新築等々をやられるように、長官、残された任期はわずかでしょうけれども、大いにひとつ御努力いただきたいし、また、この中には旧自衛隊の偉い人がたくさんおられるんですから、皆さん方がもっと努力されなくちゃというふうな気が多分にいたしますので、大いにこの委員会でひとつ声を大にして要望しておきます。  そこで、次に、先般の東芝機械のココム違反事件、私どもが当初予想しなかったほど大きな問題として波及してまいりました。特に、けさの各新聞の報道には、東芝が第三者に依頼した今回のココム違反事件についての報告が発表されておりますが、それを見ると、改めてまた我々は東芝機械の指導部のとった行動に憤りといいますか、同時にあきれておるという感じがするわけですが、この原因は、日本は空気と、まあ水は最近そうでもありませんが、空気と平和はもう何も努力しなくても黙って与えられる、それが当然だというふうな風潮が最近ますます強まっておりますね。だから、やはり平和の維持、独立等については、すべての国民がそれぞれ何がしかの責任があるんだという考え方を国民にもっとPRしてもらわぬといかぬ。それについては、先ほど来今回の防衛白書の問題がいろいろと論議されておりますが、その論議がもっと国民の中で起きるような、先ほどの隊舎や宿舎の問題もそうでありますけれども、あのような膨大な難しいものでなくて、一般国民にもっと読んでもらえるような、知ってもらえるような、まあ漫画的なものとは言いませんけれども、もう少しわかりやすいような防衛白書の付録といいますか、そんなものをひとつ今後考える必要があるのではないかと多分にかねがね思っておりましたので、この機会にひとつこれも要望を兼ねて提案しておきます。  それから、今回の防衛白書についてちょっとお伺いしたいんですけれども、昨年と比較すると、極東ソ連軍の増強がかなり目立つというふうに私は感じます。極東ソ連軍の兵力の増強の意図はどの辺にあるのか、防衛庁はどのような受けとめをしておられるのか、同時にまた、ココム違反事件によってソ連潜水艦の性能が向上したということであるとするなら、それについての防衛庁の対潜能力の措置をどうおとりになっておるのか、お差し支えなければお伺いいたしたい、こう思います。
  222. 瀬木博基

    政府委員瀬木博基君) 極東ソ連軍の関係の御質問について、最初にお答えさせていただきます。  白書にも書いてございますけれども、極東ソ連軍の量質ともの増強というのは依然続いていると思います。最近特に顕著でございますのは、量につきましては、これはこれまでも非常な増強が続いてきた関係もあり、余り変化は多くの面では見られない。地上兵力で若干の増強が見られたほかは、この量というものはそれほど変化していないと思います。他方、質というものが非常に変わってきている。これは陸海空いずれにおきましても、兵器体系におきまして新しいものが続々増加しておる。特に、従来はソ連はやはりヨーロッパを第一の正面といたしておりますから、ソ連の最新兵器というものはヨーロッパ方面にあったと思いますが、最近の傾向を見ますと、ヨーロッパ方面に出ているような最新の兵器体系というものが極東方面にも時期をそれほどたがえずに出ているということではないかと思います。  これがどういう意図であるかということは、これは非常に難しい問題だと思いますが、現在において極東方面にソ連がすぐにも有事を想定しているということではないだろうと思います。現在、これまでも六〇年代、七〇年代にソ連が極東方面を非常に増強いたしました中ソ関係というものも一時とは異なった様子を見せておりますので、その点はそういうような状態にはないと思います。しかしながら、やはりソ連としては、極東方面における全体としての重視といいますか、注目というものはむしろふえている。太平洋地域に対する関心の深まりというものは、政治的にも経済的にも当然でございますがある一方、軍事についてもやはり関心をふやしているということは、これは事実なんだろうと思います。これは私はむしろ事実が心を示すといいましょうか、やはりそういう増強があったところで、それではどういうふうに考えるかということを推察することはあっても、どういう意思があるからこういうふうに増強しているかということを考えるというのは、これはなかなか難しいのでございまして、我々としては、まずは事実そのものに注目しているところでございます。
  223. 井上計

    井上計君 お立場上ごもっともだとは思いますが、優等生的な答弁で、目的がどこにあるかということについては考えない。しかし、言えば増強の意図はあるというふうな、こういうふうなお考えです。お立場上やむを得ませんけれども、私は率直に言って、仮想敵国を云々ということについてはけしからぬという意見もありますが、やはり相手方があれば相手方の出方によって我々はどう出るかというのは、これはもう当然のことです、対応は。だから、余り防衛庁も遠慮されないで、やはり先方の意図がこうであるという想定があればその意図に合わせて、もし万一そういうふうな方法がとられた場合にはどう対応するかというふうなことについては、もちろんそれはないことが一番好ましいんですよ、万が一あった場合にはどうするかというのがやはり我が国防衛上必要なわけですから、これも余り遠慮されないで言うべきときには言う、そして国民にもっと理解を求める、国民の認識を深めるというふうなことも必要であろうというふうに考えておりますので、御答弁は要りませんが、あえて申し上げておきます。  時間が若干あるんですが、私——あ、御答弁がある。じゃ、お願いします。
  224. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先ほどの東芝機械事件に関連した防衛庁の対潜能力の向上についてという御質問がありました。  潜水艦の静粛化といいますか、発生雑音が逐年低減してきているという問題につきましては、実は、これは何も東芝機械関連、スクリュー音だけではございませんが、ここ十年近くにわたる傾向でありまして、我々、潜水艦による船舶への攻撃からいかに守るかという立場からしますと、非常に頭の痛い問題であります。最近、たまたまココム違反事件でこの問題がクローズアップされましたけれども、スクリュー音の問題というのは、確かに潜水艦の音を小さくする一つ要素であります。特に問題なのは、原子力潜水艦というものが数千億もする高いものでありますけれども、スクリューはわずか数千万円でできる。そういった安くしかも簡単に取りかえることができるということで、ある潜水艦の音が簡単に小さくなったりあるいは音の種類が変わってしまうという点、非常に問題を感じておるわけであります。  そこで、防衛庁が現在どういうことをしておるかということでございますが、東芝機械事件に直接関連したということではございませんで、従前からの潜水艦の音が小さくなっているということに対応をするために、我々としましては逐年の防衛力整備においてそれに対する配慮というものをいたしております。そして、来年度の予算要求におきましても幾つかの施策を考えております。  一つは、御承知の対潜航空機でありますP3C、この音響処理のための装置、P3Cに積んでおります装置を、従来のアナログ方式からディジタル方式に変えてより精密な分析ができるように改造をするという、新しいタイプのものを要求しているというのが第一点であります。もう一つは、ここもう二十年以上にわたりまして対潜ヘリコプターというものが大体同じタイプの航空機を母体にして、それに対潜機器を積んで運用してまいりましたけれども、いよいよそのヘリコプターがもう既に生産もしなくなり部品等の補給も困難になりつつあるということで、新たな機体に日本で開発した各種の新しい対潜機器を積んだ対潜ヘリコプターを要求しておるというものであります。そのほか、艦艇等に搭載します各種の捜索機械あるいは対潜装備等につきましても、逐年少しずつでも改善を加えていくという配慮をいたしております。  ただ、これらはいずれも逐年やっておるものでございまして、東芝機械の事件に関連して特にやっているということではございませんので、その点は御理解いただきたいと思いますが、後者につきましては、最近アメリカとの間でそういった潜水艦の音が小さくなっていることに対応をして、日米がこれを回復するために何ができるかということで共同の研究を今始めております。これに関連しては、先ほど吉川先生の御質問でちょっとお答えしましたけれども、海洋環境の調査であるとか、あるいは捜索、探知、識別機能の向上の問題であるとか、あるいは対潜訓練の強化等の問題について現在協議中でありまして、そう遠くない時期に結論を得たいというように考えておる次第でございます。
  225. 井上計

    井上計君 ソ連の潜水艦のスクリュー音が非常に小さくなっておる。これが直接東芝機械のココム違反との因果関係云々ということではまだ若干疑問があるようでありますが、いずれにしても、潜水艦のスクリュー音一つとってみても、それを小さくしておるということはソ連側の明らかな目的がある、意図がはっきりしておるということですから、それについてどうするかということについてはもっと明確におっしゃっていただいて、やはり対策等についても十分万遺漏なきを期する、このようにまた改めてひとつ希望をしておきます。  最後でありますけれども、この法律案審議、聞くところによりますとかなり濃密に慎重に審議がこの内閣委員会で行われておる、こう聞いております。先ほど来同僚委員質問を聞いておりましても、もう高度な質問になっておりますから、事実上審議はもう終了しておるのではないかなと、こういう感じがするわけであります。が、しかし、そこで私先日来大変疑問に思っておりますのは、新聞報道によりますと、今回、本改正案については何か継続審議的な、そういうふうなことがあり得るというふうな新聞報道がなされておりまして、全く私は合点がいかないんですが、それはともかくとして、もし万が一この今回の防衛三法の改正案が今国会で成立しなかったらどういうふうなことになるのか、防衛庁長官はいろいろとお考えであろうと思いますが、どういう支障があるのか、その点のところをひとつ率直にお聞かせをいただきたいと思います。  これをもって質問を終わります。
  226. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 今政府委員からお話がありましたとおり、もし自衛官の定員増ができなければ、これは艦艇とか航空機が就役するそのときに、今ある人員でやらなきゃならぬと非常に無理がいきますね、これ。そういう無理のいくようなことがわかっておっておくれるということは、これは非常に遺憾なことであります。また、予備自衛官の問題につきましても、防衛出動をするときに、継戦能力という観点からそれに対応できるようなものを置くことはこれは当たり前ですね。そういう意味合いで、防衛問題というのは絶えず有事に備える、絶えず訓練に間に合うということで皆さん方にお願いしてあるわけでございますので、今大変いい御意見を承りましたが、ぜひ与野党の皆さん方にお願いをしますが、速やかに慎重審議をされました上は、どうぞ御可決あらんことを改めてお願いを申し上げる次第であります。
  227. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 私は、防衛庁の皆さんに少し耳ざわりの悪いことばかり聞きたいと思うんです。  大体栗原長官は、先ほどからお話のありましたシビリアンコントロールを代表して、防衛庁を統率しておられるわけですね。私が現在世界の情勢全体を見ますと、とにかく軍備がふえちゃって、どうにもこうにもならぬ情勢です。アメリカなども現在経済的に非常に困っていますけれども、これはもうアメリカ自身が言っているように、双子の赤字ですね、つまり財政赤字それから財政赤字から来る貿易赤字、経常収支の赤字、これで経済が参ってドルがどんどん下がっているという状態ですね。ソ連も同じことが言えるでしょう。それから、世界の各国もその勢いに押されてみんないろんなものを買ったりつくったりして、軍事予算が非常に大きくなっているというのが現在の世界の大問題だと思いますね。  それですから、シビリアンコントロールを代表する栗原長官は、そういう世界の大勢を見ながらいかに——必ず軍隊というものは拡張欲求を持つんですよ、これは。日本が敗戦に至る前に日本の陸海軍、軍縮空気が世界であったにもかかわらず、また国内でもそういう動きがあったにもかかわらずやはり軍拡の方に走って、そしてシビリアンコントロールをどんどん壊していくというああいう事態になっている。それで、今アメリカのことをいろいろ言っていますけれども、しかし、あのころ我々は青年から中年になりかけたころですが、ようやく判断力もできかけたころですけれども、陸軍の急進派、海軍もそうですけれども、米鬼英鬼なんて言っていたんです。アメリカの鬼に、イギリスの鬼、これはもう初めから敵だ、それに向かって軍備をつくっていく、こういう状態だったですね。ですから、現在の世界的な情勢の中で、軍縮ということとシビリアンコントロールということについて長官がいかに考えていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
  228. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 軍縮、平和については、先ほどもちょっと話しましたけれども、私は防衛庁長官というのは非常に業の仕事だと思っておるんです。人間の社会において戦争というのは非常に嫌なことですよ。しかし、現実には戦争というのは起きておる。みんな頭じゃわかっているけれども、実際にはそれができない。なぜかというと、やはり強い者が弱い者をいじめる、あるいは空白なところがあればそれを打ち破る、そういうものがあるんですね、これ。そういう意味合いでは、まさに戦争とか核とかというものは業だと私は思うんです。  したがって、先ほども申したとおり、ワインバーガー長官と話をするときには、必ずまず防衛問題に入る前に軍縮、平和についてどうだということを言っているんですよ。ワインバーガーさんも私に対していろいろ言いますが、最終的にはやはりソ連の平和、軍縮というものを信用できない、なぜかというと、相互検証というものになかなか乗ってこないということを言っていましたよ。要するに、それは相互不信ですね。ですから、その相互不信をなくすためには一体どうしたらいいか。私は、ある意味において体制の違いというものが相互不信を高めていると思いますよ。自由に西側の人たちが東側へ行って演説する、東側の人たちが西側へ来て話をする、そういう大きな意味で国民とか人民が自由に物を言えるという体制をつくることが、非常に重要じゃないかと私は思っているんです、政治家として。そうでないと、これは空理空論に走っていってしまうというふうに思っています。  私が防衛庁長官として今考えていることは、いろいろ価値観の違いによって、これは軍事大国になるんだとか、これは防衛計画大綱を逸脱するんだとか、あるいは憲法をどうだということがありますよ。しかし、私の認識では、やはり我が国が自衛のための必要最小限度の防衛力を持つという観点からすると、今皆様方に御審議いただいておることはぜひ御理解をいただき、御協力を賜らなきゃならぬ。現実的なシビリアンコントロールというのは何かといいますと、制度の問題もありますけれども、人の問題ですね。人の問題があると思いますよ。今いろいろお話がありましたが、私も学生時代、我が国は軍人にあらざれば人にあらず、そういう風潮があった。戦時中はそういう感じでしたよ。ですから、私は、軍人だけが日本の国を守っている、そういう考え方は絶対にけしからぬと言って、ある意味では私はそのときに時代に対して警鐘を鳴らしたんです。  したがいまして、今防衛庁長官としては何かというと、内局と幕、これをしっかりつかんでいかなきゃならぬ。で、内局については、防衛庁長官を補佐できるような、そういう体制というものをつくらなきゃいかぬ。幕については、やはり先ほど来話のあったとおり、まだまだ自衛隊の隊員の住宅環境もよくないんですよ。そういうものについては、これは積極的に施策を講じなきゃいけない。与えるべきといいますか、施策しなきゃならぬことは施策をする。しかし、厳正な規律のもとにやらなきゃいかぬ。そういう意味では、大変生意気のようですけれども、私みずからの責任においてすべての問題を処理しようと、こういうことでやっているわけでございます。  少し偉そうなことを言いましたけれども、所信の一端を申し上げました。
  229. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 ごもっともな話ですがね、とにかく今の情勢というのは今までとは大分違いますね。この前の戦争前とも大分違う。それは、やっぱり核というものがあの戦争の最後に広島、長崎で投げられまして、核兵器が非常な破壊力を持つということをみんな知っているからです。しかし、まだ甘く見ていますね、これを。それで、ソ連なんかの対応の問題を考えるときでも、すぐ例えばSS20というものを考えなければ、これはそれこそ現実的じゃない。つまり、昔の戦略論や戦術論じゃ成り立たない。結局は、やっぱり政治家がいかにして国民を愛するか。国民を愛するということはどうしたって国民の生活を高めることで、そのためには平和が必要である、そういう信念をしっかり持って国際的な連帯を強めていかなきゃなりませんね。  それで、長官は、非常に今微力になっているけれども、国際連合のようなああいう組織というものを今後どういうふうに考えられますか。国際連合というような組織とそれから軍事力の増大というような問題というのをどういうふうに関連して考えられますか。
  230. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) これ、栗原祐幸個人ということでこの委員会でいろいろ言うことが、果たして適当かどうかわからぬと思いますよ。ですから、こういう問題に対する有権的な御意見については、やはりそれなりのカウンターパートでひとつ御議論をいただきたいと思います。
  231. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 これも原則的な問題になるんですけれども日本はとにかく現在考えてみれば、米鬼英鬼なんと言ったこと自身が甚だしく愚かだったわけですね。そういうようなことで戦争をやりまして敗れたわけでありまするけれども、その後非常な経済発展をしています。国民生活も上がっているんですね。いろいろその原因を考えてみますと、やはり日本自身があの大戦の苦労で平和主義といいますか、終戦詔勅にもありましたけれども、つまり、とにかく万世のために太平を開くという考えがあって、そして各国とも平和につき合ってこられ、我々はソ連との関係それから中国との関係、このようなソ連との関係は鳩山内閣の時代に、それから石橋内閣以来中国との関係、この改善にも骨折ってきたわけですね。そのときやっぱりソ連脅威論から中国脅威論なんかに移ってきていましたよ、軍備拡張論者が。しかし、我々は中国との関係を改善した。ある時期、この前の岸内閣時代の安保改定のときなんかは、ソ連脅威論より中国脅威論の方が強かったです、本当言いますと。それを中国ともいろいろ話したりなんかして、もちろん私だけじゃありませんけれども、話したりなんかして、しかし、そういうことになると、中国でやったことは日本人も皆知っているんですから、特に軍部なんかよく知っていたわけです。そういうことになると、今度は中国でやったことを思い出して、中国と仲よくするのもいいけれども賠償をうんと取られるぞなんという、我々も言われましたよ、実際。しかし、中国は二千年の友好の歴史を思い出して日本と仲よくしたい、不愉快なことはあったけれどもそれはせいぜい五十年のことにすぎない、だから友好を回復したい、いろんなことがあったけれども賠償は取りませんよという原則で日中国交正常化ができたわけですね。  それは兵力も必要な場合がありますよ。私らは自衛隊というものは護身用の短刀だと言っているんです、これは。護身用の短刀である。つまり、大きな刀を持つ戦争というのはできないですよ、実際は。今の大きな刀というと核兵器だからね。実際、これできません。やればこれは世界の破滅ですから。だから、やっぱりあくまでも護身用の短刀、つまりどこへ小さな泥棒が潜んでいるかわからぬから、全く無防備というわけにはいかぬけれども、しかし、それはあくまでも護身用の短刀で、こっちから攻めるようなものじゃいかぬ、こういう考えを持って、ずっと自衛隊に対してもだから護身用の短刀としてはこれは認めるし、また、護身用の短刀の使い方はうまい方がいいに決まっているんですね、これは。そういうふうに私は自衛隊に対して私自身の一つの哲学を持っているわけです。  しかし、軍事力というものは何といっても自己成長したい。アイゼンハワーという軍人出身のアメリカの大統領が前にいました。これは産車体制、ミリタリー・インダストリアル・コンプレックスという言葉を非常に公然と使った人ですけれども、その人が軍人出身で、産車体制というのはほっとくと無際限に軍備をふやしていくという気になると言った。だから、そこら辺の問題が一番シビリアンコントロールの中心でしょうね。ですから、シビリアンコントロールということは、規律によって軍隊を政治がコントロールする、それと同時にやっぱり軍事と産業との変な因果関係による結びつき、これをやっぱり非常に警戒しなければなりませんね。そうしないと、護身用の短刀以上のものを持ちたがって、また売りたがってしようがないのがいます。そういうつもりでひとつシビリアンコントロールをやっていただきたいということを私は希望いたします。大変生意気なようだけれども、しかし、私も八十だからそのくらいのことを言ってもいいかもしらぬね、八十なんだから。  それで、これは今度非常に細かい話になってくるんだけれども、私は自民党の時代長く衆議院議員をやってました。十回当選したんですからね。その選挙区が東京第二区です。東京第二区の中には品川、大田区という都内もあるけれども、島があるんですね。大島とか八丈島とか三宅島とか新島とか、いろいろあるわけです。ですから、私は三宅島には非常に親しい人が多いんですよね。私は、別に自慢するわけじゃないけれども、三宅島では常に自民党代議士で、そして最高点を大体とらせてもらっておった。そのお礼のためにやるわけじゃないけれども、三宅島の現在あそこの八〇%を占める、それで女が、それこそ中年の女が夢中になっている、あそこの飛行機の発着練習をやるところですか、私は専門的なことはよくわからぬけれども、その発着練習をやるところをつくることに非常に反対しているんですね。これはもうだれが扇動するということもない。おばちゃんたちが中心ですよ。九月一日に、これは防衛施設庁の方もおられますか、ここに。——何か、機動隊を二部隊ほど派遣したことがありますね。九月一日ですか、あれは。あなたの方が頼んだんだろうけれども、機動隊が行って、それで、あの日は、いろいろと聞いてみると、とにかく、最初に機動隊が朝早く四百人ぐらいやってきて、それで何かこう観測用の塔を立てる、その仕事に取りかかった。  それは、おばちゃんを中心にする、もちろん男もいるんだけれども、三、四百人の人たちに妨げられて立てられなかった。しかしそのときは大変な雨で、機動隊の方が夜っぴてつまり船に乗ってきて、それで緊張もしてるんでしょう、この現場に来て座り込みを前にして、なかなか抵抗が強いもので、そこへ猛烈な雨が降ってきたりなんかして、機動隊の中から倒れる者が、要するに疲労と寒さとか面とかそういうものの影響で倒れる者ができてきた。そして、それに対しちゃ、これはまた純真なんですよ、島の人は。これは気の毒だというわけで、その人を婦人たちが介抱したり何かして、その中には介抱されて男泣きに泣いた機動隊もいるという話を聞きましたけれども、うそを言う人じゃないから本当だと思いますがね。そういう中に、今度はまた警視庁の機動隊の中にもうんと強いのもいるらしくて、うんと強いのが二百人ぐらいやってきて、最後にはもう何か立てちゃったらしいですがね。相当もめているんですね、あそこの島が。これはもう何というか、本当に普通の島民なんですね。イデオロギーがあったり——政党も多少関係はしているようだけれども、しかし、普通の島民です。大体八〇%ぐらいが反対なんですからね。農民と漁師ですよ。これが反対している。  この反対はなぜ起こってきているかというと、厚木のあの飛行場、米軍機の練習の飛行場をあそこへ移すという話があって、それゆえに厚木の飛行機の発着状況なんかをやっぱりちゃんと調べて見に来ているわけですね。私は、本当言いますと、厚木の近所に住んでいるんですよ。それで、朝晩やっぱり相当なこれは轟音ですね。近ごろ潜水艦は消音だなんて言っているけれども、飛行機の方は音をわざわざ高くしているんじゃないかと思うぐらいにえらい音ですよ、厚木飛行場は。大体朝とそれから晩は何時から幾らとか、きょうもさんざん轟音を聞いてやってきたんだけれども、ひどいものです。ですから、いろいろ今までの決定があるでしょうけれども、もう一度住民の要求をよく聞いてやらぬと、これをもう強行することは私は正義じゃないと思うね。やっぱり正義じゃなきゃだめですよ、武装力というものは。常に正義というものを背景にしないと、決して強い軍隊にはならないですよ。ですから、もう一度よく調べられたらいいと思うね。なぜ反対しているのかということを調べられたら私はいいと思います。  アメリカの例えばワインバーガー国防長官ですか、彼が日本の政治家、日本政府に対してあれをぜひやれと、こういうことを言っているというようなことを聞きましたが、一体そういうことはあるんですか、アメリカが非常に強く三宅島に特に指向してあそこへつくれと言っていることが。あそこはまた非常に珍しい島ですよ。一度行かれるといいけれども、蛇がいないんだ、あそこは。それで、アカコッコとか何とかハトとか特別な鳥類のいるところで、だから生物学者があそこへああいう飛行場をつくることに反対しているというようなこともありますがね。そういうことはともかくとして、庶民の反対というものは根強いからこれはやっぱりしっかり考えて、アメリカ人は実情をよく知らぬでしょうから、何もあそこだけにつくる必要ないんだし、私は、アメリカ人が、アメリカの海軍ですね、海軍の航空母艦の飛行機なんでしょうから、海軍がなぜあそこに執着するのかということをひとつどなたかに御説明願いたいと思いますね。
  232. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 今一連のお話の中で私の感じたことを申し上げます。  まあ護身用の短刀だと、防衛は。それは先生の御表現としてはわかりますが、私の表現からすると、憲法の中で許された最小必要限度の防衛力というものは必要だと、私はそう言う。これが一点。  それから、もう一つは三宅の話ですけれども、おっしゃるようなことは私も全部聞いているんです、これ。しかし、それとは違った意見もあるんです。私が三宅の人たちに言っている、特に三宅の村長や議長に言っていることは、反対だ反対だと言うけれども防衛施設庁の話をよく聞いてくれたか、島民一人一人に話を聞けと、その上でだめだと言うなら話はわかるけれども、いや反対なんですよ反対なんですよと、聞く耳を持たない、門前払いをするようなことはこれはおかしいじゃないかと、特に東京都は都知事も議会で、いろいろあるんでしょう、それに対してまず国側の説明を聞けと、こう言っているんですよ。ですから、そういうことでございますから。  あと実務的なことは事務当局からお話をいたします。
  233. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) それでは、私の方から、アメリカから三宅というように言ってきたのかとか、あるいは、なぜそんなにアメリカがこだわるのかというようないろいろお尋ねがございましたので、そういった諸点について御説明をいたしたいと思います。  この空母の着陸訓練場でございますが、御案内と思いますが、艦載機のパイロットの練度を維持する必要があるということで、空母が入港しました際にパイロットが空母に着艦できません。したがいまして、陸上でその練度を維持しておく必要がございます。そういう関係上、練度維持に必要な着陸訓練場が欲しいというのがそもそもの発足でございまして、現在、御案内のとおり、厚木で相当大きな騒音をお聞きということでございますが、厚木で実施をやむを得ずしておるという現状でございます。ただ、御案内のとおり、周辺は非常に人口稠密でございまして、騒音の影響もまことに大きいということでございます。したがいまして、私どもとしましては、できるだけこういった騒音の影響も少なくかつ安全に、しかも訓練も十分条件よく可能な場所を訓練場として提供いたしたいということで、現在までいろいろ作業を行ってきておるところでございまして、関東周辺でこういった適地がないかということで調査をいたしております。  なぜ関東周辺であるかということにつきましては、現在艦載機の基地と申しますのが厚木の飛行場でございます。したがいまして、着陸訓練場は厚木の着艦訓練の部分だけを持っていきたいということでもございますので、厚木から余り遠くない範囲内でこの適地を探していく必要がある。百五十キロから百八十キロ程度以内の中で適当な着陸訓練場を確保したいということで、かねてから私ども検討を実施いたしておつたわけでございます。検討対象といたしましては、既存の飛行場、あるいは飛行場をつくるとすればどこかいいところがないかと、それに海上に浮体構造のようなものを浮かべてこれが使えないかと、この三つの選択肢について検討をいたしたわけでございます。  既存の飛行場につきましては、関東一円あるいはその周辺全部調べたわけでございますが、ほとんど内陸部にございまして周辺に人家も多い、長期的にこういったNLPの訓練を実施するには不向きであるということが判明をいたしまして、これは選択対象から私どもとしては除かざるを得ない。それから、浮体飛行場でございますが、これは適当な海面に構造物を浮かべましてそこで訓練をしていただいたらどうか、こういうアイデアでございますが、これにつきましては、技術的に二千メートル以上のような大変長い構造物を海の上へ浮かべて飛行場として供用するという例が現在ございません。技術的にも未知の分野であるということで、相当の検討を必要とすると。しかも、設置場所が非常に大きな海域が必要でございますし、漁業あるいは航路等にも影響が出る。しかも、こういった大きなものをつくるとなりますと大変建造費も高くつくと、維持費も大変高額に上ると、こういった関係。それに、何よりも、米軍にいろいろ聞きましたところ、米軍もそういった形態での訓練場を希望しないというようなことがございまして、浮体構造の飛行場というものは検討対象から落とさざるを得ないということで、あとは飛行場をとこか適当な地点につくれるかということでいろいろ調査をいたしました結果、ちょうど百五十キロ程度になりますか、厚木から比較的近いところで三宅島というのが見つかったわけでございます。  ここは、海岸側に適切に飛行場を立地をいたしますれば、旋回コースを海上側に設定することが可能でございます。したがいまして、現在厚木で大変騒音がございますが、その部分をほとんど海上に持っていくことができる。こういうことで、騒音の影響を最小限にとどめることができる。しかも、住宅地域が付近にございませんので、そちらの方で墜落をするという事故の心配もない。さらに、夜間照明等もございませんので、訓練の障害もないというような諸点から、三宅島が適地として出てきたわけでございます。したがいまして、私どもとしては何とかこの三宅島にお願いをしたいということで、地元の皆さんあるいは関係地方公共団体にはお願いをしておるところでございます。  さらに、飛行場が具体的に設置できるかどうか、こういう点を調べますために、現在お尋ねの気象の予備調査をやっておるわけでございます。したがいまして、気象の予備調査は私どもで借り上げました土地につきまして環境庁のお許しをいただきまして、気象観測用の柱を三本立てさせていただいておるわけでございますが、最終的にここに訓練場を設置するかどうか、この点につきましては、住民の方の皆さんあるいは関係地方公共団体、村当局等の御理解等もいただきながら、やはりその辺の決定をしてまいる必要があるということは十分承知をいたしております。したがいまして、三宅ということで私どもが選定をいたしましたのは、アメリカ側からぜひ三宅にしてほしいということではございませんで、私どもが、先ほど申し上げましたように、いろいろこういった訓練場を選定いたしました結果、適地として私どもが選定をさせていただいたということでございます。  さらに、非常に熱心にここにこだわっておるというようなお話でございますが、ほかにはほとんど適地がございません。したがいまして、訓練場も早急に整備をしていく必要がございます。厚木における騒音の状況もなかなか厳しいものがございますので、できるだけ早く事業を進めたいということで、地元にもお願いをいたしておるわけでございますが、先ほど来大臣からお話がございましたように、三宅の関係住民の皆さんの御理解を得べく私どももかねてからいろいろ努力はいたしておるわけでございます。いろいろな誤解等もございまして、なかなか私ども説明を聞いていただけないと、こういう状況が継続いたしておりますが、引き続き私どもといたしましては、十分理解をいただけるように、お話し合いあるいは説明をやってまいりたいというふうに考えております。
  234. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 時間がありませんから簡単にやりますが、アメリカの航空母艦の乗員の訓練ですね。
  235. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 航空母艦のパイロットが航空母艦を使用できないときに訓練をする場所ということでございます。
  236. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 本来ならば、航空母艦の甲板で訓練するのが一番これは実際的なわけですね。
  237. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 空母は着艦のときは相当スピードを出して航行中に着艦をさせるというような仕掛けになっておりまして、それと同じ状況地上で現出するというのは困難でございますので、相当長い滑走路をとりまして、同じようにワイヤをひっかけるような訓練をやっていくわけでございますが、現実にはワイヤをひっかけるということでございませんで、その地点へ着地と申しますか、接近をしてその技量を維持していくということでございます。まあ同じような空母を保有して海面に浮かべどこへでも持っていけるという状況でございますればあるいは可能かもわかりませんが、そういった構造体をあちらこちらへ動かして、空母と同じようなスピードを出して航行できるというようなものをこしらえるといたしますれば、相当高額なるものになろうかと思います。
  238. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 いずれにいたしましても、本当の訓練としては航空母艦の発着訓練に母艦そのものを用いるということが一番いいわけですね。それだけじゃなくて、やっぱり日本という美しいところで少しは休みたいとか、いろいろな希望もあるんじゃないですか。
  239. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) もちろん、空母は母港に帰りまして休養をとるあるいは修理をする、それから航空機もいろいろ手入れもしなくちゃいけませんので、そういった際乗員につきましては必要な休養をとるということも当然考えられるわけでございますが、その際やはりこういった着艦の技量と申しますのは、常に訓練をやっておきませんとだんだん技量が落ちてまいるということでございますし、狭い空母の場所に着艦する技量というのは相当高度の技量というふうに私ども聞いておりまして、休んだ後すぐそういった高い技量を発揮するということがなかなか難しい、ふだんから休養中もときどきそういった訓練をして練度を上げておく必要がある、こういうのが必要性でございます。
  240. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 ミッドウェーとかいろいろな船が来ますね、航空母艦が。それで、ああいうものが来ると非常に私らの家の周辺がうるさくなってくるわけですけれども、ミッドウェーの乗員はどこに宿泊するんですか。横須賀ですか。
  241. 鈴木杲

    政府委員鈴木杲君) ミッドウェーの乗員それからその家族、横須賀及びその周辺地区に居住していると承知しております。
  242. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 そこにやっぱり基地があって宿泊所があると、こういうことですか。
  243. 鈴木杲

    政府委員鈴木杲君) まず独身の乗員、これにつきましては横須賀基地の中に隊舎がございまして、そこに居住しているということでございます。それから家族を帯同している者、これにつきましては横須賀あるいはまた横浜地区、そういうところの米軍に提供しております家族住宅、これは施設区域の中にある家族住宅、それで不足しておりますものは施設区域の外の民間の住宅を借り上げて住んでいる者もあるというふうに承知しております。
  244. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 とにかく空母の練習というのは非常にうるさいんですね、どういうわけか。だんだん轟音がすごくなってくるような気がしますね。私はもう二十年以上厚木のそばに住んでますからね。私は一度エマーソンというアメリカの公使が来たときに、ひとつ音を聞かせようと思って夕方パーティーみたいなのを夫婦を呼んでやったことがありますよ。そうしたら、そのときに限って来ないんだな。そういうこともある。とにかく、しかし、来るとこれは大変うるさいんですね。やっぱりアメリカ人というのはなかなか常識あるんですから、よく実際の状態を見せた方が私はいいと思いますよ、アメリカの大使とかなんとかに。それで判断してもらわないと、いろいろ弁解しても実態が悪いと反米感情が起こったりなんかしますから、実際の飛行状態をアメリカの上級の人に見せないとだめだと私は思いますね。だから、この問題は急速に防衛施設庁で決定しないで、もう少し研究する必要があるんじゃないかと。  それから、これは冗談みたいな話だけれども、とにかくアメリカの航空母艦の古いのも随分余っているだろうから、日本で買ってあそこらに浮かべてやってもらったらどうだなんという、そんな投書みたいなものも出ていますね。これは冗談みたいなものかもしらぬけれども。そういうことも今度は冗談じゃなく考えられぬこともないですよ。横須賀港にそういろ空母の大きいのを二、三杯買っておいて、それで日本自衛隊が運航してもいいからその上でこう、その練習の方がよほど実際的でしょう。熟練した空母の乗員の発着訓練ならば、やはり航空母艦をいろいろ動かしてみなきゃ熟練者の訓練には私は本当はならないと思うんです、実際はね。未熟者が来ればそういうことは必要だけれども、本来未熟者訓練は外国でやるべきものじゃ私はないと思いますよ、これは常識からいって。アメリカにも我々友達うんといるので、言いたいこと、正しいと思ったことは言った方がいいと思うんですね。そうしないとやっぱりいろんな誤解が生ずるし、向こうだってそんなことなら早く言ってくれたらよかったのにということにもならぬとも限らない。皆さんは、日本国民の税金で自衛隊というのはあるんだから、日本国民のことを第一に考えなきゃ。防衛にしても何にしてもね。  三宅島の問題なんかは考える必要がありますよ。あそこは直径十キロないんです。直径十キロない楕円形の島ですからね。それで、皆さんが計画している滑走路は二キロですね。それで阿古の方に寄るんですね、阿古の方へね。阿古と坪田というところは割に近い。その間に池なんかあって、そこは特別な珍しい鳥類なんかが、伊豆七島にだけしかいない鳥類がいるんですよ。だから、一番そういう問題ではうるさい関係の深いところへ二キロの滑走路をつくろうという計画があるわけですね。ですから、これはいろんなやっぱり調査不足もあるんじゃないかと思うし、お互いの誤解もあるんだと思うけれども、今のままじゃあそこへ持っていっても住民感情とマッチしませんよ。住民感情とマッチしないところへそういうものをつくると、これはやっぱりいろんなトラブルが起こるんです。これはもう防衛庁長官あたりが最高の政治的良識を発揮していただいて、考えていただいた方が私はいいと思いますね。こだわる必要ない。ワインバーガーならワインバーガーがここがいいと言うなら、やっぱりよく説明してやらないと、二国間の関係というものは中に入る者が説明すべきことは説明する、言うべきことは言う、お互いに誤解がないように極めて率直な話し合いをしていかないといかぬと思いますね。ひとつそういう観点でこの問題を解決していただきたいと思います。  それから、海の方に出るからここはいいと言うわけなんだ。飛行機がね、二キロの滑走路から。海の方にといっても、海の先の方に御蔵島という島があるんですよ、人口が少ないけれどもね。それからこの御蔵島の手前が三宅島の最上の漁場ですよ。ですから、いろんなこれは障害もある。まだ私は研究不十分じゃないかという感じがしますね。よく研究して、どうせなかなか難しい問題があるんだから、お互い理解し合って納得してやらないと、せっかくつくってもそこが反米の基地になったりしては困るわね、実際。ですから、よく考えて、アメリカ人にもよく言って——私が案内してあげてもいいです、アメリカのあれを。だから、よく納得させなきゃだめですよね。アメリカ人にもどういうところかということをよく知らせなきゃ。十分な努力をして、それでこのくらいの差ならまたいろいろ説得の仕方もあるでしょうが、今は住民の八〇%は非常にむしろ感情的なくらいの抵抗を持っています。これだけはひとつ十分御承知願って、日本のそれこそ最小限の軍備のためにも、それから日米の平和のためにも、友好のためにも考えていただきたいと思います。  それでは、終わります。
  245. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) せっかくいろいろとお話を承りまして、ありがとうございました。先輩に対して敬意を表します。  私、いろいろお話を承りましたが、先生のおっしゃるとおり、国民の税金で防衛というやつはやっているわけです。なぜ国民の税金をいただいてやるかというと、やはり日本の平和と安全です。ですから、日本の平和と安全のためにやっておる、それを国民の皆さんにもよく御理解いただかなきゃならない。これが一つ。  それからいま一つは、私はアメリカに対してはずけずけ物を言っている方なんです。決しておっかなびっくりじゃない。ただし、向こうの方の言っていることでリーズナブルな場合には、これはやはり日米安保ですから、向こうの言うことに対して耳を傾けて実行すべきは実行しなきゃならぬと思いますよ。そういう意味で、御激励の言葉として承っておきます。ありがとうございました。
  246. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 御激励だけじゃなく、十分検討をしてください。お願いします。
  247. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 本案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時十九分散会      —————・—————