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1987-10-27 第109回国会 参議院 決算委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年十月二十七日(火曜日)    午前十時三十分開会     ―――――――――――――    委員異動  十月二十六日     辞任         補欠選任      内藤  功君     佐藤 昭夫君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         穐山  篤君     理 事                 井上  裕君                 石井 道子君                 大島 友治君                 杉山 令肇君                 菅野 久光君                 峯山 昭範君     委 員                 井上  孝君                 板垣  正君                 沓掛 哲男君                 斎藤栄三郎君                 寺内 弘子君                 中曽根弘文君                 永野 茂門君                 福田 幸弘君                 松尾 官平君                 宮崎 秀樹君                 守住 有信君                 一井 淳治君                 久保  亘君                 山本 正和君                 刈田 貞子君                 橋本  敦君                 関  嘉彦君                 抜山 映子君    国務大臣        郵 政 大 臣  唐沢俊二郎君    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    説明員        総務庁長官官房        地域改善対策室        長        瀬田 公和君        大蔵省主計局主        計官       田谷 廣明君        大蔵省理財局国        庫課長      寺本  泉君        大蔵省証券局流        通市場課長    松川 隆志君        厚生省社会局更        生課長     戸口田千尋君        厚生省保険局国        民健康保険課長  加納 正弘君        郵政政務次官   小澤  潔君        郵政大臣官房長  森本 哲夫君        郵政大臣官房人        事部長      白井  太君        郵政大臣官房経        理部長      山口 武雄君        郵政省郵務局長  田代  功君        郵政省貯金局長  中村 泰三君        郵政省通信政策        局長       塩谷  稔君        郵政省電気通信        局電気通信事業        部長       松野 春樹君        郵政省放送行政        局長       成川 富彦君        労働省労政局労        働法規課長    長勢 甚遠君        自治省行政局選        挙部管理課長   岩崎 忠夫君        会計検査院事務        総局第五局長   三原 英孝君    参考人        日本電信電話株        式会社代表取締        役社長      真藤  恒君        日本電信電話株        式会社代表取締        役副社長     山口 開生君        日本電言電話株        式会社常務取締        役技術企画本部        長        岩崎 昇三君        日本放送協会会        長        川原 正人君        日本放送協会専        務理事      林  乙也君        日本放送協会理        事        尾西 清重君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和六十年度一般会計歳入歳出決算昭和六十  年度特別会計歳入歳出決算昭和六十年度国税  収納金整理資金受払計算書昭和六十年度政府  関係機関決算書(第百八回国会内閣提出) ○昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百八回国会内閣提出) ○昭和六十年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百八回国会内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十六日、内藤功君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 昭和六十年度決算外二件を議題といたします。  本日は、郵政省決算について審査を行います。
  4. 穐山篤

    委員長穐山篤君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
  6. 穐山篤

    委員長穐山篤君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 菅野久光

    菅野久光君 まず初めに、検査院報告のことについてちょっとお伺いをいたします。  この報告に出ているのはほとんどといいますか全部が金銭事項だというふうに思いますが、これは検査院によって出されたものなのか、それとも内部検査によってこれが出たものなのか、その辺はどうなんでしょうか。
  8. 三原英孝

    説明員三原英孝君) お答えいたします。  郵政省所管不正行為として不当事項に載っております事項は、すべて郵政省からの報告によって掲記したものでございます。
  9. 菅野久光

    菅野久光君 それでは郵政省の方にお尋ねいたしますが、これらの事項については傾向としてどのように把握をしておられるか。例えば年齢だとかあるいは役職だとかいろいろあろうと思うんですけれども、その辺のところについてはいかがでしょうか。
  10. 山口武雄

    説明員山口武雄君) 六十年度決算検査報告の中でも掲記されておりますとおり、職員不正行為によりまして大変事業の信用を傷つけ、またお客様方に大変御迷惑をおかけいたしておることは申しわけないと存じております。  これらの不正行為態様あるいはその傾向ということでございますけれども、おおむね郵便貯金それから簡易保険事務に携わる職員、内外を通じてでございますけれども、そういったところがごらんのとおり多いわけでございます。年齢それから役職別等につきましては特にどういった年齢に多いという傾向は顕著にはうかがわれません。若年層からそれから相当の中高年といいますか、そういった職員にまでわたっておりますし、役職あるいは勤続年数につきましても、採用後まだ間がない職員、それから相当長年月にわたって、私どもからいたしますと、非常に長期間勤めて今やめても相当退職手当がもらえる、そういったような職員が、分別もあろうと思われるわけでございますが、どうしてこのような犯罪を犯したのか非常に理解に苦しむといったようなケースもございます。その態様は非常に区々に分かれておるということで御理解をいただきたいと存じます。
  11. 菅野久光

    菅野久光君 郵政省自身の手によってこの不正行為を暴くといいますか、不正行為を摘発するというようなことがなされるということは非常に私はいいことだというふうに思うんです。悪いことをやったら必ずわかるんだということで、私は件数が多いということが必ずしもだめだということに、もちろん少ないにこしたことはないんですけれども、やはりある時期には一生懸命そういう不正行為がないかどうかということをやればやるほど件数がやっぱり多くなる時点というのはあると思うんですね。しかし、それがある程度内部できちっとなれば、今度は不正行為が少なくなる。悪いことをすれば必ずこれは見つかるんだということになっていくと思うんですよね。  そういう点で、いろいろな点で改善方策をとっているのではないかというふうに思いますが、やはり国民信頼をかち取るという意味で、内部でこれだけ出したことについては郵政省自体の努力は認めますが、私どもとしてはまことに遺憾な事態だというふうに申し上げなければならないというふうに思うんです。  そういう意味では、なお一層国民信頼を得るような郵政事業であるように、不正行為が絶滅できるようなそういう内部の体制というものもしっかりひとつやってもらいたいということをまず冒頭申し上げておきたいと思います。  では初めにテレビ番組政見放送への手話通訳導入問題についてこれからお尋ねをいたしたいというふうに思います。  この問題につきましては、私は以前からかかわってまいりました。まず昭和六十年の十一月二十九日、それから十二月九日、六十一年の一月二十二日、そして三月五日、聴力障害者のための手話通訳制度の確立あるいはテレビ番組への手話通訳導入を実施すべきだという立場で主張してまいりました。  特にNHKに対しましては、政治健常者だけのものではない、聴力障害者などあらゆる人を含めた国民みんなのものである、そういう基本的な考えから、私は今、国会で何が問題になりどういうことが議論されているのか、聴力障害者方々政治をもっと身近に考えてもらうための一つとしてNHKが実施している衆参の本会議予算委員会等国会中継手話通訳導入すべきではないかというふうに主張してまいりました。  こうした私の意見に対しまして、NHKテレビ番組手話だけで伝達するのは困難だ。手話口話字幕スーパーの三つを組み合わせたトータルコミュニケーション伝達が必要である。手話では国会論議のような非常に複雑でかつ微妙なものが伝わらない。こういう答弁でありました。  この点は間違いないと思いますが、まずNHKテレビ番組に対する手話通訳についての見解を伺いたいと思います。
  12. 尾西清重

    参考人尾西清重君) お答え申し上げます。  今先生の言われるとおりの御答弁を申し上げたわけでございます。私どもといたしましては、もちろん障害者方々に今日本で何が起きているか、特に国会で何が起きているか詳しくお伝えしたいという気持ちは先生と御同様でございますけれども、やはり手話というものの持っております限界といいますか、特に国会で論議される中身が大変抽象的な言葉というものが使用されておりますので、必ずしもすぐにこれが妥当なあるいは唯一無二伝達手段であるというふうには考えておりません。
  13. 菅野久光

    菅野久光君 では伺いますが、私がNHK質問してから約二年たっております。この間にNHKにおいても聴力障害者のための番組編成というものを再考されたというふうに思いますが、質問した私にはその後何らのお話もありません。現在NHK番組においてこの二年間聴力障害者のためにどのような改善が行われ、またどのような新しい番組編成を行ったか。そしてまたその成果はあったのかなかったのか。その実態についてお聞かせいただきたいと思います。
  14. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 先生の御質問をいただいた後、その前から私どもとしましてはNHK放送文化調査研究所で、全日本聾唖連盟あるいは大学の専門家方々の御協力をいただきまして、全国の八地域を選んで手話に関する調査を行っております。  これまでの調査によりますと、手話にはかなり多くの同義語がございます。また若干地域によって特有の手話があるということもわかっております。また、標準手話というものがだんだん進められているというふうに伺っておりますが、日常会話あるいは日ごろよく使われる言葉は比較的正確に伝わることがあると。しかし、テレビニュースなどにつきましてはかなり抽象的な用語が多うございまして、これは必ずしも正確に伝わらないということが調査の結果わかっております。私どもでは既に聴力障害者福祉に寄与する番組として「聴力障害者の時間」というのを設けておりますが、この番組のほかに一般番組ニュースその他で障害者の抱える問題について国民の皆さんに広く知っていただき、御理解をいただきたいというふうに思ってさまざまな角度で取り上げているつもりでございます。また、聴力障害者方々にとって文字放送はかなり有益なメディアであると、伝達手段であるというふうに判断しておりまして、昨年の十一月二十九日から、それまで関東甲信越、中部、近畿というようなところでのみ実施しておりました文字放送全国ネットワークにいたしまして、全国障害者方々にごらんいただいているというふうに聞いております。その中では字幕サービスといたしまして、連続テレビ小説、この間までは「チョッちゃん」でございますが、現在は「はっさい先生」あるいは大河ドラマ「独眼竜政宗」、「お元気ですか」というインタビュー番組等々、週に五時間放送しているところでございます。  こういう字幕サービスのほかに、日常の出来事、世の中の動きにつきましては文字放送ニュースで、必要なときに何が起きているか、最も近時点でのニュースをごらんいただけるようにしているところでございます。
  15. 菅野久光

    菅野久光君 一般放送の中では教育テレビで「聴力障害者の時間」というのをやっているんですね。そのほかのときにはやっていないわけですね。あとは今お話がありましたように文字放送、これも全国ネットでやっている。あの文字放送のやつは普通の状態で見れるんでしょうか。
  16. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 普通のテレビでは見ることができません。アダプターが必要でございます。最近では中に内蔵型のアダプターが含まれたものが市販されております。
  17. 菅野久光

    菅野久光君 そのアダプターというのはどのくらいの値段がするものですか。
  18. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 私も正確な数字は存じ上げませんけれども、五、六万から十万ぐらいの間で買えるというふうに聞いております。
  19. 菅野久光

    菅野久光君 これはやったという、それじゃ、この放送聴力障害者方々がどのくらいのパーセントで見ておられるか、その辺の調査というのはなさっておりますか。
  20. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 施設などの場所につきましてはこれを無料で差し上げるというようなこともいたしておりますし、ついせんだって八万台ぐらいまでに受像機がふえたというふうに聞いております。
  21. 菅野久光

    菅野久光君 昭和五十五年の調査聴力障害者というのは三十一万七千人ということになっているんですね。それで八万台ということになれば四分の一ですよ。二五%の人しか見てないわけでしょう。それはお金がかかるからです。一般的にこういう障害者の方の収入というのは低いんです。ですから、聴力障害者のためにこういったようなことをやっているなんということは胸を張って言えるような私は中身ではないんではないかというふうに思うんです。  それで、国際障害者年に当たっての「国内長期行動計画の在り方」ということで、これは昭和五十七年の一月に中央心身障害者対策協議会でつくったものですが、これはNHKも御存じのことだというふうに思いますが、「情報、文化に係る経費負担については、一般利用者との均衡等を配慮しつつ、必要な軽減措置に努めること。」ということもあるんですね。聴力障害者のための放送について、経費負担としてNHKとしてはどのようなことをお考えでしょうか。
  22. 尾西清重

    参考人尾西清重君) NHKが直接アダプターその他を施設にお配りするということはいたしておりませんが、NHK厚生文化事業団というのがございまして、そこを通じてアダプターあるいは内蔵型の受像機というようなものをお配りしているということはございます。
  23. 菅野久光

    菅野久光君 これは施設等に対してやるということであって、一般視聴者に対する例えば受信料軽減だとかなんとかということは、これはどのようになっておりますか。
  24. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 世帯主の方が重度の障害者である場合には受信料は半減いたしております。
  25. 菅野久光

    菅野久光君 受信料は半減ということですね。先ほど言いましたように、今、週五時間、字幕放送ですね、文字放送聴力障害者方々にも見ていただくようなことでNHKとしてはやってきている、こういうお話ですが、先ほど申し上げましたように八万台ということですが、あるいは施設など入っていれば八万人じゃなくてもうちょっと人数は多いのかもしれませんが、一般的な家庭で見るというような聴力障害者の方というのはごく限られた方でしかないということに私はなるのではないかというふうに思うんですね。その辺について、どの程度まで視聴率があるかということについてはまだ御調査になっていないようでありますから、この点はもっとやっぱり考えていかなきゃならないことではないのかというふうに思います。  そこで、六十年の十二月九日に当時の専務理事でありました川口さんから私は次のような答弁をいただきました。「現在までのNHK方向というのが、手話のみの放送といいますか、手話通訳のみの放送はやらない、別な方向で、あるいはトータルなものでというふうな形で進んできております。したがって、そのことについての検討をここでもう一遍白紙に返す、あるいは手話のみをやるかやらないかというふうなことをこれからすぐまた検討をいたします。したがって、この結果につきましては大体半年ぐらいは御猶予いただきたいと思います。」ということで答弁をいただいたわけですよね。  半年ということになると昨年の実は六月ぐらいと。それで検討した結果が最初にお答えになったことだということですか。
  26. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 確かにそのようにお答えしております。ただ、私どもといたしましてはやはり調査調査を重ねた上で判断をしたいということで、現在もなお調査をやっているところでありますけれども、現在までのところで申し上げれば先ほど冒頭に申し上げたようなことでございます。
  27. 菅野久光

    菅野久光君 それではちょっと厚生省にお伺いいたしますが、厚生省には手話通訳関係について私も先ほど申し上げた中で質問をいたしましたが、この手話通訳の育成の問題について現在どのような状況になっておりますか、説明をしていただきたいと思います。
  28. 戸口田三千尋

    説明員戸口田千尋君) お尋ね手話通訳制度につきましては、昭和五十七年に全日本聾唖連盟調査検討をまず委託をいたしました。その結果、六十年五月に手話通訳制度に関する基本的な考え方について提言をいただきました。これを踏まえまして、六十一年度から具体的な手話通訳認定基準のあり方、これを再度聾唖連盟にお願いをいたしまして、本年五月、中間報告をいただいたところでございます。日本聾唖連盟は、同報告では認定基準の骨格を示したところでございまして、さらに詳細につきまして本年度中に結論を出して報告を行う予定と聞いております。  厚生省といたしましては、この最終報告を待ちまして対処してまいりたいと思います。
  29. 菅野久光

    菅野久光君 手話通訳者の養成の問題などを含めて、厚生省としては、五十七年の発足以来かなり進んで、ことしじゅうには最終報告を得るという状況になっているということで、手話通訳者の問題についてはかなり進展している、そういうことのように今お聞きをいたしました。  それでは政見放送等の問題について、過日の衆参同日選挙のときのことがあって、その以降自治省では聾唖者候補の問題についての取り扱い、これを二月ですか、決めましたですね。この聾唖者候補の問題もありますけれども一般聾唖者に対する手話通訳導入の問題について自治省としてはどのように話を進めておられるのか、それをお聞きしたいと思います。
  30. 岩崎忠夫

    説明員岩崎忠夫君) 政見放送への手話通訳等導入の問題でございますけれども、これにつきましては、昨年末、学識経験者より成ります政見放送研究会というのを省内に設けまして、調査研究を進めていただいているところでございます。  ただいま先生案内のとおりでございますが、本年二月にはその研究会中間報告を受けまして、聴覚言語障害のある方が立候補した場合につきましては、あらかじめ候補者から提出されました原稿につきまして放送事業者が録音したものを候補者が使用する、こういうことにいたしまして、聴覚言語障害のある候補者につきましても政見放送によりその政見を伝えることができることといたしたところでございます。  そこで、お尋ね政見放送全般への手話通訳等導入の問題についてはどうなのかということでございますが、政見放送候補者政見を伝えます大変重要な機会でございます。基本的には、政見放送の実施に当たりましてはできるだけ多くの方々候補者政見が伝わるように便宜を図ることが大変重要である、私どもこのように考えておりまして、こうした基本的な考え方政見放送への手話通訳導入の問題について取り組んでいるところでございます。  しかしながら政見放送は、先生案内のとおりでございますが、極めて限られた期間内に多くの候補者について公正に、しかも誤りなく万全にこれを制作、実施しなければいかぬ、こういうものでございますし、とりわけすべての候補者に対しまして同等の、公平な取り扱いというのが特に厳格に要請される、こういうものでもございます。  このような政見放送の性格からしまして、いろいろと検討をしなければならない制作上、技術上の問題があるわけでございまして、現在こうした問題を中心にいたしまして、ただいま申し上げました政見放送研究会の場で鋭意専門的な検討を進めているところでございます。
  31. 菅野久光

    菅野久光君 政見放送研究会構成というのはどういう構成になっておりますか。
  32. 岩崎忠夫

    説明員岩崎忠夫君) 政見放送研究会は、メンバー七人ということで構成しておりまして、その座長堀部政男先生、一橋大学の行政法関係の教授でございますが、その先生座長にいたしまして手話関係、あるいは福祉関係、あるいは聴重言語障害教育関係、こういったことに携っている方、専門家を七人委員に委嘱いたしておるわけでございます。
  33. 菅野久光

    菅野久光君 それでは、その中にNHKは、放送関係者は入っているのでしょうか。
  34. 岩崎忠夫

    説明員岩崎忠夫君) 放送事業者としての立場でのNHKの方は入っておりませんが、聴営言語障害教育関係とか手話関係の御専門の方は委員としてNHKの方に入っていただいております。
  35. 菅野久光

    菅野久光君 自治省にしましても厚生省にしましても、この聴力障害者の問題についてはやはり国際障害者年の精神に沿って何とかしなければならない。自治省の場合にはいろいろな具体的な問題が起こってからではありますけれども、しかし研究会を何回か開いて、そして候補者の問題については一つ結論を出しましたですね。一般聴力障害者の問題についてはさらに検討を進めている、こういうことでありますが、肝心のNHKの方は、厚生省とか自治省に比べて私は進み方が遅いのではないか、本当に真剣に取り組んでいるのかなという感じを受けざるを得ないんですが、そこのところはいかがですか。
  36. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 先ほど自治省の方から御説明がありました聾唖者の方が立候補された場合のことにつきましては、私どもはどちらかといえば大変積極的に、何とかこの方々の主張が一般健常者にも伝わるようにできないものかということで、しばしば自治省選挙管理委員会とも相談いたしまして、その結果がああいう改正といいますか、規約の改正につながったというふうに思っておりまして、決して先生のおっしゃるように消極的ではございません。
  37. 菅野久光

    菅野久光君 私は前も、実は六十年の十二月九日にもNHKに対して申し上げたんですけれども文字放送というのは限られた番組でなければできないというふうに思うんです。どんな番組でもできるというものではないというふうに思うんです。  つまり、文字放送というのは台本があって、セリフを既に収録した録画に入れることができるようなドラマ番組、あるいはあらかじめ原稿があって、アナウンサーの話す内容に合わせて文字が放送できるニュースなどのように、番組の収録から放送までに時間的な余裕があるもの、またはテレビ放送する内容があらかじめわかっていて容易に文字を入れることができる番組だけではないかというふうに私は思うんです。  ですから、この国会の本会議やあるいは委員会における論議は、これは生放送国会中継でなければ理解しにくいものもあるわけです。しかし、国会の論議だとかやりとりには、これは筋書きがないわけですから、こういう筋書きのない国会論議聴力障害者の人たちにもよくわかるようにすべきではないかというふうに思うんです。それは抽象的な言葉があるからできないだとか、いろいろなことが言われますが、今の国会中継番組というのは聴力障害者に対して、いわば何も対策を立てないで放送しているのではないかというふうに思うんです。このことについて、三十一万七千人、今は約四十万人というお話も聞いておりますが、これらの人たちに対してNHKとして何ら反省することはないのか、そのことについてはいかがですか。
  38. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 私どもはやはり正確に伝わるということが大切だというふうに思っておりまして、正確にどの程度伝わるかという研究を重ねた上で、そしてまた、手話の標準化というようなものも十分見きわめた上で考えてまいりたいというふうに思っております。
  39. 菅野久光

    菅野久光君 それでは、正確に伝わっているかどうかということをどういう形で、何と言うんですか、実験と言いますか、調査をしてみようというふうに思っておられるのか、具体的にちょっと言ってください。
  40. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 標準手話の読み取り調査というのをやっておりまして、これは三種類のビデオをつくっております。  第一に、日常的な単純な会話、基礎的な単語をまとめた文章。それから二つ目は、地域差の調査でございますけれども、これも地域差がどの程度あるかということを調べるために、手話単語を並べてわかりやすい文章を構成したものをビデオにしております。三つ目にテレビニュースからとった文章、これをやはりビデオにしておりまして、三つの種類のものを二度ばかり障害者方々に見ていただいて、どの程度おわかりいただいているかということを調べたわけでございますけれども、第一と第二のものについてはほぼ正確に伝わっている。しかし、テレビニュースからとった文章を標準手話で語ったものについては極めて低い率でしかおわかりいただいていないということがわかっております。そうしたことから、必ずしも手話唯一無二といいますか、ベストの伝達手段というふうには考えられないところもございます。
  41. 菅野久光

    菅野久光君 私は、手話唯一無二のものだとは思っていないんですよ。しかし、手話の持つ役割というものは非常に大きいというふうに思っているわけです。それで言っているんですよ。じゃ、本当に手話通訳NHKが言うようにニュース番組や何かそういうことについては役に立たないものなのか。私は決してそうとは思わないんですね。NHK番組にこれは手話導入しないだけのことだというふうに思うんですよ。  厚生省に伺いますが、厚生省の中に手話通訳認定基準等策定検討委員会というのがありますね。この委員会の中間報告を読みましたが、その書き出しに「聴覚障害者の生活と社会参加に関して、手話手話通訳のもつ意義の重大さは、広く国民理解を得つつある。わが国の手話は、聴覚障害者の永年の努力により育てられ、全国に共通する「標準手話」もようやく確立され、広く普及してきている。また手話を学ぶ人々は毎年三万人を超え、小・中学校においても手話クラブが誕生するなど、今や手話に対する認識と関心は、広く国民の間に定着しつつある。」、このように述べておりますね。私もこの意見に賛成であります。厚生省はこのテレビ放送への手話の持つ意義をどのように考えておるのか、見解をお伺いいたしたいと思います。
  42. 戸口田三千尋

    説明員戸口田千尋君) 今先生お話しされた標準手話でございますが、現在のところ聾唖連盟がいわゆる全国の地方に広がっていた手話を参考にしつつ標準手話として形成いたしたものが、語彙といたしまして約五千語でございます。  先ほどもお話がございましたように、この五千語をもって日常生活の意思伝達というものは十分に行われると私ども考えておりますが、今御議論になっております問題につきましては、さらに私ども検討委員会の中でも同様の議論を、検討を行っているところでございまして、この場でこの五千語ですべて足りるか足りないかということについては、明確なお答えは差し控えさしていただきたいと存じます。
  43. 菅野久光

    菅野久光君 聴覚障害者のコミュニケーションには手話の持つ意義というものは非常に大きい。これはだれしもが否定できないというふうに思うんですね。  NHK番組の中で聴力障害者のための対策が立てられているのは文字放送番組が十九、字幕番組が先ほどお話にありました三。これは手話通訳が入った番組はありませんね。NHK教育テレビにおいて先ほどお話がありました「聴力障害者の時間」という番組がありますが、この番組聴力障害者の社会参加問題などを考える内容で、主な内容は聴力障害者にかかわる課題が中心になっております。私が主張している一般番組手話導入すべきだということから言えば「聴力障害者の時間」は手話通訳が入った番組とは私は言えないというふうに思うんです。  NHKに聞きますが、放送番組手話通訳導入ができないというのは、これは技術的に無理だからできないというのか、本当の理由はどこにあるのか、その本音をひとつ言ってくださいよ。
  44. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 先生言われますように、手話聴力障害者のコミュニケーションの手段として有力なものであるということは私どもも承知しておりますけれども、先ほど来申し上げておりますように、番組中身を正確にお伝えするということを考えた上で、私どもはやはりトータルコミュニケーションというのが最もいい方法であるというふうに考えております。先ほど来お話に出ておりますように、手話の標準化とか、あるいは手話政見放送への導入とかいろいろなことがございますと思いますけれども、我々としてはそういった標準化あるいは理解がどこまで進んでいくかというようなことを見きわめた上で考えてみたいというふうに思っております。
  45. 菅野久光

    菅野久光君 いつでもそうなんですが、正確に正確に、今の段階では正確に伝えることができないからもう少し検討しなければならない、どうやったら正確に伝えることができるかと、こういうことになるわけですね。しかし、以前の立会演説会のときに手話通訳導入してやっていたんですね。正確でないとかなんとかいう話は私は別に聞かないわけですが、手話通訳導入するというのは幾つかのテレビでやっています。民放でもかなり二時間番組なんかのドラマに使ってますね。それから、それぞれの自治体の中でのお知らせ、そういうところにも既に手話を入れて放送しております。だから、NHKよりは民放の方が一歩も二歩も私は進んでいるというふうに思うんですね。本来の形から言えば私はやっぱり天下のNHKがこういうことについて先達でなければならないのではないかというふうに思いますし、手話通訳の標準化ということもやはり放送を通じてやることによって、その標準化というのがさらに広まっていくのではないかというふうに思うんです。  今八〇%かもしれませんが、それをテレビでやっていくことによって、それが八五%なり九〇%になっていく。教育の面でもそうでしょう。それぞれの地方の方言があるけれども、教科書というものによって今一〇〇%標準語が理解できるわけでしょう。わかるわけですね。  ですから、一〇〇%ということに力点を置いて、だからできないんだ、まだだめなんだ、まだだめなんだということでは、どんどん時間が過ぎていくだけなんです。初めての試みなんですから、ですから私は失敗を恐れずに実際にそれをやる。やることによっていろいろな批判なり意見なりが出てくる。そういうものを率直に受けとめながらより完全なものへとつくり上げていくという、そういう姿勢がなければ、これは先ほどからお答えになっているようなことではいつまでたったってできやしないですよ、私はそう思うんです。  検討しているようでありますが、その検討はいつになったらこれはできるんじゃないかなというようなめどが立つというふうに思っておられるんですか。
  46. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 私は、いつになったらというような期限を限って考えては今のところおりません。しかし、先生のおっしゃることも大変ごもっともなことでございますので、私どもとしては前向きて検討したいというふうに思っております。
  47. 菅野久光

    菅野久光君 私は前のときにも、川口専務理事にも今お答えになったと同じようなことを言われているんですよ。何かやるときには、一つのめどを持たなければいつまでもずるずるなんですよ。そうじゃないですか。私は、これで半年ということで一応のめどが立ったと思った。だから、NHKテレビ番組にも手話を入れたものが出てくるのではないかという期待を、全国聴力障害者の人たちが期待を持っていたんですよ。私がこの委員会で質問したこと、これは聴力障害者の新聞なんかにも出ております。それから、手話通訳者方々もそういう時代がやっと来たかという思いでいたんですよ。ところが、その後何の音さたもないじゃないですか。だから、より完璧を期すということはこれは当たり前のことですね。いいかげんにやるということはできない。しかし、ある程度のやっぱり目算を持ってやらないと、初めての試みなだけにいろいろな難しい問題があることも私もわかります。しかし、それをやっていく、そしてそういう失敗を恐れない、皆さんの意見なり批判、そういうものをしっかり受けとめながらさらに改善をしていく、そういう姿勢が私はこういうことをやることについては必要ではないかというふうに思うんです。それがいつまでたってもなかなか、完璧を期すということができないということで取り組みがほとんどなされていない。私はもう二年前にも言っているんですよ、ほかの民放ではすでにドラマの二時間番組にも取り入れている。しかし、NHKは一向にそういうことにも取り組んでいないじゃないですか。アダプターなどをつけなければ見られないテレビで字幕を入れているわけですね。国際障害者年というのは御存じですね。昭和五十六年からことしはもう七年ですね、この中で、本当にNHKが、ラジオはちょっと難しいんですが、テレビなどの面でいろいろな人たちからNHKに対して要求があると思うんですね。それに対してどうこたえていくのか、全く遅々として進んでいないじゃないかというふうに言わざるを得ないんですよ。本当にNHKが、聴力障害者のために健常者と同じようなそういう文化的接触の機会というものを与えることができるのか。これは政見放送だけではない、一般テレビ放送についてもそうなんですよ。そういうことについて、もっとやっぱり考えてもらわなければならない。先ほど申し上げました「国内長期行動計画の在り方」の三十九ページの下段にも、「テレビジョン放送等を障害者も利用できるように改善すること。」と、五十七年にこれがちゃんと出ているんですよ。  先ほどから私るる申し上げましたけれども、きょうはこの委員会に初めて、お忙しい中、日本放送協会の川原会長に来ていただきました。先ほどからの質疑のやりとりを聞いておられましてどのようにお感じになっておられるか、ちょっと承りたいと思います。
  48. 川原正人

    参考人(川原正人君) 私ども、広い意味で身体に障害をお持ちの方、健常者と同じように社会生活が困難な方に対しては、言葉だけでなくていろいろな番組を通じまして御協力申し上げなければならないということで、テレビ、ラジオを通じましていろいろな努力は続けてまいったつもりでございます。確かにラジオは聴力障害者の方には、本来これはどのようにも御利用いただくことが難しいかと思いますけれども、目の御不自由な方を含めまして、伝統的に私ども従来から長い間、ラジオを通じましてあるいはテレビを通じまして、そういう障害者の方の社会生活が少しでも前進できるように努力をしてきたつもりでございます。  また、先ほど来御質問聴力障害者の方についての手話につきましては、私ども何とかする方法はないかということで研究は続けております。先ほど来尾西が申し上げましたように、かつてはこの手話が標準化ということがなかなか進んでおらなかったために、それも一つ障害でございましたけれども、先ほど来のお話のようにこの標準化ということも相当進んでいるようでございますし、また一番私ども今気にしておりますのは、先般来川口も御答弁申し上げましたように、一番はやはり政治、特に政見放送の問題であろうかと思っております。これも先般来の選挙の際に、聴力障害の方というか聾唖者の方が候補者に立たれまして、私ども大変この取り扱いに難渋いたしましたときも、自治省等との御相談の結果、一つの解決策を見出したわけでございますが、今また自治省におかれましても、この政見放送手話導入するにはどのようなことが可能なのか、障害があるのかということをかなり積極的に御研究されておられますし、私どもの方も実はこれは非常に関心を持っております。  したがいまして、まず第一段階、真っ先に取り上げるべきはこの政見放送の問題かと思っておりますけれども、この問題につきまして政見放送手話というものを導入して、しかも候補者の方のお話が、一字一句正確でなくても、その趣旨が間違わずに受け取られるような方法が可能であり、かつまたこの政見放送の場合には、短期間にかなりの数の候補者の御紹介もしなきゃなりません。それに対する対応策、あるいはその財政的な裏づけ等がどのように講じられるか、私ども実は自治省あるいは選挙管理委員会と率直にいろいろお話を申し上げているところでございます。これにつきましては、できるだけ早くそういうことが実現できる方法はないか、さらにもっとスピードを上げてといいますか、力を入れて研究を進めたいと思っております。  また、そのほか、すべてのテレビ番組手話をということは、これはざっくばらんに申し上げまして、それはちょっと今の段階でお約束することは不可能かと思いますけれども、なおもう少しいろいろな方法がないものかどうか。それから、何といいましても、今これだけ技術革新が進みまして、いろいろなニューメディアということが考えられているところでございますので、文字放送だけではなくて、テレビの画面に障害者の方が必要とされるときにもっと何かの信号が入る方法ができないものかどうか。これは技術の進歩はもう非常に速いものでございますから、それも私は不可能ではないと思っております。そういうこともあわせて研究は進めさせたいというふうに考えております。いずれにしましても、さらに積極的に研究をさせます。そういうことは、できるだけのことはしてさしあげたいというふうに思っております。
  49. 菅野久光

    菅野久光君 責任者の会長から、研究をさせますという決意を述べていただきました。本当に聴力障害者方々の声なき声が、私が先ほど言ったことだということを、ひとつ総局長も受けとめておるとは思いますけれども、今の会長の言葉もありますから、ひとつ行動計画の十年の間にこの問題について解決するというような方向で全力を尽くしてもらいたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  50. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 今、会長が御答弁申し上げました線に沿って努力をいたします。
  51. 菅野久光

    菅野久光君 どうも、役所も私はNHKもそうだとは本当は思いたくないんですけれども委員会で答弁されて、その答弁されたことがきちっとやられておるかどうかというのはなかなかわからないんです。何か、そのときだけ過ぎてしまえばいいんだとは思っていないのかもしれないんですけれども、非常にそういう点では不信感を私は正直言って持っています。ですから、やはり答弁されたことについてはきちっとそれを実行する。仮に実行できない場合には、あのときにこういう答弁をしたけれども、今現状はこうだという、そういう話ぐらいあってもいいのではないでしょうか。私もそういう聴力障害者方々のいろいろな話を聞かされて、そのことが私が国会でこうやって今やっていることも聴力障害者の人たちは注目しているわけです。そのことをきちっとやってくれなければ、そのことによってまた政治不信が起きてくる。このことは私は非常に恐ろしいことだというふうに思うんです。ですから、お互いにまさにこの場は真剣勝負で、言ったことについてはやっぱりきちっと実行する、そのことをぜひ約束をしてもらいたいというふうに思うんですが、いかがですか。
  52. 川原正人

    参考人(川原正人君) 私ども質問の趣旨、十分わかっているつもりでございます。できるだけそのように積極的に研究をいたしまして、また途中必要な場合には先生の方にも中間的にいろいろ御報告申し上げるようにいたしたいと思います。
  53. 菅野久光

    菅野久光君 大変会長から真摯な答弁をいただきまして、やはり今の手話通訳の問題については、何といっても手話通訳をする人の養成ということが、NHK技術的な問題はありますけれども、もう一つはその問題があるわけです。  そこで、厚生省の方に伺いたいわけでありますけれども選挙のときの短期間に一定基準以上の手話通訳者をそろえるということが非常に難しいということも前から言われでます。それから、選挙運動期間の短縮に伴って政見放送も短い日時で制作しなければならない、そういう中で手話を画面に挿入するなどの制作作業を行うことが難しい、これは技術的な問題です。それから、東京で手話通訳を入れて地方で放送する場合、手話が通じないおそれがある、こういったようなことなどが今までいろいろ言われていることです。そこで、厚生省にお伺いするわけですけれども手話通訳認定基準等策定検討委員会において、手話通訳士の全国統一化、一定レベルの手話通訳ができる手話通訳士の養成等について検討されておりますけれども、課題はどの程度解決されているのか、その点についてお伺いいたします。
  54. 戸口田三千尋

    説明員戸口田千尋君) 現在、いわゆる手話奉仕員という手話を通訳ができる方、全国に約二万八千人登録されております。その中で、さらに手話通訳、非常に高度なレベルの方が約三百人ほどおられるというふうに伺っております。  私どもは、これら手話通訳士のレベルの向上も合わせまして、当然今後対策を進めていかなきゃならないと思いますが、当面検討委員会では、いわゆる先ほど申し上げました標準手話を速くかつ正確に通訳できるレベルはどこかという問題に集中いたしまして検討をいたしております。いわゆる口語話を手話に、手話を口語話にといういわゆる同時通訳ができるレベルというふうな基準を現在検討中でございます。  なお、これらの数の増員につきましても、養成のあり方につきましてもこの同委員会で検討していることをつけ加えさしていただきます。
  55. 菅野久光

    菅野久光君 この最終報告は来年の三月に出されるということですね。すぐにこれは一定レベルの手話通訳士ができるわけではないということになるわけですから、現在手話通訳のできる人を検討委員会の言う一定のレベルに達するような教育する機関、こういうことも必要だというふうに思うんです。これは初めて手話を勉強する人をやはり一定のレベルまで教育するということになれば、もっと多くの時間というものを必要とするということになりますから、この来年三月の最終報告が出されなくても、もう方向は決まっているわけですから、養成機関をつくるだとかあるいは聾唖連盟などとこういうことについても協議をしてスムーズに、それは移行するというか、移行できるようなそういう施策を講ずべきではないかというふうに思います。  厚生省で、検討委員会の言う手話通訳士として認定すべきレベルにまで教育するには大体何年ぐらいかかる見通しなのか、それをちょっとお聞きをしておきたいと思います。
  56. 戸口田三千尋

    説明員戸口田千尋君) まず先生の前段のお話についてちょっとお答えさしていただきたいと思いますが、現在手話の指導通訳士の養成につきましては手をこまねいておるわけではございません。  まず第一点は、各都道府県におきましてこれらの養成をまず行っております。これに対して社会参加促進事業において補助金を出しております。  それから、さらにこの都道府県段階における指導者の養成を全日本聾唖連盟に委託をいたしまして、現在年間八十人ほどを対象にいたしまして訓練をいたしておりますが、来年の予算要求においてはさらにそれを増員することをお願いをいたしておるところでございます。  それから、後段の何年ぐらいかかるかということでございますが、現在この問題も検討委員会の検討課題に含まれておりまして、現在までいわゆる基礎科目につきまして百五十時間、それから実習につきまして二百数十時間要するのではないかという議論が行われておりまして、その期間はおおむね一年ないし二年は要するであろうというふうな議論が交わされておるところでございます。
  57. 菅野久光

    菅野久光君 いずれにしろ、手話通訳士の問題とNHK技術的な問題、これが組み合わさらないと先ほど私が申し上げているようなことがなかなか実現しにくいということでありますので、その辺も含めてひとつよろしくお願いをいたしたいというふうに思います。  二年後に参議院の通常選挙があるんですが、この二年後の参議院の通常選挙手話通訳導入するということにはならないのかどうか。ここにも大分二年後に選挙される方が、私もそうなんですが、いるんですが、どうでしょうか。
  58. 岩崎忠夫

    説明員岩崎忠夫君) 先ほどからお答えいたしておりますとおり、私ども政見放送への手話通訳導入等の問題につきましては、ただいま制作上、技術上の問題を中心にして政見放送研究会の場で議論をしていただいてもらっている段階でございます。先ほど来議論が出ております適格の手話通訳者の確保というのは、そのうちの大きな要因の一つであります。  極めて限られた期間内に、均質の、大変レベルの高い手話通訳者全国各地でそれぞれに確保できるかどうかという問題は非常に大きな問題でございますが、この問題の行く末を見る必要もございますし、またそのほかに手話通訳の収録の方法でありますとか、手話通訳収録のための設備、人員の確保の問題でありますとか、制作上、技術上の問題がいろいろあるわけでございますが、これらはもう少し専門的な検討を経た上でないと、当面いつごろそれが結論を得るのかというのはお答えできる段階にはございません。
  59. 菅野久光

    菅野久光君 では、できるだけ早急にひとつ検討して、聴力障害者方々政治にきちっとした形で参加ができるという状況をぜひつくり上げてもらいたいということを、これは強く要望しておきます。  この問題の最後に、大臣、先ほどからいろいろ質問のやりとりをお聞きになって、大臣の後援者の中にも聴力障害者方々がいらっしゃるんじゃないかなというふうに思いますから、そういったような方々の気持ちなども酌みながら、大臣としての所感をひとつお聞かせいただければと、このように思います。
  60. 唐沢俊二郎

    ○国務大臣(唐沢俊二郎君) 菅野先生には、前決算委員長として、まず当委員会でいろいろ御指導いただきましたことに心から御礼を申し上げます。  聴力障害者のためのいろいろな施策についてのお話でございましたが、もう百も御承知のことだと思いますが、一応郵政省立場を言わせていただきますと、テレビ番組において聴力障害者のためにどのような方策を取り入れるかは放送番組編集に関する問題でございます。先生百も御承知でございますが、一切の表現の自由を規定いたしました憲法二十一条、それから放送法第三条によりまして、放送には放送番組編集自由の原則というのがございまして、これが一番大きな原則でございます。したがいまして、郵政大臣というのは閣内で最も自由で民主的な大臣でなければなりませんので、役所といたしましてはこの番組編集についてはNHKが自主的に定めるべきものであるということは申し上げざるを得ないと思います。  政見放送につきましては確かに表現上技術的、制作的な問題がありますが、今研究会で御検討いただいておるそうですが、私のもとにもそういういろいろお話がありましたので、先生方の中には二年後に選挙をやられる方がおられるそうですが、私どもはいつあるかわからないわけでございますが、実は選挙の際に大勢の方の集まる何といいますか出陣式ですか、私自身手話の通訳の方に来ていただいてやったことがございます。したがいまして、そういう聴力障害者の皆様のコミュニケーションのために手話通訳が非常に重要であると今先生おっしゃいましたのは、全く私もそのとおりだと考えております。  いずれにいたしましてもテレビ時代でございまして、一億二千万の方がひとしくテレビ番組を楽しんでいただき、またテレビから情報を収集されるということはこれは大変大切なことだと思っております。確かにNHKも若干ペースは遅かったかもしれませんが、文字多重放送によるテレビ番組の解説や、聴力障害者向けの番組も実施しております。そしてただいま川原会長からこの問題について積極的に検討をさせるという大変真摯な御答弁もありましたので、私どももさらに積極的に検討していただきたいと、このように考えております。
  61. 菅野久光

    菅野久光君 NHKの会長、総局長、大変お忙しいところどうもありがとうございました。どうぞ今後とも先ほど来の御答弁のようにひとつよろしくお願いいたしたいというふうに思います。それから自治省、それから厚生省も結構でございます。  では次に、郵便貯金事業経費についてお伺いをいたします。  郵便局の業務は、これは郵便とか為替振替、貯金、簡保、年金など非常に多岐にわたっております。しかもこれらの業務が一体となって行われているために各業務ごとの人件費、物件費を厳密に区分して掲示することは非常に難しいのではないかというふうに思います。それだけに私たち国民にとっては予算書、決算書を見てもこれは簡単にはわからない。郵政事業特別会計事業計画実績書の損益勘定の借方は、業務費が総係費、郵便費、為替貯金費、保険年金費、電気通信費、他会計への繰り入れ、減価償却費ということになっております。このうち郵便費、為替貯金費、保険年金費、電気通信費の四事業にかかる費用はそれぞれ各事業が負担をする、その比率が八〇%、それ以外の総係費は各事業が分担して、その比率が二〇%ということになっておるので、これらを合わせた費用は各事業から郵政事業特別会計に繰り入れると、こういう経理がなされているというふうに理解をしております。  そこで、伺いたいのですが、郵便、貯金、簡保、電気通信費の四事業が負担している総係費の郵政事業特別会計に繰り入れる基準というのはどのようになっているのか説明をしていただきたいと思います。
  62. 山口武雄

    説明員山口武雄君) 先生ただいまおっしゃいましたとおり、郵便それから郵便貯金簡易保険の三事業を効果的に運営いたしますために郵政事業特別会計を設けまして一つの会計で経理するということにいたしております。しかしながら、それぞれの事業は独立採算を旨としておりますので、各事業の運営に要する経費はすべて予算に定めるところによりまして適正に郵政事業特別会計に繰り入れるということにいたしております。  その際の基準ということでございますが、それぞれの繰り入れるお金の算出根拠について御説明申し上げますと、まず第一に各事業の運営に直接必要といたします経費、つまり郵便事業のために使われる経費、郵便費それからまた為替貯金費、保険年金費等、具体的に申し上げますと郵便の仕事に携わっております郵便配達の職員の人件費それから使用されるバイクのお金といったようなものが、これはもう郵便事業に専ら使われる経費ということで非常に事業別が明確でございますので、このたぐいの経費につきましてはそれぞれの事業の分担ということにいたしております。この経費の割合がただいま先生八〇%とおっしゃいましたが、全体の約七五%、まあ八〇%弱ということでございますが、そういう比率を占めております。  次に二つ目でございますが、郵便局におきまして郵便局長の経費、人件費とそれから庶務会計と、共通部門でございますけれども、この共通部門をそれ自体が言ってみれば各事業の仕事のうちの共通的な要素を抜き出して各事業をサポートするためにいたしておるわけでございますけれども、そういう共通部門の経費、それからまた言ってみれば後方にありまして事業全体を支援しておる職員の研修所でございますとかあるいは病院でございますとか、そういった部門の経費、それからまた管理部門といいますか、本省あるいは郵政局におきまして使用されます経費につきましては、これは事業別の明確でない経費が相当なウエートを占めております。そういった部分につきましては言ってみれば経費の大部分が事業量に、業務量に比例するという考え方のもとに、その業務量がその取り扱いの要員数、人の数でございますが、この要員数によって代表されるものであるというふうに考えまして、原則として事業別の要員の数に基礎を置いた計数によりまして各事業に割り振って計算をいたしております。  それから、そのほか三点目でございますが、一部の経費、例えば研修所の経費がございますけれども、これは事業別の訓練人員の割合によりまして分計という作業をいたしております。  それからまた、減価償却費につきましては、機器類等、機械器具でございますが、郵便貯金の例えば端末機等は、これは貯金のために専ら使われるということで、これは貯金事業の分担ということにいたしますほか、郵便局舎等につきましては、これは建物のそれぞれの事業別の使用面積の割合を全部積み上げまして、その割合で分計して各事業のそれぞれの分担にいたしております。  そのほか付言いたしますと、為替貯金それから保険年金の各事業において、いわゆる郵便というものを使うわけでございますが、まあ無料郵便というような表示が以前されておりまして大変誤解を招いたわけでございますけれども、これらにつきましても、やはり最終的にはそれぞれ貯金事業に用いられた業務用の郵便の費用、これは郵便貯金でちゃんと分担をいたすということにいたしておりまして、それぞれ適正な額を算出して各事業の負担、分担ということにいたして決算を出しておる次第でございます。
  63. 菅野久光

    菅野久光君 今いろいろ詳しくお話しされましたが、簡単に言えば業務量あるいは要員数、こういったようなものが一応業務費と総係費というふうに分けるとすれば、その両方ともそれがおよその積算の根拠になるというふうに理解していいわけですね。
  64. 山口武雄

    説明員山口武雄君) 先生ただいまおっしゃったようなことでございます。
  65. 菅野久光

    菅野久光君 昭和六十年度決算参照書の郵便貯金特別会計の歳出を見ますと、郵政事業特別会計繰入額の歳出予算現額が五千九百七十一億三千二百万円、支出済み歳出額、つまり決算額は五千六百八十三億九千七百万円となっておりまして、二百八十七億三千五百万円の不用額を出しておりますね。決算参照書によれば、この不用額の出た理由は「郵便貯金業務に係る取扱費の繰入れが少なかったため」、このようになっておりますが、これは具体的に言うとどういうことなんでしょうか。
  66. 山口武雄

    説明員山口武雄君) ただいま御指摘のとおりの結果と相なっております。  郵便貯金の業務の運営に必要な業務取扱費、それから営繕費、それぞれ繰り入れをいたすわけでございますが、六十年度決算上はそういう数値が出ておるわけでございますけれども、六十年度におきまして各事業とも、これは貯金だけではございません。各事業とも積極的に節約等を図っております。その結果、郵政事業特別会計全体として、これは二兆四千四百億円ほどの支出規模があるわけでございますが、全体として一%相当の三百十億円が節減されております。そのうち貯金事業にかかわる分がただいま御指摘の二百八十億円という数字になっておりまして、その内容といたしましては人件費、物件費それぞれございますけれども、主な要素としては需品費、それから超過勤務手当等が節減の内容ということでございます。
  67. 菅野久光

    菅野久光君 予算執行の過程で費用の節減があったと、これは効率的な予算執行という点から考えれば結構なことだというふうになりますけれども、ここでちょっとお伺いしたいのは、郵便貯金本来の業務費が節減されて不用額が出たのか、それとも四事業が分担している総係費が節減されて不用額が出たのか、どっちなんでしょうか。
  68. 山口武雄

    説明員山口武雄君) ただいまのそのあたりにつきまして詳細な数字を持ち合わせておりませんが、概略申し上げますれば、郵便貯金本来の業務運営上の節減部分、これがやはり何といっても大きいものというふうに考えております。
  69. 菅野久光

    菅野久光君 総係費ではなくて、業務費の方がその大宗を占めるということですね。そうすると、五十九年度決算参照書においても郵便貯金特別会計は、郵政事業特別会計への繰入額において百九十二億百万円の不用額を出しておりますね。この不用額も六十年度と同じ理由によって発生したのか、あるいは違う理由によるものなのか、その辺はどうなんですか。
  70. 山口武雄

    説明員山口武雄君) 六十年度とおおむね同様な理由でございます。  なお、これにつきましてちょっと付言させていただきますと、毎年度そうでございますけれども、現在のような非常に何といいますか、経済、金融情勢の大きな変動期にございます。私ども郵便貯金事業をめぐる環境というのは非常に大きく揺れ動いておる。それからまた、金利情勢につきましても非常に変化が激しいわけでございます。それからまた、これに対応します主体的条件と申しますか、事業運営それ自体につきましてもいろいろその年その年のいろいろなサービスの改善、あるいは業務運営の一層の積極的な展開等々で変わっていくということでございますけれども、一方で予算を財政当局に要求書を出し編成いたす時期と、それから実際にそれが決算ということで御報告できます時期までにおよそ二年間というタイムラグもございます。その間のいろいろな事情、情勢の変化ということで、本来申しますならば予算どおりの執行、決算額と非常に近い数値が出るということはすっきり御説明もできるわけでございますけれども、情勢の変化ということからこういった決算数値が変化してまいるということを付言させていただきたいと思います。  なお、背景の事情として申し上げますならば、六十年度につきましては郵便貯金事業はその収入のもう九九%は利子収入であり、それからまた、支出の九割以上が利子の支出でございますけれども、総体としておかげさまで五千八百億の収益を六十年度は上げることができたという状況でございました。
  71. 菅野久光

    菅野久光君 収益を上げることができたということは結構なことなんですが、先ほどの御答弁で各特別会計から郵政事業特会への繰入額は各事業に所属のはっきりしている直接費といいますか、それと共通経費であります総係費、両者とも職員が主たる積算根拠、それだけだとは言いませんが、それが主たる積算根拠だと、このように説明されました。  そこで、郵政省の特別会計関係の人数を見ました。郵便関係が十四万七百八十三人、貯金関係が六万五千八百三十五人、保険年金関係が四万六手二百四十人、電気通信関係が三千百六十六人、悠係費関係が五万二千八百十二人、それに建設勘定関係が五百六十一人、貯蔵品割掛勘定関係が千三。十三人、合計三十一万四百三十人ということになりますね。この三十一万四百三十人を分母として貯金関係の六万五千八百三十五人、これを割りますと、その比率は二一・二%ということになります。  一方、この六十年度郵政事業特別会計の損益計算書で、総係費、郵便費、貯金費、保険年金費、電気通信費及び共通経費である減価償却費、一般会計への繰入額を合計しますと二兆四千二百四十九億三千八百万円となっております。この額で貯金費の経費予定額四千六百二十二億五千五百万円を割ると、その率は一九・一%ということになります。つまり郵便貯金は人数は特別会計職員のうち二一・二%であるのに対し費用の方は一九・一%と二・一%少ない率になっております。このことは郵便貯金については本来負担すべき人件費よりも少ない額が郵政事業特別会計に繰り入れられているのではないかというふうに考えられるわけですけれども、この辺はいかがでしょうか。
  72. 山口武雄

    説明員山口武雄君) 先ほどの御説明、若干言葉足らずの点があるいはあったかと存じますが、職員の業務量それは要員の数によって代表されるという考え方から、その要員の数を基礎として割り出した計数で分担いたしておりますと申し上げましたのは総際費についてでございます。郵便貯金につきましてはもちろんその総係費の分担比率、先ほど先生御指摘のとおりでございますけれども、やはり直接郵便貯金として持つべき部分、これの分野における節減の比率というものが高かったということ、先ほどの御答弁のいわば繰り返しになりますが、その結果としてこのような予算と決算の差が出てきたというふうに考えておりまして、御理解を賜りたい、このように考えております。
  73. 菅野久光

    菅野久光君 郵便貯金の直接費それから総係費の比率を六十年度決算で見ますと、直接費が全体の二四・六%、郵便貯金関係のみの費用です。二四・六%です。総係費が同じく全体の二九・五%、これは予算計上額の比率の約一〇%近く高い比率になっています。これはどのように説明されますか。
  74. 山口武雄

    説明員山口武雄君) 六十年度におきます郵便貯金、為替貯金費で持っております総係費の比率につきましては二七・九%の割合となっておりますが、その一方で各事業それぞれ持ち合っております、四事業で持ち合っております総係費に占める郵便貯金の分担分は二九・五という数値になっております。これは先生ただいま御指摘のとおりでございます。郵便貯金としてはその共通的な部分にいろいろと依存しております経費が六十年度におきましては若干高かったものという結果をあらわした数値、このように理解いたしております。
  75. 菅野久光

    菅野久光君 若干高かった。五十九年度は三〇・四%ですね、総係費。六十年度が二九・五%、六十一年度は二九・一%、こういうことになっているんで、若干高かったというその答弁が適切かどうかはちょっと疑問があります。  昭和五十八年度決算参照書で郵便貯金特別会計の歳出を見ますと、郵政事業への繰り入れが歳出予算額五千三百十億六千百万円から百五十二億七千百万円が減額されております。減額された百五十二億七千百万円を何に使ったかと言えば、郵便貯金の預金者に払う利子に百四十九億四千二百万円、それから補てん金に三億二千九百万円を移用しております。郵便貯金特別会計から郵政事業特別会計に繰り入れる額は、先ほど来お話があったとおり主なものは人件費です。百五十二億七千百万円という額は年収三百万円の郵政職員の五千人を削減したのと同じ額になるんですね。このような人件費を削減しておいて何らの影響がなかった。人件費だけじゃないと思いますけれどもね、それで何らの影響もなかったということになるものか。あるいは郵便貯金特別会計から郵政事業特別会計に繰り入れる額を多く見積もって予算計上していたと、こういうことになるのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  76. 山口武雄

    説明員山口武雄君) ある程度、ただいま先生がおっしゃいましたが、先ほども私から御説明申し上げましたように、予算編成の時点における状況、それが一年、二年の間に変化してまいるといったようなことから、見込みが現実的には、これは生きて動く事業でございますので、変わってくるという要素がまずございます。それから先ほど御説明の中で若干足らなかった点があるわけでございますけれども郵便貯金、ただいま総合機械化の推進をいたしておりまして、いわゆるオンライン、今でも動いておるわけでございますけれども、この辺の関係、例えばそのオンライン業務に習熟するための訓練の経費でございますとか、それから機械等を入れるその建物等の経費でございますとか、こういったような関係で総係費の割合というのも若干ふえておると、こういう面もあろうかと考えております。それから、その年度間の予算と決算の差につきましては、周到に用意を進めながら総合機械化を進めておるわけでございますけれども、若干、年によりましてはその機械化のおくれといいますか、そういったこともないわけではございません。  今申し上げたようなことが総合的にこういう数値の中にあらわれておるものというふうに考えております。
  77. 菅野久光

    菅野久光君 昭和五十八年度で百五十二億という流用額を出しておりますね。それで今度は不用額を見ますと、六十年度では二百八十七億が不用額になっておるわけですね。このように多額の不用額を出すということについてはちょっと理解ができない、それは二十億や三十億ぐらいのことはあるのかもしれませんが、こんなことについて会計検査院の方ではどのようにお考えでしょうか、このような状況
  78. 三原英孝

    説明員三原英孝君) 先生案内のとおり、私どもでは決算の検査はいたしておりますけれども、予算そのものの編成の当否、これにつきましては検査をいたしておりませんので、このような多額な不用額が出たことにつきまして予算の方で問題があったのではないかという点につきましては、ちょっと私どもとしては見解を申し上げかねる次第でございます。
  79. 菅野久光

    菅野久光君 会計検査院としては不正な支出がなければあとは不用額がどう出ようとそれは私どもかかわり知らないことだと、端的に言えばそういうことですね。  では大蔵省に伺いますけれども、ほかの関係では随分予算の査定は厳しいんですが、ここの部分については随分何か甘いんじゃないかというふうに思うんですが、大蔵省、どうでしょうかね。
  80. 田谷廣明

    説明員(田谷廣明君) 先ほど来御指摘いただいております郵便貯金特別会計から郵政事業特別会計への繰り入れに関しまして、連年予算額と決算額との間にかなりの乖離があるのではないかと。その点につきましては、先ほど来郵政省答弁申し上げておりますように、何分事業をやっております特別会計でございますので、予算作成後経営状況の変化でございますとかあるいは予期し得なかったような事情の変化、さらには経費の節減といったようなことがございまして実際の経費が見積もりであります予算を相当程度下回っているということによるのではないかと思います。  また、御指摘ございましたように仮にそういったことが毎年起こっておるのであれば、それは予算編成における査定が甘いのではないか、こういうことだろうと思うのでございますが、実は私どもも予算編成に当たりまして先輩からいろいろなことを教わったわけでございますが、その一つに、決算の結果を常に予算査定に反映していくべしということは肝に銘じている点でございまして、本日御指摘の点も含めまして今後の郵政事業、各特別会計の予算編成に当たりましては適切な見積もり等を行いますよう今後とも努力をしていただきたいと思います。
  81. 菅野久光

    菅野久光君 もう時間がございませんので最後に大臣にちょっとお願いがあるんですけれども、先ほどから私質問いたしましたようにいろいろわからない部分があるんですよ。四事業が負担する経費ですね、それぞれがどの程度負担しているのかそれがなかなかわからない。決算書によって四事業が負担した額だとかその比率はわかるんですけれども、問題は四事業が負担するに至った積算根拠、これは決算書だけではわかりません。そこで総係費を四事業が負担するに至る積算根拠、その計算の方法をぜひ資料としてこの決算委員会に出してもらいたいというふうに思うんです。私はその出てきた資料を見てさらに事業経費の実態等を明らかにしていきたいというふうに思いますので、そこのところをぜひ大臣にお願いをして私の質問を終わりたいと思います。
  82. 唐沢俊二郎

    ○国務大臣(唐沢俊二郎君) 菅野先生から郵政事業につきましていろいろ御質問、御意見をいただきました。  実は郵政の三事業というのはなかなか難しいわけでございまして、辺地、離島あまねく等しいサービスを提供しなければいけないという公共性もありますし、そうかといって独立採算制でございますからやはり経営努力もしなければいけない、一方民間と競合する企業を圧迫してはいけないという大変難しい事業でございますが、我が国でこの事業が今までやってこれた一つの大きな理由は、郵便と貯金と保険を三位一体にやってきた、これが非常に私は大きかったんではないかと思っております。やっぱり局長さんのお給料も三事業に割り掛けることができるわけで、ばらばらでやってこなかったところに非常に意味がある。それがまた逆に言うと今先生からいろいろな御指摘があるわけでございますが、実は決算書の様式というのはもうこのとおりでございますので変えるわけにいかないのでございますが、先生の御要望のありました点、詳細にまた我々の方でいろいろ調べまして先生のところに後刻御報告に参上させたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  83. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  84. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十年度決算外二件を議題とし、郵政省決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  85. 一井淳治

    ○一井淳治君 郵政省昭和六十三年度一般会計予算に関連して質問さしていただきたいと思いますが、六年連続のマイナスシーリングで、この六十二年度の予算の確保は非常に厳しい状況でございます。しかも私、この決算委員会に出ることで初めて勉強さしていただいたんですが、郵政省一般会計予算は総額が余り大きくないので、必要部門、重点部門への融通というものが非常にききにくいんじゃないかというような感想を持っております。それにいたしましても、やはり必要なものは確保していかなければならないんじゃないかというふうに思いますけれども、基礎的な先端技術の開発、これは財源がいかに不足しても絶対に実行していかなければならない部門だと思いますけれども、この基礎的な先端技術の開発について、来年度の予算はどのようになっておるのかということをまずお尋ねしたいと思います。
  86. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) 先生おっしゃいますとおり、私ども大変苦しい一般会計予算の現状ではございますけれども、その中で何とか必要な政策的な経費は確保してまいりたいというふうに考えておりまして、特に私ども、来年度の六十三年度の予算要求の柱といたしまして、今一井先生おっしゃいました先端技術の開発予算ということについて意を注いだ次第でございます。  具体的に申し上げますと、まず、いわば今までの電気通信技術の枠を越えました革新的、創造的な技術の研究開発を学術的あるいは国際的な連携のもとに推進していこうということで、電気通信フロンティア研究開発の推進というものを予定しております。いろいろな超電導を用いました、あるいはバイオ通信というようないろいろ純粋、何といいますか、研究的なものを考えているものでございます。数字にいたしまして一・六億円でございます。  それから、放送あるいは通信の複合型衛星のための研究開発、これは、これからいろいろハイビジョンを初めとして高度な放送衛星技術を確立しなければいかぬ。あるいはまた移動体の衛星通信、自動車ですとか船舶ですとか、そういった移動体の衛星通信の機能を満たす、こういう複合型衛星の研究開発、これについて一・四億円。こういうようなもので、数字としては必ずしも大きい数字ではございませんけれども、これからいわば郵政省として電気通信の先駆けとなる部分についての研究開発を手がけたものでございます。  なお、このほか周波数資源の研究開発ですとか、あるいは宇宙分野の先端的な技術についていろいろ手がけてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  87. 一井淳治

    ○一井淳治君 具体的に予算の確保はどういうふうな進行になっておるんでしょうか。
  88. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) ただいまのところ、私どもとしては概算要求を取りまとめまして、財政当局に提出いたしまして、目下事務的にその辺についてのいろいろな話し合いを進めているところでございます。いずれ予定のスケジュールによって政府原案決定、あるいはまたその後の国会での御審議ということの手順になろうかというふうに考えております。
  89. 一井淳治

    ○一井淳治君 できるだけ多額の確保を要望しておきたいというふうに思います。  それから次に、最近NTT株式の売り払い収入を活用した無利子融資制度ができておりますけれども、そういうふうな制度ができたということは、結局はこのNTT株が高額に処分できたという結果でございまして、これはNTTのこれまでの努力の成果であるということも否定できないんじゃないかというふうに思います。  これは私の願望でございますけれども、できる限りNTT関係、それが無理でもせめて電気通信関連でのこの活用をお願いしたいというふうに思うわけでございますけれども、ちょっと振り返ってみますと、このNTTは七兆円余りの債務を負担しておりまして、毎年何千万円かの利子を払わなければならないというふうな状況でございまして、売り払い収益が少しでもNTTの債務支払いに充てられたらよかったんじゃないかという気がせざるを得ないわけでございます。  また、今回の無利子貸付制度ができるについても、いわゆるCタイプ以外の活用方法の道がもしも確保できたらよかったという気がいたします。多くの方々が努力なさっても及ばなかったんじゃないかという気もいたしますので、その点は今さら申し上げませんけれども、当面このCタイプ、この民活事業分一千億円の枠がございますけれども、これをどのように活用しておいきになるお考えなのか、お聞きしたいというふうに思います。  Cタイプ以外にも何かNTT関連とか、電気通信関連の事業に活用する方法があれば御説明をいただきたいというふうに思います。
  90. 一井淳治

    ○一井淳治君 できるだけ多額の確保を要望しておきたいというふうに思います。  それから次に、最近NTT株式の売り払い収入を活用した無利子融資制度ができておりますけれども、そういうふうな制度ができたということは、結局はこのNTT株が高額に処分できたという結果でございまして、これはNTTのこれまでの努力の成果であるということも否定できないんじゃないかというふうに思います。  これは私の願望でございますけれども、できる限りNTT関係、それが無理でもせめて電気通信関連でのこの活用をお願いしたいというふうに思うわけでございますけれども、ちょっと振り返ってみますと、このNTTは七兆円余りの債務を負担しておりまして、毎年何千万円かの利子を払わなければならないというふうな状況でございまして、売り払い収益が少しでもNTTの債務支払いに充てられたらよかったんじゃないかという気がせざるを得ないわけでございます。  また、今回の無利子貸付制度ができるについても、いわゆるCタイプ以外の活用方法の道がもしも確保できたらよかったという気がいたします。多くの方々が努力なさっても及ばなかったんじゃないかという気もいたしますので、その点は今さら申し上げませんけれども、当面このCタイプ、この民活事業分一千億円の枠がございますけれども、これをどのように活用しておいきになるお考えなのか、お聞きしたいというふうに思います。  Cタイプ以外にも何かNTT関連とか、電気通信関連の事業に活用する方法があれば御説明をいただきたいというふうに思います。
  91. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) 先生おっしゃいますとおり、NTTの株の売却収入を元にいたしまして無利子融資制度ができまして、せんだって六十二年度の補正予算におきましても、民活関係につきましてこの無利子融資制度の道が開かれたわけでございます。確かにNTTの株というものの性格にかんがみまして、これは電気通信関係について広くその成果といいますか、その預託が還元されるべきであるという有力な御議論もあるように承っております。私ども直接NTT関連の事業ということでないにしましても、広く電気通信の分野で何らかの形でこのNTT株の売却益を元とした無利子融資が利用願えないかということで、いろいろ考えてきているわけでございます。  実は、補正予算ではいろいろな地域の情報の活性化ということをかねてからねらいといたしましてやってきておりましたテレトピア関連の事業、それから民活関係の、例えば電気通信の施設などを共同で展示して利用してもらうテレコムプラザ、あるいは電気通信の基礎的な研究をやってもらうテレコム・リサーチパーク、そういったものに対しましてこの無利子融資の利用を願ったわけでございますけれども、来年度の、六十三年度の新規要求につきましては、そういったものにつけ加えまして、さらに電気通信の基盤の充実にこの無利子融資を活用しようということで幾つか要求いたしております。  それを御紹介申し上げますと、まず第一に地域の電波利用の基盤整備事業というものでございます。これは、例えば電波塔でありますとかいうようないろいろ移動通信などの電波利用の拠点となるような施設を整備していきたいというもので、地域電波利用基盤整備事業がその一つでございます。  それから、地域ISDN整備事業、ISDNとよく言いますけれども、要するに電気通信の新幹線と御理解いただければよろしいかと思います。電話に加えましてファクシミリあるいはデータ通信、いろいろな新しい情報通信手段がそれで処置されるというものでございますけれども、そういうような地域におけるISDNの整備事業、それから特定開発地域における電気通信整備事業、これは人工島ですとか、あるいはリゾートといったような新たに特定の目的を持って増設される地域がこれからどんどんふえていくだろう、そのときに道路やなんかと並んで、いわば一種の社会基盤として、社会資本として最初から電気通信のネットワークといいますか、その線を組み込んでしまうと、そういうための電気通信整備事業にこの無利子融資の所要額を確保していきたいということで、これらはいずれもCタイプでございますけれども、予定しているところでございます。  なお、これ以外に考えたらどうかという御指摘でございます。私どもいずれこれは将来の検討課題として、これにとどまらないで、さらにこういう無利子融資が行われる対象領域というものを広げていきたいというふうに考えております。  なお、現在NTTの株の三分の一が産投会計に所属しておりまして、この産投会計に所属しているNTTの株の配当益などを原資といたしまして、あるいは先生御承知のことかと思いますけれども、基盤技術研究センターにその金が行きまして、そこから民間の電気通信技術の研究開発プロジェクトに向けられるというルートもあるということを一応御披露申し上げておきたいと思います。
  92. 一井淳治

    ○一井淳治君 最近肝を冷やすような株価の乱高下がございますが、一般の株価が非常に不安定な状況でございますけれども、NTT株につきましては一般国民が株主になっていること、それから最近の内需振興という政策の重要な財源となっていること、それから問題点が違うかもしれませんが、NTTの安定株主確保の方策ということも大切ではないかと思いますけれども、株価の非常に不安定な中でそういった問題につきまして大蔵省の方の御所見を伺いたいと思います。
  93. 松川隆志

    説明員(松川隆志君) 先生御指摘のように、現在の株式市場は、ニューヨークの株式市場の方で十九日に下落率二二%、ドルにして五百八ドルの史上最大の下落になったということに端を発しまして、東京市場も二十日は一五%程度の史上最大の下げを記録したわけでございます。その後九%程度上がった後、翌日以降一進一退ということで、いわば激震の後の余震というような状況が続いているわけでございます。我々は、この市場動向を分析しているところによりますと、基本的には海外要因によるところが大きい。要因別に見ますと、我が国の機関投資家はニューヨーク等の海外市場の動向を見守っておりまして、売り買いともに手控えている。他方、外人の売りがずっと継続的に出てきておりまして、売買高が少ない中で、外人売りが続くことによりまして株価が低迷を続けている、そういう状況にあるわけでございます。  それで、市場における株価の乱高下というものは、やはり基本的には市場に任せるべきでありますが、投資家心理に対する影響、あるいはそれがひいては日本経済、海外経済に与える影響等を考えますと好ましくないわけでございまして、我が国のファンダメンタルズというのは非常にいいわけでございますので、こういう点を十分市場関係者あるいは投資家に認識していただくということで、そういうことを繰り返し申し上げているわけでございます。我々といたしましても今後の海外市場の動向とか、我が国市場の動向を踏まえまして、適切に機動的に対処していく所存でございます。  なお、先生御指摘のNTTの株式の問題でございますが、NTT株式の株価は、株式市場全体の動きに応じまして上下はしておりますが、その動きは比較的小幅でございまして、また市場関係者によりますと、今回の売り出しの応募については投資家の反応の基調には変化はないというふうに聞いております。したがいまして、十一月上旬に予定されております売り出しに関しては、これまでの方針を変えずにやっていくというふうに考えている次第でございます。
  94. 一井淳治

    ○一井淳治君 最近郵便局に参りますと、例えば「ふるさと小包」のような新しいサービスの向上がありますし、また職員の方も、お金を払えば切手をちゃんと封筒に張って出してくださるということで、非常に親切なお客さんの扱いができるようになっておりまして、郵便局も非常にやっているなというふうな感想を持つわけでございます。そういうことが恐らく反映しておるんだと思いますけれども、郵便事業の経営が非常に好調であるというふうに聞いておるところでございますけれども、その郵便事業の経営の概況とその背景等についてお伺いいたしたいと思います。
  95. 田代功

    説明員(田代功君) 概況について申し上げますと、昭和六十一年度一年間の郵便物の物数の伸びが前年度に比べて約五・五%増加いたしました。金額にいたしますと約五%の伸びでございます。この低成長時代に五%程度の伸びを上げられますということは大変好調だというふうに私ども考えております。本年度に入りましても、この半年、九月までの累計では前年度に比べまして七%を超す郵便物の増加を示しております。  財政面につきましては、五十六年度以降引き続き黒字を計上いたしておりまして、五十五年度末二千五百億円程度ありました累積赤字が、この三月末で十五億円にまで減っております。このように郵便事業が好調となっております背景と申しますのは、まずは職員の意識改革だろうと思います。ただいま先生御指摘のような郵便局の窓口の雰囲気がすっかりさま変わりしておりますように、全職員が一丸となって営業活動に専念しているということがまずは第一の原因だろうと思いますが、そのほかには、「ふるさと小包」の開発やら「さくらめーる」「かもめーる」といった、くじをはがきにつけることによって需要を伸ばすといった、こういったサービスの改善を数多く実施してまいりましたことと、さらには昭和五十五年以降六年間にわたって郵便料金を据え置いているということで、利用者にとっても比較的割り安感を与えているのではないか、こういったものがもろもろ重なりまして、おかげさまで郵便事業は好調な状態を維持しているところでございます。
  96. 一井淳治

    ○一井淳治君 この郵便事業の経営の改善にはサービスの向上ということが非常に大きく貢献していると思いますが、小包の面でも非常に改善が行われるということを聞いておりますけれども、サービスの改善、向上について今後どのように進めていかれるのか。特に国民の側からすれば、料金を据え置いて、今の状況下でさらにこのサービスを向上してもらいたい、改善してもらいたいという気持ちは強いわけでございますけれども、当面あるいは長期的にどのような方策をお持ちなのか、御説明いただきたいと思います。
  97. 田代功

    説明員(田代功君) お答えいたします。  郵便の基本は何と申しましても、早くて安くて確実にお届けするということにあろうかと思いますので、私ども長期的にはこの三つの要素を今後ともますます確実に向上さしていきたいと、かように考えております。  特に御指摘ございました小包について申し上げますと、今後予定しておりますサービス改善では、小包追跡システムと私ども申しておりますが、私どもがお客様から預かりました小包が現在、郵便局の中のどの場所にあるかということを瞬時にして全国どこにいてもわかるようなシステムを現在つくりつつあります。これが来年十月から稼働いたしますので、こういたしますと、お客様からの問い合わせに対して、たちどころに現在ここにありますというようなことがお答えできる、非常に安心感を与えることができるかと思います。あるいは日曜、祭日における小包の配達ですとか、あるいは郵便局まで持ってきていただかなくても、郵便局からお客様の家に取りに行く、あるいは近所にあるいろいろなガソリンスタンドその他の取次店といいますか、近所まで持ってきていただければよろしいと、こういったシステムを今後ますます拡大していきたい、かようなことを考えております。  また、小包以外では、さきの通常国会で法律改正をお願いいたしました、例えば広告郵便物につきまして三〇%の割引の制度導入することにいたしましたが、これは十月一日から実際に動き出しております。こういったものの需要を今後ますます伸ばすことによって、現在のこの料金をいつまでもできるだけ長く維持したい、かように考えておる次第でございます。
  98. 一井淳治

    ○一井淳治君 御説明がありましたようなサービス向上が国民に受けて、郵政事業改善が行われていると思いますので、なお一層の御努力をお願いしたいというふうに思います。  それから次に、この六月から金融の自由化対策ということでいろいろな方策が進められておるようでございますが、この金融自由化対策資金の運用種目別の運用金額、それから構成比、こういったものはどのようになっておるんでしょうか。それから運用の成績や今後の見通しについでもあわせて御説明いただきたいと思います。
  99. 中村泰三

    説明員(中村泰三君) 郵便貯金事業につきまして、これからの金融自由化に的確に対応するための一つの措置としまして、一部郵便貯金資金の自主運用が認められたわけでございますが、私どもこの自由化対策資金の運用を六月末から開始をいたしまして、現在のところ九月末現在の運用額は四千五百億でございます。  この運軒先の内訳でございますけれども、国債に約一千九百三十億、四三%。それから地方債に四百四十億、約一〇%。それから公庫・公団債に六百十億、構成比は一四%。それから金融債、社債に三百三十億、これが約七%でございます。それから外国債に四百五十億、これは一〇%ぐらい。その他銀行預金に七百四十億という運用の内訳になっております。  なお、運用利回りでございますが、現在のところ資金運用部からの借入利率をやや上回っているような状況でございまして、今後とも借入利率を上回る運用ができるものと、またそのように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  100. 一井淳治

    ○一井淳治君 本来これは、郵便貯金というものは非常に多くの割合の金額を地方から吸い上げてきておる。したがって、地方に還流できるようないろいろな方策を立てていただいた方がいいんじゃないかというふうに思うわけでございます。ただいま地方債のこの購入比についても御説明があったわけでございますけれども、外国債に比べてやや寂しいというふうな状況のようでございますけれども、やはり最近、内需振興による国民生活の質の向上ということは、これはまあ国政の関係者の合い言葉のようになっておるような状況でございまして、やはり高齢化社会を目前に控えて、外国の社会資本充実よりも我が国の、特にお金を集めてきておる地方の住民のための社会資本の充実のために使うべきではないかというふうに思うわけでございます。  ことしの五月の二十二日に参議院の逓信委員会、五月十四日に衆議院の逓信委員会がありまして、それぞれ郵便貯金法一部改正に際しての附帯決議ができておるわけでございます。そこでもこの対応についての決議がなされておるところでございますけれども、地方公共団体へ直接貸し付けを可能とするような、何かそういうふうな方策を今後考えていただいた方がいいんじゃないかというふうに思うわけでございますけれども、そうなりますと貯金者にとっても、例えば自分の貯金がこういうふうな施設に生きているんだということで非常に目に見えた成果があるわけでございまして、貯金者の方の意識も貯金行政に対して非常に協力するようになってくるんじゃないかと思いますけれども、そのあたりのことについてお尋ねをいたしたいと思います。
  101. 中村泰三

    説明員(中村泰三君) 先生御指摘のとおり、郵便貯金資金というものが全国津々浦々から集められた資金の運用を担当しておるわけでございますから、できるだけ地方にも還元をしろといったような附帯決議も参議院の逓信委員会でいただいておりますし、私どももまだまだ地方の町づくりといいますか、社会資本の充実等に活用いただけたらいいんじゃないかというふうに考えているところでございまして、現在のところは、この対策資金の一部を地方債の購入ということに充てているわけでございますけれども、六十三年度の予算要求におきましても地方公共団体に直接融資できる道、あるいは第三セクター等にも市中融資が可能になるように自由化対策資金の運用範囲の多様化について要求をしているわけでございまして、その実現に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  102. 一井淳治

    ○一井淳治君 電気通信事業法が施行されまして来年の三月末で三年目になるわけでございます。電気通信事業法の附則の第二条には、いわゆる見直しの規定が置かれておるわけでございますけれども、現在このことに関連してどのような方策を進めておるのか、お尋ねいたしたいと思います。
  103. 松野春樹

    説明員(松野春樹君) 先生ただいま御指摘の電気通信事業法の附則第二条の趣旨に基づきまして、現在同法の施行状況検討のために、電気通信事業の現状につきまして調査を始めたところでございます。  なお、その調査の一環といたしまして、例えば電気通信事業者、第一種及び第二種とございます。それからユーザー団体、経済諸団体等の関係者の皆さんから意見、要望の聴取につきまして準備を進めているところでございます。
  104. 一井淳治

    ○一井淳治君 先走った質問をして大変失礼でございますけれども、遠からず内閣改造が行われまして郵政大臣もおかわりになるんじゃないかというふうに思いますけれども、政府としてこの附則第二条のことを重要な事項として継続して取り組んでいただけるものと聞いてよろしいかどうか、お伺いしたいと思います。
  105. 唐沢俊二郎

    ○国務大臣(唐沢俊二郎君) ただいま松野部長も御答弁いたしましたが、我が国の電気通信改革というものは六十年に行われまして、イギリスよりは一年遅かったわけでございますが、その後の経過が第一種電気通信事業者だけで二十六社ですか、第二種に至っては四百社以上参入をしているということで、自由化の一つのテストケース、トップランナーとして世界の注目も集めておるわけでございます。そういう状態でございますので、先生おっしゃいますように、電気通信事業法附則第二条に基づく施行状況検討につきましては、非常に重要な事項であることについては十分認識をいたしております。
  106. 一井淳治

    ○一井淳治君 NTTが民営化されて、間なしに三年になるわけでございますけれども、経営改善のためにNTTの労使はともに努力しているというふうに私は思っておりますけれども、その点いかがでございましょうか。
  107. 松野春樹

    説明員(松野春樹君) この民営化の趣旨というのは、私考えまするに、やはり経営効率化に努め、あるいは競争によりまして、よりよいサービスをより低廉な料金で提供する体制をつくるということにもあろうかと思います。NTTにおきましても、例えば事業部制の導入でございますとか、それから職員の企業意識あるいは営業意識というものの浸透を図っております。それからクォリティーコントロール、QC運動と申しておるようでありますが、いろいろな活動を展開されております。その他いろいろ努力されておりまして、こういう効率化のための施策をいろいろ講じてきておる、また、それに対して私どももその努力を多としているものでございます。今後ともひとつ制度改革の趣旨を踏まえまして一層の効率的な経営に努めまして、その成果が国民あるいは利用者に還元されることを期待しておるところでございます。
  108. 一井淳治

    ○一井淳治君 見直し規定がもう一つございまして、労働関係調整法につきましても来年三月末がちょうど法施行から三年後になりまして、同法附則第四条によりまして見直しの時期が参るわけでございます。これにつきましては、法に従った見直し作業を進めていただけるというふうに思っているわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
  109. 長勢甚遠

    説明員(長勢甚遠君) 特例調停制度につきましては、先生御指摘のとおり、労働関係調整法附則第四条におきまして、「施行の日から三年後に、その施行後の諸事情の変化を勘案して、」「見直しを行うものとする。」ということになっておるところでございます。  この特例調停制度は、電電が民営化をされNTTになったものの当面独占体であり、電気通信事業分野において引き続き非常に重要な役割を担うということから設けられたものでございますので、今後NTTが電気通信事業において果たす役割等の状況変化をよく見定めた上で、しかるべき時期に廃止する方向検討したいと考えております。
  110. 一井淳治

    ○一井淳治君 次に、NHKの方にお尋ねをいたしたいわけでございますけれども、最近衛星を打ち上げられまして、それによってこれまで電波が届かなかったところへもテレビ受像が可能になるということで非常に御努力いただいておるわけでございますけれども、現在それを受像するについては、試験放送中であるから無料という取り扱いにされておるように聞いております。そして、そういったことで視聴者の人たちは数万円から二、三十万円程度の取りつけ費用を負担して、だんだんと視聴者が増加しているという状況があるようでございますけれども、恐らくNHKの方でもこれを最後まで無料でいくというのではないんじゃないか。ある時点では有料に切りかえられるんじゃないかというふうな予想がされるわけでございますけれども、今後有料にするということを表明された段階で、今まで取りつけ費用などを負担しておった方がまさか有料になるとは思わなかったということで混乱が起こるんじゃないかというふうな一つの心配がございますし、また、これまではNHKというのは、国民全体が育てていくという観点から、受信料国民が同一であるという大前提があったわけでございますけれども、衛星放送を受信しない人にも同一というふうにはいかないと思いますので、受信料の差別ができる、区別ができるというふうになっていくと思うんですけれども、そういうことでいろいろ将来に問題が起こると思いますけれども、今後の展望について御説明をいただきたいと思います。
  111. 林乙也

    参考人(林乙也君) 六十一年の二月に打ち上げました放送衛星二号は、その後二チャンネルによる放送を正常に行うことができる中で現在に至っておるわけでございまして、本年の七月以降NHKといたしましては免許方針の改定を受けまして、一チャンネルの普及促進のための独自番組の編成というものを行い、多額の経費をかけて打ち上げました衛星の成果を積極的に国民方々に還元いたさなければならぬというような考え方のもとに取り組んでおるところでございます。  おかげさまで、現在大体全国で二十三万世帯の普及というところにまいっておりまして、確かにこれらの方々は、パラボラアンテナ及びチューナーを合わせまして約十三万円から十五万円程度の、衛星放送を受信するための装置をつけていただかなければならないわけでございますけれども、積極的な番組のサービスの充実という中で、今後ともその普及が相当進んでいくのではなかろうかというように期待をいたしておるところでございます。  現在、各視聴者方々から衛星放送の将来について、いろいろお尋ねや御照会がございます。どういうように番組を充実していくのかというようなことも多いわけでございますけれども、一方、その財源なり負担というものをどういうふうに考えるのか、地上の放送だけを受信している者に、衛星放送に必要な経費というものの負担というものを求めるのは、負担の公平を欠くのではないかというようなお尋ねもございまして、これらにつきまして、NHKとしても、まだ糸口についた現在の段階で、将来についての考え方を明らかにしていく必要があるというように考えておるところでございます。  将来の考え方といたしましては、やはり衛星放送の受信者に対しまして、何らかの形での御負担をいただくということが必要ではなかろうかと考えておるわけでありますが、これはあくまでも予算を国会で御承認いただくということによりまして確定するわけでございます。したがいまして、それを前提にいたしました上で、現在の状況のもとにおけるNHK考えというものを視聴者方々に御説明してまいりたい。  幸いにいたしまして、この秋の念といいますか太陽の、地球の陰に隠れて、衛星の信頼性について問題を生じがちな期間というものを無事に経過いたしまして、この秋から番組につきましてもより一層積極的な充実を図っていかなければならぬというように予定いたしておりまして、その際に放送を通じまして、あるいは周知の文書等を通じまして衛星放送の将来についてのNHK考え方、また財源の問題、受信者の方に御負担いただく料金等の問題について、あくまでも国会で御承認をいただいた上でのという前提を持った上で、現在時点における考え方というものを積極的に御理解いただくように努めてまいりたいと考えておる次第でございます。  なお、衛星放送につきましての料金を設定するということになりますと、地上の現在の料金とそれから衛星料金とさらに加わるわけでございますけれども、これはあくまでもNHKのサービス、業務というものを、国民方々に全体として維持、運営していただくための公的な負担金という現在の受信料制度の基本的な性格のもとにおける一つの体系というように考えておりまして、今後ともそれは受信料制度というものの枠の中で考えてまいりたいというように考えておる次第でございます。
  112. 一井淳治

    ○一井淳治君 NHKの問題とすれば、受信料を滞納しておる者が多いということも一つの大きな問題でございますけれども、これは言いかえると、受信料一般の庶民にとってはそう安い金額ではないということでございまして、将来衛星放送について料金を取るということになりますと、やはり国民とすれば非常に、言葉が悪いんですけれども、極端に言えば、だまされたというふうな感じに極論すればなるんじゃないかというふうに思います。ただいまの御説明によりますと、国会の予算がどうのこうの言われたんですけれども、やはり国の責任にしないで、NHKの方でそのあたりのことはある程度前もって言っていただかないと非常に公正を欠くんじゃないかというふうな感じも否定できないわけでございますので、予算の前に、やはりある程度の方向づけとかいうものを国民に知らせておかないとぐあいが悪いんじゃないかと思います。そうしてまた、たしか衛星というものは何年か先に再度打ち上げるというふうな問題があって、そこでまた多額の費用の負担ということが問題になってくると思うんですけれども、早目にやはり有料化問題を国民に知らせておく必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
  113. 林乙也

    参考人(林乙也君) 私は、ただいまお答え申しました中で、予算の国会の承認ということを申し上げたわけでございますけれども、これはあくまでもNHKとして責任を回避するという意味ではございませんで、そういう制度的な枠組みの中にあるということで申し上げたわけでございます。  繰り返しになりますが、この十一月から衛星放送につきましても、より一段と番組を充実していく予定にいたしております。その中で、責任者から放送を通じまして衛星放送の将来についての考え方、料金の問題についてもNHK考え方を積極的に御説明を申し上げまして、将来先生が御心配いただいておりますような問題が生じないように、はっきりと対処いたしてまいりたいというように考えておる次第でございます。
  114. 一井淳治

    ○一井淳治君 それからもう一つ、衛星放送の問題につきましては、多額の投資を伴うということが一つの特徴ではないかというふうに思いますが、山間僻地の人たちに電波を送ってあげるということは非常に崇高な理想として私も大賛成でございますけれども、しかし、大ざっぱに言いますと、たしかNHKの総収入が約三千億ですか、その一割の三百億という大変な投資を要するわけで、これが何年に一度ずつまた打ち上げなくちゃいけないというわけでございますけれども、それに比べて現在の放送内容は、いろいろ御努力いただいているのはわかるんですけれども、やはり結果として放送内容が貧弱ではないか、利用効率が非常に低いんじゃないかという心配がございます。  せっかく新しいメディアができたわけでございますから、例えばこれは私の今の個人的な思いつきでございますけれども、思い切って個性の強い魅力ある番組を流すとか、あるいはごく一部の視聴者しか見ないかもしれませんけれども専門的な番組を流すとか、いろいろ新しい企画をしていただきましてもっと利用効率を高めないと、非常に言葉は悪いんですけれども、むだ遣いに近いのじゃないかという気がするわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
  115. 林乙也

    参考人(林乙也君) 私どももただいま先生からお話をいただきましたが、全く同感と申しますか同じように考えておる次第でございます。  放送衛星は、BS二号につきましても約三百五十億の資金を投じて打ち上げたわけでございます。もっとも、これはそれぞれ一機ずつ五年間の寿命ということでございますから、一年間にいたしますと、それを五年で割るということに負担はなるわけでございますけれども、いずれにいたしましても多額の経費を投じまして打ち上げました衛星というものを、積極的にその成果を国民に還元するということが私どもの最大の使命だというふうに考えておりまして、それは積極的な魅力のある番組放送いたしまして普及につなげていくということであろうというふうに考えております。  現在、編成上におきましても、例えば「ワールドニュース」というような、二十四時間放送の中で世界各地のニュースというものを即時に放送するというようなことだとか、あるいは高品質の音声の番組放送するだとか、あるいは全国各地のニュースを「こんばんはにっぽん」というような形で積極的に全国に向けて放送するというような形で行っておるわけでございますけれども、この秋以降はさらに若者向けに魅力のある「ヤング・ウィーク・スペシャル」とか、あるいはさらに世界のニュースと申しましても、特にアジア地方のニュースもさらに充実していくというような形で、本当に番組につきまして国民方々が納得いただけるような中身のものにしてまいりたい。そういうようなことによりまして、衛星というものを打ち上げただけの値打ちのあるものにしていきたいというように考えておるところでございます。
  116. 一井淳治

    ○一井淳治君 あと一点NHKお尋ねしたいわけでございますけれども、経営の効率化と申しましょうか、NHKの方でもいろいろ努力なさっておるようでございますけれども、その一つとして業務を下請に出す、そして、いろいろなバラエティーがあるようでございますけれども、場合によっては一つ番組制作を一括して外部に出してしまうというところまで進んでおるように、私も詳しい調査はしてないんですけれども、そのようなことも聞いておるわけでございますけれども、下請の状況によりましてはNHKの公正、中立性というものを損なう危険性があるんじゃないかという心配もするわけでございますけれども、そのあたりはいかがなんでしょうか。
  117. 林乙也

    参考人(林乙也君) 情報化の進展の中で放送事業をめぐります番組制作、調達のあり方、あるいは放送素材の副次的な利用の仕方というものもまことに多様化してまいっております。そういった中でNHKといたしましては番組の多様化を図るために、例えば外国の放送機関との共同制作、あるいは民間の機関との共同制作、さらには調達番組をふやすというようなことで対応いたしておるわけでございます。あくまでもNHKといたしましては放送法に定められております、豊かで質の高い番組を公共放送として放送するということが大前提でございまして、それを十分見きわめた上で、しかも番組の多様化あるいは制作につきましての効率化というものを配慮しながら番組につきましての制作委託というようなことも行っておるわけでございますが、その場合におきましても番組の質というものを低下させることのないよう十分見届けながら進めておるというのが現状でございます。
  118. 守住有信

    守住有信君 唐沢郵政大臣、この間の九月の下旬でございましたか、国連のITU、専門機関の今度は世界無線通信主管庁会議でございましたけれどもいらっしゃいまして、バトラー事務総長以下、先進国から途上国の皆さんとも、まあ何せ有限の地球物理的な電波でございますので、その有効利用についていろいろ会議の中でもお話し合いなさいましたし、特に私が伺っておりますのは、お帰りに西ドイツにいらっしゃいまして、あれはシュワルツシリング郵電大臣、ブンデスポストでございますか、大臣とお話し合いをなさいました中で、西ドイツと一緒にテレビ電話について共同利用ができるような共同研究開発をやろう、こういうことをお話し合いになったということを新聞報道で知ったわけでございます。  そこで、そういう理念の中からもう一つ、これはNTTにお尋ねするわけでございますが、私も若いころから、かつて松前重義、逓信省の大先生、通信は世界を結ぶというふうな一つの理念、哲学のもとに、いろいろ国境を異にし、民族や宗教やいろいろ政治体制を異にしている国々とも通信ネットワークというものは必ず共同利用型で、相互接続で相互に通信し合えるネットワーク社会を形成していくんだ、これが最高の哲学だと私も教えられておったわけでございます。  特にまた、最近ちょっと聞きますと、例のテレビ電話、まだ静止画でございますし、モノクロでございますが、これは将来に向かっては、その動画というか、あるいはカラー化というか、そういう可能性、音声通信だけでなくて映像通信といいますか、画像通信というか、それを含めた一体的な大衆利用のテレビ電話、企業等が利用するテレビ会議ではなくて、そういう国民大衆が利用するテレビ電話に向かって実用化の動きが現実にも出ておって、一部商用化にもなっておる、こういうふうに出ておるわけでございますが、その中でNTTの関係でございますけれども、その通信機器メーカー等との間で、これが二元化二万式になって、それが相互に利用し合えないというふうな実態が出てきておるやに承知をしておるわけでございます。  私といたしましては、やはりこのテレビ電話でございましても、いわゆる音声通信を含めたところの映像通信のはしりだと思っております。今後どんどん高度化してまいりますでしょうけれども、その揺籃期のスタートのところでどうも二元化に相なりますと、これをお買い求めに相なった方が、極論でございますけれども、自分の父親とはA型で、おじさんとやろうとしたらそれは実はB型であった。そしてそれは映像は出ないと、こういうふうにもなりかねないわけでございます。いろいろ新聞紙上等にも報道されておりますが、その辺のところをまずNTTの山口社長参考人の方から御説明いただきまして、これについてどのように、まずネットワークの最大の保有者はNTTでいらっしゃいますし、またNTTには長い間の技術開発陣の能力、ノーハウが蓄積しております。  最近、ちょっと余談でございますが、電気通信機器メーカーだけでなくて電機メーカーがどんどん通信機器の世界に、製造に入っておりますけれども、その例えばVTRにおける二元論が世上も言われておりますが、これは家庭の中での、かついろいろな別のシステム方式があってもよかろうと思うわけですけれども、事電気通信のネットワークに接続する端末機器としては、非常に基本的な問題をこれは実は含んでおるんじゃないか、こういう私は認識をいたしておりますので、その点をまずNTTの方から御説明をいただきたいと思う次第でございます。
  119. 山口開生

    参考人山口開生君) お答え申し上げます。  ただいま先生から電気通信の、特に将来のテレビ電話関係につきまして基本理念のお話がございました。私どもが、最近新聞紙上で出ておりますように、静止画のこれは簡易型でございますけれども、簡易型のテレビ電話機について販売を始めておりまして、それにつきまして、同じようなテレビ電話機として別のものをまた販売するのではないかと、こういう点での御指摘でございますが、多少経緯を申し上げたいと思います。  NTTでは民営化になりましてといいますか、それ以前からでございますけれども、電気通信のニーズが非常に多様化、高度化しておりまして、魅力あるサービスを提供したいということで研究開発を進めてまいっておったところでありますが、電話網を利用いたしまして、テレビ電話のようなものの開発ももちろん進めていたわけであります。  最近になりまして一応の研究開発も進んでまいりまして、しかし、まだ将来的に完璧なものというほどではございませんけれども、静止型の簡易なテレビ電話機について一つのニーズがございまして、やはり要求がございまして、それに対応するために特にあるメーカーさんが開発しました静止画のテレビ電話を、これは商品名を「テレフェース」と言っておりますけれども、これはちょうどニーズに合うということで、この八月から特に大企業の大口のお客様、一般利用ではございませんで、特定のユーザーの方に試行的に販売を開始してございます。  一方、これは新しい商品でございますので、新しいコンセプトを商品化しました初期のマーケティングという考えで今販売しておるわけでありますけれども、したがいまして、この利用方法も特定の方の間のクローズドサーキットといいますか、特定の方の間の使用が主流となっております。  先ほど御指摘ありましたように、電気通信ネットワークというのは、特定のお客様と同時に、一般の皆様方がやはり利用できるということが特に重要でございますので、そういった一般の方にやはりお使いできるような商品というものも一方では必要でございますので、それについての研究開発も進めておるわけでありますが、たまたまその別の研究開発をやっているということが、私ども説明が不十分でございまして、それを間もなく発売するというような形に実はとられまして、したがって御指摘のあったように、NTTが二つのテレビ電話機を発売するのではないかということで、その考え方が少しおかしいのじゃないかと、こういうようなことに受け取られておりますが、ただいま説明しましたように、今発売しておりますのは、あくまでも特定のお客さんの間でだけ利用していただくということと、こういった新しい商品がどのようにやはり使われていくか、あるいはもっとどのような改良を加えていけばいいかということの一つの試験的段階にあると思って発売しておるわけであります。この後の一般の利用の方に対するテレビ電話機につきましては、御指摘のとおりこれは非常に広く使われて、広い意味での標準化が必要だと考えておりまして、現在その問題の解決を私どもまだ持っておりませんので、これについていつ販売するとか、そういうことはまだ決めておらない段階でございます。
  120. 守住有信

    守住有信君 今お話、御説明聞いたわけでございますが、特定の方々と申しましてもそれは実は非常に国民大衆の方々、非常に価格は安いと、ある会社グループの中だけの一種の専用線的な利用方法ですと、そういうクローズドシステムも私は実は考えられると思っているんですけれども、まして将来ISDNの世界になっていけば、そういう多元で多彩なものがクローズドシステムでも私は考えられると思います。ただ問題は、これが非常に大衆利用というか、国民大衆の非常に使い勝手のやすいと申しますか、ものですからNTTの意識としては、特定の方々という意識で販売をされましても、それを使う方々のお立場なり国民の側、ユーザーの立場に立ては必ずしもそうでないんじゃないか。やはりこういうときは、スタートのときから十分慎重に御検討になった方がいいんじゃないか。そういう意味合いでも郵政省の電気通信局としては、この問題をずっと何度となく新聞報道されておったわけで、私もそれで初めて知ったわけでございますけれども、どういう受けとめ方と今後の対応をお考えか、お聞きしたいわけでございます。
  121. 松野春樹

    説明員(松野春樹君) 電気通信そのものが相互に会話をして初めて意味がある手段でございます。したがいまして、電気通信におきましては、やはり円滑な相互通信性を確保するということが基本的な要件であろうというふうに考えております。これは先生御指摘のとおりでございます。  今回の静止画のテレビ電話につきましては、今山口さんからも御説明がありましたけれども、現在の電話網を利用いたしまして、比較的簡単な技術で静止画像を安価に伝送することによりまして広い普及をねらったもの、あるいは今後その可能性が大きいというふうに感じられます。したがいまして、この円滑な相互通信性をいかに確保するかということが大変重要な課題であろうというふうに認識いたしております。
  122. 守住有信

    守住有信君 これは私自身のことを申してなんですけれども、かつてファクシミリ通信というのがございまして、広く企業間等々に利用されておりまして、一方、電電公社時代の最後でございますけれども、電電公社がディジタルのファクシミリ専用網を構築されますと同時に、端末でミニフアックスというものを開発されたことがございました。  そのときのこれは逓信委員会で議論があったわけでございますけれども、そのファクシミリ専用網ディジタル化、パケット交換でございますけれども、それと既に民間で利用され、しかも世界の基準であったG2、G3、今はG4にまで至っておりますけれども、世界の標準規格のファクシミリ通信とこの専用網とがアクセスできない、こういうことがあったわけでございます。正直申し上げまして私悩んだわけでございます。一方ではミニフアックスという非常に安価で便利な、しかも東京-大阪間の通信料はわずか五十円で済むと。郵便を侵すような大きなインパクトを与えるものだというふうに痛感しておりましたけれども、それもやはりミニファックスという大衆利用の方々に対して早く技術開発の成果を利用者の方にお返しせにゃいかぬ。ところが一方では、世界の標準規格であるG2、G3、民間通信機メーカーがいろいろ開発しまして現に使われておるこのアナログ型のこれとアクセスできない、こういうことがありました。  私はそのとき、山口さんも御承知だと思いますけれども、認可はいたしましたが、認可に条件をつけたわけでございます。一年後にはこのシステムの設計思想を直しまして、ファクシミリディジタル専用網と民間で使われておるG2、G3と直接アクセスできる、今はできないけれども、一年後にはアクセスができる。と同時に、この技術基準を広く公表してもらいたい、民間機器メーカー等に公表してもらいたい、こういうことで、いわば両者の調整を図ったことを思い出すわけでございますけれども、特に最近では電信電話技術委員会等々、あるいは端末機のあれは審査協会でございますか、そういう外部の、しかも広くアメリカの通信機メーカー等も入ったところのそういう委員会もできておるというふうに承知しております。  なるべく開かれた形の中で、どうかその通信機器の端末がみんな利用し合えるという、国民利用の場合は特にそうでございますので、この点につきまして、あるいは郵政当局側あるいはNTT側の今後の取り組みについてお話をいただければありがたいと思うわけでございます。
  123. 山口開生

    参考人山口開生君) 先生が御指摘のように、一般利用に関する、広く不特定多数の目的のためにやはり使われますものにつきましては、標準化あるいは規格の統一というのはぜひとも必要だということはよく認識しております。現在TTCといいますか、電信電話技術委員会という、こういった標準なりあるいは規格の統一を審議する場がございまして、以前ですと、電電公社が認定だとかあるいは規格の統一に大きな発言力があったわけでありますが、現在は私どもはそういったことでなくて、今言いました電信電話技術委員会の場で議論されることになっております。したがいまして、私どもが持っております技術的なノーハウなりあるいは開発の成果なりをこの電信電話技術委員会の場で参与さしていただきまして、そこで日本全国的な規格を決めていただけるのがいいと思っております。したがいまして、先生御指摘のように、これから先の問題につきましては、そちらの動向に我々が関与しながら私ども立場を決めていきたい、このように考えております。
  124. 唐沢俊二郎

    ○国務大臣(唐沢俊二郎君) 先ほど守住先生が松前先生の名前を出されましたが、松前先生、八木先生初め逓信、郵政省の先輩の御努力のおかげで、今や我が国の電気通信は技術の面でも自由化の面でも世界のトップランナーになったわけでございます。そのような情勢におきまして何が一番重要かといいますと、通信の秘密の保持とか何かと並んで一番重要かもしれませんが、やっぱり通信方式の標準化の問題だと思っております。今、先生言われましたITUのWARC-MOBの会議も海上の安全通信の方式を標準化する、世界が一つの標準を使っていかなければ、特にISDの時代になりますと非常に困るわけでございますが、特に国内がばらばらであるということは大変なことでございまして、私の選挙区は、電力も五十ヘルツと六十ヘルツと選挙区の中で二つありまして、大変不便をいたしておるわけでございます。これは先生言われましたように、ミリ波もそうだし、ファクシミリでもいろいろあったわけでございます。その同じことが先生の言われるテレビ電話でも当てはまると思っております。  ただいま山口社長もその点については十分な認識を持っておられまして、さてどこでそれをやったらいいかといいますと、やはりそれは、技術的な条件等は民間の自主的な標準を作成する機関である電信電話技術委員会、TTCでもって我々も検討すべき問題ではないか。そして今、もう既に技術検討がTTCで開始されておりますので、我々としてもその成果を太いに期待して待っておるところでございます。先生が御心配される点は我々も全く同感でございます。
  125. 守住有信

    守住有信君 大臣の御答弁、またNTT当局からの今後のやり方、取り組みについてお聞きしまして安心いたしました。  それで、特に最後でございますけれども、要望いたしておきたいんですが、最近家電メーカーの方々が通信機器メーカーの世界へどんどん技術力といいますか、営業努力、開発努力をしておられます。その場合に、家電の世界は、ある意味ではそれぞれが特徴を発揮した場、ある意味ではばらばらでもいいわけでございますが、VTRだけは申しましたけれども、ところが通信機器、通信の世界はネットワーク間結合、高度ネットワーク社会を構成していくというネットワーク間の相互接続の問題もございますし、端末機もある。そういう世界に家電の方々がお入りになっていく場合に、どうか両方の方から、やはりNTTも通信の人権威でございますし、郵政省は通信行政をやっているという、その両面から家電の方々に通信の哲学というか思想というか、そこだけは私は技術屋でございませんのでよくわかりませんけれども、そういう思想的、哲学的なスタンスということだけは両面からいろいろ御指導いただければありがたい、このように思っておる次第でございますので、一言お願いを申し上げた次第でございます。  今度はちょっと話題が全く変わりまして郵便局の実務の世界でございますが、郵便振替との関連での公共団体や国とのいろいろな資金の何と申しますか、給付なりあるいは納付なり、そういう世界のことについてお聞きしたいわけでございますが、まず、貯金の方から最近の郵便振替の特に取り扱い件数でございますけれども、最近の状況はどうなっておるだろうか、御説明をお願いしたいと思います。
  126. 中村泰三

    説明員(中村泰三君) 最近におきます郵便振替の利用状況でございますが、自動払い込みでありますとか、オンラインネットワークを利用しました電信扱いの利用増に伴いまして毎年増加をしている状況でございます。ちなみに、最近の五カ年の取り扱い件数の推移を見ますと、昭和五十七年度におきましては二億四千万件でありましたものが、昭和六十一年度におきましては三億九千万件となっておりまして、この間、年平均増加率は一一・二%といったような状況に相なっております。
  127. 守住有信

    守住有信君 私も思い出しますと、郵貯オンラインが完成をいたしまして、国民の共有財産ということでどこにでもある郵便局、あるいは近ごろは簡易郵便局も端末機を置いておられるようでございますが、非常に住民と身近なところにそういうサービスが簡便に受けられるという、そして迅速な送金決済手段ということでございますが、一方、具体的に私、例えば選挙区を回っておりましても、よく看板が出ております。看板と申しますか、木の柱でございますが、一番気になっておりますのが国民健康保険の問題で、保険の加入者の方々に未払いが多いからということで、その加入払い込みを促進しておられるキャッチフレーズのついたのを各市町村で見かけるわけでございます。こういう点につきましては、かつて公明党の予算委員先生が、東京都の実例で昨年ごろでございましたか、東京都の実例で御指摘があったかと思うわけでございますが、私自身もいろいろ県内を回っておりまして、そういうことが気がつくわけでございます。  そして、特に最近、地元の新聞でございますが、こういう投書が出ておりました。「国保納付、郵便局でもお願い」、ちょっと読み上げますが、無職の高齢化社会の一員の方でいらっしゃいます。   国民健康保険料納付通知書が届くたびに、郵便局でも納付できるようになったであろうか、と一種の期待感をもつのであるが、いつも失望に終わっている。   私の家からは郵便局は比較的近い所にあるが、銀行はやや遠い。そのうえ、これらは逆方向にある。国保の納付時期になると郵便局に行って貯金をおろし、逆方向に走って銀行に納めるわけである。このようなことを定年後数年にわたって続けている。金融機関の利用等についても、その方法は各人各様であろう。   本紙四日付夕刊をみると、これは私の地元の熊本市でございますが、  熊本市の国保の滞納は何と二十七億円、国民年金のそれは十一億四千万円となっている。自分の生活を守るためにも、また市民の義務としても、このような滞納はあってはならないことと考える。一方、行政側においても、市民のあらゆる立場の人のことを考慮に入れて、手間をかけずに最寄りの金融機関から国保の納付ができるように善処をお願いしたい。  それで、実は私個人も最近は国民健康保険に加入しておりまして、納入通知書が来るわけでございます。それでこの中を見てまいりますと、一番最後の裏の下の段に「保険料の納付は便利な口座振替で!!」となっておりますが、収納代現金融機関、一勧から始まりましてずっと都市銀行、地方銀行、相互銀行、信用金庫、もちろん労働金庫あるいは農協とか皆入っております。そして郵便局だけはないわけでございます。  そこで貯金局の方にまずお尋ねしたいわけでございますが、三千三百地方自治団体がございますけれども、この自治団体、具体例を一つ国保の方から申し上げましたけれども、一体三千三百の中で、熊本市はこうであったわけで、市によってはやっておられる市もある、こういうふうに聞くわけでございますが、その三千三百の内訳で、まず国保の例でどの程度やっておられるんだろうかということを、御調査がございましたらお知らせいただきたいわけでございます。
  128. 中村泰三

    説明員(中村泰三君) 現在、郵便局で国民健康保険の保険料の納付を取り扱っている地方自治体は、約一割程度と非常に少ない状況でございます。なおかつ、これらの取り扱いを行っております地方自治体におきましても、郵便局で保険料の収納に当たっております取扱状況というのは、まだ一部の地方自治体をサンプルとして調査をしたものにすぎませんが、非常に収納件数も少なくて、それも約一割程度といったような状況でございます。
  129. 守住有信

    守住有信君 その先ほどの投書に関連いたしましてすぐ地方郵政局のこれは貯金部長さんですが、御回答をしておられます。   ほかにも多数の方から同様のご意見をいただいております。   現在、市民税、軽自動車税などについては郵便局の窓口で納付できますが、国民健康保険料などについては、郵便局での納付はできません。郵便局としては、市民の皆様の利便を考え国民健康保険料などについても窓口での納付のほか、郵便貯金口座から自動的に払い込みができるよう、市当局と鋭意折衝を行っているところであります。今しばらくご猶予をお願いいたします。  本当はこれは市の方から御回答があってしかるべきだったと思うんですが、貯金の方からかわって御回答があって、この実態が出ておるわけでございます。  したがいまして同じ自治団体の、これは国の委任事務の方でございますが、自治団体自体のお仕事につきましてもいろいろ区々に分かれておるという面もあるようですし、今問題に一例として挙げております国民健康保険、他方では赤字がある、他方ではいろいろな住民サービスの便利なサービスが受けられるような仕組みをつくっていかなきゃいかぬと、私両面あると思うんですけれども厚生省お見えになっておられましたら、こういう点につきまして、委任事務でございますけれども、地方の市町村に対し、あるいは県に対しましてどのような御指導をなさっておられ、また今後、こういう問題をいろいろお聞きになっておると思いますので、先ほど申し上げました公明党の先生からもございました、どのようにお取り組みかをひとつ御回答をいただきたいと思うわけでございます。
  130. 加納正弘

    説明員(加納正弘君) 国民健康保険の健全な運営のためには保険料の収納確保が大変重要であるというふうに考えております。国保の収納率が他の被用者保険に比べまして低い状況にございますので、私どもはこの収納率の向上に努力をいたしておるところでございます。その収納率の向上を推進するという観点から、私ども一般的に金融機関における口座振替の活用推進、こういうものを行っておるつもりでございます。  ただ、具体的に郵便局の窓口での口座振替ということになりますと、国保の保険料は一般の住民税と同様に市町村の公金でございまして、この取り扱いについては地方自治法の規定が適用されているところでございます。この取り扱いにつきましては、現在直接の関係の省の間で協議が行われているというふうに聞いております。私どもはその結論を待って対処をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  131. 守住有信

    守住有信君 今最後のところでお答えになられました地方自治法との関係で、これは十月の十六日の日経でございますけれども、大きな見出しで出ておって、三省合意に向かってお取り組み中だと、郵政省自治省、大蔵省、そういうふうな関連の記事が出ております。住民サービスの向上のためという大義名分でございますが、いろいろ知恵を出してお取り組みのようでございますが、今大蔵省をお呼びしておるはずでございますが、これは国の資金と地方自治団体の資金と両面絡む問題でございますけれども、この点についてはどのようにお取り組みかお答えをいただきたいと思います、理財局だと思いますけれども
  132. 寺本泉

    説明員(寺本泉君) 最初に私ども理財局で国庫制度全体を所管しておる立場から現状を御説明いたしたいと思っております。  まず、先生御存じのとおり、日本銀行が、会計法第三十四条及び日本銀行法第二十六条の規定に基づきまして、国の会計制度の中におきまして、官庁の会計経理と独立したものとして国庫金の事務を統一的に取り扱っておる現状でございます。しかし、国庫金の取扱事務というのは広範かつ膨大であることを考慮いたしまして、国庫金事務の円滑な運営を図る立場から、大蔵大臣の認可の上、全国各地の金融機関に代理店を委嘱しております。それで国庫金事務の一部を取り扱わしておるところでございます。  それから、具体的には本年、六十二年九月末現在、都市銀行、地方銀行、相互銀行、信用金庫等の金融機関四百九十五行、二万一千九十六店舗におきまして国庫金事務を取り扱わしております。なお、御指摘の郵政官署において取り扱います国庫金につきましては、政省令に基づき取り扱いをしている現状でございます。  以上、総体を担当する立場からお答えさせていただきました。
  133. 守住有信

    守住有信君 この記事を見ておりますと、地方自治法施行令の改正の問題が出ておるようでございますが、これは貯金がみずから御担当でございますので、これに向かって、まあ簡単に言うと、この記事のとおりかということでございますが、いかがでございましょうか。
  134. 中村泰三

    説明員(中村泰三君) 私どもは、地方税でありますとか公営の住宅使用料等の地方公共団体の公金の収納に当たりましては、できるだけ郵便局の自動払い込みの制度を御利用いただければ住民の方々にも大変利便の向上になりますし、また収納を担当される地方公共団体としても利便の向上になるというようなことから、自治省とこれまで随分協議を重ねてきたところでございます。その結果、新聞にもございましたように、地方自治法の施行令を改正しまして、法令上の根拠をはっきりさせようという話になりまして、現在、自治省の方でその政令の改正作業を準備しているところでございます。
  135. 守住有信

    守住有信君 今大蔵省から国庫金のあり方、あるいは地方自治団体の委任事務等も含め、あるいは地方税等々の問題もございますが、そういうお話がございましたが、私が思っておりますのは、何も企業に支払うとかそういうものでなくて、私も電話のときも申し上げましたように、国民大衆の利便、そしてまた、そのことがこれからの福祉社会になってまいりますと、既に各種年金や健康保険料その他いろいろございますが、また新しい制度も出てきます。そういう国民、住民が広く利用される方のいわゆる納付なり給付なり、そういう両面にわたっての考えを、ただ法律がじゃなくて、その政令や省令改正のときにそういうふうな思想で取り組んでいただきたい。そのことが単に郵政省のためとか何とかじゃなくて、本当に県民、国民の大衆社会、これからの福祉社会に私は利便を与えていく基本の哲学の問題ではないか、このように考えるから、ひとつ大蔵省も自治省と一緒になってこういう問題について、非常に実務的な問題でございますが、高齢化社会を迎える方々のお人たちにとっては非常に毎月毎月の切実な問題であるということも、基本的に御認識になってお取り組みをいただきたいということを、時間もございませんので最後にお願いをして、次のテーマに移りたいと思います。  あといろいろNHKの衛星放送等、放送の問題が出ておりますが、私がもう一つ気になっておりますのが地方民放の問題でございます。地方民放における特に後発民放のいわゆる難視の問題でございます。  これについていろいろ難視聴対策室も、あれは五十五年でございますか、郵政省にもできておりますけれども、いろんなデータを私求めたわけでございます。私が求めましたデータは、NHKの置局数との対比ではなくて、実はよく世帯数で論議がされておりますが、どうも世帯数はあいまいでございます、コンバーターをつければ、ちらちらするのが見えるようになるというあれもございますので。特に先発局との中継局の数でずっとお尋ねをしていったわけでございます。特に先発と民放の後発局との比較で、もう時間もございませんので私の口から申し上げますと、例えば福島県、先発局との置局格差が、三十六本足らない、五〇%である、こういうことでございます。新潟県では二十六本足らない、五〇%。長野県では、大臣いらっしゃいませんが、二十九本足らない、四一%最新の後発が中継局の数が不足をしておる、先発と格差がある。その他、私の地元の熊本も今は三波目でございますが、一波と三波を比べますと四十九本足らない、六一%の格差がある、こういうことでございます。  私も地方を回っておりまして、実は地方のいろいろな、特に地域社会に密着しておる区長さん方とか農協の方とか、いろいろな方々からこういう実態について陳情を受けるわけでございまして、先発と後発、NHKとの比較論じゃなくて、同じ民放同士の先発と後発の格差ということを痛感した次第でございます。これに対しましては、郵政省としては、四年ごとの再免許のときに難視解消が重要なテーマであるというふうなことで、再免許のときにも、再免許の一つの条件として難視解消に取り組むことというのが入っておることはよく承知しておりますが、その他ほかの機関、自治団体や他の行政が、これに対して新農村整備事業、その他過疎対策等々でお取り組みであるようでございますが、その点は郵政省としてどのようにとらえていらっしゃいますのか、御説明いただきたいと思います。
  136. 成川富彦

    説明員(成川富彦君) テレビジョン難視聴解消を目的とする中継局の置局に対しましては、地方自治体の方からも補助制度で補助金が出ているところがございます。都道府県の数で言いますと、十二団体で補助制度を設けておりまして、置局に対しまして補助金が出ているということを承知しているところでございます。  それから、他の省庁というようなことでございましたですけれども、農水省では農業構造改善事業等の一環といたしまして、直接放送の難視聴解消を目的とするものではございませんけれども、農村多元情報システムに対する助成を行っておりまして、このシステムの中では、テレビジョン放送の再送信が含まれておりますものですから、結果的には難視聴の解消にも役立っているという例がございます。  以上でございます。
  137. 守住有信

    守住有信君 ちょうど大臣いらっしゃいませんが、長野県が非常に積極的に県として、あるいは県下の市町村として取り組んでおられるというのを私も実例を調査しまして初めて知ったわけでございます。長野県の実例では、難視地域の市町村が四分の一助成でございますか、それに対して県がさらに四分の一。こういうふうなことで、いろいろな申請補助事務の手続等も把握したわけでございますが、実はこういうことが他の難視地域の後発民放には余り知られていないというのが私はあるというふうに思ったわけでございます。  やはり郵政としてもいわゆる放送文化の中で、東京一点集中主義に対しまして、いろいろ地方では地方振興を初めとしてそういう意識が起こっておりますけれども放送文化の世界では格差がある、こういうことでございます。  大臣、今長野県の立派な話をやっておるところでございますが、もう一回繰り返しますけれども、長野県では、郵政としては事業再免許で、必ず再免許のときは難視の解消に努力すること、民間経営でございますけれども、努力をすることと言っておりますが、県下の、県民の問題として長野県や県下の市町村方がその助成金をお出しになっておる。ところが、こういうことは他の難視地域では余り知られていないわけでございます。郵政省がやっておるだろうと、こういうふうなことでございますが、予算の関係でも出ておりますように、なかなか許認可行政オンリーで今までやってまいりましたために、こういう補助、助成行政の仕組みがない。そういう場合はどういうふうにいくかというと、やはり農水省の話も出しておりますけれども、一番大事な県民の放送文化格差解消論でございますので、県の方々、市町村の難視地域方々放送行政の地方の方々が一緒になって、連携をし合って物事は進めていくべきではないか、このように感じましたので、今後放送行政局の運営、運用につきましても、こういう立派な長野県の例等をひとつ、地方のあれは電気通信監理局の放送部でございますけれども、十分お知らせいただきまして、地元の県や市町村と郵政が一緒になって、この県民のための難視解消に取り組んでいく、こういうことを特にお願いを申し上げておく次第でございます。  それからもう一つ、先ほど電気通信に関連しましてのNTTの株式売却益の社会資本充実、こういうテーマが大きく出ておりますが、先生方も御指摘なさいましたが、私はもう一つここに、現実にある民間放送株式会社、新しく第三セクターをつくるんじゃなくて、既にある株式会社の中で、県としてもここへ出資しておられる。県域放送としての角度から県議会を通してその出資をしておられる。この出資が入っておれば見事な第三セクターでございます。そして、これがいわば広い意味の電気通信情報文化の格差論でございますので、こういう点について、この間日経を見ておりましたら、非常に立派な私はアイデアと評価するわけですが、アイデア倒れにならぬようにというふうにありますけれども、日経にある記事が出ておりましたので、その辺についての郵政省放送行政局のお取り組み、これは通信政策局とも一緒になってやらにゃいかぬテーマだと思うわけですが、これについて御説明をいただきたいと思います。
  138. 成川富彦

    説明員(成川富彦君) テレビジョンの難視聴解消に対する国民の要望が大変強いということは先生御指摘のとおりでございます。また後発局が、先ほどお話がございましたように既設の民放と格差があることも事実でございますが、経営状況等が大変厳しいというようなことも影響しておりまして、中継局の置局がおくれているような実情にもあるわけでございます。難視聴を解消していくためには、何といっても中継局を増置していくことが肝要かというふうに考えておりまして、そのために私どもも国として支援する道はないかというようなことでいろいろとその点で努力をしているところでございますが、来年度予算に向けまして、第三セクターに該当する民放につきましては、NTT売却益を利用しました無利子融資制度を適用できないかということで現在大蔵省と折衝をしているところでございます。ぜひこれを実現することによって、国民の要望である難視解消ができればというふうに思っているところでございます。
  139. 守住有信

    守住有信君 そのお取り組みをますます郵政省全体として、私どもも含めて推進をしていかなきゃならぬ、こう思うわけでございますが、この地方の民放の実態、あるいは意識を聞いておりますと、昔ひところ論があったわけでございます。民間の放送衛星会社ができました。まだ調査会社、準備会社でございますが、あのころ地方民放炭焼き小屋論というのが出たわけでございます。でれば非常に誤った、もう番組中身が全く違うし、これは全国向けの放送でございます。幾らビームを絞りましても関東一円とか九州一円とか、将来の技術開発でできるかもしれませんが、この県域というのは絶対地上系でないと、個別のローカルの情報、いろんな地域の特徴、その他のニュースから始まりまして、いろいろな情報は伝達できない。したがいまして、民間放送の衛星放送会社、調査準備会社ができておりますけれども、あれができるときに地方民放は、これでもう中継局なんかつくったってだめだというふうな一時非常に誤った風潮があったわけでございます。その余韻が地方民放の後発の方、まあできてから三波目、四波目もありますでしょうけれども、できて五、六年とかいうぐらいだろうと思います。新しくモアチャンネルで、チャンネルプランも既にお決めになっておって、新しい四波目の民放もつくっていこうと、こういうときでございますので、そういう地方民放の方々に衛星放送のものを、民間の衛星放送ですが、そのものと地方のローカル民放としての行くべき道、その特徴、そしてその関係ということについても放送行政局として民放連その他等の場でよくそこをおっしゃって御説明がないと、まだ私地方を回っておりますと、やっぱり炭焼き小屋論的な感じが出まして、その中継局をつくる場合あるいは助成を求める場合も、それは会社自体が県や市町村に対して陳情、要請をせにゃいかぬわけですが、その肝心な陳情、要請をする側にその炭焼き小屋論的なイメージが残っておると、中継局の普及、みずから経営主体としてやっていって中継局が広がりますと、電波料もしたがってこれは高くなっていくわけで、良循環になるわけでございますが、そういう点も含めてお願いをしたいということを最後にお願いを申し上げておく次第でございます。  あとは、今までは脚下照顧で、足元の民間放送の問題を申し上げたわけでございますが、今後はNHK等を含めまして郵政省が新しい技術の開発からハイビジョンについてお取り組みでございますし、これについては各般の今後の取り組みの構想をお持ちのようでございます。また、郵政大臣もみずから先頭に立って、千百二十五本でございますので、十一月二十五日にはこれをハイビジョンの日にして、東京だけでなくて各地方のテレトピア地域その他でも、これの放送だけでなくて、これは映像のものでございますし、こういうハイビジョンの技術が、例えば県立劇場とか、あるいはまた県立の美術館とか、そういう美術品まで、あるいはファッションからいろいろな面までこの利活用の分野は広いと思っておりますけれども、まず郵政大臣からこの問題に対する、積極的にお取り組みでございますので、お考えのほどをお聞きをいたしまして、その後行政当局の方に二、三御質問を申し上げたいと思います。よろしくどうぞ。
  140. 唐沢俊二郎

    ○国務大臣(唐沢俊二郎君) 郵政の大先輩の守住先生からいろいろ御指導をいただき、将来の指針を示していただきまして大変ありがとうございます。  私は、諸外国から通信大臣がお見えになりますと、日本の電気通信の改革の現状やなんかをお話しすると同時に、郵政省の一階にあります少なくとも二つのものを見ていただいている。一つは実用テレビ電話でございます。もう一つはハイビジョンを見ていただいております。これぞまさしく二十一世紀のテレビジョン、第三のテレビと言われております。これはもう申し上げるまでもないんですが、余り私は宣伝ばかりしておりますので、この間衆議院の逓信委員会で、初孫にハイビジョン、それからお年寄りに、親孝行にハイビジョン、内助の功にもハイビジョンということでやると、大体三千五百万世帯、これ五十万のハイビジョンを買うと売上高だけで十七兆五千億というようなお話をしましたら、ちょっと郵政大臣として品がないというお話がございましたが、これは何しろちかちかしませんから、子供の目が悪くならないテレビであるし、しかもお年寄りの目の疲れないテレビ、これぞ我々の本当の理想といたしておりますテレビジョンでございまして、諸外国で開発しております。外国の方に対してお見せしますんですが、私はこの間西ドイツへ行ってきまして、ダルムシュタットの電気通信中央研究所へ行きましたら、向こうに二つ置いてありましたのが、一つが実用テレビ電話であり、一つは向こうのHDTVが置いてあったので、なかなかこれは大変だと、帰りまして皆さんにゆめゆめ御油断なくと申し上げたんですが、まだまだ日本の方が技術的には相自優位に立っておるわけでございます。  そこで、ただいまはハイビジョンの推進に関する懇談会を設けまして、いろいろな御提言をいただくことにいたしております。さらに、六十五年から実用化されるわけでございますが、来年の九月のソウル・オリンピックのときに大々的な実験放送をやろうということで各メーカーにお願いをいたしまして、二百台のハイビジョンの受信機をつくっていただいて、それを五十カ所のところで展示をして、国民の皆様に広く見ていただこうと思って、今一生懸命努力しておるところでございます。
  141. 守住有信

    守住有信君 具体例も入れていただきまして、総論的なお取り組みの姿勢、感じ入ったわけでございますが、あとはもう実務の方でございますけれども、よろしくどうぞ。  そういう、私思っておりますのが、一つは足元の現実的な脚下照顧の問題と、これからの未来へ向かって挑戦していく世界と、両面あると思っております。そういう意味で実は地方の難視の問題とそれからハイビジョンを取り上げたわけでございますが、行政当局として特に、どうもこういうのがすべて、スタートはそうかもしれませんけれども、大都会で始まるわけでございます。私の一つの思いでございますが、その具体的な方法論をどのようにお考えか。地方のテレトピア地域等も指定されておりますが、ビデオテックスその他でございますけれども、同じ今度は放送とか映像のものを、このテレトピア地域でまずデモンストレーションをやったり、実験をやったりというようないろいろな方法があろうかと思いますが、そういう地方へのこのハイビジョンの、最初は実験なり普及のいろいろな試みだと思いますけれども、そういうことにつきましてどのような構想をお持ちなのか。実務で結構でございますからよろしくお願いします。
  142. 成川富彦

    説明員(成川富彦君) ハイビジョンの普及促進を図っていくためには、まず第一に国民理解を得ていくことが肝要かというふうに思っております。  そのために、先ほど大臣からお話し申し上げましたように、来年のソウル・オリンピック等を国民の多くの方に見ていただこうということで、五十カ所、二百台設置するわけでございますが、それとは別に、テレトピア地域におけるハイビジョン整備事業ということで、ハイビジョン受像機を置いていただいて見ていただくということも考えております。来年度におきましても、NTTの売却益を活用した無利子融資制度を活用いたしまして、テレトピア地域におけるハイビジョン整備事業をやっていきたいというふうに考えているところでございます。  そのほか産投会計の面でも、産投会計からの出資を通信・放送衛星機構にいただきまして、それによりましてハイビジョン整備事業あるいはトラポンを所有していただいて、それを活用していただくリース事業等々を考えておりまして、それらによって普及促進の一助にしていきたいというふうに考えているところでございます。
  143. 守住有信

    守住有信君 今テレトピアというお言葉も出ましたので、いろいろ新聞報道等を見ていますと、川崎市初め四つぐらい、山口市も含みますか、そういう要望の動きがそういう地域でも、地域なら地域なりに勉強会、懇談会ができて、そういう動きが始まっておるようでございます。そういう面につきましても、なかなか今までの地方の電気通信監理局というのはどちらかというと許認可行政、無線監理だけでございまして、幅広い電気通信、NTTと組んでやるような仕事もいっぱいありますけれども、そういう世界に対する情報の連絡なり連携がどうもまだちょっと欠けて、まだまだ揺籃期ではないか。東京では、中央ではいろいろとお取り組みでございますけれども、地方段階での動きとか声を余り聞かないわけでございます。  実践の例の話でございますけれども、今後皆さん方もひとつ、東京からそれは始まりますけれども、地方のテレトピア地域等々につきまして、どうかひとつ地方の組織を動かして、NHKの地方なり、NTTなり、あるいは県なり、あるいは文化団体なり、いろいろなその地方との連携の強化をいろいろな方策を通じて、これも私は郵便だけの意識改革ではないと思っております。郵便事業等は、郵便局の方は非常に大きな意識改革ができておりますけれども、今度は地方におきますところの電気通信監理局の皆さんのそれぞれの関係あるところとの連携等久につきましても、どのようにお考えであるか、またどのように地方に対して取り組もうとしておられるのか、ひとつお話を聞かせていただければありがたいと思います。
  144. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) おっしゃいますとおり、地方との結びつき、地方への働きかけというのが特にこれからの地方の情報化推進に大事なことでございまして、私ども地方の電気通信監理局に対してその点大いに力を注いでいるところでございます。例えば今までいろいろお話に出ました無利子融資の関係にいたしましても、補正予算で例えば五百八十億、それから今度の来年度予算要求で一千億、いろいろ地方の情報化の関係で要求しているわけでございますけれども、これらはいずれも予算的な形としてはそれぞれの数字の内数ということで返ってきまして、具体的にそういう数字の中で地方でプロジェクトが出てきまして、そしてそのプロジェクトが幾らお金が欲しいということで初めてそのお金がつくわけでございます。その辺が予算と違って、いわば財政投融資と同じような枠組みになるわけでございます。ですから、私ども現実にこういうプロジェクトで無利子融資の要求をしても、それが結実するのは、地方電気通信監理局がそれぞれの地元へ働きかけをしてそういうプロジェクトを発掘して、そういう意味でまた地方の民活というもののお手伝いをして、そういうことで初めて結果となってあらわれるんだということを大いに強調しているわけでございます。  具体的には、それぞれの地方におきまして、県あるいは市町村などの地方公共団体、あるいは地元の経済界などと連絡協議会をつくりましたりしてそういった地方情報化の芽がもえ、育つことを大いに期待している次第でございます。今後ともその辺努力をいたしたいと思っております。
  145. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは質問をさしていただきます。初めに郵便事業につきまして質問をいたします。  先ほども少し質問がございましたが、郵便事業の損益計算書によりますと、昭和六十一年度決算ベースでは六十億円の黒字で、累積で十五億円の赤字、六十年度は利益が十二億円で、七十五億円の累積で赤字、こういうふうにいろいろなっておりますが、実際問題として、予算と決算という問題で見てまいりますと、六十一年度は四百三十三億円の欠損を見込みながら実際は六十億の黒字、六十年度は三百五十五億円の欠損を見込みながら実際は十二億円の黒字、五十九年度は百五十五億円の欠損を見込みながら実際は百十四億円の黒字、こういうふうになっております。これは結局、今年度もこのデータによりますと三百一億円の欠損を見込んでおりますんですが、聞くところによりますとこれも黒字だそうであります。  これはよく見ると経営努力をしているから、またあるいはいろいろなことがあって合理化されて、皆さんも頑張っているからだんだんよくなっている、こういうふうに見る人もおりますけれども、予算と決算の開きがこんなに離れているのは、もともと予算の立て方そのものに問題があるんじゃないか、私はそう思うんです。ここら辺のところは皆さんどういうふうにお考えなんでしょうか。
  146. 山口武雄

    説明員山口武雄君) ただいま先生からお話がございましたとおり、数字的には、六十一年度で申し上げますと、予算では四百三十二億の欠損、これが決算では六十億円の利益と相なっております。  この中身でございますけれども、先ほど郵務局長からも御説明いたしたところでございますけれどもお客様方のニーズに即応したサービスの改善といったようなことに大変力をいたしておりますとともに、郵便局の職員が積極的な営業活動を行っております。その結果として郵便業務収入が予定を四百三十七億ほど上回ったということ、これが非常に大きく効いております。それから、収入印紙の売りさばきに伴う取扱収入、これも予算編成等の段階ではできるだけ精密にということで立てたわけでございますが、結果におきましては取扱収入が増加したということで雑収入が予定を八十七億上回った、こういったことが効いておりまして、私どもといたしましては、もちろん予算上計上した予備費に手をつけないで済んだとか、そういった問題はございますけれども、いろいろと現在の状況の中で経営に努力した成果というものは出ておるのではないか、このように考えておる次第でございます。
  147. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それは私は、小包のふるさと便だとか、きょう朝、テレビでコシヒカリの郵便、十月六日に何とか式をやって一生懸命頑張っておられる様子が出ておりましたが、それならそれでそういうことをもっと全国的に一生懸命やったらどうだ、そういうことも含めて初めから予算に組むべきであって、そんなことは、私は例えば一年とか二年ならそれは勘弁できる、ところがこういうようなことがもう五十九、六十、六十一、六十二と、ずっと続いているわけですよ。そういうようなのはそれは本当の努力じゃない。一生懸命やっているところは一生懸命やっていて、逆にやっていないところはまるきりやっていない、こういうふうな格差が出てくるんです。  私は、やるんならいろいろなところが全部一生懸命やっていただきたいと思うし、予算の段階でこういう見込み違いなんというのは、いい方の見込み違いだからいいだろうと、皆さんそう言うかもしれませんが、私たちとしてはそういうわけにはいかない、悪い方の見込み違いだってあるわけですから。そういうふうな意味では、私はこういうようなのはもうちょっと予算の段階できちっと押えて、そして全国の郵便局に対しましても、例えばどこどこの郵便局はこういうことをやってこうなっている、だから皆さん方もこういうふうにやろうとか、いろいろな角度から立て方はいっぱいあると私は思うんですよね。ここら辺のところをやっぱりちゃんとやっていただきたいと思うんですが、六十二年度は大体どういうふうになりそうですか。
  148. 山口武雄

    説明員山口武雄君) 六十二年度につきましては、まだ年度の半ばを過ぎたところでございます。現在のところ、郵便の取り扱う郵便物数、それから収入のこれまでの状況というものは、予算で見込んだ数字を若干上回っておりますが、これから先どういう経済情勢になるか、それが事業活動にどういうふうに影響し、どういう実績をもたらすかということにつきましては、まだかなり流動的な状況がございます。  したがいまして、現在、補正後三百一億の赤字という見込みで走っておりますけれども、これが最終的にどうなるかということにつきましては、まだまだ予断を許さないものがある。ただし、現在までの状況でまいりますと、現在累積赤字十五億というところまでこぎつけてまいりましたわけでございますけれども、これにつきまして私どもとすれば極力消し込みの努力というのをこれからなおしていく必要もあり、また努力次第でそれも達成可能ではなかろうかというようなことも考えておる状態でございます。
  149. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしても、補正後でも三百一億の赤字を見込んでいる、ところが実際は決算になると三百一億の赤字はもう通り越して相当な黒字になる、こういうふうにはっきり言う人もいるわけです。ということは、逆に言えばこれは見込み違いなんですよね。いい方の見込み違いだからいいだろうとおっしゃるかもしれませんが、これはやっぱりこれからこういうような問題についてはきちっとしていただきたいと思います。  それで、もう一つ私申し上げたいのは、「ふるさと小包」便の扱い高が非常にふえた、これは私大変いいことだと思います。ところが実際問題として、先ほども私同僚議員の質問を聞いておりましてしみじみと思ったんですけれども、皆さん方は小包便でこれだけよくなったからいいだろうと、そう簡単にお考えかもしれませんが、実際はサービスとかいろいろな面についてはまだまだ追いつかない点が多過ぎる。  先ほど、局長さんだったと思うんですが、「ふるさと小包」便は速くて安くて確実にと、こうおっしゃいました。どなたかおっしゃいましたね。ところが実際は、本当にそうか、宅急便と比べて本当にそうだとあなたお考えですか。
  150. 田代功

    説明員(田代功君) 私ども、宅急便がここ数年前から大変な勢いで伸びてまいりました。その伸びてまいりました原因をいろいろ考えてみますと、やはり速くて安くて確実だ、これに尽きるかと思います。私どもも民間宅配使に負けないようなサービス水準をということでいろいろな施策を講じてまいりましたが、例えばかつて汽車で運んでおったものを飛行機なりトラックによって運ぶことによって、ほとんどの地域で翌日または翌々日に届くというようなところまでやってまいりました。地域なりあるいは重さなりとりますと、私どもの方がまだ劣っている面が全くないわけではございませんが、大宗としては民間宅配便に負けないサービス水準を維持しているものと確信いたしております。
  151. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ぜひちゃんとしてもらいたいと思いますけれども、具体的に申し上げますと、実際はまだまだあきまへん。これは特に速くてという問題ね。これは実際具体的に申し上げていいんですけれども、例えば大阪のある郵便局から配達してある人の家へ届ける。その人の家が留守だったときに、その品物を郵便局へ持って帰って、ポストに入ってあるわけです、何月何日までにとりにきてくださいと。大体一週間か十日ぐらい余裕があります。ところが、その人はなかなかとりにいけない。どうなります。新鮮な、もう二、三日を争うような物だったらどうします、郵便局さんは。
  152. 田代功

    説明員(田代功君) 私どもの仕組みをちょっと説明させていただきますと、お留守の場合には紙切れを入れておきまして、電話をください、あるいは郵便局にとりにきてください、両方お願いしてございます。それで、電話をいただきますと、私ども郵便局では夜でも届けることにいたしております。ただ、お客さんによっては、郵便局から配達するのを待つよりは取りに来た方がいいというお客さんもおられますので、両方ございますが、いずれにしても両方のサービスができるような仕組みにしてございます。  なお、近所に預ける話もございますが、これは両論ございまして、隣近所で迷惑がられるお宅もございますもので、郵便局は、隣近所との間できちんと話がついているお客さん、はっきりわかるお客さんには隣近所にお願いして預けますが、原則としてわからないお客さんは預けないで、今のようなはがきを置いてくるという指導をいたしております。
  153. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 確かに電話の問題、これは非常に大事な問題であります。ですから、電話をしてください、電話しても今度は配達する日にちがなかなか難しいわけです。その人のうちは毎朝出勤して朝だれもいなくなる。今、夜も配達しますと。そうじゃないですね、配達は。そこら辺のところがはっきりしないところがあります。  今おっしゃるとおりだったら、電話をして、それで例えば夕方帰ってきてから配達する、それはいいですよね、それならいいです。そこら辺のところはまだもうちょっと徹底していないところがあるんじゃないの。やはりそういうところもちゃんとしてもらいたいと思うし、また宅急便に出す場合でも小包に出す場合でも、電話番号が書いてある。積極的に電話を入れて何時ごろがいいか相談するというのもまた必要だと思います。そういうふうなやっぱりきめ細かなサービスをする必要がある。本当に私はそう思うんです。そこら辺のところがこれから宅急便を追い越すか、追い越さないかの瀬戸際になるんじゃないか、こう思っております。この問題はあと細かい問題になりますので、そのくらいにいたします。  それから、次に電報の問題に入りたいと思います。  これ先般、総務庁の行政監察局の方で電報事業に関する監督行政監察というのが出されておりますが、電報事業は最近どういうふうになっているのか。いわゆる電報事業が大変な赤字だということは聞いておりますが、どの程度赤字なのか、そういう点も含めてお答えいただければと思います。
  154. 松野春樹

    説明員(松野春樹君) 最近の電報の取扱数を最初に御説明申し上げます。  昭和五十八年以降ということで見てまいりますと、昭和五十八年度は、年度で四千四百五十三万通でございました。五十九年度になりまして四千百六十八万通、それから昭和六十年度で四千六十六万通、一番新しいデータで昭和六十一年度の計数は四千五万通でございました。先生御指摘のとおり年々減少してきております。なお、この昭和六十一年度の電報取扱数の四千五万通という数字は、ちょうど過去の歴史の中で電報の取り扱いの数が一番多くありました昭和三十八年度の九千四百六十一万通と比較しまして約四割の数字になってございます。  それから、この収支関係の推移でございますが、手元に六十一年度決算の数字を持っておりますけれども、それによりますと、電報事業の収支差、収益と費用の差が三角八百五十二億円というふうに報告を受けております。
  155. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 今六十一年度の赤字が八百五十二億というお話がございました。これは大分減ってきたんですね。そうですね。
  156. 松野春樹

    説明員(松野春樹君) 昭和六十年度の数字で見ますと、収益が三百九十億、それから費用が千三百十七億でございますから、昭和六十年度の収支差が九百二十七億の赤字でございますので、それよりも減ってございます。それから、五十九年には赤字が一千百五十八億ございましたので、年々この収支差は解消しつつある、徐々に改善されつつあると申し上げてよろしいかとは思います。
  157. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そのようですね。この監察報告の数字は、これは昭和五十八年の数字で千二百三十九億円の欠損というふうに出ております。  そこで、もともと電報というのは、皆さん御存じのとおり、緊急のときに打つ電報、国民の緊急通信手段として重要な役割を果たしてきた、こう出ておりますから、そのとおりだろうと私は思います。  そこで、現在の電報の大部分はどういうふうな電報なんでしょうか。
  158. 松野春樹

    説明員(松野春樹君) 先生御存じのように、電報にはお祝いとかそれからお悔やみ用に利用されております慶弔電報というものがございます。それから一般の連絡などに利用されております一般電報がございます。  昭和六十一年度の数字の報告を受けておりますが、昭和六十一年度には電報全体に占める一般電報通数の割合が一一%でございます。それから、慶弔電報の占める割合が八九%というふうになってございます。
  159. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 電報は、確かにこのデータによりますと、今六十一年度のデータが、一般電報が一一%で慶弔電報が八九%、これはもうこの数字は、この監察報告に載っております五十八年度が慶弔電報が七六%で一般電報がその他ですから、これは慶弔電報が毎年毎年ふえておる、こういうふうになると私は思うんですが、慶弔電報はそれはそれなりの役割があるといたしまして、一般電報の中でも特に従来、本来の役割としてまいりました国民の緊急通信手段としての緊急電報、特に例えば危篤だとかそういうふうな意味の電報というのは、全体の一般電報の中でどの程度の割合を占めているんでしょうか。
  160. 松野春樹

    説明員(松野春樹君) 実は毎年統計的に把握しているものは今手元にございませんですが、事業者の方から聞くところによりますと、委員御指摘のような非常に、死亡とか例えば危篤等の緊急連絡の部分のかわりに、例えばいろいろもろもろの督促的な内容等もふえておるやに聞いております。
  161. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう少し正確におっしゃってほしいんですけれども、この監察報告によりますと、死亡とか危篤とかあるいは緊急な連絡の電報は、全体に占める割合は〇・二%、一般電報に占める割合は〇・九%、こういうふうになっておりますね。非常に少ない。そして、その一般電報で一番多いのはどういう電報が多いですか。
  162. 松野春樹

    説明員(松野春樹君) 若干抽象的な御説明で恐縮でございますけれども、私承っている限りでは、例えばサラ金の督促でございますとか、それから電話連絡の依頼、それから代金の督促、その他もろもろあるようでございます。
  163. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これですね、大臣も聞いておいてもらいたいんですけれども、今もお話ございましたが、サラ金の督促電報というのがとにかく毎年毎年ふえまして、もう一般電報の五割以上。それで、その次の、今部長さんおっしゃいました電話連絡の電報というのは一〇%以下なんですよ。こういうふうな状況を見ておりますと、サラ金の督促のためにこれはこれだけ多くの赤字のお金をつぎ込んでこういうふうな電報を残す必要があるのかどうかという問題に差しかかってくるわけです。  私は、電報はそれなりの役目がありますからそれなりに必要だとは思いますが、それにしても本来の電報の役割というのが大分変わってきたな、そしてこの電報についての改善というものをいろいろな角度から検討しなくてはならない時代に来たんじゃないかと。しかも、最近は慶弔電報がずっとふえてきておる、こういう問題、何らかの意味で私は検討していただく時代がもう来たんじゃないかなと、こうしみじみと思いますが、御所見をお伺いしておきたいと思います。
  164. 松野春樹

    説明員(松野春樹君) このNTTの行う電報事業が、六十一年度で約四千万通が利用されている、先ほど御説明申し上げたとおりでございます。  先ほど先生からも御指摘ありましたけれども、この電報事業の合理化というものは大変大きな課題になっておりまして、NTTにおきましても大変努力をされてきております。例えば百十五の受付局の集約あるいは配達の民間委託を進める、それから既存の電報網を一般のデータ通信網と統合して運用する等々の電報収支の改善に努めているところでございます。その結果が、やはり先ほど説明申し上げました、徐々にではありますけれども収支差の改善につながっておるものと思っております。  このような状況を踏まえまして、今後の電報事業についてでございますが、やはり電報の利用状況の推移あるいは他のメディアの発展状況等も踏まえまして、この通信メディア全体の位置づけの中でどういうふうになるのか、どうすべきかというふうな問題が大きく検討していくべき課題であるというふうに認識しておるところであります。  社会的にも、まだ内訳につきましていろいろ御指摘ございましたけれども、それなりの意味というものは私はあるのであろうというふうに思ってはおります。
  165. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 社長がお見えになりましたので、この電報の話ですね、社長、これ私は意味がなくなったと言っているわけじゃないんです。それなりに必要だと思っております。確かに電電公社、NTTさんが民営化されまして、電話の交換の態度というのは非常によくなった、私はそれは実感として感じております。  そこで、電報の問題ですけれども、これ慶弔電報が昔はこんなに多くなかったんです。昭和五十二年には六割台、それがずっと七割台になって、先ほどお伺いしましたら八九%というふうになったそうですね。最近は一般の電報が一一%だそうであります。しかも、その一般の電報の、私の手元にあるデータによりますと、五十八年のデータですが、サラ金の督促の電報が五一・三%となっている。また最近はこれよりもっとふえているんじゃないかと思いますね。  そういうような点から見ると、本当にNTTさんが相当いろいろな角度から合理化をし、そしてやっている割には、本当にこれはこれでいいのかなという、中身についてそう考えるわけです。そこら辺のところも、電報を受け付けるときにこれはあかんとか、これはええとか、こんなことできませんので難しい問題ではありますが、ここら辺のところは何らかの意味で研究をしていただく余地があるんじゃないかと私は思うんですけれども社長にこの点について感想を一言お伺いしておきたいと思います。
  166. 真藤恒

    参考人(真藤恒君) 今のお話、御趣旨、非常にありがたく拝聴いたしましたが、私ども民営化されましても、やはり公共性ということに対しては公社時代と変わりませんものですから、今松野事業部長から御説明ありましたように、まず電報というもののやり方を近代化しようということで公社時代から新しい設備に入れかえ始めまして、二万四、五千人電報に従事しておった人間を今五千人未満まで切り下げてまいりましたけれども、いかんせん、コスト面でいきますと新しい設備に対する償却負担というのがございますので、まだしばらくは赤字が、だんだん減ってくるとは思いますけれども、急速に減るということはちょっと難しいんでございますが、そういうことで全体の総合的な経理状況というものが株式会社として健全な限り、私の方からとやかく申し上げるべきじゃないんじゃないのかと。行政面の方でもうそういう能率の悪い電報をやめてこうしたらどうかという御意見が出れば、素直にその御意見に従うつもりでございますけれども、私の方から今の経理状態から、赤字だからやめさせてくれということはちょっと言い出しかねると思っております。
  167. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、社長はああおっしゃっていますが、電報、これどうですかね、大臣のお考えを一言。
  168. 唐沢俊二郎

    ○国務大臣(唐沢俊二郎君) いろいろ峯山先生から貴重な御意見を拝聴させていただきましたんですが、電報の問題ですね、大分努力をされて赤字も年々減ってきたと。慶弔電報がふえた、それはそれなりに意味があると。それじゃ、あと一般電報はどうかというと、大分その使途も一定の方にだんだん限られつつあるというような情勢でございますが、しかし、やっぱり電報というものの持っています、先ほど先生おっしゃいました緊急通信手段としての本来の役割というのは、数が減ってもやはりあるわけでございますから、社長の言われるように、基幹的電気通信事業者としては公。共性もあるからこれはやらざるを得ないと言われるのも当然のことだと思っております。また、新しい通信手段もあらわれておりますので、こういう時期においてどのようにさせていただいたらいいか、大変私これ難しい問題ではないかと思うわけでございますが、今後とも先生方の御指導をいただきながら検討してまいりたいと考えております。
  169. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは次に、先ほども少し質問ございましたハイビジョンの問題についてお伺いをしたいと思います。  これ、先ほどもいろいろお話ございましたが、確かにお茶の間にいながら劇場と同じように迫力のあるきれいな映像と大画面、そして迫力のある音響、こういうふうなものが楽しめるという、それこそ夢と希望にあふれたハイビジョンですが、これはまずこれから大体その特徴とか価格とかいうふうな点から入りたいと思うんですが、特徴と価格の問題について初めに御説明をいただけますでしょうか。
  170. 成川富彦

    説明員(成川富彦君) 先生お話しございましたように、ハイビジョンの特徴といたしましては、現行テレビに比べまして大変情報量が多くてきめ細かくワイドな画面が見られるような状況になっております。大変臨場感あふれる画面がこれによって見ることができます。またさらにコンパクトディスク並みの高品位な音質も得られるというようなことで、次世代のテレビというようなことが言われているところでございます。  値段の点でございますが、まだ量産体制になっていない状況もございますし、試作品ではないんですけれども数少ないというような状況もございまして、値段はかなり高額でございます。ある社の製品によりますと、受信機は五百万円というような状況でございますし、デコーダーといいますか、MUSEの帯域圧縮したものをもとへ戻すデコーダーでございますが、これは千二百万円するというような状況になっております。
  171. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 受信機が五百万円でデコーダーが千五百万円というのは、ちょっとこれまだまだ我々庶民のあれには入りにくいんでございますが、これは実用化のめどというのは大体いつごろをお考えなのか。それから、料金としては実用化の時点でどの程度を目標にしていらっしゃるのか、あわせてお伺いしたいと思います。
  172. 成川富彦

    説明員(成川富彦君) 先生がおっしゃいますように、ハイビジョンが普及していくためには価格をできるだけ安くしていくことが肝心でございまして、私どもの方で勉強会をやりましたところで調査したところによりますと、四、五十万ぐらいになったら買ってもいいというようなことを調査の結果皆さん方おっしゃっているようでございます。そんなことからいたしまして、低コスト化をできるだけ早急に図っていかなきゃいかぬということでございます。それと同時に、今の受信機はかなり大きなものでございまして、目方も大変重いものでございます。これを薄型化し、あるいは軽量化していくことというのが肝心でございます。そのために、壁かけテレビと通称言っておりますが、そういうような技術開発を早急に行っていくことが肝要だということで、基盤技術研究促進センターあたりからも出資していただいて、そういうRアンドD会社をつくって技術開発をしていきたいというふうに考えているところでございます。さらにメーカー等におきましても、いろいろとその面の努力をしていただいているところでございます。  それからハイビジョンの実用化でございますが、私どもといたしましては現時点では六十五年度に打ち上げられる予定のBS3によって実用化していきたいということで考えているところでございます。
  173. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、大分ハイビジョンの問題についてはお詳しいようでございますが、このハイビジョンが及ぼす内需拡大といいましょうか、日本経済に及ぼす影響というのは大変大きなものが私はあると思うんですが、大臣、どの程度とお考えになっていらっしゃるか。これは大臣でわかりますでしょうか、わからなければ局長さんでも結構でございますが。
  174. 成川富彦

    説明員(成川富彦君) 今、ちょっと雑談にも出ておりましたように、今はっきりしたことは見通しできないわけでございますが、ある調査によりますと、最近の調査によりますと、ハイビジョンは今後国民への普及が大いに期待されているところでございまして、西暦二〇〇〇年までの累積市場規模は、機器だけで、ソフトとか何かということじゃなくて、機器だけで約十四兆五千億円と予測されているところでございます。これは前提がいろいろとございまして、例えば世帯数を四千万と仮定いたしまして四〇%普及するということ、それからハイビジョンの受信機一台が四十万円から五十万円と仮定いたしまして算出したものでございまして、いろいろと仮定が重なっておりますものですから、この調査が当たるか当たらないかというのは断言できないわけでございますけれども、そんなことの調査がございます。それと二〇〇〇年における単年度の市場規模としては約三兆四千億円と、その調査によると推計しているところでございます。
  175. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これはいろいろな資料があるようでございまして、トータルの内需拡大に及ぼす金額の見積もりですけれども、何か六十兆円というのもあるようですね。これは大変なことになるなと思って私はびっくりしているわけでございますけれども、それだけすごいものならしっかりやってもらいたいと私は思うんです。このハイビジョンの普及促進策として、具体的には郵政省としてはどういうふうなことを今取り組んでいらっしゃるのか、これをお伺いしておきたいと思います。
  176. 成川富彦

    説明員(成川富彦君) ハイビジョンの普及促進のために大切なことは、まず国民理解を促進といいますか、国民理解を得ることが一つだと思います。それからもう一つは、先ほどもちょっとお話出ましたように、機器の低廉化あるいは小型化、薄型化ということだろうと思います。それからもう一点は、放送内容といいますか、内容の充実、ソフトの充実といったところかというふうに思います。  第一点目の国民理解を得るということでございますが、先ほど大臣がちょっと触れましたように、来年ソウル・オリンピックがございますが、これをハイビジョン放送によって国民方々に見ていただきたいということで、現在五十カ所、二百台をメーカーの方々に用意していただくべくお願いしているところでございます。  それから、十一月二十五日をハイビジョンの日と定めておりますが、これは走査線の数が現行テレビよりかなり多くなりまして、倍近くなりまして、その千百二十五本の数字を一一・二五ということで十一月二十五日をハイビジョンの日と定めて、それを含む一週間をハイビジョンウイークとしていろいろな行事を考えております。実際問題としては、シンボルマークの制定だとか、それから現在BS2によって衛星放送が行われておりますが、これによりましてハイビジョン放送をデモンストレーションとしてやっていただくとか、あるいはハイビジョンの機器あるいはソフトの展示等を大都市といいますか、東京、大阪、名古屋に展示会場を設けて展示していくなどを考えております。これらによりまして国民理解を得ていきたいということでございます。  それから、軽量化、低廉化あるいは薄型化といった技術開発の関係につきましては、先ほどもちょっと触れましたように、私どもとしては基盤技術研究促進センターから出資をいただいてRアンドD会社をつくって、こちらで精力的にその面の技術開発をしていただきたいというふうに考えているところでございます。  それから、ソフトの内容の充実につきましては、先ほどもちょっと触れましたんですが、来年度予算におきまして産投から出資していただいて通信・放送衛星機構に事業を追加してもらい、その中でソフト番組等をできるだけ安い費用でつくっていただけるような場をつくっていきたいということで予算要求しているところでございます。
  177. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 確かに国民理解、それから機器の小型化、ソフトというこの三つの大事な問題があると思いますし、確かにそのとおりだろうと思います。ぜひ国民の、こういう問題についてはまだまだ知らない人もたくさんいると思いますし、相当力を入れて取り組んでいただきたいなと思っております。  先ほど大臣の方からもソウル・オリンピックのお話がございましたが、これはハイビジョンの日というのはもう既に設定されたんですか。それでことしは何かやる予定でございますか。
  178. 成川富彦

    説明員(成川富彦君) 先ほど御説明申し上げました内容は、ことしの計画でございます。東京、名古屋、大阪あたりに展示場を設けるとか、あるいはBS2によるハイビジョンデモンストレーションをやっていただくということなどを考えております。
  179. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃもう既にことしからそういうふうなデモンストレーションをやるということでございますね。  先ほどソウル・オリンピックのお話がございましたが、これは受像機、何か二百台というふうなお話でございましたが、これはもう二百台つくるということはそれぞれの弱電メーカーが取り組んでいらっしゃるわけでしょうから、二百台じゃなしにもうちょっと千台ぐらい何とかならぬもんですかね。二百台なんというと、もう東京に三台とか大阪に二台とか、ちょっとでこれはいかぬわけでございまして、同じコンピューター、いろいろなあれ見ておりますと、相当弱電メーカーはつくるわけですから、この二百台というのをもう少しふやしていただいて、全国四十七都道府県あるわけですから、できたらそういう全部の都道府県でこれからの新しい時代のいわゆるハイビジョンというものがこういうものだということをやるということは、非常に私は大事なことじゃないかと思いますし、そういうふうな意味での予算措置というのも非常に大事じゃないかと思うんですけれどもね。そこら辺のところを、二百台で辛抱せいと言えば、これは何も辛抱しないわけじゃないんですが、これは将来のためにもそのくらいのあれをやっていただいた方がいいんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  180. 成川富彦

    説明員(成川富彦君) メーカーにも無理無理お願いしたようなところでございまして、先ほど申し上げましたように量産化はできておりません。したがいまして、一台一台手づくりでつくらなきゃいかぬということで、二百台が限界であるというふうにメーカーの方からお聞きしているような状況でございます。二百台ぜひともつくっていただきたい、無理であろうともつくっていただきたいということでお願いしたところでございます。
  181. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この二百台が限界かどうかそれは知りませんが、気持ちとしてはそのくらいの気持ちでやっていただきたいと思います。  それから、これは最近の衛星放送が二十四時間放送できるようになりまして、その放送を聞くためのいわゆる共同アンテナという問題があるわけです。これは、今衛星放送を受信するために、集合住宅なんかではこの共同アンテナを施設してテレビを聞けるような装置をちゃんとつくっているわけですね。ところが、今度これまたハイビジョンになったらこれは一体どうなるのかと。今やっているやっとハイビジョンとは全然違いますね。また一から全部つくり直さなきゃいけませんねというんじゃ、これまた大変なことになるわけでございまして、昭和六十五年ですからそんな遠い先の話じゃありませんで、すぐやってくるわけですから、そういう点も含めて、これはいわゆるこの共同アンテナといいましょうか、そういうハイビジョンを聞く将来のことも考えてそこら辺のところはやらないといけないと私は思うんですが、そこら辺のところはどういうふうになっているのか、これもあわせてお伺いしておきたいと思います。
  182. 成川富彦

    説明員(成川富彦君) 現在の共聴アンテナといいますか、集合住宅用のアンテナ等の関係でございますが、衛星放送受信のための集合住宅用施設、共聴のアンテナ施設がございますが、これらのうち、各家庭でBSチューナーを用いて受信しているところですと、ケーブル等の共通施設は変更することなく現状の施設のままで、ただハイビジョン対応のチューナーとハイビジョン受信機を用意していただければ見える状態になります。  ただ、各家庭でBSチューナーなしで衛星放送受信ができるような、アンテナのところで変換しているという施設ですと、ケーブルなどにつきましてもハイビジョン受信のために改善を必要とするわけでございます。これらにつきましては、後々そのつもりじゃなかったというようなことにならないように、関係の向きとも十分相談していきたいというふうに思います。
  183. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ぜひしっかりお願いしたいと思います。  それでは次に、大阪のテレポート計画についてお伺いをしたいと思います。  これは相当前から取り組んできているわけでございますが、テクノポート大阪計画、これはいろいろな角度から進められているわけでございますが、その現状と概況について御説明いただきたいと思います。
  184. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) 大阪のテレポート、もうちょっと、いろいろ似た言葉がございますので恐縮でございますが、テレポートも含めましたテクノポート大阪という計画がございます。これは大変意欲的な計画でございまして、大阪がこのテクノポート大阪計画をもちまして魅力ある国際情報文化都市として発展していくために、大阪の臨海部の南港及び北港地区にいろいろな機能を持ったところを拠点的に整備する大阪市の計画でございます。  どんな機能かと申しますと、先端技術開発機能、それから国際交易機能、それから情報通信機能、こういった機能を拠点的に整備する計画でございます。この中で、情報通信機能の中核施設として、今申し上げます大阪テレポートの建設が計画されているわけでございます。  大阪テレポートは、大阪港の南港地区にパラボラアンテナ等の衛星通信の、地球局といいまして衛星から電波を受ける局でございますが、地上の局でございますが、その地球局を設置して国際及び国内衛星通信の拠点とする計画でありまして、現在、パラボラアンテナ二基を対象とする施設整備を第一期の工事として着手したというふうに承っております。将来的には、このパラボラアンテナもふやして、また地球局の周囲にオフィスパークを設ける構想というふうに承っておるところでございます。
  185. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 テクノポート大阪の計画の中核となるのが、いわゆるこの大阪テレポートであるわけですが、これは国としてどういうようなことがバックアップできるのか、この点はいかがでしょうかね。
  186. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) 実は、このテレポートも含めました大阪テクノポートでございますが、私どもテレポート建設の促進を図るために、ことしは、六月でございますか、せんだっての通常国会で民活法を既に、民間活力を図るためにいろいろな特定施設を決めまして、それにいろいろなバックアップ措置を講ずることになっているわけでございますが、そういった法律にテレポートを加えまして法律改正をいたしましたわけでございます。  これによりまして、いろいろバックアップ措置をとることができるようになったわけでございますけれども、どんなものがございますかと申し上げますと、税制上の優遇措置、これは国税などについて建物等の特別償却をするとか、あるいは地方税について不動産取得税あるいは固定資産税などについての減免措置をとるというようなことですとか、それからNTTの株式売却収入によります無利子融資、たびたび話が出ておりますけれども、これの無利子融資の対象施設として融資をしたいということ、それから日本開発銀行等からの出融資の対象ともしでおりまして、いろいろな支援措置をとりまして、国といたしましてもできるだけこの大阪テレポートの建設が円滑にいくように努力したいというふうに考えております。
  187. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 今、税制上の問題、それからNTTの無利子融資の問題、あるいは日本開発銀行の融資の問題等お話ございましたが、ぜひともこの計画が見事に成功するように御支援をお願いしておきたいと思います。  それから次に、社長、わざわざおいでいただきましたので、電話料金の問題についてお伺いをしたいと思います。  特に社長には、私どもの党の同僚議員の方から今まで予算委員会等であるいは逓信委員会等で、二回、三回にわたりましてお伺いをしているわけでございますが、特に市内の料金の問題でございます。この市内の料金が市外の料金に比べて赤字であるというふうなお話が何回かございまして、赤字と言うからにはそれじゃどういうふうに赤字なんだと、その赤字の根拠を一遍教えていただきたいということで、何回か質問をさせていただいているわけでございます。そんな中で社長の方から何回か御答弁がございまして、これは昨年の御答弁でございますが、来年の、ことしですね、来年の五、六月までになりますと大体正確な数字が出てまいりまして皆様方の御審議の材料として差し上げることができる、こういうふうな御答弁もございますし、またいろいろあるわけでございますが、これ来年の五、六月というのはことしの五、六月のことでございまして、この市内料金とあるいは中距離、長距離の料金とのかかわり等を含めまして、大体整合性のある数字がもう出ているんじゃないかと思うんですが、その点はこれはいかがでございましょうか。
  188. 真藤恒

    参考人(真藤恒君) 今御質問の中にございましたように、私がそういうことを国会の場で御説明申し上げたこと、確かにございます。その後鋭意実行にかかっておりますが、トラフィックの量、市内がどうで、近距離、遠距離どうかという分析はかなり正確に出始めております。ですけれども、このコストの切り分けというのがなかなか簡単にまいりませんで、殊に今、公社の組織から民営の会社の組織に移行しておりますためにそちらの方の手順が非常に複雑化してまいりまして、まだコストの方がきちっと御説明できるような数字が整っておりません。これおくれております。それでこの前申し上げました期限がおくれておるわけでございます。
  189. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 諸外国の市内の電話料金等も、私、資料としていただきましていろいろと検討さしていただきましたが、これ十円で三分間かけられるというのは、私は諸外国と比べてもそれなりの料金だと私は思います。したがいまして、これが値上げになりますと大変でございますし、できたらこの料金を維持していただきたい、こういうふうに私は申し上げておきたいと思いますし、また赤字であるかどうかということについても、これは非常に難しい問題ではございましょうけれども、今後のためにもぜひしっかり取り組んでいただきたい、こういうふうに申し上げておきたいと思います。  それから、電電公社が民営化されまして、いよいよことしの九月の四日からは、新しい第二電電や日本テレコムとか日本高速通信等の新電電が事業認可をされまして営業を開始したわけでございますが、現在の状況は大体どういうふうになっておるのか、これは一遍お伺いしておきたいと思います。
  190. 松野春樹

    説明員(松野春樹君) 今御指摘ありましたように、当面、東京-名古屋-大阪間ではありますが、新電電三社が市外電話サービスを九月四日から開始いたしております。これの九月末現在の状況を、申し込み利用者の数、それから実際の利用状況ということに分けまして簡単に御説明申し上げたいと思うんです。  申し込みがありました数が百四十七万回線、そのうち実際に交換機に登録されました数が七十一万五千回線というふうになっております。もっともこの七十一万五千回線の中には、一人で二ないし三社に申し込んだものがダブっておるかと思いますので、それは重複になろうかと思います。それから、実際の利用状況でございますが、これを例えばコール数、呼数といいますか、コール数で見てまいりますと、私ども報告を受けました数は一日平均、有料のコール数が三社合わせまして約十五万五千コールと承っております。  また、収入の面で、これも一日平均でございますが、三社合わせまして二千六百十万円、それぞれ当初の見込み計画の大体七割を少し超えた数字であるという報告を受けております。
  191. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ただいま御報告ございましたそれぞれの一日平均の数字を先ほどおっしゃいましたが、見込みの七割ということでございましたが、これは大体初めからこういうふうな予定だったんでございましょうか。  それは、時間もございませんから、こちらからどんどん申し上げてまいりますが、やっぱり電電公社を民営化した本当の、本来のねらいというのは二つあると思うんですね。私は、一つは料金の引き下げ、そしてもう一つはサービスの向上、こういうふうな問題ではないかと思います。ところが、実際問題としていろいろな問題がたくさんあるようでございますが、一部の地域で利用できない人たちがたくさんいるというのが新聞記事なんかにも随分載っておりますが、これはどういうふうな事情によるのか、そこら辺のところを一遍詳しく御説明いただきたいと思います。
  192. 松野春樹

    説明員(松野春樹君) 最初に、それでは私の方から概略御説明申し上げたいと思います。  現状でございますけれども、新電電、先ほど三社と申し上げましたが、これがサービスを、中継系のサービスでございますが、提供するためにはNTTの市内網と交換機に依存せざるを得ないわけでございます。そこで、NTTの市内交換機に新電電のユーザーが登録する必要がある、IDと申し上げておりますが、ID登録をする必要があるわけでございます。このID登録がこの交換機に可能であるかないか、一部新聞等でも相当報道されましたけれども、そこに問題があるわけであります。  それで二点あるわけですが、一点は、この利用者識別信号といっておりますこのIDを出せない古い形の交換機がある。これを加入人数といいますか、加入者数で申し上げますと、九月の上旬段階で大体三割ぐらい、東名阪で三割ぐらいが利用不能であったかなと思っております。この数字はもっとも徐々に改善されつつあると思っております。それからもう一つは、このIDは出せるんですが、クロスバー交換機といっておりますが、この中にもやはりIDの登録数にそれなりに、機械的な理由でありますけれども制約があるという状況があったわけであります。  そこで、どうするかということでございまして、私どもも、まず交換機にこのID登録装置をできるだけ早くつけられるものはつけていただこうということをNTTにも御指導申し上げ、またNTTもこれについて早急な対応を現在図っているところでございます。これは、いわば応急的な措置であろうかと思います。  それで、抜本的には恐らくこのIDの登録ができない古い形の旧式交換機の更新をどうするかということもあろうかと思います。我々といたしましても、一つは、先ほどおっしゃられましたように公正な競争条件づくりということもありますし、もう一つは将来を見渡しましてディジタル化といいますか、ISDN化の促進という観点から本問題に積極的に取り組んでまいりたい。また、この趣旨はNTTの方でも十分御理解をいただいておるというふうに承知しております。
  193. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、これは私の方からいいますと問題点が幾つかあるわけですけれども、そういうふうにしてID登録ができない、そのために使えないという皆さんがこのくらいいるということは、郵政省へ営業許可申請とかいうのが新しい三社から出た段階で既にわかっていたわけですね、郵政省は。これはどうですか。
  194. 松野春樹

    説明員(松野春樹君) この問題を、実はもちろん私どもも全く承知しなかったわけじゃないんですが、交換機のデータのつまびらかな内容が実は私ども必ずしも十分に把握できていなかったということは率直に申し上げられます。  その点につきましては私ども反省しておるわけでありますけれども、今後におきましては、早期にいろいろ、また今後も東京-大阪、それから名古屋間からいろいろ業務区域が新電電も拡大してまいると思いますけれども、できるだけ早期にこの交換機に関するデータ等の情報を得まして、行政としても適切に対処してまいりたいというふうに存じております。
  195. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは、私がいただいた資料によりますと、今一番新しい、いわゆる電子交換機ですね、これが大体全体の、NTTとしては二二%、それからクロスバー交換機でID送出装置つきのものが二四%、両方合わせまして四六%で、ID送出不可能のいわゆる交換機が五四%と、私の手元には資料が来ておりますが、これはこのとおりでしょうかね。それが一つ。  それからもう一つは、NTTさん大変だと私は思うんですが、こういうふうな状況改善をされるために、実際問題としてこれから急いでやりまして大体どのくらいの時間がかかるかということと、それからもう一つはどの程度の費用がかかるかという問題を教えていただきたいと思います。
  196. 岩崎昇三

    参考人岩崎昇三君) 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。  ただいまお話のございましたIDでございますが、IDを受けることのできる交換機に収容されているお客様の数と申しますのは、新電電のサービスエリア内におきまして六十一年度末で七〇%、六十二年度末で八〇%というような数値でございます。しかし、IDを送出できる交換機に収容されていても、IDそのものが不足しているとか、それからその交換機から上位の交換機に行く回線が不足しているとか、そういうような状況がございまして、先ほど郵政省の方からお話のありましたようなことでございますが、六十二年の九月の三十日現在の数値でございますが、NTTへのお申し込み数が六十一万加入ある中で、十四万加入のお客様に対してIDを御提供できないという状況にあるのは御指摘のとおりでございます。この十四万加入に対してどうするかということでございますが、これにつきましては現在鋭意工事をしておりまして、来年の一月までには、現在NCCがサービスエリアというふうにされております東名阪間において積滞は全部なくすということで現在鋭意工事をしております。  今後どうするかというふうな問題、また御指摘かと思いますが、これからNCCも逐次サービスエリアを拡大されるという御計画、これは我々も聞いているわけでございまして、そのときに今回のような状況があってはいかぬということで、私どもの真藤社長が三社の社長とよくお話しになりまして、まず需要をはっきりさしてそれをNTTによく教えていただきたいということで、それを教えていただければそれに対してまず万全の措置をとろうということをやっておりますが、それ以外にやはり先見的に我々としてはIDの工事ということをやらなきゃいけないと思いますので、今までの、先ほど七〇%、八〇%というようなIDを受けられるお客様の数というものについてもできるだけ一〇〇%に近づけたいということでございまして、東京二十三区内、名古屋市内、大阪市内につきましては、来年の九月からはすべて全域においてIDのサービスを受けられるというふうにいたしたいと思います。  なお、その周辺でございますが、東京都かあるいは横浜、京都、神戸等のPOIというのはNCCとNTTとの接続点でございますけれども、そういうものが設置されている都市につきましては、六十二年度末を目標にほぼ全域、これは交換九九%なんでございますけれども、一%はやはりいろいろと古い交換機というような形で、ちょっとサービスがしにくい点がございますが、九九%のお客様に対してIDの送出が可能になるようにしたいというふうに思います。  その他、表現がちょっと不適切かもしれませんが、大都市から外れた地域ということになるわけですが、その他の地域につきましても、お客様があるというところにつきましては極力工事を繰り上げて御迷惑をかけないようにしたいということで計画を立てているところでございます。  以上でございます。
  197. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 時間がなくなりましたので、最後に一つずつお伺いしておきたいと思います。  これは真藤社長、市外電話の問題でお伺いいたしますが、実際問題として新しい会社三社、束になってかかってきてもまだまだ、先ほどのいろいろな話からしましても、年商売り上げは大目に見積もっても百億ぐらいですよ、これね。NTTのいわゆる市外電話総収入から比較いたしましても、ほんのわずかな問題になってくるんじゃないかと思います。私は、国民立場からすれば、電話料金が安くなるのはこれはすばらしいことですから、安くしていただきたいと思うんですが、これから将来のことを考えれば、これはやっぱりいろいろな競争条件もある程度整えて、体制をちゃんとしてやる必要があるというふうにも思います。  そこで、社長が先般の記者会見等でおっしゃっている市外電話料金の値下げの問題、これとあわせましてそこら辺の絡み、これは非常に慎重な対応が必要じゃないかと私は思うんですけれども、こういう点はどういうふうにお考えか。このお考えをお伺いしておきたいと思います。
  198. 真藤恒

    参考人(真藤恒君) 今の御質問にお答えしますが、その前に少し前提の御説明をさせていただきますが、会社になりまして具体的に競争条件が入ってまいりまして、私どもも、それから職員全員が昔と大分違った動きを始めるようになりましたので、私どもが計画しておりましたコストの総合的な切り下げというものがかなり強い力で動き始めました。したがいまして、世界的に一番値段の高い長距離料金というものをやはり下げるということを最優先に考えなきゃいかぬと思っておりますが、といって今度は、今御質問の中にございましたように、新電電の力がどうなるのかということは、これもまた私どもとしてよく考えなきゃならない問題でございますけれども、せっかくこうやってみんなが努力して出てきた経理的な余裕というものは、やはり本質的にはできるだけ早く、世界で一番値段の高い長距離料金の値下げの方へ回すべきものではなかろうかというふうに考えております。  そんなふうでございますから、よく巷間に伝わっておりますように、市内料金を上げて、そのかわりに長距離料金下げるよということは考えておりません。
  199. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 きょうは真藤社長、大変お忙しいところをありがとうございました。  きょうは、そのほか宇宙開発事業団の、宇宙開発委員会の長期政策懇談会の報告書に基づく質問だとか、第二KDDの問題等を質問するつもりにいたしておりましたが、時間が参りましたので、以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。
  200. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は、きょうは郵政省当局の労働組合に対する対応と姿勢からまずただしてまいりたいと思います。  最初に伺いますが、現在、郵政省関係で働く労働者の労働組合はどういう労働組合が存在しておりますか。
  201. 白井太

    説明員(白井太君) お答えを申し上げます。  郵便局単位で組織されているような、私どもいわゆる単独組合と呼んでおりますが、そうした組織もございまして、正確な数字は資料を見ませんとお答えできませんが、主な大きな組合としては三つ、四つ、あとはそれぞれの郵便局を主として単位に組織されております単独組合がございます。
  202. 橋本敦

    ○橋本敦君 大きな労働組合の三つ、四つ、名前を挙げて述べてください。
  203. 白井太

    説明員(白井太君) 幾つかの郵便局にいわゆる支部等を持っております比較的規模の大きい労働組合といたしましては、全逓信労働組合それから全郵政労働組合それから郵政産業労働組合等が思い浮かぶところでございます。
  204. 橋本敦

    ○橋本敦君 そのいずれももちろん憲法で保障された労働者の団結権に基づく団結体である、労働組合法あるいは公労法の適用を受ける、そういう正当な労働組合としての組織であるというように認識されておられますか。
  205. 白井太

    説明員(白井太君) 御指摘のとおりでございます。
  206. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうすると、当局の対応としては、その大きな労働組合について言うなら、全逓それから全郵政それから郵産労、郵政産業労働組合、この間には差別的な取り扱い、これをやるということになりますと不当労働行為の問題が出てまいるわけで、当局としてはそういった労働組合間における取り扱い上あるいは便宜供与の点でも差別扱いをするという意図は毛頭ないと伺ってよろしいですか。
  207. 白井太

    説明員(白井太君) 労働組合によって差別的な取り扱いをする考えはございません。
  208. 橋本敦

    ○橋本敦君 実際問題として私は、郵政産業労働組合、郵産労に対して事実上の差別的取り扱いがなされているという問題をこれから指摘をして質問をせざるを得ないと思うのであります。  例えば全逓信労働組合、これはもちろん古くからございますが、全国でそれぞれ活動している拠点としての労働組合事務所を各局に持っておると思います。ところが、郵政産業労働組合は全国で二十九支部ございますけれども、それらの支部が全部、労働組合事務所もしくは掲示板を持っているかどうか、御存じですか。
  209. 白井太

    説明員(白井太君) 正確な数字はまた資料を見ませんとお答えできないわけでありますが、持っているところもありますし持っていないところもあると承知いたしております。
  210. 橋本敦

    ○橋本敦君 持っていないところの方が多いという事実、御承知ですか。
  211. 白井太

    説明員(白井太君) 正確な数字ではございませんが、多分持っていないところが多いだろうと思っております。
  212. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は先ごろ大阪の此花郵便局を視察をいたしました。局長にもお会いいたしました。此花郵便局に参りますと、全逓労働組合は二階に立派な事務所を持ち、掲示板を持っています。それだけでありませんで、全郵政の組合も事務所を提供され、二階に掲示板を持っています。ところが、郵産労の此花支部は組合事務所もなければ組合掲示板もない、こういう状態である事実は、これは御存じでしょうか。
  213. 白井太

    説明員(白井太君) 承知いたしております。
  214. 橋本敦

    ○橋本敦君 郵産労の此花支部は八七年六月十一日に結成をされました。この労働組合自体は今お話しのように労働組合として当然認められておるわけでありますが、団体交渉等で局長と交渉いたしまして、その結成以来、事務所の提供それから組合掲示板の設置を要求してきた。この事実もはっきりしておるはずですが、御存じでしょうね。
  215. 白井太

    説明員(白井太君) 承知いたしております。
  216. 橋本敦

    ○橋本敦君 もう一方、部落解放問題に関して解放研というのがございまして、此花郵便局にはこの解放研も事務所を持ち、二階に掲示板を設置を許可されて、掲示板も持っている。これも御存じでしょうね。
  217. 白井太

    説明員(白井太君) そのようにお聞きしております。
  218. 橋本敦

    ○橋本敦君 この解放研というのは労働組合ですか、労働組合でないのですか、どういう御認識でございますか。
  219. 白井太

    説明員(白井太君) 労働組合法に申します労働組合ではないと考えております。
  220. 橋本敦

    ○橋本敦君 当然そうですね。私の手元に昭和六十一年六月十九日に公用私信第百号として、近畿郵政局の人事部長が管内一般長にあててお出しになった「同和対策の正常化について」と題する通達がございます。いわゆる百号通達というように呼んでいるわけですが、この中でこう書いていますね。「サークルとの対応について」と題するところで、   「部落解放研究会」については、「郵便局の職場に働く職員が同和問題を学習・研究し、その理解と認識を深めることを目的とした任意の団体である。」という、省の考え方国会に対しても表明されているところである。   労働組合は、法律によってその結成及び活動の権利を認められているものであるが、サークルはこの点において全く異なる任意の団体である。  こう述べていますが、この認識は間違いございませんね。
  221. 白井太

    説明員(白井太君) 実は、私ただいま御指摘の通達百号というのを直接読んでおりませんので承知いたしておりませんが、そこに今お読みになりましたのは、趣旨としてはそのとおりであると承知いたしております。
  222. 橋本敦

    ○橋本敦君 此花郵便局では、二つの労働組合は組合事務所を持ち、掲示板も持っている。労働組合でない任意の団体、サークルにすぎないと当局も認識している解放研が事務所を持ち、掲示板を持っている。ところが、郵産労働組合が結成以来六月から組合事務所の提供と掲示板の設置を、これを回を重ねて要求してきたにもかかわらず、いまだにこれが設置されていない。これは客観的に見て明らかに郵産労に対する不当な差別扱いと言われても仕方がないんじゃありませんか。郵政省どうお考えですか。
  223. 白井太

    説明員(白井太君) 組合事務室でありますとかあるいは組合掲示板等、私どもいわゆる便宜供与と呼んでおりますけれども、その取り扱いにつきましては、組合などからの要求に基づきまして、その所属長が業務に支障がないかどうかでありますとか、あるいは局舎事情とか、あるいはその使用を申し出た施設があるかないか等、いろいろな事情を総合的に勘案をいたしまして許可するか否かの判断をしておるわけでございます。  ただいま先生から御指摘がございました此花郵便局の郵産労組合の掲示板のケースでありますが、此花支部は本年六月に、先ほど先生おっしゃいましたように六月に結成されたと聞いておりまして、確かに郵産労支部の方から掲示板を使いたいという申し出がありまして、ただいま申し上げたような立場に立ちまして局の方で検討しておるというふうに承知をしております。ただ、現在の時点においては、組合の掲示板につきましては、現在掲示板があるわけではございませんので、新たに掲示板を設置しなきゃならぬということで、掲示板を設置するための所要の経費の調達が可能であるかどうか、これからの予算の執行状況も見ながら判断したいというのが当該局長の判断であるというふうに承知をいたしております。
  224. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうすると、郵産労に対しても他の労働組合と同じように差別扱いをしないで、組合掲示板の設置はこれは認める、それをつくるということについては、この基本的考えはこれははっきりしていると、こういうことですね。
  225. 白井太

    説明員(白井太君) 私ども承知しておりますのは、当該此花局の局長としても支部に対して、設置をしてそれについて使用を許可したいと考えておるけれども、今の段階ではちょっと経費の見通しが立たないのでしばらく待ってもらいたいという趣旨のお答えをしておるというふうに聞いております。
  226. 橋本敦

    ○橋本敦君 私が局長に会ったときもそう言っていました。そこで私は疑問に思うんですよ。私は局長に聞いたんです。経費は要るというけれども、二階の壁に組合掲示板を取りつけるだけで、ほかの組合の掲示板も皆そうですが、費用は幾ら要るんですか、こう聞きますと、さあ、三万か五万でしょうか、こういう話だ。それはそんな程度ですよ、掲示板をつくって壁に取りつけるだけですから。場所はないんじゃありませんねと聞きますと、場所はありますと。それはそうです。私も見てきましたが、二階には二つの労働組合の掲示板があり、解放研の掲示板があり、なお二階の廊下の壁に設置をする余裕の場所は十分あります。問題はその経費だと言うんですね。  そこで伺いますが、此花郵便局で一体年間運営予算どのくらいあるんですか。
  227. 山口武雄

    説明員山口武雄君) 運営予算というお尋ねでございますが、郵便局で支出する経費全体のうちで、いわゆる庁費といいますか、郵便局において光熱水料でございますとか、あるいはお客様方のためにいろいろな施策を遂行するということで一応予定されている経費としては二千万円ございます。ただ、二千万円ございますけれども、ただいま申し上げましたように、いわゆる郵便局としての生活費、光熱水料等が非常な大きなウエートを占めておりまして、残りのいわゆる局長として裁量的に使える経費、これも最近では、特に事業推進そのもののため、お客様方に対していろいろ営業上の働きかけをいたす、そういう方向に重点的に使ってほしいというふうに私ども指導をいたしておりまして、それも年間当初計画というのをそれぞれの郵便局でつくっておりますので、案外途中で割く、臨時的に支出していくお金というのは、これは具体的にそう詳細に聞いたわけではございませんが、ないという実態もあろうかと、このように推察いたしております。
  228. 橋本敦

    ○橋本敦君 幾らあなた言われたって納得できません。年間二千万の予算を組んであるんでしょう。それで局長が、三万から五万、こんな程度の組合掲示板設置のための費用、これをその予算の中から執行できない、そんなことあるんですか。それは予備費であろうが何であろうが正当な目的に支出するんだから、組合掲示板設置を認めなきゃならぬと認めているんでしょう。お客さんの業務でいろいろ予算が要る、それもあるでしょう。しかし、組合に対する当局のこの組合掲示板設置ということも、憲法上組合に対して当局がなすべき義務の一つですよ。三万、五万、こんな程度の金が、二千万から今あなたがおっしゃった予算経費がある中で全然局長が出せないなんてことは、あなた考えられますか。私は局長にもそういうことを厳しく言いました。  こういう硬直な姿勢をして組合に掲示板を認めない、金が余ったらそれはやってよろしい、こんなことで一体労働組合に対する姿勢はよいと思うんですか。大臣、この問題をどうお考えですか。二千万から金がある、経費が使えるんですよ。三万から五万、労働組合にはこれやってやらぬ、金が余ったらやってやるというんだ。そんなひどいことは、国として労働組合に対する公正な態度と評価されますか、大臣にはっきりしてもらいたい。
  229. 白井太

    説明員(白井太君) ちょっと私からお答えをさせていただきたいと思いますが、実は当該局に聞いたお話でありますけれども、先ほど経理部長からお答えを申し上げましたように、当該局では年度初めに予算なんかの使用につきまして計画を立てたようでありまして、中には何千円という非常に先生お話からすると大変細かいような経費についても使用計画を立てて、その計画に基づいて業務の執行をしておるということでございまして、やはり何万というオーダーの経費になりますと、今の段階でそれだけのお金の見通しが立つのか立たないのかということがはっきりしないんだというような状況のようでございます。その辺は私ども省全体としてもかねてから経費の効率的な使用というようなことも口癖のように申しておりますので、無理からぬものがあるのかなというふうに感じているような次第でございます。
  230. 橋本敦

    ○橋本敦君 そんなこと言うなら、年間使用計画を出して予算組んで、途中で使用計画外に必要な業務上予算を執行しなきゃならぬという問題が全然ないんですか。あるでしょう。そのために予備費もあり、あるいは局長の運用による裁量での予算執行が認められる場合もあるでしょう、郵政省は郵便局に対して、年間使用計画を出した以外びた一文、一銭も使わせない、そんなことをやっていますか。そんなことで業務執行を円滑にできるわけがない。そんなこと言うなら此花局の年間使用計画と予算の執行全部出しなさい。全部私が点検してあげますよ。そんなことを言って組合掲示板を認めないということは、毎日本当労働行為が続いているんですよ、今現に差別されているんですから。  大臣どうお考えになりますか。予算執行の中へ組合掲示板は口で認めると言いながらやらないという、こういう姿勢をあくまで貫いていいというのが労働組合に対する郵政省の姿勢ですか。そんな硬直したことであっていいと私は思いませんよ。もしもそう言うなら、私が言うように予算計画と予算執行全部出しなさい。
  231. 白井太

    説明員(白井太君) 先ほど申し上げましたように、年度初めに当該局では経費の使用について一応の計画を立てたということでございますが、実は郵産労此花支部というのは、先ほど来お話が出ておりますように、ことしの六月に支部がつくられたということで、いわば経費の計画ができ上がった後に支部ができ、そしてその支部から掲示板の使用をしたいという申し入れがあったということで、時間的にも、当然のことでございますけれども、支部の設置の方が後になっておるということであります。  これも繰り返しになりますが、当該局の局長としては、掲示板を設置してその掲示板を使うことができるようにしてあげたいということは、支部に対してもそうした考え方を表明しておるようでございまして、方向としてはそういう方向でやるのだけれども、もう少しその設置について経費の見通しを立てたいので時間をかしてほしいという言い方をしておるようでございます。したがって、そのことが直ちに差別扱いをしているとかいうようなことにはならない。だから、できるだけ早く経費の見通しを立てて掲示板を設置するなら設置するという方向での措置をしていただくということを期待しておるわけでございます。
  232. 橋本敦

    ○橋本敦君 具体的にいつごろになったら経費見通しがつくのだと私が聞いたら、局長いわく、年度末、来年の二月ごろにならないと執行関係全部出てこないから使える金があるかどうかわからぬと言った。冗談じゃないですよ、あなた。組合は毎日毎日活動しているんですよ。いいですか。郵産労だけじゃありません。ほかの組合も毎日活動して、毎日掲示板へ掲示して頑張っていますよ。それが労働組合ですよ。たった三万、五万の金が予備費とか局長の裁量で一切使えない、二月にならなければわからない、こんなことで労働組合活動を阻害していいんですか。  大臣、現場に対して労働組合に対するこういう姿勢は是正するように指導してくださいよ。こんなことが郵政省の労働組合への姿勢だとして許されるものじゃない。憲法上の権利をどう考えている。大臣の見解を私は聞いているんだよ。
  233. 白井太

    説明員(白井太君) かつて郵便局の責任者をやらしていただいた自分の経験からも考えるわけでありますけれども、これから年末に向かいますと郵便局というのはいわば最繁忙期を各事業とも迎えるわけでございまして、そういったときにいろいろな経費がまた、予測してないような経費についても必要性が出てくるかもしれないというようなことを、いろいろ当該局長としては心配しておるんではないかと推測をするわけでございます。  したがいまして、いわゆる私ども年末繁忙と呼んでおりますが、年末の大変忙しい時期を乗り越した後になれば、その年度の予算についてある程度余りが出るか出ないかというような見通しが立つということができるんじゃないかということで、先生にそのようなお答えをしたのではないかというふうに推測をいたしております。
  234. 橋本敦

    ○橋本敦君 だめだよ、それは。金が余ったらつくってやるなんということでは、労働組合に対する正しい対応じゃないと言っているんだよ。三万、五万の金が、局長の裁量で組合掲示板を一日も早く設置してほかの労働組合と差別がないようにする。ましてや労働組合でもない解放研には掲示板はもうちゃんと前から与えている。こんな差別状態は一日も早く解消すべき、これが当然の当局の姿勢だと、こう言っているんですよ。  大臣どうですか、こんな硬直したことでいいんですか。労働組合の権利をもっとちゃんと認める、そういう方向局長はやるべきだということで指導してもらうのは当然だと思いますが、お考えどうですか。あなたの答えは絶対納得できない。金が余ったら労働組合にしてやるなんて、そんなことなんかあるか。
  235. 白井太

    説明員(白井太君) 大変くどいような申し上げ方になって恐縮でございますけれども、これは現在掲示板があってその掲示板について使用を許可しないということではございませんで、使用を許可するためには新たに新しい掲示板を設置しなければならないわけでありまして、それを設置するについて経費の見通しを立てるまでしばらく待ってほしいということを郵便局長は言っておるわけでありまして、そのほかの全逓労組にいたしましても、全郵政労組にいたしましても、あるいは解放研にいたしましても、実はそうした組織ができたのも、あるいはその掲示板を使うようになったというのも大変前のことでありまして、そういう意味では、六月から今日まで何カ月も待っているというお話は、それはそれとしてわからないわけではございませんけれども、いましばらく待ってほしいというのが郵便局長考え方ではないかというふうに承知をいたしております。
  236. 橋本敦

    ○橋本敦君 待つほどのものじゃないと言うんだよ。たった三万、五万の組合掲示板の費用の問題でこの国会で大臣とやりとりしなきゃならぬそんな恥ずかしいような予算執行、硬直したことで組合活動を妨害してよいのかと、こういうことですよ。何遍言ってもだめです。  そうすると、見通しがつくまでと言うなら、早く見通しをつけて、組合掲示板設置、これは認めざるを得ないんだから、一日も早く見通しをつけてやれと、こういった指導はしますか。当然でしょう。
  237. 白井太

    説明員(白井太君) それぞれの郵便局でその施設をどのように便宜供与として使用を許可するかということについては、最終的には当該局長の判断にゆだねることにいたしておりますが、本日の委員会でこうした議論があったということについては何らかの形で当該局が知り得るようにいたしたいというふうに考えております。
  238. 橋本敦

    ○橋本敦君 もっと積極的に指導しなさいよ。  それなら、こういうようにしましょう。わずか三万、五万の金でできる掲示板は局長と設置場所について交渉で合意をすることは可能ですから、局も認めているんですから、その経費は労働組合が立てかえて組合掲示板をつくって、当局の承認のもとで設置しましょう。その経費は、予算執行の見通しがついたとき、あるいは来年度はこれは使用計画で必ずできるんですから予算執行が必ずできますから、そのときに支弁してもらえれば結構。組合が立てかえますよ、いいですね。そしたら問題なくなるでしょう。
  239. 白井太

    説明員(白井太君) 局舎の管理の責めを負っております当該局長としては、あくまでもその掲示板を局の責任において局の将来の業務に支障のないところに設置をし、それについて使用を許可するということでどの郵便局でもやっておるわけでございまして、その基本的な取り扱いの仕方というものを崩すというわけにはまいらないというふうに思います。
  240. 橋本敦

    ○橋本敦君 場所は合意したらいいと言っているじゃないですか。組合がここだと言って頑張っているんじゃない。
  241. 白井太

    説明員(白井太君) そのことで先生に言い返すようなことになっては大変恐縮だと思いますけれども、実は、その掲示板の場所そのものについて労働組合とそれから局の局長とが合意をするということは、どの組合に対してもやっていないわけでございまして、本当から申しますと、たまたまそこに掲示板があったときにその掲示板を使用したいという申し出があって、使用することは構わないという手続を踏むのが普通の筋でありまして、労働組合と局長との間で、場所はここがいいあるいはここは悪いというようなことで設置の場所について相談をして決めるというような仕組みにはなっていないのでございます。
  242. 橋本敦

    ○橋本敦君 相談して決めたっていいじゃないですか。それじゃ、当局がこの場所に設置すると指定しなさい。その場所に組合の経費でやりますから、いいですか、
  243. 白井太

    説明員(白井太君) 大変筋っぽい話をするようで恐縮でございますけれども、郵便局長としてはその局の施設を全面的に管理をするという責任を負っておるわけでございまして、あくまでも局として設置をする以上は、局としてきちっと正式の経費を支出して、業務に支障がないかどうかの判断をした上でしかるべき場所に設置をするというふうにさせているところでございまして、此花の郵便局の場合についてもそのようなやり方でやらざるを得ないというふうに考えております。
  244. 橋本敦

    ○橋本敦君 大臣、お聞きでしょう。何を言ってもやろうという誠意がないんです。これが不当労働行為ですよ。断じて私は納得するわけにいきません。大臣は御答弁なさらないけれども、こういうことで労使関係に硬直した姿勢をとって、そして郵産労に対する組合活動の職場での権利を日々十分行使できないようにしているそのこと自体が私は不当労働行為だと厳しく指摘しておきます。  こういう状態は一日も早く解消して、そして郵産労に対しても組合事務所の設置それから掲示板の設置、これは当然やるべきだということについては、もとの一般論に戻りますが、大臣、お考えを聞いておきたいと思います。郵産労には組合事務所も掲示板もやらなくていい、まさかそうはお思いでないでしょうねと、こういうことです。
  245. 唐沢俊二郎

    ○国務大臣(唐沢俊二郎君) 此花郵便局のことは今ここで先生から伺ったわけでありますが、私は参議院の逓信委員会である先生から御質問をいただきまして、郵政省の最大の財産は何かという御質問をいただいたんです。預金も百兆を超えておりますし、保険資金も三十兆を超えているから、これかなと思ったんですが、やっぱり郵政事業に対する信頼かなとまた思いました。しかし、それを支えてくれているのは三十万の郵政職員でございますから、郵政省の最大の財産は人材である、郵政職員であると考えておりますと言ったら、質問した先生がそれで当たりだとおっしゃってくださったわけでございますが、そういう我々から言えば最も大事な郵政省の財産である郵政職員の属しておられます労働組合に、組合によって差別するということはあってはなりませんし、あろうはずがないと、このように考えております。
  246. 橋本敦

    ○橋本敦君 もういいです。あろうはずがないことがあるということを私は言ったわけです。だから、これは大臣の御意見も踏まえて、是正の方向でぜひ検討を進めてもらいたいということを厳しく言っておきます。  それで、組合事務所の問題についても、この郵産労は局長に対する交渉で随分譲歩したことを言って交渉しておるんです。今あいた部屋がなければ、独立の部屋を組合事務所として提供する、これがすぐは物理的に困難であれば要求しません。そのかわりに、人員が減ってあいているロッカーがありますから、それを片づければ机一つぐらいは置ける。だから、仕切りも何もなくてよろしい、机一つ置いて電話と印刷機、これを設置さしてくれ。業務繁忙のときにどうしても局舎が全部要るというなら撤去してよろしい。ここまで言って要求しているにもかかわらず、それも認めないという、こういうことですから、本当に今大臣がおっしゃった組合の差別をしてはならぬということを貫くなら、私は現場におけるこういった労働組合の要求にもっと誠実な態度をとるべきだということを厳しく指摘しておきたいと思うのです。  時間がありませんので次に移りますが、実はこの解放研の活動については国会でもたびたび論議をされまして、郵政省当局も元左藤郵政大臣の国会答弁もあり、活動の是正をするということで先ほど言いました百号通達を出されまして、行政が主体性を持って同和対策を推進すること。それから、さらにこの解放研の活動について無原則的な勤務解除や、あるいは新しい局長や幹部が来たときに初会見と、こう言って部落解放問題についての見解をただすということで、人権にもかかわりかねないこういった交渉をやってきた問題の是正だとか、いろいろ是正が打ち出されました。これは百号通達で出ています。結構です。やるべきです。しかし、百十号通達というのがその後出まして、これはそういう是正のために出したけれども、この百号通達に基づいてこれから管内を統一的に対応して指導していくんだけれども、当分この文書を発出したことについては「「取扱厳重注意」とし、文書の発出されたことは公表しないこと。」と、こういう通達が出ている。なぜこんなに秘密にする必要があるんでしょう。人事部長、どうお考えですか。あるいは官房長でもいいです。
  247. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 近畿郵政局におきまして従前から、職員の同和問題に対する理解と認識とを深めて職場の中での差別的偏見を根絶するということで、これまでいろいろな努力をしてまいったところでございます。御案内のとおり、これによって一定の成果が上がっている反面、種々推進上の問題も出てまいりましたので、これらを早急に是正をいたしまして、真に実効の上がる同和対策を推進していくということで、このために昨年来各種の通達を発出しておるという次第でございます。そこでは、こうした推進の問題点を除去して、管理者としての資質向上に努力をするとともに明るい秩序ある職場づくりに努めて、そして同和対策の推進を図ろう、こうした指導をいろいろ重ねてやってきているという実態にございます。
  248. 橋本敦

    ○橋本敦君 それなら結構ですよ。それをせっかく進めておられるのに、そういう解放研の活動等に関する行き過ぎを是正するこの通達を、その後一カ月もたたない後の百十号通達で秘密扱いにしておけというようなことを言う必要はないじゃないか、公然とこれに基づいて指導徹底すればよろしいじゃないか、どうなんですか、こういう質問です。
  249. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 通達は各般に分かれておると思います。私も詳細は全部承知をいたしておりませんが、基本的には先ほど来述べましたような形で推進を図っておるという事態でございます。
  250. 橋本敦

    ○橋本敦君 だから、百号通達に基づいて是正をする、これはもうはっきりしているんです。そうでしょう。それを秘密にするというようなことでは、はっきりやるというその腹構えが怪しくなるのじゃないか、明らかにして全職員に徹底させ、管理者に徹底させてやればよろしいじゃないか。秘密にしたというようなことは撤回されたらどうですか。
  251. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 各種の通達がいろいろ出ておるわけでございますが、これはすべて管理者にあてて出しておるものでございますから、内容は公開をしないとか、いろいろな内容については当然出てくることあるべしというふうに考えます。
  252. 橋本敦

    ○橋本敦君 これで議論していても時間がたちますけれども、わざわざ秘密にする、隠してやらなきゃならぬことじゃないですよ。もっと公然と、自信を持って行政の主体性を持って、行き過ぎは行き過ぎとして是正していくべきです。  さて、総務庁お越しいただきましたが、総務庁が最近お出しになりました「地域改善対策啓発推進指針」、これは六十二年三月十八日に出ておりますが、総務庁としては、これから同和問題についての啓発指針はこれに基づいて国の大事な指導方針として対処していかれることになっていると思うんですが、いかがですか。
  253. 瀬田公和

    説明員(瀬田公和君) 地域改善対策におきます啓発というものは、それぞれの地方公共団体の置かれております諸条件に配慮しつつ進めていく必要もございますし、今後とも各方面の意見を注意深く聞く必要もあるというふうには思っておりますが、ただいま先生おっしゃいましたように、少なくとも現時点、総務庁におきましてはこの指針を参考としてさらに一層の工夫をしながら行われるように指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  254. 橋本敦

    ○橋本敦君 六十二年六月十八日の当決算委員会において私が質問をしたことに対して熊代室長は、   啓発推進指針は、御案内のように同和問題の解決を図る、啓発を推進するための指針でございますので、指針に従いまして正しいといいますか望ましい啓発の方向を進めるということでございますが、それは同時に同和問題のあり方ということにも関係しているところでございますので、このあり方につきましても啓発の中身となっておるということでございます。啓発指針に示されました方向で指導してまいりたいと考えているところでございます。  はっきり答弁をされています。これは基本的にあなたも御承認になるところですね。
  255. 瀬田公和

    説明員(瀬田公和君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
  256. 橋本敦

    ○橋本敦君 それで同和問題、いろいろな困難な事態を克服しながらも国としても一定の手直しと対応を今進めつつある大事なときですが、この啓発推進指針というのは、これは今総務庁が言っておりますように、国としてこれは大事にして、これに基づいて指導をしていく、そういうことだということですが、郵政省においても当然これは尊重されるべき国の指導方針とこう伺いたいのですが、大臣の御所見はいかがですか。
  257. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 先にちょっと。  ただいま総務庁からもお話がございましたとおり、同和対策の推進の上で非常に重要でございます今後の啓発活動の推進に当たりましてこれを参考にするようにということで、先ほど来の話のございます地域改善対策啓発推進指針というものを私どももいただいておるところでございます。  私どもでは、従来から同和問題については職員理解と認識を深め、差別的な偏見を根絶するように地域改善対策協議会の意見具申あるいは部落の歴史、差別の実態等に関する各般の資料によりまして、これを幅広く活用いたしながら、創意工夫を重ねながら教育啓発施策というものをやってまいったところでございますが、これを今回いただいたわけでございますが、この啓発指針につきましてもこうした啓発材料の一つとして受けとめて、同和問題の解決のために一層の創意工夫を凝らしながら努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  258. 橋本敦

    ○橋本敦君 一つとしてというそのとらえ方の認識はこれは正しくないですよ。この啓発指針の最後のところで「国自らが行う啓発の抜本的改善」ということの中で総務庁ははっきりこう言っていますよ。「今後、国の関係行政機関は、両意見具申、部会報告及び本指針の内容を参考にして、率先垂範して」これに「ふさわしい啓発の推進に努めることが望まれる。」、単に一参考という程度のとらえ方では、私は十分でないと思います。  ところで、時間がないから先に進みますが、ことしの八月に高野山で実は部落問題に関して第十八回部落解放夏期講座というのがございまして、これに此花郵便局からも近畿郵政局管内の各局からも参加を職員がしているわけですが、この参加は近畿郵政局長の通達に基づいて、それぞれ公費出張で、公務出張扱いで参加をしたという事実は間違いありませんか。
  259. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 本年八月の下旬に夏期講座が行われて、そこに職員が参加したということは聞いておるところでございます。
  260. 橋本敦

    ○橋本敦君 いや、違うよ。私の質問にはっきり答えてください。公務出張扱いで参加さしたことは間違いないか、こう言っているんですよ。
  261. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) お尋ねのとおりでございます。
  262. 橋本敦

    ○橋本敦君 此花局から二名行ったようですが、その支出された費用は旅費、日当あるいは宿泊費等かと思いますが、費目と金額を言ってくださ
  263. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 此花局の職員の所要いたしました経費は、それぞれ日当、交通費、宿泊料に分かれておりまして、これは個々に職員のランクによって差がございますから何でございますが、トータルいたしまして一人約一万六千円に相なっております。
  264. 橋本敦

    ○橋本敦君 だから、二人ですから概算三万幾らになりますが、近畿郵政局管内で一局から二人ないし三名出るとして、全部で何名ぐらい参加をしておりますか。
  265. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 近畿管内の数字のお尋ねございましたんですが、現在のところ、まだ調査が終わってない段階でございます。
  266. 橋本敦

    ○橋本敦君 近畿郵政局管内の郵便局数はどれぐらいあるんですか。概数で結構です。これはだれか知っておるでしょう。それはあらかじめ言ってなかったけれども、これぐらいだれでも答えられると思ったんですよ。何ぼぐらいあるんですか、これ。
  267. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 特定局という小さい局もございまして、それが日常改廃があったりいたしますので、全体はちょっとなかなか……
  268. 橋本敦

    ○橋本敦君 特定局の動きはいいとして、概数何ぼぐらいあるか。
  269. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 近畿管内は二府四県でございますので、ちょっと今データを探してみます。
  270. 橋本敦

    ○橋本敦君 概数でいいんです。
  271. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 先ほどの特定局等を含めまして、簡易局等を含めまして約三千三五ぐらいに相なりますが、これはすべての郵便局数でございます。
  272. 橋本敦

    ○橋本敦君 ですから、一人ないし二人参加さしたとしてもかなりの人数になりますから、これは後で調べて報告してもらいたい。  それから、使った経費全部も、一人平均一万六千円ということで考えでもかなりの金額になる。三百人だとすれば三百万を超す、五百万を超すかもしれません。ですから、それは正確に調査をしてもらいたい。官房長、調査をしていただけますね。
  273. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) これからまた経費の問題を含めて調査をいたしたいと思います。
  274. 橋本敦

    ○橋本敦君 時間がありませんが、なぜ私がこれを問題にするのかということです。  それは、この主催団体が部落解放研究所それから実行委員会を組織してやっておりますが、その実行委員会の中には大阪の部落解放同盟府連や郵便局の解放研、これも入ってやっておる、いろいろな団体が集まっておるわけです。しかし、先ほどの啓発推進指針について一体どういう態度をとる集会であろうか、これが問題です。  この案内書によりましても、部落解放同盟中央執行委員長の上杉佐一郎氏が参加をしてシンポジウムで、「「総務庁啓発推進指針」と部落解放の展望」という、こういうシンポジウムが行われることが明らかになっている。時間がありませんから多くは言いませんが、この部落解放同盟は全国の大会方針において、この総務庁の指針、これは地域の実情に応じてどうこうするというんじゃありません。はっきりとこれはまさに国家主義的方針と徹底的に批判をしている、粉砕する必要がある問題なんだということで、こう言っておりますし、解放新聞も、部落解放同盟中央本部書記長の小森氏の論文を六回にわたって載せまして、この啓発推進指針の欺瞞と差別の虚構を働くということで、徹底的にこれを粉砕するという方向で論文を掲載しております。  そこで、まさに総務庁が出した国の指導方針そして郵政省もこれを一つの重要な参考としてやっていかなきゃならないとおっしゃっているこの指針に対して、真っ向からこれを粉砕する立場で任意の民間団体が研修会を組織した、それに公務出張扱いで職員を参加させるということは、これは一体国として、郵政省として正しいのかどうか。せっかく総務庁が一生懸命にこの啓発指針に基づいて正しい部落解放の方向を打ち出そうとしているときに郵政省はまさに逆行するようなことをやっているのではないか、こういう重大な問題があるのでありますが、どう認識されておりますか。
  275. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 私どもの職場で、差別をなくするためにということでいろいろな施策をやってきていることは御案内のとおりでございますが、具体的には、部内では各種の研修会あるいは講演会の開催とかテキストの配付とか……
  276. 橋本敦

    ○橋本敦君 時間がありませんから、この夏期講座に公務出張で職員を派遣したことについて反省すべきではないかという私の質問に端的に答えてくれませんか。
  277. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) それで、部内でやっております以外に、地方公共団体初め各種の団体が同和問題の理解と認識を深めるためのいろいろな啓発施策をやっていることも事実でございまして、これに参加することが適当である場合は参加をさせているという実態にございます。  御指摘の研修会は、大学の教授、人権問題についての研究者、ジャーナリスト、弁護士あるいは地方公共団体の同和担当の者等々から、部落差別の問題のみならず、広く女性差別の現状と課題あるいは障害者差別の実情と課題あるいはプライバシーの侵害等々、幅広い人権問題についての講演が集中的に聴講できるという機会でございまして、大変職員理解と認識を深める上では適切であろうということで判断をして参加させたというふうに承知をいたしておるところでございます。
  278. 橋本敦

    ○橋本敦君 時間が来ましたから最後の質問になりますが、私が今指摘した一番大事なところを抜かして答弁されたんですよ。いいですか、女性差別や人権問題一般と言われたが、一番大事なこのシンポジウムは、はっきり書いてある国の啓発指針に対してどういう態度をとるシンポジウムか、私が言ったように、これを糾弾をし全面的にこれを粉砕するという立場の人たちのシンポジウムをやる、そこへ参加をさせるんですよ。これが問題なんですよ。だから、今あなたがおっしゃったようなことがそのまま通るわけがない。  御存じですか。ことしの九月二十八日、つい先日に神戸地裁民事二部は、八鹿町長が狭山差別裁判の行動に解同が動員をしたその費用の助成、あるいは八鹿高校事件問題で動員費を援助したその費用について、これは全く行政の目的に反する、こう言って損害賠償裁判ではっきりと支出不当を認めていますよ。  最後に、私は会計検査院に聞きたいのでありますが、今私が指摘した公費出張旅費の支給、日当の支給、こういったこの問題で、この高野山の研修会への参加は、国の正しい同和推進、これをやっていくという観点から見て、これは問題がある。郵政省が漫然とこれを公費出張で扱うことは、これは私は違法または不当な支出とされる可能性がある、こう考えざるを得ません。そこで会計検査院も、この近畿郵政局管内において将来六十二年度の予算執行について検査をされるその際には、今私が指摘した問題も念頭に置いて厳しい立場で審査をしてもらいたい、このことを要求しておきたいと思うのですが、いかがですか。  これで質問終わります。
  279. 三原英孝

    説明員三原英孝君) 旅費につきましては従来より、それが公務のための出張旅費であるかどうか、この点に着目して検査をしてまいったところでございますが、今後ともただいまの御論議を十分念頭に置きまして、今の点について注意を払いながら検査をしてまいりたい、かように思っております。
  280. 抜山映子

    ○抜山映子君 本日は、郵政業務に関連いたしまして、一般市民の利便の観点から御質問をいたしたいと存じます。  郵便ポストの設置基準というものがございますね。正式には郵便差出箱設置標準というものでございますけれども、一と二に分かれておりまして、一は、受け持ち配達区域の市街地とその他の地域についてそれぞれ郵便ポストの距離が何百メーター以上というような感じで基準を設けているわけです。第二番目に、交通の要路で人目につきやすく、かつポストの保護上安全な箇所、郵便物の差し入れ及び取り扱いにか集配にか、ちょっと消えて読めませんが、便利な箇所、道路交通取り締まり上支障のない箇所であること、こういう第二番目の基準がございます。第二番目の基準の具体的な場所としては、どういうところに今設置しておられますか。
  281. 田代功

    説明員(田代功君) ポストは全国で十五万本ほど実は置いておりまして、具体的な場所、どこを選ぶかというのは、地元の事情をよく知っている地元の郵便局長が判断することにいたしております。ただいまお読み上げになりました基準も、厳格に機械的にこれを運用しますと大変実情と合わなくなりますので、これをもとにしてかなり弾力的に各郵便局長が判断しております。  二番目の、ポストの保護上安全な箇所とか郵便の差し入れ及び取り集めに便利な箇所云々というのも、一の戸数とか距離とかでは単純に判断し切れない人の集まりやすい場所、デパートの前ですとか駅の前ですとか、そういう場所を主として考えて、これによって置いている模様であります。
  282. 抜山映子

    ○抜山映子君 交通の要路という観点からいたしますと、主要駅のホームに設置するということは大変利用者にとって便利なことと思われます。現在そういう駅のホームに郵便ポストを設けている箇所はございますでしょうか。
  283. 田代功

    説明員(田代功君) 大変少のうございまして、大阪、京都、青森の三カ所だけでございます。なぜかと申しますと、昔は主な駅には郵便局がございました。鉄道と一緒になって郵便を動かしておりましたので、郵便局がございましたので、そういう駅にはポストを置いておりましたが、最近、トラックと飛行機に切りかえましたために、駅には郵便局はございません。そのときにホームのポストも逐次取り外しましたが、いろいろないきさつから残っているのがこの三つでございます。
  284. 抜山映子

    ○抜山映子君 案外利用者というのは駅で、そうだ投函しようというような場合が大変多いのでございます。大阪駅ホームなんか大変利用者が喜んでおる実情でございまして、ぜひ東京駅なんかは、それこそまさに交通の要路でございますので、取りつけていただきたいと思うのでございますが、何か支障がございますでしょうか。
  285. 田代功

    説明員(田代功君) 仰せのとおり、利用していただく上ではホームというのは都合がいいかと思いますが、私ども仕事する方からいいますと、ホームというのは非常に実は都合の悪いところでございまして、例えば現在ポストから取り出しますのは自動車で幾つかのポストを回りますために、駅のホームに入りますためには駅前に少なくとも十五分か二十分車をとめておかなければいけません。今は一人で作業をしておりますので、その間車は、かぎはかけますけれども、無人のまま放置することになりますし、あるいは朝夕のラッシュなどは駅の改札口を入ってホームまで往復するのに、大変人も込んでおりますし、階段の上がりおりその他大変苦労もございまして、私ども便利なことはわかりますが、できるだけホームは避けたい。そのかわり駅の構内といいますか、改札口の近く、人の出入りの多いところで、しかも車も入りやすい、とめやすい、私どもの仕事にも便利な場所、こういった観点で駅の周辺にはかなりたくさん置くようにいたしておりますので、そちらの方で御勘弁いただきたい、かように考えております。
  286. 抜山映子

    ○抜山映子君 将来的に駅を建て直すというような場合も多いかと思います。現に東京駅についてもいろいろと取りざたされておりますが、そのような場合に、ぜひ駅ホームで投函してそしてそれが集配に便利なように設計することも十分可能だと思いますので、これはひとつ利用者の便利を考えて将来的に御検討いただきたいということを切望いたしておきます。  次に、新聞によりますと、全国銀行協会連合会に加盟している都市銀行、信託銀行を初め相互銀行、信用金庫に至るまで、来年八月から一斉に完全週休二日制に移行することがほぼ確実になった、こういうことでございます。ところが、こういう金融機関につきましては、完全週休二日制になっても現金自動支払い機が所在しておりまして、休日になってもこれが稼働されることによって利用者に不便をかけない、こういうことになっております。大蔵省の方は郵政省の方にも郵便局を土曜日完全週休二日制にするということを要請していく、こういうことを聞いておりますが、郵政省はこれについてどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  287. 中村泰三

    説明員(中村泰三君) 週休二日制の進展につきましては、私どもも時代の趨勢であると思っておりますし、また全銀協の方でも完全週休二日制に向けて検討を始めたいということは伺っております。しかし、御承知のように完全週休二日制というものは、実際の企業を見ましても非常に実施の率はまだまだ低うございまして、私どもそういう趨勢にあることは十分承知をしておりますが、やはり郵便局の場合には、郵便、貯金、保険一体的に窓口でサービスをさせていただいているわけでございまして、そういった郵便との関係とか、あるいは公務員というような立場で別の角度からの国民のサービスに対する要望といったようなことも慎重にこれは検討していかなくちゃならないというふうに考えております。特に大蔵省の方から完全週休二日制について要請があったというような事実はございません。
  288. 抜山映子

    ○抜山映子君 慎重に御検討いただけるそうでございますが、特に利用者の観点からいきますと、現在、郵貯カードで印鑑、通帳がなくても預け入れとか払い戻しが可能な自動預け払い機、ATMというんですか、これがまだ設置状況が非常に貧しいということで利用者が不満を持っているということを聞いております。現在、自動預け払い機というのはどれぐらい設置されておるのでしょうか。
  289. 中村泰三

    説明員(中村泰三君) ATMにつきましては、六十二年三月末現在で約三千二百台という状況になっております。CDを加えますと、これは自動支払い機の方でございますが、CDは二千二百台ということで、六十二年三月末現在では全国で約五千二百局、合計五千四百台設置されている状況でございます。
  290. 抜山映子

    ○抜山映子君 これは全体の局のパーセントにしてどれぐらいに当たりますか。
  291. 中村泰三

    説明員(中村泰三君) 設置率でいきますと二七%ぐらいに当たります。
  292. 抜山映子

    ○抜山映子君 地域別に見た分布状況はいかがでしょう。
  293. 中村泰三

    説明員(中村泰三君) 地域別に見ますと、やはり東京とか近畿、東海といったようなところ、例えば東京で見ますと五〇%、近畿ですと三一%強といったところが設置率でございますが、信越でありますとか四国の管内ですと一五%強ぐらいな状況になっております。
  294. 抜山映子

    ○抜山映子君 そうしますと、ローカルな地方におきましてこういうものを利用しようと思っても実際には設置されていない。そういうところにおいて郵便局が完全週休二日制になってしまうということは大変地方の方にとっては不便なことになるだろうということが予測されるわけです。したがいまして、先ほど慎重に検討するとお答えいただきましたので、その慎重に検討する範囲の中にこのATMとかCDの設置の比率がどれぐらい高まって利用者にもう不便をかけないというようなところに大体いったところで完全週休二日制に移行することを検討する、こういうことでひとつお願いしたいと思うのですが、いかがでございましょう。
  295. 中村泰三

    説明員(中村泰三君) 全国に約二万ばかりの郵便局がございますので、完全週休二日制と必ずしもATM、CDの設置の状況ということは、私ども直接的にはリンクをさせて考えているわけではございません。土曜閉庁というような形で今後週休二日制が進んでいく、利用者の国民の皆様方のコンセンサスも得られるし、民間金融機関もそういった状況になってまいるということになれば、私どもも十分そうした情勢を踏まえて対応していかなくちゃならないと思っておりますが、それは同時にすべての郵便局でATMなりCDなりが二万局全部設置されるかということになりますと、やはりお客様の利用の状況等を検討しながら考えていきませんと、とても経営的にも難しいというような状況がございますので、当面は現在の五千四百台の設置台数を来年度末までには九千台に拡大をしたいということを考えておりますが、六十四年度以降の状況につきましては、利用条件とかあるいは立地条件等を考え合わせてまた検討してまいる所存でございます。
  296. 抜山映子

    ○抜山映子君 直接リンクさせよと言っておるわけではなくて、ほぼ利用者に相当程度の満足が得られる状況をつくるようにしてからということを考えた方がいいんではないかということを申し上げたわけでございます。  次に、外国郵便と日本の郵便料金との格差の問題をちょっとお尋ねしたいと思います。これは当委員会でも過去に同僚議員が質問したことでございますけれども、この四月に外国の郵便料金との対比において日本が非常に高いので郵便物の料金を平均一〇%下げたと、このように聞いております。この一〇%下げたことについての算定の大まかな基準といいますか、そういうものをちょっと教えてください。
  297. 田代功

    説明員(田代功君) 外国郵便の料金は、上限下限が条約で決まっておりますが、その範囲内で各国の取扱経費ですとか国内の郵便料金との比較ですとか、そういったものを勘案して決めることになっております。  ことしの春に平均一〇%引き下げましたが、これは今御指摘ございましたように、特に日本の為替相場が円が高くなりまして、名目上ではありますが、外国との間で日本の外国郵便料金が非常に高くなりました。それを少しでも差を縮めたいと、こういう趣旨で一〇%引げたわけでありますが、これは一つ一つのコスト、一通一通当たりのコストといいますよりは、私ども郵便事業全体で現在ほぼ収支とんとんで若干の黒字を出しながら進めておりますが、その黒字を維持できる範囲内でどこまで下げられるだろうかというような観点からの見当で、この四月一〇%引き下げしたわけでございます。
  298. 抜山映子

    ○抜山映子君 ただいま上限と下限があると言われましたのは、船便の場合を言っておられるわけでしょうか。
  299. 田代功

    説明員(田代功君) 直接的には船便についての規定がございまして、船便について上限下限を条約で定めておりまして、航空便についてはその船便の料金にプラスして航空にするためのコストを追加して決めると、こういう仕組みになっております。
  300. 抜山映子

    ○抜山映子君 そうしますと、航空使の方は直接の規制はない、コストを加えるわけですから、その郵便業務に伴う費用とそれから航空運送に伴う費用をプラスして上限の規制なしに決めることができる、こういうことで正しいわけですね。
  301. 田代功

    説明員(田代功君) 船便の料金を基礎にして決めますために、やはり上限下限の制限はございます。その範囲内でさらに飛行機に伴うコストを追加するということでございますので、無制限ではございません。
  302. 抜山映子

    ○抜山映子君 それでは、主な外国、特に米国を含めて、はがき、それから封書、それから郵便小包、どれぐらい違いがあるのか、ちょっとおっしゃってみてください。
  303. 田代功

    説明員(田代功君) まず先進国の中で一番極端に差のございますアメリカとの間で申し上げますと、これは今大部分が航空便でございますので航空便を例にとってお話し申し上げますと、封筒、書状といいますか、封書ですと日本からアメリカあてが百三十円、アメリカから日本あては、これは九月のレートで換算いたしまして約六十二円でございます。はがきは日本から九十円、アメリカから四十八円。ヨーロッパにつきましては、日本からヨーロッパは封筒が航空で百五十円。これはいずれも十グラムの重さで言っております。日本からヨーロッパが百五十円でございます。それに対しまして、フランスから日本が百三十円、西ドイツから日本が百四十二円、スイスから日本が百三十五円、それからイギリスは八十一円でございます。それから、はがきについて申し上げますと、日本からヨーロッパには百円でございます。フランスから日本が八十九円、西ドイツから日本が八十円、スイスから日本が百六円、イギリスから日本は六十二円でございます。あといろいろございますが、大体こういった比率でいっております。
  304. 抜山映子

    ○抜山映子君 現在、日本人のサラリーは米国人のサラリーに匹敵する、あるいはそれをちょっとやや超えるということも言われておりますけれども、それなのに郵便だけが二倍も違うというのはちょっと格差があり過ぎるように思うんですけれども、この格差を縮めるわけにもいきませんか。
  305. 田代功

    説明員(田代功君) 先ほど数字を読み上げましたとおりに、アメリカと日本との間が極端に差がございまして、ヨーロッパのフランス、ドイツ、スイスあたりですと、まあまあほどほどの均衡がとれているかと、一割程度の差でございますのでまずまずの線ではないかと思っております。  この外国郵便、国によっていろいろ料金政策あるいはコストの算定の方法その他いろいろございまして、国によってもいろいろですが、アメリカだけ先進国の中で飛び抜けて安うございます。なぜアメリカがこんなに安い、日本の半額でという、私どもちょっと的確に理由を把握できませんけれども、一番考えられますのは、アメリカは日本の約七倍ぐらいの郵便を扱っておりまして、非常に大量の郵便を扱いますために一通当たりのコストが大変安くなっております。日本でもそういう方向へ持っていこうということで、今郵便を大量に扱うような料金体系に持っていきつつありますが、大量扱いが最大の理由なのかなというのが一つ。もう一つ日本側のコストが、一ドル百四十円の時代になりましても、一ドル二百五十円の時代と私どもの国内のコストなり航空運賃その他はほとんど実は違いがございませんもので、この為替変動に伴いまして私どもいろいろ苦労して下げつつありますけれども、どうしてもコストの面から現時点ではこの辺が限度かと思っておりますが、なおこれで私どもも満足しているわけではございませんで、ことしの四月の値下げのぐあいを現在見ておりまして、また引き下げ可能ならば引き下げたいなという気持ちは持っておりますが、今はまだちょっと結論を得ておりません。
  306. 抜山映子

    ○抜山映子君 幾ら大量に扱うからといっても二倍から違うというのはちょっと理解しがたい、こういう思いがするわけです。そして、先ほど申されましたように、フランスやドイツ、英国、スイスなんかと比べても日本の方がより高い、こういうことですから、やっぱりこれは検討しなくちゃいけない課題ではないかと思います。特に封書とかはがきなんかの場合はまだ二倍といっても単価が低いからそれほど痛くはございませんけれども、本とか印刷物とか、それから海外にいる人にちょっと日本の物を送るとか、そういうことになるともう二倍といっても随分大きな金額になるわけでございまして、ぜひこの点は将来検討していただいて格差を縮めるように御努力いただきたいと思います。  ところで、最近テレビの方で二十四時間放映するという局も出てきたそうでございますが、どれくらいの局が二十四時間放映になっておるのでございましょうか。
  307. 成川富彦

    説明員(成川富彦君) 完全に二十四時間やっているところは、手元に資料がないものですから確かではないかもしれませんが、TBSだけでございます。ただ、二十四時間近い番組放映をやっているところはそのほかにも何局かございます。テレビ朝日とかフジテレビ等がそのような計画を持っている、あるいは実施しているというふうに聞いております。
  308. 抜山映子

    ○抜山映子君 民放のテレビにはコマーシャルの数量規制をやっておりますね。この規制は現在どのようになっておりますか。
  309. 成川富彦

    説明員(成川富彦君) 広告の時間基準につきましては、民放といいますか一般放送事業者は自主的に決めております。日本民間放送連盟が放送基準の中に広告時間基準というものを定めておりまして、それによりますと、テレビの場合一週間のコマーシャルの総量が放送時間の一八%以内というふうに規定しております。  ただ、これにはいろいろと例外的なことがございまして、例えばプライムタイムと言っておりますが、十八時から二十三時までの間の連続した三時間半につきましてはプライムタイムということで民放が各社定めるわけでございますけれども、それにつきましてはその番組中のコマーシャルは六十分番組で一〇%以内、上限が六分であるというような細かい規定をしております。ただ、この時間帯におきましても、スポーツ番組等につきましては各社が独自に定めていいというようなことになっております。  なお、実態でございますが、実態は、六十年の放送局再免許時の提出資料によりますと、大体各社とも一八%以内におさまっておりまして、具体的に申し上げますと、六十年の二月十八日から二月二十四日の一週間でございますが、全社百二社平均で一五・三%というふうになっております。
  310. 抜山映子

    ○抜山映子君 一週間の総量規制になっていて一八%、こういうことになりますと、夜間に例えば二十四時間民放テレビなんかが放映するということになりますと、結局コマーシャルの時間を総量として長くとれる、こういうことに理解していいわけですね。
  311. 成川富彦

    説明員(成川富彦君) 放送番組の編集につきましては、御承知のとおり放送法三条に基づきまして放送事業者の自主性にゆだねられているところでございます。コマーシャルの挿入、配列等もこの番組編集の自由に属する事項でございますので、放送事業者考えていただくということになるわけでございます。ただ、放送事業者視聴者の要望とか批判とかに十分たえられるようなふうに自主的に考えられると思いますので、余り批判にたえられないようなコマーシャルの組み方はしないんじゃないかというふうに私どももそう希望しておりますし、またそういうようになるんじゃないかというふうに思っております。
  312. 抜山映子

    ○抜山映子君 直接的にお答えにならなかったけれども、やはり二十四時間放映になると、それを基準として一八%、こういうことになるというように理解いたしました。  先ほどプライムタイムと申されましたが、これは視聴者が一番多い時間帯、こういうように理解してよろしいんでしょうか。
  313. 成川富彦

    説明員(成川富彦君) 民間放送連盟が定めた放送基準の中にそういう定めがあるんですが、私ども推測に過ぎませんが、プライムタイムというのは大体視聴者が非常によく見る時間じゃないかというふうに思います。
  314. 抜山映子

    ○抜山映子君 当然このときはコマーシャルの単価も高くなっているのだろうと想像されますが、視聴者が一番よく見るときにコマーシャルが集中するようなことでは、やはり見ていて非常に気分が乗っているときに煩わしい面もあるわけでございまして、これが二十四時間に及ぶなら、それなりのまた別の規制の仕方を時間帯によって組むことが必要と思うんですけれども、いかがですか。
  315. 成川富彦

    説明員(成川富彦君) 先ほども申し上げましたように、放送番組の編集につきましては放送事業者の自由にゆだねられているところで、任せているところでございます。  プライムタイムの先ほどの民間放送連盟の基準でもおわかりのように、プライムタイムにつきましては、六十分番組につきまして六分、一〇%以内ということで総量の一八%よりも厳しい上限を自主的に設けて、それに準拠して民間放送会社が実行しているわけでございますので、そうやたらにその時間帯に多くするということになると視聴者からの批判だとか苦情とかいうようなことも出てくるというようなことにもなりかねないと思いますので、これは自主的に判断することですけれども、その批判にたえられるようにやっていくんじゃないかと私どもも期待しておるし、そういうふうにうまくやっていっていただけるように願いたいところだというふうに思います。
  316. 抜山映子

    ○抜山映子君 良識を持って自粛してくれるだろう、現にその傾向だということであるならば、むしろはっきり基準を設けて通達なり何なり出して、夜間帯と昼間帯というように分けた規制の仕方も可能だと思うんですが、いかがでしょうか。
  317. 成川富彦

    説明員(成川富彦君) 先ほども申し上げましたように、コマーシャルの挿入とか配列等につきましても番組編集の自由ということで、放送法によって一般放送事業者にゆだねられているところでございます。私の方からこうしろとか規制するとかいうようなことはできませんので、きょう御議論ありましたことは民間放送連盟等にも伝えさせていただき、自主的に民間放送連盟あるいは各民放会社の方で判断していただくということになると思っております。
  318. 抜山映子

    ○抜山映子君 ぜひよろしくお願いしたいと思います。どうしてもCMが高く売れるところに、今一〇%ぐらいであるならば、これはもう二十四時間放映するなら、この一〇%をそれじゃ今度は一五%ぐらいに上げてもよかろうというようなことの動きが出てきては困りますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  終わります。
  319. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 他に御発言もないようですので、郵政省決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は来る十一月十二日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十一分散会      ―――――・―――――