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1987-07-16 第109回国会 衆議院 本会議 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
六十二年七月十六日(木曜日)
—————————————
昭和
六十二年七月十六日 午後一時 本
会議
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
議員請暇
の件
精神衛生法等
の一部を
改正
する
法律案
(第百八
回国会
、
内閣提出
)の
趣旨説明
及び
質疑
午後一時二分
開議
原健三郎
1
○
議長
(
原健三郎
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
議員請暇
の件
原健三郎
2
○
議長
(
原健三郎
君)
議員請暇
の件につきお諮りいたします。
北橋健治
君、
滝沢幸
助君及び
米沢隆
君から、七月二十日から二十八日まで九日間、
伊藤忠治
君、
菅直人
君、
田口健二
君、
田邊誠
君、
田並胤明君
及び
浜西鉄雄
君から、七月二十一日から二十九日まで九日間、右いずれも
海外旅行
のため、
請暇
の申し出があります。これを許可するに御
異議
はございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
原健三郎
3
○
議長
(
原健三郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。
————◇—————
精神衛生法等
の一部を
改正
する
法律案
(第百 八
回国会
、
内閣提出
)の
趣旨説明
原健三郎
4
○
議長
(
原健三郎
君) この際、第百八
回国会
、
内閣提出
、
精神衛生法等
の一部を
改正
する
法律案
について、
趣旨
の
説明
を求めます。
厚生大臣斎藤十朗
君。 〔
国務大臣斎藤十朗
君
登壇
〕
斎藤十朗
5
○
国務大臣
(
斎藤十朗
君)
精神衛生法等
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
趣旨
を御
説明
いたします。 近時の
精神医療
、
精神保健
をめぐる
状況
には
種々
の
変化
が見られるところであり、
精神医学
の
進歩等
に伴い
入院中心
の
治療体制
からできるだけ
地域中心
の
体制
を
整備
していくとともに、多様化し、複雑化する
現代社会
において、広く
国民
の
精神保健
の
向上
を図ることが重要な
課題
となってきております。こうした諸
状況
の
変化
を踏まえ、
国民
の
精神保健
の
向上
を図るとともに、
精神障害者
の
人権
に配意しつつ適正な
精神医療
を
確保
し、かつ、その
社会復帰
の
促進
を図るため、今般、
精神衛生法
その他の
関係法律
を見直すこととし、この
法律案
を提出した次第であります。 以下、この
法律案
の主な内容につきまして御
説明
申し上げます。 第一に、
精神保健
の
向上
に関する
事項
についてでありますが、
精神衛生法
の題名を
精神保健法
に改めるとともに、その
目的
や国及び
地方公共団体
並びに
国民
の
義務
として、
精神
的健康の
保持
及び
増進
その他の
精神保健
の
向上
に関する
事項
を盛り込むこととしております。 第二は、
精神障害者
の
人権
の
擁護
並びにその適正な
医療
及び
保護
の
実施
のための
措置
に関する
事項
についてであります。 まず、
精神保健指定医
についてであります。 従来の
精神衛生鑑定医制度
を見直して
精神保健指定医制度
を導入することとし、
精神医療
についての一定の
実務経験
のほか、
厚生大臣等
が行う
研修
の修了を新たにその
指定
の
要件
として加えるとともに、五年ごとに
研修
を受けることとする等の
措置
を講ずることとしております。 次に、
入院患者
の
処遇
に関する
事項
についてであります。
本人
の
同意
に基づく
入院
を推進する見地から、これを
任意入院
として新たに
法律
上規定するとともに、
保護義務者
の
同意
によるいわゆる
同意入院
については
医療保護入院
として位置づけ、
入院
に当たって
精神保健指定医
の
診察
を
要件
とする等、その適正な
実施
を
確保
するための
措置
を講ずることとしております。また、
措置入院
の
解除
につき
精神保健指定医
の
診察
を
要件
とする
措置
を講ずることとしているほか、
精神科救急
に対応するため
応急入院
を新設する等、
入院制度
に関して必要な
整備
を図ることとしております。 次に、
入院手続等
についてであります。
入院
の際には必要な
事項
を
患者本人
に告知することとするとともに、
都道府県
に新たに
精神医療審査会
を設け、
入院患者
の病状に関する定期の
報告等
に基づき、その
入院
の要
否等
に関する
審査
を行うこととしております。また、
入院患者
に対する
行動制限
のうち特に
人権
上重要なものについては、これを行うことができないこととするとともに、
精神保健指定医
の認める場合でなければ著しい
行動制限
は行うことができないこととする等の
措置
を講ずることとしております。 第三は、
精神障害者
の
社会復帰
の
促進
に関する
事項
についてであります。
法律
の
目的等
において、
精神障害者
の
社会復帰
の
促進
に関する
事項
を盛り込むとともに、
日常生活
に適応するために必要な
訓練
及び
指導
を行う
生活訓練施設
並びに自活のために必要な
訓練
と職業を与えるための
授産施設
を
精神障害者社会復帰施設
として
法律
上規定し、
都道府県
、市町村、
社会福祉法人
その他の者がこれを
設置
することができることとしております。また、その
設置
の
促進
を図るため、国及び
都道府県
は
施設
の
設置
及び運営に要する費用を
補助
することができることとしております。あわせて、
社会福祉法人
、
医療法人等
が
精神障害者社会復帰施設
を
設置
することができるよう
社会福祉事業法
及び
医療法
の
改正
も行うこととしております。 以上のほか、
精神病者
に係る
公衆浴場
の
利用規制
を見直すこととし、
公衆浴場法
の
改正
もあわせて行うこととしております。 なお、この
法律
の
施行期日
は、
公布
の日から起算して一年を超えない
範囲
内において政令で定める日からとしておりますが、
公衆衛生審議会
への諮問に関する
事項
は
公布
の日からとしております。 以上が
精神衛生法等
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
でございます。(
拍手
)
————◇—————
精神衛生法等
の一部を
改正
する
法律案
(第百八
回国会
、
内閣提出
)の
趣旨説明
に対する
質疑
原健三郎
6
○
議長
(
原健三郎
君) ただいまの
趣旨
の
説明
に対して
質疑
の通告があります。順次これを許します。
河野正
君。 〔
河野正
君
登壇
〕
河野正
7
○
河野正
君 私は、
日本社会党
・
護憲共同
を代表いたしまして、ただいま提案されました
精神衛生法等
の一部を
改正
する
法律案
に対しまして、
中曽根総理
、そして
関係閣僚
それぞれに
質問
を申し上げ、かつ
お答え
をいただきたいと思うところであります。
冒頭
あらかじめ申し上げておきたいと思います点は、本
法案
が
精神障害者
の
人権
の
確保
あるいは
精神障害者
の
社会復帰
の
促進
のための
方策
といった、従来の
法律案
と比べて極めて異例の
法改正
であるからであります。したがって、私は、その
お答え
も、そういった点を十分
尊重
しながら
お答え
をいただきたいというのが
冒頭
におけるお願いであります。 私
ども
日本社会党
は、結党以来一貫して
日本
の
民主主義
と国際平和を守る
唯一
の政党として闘ってまいりました。そしてそのために、
平和憲法
を守るため、あらゆる面で努力してきたところでもあります。また、
いか
なる場合においても、
社会
的に弱い
立場
の
人々
に対する
差別
と不公平をなくすため、
人々
の
人権
を守るために闘い、努力してまいったところでもあります。これが私
ども
の今日までの足跡であり、また
歴史
でもあったのであります。 御
承知
のように、
我が国
の
憲法
は、
国民
に対する
基本的人権擁護
を
一つ
の大きな柱としておりまして、またみずから批准をした
国際条約
であり、それを遵守することは当然の
義務
であり、
責任
でもあります。今ここに、私
ども精神衛生法
の
審議
に当たるわけでありますが、私
ども
は以上申し述べた
立場
から
審議
を進むべきは当然であり、以下、
見解
を申し添えながら
政府
の御
見解
をただしてまいりたいと思います。 御
承知
のように、
我が国
の
精神保健運動
は、一九〇二年
呉秀三博士
らによって創設された
精神病者救治会
を源流とした、
世界
で最も古い
障害者擁護運動
の
一つ
であります。しかし、八十年に及ぶ長い
歴史
にかかわらず、その成果は必ずしも満足すべきものではなかったのであります。かてて加えて、
昭和
四十年、一九六五年前後から
日本
の
社会保障制度
は逐次拡充され、ある
意味
においては
精神障害者医療
も広く恩恵を受けるに至りました。そして同時に、
民間医療施設
も急速に増加するという結果に至ったのであります。しかし、そのことが結果的に今日多くの問題を露呈し、
我が国
の
精神保健体制
は国の内外より批判が集中し、早急な
根本的改革
を迫られるに立ち至ったものでもあります。すなわち、新しい理念に基づく
精神保健法
が制定されなければならぬ、こういう
事情
が訪れてまいったわけであります。 昨年三月
入院患者虐待
が明るみに出たいわゆる
宇都宮病院事件
を初めとして、幾つかの
精神病院
で
入院患者
の
人権無視
、
営利主義
に走った事実のあったことはまことに遺憾であります。その結果として、
精神医療
に対する
国民
の
不信感
が高まり、
国民
の偏見と
差別
の意識を助長する、そういう結果というものが生じたこと、これもまた遺憾ながら事実であります。しかし、マスコミも認めておりますように、暗いイメージとは反対に、良識的な、むしろ
一般病院
にもまさるとも劣らないようなそういう
病院
も、決して我々は少ないと思うわけではありません。だが、いずれにしても、
国民
の世論にこたえるため、
精神医療関係者
あるいは行政が
国民
の信頼を回復するため努力しなければならぬことも大きな
責任
でございます。 しかしながら、我々が注意しなければならぬ点は、時に起こる
精神障害者
の
不祥事件
が、マスメディアの発達により瞬く間に
日本全土
に針小棒大に伝わり、その結果としてかつて法務大臣のいわゆる
保安処分発言
があったことは、
皆さん方
御
承知
のとおりであります。我々は、
法改正
はどこまでも
精神障害者
の
人権
の
確保
、
精神障害者
の
社会復帰
の
促進
という
目的
が損なわれてはならぬと
考え
るものであります。
日本
における
精神障害者
の
入院患者数
はおおむね三十三万人であります。そして、そのほかに二百万人の
障害者
、心痛める
人々
、そしてその
家族
、親戚など数百万人に及ぶ
人々
の人道問題になっておるわけであります。こういった
見解
に立ち、以下数点に対して具体的に
質問
をし、適切な御
見解
を承りたいと思うのであります。 私が今、
改正
に当たりましてまず第一に不可思議に感じますることは、
公衆衛生審議会
の
答申
にあるように、
精神障害者
とは何ぞやというその
定義
が明らかにされていないという点であります。しかも
答申
では、
定義
は今後残された問題として
政府
は引き続き
検討
を加えることを
要望
する、こういうふうに明記されているわけであります。すなわち、この大事な問題を避けて、そしてこの問題を先送りしておるというのが今日の
実情
であります。 今、
改正
というものを
いか
に迅速にやらなければならぬかということに対して、私
ども
も国連の
事情
その他からわからぬわけではないわけですが、ただ
精神障害者
とは何ぞやという
定義
も明らかにできないまま
改正
を
実施
することには非常に大きな矛盾があって、我々は、そのことは極めてナンセンスではな
いか
、こういうふうに
指摘
せざるを得ないのであります。
精神障害
の
定義
をおろそかにして
法改正
を
実施
しようとしたことは、例えば人間の背骨を抜いた
議論
と思うが、第一に所管の
厚生大臣
の御
見解
を承りたいと思います。
総理
、私が
総理
にお伺いをしたい点は、もちろん本
改正案
の
趣旨
が
患者
の
人権
、
社会復帰
の
促進
を
中心
に立案されたことはそのとおりでありますが、同時にこの
改正
が、
基本
問題として
精神障害者
の
福祉
にもつながる問題であることは当然であります。しかしながら、
日本
の今日の
精神障害者
の
福祉
は、例えば
身体障害者
の
福祉
、
精神薄弱者
の
福祉
と比較して大きく立ちおくれておるのであります。今回の
法改正
に当たり、このことは、私は決して軽視できぬ問題であろうと
確信
をいたします。したがって、私は、さらに進んで、
精神衛生法
とは別個に、
精神障害者
の
福祉増進
のために行われるいわゆる
福祉法制定
、こういうところに大きく踏み込むべき責務があるのではなかろうかと
考え
るわけでございますが、
総理
いか
がか、御
見解
を承りたいと思います。 私は、さらに、せっかく法の画期的な
改革
を実行されようとするわけですから、この際、
精神障害者
の
処遇
に関する国策としても、ぜひ
総理大臣
に直属する強力な
中央精神保健審議会
といったようなものを
設置
する必要があるのではなかろうかということを
考え
るわけでございますが、この点、
総理
いか
がか、御
見解
を承りたいと思います。
患者
の
処遇
については必要な
基準
を定めることができると、この
法案
ではなっておるわけでございますが、
精神障害者
の
処遇改善方策
の前提として、
精神障害者
の全国的な
疫学調査
が必要ではな
いか
という
議論
もあります。しかし、このことは、さきにも私
ども
は非常に苦い
経験
を持っておるわけでございます。
プライバシー
その他を通じてそういう
経験
を持っております。したがって、この問題は極めて慎重を期するべきだと
考え
ておるわけでございますが、
厚生大臣
よりこの点は
お答え
をいただきたいと思います。 次いで、
法改正そのもの
について逐次
質問
をしてまいりたいと思います。 御
承知
のように、今回の
法改正
は極めて画期的なものであります。現在の
精神医療
に関して言えば、革命的なものと言っても
過言
ではないと思います。したがって、
法改正
後はこれを忠実に実行しなければなりません。その
責任
を痛感すべきであります。そのためには、
一つ
の大きな条件として、
精神保健関係予算
の問題があると
確信
をいたします。例えば
自由入院
を柱とすれば、
病院
、病舎の構造も当然改造されなければなりません。また、それと並行して職員の
充実
の問題もあります。書類、
診療録
の
整備
など
事務量山積
の問題もございます。また、別の
立場
から言えば、
診療費
の問題も大きな
課題
であります。 今ここで簡単に実例を挙げて
説明
をいたしますと、
精神科医療
は一人一カ月おおむね二十万円余であります。しかるに
一般他科
は三十五万から四十万円と大きく伸びております。
特別養護老人ホーム
にいたしましても二十四万円であります。こういった
実情
から見てまいりまして、
精神医療
というものが極めて劣悪であるということは、これはもう論をまたない事実であろうと思います。今やレセプト一枚三千万円という
先端医療
の時代に突入しておる今日、このまま放置していい問題であるのかどうか、私
ども
は非常に大きな危惧を持つわけでございます。したがって、その
予算
の
確保
は、今申し上げた事実よりいたしましても当然だと思うのでありますが、率直に申し上げまして、財政上の裏づけなき
法改正
はまさしく絵にかいたもちだと
指摘
せざるを得ないのであります。この点につきましては、
厚生大臣
、さらにあえて
大蔵大臣
にも、その
見解
を承って、善処をいただきたいと思うわけであります。 また、この
精神衛生法
において
精神障害者
の
人権確保
を強調することは当然でありますが、しかし一方、
社会
の
安全確保
も当然であります。そのいずれもがタブー視されてはならぬのであります。
社会
にも
人権
があることを忘れては真の
改正
の実を上げることはできないと思うのであります。この点、
厚生大臣
の御
見解
を承ってまいりたいと思います。 今私は、いわゆる
人権
というものの
あり方
について
指摘
をいたしました。しかし、今回の大
改革
でありますから、その
過渡期
においてはいろいろの問題が予測されるわけであります。もちろん
不祥事件
の防止に努めなければならぬ、そのことは極めて当然であります。これらの点について
厚生大臣
の
見解等
も承って、今後の
指導方針等
もここで申し述べていただきたいと
考え
ております。 かく
考え
てまいりますと、
人権
の
尊重
は
民主的社会
の
基本
となるものであります。したがって、すべての
精神障害者
は、御
承知
のように
世界人権宣言
に基づいて人としての尊厳と自由が重んじられ、いわゆる
我が国憲法
に定められた
基本的人権
が保障されなければならないのであります。
法改正
の中にあるように、
精神障害者
の中の
差別
をなくすために、例えば
現行
の
福祉
、
雇用等
に対しましても
法体系
というものを
検討
する必要があるのではな
いか
、すべての
障害者
に対しまして総合的な
リハビリテーション法等
も急ぐべきではな
いか
、こういった点につきまして、
厚生大臣いか
がお
考え
なのか、この際御
見解
をお伺いしたいと思います。 また、今回の
改正
も、
精神障害者
の
社会復帰
を
促進
することが求められているのでありますが、もちろん
精神障害者
の自立を図ることが重要であります。その一環として、
民間ボランティア組織
あるいは
小規模共同作業所
、
共同ホーム
、いずれにいたしましても、国及び
地方自治
の
援助
の
拡充強化
が行われなければならぬことは当然であります。そういった
意味
で、
障害者
の
社会復帰
が
促進
されるかどうか、これは一に国の
熱意いかん
にかかっておると申し上げましても、私は
過言
ではないと思います。
厚生大臣
、この点について
いか
が御
見解
を持っておられるのか、この際承っておきたいと思います。 私は、以上、私の
見解
を加えながら何点かについてお尋ねをいたしました。いずれにいたしましても、
精神保健
の問題は、財政的には国、
地方公共団体
あるいは
国民
全体で取り組むべき問題であります。
国民
みずからが
精神
的健康の
保持増進
に努めるとともに、
精神障害者
に対する理解を深め、
精神障害者
の
社会復帰
の
援助協力
に努力しなければならぬ問題だと思っております。その
意味
で今回の
法改正
は極めて重要な
意義
を持つものであります。同時に、そのために私が
指摘
いたしました以上の諸点は、極めて重大な
問題点
であろうと思います。そして、それぞれの
要望
、
意見
について誠実に対応していただくことが、
法改正
の実を上げる
唯一
の道だと私は
確信
をいたします。 改めて
総理
ほか
関係閣僚
に対しまして、私の
要望
、
意見
に必ず応じていただくことを強く期待をして、私の
質問
を終わりたいと思います。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣中曽根康弘
君
登壇
〕
中曽根康弘
8
○
内閣総理大臣
(
中曽根康弘
君)
河野議員
に
お答え
をいたします。 まず、
精神障害者福祉法
についてでございますが、
人権
の
尊重等精神障害者
の
福祉
については、
社会復帰対策
が極めて重要なものであるとの認識に立って、従来より
医療
との連携のもとにその
促進
に努めてきたところでございます。今回の
精神衛生法改正
においては、
精神障害者社会復帰施設
を新たに
法律
上の
制度
として位置づけ、今後その
充実
を図っていく等の
措置
を講じたところでありまして、
精神障害者
の
福祉
の
向上
に大いに資するものと
考え
ております。御
指摘
の
精神障害者
の
福祉法制定
については、慎重に
検討
してまいる
所存
であります。
審議会
の問題でございますが、
精神障害者
の
処遇
に係る問題に関しては、
関連分野
の
学識経験者
から成る
公衆衛生審議会
において、
人権
に配慮された
精神医療
の
あり方
、
社会復帰
の
促進方等
について御
審議
いただいてきているところであり、今後とも同
審議会
において御
審議
をお願いしていく
所存
でございます。 残余の答弁は
関係大臣
がいたします。(
拍手
) 〔
国務大臣斎藤十朗
君
登壇
〕
斎藤十朗
9
○
国務大臣
(
斎藤十朗
君)
お答え
をいたします。 まず、
精神障害者
の
定義
についてでございますが、
現行精神衛生法
において定められております
精神障害者
の
定義
につきましては、その全面的な
改正
を求める
意見
もあるほか、その
範囲
及び規定の仕方など
種々
の
議論
を要する点が多く、また、
関係審議会
からも引き続き
検討
を行っていく必要がある旨の
意見
が示されたこと等、諸般の
状況
を判断いたしまして、今回の
改正
においては見直しに至らなかったものでございます。しかしながら、御
指摘
のように、法の
対象
とする
精神障害者
の問題については、
制度
の
基本
となる重要な問題と
考え
ておりますので、
政府
といたしましても引き続き
検討
に努めてまいる
所存
でございます。
疫学調査
の問題でありますが、厚生省といたしましても、
精神障害者
の
実態
につきましては、
精神障害者
の方々が置かれている
状況等
について必要に応じて
実態調査
を行うなど、可能な手段を講ずることによりその把握に努めてまいったところでありますが、今後とも本問題につきましては、
プライバシー
の
保護等
十分考慮し、適切かつ慎重に対応してまいりたいと思います。 次に、
精神保健関係予算
につきましては、これまでもその
確保
に努めてまいったところでありますが、また、今回の
法改正
にあわせて今年度
予算
におきましても、新たに
福祉ホーム
、
適所授産施設
に対する
補助
を行い、また
小規模作業所
に対する
助成措置
の創設など、
精神障害者社会復帰関係予算
の
充実
を図るとともに、
精神衛生センター
や
保健所
における
地域精神保健対策関係予算
の
充実
を図る等、必要な
予算措置
を講じているところでございます。今後とも今回の
改正
の
趣旨
を実現すべく、
精神障害者対策
の一層の
充実
に向けて努めてまいる
所存
でございます。
人権確保
につきましてでございますが、
精神障害者
にかかわる痛ましい
事件
は、
社会
にとっても、また
精神障害者
やその
家族
にとっても極めて不幸なことであり、ぜひとも回避されるべきものと
考え
ております。このような
事件
が生ずる背景には、不十分な
医療
、特に
医療中断
が多く見られることから、これまでも
医療中断者等
に対する
訪問指導
を
実施
するなど、
地域精神保健対策
の
充実
に努めてまいったところであります。 また、今回の
改正案
におきまして、
法律
に
措置基準
の根拠を置き、また
措置解除
に
精神保健指定医
の判断を必要とすること等により、
措置入院
の適正な運用を図るとともに、
応急入院制度
を新設する等、
精神障害者
の適切な
医療
を
確保
する観点から
入院制度
の
整備
を図ることとしているところであり、今後ともそのような事態が生じないよう努めてまいる
所存
でございます。 また、
精神障害者
の
福祉
の問題につきましては、今般の
改正法案
において、
精神障害者社会復帰施設
を新たに
法律
上の
制度
として位置づけることを行う等の
措置
を講ずることとしており、さらに別の
福祉立法
を要するか否かについては慎重に
検討
する必要があると
考え
ております。また、
雇用
の問題につきましても、
障害者雇用促進法
を
中心
に適切に取り組まれるものと
考え
ております。 次に、すべての
障害者
を
対象
とした
総合的リハビリテーション法
の問題につきましては、
身体障害者
及び
精神薄弱者
については既にそれぞれの特性に配慮して、
身体障害者福祉法
及び
精神薄弱者福祉法
に基づき、
リハビリテーション
に関連した必要な
施策
を講じているところであり、また、
精神障害者
につきましても、今般の
改正法案
においてその
社会復帰施設
を
法律
上位置づけているところでありまして、それぞれの
法体系
による
リハビリテーション
を適切に行っていくことが適当であると
考え
ております。 また、
精神障害者
の
社会復帰
につきましては、御
指摘
のとおり、国としても
促進
すべき重要な
施策
であると強く認識しているところでございまして、今後とも
社会復帰施設
、
小規模作業所
に対する
助成
や
通院患者リハビリテーション事業等関連施策
の一層の
充実
に努めてまいりたいと
考え
ております。 以上であります。(
拍手
) 〔
国務大臣宮澤喜一
君
登壇
〕
宮澤喜一
10
○
国務大臣
(
宮澤喜一
君) ただいま
厚生大臣
が
お答え
になられましたように、六十二年度
予算
におきまして、
精神障害者社会復帰施設
に対する
補助
として、新たに
福祉ホーム
、
適所授産施設
を加えることといたしました。また、
適所
の
小規模作業所
に対する
助成
を開始することといたしますなど、
精神障害者社会復帰関係予算
の
充実
を図っておるところでございます。また、
精神衛生センター
や
保健所
における
精神保健対策関係予算
も
充実
をいたしました。 今後とも、
厚生大臣
のお
考え
を十分承りながら適切な
予算編成
をいたしてまいることにいたしたいと存じます。(
拍手
)
原健三郎
11
○
議長
(
原健三郎
君)
吉井光照
君。 〔
吉井光照
君
登壇
〕
吉井光照
12
○
吉井光照
君 私は、公明党・
国民会議
を代表して、
精神衛生法等
の一部を
改正
する
法律案
について、
総理
並びに
関係大臣
に
質問
をいたします。 激動の
現代社会
においては、増大する
ストレス等
により、健全な
精神
の維持と
向上
に非常な
困難性
を伴いつつあると言われております。したがって、どうしても個人の力だけでは限度があり、
社会防衛
上、組織的に対応せざるを得なくなってきております。ここに
公衆衛生
としての
精神保健
の
意義
があり、一層の
福祉水準
の
向上
と
充実
のための
法改正
が求められたことは当然のことであります。
昭和
二十五年の
法制定
後、
昭和
四十年の
通院医療費公費負担制度
の導入を初め、
保健所業務
の拡大、
都道府県
への
精神衛生センター
の配置等、それまでの
入院中心
の
精神医療
から地域
精神医療
へと大きく転換したものの、その後の
施設
整備
の不足、
患者
の長期
入院
化による医師、看護士(看護婦)等の
医療
従事者の不足や、
昭和
五十九年に発生した報徳会宇都宮
病院
における看護人による
患者
リンチ死亡
事件
に象徴される、
我が国
の
精神医療
制度
の
患者
に対する
人権
の配慮不足があらわとなったこと等が、このたびの
法改正
への端緒となったと理解するものであります。 そこで、
総理
にお伺いいたします。 現在、
障害者
対策の
施策
は十分とは言いがたく、法
体制
の不備も
指摘
されているわけですが、今回の
法改正
が、
精神障害者
の回復と円滑な
社会
参加、そして
障害者
の
人権
の確立のための出発点となり得る
法改正
であることを期待し、これからも不断の
検討
と改善の努力を積み重ねていくべきであると思いますが、
精神障害者対策
への御決意をお示しいただきたいのであります。 第二の
質問
は、
精神障害
に対する
国民
の理解を深めるための
施策
についてであります。 今回の
法改正
で最も期待されることは、
精神病院
が他の
一般病院
と同様に開放的かつ自由往来が可能となるよう変革してほしいということであります。すなわち、
我が国
における
精神
衛生に関する
施策
の
歴史
が隔離主義、閉鎖主義をもって出発をし、かつ長期にわたったため、
国民
一般の意識の中に、
精神病院
といえば、強制的に入れられてしまう、一度入ったら二度と出してもらえないといった恐怖の存在としての印象が、今なお根強く残っているのであります。 この印象を払拭し、
精神
病に対する正しい理解と認識を広めていくには、国並びに
地方公共団体
はもとより、
国民
一人一人の、また地域
社会
の理解と協力が不可欠であります。本
改正案
もこの点は明記されておりますが、この問題はただ単に法文化すれば事足りるというものではなく、これがたとえ
医療
関係者の意識
改革
あるいは
国民
の
精神障害
に対する誤解や偏見を薄めるきっかけとなり得ても、それですべてが解決されるものではありません。本年一月に京都で開催された
精神衛生法改正
フォーラムでも、
法改正
について欠かせない五原則を示し、これを強く
日本
政府
に要請をしておりますが、この中でも
精神障害者
への
差別
禁止をうたっておりますが、国際的に厳しい批判を浴びての
法改正
であるだけに、この際、
我が国
の
精神医療
の後進性を打破して、
世界
に通用する
法体系
と
施策
の
整備
を図り、名誉挽回を期すべきであります。 また、
精神衛生法
を実効あらしめるためには、行政サイドからの積極的な啓発を図るための教育活動等も当然推進すべきであると思うのでありますが、あわせて御
見解
をお示しいただきたいのであります。次に、労働大臣に対し、
精神障害者
の
雇用
対策についてお尋ねをいたします。近年、
精神障害者
の
社会復帰
が関係者の最大の関心事となっておりますが、現実の
雇用
の場では大変に厳しい
状況
にあり、特に長期
入院
を経た人の場合に顕著であります。実効性のある
社会復帰
を
考え
るならば、まず
精神障害者
の
雇用
対策の早急な確立を図るべきであります。さきの
国会
で成立した
障害者
の
雇用
の
促進
等に関する
法律
では、
精神薄弱者
の職業的自立を促し、
社会
参加を保障していくことは、国や
地方公共団体
の当然の責務であり、
社会
的な連帯により解決すべき
国民
的な
課題
であるとの
考え
に立って、
精神薄弱者
を
雇用
する事業主への経済的
助成
等が行われることとなりました。同法の
障害者
には
精神障害者
も当然含まれるのでありますから、精薄者の場合と同じく、
障害者
を
雇用
する企業に対し
助成措置
を講ずべきでありますが、
精神障害者
の就職の保障のための
施策
とあわせ、労働大臣の御
見解
を承りたいのであります。 次に、
厚生大臣
に対し、六点にわたってお尋ねをいたします。 初めに、法の
目的
についてでありますが、
法案
には「
精神障害者
等の
医療
及び
保護
を行い、その
社会復帰
を
促進
し、並びにその発生の予防その他
国民
の
精神
的健康の
保持
及び
増進
に努めることによって、」云々とあります。これは現在と比較した場合確かに大きな前進であり、特に
社会復帰
の
促進
を加えたことは、
任意入院
の導入、
指定
医療
制度
の導入とあわせ高く評価するものでありますが、巷間、
法律
の題名を、
現行精神衛生法
から
精神保健法
に変更する案について、題名変更は全面
改正
の際に行うべきものであって、今回のように部分
改正
の域を出ないものは現状のままでよいという
意見
がありますが、
いか
なる理由で題名変更を行おうとするのか、御
説明
をいただきたいのであります。 次に、
精神障害者
の
定義
について伺います。 国際疾病分類によりますと、その
範囲
の中に、現在の
精神病者
、
精神薄弱者
及び
精神
病質者のほか神経症等も含めるべきであると言っております。すなわち、
精神衛生法
は本来
精神障害者
への幅広い対応を行うものでありますから、さまざまな状態に柔軟に対応するため、
対象
範囲
の拡大が望まれているのであります。特に、
我が国
の
精神障害者対策
が国際的に見て著しくおくれていることがかねてから
指摘
されているのであれ、ますから、
精神障害
の
範囲
、規定の拡大が必要であると思うのであります。第四十八
国会
の衆議院
社会
労働委員会における附帯決議におきまして、
精神障害者
の
定義
について結論を出すことと明記されておりますが、これは
障害者
福祉増進
のために重要な
課題
であると思います。この点について提出
法案
ではどのように
検討
されたのか、御答弁を願います。 第三に、国公立
病院
の
あり方
についてであります。
精神病院
を開設者別に見ますと、総数千六百十
施設
の約八割の千三百十三
施設
が私立
病院
であります。そのためか世論の一部に、国公立
病院
は今よりさらに本来の
設置
目的
に立ち返って
精神医療
を担当し、地域
医療
に貢献すべきであるとの批判があります。すなわち、人的にも
施設
面においても
整備
が不十分な私的
病院
に重篤な
措置
入院患者
が比較的多いため、報徳会宇都宮
病院
のような不祥事が発生するのだという声であります。
措置入院
対象
の
患者
こそ、大学
病院
も含め国公立
病院
が積極的に受け入れるべきであると思いますが、国公立
病院
の役割分担についてどのように
考え
ておられるのか、御答弁いただきたいのであります。 第四に、
社会復帰
のためのいわゆる中間
施設
についてであります。
患者
の
人権
擁護
という観点から、
本人
の意思に基づく
入院
を推進するため
任意入院
を規定しておりますが、従来から言われていたみずからの意思のない多数の
患者
の
入院
、いわゆる
同意入院
が非常に多いというのは、関係者の間に、
患者
の幸福、
福祉
というよりも、
精神障害者
を
社会
秩序や家庭生活を乱すものであるとして隔離、排除しようとする姿勢が潜んでいたからではな
いか
という
指摘
もあります。その
意味
では、
改正案
に示された
任意入院
の規定は、現状よりは一歩前進の
措置
であると
考え
るものであります。 他方、
改正
のもう
一つ
の大きな柱である
精神障害者
の
社会復帰
の
措置
を講じたことは評価される点でありますが、その中で、
社会復帰施設
を
地方公共団体
などが「
設置
することができる。」とやや後退した表現となったことについては、先進国に迫る
精神医療
の確立を本気で
考え
るのであるならば、地域の
医療
と
福祉
の
充実
を国と
地方公共団体
の
責任
としてさらに強く打ち出すべきであると主張しますが、この点についての御所見をお聞かせいただきたいと思います。(
拍手
) また、必要以上の長期
入院
を解消するため、
精神病院
から家庭へスムーズに移行させることがぜひとも必要であります。そのためには保健、
医療
、
福祉
などのサービス行政が集約された中間
施設
の
整備
が極めて重要であると
考え
るのでありますが、中間
施設
の形態をどのように
考え
ておられるのか、お示しをいただきたいのであります。 第五に、
医療
ソーシャルワーカー等マンパワーの養成と、いわゆる身分法の確立問題についてであります。
精神障害者
が円滑に
社会復帰
し、地域に融和していくためには、
障害者
に対する地域
社会
の誤解や偏見を是正し、保健
医療
のサービスや
福祉
サービスをニーズに従って円滑に提供し、また、作業
訓練
施設
、居住
施設
等の
整備
等を推進していくことは不可欠の
要件
でありますが、とともに、さらに重要なのは、
障害者
の自立、
社会
参加の
促進
を手助けするマンパワーの養成、
確保
であります。 昨年七月の
公衆衛生審議会
の
意見
にも「
精神科医療
施設
におけるマンパワーの
充実
」があり、また、さきの百八
国会
におきましても、
社会
福祉
士及び介護
福祉
士法が制定されているのであります。
精神
科ソーシャルワーカー及び臨床心理士等の養成や身分法の早期
整備
についてどのような方針でおられるのか、御
見解
を承りたいのであります。 最後に、
保護義務者
制度
の見直しについてお尋ねをいたします。 法定の
保護義務者
にかかわる問題については、特に、その
保護
義務
の内容が、
精神障害者
に受療させるとともに、いわゆる自傷他害を防止するための監督と、
精神障害者
の財産上の利益まで
保護
しなければならないと、厳しい規定になっておりますが、これの
保護義務者
に与える影響と負担は極めて大きいと言わざるを得ません。 仮に自傷他害の事態発生の場合は、罰則規定がないとはいうものの、その反射的効果として、少なくともその
責任
の一端は担わなければならない
状況
に追い込まれることにならざるを得ないと思います。
任意入院
の導入も行われるのであれば、自傷他害の発生の際の
責任
の所在についての見直しがぜひとも必要と思うのであります。また、
患者
と直接関係性のない
地方公共団体
の首長が
保護
者として
同意
を与えるという点についても、その適否をあわせて
検討
すべきであると思いますが、御
見解
を承りたいのであります。 以上、九点についてお尋ねをいたしました。
総理
初め両大臣の誠意ある御答弁を期待をいたしまして、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣中曽根康弘
君
登壇
〕
中曽根康弘
13
○
内閣総理大臣
(
中曽根康弘
君) 吉井議員の御
質問
に
お答え
いたします。 まず、
施策
への見識、政策実行の問題でございますが、
精神障害者対策
については、
精神障害者
の
人権
の
擁護
に配慮しつつ、その適正な
医療
及び
保護
を
確保
するとともに、その
社会復帰
を
促進
することにより
精神障害者
の
福祉
の
増進
を図ることが大切と
考え
ているところであり、今後とも
施策
の
充実
に努めてまいる
所存
であります。 教育活動等の推進についてでございますが、
精神
病に対する正しい理解と認識を広めていくには、国、
地方公共団体
はもとより、
国民
一人一人の協力が不可欠などの御
意見
は、御
指摘
のとおりであります。
改正法案
には、新たに
精神障害者
に対する
国民
の理解に関する規定を設けているところでもあり、今後とも関係機関等を
中心
として、普及啓発活動を行うべく、努力してまいりたいと思います。 残余の問題は
関係大臣
が答弁いたします。(
拍手
) 〔
国務大臣
平井卓志君
登壇
〕
平井卓志
14
○
国務大臣
(平井卓志君)
お答え
いたします。
精神障害者
につきましては、
精神薄弱者
と異なりまして、手帳
制度
が確立されていないなどの問題がございます。また、
プライバシー
を侵害するような事態を招いた場合には、かえってその職業的自立にもマイナスとなることなどの問題もございますので、現状におきましては、各種
助成
金の支給
対象
とすることは不適当であると
考え
ております。 しかしながら、
精神障害者
については、これまでも公共職業安定所におきましてきめ細かな職業相談、職業紹介を行ってきたところでございまして、
昭和
六十一年度からは、
精神
分裂病や躁うつ病にかかっている者も、職場適応
訓練
の
対象
に加えたところであります。また、先般の身体
障害者雇用促進法
の
改正
におきまして、
精神障害者
に対しましても職業
リハビリテーション
を推進するとともに、その
雇用
の
促進
のために必要な調査研究に努めることといたしたところであります。
精神障害者
につきましては、職場における医学的管理の方法が確立されておらないなどの問題がございます。今後の解決にまつべき問題も少なくございませんので、今後とも調査研究を進め、その
雇用
対策の
あり方
について
検討
を重ねたい、かように
考え
ております。 以上であります。(
拍手
) 〔
国務大臣斎藤十朗
君
登壇
〕
斎藤十朗
15
○
国務大臣
(
斎藤十朗
君)
お答え
をいたします。 まず、
法律
の題名についてでございますが、ストレス問題、アルコール関連問題、児童、思春期の心の問題、お年寄りの心の問題等が今日的
課題
として比重を高め、
精神
的健康の
保持
向上
についての
国民
の認識の
変化
やニーズの多様化が見られる中で、
公衆衛生
としての
精神保健
に対する
国民
の期待は大きいと認識いたしております。このような
状況
を踏まえ、今回の
改正
においては、積極的な心の健康づくりを
促進
する観点から、
法律
の
目的
に、広く
国民
の
精神
的健康の
保持
及び
増進
を図ることを加え、これにふさわしい
法律
の題名として、
精神保健法
といたしたところでございます。 次に、
精神障害
の
範囲
についてでありますが、今回の
改正
につきましては、
公衆衛生審議会
精神
衛生部会において、関係各団体からいただいた
意見
を踏まえて慎重に
審議
が行われ、昨年十二月、
精神衛生法改正
の
基本
的方向(中間メモ)が取りまとめられたところでございますが、この中間メモにおきまして、
定義
規定の見直しについては、
種々
議論
を要する点が多いことから、引き続き
検討
を行っていくことが必要との取り扱いとなったところでございまして、これを受けて、今回の
法改正
におきましても、
精神障害者
の
範囲
及び規定の仕方については、その
改正
を見送ることといたしたところでございます。 なお、この問題につきましては、引き続き
検討
に努めてまいります。 次に、
措置
入院患者
の受け入れにつきましては、その
医療
、
保護
の
確保
等の見地から、できる限り国公立の
医療
機関で受け入れを行うことが望ましいと
考え
ております。従来より、国公立
病院
において積極的に受け入れを図るよう
指導
してきたところでありますが、今後とも受け入れ
体制
の
整備
が図られますよう努めてまいる
所存
でございます。 次に、
精神障害者
の地域
精神医療
や
社会復帰対策
につきましては、これまで主として
都道府県
を
中心
として行われてきているところでありますが、今般の
改正法案
におきましては、
社会復帰
関係の諸規定を新たに盛り込むとともに、その
設置
主体につきましても、
都道府県
のみならず、市町村、
社会福祉法人
等についても、地域のニーズに応じて
設置
することができるよう規定の
整備
を図ったところでございまして、御理解を賜りたいと
考え
ております。 また、いわゆる中間
施設
の問題につきましては、必要以上の長期
入院
の解消のための
方策
としての御提案であると存じますが、
医療
機関と家庭との間をつなぐ
施設
としては、今般の
改正法案
に盛り込んでおります
精神障害者社会復帰施設
を
考え
ているところでございます。 また、
精神
科ソーシャルワーカー、臨床心理士等の資格
制度
化につきましては、他の
医療
関係職種との業務分野の調整、関係団体岡の合意形成等が十分図られることが必要でございます。
精神
科ソーシャルワーカーにつきましては、
医療
福祉
士として資格法制化する方向で現在関係者の間で
意見
調整を図っているところでございますが、合意が得られれば法制化に努める
所存
でございます。 また、
保護義務者
制度
につきましては、監督
義務
、財産上の利益
保護
義務
等を課した
保護
義務
の内容、市町村長が
保護義務者
になることの適
否等
、
種々
御
意見
があることは十分
承知
をいたしておるところでございますが、
我が国
における
家族
制度
とも密接に関連する事柄でもございまして、また、
公衆衛生審議会
においても引き続き
検討
を要すべき問題とされているところでございますことから、今回の
改正
では見直しを行わず、
政府
として引き続き
検討
に努めてまいることといたしておるところでございます。 以上でございます。(
拍手
)
原健三郎
16
○
議長
(
原健三郎
君) これにて
質疑
は終了いたしました。
————◇—————
原健三郎
17
○
議長
(
原健三郎
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後一時五十八分散会
————◇—————