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1987-08-21 第109回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年八月二十一日(金曜日)     午後三時一分開議 出席委員   委員長 池田 行彦君    理事 大島 理森君 理事 熊川 次男君    理事 笹山 登生君 理事 中川 昭一君    理事 中村正三郎君 理事 野口 幸一君    理事 宮地 正介君 理事 玉置 一弥君       新井 将敬君    井上 喜一君       石破  茂君    今枝 敬雄君       江口 一雄君    遠藤 武彦君       金子 一義君    小泉純一郎君       鴻池 祥肇君    笹川  堯君       杉山 憲夫君    戸塚 進也君       鳩山由紀夫君    村井  仁君       山中 貞則君    山本 幸雄君       上田 卓三君    沢田  広君       中村 正男君    早川  勝君       堀  昌雄君    武藤 山治君       日笠 勝之君    森田 景一君       矢追 秀彦君    山田 英介君       正森 成二君    矢島 恒夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         労 働 大 臣 平井 卓志君  出席政府委員         大蔵政務次官  中西 啓介君         大蔵大臣官房総         務審議官    角谷 正彦君         大蔵大臣官房審         議官      千野 忠男君         大蔵省主計局次         長       斎藤 次郎君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省理財局長 足立 和基君         大蔵省証券局長 藤田 恒郎君         大蔵省銀行局長 平澤 貞昭君         大蔵省国際金融         局長      内海  孚君         大蔵省国際金融         局次長     岩崎 文哉君         国税庁次長   日向  隆君         労働省労働基準         局賃金福祉部長 若林 之矩君         自治政務次官  渡辺 省一君  委員外出席者        参  考  人        (日本銀行副総         裁)      三重野 康君        大蔵委員会調査        室長       矢島錦一郎君     ————————————— 委員の異動 八月二十日  辞任         補欠選任   中村 正男君     前島 秀行君   安倍 基雄君     川端 達夫君 同日  辞任         補欠選任   前島 秀行君     中村 正男君   川端 達夫君     安倍 基雄君 同月二十一日  辞任         補欠選任   村上誠一郎君     鴻池 祥肇君 同日  辞任         補欠選任   鴻池 祥肇君     村上誠一郎君     ————————————— 八月二十日  大型間接税導入反対所得税減税等に関す  る請願有島重武君紹介)(第四九四号)  大型間接税導入反対マル優存続等に関す  る請願正森成二君紹介)(第四九五号)  同(石井郁子紹介)(第五二二号)  同(岩佐恵美紹介)(第五二三号)  同(浦井洋紹介)(第五二四号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第五二五号)  同(金子満広紹介)(第五二六号)  同(経塚幸夫紹介)(第五二七号)  同(工藤晃紹介)(第五二八号)  同(児玉健次紹介)(第五二九号)  同(佐藤祐弘紹介)(第五三〇号)  同(柴田睦夫紹介)(第五三一号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第五三二号)  同(寺前巖紹介)(第五三三号)  同(中路雅弘紹介)(第五三四号)  同(東中光雄紹介)(第五三五号)  同(不破哲三紹介)(第五三六号)  同(藤原ひろ子紹介)(第五三七号)  同(正森成二君紹介)(第五三八号)  同(松本善明紹介)(第五三九号)  同(村上弘紹介)(第五四〇号)  同(矢島恒夫紹介)(第五四一号)  同(山原健二郎紹介)(第五四二号)  同(正森成二君紹介)(第五七二号)  同(藤田スミ紹介)(第五九三号)  大型間接税導入マル優廃止反対等に関する  請願有島重武君紹介)(第五一八号)  大型間接税導入反対マル優財形非課税制度  の存続等に関する請願外一件(武田一夫紹介  )(第五一九号)  大型間接税導入反対等に関する請願山原健  二郎君紹介)(第五二〇号)  大型間接税新設反対等に関する請願有島重  武君紹介)(第五二一号)  大型間接税導入反対不公平税制の是正に関  する請願有島重武君紹介)(第五四三号)  マル優等利子非課税制度存続等に関する請願  (坂上富男紹介)(第五九一号)  同(三野優美紹介)(第五九二号)  大型間接税導入マル優制度廃止反対に関す  る請願外一件(池端清一紹介)(第五九四号  ) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  参考人出頭要求に関する件  所得税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第四号)      ————◇—————
  2. 池田行彦

    池田委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。  ただいま商工委員会において審査中の内閣提出外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案について、同委員会に対し連合審査会開会申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 池田行彦

    池田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会日時につきましては、商工委員長協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。      ————◇—————
  4. 池田行彦

    池田委員長 内閣提出所得税法等の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を求めます。宮澤大蔵大臣。     —————————————  所得税法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  5. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案につきまして提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、国税に関する制度全般にわたる改革の必要性にかんがみ、その一環として、所得課税負担軽減及び合理化とその財源措置観点をも踏まえ、内外の社会経済情勢変化等に即応して早急に実施すべき措置を講ずるため、所得税法たばこ消費税法取引所税法有価証券取引税法印紙税法国税通則法租税特別措置法等の一部を改正することとし、本法律案提案いたしました。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、所得税につきましては、中堅所得者層を中心に、負担軽減及び合理化を行うこととしております。  すなわち、税率構造について、最低税率適用対象所得の範囲の拡大及び累進緩和を行うほか、新たに十六万五千円の配偶者特別控除を設けることとしております。  また、給与所得者につきまして、特定支出の額が給与所得控除額を超える場合には、申告により、その超える部分控除することができることとして、申告納税の道を開くこととしております。  さらに、老年者控除現行の二倍の水準に引き上げるとともに、公的年金等に対する課税について、老年者年金特別控除及び給与所得控除適用にかえ、新たに、公的年金等控除を設けることとしております。  第二に、利子課税等につきましては、実質的な負担の公平を確保する等の見地から、少額貯蓄非課税制度郵便貯金非課税制度及び少額公債利子非課税制度を、老人等に対する利子非課税制度に改組することとし、これら以外の利子所得に対しては源泉分離課税を行うこととする等の措置を講ずることとしております。  また、勤労者財産形成貯蓄非課税制度を廃止するとともに、勤労者財産形成住宅貯蓄等に係る利子に対しては低率による課税を行うこととしております。  第三に、資産性所得に対する課税を一層適正化する見地から、土地税制及び有価証券譲渡益課税についてその見直しを行うこととし、土地税制につきまして、所有期間二年以下の土地等譲渡をした場合の譲渡益に対する重課特例等を時限的に設けるとともに、所有期間が五年を超える一定の土地等譲渡した場合の譲渡所得長期譲渡所得とする等の措置を講ずることとしております。  また、有価証券譲渡益課税につきましては、先物取引による所得をその課税対象に加えることとしております。  第四に、間接税等につきましては、まず、たばこ消費税につきまして、現行税負担水準を維持する等の見地から、税率等特例措置適用期限昭和六十三年三月三十一日まで延長するとともに、日本たばこ産業株式会社納期限特例措置を廃止することとしております。  次に、取引所税につきまして、各種有価証券先物取引の間の課税均衡を図る見地から、その税率について所要見直しを行うこととし、また、有価証券取引税につきましては、各種有価証券間の課税均衡を図る見地から、転換社債券等税率を引き上げるとともに、金融国際化等に配慮して、一般の譲渡の場合の株券等税率を引き下げる等の措置を講ずることとしております。  その他、印紙税につきまして、円建て銀行引受手形に対する負担軽減措置を講ずるほか、登録免許税につきまして、土地に関する所有権移転登記等に対する負担を一・五倍とすることとしております。  第五に、申告水準の維持、向上を図るため、各種加算税の割合を引き上げることとするほか、所要措置を講ずることとしております。  また、施行期日につきましては、原則として昭和六十二年十月一日から施行することとしておりますが、利子課税改正給与所得者特定支出控除特例の創設及び公的年金等課税に関する改正等につきましては昭和六十三年一月一日から施行する等、改正内容に合わせて施行期日を定めております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。  なお、この法律案国会に提出されました後、その修正について与野党間において御協議が行われました経緯は承知をいたしております。御審議に当たりましては我が国の財政の現状や税制の将来等も十分御勘案賜りますようお願い申し上げます。
  6. 池田行彦

    池田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  7. 池田行彦

    池田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁三重野康君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 池田行彦

    池田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  9. 池田行彦

    池田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  10. 堀昌雄

    堀委員 八月七日に竹下幹事長与野党書記長幹事長会談において、今宮澤大蔵大臣もちょっとお触れになりました四項目の内容についての問題の提起がございました。この問題を端緒として実は十八日の本会議における趣旨説明、そして本日から大蔵委員会が開かれて、昨年の十二月二十九日に第百八通常国会が召集をされましてから今日まで約九カ月ぐらいの間当委員会では税法審議が行われていないのでありまして、きょう初めて実は大蔵委員会におきましての税法審議が行われるようになりましたことは、内容の問題は別としても、竹下幹事長提案が今日審議を軌道に乗せたということについては大変よかった、私はこう考えておるわけであります。  そこで、私は実はもう一つこの問題についてプラスの面があると思っておりますのは、大体、私も長い間大蔵委員をしておりますけれども、今回ほど大きな部分について税法修正委員会において与野党の話し合いで行われるということに道を開いたのは今回が初めだ、私はこう考えておりまして、そういう意味で国会の本来の機能が少なくとも税制の面で果たされることになったということは、日本の議会制民主主義の前進のためにも、さらには国会における委員会運営あり方についても、これも大変高く評価する次第であります。  これからずっと審議が始まるのでありますが、実は私はこの前本会議でもちょっと申し上げましたけれども、アメリカの税制審議を見ておりますと、まず政府議会提案をいたしましたら、議会審議の前に実は公聴会が行われているわけであります。要するに、国民各層意見をまず聞いてその意見をベースにして審議を始める。私は、税制審議としては極めて合理的なやり方を米国議会はとっておられる、こう思うのであります。  そこで、私は、うちの野口理事その他に、同じきょうから始めるのなら、少なくとも納税者のうちの九二%を占めておるところの給与所得者を代表する人たちをまずきょう参考人に来ていただいてその一連の経過についての皆さんの話を聞いてから次の来週の定例日から審議を始めたらどうだろうかということを、実は私は野口理事を通じてひとつ各党皆さんに御相談をしてくださいと申し上げたのですが、長い慣例でそういう例がないからきょうのような形になりました。  後でこれから触れるわけでありますけれども、一体、今議会慣例というものが大変重視をされておりますけれども、その慣例は本当に正しい慣例なのかどうかという問題を私はちょっと最初に取り上げさせてもらいたい、こう思っているのであります。  西洋の言葉で「すべては疑い得る。」という言葉がございまして、私は、人類の進歩、発展というのはまさにこの中に込められている、こう考えるわけであります。要するに、コペルニクスが一五〇〇年の当時に、ポーランドの天文学者でありますけれども、それまでキリスト教の世界では天動説、地球は動いていないんで天が動いているんだというのが実はキリスト教社会の通説であったわけであります。しかし、このコペルニクス天文学者でありますから、恒星惑星という二つの星があります。御承知のように、惑星というのは太陽系に属しておる星でありますからこれはかなり動くわけでありますけれども、遠距離にある恒星の方はほとんど動かないわけでありますから、その二つの動きの変化を通じてコペルニクスは、これは地球が回っているのであって天が回っているのではないという地動説というものを唱えたわけであります。彼はそれを三十年間にわたっていろいろと計算をし、そうして実験の結果を明らかにして、ついに御承知のように地動説というものが確立されるようになったのであります。  また、ニュートンは、御承知のように万有引力というものを発見いたしましたけれどもリンゴの木からリンゴが落ちるなどということは当たり前のことでありまして、なぜリンゴが木から落ちるのかとニュートンが考えたことから、これは、大きな物体と小さい物体がある、その物体の大きいのと小さいのがあるときには、その間に引力が働いて大きな物体の方に小さい物体は吸い寄せられるんだ、だからそれはリンゴ地球という大きな物体の方に吸い寄せられて落ちるんだという万有引力の法則がここで見出されているわけでありまして、これは一六〇〇年代の話であります。  考えてみますと、何だか当たり前のことだな、あるいはこれまでの慣例でそうなっているからということは、やはり私は「すべては疑い得る。」という観点から考えてみなければいけないんじゃないか、こんなふうに実は思っているわけであります。  そこで、実は今私どもは、こちら側が議員の席であります。向こう側政府の席であります。そうして、私どもは要するにどこで論議をするかというと、政府と、与党の方もなさるわけでありますけれども、主として野党の間で実はこの論議が行われている。一体これはどうしてだろうかというのが私のかねてからの疑問なのであります。二、三年前でありますか、もうちょっとになりますか、きょうは山中先生いらっしゃらないのですけれども、私は山中先生のおられるときに、税の問題についてだけは少なくとも国民のコンセンサスが必要だから、与野党でひとつ議論をして、それから皆さん法律に出してもらったらいい、こういう話をしましたら、山中さんは、受けて立つ、こう言ってお答えをいただいたのでありますが、今日まだ実現をしないのであります。  これを私は少し議会歴史に基づいて調べてみたわけでございます。そうしますと、昭和二十一年十二月十九日、第九十一議会、ここで田中萬逸さんという代議士が衆議院におきまして国会法案というものの提案理由説明を行っておるのであります。大変重要でありますからここをちょっと読み上げますと、   ただいま議題となりました国会法案について、各派を代表いたしまして提案理由説明いたします。   新憲法の制定に伴いまして、わが帝国議会は今後国会と改称され、かつ国会は国権の最高機関として国政運用の中枢となり、万全の活動をいたさなければなりません。それがためには、現行議院法の建前とは全然異つた観点に立つて、新たなる立法をする必要があります。しかしこの立法は、国会運用に関することであり、今後の国会がその責任において運用の完全を期すべきことを内容とするものでなければなりません。従って国会法は、政府の立案に一任すべきものではなく、われわれの手でこれをつくることが当然であると考えるのであります。  この見解から、本院においては、本年七月以来議院法規調査委員会を設け、各党各派よりそれぞれ委員を出し、今日まで十数回の会合を開き、ようやくここに一の成案を得て、今日上程の運びと相なりました。過去の歴史を顧みまする時、今回この憲法附属の最も重要なる本法案を、議員発議案といたして、われわれの手になつたものについて御審議を願うこととなりましたことは、実に画期的のことであり、けだし今俊憲政運用の上に及ぼす影響は甚大なるものがあると確信をいたします。以下簡単に、現行議院法と比較しつつ内容について御説明をいたします。   新憲法によりますと、国会政府に対して優位の地位にあることは明白の事実であります。すなわち議院法の随所に見出しまする政府優先規定は、存続することを許されないわけでありまするから、かくのごとき規定はことごとく削除いたしました。 これが、田中萬逸さんが今ございます国会法提案趣旨説明を本会議で行われたときの内容でございます。  そこで、私は、この問題を見まして、帝国議会と今の国会はどういうところが違うのだろうか。帝国議会は、権力はすべて天皇に集中をしておりましたから、要するに政府というものの権限は極めて強大でございました。ですから、議会というのはその天皇の指示のもとに出されてくる政府の案を協賛するにとどまっていたわけでありまして、議会における主体性は全然認められていなかったわけであります。  そこで、議事手続をちょっと申し上げますと、帝国議会政府を優位とする議事方法政府議事優先議院法二十六条。政府提出議案委員会審査の省略、政府が要求すれば委員会審査は省略できる、議院法二十八条。議事非公開政府が要求すれば議事非公開になる。常任委員会存続は一会期ごと限定。ちょうど今の特別委員会と同じようであります。予算委員会審査は二十一日間に限定、それ以上は認めない。政府委員は自由に委員会出席し、意見を述べ得る。秘密書類提出拒否。ちょっと帝国議会の中で今日も思い当たるものが少しあるのでありますけれども、今度は新憲法に合致する方の国会の特色は、自主的な組織権事務総長議会が選ぶというような自主的な組織権活動自主性確保会期自主的決定国政調査権行使具体的保障両院法規委員会の設置、常任委員会制公開制度等、今日のあれになっているわけであります。  こう考えてみますと、どうも今のこの姿は、かつての帝国議会でも、その時代のころ我々は知りませんからわかりませんけれども、恐らく形は、そちら側に政府がいて、こちら側に議員がいて、そうしてその間でこうやりとりをしている。ただし、今のように私どもの方が優位ではありませんから、政府優位でありますから、一応私どもの方は協賛というような、賛意を表するということでありましょうが、その程度に終わった。形式はどうも同じような形式になっているんじゃないかという気がするのであります。  宮澤大蔵大臣、今ずっと私が申し上げましたこと、現在のこの議会運営議事の進め方、いろいろな問題の中に、私はどうも帝国議会の尾が少し残っておるような気がしてならないのでありますが、大臣、いかがでございましょうか。
  11. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 国会あり方につきまして、私からかれこれ申し上げることは、政府側の立場としてはいかがかと思いますので、一人の国会議員としてどう思うかというお尋ねとして承りますならば、確かに新憲法現行憲法のもとにいろいろなことが変わったわけでございますけれども、つい無意識にという部分も多いと思いますが、いろいろ変わり切らないまま旧態をとどめているということが少なからずございますように存じます。今この委員会場配列の問題について御指摘がございましたけれども、私のわずかな記憶が間違いなければ、やはり過去の予算総会における配列はたしかこれに近かったのではないかと記憶いたしております。
  12. 堀昌雄

    堀委員 ありがとうございました。ですから、きょうはまずひとつ政治家宮澤大蔵大臣議員である私との政治家同士論議を進めさせていただきたい。要するに、官僚の皆さんは具体的なことは重要でありますが、私はそういう細かいことではなくて、本質的な問題についてひとつ大臣との間で論議を進めさせていただきたいと思います。  そこで、私も実は英国議会で、議会が行われておるところは見たことがないのでありますが、その場所は見たことがあるのであります。説明を聞いた限りでは、英国議会というのは、与野党が相対して座っていて、政府はちょっと別のところに座る。そうして、与野党議論をする。野党が必要に応じて政府に質問をすると、政府はそれに答える。その答え方についてまた与党の方からそれを応援するような意見が飛び出して、また問題は政府とのあれではなくて与野党の中の論議ということになるというふうに実は聞いております。私は何もやっていない議場を見ただけでありますからわからないのですが、大蔵大臣外国のことに非常にお詳しいしするので、今の点、私はそういうふうになっているという話を聞いたのでありますが、どんなふうに御理解になっているかをちょっとお答えいただきたい。
  13. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、申しわけございませんが、私も正確にどうも存じておりません。おっしゃいましたような印象を持っておりますけれども、正確ではございません。
  14. 堀昌雄

    堀委員 せっかく今度、あちらにできたのは別館でございますか、あの別館の中に実はラウンドテーブルの大きいのをつけた委員会室ができたわけであります。ですから、大蔵委員会税制論議をやりますとき、要するに修正意見やなんかをやりますときには、一遍ひとつあのせっかくつくったラウンドテーブルのところで、両方いて、そして技術的なことはやはり事務当局が答えてくれなくてはいけませんから、あれは見ますとちょうどそれに向いたようにあの建物がつくられている、こんなふうに私実は認識をしておるのでありますが、この点は、宮澤大蔵大臣、いかがでございますか。
  15. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これも不確かな知識でございますけれども、あのラウンドテーブルを、新館でございますか、あそこへ設けられるときに、そういう御意見があって、参議院などでは多少それに類する利用を一部していらっしゃるのではないかと聞いております。
  16. 堀昌雄

    堀委員 もう一つ、新憲法下で国権の最高機関だといっておりながら、実は政府提案法案がほとんどでありまして、国権の最高機関はみずからの機能を果たしていないような気がして仕方がないのです。もっとより多く議員皆さんと一緒に勉強して、何も事務当局が案を出さなくても、いろいろと尋ねて事務当局意見を双方が参考にしながらやることは大変結構でありますけれども、現在の新憲法下におけるこの国会は、少なくとも今の議員立法政府立法が半々ぐらいにはなるくらいでなければ、ちょっと国権の最高機関という憲法規定に私どもは十分沿っていないような気がしてならないのであります。  これは、本来なら委員長にお答えいただいた方がいいのでしょうが、そういうわけにいきませんから、かわってひとつ政治家宮澤さんの御答弁をいただきたいと思います。
  17. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まことにどうも知識が貧しゅうございましてお答えしにくいのでございますけれども、アメリカと我が国をすぐに比べてよろしいかどうか存じませんけれども、確かに、例えばアメリカの場合に聞きますことは、各議員立法をされる、また立法されるだけのスタッフもお持ちでありまして、十分そういう専門的な陣容を擁して立法をされることが極めて多い、むしろその方があるいは原則であるかと存じますけれども、その点、我が国の場合は確かに著しく制度が異なっておるように存じます。
  18. 堀昌雄

    堀委員 アメリカは、私もいろいろ調べてみましたけれども、あそこは、要するに政府は、大統領が直接国民の選挙で出ておりまして、日本やイギリスのような議院内閣制ではございませんから、私は、そこで同じように国権の最高機関といっても、多少あり方が違っても不思議はないと思うのであります。しかし、日本の憲法というものはアメリカの発想が非常に大きく中に取り入れられておるということでもございますので、ほかのいろいろな法案については、率直に言って立場の相違で、これから少し話し合ってということはなかなか難しい問題があるかもしれませんが、私は、この間本会議でも申し上げましたように、税だけは国民のすべてが理解と納得をするような税法にしなければ議会の機能が果たされていない、こう考えておるわけでありまして、そのためには、税法についてだけは与野党で十分論議を尽くして話し合いをし、お互いが譲り合ってひとつ国民の理解と納得の得られるような法案を双方で話し合ってつくるということが税法にとって最も重要な課題だと思うのでありますけれども大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  19. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはまさにそのとおりであろうと思います。殊に、税法あるいは税務の執行というものはやはり公平中正といったようなことがどうしても欠かせない基本でございますから、そういう意味におきましては、比較的イデオロギーの少ない、何が公平であるかといったようなことについて、国会の間に合意がございますことがまた執行する立場からも非常にやりやすいということだと思います。
  20. 堀昌雄

    堀委員 実は、現在税制議会が行われておるわけでありますけれども、その中で私がちょっと適切でないなと感じる言葉が一つございます。それは、実はあの中に「直間比率の見直し」という言葉が入っているわけであります。直間比率というのは結果として実は出てくることでありまして、初めに直間比率ありきというのではこれは大変問題がある。この直間比率という言葉の使い方を政府を含めてお互いに一回認識をし直しておく必要があるのではないだろうか。  確かに今日本は所得税中心のシステムになっています。ですから、アメリカも所得税中心でありますから、それはそれなりに機能しているわけでありますけれども、確かに日本は急速な高齢化社会の進行に伴っていろいろ新しいシステムの導入が必要だと思います。  私は昭和六十年の二月に予算委員会で公式に税制に関する問題提起をいたしましたけれども、そのときに、減税の方は五〇%を五段階ということにしましょう、もう一つは、現在のトーゴーサン、クロヨンというこの不公正を是正する手段は、実はインボイスのついたEC型の付加価値税の導入によってすべてのサービスやすべての商品の動きがわかるような仕組みになって初めて税の公正化が図れるのではないだろうか。ですから、私がこの問題に触れたのは、増税のために触れているわけではなくて、税の公正化を図るためにこういう一つの案もあるのではないですか、小倉税制調査会長、いかがですかという議論をしたわけであります。  そして同時に、これはこれからの重要な社会保障財源に充てる必要があるのだ。昭和六十年の二月でありましたけれども、当時、御承知の国鉄共済組合は既に四百七十億程度の助成を国家公務員共済組合、電電、専売の共済組合から受けていたわけであります。そうして、それに対する運営委員会の答申は、昭和六十四年までは何とかできるけれどもそれから先はとても我々の手に負えない、政府が責任を持ってやってくださいという答申を出しているわけであります。竹下大蔵大臣に確認をしていただきました。そこで、私は当時の仁杉国鉄総裁に、六十五年から一体幾ら収支差額が必要になるのですかと聞きましたら、年間三千億円でございます、こういうのが当時の答弁であります。  その後ずっと何年かたちましたけれども、今調べてみましても、いよいよ昭和六十四年には国鉄共済組合の基金は千六百億しか残らない、そして昭和六十五年からは三千億円なければ国鉄共済組合はパンクする、こういう事態が目の前にあるわけでありますから、そういうことを前提にして、今の委員会の中で、年金目的税として、実はEC型の付加価値税は年金目的税にしましょう、そうすると、当時三兆一千億年金に一般会計から入っていますが、これがオーバーフローしてきますから、オーバーフローしてきたので減税をやりましょう、言うなれば要するに一つのサイクルの中でシステム的に物をやりましょうと私は提案をしましたけれども、御承知のこの前の売上税法案というのは、減税財源のための増税でございますと、十二月十二日に私は大蔵大臣とも論議をさせていただきましたが、私も、当時宮澤総務会長も、減税は三年間ぐらい先行して要するに経済を拡大しながらやるのでなければ減税をやった意味がない、私もそう言ってまいりましたし、宮澤総務会長もそういう御発言をしておられたわけであります。そして同時に、今の間接税については社会保障関係税でないと無理だろうというふうに宮澤総務会長がおっしゃっているのをこの間十二月十二日の委員会で確認をさせていただきました。まさに私と当時宮澤総務会長の意見は全く同一だったのでありますが、残念ながら大蔵省の実は事務当局はレベニューニュートラル、こういうことですね、要するに同年同額です、だから減税先行という意味は全然ないということでございました。  ですから、私はずっと振り返って考えてみまして、あの売上税がああいうふうになるのにはいろいろな要素がたくさん組み込まれていた、こう考えるのでありまして、その一つの例は、税の中で例外を大きくすればするほど税の公正は担保できない。ですから、あの売上税問題の中で非常に大きな問題になっておりましたので、五十一品目は例外で非課税だ、その他は全部課税するというこの例外の大きさが実は大変大きな問題になっていたように私は承知しております。例のスーパー関係の清水さんですか、清水さんという方が書かれたものを読みましたら、あの例外をなくして税率を安くすれば我々はあんなに反対はしなかった、こうおっしゃっておるのでありますけれども、そういう意味で、要するにあの教訓は、例外をつくることは税の公正化が担保できなくなる、反対する人が多くなる、こういうことだという認識を、私は大臣にひとつ、過去のことで申しわけありませんが、私たちはやはり反省の材料として税に対応する者の非常に重要な経験であったと私は思うのでありますが、大蔵大臣はいかがでございましょうか。
  21. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まず、前段にお話のございましたレベニューニュートラルという点でございますけれども、これは、税だけから申しましたら、ことにああいう新税をあわせ考えますような立場に立ちましたときに、いきなりレベニューニュートラルと考えることには恐らく税だけの立場からいえば問題が少なからずあったのではないかと私は大蔵大臣として考えます。すなわち、このような財政状態でございますために、本来であればおっしゃいますようなかなりの減税が先行するということの方が好ましいことであったのではないかと思われましたときでありましても、とてもそれは財政がもたないということがございますから、そこでレベニューニュートラルといった発想に財政の立場からなってきたのではないかということを過ぎ去ったことでありますが考えております。  次に、今の例外のことでございますが、いわばなるべく煩瑣にしないように、そうして本当に生活に全く不可欠なものについて課税が及ぶことを避けたいということが例外を設けた基本であったろうと私は思うのでございますけれども、その結果として、例えばあるケースは課税になる、あるケースは課税にならない、その理由いかんというような、ちょっと笑い話になるような話がたくさん出てまいりますと、そこからいかにもそれはへんぱではないかというようなことになりやすうございますし、また同時に事が複雑になります。少なくとも極めて複雑になってまいりますから理解が困難になるということがまたございまして、そういう反面の作用を伴ったことは否定できないと思います。
  22. 堀昌雄

    堀委員 私は実は今の各国の付加価値税を調べてみまして、確かに食料品は軽減税率になっておりますが、五%とか七%とかなっております。大体向こうはスタートが一〇%とか一五%とか大変高い税率でスタートしておりますので、それは食料品に軽減税率を使うのは当然だったと思うのですが、あのように五%程度で広く行くときには逆に全部最初は行って、その後もし将来税率を上げるときにはその部分だけを固定して軽減税率を残すということで、スタートはどうしてもできるだけ例外がなく公平に行くことが税の原則ではないかと私は考えておりましたが、やはりそういう問題が提起をされてきた、こういうことでございます。  そこで、実は三重野日本銀行副総裁がお入りになりましたから、ちょっと三重野副総裁にお伺いいたします。  この利子課税というのは貯蓄に非常に関係のある税制でございます。そこで、この間サミットで、どうも日本は貯蓄が多過ぎるのじゃないか、補助金を出して貯蓄を奨励しておるじゃないか、こういう話があって、中曽根総理は、それはひとつ何とかしなければいかぬ、こういうふうに考えられたということを御答弁の中でおっしゃっておるわけであります。そこで三重野副総裁に伺いたいのは、先進諸国の今の貯蓄率の現状をちょっと御説明いただき、そのトレンド、一体この五、六年間はどういう格好でいっているのか、主要国で結構でございますからちょっとお答えをいただきたいと思います。
  23. 三重野康

    三重野参考人 お答え申し上げます。  ちょっと数字を申し上げて恐縮でございますが、ごく最近の各国の貯蓄率がそろいますのは一九八五年でございますので八五年の数字を最初に申し上げまして、その次に五年前、一九八〇年の数字を申し上げたいと思います。  一番新しい一九八五年の貯蓄率、これはGNPベースでございますが、日本一六%、米国五・二%、英国六・七%、西独一一・四%、フランス八・八%、イタリアはもう一年さかのぼりますが一八・八%、カナダ一三・八%、これはいわゆるG7のあれで、平均が九・六%でございます。  五年前の数字を申し上げますが、日本一七・九%、米国七・三%、英国一一・〇%、西独一二・八%、フランス一一・四%、イタリア二〇・五%、カナダ一三・九%、平均は一二・三%でございます。  今申し上げましたように、七カ国平均で見てこの五年間ごくわずかでありますけれども貯蓄率は減少の傾向にございますが、今申し上げました中で各国がなりばらばらでございまして、今から申し上げる国は、低下はしておりますけれども、それほど低下はしていない。日本・西独、イタリア、カナダは低下はしておりますけれども、そう大きな低下ではございません。それに引きかえまして、米国、英国、フランスの三カ国はかなりの貯蓄率の低下を見ております。したがいまして、この三カ国について、なぜこういうふうに低下したのか、背景をちょっと申し上げてみたいと思いますが、米国は、八一年から八三年にかけまして所得税の減税を行いまして、かなりの効果が出ておりまして、その間さらに金利が低下いたしましたので、消費活動が刺激されて、その結果として貯蓄率が下がってまいりました。イギリスとフランスは、この間ようやくインフレがある程度落ちついてまいりまして、消費者物価の上昇が鈍化しまして実質所得が高まり、そしてこれまた消費がやや持ち直してきて、その結果として貯蓄率が落ちてきたという格好になっております。  いずれにいたしましても先生御案内のとおりでございまして、各国それぞれ、老後の備えとしてどんな仕組みがあるのかとか、あるいは人口構成とか、あるいは経済情勢の変化とか、そういうことによって貯蓄率がいろいろ変化をしているということでございます。
  24. 堀昌雄

    堀委員 そこでお伺いをいたしますけれども、今日本がとっておりますのは、いわゆる資本主義経済といいますか、このシステムであります。資本主義経済というものの基本は、私はやはり資本だろうと思うのであります。資本がしっかりしない国は、今の資本主義社会で経済成長についてもいろんな問題について安定性を欠く。ですから、資本主義という体制をとっておる限り、私は何としても資本を重視するという物の考え方というのは大変大事ではないか。資本を重視するということは、言うなれば貯蓄を重視する、こういうことだと思いますけれども日本銀行としても貯蓄に関する世論調査というのを貯蓄増強中央委員会、これは日本銀行の中にあるようでございますけれども、その点について貯蓄に対する日本銀行のお考えをちょっと伺いたいと思います。
  25. 三重野康

    三重野参考人 お答え申し上げます。  今先生がおっしゃったとおりでございまして、私どもも中央銀行といたしましては貯蓄を非常に重要と考えております。これは二つ意味がございまして、一つは今先生がおっしゃいました国民経済的な観点から、もう一つは個々人の立場から。国民経済的には、これも今先生がおっしゃったとおり、持続的な経済成長の源泉でございますから非常に重要である。それから個々人の立場からいきましても、不時の支出あるいは老後のために貯蓄をすることは結局健全なる社会生活を形成するのに非常に大事である。この二つから、いついかなるときにも貯蓄というのは大変重要である、こういうふうに考えております。
  26. 堀昌雄

    堀委員 実は昭和四十年に日本は初めて福田大蔵大臣のときに国債の発行を始めました。私は昭和三十三年に国会へ出てまいりまして、三十五年から五年間ぐらいおりましたときでありましたけれども、当時は国債発行が再び日本にインフレをもたらすだろうということが随分と論議をされたわけでございます。今日この大量の国債発行が行われてもインフレにならない。まさに国民の貯蓄がしっかりしているために、要するに政府の公共部門の赤字を国民の貯蓄が賄っているからインフレが起きないということでありますから、私は、まさに日本のこの高い貯蓄率というのは日本経済の今日を支えた最大の土台だ、こういう認識をしておりますが、三重野さん、いかがでしょうか。
  27. 三重野康

    三重野参考人 私ども全くそのとおりだと考えております。
  28. 堀昌雄

    堀委員 ですから、我々はいろいろとカードによる管理とかを提案をしているのでありますけれども、どうも総理その他の皆さんの御答弁を聞いておりますと、カードはよろしくない。私はこのごろの財布を見てみますと、私はカードというのをふだん使わないものですから、あのカードを入れる部分が財布にいっぱいついているわけですが、こんなもの余分だなと思うのですけれども、ちょいちょいあのカードを出している方を見るとカードをいっぱい持っているんですね。五枚も六枚もカードを持っていて、こうやっている。今やアメリカがそうでしょうが、日本もカード時代になってきて、カードで預金をするとか証券の取引をするなんということは、私は今中曽根総理がおっしゃるように何か人の懐へ手を突っ込んで物を処理するというのはどうも古いと思うのですね。私も中曽根さんより古いんですけれどもね。私は一九一六年生まれで、たしか中曽根さんは一九年ぐらいですかね。私より少しお若いのですが、一八年かもしれませんが。ですからそういう時代の者は、どうもカードなんというんじゃなくてキャッシュで払って物を買うというのが身についておりますが、そういう時代になっているんですから、私はカードの管理は適切ではないかと思いますが、どうしてもやらないとおっしゃるならば、私は、今ここで趣旨説明大臣がお触れになったのでありますけれども、   第二に、利子課税等につきましては、実質的な負担の公平を確保する等の見地から、少額貯蓄非課税制度郵便貯金非課税制度及び少額公債利子非課税制度を、老人等に対する利子非課税制度に改組することとし、これら以外の利子所得に対しては源泉分離課税を行うこととする等の措置を講ずることとしております。   まだ、勤労者財産形成貯蓄非課税制度を廃止するとともに、勤労者財産形成住宅貯蓄等に係る利子に対しては低率による課税を行うこととしております。 こうなっておりまして、税収を上げるために利子非課税制度をやられるのではないんだ、こう認識をしておるのでありますが、大臣、いかがなんでございましょうか。  私は、制度の改廃というのはまず制度を改めることが先であって、税収の問題はその次の段階の話だ、こういう認識でなければ国民は納得しない。これまであった一つの制度を取りかえて一遍にそこからたくさん税金を取り上げるぞというような発想は私は国民のとるところでない。さっき私は申し上げましたけれども昭和六十年で納税者三千九百九十一万人なんでありますけれども、そのうちの九二%が実は給与所得者なんであります。要するに労働組合というのは給与所得者の集団なんであります。労働組合五団体が、マル優の廃止反対、こう言っているんですね。その次に農業を除いた事業所得者というのの納税者が七・三%あります。それと九二%を足しますと、〇・七残るだけなんです。農業所得者の納税者というものは全体の納税者の中の〇・七なんですね。そうすると、この人たちも、税制国民会議というのですか、この前の売上税反対の団体、これも今度の利子課税反対なんです。言うなれば、そういうデータから見ると、全国民挙げて今利子課税反対というのが実は現状なんです。そういう現状のときに、ともかくここから税収を取り上げるぞ、それを減税財源にするぞ。私は売上税と同じような形のことが、規模は多少違うでしょうけれども、行われてくる。  もう一つは、この利子課税というのはそういう減税財源にならないのです。なぜならないかといえば、これは発生主義でありますから預金やその他を引き出してきたときに初めてその利子に税金がかかるので、置いておけば税金がからないのです。だから、政府皆さんがどうしても私ども提案を無視されて、私はカードでなければいかぬと言っているんじゃないですよ、提案を無視されて強行されるなら、今の反対しておる九九%の国民皆さんに、皆さんのところで当面必要のない部分だけは郵便貯金に入れかえをなさいませ。そうすると十年間は税金がからないのです。もう引き出す必要ないから。定期預金の二年や三年だったら、二年や三年来たら一遍それが切れてしまいますからね。そこで必ず税金を取られる、こうなるので、できるだけ、今すぐ要らない、当面は大丈夫だ——しかし定額貯金というのは必要があればいつでも引き出せるのですから。長期に十年間ともかくこれから先まで税金を取られないようにする方法がありますよ、国民皆さん、ひとつそれをしっかり利用してこれに抵抗しましょう、こういう問題提起があり得るわけなんですね。だからこれを要するに減税財源の引き当てに充てようなどという発想は、一体この利子課税、今の金融問題を十分理解をしている人のやっておることなんだろうか、ここが私は大変疑問があるわけであります。  ですから、そういう意味では、仮にもし今のあなた方が出しておるシステムで考えるならば、私は二〇%というのは高過ぎる。今健康保険法というのがありますね。あれは実は本法は二〇%になっています。しかし附則で当分の間一〇%ということになっているんですね。まあ多少経緯があるのでありますけれども、要するに私は大体段階説というのを私の政治の基本に持っておるわけでありまして、一番最初にやったのは、大蔵委員長山中さんのときにLPガス課税という問題が起きてきました。大蔵省はどんと課税すると言ったものですから、これは大変な疑獄事件に発展をいたしました。そこで私は山中さんに、一遍にどんと取ろうとするからこうなるんだから段階別に三段階でいきましょうという話をしたら、山中委員長は、ああ堀君、それはいいな、それでいこう、そういうふうになっていると、それは私が当事者でありますから確認しております。その次に、この前、例のサラ金規制法をやりました。サラ金規制法も三段階にして、しかしいずれも法律として最終段階が書いてあるわけです。  ですから、私は、それは将来は、皆さんがこのくらいになったらいけるというときになればともかくも、少なくとも今の二〇%というのは取り過ぎで、やはりこういう税金は少ないほどいいと私は思うのです。それはやはり貯蓄にも影響する、こう考えておりまして、ですからパーセントとか金額の話は別ですが、貯蓄を重視されておる日本銀行とすれば、貯蓄の面だけから見たら、そういうのはできるだけ税の負担が少ない方が望ましい、こう考えておられる、そういう御認識だろうと思うのですが、三重野副総裁、いかがでございましょうか。
  29. 三重野康

    三重野参考人 先ほども申し上げましたとおり、貯蓄はいついかなるときでも大変重要だと私どもは考えておりますが、それに対する税制というのは、それとはまた別に、税全体の公平、公正とかあるいはそういった全体のあれから見直しがされてしかるべきというふうに考えておりますが、その場合の中央銀行としての希望を申し上げますと、あくまで税制の改革によって金融商品の間に大きな資金シフトが起きないように、もう一つは、やはり民間の貯蓄と郵貯との間のバランスが崩れない、この二つを勘案しての税制改革が望ましいというふうに考えております。  また、税率その他については私ども考えがございませんので。
  30. 堀昌雄

    堀委員 要するに、私が申し上げたように、今のを強行すればまた民間から郵貯にシフトが起こるのですよ。大体私が旗を振ってやりますからね。労働組合へ行って旗を振る、税制会議へ行って旗を振って、皆さん、どんとひとつ郵貯へ移しましょう、そうして、しかしこれは移しておいても十年間は税金を取られないが、必要があるときはちょっとずつ出せば、そのちょっと出した分だけは税金を払っても済む、だからそうやりましょうと言えば、これは全国民そうだなと。自分たちの貯蓄を守るためには一〇%と二〇%の差というのはやはり大きいですからね。だから、私は、そういうのは、三重野さんにそこは伺う気はないのですけれども、そうだと思う。  もう一つの問題は、これがまた大きな例外が入っているわけです。この例外、六十五歳以上の人と母子家庭とそれから身体障害者の皆さんマル優制度を残すというのですね。大蔵省の六十一年のデータで二千百万人のものが枠の外へ出るようになっているのです。これはもう大臣もよく御承知だと思うのです。これが昭和八十五年、西暦二〇一〇年になりますと、両者の合計三千六百万人になるのです。六十五歳以上の人口がどんどんどんどんふえまして。これは厚生省の人口統計でございますから間違いのない推計でございます。三千六百万人の例外があって、例外でない方がもっと減ってくるんじゃないかと私は思うのですね。一体そんな制度を国民が納得できるかどうか。  そしてもう一つの問題は、六十五歳以上の方の貯蓄のあり方は、たくさんある人から少ない人まで分布しているわけであります。貯蓄には格差があるのです。格差があれば、この制度によって得をするのはたくさん貯蓄のある人が得をするのであって、貯蓄の少ない方はそういう制度を設けてもらっても余りフェーバーはないのです。だから、今の私の考えは、一番簡単だから全部なべて一〇%なら一〇%を例外なしに取りましょう、全部一〇%を取って、そうして、今のこの二千百万人の皆さんは、六十五歳以上、老齢年金対象者、母子家庭、母子年金対象者、障害者、障害年金対象者で、全部年金対象者ですから、その年金対象者の皆さんに、税金ではいただきますけれども、要するに適当なプラスアルファを社会保障で、歳出で処理をしたらいいではないかというのが実は私の現在の考え方なのであります。  そこで、これはもう例があるのであります。かつて予算委員会でガソリン税を増税するという問題が起きてまいりました。ガソリン税を増税することについて農業者の皆さんが大変反対をされました。ガソリン税というのは道路特定財源じゃないか、我々は確かに家から田んぼまでの間の道路は通るけれども、あとは田んぼの中だけを耕運機や何かでやっているのであって、道路特定財源の値上げを我々に負担させるのはおかしいと、予算委員会が紛糾をいたしました。そこで案件は大蔵委員会に回ってまいりました。そうして大蔵委員会皆さん与野党協議の結果、それなら歳出面で農道の予算をつけましょうということで、これは話がうまくついているわけであります。  だから、税ですべてをやるというのは、公正、公平を担保するという建前からいうならば、例外をつくってはだめだというのが私の税の基本的な認識なんでございます。ですから、そういう意味ではそれをなさったらいい。  ここには安倍派の方もいらっしゃると思うのですが、藤尾正行さんが書かれた本があるのです。この本を私この前ちょっと読んでみました。大変ユニークな方でありますが。読んでいる中で、私と同じ意見を書いておられるのであります。要するに、税でそういうことをすべきでなくて、税を取って、同時に社会保障でやったらいい、藤尾さんもこう言っていられましたから、私、この前そこのところをコピーにとって藤尾さんのところに持っていって、藤尾さん、あなたの御意見はまことに卓見です、私も同感です、しっかり頑張ってくださいよ、こう言いましたら、お隣が村山税制調査会副会長でございまして、ちょっと渋い顔をしておられましたけれども。そういうような経緯があったわけでございます。  ですから、今の貯蓄の問題というのは、三重野副総裁がおっしゃったように、シフトが起こるようなことのないようにする。一〇%程度ならシフトは起こらない。二〇%になったら必ず起こる。また私が旗を振りますからね。絶対にそういうことになる。それは今の日本銀行の考えておられる金融の中立性が保たれないということになるわけでありますから、適切でないではないかと私は思うのですが、大蔵大臣の、余りはっきり答えられないでしょうから、感触程度をお答えいただければ結構です。
  31. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 税制の中にどれだけ社会政策的考慮を払うかというのは、堀委員の言われますように、確かに国によっても違いますし、また従来からの経緯によっても異なるのであろうと思います。今のようにお話を伺っていますと、例えば全部一律一〇%にしておいて、そして社会的な特別な配慮をする人にはそういう配慮を歳出面ですればいいというのは、純理の問題としては、あるいはそういうお立場、それはそれで理由のあるお立場かと存じますが、ずうっと今までああいう制度を持ってきておったということも関係があるのではないかと思いますが、政府としては今回のような御提案をいたした、しかしおっしゃっていらっしゃいますことは、もとより一つの御見識であると思って伺っております。
  32. 堀昌雄

    堀委員 せっかく三重野さんに来ていただいておりますので、為替の問題についてちょっと一言だけ伺って、御退席をいただきたいのであります。  為替の問題というのは率直に言ってなかなか厄介な問題でございますが、私の本来の考えなんでありますけれども、市場の経済でございますから、相手がトレーダーとかなんだとかといっぱいいてやっているわけでありますから、やはり基本的なファンダメンタルズをお互いの国が責任を持って調整をするのでなければ、口先で何を言ったからとか、新しく今度アメリカではFRBの理事長にグリーンスパンさんがなられたわけでありますが、どなたがなられても、今日そういうところがコントロールできるような規模ではない。非常に大きな規模になっていて、要するに実はそれはまさに氷山の上へ出た部分だけのことになるので、下にある大きな部分までを動かすことはなかなか困難なので、やはり基本的にはファンダメンタルズをお互いの政府が十分話し合いながら調整をするということがやはり一番大事なことじゃないかな、こう思っております。これからどうなるかは私はそう心配しておりませんけれども、一定のボックスの中で多少は、これまでは幅が小さかったのがちょっとボックスの幅が広がったぐらいのことだと思っておりますが、私はそういう考えておりますが、ちょっと三重野さんの為替に対するお考えと今後の感触を承って、三重野さんに対する質問は終わらせていただきます。
  33. 三重野康

    三重野参考人 お答えします。  先生御案内のとおり、きのうからちょっと為替相場が荒れておりまして、昨日の終値は百四十三円七十五銭、きょうも百四十三円挟みで、ごく最近では百四十三円をちょっと出たところで動いているかと思いますが、これは、結局、先週発表になりましたアメリカの貿易収支、六月、百五十七億ドルの赤字、これはその前月が百四十億ドルの赤字でございましたし、アメリカの貿易収支、やや改善の兆が見えたと思っているところへ悪化いたしたものですから、市場関係者が非常にドル安センチメントが出てきて、それに投機が加わるといったことからこういう動きをしていると思いますが、今先生がおっしゃいましたように日米の間のファンダメンタルズには大きな変化がないわけでございますから、このまま一本調子でドル安・円高にいくことはないというふうに私は思っております。  これから後につきましては、先刻、ことし二月のルーブル合意、四月のワシントン合意で、各国政策協調して、かつ、その枠内で努力をすると同時に、為替安定のためには必要があれば協調介入をする、そういった趣旨を守って引き続き為替の安定に努力いたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  34. 堀昌雄

    堀委員 どうもありがとうございました。御退席いただいて結構です。  自治省の政務次官に御出席をいただいておりますので、ここで先に自治省の渡辺政務次官にお尋ねをいたします。  実は今度所得減税が行われることになりました。本来なら、これだけの所得減税が行われるのなら、同時に地方税も減税されてしかるべきだというのが一般国民の気持ちではないだろうか、私はこう思っておるのでありますが、実は今の仕組みでは、所得税減税は先行するが地方税の減税は来年でなければ行われない、こういうことになっております。政務次官、これはどうしてそういうことになるのでしょうか、ちょっと最初にお答えをいただきたい。
  35. 渡辺省一

    ○渡辺(省)政府委員 地方行政に大臣出席しておるものですから、私がかわりまして、役不足でありますが、お伺いさせていただきました。  今、堀先生からお話のありました問題については、個人住民税の性格から申し上げて、一月一日現在の納税者の住所所在の市町村の課税事務を行うためには、前年の所得課税標準とすることによって所得税における申告などをそのまま利用することができます。おのずから二重の手間が省ける。こういう適切、簡明な課税ができて、また納税者、給与支払い者にとっても事務負担が非常に少なくなる。こういうこと等を考えるときに、前年所得課税が適当である、こういう考え方をとって、甲論乙駁、いろいろ御意見はあるようでございますが、そういう経緯を整理して、それが適当な方法であるという結論に達しているのが現状でございます。
  36. 堀昌雄

    堀委員 お話は現状そのとおりなのでありますけれども、私は昭和五十一年に落選をいたしました。落選をして驚いたのは、地方税だけがどんと来るわけですね。これは落選をした経験のない人はわからぬと思うのですが、大変な金額の地方税が来るのです。これはひどいものだな、当選したときは今度は前の所得が低いから一年ちょっといいのですが、どうもこれが、私どももそうですが、サラリーマンの人が退職をしたときの実感というものは大変なものがあると私は考えておるわけなのです。  そこで、今のお話の一月一日に前の年のあれで課税標準をつくっていらっしゃる、それはいいのですけれども、少なくとも私がさっき申し上げたように給与所得者が今もう九二%なのですから、給与所得者の処理というのは、やり方いかんによってともかくも今所得税も年末調整というのができる仕組みになっているわけですから、地方税も何とか年末調整というのをやれるような仕掛けに自治省は検討してみたらどうかと思うのです。ここで今の減税が行われれば、国税と同じように九月までに減税の法律が通っていなければ物理的に十二月の年末調整には間に合いませんけれども、今ここで国税と地方税を一緒に減税して、そして事業所得者の方だけは大変申しわけないけれどもちょっとおくれて来年の確定申告のときに調整をさせていただくということにするけれども給与所得者は年末調整が地方税でも行えるような仕掛けを一遍皆さんの方で考えてみられたらどうだろうか。そういうふうになってくると、言うなればある意味での現年課税にだんだんとシフトできる道が開けてくるので、一遍に現年課税にするというのはなかなか大変かもしれませんけれども、私の段階論で経過的に積み上げながら現年課税にいくというのが地方税の中でも非常に重要な課題だ、こう私は考えておりますけれども、政務次官、いかがでございましょうか。
  37. 渡辺省一

    ○渡辺(省)政府委員 これは、堀先生からの御指摘でございますが、いろいろ考えてみるのに、非常に問題が多いようでございます。抵抗が多いようでございます。給与支払い者の手間だとか納税義務者の申告手続などを考えると、現在なお市町村が課税計算をする方式が最も簡明ではないか、そういう気持ちがいたすわけでございますが、せっかくの申し越しでありますから、その趣旨がどういうことになるか、そういう勉強と申しますか、そういうことだけはさしてもらいたいな、そう思うわけでございます。
  38. 堀昌雄

    堀委員 これも地方行政委員会の中で、ラウンドテーブルでみんなで知恵を出し合って何とか何年かの後には現年課税ができるようにやるということは大変必要ではないか。私は決して地方税を所得税の付加税にしようなんて考えているのじゃないのでありますから。やはり自治体には自治体としての地方自治の本旨がありますから。しかし、知恵の出し方は、今日コンピューター時代でありますから、一々手書きでこうやるような必要はないのでありますし、今おっしゃった納税義務者の方も機械化ができてやれる時代でありますから、昔の発想のままでこれはもうできないのだというのは、さっきあなたがいらっしゃらないときに申したのですけれども、すべては疑い得る、一遍考え直してみようということで、コンピューター時代の今日でございますので、ひとつ自治省の皆さんも検討していただく。と同時に、ここは地方行政委員会ではございませんから、地方行政委員会皆さんにも相互に御検討いただいて、現年課税を行うというのが地方税にとっても大変重要で、国税が減税になれば地方税も同時に減税になるということで、全体が大変バランスのとれた税の執行になるのじゃないかと私は思いますので、そう御検討いただきたいのですが、これは大蔵大臣の御答弁じゃなくて、政治家宮澤さんの感触を伺っておきたいと思います、この私の問題提起の方向について。
  39. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は私もしばしばそういうことを実は考えます。事務的にいろいろ事情があるということでございますけれども、源泉徴収票をつくっておきますと年末調整はできるのじゃないかというようなことを私も実は一人の政治家としては考えることがしばしばございます。
  40. 堀昌雄

    堀委員 渡辺政務次官、宮澤さんも、大臣とは言いませんが、宮澤さんも今のようなお考え、私もそういう考え、恐らくここにいらっしゃる多くの方も私と余り違いはないのじゃないかと思いますので、せっかくのひとつ御検討をお願いいたします。御退席いただいて結構です。  次には、労働大臣、お待たせをいたしました。財形貯蓄の問題が今度の議題になっておるわけであります。後からおいでになりましたからあれでしょうが、「また、勤労者財産形成貯蓄非課税制度を廃止するとともに、勤労者財産形成住宅貯蓄等に係る利子に対しては低率による課税を行うこととしております。」こうなっておるわけでございます。  そこで、私、今の財形貯蓄を少し調べてみました。調べてみますと、実は「財形貯蓄制度及び財形年金貯蓄制度採用企業数の割合」という資料がございます。「労働省労働者福祉施設等調査報告」、ちょっと古いのですけれども昭和五十八年でありますが、これを見ますと、要するに五千人以上の企業は財形貯蓄を八五%やっている、千人から四千九百九十九人までも八四%やっている、三百人から九百九十九人までは八〇%やっておる、今度は百人から二百九十九人は七一%に減って、三十人から九十九人という小企業は五七・四%に減っている、こういうのが実情なんでありますね。  そこで、どうしてそういうのに加入をしないのかということについての皆さんの方の調査がございます。「財形未実施事業所九十八社の導入していない理由 雇用促進事業団財形制度の実態調査六十一年五月調べ」、これによりますと、労働者が希望しないというのが五六・九%もあるというのが労働省の方の資料で出ているわけであります。いろいろな社内預金制度があるとか、限度管理が大変とか、天引きが面倒とか、いろいろなことがありますけれども、要するに中小企業のところでは労働者が希望しない。どうも私、こういうデータが皆さんの方から出ているのでありますけれども、この財形貯蓄というものが、大企業の皆さんは有効に使っているけれども、中小企業の皆さんには余り恩恵が及んでいないな、こういう感じがしているのでありますが、大臣、いかがでございましょうか。
  41. 平井卓志

    ○平井国務大臣 この点はまさに御指摘のとおりでございまして、大企業におきましてはおっしゃるようにもう八割以上加入しておる。今数字を言われた中で九十九人未満というところは五七・何ぼとなっておりますが、それ以下の零細等々になりますると非常に加入率が悪いだろう。じゃ、そういう貯蓄はそういう方はなさらないのかということになりますと、これは決してそうではございませんで、従来並行して、今回問題になっております非課税少額貯蓄、俗に言うマル優等々も御利用を願っておったのではないか。先走って申し上げるようでございますが、今後の財形に対する優遇措置のさらに拡充という問題点の焦点はまさしく中小、零細ではないか。そういう意味で、利子補給その他を含めて、まだ部分的に、特に零細になりますと財形そのもののあり方を十分御理解いただいていない方もかなりおる、そういうところも今後の重点施策であろうか、私はこういうふうに考えております。
  42. 堀昌雄

    堀委員 そこで今度は、この改正で要するに「勤労者財産形成住宅貯蓄等」というので、年金と住宅だけは低率の税制となっていましたが、実は竹下さんの御提案を見ますと、これは「三、財形貯蓄(年金・住宅)の利子は非課税とする。」こういうふうな御提案がされているのでありますね。しかし、現実の状態を見ますと、昭和六十二年三月末に財形貯蓄は契約者数が一千七百十三万人で、財形貯蓄の残高は十兆七千四百二十三億円でありますが、財形年金貯蓄は八千五百五十三億円、一割に満たないのですね。八%程度しか財形年金というのはないのですね。  これから住宅財形を入れるということですけれども、今日の時代に、どんどん土地も上がりますし、住宅は皆上がるのですね。一々これからお金をためて住宅資金をつくって購入しようなんて話は、これはもう全然時代に即していないと思うのですよ。まず金を借りて、安い金利だしするから金を借りて、安いうちにまず建物を建ててそれから払っていく、借金を返す。私は、国民一般はそう考えているのじゃないか、こう思っているのですね。せっかく皆さん住宅財形というものをやろうとしていらっしゃるののはなを折るようで申しわけないのですけれども国民のニーズというのは皆さんが考えていらっしゃるよりは実は敏感なんですよ。  それはどうして敏感がというと、さっき申し上げた貯蓄に関する世論調査というものを調べてみますと、かつては、ともかく安全の方が大事であって、収益性は二の次だったようです。ところが、今日になって、収益性の方が高く出て安全性の方が低くなってきている。それはどういうことかというと、多少借金やなんかしてでも物を処理してやった方がいいという全体の流れになっているのですね。  私は、さっきもお話ししましたけれども、一九一六年、大正初期の生まれでありますから、どうも月賦で物を買うという気にならぬのですね。金を持ってから物を買う。ところが、私の息子たちに言わせれば、おやじさん、それは古いよ。それはなぜかというと、まず月賦で買って、使えるじゃないか。その使用価値を認識せずにじっと我慢して待っていて、そしてお金ができてから買うといったら、それは確かに少しは安くなるかもしれぬ。それよりも、早く月賦で買ってぼつぼつ払って使っていたら使用価値——利用価値というものに対する認識がおやじさんたちは全然ないからそうだ。それで丸井やなんかが今日大変高度成長してきた。やはり若い人たちのニーズにこたえているわけですね。  だから私は、今度の財形の中で何か労働者の皆さんに、年金財形と住宅財形をゼロにしますよ、どうですかなんか言っても、私はまだ労働組合の人に聞いていませんけれども、そんなもの全然関係ありません、一般財形をちゃんとやってくれるのならいいですよ、こういう話になると思うのですが、労働者の側に立っていらっしゃる労働大臣の御認識はどうでしょうか、それを伺いたい。
  43. 平井卓志

    ○平井国務大臣 おっしゃいますように、今から順次限度額五百万円の中で積み上げしていって、こういう非常に急変する中で実態に即さないじゃないかという御指摘、それなりに私理解できるわけでございますが、やはりそうは申しましても、一般財形は今度の改正案で二〇%の課税となっておりますが、そこから年金関係、住宅関係のシフトもできるようになっております。  ただ、私ども今後さらにお願いをしなければならぬのは、限度額は五百万となっておりますが、これは実情に照らした場合に、これからの問題とはいいながら、いささか零細に過ぎるかなという感じを持っておりまして、労働省の政策方向としてもどうしても拡大、拡充をしていきたいというふうな率直な感じを持っております。
  44. 堀昌雄

    堀委員 実は年金はどうしてふえないかといえば、企業は皆企業年金をやっているわけですね。公的年金がある。企業年金がある。わざわざ自分で貯金をして年金財形の処理しようなんというのは、順序からいきますと随分次元が低いと私は思うのです。非常に大事な公的年金、その次は企業年金、年金のシステムが随分開発されてきていますので、私は今の住宅についても申し上げたし年金についても申し上げたのですけれども、同じ問題の処理をするのならば、ごくわずかな八千八百億対象のものが今後伸びるのかどうかという点については、私は余り大きく期待してないのですね。伸びないようなところが非課税になったって労働者にとっては余りプラスはないので、その点については資料がまだ不十分でありますので、財形貯蓄の一般と年金が過去つくられてからまだそんなに時間がたっていないのですからあれですけれども、経年度の資料で一体どういうふうに伸びているのか。そういう資料等も含めてまたこの問題については論議をさせていただきたいと思いますが、とりあえず、今の税制改革の中で何か労働者向けに大変サービスをしたようになっているけれども、サービスの中身はないというふうに私は認識をしておるということだけを申し上げておきたいのでありますが、労働大臣はこれは大変労働者にとっては優遇措置であるというふうにお考えになっておるかどうかだけお答えいただいて、質問を終わりたいと思います。     〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕
  45. 平井卓志

    ○平井国務大臣 御指摘ではございますが、率直に申し上げて、やはり我が国の勤労者の生活の安定、老後の対策、そういう資産形成の面では立ちおくれてございまして、そこの拡充となりますると一瀉千里にはなかなかまいらない。そして、御案内のように従来の少額貯蓄等々の総計で千四百五十万までやれた、そうなりますと、やはりここに目が向きまして、私どももそれなりの広報活動もいたします。そういうことで、私どもは、お言葉ではございますが、八千数百億にいたしましてもこれは五十七年からの実施でございまして、今後は必ず拡充するものと思っております。
  46. 堀昌雄

    堀委員 どうもありがとうございました。拡充できれば大変結構だと私も思っております。どうぞ御退席いただいて結構でございます。  ちょっといろいろと途中に物が入りましたので少し議論の流れがあれでございますけれども、これから日本の税制の問題を考えるときに、さっき直間比率の問題がそのままになっておりますのでお尋ねをしておきたいのであります。  私が言っておる結果としての直間比率というものはあるだろうけれども、初めに直間比率ありきというのは私は税の問題としては適切でないように思うのですが、大蔵大臣はどんなふうにお考えでございましょうか。
  47. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大蔵省の伝統的な答弁の資料を見ますと、やはり堀委員の言われますように、直間比率というのは結果としてできるものであって政策意図で考えるものでないと私いわば教えられるわけでございます。そう書いてある。しかし、どうも私はこの段階で少し違う意見を持っておりまして、そうは言っても、直接税が七〇何%になり、間接税がしたがって三〇を割っている。そしてこれだけ高い国民所得があり、格差が少ない。しかもだんだん老齢化が進行していって老齢人口を生産年齢人口がより少ない人口でしょわなければならぬというときに、やはり間接税の比率を高めておかないといけないのではないかと私なんぞは素人として思うわけでございます。そういう問題意識があってはいかぬのかなということを私は思っているのでございますが、どうもしかし伝統的には、堀委員の言われるように、直間比率というものは意図してできるものではなくて何か結果として出るものであるというふうによく言われることは、私も気がついております。
  48. 堀昌雄

    堀委員 今は減税先行していただいたので、これは私のかねて願っておったスタイルになりましたから、また大臣も総務会長のときにおっしゃっていたスタイルになったので大変結構なんですが、しかしこのままでずっといけるわけはないのです。それで、私はさっき申し上げたように、利子課税というのは財源にならないのです。現実に財源見通してこの年に幾ら入るかなんということは、預貯金をしている皆さんの判断によるところでありまして、推測は成り立つかもしれませんけれども、なかなかそう簡単でない。そうなりますと、私は、やはり何らかの減税財源に見合う財源を全体のグランドデザインとして考える必要があるところにそろそろきているのではないだろうか、こういう気がしてなりません。  今の私が六十年に申し上げました物の考え方の中で一番大事なのは、実は農業所得者と事業所得者の皆さん申告が十分に行われていないという国税庁によるところの資料は大変なものがあるのです。きょうはそういう場所じゃありませんから私これは申し上げません。そうするとどういう事態が起こるかといいますと、高校なんかで奨学金をもらいたいというので申請をいたしますと、所得証明をもらっていらっしゃい、こう言っていますね。所得証明をもらってくるとなると、税務署へ行ったり自治体でもらうことになりますが、この所得証明というのが、申告が適切に行われていなくて六割ぐらいしか課税されてないということになると実は所得証明が低いわけですね。サラリーマンは全部ガラス張りですから丸々出てくる。そうすると、今の事業をやっていらしたりする方たちの方が生活の実態ははるかに高いのに奨学金がもらえる。要するに、税金で一つ得をして、今度はもう一回そういう奨学金だとか社会保障、保育所の費用なんかでも皆関係ありますし、公営住宅の入居も関係あるのですから、そういう一般的、社会的な部分において得をする。二重に得をし、片一方は二重に損をしている九二%の三千九百九十一万のサラリーマンもいる。こういう事態ですから、税の公正化を図るということが税の一番大きな目的ではないのか。  ちょっとここで、まだ時間がありますから、アメリカの税制のことを触れさせていただきたいのであります。  「一九八四年一月二十五日 一般教書において、レーガン大統領は、具体的な税制改革案の作成をリーガン財務長官に指示したことを公表。」  「十一月二十七日 リーガン財務長官は、レーガン大統領に、対し、「公正、簡素、経済成長のための税制改革(タックスリフォーム フォア フェアネス シンプリシティー アンド エコノミックグロース)」と題する税制改革案を提出。」一番最初に「公正」が出ているわけでありますね。  その次に、約六カ月たったときでありますが、「一九八五年五月二十八日 レーガン大統領は、「公正、成長、簡素化のための議会に対する大統領租税提案(ザ プレジデンツ タックス プロポーザルズ ツー ザ コングレス フォア フェァネスグロース アンド シンブリシティー)」と題する税制案を発表。」これもやはりしょっぱなが「公正」でございますね。  そうして、六月以降、税制改革について、下院の歳入委員会は、これはロステンコウスキさんが委員長でありますが、この間本会議で申し上げましたように三十回の公聴会を開催して、そして九月十八日の下院歳入委員会において税制改革の審議が始まっておる。そうして、「十二月三日 下院歳入委員会において可決(タックスリフォーム アクト オブ 一九八五)。」こうなっているわけであります。「十二月十七日 下院本会議において可決のうえ上院に送付。」  一九八六年一月以降、税制改革について上院財政委員会、ファイナンスコミッティー、パックウッド委員長でありますが、そこで公聴会がまた開催される。そして、五月七日になって、上院の財政委員会においてタックス リフォーム アクトオブ 一九八六というのが成立をする。「六月二十四日 上院本会議において可決。七月十七日 上下両院協議会において法案一本化のための協議開始。八月十六日 上下両院協議会において一本化法案合意。九月二十五日 下院において税制改革法案可決。九月二十七日 上院において可決。」十月二十二日、レーガン大統領の署名により同法案が成立している。  ですから、この間本会議場で申し上げましたように、スタートして一年半レーガン大統領が議会へ出すために時間がかかり、今度は議会は一年半かかって実はこの法律ができている、こういうことでございますね。  ですから、そういう問題を含め、今の減税問題を考えるについては、今後三年間ぐらいかけて本当に真剣に与野党の者が、本当に国民の将来のためにどういう税のグランドデザインをかけるかということをしっかりみんなが勉強して、要するに主税局主導ではなくて、国会皆さんが話し合った上で、国民が納得するようなものを主税局の協力のもとにやっていくということが日本の今後の財政にとっては大変重要なプログラムではないのだろうか。別に私は私が提案したようなものをやってくださいと言っているわけでもありませんが、ここでひとつ今後のこういう問題についての財政の展望をちょっと申し上げておきたいと思うのです。  私は前回は年金だけの目的税ということをしたのでありますが、いろいろずっと調べてみますと、今後非常に増加する問題というのは年金だけではないということがわかってまいりました。要するに医療も老人医療というものが、これから老人が大変ふえてくるために、老人医療費というものも相当なスピードで拡大する。それから老人福祉、これはいろいろな施設その他、特養や養護老人ホーム等の運営費でありますけれども、施設はもう国が建てれば当然でありますけれども、そういう運営費、言うなれば老人福祉のための措置費というものを加えまして調べてみますと、ことしの六十二年の予算で七兆五千百億実は予算が一般会計の歳出で立っているわけでございます。これが、さっき申し上げましたように昭和八十五年というところで、西暦二〇一〇年でありますけれども、ピークを越えるのは、西暦二〇二〇年から二五年になればどうやら老齢化が横ばいになりますから年金も医療も横ばいになってくるのでありますけれども、そこまではどんどんふえていくわけであります。ですから、大体そのころに、八十五年にどのぐらいこれが増加するかというと、ざっと五倍ぐらいになるのです。五倍ぐらいになるということは、今七兆五千億ですから、三十七兆五千億円を実は必要とするというのが西暦二〇一〇年、昭和八十五年の姿になっているわけであります。  ですから、私はこの間本会議で申し上げましたけれども、今や私どもは、経済的な問題では世界を見ながら、しかし我々の国の中の問題についても実は十五年、二十年先を見ながら全体のシステムを考えていかなければ、間近になってやっつけ仕事でこんな仕事ができるはずはないのでございます。ですから、官僚の皆さん大変優秀な方であります。ただ、システムが実はこの皆さんが動けるようになっていないわけです。各省が、御承知のように、大蔵省、通産省、運輸省、郵政省、農水省、建設省、縦割りであります。この縦割りの中にまた局があるわけでありますから、私は宮澤さんに、通産大臣のときでございましたか、大蔵省は局あって省なしというのを通産大臣に申し上げたことがございます。記憶にあるのでありますが、今日、局あって省なしの問題よりも、局の中で自分が分担していることをしっかりやるだけでも精いっぱいという今の状態ですから、周囲、世界じゅうを見渡して自分たちの政策を考えるというのは、実はこれは今のシステムからしてとても不可能な問題なのでございますね。ですから、そういう意味ではそれをやるのは政治家の任務ではないのだろうか。  ですから、そういう意味で、行政の皆さんは、原案を出されるのは恐らく課長でございましょう。しかし、課長というのは大体二年ぐらいしかいないのじゃないですか。一般的にそうでしょう。三年も五年も課長をしている人はいないと思うので、大体が二年。今度は決定権を持っているのは局長局長が大体二年。この前から私は、大蔵省は証券局長というのはどうして一年にするんだ、二年にさせると言っている。ともかく吉本さん以来局長を二年やったのは一人もいない。一年では法律はできないのですよ。これは大臣よくおわかりだと思うのですが、その行政になれるために大方一年かかってしまうので、それでは法律といったらもうかわってしまう。ですから、法律の作業をするためには局長は最低二年在職が必要だと私は思っているのですが、なかなかそうならなかった。  私がやかましく言ったおかげで、亡くなりましたけれども、佐藤さんという証券局長ができました。そこで、私は佐藤さんに早速、私も大蔵委員会に長くいるものですから、あなたは大体二年いけますよ、だからひとつ投資顧問法というのをやってください、こういう話をしました。しかし、佐藤さんは、二年いくかどうかわからないものですから初めはなかなか渋って、先生、それはおっしゃるけれどもなかなかそう簡単にいきませんなんて言っていたのですが、見通しが立ってきて、投資ジャーナルというような事件も出てきたら、いや、やりましょうということになって実は取りかかっていただいたが、不幸にして病気のために亡くなられて私は本当に残念だと思うのですが、投資顧問法という法律ができたわけですね。そうして、この法律は、実は共産党の皆さんを含めてこの委員会で全会一致で成立をしたという歴史的にも非常に珍しい法律になっているのであります。私は、そういう意味で、ともかくも二年しかいない人に十年先、十五年先のことを考えろといったって無理だと思うのです。  そうすると、これから、私が今いろいろなところで言っていますのは、中曽根さんは戦後の総決算と言われるけれども、総決算じゃないんだ。戦後の枠組み、パラダイムを変えなければ、日本は世界の中で生き残れない、私はこういう心配がしてならないのであります。それは、行政官の諸君、優秀でありますけれども、十年先、十五年先の計画を立て、世界を見ながら物を考えるようにシステムがなっていないからなのであります。  そうすると、今の新憲法が私たちに定めておりますように、国権の最高機関がそれなりの職務を果たさないで行政におんぶしてやっているような状態は、ここでこの枠組みを変えて、要するに政治主導、国会主導で、皆さん議員が一生懸命に勉強するようにしなければしようがない。それにはしかし今の仕組みは適していないのですね。金帰火来、きょうはもう金曜日でございますから、ここにお座りの皆さんの遠方の方は、座っておられても、汽車の時間がどうだろうか、皆随分、これはそっちだけじゃありません、こっちの皆さん議員ですから同じでありますが、気にしていらっしゃるというのが率直な実情ですね。これはどうしても改めなければいかぬ。そのために大事なのは、やはり西ドイツがやっておるような比例代表小選挙区制というあの制度をやるべきだ。そうして、要するに政党本位の選挙制度になれば選挙区にしょっちゅう帰る必要はないのでありまして、みんなが国会で勉強して、政策の争いで国民にこたえるということになるわけでありますから、どうしても土台になる選挙法を変えて、そこでみんなが勉強できる条件をつくって、そうして現在の新憲法国会法に基づいて、皆さんで大いに切蹉琢磨して、政治家として我々が国民に負託されておる任務を果たせるようにしなければだめだと思うのです。     〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕  池田委員長がおられてあれなんですけれども、私は鈴木さんが総理のときに公選の委員会に来ていただいてこれをやりました。そうしてこういう提案をしたのです。これは制度の改革というのは大変ですから、今、来年なら来年決めていただいたら、実施は十年先からの選挙でやりましょう。大体三年に一遍ですから、そうすると十年先というのはその間に選挙が三回行われるわけです。皆さんあの制度が十年先にあると前にわかりながら選挙をやってこられるわけですから、十年先にやるということで総理大臣ひとつどうでしょうと言いましたら、堀さん、十年は長過ぎますよ。長過ぎますよと言ってやらなければ、これは全然長過ぎも何もしないので、結局できなかったのです。  御承知の参議院全国区比例代表というのは私が政策審議会長のときにつくった案なんでして、実は竹下さんが選挙制度調査会長のときに、堀さん、どうも参議院金がかかってしようがないしするから、あなたの案だけれどもあれを自民党案として出したいけれどもどうかとおっしゃったから、私は、結構です、それは本来なら衆議院がやるべきことなんですけれども、今の情勢ではなかなか衆議院にそれが期待できないので、一応参議院でやってみたらどうでしょうかということでございました。この法案は参議院は強行採決でございましたけれども、私は昭和三十五年からずっと公選の委員しているわけでありますから、わざわざ理事を買って出て、久野委員長に、久野委員長ひとつお任せください、必ず衆議院は整々と処理ができるようにやりますから。公明党、共産党の皆さん御反対でございましたけれども、最終的には話し合い、納得していただいて整々と採決を行っていただいたという経過があるわけであります。  ですから、私が今申し上げておることは、政治の一番基本は選挙制度だ、こう思っているのです。私は昭和三十三年に当選して三十五年に委員会の選択が初めて我々に任されたときに、大蔵委員会と公職選挙の委員会を選択いたしました。それは、大蔵委員会というのは国の財政や経済、それの最も中心的な部分であるから、ここをしっかり勉強して、この前の片山内閣のように、私どもそのころは十年先には政権をとれると思っていましたから、そこで大蔵委員会に来てしっかり勉強しよう。もう一つ大事なのは選挙制度だ。今の日本の選挙制度というのは、要するに自民党と社会党で選挙しているのじゃないのです。私の選挙区で言いますと、実は原健三郎さんと私はずっと御一緒に長くやっているのですけれども、(発言する者あり)いやいや、あなたは最近出てきたのだからどうってことはないのだ。もう長い間、原さんとやっていますが、大変仲がいいわけです。どうして仲がいいかというと、原さんはもう一人おられた永田さんのことを私に、あいつけしからぬよ、こうおっしゃる。私は永田さんもいい方ですから何とも思わないけれども、原さんにすれば気に入らないことが多分あるのでしょう。今度永田さんは永田さんで私に、堀さん、なあ、原さんというのはひどいことをやるよ、こう言うのですが、こっちは聞き役で、ああそうですか。何もかかわる必要はないのですけれども。  要するに、今の選挙というのは、自民党の皆さんが自民党の中でどうやって通るかということを一生懸命やる。そうなるとそこでは何が起こるかというと、政策の争いではありませんから、後援会を拡大をして頭数をそろえる。お金がたくさん要る。これがロッキード事件に象徴されるところの日本の政治の最も問題のある部分だ、私はこう認識をしておるわけなんです。ですから、公職選挙で比例代表の選挙が行われるようになって、私は委員会で自治省に選挙違反があったかどうかと言いましたら、選挙違反がございません。比例代表では選挙違反にならないのです。ですから、選挙違反が起こるような制度を選挙違反の起きないような制度に改めて、そのことによって政治家が安心して勉強ができて、憲法前文に言うように国民の信託にこたえられるような政治のシステムをつくることが、私は、今の戦後の枠組みを変える、パラダイムを変えるという一番中心課題ではないのか、こういう認識なのでありますけれども大臣はいかがでございましょうか。
  49. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 政治を志す一人として伺いますと、まことに同感でございます。
  50. 堀昌雄

    堀委員 総裁候補のお一人でございますので、ひとつ総裁になられたら今おっしゃったことは確実に約束を果たしていただきたいというふうに思います。  そこで、もう時間も来ましたのでそろそろ終わるわけでありますけれども、今回のこの竹下提案によりますところのこれらの問題、実はこの二千億円というのはどうして出てきたのか、私よくわからないのです。これ皆さんわかりますか、二千億円上積みするという話。恐らくこれはお出しになった竹下さんを含めてみんなわからないのだろうと思うのです。主税局も恐らくどうして二千億なのかわからないだろうし、そういうことですから、政策が先行しないと私はこれは大変まずいなというのがこれの一つの感じでございます。  もう一つよくわからないことが書いてございます。それはどういうことかといいますと、「利子課税制度のあり方については、総合課税への移行問題を含め、五年後に見直しを検討する。」こうなっているのですね。これは、利子課税制度のあり方について五年後に見直しを検討するという話と、総合課税への移行の問題を五年後に見直しをするということと二つがここに入っている、私はこう読んでおるのであります。  そうすると、利子課税の制度を五年後に見直しを検討するということは、裏返せば、今御提案になっている制度について自信がない、五年したら見直さなければいかぬ。私が予算委員会で川崎寛治さんに、総理に老人人口がこういうふうに増加しますよということを厚生省を呼んでやってくださいよとお願いしました。それでやりまして、猛烈に人口がふえてくるということは総理もおわかりになったと思うし、大蔵大臣もおわかりいただいていると思うのです。そうすると、昭和八十五年になる前に五年ぐらいのところで切ればまあまあ何とかなるんじゃないかということかもしれませんが、私は、二千百万人の限度管理などということが、これまでできていないのにこれからできるはずがない、こう考えますと、昭和三十六年の二月二十八日に水田元大蔵大臣との間で国民貯蓄組合についての問題を提起しましたときと同じところへ帰ってきている感じがして仕方がないのです。二十六年前ではありますけれども。ですから、これらの問題を見て、今の利子非課税制度というものがまさに例外があるために不公正な税制になっておるということが何としても我慢のならないところだということでございます。  さっき小泉さんが大変いいことを言っていただいたので、私どももこれからどうなるか私はわかりませんが、私の感じでは、一〇%全部払っていただくということで問題の処理をした方が公平、公正でいいのではないか、こういうふうに考えておりまして、これから労働組合の皆さんと、今のところは話し合いでお互いが譲るところを譲ってやらなければ税制協議というのは成り立たないわけでありますから、そういう意味で私もこれからそういう努力をしてやってまいりたいと思います。  これはまだ私個人の意見でございまして、党に諮ったわけではございませんからあれですが、私はちょいちょいここで党に語らずにいろいろ物を言いまして党では大変迷惑をしている点があろうかと思うのでありますけれども、私の言っていることはそう間違ってはいないというふうに私自身は考えておるわけでございます。ですから、これからの修正を含めて、まず先にこの一巡が終わりましたら参考人意見聴取をぜひやっていただきたいと思うのであります。そしてその参考人意見聴取を踏まえながら今の修正議論を今のラウンドテーブルのようなところでオープンにやるというふうにしてこの税制改革が国民の理解と納得の得られる税制になることを要望いたしまして、私の質問を終わります。  最後にそういう提案についての大蔵大臣の御所感を承って、終わりたいと思います。
  51. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いろいろお話を承りまして、長年の御経験に基づく御発言で大変に蒙を開いていただいたところが多うございます。  法案の問題でございますが、政府といたしましては既に提案を申し上げておりますので、また院におかれまして、あるいは委員会におかれましてどうぞよろしく御検討の上お願いを申し上げたいと存じます。
  52. 堀昌雄

    堀委員 終わります。
  53. 池田行彦

    池田委員長 矢追秀彦君。
  54. 矢追秀彦

    ○矢追委員 ただいままで大先輩である堀先生から高邁な理論が展開されました。堀先生は、議員歴においても、また大蔵委員会の経歴におきましても大先輩でありますし、また私の大学の大先輩でありまして、大変深く傾聴した次第でございます。  私は具体的な問題について、税制問題等に触れさせていただきたいと思います。  まず最初に、今回の税制改正は私はいろいろな問題を含んでおると思いますが、大蔵大臣にお伺いしたいのは、今回の税制改正は決して抜本的な改正案ではない、要するに毎年行われておりました減税とそう変わらない、そういうものと認識をしておるわけですが、いかがでございますか。     〔委員長退席、大島委員長代理着席〕
  55. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御案内のように、過ぐる通常国会に対しまして私どもは私ども税制の根本的改革と信じますところを御提案いたしたわけでございますが、それは廃案になったわけでございます。しかし、とは申せ、今年度内に所得税等の減税を行わなければならないという国民的な世論がございますので、このたび御提案いたしましたのは当面緊急を要するものにつきましてのみ御提案をいたしました。さようでございますから、今矢追委員の言われますように、それはいわゆる抜本的改正ではないと言われます限りそのとおりでございます。そのとおりでございますが、今回の御提案をいたしますに際しましても、将来それが仮に長期的なものに成長いたしましても差し支えないように、そういうことは頭に置きながら今回の御提案を申し上げたつもりでございます。
  56. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今最後に言われました、将来長期的に、恒久的なものになると言われるのは、どの点を指しておられますか。
  57. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 むしろ抽象的に申し上げたつもりでございましたが、例えば所得税におきまして何とかいわゆる中堅サラリーマンのあたりに減税の重点を置きたいということでありますとか、あるいは勤労所得についていろいろな意味で重税感があるということについて配慮をいたしたいとか、利子課税についてでありますとか、それらの点は、そのような将来への展望を私どもの気持ちの中では踏まえて御提案を申し上げております。
  58. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今言われましたサラリーマンの中間層に対する配慮、私は全然ないとは申し上げませんが、これについてはまだ後で議論をしたいと思いますけれども、まだまだ配慮が足りなかったのではないかというのが一つです。  最後に言われました利子課税の問題につきましては、これが一番大きな問題だと私は思います。といいますのは、再三私たちも主張してまいりましたように、マル優廃止の問題についてはこれを分離せよ、あくまでも所得税等の減税一本に絞るべきである、こうなっておったわけでございますが、政府の方はこのマル優廃止をくっつけてきたわけでございます。廃止と言われないで改組と言われると思いますけれども、この点だけが非常に突出をしてきておるわけでございまして、むしろ今回はこの減税だけにとどめまして、マル優の問題を含めて将来の抜本改正、先ほど来堀委員の方からもいろいろ御指摘がありましたような、与野党話し合いの中でやっていくべき問題ではなかったかと思うわけでございます。マル優とこれをくっつけられたのは、先ほど言われたように長期的な展望ということのみなのか、目の前の財源というのが必要なのか、どちらですか。
  59. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはやはり長期的な展望を頭に置いておると申し上げるべきかと存じます。すなわち、このたびのように所得税改正を御提案いたしましたときに、これを別々にいたしますと減税分と増税分が分かれるわけでございますから、一体的に把握をして、かねて問題のございましたこの制度についても、これは所得税制の重大な部分でございますから、それを含めまして御提案をさせていただきました。と同時に、しかし利子課税の改組は将来に向かって平年度化いたしますとかなりの財源ということももとより私ども期待をいたしておりまして、そういう意味でもやはり将来の展望につながるものと申し上げることができると思います。
  60. 矢追秀彦

    ○矢追委員 だから私は、先ほど申し上げたように、将来展望についてはいろいろな抜本改正というものを議論した上でやるべきではなかったか、これを言いたいわけです。というのは、先ほど大蔵大臣が言われましたように、通常国会提案されましたものに売上税という私たちが反対をした税が入っておりますが、それなりに抜本改正というふうな姿は骨格としてはできておったわけです。私は反対でありますが、それはそれでそれなりの一貫性といいますか理屈として立てられておったものだと思うわけです。ところが今度売上税が廃案になった。そうすると、緊急課題としての減税だけを出してくるべきであって、それに長期展望のマル優だけをくっつけるのは——今確かに増減税という問題があるかもわかりませんけれどもマル優というのは別途にして、これは国民が反対していないものならいいですが、しかし反対のかなり強いものでございますから、これはやはり分離して、長期展望というものをもう一度やり直すべきではなかったかと私は思うわけです。  というのは、所得税の減税にいたしましても、当初では六十二年度については十三段階、六十三年度以降は六段階というふうになっておりましたが、その六十三年度以後六段階というのは今回はもうないわけです。全然削られてしまっておる。これはまさしく長期に立って、総理が言われておりました公平、公正、簡素、活力、そして選択という税の基本的な考え方の一つの簡素ということで六段階ということが出てきたわけでございますから、これは相当長期的に抜本的な改革であり長期のもの、それを含めて売上税というものが入っておった。そうすると今度は、それも削って、そしてマル優だけをくっつけて売上税は外してしまう。これは当然外さなければならぬわけです。だから、マル優だけをくっつけたということは非常にいびつなものになっておると指摘をし、これは外してもらいたいと野党としても再三主張してきたところでございますが、重ねて、今申し上げた所得税減税、長期のことも少し入っておるとおっしゃるなら、六十三年度以降六段階ということは頭の中にあるのかないのか、そしてこのマル優という問題は別に抜本改正という問題を中心としてそのときにもう一度考えるべきではなかったか、こう言いたいわけでございますけれども、その点はいかがでございますか。
  61. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先々六段階ということは、通常国会に御提案をいたしましたのでございますから、私どもはいずれかの日にはそういうことを実現いたしたいと思っております。おりますが、しかし、このたびの御提案には何にもそういう痕跡は見えておりませんものですから、それは先の問題だと申し上げざるを得ないかと思います。しかし、利子課税の問題は、これはいやしくも所得税を構成する大切な部分でございますから、所得税改正をお願い申し上げる限り、お願いするとすれば一体として御配慮、御考慮、御検討をお願いしたいと思ったわけでございます。同時に、それは、仮にこのたびの所得税改正案が平年度化いたしていきますときには、この部分はかなりの財源になることも事実でございますので、そういうこともございまして提案をさせていただきました。  しかし、確かに、例えば売上税等々について何も言っていない、これはそのとおりでございます。これはもう一遍立ち返っていろいろ考えてみる必要があるというのが前国会の御意思であると考えましたので、そういたしておりますけれども利子課税の点は、これは所得税の一部でございますから一緒に御提案をさせていただきました。
  62. 矢追秀彦

    ○矢追委員 それは所得税の一部かもしれませんが、しつこいようですけれども、それでは今回の利子課税改正によって六十二年度でどれくらい増収があるのですか。
  63. 水野勝

    ○水野政府委員 国税、地方税合わせまして、おおむね一兆六千億円程度の増収が見込まれておるところでございます。六十二年度といたしましては、国税といたしましては、政府提案におきまして、一月一日実施ということでございますと、百億円程度の見込み額でございます。
  64. 矢追秀彦

    ○矢追委員 仮にこれが四月一日になりますとこれはゼロになるわけですね。そして六十三年度ではどれくらいになりますか。
  65. 水野勝

    ○水野政府委員 二千億円弱の数字であろうかと見込まれているところでございます。
  66. 矢追秀彦

    ○矢追委員 だから、大蔵大臣、幹事長・書記長会談では既にもう自民党の幹事長から四月一日が決まったわけですから、要するにマル優による税収はないわけですね。今言われたように仮にこの法律案がそのまま通ったと仮定をした場合でも、六十三年度にしてもまだ二千億です。将来は先ほど一兆三千億と言われたような数字にはなってくると思いますが、少なくとも六十二年度、六十三年度というのを考えますとこれはそんなに減税財源にはならぬわけですね、財源としては。  だから、私が先ほどから言ったように、今回この所得税の減税法案にマル優をくっつける必要はなかった。むしろこれは切り離して、マル優の問題を含めて抜本的な、それこそ六十三年以降六段階を当初は言われておったわけですから、私たちはそのときに既に公明党といたしましては七段階案を主張して、しかも所得税が一兆七千億の減税をやれるという試算をしておったわけです。しかもそれはマル優は廃止しない、しかも売上税もなしということで試算をして一兆七千億の所得税減税は可能であるという公明党案を昨年の暮れに既に提案をしておるわけでございます。  そういうふうなことから考えますと、今回マル優を廃止しなくても、仮に一月一日実施としてもだった百億ですから、この六十二年度の減税一兆三千億、仮に幹事長が提案された二千億上積みして一兆五千億としても、たった百億ですから、余り役に立たぬわけですね。だから、今回は減税のみにしておいて、マル優についてはじっくり時間をかけて来年なり再来年なりまでに次の抜本改正に含めてやるべきではなかったか。今の大蔵大臣の話を聞いていますと、要するに所得税の範囲なんだから、そういう御主張一本ですね。先ほどから直間比率見直し議論もございましたように、もともとはそういうことを含めて抜本的な改正をということをやってこられて、売上税は国民の反対に遭ってだめになってしまった。だから今度は減税だけ出してマル優については置いておいて来年とかそれ以降にやるべきではなかったか、こう主張したいわけですが、重ねて大蔵大臣、この点について私の意見を含めてどう思われますか。
  67. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは私も重ねて同じことを申し上げるようになりまして恐縮でございますけれども、ですから先ほどからこれは財源的な問題が主たる考慮になったのではないということを申し上げておりますのは、まさに四月から実施であればこれは財源的にはゼロでございます。来年度、六十三年度でもせいぜい二千億くらいなものでございますね。ですからこれは恐らく地方税を合わせまして一兆何千億というような本当にフルの平年度化するのには何年かかかるのであろうと思います。そのことは私どもよく存じております。問題は、今度御提案いたしました所得税法案は確かに六段階になっておりませんで、それは私どもいずれの日にかそういうふうにしたいと思いますが、ただ、この利子課税の点は、いわば羽で言えば小さいものでございますが、何年かたちますとちゃんと羽になりますので、それでやはり鳥になります、これを今しておきましたら。そういうことを今考えておるわけでございます。六段階ではないのは残念でございますけれども、一つの完結した所得税制になる。     〔大島委員長代理退席、委員長着席〕
  68. 矢追秀彦

    ○矢追委員 なかなかこれは押し問答で恐縮ですけれども、確かに今言われたことは私も理解はしておるわけです。だから、余計何もことしやらなくてもいいんじゃないですかと言っておるわけです。来年以降の検討でどうですかと。そのために税制議会もあるわけです。中間報告が出た後も存続をすると、一生懸命やっておられるわけです。また後で財政運営等の問題も触れたいと思いますけれども、ことしからやらなければ将来だめになる、これだけをかんかんになってやらなければ日本の財政はつぶれてしまう、そんなことは私は絶対ないと思いますよ。まだまだ財源を生み出す方法は出てくるはずです。ですから、そういう意味でこのマル優はことしは少なくとも外して来年以降の検討にすべきであった。これはもう答えはいいです。強く要望しておきたいと思います。  それから、先ほど抜本改正になっていないと申し上げたわけでございますが、その点はお認めになりました。いわゆるふだんの減税と同じである。ただ、中間所得者層に対する手厚い施策をしたというふうなことでございますが、私は、まだもう少しいわゆる中間所得者層に対する配慮があってしかるべきであったのではないか、こう言いたいわけでございます。一応一兆三千億ということでございまして、この間幹事長の示された一兆五千億、二千億の上積みでございますが、もしこれが仮に一兆五千億で結論が出たと仮定した場合、この二千億は大体どうされるおつもりですか。
  69. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点は、政府といたしましては政府案を御提案申し上げておるわけでございますので、そこで八月七日に自民党の幹事長が各党書記長幹事長会談で申し上げましたような線が改めて各党の合意になっていくと仮にいたしますと、私も仮にでございますが、それは恐らくは院における政府提案の御修正ということになっていくのであろうと考えておりまして、その御修正がどういう形をとりますかは私どもでは申し上げることができない種類のことであろうと存じます。院においてどのように御修正をなさるかということであろうかと存じます。もとより、その際、大蔵省あるいは大蔵省主税局といたしましては、いろいろ技術的なデータ等々は持っておりますので、院のあるいは委員会のお求めに応じまして何なりとお手伝いはいたしますけれども、これはしかし院のお決めになられることであるというふうに考えております。
  70. 矢追秀彦

    ○矢追委員 そこで、今の二千億上積み、私たちはそれ以上の要求をし、また幹事長も真剣に考えるということでございますから上乗せを期待しておるわけでございますけれども、まずその前にお伺いをしたいのは、当初といいますか六十二年度、先ほどの売上税が入っておったときの案でございますが、そのときの所得税減税は幾らでございましたか。
  71. 水野勝

    ○水野政府委員 当初例提案申し上げたときのものの中におきまして六十二年度として予定をさしていただいておりましたのは、六十二年度分としては一兆二百億円程度でございました。
  72. 矢追秀彦

    ○矢追委員 それが今回の改正案では一兆三千億になっておるわけでございますが、それはこの税率構造がいじられておるわけですね。現行から六十二年度の当初案、さらに今回の改正案と三つ並べた資料もいただいておるわけです。税率構造がやや変化をしてきておりますが、この一兆二百億、まあ一兆百八十億かと思いますけれども、この今回提案されておる減税案では、百二十万円までが一〇・五、その次に当初案にはなかった百六十万までが一二%が入ってきました。当初は百二十万までが一一%であったのが一〇・五、五十万以下の一〇・五がなくなる、こういうことでございます。それから二百万までが一四・五が一つ下がって一四、それから五百万と七百万の間が当初案ではございませんでしたが、その間に六百万が入って二五%、こういうことになったのですが、大体の数字で結構ですから、今の約三千億上乗せされたのが、この税率構造の各段階において大体どの程度の減額になっておるのか、お示しいただけますか。
  73. 水野勝

    ○水野政府委員 最初の一〇・五%のところが、おおむね概算で、目の子でございますが、約一千億円ぐらいか、百六十万円とつくったところが約二千億円ぐらいかという感じでございます。それから、二百万のところも下げておりますから、これが数百億程度かと思います。一方、御指摘のように六百万のところを上げておりますから、そこでやはり数百億円程度は取り戻しと申しますか増収を得ている。したがいまして、二百万までが一四・五%だったというところが、百六十万で一二%にしているところが、一番そこに重点が置かれて、中堅と申しますか、そこらあたりに主として集中されておるのではないか、大ざっぱに申し上げてそんな感じではないかと思います。
  74. 矢追秀彦

    ○矢追委員 それで、国会が決められることですから政府としては言えないとおっしゃいましたが、事務的なお手伝いはするとおっしゃいましたので、今からすぐ計算で出してほしいとは言いませんが、この一兆三千億が仮に一兆五千億と仮定した場合、あと二千億の上乗せになるわけですね。それは大体どの辺がどういうふうに、主計局長、もし決まったら、しかも中間層に手厚くという場合は大体どんな方針を出されますか。私はその計算根拠を持っていませんから。
  75. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、先ほど私が申し上げましたように、本案御審議の過程におきまして、委員会においてあるいは院においてこのような修正をするということの御決定をなされますときに、私どもから技術的な手伝いをせよと仰せられればその御方針に従いましてお手伝いいたすべきものであって、御方針がございませんのにかれこれ申し上げるべきことでないと思います。
  76. 矢追秀彦

    ○矢追委員 そこで私が大蔵大臣に申し上げたいのは、私たちも私たちなりにいろいろ勉強もし、それなりに計算もしておるわけですけれども、先ほど主税局長はアバウトの数字をおっしゃいましたね。しかし、その積算根拠になる数字なりその方程式なりは出してもらえないわけですよね、これはこっちでやらせてもらいますと言って。なぜ出せないのですか。各個人の税収を全部調べ上げるわけでも何でもないわけですから、どうせコンピューターに入っているわけでしょう。これだけ進んだ時代ですから、ディスク一枚貸してもらえば、ちゃんとディスプレーしたら出てくるわけですから、別に問題ない問題ではないか。どこの層にどれだけいて、それは確かに複雑な計算だと思います。簡単にはできないと思いますが、今から私の考えも申し上げますけれども、じゃ、私たちが、仮にこの税率をこういうふうにいじりたい、税率構造を変えたいとした場合に、大体の計算はできていますけれども、きちんとした答えは出せないわけですよね。大臣国会で決められたらとおっしゃいますけれども国会で決める私たちが議論するデータすら、つくろうたって出してもらえなきゃ、この方程式が出てこないと計算もできないわけですよね、アバウトのことはできても。これはきちっと出るようになっているわけでしょう。技術的にはその点はいかがですか。
  77. 水野勝

    ○水野政府委員 もちろん基礎的なデータはあるわけでございますけれども、それがサラリーマンの場合と事業所得者の場合、それぞれにおきましてデータが異なっておる。それからまた、しかし相当の数のサラリーマンの方は、確定申告されるとそれは事業所得者の方にカウントされる。その間の重複をどういうふうに配慮するか。それは階層別に見て同じような比率というわけでもございませんので、それぞれの階層によってそこらの重複の度合いは違ってございます。  それからまた、今回は税率見直しと一緒に配偶者特別控除の引き上げも行っておりますが、税率控除見直しとどういう順序でそれを計算するのか、同時に計算ということはあり得ないわけでございますが、その計算の方式によりまして結果は違ってくるわけでございます。したがいまして、それを別々に計算いたしまして最終的な数字を出す場合におきましてはそこは圧縮をする必要があるわけでございますが、そこらの圧縮率につきましても、また階層別にもいろいろ違ってくるわけでございますので、何か一つ計算をすればすぐ出てくるというものでもございませんので、そこらはかなり複雑な計算になる。  それからまた、それによりまして全体として出したものをまた階層別に割り振ってみるというところは、またいろいろそこを振り分けてみてチェックし、それが全体としての数字におおむね合致するかどうか、ある意味では試行錯誤的な要素もございますので、簡単にぽんと出すというような形にはなっておらないというのが実情でございます。
  78. 矢追秀彦

    ○矢追委員 確かに複雑であり手間がかかるのは私はわかりますけれども、それでは、今出されたこの政府案の税率構造で一兆三千億というのはちゃんと出ているわけでしょう。この計算をされるまでに期間としては大体どれぐらいかかるのですか。大体の考え方がまとまるまでに。基本として政府で出されたのですからね。当初は先ほど申し上げたようにちょっと違いましたね。今回変えて出された。要するに、一兆二百億とおっしゃいましたけれども、百八十億ぐらいですから一兆二百億としましょう。それが一兆三千億になった。これに変更されるために計算に要された日数はどれぐらいかかったのですか。
  79. 水野勝

    ○水野政府委員 それは一週間、十日かかるというようなものではございませんが、やはりある程度の時間は要する作業になっておるわけでございます。
  80. 矢追秀彦

    ○矢追委員 私は全部出してくれとは言いませんけれども、大体の目安の計算のいわゆる根拠ぐらいは出してもらわないと、各党の先生方も同じだと思うのですね。  要するに、私が今から申し上げようとしているのは、今の一兆三千億では物足りない。一兆五千億という提案が幹事長からなされた。それでもなおかつ不満であるというのが野党の主張でございますし、私たちも先ほど申し上げましたように、昨年の末、要するにこの当初予算のときの私たちの減税方針も一兆七千億の所得税減税を言っておったわけですから、せめてそれぐらいまではいかなきゃならぬと思っておるわけです。主張したいと思っております。  そうすると、この税率構造をどうするかということになるわけですね。それで私なりに税率をいろいろ考えまして、今大蔵大臣にお渡しした税率表と現行税率構造、そして今提案されている税率構造、そして点線部分が私の私案として一応書かせていただいたわけでございます。  それで、これをやったらこの部分で幾らぐらい必要なのかということを出せないと、公明党の計算はずさんだと言って終わられたらどうしようもないわけですから、だから、細かいことまでは結構ですから、ある程度の計算の基準なりは示していただかないと困る。私は私なりに一応計算しましてどれくらい必要かということも一応考えておりますけれども、果たして正確な数字ではないわけですよ。竹下幹事長が一兆五千億にされた計算の根拠となったことは幹事長は御存じでしょう。もちろん大蔵省が協力されていなかったらあんな一兆五千億は出てこない。それこそつかみ金といいますか、バナナのたたき売りみたいに、これだけまけるなどというそんなものではないと思う。やはり二千億の上積みのある程度の計算の根拠はあった上でされたと思うのです。そうでなかったらおかしいわけです。やはり政府与党の幹事長ですから、責任ある方ですから、いいかげんな数字は出してこられないと私は思うのです。だから仮に竹下幹事長が二千億の上乗せをれさた。これはもう政府だってオーケーしなければ幹事長は野党の方へ出てこないわけですから、それに対して二千億なら二千億の上積みはどういうふうにしようとされているのか。あらましもサゼスチョンも何もされていないですか。一切竹下幹事長のもとで、自分のところのコンピューターを使い、また自民党の政調なら政調で計算されて出してこられたのですか。その点いかがですか、大臣
  81. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは率直に経緯を申し上げますが、竹下幹事長書記長幹事長会談でこういうことを発言れさたわけでございますので、もし最終的に各党でそういう合意ができますれば、私ども政府与党といたしましては、しかし恐らく形はどうしても院の御修正になってまいると思いますけれども、自民党という立場からいたしますれば、これは守られなければならない、実現しなければならないことでございます。が、それを、こうこうこういう幾つかの案がある中でこれでいけば二千億円ということを幹事長は案を踏まえて言われたわけではございませんで、各党の話を伺いながら、また世論も恐らくお考えと思いますが、二千億円の上積みではいかがでしょうかということを八月七日に言われたものと思います。したがって、私どもの立場からいいますと、そういうふうに最終的に院でお決めになっていくというときには恐らくまた院からいろいろお話がございますのでしょう。そのときには専門的な知識をもってお役に立たなければならないと思っておりますけれども、この二千億というのは、幾つかの案を踏んまえてそれをもとにして幹事長が言われたということではございません。
  82. 矢追秀彦

    ○矢追委員 大臣政府ですからこんなことを言う相手ではないのですけれども、そうなると竹下幹事長の発言というのはこれはいいかげんなものですね。二千億でどうですか、三千億でどうですか、ちょっと二千億で勘弁してくれ。バナナのたたき売りじゃないですか。公党の幹事長がそんないいかげんな数字を出して、とんでもないと思いますよ。やはりある程度の根拠がなかったら、私だってちゃんとそれなりに計算してきたのですから。これだっていいかげんなバナナのたたき売りじゃありませんよ。財源のこともある程度考えて。細かいことは計算できません。今大蔵省のちゃんとした計算の根拠があった上で十日間もかかるとおっしゃっているのですから、私だって質問通告を受けたのはおとといですよ、こんなもの二日でできるわけありません。しかし、それなりに今までの過去のデータ等をうちの政審だって勉強してきていますから、それでやっておるわけです。それを今の大蔵大臣の話を聞いたら、竹下幹事長はそんな根拠があってやっているんじゃない。それじゃバナナのたたき売りじゃないですか。そんないいかげんな提案ならそれこそ受けられませんよ。どうですか。
  83. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 はっきり申し上げますが、根拠があってやってないということは私は申し上げていないのです。この案、あの案という幾つかの案を踏んまえて言われたのではありませんというのは、こういうことにはいろいろな組み合わせがございます。ですから、私は決してでたらめを言われたなんて言っているわけではございませんで、皆様方が二千億なら二千億というふうに本当にお決めになられて、それをどういう組み合わせでやられるかということはそれはいろいろあるわけである。いいかげんなことを言われたというふうに私は決して申し上げておりません。
  84. 矢追秀彦

    ○矢追委員 しかし、さっきの大臣言葉じりをとらえて恐縮ですけれども、私もめったに怒らぬ人間ですけれども、さっきの案があって言っているのではないということは、こういう根拠を出してやられたのではないということだとやはりアバウトというふうにとる以外にない、こう申し上げたいわけでございまして、この問題はこれであれしますが、私たちは承服はできません。二千億、そんないいかげんな数字を出してこられたのでは、それこそこれはもっと上乗せをしていきたい、こう思います。  そこで、お示しをいたしましたグラフと表を見ていただきたいのでございますけれども、百四十万円に一応一〇・五%を上げさせていただきまして、あと、大体三百万円ぐらいが一番中間になるかと思いますので、二百万から三百万の間を二%下げまして、あと五百万は一%、六百万も一%、七百万を政府案にはございませんでしたがこれを入れまして、八百万以上は政府と同じ案でございます。段階も同じ数に一応しました。私たちの理想は先ほど言いましたように七段階案でございますけれども、こういう形にいたしますと今の政府案よりは大体五千億上乗せしなければこれはできない計算になるわけでございます。  その中で、仮に譲りまして、三百万のところの一四%、これをもう一%上げて、これは一六を一四に下げましたけれども、真ん中をとって一五にしたといたしましても大体四千億ぐらい。七百万円をカットいたしますと、ちょっとこれは七百万ぐらいの方にはかわいそうなんですけれども、これが四千億をちょっと下回る。大体そういうアバウトの計算をしておるわけでございます。  そうなりますと、私申し上げたいのは、またさっきの話に戻りますが、竹下幹事長は、その二千億の数字の根拠はそうなくて、むしろ財源の方からあと二千億ぐらいの上積みはできるだろう、こういうふうなことで一兆五千億というふうなことが出てきたのではないかと想定をするわけでございます。そうなると、あともう三千億、譲って二千億、政府案からいうと四千億の上乗せになるわけです。これは私たちが当初、昨年の末、さっき申し上げましたような一兆七千億の所得税減税と一緒になるわけです、その第二の方式でいきますと。三百万の一四%を一五%にしたらそれでいけるわけですから、財源的にもある程度の措置は可能である、このように考えておるわけでございまして、政府としては一兆三千億の原案でお願いしたい、こういうことでしょうけれども、私たちとしては、こういうことをやってもうちょっと中間層の上乗せをしたい、こういうふうな強い要望を持っておるわけでございます。この点、技術面のプロである主税局長、いかがでございますか。
  85. 水野勝

    ○水野政府委員 先ほど大臣から申し述べておりますように、あくまで国会からの案をいただきまして検討をし、お手伝いをするということでございますので、私どもがこうしたことにつきまして申し上げるのはいかがかということでございます。それからまた、政府としても一兆三千億をお願いしているところでございますので、その上の点につきましての制度的な面、技術的でございましても、申し上げるのはどうも僣越ではないかという感じがするわけでございます。
  86. 矢追秀彦

    ○矢追委員 遠慮しないで批判していただいて結構でございます。ただ、これも公明党の案として最終的に固まったものでもございませんで、今大蔵委員会のメンバーで相談をして、だから試案となっておりますが、こういうふうなことを試案として出したような次第でございます。国会の推移があるとは思いますが、大蔵大臣、ぜひひとつもうちょっと中間層を、かなりやっていただいていることは僕もよくわかりますけれども、もう一歩上積みを要請、要求をしていきたい、こう思うわけでございますが、いかがでございますか。
  87. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点は、与野党の幹事長・書記長会談でお話し合いがございまして、これで国会が御修正になるというところに今日現在でいまだ至っておらないというふうに承知をいたしておりますが、政府といたしましては、先般本会議でも申し上げましたように、もし国会が御修正をお考えでありますれば、我が国の財政の現状、また税制の将来につきましてもひとつ御勘案の上お願いを申し上げたいと考えております。
  88. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、またちょっとマル優に戻って恐縮でございますが、これも幹事長・書記長会談で、これは先ほど堀先生もお触れになっておりましたが、総合課税への移行、この問題につきまして、利子配当課税というのはやはり原則は総合課税が望ましいと大臣は思われますか。
  89. 水野勝

    ○水野政府委員 所得税はやはり各人の所得を担税力の指標としております。その担税力の指標としております所得につきましてこれを総合的に累進で課税をする、これは所得税としての理想の姿であろうかと思うわけでございます。したがいまして、今回御提案してございます改正案におきましても、所得税法におきましては、利子につきましては源泉徴収という手法はもちろん規定しておりますけれども課税方式としてはこれは総合課税という建前は保持しているわけでございます。ただ、今般の利子課税見直しに当たりましては、現在の利子課税と申しますか利子所得課税につきましての実質的な公平を確保するという点から、租税特別措置法におきまして一律分離ということを規定させていただいているということからいたしますと、形式的には総合課税の原則は維持しつつ、租税特別措置法と申しますのはあくまで当分の間の措置でございますので、いわば特別の措置として一律分離をとらしていただいているというふうな考え方になっておろうかと思うわけでございます。
  90. 矢追秀彦

    ○矢追委員 ということは、将来は、検討するということになっておりますから検討されると思いますが、やはり総合課税に行く方向を考えていきたい、こうとってよろしいですか、大臣。  要するに、なぜかといいますと、グリーンカードがだめになりましたけれども、グリーンカードが実施されたときはまさしく総合課税だったわけですね、実地される法案が通ったあの法案では。実施されないで、残念ながらつぶれてしまったわけですけれども、だから利子課税については、このマル優問題は、要するに限度額を超えた部分については総合課税ということに一たん決まったわけですよね。今回は相変わらず分離課税ということで、しかもゼロの人が二〇%になるという、大変負担が大きくなるわけですけれども、やはりいずれは総合課税を目指しておる、そう考えてよろしいですね。またそうすべきだと私も思いますけれども大臣、いかがですか。
  91. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま政府委員が申し上げましたように、この制度が本法でなく租税特別措置法の方に置かれておりますのは、いわば永遠の姿ではない、しばらくの間こういうふうにすることが適当だという判断だということを申し上げたわけでございますが、それはやはり国民に受け入れていただけるような方法で行政が実質上の公平を期待できるということになりますまでの間やはりこういう租税特別措置法の方に置いておこう、こういうことでございますから、基本的には矢追委員の言われたようなことが本来の姿であろうかと存じます。
  92. 矢追秀彦

    ○矢追委員 このマル優問題が今日こういうふうになってきた一番の問題は、やはりグリーンカードが廃止された、せっかく国会を通過しながらだめになったということですね。五十五年に成立をして、私もその明くる年参議院の予算委員会で早く実施をしろということを当時の大蔵大臣にも強く要求した記憶がございますけれども、その後実施されないまま結局ぽしゃってしまった。ここから私つまずきが始まっていると思うのです。だから、あそこでもし、総背番号制というようなことが問題で、総理が人の懐に手を突っ込むなんてそれはまずいんだとよく言われますけれども、そういうことではなくて、きちんとした限度額管理ができて、そうしてグリーンカードが仮にだめとして、百歩譲って、そうでない方法で総合課税に移行しておれば、今回こういうふうなこともなかったし、今先ほど冒頭に言ったような、こんなマル優というような横にくっつけてやるような減税法案、また増減税法案というのは出さなくてもよかったわけですよね。そういう意味では、私たちは、グリーンカード、またそれにかわるべきものを復活したい、そして総合課税へと、こういう強い主張を持っているわけでございますけれども、その点はどうですか、大臣
  93. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど申し上げましたような、国民に受け入れていただけて、しかも有効な方法で税務の公平な執行が確保できるということでございますと、やはりそれは矢追委員の言われるようなことが本則であろうかと存じます。
  94. 矢追秀彦

    ○矢追委員 それでは次に控除問題について伺いますが、まず最初に、医療費控除を五万円を十万円にされた理由は何ですか。
  95. 水野勝

    ○水野政府委員 医療費控除趣旨につきましては、委員御案内のように、これが通常の医療費負担でございますと、それは基礎控除等その他もろもろの人的控除課税最低限で配慮される。そういう中におきまして、いわば偶発的に特に一般的な家計負担水準を超えるような水準で支出を余儀なくされるような医療費の負担につきまして、その担税力の減殺をしんしゃくする、こういう趣旨であろうかと思うわけでございます。そういう点から考えますと、現在の金額が昭和五十年に制定されたわけでございますが、その後の医療費の支出状況、所得水準等々から勘案いたしまして、今回はこれを引き上げさせていただいている、こういう趣旨であろうかと思うわけでございます。
  96. 矢追秀彦

    ○矢追委員 税調の答申にもちょっと出ておりましたけれども、還付が大変ふえてきて、そして医療費控除による還付が非常に多いので事務が大変なんだ、だからこれは見直せというのも一つ入っておりましたけれども、それが一番大きな理由ですか。今言われた、所得が上がった云々、どちらの方が大きいのですか。
  97. 水野勝

    ○水野政府委員 還付云々という点につきましては、これは執行面からの理由でございますが、やはり税制といたしましては、一般的な水準の医療費の支出につきましては、一般的な控除と申しますか、課税最低限の中で配慮をしていただく、それを通常の水準を超えるものにつきまして特別の控除で配慮させていただくという趣旨からの見直しである、主としてはそういうふうに申し上げられようかと思います。ただ、執行面からの観点もやはり税制といたしましては無視できない要素ではないか。そういう点におきまして、税制調査会の答申におきましても両方が併記されておるということではないかと思います。
  98. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今回いろいろな控除ができております。配偶者特別控除の創設もそうでございますが、生命保険料の控除も最高限度額が五万円、これが果たして適当なのかどうか。これから高齢化社会になりますと、保険料負担もふえてきておりますので、もう少しふやしてもいいのではないかと思いますが、その点はいかがですか。  それから次に障害者控除、これの二十五万円、これも果たして適当なのかどうか、この辺の根拠。  それから、私もかつて参議院の大蔵委員会でも主張しましたが、勤労学生控除、五十八万円、これは非常に低いのではないか。もう少し上げてもいいんではないか。かなり時間もたっておりますし、最近所得もそれこそ上がっておるわけですから、勤労学生控除の引き上げを要求をしたいわけでございますが、今申し上げたようなこの控除の、今回変わった場合はそれの根拠、それから今据え置かれておる根拠、見直す気はないのかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  99. 水野勝

    ○水野政府委員 今御指摘のようなもろもろの特別の控除につきましては、これも税制調査会でいろいろ議論をされたところでございますが、特別な事情に基づきますところの追加的費用のしんしゃくということから申しますと、時代の変化とともに状況が変化して今やその必要性がややいかがかと思われるようなもの、あるいは歳出面におきますところの措置の充実との関連で考慮すべきもの、こうしたもろもろのものがあるわけでございます。どちらかと申しますと、税制としてはこういったものは整理合理化、簡素化の方向で検討するのが必要ではないかというふうな方向での御指摘でございます。  具体的な控除の点で申し述べますと、生命保険料控除につきましては、現在の適用状況等からいたしますと、相当、納税者の七割、八割の方がこれを適用し、生命保険なりなんなりの利用と申しますか、促進と申しますか、そうした観点からいたしますと、おる意味ではどうも目的は達成されてきているのではないか。また、これによりますところの減税額と申しますか減収額は所得税全体の租税特別措置の中ではかなりな部分を占めているということからいたしますと、いかがかなという感じがむしろいたすわけでございます。  また、勤労学生控除につきましては、先ほども申し上げましたようなもろもろの社会情勢の変化、戦後におきますところの勤労学生の実態からいたしますと、現在はやや状況が変化してきている感じがするわけでございまして、これを一層引き上げるというのはなかなか問題ではないかという感じがするわけでございます。  障害者控除につきましては、もろもろの要請からこのところ数年置きに、特に特別障害者控除等につきましては見直しは逐次行われてきておるところでございまして、現在一般の人的控除と合わせますと相当な水準に来ているのではないかとも感ぜられますので、今回の改正におきましてはこれは据え置きとさしていただいているわけでございます。  老年者控除につきましては、今回公的年金の課税あり方とも関連いたしましてこれを二倍に引き上げることといたしまして、年金につきましての課税軽減合理化を図らしていただいたということで措置をさしていただいておるところでございます。
  100. 矢追秀彦

    ○矢追委員 これも前に私が言って、なかなかしてもらえないのですけれども、眼鏡ですね。
  101. 日向隆

    ○日向政府委員 医療費控除の対象となる医療費の範囲につきましては、所得税法第七十三条第二項、所得税法施行令第二百七条で規定されておりまして、医師または歯科医師による診療または治療の対価、治療または療養に必要な医薬品の購入費用、病院等へ収容されるための人的役務の提供の対価等、こうなっているのは委員御存じのとおりと思います。  御案内のように、この法令は長年にわたり実施されてきておりまして、この中で法令の趣旨を踏まえつつもその後実情に即してこの範囲の取り扱いについては実は若干拡張してきているところでございます。例えば、診療等を受けるための通院費、部屋代または医療用器具等の購入等のための費用で通常必要なもの、また、自己の日常最低限の用を足すために供される義手、義足、松葉づえ、補聴器、義歯等の購入のための費用、こういうように医師等による治療等を受けるための直接必要な費用、また看護婦等による療養上の世話にかえまして特に依頼した者から受けて療養上の世話を受ける対価等がそういった若干拡張してきたものでございます。  一般の眼鏡の購入費用につきましては、通常の遠視、近視を補正するための眼鏡は全国で何千万という人が格別医師の診断もなしに毎年眼鏡屋さんで購入している実情からいたしまして、これを医療費控除の対象とすることは難しいということについて委員の御理解を賜りたいと思うわけでございますけれども、それ以外の場合につきましては、委員の御指摘を踏まえまして、今申し上げましたように医療費控除に関する法令の趣旨を踏まえつつ、その実情に即して、それが医療費控除の対象になるかどうか、個々に適切に判断してまいりたい、かように考えております。
  102. 矢追秀彦

    ○矢追委員 ぜひ今の控除、先ほど主税局長言われましたように、この控除というのはやっぱり主税局長言われたのが基本的な哲学かと思います。しかし、社会情勢の変化に伴ってやっぱり即応といいますか対応は早くしてもらいたい、こう思うわけでございまして、そういう意味で、その控除の問題についてもすっきりした理論といいますかレールといいますか、そういったものが必要じゃないかと思うのです。そういった点は、何かそのときそのときの行き当たりばったりと言ったら恐縮ですけれども見直して、何かこっちが見直されたのにこっちはないというようなこともあるような気がしてならないのですけれども、いかがですか、大臣
  103. 水野勝

    ○水野政府委員 先ほど申し述べておりますように、全部の控除について一律に上げるとか一律に縮減するとかということはございませんで、御指摘のように、それぞれの社会情勢、その税制必要性等に応じて個々にいろいろ検討さしていただきまして措置をさしていただいておるところでございます。そして、今回の改正におきましては、老年者控除、そこを中心にいたしまして見直しをさしていただいた。今後もそのときそのときの社会情勢なり必要性に応じて適切に処理をしてまいるのが適当ではないかと考えるわけでございます。
  104. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、土地税制と相続税でございますが、今回の土地税制改正になりましたが、これだけでは果たして土地の急騰は抑えられるのかどうか。もちろん土地税制そのものが補完的なものであるということは私も十分承知をしておりますが、しかし何らかのブレーキにならないと意味がないわけでございまして、今回の改正がどれだけ効くのか。これは、ただ効くというだけではなくて、なぜこの十年が五年あるいは二年といったことになるのか。不動産業者のこの二年ですね。しかもこの時期を限って。そういった点がどういうふうに影響するという判断のもとにこうされたのか、その点の理由をお伺いしたいのです。
  105. 水野勝

    ○水野政府委員 まさに御指摘のように土地税制がオールマイティーではございませんで、やはり基本となる土地政策なりがございましてそれをお手伝いするというところが本来の姿であり、そこまでの効用ではないかと思うわけでございます。しかし、税制につきましての期待というものはかなり大きいものがございまして、昭和四十四年度改正以来何年かごとに必ずかなりな範囲の土地税制改正が行われてきておるわけでございます。そうした改正が相応の効果を発揮してきているものとは私ども考えておりますが、それで税制によりまして土地問題が解決するというところまではなかなか申し上げられないのかという感じがいたします。  今回の改正におきましては、超短期、二年以下の重課につきましては、これを特に重課するという方向でございまして、転がし的な土地の動きの平均的なところを見ますと大体半年前後というものが多いようでございますので、転がし的な譲渡行為はこの中で大半含まれるものと思われますので、これは相当な効果があるのではないかと期待をしているところでございます。ただ、もうことしも半分以上過ぎてまいりましたので、これが本当に適用になるのかどうかという、むしろそちらの方のいろいろ思惑等もございまして、現在ややそこらが社会に混乱を招いている面もございますので、ぜひとも早くこの点につきましては措置をさしていただければ幸いだと思うわけでございます。  一方、長期短期の区分につきましては、今回一応期限を切ってではございますけれども十年を五年にするということで、過去の例を見ますと、こうした長短の区分を変更いたしました際には実績から見ましてある程度の供給の増加も見られるところでございますので、この点につきましても相応の効果が発揮されるものではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。
  106. 矢追秀彦

    ○矢追委員 これは来年の三月末に期限が来ますね。やはりその辺でもし仮に効果がないとなればまた延長ということもあり得るのですか。その点はいかがですか。
  107. 水野勝

    ○水野政府委員 年々の効果等も見まして個別に検討してまいりたいと思っております。
  108. 矢追秀彦

    ○矢追委員 相続税についてでございますが、最近土地の高騰によりまして相続税もなかなか大変だという声が聞こえてくるわけでございます。もちろん相続税というのも非常に大事な税でありますし、またいろいろな考え方もあろうかと思います。ただ、私は、居住用の土地の相続税については、面積を限って、仮に六十坪なら六十坪ぐらいに限定をして、それ以下については軽くする、できればゼロがありがたいわけですが、その点はいかがですか。
  109. 水野勝

    ○水野政府委員 確かに居住のための最小限度の面積につきましては、いわば物的な基礎控除というふうなことで課税対象外とするお考えもあろうかと思うわけでございますが、今のお話の六十坪でありあるいは二百平米でございましても、やはりそうしたものを持っておられる方と持たれない方とのバランスといったものはある程度考慮する必要はあろうかと思うわけでございますので、これを全く課税外にするのはいかがかという感じはするわけでございます。  御承知のように、現在は居住用につきましては三割の評価減でございますが、これが例えば固定資産税のような場合でございますと四分の一といったような例もございますし、現下のこうした都心部におきますところの地価の上昇等を勘案いたしまして、この三〇%というのが適当かどうかという御議論は相当あるわけでございます。一方、先ほど申し上げた課税の公平という観点からこれを直ちに相当減額することが適当かどうか、この点につきましては、六十三年度税制改正までの間いろいろ御議論、御意見を承りながら検討してまいるべき点ではなかろうかと思うわけでございます。
  110. 矢追秀彦

    ○矢追委員 税問題はこれぐらいにいたしまして、次に財政経済運営の問題に入ります。  冒頭に、質問通告しておりませんが、円高がまたさらに進んだようでして、お昼のニュースでしか私聞いておりませんが、百四十二円になったということでございます。一昨日の大臣の御答弁だとこれは一時的であるということでございますが、この円高の原因、いろいろ言われておりますが、やはりアメリカの経済の現状というものが大きく反映をしておる。となりますと、私は一時的にとどまらないのではないかという気がするわけですが、その点はいかがですか。
  111. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 このたびの起因は、アメリカの貿易収支、六月が百五十七億ドルになった、前の月が百四十億ドル、その前が百二十九億ドルでございますのでやや意外の感を市場に与えた、ジグザグではあろうけれども好転をしているはずだということがどうもそうでなかったということが起因であったろうと思います。しかし、プラザ合意から来月でもう二年になるわけでございますから、ここまでドルが下がってまいりますと、現にアメリカの輸出はふえつつあるわけでございますし、石油等々の輸入量、輸入価格等がこの六月の貿易収支を悪くしたというふうにも言われておりまして、全体的にはアメリカ経済の競争力の回復というのはあるいは比較的順調なのではないかと見ております。それで、私は大まかに申しますとそう心配すべき状況であるとは思われないと考えております。ただ、ちょっとここのところ、これは一種の乱高下に属することでございますから、各国の合意によりましてもやはり防ぐ必要があるということで日銀としても考えておられるものというふうに存じております。
  112. 矢追秀彦

    ○矢追委員 アメリカの財政当局はこれに対してどういう動きをしておりますか、またすべきであると思われますか。
  113. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 きょう担当の局長がちょっと参っておりませんのですけれども、アメリカの連邦準備当局とはしょっちゅう連絡をいたしております。こちらから何かをどうこう言う、依頼をしているというようなことは別段ございませんが、アメリカ自身も余り乱高下があることは好んでおりません。したがいまして、独自の立場において何かをいたすことはあるいはあろうかと存じますけれども、こちらから特にどうということを依頼をした、委託をしたということはございません。しかし、状況はしょっちゅう連絡をいたしております。
  114. 矢追秀彦

    ○矢追委員 総理が訪米されるというふうなお考えがあるやに新聞報道で見ておるわけです。いろいろな理由があろうかと思いますが、円高基調になってきておる、こんな状況も踏まえての訪米なのですか。その点は新聞報道だけで、大臣に御相談があったかどうか知りませんけれども、いかがですか。
  115. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 訪米云々は私実は承知をいたしておりません。いわんや現在のこの為替の事態でございますか、乱高下はそれなりに対応しなければならないと思っておりますけれども、基本的には先ほど申しましたように全体としてはドルは強くなる方向に行くと考えておりますものですから、総理を煩わすような事態であるとはさらさら考えておりません。
  116. 矢追秀彦

    ○矢追委員 先ほども言われたように、G5から二年たちまして今そういう乱高下が出ておりますが、日本の経済としては、基調として一応回復に向かっておる、最悪は脱したのではないか、したがって景気は底入れと見ていいと私も思いますが、大蔵大臣はいかがですか。
  117. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今朝、経済企画庁の月例経済報告が閣僚会議で了承を得ましたが、その中でも同様な見解が示されました。したがいまして、それは政府としての公式な見解であると申し上げることができるかと存じます。
  118. 矢追秀彦

    ○矢追委員 景気が立ち直り過程に入っておるわけですが、先般出されました緊急経済対策は六兆円規模の財政の追加出動ということになったわけでございますが、これはちょっとタイミングとしては遅かった、私はこう申し上げたいわけです。行革審が言っております内需拡大の起爆剤としての機能という点でおくれた。というのは、少なくも六十一年度補正で公共投資の追加を行いながら、六十二年度当初予算で対前年度当初予算比で千四百九億円の減額、六十一年度補正予算対比では約七千億円の減額の予算を組んだのですね。六十二年度予算の概算要求基準で公共投資はマイナス五%が決められたのでふやせないという事情があったことはわかるのですけれども、六十二年度当初ではうんと減らしておいて急に緊急経済対策をやる、これは山田英介議員が本会議で、木に竹を接ぐということはあるが、これは接ぐのではなく木を折る、これに等しい財政運営であると指摘をしたわけです。私もそのとおりと思います。経済がよくなってきたときにやったらぐあい悪いのですね。だめなときに早く手を打たないといかぬので、そういう意味で私は、緊急経済対策はタイミングが遅かったのじゃないか、こう言いたいわけですね。もちろん、もっとやればいいんだという積極財政への転換というお気持ちもわからないではありませんが、そういう意味で私は、タイミングというものをいつも失してきたのではないか、こう申し上げたいわけです。しかも、本予算の審議中に大型補正を総理が米国へ行って約束してくる、こういうことですよね。だから、なぜ当初予算でもうちょっとできなかったのかと、こう言いたいわけなんです。  そういう意味で、タイミングはちょっとおそかったんじゃないか。今から考えてどう思われますか。
  119. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 六十二年度予算編成につきましては、御指摘のような事情が実は確かにございました。しかし、公共事業としましては、事業量としては何とか増を確保しようと思いまして、五・二%の事業量の確保はあちこちに御協力、御迷惑をお願いしながらいたしておったわけでございます。それだけの努力はいたしたつもりでございますけれども、振り返りましていろいろ御批判は確かにあろうかと存じます。
  120. 矢追秀彦

    ○矢追委員 ちょっと重ねて申し上げますが、もう半年以上早く政府が手を打っておれば、腰の入った財政出動といいますか、それをしておれば、景気の底入れも早まったし、また不況倒産あるいは失業防止にも効果があったと思うわけですね。そういう意味で遅かったので、結局日銀も指摘しておりますように、財政出動を緩やかにしてほしい、こういう注文を日銀がやっておるわけですけれども、そういうことにも結局なってきたのではないか。しかも、今、一部建築資材の値上がり、それから建築技術労務者の不足、いわゆるボトルネックインフレの危険性が、これは日銀も指摘しておりますし、そういう傾向に私もあると思うのですね。  そういうことも考えますと、やはりもっと早い時点でやっておいた方がよかったのではないか。今ごろになってはんと出すものですからわあっといく。だから足りなくなる。こういうようなことでボトルネックインフレというのが出てくる可能性が出てきた。こういう点はどうお考えになっておりますか。
  121. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は、そのタイミングにつきましてのいろいろ御批判は謹んで承りましたが、現状が一種のインフレの危険をはらんでおるかといえば、私はそういうふうに実は考えておりません。確かに、ある種の特殊な職種は、何と申しますか、もともと一種の非常な熟練を必要とするものであったりしまして、だんだん人がいなくなっておるというようなことがあって、長らく公共事業がずっと減ってまいりましたから、それだけ余計そういう人がいなくなったということは局部的にはあろうかと存じますけれども、それはかわりのつかないことでもございませんし、また資材全般について申しますならば、卸売物価が極端なときには一〇%下落しておったわけでございますから、これは消費者にとってはよろしいことかもしれませんが、経済全体の運営としては必ずしも正常なことではございませんで、そんなことも考えますと、まあまあ在庫補てんも行われ始めて経済が正常に動き始めだというのが今の姿ではなかろうか。これだけ稼働率が低うございますし、また設備投資は起こっていないというような状況でございますので、いわゆるインフレというようなふうに私は考える必要はない。むしろここから経済が正常に動き出してくれればよろしいのではないか。我が国のような御承知のように大きな経済がこの間までのあんなデフレ状況から急にインフレになるということは考えられないことでございますし、いわんや、いわゆる近隣の新興工業国NICS等々から、為替関係もございまして、いろんな資材が非常に安く入り得るような状況になり、現に入りつつございますことも考えますと、その点は私は心配しなくていいのではないかと思っております。
  122. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、今は財政出動のタイミングの問題でございましたが、税収見込みについてちょっとお伺いをしたいと思います。  六十一年度一般会計決算の純剰余金が一兆七千六百十五億円という巨額になり、戦後最高の剰余金になったわけであります。歳出の不用額等もありますが、剰余金の主力は、何と言いましても税収見積もりを超えた大幅な増収にあるわけであります。そこで、六十一年十一月に提出された補正予算では、当初見積もりが四十兆五千六百億円から一兆一千二百億円減収にしたわけです。決算を見ますと、四十一兆八千七百六十八億円の税収で、対補正後と比較し二兆四千三百六十八億円、当初予算と比較しましても一兆三千百六十八億円の増収になっておるわけです。六十一年度税収は完全な見込み違い、しかも許容範囲は税収見積もりの一%程度と言われておりますが、これも大きく超えたわけでございまして、この見込み違いというのはどこにあったのか。これは財テク等が大きな原因と見られておるのか。いかがですか。
  123. 水野勝

    ○水野政府委員 御指摘のように、補正後予算に対しましては二兆四千億円の増収でございます。私ども、その時点におきましては全力を挙げて適正な見積もりに努めたわけでございますが、結果としてこのような見込み違いになったことにつきましては大変遺憾に考えておるわけでございます。  二兆四千三百億円の対補正後予算につきましての増収額のうち大きなものは、法人税が一兆三千六百億でございます。その次が有価証券取引税三千八百億、申告所得税二千八百億といったところが主なものでございまして、大体六割近くが法人税であるということで、これが増収額の大半を占めておるわけでございます。  昨年の補正予算、作成いたしましたのは、税収といたしましては十月にその見積もりを立てたわけでございまして、十月に見込みを立てた時点におきましては、税収としては六十一年度の八月末までのものが判明をいたしておりまして、八月末のものでございますと、全体の年度の二六%程度のものが判明しておったわけでございます。そうしたものを基礎にいたしまし見積もる際にはどうしてもかた目になる点は免れないところでございますが、それはともかくといたしまして、その時点におきましては税収の伸びもかなり鈍化いたしておりまして、それからまた、当時は低迷しておりました経済情勢、こういったものも実態でございました。当時の数カ月間の月例経済報告におきましても、企業収益につきましては、これはおおむね停滞感を伝えておるわけでございます。そうしたものが数カ月続いた後の見積もりでございましたので、法人税につきましてはかなりかた目に見積もったというのが実態でございます。その後、税収全体といたしましては、六十一年度、八月、この伸びがほとんど伸びゼロの税収でございましたが、その後逐次税収が上向きに転じまして、特に年度最後の四半期におきましては一〇%から二〇%台までの伸びとなって、二兆四千億の増収と相なったわけでございます。  特に法人税につきましては、製造業を中心に企業の業況判断がかなり停滞感が広がってございました。また、中小企業の業況感も後退しておるというのが月例経済報告での記述でございました。こういったものに引っ張られた見積もりではございましたが、結果として見ますと、製造業の、特に大企業におきましては、収益状況としては、経常利益としては減益でございましても、経常外利益によりましてある程度の収益を確保した、これがかなり大きなウエートを占めておるわけでございますが、そのほかにも流通業でございますとか、電力でございますとか、特にまた中小企業もそうでございますが、円高の浸透等によりまして相当な伸びを示した、こういうことが相重なりまして法人税として約一兆四千億円の増収となり、全体として、そのほかの有価証券取引税土地譲渡所得税あたりの土地、財テクブームを反映しての増収額、合わせまして二兆四千億となったという結果でございます。
  124. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、六十二年度の税収について伺いますが、大蔵省の四月から六月の三カ月間の税収実績発表によりますと、前年同期一五・四%の伸びで、巨額な自然増収を出した六十一年度の同じ四月から六月比の九・六%をも大きく上回っております。この六十二年度の税収が好調な理由というのは、どこにあると見ておられますか。
  125. 水野勝

    ○水野政府委員 六十二年度の税収といたしましては、四月、五月分と申しますのはその大半の収入は前年度に属しますので、六月分税収が年度としては本格的な収納の最初の月でございます。その六月分について見ますと、御指摘のように当月分としては一三%の伸びを示しておるわけでございます。その主なものとしては法人税が一五%程度の伸びを示し、相続税もまた一六%といった伸びを確保し、また有価証券取引税も引き続きまして前年同月の二・四倍といった伸びを示しておるわけでございます。こうした点を反映いたしまして全体として一三%の伸び、また四月、五月、六月の累計といたしましては一五%の伸びを示しているわけでございます。  ただ、これは年度予算の一〇・一%の割合でございます。こうしてまだ一割程度の水準の進捗でございますので、これをもって年度全体をどうこうというあたりになりますと、まだ自信を持って申し上げられる段階にはないわけでございます。
  126. 矢追秀彦

    ○矢追委員 六十二年度の税収見積もりは、対前年度当初予算比六千三百四十億円の増、補正後対比では一兆七千五百億円の増としております。しかし六十一年度決算と対比しますと、六十二年度の税収見込みは六千八百二十八億円減ることになるわけです。今確かに言われましたように、六月だけでの判断ではそれは言えないかと思いますが、現在の景気の状況からいいますと、六十二年度の税収が六十一年度決算より減るということは私は考えられないと思うわけでございます、またそうあってもならないわけでございますが。  このように税収見積もりが相当狂ってきておるのは、どういうふうなところに原因があるのか。一つは、こういったものは財テク等の一過性のもので、六十二年度にはつながらない、そういうふうな認識を大蔵省は持っておられたのではないか、その点についてもお伺いをしたいし、また景気回復のあり方についても、見方というものについて少し狂いが出てきておるのではないか、こう思うわけでございますが、その点はいかがでございますか。その税収見積もりが、景気回復期には過小になり景気後退期に過大になる、こういうふうな癖がどうもあるような気がするわけですね。こういったことを大蔵当局は見直していただいて、修正する努力というものが足りなかったことを反省してもらわなければ困るのではないか。そういう点で、六十一年度、六十二年度税収の過小見積もりということはこれを証明しているのではないか、こう思うのですが、この点はいかがですか。
  127. 水野勝

    ○水野政府委員 六十二年度の当初予算自体が六十一年度決算額を下回るという結果になっておることは、御指摘のとおりでございます。それは、補正後予算に対しまして二兆四千億円の増収が生じていることから、結果的にそうなっておるわけでございます。ただ、この六十一年度予算の伸び率と申しますのは九・六%となっておりまして、久しぶりに二けた近い伸びでございますが、これがGNPに対しますところの割合、いわゆる租税弾性値で見ますと二・一五という数値になってございます。こうした弾性値の点から見ますと、これは過去十年平均でございますと一・一程度と申し上げておったところでございますので、その二倍近い数値でございまして、こうした高い数値は、こうした弾性値をとり始めて以来余り例のなかったことでございます。  したがいまして、六十一年度の税収と申しますのが、経済の実態を反映する部分以上に財テクでございますとか土地の動きでございますとか、こうした異常な要素を反映しているものと私ども考えざるを得ないわけでございますので、この六十一年度の伸びが今後とも続くものであるとか、あるいはことしも六十一年度程度のような増収額が生ずるといったようなことは、私どもなかなか考えにくい点でございます。昭和五十四年度にも二兆二、三千億円の増収が生じたわけでございますが、それをそのまま伸ばしていきました結果、昭和五十六年度は三兆円、五十七年度は六兆円という大幅な欠陥を生じたこともございますので、見積もりといたしましてはやはり慎重にならざるを得ないわけでございます。  ただ御指摘のように、どうしても税収見積もりはその時点、その直前の数値に引っ張られる傾向がございまして、景気が上がっていくときにはそれを十分見込めず、また下がっていくときにはその減少、減退を十分見込むことができないというのは、どうも大きな傾向としては御指摘のような点があるわけでございます。こうした点の余り生じない、大きな狂いのない見積もりをするように常々心がけてはおるわけでございますが、結果としてことしのように大きな乖離が出たことは私ども十分反省し、今後の見積もりにも生かしたいと思っているわけでございます。
  128. 矢追秀彦

    ○矢追委員 大蔵大臣、私昨年の補正予算のときだったと思いますが、経企庁長官と経済見通しについて大分議論したわけですけれども、大体狂っていることが多いわけでして、これは予想ですから、また経済も大変変動しておる時代ですから私はきちっと当たれとは言いませんけれども、今主税局長言われたように、この税収見積もりのあり方ももう少し何とかならないのか。今までのような考え方ではなくて、もう少しデータの収集の仕方とかそういうことをやれば、こういう狂いは生じないような税収見積もりができるんじゃないか。これだけいろいろ発達した時代ですから、私は、数字とか統計とか推計学というものの上からももうちょっとできるんじゃないか、そういうふうな、技術面は別として今までの、先ほど言われたような、私が指摘した癖というものは直していただかないといかぬのじゃないか、こう思うのですが、その点いかがですか。
  129. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 むしろ時代が非常に発達したものですからこの見積もりが難しくなってしまって、そういう意味では私は、本当はそう詳しく知ってお答えするのではないのでございますけれども、大変に精緻なというか、結局は練達の人たちの最終的には勘のようなものが物を言っているのじゃないかと思うのでございます。それはいろいろに説明はございましょうけれども、そうでありませんと今回のようなことの説明は難しいわけでございますので。  それで、私が今思っておりますのは、先ほど政府委員が申し上げました六十一年度の増収の要因は非常に一過性のものが確かに多い、他方でしかし矢追委員が言われますように、景気は少し回復過程にあるではないかということはございます。ですが、ちょっと下手な例えで殊に御専門の方に申しわけないのですが、六十一年どれだけペースメーカーが仕事をしてくれたのか、これがとまったら本当の心臓がどのくらいの仕事をするのかが実はよくわからないというのが今の段階では本当ではないか。殊に、進捗率が一〇%でございますものですから、もう少し様子を見ませんと何とも申し上げられない。  その推計の方法でございますけれども、それも専門家がいろいろに検討してくれていることは間違いございませんが、例えば経済見通しについて消費の見方が御承知のように非常に難しくなって、データが少ないとかいったような同じような事情がこの税収見積もりにもあるらしゅうございまして、一生懸命勉強をみんなにしてもらうということであろうと思います。
  130. 矢追秀彦

    ○矢追委員 私、楽観論かもわかりませんが、経済、景気というのは回復基調が今まだ続く、したがって税収も今年度はかなり伸びるのではないか、そういう私なりの見方をしておるわけです。それで、話がまたもとに戻って恐縮ですけれども、したがって減税財源は何とかひねり出せるのじゃないか、私はこう思いますので、ぜひ上積みを強く要求をしておきたいと思います。  次に、財政再建の問題でございますが、これもこの前にも大蔵大臣とも随分議論をして、あるいはまた蒸し返しのような質問でございますけれども、六十五年度の財政再建目標は変えない、これは変えるなんて言えないと思いますけれども、しかし、この間私ここで大臣議論した中では、大臣は財政再建計画の見直しは示唆されたと思っておるわけでございます。中曽根総理は依然として、やり方によっては財政再建は可能である、こう強弁をしておられますが、少なくも六十五年度に赤字国債ゼロというのはもうできない、これは私は確信を持って——今のままだとですよ。相当ドラスティックにやればこれはまた別ですけれども、そう思うわけでございまして、まず財政再建計画の見直し、されるならば、大体どういうふうな、大ざっぱな青写真をお示しいただければと思います。今、頭の中に考えていることで結構です。
  131. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、さっきあんなことを申し上げておいて、そのすぐ次におかしいのでございますけれども、ちょっと経済の動きがよくなってまいりまして、事情はともあれ、剰余金というようなことがあったりいたしますと、この六十五年度というのも望みなきにはあらずかなという気持ちがちょっとしておりまして、余り容易なこととは思っておりません、厳しいとは思っておりますけれども。ですから、もう少し経済の動きを見たいなという気持ちが実はしておるのでございます。かたがた、今からそのときを想定いたしましてどういう経済の運営になるかということは、昨今のように海外要因等にひどく影響されますと、なかなか前もっては読みにくうございまして、そんなこともございましてもう少し時間をいただきたい、こう思っております。
  132. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今、大臣少し希望があるように言われましたが、その希望をへし折るようで恐縮ですが、これはこの前も言ったことですけれども、中曽根内閣が予算編成を手がけた五十九年から六十二年度までの四カ年間の赤字国債削減の年度平均額は五千億です。これは目標の半分です。この削減のおくれに伴って、六十五年度まで残り三カ年度は毎年一兆六千六百億円の削減が必要になります。これは御承知のとおりです。だから、実績の三倍を超える削減になるわけです。これは幾ら経済がよくなっても、ちょっと厳しいのじゃないかと思うのですね。大臣も、経済の潜在成長力を引き出し、財政も潤うようにしたい、こう言われております。それは、これも一つですね。  ところが、中曽根内閣のもとで名目成長率が高かった五十九年度、六・七%成長、六十年度が五・九%成長の、赤字国債削減が三千五十一億円と三千六百六十四億円で、経済成長率が高くても赤字国債の削減は目標の三分の一、こういうことになっておるわけですね。それは、いろいろな財政支出の要請等があってやむを得なかったというようなことに答弁はなろうかと思いますよ。しかし、大臣は、成長率がよくなったらいけるんだ——確かにそれは減らせることは事実ですが、今のこの中曽根内閣の四年間を見た限りにおいては、成長率が上がったときでも三分の一しか来ていない。しかも、四カ年平均の五千億より削減額は低いわけですね。  そうすると、こういうことからいいますと、仮に成長率が大変上がったとしても、この六十五年に脱却というのは非常に難しいのじゃないか。なお、五十九年、六十年両年度の名目成長率六%台、それから実質成長率でも五十九年度は五・一、六十年度は四・三、こうなっていきますとなかなか厳しいのじゃないか、こう思うわけですね。そういう意味で大蔵大臣が腹案とされている成長率、どの辺を想定されているか知りませんが、その場合、単年度で税収がどれくらい伸びて、自然増収がどれくらいになって、赤字国債の削減がどれくらいできて、一兆六千六百億円を補えるのかどうか、こういうふうなこともちょっとお聞きしたいわけです。  ちなみに実績を申し上げますと、五十九年度は一兆四百億円、六十年度は一兆四千百億円、六十一年度は一兆三千八百八十億円、六十二年度はがたっと減りまして五千七百八十億円、これは先ほどの議論になりますが、自然増収、これは当初予算の際の見込みですけれども、こういうふうな状況なんですね。だから、成長率が上がったから減らせるかというと、なかなかそううまくいかぬのじゃないか。また、余りねらい過ぎると、ちょっと私、先ほども触れましたようなインフレということも出てくる。こういうことで果たして六十五年度可能かどうか、重ねてお伺いします。
  133. 斎藤次郎

    ○斉藤(次)政府委員 実は、過去の姿、公債減額の実額等、すべて御指摘のとおりでございます。したがいまして、ことし国会に提出しました財政の中期展望によりますと、今後毎年特例公債については一兆六千六百億減らしていかなければならぬということでございますので、もとより相当難しい姿だろうと思います。ただ、大臣が申されましたように、六十一年度の自然増収も相当大きかったというようなことも背景にあり、歳入にかなりの期待が持てるとすれば、私どもが今まで続けてまいりました経常部門を中心とする一般歳出の削減努力を重ねていけば、この目標が到底不可能——もちろん、もとより困難でございますけれども、到底不可能とは言えないのではないかという希望を持っておるということであろうかと思います。
  134. 矢追秀彦

    ○矢追委員 だから、成長率、もちろん上がって減ることもそれはそうですけれども、私もそれだけで全部が解決するとも思っておりません。ただ、財政再建計画が出されて今日までずっと来てなかなかできなかった。それには、やはり具体的な脱却のためのプロセス、方法論、こういったものが明確に示されてなかったところに大きな原因があるのじゃないか。だから、なかなか計画どおりいかない。もちろん先ほど言われたように、今の日本経済は大変海外の要因もあるし、大変な変動というのもあります。だから、きちっと計画経済のようなわけにはいかぬと思いますけれども、もう少し具体的なプロセス、方法論があってもよかったのじゃないか、こう思うわけでございます。  例えば、毎年度一兆円の赤字国債削減が具体的な積み上げた計画の結果出されたものであるならば、NTT株の売却益で定率繰り入れを補うようになった分は赤字国債削減に寄与しなければいけないはずです。ところが、六十二年度から六十五年度まで毎年一兆八千三百億円NTT株売却利益で定率繰り入れ相当額を補っても、別段財政再建が計画より早まることは余りないのじゃないかと私は思う。むしろ当時はこういうことは、売却益は考えていなかったわけですね。たまたまそういうのが出てきて役に立っている。これはありがたいことではありますけれども、決してこれも長続きするものではない。だから、この種の歳入というのは、財政再建には極端に言うと神風みたいに吹いてきたものでしょうけれども、本来の計画の線上にはなかったものですから、そういうことを除きますと、やはり本来の方法論あるいはプロセスというのが出されなかったところに問題がある、こう私は指摘したいわけでございます。だから、今後これをどうされていくのかですね。合成長だけを待っておるようじゃ、これはやはりちょっと問題があると私は思うわけなんです。その点はいかがですか。
  135. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いつぞやも申し上げたことでございますけれども、もう少し日本の経済にはやはり成長力が潜在的にあって、それを何とか引き出せないか、神風はそのためには幾らか役に立ってくれるというふうに実は思っておるわけでございますけれども、そういうふうな運営ができないかな、そうすると財政もある程度そこから均てんをするというふうに思っておりまして、願わくは、今経済が動き出しました、それがその始動であることを私としては願っておるわけなんでございます。  そういうことがございまして、実はもう一つの事情は、非常に達成は厳しいのでございますけれども、それならば今度はどういう目標を置くかということになりますと、これはまた、今からかなり先を予測してこういう目標なら達成できるという、その作業がまた実は容易なことではないと思います。  そういうこともございまして、こういうかなり激しく変わっているときでございますから、とにかくベストを尽くしてやってみまして何とか達成いたしたいと思いますが、しかし、ある段階でそれがもしどうしてもということであれば、今度は一番到達し得る目標を、そのとき利用し得る最新のデータでやはりつくり上げていくということをいたさなげればならないだろう。今から変わったものをつくれるかといいますと、なかなか今の段階では、どっちみちできないという感じがございますから、ベストを尽くしてみたいと思っているわけでございます。
  136. 矢追秀彦

    ○矢追委員 もう一つ大きな問題は、一応財政再建計画は赤字国債発行ゼロということで来ているわけですけれども、これは前にも私もしばしば指摘しております残高の方、こちらの方をやはり減らさないと、結局財政の体質強化ということにはなってこない。だから、百五十兆円という国債残高、六十二年度当初予算で利払い費が十一兆三千三百三十五億円、国債費の一般会計の比率がもう二〇・九%、言うなれば三割も借金の利息を払うということは大変なことになっておるわけです。これがこれからの一つの大きな縛りになってくる。片方で赤字国債を減らしていく、これもまことに結構ですし、やっていかなければなりませんが、むしろこちらの方をもっと本気になってやらないといけない。これは中曽根総理に私も何回か言ってきたわけですが、なかなか減ってこない。これは過去の累積でございますから大変な問題だとは思いますが、これをどう減らしていくか。  これはやはり、中長期の計画を立ててこの国債残高を減らす。手品みたいなことはできないと思いますが、一番足かせになっているのは、百五十兆を上回る国債残高の中の約半分を占めるこの赤字国債の残高、これがやはり一番きつかったと私は思うのですね。仮に百五十兆が七十兆から八十兆ぐらいになれば、財政運営は非常に楽になると思うのですね。少々の建設国債も発行できる、赤字国債はもちろんゼロでいける。一遍に七十兆円借金を返すにはどうするか。これは一遍には無理だと思いますが、そういうふうなことを一つの目標に置いた残高を減らすプロセス、これは臨調でも言われております、公社公団あるいは事業団の民営化ということも一つの手段で、今まで三つやられましたね。今度は日本航空の株が公開されてきます。いずれたばこの方も公開されるでしょう、値段がどうつくかは、これは今後の問題でわかりませんけれども。たばこだってなかなか今厳しい状況ですけれども、将来は、あの研究所なんというのはかなりのノーハウを持っています、いろいろなにおいであるとか味であるとか、そういったことでもっと事業、営業というものを拡大をしていくならば、たばこ自身の売り上げが減り、利益が減っても、またほかの方でいく可能性もありますから、株価としてはいい値がつく可能性もあるやに私は考えておるわけでございます。  そのほか、道路公団あるいはその他の公団も民営化できるものはやっていく。ただし営業の範囲も広げないと、例えば道路公団といったって、これは道路だけではやっていけませんから、もっと幅の広いものをやっていかないといかぬと思いますが、そういう民営化へのことも考え、そういった株を売却して借金の残高を減らしていく。そういったことも含めて、そういうプロセスというもの、中長期的に残高をなくす方法、今まで、赤字国債をゼロにするということだけが財政再建計画だったが、今度はそっちの方をやって財政の体質を強化する、これこそむしろ真剣にやっていただきたいと思うわけです。  大蔵大臣も非常に専門家でございますし、これからまた大きな立場になられれば、私たちも大変期待をしておるわけでございます。この残高削減の中長期計画をつくれば、少なくも二十一世紀、新しい世紀を迎えるときにはもう財政体質が強化している、そしていろいろなことができるというふうに私は思うのです。私なりに、公社公団の民営化をしたらどれぐらいになるかという計算もやってみたのですけれども、ちょっとバラ色かもしれませんけれども、約百七十一兆ぐらいになる計算もしておるわけでございます。そういうことも含めて、この国債残高の削減をぜひやっていただきたい、こう思うのですが、いかがですか。
  137. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはまことに御指摘のとおりでございます。ですから、ともかくこれ以上水かさがふえないようにまずしなければならないわけでございますが、そうなったからといって、しかし洪水の状態が終わりたわけではありませんで、一般会計の二割が国債費であるということは何といたしましても耐えがたいことでございますから、やはり言われますように、電電のようにみんなうまくいくとは思えませんけれども、しかしできるだけの努力をして、不要不急のと申しますか、あるいは多少入り用なものでも、資産的なものをできるだけ処分をしていってこれを減らしていくということにいたしませんと、本当に財政の弾力性というのはもう大変に弱くなっておりまして、御指摘のとおりだと思っております。
  138. 矢追秀彦

    ○矢追委員 最後に、国際金融機能の強化ということで、地元大阪のことで恐縮でございますけれども、オフショア市場、これは残念ながら東京に全部集中しておりまして、大阪ではまだ約一%というふうな状況です。データは大蔵省からはいただけないのです。実態がなかなかつかめないようですが、私の大阪で調べたところによりますと、もう大体九九%は東京、大阪でわずか一%。それでもゼロよりはましたということで、関西の財界も熱心にやっておるわけです。  それから、先物五〇は御承知のように大阪で始まりました。今後関西国際空港ができますと、かなり大阪も国際都市にしていかなければならない。そこで、大阪というのは商売の町できたわけでございますから、やはり金融というものも大阪にかなり強いものを持っていきたいという希望があり、関西の財界を中心に、審議会等ももうすぐ発足をいたしましてやられるわけでございます。そういった意味で、この国際金融機能を強化する上から、そういった施設をつくっていきたいわけなんです。  ところが、せっかくできました民活法によると、こういった金融関係の方はプロジェクトの対象になっておらぬのです。だから、ぜひこれは民活法の対象に入れてもらいたいというのが地元の強い要望であるわけです。それからあと資金の問題等、これはNTTの売却益なんかもねらって、無利子の融資をねらっておるわけです。今回は間に合わないかもわかりませんが、次の機会にはぜひこの無利子の融資ということも考えてもらいたい。  そういうことを含めまして、東京、東京、東京ということになるから、土地もこれだけ気違いじみて上がってくるわけでして、やはり地方にいろいろ分散をしていかなければならぬ。その一つとして、せっかくこれから二十四時間空港ができるわけですから、関西に国際的な金融も強いものをつくりたい。東京から全部取ってしまうという大それたことまで考えておりませんので、こういった点で、ひとつ民活法の対象にしてもらうようにしてもらいたい。それから、いわゆる無利子の融資、NTT売却益のそれの中に、今回は少々無理でも、次の機会にはぜひお願いをしたい。地元では、審議会もできてこれから進むわけでございますから、強く要望して、質問を終わりたいと思います。できたら答弁をお願いします。
  139. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまの点は、先般四全総が決定になりますときにも、大阪をどういう位置づけにするかということでいろいろ御議論がございましたことをよく承知しております。先物市場も開かれましたし、また先般アジア開発銀行の総会をやっていただきましたときにも、本当に経済界一団となられまして大変な御協力をいただいて、これは、将来の金融センターとしての大阪というものをやはり皆さんがお考えでいらしたことも、あのときにお世話になりましてよく存じております。  今のお話でございますが、民活法そのものをまた改正するというようなお話もあるようでございまして、何かそういう方法でお役に立てればいいなというふうに考えておりますけれども、また具体的に、殊に四全総でもああいうことを言っておられますので、私どもとしても、お助けができればぜひしたいということを考えております。
  140. 矢追秀彦

    ○矢追委員 終わります。
  141. 池田行彦

    池田委員長 上田卓三君。
  142. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 まず、宮澤大蔵大臣に質問申し上げます。  本来ならば、前国会の結末といいますか、税制改革については、議長あっせんに基づく与野党税制議会の結論を待って、そして一定の結論のもとで政府が判断をして、今回出されている法案は出されるべきではなかっただろうか、こういうように思っておるわけでございます。そういう点で、国民の多くの皆さん方もそのように期待もしておったし、我々野党側も、途中で議長によって三カ月後に中間報告というような形で、結論が出ないままに今国会が始まっている、こういう点について非常に遺憾に思っておるわけでございまして、その点について大臣はどのようにお考えでしょうか。
  143. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 前国会の終わりに、税制改革協議会が議長のごあっせんによって設置されまして、十二回にわたる御審議をいただいたわけでございます。  私どもといたしましては、片方で、いろいろ国の内外の情勢の中から緊急経済対策を決定いたしておりまして、その中でも一兆円を下回らざる所得税等の減税をいたしたいということを考えております。これは内外の状況から、国民の御要望でもあったと思うのでございますが、そういうことがございまして、七月二十日過ぎに税制改革協議会の報告が座長の責任において行われました。なお、今後継続をして御協議になるということは存じておったわけでございますけれども所得税の減税を年内に行うといたしますと、この時期に立案をさせていただきませんと事実上間に合わないというようなこともございまして、今後協議会が続行せられるということでございますので、抜本改正につきましては協議会の今後の御協議の推移を見ることといたしまして、当面の措置だけを政府としてとらせていただいた、このような事情でございます。
  144. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 前国会において売上税法案を初め六法案が廃案、こういうことになったわけであります。今臨時国会において、マル優の原則廃止とそれから所得税減税と抱き合わせで二法案が提出される、こういうことであるわけでございますが、税制議会で合意されておるのは、中堅サラリーマンを重点とする所得税減税ということでございまして、いわんやマル優の廃止というようなものについては合意を見てないわけでございます。そういう点で、我々もまた国民も、そういう税制議会の結論を待たないでマル優の手直しをして廃止法案を提出する、所得税減税についても非常に不満足な状況である、こういうことでございます。  この秋の、宮澤蔵相も総裁候補のお一人でございますけれども、新しい総理・総裁が生まれた新内閣のもとで、今度は残りの、恐らく売上税法案という名前にはならないだろうと思いますけれども、名前は別にして、大型間接税とか、あるいはひょっとすれば法人税減税なども抱き合わせという形になるのかどうかわかりませんけれども、そういうことを第二弾ではまたやってくるのではなかろうか、こういうような感じ方をしているわけですが、そうなるわけですか。
  145. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実はそこのところは、これからの税制改革協議会の御協議の推移を、私どもとしては注意深く見させていただきたいと思っておるところでございます。  本来でございますと、例えば今回所得税改正案を御提案申し上げておりますが、私どもとしては、行き先の最終的な所得税、いわゆる中堅サラリーマン等を中心にした負担軽減、最初の最低税率で非常に広い所得範囲をカバーしたいといったような考え方は、そして段階を簡素化するというようなことは、何とか実現をさせていただきたいと思っておることでございますし、また法人税につきましても、もう少し低い税率にいたしませんと国際的に問題がある。しかし、そのためにはまた、他の増税措置も法人税自身について必要があるといったようなことで、所得税、法人税につきまして、実は仕上げたい姿というものを頭の中には持っております。持っておりますが、それは前国会のような結末でございましたから、この際先のことを今申し上げるにしては、税制改革協議会がまだ御検討中である、いわんやその直間比率の問題になりますとなおさらそうでございますから、そういう意味でただいまとしては、当面急ぎます入り用なものだけを御提案して御審議をお願いしております。  私どもの気持ちの中に、将来、二十一世紀に至るまでの、シャウプ以来の税制改革をしておきたいという気持ちは強く持っておりますけれども、最近ああいう経験をいたしましたので、それにつきましては、税制改革協議会の御審議をもう少し慎重に見守らせていただかなければなるまいというのがただいまの態度でございます。
  146. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 春の通常国会のときは、減税増税同額、こういう形で、そういう意味では減税の財源というものが明らかになっていたと思うのですね。今回は所得税減税、規模の問題はあるわけですけれども、その財源ということになりますと、前回のような売上税という形にもならない。マル優の原則廃止、こういうことですが、これも減税の財源にはなりませんね。来年の一月一日からというのが幹事長の提案で四月一日、我々はそれ自身も反対でございますけれども、そうすると今回の税制改革、一部ですが、これは、そういう意味では増税減税、この抱き合わせといわゆる同一というような原則は外れておるのじゃないかと思うのですが、それはそういうことですね。
  147. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま御提案しております所得税減税は、御指摘のように、いわばすぐに実現できるような恒久財源を伴っておりません。恐らくは、今年度でございますと、これは前年度剰余金で処理をしなければならないものであろうと存じます。これは恒久財源でございませんから、まさに御指摘のとおりでございます。
  148. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 先般、本委員会で可決されましたNTT株の売却益の二法案でございますけれども、本来は、中曽根総理も昨年夏の同日選挙で、減税財源は十分ある、それはNTT株を売り払うその差益それから日航株あるいは国有財産を売り払う、こういうような形で具体的に減税財源について述べられておったわけですね。当然、マル優の廃止は考えておりません、あるいは大型間接税導入しません、こういう形でワンセットで選挙公約されておったというふうに我々は記憶しておるわけです。ところが選挙が終わると、大型間接税という名前ではないにしても、そのものずばりの売上税という法案が出てくるとかあるいはマル優の廃止、こういうようなことでございます。また今回、この減税の財源についてNTT株の売却益、こういうことで我々自身も減税財源に充てるべきだ、こういうように思っておりましたけれども、そうじゃなしにいわゆる補正予算の財源の一部に充てられる、こういうことになって、我々としては非常に残念に思っておるわけでございます。  NTT株の議論のときにも出ておりましたけれども、やはりそういうNTT株については恒久財源ではない、こういうことのようでございましたが、しかし、そういう恒久的な財源については税制議会で十分議論をすべきであって、少なくとも短期的な財源として、ここ三年、四年ぐらいの分についてはNTT株の売却益等、あるいはさらにサミット後でございますけれども、そういう六十一年度の剰余金というものが予想外の額として出てきた、こういうことでございますから、我々としては減税財源、少なくとも我々は二兆円以上の所得税減税を要求しておるわけでございますが、当然そういうものが充当されて財源は十分にあると、こういうように我々は考えざるを得ないわけでございます。  それだけじゃなしに、先ほど矢追委員の質問の中でも主税局長の方からも御説明ございましたように、六十一年度についても、六月期だけ見ましても前年対比で相当な伸び、こういうことで一年間全体を推しはかるわけにはいかないということのようでございますけれども、蔵相の方からも景気についてもやや上向いてきた、こういうようなやはり底をついたというような感じをしていられるのではないか、あるいはそういうことを期待する、こういうような発言もあったと思うのでございまして、そういうことを考えたらこのマル優を——マル優の問題は、後から具体的な質問をしたいと思うのですけれども、そういうものを財源としなくとも、当面の減税財源というものは十分確保できるのではないかというように思うのですが、その点についてお答えいただきたいと思います。
  149. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まず、昭和六十二年度について申し上げますならば、六十一年度の自然増収、余剰財源が相当ございますので、それだけでぴちっと十分とは申し上げられないと思いますけれども、かなりの部分がそれで賄えると考えられますので、まず今年分の減税につきましては、ともかく財源というものは何とかなるという感じでございます。御指摘のようにマル優利子課税が財源として育ちますのにはかなりの時間がかかりますので、これがいきなりことし、来年の財源だとは申し上げられません。  したがいまして、今度は六十三年度の財源はどうなるかということになってまいりまして、御指摘のようにまた自然増収がもう一遍あるかないかといったようなことは、どうもただいまの段階で議論をするのにいろいろ不確かなことが多過ぎるということでございますので、したがいまして今年度はどうかなるにいたしましても、来年度のこのベースでの所得税減税をどうやるのか、あるいはお気づきのように法人税そのものは減税だけが先行しておりまして、それに伴わせたいと考えておりました引当金等々の増税措置は伴っておりませんので、ここからも実は財源のない減税が行われているという両様の問題がございまして、来年度につきましては、ちょっとただいまのところ何とも財源措置がついておらないというのが現状でございます。
  150. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 せっかく恒久的なというのですか、半永久的なそういう財源ということにはならないにしても、当面の減税財源としてNTT株の売却益が見込まれておったにもかかわらず、それを減税の方に回さぬ、内需拡大というのですか、そういう部分に回すということで、そうしてマル優の廃止についても当面期待できない、こういうことで減税だけが先行するということになりますと、その減税財源としてどうもないということで、結局またぞろお化けじゃございませんけれども、直間比率の見直し云々ということから、やはり行き着くところは大型間接税しかないじゃないか、そこへ持っていくためにわざと仕掛けたような感じを我々は受けるわけですが、そういう点、どうですか。
  151. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いやいや、これは決してわざと仕掛けておるというようなことではございませんで、これはもう先般の経験は私どもにとっても非常に深刻な経験でございましたから、そういう意味で、真剣に議長のごあっせんによる税制改革協議会でこの辺を、あそこには直間比率ということもございますので、各党間で何かのコンセンサスをお出しいただけないかというのが私どもの実は念願でございます。
  152. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 幾ら説明されても、この春のときは減税増税同額という形で、減税の財源を明らかに増税でもって充てておったにもかかわらず、今回は一歩後退したといえば後退したことになるにしても、減税だけが先行する、マル優の廃止という問題もありますけれども。そういうような形というのはどうしても、幾ら説明しても国民自身は疑心暗鬼で、今度はまた上手な手を使ってごまかしにかかったというふうにとらざるを得ない、私はそういうふうに見守っておるわけでございます。このことについても答弁は要りません。  さらに、具体的にマル優の廃止、まあこれは与野党の国対委員長合意に反するわけでございまして、ただ宮澤大蔵大臣は、いやマル優については、これは前の部分をそのまま出したのじゃなしに手直しというのですか、そういう意味で原則廃止、こういうことだと、こういう提案の中身でございますけれども、これについてもやはり国民として、我々としても腑に落ちないのは、やはり中曽根総理がベネチア・サミットに行きまして、そうして税制改革のうち貯蓄優遇税制の改革をするのだ、マル優を廃止するのだ、こういうことを公言して国際公約のような形になって、そして政府・自民党がそれを受けて、しかしそのまま出したのでは与野党合意に反するということで若干手直しをしたのは、前のままであればこれは与野党合意に反するけれども新しいものだ、こういうような言い方ですね。これは国民にも我々にも通らないと思うのです。去年のダブル選挙で、大型間接税は絶対導入しませんと言って売上税。同じことなんですよね。そういうことで、マル優については若干改善というのですか、前回とは違う趣あることも、これまた事実でありますけれども、私は原則的には変わっていないのではないか、こういうふうに思うのです。  そこで、具体的に宮澤大蔵大臣にお聞きしますが、マル優が原則的に廃止されたら我が国の貯蓄率が下がって、そしてこれが国民の購買力につながって内需の拡大になるのですか。そこのところをひとつお聞きしたいと思います。
  153. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 長い将来のことはともかくといたしまして、私自身、これは証明も何もできませんことでございますので、直感的にどう考えるかとおっしゃいましたら、マル優が廃止、利子課税がああいうことになりましたら貯蓄から消費にそれが移っていくだろうか、私は余り大きな顕著な変化は短時間の間にはないのではないだろうか。これは証明も何もできませんので、直感的にどう思うかということだけでございます。
  154. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 しかし、我々の理解するところでは、マル優の廃止というのは、日本は貯蓄率が高い、特に貿易収支の大幅な黒字、こういうことで輸入高が少ないじゃないか、こういうことからマル優を廃止すれば内需の拡大につながって、そしてひいては貿易摩擦の解消につながる、こういうような認識があったのじゃないですか。それはどうなんですか。
  155. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのひいてはというところでございますけれども、問題であったのは貯蓄率が高いということであるよりは、それを政府が制度的にいわば助けておった、あるいは補助をしておったということがむしろ問題であったのではないか。したがって、それはいろいろ国際的に批判もされておるところでございますから、そういう批判にはこたえておきたい。しかし、それならばその結果としてすぐに消費がふえるであろうかということになりますと、それはすぐにそういうことになっていくものではないのではないかというのが私の直感でございます。
  156. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 大臣はそのように考えていられるかもわかりませんけれども、やはり一般国民として我々野党の立場から理解すると、何か貿易摩擦の解消のために内需の拡大——我々、何も貿易摩擦の解消のために内需拡大というのじゃなしに、国民生活という立場から見てもっと社会資本を充実すべきではないか、もっと内需を拡大すべきではないか、ひいては貿易摩擦の解消ということにもつながるじゃないか、こういう考え方でございますけれども、欧米あたりは日本は売りつけるばかりじゃないか、なかなか買わぬじゃないか、そして国民は貯蓄率が高いではないか、そういうものに対して優遇しているから貯蓄率が高いのだ、そういうものがなくなったら貯金しないでそれは消費に回るのだ、ずばり言うならばそういう論調だと思うのです。だから、サミットで中曽根総理がマル優を廃止すると言ったときには世界各国の人たちは、日本はそういう優遇制度をやめて、そして今まで貯蓄に回っていた部分が消費の拡大に回るのだ、ひいては我々の品物を買ってくれるのだ、そういうふうに思うのは当たり前じゃないですか。その点どうですか。大臣の意図じゃなしに、結果的にそうなるのじゃないですか。
  157. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはやはりサミットでも議論があったようでございまして、そういうふうに考えた筋もあったかもしれません。しかし、日本人そのもののいろいろな理由から貯蓄性向が高いということも彼らは知っておりますから、結局制度としてそれを助けておる必要はないではないかというところまでは多くの人が考えたようでございますが、その効果については恐らく見方は分かれておっただろう。ただしかし、少なくともやめればそれは何がしかはプラスになるというぐらいのところ。その時期、あるいはその大きさについては、いろいろみんな意見は分かれておったのではないかと思います。
  158. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 当然、そういう見方はいろいろあると思うのです。それは、いろいろ考え方があってしかるべきだと思うのです。当然私たちもマル優を廃止したからといって、貯蓄に回っておったものが消費に回ると決して思っておりません。それでなくても低金利時代で、本当に金利が下がっておる状況のもとで、さらに庶民の本当に大事にしているマル優部分に二〇%の税金がかかるということは二重、三重の重圧であろう、こういうように私は思っておるわけであります。     〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕  しかし、一般的にマル優廃止の口実、そういうようになれば内需が拡大するということが、大きなそういうことなんだと庶民にも思い込ませ、世間にも思い込ませるというようなものがあったと私は思うのです。そうでないなと思いながらも、何かそうしたらなるのだという暗示をかけて、しまいにそう思ってしまうという向きがあった、私はこういうように思うのです。そうでないと、また日本は、中曽根総理は世界の国民をだました、結局内需の拡大には一つもつながってないじゃないか、消費に回ってないじゃないかというようなことになるわけでありますから、やはりそういう日本人に対する不信をなくすようにしなければいけないのではないか、こういうように思うのです。そういう意味で、余り思いつき的に言うことは、私はいかがなものであろうかということを申し上げたいと思います。  そこで、日銀の中にある貯蓄増強中央委員会、これは六十一年、「貯蓄に関する世論調査」という本でございますけれども、この中で全世帯に、要するに貯蓄をする目的を調査しているわけですね。なぜ貯蓄するのですかということでございますが、幾つか例示がありまして、その中で一つだけ答えなさいという部分と、三つあるいは三つ以内、三つまで書き込む。二つという場合もあるわけです。  その調査結果によりますと、一つだけ答えなさいと言ったときに、「病気・災害の備え」と言った人が三一・六%。やはり病気というのは、不時の災難というようなことも含めて非常に心配である。三つの中に入っているのが七五%。四人に三人までがやはりそういうことを答えておるということですね。それから「老後の生活費」。これは一つだけ選びなさいと言ったときは一五・九%、三つ以内の場合は四二・五%ということですね。それから「こどもの教育費」。これは一つだけと言ったときに一四・三%、三つ以内の場合は四四・七%。非常に高い率を示しておるわけです。そして「土地・建物購入などの資金」、手が届かぬということもあるかもわかりませんが、一つの場合は九・九%、それから三つの中に入っておったのが二〇・五%。  大体傾向はわかっていただけると思いますが、やはり医療の問題と老後の問題と子供の教育、それからマイホームというのですか、そういう土地とか建物に対する気持ちというのがあらわれておる、私こういうように思うわけでございまして、そういう点でマル優の貯金している人たちは、やはりそういう立場で利用しているというように理解できるのではなかろうか、こういうように思っております。  それから、例えばこのマル優の廃止の論拠。もう一つの論拠には、不正利用による不平等の拡大というのですか、そういう点で悪用しているということ。あるいは、大蔵大臣は特におっしゃっているのは、勤労所得からよりもやはり資産所得から税金を取るということが正しいのではないか、こういうことを言っておられるわけでございますが、去年の三月末現在で個人の貯蓄残高が五百三兆円あるようですね。そのうちマル優などの非課税分が二百八十六兆円、これは間違いがあれば局長からも答えてもらっていいと思うのですけれども。その中で、非課税の二百八十六兆円の中身でございますが、郵便貯金が約百二兆円、四億二千口、そしてそれ以外が約百八十四兆円、一億八千口、このようでございます。また、二百八十六兆円の非課税貯蓄、この中で種類別に見ますと、少額貯蓄、この部分が百六十三兆円、それから少額の公債、国債、これが十兆七千億、それから財形貯蓄、これが約九・七兆円、それから郵便貯金のマル優部分が百二兆円、このようですね。  そこで、この本、貯蓄増強中央委員会、日銀の内部にある組織でございますけれども、この表を見ますと、要するに一世帯当たりの貯蓄保有額の平均は七百三十一万円ですね。これの七ページを見ますと、下の表ですね、平均の保有額は七百二十一万円。全国民の平均は、貯金はしてない人もたくさんしている人も含めて平均すると七百三十一万円。それから、そのうち預貯金をしているのが四百十五万円というように出ていますね。そうして貯蓄の保有額の階層別、どういう収入を得ている人がどのくらい預貯金をしているかという数字でございますが、これを見ますと百万から二百万未満、これが一番多いですね。それからその次は二百万から三百万未満、その次は三百万から四百万未満、そして四番目に多いのは百万未満の世帯、こういう形になっておりまして、要するに調査世帯の約半数は四百四十万未満、こういうことになっているのですね。そういう預貯金をしている人の半分は四百四十万未満ということで、全部平均しても七百三十一万、こういう数字が出ているのですね。  そうして、マル優などの非課税限度枠、限度枠というのは今まで千四百万あるわけですが、超えている人は全体の一〇・六%です。だから、マル優限度額を筒いっぱい使っている人ですか、それ以上、それを超える人は全体の一〇・六%しかないということなんですね。そういう点で、多くの人は限度枠以下で利用しているという数字がはっきりしておるのではないかというように思います。それから、この制度の利用状況、この本に書いてあるのですよ、それを見ますと、マル優と特別マル優と郵便貯金、財形貯蓄は別にして、この三つの制度をすべて活用しているのはたったの九・六%にすぎないのです。  そういうことを考えてみますと、一般家庭のうちの、マル優の限度を超える一〇・六は別にして、約九割の世帯は不正利用と縁のない、いわゆるつつましい生活をしているということはこれで明らかになるのじゃなかろうか、こういうように私思っておるわけです。そういう点で、国民の多くの人が不正利用しているのだ、これのチェックのしようがないのだ、だからマル優を原則的に廃止するのだというような考え方はどうもおかしい。本当に不正使用するような可能性のある人たちというのは、ほんまに一割前後の中のさらに少ない部分ではないのかというように考えざるを得ないわけですが、その点についてどのようにお答えいただけますでしょうか。
  159. 水野勝

    ○水野政府委員 御指摘のような計数からいたしますとそういうお感じも出るわけでございますが、一方、マクロとしての数字からまいりますと、委員御指摘のように二百八十六兆円ある。その貯蓄動向調査といったものから見ての全世帯の貯蓄額を累積いたしましてもそのようにはならない、そこがまさに問題ではないか。マクロからしますと二百八十六兆になり、非課税利子額が十六兆円ぐらいになる。そこのところと貯蓄動向調査的なものからの分析とがうまく合ってこない、そうしたところの点がまさに私ども大きな問題ではないかという気がするわけでございます。  それから、御指摘のような不正のとにかく排除ということも、今回の利子課税見直しの一つの目的であろうかと思いますが、やはり基本的には、現在の社会経済情勢からいたしまして、戦時中から戦争直後にかけましての貯蓄優遇策というものを引き続き講じることが適当かどうかといった点、それから今申し上げました十六兆円近い利子所得といったものが課税から除かれているというのが所得税あり方としていかがか、そういった点からの問題点として今回の利子課税を御提案申し上げている。もちろん、御指摘の不正利用の排除ということもその一つでございますけれども、全体として考えさせていただきまして、この見直しを御提案させていただいているということで御理解を賜ればと思うわけでございます。
  160. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 いずれにしても、具体的に日銀のもとでの調査機関で、こういう公にされていい数字が出ているわけですからね。いや、そこにはそう書いてあるけれども、実際はそうじゃないのだと言うなら、そうじゃないということを明らかにすべきだと私は思うのですね。これは明らかに四百四十万までの預貯金者が全世帯の半分を占めている。そして、この一千四百万の限度額を超える預貯金を持っている人が全体の一〇・六%である、こういうことですから、この限度額を超える預貯金のある人については、マル優の不正ということは大いに起こり得る可能性があるのですけれども、それまでの人は不正のしようがないのです、そういう預金がないのですから。お金がなくて、筒いっぱいも利用していない人がたくさんおるわけですね。四百四十万円しかないのですよ。普通はそんなんじゃないですか。普通の郵便局で三百万、ちょっと余裕のある人は普通銀行で特別マル優ですか、国債まで買うという人は一般世帯でないんじゃないですか。あるいは財形貯蓄についても、先ほどお話があったように、非常に利用者が少ないというような数字もこの中にも出ていましたね。先ほど私読み上げたのですけれども土地、建物の購入資金丸・九%、こういうような状況で、三つの中で当てはめても二〇%ほどしかない。あとの部分は大体七五%、四二%と四四%、そういう部分から見ると、圧倒的にこの二〇%というのは少ないと見なければならぬ、こういうように思うのです。  そこで、去年の一月一日から限度管理の強化が図られておりますね。窓口での本人の確認とか公的書類の提示が義務づけられておるようですが、不正利用があるからこの制度をやめてしまうという乱暴な議論よりも、まず限度管理をどう強化するのかということが一番大事であって、それがどうしてもできないから云々と言うなら、それはまた一つのやり方を、現行の限度管理ではなかなかやれない部分を法的にどうするのかということは、また方法として考えていいと思うのですけれども、法治国家ですよ、できないから一部の不正利用者のために、まじめな大部分マル優利用者が犠牲になるということは私はもってのほかだと思うのですね。お年寄りとか身体障害者とか母子世帯とかそういう例外的な部分はあるにしても、大部分がまじめなマル優利用者である。その目的も、先ほどのような本当にもう当然の事柄であって、マル優が廃止されたからといってそういう消費に回るという部分じゃないのですよ。病気になったときに金が要るから貯金をしようとか老後のためとかあるいは子供の教育のため、マル優がなくなったからといって貯金をやめる人たちじゃないですよ。この人たちは、恐らくマル優がなくなっても貯金しますよ。この部分は消費には回らないと思うのですね。だから、そういう点でそういう人たちをいじめるのはもってのほかだと私は思うのですね。そういう点で、現行の管理制度に問題があるのかないのかということにもなると思うので、国税庁の方がお見えのようでございますので、どういう方法でチェックしておるのか、具体的に説明をいただきたいと思います。
  161. 日向隆

    ○日向政府委員 御案内のようにマル優制度につきましては、本人が正しく利用することと、本人一人につき元本三百万円という枠が正しく守られているかを調査することが必要であります。このため、私どもとしましては、一般的な広報指導のほかに、他店舗に比べ非課税利子の支払い割合が高いこと等を勘案いたしまして調査対象店舗を選定し、これに臨場して、まず他人名義を利用して不適正に非課税措置を受けている者がないかどうか、またその店舗に設定した非課税枠、百万円とか五十万円とかございますけれども、それを超えて預け入れられている者がないかどうか等につき、当該非課税貯蓄申告書や私どもが収集した各種の資料などをもとに調査をすることにしております。なお、このほか他店舗と合わせまして三百万円の非課税限度額を超えて非課税貯蓄申告書を提出している者につきましては、これは膨大なものでございますので、正直に言いまして、現状では手作業では完全に統一することが不可能でございます。したがいまして、サンプル的に幾つかの署を選んで、当該税務署管内の金融機関に提出された非課税貯蓄申告書を名寄せいたしまして、限度超過分を把握してその是正に努めているというところであります。  委員、御存じと思いますが、このようにいたしまして、金融機関に臨場して調査した事績を直近の昭和六十事務年度について申し上げますと、全店舗四万一千六百二十に上る金融機関の一一・五%に相当する四千七百八十二店舗について調査を実施いたしました。店舗ごとでございますけれども、その九九・九%の店舗についてマル優等の不正利用を把握いたしまして、加算税等を含め約四百二十一億円を追徴しておるという現状でございます。
  162. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 今御報告がありましたように、源泉徴収の義務者は当然金融機関ということになろうかと思うのですね。その金融機関、要するに義務者というのは約四万一千幾らですね、それが調査対象になるわけですね。例えば、銀行局にもちょっと聞きたかったのですけれども局長は八時過ぎに来られるということですので、またその時点で結構です。それで、全国に税務署が約五百ほどありますね。それから、四万一千社ですから、都市に集中しているというようなこともあるかもわかりませんが、単純に計算すると一税務署当たり九十店舗、九十社ほど調べたらいいのですね、ずばり言ったら。一カ月に八社ぐらい点検すればすぐわかることではないか。少なくとも、例えば所得税の確定申告のとき、要するに七百万の納税者に対して昨年は約十六万件の調査をしていますね、いわゆる税調、税務調査というものです。七百万の納税者に対して十六万件調査されているのですね。そういう意味で大変な額の、不正利用ということは脱税ですね、当然税金を納めなければならないにもかかわらず、皆税金を納めないで架空名義で不正を行っているということになるわけですから、だから納税申告者に対してそれだけ、十六万件一年に調査しているにもかかわらず、いわんや今度の対象は四万一千しかないわけですね。それを五百の税務署で割ると、今言うように一年一税務署当たり九十社ということになるわけですから、一月に直したら本当に十件足らずをぼちぼち調査すればいけるということになりましょうし、それから各納税義務者は銀行とかそういう金融機関ですから、皆オンラインというんですか、ちゃんと氏名とか生年月日とかインプットされているんじゃないですか、銀行のことですから。預金者管理は私はちゃんとできていると思うのですね。だから、朝霞の最新鋭のコンピューターを使えば全部インプットすることはできるし、インプットしなくても、各金融機関がインプットをやっているそのデータをもらいさえすれば、技術的にチェックできるのではないか。  あるいは、当然ここでいわゆる違反件数というのは出ていますね。今おっしゃったように、六十年度は一一・五%に対して、これは四万一千社に対する一一・五%ですね、そしてその件数は四千七百八十二、追徴税額は四百二十一億円ということに、具体的に調査したらこれだけ税収が上がるわけですからね。現実に一割強の、恐らくこれはどうも怪しいと思うところだけ行っているのですから効果が上がるということにもなるのかもわかりませんが、いずれにしてもそういう形で強化していく。大体不正利用というのは、許しているのは銀行とかそういう金融機関ですよね、やはり預金獲得のために一生懸命やっているわけですから。  それから、銀行局長も来られたということですけれども、やはり大蔵省なり税務署、国税庁がきっちりと、そういう違反行為はけしからぬ、これはもう脱税を補助するものであるというような形できっちりと指導すれば、私はちゃんと不正防止はできる、こういうように考えざるを得ない。こういうように思っておるわけでありまして、そういう点で銀行局においても不正利用に対してどういう具体的な指導をなさっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  163. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 委員が先ほど言っておられますように、六十年度の改正におきまして限度管理の厳正化措置をとったわけでございます。そして銀行におきましても、従来の確認に加えまして新たに生年月日を聴取するということのほか、これら申告者が言ってきております事項を確認するために公的書類も見せてもらうということで、限度管理をより徹底的に行うという措置をとっているわけでございます。
  164. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 だから局長、私が聞きたいのは、それを徹底的に強化すれば不正防止になるんじゃないですか。
  165. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 先ほどお話し申し上げました措置によりまして、かなり限度管理の厳正化が進んだわけでございますけれども、しかしいわゆる番号によってやるのではないものですから、大量に処理する場合には、今申し上げました措置だけでは完全な名寄せは金融機関としてはできないということだろうと思います。
  166. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 ですから、金融機関に甘いということですね。普通の納税者に対しては徹底的に税務調査をしながら、金融機関がそういう脱税の、脱税という言い方はあれですけれども、不正行為を知りながら、あるいは中にはそれを勧めて預金獲得のためにしているというようなことも聞いておるわけでございまして、聞くところによればこの追徴金ですか、これは金融機関が立てかえて納めている。これじゃやっていかれへん、そんなことも聞いているのですが、これは具体的な不正利用した預金者から取り立てたものですか。これは金融機関からもらっている金でしょう。
  167. 日向隆

    ○日向政府委員 今私が申し上げました四百二十一億円、加算税を含めての追徴金は、金融機関から徴収したものでございます。
  168. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 どんどん取り立てられた金融機関が困り果てて、これはやはり不正利用はさせてはならぬ、そこからちゃんと取らなければいかぬということになってくるのじゃないですか。だからもっと強化すれば、私は足りることではないかというように思いますね。  それで大臣も御存じのように、政治家ならよくわかると思いますが、預金者の半分が四百四十万円しか預金してないということですね。あるいは全体の平均でも七百三十一万ですか、ということで、本当にマル優を超える、限度額を超える人たちは全体の一〇・六%なんですね。この人たちのために九〇%の、九割近い人たちが——そういう優遇措置で残る部分はあるにしてもですよ、これはどうもいただけないということにならざるを得ない。  それからもう一つ、この調査された一一・五%に当たる四千七百八十件、これは銀行が何社で、それから当然農協もこの中に入っている、漁協もみんな入っているのじゃないですか。そういう金融機関の種類別とか、あるいはそういう違法行為をしている人たちの業種ですね、わかるはずないという面もあるかもわかりませんけれども、大体脱税のワーストファイブとかいって、いやパチンコ屋とかいや何やと、そんなのが挙がっているじゃないですか。そのように、いわゆるマル優の不正使用のワーストテンを発表するとか、そういう金融機関まででとまってしまって、それ以上いってないというところに大きな問題があるのじゃないですか。名前はわかっていたら発表してください。
  169. 日向隆

    ○日向政府委員 調査したわけでございますからわかっているというお話でございますけれども、私が今手元に持っております資料につきましては、調査指導件数として四千七百八十二件というのがあるだけでございまして、大変恐縮でございますけれども、その種類別等については御容赦いただきたいと思います。
  170. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 それじゃ納得できませんね。これは今すぐ出せなくても、それだけ調査されたのですから、それの店舗ですね、それから悪質な金融機関というのは当然その中には出てくるのじゃないかと思いますし、やはりその先の預金者の部分をどうするのか。いずれにしても大臣、私が言いたいのは、そういう部分を明らかにして、どっちも、どこにも、縦から横から斜めから検討しても、要するにどうしても不正利用、これは限度管理はできない、だからどうしましょうというのならまだこれは相談できると思うのですけれども、そういうことをしてはだめですね、だめですねというのは、ただ金融機関がもう立てかえ払いでえらいということだけなんですから、その点、そんな人たちのためにまじめな預金者に迷惑がかかるということはもってのほかだというように考えておりますので、その部分についてはこれは私、保留というのですか、後日ちゃんと報告をしていただきたい。また時間がありましたら質問したい、こういうように思っております。  マル優の問題については、時間の関係もありますのでそのくらいにしたいと思うのですけれども大臣からひとつ、今私がマル優についてるる申し上げたことについて。
  171. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま上田委員政府委員といろいろお話になられましたことは、非常に参考になることでございましたが、実は私は前にも申し上げましたが、マル優制度を改組したいと申し上げております基本的な理由は、それが不正利用されるからと申しますよりは、先ほど御指摘になられましたように、そもそもかつてのようにいわゆる富国強兵であるとか、あるいは戦後の資本蓄積であるとかいうことのためにこの制度は有用な役を果たしてまいりましたが、今果たして資産所得というものにそれだけの優遇をすべきかどうか。先入観を離れて言えば、今まで制度としてやってまいりましたからあえて怪しみませんでしたが、外から見れば、これは先入観のない人から見れば、なぜなんだろうという疑問はわいても不思議がないところでありまして、そこで社会的に特別な配慮をすべき人々にはこういう制度をひとつ改組といいますか、置こう。しかし、それ以外の方々からはみんなもうちょうだいしよう。これは普通の所得であるに違いないわけでございますから、そういうことが主たる理由でございます。不正利用されるからという、それが主たる理由ではないのでありまして、恐らく今お話しのように不正利用している人は、マル優枠を全部使い果たすというのは相当な元本でありますから、そういう人は少ないであろう。高額の人がそうである場合が多いと思うのでございますが、不正利用があるから廃止したいと言っておるのではないわけでございます。     〔笹山委員長代理退席、中村(正三郎)委員長代理着席〕
  172. 中村正三郎

    中村(正三郎)委員長代理 上田議員からただいま申し出がありました資料の要求につきましては、後日理事会で協議させていただきたいと思います。  上田卓三君。
  173. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 大蔵大臣、最初はマル優の廃止は内需拡大のために、日本人は貯金ばかりして物を買わぬじゃないか、そういう点で、貯蓄もいいけれど、今までは貯蓄が美徳であったけれども、そうじゃなしに今度は消費の方にというような、そしてひいては内需拡大と。そういうことにはならぬのじゃないかと言うと、いや不正利用だということになって、不正利用というのはわずかな人間がやっているのじゃないか、こう言うと、そうじゃないんだと言う。大臣は割と一貫して、勤労所得から取るよりも資産所得から取るべきだと言う。しかしマル優ができたのは、いいからつくったのでしょう。そうでしょう。資産所得であっても、こういうかくかくしかじかの目的でこのくらいの限度なら当然だということで、これが一番いい策だということでつくったのでしょう。それが今になって諸悪の根源みたいに……。  外国がごちゃごちゃ言うからと言うけれども、それは誤解なんでしょう。きのうも同僚議員が言っていましたけれども、赤字国債がどんどんふえていって、いわゆる国債費が予算総額の二〇%、十兆円近いですね。利子の支払いだけでも十兆円を超える。利子の支払いのために新たな国債を発行しなければならぬ。そうするとさらにまた利子が積もってしまうというような悪循環になっているわけですね。あるいは償還も停止してしまうというのですか、借りかえをするというようなことにもなってしまったり、定率の繰り入れも停止せざるを得ない、こういうような状況になっているわけですよね。そういう状況は、本来ならばインフレにならなければならぬにもかかわらず、そうですよね、言うたら手形の乱発みたいなものですからね。にせ札つくっているわけじゃないけれども政府の保証でどんどん国債を増発して売っているわけですから。これは外国人たちが買うていたら大変ですよね、アメリカみたいになりますけれども、日本人が皆日本の国債を買うているということで、親は貧乏しているけれども、子供はなかなか、そこそこしっかりしている、こういうことになるからインフレにならない。言うたら一つの担保にもなっているということもあるわけですよね。日本がインフレになったらどうなるのか、世界経済に与える影響ということもあるわけですからね。  それから現実に、宮澤大臣も御存じだと思いますけれども、これ自身が、老後の問題とかあるいは子供の教育の問題とか不時の災害、病気になったときとか、将来の住宅計画とか、ずばり言うならば、宮澤大蔵大臣が掲げている資産倍増論の中身そのものじゃないかと思うのですね。そういうものを取り上げてしまうということは、本当に国民泣かせになってしまうのじゃないかというように思うので、大臣が今答えたことはどうもいただけないというように思います。  それから、マル優の問題はこれで終わろうと思っておったのですけれども、さらに私は限度管理の問題でつけ加えるならば、堀先生からもお話があったと思うのですけれども、現在でも六十五歳以上の非課税者という形にしますと二千百万人ですか、それから身障と母子家庭ということを加えますと二千三百万人、これが八十五年になると三千六百万人、こうおっしゃっていましたよね。一億二千万であったら限度管理ができないで、二千三百万であったら限度管理ができるというのも変な話ですよね。だから、恐らく二千三百万の口座ができるのじゃなしに、これは一億も二億も口座ができることになるのじゃないですか。いや、そんなことさせません、何か今回限りは絶対そういうことはさせませんということですけれども、二千三百万であったらできて現在の部分であったらできないというのもどうも我々としては納得できないので、一度お答えをいただきたい、このように、思います。
  174. 水野勝

    ○水野政府委員 現在の数字でございますと、老齢者それから身体障害者、母子世帯等、合わせまして御指摘の二千万を超えるような数字でございますが、この方々につきましては手帳その他をお持ちでございますし、また二千万までの数字でございますので、一億人を相手にして管理させていただくのとは質的には差はあろうかと思うわけでございます。  また、これからだんだんふえていくわけでございますけれども、先ほども話がございましたように、銀行自体がコンピューター化してまいる、それからまた国税の執行部門の方もさらにいろいろ機械化も進められることと思いますので、ここ当分の間でそれが管理不能、困難になるというようなことはまだなかろう。現在の体制あるいはさらに機械化等を進めて、それはぜひ管理させていただきたい。それからまた、現役の方とは違って割合生活範囲といったものも狭いわけでございますので、口数等からいたしましても一億人、サラリーマン、現役の方、そういったものを全部含めた数字との対比よりは管理は容易な面もあろうかということから、少なくとも今回出発いたしますこの時点におきましてはそれは管理は可能である、このように考えておるわけでございます。
  175. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 二千三百万であったら限度管理ができて一億二千万国民の場合はできないというのは、どうも私は、十万、二十万ならできますという理屈になるだろうけれども、恐らく同僚の議員だってどうもおかしい、自民党の先生だってそう思っておられるのじゃないかと思います。     〔中村(正三郎)委員長代理退席、委員長着席〕  いずれにいたしましても、マル優制度を廃止しなければならぬ、原則廃止をしなければならぬという必要性は私は全然考えられないということを申し上げておきたい、このように思います。同僚議員の方、後続いての質問もございますから私はその程度にとどめたい、このように思います、  それから、時間の関係もあるのですが、土地問題についてちょっと質問をしたいと思うのですけれども、銀行局の方で過去二回にわたって——土地投機、高騰の原因が、金融機関が土地購入について資金を貸し付けている、そういうことが拍車をかけている、こういうことだろうと私は思うわけでございまして、庶民の預貯金、それが回り回って土地を暴騰させて庶民を泣かせる。高金利ならいざ知らず、わずかの利子で泣かされておるわけでございますが、そういう点で二回も通達を流しているのだけれども一向に効き目がないように思うのです。これは先ほどのように、限度管理について金融機関に対して甘いんじゃないかというのと同じように、各銀行、金融機関に対して銀行局の指導性というのですか、うるさいから一応通達を出しているというふうに我々感じざるを得ないのですけれども、その点についてどのようにお考えでしょうか。
  176. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今委員がおっしゃいましたように、これまで銀行局長通達を出しまして、そのような投機的な取引を助長するような融資は厳に慎むようにということを強く通達しているところでございます。しかし、現実にはその後地価が高騰しておりますし、それから一部の金融機関において問題になるような融資もあるやにうかがわれますので、さらにそういうことのないよう現在金融機関から特別ヒアリングをやっておりまして、これはかなり具体的に話を聞いております。そういう中から問題がありそうな場合には、厳しくこれを是正するように指示するということもやっておりますので、その効果も徐々に出てくるものと我我も期待しているわけでございます。
  177. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 これは東京、大阪の都市圏からだんだん地方に波が広がっていっている、こういうことでございまして、やはり大きな問題だと思うのです。後から私も述べますけれども宮澤大蔵大臣の資産倍増論、それを現実に邪魔しているのはこの土地の暴騰ですよね、はっきり言ったら。何をするにしても土地が要るわけです。その土地が高い。こういうことになるわけですし、そういう点で資産倍増論というけれども、言うたら日本列島の資産倍増をやっているのじゃないですか。こんな倍増論を宮澤大臣が想定しておったんじゃなかろう。もっとまじめなものであって、そういうだぶついた金が金融機関からそういう不動、産屋に流れて、あるいはさらにはマンハッタンのビルまで買いあさりに行っている。あるいはヨーロッパあたりではすばらしい名画、そういうものもどんどん日本人が買いあさっているということで、本当に日本人として恥ずかしい。こういうようなこともあるわけでありまして、ぜひともこれは強力に、土地の抑制のために手をかしてもらわなければならぬのではないか、こういうように思います。  それからもう一点、円高の問題でございます。きょうは一時午前中に百四十二円ですか、最終は百四十三円で落ちついたということでございますけれども大臣も余り動揺してないと言って平静を装っておられるような感じですけれども、実際あしたになればそれがまた百四十二円とか百四十一円とか、あっという間に百三十円台へいくんじゃなかろうかという心配も、心配せぬ方が気は楽ですけれども、いずれにしてもこんな状況でございます。  そういう点で、やはり捕らえてみれば我が子なりという言葉がありますように、ドルを売っているのは機関投資家というのですか、生保なんかも含めてその指導もなされているようですけれども、内外を見ましてもやはり資本主義社会ですから、何ぼ国の指導であっても我々損をするわけにいかない、国民の金を預かっているのだ、こういうことになるかもしれませんけれども、いずれにしても、円高がジグザグしながらもだんだん上り詰めていくという感じがしないわけでもないわけでございます。その円高によって何億という金を一夜にして手に入れる人もあれば、また、その円高を食いとめるために日銀が買い支えというのですか、これも国民の貴重な財産だと思うのですよ。こちらの方では円高になって、何億という金を損していくというようなものがあるわけでございます。そういう点で円高というものについて、為替の問題ですからどうのこうのということになるかもしれませんけれども、やはり大蔵大臣として、先ほどの土地の問題と円高の問題についての考え方というものについて述べていただきたい、私はこのように思います。
  178. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 我が国は市場経済で運営されておりますし、また世界の多くの先進国がそうでございます。そこで、市場というものは、例えば生糸でありますとか大手亡でございますとかいろいろその商品市場がございますけれども、通貨というものは、ちょっとその中では別の意味合いを持っておるというふうに私はかねて考えております。もちろん、投資あるいはヘッジ、いろいろ正常な経済行為というのは全く自由であることは、我が国においても外国へ行ってやりましても明らかでございますけれども、おっしゃいますように、いわゆるディーリングということをやる人たちが、一時間なら一時間の間に三遍でも四遍でも売ったり買ったりして利益を得るということ自身は、これはほかの商品と違いますので、そういうことを無制限にやってもらいますと、例えば本当に正直に働いている中小企業のおやじさんが首をくくらなければならぬということになれば、これは実際許しがたいことだというふうに実は私は考えまして、ことしの五月でございましたか六月でございましたか、役所の諸君とも相談をいたしまして、そういうことについてはいわば自粛を求める、報告を役所としても徴するということをいたしまして、今日まで、これは外国系の金融機関を含めましてただいまではみんながそのとおりやってくれております。  それは決して、くれぐれも自由な取引をどうかしようというのではありませんで、いかにも影響を及ぼすところが多い、その投機と投資とどう違うかというようなことは自分の胸に手を当ててみればわかるわけであって、あえてそんな定義はしなくても、投機でやっているか投資でやっているかはやっている人がわかっているはずでございますから、こちらでも報告を徹すればわかるはずでございますから、今日までそういうことで行政をいたしております。これは、これからも続けていくべきことだと私は考えておるわけでございますが、せんだってのアメリカの貿易収支が意外に赤字が大きかったということから起こりました、これは何もそういうことのそのものの結果であるとはもとより思っておりません。ただ、そういうディーリングというようなことが、いわばそういう動きをエスカレートさせる効果というのはしばしばございますから、それは従来どおり自粛をしていただきたいと思っております。  そこで、ちょっとここへ来まして短時日の間の乱高下と見られる動きでございますので、日銀におかれても、その点については当然とるべきときにはとるべき対応をしておられるであろうと考えております。こういうことがもし続きますようでございましたら、それは当然そのように対応していかなければならないと思っております。
  179. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 特に円高問題でございますが、この原因、日本側あるいはアメリカ側、要するに貿易摩擦の問題も大きく絡んでのことでございます。日本は、二回にわたるオイルショックで原油などそういう輸入品が高騰する、こういう状況の中でおのずから輸出によってその輸入代金に充てる、こういうことで輸出型にならざるを得ない。もともと日本は貿易立国ですから、当然原材料を輸入してその物を輸出するということですから、それが均衡すれば一番いいということにもなるわけですが、そういうこともございましたでしょう。  それから、長期的な意味で言うならば、日本は長時間労働というのですか、そういうことにも関係して、いわゆるソーシャルダンピング、こういうことも言われておるわけでございます。また、最近では、中曽根内閣での行革路線というのですか、私はけちけち財政と言っているわけですけれども、これが内需の拡大を妨げている。こういうことから、内需に期待できないものだからおのずから輸出に依存せざるを得ない、そういう形になってきておるのではないかというように思うのです。  しかし、何ぼ日本が輸出に力を入れましても、その製品を買うてくれなければこれは伸びるはずがないわけでありまして、そのことを考えますと、一九八〇年にレーガン政権が誕生して、その翌年にレーガン税制というもので、要するに金持ち優遇減税というのですか、消費の拡大ということのようでありましたけれども、これはもう失敗したということはレーガン大統領自身もよく認識して、それの手直しという形にかかっていることもこれまた事実だと思うのです。大型減税をして、内需の拡大ということをアメリカが考えたようでございますが、それではなしに、その購買力は全部日本製品とかヨーロッパの、とりわけ日本製品のいわゆる輸入を促進する、こういうことになっておるのではないかというように思います。  恐らく、六年ほど前からずうっと日本の黒字がふえる一方である、今までに類を見ないような数字になってあらわれておるのではないか。だからアメリカは、日本はけしからぬと言うよりもアメリカ国民に日本の製品は買うなと言うたらいいのですけれども、それは、そんなこと言うたってアメリカの国民が聞くはずがないわけで、日本の製品がいいから、安いからどんどん買うということになるわけであります。日本だけの責任じゃなしに、アメリカ自身に問題があるのではないか。あるいは、日本はもっとアメリカの製品を買えと言うたって、買うものがないのに買うわけにもいかぬわけです。それは官僚統制のファッショ的な国家になったら、無理やり買えということにもなるのでしょうけれども。  アメリカ自身が日本の品物を買うなということも、いろいろ心理的にはキャンペーンをしたり、円高志向によって日本の製品が高くなるようにしむけているようですけれども、Jカーブというような現象もありまして、高くなってもいい品物だから買いたい、自主規制しても、することによってかえって日本の業者がもうかるというような状況もこれあることも事実ではないか、こういうように思っておるわけであります。  それと、何といいましてもアメリカにおいては双子の赤字と言われるように、やはり財政赤字。財政赤字も、大幅な減税をやったためにさらに財政に破綻を来す。これが自然増収ではね返ってきたらいいのですけれども、それがそういうことにならなかった。それは、一つはアメリカの産業が空洞化して、海外にあるアメリカの企業の系列の会社が逆にアメリカに上陸する。日本も、そういうような状況が起こりつつあるのではないかと私は思っておるわけでありますが、そういうような状況もある。  同時に、対ソ連との関係を一つ見ましても、SDIのことを考えてもわかりますように、若干の緊張緩和というようなデタントの動きがあるということは事実でありますけれども、やはり軍拡路線というのですか、そういうことで軍事支出が非常に膨大である。一年間に三〇%ぐらいの軍事費の削減をすれば、四、五年もたたないうちにアメリカの赤字は解消すると言われるくらいな額でもあるわけであります。だから、相手のあることですから一方的にするわけにはいきませんけれども、アメリカ自身がこの軍縮路線をもっと熱心にやる、あるいは日本自身もそのことについて積極的に努力をする、こういうことが今必要ではないかと思うわけであります。  そういう点で、貿易赤字にしてもあるいは財政赤字にしても、これは基本的にはアメリカに原因があると見なければならぬ。この問題が解決されない限りこの円高というものは、ドル離れというのですか、そういうことはやまないだろうというふうに私は思っておるわけでありまして、そういう点についての大臣の認識についてお聞かせいただきたい、このように思います。
  180. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は、先般のベネチア・サミットでも、まさに上田委員の言われましたようなことが議論になっておったわけでございまして、アメリカに対しては、やはり貿易赤字の削減あるいは競争力の増進ということでございますか、それから財政赤字の削減ということをみんなが求めた。しかし、アメリカがそうなりますと、そのようないわゆる購買力の縮小分というものはだれかが担わなければならないわけでございまして、それが我が国のような貿易黒字国の責任になる、それが我が国の内需拡大というような要請になるといったような政策協調と、為替についての共同行為、必要があれば協調介入等々が合意をされたわけでございます。  それらのことは、かつてこのような先進国が具体的に首脳の間で合意をしたことはございませんでしたから、各国ともそれに向かっていろいろの努力をしておるわけでございますけれども、おのおの国に事情がございますので、なかなかアメリカの財政赤字というものの縮小が、一遍は、今回一度はよさそうなんでございますけれども、これから先の見通しはまた難しいとか、あるいは競争力は相当回復しましたけれども、それがすぐ貿易黒字に出てこないとか、いろいろなことがございます。  しかし、やはりこの道で協力をするしか方法はございませんし、ドル以外に基軸通貨国に立候補しようという通貨も現実にないわけでございますので、そういうわけで我々としてもやはり政策協調をしていく。そうしてまいりますうちに、プラザ合意からもう来月の末には二年でございますから、幾ら何でもドルの競争力というものはここで回復をしてくると考えるべきものではないか。また我々としては、我々の約束いたしました内需振興、また開放体制への努力を続ける、こういうことであろうと思うのであります。
  181. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 大蔵大臣というよりも総理・総裁候補、こういう政治家でもあるわけでございますので、日本はどうも対米追随的であるという印象は、要するに日本をたたけばいいんだ、こういうことになるわけでございますから、そうではなしに、もっと日本のどこが悪いんだということで、君らの方が間違っているんじゃないかと逆に言うぐらいな姿勢がなければだめではないか。  特に、我々日本は極東の島国の国民でございまして、欧米は同種の民族でありますから、親戚筋といえばそのとおりになるわけでございまして、そういう点でフランスとかそのほかヨーロッパでは、アメリカに相当言いたいことも言っておるんじゃないか。私そのことを思うと、どうも日本はへっぴり腰というのですかアメリカに言われっ放し、謝ってはかり、こういうようなことでありまして、幕末じゃございませんけれども尊王攘夷、昔だったらそんな態度をとったら大変なことでございまして、屈辱外交だ、こういうことで大変なことになっただろうというふうに思うのです。特にそういう意味で毅然とした日本政府の、対アメリカあるいは対ヨーロッパの問題一つ見ましても、十分な独自性を発揮してもらわなければならぬのではないかというふうに思います。  それに関連して、どっちみち合同委員会等もあろうと思いますけれども、外為法の改正等のことにもかかわってのことですけれども、ココム問題です。  私は、東芝機械のあの問題をじっと眺めておるわけですけれども、もう世界の三分の一が社会主義国家ですね、社会主義陣営です。それで発展途上国とか、アジア・アフリカのいろいろな新興国もたくさんあるというような状況です。そういう意味で、この社会主義圏と資本主義陣営はやはり平和共存せざるを得ない。戦争するわけにもいかないし、いや社会主義圏には物を売らない、あっちの物は買わないというわけにはいかない。貿易というものは垣根はつくれない。ベルリンの壁じゃないけれども、社会主義圏に対して大きな壁をつくることはできない。結局、日本からソ連が製品を、ハイテクのそういう高度の技術を購入できなくてもどこからでも、ヨーロッパ諸国なんか特にそうですけれども、喜んでいるのじゃなかろうかと思いますけれども、そういうところから手に入れることは十分できるのじゃないか。  大体ココム自身が、そういう意味であればアメリカのためにあるのじゃないか。ひょっとしたらアメリカ自身が、ソ連にハイテクのいろいろなものを売りたいがために日本の手足を縛る、あるいはヨーロッパに対しても足を縛っていく、こういうことじゃないか。私はよく知りませんけれども、アメリカ自身が一番ココム違反を犯しているのじゃないかということを言われる学者もおられます。あるいはヨーロッパ、特にフランスなんかも大変違反が多い。これは紳士協定ということになっておるようでございますけれども。  そういう点で、アフリカのある一国家を通じても三つ、四つまたいでいく。直接ソ連でなくても小さな国にその物を売っても、最終どこへ行ったかということはわからないというような経済の複雑さというのがあるわけですね。アフガン侵攻のときに、アメリカが穀物をソ連に禁輸しました。しかし、実際一番困ったのはアメリカ農民であり、当時カーターさんであったというように私は思うのですが、結局アメリカの穀物はアルゼンチンとかそういういろいろなところを経由してソ連に。ソ連も、直接買うよりも高くついたということはあるにしても、結局そういう経過というのがあるのではなかろうかというように私は思うのですね。  だからそういう点で、軍事機密に関するようないろいろなものについては云々ということはわからぬこともないのですけれども、今はっきり言って対ソ連の貿易については非常に縮小していますね。それがさらにココム違反ということで萎縮してしまって、本当に対社会主義圏との貿易は息も絶え絶えというような状況になるとするならば、それは逆に言ったら、アメリカとかヨーロッパが対社会主義圏との貿易で得をするというような構造になっているのではなかろうかというように私は思いますので、これは大臣として明確に答えられないと思いますけれども、聞きおく程度でも結構でございますが、どっちみちそういうことについて、合同審査のときにも大臣に対し質問等もあろうかと思いますので、その点について考え方を聞かしてもらいたい。  アメリカのIBMのモスクワ支社では非常に活気づいている、あるいは東芝機械の次はどこかといって次の会社もうわさされる、第三はだれだという形。そういうところを足を引っ張っていったら、結局アメリカ自身はソ連との貿易をひとり占めしようとしているのじゃないか、日本やヨーロッパの手足を縛って、独占的に頭越しにしようとしているのじゃないかというような疑いすらあるというように考えざるを得ない部分があるわけでございまして、せっかく冷戦体制がデタントという気分になっている中でああいうハプニングが起きるということ自身、何か政治的な意図が逆に隠されているということを我々は考えざるを得ない、こういうように思いますので、大臣の答えられる範囲のお答えをいただきたい、このように思います。
  182. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点は、私は所管の大臣でございませんので、閣僚としてのお答えをすることを差し控えさせていただきますが、この問題には二つの面があるように思います。一つは今上田委員の言われましたように、国際情勢の変化によってココムというものの内容があるいは厳しくなりあるいは緩くなる、変化をしていくということは、これは加盟国の間でお互いに議論をし、話し合いをしながら決めていくべきことだろうと思うのでございます。しかし他の問題は、いやしくもそうやってお互いに約束をして、これはココムの禁止品目であるということになりました場合には、その約束を破るということは許せないことでおる。それからまた、そういう約束を国としていたしました以上、その約束が守られるように担保をする措置を国は持っていなければならない。この二つの問題が私はあるのではないかと思っておりまして、今回の事件は不幸にしてそういう明らかに禁じられたものが明らかにその禁を破られた、またその禁を担保するための十分な行政を国がしていなかった、こういう事件であったのではないかと見ております。
  183. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 証拠があるといったって見せないのでしょう。確かな証拠があるんだというだけのことだし、またスクリューと機械との因果関係についても果たしてどうか、そういう意見もあるわけですからね。アメリカが証拠があるんだ、いや、見せない、確かな証拠だと言ったらあと屈服する以外にはない、こっちが悪いんだろう、あれだけ怒っているということは我々が悪いんだろうというようなことでは、私は通らないと思うのです。それだったらそれで本当に確かなのか、どうなんだ、アメリカこそ問題があるのじゃないかというくらいな切り込みが大事ではないか、こういうように思います。  時間の関係もございますので、最後のくだりにしたいと思うのです。  大臣は五十九年に資産倍増論ということで、この中身を見ますと一々ごもっともでございまして、これは社会党の政策にしても——問題は、実際実現するのかしないのか、そこの問題じゃないかと思うのです。ちなみに、例えば年収については一世帯平均、五十九年の発表の時点での最近時点、だから五十七年ですか、この時点で年収五百万円、それを一千万円にするというのです。これはいい話だと思います、だれでも喜ぶことですから。それから貯蓄残高の対前年比です。これは五十七年度は、前年に対して一・四倍で七百万あったのです。それを一・八倍にする。七百万円の残高を一千八百万円の残高にする。だから、マル優の廃止と大分逆行するような形になるのですけれども一千八百万円。昭和七十年ですよ。もうじきです。あと七年ほどです。それから住宅一戸当たりの面積、五十八年度八十六平米三DKを九十五平米程度にして四LDKにするということですね。これもいい話です。それから最低居住水準以下の世帯数、これは四百万世帯あるというのです。それをおおむねゼロにする。最低居住水準です。ウサギ小屋以下のということにもなるかもわかりませんけれども、そういうこと。それから下水道普及率三一%を六〇%近くにもっていく。  そのほかいろいろし尿の問題、ごみの問題、高速自動車道路の問題、都道府県の整備、そういう意味で、ニューリーダーの中では早くから政策を打ち出しているのは宮澤大臣ではないかと私は思っておるわけでございます。これは財政再建を旗印にした、私が先ほど言っておるようにけちけち財政を推し進めておるところの中曽根内閣のもとで、宮澤さんがこういう資産倍増論を打ち出しておるということですね。だから我々は、中曽根総理のやり方よりも宮澤さんが総理大臣になった方が、政策としては正しいのじゃないのかという感じもしておったのですけれども、どうもポスト中曽根が近づいてくると、特に大蔵大臣になってからトーンダウンしてきて、これは実際どうなるのかな、また時期が変わったらこれが生きてくるのか、これが修正されておるのかどうかよくわからないのですけれども、いずれにしても金余り現象の今日、どんどん財テクに走ったりあるいは土地の高騰に手をかしたり、あるいは外国での資産取得とかあるいは外国の株とか債券を買うというような、私は経済活動としては不純だと思うのですね。本来の経済活動でない。  そして、円高であるというので多くの生産工場が海外に移っていく。かつてアメリカがそういうことで産業の空洞化をしたように、日本もだんだん産業の空洞化に拍車をかけている。私は、この産業の空洞化というものと宮澤大臣が掲げている資産倍増論とは、全然矛盾したものであると思うのです。だから、海外にそういう資産が流れていくんじゃなしに、また非常にドルの暴落ということもうわさされるわけで、買い支えなければならぬという部分もわからぬこともないわけですが、日本が今金があるときに、日本の国土に社会資本を投下して日本の力をつけるということが一番大事ではないか、こう思っているのですね。そういう点で、財政再建ということも非常に大事でございますが、二兎を追うわけにはいかないのですよね。当初は五十九年度に財政再建のめどを立てる、赤字国債依存体質を脱却する、これができないで、今度は六十五年ですね。いまだにほおかぶりしているようでございますけれども、これは堅持するというようなことを言っていますけれども、現実にできないことは明らかではないかと思うのですね。  先送りせざるを得ないという部分が出てきておるわけで、しかしなおかつ内需拡大せねばいかぬ、外圧が強い、こういうことで、財政再建もやりながら同時に財政出動で景気の拡大、こういうことを言っているのですけれども、私は、抜本的な切りかえが大事であって、何かやや修正したようなそういうやり方では、世界経済の中での日本の経済ということを考えたときに、そのことは間違っていると言ってもいいような状況にあるのではないか。やはり転換するときはすぱっとやる。両方追えるときはいいのですけれども、財政再建のためにもまず内需の拡大で景気を回復してそして自然増収を図る、それでもって財政の建て直しをするということが大事であって、どうしても内需の拡大が進まない、進まないから税収が上がらない、上がらないけれども必要経費がだんだんふえていく、だから大型の間接税、マル優の廃止、こういう悪循環のような形になってしまうのではないかと私は思うのです。  経済の見通しもややということでありますけれども、あるいはそれは期待感もあるのだろうと思うのですけれども、今の状況のもとでは健全な状況のもとでの景気の回復ではなしに、いわゆる自然増収の問題一つ見ましても、それは多くは土地の売却とかあるいは株の売却とか、本来の正常な経済活動の中で増収にはね上がったというようにどうも見られない節があるわけでございまして、今こそそういう点で資産倍増論、倍増じゃなしに三倍増でもやってもらわなければいかぬわけでございます。そういう点で、やはり内需拡大に根本的にメスを加えていく、それと同時にそのためには大型の減税がぜひとも必要である、こういうように思っておるわけでございまして、大臣の方からその点について忌憚のない意見を述べていただきまして、私の質問は終わりたいと思います。
  184. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私が何年か前に申しましたことにつきまして御指摘をいただきまして、まことにありがとうございました。  我が国の社会資本の充実ということは、我々にとって大事な問題でございます。今や海外からもそれを言われるようになりまして、老齢化社会になります前にどうしてもやってしまわなければならないことだと思っておりますが、幸いにして、先ほどお話しのNTTの株式の売却代金、先日この委員会で通過をさせていただきましたこの措置が、五年ぐらいは我が国の社会資本の整備に役立ってくれると私は思っております。それは幸いにして財政再建を妨げずに、いわば援軍として使える財源でございますので、これが助けをしてくれるだろう。また、ウサギ小屋の問題につきましても、住宅建設は昨年から今にかけましてかなり高い水準にありまして、全体としては少しずついい方向に向かっているのではないかと実は思っております。  それから、もう一つ言われました財テクの話でございますけれども、これは上田委員の言われますように、物にいたしましてもサービスにいたしをしても、いわゆる価値の造出を伴わない経済活動が主体になるようなことでは、それは非常に憂うべき傾向だと思っております。そういうことが長く続くことは、やはり好ましいことではないと考えております。     —————————————
  185. 池田行彦

    池田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 池田行彦

    池田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る二十五日火曜日午後四時五十分理事会、午後五時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時二十九分散会      ————◇—————