○矢原秀男君
山本先生からの二点についてお答えさしていただきます。
まず
住宅優遇税制について、私たちが思っておりますことは、
一つは
欧米では良質な
住宅ストックが多いわけでございます。背景の
一つには、各種の
住宅優遇税制が実施されていることが挙げられていると
考えるわけでございます。どのような優遇税制があるかについては、さきの
委員会でも五項目を挙げた次第でございますけれ
ども。
二番目には、主要国の
国税収入に占める
住宅減税の比率を比較いたしてみますと、
一つは米国は四・六%、三百八十億ドル。ですから六兆円にわたっております。二番に英国は三・八%、三番、フランスが一・五%。四番は西ドイツで一・三%、五番目、
日本は〇・三%と、非常に
我が国はけた違いに低い比率となっております。こういうふうな面も参考にして
いかなくてはいけないと思っているわけでございます。
三番目には、もともと
我が国の
住宅価格は高く、年収の六倍程度になっております。米国や英国が年収の三倍程度であることを
考えますと、
住宅の取得が著しく困難であることが理解できるわけでございます。
住宅税制は反対に
欧米の方が進んでおります。
欧米からのウサギ小屋との批判に対しましても、今後は、
検討がおくれている
住宅税制に関する論議を深めて実施していく必要があろうかと思います。
ここでちょっと付言いたしますと、
日本の
公共住宅でも全国で二十五万世帯がおふろがない。こういうふうなことでもウサギ小屋などの
指摘を受けているわけで、そういう面の改善もしたい、こういうことでございます。
また、
住宅の優遇税制の具体的な内容についてでございますけれ
ども、
住宅ローンに対する利子の非課税の問題でございますが、
住宅ローン減税は
欧米の多くの国でも持ち家取得の促進を図っているために実施されております。また、広く
一般国民が利用できる基本的助成手段となっております。例えば米国の場合、
住宅ローンの利子控除額に限度を設けず、控除期間も借り入れの全期間について認められております。一九八五年の利子控除による国の歳入減、減税だけでも四兆五千億円という大きな額になっております。米国ではこの制度で持ち家率を三から五%高めたと言われております。その他、英国、西独、フランスでも
住宅ローン利子非課税が実施されているわけでございます。そういうようなことで、私たちも参考にしたいと思っているわけでございます。
また、持ち家に対する減価償却の問題でございますが、減価償却という概念は、
我が国の
所得税制上では、アパートなどの貸し家では認められておりますけれ
ども、持ち家では認められておりません。西ドイツなどでは、持ち家である
住宅を使用することにより
住宅の材としての価値が減少するとして、その分を所得控除しております。
また持ち家居住者の帰属家賃非課税の問題でございますが、持ち家所有者に減価償却を認めている場合には、持ち家を持たない者と比較して不公平が生ずるため、持ち家に対して家賃
相当額の課税をするという制度を設けておりますが、これさえも非課税としている場合もございます。
最後に、貸し家に対する割り増し償却でございます。
アメリカでは、一九六九年から八一年の間、減価償却率を建物の実際の減価率以上に認めることによって、賃貸
住宅への
投資を促進することを目的として加速償却の制度を行った実績がございますが、こういう問題もいろいろ
我が国も複雑でございますけれ
ども、何とか参考だけでなしに生かしていきたいなと、こう希求をしているところでございます。
それから、
我が国の
住宅事情でございますけれ
ども、
住宅の総数が三千八百六十一万戸で、最低水準の三DK、五十平米以下に達していない世帯が三百九十九万戸、一一・五%でございます。一世帯当たりの
住宅数が一・一〇戸でございまして、
住宅及び住環境の不満を持つ世帯が四六・一%でございますが、
欧米主要国の満足率は七〇%から八〇%でございます。
我が国ではそれに比べると非常に不満が大きいわけでございます、四六・一でございますので。
住宅の価格も先ほど申し上げたようなことでございますが、いろいろと各国の例を申し上げましたけれ
ども、参考にして今私たちも
検討しているところでございます。
次に、
地方債の問題ですが、今回も一番大きく問題になっておりますので、はしょって申し上げたいと思いますが、もし時間かかりましたらお許しを願いたいと思います。
この
地方債許可制の経緯の問題は、
先生も御承知だろうと思うわけでございますが、その経緯につきましては時間の
関係で抜かせていただきたいと思います。
一つは
地方債許可制の経緯の問題、二番目には起債許可制度の歴史の問題。三番目には起債許可制を廃止する理由の問題、ここへ直接入ってまいりたいと思います。
私
ども先般申し上げましたときには、起債許可制を段階的に廃止するというふうに申し述べたわけでございますが、この「段階的」を取らしていただきました。
その
一つは
地方行政
調査委員会議の勧告、
昭和二十六年。これは総理の諮問機関でございますけれ
ども、
地方債の発行は、原則として
地方公共団体の自由として現行の制限はすべて廃止することを勧告する、こういうふうに言われたわけでございます。ただし、
地方財政の健全化を図り、
地方債の信用の確保のため、公債償還費が
歳出の一定
割合を超えないよう
地方債の最高発行限度を決定するなど、数点条件が明らかに付されているわけでございます。
また、これについては、学者の
意見としても、
一つは前述の許可制の理由の問題につきまして、国が
地方を監督するという
立場に立つもので、
地方自治の根本に抵触する干渉をしてはいけない。これは省略いたしましたけれ
ども三、四というものがありまして、それに対する批判です。それから、そこには住民、
地方議会による民主的規制を尊重し育成するという
考え方は全然ない。また、起債許可基準や赤字比率で縛ること自体本末転倒していることで、
地方債の累積要因を正しくとらえるならば、
地方に自主
財源を付与すべきであると
考えることである。また、国の
立場で一定の規制が必要であっても、適正な公債依存の基準を算定し、法律によって
一般に規定し、
地方自治体の自主的な遵守を促すべきものと
考える。
また、許可制の理由の二については、全国三千三百自治体に対して適正な
配分をする場合には、妥当な理由と
考える。なぜならば、資金
配分を放任する限り適正な資金
配分は必ずしも期待できな
いからである。しかし、その場合でも、資金
配分に当たっては行
政府から独立した公正な機関によって民主的に
財政資金が
配分され、弱小自治体にも必要に応じて良質の資金が
配分されるように配慮されなければならない。また、自治大臣が大蔵大臣と許可するに当たり事前に協議することは、資金の総需要調整あるいは
政府の意向の調整のため必要なことである。しかし、これは
地方債計画の作成のためであって、起債許可に関することではない。というのは、起債申請の二元化を生み、起債手続と機構を無用に複雑化して
地方自治体の自治的な
財政運営を妨げることになるからである。
起債申請の二元化というのは、
一つとしては財務部から財務局、大蔵大臣、二番目には都道府県知事から自治大臣、こういうふうなことがあるわけでございますが、いろいろの説というものに対して公明党といたしましても、
地方自治体の活力、こういうふうな芽を育てていくためにも、
地方債の許可制の問題についてはもっともっと
検討すべきであるというふうなことで一部申し述べさせていただきました。御答弁させていただく用意はこれの三倍ぐらい用意しておりましたのですが、非常に時間が経過しておりますので、これで御勘弁をお願いしたいと思います。