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1987-08-27 第109回国会 衆議院 逓信委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十二年七月六日)(月曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。   委員長 深谷 隆司君    理事 白川 勝彦君 理事 関谷 勝嗣君    理事 田名部匡省君 理事 額賀福志郎君    理事 吹田  愰君 理事 田並 胤明君    理事 木内 良明君 理事 木下敬之助君       尾形 智矩君    亀岡 高夫君       川崎 二郎君    久野 忠治君       佐藤 守良君    園田 博之君       虎島 和夫君    野中 広務君       二田 孝治君    穂積 良行君       宮崎 茂一君    森  喜朗君       渡辺 紘三君    阿部喜男君       伊藤 忠治君    上田 利正君       松前  仰君    鳥居 一雄君       春田 重昭君    阿部 昭吾君       佐藤 祐弘君 ――――――――――――――――――――― 昭和六十二年八月二十七日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 深谷 隆司君    理事 白川 勝彦君 理事 関谷 勝嗣君    理事 田名部匡省君 理事 額賀福志郎君    理事 吹田  愰君 理事 田並 胤明君    理事 木内 良明君 理事 木下敬之助君       尾形 智矩君    川崎 二郎君       久野 忠治君    佐藤 敬夫君       佐藤 守良君    園田 博之君       虎島 和夫君    野中 広務君       二田 孝治君    穂積 良行君       宮崎 茂一君    阿部喜男君       伊藤 忠治君    上田 利正君       松前  仰君    鳥居 一雄君       春田 重昭君    阿部 昭吾君       佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 唐沢俊二郎君  出席政府委員         郵政大臣官房長 森本 哲夫君         郵政省簡易保険         局長      相良 兼助君         郵政省通信政策         局長      塩谷  稔君         郵政省電気通信         局長      奥山 雄材君         郵政省放送行政         局長      成川 富彦君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第五局長  三原 英孝君         会計検査院事務         総局第五局郵政         検査課長    東島 重義君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     川原 正人君         参  考  人         (日本放送協力         技師長専務理         事)      中村 有光君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   林  乙也君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     松本 幸夫君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     尾西 清重君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     植田  豊君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     井上  豊君         参  考  人         (日本放送協会         総合企画室局         長)      中野 正之君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   三河内賢二君         参  考  人         (日本放送協会         予算部長)   中野 正彦君         逓信委員会調査         室長      古田 和也君     ―――――――――――――  委員の異動 七月二十九日  辞任          補欠選任   伊藤 忠治君      浜西 鉄雄君   春田 重昭君      小川新一郎君 同日  辞任          補欠選任   浜西 鉄雄君      伊藤 忠治君   小川新一郎君      春田 重昭君 八月二十一日  辞任          補欠選任   阿部喜男君      土井たか子君 同日  辞任          補欠選任   土井たか子君      阿部喜男君 同月二十五日  辞任          補欠選任   野中 広務君      稻葉  修君   二田 孝治君      阿部 文男君   阿部喜男君      村山 喜一君 同日  辞任          補欠選任   阿部 文男君      二田 孝治君   稻葉  修君      野中 広務君   村山 喜一君      阿部喜男君 同月二十七日  辞任          補欠選任   園田 博之君      佐藤 敬夫君 同日  辞任          補欠選任   佐藤 敬夫君      園田 博之君     ――――――――――――― 七月六日  日本放送協会昭和五十九年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書  日本放送協会昭和六十年度財産目録貸借対照  表及び損益計算書 は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月三十一日  旭川逓信病院の存続に関する陳情書  (第  三〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  日本放送協会昭和五十九年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書      ――――◇―――――
  2. 深谷隆司

    深谷委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  逓信行政に関する事項  郵政事業に関する事項  郵政監察に関する事項  電気通信に関する事項  電波監理及び放送に関する事項 以上の各事項につきまして、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、国政調査承認を求めることにいたし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 深谷隆司

    深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 深谷隆司

    深谷委員長 次に、日本放送協会昭和五十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 深谷隆司

    深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  6. 深谷隆司

    深谷委員長 まず、郵政大臣から説明を聴取いたします。唐沢郵政大臣。     ―――――――――――――  日本放送協会昭和五十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  7. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書国会提出につきまして、概略御説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭和五十九年度貸借対照表等によりますと、昭和六十年三月三十一日現在における資産総額は、三千五十九億四千四百万円で、前年度に比し、四百三億八千万円の増加となっております。  これに対しまして、負債総額は、一千四百一億八千五百万円で、前年度に比し、百四十七億八百万円の増加となっております。  資本総額は、一千六百五十七億五千九百万円で、前年度に比し、二百五十六億七千二百万円の増加となっております。  資産内容を見ますと、流動資産五百二十六億八百万円、固定資産二千三百六十二億七千八百万円、特定資産百六十六億七千三百万円、繰り延べ資産三億八千五百万円であり、固定資産内容は、建物六百十二億六千万円、機械及び装置五百九十二億九千六百万円、土地二百十二億四千八百万円、その他の固定資産九百四十四億七千四百万円となっております。  また、負債内容は、流動負債六百八億二千百万円、固定負債七百九十三億六千四百万円であり、固定負債内容は、放送債券四百六十一億三千万円、長期借入金百七十八億八千四百万円、退職手当引当金百五十三億五千万円となっております。  資本内容につきましては、資本一千三百九十六億四千三百万円、積立金四億四千四百万円、当期事業収支差金二百五十六億七千二百万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  経常事業収入は、三千三百六十一億一千四百万円で、前年度に比し、四百八十六億四千八百万円の増加となっております。  これに対しまして、経常事業支出は、三千百二十五億九千九百万円で、前年度に比し、百七十六億六千五百万円の増加となっております。  この結果、経常事業収支差金は、二百二十五億一千五百万円となり、これに、経常事業外収支差金十一億六千八百万円を加えた経常収支差金は、二百二十六億八千三百万円となっております。これに、特別収入二十七億二百万円を加え、特別支出七億一千三百万円を差し引いた当期事業収支差金は、二百五十六億七千二百万円となっております。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  8. 深谷隆司

  9. 川原正人

    川原参考人 ただいま議題となっております日本放送協会昭和五十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書概要につきまして御説明申し上げます。  まず、財産目録貸借対照表当年度末現在の資産総額は、三千五十九億四千四百万円で、この内訳は、流動資産五百二十六億八百万円、固定資産二千三百六十二億七千八百万円、特定資産百六十六億七千三百万円、繰り延べ資産三億八千五百万円で、このうち固定資産内容は、建物六百十二億六千万円、土地二百十二億四千八百万円、機械及び装置五百九十二億九千六百万円、放送衛星百二十六億百万円、その他の有形固定資産無形固定資産四百七十六億円、出資その他の資産三百四十二億七千三百万円でございます。  当年度資産総額を前年度末と比較しますと、四百三億八千万円の増加となっておりますが、これは主として、当年度建設計画に基づく放送衛星号a整備テレビジョン放送網整備放送設備整備等により固定資産が二百九十七億一千百万円増加し、また、受信料前受け金等増加により、流動資産が八十五億六千八百万円増加したためでございます。  一方、これに対する負債総額は、一千四百一億八千五百万円で、この内訳は、流動負債六百八億二千百万円、固定負債七百九十三億六千四百万円、このうち固定負債内容は、放送債券四百六十一億三千万円、長期借入金百七十八億八千四百万円、退職手当引当金百五十三億五千万円でございます。  当年度負債総額を前年度末と比較しますと、百四十七億八百万円の増加となっておりますが、これは受信料前受け金等増加により流動負債が百十八億三千六百万円増加し、また、長期借入金等増加により固定負債が二十八億七千二百万円増加したためでございます。  また、資本総額は、一千六百五十七億五千九百万円で、この内訳は、資本一千三百九十六億四千三百万円、積立金四億四千四百万円、当期事業収支差金二百五十六億七千二百万円でございます。この資本総額は前年度末と比較し、二百五十六億七千二百万円の増加となっております。  次に、損益計算書により経常事業収支について見ますと、まず、受信料等経常事業収入は、三千三百六十一億一千四百万円で、前年度と比較し、四百八十六億四千八百万円の増加となりました。  これは主として、昭和五十九年度以降三カ年の経営計画のもとに、昭和五十九年四月から、やむを得ず放送受信料月額の改定を行うとともに、受信契約維持増加に努めた結果でございます。  なお、有料受信契約件数は、二十五万件増加し、当年度末には三千十九万件となりました。  次に、経常事業支出は、三千百三十五億九千九百万円で、この内訳は、国内放送費八百五十六億八千二百万円、国際放送費二十三億百万円、契約収納費三百四十五億六千五百万円、受信対策費十二億四千三百万円、広報費十五億三千二百万円、調査研究費三十五億四千八百万円、給与一千七十四億九百万円、退職手当厚生費三百二十四億六千百万円、一般管理費七十五億一千百万円、減価償却費二百七十七億二百万円、未収受信料欠損償却費九十六億四千五百万円となっております。  これは前年度と比較し、百七十六億六千五百万円の増加となりましたが、主として、放送番組内容充実刷新受信契約維持増加施策の推進及びこれらの事業遂行に伴う事業運営費増加等によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は二百二十五億一千五百万円となり、これに経常事業外収支差金十一億六千八百万円を加えた経常収支差金は二百三十六億八千三百万円であります。  これに、特別収入二十七億二百万円を加え、特別支出七億一千三百万円を差し引いた当期事業収支差金は、二百五十六億七千二百万円となりました。このうち、債務償還等に充てた資本支出充当は八十億五千五百万円であり、事業収支剰余金は百七十六億一千七百万円であります。  なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。  これをもちまして概要説明を終わらせていただきますが、今後の事業運営に当たりましても、公共放送としての使命と責務を銘記し、一層放送事業の発展に努力してまいる所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
  10. 深谷隆司

    深谷委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。会計検査院三原第五局長
  11. 三原英孝

    三原会計検査院説明員 日本放送協会昭和五十九年度決算につきまして検査いたしました結果を説明いたします。  日本放送協会昭和五十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書は、昭和六十年八月七日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて、同年の十二月六日内閣に回付いたしました。  同協会の会計につきまして検査いたしました結果、特に法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項はございませんでした。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  12. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて説明は終わりました。     ―――――――――――――
  13. 深谷隆司

    深谷委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。二田孝治君。
  14. 二田孝治

    二田委員 昭和五十九年度NHK決算について少し質問をしてみたいと思います。よろしくお願い申し上げます。  昭和五十九年度受信料値上げの年であったわけでございますけれども決算におきましては、収支予算と比較してみると受信料収入が七億七千六百万円下回っておるわけでございますが、事業支出減少等により、これには多分に経営的な努力があったと思いますけれども事業収支差額金は六十九億六千四百万円上回る結果となっております。この収支予算実績との差異について郵政省はどうお考えなのか、ひとつお教えいただきたいと思います。
  15. 成川富彦

    成川政府委員 先生お話のとおり、五十九年度決算におきましては、受信料値上げ等の影響もございまして、受信料の関係では若干下回ったということはございます。受信契約が、四十三万件を予定しておりましたのですが、実際には二十五万件しかできなかったというようなこと等もございまして、受信料収入予算を若干下回った状況にございます。しかし、先生お話にございましたように、事業支出の抑制、副次収入確保等によりまして、当初予算に比べまして約七十億円の収支改善を達成することができました。この結果、昭和六十年度以降に百七十六億円を繰り越すことができまして、当初予定しておりました百六億円に対しまして百七十六億円を繰り越すことができたわけでございます。要員の効率化につきましても当初予定したものを上回る節減をすることができまして、好結果を生んだということが言えるかと思います。  私どもといたしましては、五十九年度決算につきましては、NHK経営努力によりましておおむね評価できる成績を上げたのじゃないかというふうに考えているところでございます。
  16. 二田孝治

    二田委員 ただいまのお話によりますと、大変経営努力をなさったこと、まことに結構なことだと思います。しかし、これによりまして、必要ないろいろな経費というものの節減があるわけでありますけれども、十分に配慮しながら今後も経営努力をしていただきたいと思います。  次に、NHKの公共的な立場を考慮してみますると、受信料はできるだけ値上げをせずに経営というものの長期的安定化を図ることが大変必要なことだと思います。そのためには、受信料収入の確実な徴収が絶対条件であると思われます。NHKは、さらに努力すべきであることはもちろんのことであります。五十九年度決算におきましても、NHK経営の現状について、やはりどういたしましてもかなり厳しいものがあると、決算内容を見てみますると認識せざるを得ないのでありますが、この点に関しましてNHKといたしましてはどのような認識をしていらっしゃるのか、お伺いしたい。  また、五十九年度値上げいたしました現行受信料はいつまで維持することができるのかどうか、あわせてお答えいただきたいと思います。受信料は何年かごとに一回値上げになるわけでございますけれども、これが恒常的に行われるものなのかどうなのかということもあわせてひとつお教えいただきたいと思います。
  17. 松本幸夫

    松本参考人 先生指摘のとおり、受信料収入というのはNHK収入のほとんどすべてを占めているということでございますから、経営の安定をさせてまいるという点からまいりますと、経費節減努力というのは当然でございますけれども収入を確実に収納していくということが不可欠のことであるというふうに認識しております。従来の営業体制あるいは営業活動のありようというものも、この際、五十九年度先生指摘のような営業活動という点を省みまして、抜本的な改善を図りたいと思っております。  その一つの課題といたしまして、なかなかお目にかかれない人たちにどういう形でお目にかかる方策を講じたらいいのか。あるいは、移転という形で契約の減が出てまいるわけですけれども移転をされた方々をどういう形で早く捕捉してまいるのか。あるいは、滞納でございますとか支払い拒否であるとかいうような現象もございますので、それに対してどういうアプローチをしていったらいいのかというようなことについて、抜本的な仕事の組みかえというものを今詳細に検討しているところでございます。  五十九年度状況に比べまして六十年度、六十一年度というのは、五十九年度実績を反省いたしましていろいろな形で対策を講じました。その結果、契約総数の増につきましても予定数を上回る数が確保できましたし、収納額についても予定額を上回る額を六十年度、六十一年度と確保してまいっております。そういった意味で、さらに六十三年度以降も、より厳しい形で収納の確実な遂行に努めてまいりたいと考えている次第でございます。  もう一つ料額の問題についての御指摘でございますけれども、これは先生指摘のとおり、公共的な立場考えますと、受信者の負担はできるだけ低い方がいい、これをできるだけ維持してまいるということが私ども責務であろうというふうに考えております。しかしながら、この六十二年度予算状況を見ますと、既に実質的には赤字の形に単年度で見ますとなっております。これを六十二年度に向けてどういう形で予算を編成してまいるのか、料額についてどういう考え方を固めるのか、これを六十三年度事業計画予算の策定という中で今慎重に検討しているところでございます。
  18. 二田孝治

    二田委員 ありがとうございました。ただいまのお話でよくわかりましたので、なお一層の努力をお願い申し上げます。  NHK事業収入は、先ほどお話しのとおり大部分が受信料であるわけでございますが、言ってみますれば国民全部からいただいておるわけでございますので、これがどのような項目支出されているのかというのは大変大事なことだと思います。このうち、衛星放送とかハイビジョンを初めとする新技術研究開発に向けられた支出はどのくらいの額であって、どういう目的に使われているのか、お教えいただきたいと思います。
  19. 中村有光

    中村参考人 お答えいたします。  NHK研究開発に使っておりますいわゆる研究費と称しますのは、受信料総額の二%弱でございます。人件費を含めまして約六十億程度規模でございます。
  20. 二田孝治

    二田委員 では、このわずか二%弱でもって、これはNHKで研究したりその他の研究機関でしたりしますのは国民的資産になっていくわけでありますので、放送は単にNHKばかりではありませんので、そういうような意味合いからも多いとは言えないと思うわけでございますけれども、今後ともこういう項目はこの程度で進むものかどうか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  21. 中村有光

    中村参考人 先生指摘のように、決して予算的には余裕があるという数字ではございませんけれども研究開発というのはお金のみではなくて、人の技術的な力といいますか、それがより以上に大切だというふうに考えております。そういう面で、少ないお金を有効に使うような、人の育成、そういうことを図ってまいりたいと考えております。
  22. 二田孝治

    二田委員 先ほどの技術開発の話にも関連するわけでございますけれども、今年度の七月四日から衛星放送が二十四時間の衛星独自番組となり、またNHKの大変なPRにより、民放がうらやむほど視聴者の関心が急速に高まっております。これはまことに結構なことだと思います。  この機会に衛星放送受信機が普及し、内需拡大に資するものと期待しておるわけでございますけれども衛星放送用受信機が不足し、電気店に行っても入手できないというような苦情もお伺いしておりますし、私自身も、秋田でございますけれども、そばの電気屋に聞いてみましたら、なかなか手に入らない、こういうお話を伺いました。値段も最近は、二十数万から十五万台まで下がっているという話もお聞きしておりますけれども、少し高いのじゃないかと思っております。その対策を、これはどこでやるのかわかりませんけれどもNHKさんでやるのかどうかいかように取り計らっていくのか、お伺いしたいと思います。  また、衛星放送を続けて実施していくにはそのための経費も必要であろう。現在は既存の受信料で実施されているのですが、そうしますと、将来受信料体系衛星放送を中心にして見直すということもあり得るのかどうなのか、この辺もあわせてお答えいただきたいと思います。
  23. 中村有光

    中村参考人 先生の最初の方の質問にお答えいたします。  衛星放送を受ける受信機を安く供給できるということは御指摘のように大変大事なことでございます。新しい番組の編成が七月から始まるに当たりまして、私どもは、各メーカー並びに日本電子機械工業会に要請をいたしまして、御努力をお願いした次第でございます。その結果、今月下旬から生産体制整備されまして、各社五千台から二万台、全部合わせますと万八万台程度生産規模がそろっているというふうに推定しております。  また、値段も、従来までは一式二十五万円程度かかっておりましたものが、約十万円安くなりまして、十五万円を切る、十四万円程度が平均になっていようかと思います。私どもは、まだまだ一層の努力をお願いして、安い受信機をたくさん普及することに努力してまいりたいというふうに思います。
  24. 林乙也

    ○林参考人 御質問をいただきました、後段の受信料体系についての取り組みでございます。  七月から免許方針の改定を受けまして、NHKといたしましては新たに一チャンネルを独自放送として放送を開始しておるわけでございますけれども、一方、衛星の状況の中で中央制御装置に若干のふぐあいを生じたということなど、衛星それ自体についての信頼性の確認という点について、全く懸念を持たないで確信が持てるという状況でない中で、現在は試験放送という形で放送のサービスを行っておるところでございます。しかし、今後の衛星の安定的な運用だとかあるいは普及状況、さらには、現在開始しております放送サービスについての受信者の受益感というようなことなどを十分見きわめました上で、今後衛星放送についての財源措置をいかにすべきかということについて現在真剣に検討いたしておるところでございます。  この点につきましては、来年度事業計画を策定する上での重要な課題と考えておりまして、衛星放送のサービス内容あるいは普及の状況、あるいは衛星についての安定的な運用を、いましばらく見きわめた上で決定してまいりたいというように考えております。
  25. 二田孝治

    二田委員 あと質問を二つばかりやりたいと思います。質問時間が持ち時間五分前ですという紙が参っておりますので、答弁の方も簡潔にお願いしたいと思います。  衛星放送が普及し、一般化していった場合、私はやはり、受信機としましてはハイビジョンが最適ではないかと思います。この間、党本部でも参って見せてもらったわけでございますけれども、あの鮮明度から見ましてもいろいろな観点から見ましても、ハイビジョンが将来の主流になると思っています。また、ハイビジョンは高度情報化社会における映像文化の担い手として注目されておりますし、また、内需拡大にも大きく貢献するものと期待されておるわけでございます。  そこで、ハイビジョンの実用化、普及に向け、郵政省としてどのように取り組んでまいる所存か、お伺いいたしたいと思います。この件に関しましては予算のときにもちょっと質問しましたけれども、よろしくお願いします。
  26. 成川富彦

    成川政府委員 ハイビジョンの実用化の前提といたしましては、まず国民の皆さんに理解をしてもらうということが第一だというふうに考えておりまして、そのために、テレトピア地域においてハイビジョンセンターをつくるとか、あるいは、来年ソウルでオリンピックがございますが、オリンピック等の放送をするというようなことなどを通じて国民の理解を促進していきたいというふうに考えております。  それと、何といつでも価格が低廉になっていきませんとなかなか普及が図れないと思いますが、その問題は、量産効果がどれくらい、いつの時期に出てくるかということがはっきりいたしませんが、私どもといたしましては、できるだけ早期に五十万円台の価格になるようにということが重要であるというふうに認識しているわけでございます。  それから、ハイビジョンの放送規格の早期の確立ということも大切かというふうに思っております。それと、ハイビジョン関連設備の技術開発は、まだまだやらなければならない分野がかなりございますので、それの促進を図っていくということも大切かと思います。  それらの総合的な普及促進策を図りながら、実用化、普及に向けて努力していきたいというふうに考えているところでございます。
  27. 二田孝治

    二田委員 NHKばかりじゃなく、このハイビジョンの件に関しましては国その他の機関が総合的に研究開発に取り組んでほしいと思います。衛星放送、ハイビジョン等、新技術研究開発に従来に増して積極的に取り組むべきであるというふうに考えております。これについて郵政大臣も大分御見識がお深いようでございますので、ひとつ御意見のほどをお伺いして質問の最後にいたしたいと思います。よろしくお願いいたしたいと思います。
  28. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 国民のニーズの多様化、高度化に対応いたしまして、新しい放送の実用化、新技術研究開発が重要であります。また、我が国の喫緊の課題であります内需拡大のためにも、衛星放送、ハイビジョン等の新しい放送は効果が極めて大きい。  特に、今先生はハイビジョンについての御見解を述べられまして、私も全く同意見でございます。これは第三のテレビ革命と言われておりますが、勤労者世帯の貯蓄が七百万円を超えておる今日でございますから、普及は、前の二回目の革命よりよほど速いと思っております。ハイビジョンを見られた方のいろいろな御意見も承っておりますし、郵政省に最近あれを備えつけておりまして、いろいろお客さんを案内して意見を聞くのですが、いろいろな利点、効能書きも言われておりますが、一番多くの方が言われるのは、ちらちらしないでいい、見ていて疲れない。ですから、お子様の目の悪くならないテレビ、お年寄りの目の疲れないテレビ。そこで私は、初孫にハイビジョン、親孝行にハイビジョン、内助の功にもハイビジョンと申しております。見通しは、非常に強気でございますが、三千五百万世帯で、今五十万というお話でございましたが、これを購入していただきますと十七兆五千億、乗数効果を入れないでそれだけの売り上げがあるわけでございます。  そういう意味で、全く先生のおっしゃるとおりでございますので、今後も高度な放送衛星技術研究開発等に積極的に取り組みますとともに、民間による技術開発の推進や利用制度の整備など、放送ニューメディアの普及促進のための施策を推進してまいりたいと考えております。また、NHKについても、引き続き放送技術研究開発に先導的な役割を果たすことを期待いたしております。
  29. 二田孝治

    二田委員 以上で質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  30. 深谷隆司

  31. 虎島和夫

    虎島委員 今、まさに電波の時代であります。その中で、NHKが二十一世紀を目指し、新しい技術に絶え間なく挑戦し、実績を上げていることに敬意を表するものであります。  昨日、放送センター視察の機会に恵まれましたが、桜田淳子氏にも対面の栄に浴しました。ただ、建物の外観と機材はともかくとして、狭く雑然としたスペースから世界へ向けての海外放送が実施されておるという状況を見まして、職員の皆さんの労を多とし、経営陣の施設の充実に向けての奮気を痛感した次第であります。  ところで、政府は、NHK事業計画等の策定に関し、業務運営体制の見直しなど経営の合理化と経費節減を要請しておるところであります。一方では、公共放送機関としてのNHKに対する国民の要望は限りなく広い、しかも深いということが言えるかと思いますが、その経営には、少なくともこうして国会収支予算等々が論議されるNHKでありますから、強い倫理性が求められていることは当然のことであります。  ところが、倫理性と申しますと、ここで一つの問題を提起して、御答弁を願いたいのであります。  それは、最近の週刊誌で「NHKにも「ココム違反」」として大きく取り上げられた問題であります。この問題は、今直ちに五十九年度決算とかかわりはないわけでありますけれども、さきに明らかになりました日本企業のココム違反は、オンリーワンではなくてワン・オブ・セムである、しかも、それはかなり過去にさかのぼってこのような違反事犯が起こったということが今指摘されているところであります。真否は別として、このような指摘が行われる。であるとするならば、今回の週刊誌の報道については、この際その実態を明確にして、そして過去には一体どうであったのかということについても、五十九年当時等々にさかのぼった対応なり対策を聞きたいところであります。  もちろん、週刊誌もココム違反と断定はしておらないようであります。最後のところには「もしNHKが、“濡れ衣”を着せられたとしたら、なぜ沈黙を通したのか不思議ではある。」という指摘がありますから、ココム違反であるという断定は必ずしもしておらないのでありますけれども、その間の実態、経過、あるいはなぜ沈黙を守るという指摘を受けなければならないのか、御所見を承りたい。特に、これは国際的な大問題でありますので、郵政大臣の御所見もこの際承っておきたいところであります。
  32. 松本幸夫

    松本参考人 お答えいたします。  先生おっしゃるとおりに、公共放送事業に携わる者として、倫理性ということは、我々として常に襟を正しながら仕事をしてまいっているところでございます。  今先生指摘のココム違反の問題でございますけれども、この原点といいますか、この情報を流したのは韓国の聯合通信という通信社の記事でございます。私どもこの記事も入手いたしましたし、それから、その配信された原稿を掲載した新聞ももちろん見ております。  私どもとしては、この報道の真偽につきまして徹底的に部内の調査をいたしました。その結果、この記事が全く事実無根であるということが明らかになりましたので、私どもとしては、聯合通信社に対して、在京の支局長それから韓国におります編集局長に対しまして厳重な抗議をいたし、記事の訂正を求めた次第でございます。  この記事の中で私どもとして極めて遺憾だと考えておりますのは、ある意味での伝聞的な物の伝え方をしている。NHKに対しては何らの取材が入っていない。つまり、NHKについての取材なしに書かれた記事であるということで、我々としては極めて遺憾なことであるというふうに思っております。記事の内容は全く事実無根である。  それから、ぬれぎぬであるならば沈黙をしているのはおかしいじゃないかという指摘につきましても、我々としては、そういうことではないと明らかに抗議もし、訂正も求めているということを週刊誌にも申しているところでございます。
  33. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 虎島先生から大変重要な御質問を受けたわけでございますが、ただいまのNHKの答弁のとおりでございまして、御指摘の点につきましてNHKに対しまして事実関係を確認いたしましたところ、報道内容は事実無根であり、NHKから報道元の通信社に対して抗議を行ったということを聞いております。  北朝鮮にもNHKの人が行ったことはあるが、衛星放送機材は一切携行していないという話でありますし、もともとNHKが海外で取材活動を行う場合は、放送機材を海外へ携行することもありますが、このときは貿管令に基づきます通産大臣の輸出承認を受けなければならないし、入国、出国のときに厳重なチェックを受けるわけでありますから、このようなことは起こり得るはずがない。まさに火のないところに煙が立った例ではないかと思っております。  なお、ココム規制につきましては大変重要な問題であります。各機関において遵守さるべきものと考えております。
  34. 虎島和夫

    虎島委員 今の大臣の御答弁あるいはNHKの釈明を了承したいと思います。こういう難しい時代でありますから、いやしくも誤解、批判の対象とならないように、李下に冠を正すというそしりを受けないような御配慮をお願いしたいと思うのです。  ただ、ここで倫理性について申し上げますと、やはりマスコミというのが国民に対していかにある種の力を持っておるかということを、NHK自体が自分のこととして御認識されたと思うのです。今後、放送内容の厳正化あるいは公正化については、今回のこの報道を機会にNHK自体もみずからの問題として御検討賜るように、この際御要望を申し上げておくわけであります。  次に、国際放送について伺います。  五十九年度予算事業計画に対しまして郵政大臣は「協会は、国際放送の重要性にかんがみ、引き続きその受信改善に努めること。」と意見を付しておられるのであります。この決算年度中にどういう改善が大臣指摘に対して行われたのか、承っておきたいと存じます。
  35. 成川富彦

    成川政府委員 先生質問の国際放送の拡充の関係でございますが、国際放送の重要性を考えまして、昭和五十九年度におきまして放送時間を一日延べ三十七時間から四十時間に拡大していただきました。それと、欧州等の地域の受信改善をさらに図るために、シネス中継に加えまして、アフリカのガボンから一日六時間の中継放送を実施したところでございます。  また、五十九年度におきまして、大分傷んでまいりました八俣送信所の設備を四カ年計画で改善しようということで、その整備、増力に着手したところでございます。工事は順調に進んでまいりまして、本年度末にその増力整備関係が終わる予定でございます。これによりまして、主に我が国の近隣地域における受信状況がさらに改善されるというふうに私ども考えているところでございます。
  36. 虎島和夫

    虎島委員 私の調査によりますと、NHKは国際放送に五十九年度四十七億程度支出をしておるようであります。ところが、政府の経費の負担、これは郵政大臣が命令放送をさせるわけでありますが、これに対しての負担は十二億六千万円となっておるわけであります。これは海外放送支出実績から見て、果たして政府としては法定負担をしておるという御自信をお持ちであるのか。あるいは少し値切って海外放送、命令放送を運営してもらっておるのではないかという気もするのです。  というのは、同じく郵政大臣の命令書は、自主放送と命令放送とは混然一体として行えという趣旨の命令書になっておるわけでありますね。そうしますと、分明が非常に困難ではないかということで、果たして十二億六千万というのが命令放送に対する適正な国の支払いであるのかということに若干の疑問を感ずるわけでありますから、この際、政府の御見解を承っておきたいと思います。
  37. 成川富彦

    成川政府委員 国際放送の重要性につきましては私どもも従来から認識しておりまして、国際放送の交付金の増額あるいは確保に従来から努めてきたところでございますが、大変厳しい財政状況下でございまして、なかなか増額ができないという状況下にございました。しかしながら、六十二年度におきましては、厳しい予算事情の中ではございましたけれども先生方の大変な御支援を得まして、国際放送の交付金といたしまして前年度二億円増の十四億四千万円を確保したところでございます。NHKも国際放送は本来業務として行うということになっておりますので、私どもNHKといいますか、国とNHK双方が努力して国際放送を充実していかなければならぬというふうに思っているところでございます。  また、先ほど混然一体となっておって中身が不分明じゃないかというようなお話がございましたのですが、それにつきましては国際放送の実施命令書におきまして、時事とか国の重要な施策、国際問題に関する政府の見解についての報道と解説を、放送効果を高めるためにNHKの自主放送と一体として行うようにという命令を出しているところでございます。その命令の実施に当たりましては、国の予算の範囲内で行うこととあわせまして、命令内容に基づく実施計画をNHKから提出させまして、その提出させた計画に従って放送をしてもらっております。予算の執行に当たりましては、NHK実績による支払い請求に応じて支払っているということでございまして、私ども予算が適当に使われているということはないというふうに私どもは認識しております。
  38. 虎島和夫

    虎島委員 重要性を認識されまして、大臣初め皆さん方の御努力で今年度はふえるという見込みであるということでありますから、御同慶の至りと存じます。今後ともそういう姿勢を御堅持いただきたいと思います。  次に、先ほども指摘ありましたが、NHK研究開発のことであります。  これも放送法では、郵政大臣NHKに対し研究開発につき命令し、その費用を支弁することができるとなっておるわけでありますが、五十九年度現在では現実にこの支弁がないわけであります。  技術開発については、私は国の援助が、特に財政的な援助が必要にして不可欠であるという認識を持っております。これなくしてはNHKは、世界の先端を行く電波放送事業維持運営することが困難であるという考えを持つわけであります。したがって、郵政省はこの財政援助について、一般会計だけではなくてもっと幅を広げて御検討いただきまして、例えば電波通信関係の、国民のあるいは関係者の努力で蓄積されたNTTの株、これは今処分されておるわけでありますが、その売却収入等については、このような放送技術、電波技術あるいは郵政行政も含めてしかるべき対応があってしかるべきではないかという考え方をかねがね私は持っておるわけであります。  そういう立場からは、五十九年度に国の援助がないという実態の御説明と、今後のこのことに対する国の積極的な対応を期待するわけでありますが、御所見を承っておきたいと思うわけであります。
  39. 成川富彦

    成川政府委員 NHK自身としても放送サービスの普及、改善、発達を図るための技術開発関係の業務を本来業務として持っているところでございますが、先生お話にございましたように技術開発については大変重要な問題がございますので、政府としてもそれをバックアップしていくということでなければならぬというふうには思っておりますが、国の財政事情が非常に厳しいこともございまして、一度もこの関係の命令が発せられたことは過去にはございません。まことに残念ながらそういう状況にございます。一般会計大変苦しい事情でございまして、そちらの方からはなかなか難しいことでございまして、今先生お話のございましたように、NTTの売却益による融資とかということも考えられないではないでしょうけれども、第三セクターとかいろいろな制約がございまして、なかなかNHKに対してそれを差し向けるというようなことはできない状況でございますが、今後の検討課題として研究してまいりたいというふうに考えております。
  40. 虎島和夫

    虎島委員 今のことは実は二面の効果があると思うのです。  一つは、先ほど申しましたように世界の先端を走る技術をさらに先に伸ばしていく、そして世界に向けて、あるいは日本国民の幸せをこういう面から盛り上げていくという側面がありますし、もう一つは、NHK受信料金の長期安定化にも役立つというふうに思うわけであります。この点からの圧迫がこの決算にはかなり見られております。例えば放送債券からの資金の導入であるとかあるいは借入金からの金利負担であるとか、いろいろなものがかなりの負担になっていることを指摘せざるを得ないのでありますから、どうかひとつ、そういう二面性を達成するためにも、今局長からお話がありましたようなことをもう少し積極的に取り組んでいただいて、外からフレーフレーと旗だけ振るのではなくて、やはりこれでやりましょうという御配慮も、ぜひ実現していただきたいと思うわけであります。  いずれにしても、受信料の長期安定と申しますとNHK自体にもまだまだ問題があることは先般指摘のとおりであります。例えば収納拒否が世帯数で〇・三%ある、あるいは滞納が三%あるという実態、あるいはまた料金の収納のコストが総収入の一七%を超えておるという現状等々は、他の公共機関等の料金収入のコスト率からいっても、もう一遍原点に返って検討されるべき課題ではないかということも感じておるわけでございます。  以上のこと等をどうか総合的に対応されまして、料金の長期安定化について国民の要望に沿うようなことを具現化していただきたいと思うわけでありますので、最後に、NHK会長出席でありますから、御所見を承っておきたいと思います。
  41. 川原正人

    川原参考人 まさに御指摘のあったとおりのことだと思います。私ども、料金といいますか財政というものは長期的に安定した形を経営の一番の基礎に置かなければいけないと思っております。その意味では、料金の収納に当たりましても、五十九年度は確かに料金の値上げということもありましたためにいろいろ説明等に手間取って予算どおりに契約がふえませんでした。その後幸いにして、六十年度、六十一年度、そして六十二年度に入りまして計画を上回るような形で契約がふえつつございますし、根本のところ、先ほど松本担当理事からも申し上げましたように、今まで契約に入っておられなかった方にも契約に入っていただくというような形の展開が進んでおりますし、営業の体制も根本的に今変えつつございますので、御期待にこたえるような形でできるかと思っております。このことを一番の経営の基礎と思って今後とも努力してまいりたいと私ども思っております。
  42. 虎島和夫

    虎島委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  43. 深谷隆司

  44. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 NHKの皆さんには大変お忙しい中を出席いただきまして、御苦労に存じます。  昭和五十九年度決算関係に入る前に一、二点お伺いしておきたいのですが、大臣、先ほどハイビジョンについて大変ユーモアに満ちた御宣伝をいただきました。まさかメーカーから宣伝料をいただいておるわけでもないと思うのですけれども、行政の責任者としては余り行き過ぎますと品がございませんので、その点ひとつ御注意をなさった方がいいのではないか、老婆心から申し上げておきます。  実は会長にちょっとお伺いしたいのです。私は、NHKの報道のあり方、その中でとりわけ国民が一番親しんでおるニュースの伝達の仕方について若干疑義を持っておるのですが、会長は立法府と行政府との関係をどういうふうにお考えになっておりますか。
  45. 川原正人

    川原参考人 日本の民主主義政治の一番の根幹の問題かと思いますので、私のような者がこの席でその辺のことについてとやかく申すのもなにかと思いますけれども、やはり日本の民主主義政治、議会政治の根底をなしておるものは、立法府、行政府がそれぞれのお立場において十分にその機能を発揮していただくということであろうと思います。もちろんそのほかに司法というものもございますけれども、何よりも国民の代表としての立法府の御活躍が日本の民主主義政治を支える一番の基盤であろうと思いますし、また行政府もそれなりの責任におきまして立派な行政をしていただく、少なくともジャーナリズムとしてはそれを十分に国民に対して伝えていくのが使命かと思っております。
  46. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、国会におけるいろいろな審議の模様を――随分気を使っておると思います。例えば国会討論会とか解説あるいは国会中継、いろいろな手法でお伝えになっておるようですが、特に私がお伺いしたいのは、その中で一番親しまれておるニュースの伝達の仕方です。何かこれは伝達に当たっての一応の基準というものがございますか。
  47. 尾西清重

    ○尾西参考人 お答え申し上げます。  先生お話しの基準ということでございますけれども、私どもといたしましてはニュース判断というものを基本にしてニュースを編集いたしております。国会委員会審議の報道に当たりましても、ニュースで放送する場合にはニュースバリューの判断に基づきまして、審議内容をできるだけわかりやすく丁寧にお伝えしたいというふうに心がけているつもりでございます。
  48. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 一例を挙げますと、二十一日に非常に国民の関心が深かったいわゆる所得税法の改正の審査が大蔵委員会で始まったわけでございます。同じ日にたしか商工委員会の方で外為法の法案の審査が始められたわけでございます。ニュースはどんなふうに伝えるものだろうかと思って私は見ておりましたら、大蔵委員会の方では宮澤大蔵大臣が減税の上積みはこれ以上困難であるという慎重な姿勢を示しました、こう伝えられました。商工委員会の方でも田村通産大臣の主張が何度か繰り返して伝えられました。ニュースですから何回もやるわけです。  しかし、委員会というのは国会審議の中心をなす場でございますから、その立法府の中で行政府に対してどういうことをただし、どういう主張をし、どういう提言があったのか、それがわからないまま一方的に大蔵大臣の言い分だけが、減税は困難だということだけが伝えられ、ココム違反については東芝けしからぬということだけが伝えられたのでは、これは単なる行政府の広報活動のお先棒を担いておるのにすぎないのではないか。それは人品立派なお方でございますから、五回も六回もテレビに出ても結構でございますけれども、仏の顔も三度ということもあるわけです、本当のところを言うと。なぜそれだけが繰り返されなければならないのか。むしろこの段階で国民が知りたいのは、立法府においてどういう意見があったのだろうか、どういうことがあったからこういうふうに答えたのだろうか、こうならなければおかしいような気がして、これはまた放送法一条なり四十四条に照らしても、異なる意見の取り上げ方等に若干問題があるのではないか。私は決してNHKが悪意を持ってそんなことをやっておるとは思っておりません。ただ、ニュースの取り上げ方についてもう一工夫要るのではないか、こういう気がするのですが、どうでしょうか。
  49. 川原正人

    川原参考人 放送番組を編集します基本のところは、確かに放送法の一条あるいは三条の規定もありますし、四十四条でございましたか、いろいろな政治的な立場を公平に伝える等々の規定もございます。また、部内的には番組基準というものを持っております。それから、個々のニュースの判断になった場合には、先ほど尾西が申しましたように、そのときの国民の関心の度合いがどこにあるのであろうか、あるいはいろいろ私どもの取材網に入ってまいりますニュースの中で、今きょうこの時点ではどれが一番国民の方々にお伝えしなければならぬ問題であろうか、それはまたニュース編集上の具体的な判断が入ってまいります。その辺になりますとどうしてもいろいろな人の価値観というものが入ってまいりまして、私ども部内でも常に後から反省会といいますか会議を開きまして、あの放送が妥当であったかどうか、これはほとんど毎日のように繰り返しているところでございます。また、部外の視聴者からの御反応あるいは番組審議会等での御意見も十分に聞いてやっております。常に反省の連続のようなものでございます。ただ、今先生のおっしゃったような視点のものも我々は時に感じないではございませんので、そういう点はまたいろいろな方面の御意見を十分に聞きながら自省に努めてまいりたいと思っております。
  50. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 行政府の立場からの発言というものも十分伝えられなければならないと思います。しかし、私が言いたいのは、申し上げましたように、立法府ではどういう意見があったのだろうか、どういう提言があったのだろうか、そのことがないままに行政府の言い分だけがニュースで流されていくと、行政と立法のかかわりがちょっとおかしくなってくるのではないか。時間の関係もありましょうし難しい問題だとは思いますが、ニュースについてそういう見方をしておる視聴者も相当おるのだということをひとつ配慮を願いたいと思います。  それでは次の問題に移ります。  衛星放送に対しては私はかねてから随分嫌なことを言ってきたわけでございますが、きょうはその経過についての嫌みは申し上げませんけれども、問題は、先ほど来出ておりますように衛星放送をこれからどうしていこうとお考えになっておるのか、基本的なお考えを知らせてもらいたいのです。
  51. 川原正人

    川原参考人 御承知のとおり衛星放送は二十年前から、実は当初これは難視聴の解消に一番有効な手段であろうということで開発を進めてまいりました。これは先般来、この席でも私申し上げましたとおり、実際に二十年たって衛星が使えるようになりましたときには難視聴の世帯がごく少数になってきた。  一方で、この衛星が持つ能力というものは、すぐれたPCM音楽放送であるとか、あるいは一つの衛星で非常に経済効率的に全国をカバーできる、あるいはこの衛星はその性質上二十四時間電源が生きておって、特に新たな経費等も投入しないで二十四時間その番組が出せるというような非常な能力を持っておりますし、それから何よりも、実は先ほど来話題になっておりますハイビジョン放送というものが将来日本の放送のメディアとしては非常に有力な手段になるだろうと思っておりますし、このハイビジョン放送のいろいろな形の利用があるのですけれども、全国の国民の方々が御自宅で享受されようとすると、その手段としては今のところ放送衛星の波を使うしか方法がないわけでございます。もちろんパッケージにして有線放送とかVTR等で御利用になる方法は幾らもございますけれども、全国の視聴者の方にこのハイビジョンをお届けしようとするとこの放送衛星の波を使うしかないということを考えますと、何としてもこの衛星放送というものを全国に普及して、全国の受信者が御利用できる状態に早く持っていきたいというふうに考えまして、実はこの七月から郵政省の方の免許基準の変更もいただきましたので、それにのっとりましてできるだけ衛星放送が普及するような手段を講じてまいりたい。  なおかつ、もう一言申し上げますと、ラジオの時代からテレビに移り、テレビも白黒からカラーに移っていって、そういうふうに新しいメディアを国民に十分に使っていただける、楽しんでいただける、享受していただける、その過程でNHKの財政収入といいますか、それもそういう新しいメディアによる収入によって支えられてきたというのが現実でございますし、私としましては、この衛星放送あるいは将来のハイビジョンというものが協会の先々の財政を支えてくれる有力といいますか、言いようによっては私は唯一の手段ではないかとさえ思っているぐらい、そういう方向を目指してこの衛星放送を普及をさせて、それを国民の方に享受していただくと同時に、協会にも役立つように持っていきたいと今考えているところでございます。
  52. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 お言葉のようにこれはNHKの財政とも深いかかわり合いがあるわけですが、お話がありましたように、かつては難視解消ということがにしきの御旗で、ニューメディアというのが無限のバラ色の夢として周囲にちりばめられて進められてきた。今お話がございましたように、今日スタンスが大分変わりまして、ニューメディアの開発、とりわけハイビジョンの方に大きなウエートがかかっておるようでございます。  その中で、特にハイビジョンになった一定の段階では、受信料の改定と申しましょうか、かつて白黒からカラーにかわったときのような、ちょっと悪い言葉で夢よもう一度というようなことを考えておられるのではないかという気がするのですが、果たしてそううまくいくのでしょうか。  しかも今日、放送衛星そのものには莫大な投資が行われておるわけですね。この投資は、衛星放送にかかわりのない一般のテレビを見ておる視聴者受信料で全部賄われておるわけです。一部お金持ちの方々が今衛星放送をごらんになっておるようですけれども、いろいろな議論があるようですね。NHKの長期ビジョンの問題からいろいろな研究会等のあれを見ますと、受信料そのものの性格についても議論されておるようですが、私は原則的にこれは受益者負担というのが原則だと思っておるのです。その性格はどうだとかこうだとか、対価だとかいろいろ出ておりますが、しかし原則はあくまでも、現行の体制を見ても明らかなように受益者負担、これが貫かれておる。その意味合いからするならば、衛星放送にかかる費用をすべてテレビの受信料で賄うということが果たして正しいのだろうか。それは間々おっしゃるように先々そういう展望が明らかであればいいのですが、その展望も私は、白黒がカラーにかわったときのようなスピードでどんどんかわっていくとはなかなか信じがたいのです。現に今十数万世帯の方々が衛星放送をごらんになっております。この方々に改めて衛星放送料金あるいはハイビジョン料金というものを出してこれで協力してくださいと言ってうまくいくでしょうか、非常に私は疑義を持つのです。  そこで、ラジオの受信料を廃止してテレビ一本に切りかえた、そういう経過を踏まえてみて、今こういうことが考えられないだろうかと思うのです。  例えば、ラジオを先に言いますと、ラジオについては受益者は今のところ何も負担していないのです。何の負担もない。しかしラジオを聞くことはできるわけです。そこで、それではラジオ放送にかかる経費お金というものを受益者に何とか負担してもらう方法はないだろうかということを考えてみますと、出てくるのはコマーシャルをやったらどうかなということなんです。同じように衛星放送についてもコマーシャル方式でやったらどうだろうか。そのことは長期ビジョンその他の検討会でも一応話題になっていることは私も承知をしております。ただ、そうなった場合に問題が起こるのは、一つは、コマーシャル方式を取り入れてNHKの公共性というものが守られるだろうかどうだろうか。二点目は、民放との競合とのかかわりをどう調整していかなければならないだろうか。しかし、広範な意味における受益者負担で、しかも受益者が直接痛みを感じなくてうまくやろうとすればこの方法が一番うまくいくだろう。  それで、今二つの点について考えてみますと、まずNHK受信料の大宗をなすものが今あるテレビジョン、将来これが仮にハイビジョンにかわったとしても、要するにテレビジョンが中心にあるわけですから、したがって、大宗がそこにある限りNHKの公共性がそう失われることはないだろうという気がするわけです。  それからもう一つは、ラジオにコマーシャルを入れた場合にどのくらい民放に影響が出るだろうか。今ラジオのコマーシャル等が民放の収入の中でどの程度の割合を占めているのか、私は不勉強でわかりません。わかりませんが、もはや今日、ラジオのコマーシャルが民放収入に占める割合というのはそれほど大きいものではないのではないか。そうすれば、NHKもラジオ放送に対する経費の負担を、テレビにおんぶすることなくコマーシャルというような方式でやると、かなり財政的には楽になるし、そのことがまた、視聴者に将来も受信料値上げを強制しなくてもいいことにもなってくるのではないか。したがって、この段階ではまずラジオについてコマーシャル方式というものを検討してみたらどうか。  二点目に、当面衛星放送についても同じことをやる。それで、本当にあなたがおっしゃるように切りかわって、視聴者の納得が得られて料金そのものを改定するという段階が来れば、それはそれも一つの方法でしょうけれども、当面おんぶしているのですよ。テレビの受信料に全部おんぶして新しい開発もやろう、過去の殻も背負っていこう、こういう状況になっておるからテレビの受信料がどんどん上がっていかざるを得ない格好になってきておる、そういうことについて真剣にひとつ検討してみたらどうだろうかと思うのですが、どうでしょうか。
  53. 川原正人

    川原参考人 今の御質問は非常に重要な、根本的な御指摘が入っていると思います。  まず、NHK放送にコマーシャルを取り入れてはどうかという点については、正直言ってごく非公式にNHKの内部でいろいろな議論はしたことはございますけれども、結論としては、やはりNHKというのはコマーシャルを取り入れるべきではない。  というのは、日本の放送制度自体が、コマーシャルを基盤とするいわゆる民放と、それから受信料を基盤とするNHKということで成り立っておりますし、そういう事態の中で、NHK受信料というものを基礎としまして編集権がどこからも左右されないような自主独立の放送をする、あるいはまた採算には乗らないかもしれないけれども、教育放送であるとか難視聴の解消であるとか、そういうことができるし、それからいま一つ、新しい技術研究開発、ニューメディアの開発、そういうものに先導的役割を果たす場合でも、こういうものはなかなか事業採算には乗りにくいものでございます。そういうことを先導的な役割を果たすのが私どもの責任でもあり、使命でもあり、仕事だと思っておりますから、そういうものを支えていくのもやはり受信料という制度であろうと私は考えておるわけであります。  それから、確かにヨーロッパ等において、公共放送でありながらコマーシャルを取り入れておるということも承知しております。ただ、ああいう国におきましては、日本のような自由な商業放送というものが存在しない場合が多いわけでございまして、そういうのとは根本的に日本の放送制度は違うのではないかという感じを私は持っております。少なくとも現時点では、NHKの中にコマーシャルシステムを取り入れるということは、そういうことは考えるべきではないのじゃないかというふうに私は考えております。  もう一言申し上げますと、やはり商業主義的基盤に立つジャーナリズムというものが、すべてとは申しませんけれども、時として商業主義に走るといいますか、センセーショナリズムに走ります。つまり、利益追求という、あるいは視聴率、あるいは販売部数の増加といいますか、そういうことのためにややゆがめられることがえてしてあるのじゃないかということも私は考えるものですから、そういう意味では、NHKはあくまでも受信料という制度に基づいて経営をしていくべきものであろうというふうに思っております。
  54. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 NHKがいろいろな附帯業務をお始めになりましたね。これもやはり財政に迫られておやりになっておると私は思うのですよ。ですから、NHKの大宗はいわゆる受信料によって賄っていくという公共放送としての原則を堅持しながら、今申し上げたような受益者負担ということも考え合わせてみると、例えばもう今日、ラジオ放送にコマーシャルを入れる程度のことは構わないのではないか。そういうことが考えられないかどうか。  私はかねてから、例えば今の法的にいっても合理性のある、二台目以降のテレビについてたとえ半額でも三分の一でもいただく方法を考えるべきだったけれども、当時財政状況もよかったからでしょうけれども、かたくなに家庭主義、一世帯主義だということであれをやっていって、しかし常識的に考えますと、受信機を二台持てる人、三台持てる人と一台しか持てない人が――法的にNHK放送を見れる人は契約するというふうに原則がなっているわけですね。ただ、あと世帯主義とかなんとか変わっただけであって、今でも私はあの点ではまだ率直に言って疑問を持っています。なぜもっと真剣に検討しなかったのだろうか。  今私が申し上げたのも、何もNHK公共放送としての受信料を基本にした運営を変えるとか、そういうことを言っておるのじゃないのです。しかし、今日の社会情勢から眺めてみて、その程度のことは検討されていいのではないか、NHK財政から眺めてもそういう状況になっておるのではないか、そういうことを懸念しまして申し上げたわけですけれども、これは、私も強引にぜひ検討せよ、しますと言ってみたところで、する気がなければやらないでしょうから、やらぬと言ってみたって、やらなければならない情勢になればやるのでしょうから、ただそういう考えがあるということだけはひとつ申し上げておきたいと思います。     〔委員長退席、白川委員長代理着席〕  それから、少し数字に移りますが、BS2とBS3、BS3の方はまだまだ計画段階になっておるようでありますけれども、この所要経費を分析をして比較をしてみますと、BS2の場合には総額五百九十九億円中、国の負担は二百四十億円、これはその当時は四〇%程度でございますね。ところが、BS3の場合は総額七百八十四億円と計画されております。それで、国の負担は二百七十五億円で、四〇%から三五%に減っておるのです。金額にしますとかなりな額になるのですが、三十八億円ぐらい、割合でいくと三十八億円ぐらい国の負担が減ることになるのですけれども、なぜ国の負担がこんなに減ったのか、このところをちょっと知らしておいてもらえませんか。
  55. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 先生御存じのとおり、このBS計画におきましては、最初の実験衛星からBS2あるいはBS3に至りますまで、国あるいは利用者としてのNHKなどの経費の負担ということにつきまして、二つのモメントといいますか要素がございまして、一つ技術開発といいますか実験的な要素、それからもう一つは、それが実用に供されるということで、実用的な側面もあるということでございます。  BS3の場合、これはBS2のときよりも、民間放送も参加するという計画でございまして、そういったいわば実用衛星としての色彩が強くなるということも勘案しまして、そのほか国あるいはNHKの財政事情なども考えまして、BS2の場合四〇対六〇がBS3の場合三五対六五というような比率になったというふうに承知しております。
  56. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私はかねてから、この宇宙開発という国家的な政策について民間あるいはユーザーにそのリスクを負担させるというようなことが果たして妥当かどうか、これは疑問があるところです。しかし、きょうはもう時間がありませんから、その議論はまた改めていたします。  二、三点郵政省質問をしておきたいのですけれども、たしか六月の十二日だったですか、BS2に対する免許方針を修正をするということになりました。これはどういう大きな目的があったのか、ひとつお答え願いたい。  二点目に、これは五月ごろの新聞ですから、日経でしたから、定かではないですけれども郵政省が高品位テレビの開発に五〇%程度の補助金を出したい、こういうことが報道されておりましたが、この真偽のほどを知らしてもらいたい。  三つ目が、通信・放送衛星機構を改革するというようなことを、次の国会に法案として出したいというようなことを漏れ承っておりますが、これは公式じゃございませんよ。しかし、印刷にしてあるからあるいは公式かもわかりませんが、そういうものがあるようです。この三点、これは郵政省の方から簡単にわかりやすく答えてもらいたいと思います。  それからNHKの方は、今衛星放送については外国の各放送局の協力をいただいて、余り金をかけずに取材できておると聞いておりますが、これはいつまで続くものか、非常に心配になりますのでこの見通し。  それとあわせて、衛星放送の個人の視聴の、共同アンテナじゃなくて個人で持っておるのはどのくらいになっておるのか。これはこれからの普及の一つのバロメーターとして知っておきたいと思いますから、NHKに二点、郵政省に三点、簡単に答えてください。
  57. 成川富彦

    成川政府委員 第一点目でございますが、先ほど川原会長の方から話がございましたものと趣旨大体同じでございますが、これまでBS2につきましては難視解消を主目的としてやってまいりましたところでございます。それとあわせて普及促進も図ろうということでやってまいりましたが、同じ放送をやっておったのではなかなか国民の魅力も生じないというようなこともございまして、独自の放送をやるということによって普及促進を図ろうというようなことで、一チャンネルにつきましては難視聴解消のための放送を行いまして、他の一チャンネルでは衛星独自番組放送を実施することができるように、免許方針を六月十二日に修正したところでございます。それが第一点でございます。  第二点目の、五月ごろに出たという話でございますが、これにつきましては、私ども新聞報道等に資料を提供した事実はございませんで、どういうところからそういう情報が出たのか定かでございませんが、私どもといたしましては、ハイビジョンの推進につきましては積極的に取り組んでいることは先ほどからお話し申し上げているとおりでございます。六十二年度の補正予算といたしまして、テレトピア指定地域にハイビジョンセンターを建設する場合の助成措置として、NTTの株式の売却益による無利子融資の道を開いたところでございます。今後につきましても積極的に推進を図っていきたいというふうに考えているところでございます。  それから三番目の、法改正の関係でございますが、私ども現在放送政策懇談会の報告を踏まえましていろいろと鋭意検討しているところでございます。検討結果によりまして放送法制の改正、見直しが必要であるということになれば、法律の改正案を提出させていただきたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  58. 尾西清重

    ○尾西参考人 まず、外国のソフトを安く供給を受けているのはいつまで続くかという御質問だと思いますが、私どもとしては試験放送である間はなるべくこの状態で安く供給していただきたいと思っておりますが、相手のあることでございますので、この場ではっきり申し上げるわけにはまいりません。  それから、共同受信がどれくらいあるかということでございますが、十四万ちょっとというのが現在の共同受信の数として調査の結果出ております。個人は七千。この一カ月間にさらに二万ふえております。この中身についてはまだ十分な調査はしておりません。
  59. 成川富彦

    成川政府委員 ちょっと先生のお言葉を聞き間違えまして失礼いたしました。  ハイビジョンの推進の関係で放送衛星機構法を改正することにつきましては、現在、予算要求等も含めまして準備、検討中のところでございます。訂正させていただきます。
  60. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 終わります。
  61. 白川勝彦

    白川委員長代理 松前仰君。
  62. 松前仰

    松前委員 大変お忙しいところを御苦労さまでございます。  八月十五日、終戦記念日の午前六時三十分、ラジオ体操の生放送のとき、第一体操と第二体操の間の体をほぐす運動があるようでございますけれども、この伴奏に、事もあろうに八月十五日、終戦記念日、このときに「同期の桜」が使われたということなんであります。     〔白川委員長代理退席、関谷委員長代理着席〕  第一と第二体操の間の伴奏というのは懐メロとか小学唱歌が使われることになっていると聞いておりますけれども、終戦記念日にわざわざ、軍国主義のもとで国に命をささげる特攻精神を賛美した「同期の桜」が使われたということは非常に問題があろうと思います。平和を誓うべき日に、戦争を放棄した我が国の憲法に挑戦するかのような伴奏、これを全国の二千万人の参加者に聞かせたということなんですね。これは公共放送として非常に不謹慎だったと私は感じるわけでございます。  当日の伴奏はお年寄りがなされたということなんですけれども、「同期の桜」というものを伴奏するということで、特に別に何もその意義というものを感じなかったかもしれないのですが、どうもこういう話もある。知り合いから、終戦記念日だからこれをやってくれ、こう言われたということもあるようなんです。これは事実かどうかわからないけれども、かなりまことしやかに伝わっている。こういうことができてしまうということが生放送であるわけなんです。     〔関谷委員長代理退席、吹田委員長代理     着席〕  また、当日郵政政務次官もそこにおって体操をやっておった。それで名前が全国に放送されたということなんですね。そんなことを考えると郵政省もこれは責任があるわけであります。簡易保険局とNHKの両方が主催ですから、これはもう当然責任は重大だ。これは生放送ですから、当然やろうとすればそういうことが出てしまうのであるけれども、それを事前にチェックしていたのかどうか。していなかったのでしょうね。それとも「同期の桜」が何の歌であるか知らなかったか、それから不注意だったとか、こういうことだったのでしょうけれども、気がついてみてどうしたらいいかわからなかったなんということもあろうと思います。  いずれにしても、ここでNHKの担当者、NHK自体の緩み、昨今の政治情勢というものがどうもそういうように番組を緩ませてしまったんじゃないだろうか、そんなことを私は思うのでありまして、これは本当に大問題だと思っております。  この辺について、まずNHKの担当者のお考えといいますか、見解をお聞きしたいと思うのです。
  63. 尾西清重

    ○尾西参考人 私どもといたしましては大変遺憾であったというふうに考えております。もちろん特別の意図があったわけではございませんが、当日、担当者が会場の整理等に忙殺されて、その間の数十秒間の音楽について確認し損なったということがこのことの起きた原因でございます。  今後は、こういうことが二度と繰り返されないように、私どもといたしましては、具体的に伴奏音楽の選曲について、これまでの口頭による確認を改めて、書面で確認することにいたしました。その直後から既に実施しておりまして、もうこういうことは二度と繰り返されないだろうというふうに存じております。
  64. 松前仰

    松前委員 これは郵政省簡易保険局が共催になっておりますけれども郵政省はどういうふうにお考えになっていますか。
  65. 相良兼助

    ○相良政府委員 八月十五日の巡回ラジオ体操におきまして、先生がただいま御指摘なさいましたような事実があったことを、私どもNHKの方からお聞きいたしております。  ラジオ体操は、昭和の初めから長い間にわたりまして国民の最も親しまれた健康法として今日に至っておりまして、私ども郵政省簡易保険局、NHK、それに全国ラジオ体操連盟、この三者が主催をいたしておるものでございますけれども、いずれにいたしましても、国民の皆様に広く親しまれるラジオ体操として、今後、各般にわたりまして運営に配慮をしてまいりたい、このように考える次第であります。
  66. 松前仰

    松前委員 いずれにいたしましても、この問題は単に担当者が悪いというだけの問題では済まされない。これはやはりNHK自体におきましても内部の緩みというものがあるわけでありまして、経営全体についても責任があると私は思うわけでございます。  また郵政省についても、今のようなお答えでは私は全く納得することができない。こんなものを共催するような資格は全然ないと私は思うわけでありまして、もっと責任を感じてもらって、そして適切な対処をしていただかなければならないと思うのです。  緩みということで、同じようなことがNHKの中にも随分あるように私は聞いております。例えば売上税の国会審議、十二月ですか、あの時点での討論会、朝八時三十分の「おはようジャーナル」ですね、この「おはようジャーナル」の時間の出席メンバーの人選をめぐってNHK内部でかなり議論が闘わされたということを聞いております。報道と番組の対立だというぐあいに言っておりますけれども、報道側は大蔵省の人を呼びたい、番組の方は、もっと幅広く国民の意見を徴収する必要があるというので、そういうメンバーの選び方をしたいということで対立をしたそうです。そして結局は、大蔵省関係の者が勝ったといいますか、それが出てきたということで、これが売上税の前の討論会で出されたわけであります。  これは明らかに意図的である。売上税の法案がかかって、これをどうしようというNHKの意図がそこに出てきてしまったということしか考えられない。売上税問題がこのように国民の中で大反対があって、そして今現在廃案という形になったのは、少数であるにもかかわらず野党の反対があって、それが国民の大きな世論を巻き込むことができたという形になった。国民の大きな世論というものはやはり大事なんだ。野党が強かったわけじゃないんです。国民の世論なんだ。その世論を代表するメンバーを選択できなかったNHK、これはやはり大きな問題があろうと思います。  また、売上税とか大型間接税とか、そういう名前をなるべく出さないようにという指示もあったということを聞いています。こんなことが今報道の中で行われるということになれば、これはNHK自体の、公共放送、不偏不党という形が全く崩れてしまう。こんなことではどうしようもない、何としてもこれは是正をしていってもらわなければ困る、私はそのように思います。  先ほどの八月十五日の問題にしても、今私が申し上げた問題にしても、とにかくNHKの緩みというものがある。国家機密法みたいなものが出てくるというときになったら一体どんな放送をするのか、報道をしてくるのか、そう思うと、私は本当に怖い気がするわけでございます。  特に答えは要求いたしませんが、そういうことで、どうかこれからNHKの皆さん、姿勢を正してしっかりとした放送をしていただきたい、そのように要望して、次に移らしてもらいたいと思います。  次の問題は放送衛星の問題ですけれども放送衛星の独自番組ということで今やっておりますが、これは私に言わせれば、チャンネルをふやしただけだと見るしかないと思う。放送衛星だから、宇宙から電波が届くから外国の放送ができるんだということは絶対にないわけだ。そういうことは技術的にいえばわかるわけでありまして、結局インテルサットかそういう衛星を使って国際中継をする、番組を地上から人工衛星に上げて、そして放送しているというだけにすぎないわけです。  こうなると、新しいチャンネルをふやした、これはNHKの路線拡大という批判も出てきているわけですね。民間放送からは特にそういうことを言われておりますけれども、民放圧迫だ。こうして、今何チャンネルでしょうか、幾つメディアがあるのでしょうか、七つかそこらNHKはメディアを持っているわけですけれども、そうなるとNHKが巨大化する、そうすると放送界が非常に偏ってしまう、そういう体制になるとチェックするような放送局というものがなくなってくる。野党がなくなったときと同じことだ。そうなると、不偏不党を守る体制というものが日本の国の中になくなってしまうんじゃないか、これは大変なことになりますね。そういう状態で放送がばちっと政治的に利用されたらどうなるか、今までの歴史を見ればわかるとおりであります。  そういうことで、放送衛星は、ちょっとこれは大げさかもしれないけれども、チャンネルをふやしただけ、そんな感じがしてくる。NHKは巨大化に走るような雰囲気に見えてもしようがない。この辺についてNHKさんはどのようにお考えになっているか、また郵政大臣としてもこの辺どう考えているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  67. 川原正人

    川原参考人 確かに、NHKが今所有しているラジオ、テレビのチャンネル、さらにこれは国際放送という特別な使命も持ち、その波も持っておりますから、数だけ合わせればかなりの数になることは事実でございます。  ただ、私どもは、新しい放送技術、メディアの進歩発達につきましては、公共的な事業体としてこれを促進するあるいは開発する、それはやはり私ども一つの責任でもあろうと考えております。しかし、そのチャンネルをあくまでむだには使わない、重複するような形で使うことは許されないことだと思いますし、また、衛星放送というものは今誕生したばかりでございますので、これが地上の放送と同じような普及を示した場合には、地上の放送との波の調整というものは当然考えなければいけないというふうに我々も思っております。  それから、御指摘のように、今放送衛星を通じております番組ソフトが、これは地上の電波で出せないのかと言われれば、大半のものは出せないことはございません。もちろん、PCMの音楽等は地上の電波では乗せられませんので、今放送衛星というものの非常な特徴を発揮しておりますし、あえて言えば、経費的に、一つの衛星で二十四時間安いコストで出せるというその特徴は、私どもはできるだけ発揮させているつもりでございますけれども、なおこれで十分があるいはこれでいいのかという点につきましては、今後もっと検討は進めてまいりたいというふうに思っております。
  68. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 衛星放送で独自番組放送を認めたということは、NHKの路線拡大、民放圧迫という偏った放送界の体制となって、不偏不党を守る体制が崩れるのではないかという御質問でございますが、先生御承知のように、いよいよ放送衛星放送の時代に入りまして、多種多様な放送需要に対処するために衛星放送をまず普及促進してまいらなければならない、そのときにNHKに、衛星放送の普及促進のための先導的な、また試験的な役割を果たしてもらわなければならないということで認めたわけでございます。今は試験的な段階でございます。  先生が心配されておられます点につきましては、NHKの適正規模の問題ですね、これにつきましては、衛星放送が本格的に普及した時点におきまして改めて検討すべき課題であろう、このように考えております。
  69. 松前仰

    松前委員 NHKが実施する衛星放送、私は、それを使わなければそれまで技術的に不可能だった、だから社会的に非常に不備なところが出ておった、これを技術的に解決して実現する、そういう使命がNHKには非常にあると思うのでございます。ですから、例えば難視解消なんというのはそういう使命にぴったりなわけでございますけれども、そうかといって、難視解消だけでやっていると、普及といいますか、もったいないという話もあったりして、いろいろ考えながらこういう状態になってきているわけですが、ここらでちょっと整理をしておかなければならぬ、こう思って質問しているわけでございます。そういうことなんで、単なるチャンネルの増大ということは、やはり問題があると私は思っている。  もう一つ、これはさっきも話が出ましたけれども、外国の放送が主ですね。よく考えてみれば、これはCATVでいう地域外再送信と全く同じ考え方でございまして、人のふんどしで相撲をとるという形であります。CATVでいつでも、地域外再送信が入ってくれば大体ユーザーといいますか受信者がついてくるという、それほどニーズの高いものでございますから、それが外国に番組を求めたということになれば、これはもう普及するのは当たり前でありまして、今の受信機が不足するという現象にもつながっておる。  ただそこで、それで普及を促進しているからいいじゃないかということが本当にいいのだろうかということを考えなければいかぬ。それは、民放がやるなら私は特に問題はないと思いますが、問題はあるかもしれないけれども特にこうやって文句を言うことはないけれどもNHKがやるとなると、やはりこれは人のふんどしで相撲をとって、しかも、外国の放送局がつくった番組である、全然NHKの自主性がない、NHKの公共的考え方というものも入ってこないというような形になれば、今の番組衛星放送というのはずっと続けられる代物ではないような気がして仕方がないのです。続けてほしいという面も逆にもうあるのですけれども、ああいうものが見たいということもあるのですけれども、そうなると、見たいということになればもっとNHKの独自性を発揮した外国の放送というものはできないだろうかということを私は感じているわけでございます。  それで、もしああいうことをずっと続けてNHKがやっていくということになれば、これは四〇%国が放送衛星に負担しているお金というものは一体どういう考え方に基づかなければいかぬかということですね。いろいろ疑問が出てきてしまうということなので、厳密に考えるといろいろ問題は多くなってくる。  そしてもう一つ、先ほどからハイビジョンの話が出ております。将来ハイビジョンを衛星放送でやるということになりますと、現行の、あの外国から来ております放送というものとハイビジョンの次のものとの関係は一体どういうふうになるのか。もう二つチャンネルを要求するのかどうかということになってくるわけですけれども、その辺がよくわからない。  私はずっとこう一連の考え方をたどってみると、どうしてもNHKはハイビジョンに移行するより方法はない、ハイビジョンは辛うじてNHKの使命というものを達成できると私は思っておりますけれども、そんなことで、ハイビジョンに移行するよりほか方法はないのじゃないか、今のものはどうするんだ、こういう難しい議論が出てきてしまうのでありまして、今NHKさんとしましてもこうするんだというきちっとした考えを表明できないかもしれないけれども、その辺についてどれくらいお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
  70. 林乙也

    ○林参考人 現在、衛星放送につきましてはこの七月四日から、BS2の免許方針の改定を受けまして、衛星放送の普及促進のための意味も含めて、一チャンネルにおきまして独自チャンネル、一チャンネルにおきまして地上の教育、総合の混合編成というものを放送しておるわけでございます。  その独自チャンネルにおきまして外国のニュースも含む二十四時間放送というものを行っておるわけでございますが、これはただ単に外国の番組を安く導入するという趣旨ばかりではございませんで、深夜の、日本におきましてはニュースの提供というものがない時間におきまして、全世界の生きたそのままのニュースを積極的に視聴者に提供していくというようなことも含めてやっておりまして、その評価はかなり高いものを得ているように私ども考えておるわけでございます。  いずれにいたしましてもNHKといたしましては、今後視聴者のニーズというものを、具体的な番組提供とそれに対する反響というものを積極的に組織的に把握いたしまして、今後衛星放送というもののあり方というものを検討してまいりたい、まいらなければならぬと思っておりますし、またあわせて財源も含む今後の事業運営ということについて真剣に取り組んでいきたいというように考えております。  先生指摘のように、ハイビジョンが衛星放送一つの大きなメディアであるということについては御指摘のとおりでございますが、これも衛星放送によって行い得るというメディアでございますので、ハイビジョンにつなぐ意味からしても、現在の衛星放送の普及促進というものが必要ではなかろうかというように思います。  また、今後のハイビジョンと現在の放送のチャンネルの調整のことでございますが、ハイビジョンにつきましてはBS3の段階以降、早期に積極的な実用化を図っていかなければならないものではございますけれども、当初の段階におきましては相当長時間のハイビジョン放送が直ちに可能であるというものではございませんで、やはり放送時間というものも徐々に一時間あるいは二時間というような形でふやさざるを得ないわけでございまして、その間におきましては現在の衛星放送とそれからハイビジョン放送との間の並行的な姿というものは相当期間予定せざるを得ないというように考えておりますので、現在行っております放送というものはそれなりにその時代においても意味を持つ姿というものが継続するものと考えておるわけであります。
  71. 松前仰

    松前委員 大体わかりましたけれども、やはりしっかりした考え方を持って進んでいってもらわないと、ただ何となく行くということになれば、NHKは何かもうけ主義にいつの間にか走ったということになりかねない。例えば、私は両方チャンネルを持つなとは言っておりませんけれども、持てば今度は巨大化論につながってくる、巨大になれば放送界を支配してしまうという問題が出てくる、非常に困難な問題がありますし、また、二チャンネルもし持った、巨大化論を防ぐために一チャンネルにしなさいということになれば、どっちかやらなければいかぬ、こういうことになってしまう。ところが、ハイビジョンというものはあのように大変すばらしいものでありますから、これまでのメディアでは表現できなかったものまでできてくるということになれば、非常に大きな可能性が出てくるから、ぜひともあれはやるべきであるということですね。  それから、外国の放送にしても、今の放送、こういう形でやっていくとこれは批判が出ると思うのです。ニューヨークとロンドンくらいしかやっておらぬという形では。これはやはり全世界の状況が本当に放送によってわかる、国際放送と同じですね、どこかの国で放送をストップした状況の中で、日本から行っているニュースがその国の人たちに聞こえるということは、これはやはり大きな使命があるわけですけれども、それと同じように全世界のことを本当に日本の国民がつぶさにわかる、平等にわかるというような形に向かって進んでいってくれないと、あの放送というものはNHKとしてはやっていかない方がいいのじゃないか、今のままじゃ民放でもいいのじゃないかということが出てきてしまう。そうなるとこれはかなりお金をかけてやらぬといかぬということになって、またさらに巨大になるという矛盾が出てくる。  この辺のジレンマがたくさんありますので、ぜひともその辺をこれからNHKの中で議論していただいて、整理していただいて、国民のみんなに納得のいくような形で衛星放送を進めていっていただきたい、そのようにお願いを申し上げたいと思います。  それから郵政省にちょっと聞きたいのです。放送政策懇談会が放送制度見直しというのを提言されているようでございます。そのポイントはチャンネルプランと放送法制ということなんですけれども、大体どういうことを考えているのか。その制度の見直しの後に検討する小規模FMの導入ということについて考え方を聞かしてほしいと思います。小規模FMというのはかなりニーズがあるものですから、その辺どういうぐあいに考えているか、最後に郵政省の方からお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。
  72. 成川富彦

    成川政府委員 放送政策懇談会から提言というか報告をいただいたわけですが、放送政策のあり方につきまして幅広い見地から数多くの重要な提言をいただいているところでございます。  先生お話のございましたチャンネルプランの問題と放送法制という問題もその中身として入っているわけでございますが、チャンネルプランにつきましては、チャンネルプラン策定の根拠と基本理念を法定化すること、それから国民の将来の電波利用の可能性がより明確になるような計画的な周波数の割り当てを採用すべきということなどが言われております。それから放送法制につきましては、メディアの多様化や民間放送の発展の現状を反映した法制とすべく、いろいろと規制緩和等々を取り入れていくべきじゃないかというような趣旨の提言をいただいているところでございます。  それから、小規模FMの導入についてどのように考えているかという二番目の質問に対するお答えでございますが、テレビジョン放送とFM放送の地域間格差の是正、衛星放送とニューメディアの普及、充実等による情報提供機能の強化等を求めた上で、必ずしも満たされない地域に小規模FMを導入していくべきではないか、その可能性について検討しろというようなことを求められているところでございます。  小規模FM局の導入につきましては、必ずしも周波数の効率的な使用にならないのじゃないか、日本のように住居が連檐しているような、独立した市になっているようなところじゃないところにつきましては、効率的な使用とならないというような面もあるのじゃないかということもございますし、それから地域間格差をさらに助長するということにもなるという問題もあります。それらのいろいろな事情を踏まえて、さらに提言の趣旨も踏まえまして慎重に検討していかなければならないというふうに思っております。すぐにそれを取り入れるとかなんとかという結論には現在のところ至っておりませんで、慎重に検討していきたいというふうに考えているところでございます。
  73. 松前仰

    松前委員 終わります。
  74. 吹田愰

  75. 田並胤明

    田並委員 それでは第一点、衛星放送の関係についてお伺いをしたいと思うのです。  放送衛星の打ち上げによって難視聴解消が現在どの程度進んでおるのかというのが第一点です。  NHK昭和四十年当時、難視聴の世帯が約四百万世帯ある、この解消のためには放送衛星によって一括カバーしようという計画を持って、かなりの巨費を投じてこれまでBS1あるいはBS2a、2b、これらを打ち上げてきたわけであります。現在、BS2bの一波を総合、教育混合の番組として放送しておりますが、難視聴の解消がこの衛星放送によってどの程度進んだのかということが聞きたいわけであります。  四十年当時、四百万世帯が難視聴だというふうに言われておって、さらに五十九年、六十年の郵政省を中心とする調査ですと、この難視聴の世帯が実質的には十万世帯程度になっている。この十万世帯というのは現在どういうふうになっているのか。特に、四百万から十万世帯になったというこの数の時間的な経過の中では、別に衛星放送によらずして、地上の施設の整備あるいは受信機の品質の向上というのでしょうか、これらによってかなり難視聴が解消された、このように言われておるわけでありますが、この十万世帯、五十九年、六十年の郵政省の調査によると実質十万世帯になった。その後、BS2のこの一波を総合と教育の混合放送として放映を始めたわけでありますから、果たしてその放送衛星の打ち上げによって具体的にどの程度の、当初の目標である難視聴解消ができたのか、このことをまず一点お聞きをしたいと思うのです。
  76. 中村有光

    中村参考人 先生指摘のいわゆる放送衛星によって難視がどのくらい解消されたのかという御質問でありますが、現在のテレビではどうしても見ることができないという遠く離れた離島、小笠原、南大東というようなところの千五百世帯を含めまして、現時点で私どもは約三千世帯というふうに推定しております。     〔吹田委員長代理退席、関谷委員長代理着席〕
  77. 田並胤明

    田並委員 現在まで放送衛星によって具体的に難視聴が三千世帯程度カバーできた、こういうわけなんですが、そうすると現在、難視聴の未解消世帯というのは具体的にどの程度あるのか。その十万のうち三千を引いた九万七千なのかどうかということなんです。また、どのような理由でこれがまだ解消されておらないのか。これについては今後どういう対策郵政省NHKは立てられているのか。これについて次にお聞かせを願いたいと思います。
  78. 中村有光

    中村参考人 約十万という残りの難視世帯というのは、郵政省さんが調査された結果、四十二万から十万の現状把握であるという数字になったわけでございます。非常に正確に申し上げれば、先生指摘のとおり九万七千かということでございますけれども、ほぼそれに近い数字だというふうに私どもは理解しております。  難視の解消ということにつきましては、現在までも、放送局の置き方の改善、高性能のアンテナを持った受信機の普及というようなこと、いろいろな手段で行ってきたわけでありますし、同時に、難視というよりはむしろちょっと違った観点の外国電波の混信、今まで見えていたところが見えにくくなるというようなことも含めて、総合的にこれらの地上における施策を進めてきたわけでございます。ですから、我々としましては、この施策は、混信の問題も含めて今後も継続してまいりたいというふうに思っていますし、一方、衛星放送によって難視解消を図るということで、現在は三千世帯程度のところでありますけれども受信機のコストを下げ、その受信の仕方を指導、普及していくということで、この両方相まって難視の解消を進めていくというのが現時点での考え方であるというふうに思います。
  79. 成川富彦

    成川政府委員 NHKの方からお答えありましたのと大体似ているのでありますが、難視解消のために衛星放送を導入いたしまして、全国的規模で、できたら一挙に解決したいということでやってまいりましたが、なかなか進捗していないことは事実でございまして、衛星放送をまず普及しなければいかぬということでございます。  そのためには受信機が低廉でなければいかぬということが言えるわけでございます。そのために私どもといたしましては、受信用チューナーに減税といいますか、物品税の減免措置を講じておりますが、これをさらに延長していきたいというふうに考えておりますし、また、衛星放送受信機のリース業者に対しまして融資の道が開かれております。現実には今のところ利用者はございませんが、そういう融資の道も開いているところでございます。それから、先ほどお話も出ておりますが、受信機もかなり安くなってまいりまして、そういうことが衛星放送の普及に役立って、解消にも役立っていくんじゃないかというふうに期待しているところでございます。  それと同時に、地上におきましても、先ほどお話しございましたようにアンテナとかブースターの高性能化あるいはゴーストを消す技術の開発等、各種技術の向上を図ってその解消に努めていかなければならぬと思っております。  また、民放の難視もあるわけでありますが、民放の難視につきましては、NHKとの置局の格差がございます。中継局がNHKに比べてかなり少ないわけでございますが、今後とも中継局の置局を民放に対しても指導していきたいというふうに考えているところでございます。     〔関谷委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 田並胤明

    田並委員 NHK郵政省に特に要望しておきたいのは、当初、放送衛星というのは約四百万世帯と言われた難視世帯の解消を最大の目的として挙げたわけですね。したがって、それに要する受信機だとかあるいはテレビジョン本体そのものだとか、余り高価では難視の世帯もなかなか手が出ない。したがって、それに対するいろいろな配慮でなるべく安く、しかも補助をしながら難視の世帯を解消しようというその努力を今後とも一層続けてほしいと思うのです。  あわせて、衛星放送の普及が難視を解消するんだという理論もありますし、逆に、巨費を投じたのだから、難視解消もさることながら、普及促進によってよりよい、もっと魅力のある番組視聴者にサービスすることが巨費を投じた経済的な効果からしてよろしいのではないかというように余り傾斜をしてしまうと、難視の方が置き去りにされるような危険性があると思いますので、その辺は十分配慮して、放送衛星を打ち上げた一番大きな目的というのは第一には難視解消にあったはずですし、それに付随してせっかく打ち上げたのだから魅力のある番組国民の皆さんに新しいサービスとして提供しようという形に流れてきたんだという基本的な考え方だけは忘れずに、この難視解消についても一層力を入れてやってほしい。このことを強く要望しておきたいと思うのです。  そこで、七月四日から衛星の独自の放送が試験放送として開始されて、国民の皆さんから大変好評を得ているようです。受信装置が足らないとかなんとか、いろいろな問題がありますが、恐らくそれは時間的な問題で解決されると思いますので、ますます普及をされることについては喜ばしいことで、ぜひそういう方向に持っていってもらいたいと思うのですが、本放送の開始の時期をNHKとしてはどの程度考えられているのか。これはもちろん、郵政省の方の認可がなければ本放送に切りかえられないのであります。当然それらを絡めながらお聞きしているわけですが、例えば先ほどの話では受信世帯が十四万ぐらい、これは個別も共同受信も、あるいは先ほど言った難視解消のための離島関係、それらをひっくるめて大体十四万世帯になっている、このような回答がありました。  問題は、かつてカラーテレビを有料化したときの、NHKの切りかえたときの受信世帯が約百五十万世帯だというふうに聞いておったのですが、おおむねその辺を目安にして本放送に切りかえるのかどうかということです。これはもちろん受信料との関係もありますが、ただだから見ているんだ、有料になったらおれはやめた、そういうことはないと思うのです、魅力のある番組を提供すれば。ただ、受信料の値段によってもかなりまた変わってくるだろうと思います。そういう絡みもあり、また食だとか雨だとか、まだ解決しなければならない技術上の問題もありますから、これらの問題を解決するいろいろな過程があると思うのですが、おおむね、それらを解消しながら、大体百五十万とか二百万になったらぜひしたいんだというお考えがあるかどうか、その辺を聞かしていただきたいと思います。
  81. 林乙也

    ○林参考人 現在、衛星放送が試験放送のもとにサービスを提供しておりますことはただいまお話しのとおりでございます。その本放送の時期をどういうふうに考えていくかということが、非常に困難でもございますし、重要な問題だと考えております。  私どもといたしましては、本放送への移行のためには、衛星の技術的な信頼性、放送の継続性についての確実な見通しが得られるということ、また衛星放送の安定的な実施について確信が持てるというようなことがまず何よりもの前提として必要ではなかろうかと考えております。  現在のBS2bの状況を見ますと、一つには、打ち上げ後に発生いたしました姿勢制御系の中央制御装置というものについて本系統にふぐあいを生じまして、現在は予備系で運営しているということ、それからBS2aが既に一チャンネル運用不可能というようなことの中で、いわゆるバックアップの衛星が存在していないというようなことがございまして、放送の継続性ということからしまして全く問題なしとはしないという状況の中で試験放送で行っておるわけでございます。しかし、現に七月四日から独自番組として番組放送もいたしておりますし、また普及も図っていかなければならぬということでございます。したがいまして、そういった番組のサービスの今後のあり方、普及のテンポ、それからただいま申しました技術的な信頼性というものを総合的にめどを見きわめながら、本放送の時期をいつとすべきかということを決断していかなければならないものと考えておるところでございます。  確かに、カラー放送の付加料金を設定いたしましたのは四十三年でございますが、その当時、カラー放送受信機の普及台数約二百万弱というようなことでもございました。そこらあたりも、普及のテンポということもやはり非常に重要な検討要素の一つでございます。ただ、それと同時に、地上の放送とは違います衛星に伴ういわばリスクの問題、あるいはただいまお話もございました食だとか雨だとか、あるいは万が一のそういった事態というのは、地上の放送とはまた違う衛星独特の整理というものをしなければなりません。その上で、そういったことも十分検討をしながらできるだけ近い将来にそこらあたりについての一定の結論と申しますか、考え方というものをまとめていきたいと考えておるところでございます。
  82. 田並胤明

    田並委員 いろいろ難しい問題があるようですから、ここですぐいつごろなんということは難しい回答だと思いますので、それはそれでいいと思います。  本放送に入る際には受信料のあり方などについても当然検討しなくちゃいけないと思いますし、本放送に向けて、近い将来何とかそういう方向で努力をしようということになれば、当然受信料問題も出てくると思うのです。私たち視聴者からしてみれば、一般の受信料の相当巨額を衛星放送につき込んでいるわけですから、そのことによって難視が解消されるということは、その費用がそういうものでかかるのだということについては容認できると思うです。ただ、本放送が始まりますと、今度は新しいサービスを受ける側が出てくるわけですから、その分まで今までの一般の受信料で持っていいのかどうかということは当然論議の対象になってくると思うのです。  したがって、今までかかった費用だとか今後の運営管理費だとか、あるいは魅力ある番組をつくるための制作費用であるとか、こういうものについては応分の、どの辺をその費用分担の分岐点にするかは別として、これまでがかった費用だとか一切合財をひっくるめて、難視聴のために使った費用、あるいは新しいサービスを提供するために要した準備費用といいましょうか、これからかかる費用といいましょうか、そういうものをどういう割合で分けて受信料として整理をするのかということも当然考えておかなくちゃいけないと思うのです。  今までかかったものは全部一般の受信料で収支決算相償ってしまっているのだからそれはそれで終わり、したがってこれからかかるものについて新しい受信料として算定していくのだ、こういう考え方もあるでしょうが、私は、どちらかというと前者をとることの方が、新しい衛星放送受信される受信料のあり方として、より国民の理解が得られるのではないだろうかという気がするものですから、基本的に今どの程度のお考えをお持ちなのかということ。  もう一つは、例のBS3が打ち上げになった後、民放も一チャンネル放送をすることになっているんですね。そういう場合に、今度は民放も一部有料、受信料をいただくというような方向も出ているようですが、そうなった際のNHKと民放の受信料のあり方というのはどうなっていくのだろうか。ちょっとまだ先の話ですから、今検討中だといえばそれまでなんですが、既に検討過程として何かお考えが出ているのかどうか、お開かせ願いたいと思います。
  83. 林乙也

    ○林参考人 衛星放送の財源、逆にいいますと受信者にお願いいたしますところの負担の問題についてどうするかということについては、本放送についての考え方とほぼ同様の、密接な関連した検討の中で結論を出していかなければならぬというように考えております。  その料金につきましては、受信者の方々の受益感、それから普及の程度衛星放送に必要な経費、そこらあたりの総合的な関係の中でどういうように定めていくかということが必要でございましょうし、また、仮に衛星放送に対する一定の料金体系というものを考えようとする場合には、やはりその結果が十分確実にかつ効率的に収納できるかどうかというようなことも含む全体的な受信者との納得性というものが一つのめどとして必要になるのではなかろうかというように考えております。  いずれにいたしましても、受益とそれに対する負担のあり方というものが、やはり全体として受信者の方々に公平なものと納得されるということが必要でございますので、私どもの方としても本放送の問題とあわせて、この問題を真剣に現在考えておるところでございますし、できるだけ早い時期にそこらあたりについての一定の考え方をまとめたいというように考えております。
  84. 田並胤明

    田並委員 いずれにしても、本放送との関係がかなり深いものですから、今専務の方からお話のあったようなことを中心にしながら、また私の方からも要望を出したような内容も十分検討の中に入れていただいて、今後の一層の検討をひとつよろしくお願いをしたいと思うのです。  時間がございませんので簡略に聞きますが、次にNHK経営計画の問題についてお聞きしたいと思います。  前のNHKの六十二年度予算審議の際にも私質問をしましたし、ほかの委員さんからも質問がありましたが、五十九年度から六十一年度までは経営計画がございまして、その計画に基づいて経営がなされてきた。本年度は一応三カ年計画が終わったということで、今までの三年間の延長ということよりも、さらに魅力ある番組を制作をして国民のニーズにこたえていくような、新しい形でもって六十二年度はやっていきたいというお話がございました。ただ、そうはいっても、六十二年度以降の経営計画ができないそのときの主な理由として、例の、六十三年度、来年行われますオリンピック権料の問題あるいは当時国会で大問題になっておりました税制改革の問題、あるいは円高不況によって経済の見通しが非常に不透明である、こういうような問題、いろいろ不透明なあるいは不確定な要素が多分にあってまだ経営計画は煮詰まっていない、こういう答弁でございました。  ただ、予算審議の中で明らかにされたのは、NHK収入は平均して大体一%増ぐらい、支出については大体三%から四%の伸びが見込まれる、したがってその差が二%から三%程度、約百億程度がどうも事業収支では支出増になる計算になるし、債務償還が年々百億ある、したがってこの辺が、合計二百億程度、黙っていてもと言うと悪いのですが、非常な努力をされてもなおかつこれだけの支出増が見込まれる。その上、今言ったオリンピックの問題やらなにやらいっぱいあって、なかなか六十二年度以降の経営計画についてはまだ煮詰まっておらないんだ、こういう答弁だったと思うのですね。  したがって、前段私が言ったオリンピック権料の問題あるいは税制改革の問題あるいは経済の見通し、これらはおおむね確定をしてきたような気がするのですね。もちろん売上税は廃案ですから今のところないですし、オリンピック権料も大体固まってきたようですし、日本全体の経済状況も、まだまだ紆余曲折はあっても一定の方向で上向きになってきた。物価の動向はまだ非常にわかりませんけれども、大体確定をしてきたような気がいたしますので、内部でどの程度の検討をされておるのか。当然、経営計画の策定ということになりますと、先ほど言ったようないろいろな事情で、受信料の改定というのも早晩俎上にのってくるような気がするのですね。これらをひっくるめて、今どの程度の検討がされておるのか、ひとつ明らかにしてほしいと思います。
  85. 川原正人

    川原参考人 今内部で将来のそういう経営の展望を、一つの目標を立てまして、何としても年内にはそれをはっきりさせなければならぬということで作業をしております。といいますのは、やはり一番の問題の分かれ目は、来年度六十三年度、料金をどういうふうにするか、それによって、そこを一つの決心をして、その場合に六十三年度だけ何かしのいだというんじゃなくて、その先のことを十分検討しておかないと一つの結論が出ないと思います。  御指摘のように、オリンピックはもう決まりましたし、経済の問題は本当に激変を続けておりますので、なかなかはっきりした見通しは立てにくいのですが、お話しのように、繰り返し申してまいりましたけれども、通常の形でも、借金返しの百億円くらいのものを含めますと、どうしても二百億円くらいの経費は足りなくなってくるというのが現実でございます。それにオリンピックの経費が、実施経費を含めますと七十億円くらいはどうしても来年度かかる。それから、衛星放送も今のままではなくて、ある程度のてこ入れをしませんとやはり御期待にこたえられない。そういうことを考えますと、かれこれ二百数十億円、三百億円近いものが六十三年度足りなくなりそうなんです。  それに対しまして、六十一年度までに百二十数億の貯金といいますか蓄えを持って今来ておるわけですけれども、これがありましても六十三年度、正直言いまして恐らく百億円以上の実際上赤字でございます。それを、本当の経営の健全性ということを言えば、当然六十三年度、料金のことをお願いすべき段階であるのですけれども、仮にここを果たして乗り切れるかどうかということが、私ども今この秋から来年にかけまして本当に詰めておかなければいけない。そのときに、仮に六十三年度何か無理をして、つまり料金を上げないとすれば、恐らく借金をせざるを得ない。  ただ、その借金の方はどのくらいで済むかということです。しかしそれは、仮に借金でやりましても、いつまでも借金経営を続けるということはできませんし、特に私どものような放送事業というものがいつまでも借金経営なんということはとてもできる話ではございません。仮に六十三年度大幅な借金をして乗り切ったとしても、六十四年度にはどうしても料金は変えていただかなければ非常に危険だと私は思います。  ただ、そこのところの境目を今議論している最中でございます。この秋から暮れにかけましてはそこをはっきりしためどを立てて、当然来年に入りましたら六十三年度事業計画予算をこの席にお出ししなければなりませんから、そのときには、六十三年度のことだけではなくて、六十四年度なり五年度なり、あるいは先ほど来御指摘のあります衛星の料金というものを一体どう考えるのか、衛星をごらんになっている方からいつごろから料金をちょうだいするのか、できるのか、それをどういう形で考えるのか、その辺のことを含めてお話し申し上げなければいけないと思います。  ただし、それがお言葉にあります経営計画という、つまり計画というのであれば、やはり収入支出がきちんと数年間整った形でないとだめなものですから、そういう形でお示しできるか、あるいは一つ考え方ということで、構想というようなことでお話し申し上げることになるのか、その点はもうしばらく時間をちょうだいしたいと今思っておるところでございます。
  86. 田並胤明

    田並委員 まだ質問があったのですが、今の会長お話を聞いて、非常に厳しい経営状況であるということは私どももこの委員会に所属しておりますのでよくわかります。もちろん漫然としてそういうあれを立てていらっしゃるとは思わないのでありますが、前々から当委員会では、受信料値上げについては極力長期にわたって抑える努力をしてほしい、こういう要望もあるわけでありますから、NHKにとって大変気の毒だと思うのは、前の委員会のときにも私質問しましたが、例えばニューメディアというと全部NHKがしょい込む。  これはもちろん、放送技術を向上させて、それを国民の皆さんに還元するんだという放送法の目的もあるわけでありますが、そうだからといってNHKに全部任せちゃって、もちろんそこから特許が出れば、特許料が平年度何か三億ぐらい入るようでありますが、微々たるものです。NHKの果たしている放送技術の向上であるとか放送文化の向上であるとか、こういうものについてのいろいろな役割を郵政省自体も相当考慮の中に入れて、お金を出せというと、放送の独自性が失われたり公共放送がおかしくなるという論議がありますが、しかるべき相当の配慮、努力というものを郵政省自体もしていかなくちゃいけないのじゃないかな、こういう気がいたします。  そのために政令の改正があって、NHKが出資できる事業を拡大をして、限りなく民業に近いような形の仕事も今度やるようでありますが、それも公共放送とそういう民間との競合の問題でいろいろな問題があるところです。それまで聞こうと思ったのですが、時間が来ましたので、ぜひひとつ大臣におかれても、料金の値上げについてあるいはこれからのNHK経営について相当の関心を持って、温かい指導をNHKにしていただくように心から要望して、私の質問を終わります。
  87. 深谷隆司

  88. 木内良明

    木内委員 六十二年度NHK予算審議の折に私は申し上げたことでありますけれども協会を取り巻く財政事情というものは常に厳しいものがあり、本委員会における附帯決議、あるいはまた郵政大臣の意見等を十分に踏まえて経営努力をしていらっしゃるわけであります。  昭和六十一年度決算の数字が既に出ているわけでありますが、受信契約増加等で合計で五十八億円も黒字の計上があった。この六十一年度の五十八億の黒字と五十九年以来の繰越金を合わせますと約二百二十五億円、六十二年度中の借金返済に使う約百一億を差し引きましても、六十三年度には百二十四億円も繰り越すことができる、こういう状態になっているわけであります。  こうした経緯の中には、衛星放送の実施の遅延、あるいは三十匹億円の支出減が含まれていると思われるわけでありますけれども、当初の計画よりも上回る額を六十三年度に繰り越すことができたという、この黒字計上の理由についてまず御報告を願いたいと思います。
  89. 井上豊

    ○井上参考人 総体の数字は今先生指摘のとおりでございまして、事業収入事業支出につきまして、それがいかなる事由によりまして発生したかということを申し上げたいというふうに思います。  事業収入につきましては二十四億円の増ということでございますけれども、これの最大の理由は、やはり受信料収入が営業現場諸君の最大の努力をもちまして、総数四十三万件ということを予定したわけでございますけれども、これが四十四万二千件達成されたということで、十億を超えます収入が上がったわけでございますし、そのほか副次収入といたしまして、テキスト編集手数料の料率アップでありますとか、さらには財務収入等の増によりまして十億以上の事業収入の増に結びついたわけでございます。  また、事業支出の減によります残が三十四億ということでございますけれども、これは先生指摘のとおり、衛星放送の一波の実施というのが、十二月二十五日から一波体制、試験放送ではございますけれども、そういう形で実施されたわけでございますので、これによります残が十三億強の残になったわけでございます。そのほか私ども経営努力によりまして、効率化の強化等により十億弱の減もございましたし、また円高差益、さらには電力、ガス料金の還元等によりましてそれらの事業支出の減に結びついたわけでございます。さらには財務費、減価償却費等の残がございましたし、額的には二十五億の予備費が十七億近く残った、そういう諸要因によりまして事業支出の残に結びついたわけでございます。  したがいまして、総計五十八億の事業収支差金に合わせまして債務償還額が八億さらに減少したことを加算いたしますと、御指摘のとおり六十六億円の収支の改善につながった、こういうことでございます。
  90. 木内良明

    木内委員 そこで、このNHKの財政基盤の大宗をなす受信料の改定の問題ということになるわけでございます。  今日までの経過を見てみますと、例えば五十一年、五十五年、五十九年、それぞれ改定が行われている。改定初年度においては赤字をカバーし、改定二年目においてはこれを継続し、三年目から赤字の兆候が出て、四年目で改定という、言ってみれば一定の暗黙のサイクルというようなものができているような感じがいたしているわけであります。  しかしながら、私が今指摘を申し上げたいのは、今日的な、今御報告いただいた財政状況というものは、これまでの四年ごとの料金改定のサイクルとはケースを異にするものである、こういう認識をただいまの答弁で強くしたわけでございます。やはり私は、過ぐる本委員会での六十二年度予算審議の折にもこの点を川原会長にお尋ねをしたことがございまして、そのとき会長は、オリンピックの経費の問題、また売上税の問題等について言及をされつつ「不確定な条件を早く見きわめまして先々の計画をつくりたいと今考えておるところでございます。」こういうふうに答弁をされておりまして、この時期から既に五カ月が経過している。こうした中で売上税は御承知のとおり葬られたわけでありまして、またオリンピックの経費の問題も恐らくはこの五カ月の間にかなりの十分な討議が行われたであろう、こう思うわけでございます。加えて先ほどの答弁にありましたように、百億以上の繰越金、これがあるのであります。  さらに、先ほどの田並委員指摘に対しまして、六十三年度の単年度における見通しということでなく長期的な検討が必要であるということを強調されておりました。その長期的な検討の要素として、衛星放送を初めとする種々の要因を挙げておられたわけでありますが、その中で、六十三年度における料金の改定ということにはむしろ触れられずに、六十四年度において料金を改定しなければ極めて危険な状態であろうという趣旨の答弁をされたというふうに今数分前に私、承ったわけでございます。  したがいましてまずお聞きすることは、先ほど申し上げた五十一年、五十五年、五十九年度における料金改定の環境、要件とは異なった今財政状況にあるということが一点、それから今の会長の答弁も踏まえて、しこうして六十三年度料金改定は行われないという答弁を行い得るかどうか、まずお聞きするところであります。
  91. 川原正人

    川原参考人 私は、少し言葉が走ったかもしれませんが、前提としまして六十三年度において料金の改定をお願いするかしないか、それが今私どもが早急に一つの決断を迫られておる状況であるということを申し上げたつもりなんです。そしてもちろん、かねがね委員会におきましても郵政大臣の意見書におきましても、できるだけ長期に料金を据え置くようにという御要望があることは私ども本当に承知しておりますし、私どももそうあらねばならないと思っております。したがいまして、六十三年度もし可能ならば料金を据え置いて経営は続けたいのでございますが、料金をもし据え置いた場合には相当の赤字が六十三年度に既に出てくる。六十二年度においてもう既に実質的には赤字なわけです。それを前の年度からの繰越金で埋めてきておるわけです。そして、なおかつまだ若干手元に残してはおりますけれども、六十三年度はそれ以上に大幅な赤字要素が、オリンピック経費を含めましていっぱい出てきておる。ですから、料金を据え置いたら相当の赤字が出てくるので、果たしてこれを借金で経営してよろしいのかどうか。それは六十三年度だけの議論でなくて、四年度以降のことを考えて私ども決心しなければならない。  そういうことを考えてまいりますと、ずっと先のことを当然構想を持たなければいけませんし、果たして計画というところまで詰められるかどうかはわかりませんが、構想は持ちますし、当然ここでお話し申し上げなければいけないと思っておりますが、その中で、仮に六十三年度もしも料金を据え置いてやれば相当な赤字を借金で賄います、そのときには当然のことながら六十四年度には料金を改定させていただかないと経営としては非常に危険なことになるということを申し上げたわけなんで、あくまで一つの前提条件として六十三年度どうするかをこの後、数カ月のうちに決心させていただきたいと今考えております。
  92. 木内良明

    木内委員 五十一、五十五、五十九年度における料金改定とは財政的に経済環境が異なっているという認識については間違いございませんね。簡単で結構です。
  93. 川原正人

    川原参考人 それはそのとおりでございます。
  94. 木内良明

    木内委員 さらにそれを踏まえて、六十三年度以降、現時点では赤字はないけれどもいずれ赤字が出るであろう、したがってこの値上げも必要であるという論旨だというふうに承ったわけであります。客観情勢を考えますと、常識的に六十二年度における値上げはない、こう判断をしたいと思うわけでありまして、これまでの料金改定における状況とは全く違った展開であるという点からの御答弁を願いたいのです。
  95. 川原正人

    川原参考人 いろいろな意味で協会の財政状況は過去とは違っておりますし、周辺の環境も違っておりますし、物価の動きも明らかに違っております。それから、衛星放送というものを御承知のような形で展開いたしまして、協会経営、財政への貢献ということも当然ながら、私ども先々のことを今議論しているわけでございます。  そういう環境の中で六十三年度をどう考えるか。確かに政治家の方々の感覚で言いますと、今六十二年のそろそろ九月になる段階でそういうことを言っていて間に合うかという御指摘はあろうかと思いますけれども、ここが協会の将来の経営をトする大事な転換点でございますので、あとしばらくの間時間をちょうだいして、そこのところの最後の決心をしたいと私ども考えておるところでございます。
  96. 木内良明

    木内委員 受信料の問題というのは国民生活に密接な関連を持つテーマでございますので、そうした国民生活を圧迫する立場からの受信料の改定というものは当然行うべきではない、会長のお言葉をかりれば政治家の立場で私は申し上げるわけであります。  繰り返しお尋ねするわけでありますけれども、種々御説明をいただきまして、六十三年度料金改定をしないという可能性がかなり大きいというふうに感じたいのでありますけれども、いかがでしょうか。
  97. 川原正人

    川原参考人 そこから先はひとつあうんの呼吸で御理解いただきたいと思います。
  98. 木内良明

    木内委員 そこから先はあうんの呼吸ということでございますので、ぜひ私が主張申し上げている線に沿っての御検討をお願いしたい。これ以上この点についての言及は割愛をいたします。  次に、衛星放送の問題でありますけれども、独自編成の衛星放送が七月四日から八月にかけてスタートいたしました。この開始後一カ月の間に、NHKには約三万件近い意見、問い合わせがあったというふうにされているわけでありますけれども、その内容は大別どんなものでありましたか。
  99. 尾西清重

    ○尾西参考人 問い合わせの内容についての御質問でございますが、受信方法についてどうすれば受かりますかという手のものが四五%、番組についての問い合わせが四一%でございました。
  100. 木内良明

    木内委員 どうすれば受信が可能かという問い合わせが四五%、かなり高率に上っているわけであります。今後の衛星放送の発展を考えるときには、いろいろな要因、要素をクリアしなければならないと思うわけでありますけれども、それぞれのファクターは常に互換性を持っておりまして、独立した課題を個々に論ずることはなかなか難しいのであります。  例えば受信世帯の拡大をいかに図っていくか、経費負担の整合性はいかにあるべきか、設備普及のあり方はどうするか、さらに中長期的には、魅力ある番組の編成と質の向上についていかなる対応をすべきか、気象条件等による画像の質の劣化対策をいかに研究開発を進めていくか等々あると思います。こうした諸要件が相乗的に満たされていかなければならないと思います。しかし、今日までのNHKの多大な努力に対しましても一定の評価を与えたいと私は思うわけでございます。  そこでまず初めにお聞きするわけでありますけれども衛星放送受信世帯普及の見通してあります。現在、個人、共同入れまして約十四万世帯ということが報告されているわけでありますけれども、まず年内にどの程度まで拡大が可能か、また中期的目標としてNHKは三百万世帯の目標を持っていると聞いておりますけれども、この時期の設定をいつごろに考えておられるのか、さらに長期的に今後一般のいわゆる全テレビ契約世帯のうち何割程度衛星放送受信世帯として位置づけておられるのか、以上三点についてお聞きします。
  101. 林乙也

    ○林参考人 現在の衛星放送受信所帯が個別受信で約七千、共同受信で約十四万一千所帯であるということにつきましてはただいまお話のあったとおりでございまして、現在各メーカーから販売されておりますパラボラアンテナ等の受信機について若干品薄といいますか、提供がまだ行き届いていないという点もございまして、その普及のテンポについていささかおくれぎみの状況であることは私どもも非常に大きな問題だと考えておるところでございますが、この八月後半からは各メーカーからも比較的低廉な受信機、アンテナが販売されるというような話を聞いておりますし、今後これからの普及世帯が相当のテンポで伸びていくであろうということを期待しつつ、またそのように努力してまいりたいと考えておるところでございます。  本年度中に大体どの程度まで普及が見込めるかということについては、確定的な数字、今私ども考えておる数字というものを申し上げられる段階ではございませんが、少なくともBS2段階、すなわち六十四年度までに私ども努力目標としての意味も含めまして百万台ぐらいのところまでは持っていきたいと考えております。  その後の普及のテンポでございますけれども、これは一つには番組に対する受益感、それからその財源あるいは料金の問題の設定いかん、あるいは額等についても関係するわけでございますので、今ここでこういうふうなことを計画しているということについては、自信を持ってお答えできる数字を持っておりませんことをお許しいただきたいと思います。
  102. 木内良明

    木内委員 お聞きした三点について、明確に出たのが六十四年度で約百万台目標ということでありますので、了としたいと思います。  なお、今答弁にありました受信装置の普及の問題、これもやはり相関関係を持っておりまして、いかにNHKが笛を吹いても、実際に低廉で安定性の高い受信装置なりその関連設備を普及させないことには受信世帯はふえないわけであります。衛星放送受信にはパラボラアンテナとチューナーが必要である、これらの受信装置が高価で品不足である、おっしゃったとおりです。また、取りつけの利便性の問題がある。したがって、安くて簡便で安定性のあるものにすることが必要である。  そこで、まず価格の問題でありますけれども、今何社からか出ておりまして、ばらつきはあると思いますけれども、現在平均で幾らぐらいになっているのか。さらにその普及に伴ってどの程度までのコストダウンが考えられるか。これは衛星放送の進展の上から考えますと私はかなり大事な点だと思います。先ほども会長の方からの答弁の中で、受信機能の安定性であるとか技術的信頼性を高めるという一面の追求が必要である。と同時に、普及面におけるそうした御努力というものも必要であり、関係業界に対する努力活動も必要であろう、こう思うわけでありまして、以上の点について答弁願います。
  103. 中村有光

    中村参考人 今出てまいりました新しい方の受信機の平均の値段というのは、一式約十四万というふうに想定しております。また、受信機の今後のコストの下げ方というのは、私どももいろいろな技術開発受信機メーカーに提供してコストを下げる努力をしてまいりたいと思いますけれども、希望としては、我々としては十万円を切ってほしいというのが率直な希望でございます。
  104. 木内良明

    木内委員 十万円を切るというのはかなり買いやすい値段ということになってくるわけですけれども技術開発だけでなく、一つは業界への協力を要請するということも大事だというふうに思うのです。NHKは、業界への指導をぜひ頼みたいということで通産省に働きかけている経過があるというふうに聞いておりますけれども、手ごたえはいかがなものですか。
  105. 中村有光

    中村参考人 私どもは、直接各メーカー並びにこの団体であります日本電子機械工業会を通してこの受信機の問題をお話しし、また通産省の機械情報産業局の方のバックアップもお願いした次第でございます。それを十分受けとめていただいておるというふうに思っております。
  106. 木内良明

    木内委員 それから、私のところへも何件か問い合わせがありまして、この衛星放送受信するのにはかなり簡単にできるんだという誤解をしている人がおりますが、一つにはアンテナ本体が大きいために重量があって、附帯工事にしても通常の取りつけとは非常に異なる形態をとる、また、設置角度にも専門知識が必要である、こういうような実態なんですね。  そこで私も、選挙区が東京でありますから、東商組という電機商業協同組合の皆さんにも実はお聞きをいたしました。技術開発のメーカーだけでなく、やはりこういう業界団体への、家庭電器のいわば販売店組合への要請等も非常に必要になってくるんではないかと思いますけれども、その辺の協力要請はどうなっていますか。
  107. 中村有光

    中村参考人 先生おっしゃるとおり、メーカーだけでなくて、販売の業者の方々にこの知識を持っていただいて受信者に対応していただきたいというふうに考えています。これらの人を含めた衛星放送普及推進協議会というのがございます。この場を通しまして、私どももビデオテープを提供するというような協力をいたしまして、この業界に対する理解の促進を図っている次第でございます。
  108. 木内良明

    木内委員 もう少し具体的な答弁を要望したいところでありますけれども、時間の関係で、業界の協力なくしてはこの進捗はいかないわけでありますから、ぜひひとつ御努力を願いたい、このことを申し上げておきます。  それから、衛星放送受信料、将来的な課題でありますけれども、これについては今後どう考えていかれるのか、あるいはその時期についてはいつごろを想定しておられるか、さらに、受信料の設定の積算根拠となるものは何か、三点についてお願いします。
  109. 林乙也

    ○林参考人 衛星放送の財源あるいは負担をどういうように考えるべきかということにつきましては、その基本といたしまして、放送に対する受信者の受益感、それから普及の程度、それからそれに投ぜられておる経費というものを総合的に勘案しながら決定しなければならぬと考えておりますし、またその際には料金収納の確実かつ効率的な制度として納得性が得られるかどうかということも考えてまいらなければならぬというように思います。そういうようなことの上で、衛星放送の料金の問題につきましては、本放送への移行の時期との連動の中で決めていかなければならぬだろうというように考えておりますし、当然、料金を設定するということになりましたならば、その根拠となるものは、衛星放送の実施に投ぜられておる経費というものを長期的な観点の中で設定していくということになろうかと思います。  いずれにいたしましても、その前段となります今後の衛星放送とその負担の問題について、その基本をどういうように詰めていくかということが現在私どもに課せられておる最も緊急かつ重要な課題だというふうに考えておるところでございます。
  110. 木内良明

    木内委員 私は、この委員会質疑では具体的に何が出るかということを一つの課題にしておりますのでお聞きをするのでありますが、先ほどの六十四年度百万台目標、仮に百万台達成された、このときの受信料はまだ議論されておりませんか。あるいはその対象となり得るかどうか、これだけお答えください。
  111. 林乙也

    ○林参考人 今後の長期的な一つの見通し、構想等を固める際にはこの問題も一つの必要な要素として一緒に考えていかなければならぬと考えております。  すなわち、来年度事業計画を策定する段階、またその段階におきましては今後の長期的な一つの姿というものを見定めなければならないと思っておりますが、その中には衛星放送に対する財源、受信料の問題というものもあわせて結論を見出していかなければならないのではなかろうかと思っております。
  112. 木内良明

    木内委員 どうも答弁がはっきりしないのでありますけれども、六十四年度百万台のときにどうかということは、まだ答弁がおできにならないということですね。
  113. 林乙也

    ○林参考人 その長期的な見通し、構想を立てる際には普及の見通しも当然入ってくるわけですし、それとの絡みの中で受信料の問題をどうするかということがよりはっきりした形で煮詰め得るのではなかろうかと考えておるということでございます。
  114. 木内良明

    木内委員 どうも時間の関係でやりとりができないのが残念でありますけれども、最後に一問。  衛星放送のテーマとは離れまして、放送技術の進展に伴うNHKの位置づけということでありまして、やはり公共放送というよって立つ性格的基盤からいたしますと、NHKにその研究開発なり放送の実施というものが常に要求をされてきているわけであります。例えば最近における文字、音声多重放送の経緯も私は知悉しているわけでございますけれども、今後、一般論として、公共放送の使命とそれから負担増の問題というのは常に並行して起こってくるのではないか。言ってみれば相矛盾する問題を常にはらんでいるわけでありまして、今後新しい技術的課題が出てきた場合にNHKとしてどう対応するのか。また郵政省として、こうした例えばハイテクによるニューメディアが続々と出現する中でNHKにはどういう位置づけをされていかれるのか。先駆的な位置を常に保たなければいけないという点もあるでしょうけれども、同時に、NHKにおける負担感の増大というものも出てくるだろう。これはNHK会長郵政大臣、お二方からお聞きして私の質問を終わりたいと思う。
  115. 川原正人

    川原参考人 大原則としまして、新しい技術革新に対しまして私は積極的に取り組んでいきたい。またその技術革新に役立つような経営をしてまいりたいと思いますが、ただ、その成果をNHK経営、事業の中にどう取り入れるかということは、NHK経営に対する負担が将来NHKの財政に寄与するのかどうかという点もあわせて十分に検討していきたいと思っております。
  116. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 大変抽象論で恐縮でございますが、将来のNHK考える場合には四つの柱があると思います。  一つは、放送の普及、発達に果たすべき先導的しかも試験的な役割、これが一つ。その次は経営状況、三は国民放送に対する高度化し、多様化する需要の動向、四番目は民間放送に与える影響、こういう主に四つの点を踏まえまして総合的に検討をしていくことが必要だろうと考えております。
  117. 木内良明

    木内委員 以上で終わります。
  118. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十九分開議
  119. 深谷隆司

    深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  日本放送協会昭和五十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について質疑を続行いたします。鳥居一雄君。
  120. 鳥居一雄

    鳥居委員 引き続きまして五十九年度NHK決算につきまして御質問をいたしたいと思います。  五十九年度決算上で、中波のステレオ関連技術開発費、これは幾らでございましょう。
  121. 中村有光

    中村参考人 五十九年度では、経費としまして調査費二十万円でございます。
  122. 鳥居一雄

    鳥居委員 その二十万円とはどういう内容経費ですか。
  123. 中村有光

    中村参考人 これは、五十四年から五十八年にかけましてこのAMステレオの研究用の装置をつくってございます。それを調査するための経費でございます。
  124. 鳥居一雄

    鳥居委員 つまり、ゼロではないということだと思います。  いわゆるAMステレオ、オールドメディアだと言えばそれまでのことでありますけれども、中波の持つ価値を最大限に発揮できるようにしようということで、AMステレオ、いわゆる中波帯ラジオ放送のFMに劣らないシステムの確立をしていこうということで、ここのところ大変注目をされる新しいシステムだと言えるだろうと思います。この中波のステレオに関しまして、ラジオ放送でありますけれども、諸外国でどこどこが既に始めているのか、実施状況につきまして郵政省から伺いたいと思います。
  125. 成川富彦

    成川政府委員 AMのステレオ放送につきましては、米国を初め七カ国で実施しております。国の名前を申し上げますと、米国、カナダ、ベネズエラ、オーストラリア、メキシコ、ニュージーランド、南アフリカ共和国ということでございます。
  126. 鳥居一雄

    鳥居委員 五十年代にアメリカにおきまして五万式が開発をされた。それで、FCCとしてはこの五万式並んだそれを統一方式にしたいということでかなり努力をされた。そして、五十七年の三月、一たんはマグナボックス方式ということで標準化を認定をいたしましたけれども、裁定の後、いわゆるC-QUAM、モトローラ方式の巻き返しに遭いまして、結局市場の中で自然淘汰を図って、アメリカにおいては自由にこの五万式を採用してよろしいということでまいりまして、しかし市場におけるこの五万式というのは次第に結論が出てきている。その後の趨勢についてどういうふうにとらえていらっしゃいますか。
  127. 成川富彦

    成川政府委員 先生お話にございましたように、米国のFCCは統一標準方式を選定するということで努力したわけですが、結果的には五万式をすべて認めまして、方式の選択は市場原理に任せる決定をしたところでございます。  五万式につきましては、モトローラ、ハリス、カーン、マグナボックス、ベラーという方式によるのでございますが、AMステレオ放送が開始されまして以来、市場競争に任された結果、現在はモトローラ方式とカーン方式の二万式が残ってシェアを争っているというふうに承知しているところでございます。
  128. 鳥居一雄

    鳥居委員 特に、カナダでは既に標準化を決めて、ほかの方式はとらないように厳しい行政指導がなされているように聞いておりますけれども、その辺はどういう事情になっておりますか。
  129. 成川富彦

    成川政府委員 その間の事情につきましてはちょっと承知しておりません。手元に資料がございません。
  130. 鳥居一雄

    鳥居委員 それでは、手元に資料がありますので。  昨年の五月、カナダの官報で公表された通告、これによりますと、まずAMステレオの標準方式として、C-QUAM方式の選定をして採用する、こういう発表をして、これは南アとオーストラリア、ブラジル、これに次いでモトローラ方式の標準化を決定した、こういうことでありますけれども、間違いありませんか。
  131. 成川富彦

    成川政府委員 間違いないようでございます。
  132. 鳥居一雄

    鳥居委員 一方、我が国の民放連で調査報告書をまとめているようでありますけれども郵政省は報告を受けておりますでしょうか。
  133. 成川富彦

    成川政府委員 「AMステレオ放送技術調査報告書」というものだというふうに思いますが、それにつきましては私どもも受け取って、承知しております。  中身につきましては、内外におけるAMステレオ放送の経過と現状、それから国際協定と法制度の問題、あるいは放送実施に要する費用の検討、各方式の理論分析あるいは室内特性測定等についてまとめられた内容でございまして、私どももそれを参考にしているところでございます。
  134. 鳥居一雄

    鳥居委員 私は逓信委員会で、中波のステレオ化免許の申請があった場合に、それが導入できる方向で検討すべきだと申し上げました。昭和五十五年の議論のときに郵政省立場は、日本の国は混信が非常に多い、それから第三地域で妨害電波がある、そういう答えで非常に後ろ向きでありました。しかし、その後の需要というのを一つの理由に挙げておられたわけですけれども、この民放連の調査結果によると、妨害電波あるいは混信というのはクリアできる、それから需要は非常に高まっている、こういう報告だと受けとめておりますけれども、この点どうでしょうか。
  135. 成川富彦

    成川政府委員 おっしゃるとおりというふうに承知しております。
  136. 鳥居一雄

    鳥居委員 それじゃ、後ろ向きであった理由の混信あるいは妨害電波については技術的にクリアできた、それから需要の動向を見定めて、必要であれば取り組むんだという点についてもクリアできた、こういうふうに理解してよろしいですか。
  137. 成川富彦

    成川政府委員 ステレオ放送につきましてはいろいろな方式、先ほどもお話しございましたように五万式等々いろいろあるわけでございますが、それにつきまして技術的にクリアしなければならない問題点もあるわけでございます。現在、BTA、放送技術開発協議会というのがございますが、そこの場で我が国におけるAMステレオ放送導入につきまして、技術的問題について各方式につきまして調査をお願いしているところでございます。  先ほどもお話しございましたように、二万式とか五万式とか認めることじゃなくて、我が国としては統一した標準方式でやっていった方が国民の利便からいっても望ましいのじゃないかというようなことで現在検討中でございます。  ニーズにつきましては、その民放連の報告書によりますとかなりあるというようなことでございますが、最近そういうニーズ等につきましては把握しておりませんので、それらも考えながら、もし技術基準がまとまりまして電技審にかけて、免許とか導入という段階になりましたら、ニーズ等も考えながら総合的にやっていかなければいけないのじゃないかというふうに思います。
  138. 鳥居一雄

    鳥居委員 今お話しの放送技術開発協議会、放送各社と大手メーカー十二社が加わりまして、郵政省の音頭でBTAが技術開発に当たっている。この中波の関係につきましてはどんな計画で、年内早い時期に終わるんじゃないかと見ておりますけれども、調査の現況、今電技審にかけると言いますが、従来の電技審の役割とちょっと違うと思うのですね。BTAがフィールド実験をやり、もちろん室内実験を経てこれをやるわけですから、電技審においては極めて効率のいい審議がなされるだろうと思っておりますけれども、その辺の見通し、それから実際に免許ができる運び、これはどんな手順になるのか、伺いたいと思います。
  139. 成川富彦

    成川政府委員 先生お話しございましたように、BTAの方では野外実験等の実施を行っているところでございます。ステレオ放送を実用化する場合の技術的問題について基礎資料を得るために野外実験とか室内実験等を今やっているところでございます。これは六十一年の一月から六十三年三月までの予定でやっているところでございまして、その特性試験が現在終了しておりまして、今後混信等に関する野外実験をする計画でございます。  調査研究の主な内容は、各ステレオ方式の諸特性、いろいろな特性を持っておるわけですが、それらの比較、それから現行モノラル受信機との両立性、ステレオがモノラルの受信機で聞こえないというようなことになってはいけないものですから、両立性とか、あるいはステレオ化してもサービスエリアが従前と同様に確保できるかどうか、狭まってしまってはまた利用者に不便をかけるというようなことになりますので。それと、隣接チャンネルが混信する度合い、そういうものを現在調査研究してもらっているところでございます。  それから、免許に至る手順でございますが、BTAで調査研究していただいて、技術基準がある程度まとまりますと、その技術基準につきまして電気通信技術審議会、今先生お話しございました電技審に諮問いたしまして答申を得て、省令の改正をして免許をしていくということになるわけでございますが、現在のところ、BTAの技術基準の報告が六十三年三月時点になりませんとまとまりませんものですから、それ以後になるんじゃないかというふうに思います。導入に当たりましては、先ほど申し上げましたように、最近のニーズは余り把握しておりませんので、ニーズ等をにらみ合わせながら導入の道を開いていきたいというふうに考えております。
  140. 鳥居一雄

    鳥居委員 BTAで今フィールド実験をやっていますね。それで、これが現在五万式あるわけですが、一番有力ないわゆるモトローラ方式あるいはカーン方式、マグナボックス方式、これとは全く違う方式が出てくるわけはないので、実験の内容を見ても、これらの方式がどんな答えを出すのかというフィールド実験なわけでありますから、要するに帰着するところというのははっきり見えてなければいけないだろうと思うのですね。その辺の見通しはどうなんですか。要するに、後追いの感を免れないわけですよ。もう十年来の積み残しの課題をいまだにやっているというような感じがしてならない。こんなことをどうして今ごろもたもたやっていなければならないのかということなわけですけれども、そういう見通しについてはどうなんですか。
  141. 成川富彦

    成川政府委員 先ほど申し上げましたように、まだ最終的な結論に到達しておりませんが、現在のところ、カーン方式とモトローラ方式の二万式に絞られつつあるという段階のようでございます。
  142. 鳥居一雄

    鳥居委員 さてNHKなんですが、NHKは現在ラジオ放送に関しては無料、受信料ロハということです。しかし、今のラジオ放送がもっと価値のあるものとして位置づけができるとすれば、聴取者ニーズにこたえることができる。民放はかなりの準備が進みまして、スタジオの中の様子あるいは放送機、放送所に対する設備、そういうものの調査がすべて終わって、回線を確保することと、免許がおりればもう直ちにできるというところまで準備が進んでいるわけですけれどもNHKはどういうふうにこの中波のステレオについて準備を進めてきているんでしょうか。まだいまだにやるというあるいはやらないという、検討していないんじゃないかと私は思っているのですが、後ろ向きな御様子はよくわかるのですけれども、どんなような検討の経過をたどっているのでしょう。
  143. 中村有光

    中村参考人 私どもは六十一年一月から始まりました、ただいま御説明のありました放送技術開発協議会に参加いたしまして、このステレオ方式の技術的な検討というものに加わっております。そういう意味では、先ほど御説明申し上げました五十四年から五十八年にかけてやりました結果を提供しまして、野外実験その他でもって調査に資しているという次第でございます。  NHK自身といたしましては、かねがねこの場でも御説明申し上げておりますけれども、やはり中波放送の確実な受信、特に夜間における外国放送との混信をできるだけ改善したい。それで、なるべく中波に乗っております者そのものを強く送って、そして万が一のときの放送受信ということに万全を期したいというのが私ども考え方でございます。  そういうことと全く矛盾なくこのステレオ方式が行われるようになれば検討することができると思いますけれども、我々が現在承知しておりますのは、どうしてもサービスエリアが小さくなるとかというふうに伺っております。この辺の結論はこれから出てくることというふうに承知しておりますけれども、我々の方の準備としましては、ステレオ放送そのものは十分NHKとしては経験がございますし、設備その他についても、その他のメディアでやっておりますので、準備ができないからということではございません。ただ中波放送の外的環境ということが本当に整うのだろうかということがまず最大の課題であるというふうに考えております。
  144. 鳥居一雄

    鳥居委員 民放が始める準備をかなり進めておりますね。それで、今のような状況は民放と横並びだと思うのです。混信がある、あるいは夜間の八時過ぎごろからは妨害電波あるいは混信がある。宿命的なそういう状況にあるわけですけれども、しかし、開発されたICは、広帯域から狭帯域への切りかえができるような、妨害電波を極力小さく抑えることができる、そんな技術もでき上がっております。  そういう中で、民放が免許を申請し放送を始める、こういうことを想定した場合に、NHKとしては民放先発、NHK後発という形になりますか。それともこのまま、現状モノラル放送だけで維持をしていくという形になりますか。あるいは同一歩調でやっていこう、こういう形になりますか、いかがでしょう。
  145. 中村有光

    中村参考人 中波ステレオのメディアというものは一つの新しいメディアであるということについては私どもも承知しております。ただ私どもは、あくまでもNHKの中波メディアというものは、ほかのNHKの音声メディア等の中で確実な情報メディアと申しますか、先ほども申し上げましたけれども、どんな地点、どんなところでも聞こえる、聞こえ方がいいというよりも聞こえることがまず第一であると思っています。それと矛盾しないということさえ出てくれば我々としては決してやぶさかではございませんけれども、その状況が実現するというのは非常に難しいのではないか。技術的にも先ほど先生指摘のようないろいろな方式がございますけれども、ステレオも聞こえ、なおかつ電波も強く出るというようなことが望ましい形だ、私どもとしてはこういうふうに思っている次第でございます。
  146. 鳥居一雄

    鳥居委員 その辺も大分クリアできているようですね。それで両立性、つまりステレオの設備のない受信機に関しては従来どおりモノラルで受けられるんだという保証もほぼ得られているようでありますから、もしステレオ放送実施という形になった場合の弊害というのはほとんどクリアできている、こういうふうに受けとめているわけであります。もし検討していないとすればぜひ検討の俎上にのせていただきたい。NHKとしては従来、技術先導的な役割を担ってきているはずでありますし、中波帯のこれに関しては政策的に後ろ向きにならざるを得ない、どうもこんなようにうかがえてならないわけですけれども、置いてきぼりを食う形だけはぜひ避けたいなと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  147. 中村有光

    中村参考人 私どもは決して置いてきぼりを食うというつもりではございませんが、NHKは中波のほかに音声メディアを持っております。そういう意味で、NHKの音声メディアのイメージというものは総合して考えていただけるのじゃないかというふうに思っている次第でございます。
  148. 鳥居一雄

    鳥居委員 ちなみに、ついせんだって出ました電気通信審議会の「高度化ビジョン」の中でも、将来の中波ステレオ放送としての位置づけが明確なんです。「中波放送事業者は中波ステレオ放送に強い関心を示しており、日本民間放送連盟は、昭和五十七年から三年間中波ステレオ放送技術的問題、番組編成・制作上の問題等に関する検討を実施した。」それから「郵政省ではBTAにおけるこの調査・研究の成果等を踏まえ、早期に中波ステレオ放送導入に関する具体的な施策を固める予定である。」。これはNHKを外したレポートじゃないのかなと私は受けとめたのですけれども、今の御答弁を伺うところによると、まだまだいろいろ整備しなければならない条件があるというふうに言わざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
  149. 中村有光

    中村参考人 私どもは、中波を受けられる受信機というのは非常にたくさんの数があると思っております。これは各御家庭を眺めていただいても、それこそ一人に一台ある、それ以上あるという状況ではないかと思います。いろいろなタイプの受信機がございます。そのうちのどのくらいまでを先ほど私が申し上げたような格好の条件に適合させるのか、簡単な受信機がいいんだというふうに簡単には割り切れないことではないかと私ども考えておるわけであります。それで、そういう問題が、すべての受信機というわけにはまいらぬとは思いますけれども、大部分のリーズナブルな受信機が今までどおり間違いなくきちんと聞こえるんだ、少なくとも雑音のために聞こえなくなることがないということを確認する必要があると思っている次第であります。
  150. 鳥居一雄

    鳥居委員 低電流の非常にコンパクトなウォークマンスタイルのAMステレオが、既にICが開発されたという報道があります。ですから、非常に進んでいるわけです。ひとつ御検討いただきたいと思います。  新聞報道によりますと、「ハイビジョン普及駆け足で?郵政省、ソウル五輪街頭放送作戦」こういう報道がございます。今月の初めのころであります。ソウル・オリンピックを機に国内の普及宣伝をやろうという御計画のようでありますけれども、一台五百万円のテレビセット、試作品をメーカーに対して二百台供出せよというかけ声がかかった。これはざっと十億円です。それでメーカーの方は、通産省の監督のもとにあります電子機械工業会の中に所属するものですから、郵政省からの指示を受けると通産省の方へ出向いていく、郵政省からこういうふうに言われましたと。郵政省と通産省との対立によって、実際に技術開発をし試作品をつくるメーカーの各社が右往左往しなければならない、これはいかがなものかと思うわけです。  一つは、二百台をデモンストレーションするに当たって国としてきちんと予算措置をとり、そして量産化の段階ではなるべく安くできるような仕組みをつくっていかなければならないのではないか。もう一つ郵政、通産の争いに民間が巻き添えを食わないように話し合いを十分詰めるべきだと思うのですけれども、この二点、伺いたいと思います。
  151. 成川富彦

    成川政府委員 ハイビジョンにつきまして国民の理解を促進するために、来年ソウルでオリンピックを開催しているときの番組をハイビジョンで見てもらおうということで全国に二百台配置する計画を立て、メーカーの方々にお願いしているところでございます。それで、経費につきましては、関係者間で協議していこうということで現在取り組んでおります。また、テレトピア地域につきましてはハイビジョンセンターといいますか、ハイビジョン設備の導入を考えておりまして、それにつきましてNTTの売却益の無利子融資等の道を開いて積極的に助成をしていこうというふうにも考えているところでございます。  それから、私どももハイビジョンの推進のためにいろいろと施策を講じているところでございますが、私ども放送を中心として考えてやっているところでございまして、現在のところ通産省との間で調整する事項も見当たりません。もし必要な事項でも生ずればまた連絡なりなんなりをとってやっていきたいというふうに思っているところでございます。
  152. 鳥居一雄

    鳥居委員 先ほどのBTAの発足のときにも、ニューメディア開発だということですけれども放送技術開発協議会のメンバーを見ますと、放送局は別として、メーカー大手十二社が入る、それにつながる各メーカーも加わって郵政省は最初やろうとしたはずですね。それがMITIの方からクレームがついて、おととし発足したかったけれどもそれができなくて、昨年までごちゃごちゃやりながら来ている、そういう経緯があるわけです。だから、この際、ハイビジョンを導入する、それが一つのいい機会だと思いますから、通産省と十分な話し合いをするという前提で臨んでいただきたい。大臣、御見解をいただきたい。
  153. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 ハイビジョンを二百台メーカーにお願いしたというのは、カラーテレビも東京オリンピックが非常な契機となりまして、ハイビジョンの普及宣伝をしようと思いましてもやはりその時期が必要なわけで、今六十五年を目指しておるわけですが、その普及促進の大きなエポックというのがソウルのオリンピックであるということでお願いをいたしまして、メーカーさんもある程度の目標というか、めどを示してもらうことをむしろ望んでおられるではないかと我々も考えた次第でございます。  また先生御心配の通産省との調整の問題や何か、もし必要がありましたら我々はいつでも協議、連絡をさせていただきたいと考えております。
  154. 鳥居一雄

    鳥居委員 以上で終わります。
  155. 深谷隆司

  156. 木下敬之助

    ○木下委員 早速質問をいたします。  衛星放送についてお伺いをいたします。どの程度普及してきていますか。現在の受信世帯数と今後の普及見通しをどう考えておられるか、お伺いいたします。
  157. 林乙也

    ○林参考人 六十二年六月段階での状況でございますが、個別受信におきまして七千世帯、共同受信におきまして十四万一千世帯、それから、これは小笠原、大東島を別にいたしておりますけれども、そこで千五百世帯、全体といたしまして十四万九千五百世帯というのが大体の現在の状況でございます。  今後の普及の見通してございますけれども受信機のメーカーの供給というものがやや立ち上がりがおくれておることもございまして現在のような状況でございますけれども、八月末以降、メーカーの方からも積極的な提供があるように見受けられますので、普及のテンポは相当高まるものというように思われます。なお七月一カ月で、これは推計でございますけれども、約二万件ぐらいは増加したのではないかというように考えております。  今後の普及見通しといたしましては、私どもとしては、努力目標の気持ちも含めて、六十四年末までに約百万世帯というものの普及を図っていきたいというようなことを考えております。
  158. 木下敬之助

    ○木下委員 前にも話も出たようですけれども、新聞等で、衛星放送受信用のパラボラアンテナの家庭用が品不足であるとの報道がなされておりましたが、これの方の対策はどのようになされておりますか。
  159. 中村有光

    中村参考人 各メーカー並びに日本電子機械工業会に要請をいたしまして、新しい品種の生産体制を整えていただくということで、八月下旬から秋にかけまして体制が整ってくるというふうに期待しております。月産約八万台の規模になろうかというふうに思っております。
  160. 木下敬之助

    ○木下委員 品不足を解消しなければ普及が進まないのは当然ですが、より一層の普及のためには、受信装置の価格をもっと安くする等の施策が必要と思われます。どうお考えになっておられるかをお伺いいたします。
  161. 中村有光

    中村参考人 現在新しく出てまいります衛星用の受信機、アンテナとチューナーとを組み合わせまして、平均の値段として約十四万程度になってまいっております。従来の価格よりも約十万以上下がっているというふうに思います。これらについてなおコストが下がるように関係のメーカー、関係の機関にお願いをしてまいりたい、こう思っております。
  162. 成川富彦

    成川政府委員 衛星用の受信装置であるチューナーにつきましては減税措置を現在講じてもらっておりまして、これにつきましてはさらに継続してやっていきたいというふうに思っております。私どももメーカーに対しましてさらに増産方要請をしたところでございまして、NHKと同様に普及促進に頑張っているところでございます。
  163. 木下敬之助

    ○木下委員 普及を図っていくためには放送内容が魅力のあるものでなければならないことも当然のことでございます。NHKは七月から二十四時間放送を開始しておられますが、地上放送との関係で、衛星放送放送内容についてはどのようなものがよいと考えておられるのか、お伺いをいたします。
  164. 尾西清重

    ○尾西参考人 衛星放送はやはり独自の新しいサービスというものが私どもの最大のねらいでございますので、衛星放送の機能というものを生かした魅力ある番組というもので編成ができればこれは最高でございますが、まだただいまのところ試験放送でございまして、必ずしも私ども考えるベストの編成というふうにはまいっておりません。  しかし、現在のところで私どもとしては四つの番組の系統というものを柱としておりまして、一つはワールドニュース、国際情報でございます。これは日本が眠っている間も外国では活動が続いているわけでありますし、またニュースが伝えられているわけでございますので、これをなるべくリアルタイムに近い形でお伝えするということがねらいでございます。  それからもう一つは、当然のことながらPCM音声を生かした音楽番組というのがございます。  それから、スポーツイベントなどは地上ではかなり時間的な制約がございますので、衛星で最初からしまいまでノーカットでごらんいただけるというような、衛星の利点を生かした編成というものを考えております。  もう一つはエンターテイメントでございます。これは映画、劇場中継、音楽会その他もろもろございますけれども、そういったエンターテイメントを視聴者の方に衛星放送でごらんいただけるようにしたいというふうに思っております。  地上との関係で申し上げますと、なるべく地上とは違うものを放送したいわけでございますけれどもNHKにはライブラリーに膨大な過去の作品がございまして、中にはすぐれた傑作もございます。そういったものをごらんいただくということもありますし、またこれから地上で放送するものについても、ステレオ音声を生かした、PCM音声を生かした放送ができるということで、衛星でも事前に放送するということもあり得るわけでございます。
  165. 木下敬之助

    ○木下委員 そのように独自な魅力ある番組をふやしていくとすると、それに伴って制作費なりその他の費用等もふえてくると思うのですが、必然的に衛星放送受信料というものも問題になってくると思います。この点をどのようにお考えになっておられますか、お伺いいたします。
  166. 林乙也

    ○林参考人 衛星放送の財源、料金の問題につきましては現在鋭意検討を進めておるところでございます。試験放送によりまして放送衛星の能力、特性を生かした番組の開発を実施しております現段階におきましては、当面これまでのとおり一般受信者の負担による総合料金で賄うこととせざるを得ないというように考えておるわけでございますが、今後受信の普及が相当進みまして視聴者の受益感も高まり、実施経費も多額に達した時点におきましては、この衛星放送につきましての財源の形態、料金の問題について一定の御負担をお願いするという一つ考え方も含めまして結論を出していかなければならないのではなかろうかと考えております。  なお、その際には受信者から徴収する際の料金収納の確実性なり効率性ということも当然あわせて考えなければならないわけでございまして、そこらあたりを総合的に判断し、早急にそこらあたりの結論を得たいというように考えております。
  167. 木下敬之助

    ○木下委員 受信料、そしてそれを結局どういった人がその成果として見ているのかということで、できるだけ公平に、見ている人が、受益者が負担するように考えてほしいと思います。  ここでちょっと原点に戻って考えてみますが、この衛星放送は難視聴対策という面を持っていたと思うのですが、今後衛星放送が独自放送としてなされることを考えると、地上放送の難視聴対策というのはどのように進めていくのか、こちらの方もお伺いいたしたいと思います。
  168. 中村有光

    中村参考人 衛星放送は全国を一斉にカバーできるということで、テレビが見られない遠い離れた離島にもサービスできるということで、そういう意味では決定的な難視解消策であるというふうに思っております。現在、衛星の第二テレビジョンという系統では、地上の教育、総合を混合編成しましてサービスしておる次第でございます。こういう難視解消のチャンネルということをなるべく安く、どこでも受信できるということを普及してまいるというのが今後の考え方でございますし、一方、先生の御指摘にありました地上の対策というのは、地上の受信機というものも非常に高性能のアンテナをつけるとかということが安くできるようになってまいりましたので、そちらの方の面での普及促進ということもあわせて図ってまいりたいというふうに思っておる次第でございます。この二つの施策をあわせて難視対策を進めていくということであろうというふうに思っております。
  169. 木下敬之助

    ○木下委員 今まで山間部であるとかいろいろな条件によって難視聴だったところを見えるようにするという意味で、衛星放送で、今まで全然見られなかったけれども衛星放送を見られるようになる。それはそれでそういう地域に対する一つ対策であるとは思いますが、しかし、難視聴対策という言葉を、別の放送が見られるようになって、全然見られなかったのが何か見られるようになったから過去にあった難視聴対策である、ちょっとそんなふうにはとれないと思うのですがね。  やはりNHK国民のそういった放送として、あらゆるところにやり方一つで見られるものなら全部見えるようにしていくという平等を、少しぐらい、一地域のたった三世帯しかないところであったとしても、経費からいうと幾ら高かったとしても、国民の平等、国土のどこにいても同じように享受できるというものを求めていくのが正しいあり方ではなかろうかと思いますので、今言われましたように、衛星で別のものが見えるようになって、何か見えるようになったからこれが難視聴対策だという考え方は、やはりそれは一部の考えに置いておいて、これまでどおり、今の地上のテレビが見えないところには見えるようにしていくというのはどこまでも進めてもらいたいと思いますが、この点をどこまでも進めていくお考えがあるのかないのか、確認をいたしたいと思います。
  170. 中村有光

    中村参考人 先生のおっしゃっていることはよく理解できるわけでございます。少し違ったものが見えるということは難視解消にならぬという御意見も理解できるわけでございますけれども、ただ、全然見えなかったところが見えるようになる、少なくともテレビが見えるようになるということは、それにも増して難視聴対策の大きな一環であるというふうに私ども考えておりまして、現在数世帯のところで若干不満足な絵であるということが十万世帯余り残っておるということは私ども承知しております。ただ、私どもが大変憂えておりますのは、現在うまく受かっているところが混信その他でもって妨害を受けてくるということも発生が多くなってきているわけでございます。その点を総合して考えていくことが全体の受信者に対するサービスであろうというふうに考えておる次第でございます。
  171. 木下敬之助

    ○木下委員 全体の受信者という格好でぼかさずに、新しいものが見えるのはいいんです、それはもうとにかく、空に衛星を打ち上げてまでそんなことをやっているのですから。まして、今現在で言うと、とにかく一部の人がそれを享受しているわけです。そのことを思えば、いまだに難視聴で地上のものが見えないという地域は、ほかの面で本当に不自由をしている人たちのことですから、それは予算というものがあるでしょうからそんなに一年に一遍に全部やれとかはできないけれども、必ずや予算の一部があってこつこつと長い目でやっていくという、そういうものがあっていいのではなかろうかと思います。放送衛星が上がったら、あとは地上対策予算的なものはもう使わないような方針にでもなっていくのですか。それとも従来どおりにやはり地上の対策は進めていくということですか。
  172. 中村有光

    中村参考人 難視聴対策という意味合いをもう少し広く考えざるを得ないというように私ども思っておる次第です。  ですから、今申し上げましたように、地上の補完的な、特に、非常に多くの混信妨害を受けるようなところは、どちらを先にやるべきかというようなことも多々あると思いますけれども、そういうことも含めて全体として補完的な整備をしていくというふうに申し上げた次第であります。従来やっていた路線上の地上の難視聴対策を進めるのかというふうに詰められれば、私どもとしては今のようにお答えするということでございます。総合して施策を進めていくということでございます。  もう少し具体的に申し上げれば、例えば混信の妨害を避けるためにVHFからUHFに転換せざるを得ない。そうすると、その場合に電波を少し強く出して、従来のやや不満足なところで見ておられる方々をあわせて救済していくといいますか、見えるようにしていくというようなことを総合してやっていくということでございます。
  173. 木下敬之助

    ○木下委員 余り納得できない部分の方が多いです。私の言っていることも御理解いただいた上で、難視聴というのは別の角度から考えようという方針だから、それはそちらの方針でしょうけれども、しかし、新しいものに新しいものに飛びついていくというよりは、やはりこれまでありました中でもずっと不自由な目をしてきたところのその対策はある程度やってきて、もうそろそろ自分のところにも順番が来るかなと思うころにはそれはやらない。上に別のを打ち上げたんだから、全然見えないよりはいいでしょう、それは上に打ち上げたものはまた平等に見えるわけですから。そういう国土全部どこに住んでいたって、不自由なところに住んでいようと東京の便利なところにいようと、できるだけこんなものを平等にしてあげられる、かなりそういう可能性のあるものを、またそんなものを求められておるのがNHKだと思います。国民というのはそんなものをNHKに対して求めておると思いますので、新しいもので解決しようとなさらずに、こつこつ少量であってもやっていただきたいと思います。  次に、衛星放送のハードの面をお伺いいたします。  五十九年にBS2aが打ち上げられましたが、故障のため一チャンネルの試験放送を開始するにとどまっており、その後BS2bが打ち上げられて二チャンネルの放送も実施されていますが、このような放送衛星のハードの信頼性についてどのように評価しておられるのか、お伺いをいたします。
  174. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 BS2bでございますが、これは2aで生じました故障の原因などを十分に究明を行いまして対策を施しますとともに、打ち上げに万全を期するために、予定より半年おくらしまして昨年の二月に打ち上げたわけでございます。  打ち上げた後、五カ月にわたりまして初期機能確認試験というのを実施いたしまして、その後宇宙開発委員会におきまして評価を行いまして、ここでは、この初期機能確認試験中にいわゆる姿勢制御装置というのですか、その部分の主系の中央処理装置ですが、そこにちょっと異常があったのですけれども、それを除きまして正常に動作しているという結論を得たわけでございます。  この異常がありまして予備系に切りかえておりますけれども、この予備系のCPUにおきましては、主系と同様の故障が発生する確率というのは極めて低いというふうに判断されているところでございます。その後、これまでに三回の食期間という一種の太陽系の期間がございますけれども、そういう食期間を経験いたしましたが、現在まで安定して動作しているところでございます。  なお、今先生おっしゃいましたとおり、五十九年の一月に打ち上げましたBS2a一チャンネルの利用が可能でございまして、2bの緊急時に備えて軌道上に待機している、こういった状況でございます。  私ども、今後とも安定した運用を継続するように、関係機関を十分指導してまいりたいと思っております。
  175. 木下敬之助

    ○木下委員 次に、ハイビジョンについてお伺いいたします。  ハイビジョンの実用化の見通しをどのように考えておられるか、お伺いいたします。
  176. 中村有光

    中村参考人 私どもは、放送衛星三号の実用化の段階でハイビジョンの放送というものを実現すべく、これを目標にして実用化を進めてまいりたいというふうに思います。これに至る段階の間に、国際的な技術基準の問題であるとか国内的な技術基準の問題であるとかというのがございます。また、番組のソフトを充実してまいる、ハイビジョンにふさわしい番組のつくり方を進めていくというようなことがございますし、また、受信機を安くするというような課題、十分このことを周知するというような課題があります。これらを並行して進めて実用化に向けてまいりたい、こう思っております。
  177. 木下敬之助

    ○木下委員 安くすると言われましたが、その安くするということの見通しはどんなふうですか。今現在、ハイビジョンの技術NHKが持っておられるわけですが、低廉化し、一般商品として大量生産に取り組むのは民間メーカーということになります。民間メーカーが低廉化に取り組むときに、NHKがハイビジョン技術を独占していることが妨げになったりするようなことはないようになっておるのでしょうか。
  178. 中村有光

    中村参考人 決して私どもは妨げになるようなことはないというふうに思っております。
  179. 木下敬之助

    ○木下委員 NHK技術というのは相当の数の特許を持っていたりしておるようですね。そんな特許等があって、特許料がなんか取るとその分高くなるということを心配しておるのですが、このハイビジョンに関してはそういったことの心配はないということですか。
  180. 中村有光

    中村参考人 私どもは、ハイビジョンを放送衛星の電波を通じて出すMUSEという放送の方式について、国内特許はもちろん、海外の特許も取得しておる状況でございます。これに基づきまして、この特許をメーカーさんに教えて、受像機を安くする方法を指導しておる状況にございます。この特許を許諾するパーセンテージを異常に高いものにするというつもりは毛頭ございません。私どもの事業体の性格を考えて、十分社会的に適正なパーセンテージをお願いしたいというふうに思っておりますが、特許の許諾ということについてはまだ今後の問題でございます。
  181. 木下敬之助

    ○木下委員 NHK全体として、一般のみんなの受信料経営されて、そんな中で研究された成果であって、当然公開していくということだと思うのですが、同時に特許もとるのは当然のことであり、お聞きしますと、その特許で年間相当の収入もあるようなことを聞いております。今のハイビジョンのことに関しましても、特許はあって、それを無料で出すから、特許等が高価格、低廉化を妨げておるといったことにはならないと言われておりますが、しかしそう言いながらも、適正な部分はいただく、こういうふうに聞いていきますと、どの辺にけじめがあるのだろうという感じがします。公開していかなければならないという責任と特許で収入を得て、これをどういうふうに整理してやっておられるのか、お伺いいたします。
  182. 中村有光

    中村参考人 私どもは、現在のテレビジョン放送というものは、残念ながら、アメリカの特許に基づいて相当長い期間にわたって特許料を支払ってまいりました。すべてのテレビジョンの機械についてアメリカの特許料がかかっていた状況でございます。現在、その状況は外れておりますが、全体の機械の価格の三%というものを支払っておりました。私どもは、新しいテレビジョンの方式ということで、日本がこの特許を持っているということが大変大事なことであるというふうに考えております。こういうパーセンテージを参考にして、先ほど申し上げたような適正なパーセンテージにしていきたいというふうに考えております。
  183. 木下敬之助

    ○木下委員 普及するためにも低廉化に協力していただきたいと思います。  もう一点、技術料の収入ということでお伺いしたいのですが、音響技術等で、いろいろなところの市民ホールとか音楽堂みたいなもの、かなりたくさんのことに協力しておると言われておりますが、こういった収入というのはどういう形で入っていくわけですか。
  184. 中村有光

    中村参考人 私どもは、NHKの業務用のスタジオとかホールとかいうものについての設計をする技術を持っております。これを生かしまして、地方の公共事業体、県とか市の市民会館、公民館というようなところの音響部分の技術協力をしております。年間五件から十件ぐらいの件数でありますが、トータルとして年に平均二千万円程度の協力費をいただいております。
  185. 木下敬之助

    ○木下委員 時間も大分来ましたので、あと二つほど。  BS3の段階では民放の放送も開始されると思いますが、郵政省の免許方針について、どのようなお考えを持っておられるか、お伺いいたします。
  186. 成川富彦

    成川政府委員 BS3は六十五年に打ち上げる予定でございますが、二チャンネルをNHKが持ちまして、民放につきましては一チャンネルということで予定しているところでございます。  BS3による免許方針でございますが、今後ハイビジョン等の放送に関する技術開発の動向等を踏まえまして策定することとしておりまして、現在までのところまだ固まっていないところでございます。
  187. 木下敬之助

    ○木下委員 最後に郵政大臣、この逓信委員会もいろいろな中身をかなり多岐にわたって取り上げられるようになり、郵政省も大変だと思います。そういう中で、大臣が何か省名変更をお考えになっておるような報道もお伺いいたしましたが、どういうふうに考えての御発言であり、今後どのように取り組んでいかれるお考えか、お伺いいたします。
  188. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 郵政事業は古くて新しいネットワークでございまして、時代とともに変遷をしてまいりましたが、現在は特に転換期を迎えております。先生方のお力によりまして郵便貯金資金の自主運用も認めていただいたわけであります。  また、電気通信は二十一世紀の高度情報社会を構築する上で先導的、中核的な役割を果たさなければなりませんが、特に日本の電気通信は、技術の面でも自由化の面でも世界のトップランナーとしての責務を負うておるわけでございます。そこで、我々といたしましては、データ通信、CATV、宇宙通信、ハイビジョンテレビ等、さまざまなニューメディアの普及、実現に努力をいたしておるわけでございますが、このような郵政省の積極的な行政展開を見て、一部には、郵政省という名前が実態に合わなくなった、そろそろ変えたらどうかというような声も現実に開かれる。私のところにもおっしゃっていらした方がたくさんあるわけであります。しかし、名は体をあらわすと申しますか、レッテルだけ変えてもなにでございまして、やはり変えるときには内容も一緒でなければならないということで、こういう問題を取り上げるときには将来の組織図を含めて考えていかなければならないと思っております。  いずれにいたしましても、このような問題は国民の皆様の声が反映される、国民の皆様の御意見を十分伺わなければできませんし、特に国民を代表し、しかも専門的知識を有する逓信委員会先生と十分御相談をして進めるべき問題だと考えております。
  189. 木下敬之助

    ○木下委員 終わります。
  190. 深谷隆司

  191. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 NHK国会中継の問題でお聞きをします。  NHKテレビの国会中継は、一九五二年十月、第十五回特別国会での衆議院本会議における首班指名の放映を最初としまして、同年十一月から政府演説と衆参本会議における各党代表質問を中継、さらに一九五九年二月から予算委員会総括質問の各党一巡目の質疑中継が行われるようになり、国民はいながらにしてテレビで国会を傍聴することができ、国の政治と国民を結ぶ上で重要な役割を果たしてまいりました。問題は、各党一巡の質問が放映される予算委員会の総括質問、この中継であります。  言うまでもなく、予算委員会の総括質問は、国政全般にわたって各党と政府側が一問一答形式で議論を闘わせる場でありまして、主権者である国民にとって、政府の政策と各党の主張を質疑を通じてより深く知り得る重要な機会であります。  ところが、実態を見ますと、重要な予算委員会の中継放送が午後六時ないし五時に打ち切られ、あとは多くの国民の視聴が著しく困難な深夜に録画放映されるという事態が続いております。これは極めて異常で、重大な問題だと我が党は考えております。民主政治にとって不可欠な国民の知る権利が事実上制限されるということ、特定の党の質問が深夜に回される不公平な扱いは、放送法第四十四条第三項が義務づけている「政治的に公平であること。」という原則に著しく反するという二点からであります。  我が党はこうした観点から、たとえそれがどの党であろうとも、不公正が正されるべきことを予算委員会でも提起し、NHKにも再三にわたって申し入れてまいりました。昨年は衆議院予算委員会理事会でも議論され、理事会の各党の総意として放映時間の改善の必要性が確認され、予算委員長からNHKに、一、教育テレビに切りかえての中継放送の継続、二、録画放映時間帯の繰り上げなど改善方を申し入れたところであります。しかし、その後もNHKは一向に改善しようとせず、異常な事態が続いております。  さらに我が党は、今臨時国会に当たっても、七月十三日、川原会長に直接重ね重ねの申し入れをし、その際、NHK改善しない場合、NHK予算が公正に執行されているかどうかの問題として検討しなければならないという旨を伝えたところであります。NHKは、だれの目から見ても不公平、不公正なやり方を直ちに改善すべきだと考えますが、会長はどうお考えでしょうか。
  192. 尾西清重

    ○尾西参考人 お答え申し上げます。  先生指摘国会中継が日本の民主政治にとって重要な役割を果たしているということにつきましては、私どももそのとおり考えております。恐らく、世界でこれぐらい長時間にわたって国会の中継をしている放送局はないと存じます。  御質問の中身でございますけれども、なぜ十八時以降中継を教育テレビに回してできないかという御質問でございますが、御承知のように教育テレビは専ら教育的効果を目的といたします放送で、教育番組を中心に編成いたしております。御承知のようにテキストを発行している講座番組あるいは系統的、継続的な利用を前提としている番組で占められております。したがいまして、教育テレビにおいては総合テレビのように急遽番組を変更するといったような流動的な編成は行わない方針をとっているところでございます。したがいまして、十八時になってなお国会審議が続いている場合、総合テレビから教育テレビに急遽切りかえて放送するということは、我々の考え方といたしましては妥当ではないというふうに考えております。  また、時間を繰り上げて、十一時以降をもっと早い時間、見やすい時間に放送できないかという御質問でございますが、国会中継は御承知のように十時から、場合によっては九時から午後六時までかなりの時間を割いて放送しているわけでございます。また、あらかじめ夜間に予定されている定時番組等を期待される視聴者の方も極めて多いわけでございまして、多様化、高度化というようなことが言われておりますが、こういう全国の視聴者の要望というものを考える際に、私どもとしては、いたずらに番組を変更すべきでないというふうに考えているところでございます。したがいまして、午後十一時台に国会中継を録画と録音で放送することにしているわけでございます。  ちなみに、六十二年七月十四日に行われました午前、午後そして午後十一時台の視聴率調査を見てまいりますと、むしろ午後十一時台の視聴率の方が高いという結果が出ているところでございます。
  193. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今いろいろ、なぜ今のような状態かという御説明がありました。それらについては私も意見があります、反論がありますが、その前に、基本的な問題点、二つあるというふうに思っております。  一つは、NHK公共放送として国民の知る権利にこたえる責務があるのじゃないかという点。もう一つは、放送法四十四条三項は「政治的に公平であること。」ということを義務づけているわけです。それが守られなくてもいいのかどうか、この二点の問題であります。  お考えいただくためにさらに事実を申し上げますと、この十数年間の予算委員会質問で深夜録画になりましたのは、我が党が著しく多いのですが、臨時国会を含めますと民社党、公明党、新自由クラブ、参議院では新政クラブ、自民党も何度かなっております。ここ十年間、通常国会でとりますと、衆議院では共産党だけがそうなんです。十回のうち七回が深夜回しになっているわけです。  深夜放送分の時間を見ますと、質問時間の六五%が深夜になっております。しかも深夜の放映時間も、一九八三年第九十八国会までは午後十一時からでありました。ところが一九八四年の第百一国会からは午後十一時三十分からになりまして、あるいは十一時二十五分からというのが今通例になっております。そうしますと放映終了は午前零時を過ぎるわけです。午前一時を過ぎている場合もあるわけです。これはまさに異常だというふうに私は思うわけです。視聴率がいい云々ということがありましたが、私は、それは全く何ということを言うのか。大体こんな時間帯はほとんどの国民は寝ている時間じゃありませんか。何かわかりませんが、これは視聴率云々の問題ではないのです。国民大多数が寝ている時間に一時間以上あるいは二時間近くも放映して、これで国民の知る権利にこたえる公共放送だと言えるのですか。放送はしましたよ、形をつくっているだけ、こういうことに実際にはなっているではありませんか。この点どう認識しておられるのか、ぜひ会長、答えてください。
  194. 川原正人

    川原参考人 私ども立場、先ほど尾西放送局長がお答えしましたとおりでございます。今重ねて佐藤委員の御指摘にありましたように、政治的に公平でなければならない、あるいは国民の知る権利にこたえなければいけない、それもそのとおりだと思っておりますけれども佐藤先生はもう十分御承知の上で、しかし事例も挙げておっしゃいましたように、私どもは特定の政党によって差別をしていることは全くございません。放送の時間が私どもの編集の立場上どうしてもこういう処置をとらしていただきたいということ、それだけでございます。先ほど事例も挙げておられましたが、その点重々先生はおわかりだと思います。その点だけはひとつ誤解のないように、私どもは決して政治的な立場、政党の立場、そのようなことで区別は絶対にいたしておりません。
  195. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 問題は二つ、私は申し上げました。  最後の政治的公平の問題から言いますと、NHKとしては特定の党を意図的にそうするのではない、それはそのとおりだと思います。しかし、結果的に特定の党がそういう時間になる状態がずっと続いているということになりますと、これは客観的には差別が生まれているということになると思う。  もう一つ大事な点としては国民の知る権利の問題を言いました。やはりこれは憲法の、言うならば主権在民の原則の大前提だと思います。よく言われますように、二十一条の言論、表現の自由、これと表裏の関係にある大事な権利であります。これが本当に満たされていくということによってこそ民主政治の発展がある。放送法の第一条に「民主主義の発達」という表現がありますが、民主主義の発達、民主政治の発展は、やはり国民の知る権利がよりよく保障されることによって進んでいくものだと思うわけです。その点から言いますと、本当に率直に会長さん、どう思われますか。深夜に、そんな時間帯に放映されておって、国民の大多数は寝ているわけですよ、それで公共放送としての責務が果たせると言えますか。これは私は言えないと思う。実際に政治的な不公平もあるということです。  この点でも大変驚きましたのは、昨年予算委員会理事会の申し入れをいたしました。これは委員長からの申し入れということで、代理の自民党の理事の方が行かれたわけですが、それに対して当時の放送局長の方が、公平の視点から見て現状がベストだ、最高だというふうにおっしゃったのですね。これはもう私は唖然としたのです。今はいろいろ不十分な点もあるけれども、いろいろなやりくり上そうなっておるんだという言い回しならまだわかりますよ。それが、現状がベストである、本当にこれでは一体どういう感覚が。放送法の政治的公平についてどういう感覚でお仕事をされておるのか、非常に強く疑問に思います。  ですから、この点、本当にしっかりとお聞きしたいのですが、現状は不公平があるという認識なのか、不公平はないんだという認識なのか、その点を明確にお答えください。
  196. 川原正人

    川原参考人 私どもとして確かに放送の時間というもの、それとそれを国民の方々が享受される時間というもの、これは時間帯によっていろいろな違いが出ていることはよくわかります。特に昼間の時間帯であれば大部分の国民の方は起きておられて、あるいは仕事をしておられるかもしらぬけれども、起きておられることも承知しておりますし、十一時以後ということはかなりの方がお休みになっていることも承知しておりますけれども、ただ私ども、先ほど申しましたように、特定の政党とか政治的立場によっての区別は一切しておりません。たまたま国会の中継は私ども番組の編成上の立場、編集上の理由によりまして一定の時間に限らしていただきたい。それは国会というお立場から考えれば、とことんまでずっと続けられればその方がよろしいかもしれませんけれども、やはりNHKは多くの国民の方の御要望にこたえていろんな情報を提供しなければならない。その中には娯楽的なものももちろんありますし、教育的な番組の講座もきちんと出さなければなりません。その中で私どもとしては今最大限の努力をしてやっているのが現状だというふうに御了解いただきたいと思います。
  197. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 最大限の御努力ということでありますが、私にはそうは思えません。  具体的な改善策、これに関連して今度お聞きしたいのですが、もちろん放映時間帯の設定というのはNHK番組編成の自主権に属することであると思います。ですから、それを律するのは憲法と放送法ということになるのだと思うのです。しかし現実に、どうも主権在民の原則や政治的公平の原則に反すると我々が考えざるを得ない事態があるわけでありますから、これをぜひ改善されるべきであるというように考えるわけです。  最初の御答弁でもありましたが、NHKとしてはこうこうこういうふうに考えている、そのために、例えば録画放映にしましてもそういう時間になるのはやむを得ないのだ、こういう問題の立て方、ここは再検討する必要があるのだと私は思うのです。NHKの設定されたルールなり粋なりがあります。それを不動の前提とするといいますか、ということになりますと、それの後に結局は回しちゃうということになるわけですね。それで果たして憲法原理、放送法の条項が一体守れるのかどうか、私は守れていないというふうに思うわけです。  ですから、やはり知る権利を大事にし、政治的公平の原則をぜひとも貫かなければならぬ。現実には特定の党に偏っているというような状況もあります。そういうことから、これはやはり是正しなければならぬ、そういうお立場に立てるのかどうか。私は、もっとそちらに立っていただいて、真剣に改善に取り組んでいただきたい、取り組むべきであるということを申し上げたいわけであります。  予算委員会の昨年の申し入れというのもそういう観点に立っているわけです。つまり現状は不公平が存在している。ある民社党の理事の方は、深夜にやるなんて非常識だということもおっしゃっています。これは普通に言う常識的な受けとめ方だろうと思うのですね。とにかく午前一時を過ぎてまで放映をされているということでありますから、これは非常識だということが予算委員会理事会でも発言が出たわけです。ですから、現状は肯定できない、現状を変えなければならぬ、そういう意味で申し入れをされたわけですね。少なくともそういう視点に立たれるべきであると考えるのですが、どうでしょう。
  198. 尾西清重

    ○尾西参考人 お答え申し上げます。  先生のお立場で御要望は大変よくわかりますが、我々はそういう御要望を受けて十分検討した結果、先ほど申し上げたような結論を出したわけでございます。
  199. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 十分検討した結果と言われますが、この基本はもう九年間変わっていないのです。九年のサイクルで見ますと、まだ前半は午後十一時からの録画放映だったのです。午後十一時が十一時半からになりますと、その時間帯の三十分というのはうんと違うのです。一般的に言えば、むしろ改悪されているのです。特別に夜遅く起きている人もいますよ。一般の国民で言えば改悪をされているのが現実なんですよ。だから、今おっしゃったような答弁は全くいただけない。それは考え抜いた結論というのではなくて、もう長年にわたって同じことを続けてきておられる。再三申し入れ、去年は予算委員会理事会で申し入れた。しかし、どうしようもないんだということを大前提にして動かそうとしないところが大変問題であると私は思うのです。  具体的に出ました、一つは教育テレビへの切りかえの問題、御答弁もありましたが、これについても、予算委員会理事会の申し入れは二点あったわけです。教育放送に切りかえての中継継続というのと録画放映時間の繰り上げ、この録画放映時間の繰り上げというのは私はあくまで次善の策だと思います。あるべき姿としては、中継、放映をどうきちっとやるかということだと思っております。もちろん総合がいいわけですが、それが無理なら教育テレビでもという申し入れを理事会としてもしたわけであります。これはNHKにその意思と決断があればすぐにもできることではないかと私は考えております。実行可能なことである。教育テレビにつきましては免許基準云々のお話がありました。私もいろいろ詳しく調べましたけれども、これは決定的な理由にはならないと思うのです。現に多くの方から私どもに参ります意見の中にも、高校野球はしばしば切りかえをやっているじゃないか、どうしてこの大事な予算委員会の討議はそれができないんだ、これは極めて素朴な常識的な、的を射た意見だというふうに私は思うのです。  先日、七月十三日に会長に申し入れに行きました。私も一緒に行ったわけですが、そのときも会長御自身が、後半では限定をつけられながらも、教育放送に切りかえてはいけないという決まりがあるわけではないんだというふうにおっしゃっておられるわけです。だとするならば、そこを踏ん切って切りかえるということはNHKの決断次第、同時にNHKが今の問題をどう位置づけているか、ここがかぎだというふうに私は思うわけです。ですから、そういう今の状態は、悪い言葉で言いますと要するに残り物を処理してしまおうということです。二十五分からの「スタジオ」」は飛ばしていますが、かつて十一時からであったものが十一時二十五分からになり午前一時過ぎまで放映される。これは、本当に国民、有権者の皆さんに見ていただこうという構えとは到底とれないわけです。多くの国民の皆さんも、今のNHKの中継のやり方が正当ないいものだとは思っていません。やはり不当だ、差別じゃないかという形で我が党の方には意見が来ます。それも当然のことだろうと思うわけです。  ですから、問題は、会長を初め幹部の方が放送法の政治的公平の原則を守らなければならぬ。それから何といっても国民の知る権利ですね。これは、国会中継が日本の今の政治の中で国政と国民を結びつける上で果たしている役割は大変大きいと私は思うのです。予算委員会の総括質問というのは、言いっ放し、答えっ放しの本会議の代表質問と違って一種の花形ですよ。予算委員会で総理大臣以下全閣僚を相手に追及をするわけです。だからそれは注目されるし、だからこそこれは中継されるわけです。ところが、その大事な放映が一部については深夜に回る。この不正常、不公正は正さなければならぬという考え方に立ては、あと解決についてはいろいろな知恵がまだ出てくるのだろうと思うのです。この九年間同じように、基本形が変わらずに、むしろ改悪されてきているということは、そこの基本的な姿勢のところに弱さがある。そこに立って本当に改善努力をしていただきたい、そのことを会長に要求したいと思いますが、いかがでしょうか。
  200. 川原正人

    川原参考人 私ども立場は先ほど来申し上げているとおりでございます。ただ、確かにNHK番組は未来永劫不変というものではございません。いろいろな形で、また番組の編成というものは常時研究をいたしております。それは総合テレビはもちろんでございますけれども、教育テレビの番組編成についても私どもいろいろなことを研究を続けておりますので、未来永劫不変とは思いません。しかし、およそ教育テレビジョンに対する考え方あるいは視聴者に対する私どものサービスのありよう、それから、確かに国会の御審議は非常に重要だとは思っておりますけれども、同時に視聴者に対する番組の編集上、編成上のNHK立場というものもぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。
  201. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は解決はできるし、問題は姿勢がかなり重要ではないかというふうに思うわけです。  その関連で一つ申し上げますと、例えば大相撲のときは午後五時で中継打ち切りになりますね。私も大相撲は好きですから、大相撲放送はしてもらいたいわけです。しかし同時に、大相撲があれば国会中継が五時になって、なければ六時になる、これはちょっと変じゃないかなというのがあるのです。大相撲はやりながら、同時にもう一つのチャンネルで、これはこれで保障するというようにできるのではないかと思うわけです。  いずれにしましても、これは非常に重視していただいて改善をしていただかなければならぬ問題だと思っております。そうでなければ、どんなに道理のある批判があっても、とにかく放送法の四十四条三項に違反しているというのが実態としてはあるわけです。こういうことがありながらも、みずからこういうことを決めておりますから変えないのですというのでは全く筋の通らないことだと言わざるを得ぬわけです。ですから、こういう状態で私たちは予算の執行が公正に行われているとは到底認められないということで、今回決算には反対であるということを表明しておきます。NHK国民受信料を基盤とする公共放送立場に立って、国民の知る権利を保障し、放送法の政治的公平の原則に著しく反する事態を直ちに改められるように強く主張するものであります。  以上のように、問題は極めて重大であり、反対討論を要求いたします。  議員の発言権は憲法、国会法及び衆議院規則の原則である議会制民主主義の基本的な権利であり、何びともこれを封ずることはできないものであります。衆議院規則第四十五条では「委員は、議題について、自由に質疑し及び意見を述べることができる。」と明記しております。また第百十八条では「議員の質疑が終ったときは、討論に付しその終局の後、案件を表決に付する。」と定められております。  この趣旨にのっとるならば、討論の申し出があったときは、委員長はこれを認めなければならないのであります。委員長委員会に諮ってできるのは討論時間の制限と討論の申し出がない場合には省略することができるということであって、申し出のあった討論を封じることはできないのであります。もし討論を認めないようなことがあれば、これは逓信委員会に一大汚点を残すものであることを指摘し、重ねて討論を要求して、質疑を終わります。     ―――――――――――――
  202. 深谷隆司

    深谷委員長 以上で本件に対する質疑は終局いたしました。
  203. 深谷隆司

    深谷委員長 日本共産党・革新共同から討論の申し出がありましたが、先ほどの理事会で協議の結果、御遠慮願うことになりましたので、さよう御了承願います。  これより採決に入ります。  日本放送協会昭和五十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。  本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  204. 深谷隆司

    深谷委員長 起立多数。よって、本件は異議がないものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 深谷隆司

    深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  206. 深谷隆司

    深谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十分散会      ――――◇―――――