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1987-08-19 第109回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年八月十九日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 村岡 兼造君    理事 谷  洋一君 理事 中島  衛君    理事 野中 広務君 理事 森田  一君    理事 中村  茂君 理事 坂井 弘一君    理事 西村 章三君       逢沢 一郎君    榎本 和平君       金子原二郎君    自見庄三郎君       鈴木 宗男君    田村 良平君       虎島 和夫君    中島源太郎君       中村喜四郎君    牧野 隆守君       松田 九郎君    三塚  博君       井上  泉君    小野 信一君       坂上 富男君    三野 優美君       伏木 和雄君    伊藤 英成君       辻  第一君    中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 天野 光晴君  出席政府委員         国土政務次官  工藤  巌君         国土庁長官官房         長       清水 達雄君         国土庁長官官房         水資源部長   大河原 満君         国土庁計画・調         整局長     長沢 哲夫君         国土庁土地局長 片桐 久雄君         国土庁大都市圏         整備局長    柳   晃君         国土庁地方振興         局長      澤田 秀男君         国土庁防災局長 三木 克彦君         建設政務次官  東家 嘉幸君         建設大臣官房長 高橋  進君         建設大臣官房総         務審議官    田村 嘉朗君         建設省建設経済         局長      牧野  徹君         建設省都市局長 北村廣太郎君         建設省河川局長 陣内 孝雄君         建設省道路局長 鈴木 道雄君         建設省住宅局長 片山 正夫君  委員外出席者         科学技術庁原子         力安全局防災環          境対策室長   酒井  彰君         外務省経済協力         局無償資金協力          課長      小町 恭士君         大蔵省主計局主         計企画官    杉井  孝君         農林水産省農蚕         園芸局普及教育         課長      杉本 忠利君         林野庁林政部林         産課長     高橋  勲君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全管         理課長     三角 逸郎君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部監理課改革推         進企画官    伊藤 鎭樹君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部施設課長   澤田  諄君         労働省職業安定         局雇用政策課長 廣見 和夫君         参  考  人         (住宅都市整備         公団理事)   渡辺  尚君         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ――――――――――――― 委員の異動 八月六日  辞任          補欠選任   辻  第一君      中路 雅弘君 同日  辞任          補欠選任   中路 雅弘君      辻  第一君 同月十九日  辞任          補欠選任   瓦   力君      逢沢 一郎君   桜井  新君      虎島 和夫君   東   力君      自見庄三郎君   松田 九郎君      鈴木 宗男君   松永  光君      牧野 隆守君 同日  辞任          補欠選任   逢沢 一郎君      瓦   力君   自見庄三郎君      東   力君   鈴木 宗男君      松田 九郎君   虎島 和夫君      桜井  新君   牧野 隆守君      松永  光君     ――――――――――――― 七月三十日  有料道路通行料金割引制度対象範囲拡大に関  する請願岩垂寿喜男紹介)(第一一二号) 八月四日  信濃川の関東分水及び尾瀬分水反対に関する請  願(近藤元次紹介)(第二八六号)  公共事業重点的配分等に関する請願北口博  君紹介)(第三二五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月三十一日  治水事業促進に関する陳情書  (第三一号)  下水道事業促進に関する陳情書  (第三二号)  近畿自動車道整備促進に関する陳情書  (第三三号)  半島振興対策事業優遇措置に関する陳情書  (第三四号)  車いす用階段昇降機性能評定法改正に関する陳  情書  (第三五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する  法律案内閣提出第三号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 村岡兼造

    村岡委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国土開発幹線自動車建設法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する質疑は、去る七月二十九日に終了いたしております。  これより討論に入るのでありますが、別に討論申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  3. 村岡兼造

    村岡委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  4. 村岡兼造

    村岡委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、森田一君外四名より、自由民主党日本社会党護憲共同公明党国民会議民社党民主連合及び日本共産党革新共同の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。森田一君。
  5. 森田一

    森田(一)委員 ただいま議題となりました国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党日本社会党護憲共同公明党国民会議民社党民主連合及び日本共産党革新共同を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨説明にかえることといたします。     国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 国土開発幹線自動車道をはじめとする高規格幹線道路網については、その緊要性に鑑み、早期整備に努めること。  一 路線計画の策定及び事業採択に当たっては、国土の均衡ある発展地域社会活性化に寄与するよう十分配慮し、地域住民の合意の形成に努めること。  一 高規格幹線道路網整備促進するため、道路財源充実確保を図ること。   特に、国土開発幹線自動車道については、国費の活用も含め健全な経営体制を確立すること。  一 アクセス道路整備道路構造防災化等促進し、地域生活環境の改善に資するとともに、安全で円滑な交通確保に努めること。  一 事業実施に当たっては、自然環境の保全、埋蔵文化財の保存及び交通公害未然防止等に積極的に対応し、環境影響評価の適正な実施に努めること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  6. 村岡兼造

    村岡委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  7. 村岡兼造

    村岡委員長 起立総員。よって、森田一君外四名提出動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。天野建設大臣
  8. 天野光晴

    天野国務大臣 国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御意見や、ただいま議決になりました附帯決議趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  9. 村岡兼造

    村岡委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 村岡兼造

    村岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  11. 村岡兼造

    村岡委員長 次に、建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。まず初めに三野優美君。
  12. 三野優美

    三野委員 お許しをいただきましたので、国土庁及び建設省に若干の質疑を行いたいと存じます。  まず最初国土庁お尋ねしておきたいと思うのでありますが、前回の委員会でもちょっと触れたわけでありますけれども、今度の四全総の一番焦点というのは、やはり何といっても、ここにも強調していますように、東京一極集中を排しながら地方分散型の国土の姿を実現する、これが最大の課題になっているわけですね。したがって、これからの四全総の重要な仕事として地方圏を戦略的、重点的に整備する、こういうようなことが言われているわけであります。そのためにも、ここの第二章第一節にありますように、東京圏から地方への人口の逆流出を目標にする、そして産業の振興施策充実地方圏定住条件を改善するとともに、東京圏への諸機能の過度の集中を抑制し分散促進する、こうなっていますね。そのためには、まず従来に引き続いて工業の分散配置政策を進めると同時に、業務独立性が比較的高い中央省庁の一部部局地方支分部局等政府機関移転配置等検討し、その推進を図る、こう書いているわけですね。  この際、この点についてお尋ねしておきたいのでありますが、いわば人及び物の東京一極集中によって我が国の均衡ある発展が阻害された。その要因として一つには、国の行政機関東京集中し過ぎておることがその一部の原因である、こういうことをこの四全総はお認めになったと見てようございましょうか。
  13. 長沢哲夫

    長沢政府委員 お答え申し上げます。  東京一極集中是正を図るために各種分散施策四全総に盛り込んでおりますことは、先生おっしゃるとおりでございます。またその中の一つとして、行政機関につきましてもできる限り分散を図るべきである、そういう考え方に立っております。
  14. 三野優美

    三野委員 いや、私が聞いているのは、いわば裏を返して言えば、国のあらゆる行政機関東京集中し過ぎた、そのことがいわば過密過疎を生み、東京一極集中という今日の事態を生んだ一つ原因だ、裏返せばそう理解していいのかということを聞いているわけです。
  15. 長沢哲夫

    長沢政府委員 行政機関集中だけでなくて、また、経済機能集中情報機能集中あるいは国際機能集中、そういったことが現在東京一極集中を加速しているというふうに考えております。
  16. 三野優美

    三野委員 私が言っていることは、逆に言えば行政機関集中経済的な集中情報機関集中をもたらす非常な大きな役割を果たしているということをこの四全総は認めたんだな、こう言っているわけなんです。率直に申しまして、今日の資本主義経済というものはやはり行政機関に負うところが非常に大きいわけなんですね。したがって、行政機関いわば権力機構を軸にしながら民間経済というものが動くわけです。これが高度に発展した資本主義経済の法則だと私は思うのです。そういう意味で、いわば行政機関集中というものが情報なりあるいは経済なり人なりを東京集中させた一つの大きな要因と見ていいのかどうか。そう理解したから分散というものを考えたわけでしょう。その点を聞いているわけです。
  17. 長沢哲夫

    長沢政府委員 政治行政機能集中経済機能集中というのは、相互促進的な関係にあって、相互に原因になり合っている、そういう認識をいたしております。
  18. 三野優美

    三野委員 局長はそう言いたいのだろうと思うのですが、私は、いわば高度に発展した今日の資本主義経済というのは、やはり経済そのもの行政機構というのが極めて深いかかわりにあるわけですね。したがって、むしろ行政をここに集中することは、同時に人なり経済というもの、情報というものもここに集中する。そういう反省の上に立って、行政機関地方に動かそうではないか、分散しようではないかという理解だと思うのですね。これは間違いないと思うのです。ですから、その点をまず確認しておきたいと思うのであります。  さて、そういうことになりますと、例えばこれからどういう機関地方分散することが見通されるのか、あるいはスケジュールはどういう段取りでやろうとするのか、この点もひとつお尋ねをしておきたいと思うのです。
  19. 長沢哲夫

    長沢政府委員 四全総におきましては、政府機関移転文化施設東京外への立地等を進める。とりわけ、業務独立性が高い中央省庁の一部部局地方支分部局等政府機関移転配置等につきまして検討推進を図る。またそのほかに、今後新たに設置する全国的文化研究施設について、原則東京外への立地を図るということにいたしております。  ただ、具体的な政府機関につきましては現段階では機関名等を明確にするわけにはまいもないわけでありますが、今後関係機関とも十分連絡をとりつつ検討を深めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  20. 三野優美

    三野委員 まだ今これからの検討で各省庁と相談するというのですが、そうすると、これは四全総原案をつくった国土庁としては腹案は持っているわけですね。持っていて、これを具体的に各省庁と、おまえのところのこの部分は地方に出せ、ここのところは地方をもっと強化しろということをおやりになるわけですね。そうだろうと思う。その点について、これからの具体的なスケジュールをひとつお尋ねをしておきたいと思う。明確にこれこれというふうに今直ちに言えないにしても、例えばこんなことというのはやはりあるだろうと思うのですよ、これを出す以上は。例えばこんなものなら地方へ行ってもいいんじゃないか、こういう性格のものは行ってもいいんじゃないか、そういうことが地方活性化になるのではないかというのはあると思いますからね。それを私は、あなたの方で案をつくる段階で頭の中にあるわけですから、少し例を挙げて出してもらいたいということをひとつお願いしておきたいと思うのです。  もう一つは、中央にある行政機関地方移転をして地方経済文化情報を強化していく、あるいは地方行政機能というものを強めていくという方針でありますから、もちろん、そうでありますと今地方にある国の出先機関、それぞれ各地方ごとにありますね、局、部、分局ありますね、これをもっとさらに強化しなきゃならぬということになるだろうと思うのですよ。中央にあるものさえ地方に持っていくのですからね、もっと強化しなきゃならぬと思うのでありますが、したがって、まずもって現在地方にある局、分局などというものを廃止統合するなんということは、これはもうこの四全総に反することになりますから、そういうことはあり得ないであろうと思うのです。これは原則ですからあり得ないであろうと思う。  したがって、その点についてもひとつこの際お尋ねしておきたいのでありますが、従来の方針とは変わって、現に地方にある機関というものをもっと強化するのです、それを統廃合して弱めるようなことはいたしませんと、これははっきりしていると思うのですが、どうでしょう。
  21. 長沢哲夫

    長沢政府委員 二点お尋ねがあったわけでございますが、最初の、分散を図る具体的な機関名は、例示としても現在腹案は持っておりません。ただ、独立性の強い、移転が可能な機関がどのくらいあるかなという、そういう検討はいたしておりますが、具体的に、この機関地方移転すべきであるという形で具体名を挙げての腹案は今までのところまだ持ち合わせておらないわけでございます。  それからもう一つの、地方支分部局統廃合の問題でございますが、これは行財政改革といった、東京一極集中是正とは別の観点から検討がなされている問題でもございますので、こうした施策矛盾のないように政府機関移転配置を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  22. 三野優美

    三野委員 局長、これ以上詰めませんけれども、あなたのところが試案をつくるのに、頭の中で全然絵をかかないでこんな文章をつくったとは私には思えぬわけです。もしそうだとすれば、本当に何の試案もありませんぞといったらこれは文章で終わってしまうのですよ。私はその点を一番危険視しているわけです。四全総で皆さんが随分長い間ずっと議論をしてきて、東京一極集中はけしからぬ、何とか地方分散をしなければならぬ。その一つの問題として、先ほどから議論していましたように経済行政の裏腹の問題というのは今日の社会においては非常に強いわけです。ですから、地方分散しなければならぬと書いたのなら、その段階ではかなり具体的な案がなければ――あなたが今ここで言う、言わぬは別ですよ。なければ、これは文章で終わってしまうのですよ。そのことを最も危険視するものですから、今その点を指摘しておるわけなんです。これ以上聞いてもあなたは言わないでしょうけれども、これはそういう危険性がもともとあるということですよ。国民に対する、今役所はこういうことを考えておりますということが文章で終わってしまうのです。これが一つ。  もう一つは、あなたもいみじくも言われましたが、今地方に現にある部局支分部局というものを行革の中で統廃合することとこれとを矛盾しないようにやっていきたいなんて、こんなことはない。矛盾するわけなんです。したがって逆に言えば、今日までの行革の中で中央出先機関を一部統廃合してしまった、これは逆に東京一極集中原因をなすものだと私は思っておるわけなんです、実は。もっと地方に力を持たせて、地方権力分散してその地方実情に合った行政をやっていく、そして、それが地方経済文化活性化の力になる、こうならなければならぬ。それは、全国見てみなさい。何フロックかに分けて国の出先機関があるでしょう。そこはやっぱり、ないところよりもあるところの方が経済的にも文化的にも、情報の面でも人口の面でも力を持っていますよ。ですから、そういう意味ではこの四全総の物の考え方というものは、今日までやってきた中曽根行革誤りであったということの実は裏返しなんです。裏返しなんですよ。その点を私は最も指摘しておきたい。  それは誤りであったのはあったで、その過ちは正したらいいわけですからね。やはり地方分散をする。そのためには、今ある地方行政機能を――もちろん、全くむだなものというものはあるかもわからぬ。そんなものはいいわけですが、一般的には、行政機関統廃合して力を弱めるなどということはすべきではない。むしろ充実させるべきである。これは権力の問題もそうだし、財政的にも地方にもっと力を持たすべきであるという考え方を持つべきだと私は思うのであります。したがって、私が誤っている点があったらひとつあなたに指摘してもらいたいと思うのですが、どうでしょう。  それから、先ほども出ておりましたが、今後新たに設置をされていく文化研究施設東京圏外にと、これはどういうものを想定されますか。これはこれからつくるのですから、今あるものを持っていけというのではないでしょうから、考えられると思う。  それからもう一つは、特に国公立大学などについては地方をもっと充実させるべきです。東京を余り認可して大きなものにするのではなしに、地方大学充実させるということも、一つ文化の拠点をつくるという意味で重要になると思う。そんなことも想定されて考えておられますか。これもひとつ聞いておきたいと思います。
  23. 長沢哲夫

    長沢政府委員 お答え申し上げます。  第一点の、その機関について具体的な名前を挙げての腹案がございませんのは、決して計画をペーパープランに終わらせるという意味ではなくて、むしろ首都機能移転問題という形で、幅広い視点から国民的な御論議をいただきながら総合的に検討を進めていこう、こういう考えから、特定の機関最初からつまみ食い的に抜き出して移転を云々すべき問題ではない。むしろそれよりももう少し大きな問題であり、各界の御意見を踏まえなければならない問題であると認識しているからでございます。  それから、地方支分部局統廃合の問題につきましては、四全総の第六章に具体的にこういう記述がなされております。「国の地方支分部局については、事務などの整理合理化を進めつつ、本省の権限の委譲などにより、地方公共団体との円滑な連携の下に地域実情をより反映した行政運営を図る方途についても検討する。」こういう書き方がなされておりまして、その意味で、各地域実情に合った形で地方支分部局を強化しながら整理合理化を進めていく、こういう考え方になっているかと思います。  それから、文化研究施設地方への立地誘導につきましては、具体的なこれからの各種文化研究施設構想があるわけでありますが、特に国が関与するようなものについては東京以外のところへ立地する。例えば国際文化研究センターというようなものをつくるという構想がございますが、これなどはむしろ関西を主体に考えていくというようなのが一つの例でございます。
  24. 三野優美

    三野委員 地方行政機関充実強化、そして地方への行政機関移転というのは期待しておきますから、できるだけ早目に、これは急ぐことですから、次の通常国会ぐらいにはあなたの方から案が出るようにとにかく期待しておきます。これは非常に難しい問題ですけれども、ひとつお願いしておきたいと思います。  次に、これは建設省とも関係がある、特に建設大臣かかわりがあるのですが、東京一極集中、特に土地対策の問題で、ビルが足らないよ、したがって土地をつくらなければならぬ、土地の値段を抑えることも大事だけれども土地を新たにつくらなければならぬということで、東京湾埋め立て構想というものがこのほど大々的に打ち出されているわけですけれども、この点はどうでしょうか。  これは建設省及び国土庁に聞きたいのですが、私は、もちろん不足している分だからできればなおいいのだけれども、そのことは逆に東京一極集中にさらに拍車をかけるような役割を果たすことにはならないだろうか。土地確保という面では前進面があるだろう。しかし、そこにビルなりその他をつくって、さらに経済機能というのはそこを軸に動くわけですから、それと東京へ菜中するという機能とのかかわり矛盾が起きやしないだろうかと思うのですが、その点はどういうように理解されるか、それを聞いておきたいと思います。  さらに土地対策の中で、きのうも本会議で出ておりましたが、中曽根総理がいわば土地対策の問題について土地の私的な制限というものを口にしているわけですけれども、土地の所有について私的制限、いわば公共の福祉のためにということで制限というのは具体的に何を指すのだろうか。これも国土庁土地対策として、総理のお考え方というのをどういうように聞いているのか。例えば土地収用法なんというのは今あるわけなんで、これを適用するかしないかの問題であって、これも私的制限の一つの方法なのですが、土地対策の問題についでこれが今必ずしも機能していないわけですね。したがって、具体的には何を指しているのか、この点をひとつお尋ねしておきたいと思うのです。
  25. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 お答えいたします。  最近における大都市圏の地価高騰対策といたしまして、私どもの対策といたしましてはまず緊急な対策ということで、投機的な土地取引をできるだけ抑制して地価の値上がりを抑えるということをまず第一に考える必要がある。第二番目には、今回の地価高騰の直接の原因東京都心部におけるオフィス床需要が非常に拡大してそれに供給が追いつかなかったということがございますので、この供給をできるだけ促進するという対策を考える必要があるだろう。第三番目には、基本的には今回の地価の高騰というのは東京一極集中が非常に激しくなったということでございますので、この東京一極集中の傾向を是正するための対策を基本的に考えていく必要があるだろうということで考えているわけでございます。先ほど国土庁の計調局長からも話がありましたように、第四次総合開発計画はこの点に非常に重点を置いて作成されているわけでございます。  それから、土地に関する私権制限についての考え方でございますけれども、御承知のように国民の財産権につきましては憲法二十九条第一項で「財産権は、これを侵してはならない。」とされており、またその二項においては「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」というふうにされているわけでございます、こういう憲法の枠の中で、現行法におきましても国土利用計画法を初めとする各種法令におきまして、土地の利用とか取引とかそういうものについていろいろの制限が行われているわけでございます。私どもといたしましては、まず現行法の枠の中でできるだけこれを適正に運用いたしまして現下の土地問題に対処してまいりたいというふうに考えているわけでございます。  また、現行制度以上の、制度を改正して私権をさらに制限する必要があるかどうかということにつきましては、国民の財産権に深くかかわる問題でございますので、各方面の意見を聞きつつ、慎重に検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  26. 三野優美

    三野委員 そうしますと、中曽根総理土地の所有権の私的制限については現行法の範囲の中で運用面で処理するということであって、新たなことを考えているわけではないわけですね。そういうふうに考えていいのですか。新たなことを考えて言っているのではなしに、現行法を適切に運用するのですよという意味であって、大々的に演説するものですから私は何か新しいものを考えているのかと思ったら、そうではないわけですね。  そこで、土地という問題は、確かに憲法で財産権というのは保障されているわけでありますけれども、いわば土地に対する物の考え方というのはやはり時代がこう変わっていきますとだんだん国民の中にも変わりつつあるのではないか。少し意見を持っている部分もあると思うのですね。いわば土地の公的所有というか、これをもっと強化すべきではないかという意見も時々耳にするようになったわけですね。そういう点からいうと、本当は国土庁長官――政務次官がおりますから政務次官でもいいのですが、土地というのは、しかも都市などにおいてあるいはまた環境保全の立場からいって非常に重要なところというのは、やはりできるだけ国及び地方公共団体等公共機関が持つということが一番土地の私的制限になると思う。だとするならば、やはりその点を少し前へ出さないと、今のように国有地をどんどん払い下げてそれが新聞のネタになって社会の問題になるような、これじゃ、みずから権限を一〇〇%持っている土地さえ放棄しておいてそれで私的制限を強化するなんといったって、これは意味ないと私は思うのです。しかも、出しているのがほとんど社会的に問題になるようなところばかりなんです。最も重要な部分だけ。したがって、重要な部分はもっと公的機関が保持する、そして、その時代その地域に合った活用方法というのも、これは場合によっては民間の資本を活用してもいいですよ、そういうことを考えるべきではないかと思うのですが、次官、そこらのところはどうですか。そこらが、言っていることと、していることがどうも違うように思うのです。
  27. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 お答えいたします。国鉄跡地等も含めて国公有地の処分のあり方につきましては、この前の通常国会審議していただきました国土利用計画法の改正案を提出する過程で、政府の部内でいろいろ議論を行ったわけでございます。一応国土利用計画法の中では、国等が土地を処分する場合には適正な地価の形成に配慮するようにという条文を挿入するということで政府部内で話をまとめたわけでございます。  この規定の裏打ちといたしまして政府部内でいろいろ申し合わせをしたわけでございますが、その申し合わせの中で、国公有地、国鉄跡地等の処分に当たっては地方公共団体の意向を十分に尊重して行うという一項があるわけでございます。現実に国有地等につきましては、その処分をする場合には、まず最初地方公共団体に対しまして買い受け勧奨ということをいたしておりまして、地方公共団体がこの土地を使うかどうかということを最初検討するというようなことをいたしておるようでございますけれども、国鉄の土地につきましても、そういう国の土地の処分に準じて地方公共団体の意向を十分に尊重して処分をいたしましょう、こういう申し合わせをしている次第でございます。
  28. 三野優美

    三野委員 あなたの言っていることと私の言っていることとは違うのです。いわば土地の問題というものは、今社会的な土地の性格というのが変わりつつあるのだ、したがって社会的な性格というのは強まっていかなければならぬということが中曽根総理なり政府が言っていることなんでしょう。だとするならば、社会的な性格というのを強めるということになりますと、国なり地方公共団体の公的な機関が持つことが一番社会的な性格が強まることなんですよ。そういうことを言っているのだから、逆に言うならば国公有地をふやすことを考えなければならぬ、それを売るというのは逆行じゃないかと私は言っている。だから、中曽根総理の言っているそのことと今政府がやっていることは逆なことをやっていますよ。  国公有地を拡大するというのが本来私の物の考え方なんです。都市でもそうだけれども、地方でも自然保護だとか、あるいは将来国民的な財産として確保しなければならぬような環境のところは今後公的な機関が持つべきだという意味なんです。したがって、それから言うと全く逆のことをやっているじゃないか。ですから、私的制限とは何なのだ。まず自分が、国そのものがそういう土地に対する対応をしなければならぬじゃないかと言っていることなんであって、それはあなたが答弁する枠の範囲なのかどうか知らぬが、建設大臣もおるし次官もおりますが、私はそういうことを言っているわけなんですよ。その点についてできれば見解を聞かせておいてほしいと思います。  続いて、時間がないものですから、建設省に少し入りたいと思います。  建設大臣、大変御努力いただきまして、公共事業を次々とおやりになっていただいて景気浮揚策をおやりになっている。さて、その際に、毎回建設大臣が声を大きくしているのは、いわば公共事業の配分については、産炭地だとか鉄鋼だとかあるいは造船だとか不況地域、あるいは過疎地域などで産業の余りないような城下町などについてはぜひ傾斜配分をしていきたい、こう言ったのでありますが、果たしてそのために、傾斜配分をしていわば地域経済にどういう影響、好結果をもたらしたのか、そして労働力の推移などがどのようになっているのか、これを聞いておきたいと思うのです。  これは労働省にもお尋ねしますが、私の若干聞いたところによると、どうも公共事業をやってみても、この前労働省もちょっとそういうことを言われましたね。これは建設従事者が休日出勤がふえたあるいは残業がふえた、こういうことはあるけれども、鉄鋼だとか造船だとかあるいは繊維だとか、いわば他産業で不況のために職を失った人たちがこの公共事業にどの程度参加されておるのか、こういう調査をされていると思うのです。傾斜配分ばかりやっているのですから、私は傾斜配分にも少し意見があるのですが、それはそれでいいとして、建設大臣が考えているように、傾斜配分の結果は労働力吸収にそういう結果をもたらしているのかどうか、この点をひとつお尋ねしておきたいと思います。  続いて、公共事業拡大は非常にありがたいのであります。とりわけ住宅もかなりふえている。ところが、ここ一、二カ月になって、とりわけ住宅の建設資材、特に材木の高騰が目立ち始めたと思うのであります。これは林野庁も来てもらっていると思うのですが、そこらの動向はどうでしょうか。こういうことはあり得ると想定されておったのでありますが、その結果どういうことになっているのか。これが次の公共事業、とりわけ住宅政策の足を引っ張るのではないかと私は思うのでありますが、ここらはどうでしょうか。
  29. 廣見和夫

    ○廣見説明員 お答えいたします。  今先生のお話にもございましたとおり、私たちといたしましては、一昨年来のいわゆる円高不況でかなりの地域で非常に厳しい雇用情勢が見られるということで、こういったような地域は特に指定いたしましてその地域での雇用開発を積極的に進める、こういうことでやってきたわけでございます。その一つの重要な柱といたしまして、私たちも公共事業がその地域活性化を通じて雇用の改善に非常に大きく役立つということで労働省から建設省にもお願いを申し上げ、建設省からもいろいろ御配慮いただき、こういったような地域公共事業が重点的に配分されているというふうに承知しているところでございます。  こういう中にございまして、確かにまだまだ雇用情勢は一般的には厳しいわけでございますが、建設事業等を中心にいたしましてかなり求人が出てまいっております。例えば、非常に厳しい地域でございます北海道なんかを見てみましても、四月、五月、六月とかけまして建設業の求人が非常にふえてきているということもございます。そういうような全国的な状況あるいはそれぞれの地域の状況を見てみましても大体そんなことが言えるわけでございますが、それを反映いたしまして、例えば北海道では求人倍率、求人と求職の倍率を見てみますと、昨年の四月-六月がこの求人倍率が〇・六一だったわけでございますが、ことしの四月-六月は〇・六六というふうに、〇・〇五ではございますが改善を示してきている。あるいは九州、これも非常に厳しい状況に置かれておるわけでございますが、昨年が同じく〇・三〇の求人倍率が、ことしの四月-六月にかけましては〇・三三というふうに、わずかずつですが改善を見せておるわけでございます。  ただ、先生が後半の方に御指摘ございましたように、確かに公共事業がふえるということによりまして私どもも、建設業を中心といたしまして雇用の場が直接的に拡大されていくということを非常に強く期待しておるわけでございますが、それと並びまして、あるいはまたそれ以上に重要なことは、公共事業の配分ということは地域経済活性化につながり、それが就業機会を増大させることにつながっていく、そういう全般的な効果の方をより重視して考える必要があるのではなかろうか。そういう意味で、まだまだ厳しい状況にはございますが、これから、全般的な地域活性化が進み、私たちもそういうものと一体となって雇用の開発を進めていく、こういう中で雇用の改善が図られるよう一層努力していきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  30. 高橋勲

    高橋説明員 御指摘の木材価格の動向につきましてお答え申し上げます。  木材価格につきましては、昭和五十五年以降長期にわたりまして下落低迷を続けておったわけでありますが、最近になりまして、木材需要の拡大ということで全般的な上昇傾向を示しております。特に国産材につきましてはヒノキが強気配でありまして、ヒノキの製品は大幅に上昇しております。それから外材につきましては、五月まではずっと長期低落の下落傾向を続けておったわけでありますが、六月になりまして反復回復の方向に転じております。それから型枠用合板、これも六月以降上昇に転じております。  これに対しまして、私ども、木材の需給と価格の安定、これを図ることは林業や木材産業にとりましてもまた消費者にとりましても重要でありますし、御指摘のような内需拡大策の円滑な実施という上からもぜひ必要なことであります。また、木材価格が高騰するということではせっかく木材需要の拡大ということに努めております施策にも反することになり、木材離れが生じてしまうというふうにも考えておりますので、木材の価格の安定は非常に大事なことと考えております。これに対しまして、需要に見合った安定的な輸入の確保とか、需要に見合った安定的な生産、流通の確保というようなことを、業界等に対しまして指導、要請を行っているところでございます。
  31. 三野優美

    三野委員 労働省、求人倍率がふえてみても、私が言っているのはいわば、例えば繊維で働いていた、造船で働いていたその人が、公共事業に傾斜配分の結果どれだけ流れたかということが問題なんです、実は。流れてないのですよ。それは非常に率が低いわけですね。全体としては求人倍率はふえたかもしらぬけれども、問題は、不況地域集中的に建設省が傾斜配分をした。というのは、不況地域というのは鉄鋼や繊維やその他機械ですね、不況産業のところに失業者がふえたものですからそこに来たわけです。問題は、そのためにその労働者が転職をしてどう公共事業に参加したかというのが問題なんですよ。そこのところを明確にしないといかぬじゃないか、こう言っているわけです。これは、建設省も十分にその点は配慮してもらいたい。私は前からこの点については疑問を持っているわけなんですよ。  それともう一つは、これは建設省にもかかわるのですが、例えば愛媛県今治において造船が不況になってしまった、そこに公共事業を配分する。そのことによって他の産業にも波及効果をするだろう、こう言うのです。セメントや鉄鋼は売れますね。あそこでセメントや鉄鋼はつくっていないですよ。セメントや鉄鋼を生産しているのはよそなんだ。それはよそへ波及することもいいことですよ。ですが、必ずしもこの集中配分というものが、その地域に直接的に影響する部分というのは非常に弱いという面もあるということですね。ですから、私はもう少しそういう点では傾斜配分という場合に、傾斜配分を否定するわけじゃありませんよ、むしろ建設行政一般の立場から、どこをどういうように地方活性化しあるいは環境整備をすることが全体の日本経済に与える影響が大きいのかという観点に立たないと、不況だからそこへやればそこは何とかなるだろう、言い方としてはいいわけですが、なかなかそうはなってない。労働力の移動にしてみても、今言ったように建設資材の供給という点でも直接的に結びついてないという部分がある、他のところで生産しているわけですから。こういう点も十分配慮してもらいたいということを実は申し上げたかったわけなんですね。この点が一つ。  それから、林野庁は外国の輸入材も上がったと。上がりますね、向こうも商売だから。国内の生産が追いつかぬと見たらばすぐ上げちゃう。農産物と一緒ですよ、これは。ほかの農産物と一緒、すぐに上げちゃうわけです。向こうに本当になくなったのかどうかわからぬが、すぐ上げてしまった。国内のヒノキも、例えば土台一本、一丈物が五千円だったものがもう七千円くらいしていますね。そうすると、もうサラリーマンの住宅というのは夢破れてしまう。後で建設省住宅政策のときに触れますけれども、現に一戸建て住宅、木造住宅というのはふえてないのです。伸びているかと思ったら縮んでいるわけなんです。しかも、ここで材料が上がりますと、特に木材なんか上がりますとこれは住宅政策に直ちに影響するし、あるいはサラリーマン、庶民の生活に直ちに影響するわけなんです。  ところが林野庁の方は、聞くところによると今度林政審ですか、営林署の、いわば米材の供給というのに営林署の果たす役割は大きいですね、ところが、ここで四万人おるところを二万人首を切る。何かと思ったら、もう山は手入れせぬ、ほっておくという話ですよ、あれは。私も山で育ってきているわけです。森林組合の役員もしているわけです。あれをほっておくということですよ。もうこれから二十年、三十年たつと、ああいう政策をやっていると国が供給する機能が実はなくなる。今現に持っているのでさえ自分でようしないで、民間でやってくれと言って民間活用でしょう、営林署の方は。それを貸しておったって実際に十分管理できているかというと、できてないのですよ。そういう意味では、もちろんこれは採算性のことを無視せいという意味ではないが、水資源の問題、自然環境の問題、木材の国内の需給その他を考えてみると、そんなに経済主義だけではいかぬということですね。とにかく、今林野庁というのは国の機関の中で小さくなっているようですが、余り小さくなってはかりいたらこういう悪循環をもたらしますので、この点は十分配慮してもらいたい。  それから建設省も、こういう上がり方は非常に速いのです。ここ一、二カ月急速に上がりつつある。この際、これに対してどういう対策をするのか。もちろん対策といったって、お役人さんが行って上げるなど言ったってなかなかとまらぬわけですね。だけれども、これについて早く何とかしないと、せっかく住宅が上向きになりつつあるというけれども、後からまた議論しますが、個人住宅は低迷していますし、民間住宅は建っているものも建たなくなってしまう。この点についてもぜひひとつ見解を聞いておきたいと思うのです。
  32. 廣見和夫

    ○廣見説明員 お答えいたします。  確かに、先生今御指摘がございましたように、建設業を中心とした公共事業が特定の地域に傾斜的に配分されていく、そこでの建設業へ就労する方がどういったような方が多いのかということから見てまいりますと、建設業の必要とする労働力の特性ということもございまして、全部が全部そこの地域の失業者で賄われることはないということは御指摘のとおりだと思います。  ただ、私たちといたしましても、いろいろな意味で、例えば職業訓練を実施するということによりまして、一定の不況業種からの離職者の方に対しましてそういう訓練を通して建設業の労働者として就職していただくというケースもあるわけでございますし、例えば高島鉱からの離職者、こういったような方々を見ましても、かなり建設機械運転工といったような職種に職業訓練を通して再就職していっていただいておる方もおられるわけでございます。そういうような形で、一つは訓練等を通して努力している。  ただ、先ほども申し上げましたとおり、直接建設業等で吸収されていく数というものも大切でございますが、公共事業にもいろいろな種類があるわけでございまして、先生のお話に例のございましたようなセメント、鉄といったようなものは、確かに直ちにその地域の雇用増大あるいは経済活性化にストレートにはつながらないものがあるのかもしれませんが、その他いろいろな形で多種多様の種類の公共事業があるわけでございまして、やはりその地域活性化というものに大きなインパクトを与えていく、そういうものを通じて雇用の場の拡大につながっていく、これを私たちは強く期待しておるというところでございます。
  33. 高橋勲

    高橋説明員 木材価格は御指摘のとおり自由市場で形成されますのでコントロールは難しいわけでありますけれども、木材価格が低過ぎますと林業の不振ということにもなりますし、高過ぎれば木材離れあるいは家の建築コストが高くなるというふうなことにもなりますので、適正な価格が望まれるわけでありますけれども、私どもといたしましては、関係業界に対しまして生産、輸入の円滑化によります供給の確保、それから大工、工務店さん等そういう需要者に対して的確な情報を提供して、適正な価格が形成されるようにというふうな措置を講じてまいりたいと考えております。
  34. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 木材の問題につきましては、一戸建て住宅の中に木材が占める比率が平均的に申し上げますと約二六%と大変大きな比率でありまして、その価格の影響というのは大きい影響がございます。したがいまして、供給サイドにつきましては、先ほど林野庁から御説明ありましたように、林野庁の方にお願いいたしまして関係団体への安定供給をお願いしているところであります。また、直接住宅を供給する企業に対しましては、この際そういう便乗的な値上げをしないように、例えばプレハブ建築協会でありますとか木造住宅協会でありますとか、そういう関係業界に対しまして安定供給に努めるよう指導しているところであります。
  35. 三野優美

    三野委員 価格の高騰は、今急速に上がり出したものですから早く手を打たないといかぬと思うのですが、難しいと思うのですが、ぜひお願いしたいと思います。  次に、住宅政策についてちょっと質問いたしますが、政府も発表していますように、五十五年に百二十一万戸、五十六年百十四万戸、五十九年百二十万戸、六十一年は百四十万戸台に上昇してきた。これは非常にいいことなんです。ところが、この中で持ち家住宅が実は五十年以降逆に下降線をたどっているわけですね。借家が非常に大きな部分を占めているわけです。これは一体どういうことを示すのでしょうか。本来、政府は持ち家住宅というものを奨励してきたのだけれども、その逆の方向にあるわけです。家全体はふえているけれども、持ち家住宅は五十七年から六十一年を見ると十万戸も減っているのですね。こういう傾向があるのです。これはどういうことなんでしょう。  例えば、これは住宅そのものは上がっていないといっても、社会環境が変わってきたものですからいいものを建てたいということもあるでしょう。一生に一遍のことですからね。そうすると、それは勤労者の所得というものが建築に要する費用とバランスがとれていない、今、家を建ててみても賃上げが一・何%とか二%といったのでは支払いする見通しがないということもあって、この持ち家住宅というのは低迷しているのじゃないか。もう一つ土地です。都市の市街地における土地の高騰、これらも原因をして持ち家住宅が減ってきているのではないか。これは、住宅が一般的にふえてきたといっても、持ち家住宅が下降線をたどっているということは社会的に非常に問題なんです。数だけてはいけない。これが一つ。  もう一つは、新築住宅の平均の床面積が過去五年間どうなっているのかといえば、これも下がりつつある。六十年度から六十一年度についても下がっているわけであります。この過去五、六年ずっと下がってきている原因がどこにあるのか。これは、土地が上がる、住宅費が高くなっていくものですから、ひょっとすると借家などもだんだん小規模なものを建てていってしまって、外国からウサギ小屋だと言われたのですが、またますますウサギ小屋に拍車をかけているのじゃないだろうか、こんな気がするのでありますが、これは一体どうでしょうか。むしろもっとゆとりのある住宅政策をやるべきだと思うのですが、そのための対策というのはどういうふうに考えているのか。  もう一つは、一戸当たりの建ぺい率の動向はどうでしょうか。土地が値上がりすると建ぺい率に影響してくるのじゃないかと思う。ゆとりはますます建ぺい率の面でもなくなってくるのじゃないかと思いますが、これらについてはどういう動向なのか、また建設省はどう指導をしているのか、お尋ねしておきたいと思います。
  36. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 最初に、持ち家率の状況でございますけれども、御指摘のありましたように、毎年の住宅建設戸数全体の中に占める持ち家比率は、昭和五十五年に七三・六%という高水準を示しましたが、その後ずっと減少を続けてまいりまして、六十一年では五〇%という数字になっているところであります。  この状況の大きな原因としましては、まず需要サイドといたしまして、少人数の世帯が大変ふえてまいりまして、例えば五十五年から六十年の国調で見ましても、全体の世帯数が六%伸びたところを、一人世帯は一一%、二人世帯は一六%台で伸びている。少人数世帯が非常にふえました結果、借家の需要層が増大してきたということが需要サイドの要因として考えられるところであります。またもう一方、供給側の要因といたしましては、この数年間の中で、物騰が安定的に推移している中で家賃水準がそれを上回った形で伸びてきているという現象がございます。さらにまた、一方建設コストは安定的に推移している。そういう供給側の意欲をそそるような状況になってきたところが、需要の要因とマッチいたしまして借家の供給につながってきているものと考えております。  第二の御質問の中の、住宅の規模がだんだん狭小化してきているという御指摘、まさに平均的にはそのとおりでございまして、これも、五十五年が一戸当たり平均でフローで見ましたときに九十四・三平方メートルであったものが、六十一年度では八十・九平方メートルとなっております。この数値が下がりましたことは、まず、一戸建て住宅につきましては経年的に毎年規模がふえてきておりまして、六十一年度で百三十・二平方メートルとなりましたけれども、貸し家の方はこの数年規模が減少してまいってきておりまして、六十一年度で四十五・七と規模が小さいものになっております。この規模の小さい貸し家がそのシェアを大きく占めたために平均で申し上げるとこの数年平均値は下がってきている、こういう状況であるかと存じます。  しからば、この中で居住水準が本当は落ちているのかどうかというようなことを見ますると、これは先ほど要因のところで御説明申し上げましたように、少人数世帯がふえたことに伴いますためでありまして、必ずしも全体の居住水準が落ちでいると見ることはいかがかと考えております。例えば統計としまして五年ごとの住宅統計調査がございまして、これで一人当たりの平均畳数というものをとっております。これによりますと、昭和四十八年に一人当たり畳数が持ち家で七・五五畳、これが毎年伸びてきたのですが五十八年には九・六〇畳になっておりまして、倍率が一・二七倍でございます。一方、貸し家につきましても、四十八年には一人当たり畳数が四・六五畳でございましたものが五十八年には五・九九畳でございまして、これが倍率が一・二九倍でございますので、この数字から見まするとむしろ貸し家の居住水準の方が上がっているということでございますので、居住水準全体としましては一人当たりについては上がっているのではないかと考えております。見かけ上は小規模世帯がふえたために小さい住宅がふえた形になっておりますけれども、実質上は向上しているというふうに私どもは見ております。  次に、こういう規模を引き上げること等に対する対策いかんという御質問がございましたけれども、これにつきましては、基本といたしましては公的住宅融資あるいは住宅税制を拡充することで対処する一方、特に規模の点につきましても留意いたしまして、例えば、住宅金融公庫融資の際に規模別に金利が定まっておりますけれども、その規模を年々引き上げてきておるところでございまして、例えば基準金利口につきましては現在百二十平方メートルまで、財投並み金利口につきましては二百平方メートルと引き上げております。また、住宅取得促進税制におきましても規模の要件というものがございますけれども、その上限百六十五平方メートルを二度にわたり引き上げて二百平方メートルにしているというふうに、いろいろと留意しているところであります。  次に、建ぺい率の御質問がございましたけれども、建ぺい率につきましての年次別の統計というのは残念ながらとっておりませんので、やはり住宅統計調査の五年ごとの調査によって見ますると、全国で見ましたときに、建ぺい率は四十八年が二九・八%、五十八年には二九・七%ですから、この間にストックにおいてはほとんど変化ございませんので、着工年別に推計いたしましてもそれほど差はない、こういうふうな状況であろうかと思いますが、いずれにしましても敷地が狭い状況でございますので、建ぺい率はかなり目いっぱい使っているというような状況でもあろうかと存じます。
  37. 三野優美

    三野委員 実は建設省の方へ、瀬戸大橋完成後の四国の道路問題を質問しようと思ったが、時間がないものですから、また局長のところへ私的に伺いたい。  この際ひとつ時間がないからお尋ねしておきたいのですが、本四架橋に伴う政労協定、これは昭和五十三年十月六日、道路局長、鉄道監督局長、港湾局長、自動車局長、職業安定局長、本四公団その他云々と、こうなっていますね。これは存在していることは確認できると思うのですが、間違いないでしょうか。  そして、これに伴う処理の推移の状況でありますが、港湾関係はある程度話が進んでいるというのは聞いているのですが、例えば連絡船あるいはそれに伴う高松駅弁当株式会社を含む関連業者の問題についてはどうもそのままのような気がするわけなんですが、どうなっておるでしょうか。これをひとつお尋ねしておきたいと思うのです。  時間がないですから、一挙にお願いしておきますが、例えば運輸省も来ていただいておるのですが、来年の四月十日ですか、供用開始ということで建設大臣が発表されたわけでありますが、その時点で連絡船は一応廃止することになっていますね。これは私は意見はあったのですが、それはそれとして、航路としては高松-宇野間の航路は廃止するのですけれども、御承知のように、香川県と岡山県で瀬戸大橋博が二百五十日に及んで行われる。三月十日から行われるわけですね。これについても、実は地元ではできれば連絡船を残してもらって、この瀬戸大橋がついてみても当初かなり長期間にわたって観光資源としての機能も果たすものだから当初予想を大きく上回るであろう、とりわけこの期間中は両県が三百万ずつ六百万というこの博覧会参加者を募集して、今予定どおりいっているようですが、そうなると、とてもじゃないけれども橋だけでは対応できない、したがってその場合に連絡船が高松なり岡山の港から会場に向けて運ぶということなどを果たしてもらえないだろうか、あるいは、もう既に観光資源として工事中でも二足の役割を果たして観光船として機能しているわけですが、その後の将来においてもそういうことを行うべきではないかという意見があるのですが、ここらはどうなんでしょうか。この点どうも、JR四国は地元から言っても返事しないのです。県から言っても何も言わない、関係職員から言っても何も言わない。もともと運輸省というのは比較的官僚的だと私は聞いているのですが、私もそう思うのです。そう思うのですが、地域の住民の足なんですから官僚的だけじゃ困るのであって、やっぱりそれは答えてもらわなきゃ困るのですが、一体そういうことについて運輸省はどういう指導をしているのか、ひとつお尋ねしておきたいと思うのです。  それと、この連絡船をもし廃止するとするならば、海の上で生活してきた人たち、これに対して再就職その他の見通しはあるのか。これもどうも組合から聞いても物を言わぬということの中で、数人行けばもう清算事業団へ行けなんという話ばかり出て、そんな話ばかりしていたんでは後ろ向きなんで困るのです。  そのほか関係する業界、例えば駅弁なんというのは、もう皆さんの方に資料を渡しておりますから御承知のとおり、連絡船がなくなるだけで駅弁の売り上げの七〇%がなくなるわけですよ。そこで働いている大半が行き先の見通しが立たないという現状の中で、これは一体どうするのですか。この瀬戸大橋というのは国の事業としてやっているわけですから、それから起きた問題についてはやっぱり国が責任を負うという態度がなければいかぬと思うのです。そこらについてもひとつお尋ねをしておきたい。  時間がないものですからもう一挙にして、それで終わりますが、あと、政労交渉についてはまたお願いをして詰めていかなければならぬと思うのですが、そこらをひとつお尋ねしておきたい。特に道路局長、この問題はあなたが窓口で、あなたがすべての責任なんです、総理大臣にかわってあなたが署名していますから。ひとつこれからの扱いについてお答えください。
  38. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 本州四国連絡橋に伴います港湾・陸上運送関係の雇用問題につきましては、先生御指摘のような、五十三年九月二十九日に本州四国連絡橋旅客船問題等対策協議会が決定いたしました本州四国連絡橋の建設に伴う旅客船問題等に関する対策の基本方針及び五十三年十月六日に政府と総評との間で結ばれました本州四国連絡橋に伴う港湾・陸上運送関係雇用問題等に関する協定に沿って対策を現在まで進めてきているわけでございますし、今後とも、この中央の窓口といたしまして、その協定の基本方針に沿って対策が円滑に進むように努力してまいる所存でございます。
  39. 伊藤鎭樹

    伊藤説明員 まずお尋ねの第一点でございますけれども、本四架橋に関する協定書に関連したものといたしまして、現在連絡船を運航しておるわけでございますけれども、その要員、八月一日現在で申し上げますと会社の職員が百六十名ほどでございます。また、それだけでは足りませんで、清算事業団の方から二十五名ほどの応援をいただいております。これらの要員の方々の連絡船廃止後における雇用の確保という点につきましては、まず会社の職員につきましては引き続き会社の他の業務に従事していただくという形で雇用を確保していきたいというふうに考えております。また清算事業団の職員につきましては、二十五名のうち二十二名の方々は既に官公庁等の公的部門への再就職が内定いたしておりまして、そういうことを通じて今後とも引き続き雇用の確保に努力してまいりたいということでございます。  続きまして関連企業の問題でございますけれども、関連企業の問題につきましては一基本といたしまして、まず、企業の方で具体的な今後の事業展開あるいは社員構成というものを通じまして所要の御検討をいただくということがまず第一でございますけれども、先生御指摘の駅弁会社等も現在非常に真剣にその後の雇用の確保の問題について検討しているというふうに私ども伺っております。また、国鉄事業を引き継ぎましたJR四国におきましても具体的な相談には十分応じていきたいという考え方であるというふうに聞いております。私どもといたしましては、そういう当事者の方々の具体的な検討状況を踏まえながら、協定書の趣旨に沿って今後とも適切に対処してまいる所存でございます。  それから最後に、本四架橋開通後の宇高連絡船の取り扱いについてでございますが、本四備讃線の開通後は宇高の鉄道連絡船事業役割は基本的に終了するものと見込まれております。このため、六十年十月の閣議決定におきましては、原則として廃止するという方針を定めているところでございますが、この四月、国鉄事業を承継いたしましたJR四国といたしましても、架橋開通後は鉄道連絡輸送の使命は完了し、現行のような運航形態での事業というのは必要なくなるというふうな考え方だと聞いております。その後の連絡船の活用という問題につきましては、基本的にはこれはJRにおいてある程度採算性あるいは事業の必要性等を踏まえた検討、そういうものがまず第一でございまして、そういうものを踏まえながら具体的な内容があれば今後とも検討していくという問題かというふうに考えております。  以上でございます。
  40. 三野優美

    三野委員 終わりますが、ただ一言だけ。  今運輸省が言ったように、駅弁は自力で一生懸命やりよるだろう、JRは何とかやりよると。協定を結んだのは政府が結んでいるわけです。JR四国の民間会社はそこは駅弁に何も言わない。労働組合にも何も言わない。政府が結んでいるんだから、建設省も運輸省も政府の責任で処理するという態度がなければ、ないものに等しいじゃないですか。あなたの答弁を聞いていると、それはよそのことみたいな話をしている。政府が協定していることをちゃんと申し上げておきますよ。したがって、今後の政労交渉には私も出してもらいますが、政府の責任でどうするかということを明確にしてもらいたい、そのことをお願いして終わります。ありがとうございました。
  41. 村岡兼造

    村岡委員長 次に、坂上富男君。
  42. 坂上富男

    ○坂上委員 私の質問時間は一時間でございますが、予定した以上に実はゆうべからさっきまで駆け込み質問の要請がありまして、大変追加質問で御準備をいただくのも容易でないのじゃなかろうかと思いまするが、答えられる範囲でお答えをいただければありがたいと思います。それから、各省庁からもお見えをいただいているわけでございますが、今言ったような事情もございまして、あるいは質問がそこまでいかないかもしれません。せっかくお出かけをいただき御準備をいただいておりながら、あるいはせっかくの質問ができないかもしれませんが、お許しをいただきたいと思っておるわけであります。  まず最初に、これも突然の話で恐縮でございましたが、私たちの方の日本社会党の国会議員団が明日、秋田と岩手の水害が相当規模に被害が及んでいるという報告がなされまして、調査団を出すことになっておるわけでございますが、今この被害がどの程度になっておるのか、把握しておられたらお答えいただきたいと思います。
  43. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 ただいま現地の状況を調査中でございまして、手元に具体的な数字は持ち合わせてございませんが、後刻御報告させていただきたいと思います。
  44. 坂上富男

    ○坂上委員 後刻というのは、私の質問の最後ぐらいでよろしゅうございますか。できるだけお答えいただきたいと思います。  大臣、早速でございますが、相当の被害と聞き及んでおるわけでございますが、状況を完全な把握のないまま大臣の決意を聞くのはいかがかと思いますが、やはり毎年毎年あることでございまして、今回は秋田と岩手がやられたわけでございますが、これに対する対応の決意のほどを少しお聞かせいただきたいと思います。
  45. 天野光晴

    天野国務大臣 けさもどういう状況になっておるのか聞いたのですが、まだ完全なものはつかんでいないようであります。一部はちょっとつかんでいるようですが、例年ですと災害復旧工事件業は三年に分けて三、五、二の比率でやっておったのですが、再災害のおそれもあり、いろんな客観的な情勢等を考えまして、できれば一挙にやってしまう方がやはり一番いいわけですから、そういう関係でここ五、六年前から方針を一部変更させまして、初年度にあらかたの対策を立てたいと思いまして、初年度七〇%以上復旧工事をやらしておるのが現況でございます。  今の、昨夜来の損害につきまして完全な把握ができました段階において、被害の程度によっては私も行ってみようかと思っておるのでありますが、一日も早く着工せしめまして、社会的に悪影響のないようにするよう努力いたしたいと思います。
  46. 坂上富男

    ○坂上委員 それでは、また後から御回答もあるそうでございますので、大臣の決意もお聞きをいたしましたが、ぜひ最高の大臣の方から現地へ早速行っていただきまして、直ちにこの対応ができるようにお願いをいたしたいと思っておるわけでございます。私は去年、お盆に、福島県それから仙台、宮城県へ調査に行ってまいったわけでございますが、参りますと、いろいろな視察団が参りまして、しかしそれに対する対策は必ずしもまだ打たれていないというのをしょっちゅう聞いておるわけであります。最後には社会党さんもう結構だというようなお話もなかったわけでもありませんものですから、いち早く私たちの方はあす直ちに出発をいたしましてやりますが、どうぞ、住民の方がいろいろと調査団あるいは視察団で疲労こんぱいをするというような事態もあるわけでございますから、できるだけそういう被害に遭われた皆様あるいは市町村あるいは自治体、そういうところにも特段の被害回復のための御尽力を要請をいたしておきたいと思います。  それから、大臣、大変恐縮でございますが、いま一つ住宅金融公庫の金利の引き上げがきょうあたりの新聞で大変議論になっておりまして、まあことしは大蔵省が何を言っても建設省としては〇・二%の引き上げは応じがたい、こういう大臣の決意だそうでございますが、これはどうなる見通してございますか。
  47. 天野光晴

    天野国務大臣 きのうの閣議で方針を決定したのでありますが、条件として私の方では、緊急経済対策で立てた計画が完全に執行しないうちにそういうことは困る。延ばせるような状態ならば何のこともございませんが、金利を高くするということになりますと工事進行に相当影響が出てまいります。そういう観点から私といたしましては了承するわけにはいかない、今年度の計画が終わるまでは了承はでさないよと、きのう閣議で意見を述べてあります。当然これは政令を改正しなければいけないのでありますが、私が発議しなければ政令はできないのですから、私は発議しないつもりでおります。  そういう点で、ことしは昨年と比べてちょっと消化が難しくなっておるものですから、その上なお苦しくなっては大変でありますし、政府が三・五%アップするという、その中のものが少しでもおくれをとるようなことがあっては困りますから、そういう点でこの問題につきましては私はとことん譲らないつもりでおります。
  48. 坂上富男

    ○坂上委員 大変心強い御答弁で、結構でございますが、全部新聞を見たわけではございませんが、中には、折り合って〇・一%ぐらいになるんじゃなかろうかという新聞も出ております。また、大蔵省のお偉い方と建設省の方も、天野大臣の発言で、どこへ落ちつかせるかということで苦慮なさっているなどというようなこともきようの予想記事で出ておりますが、大臣、今おっしゃいました決意、大変心強く承っておりますので、政令の発議というのですか、これはぜひおやりにならぬで頑張っていただきますようお願いをいたしまして――いい答弁が出るのでございましょうか。それならお答えいただきましょう。
  49. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 ただいま大臣から大方針を御説明申し上げましたとおり、その趣旨に従いましてこれから大蔵省と協議をするわけでありまして、この基準金利口四・二%は、大臣の御指示どおり、これは今回は堅持いたしたいと考えておるところであります。
  50. 坂上富男

    ○坂上委員 どうもありがとうございました。  それから今度は、これもちょっと緊急で大変恐縮でございましたが、きのうの本会議における答弁の中で、いわば東京を中心といたしました地価暴騰に関連をいたしまして、私もはっきり聞き取れなかったものですし、また新聞を読んでも必ずしも明確な解説が出ておらぬものですから、あるいはちょっととんまな質問になっておるかもしれませんが、関係省庁でございまするから把握をなさっているのだろうと思うのでございます。  まず一つは、中曽根首相がこういう御答弁をなさっておるわけであります。公明党の先生の御質問でございますが、土地収用法の適用をちゅうちょすることが多い。公共性に関連をいたしまして、私権の制限に関連をするわけでございますが、こういう御答弁をなさっておるわけでございまして、ちょっとこの意味を理解いたしかねておるわけでございます。  そこで、きのう夜の十一時のNHKの最後のニュースの中でも、土地収用法について地価抑制のために何か発動を考えておるということもあるのでありますが、私は土地収用法で随分あちこち反対のために闘ったことがございますが、これが地価上昇の防止に何か関係でもあるのでございましょうか。そしてまた、土地収用法が今回の地価対策に役立つとするならばどういう方途があるのか。ちょっときのう、きょうの新聞あるいはテレビ等を見まして、どういうふうにこれを理解したらいいのかなと思っているわけでございますが、どなたか御答弁いただけましょうか。
  51. 牧野徹

    牧野政府委員 実は私も同じく新聞等で総理大臣の御発言を聞きまして、まだその正確な真意を御指示いただいているわけではございませんが、先生の御質問でございますから、私が理解しているところを申し上げます。  まず、土地収用法の発動をちゅうちょすることも多いと新聞には書かれておりますが、具体的なケースで申し上げますと、案外これは御存じない方が多いのですが、土地収用法を発動するのは大臣または知事でございまして、この五年間の実績を調べましても、五十七年の八百五十件以下大体七、八百件ずつ毎年事業認定はやっておるわけでございます。ちょうど今から二年ぐらい前に総務庁の行政監察がございまして、土地収用法の利用状況という御調査もございました。その後、報告  の中でも、かなり使われてはいる。  まず事実認識として事実を申し上げているのですが、ただ、それでは土地収用法を発動できる場合にすべて発動しているのかといいますと、それは必ずしもそうではないと思います。やはり日本社会の特性といいますか、できるならば話し合いを重視して、それぞれが納得のいくまで話し合った上でという風土もあるわけでございますし、あるいは総務庁の指摘の中でも、余りに早い時期にいきなり土地収用法を発動するというと、土地の取得全体から見て逆効果を招くような面もあるということもあるわけでありますから、総理がちゅうちょすることが多いと言う中は、子細にはわかりませんが、そのようなことを指しておられるのではないかなとも思います。現に総務庁の報告、指摘の中でも、かなり利用はされておるが、例えば、交渉期間が著しく長期化し、事業着手が大幅に遅延している例もある。その解決策としては、例えばということで、例えば土地収用法に基づく事業認定手続に移行するなど、各事業者は的確な対応に努めてほしいという御指摘というか勧告をいただいて、私どもも土地収用法を担当する部局としてそのようなことを各起業者に通達をしてお願いをしていることも事実でございます。  土地収用法の発動と地価の高騰との関連でございますが、二つに分けまして、一つは、収用する土地についての補償額で申し上げれば、これはもう先生御承知のように、事業認定をすれば、あとは消費者物価あるいは卸売物価に案分比例したスライドだけが認められて、いわゆるごねたから得するということを防止する意味でそういう修正しか行われませんから、周りの地価が仮に暴騰してもそういうごね得をすることはない。そういう意味で、収用する土地に着目していえば、事業認定をしたことによってある意味土地の価格が、修正条項はありますが固定される。だからそういう効果はあろうかと思いますが、ただ、収用法を発動すれば例えばある地域全体で起こっておる地価高騰が一斉に制圧できるかという機能は、本来土地収用法は担わされていないのではないかと考えております。
  52. 坂上富男

    ○坂上委員 ごもっともだと思うのですよ。だから何をきのう本会議で御答弁なさったのか、やはりわかってないんだね。というのは、この間もそうだ。光華寮をめぐって伊東政調会長が質問したとき、嘱託調査はどうだと言ったら、前向きに検討する、こう言っているのです。こんなのは専門家から見たら、何をでたらめなことを答弁しているんだろう。また、大きく新聞に出ているわけでございます。確かにおっしゃるとおり、やはり知らない。土地収用法なんというのを言い出してくるということになると穏やかならない問題でございまして、土地収用法なんというのは我々の敵だと私は理解しているのでございますが、これを適用してくるなどというようなやり方は非常にいかぬと思っておるわけでございまして、今おっしゃったとおりだろうと私は思っておるのでございます。あの答弁がどこから出てきたのか、国土庁なり建設省からいろいろあってそういう答弁が出てきたのか、あるいは大蔵省あたりから出てきた答弁なんですかね。私もちょっとおかしなあれだな、こう理解をしておるわけであります。  もう一つでございますが、さっきの三野さんへの答弁に私は大変不満ですよ、私権制限の点について。  これはどうですか、きょうの新聞ですが、政府首脳は十八日の夕べ、きのうだ、緊急課題となっておる地価対策に関連をいたしまして、一つは、現行の法律に含まれている私権制限規定がなぜ発動されないかと。これは地価凍結条文だろうと思うのです。それから、実務を担当する主体が広い範囲をカバーする都道府県ではなく、なぜ市、区、町村なのかとの疑問を呈するとともに、そういう問題も今後の議論の中で当然検討されるだろうとの見通しを明らかにした。この政府首脳というのは一体どこを言うのか。関係官庁はここにおられるのでございましょうか。  そこで、地価凍結規定など、現行法にありながら実際に発動されていない私権制限規定の活用も今後の検討課題となるとの考えを示したものだ、こう言っておるわけであります。結局、この議論されているところを聞きますと、地価凍結規定を発動するかしないか、これが私権の制限に通じないか、あるいは財産権の保障の憲法違反に当たらぬかというようないろいろな議論がこの一点に集中されているのでなかろうか、こう思っているのでございますが、いかがでございましょうか。
  53. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 お答えいたします。  先生御指摘の新聞記事の政府首脳の発言につきまして、私ども全然あずかり知らないわけでございますけれども、先ほど御指摘になりました国土利用計画法に基づく規制区域の制度につきましてお答えしたいと思います。  今回の東京を中心とします地価高騰の際に、この国土利用計画法第十二条に基づきます規制区域を指定すべきであるという議論がいろいろありました。私どもも、直接の担当でございます東京都ともいろいろ相談をいたしまして検討した次第でございます。昨年の四月に通達を改正いたしまして、この規制区域の従来の考え方は、どちらかといえば新規にこれから開発しようというところで土地投機が起こる、そこを規制区域に指定して地価を抑制するという考え方が中心でありましたけれども、今回のような地価高騰の状況に対応いたしまして、既成市街地につきましても場合によってはこの規制区域を発動し得るというようなことでこの通達を改正いたした次第でございます。  しかしながら、この規制区域における許可制につきましては、土地取引に対して極めて厳しい制限を加えるというものでございまして、これを発動した場合には経済社会に与える影響が大きいということを判断いたしているわけでございます。そこで東京都といたしましては、その発動に当たっては慎重に判断する必要があるということで、この前の国会で国土利用計画法の改正でお認めいただきました監視区域制度、現在とりあえずこれを積極的に活用いたしまして今回の地価の抑制といいますか投機的取引の抑制ということで努力してまいりたい、こういうふうに東京都としても判断をしているということで、私どももその判断を尊重している次第でございます。  今後この規制区域を発動するかどうかということにつきましては、地価の動向を見ながら、必要に応じていろいろ関係方面の意見も聞きつつ慎重に判断をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  54. 坂上富男

    ○坂上委員 慎重な判断は結構でございますが、とにかく、行政が追認をするというような形がこの地価高騰の中にも起きているわけでございまするから、いろいろと苦慮なさっていることはよくわかるのでございますが、やはりきちっと素早く対策を講じませんと、建設委員会で議論しあるいは内閣の方で議論をし、いろいろなところで議論をしても、この問題は一刀両断というわけにいかない状態になっておるわけてございます。結局あれよあれよという間に地価だけが高騰しておるという感じでございまするから、今おっしゃいましたように政府首脳だってだれだかわからぬというような状態だ、それでまた中曽根首相が何を言っているかわからぬというような状態だ、これじゃ地価抑制の行政なんというのは本当に那辺にありやと言わざるを得ないと思っておるわけでございまして、大臣、ぜひひとつ頑張って抑制をしていただきたいと思います。私たちが言い出してからもう一年もたつわけでございまするから、どうぞひとつ、御期待をいたしたいと思います。  さて、きょうの本題なんでございますが、今回の東京圏の渇水の原因、そして今後の見通しについて実はお聞きをしたいわけであります。あわせまして、長期的に見た場合のいわゆる東京圏の水供給の見通し、これはどういうふうに見たらいいのか、まずひとつお答えをいただきたいと思います。
  55. 大河原満

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  まず、今回の首都圏の渇水が発生している原因は、何といいましても冬場からの降雨が非常に少なかったということでございます。それから、生活水準の向上あるいは都市化の進展によりまして、水需要が緩やかではございますが増加しておるわけでございまして、そのためのダム等の水資源開発施設の進捗がおくれておりまして、大都市圏におきまして、いわゆる豊水時、川に水があるときしかとれない不安定な取水が依然として多いということも原因一つでございます。  それから、長期的な見通してございますが、長期的な水資源対策としましては、今後の水需要の増大に対処するために、最近の少雨傾向、雨が少なくなってきたということでございますが、そういった傾向あるいは経済社会の高度化に対応しまして、水供給の安全性を高めるための施設が必要でございます。このためには、水資源の開発を積極的に進めますとともに、水を利用する側におきましても節水とかあるいは水利用の合理化に努めまして、総合的な水資源対策を推進していく必要があるというふうに考えております。
  56. 坂上富男

    ○坂上委員 今皆様方が計画をなさっていることさえ推進をすれば渇水の心配はない、こういうことですね。どうですか、もう一遍答弁してください。
  57. 大河原満

    ○大河原政府委員 御承知のように、今回策定されました第四次の全国総合開発計画におきまして、関東地域の水需要でございますが、五十八年には百六十一億トンでございますが、七十五年には三十五億トンほど増加いたしましておおむね百九十六億トンになるというふうに想定をしております。  これに対処するためには、現在建設中のダム等の水資源開発施設の建設を促進しますとともに、新たな水資源開発施設を織り込んだ全国総合水資源計画を策定中でございまして、この計画におきましては、七十五年において従来の計画基準に基づく水需給のバランスはとれるというふうに考えております。
  58. 坂上富男

    ○坂上委員 東京都を中心といたしました関東の皆様方が水の心配をしなくていいのか、しなければならないのか、しょっちゅうこのように悩まされなければならないのか、こういう質問なんです。  だから、今お聞きをしておりますと、専門的な用語をお使いですから私もよくわかりませんが、心配なかろうというような程度の話でありまして、東京都民を初めとして、このまま政府に任せておいて心配要らぬのか、こういう質問を実はしておるわけでございまして、そこをずばりお答えをいただけばいいのであります。今おっしゃったようなことだとすると、何か、東京の水飢饉は今後とも時々起こり得るんだな、それから、どうも対策としてはもうどうしようもないのかなというような心配が何となくあるわけでございますが、簡単でいいのです、ずばり、将来ともに今やっておることを実行さえすれば心配ない、それから、七十五年の全国的なフルプランさえ確立をすれば心配はない、こういうふうなことをおっしゃっておるわけなのか、ひとつもう一度お答えいただきたいと思います。
  59. 大河原満

    ○大河原政府委員 先ほど申し上げましたように、七十五年には大体百九十六億トンの水需要になるというふうに想定しておりまして、それに対しましては、七十五年において従来の計画基準に基づきます水需給のバランスがとれるように全国総合水資源計画を現在策定中でございますので、その計画に盛られた水資源開発を促進していけば従来の基準での水は確保できる、こういうふうに考えております。
  60. 坂上富男

    ○坂上委員 さてそこで、その七十五年のフルプランの中に、尾瀬分水と信濃川分水はどうなるのですか。
  61. 大河原満

    ○大河原政府委員 御指摘の関東地域内におきます水資源開発につきましては従来から関係機関協力して積極的に取り組んでおるわけでございますが、二十一世紀当初の水需要に対しましては、従来の計画基準に基づきます関東域内の水資源開発及び有効利用の促進を図ることで対応できると思われますので、そういったようなものは含まれておりません。
  62. 坂上富男

    ○坂上委員 私は去年から、信濃川分水の御質問を大臣を中心にいたしまして二度にわたりましていたしました。それから、この国会が開会をされると同時に、議長を通じまして中曽根首相にも質問書を提出いたしました。そして、私が願っておるとおりの御答弁をいただきました。建設委員会で二回にわたった答弁は、政府としては従前どおりであって何らの変更もしない、信濃川分水については、民間のJAPICの計画であって政府は関与するところでない、関知しない、こういう御答弁があって、新潟県民としては大変ほっとしたところであります。  しかし、そういうことがありましても、やはり水問題というのは心配が残るわけでございます。その一つは、これは四十九年二月の東京都の総合開発審議会が出した水資源開発の目標と基本計画に関する答申なんですが、これは東京都としてはいずれもまだこの答申を修正をするとかこれについてどうするということがないのですが、この中にこう書いてあるわけであります。只見川、これは尾瀬分水から只見川そして阿賀野川へ通ずるわけでございますが、只見川や信濃川からの導水についても検討を加えるべきだ、こういう答申があるわけでございます。  多分、この答申を受けまして、鈴木都知事が六月二十六日記者会見をいたしまして、東京渇水の実情から見て信濃川分水を関東に導入をすべきであるという発言をなさったわけでございます。新潟県の方は大変びっくりいたしたわけでございまして、それにはもう十年前からこういう答申があり、しかも、政府の方といたしましては関東圏で十分賄えるだけの施設と計画とそしてその準備があるから心配ないと言っているのでありますけれども、やはりこの施設の進捗状況から見てみましても、いわば六十年度までに年間五十六億トンの水源を確保するというふうな計画の閣議決定、そして現フルプランの中に書いてあるのだけれども達成できたのはわずか二十二億トンだ、こういうようなことになって施設と整備がさっぱり進まないということになると、やはり信濃川分水や尾瀬分水というような考えや運動が頭をもたげてくるのではなかろうか、こういうふうにも言われておるわけでございます。  でありますから、東京都、関東の皆様方の渇水というものは大変なことでございますが、だからといって、私たちの新潟県や福島県から水を持ってこようなどということは、これまた余りにも短絡過ぎることでもございます。心配をいたしておりますのは、確かに計画はあるけれどもその計画に基づいて施設ができないために水の需給が思うようにいかないというところから、この発想がまた出てくるわけであります。でありますから、確かに今国土庁が御答弁ありましたとおり計画計画でいいのでありますけれども、本当にその計画が実行できなければまたこのように都民に御迷惑をおかけし、新潟県民や福島県民に大変な不安を与えるわけであります。水を取り扱う建設、国土の方では、こういう問題点をどのようにお考えになっておるのか、もう少し安心のいく御答弁をいただきたい、こう思ってもう四回もこの質問をいたしまして、坂上富男というのはそれしか知らないのかとまで言われておるわけでありますが、ひとつ御答弁いただきたいと思っております。
  63. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 建設省といたしましては、首都圏の水資源の確保というのは最大の課題だということで重点的に取り組んでおるところでございまして、現在、利根川水系におきまして二十五のダムの建設事業並びに調査実施しているところでございます。具体的には建設十九、実調六でございます。このダムが完成いたしますと、現在の利水容量は五億三千万トンございますが、さらにそれに約十億トンくらいの利水容量が付加されるということでございまして、当面この二十五事業の早期完成に向けて全力を尽くしてまいりたいと思っております。  なおまた、異常渇水時に対する備えといたしましては、別途渇水対策ダムというようなものも本年度から事業をスタートさせることにしておりまして、こういったものもあわせながら取り組んでまいるわけでありますが、いずれにしましても、水源地域対策の充実とそれからダム建設に必要な予算の確保、こういう点につきまして十分な努力を払いながら、今申し上げましたようなことに努めてまいりたいと思っております。
  64. 坂上富男

    ○坂上委員 さて、大臣、尾瀬分水に関しましては、新潟県と福島県が県会で手を握って、分水されないようにずっと前から頑張ってきておることは御存じのとおりでございます。群馬県議会におきまして清水知事さんがこの問題をお取り上げになり、かつ群馬県出身の中曽根首相に強く働きかけるということが新聞で報ぜられているわけでございます。  先日答弁いただきましたが、やはり政治でございますから、現在の水プランが閣議でいつ変更にならないとも限りません。しかも一番恐れますのは、言葉で言ってはなんでございますが、田中角榮氏の田中派と言われる皆様方が、その大半が竹下さんの方に移ったというのか旗上げされたというのか、間もなくJAPICの会長であり財界の大物であります斎藤英四郎会長が自民党四役に信濃川分水のJAPIC計画調査費を盛るようにといって要請をした、これもまた事実のようでございます。JAPIC計画に自民党四役で調査費を盛れという要請がある、大変不安である、こういうふうなことを心配する県民の皆様方と話し合っておるわけでございます。  大臣、いかがでございましょうか。そんなような状況があるわけでございますが、私は、このJAPIC問題や尾瀬分水問題は、ちょうどモグラはたきと同じように、しょっちゅうはたいていないとぽこんぽこんと頭を出して大変あれだな、こう思っておるわけでありまして、本当に安心をして寝ておられないという状況でもあるわけでございまして、大臣、ひとつ心配のないような御答弁をいただきたいと思っておるわけであります。
  65. 天野光晴

    天野国務大臣 たびたび御質問なんですけれども、地元住民の了承なしては無理な仕事はいたしません。それは私のいるときだけではなくて、将来とも県が了承しない水の分水はできるはずがないのでありますから、その点は県がしっかりしていれば文句がないのじゃないでしょうか。その計画がJAPIC計画であろうが何であろうが結構ですが、計画を立てることは結構でありますが、いざそれを実行する場合においてその利害関係のある地域住民の了承を得ないではできないことになっているわけでありますから、そんな簡単に、それほど心配するほどのことはないのじゃないでしょうか。先生と私と随分年齢の違いはありますけれども、私なんかが生きているうちに実行されることじゃありませんから、今からそれほどの心配をしなくても大丈夫じゃないでしょうか。
  66. 坂上富男

    ○坂上委員 では、まあ御心配ないというようなことでございますからことし一カ年は安心していることにいたしまして、今後とも建設当局にくれぐれも、新潟県民、福島県民の願いをひとつ守ってやっていただきたい、こう思っておるわけでございます。  話は全く変わりまして、嫁不足という問題についてちょっとお聞きをしたいと思っております。  何で建設委員会で嫁不足が出てくるんだという質問が出ても悪うございますから、まずその前提でございますが、山村振興法という法律があるわけでありますが、これは国土庁の担当でございますか。  担当であるとすれば、この間国土庁が御調査なさった中に、山村技興法に基づく指定山村のうち、地域の男性二十歳から四十歳までの皆様方の中で独身の人がどれくらいいるだろうかということを御調査なさったそうでございます。これはまた、私があっちこっち支持者回りをしたり農村回りをいたしますと、嫁さえ見つけてくれれば先生幾らでもやるでね、こういうお話でございまして、もう行くところ行くところそうでございます。私はまた各市町村の町長さんや村長さんにお会いいたしまして、三十五歳以上の独身の青年は一体どれぐらいおりますか、青年といってももう壮年でございますが、こうお聞きをいたしますと、大体少ないところで二割、多いところで三割ぐらい三十五歳以上の独身の男性がおるわけでございます。これは大変なことだと思って政府の方にお聞きをいたしました。きょう農水からも来ておられると思いますが、何か園芸教育課とかがこの担当であるそうでございます。それから、山村振興法に基づきまして国土庁の何課が担当なんだそうでございますが、まず、国土庁がお調べになった山村振興法に基づくところの地域における山村の嫁不足の実態、どんなところを一体把握なさっておるか、お答えいただきたいのです。
  67. 澤田秀男

    澤田(秀)政府委員 国土庁では六十一年度に、山村地域後継者確保対策という観点から調査をいたしております。昨年度行った山村地域後継者問題意向調査、これはいろいろな人にアンケート調査実施しているわけでございますが、山村に住んでおられる有識者に対する意向調査によりますと、その多くが山村にとって嫁婦問題は深刻であるというふうに答えております。  具体的に若干申し上げますと、全国の五十六の振興山村と五つの都市を対象としておよそ千百人ばかりの人に意向調査をやったのでありますが、山村における嫁婿問題が深刻であるという答えのうち、極めて深刻な問題であるという答えを出されたのが全体の四五%であります。それから、やや深刻な問題であるという答えが四五%でありまして、合わせて全体の九割の人が深刻な問題であるという認識をしているという結果になっております。  また、山村地域における若者の定住条件として何が重要かという観点から意向調査をいたしました。これは複数回答でございますが、第一に産業の振興が必要であるというのが九三%の方が答えておりまして、二番目に配偶者の確保が重要であるという答えをしているのが全体の六三%、こういう結果になっております。
  68. 坂上富男

    ○坂上委員 さてそこで、もう時間がないから私の方から申し上げますが、国土庁の方でお調べをいただきました未婚男子の割合について、三十五歳以上の未婚男性について全国の市町村で適当なところを指摘の上でお答えをいただきたいということを申し上げたわけであります。青森県の七戸町、三十五歳以上の未婚者がどれくらいいるかというと四十九名、その割合が一〇%、栃木県の栗山村、三十五人二八・九%、新潟県の入広瀬村、未婚者二十六人、二五・七%、大分県の上津江村、これが十人で二五%。  そこで、五十九年の全国の男子の初婚年齢が二十八・一が平均なんであります。だから、三十五歳以上になりますともう嫁さんはもらえっこないというような深刻な事態だろうと思うのであります。山村振興とか農村の振興などといいましても、後継者がなければだめであります。殊に跡継ぎがなければならぬわけでございます。しかも嫁さんがいないなんというのは、もう健康で文化的な生活を営むという基本的人権のまさに憲法違反だ。まさに笑い事じゃないでしょう。皆さん方ならば立派な嫁さんが来るんだけれども、山奥に嫁さんなんて本当にほとんどないというのが実態。  それで、これはどの省が担当しているのか、調べるだけでも私は一苦労したわけであります。二つだけ。国土庁の山村振興法の課と農水の方の担当のようであります。どのような施策をなさっておりますかとお聞きをいたしましたら、農水の方でしょうか、どうお答えになっているかというと、花嫁問題に直接対応する施策は講じていない、後継者対策等の一環として県市町村段階における支流会の開催や相談活動に助成しておる、こういう程度でございます。  これは国土庁が代表して御答弁いただくことになろうかと思うのでございますが、本当にこのことは農村のスラム化に通ずると思うのです。農村の破壊に通ずると私は思っておるわけであります。ことしは米価が切り下げだ、それから減反が二割だ、あげくの果てに嫁さんも与えないというようなことになりますと、これはもう農村、農業に対する政府施策はゼロであって、まさに憲法違反の農政であり国の政治なんじゃなかろうかと私は言いたいところなんでございます。ひとつきょうは国土庁長官から御答弁いただきたいのでありますが、次官で不満であるわけではございません。本当にきちっとしたものをそれこそ内閣総理大臣にしていただきまして、地価の高騰の抑制も大変ですが、これはまさに最も深刻、最も大きな人権侵害問題だと私は理解しているわけでありまして、どのような施策をこれから講じていただけるか。その前に、農水から来ていただいておりますので、御相談なさって、どのような御答弁をされるかわかりませんが、ひとつ快い御答弁をお待ちしたいと思います。
  69. 杉本忠利

    ○杉本説明員 私ども後継者問題を担当しているわけでございますが、後継者に対しまして嫁不足の問題が非常に深刻であるということは私ども十分承知いたしているところでございます。ただ、この問題につきましては極めて個人的を問題であるというようなこともありますし、またこの問題を広く行政が取り上げることについてはどうかというような農業青年の声もあるわけでございます。そんなことから、農林省といたしましては嫁問題について全国的な調査といったようなことは今までやってまいらなかったわけでございます。  いわゆる嫁不足の原因ということでございますけれども、これも先生御承知のとおりでございますが、一般的には農業の生産性の低さ、あるいは農業労働の厳しさといったようなものが指摘されているところでございますけれども、一方では農業に積極的に取り組んで立派な家庭を築いている農業青年も多いというようなことでございまして、私どもとしましてはこのような農業青年を育成するというようなことが嫁問題の解決にもつながるものだというふうに考えているわけでございます。そこで農林水産省といたしましては、農業後継者が意欲を持って農業に取り組めるようにすることがまず重要であるというような観点に立ちまして、従来から農業生産基盤の整備あるいは生活環境の整備といったような各般の施策推進してきているところであります。  また、先ほど先生からもお話があったところでございますけれども、花嫁対策というようなものに直接資するというような施策は従来やってきていないわけでございますけれども、少しでもそれに役立つようにということで、青年たちの相互の交流の機会をふやすというようなことも重要ではないか、あるいは交流の機会をふやすといったような環境をつくるということが必要だということで、農業後継者対策の一環といたしまして、県や市町村段階におきまして青年相互の交流会の開催、あるいは結婚相談も含めました相談活動といったようなものに対しまして助成をしているところでございます。また、各県とか市町村におきましては、独自に非常に創意工夫を凝らしました花嫁対策を実施しているというふうに私ども承知しております。
  70. 工藤巖

    ○工藤(巌)政府委員 農山村の花嫁問題は、私も岩手の出でありまして、地域においての大きな問題だということを深刻に受けとめておる者の一人でございます。  こういうものに対する根本的な対策というのは、私はこう考えているのですが、農山漁村に生活をしておっても都市部に生活するのと劣らないような文化、教養あるいは娯楽、一般の日常生活、都市部と格差のないような生活を享受できる条件をつくっていくこと、これに尽きると考えております。そのためには、農山漁村と中核都市との時間距離を短縮していくこと、交通網の整備等によりまして時間距離を短縮していく、そして大自然との触れ合いの中で生活をし、そういう意味での快適な生活をしながら便利の点においても都市部には劣らない、こういう姿をつくっていくことであると考えております。四全総の中でも、三全総でうたいとげました定住圏をさらに整備していくために、中核都市と周辺との交通網を整備していく、通信情報網を整備していく、そしてまた、定住圏相互の交流をということをうたい込んでいるわけでありますが、こういう考え方をしっかりと実現をしていくならば、今私が申し上げました農山漁村に住んでおっても十分に快適な、花嫁にとっても魅力のある生活環境というものがそこへでき上がっていくんだということであろうと思います。  同時にまた、そういうことを一般のいわゆる女性の人々にもわかってもらわなきゃならないのでありまして、今申し上げましたような快適な生活をしながら、魅力のある地域であるよということを多くの人々に理解してもらう活動が必要なのではないかと思います。とかく東北といったりあるいは農山村といったりするとかなり不便なところであるような印象を与えておりますが、行ってみると、いやそうではない、大変によいところだ、こういう具体的な例もあるわけでありますから、そういうことをよくPRをしながらこうした都市、農山村との触れ合いの場を拡大をしていくことが基本であろう。私はかように考えておりまして、私どもの考えでおります四全総考え方を具体的に強力に実践してまいりますために、関係省庁とともに農山村の振興のために努力をしていきたい、かように考えております。
  71. 坂上富男

    ○坂上委員 大変失礼な言い方ですが、白々しいと言うべきでございます。どなたが聞いても余りにもかけ離れた話だ。農村に二割三割の、三十五歳以上の嫁さんがいないのがいるんだ。これをどうするんだ。四全総充実をし、やることによってたくさん嫁さんが来るなんて、そんなことは全く答弁としては私は白々しいと思っているのです。これは私もわからぬからこうやって怒って質問しているのです。ましてや岩手選出の次官でございますから、もうやっぱりこの問題は本当に深刻だと言うのです。農村の崩壊だと言うのです。政府がこれを閣議で一つも取り上げてないんじゃないですか。どうです大臣、少しぐらいこういうことを本当にやっていただきたい、こう思っている。  私は、村長さん、町長さんのところへ行って言っているのです。例えば加茂市と足利市が姉妹都市を提携した、こういうようなことを言います。そんなのはやめなさい、東南アジアのある町とあなたの村と提携をして、あらゆる接触の機会を与えるようなことが必要なんじゃなかろうかと私は言っているのです。確かに個人の問題ですが、しかし、これはまた国全体の問題でもあるんです。次官、山村振興法に何と書いてあるかおわかりでございましょう。第一条にこう書いてあるんですよ。住民の福祉の向上を図る、こう書いてある。住民の福祉というのは、もちろん生活に困る人には生活補助を出すということもありましょうけれども、やっぱり山村の生活そのものの、その基本となるものが夫婦なんです。その夫婦をきちっと一人一人確立もさせないで農村も何もあったものではありません、でありまするから、もう少し腰を入れまして、何らかの形で年内ぐらいである程度の方向と道づけくらいをしなければいかぬと私は思っておるわけです。きょう実は、タイに調査に行ってきた建築に関する海外援助について、その不当性を御指摘を申し上げたいと思って外務省から来ているんでございますけれども、外務省、本当に申しわけありません。この次の機会にさしていただきまして、今私がこの質問を続けても抽象的な答弁しかございませんので質問はやめますけれども、どうぞひとつ頭に置いていただきまして、山村振興は一体いかにあるべきかということをもう少し基本的に御検討いただきたいなと私は思っております。  そこで最後ですが、時間がないという指示でありまして、もう片っ端からカットいたしまして大変恐縮でございますが、二つあるんです。  一つは、私の町の三条市に、県の橋でございますが、景雲橋というのがあるんでございます。六十五年の完成予定だったのでありますが、補正予算が大変認められまして、もう予算の上でも技術の上でも六十四年に完成できるんじゃなかろうかと思っておりますが、地方道としての橋でございますが、いかがでございましょうか、それが一つ。  それから、岩手、秋田の災害の実態、そしてこれに対する対応をお答えいただきたい。それによって質問を終わらせてしまいたいと思います。
  72. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 景雲橋につきましては、今回の補正予算で追加をいたしましたので、先生の今御指摘のように、六十四年完成を目途に今後事業促進していく予定でございます。
  73. 三木克彦

    ○三木政府委員 八月十六日から十八日にかけまして、東北地方を中心に大雨が降っております。日雨量百ミリを超したところが多うございますが、一番多いところでは二百二十ミリという状況でございます。  被害状況につきましては現在調査中でございますが、ただいままでにわかっておりますところでは、秋田県、岩手県を中心に浸水戸数千七百戸、冠水田畑二千ヘクタールという報告をいたしております。  被害状況の早急な把握に努めますとともに、関係省庁とも連携を密にいたしまして、的確な対応を図ってまいりたいと思っております。
  74. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 公共土木施設災害の状況について御報告申し上げます。  青森県では、河川、砂防、道路につきまして現在調査率は五〇%でございますが、約二百三十カ所、被害報告額が約二十二億でございます。秋田県につきましては、調査率同じく五〇%で、被害箇所八百カ所、被害報告額六十六億円、岩手につきましては調査率三〇%で、被害箇所二百カ所、被害報告額は八億円となっております。  これらにつきましては、今後十分調査をいたしまして、的確な措置を講じてまいりたいと思っております。
  75. 坂上富男

    ○坂上委員 どうもありがとうございました。災害のことでございまするから、救済に遺憾ないように、かつ迅速にお願いをいたしたいと思います。  質問を終わるわけでありますが、科学技術庁、外務省、資源エネルギー庁、運輸省、せっかく準備いただいて来ていただきまして大変恐縮でございました。別途またお聞きをいたすことにいたしまして、きょうは御勘弁いただきたいと思います。ありがとうございました。
  76. 村岡兼造

    村岡委員長 この際、委員長からもお願いを申し上げますが、先ほど坂上富男君から要請ございました秋田、岩手の災害につきましてはまだ概略でございますが、私も地元と連絡をいたしておりますが、対応につきましては、天野建設大臣初め建設省国土庁、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩をいたします。     午後零時十三分休憩      ――――◇―――――     午後一時三分開議
  77. 村岡兼造

    村岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団理事渡辺尚君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 村岡兼造

    村岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  79. 村岡兼造

    村岡委員長 質疑を続行いたします。松田九郎君。
  80. 松田九郎

    松田(九)委員 さきに社会党所属の同僚議員お二人から質問があっておりますので、あるいは重複をするところがあるかもわかりませんが、その点はまず冒頭に御了承を願っておきます。  せっかくの機会でありますから、自民党、政権与党の立場で、ひとつ大臣に所要の基本的な考え方についてお伺いをしたい。  大臣は、建設行政全般をしかれる長として、日本列島の建設行政について一体どういう基本的な考え方で進めておられるか、また今後進めていこうとお考えになっておるか。  というのは、私どもがいわゆる過疎地の立場から言うんじゃないけれども、どうも最近の政治というか建設行政、そういうものが、過疎地については比較的予算の配分もあるいは行政のあり方も手薄であるような感じがしてならない。言うなれば人口偏重ですべて予算配分も事業の決定、認定というものも行われておるのではないか、そういう懸念なしとしない。したがって、今回の補正予算を通じて、後で詳しくそのデータについてお尋ねをしたいのだけれども、一体どのような配分の基本的な考え方で補正を組まれておるかということと、各県別の、従来からの一般公共事業、そして今回の補正を加えた中において、上位五都道府県のいわゆる一都道府県民に対する予算配分の比率、それを出していただきたい。そして、逆に下位の五都道府県についてその数字を参考までに後ほど出してもらいたいので、ひとつそれは属僚の方から所要の数字を出しともらうことをお願いをしたい。  そこで最初お尋ねするのは、建設大臣は、今さら申し上げるまでもなく今日の国会においての第一の建設行政のベテランであり、そして多年にわたってこの道一筋にやってこられたので、私は大変な敬意を払っておる。そういう意味からして、専門家ともいうべきあなたがどういう考え方で日本列島における建設行政の基本的な予算配分及び事業施行、公共事業等の枠配分について取り組んできていただいておるか、このことについて、冒頭に基本的考え方をお伺いしておきたいのであります。
  81. 天野光晴

    天野国務大臣 それは非常に難しい話です。というのは、大ざっぱなことは今まで党におっても扱っておりましたが、細かいことはやはり事務当局が扱うのがずっとの慣例でもありますし、そこは非常に難しいと思うのですが、できるだけ不公平のないような配分計画でやっているということは間違いないと思うのであります。  ただ、最近のように経済の動向が激しくなってきますと、いろいろなことが目立ってまいります。そういう観点から、去年の補正予算から私が予算に関係したわけでありますが、去年の補正予算から、できることなら社会経済的な状態等を勘案して配分を行いたいという考え方で、閣議に諮りまして了解をとりまして、そして関係する省、労働省あるいは国土庁、通産省等とよく連携をとりまして、去年でいいますと、円高による不況地域等に対する扱いをどうするかということでできるだけ傾斜配分をしたいという考え方でやってきておるのであります。しかし、一挙に持っていくということは非常に困難でありまして、できるだけやれというふうに言っておるのですが、そこらあたりなかなかまだ私の期待しているとおりにはいかないのじゃないかと思うのであります。そういう傾向で、労働省、通産省からよく地域経済の実態の報告を受けまして、去年の補正からは配分計画を立てているつもりでありますが、全体的に見て一貫してやらなければならない行政につきましては、これはほぼ平均に扱っていくという考え方でございます。  そこで、まず、きょう先ほど上げていただいた高速国道法でありますが、これが完全に実施されるようになりますと、大体において今度は平均化されるのではないかという考え方であの案をつくったわけでございます。もう少し延ばしたかったのですが、いろいろな事情がやはりありまして延ばせなかったのですが、一万四千キロをやると大体においてその高速国道まで一時間以内でどこからでも乗れるという格好になると思います。  そして、先生御承知のように、道路財源は一般会計から、一銭もではありませんが、九九%出ておりません。日本で最大の公共事業である道路に対して一般会計から一銭も出さないで、特定の財源で、特定の人に協力願ってこの財源を求めているというようなやり方は全世界に日本だけであります。私が当選したのは今から三十年前でありますが、その段階では一般会計プラスアルファが特別財源になって、特定財源だという大蔵省との話し合いでやっておったのが、いつの間にか一般会計から一銭も出なくなって、道路特定財源だけで賄うということになりました。  そこで、今度の場合、一万四千キロのうちきょうの法律で決定していただいたのは一万一千五百二十キロでありまして、残りを建設省直轄でやることにします。そうしますと、これは大体二千六百キロばかり残るわけでありますが、一年間百キロずつこれはやりたいと思っておるのでありますが、この機会でありますので、十二月の本予算の編成の段階においてこれだけは純粋の国費で取ろう、一般会計で取ろうということで、この間の予算の編成の段階においては、大蔵省で大臣との折衝でそれを条件にしてあります。少なくとも百キロずつやる予算だけは、ふえただけ今度特別会計がふえないと仕事の量が減ることになりますから、そういう意味でこういう機会にそれだけを出させる工夫をしようということで、高速国道と高規格道路も両方あわせて三十年計画で完全に仕上がるように努力をしてまいりたいと今考えております。これがようやく全国的に見て目いっぱいの要するに配分計画ではないかなというふうな感じがしておりますが、不公平のないようにいたしたいと考えております。
  82. 松田九郎

    松田(九)委員 なるべくひとつ、以下、大臣なり関係局長等においては質問については簡略に基本線だけ答えてください、そうしないと私がしゃべる時間がなくなりますから。  そこで、今大臣から基本的な日本列島に取り組む建設行政のあり方、予算編成あるいはこの作業施行、そういうものについての考え方を聞いたのですが、今承ってみても、大臣自身も苦しい表現だと私は思うのだけれども、平均的に公正にやらざるを得ない、今そうやっておるのだという答えですが、それでは私は大変不満足なんですね。  私は過疎地域の代議士だから言うのじゃないけれども、そういう考え方でやりますと、やはり基礎となるものは人口的な配分比率ということになってくるから、したがって、俗に言われる太平洋ベルト地帯の日の当たる都道府県というものが優先して予算配分等いわゆる公共事業の政策決定をやはり受けている、そういうことになる。したがって、北海道や東北、北陸あるいは九州、四国、中国なんというところについては、いよいよもって過密過疎のいわゆる辺地格差というものが大変大きなギャップになってくる。今でさえも大変な状態なのに、さらに、いわゆる平均した考え方という平均という意味は、どういう意味で大臣が今言われたか私はよくのみ込めないのだけれども、いずれにしても平均という意味は、その地域を占めておる人口というものを基礎に置いた物の考え方ではないか。地域の広さであるとかあるいは行政区域の独立した区分が一体どうなっておるかとか、あるいは山間僻地、離島というものについての、そういう先天的なハンディを負った地域についてのいわゆる公平というか公正というか、そういうものを加味した予算配分というものがなされておるか、そういうことについて私はいま少し大臣に突っ込んだお答えをひとつお願いしたい。  というのは、我が党が御承知のとおり景気浮揚、活性化対策として、今回鳴り物入りでかつてない大型の補正を組んだ。しかし、その補正のいわゆる持っていき方というものが今私が指摘しているところの過密対策重点の地域に今回補正が組まれているということになると、過密地区は極端に言えばそれほどいわゆる公共事業を組まぬでもいろいろな基幹的な産業があるし、ある程度経済力が動いているわけですけれども、山間僻地、離島というものは、地域で言うならば北海道や東北、中国、四国、九州なんというところは、補正を組んで民間活力というものを掘り起こしていくのでなければほかに産業がないわけだから、働く場所がないわけだから、私はそういう意味においてそういう考慮を建設省あるいは大臣は払われておるのかどうかということをお聞きしておるわけです。ひとつその点について、大臣大変御疲弊のところ恐縮ですけれども、もう一回お願いしておきたい。
  83. 天野光晴

    天野国務大臣 私の申し上げているのは私の建設行政を担当してからの話であります。そういう点で、去年の補正を組むときには今言った経済対策上補正を組んだわけでありまして、建設省だけになりますと所管的な問題が相当ありますし、通産省はいわゆる産業の落ちているところは皆わかるわけですし、労働省はそういう意味で失業者の多いところがわかるわけでありますから、そういう観点で三省話し合いをしてできるだけ傾斜配分をやったということであります。いわゆる人口割りとかなんとかの問題ではありません。それは過去においてはあるいはそういう格好であったかもしれませんが、私が予算を執行する状態になってからは、去年の補正、ことしの当初予算、ことしの補正と、それは全部そういうような考え方で扱いをいたしております。北海道、東北あるいは四国、九州といったような地域に対しては、去年は点でした、例えば長崎の炭鉱の島とかあるいは北海道の室蘭だとか、そういう点でありましたが、最近はそうではなくて線になってきたものでありますから、それで十分配慮してできるだけの処置は講じているつもりであります。
  84. 松田九郎

    松田(九)委員 そこで、冒頭にちょっとお尋ねをしておった、これは局長どなたでもいいんだけれども、今回の補正予算を含めたいわゆる建設省全般の公共事業の配分というものを上位都道府県から五つくらい全部聞きたいけれども、時間がないし、あなたたちも迷惑だろうから、下の方からひとつ五県ばかり聞きたいのだ。ちょっとそれを答えてくれないですか。
  85. 高橋進

    高橋(進)政府委員 ちょっと今資料を調べまして、後ほど御答弁させていただきたいと思います。
  86. 松田九郎

    松田(九)委員 今私が尋ねておるのは、いわゆる都道府県単位じゃなくて、都道府県のいわゆる人口一人当たりについて幾らになってくるか。意味はわかるでしょう。例えば新潟県は幾らおって、今までは県民一人当たり幾らであった、だから上位一番であった、島根県は二番目だった、県民は八十万か百万か百二十万か百十万か、長崎県は百五十九万だけれども、県民一人当たりに割るとこれになりますよ、沖縄はどうだ、そういうことを私は聞きたいわけだ。その数字を今答えられないですか。
  87. 高橋進

    高橋(進)政府委員 人口との対比というのはちょっと時間的な御猶予をいただきたい。この場ではちょっと無理と思います。また後刻御報告を申し上げたい。お許しをいただきたいと思います。  なお、先ほど先生おっしゃいました人口一人当たり、一人なりあるいは千人でもいいのですが、それに対してどれだけの投資をやっているかということでございますが、例えば東京を中心とする地域、大阪府、愛知県・三重県等のいわゆる三大都市圏とその他の地方圏に分けましての最近の建設省の投資額の割合と申しますのは、大ざっぱにいいまして、大都市圏の方を一といたしますと地方圏の方は一・七、人口一人当たりについて見ますれば地方圏の方が多くなっておりまして、これは従来と同様でございます。
  88. 松田九郎

    松田(九)委員 私がなぜこれを聞いておるかというと、先ほど大臣にも指摘をして質問申し上げておるように、従来の建設省公共事業の配分のあり方を見でみると、地域的に言うとどうもいわゆる過密重点の予算施行になっておる。もう一つ言えることは、政治的に相当な兼ね合いの中で予算配分が従来長くなされてきておる。この席では出せぬというのだから後でいつ出すのか知らぬけれども、場違いなところに出したって迷惑するんだな。そんなものは何にもならない。  私がおおよそつかんでおるのは、従来から俗に言われているように、新潟県が県民一人当たりの公共事業配分は日本第一だったことは否めない事実だと思うのだよ。それは田中先生の政治力だと私は思うのだ。我々もそう思い込んでおるのだ。日本国民全部がそう思っておるのだよ。しかし、これがだんだん落ち込んできていることは、これまた否定し得ない事実なんだ。なぜだ。田中先生が身体が不自由だからだ。ほかに理由はあるか。それに反比例するかのように、山陰の島根県というか、あの山の、海岸の細かい県が今第一等にのし上がってきておるじゃないか。何での上がってきておるのか。これまた政治力によって、県民一人当たり膨大なる公共事業予算配分というものになっておるのじゃないの。私の県は政治力がないものだからびりけつになっていることは、後で数字が来ればわかる。  そこら辺について、私は、数字あるいは実際問題として論じたいからその数字を出しなさいと言っているのです。私の解釈に間違いがあれば、それは間違いですよ、実際はこうなっているぞというデータを出してみる。
  89. 高橋進

    高橋(進)政府委員 大変失礼いたしました。ちょっと私、持っていなかったのですが、事務局で持っておりましたものですから申し上げますと、今回の六十二年度の補助事業の配分で、人口単位当たりの事業費で多い方から申し上げますと、沖縄県、島根県、高知県、福井県、鳥取県というような順番であります。逆に、少ない方の順番で申し上げますと、東京都、千葉県、愛知県、埼玉県といったような形になります。これは今先生、政治的云々というお話がありましたが、大臣からも先ほど申し上げたかと思いますが、国土の均衡ある発展ということ、これが建設省としての公共事業投資配分の基本的な考え方でございます。  それに関連しまして、地方公共団体から当然いろいろな要望がございますが、その中で効率性なりどういう事業が重要かということをそれぞれ判断しながらやるということでございまして、もちろん政治家の国会議員の先生方の御意見、これはもうどなたを問わずそれなりに地域の代表の方々でございますから、そういう方々の御意見もお伺いいたしますけれども、基本は、地方公共団体の要望に基づきまして今申し上げましたような観点からやっておるということでございます。
  90. 松田九郎

    松田(九)委員 今あなたが言っておる国土の均衡ある発展、それであればいいんだけれども、私は必ずしもそういうふうな気がしない。非常に懸念を持っておる。だから、専門家であり第一の権威者である建設大臣のやっておられることだから、均衡ある発展ということに今の答弁のように今後常に留意をしていただいて、やはり過疎地域がこれより以上過疎地に落ち込んで厄介者にならないように、この点については大臣にぜひそういう配慮を建設行政の中でお願いをしておきたい、こういうことであります。  そこで、次にお尋ねをするわけですが、これも大臣、迷惑でしょうけれども、もう一つ基本的なことだからお聞きしたいのです。  私が今の問題と関連して考えますことは、要するに有料道路形式あるいは公団形式、本四架橋もまたしかりでありますが、そういうものに取り組む姿勢の中で、長大橋とか大きいトンネル、こういうものは、今後は一般の公共事業の予算の中で配分というか、これを措置していくというやり方は何とか改めていただいて、何らかの法省令的な措置をとっていただいて、特別枠として長大橋、長大トンネルは公団方式等で優先してやってもらう、あるいはそうでなければ過疎地のそういうものについては優先して公共事業の配分というものをやはりふやしてもらわなければ、将来、トンネル、橋を有料方式でやってみましても、住民の数が少ないわけですからペイしないわけです。償還できない。ところが、人口の多い太平洋ベルト地帯と言われる都道府県においては、交通量が多いわけですから、そういう形式、仮に有料道路形式をとりましてもどんどんいつの間にか償還をして、国土は均衡して、それこそ均衡ある発展をしていく、こういうふうに思うわけであります。  その卑近な例でありますが、私の地元において平戸という橋がありまして、これをお願いしまして実は五十三億円でかけさせていただいた。ところが、渡橋料として七百円という日本一高い料金を取った。料率が高くて幸いなことにいわゆる黒字の経営を続けてきた。ところが、この七百円という料金がとてもじゃない、高いために、通る住民がほとんどなくなった。主として観光客だけがこれを利用するという傾向になってきた。だから、無理にお願いをして今度この一車両七百円を二百五十円引きの四百五十円に、建設省にも御配慮を願ってそういう措置をしてもらったのでありますけれども、そういう面からいたしまして、やはり過疎地における有料道路形式というものはなるべく公共事業で固めてもらって、人口の多いところには均衡ある発展という原則論に従っていつの間にか数に物を言わせて償還計画が成り立つ、そういう方向づけをとられていかれぬものかということと、もう一つは、申し上げたとおりに公共事業の枠を食っておる大きな橋、大きなトンネルの配分というものは別枠扱いで何らかの行政上の措置ができないものか。これは権威者である大臣にお聞きをして、できるだけその方向づけをとってもらいたいと思うのですが、こういう問題については大臣はどのようにお考えになっておられるか、せっかくの機会にお伺いしておきたいのであります。
  91. 天野光晴

    天野国務大臣 ただいまの話、最も重要であります。それは、地域の繁栄のないところに大きな負担をかけて地元に負担をさせるということは容易でありません。そういう関係から、いわゆる公団関係あるいはそういう関係を除けば、そういう程度のものは大体直轄事業で行っていると思うのであります。だから、そうでなくて今の料金が高くて通行もできないというようなものをもしやったとすれば、それはやはり行政上の失敗だ、私はそう思います。  私が出てきた当時でありますが、高速国道というのは一本ずつ特別会計でした。東名高速道路、中央高速道路は特別会計でした。ところが、東名とか中央高速道路のようなものはものの十年もたてば元を取ってしまうのでありますが、私の方の県の高速道路なんていうのは子孫末代返すことのできないような状態のものであります。そういう関係から、国土全般にわたっていわゆる公平な発展をさせるためにやる事業ということになれば、これは当然合併すべきだということで、実は道路公団一本の会計にしたわけであります。  そういうような考え方でいきますと、最近は東京と大阪の間、とうにおれは金を払ったんだ、何でいつまでも取っているんだなんという人もありますが、といったって国の公共事業でやるわけにいかなくて公団事業でやるほかありませんから、そういう観点からいきますと、中国横断道路とか東北の横断道路のようなものをカバーはできませんから、そういう点で私は十五、六年前にやった覚えがあるわけでありますが、重要な大きな問題が出てきたとき、そのときそのときで私はいいと思うのでありますが、それは何とか対処するような措置を講じたいと思っております。私はあとどうせここ二月ぐらいきりおりませんから後々のことまでは難しいのでありますが、党におりますから、党でこの始末はするように努力をいたしたいと思います。
  92. 松田九郎

    松田(九)委員 大臣、ちょっと済みません。私が後段に聞いておる、いわゆる公共事業の枠の中に入っておる大きな橋あるいは大きなトンネルというものを、この際別枠の形でいわゆる予算編成をするような方法はないのかどうか、あるいはそういうことを前向きに検討されておるかどうかということをひとつお聞きしたいのです。
  93. 天野光晴

    天野国務大臣 それはまだちょっと私の方からも聞かなければ答弁できませんが、公団でやる仕事の中の話でなく外の話でしょう。だから外の話では、そのもの、個々のものが出たときに相談をしてどうするか決めるべきじゃないか。それほど大きな負担のあるものを、地元でしょい切れないものを無理やりやらせるということはおかしいことでありますから、その点については私はこれからの宿題として検討申し上げていきたい、こう思います。
  94. 松田九郎

    松田(九)委員 それならば、今せっかく大臣からのお話ですから、具体的に一つ問題を提起して参考に供しておきたいのです。  私の身近なことを申し上げて恐縮ですけれども、私のところに金子委員もおりますが、金子君のところに実は大きな橋を、百二、三十億かかると思いますが、年間七、八億の公共事業で今実は予算配分してもらってかけさせてもらっておりますが、遅々として進みません。ところが、もう一つ長崎県に同じ大きな橋、若松大橋というのをかけております。これも七、八億を食らうわけです。合わせますと、金額的には少ないといいながらも田舎にとっては大きな金額で、十五億から十八億の公共事業の枠を長崎県のいわゆる配分の中でこの方に割がざるを得ない。長崎県の配分というのはちょっと言い過ぎかもわからぬけれども、いわゆる公共事業の中で食わざるを得ない。それは必然的に何らかの形において県の配分の中に影響があると思う。だから、そういうものについては、田舎の弱小県が公共事業の配分をそのような形で食われることは他の隣接の市町村に対しての公共事業の配分に大きな影響、マイナスを与えてくるので、今言ったようなことで今後は別枠で措置できないものか、そういう意味を聞いておるわけです。だから、ケース・バイ・ケースだという今の大臣のお話では私はちょっと納得しかねるというか、私の言っておる趣旨を大臣にのみ込んでいただけていないのじゃないかと思うから私は申し上げておるわけですよ。  だから、そういう具体的な問題を、地域のことを余り我田引水的に申し上げるのは恐縮だから敷衍的に私は先刻お話をしたのですが、実際にそういう問題について近隣町村からいうと、あんなに小さい島に橋をかけるのに何十億も大きな公共事業の予算を食われて、我々は大迷惑だ、これは建設業界からも市町村からも苦情が続出しておるのです。私もじっと見て見ぬふりをしておるわけです。だから、そういう問題を、きょうお答えできなくても局長あたりは十分念頭に置いて、大臣じゃなくてできたら局長、あなたの方から今ひとつ答えてくれぬか。
  95. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 先生御指摘のように、公共事業で長大橋をやる場合には大変多額な金を要することから、その県の他の事業の圧迫が多いというのは、特にこの数年公共事業自身がゼロシーリングあるいはマイナスシーリングの中で大変大きな影響を与えているのは事実でございます。私どもといたしましても、いわゆる長大橋については地元の要望が大変多いということでできるだけ採択をしているわけでございますけれども、その弊害を少しでもなくすべく、先生も御案内と思いますけれども、例えば補正予算などではそういうところに重点的にして、当初予算についてはある程度全体の中でございますが、今御指摘の長崎県の橋梁にいたしましても、補正予算でやって少しでも早くするようにすることをまず基本的に考えております。  それを別枠で最初から分けてやるかということになりますと、まだ一挙にそういうことまではいきませんけれども、例えば補助事業ですと、地方道の中で長大橋の予算配分のときには長大橋幾らということでそれを重点的に配分するようなことは行っておりますので、その長大橋のためによそが影響を受けることが少しでも少なくなるように努力していきたい。  ただ、先生のおっしゃるようにすぐこれを全然別で取ってやれということになりますと、これはやはり長大橋以外にもトンネルもございますし、それから一般の改良等も同じようなウエートで重要性ということは地元の方もおっしゃっていますから、その辺のバランスをとりながら、しかし先生の御趣旨を体して重点的にやるように今後私ども十分考えていきたい。少なくとも予算がプラスの状況になっているときにそういう措置ができる、今までマイナス、ゼロシーリングが続いたために、そういうことをしようといっても、みんなマイナスのときにそこだけぽんと上げるわけにいかないのでそういう弊害が出てきたことは私ども十分承知しているところでございますので、先生の御趣旨に沿って、今後そういった長大橋について十分配慮していきたいと考えております。
  96. 松田九郎

    松田(九)委員 別の角度から、局長でいいのですけれども尋ねてみたいのだが、今度、国幹道に基づいて新しく高規格道路の幹線道というものを決められた。これは、従来のいわゆる国道とすると我々は大変なメリットがある、これに入らなければ十年おくれるぞというかけ声で、あるいはそういう期待感でやってきて、幸いに私のところなんかは認めていただいた、そういう経緯がある。今回国幹道のいわゆる計画に入ったところについてはそういう大変な期待感があるのだが、これについてはどういう恩典があるのか。私は不勉強でわからぬのだよ。幼稚な質問だと思うけれども、一体、これに認定をしてもらったところについては、従来の国道とはどのように取り扱い方が違ってきますよ、優先順位が先になりますよ、あるいは予算が大きいんですよ、補助はこう違ってくるんですよ、そういうような具体的なメリットがあるのかないのか。  何で私がそんなことを言うかというと、建設省は往々にして決めただけで――国土庁もそうだけれども、国土庁の政務次官がそこにおるからこれはちょっと政務次官にも聞かなければいかぬが、例えば佐渡ケ島でも隠岐でも壱岐でも対馬でも、あるいはまた五島列島、離島に全部一本線を国道といってずっと引いておる。もう何年も前に認定してもらって、まだ一線も、国道に昇格してもらったからよかったといってもがけっ縁の修理一つしない、拡幅もしない、トンネル一つあけない。そんなものじゃ困るのです。鳴り物入りで、我々は期待感を持ってこれは離島の発展になるぞ、国道に昇格したぞと言っておるが、そういう懸念なしとしない。一体、今回のいわゆる国幹道については建設省としては今後どういう行政的指導をされようとするのか、それを聞いておきたい。
  97. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 国幹道につきましては、冒頭に大臣がお答えしましたように、我が国の均衡ある発展を図って、特にそういう過疎地帯における交通状況もよくするということで、高規格幹線道路ということで一万四千キロを四全総の中で決めていただいたわけでございます。その中で、国土開発幹線自動車道は、法律に基づいて国土を縦貫し横断する道路という範疇から三千九百二十キロ選びまして、現在の七千六百キロに足して一万一千五百二十キロ、大臣が申し上げたとおりのものを今回選んだわけでございます。そして、本日冒頭採択いただきましたように、国幹道法を改正してこれの整備に当たろうということでございます。  それで、恩典はどうかということでございますが、これは、国土開発幹線自動車道になりますと高速自動車国道でございますから、九州縦貫道あるいは横断道と同じようないわゆる高速道路になるわけでございます。ただ、これは道路公団が現在やっておるプールの中に入っていくわけでございますから有料道路になるわけでございますけれども、やはりそういった高速の道路ができるということで、今までの単なる一般平面を通っている国道とは違った意味で高速性とか定時性を守れますから、地元には大変メリットがあるものではないかと思われます。  それから、プライオリティーはどうかということになりますが、これも大臣がお答えされましたので重複になりますけれども、ただ、これは非常に膨大な計画でございますから、三十年間ぐらいどうしてもかかるわけでございます。その中で、高速道路の各路線の重要度あるいはネットワークの必要性というようなことに応じて計画していくわけでございまして、現在七千六百キロのうち既に四千キロできているわけでございますが、それと一緒になってつくっていくわけでございます。今国会で最終的に法案が成立した後は、国土開発幹線自動車道建設審議会を開いて基本計画をつくる、整備計画をつくる、それから道路公団に施行命令を出すという手順でやっていくわけでございますので、決して計画倒れになるということはしないわけでございますし、六十三年度から始まります第十次の道路整備五カ年計画の中でも、そういった高規格幹線道路については、国幹道によるものあるいは一般国道の自動車専用道路によるものもあわせて重点課題として、国土の均衡ある発展のために最優先に整備しようという考え方で私ども今道路計画をつくっておるわけでございますので、そういった意味では大きな利点なりが地元にあるというように私は考えております。
  98. 松田九郎

    松田(九)委員 もう一回道路局長にお聞きしたいのだ。別のことだ。  さっきちょっと私が触れた離島の幹線のいわゆる国道、これは全く手がつけられていないと私は認識しておるのだが、ここら辺については建設省自体としてはどういう対応をやろうとお考えになっておるか。私の県だけがおくれているのじゃないと私は思うのだ。どこでも離島の国道は、昇格はしたものの実際的に何らの措置も具体的にされていない、このように思うのだが、これについての考えをひとつ聞いておきたい。
  99. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 離島の国道につきましては、今先生がおっしゃったように、特に最近、今まで県道だったものを国道に昇格したわけでございます。これは離島に限らず、昇格国道全般につきましては、例えば四百番台とか三百番の後半の最近昇格した国道につきましては、先ほども申し上げましたようにこのところの予算の伸びが非常におくれている、伸びがなかったということで整備がおくれているのは事実でございます。しかしながら、昨年来補正予算とか今年度も補正がかなり伸びておりますし、六十三年度におきましても事業のかなりの伸びが期待されますので、その中で昇格国道についてもやっていきたい。  昇格したけれども整備が少なくてけしからぬということでございますけれども、常に言われているわけでございますが、国道になりますと今度は国道の中の順番というのがありまして、鶏口となるも午後となるなかれということが若干適用されるような面もありまして、国道になりますと規格も上がってまいりますから建設費も高くなるという面がございまして、おくれているのは事実でございます。今後、そういった一次改築のおくれている昇格道についても積極的にといいますか、今後の予算の中で整備をするように私ども努力していきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  100. 松田九郎

    松田(九)委員 これは建設省と大蔵省に関係のあることだけれども、たびたび建設部会等においては建設大臣からも決意のほどを聞いておるけれどもいまだに解決を見ていないというのは、例の自動車関連の税収に対していわゆるオーバーフローの問題、いわゆるマイナスシーリングの残滓というかそのときの後遺症として、現に四千百億前後の問題点がある。これを現在は建設省の方に――大蔵省が財政難ということか何か知らぬけれども、とにかく目的税として道路整備のために税を徴収しておるにかかわらずその方にはストレートに使わぬで、大蔵省が言うなればマイナスシーリング時代にこれを三年間にわたって吸い上げて、今はそれをおまえたちに使わせてやるぞ、借りるよ、全く主客転倒したようなやり方になって、建設省もまた、ありがとうございます、しばらくお貸しくださいという式にやっておるわけだ、田舎流に言うならば。一体とどのつまりはだれが帳じりを合わせるのか。当然のことながら大蔵省が何らかの時期に具体的なけじめをつけなければいかぬと思う。どういうことで今これをやっておるのか。  なぜ私がこういうことを聞いておるかというと、税を納める方からいえば、我々は道路をよくしてもらいたい、その一念で農家は苦しい中からそれぞれ重量税なんか全部やっているんだよ。それを全然ストレートに使わない。当然建設省が使うべき財源なんだよ。それを大蔵省が取り上げておる格好だろうが。そして今度は大蔵省は、おまえたち、公共事業の金が足らぬなら財投で貸してやるぞ、借金しろよというので借金させておるわけだろうが。そんなやり方があるか。大蔵省にそれだけの権限があるのか。また、建設省もそれを黙って唯々諾々として、お借りいたします、寸借いたしますというやり方がどこにあるか。その辺はどうなっておるのだ。
  101. 杉井孝

    ○杉井説明員 先生御指摘のように従来は、自動車重量税創設等の経緯もございまして、予算計上に当たりましては道路整備状況等も勘案しまして自動車重量税の一定割合、それに見合う金額を一般会計から道路整備特別会計へ繰り入れることが慣例となっておりましたが、近年公共事業の抑制に伴いましてその金額が計算上繰り入れられていないということになっておりまして、これが御指摘のいわゆるオーバーフロー問題というふうに認識しております。  ただ、六十二年度予算編成に当たりましては、道路整備の財源といたしましては、一般財源等のほかに、所要財源として先生御指摘のように運用部からの借入金で措置をいたしたところでございます。この償還財源をどうするかという点につきましては、先生も御案内のように昨年末の建設、大蔵両大臣間の覚書によりまして、先ほど申し上げました従来の慣行を尊重しながら別途の財源により措置していくということでございまして、具体的にこれをどういうふうに措置していくかは、六十三年度予算編成過程におきまして財政事情等も考慮しながら適切に検討していきたいと考えておるところでございます。
  102. 松田九郎

    松田(九)委員 あなたの説明では全く私はわからぬな。形としてとにかく建設省に大蔵省は今六千億ばかり貸した勘定になっておるわけだから、従来の慣行によってどうだと言っておるが、それならば建設大臣と大蔵大臣との間にどんなふうな話し合いができているのか。要するに大蔵省が今度はその六千億の補てんはするから建設省は返さぬでいいという話し合いになっているということなのか、そういう措置を事務的にしていくということなのか。どこかでつじつまを合わせなければいかぬのだろう。この六千億前後はどういう措置をするのか。現にそれだけになっているだろう。これはどうするのか。
  103. 杉井孝

    ○杉井説明員 先ほどもお答えいたしましたように、昨年末の覚書によりまして、償還財源につきましては別途財源として措置するということで、その内容につきましては……
  104. 松田九郎

    松田(九)委員 別途財源でどっちが措置するのだ。
  105. 杉井孝

    ○杉井説明員 それは建設省ともよく御相談をしながら、六十二年度の予算編成の過程の中で十分検討していきたいと考えているところでございます。
  106. 松田九郎

    松田(九)委員 あなた、おかしいな。どっちが措置するかと聞いておる意味がわかりますか、あなたは。建設省が別途の財源措置で措置すると言っておるのか、大蔵省が別途の一般財源で補てんをして措置をすると言っておるのか、それを私は聞いているわけだ。どこかで措置をしなければいけないだろう、けじめをつけなければいけないだろう、始末は。
  107. 杉井孝

    ○杉井説明員 それは、お答えしましたように別途財源として措置するというところまでが覚書で決まっていることでございまして、今後予算編成の過程で、先ほど申し上げました自動車重量税の従来の慣行、そういうものを尊重しながら、また財政事情も考慮しながら建設省ともよく相談をして適切に対処していきたいと考えているところでございます。
  108. 松田九郎

    松田(九)委員 今の答弁では全く理解できないけれども、時間がないからこれは別の機会に、我が党の建設部会等において大臣なり――局長わかるか、それでは局長
  109. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 今の、両大臣の覚書につきまして建設省としては、別途財源で大蔵省に措置をしてもらえるというふうな趣旨で――私どもが財源を持っているわけではございませんし、別途財源で措置をしていただけるというふうに覚書について理解しております。その金額につきましては六千五百億円でございます。
  110. 松田九郎

    松田(九)委員 大体わかりました。六千五百億を確実に、建設大臣と大蔵大臣との間に覚書を交換をして、これは財源的に大蔵省サイドで措置をする、そういうことになっているわけだ。よし、それならいい。  また別の角度で質問したいのですが、きのうからきょうの大新聞に皆載っているのですが、日本列島の屋根と言われているアルプスの分水嶺を、あるいは取水面をどちらが取るかといって、越後の国から導水管をあけて、とにかく何百キロも水を運ばなければいかぬ。どこへ運ぶかといえば利根川に運ぶ、こう言っているわけだ。利根川の水が足らぬからといって、ことしは毎日毎日東京近郊の都市は渇水対策だ。これは何で出てきたかというと、多年にわたる建設行政の中でひずみが出てきたわけだ。予算が足りないからダムがつくれない、河川改修、井ぜきがつくれない、水路がつくれない、加えて減反ばかりするものだから田んぼには水はない、この小さい急傾斜地の日本列島に水のたまるところがない。雨が幾ら降ってみたって直ちに大海に流れてしまうのだよ、とめるところがないのだから。だからこそ我々は、いわゆる公共事業、一般財源ではダムもつくれないし、導水工事もできないし、水路もつくれぬ、ため池もつくれぬ、井ぜき工事もこれを施しても水というものが確保できないからということで、我々は仕方がないから水に恩恵を受けておる企業等にお願いをして財源措置をすべきである、そういうことを考えて、昨年来から自由民主党の中においては、もうそれこそけんけんがくがくテーブルをたたいて火の出るような大激論の末に我々は長い間やってきた。  結論的にはどうなったかというと、電力業界を初め、水によって恩恵を受け利益を受けておる関係の企業の善意に基づく基金制度によってこの点については善処をするというおおよその確約、その当時に少なくとも三百億くらいはという話も私は出たように思う。農林省と建設省との間に六百億とすれば、両々相まって三百億くらいのものはこの六十二年度にひとつ何とか解決をする、もしそれをしない場合においては新しい緊急整備的なものをつくられることもやむを得ないという業界筋の同意もある程度得ておったというふうに我々聞き及んでおるのだけれども、それがいまだになされていない。その基金は一体幾ら納まっておるか。まずその基金は幾ら納まっておるかを聞きたい。
  111. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 ただいまお話がございましなように、昨年末の自由民主党の税制調査会におきまして、森林・河川緊急整備税の新設要求に係る処理案の一つとして、基金の創設というものを建設、林野両省庁において可及的速やかに図るようにということでございました。  この処理案の中には四項目ございまして、まず第一点は、毎年度の当初予算において治水事業の重要性にかんがみ重点的に配分をいただく。それからまた、財政の機動的、弾力的運用の際にはそれに応じた手厚い配慮をいただく。それからもう一つは、これは大事なことでございますけれども、従来なかった、直轄河川の災害復旧に関連いたしまして改良的な事業を一般会計に外出ししてやられるというような、この三項目についてはそれぞれ、私どもおかげさまで十分配慮をいただいておると認識しておるわけでございますが、問題の第四点につきましては、現在、関係機関とその創設につきまして鋭意努力している最中でございます。
  112. 松田九郎

    松田(九)委員 第四点が問題なんだ。一般財源措置の中で補正予算にあるいは公共事業にどう組もうと、それはあなたたちの努力であって、大いに多とします。私が言っておるのは、その当時のいきさつからして、関係の業界筋においては善意及び良心的に取り組むからひとつ税的なものを創設することはしばらく待ってもらえぬかという、そういう話があったと私は思うのだ。それが何十億の話ではなく何百億の話でもって、一銭も基金がいまだに納まっていない。そして財政難だと我々に言っておる。片や雨なしで渇水対策、ことしの利根川流域のダムの枯渇状態はどうですか。二、三日前だったか、事務次官がテレビに出て何だらかんたら言いおるばってん、銭なしで何ばこれ言うちょるかと思って見ておったよ。金がないのだよ。きれいごとで一般財源からやればいいじゃないと言う人がかなり国会にもおるぞ。我々なんかこればかり言うものだから集票力も失って、企業が加勢しないのだ。政治献金も持ってこないのだよ。  金も集まらなければ票も集まらぬで何でこんなことを我々が言っておるかといえば、それこそ大臣がさっき言っておる国土の均衡ある発展あるいは水がいかに大事だかということを考えておるからなんだ。東京都民一千二百万がまさに渇水対策で頭ひっ抱えておる今の時期でしょう。一般の公共事業予算で組めないからこそ我々が知恵を絞ったのが緊急整備税的なものであるだろうが。大臣が、おまえ心配するな、どんどん今からおれが大臣になったらやる、そういう話ならいいけれども、だれが大臣になったってそんな手品みたいなことはやれない。これは我々は思いつきで言っているのじゃないのだから、おれはいつまでたったってこれを言うぞ。迷惑千万なんだよ、もう電力会社なんか、松田九郎見るのも嫌だと言っておるぞ。今まで私は仲よくしておったのだよ、九州電力あたりは。私は県会議長当時、それこそ上五島の洋上備蓄からあるいは松浦火力発電所から、私が先頭になって協力したから松田九郎様々だったけれども、今は松田九郎を悪党のごとく言っておるはずだ。  何でか、それは緊急整備税というものを我々は真剣に考えたから提唱してきておるだけで、他意は全くない。企業を圧迫してみたり企業そのものの存立に侵害を加えるという意思は全くない。一般財源が苦しいから、措置できないから、だからといって河川対策や水の問題は大事だからこそ我々は、しかももうかっておる企業だ、電力会社なんかの差益は膨大だろう。だから応分のことを国土の均衡ある発展のために、企業防衛のためにも水がここは必要だから加勢してもらいたいということで、お互いに両々相まって話し合いをしたものだろう。それが一銭も納めないなんてどういうわけだ。何の誠意もないというならば、我々は六十二年度に向かって新たな決意を持って臨んでいかなければいかぬ。だから河川局長、やかましくたってしようがないから、これは基本的なこととして大臣にひとつお答えをお願いしておきたいと思う。
  113. 天野光晴

    天野国務大臣 この問題につきましては今何とか決まりそうなところに来ております。これは実は、東京の水、もっとなくなればいいと私は思っておるのですが、たまたま神様がいるものですから、こんな格好になってしまいました。どんな立派なことを言ったところで、日本の国では利根川水系と琵琶湖水系と筑後川水系だけではだめなのですから、根本的にその設備をやるためには金が必要なんです。私は随分長い間建設行政をやっているわけですが、私らの力が及ばなかったのか、いつの間にか河川行政の方が予算の獲得が非常にしづらくて、おくれてきたことは事実なんです。そういう点で、道路は特定財源でばかり道路をやるようになってしまったのですが、それでも困りますが、河川の方は少し特定財源をつくったらどうだろうというのが今の整備税の発端になったわけでございます。  国土を守る上からいっても重要な問題であり、それが必要だと言っている政治家が多いのにもかかわらず、予算の獲得ができないというのが今の河川関係の予算であることは事実であります。そういう関係で、私もそのとき立ち会っていないものですから、江藤隆美君とよく相談しまして、金額の問題で電力会社その他の関係機関との話し合いを有力な閣僚が中に入って今やってもらっている最中であります。もしできなければ、できない状態の中で後始末はやるつもりであります。今私の立場ではちょっとできませんから、二月たつとそっちへ戻りますから、戻ったところでこの問題の始末は、それまでにできますと思いますが、できなかった場合においては格好をつけたいと思っております。
  114. 松田九郎

    松田(九)委員 時間がちょうど参りましたので、以上で私の質問を終わりますが、今最後に申し上げた、河川を愛するために、国土を愛するために、大臣はもう全くその方の権威者でありますから、我々は全く信頼申し上げておりますから、ぜひひとつ勇断を持ってその方向づけを緊急にしていただくようにお願いをして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  115. 村岡兼造

    村岡委員長 坂井弘一君。
  116. 坂井弘一

    ○坂井委員 土地問題につきまして、土地の私権の制限、それに関連いたしまして国土利用計画法の運用の問題、それから公有地拡大法あるいは公有地拡大のための具体的なあり方、手法、さらには東京集中から地方分散への具体的な展開の方法、方式等々につきまして質問をしてまいりたいと思います。  最初天野大臣にお尋ねいたしますが、最近とみに土地の私権制限論といいますか、土地私有権の制限論議というものが大変にぎやかになってまいりました。天野大臣どうですか、この土地の私権制限ということについて、基本的にといいますか、大づかみにどのようにお考えになっておられましょうか、お尋ねをしながら進めてまいりたいと思います。
  117. 天野光晴

    天野国務大臣 国土庁長官が見えておりませんから、私の個人的意見として申し上げておきますが、憲法上で保障された私有権というものはやはり絶対的なものだ、私はそう考えております。しかし、公共的に考えてみて、我が国が生きるか死ぬかというような大きな問題に波及するおそれがあるときにはやはり私権の制限もある程度はやむを得ないのじゃないかという考え方をいたしまして、実は国土利用計画法の中にこの条項を織り込んだのも私であります。  今閣内でもそういう意見を述べる大臣が大変数多くなっておりますが、私の考え方では、回復するまでの間停止をするというようなことは最も望ましいことだと思いますが、回復する手段を、暴騰を静める政策をやらないで私権だけを制限するということはちょっとまずいと思いますし、今の段階ではちょっと使い切れないのではないかなという感じを持っております。これはあくまでも私の個人的な意見であります。
  118. 坂井弘一

    ○坂井委員 報道によりますと、二階堂前副総裁は既に、土地私有制度の制限を含め立法措置を講じて対処する、そういう考え方を示している。竹下幹事長は憲法二九条改正を含む私有権の制限、それから安倍総務会長も土地所有権と公共の福祉の調整、そういう提言をするということでそれぞれ検討中である、こういう報道でございます。  そこで、若干私の考え、私見を述べながらお尋ねをしたいと思いますが、私は、土地というものは限られた国民共有の資源である。したがって、生活財あるいは生産財として活用されるべきはずの土地であるが、今現状はどうかといいますと、土地が生活財、生産財ではなくして投機の対象財になってしまった。恐らく日本ほど土地が商品化されたという例は諸外国にはないだろうと思います。企業というのはもうかる場所に人や物、金も全部注ぎ込んでいくというのは、これはもう自由経済、市場原理から照らして当たり前のことでありまして、そういうことになってまいりますと、土地が投機対象財ということになってしまった今日においてはどうしても企業が東京一極に集中をする、この加速傾向というものはどうにも歯どめがかからない状態にまで来てしまった。しかもこの財は、経済原則からしてもやはり生産性の高いものを追い求めるといいますか、つまり、土地というのは私は公共財だと思うのですけれども、これが投機財になってしまって、生産性の高いもの、つまり住宅地から商業地へと転換が始まりましたですね。そうしますと、それから次に起こってきたのは仮需要ですね、そういうものをどんどん生んでいく。そうするとまた、都心部の空洞化、これがますます進行する、こういう悪循環ですね。  そういうときに一体、土地政策といいますか、そういう地価狂乱、土地が投機対象財になってしまった現状に対してどういう政策手段を持ってそれに対抗してきたかということになりますと、極めて残念ながら、ある意味では場当たり的な容積率の緩和、つまり都市計画法の一連の規制の緩和。これは決して地価高騰の歯どめにはならなかった、逆の方向に向いたと思います。それから、土地税制も二転、三転しましたね。つまり、土地政策における基本政策の欠如と言われてもいたし方がないのではないかという気がしてなりません。かと思うと、もう一方では国有地、公有地の払い下げ、民間に対する放出というものは、企業のもうけのためにしてしまった、そういう気がしてなりませんし、そこにいわゆる民活が結びついて非常に悪い面が、土地が投機対象財となってしまった、その土地に企業が目をつけ、そして民活という手法が一方にあるものですから、それをいいことにしてどんどん仮需要を生みながら、土地高騰の歯どめがきかなくなってしまった、こういう現状にあるんだろうと思うのです。  そういうことになりますと、冒頭申しましたように、土地は限られた資源であって国民共有の財産、公共財だという考え方をこの辺で強く持たなければ、この土地の暴騰、狂乱状態には歯どめをかけることはもはやできないのではないか。土地そのものは、人間生存と生活の基盤である、次代に引き継ぐべき共有の財産である、つまり公共財、そういう考え方に重きを置くべきであろう。その基本に立った土地政策に真正面から取り組まなければならぬときに来ている。そういう意味におきましては、まさに憲法二十九条においては財産権は侵してはならぬという規定がございますから、私権、私有権というものは歳として保障されているわけではありますけれども、土地に限ってはどうもこの考え方は成り立たぬ、公共財だ、こういう考え方の方に重きを置くべきだと私は思うのです。  さて、今申しました憲法二十九条は、「財産権は、これを侵してはならない。」ということで、土地私有権を保障しております。つまり土地の売買、利用、開発、これは原則自由。しかし同時に、同条二項は、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」こうなっているわけですね。このことは、従来財産権の一面だけが強調されてきたわけでありますけれども、むしろ重視すべきはこの二項に言うところの公共財たる土地である、すべての国民国土に対する本源的な利用権を持っておる、こういう憲法解釈に立つべきではなかろうかというのが実は私の憲法二十九条に対する私見でございます。  国土庁になりますか、工藤政務次官御出席でございますが、私の今の土地の私有権あるいは私有権制限に対する考え方に対しまして、御見解を承りたいと思います。
  119. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、土地は、国民生活なり生産を通ずる諸活動の共通の基盤でありまして、極めて限られた資源であります。したがいまして、適正かつ合理的な土地利用の実現を図るということは極めて重要であると私ども考えております。先生御指摘のように、現在の憲法でも公共の福祉に適合するように財産権の内容は法律で定めるということになっておりまして、この公共の福祉という観点から、現在でも土地の所有権とか利用権とかにつきまして種々の制限がなされているわけでございます。私ども国土庁所管の法律であります国土利用計画法等におきましても、地価の高騰を防止するという観点から、土地の取引につきまして各種の制限ができる現行の制度がございますので、私どもといたしましては、この現行の制度をできるだけ積極的に活用して地価の抑制に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それからまた、現行制度以上の私権の制限の拡大を行うかどうかという問題もございますけれども、これにつきましては、国民の財産権に深くかかわる問題でございますし、いろいろ利害関係もありますので、広く意見を聴取しながら慎重に検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  120. 坂井弘一

    ○坂井委員 土地は公共の福祉のために活用を図るという第二項の精神、規定を尊重すべきだということを私は申し上げているわけでございまして、その活用のあり方というのは、やはり自治体の責任と権限のもとに地域住民の福祉に資する、そういう視点から、かなり大規模かつ中長期的に利用計画が策定される中で、その地域内に存在する相当規模、大規模の土地の財産権を持つ個人の私権というものは相当程度制限されてもやむを得ない、そういう考え方をまず国民合意として得ることができないものだろうか、そのような国民意識の確立というものが急務だろうと私は思うわけでございます。法律をもって制するという前に、土地は公共財だという考え方が広く国民の意識の中に芽生えて、そしてお互いに公共の福祉のために、地域の福祉のために自分が持つ財産権のある土地を提供していきましょう、活用を図るようにしてまいりましょうというようなコンセンサスを得ることがただいま急務ではなかろうかな。そういう考えの中で、今土地が商品化されておる、投機対象財になっておる、土地であくどいもうけをする、そういう風潮の根を絶つということが可能になるのではないか、こんな気がしてならないわけでございます。  そこで、今御答弁がございましたが、現行法の活用、全くそうだと思いますが、現行法ということになりますと、国土利用計画法の厳正な運用といいますか、これがやはり大事だろうという気がするわけでございまして、これは天野建設大臣がおつくりになった法律でありまして、大変敬意を表しております。今申し上げております土地の私有権というものは、使用、収益、処分、この三つから成っているのだろうと思うのですが、国土利用計画法を見ますと、この使用、収益、処分すべてにわたって、取引の目的あるいは価格に至るまで公権力が介入する、こういう点では法律的にもこれは相当思い切った法律である。使用、収益、処分権、この三つの私有権を制約、制限するという意味において、国土利用計画法は画期的な法律であろうと私は思います。問題はこの法律の運用でありまして、先ほどから申しますように、私権の私有権、財産権を尊重するの余りといいますか、それに重きを置く余り、公共財であるという視点が置き去りにされて、国土利用計画法の厳格、適正な運用がどうも行われていない、こういうことではなかろうかなと思うわけでございます。  ほかには、土地利用計画によって使用権を制限したり、土地税制によって収益権を制限する、あるいは土地収用によって処分権を制限する幾つかの法律がございますけれども、しかし、繰り返し申し上げますが、国土利用計画法はこの三つの私有権、権利を制約、制限する意味においては画期的なものである。したがって、先ほど答弁がございましたが、ここまでくると東京の都心部等におきまして地価高騰にもう歯どめがきかない。高騰じゃなくて狂乱状態ですね。この狂乱状態に対して、国土利用計画法の規制地域指定、これはもうまさに決断すべきときだと思います。この動向をしっかり見極めて、そのうちに伝家の宝刀を抜くぞ抜くぞと言って、結局抜かずじまいでは何にもならない。それは確かに経済社会全体に与える影響というのは大変なものだと思いますよ、事実上の地価凍結ですから。大混乱が起こるかもしれない。しかし、今起こっている混乱の方が大きいのじゃありませんか、坪一億なんということは常識的に考えて、だれが聞いたって。しかも、これでもうけている者がおる。こういう悪を放置しているのです。これはもはや悪ですよ。伝家の宝刀の国土利用計画法、地域指定があるのだから、まさに今この巨悪に対してこの宝刀を抜くべきときだと私は思うのだけれども、なぜ動向を見定めながら抜けないのでしょうか。  この間綿貫長官が、いよいよ抜くべき時期に来たかなというお考えを言われたようでありまして、新聞等でもかなり大々的に報道されました。しかし、ある人、土地業界の関係者に聞きますと、いや、これは抜けっこありません、大丈夫でございます、抜くはずはありません、こういうことでございます。これがよくない。だから、一回どこか地域を指定して本当に抜いたらどうだ、こう言いたい。一罰百戒ですよ。それぐらいのつもりで抜くべきときに来ているのじゃないでしょうか。この辺は、政務次官……。
  121. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 国土利用計画法第十二条の規制区域についての御質問でございますけれども、私どもも、この規制区域の発動につきましては現在真剣に検討している次第でございます。  一昨年、東京の地価高騰が始まりましたときに、東京都と国土庁で地価対策連絡会議というものを持ちまして、現在全国的にしかれております届け出、勧告制度、これにつきまして、現在の市街化区域二千平米以上というものではなかなか効果がないだろうということで、まずこれをきめ細かく届け出をやらせる必要があるのじゃなかろうかということで、とりあえず東京都の条例でもって昨年の十二月から届け出制度を小規模の土地取引についても適用するということを始めたわけでございます。その後、この前の通常国会国土利用計画法を改正いたしまして監視区域制度を設けていただきまして、これを現在運用している次第でございます。  私どもといたしましては、まずこの監視区域を積極的に運用するという形で何とか現在の地価高騰の勢いをおさめたいということで関係公共団体とも十分相談をしているところでございますけれども、この監視区域制度の運用状況を見まして、それでなおかつ地価の抑制がなかなかうまくいかないというときには、やはりこの規制区域という制度を発動するということも真剣に検討しなきゃいけないのじゃなかろうかということを考えておる次第でございます。そういうことで、関係地方公共団体と緊密な連絡、調整を図りながら適正な指導をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  122. 天野光晴

    天野国務大臣 私余り発言したくないのですけれども、今の内閣、そう言っては悪いですけれども、本当の土地政策をやってませんよ。法律があるんですから、執行するつもりならいつでもできますよ。ただし、全然手が打てなくなった段階でやるのが強制手段であります。そうですから、政府がやろうとすればまだ手段があると私は思っておるのです。  閣内で恐らく何十回となく私は発言をしているのでありますが、罰則や今の強行手段で売買停止すればそれは簡単に終わりますが、それ以外のことでは全部だめです。税金なんか何ぼ高くしたって納めないのですから、実態は適当にやりますから、規制区域をつくったなんという程度のものでは一%もおさまりませんよ、こんなことでは。そうですから、私ははっきり、需要供給のバランスをとるようにすれば地価はおさまるという意思表示をして、何回も閣議で発言をしているのですが、ようやく一つの問題だけが今軌道に乗りつつあるようであります。  それも手ぬるいことに、中曽根内閣の一番の欠点だと私は言っているのですが、自分でやるのでなくて、人の意見を聞いて仕事をやるなんというようなことは本当の政治家のやる仕事ではありませんよ。おれはこうやるんだ、これでどうなんだというなら話はわかりますが、委員会に諮問してなんて言って、その答申が来春ごろ出るなんて、きょうあしたどうにかしなければいけないという段階においてそんな悠長なことで仕事ができますかと、私この間も閣議でやったのです。  それで、じゃどうすればいいんだとこの前言いますから、それは供給しなさい、準備ができないほどの土地ではないんだから、そういう意味政府機関でやり得る施策をやったらどうだと。まず、国公有地の販売は停止しなきゃだめです。そんなことは初めからわかり切っていることなんですから、それを国土法の改正では今言った監視制度をつくっただけで、国公有地については全然触れていないと同じでございます。何といったって地価の暴騰につながったのは国公有地の払い下げです。大幅に国鉄の用地を処分するという法律を通したのですから、その段階においてこの問題に対処する方法を講じなきゃだめじゃないかと主張したのです。  そこで要求しているのは、大体霞が関ビルが七本分か八本分の事務所ができれば十二分だ、私はそう理解しているのであります。それも、ほかへつくったのではだめなんでありまして、都心の中心につくらなきゃだめだというので、私の東京再開発をやるという案が出してあるわけであります。  この間もちょっと話をしましたが、大川端の三井不動産が開発しているマンションは一部屋が六千万になるそうです。それが驚くなかれ、何千倍になるかわからないという状態であります。それで、私の知っている者から一部屋取ってもらえないかというものだから、どうなっているか聞いてみてやるからというわけで、江戸、今相談役ですが、当時の会長に今から一カ月ばかり前に連絡をしました。そうしたら、先生いや何とも困ると言うのだ。何が困ったんだと言ったら、何千倍になる可能性がある。売り手として結構じゃないかと私が言ったら、いや私のつくったマンションを売って、それが地価暴騰にあおりをかけるようなことはしたくない。そういう点で、資本主義の権化と言われる三井財閥のそれを扱っている人からの発言として私は驚きましたよ。立派な発言だと思いましたよ。どうしてだめなんだと言ったら、いや小さな不動産屋の者が大学校の生徒を利用して、少なくて五十人、多ければ五百人も八百人も申し込みをさせているんです、その申し込みの、抽せんでやるからいいようなものだが、抽せんした者が入るんでないというところに問題があるというので、それは賃貸きりないじゃないですかと言ったら、三日目に総会をやって賃貸に変更しましたよ。だから、民間の金もうけをやる会社ですらそうやっているのに政府は何もやらないじゃないかと言って、私その直後の閣議でこれでも強力に発言したのです。  それですから、利用できるのは国鉄の用地があるいは国鉄の今使っている土地きりないのですから、そういう意味東京駅周辺と上野駅周辺というものを私話題に出しておるわけであります。両方とも今進みつつあるようであります。東京駅はつくり方によっては霞が関ビルが十二本以上あそこに建ちます。これはほとんどの関係者は了解しているようであります、仄聞でありますが。仄聞でないのは、郵政省はすぐ協力しますということになりました、郵便局ですね。それから、郵便局から国鉄の本社まで含めて、表通りは鉄鋼ビルはいいそうです。そうですから、大丸と今の観光ビルを含めば、今の労働組合の建物のあるところまでやりますと、恐らく三百メーターぐらいあると思います。私十二本以上建つんじゃないかと思っています、線路の上に建てるのでありますから。  そういう格好でいわゆるオフィスビルはあり余る。要するに、必要なものでなくても、今ほかに入っているものでも安いから移るという格好にしたいと考えておるのであります。大体三分の一から二分の一でできるんじゃないか。二分の一で仮にできたとすれば、東京の地価は二分の一に下がること間違いないわけでありますから、そういう観点でこれは急ぎたい。  それからマンションの方も、六千万のマンションが今一億二千万しているそうです、その隣で。そういう状態ですからマンションもつくらざるを得ないという考え方で、上野の駅から西日暮里の駅まで約三千メーターありますが、あの上に全部ふたをして、その上に四十階建てのマンションを、何十本建つか、建ててやるという構想を今出しているわけでありますが、これを実行すれば必ず地価は下がります。絶対下がります。殊に上野周辺の、要するに二階建てマンションになりますが、これは通行上非常に便利が悪いところでありますから、上野の山に四万から道路を入れます。上野の広小路から博物館の下を通して、西日暮里の駅まで大規模な道路を入れます。あと西側から、団子坂の方から今の動物園の下を通す道路を入れて、マンションと上野の山の間に完全な道路を一本入れて、どこからでも出入りできるような格好にすればこれは完全に使えますから、そういう格好でやると、あそこは大体三分の一ぐらいで上がるんじゃないかという勘定をしています。これは民間にやってもらいますが、あくまでも利潤追求はしない、とりあえず国策として今の地価暴騰を抑えるためにやる仕事だという前提条件で、その会社は利益一割ぐらいきり出ない格好で、それは空中権の決め方一つでありますから、そういう格好にしてやったらどうかというような提案をしております。  今、強権発動して日本の経済が混乱しなければ結構です。地価の凍結をやるということになりますと、やはりちょっと問題が起きるのではないか。限って、東京なら東京になりますと何区と何区と何区をやるというような以外に、全国的にやりようありませんから、そういった意味でその暴騰地域だけを仮にやるとしても、相当経済的に大きな問題が出てくるんじゃないかというような感じがしてなりません。まだ私のところには、いわゆる国土利用計画法による強制処分をしたいがどうだというような相談、だれからもあずかっておりません。あの法律は先生が御案内のように私がつくった法律でございますから、十二分内容については承知しているつもりでありますが、それをやる前にやはり政府はやるべき仕事をやってからやるべきだという感じがしております。それでも下がらない、どうにもならないというなら、これはやむを得ないから相談をしなければいけないと思うのですが、やはり一呼吸置いて、その呼吸の中で政府が対策を講ずるという具体的な仕事をやはりやるべきだ、私はそう考えております。  今、先生立派な御意見述べられて、先生にばかり述べられて答弁が非常に苦しくなりますよ。そんな難しいこと言ったって答弁ができないです。だから、この問題はこれくらいにしてくださいよ。私もまだ閣僚の現業の一人ですから、何とか始末するように努力をいたします。きょう国土庁の大臣も来ていないですし重荷ですから、ひとつその点、よろしくお願いいたします。
  123. 坂井弘一

    ○坂井委員 どうも大臣ありがとうございました。  今の地価高騰というよりも狂乱状態、しかしそれも何かといえば、本当は土地は公共財でなければならぬと思う。それが投機対象財というか投機財そのものになってしまったですね。そして今おっしゃるとおりで、その土地、その上に建つ建物、マンション、それにまで群がって、それでもって利を生もうということですから、この状態はこれ以上看過するわけにはいかぬぞ、まさにもうこのこと自体が犯罪だとすら私は思うわけでありまして、怒りを持ってこの地価狂乱に対しては対処しなければならぬ、そういう気持ちで実は申し上げました。  そこで、なぜ狂乱なのかといえば、それは需給のバランスが崩れているから供給をふやせばというのも、まさにそうでしょう。したがって、当面の対策としては、大臣が常々おっしゃるような東京駅周辺の再開発、あるいは線路の上をふたをして建物を建てるとか空間を活用すればいいじないか、あるいは東京湾ですね、新しく空中空間を活用して、そして高度利用を図り、あるいはまた土地をつくり出していくというような手法も当然大事だろうと思います。しかし同時に、やはりこれだけ過密化した東京の状態を見ますと、それだけの空間を活用して高度利用を図った場合に、そこにまた人々が集中してまいりますと果たしてアクセスがどうなのかなという心配は、素人考えでもこれはどういうことになるだろうかなと実は心配をするわけであります。  このことにつきましてはまた改めて御意見をいただきたいと思いますが、そういうことできょうは私は、実は公共財である土地というのは、国なりあるいは地方自治体なり、公ができるだけたくさん持つことの方が望ましいのではないかなという気がする。大臣さっきおっしゃいましたが、国土利用計画法を大臣が御提案になられまして、あれをおつくりになったときには、まさか国有地や公有地を売ろうなんぞというようなことはゆめゆめお考えの中になかったと思いますね。それが売り出されたのだから、これは驚くべきことです。  もう一方においては公有地拡大推進法という実は立派な法律がありますね。公有地を拡大しましょうという法律がありながら、せっかく持っている国有地、公有地をなぜ売るのか。しかもこの地価狂乱の土地が投機対象財になってしまったこのような時期に、こういうやり方は狂っているとしか言いようがないですな。  大臣おっしゃったように、本当に国有地、公有地は、今後永久にとは私は申しませんから、何年間かぐらいは払い下げはしません、このまま持ちます、凍結ぐらいの思い切った方針を閣議でも決定されましてお出しになったらどうかと思うのですが、これは私の考え、間違いでしょうか。
  124. 天野光晴

    天野国務大臣 間違ってなんかいませんよ。そのとおりだと私も思いますよ。国鉄再建の法律案この間通したばかりですから私余り言いたくないのですが、個人の会社なら取りつけに遭えばそれで破産ですよ。そして借金は全部棚上げして、後始末ですよ。国鉄が破産したらなぜ借金を棚上げにしなかったのかということなんです。そして、金利だけで一兆七、八千億も取られるような借金を残しておいて、元金を土地を売って返すなんというようなことは本当は許せることではありませんよ。私も閣議でこれをやったのでは内閣がぶっ壊れるばかりになってしまいますから主張はできなかったのでありますが、そういう意味合いからいって、私は、せめて地価暴騰がある程度おさまるまでの間は国公有地の販売は停止すべきだということを、私が閣内にいるうちにこれだけは決めたいと思っております。どういうようになるかわかりませんが、それだけはやりたいと私は思っておるのであります。  今まで地価暴騰につながったのは国公有地ではないなんという発言をしておるけれども、そうじゃありませんよ。国公有地を一番安く売ったので公示価格の二倍、高く売ったのでは三倍以上のものが幾つもあるわけです。そうすれば、来年度の固定資産税の書きかえのときには三倍にならざるを得ないじゃありませんか。固定資産税が膨大に高くなれば相続税が高くなる。貧弱な個人では土地一つも持てなくなるのです。そういう政策は決していいことではありません。  そういうことですから、私は、国公有地は当分押さえるべきだという考え方でおるのです。売るなとは言いません、売るということでこの間法律を通したばかりですから売るなとは言いませんが、せめて政府が対策を講じて、地価がある程度落ちつく段階までは販売をとめるべきだという考え方を持っております。先生の御意見ごもっともだと思って私は聞いております。
  125. 坂井弘一

    ○坂井委員 これはもろ刃の剣みたいなことになるのかなという危惧を持ちながらの提案ですが、実は私はもう一歩積極的に、公有地を拡大していきたい、本当に公有地を持ちたい、こういう気持ちを強く持つわけです。今ある公有地拡大推進法というのは自治体に先買い権を認めたという、言うなれば非常に部分的であり消極的なものだと思って、積極的な意味において公有地を拡大しましょうという目的のための法律でないことは事実ですね。ですから、冒頭申しましたが、例えばあるモデル的な一定地域、それも相当規模の大きい地域を考えまして、今ある住宅も工場、公園その他もろもろの施設一切合財すべて何もなし、白紙にいたしまして、そこに、二十一世紀を展望しながらと申しましょうか、その地域住民の公共の福祉ということを頭に置きながらこれからの新しいそういう地域のあるべき姿、住民の福祉に資するような地域あるいは都市の、再開発というと今までの概念が頭にこびりついておりますが、そういう規模の小さいものではなくて非常に広がりの大きい、再開発というよりも新しい地域の創出といいますか、白紙の中からつくるんだ、このような考え方に立って公有地を拡大する。そこで地域住民の福祉のために公共財たる公有地を十二分に活用を図っていく、新しい地域をつくり上げていく、そのようなことがモデル的にできるような、それを促すような新しい制度あるいは法律というか、そういうものも考えられないものかなという気が実はするわけです。  先年、西ドイツのミュンヘンに参りまして、そこでいろいろと伺いました。また、現場も見てまいりました。まことに整然とした近代都市といいますか、あれがいいのかどうか即座には私はわかりません。わかりませんが、少なくともミュンヘンと我が東京を見比べたときに、向こうが整然であれば東京は乱雑、乱脈きわまりない都市ですね。こんなところが世界に冠たる国際都市と言えるのかなという気がします。成田空港の上まで飛行機が参りますと、その下を見てぞっとしますね。  そんなことを考えますと、土地に対する我が日本人の観念、感覚というものは、所有権神話というものがいいのかどうか、日本文化に根差すものであるのかどうか、私にはよくわかりませんが、みんなの考え方が、土地は自分がひとり占めするものではなくて、ましてや土地でもってもうけようなどというのはふらちきわまるやからであって、土地国民共有の財産で、みんなのためにこれを利用するのだ、公共の福祉のために土地は大いに活用してしくのだというような冒頭申しました考え方国民コンセンサスとして得て、その上に立って公有地をうんと広げていく。これは国が持つ、あるいは自治体が持つ――持ち込むというのではなくて公有地を活用、利用していく、そのことのために新しい公有地を拡大していく、そういう法律といいますか何かの仕組みといいますか、そんなことが考えられぬものかなと思うのですけれども、これも国土庁に伺ったらいいのでしょうか、私の考え方はどだいナンセンスでしょうか、あるいはむちゃでしょうか。
  126. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 お答えいたします。  先生がただいま御指摘になりました西ドイツの地域開発のための公共団体による先買い権の制度とか、それからフランスにZADという制度がございますけれども、地域整備地域について公共団体が一般的に先買い権を持つ制度とか、ヨーロッパ諸国にはそういうかなり広範に地方公共団体地域整備のための先買いの権限を与えている法律がございます。私どももいろいろ勉強しているわけでございますけれども、日本におきましては都市の再開発促進地域といいますか、そういうところで再開発の事業主体が先買い権を持つというような制度もあるわけでございますけれども、それをもう少し拡大して、一般的に地域整備のための先買い権ということも今後いろいろ議論の余地はあるのじゃなかろうかと考えておる次第でございます。私どもといたしましても、そういうヨーロッパの先進諸国の諸制度も参考にしながら今後いろいろ勉強させていただきたいと思っております。
  127. 坂井弘一

    ○坂井委員 諸外国の例は随分研究、検討もされていると思いますが、今私が申し上げましたような、土地は公共財という考え方を前面に押し出す中で新しい仕組みなり法律なり何なりぜひ御検討をいただきたい、これは要請をしておきたいと思います。  ただ、誤解があってはなりません。これは国家権力をもって強権的に何もかも召し上げろと言っているのでは決してありません。あくまでも前提は、土地は公共財だという国民意識、こういうものの合意を得るということが大前提でありますので、そのための啓発活動といいますか、これはこれから非常に大事な土地に対する政策の一つの要素ではなかろうか。部分的な、それぞれに対応する土地政策というのはいっぱいあります。例えば規制ということになれば都市計画法もありますし、土地収用法もありますし、国土利用計画法、先ほど申しましたとおりであります。そういう法律の適正な運用ということも当然大事でありますけれども、同時に、それ以前の問題として、公共財という観念をしっかり国民一人一人が自分の考え方として持つような、そういう啓発というものがこれからは土地政策に極めて大事な視点ではないかなと思いまして御提案申し上げたような次第でございます。  関連いたしまして、東京一極集中から地方分散、多極分散国土の形成、これは先般の委員会でも若干お尋ねをいたしてまいりました。今東京圏内が三千万人というのですから、これはもう世界に例を見ない巨大都市、大きいことはいいことだでは済まなくなりましたね。この巨大都市がもたらす弊害は何かといえば、地価狂乱であり、防災上の不安であり、あるいは大事な生活の水の枯渇であり、もはやこの弊害は極限に達したような感がいたします。したがって、東京一極集中是正して地方分散を行うということは車の両輪だと思います。先ほどから各委員質疑にもございましたが、田舎の方は過疎がどんどん進行する、半島地域等においてはまことに、それこそ目を覆うべき状況にあることも事実であります。土地は買えば値段が必ず上がる、これは東京の話でありまして、田舎へ参りますと買い手ところか借り手もないというようなところがたくさんあるわけでありますから、したがって一方において過密過大の弊害、それと裏腹にもう一方においては過疎、そしてここでは生活ができないという大いなるマイナス、これは背中合わせの状態にあるということですね。したがって東京集中から地方分散へと、四全総においてその方向を示した。そうあらねばならない、これは私は当然だと思うのです。  そこで起こってきたのが遷都論であり分都論であり展都論で、これは消えては浮かび、浮かんでは消え、随分歴史がありますね。三全総にも書いてありました、また今度の四全総にも書いてあるけれども、なかなかそのように地方分散がいかぬのです。  地方分散が何でできないのかなと考えますと、やはり一つは便利きです。東京集中しているというのは非常に便利です。もう一方、地方分散するというのは非合理ですね。それから混乱があります。それと、その次に起こるのは何かというと、金がかかる。また、そんなスペースがあるのかなという問題もありますね、負担の問題等々。したがって、そういうことを考えますとなかなか絵にかいたようなわけにはいかない、立派な作文はできても地方分散ということはなかなか進まない、これが今日までの実情であったのだろうと私は思っておるのです。  そこでお尋ねをいたしたいことは、今度の四全総は、首都機能は分都方式で進めようというお考えなのでしょうか。つまり、遷都論については国民的規模の議論を踏まえながらこれから検討していくべきことである、こう書いてありますね。ということは、分都論、分都方式で首都におけるいろいろな機能地方分散していく、こういうことですか。
  128. 柳晃

    ○柳(晃)政府委員 四全総の中では遷都問題にも触れておりますし、また、分都という言葉は使っておりませんが、分都とか展都とか、そういう問題にも触れておりまして、どちらの記述もあるように私どもは受けとめております。  もう少し御説明申し上げますと、いわゆる遷都問題というものは、五十二年に策定されました三全総において首都機能移転配置問題を一つ検討課題として大きく提示しまして、その後いろいろ調査研究がされてきておりますが、四全総にも記述されておりますように、大変国民生活全体に大きな影響を及ぼす問題でございますし、ひとり国土政策の観点だけからのみ答えを出すわけにはまいらない、すなわち政治だとか行政経済との相互の関係のあり方等を含めまして、四全総の言葉を使えば国民的規模での議論を踏まえて引き続き検討していく問題ということで、超長期と申しますか長期と申しますか、大きな課題であるということだと思います。  先生御指摘の分都あるいは展都の問題は、官庁の一部移転あるいは地方支分部局移転等でございまして、この辺は遷都よりももう少し時間の短い段階に結論を出して促進をしていく問題として四全総は考えているというふうに私どもは理解しております。
  129. 坂井弘一

    ○坂井委員 これを読んでみてもどうも余りよくわからないのです。それで三全総ももう一回読み返してみたんですよ。三全総の場合は、首都機能移転配置というものが国土政策上の重要な課題になる、こうしながら、遷都、分都いずれの方式をとるか、これは今後の方向をよく見定めなきゃならぬ、こう書いてあります。それで方向を見定めて、大体今度の四全総で、どうも遷都論は難しいぞ、これからかなり長い間にわたって国民的規模の議論を踏まえながら、だから一方においてそうならばやはり分都方式かな、こんなことだろうかなと思うのです。ただ、分都といいましても分展都ということかな、こんな感じはするのですけれども。  ただ、三全総の場合は、皆さんこうだったのじゃありませんか。大変詳しい記述がありましたね。読んでみたいと思います。   二十一世紀に向けて、一億数千万人の人間と国土とのかかわりあいを展望する中で、均衡ある国土の利用を図り、各定住圏における定住の基礎的条件を整備するためには、東京における中枢管理機能集積の主因となり、東京一点集中要因となってきた首都機能移転配置を進めることが、国土総合開発政策上の重要な課題となるであろう。  現在、東京には国会、最高裁、中央省庁の全国的統治機構に直接従事する公務員等約六万人、 外国政府公館、都道府県事務所や公社公団等政府関係機関の職員約五万人、更に、政党本部、労働組合、経済団体等各種の全国的組織の職員約三万人、合計約十四万人程度が首都機能に直接関連して従事しており、家族及び関連サービス人口を含めると、おおむね約五十万人前後が移軽の検討の対象となり得るものと見られる。  移転の方式については、これらの対象を一括して新首都を建設する遷都の方式と、これらの対象を適地に分散配置する分都の方式があるが、 云々というわけで、遷都方式はこう、分都方式についてはこうと詳しく書いてあります。  四全総は余り中身ないですな。何が書いてあるかというと、先ほど御答弁ありましたが、   業務独立性が比較的高い中央省庁の一部部局地方支分部局等政府機関移転配置等検討し、その推進を図る。また、今後新たに設直する全国的文化研究施設について原則として東京外への立地を図る。 これだけですな。数字も出てこなければ、字数が少ないからというわけじゃありませんけれども、これを見ますとどうも後退したかなどいう感じは否めませんね。したがって、非常に声高に東京集中から地方分散、多極分散国土の形成を四全総は目指しているんだという割には内容的に具体性に欠ける、こう実は私は言わざるを得ないわけでございます。何かこれに対する御見解、反論がありますればまたお聞きいたしますが。  ただ、私はやはり遷都というのはいきなりはかなり無理があるのだろうと思いますね。一括遷都丸ごとというのは特に無理があるかな、せいぜい分遷都、それもなかなか言うはやすく実際は難しいかなという気がしますわ。ですから、難しいが、しかし本当に東京集中から地方分散へということを具体化しようと思うならば、やはり分都でいくしかないかな、こんな気がするのです。  なぜかといいますと、人間の体を見ましても、頭脳がありまして、内臓には心臓があり膵臓があり肝臓があり、いろいろな器官がある。これが血流、血脈によってうまくつながっているわけですね。この分散が血管によって有機的一体性といいますか、それを保っておるというごとく、首都機能、さまざまな中枢管理機能をいろいろなところへ分散する。そして、最近の発達したマスメディアあるいは全国に一万四千キロ張りめぐらされるであろう高規格幹線道路、こういう通信交通手段を使って適正配置をすれば、必ずしも分都というのは不可能ではないのじゃないかな、それの方が自然な形かなというような、人間の体に例えてそんな気もするのですね。つまり心臓も膵臓も肝臓も全部頭へ集中してしまったのが今の日本の国土、つまり東京一極集中だ、こう私は思うのです。頭脳の中に心臓や膵臓まで入ってしまった。これをバランスよく分散したらどうか、そして血管でもってつないだらどうか。つまり通信交通手段がそれを可能にするであろうという考え方は成り立たないものかな、こんなことを考えながらちょっとお聞きをいたしたいと思います。  一番問題は情報発信機能分散だろうと思いますが、テレビのキー局というのは全部東京ですね。地方局がキー局となるような、例えば地方局の番組編成能力をうんと高めるとか、情報発信機能地方に持たせる。例えばNHKなんか活用してそういうようなこともできないものかなというような気がするのですけれども、こんな考え方はどうでしょうか。これは通用しますか、しませんか。
  130. 長沢哲夫

    長沢政府委員 人体に例えて大変貴重なお話を伺ったわけでございまして、基本的な考え方は先生と同じ考え方四全総でもしておるわけでございます。  首都機能のあり方については、御承知のように遷都論、分都論、展都論、あるいは重都論だとか散都論だとか、いろいろな考え方がございます。これは、書き方のボリュームは確かに四全総は三全総より少し字数は少ないかもしれませんが、三全総のときには初めてこの問題が提起されたということもございましてボリュームは多かったのだと思いますが、問題の重要性はむしろ四全総時代はもっと増しているというふうに考えているわけでありまして、四全総に書いてありますように、本当に各界の幅広い御議論をいただきながら、二十一世紀へ向かっての大きな仕事として取り組んでいきたいというふうに考えております。  その中のもう一つの柱でありますむしろ地方を振興する、地方を盛り上げていくということによって多極分散型の国土の構造をつくっていこうというのが四全総の基本的な考え方でありまして、地方振興の幾つかの柱がございますけれども、先生が御指摘になった情報機能地方分散というのも、これまた非常に重要な課題であるというふうに考えております。テレポートを初め情報産業の地方立地促進、そういったさまざまの地方分散政策を力強く進めていかなければならない、こういうふうに考えております。
  131. 坂井弘一

    ○坂井委員 今の東京というのはまさに国際情報都市ですね。この東京が緊急時といいますか一たん緩急あるとき、被災したとき、その代替機能を一体どこが持つのかというようなことも当然検討の中には入っておることでしょうが、これも検討検討検討では、いつになったら結論を得るのかということになりますので、これは本当に急がなければならぬ課題だと思いますね。特に、地方情報発信の機能を持たさなければ、多極分散国土の形成は私は無理だと思う。やはり一番大事なのは情報機能ですよ。何しろ今の東京というのはアメリカに向かった大きなパラボラアンテナみたいなもので、全部東京を中心に吸収する。だけれども、東京におったら東京のことしかわからぬですね。地方へ行ったらいろいろなものがありますよ。本当に数え切れないほどの創造性の中から生まれた何かがある。例えば、戦後だって業種業態で新しいものが七十幾つか生まれたらしいけれども、東京で生まれたのはわずか五つだと言いますね。ほとんどが地方ですよ。スーパーマーケットが地方で生まれたというし、サラ金だって地方だというし、それが東京へ来て、東京のこの情報機能に乗ってそして爆発をしたということですから、地方が持っているものを引き出させるという情報発信機能は非常に大事だと思いますね。ここらのところはしっかり早く詰めていかなければならぬと思いますし、国際金融機能分散にいたしましても、東京市場以外の市場でも外国証券の上場を認めるというようなことも、これもいろんな困難な問題はあるようですね、あるようですけれども、しかしそれらを克服して、東京市場以外の市場に外国証券を乗せるというようなことも考えるべきでしょうし、あるいは国際交流機能分散の問題にいたしましても、これもその地域地域の地理的な特性を踏まえた上で国際交流機能分散が図れないか。  例えばのことで大変恐縮でございますけれども、関西国際空港がいよいよ着工になる。あそこを建設する土を和歌山市の加太地区でもとる。あそこに二百ヘクタールほどの広大な用地が新しくできるわけですね。これをどう活用するかということはいろいろあるようですが、せっかくの大きなところを、ここは住宅だ、ここは公園だ、ここは工場用地だなんというような切り売り、ばらばらの利用をするのじゃなくて、せっかくまとまった広いものができるのだから、例えば全天候多目的スタジアムをここにつくったらどうか。これはかつて国土庁の吉村さんでしたか提案された。私は非常に敬意を表しておりました。まことに次代を見据えた、またこの活用の妙を得た御提案だったと思うのですね。全天候多目的スタジアム、今、後楽園球場をやろうとしておるようです。やろうというよりもうでき上がるのですかどうですか、小さいですよ。もっと大きな屋根つきで、雨にも風にも影響されない、この全天候多目的スタジアムの中には野球場が二つか三つぐらいとれるぐらいの、十万人ぐらいの観客を収容できるぐらいの、しかもここを国際スポーツ交流の場とする、関西新国際空港ができるその近くにといいますか、こういう土取り跡地を活用いたしまして、ここに国際スポーツ交流の場、全天候多目的スタジアムを建設する。今甲子園球場で全国高校野球球児が健闘しておりますけれども、この全天候多目的スタジアムでは全世界国際ジュニア野球選手権大会というようなことが行えるような場に活用してこそ、初めて多極分散国土形成の一石になり得るのではないか、こう思うのですが、これは国土庁の御提案をいただきたいと思いまして、逆に国土庁に御提案を今私がここで御披露申し上げたわけでありますが、いかがでございましょうか。
  132. 長沢哲夫

    長沢政府委員 実はこれは三全総時代の一つの成果だと思うのですが、全国各地域でいろいろな地域振興のプロジェクト、構想、各地域の自治体を初め皆さんの創意工夫あふれるプロジェクト、構想が今たくさん存在しております。おっしゃられた全天候多目的スタジアムなどもその一つかと思います。  四全総では、こうした三全総時代の成果を踏まえて、定住と交流を主題にした交流ネットワーク構想という開発方式を採用しているわけでございまして、その第一の柱は、そういった各地の豊かな個性あるプロジェクトを伸ばしていく、第二は、やがて全国一日交通圏になるように全国的な交通通信体系を整備していく、第三には、その地域だけでなくて広域に地域間交流が進むように、例えば持ち回りイベント、今のスタジアムを使って全国的なスポーツ大会をやる、あるいは国際的なスポーツ大会をやるというのもその一つかと思います。そうした交流イベントを活発にするというのが第三の柱になっておりまして、こうしたことを各地域の盛り上がりによって進めていこうという考え方に立っておりますので、例えとして先生がお示しになった考え方は全く賛成でございます。
  133. 坂井弘一

    ○坂井委員 NTTの売却余裕金も四千五百八十億ありまして、大臣、これは公共資本、とりわけ生活関連公共投資、ひとつこれに大いに活用していかなければならぬと思いますが、まさに地方分散を可能にするには一つの目玉を持たなければ本当は無理だぞ、一点豪華主義といいますか、そういう手法が地方分散への効果のある具体策だろうと私は思う。東京一点集中、これの教訓といいますか、これにひとつ見習うべきものがあるとすれば、やはりそういう今まで地方にないもの、そういうもの、しかもそれが非常に大きな規模で豪華に置かれるということだろうと思いますね。全国どこにも同じような規模の同じようなものがあっちにもこっちにもあるということでは、これは魅力も何もないですね。こう言っちゃあれですが、かえって予算、投資のむだというようなことにもなりかねない。その辺の配慮をしながら、NTT余裕金等の活用も図るべきではないかな、こんな気がいたしてなりません。  ただその場合、地方には独創的ないろいろなアイデアもありますけれども、惜しむらく、考え方において今までの延長線上を出ない場合がありますね。よそもああやるのだからうちもこうしたい、こういう考え方、これはこれからの多極分散地方分散地方振興のためにはならぬと私は思う。したがって、そうであれば、むしろ国土庁あるいは建設省政府においてある程度そういう地方をリードするというか、これからの多極分散国土をつくるためにあなたの地方あるいは地域にはこういうものが適当じゃありませんかというぐらいの積極的な態度で臨んでいただければありがたいな。そういう案が示されれば地方においては、これまた地域住民の合意を得ることは大変大事でしょうけれども、しかし非常に新しい魅力のあるものが国から提示されれば地域住民地方は喜んでそれにこたえるであろうと私は思うのですね。そこらをひとつよく御検討いただきたい。     〔委員長退席、野中(広)委員長代理着席〕  それから、学術研究機能分散の問題もございます。この間私は申し上げましたが、国立大学東京圏外に全部持っていったらどうか。天野大臣から、かつての河野一郎先生の筑波研究学園都市構想を詳しく御披露いただきました。本当に敬意を表します。そういう発想と具体的な取り組みがまさに大事だと思いまして、今のような御提案も申し上げたわけであります。日本の文化、歴史、伝統工芸等の研究所あるいは研究開発機関、これもそれぞれの地域の特性に応じて思い切って分散をするというようなことも大事でしょうし、あるいは特に、地方の振興といいましても、やはりその地域に人材が定住するかどうかですね。これは戦後の過程を振り返ってみても明らかだと思うのですけれども、やはり芸術家でありますとか学者でありますとか文化人でありますとか技術者でありますとか、そういう人材が地方にいないとだめですな。  それでは、そういう人材が地方に定住できる条件とは何なのかということだと思いますね。そういうことになりますと、かつての生産手段である工場を地方分散するというのじゃなくて、この前ここで通りましたリゾート法等に基づいて、地方におきます恵まれた天然資源、観光資源、自然資源というものに人知を加えて、整然とレジャー、リゾート基地をつくる中で、その中に混然一体となった研究開発機能機関というものが置かれる、何というのですかね、ソフトコンプレックスというのですかね、そういうものを組み合わせたようなこれからの地域づくりというのが大事じゃないか。そうすれば学者、文化人、技術者、優秀な人材が続々と地方で定住するであろう、こういう指摘があるわけでございますけれども、これも非常にもっともだと思いますね。ですから、そういうことを推進する意味におきましても、今申しましたような今回のリゾート法等に基づく地域の活用のあり方については、やはり国も、国土庁なりがリード役を果たしていただきたいなという気が実はいたしてなりません。それも御提案として申し上げておきたいと思います。  あるいは、民間企業の本社機能分散の問題でありますとか幾つかの問題がございますが、やはり一番大きな問題は政府及び政府関係機関分散でありましょう。各省庁の一部局分散するというのでは、これはなかなか本当の地方振興の分散には結びつかぬだろうという気がいたしますので、この間は、幾つかの省庁を丸ごと分散したらいかがですか、こう提案を申し上げましたら、それはどだい無理な話だという答えも返ってまいりました。その後またいろいろお教えいただくところもございました。しかし、私は牢固としてこの考えを崩しておりません。  例えば文部省とか、一省どこかへ持っていくというぐらいの決断をしないと、これが分遷都になりますか、あるいはそこまでいかない分都どまりになりますかは別といたしまして、東京一極集中から多極分散へという流れにはちょっとならぬのじゃないかな。やろうと思えばやはり政府みずからの決断、中央官庁がそっくりそのまま持っていければいいのだけれども、そこまでなかなか決断がつかぬだろうから、そうであれば省庁ぐるみ、一省一局丸ごと持っていく、こういう荒療治でしょうか、それぐらいの考え方がなければという気がします。これも、単に私が言っているのではありませんで、かつて法務省を仙台に持っていく、労働省は福岡だ、文化庁か文部省は京都だというようなことは意見があったわけですから。この間、天野大臣に、建設省は福島あたりはいかがですかと申し上げて、いや、和歌山もありますよと。今度は国土庁はと申し上げたいが、まあそうもいきませんか。いずれにしても、一省一庁丸ごとというぐらいの決断ができないか。東京鈴木都知事あるいはかって金丸信、当時の建設大臣、なかなか華々しい、皇居も移転しろという実に示唆に富んだ御提案、御答弁もこの公式の委員会の場でもいただいたようでございまして、それからしますと、今、四全総はそうじゃない、今度は構えは違うぞとおっしゃいますけれども、それにしてもなかなか遅々としてもどかしい感じが実はしてならぬわけです。  あれやこれやと申し上げてまいりまして、時間がまいったようでございますのでこの辺で終わりたいと思いますが、なお、東京集中から地方分散、多極分散型の国土を形成し国土の均衡ある発展を期する、そのことは、重ねて申し上げますけれども、東京のこれだけの過密過大の弊害、そして一方における過疎地域の大いなるマイナス、これを一挙に解決をするためには相当思い切った手法でもって取り組まなければならぬということを重ねて要請をいたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  134. 野中広務

    ○野中(広)委員長代理 伊藤英成君。
  135. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私は、駐車場の問題についてきょうは集中して御質問をしたいと思います。  御承知のとおりに、昭和四十年代以降、モータリゼーションが急速に進展をいたしまして、そのためにいろいろな問題も投げかけているわけでありますけれども、駐車場の整備経済社会発展や自動車の普及のテンポに追いつけないままに推移している、こういうふうに思います。特に都市部におきましては今深刻な問題になっておりまして、違法路上駐車があふれている。そういうことで交通渋滞を招いてもいますし、交通事故の原因にもなっているということが今までもずっと指摘されてきているわけでありますけれども、現在の状況を見ると、それがほとんど改善されていない、あるいはそればかりじゃなくてむしろ悪化している状況だ、こういうふうに見るべきであると思います。そういう意味で、最初に申し上げたとおりに駐車場の整備の問題を取り上げてみたい、こういうふうに思うわけであります。  まず最初に、駐車場法が昭和三十二年に制定されましてから附置義務基準は実質上ほとんど改正をされていない。制定された当時、どのような根拠でこの基準が設定されたのか、そしてまた、この三十年間ほとんど改正されていないわけでありますけれども、今日の交通実態から見てなおそれは合理的な基準と見られているのかどうかということについて、まずお伺いをいたします。
  136. 北村廣太郎

    ○北村政府委員 駐車場法が制定された当時は昭和三十二年でございます。日本の国がモータリゼーションの波に洗われかけた当初と申しましょうか、本格的な道路自動車交通時代が来る以前の問題でございますが、当時建設省におきまして現在の交通需要を想定したわけではございませんが、当時の状況で既に路上駐車の道路交通上に及ぼすさまざまな影響、例えば道路交通の車線を占めまして交通量を実質上減少させる効果がございます、また自転車及びバイク等二輪車の通行にとりましても甚だ危険な状態を及ぼしておる、そのような数々の状態から見まして、ある程度の、一定以上の規模の建物を設置する人、しかも例えばホテル、劇場、百貨店等大勢の人がコンスタントに集まることが明らかな建物等につきましては、当然その建物設置者が駐車場を設置すべきである。また、一般のオフィスにつきましても、相当程度の、規模が大きくなれば自動車のある程度の使用は当然でございますから、そういう建物につきましても一定以上の駐車場の確保は当然建物設置者が設置すべきである。そういう点を踏んまえまして、当時の自動車の保有台数、道路交通の状況等勘案いたしまして法定したわけでございます。  その後、昭和五十四年になりまして、一部、若干ではございますが改定が行われております。それは建物がある程度、規模が相当大規模な建物が建てられるようになってまいりまして、建物の規模に応じて比例いたしまして駐車場を設置するという必要はないのではないか、ある程度ふえてまいりますとそれに関する自動車需要が漸減してくるというような点を考えまして、相当規模の建物については規制を若干緩和した。逆に、地方都市につきましては、二千平米という基準が駐車場法にあるわけでございますが、それ以下の建物でもむしろその町にとっては大規模な建物である、したがって、その町の規模からいたしまして駐車場の設置を義務づけて当然だという点から、これについてはむしろ基準を引き下げて、条例で駐車場を設けるよう義務づけるという改正を行ってきたわけでございます。
  137. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今日の状況から見て合理性というのでしょうか、その辺はどうでしょうか。
  138. 北村廣太郎

    ○北村政府委員 どうも失礼いたしました。  現在、当時から比べますと自動車の増加は驚異的でございます。したがいまして、現在、各大都市ばかりでなく、地方都市におきましても自動車の通行難、駐車難というのが非常に激しい状況を加えてきております。その結果、私どもでも駐車場の整備というのはなお新しい観点から総合的に考えるべきだという点を考えまして、附置義務という点だけでは解決できないという観点から、公共的な駐車場をふやすこと及び計画的に駐車場の配置も考えていこう、あるいは駐車場がどこにあるか、今あいているかどうかというようなことも考えていこう、そういうような形で今総合的な考え方を持って検討しておるわけでございます。その一環といたしまして、附置義務につきましても、今後現在の附置駐車場の利用状況等も見ながら検討してまいりたいと存じます。
  139. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 ちょっと実態面からお伺いしたいわけでありますけれども、今各都市で駐車需要が駐車場の供給量をずっと上回っている、こういうふうに聞いております。例えば書視庁の試算ですと、東京区部における瞬間違法駐車台数、これはちょっといつの時点だったか定かに覚えておりませんが十六万台、これに対して路外駐車場の収容台数が七万台ということであります。これはさらに新しいデータがあるのかもしれませんが、そういう状況であります。  そうしますと、相当な需給ギャップが存在をしているというふうに考えられるわけでありますけれども、東京区部ということでもって全国を推しはかるのはなかなか難しいのかもしれませんが、全国的に見て、その都市部における需給ギャップというのはどういう実情であるというふうに把握をされていますか。
  140. 北村廣太郎

    ○北村政府委員 警視庁のデータにつきましては、五十五年及び五十七年等のデータが明らかでございまして、五十七年度にはただいまおっしゃいました十六万台が十八万台に増加していると聞いておるところでございます。  私どもで二十三区の状況を把握しておりませんが、東京都という区域でとらえますと、現在駐車場の収容総可能台数は全国で百二十二万台、そのうちで東京都が二十六万台ということになっておりまして、東京都の車の保有台数及び都外から来る台数等から比べますと、やはりかなりな程度不足していると言わざるを得ないと思います。
  141. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今言われたように、かなりのギャップがあるということでございますけれども、そのギャップの解消のために、建設省としてはどういう対策をとろうとしているのかということをお伺いをいたしたいと思うのです。  この間の六月末の道路審議会の建議をよく読んでみても、なかなかわからないなという感じを抱くわけであります。それは今申し上げた需給ギャップの存在を余り認識していないのではないだろうか。既存の駐車場を有効利用すればかなりの問題は解決されるというふうに考えられていやしないだろうかという感を抱くわけであります。だから、先ほども言われましたけれども、現在の路上駐車の実態を無視した、あるいはきめ細かさに欠ける政策になっているんじゃないのかなという気がするわけであります。  そういう意味で、駐車場を整備するという観点から、どういう政策をとろうとしているのかということについてお伺いしたいと思います。
  142. 北村廣太郎

    ○北村政府委員 道路審議会の答申のほかに、私どもの関係しております都市計画中央審議会におきましても八月十二日にこの関係の御答申をいただいております。  その中身といたしましては、駐車場の整備計画の策定、こういうものを推し進めるべきであるということが第一点でございます。やはり総合的な町づくりの中で、道路につきましては詳細かつ明確な将来計画というものが打ち立てられておりますけれども、駐車場につきましては必ずしも現代の交通量あるいは車の保有台数に相応した駐車場の計画というものが樹立されないわけでございます。やはりそういうものが基本にあって初めて総合的な駐車場対策というものが行われるということでございますから、それに対する助成というものを推し進めるための援助を御提言いただいているのが第一点でございます。  第二点といたしましては、ただいまの附置義務駐車場等も民間でございます。それから民間の一般的な届け出駐車場と申しております都市計画域内の有料一般公開されている駐車場、これもやはり民間の設置に係るものが大部分でございます。しかし、それのみではやはり不十分だ、公的駐車場というものを相当重視してこれからその整備に取りかかるべきであるという御提言を第二点としてちょうだいしております。  第三点といたしましては、商店街あるいは問屋街におきましては、荷さばき上の必要やむを得ざる駐車というものが相当あるわけでございます。小規模な商店あるいは問屋等におきましては、自分の店舗内において荷さばきのための施設を設けることは実際上物理的に不可能でございます。そういう点からいたしますと、商店街あるいは問屋街等におきまして、公的面から道路の一部を改造いたしまして、荷さばき上の駐車の施設、施設というかそういう大げさなものではございませんが、駐車のためのスペースというものを設けるべきであろう、これが第三番目の御提言でございます。  四番目といたしましては、私どもの調査によりましても実際上、例えば東京都の駐車場の利用状況、これは駐車場整備地区という駐車場法によって指定されている地区内の状況でございますけれども、平日、ウイークデーで二九・七%、休みの日で三四・六%、これは二十四時間でございますから、ピークの時間帯、これを見ますと、平日で七二・四%、休みの日で八〇・六%というような利用状況になっております。まだまだ利用できる点があって利用されてない面がございますので、これはやはり駐車場がどこにあるのか、どのくらいの料金でどのくらいとめられるのか、今あいているのかあいてないのか、こういうのが不明確な点がございますので、駐車場案内システムというものをつくりまして一般のドライバーの方にそういうものがはっきりわかって、できるだけ駐車場を利用していただくという点を考えるべきである、これが第四点でございまして、このような御提言をいただいてあるわけでございます。  私どもといたしまして、この御提言を逐次具体的に実行に移してまいりたいと考えているところでございます。
  143. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 もうちょっと駐車の細かい実態面からお聞きいたしますけれども、路上駐車のほとんどが業務目的であるというふうに聞いております。東京でとりますと、物の運搬を伴う駐車がざっと五〇%くらい、あるいは物の運搬を伴わないものが三〇%くらいというふうに聞いておりますけれども、こういう状況でしょうか。あるいは実態はどうなっていますか。     〔野中(広)委員長代理退席、委員長着席〕
  144. 北村廣太郎

    ○北村政府委員 ただいま先生がおっしゃいました数字、ほとんど正確でございまして、具体的に申しますと、東京都二十二区におきます路上駐車九十四万台の調査結果を見ますと、業務目的が全体の七八%でございます。全体を一〇〇とした場合、仕事で七八%、その他が二二%でございます。その中で、ただいまもおっしゃいましたとおり、荷さばきを目的とするもの、これが四九%、一〇〇のうちの、全体のうちの四九でございます。したがって約五割。それから荷さばきを伴わない業務量、これは二九%でございますから約三割、ほぼただいまの数字のようになっております。
  145. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 そうすると、先ほど荷さばき駐車上の対策の提言があったりしているわけでございますけれども、その荷さばき、すなわち物の運搬を伴う駐車が約五〇%くらいあるわけでありますけれども、それに対する対策を具体的にどういうふうにするのか、あるいはどういう基準でその対策、整備基準を考えるのか。例えば、片側二車線以上の道路には必ずどうにかするとか、何らかの基準をもって推進をするのだろうと思いますが、そういう基準を考えられているのかどうか。これからの荷さばき駐車対策を具体的にどういうふうに推進をするのか、そして、それがどういう効果をもたらすであろうかという数字的なものを持っておられるでしょうか。
  146. 北村廣太郎

    ○北村政府委員 基準についてはおおむねこれからの検討課題だと存じておりますが、ただいま、具体的に私どもが今すぐにも取り組もうと思っておることが二つほどございます。  一つは、荷さばき駐車場の設置につきましては、やはり道路の車線というものをふやしませんとどうしてもさばけない状況にございますので、歩車道の区分を考えまして、地域住民の方の通行に支障ないということになりますと、現在ございます歩道を若干縮めまして、そのかわり現在の車線というものを広げましてその中で荷さばきの場所を生み出す。これは問屋街等を考えているわけでございます。  それから、一般の商店街でございますけれども、これにつきましては私どもで、地方都市を中心でございますが、ただいま落ち込んでおります地方商店街の活性化事業にいろいろ取り組んでおるところでございます。その中で、今まで駐車場というものは補助、助成の対象として考えておりませんでしたが、明年度以降新規の施策として、そういうところに駐車場を積極的に設けるという事業の場合、補助制度というものも考えていきたいというようなことをただいま具体の仕事として考えております。  一般的な基準につきましては、今後検討してまいりたい、検討課題であるというふうに考えておるところでございます。
  147. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 これから検討をされるということでありますけれども、今のお話等を伺ってみますと、現在の路上駐車の実態と建設省のこれからやろうとしている政策がかなり開きがあるのではないかなということを私は思うのですね。それは、現在の駐車場法における基準に問題があるのではないだろうか、そこのところを、実は言葉は悪いかもしれませんが、今は逃げているのではないかなという気がするわけであります。そういう意味で、一番最初の質問に戻りますけれども、この基準の問題についてどう思っておるのか、もう一度お伺いいたします。
  148. 北村廣太郎

    ○北村政府委員 確かに現在の基準につきましては、三十二年に制定されました法律の当初からそのまま受け継いでおるものでございます。現在のところ、全国八十九都市で駐車場の基準の条例が制定されておりまして、この条例制定都市の数そのものも必ずしも十分とは言えない実情でございます。  ただ、日本の都市の実情を私どもで見ておりますと、非常に建物が細分化されておりまして、鉛筆ビル、ろうそくビルと言われているようなビルも非常に多うございます。やはりそういう都市そのものの実態というものを考えてまいりまして、そういう都市の中での駐車対策というものを建物を超えて考えてまいりませんと、やはり附置義務だけでは解決できないのではないのかな。しかし附置義務も現在の基準で必ずしも満足だというわけにはまいりませんので、広く実態を調べ、あるいは場合によりましては諸外国の実情等も参考にしながら、今後の全般的な駐車対策の中の一環として検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  149. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 これからも調べてというお話でございますけれども、現在の実態を放置したまま、小手先生言ってはこれまた失礼かもしれませんが、そうした対策をとっても問題の根本的な解決にはつながらないだろう、私はこういうふうに思うのですね。  そういう意味でちょっと申し上げたいと思うのですが、ただ単に附置義務条例が全都市で制定されたとしても、今の基準の三千平米以下の小規模建築では附置義務は発生いたしません。その結果、先ほど来もお話がありましたとおり、小規模の建築物が多い地域ほど違法の路上駐車が多くなっているということだと思うのですね。私の選挙区の近くでありますけれども、例えば名古屋市なんかを見ますとそういう感が非常に強くいたします。そうしたレポートも出されておりますけれども、そういうことが言えると思います。  さらに荷さばき駐車の問題についても、路上に駐車場をつくり過ぎると、今度は近くの駐車場を利用せずに駐車場の経営に問題が生じるとか、あるいは歩道の一部を削らなくてはならない、歩行者や自転車の通行を妨げるという問題も発生する。したがって、一定以上の荷さばき駐車需要を発生させる建築物については、それ相当の附置義務を設けないと問題は解決していかないだろうと思いますね。  それからさらに、これは先ほど来話もあったことでありますけれども、現在の附置義務の基準を、乗用車の保有率、さっきも乗用車の普及率の話が出ましたけれども、保有率との関係で見ますと、駐車場法が制定された昭和三十二年には千人当たり二台でございました。それが昭和六十年になりますと千人当たり二百二十三台、百倍の水準にふえております。一方、さっき国際的な面でもという比較の話がちょっと出ましたけれども、アメリカとか西ドイツの基準を見ますと、例えば一般事務所の場合、三千平米の場合に日本は一台。これも実際には設置しなくてもいい格好でありますけれども、ドイツとかアメリカになりますと、その三千平米で六十台から百台くらいの水準。ざっと日本の百倍近い水準になっております。そういうふうに見ますと、それこそ三十年前は非常に立派なものをつくったのでしょうけれども、その後はやはり怠慢だったのではないだろうかと思うのですね。  実際に私は丸の内周辺のビルの駐車場の実態を調べてみました。そういたしますと、そのほとんどが法律で決めた附置義務の台数しか駐車場のスペースは持っておりません。具体的に名前を挙げますと、例えば東京海上ビルなんかを見ますと、附置義務台数が三百三十一台に対して実際の設置台数は三百三十一台であります。あるいは三和銀行のところで調べますと、附置義務台数二百七十七台に対して一台多い二百七十八台であります。あるいは国際ビルをとりましても、附置義務台数三百二十一台に対して実際につくっているのも三百二十一台。そして通産省の総合庁舎本館も、附置義務台数五百十台に対して四台プラスの五百十四台というふうに、実態は附置義務台数どおりか、あるいはふえても数台多いだけというくらいの状況ですね。そういう意味で、附置義務台数の基準を見直さないとこの駐車場の問題というのは悪化する一方なのじゃないかと思います。  そういう意味でこれから積極的に対策をとっていただきたいと思うのですが、具体的に私の方から提案もしながらお伺いをしたいというふうに思うのです。それはなぜそう言うかといいますと、先ほど来も言っておりますとおりに、各事業所ごとに附置義務駐車施設を増加させて、路上駐車のざっと八〇%を占める業務用の駐車需要に対応しなければならぬということで申し上げるわけであります。  具体的に提案をしたいのは幾つかあるのですが、まず第一には、駐車場法を改正して附置義務の強化を図ることであります。その中身といたしまして、全都市にその都市の実態に合った格好での附置義務条例の制定を義務づけてはどうか。先ほどちょっと言われましたけれども、現在条例を有している市町村というのは八十九ありますが、例えば人口五十万から百万の都市でこの条例を持っているのは六七%しかありません。あるいは人口三十万から五十万というような都市は、さらに下がって五〇%しか持っていないというぐらいの状況ですね。そういう意味でこうした附置義務条例の制定を義務づけてはいかがか、こう思うわけであります。  さらに、現在の面積基準を引き下げる。そしてさらに、面積のみを対象にした基準ではなくて、もうちょっとその建物の用途ごとの要素を加えた基準に改正をしてはどうか。これは特に諸外国の例でいきますと、非常にきめ細かい基準を設けております。それこそアメリカとかあるいはドイツとがそれぞれの国の状況等を見てみますと、例えば一般事務所とか工場では総床面積が単位になっていたり、あるいはレストランなんかですと座席の数によって決めていたり、あるいは病院とかホテルになりますとベット数とか、そうした形でのきめ細かい基準を設けて駐車場に対する規制をしているわけですね。そういう意味で申し上げたわけであります。  さらにはいわゆる集合住宅にも附置義務を設けること、それからさらには、小規模建築物の多い地域においては街区といいますかブロックごとの附置義務の制定を行ってはいかがかというふうに思います。  それから、こうした駐車場の建設促進のために助成制度の拡充ということでございますけれども、附置義務駐車場も含めて駐車場の整備促進のために低利融資だとか税制優遇の措置等の拡充を図るべきである、こういうふうに思います。  私、今幾つかの提案をいたしましたけれども、そうしたことを含めて早急に対策をとっていただきたい、このように思います。今幾つかの提案を申し上げましたけれども、それぞれについてどのようにお考えがお伺いをいたします。
  150. 北村廣太郎

    ○北村政府委員 ただいまお尋ねの件、内容を区分いたしますとほぼ五点ほどになろうかと存じます。  第一の御提案につきましては、全都市に、一定以上の建物所有者に対します駐車場の附置義務を義務づけてはどうかという御提案でございます。つまり、全都市に条例を制定することを義務づけるというような形になろうかと思います。条例の性格からいたしまして、全公共団体にあるいは都市にこれを義務づけるというのはいささか困難かと存じます。しかし、現在の地方都市におきましてもかなり建物の規模そのものが向上し、大型化しているという実情にございますので、できるだけ数多くの都市が駐車場の附置義務の条例を制定するように、これからも私どもとして積極的に進めてまいりたいと考えているところでございます。  それから二番目といたしましては、附置義務を負う建築物の基準面積を、今三千平米という形になっておりますので、これを引き下げてはという御提案でございます。やはり都市ごとの実情に応じまして、私どもでは引き下げるべきものについては引き下げるというような方向で今後の検討を進めてまいりたいと存じます。  それから、同じ引き下げの中で、単一的に建物の単なる面積あるいは大まかな用途だけで駐車場の附置義務を課している現在の制度を、諸外国の例に見習って建物の用途ごとにきめ細かく駐車場の整備を義務づけてはいかがというような御提案でございます。諸外国の制度等ある程度は私どもも把握しておりますが、実態面と制度面での突き合わせというものは十分に研究しておりません。今後、そういう実態の町の車の状況、道路の状況及び建物の実際の駐車場の利用状況等をきめ細かく私どもで研究させていただきまして、参考になる点あるいは日本の実情に対して取り入れるべき点がございましたらその方向で検討してまいりたいと考えております。  それから、集合住宅、例えばマンション等につきましての駐車場の設置でございます。地方公共団体等におきましては、実際上行政指導としてそういうことを進めているというような点も聞いておりますけれども、一律にやってはおりません。ただいま申しました建物ごとのきめ細かいという、御提案がございましたその一環といたしまして検討させていただきたいと存じます。  それから、ろうそくビル、ペンシルビル等小規模な建築物につきましては、一つ一つの建物について駐車場を設けることは無理がある、したがって街区ごと、つまり一ブロックごとに駐車場の設置を考えたらどうかという御提案でございます。先ほど町づくりの中で私どもも駐車場を地方の商店街の再生振興の点で考えているというようなことを申しましたが、一歩進めましての御提案でございます。検討させていただきたいと存じます。  それから、助成制度につきまして、低利の融資、税制等、現在でも例えば道路特会からの無利子の貸し付けとか開発銀行等の低利融資とか、いろいろ制度はあるわけでございますが、必ずしも万全ではございません。また税制につきましても、実際上例えば事業所税を駐車場には課してないというような面での優遇措置とかあるわけでございますが、これも必ずしも万全ではございません。今後さらに検討を進めてまいりまして対処したいと存じております。
  151. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今それぞれお答えいただきましたことについて、きょうはもう時間がありませんので細かくはそれについて言及いたしませんけれども、私は、これは大変なことだと思いますが、積極的に取り組んでいただきたいと思います。  それからさらに、お願いだけしておきたいと思いますが、実はそういうものを整備する財源の問題につきましても、これは警察庁との関係もあるわけでございますけれども、例えば駐車違反の反則金がありますね。あの反則金をいわば駐車場の特定財源みたいな形にして駐車場整備に充てたらどうかということも、真剣に考えてみてもいいのではないか。警察庁はひょっとしたらなかなかはいはいというふうに言わないかもしれませんけれども、しかしこれは、理屈の上から考えれば検討する価値はあるのではないかと思います。そういう意味で、ぜひそういう研究もお願いをしたいと思います。  それから、時間も余りありませんが、この駐車場問題について大臣に決意のほどをお伺いしたいと思うのですが、その前に一つ。  先ほど建議、提案等がいろいろ行われた中にもちょっと言われましたけれども、駐車場の利用率の問題から、駐車場の案内システムのことを言われたですね。私はこれは、自分で運転してみても思うわけでありますけれども、非常に重要な問題だと思うのですね。そういう意味で、これから積極的に取り組まれると思いますが、その辺のことについて具体的にどういうふうにしようとしているのか、まずお伺いしておきます。
  152. 北村廣太郎

    ○北村政府委員 駐車場の案内システムにつきましては、六十二年度、今年度から、道路事業の中で駐車場の案内システムというものを整備していこうという形で助成の道を開きまして、現在、群馬県の高崎市、山梨県の甲府市、それから神戸市等で具体的な事業に取り組んでおるところでございます。  内容につきましては、実情に応じてさまざまやっておりますけれども、中央の制御システム、それから具体的な路上の標示システム、あるいは空車の状況等の駐車場管理者からの通報システム、このようなものを一体的に整備する手法でございます。六十三年度につきましても、さらにこれを拡大して実施してまいりたいと考えております。
  153. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 大臣にちょっとお伺いいたしますけれども、私は今の駐車場の問題というのは日本のほとんどの都市で大問題になっていると思いますし、それこそ、今こそ取り組んでいかなければならぬ問題だと思っているわけであります。そして、それに対して建設省の方でいろいろ取り組んでいる御努力については評価をいたしますけれども、しかしまだまだ非常に不十分だなという感をぬぐえません。要するに、都市の健全な発展を図っていくためには、自動車の走る道路とともにそれがとまるための駐車場がどうしても必要になります。その駐車場の整備いかんが都市の交通機能を左右することにもなりますし、あるいは商業機能活性化という問題についてもそうでありますし、いわゆる利便性、快適性というような意味でも非常に強力に取り組んでいかなければならぬ問題だと思うわけです。  私は、駐車場の整備というのは、都市が円滑に機能するための、ある意味では必要コストといいましょうか、必要不可欠のものだと思うのです。しかも、現在の状況を見てみますと、諸外国のそれなりの都市と比べてみても日本の状況というのは非常に問題だ、こう思うのですね。だから、これからの都市をそれこそ美しい町にしなきゃならぬ、あるいは町並みもそういうふうにしなきゃならぬ、交通の流れをスムーズにしなきゃならぬということを考え、あるいは最初に申し上げましたけれども、交通事故防止というようなことも含めてこれから強力に取り組んでいかなければならぬ、こういうふうに思うわけでありますけれども、大臣の決意のほどをお伺いをして質問を終わりたいと思います。
  154. 天野光晴

    天野国務大臣 言うことは非常に簡単ですけれども、実行の問題といいますと、完全に行うことは非常に難しいと思いますが、避けては通れない問題でございますので、十二分検討をさせます。どの程度御期待に沿えるか、すぐ右左とはいきかねると思いますが、現在のモータリゼーションの時代において駐車場を考えない都市づくりなんかあり得ないわけでありますから、その点十二分検討いたさせますから、御了承願えればありがたいと思います。
  155. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。
  156. 村岡兼造

  157. 中島武敏

    中島(武)委員 公団住宅の建てかえ問題について、きょうは特に蓮根団地の問題に絞ってお尋ねしたいと思います。  昭和三十年代に建設の団地は建てかえろ、昭和四十年代に建設の団地は増改築という方針が出されて、東京蓮根団地は東京における建てかえ第一号ということで、居住者の間では大変大きな問題になっております。それぞれの居住者にしてみれば、これは寝耳に水であります。生涯をここで終わろうと考えていた人も多いわけであります。ですから、いわば人生上の大問題にぶつかったということで、ノイローゼになられたという方もいらっしゃるし、また中には大変悩んだあげくに病院に入院された方もいらっしゃるという話も聞いております。  私は、大問題になるのは当然だと思うのですけれども、なぜ建てかえをおやりになるのか、まずこれをお尋ねしたいと思います。
  158. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 今既に住宅都市整備公団では約六十七万戸の賃貸住宅を持って、住んでいただいておるわけでございますけれども、このうち昭和三十年代に供給されたものにつきましては非常に立地条件がすぐれている、しかしながらその住宅を見ましても、例えば三K以下のものが九三%もあるというようなことで、非常に狭い。面積の平均からいいましても三十八平方メートルしかない。あるいは設備水準からいいましても、現在求められているようなものから見れば非常に劣っているものが多い。これは時代の流れでやむを得ない面もあると思います。それからもう一つ重要なことは、その団地の土地の利用というものを見てみました場合に、現在の水準といいますか必要性といいますか、そういうものから見て、必ずしも適正な利用が図られていないというものもあるわけでございます。  御存じのように、現在大都市、特に東京におきまして非常に大きいものでございますけれども、賃貸住宅が求められているわけです。これは全国の数字で恐縮でございますけれども、例えば六十一年度の数字を申し上げますと、約五万戸の空き家を募集した、それに対して、これは延べでございますけれども、約六十万人の人がそれに申し込みをしているということでございます。つまり、何とかしてそういう要求にこたえて賃貸住宅を供給していかなければならない。これが、公営住宅との関係もございますけれども、我が公団に与えられた大きな使命であるというふうに考えているわけでございます。  こういったことから、一つは敷地の適正な利用ということ、それからもう一つは居住水準の向上を図って良質な住宅を供給する、そういった基本的な考え方で、三十年代のものにつきまして順次古いものから建てかえていくということでございます。
  159. 中島武敏

    中島(武)委員 この建てかえ問題について居住者がどう考えているか、何を望んでいるかという問題について、建てかえを決定する以前に住都公団ではお調べになりましたか。
  160. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 建てかえ計画を策定し、それを御説明し、そしてそれから二年間の期間をかけてじっくりお話し合いをしていきたいということでございます。
  161. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、率直に申し上げてその考えは問題だと思うのですね。というのは、建てかえを決めてから二年間かけて説明をして納得をしてもらう、そういう考えなのですね。これは、居住者が一体何を望んでおられるのか、居住者の意向やニーズも何も確かめないで、頭から建てかえ、今さっき答弁にあったように三十年代の団地は全部建てかえる、こういうふうに決めて、それで進めていくというこのやり方は、率直に申しますと大変住民不在のやり方だ、居住者不在のやり方だと私は思うのですね。さっき理事が御説明になった居住水準の向上と土地の有効利用、この考え方は、昨年の行革審の答申の中にそのとおりある言葉なのですね。私は今の答弁を聞いていて思うのですけれども、一体蓮根なら蓮根の団地の主人公というのはだれなのか、それはそこの居住者じゃないのか。その居住者が何を望んでいるのか、町を構成している、団地を構成している人たちがどういう住宅を望んでいるのか、どういう町づくりを望んでいるのか、そこが基本にならなければいかぬのじゃないか。そういう点からいうと、そういう大事な観点が、これは本当に率直に言うのですけれども、欠落していると言わざるを得ないと思うのです。  私は蓮根団地の自治会が行ったアンケートを丹念に読みました。実に切実な声がいっぱいあります。また、いろいろな要求があります。そして、この要求は非常に多様なのです。建てかえ反対、そういう声もあります。それから、建てかえても出ていかなければならないような高家賃だったら、これは建てかえないでほしいという意見もあります。それから、戻ってきてまた住めるように、家賃を適切にしてもらいたい、そういう意見もあります。それから、分譲を望む声もあります、反対の声もあります。どれもこれも非常に切実で多様なのです。一律じゃないのです。これは私は非常に大事なところだと思う。共通しているのは何かというと、三十年間、もう長い間住みなれた蓮根団地に今後とも住み続けたいというのは共通した意見なのです。アンケート調査の結果によりますと、九七%の人たちはなおこの団地に住み続けたいという願いを持っているということがわかります。私は、やはりこういう住民のいろいろな要求、まずこの要求を聞くべきじゃないか、そういうふうに思うのですが、どうですか。
  162. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 御指摘の点、いろいろ示唆するところもあると思います。しかし、私が先ほど申しましたように、一つの例で申しましたが延べてでありますけれども、やはり多くの方々が賃貸住宅が欲しいと言っておられる。さっき言いましたように五万戸の募集に対して六十万人、これは全国ですけれども、そういう方がおられるわけです。したがって、そういったもの全体を考えて、つまり、公団賃貸住宅はどうあるべきか、そういう住宅政策上全体の問題としてとらえてこういう事業を進めていくべきではないだろうか。  そして、御指摘のように、住民の方々の意向を十分反映すべきだ、あるいは十分しんしゃくすべきだという点はごもっともだと思います。我々は、いろいろな公共団体の意向でありますとか、あるいは立地条件、物理的条件、これは例えば道路が非常に狭かったら大きな工事ができない、いろいろな状況があると思いますが、そういったような客観的な条件をいろいろ検討した上で、我々なりの一番いいと思われる建てかえ計画というものをまずつくる、そしてそれをお示しして二年間、蓮根の場合はもう十三回ぐらい御説明していると思いますが、二年かけてお話し合いをしていこう、その中で、その御意向については十分にしんしゃくしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  163. 中島武敏

    中島(武)委員 賃貸要求が強いことは私も重々承知しています。さっき理事が数字を挙げて言われました、五万戸に対して六十万人ですかの要求。住都公団は建てかえ建てかえというようなことを言っているだけじゃなくて、どんどん新しい団地をつくらなければだめですよ。ところが再開発と建てかえ、だんだん機能は縮小している。新しい住宅なんというのはどこにつくるのですか。もっと田んぼを開かなければいけない。みんなの要求は、新しい賃貸住宅をどんどんつくるというところにあるのですから。その方は何もやらぬでおいて、ただ古い住宅を建てかえる。しかも、それはそこに住んでいる住民の人たちの要求をもとにしているのかというと、そうじゃないのですから。だから矛盾が出てくるのです。  住民の要求はいろいろあるのですけれども、やはり住民要求をもとにして、建てかえるのがよいのか、それとも建て増しがいいのか、あるいは部屋数はもうこれでいいけれども、相当傷みが激しいから内装も外装もきれいにやり直してもらいたい、こういうのがいいのか、あるいはそのすべてであるのか、そのすべてであるとするならば、それは何月ずつぐらいやればよいのか、こういうふうに、むしろ真摯に住民の皆さん方の要求を聞くべきじゃないか。最初にもう建てかえだと決めておいて、あとは二年間かかって説明するんだ、これじゃ皆さん納得しませんよ。率直に言って、私はそういう考え方で再検討するべきじゃないかと思うのです。
  164. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 三十年代の建物についての建てかえ事業推進する趣旨については、先ほどるる御説明をいたしたわけでございますけれども、やはり土地の有効利用ということを考えなければいけない、そのためにはやはり、三十年代の住宅をとってみますと建えかえをしていくのが一番妥当であるというふうに考えられるわけであります。四十年代に供給いたしました住宅につきましては、増築でありますとか設備の改良といったものを行っていこうと思っております。さらに、五十年代に供給した住宅のうちで狭いものもございますが、そういうものにつきましては二戸一改造等、それぞれの年代に応じた対応をしていこう。  特に申し上げたいのは、これは集団的に住んでいただいておるわけでございます。つまり、集団的な管理というものをやっておるわけでございます。したがいまして、やはりある一定の基準を設けて、それに従って施策推進していくということも現実の問題として必要ではないかというふうに考えております。
  165. 中島武敏

    中島(武)委員 私は重ねて言いますけれども、年代で区別をするというのじゃなくて、三十年代の団地はこうする、四十年代の団地はこうする、五十年代の団地はこうするということで、年代で機械的なことをやるのではなくて、そこの住民の要求に基づいてやるということが一番肝心だということをもう一回繰り返し申し上げておきます。  それから、建てかえ後の家賃の問題です。これについても、当然のことですけれども住民の理解と協力が必要だと思いますが、どうですか。
  166. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 家賃の問題でございますけれども、確かに建てかえをいたしますれば、我が公団の総裁が既に国会で答弁申し上げているように、三倍とかそういうふうに上がることは事実でございます。これは、一つは全く新しい住宅になるということ、あるいは面積がかなり広くなるというようなこと、そういうことからいってやむを得ないのではないだろうか。家賃が安いにこしたことはないということは、これはもう私、だれよりも一番知っているつもりでございます。これはおっしゃるとおりでございますけれども、現実問題としてどうかということがまさに政策だと思います。  先ほど、現在何も新しいのをつくっていないじゃないかというお話がございましたけれども、毎年努力して相当数の賃貸住宅でございますとか分譲住宅を新規に供給しております。これは事業実績を見ていただけばわかりますが、そういうときに、どうしても今の状況からするとある程度値段が高くなってしまうというような状況にあるわけでございます。そこで、この建てかえの場合には全く新しく新しい建物を建てるということでありますから、新しい住宅の家賃との均衡というのを基本的には考えなければならないというふうに考えております。  しかしながら、従来ずっとそこに継続居住してこられた方、それにいきなり三倍の家賃ですと、こんな非現実的なこともない、これも十分わかっております。そこで、これはもう既に前に説明申し上げたと思いますが、いろいろな激変緩和措置等をとることによって、この事業の円滑な推進に御協力をお願いしたい、このように思う次第でございます。
  167. 中島武敏

    中島(武)委員 家賃が高くなるのはやむを得ないということを冒頭に言われましたけれども、私はこれは正しくないと思うな。これは正しくない。自治会のアンケートを見ますと、建てかえ後の家賃が高過ぎて、これでは住めないという人たちがたくさんいるのです。それでやはり、さっきも申し上げたのですけれども、三十年間住みなれたところでありますし、蓮根団地という地域社会をつくり上げてきたわけですね。これからも住み続けたい、これが皆さんの気持ちなのです。アンケート結果によると、八四%を超える人たちがそういうことをきちんと希望しておられます。こういう広くある意見、これに公団がどうこたえていくか、やはりこれが非常に大事な姿勢じゃないかというふうに私は思うのです。  それでちょっとお尋ねしたいのですけれども、政策家賃、激変緩和問題は後にちょっとおいておくとしまして、蓮根団地の世帯主の年齢構成を御存じですか。
  168. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 公団は五年ごとに公団住宅居住者定期調査というのを行っております。ただ、その調査、これは居住者にいろいろ書いていただくわけですが、お願いするときにもうお断りしておりますので、個人あるいは団地ごとのそういった数字につきましては公表を差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  169. 中島武敏

    中島(武)委員 自治会がアンケート調査をやったのです。それによりますと、七百六十枚、八百を超える団地なのですけれども、七百六十枚配布して五百七枚回収している。かなりの数の回収をやっております。それで見ますと、五十歳代以上が全体の約六割を占めております。そしてそのうち六十歳代以上の世帯がまたその半分ですね、全体の三割を占めている、こういう状況なのです。  第一期の建てかえが終わって入居するまでに三年半ないし四年かかると公団の方で説明しておられます。それから、今もちょっとお話に出ておりました減額家賃、傾斜ですね。七年ないし十年の傾斜期間が過ぎるとどうなるのか。年齢はそれだけ進むわけであります。合わせますと、十年半ないし十二年進む、こういうことになるのですね。そうすると、現居住者が全部戻ってきて蓮根団地に住むということになりますと、公団の言う公募家賃を払うときには、何と六十歳以上の人たちがその公団全体の六割を占めるという、こういう勘定になるのです。六十歳以上の人が六割を占める団地というのは、全部をつまびらかに調べているわけじゃないですけれども、しかし、東京の中でもこれは高齢者の率が多い団地であることはまず間違いないと私は思っています。他の団地のアンケート調査なんかと比較してみますと、そう思って確信しておりますけれども。  また大変失礼なことをお尋ねしますけれども、厚生年金の給付額は幾らか、御存じでございますか。
  170. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 非常に複雑なようでございまして、いろいろな年金の併加とか、あわせてもらうとか、そういうようなこともございますのでなかなか正確にお答えできないので、御了解いただきたいと思います。
  171. 中島武敏

    中島(武)委員 厚生省に話を聞いてみますと、これは大体ですけれども、平均で十二万五千円だ、こんなものだと言うのです。それから国民年金の支給額は月額幾らか。これはもう御存じのとおりなんですけれども、平均で言いますと二、三万円なんです。そうすると、実際問題として、そこにもう三十年間住みなれてきたところなんだけれども、住み続けたいというふうに何ぼ願っても実際には住み続けることはできない、こういう問題が起きてくるのです。これは事実上の追い出しじゃないか、そう言われても、私は反論の余地はないのじゃないかというふうに思うのです。  実は戻りたいけれども戻り入居はできない、なぜかというアンケート調査をやりましたら、何とやはり八四%の人たちが、先ほどもちょっと申したのですけれども、建てかえ後の家賃が高いから戻れないんだ、こういう意見が出ておりますが、私はもっともだと思う。私は蓮根団地の人たちと懇談会もやりましたよ。いろいろな意見をじかに聞きました。率直にそれらの人たちは言うのです。昔のうば捨て山は山があったからまだよいと言うのです。しかし、現在の建てかえは山のないうば捨てだ。これは大変な怒りの声ですよ。それから、七十年間住めるはずだった、ところが三十年間で出なければならないなんというのはペテンにひっかかったようなものだ。これは言葉が悪いのじゃないですよ。私は切実な怒りの声がこういう声になって出ているのだと思う。やはり住み続けられる家賃というものを考えるべきなのじゃないかと率直に思うのです。どうですか。
  172. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 これはあるいは住宅政策全体の問題かもしれませんので、私がお答え申し上げるのがいいかどうかわかりませんが、強いて申し上げさせていただきますと、公団の役割としては、公営住宅の上限の、第Ⅱ分位のたしか中位だったと思いますが、それから第Ⅲ分位の中位、これを主な対象として事業実施していくというのが与えられた使命だというふうに考えておるわけでございます。
  173. 中島武敏

    中島(武)委員 その考え方からは正しい答えは――後でまたちょっと論じたい面がいろいろあるのですが、幾つもの問題が一遍にたくさん出てくると厄介ですからそれはまた後で言いますけれども、ちょっと今のお話で、公団の今度の建てかえ後の家賃というのはどういうふうにして導き出したのですか。さっきちょっと均衡問題だとかいうことを言ったのですけれども、この委員会でもいろいろ議論になっていますが、土地の再評価を行って、それでその家賃の割り出しを行っているのじゃないですか、基本的には。どうなんですか。時価による再評価です。
  174. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 その前に、先ほどⅢ分位中位までと申し上げましたが、Ⅲ分位上位までを主な対象ということでございまして、ちょっと訂正させていただきたいと思います。  それから今の点でございますが、先ほど申し上げましたように、建てかえの場合には、基本的な考え方として新しく供給される住宅であるというふうに考えられるわけでございます。そうしますと、新しく供給される住宅の家賃との均衡ということが当然出てくるわけでございまして、その土地については適正な時価評価をするという必要が出てくるということでございます。それが基本でございますが、先生先ほど減額とかということについては後でということなので今申しませんが、いろいろな激変緩和等でこれを円滑に進めていこうというふうに考えているということでございます。
  175. 中島武敏

    中島(武)委員 私もこれまでもいろいろと議論してきているのですけれども、土地の再評価問題というのは説得力を持たないと思いますね。また、正しいやり方だというふうに僕も思わないのです。  というのは、土地の再評価をするというのですけれども、新しく住宅を提供するのだけれども土地は別に新しく買うわけじゃないのですよ。あるのですよ。買ってある土地の上に建物があるのを、建物を除却してまた新しく建物をつくるのであって、土地は別に何も新しく買うわけじゃないのですから、時価で再評価をするというのは全く合点のいかない話なんです。こういう方式というのはやめるべきじゃないかという気が僕はしています。  蓮根団地の現地での話を聞きますと、この前のここでの委員会、昨年の委員会のものも会議録を私は承知いたしておりますが、蓮根団地での説明によりますと、土地の時価で再評価するというやり方と、それからいろいろな減額措置、先ほども言っておられましたね、その減額措置を積み上げたものに従前の地代相当額、これをプラスしたものと大体とんとんだという考え方説明しているんです。それで、しかしもうかるんじゃないのか、こういうふうに住民の側から率直な質問が出たのに対しては、もし黒字になる、もうかるという部分が出てくれば、これは赤字の団地の方へ振り向けるんだという説明をしているわけですね。買いもしない土地を結局再評価するというようなことをやるものだから、住民の皆さん方は、もうかるんじゃないか、こういうふうに率直に疑問を感じるというのも私は当然だと思いますね。当然だと思います、これは。また事実、公団の内部でいろいろ検討している資料をもとに私が計算してみますと、蓮根団地だけで六十億円のもうけが生み出されるということになるんですよ。どうなんですか。
  176. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 御説明するまでもなく、公団は公的機関でございますから、もうけるとかもうけないという話はないと思います。全体としていかに運営していくかということだと思います。  実際の問題として、いろいろ検討してみますと、建てかえを行う場合には例えば現在建っているものを全部除却しなければいけないとか、あるいは土地を整地しなければいけない、あるいは御存じのように七十年で償却するという計算でやってきたものを、例えば三十年で取り壊すということになりますとその四十年分の償却残というものが残っているというようなこと、それから、後送りになっておりますが、居住者に対するいろいろな政策的といいますか減額措置、こういうことで相当の事業費がかかるというふうに考えておりまして、平均的にいいますと、十年ぐらいはとてもそんな黒字になるようなものではないというふうに考えておるわけでございます。
  177. 中島武敏

    中島(武)委員 十年ぐらいで黒字になると私は申しておりません。皆さんがいろいろ検討している資料、私らのところにも同じものがあるのですけれども、それをもとにして私が試算すると七十年で六十億、こうなるのですよ、蓮根団地の場合に。先月の末ですか、参議院で上田参議院議員が幾つかの団地のものを試算してお尋ねしたこともありますけれども、同じようなものをもとにしてやりますと大体そうなんです。これは理事、認められるのじゃないですか。
  178. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 内部でいろいろ我々が検討していることは事実でございますけれども、先生がどの資料に基づいておっしゃっておられるのかわかりません。しかしながら、要するに先ほど申しましたようなのが基本的な考え方であります。  それで、これは具体の団地ごとにそれぞれ事情が違うと思います。したがいまして、平均的に言えばさっきのようなことになると思います。しかし、もし仮にそういう形で何か黒字が出てきたというような場合には、これは公団として総合的な、例えば総合的な家賃抑制でありますとか、そういった適切な使途に振り向けるべきことは当然であるというふうに思っております。
  179. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、何も公団が私企業みたいに六十億円をポケットに入れてもうける、そんなことは申しません。だけれども、それは蓮根団地で七十億なら七十億、六十億なら六十億が計算される。そうしたら、今渡辺理事が言われたように、そうでない団地に振り向けるとか、さらに高家賃になるのを全体として抑えるとか、そういういわば操作をする。全体としての話はそうだろうと思いますね。答弁になったとおりだと思う。だけれども私は、そういうふうに現在入居している人たちの犠牲においてそういうことをしなければならない理屈というのはどこにもないんじゃないかというふうに思うのですよ。それは全然おかしいというのが私の考えなんです。それは私の考えというだけじゃない、だれが聞いたっておかしな話じゃないかというふうに思うのですね。  僕はもう一つ、時間も大分経過しているから聞きますけれども、入居者は、一たん賃貸契約を解約して、それで新たに入るときにはもう一回新たな賃貸契約を結ぶのですか。
  180. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 おっしゃるとおり、新しい契約になるわけでございます。
  181. 中島武敏

    中島(武)委員 この建てかえは法定事業ですか、任意事業ですか。
  182. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 公営住宅法には特別の規定がございます。それを法定事業という形で定義するとするならば、これは任意事業だと思います。しかし、その根拠はもちろん公団法に基づいて行うということだと思います。
  183. 中島武敏

    中島(武)委員 公団法のどこに建てかえ問題が規定されておりますか。
  184. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 住宅の建設というところで読むということだと思います。
  185. 中島武敏

    中島(武)委員 それは初めて聞いた意見ですけれども、私も随分読んでおりますが、建てかえ問題についての規定はないと思いますね。建設問題の規定はありますよ。しかし、建てかえ問題の規定はないと思います。
  186. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 用途廃止についての規定がございまして、建設大臣の承認を得て用途廃止をすることができるという規定がございます。そういうことから総合的に考えますと、私の申し上げたようなことになるというふうに思います。
  187. 中島武敏

    中島(武)委員 それは本当に初めての議論ですね。僕はそんなふうにあの規定、用途廃止の規定を建てかえの規定というふうに読むことはできないと思いますね。これははっきり申し上げておきます。  それで、ちょっと最後に渡辺さんに聞きたいのだけれども、住民の納得と合意もないままに建てかえを前提にしていろいろ三年間かの説明期間、こう言っているのだけれども、そのほかに戸別訪問をやって切り崩してくるのじゃないか。今でさえノイローゼになったとか入院したとかいう方がいらっしゃるぐらいなんですけれども、そういうことをやるのは合意を得る道じゃないと思うのだ。大変不安が広がっております。そのことについて、そういうことはやらないというふうにはっきり言えますか。
  188. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 この事業先ほど申しましたような理由から行っているものでございますが、もちろん居住者の最大の御協力を得る必要があるわけであります。そういう意味で我々は誠心誠意対応してまいってきておりますし、これからもそのようにやっていきたいというふうに思っております。
  189. 中島武敏

    中島(武)委員 協力の名前で誤解を受けることのないように、そしてまた、民主的に本当に住民の納得を得るという姿勢が必要だということを私は申し上げたいと思うのですね。  住宅局長に伺いたいのです。住宅局長、この居住者の切実な気持ちというのは、同じそこの団地に住み続けたい、さっきから申し上げてきたとおりなんです。居住者のそういう気持ちであります。それで、年をとってからの引っ越しというのは、率直に言いますけれども、老人ぼけの進行がそれによって非常に早まるということも言われておるところであります。  オランダの住宅省は、老人がどういう住宅に住んだらいいのかという問題について判断基準を示しておりますけれども、古くからの近隣の中で生活することが望ましい、あらゆる年齢層の人々と接触することが望ましい、こう言っています。それからさらに言えば、西ドイツでは一九七一年に都市内部の住宅の用途転換を禁止する法律を出した。欧米では、もう建てかえというような格好じゃなくて内部を新しくして近代化して生活しやすいようにする、居住水準を上げる、こういうやり方が中心になっている。  私が住宅局長に聞きたいのは、やはり住民が主人公なんです。住民の要求に従って問題を考えていくべきなんじゃないか。現在の丸ごとの建てかえ、高家賃、これでは住み続けることができる人というのは非常に少なくなってしまう、ここは考えなければいかぬのじゃないか。多くの人たちが住宅を求めているという問題、これも解決しなければなりません。さっき言ったとおりです。同時に、そこに長年住んできた人をおっぽり出して、追い出して、それでも平気だというような態度は絶対とるべきじゃない、これは考えるべきだと思いますが、どうですか。
  190. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 住生活を安定的にかつ良好に保持していくためには、従前からありますコミュニティーを良好に居住者の方々も協力して保持していくことは大変重要なことだと考えております。  しかしながら、今回問題になっております住宅公団の三十年代に建てられました住宅というのは、その相当数が規模が大変小さいという状況にあります。ちなみに、居住水準の比較に最低居住水準未満の世帯の比率というのをよく使いますけれども、全国でもって一一・四%が最低居住水準未満にあると言われておりますが、公団が管理しております公団住宅について見ますると約二七%と大変高い比率でありますから、そういう点から見ましたときに、三十年代に建てられました住宅につきましては住宅本体について何らかの改善をまず必要としております。また、その住宅の団地におきます土地の利用の状況を見ましたときに、従前に建てられましたものはかなりゆったりと建っておりますので、従前の住宅の居住水準の改善をのみ込んだ上にもさらに土地の利用が図られる余地が大変ある、こういう状況にあります。  先ほどの御質問あるいは御意見の中にもありましたように賃貸住宅に対する需要が大変強い状況でございまして、東京圏だけで申し上げても五十平方メートル以上の規模の住宅が絶対数としまして七十五万戸足りない状況でありまして、このことが先ほど渡辺理事からも御説明しましたように応募倍率が大変大きくなるということの背景にもなっておる状況でありまして、また公団住宅全体につきましても応募倍率が賃貸住宅につきましてはここ数年四倍から五倍で推移してきたわけです。それがこの六十年、六十一年と八倍を超えるような状況になってきておりまして、そういう面から見ましたときに、既設の、三十年代に建てられました団地というのは土地利用という観点から非常に貴重な資源であり、この建てかえということは住宅対策上重要な課題と考えております。  しかしながら建てかえますときには、現居住者がおられるわけですからそういう居住者の方の理解あるいは御希望をよく酌み入れまして進めることは御指摘のとおりでございますので、建てかえられました後に居住する場所の問題あるいは家賃等の問題につきましては、十分居住者の意見を酌み入れながら公団が対処するように指導してまいりたいと考えております。
  191. 中島武敏

    中島(武)委員 最後に大臣にお尋ねしたいのですけれども、今の局長の話ですが、賃貸が足りない。だからこそ賃貸はうんと多くつくらなければいけないわけですね。ところが、公団住宅の賃貸は年々減ってきております。それから行革審の答申は冒頭申し上げたとおりです。ああいう考え方でいったらますますじり貧になってしまう。だからこれは再検討しなければならないと思います。  それから、公団住宅や公営住宅は居住水準が低いということは何度もこの委員会で私は指摘をし、むしろ民間よりも公的な住宅がおくれてしまうじゃないか、これを改善しなさいということを随分主張してきました。そして今の局長の話を聞いて私が思うのは、丸ごと建てかえ、こうじゃなくて、建てかえを全面的に否定するわけじゃない、建てかえを望んでいる人もおれば、それからまた建て増しを望んでいる人もおれば、あるいは内外装をやって現在のままもっときれいにして住みたいという人たちもいるのです。そういう住民要求こそ私は大事にすべきじゃないかと思うのです。  それで大臣に最後に伺いたいのは、説明会を聞いてみんなどう思うかという質問をアンケートでやったのです。そうしましたら、九三%の人が納得できない。納得できるという人は七%だ。圧倒的多数の人たちが納得できないと言っているのです。ゆめ強行なんというのはとんでもないことだと思うのです。やはり住民と十分に話し合って、住民との合意こそ必要なんじゃないかというふうに考えるのですけれども、大臣はどうでございますか。
  192. 天野光晴

    天野国務大臣 先ほど住宅局長が答弁したとおりだと思うのでありますが、今既に住んでおられる方々と十二分話し合いをして、御理解を得てやるというふうに指導したいと思います。
  193. 中島武敏

    中島(武)委員 終わります。
  194. 村岡兼造

    村岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十六分散