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1987-07-29 第109回国会 参議院 国民生活に関する調査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年七月二十九日(水曜日)    午後一時五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     会 長         長田 裕二君     理 事                 坂野 重信君                 水谷  力君                 吉川  博君                 山本 正和君                 高木健太郎君                 吉川 春子君                 三治 重信君     委 員                 井上 吉夫君                 大島 友治君                 大塚清次郎君                 倉田 寛之君                 斎藤 文夫君                 添田増太郎君                 高橋 清孝君                 寺内 弘子君                 中曽根弘文君                 福田 宏一君                 向山 一人君                 吉川 芳男君                 大森  昭君                 矢原 秀男君                 近藤 忠孝君                 抜山 映子君                 平野  清君    事務局側        第二特別調査室        長        菊池  守君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国民生活に関する調査  (内需拡大に関する件)     —————————————
  2. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) ただいまから国民生活に関する調査会を開会いたします。  国民生活に関する調査を議題といたします。  本日は、六月十八日に行いました内需拡大についての各会派の委員意見開陳に対して、委員の方々の意見交換を行います。  それでは、まず、坂野重信君の御意見に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 山本正和

    山本正和君 事前に文書でもって質問の内容につきましては申し上げてあるわけでございますが、内需拡大という問題を大変精緻な形で御説明をいただきまして、特にその中で私が感心いたしましたのは、ストック面における社会資本充実ということが当面、我が国として大変必要なことではないか、こういう御指摘がございました。  ところが、我が国産業発展状況なり傾向なりをずっと見てまいりますと、どうしても日本列島全体の中で地方の占める比重が大変小さい。なかなか伸びてこない。かつては東海道ベルト地帯と申しましょうか、太平洋ベルト地帯と申しましょうか、そこが発展しましたけれども裏日本がさっぱり発展しないというような問題等ございまして、そういうことから地方立場から言いましても、高速交通網あるいは地方空港等充実、こういう問題がなければ地方の本当の意味での発展が期せられないんじゃないか、こういうふうな声が随分出ておりまして、これもいろいろと議論されておるところでございます。  ただ、坂野先生のこの前の御説明の中で、いわゆる今大変問題になっております整備新幹線問題等についての御指摘がなかったのでございまして、これはどういうふうにこの問題についてはお考えか、その点をまずお伺いしたいと思います。  それからまた、第二点といたしまして、我が国国民性と申しましょうか、つつましく生きていくというふうな人生観というのがまだまだ長い間の日本人の性向として残っております。したがいまして、内需拡大ということを言って消費をもっと盛んにしようじゃないかということを奨励をいたしましても、なかなかそうはいかないという実態がある。その背景には、先般ヨーロッパへ参りましてOECDの日本人の職員からも聞いたわけでありますけれども、例えばスウェーデンでは税金を収入の五割も納める。しかし、それは日本人貯蓄する額と合わせますと、日本人も五割ぐらいの貯蓄と同じような格好になってしまっている。  要するにヨーロッパのいわゆる社会福祉先進国型では、社会資本充実しておって、そして老後問題等も国全体で面倒見てもらえるという安心感があるので、そういうふうなことについての貯蓄というふうなことは考えない。とにかく現在ある収入をよりよき生活を送るために充てる、こういうふうになっているというふうな問題があるわけでございまして、貯蓄志向をやはりここで一遍考えなくてはいけないという問題があるわけでありますが、国が社会資本充実するためにどういうふうにしていったらいいかという中で、国民の持っている貯蓄、これを社会資本充実のために使う、そういう方策というものを考えていくべきではないか。お金を個人がしまい込んでいる。特に今、大蔵省等調査でも、いわゆる国民金融資産の把握というのは大変困難であるというふうな状況にございます。しかし、この金融資産を有効に生かせば相当思い切ったものができるというふうになってまいりますので、この辺についての御見解がありましたらと、こう思います。
  4. 坂野重信

    坂野重信君 ただいまの山本委員に対しまして、私、自民党立場あるいは政府立場ということはございますけれども、個人的な意見というものを交えましてお答えいたしたいと思います。  第一点の御質問は、整備新幹線あるいは地方空港の問題でございますが、整備新幹線高速道路とともに産業文化等地方活性化にとって、特に人員輸送という立場からいいますと、大変重要であると思います。今策定中の四全総計画におきましてもその役割が重要視されておりまして、関係者皆さん、特に地元の皆さんからは早期着工が強く待望されておることは御承知のとおりでございます。聞きますと、目下各鉄道新会社において採算性等について検討中でありまして、近く政府にその意見を提出するということになっておるようでございますが、政府の方においても、自民党政府の間においてその財源について検討中ということを聞いております。自民党としては既に踏み切って、着工すべきであるという意見を出しておりますが、本調査会においてもそういうことでございますので、高規格幹線道路地方空港とともに整備新幹線の推進は内需拡大の一課題として取り上げるべき重要な課題であると私は思う次第であります。  二番目の貯蓄の問題でございますが、山本先生指摘のように、国民貯蓄志向傾向というものは簡単になかなか低下するとは思えません。いわゆる二宮尊徳式貯蓄志向というものは長年の培われた日本国民のいわば一つ考え方でございますが、そういう情勢の中でいか国民消費意欲を高めるような政策を推進するかということが大事だと思っております。そのためには、この間ヨーロッパへ御一緒調査に行って感じましたのも、やっぱり高齢者福祉の一層の充実によって 老後の不安を極力なくするというのがまず大事だと思っております。  それから次は、やっぱり所得税、今問題の所得税とか住民税減税を実行することによって可処分所得増大を図るとともに、いろいろ言われている住宅減税とか、財形貯蓄に対する税制改善等によって住宅投資意欲を高めるとか、あるいは労働時間短縮というようなことと相まってレジャー消費意欲を高めるということが大切だと思います。  ところで、貯蓄社会資本充実のために活用する政策は既に幾つかあるわけでございまして、まず郵便貯蓄の場合は相当額が財投の原資として高速道路とか住宅金融公庫等公団公庫公共事業に既に活用されております。したがって、これを一層推進することが貯蓄の活用としては一点。  それから二番目は、財形貯蓄の課税問題が言われておりますけれども、これを非課税として存続して住宅建設に資するというのが二番目ぐらい。  三番目は、貯蓄公共事業のための建設国債にできればシフトしてもらうとか、あるいは民活のための基金にでも充てるとかいうことで社会資本充実に役立てること。そういうようなことが考えられるんじゃないかと思いますが、その他名案がありましたら、また各委員からの御指摘を願いたいと思う次第でございます。  以上、お答えにかえたいと思います。
  5. 高木健太郎

    高木健太郎君 立派な御提案であると感心しているわけですが、二、三小さなことをお尋ね申し上げます。  第一は住宅政策でございますが、高齢者のために住宅面積をふやしたらどうだということが提案されておりますが、家族一緒に寝るということはなかなか、寝たきり老人だとか、そういう高齢者の行動の不自由とかを考えまして、同居ということは今後は非常に困難になるんじゃないか。そういう意味では有料または公共老人ホームをつくるとか、特殊老人ホームをつくるというような福祉増進一環として考えておくべきじゃないかと思いますが、その点はどのようにお考えかということです。  第二番目は、内需拡大というのは緊急的なものだけじゃなくて、中長期的なものを考える必要があると思いますが、緊急対策として、大企業事業縮小する、あるいは内需型へ構造転換をするという場合に最も大きいインパクトを受けるのは下請中小企業であると考えます。これらは円高ドル安によりまして今までも最も大きな打撃を受けている部分でございますが、それらが事業転換をするということはなかなか困難であろうと思いますが、例えば洋食器であるとかあるいは陶磁器産業というようなものの転換はどういうようにしたらよいか、そういうことについてお考えをお聞きしたい。  それから社会資本充実、第三番目ですが、社会資本充実というのは確かに一日も早くやらなきゃならぬことだと思いますし、将来の日本経済にとっても大きなプラスになるということは疑う余地がございませんが、それらの財貨が一部の業者に流れてしまって、国民全体に広く行き渡らないというような点があるんじゃないか。そういうことを心配しますが、その点はいかがお考えですか。あるいはまた、耐久年数が二十五年だと大体言われておりますが、その後の国民負担との関係はどうなのか。あるいは下水道電線埋没とか道路整備というのは必要でございますが、そのでき上がっている現在ある施設建造物を壊したり、土地を購入するということを考えると、極めて能率が悪いと思うんです。住宅と同様に、新しい埋め立て、土地の開発、農地転換がよいと思うのですが、その点、地方振興の上がる考えでもいいことではないかと思いますが、いかがお考えですか。  以上三点についてお考えをお伺いしたいと思います。
  6. 坂野重信

    坂野重信君 御質問が三点ありまして、第一番目が住宅対策老人ホームとの一貫的な考え方をしたらどうかということでございますが、御指摘のとおり、私も高齢者のためのまず住宅政策というものは福祉対策と組み合わしてその一環として考えるべきだ、いろんな意見がございますが、私自身はやっぱり住宅政策も広い意味での福祉という、基本的にはそういうことではないかと思っております。  事実、建設省等も、できるだけ若い人たちとお年寄りとが同居できるような住宅政策というものを考えておりますし、お年寄り同居して家庭におる場合のいろんな介護施設、器具の備えつけとか簡易のエレベーターとか、あるいは面積をふやすとかということ、あるいはお年寄りと若い人たちがお隣り同士で住んだ場合に、独立してお互いにディスターブしないようなことを考えてみたり、老人同居世帯に対する割り増し貸し付けというような、限度額を引き上げたりして、いろいろ検討しているわけですが、やっぱり同居困難であるとか、あるいは家庭では介護困難なお年寄りのためには、どうしても公共老人ホームであるとか特殊老人ホーム等施設も一方において充実しながら、両方でうまくマッチしながら高齢者福祉充実を図るべきだと思います。  それから二番目の、内需拡大へのいわゆる転換、大企業事業縮小とかあるいは内需型への構造転換の問題ですが、おっしゃるように中小企業が一番打撃が多い部分であるというぐあいに考えるわけですが、これにつきましては、通産省あたりでは下請中小企業対策については中小企業庁を中心として、親企業海外進出拡大、設備の合理化等構造改善に伴って一番影響の多い下請中小企業が行う新しい事業ということについては支援を強化しようという方針を決めておりまして、補助金だとか資金の貸し付け、あるいは下請取引あっせんのためのアドバイザー事業等を進めております。それから特定業種中小企業者事業転換対策というものにも力を入れて、陶磁器であるとか洋食器のようなもの、あるいは日用品等百五十一業種に対して緊急経済対策一環として貸し付けたとか保証、補助、融資というようなことを行ってかなり実績を上げつつあるようでございます。  そこで本調査会としても、今のお話にもございましたし、こういう政策が浸透するような対応、こういう話題が本調査会に出たということを伝えて、政府の方をさらに督励して、こういうようなことを推進させるようにすべきじゃないかと思います。  それから三番目の、幾つかの御指摘なり御質問があったわけですが、まず、内需拡大による財貨が一部の業者に流れて、一般国民にはなかなか恩典がないじゃないかというような御指摘でございます。さっき山本先生のところで話が出ましたように、社会資本充実というものはフローの問題だけじゃなくて、でき上がったストック面の効果というものを考えてまいりますと、かなり幅の広い結果を国民生活に及ぼすものでございますし、フローだけのことを考えても、工事そのもの特定の大企業だけに発注するわけじゃありませんし、産業関連ということでかなり広い分野に、こういった公共投資なり内需拡大をやることによって、それが影響することは間違いないわけです。  次に、耐用年数のことがちょっと出ておりますが、これはほうっておけば、例えば木造住宅のようなものは二十年とか三十年しかもちませんが、途中の手入れさえうまくやっていけばかなり長年月耐久力がある。  それから、各省各担当でばらばらに、できたものを壊したり、また埋めてみたり掘ったりするというようなことがありますが、これについては最近、共同溝というようなものをやって、そこに収容して、むだなことをできるだけやめるようにしようというようなことも進めつつありますし、耐久年限の問題は、むだがないようにできるだけ手入れをしながら進めていこうというようなことで対処しておりますから、そういう点を踏まえて、今後ともそれぞれのところで善処するように、私どもとしてもできるだけ進めていきたいと思って おります。  以上です。
  7. 吉川春子

    吉川春子君 三点お伺いいたします。  まず第一に、内需拡大策として社会資本充実生活関連公共事業を行うべきであると各党から言われております。外国との比較で見ても、住宅の貧しさはもちろんのこと、下水道普及率も米、英、仏、独など八〇%から九〇%に達しているのに、日本は三四%と極端に低いわけです。公園面積欧米の大都市に比較して東京は四分の一から六分の一という狭さです。このような社会資本整備日本でおくれてしまったのは、戦後ほとんど一貫して政権をとっている自民党公共投資政策が余りに産業基盤整備に偏ったためではないでしょうか。  二番目は、今回の内需拡大策は、自民党が五十八年から行ってきた行政改革内需を冷え込ませる大きな原因になってきたことのみずからの告白ではないでしょうか。すなわち、行革のこの五年間で見ますと、予算マイナス住宅対策費が二・七%で七千四百八十三億五千万円、公営住宅が九・六%で二千六百四十四億円、公園事業費が二・五%で七百二十五億円、学校施設整備費が三九・六%で千九百四十四億円、治水、下水道整備費が二・五%で六千五十九億円とこのように減っております。ことしの予算措置としては、これらの概算要求シーリング撤廃はもちろん、思い切った重点的な配分が求められていると思いますが、いかがですか。  三点目は、企業海外直接投資の増加に伴い産業空洞化と失業、中小零細企業の倒産の増大が深刻になっています。坂野理事も当調査会質問で、地方の県の苦しい実情を述べておられます、大企業が国や地方自治体から種々の財政的優遇措置を受けて大きな利益を上げてきた経緯を見ると、円高だからと当然のことのように日本を捨てて海外に出ていくということを野放しにするのではなくて、少なくとも社会的な責任を果たさせるように民主的な規制や行政指導を行うべきではないか考えますが、いかがでしょうか。  以上です。
  8. 坂野重信

    坂野重信君 第一番目の問題ですが、自民党公共投資政策が余りに産業基盤整備に偏ったためにおくれたんじゃないかということですが、何しろ欧米に比べますと、欧米はかなり古い時代から社会資本整備に携わっておりますが、日本は主として戦後こういった社会資本投資というものを本格的に始めたということで、相当なスピードで、欧米以上のスピードで今頑張っておりますが、なかなか追いつけないというのが実情でございまして、公共投資政策産業基盤整備に偏ったためにおくれたというわけではありません。  それから二番目の、内需拡大政策は、行政改革内需を冷え込ませた大きな原因となったことのみずからの告白ではないかということでございますが、確かに公共関係予算昭和五十五年から相当抑制されて、最近五十八年度以降から特にマイナスシーリングということで抑制されてきたことは間違いありません。  これは御案内のとおりに石油ショック等があって、五十年代に入ってから特例国債というものが発行された、また税収が落ち込んできたというようなことで国の財政が非常に厳しい状況の中で社会保障関係費とか教育費等の当然増というものがありますし、そういう中での財政改革路線に沿ってのやむを得ない措置であったと思います。そういうことで補助率カットというようなこともやりながら辛うじて事業量を確保してきたというのが実情であります。  そういうことで大変厳しい時代をここ数年間過ごしてきたということですが、今回は御案内のような海外からの強い要望もこれあり、内需拡大に踏み切ったわけです。今後は、予算措置としては今の新聞報道等にも出ておりますように、六十三年度は投資的経費についてはマイナスシーリング撤廃の予定でありますし、御指摘のような重点的なひとつ配分考えるべきであると思いますが、その中でやっぱり長期的な視野というものは忘れてはならないと思います。  三番目の、海外直接投資の問題、空洞化の問題ですが、これはおっしゃるように、ここ二、三年の間、地方に対する企業進出というものも若干鈍化というような傾向が見られますし、企業空洞化産業空洞化というような傾向が徐々にあらわれておりますので、おっしゃるように企業も総合的な立場で行き過ぎがないように望みたいわけです。  しかし、国際収支上からいいますと、企業海外進出するということは望ましいことでありますし、そこで対策が大事だと思います。通産省を初めいろいろなことを、円滑な縮小合理化の問題であるとか、新産業分野の開拓であるとか、受け入れる場の提供というようなことを考えておりますし、政府政府でいろいろな誘導政策内需拡大であるとか、いろいろなことを施策として進めつつありますけれども、これらの施策を着実にひとつ強力に実行するように党としても政府と一体。となってやるべきだろうと思います。  以上です。
  9. 三治重信

    三治重信君 土地問題で一つお伺いしますが、現行の土地税制は、公共事業土地を買う場合に代替地を出したり、それから代替地がない場合にはその土地売却代金を非常に免税をしたりして、公共事業用地買収に都合のよいような土地税制になっていると思うんですよね。だから公共事業をやって土地を買収すれば買収するだけ周りの土地がどんどん高くなる、こういうような環境になっていると思うんです。こういうような問題で、ひとつ公共事業といえども用地買収じゃなくて、私の提案のように政府がそういう道路やいろんな公共用地の敷地についてもいわゆる信託なり賃貸なり、いわゆる第三者機関をつくっても何でもいいんですが、地主地主として認めて、国が土地使用権をとる。こういうような形に公共事業のやり方を、土地対策を変える必要があるんじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。  もう一つは、これは建設省なんかの一般説明のときにもちょっとあったかと思うんですけれども主要先進国歳出総額の中に占める公共事業費割合はむしろ我が国は低いというふうなことなんだけれども、私の知っている限りにおいては、日本はやはり先進国の中でも特別、公共事業費は戦後一貫して一番高い、国の財政の中で公共事業費割合というのは一番高い。またGNPの中においても日本における公共事業割合は高い、こういうふうに認識しているんですが、それは認識の誤りか。あるいはその割合が低いというのは国税地方税との割合で、国税割合地方税に対して低い、もっと国と地方とは公共事業割合を余計持つべきだと、こういうような御意見が。ひとつ、その点の認識を一致させたいと思うんです。  それから、生活物資先進国の中で一番高い、殊に円高になって今世界一高いことになっている。殊に一番円高にされているアメリカ消費者物価アメリカ国民生活物資日本生活物資とでは倍以上になっている。特に住宅、食料においては倍よりか、もっと三倍、四倍、こういうようなことだろうと思うんです。その大きな中で、やはり私は日本の政治の中において農産物の価格支持政策等があって、円高差益政府の統制によって公共料金なり飛行機の運賃なんかでもそうなんですが、物価引き下げが一番おくれている。こういうのをもっと下げていくことが内需拡大に通ずるんじゃないかと思うんですが、御意見いかがですか。  以上三点です。
  10. 坂野重信

    坂野重信君 第一点がちょっと予告された質問と違うんですが、要するに先生がおっしゃる土地所有権使用権の問題ですが、使用権の問題については今私ども検討しておりますし、役所でも検討し始めておりますから、これは土地対策一環として本調査会一つの提言として、私は所有権の一部制限、むしろ使用権の方に少しシフトするようなこと、それから信託の問題もおっしゃっておりますが、それも私ども同感でごさい ますので、そういう方向をひとつ打ち出したいと思います。  それから二番目の、公共事業の比率から言いますと、各国に比べて日本が確かに多くなっております。大体二倍程度の支出をやっているんですが、私の言っているのは歳出総額に占める国税割合が低いということを言っているわけでして、公共事業に限らず、日本国税収入歳出総額に占める割合から言いますと、公共事業も全部含めて歳出の約七六%、六十二年度の当初予算でいきますと七六・一%です。アメリカが七九、イギリスが八四・五、西ドイツが八一・五、フランスが八三・八ということですから、日本が一番国税収入割合歳出総額の中で低い。  その中でも公共事業はどうなっているかといいますと、ほとんど全部が、全部に近いと言ってもいいわけですが特定財源ガソリン税などの特定財源とか建設国債というものが大半でございまして、それを引きますと、一般歳入でいきますと七・二%ということになっておりますので、公共事業とか社会資本充実というものは余り税収のお世話になっていない。むしろ特定財源とか建設国債によって、ずっと最近、公共事業というものが進められてきたということを申し上げたかったわけでございます。したがって、これは本格的な税制改正にもなって財源の余裕が出てくれば、そういった建設国債というものを使わなくても一般財源から出せるわけでございますから、早くそういう時期が来ることを祈っているわけですけれども、現状はそういうことでございます。  それから物価の問題。生活物資の価格は御指摘のようなことで日本が一番高いことは事実でございます。特に住宅の問題が指摘されましたが、これは御指摘のとおりに土地代というものが、地価が非常に上がっておりますので、その分が諸外国に比べて日本住宅費が高いというようなことになっているわけでございます。地代家賃統制令なんというものもありましたけれども、これは昨年の十二月で失効しておりますし、輸入木材とかそういうようなものについては、円高差益還元の関連のあるものはある程度価格が下がっておりますけれども、やっぱり主体は土地政策でございますから、地価の問題は本調査会としても重要な課題として提言の中にぜひひとつ取り上げていただきたいということを思っているわけでございます。  食料品についても御指摘のとおりでございますけれども、小麦とか牛肉、バターとか、砂糖とか配合飼料とか、そういう輸入にかかわるもので政府が価格決定に関与しているものについては、かなり御案内のとおりに下がっております。きょうも自民党の中で打合会があったんですが、できるだけこういう食料の価格は国際価格に近づけるようなことを、生産性の向上というものを考えながら見直していこうという方向にありますので、こういうことを含めてひとつ今後価格の引き下げというようなことで、国民生活を圧迫しないようにもっていくべきだと思います。  以上です。
  11. 平野清

    ○平野清君 それではお伺いいたします。  まず、財政力が低い県や市町村への助成措置が必要だとおっしゃっていますけれども、大概、地方で工事を起こされても、そこの地元の起債が必要なわけですね。財政力が弱ければ弱いほど起債能力がないわけで、その財政力の弱い市町村や県へ助成措置をとるということは、具体的にはどういうことなのか、ちょっとお伺いしたい。  それから、これはあくまでも数字でにらんでいるわけじゃありません、知っているわけじゃありませんが、どうも革新自治体に対して、保守政党の持っている知事さんのところに対する助成措置と比べて、何か差別があるような気がしてしようがないんですね。これは別に党派を云々じゃなくて、埼玉に住んでいて千葉県を見ている感じだけですから、そういうことは絶対ないと言われればそれまでですが、ちょっと御感想をお聞きしたいんです。  それから、地価対策を放棄してここまで急騰させてしまったのは政治の責任も多分にあると思います。東京集中排除を大変強調されていますけれども、どういう形で集中排除をされようとしているのか。例えば大きな企業地方へ分散するときに何か財政面とか税制面で大きな優遇措置をとって積極的に出ていってもらうようなことをお考えになっているのか。それとも特定の数の官庁を強制的にでもどこかへ移そうとお考えなのか。  それから、時間がないので予告申し上げた三番をちょっと割愛しますが、三番目に、住宅政策内需の柱とございますけれども土地がどんどんどんどん上がってしまって、ただ住宅内需の柱といっても市民は手が届かないわけです。住宅と地価抑制を連動させた形が一番望ましいと思うわけですね。そのためには大幅な住宅減税が必要だと思うんです。アメリカあたりは大きな家屋を買うと五年間なら五年間、二〇%なら二〇%、思い切った減税措置をとっているようです。そういうようなことが考えられるのかどうか。  四番目に、長時間労働の短縮といいますけれども、公務員や大企業では可能かもしれませんけれども、特に中小零細企業人たちはいろいろ親企業の納期の問題だとか、やれ製品の管理のうるさい点だとかということでなかなか実行が不可能だと思うんですね。そういう意味で長時間労働の面から見た中小零細企業労働者の救済策ということについてお考えをお聞かせいただければと思います。
  12. 坂野重信

    坂野重信君 第一番目の市町村の財政の助成の問題ですが、御案内のとおりに確かに県の中でも幾つかの県が、特に今十八県ぐらいになりますか、財政窮迫というようなことが言われているわけですが、基本的にはやっぱり国庫の支出金、それから譲与税、地方交付税というものを差し引きますと、あとは起債あるいは県税収入等でやっていかなきゃならぬわけですが、富裕県は別として、地方交付税というものがあるわけです。これは大体国税三税の三二%というものが全体の枠の中で各県に基準財政需要額ということに応じてやることになっているんですが、確かにおっしゃるようにかなり地方債がふえております。  国債ほどじゃないにしてもかなり、六十三兆七千億ぐらいですか、既に地方公共団体の起債の残高がなっておりまして、今度の補正の場合でも地方の負担分を全額起債によるということは困難だ、できるだけ交付税等で面倒見てくれというような声がありまして、今自治省がその交付税の特例措置として三二%以上の交付税をそういった地方財源に充てようということを考えておるのと、それからもう一つ、NTTの売却代金が近く法律が出てくるようでございますが、これを一時立てかえといいますか、無利子貸し付けということで先行的に補助金として交付するというようなことも考えております。  ことしは、それと六十年度の国税三税の収入の精算増が五千七百億ぐらいあるようですから、これをひとつ早目に六十二年度に使うようなことを考えようというようなことを考えているようですから、六十二年度については心配はないようですが、いずれにしても、おっしゃるようにだんだん地方債の残高がふえておりますし、交付税の見方をどうするかというような問題が今後の問題として残されておることは事実でございまして、年度年度の勝負になるわけですが、国の財政と同時にそういった財政窮迫市町村の、地方自治体の地方財政をどうするかというような問題は今後ますます重要な課題になってくると思います。  それから、地方自治体に対して、革新自治体だからといって特別な差別をしているとは私どもは思いませんけれども、しかし地方自治体側でもやっぱり政府に対して協力して、極力財政の支出の節減というものを図っていただかなければならぬことは私どもは当然であろうと思っております。  東京集中排除の具体策についてはどのようにお考えですかというのは、これは実は、お手元にあるいは行っているかもしれませんけれども四全総計画の中の九ページに、今政府としての東京の集中排除の具体策というのが五項目ばかり、その 中に分解してみますと入っておりまして、時間の関係で省略しますけれども、今後工業の分散・再配置政策の推進とか、政府機関の移転再配置とか、今後の文化、研究施設は原則として東京外へ立地する、それから東京へ立地する事務所の費用のあり方を含めて広い観点から適切な措置検討するというようなことで、内容的には便益の享受に応じて追い出し説とか特別事業所税というようなことが出たり入ったり一つの話題としては出たようでございますが、この辺の問題がやっぱり今後の一つの大きな課題じゃないかと思っております。  それから、遷都問題については引き続き検討するというようなことになっております。  住宅政策と地価の連動ということはもう御指摘のとおりでございまして、地価対策の問題はやっぱり住宅政策の前提となるものでございますし、私ども内需拡大検討項目の中にも地価対策を入れておりますし、御承知のとおりに今、新行革審でも総理の諮問に応じてこれから取り急ぎ地価対策土地問題を勉強しようという事態にございます。私どもとしても、この調査会としてもやっぱりこの地価対策の問題については、当面の対策と恒久対策、それから恒久対策と抑制対策というようなことに整理しまして、ちょっときょうは時間がありませんから、ひとつまた別の機会にこの問題をまとめて、本調査会として地価対策はこうあるべきじゃないかということをぜひ提言として取り上げていただく方がいいんじゃないかと思っております。  それから、労働時間短縮の御指摘でございますが、確かにこれは大企業よりも中小企業の方が難しい面があると思います。しかし、労働時間短縮は国際的にも我が国が実行しなければならない課題ではありますし、労働省は御案内のとおりに労働基準法の改正をできるだけ早い機会に御協力いただいて通したいというようなことをいたしておりまして、中小企業については三年ぐらいの猶予期間を置こうというようなことでかなりの配慮をしておりますし、それから労働時間の短縮の援助事業というようなことも考えているようでございます。いずれにしても労使で話し合って、企業経営の近代化、合理化を含めて実行に移す工夫をするということがやはり大事だと思っております。  以上でございます。
  13. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) それでは次に、山本正和君の御意見に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
  14. 坂野重信

    坂野重信君 若干の質問を申し上げたいと思っておりますが、山本委員のおっしゃった中で社会資本充実財源について、目的債としての国債の発行、社会資本債としての別枠国債を発行してはどうかということが提言されておりますが、今までやっている建設国債とどう違うのかということをお聞きいたしたい。それが一点です。  二番目は、老人ホーム社会福祉への投資をうたわれておりますが、これについては私も同感であります。特に国民にレジャーを楽しむことや浪費を勧めても、勤倹貯蓄を旨として働いてきた日本人の習性の転換というものはなかなか言うべくして容易じゃない。この間欧州視察を通じて、高齢者福祉の一層の充実が肝要だということを痛感したわけですが、御所見をお伺いしたいと思います。  第三番目は、御指摘がありましたように、国際社会における日本の役割の問題を国民の間にさらに示す必要があるということをおっしゃっておりますが、これは私も同感でございます。特に内需拡大策を効果あらしめ、構造調整を実現するためにも、国民の心構えをこの際切りかえていただくためのPRというものが必要じゃないかと思いますが、こういう点について何か具体的な方法でもあればお教えいただきたい。  それから四番目は、投機に基づく利益をひとつ吸い上げようじゃないかというような御意見でございますが、それをどういうぐあいに把握するか、何か把握する方法があるかどうか。また具体的に、大企業の財テク活動による利益に追加的課税を行うべきだという御意見でございますが、その方法論について何か具体策をお持ちならば、ひとつ御説明いただきたいと思います。以上です。
  15. 山本正和

    山本正和君 第一点の建設国債と、私の方から申し上げました別枠の新たな債券ということについての違いでございますが、これは御承知のように建設国債あるいは特別国債含めまして百五十二兆という大変な額になって、その利払いだけで、この前総理のお話では一九%まで落としたけれども、また二〇%を超える、こういうふうな予算構成になってきている、大変な問題だと。ですから、この国債をどういうふうにしていくかということが我が国財政運営、経済運営にとっての一番基本の部分であるだろう、こう思います。それの一番根本は何かといいますと、やっぱり利払いだろう。  これはどうも私も不勉強だったんですけれども、調べてみますと、国債の発行に当たっていろいろあるようでございまして、例えば戦争に負けた直後に特別減税国債というものを発行して、これは減税と資本蓄積を結びつけるというような趣旨でもって行われた。ですから国債が現在ある形態以外の新たな発想を持ってもいいんじゃないか。これは昭和三十三年までにすべて償還されて、ありませんけれども。  あとは収益事業国債、それから普通国債、普通公債というふうに、いわゆる国庫でもって元利を払うか、あるいは事業収入によって支払っていくかという道でございますけれども、そうじゃなしに、私の方で申し上げたのは、民間のいろんな素封家の連中といいましょうか、あるいは老人で、もう子供たちも全部巣立ってしまったという人たちの財産保全です。そのときに、自分の持っているお金を、別に利子なんか要らぬ、だけれども自分の財産として国なり県なり市町村なりが預かってくれるのならば、それは預けますよと、こういうお金がかなりあるわけです。これは金融資産の把握というのは恐らくできないわけですけれども、そういう形の善意のお金を国が無利子ですけれども責任を持って保証して預かりますと、こういうものをつくったならば、これは利払い要らないわけです。  現実性がないじゃないかと思われる方があるかと思うんですが、これも調査してみたら出てくると思うんですけれども、私はかなりな額がこれによって望めるんじゃないか。これはそういう意味で、社会資本のためにお金を出そうじゃないか、しかし、それは保全してくれよ、こういう方たちに訴えて、我が国社会資本のための充実に寄与してもらう。もちろんそれに対して何もしないわけにはいきませんから、例えばその分については相続税からこれを外す。仮に三千万なら三千万のその公債を持っている人は、それはもう相続税の対象にしないというふうないろんな恩典を、これは財政当局、税の当局がいろいろ知恵を絞ればなし得るんじゃないか。そういうことによって民間に眠っているお金を何とか吸収する方法はないか。  これは先ほど坂野先生お話しのように、もともと郵便貯金というのはそういう趣旨で、もちろんこれは利息がつきますけれども、その郵便貯金に利息がつくところを、利息はつかないかわりに何らかの恩典を与えるというふうな発想ができないものだろうか、こういうことを一遍税の責任者に検討してもらったらどうだろうかというのが私の趣旨でございます。  それから、第二点の老人福祉の問題について、我が国がやっぱり政策としてこれを打ち出すべきじゃないか、こういう御質問でございますけれども、全く同感でございまして、ただ、これをするについて具体的にどうかというので調べてみたわけでありますが、厚生省は厚生白書を出します。しかし、各市町村が老人福祉白書というものを出しているだろうかというのを調べてみると、かなりこれはおくれているといいましょうか、やっているところは少ないわけです。だから、一斉にすべての市町村が老人福祉白書といいましょうか、 そういうものをつくってみる。で、自分の町はどうなんだということを調べてみる。それに対して国全体が整合性のある形でもって老人福祉に対する施策の援助を行うというふうなことをやっぱりしていくべきじゃないだろうかと、私は今そう思っているところでございます。  三番目ですが、日本の国が今後国際社会の中で生きていくときに、日本人がもっといろんな意味での自信を持って国際社会に生きていくということをしなきゃいけないと私は思うわけでありまして、特にこれは我が国が世界各国と比べて大変すぐれているという国民的能力といいましょうか、ということから言えば、科学技術に対する、これは国民の教育水準の高さということとあわせて、大変高いものを持っている。科学技術の中から、例えば従来考えられなかったセラミックスだとか、あるいは今盛んに言われております超電導の問題、大変な新しい技術に対する力を我が国は持っている。そのことを国民の間に、日本の国の将来像としていろんなイメージをもっと与えていくべきじゃないか。  あわせまして、特に我が国が平和外交、要するに国是としての平和の問題を十分に訴えていく。さらには青年協力隊、これは随分活動していますけれども、そんなような問題をどんどん発展させていく。そしてあわせて、これは中央公論の八月号等に載っておりますけれども我が国がこれから生きていく道としては産業構造の転換をせざるを得ないと。その転換するという道は、発展途上国の品物をしっかり買っていける、輸入し得る体制をつくらなきゃいけない。となりますと、産業構造の転換が必要でありますから、そういう展望に立った産業構造に対する政策というものを国として持つべき必要があるんじゃないかというふうなことを思っているところでございます。  さらに、最近高等学校の修学旅行で海外旅行が大分ふえてまいりましたけれども海外の青少年との交流というふうなことを今進めておりますが、それをもっと拡大すべきじゃないかということを思っておるところでございます。  時間がございませんから、最後の投機に基づく利益のキャッチの問題でありますが、これはいわゆる先進国と言ったらおかしいんですけれども、いわゆる民主主義というものを前提として国が成立する場合には、税金を納めるのは当然の義務なんだということからいいましたら、納税者番号というものをきちっと持つべきだろう。納税者番号を持っていない者が株の売買だとか、あるいは土地の投機だとか商品投機だとかいうふうなことをすることは認めないというぐらいにすれば、いろんな意味でのおかしな不公正な取引というものが規制できるんじゃないか。これは大変暴論かもしれませんけれども、そういう方向を目指すような検討もすべきじゃないだろうか。新聞紙上等ではそういうことを言いますと、まず政治家が一番困るんじゃないかというような冗談がありますけれども、冗談じゃなしに、国民的に税という問題についてのあり方をきちっと国民的合意を持つということをすべきじゃないかというふうなことを思っておるところでございます。  以上でございます。
  16. 高木健太郎

    高木健太郎君 山本先生にお尋ねいたします。  ここに書きましたものの中で、もう先生お読みいただいたと思いますので第一は省きまして、二、三、四についてお尋ねいたします。  労働時間の短縮というのは、諸外国並みにするんだということはいいと思いますが、日本国民性というのがあって、企業への忠誠心とかあるいは身内意識とか、そういうものが日本人は強いわけでございます。もしも労働時間に相当した給与が得られればもちろんでありますが、得られなくとも日本人は働きたいと思うんではないだろうか。また、余暇をいかに用いるかにつきまして心のゆとりと知識に乏しいのではないか、こういうことをお聞きします。  第二番目は、流通機構が複雑多岐のために、エンドユーザーに対してしわ寄せが来るということはわかります。しかし半面、そういう流通機構があるために、種々のサービスを私たちは受けることができますし、人間的なつながりが濃いという利点もあると思うのであります。また、多くの段階で少しずつ多くの人々が少額のマージンを得ているために、多くの人々が生活できている点も日本産業の特色として見逃せないと思います。そういう合理性の不徹底さの中に日本の経済が維持されている、そういう特徴があるのではないかと思いますが、その点に対してはどういうふうにお考えでしょうか。  また第三番目に、労働時間と関係しますけれども欧米では定年になることを大変喜んでいる人が多いわけですが、日本では定年後も働きたい、あるいはまた働かねばならないと。それは定年前と同様な生活維持をするのに足りない、少ない年金が問題なのか、あるいは日本人の働きバチ的な性格のためか、この点に対する御意見をお伺いしたい。  以上、三点でございます。
  17. 山本正和

    山本正和君 労働時間の問題で一番の難しい問題は、今御指摘の私たち日本人が持っている働きたい、働くことはいいことであるということがどうしても根底にございますから、恐らく精神的な一番難しい問題だろう、こういうふうに思います。  ただ、ここで労働というのは一体何なんだということについての、これは私も長い間学校の教員をしておったことも含めて反省もあるわけでありますけれども、働くということの意味あるいは労働ということの意味、それが国家、社会にどのような役割を持っているんだということの意味について、教育の場できちっと教えてきただろうかというふうな反省も私はあるわけであります。  ですから、国が労働というものに対してどういうふうに思っているかということについてのやっぱりPRといいましょうか、国民に対するさまざまな働きかけということをしていかなければいけない。結局、もっと言いますと、市町村も含めて行政が労働ということについての意味をもっといろいろと国民皆さん考えてもらうようにしていくべきじゃないだろうか。働くことというのは大変とうといことだという思想は大切なわけでありますから、それを持ちつつも、しかし、いわゆるヨーロッパが言う働き過ぎというふうなことについての問題点を考えていくべきじゃないかというふうなことを思っておるところでございます。  流通機構の問題につきましては、これも御指摘のとおりでございまして、特に売上税の問題のときに大変な国民的反対が起こったのは、恐らくこの流通機構の中にある多くの段階で大変な御苦労をして商売しておられる方々のお気持ちを刺激したということだろうと思うのでございますし、また、それが我が国の特別な義理人情というふうな言葉で言われる社会にもなっているかと思うわけであります。  ただ現実として、小さな町まで行きましても、いわゆるかつての問屋制度というふうなものがどんどん崩れつつある、流通機構が大きく変わりつつある。ですから、商店がなかなか商売しにくくなっているというふうな問題がございます。したがって、そういう商店がそれぞれの地域の商工会議所やあるいは商店会、専門店会等で議論しております中にも、この流通構造の改善問題が議論されておるように聞いております。そういう意味で、この問屋制度が崩れつつある、そして新しい流通構造を今やっぱり市場が求めつつあるのではないかというふうなことを思っておりますので、大変難しい問題でございますが、今後、いろいろと行政当局からもこれに対する検討を加えてもらったらというふうに思うわけでございます。  それから、老人問題で、定年後の生活の問題でありますが、これは私も実は退職教職員互助会の理事長をしておりまして、老後に対するいろいろな調査等をいたしております。そうしますとやっぱり楽しい労働、楽しい仕事、そしてできたら収入がある仕事をしたいと、こういうのが圧倒的でございます。従来、老人ホームといいますと、中に入ってしまって閉じ込められて、うば捨て山の ような格好になっている。しかし、その老人ホームに仮に入ったとしても、そこで何か仕事ができないか。例えば植木でもいいし、お花なんかの園芸でもいいし、あるいは健康野菜でもいいしというふうなものが施設としてつくれないかというふうな話等もございます。ですから、これは社会全体として長い間御苦労いただいた、そしてその仕事を今去っていかれる方に対する生きがいの問題として、いろいろと議論をしていかなければいけないんじゃないだろうか。ただ、当面どうしたらいいかということにつきましてはなかなか私も結論を得ませんし、今からいろいろとお教えをいただきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  18. 吉川春子

    吉川春子君 山本委員に対して三点質問いたします。  まず第一点は、衆議院本会議で貴党の代表質問で、円高不況は中曽根内閣の経済運営の失敗が大きな要因であり、その責任は問われなければならないとし、さらに緊急経済対策を見ても、依然、旧来の延長線で発想された場当たり策にすぎないとしています。私もそれには同感です。国民生活の質の画期的な向上のための内需拡大として、今回の緊急経済対策ではほとんど効果が期待できないのではないかと思いますけれども山本委員の御意見をお伺いしたいと思います。  二点目は、社会資本充実のための財源として、目的債としての国債の発行、社会資本債としての別枠国債の発行をしてはどうかとおっしゃっておられますが、これは国債の増発につながるおそれがあります。財政再建に逆行するのではないかと思いますが、いかがですか。  三点目。今回の野党の委員から出された内需拡大策や衆参の代表質問を見ますと、幾つか我が党との考えの一致点があります。例えば、内需拡大国民生活の向上に資するべきこと、円高不況は政府の失政であること、貿易不均衡の原因は米国にも一定の責任があること、生活関連公共事業、中でも公共住宅を重視すること、大幅減税、そしてマル優廃止反対、賃上げ、時短、週休二日制の実施、それからキャピタルゲイン課税などです。この一致点をさらに詰めていけば、国民生活向上のための内需拡大策について本調査会の報告書を作成する上で有意義だと思いますが、いかがでしょうか。  以上です。
  19. 山本正和

    山本正和君 実は、これは本調査会の趣旨としては、調査会委員皆さん方で割合自由な討議をしながら、できるだけ一致した意見を求めて、そしてそれによって政府に立法勧告もしくはさまざまな助言等を行うというのが趣旨かと思うわけでございます。そういう意味から言いまして、この調査会の役割は本会議の場やあるいは他の法案審議の場とは若干異にするというふうなことを私は思っているわけでございます。そういう意味で、それぞれの政党の政策としてはこれは違いがあるのは当然でございまして、野党としては政府・与党に対して厳しく批判をするというのが民主主義の当然あるべき姿でありますから、その意味からいえば、野党各党間の意見の一致する部分が多かろうというふうに思います。しかし、そういうことも含めまして、本調査会としてはできるだけ多くの一致点でもって政府に対する施策の改善を迫っていくということで臨んでいきたいというふうに思っているところでございます。  それから、社会資本財源としての目的債の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、実は赤字国債というふうに言われますし、いわゆる特例公債でありますし、建設国債、建設公債でありますが、これはいずれも利払いをしなきゃいけない、そして元利払いをしていかなきゃいけない。それがもともとは例えば十年物なら十年後に償却するものを、今までのいろんな立法措置等によりましてこれを六十年間でもって返済してもいいようにした、例えば建設国債のような場合ですね。しかし、いずれにしてもそれが後世代の財政を圧迫する、いわゆる子孫にツケを残すというふうな問題になってくるわけでございまして、そういう意味での利払いを必要とするところの国債というのはいろんな意味での問題があろうかと、それが財政法で定めているところの精神だろうというふうに思います。  ところが、国民が持っているお金を政府が預かると。要するに、国民の金庫にしまってあるお金をもし政府が預かるということであるならば、これは財政上の何らの圧迫も要しない。それからもう一つは、そのお金を一遍に引き出すというような問題、これも考えた場合には大変でございますけれども、そういうことは事実上あり得ないということですから、国民の今持っているお金を政府が預かる。その預かったお金は無利子だけれども、そういう公共のために使ってくれているんだからそれに対する何らかの減免、税に対する措置等を講じて預かるというふうな格好で使うということは決して国家財政上の問題にはならぬじゃないかということで、この問題を提起したわけでございます。ただ、いろいろと技術上問題がございますし、今までの財政上との関連もありますから、これは財政当局あるいは税の担当の方が十分にいろんな角度から検討していただいて、郵便貯金等との整合性も図らなきゃいけないというふうには思います。  それから最後の、本調査会での報告書を作成する上に国民生活の質の向上からこれは何としてもやっていこうじゃないかと、こういう御趣旨については全く賛成でございます。
  20. 三治重信

    三治重信君 三つ質問出しておいたんですけれども、目的債の点についてはもう自民党からの質問で御回答があって、目的債というのは利子のない国債ということで非常に新しいアイデアだと思うんですけれども、ただ、それだけでどの程度の金が集まるだろうか。確かに一つのアイデアとして、国債の一つの項目としてとにかく一応世論に聞いてみるということもいいんじゃないかと思います。  それから、投機に対する課税ということがよく言われているし、また我々野党もよく主張するわけなんですけれども自民党からの御質問のように、それを把握する方法についてまだ具体的にいっていないような気がする。今初めて納税者番号とか背番号制とおっしゃるんですが、私も投機なり財産所得に対する総合課税ということをしっかり主張するためには、やはり納税者番号制度というものを主張していかないと整合性がない。ただ投機に対する利益の課税というだけではうまくいかぬじゃないかと思うんです。この納税者番号制度が、この前のグリーンカード制の廃止のようにいわゆる財源所得を一々全部洗わされるということになってはいかぬじゃないかと思うんですが、そういうような配慮についても今後とも研究していってみたいと思う。この納税者番号制度というものは、私はやはり財産所得や投機所得に対する対策としてぜひしっかりした主張をしていただきたいと思います。  それから、都市計画は道路計画だとこういうふうにおっしゃっているんですが、これは本当に同感で、道路予算というと地方の田舎へ道路をつくることはかり考えているというような気がするが、実際は本当の都市計画をやるには道路をまずやって、そこベガス、上下水道も引いて、そして道路のわきに住宅が建つのがいい。住宅政策も何も都会においてはやはりまず道路だと思うんですが、こういうふうなものについて道路予算なんかでももっと都市のそういう都市計画にもっと道路の費用を費やすべきだと思うんですが、どうなんですか。
  21. 山本正和

    山本正和君 今、三治先生指摘ございましたように、税の問題、やっぱり根本的にはすべての納税者に対する不公平感をなくすというふうな形での模索をしていかなければいけないという意味からいいまして、私も納税者番号ということは大変いいことだなというふうに思ったわけでございますけれども、ただ御質問、前にありましたグリーンカード制との関連がちょっとありましたので、グリーンカード制の場合よりはちょっと納税者番号の方が若干意味が変わってこようかと思い ます。  それは、何といいましょうか、税金を納めている者は税金を納めているという国民的義務を果たしているんだというその証明を自分は持っていると。その証明を持っている者が日本という国がつくっているさまざまな社会制度の中でのいろんな権利を保有するんだと。こういう意味で、何か国民総背番号制というふうな、あるいはプライバシーの侵害というような意味じゃなしに、むしろ国民としての権利義務の関係の一番の出発点で納税者番号というものを考えていくべきじゃないだろうか。  そういう発想でのこの制度を検討した場合には、投機に基づく利益というよりも、ただ単にとにかくひたすら利潤を追求するためには世の中がどうなっても構わぬというふうな格好でのものは規制できるんじゃないだろうかというふうな気がいたします。そういう意味での納税者番号というものをもうこのままで来たら考えいかなければ、国民の間にある不公平感というものはなくならぬじゃないか、こんなような気持ちでこの問題につきまして私は申し上げたところでございます。  それから都市計画の問題は、実際に私どもヨーロッパアメリカへ参りますと、何でこんなに整然とした町づくりができるんだろうというふうにいつも思いますが、いずれの町も古い歴史を持っている、例えばパリにしてもロンドンにしても古い歴史を持っているわけでありますけれども道路を先にきちんとつくって、その道路に合わせていろんな建物を建てでいっている。ですから建物そのものが道路と景観が損わないようにできている。ですから、これは坂野先生御専門でございますから私もいろいろお教えをいただいたんですけれども、パリの建物の外壁にしてもイギリスの建物の外壁にしても、主要道路に面している建物の外壁をそのまま保存して、そして長い歴史と伝統を保っていくというふうなことを考えている。  こういうふうなことからいいましても、やっぱり都市計画の前提として道路というものをまず考えて、それからやっていくということをしていかなければいけないだろう。ですから都市の再開発ということがいろいろ言われておりますけれども、そういうことも含めましてぜひとも今後の行政の中に、政治の中に生かしていただいたらどうかというようなことを思っているところでございます。  以上でございます。
  22. 平野清

    ○平野清君 五点お伺いするように出してございますけれども、三番目はもう既に何人かの方が目的税のことでお尋ねになりましたので省かせていただきます。  一番目に、不動産売買による不当利益は許さぬということは全く同感でございますけれども、その「国民的決意」というのは実際にはどういうことをお指しになっていらっしゃるのか。例えば何か国民がみんなで決議と言ってはおかしいけれども、大きな規制の法案を要求するとか、何かそういうことを指していらっしゃるのか、ちょっとお聞かせいただきたい。  それから、しばしば委員会でも先生お話しになりまして、私有地を寄附しようと思ってもいろんな規制があってうまくいかないというようなお話もございました。その実際の隘路というのはどこにあるのか。御見聞されているようですので、ぜひお伺いしたいと思います。  それから三番目に、メーカーから直販制度をやったらどうかという大変ユニークなお考えをお述べになりました。ただ、ちょっと考えてみますと、一部の地域の人だけがもうかるような弊害がないのかな。それから内需振興のための商店街育成に対するそれとの矛盾はどうするのかなと。例えば自動車なら自動車ですと、内地では統一価格だけれども、海を渡る北海道は北海道渡しで値段が違うわけですね。そういうときに国民の地理的な立場、それからいろんな面で不公平が生じないかどうかというような危惧もありますので、ちょっとその点をお聞きしたい。  最後に、パート労働者を保護すべきだ、これも全く同感でございます。労働基準法でいろんなパートの人たちを守っていくのは当たり前だと思いますし、パートの人たちがもう普通の勤務者と同じような長期間働いている人がふえているわけですね。したがって、労基法で守ってやるのは当たり前でしょうけれども、もっと非課税の枠、例えば今九十万円ですけれども、せめて月額十万円、年間百二十万円まで拡大してやるとか、一般労働者と同じように三年なり五年なり勤めたら退職金制度を設けてやるのがこれからの、特にサービス産業拡大する上で大事なような気がしますが、お考えをお聞かせいただければありがたいと思います。
  23. 山本正和

    山本正和君 ちょっと私も言葉が滑りまして国民的決意なんということを申し上げたので、若干誤解を招いた部分もあるんじゃないかというふうに反省いたしておりますが、土地というものの持っている公共性の部分、要するに私有地であっても土地というのは国民全体の財産なんだという観点について、やっぱり今我が国は弱いんじゃないか我が国国民性としてその把握は弱いんじゃないですか。ですから、ロンドンのシティーのあの部分土地の価格とニューヨークのウォール街の価格と東京と比べた場合に大変な違いが出ているわけでございますね。  そういうふうなことで、では一体我が国はほうっているのかといって調べてみますと、実は国土利用計画法というのがございまして、土地が著しく投機の対象になる、あるいは暴騰する危険性がある場合には、例えば都道府県はこれに対する規制の措置を講ずることができる。都道府県がその規制の措置を講じない場合には内閣総理大臣がこれを講ずることができるというふうに国土利用計画法でなっているわけでございます。  ところが、その国の発動にしても、都道府県の土地の価格暴騰に対するそういう規制措置の発動にしても、ただの一度も今まで我が国はしたことがないわけです。それは結局、私権の制限というふうなことに対するさまざまな問題がありまして、また政治的にもいろいろ難しい問題があってなかなかできないんだろう。ですからそれは法律にちゃんとあるわけですから、法律を国会が通しているわけですから、それに基づいてなぜやれないのかというのは、まさに国民的な感情の問題だろうと。  そこを、土地は絶対に値上がりしたらいけないんだ、あるいは土地の値上がりによって不当な利益を求めてはいけないんだということが一般化しておれば、恐らく東京都は真っ先にこの規制の発動をして、土地の価格を抑制したと思うんです。それをやることができないという国民状況がある。それを何とかしなきゃいけないんじゃないかと、こういう意味で申し上げたのでございまして、本当は東京都の土地暴騰の問題でも法律を適用すればできる。それができない。その辺に我が国土地問題に一つの問題がありはしないかと、こういうことで申し上げた次第でございます。  それから、私有地を公共へ寄附するという場合、市町村が寄附を申し入れてもらっても、どうにもここでは困るというところがあるわけですね。それでも寄附して、何か役に立ててくれと。そういう場合は寄附を申し入れした者に対して、市町村としていろんな意味での、例えば替え他あるいは一時預かり等の施策等が講ぜられるならばもっと有効に活用できるんじゃないだろうか。しかし、それがもう今ほとんどされていない、できないと。これは条例の問題かも知れませんけれども、その辺をもっと風穴をあけてはどうなんだろうかということを思ったのでこういうことを申し上げたわけでございます。  パート労働者の問題は本当に大変な問題でございますが、ただ残念なことに、労働省も含めまして実態調査が大変おくれております。これは全国的にパート労働に対する実態調査を精密に行って、精緻に行って、そしてその後にこれはやっぱり法的整備が必要じゃないかというふうな感じがいたしておるところでございます。  以上でございます。
  24. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) それでは次に、矢原秀男君の御意見に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
  25. 坂野重信

    坂野重信君 三点用意しておりましたけれども、時間の関係もございますので二点について矢原委員にお伺いしたいと思います。  第一点は、先生の御提言の中で、グランドデザインを策定して、場当たりの緊急避難措置でなく、長期的視野に基づいて経済対策なり公共投資を推進すべきだとおっしゃっています。これは原則的には同感でございますが、政府でも国土開発計画の一環として御案内のように四全総計画を今策定しておりますし、そして二十一世紀までの全国計画を固めておるところでございますし、また御案内のとおりに各省庁は各省庁でそれぞれ長期計画、五カ年計画なり長期計画というものを持っているわけですが、先生なり公明党さんでおっしゃっているグランドデザインというのはどういうようなことをお考えになっているのか、それをお示し願いたいと思います。  ついでに第二番目も申し上げます。高齢者雇用確保についても御指摘になっておりまして、この問題は予算委員会でも議論になりましたが、政府でも百五十万人の高齢者雇用ということを目標としているということを答弁しておりますが、端的に言ってどうすれば高齢者の雇用を確保できるのでしょうか、御説明願いたいと思います。  以上二点です。
  26. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 今グランドデザインの概念の定義づけという問題からいろいろと御質問いただいたわけでございますが、私どもは二十一世紀の高齢化社会を迎えるに当たりましてトータルプランを研究、立案いたしました。それが昭和五十一年でございまして、それから中間報告を昨年の五月に発表をさせていただいたわけでございます。これは国民生活分野にわたるナショナルミニマム、国民福祉最低水準を設定して、それを実現する実行可能な福祉型経済成長の経済財政政策を提起したものでございます。  このビジョンの目的は、第一には国民的な目標の喪失の今日にあって新しい国民的目標を国民皆さん提案をしたということでございまして、第二には経済社会のシステムの改革の方向づけを行い、その実践のための具体的プランを提起したわけでございます。第三には新しい社会創造を軌道に乗せる経済政策を提起した。こういう三つにビジョンの目的を置いたわけでございます。  今、先生のお話のございました四全総は、確かに長期的視点から国土の総合開発の基本的方向を明らかにしております。これは明確でございますが、この四全総にも限界が今の時点ではあるのではないかなと我々も疑念に思っている一つは、「計画の効果的推進」のところで次のように述べられているわけでございます。「この計画が国民福祉の向上という究極の目標の達成に向かって総合的効果を発揮するためには、教育、文化、環境、社会保障、産業、科学技術、労働などの諸施策、さらには対外政策などこの計画の領域を越えた基本的な諸施策が展開されなければならない。」、こういうふうに四全総みずからが疑問点の大きな課題を今後に残されております。  これはやはり、各省別の長期計画が確かにその根底にはあるわけでございますけれども、縦割りという線が非常に強いために各省庁との整合性の問題、こういう一本化された構想というものが非常に問題であると提起されているんではないかなと我々も思っております。そういう意味で、確かに四全総、各省庁の非常にすばらしいものがございますけれども、今後の問題として整合性の、一本化された構想、これが必要である。  そういうようなことで、詳しくは申し述べられませんけれども、私たちも提案している二十一世紀トータルプランというこのグランドデザインもやはり四全総や各省庁の中でも生かしていただきたいな、こういうささやかな希望を持っておるところから先般御提言申し上げたわけで、大それたことはないのでございますが、私も最後にこれに加えますと、三全総、四全総にも私委員として参画をさせていただいておりました。それで、いろんな日本全土の構想に対して財源が明確でない、こういうふうに四全総の会議の中で私も、三全総でもそうでございましたけれども提言をさせていただき、その方向に大きく動いていただいたことも事実でございます。そういうようなことで、非常に抽象的でございますけれども、専門家の先生坂野先生から見ると非常に御不満かと思いますけれども、きょうはこの程度にさせていただきたいと思います。  第二の、高齢者雇用確保の問題でございますが、長期的には欧米並みに、六十五歳定年を目指して段階的な定年延長や勤務の延長制度、再雇用制度をつくっていくべきであろうかと思っております。二番目には、当面の施策としては高齢者の特性にふさわしい職業開発、それからパートタイム、ハーフタイム、フレックスタイムなどの新たな労働・雇用形態の取り入れや、情報化、ME化に対応する高齢者職業訓練の充実などが必要であろうと思います。三番目には、労使協議においては六十五歳までの雇用を前提とした人事、賃金対策検討がなされ、確立されていくことが望ましいと思います。四番目には、国や地方公共団体においては職種別の最低雇用率を策定して、積極的な高齢者雇用を果たしていかれたらいいと思うわけでございます。五番目には、民間企業高齢者就労に対する助成はもっと拡充すべきではないかなと思っているわけでございます。
  27. 山本正和

    山本正和君 矢原先生にお尋ねしたいのは、住宅優遇税制につきましては、さまざまな形で五点にわたって御指摘がございまして、いわゆる計画的住宅貯蓄に対する利子非課税等御説明いただいたわけでありますが、大変関心を私も強く持ったものでございますから、もう少し具体的に、実はこういうことで大変いいんですよというふうなお話をいただけたら、こういうふうに思うところでございます。  それから二番目に、地方債の問題が、実は私も県の段階でいろんなことをやってまいりましたことから非常に地方債についての問題点いろいろ持っているわけでございますが、先生からごらんになりまして、現行地方債について、実際はこういうところで障害があるんだということで御指摘をいただいたらというふうに思うのでございます。
  28. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 山本先生からの二点についてお答えさしていただきます。  まず住宅優遇税制について、私たちが思っておりますことは、一つ欧米では良質な住宅ストックが多いわけでございます。背景の一つには、各種の住宅優遇税制が実施されていることが挙げられていると考えるわけでございます。どのような優遇税制があるかについては、さきの委員会でも五項目を挙げた次第でございますけれども。  二番目には、主要国の国税収入に占める住宅減税の比率を比較いたしてみますと、一つは米国は四・六%、三百八十億ドル。ですから六兆円にわたっております。二番に英国は三・八%、三番、フランスが一・五%。四番は西ドイツで一・三%、五番目、日本は〇・三%と、非常に我が国はけた違いに低い比率となっております。こういうふうな面も参考にしていかなくてはいけないと思っているわけでございます。  三番目には、もともと我が国住宅価格は高く、年収の六倍程度になっております。米国や英国が年収の三倍程度であることを考えますと、住宅の取得が著しく困難であることが理解できるわけでございます。住宅税制は反対に欧米の方が進んでおります。欧米からのウサギ小屋との批判に対しましても、今後は、検討がおくれている住宅税制に関する論議を深めて実施していく必要があろうかと思います。  ここでちょっと付言いたしますと、日本公共住宅でも全国で二十五万世帯がおふろがない。こういうふうなことでもウサギ小屋などの指摘を受けているわけで、そういう面の改善もしたい、こういうことでございます。  また、住宅の優遇税制の具体的な内容についてでございますけれども住宅ローンに対する利子の非課税の問題でございますが、住宅ローン減税は欧米の多くの国でも持ち家取得の促進を図っているために実施されております。また、広く一般国民が利用できる基本的助成手段となっております。例えば米国の場合、住宅ローンの利子控除額に限度を設けず、控除期間も借り入れの全期間について認められております。一九八五年の利子控除による国の歳入減、減税だけでも四兆五千億円という大きな額になっております。米国ではこの制度で持ち家率を三から五%高めたと言われております。その他、英国、西独、フランスでも住宅ローン利子非課税が実施されているわけでございます。そういうようなことで、私たちも参考にしたいと思っているわけでございます。  また、持ち家に対する減価償却の問題でございますが、減価償却という概念は、我が国所得税制上では、アパートなどの貸し家では認められておりますけれども、持ち家では認められておりません。西ドイツなどでは、持ち家である住宅を使用することにより住宅の材としての価値が減少するとして、その分を所得控除しております。  また持ち家居住者の帰属家賃非課税の問題でございますが、持ち家所有者に減価償却を認めている場合には、持ち家を持たない者と比較して不公平が生ずるため、持ち家に対して家賃相当額の課税をするという制度を設けておりますが、これさえも非課税としている場合もございます。  最後に、貸し家に対する割り増し償却でございます。アメリカでは、一九六九年から八一年の間、減価償却率を建物の実際の減価率以上に認めることによって、賃貸住宅への投資を促進することを目的として加速償却の制度を行った実績がございますが、こういう問題もいろいろ我が国も複雑でございますけれども、何とか参考だけでなしに生かしていきたいなと、こう希求をしているところでございます。  それから、我が国住宅事情でございますけれども住宅の総数が三千八百六十一万戸で、最低水準の三DK、五十平米以下に達していない世帯が三百九十九万戸、一一・五%でございます。一世帯当たりの住宅数が一・一〇戸でございまして、住宅及び住環境の不満を持つ世帯が四六・一%でございますが、欧米主要国の満足率は七〇%から八〇%でございます。我が国ではそれに比べると非常に不満が大きいわけでございます、四六・一でございますので。住宅の価格も先ほど申し上げたようなことでございますが、いろいろと各国の例を申し上げましたけれども、参考にして今私たちも検討しているところでございます。  次に、地方債の問題ですが、今回も一番大きく問題になっておりますので、はしょって申し上げたいと思いますが、もし時間かかりましたらお許しを願いたいと思います。  この地方債許可制の経緯の問題は、先生も御承知だろうと思うわけでございますが、その経緯につきましては時間の関係で抜かせていただきたいと思います。  一つ地方債許可制の経緯の問題、二番目には起債許可制度の歴史の問題。三番目には起債許可制を廃止する理由の問題、ここへ直接入ってまいりたいと思います。  私ども先般申し上げましたときには、起債許可制を段階的に廃止するというふうに申し述べたわけでございますが、この「段階的」を取らしていただきました。  その一つ地方行政調査委員会議の勧告、昭和二十六年。これは総理の諮問機関でございますけれども地方債の発行は、原則として地方公共団体の自由として現行の制限はすべて廃止することを勧告する、こういうふうに言われたわけでございます。ただし、地方財政の健全化を図り、地方債の信用の確保のため、公債償還費が歳出の一定割合を超えないよう地方債の最高発行限度を決定するなど、数点条件が明らかに付されているわけでございます。  また、これについては、学者の意見としても、一つは前述の許可制の理由の問題につきまして、国が地方を監督するという立場に立つもので、地方自治の根本に抵触する干渉をしてはいけない。これは省略いたしましたけれども三、四というものがありまして、それに対する批判です。それから、そこには住民、地方議会による民主的規制を尊重し育成するという考え方は全然ない。また、起債許可基準や赤字比率で縛ること自体本末転倒していることで、地方債の累積要因を正しくとらえるならば、地方に自主財源を付与すべきであると考えることである。また、国の立場で一定の規制が必要であっても、適正な公債依存の基準を算定し、法律によって一般に規定し、地方自治体の自主的な遵守を促すべきものと考える。  また、許可制の理由の二については、全国三千三百自治体に対して適正な配分をする場合には、妥当な理由と考える。なぜならば、資金配分を放任する限り適正な資金配分は必ずしも期待できないからである。しかし、その場合でも、資金配分に当たっては行政府から独立した公正な機関によって民主的に財政資金が配分され、弱小自治体にも必要に応じて良質の資金が配分されるように配慮されなければならない。また、自治大臣が大蔵大臣と許可するに当たり事前に協議することは、資金の総需要調整あるいは政府の意向の調整のため必要なことである。しかし、これは地方債計画の作成のためであって、起債許可に関することではない。というのは、起債申請の二元化を生み、起債手続と機構を無用に複雑化して地方自治体の自治的な財政運営を妨げることになるからである。  起債申請の二元化というのは、一つとしては財務部から財務局、大蔵大臣、二番目には都道府県知事から自治大臣、こういうふうなことがあるわけでございますが、いろいろの説というものに対して公明党といたしましても、地方自治体の活力、こういうふうな芽を育てていくためにも、地方債の許可制の問題についてはもっともっと検討すべきであるというふうなことで一部申し述べさせていただきました。御答弁させていただく用意はこれの三倍ぐらい用意しておりましたのですが、非常に時間が経過しておりますので、これで御勘弁をお願いしたいと思います。
  29. 吉川春子

    吉川春子君 矢原委員に二点お伺いいたします。  第一点は、公明党の代表質問において「日米の貿易不均衡の拡大については、日米双方に構造的要因がある」と言われ、政府が米国に対して経済、財政政策を改善するように強く迫る必要がある旨の質問をされておりますけれども、米国の貿易赤字の原因とこの解消のために日本として、公明党としては具体的に何を要求すべきであると考えておられますか。  二点目。今回の矢原委員から示された内需拡大策、あるいは衆参の貴党の代表質問を見ますと、幾つか我が党と考えの一致点があります。例えば内需拡大の目的は国民生活向上のために行うこと、円高不況は政府の失政であること、貿易不均衡の原因は米国にも一定の責任があること、生活関連公共事業や、中でも公共住宅を重視すること、大幅減税、マル優廃止反対、時短と週休二日制の実施、賃上げ、キャピタルゲイン課税などです。  以上、本調査会の報告書にこれらの点を盛り込むことができるし、その必要があると思いますけれども、矢原委員の御意見をお聞かせください。
  30. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) 時間が各会派別に限られておりますので、なるべく簡潔にお願いいたします。
  31. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 まず二番目の御質問に対しましては、内需拡大国民生活向上に資する問題、二番の円高不況は政府の失政であること、三番は貿易不均衡の原因は米国にも一定の責任があること、四番の生活関連公共事業の問題、五番の大幅減税、六番のマル優廃止の反対、七番の時短と週休二日制の実施の問題、八番の賃上げ、九番のキャピタルゲイン課税など、こういう一致点については同感でございます。そういう意味で本調査会の 報告書作成につきましては異論はないと思うわけでございます。  もう一点の米国問題でございますけれども、この問題につきましては、一つは米国の貿易赤字の現況でございますけれども、これは米国のスマート商務次官、この話の中にも、米国の赤字幅は約千五百億ドル、これに対し欧州は七百五十億ドルの黒字、日本は七百億ドルの黒字。米国の赤字が千五百億ドルでございますが、一九八六年には千六百九十八億ドル、こういうふうに言っているのが正しいと思います。  そういう中でアメリカの問題としましては、マクロ的な要因としては、一つ、為替レート。いわゆる八五年までのドル高、その後修正されているけれども効果がない。二番目には経済成長率の格差の要因、三番目には貿易構造要因、こういう点に問題がございます。そしてまた別な面から、構造的な要因としては、一番は国際競争力の低下、価格や非価格競争力の二つでございます。二番は生産能力の不足、三番は海外調達の拡大、四番は企業の経営姿勢等々、これがアメリカには問題がございました。  そのほか、輸出入の所得弾性値の問題でも、米国は輸出について一・一三五でございますが、輸入は二・二五八になっております。日本は輸出が一・七一七でございますが、逆に輸入は〇・七四二でございます。こういう問題もございます。  また、分析の一つ対策といたしましては、貿易赤字削減対策としては、一つはドル安だけでは一向に赤字は是正されない、限界があります。二番目には財政赤字の縮小、それから三番目には民間の過剰な消費体質の見直し、四番目には産業の国際競争力を強化すること、五番目には日本並びに欧州、特に西独の内需拡大等をアメリカはやらなければなりません。  最後になりますけれども、私たち公明党といたしましては、特に保護貿易主義の台頭を懸念しております。ベネチア・サミットに対する我が党の要望事項の中にも、保護貿易主義の台頭は世界経済の安定的成長の阻害要因である。このため、先進各国は協力して保護貿易主義の台頭を抑制し、自由貿易体制の維持強化に向けて再確認すべきである。二国というより国際的な広い取り組みが大切である。そのためにはウルグアイ・ラウンド、多角的貿易交渉の役割は世界経済の活性化を図り自由貿易体制を拡大するためにも重要になっているとして、新ラウンド交渉の進展に各国の協力を呼びかけていきたい、こういうことでございます。  また、円高・ドル安など、これ以上の通貨の変動は国際経済の安定の障害となることは明らかでございますので、為替レートの適切な安定と維持のために協力体制を一層強めなければならないと呼びかけているところでございます。
  32. 三治重信

    三治重信君 三つ御質問いたします。  お述べになっている中で、国土利用計画法の抜本的改正が言われておりますが、その中身には、土地信託方式とか都市開発による土地の有効利用とか、それから地方への分散等を盛り込むというようなことになっておりますが、この抜本的な改正の中身を教えていただきたいと思います。  それから二番目には、いろいろ高齢者対策の中で、先進国で実施されている部分年金、部分就労の段階的導入ということが言われておりますが、この部分年金、部分就労というものについての外国の例について御説明願いたいと思います。  それから、住宅基本法を制定するということについては賛成でございます。住宅優遇税制について、先ほど他党の質問でいろいろ外国の例が非常にたくさん出されて、盛りだくさんの住宅優遇税制が行われておりますが、不動産保有税の軽減というふうなことも書いてございますが、私は大都会の中で土地の保有税というものの軽減をやっていくというと、大都会の土地解放というものが進まない。やはり不動産の保有税を高めていかぬというと、土地の有効利用の点からも大都会の土地解放というものが進まぬと思うんですが、それに対してお考えをお聞きしたいと思います。  以上三つです。
  33. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 まず、最初の第一点でございますけれども、六十一年度の国土利用白書によりますと、一つは、東京圏の地価の急上昇は、我が国の国際化、情報化等への対応を背景に五十八年ごろから商業地を中心にあらわれ、既に収益還元の価格水準をはるかに超えており、都心部、区部南西部に天井感が出てきているが、それ以外の東京圏では、特に住宅地を中心に地価上昇が見られるとしている。こういう問題。  二番目には、その基本的な要因として、一つは都心部における旺盛な事務所の需要、二つ目には金利の緩和を背景とした土地の投機的取引や需要の増大、もう一つ加えますと、都心部等の業務地化に伴う住宅地の買いかえ需要が挙げられる。  また三番は、地価抑制策としても、東京一点集中是正と多極型の地域構造の形成、都市再開発による土地の有効利用、土地供給の推進、埋立地、工場跡地、そういうような問題解決を図る必要があるとされております。それは国土利用計画法の改正でありますけれども土地の投機的取引を抑制するため、所有期間二年以下の超短期の譲渡益に対する重課税制度の改正が提案されたところでありますけれども。  二番目、東京都においても、御案内のとおり、六十一年十二月より東京都土地取引の適正化に関する条例が施行されました。届け出対象面積が五百平米以上二千平米未満だったものを、七月の一日から三百平米以上二千平米未満の土地に引き下げたのでございます。これは都内二十三区と武蔵野市、三鷹市。また七月の一日から五百平米以上二千平米未満の届け出対象地域を新たにふやしております。  三番目には、国土利用計画法の概要として、四十六年以降、数年間続いた金利の超緩和と、それとほぼ同時に発表された日本列島改造論が引き金となりまして、全国的な地価の高騰がもたらされて、土地問題がかつてないほど深刻化したのも事実でございます。その早期解決策として、四十九年六月に制定されたものでございますけれども、その概要は今申し述べたとおりでございます。  そこで、御質問の公明党の国土利用計画法の改正案でございますけれども、抜本改正の中身は、一つは規制区域の積極的な指定、届け出制の強化、違反者に対する罰則強化等、運用の強化で地価の安定と土地投機の規制を図っていきたい。二番目には、遊休地の買い取り請求等への対応に万全を期すため、特別基金制度を創設することでございます。三番目には、国公有地の届け出も考慮をすること。四番目には、土地信託方式や都市再開発による土地の有効利用は土地供給の問題であり、また、地方分散は東京一極集中是正の問題であります。いずれも国土利用計画法とは別次元の問題と考えております。非常にいろいろの問題もございますけれども、そういうふうに考えているわけでございます。  それから二番目の問題でございますけれども部分年金、部分就労についてまず説明をさせていただきたいと思います。  一つは、OECDの諸国では、年金支給開始年齢に際しましてはさまざまな弾力化措置がとられております。ほぼ先進国では六十歳から六十四歳は減額による早期受給が、六十六歳以降は増額による繰り下げ受給が可能となっております。  また二番目には、年金支給年齢の弾力化の内容は国や制度によって多岐にわたっておりますけれども、そのうちスウェーデンでは部分年金制度と称し、六十から六十四歳の労働者に対して、本人が労働時間の短縮を認める条件の労働を認め、短縮によって得ることができなかった賃金の半額を年金で支給する制度がございます。六十から六十四歳の人口の一四%がこの年金を受けております。スウェーデンでは、社会保障の問題もさることながら、世界一の高齢化社会を迎え、高齢者を社会がいかにして抱え込むかという問題意識からこのような制度が生まれております。  三番目には、フランスでは従来、本人に就業の意思があるにもかかわらず解雇された六十歳以上 の人に対しては所得保障制度がありましたが、一九八二年の年金法の改正によって年金支給が六十歳に引き下げられました。また、老齢年金が不十分であれば、当然に労働権を持つとの立場から、年金の一部支給停止をせずに再就職による就労を認めるという制度に移行しております。  こういうふうな問題も参考にさせていただいておりますけれども、労働問題は三治先生は超プロでございますので、また別な時間に御指導賜りたいと思うのでございます。  最後の問題でございますが、簡単に申し上げたいと思います。  まず、地価高騰と固定資産税の問題を保有税の問題の前にちょっと申し上げてみたいと思うんですが、我が国では、東京を中心とした地価の高騰によりまして固定資産税の急騰が避けられない情勢になっております。この結果、固定資産税にたえられなくなって追い出されていった世帯も出る傾向がございます。社会政策上、老人世帯などについては固定資産税の軽減措置検討されてしかるべきではないかと思います。  英国では、土地住宅の賃貸価格を基準に税額を決めたレートと呼ばれる一種の固定資産税があります。年金生活世帯や老人世帯に対しては、申請に基づき、納税額の一部または全部を払い戻す制度がございます。この軽減分は国庫補助によって賄われております。また、レートの分割納入制度も設けられております。また、西独、フランスなどでも一定の政策目的の上から不動産保有税の軽減も一部で行っております。米国では、住宅の規模や所有者の所得にかかわらず、所得控除が適用されております。  そこで、不動産保有税が軽減されると土地解放が進まないとの今御意見をいただいたわけでございますが、不動産保有税の軽減はあくまで社会政策上の必要から判断されるべきであろうかと思います。土地解放は進められるべきものとして政策上の配慮がなされなければならないのではないかなとも思っているわけでございますが、固定資産税の急騰は追い出し税として働き、国民の権利を著しく制限するものとして働くものではないか考えているわけでございますが、いろいろの周辺の問題点もございますので、今後の課題にさせていただいております。またいろいろお教えをいただきたいと思います。  以上でございます。
  34. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) それでは次に、近藤忠孝君及び吉川春子君の御意見に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
  35. 坂野重信

    坂野重信君 三点に絞りましてお伺いいたします。  先般の御発言の中で次のようなことを言われております。  米国の要求する内需拡大に基づいて日本政策を決定するということが対米追随であり、主権国家として屈辱的なものである。また、米国の要求する内需拡大は、何よりも貿易不均衡の是正で、米国製品あるいは農産物の輸入拡大日本に押しつけるもので、米国の特定企業の利益のために国民の税金を浪費するものである旨、共産党さんから激しい御指摘がありました。  そもそも国際貿易は相互協力、相互協調によってバランスをとるべきであり、我が国内需拡大を行うことが屈辱的だとは言い過ぎではないだろうか。また、我が国は、米国が要望している内需拡大を推進すると同時に、米国に対しても財政赤字の解消に努力すべきであると各国とともに要求したと聞いております。  また、我が国は、米国の日本に対する要望のいかんにかかわらず、我が国独自の判断でこの際、不況克服と国民生活の質の向上を目指した内需拡大を進めることが大切で、その結果として貿易収支の黒字削減に少しでも役立ては結構ではないかと思うが、どうですか。これが第一の質問です。  第二の質問は、五兆円の公共投資の内容について、産業基盤優先、大企業本位の従来型の公共事業が中心で、「雇用の拡大中小企業の振興、地域の発展に余り役立たない」との御意見は誤解と思います。  下水道整備や治山、治水、住宅や学校建築が大企業のためであろうか。道路にしても果たして大企業のためだけであろうか。また、公共事業の発注は大企業ばかりでなく中小企業の発注に意を用いております。さらに、公共事業による雇用は直接工事参加者だけでも六、七百万人にも達するし、道路等の整備については地域の発展に多大な貢献をしていることに御理解いただけないであろうか。これが第二点。  第三点は、四全総が都心部の地価を高騰させているとの御指摘でありますが、その根拠を御説明願います。  私ども四全総計画は東京一極集中を改め、地方分散させようというものであって、これによって少なくとも東京の土地需給バランスがとれ、将来の地価鎮静の効果を期待するのでありますが、御意見を伺いたいと思います。
  36. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 まず、内需拡大策が対米追随で屈辱的ではないかという指摘は言い過ぎじゃないかという御指摘であります。  もとより、我が国が独自に内需拡大を図ることは当然であります。しかし、今回の内需拡大策の決定過程について見てみますと、これは私が六月十八日に当調査会で発言いたしました。議事録の二十二ページ四段目、ここをごらんいただくと、これを読むと時間がかかりますから省略いたしますけれども、ここで指摘しましたように、その発端から具体的内容に至るまでアメリカの要求に屈した形で決められています。事実は前回述べたわけです。内容、金額までアメリカ指摘に従って進んできたという、この経過であります。  私は、一国の国内政策が、しかも内需拡大という重要な経済政策を他の国の指摘でやるという、こういう国は余りないんではないか。西ドイツなどはかなりきっぱりと意見を述べておるわけですね。このことは内需拡大策の内容にも反映しておりまして、今最も求められている国民消費購買力の向上、これを中心とする内需拡大策となっていないのは、その結果であると思います。五兆円の公共事業の中身にしてみましても、NTT株売却益を活用した民活関連事業にしましても、従来の大企業奉仕、産業基盤優先の配分方式に大きな変化がない。これは先ほど吉川委員から坂野委員に対する質問の中で具体的数字は触れたわけでありますが、また減税についても一兆円程度では見るべき内需拡大策の効果は期待できないのではないかと、こう思うわけであります。  第二点は、今度は言い過ぎじゃなくて誤解だという点でありますが、五兆円の公共投資の内容が大企業中心だというのは誤解だというんですが、私は、この公共投資の性格を見る場合に、どこに中心があり、どこに重点が置かれているのか、これが問題だと思うんです。  例えば、政府が国家的プロジェクトとして推し進めている東京湾横断道路の建設の場合、総額一兆円を超える事業ですが、そこで使われる資材は鋼材四十七万トン、コンクリート百四十万立方メートル、鉄、セメント、建設など巨大企業の利益にはなりましても、国民の懐を豊かにし、あるいは中小企業の仕事や雇用の拡大という面では見るべきものは少ない。こういう性格の面をやっぱり重視すべきだと思います。  これに対して、国民生活基盤整備公共事業住宅生活道路下水道など雇用や中小企業に直接に広く好ましい影響を与えるものであって、私たちはこれを大企業のためとは一言も言っていないわけでありまして、その点では御指摘のとおりだと思います。むしろ私たちは、この分野拡大すべきことを一貫して主張してきたんですが、自民党政府においてはその点が弱かったということを一つ指摘したかったわけであります。  それから、三番目の四全総計画について。  確かに四全総の中で多極分散型国家の形成をうたっております。しかし、これは四全総計画の策定の過程でも明らかなように、東京一点集中に対する厳しい批判が高まってくる中でいわば入ってきた文章という性格が強いんじゃないかというの が私たちの見方であります。  実際を見てみますと、これは物すごい勢いで進行している東京一点集中にこの四全総では歯どめがかかっていない。例えば、特別事業所税の創設など、議論されたけれども出てこないということで象徴されるような、歯どめがかかっていないばかりか、むしろこれを推進する。推進するという面では、これはやっぱり首都改造計画ですね。東京を日米多国籍企業の国際活動の拠点都市につくり上げる、こういう計画が四全総の重要な内容をなしておりまして、これが内外大企業の本社など中枢機能を東京圏に集中させる。そしてそれが地価高騰の原因になっておるわけであります。また、臨海部に土地を供給する計画が進められるわけですが、土地をつくればそこにやはり集中してきて、こういう土地供給というのは結局、東京集中を促進するものではないかというのが回答であります。
  37. 山本正和

    山本正和君 吉川委員の御意見の中で、大企業に対して国と自治体によってさまざまな適切な民主的規制を加えるべきじゃないか、こういう御指摘がございます。結局、それは背景に大企業というのは国のさまざまな保護のもとに今日の繁栄があるんだから、それが今、大変国民経済が苦しい状況の中で勝手なことをしたらいかぬぞ、こういう趣旨も含めての御提言だと思うのでありますが、具体的に、例えばどういうふうな格好でこれは民主的規制を加えていかれるのか、その辺を御説明いただきたい。  それから二番目に、近藤委員の御説明の中の最後のくだりで、大変巨額な資金を大企業あるいは民間が持っておって、そのお金がいわゆる財テクといいましょうか、マネーゲームに流れてしまっている。その流れを変えて内需拡大の方向に持っていくべきだ、こういうふうな御指摘があるわけであります。その具体的な指摘としては、追加課税と外為法の運用強化というふうに御指摘があるわけですが、なかなかそういうことによってのみではできないのではないかという難しさがあるように思うわけでありますが、その辺についての御説明をいただきたいと思います。
  38. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 まず、第一点の大企業に対する国と自治体の民主的規制の中身ですが、この政策を具体的に申し上げますが、その前提として私たちは、数の上ではごく少数の大企業あるいは独占企業集団が日本経済の隅々まで支配をして、その経済活動が絶大な社会的影響力を持っているという実態です。それをはっきりと見、その企業活動にはそういう点では社会的責任がある。だから、その社会的責任を果たさせようというのがこの基本にあります。  そこで、まず民主的規制として最小限必要なのは、経理の公開であります。経理の公開は諸外国でも今どんどん進んでいる状況であります。  それから二番目には、例えば為替相場に混乱をもたらすような大規模な投機活動に対しては、まず国が海外の支店や現地法人も含めた厳格な税務調査あるいは業務調査を行い、その結果を公表する。こういう規制の仕組みをつくり上げることが必要だと思います。  それから第三番目には、今起きている大企業による部品調達の海外への不当な振りかえ、あるいは生産拠点の一方的な海外移転、それから国内での大量解雇等々に対して、こういう計画の変更を求めることとか、賃金支払いあるいは下請企業の保護、あるいは地域経済が存続できるような措置、また地方財政の確保、こういう点について当然企業の社会的責任を果たす、当然負うべき負担は負うようにこれを求めていくことだと思います。特に、これは今まで国からの補助金、あるいは地方自治体から用地にしても道路にしても水にしても、そういう援助を受けて、応援を受けでやってきた以上、果たすべきことは果たす、これを求めるのは当然だと思うのです。  それから、私たちの政策としては、これを実行する上で国はもとよりですけれども、都道府県知事に調査権限、それから勧告権限、これを与えることを提起しています。そして企業に対しては、労働組合だけではなくて地域住民、それから自治体の納得を得るために十分協議をすることを義務づけるべきだ。これが私たちの大企業への民主的規制の中身であります。  二番目に、民間の巨額な資金を内需拡大に向けさせる方法ですが、基本的には消費購買力向上に重点を置いた政策を進めることによって、国内産業発展することによる需要拡大がまず基本にあるべきだと思います。これは経済の動きですが、国の施策としては、これも今申し上げた大企業の社会的責任を果たさせる立場からの民主的規制として、これは御指摘のあった投機的な海外投資や為替取引を野放しにさせないために必要な為替管理政策を進めるべきだと思います。それは今の外為法二十一条、二十三条等によって、現行法によっても規制可能な面が随分あるのではないかと思います。  御質問の趣旨は、そういう為替管理政策、それからもう一つはキャピタルゲイン、有価証券取引税の税率引き上げなど、そういう税制の面に加えて何かほかにはないかということにつきましては、共産党としては低利国債への借りかえというものを考えておるんです。いや、そんなことできるのかといいますと、私は山本先生が提起された別枠国債よりは容易にできるのではないか、こう思うんですね。これは国債の約款に随時償還が明記されております。ですから、かつて七%、八%という高金利の国債、一覧表を見ましたけれども、これは随分あります。ですから、それをまず償還しちゃうんですね。そして、それに対して現在の低い金利水準による国債を発行するということで、これで大体数兆円規模の財源が出てくるんです。  ですから、これは社会党も自民党も他の党派もひとつ御検討をいただきたいのですが、要するに、借金の期限が来たけれども返さない、これが今やっている国債の借りかえなんですよ。期限が来たけれども返さないで、また借りるんですからね。私たちの提案は期限が来る前に返しちゃうんだから。期限が来る前に返すのは、これは全く市民社会においては自由ですし、むしろ貸している方は早く返ってきた方がよろしいわけだから。そして七%、八%の金利を例えば四%台にしますと、大体一%下がっただけでも相当、約一兆前後の金が出てきますので、ひとつぜひとも御検討をいただきたい。こういった点で自民、共産党の意見が一致しますと世の中は大分よくなってくるのではないか、こう思うわけであります。  以上です。
  39. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 吉川先生、近藤先生質問をさせていただきます。  二点ございますけれども、まず地価抑制問題からです。  先般、「政府はそのために有効な手を何ら打とうとしないばかりか、首都改造計画、四全総構想などによって、一層都心部の地価を高騰させています。」、こういう前段があろうかと思うのでございますが、一つは、規制緩和は本末転倒である、こういうようにおっしゃっておられますけれども、これは何を指していらっしゃるのかお願いしたいと思います。  二点目は、「大幅賃上げと時間短縮を実現すること。」というテーマの中で論じていらっしゃるわけでございますが、波及効果の大きい公務員の大幅賃上げ、時短に大胆に取り組めとございます。私も願ってもない提言であろうと思いますけれども、今、日本の国が赤字体質の国家財政、失業者増大産業構造の調整期にあるときに、これらの民間の方々や、そうしてそれを含める国民、御家庭の感情というものをどう乗り越えていくかという問題について、この二点お伺いしたいと思います。
  40. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 まず、規制緩和は本末転倒の意味でありますが、土地高騰の原因は、ここでもずっと指摘されてまいったように、また私たちも指摘してまいったように、第一に東京を日米多国籍企業の国際活動の拠点都市につくり上げる首都改造計画がまず根源にあるということ。第二番目に、 これに乗じた土地投機、及びこれに対する金融機関の融資等々と幾つ原因があります。私は、こういう根本的な問題を放置し、あるいはこれを助長したまま規制緩和を強調しましても、土地高騰抑制の効果は出ないところか逆効果になると思うんですが、このことを本末転倒と申したわけであります。  規制緩和の中心的なねらいは高層ビル建設にあることは、これは明らかだと思います。こういう意味の規制緩和は逆に土地高騰に拍車をかけると思います。これは、当調査会にも出てきた三井不動産の会長の坪井さんも、高層ビルになると単位面積の利用価値が高まるから、したがって土地の価格は上がるんじゃないか、こういう私の質問に対して、地主側の引き上げ要因として働くということでこれを認められたことからも、規制緩和は、これは公害問題その他ありますけれども土地の価格という面からだけ見ましても明らかに高騰要因になるということであります。  それから第二点は、公務員の賃上げ、時短問題であります。  私たちは、真の内需拡大策政策提言として六点にわたって指摘いたしました。これは議事録に載っておりますが、これらは全体として統一的にまた全面的に、またそれぞれ調和を保ちながら推進されるべきものであります。そういう立場に立ちますと、公務員の賃上げあるいは時短だけが突出し、また優先的に行われるべきだと私は考えておりませんが、政府が全体的な政策課題を進める過程で、これは国民経済的な要請として民間企業に対しても賃上げの要望が出てきますし、時短の要望も出てくる。それに積極的に取り組むよう政府が指導したり、あるいは環境づくりを行うことは当然だと思います。  これと並行して公務員の賃上げ、やっぱり政府が直接着手することのできる分野でありますから、そういう点では公務員の賃上げ、時短が全体の労働者の労働条件向上を推進する力になる、あるいは相乗効果が大変あるということで、相まって全体の賃上げ、時短の実現ということになっていくものだ、こういうぐあいに理解しております。
  41. 三治重信

    三治重信君 吉川委員、近藤委員、どちらの御回答になるのかわかりませんが、二点御質問をいたします。  いろいろ書いてありますけれども吉川委員、近藤委員円高を回避する方策、円高抑制策というものがあるならそれを教えていただきたい。その円高抑制策の中心が雇用確保、賃金の引き上げ、労働時間を短縮すること、円高によってこれがみんな侵されており、生産が空洞化されている、こういうことを回避するための円高抑制策というものに何かいい策があるかどうか。  それから第二番目に、前後の関係を無視してちょっと表現だけ申し上げますと、「土地投機を抑え、地価を凍結すること。」、こういうぐあいに書いてありますが、私は地価を凍結しても土地投機を抑えることにはならぬじゃないか。それよりか、むしろだぶついたそういう土地投機にくる資金を内需拡大に向ける方策があれば、その方が優先するんじゃないかと思うんですが、それはどういうふうなお考えか。二つです。
  42. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 第一点、円高抑制策というのは手品のように簡単にできることではなくて、私は、一つ政府の毅然たる対策と、もう一つはやっぱり抜本的な経済政策の推進と同時に産業体質の変化だと思うんです。  端的に申しますと、今日の貿易摩擦、円高原因は、一つアメリカ側の赤字病。赤字病という形で表現しますが、赤字病、それから日本側の黒字病であります。アメリカ側の赤字病は、先ほど吉川委員から矢原委員への質問の中でも出てまいりましたけれども、端的に申せば財政赤字、それによってドルの地位がずっと下がっているということと、もう一つアメリカ経済自身が多国籍化して産業空洞化が起きて輸入しなきゃやっていけないという、こういう体制があると思います。  それから日本側の黒字病体質は、これは上位三十社で全体の輸出の六〇%弱を占めるような大企業中心の輸出依存型体質でありまして、これはどんどん円高になっても次々にそれをクリアする、特にこういう大企業状況。それができるのは、やっぱり労働者の低賃金それから長時間、超過密労働、もう一つ下請企業への過酷な条件を押しつけることで可能になっているわけであります。ですから、こういう体質を抜本的に変えると同時に、アメリカ側の赤字体質改善も強く求めて実現させる。こういう状況のもとで、政府みずからが現在の為替レートが異常であるという認識をしっかりと示して、これを是正するための毅然とした態度を内外に示して、その改善を示すということで、実際の経済の体質がそう変わっていけば、そういう政府の態度がやっぱり大きな効果を発揮していくことになると思います。そういう中での御指摘の雇用確保、賃上げ、時短というのは、やっぱり日本の黒字病体質を変える点で重要だと思います。  それから、内需拡大策に資金を向ける点。一つの問題は、山本委員への回答で申し上げました。  それで、地価抑制策が果たして実効があるのかどうかという点でありますが、私は地価高騰の根本的な原因が先ほど申し上げたような、要するに東京一点集中がどんどん進んでいくというこういう状況。そういう状況を抜本的に変えていくという政策と、あわせて規制措置、かなり厳格な規制措置になると思いますが、そういうものが両々相まってそれは実効性を上げていくのではないか、こう思います。  これは後ほど平野委員質問がありますが、前もって申し上げますと、そういう点では狂乱地価前の地価を基準価格として、そこに凍結を行うということが大事だと思います。これは先走って回答してしまいますけれども、じゃ、いつの時点を基準にするのかという問題がありますが、やはり最近の地価高騰前の時点、二、三年ぐらい前になるかと思います。ただ、これは一律に理解すべきじゃなくて、地域によって違いますので、東京とその他の地方でも違いますので、そういう地域の実情に合わせた基準を設けていくべきだと思いますが、そういう凍結というふうな厳しい規制とあわせた抜本策という両方をやらなければできないんじゃないかと、こう思いますので、我々が政権に参加しないと無理かなとも思ったりなんかしているわけであります。
  43. 平野清

    ○平野清君 三つほど予告をしておいたんですが、大企業のマネーゲームの点と、それから今の地価凍結のことはお答えを先にいただきました。二番目のマネーゲームは結構ですが、地価凍結の場合、高値安定になってしまっては何にもならないので、その点も皆さん一緒考えていったらいいんじゃないかと。今二、三年前の地価と言われてもなかなか具体的には難しいと思いますので、その点はまた次回に皆さんとまとめるときにお話し合いをしたらと思います。  一つ残りますのは、米国の製品、農産物輸入には反対と書いてあるんですね。私がちょっと前書きの方を、条件を読み落としているのかもしれませんけれども、はっきりと米国の製品、農産物の輸入には反対と書いてありますが、その理由と、こちらが保護貿易主義をとれば、報復措置としてアメリカも保護貿易措置をとってくるわけで、日米戦争いつまでたっても終わらないわけですから、その点、この農産物輸入反対と言われるその根拠を御説明ください。
  44. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 まず、最初の地価凍結策を具体的に実現する場合には相当細かな調査、実態を把握することが必要で、その実態に合わせた対応策が必要と思います。  もう一つの問題は、若干前提との関係で、そこだけ読まれると今言われたような誤解が出る余地はあるかとは思いますが、私たちはアメリカの製品、それから農産物の輸入そのものに反対しているわけではないわけであります。やっぱり均衡のとれた貿易は、これはアメリカその他、どの国との間でも必要でありますから、アメリカからの輸入に反対というわけではありません。ただ、我々 が問題にしておりますのは、例えばスーパーコンピューターとか、今回の政府専用機緊急輸入に見られるようなアメリカの大企業の利益のためと考える以外にない、一方日本政府のむだ遣いと、こういう輸入には反対であるということであります。  それから、農産物に関して申しますと、もう既に我が国アメリカの農産物輸入の最大の市場になっておりまして、我が国の主要農産物の自給率は年々低下している状況です。にもかかわらず、アメリカが米の自由化を迫ってきて、圧力をかけているということに反対、こういう意味であります。農業がやっぱり基幹産業であり主食である以上、米の自給まで脅かされることになると、まさしく外国から生殺与奪の権を握られるということになりかねないわけです。  保護貿易政策について言いますと、我が国は既に相当の市場開放を行っていまして、これは大蔵委員会でしばしば問題になりますが、関税負担率では我が国は二・五、アメリカは三・五、EC二・七、これは世界最低なんですね。我が国先進国中、最も低いという点で、決してこれは保護貿易という面で外国から非難を受ける余地はないと思います。農産物についてはどの国も一定の保護政策をとっているわけですから、我が国としてもそういう立場から言って、保護政策をとることは必要だと、こう思います。  以上です。
  45. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) それでは次に、三治重信君の御意見に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
  46. 坂野重信

    坂野重信君 私は五点準備しておりましたが、三点に絞りまして三治委員に御質問いたします。    〔会長退席、理事水谷力君着席〕  質問の第一は、土地対策につきまして、先生から土地の利用権なり使用権についての御提言がありましたが、私も同感であります。実は、既に自民党の建設部会と土地対策関係の会合の席でも、私は国民生活の各党意見開陳の中でこの意見が出ているから、政府においても新行革審の土地対策検討の中でこのことを議題とするように申し入れておきました。  また、借地、借家法の改正についても関係筋で、関係筋といいますと法制審議会で目下法律改正するかしないか、するとすればどういう点を改正するかということの検討中でありまして、聞くところによると六十三年中ぐらいに成案を得るということでございますので、私はこれらの御提言が反映されるよう、本調査会の提言の一つとすべきであると思いますが、御所見を伺いたい。これが第一点。  第二点は、レジャー産業のことについて触れられておりますが、レジャー産業、リゾート施設整備については御指摘のように使用料なり利用料の設定をどうするかは大切な事柄と思います。  先般、私どもヨーロッパのリゾート地を視察してきましたが、視察してみますと、お金持ちだけが行っているのじゃなくて各年齢層、各職域、各階層の多くの人々が最小限度の支出でレジャーを楽しんでおるということを受けとめました。レジャー施設というのはやっぱり最小限度の支出でレジャーが楽しめるように、しかも主として民活の施設でございますから採算性も必要であるし、また国や公共団体から助成を受ける場合と受けない場合とでまた違ってくると思います。したがってケース・バイ・ケースとして現地関係者に任せるということではなくして、今後関係当局間で基準的な考え方、推進方針というものを整理させることが必要だと思いますが、どうですか。  第三点は、円高差益の還元の問題に先生が触れておりますが、実はこれは当初の内需拡大検討項目の中に入れなかったんですが、考えてみますと大変重要な事柄でございますし、内需拡大国民生活の質的な向上の点からも大変重要でございますので、内需拡大策検討課題として追加すべきだと思いますが、どうでしょうか。  以上、三点でございます。
  47. 三治重信

    三治重信君 私の土地対策について大変御賛同をいただき、また自民党の中で特に検討を申し入れていただいているということで大変ありがたいと思っております。  私も現在の土地の場合については、るる申し上げませんけれども、やはり基本的な土地の価格についての対策というものを変えなくてはいかぬ。地主地主のまま、収益者として固定しておいた方がいい、こういう考え方から発想しておりますので、その点御了承願いたいと思います。  借地、借家法の改正、これは法律的には大変いろいろの権利の複合の関係で難しい改正だと思うんです。したがって借地、借家法の改正というのは大きな問題だと思うんですが、一つは、この借地、借家人が多年使用したり、おることによって土地の価格や借家の値段を普通の人よりか半分なり三分の一で買えるのが当然だという、このいわゆる所有権の一部を取得するというような観念というものをできるだけ早くとめて、借地や借家というのはただ地代や家賃を払ってその利用権だけだ、こういうふうに考え方を改めぬと、借地、借家の利用も十分にいかないし、かえってその借地、借家人が不便を来す、キャピタルゲインも望むべきではないと、こういう法制にぜひ改正したい。したがって土地問題についてぜひひとつ調査会の提言の中に入れていただきたい、こういうふうに思います。    〔理事水谷力君退席、会長着席〕  それから、レジャー産業の法律で、リゾート法ができました。非常にこれは結構なことで、それからまた現地のレジャー施設もほとんどが民活ということも御意見が一致しているわけです。ところが日本のゴルフ場一つを見ても、どうもこういうものが余り営利に走って値段が高くなり過ぎる、一だん高くなってしまうと、もうどうしようもない。したがって、政策的にやるリゾートについては、利用料について基準というのですか、考え方というものを、地方公共団体なり国というものが一定の基準を出してほしいと、こういうふうに思うのでよろしくお願い申し上げます。  円高差益の問題は、これは一つ政府の食管の問題もあり、それから農業政策全般の問題もあるけれども、やはりぜひ日本の、円高が大きな原因でありますけれども国民生活物質が一番値段が高いということについて、やはり下げなければ内需拡大にならぬ。この点はひとつぜひ内需拡大の中で円高差益というものを政府として十分努力をする、そういうことを内需拡大策の中へ入れていただきたいと、かように思います。  以上です。
  48. 山本正和

    山本正和君 二つお伺いしたいわけでありますが、一つは総合保養施設整備法の問題に絡みまして大変ユニークな御指摘をいただきまして、海岸におけるリゾート、あるいは山間のリゾートというふうな形で大変ユニークな御発言ございまして、御教示いただいたわけでありますけれども、その中で特に国有地を利用したらどうだと、こういうお話がございました。これは、新幹線の通っていないような県に行きますと国有地が随分遊んでいるところがたくさんあるわけでございまして、そういうところを何とかもっと使えないだろうかといつも私も思っておったものでありますから大変共鳴したわけでありますけれども、ただこれを実際に手をつけるとなりますと、環境庁、国土庁あるいは農水省、さまざまな関係各省庁間での問題がございまして大変難しい。ですから、この総合保養施設整備法を実効あらしめるためには、何か僕は必要じゃないだろうかというような、こういう感じがいたしましたので、その辺につきましての御所見があればと、こう思うわけであります。  それから下水道につきましても、大変国民にわかりやすい形での御提起がございます。特に終末処理場、みんなが嫌がる問題を逆に公園等の下に設けてというふうな御指摘もございまして、要するに下水道というものが何か嫌なもの、汚ないものというんじゃなしに、もっときちんとしたものにしたらどうだ、こういうふうな御説明でございました。まことに同感でございますけれども、た た現在の下水道法という法律が昭和三十三年の四月に制定されまして、最近五十九年の四月に改定がされましたけれども、明治以来の旧下水道法の概念がなかなか払拭されていないというふうな感じが私はいたしておりますし、それから市町村が負担するその負担もかなり厳しく指定がある。いろいろとこの下水道法そのものが、本当に国土の中で国民がよりよき快適な生活をするという観点よりも、どちらかといったら管理監督という感じが強いような気がいたしまして、むしろ国土をもっとよりよくしていくという意味での下水道法の改正等が必要じゃないかという感じがいたしております。  また、地方自治体に対しても、これは財政的に大変苦しい大きな事業になってまいりますので、そういう財源等の問題も含めた抜本的な立場での検討が必要ではないかというようなことを思ったりもいたしておりますので、その辺につきまして先生の御意見を承りたい、こう思っているところでございます。
  49. 三治重信

    三治重信君 リゾート法のときに僕は農水大臣にも質問して、農水省は農民のことばかりしか考えていなくて、国民のことを考えなくてはだめだ。殊に国有林なんというのを持って、それを押さえ込んでいて、しかも赤字ばかり出しておってはだめなんだから、この際リゾート法の中で別荘地なんかを開発して、貸し出してたくさんレート取るようなことも考えたらどうだと言ったら、非常に林野庁も乗り気であった。ただ、お考えのような環境庁、国土庁との関係はちょっと考えていなかったけれども、やはりいい環境のところ、国立公園の中だとか、また国土庁との関係ではいろいろ問題があろうかと思うんですが、この点は農水省がリゾート法をやる気になっているから、その上でさらにまた交渉してやっていきたいと思っております。  そして、このリゾート施設については、特に自民党さんにもお願いするんですが、施設だけは、現場だけは非常によくできるんだけれども、そこへ行く道がうまくいかぬものだからえらい途中で詰まっちゃって、朝行ったら晩の九時か十時でなけりゃ家へ帰れぬなんというような、今大体いいリゾートはそういうことなんです。朝行ったらもう晩の九時か十時でなければ帰れぬなんというのでは、リゾートに行ったためにかえってくたびれに行くみたいなことになってしまうので、そこをひとつ注意していただきたいと思います。国有地の開放については林野庁も相当考えると、こういうことでした。  それから下水道については、下水道法そのものは僕もあんまりよく勉強してなくて申しわけなかったんですが、これはそういうことならば抜本的な下水道法の改正をして、新しい国民生活充実するための環境改善のためにも下水道をやるべきだという法改正の意見をぜひ提言の中へ入れさしていただければ非常にありがたいと思います。  私は愛知県の中を見ていて、下水道の終末処理場で各市町村みんな困って実際いかない。しかし、よく考えてみると、そんなに土地の住民が嫌うようなことでない終末施設が技術的にできるはずだ。そのためには、その施設として公園なり、もっと遊び場も兼ねたりしてやったり、河川の敷地なり、もう海の中でもできるんじゃないかと思うんですよね。そんなこともひとつ考えさせるようにというふうなことはぜひやっていただきたい、こう思っております。
  50. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 二点御質問いたします。  学校教育施設充実の問題で先生が四点述べられておられるわけでございます。一つは民間の寄附を免税対象にして奨励する問題、二番目は外国人留学生のための学生会館の建設及びボランティア活動、三番は海外援助事業として海外での大学、高校の建設促進、四はチューター制度の学校の設立等々提言をされておられます。  そこで、問いの第一は、国際化にふさわしい提言をされていらっしゃるわけでございますが、国立いわゆる直轄もしくは補助事業としてお考えなのか、あるいは民間を含めてのお考えをしていらっしゃるのか、明確にしていただきたいと思います。  問いの二は、学生会館及び四のチューター制度の学校を具体的に御説明をいただきたいと思います。
  51. 三治重信

    三治重信君 私は、学校教育施設というものに企業なり個人としても社会的に成功した人が名誉のために寄附をしたりするのは非常にいいことだと思っております。そういう意味において、国立大学でもそういう特別会計で受け入れ態勢ができたようですけれども、この点はぜひ、世界的にも日本が金持ちになったならば、そういう寄附の受け入れ態勢というものをやったらいいと思う。  で、直轄か補助事業がというようなお話ですが、殊に外国人留学生の問題というのはやはり急を要することですから、学生会館というのは寄宿舎を含むかということなら、私は寄宿舎を考えているんです。全部学生会館というのは寄宿舎。とにかく円高で住めぬのだから、住む家をとにかく提供せぬことには外国人留学生が拡大できぬから、各地でやはり国費で寄宿舎という学生会館をどんどん建てるべきだと思っております。その上さらに、それは市町村でやっても、また民間も加わっても結構だと思うんですが、やはり外国人留学生のためのものはひとつ、運営は財団なり何なりつくってやらしたらいいと思うんですが、建てるのは国費でやらぬと間に合わぬじゃないかと思っております。  それから、海外援助事業としての海外での大学、高校の建設、これは国立てはちょっと無理かと思うんですが、ロンドンへ国立の東京大学にかわるようなロンドン大学をつくるというのもちょっと問題だから、今私立てできているようですから、そういうようなのに国の補助あるいは民間の寄附を考えたらどうかと思っております。  ボランティア活動というのは、外国人留学生を世話する各地の団体、これは最近できつつあるんですが、これに対してもやはりある程度国が補助をしてやるというと、外国人留学生がホームシックにかかったり日本人に対して非常な偏見を持たぬで日本の社会の中へ入り込む、いいことになろうかと。ボランティア活動というのはぜひひとつ、わずかの誘い水で僕はこれは非常に熱心な人がいるからできるんじゃないかと思っております。  チューター制度は、私は海外勤務者の一番困っているのは子弟の教育の問題、そのためにおやじが単身赴任をする。これは逆だろうと思うんですよね。子供を収容する施設を国の内外でつくってやるべきだということです。したがって全寮制度というものを地域的に、日本にも外国にも、海外での大学、高校の建設とともにそういうことをやらぬと、海外でこれからどんどん活動する人員がふえるんだが、働く者はみんな家庭破壊になるから、子供を収容する施設をつくってやるべきだ、こういうふうに思っております。
  52. 吉川春子

    吉川春子君 二点質問させていただきます。  まず第一は、三治委員意見陳述の冒頭で「緊急経済対策はいずれも内需拡大に役立つ」とおっしゃっておられます。貴党の代表質問で、予算について、外圧によるその場逃れの予算、貿易摩擦緩和にはほど遠い、中曽根経済政策すなわち縮小均衡経済財政運営の破綻と指摘されています。外圧によるその場逃れの予算とは、具体的に何を指しておられるのでしょうか。また、アメリカからの外圧による貿易黒字削減のためではなく、もっと生活に密着した内需拡大を行わなければならないと思いますけれども、お考えいかがでしょうか。  二点目は、雇用・失業対策について、政府に対して雇用構造と雇用の規模、職業のあり方、再就職や職業訓練の措置をとるように求めておられます。しかし、鉄鋼など大企業は大量解雇を行い、その転職のあっせんまで職安や自治体の努力におんぶしており、また大企業に対して政府も至れり尽くせりの対策を行っています。今必要なことは、何よりも大企業に勝手に大量解雇をさせないようにすること、そして経済成長の成果を労働者 に時短や賃上げ等の形で還元していくことを求める、そのことが必要ではないかと思いますが、お考えいかがでしょうか。
  53. 三治重信

    三治重信君 御質問のように、我が党の代表が代表質問予算について質問した中身は、これは僕もそのとおりだと思っております。それと補正予算の中身が内需拡大にならぬということとは違うと思うんですよ。だから、予算そのものは僕は内需拡大に役立つ。しかしながら補正予算の出し方について、この予算はいわゆる外圧によるその場逃れの予算だと。本当の内需拡大であったら、何で通常国会のきちんとした年度予算の中で組んでこぬのだということは言えると思うんです。  それから、貿易摩擦の緩和というにはほど遠いと。これはだれも、自民党の方でもよくて五、六十億というんだから、それはスズメの涙みたいなものなんで、私もやはり、それはサミットで約束してきたことだからやるけれども、これは外国もともに貿易摩擦には内需拡大というのはそんなに役立つとは思っていないんじゃないかと思うんですが、ただ、その姿勢の問題。いわゆる産業構造の転換なんかの糸口というふうな長期的な政策というものを考えてこういうことをやれということだろうと思うんですが、これは即効性、補正予算を組んだことによって貿易摩擦が解消するとか削減というようなことは私は直接には結びつかぬ。もっとほかの要因の方が多いだろうと思うんです。したがって、補正予算なり内需拡大をやるために生活に密着した内需拡大をやってほしいと、こういうことにおいでは意見が一致する、こういうふうに思います。中身の具体的な問題についてはまたいろいろ問題があろうかと思うんですが、方向は同じだろうと思うんです。  それから、雇用・失業対策について、政府が余り手厚くて、これは大企業が首切ったんだから大企業の責任でやらせる、もっと責任を持たせたらどうか、こういう御意見なんだけれども、私はむしろ逆に考えている。日本企業はやはり企業別組合になっているがために解雇を非常に難しくしている。そのために雇用が非常に安定している。欧米ではみんなレイオフ制度によって、余ればいつでも首を切れる。労働組合の方も、余ったやつを使っておれと、こういうふうなことで労働関係が維持されているわけなんですね。したがってレイオフで解雇されれば、それは企業の責任ではなくて社会の責任。したがって政府が雇用・失業対策をやらにゃいかぬと。  こういう責任体制からいくというと、雇用・失業問題は日本の場合、大企業なり企業というものが責任を負うのが事実上多い、こういうふうに見ております。事実、鉄鋼なんかでも大量に首を切っておるんですけれども、しかしそれには段階的に企業内職業訓練もやったり出向制度もやっておりますし、それから就職あっせん機関も内部につくったりと、外国ではとてもやらぬようなこともやっておる。これはまた政府の方もそういうふうに指導してやっておるわけなんで、その点、私は外国と比較して吉川委員と反対な意見を持っておるわけなんです。したがって、大企業に勝手な大量解雇をさせないようにするといっても、現在が精いっぱいじゃないかと、こういうふうに思っております。  したがって、経済成長の成果を労働者に時短、賃上げで還元していく、こういうことについてはやはり政府もこのごろ貿易摩擦の解消なんかでやっと、時短をやれ、賃上げも痛くないと、こういうふうな格好になってきた。私なんか労働省のときには随分政府の賃金抑制政策で頭を悩ましたけれども、今は政府が賃金抑制政策を労働省にやれなんというような格好はもう全然なくなってきたと思う。それから時短なんかも労働大臣みずから賛成で、奨励するというのも、えらく時代が変わったと思っておるんですが、ただ問題は、現在大企業が時短や賃上げができないほど円高できゅうきゅうされて、時代がえらい悪いなと、こういうふうに思うのであります。
  54. 平野清

    ○平野清君 二点ほどお伺いいたします。  土地が急騰するのを抑えるために、先生土地信託、それから賃貸制度の新立法を御提案なさっていますけれども、現在ですと借りている方が大変強いわけですね。地上権といいますか、場所によっては八割ぐらい主張されて、持っている方は出ていってもらうときに相当な金を用意しなきゃいかぬというような実情もあると思います。そういう意味で新しい賃貸制度、信託制度というのは、先生はどういう形で保有者を守ろうとされているのか。  それからもう一つは、土地保有税に言及されて、アップを主張されていますけれども、五十坪以下ぐらいの、いわゆる勤労者が一生懸命、一生かかってつくったマイホームにまで適用されたのではサラリーマンはたまったものではないと思いますので、一つの大きな限界を設けたらいかがかと思うんですが、どうでしょうか。
  55. 三治重信

    三治重信君 私、自民党質問のときに基本的な考え方をちょっと述べたんですが、土地信託でも賃貸制度の新立法でも、おっしゃるとおり地主が一たん貸したら、その土地を売る場合に半分から半分以下しか値段が取れないという点が基本的に一つ土地の流動性を阻害している。それから、土地というものに対する非財産価値が日本人は特別、先祖伝来の土地というような考え方があるから、土地信託で、その所有権というんですか、所有に対する観念というものは保存させてやるということで土地信託というものを考える。土地信託所有権というものは変わるんですが、何とか一つの立法を変えぬことには地主も頭が切りかわらぬ。  こういう意味において、土地信託やそれから賃貸制度の新立法というのは、おっしゃるとおり借地人や借家人が長年おることによって土地に対する、地価に対する権利やなんかを取るというのは、私は行き過ぎだと思う。そんなことをしなくても、今幾らでも借家はあるんだからということで、やはり地主保護立法というものをむしろつくった方が土地制度がうまくいくんじゃないかと思う。  それから、土地保有税をやっているけれども、いわゆる土地の売買や流動性に対して税金をかけようかけようと一生懸命やっているけれども、これは誤りだと思うんです。土地を持っていることによって常にかけておれば、こんなものは余り高くて持とうとしないようになる。これが僕が基本的な土地保有税を高めると言う意味で、むだな土地を持たぬようになる。それは、明治初年でも土地をみんな個人財産で持てと言ったら、みんな酒持ってきて、土地の庄屋なんかでここの土地は持ってくれと。税金を取られちゃかなわぬから持っておいてくれと言って、酒を持ってきて、土地の所有を大家に認めてもらったという例があったくらいで、土地保有税というもの、これだけやっても日本だけ地価が高いというのは、やはり今でも固定資産税でも土地の税金が安くて家屋税が高いんです。だから、家屋税を安くして、土地の保存税を高くすれば一般の個人は随分救われる。  それから、大都市で急激に二倍も三倍もなると、これは絶対額がえらい高いのは矢原さんのおっしゃったように引き上げの緩和措置を大都会の一部についてはとらないといかぬかと思うんですが、全般的に土地の保有税、サラリーマンに対してもそう差し支えない程度、実際小土地所有についてどの程度緩和するかということまでは考えておりませんが、やはり土地の全体的な地価を抑えるということからいくというと、移動に税金をかけるよりか、全般的な土地保有に固定資産税を高めていく。そして家屋税を下げていく。こういうふうにして土地対策をやったらどうか、こういう考え方です。
  56. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) それでは次に、平野清君の御意見に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
  57. 坂野重信

    坂野重信君 三点に絞って御質問いたします。  所得税減税の額であるとか税制全般に関する具体策については、衆議院の税制改革協議会で審議されましたが、減税が内需拡大に効果をもたらす ためには、国民皆さん老後に備えて減税分を貯蓄に回してしまわないで、消費に回してもらわなければ効果がないわけでございますが、そのためには御指摘のように高齢者福祉の一層の充実を図る必要があると、これは私も同感でございますので、これはひとつ本調査会としての提言の中に入れるべきではないかと思います。  また、山本委員も提言されましたように、国際社会における日本の役割を国民の間にさらに示すことも大切であると思います。このことは、先般欧州を視察しましたときに、OECD事務局の人たちと話し合った中でもその必要性が訴えられたところでございますが、御所見を伺いたい。  第二点は、先生土地問題における私有権の問題であるとか固定資産税の問題についての御指摘がありました。改善は容易なことではないと思いますが、基本的な課題として研究すべきであると思います。  相続税の軽減についても触れられましたが、これは自民党としても近く本格的に検討することになっております。  また、市街化区域の宅地並み課税の見直し論も次第に活発になってきました。しかし、現実的には難しい面もあり、宅地並み課税よりもまず農住組合法によるアパート建築等を推進する方が先決ではないかという意見もありますし、これらについてはいろいろこれからの問題を含めて総合的に検討をすべきであると思いますけれども、さらに何か今コメットがございましたら伺っておきたいと思います。  それから三番目は、高齢者看護体制の強化について触れられておりますが、これを強化することは同感であります。今後取り上げるべき重要課題一つであると思います。これについて、もし具体案があればお伺いしたいと思います。  質問は以上の三つでございますが、なお地下水の再利用であるとか、電柱の地下埋設等について御指摘がありましたが、これは既に関係省で推進をいたしております。しかし、これについて本調査会の中で意見が出たことを関係省に伝えて、これを反映させるようにいたしたいと思います。  以上でございます。
  58. 平野清

    ○平野清君 減税分が貯蓄に回ってしまっては何にもならないわけで、私たちは一兆円などと言わずに、二兆円により近い大型減税を主張しているわけです。なぜならば、一兆円ですとマル優見直しによって差し引き年間、所得の五分位によって違いますけれども、真ん中あたりで年間五万円ぐらいになってしまい、十二で割れば四千円か五千円ぐらいの減税、そういうことになりますと、これだけ土地が上がって、マイホームも欲しい、老後も心配だ、子供の教育だということになれば、また全部貯金に行ってしまうわけです。そういう意味で、思い切って二兆円に近い大型減税がぜひ必要だというふうに考えているわけです。  その中で、国際社会における日本の役割を国民にもっと知らせろということは本当に私も同感でございます。この調査会の結果を広く皆さんに知らせるとか、マスコミを利用してもっともっと国際社会に生きる日本人の役割というものをPRすべきだということは全くの同感です。  それから二番目の土地問題の最後に、農住組合法によるアパート建築を推進する方法などが先決ではないかという、今御質問ありましたけれども、何か聞きますところによると、よく趣旨がわからないとみえて、まだ余り進んでいないんですね。聞くところによると百例ぐらいきりないというふうに聞いております。だから土地を供給する農民の方に、こういう建物を建てたらどういう利点があるかということをもっともっとPRして、市街地の農地が解放されるように、違った形でPRが必要ではないかというふうに考えます。  次に、高齢者の看護対策の強化ですけれども、具体的な案と言われましてもなかなか難しいんですけれども、今、日本福祉大学というのがございますが、名古屋がなんかにありますし、あと一つか二つなので、もう少しああいう福祉大学とか、それから大学までいかなくてもいいから看護専門の学校をもっと設けるとか、それから谷間のサラリーマン、六十歳から六十四歳、まだまだ元気で次は自分の番だ、じゃ今のうちに看護のことを奉仕して、次は自分が見てもらうんだというようなボランティア団体の育成といいますか、そういうことも考えられるんじゃないかと思います。  四番目の地下水の利用ですけれども、電柱の地下埋設というのを僕、主張をしました。しかし、最近よく調べてみましたら交通信号機がほとんど電柱にくっついているんですね。これは電柱入れるだけなら結構だけれども、それじゃ交通信号機はどうするかというような難しい問題があることも知りました。そういうこともあわせて各関係省庁に反映させてくださるというなら、難しい点もございますので表現を少し慎重にしたらどうかなというふうに考えます。
  59. 坂野重信

    坂野重信君 今おっしゃった中で、農住組合はちょっとおっしゃった数字とは違って、既にここしばらくの間、大体二千件ぐらいありました。最近どんどんふえているようですから、ちょっと情勢が変わりまして、それで建設省あたりも今度思い切ってひとつ農住のやつをふやそうということでございますので、その点は御了解願います。
  60. 平野清

    ○平野清君 そうですか。わかりました。ありがとうございました。
  61. 山本正和

    山本正和君 平野委員の御提言、ずっとお聞きしておりまして大変共鳴する部分が多かったわけでございます。その中で、できましたらこれは調査会としても何とか実現していただけないか、特にこの部分についてはどうだろうかということを私思ったのが、実はシルバー貯金制度の創設の問題でございます。これは先ほどから坂野委員からも御指摘がありましたけれども、なかなか我々は金を持っておってもよう使わない。税金まけてもらっても消費に回るかというふうな問題がありますけれども、実は我々がそうやって持っているお金を銀行に預金して、そしてその銀行がマネーゲームで、お金使えないもんですからどうにもならなくなって、それで今度は土地の高騰につながるといういろいろな問題があるわけです。  ですから、目的をはっきりした格好でこのシルバー貯金制度というものを考えたらどうなんだろうか。シルバー貯金をしたお金は高齢者対策に全部使う、いろんな施設とか高齢者の娯楽、文化、あるいは芸術鑑賞、何でもいいんですけれども、そういうふうなものに使うようにして、そして国がその利子については責任持って、これは国庫でもって普通公債と同じように利息ぐらい見ていこうじゃないかと、お年寄りのためにというふうな格好で。そのように事業目的をはっきりしてやれば多くのサラリーマンは安心してそのお金を預けるのじゃないか、銀行へ行くのじゃなしにそっちへ行くのじゃないかという気がするものですから、そんなことで先生の御指摘について、これはひとつそういう有効利用も含めてやったらどうかと思ったものですから、ちょっとその辺、先生の御見解を聞きたいと思います。
  62. 平野清

    ○平野清君 シルバー貯金制度に二つの条件があると思いますね。  預ける方は、よほどの重病、死亡しない限り、老後になってある一定期間までは絶対おろせないという厳しい条件を持たすべきだと思います。ただ減税措置をもらっておいで、五十ぐらいになってちょっと金が要るからおろすというようなときには、もうペナルティーとして相当の課税をするというような厳しい措置。  もう一つ先生が言われました使い道ですね。それはあくまでも郵政省なら郵政省にきちっと運用を任じて、例えば交通反則金がありますね。交通反則金は全部都道府県に返ってまいります。しかし、交通安全施策以外は使えないことになっているわけです。そういうような形で、あくまでもそれの生まれた利息は高齢者対策に使う、預かった金の運用はそういうものに使う。先生が御指摘のレジャーとかいろんなものにきちっと両方の意味を規制すべきだと私は考えます。
  63. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 今の山本先生の御質問とちょっと重複しますので、御答弁を聞いておりまして大体 理解しましたので、私は取りやめさせていただきます。
  64. 吉川春子

    吉川春子君 二点お伺いいたします。  サラリーマン新党として、今回の内需拡大策について、中曽根総理がサミットで約束したもので、国民がみずから進んで決めたものではないと指摘されています。そして、土地政策を放棄して、土地に無関係公共事業をふやすこと、建設国債の発行はかえって国の財政圧迫につながるなどの批判をされ、我が党の考え方と一致している点も少なからずあります。  そこで伺いますが、第一は、土地政策に限らずに、自民党のこれまでの経済政策の失敗が今日の事態を招いていると私たちは考えていますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。  それから第二点は、私はアメリカに対しても赤字解消のためのさまざまな努力を要求すべきだと思いますが、どうお考えでしょうか。  以上です。
  65. 平野清

    ○平野清君 大変難しい質問をいただきましてちょっと困っていますが、中曽根さんがサミットで約束したもので、国民みずからが進んで決めたものでないと私はっきり言いましたけれども、その意味は、国民にまず約束をしてそれで初めて外国に公約できるものであって、順序が逆さまだと思ったんですね。それで後で追及されましたら、あれは希望論だというふうに逃げられてしまって、それでは国民はやっぱりたまったものではないので、やはりそういうときには国民に先にき。ちっと理解を求めて、それではっきりと向こうへ行って自分の国としての主張をされるのが当然だろうと思います。  確かに経済政策の失敗があると思います。ただし、失敗ばかりじゃなくて、いい点も当然あったわけで、今日の繁栄も経済政策に色うところ多いと思います。  ただ一つ気になるところは、何か戦後のアメリカに助けてもらったいわゆる一宿一飯の恩義といいますか、それから現在では何事もすべて安保なんだ、君たちは軍事費を一つも使ってないんだから少しはアメリカの言うことを聞けというような、何か弱い立場があるような気がするんですね。しかし、それは問題は別だと思うんです。経済政策というのはあくまでも一番に大衆の利益を考えることであって、それからもう一つ失敗したのは、アメリカははっきりと、軍事国家ですから産・軍共同作戦で経済をやります。日本は官民がばらばらなんですね。日本政府アメリカにへっぴり腰で、産業の方、いわゆる大企業の方は、そんなこと構わずどんどんどんどん自分の目標を追求していくというようなことの官民のアンバランスが大きな経済政策の失敗を招いたというふうに思います。  それからもう一つは、各省庁が物すごい縄張り争いで、一つのこういう経済政策を決めるときになかなか一致しない。そうするともう、すぐ緊急を要するのに手おくれになってしまう。土地政策なんか最大の例だと思います。そういう意味で、私は経済政策に対してはやはり大きな政治責任があると考えている一人です。  二番目には、アメリカの赤字解消のためにアメリカも努力すべきだと。これは本当に当然だと思いますよ。よく考えたら、アメリカなんというのはまだ建国二百年の若い国なんですね。日本の方がはるかに古いので、あれだけ世界の警察をもって任じたアメリカが今ぐらいのことでふうふう言ってないで、その若さをもう一度発揮して、自分でもって再建するぐらいの意欲があって当然だろうと思います。例えば米の何といいますか、輸入圧力なんかも、いろんな書籍、新聞なんかを見ますと、全然別のチョコレート業界の圧力の先兵だったとか、いろんな産業的な政策が裏にあるように聞きます。だから、そういうときに日本の財界がはっきりと向こうの財界に物申す訓練といいますか、そういう機会をどんどん持つべきだというように私は考えます。
  66. 三治重信

    三治重信君 三つ質問出したんですが、一つ省いて二つだけにしますが、キャピタルゲインの課税について課税方法の問題。これは言うのはやすいんですが、課税方法の問題、これはやはり背番号制を考えておられるのかどうか。  それから宗教法人への課税、農協経理へのメス。  宗教法人は、宗教活動そのものは非課税でそれに付随する収益については課税されていることは御存じだと思うんですが、宗教法人への課税というのは、宗教活動そのものも全部課税すべきだという、おさい銭まで全部課税すべきだという御意見が。  それから、農協経理へのメスというのは、農協組合でも収益の課税については生活協同組合なんかと同じように一般の法人税よりか軽い収益課税になっているんですが、それを同じようにするというのか。また別の農協経理への課税を考えておられるのか。  それから、医師の優遇税制の問題は廃止と、これはもう賛成ですが、こういうような課税問題でどういうふうにおたくが考えられておるか、ちょっとお聞きしたいと思っております。  ユニークな政策として、雨水をためる施設ということは、私は殊に大都会やなんかでは非常に必要だ。せっかく大変金をかけて浄化した水を水洗便所にみんな使っちゃうというのは惜しいような気がするんで、雨水をためる施設というのは、考え方によってはビルをつくるときに貯水場を上か下へつくれば簡単にいく。それがどれぐらい水洗便所の水に利用できるのか、あるいは水洗便所の水そのものも回転によって浄化できれば自己回転できるんじゃないかと思うんですが、こういうようなのは実例があるのか。  それから、ビルなんかでも最近、地下二、三階やるところは、どこでも地下水の湧水でえらい困って、それを下水道に出すためには東京都が下水道費を出せと言う。地下の湧水を排水するために下水料の金額を取られてえらい損しているわけだが、これを水洗便所に使えればと。これは建築基準法なり何なりというものになるんだろうが、何かそういうような具体的な便利性なり実効性があるところの具体例を御存じでこういうことを言っておられるのか。発想としては、ビルなり水洗便所なりについては大都会の水不足対策ということから、僕はやはり非常に水の利用で考えるべきことだと思うんですが、これは建築基準法なんかで入れていけば、ある程度有効性があり、余り負担にならなきゃいいことだろうと思うんですが、その点どうですか。
  67. 平野清

    ○平野清君 一番目の税金のことですけれども、先般予算委員会で私は大蔵当局に質問をいたしまして大蔵当局を困らしたので、その困らしたのが自分の方へ返ってきて、自分でこれを答えなきゃいかぬというのは非常に難しいんですけれども、キャピタルゲインの課税、背番号制はどうか。  サラリーマンそのものは悪いこと全然できませんので、私は背番号制度は、サラリーマン新党としては公式に容認しております。サラリーマンこれ以上全然悪いことできませんから、もう背番号制ぜひやっていただいてもちっとも困るところはないと思います。  しかし宗教法人は、営業活動については税金がかかっております。ただし、相当普通の営業と違って一〇%も一五%も軽減措置がとられているのは皆さん御存じだと思います。そのほかにおさい銭にもどうかと言われましたけれども、これは主税当局どういうふうに考えられるかわかりませんけれども一般のサラリーマンが考えているのはそっちの方だと思うんですね。一年間に何億も集める宗教法人もありますし、そういうところが表に出ないで税のメスが入らないというところにサラリーマンの不満があるように思います。  それから、農協の経理へのメスというのは、これは亡くなった玉置さんが、元総務庁長官が盛んにメスを振るえと言われたように、農協そのものが本来の農協の任務から離れて利益追求に走り過ぎる、それが所得把握の点で余りはっきりしない、これはもう総務庁がはっきり指摘していますので、そういう点でも、もう少し具体的に農協の 経理にメスを入れてもらいたいと思った発言です。中曽根さんはこの間の予算委員会で、利益のあるところ説あり、貯蓄についてもすべて税がつきまとうのが当たり前だとおっしゃったんですから、そういうこともあわせて考えるのが不公平税制打開の道だと思います。  それから雨水の件ですけれども、これはなぜ考えたかといいましたら、例の三越の岡田さん、元の社長ですね、問題になった、あの人の回顧録かなんか読みましたら、三越というのは年間水道料だけで九千万円使う。なぜかといったら、何にも買い物をしないであそこを通ったやつが便所を利用する。女の人は三回使う。その水道料だけで九千万円、全部商品に金を払っているんだ。これはもう今に何とかしなければ、デパートなんていうのは水道代だけで、トイレ代だけでつぶれちゃうよ、というようなことをふざけた表現で書いてあって、確かに飲み水をそういうことに使ったんじゃもったいないな、という発想もありまして御提案したんです。  ごく最近の例で、埼玉県に最後の県立高校というので今、高校を私の近くで建てております。それが、生徒の登校口の下に地下を設けまして、それに雨水を全部ためて、それをポンプでトイレに還流して、トイレの水はそれを使うというふうに設計が済んでおりまして、今建築が進んでおります。その費用は二千五百万円です。それによって浮く水道料は年間百五十万円。ただし、二千五百万円ですから、水道料百五十万で割っていただくとちょっとわかるとおり、元を取るのに相当長期の期間がかかるわけですね。だから既設のビルにそういうことをしてもなかなか無理だと思いますので、大きな体育館をつくるとか、やれ官庁をつくるとか学校をつくるときに、今申し上げたとおり、初めからそういうふうに設計の中に組み入れていってやれば十分採算が合ってくるような気がします。
  68. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) 以上をもちまして、内需拡大についての各委員意見交換は終了いたしました。  長時間にわたり有意義な意見交換を行っていただきましてありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。   午後四時二十八分散会