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1987-08-25 第109回国会 参議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年八月二十五日(火曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  八月二十五日     辞任         補欠選任      鳩山威一郎君     久世 公堯君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         森山 眞弓君     理 事                 宮澤  弘君                 最上  進君                 松前 達郎君                 小西 博行君     委 員                 大鷹 淑子君                 久世 公堯君                 後藤 正夫君                 嶋崎  均君                 林 健太郎君                 林田悠紀夫君                 原 文兵衛君                 藤井 孝男君                 中村  哲君                 矢田部 理君                 黒柳  明君                 広中和歌子君                 立木  洋君    国務大臣        外 務 大 臣  倉成  正君    政府委員        外務大臣官房審        議官       川上 隆朗君        外務大臣官房審        議官       柳井 俊二君        外務省アジア局        長        藤田 公郎君        外務省北米局長  藤井 宏昭君        外務省中南米局        長        山口 達男君        外務省欧亜局長  長谷川和年君        外務省中近東ア        フリカ局長    恩田  宗君        外務省経済局長  渡辺 幸治君        外務省経済協力        局長       英  正道君        外務省条約局長  斉藤 邦彦君        外務省国際連合        局長       遠藤  實君    事務局側        常任委員会専門        員        小杉 照夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国際緊急援助隊派遣に関する法律案(第百八  回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付) ○所得に対する租税に関する二重課税の回避及び  脱税の防止のための日本国政肝カナダ政府と  の間の条約締結について承認を求めるの件  (第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院  送付) ○政府調達に関する協定を改正する議定書締結  について承認を求めるの件(内閣提出衆議院  送付)     ―――――――――――――
  2. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  国際緊急援助隊派遣に関する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。倉成外務大臣
  3. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいま議題となりました国際緊急援助隊派遣に関する法律案について御説明申し上げます。  我が国は、従来、海外において大規模災害が発生した場合には、被災国が緊急に必要とする資金の供与、医療チーム派遣等により対応してまいりましたが、六十年九月のメキシコ地震、十一月のコロンビア火山噴火に対する援助経験等を踏まえまして、同年末より、特に災害緊急援助のための「人の派遣」につき、救助人員派遣を含むより総合的な形での国際緊急援助体制の整備を進めてまいりました。  今回提案法律案は、我が国としてその国力にふさわしい国際的責務を果たすため、海外における大規模災害に対し、緊急の援助活動を行う人員国際緊急援助隊として被災国派遣するに当たっての根拠及び手続等を明確にし、その派遣体制を一層整備することを目的とするものであります。  具体的には、被災国政府等より国際緊急援助隊派遣要請を受けた外務大臣からの関係行政機関の長への協力要請関係行政機関都道府県警察市町村消防協力外務大臣の命令に基づく国際協力事業団による国際緊急援助隊派遣等措置を規定いたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  4. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 松前達郎

    松前達郎君 まず最初に、国際緊急援助隊派遣に関する法律、これについてお伺いをいたしたいと思います。  災害に対する援助あるいは救助も含めていますが、こういったような問題で既に幾つかの災害、今例を挙げられましたけれども、これに対する援助が必要である、これはもう当然のことであろうと思います。そこで、派遣する場合、要請がまず当該国から来るということだと今御説明ありましたが、その要請があった場合に検討するのは、例えば外務省要請が入ってくるとしますと、外務省の中でまずそれを検討され、各省庁あるいは民間、こういうところと相談しながらチームを編成するような段取りが行われると思いますが、その辺の何といいますか、流れといいますか、これについて簡単にお考えになっていることをちょっと説明していただきたいと思います。
  6. 英正道

    政府委員英正道君) 法案の第三条に規定されておりますように、被災国政府等から国際緊急援助隊派遣要請があった場合には、この要請内容被災状況、それから日本被災国との全般的な関係、そういう諸般の事情を考慮して外務大臣派遣の適否を判断するわけでございます。それで、派遣が適当と外務大臣が認める場合には、その規模、どの程度の規模援助隊派遣するか、その構成をどうするかというようなことについては、被災国からの要請内容被災状況等に照らして必要な関係行政機関を認定して、それを長と協議して最終的に派遣についての内容が固まる、こういうことになっております。
  7. 松前達郎

    松前達郎君 そうしますと、そういう順序で決定が行われるということですが、その後派遣に関する事務等については国際協力事業団、ここが行うんだ、内容としては救助活動医療活動等を任務とするんだ、そういうふうな法律の案になっておるわけです。例えば、各省庁附属機関等から派遣人員を選出する場合、各省庁が、じゃこういうふうに、私のところにはこういうのがあるからこれを派遣の中に入れてくださいとか、そういうふうな話で例えば一つチームができ上がる、その段取りまでは外務省が担当するのか、あるいはこれには派遣が必要であるということだけを外務大臣決定されたら、あとはもう事業団任せなのか、その辺はどうなんでしょうか。
  8. 川上隆朗

    政府委員川上隆朗君) お答え申し上げます。  ただいまの先生の御質問に関しましては、先方の要請をもちろん考慮いたしまして、災害の種類に応じて、当然のことながら、どんな救助隊員医療チームあるいは特に各省との関係では技術者専門家でございますが、を派遣すべきかという中身の決定でございますけれども、これは外務省の方で各行政機関相談をして決める。決めた後、派遣業務、これは派遣は送り出すという業務でございますが、これにつきましてはJICA業務としていろいろな手配等JICAで行うという流れになっております。
  9. 松前達郎

    松前達郎君 そうしますと、JICA日本から国外に出る段取りですね、そこから先を行う、こういうことに解釈できるんですが、民間の場合ですね、民間からの派遣等についてはこれはどういうふうにアプローチをするのか、その辺のことをお伺いしたいと思います。
  10. 川上隆朗

    政府委員川上隆朗君) 法律第五条にその関係がございますが、第五条は、外務大臣JICAに対しまして、つまり国際協力事業団に対しまして同事業団職員その他の人員というものを派遣するよう命ずることができるという立て方になっております。その他の人員というのは、休職の公務員それからただいま御指摘ございました民間人、こういう者でざいまして、この場合には外務大臣が直接これらの方々派遣するようにJICAに命ずることができるという立て方になっております。
  11. 松前達郎

    松前達郎君 それじゃ次に、そうやって派遣されていくわけですが、被災地といいますか、災害によって派遣要請するぐらいのことですから、当然その状況というのは相当な、普通のノーマルな状況ではない、その中に入っていくということになろうと思うんですね。そうなると補償問題が恐らく出てくる。事故もあるでしょうし、あるいはいろんなトラブルが必ずつきまとってくる、その場合の補償ですね。  それからもう一つは、民間の場合など、例えば参加をして長期間この援助隊の中に入るとすれば、身分の問題が出てくるわけですね。余り長くなりますと身分保障の問題が出てくる。こういうものについての手当ては一体どういうふうにお考えになっているか。
  12. 川上隆朗

    政府委員川上隆朗君) 御質問補償の点あるいは身分保障の点でございますが、援助隊の各構成員に対する万一の場合の災害補償というものにつきましては、法案の第四条第一項に基づき公務出張を行うことになる国家公務員に対しましては国家公務員災害補償法、それから同条の第三項、五項に基づきまして公務出張を行う地方公務員、これは警察消防でございますが、に対しましては地方公務員災害補償法が適用されることになります。民間人につきましては、国際協力事業団の嘱託の身分派遣されることになっておりますわけですが、これにつきましては労働者災害補償保険法が適用されることになります。この間のそれぞれの補償につきましては実質的に差異がないと承知いたしております。  以上に加えまして、援助隊の全構成員に対しまして追加的な補償といたしまして、JICA海外旅行傷害保険、これは死亡の場合には保険金約一億円というものでございますけれども、交付をすることになっておりまして、こういう補償以外にも、例えば派遣後の職務への復帰の問題でございますが、復帰給与等身分保障でございますけれども公務出張をする国家公務員地方公務員については特に問題はないと思います。また、ただいま御指摘所属先を休職して参る者につきましては、所属先給与についてJICAが負担する措置をとるということで問題はないのではないかというふうに考えております。
  13. 松前達郎

    松前達郎君 そこで、一番私ども心配をするのは、これは新聞等にも出ていますし、外務大臣も各委員会でいろいろと御答弁いただいているんですが、自衛隊海外派遣の問題との関連です。  ここの法律そのものの中には自衛隊のことは一つも出てないし、また同時に、伺うところによれば、援助要請にこたえるべき人員派遣については各省庁との間で相談をしながら決める、依頼をしていくという中に防衛庁は入ってないですね。ですからそういう点からいくと防衛庁を除いたという意図があることはこれはわかるんですけれども、ただ、時代が変わっていきますと、こういったことがあるから拡大解釈して、それじゃ丸腰なら自衛隊もいいんじゃないか、例えば日本国内だと日航機事故のときには自衛隊を出すじゃないか、あるいは各国それぞれ大災害のときには人員が非常に足らないから軍隊を出すじゃないかと。これは戦争目的じゃないんですけれども、そういう議論が必ず出てきますので、その辺が多少心配なんです。この点についてはいかがでしょうか。自衛隊海外派遣、これは戦争目的じゃない災害救助のための海外派遣という問題について外務大臣どういうふうにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  14. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいまの件につきましては、緊急援助隊派遣については、これまでの経験からいたしまして、本法別表に掲げております関係行政機関職員または都道府県警察市町村消防等地方公共団体職員並びに民間方々協力によって機動的かつ効率的、効果的に事態に対処し得ると考えておる次第でございまして、こういう判断に基づきまして本法別表には防衛庁は掲げていないわけでございまして、自衛隊がこの法律に基づいて海外派遣するようなことにはなっていないわけでございます。  ただ、遠い将来の問題として考えてまいりますと、実は衆議院外務委員会その他でもいろいろ議論がございまして、大規模な輸送あるいはその他のときに自衛隊をどうして入れないのかという非常に積極的な御意見が一部でございました。また一部では、自衛隊は絶対に入れるべきではないという御意見もございました。いろいろ国会の中にもそういう二つの御意見があったことは事実でございまして、そういうことを考えてまいりますと、我々は将来の問題として考えた場合には、万一そういう必要性が出てきたという場合にどうこれを判断するかということでございますけれども、その場合には、その時点で憲法上の諸問題、あるいは自衛隊法の問題、あるいは国民の世論、そういうものを十分勘案した上で慎重に検討すべき課題であるというふうに考えておる次第でございます。  いずれにしましても、その場合でも、自衛隊がこの法律に基づいて国際緊急援助隊活動を行うためには、本法別表国会審議を経て改正する必要があることは申すまでもないことでございます。
  15. 松前達郎

    松前達郎君 自衛隊そのもの海外派遣するということは別に法律がありますね、自衛隊の方の法律自衛隊法。ですから当然それに縛られているわけでしょうし、これとの関連というのがあるということはちょっとこれだけでは見当たらない、これはもう当然のことなんですけれども。ただ世論として、国会内もそうですが、何となくそういうムードが出てくるのを恐れるということを今申し上げたわけなんで、今大臣申されたのは、そういう意味も含めて、もしかそういうふうな議論が出てきた場合、これは政治的な取り扱いあるいは議論の中で将来はそういうことも議論するべきであるというふうにおっしゃったんだろうと解釈をしておきたいと思うんですが、現時点のこの法律では自衛隊は一切関係ない、自衛隊海外派遣にこの法律が通ずることは絶対ないというふうに言えるかどうか。ちょっとその辺、この法律に関してですね、ひとつ大臣の御見解をいただきたいと思います。
  16. 倉成正

    国務大臣倉成正君) この法律に関しましては、この法律に明記してありますように、第三条関係別表にも自衛隊はこれには明記してございませんし、先生のおっしゃったとおりの趣旨でございます。
  17. 松前達郎

    松前達郎君 それからもう一つは、海外派遣する援助隊災害地派遣されて、純然たる災害だけの場合ですとさっき申し上げましたような補償問題その他が専ら中心に心配としては出てくる。これについてはいろいろ補償対策があるとおっしゃったわけですが、それがたまたま紛争をしている地域である、戦争も含め、あるいはゲリラ活動その他も含めて何らかの軍事的な紛争に関与している地域である場合は非常に危険な状態になるわけなんですが、これはJICA援助方針もあると思いますが、その点はいかがでしょうか。  戦争による災害対象にしないとか、戦争によって破壊されたから、非常にけが人が出たから派遣するんだということはない、あるいは派遣した援助隊紛争に巻き込まれる、戦争とは限りません、ローカルないろんな問題がありますが、そういうことがないようにする、紛争が起きているようなところにはできるだけ派遣しない、あるいは派遣しない、この辺の問題いかがでしょうか。
  18. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいま先生のお話しになりました点は非常に重要な点でございますので、ここに申します災害は主として地震それから火山噴火、台風、洪水等自然災害を指しております。しかしその一方、ガス爆発とか原子力発電所事故による放射性物質大量放出、先般チェルノブイリ事故がございました、こういった人為災害も含まれるわけでございまして、戦争内乱等戦闘地域における武力の使用による直接の被害には本法の適用は想定していないところでございます。
  19. 松前達郎

    松前達郎君 それでは、その辺は明確ですから、先ほどの海外への自衛隊派遣という問題とのリンクさえはっきりこの法案がしているのであれば私どもとしてもこれについては支持することになると思いますけれども、その辺またいずれ他の同僚議員からも質問があると思いますので、この法案に関しては私はこのぐらいにしておきます。  二番目ですが、これも最近いろいろ問題になっている、話題になっていると言った方がいいかもしれませんが、核兵器の持ち込みに関する問題です。これはもう古くてまた新しい問題になってきたわけですが、まず最初に、昨年中並びに今年の現在までの我が国寄港しました米国潜水農の数ですね、相当の数に今なっていると思うんですが、ちょっとこの数をお教えいただけませんか。できたら寄港地別あるいは月別に、簡単でいいですからお教えいただきたいと思います。
  20. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) 昨年一月から十二月まで我が国寄港いたしました米国原子力潜水農の回数は総計で四十一回でございまして、隻数で十五隻でございます。この内訳は、月単位でまいりますと、一月三回三隻、二月一回一隻、三月七回五隻、四月一回一隻、五月三回三隻、六月一回一隻、七月三回二隻、八月四回四隻、九月二回二隻、十月五回四隻、十一月六回四隻、十二月五回三隻でございます。  それから本年、八七年の一月から八月二十四日までのところでございますけれども総計が二十四回十隻でございます。本年の一月でございますが一回一隻、二月一回一隻、三月五回四隻、四月三回三隻、五月五回五隻、六月一回一隻、七月五回三隻、八月三回二隻でございます。
  21. 松前達郎

    松前達郎君 今の潜水艦寄港ですね、それから核兵器搭載可能と考えられる水上艦船、この寄港もあるんですが、これはもう省略しておきます。寄港状況もいずれまた何かチャンスがありましたら教えていただきたいのですが。  米国艦船で核弾頭を装備できるいわゆる核兵器積載可能な艦船というのは、恐らくすべてがそうだろうと思うんですが、この辺どうなんでしょうか。外務省見解として、積載している、していないの問題をお聞きするんじゃなくて、今米国日本寄港する艦船についてはほとんどすべての艦船核兵器搭載が可能である、そういう装備を持っているというふうにお考えなのか。積んでいる、積まないの問題じゃないんですよ。そういうふうにお考えなのかどうか、これをお伺いしたいんです。
  22. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) アメリカ政府は御存じのとおり核搭載能力の有無を一々の艦船について明らかにしておりませんが、明確に核兵器を主体としたいわゆる戦略核戦力と言われるSSBNでございますとかあるいはB1BとかあるいはB52というものがあるわけでございます。他方、水上あるいは潜水艦につきまして核、非核両用の例えばトマホークでございますとかあるいは対潜水艦のロケット、アスロックなどを積めるかどうかということ、この能力ということで考えてみますと、それは例えばかなりの艦船艦級につきましてそういう能力が付与されているというふうに承知しております。
  23. 松前達郎

    松前達郎君 そのとおりだと私も思うんです。  そこで、最近新聞で報道されました、一九八四年五月八日付の核兵器安全確保に関する米太平洋軍司令部公式文書というのが報道されたわけなんですが、これによりますと、同盟国との事前調整のための協議という内容がその中に盛られていると言われているんですね。在日米軍司令官地域内の核兵器事故に対応するために同盟国事前調整のための協議をするということが盛られている。  この報道についてのちょっと事実関係をお伺いをいたしたいんですが、まず最初に、もう既にこういった核兵器等についての事故が起こった場合を想定したときの米軍との協議というのが今まで行われたことがあるのかないのか。それからもう一つは、これに関連したと考えられるような何らかの協議の申し入れを外務省が受けたことがあるかないか、これをひとつお答えいただきたいんです。
  24. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) まず第一の点でございますが、核兵器事故関連しましてアメリカ側日本政府協議したという事実は全くございません。  第二の点でございますけれども、それに何らか関連いたしましてアメリカ側から協議要請があったという事実もございません。
  25. 松前達郎

    松前達郎君 今私が申し上げた核兵器安全確保に関する文書ですね、これには事前調整といいますか、これが義務づけられているということなんですね。そうなってきますと、事前協議がないからアメリカ我が国核兵器を持ち込んでいないはずである、あるいはいないと確信すると今まで外務省はおっしゃってこられたわけで、これはもう一貫しているわけですね。五、六年前のこの委員会でも私いろいろと議論したわけでございますが。こういう見解と、またアメリカそのもの核兵器の存在を明らかにしないんだ、アメリカ国内法ですか、ということでそういうふうになっているんで、この辺の矛盾というのはどうもあるような気がしてしようがないんです。それについて今後恐らくその矛盾が表面化してくる可能性もあると思うんです。  例えば、前にこの委員会条約を上げたんですが、その条約原子炉事故に関する通報の問題がありましたね、国際条約で。これに関しては原子炉というふうに限定していますけれども、限定というか原子炉対象にすると。チェルノブイリとかそういうふうな問題が対象になったと思うんですが、核兵器事故については原子炉事故と同等に見るのか見ないのか。ちょっとこれ復習になってしまうんですが、どうなんでしょうか。そうなってくるとこの国際条約との関連というのがある程度出るんじゃないかという気もするんですが、いかがでしょうか。
  26. 斉藤邦彦

    政府委員斉藤邦彦君) 原子炉事故に関する条約におきます核爆発取り扱いでございますが、条約上の通報義務がある事故対象の中には核兵器等爆発というのは含まれておりません。これは条文上は含まれていないわけでございますけれども、ただ会議の際に、核兵器保有国の自発的な措置といたしまして、核兵器爆発のような事故が起こりましたとき、これも条約上の義務ではないけれどもなるべく通報するようにしようという話し合いがあったというふうに承知しております。
  27. 松前達郎

    松前達郎君 今核兵器事故というと爆発とおっしゃったんですが、核兵器が壊れて何も爆発しなくても中にある放射性を持った燃料が出てくる場合もあるかもしれない。そうなると原子炉事故と同じような性格になってくるんですね。原子炉の場合ちょびちょびエネルギーを使いますが、爆発は一挙に使うわけです。使い方の差によるだけですから、放射性物質を取り扱うことについては同じですので、その辺はどうなんでしょうか。  原子力推進を持った艦船について適用するとおっしゃったですね、前にこの審議のときに。そうだとすると、当然その原子力推進機関に関する事故、あるいは放射線漏れとかいろんな問題、そういう問題についての通報というふうに解釈を私はしていたんですけれども、こうなってくると、その艦船の中にもしか核兵器があって、それが爆発ではない何か他の理由によって同じような結果を生むような事故を生じた場合にも恐らく適用されてくるんじゃないか、こういうふうに思うんですが、いかがですか。
  28. 斉藤邦彦

    政府委員斉藤邦彦君) 申しわけございません。私今テキストが手元にございませんので記憶で申し上げますが、先ほど私が核兵器爆発と申し上げましたのは事故の典型的なものとして申し上げた次第でございまして、爆発以外の事故、これを排除する趣旨で申し上げたわけではございません。したがいまして、核兵器爆発以外の事故、これも先ほど申し上げました核兵器事故取り扱いというのと同じ考え方に従って処理されるというふうに記憶しております。
  29. 松前達郎

    松前達郎君 それからさっきの文書核兵器安全確保に関する米軍司令部の公式文書、これについてまた質問を続けるんですが、事実関係だけお伺いします。  この文書では、爆発物処理第一グループ分遺隊が扱う事故核兵器事故も含めるというふうに書いてある。日本には現在二つの部隊が横須賀と佐世保に配置されていると言われているんですが、これについては御存じでしょうか。
  30. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) 爆発物処理の第一グループが横須賀と佐世保に置かれているということを承知しております。
  31. 松前達郎

    松前達郎君 この爆発物処理の分遣隊のする仕事の内容として、一般的な火薬の爆発とかそういうものももちろん対象になると思いますが、いわゆる核による事故、こういったものに対応するというふうなことがその仕事の内容に含まれている、これについても御存じですか。
  32. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) 一般的に、爆発物処理、EODと申しますのはまさに爆発物の処理でございまして、爆発物の中には核兵器あるいは化学兵器も理論的には入るわけでございます。しかしながら、我が国に置かれております爆発物処理グループにつきましては、当然のことでございますけれども、この爆発物が通常兵器の爆発物を指すということは我々はそういうふうに了解しております。なお、ここに言っておりますEODのグループ1の1という意味は、アメリカによりますと、これはアジア地域ということを指すというふうに了解しております。
  33. 松前達郎

    松前達郎君 通常兵器の爆発が主体だというふうに今おっしゃったんですけれども、最近核弾頭というのは相当性能が向上してきて小型化される、あるいは軽量化されてくる、したがって取り扱いも非常に簡便にできるようになってくる。いろいろと発達を遂げてきたわけなんですが、とりわけその中でも、いわゆる戦略核兵器の核弾頭というのはこれは別としましても、戦術核兵器の弾頭というのは非常に小さくなっていますね。いろんなシリーズが、マーク幾つとかいうシリーズがたくさんあるわけですけれども、通常火薬弾頭とほとんど変わらないような取り扱いができるようになったというふうに私は聞いているんです。  そうなってくると、やはりそれも対象にしないと、ということはごく当たり前に配備されていると解釈した方がいいでしょうか。ですから、少なくとも搭載可能な兵器があった場合、弾頭には通常弾薬と核弾頭、いずれも交換しながら搭載できる。ということは、当然核の配備というものが準備されるということも考えられてくるわけですね。そういったことになれば、当然それの事故があったときの処理ができるような部隊あるいは人員が各基地にいなければならない、これも当たり前なことなんです。  そういうふうな考えでずっと進めていきますと、今まで日本政府がとってこられた、事前協議のときにアメリカ側から協議がないとすると核を持ち込んでないと解釈するんだと、一言で言うとですね、そういうふうな解釈だけじゃどうも納得できない面がたくさん出てきたと思うんですね。その辺今度の新聞報道で大分いろいろと問題がまたクローズアップされてきたわけなんですけれども、どうですか、やはり相変わらず、アメリカ側からの事前協議の通告がないから核を持ち込んでいないというふうに政府としては解釈をしているということなんでしょうか。
  34. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 今いろいろ報道されている米側の文書は現在入手すべく努力中でございます。しかし、まだ入手いたしておりませんのでコメントは差し控えさしていただきたいと思います。  政府としましては、核持ち込みについては事前協議制度という制度が厳然としてあるわけでございますし、米国による核持ち込みがないことについては、事前協議がない以上、事前協議があった場合にはこれを拒否するという方針でございますから、何ら疑いを持っていないわけでございます。日米安保条約というのはやはり信頼関係の上に立っておるわけでございますから、我々は、事前協議がない以上はこれは核の持ち込みはないと確信をいたしております。
  35. 松前達郎

    松前達郎君 その辺外務大臣ちょっと不思議に思われながらおっしゃっているんじゃないかと思うんです。事前協議があっても拒否するということがわかっていて事前協議するでしょうかね、アメリカが。その辺国際的な問題として、ごく一般的な交渉ですね、そういう交渉あるいは折衝の段階でノーというのがわかっていてわざわざ申し込むということはないと私は思うんですけれども、その辺がどうも私もすっきりしないんです。  それともう一つ、かつてのいろんな持ち込み問題の蒸し返しにはなるんですが、例えば藤山・ライシャワー口頭了解とかいろんな問題がありましたですね。そういう中で使われている言葉がイントロダクションという言葉である。これはまだ私は引っかかっているんですが、この意味は一般的には導入とか採用とか、そういうふうな意味でありますね、イントロダクション。だから、イントロダクションは行わない、持ち込みは行わない、日本語にしますと。その持ち込みとは一体何を意味するかというと、配置あるいは貯蔵ですね、日本国内に、そういうことを意味してアメリカ側は恐らくその言葉を使っているんだろうと思いますから、例えば今の艦船寄港のような場合、これはトランジットであるから、一時寄港であるので持ち込みには当たらない、こういうふうに解釈するのがごく当たり前のことなんですね。  さっき潜水艦がどれだけ寄港しているかをお聞きしたその内容は、これは事前協議関係ないんですね、アメリカ側に言わすと。ですから、それに核があろうとなかろうと何も日本側に言う必要はないということになってくるんで、どうもその辺の問題がいつももやもやしてなかなかすかっとしない。要するに寄港する、いわゆるコーリングする、港を訪ねるという意味が、寄港がイントロダクションには当たらないという解釈ですね。これは私の解釈が間違ってるのかしれませんが。  そういう意味からすると、今のおっしゃいました事前協議というのはどうもおかしいじゃないか。おかしいというのは、事前協議をする必要があるにもかかわらず、事前協議しても拒否するという前提のもとに事前協議をしてくれと、あるいはアメリカがそれを知っていて事前協議をするということがまずおかしいこと、それからもう一つはイントロダクションの解釈が全然違っているという、この二つの点からいきますと、現時点のままでアメリカ艦船寄港してくる、核が積載されていても何らアメリカの方は日本に対する義務がないんですね。協議をする義務もない。こういうことになるんで、ごく当たり前に今もうそれぞれ行われていると解釈していい。  そこで、さっき申し上げたいわゆる爆発物等の処理とかそういう特別な部隊が当然配置されているし、これは恐らく艦船にも乗っているはずなんですね。ということは、暗にもう既に、核兵器日本に配備はされていないかもしれませんが寄港をしているはずであると、こういうふうに見られても不思議ではないと私思うんです。必ずそうなっているとは言いませんが。  そういうことで、この辺でやっぱりこの問題を契機にもう少しはっきりした内容といいますか、ものを国民に出しておかないと、どうやら疑惑のままずっと、これもう五年も続いているわけですから、そういう疑惑のまま続けられてきて、いつの間にか結果としては核が寄港してきたということになるんじゃないか、この点いかがでしょうか。
  36. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) この点は累次政府が答弁しておるとおりでございまして、藤山・マッカーサー口頭了解で言っております「装備における重要な変更」ということの対象である米軍隊と言っておりますのは、日本国に配備された軍隊のみならず、我が国の施設、区域を一時的に使用している軍隊、それから領空、領海を通過するアメリカ軍隊ということが安保条約地位協定の解釈として明確でございます。したがいまして、寄港を問わずすべて藤山・マッカーサー口頭了解の対象になるということは累次政府が答弁しておるとおりでございます。  先ほど爆発物処理第一グループについて御質問がございましたけれども、このような爆発物処理第一グループは当然のことながら必要でございまして、通常兵器の爆発物、これに対処するための処理グループとして必要でございまして、これは何ら特殊な部隊ということではございません。現にその面ていろいろな活躍をしておるということは公知の事実でございます。
  37. 松前達郎

    松前達郎君 今おっしゃったイントロダクションという言葉は使われている。それにはトランジット、すなわち寄港、コーリング・アット・ア・ポートですね、それから領海通航、パッセージ、あるいは着陸、ランディング、これを含むということについては合意してないんじゃないですか。したんですか。
  38. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) 累次政府が申し述べておりますように、藤山・マッカーサー口頭了解の対象でありますところの米軍隊の装備の重要な変更、この米軍隊と申しますのは、我が国の領域内、領海を含めまして、にある一時通過を含めまして、寄港を含めましての軍隊であるということは安保条約地位協定の解釈上明瞭でございます。
  39. 松前達郎

    松前達郎君 そうすると、それは明瞭であると、いうことは、どうなんですか、寄港とか通航、着陸等は含んでいるということですね。
  40. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) そのような意味でございます。
  41. 松前達郎

    松前達郎君 この問題、幾ら私の方でいろいろ質問してもいつも同じ答えしか返ってこないんでこの辺でやめますけれども、またいずれチャンスがあればそういう問題についていろいろと議論もしてみたいんですが、まあいずれにしてもこういったような疑惑があるから新聞報道等も大きく取り上げるんですね。しかもスビックの基地とか、それからアリューシャンの方の基地ですとか、あるいは日本の場合佐世保、横須賀という名前が直接出てきているわけですから、その文章の中にも出ていますから、こういったような問題、やはり国民としては疑惑がある、何かすかっとしない点があるんではないかと私思ったものですからお伺いをしたわけなんです。
  42. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 今政府委員からも御説明申し上げましたけれども、確かに先生がおっしゃったような議論国内にいろいろあることも承知をいたしております。  そこで、ちょうど昨年の八月、私就任いたしまして、米戦艦ニュージャージーの本邦寄港が具体化した際に私から、マンスフィールド大使を外務省に招致いたしまして、念には念を入れるという観点から核持ち込みについての事前協議制度の確認を行ったところでございまして、核持ち込みの事前協議が行われない以上は、これは米国政府が核持ち込み問題に関する我が国の立場を十分最高レベルを含めて理解しておりますし、核持ち込みの事前協議が行われない以上は、米国による核持ち込みがないことについては我々疑いを入れていないところでございます。念のため申し上げておきたいと思います。
  43. 松前達郎

    松前達郎君 それはわかるんですよ。これは政府の方はそういうふうに言わざるを得ない。ところが第三者的に見ますと、アメリカ側からいったら、核があるかないかの存在を明らかにしないというんですから、それはもう事前協議するわけないですね。これはもう当たり前の話。  それから、さっきのイントロダクション一つをとりましても、やっぱり用語の解釈で幾らでも逃げられる点があるんですね。ですから、事前協議をしないから核を持ってないというのは、日本側がそういうふうに解釈せざるを得ないというだけであって、アメリカ側はそれをいいことにして、アメリカ法律を盾にとれば事前協議する必要ない。そうすると、もうこの問題はいつまでたっても勝手にしろということになってくるんでね。そこへ持ってきて今みたいな分遣隊があるとかなんとか出てきているから疑惑がますます深まるということを申し上げたわけなんで、大臣、その辺今度アメリカ側とお話しする機会があったら、まず持ち込み、イントロダクションは何と何と何なんだということをもっと確認していただいて明確にしておいた方がいいんじゃないかという気もします。  どっちに入ろうが、例えばイントロダクション、寄港はイントロダクションに入るとたしか今おっしゃったですね、寄港とか領海通過は。ですから当然事前協議対象になるとおっしゃったんですが、アメリカがそうとってないようですから、その辺もひとつ含めて詰めていただいた方がいいんじゃないか、これは要望として申し上げておきたいと思います。  ミッドウェーの母港化の問題とかいろいろありましたですね。母港というのはイントロダクションのもう最たるものであるということになるわけですね。母港になっているとかなっていない、これは随分あったんですが、アメリカ当局も母港だと発言をしてみたりいろいろとあったもので、どうもその辺がすっきりしない。これについてはこのぐらいにしておきますが、またいずれいろいろと議論をさしていただきたいと思うんです。  次に、もうほとんど時間がなくなってきましたが、日中関係一つ伺いしたいんです。  これは私自身最近体験した問題があるものですから、これとリンクしている内容だと思いますので申し上げたいんですが、実はアジア環太平洋学長会議というのを開催したわけです。これは民間でやったわけですが、環太平洋地域の諸国の大学の学長が一堂に会していろんな問題についてこれからのアジア環太平洋時代のことを討議しよう、特に平和問題も含めて、そういうふうな会議であった。去年その事前の打診のために中国あるいはアメリカ、ソ連の各大学と相談したら大賛成だったものですから、ことし開こうということで開いた。  それで、その中で中国、これが結果的には一校も参加できないといって参加してこなかったわけですね。つい一月くらい前までは、あるいはもうちょっと前だったですか、必ず参加しますという文書、いわゆる正式の文書を各校ともよこしていて、開く寸前になってから、残念ながら参加できないという電報が各大学から一挙に舞い込んできた。で、現実に来なかった。その間の段階では中国の教育関係の責任ある部署の責任者なら参加するという電話もあったんですが、結局これも参加しない。どうもそれ考えてみますと、学長御本人あるいは大学の意思として参加したかったんでしょう。二回も三回も残念であるという電報あるいは文書が来ておりますから、参加したかったと思うんです。  その裏にどうも最近の中国との関係がぎくしゃくしている面の一つとして光華寮があるんですね。この問題がいまだにそのままになっているといいますか、中国側としては恐らく大変な問題であろうと思います。それからさらに指導部に対する批判発言、これもあったかもしれませんし、あるいは靖国神社の公式参拝問題もあったでしょうし、教科書問題もあったでしょう。いろいろあってそれが積み重なって、光華寮のところでいわゆる日中間の国際的な取り決めに違反するような結果が出てきて、ここで一つくぎを刺してしまった、この問題に。こういうことになったので恐らく参加できないということだろう。これは後で聞いてみればわかるんですが、なかなか言わないと思いますけれども。やはりどうも日中関係が最近どうやらぎくしゃくし出したという感じがないでもない。  中華人民共和国は、相手の国の指導部がもう末期的になったときには大体そういうのにはほとんど顔を出さないという通説もあるんですけれども、中曽根内閣末期的と向こうが判断しているのかどうか知りませんが、しかしどうも様子がおかしいんですね。この点、外務省としてそういう変化に対して何かお考えをお持ちでしょうか。あるいはムードとして何かお感じになっているでしょうか。その辺をお伺いしておきます。
  44. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 私も先般、日中閣僚会議がございまして同僚の閣僚の諸君とともに中国に参りまして、中国の指導者の方々ともそれぞれ御懇談を申しました。私のカウンターパートは呉学謙外相でございますけれども、鄧小平主任ともお目にかかり、またその他の趙紫陽閣下ともお目にかかり、それぞれ忌憚のない意見の交換をいたしたところでございます。  私は、今先生からいろいろお話がございましたけれども、基本的には日中関係は 良好な関係にある、決して悪い関係にはないと思います。いろいろな意味において、経済協力の面におきましてもあるいは文化交流の面におきましても、いろいろな諸問題について全体としては私は一歩ずつ前進をしてきておると思うわけでございます。ただ、御案内のとおり、隣国でございますし、過去にいろいろ不幸な歴史もございましたし、そういうこともありまして、幾つかの問題について今いろいろ問題があるということも事実でございます。しかし、私は、基本的にはそういう問題がありましても、日中共同声明また日中平和友好条約、日中間に取り交わしております平和友好、平等互恵、長期安定、そしてもう一つ非常に重要な相互信頼、この四つの原則というものは日本と中国との間において動かすことのできない大事な原則であると思います。  アジアにおける十億の人口を持った中国、またSAARCはインドを中心として十億の人口を持っております。日本は人口が一億二千万でありますけれども、アジアにおける唯一と言っていい先進工業国でございます。したがって、これらの国々が相互に力を合わせて、そして世界の平和と友好のためにお互いの長所、短所を補い合っていくということがこれから大切なことであるという感じがいたしておるわけでございまして、中国の指導者とお目にかかったときもその話をいたしました。また、インドのガンジーさんと先般お目にかかりましたときもそういうお話もいたしました。  したがって、私は、長期的に見る限り、さざ波はありましてもやはり日中関係は良好な関係が続いていく、またそうしなければならないと確信をしておるわけでございまして、いろいろの問題があれば、それを注意深くそして忍耐強く我が国の立場を主張し、そして理解を求めていく、謙虚に日本がやはり対応していく。しかし、謙虚であると同時に、日本の守るべき立場は主張していくということでなければならないと思っておるわけでございまして、基本的には私は日中関係は決して悪い関係にはないと確信をいたしております。
  45. 松前達郎

    松前達郎君 終わります。
  46. 中村哲

    ○中村哲君 ここに提案されました法律案の文言についてお聞きしたいと思うんですが、その前に一言、自分の自己弁護みたいに言っておこうと思いますのは、私は本来、大学を出て政治思想史を専攻した南原先生の助手をしておりましたものですから、ただ当時、美濃部達吉先生の天皇機関説がこの国会の前身である貴族院において問題になり、そして当時の学界はほとんど天皇機関説だったんです。私はたまたま無職の新人だというのと、就職の日が、その当時は大学の職がありませんでしたものですから、たまたま台北帝大の憲法の講座の担当者に行きまして、その関係で憲法論をいたしましたのですけれども、今別に憲法論にこだわっているわけじゃないんです。そのことを一言申し述べておきたい。  しかし、国会というところは立法機関ですから、法律審議、殊に文言をきちんとしなければならぬという意味で細かなことを申し上げるだけです。  このいただきました国際緊急援助隊派遣に関する法律案要綱、その要綱の一のところは、「海外地域、特に開発途上にある海外地域において」という言葉から始まるんですが、これは開発途上国だけじゃなくて、海外地域というものを一般的に規定しているんですね。そして本文もそうでありますが、つまり法律そのものとしては、「この法律は、海外地域、特に開発途上にある海外地域」、こういうふうに大概念の方が「海外地域」で、そしてそれを例示的に、包括するようにして「特に開発途上にある海外地域」、こう書いてあるんです。  ところが、この新旧対照条文の一ページ目なんですが、改正案と現行を対照しているところの上段の後ろから五行目と四行目ですが、「中南米地域等への海外移住の円滑な実施に必要な業務を行い、並びに開発途上地域等における」と、「等」というのがこれについているんですね。法文の上で「等」というものをつけますときは御承知のように小概念なんですね。大きな概念があってそれより小さいときに「等」というわけです。ところが、この法律案はまさに「海外地域」という大概念を言っていて、開発途上国、途上地域、あるいはそれよりも小さな地域というような規定にはなっていない。何かここは非常に矛盾している。だから、これは法制局の関係だと思うけれども、何かそこに問題があると私は思うんです。つまり、開発途上国を「等」のそれに類似したものとして取り上げているのか、あるいは海外地域という限定のないところの援助隊派遣を言っているのか、この点をちょっとお聞きしたいと思うんです。
  47. 川上隆朗

    政府委員川上隆朗君) 先生指摘の点にぴたりとお答えになるかどうか若干自信がございませんが、本件の法律は、国際緊急援助隊は、海外で発生した災害に対して、我が国が国際協力を推進して国際社会に対して応分の貢献を行うという見地から派遣するものということでございまして、原則として海外のいかなる地域災害に対しても派遣し得るという規定とした次第でございます。ただし、多くの派遣要請というものは、防災体制が十分に整備されていない開発途上地域から行われるものと思われますので、また、従来の実態もそういうことになっておりますので、特に開発途上にある海外地域という特記の仕方をした次第でございます。
  48. 中村哲

    ○中村哲君 そうしますと、例えばソビエトにおけるああいうチェルノブイリ事故災害というときにも、この規定では海外地域ですから何らそれとは矛盾しないんですね。そこにも派遣することがあるんですね。
  49. 川上隆朗

    政府委員川上隆朗君) 地域的な除外条項等はございません。
  50. 中村哲

    ○中村哲君 そうですね。それから例えばポーランドで問題が起こる。御承知のようにポーランドは非常に社会運動が激しい。ああいうところで起こったトラブルで災害が起こる。これに災害援助という形で出動するということもできるわけですね。
  51. 川上隆朗

    政府委員川上隆朗君) ポーランドとおっしゃいましたけれども地域的な関係だけからいいますともちろんポーランドも含まれるわけでございますが、この法律の立て方としましては、基本的に自然災害を頭に置いておりまして、かつ産業災害、それから御指摘のような原子力災害といったようなものも含むという立て方で、もちろん先方の要請に基づいて行うという基本的な仕組みになっております。
  52. 中村哲

    ○中村哲君 ポーランドということを申しましたのは、ソビエトあるいは東欧諸国の中ではちょっと違う、そういうところで起こった。つまり東欧諸国の中でもあれば昔から異質な国ですからね。これは歴史的にポーランドというものは、近代史においてはいわゆるロシアとはちょっと違う系統の国です。むしろドイツと一緒になったときがある。そういう社会主義国の中にというか、あるいは準ずるポーランド、こういうところであろうと社会主義国であろうと災害が起きたときは出動できる、こういうことですね、これは。それは非常に問題じゃないかと思うんです。  つまり、開発途上国に限定した場合は、確かに開発途上国であるために起こるいろんな問題があります。御承知のように医療が必要だとか科学技術が発達していないとか、いろんなことがある。ところが無限定で海外地域となりますと、法文としては、法文に欠点があるというのではなくて、そういう考えで立案しているんだったら問題じゃないかと思うんです。しかも、最近新聞で時々伝えられるように、将来自衛隊の出動の問題をそのときに考慮することだというような発言があって、これはこの法律案の説明ではないにしても、そういうふうなあいまいなものは法律をつくる立法議会としてちょっと問題なんじゃないかと思う。  それから、一歩譲って、これは発展途上国なんだ、こういうことの方に重点を置いているというけれども、この間、関係の官庁からいただいた例の中にエチオピアが入っておりましたですね。ところがエチオピアというのは発展途上国と言えるかどうか。日本とエチオピアというのは君主国としては世界で最も古いものだったというのがエチオピアですからね。そういうところが発展途上国、確かに発展途上国的要素はあるんですけれども、これを簡単に発展途上国と言えるかどうか。これは別に法文の問題じゃないけれども、法文の説明の中でエチオピアを挙げておられたから問題なんじゃないかと思う。  それから、エチオピアがさらに問題だと思いますのは、これは答弁された方にお聞きした方がいいのかもわからないけれども、エチオピアの災害についてなんだと、こういうふうに災害の方で法律解釈を限定されようとしても、エチオピアの災害というのは、これは何年でしたか、エチオピアの革命が最近ありましたね。あれはハイレ・セラシエの王国が転覆してソビエトの影響下に置かれるようになったんですね。したがって、そういう状況から従来の居住地にいられなくなった者が流出して周辺に出ていったわけですね。そうすると、こういう災害を救済する、その難民を救済するというけれども、そのこと自身が政治にかかわってきてしまいますね。  私はきょうここでそのことを質問するならもっと正確に資料を持ってくればよかったけれども、自分の記憶では、あのエチオピアの動乱のありましたとき、王国としてはそれを最終的に抑えようとしたけれども、結局、ソ連と正面から言わないにしても、そういう背景の力が非常に強くなって、それでどういうことが起こったかといいますと、あのとき飛行機でイスラエルに軍隊が送られましたね。それを見ていたときに、これはイスラエルから武力、つまり王国を維持するために、革命を抑えるために、革命と言っていいかどうか知りませんけれども、イスラエルがかんでいる、こう見たわけです。それはイスラエルにいきなり行かないで、何か近い国に行ってからイスラエルに入ったか、とにかく我々の常識から見たってこれはイスラエルの軍隊だったんじゃないか、こういうふうに思える。こういうふうなところが自然災害と簡単に言えるかどうか。また、そういうところに場合によっては派遣しなきゃならないということになりますと、これは専守防衛どころか国際的な紛争に正面からかかわってしまうんじゃないか。  こういう点で、この今提案されている法律案の「海外地域」という、こういう大概念で出されているということにやっぱり問題があって、また開発途上国だというならば、アフリカなんかいろんな意味で、科学技術、医療だとか土木だとか、それから食糧関係とか、こういうこともなお十分対応ができていない。そういう国の場合にはだれが見ても日本で何かの形の援助をするのはいいことだと思いますけれども、エチオピアを例に挙げたりなんかしておられると、これは政治に直っ正面からかかわってしまう。そういうことから、この法案の出し方が、海外地域ということと開発途上国ということがちょっと不統一なんじゃないか。  そして、改めて申しますと、あの対照条文の中に「開発途上地域等」というけれども、「等」というのはそういう大概念ではない、それよりも小さいところですからね。ここは法文をきちんとされないと、それをここで通せと言っても、立法議会で、ここが決めるんですからね、法律を。あいまいな形で、私は社会党がどういう話がついているかということはちょっと知らないけれども、何かその点についてもう少し明瞭な御発言を願いたいと思うんです。
  53. 英正道

    政府委員英正道君) この法案に基づいて自衛隊派遣が想定されていないということはもう大臣からも答弁申し上げておるので、その点には触れませんが、この法律は基本的には、人道的な観点から海外に大規模災害が発生したときに日本国際緊急援助隊派遣する。日本もこれだけ国力が出てきたということで、また国内にも、従来のようにお金とか物だけを送って済ませておくということは適当でないという機運がこの二、三年急速に高まってきている。それを受けて、医療チーム派遣であるとかそういう努力を行ってきて、いろんなケースが既にあるわけでございます。  基本的にはそういう立場からつくられておりますので、先ほども政府委員から御答弁申し上げましたように、地域の限定はしていない。したがって広くいずれの国もカバーされることになっている。しかし、現実の問題として、いわゆる先進国と言われる地域では防災体制も整備されておりますでしょうし、したがって派遣される対象は途上国というのが多いであろうということは言えると思うんです。その際に、まず要請があるということと、それを受けて政府が、いろんな観点から外務大臣が検討して派遣するかどうかを決めるという形で対応が決まっていくということになっておりまして…
  54. 中村哲

    ○中村哲君 国会の答弁は大体いつもそういうことですけれども、それは政治的答弁だというのかもわからないけれども、学校の試験だったらそれは答弁じゃないですね。だから、法案をつくろうとするときに概念規定をきちんとやらないで、人道というところにかけていると言うけれども、人道は、ソビエトの方も人道と言うだろうし、アメリカの方も人道と言うだろうし、そういうあいまいなことに絡まって規制するということは、ちょっと規制じゃないんじゃないですか。これは私が発言をやめてしまえばそれで問題は済んだというわけじゃないので、こればかりやっていたんじゃ切りがないからやめますけれども。  法文としてはそこでしょうね、一番問題なのは。だけれども、このことは非常に大きいと思うんですね。無限定で海外地域国際緊急援助隊が出動する、場合によってはそれは自衛隊が入るかもしれないということ、この法案解釈ではないというので附則の方では挙げていないからいいけれども、しかし、その附則と本文ともまた多少違うわけですからね、性質が。だからちょっとこれはあいまい過ぎると私は思うんです。やめますけれども、別に問題がなくなったというんじゃないんですよ。  時間の制限があるもので、倉成外務大臣がおられるので、最近インド及びバングラデシュその他へ行かれて、さらに今後イラクにも行かれるという。こういう政治的な交渉に努力しておられる、これは非常に結構なことだ、こう思っております。ですからそのことでお聞きしたいんです。  ただ、たまたま見たけさの新聞で、ジャパンタイムズ、それから読売新聞には出ておりましたが、倉成さんが南太平洋フォーラムというのにお出になった。そこでニューカレドニアの例を挙げて発言しておられるのですが、この点もうちょっと明瞭にお話し願えるとありがたいのです。  というのは、論点は、読売新聞日本語で書いてあるから読みますけれども、「南太平洋フォーラムのバアイ・コロネ議長(西サモア首相)と約一時間会談した。席上、外相は、宗主国フランスを相手にした独立闘争が続くニューカレドニア問題」、これは西サモアの話じゃないんですね。西サモアというのはアメリカにかかわっているわけですが、ニューカレドニアというのはフランスなんですね。それでそこの問題に触れられて、「「地域の不安材科にならないよう十分話し合って解決を目指すよう望む」と、武力に訴えない平和的解決を強く求めた。」と。「武力に訴えない平和的解決」と、こうありますが、ジャパンタイムズの記事を見ると、何かイミグラント、移民として入っている人の権利を尊重されるようにと、こう言われたように読めるんですが、これらについてどういうふうな御発言だったんですか。
  55. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 南西アジアの問題は後にいたすことにいたしまして、ニューカレドニアの問題についてお答えいたしたいと思います。  御案内のとおり、ニューカレドニアにつきましては、先生御承知のとおり、かつてフランスがこれを領土として持っておりまして、今のフランス系の人たち、それから原住の方々、そういう方々が混在して今社会を形成しているわけでございます。したがって、ここで九月十三日に国民投票をして、そして、フランスの領土として残るのか、あるいはそうでないのかというようなことをやろう、そういう今提案がされておるわけでございます。しかし現地の方々はこれに対してどうも余り賛成でないということで、ニューカレドニアの中でいろいろ議論があるわけでございます。  したがって、私といたしましては、南太平洋フォーラム、SPFの方々がどれほど影響力があるかは別といたしましても、ひとつぜひこの地域で、フランスがいろんな意味で経済的な援助をニューカレドニアにしてきたことも事実でございますし、いろんな指導をしてきたことも事実でございます。そしてまた、この国は非常に今経済的に困難な状況の中にあるわけでございますから、フランスの援助なしでやっていこうとするとこれは大変な混乱状態に陥るということも事実でございます。しかし同時に、この地域の人々の自尊心というか、この地域の人々の気持ちというものもいろいろあるわけでございますから、大変デリケートな問題をここに含んでいる。  したがって、ぜひSPFとしては、ちょうどきのうSPFの議長であります西サモアの首相が参ったわけでございますし、それからまた事務局長でありますフィジーのナイサリ事務局長が来られましたから、ぜひこの地域が平穏であるように、フランスも決して対話を拒否しているわけではないので、できるだけ双方が冷静にこれらの問題に対応できるように努力をしていただきたい、島の方々がひとつお話し合いするための最大の努力をお願いしたいと、そういうお話を御懇談を申し上げたということでございます。
  56. 中村哲

    ○中村哲君 これは新聞の文章ですから、倉成さんの御趣旨がそのまま出ているわけじゃないですけれども、    〔委員長退席、理事最上進君着席〕 このジャパンタイムズでは、ラジカルコース、つまり非常にラジカルなプロセスを経てそういう問題を解決するということを問題にしている。そのときに、今お聞きしてもレファレンダムをやろうというような、そんなラジカルなことじゃないんじゃないかと思う。それからイミグラントのことが出ているけれども、あそこはポリネシア系の住民だと思うんですが、ポリネシアの人が多いところでレファレンダムをやれば、フランスの人が何らかの形で現在より弱い立場に置かれる。ちょうどそれはアフリカのアパルトヘイトの問題と同じになって、一体どういうことを言われようとしたのかというのがちょっと私にはわからなかったので、ただけさ新聞読んだだけで……。
  57. 倉成正

    国務大臣倉成正君) これはもう少し関係の専門の実情をよく承知している者から御説明した方が適当かと思いますが、三年以上ここに住んでいる人に選挙権を与えるというようなことで、選挙の結果が大体予想される、そういうことでこの選挙をボイコットしようというような動きがいろいろあるわけでございます。
  58. 中村哲

    ○中村哲君 選挙をボイコットしようというんですか。
  59. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 一部の方がですね。したがって、そういう問題がいろいろあるものですから、やはり非常にデリケートな問題がここにあるので、なるべく話し合いで、日にちも迫っていることでもあるから、ひとつ流血の惨になったりしないように、最大の努力を日本としてもやるけれども、やはり何といっても島のことは島の皆さん方がイニシアチブをとってお話し合いをされるべきではないでしょうか、    〔理事最上進君退席、委員長着席〕 特にSPFができている経過から考えまして、あなた方が大変御苦労でありますけれども力を尽くしてください、そういうお話をざっくばらんに御懇談したというのが経過でございます。
  60. 中村哲

    ○中村哲君 時間がございませんものですから、先ほどちょっと一言しましたインドのこと、これはまた大ざっぱな話になるんですけれども。  インドと日本の政治的な交流はもっとされていいんだと思うのに余り行われていない。こういうことに倉成外相が従来の関係を一層いろいろな形で深めてこられたということは、これは敬意を表するわけです。インドというものを日本政府というか外務省というか、もう少し身近なものとして考えたらいいんじゃないかと思うけれども、これはネール以来の非同盟国一つだということから、日本のような安保体制でアメリカと非常に深い関係があるときにちょっとやりにくいということがあるんですか、ないんですか。
  61. 倉成正

    国務大臣倉成正君) インドは、御承知のとおり、インドを含めましてSAARCの七カ国、インドが七億五千万で約十億の人口がございます。このSAARCの地域というのは、ちょうどペルシャ湾を臨み、インド洋を扼しておりますし、ペルシャ湾からインド洋、そしてまた東南アジア等を考えてまいりますと、非常に重要な地域であるのみならず、非常に古い文化を持った地域でございます。したがって、インドと日本との関係はもっともっと深めて、かってもインドからいろいろな仏教等の伝来等もございましたし、あるいはシルクロードを通っていろいろな文化の輸入もございましたので、さらにインドと日本との友好関係を深めていく必要があるということで、ガンジー首相とも御懇談申し上げまして、インドのいろいろな基本的なお立場も聞きました。  インドは御承知のとおり非同盟、そして現在のところソビエトと比較的近い関係にございます。しかし決してアメリカとも悪い関係にはございません。ただパキスタンとの関係がございましていろいろ必ずしもしっくりいかない。パキスタンについてアメリカが若干援助しているというような問題等、国境問題等がありますけれども、基本的には日本との関係はいい関係にあるわけでございますので、さらにひとつ関係を深めてまいりましょうというお話をいたしました。  しかし、それと同時に、私が今回のSAARCを特に選びました大きな理由は、御案内のとおり、インドとスリランカとの間にタミール民族の問題がございまして大変大きな騒ぎになっておったわけでございまして、スリランカの千六百万の人口のうちの約二割がタミール民族で、このタミール民族が大変圧迫されているということで、インドには五千五百万のタミール族がいるわけでございまして、この間で非常にトラブルがございます。しかし、ガンジー首相とスリランカのジャヤワルダナ大統領閣下双方の合意によりまして和解ができたわけでございます。しかし、それにしましても、六千名のインド兵がスリランカに駐在し、またホテルから見えるところでインドの二隻の軍艦が連絡用としてあるという状況で、まだ政情は安定してないわけでございます。  しかし、私は、この合意をもとにして、スリランカの主権を尊重しながらぜひこの和平が達成されるようにということが一つと、それからもう一つは、皆さん御記憶のとおり、ジャヤワルダナ大統領はサンフランシスコ条約のときに、中国は参加いたしておりませんが、当時セイロンの大蔵大臣としてサンフランシスコ条約に参加をいたしまして、憎悪は憎悪によって終わらない、愛によって終わるという、ヘイトレッド シージズ ノット パイ ヘイトレッド バット バイ ラブという有名な言葉をお吐きになりまして、日本の賠償について、ただ一人日本の賠償をすべきでないという主張をされた方でございまして、日本にとって大恩人でございます。これによって日本の賠償がなくなったと称しても間違いてない。  そういう非常に大事な国であるにかかわらず、岸総理が三十年ほど前においでになったきり日本外務大臣がどういうわけかただの一度も行っておりませんでした。したがって、私としましては、スリランカに参りましてジャヤワルダナ大統領に、大変日本国民としてはお世話になりました、おかげさまで日本の国もここまで参りました、多少ともお役に立つことがあればお手伝いしましょうということで、病院や青年研修隊、コロンボの港の改修やそういうことについての経済援助を申し入れた、そういう気持ちがあったわけでございまして、その後バングラデシュに参ったというような経過でございます。
  62. 中村哲

    ○中村哲君 どうも国会の話とはそぐわないかもわかりませんが、タミールというのは日本語の起源と関係があるんではないかということを日本の言語学者の代表的な一人の学習院大学の大野氏が言っている。ただそれについては、偶然単語が似ているからといって言語を比較するというのは、これは言語学としてもそれをやるんじゃなくて論理の構造でやるものですからね。だから、個々の単語が似ているからといって日本人の起源に何か近いんじゃないかという、そのこと自身が既に余り言語学者の間でも通用しなくなっているんじゃないかと思います。  それからもう一つは、仏教といいますけれども、インドはヒンズー教なんですね。ヒンズー教を基本の体制としていて、そのために仏教は少数の人たちの宗教だったわけです。それで、ヒンズーということは要するにインドということですからね。インド人はインド宗教を持っているんで、そこに仏教が一部存在した。それが日本ではインドというとすぐ仏教のもどのように言うけれども、そういう要素は、日本が文化を吸収するときはそうしたけれども、ヒンズー教の問題。したがって、日本の学者がインドに非常に関心を持つのはカーストの問題ですね。カーストというのはヒンズー教にかかわっているああいう宗教体制なんですね。これについては、ネールが「インドの発見」の中で言っているのは、ああいうカーストができているというのはやっぱり多数民族の関係、民族というのはレースの問題であろうと、一言足らずですけれども。インドというのはまさに、中曽根首相が日本は多数民族じゃないと言うけれども、インドは多数民族です。ネールが戦後アメリカとソビエトに対して将来性があると言っているのは、ソビエトもアメリカも多数民族でやっている、この方式はやはりインドは学ばなければならないと言っている。そういうことがあるので世界連邦の構想が出てくるんですね。  こういうふうなことを、インドに行かれる外交官とか商社の人でもそういうふうなことを心得て行くものであって、戦前の話になりますけれども、戦前の外交官というのはまず地方の宗教とか民俗学などをきちんと勉強して行きました。そういうことをやはり、外交官その他海外派遣される方にそういう意味での文化の教育をされることを希望する次第です。
  63. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ありがとうございました。  実は私不勉強でございましたが、東大の山崎教授のインドの歴史の本その他、つけ焼き刃でございますが、インドに関するいろいろなことを勉強させていただいてまいりました。しかしまだ足らざるところがたくさんございますので、またお教えいただきたいと思います。
  64. 黒柳明

    ○黒柳明君 法律に入ります前に、ノーチラスの例の核兵器爆発物処理問題のことでお伺いいたします。  大臣、もう書類をごらんになって検討されましたでしょうか、ノーチラスが公表した書類をごらんになって。
  65. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 入手に今努力中でございまして、まだ拝見いたしておりません。
  66. 黒柳明

    ○黒柳明君 藤井さんの分野なんですが、努力中というのはちょっとわからないんです。大臣はハイテクの何か専門の大臣だと。私知らなかった。けさの新聞に出ていであれあれと思って、在外公館、アメリカを中心にしてファクシミリなんか入れたわけでしょう。我が党は、こんなちっぽけな中小企業政党でも海外へ行くときにはもう即座にファクシミリをかついでいきまして、日本の情報なんていうのは同時に入手しながら海外を歩くわけですよ。  ましてハイテクの専門の大臣がいて、ワシントン、もう既に四カ所にはファクシミリ等を装置した。しかも二十二日からきょうで丸三日目である。しかも情報公開法に基づいて、どこかで盗んできたという書類じゃないみたいね、基づいて入手したものである。しかもマスコミがみんなこう一斉に出してそれが問題になっているのに、外務省がまだこれ入手していない、その努力をしているというのはちょっといただけないなと思うんだが、担当大臣大臣だけあって。どうでしょう、この辺。
  67. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) このような報道に接しまして、外務省といたしましては直ちにワシントン大使館を通じまして米政府に対して、このような文書があれば至急入手したいということを申し入れております。  ただ、一つは、御存じのとおり時差がございまして、アメリカの月曜日というのが始まったのが日本の昨日の晩でございます。したがいまして、それから、アメリカ政府が情報公開法に基づいて恥を解除した文書等としてこのような文書があるのかどうか、米政府は今捜索してもらっているところでございまして、これがいまだ我が方には入手していないということでございまして、我が方のファクシミリの能力とは直接関係がございません。
  68. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは日本のマスコミの方敏腕ですからね。もう商社、マスコミなんていうのは政府より情報網は過多である、多い。ところで、これいつもマスコミが先行して、政府が、その後国会がということで、私たちもじくじたるものがあるんですけれども、まあこれは時差の関係で、ちょうど日曜でよかったですね、藤井さん。ウイークデーじゃなくて非常にこれはラッキーだった、こういうふうに思いますが、これは速やかに入手しないと、けさの新聞のこのハイテク大臣というのは泣くんじゃなかろうか。あるいはアメリカを中心に四カ国、さらに世界じゅうにそういう情報網を、機械を入れるというようなことは、これはもう全く意味がなくなっちゃう。けさの新聞を私偶然見ちゃったから、済みません、見なきゃよかったんですけれども大臣が非常に熱があるということで、これはもうとっくにとっているのかなと。  藤井さん、これは佐世保と横須賀だけと書いてありましたが、ほかにはないですか、日本に、EODGRU1というのは。お調べいただきましたか。これもまたアメリカから来ないから情報入手中…。
  69. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) ほかにはないと思います。
  70. 黒柳明

    ○黒柳明君 ある。
  71. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) ただいまその点も正確に調べておりますけれども、佐世保と横須賀にEODのG1があるということは確認しておりますけれども、ほかにあるかどうかについでは、確認、さらに検討いたします。
  72. 黒柳明

    ○黒柳明君 確認するというより、向こうの文書出てたからそれを追従する。これは日本だから時差ありませんから聞いてすぐ返事もらった。アメリカは時差があるからこれからだと思いますけれども。あるですよ。確かに局長おっしゃったように、エクスプローシブ・ディスポーザル・ディビジョンですからね。GRU1というのはアジアですから。それじゃGRU2はどこですか。
  73. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) 米側から現在まで得た情報でございますけれども、それによりますと、けさほど私御紹介申し上げましたように、グループ分けでございまして、第一グループというのは、奇数がアジア、それから偶数が欧州地域ということでございます。
  74. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、1と2しかない、アジアとヨーロッパしかないということですか。それ以上アメリカは教えてくれなかったということですか。
  75. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) この辺につきましてはさらに詳しくいろいろ聞いてみようと思っております。
  76. 黒柳明

    ○黒柳明君 貿易摩擦で藤井さん非常に日米間でも一生懸命働いていたし、余りこの場であれするとうまくないんですけれども、まず第一、ほかにもあります。あの文書には佐世保、横須賀と出ていただけ、ほかにもありますよ。在日米軍基地、本土六十二カ所、沖縄四十四カ所の中にありますよ。ないですか。    ・
  77. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) EODと申しますのは、先ほど委員が御指摘のように、エクスプローシブオードナンス、爆発物、Dはディスポーザル、爆発物の処理でございます。軍隊であります以上爆弾等の爆発物があるわけでございますけれども、この処理というものが当然軍隊の一機能として備わっていなければいけないわけでございます。したがいまして、この機能は、ただいま申しましたのは海軍関係でございますけれども、陸軍関係その他当然あるべきものであるというふうに思います。  したがいまして、けさほど申し上げておりますように、これが何か非常に怪しげなるものであるというような感じで報道されておりますけれども、我々といたしましては、日本に関する限りこれは怪しげなものではないというふうに思っておるわけでございます。
  78. 黒柳明

    ○黒柳明君 僕はこれから藤井さんの味方をしようと思って発言しつつあるんだから。きのうまでは、きのうの委員会と違うからだめよ。怪しいものだと私言ったことない。怪しくないものだとも言いたくないですよ。ですから怪しいものだと言って質問しているんじゃない。ほかにあるんじゃないですか。ほかにある。  それからもう一つ、EODというのはほかにありますか。空軍にありますか。陸軍はもうほとんどありませんけれども、ありますか、陸軍に、日本に。ないよ。海軍です、これは。ありますか。今藤井局長がおっしゃったように、EODだからこれは当たり前じゃないか、爆発物処理部隊だからどこにもあるんだよと。陸軍、あるいは三沢にありますか、嘉手納にありますか。後ろの人教えてやって。
  79. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) 先ほどから申しておりますように、EODというものは海軍の呼称でございますけれども、このような性質を持っている部隊があることはおっしゃるとおりでございます。
  80. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうじゃない。EODという固有名詞で言っているじゃないか。ようだなんて私言っていませんよ。公明党はそんなにアバウトじゃない。非常にきちっとしています。EODというのはほかにありますか、海軍を除いて、空軍に。後ろの人より僕の方がよっぽど詳しいんだからだめよ、変なことを言っちゃ。
  81. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) 海兵隊それから空軍にあるように存じております。この辺につきましてはさらに正確に調査いたしまして御報告いたします。
  82. 黒柳明

    ○黒柳明君 ない。EODという固有名詞と同じものはない。ようなものはある。共産党さんだってこの前三沢と嘉手納でやった。EODGRU1という固有名詞、これはない。海軍だけのものです。しかも、海軍だけであるけれども、横須賀、佐世保だけじゃなくてほかにもありますよ。
  83. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) ただいまの点は、先ほどから述べておりますように、非常に詳細にチェックしたわけではございませんが、突然の御質問でございまして、我々の持っておるこの米軍の資料によりますと、EOD、グループ1というのではございませんけれども、EODというものが横田それから富士、岩国等にもあるということでございます。これは、先ほど来申しておりますように、爆発物の処理というものが軍隊の属性としてこの種の係があるということは当然であるというふうに思うわけでございます。
  84. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、今までもさんざん国会において同趣旨質問がされております。そんなものは当たり前じゃないかと。さらに、五年前の予算委員会で、いわゆる自衛隊というのは核の訓練なんかに対して非常にやっぱり慎重であった、ところが中曽根さんは、そんなばかなことありますかと、むしろ防衛局長を差しおいて、そんな訓練をやるのなんか当たり前です、それはどこにもあるんですからと。持つとかなんとかというものについては、これは私たちは非核三原則あります、憲法上ノーとは言わないけれども政治的判断で持ちません、そんなことを言っているんですよ。  ですから、逆に言いますと、一九八四年五月八日、こういう通達が出ていたか、これは私もわかりませんよ、情報ですから。それが目の前にあったって、いやこれは訂正したんだとか、これは一部地域だけだとか、いろんなことがあるでしょうけど、これからお調べいただくんだと思いますね。私はそんなにでたらめなものを公表したんじゃないというような感じがします。感じだけですね。それでマスコミの方もそれを公表したわけです、問題としても公表したわけです。  そうすると、一歩譲って言っても、世界各国すらっと並んでいますから、だから日本だけ二カ所ですね。日本はそういうものに対して厳しい国だから協議するのはやめとけ、こういうことだったのか、あるいは担当の海軍司令官が協議をあえてしなかったのか、協議することを忘れていたのか、そういう可能性もあると思うんですよ。必ずしもこれが核兵器がある、核兵器を前提にしてそして協議せよということであるのかどうか、私それこそわかりません。中曽根流に言うと、そんなものは米軍核兵器を持っている、それに対しての防御、それに対して日本が万一の場合にはそんな協議したって当たり前じゃないか、ただし日本には絶対ないよという論法は今まで行ってきたわけですよ。  何をここで外務省が、外務大臣がわからないこと、実態知らないことを前提ですけれども、そんなものはもうおかしなものはやっていません。やって悪いですか、そういう協議をやって。協議をやるということは核兵器があるから協議をやるんだと、こういう前提で物をとらえられる。それに対して皆さん方はそうじゃないと、あくまでも非核三原則で、ないんだと、今外務大臣おっしゃったように信頼のもとに絶対ないんだと。ですけど、今まで特に総理大臣と私二回もこの問題やりましたけど、そんなことを協議して何悪いんですか、自衛隊がそれに対していろんな訓練やって何悪いんですか、あることと違いますよ、こういうふうにおっしゃっていた、盛んに。こういう報道がぽこっと出ますと外務省はすぐびびっちゃって、それで何かこれについて協議してない。  私思いますよ。これについてこれから努力して文書を入手してお調べになる、これで私は今のところ了解も了解じゃないもないです。皆さん方が言うんですからそれしかないと思いますよ。しかしながら、今までの政府、なかんずく中曽根総理の論法ですと、あることとは全く別ですと。あるいは皆さん方だってそれに近いような論法で私たちの質疑というものをシャットアウトしてきたんじゃないですか。そういう局面もあったんじゃないですか。これは今この文書を入手してこれから調べようということですから、いろんなことが想定されると思いますね。あることと協議することと別じゃないかという論法で今まで皆さん方やった場合もありますよ。  現に、だから今話し合った核兵器の問題だって、全く皆さん方のおっしゃっていることは、おっしゃっている皆さんが矛盾していることをおっしゃっているんじゃないでしょうか。核についてイエスもノーも言わないんだ、事前協議がないからないんだ、信頼だけなんだと、こんな古い答弁は、外務大臣局長をごらんになってごらんなさい、昭和二けたですよ、二けた。もっとナウい答弁するようにしないと、公明党がいかについていこうといったってこれは無理ですよ。今の自民党内閣、政府のもとにおける、そういう何か全くもうおっしゃっている皆さん方が矛盾を承知でおっしゃっているような答弁、もうちょっと何かせめて言うならばうまい答弁、昭和二けたの局長さんが出た、そういうらしい外務省官僚の答弁、そんな答弁ぐらい、まあ答弁だけを私問題にしているわけじゃありませんけど、そういう姿勢というものはやっぱり変えていかないといけないんじゃないか。何も私は政府の肩を持っているわけじゃない。藤井さんを擁護しているわけじゃない。努力が足りないと私思います。それから、時差がない日本のことはすぐ直ちにここでもう即答できるぐらいのことがあってしかるべきじゃないか、私そう思います。  と同時に、核についての従来の姿勢、答弁、これはちょっと私はいただけないなということをまた改めてこの今のノーチラスの公表で感じた、こういうことであります。さらに一生懸命調べて全貌わかったら教えてくださいよ。  外務大臣、私の言っていることに何かどこか間違い、悪い点、無理があったらひとつ教えてください。
  85. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 先生の御意見、貴重な御意見として承っておきます。
  86. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこがうまいんですよ、外務大臣非常にうまいんですよ、総理大臣と違って。それはまた悪さがあるんです、その悪さが、外務省としてのね。  済みません、余分なことを言って申しわけありませんけれども、在日米軍基地については今徐々にやっている。また藤井さんにも調査結果を教えますから。徐々にやっていますけれども、必ずしも一般の爆発物だけの処理部隊じゃないことは局長も認めるでしょうね。先ほどおっしゃったように、当然これには核に対しての爆発処理能力、これもある。だからあのノーチラスが出した協議せよ、話し合いせよということについての信頼性は十二分にあると、私はこう思う。確かに一般の爆発物も処理しますよ。その中に核についての爆発の処理、これもやる部隊がある。これについてはもう問題ないでしょうね。
  87. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) けさほどからも御答弁申し上げておりますように、ここで言う爆発物と申しますのは、まさに爆発物全体でございまして、その中に通常兵器、核その他化学兵器等が含まれるわけでございます。  これは政府が前々から答弁していることでございますけれども、仮定の問題といたしまして、仮に米軍核兵器に関する能力を有するとかあるいはそのための訓練を行うということとそれから実際に核兵器が存在するということとは別であるということは、累次政府が答弁しておるとおりでございます。ただいまの御指摘関連いたしまして。  それからただいまの問題につきましては、いずれにしましても米側から協議があったという事実はございません。これは事実の問題でございますので、この点は明確にさせていただきたいと思います。
  88. 黒柳明

    ○黒柳明君 藤井さんが答弁するんならこれはもう絶対間違いないと思いますよ。ほかの局長だったら危ないところがあるが、藤井さん正直ですから間違いないと思います。ただし、八四年からですから、だから藤井局長の時代じゃないときもありましたね。ですから、そこらあたりちょっと疑惑だなとその二年間私は疑問を持って、藤井局長になってからは間違いないなと、こういうふうに思っているんです。ただ、今申しましたように、この文書の存在について私は疑問を持ちません、間違いなくある。これについて指示した内容についてもそのとおりである。ただ日本だけなぜやらなかったのかな、そこらあたりわかりませんね。それこそ私が類推したってしようがない。藤井局長がおっしゃったように協議はなかったと。  それから、今言った核兵器が存在するかどうかは別だと、私それについてそのとおりだと納得するというまではいきませんけれども、非常に矛盾を先ほど言ったように感じますけれどもね。  済みません、法律の方の問題。まだこれありますけれども、時間がないから。  外務大臣、この国際緊急援助隊、関東でも、まだ私生まれていません、外務大臣だってまだお小さかった、あのときだって相当日本援助もらったわけですよ、私も漏れ承るところによりますと。あのとき日本は開発途上国であったのかどうか、途上国だったでしょうね、世界から見ればですね。また六十四年、あっちこっちで大震災が起こる、伊豆沖の大災害だって、きょうあした起こってもおかしくないんだと、こう言われているときですから、これはもう殊のほかこれに対しては全力を挙げてやっぱり取り組まなきゃならない、こういうふうに思いますね。  それにつけて、私ちょっとけちをつけるわけじゃないんですけれども、先ほどもお話ありましたけれども海外、なかんずく開発途上国から今まで要請があったし、そういう傾向があるからと、地域は特定しないとおっしゃっているけれども外務大臣要請を受けて、外務大臣が今度はJICAにと、JICA派遣をやる。どうしてもJICAですから開発途上国と結びつくんですね。あのJICAといいますと、これは例えばイギリスにあったって、フランスにあったって要請があれば行くわけですよ、先進国だって。地域を特定しないわけです。ところがやっぱり外務省が前に出て、フォーリンミニストリーとJICAとはもう響きも違います、重みも違いますしね。これは響き、重みよりも実体の問題、内部的な質量の問題、誠意の問題だと思いますけれどもね。  どうしてもこの開発途上国という今までのパターン、確かにメキシコでありコロンビアであったわけですよ。先進国にはこういうのは少ない。少ないし、やっぱりいろんなものに対して十分に機動力もありますから要請もなかった、あるいは要請がないとも言えないわけですね。どうも私は、外務大臣JICAに命じて十六省庁まとめる、民間まとめる、これはなれていると思います。それから絶えず接触がある。開発途上国ですといろいろな意味で何かといいんですけれども地域を限定しない場合に、JICAが下請して人を集めていくという、ここらあたりにちょっと難点がなければいいがなと、こんな気だけするんですけれども、どうですか、この点。
  89. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 外務大臣が直接命令できるのはJICAでございますけれども、当然JICAに命令する前に関係省庁とよくふだんから連絡をとり合って、こういうときにはこうしようという協議機関をつくっておきまして、もちろんこういう機関で十分話し合いを一方でしながら、そしてJICAに命令をする。そうするとJICAの方がいろいろやるときにやりやすい。そういうことで日ごろからの連絡体制その他に万全を期したいと思っておる次第でございます。
  90. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうするとキャップは大体外務省がキャップになっていくという考えですか。
  91. 川上隆朗

    政府委員川上隆朗君) お答え申し上げます。  法律案第三条で、外務大臣がその被災国政府等より派遣要請があった場合において、その派遣が適当であるかどうかということを判断して各行政機関相談するという仕組みになっておりますので、あくまで主体は外務省が主体となるというふうに考えております。
  92. 黒柳明

    ○黒柳明君 外務省が主体になっていけば、これは手なれた人ばかりですからもう全面の信頼をおけると思うんです。  それで、きのうもきょうも論議になりました自衛隊の遠い将来、遠いといっても、外務大臣、私それもちょっと矛盾を感ずるんですよ。だって、昔から、自衛隊派遣した方がいいと、武力紛争に関与しなければ、丸腰だったらいいじゃないかという、自民党の中、さらに野党の一部にだってあるわけですよね。当然反対もあるわけです、今までもずっと。ですから、遠い将来にそういう論議がというようなことじゃなくて、今までさんざんそういう論議は絶えず繰り返して行われてきたんですね。それで今こういう法律ができてきたわけですから。だから遠い将来にというのは、その論議が出てからというのは、国民の関心というのはいま一つということはあると思いますよ。ですけれども、今までさんざんこういう論議が出てきていたんですから、それを踏まえて、今この法律できるときに当たって、遠い将来のというのは、ちょっと私時間の過程をたどってみると、何かこう大臣逃げていらっしゃるのかなというような感じがするんですが、どうですか。
  93. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 黒柳先生のお話まことにごもっともと思うわけでございます。  実は、衆議院外務委員会におきましてもいろいろ議論がございまして、自衛隊を当然入れるべきだという非常に強い御意見もございました。一方においてまた、絶対にこれは海外派兵との問題との関係もあり慎重であるべきだという御意見もございました。そういうもろもろの国会議論のみならず、国民の間にも多くの意見がおろうかと思うわけでございますので、現在の時点におきまして、日本がこれらのいろいろな自然災害あるいは人為災害に対してとってまいりました対応は自衛隊協力をなくしてもやれる、そういう体制が一応できておるということから考えまして、現時点では自衛隊の御協力を必要としないということでこの法律を御提案申し上げた次第でございます。  しかし、遠い将来というか、将来において全然その可能性を否定するかどうかということになりますと、これはやはり国会の御論議あるいは国民の世論、憲法、自衛隊法、あらゆることを勘案して慎重に検討すべき問題ではなかろうかというのが我々の姿勢でございます。
  94. 黒柳明

    ○黒柳明君 メキシコ地震のとき、あるいは今までのことも米、仏あたりの軍隊が出て非常に機動力があった。当然、軍隊じゃありませんよ、けれども自衛隊が行った方がいいことは間違いないという認識はおありでしょうね。
  95. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ちょうど太平洋諸島では委員御承知のとおりサイクロンが非常に多くて、サイクロンでやられますと非常にがけが崩れたり港が崩れた力するのをアメリカの海兵隊が非常によく活動しております。そういう大規模ないろいろな工事とかそういうのを迅速にやるというので軍隊が活動するというのは効果的かと思います。しかし、日本の今やっております現状体制というのは、医療とかあるいはその他の専門技術、地震専門家派遣するとか、そういう形のものが今のところ中心でやっておるわけでございますから、そういう意味から申しますと現状の体制で十分ではなかろうかと考えておる次第でございます。
  96. 黒柳明

    ○黒柳明君 だけれども、英さん、今までも一生懸念やられたんだけれども、やっぱりメキシコなんか見ると遅いわけですな、日本の出動が。ほかの国の方が早いわけですよ。ですから今までのパターンでということでもないんじゃないですか。できればもっと早く、医療は当然ですよ。ですけれども、瓦れきの下にいる人命救助から含めて、あるいは余震があるうちにも出動と。当然今までのパターンだけで踏襲するという考えじゃないんでしょうね。できればもっともっと先行していくという考えもあるんじゃないですか。
  97. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 今までも二十四時間以内にというのが我々の考え方でございまして、どんなにおそくても四十八時間以内に出ておりまして、平均しますとかなり早い時間に出動しております。
  98. 黒柳明

    ○黒柳明君 地域的に中南米、日本は遠い国ですから時差というのは当然あると思いますね。ですけれども、必ずしも何も自衛隊をやれということで私は主張して無理にそれがいいと言わせるために言っているんじゃないんですけれども、やっぱり自衛隊派遣した方がいいとおっしゃる人は、今までも言われていたように、憲法では決して自衛隊海外派遣を禁止しているわけじゃないんだ、だけど日本国のこれありということで、大体核と同じですよ。核だって憲法で持つことを禁止してはいないんだ、だけどと、こういうことだったわけです。ですから、自衛隊海外派遣、今は自衛隊必要ないんだ、今までのパターンは自衛隊必要なかったから、こういう論法で自衛隊必要ないということでもないんじゃなかろうか。あった方がいい場合もあるし、これからも想定できる、どうですか、局長、そのあたりは。
  99. 英正道

    政府委員英正道君) 今までの経験の中で割合見過ごされている点でございますけれども、現地の政府なり関係者の側の状況という点があるんです。もちろんその被災国の機関、軍隊なり警察というものがそういう復旧活動等をやるということで、人的な面はもう相当あるということがまず一つあって、そういうところに多量に外国からまた人員が来るということについては、むしろそうでなくて、お医者さんが来てほしいとか特殊な技能を持った人が来てほしいというケースが実は多いわけでございます。  そこで、今までの過去二、三年のケースでございますけれども、私ども経験から判断いたしまして、そういう組織的に大量の者を派遣する、自衛隊をということがなくても十分対応可能である、そういう判断に立ってこの法案をつくったということでございます。
  100. 黒柳明

    ○黒柳明君 あくまでもそうすると、遠い将来自衛隊派遣するかどうかということについては、大臣おっしゃったように、いろんな条件勘案ということは、今のところ過去二、三年のケースを見たときには必要ない、こういう判断だったと。そうすると、これからも必要あるかどうかということはまだ災害が発生してみないとわかりませんし、そういうことが重要な、これから自衛隊、遠い将来あるいは将来、それから憲法とかいろんな国内の、国会議論とか、こうおっしゃった一番の要素は、外国からの要請あるいは災害が起こったときの対応の状態、姿勢、これがやっぱり最大の要素、こうなると思うんですが、どうですか。  大臣がきのうからおっしゃっている遠い将来というのは、何も遠い将来論議といったって、今現在論議が起こっているわけですから、そうじゃなくて、やっぱり自衛隊派遣するのか、丸腰で、それはもう絶対否定はしないんだということは、あくまでも今まで二、三年の検討、今局長おっしゃった、その中においては必要なかったと。必要がないというのは今まではであって、しかしこれからは必要になる、現にほかの国では軍隊が出動して効果的だったわけですから、日本は軍隊じゃなくてもやっぱり同レベルにありますから、だから今までだって出ていれば、経験があれば必要だったという判断が出るかわかりませんよ。ですけれども、あえて自衛隊を除外せざるを得ないということでもあるかと思いますけれども、あくまでも災害ということを中心にしての海外派遣という最大の要素は、国民のとか、あるいは国会のとか、憲法、自衛隊、これも当然そうでしょう。というよりも、これから起こるであろう災害、そのときの要請、対応、そういうものを中心に検討する、これが一番の要素になる、こう思うんですが、どうですか。
  101. 英正道

    政府委員英正道君) 黒柳委員指摘のように、海外における災害は非常に多様でございますから、今後のこの法律が成立した後に派遣される派遣隊の実績というものを踏まえていろいろ考えていかなきゃいけないだろうというふうに考えるわけでございますけれども、やはり相手の国の要請、少なくともこの法律を提出して御審議いただくというためには、この法律のもとで効果的にこういう援助活動救助活動、医療活動その他災害応急対策等が予見される将来効果的に行われるということでお出し申し上げているわけでございます。そこで大臣の御答弁で、遠い将来またその状況が変わったようなことがあり得るということであればという御趣旨で発言されているというふうに了解しております。
  102. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから斉藤さん、きのうもテレビ見たら、大臣の後に斉藤さんが来てぱっとこうやったりして非常に勇ましくて、ぶっきらぼうだったけれども、一言言って突っぱねて、おお大したものだなと思った。要するに、どうですか、自衛隊海外派遣はしちゃいけないんだ、国会決議だと、こんなことを言われても頑として、そのとおりですと言わなくて、いや将来は将来というようなことであれして、御立派になったなと思っていましたけれども大臣は、武力行使しなければ自衛隊海外派遣したっていいんだというようなことを当然思っていらっしゃるんじゃないですか。
  103. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 御案内のとおり、日本自衛隊の建前と外国の軍隊と大分事情が違うことはもう百も御承知でございましょう。例えば、今南太平洋のサイクロンの話をしましたけれども、外国の海兵隊というのはしょっちゅうあの付近をうろうろ――うろうろと言うと悪いですが、動いているわけですね。日本の場合には海外に出てないわけです。ですからそれを派遣するということになると大変なことでございますね、憲法上その他自衛隊法の問題は別といたしましても。しかし、諸外国の場合にはそういう現地に行っている部隊が非常に多いということはあるということも考慮に入れてしかるべきことではないか、実際問題として、そう考えている次第でございます。
  104. 黒柳明

    ○黒柳明君 条約局長、これは法制局の長官あたりの答弁だと思うんですけれども、さっき言った、核も憲法上は必ずしも保持することを禁止してないんだ、今も自衛隊海外派遣というのも必ずしも憲法上はノーではないんだと。だけれども、この核と自衛隊海外派遣というのは違いがありますか、憲法上。
  105. 斉藤邦彦

    政府委員斉藤邦彦君) 憲法論でございますので、有権的な解釈というよりは、今まで政府が説明してきた立場を御説明いたしますと、核につきましては、ただいま黒柳委員指摘のとおり、憲法は核兵器の保有を全体として禁じているものではなくて、核兵器が自衛のために必要最小限とみなされるようなものであればその保有まで禁じているものではないであろうというのが政府の立場でございます。  他方、海外派兵につきましては、これは海外派兵というのは武力行使の目的を持って武装した部隊を他国に派遣することというふうに定義づけられておりますけれども、そのような海外派兵は、一般に自衛のために必要な、自衛のための必要最小限度を超えるものであるので、憲法上海外派兵は許されないというのが政府の立場でございます。  したがいまして、核兵器保有の問題と……
  106. 黒柳明

    ○黒柳明君 いや、そうじゃなくて、そのもう一つ後よ。だから武力行使をしない……。
  107. 斉藤邦彦

    政府委員斉藤邦彦君) 失礼いたしました。  武力行使を目的としない海外への、これは海外派遣という言葉を使っておりますが、海外派遣についてはこれは憲法上許されないわけではないというのが政府の立場でございます。
  108. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、今のその後段の分と核兵器の分と、これはどうも私は同じような、後のコメントは違いますよ、パットは違いますよ、同じようなものに聞こえるけれども、違いありますかね。
  109. 斉藤邦彦

    政府委員斉藤邦彦君) 御質問趣旨をきちんと理解したかどうかは自信がございませんが、いずれの場合も憲法上禁止はされていないけれども、憲法以外の法律とか、あるいは核兵器の場合には条約もございますけれども、憲法以外の体制によって禁止されているという点におきましては同じというふうに考えられると思います。
  110. 黒柳明

    ○黒柳明君 核の場合にはもう非常に国内世論、国際世論が厳しいですよね。核については絶えず国民の目に耳に触れる。自衛隊海外派遣、派兵じゃなくて派遣、これについては非常に国民、私たちも含めて議論の場というのは少ないですね。こういう法律が出たから議論になる、活字になるわけですよ。まして国民の関心というのは、失礼ですけれども非常に少ないですね。やっぱり活字に、絵に映ってきませんからね、こういうときでもなければ。核については非常に厳しい姿勢がある。ところが自衛隊海外派遣については、前段は同じような論理ですけれども、こういう場にならないとちょっと出てきません。  それと同時に、核は持つべきだなんと言う人は非常に、まあ中にはいますけれども国会の論議でやる人はないわけですよ。中に一人ぐらいいるか、私寡聞にして知りませんけれども。ところが派遣の場合には、もろにやっぱり派遣したっていいじゃないかと出るわけじゃないでしょうか。だから政府も、外務大臣条約局長も、遠い将来あるいは将来とかという仮定を入れて、条件を入れて、絶対これをやらないんだということはおっしゃらないんじゃないんですかね。  ということになると、英局長が言いましたように、今まで二、三年はそれは必要なかったと。そうすると、これからは必要あるかどうかなんて全く未知数ですから、それによって考えられる場合もある。必要ならば自衛隊法を改正する、あるいは国民世論を形成する、国会の霏霏とした論議も必要になあ、そしてそれが必要に応じて必要なものもやらなきゃならない、こういうことにもなるんじゃないですか。――ややこしいですか、ちょっと。私の論理が頭悪いからちょっと回りくどくて済みません。端的にぱっぱっといかなくて済みません。もしわからなかったらもう一回同じ質問します。
  111. 斉藤邦彦

    政府委員斉藤邦彦君) 昭和五十五年に、この海外派兵、海外派遣の問題につきまして、政府質問主意書に対して答弁書を出しておりますが、この中で、先ほど来御説明しております法律論をした後で海外派遣につきまして、「このような自衛隊の他国への派遣については、将来どうするかという具体的な構想はもっていない。」ということを申しております。  それで、これが今度の緊急援助隊関連自衛隊をこの援助隊に含めるかどうかという問題につきまして、大臣を初め政府側が、現在その必要性はないと考えているということ、それから遠い将来の問題としては、いろんな意見を考慮に入れて考えるべきだという発言をしておりますのと全く同じことを申し上げている次第でございます。
  112. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、もう一回言いますよ。核については、憲法上持てないとは言えないけれども、持っていない。非常に厳しい、絶えず核については国際世論が厳しいから、こんなものを国会において持てなんと言う議員だっていやしませんでしょう。いいですね、ここまでは。海外派遣についてもいろんな論議がありました、今までも。遠い将来のことじゃないんです。ところが、将来含めてそういう構想がないという五十五年の政府見解がありながら、今回の国会においては、この法律関連しては、関連ですよ、この法律の中身じゃなくて、関連しては、きのうの答弁のように絶対やりませんとは言わない。少なくとも私たち、マスコミを通じてでなくて、私たち、国民の皆さん方もその可能性を残した、こういう答弁をしているわけですよ。  それはなぜかというと、大きな違いがあります。憲法上、政府が述べた核に対する、持てるんだけれども、できるんだけれども、だけれどもという、それは違わないんですね、核も海外派遣も。だけれども、もう国会なり世論なりが厳しい、国際的に厳しい、核は。だからそんなものは将来ともに持つなんて言いやしません、政府は。そうでしょう。ところが派遣の問題につきましては、この法律審議を契機にして余地を残している。間違いない。ということは、今英さんに質問しましたように、今まで二、三年の過去のあれを見ますと、必要なかったからこういう法律をつくったんだと。だけれども、今後の問題は、今言ったように発生の規模とか内容とか、まして今までだってほかの国は軍隊でこれだけ有機的な、効果的な活動をしているんだから、そうするとこれからの災害の対応を見てみないと、そうでないと自衛隊派遣というものについてはいいかどうかも決められないということよりも、逆に言うと、これからの災害、これを見た場合に自衛隊派遣は必要である、こういう結論も出るかわからない。  ですから、そうなりますと憲法とか国民世論とか国会とか自衛隊法とか、当然これ関連しますけれども、それよりも最大の問題は、この次に出てくる災害、これを見て自衛隊派遣が必要であるか、こういう問題を決めていかなきゃならない、また論議もしてもらわなきゃならない、必要ならば自衛隊法も改正しなければならない、こういうことになるんじゃないでしょうか、こう言っている、大臣。もういいですね。どうですか、その点は。  もう一回言いますよ。遠い将来とか将来とかという漠然としたことじゃない、国会の論議とか国民の世論じゃない、まずこの次にくるであろう災害要請、対応、各国のを含めて、それを参考にしてということにならざるを得ないんじゃないでしょうか。どうでしょうか。
  113. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 御承知のとおり、今度インドに参りましたら百六十年来の大干ばつ、それからバングラデシュに参りましたら六十年来の大洪水ということで、大体十日に一度ぐらい世界じゅうに災害が起こっているわけでございます。ですから、こういう災害に対して日本がどういう御協力を申し上げるかということはやはりその事態において判断すべき問題であろうかと思うわけでございまして、現在日本が御協力申し上げているこういう援助体制におきましては、自衛隊派遣を必要としないという判断に立っておるわけでございます。  しかし、理論的に言えば、将来、いろいろ国民の世論の動向なりすべての案件を考慮しながら、果たしてどういう災害が起こるかということは全く予想つきません。本当にもう地球がひっくり返るような大災害が起こった場合にどうするかというようなそういうことがあった場合に、やはりそういうことに合わせてどう判断するかということはまさに国会の意思によるものじゃなかろうかと思う次第でございます。
  114. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは逆にとりますと、東海地震なんというのはきょうあした起こる問題で、政府もあれだけの体制をあれしていますが、もし逆に日本で起こった場合、外国から軍隊がそれじゃ援助という場合にはこれは受け入れる可能性はどうなんですか。ほかの国じゃみんな軍隊行っていますわな、アメリカだってイギリスだって。日本の場合どうですか。ほかの国から軍隊もそれじゃ手伝いに行きましょうと、こういった場合、受け入れますか。
  115. 斉藤邦彦

    政府委員斉藤邦彦君) それは全く政策上の問題でございまして、法律的に、外国の軍隊が日本の何か災害に対して援助をしたい、援助に来たいという要望ないし申し入れがあった場合、これを禁止するような法律というものはないだろうと思います。したがいまして、それを受け入れるか否かは全く政策の問題として決定されるべき事項ではないかと考えます。
  116. 黒柳明

    ○黒柳明君 確かに日本は唯一の被爆の国であり、核に対しての話り継がなきゃならない大きな役割もありますし、それから平和憲法を持っておりますし、自衛隊海外派遣、派兵禁止、派遣までも厳しい条件がついている、これは間違いありません。世界唯一の、今まで有史以来あるいは建国以来例がない法律、姿勢を持っているわけですよ。ただ問題は、それだけでこれからの日本が、あの経済大国一位、それがたたかれていると同じように、アメリカのあのゼントルマンがテレビの前で野蛮行為をするような、ああいう一企業に対して感情的にむき出しになる。それはやっぱり世界から、いや、この国ではこういうわけだというそれだけで国際社会でおつき合いいただく、これはもうできないことは間違いありませんね。  ですから、これをつくるときには、英局長が二、三年とおっしゃったけれども、必ずしも二、三年じゃなくてもっと長いスタンスで――まあ二、三年でいいですね、長く必要ないです、二、三年立派な調査をされて自衛隊は除いたんだと、こう思いますけれども、各国の援助体制の中で軍隊の役割、何もこれを私強いでクローズアップする必要はないと思いますよ、局長。何も軍隊だけが援助しているんじゃないんですから。みんな総動員ですから。特にお医者さんなんというのは最大の要員ですよ。最大の力ですよ。ですけれども、お医者さんが出てくる前に、それは日本災害だってそうですからね、やっぱり自衛隊です、泥まみれになって働くのが自衛隊でしょう。そして当然のことながらお医者さんが相当手厚くこれを看護するわけですからね。  ですから、英さんが二、三年の過去のケースを見て、これはもう私が言うまでもないと思います、各国軍隊の役割、そこなんかも強調しなきゃならない、強調すべきだ、隠しちゃならぬ、はっきり教えるべきである、国民の前に。そして、だけど日本派遣は今考えてないんだと。何かそういうことを除きますと、世界各国から見ると、日本だけもうけやがってと。何を言ってるんだ、おまえたちは怠け者じゃないかという意見、そんなことやったってだめなんですから。客観的に見て我が国の誠意、我が国の国民の税金、これを行使する上において我が国の許容できない範囲、これはだめですよ、憲法があるんですから、自衛隊法があるんですから。だけどそれをきちっと守った上においてもっともっと外務省が、それこそほかの省庁と違って国際的視野、感覚もあって今までも苦労し、これからも苦労する先兵なんですから、こういう法律を契機にして、各国の軍隊なんかどういう役割をしたのか、どれだけ効果的だったのか、どういう機動力を持ってきたのか、そういうものもやっぱりやることと、そうなると、おまえ自衛隊を容認するんじゃないかと言われたら言われたっていいじゃないですか。そんなことは言う人の勝手じゃないですか。それは主観があるんだから、その人の哲学ですから。  英局長笑っているけれども、そんなことはもう言われなくたって知っているよなんて笑っていらっしゃいますけれども、これは英さんに言ったんじゃないですよ、僕は条約局長大臣に今言ったんです。これは私の責任分野じゃありません。皆さん方が一生懸命調査してつくられて、これからも苦労されるわけですから、そんなこともひとつつくったあと、何だ自衛隊来ねえじゃないかと言われないようにしてくださいよ。そんなこと言われたらそれこそもう逆手にとって、何言っているんだおまえはと、このぐらいに言えるぐらいな強いやっぱり外交、強い姿勢でこの法律を自信を持って通過するなら通過してもらわないと、通過したわ、超党派で賛成したわ、それでやっちゃったら、何だまた文句言われた、そんなことじゃうまくないんじゃないか。済みません、私の主観で申しわけありませんけれどもね、そういうことも私感じております。  我が国のどっかで大災害があればアメリカはすぐ来ますよ、もう軍隊がいるんですから。ですけど外国の人だって心配します。これこそもうすっ飛んできますよ、ほかで例がありますから。外国の場合には、民間のボランティアといったってなかなか日本みたいに号令一下というわけにいかないんですよ。それなりに強いですよ、ボランティアというのは。日本も強いですよ。強いけれども、やっぱり軍隊の方が強いですよ。これは当たり前です。自衛隊はいつも日本災害だって第一番ですよ。七年前の伊豆沖災害だって、一番初め発見したのが木更津のヘリコプターじゃないですか。山の上で水漏れがある、ダムが切れている、夜中の十二時じゃないですか、静岡県知事が自衛隊要請したのは。やっぱりそれだけの機動力があるから、これはもうへのもの言ったってだめなわけですよ。  そういうこともひとつこの中には、当然自衛隊派遣しませんと、しかし外国の軍隊や何かは現に災害出動されている、災害に対して非常に効果的な力を発揮しているわけですから、そんなことも考えながら、ただ単に方便として、いや余地残しているんだと、こんなことで国会発言しているんじゃないと私は信じますけれども、その点についてもひとつしっかりした姿勢でこれを実施してもらいたい。ひとつ要望しておく。  それで最後にMFOの問題です。まあいろんな問題考えたけれども、MFO、国際監視軍ですか、これに対してやっぱり援助をされるんですか。PKO、国際平和軍とはちょっと違いますね、これはもう私言うまでもない。国連のもとにある援助部隊と違いますよ。これはもう来年の予算に援助をつけると、二百万ドルですか、こういうような記事が出ていまして、またこれはマスコミの皆さん方に教えていただいたんですけど、これは大体その方向でまとまるんですか。
  117. 倉成正

    国務大臣倉成正君) MFO、マルティナショナル・フォース・アンド・オブザーバーズの問題は、一九八二年の三月からシナイ半島に展開し、エジプト、イスラエル両国間の国境地帯の平和維持を任務としている多国籍軍の監視団でございます。したがって、MFO事務局からMFOの財政状況の悪化を理由我が国に対して資金協力要請がございます。現在この要請にこたえるべく予算措置を含めてその対応ぶりを検討中というのが現状でございます。
  118. 黒柳明

    ○黒柳明君 何も私は、別に外務省じゃありませんけど、これはちょっと問題じゃないでしょうか。イラクにまた行かれるような記事も出ていましたし、六月にイランに行かれて一生懸命やられた。国連で十回ですか、もう決議案出しているけど、今回イラクがイエスもノーも言わなかったね、拒否もしなかった。これはもしかすると倉成外務大臣の大手柄ですよ。こういうところをやっぱりどんどん宣伝しなきゃ。今まで十回拒否してたんでしょう、イラクが。今回初めて拒否もしないけど受諾もしないというわけでしょう。これは倉成外務大臣があの中東外交で一生懸命――いや汗かかなくても大丈夫です、そんな褒めていませんから、私は。ちょこっと言っただけですから。手柄かわかりませんよ、私はそう信じたい。しかも絶えずマスコミの皆さん方に書かれる。西の中で日本だけじゃないか、イランにパイプを持っているのは、イランとイラクに同じに物を言えるのは。というときに、まあ確かにいろんなジレンマがありますよ。ペルシャ湾でアメリカにお世話になって一生懸命要請もされているでしょう、資金援助も。  ですけれども、これはやっぱり発足がキャンプ・デービッドであり、カーターとイスラエルとエジプトだし、サウジだってもうイランとは国交を断絶なんて言われている。非常に緊迫もいいところでしょう。これは東海地震以上ですよ。あしただってこれは国際紛争になりかねないんでしょう。そのときに、せっかく世界じゅうから評価され、日本のマスコミから外務省がただ一つ評価されている、そのパイプを持っているんだと。それがここに援助を与えたら、もうそれこそだめになってしまうんじゃないでしょうか。  イラクに行けますかな。イランと平等に物をしゃべれるかな。しれは僕の懸念ですか、ただ単に。時間がないから簡単でいいです。
  119. 恩田宗

    政府委員(恩田宗君) 私どもは、このキャンプ・デービッド合意を包括的な中東和平実現へ向けての第一歩であるというふうに評価しておりまして、こういう立場から諸外国に説明をし、理解が得られるというふうに考えております。
  120. 黒柳明

    ○黒柳明君 それはいいんですよ。キャンプ・デービッドで要するに中東紛争を和平的な方向で解決しよう、引っ張っていこう。これはもうきのうの敵はきょうの友、きのうの友はきょうの敵で、わからないんですね、あそこの周辺は。まして今も大変ですね。だからその線はいいんです。ただし、八二年のキャンプ・デービッドのあのときの様子、当然言うまでもなくソ連が反対した。そういうものにソ連が反対した。それで、しようがないから国連参加じゃなくてできた。それにたしかアメリカ要請、一生懸命頑張っているから何か援助しなきゃならない。直接援助はできない、だから間接に医療、輸送と、こう言っても、今の東芝問題じゃない、日ソ関係じゃありませんけれども、そんなことはもう感情論でこれはネグられてしまうんじゃないですか。道義論。そんな法律とか何かじゃなくて、今のこの雰囲気の中にのみ込まれてしまうんじゃないですか、そんなものは。それを心配しているわけですよ。
  121. 恩田宗

    政府委員(恩田宗君) 先生御存じのとおり、このMFOには広い十一カ国にわたる国際的な支援がございまして、私どもとしては、この活動がシティ半島における平和の確立のために非常に重要であり、有効な役割を果たしていると考えております。したがって、ここに対する日本協力が、日本のペルシャ湾及びイラン・イラク紛争にかかわる平和努力にマイナスになるなり、差しさわりがあるというふうには考えておりません。
  122. 黒柳明

    ○黒柳明君 それはいいんですよ、皆さん方の意見はもうそのとおりだから。予算を組んでいる。これは八三年ならまだよかったかわかりませんよ。八四年だったらまあまあだったかわからないけど、八七年の今日において、ペルシャ湾のこの危機の状態においてはシナイ半島のというわけにいかないんじゃないでしょうか。ペルシャ湾全体のことであり、イラン、イラクのこの緊迫した状態であり、さらに言うならば中近東全体のことであって、平和裏の解決のための援助でしょう。その善意を、十一カ国あります、それを逆にとる国が当然あるじゃないですか。そうなると日本の立場というのはどうなんですか。  これは外務大臣、中近東局長と同じような答弁を繰り返して、だからこそ予算、援助をと、こういうことだと思いますけれども、これはシナイ半島の、八二年のというわけにいかない。十一カ国の国際的援助というわけにいかない。反対しているブロックがいる。そうなるとペルシャ湾全体の中における――日本はやるといったって何もできませんけれども倉成外務大臣だけですよ、やっているのはね。何もできませんけれども、その中で、ほんのわずかの期待にせよ、この二百万ドルのためにもうぶち壊れてしまう。その可能性というのはゼロですか。ありますよ。それだったら相当やっぱり慎重にしなきゃならないんじゃないですか。  私は、局長のおっしゃった趣旨は賛成ですよ。そうあるべきだと思う。ただ、今の時期、これは避けた方がいいんじゃないですか。これを老婆心ながら私の主張として言わせていただくだけであって、別にもう外務省の主張を変えろなんて言っていません。これだけ一生懸命頑張ってきた中近東外交ですから、せめて外務大臣おやめになったらやれと、こう言ったらいいんですよ。おやめにならぬうちにやると、何で倉成外務大臣は一生懸命やりながらそんなことをと、こういうふうになりますから、あと二カ月はひとつ――話を出すならおれがやめてからやれと、これぐらいに…。  余分なことを言って申しわけありません。ひとつこの問題、やっぱり同じですか、外務大臣は。
  123. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 大変貴重な御意見をちょうだいいたしまして、ありがとうございました。
  124. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十五分開会
  125. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  126. 立木洋

    ○立木洋君 まず、法案についてお尋ねしたいと思うんですが、この法案は、海外地域、特に開発途上国にある海外地域において大規模災害が発生したときということを想定して国際緊急援助隊派遣する。これはどういう立場からこういう援助隊派遣するかという点について言いますと、ここにも出されておりますように、先ほども答弁でありましたが、主には自然災害を想定に置いて、とりわけ人道的な立場で援助を行うというのが基本的な考え方だろうというふうに思うんですが、そのように理解してよろしいですか。
  127. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいま立木委員が仰せのとおり、主として人道的な立場から自然災害あるいは人為的な災害に対して行うものでございますけれども、また、日本が国力にふさわしい応分の協力をするという点からそういう問題に対応する場合もあると思います。
  128. 立木洋

    ○立木洋君 もちろんそういう場合であっても基本はやはり人道的なものですから、この援助隊派遣するという問題については、戦略的だとか、あるいはとりわけ政治的な特定の意図を持ってこれを行うというふうなことはやっぱり厳に慎むべきであろうというふうに考えますが、それはいかがでしょうか。
  129. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 仰せのとおりでございます。
  130. 立木洋

    ○立木洋君 先ほども言いましたけれども、大規模災害の発生の問題で言いますと、メキシコの地震の問題その他取り上げておりますが、災害ということについての定義といいますか、考え方ですね。災害、もちろんこれは自然災害というのが基本にありますし、先ほどちょっと出されました工業災害だとか、あるいはチェルノブイリみたいな事故等々も想定されるでしょうが、少なくとも戦争、いわゆる武力紛争ですね、こういうものについては、災害などということはここで言われている概念とはまた違うものとして当然考えられなければならない。だから、そういう武力紛争に介入するような援助隊というものではないというふうに理解していいですか。
  131. 倉成正

    国務大臣倉成正君) もう一度問題を整理して申し上げますと、ここに言う災害は主として地震火山噴火、台風、洪水等自然災害を指しております。また、ガス爆発原子力発電所事故による放射性物質大量放出等による人為災害も含まれますが、戦争内乱等戦闘地域における武力の使用による直接の被害には本法の適用は想定しておりません。
  132. 立木洋

    ○立木洋君 だから、そういう趣旨に立ちますと自然災害が中心でありますが、武力紛争が生じておる地域にかかわる場合ですね、武力紛争が生じている地域自然災害が起こらないということはこれはもちろんないわけですし、そういう場合でも、そういう武力紛争を助長するがごとき対応の仕方というのは厳にやはり慎むべきであるという精神としてこの法案は理解されなければならないと思うんですが、いかがでしょうか。
  133. 倉成正

    国務大臣倉成正君) そのとおりに心得ております。
  134. 立木洋

    ○立木洋君 それから、先ほど来いろいろ問題になりました自衛隊にかかわる問題です。援助隊には自衛隊はもちろん含まれていないといってとは附則の中でも明らかにされているわけですが、自衛隊は含まないし、自衛隊海外派遣につながるようなものではないという点についてもう一度はっきりさしていただきたいんですが。
  135. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 緊急援助隊派遣につきましては、この法律にも明らかでございますように、これまでの経験等にかんがみまして、本法別表に掲げる関係行政機関職員都道府県警察市町村消防等の地方公共団体職員及び民間人協力により機動的かつ効果的に事態に対処すると考えておる次第でございます。かかる判断に基づき本法案別表に掲げる関係行政機関の中に防衛庁は含まれていないわけでございまして、自衛隊がこの法律に基づき援助隊として海外派遣されることにはなっておりません。
  136. 立木洋

    ○立木洋君 その点で、午前中来の同僚議員質問に対する御答弁の中で、将来考えるというような含みの発言をされましたが、考えると言われる前提はどういうものなんですか。もう一度そこのあたりを明確にしておいてほしいんですが。
  137. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 従来いろいろな災害に、この法律制定前におきましても日本医療チームを送るとかあるいは専門家チームを送るとかいろいろな意味で迅速に行動してまいったつもりでございますけれども、今回の法律を契機に総合的な組織的な活動をしたいということでございますけれども、従来の経験にかんがみますと自衛隊の御協力がなくても十分我々の任務は果たし得る、そういう考え方に基づいて自衛隊はこの別表の中に入れてないわけでございます。  ただし、国会の論議等いろいろお伺いをいたしておりますと、自衛隊を当然含めてそしてもっと積極的にいろいろな面で活動したらどうかという御意見もございますし、またそうあってはならないという御意見もございます。したがいまして、将来の問題として、自衛隊の参加について万一それが必要と判断されるようなことになれば、その時点で改めて検討されることだと認識しておる次第でございまして、その意味で将来の検討課題と考えておる次第でございます。  しかしその場合でも、いずれにせよ自衛隊がこの法律に基づき国際緊急援助活動を行うためには、本法別表国会審議を経て改正する必要があることは申すまでもないことでございます。
  138. 立木洋

    ○立木洋君 私たちは、自衛隊海外派兵につながるあらゆる兆候については十分にやはりただしていかなければならない。先ほども条約局長が憲法に対する解釈がどのようになされてきたかということについても述べられましたが、災害の状態が変わった場合に、また大規模災害が起こった場合に自衛隊派遣もあり得るかどうかということを検討すべきだというふうなことでは私はならないと思う。問題は、日本政府のあり方、政治のあり方、憲法というのがあるわけですから、やはりそれに基づいてどうすべきかということが明確にならなければならない。  外国からとやかく言われたからといって、一々それに従って頭を下げてやっていったならば、日本の政治の理念がどこに行くのか、日本の憲法が全く無視されてしまうということになると、日本の国というのは、いつも大臣は私の発言が大分お嫌のようですけれどもアメリカに従属したような立場にならざるを得ないわけですから、そういう点はやはりきちっとした対応をとる必要が私はあるだろうと思う。ですから、自衛隊海外派遣を将来とも災害で行うというふうなことは政府としては考えてはならない。将来ともそういうことがあり得るというふうなことを、そういうふうな風潮を助長して自衛隊海外派兵が好ましいかのような政治状況をつくり出すということは、私たちは極めて遺憾だというふうに考えている。  これまでの戦前の歴史でもそうですけれども、最近も幾つかの本を読ましていただきましたが、何しろ自衛という名目のもとに海外に軍隊が派遣されてどれほど大変な被害を受けたのかということは、まさに日本の国民だったし、同じようにアジアの国民が受けてきたわけですね。だから、日本自衛隊海外に出るということについては、アジアの諸国民はとりわけ厳しい目で見ていますよ。そういう点はやはり厳重に見ておく必要がある。私たちは、少なくとも日本の歴史の中にはそういう負の歴史というのがあったわけですから、そういう問題については諸国民との関係、真の世界の平和や友好を考える場合にはそういう問題をないがしろにして考えるべきではないだろうと私は思う。とりわけアジアの国でありますから、私たちのかつての歴史の問題や今日のアジアの人々が、日本自衛隊が真にいわゆる軍国主義強化をされて海外に派兵されるおそれがないのかという点については厳しい目で見ているということがいろいろな新聞等でも見ることができるわけですから、こういう点は厳重に考える必要があるだろうというふうに思います。  また、軍隊というのは、これはかつての防衛庁関係者の発言の中にもあるんですが、軍隊というのが動き出すとひとり動きするというんですね。いわゆる軍隊の任務を与えられると、やっぱり軍隊というのは軍備を増強しなければならない。そして防衛というのは、攻撃こそ真の防衛なりという形になって、だんだん攻撃的なものにならざるを得ない。そこに本来の軍隊のあり方があるんだ、宿命があるんだというようなことを本に書いている方がいましたけれども、だから、そういう海外に派兵するなんという憲法から逸脱したような事態を導き出すことが今回のこうした法案の中から生じるということであるならば、それは私たちは厳にそういうことはあってはならないということを特に主張しておきたいんです。  ですから、私の考えとしては、今回の場合、昭和二十九年に国会自衛隊海外出動を禁止した決議を行っているわけですから、国際緊急援助隊への自衛隊の参加は将来にわたってこれを行わないことにするということをも附帯決議の中に入れていただきたいというふうに考えておりますし、また、国際緊急援助隊の国外派遣に当たっては、憲法に基づいて国際紛争に関与することがないよう配慮されたいというふうなことも附帯決議の中に含めていただきたいというふうなことを考えているわけです。  この二十九年の決議というのはもう御承知でしょうけれども、もちろん私たちは自衛隊の存在そのものについて異なった見解を持つということはありますけれども、しかし、この「自衛隊海外出動を為さざることに関する決議」というのが昭和二十九年六月二日参議院において決議されたわけですね。この決議の中で、「本院は、自衛隊の創設に際し、現行憲法の条章と、わが国民の熾烈なる平和愛好精神に照し、海外出動はこれを行わないことを、に更めて確認する。右決議する。」という決議があるわけです。ここでも、「自衛とは海外に出動しないということでなければなりません。」ということも説明の中では述べられておりますし、「先般の太平洋戦争経験で明白であります。それは窮窟であっても、不便であっても、憲法第九条の存する限り、この制限は破ってはならないのであります。」というふうな趣旨のことも趣旨説明の中では述べられております。  私はそういう意味で、今回のこの法案が採択されるに当たってこの精神をやはりもう一度私たちは想起する必要があるし、そういう点では特に厳にこういう精神を踏まえた立場を大臣としてもしっかりととっていただきたいということを強く述べておきたいわけですが、その点についての大臣のお考えを述べていただきたいと思います。
  139. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 今回の法律の中におきましては、自衛隊派遣考えていないということについてはもう明らかでございます。そしてまた、ただいま立木委員の仰せになりました精神というのは我々も十分踏まえているつもりでございます。  ただ、御案内のとおり、この数日来の衆参両院の外務委員会を通じての議論を見ますと、自衛隊派遣したらどうか、いや絶対それはやめるべきだという、いろいろ御意見があることも事実でございます。我々が準拠すべきものは憲法でございます。憲法の精神を遵守していかなければいけないということがまず第一。そして、やはり国民の動向、世論の動向ということもまた我々の考慮に入れるべきでございますが、最終的な判断は国権の最高機関である国会が判断すべきことであろうかと思いますので、国会の御意思に従って政府は忠実にその問題を処理してまいりたいと思うのでございます。
  140. 立木洋

    ○立木洋君 憲法に基づいて行う国会で、最高権限機関である国会でということはもちろんそうでありますけれども、現実にいえば、憲法がなし崩し的に解釈改憲されるというふうな状態が全くなかったわけではありませんし、現状からいえば、これは残念というかどういうか別としても、自民党が多数でありますから、そういう状況の中で国会で多数決で決まるとなればどうなるかというふうな問題もありますので、この精神をやはり踏まえるということを特に私としては強調しておきたいということを重ねて申し述べて、次に移りたいと思うんです。  昨日から国連で軍縮と開発に関する会議が行われていますが、これに対する日本政府考え方、これに対する対応というのはどういうふうにお考えになっているのか。これは予定の質問じゃないので、大臣に一言二言ちょっとお聞きするだけです。――そしたら、これは事前にその問題については質問すると言っていませんでしたから、もう少し私の方で述べます。  軍縮と開発の会議というのは、私は非常に重要な会議だというふうに見ているわけです。御承知のように、今国際的に言えば一兆ドルにも上る軍事費、軍備費が支出されるという大変な状態にありますし、そのために他方では多数の方々が飢えに苦しみ、子供たちが死亡していくという事態まであるわけです。  この開発という問題は、広い意味での開発ということで、極めて狭い、狭義的な意味での関発ということではないわけで、そういう意味では、今地球上に存在している軍縮と開発という問題、これはまさに極めて重要な課題だろうというふうに思うんです。国際的にも軍縮という問題が核兵器をなくしていくという方向とともに重要な問題として議論されている状況でありますから、そういう軍備を削減して、そして軍縮を実行して少なくともそういう開発に回していくという精神が非常にやはり重要だ、そういう広い意味での国際的なコンセンサスもできつつあるというふうに見ているわけです。  しかし、遺憾なことには、去年もそうでしたけれども、ことしはまさにこの会議アメリカがボイコットした、きのうから始まったこれをですね。ですから、こういう今日の地球上、世界上で重要な問題に関して、そして積極的に軍縮を進めて、地球上にある開発の問題についても取り組んでいくというこういう全人類的な重要な課題をボイコットするというふうな態度は私は極めて遺憾なことであり、日本政府としてはそういう問題に対してもアメリカにもきちっと物を申し、こういう国際的な問題を力を合わしてやっぱり解決すべきだ。  かつてカンクン・サミットのときに、社会主義の一部の国々がこのカンクン・サミットに対して極めて好ましくないというか、消極的な態度をとったことがあります。それは、社会主義の国がこれらの南北サミットについては、南北問題というのは我々とは関係がない、責任がないというふうな態度だったようですが、しかし、これはだれがつくり出したかどうかということは別としても、少なくとも地球上の問題としてそれは努力すべきだということで、一部の社会主義の国がそういう態度をとったときに私たちは批判をしたわけです。  ですから、これはすべての国々がこの軍縮と開発の会議の問題をやっぱり成功さしていくという方向で努力すべきだという点で、大臣の今後のお考え方、そういうアメリカの態度などについての意見もきちっと述べるということを要望したいわけです。
  141. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 突然のお尋ねでございまして、私が内容を十分理解してない点はお許しをいただきたいと思います。  御案内のとおり、今開発途上国は約一兆ドルの累積債務を抱えておりますし、私どもが乏しい知識で世界各国を回りましても、随分貧困、飢餓あるいは病気、そういうのに悩まされている現状でございます。したがって、先般UNCTADの会議がジュネーブは行われました際にも、この累積債務の問題を少し考えるグループをつくったらどうか、それからまた、一次産品の価格が非常に下落しておりますから、一次産品の加工をもっと真剣に考え会議をつくったらどうかという、日本側が積極的なイニシアチブをとって提案をいたしたところでございます。  なお、国連につきましても、これは唯一の国際的なイデオロギーを超えて参加している国際機関でございますし、またその中には多くの専門分野がございますけれども、国連の分担金につきましても、大国が必ずしも十分分担金を払っていないというような点も若干あるわけでございまして、そういう面につきまして、やはり我々人類は一つのボートに乗っている、それは自由陣営であろうと共産陣営であろうと、イデオロギーを超えて一つのボートに乗っておる。そういう意味において、平和と繁栄を、一つの地球という一つのボートの上に乗っている者がともに知恵を出し合い、そして譲り合い、相手の苦しみを苦しみとして、悲しみを悲しみとして、協力し合っていかなきゃならないということを絶えずいろいろな機会に日本の代表として主張いたしておるわけでございますので、ただいま先生の直接のお尋ねにはあるいはかみ合わないかもしれませんけれども、そういう精神のもとで仕事をやらしていただいておるわけでございます。
  142. 立木洋

    ○立木洋君 後でもよく調べていただいて、やはり軍縮と開発の問題の今日的な重要な点を十分御検討いただきたいし、そのための努力をぜひしていただきたいということを重ねて要望しておきたいと思うんです。
  143. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 承知いたしました。
  144. 立木洋

    ○立木洋君 先ほども出されましたが、アメリカの太平洋軍司令部の公式文書ですね、藤井さん、二つの文書、今調査をされて調べたら結果を発表するというけれども、大体いつごろその内容については入手して発表できそうですか。
  145. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) ただいまアメリカ政府当局に照会しております。先方が調査中でございまして、いつごろということは一にアメリカ政府の調査にかかっておりますので、私どもとしては確言いたしかねる点でございますけれども、できるだけ早くというふうには思っております。
  146. 立木洋

    ○立木洋君 それで、先ほど来も大分問題になりましたけれども爆発物処理グループの問題についてですが、これは私の方で承知しているのは、米海軍は佐世保と横須賀にある。そのほか海兵隊などについて言えば名護市のキャンプ・シュワブにありますし、空軍はまた別のところにあるということは承知しておりますが、海軍は私は二つだろうと思うんです。ただ、重要なことは、例えば佐世保ですと、隊舎はTの七二四という形で表示されたところに処理グループが存在していますし、横須賀の場合ですとCの三一に隊舎があります。  先ほど、米軍のあるところは弾薬処理分遣隊といいますか、そういうグループというのが大体あるのが当たり前だ、だから大したことではないんだというふうな局長の答弁があったんですが、これはいささかちょっと御認識が違うんじゃないか。米軍のところにある普通の弾薬を処理するというのは、これは普通の軍隊でも処理できるんですよ。やはり特別に重要視し、高度の弾薬を処理しなければならないというところにこの分遣隊というのが派遣されているんです。だから、日本には百幾つも米軍の施設があり米軍基地がありますけれども、すべてのところに弾薬処理分遣隊というのがあるわけじゃないんです。海軍はまさにこの二つ。これは俗に言われている母港化されている横須賀、佐世保ということになっているわけですね。この文書の中でも、この分遣隊というのは海上の化学、核または重大被害をもたらす爆発物の取り扱い、保管を担当するというふうになっていますし、さらには核兵器の移動、移送支援の任務を行うということにもなっているわけですね。  ですから、こういう弾薬処理部隊というのは米軍が存在するところどこにでもあるので大して不思議に考えない方がいいというふうな意味ではなくて、やはりもう少し内容を十分に検討されて、こういうものが存在するということがどういう意味を持つのか。これは、海軍の方の弾薬処理部隊というのは前はなかなか明らかにされにくかった状態があって、空軍だとか海兵隊とかいうのが問題になって、いろいろ国会内でも議論されてきました。ここへ出されているのは横須賀、佐世保というところにある弾薬処理部隊、これはまさに寄港、通過等々が行われるとすれば、頻繁に行われているに違いない港ということになるわけですね。もう事前協議がないんだからそれは入っていませんということは、政府の答弁としてはそういうことになるわけでしょうけれども、しかし、この問題については、よく検討した上で、あいまいにしない調査の結果を報告していただきたいという問題。  それからもう一つは、今まで核事故訓練なんかの問題についてもアメリカ側からのいわゆる話し合い、協議ということは一切なかったのかどうなのか。この文書とのかかわりでなくて、核事故訓練等々が行われた、現に嘉手納等々で行われたわけですが、そういう場合も事前の協議あるいは事後の通達等々はなかったのかどうか、その点はいかがですか。
  147. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) まず第一に、核事故訓練等につきましてアメリカ側から事前の協議その他はございません。  それからただいま御指摘のEODでございますけれども、我々の了解いたしておりますところは、このEODなるものはもともと二つの作業を合体した、それは一つは地雷の処理、マインディスポーザル、もう一つは爆弾の処理、ボンディスポーザル、この二つを合体いたしまして、海軍が初めてこのEODという名称をつくった、それが漸次ほかの軍に採用されていった、こういう経緯があるようでございます。  そういう経緯からも明らかでございますように、この部隊は爆発物の処理が主目的でございまして、主目的と申しますか、目的でございまして、爆弾とか弾頭、機雷、魚雷あるいは小火器などの弾丸等爆発物の処理というものがその目的でございます。ただ、けさほどから申し述べておりますように、その爆発物の中には、理論的には核兵器とかあるいは化学兵器で爆発物も含まれておるということでございまして、核兵器のみを対象とする特殊な作業ということを目的としているわけではございません。  したがいまして、私どもが申し上げましたのは、どこにどのようなEODがあるかということは詳細現在検討中であるけれども、我々が一応拝見しておる資料では、単に海軍のみならず、先ほど名前を挙げましたけれども、富士とか厚木とかにもあるようでございます。その辺はなお調査いたしますけれども、いずれにしましても基本的には、このような爆発物の処理というものは軍隊の任務遂行の中で必要なファンクションであるということを申し上げておるわけでございます。
  148. 立木洋

    ○立木洋君 もう時間がないのでこれ以上質問することができませんが、また別の機会に内容を詳しく議論させていただきたいと思いますので、できるだけ速やかに結果を調査して報告していただきたい。  時間がなくて法務省の方大変失礼しましたが、次の機会にまたお願いしたいと思います。  終わります。
  149. 小西博行

    ○小西博行君 この法案につきまして一、二点質問をさせていただきたいわけであります。  過去の実績をいろいろ拝見いたしますと、援助する場合の派遣の人数は大変少ないような感じがいたします。特にその中で見てまいりますと、医者であるとか看護婦さんあるいは専門家の方、そういう者にほとんど限られているわけです。それで、今度の法案が通過いたしますともう少し援助をする方向あるいは中身が変わってくるのではないか、そのように思うわけですが、この法案が通過いたしますと、どの程度の規模の、これは災害によって中身が相当変わるわけですから一概に言えないと思うんですが、従来の規模よりは相当やはり大きな規模援助ができるのかどうか、その辺のところをまずお伺いしたいと思います。
  150. 川上隆朗

    政府委員川上隆朗君) お答え申し上げます。  御質問規模でございますが、先生指摘のとおり、災害の種類、内容にもよりますし、さらに、けさほども議論が出ましたが、相手国政府がどういう形態のチーム、例えば救助隊を要請するのか、主として医療活動に従事する人間が欲しいということなのか、あるいは二次災害の防止等のための専門家が欲しいということになるのか、そういうことによって変わってくるわけでございまして、それぞれのチームが組み合わせの形で派遣されることも当然ございます。  ただいまの規模に主として関係するのは救助隊員派遣する場合だろうかと思いますけれども、今のようなことで違ってはまいりますが、我々といたしましては、数名程度から大は百名以上の派遣まで柔軟に対処してまいりたいと考えている次第でございます。
  151. 小西博行

    ○小西博行君 従来は、もちろん三つの柱がございまして、その中で二つ、いわゆる専門家の方と医療チーム、こういうことが中心にやられておったので、どうしても医者とか看護婦さん、あるいは地震関係ですと専門家の方、そういうふうな形になっておるんでしょうか。それとも、要求としては、いわゆる作業ですね、こういう分野の方も従来相当諸外国から要求はあったんでしょうか。その辺をお伺いしたいと思います。
  152. 川上隆朗

    政府委員川上隆朗君) 絶対的に大規模災害の例を若干見てみますと、コロンビアのあのネパドデルイスの大爆発、火山の爆発でございますが、それからメキシコの地震、エルサルバドルの地震といったような例を見てみますと、コロンビアの場合には少なくとも救助隊という形での役務提供的な要請というものはございませんでした。むしろお医者さん、看護婦さんといった医療活動に従事する方に来てもらいたいという形の要請だったと思います。それからメキシコの場合には、どちらかといいますと、技術者等の二次災害を防止する専門家に来てもらいたいという要請だったと承知いたしております。もちろんお医者さんのチームが行ったという経緯もございます。エルサルバドルのときに初めて救助隊というもの、その段階でこちら側がある程度体制が整いつつあったということとも関係いたすかと存じますけれども要請がありまして、たしか九名ぐらいだったと思いますけれども、出した経緯がございます。  ですから、結論的に申しますと、やはりこちら側の体制整備と関係している部分というのは若干はあろうかと思います。しかし、基本的には先方のニーズがどこにあるかということでございます。開発途上国でもかなり進んだ国になりますと、救助隊的なものは少なくとも自分でやれる、あるいは災害の種類によってこれはもう間に合っているといった形の要請になろうかと思います。
  153. 小西博行

    ○小西博行君 私は、このこととは別にしまして、海外のいろんな物品の援助、そういうものを、例の青年協力隊の調査でタイヘ行きましていろいろ調べたときに、現地の方々が本当に望んでいる品物が入るのじゃなくて、大型のブルドーザーが入ったりというようなことで、現実には修理もできない、もうスクラップの山になっているというようなお話を聞いているものですから、案外向こうの方も、日本の実態というのはこの程度だろうということで、要求そのものを、今ここに実績として上がっているように、先ほど三つか四つ言っていただいたんだけれども、現実は人数的には非常に少ないわけですね。三人からせいぜい十五人ぐらいのことですから、海外でこういう災害があった場合というのは、表に見えるといったらおかしいんですけれども、緊急的にやっぱり大勢の人間が行ってそれを手助けするといった方が外交的にもかなりいいんではないか。メキシコの場合も地震専門家とか何かが相当行かれたようですけれども、それはそれで将来の地震の予防という意味で確かにプラスにはなっていると思うんですが、やっぱり一番困っている問題というのは、目の前に見えた災害の後処理ではないかというように私は思うわけです。  そういう意味で、先ほどお聞きしたような、この法案が通りますともう少し大規模で、今まではせいぜい十四、五人から、百人というお話もちょっとありましたが、ここの数字にはそんなのは出ていないわけですね。大体一けた数字ぐらいが出ておるわけでして、これが二倍とか三倍とか、そういうような規模ででも日本は対応するんだ、そういうような御意見が、あるいはそういう御意見があるのかということをお聞きしているんですよ。
  154. 川上隆朗

    政府委員川上隆朗君) 先方側の要請が多々、いろんな対応があるということは先ほど申し上げた次第でございますが、御指摘救助人員の大量派遣というようなケースを想定しておられるかと存じますけれども、少なくとも従来の我々の経験では、そういうケースは必ずしも余り予想されないというふうに我々は考えておりますが、他方、現在救助人員につきましては消防警察、海上保安庁等合わせまして約五百名以上の登録者を既に有しております。したがいまして、御質問のごとき救助隊員の大量派遣といったような要請がある場合には、その範囲内では対処できるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  155. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 政府委員の答えで尽きておりますけれども、私の感じを申し上げますと、十日に一回ぐらい世界でいろんな災害が起きておるわけです。ですから、非常に大量の人を外国、非常に遠いところに送るということになりますと、送り、そしてその方々給与その他大変なことでございまして、一回きりならできますけれども、しょっちゅうそれをやるというわけにはなかなかいかないと思います。  したがって、この国際緊急援助隊法律が通った時点で、一体どういうことを我々ができるか、そしてどういう範囲のことをやるのが一番効果的かということをもう少しよく問題点を整理してやらないと、ただ大勢やったらいいというものではないということで、従来も非常に緊急な、お医者さんであるとか地震専門家であるとか、そういうことで、帰ってこられた方には私もお目にかかって具体的にいろいろお話を伺っておるわけでございますが、そういう経験とそれから災害の実態とをよく調査して、我々の能力がどのくらいあるのか、どうやったら一番効果的かということを少し勉強をしてみる必要があるんじゃないか。そういう面でお気づきの点がございましたらいろいろまた先生方にも御示唆をいただいたら幸せだと思います。
  156. 小西博行

    ○小西博行君 今大臣がおっしゃったとおりだと思うんですね。やっぱり一回全部整理をし直してはっきりしたものを打ち出しておかないと、特に海外方々というのは大きな期待を持たれるので、この程度しかできないのならできないというような形をつくっておかないと大変私は誤解をまた生むんじゃないか、そういう感じがいたしますので、ぜひともその点をお願いしたいと思います。  それから、問題は変わりますが、九月下旬に米国で緊急サミットがあるんじゃないかという情報が入っておるわけですが、そういうことが実際ございますか。
  157. 倉成正

    国務大臣倉成正君) まだ何らそういう情報を伺っておりません。
  158. 小西博行

    ○小西博行君 それでは、先日モスクワにおきまして日本大使館員が追放されたという大きな事件がございまして、これは参議院の本会議におきまして総理の方からも簡単な答弁がございましたが、なかなか詳しいことがわかりませんので、外務省の方でつかんでいる範囲で詳しく御説明を願えませんでしょうか。
  159. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 八月十九日に、我が方の鹿取駐ソ大使がソ連外務省のチャプリン次官に呼ばれまして本件について申し渡されたわけでございますが、その際ソ連側は、在ソ連大使館の竹島防衛駐在官が去る七月二十九日にオデッサにおいで諜報活動に従事していたと、そのように申しておりました。しかし、竹島駐在官は、大使館員としては通常の視察旅行の一環としてオデッサを訪問したのでありまして、これは通常大使館員がその国を視察するために年に一回とか二回その国内のいろいろな地方に参りますが、そういった職務の一環としてオデッサに寄りまして、その公的資格に反するような行為は一切行っておりませんし、したがってソ連側の主張は事実無根でございます。
  160. 小西博行

    ○小西博行君 事実無根であればあるほど、その後の対応はどのようになっているんでしょうか。
  161. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 本件についての対応というのは我が方としてはその後特にとっておりませんけれども、東京におきましてほぼ同時に私が東京のソ連大使館の臨時代理大使を招致いたしまして、これは本件ではございませんけれども、東京でございました東京航空計器に関する在京のソ連通商代表部の代表代理の公的資格にそぐわない行動につきまして注意を喚起し、また、本人が日本に滞在することは不可能であり、短い期間内に日本を出るようにという要請をした事実がございます。
  162. 小西博行

    ○小西博行君 大臣、この問題は非常に私は今後の問題として、お互いにそういうことをやり合うということはないと思いますが、その辺の大臣としての見解はいかがですか。
  163. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 私は、いろいろな問題が日ソ間、あるいはソビエト以外の国とでもいろんなことが起こると思います。その場合にはやはり日本法律に従って厳正な処理をするということで対応していきたいと思いますが、このことによって、今回の場合にはソビエトとの場合でございますが、大局に影響がないように冷静にこのことを対処していくということが非常に大事なことではなかろうか。厳正には処理する、しかし、さればといってこれを大局に影響がないようにできるだけそういう配慮をすることが大切であると思いますので、冷静にこういう問題については対処をするというのが私の基本的な方針でございます。
  164. 小西博行

    ○小西博行君 ぜひともそのようにしていただきたいと思うんです。どうも緊迫状態が続くのではないかと私もちょっと心配しておるものですから、そして中身が、今おっしゃったように日本の追放された方も別にやましいところは全然ないと、このようにおっしゃっているわけですね。総理もそのように明快に答弁をされておりましたけれども、今後大きくそれが悪い方向に行かないようにぜひとも力をかしていただきたいというふうに思います。  それから、きょうは通告はしておりませんが、先日ペルシャ湾のことで少し大臣にお伺いいたしまして、あれから以降相当大臣も努力されて、結果は少し好転の方向に行っているのじゃないかと思うんですが、その後の環境はどうでしょうか。
  165. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 御案内のとおり、ペルシャ湾の情勢はまだ依然として緊張状態が残念ながら続いているというのが現状でございます。本年の一月にイランの南部の戦線での攻勢によって戦闘は一時激化いたしまして、イラン軍がバスラの東方、イラク領内に進出いたしました。その後も北部国境地帯を含め全戦線にわたって限定規模の戦闘が繰り返され、また経済、軍事施設に対する空爆も最近再開されておりますが、現在戦況は一応膠着状況にあるという状況でございます。これは陸上の問題でございます。  一方、ペルシャ湾におきましては、航空機あるいはガンボートによる船舶攻撃はこのところ若干下火になっておりますけれども、御案内のとおり機雷が敷設されておりまして、機雷に対する触雷の事件が相次いで発生しておりまして、これが緊張状態を起こしているというわけでございます。  そして、御案内のとおり、国連の安保理の決議に対しましてイラク側はこれを受諾する立場でございますけれども、イラン側はこれに対して必ずしも満足してないということでございまして、なかなか双方の立場に隔たりがあるわけでございます。しかし、イランの方も、国連の事務総長が安保理の決議を踏まえてということになるとこれを受け入れることはできないけれども、独自の活動で事務総長がいろいろ動かれることについてはこれを受け入れる、こういう態度をとっておられますから、我々といたしましてはイラン、イラク双方に対して自制を呼びかける。先進国でイラン、イラクとパイプを持っているのは日本だけでございます。そういう意味において、双方に対して冷静に対応するようにということと、国連の事務総長が幸い非常に大きな役割を果たされると思いますので、事務総長もよほど後ろからバックアップしてあげないと動きにくいものでございますから、デクエヤル事務総長の活動についで最大の支援を送ってまいりたい。また日本としても、できることがあればひとつあらゆる知恵を絞ってこのペルシャ湾の状況が鎮静化するように努力したい。  しかし私は、結論から申しますと、ペルシャ湾だけの安全を確保するということは難しい。どうしてもイラン・イラク紛争が終結の方向に向かわなければこれは難しいと思うわけでございますので、急に戦いがやまるということはなかなか期待できませんけれども、とにかく事態が少しでも鎮静化していく、事実上鎮静化しでいってそれが和平につながっていくというように努力をいたしたいと思っておる次第でございます。
  166. 小西博行

    ○小西博行君 そのことできょうは三時四十分から海員組合の皆さん方が国会へ請願デモで来られるということを私も伺っておるんです。家族はもちろんですけれども、本人はもっと大変だろうというふうに思いますので、この問題は何かの方法で解決に向くように大臣のお力をかしていただきたい、そのことを申し上げて終わりたいと思います。
  167. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ちょっと一言。  実はことしの一月にコスモジュピター、それから五月に秀邦丸、日本船に対する攻撃は比較的少なかったわけでございます。今、日本の日の丸を掲げている船はごく少数でございますけれども、もうよく小西先生御承知のとおり、船の上に日の丸、国旗は掲げませんけれども、甲板に日の丸を掲げているということで、この船に対する攻撃がほかのものに対して比較的少ない、非常に少ないということだけは事実でございます。  このことだけを御報告申し上げておきたいと思います。
  168. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 他に御発言もないようですから、本案に関する質疑は終局したものと認めます。     ―――――――――――――
  169. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) この際、委員の異動について御報告いたします。  先ほど、鳩山威一郎君が委員を辞任され、その補欠として久世公堯君が選任されました。     ―――――――――――――
  170. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  国際緊急援助隊派遣に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  171. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  宮澤君から発言を求められておりますので、これを許します。宮澤弘君。
  172. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 私は、ただいま可決されました国際緊急援助隊派遣に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     国際緊急援助隊派遣に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法律の施行に当たり、国際的な災害緊急援助活動が、国際協力の推進に重要な意義を有することにかんがみ、次の事項について配慮すべきである。  一、 迅速かつ効果的な国際緊急援助活動を実施するため、派遣体制の一層の整備充実を図ること。  一、 国際緊急援助活動に当たっては、統一ある活動に留意するとともに、諸外国から派遣された援助隊等と緊密に連携し、最大限の効果を上げるよう努めること。  一、 国際緊急援助活動への参加者の安全確保に努めるとともに、国、地方、民間を問わず、万一の災害補償等についても十分配慮すること。  一、 災害復旧等に関する専門家チームの活用、防災に関する技術協力の推進等により、我が国災害対策関連技術を開発途上地域災害対策に役立てるよう努めること。  一、 国際緊急援助活動に関して講じた措置については、随時、当委員会に報告すること。   右決議する。  以上であります。
  173. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) ただいま宮澤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  174. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 全会一致と認めます。よって、宮澤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、倉成外務大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。倉成外務大臣
  175. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいま国際緊急援助隊派遣に関する法律案を御可決いただきまして、まことにありがとうございました。  本法案の成立により、幅広い国民の参加による総合的な援助体制の整備が一層進むことになり、我が国として国力にふさわしい国際的責務を果たす上で前進となると確信いたします。  今後、国際緊急援助活動を実施する上で、本法案の御審議の過程におきまして賜りました貴重な御意見や御提案につきましては、十分にこれに留意し、また法律案とともに可決されました附帯決議の内容につきましては、御趣旨を十分に踏まえ今後適切に対処してまいる所存でございます。  まことにありがとうございました。
  176. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  178. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本政府カナダ政府との間の条約締結について承認を求めるの件、政府調達に関する協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件、以上二件を便宜一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。倉成外務大臣
  179. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本政府カナダ政府との間の条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  政府は、カナダとの間の現行租税条約にかわる新たな租税条約締結するため、カナダ政府と数次にわたって交渉を行いました結果、昭和六十一年五月七日に東京において、我が方安倍外務大臣と先方ステイアース在京大使との間でこの条約に署名を行った次第であります。  この条約は、現行条約に比し、条約全般にわたって最近の租税条約の改善された規定をできる限り取り入れたものであり、従来我が国が諸外国との間で締結した租税条約同様OECDモデル条約案に基本的に沿ったものとなっております。  この条約の主な内容といたしまして、まず、事業所得につきましては、企業が相手国内に支店等の恒久的施設を有する場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する所得に対してのみ相手国で課税できるものとしております。船舶または航空機を国際運輸に運用することによって生ずる利得に対する租税につきましては、相手国において全額免除することとなっております。また、投資所得に対する源泉地国での税率につきましては、配当に対するものは親子会社間の配当については一〇%、それ以外の配当については一五%、利子及び使用料については一〇%を超えないものとしております。  この条約締結によって日加間の二重課税の回避等の制度がさらに整備され、両国間の経済及び文化の面での交流が一層促進されるものと期待されます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、政府調達に関する協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  政府調達に関する協定は、東京ラウンドの成果の一つでありますが、この議定書は、同協定に基づいて設置された政府調達に関する委員会での交渉の結果、昭和六十二年二月にジュネーブにおいて作成されたものであります。  この議定書は、政府調達に関する協定の適用対象となる政府調達の範囲の拡大、入札の手続の改善、落札に係る情報の公示等につき同協定を改正することについて規定しております。  我が国がこの議定書締結することは、政府調達の分野における国際的な競争の機会の増大により期待される世界貿易の拡大に寄与するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
  180. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  二件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十七分散会      ―――――・―――――