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1987-08-26 第109回国会 参議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年八月二十六日(水曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――    委員異動  八月七日     辞任         補欠選任      下田 京子君     近藤 忠孝君  八月八日     辞任         補欠選任      近藤 忠孝君     下田 京子君  八月二十五日     辞任         補欠選任      松本 英一君     小川 仁一君  八月二十六日     辞任         補欠選任      秋山  肇君     野末 陳平君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         梶原 敬義君     理 事                 浦田  勝君                 田代由紀男君                 青木 薪次君                 片上 公人君     委 員                 井上  孝君                 上杉 光弘君                大河原太一郎君                 下条進一郎君                 竹山  裕君                 永田 良雄君                 野沢 太三君                 増岡 康治君                 本村 和喜君                 小川 仁一君                 太田 淳夫君                 下田 京子君                 勝木 健司君                 野末 陳平君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  綿貫 民輔君    政府委員        国土庁長官官房        水資源部長    大河原 満君        国土庁計画・調        整局長      長沢 哲夫君        国土庁防災局長  三木 克彦君        農林水産大臣官        房審議官     青木 敏也君        建設大臣官房長  高橋  進君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        人事院事務総局        職員局職員課長  山崎宏一郎君        科学技術庁研究        開発局企画課長  高多 康次君        農林水産省構造        改善局建設部整        備課長      須田 康夫君        農林水産省構造        改善局建設部防        災課長      遠藤 紀寛君        農林水産省農蚕        園芸局植物防疫        課長       岩本  毅君        林野庁指導部治        山課長      岡本 敬三君        運輸省航空局主        席安全監察官   大竹 勇二君        運輸省航空局飛        行場部管理課長  鈴木 光男君        運輸省航空局飛        行場部計画課長  堀井 修身君        気象庁予報部予        報課長      山岸米二郎君        気象庁地震火山        部地震火山業務        課長       鈴置 哲朗君        建設省河川局河        川計画課長    角田 直行君        建設省河川局治        水課長      齋藤 尚久君        建設省河川局開        発課長      山口 甚郎君        建設省河川局防        災課長      苗村 滋克君        自治大臣官房参        事官       海老 忠彦君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (昭和六十二年梅雨前線豪雨及び台風第五号に  よる災害に関する件)  (昭和六十二年八月十六日から十九日までの大  雨による災害に関する件)  (富士山地震に関する件)  (ダムの洪水調節に関する件)  (河川改修事業に関する件)  (水需給計画に関する件)  (公共事業執行体制に関する件)     ―――――――――――――
  2. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十五日、松本英一君が委員辞任され、その補欠として小川仁一君が選任されました。  また、本日、秋山肇君が委員辞任され、その補欠として野末陳平君が選任をされました。     ―――――――――――――
  3. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  昭和六十二年梅雨前線豪雨及び台風第五号による災害並びに昭和六十二年八月十六日から十九日までの大雨による災害について、政府から報告を聴取いたします。三木国土庁防災局長
  4. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) お手元に配付いたしております資料に基づきまして、昭和六十二年梅雨前線豪雨及び台風第五号によります災害及び八月十六日から十九日の大雨による災害について御説明を申し上げます。  初めに、「昭和六十二年梅雨前線豪雨及び台風第五号による災害について」という資料をごらんいただきます。  まず、Iの気象概況について要約して申し上げます。本年の梅雨入りは全国的にほぼ平年並みでしたが、梅雨明けは平年に比べて遅く、特に九州南部、北陸、東北地方では十日から十九日遅くなりました。七月十四日から二十日にかけて台風第五号が接近し、また梅雨前線活動が活発化したため、西日本を中心大雨が続きました。  資料の一ページの下段に説明してありますように、七月十四日から二十日の期間中に九州四国地方では五百ミリを超え、特に宮崎県えびのでは一千ミリを超えるなど各地で大雨になりました。  次に、資料の二ページをお開きください。  Ⅱの被害状況についてでございますが、一般被害につきましては、八月二十日現在の調べで死者十一人、負傷者二十五人となっております。また、住家被害では全壊十五棟、床上浸水三百七十二棟などとなっております。  施設等関係被害につきましては、現在関係機関等におきまして鋭意調査中でございますが、建設省関係では公共土木施設で約一千三百八十一億円、農林水産省関係では公共土木施設関係で約二十三億円、農林水産業関係で約五百三十八億円、合計五百六十一億円、また、文部省関係では、国公立学校施設で約三億五千万円の被害報告されております。  資料の三ページをお開きください。  厚生省関係では廃棄物処理施設で三千七百万円、運輸省関係では港湾施設等で約七億五千万円の被害報告されております。  次に、交通関係では、鉄道関係でJR九州を初め八社二十四線区施設被害が発生しましたが、現在ではすべて復旧しております。道路関係では、七月二十日には九十七カ所の全面通行どめがありましたが、復旧作業の結果、全面通行どめは現在三十カ所になっております。  次に、Ⅲの講じました措置等についてでございますが、災害対策本部は、愛媛、長崎の二県及び百五十五の市町村において設置されております。  政府といたしましては、五月二十一日、中央防災会議主事会議を開催し、出水期を迎え関係機関等が密接な連携のもとに防災体制を推進するよう要請いたしますとともに、五月二十二日中央防災会議会長名で「出水期における防災態勢の強化について」の通達を関係機関に対して行っております。  七月二十日には、十四日からの大雨を踏まえ、今後の対策について関係省庁による災害対策関係省庁連絡会議を開催しております。  以上、昭和六十二年梅雨前線豪雨及び台風第五号による災害について要約して御報告申し上げました。  次に、昭和六十二年八月十六日から十九日の大雨による災害について御説明申し上げます。  「昭和六十二年八月十六日~十九日の大雨による災害について」という資料をごらんいただきたいと存じます。  まず、Iの気象概況について、要約して申し上げます。この期間前線東北地方をゆっくり南下いたしまして、前線活動が活発化いたしました。このため、東北地方では百ミリから二百五十ミリの大雨となりました。特に十七日には秋田県、岩手県、宮城県、山形県を中心大雨となりまして、日雨量百ミリを超すところが多く、二百ミリ-二百三十ミリに達するところも数カ所ございました。十八日には大雨域関東地方に移り、十九日には前線太平洋沿岸まで南下し、次第に消滅いたしました。  次に、資料の二ページをお開きください。  Ⅱの被害状況等についてでございますが、一般被害につきましては、八月二十四日現在の調べ負傷者二名、住家全壊一棟、床上浸水七百八十二棟などとなっております。  施設等関係被害につきましては、関係機関において鋭意調査中でございますが、建設省関係では公共土木施設で約三百八十五億円、農林水産省関係では約八十億円、文部省関係では公立学校施設で約一億円の被害報告されております。厚生省関係では、病院二カ所が被害を受けておりますが、被害額調査中でございます。  資料の三ページをお開きいただきたいと思います。  交通関係では、鉄道関係でJR東日本を初め三社三線区において施設被害が生じましたが、現在はすべて復旧しております。道路では全面通行め箇所が八月二十四日現在四十六カ所となっております。  次に、Ⅲの講じた措置等についてでございますが、災害対策本部は三十一市町村において設置されております。  また、政府といたしましては、八月十九日、関係省庁による災害対策関係省庁連絡会議を開催いたしまして今後の対策等について協議いたしますとともに、八月二十日から二十一日にかけて関係省庁担当官秋田岩手の両県に派遣いたしました。  被災者への金融措置といたしましては、八月二十五日より、住宅金融公庫において災害復興住宅資金融資申し込み受け付けを開始いたしております。  以上でございますが、今後とも関係省庁と緊密な連絡をとりつつ、対策に万全を期したいと考えております。  報告を終わります。
  5. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 以上で政府からの報告の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
  6. 青木薪次

    青木薪次君 私は、今昭和六十二年の梅雨前線並びに台風五号による災害報告防災局長からありましたけれども、けさの新聞にありますように、富士山頂直下型の有感地震があったわけであります。これは震度三から一であります。震度三ということになりますと、これはもう大変な地震でありまして、三回にわたり有感地震があったということでありますので、その観測結果をひとつ報告していただきたいと思います。
  7. 鈴置哲朗

    説明員鈴置哲朗君) 御説明申し上げます。  ただいま先生御案内のとおり、今月二十日午前五時五十六分ごろ震度三の地震がございました。引き続きまして二十三日、これも午前一時ごろでございますが、震度一の地震がございました、それから、明くる二十四日午前六時三十分ごろですが、震度二の地震がございました。このうち、最初の二十日の地震につきましては一応マグニチュードが約一・八であるというふうに求められておりまして、震源もほぼ富士山の下であるというふうに考えられております。二十三日の震度一の地震につきましては、非常に微小でございますのでこういった情報は得られておりません。二十四日の地震につきましても、これも非常に小さい地震でございますが、辛うじて……
  8. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 発言者、ちょっとわかりやすく、大きく。
  9. 鈴置哲朗

    説明員鈴置哲朗君) 無理をして求めますとやはり富士山直下ということになっております。その後の経過でございますが、二十四日を最後にいたしまして、有感地震はその後発生しておりません。二十五日に富士山頂に、山頂測候所がございますが、地震計設置いたしました。まだ設置後間もないわけでございますが、設置後現在まで富士山直下発生源とするような微小な地震一つ観測されておりません。  それに加えまして、周辺表面異状現象、あるいはその他の測定器周辺に展開しております地震計傾斜計その他の情報には異状はございません。  観測の結果は大体以上でございます。
  10. 青木薪次

    青木薪次君 富士山の問題については、私は昭和六十年の十一月二十八日に、こういうことがあるんじゃないかということを質問をいたしております。それは、そういうことはない、あり得ないという答弁でありました。これは気象現象ですからね、あるとかないとかという問題は、おたくも断定するのもおかしいけれども、私もあるということを前提に話をするのもなかなか拙速の非があるにいたしましても、やはり三宅島の例もあるし、三原山の例もあるし、あるいはまた雄阿寒岳の例もあるということになりますと、私は主に質問いたしましたのは、コロンビアのネバドデルルイスという火山がありますね、これで一万人以上、そのうち二万人程度、その後二万五千人という今世紀最大火山爆発の惨事がこれらの被害をもたらしたということでありまして、そういうことと、この富士山はいわゆる休火山じゃない、活火山で今常時活動しているということではないわけでありますけれども、そういう意味大変心配だと申し上げました。富士山は、江戸時代の宝永四年、一七〇七年に最後噴火をしたまま、現在では休憩状況にはありますが、昭和七年に富士山測候所設置されて以来一度も有感地震がなかったけれども、今回連続して有感地震が発生したことは直接富士山活動を開始したことにつながらないだろうかどうだろうかという点について、大変地元では心配いたしております。  私は、国会対策の方のちょっと仕事をしておるものですから、地元へ帰れない。さっき電話を入れてみたら、いや傾斜計もないそうだ、地震計もないそうだ、やれ大変だとパニックを起こしております。仕方ないから秘書を先ほど地元へ派遣いたしました。何とかひとつそういう観測体制をまず強化していただきたい。新聞を見ると、大丈夫だ大丈夫だということだけ前に新聞では出ているけれども、大丈夫だという保証は何かといったらまあ大丈夫だろうということですね。ということでありますので、今回の地震震源地山頂直下であることを考え合わせますと、大変注意を要するということだと思います。  気象庁は今回の地震噴火活動との関係についてどんな認識を持っているか、まずお聞きいたしたいと思います。
  11. 鈴置哲朗

    説明員鈴置哲朗君) 確かに富士山はいろいろな意味大変関心の高い山でございますし、そういう意味では重要な火山だという認識は我々持っております。  ただ、火山活動レベルと申しますか、そういう点から判断いたしますと、やや低い方の活動レベルにあるというのが今までの判断でございました。  今回の有感地震の件でございますが、今まで山頂有感地震を感じたことはしばしばございます。これは周辺地震を感じている有感地震でございます。ただ、今回の山頂のみ、周辺では感じない有感地震というのは、確かに珍しいケースでございます。ただし、現段階ではその発生源がどういうものと関係を密接に持っているか、例えば山体などのひずみによるものであるのかあるいは火山活動のごく初期のものであるのか、そういう判断はまだできない段階でございます。先ほど御説明いたしました山頂に展開しました地震計で今全然地震を感じておりません。それから、先ほどいろいろ申し上げました表面現象でありますとか周辺各種観測機器情報、もちろん関係機関の御協力をいただいて情報をいただいておりますが、そういうものを勘案いたしますと、現時点におきましては直接噴火に結びつくというそういった異状現象とは考えられないというふうに考えております。  ただし、それは現時点でございますので、今後も、展開しました地震計を含めて関係機関とも十分情報の交換をいたしつつ注意深く監視していきたいと、そういう方向に進めるつもりでございます。
  12. 青木薪次

    青木薪次君 まあ大丈夫だろうということでありますが、気象庁では、富士山は全国に七十七ある活火山一つとしてとらえ、観測対象活火山一つとしてとらえて観測対象としていたけれども、大島のように常時観測体制が実は行われていないのです、今回の有感地震を機に火山観測機動班を派遣することになったと新聞は伝えておりますが、今後富士山火山観測体制をどのように整備していくのか。このことと相まって、地元パニック状態にあることについて安心をすると。そして、土どめをかったりなんかするというような小手先のことじゃ片づかない、日本で一番、三千七百七十六メーターありますからね。ですから、堰堤をつくったりなんということもなかなか困難でしょうけれども、しかし割れ目のある例えば大沢崩れ――私は、かつて災害対策特別委員長もやらしてもらいましたし、建設委員長もやらしてもらって、現地へ行きました。そして、あすこの源頭部分対策を講ずるためにひとつ堰堤をつくってくれ、それもできました。しかし、それらの小手先の問題だけでは片づかないというように思いますので、そういうような点についてのお手当てと同時に、どのように整備していくかという基本的な方針についてひとつ御答弁をしていただきたいというように思います。
  13. 鈴置哲朗

    説明員鈴置哲朗君) お答え申し上げます。  先ほどからも御説明しておりますように、富士山の現在の活動状況を的確にまだ把握するという段階に至っておりません。  それで、例えば有感地震がこれから頻発するとか、また人体に感じないいわゆる微小な無感地震、こういうものが大変な数起きてくるというような事態が起きるかどうか、これもまだわからないわけです。そういうことを含めまして、先ほど申し上げました地震計を初めとして、当面、機動観測をいたしまして、状況の推移を慎重に把握したいと思っております。それらの結果に基づきまして今後の対応については決めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  14. 青木薪次

    青木薪次君 私が前回質問をいたしました昭和六十年十一月二十八日の時点では、当時杉岡さんが防災局長をやっておられました。答弁としては、この富士山の問題を私が取り上げたときに、気象庁国立科学技術防災センター、それから東京大学等で常時観測を行っており、的確な前兆現象をとらえることが必要であります、と答弁をされておるのであります。  今回の地震について、これらの観測体制の効果が十分発揮されることになったのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  15. 鈴置哲朗

    説明員鈴置哲朗君) ただいま御指摘周辺観測点の利用の問題でございますが、東京大学火山観測目的とした地震計並びに傾斜計富士山の北から南西に向けて展開しております。それから国立防災科学技術センター地震計、それからちょっと離れておりますが傾斜計等を展開されております。  今度の有感地震の例えば震源決定あるいはマグニチュード決定等におきましては、これらの情報を十分活用させていただいております。  以上でございます。
  16. 青木薪次

    青木薪次君 今、観測機器としては地震計がある、それから傾斜計がある、辺長測距儀がある、それから航空機等による地熱分布測定等があるといろいろ言われておりますが、それは科学技術庁防災センターとの関連において、何かしら観測体制が一貫しておらないように実は考えるわけでありますけれども、その点については国土庁長官いかがですか。片方気象庁があり、片方科学技術庁防災センターがある、そのほか東大の地震研究所、いろんなところでやられているわけであります。県には県にあるわけですね。そういった点、一貫性のあるもので対策を講じなければいけないんじゃないか。こういうものは役所の縄張り争いでやってはいけないというように言われてきたわけです。我々もそういう点を主張いたしてまいりましたけれども、その点いかがですか。
  17. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 観測体制総合化につきましてはかねてからいろんな機会に推進しているところでございまして、ただいまいろんな観測体制を御指摘いただきましたけれども、これらの体制が十分その機能を発揮いたしまして災害の防止に万全を期する、そういう見地から運用されるべきであると考えておりますし、国土庁といたしましては関係機関にそのようにお願いをしているところでございます。
  18. 青木薪次

    青木薪次君 この点は、例えば科学技術庁防災センターも相当大型地震計を筑波に持っているわけです。そして目的は、科学技術庁は、他省庁で直接取り上げられない相互関連するものについてひとつ検討を加える、首都圏地震対策やがけその他ののり面崩壊等実験設備もやるというようなことで、例えば、大型のビルが建つとそれらについても地震で倒れやせぬかというようなことについて模型を使って測定をやるとか、そういうように私は過去に聞いておりました。したがって、このために、建設省を初めといたしまして、運輸省もどこの省庁もここに運営委員を送ってそして補強をしているということでありますけれども、やはり気象庁測定防災センター測定との関連というものについてはいま一歩皆さんが心配しているという点があります。  この点について、私は、こういうときこそ全面的に観測体制を強化するという意味において一貫性のあるものにしていかなきゃいけないというように考えておるんですが、いかがですか。
  19. 高多康次

    説明員(高多康次君) 先生指摘のように、防災科学技術センターでは地震観測その他たくさんの観測地点を持っておりまして、主に首都圏に六十七カ所の高感度地震計設置しているところでございますが、従来から富士山近辺につきましても、例えば下部でありますとか富士宮あるいは都留というような地点データでやや弱い地震であっても富士山関係のある地震ではなかろうかというようなものにつきましては、その都度地震予知連絡会でありますとか火山噴火予知連絡会等報告しておりまして審議をいただいておるところでございますし、今回の富士山頂地震につきましてもそういうところの観測点で微弱な波形を得ておりまして、そういうものは連絡をすることになっております。それから、さらに近いところということで、実は気象庁さんとも連絡をとりながら、あす担当官が現場に参りまして、富士山の二合目近辺に高感度地震計を置くということで、どこに置いたらいいかというようなことについて地元の方々とも接触をするというような手はずになっております。  そういうことで、今後とも関係省庁とは密接に連絡をとりながら協力してまいりたいと思っております。
  20. 青木薪次

    青木薪次君 最後に、私は、地震計とか傾斜計とか、何か風が吹くから傾斜計も置いてないというような話も聞いたし、置いてあってもその付近に一個ある程度だということでありますので、これを常時観測体制に切りかえることも検討するということと同時に、富士山が生きている証拠だということがわかったわけですから、今回の地震が本当に火山性地震なのかどうか、詳しいデータをひとつ調べてもらいたい。それから、これが何を意味するのか、実は大変深刻な関心のあるところでありますので、観測体制をさらにひとつ強化するということについて、長官なかなか答弁してくれないけれども、それぐらいのことは言ってもらいたいと田小うんですが、いかがですか。
  21. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) いろいろの予知につきましてはより正確に、あるいはまた皆さんに御信頼いただけるような体制がとれるように、関係省庁は十分連絡できるようにしていきたいと考えております。
  22. 青木薪次

    青木薪次君 まあひとつ、ちょっと奥歯に何か詰まったような答弁なんですが、現地は大変なパニック状態ですから、そういう意味火山性地震なのかどうか、あるいはまたその他の関係、三宅島、三原山その他たくさんあるわけでありますから、そういう不安を一掃するような観測体制の強化を要請いたしまして――それでよろしいんでしょう、そういうことでよろしくお願いいたしたいと思います。
  23. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 御指摘のような点について十分留意してやります。
  24. 小川仁一

    小川仁一君 日本の国というのは火山と水害、大変な国で、先ほど御報告をいただいたのによっても二つもの大きな水害が起きております。水害列島と申し上げても変わりがない。各先生方もそれぞれの地区、雨が降れば御心配があられると思います。  それで、私、先日東北地方大雨災害調査をいたしてまいりました。社会党の川俣健二郎衆議院議員を団長として、具体的な現地秋田岩手を見て回りました。そして多くの被災者の声も聞いてまいりましたので、それらについて御質問を申し上げますから、ぜひ救済方法その他について積極的な態勢をとっていただきたい、そのように考えます。  今回の水害、秋田が五百三十三戸の床上浸水、床下が千三百七十七戸。この面では秋田が非常に多いわけでございますが、秋田の方を見ますと、あそこに雄物川という水系がございます。大曲という市の名前があるほど物すごい曲折をした川でございます、これの治水対策、護岸工事が大変おくれているような感じがいたします。あれだけ曲がっているとこれは大変だろうとは思いますけれども、率直に申し上げて雄物川水害対策、護岸工事とかあるいは堤防その他の工事がおくれているという感じですが、建設省いかがでございましょうか。
  25. 齋藤尚久

    説明員(齋藤尚久君) お答え申し上げます。  ただいまの雄物川の河川改修の問題でございますが、河川改修のやり方といいますか、その順序は、河川の上下流のバランスをとりながら、あるいは背後地の状況、現在までに起きました災害状況等を勘案しながら河川改修を実施してきておるわけでございます。  先生指摘の雄物川につきましてもこういうふうな考え方でやってきておりまして、雄物川の下流の方につきましてはかなりの整備ができておりますが、上流の方はこれから整備を大いに進めていくということでございまして、改修の重点は上流の方に移ってきております。上流の方につきましては支川も含めて改修を促進しておりますし、今後とも鋭意早期に終わりますように努力していきたいというふうに考えておるところでございます。
  26. 小川仁一

    小川仁一君 具体的に申し上げますと、雄物川のそばに土買川という支流があるんです。右岸の方はきれいに高い堤防ができているが、左岸の方は何にもしてない。ここへ水が流れてくると、いや応なしにばあっとこっちへ流れ込みます。大変な面積の水田が水没しております、どうしてこれ片側だけつくるんですかね、両側一緒につくれないんですか。
  27. 齋藤尚久

    説明員(齋藤尚久君) ただいまの土買川の改修の問題でございますが、先生指摘のように、右岸側の部分につきましては鉄道橋まで堤防が完了しております。で、土買川の左岸側の問題でございますが、左岸側の問題につきましては、それに接続いたします本川側の堤防が今用地買収を継続中でございまして、これから改修を進めていくという段階でございまして、これの完成を見まして左岸側の築堤になるべく早い時期にかかりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  28. 小川仁一

    小川仁一君 水流の一つの流れというものは、こっち側が頑丈だと必ず反対の側へ流れるんですよ。地元の人にとっては、用地買収問題でおくれているといっても、なぜこっち側だけはつくってくれないだろうかという感情がやっぱり残ります。どうか、これからの工事のときは右岸左岸同時進行的な工事をしていただかないと非常に地域の住民感情あるいは建設省に対する不信感が残ります。  もう一つ申し上げますと、芦沢川というのがありますが、ここは国道とJRの間だけ堤防を築いてないんです。あとは堤防ができている。ですから、ここからずうっと水が広がるわけです。余り大した長さもないようでしたがね、二百メーターか三百メーター、なぜここだけ残っているのか。用地買収の問題はいつでもこういうときには問題になりますけれども、堤防もアリの穴一つから崩れるということがありますが、二百メーターもあけておくとこれはアリの穴ごときじゃないわけなんで、そこからばあっといっちまうんです。こういうのも早急にしてもらいたい。何かところどころ、何といいますか、怠慢というとこれは大変失礼になりますが、抜けている。これも失礼になりますが、工事の手抜きみたいなものがあるんです。こういう状況というものを速急に直してもらいますと芦沢川でももう大丈夫ですし、それから土買川でも左岸ができますと、あそこの面積は四、五百ヘクタールぐらいの面積だと思いますが、水田が冠水しなくて済む、こういう結果になるんでぜひ工事を急いでもらいたい、こういう考え方なんですが、いかがでございましょう。
  29. 齋藤尚久

    説明員(齋藤尚久君) 芦沢川の改修の問題でございますが、国道とそれから鉄道橋の間、ほぼ百五十から二百メーターぐらいの距離がございます。現在、左右岸とも七十メーターばかりを残して、下流の方はできております。そして残りの部分でございますが、本年度の事業で左右岸とも完成さしたいというふうに考えております、  以上でございます。
  30. 小川仁一

    小川仁一君 ここにおられる先生方の地区にもこんなふうに歯が欠けたようにところどころ抜けているような提防があるわけです。それが意外と大きな被害をもたらすということは皆さんも御承知だと思いますから、どうかひとつ建設省、非常に予算的にも苦しいと思いますが、今回の水害の中でそういう特に目立った箇所というものについての工事をお急ぎ願いたい。  それともう一つ、雄物川という川の支流、今回の農地の水害というのはほとんど支流でございます。淀川とか檜岡川とか、これは支流にまで全然まだ手がついてないんですね。あの川自体非常に治水が難しい川だと地図を見あるいは現地を見て感じますけれども、私は、そういう困難な川から先に手をつけていく、こういう積極性があることによって実は治水事業に対する信頼感が増すのではないかと、こういう感じがいたしますので、雄物川支流についてのこれからの改修計画その他がございましたらお知らせを願いたい。
  31. 齋藤尚久

    説明員(齋藤尚久君) 雄物川の支流の改修の問題でございますが、この支流の改修の規模からいきまして中小の川の改修になるわけでございますが、直轄の支川改修あるいは補助事業によります秋田県によります改修事業で鋭意やっておるわけでございます。この雄物川の改修につきましては、秋田県の中でも予算は重点的に入れておりまして、鋭意改修に努力しております。  そういうことでございまして、今後とも改修の早期完成に向かって努力をさしていただきたいというふうに考えております。
  32. 小川仁一

    小川仁一君 わかりましたが、建設省の方でも雄物川というのはかなり難物というふうに御理解になっていると思うんですけれども、下流といいますか、中流のあたりに狭窄部がありますよね。岩手県の北上川もそうなんです。狭窄部のために、水がたまって逆流という形での、あるいは水が流れ込まないで横に広がっていくという形での問題があります。この狭窄部をそう簡単に水路を広げるわけにはいかないと思いますので、どうしても支流というものについての積極的な河川改修、これをお願いしたいと思います。そして特に雄物川は奥羽山系から直接海に入っていく川でもございますから流れもかなり厳しいわけです。視察した感じとして、ぜひこれは支流に力を入れていただきたいということをお願いを申し上げておきたいと思います。  続きまして、隣の岩手県の北上川でございますが、これはまた雄物川とは違った性格を持っておりまして、岩手の面積にして大体六、七割ぐらいの雨量を全部集めてくる川です。北に向かって左側に奥羽山脈があり、右側に北上山系がありまして、五大ダムがあって、全部入ってきているわけでございます。  で、一関の遊水地問題はこの前お聞きをいたしましたのでこれを抜きまして、この五大ダム関係についてきょうは聞きたいと思うんです。  今回の雨量は非常に大きな災害をもたらしましたカザリンとアイオン以来の雨量でございますから、ダムも調節その他非常に御苦労をなすったと思います。にしても、例えば、ここにあるダムで御所ダムは十七日午前九時から十二時間にわたって毎秒六百八十トン、湯田ダムは十七日午後から二十時間毎秒四百トン、石淵ダムは午後七時から、これは時間数は二時間ですが、毎秒四百八十トン、これに猿ケ石の田瀬ダムが入っており、四十四周ダムが入っていると思うんです。これは新聞に出ておりませんのでよくわかりませんが、こういったようにダムの放水が行われているわけです。  で、この五つのダムがこの期間に放水した猿ケ石と四十四田の量は幾らぐらいなものか。そして時間的に見ますというと、十七日、特に石淵が午後七時からですから、午後七時からというのは全部のダムが一斉に放水していますから大変な水量が北上に入ったと思うんです。そのことによってどの程度一関狐禅寺地区の水位を高めたのでしょうか、この二つについてお伺いします。
  33. 山口甚郎

    説明員(山口甚郎君) 北上川の五大ダムの洪水調節でございますが、これらのダムは洪水調節の操作ルールに基づきまして調節を行っておるところでございます。洪水を超えましたのは湯田ダムでございまして、これは最大流入量が約千二百立方メートルでございますが、これを毎秒約四百立方メートルに洪水調節をして、洪水を低減して下流に放流をいたしておるところでございます。また、石淵ダムにおきましても、最大流入量が約五百三十立方メートルでございますが、これを約四百二十立方メートルに低減をさせ、洪水調節をいたしております。また、御所ダムにつきましても、毎秒約九百四十立方メートルの流入量がございましたが、これを六百八十立方メートルに調節をいたしまして放流をいたしておるわけでございます。  このようにいたしまして五大ダムで調節をいたしましたので、下流の基準点におきまして、概略の試算値でございますが、ダムがなかった場合に比べまして約一メートル程度水位が低減したというふうに想定をいたしております。
  34. 小川仁一

    小川仁一君 一メートル程度下がったと言いましたか、今。
  35. 山口甚郎

    説明員(山口甚郎君) 洪水調節と申しますのは、ダムに大きな洪水が入ってまいります。これをダムで貯留をいたしまして一部分を下流に放流するわけでございます。したがいまして、その貯留したものによって約一メートル程度下がったんではないかと、このように想定をいたしております。
  36. 小川仁一

    小川仁一君 一メートル程度……。  しかし、私が視察に行きましたときには、湯田ダムは、まあからからとは言いませんが、ほとんど最低水位まで水がなかった。なぜもっと、本当に全部水が引くまで、湯田ダムにしても他のダムにしても、満水状態でこれを持ちこたえておれなかったのかという疑問が生じましたが、この点はいかがですか。
  37. 山口甚郎

    説明員(山口甚郎君) ダムの洪水時操作ルールでございますが、これは自然現象でございます各種の雨やあるいはいろいろの洪水を総合的に考慮いたしまして適切な洪水調節が行われるように定められております。  今回の洪水調節につきましてもこのルールにのっとりまして運用いたしておりまして、所要の洪水調節効果が発揮できているのではないかと考ええております。もし操作ルール以上に洪水を貯留いたしますと、さらに降雨が継続した場合あるいはいろいろの雨が降った場合に、早いうちに貯水池が満杯になりましてダムの効果がなくなり、場合によっては大きな被害を引き起こすかもしれないというようなことがございます。したがいまして、操作ルールを超えて貯留するということは適切ではないというふうに思っております。
  38. 小川仁一

    小川仁一君 私、今洪水最中に流していることを聞いているんじゃなくて、洪水が終わった翌々日ですか、私たちが視察に行ったのは。御所ダムがもう最低水位まで下がっておったですよ。まだ下にダムがあるんです。それだったら、もう少し持ちこたえられなかったのかということを聞いているんですよ。
  39. 山口甚郎

    説明員(山口甚郎君) ダムの操作ルールにおきましては洪水調節後も次の洪水を迎えるための準備といたしまして貯水を速やかに制限水位に下げることといたしておりまして、現在では集中豪雨等予測困難なものが多うございますので、ルールどおりの運用によって貯水位を下げたものでございます。
  40. 小川仁一

    小川仁一君 次の洪水というのはいつ来ると思って下げたかわかりませんが、からからの天気でしたよ。いい天気で、とても次の洪水が来そうな空の状況じゃなかった。次の洪水が来るかもしれないという理由はわかりますよ。じゃ、次の洪水が来るかもしれないという予測を立てる場合に、何を基準にして立てるか。気象庁の方からお伺いしたいんですが、皆さん予報というのを持っておられる。テレビ等でも大雨洪水注意報なんというのが出ますよね。ですから、そういう気象庁の予報を前提にして水位を下げておられると思うが、気象庁から何かそういう予報がありましたか。  また、日常的に次の災害を心配してということはわかりますけれども、その時点、下がまだ水が引いてないという時点に放水をしてしまうというふうな何か条件が気象庁から連絡としてあったんですか。気象庁の日常的なそういう問題に対する連絡と、それに対応するダム管理事務所のシステム、簡単にお話を願いたいと思います。
  41. 山口甚郎

    説明員(山口甚郎君) ダムの管理、操作をいたします場合には、洪水のときには気象台とダム管理所とで常に連絡を密にいたしております。  この場合におきましても、洪水中はもちろんでございますが、洪水のピークは十七日の十六時ごろでございますが、十九日の夕方まで洪水注意報あるいは警報が出されておるわけでございまして、こういう梅雨時の集中豪雨が起こります心配がある場合にはやはりそういった考え方で操作をするのが必要かと考えております。
  42. 山岸米二郎

    説明員山岸米二郎君) 気象庁からどのような情報を提供しているかということでございますけれども、北上川の例がそうでございますけれども、気象庁建設省が共同で洪水予報を行っている河川につきましては、まず第一に、今までに降った流域の雨量、それから現在の雨の降り方、それから今後の雨の見通しについての情報を提供しているわけでございます。  また、気象庁が発表する気象警報、洪水警報等を通じておりまして、特に大雨警報等では今後の雨の見通しを量的に述べて予想しております。  このほか大雨に関する気象情報あるいは天気予報等は適宜提供するというふうになっております。
  43. 小川仁一

    小川仁一君 それぞれのルールでおやりにはなっていると思いますけれども、水害を受けた地帯の住民にしてみれば、川が増水しているのにまたダムからさっき言ったような大量の水が流れてくると、こういうことに対して非常に反感が強いんです。ほんならダムはなくたっていいじゃないかと。降っただけのやつを流して、後行ってみたらダムがからからになるくらい放水しているんだから、ダムなんかなくたって、自然に流してきたって同じくらい出るんじゃないか、こういったような極論さえ出るような不信感があるわけです。私は、そのこと自体が正しいとは申し上げません。ただ、こういう感情が非常にあります。ですから、今後ダムの増水中の放水という問題については、被災地の市町村長だけじゃなしに、そういう災害を受ける人たちにぜひよく理解されるような方式を持ってもらわないと建設省としてもやり切れないだろうと思う。  気象庁にお伺いしますが、気象庁連絡はしておられるでしょう。次の災害を心配をしてダムを最低位に下げたと。きょうあたりまた降っていますけれども、私が行った二、三日は降らなかった。短期間の予報というのも長期間の予報というのもなかなか難しいようで、ことしも梅雨が行ったり来たりしたようでございますが、自然を相手の皆さんのお仕事大変御苦労だと思いますが、的確な連絡をとっていただきたい。  と同時に、岩手県というのは面積が四国くらいありますが、気象台が一つしかありません。測候所は二つ。同じ面積の四国の中には気象台が四つ、測候所が十三、四カ所あります。それが直接こういう予報その他に役立つかどうかは別としても、今近代的なものがありますからね。やっぱり地元住民としては、もう一つぐらい気象台を欲しい、あるいは測候所を欲しい、何かあったら駆け込んでいって相談もし話も聞きたい、テレビの天気予報の時間に映るだけでは心もとない、こんな感じがするわけでございます。  きょうはあなた方にこういうことをお願いしてもいけないと思いますが、国土保全に責任を持っておられる長官、今言った数字から見て岩手県に気象台一つぐらいつくることについて、国土保全の立場から御努力をなさるお気持ちはございませんか。
  44. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 岩手県は大変広い県であるということはよく認識いたしております。最近のいろいろの状況を見ましても今おっしゃるような点があるかと思いますが、十分きめ細かな対策を今後とも講ずるようにいろいろと協議をして、また指導をしてまいりたいと考えております。
  45. 小川仁一

    小川仁一君 私、きめ細かなことを聞いているんじゃないですよ。気象台が岩手県にもう一つ私が申し上げた条件の中であった方がいいということを、国土保全という大きな立場から考えられる国土庁長官としては運輸省に言ってくださる気がありませんかどうかと、こういうことをお聞きしているんです。なけりゃないで結構ですから、どうですか。
  46. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) おっしゃる意味はよくわかります。努力をさせていただきます。
  47. 小川仁一

    小川仁一君 それから、建設省本当に苦労しておられるが、新石淵ダムというのが今建設中です。石淵ダムは容水量が少なくて、今回も、先ほど読み上げた数字でもほんの数時間、ほんのわずかの水しか出していないんです。あの新石淵ダムを建設することが北上川の洪水を抑えるために非常に必要でございます。これを急いでやっていただかないというと北上川の孤禅寺地区の水害というのは今後とも続くでしょう。あそこは二年置きぐらいないし三年置きぐらいに非常に大きな水害が出ている場所なんです。遊水地問題もあります。これはこの前建設委員会でお聞きしました。新石淵ダムの建設ということが遊水地と一緒になって急がれなきゃならないと思いますが、このダムの建設についてぜひ急いでいただきたいと思うが、いかがでございましょうか。
  48. 山口甚郎

    説明員(山口甚郎君) 先生お説のとおりでございまして、新石淵ダムにつきましては五十八年度から実施計画調査に着手いたしておりまして、現在までに地質調査等いろいろの調査を実施いたしております。  新石淵ダムは北上川の治水上非常に重要なダムでございますので、来年度予算要求におきまして建設事業着手を要求したいと考えております。  今後とも地元関係者の御理解を得て事業の進捗に努めてまいりたいと、このように考えております。
  49. 小川仁一

    小川仁一君 水害常襲地帯の一関の遊水地とそれから新石淵ダムは一体的なものと考えてお急ぎ願いたい。何せ遊水地は事業にかかってから十五年、これからまた十五年ぐらいかかるというんだね。十五年の間に三年置きに水害があるとあと五回ぐらい完成するまでにやられる。その前にダムができたら非常に遊水地問題も楽になる、こういうことですから、この関係を含めてぜひお急ぎを願いたい。お願いを申し上げておきます。  続いて、農水省関係でお伺いします。  大変時間がなくなりましたので、ちょっと要望を申し上げながら幾つか問題を申し上げます。  まず、農業共済関係、これは今回の水害について仮評定による仮払い、こういう方式をおやりいただけるでしょうか。おやりいただきたいと思いますと、こう申し上げておきます、今までもやっておられましたから。  そういう場合に一つ問題になるのは、農水省はことし岩手県で二五%の減反をおやりになった。この減反をやったために農家は転作をした。東北は春が遅いから四月、五月の転作をしている。ですから転作部分が共済に入っていないんです。しかも水田転作ですから、冠水になって損害を受けたところが大変ある。こういう盲点のような、あるいは政府の政策によってそういう状況に追い込まれた農家に対する救援という問題をどうお考えになりましょうか、お伺いしたいと思います。
  50. 青木敏也

    政府委員青木敏也君) 今回の災害関連いたしまして共済金の仮払い等の措置がとれないかという御指摘でございますが、特に水稲等の場合につきましては、浸水、冠水等がございましても、その後、水の引き方、そのスピードいかんによりましては植生が回復するということもございまして、この種の農作物共済につきましては、損害評価は原則といたしまして収穫期に行う、その時点での損害額を適正に評価して共済金の支払いをするということが御案内のとおり原則でございます。さはさりながら、一定の圃場等につきまして、例えば堤防が決壊したというようなことで農地の流失といった形で出来秋まで水稲等の植生の回復といった問題が期待できないというようなそういう状況のものにつきましては、ただいま先生の御指摘のような仮払いという形で、その時点でもう全損に近いものという判断をして、共済金を支払うということをやっているわけでございます。圃場の状況を具体的に見まして適切に対応したい、こう考えているわけであります。  それから、転作絡みの御指摘がございましたが、転作によりまして水稲以外の畑作物をつくるというようなことがございます。最近におきましては、転作団地等もかなりまとまりのある広いそういう対応を、行政的にもまた地元においても努力をいたしておりますので、その転作畑作物自体について畑作物共済に加入しているというケースも当然あるわけでございまして、転作によってすべてがその部分について共済制度から外れるということではないわけでございます。  ただ、先生指摘のとおり、そういう転作の広がり等によりましては具体的にそういう転作作物について共済に入っていないという事態もあり得ることはそのとおりでございまして、そういった農家の方々に対しましては、今回の災害等に対応いたしまして当面の資金措置、そういうことが心配になるわけでありますが、私ども、災害時の資金措置といたしましては、御案内のとおり、自作農維持資金等低利、長期の資金がございます。具体的な被災農家の方々の資金需要に対応いたしましてこの種の資金措置の対応を適切にしてまいりたい、こう考えております。
  51. 小川仁一

    小川仁一君 おたくが減反をして、農家が何を植えようかと思案をして植えたのが四月、五月。とても共済には入れぬ、時間的にないんです。減反という政府の政策の中で苦しんだのですから、自作農創設資金を貸しましたとか維持資金を貸しましたとかというやり方は今までの普通の農家に対するやり方であって、責任をとったやり方だとは思いません。したがって、この問題についてはもう一度真剣に考えてください。部分は余り大きなものではありませんけれども、やはり面積として、個人としてはこれも政府の農政不信につながる可能性がありますので、特に申し上げておきます。  林野庁さんいらしていると思いますが、実は、秋田県で、県道の下、森林があるところはその下にある人家は助かった、森林がないところがその下の家が全壊したという事件がありました。これは国有林ではありません。こういうことを含めて森林に対する、特に植林に対する指導と、それから今回の出水は私らの言い方で言えば鉄砲水です。国有林の自然林を伐採することによって、水源涵養林なんていうものじゃない、鉄砲水涵養林みたいになってしまって、ばあっと出てくるから降った雨で下が迷惑をするが、やや乱伐の傾向があるが、水源涵養林等に対する具体的な対策をお聞きしたい。
  52. 岡本敬三

    説明員(岡本敬三君) まず最初の、森林がある場合には林地崩壊が起こらないけれどもというお話でございます。森林は林地崩壊を防止する機能があることはまさに先生指摘のとおりでございまして、私ども、その場合には林地崩壊防止保安林というふうなものに指定をいたしまして、住居等の安全に対処しているところでございます。  次に、国有林の伐採問題でございますけれども、森林は、そこに森林が存在することによりまして洪水を一時的に緩和をいたしまして、洪水の防止に機能いたしているところでございます。特にそういう機能の高い森林につきましては、水源涵養保安林に指定をいたしまして伐採方法を規定すると同時に、伐採量の規制をいたしております。そういう保安林の厳格な施業をもちまして、特に国有林におきましてそういう施業を実施することによりまして今後ともそういう洪水の防止に対処してまいりたいと考えております。
  53. 小川仁一

    小川仁一君 じゃ最後に。  今林野庁のお話はお話としてはお聞きしますが、葛根田の例を見ても遠慮なく水源涵養林をお切りになっているようですから、厳格にひとつおやりください、それをお願いしておきます。  そして、最後国土庁にお尋ねしますが、一つは、局地激甚災害指定の問題でございますが、これは年度末が制度でございます。しかし、今具体的に災害を受けたところはこの次の復旧の見通しで非常に苦労しているんです。概算でやるということはかなり危険な面も予算執行官庁としてはあると思いますけれども、一定の見通しを立てて、大丈夫いきそうだぞ、あるいはちょっと無理かもしれないなというふうなことの見通しを立てて話をしながら、市町村に対する復旧の希望的方向性をぜひ与えていただきたい、これがお願いの一つ。  それから、国土庁というのはこれ何だろうなと水害を見ながらいろいろ考えたんですね。これはもちろん長官の責任ではありません。四全総を見ると、随分美しい言葉で国土の保全だのあるいは自然環境とかいろいろ書いておられる。しかし、実際おたくの関連からいえば、例えば各省庁に具体的な予算の要求を任せるなんていうことを言っておられる。だから、長官としては非常に苦しい立場だろうと思いますが、去年の水害の議事録を見たら、河川関係の予算が非常に弱いということをおっしゃっておられる。建設省も河川関係が弱いと言っている。道路の方が強いらしい。水害というものを考えますと、河川が大事でございます。治山が大事でございます。治水が大事でございます、林野庁あるいは建設省と徹底的にやっぱり長官の力でもってお話し合いを続けながら、日本の山を守っていただく、水源涵養林なんかには手をつけさせない、あるいは建設省も苦労して河川の予算を取って、先ほどから雄物川、北上川、ダム、いろんな問題で苦労しておられる。バックアップして、思い切って予算を取ってくる、こういうふうな仕事でも長官にやっていただかなければ、紙切れに書いていただいた四全総の美しい文章だけでは存在意義が薄れできますから、どうか国土庁本来の立場に立って、特に国土保全という立場での御奮闘をお願い申し上げて私の質問を終わります。
  54. 田代由紀男

    田代由紀男君 二十四日月曜日の日に六十二年梅雨前線豪雨及び台風五号による災害について、委員長とともに浦田委員、小生の三人で熊本の現地を視察してまいりました。その結果について、報告を兼ねて質問をいたします。  昭和五十七年の長崎災害、あのときも私は災害対策委員現地に行きました、あのときは熊本県の北部の菊池川が非常に被害があったということで、北部の菊池川に行って山鹿市を中心災害を見てきました。そして帰りに白川を見まして、県庁で報告を受けてきたわけでありますが、そのとき、長崎はああいう激甚でありますから直ちに長崎を激特に指定してもらいました。激甚災害特別緊急事業という事業に指定してもらった。そして菊池川、白川も指定をいただきまして、おかげさまで五年間のうちに菊池川で三十億投下を願いまして、非常に立派な結果ができました。白川も同じでありますし、坪井川、井芹川も同じであります。  しかし、その中で、今度行って感じましたことは、五年間でぴしゃっと去年打ち切ったものだから、もうちょっとすればそこまで行けそうなところがそのままになった。急に金が多く来たのに、ぽんと下がったものだから、そこのところが、菊池川の事業所長の話によると、掘削と築堤のバランスがうまくとれぬで、仕事がはかどらぬでそのままになっておるということでありまして、市長の案内で菊池川の中流地区の保多田、椿井地区を見ますと、そのままになっておる状態であります。これを見まして私は、激特でせっかくやってもらったとみんなが喜んでおる、坪井川はまだ残っておりますが、その後一年か二年間、急にトーンダウンしないでやっぱり準激特というようなことでこれを見ていただくと非常に地域住民のためになるし、また災害復旧も非常になだらかに行われることができると思うわけであります。  けさも九州の治水事業に対する治水期成同盟会をやったわけでありますが、これによりますと、九州の直轄河川二十のうち今度被害を受けたのが十三河川、被害総額は土木だけでも八十億に達しております。なかなか大きいものです。こういう状態でありますからこれから激特をお願いする箇所が逐次出てきますので、そういうところ、構造改善なんかやりますと、あと一年ぐらいでアフターケアをやる。そのアフターケアをやる期間と金を用意できないものか、その点をまずお聞きします。
  55. 齋藤尚久

    説明員(齋藤尚久君) お答え申し上げます。  菊池川の中流部の問題でございますが、先生指摘のように、五十七年の災害にかんがみまして、激特事業で対応して改修を進めてきたわけでございます。御存じのように、激特事業につきましては、激甚な被害の発生した河川につきまして、その一般被害額を限度といたしましておおむね五カ年で改修を実施するというものでございます。したがいまして、菊池川の場合には総事業費が約二十八億でございますが、この費用をもちまして六十一年度に完了を見たものでございます。  その後の激特事業に引き続く事業でございますけれども、中流部につきましては椿井地区とかあるいは保多田地区と改修を必要とする箇所がございますので、今後とも重点的に予算を、一般改修の予算にならざるを得ないわけでございますが、重点的に配分いたしまして事業を促進さしてまいりたいというふうに考えております。
  56. 田代由紀男

    田代由紀男君 次に、菊池川の支流で内野川という川があります。そこの現場を見たわけでありますが、そこは災害関連でやっておりまして、立派に三カ年計画であと一年ででき上がります。災害復旧が非常に上手にまた厳重にできるものですから被災地点の再災害というのはほとんどございませんで、そういう河川改修地域との間を災害関連で大体つないでいただいておりますが、そのつなぐ限度といいますか、二十メーターぐらいは何とかできるが五十メーターになったらやらぬというあれがありますが、そういうところをもっと大きい立場で見てもらって、災害査定のとき、これではその残ったところがまた破堤して災害が大きくなりまして国費も多く要りますから、防災の意味をもって思い切って災害関連の仕事をやっていただきたい。これは現地を見てつくづくそういうぐあいに思いました。  それからまたもう一つ、加勢川を見たわけでありますが、加勢川は、御承知のとおり、先ほどの雄物川と違って、右岸は加藤清政がちゃんと築いて、左岸は遊水地として加藤清政がそういうぐあいに残しておったものです。そこに堤防をつくるんでありますからなかなか大変でありますが、ちょうどそういう問題で、今十カ年緊急事業でやっていただいておりまして大分進捗しております。  長年の懸案であった犬淵地区というのがあります。用地買収がおかげさまで全部終わりまして、仲間地区、犬淵地区の改修がいつでもできる態勢が整いました。今年間緑川に来る金が三十億でありまして、その半分が加勢川でありますが、この緊急重点地区に指定されたからには、緑川の三十億の中から十五億を加勢川の方にということでなくて、加勢川だけで三十億ぐらいつけてもらわぬと、今のままでいきますと、浦田委員と計算してみますと三十年かかるんですね。三十年かかる。三十年かかるとえらいことでありますから、そこを十カ年か十五カ年で完成ができますように予算的な措置をお願いしたい。そして地域住民の生活の安定と地域の改良のために資するようにぜひ頑張っていただきたいと思います。そこはどうですか。
  57. 苗村滋克

    説明員(苗村滋克君) 六十年発生災害に係ります改良復旧事業につきましては、今回の熊本県におきます被災箇所、再度災害防止を図るために積極的に災害関連事業で対応してまいりたいと思っております。  また、災害関連事業の実施に当たりましては、上下流に悪影響を与えませんよう改良区間を選定いたしまして、下流未施行区間に災害を及ぼさないように実施してまいりたいと思っております。  また、内野川の災害関連事業でございますが、六十一年発生災害でございまして、本事業は六十一年より着手いたしまして六十三年度に完了することとしております。今年度までの進捗率は八六%でございます。今後とも鋭意事業の実施に努めてまいりたいと思っております。
  58. 田代由紀男

    田代由紀男君 次に、農地の圃場整備と災害関連でありますが、農水省来ておられるかな。――圃場整備を今やっていただいておりまして、これは私の郷里の熊本県天草の河浦町で圃場整備と河川の災害復旧とを一年待って合併施行したわけです。そうしたところが、国土庁からも調整費三億ぐらいもらいまして、立派な河川改修と圃場整備ができ上がった。これを見ましても、各地域で逐次やっておられますが、こういう傾向が加勢川にもある。ちょうど私どもが行ったときは議員さん、それから部落会長さん、それから土地改良の事業団の理事さん、各団体の長がみんな集まってそこでやったわけでありますが、土地改良の理事さんの意見を聞くと自分たちも合併施行して共同減歩でやっていきたいという希望がある。そこで、建設省熊本土木事務所の林田所長から意見を聞きましたら林田所長も全く同意見で、それでやろうということで大変ありがたい雰囲気が生まれたわけです。  そういうことで、やっぱり河川改修並びに災害復旧と圃場整備を一緒にやって、そして国土庁の調整費をもらって、大臣が留守でありますが、国土庁の調整費をもらって、立派な圃場整備、河川復旧ができるようにこれからもぜひ進めてもらいたいと思いますが、そこはどうですか。
  59. 須田康夫

    説明員(須田康夫君) 先生指摘のとおり、圃場整備事業を実施しております、あるいは実施予定の地区内に河川改修事業関連しております場合につきましては、計画段階から河川部門との調整を入念に行いまして、圃場整備の一環として実施いたします換地の手法で河川改修の拡幅に必要となる用地を生み出すということで事業を進めておるところでございます。  そういった計画が立てられました後事業に着手するわけでございますけれども、事業の実施に当たりましても河川部門との跛行、手戻りが生じないように関係機関と十分協議、調整を行って実施しておるところでございますし、場合によりましては今先生指摘国土庁所管の国土総合開発事業調整費の活用などを図ることによりまして両事業の円滑かつ効率的な実施に努めているところであります。  ちなみに、熊本県関係の圃場整備と河川改修のここ五カ年間のそういった関連のある地区の数は十二地区ということになっておりまして、そういった調整を十分行いながら実施をしておる、こういうことでございます。  今後とも、圃場整備事業の推進に当たりましては、河川改修部門との協議、調整を十分入念に行いまして、農村地域の円滑な整備に努めてまいりたいと考えております。
  60. 田代由紀男

    田代由紀男君 今度行きましたときに熊本県市長会、熊本県町村会から陳情がありました。その中身は、災害査定の早期実施、災害関連事業の採択、災害復旧に対する所要の財源措置、これが一番。被災市町村は、災害復旧事業に多額の財政負担をしておることになり、所要の財源確保に格別の配慮をお願いするということですね。大体、特交と起債で面倒を見ていただいていることはよく存じております。  そこで、それにもかかわらず、いろいろな雑費が要るわけですね。町村に行って聞いてみますと、二百万ぐらい要りますとかという意見がありまして、嘉島でもそういう報告がありましたが、そういういろいろな雑費的なものが重なりに重なってやっている。それも一度なら何とかできるんですね。連年災で常襲地帯になりますと、そういうのが毎年やってくるからえらいことですよ。こういうものについては、特別交付金のカウントに当たりましても特別な配慮をやっていただきます。自治省おられるな。――カウントをやっていただいて、そして市町村がこれによって疲弊したり、またいろいろな独自の仕事ができなくなりますから、そういう点をよく考慮されまして、特別交付金並びに起債については特段の配慮を願いたいと思うんですが、そこはどうですか。
  61. 海老忠彦

    説明員(海老忠彦君) お答え申し上げます。  災害に見舞われました地方団体に対しましては、私どもといたしまして、災害対策事業、災害復旧事業、災害関連事業等に要します経費につきましてその実情を十分調査をいたしまして、被害状況あるいは当該団体の財政状況等を勘案いたしまして、当該団体の財政運営上支障が生じないように地方債、地方交付税の配分を通じまして適切な措置を講じていくように努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  62. 田代由紀男

    田代由紀男君 もう一点お聞きします。  そこで、町村でそういう負担がありました金額の何割ぐらいが特交にカウントされ、どのくらいが起債にカウントされていますか。
  63. 海老忠彦

    説明員(海老忠彦君) お答え申し上げます。  起債等につきましては、例えば、連年災害復旧につきましては、地方負担の一〇〇%といったようなこと等によって比較的一般の場合よりも高い充当率をもって対応をいたしてきておるところでございます。  なおまた、特別交付税の算定につきましては、自治省令の規定に基づきまして国庫補助等を受けて行います災害復旧事業費及び災害対策事業費の一定割合をカウントして算入をする、あるいは死者とか傷害者あるいは罹災世帯数、農作物の被害面積といったようないろんな指標を用いましてそれぞれの一定額を算定するというような方法によりまして特別措置額を算定することといたしておるところでございます。したがいまして、一定のルールをもちましてはじいておるということでございますので、実所要額の何%というようなことについては把握をいたしておらないところでございます。
  64. 田代由紀男

    田代由紀男君 今申し上げましたように連年災、毎年来る災害、同じ市町村に来ます、そういう常襲地帯の町村には、カウントの方法もさらに御研究いただいて、どうにもならぬ金が要るわけですから、そういう問題を解決できるようにお願いしたいと思います。  最後一つお願いを兼ねて質問しますが、五十八年、私が農林水産省の政務次官のときに、私は現地の球磨郡に行きました。免田町から上村の間で市街地が水につかってしようがないと。毎年つかるんですね。何とかしてくれと言うものですから、これは建設省だろうかなと思って建設省にお願いしたら、いや私のところじゃないと言うもので、農水次官だから農水省にお願いして、農政局に無理に言って引き取ってもらってやってもらうことにしました。そこで、農水省の方では総合整備モデル事業というような立派な名前をつくってもらって、そこで集落排水の対象にして予算をつけてくれました。五十八年ですか、それがやっと事業着手になりまして、去年ぐらいかな、二千八百万ほど金をつけてもらって、そして補正でまた五、六百万つけてもらって、やっと仕事に着手しました。私が次官をやめてから四、五年になりますが、初めて仕事に着手したわけであります。  そういうぐあいに大変おくれておりまして、地元における被害はなお甚大でありますから、これが一日も早く完成して四年も五年もたまったその被害を一挙に解決ができるように六十三年度予算では特段の御配慮をお願いしたいと思いますが、農水省おられたらひとつ決意を表明いただきます。
  65. 須田康夫

    説明員(須田康夫君) 都市と均衡のとれた国土の発展を図るために農村の生活環境の整備の重要性、これにつきましては生産基盤と一体的に実施をする必要があるということで農村総合整備モデル事業等を進めておるところでありますけれども、その中で特に混住化の進展とか生活様式の高度化等に対応するために農業集落排水事業を進めておるところでございます。この予算につきましては六十二年度の当初といたしまして約百八十億円程度でございまして、六十一年度の伸び一一九%ということでことしは実施しておるところでございまして、さらにこれにNTT予算の活用を図りまして、補正予算でも大幅な伸びを六十二年度に加えまして事業の推進を図る予定をしております。  今先生の御指摘の免田地区につきましても六十年着工でございまして、今先生お話しの少額の予算でございますけれども、地元の実態等を踏まえまして今後農業集落排水に重点を置きながら進めてまいりたい、かように考えております。
  66. 田代由紀男

    田代由紀男君 今答弁があったように、早急に内容が詰まった予算をつくっていただくようにお願いします。  私の質問は終わりまして、熊本県ばかりで相済みませんが、なお各部門にわたりまして同僚の浦田委員からさらに突っ込んだ質問をいたします。よろしくお願いします。
  67. 浦田勝

    ○浦田勝君 答弁が非常に内容がよかったから田代先生質問を早々とおやめになったわけでありますが、七月の二日から五日にかけて大豪雨があったわけでありまして、これによって災害を受けたわけでございますが、さらにまた七月の十五日から二十日にかけて台風五号によるところの大雨災害が熊本県に二回にわたって起こったわけであります。最近は九州、わけても熊本は非常に異常気象にさいなまれまして、局部的な集中豪雨というのが大変多くございまして、九百ミリから六百ミリというような大雨が降ったわけであります。そういうことによりまして災害被害額が二百八億という膨大な被害額になったわけであります。  去る二十四日の日に、先ほどお話がありましたように梶原委員長にお供をいたしまして、私ども二人、災害地を駆け足でめぐったわけであります。災害周辺の住民、関係団体の方々はどこでも皆さんお集まりになって、御熱心に我々の視察団をお迎えいただいたわけであります。先ほどお話がありました菊池川水系におきますところの内野川の河川改修の状況を見てまいりましたが、極めてよくできておったわけであります。菊池川も非常に皆さん方の御配慮によりまして改修も進んでおります。そうしたところは被害がないんですけれども、一部におきましては道路が冠水する、田畑が冠水するというようなところもあったわけでございます。特にまた加勢川の嘉島地区が一番の常襲冠水地帯でありまして、平たん地でありますから毎年のように非常に雨が降ればつかるわけであります。今回のような豪雨になりますと水引きも悪うございますし、農家の作物に与えた影響も非常に大きかったわけでございます。ここにも行ったわけでありますが、先ほどお話がありましたように、ここもまた加藤清正公がいわゆる戦略的に右岸の方は築堤し、左岸の方はやらないと。ちょうど坪井川が遊水地帯としての北の守りというようなこと等もありまして、これはもう随分長い間さいなまれてきたわけでありますが、おかげをもちまして今回はさほど被害も出なかったということで喜んでおるわけであります。この加勢川につきましては、この問題につきましては私も過去何回か御要望等々を受けてきておったわけでありますが、予算の伴うものでもございますから遅々として進まないいら立ちもありますが、圃場整備に絡ませたところのいわゆる地権者の皆さん方の要望等もあって、両者相まってなかなか進まなかった点もあります。いずれにしましても、役所の方では乏しい財政の中からできるだけショートカットコースでもって工費を切り詰めながらやっていこうという発想のもとで工事を進めていただき、そういう面で、地域の方々もそれぞれのいろいろの希望はあるでしょうけれども、最大公約数で用地の買収は九月で完了するということになっておるわけであります。  御案内のように、七十七万ヘクタールの生産調整を行うということになりますと、どうしてもこれはもう排水が伴わなければ転作は定着することはできません。したがって、やはり毎年のようにして、いつこれが完工するのかわからないというようなことでは困るわけであります。特に、中ノ瀬の下流の方の築堤を急いでやってほしい、あるいは古川の樋管を早く設置してほしい、こういうことの御要望があるわけであります。先ほども少し触れられましたが、嘉島町におきましては圃場整備を行っておりまして、あわせまして市街化地域の住宅化の事業を進め、団地の造成を進めておるわけでありますが、家屋の浸水、道路の浸水というようなことでこれまた多大の被害をこうむっておるわけであります。したがって、ただいま申し上げました中ノ瀬下流の築堤あるいはまた古川の樋管というものについてどのように処理をされるのか、ひとつ御所見を承りたいと思います。
  68. 齋藤尚久

    説明員(齋藤尚久君) お答え申し上げます。  加勢川につきましては、先生指摘のように五十七年の災害で大災害を受けまして、以後緊急事業計画をつくりまして順次計画的に事業を実施しておるわけでございます。特に、野田堰というせきがございますが、その上流につきましては用地買収ができておりませんでしたのでその用地買収、それから川底掘削というような工事と、それから左岸側が無堤地区でございますのでこれの暫定堤防をつくるというようなことを内容といたします計画をつくりまして現在進めておるところでございます。  ところで、加勢川の上流部にございます中ノ瀬築堤あるいは古川樋門の問題でございますが、当該地区の改修をやる場合には、それに先立ちまして中ノ瀬橋という橋がございます、これを改築いたしませんことには洪水を流下させるのに支障があるというようなことでございますので、まずこの改築にかかっております。当初一車線で四十九年に完成したわけでございますが、地元から二車線という御要望がございましたので、現在この橋の拡幅の工事を進めております。この工事は六十三年度に完成する予定になっておりますが、それにあわせまして左岸側の三百メートルの築堤、それから古川樋門について完成さしていきたい、こういうふうに考えております。
  69. 浦田勝

    ○浦田勝君 それから不仲間、犬淵の川幅の拡幅、それから河床の掘削、築堤を早期につくってくれということでありますが、これはどうでしょうか。
  70. 齋藤尚久

    説明員(齋藤尚久君) ただいまの不仲間あるいは犬測地区の改修でございますが、当該地区は川幅が非常に狭うございます。そしてその上に河道が大きく蛇行しております。したがいまして、大きく曲がっておるものですから、この川をショートカットいたしまして真っすぐの川にしたい、しかも川幅を大幅に広げまして百三十メートル程度に広げていきたいというふうな計画でございます。現在、計画内容を地元に御説明し、さらに御協力を得て用地買収を進めておる段階でございます。鋭意改修に努力していきたいというふうに考えております。
  71. 浦田勝

    ○浦田勝君 これはやっぱり予算の伴うものでありますが、先ほど田代先生と二人で話しておったんですけれども、三十年もかかったのではこの世に私はおらぬわけですが、これは今長寿社会といったって、私はあと三十年するとどうなるかわからぬ。とにかく今、生産農家の皆さん方も非常に先行き不安を感じながらおるさなかでありますし、そういう面では本当に皆さん方の方でもお考えになっておると思いますけれども、これは十分配慮していただきたいと思うんです。  それから、市街化地域でニュータウン的なものをつくろうというような感じもありますものですから、そういう面になりますと、やはり住居地域としてしょっちゅうつかっておったんではこれはもう話になりませんので、できるだけ速やかにひとつやっていただきたい。ただ一部やっただけで、下の方がわっとなればまたこれは大変なことです。大変苦労はあると思いますけれども、これは皆さん方にお尋ねするだけでなくて、我々自身も御協力申し上げるところは御協力申し上げてやっていかなきゃいかぬと思います。  それから、今度は農水省にちょっとお願いします。  例の、八代の宮原町の川土地区の頭首工がこの前崩壊したわけでありますが、これが二回にわたって、応急的な措置をやっておったんですけれども、崩壊、崩壊というようなことで地域住民の皆さん方にとっては非常に苦悩の種になっておるわけであります。特に宮原町というのは財政的にも非常に苦しいところでありますし、これはもう即生活につながる問題ばかりでございますから、この点について御承知だろうと思いますので、お聞かせ願いたいと思います。
  72. 遠藤紀寛

    説明員(遠藤紀寛君) お答えいたします。  このたびの梅雨前線豪雨及び台風五号により被災した農地、農用施設の緊急査定につきましては、八月の十七日から熊本、大分、佐賀県下において実施しております。  御指摘のございました宮原町の川上頭首工につきましても、地元の準備が整い次第査定を実施いたしまして、早期復旧に努めてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  73. 浦田勝

    ○浦田勝君 受益戸数が二十三戸でございますか、非常に小規模なところでもございますし、財政的にも負担行為にも耐えられないというようなことでもあります。したがって、これについては格段の御配慮を声を大にしてお願いをいたしたいと思います。あとはねちねち質問はいたしません。かえってせぬ方が、粘っこくない方が結果のいいのが出るかと思いますので、よろしくお願いします。  次は、これは私は本当は迷ったんですけれども、ことしは異常な雨続きでございました関係から、特に通称ジャンボタニシ、本名スクミリンゴカイ、こう言うわけでありますが、このジャンボタニシが熊本県に非常に異常発生をしたわけであります。これは農家の方の副業とかあるいは脱サラの方がこのジャンボタニシは非常に市場性もあるので養殖すりゃもうかるんだというようなことで、あるいは雑誌、週刊誌でジャンボタニシの販売というようなことで私も見たこともございますが、このジャンボタニシがなかなか日本人の味、嗜好に合わない。やわいというようなこともあるし、あるいはまたあれの飼育現場を見れば気持ちが悪いというようなこと等もあったと思いますけれども、このジャンボタニシが売れないということで放置してしまった。完全に焼却をしたりあるいは土の中に埋めればよかったんでありますが、全然そういうことをせずに損した勢いでほったうかしたということから、その飼育、養殖をしておられたところの周辺から派生をいたしましたのが今日においては熊本県下全域にわたってジャンボタニシの被害が出ておるわけであります。  水田が六千十七ヘクタール、大体半年間で十五倍ぐらいふえてきた。これは七月の十五日現在であります。この被害町村が四十一市町村。その中で水田の中に発生しておるのが三十一市町村、河川、水路の中に発生したのが十市町村、農作物の被害のふえておる町村が二十四町村ということで、発生水田が三千四百十九ヘクタール、レンコンが五十ヘクタール。市町村の発生面積の一番大きいのが八代市の千百七十ヘクタール、鏡の九百五十、飽田、天明の六百ヘクタールということで、役所の中でもごらんになった方もおるようでありますけれども、昨年の九十ヘクタールが千三百七十四ヘクタールということで、言うならば十五倍にふえたわけであります。  この駆除が非常に難しくて、石灰窒素等をやっておるわけでありますが、総合的にこの駆除法をやらなきゃならぬわけでありまして、なかなかそれでなければ効率が上がらぬ、こういうことであります。そこで、熊本県においてはプロジェクトをつくったりあるいは対策本部をつくったり、いろいろ行政の面からこの駆除、除去に対して研究もしながらそれについての指導ということをやっておるわけでありますが、残念ながら今度の災害でまた一段と拡大をしてきたということであります。  これは、何も熊本県だけでなくて、全国的なものではないかと思いますので、その点、分布の状況被害状況を把握しておられますならば御説明願いたいと思います。
  74. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) お答えいたします。  先生指摘のジャンボタニシの問題でございますけれども、お話にございましたように、当初は食用を目的とする繁殖が行われていた。そういうことで特段の問題はなかったわけでございますが、経営の不振から河川とかあるいは水田等に散逸したこの貝が野生化して密度が高まったというようなことで、従来はこの貝は水生植物を加害するものであったわけですが、水稲その他の一部の作物にも被害を及ぼすようになったというのが現状でございます。  全国的な発生の状況でございますが、六十二年には九州各県を初めといたしまして全国で十四の県で水稲を主体に被害の発生が確認されておるところでございます。
  75. 浦田勝

    ○浦田勝君 今のこのジャンボタニシがその業者あるいは飼養しておった方々が放置されて大被害をもたらして、ただでさえ農村においては出費が多く、価格は低下するし、所得が減少する中にあって、基盤整備その他をやっていかなくちゃならぬわけですが、こういう面において労力とか農薬とかこういうものを出費するということは本当にふんまんやる方ないものが皆あるわけであります。チチュウカイミバエということで防疫に対してあれだけやったんだが、中南米から食用種ということで入れたこれが今日このようになったわけでありますが、こういう輸入業者に対しての規制的なものあるいは法律的な措置、制裁的な措置というものはないものかどうかお尋ねしたい。
  76. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 当初この貝が我が国に持ち込まれた段階におきましては、この貝の原産地が中南米のアルゼンチンの北部だというようなこともありまして、この貝の生態その他につきましての学術的な情報が大変不足しておったということで、その時点では特段の植物検疫上の規制措置がとられてなかったわけでございます。諸外国におきましてもこの貝に対する調査研究成績も十分なかったということ ございます。  先ほど申しましたように、五十九年以降野生化したこのジャンボタニシが一部の農作物を加害するという状況になったわけですが、その時点で即刻私どもといたしましては農蚕園芸局長通達その他によりまして、こういった貝を養殖している人たちに対しまして、養殖が終わった際には的確にその殺滅処理をするような、散逸防止方策をとるような指導をいたしております。  なかなかこういった有害動物が一たん定着いたしますと、これを完全に除去するということは大変至難なことでございます。関係者の理解ももちろん必要になるわけですが、引き続いて、こういったものを扱っている人達に対して、それを周辺に散逸することのないよう指導を徹底してまいりたいというふうに考えております。
  77. 浦田勝

    ○浦田勝君 これは、ジャンボタニシだけでなくて、今後もまたこういう類似のものが起きないとも限らぬと思うわけです。それで、熊本県でも一斉駆除月間とかやっておるけれども、なかなか成果が上げられないというのが実情なんです。ただ安易に、くず野菜でいいとかあるいは雑食、草食性で何でも草を食べるからいいとか、そういうことでやったのが、大きくなった稲の場合はただ卵を産みつけるだけですけれども、二週間程度のところはしょっちゅうやられて改植しなきゃならなかったというような経緯もありますので、今後ジャンボタニシのようなことがないように。  それからもう一つは、この駆除方法というものをどのように受けとめてやっておられるのか。県の方だけに依頼して、そのままでいいというふうにお考えになっておられるのか、この点お聞かせ願いたいと思います。
  78. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 私どもといたしましても、この問題が発生いたしまして以降、具体的には、六十一年度におきましてはこの貝によります被害を防止することを目的といたしました特別の被害防止対策を全国十県で実施いたしております。さらに、六十二年度におきましても、農薬散布だけではなくて、いろいろな技術的な対策を含めてこの貝を効率的に防除するような具体的な技術を現地に定着、促進するためのモデル的な事業を病害虫総合制御技術推進特別対策事業という事業の一環といたしまして同じく全国十県で実施いたしております。  今後とも、こういった事業を通じまして的確な防除技術の確立、その地域への定着を図ってまいりたいというふうに考えております。
  79. 浦田勝

    ○浦田勝君 セイタカアワダチが全国的にばあっとなったが、やっぱり手前できちっとやっておかなければそういうことになるのじゃないかなというふうにも思います。  いずれにしましても、これは、まずその周辺水田、自分の水路と近所の水路は責任をもってやるというふうなことも必要であることはわかっておるわけでありますが、最近は集団で苦役的にそういうものを駆除する一斉運動というのが欠けておる昨今だものですから、高齢化社会でこれはやむを得ないと思うわけですけれども、しかしこれはあくまでもみんなが一斉になってこの問題に対処していかなくちゃならぬが、ある程度は予算的なものをつけてこの問題の処理を図っていただきたい、かように思います。  それから、大臣、今お帰りになりましたが、非常に密度の高い御答弁がありまして私どももありがたく思いますが、要は、国土庁長官として、特に農地災害、河川災害あるいは関連災害が起こっておるわけでありまして、それにつきましては財源の確保が一番大事であります。補助率のアップとか、今度の災害についての、しかも冠水常襲地帯、こういうところを最優先的にひとつ取り上げていただけるものかどうか、これにつきまして長官のひとつ御決意のほどをお聞かせいただいて質問を終わりたいと思いますが、いかがですか。
  80. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) ただいま浦田先生のいろいろの御質疑を聞きながら、特に農林関係についての災害についてのいろいろ鋭い御質問をお聞きしながら、この災害というものについてのいろいろの各セクションがございますが、総合的にこれをやっていかなきゃならぬというふうに考えますので、今後とも、今御指摘のような点についてさらに一層、特に農政関係災害のためにいろいろと予算の獲得や補助率の問題について一生懸命頑張りたいと考えております。
  81. 浦田勝

    ○浦田勝君 終わります、
  82. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ただいま同僚委員から、先ほど御報告のありました梅雨前線豪雨及び台風第五号によります被害をこうむられました九州地方、中でも熊本県の場合あるいは東北地方についていろいろ質疑がございました。私も、災害に遣われました皆様方には心からお見舞い申し上げる次第でございますが、被害状況及び復旧の状況については政府側の答弁もありましたし、同僚議員からも熱心な質疑が行われました。そこで、私は、その点につきましてはただいまの大臣の御答弁をしっかり受けとめて、今度の被害に遭われました皆様方の復興を心から願うとともに、大臣の御尽力をまず最初に心からお願いをしておく次第でございます。  それから、続きまして、同僚委員の方からも先ほど質問がございましたが、あの富士山の震動の件でございます。気象庁もお見えになっておると思いますが、先ほどもお話がありましたけれども、日本の富士火山帯ですか、何か動きがあるような感じがしてならないんです。あの御嶽山が噴火をしたりあるいは三原山も噴火をしたりということで連続して起こっているわけでございますし、伊豆半島では依然として群発地震も続いている。巷間では富士火山帯の活動が活発化するんじゃないかといううわさもされておるわけです。  あの周辺につきましては、東海大地震ということで、それに対するいろいろな備えというものも今までも行われてきているところでございます。あの大規模地震対策法等によりまして対策も立てられているわけでございますが、私たちも地元の一員としましてやはりそういうものとの関連がどうなっているんだろうかということを心配せざるを得ないんですが、その点についていかがでございましょうか。
  83. 鈴置哲朗

    説明員鈴置哲朗君) お答えいたします、  最近、地震火山活動がやや頻発しているというような御印象をお持ちということでございますが、今回特に富士山有感地震という問題がございました。  御指摘の東海地震の問題、それから周辺の伊豆大島あるいは三宅島の火山活動とのかかわりということで、やはり相当関係があるのではないかという御指摘でございました。これは大きな場で見ますと、いわゆるプレート境界域でございますし、いわゆる火山帯というのがございます。そういう点で広い場で見れば関係がないとは言えないわけですが、一つ一つの現象につきましては、これは統計的にこのくらいの確率で火山噴火が起きるというようなことは特に異例のことではございませんし、直接の関係はないと我々は考えております。  それから、御指摘の伊豆大島付近の地震の問題でございます。これは特別に富士山と連動しておったわけではございませんで、従来からこの地帯では伊豆半島東方沖と言われる群発地震の発生する地域でございまして、先日の地震も実はその地震でございますので、これは、今申し上げましたように、富士山有感地震とは関係ないというふうに考えております。  それから、有感地震の数が多いのではないかという感じもいたすところでございますが、これも全国で起きております地震を勘定いたしますと、現在まで、ことしが特に多いというわけじゃございませんで、およそ五百回ということで、これは全国的なものでございますが、例年並みでございます。それから、伊豆大島に関しましては、昨年の十二月に噴火をいたしまして、その後噴火活動は一応表面上停止しております用地震も伊豆大島自体では減少しております。そういうことでございますので、特に東海地震との関係も、そういう意味で直接の関係はございません。直接の関係はございませんということでございます。  今申し上げましたように、富士山の今回の地震というものは、周辺火山活動あるいは東海地震、そういったものとの直接の関係は現在ないと気象庁としては考えております。
  84. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 あなたの答えをお聞きすれば一応不安感もなくなるような感じがするわけですが、なお万全の体制をおとりいただきたいと思うんです。  先ほど科学技術庁の方もお見えになりまして、高感度地震計を二合目に設置するということでございましたが、観測その他の対策につきましては六十二年度の予算要求はもう済んでいるんでしょう、どうですか。気象庁としては特別に要求はしてませんか。
  85. 鈴置哲朗

    説明員鈴置哲朗君) お答えいたします。  来年度の予算要求ということかと存じますが、これはもう既に終了してまとめ上げてございますので、今ちょっとこの問題とは――直接この問題が含まれているわけではございませんが、気象庁における全体の火山業務の整備計画という点では年々拡充強化に努力をしているところでございます。
  86. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 特に追加をする意思はありませんか。
  87. 鈴置哲朗

    説明員鈴置哲朗君) この富士山有感地震に関しましては、発生の原因が火山現象によるものかあるいはほかの現象によるものかまだはっきりしておりませんし、それから山頂付近における各種のデータが今まで得られておりません。で、先日設置いたしました地震計による地震情報がようやく山頂で得られるようになりました。その結果によりますと、二十四日以降有感地震は起きておりませんし、さらに地震計による地震観測されておりませんので、当面は設置しました地震計あるいは周辺に展開しております観測ネット、そういうものからの情報を収集いたしまして慎重に監視を続けていきたいというふうに考えております。
  88. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これは学術的な裏づけがないと言われるかもしれませんが、地震があり災害があるたびにこの委員会でもいろいろ論議をされているわけです。自然的な現象であるとかあるいは植物のいろんな植生の状況であるとかあるいは動物のいろんな行動によってそういった地震もいろいろと予知をされているということで、そういうものも取り入れながら観測体制を強化したらどうだということも大規模地震の法案のときもいろいろとこの委員会でも論議をされておったわけです。そのことについてやはり観測体制の中に、そういう学術的に裏づけがされてないけれども、例えば富士山でも、ちょっと名前は忘れましたけれども、ある水源地が枯渇をして水が出なくなったということで地元皆さん方が心配してみえた、何かあるんじゃないかという状況もありましたね。そういうものについての体制も広げていけるような考えはありませんか。
  89. 鈴置哲朗

    説明員鈴置哲朗君) 御指摘の点でございますが、特に現在対象となる火山の問題、火山噴火予知地震も一部含まれますが、技術的には随分進んできておりますし、かなりのレベルに達してきておりますが、実用化という点ではいま一つという段階でございます。今御指摘のように現象にかかわるいろいろな情報、生物の現象とかそういう現象は世界各地でもいろいろ発表されているところでございますので、我々としてはそういう情報は特にのけるわけではございません。何らかの関係のありそうなあらゆる現象はすべて含めて、そういうものを総合的に活用していきたいというふうに考えております。
  90. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 じゃ結構です。どうもありがとうございました。  それでは、次に首都圏の水の問題についてお尋ねしたいと思うんですが、気象庁調べによりますと、昭和三十年ごろをピークとして降雨量は全国的に減少傾向にある。ここ数年は三十年ごろより約二百ミリも減っていると。本年の場合も水源地域の利根川上流域の降雪量は平年の四分の三である。四月の降雨量は六分の一ということであったわけです。こうした傾向にある一方で東京へのやっぱり一極集中と申しますか、それが厳然と進んでおりますので、そういう状況の中で、国土庁としては年々渇水問題はこれからますます起きてくるんじゃないかと思うんですが、その問題をどうとらえて、どう対応をしていく所存でいらっしゃいますか。
  91. 大河原満

    政府委員大河原満君) お答え申し上げます、  最近、全国的に少雨傾向だということは先生指摘のとおりでございます。水の需給問題でございますが、今回、国土庁では第四次の全国総合開発計画におきまして、関東地方の水需要は昭和五十八年現在年間百六十一億トンでございますが、これが昭和七十五年には三十五億トンほど増加いたしまして年間おおむね百九十六億トンになるものというふうに想定をしております。このため、この四全総と整合をとりながら現在全国総合水資源計画を策定中でございまして、この計画におきましては昭和七十五年に従来の計画基準に基づきます水需給のバランスがとれるということで計画しておりまして、この計画に基づきまして水資源開発施設の建設を関係省庁の御協力を得ながら積極的に推進していきたい、こういうふうに考えております。
  92. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今いろいろ関東地域の計画のお話がございましたけれども、東京の問題として取り上げてみますと、都市用水の需要は水資源白書を見ますと横ばいとなっていますけれども、生活用水は近年年平均三%の伸び率で増加しているわけですね。一方、東京のオフィスビルは需要が急増しています、これは土地の問題等も含めて問題とされているところでございますが、国土庁としては、今後のこのオフィスビル需要をどう見ているか、同時に、それに伴うビル用水の需要増をどう考えているのか、その点はどうでしょうか。
  93. 大河原満

    政府委員大河原満君) オフィスの需要増でございますが、先ほど申し上げました四全総、第四次の全国総合開発計画におきましては、計画期間中に首都圏におきます新規の事務所床面積の需要は約四千ヘクタール増加するものというふうに見込まれております。霞ケ関ビルにしますと約二百五十棟分ということになるかと思います。  事務所ビルにおきます一平方メートル当たりの水使用量でございますが、現状では年間二・二立米程度でございます。このことから、首都圏におきます新規事務所の床面積の需要に対応する水需要は取水量ベースで見ますと年間約一億トン程度というふうに見込まれております。こういったような水需要の増加も含めまして、先ほど申し上げました全国総合水資源計画では水需給のバランスがとれるよう水資源開発を促進するということを目標としております。
  94. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 わかりました。  やはり水の需要増に対応するためには水資源の開発が急務であることは確かであります。また、その点の促進を私たちも願うわけでございますけれども、しかしダム等の問題にしましても、これは開発適地がどんどんどんどん少なくなってまいりましたし、また建設コストが高くなりますし、あるいは水源地域対策のおくれなどでダム建設は非常に厳しい状況にあるわけです。建設年数も十年二十年とかかるわけでございますから。そう考えますと、やはり従来の発想を転換して、水資源のリサイクルシステムというものを確立しなきゃならない、このように思うわけです。私どもの党としましても、現在法案を衆議院の建設委員会に提出をしているわけでございますけれども、中水道施設を積極的に整備して下水処理水などを中水道として活用すべきじゃないか、こう考えておりますが、その点についてはどうでしょうか。
  95. 大河原満

    政府委員大河原満君) 先生指摘のとおり、今後の水需要の増加に対処するためには、ダム等の水資源の開発が基本ではございますが、下水排水並びに雨水等を処理いたしまして雑用水として利用することも地域の実情に応じまして必要なことでございまして、その導入を検討していくべきであるというふうに考えております。
  96. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いろいろと名前があるようですね、雑用水という名前を使っていらっしゃいますけれども。  私も中水道施設の整備というのは非常にメリットがあるのじゃないかと思うんです。例えば、中水道を利用することによりまして補給水量を減少させることができますし、あるいは水不足地域における緩和策の一つにもなろうと思うんです。また、排水管とかあるいは汚濁負荷を減ずるために下水道施設の負担軽減にもなろうと思います。今後そうしますと下水処理水がますます増大してまいりますけれども、その有効利用にもなろうかと思うんです。  そこで、私どもは中水道の整備の促進に関する法律案というものをつくって衆議院の建設委員会で継続審議中なんですけれども、この点についてどのようにお考えですか。
  97. 大河原満

    政府委員大河原満君) 先ほど申し上げました雑用水というのは、こういう中水道といいますか、再生利用の、関係省庁でいろいろ検討しておりますが、共通の呼称といいますか、そういうことで使わしていただいておりますが、この雑用水の利用、今後とも逼迫いたします水需給の対策あるいは先生お話しの公共水域の汚濁負荷の軽減という立場からも、地域の実情に応じましてその円滑な導入を図っていくべきであるというふうに考えておりまして、中水道の整備に関する法律案要綱を提出された趣旨も同様であるというふうに理解しております。  法制化に向けましては、この雑用水、水質基準あるいは施設の設計基準、それから維持管理基準等の衛生的技術的ないろいろな課題がございます。それから、先生御承知のようにコスト等の問題もございまして、これらの課題等につきまして関係省庁とも連絡をとりながら早急に検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  98. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今各省庁でその雑用水についての法案の整備というのはやっているというお話ですが、そうするとその主務所管官庁は国土庁がおやりになりますね。
  99. 大河原満

    政府委員大河原満君) ただいまの雑用水利用の促進につきましては、雑用水利用促進関係省庁協議会、これの構成メンバーは国土庁建設省、厚生省、それから通商産業省でございますが、この協議会におきまして雑用水利用にかかわる先ほどの課題あるいは雑用水の利用にかかわる指針等につきまして協議検討を進めておりまして、今後ともこういった体制の中におきまして関係省庁と十分連携をとりながら適切な対応をしてまいりたいということでございます。
  100. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 国土庁中心になってやることは変わりないですね。
  101. 大河原満

    政府委員大河原満君) 国土庁としましては、先ほどの長期的な水需給の安定を図るというような観点から、先ほどの協議会の中心といたしまして関係省庁と十分連絡をとりながら、鋭意検討していきたいと考えております。
  102. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは次に、いろいろと報道されました点をひとつお聞きいたしますけれども、関越水資源開発構想というのがあるんですが、これは御存じですか。    〔委員長退席、理事青木薪次君着席〕
  103. 大河原満

    政府委員大河原満君) 関越水資源開発構想は民間団体であるJAPICが検討している構想かと思いますが。
  104. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 内容はどんなものですか。
  105. 大河原満

    政府委員大河原満君) 民間団体が検討しておる構想でございますので、そういった計画を検討しておるということは聞き及んでおりますが、内容については詳細を了知しておりません。
  106. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私どもは報道された分でしかわかりませんけれども、三カ所のダムをつくり、八カ所の発電所をつくり、大規模の揚水ポンプが三つ、八十四キロの水路トンネルを建設して、三国山脈を越えて信濃川の余剰水を利根川に回そう、こういう構想だそうで、なかなか賛同される方々もあるようですけれども、総工費は一兆円で十年がかりで建設する、これで十億トンの水を確保して、年間十八億八千万キロワット時の発電も可能というような構想でございます。  国土庁としては、今内容はちょっとわからないというお話でしたけれども、もう五年前に発表されているわけでございますし、これについての検討というか、いろいろな評価も加えられていると思うんですが、どうでしょうか、その点は。
  107. 大河原満

    政府委員大河原満君) 関東地域におきます水の需給につきましては最初に申し上げましたが、関東地域内における水資源開発、こういったようなものを積極的に進めて域内の利用に対応していきたいというふうに考えておりまして、従来の計画基準に基づきます域内のそういった水資源開発及び先ほどお話ししましたいろいろな水資源の有効利用、そういったものの促進を図ることで対応ができるというふうに考えておりますので、そういった開発事業を促進することが緊急であるというふうに考えております。
  108. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いずれにしましても、この水の問題は今までも非常に重要な問題でありましたし、これからもますます重要な問題になってくると思うんです。  おたくの水資源白書を見ましても、「欧米では、数十年に一回生ずると予想される規模の渇水について、需給両面より安全度の向上が図られるよう計画がなされている」。ということでございますが、国土庁としては、先ほどもちょっとお話がありましたが、「新しい全国総合水資源計画」ですか、「ウォーター・プラン-二〇〇〇」ということでございますが、二十一世紀に向けてのそういう計画を今作成中ということでございますが、これは五十三年度に作成されました長期水需給計画を全面的に見直そうということですね。昭和七十五年をめどにということでございましたね。この改定はもう全部終わっているわけですか。これから、今進めているところですか。
  109. 大河原満

    政府委員大河原満君) 新しい長期の水需給計画、全国総合水資源計画は、先ほど申し上げましたことでございますが、四全総と整合をとりながら早急に策定すべく現在鋭意作業中でございます。  この計画では、おおむねすべての地域で従来の計画基準に基づきます水需給のバランスがとれるということを目標としております。
  110. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 もう改定は終わったのですか、やっている最中ですか。
  111. 大河原満

    政府委員大河原満君) 現在鋭意作業中でございまして、早急にまとめたいと思っております。
  112. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いつごろまでに。
  113. 大河原満

    政府委員大河原満君) 関係省庁との協議もございますので、できるだけ早くということでやっております。
  114. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 なかなか関係省庁との折衝がどこでも難しいようでございますが、大臣、水の問題につきましてはこれからもますます重要な問題になろうと思うんです。東京の周辺でも井戸水からいろんな異物質があらわれて飲めなくなっているような状況等も報道されておりますし、一日も早くこの計画の策定を進めていただきたい、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。    〔理事青木薪次君退席、委員長着席〕
  115. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 先ほどからお答えいたしておりますように、いろいろと調整をしながらなるべく早く策定が進むように努力をしたいと思っております。
  116. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、問題がちょっと変わりますが、先ほどの災害の問題に附属しまして二、三お聞きしたいと思うんですが、せんだってNHKテレビで報道されました、なぜ堤防は決壊するのかというようなタイトルじゃなかったかと思うんですが、その中で河川の堤防の中に埋められている排水口としての樋管、直径六十センチ程度のものについていろいろと調査したところ、亀裂を生じていて、そこに水漏れが発生していた。それが原因で堤防の中から堤防が崩されているのではないかという報道がされておったようでございますが、建設省としてはこの報道を御存じでいらっしゃいますか。
  117. 齋藤尚久

    説明員(齋藤尚久君) 先生指摘の放送はNHKでやったものでございまして、「シミュレーション洪水・利根川堤防は安全か」、こういうことで放映されたというふうに承知しております。
  118. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうすると、建設省としてもその報道を真剣に受けとめられまして、やはり治水対策については建設省が所管でございますから、対策を立てられるように検討されたように聞いておりますが、その点どうでしょうか。
  119. 齋藤尚久

    説明員(齋藤尚久君) 河川の堤防とかあるいはそれを横断しております樋門等の構造物の問題でございますが、従来から点検その他必要な都度行ってきております。また、定常的には、出水期の前あるいは平常時におきましても、堤防の巡視とかあるいは構造物の点検等を実施してきております。そして、処置が必要であれば補強するなりあるいは改築するなりというような処置を講じてきておりまして、今後ともその徹底に努力してまいりたいと思います。  なお、今先生指摘の、内部から直接点検の困難な径の小さい樋門等についてでございますが、これにつきましては、使用する機械、機器の問題あるいはどんな方法でやればいいかというようなことを、ただいまそれらの調査手法を検討しております。で、それらをまって必要な処置を講じていきたいというふうに考えております。
  120. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これは、報道されて大変な反響を呼んでいるわけでございますし、堤防というものはそれぞれの国民生活を守るために重要なものでありますし、私の地元の岐阜県でもかつて一級河川の長良川が決壊したようなこともございますから、万全の対策で取り組んでいただきたい、こう思うわけです。  これは建設省の所管でありますけれども、国土庁長官もこの問題については関心を持たれていらっしゃるんじゃないかと思いますが、一言お聞きしておきたいと思います。
  121. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 十分関心を持ってやらしていただきます。
  122. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 終わります。
  123. 下田京子

    下田京子君 まず大臣にお尋ねしたいんですが、今回の梅雨前線豪雨あるいは台風五号災害、そして東北地方大雨災害、これはいずれも河川改修のおくれが大きな一つの原因になっているという御認識をお持ちだと思うんです。現在で大河川の改修率が六〇%、中小河川がわずか二〇%。問題は、第一次治水計画で三十五年-三十九年当時は、計画額について実績額の方は上回っていたと。ところが中曽根内閣になって、第六次の五十七年から六十一年の間に計画額が八兆二千五百億円に対して実績額は五兆一千五百五十八億円と、実にその達成率が六二・五%というふうに落ち込んでいるんですね。今第七次の計画がスタートしましたけれども、これが前の年次計画をも下回ったというのは初めてなんですね。こういう状況の中で最低でもやはり一〇〇%達成を図る、それよりも計画的にこうした特に中小河川の改修も含めて万全の対応をとっていくという点で災害を受け持つ大臣、長官としてのそのお役目が今非常に期待されているところじゃないかと思うんです。六十三年度に向けましてそれぞれ概算要求がまとまっているということなんでしょうけれども、予算額の確保、そして必要な体制の確保、そのためにぜひ全力を尽くしてほしい。決意を聞かしてください。
  124. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 今一生懸命やっているところです。
  125. 下田京子

    下田京子君 一生懸命おやりいただいているという答弁なんですが、各大臣皆さんおっしゃってまいりました。しかし、現実にはどうかというと、減らされていると。ただし、つい先般通過いたしました六十二年度の補正予算、この緊急経済対策ということでもって建設省関係公共事業、国費だけでも一兆一千億円という形で予算がつけられたわけです。予算がつけられたことそのこと自体は大変結構なことなんですけれども、それに伴う体制がどうなんだろうかという点が私の問題なんです。  これは、事業所によりますと当初事業の約五割増にも匹敵するようなところが出まして、こういう予算増を現状の人員体制で実際に事業執行が可能なんだろうかという問題なんです。  建設省人員体制、三十七年当時が三万五千七百二十人だったと思います。第一次定員削減が始まる四十三年当時は三万四千四十九人。ところが現在は、六十二年で二万五千八百六十人、俗に二万五千人体制と、こう言われておりますね。本当にこういう状況で今言うような五割増の予算で事業執行、これは大変なものだという点でかなり厳しい状況であると私は思うんですが、そういう御認識当然お持ちだと思いますが、いかがですか。
  126. 高橋進

    政府委員(高橋進君) 今先生指摘の点、我々非常に厳しく受けとめておるところでございます。おっしゃるように定員が四十二年から今まで約一万人ぐらい削減されています。ただ、これは、従来、建設省の地方建設局を中心といたします仕事のやり方が直営方式、直接建設省が専業を執行するということが相当部分ございましたものですから、そういったために職員の人たちを従来必要としたんですが、それが昭和四十年ごろから逐次請負化をどんどん進めまして、そういった意味で、従来直営方式のために従事していた人の仕事というものが必要なくなったと、そういう点がございまして、当時から今大幅に仕事のやり方が違っておりますものですから、一万人減ったからできるかということについてはそういったことが一つございます。  しかし、最近になりましてそういった従来直営工事に従事していた方々も非常に少なくなりまして、そういった中で最近の定員削減の中で仕事をやるというのは正直言って非常に苦しくなっております。特に、今年度大幅な補正予算、その前に八〇%の前倒し執行という問題がございますが、それに引き続いての大型の補正予算の執行、これは、私ども建設省に課せられた、国民からの大きな期待を持って課せられた義務でございますので職員一人一人一生懸命やっておりますが、なかなか大変な面がございます。そのためには、従来からも進めておりますが、一つは、仕事のやり方をできるだけ合理的なものにするということ。それからまた、従来からも進めておりますけれども、できるだけ仕事を外注に出せるものは外部に委託すると、こういう基本的な方針のもとに円滑な事業執行に努めてまいる所存でございまして、何とか建設省に課せられた任務は遂行することができると考えております、
  127. 下田京子

    下田京子君 いろいろ申されましたが、大事な点は、正直言って苦しいと。今首振っておられますが、私はそれを現場で見てきたんですよね、  福島県の会津若松市に北陸地方建設局の阿賀川工事事務所がございます。そこで皆さんとお話ししてみて驚いたんです。一カ月間に百時間の超勤と。国民生活関連公共事業をふやしてほしい、これはもう当然なんだけれども、その事業執行をするに当たって、もう限界だと。今おっしゃるように、外注であるとかアルバイトであるとかいろいろふやされておりますが、現実に、八割、九割の前倒しの中で、第一、こういう一カ月百時間も超えるような超勤というのが異常でないと言えるのだろうか、私はそこをはっきり認識してほしいんですが、どうですか。
  128. 高橋進

    政府委員(高橋進君) 今言ったような中での事務所におきましては、確かに百時間以上の超勤を相当数の職員がやっているという事務所があることは事実でございます。そのことが通常の姿かといえば決してそうではなくて、基本的にはそういう超過勤務をやらなきゃならぬというのは正常な勤務形態とは言えないと思います。
  129. 下田京子

    下田京子君 お認めになりましたね。私は、そうするとあとは言う必要ないんです。九州地本、関東地本など、つまり、これは労働組合がお調べになったのにも出ていまして、今私がお話しした北陸地方建設局だけの問題ではないということなんです。しかも、それがたまたま起きた、ある一カ月に限られたことではなくて恒常化しているという点が問題なんですよ。  その証拠に、六十二年の五月二十日付建設大臣官房地方厚生課長名で職員の健康管理に気をつけろと言われておりますが、何と驚くなかれ、健康管理はビタミン剤で、こういうことが書かれております。私はきょう人事院をお呼びしていますから、調査して是正を指導していただきたいんです。よろしいですか。人事院総裁が六十二年八月六日付で週休二日制の改定についてという形でもって勧告をされておりますね。その勧告の中で「年間総実勤務時間の短縮」という点で「超過勤務に関しては、業務処理の効率化を図ること等」と、これがいろいろ言われているんでしょうが、それにしても、「所定勤務時間の短縮に伴い超過勤務が増加しないように」図りなさい、こういう勧告をお出しになっておるわけですけれども、こういう点から、現実に今建設省公共事業の八、九割もの前倒し発注と相まって、今回の特別な補正予算、さらには前倒しの後には今度また追加補正と、こう出てきますから、常時そういう状態になっているという点から見まして、ぜひ是正勧告していただきたい、とりあえず調査をしていただきたい、こう思いますが、どうでしょうか。
  130. 山崎宏一郎

    説明員山崎宏一郎君) 超過勤務の問題は、健康福祉の問題あるいは御指摘のように総労働時間を短縮していくというような観点から考えても重要な問題だと思っております。  年間に約八十の官署について条件調査等を行っておりますけれども、その際に、長時間あるいは恒常的な超過勤務についてはその是正を指導しております。全般にわたりましても、御指摘のように、今回の勧告で若干触れたところでございますけれども、超過勤務の適正な運用が行われますよう、各省庁とも十分連絡協議を行いつつ、常態的な超勤が縮減されるよう検討を行っていきたいと思っております。
  131. 下田京子

    下田京子君 時間がなくて困っているんですけれども、問題は深刻なんですよ。  この「全建労」という労働組合の皆さん方が出されたやつなんです、今人事院の方では調査もして是正できるようにしていく、こう言いますが、現実がどうかというと、そういう形の人手不足、もう限界をはるかに超えた人手不足。その結果、どうなるか。不正処理の多発です。事細かく申し上げる時間がありません。かいつまんで申し上げますと、大臣よろしいですか。大臣にも聞きたいんです。どういう状況かといいますと、実施計画外の発注もする。見せかけ、替え玉発注、これがどういうものかというのが事細かくこういうふうに書いてあります。あるいは用地がまだ買収されていないのに発注をする、未協議の部分が残っているのにまた発注をする、それから工期を無視した発注になる。それから人手不足によるノーチェック、こういう形での発注をやらざるを得ないというようなことを事細かく出されております。これでは、例えば工事がどうだったかということ等も含めまして、本当に災害を防止していくという観点からも大変問題になると思うんです。  特に、長官よろしいですか。四全総で官民合わせて二十一世紀までに公共投資額約一千兆円だ、こういうことを出しておりますよね。その七〇%が言ってみれば建設予算なんです。そういう建設省の中でこういう事態が起きているということなので、このことについて長官として建設省にもよく要望して万全な体制がとれるよう働きかけていただきたいと思うんです。
  132. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 四全総の実行について一生懸命やれということですから、もちろん一生懸命やらせていただきます。
  133. 下田京子

    下田京子君 最後に。  そこで、建設省、第七次の定員削減は中止すべきだと思うんです。それから事業所、出張所九十五カ所の統廃合、こういうものは中止すべきだ、見直しをしなきゃいけない。そういう一定の見直しが今迫られているときだ、そういう御認識でこれから事に当たっていただきたいと思いますが、どうですか、端的に。
  134. 高橋進

    政府委員(高橋進君) 第七次定員削減計画、これは政府全体の方針のもとで、それに至る過程ではいろいろ総務庁と協議いたしましたけれども、決定いたしたところでございます。これは政府決定いたしたものですから、基本的にこれをやはり執行しなきゃならぬと思っておりますが、ただ、今先生からも御指摘のような問題もこれございますので、一方で、増員をできるだけ確保する問題でありますとかあるいは定員削減のやり方などについても十分総務庁とも協議しながら、建設省に課せられた仕事を円滑に行うことについて支障のないようにいたしてまいりたいと考えております。
  135. 下田京子

    下田京子君 次に、ニアミスの問題について聞きますが、千歳空港の上空におけるニアミスの事故の事実確認、幾つか。  一つは、これは八月十九日午後三時です。全日空三三九便、ボーイング737、乗務員乗客百三十九名。これは、秋葉機長は衝突接触のおそれありというふうに感じて、航空法の七十六条に基づいて報告されてきた。大事な問題は、そう感じたのですからそういう事実がやっぱりあったということだと思うんです。しかもこの全日空機、計器飛行方式により管制官の指示に基づいて飛んでいたわけですから、問題は自衛隊機側にあったんだ、この御認識間違いないですね。
  136. 大竹勇二

    説明員(大竹勇二君) お答えいたします。  ただいま先生指摘のとおり、千歳の件につきましては、全日空機が一万二千フィートで飛行中前方に自衛隊機を視認したというものでございまして、機長が先生おっしゃったとおりの航空法の規定によりまして運輸省の方に報告してきたというものでございます。
  137. 下田京子

    下田京子君 運輸大臣は前にも積極的に調査をいたしまして遺憾のなきようにというようなことで答弁されておりますようですけれども、その調査項目が一体どういうものなのかという点で、当然、あそこは軍民共用の飛行場になっていまして、軍の方が統制しておりますね。そこで、管制官がどのような指示をしたのか、あるいは自衛隊のパイロットがその指示をどう受けとめたのか、そういう指示あるいは飛行状況などがきっちり記録に残っていると私は思うんですね、ですから、調査の際の大事なポイントだと思うんですけれども、これら項目等、当然詰めて調査されると思いますが、間違いありませんね。
  138. 大竹勇二

    説明員(大竹勇二君) そのとおりでございます。
  139. 下田京子

    下田京子君 ところで、調査がどの程度までいっているんですか。  私、聞きましたところ、現在まだ全日空の秋葉機長に接触されていないと聞いていますが、事実ですか、事実かどうかだけ。
  140. 大竹勇二

    説明員(大竹勇二君) 現在、機長の事情聴取は終わっております。
  141. 下田京子

    下田京子君 全日空秋葉機長にいつ事情聴取しましたか。
  142. 大竹勇二

    説明員(大竹勇二君) 失礼いたしました。私、高知沖の話と間違えまして……。  千歳の件はまだ機長の事情聴取は行っておりません。
  143. 下田京子

    下田京子君 まだ千歳の問題については機長との接触も行っていないんですね。  なぜそうなのか。私は伺ってびっくりしましたのは、ことしの三月までは安全監察官が運輸省本省に七名おつたそうです。現在六名。ニアミス担当官は三名だそうで、今御答弁いみじくもお間違えになられたようですが、高知沖の方にかかっていて、一つは国会対応で追われていて、だから千歳の方には全然手つかずだという状況なので、これはやはり監察官をふやす、体制の強化を要求したいと思います。  と同時に、厳格な調査、そして公表と原因の究明、これは速やかに行うべきだ。そういうことをもしていないで運輸大臣がああいう形での答弁をされている、私は正直言って非常にもう腹立たしく思ったんです。その点を御認識されて対応していただきたい。どうですか。
  144. 大竹勇二

    説明員(大竹勇二君) 先生の御趣旨を踏まえまして、迅速的確に処置するように心がけたいと思っております。
  145. 下田京子

    下田京子君 問題は管制のあり方だと思うんです。  千歳の場合には、さっきも申し上げましたように、軍民共用だということでもってパイロットに非常に不人気のところでもある。これも運輸省の方からいただいておりますけれども、千歳飛行場の管制に関し寄せられている御要望は、空中待機が非常に多い、これ改善してくれ、あるいはレーダー誘導によりかなり遠回りをさせられることもある、改善してほしい、こういう御要望があって、そして今度新千歳空港開設に当たって、本来ならば区別すべきところなのに、管制統制官というものを置いてまた軍に委任するというような対応をされる、これは非常に私は問題だと思うんです。やはり軍民共用なものですから、現実に軍優先になると思うんですよね。そうでなかったらこういう状態は起きないと思うんです。これを改善するためにとられた措置が一九七一年のあの雫石の教訓ではなかったかと思うんです。そうでしょう。つまり軍民空路の分離、それから軍民空港の分離、こういう教訓だったと思うんです。
  146. 大竹勇二

    説明員(大竹勇二君) 先生の御指摘のとおりでございます。
  147. 下田京子

    下田京子君 そうしますと、現実にそういう形での教訓が生かされているのかどうかということなんですね。実態は全く逆で、自衛隊と共同使用の飛行場がどうなっているか。  民間空港で自衛隊が入ってきているところは、これは運輸省が管制官を置いて責任を持っているところが新潟、名古屋、八尾、福岡、長崎、熊本、那覇、山形、秋田と九港。それに防衛庁管理の飛行場を民間機が利用しているところが千歳、札幌、小松、美保、徳島、それに米軍等を含めて自衛隊がやっている三沢を含めると六港、こういう状況になっていると思うんです。  訓練空域の方はどうなっているかといいますと、大臣お見せしたいんですけれども、実はどんどんどんどんふやされてきているんですよね。これ何で大臣に聞くかといいますと、これも四全総絡みですけれども、コミューター航空のための小型機の空港をつくりたい、こうおっしゃっているわけでしょう。そういう状況の中で自衛隊の訓練空域がどんどん広がってきていて、それでいろんなそういう空の事故が心配されてきている、こういう状況なんですね。本来ならむしろ軍民共用の空港というのは少なくとも新設すべきじゃない、さらにはそれは縮小していくべきだ、そしてさらには管制業務、これは運輸省が法律的に言っても責任を持っているんですから、運輸大臣の権限においてきっちりとやっていくべきだというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  148. 長沢哲夫

    政府委員(長沢哲夫君) 四全総のお話が出ましたので私の方からお答え申し上げますが、四全総におきましては、全国的な交通体系整備の一環としてコミューター空港の導入につきましても提唱しておりまして、地方都市等を中心とするおよそ五十から七土地区について成立可能性を検討の上コミューター空港の導入を図ることになっております。ただ、この導入に当たっては、あくまでも安全性の確保ということが大前提になるというふうに考えて進めてまいりたいと思います。
  149. 下田京子

    下田京子君 最後に一問。
  150. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 時間が五分オーバーしておりますので、そろそろまとめてください。
  151. 下田京子

    下田京子君 もう終わります。一問だけ。  運輸省、全般的なことでは今申し上げてきたんですけれども、福島新空港が決まりました。地元で心配しているのは軍の利用、これはもう絶対にしないでくれ。今ずっと言ってきたようなところからいけば当然だと思うんです。これが一点。  それから、新千歳空港。これは現在の空港からわずか千五百メートルしか離れていないというような状況の中で、どうしてもう少し離せなかったのか。恐らくこれは軍から新たな利用の申し込みがあるんじゃないか、これはそういうことがないようにしてくれ。この二点についての答弁を聞いて終わります。
  152. 鈴木光男

    説明員(鈴木光男君) まず福島空港の件でございますけれども、福島空港は地域の航空輸送の需要に応じました民間航空の運送の用に供するということで現在整備が進められております。ただ、同空港は福島県が設置し管理する空港、公共用飛行場ということでございますので、設置管理者でございます福島県の判断によりまして民間航空機の運航に支障のない範囲で自衛隊機が離発着するということもあり得ることではあろう、このように考えております。
  153. 堀井修身

    説明員(堀井修身君) お答えをいたします。  二点目の新千歳空港をなぜ防衛庁の管理の飛行場に隣接して設置したのかということでございますが、設置した理由でございますけれども、これはやはり札幌を中心といたします道央地区における立地条件等々を考えまして、例えば気象条件でありますとか障害物件、騒音問題、空港アクセス、建設コスト、こういったものを総合的に検討いたしまして、その結果、現在の位置が最適であるというふうに判断したものでございます。もともと新空港をつくっておりますのは、飛行場を防衛庁の使用とは完全に分離しようという考え方でございます。
  154. 勝木健司

    ○勝木健司君 まず、今回の水害によりまして被災に遣われました方々にお見舞いを申し上げるものであります。  本日の委員会の冒頭に、ことしの梅雨、台風五号、八月に入りましてからの東北地方大雨による災害状況の概要の説明を受けたところでありますが、特に熊本は私の出身地でありまして、七月の水害の際には大いに、心配したところであります。重複するところでありますが、もう一度確認の意味で、今回の被災に遭われた地域に対しての早期復旧などに政府として全力を挙げられるように要望いたします。  本日は余り時間もありませんので、若干基本的な点について何点か確認させていただきたいというふうに思います。  そこで、今後秋の台風シーズンを迎えるに当たりまして風水害、特に水害に関連して何点かお伺いいたしたいと思います。  最近の都市化の進展によりまして、一たん水害が生じますと国民の生命、財産に与える被害というものは甚大なものとなります。ここ数年いわゆる一般資産被害額というものが増加してきております。逆に、浸水面積というものはそれほど伸びておらないように思います、むしろ減少ぎみではないかというふうに思います。特に都市部などでは地盤沈下などもあり、浸水、河川はんらんに対して積極的に事業を促進していく必要があると考えます。  まず、河川のはんらんの危険性のあるところからお伺いいたしたいというふうに思います。はんらんの危険性のあるところ、この把握はどのようになっておりますか。特に国民も知りたければ簡単にわかるようになっておりますかどうか、お聞きしたいというふうに思います。
  155. 角田直行

    説明員(角田直行君) 御説明いたします。  我が国におきましては、河川のはんらんによって形成された低平地、これが我が国土面積の一割を占めておりまして、そこに五〇%の人口、資産の七五%の集積があるというふうになっておるわけでありますが、そういった中でなお被害のおそれのある区域等につきましては浸水実績図の公表とか浸水予想区域図、これはまだ一カ所踏み切ったばかりでございますが、の公表とかいう形で住民の皆さんの理解を深めるように努力をいたしているところでございます。
  156. 勝木健司

    ○勝木健司君 そこで、河川の改修状況というものはどうなっておりますものか。大規模河川、中小河川別の数字というものを全国ベースでちょっと教えていただきたいというふうに思います。
  157. 角田直行

    説明員(角田直行君) 私ども、河川の整備につきましては三十五年以来六次にわたる治水事業五カ年計画を策定して計画的な進捗に努めてきておるところでありますが、そういった中で、現在、六十一年末でございますと、大河川につきましては戦後の最大洪水に対応するという目標のもとに整備を進めておりますが、その整備率は六十一年末で五七%ということでございます。また、中小の河川の場合は時間雨量五十ミリに対応するという方針でございまして、都市部におきましては四八%、その他の地域にありましては二〇%の整備状況というところでございます。
  158. 勝木健司

    ○勝木健司君 改修状況というものはまだまだ厳しい現状にあるように思います。昨年は大きな河川はんらんというものがあった年でありますけれども、予想もし得なかった河川のはんらんというものもあったわけであります。特に小貝川では何度か堤防の決壊が起きております。建設省初め関係機関の努力には敬意を表するわけでありますけれども、当時の決壊の原因は何だったのかということではっきりと特定してつかんでおられますかどうか、お聞きしたいというふうに思います。
  159. 齋藤尚久

    説明員(齋藤尚久君) 堤防の決壊の問題でございますが、一般的な原因といたしましては、溢水による決壊、あるいは堤防の中を浸透した水によって浸食されて決壊につながるという浸透の問題、それから洪水の急激な流れそのものによりまして堤防の一部が洗掘を受ける、それによって決壊するというような三つのパターンがございます。しかしながら、実際の現象は非常に複雑でございまして、これらが複合して起こるということが多うございます。したがいまして、これらの原因の究明は非常に難しい場合が多いというのが現実でございます。
  160. 勝木健司

    ○勝木健司君 当時も言われておったと思いますけれども、堤防の構造に問題があったのではないかという指摘についてであります。いわゆる構造そのものの基準的なものということではなく、過去につくられた堤防、そしてまた、つくられて以降、そういう構造というものにひずみなりが生じ、危険性が出てくる場合があるのではないのかという点であります。  堤防の構造の中でも、小貝川の決壊があったということについては、単なる越水破堤ではなくて、排水樋門あるいは取水樋門というそういう排取水口の構造的なものがあったことに一つの原因があるのじゃないかというふうに思われます。最近、NHKでもそういう堤防の決壊の原因の解明について、この樋門の管を取り巻く構造、そこから割れて、そこから水が漏れて堤防の決壊を招くということもあり得るのではないかということが指摘されております。  この原因究明の状況、今後の対策についてどう取り組んでいかれるのか、御報告いただきたいというふうに思います。
  161. 齋藤尚久

    説明員(齋藤尚久君) 堤防決壊のパターンその他につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、昨年八月の小貝川の決壊の問題でございます。このときには台風十号、それからその後に発生いたしました温帯低気圧に伴う三百ミリを超えるような大降雨があったわけでございます。そして、その結果として計画洪水位を二十四時間にわたってオーバーするというような異常な出水でございました。これが主な原因ではなかろうか、こういうような出水があったということによるものではないかというふうに考えております。
  162. 勝木健司

    ○勝木健司君 全国の堤防の危険区域ということについてはチェックされておられると思いますけれども、全国レベルでいきますと相当の距離の堤防があると思いますので大変だと思いますけれども、この把握の状況というものはどのようになっておりますか、簡単に御報告いただきたいと思います。
  163. 齋藤尚久

    説明員(齋藤尚久君) 過去につくられました堤防、全国的に非常に長い堤防がございます。そして、必要な都度その総点検等を行い、その結果、必要な補強あるいは改築等の対策は行ってきておるところでございます。
  164. 勝木健司

    ○勝木健司君 次に移りますけれども、私の手元のデータでありますけれども、洪水被害額の原因別の割合というものを見てみますと、最近ちょっと破堤がふえているんじゃないかというふうに思われます。このため、堤防の整備というか、河川改修を積極的に進めていただきたいというふうに思います。  さらには、当然予防ということとそしてまた災害が生じた際の対応、これらについてもきちんと今後とも十分に措置してもらいたいというふうに思います。  間もなく九月一日ということで、関東大震災から遠く時間が過ぎておりますけれども、先ほども富士山地震ということもありましたけれども、地震ということも心配される大きな災害でございます。そのため、防災に果たす役割というものに対しまして国土庁の使命は重要だというふうに思いますから、この点、国土庁長官の決意というか、御所見をお伺いしたいというふうに思います。
  165. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 我が国は、その自然的な条件からいたしまして、御指摘のように、地震それから台風、豪雪、豪雨、火山噴火、大変にもろい国土でございますが、この中で国民の生命、財産を守るというのは国の政治の基本でございまして、今までもいろいろ努力をいたしておりますが、今後ともさらに一層努力をさしていただきたいと考えております。
  166. 勝木健司

    ○勝木健司君 次に、水害、また地震ということで今までお伺いいたしましたけれども、今度は反対に異常渇水という災害対策についても若干お伺いをしておきたいというふうに思います。  今回の首都圏におきます異常渇水というものは、暖冬による雪不足、また空梅雨によるものとも言われておりますけれども、早い段階では予想できなかったものかどうか。例えば、三月時点とか四月に降雨量が少なくなってひょっとして大渇水がもと五月の早い時期にマスコミでは指摘しておったように思います。それを、大任せで、降ればということでよいのかどうか、その点についてもまずお伺いをしたいというふうに思います。
  167. 角田直行

    説明員(角田直行君) 利根川のことしの渇水でございますが、直接的には六月の降雨が非常に少なかったということでございまして、ダムの貯留量から御説明いたしますと、五月中はほぼ横ばいで十分な流況であったわけであります。六月に急激に下がってきたということであります。  なお、三月時点で予測できなかったかという御指摘でございますが、冬の雪不足のことは十分意識いたしまして、三月に通常発電の関係で水位を下げるんでありますが、これをかなり抑えまして余り下げない状況に、例年よりも六千万トンほど多い状況にしておりました。四月の雨が一三%と非常に少なかったこともありますが、融雪もありまして四月には混乱が起きずにかなり回復をしたわけであります。五月に隣の水戸の方の那珂川とか福島の阿武隈川とかで渇水の問題があったんでありますが、利根川の場合はそういった事態もなかったということでございます。  また、気象庁の予報も平年の降雨ということでもありまして、我々十分気は使ってきたと思っているわけであります。  くどいようですが、六月の雨が非常に大きな影響であったと理解をいたしておるわけであります。
  168. 勝木健司

    ○勝木健司君 先ほどもどなたか質問されておりましたけれども、全国的に渇水の状況というものは最近どのようになっておるのか、ちょっと御報告いただきたいと思います。
  169. 角田直行

    説明員(角田直行君) 近年の渇水の状況でございますが、五十三年に福岡の大渇水ということで大騒ぎになったことがあるわけですが、その後は五十六年に沖縄で大変ひどい渇水がございました。  特に近年では、五十九年の秋から六十年にかけまして、また六十一年にも秋から六十二年にかけまして、東海、近畿地方で取水制限を行う渇水がございました。それに続くものとして、ことしの、先ほど申しました那珂川とか阿武隈川とか利根川の渇水ということでございます。
  170. 勝木健司

    ○勝木健司君 渇水対策ということにつきましては、水がなくなってから慌てるということじゃなしに、やはり他の災害対策と同様にふだんからの心構えというものが必要じゃないかというふうに思います。同時に、水資源の開発を進めていくこともあわせて必要であるというふうに思いますけれども、その際、ダムの建設というハードの面だけにとらわれることなく、生活用水の節水意識の高揚、節水型の都市機能づくり、そういうソフト面での開発というものが必要であるというふうに思いますが、この点、建設省どう思われますか。
  171. 角田直行

    説明員(角田直行君) 私どもは水資源開発ということでダムづくりその他水路の整備等担当して頑張ってきておるわけでございます。これについて、ますますその促進に努めてまいりたいと思っておりますが、利水者の節水等の御努力についても日ごろお願いをしておるところでございまして、国土庁でも大変御努力いただいておるというふうに理解いたしております。
  172. 勝木健司

    ○勝木健司君 水資源の需給のあり方については四全総でも策定されたことでもありますけれども、この点、長期的な水需給のあり方について最後国土庁の御見解をお伺いしておきたいというふうに思います。
  173. 大河原満

    政府委員大河原満君) 長期的な水需給につきましては、先般閣議決定されました四全総に基づきまして全国総合水資源計画を策定中でございまして、昭和七十五年には水需給のバランスがとれるように計画をつくり、水資源開発の促進をしてまいりたいというふうに考えております。  また、先ほど先生指摘の利用者側における節水あるいは合理的な水の利用といったような点も含めまして、総合的な水資源対策を推進してまいりたい、かように考えております。
  174. 勝木健司

    ○勝木健司君 終わります。
  175. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 本調査に対する本日の質疑柱この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時八分散会