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1987-07-29 第109回国会 衆議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十二年七月六日)(月曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。   委員長 村岡 兼造君    理事 谷  洋一君 理事 中島  衛君    理事 野中 広務君 理事 平沼 赳夫君    理事 森田  一君 理事 中村  茂君    理事 坂井 弘一君 理事 西村 章三君       榎本 和平君    金子原二郎君       瓦   力君    桜井  新君       田村 良平君    中島源太郎君       中村喜四郎君    浜田 幸一君       東   力君    松田 九郎君       松永  光君    三塚  博君       井上  泉君    小野 信一君       坂上 富男君    三野 優美君       大野  潔君    伏木 和雄君       伊藤 英成君    辻  第一君       中島 武敏君     ————————————— 昭和六十二年七月二十九日(水曜日)委員長の指 名で、次のとおり小委員及び小委員長選任した 。  土地問題に関する小委員       谷  洋一君    中島  衛君       野中 広務君    平沼 赳夫君       村岡 兼造君    森田  一君       小野 信一君    中村  茂君       坂井 弘一君    西村 章三君       辻  第一君  土地問題に関する小委員長   村岡 兼造君     ————————————— 昭和六十二年七月二十九日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 村岡 兼造君    理事 谷  洋一君 理事 中島  衛君    理事 野中 広務君 理事 平沼 赳夫君    理事 森田  一君 理事 中村  茂君    理事 坂井 弘一君       榎本 和平君    金子原二郎君       瓦   力君    桜井  新君       田村 良平君    東   力君       松田 九郎君    松永  光君       三塚  博君    井上  泉君       小野 信一君    坂上 富男君       三野 優美君    大野  潔君       伊藤 英成君    辻  第一君       中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 天野 光晴君  出席政府委員         国土庁計画・調         整局長     長沢 哲夫君         建設政務次官  東家 嘉幸君         建設大臣官房長 高橋  進君         建設省道路局長 鈴木 道雄君  委員外出席者         文化庁文化財保         護部記念物課長 小林 孝男君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     篠原 忠良君         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ————————————— 委員の異動 七月二十八日  辞任          補欠選任   井上  泉君      伊藤  茂君 同日  辞任          補欠選任   伊藤  茂君      井上  泉君     ————————————— 七月六日  中水道の整備の促進に関する法律案伏木和雄  君外二名提出、第百七回国会衆法第五号) 同月二十四日  国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する  法律案内閣提出第三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  小委員会設置に関する件  参考人出頭要求に関する件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する  法律案内閣提出第三号)      ————◇—————
  2. 村岡兼造

    村岡委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  建設行政基本施策に関する事項  都市計画に関する事項  河川に関する事項  道路に関する事項  住宅に関する事項  建築に関する事項  国土行政基本施策に関する事項以上の各事項について、本会期中国政に関する調査を進めたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 村岡兼造

    村岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 村岡兼造

    村岡委員長 次に、小委員会設置の件についてお諮りいたします。  土地問題に関する調査のため小委員十一名よりなる土地問題に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 村岡兼造

    村岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員及び小委員長選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 村岡兼造

    村岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。  なお、小委員及び小委員長辞任の許可並びにその補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 村岡兼造

    村岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  また、小委員会において参考人出席を求め意見を聴取する必要が生じました場合は、参考人出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 村岡兼造

    村岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  9. 村岡兼造

    村岡委員長 次に、内閣提出国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、趣旨説明を聴取いたします。天野建設大臣。     —————————————  国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する  法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  10. 天野光晴

    天野国務大臣 ただいま議題となりました国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  先般閣議決定された第四次全国総合開発計画において、約一万四千キロメートルに及ぶ高規格幹線道路網が決定されたところでありますが、その整備を着実に推進していくためには、これら道路のうち国土開発幹線自動車道とすべきものについては、その予定路線として位置づける必要がありますので、ここに国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する法律案提出することとした次第であります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  北海道横断自動車道等既定路線を一部延伸するとともに、日本海沿岸東北自動車道等路線を新たに追加し、既定予定路線七千六百キロメートルにこれらの三千九百二十キロメートルをあわせた国土開発幹線自動車道予定路線を別表で定めることといたしました。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
  11. 村岡兼造

    村岡委員長 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。     —————————————
  12. 村岡兼造

    村岡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本道路公団理事篠原忠良君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 村岡兼造

    村岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  14. 村岡兼造

    村岡委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
  15. 中村茂

    中村(茂)委員 ただいま大臣から今回の法案について趣旨説明がございましたが、参議院の方で本会議があって、大臣、席を立つようでございますから、まず最初大臣決意をお聞きいたしたいというふうに思います。  今趣旨説明の中でも述べられましたように、四全総が制定されて高規格幹線道路網として一万四千キロメートル、いえば、それを完成すればどういうところにいてもその幹線に一時間で行くことができる、そして一日にどういうところまでもこの幹線で活用できる、こういうことでこの高規格幹線道が制定されると思うのです。お聞きすれば、これを全部完成するには向こう三十年という計画だそうでございますが、長期にわたり、しかも相当な資金を投資しなければならないという内容になっていると思うのです。  細部についてはまたそれぞれお聞きしたいと思いますが、そういう構想を設定されて、これからどういう決意で臨もうとしているか、まず大臣の御意見を承りたいと思います。
  16. 天野光晴

    天野国務大臣 もう三十年なんと言わないで十年ぐらいでつくりたいと思っているのですが、財政上のやりくりがなかなか難しくて容易でないのは先生御承知のとおりであります。少なくとも一般会計からはわずかですから、要するに借金をしてやるわけですから、借金をしてやるのに時間が何十年もかかったのでは返済するのに大変であります。いわゆる第二の国鉄になるのではないかと心配する向きもあるように、そういう点で、本来ならこれは公共事業の最たるものですから一般会計でやるべき筋合いのものではございますが、どういうものか途中から、財政が容易でないということで、一般道路の方も一般会計からは一銭も出していないというのが現状であります。世界で恐らく日本ぐらいきりないのではないかと思います。こういう、変態的という言葉を使っていいかどうかわかりませんが、変態的な財源道路工事をやっているなんということは全世界日本だけだと思うのであります。特定の人間、特定のものからだけ金を出してもらって、そして道路をやるなんというのは、これはやはり改めなければいけないと思うのです。  私は与党ですから、最初からの成り行きを皆承知しているのでありますが、ガソリン税が創設された直後に私は当選したのですが、いわゆる一般会計プラスアルファガソリン税だという約束でやったのでありますが、それがずるずると特定財源に引き込まれるような格好になりまして、とても我慢し切れなくなって重量税という税金をつくったわけでありまして、これも特別会計でございます。そうですから、まず根本的方針からいって一般道路をどうするかという問題が先でありますけれども、その当時のことを知っている人が少なくなってきますから、残り少なくなった当時の事情を知っている者同士が話し合いをしまして、どうしてもこの財源問題については考え直しをしなければいけないと思っておりますし、今御質問のあった、今御提案申し上げた国幹道の推進につきましても、十年かかるところならどんなに悪くても七年ぐらいで仕上げたい、七年かかるところなら五年で仕上げるというように、短縮してやるように財政の配りをいたしたいと考えております。これはひとえに皆様方の御協力を得ないとできないわけでありますから、そういう観点からひとつ皆様方の格別な御協力をかえってこちらからお願いを申し上げます。決意のほどはだれよりも何百倍も私は持っておるのでありますから、そういう意味で促進することをお誓い申し上げておきます。以上です。
  17. 中村茂

    中村(茂)委員 大臣、結構です。  四全総の中で高規格幹線道路網を策定というか方針を出したわけですけれども、これを策定した基本的な考え方について国土庁からまずお伺いいたしたいと思います。
  18. 長沢哲夫

    長沢政府委員 四全総におきましては二十一世紀の国内幹線交通体系のあり方を構想いたしておりまして、全国一日交通圏を構築していくという考え方で、まず第一に、地方都市相互間の連絡をよくする、それから地域の一体化を促す、そして高速交通機関の利用の利便性均等化を目指す、こういった考え方に基づきまして主要地域間における多重系交通網の形成ということを目標にいたしております。こうした基本的な考え方に基づきまして、高規格幹線道路網について、高速交通サービス全国的な普及、主要拠点間の連絡強化目標として、一万四千キロメートルの長期構想を掲げておるところでございます。
  19. 中村茂

    中村(茂)委員 現在我が国において高速道路というふうに言われるもの、この現状を見ますと、高速自動車国道、これは国幹道がほとんどだと思いますけれども六十一年度末の集計ですけれども、基本計画延長が七千百二十二キロ、そのうち供用になっているものが三千九百十キロ、五五%。それから本州四国連絡橋基本計画百七十九キロ、供用三十八キロ、率二一%。それから都市高速道路基本計画五百九十七キロ、供用が三百五十一キロ、率が五九%。そして都市高速道路の中には首都高速阪神高速、それから指定都市高速道として名古屋福岡北九州、これだけあるということですが、私は国全体の高速道網というものを考えてみた場合に、これを全体的なものにして高規格幹線道というふうに位置づけた方がきちっといくのじゃないか。その上に立って幹線道はこうだ、都市交通事情めネットワークはこうだ、だから全体的な高速道路網というものを高規格道路というふうに位置づけて、そして全体的なものの中から高速道のそれぞれの趣旨に沿って分類していった方がいいのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、一部分をとって高規格幹線道というふうにしたということについて、今私が言ったこととあわせてどういうふうに考えるか。これは建設省の方でひとつお願いしたい。
  20. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 ただいま先生が御指摘のように、我が国自動車専用道路網につきましては、高速自動車国道本州四国連絡道路あるいは都市高速道路等いろいろな種類があるわけでございます。これはその整備手法からいろいろとそういった種類ができてきたわけでございますが、今回、全国的な高規格幹線道路網を策定するに当たりましてそういったものを全部統合するという考え方もあったわけでございますが、都市高速道路いわゆる大都市の混雑を解消するための自動車専用道路全国的に都市間を連絡する自動車専用道路網というのはまず二つに分けて考えた方が今後整備を進めていく上においてもやりいいのではないかというような考え方で、当面、高速自動車国道すなわち国土開発幹線自動車道、それから本州四国連絡道路を含む全国的な都市間の自動車専用道路を高規格幹線道路網というふうに考えたわけでございます。したがって、現行国幹道本州四国連絡道路のほかに、一般国道自動車専用道路も高規格幹線道路網という考え方でくくろうという考え方でございます。  その場合、都市周辺の先ほど御指摘がございましたような首都高速とか阪神高速あるいは名古屋北九州福岡都市高速道路については、これは別に大都市自動車専用道路網ということで、現在検討しております十次五カ年計画の中でも都市の中の高速自動車道いわゆる自動車専用道路ということで考えるということで、大きく二つに分けて考えていくわけでございます。そのうちの一つが今回の高規格幹線道路網の一万四千キロに当たるわけでございます。     〔委員長退席野中(広)委員長代理着席
  21. 中村茂

    中村(茂)委員 今申し上げた高速道路というものの中身はいろいろあるわけですけれども、今度一万四千キロということで高規格幹線道路網が提示された。しかし、その中身とすれば、言われておりますように国幹道の中へ組み込むもの、それから一般国道自動車専用道としての位置づけのもの。そうなってくると、国幹道の方へ組み込むのは、今までのものがあるわけですから、そこへそのまま今度の法案で入る。しかし、新しい高速道というものが一般国道として、自動車専用道としてそこのところへ新しく出てきた。高規格道というふうに全体的には言うけれども、突き詰めていけば一般国道自動車専用道を高規格道という名前で新しくつくった、それ以外何もないというふうに受け取るのですが、今度そういうふうに分析してみて、この高規格道をなぜ幹線道一般国道とに区分けしたか、そこのところの考え方を少し明らかにしていただきたいというふうに思います。
  22. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、今回の高規格幹線道路網全国都市間を結ぶ自動車専用道路というようなことで大きくくくっているわけでございまして、当然その中には従来の国土開発幹線自動車道建設法に基づく、いわゆる国幹道に適合する性格を持った路線もございますし、そうでない路線もございます。したがいまして、国土開発幹線自動車道建設法路線性格に合う国土縦貫横断するものについては、現行法律を改正して国幹道としてやっていこう、その路線に合わないような例えば大都市を循環するような道路については、整備を効率的に行うこともあわせ考えまして、一般国道自動車専用道路で進めていこうということにしたわけでございます。現在、本州四国連絡道路については一般国道自動車専用道路でございまして、一般国道においても自動車専用道路として整備をしている高規格幹線道路網的なものが既にあるわけでございますので、この二つに分けたわけでございます。  しかも、今申し上げました効率的な整備を図るということから見ますと、国幹道になりますと道路公団による全国プールによって現在の整備手法を踏襲するわけでございますが、それだけでございますと先ほど大臣も申しましたように早期に実現するという面ではいろいろ問題もございますので、一般国道自動車専用道路として主として建設省直轄事業もそれをお手伝いしてやっていくということで整備を効率化する、あるいは早く完成するという観点からも、二つ手法であわせてやっていきたいと考えているわけでございます。
  23. 中村茂

    中村(茂)委員 今言われましたように、今審議している国幹道法は、確かに「国土縦貫し、又は横断する」、それから既に決定されている予定路線延長というものを二十四区間で三千九百二十キロ決めたというふうになっているのですが、一つば、決めた路線内容を見ると、横断していると思われるものでもこの法律の中へ追加にならないで一般国道というのもあるし、余りけじめがはっきりしていないと思うのです。  私の長野県を例にとって見れば、この法律に追加されるようになったのは中部横断自動車道で清水から佐久まで、それから一般国道自動車専用になった部分について見れば、「国土縦貫し、又は横断」の名前まで縦貫中部縦貫自動車道、それから飯田から静岡の方へ抜ける三遠南信自動車道、これも横の方へずっと行っているということでなかなか区分けが難しいのですが、どうなんでしはう。
  24. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 ボーダーラインみたいなところのお話でございますが、長野県における中部縦員横断自動車道と三遠南信自動車道国土縦貫しているし、または横断しているのではないかという先生の御指摘でございます。  まず名前でございますが、中部縦貫自動車道中部横断自動車道とかいう名前については、地元の方からの御要請の名前をとっておりまして、名前がついているから全部縦貫だということではないわけでございます。片方路線については福井と松本を連絡する道路でございますし、また片方飯田と三ヶ日を連絡する道路でございまして、「国土縦貫し、又は横断する」という路線には少し規模が小さいのではないかという考え方でございます。  それからもう一つは、これも大きな要素でもございますけれども、例えば中部縦貫の方につきましては、百五十八号の国道自動車専用道路的なものとして、安房峠とか油坂峠で既に直轄事業としてやっている。この事業をやるときに、こういったものが将来の高規格道路の一環になるということも予想いたしまして、後ほども出ようかと思いますけれども、既に建設省においては自動車専用道路規格整備することを決めておりますので、これをそのまま発展していった方が建設早期にできるのではないか。また、三遠南信自動車道におきましても、その県境で一番問題でございます青崩峠あるいは小川路というところにつきましては、百五十二号の一次改築事業として既に直轄事業を進めている。したがって、これを利用していけば国幹審の議を経て基本計画整備計画ということにいかなくても実態的には早くできるのではないか。そういうことをもあわせまして、これについては一般国道自動車専用道路として整備をしていきたい、その構造規格についても自動車専用道路規格として、国幹道一般国道自動車専用道路道路構造令的に申し上げますと同じ一種でございますから、そういったことでやっていけば早くできるというような観点もございまして、今回国幹道対象外としたわけでございます。  それから中部横断自動車道につきましては、これはまず東名から中央道、さらには関越道を結ぶという、静岡県から新潟県まで国土をずっと横断する道路としての性格を有しておりますから、国幹道として予定路線に入れて、全体のネットワークの中で整備するのがしかるべきじゃないかということで決めたわけでございます。
  25. 中村茂

    中村(茂)委員 国幹道法の中で言っている趣旨と実態に合わせて区分けしたということではないかと思いますが、わかりました。  今言われている中で、国幹道にしたよりも一般国道でやった方が効率的に整備が図れるというふうに言うのだけれども、それも地域事情やいろいろなことによってということですが、その方が国から金を出すから、借金しないでできるからどんどんできるということですか。
  26. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 道路公団だけでやることでなくて建設省も、今たまたま長野県の例で申し上げましたように、既にそういったやり方で事業を進めているものを使った方が早くできるということが効率的に整備をする理由だというふうに申し上げたことでございます。  それから、どんどんお金が出るかということは、これは道路事業全体の中の予算配分の問題でございますから、どちらの手法でやっても必要度の高いものについては予算を重点的に配分して進めていくということで、どちらになった方が有利になる、どちらになった方が不利になるということではございませんで、それはその中の路線の個々のプライオリティーの問題として処理をしていきたいというふうに考えております。
  27. 中村茂

    中村(茂)委員 一般国道自動車専用道路整備手法は今いろいろ言われましたが、もう少し具体的に言えば、高速自動車国道法適用にはならないけれども、中身とすればそのような規模でやるという言い方でいいのですか。
  28. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 高速自動車国道にはなりませんで、一般国道ではございます。しかし、その道路構造が、自動車専用道路ということになりますと高速自動車国道はすべて自動車専用道路でございます。それで、道路構造令では一種規格というのがございまして、それに一級から四級までのクラスがある。そのクラスについては交通量とか、例えば山地部ですと時速百二十キロの設計はできませんから三級の八十キロでやる、場合によっては四級六十キロでやるというふうに構造令では決まっておりまして、国道の場合でも自動車専用道路一種規格を採用する場合には、その道路性格に応じまして二級とか三級とか、まあ一級というのは一般国道の場合にはなかなかないと思いますけれども、そういった一種規格整備するわけでございますので、その構造としては同じものというふうに御理解していただいて結構だと思います。     〔野中(広)委員長代理退席委員長着席
  29. 中村茂

    中村(茂)委員 そうすると、高速自動車国道法適用にならないけれども、構造規模というのですか、それはこの法律と同じような手法というか整備手法でやっていく。簡単に言えばそういうことでいいですか。
  30. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 構造的にはそのように御理解していただいて結構だと思います。
  31. 中村茂

    中村(茂)委員 ここに昭和六十二年の「国土建設の現況」ということで建設省の白書があるのですけれども、その二百二十六ページは「高速自動車国道ネットワーク」ということで、「高速自動車国道については、二十一世紀初頭までに法定予定路線約七千六百キロメートルのネットワークを完成することを目途に整備を推進しており、」その後続いていますけれども、今まで決まっておりますいわゆる国幹道の約七千六百キロ、これが二十一世紀初頭までということは、二十一世紀というのは単位が広いので、初頭といえば昭和百年でも初頭ですが、この初頭というのはどういう意味なんですか。
  32. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 二十一世紀は昭和七十六年からだと思いますが、十何年先のことですから、二十一世紀までにぴたっとできるということでなくて、初頭という表現を使っておりまして、そのものによりますけれども、五年ないし十年くらいでございますから昭和八十年から八十五年くらいというふうにやや幅のある表現ではないかと思っております。正確に初頭は何年というふうには決めてはおりませんけれども、私どもは八十年から八十五年くらいではないかなと思っておりますけれども、余りはっきりできないこともございまして初頭という表現を使っておりますので、正確に何年ということはちょっと申し上げかねます。大体常識的に考えても昭和百年までいくとちょっと行き過ぎでございますから、七十五年に対して八十年とか八十五年くらいということではないかと思っております。
  33. 中村茂

    中村(茂)委員 今の終わりのところは、もう少し私の意見もありますから後で詰めます。  それから、同じ白書の二百三十二ページには、「高規格幹線道路網整備方針」ということで「高規格幹線道路網(全体規模 一万四千キロメートル)の整備には、おおむね三十年程度を要するものと考えられる。」こういうふうになっていますね。  そうすると、七千六百キロは二十一世紀の初頭。そこへ今度は全体に追加になったわけですね。それと一般国道でやる先ほどから論議していますもの、一般国道の専用道路、いわゆる今度の高規格の一万四千キロはおおむね三十年ということになると、二十一世紀の初頭との関係でこれはどういうふうになるのですか、この延びたのと組み合わせは。
  34. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 まず、その高規格幹線道路網が約三十年かかるという根拠でございますけれども、現在、高速道路いわゆる七千六百キロのうちの問題でございますが、先ほど先生が御指摘になりましたように六十一年度末では三千九百十キロで、ことしの暮れには四千キロに達するわけでございます。したがって、一万四千キロを整備するとなりますと、約一万キロ今後つくっていかなければならないということになります。  それが何年でできるかということを考えてみますと、道路公団の今までのような手法でいきますと高速道路は平均年間二百キロ余でございます。これでいきますと五十年かかるわけでございますが、そんなに長年月でつくるわけにもいきませんし、道路公団におきましても今の二百キロ体制を二百五十キロにしようと現在いろいろ検討しているわけでございます。それから、きょう御説明をしてまいりました一般国道自動車専用道路といたしまして、本州四国連絡橋も含んでいるわけでございますけれども、今までそれに類した一般国道自動車専用道路が年間四十キロくらいはできるわけでございまして、今後そういったものを体制をきちんとしてやりまして大体平均百キロくらいに持っていきたい。そうしますと、ならして年間約三百五十キロくらいの施行体制には持っていきたい。先ほどの大臣の発言によりますと、もう少し早くやれというようなこともございましたけれども、三百五十キロを手がたくやりますと、一万キロを三百五十で割りますと約三十年はどうしてもかかるということで、目標を三十年としたわけでございます。  ただ、これにつきましては長過ぎるじゃないかということもございますし、先ほど大臣の発言もございましたので、我々事務当局としてはこれからそれを具現化していく場合にもっと早くできないかということについては検討はしていかなければいけないと思っていますが、今までの考え方はそういうことで約三十年ということを言っているわけでございます。したがって、三十年になりますと昭和九十年くらい、初頭よりは少し中に入るのではないかと思います。  それから七千六百キロとの関係でございますが、これは四全総の中にもそういう記述がございます。これは国土庁の方にお答えしていただいた方が適当かもしれませんけれども、四全総で御相談をしたときに、四全総の現在の計画期間は七十五年を一応最終年度としておりますが、いわゆる今世紀内といいますか、これには七千六百キロは概成するというふうになっておりまして、高規格幹線道路についてはそういったものを含めて八千ないし九千キロという目標四全総に記述されているわけでございます。私どもといたしましては、できるだけ早期に実現せよということもございますので、できれば二十一世紀までに高規格道路九千キロにしたいということで考えているのでございます。したがって、従来の七千六百キロは概成でトータルを九千キロにするわけですから、そのほかに千五、六百キロ近いものは今回新しく決めたものを早期に完成させることになるかと思います。  ちょっとややこしくなりますけれども、そういったことで原則的には七千六百キロ決まっているものを逐次整備していくわけでございますが、今回新しく高規格幹線道路と決めたものの中からでも緊急性の高いものについてはできるだけ早くこれを事業化に移して、今世紀といいますか四全総計画期間、昭和七十五年まででも約千数百キロくらいは建設したいと考えておりますので、七千六百キロの残りの分も新しく入った分についてもある部分については並行的に建設をして、緊急性の高い区間は新しいものでもやっていくというようなことになろうかと思います。具体にどこをやるかということについては、今法律そのものを御審議願っているところでございますので、私ども今、各線路の必要度とかあるいはネットワークの必要性についていろいろ研究しているところでございます。
  35. 中村茂

    中村(茂)委員 総くるめにして、三十年なら一万四千キロ三十年ということで考えてみて、その中に今までのものと追加のものと含めてごっちゃになっていく。それで今言われたように、緊急性の高いものは必要だから早くということですが、そうなると、同じ金の枠の中で私の出身の長野県とかまたは田舎の方は後回しになるのではないかという裏返しの危険も出てくるのだが、それは全国公平にやっていただきたいと思います。  そこで、もう少し細かく聞いておきたいと思いますが、国幹道の追加の分については、いずれにしても国幹審を経なければ基本計画にしても何にしても前へ進まないわけですね。そうすると、国幹審はいつ開く予定なんですか。それと、第十次道路整備五カ年計画は六十三年から、明年から五年間で発足するわけですけれども、その追加分はその五年の中に入るのか入らないのか。国幹審を含めての絡みについてひとつ考えをお聞かせいただきたいと思います。
  36. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 国幹道の場合には、先生指摘のように国幹審を開いて基本計画を出し、整備計画を定め、その後道路公団に施行命令を出してから事業に入ることになっているわけでございますが、現在第十次の道路整備五カ年計画を六十三年度から発足すべく準備をしているところでございまして、その十次五カ年計画の中で新規のものからどれを選ぶかということについては、先ほども申し上げましたけれども、今いろいろ検討しているところでございます。したがいまして、次期国幹審では、従来のものの延伸、今まで七千六百キロの中で残っているものも進めますし、新しいものも、今回御審議していただいて法律が策定された後に、その中から新しく整備を急ぐものについては基本計画を出していくというようなことになろうかと思います。  時期につきましては、そういった五カ年計画の全体の規模あるいはその内容等が決まりまして、五カ年計画が決定後、できれば六十三年度内には次期国幹審は開きたいし、開かなければいけないというように考えております。
  37. 中村茂

    中村(茂)委員 国幹審で通らなくても——国幹審で通そうということを予定して五カ年計画に組むことができるのですか。
  38. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 ですから、五カ年計画の中でどの区間というふうにはっきりこれを閣議決定するようなことは当然できないわけでございまして、その全体の規模、もちろん何兆円の規模になるかということもございますから、そういった実際の積算と申しますか、説明書の中の段階でこういったものについて作成を進めていきたいというような格好になるのじゃないかと思っております。これを決定するのは当然国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経なければできません。ただ、五カ年内のことですから、来年か再来年かは別としても、いつかはやっていただけるのじゃないかということで、そういった見込みでこういうものを進めていきたいということで五カ年計画内容を決めていきたい。それから、もし五カ年計画が決定できますれば、全体的に早期にやる意味でも、できるだけ早く国幹審を開いて御審議をいただきたい、そういうことで先ほどのようにお答え申し上げた次第でございます。
  39. 中村茂

    中村(茂)委員 ここに読売新聞の六月二十四日付のものがあるのですけれども、「「第二東名」来年度に着手 国幹道に追加 建設省が優先建設へ」、中身いろいろ書いてありますけれども、来年ということは六十二年ですね。まだ国幹審も通ってないですね。それで先ほどは六十三年度中に国幹審をという話ですね。どうしてこういう記事になるのですか。
  40. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 新聞の記事については私も正確には今持っておりませんけれども、少なくとも建設省でそう決めて発表したという事実は、まだ法案の審議もしてない状態でそういう正式発表をするはずがございません。ただ、第二東名というものが大変緊急性が高いとか、現在の東名自身が大変混雑している、早くやらなければいけないということは私どももかねがね言っておりますから、第二東名が必要性が高いということを私どもが言っているのは事実でございますが、国幹審を開いていつするというようなことは正式に私どもが言ったことはございませんし、それはやはり法律を御審議していただいて、国幹審を開いて決めるべきというふうに私ども理解しております。
  41. 中村茂

    中村(茂)委員 こういうものが出ているから、その順序とやり方について先ほどいろいろ細かく聞いたわけです。  それで、その五カ年計画の中に今までの分とそれから追加の分、どういうふうに入るかこれから検討ということですが、今までの分と追加の分を含めてどのくらい供用開始の部分を入れるということで検討しているわけですか。
  42. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 個別路線についてはまだはっきり申し上げる段階ではございませんが、先ほど来申し上げておりますように、従来、年間のペースで大体二百キロ余で参ったわけでございますけれども、今回は、先ほど来申し上げておりますように、三十年ではかかり過ぎるという御批判も大変大きいわけでございますし、七十五年までに高規格全体九千キロつくるというような目標四全総の絡みで出てまいっておりますので、少なくとも従来の五カ年計画よりも供用延長は長くなるように規模の拡大を図りたいということで今詰めているところでございます。
  43. 中村茂

    中村(茂)委員 五カ年というと六十三年から六十七年ですね。第十一次は六十八年から七十二年、もう三年たつとちょうど二十一世紀になるのですね。先ほど三十年のものを早めるということでいくと、十次五カ年計画の中にまずどのくらい入るか、それから十一次に大体どのくらい入るかということで、二十一世紀初頭に完成する三十年という枠がはっきりしてくるわけです。したがって、先ほど、そういうことを前提にして検討している、少し増すようにすると言うのだけれども、もう少し、キロ程くらいははっきりしないのですか。
  44. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 高速道路は着工してから少なくとも大体十年くらいはどうしてもかかるわけで、長いのはもう十数年もかかっておりますけれども、そういった意味からいきますと、第十次だけでというわけにはなかなかいきませんで、今御指摘の十一次までということになりますと、現在、整備計画道路公団調査または既に事業にかかっているものがたしか六千四百十キロございますから、これは少なくとも十一次の五カ年計画、この十年以内にはつくらなければいけない。現在、各地方におきまして地元に用地交渉等いろいろ御相談をしながら進めているものが六千四百十キロと四千キロの間ですから、少なくとも二千四百キロくらいの区間についてはそういったことをやっているわけでございますから、それについては少なくとも十一次までにはやりたい。そうなりますと、それを二で割りますと約千二百キロぐらいは既に十次ではやらなければいけないわけでございますけれども、それはもっと前倒しできないかということも含めてやっているわけでございまして、イメージとしては、五年でこたえろというと大変難しゅうございますが、今かかっているものは十一次の中では仕上げるというような目標をまず置きたいと思っておりますし、そういった感じでごらんになっていただければおわかりになるんじゃないかと思います。
  45. 中村茂

    中村(茂)委員 個々についてちょっと聞いておきたいと思うのですが、考え方だけで結構です。  私の長野県でいけば、中央自動車道長野線は今の九次の道路整備の中で大体松本から豊科ですが、次の五カ年計画ではどこらまで、大体須坂までで完成するんじゃないか、こういうふうに思うのです。それから関越自動車道上越線については、佐久までは次の十次で供用開始できるようになるんじゃないかというふうに思うのですが、佐久以降の分についてはどうなのか、そこら辺のところはどういうふうになるのですか。
  46. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 長野線につきましては、先生の今おっしゃったとおり更埴までは五カ年計画で完成するように進めていきたいと思っておりますし、それから上越線につきましても更埴−須坂間は恐らく今度の五カ年計画で完成する予定にしております。それから、手前の方の佐久から藤岡につきましても、五カ年計画で現在の状況からいきますれば完成すると思います。  今御指摘の、佐久から更埴ジャンクションあるいは須坂から中野の区間でございますが、これは今鋭意地元と用地交渉あるいは路線の説明等いろいろ行っているところでございますが、先ほど申し上げましたように、これも既に整備計画が出ている区間でございますから、その次の五カ年の中ではこれをつなげるように進めていきたい、努力していきたいというふうに考えております。
  47. 中村茂

    中村(茂)委員 次の国幹審が開かれるまでに、いろいろ地元から来ていると思いますけれども、上越線の東部町インターの設置についてひとつ検討していただきたいというふうに思うのですが、これは享便地域が相当広くて、東部町が存在している小県郡というのがあるのですが、そこのところがここのところをほとんど利用するようになりますし、群馬県も相当このところへ入ってきて利用するようになる、相当な享便区域になるというふうに思うのです。地元でも相当な運動が起きておりますが、次の国幹審までにはこの東部町インターの設置について何分御協力をいただきたい、こういうことですが、検討に入っているんでしょうか。
  48. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 今先生のおっしゃいました小諸インターチェンジと上田インターチェンジの間の追加インターチェンジの要望につきましては、私ども十分承知しているところでございます。追加インターチェンジにつきましては全国各地から大変多数の要望があるわけでございますが、これにつきましては国幹審に諮って決めるという手順が必要でございます。現在、当該インターにつきましても、交通量とか、今先生がおっしゃいました周辺地域の開発計画とか、あるいはインターができた場合の利用状況がどうなるかということについていろいろ調査をし、あるいは県御当局等とも御相談をいたしまして、次回の国幹審までにこれの設置について結論を出すようにしていきたいと考えております。
  49. 中村茂

    中村(茂)委員 今までもいろいろ論議しましたが、この一万四千キロを実施するにはどれだけのお金がかかるのでしょうか。
  50. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 残り一万キロに対しまして、約三十六兆円でございます。
  51. 中村茂

    中村(茂)委員 口では三十六兆円ですが、先ほど大臣も言われましたようにほとんど借金でやる。大臣は、どうせ借金でやるならどんどん借金して、また回収もできるように、長く時間をかけていれば借金ばかり多くなるという論法じゃないかと思うのですが、一口で言えば大変なことだというふうに思うのです。それだけのものを借金してつくって、それでいずれにしても経営していくわけですね。それで、その経営は今のところはほとんど日本道路公団がやるということになるわけですか。
  52. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 国幹道につきましては、現在、日本道路公団が全部その路線建設、管理しておるところでございます。
  53. 中村茂

    中村(茂)委員 そうすると、日本道路公団も大変な企業体になりますし、中身は相当な借金を抱えて運営していかざるを得ない。  そこで心配が起きてくるのですけれども、日本道路公団の今の経営内容を見ますと、そう細かく私も検討しておりませんけれども、例えて言えば、六十年度末の日本道路公団の調達資金を見ますと、道路債券のいわゆる今までの調達額から償還額を引いた累計の残高でいつでも九兆五千億、それから政府出資が五千億、民間が八千億、合計十兆九千というような膨大な金が今調達の残としてあるわけですね。これは資金調達の面だけ言ったのですが、こういうものが累積されていく。  ですから、冒頭申し上げましたように、高速道の有料というのは、こればかりではなしにさまざまある、だからその経営内容によって料金体系なりそういうものがまず一致してこなければならないし、赤字体質になってしまってにっちもさっちもいかないというような状況になってもいけないし、それから、これから入っていく道路は山間僻地で、金は余分にかかる、しかし利用度は都会の都市交通よりも下がる。だから、さまざま考えてみると、経営というもの、それからこれからの財政措置というもの、採算性というようなもの、これはもっときちっとしたもので対応していただきたいというふうに思うのですが、そこら辺の構想なり、それはどういうふうに考えておられますか。
  54. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 道路公団高速自動車国道の採算性でございますが、これは全国プール制によりまして全体の採算がとれるように料金その他を決めているわけでございます。今先生指摘のように、これからできます新しい国幹道に入るものにつきましては開発型が多くなってまいりますので、採算性に大きな影響を与えるということは十分予想されるところでございます。  建設省といたしましては、そういった高速道路全体の採算性をきちんとするために、従来から建設費、管理費を節減するように指導しておりますし、また適正な料金改定を行っている、あるいは一定の資金コスト以下になるように国費の助成をするといったことで全体の採算性を確保するように方策を講じてきたところでございますけれども、今後新しい路線をそういったプールの中に入れていく場合には、今まで以上に赤字が拡大しないように十分注意をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。また、公団におきましても、組織が大きくなりますと、いろいろな面でむだが出る可能性もございますので、そういった経費節減やあるいは経営の効率化をするように建設省としても指導をして、先生おっしゃるような状態にならないように十分留意していきたいというふうに考えております。
  55. 中村茂

    中村(茂)委員 時間ですから、あと三点ほど一括して答弁していただきたいというふうに思うのですが、高速道をつくる場合にどうしても配意していただかなければならないというのが、環境保全、騒音防止、これは環境アセスできちっとやっていると思うのですけれども、そこら辺の対応をきちっとやっていただきたいということ。  それから二番目には、高速道整備で必ずぶつかるのが埋蔵文化財。方々で埋蔵文化財の処理、言えば開発と保全というものの接点をどこに求めるかということではないかと思うのですけれども、場所によっては相当な時間がかかる、相当な金がかかるということで開発自身もおくれていく、しかし保全は完全にやらなければいかぬ、こういうことがあるというふうに思うのです。  そこで、前段、環境等については建設省、文化財については、文化庁が来ていると思いますけれども、一応の御答弁をいただきたいと思います。  それから、先ほどの財政の問題と文化財の問題について一括して最後に、道路公団から来ていると思いますから、一応御答弁いただきたいというふうに思います。
  56. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 それでは、環境問題の方についてお答え申し上げます。  高速自動車国道建設に当たりましては、従来から沿道との関係、環境の調和に十分配慮しておりまして、沿道土地利用との調整あるいは適切な道路構造の選定とかあるいは遮音壁の設置、道路緑化などの環境対策を実施しているところでございます。それから、供用中の区間におきましては遮音壁の設置を進めるなど、良好な沿道環境の保全に努めているところでございます。さらに、適切なそういった道路構造上の対策を実施してもなお自動車交通騒音による障害が著しい住宅に対しましては、緊急の措置といたしまして防音工事の助成等を行っております。  今後とも、必要な環境対策を講じながら高速自動車国道建設、管理に努めてまいりたいと考えております。
  57. 小林孝男

    ○小林説明員 お答えいたします。  埋蔵文化財の発掘調査の迅速化ということについてのお尋ねでございます。このためには埋蔵文化財の保護と道路建設工事との十分な調整を行う必要がある、このように考えているわけでございます。  このために、まず道路建設などの大規模な土木工事につきましては、事前に地元の教育委員会事業者側とよく話し合いをいたしまして事業計画やその実情につきまして十分了知する、その上に立って具体的な遺跡の取り扱いあるいは発掘調査の方法等について調整を行う、こういうような指導を行っているところでございます。  もちろん、この事前の計画段階での調整ということがまず一番大事でございますが、次に、私どもの方の立場といたしましては発掘調査の体制の整備でございます。これにつきましては、年々各地方公共団体の専門職員の数も充実が図られてきておりまして、ことしの春現在で全国で三千四百名以上にふえております。そういうことで、今後とも発掘体制の充実ということに努めてまいりたいと考えております。  それから、具体的な発掘調査の実施方法の改善でございますが、可能な限り機械力あるいは写真測量等の最新の機器を導入いたしまして効果的な調査のやり方について指導を進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  58. 篠原忠良

    篠原参考人 ただいま御質問のもとにありますところの現在の日本道路公団高速道路の経営状況でございますか、道路整備特別措置法並びにそれに基づく施行令によりまして、ただいま料金収入で建設費並びに管理費等の諸経費を三十年間で償還し得るようにということで鋭意取り組んでございます。  六十年度の決算の状況によりますと、収入は約七千四百億円、費用が五千七百億円、差し引き千六百億円ほどの収支差益を上げておりますが、過去の累計で申し上げますと約一兆四千五百億円ほどの収支差益を上げでございます。しかし、それらは全部、道路建設に要する費用等投下された資金の回収のための減価償却勘定というところに積み立てておるところでございます。今後とも取り組んでおります建設並びに維持管理におきましてさらに一風経費の節減を図る等努力をいたしまして、採算性に違算のないように努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  59. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  60. 村岡兼造

  61. 小野信一

    小野委員 それでは、局長からお尋ねしますけれども、我が国高速道路世界でもまれなる、有料道路として建設してその財源の大部分は財投、すなわち借入金で賄う、こう実行されてまいりました。それだけに事業の採算性が大変大きな問題になっております。既定の七千六百キロに加えて高規格道路の体系的な整備となりますと、果たして従来どおりの手法でこの問題に対処できるかどうか、大変大きな心配になってまいりますことは万人が認めておるところでございます。大臣のあの自由奔放な、余り規則にこだわらない発想で本当はこの問題に対処していただきたい、具体的に建設省として大蔵交渉に入っていただきたい、あるいは国民が納得できるような財源措置を講じていただきたい、こう考えて——きょうは第一に大臣に質問いたすわけですが、大臣は今見えて、最初の部分が聞こえなかったのですからもう一度。  先ほど大臣の答弁の中に、日本の高速度道路建設世界でもまれなる建設手法であると。しかし、七千六百キロ構想に加えまして一万四千キロになりますと今までのような財政手法で果たして実現可能なのかどうか、大変国民が心配しておるところでございますので、大臣の自由奔放な、規則にこだわらない発想でこの問題にこう対したらいいのじゃないかという政策あるいは金融面での提案を期待するのですけれども、大臣の所見をお伺いいたします。
  62. 天野光晴

    天野国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたように、基本的な金は財政投融資を使っております。これを根本的に改めるということは相当やはり問題だと思いますので、今の段階では財投をどこまで持っていけるか財政当局とよく折衝をして、こっちの期待するだけのものをとれるんならそれでもいいが、もしそうでないということになるならば別途考慮しなければいけないと思いますが、そのころは私はここにはおりませんから皆さん方と一緒にこの問題に取り組みたいと思っておりますが、将来そうしないと三十年で私は計画どおりできないと思うのです。だから今度の問題だけはどうしても三十年で仕上がるように最悪の場合でもしたい、そう考えておりますので、その御意見をよく伺っておいて対処したいと思います。
  63. 小野信一

    小野委員 現在の手法ではかなり実現は難しいだろう、こう思われますので、具体的な、国民が納得できるような手法を生み出して具体的に提案していただきたいと思います。特に、今後予定されておる高規格道路建設は採算性の悪い横断道路が中心となりますので、財投をふやせばそれで済むというものにはならないんじゃないだろうか、こういう感じがいたしております。当然、金利負担のない国費あるいは地方財源をもってこれに充てるということが必要になってくるわけですけれども、実際はこれもまた難しい。みんな意見は一致するんだけれども難しい。特に、昭和六十一年度の予算を見ましても、国費が約八百二十億しか出ておりません。これはやはり余りにも少額過ぎるというのは、これまただれもが認めるところでございます。  ただ、ある専門家の提案の中に、道路全体の走行台キロに占める高速度道路の割合は建設省の資料、白書によりますと五・一%である。この算定の基礎は、四千三百八十億台キロ分の高速道路の二百二十三億台キロ、これが五・一になる。それで、道路特定財源税収が約三兆五千億ありますから、それの五%に相当する一千八百億は当然高速度道路に国がこれを投資する、最低でもそれぐらいの投資があってもいいんじゃないだろうかと。果たしてこの提案が根拠があるかどうかは別といたしまして、私どもは一つの具体的な基準を持って大蔵と交渉する必要があるんじゃないだろうか、こういう感じがするんです。  こういう具体的な提案道路局としては構想を練って具体的に提案していただきたいと思うのですけれども、そういうものの内容検討がもししてあるとすれば、実現するかしないかは別として、私どもが積極的にこれに賛成してバックアップできるようなものであれば発表していただいて御協力を申し上げたいと思うのですけれども、いかがでしょう。
  64. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 先生指摘のように、高速道路は全体がプールになっておりますから、利用交通量の比較的少ない新しい路線が入ってまいりますと高速道路全体のプールの採算性が悪化をしてくるわけです。建設省といたしましては、そういうことがないように、交通量の比較的少ない道路については特に資金コストを平均のものよりも下げて、国費を重点的にそこに投入して全体の採算性を確保するということを第九次の五カ年計画の中でやってございます。それは今、高速道路一般路線の資金コストが六・五%でございまして、六・五%になるまで国費を入れるというようなことで採算性を確保しておるわけでございますが、横断道路等の利用交通量の少ない路線、現在例えば東北の横断道あるいは四国の横断道あるいは中国の横断道等七道十一路線ございますが、これについては資金コストを三%に下げて採算性を確保するというようなことをやっているわけでございます。  ただ、最近は全体的な金利が大変下がってまいりまして、投入している国費が先ほど先生がおっしゃったような数値になっておりますけれども、これから新しい路線が入ってまいりますとやはり今申し上げましたような手段をとる必要もあるんじゃないか、そうなりますとそれにより国費が増加してまいりますし、さらに金利がもし上がるようなことになりますと、そういった投入する国費がかなり多くなってまいると思います。私どもといたしましては、先ほど大臣も申し上げておりますように、利用者の料金負担だけでやっている、料金負担に非常に荷重をかけてやっているということについてはやはり問題があるというような認識も持っておりますので、今後もっと資金コストを下げるというようなことを通じまして国費の投入をして、全体が何とか採算性を確保しながらやっていけるように努力していきたいと考えているわけでございます。  その場合の国費の投入額でございますが、先生のおっしゃいましたように全体の走行合キロの中で占める高速道の割合、すなわちガソリンを高速道路で使っている人の分ぐらいは出せというようなことは大変ごもっともでございますので、そういったものも一つの目安にしながら、これから国費投入をふやしていく場合の目安なり基準としてそういったものへの国費をふやすように努力をしてまいりたい、全体の採算性を確保するように努力してまいりたいと考えております。
  65. 小野信一

    小野委員 次に国土庁にお尋ねしますけれども、この幹線自動車道建設法の「目的」を見ますと、第一に「国土の普遍的開発」、第二に「画期的な産業の立地振興」、第三に「国民生活領域の拡大」を期待して「高速幹線自動車道を開設し、」「新都市及び新農村の建設等を促進する」と書いてございます。この第一の目的である国土の普遍的開発あるいは一般に言われる国土の均衡ある発展とは、具体的にどういうものを国土庁とすれば指しておったのでしょうか、このことをまず第一にお尋ねいたします。
  66. 長沢哲夫

    長沢政府委員 お答え申し上げます。  四全総でおっしゃるように国土の普遍的、均衡的発展をうたっているわけでございますが、具体的にはこれは特定地域への人口や諸機能の過度の集中がない多極分散型の国土の形成というものを目指しているわけでありまして、そのために、各地域が主体となった個性豊かな地域づくりを第一の柱、第二の柱としては、そうした地域間の交流を支える高速交通体系等の交通通信体系の整備、第三の柱としては、実際に地域間の交流が行われますように交流機会をふやしていく、そうしたことを内容といたしまして、交流ネットワーク構想という構想四全総の主要な開発方式として採用しているところでございます。
  67. 小野信一

    小野委員 今の国土庁の持っておる目的からすれば、三十年かかって行った高速道路は、その目的を果たしておると言えるでしょうか。私は、その意味では目的に反した、あるいは目的を達しておらなかったのではないだろうか、こう思います。  私の考えるのは、日本列島に人口が適正に配置できるようにすることが第一だろう、第二は、均衡ある所得、日本のどこの地域に住んでおっても適正なる所得、全国平均の所得が得られるような日本列島をつくる、それから文化の恩恵に平等に浴せる、こういう条件を満たすことが国土の均衡ある発展じゃないだろうかと思います。先ほど局長がおっしゃったような形のものは、私は建設省道路局の高速道路建設の目的であるならわかりますけれども、国土の均衡ある発展、普遍的発展ということになりますと、もう少し大きいスケールで見る必要があると同時に、そのことに対する高速度道路網の評価をもう少し厳しく見て、これからの高速道路建設に対してもう少し提案すべきじゃないだろうかという考えを持つのですけれども、いかがですか。
  68. 長沢哲夫

    長沢政府委員 特定地域に諸機能が特に集中することなく、全国土にわたって諸機能が均てんして発展していくという考え方でございまして、その諸機能の中には、先生のおっしゃる所得機会あるいは文化の機会、そうしたものも含めて勘案しております。  したがいまして、交通通信のネットワークを構築していくことによって、どの地域からでも、どの地域へもアクセスが簡単にできるようになりますので、かえって各地域の定住条件は増す、そういう考えで高速交通体系を初め交通通信ネットワークの形成をサポートしているわけでございます。
  69. 小野信一

    小野委員 確かに、昭和二十九年高速道路建設が始まって三十年になります。かなり以前の生活とは私どもの生活が変わりました。そのことを私は否定するつもりはございません。日本列島が狭くなりました。特に東北の場合に、私どもの郷里岩手の場合には、高速道路が完成することによって先端産業が進出してまいりました。十万都市がインターで結ばれたことも当然私たちは承知しております。夕方までに集荷した農産物、漁産物が翌朝の東京の市場に出てまいります。その成果はまことに大きいものであることを私は否定するつもりはございませんし、高い評価をするのですけれども、法律の目的の中に、人口の分散、所得格差の是正、それを背景とした新農村の建設、新都市建設ということがはっきり目的にあるわけですから、三十年の経過を見まして、果たして人口が分散したのだろうか、所得の格差は縮小していっているのだろうか、こういう素朴な疑問を持つのは当然だと私は思うのです。なぜ高速道路建設によって法の目的が達せられなかったんだろうか。そのことに対する反省なり分析が行われて、これからの高速度道路に対する施策が講じられなければ、過疎地だけが出るということになりはしないのだろうか、その意味で質問するわけで、私は高速道路の有効性を否定するつもりはございません。むしろ高い評価をするものですけれども、より高い目的のためにそのような批判を甘んじて受けて、その中から新しいものを生み出していただきたい、こう思うのですが、もう一度御答弁をお願いします。
  70. 長沢哲夫

    長沢政府委員 基本的な考え方先生のおっしゃるとおりだと思います。高速交通体系だけでなくて、地域の交通体系もあわせて整備していくことによって、過疎化するおそれのある地域も人と人の交流が可能になり、各種の文化機会、所得機会、就業機会に参画できるような条件をつくっていく、そういう意味で交通ネットワークを推進していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  71. 小野信一

    小野委員 道路局長にお尋ねします。  確かに、この三十年間で高速道路建設は私どもの感覚では非常に速いな、世の中が随分変わったなという感じがいたしますけれども、一九七〇年から一九八〇年まで十一年間の営業開始した年平均距離数を各国で比較してみますと、日本で百九十四キロ、アメリカで千五百五十キロ、フランスで三百七十一キロ、あのアウトバーンが網の目のように張られておる西ドイツさえも三百八キロ、日本の倍にはならなくても、それに近い高速度道路が営業開始をしております。したがって、今、日本の各地に、特に地方に住んでおる人々は、日本列島の縮小化のために高速度道路を重点的に完備すべきだ、つくるべきだという意見が大変強いわけです。  しかし、御存じのような財投と通行料金だけでこれをつくったのでは国民の期待にこたえられないし、世界の経済に対応した経済大国日本の経済、それに伴う国民の意識に対応できないということは明らかでございます。それで、国みずからが道路に対する投資のナショナルミニマムを設定すべきじゃないだろうか、重点的に、そして国の最低の責任を明らかにすべきじゃないだろうか、こういう意見が強くなってきておりますし、この意見に対してもだれも異論がないわけです。問題は、大蔵省だけがいろいろな理屈をつけましてこれに反対してくるわけです。反対というよりも、認めないという形になるのだろうと思います。しかし、昭和四十八年の第一次オイルショック以降の総道路投資の伸び率よりも自動車の保有台数の伸び率の方がずっと高いわけですから、高速道路をつくってもつくっても交通は緩和されないというのが今の大都市の市民の感覚でございます。こういう問題をどう考えたらいいのか、どう説明したらいいのか。道路局としては国民に対してこの説明をしっかりしておかなければならないような気がするのですけれども、いかがですか。
  72. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 ただいま先生の方から高速自動車国道整備日本は大変おくれているという御指摘もございましたし、そういったことによって新農村、新都市建設もおくれているということの御指摘がございましたが、大変ごもっともではないかと思っております。  建設省といたしましては、七千六百キロの国土開発幹線自動車道計画を決めたのが昭和四十一年でございますが、その後の計画でも実は昭和六十年までに七千六百キロ全部つくってしまおうというように、当時から既にその必要性が言われていたわけでございます。したがって、そういった当初の目的に比べますと、高速道路自体の整備が大変おくれていたわけでございまして、しかも国幹道整備の進め方が、全体がプールの有料制ということでどうしても効率性の高いところから整備をした結果、縦貫道は現在ほぼできましたけれども、横断道的な、いわゆる過疎地の方に行くのに必要な高速道路先生の御地元の東北の方でも横断道がまだできていないところが多いわけでございますけれども、そういったものがおくれたことによってやはり地域間の格差が解消されずに残ったというように私どもは理解しておりますし、そういった観点から、現在二時間かかって高速道路に到達するというネットワークですから、それでは当然国土の均衡ある発展ができないので、これをもっと広げて、先ほど国土庁の方からも御説明がございましたけれども、少なくとも一時間ぐらいで日本国土全体から、各地から高速道路に行けるようにネットワークを決めて国土の均衡ある発展に役立てようということで、今回全体の計画を見直して七千六百キロから一万四千キロをつくったわけでございます。  しかしながら、先ほど来御指摘のように日本財政状況が厳しいということ、それから高速道路以外の、有料道路になじまないような一般国道あるいは地方道、県道、市町村道、そういったものもまだまだ整備がおくれているわけでございますので、やむを得ず高速道路については全体を有料道路としてやっているわけでございます。したがいまして、現在の財政状況からいきますと、今後もやはりこの有料道路制度を利用しながら、余裕のありますいわゆる民間資金なども活用しながら高速道路をつくっていかなければいけないと思っておりますけれども、その場合にはやはり先ほど来御指摘のように、国費を投入して採算性を確保しながらこれを進めていきませんと全体のネットワークの完成がなかなかできないわけでございますので、私どもも今回の一万四千キロの計画を何とか計画どおり進めていく上にはいわゆる国費の無利子の資金投入が一番重要な課題と考えておりますので、今後とも先生指摘のように、財政当局とも御相談をしながら、日本全体に高速道路が均てんするように、そういった整備が図られるように努力をしていきたいというように考えております。
  73. 小野信一

    小野委員 昭和三十二年に高速道路三千七百三十キロ構想がつくられました。そして着工いたしました。しかし、まだこの三千七百三十キロが完成しない以前に、昭和四十一年に七千六百キロ構想が打ち上げられました。今度一万四千キロ構想ができました。しかし、七千六百キロ構想の中で現在まで三千九百十キロ供用開始されておりますから、残三千六百九十キロになります。この残三千六百九十キロの中に、昭和三十二年につくられた三千七百三十キロ構想の中に入っておりながらまだ着工されない、あるいは未完成の部分がございましたら、その箇所を教えていただきたいと思います。
  74. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 先生指摘の、昭和三十二年四月の国土開発縦貫自動車道の建設法で決められた路線の中で現在整備計画が策定されていない、まだ着工しない区間は、区間別に申し上げますと、全体が三千七百三十キロ決まっていたわけでございますが、その中で現在整備計画が出されていない区間は、北海道縦貫自動車道の旭川南−稚内間、それから二番目が同じく北海道縦貫自動車道函館−長万部間、それから三番目が北海道横断自動車道夕張−清水間、四番目が北海道横断自動車道池田−釧路間、五番目が四国縦貫自動車道美馬−川之江間、以上合計約六百キロでございます。
  75. 小野信一

    小野委員 聞かされまして改めてびっくりしておるところでございます。この三千七百三十キロ構想の未着工部分約六百キロ、これが地域の住民から言わせればまことに待ちに待って、千秋の思いでいるのだろうと思いますけれども、今回の既定路線の伸長十一路線で十三区千四百十キロ、新規路線十一路線で二千五百十キロ、合計三千九百二十キロが出てまいります。恐らくこの新規に入ってきたところという区間の中には、第二東名のように、日本の経済の伸展に伴って昭和三十二年には考えもしなかったような緊急性が出てきて計画にのったところがあるのだろうと思いますけれども、残された六百キロの地域住民にとっては、もしこの方が先になったらまことに耐えられない気持ちになるのじゃないだろうか。まことに同情に値することになるのですけれども、この着工順序について、建設省とすればどんな考え方に立って着工していくことになるのでしょうか。そこには少しの同情の入る余地もない、機械的に着工の順序、条件で決めて採択いたしますということになるのでしょうか。局長のお考え方をお聞きいたします。
  76. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 新たに追加されました国幹道につきましては、原則としては、先ほど先生から御指摘いただいておりますような現在の法定予定路線七千六百キロに引き続いて着工することになろうかと思います。  その場合に、機械的にという御指摘でございますけれども、やはり先ほどから有料道路事業として高速道路をやらなかったことについても御説明してまいりましたが、そういった観点から、従来はある程度効率的といいますか、利用者の多いところを重点に整備してきたことは事実でございます。しかしながら、今回の四全総等でも多極分散型の国土をつくるというようなもう一つ上の視点からの高速道路整備考え方が出されておりますし、今後新しい路線を選んでいく場合には、そういった交通需要はもちろんでございますが、地域開発効果等も十分に勘案をしながら決めていきたい。単に交通量の多い順にやるというような、機械的に単純にやるという考えは持っておりません。
  77. 小野信一

    小野委員 大変難しい選択であることは私も十分理解できますけれども、三十二年から三十年待たされました北海道と四国の住民の皆さんの気持ちも十分そんたくしていただきたいことをお願いいたします。  逆に今度は、東京都民の皆さんに言わせますと、大都市高速道路は常に需要に追いつかない、自動車の保有台数の需要に追いつかない、イタチごっこだ、これじゃ高速度道路をつくっても一向高速道路の価値が生まれないのじゃないか、こういう要望が大変強いのです。  これもだれだって承知しておることなんですけれども、首都高速を見ましても、放射線を先につくって環状線が貧弱なものですから、中心だけが混雑して高速の道路としての価値が半減される、非常に小さくなっておる、こういうことはだれでも認めるわけですが、局長、これに対する何かいい方法はございませんかね。
  78. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 大都市内の、例えば東京におきます首都高速道路の混雑につきましてはもう先生のおっしゃるとおりでございまして、一番大きな原因は、都市の周りの環状線がない。現在、東京を例にとってみますと、環状七号線が、これは一般道路でございますが、やっとできているくらいで、その外側の環状八号線はまだできておりません。それから、特に山手通りを通ります中央環状という首都高速道路計画がございますけれども、これも現在計画中でございます。それから外郭環状道路、これが東京に各地方から流入してまいります高速道路を受ける重要な道路でございますけれども、これは現在常磐道と関越道の間を整備しておりますが、完成はかなり先になるというようなことでございまして、御指摘のように、環状道路整備されないことによって、東京に関係のない車が都心を通ってよそへ出ていくというのが最大の理由でございます。私どもといたしましては、先ほどの御答弁とまた違うようなニュアンスになるかもしれませんけれども、地方の開発的な道路も重要でございますが、やはり大都市内でこういった混雑することは大変大きなロスがございますから、今後とも、その外郭環状道路等環状線の整備に重点を置いていきたい。  ただ、これは非常に過密地帯に道路をつくるわけでございますので、コストやあるいは実際の用地買収等大変難しい問題がございます。現在、建設省におきましても、そういった過密のところにつくっていく場合、地域と一体的な道路整備ができないかというような新しい道路整備手法を検討しながら、こういった大都市の環状線の整備の問題に今後取り組んでいきたいと考えております。
  79. 小野信一

    小野委員 政府の委託したある調査機関の資料を見ますと、二〇四〇年には我が国の物流は昭和六十年の倍になるだろう、こう予想しております。物流が倍になる、物資が倍になるということは、トラックが倍になる、自動車が倍になるということなんだろうと思うのです。そうしますと、高速道路を今の倍につくっても現在の混雑は緩和されないのだという理屈になるのですけれども、もしそういう実態が我が国の物流の背景にあるとすれば、この問題に対して根本的に何か対策を立てないと、今国民が持っておるイタチごっこ論の批判に対応できない、対処できないということになるのですけれども、建設省というのはこの問題をどうお考えになっておるのですか。  そこで、人口千人当たりの乗用車の保有を調べてみますと、アメリカが七百十四台、西ドイツが四百五十五台、フランスが同じく四百五十五台、日本がアメリカの約二分の一強で三百八十五台。そうしますと、日本の所得がアメリカを超えたと言われますから、もしアメリカと同じようなこういう台数になりますと完全に倍になるということになるのですけれども、それに対する将来の見通しをどうお考えになって高速度道路なり日本の自動車道網というものをお考えになっておるのか、その点の見解をお尋ねします。
  80. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 先生が今御指摘になりました、輸送トン数が倍になるというふうにおっしゃったのは、恐らく四全総長期展望、これは五十九年十一月に出ておりますが、中間取りまとめにおきまして、二〇二五年に倍になるというような見込みが出されておるわけでございます。建設省といたしましても、道路計画をつくる場合に、将来の交通需要を見越して、それに対応するような高速道路計画あるいは一般道路のバイパスの計画等行っているわけでございます。現在の見通しにおきましても、二十一世紀にかけて先ほど御指摘ありましたような保有率の増加もまだまだ予想されますし、重厚長大な動きは減っておりますけれども、最近宅急便に象徴されますような個別の貨物がふえているということで、二十一世紀までに、七十五年ぐらいまでに今の約五割増しぐらいの交通需要がある、しかもその分担につきましてはやはり自動車の方が若干ふえる、鉄道、内航海運は減るというような推定がなされているわけでございます。いずれにいたしましても、そういったことに対応できますように、今回の一万四千キロの高規格幹線道路の計画もそうでございますが、道路計画はつくられておるわけでございます。  しかしながら、問題はその計画どおり道路整備が進むかという点で、先ほどの大都市のときの御指摘にもございましたような問題があるわけでございますが、私どもといたしましては、そういった将来の交通需要に対応した計画をできるだけ早くきちんと実現をして、交通混雑を将来ともなくするように今後ともやっていかなければいけないと考えております。
  81. 小野信一

    小野委員 高速道路の交通分担率というのですか走行合キロ、これを見ますと、アメリカの場合は二五・一%、西ドイツは同じくらいで二四・六%、日本の場合には先ほど申し上げましたように五・一%、西ドイツの約五分の一になっております。こういう先進国の高速道路の分担率からいきますと、日本の物流から計算して高速道路の必要キロ数というものは当然計算できると思うのですけれども、その必要キロ数と現在の一万四千キロ構想というものは関係があってきちっとつくられておるものでしょうか。もし関係があるとすれば、これはこういう算定の基礎をもってつくられておるのだ、その内容を御説明願いたいと思います。
  82. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 一万四千キロの高規格幹線道路網計画する場合に、先ほど一時間くらいで高速道路に到達できるということも一つの目安にして行っているように御説明申し上げましたけれども、マクロ的なチェックといたしましては、先ほどお話が出ましたような西独あるいはフランス、イギリス、イタリアというようなヨーロッパ、あるいはアメリカの高速道路、先進諸国の高速道路網がどのような状況になっているかということを見まして、例えば面積当たりの高速道路延長あるいは人口当たりの高速道路延長あるいは保有台数当たりの高速道路延長といったものの原単位といいますか、各国のそういったものを調べまして、そういったものを現在の日本の人口あるいはGNPとか面積に掛けてそういった比較をしております。そうしますと、ヨーロッパ四カ国のそういった高速道路の原単位を日本に持ってきますと大体一万四千キロぐらいになるというようなことで規模を決めております。  その場合に、どのくらいの利用が出るかと申しますと、先ほど御指摘のように、諸外国ですと走行台キロで大体二〇から二五%ぐらいの車が高速道路を利用している。我が国の場合には大体六%ぐらいが現況であるわけです。したがって、我が国では高速道路の利用が大変少ないわけでございますが、現在の計画の七千六百キロが全部できますと推定値だと一一%ぐらいになるわけでございます。まだまだ外国の半分ぐらいでございますが、これが一万四千が計画どおりできますと一八%ぐらいになるので大体欧米並みになるのではないか。日本の場合には、先ほど来議論になっておりますように有料道路でございますのでどうしても有料抵抗というのがございます。ドイツなんかは全部無料でございますから、同じ高速道路であっても、お金を払う場合にそういう抵抗があるから乗らないという、いわゆる有料抵抗と申しておりますけれども、そういうものがありますので、ネットワークは一万四千キロ、大体欧米並みになりますけれども、利用の方が若干低いのはそういった有料道路のせいで二〇%そこそこというようなことになっておりますが、そういったマクロ的なチェックもいたしましてこの計画を決めております。
  83. 小野信一

    小野委員 我々が高速を利用するときは、高速に乗りさえすればスピードが出せますし非常に快適なのですけれども、乗るまでの区間が非常に問題だということと、都内の高速に乗りまして腹が立つのは料金所で待たされるという、この二つが大変問題なのです。  そこで、東名高速の平均インターチェンジ間隔は十五キロだそうです、皆さんがつくったものですからわかっておるのでしょうが。西ドイツのフランクフルトージュッセルドルフの平均間隔は七キロ弱だそうです。高速道路をたくさん利用してもらうにはインターをたくさんつくった方がいいわけですし、インターの間隔が倍あるということは入口が倍混雑することになるわけですから、高速道路をより利用してもらうためには、その辺の解決も具体的な問題として必要なんじゃないだろうかという気がするのですけれども、利用者の不便に対する対策をもしお考えになっておるとすれば明らかにしていただきたいし、それに対する今後の高速道路のインターの考え方、その辺のことと、もしそういうことに何かネックがあるとすれば何がネックなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  84. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 高速道路のインターチェンジ間隔については、先生が今おっしゃいましたように我が国では平均約十五キロございまして、諸外国の値は大体どこを見ても十キロ未満で、大きな差があるのは事実でございます。  なぜこういう状況になっているかといいますと、我が国高速道路が全線有料道路制度を採用しているということで、料金徴収の関係からそれを一カ所に集めてやらなければ非常にコストがかかってしまう、それから交通量の少ないところへ料金徴収所を置くことによって全体の採算性が非常に悪くなるということがございまして、これが外国に比較して我が国のインターチェンジ間隔が倍もあって利用者に不便をかけている大きな原因でございます。  したがって、これを解決するにはインターチェンジをふやせばいいわけでございますけれども、先ほど来出ておりますような有料道路の採算性を確保しながらなおかつインターチェンジをふやすとなりますと、インターチェンジをふやすことによって利益を得るような開発者利益みたいなものをうまく吸収できるようなことがあればいいわけで、そういう手法ができないかとか、あるいは構造的に、現在では全部オフランプで取っておりますが、インターチェンジの格好あるいは料金の徴収方法を検討して何か安くできないかとか、均一料金制をとることによって簡単にできないかとか、そういうことを考えなければいけないと思っております。  それから、これから一万四千キロに入っていく高速道路の中で、開発型の高速道路はやはり地方を通るわけでございますから、できるだけ高速道路を使ってもらわないと採算性もよくないし、地元の方も不便でございますので、そういったインターチェンジをふやすようなことを考えている。しかし反面、有料道路制度で今までの手法を単純にやりますとコストがかかってしまってさらに採算性が悪化するという大変難しい問題がございますけれども、私どもといたしましては、これからの高速道路についてはいろいろな手法を検討しながらインターチェンジをふやしていきたい。最近高速道路の追加インターチェンジが大変多うございますけれども、それも利用者の方が間隔が長いことによって高速道路に乗るのが不便だということに発していると思いますので、先生の御指摘趣旨を踏まえて、これからも勉強させていただきたいと思っています。
  85. 天野光晴

    天野国務大臣 これは道路局長に聞いたのでは勝負がつきませんよ。最初から申し上げたように、根本的に道路財源というものは考え直しをしないと今のような答弁にならざるを得ない。ドイツあたりは無料で高速道路に乗る。日本の場合は国費でやっているんじゃないですから、借金でやっているのですから、その借金の利子と元金を返さなければいけないというので、ある程度制限をされるのはやむを得ないことだと思うのです。ですから、先ほど申し上げましたように、我が国で最大、最高の公共事業である道路一般会計の金が一銭も導入されないなんということはやめなくてはいけないことであります、これが金利がかからないというならいいのですが金利がかかるわけですから記  それでも私が出てきたときには、一本一本の高速道路特別会計だったのです。それじゃ、私は東北ですけれども、私のところの横断道路なんというのは、孫子末代、ひこの代まで、百年間たったって金を払わなければならないわけです。そういう点で、後から気がついておしかりをこうむったのですが、中央道、東名高速道路、その地域の人たちはもうそろそろ借金を全部払ってしまうという段階だったものですから、それでそれを一本一括に、今の制度に私がやったのです。今から随分前の話です。若いときでしたけれども、これを頑張ってやったのです。ですから、四国であろうが中国であろうがどこであろうが、道路をつくったって一体車に乗るのかという場所もあるのですけれども、そういったところだって日本の領土であり、将来の開発を考えればつくらないわけにいかないですから、そういう点でやっていけるわけであります。ですから、インターチェンジも採算性だけではなくて、将来の開発性も見込んでやれるようにしたらどうだという提言を私は事務当局にしているのでございまして、できるだけ御不自由のないような格好にだけはしたいと考えております。  くどいようですけれども、道路財源それ自体について、ここはイデオロギーのないところですから、これは私は党に戻りましたらやりますから、その点ひとつ御協力願えればありがたいと思います。
  86. 小野信一

    小野委員 ランクをずっと下げて、小さい問題をお尋ねいたします。  国土開発幹線自動車道等総括表によりますと、道路名の中に中央自動車道という名称が三つございます。これは東京周辺の運転手さんだとわかるのですけれども、地方から来たトラックの運転手さんは大変困るようです。ただ標識を見ますとおのおの名神、富士吉田、東名と記してありますからいいような気がいたしますけれども、実際の標識には具体的に書いてあって法律では中央自動車道、これは何の理由でこうなったのかわかりかねるのです。もし前の経過などにこだわる必要がないならば、どっちか一本にして、わかりやすいように利用者の便を第一に考えて改めた方がいいのじゃないかと思うのですけれども、まずこういうことにした背景といいますか理由、改正できない背景、そんなものの意見をお聞かせ願いたいと思います。
  87. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 この法律上の名称につきましては、路線性格を的確に表現できるように、終点とか経過地等を勘案の上決めているのじゃないかと思うわけでございます。したがって、私どもといたしましては、供用開始後に使用される道路名称については、一般利用者の利便性を考えまして、わかりやすくて簡潔であるとか所在地を明確にするとか道路標識の表示について見やすいというようなことを考えておりまして、東名は東京と名古屋を結ぶ道路ですから東名、私どもは先ほどから東名と申しておりますけれども、正確に言えば東海自動車道というふうにお答えしなければならないわけでございますけれども、法律はそういった正確さというものがどうしても重点になりますのでそういう名前になってきているわけでございますので、それはそれとして、使いやすい通称名でもって使っていけばいいのじゃないかなと考えております。決して直せないとは思いませんけれども、どうしても法律ですとほかと区別できないといろいろなことがございますので、決して法律を軽視するわけではないのですが、利用者の便を考えでわかりやすい名前でやっていこう、例えば四国でも横断自動車道とか縦貫自動車道となっておりますが、松山自動車道とか香川自動車道とか、実際に標識に書くのはわかりやすい、地元の人になじみやすいものを使ってやっておるわけでございますので、そういう供用したときの名前をわかりやすくするということで今後行かしていただければありがたいと思っております。
  88. 小野信一

    小野委員 これは関係ございませんけれども、また大臣に大きいところでお聞きいたしますけれども、私たちが外国に行く場合に成田までの遠いのには参ってしまいますし、外国から来た人も東京までの距離の長いのにびっくりしております。それで、混雑されますともうどうにもならない。日本に入って第一印象が非常に悪い方向に向いてしまう。この成田空港を例えば貨物専用の空港にして、乗客のための空港をもう少し近いところに、利便のいいところにつくるというような大きな構想で高速を考える、こういうことは考えられないものでしょうか。大臣、運輸省の領域ですけれども、少し建設省の方からどうですか。
  89. 天野光晴

    天野国務大臣 それはそのとおりだと思います。私は成田へつくるときに反対したのです。羽田沖を埋め立てすればいいのじゃないか、手近なところにしたらどうだというふうに言って随分反対したのですが、大きな政治力で成田に移ったわけでございます。成田に移ったところが、これ何年たちますか、完全な飛行場がまだできないわけです。終始一貫反対闘争で、全国から警察官が何千人も集められてもできないというような状態ですから、大先輩たちの先見の明はなかったと私は言いたいのであります。  今度羽田空港が相当大規模に開発されてでき上がってきておりますから、成田をそっくり移すというわけにはいかないだろうと思いますが、羽田の飛行場を利用する、国内だけでなく国際線も入れることができるのじゃないかという考え方をしておりますので、これは私、余計なことだと同じ建物に入っていても運輸大臣におしかりをこうむりますから、よく運輸大臣の方に連携をとって先生意見を述べておきます。
  90. 小野信一

    小野委員 最後に、財政の問題にもう一度戻りたいと思います。  公団の方のどなたかがおるとよかったのですが、昭和六十年度の決算で有料道路料金収入を見ますと一兆七百五十二億円入っております。日本道路公団だけでありますと、高速分と一般分で八千三百八十六億円。  先ほど御答弁をいただいたのでは、運営費というのですか経常費というのですか、元金なり金利に支払うことのできる金額が千六百億円だ、これは事実ですか。それとも、その千六百億は償却費として積み立てておいて、金利、元金は支障なく毎年支払っている、こういうことですか。
  91. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 先ほど公団の理事が御答弁いたしました千六百七十九億円と申しますのは償還に充てられる金額でございまして、利子とか債券の償還等が終わった残りの金額でございます。これが高速道路の全体の償還に回る金でございます。——千六百七十九億円とたしか申したと思います。
  92. 小野信一

    小野委員 千六百億円が償還財源になるとすれば、これから有料道路が要するに採算の悪いところがつくられていく、この距離に従って支払い金額が大きくなり、料金収入がその割合にはふえない、こうなった場合に当然ある時点で日本道路公団の会計が、収支がどうにもならない時点が来るのだろうと思うのです。そういう心配はないのですか。心配があるとすれば、今の数字の趨勢からいっていつごろそういう行き詰まりになるとお考えになり、そのためにはいつかの時点までには高速道路のこの会計に対してしっかりメスを入れなければならない、こういうことになるのだろうと思うのですけれども、それに対する見通しはいかがですか。
  93. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 この千六百七十九億円が仮にゼロになりますと償還ができないということになりまして、これがマイナスという数字が出てくると破産ということで赤字が累積する状況になるわけでございます。したがって、これは財務諸表でございますけれども、こういった数字をにらみながらこれが常にプラスになるように、必要な場合には先ほど来申し上げましたような料金の改定を行う、あるいは資金コストを引き下げて利子補給を大きくする、こういうことを常にとっておりませんと御指摘のような赤字になるおそれがあるわけでございますので、私どもはこういった財務諸表等、収支を示す値については常に留意していかなければいけない。これは償還が終わるまで常に注意していかなければいけないことではないかと思います。
  94. 小野信一

    小野委員 最後に大臣財政論をもう一度お聞きしたいと思っていたんですけれども、局長、料金体系の改正なり内部のむだの排除、合理化、こういうものは当然ですけれども、それだけではこの一万四千キロ構想高速道路の採算性は無理なことはお互いに十分承知しておるわけですから、根本的な対策を思い切って上げる、花火を打ち上げてみる、こういうことを大臣に少し献策をいたしまして実行していただきたいことを希望いたしまして、終わらせていただきます。
  95. 村岡兼造

    村岡委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  96. 村岡兼造

    村岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。坂井弘一君。
  97. 坂井弘一

    坂井委員 一万四千キロメートルに及びます高規格幹線道路網全国に張りめぐらしまして高速交通体系を整備をしましょう、これは四全総の定住と交流ということを可能にする一つの大きな柱という位置づけのようでございますが、さてそこで、この一万四千キロメートルの高規格幹線道路網、この建設はもちろん賛成でございます。賛成でございますが、こういう高速体系を整備いたしますと、定住と交流というのだけれども、これまたモチーフが全く二つの違ったことだと思うのですが、果たして交流あるいは定住ということを促進していくことになり得るのかどうか。つまり、逆の面からいいますとそれがかえって集中の方向に、つまり農村部から地方都市に、地方都市から東京圏、大都市圏に向かうようなことにならないのか。集中を促すのか、あるいは分散を促すのか。ここで言うこの一万四千キロメートルに及ぶ高規格幹線道路網整備ということは、交流ですから地方も栄えるぞ、こういうことでありましょうが、その辺の自信はしっかりおありなんでしょうかということをまずお尋ねしながら進めたいと思います。
  98. 長沢哲夫

    長沢政府委員 お答え申し上げます。  四全総におきまして一万四千キロの高速交通、高規格幹線道路を含めまして、それに地域交通体系も加えて全国的に交通体系のネットワークを構築していこう、こういう考え方でございまして、先生おっしゃってくださいました定住と交流を両立させる条件だというふうに私どもはこの交通体系を考えております。つまり、全国主要な都市間を約三時間程度で行って、用を足して一日で帰ってこられるという全国一日交通圏を構築していこう、こういう考え方でありまして、そういうふうにアクセスがよくなりますと、必ずしも東京に一極集中して住まわなくても高度の経済活動あるいは文化活動等にアクセスできる条件が整う。したがって、むしろ分散を進めていく重要な条件づくりという考え方でこの交通体系を構想しているわけでございます。
  99. 坂井弘一

    坂井委員 一万四千キロメートル構想、この整備は定住と交流、この二つの条件を確保するものである、確かにそうあってほしいのです。ただ、今までの例あるいはこの現状をずっと見できますと、道路ができたら、いつかも私はここで言ったかもわからぬが、便利がよくなると、どうしても都会地、人が集まっているところに向くのですな。交流と言うけれども、向こうから来ないのですな。人口は定着しない、過疎化がどんどん進む、こういう一つのジレンマがあった。道路は欲しい、されど道路がつきますと過疎化がなお進行する、この矛盾。これは一体何なのだろうかということをやはり考えなければいけない。  そういたしますと、水は低きに流れる、金は高きに流れる。道路も高きに流れる。今までは高きに向かい、高きに流れたのですな。その高きに流れないように、低きに流れるような道路づくり、これがまさに今求められている道路だろうと私は思う。つまり、地方がますます過疎化していく、この活性化をしなければいかぬ、地方の資源も見直さなければいかぬ、こういうことですね。それから多極分散だ、こういうのですね。それを可能にする道路という位置づけで一万四千キロメートル構想がここにでんとあるのだ、まさにこれによって交流が、今までは一方的、一方通行だが、これからは交流です、しかも地方には人口が定着します、そういう道路なのですよ、こういうことですね。  一万四千キロメートルを完成すれば、質のいい道路で早く完成すれば、今の構想、定住と交流という考え方は成功するであろうと私は期待したい。逆にもしこれがどんどん先に延びていって、計画は立った、構想はある、しかしなかなかにして進まぬぞということになって中途半端なものに終わりますと、今までの道路建設の今申しました悪い例で、そういう高きに向かうような道路になってしまう恐れもある。ですから、私が申し上げたいことは、この一万四千キロメートル構想は大体三十年ぐらいかかるというが、もっと早くできませんか。
  100. 天野光晴

    天野国務大臣 先ほどもお話をちょっとしたことなのですが、早くやればやるほど赤字が少なくなるわけです。そうですから、理論的に言えば早くしなければいけない。ですから、今までの予定の二割か三割ぐらい早目にやるように計画を立てたい。そうするためには、あくまでも借金でやっておるのですから、借金を減らさなければいけないということになるわけですが、財政投融資をどの程度使えるかということをこれから厳重に検討をいたしまして、そして今言ったようにどんな場合でも三年ぐらい、三〇%ぐらい早目に仕上げたいという考え方でおります。殊に不便なところほど早くやるべきだと思います。今までの方針では、不便なところは収入が少ないのですから、なるたけやられないわけですから、だからそういう点で十二分に財政当局と詰めまして措置は講ずるつもりでおります。ひとつよろしく。
  101. 坂井弘一

    坂井委員 道路整備していくということは非常に大事なことであります。同時に、交流と定住を可能にする、この二つを確保するもう一つの大事な要素は何かといえば、道路をつくると同時に、そういう地方圏において生活密着型の社会資本といいますか、それも質のいいそういうものを整備していきませんと、つまり生活するには満点の環境ができ上がって、そういう社会資本もぎちんと整備ができて、この地域は非常にいいぞ、これをなおざりにして道路をつくったならばこの目的と反してかえって東京に向いてしまうぞということを私は実は申し上げたかったものですから、今のような御質問をしたわけであります。地方におきますところの社会資本、特に生活関連の公共社会資本の整備、これは私は喫緊の課題と思いますが、この辺についてのお考えもあわせてひとつ大臣から御答弁いただければと思います。
  102. 天野光晴

    天野国務大臣 もともと国土計画法という法律は私の責任てつくった法律です。それですから、一極集中型にしないためにつくったわけだったのですが、法律が完全に理解されず、そして実行されないまま来たものですから、現状は一極集中型になった。ところが、今度の改正に当たりましては、どうしても一極集中では困るというので地方分散でやるということなんですが、これは言うのは簡単ですけれども、人がついていかなくちゃだめなんです。  そういう点で、これは私どもの権限外ですから余り発言できないのですけれども、暫定的な措置としては、今の東京都の始末をどうするかをやって、それ以上はやらないというような格好で、その間やはり十年ぐらいかかりますから、その間に本当の、要するに産業と人間がともに分散するというような格好のものにしなくちゃいけないのじゃないかな、私はそう思っておりますが、今はそれは担当は国土庁ですから私の方でとやかく言うべき筋合いのものではございません。近く私も党に帰りますから、そのところでこの問題は自由自在に先生方のお力もかつてやりたいと思いますから、その点ひとつよろしくお願いを申し上げて、答弁にします。
  103. 坂井弘一

    坂井委員 地方の方が自動車の保有台数が多いと言われますが、確かに地方圏の自動車の保有率が三大都市圏に比べますと相当超えているわけですね。保有台数で見ますと、昭和五十八年、千人当たり三大都市圏では三百十一・九台、地方におきましては三百九十八・四台ということでありますから、これは相当地方の方が多い。やはり車がありませんと生活ができないのですね。仕事にならないということですね。  そういう意味からいいましても道路の必要性ということはよくわかるわけでございますが、同時に、先ほどから申し上げておりますように、道路整備が一極集中型の社会から多極分散型に移行が期待されるような道路づくりでありたい。したがいまして、四全総でもこの道路建設計画の柱となる性格のものであると思いますし、こうした道路ネットワークを強化充実するということによりまして、トラックとか産業とかという面だけじゃなくて一般乗用車——いろいろな車が走りますが、最近はすべての車が経済的な意味を持っているわけであります。この国幹道法ができたころは、これはやはり産業の振興ということに重点を置かれたのですね。今は産業、工場だという概念でとらえていたのではやはり時代には合わないのですね。道路をつくる、その道路の上を走る車というのはどうしても乗用車が多いですよ。若者の車もありますよ。二輪車もありますよ。レジャーの車、観光の車、いろいろあるでしょう。しかしながら、そういう車がすべて経済的な大きな意味を持っていると思いますね。  そういうことを考えますと、定住と交流ということの中で地方における魅力というものは、この前も申し上げたかと思いますけれども、自然資源、恵まれたそういう資源がやはり地方にありますね。これを見直すような地域における資源の活用、天然資源、自然資源、観光資源、こういうものを活用してやはり魅力ある地域づくり、地方づくりということがあわせて行われなければならぬ。そうでありませんと、どうも交流と定住だとこのモチーフは一見全く矛盾するんですな。それが可能だということであれば一体どういうことなのかなと思って考えてみますれば、やはりもう一方における地方のそういう魅力のある地域づくりかな、同時に、質のよい公共社会資本をしっかり整備することかな、そうでなければ道路をつくったことがかえってあだになってしまうということも、これは恐れなければならぬ。なぜ私がそれを言うかというと、これから大臣の御意見を伺っていきたいと思いますが、やはり東京一極集中に歯どめをかけるということは容易ならざることだと思うから、このことを最初に口やかましく実は申し上げているわけでございます。  首都圏がますます隆盛といいますか栄えます。比べまして地方経済の地盤沈下、これは確かに深刻なものがありますね。日本列島の中でそういう格差というものが最近においてとみにぐっと開いてきた。ここのところをどう埋めるのか。つまり、地方経済の自立的な発展基盤、それを整えるための高速幹線道路でなければならぬ。またそのことのために、例えばコミューターもあるでしょう、いろいろな高速交通機関、それらを整備いたしまして、全国的インフラの整備といいますか、これは国の責任でやらなければならぬ。同時に、先ほどからくどくどと申し上げますが、魅力のある地域づくり、地域におきましては、自立できる経済基盤づくり、質のよい社会資本の整備、やはりこれらをあわせてやらなければならぬということを強く感ずるわけでございます。  そこで、この道路づくりというものは総合的な見地から道路行政が進められなければならぬという角度から、もう一点意見として申し上げておきたいと思うのです。  道をつくるということが道路だけに着目していたのでは、これからの新しいモータリゼーション、車社会といいますか、その問題の解決にはならぬぞ、国土計画あるいは地域計画地域計画だけではなくて都市計画との協調ということもやはり考えなければならぬ。一方の地域だけじゃなくて、都市計画それから地域づくり、これとの協調ということもやはり考えながらこの道路づくりも進めていかなければならぬでありましょうし、もう一方、自動車産業というのは物すごい巨大な産業になりましたね。国際化ということもあります。そういう関係からも、道路行政は将来の自動車のあり方とやはり相互に関連する問題ですね。  何を言いたいかといいますと、道路をどんどんつくらなければいかぬということでつくってきたのですが、道路をつくったよりも車のふえ方の方が大きかったでしょう。極端な言い方をしましょう。どんどんどんどん車ができてあふれできますと、これは理論的には、日本国土を全部道路にしてしまっても足らなくなるのです。今は車社会です。こういう車社会。限られた日本国土、可住地面積、その中に占める道路の比率。今度は車が道に出てくる。それらを将来車社会という中で、車との関係において道路づくりということをどういうふうに考えているのか。もちろんそのことは頭に入れて随分計画の中に織り込まれてきたことでありましょうが、なおその辺もしっかりした国土づくりという観点からとらまえていただきたい。言いたいことは、流されてつくるのじゃだめだということです。たくさん車が出てきた、道が込み出した、込み出して利用度が高いから、そうしたらここをつくったら採算が合うから道路をつくりましょう、こういう道路づくりは一番下の下だということを申し上げたいということであります。これは意見として申し上げるわけであります。そういうことでありますから、道路をつくるあるいは新幹線、コミューターを全国に張りめぐらす、それだけで地方が活性化するのではない。そういう考え方は安直であり、かつ八方美人的だ。多極分散を可能にするためには何をしなければならぬのか。総花的であってはならぬ。これは的を絞らなければいかぬぞ。  それでは国土庁にお伺いしたいが、多極分散というが何を具体的に分散するのですか。ちょっと教えてください。
  104. 長沢哲夫

    長沢政府委員 多極分散型国土の形成を目標といたしまして、四全総全体としては交流ネットワーク構想という開発方式を採用しているわけでございます。この交流ネットワーク構想というのは実は三本の柱から成っておりまして、高速交通体系等の整備はその一つであります。  そのほかに、先生指摘地域が主体となった個性豊かな魅力ある地域づくりということが重要な柱になっているわけでありまして、具体的には地方圏において中枢的な都市機能の集積拠点を形成していく、あるいは先端技術産業の集積拠点を形成していく、あるいは特色ある農林水産業の拠点を形成していく。また国際化時代ですから国際交流拠点も地方圏につくっていく、こうしたプロジェクトが大きな柱として含まれているわけでございます。  またもう一つの柱としては、交流の機会づくりということで、都市と農山漁村との広域的な交流あるいは産業・技術ネットワークあるいは大イベントの持ち回り開催、姉妹都市地域レベルでの国際交流、こういった多様な交流機会を地方圏でどんどん持っていく、こういったことがもう一つの柱になっているわけでございまして、交通体系整備とあわせてこれらが行われることによって分散の条件が次第に形成されていく、こういうふうに考えております。
  105. 坂井弘一

    坂井委員 地方にあるもの、その魅力を引き出すための環境の整備、漁業あるいは農業あるいは観光資源、そういうものを整備をする、社会資本もうんといいものを地方につくる、これは大事ですよ。  しかし、私が今端的に聞いているのは集中と分散。一極集中、それに対して多極分散、こう言うのです。東京に集中し過ぎたのです、集中し過ぎた。今度それを分散する。何を分散するのですか、私はこう聞いておるわけです。既に集中されたもので何を分散するのですか。
  106. 長沢哲夫

    長沢政府委員 東京に集中している機能は極めて広範多岐にわたるわけでありますけれども、整理して申しますと、一般的な都市機能がまず集中しております。その上に首都機能が集中しております。その上に、最近の傾向としては世界の情報センター、金融センターというよう盾形で世界都市機能、国際機能が集中している。こういう状態でございますから、それぞれの機能について極力過度の一極集中がこれ以上進まないように、そして、できればそれを地方に分散していくように施策を考えていく、こういうことでございます。
  107. 坂井弘一

    坂井委員 東京に金融センターあるいは情報センター機能、それから、これ以上進まないようにとかできれば分散、その消極的な考え方じゃだめですよということを私は言いたいのです。  端的に申しましょう。何を分散するのか。例えば、この前もちょっと触れたかと思いますけれども、地方への多極分散に必要な核づくりということになりますと、一つは、中央における中枢機能とか機構、これを思い切って地方へ持っていかなければ——例えば皇居、例えば各省庁、例えば国会、例えば司法機関、その移転をどれかやるか。これも後で伺っていきますけれども、それをやるまでに段階があるかと思うのです。その一歩として国立大学あるいは研究機関はこの際全部東京圏外へ持っていったらどうかなぐらいに思いますね。  これからの日本は技術立国から研究立国ですよ。頭です。教育、そして新しい研究によって新しいものを開発していく、そういう時代でしょう。そうすると、もう一方で見ますと、地方は高齢化が大都市圏の比しゃありません、地方の高齢化の進行。しかし、一方においては自然環境の豊かな非常にいいものが地方にある。考えますと、まず第一段階は教育機関、研究機関を東京から地方へ持っていく、これくらいの思い切ったことを考え、なければ、一極集中を是正して多極分散へという四全総構想はその方向には向かわないと私は思います。本当にそうありたい。そして国土の均衡ある発展を期したい。日本列島は狭いと言うけれども、そうじゃない。埋もれた地方においてはそういう資源がいっぱいある。日本の将来の有為な青年が、学究の徒が地方に集まっていく。そこで伸び伸びと研究をし、学問、研究に携わる。これぐらいのことは考えたらどうですかね。ちょっとその辺で大臣、お考えがございましたら……。
  108. 天野光晴

    天野国務大臣 私の恩師で河野一郎という先生がおりました。河野先生いわく、東京都の人口は七百万以上にしてはいけないよ。現在一千万になっておる。この三百万を移住させなければいけない。移住するのにはまとまって移すことになるから人がついていくような移住の仕方にしなければいけない。そこで二つある。一つは工場だ。工場を地方に移転する。もう一つは大学校だ。大学校は、富士山の上でやったって伊豆の大島でやったって教育は同じだ。そういう点で東京にある大学を全部移そうという計画が筑波学園都市になったわけであります。  これは私が一年生のころですから、後継ぎができなかったわけでありますが、その河野構想が——あの筑波学園都市というのは一体どうなったので。しょう。東京教育大学一つ行っただけでしょう。そして場所があり過ぎるという。あり過ぎますよ、全部持っていくわけだったんですから、六大学全部。私立大学は全部移すというわけでした。そうでないと、いわゆる商売をやっている者は一緒に移動しない。一つくらい行ったのではだめだ、だから全部持っていくというのが河野一郎の考え方でした。そして死んでしまったものですから、後継者が出てこなかった。まことに申しわけないわけでありますが、役所もそれを完全にそのとおり、そこまでは河野一郎の思想でやった計画なんですが、学園都市をつくることにして、そのままとまってしまった。しかし土地はあいている、何とかしろということで国の研究機関を全部移した。移したけれども、まだそんなことではどうにもならないほど場所がある。そこで筑波大学をつくった。それでも余っていて困った。それで住宅公団が頼まれてそこへ住宅団地をつくるという作業を今やっているわけです。だから、それ自体が既に今から二十年も、二十年じゃきかないな、前にあるわけですから、そういう格好でやらないと、ただ作文だけつくっても動きません。  そこで、私のことをちょっと申し上げてもいいですか。——福島県というのは二百キロ圏内でありますから、今新幹線で一時間三十分で行けます。これが近い将来一時間に短縮されます。そういう観点から東京圏はやはり二百キロ圏まで入ってもいいのではないかという考え方をしております。  そこで、御案内のように私の県は発電県でございます。明治時代、東京電力がまだ電灯会社と言った時代の電力の三分の一は私の方の猪苗代湖の発電所で供給していたわけであります。私が県会議員になってから開発した只見川電源開発というのがありますが、これの大体八〇%が東京に来ております。今、私の県の浜通り地域に電源開発をやっております。原子力発電所が二つ完全に完成しました。火力発電所も四つばかり完成しているのですが、原子力発電所がもう一つと、火力発電所ができます。そうしますと、二千万キロワットという膨大な発電ができます。それを全部東京へよこすのではどうにもなりません。そして今、人間の生活で欠くべからざるものは電気と水だと私は思っているのです。そういう点で、せめて東京へよこす電気は我慢するとしても二〇%は地元で使え、そういう考え方で今度の四全総の中には吾妻山系開発というものも一言入れてもらってあるのです。そして今、電気料金が原子力発電所は特別補助金が、たしか電灯料金が一五%、電力料金が一〇%ですか、出ています。だからそれを、二つの改正をしろと今国土庁に申し入れたのですが、今度の改正までには追いつかなかったわけであります。  その二つの改正の一つは、他県に電気をつくって送るのだから、例えば新潟県とか富山県とかいろいろ発電県がありますが、それは全部自分の県で使わないでほかへ送るのだから、送るのは原子力発電所だけでなくて火力発電所も入れろ、領域をふやせ。もう一つは、電力料金と電気料金を一本にしろ、そして電灯料金と電力料金を同じにしろ、そうすればその地域の発電のうち二〇%を地元に落とすことになって、その電気を東京より一五%安い電力料金で使えることになれば、東京から無条件で電気を原料とする産業は移ってくるわけであります。国土利用計画法で相当膨大な助成金も出します。そして今東京の土地は、工場のあるところはどんなに安く見たって一坪五百万なんという土地はないでしょう。これを十坪持っていたら東京でやっている工場の二十倍も三十倍もの土地が買えるわけですから、そういう格好でやらなければいけないという主張を今やっているのですが、そういうことを政府みずからが考えを出して、東京の人口を減らすにはどうするかということでやれば私はできると思うのです。  今の電気を原料とする産業は数多くあると思いますが、農村の人はおわかりだと思うのですけれども、私が頭にこびりついているのは、私は子供のころ、子供といったって十五、六のころ、百姓をやっておってどうしても買ってもらいたかった肥料があります。硫酸アンモニアという肥料なんです。そのころは肥やしの神様だったのです。ところが、どうしても買ってもらえなかったのでいまだに頭に張りついているのですが、今でも硫安という肥料は使われております。これの原料は一〇〇%電気です。また、アルミニウムなんというのは八〇%は電気が原料です。ですから、そういう産業は電気の扱いだけでも無条件で移るという考え方を私は持って提案しているのですが、なかなかお役人様というのは偉いものですから取り入れていただいていないわけでありますけれども、この問題もイデオロギーなしだ。これは全部で勉強して役人どもを引きずっていくというような仕事をやるようにいたしたいと考えておりますから、今後ひとつよろしくお願い申し上げます。
  109. 坂井弘一

    坂井委員 河野一郎先生の、教育は筑波、政治は富士山ろく、経済は東京とか、いろいろなあれがありましたですね。  それで最近、東京都知事の鈴木さんがこう言っているのです。多極分散、そうでなければならぬだろう、今の東京はもう本当に過密になってしまった、だから東京集中を抑えるつもりならば、民間に地方へ行きなさいと言う前に、あるいは工場は地方へと言う前に政府みずから範を垂れるべきである、国の機関を地方へ移すべきだ、そうすれば民間も説得できる。けだしもっともなことだ。国からですよ。政治、行政の機関、中央省庁ですね、これを地方へ移しなさい。至極もっともな見解であろうと私は思います。  ついでにもうちょっと御紹介しておきたい。これは中曽根さんに大変悪いのですが、鈴木都知事が言っている。地価対策で総理が山手線内側の容積率緩和などと都心への集中をあおるような発言は困ります、これもそうだと思うのです。つまり、東京に人が集まり過ぎた、それに伴う弊害はいっぱいある。もし一たん災害が起こったらどうなるのだろうか、非常に不安な状況ですが、この事態にだれも責任を持とうとしない。それで東京の最高責任者である都知事が、確かに東京への集中はひど過ぎる、多極分散だ、そのとおりだ、東京集中を抑えようとするならばまず政府機関から地方へ行ったらどうですか、容積率を緩和するからどうとかと無責任なことを言ってもらっては困る、こういうことです。まことにごもっともな御意見だと思って私はこれを拝聴いたしました。  もう一つ、遷都論、分都論あるいは展都論。これは昔からあるのです。浮かんでは消え、消えては浮かびながら今日まで来ましたが、もうこの辺で思い切りをつけて、遷都とまでは言いませんけれどもせめて分都、これを具体化しなければならない。鈴木都知事が言っているのはまさに分都論です。国の機関が地方へ行ったらどうか、民間もついていく、本社機能もそうなれば地方へ行くでしょう、この鈴木さんのは恐らく分都論の範疇での話だろう。この方が現実性があります。いきなり遷都だと言ったらこれはなかなか人ごとだというのは、四全総か三全総か、この次は国土庁長官がおいでになれば本格的に議論したいと思っておるのですが、これはなかなか大変だということを全総の中に書いてあります。そうだろうと思う。したがって、この現状を打破するという意味においても、最も効果的な実現可能性のある手法はといえばやはり分都でしょうね。  そういうことを頭に置きながら、さかのぼって昭和四十八年二月二十八日、当時の金丸信建設大臣が当建設委員会におきまして次のような答弁をされています。現在の東京は、土地、公害、過密問題が限界点に近づいており、これを解決する一つの方法として首都移転を検討している。具体的な計画は、四十八年度から首都圏整備委員会で実施する調査に基づいてまとめる方針だが、首都移転の事業費は少なくとも二兆円以上かかるだろう。また、首都を移転する場合には、まず政府みずからが行政機関を移すことが必要だが、皇居も移転した方がよいと思う、こう言われておるのです。  時代はそれからかなり下りまして、現在の方がこういう考え方を進めるもっと深刻な事態にあると思うのですね。またもう一つのとらまえ方は、絶好の機会、ある意味では時を得たと思います。内需拡大とかという要請があるからという意味でもありませんが、まさにこの一極集中を打開して多極分散型の国土をつくるべき条件というのは、いろいろな意味で内外の要請というものが今ほど熟したときはないのじゃないかなあというような気が私はしますね。逆に言いますと、この機を逸しますと一体日本はどうなるんだろうか、まさに東京沈没じゃないかぐらいに思いますね。  この間、ある地震学者に来ていただきましていろいろなお説を伺いました。日本の権威あるその学者いわく、もし今東京においてあの関東大震災を上回る地震が発生したならばどうなるか、お手上げでございます、私は責任は持てません、だれか責任をお持ちになれる方がおありなんでしょうかね、こう言われました。国会におきましてもそういうことについてもっと真剣な議論をひとつやっていただきたいと思う、我々学者の、専門家の意見も聞いてほしいと思う、極めて深刻な赤裸々な意見を実は伺ったわけであります。  今ある金を、財政を東京に投下して東京の改造をやってみたとて、それはしょせん東京にどんどん人も金も物も集中させるだけだと私は思う。東京に資金を投下するなどは言いませんよ。それ以上に大事なことは何かといえば、集中を抑える、今ある集中し過ぎたものを地方に分散するということ、それぐらいの積極的な考え方を持ってそういう具体的な構想を進めていくということでありませんと、本当に四全総は絵にかいたもちに終わってしまうのではないか。そうなったら日本は大変だぞ、東京は大変だぞと思うわけであります。金丸信当時の建設大臣昭和四十八年、今御披露申しましたような答弁があるわけでございますが、今日、これが遷都論でありますか分都論でありますか、私はよくわかりませんが、このような遷都、分都の考え方、これは今行政当局には、建設省あるいは国土庁にはこの考え方はやはりあるのですか。具体的にやろうというようなことで調査もされているのですか。その辺の腹づもりといいますか、決意の方はどうなんですか、伺いたい。絵にかいたことを、作文だけを四全総、三全総で見たって何にもならぬ、そんな気がするものですから、これは行政側の責任のある、こう行動するんだ、本当にやるんならやるんだというものがあるのですかどうなんですかということを伺いたい。
  110. 長沢哲夫

    長沢政府委員 四全総におきましては、「業務上独立性が比較的高い中央省庁の一部部局、地方支分部局等の政府機関の移転再配置等を検討し、その推進を図る。」あるいは先生もおっしゃいました、「新たに設置する全国的文化、研究施設について原則として東京外への立地を図る。」こう明記されておりまして、考え方としては分都あるいは展都の方式による首都機能移転の方向づけをしているわけであります。さらに、もっと抜本的な意味の遷都論につきましては、国土政策の観点のみでは決定できない面がありますために、「国民的規模での議論を踏まえ、引き続き検討する。」こうされております。先生から力強い御指摘をいただいたわけでありますが、単に作文に終わらせることなく、本腰を入れて国民各界に御議論をいただき、コンセンサスを形成しながら進めていくことを考えていきたいと思っております。
  111. 坂井弘一

    坂井委員 私は、この東京が明治以来日本の首都としての機能を存分に果たしながら、発揮しながら、加えて最近におきましては金融、情報を中心にいたしました世界都市ということになってきた、それはよくわかるのです。しかし、この傾向というものを是認いたしまして東京圏に財政資金を追加して投入していきますと、つまり先ほど申しました東京を改造していくということになりますと、さらにこの集積の度合いは高まりますね、人も金も物も。これは自明のことですよ。このことは時代に逆行していることだ、こう申し上げたい。それを国土庁長官が今度おいでになりましたらしっかりお伺いしたいと思いますが、昨年の十二月の四全総の中間報告を見ますと、総理の指示を受けられまして東京重視ということが出たようです。今度の四全総もどうも東京重視の傾向というものは色濃く残っているのじゃないかと思うのです。私は東京を破壊しろという暴論を言うつもりはない。ないが、しかし今、東京はもうこれ以上手を加えたら、ますます人が集まり物が集まって取り返しのつかぬような状態になりますよということを心配するから申し上げておるのであって、そういう状況を見て考えてまいりますと、東京集中というのは、このままほうっておきますと市場原理からいいましても人も金も物ももっともっと集まるでしょうし、確実になお加速化していくであろう、多極分散というのは看板倒れになってしまうのじゃないかということを心配いたします。  そこで、先ほど当時の金丸建設大臣の答弁を引用させていただいたのですが、大臣どうでしょうか、分都論の一つの具体的な手法として中央省庁を地方にという論議の中で、例えば法務省を仙台に持っていきましょうとか、文部省か文化庁は京都あたりへ持っていったらどうかとか、労働省は福岡あたりでどうだろうかとかいうような説も今まであったわけです。建設省大臣の福島か和歌山あたりへ持っていくぐらいの、中央省庁の一部局を地方にというようなみみっちいことを言うのじゃなくて、そっくりそのままどこかへ移しましょうというようなことをひとつ本気になってお考えになったらどうだろうか。大臣、ひとつ閣議の中で御提案になりまして、おれのところとは言わぬが、そうおっしゃっても結構ですが、中央省庁の中の一つ二つ、必ずしも東京になければならぬ——東京になければならぬという省庁、それはあるのでしょう。そうでない省庁もあるのでしょう。であれば、地方は特定しません、どこか地方へ移転したらどうだろうか、それぐらいの思い切ったことをこの際考えなければ多極分散なんてどだい絵にかいたもちだ、看板倒れになってしまうんだというように私は思うのですが、ちょっと大臣、その辺も御所見を伺いたい。
  112. 天野光晴

    天野国務大臣 遷都論は私も随分勉強させてもらったつもりです。根本的な問題は、東京から人口を移すということです。それで、遷都をすることによって、政治の都を移すことによって人口はどれくらい移るかということ、これが問題なんです。ニューヨークからワシントンへアメリカは遷都しました。今まだ人口六十万そこそこです。そうですから、東京からこの国会議事堂を中心とした諸官庁を全部移したとしても、それほど多くの人数が移転するとはどうも考えられないんじゃないかと思うのです。  先ほどちょっと申し上げました学園都市の際の話ですが、二つや三つぐらいの大学を持っていったってどうにもならないというのは、これは河野一郎の思想です。要するに、東京にある大学全部をあそこへ持っていく、そうなれば、その関係の商売は皆移っていくから人口もともについていくという意見がございました。これは、私もきのうきょうではなくて金丸君が答弁する前からこの問題には関係しておりますし、今も遷都論についての自民党の中には委員会みたいなのがあって、それには私も時々出させてもらっておるのですが、それも一つの方法ですけれども、東京からこの議事堂を中心に政府の諸官庁を仮に——別々はちょっと無理だと思うのです。国会をやる、それへ福岡から出て来いなんていうわけにいきませんから、議事堂を中心にやはり移さなければいけないと思いますが、それは一体どれくらいの人間が移っていくのか。今、千何百万にもなったこの東京の人口。アメリカの場合、まだ随分古くなって六十万ぐらいきりないのですから、ブラジリアというあのブラジルの首都移転は一体、このごろは行ってみないから、私も十五、六年前行ったままですから、どのくらい移ったのかわかりませんが、そこらあたりがやはり問題点があるのではないか。一つの方法であり、考えるべきところであると思いますが、もう少し何とか確実で人口がともについていくような方法はないかという考え方をしているわけですが、今の分都はやはり私は難しいと思うのです。やはり遷都でなければいけないと思うのです、まとめて行きますから。まとめて行けばある程度人数もついていくんじゃないかと思うのですけれども、そういう点、今の官僚政治ではちょっと難しいんじゃないのでしょうかね。これも、研究をするのも結構ですけれども、なかなか今の状態では無理じゃないでしょうか。  私、担当大臣でないのにおかしな発言をしては本当に恐縮ですから、その点はひとつお許しを願います。
  113. 坂井弘一

    坂井委員 それじゃ、国土審議会の会長さんのお考えをちょっと御披露だけしておきたい。安藤国土審会長です。  なぜ東京に集中したか。二つあると思う。一つは、東京は国際金融センターの機能がある、いま一つは情報都市化、この二つの面がある。ですから、全国から人、金、物が東京に集中をした。しからばどうか、金融センターの進出ラッシュはいずれ落ちつくと思うと。私もそうかなという気がします。しかし、こう言っている。情報基地としての機能は今後とも東京は続くであろう。どうでしょうかね、そうだろうかなという気がしますね、このままですと。やはり東京というのは大きなパラボラアンテナみたいなもので、アメリカに向かって本当にここに情報が全部集中ですよね。地方におったんでは今仕事ができない、商売できない、生活できない、おくれる。東京に来て情報をいち早くここでつかまなければということでしょうね。この機能だけはやはり続くだろう、こういうふうに安藤さんは見ておる。企業にとっても死活の情報は東京にいなければとれない、こう言っている。そうだと思うんですね。中央集権から、東京へ陳情に行く必要のない地方分権の政治を本当はやるべきだと思うのだが、無理でしょうと。無理だと言うのです。この無理だというところを無理でないようにしていくのが政治だろう、私はそう思うわけです。  この話は余り長くなりますと何ですが、きょうは国幹道法のあれから、実は、一万四千キロの道路網が大事だと私は言うのです。この高速交通体系、道路をつくる。つくるということは、冒頭申しましたように、賛成なんです。賛成なんだけれども、これはなぜつくるかといえば、四全総の中で多極分権型の国土をつくるのだ、その核になるのがこの一万四千キロだ、こう位置づけされている。定住と交流だ。結構です、その考え方は。それであれば、この一万四千キロによって地方が振興する、そうして国土の均衡ある発展が日本の国益にかなう、そのための一万四千キロだ。ところが、そういうことになるためにはもう一つ、繰り返し繰り返し本当に恐縮なんですが、道路だけじゃだめだ、魅力のある地方をつくらなければいかぬ。同時に、中央に集まり過ぎたものを地方に持っていくという手法、これが具体化しなければ、一万四千キロのこの道路をつくったことが本当に効果を発揮することはできないという観点から実はくどくどとこんなことを申し上げているわけでございますので、どうぞその点はひとつ御了解を得ておきたいと思います。  多極分権を実現する方途といいますか、幾つかあると思うのですが、一つは、まさに今安藤さんが、本当は東京へ陳情に行くことのないような地方分権をやるべきだけれども、それは無理でしょうねといみじくも言われた。この無理でしょうと言われたことをやるということです。一極集中の根源である中央集権を排除する。これは西ドイツにいたしましても、欧米諸国の地方分権の状況を見たときには、もう自明のことですよ。やっているのです、これは。国の権限を大幅に地方自治体に移譲する、まずこれが大事でしょうね。これがありませんと、四全総は失敗すると私は思う。まず第一にそれだと思います。  それからその次に、先ほど申しました、中央省庁そのものを地方に分散をさせるということ。これはとてもじゃないけれどもとおっしゃらないで、本当に考えてください。東京が金融センター、情報センター——金融センターとしての機能はやがて落ちつくだろうという見方を安藤さんはされておるようですが、しかし、やはり東京は金融センターでしょうね。それから情報の収集発信の日本の一大基地でしょうね。これは今後ともそうだと思いますよ。しかしそうであっても、そうであればなおかつ国の機関、中央省庁の幾つかを地方に分散させる。大阪なんかこう言っているのです。経済は大阪だなんて言ったのですけれども、金融がもう今東京に打っちゃったですよ、大阪は、金融センターのスペア機能みたいなことでも大阪圏に持たせるということかなぐらいにしか思えませんと。本当は、関西復権だといいまして大阪の産業界というのは今大変ですよ、関西空港ができるというので。その意気込みたるや、まことにこれは盛んではあります。結構だと思うのだが、せめて大阪が国際金融センターのスペア機能でも大阪圏に持たせるぐらいの考え方でも持ちませんと、今のかけ声だけでは関西は本当にだめじゃないかなというぐらいの深刻な感じがしますね。  それから次は、国土というのは本当にかけがえのない国民資産ですよ、土地は。抜本的な土地政策を立てなければだめですな。そして、国民的合意、コンセンサスを得るということだろうと思います。その際の考え方は、やはり何といったって、最近出てきましたが、土地は公共財だという考え方ですね。所有よりも利用活用するのだ、こういうことでコンセンサスを得ませんとだめです。そんな気がいたします。  重ねて申しますが、多極分散を実現するためには、何といっても中央集権から地方分権へ、大幅な自治体に対する権限の移譲、それから中央省庁そのものを地方に持っていく、さらには抜本的な土地政策、それを確立する、こんなことを考えてぜひ進めていっていただきたい。きれいなことあるいは抽象的なこと、美辞麗句を並べて立派な作文、これは、頭の賢い官僚の皆さんがつくられる何々計画とか何々構想はしっかりしたものができると思う。今ここで何が大事か。これはまさに政治的な決断だろうと思う。相当荒っぽい、おまえ、素人のそんな発想で一体何ができるか、何を考えているんだと言われるかもしれません。しかし、今の東京の状態を見まして、この一極集中の弊害、そして一方におきます地方における国土が全く見失われ、荒廃し、人々がここを逃げ出して東京へ東京へと向かっているこの現状を打破して、本当に均衡ある発展を期するためには、多極分散を可能にするためには今言ったような思い切った手法がこの際検討されなければならぬのではないかと思いまして、るる申し上げた次第でございます。  高規格幹線道路の方に戻りますが、この一万四千キロ、約三十年間ということでございますが、かなり長くなりますね。そういたしますと、これはいつになりますか。第十次が六十三年から六十七年、十一次が五年とすれば七十二年までですか、十二次が七十七年。大体何年に終わることになりますか。多少早まるということですか。
  114. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 今考えておりますのは、あと一万キロ建設しなければならないわけでございますので、約三十年ぐらいはかかるのではないかと見込んでおります。したがいまして、昭和九十年ごろまではかかるのではないかという感じでございます。
  115. 坂井弘一

    坂井委員 昭和九十年ごろといいますと、五年刻みですと第十五次ぐらいまでかかるということですわ。法定予定路線七千六百キロのうち三千九百十キロが供用されておりますね。残りの完成が昭和七十五年と見ていいんでしょうか。
  116. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 現在法定化されていると千六百につきましては七十五年までに概成するということで、全部できるというわけではございませんけれども、ほぼでき上がるという見込みでございます。
  117. 坂井弘一

    坂井委員 そういたしますと、新規追加分三千九百二十キロはいつごろからかかるということになりますか。既定路線が大体終わった後になりますか。     〔委員長退席野中(広)委員長代理着席
  118. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 四全総におきましては、もとの七千六百キロも含めまして高規格幹線道路は八千キロから九千キロぐらいまでを七十五年までにつくるということにしておりまして、私どもの方は前倒しで九千キロぐらいまでしたいと思っておるわけでございます。したがって、本法案を御審議していただいて、これが成立した後できるだけ早く新しい部分につきましてもその重要度に応じて着工いたしまして、二十一世紀まででもある区間については完成したいというように、七千六百の分と新しい分とも並行して建設するようになると考えております。
  119. 坂井弘一

    坂井委員 わかりました。  そういたしますと、第十次五カ年計画の総投資規模計画規模事業量、これに繰り入れる路線は全部決まっていますか。
  120. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 第十次五カ年計画は六十二年度から発足の予定でございまして、現在第十次五カ年計画そのものの規模とか、どの程度の事業量をそれに入れるかについて検討しておりまして、その中で新しいものをどの程度入れていくかということもその計画の中で考えていきたいと考えておりますが、どの路線をどう入れるかについては大変難しい問題でございますし、五カ年計画の中で細かなところまで全部決められるかどうかについては、まだそこまで作業が進んでおりません。
  121. 坂井弘一

    坂井委員 例えば、延伸分の近畿自動車道紀勢線が第十次五カ年計画に入るのか入らないのかわかるのはいつごろですか。
  122. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 紀勢線は現在の和歌山線を延伸する道路でございまして、現在の和歌山線の延伸部としまして、海南−湯浅とか湯浅−御坊ということで現在既に一般国道として事業化しているところもございますけれども、その辺の取り扱いも含めてどうするか検討しておりますけれども、五カ年計画でこの新しいもののどれとどれを入れて、どれを入れないというところまできちんと公表できる段階まで作業が進むかどうかは、まだちょっとそこまで申し上げる段階には行ってないわけでございます。  いずれにいたしましても、第十次五カ年計画が決定後、六十二年度中には国幹審を開いて、今までの七千六百で残っている部分あるいは新しく入れる部分のうちのある区間については基本計画なりを御審議願うことになりますので、その過程までには今御指摘の問題についてもお答えができるように準備を進めていきたいと考えております。
  123. 坂井弘一

    坂井委員 時期的に言いまして、八月の末、概算の時期ぐらいまでには大体決まるのですか。
  124. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 五カ年計画全体の規模等につきましては今度の概算要求時点にそれを財政当局に要求いたしますから、要求の案はまとめるつもりでございます。ただ、その中に、先ほど来申し上げておりますように、どの路線とどの路線を入れるとかというところまできちんと仕分けをして入れられるようにできるかどうかは、今検討中でございます。
  125. 坂井弘一

    坂井委員 わかりました。  それで、この一万四千キロの優先度の問題ですけれども、やはり採算性ということをまずどうしても考えるでしょう。考えるでしょうが、考え方としてむしろ採算性を後回しにして、必要性というか、さっき私が言いましたような地域の振興といいますか、しかもそのことは、これからの新しい地域の発展は、この委員会でも先国会でリゾート法が成立いたしまして、やはり地方におきます恵まれたそういう自然資源等を非常に健康的なレジャー、レクリエーション、スポーツ、そんなところに活用していって地域の発展を図るということが大いにこれから行われていくのでしょうから、したがって、昔は産業振興だということがまず第一義にあって、遊びのための道路なんかつくれるかいというような感じがありましたね。そうじゃなくて、遊びというか、そういうレジャーとかレクリエーションとか、非常に広義な意味では、これからの新しい健康産業ですよ。しかもそういうのは大いに地域を活性化させていく宝ですね、この資源は。だから、それに通ずる道路、これは最初はあるいは採算性があったのかもわかりませんね。しかし必要性というか、そういう意味での必要性というのは非常に高いと私は思う。むしろそういうところを優先するぐらいの考え方でやっていただきたいなという希望を込めながら御質問したいわけですけれども、いかがですか。
  126. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 先生指摘のように、有料道路制をとっておりますから採算性も重要ではございますが、今回の高規格幹線道路網そのものが多極分散型の国土をつくるということで各地方が活性化を持つための一つの大きな戦略的手段という理解をしておりますので、当面の交通量が望めないようなところでも、将来の地域開発の効果のあるところとか、あるいはリゾート法も制定されておりますので、そういった考え方も含めた観光開発効果の大きいところも当然着工順位を決めるときの大きな要素になろうと考えております。
  127. 坂井弘一

    坂井委員 利用が少ないから採算ベースに乗りにくいとよく聞くのですけれども、例えば和歌山の四十二号線、南の観光資源といいますか大変恵まれた、白浜温泉とか勝浦ですね、あれを祭日、土曜、日曜走りますと込んで走れないですね、あの行列は物すごいものですね。こんなにたくさん車があって、何でこれで採算がとれないのかなと思うくらい並ぶのですね。あれはどう見ていいのですか。
  128. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 そういう観光地におきましては、休日に交通が殺到いたしますけれども、平日は利用者が大変少ないということもございまして、ならしますとやはり平均交通量というのが予想を下回るということで、一般的に採算性が余りよくないということになっていると思いますけれども、そういった区間におきましても高規格幹線道路を整備することによってさらに交通量がふえるようになれば、また採算性もよくなるということもございますので、先生の御趣旨も踏まえて、今後そういった問題もさっき申し上げましたように選定、着工順位のときに十分考えていきたいと思っております。
  129. 坂井弘一

    坂井委員 観光レクリエーション開発というのでしょうか、それに通ずる観光交通道路みたいな、これはどれぐらいそんなところを車が通るのかというようなことの調査なんかはされているのでしょうか。もしなければ、一回全国的に調査してみるというようなお考えはございませんか。
  130. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 交通量調査でございますが、一般国道交通量調査につきましては、常時交通量の観測機器が設置してございまして、かなり細かなデータがございます。したがいまして、そういうものによれば休日と平日との交通がどうなっているかも十分把握することができるようになっておりますので、そういったものを道路計画の場合には十分参考にして行っているところであります。
  131. 坂井弘一

    坂井委員 東名高速道路等の黒字、これの収入を地方部の不採算、採算のとれない路線にプールして充てる、こういう現行制度の妥当性というのは、それはそれなりにある。しかし将来、補修もやらなければいけませんわ。それから耐用年数が来て補修では済まない、ほとんど全面的にやりかえなければいかぬというような事態もやがて来るでしょうね。というようなことを考えますと、要する資金は膨大なことになっていくんでしょうね。やはり現行プール制というのはそういう意味では限界がありますか。
  132. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 今のプール制につきましては、やはり東名、名神のように先発して安くできた路線の利用が大変多いわけでございまして、そういったものを後発のグループの路線にプールして全体をつくっていくという考え方は、全国的に見て必ずしも不公平だとは言えないんじゃないかと思っております。しかしながら、全体がふえることによりましてそういった先発の例えば東名みたいなところの料金も上がってくるわけでございますので、それに対して東名等のサービスが下がるとやはり利用者の方からもいろいろ問題も出てまいりますので、私どもといたしましては、そういった先発路線道路の混雑を解消するため、例えば大きく言えば今回の第二東名みたいなものをつくって交通混雑の緩和を図って、利用者がスムーズに走れるようにする、また交通容量をたくさん乗れるようにするということをやりますし、また維持管理についても支障のないようにやっていきたいというように考えております。  ただ、全体がそういう採算性の低い路線をたくさん取り込んでまいりますと先発路線だけに頼るというわけにもいきませんので、本日もいろいろそういう御議論がなされておりますけれども、やはり一般会計といいますか、無利子の国費をそういった後発の路線に入れて、現在も既に横断道等では資金コスト三%になるように特別の利子補給を行っておりますけれども、そういったことをやりまして利用者の負担が過度にわならないように、しかもそういった先発の路線の不満が余り大きくならないようにしながら、プール制を守って全体を建設していく、そういう方針ております。
  133. 坂井弘一

    坂井委員 わかりました。非常に難しいあれですね。  今まで特定財源制度と有料道路制度、この二つ道路をつくる推進軸だったのですね。ただ、大臣からも先ほど御答弁いただいておりましたけれども、道路というのは非常に重要な社会資本、公共資本ですね。と同時に、道路というものはいろいろな機能も持っておる。直接の受益者だけが負担するというルールは、最近の事情から見ましてもこれはむしろ公平じゃありませんね。そんなことを考えますと、これからは道路財源としては一般会計からというお考え、これは当然だと思います。これは極めて積極的に推進していかなければならぬ課題だろうと思います。一万四千キロをつくらなければいけませんし、同時にこれからの維持費、道路ストックが大きくなるわけですから、それに伴います更新の費用といいますか、それらも莫大なものになっていくでしょう。そんなことを考えますと、やはり国の一般会計一般財源、これを大幅に投入しませんとこの大動脈、静脈、血を流す大事な道路の一万四千キロ構想というものは成り立たないと思いますので、そういう点では、これは大蔵省に言うべきことでありましょうが、我々もそういう考えでおりますし、今後しっかり推進をしていかなければならぬと思っております。  最後に一つだけ伺っておきたいことがございます。  公共事業も大半が土地代に化けてしまう。道路をつくるとやはり新しく土地が要るわけであります。田舎は、これからトンネルを抜いたり急峻なところをやらなければいかぬというわけで、なお高くつくでしょう。これはやむを得ない部分がある。一方、今度は人々が住んでいる都市化しているところの道路ということになりますと、これまた立ち退きとかいろいろな問題がある。そこで、人が住んでいる、過密化したといいますか、そういうところの道路建設で地下を利用できないかということを聞くわけであります。  地下に道路をつくる、あるいは道路の上にオフィスビルを建てるとか、このことは道路と建物の一体施行によるところの交通空間の創出というような難しい言葉で言われるようでありますが、そういうこともやはり一考を要することだろうとは思います。その際、民間のデベロッパー等々そういう力をうまく引き出す、あるいは民間資金の活用というようなこともあり得るかなという気がするのです。つまり今までの道路をつくるという発想を転換して、地下に道路をつくる、つくった道路の上にオフィスビルを建てる。あるいは道路の上に、例えば区間によっては例のリニアモーターカーというのもおもしろいと思いますが、そういうものも併設をするとか、そういう手法を考えたらどうだろうか。  ただ、その場合にはそういう道路整備するためのコンセンサスがやはり大事ですね。しかしなかなか難しい。そういうことになりますと、コンセンサスを得るための法整備ということもやらなければいけませんね。あるいは、道をつくるということは非常に時間がかかることでありますから、長期間の事業実施のプログラムをどう確立するか。高密度土地の利用あるいは高地価地域道路整備方策、これを今のような観点から根本的に考え直す時期に来たのではないかな、工夫を凝らす時期に来たのではないかなと思うわけでありますが、お答えをいただきまして終わりたいと思います。
  134. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 今先生指摘の、大都市の過密なところに道路をつくる場合に新しい整備手法を工夫せよということでございますが、私どもといたしましても、従来のような単純買収方式で道路をつくっていくということには限度があるということは十分認識しておりまして、現在、道路の一体的整備の研究会というのを設けまして、今先生指摘のように道路と他の構造物といいますか、マンションみたいなものの一体的な整備が法制的にも可能なのか、あるいは建築基準法上どうなるかという問題について検討を開始したところでございまして、この検討が終わって、もし必要ならば法制度を改正して、そういう新しい手法も使いながら過密なところの道路整備をしたいということで現在進めておるところでございます。
  135. 坂井弘一

    坂井委員 ありがとうございました。
  136. 野中広務

    野中(広)委員長代理 伊藤英成君。
  137. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 高規格幹線道路の整備方針についてお伺いをいたしますけれども、まず最初に、この幹線道路の一万四千キロを今後どういうふうに整備をしていく方針なのか、その投資規模及びその完成時期などについてお伺いをいたします。
  138. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 まず、高規格幹線道路網整備方針でございますけれども、今回、一万四千キロの高規格幹線道路網計画を策定いたしましたが、これを今後整備する場合に、路線性格とそれから整備の効率を図るという観点から、新しく決めました道路につきましては、国土開発幹線自動車道または一般国道自動車専用道路、この二つ手法をもって整備を行っていきたいということにしております。  全体でどのぐらい整備費がかかるかと申しますと、この一万四千キロのうち、既に現行の七千六百キロの国幹道のうち四千キロほどできておりますので、残りの約一万キロの事業費でございますが、既定国幹道とそれから追加の国幹道事業費が今後二十七兆円、それから一般国道自動車専用道路として整備する高規格幹線道路とそれから本州四国連絡道路合わせまして六十二年度以降約三十六兆円が必要という数字でございます。  それで、整備に要する期間でございますが、私どもの目標といたしましては、現在の道路公団の施行能力あるいはこれから建設省で行うであろう一般国道自動車専用道路の施行能力等を勘案いたしまして、やはりこれから三十年はかかるだろうという見込みをつけております。
  139. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今の後の方で言われました三十年という問題でありますけれども、三十年間で一万キロを整備をしていくということは、本当に三十年でできるのかなというのが率直な感じであります。  これは、国幹道法昭和四十一年に制定されて、七千六百キロは昭和六十年度までに完成をさせる方針であった、こういうふうに聞いているわけであります。しかし、実際には昭和六十年度末の供用距離が三千七百二十一キロで、その計画の半分弱、ほぼ半分という状況ですね。したがって、もしも現在の年平均の供用距離を例えば二百キロだといたしますと、単純に計算をすれば五十年かかってしまうというような状況になっていくわけであります。そういう意味では、最初申し上げたように本当に三十年でできるのかなという感じを抱くわけですね。それじゃひょっとしたらこんなものは空手形じゃないかということにもなりかねないわけでありますけれども、どのようにお考えですか。
  140. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 ただいまこの高規格幹線道路は国幹道一般国道自動車専用道路二つ手法を併合して行うというふうに申し上げましたけれども、まず国幹道でございますが、これは道路公団が現在施行を担当しておりまして、これの施行の実績を見ますと、先生が御指摘のように過去年平均二百キロということでございます。ただ、この年平均二百キロは、現在と違いましてやはり財投等の苦しい時代もございまして、予算的な制約もあった時代も含めてのことでございますし、また、財政再建等で厳しく国費の全体が抑えられるという時期もあったわけでございます。今後はこの二百キロの施行実績を少なくとも二百五十キロ以上にはふやしていきたい、二割五分から三割ぐらいふやしていきたいということで、今道路公団でそういった施行体制の検討を行っているところでございます。  それから、一般国道自動車専用道路でございますが、これは今回新しくこういう高規格幹線道路網ということでくくって一般国道自動車専用道路をつくっていくという新しい方式でございますが、既に、建設省直轄事業の実績を見ますと過去でも年間四、五十キロのそういった施行能力は十分持っているわけでございます。したがいまして、当初はすぐ百キロというわけにいきませんけれども、この一般国道自動車専用道路の方では年間百キロぐらいは十分施行可能でございますので、これを足しますと年間平均約三百五十キロぐらいにはできるだろう。そうしますと、一万キロでございますので三十年で十分可能である、こういう見通しを立てておるところでございます。
  141. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 この期間の問題につきましてはまた後ほど議論をしたい、こういうふうに思います。  最初言われました三十六兆円というもの、これはいわゆる現在価格で三十六兆円だ、こういうふうに思うのですが、最終的にはどのくらいの額になるというふうに思われるのか、その財源対策というものはどういうふうに考えられているのかをお願いいたします。
  142. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 御指摘のようにこの三十六兆円は現在価格でございますが、今のところ非常に物価が安定しておりますので、これが将来インフレになって非常に上がるということは余り想定をしておりませんで、また、インフレで上がった場合にはそれに伴うだけの収入もあろうかと思いますので、一応三十六兆円で、現在価格、現在の投資能力で検討しておるところでございます。  それで現在、先ほど来申し上げておりますように、道路公団で行っております高速道路に六十二年度で九千百億円の事業費がついているわけでございまして、そのほか、本四等を足しますと現在でも約一兆二千億ぐらいが一般国道高速自動車国道に投資されておるわけでございます。この財源は、主力が財政投融資及び民間資金の一部が入っているわけでございまして、道路全体から見ると必ずしも大きなシェアを占めているわけではないわけでございます。したがって、今までどおりの投資を行っていきましても、年間一兆二千億ぐらいあるわけでございますから三十年で三十六兆に十分なるわけでございまして、道路全体の事業費の面から見れば一万四千キロの施行は十分できる、むしろ施行能力の方が制約条件になろうというふうに考えております。
  143. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 国幹道の方の問題ですけれども、実際には財投等の借入金で建設をするわけです。そしてこれが今後どんどん建設が進みますと、建設の中心というのは先ほど来議論もありましたけれども採算性のよくないところにどんどん移っていくというふうになっていくわけでありますけれども、国費の投入という問題、これは先ほど坂井先生の議論にもありましたし、その前の他の意見もありましたけれども、この国費の投入は現在はどういう基準で行われているか、そして幾ら投入をされているか。この五年間くらいの推移をちょっと数字を教えてください。
  144. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 国幹道建設に当たりましては、一定の資金コストを確保するために、調達金利との差を主として利子補給金として国費を投入しているわけでございます。具体的には若干の出資も行っておりますが、大半が利子補給金でございます。それで、六十二年度におきます国費は、高速道路に対しまして利子補給金といたしまして六百三十八億円、それから出資金が五億円でございまして、合計で六百四十三億円でございます。  それから過去の実績でございますが、五十八年から五年間、今回の五カ年計画の間でございますが、利子補給金は三千八百五十二億円、出資金が二十五億円で、合計三千八百七十七億円を高速道路の国費として道路公団に出しておるわけでございます。
  145. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今のは五年間トータルですか。
  146. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 五年間トータルでございます。五十八年から六十二年の五カ年間のトータルの国費が三千八百七十七億円、六十二年度は六百四十三億円でございます。
  147. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私は今後のこういう高速道路の問題を考えたときには、これは一番最初大臣のお話にもございましたけれども、国費の投入というのがいかにも少な過ぎるということだと思うのです。こういうことではこれから大変になっていくんだろう、こういうふうに思うわけであります。そういう意味でさっきどなたでしたか、こういう議論も出ていたのじゃなかったかなと思いますが、その道路の全体の走行キロに占める高速道路の割合が、あれは五十五年の数字だったでしょうか、五・一%になっている、最近は六%ぐらい……。
  148. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 先ほど出ました五・一というのはたしか五十五年の交通情勢調査で、六十年の場合にはたしか六・一%でございます。
  149. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 その六・一%であるというふうに考えたときに、自動車ユーザーが支払っている道路特定財源、三兆五千億くらいありますか、それの六%ぐらいといたしますと二千百億円くらいとなりますけれども、例えばそういうのを最低限投入してもいいのじゃないかというような考え方もあると思うのです。実は私はこれはもっともっと多くたっていいのじゃないか、今の高速道路日本の経済なり社会に及ぼす効果ということから考えれば、もっともっとそういう一般財源を入れる、国費を投入するということを考えるべきだろう、こういうふうに思うわけでありますけれども、いかがでございますか。     〔野中(広)委員長代理退席委員長着席
  150. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 先生の御指摘のように、高速道路我が国道路の骨幹をなす道路でございますから、国費の投入をもっとすべきだ、少なくとも利用者の負担の走行台キロ割合分くらいは最低だという御指摘、大変ごもっともだと思います。  諸外国におきまして我が国みたいに全部の高速道路を有料道路制度を採用してやっている国はございませんし、御案内のとおりドイツのアウトバーンは全額無料でございます。なぜこうなったかと申しますと、我が国高速道路建設を始めましたのは昭和三十一年の道路公団発足以来でございまして、その場合に我が国道路全体が一般国道、県道、市町村道、その他の道路も大変疲弊した状態でございまして、東京−大阪の間も舗装がされていない、もちろん大型車もすれ違えない区間がかなりある、そういうような時代であったわけでございます。したがって、そういう時代に高速道路を全額国費でやるというようなことは当時の我が国財政事情から申しましても到底できず、やむなく有料道路制度を採用して現在に至ったというようなことでございます。  では、現在一般道路はどうかということでございますけれども、御案内のように一般道路につきましてもいろいろな面でまだ整備がおくれておるわけでございますので、これを全額国費でやるとかというようなことになかなか踏み切れる状態でないのは先生も御案内だと思います。ただ、これから一万四千キロをやっていく場合に、御指摘のように全体の財投等については心配はないわけでございますけれども、採算性を確保するために従来からも行っておりますように資金コストを下げていく、現在、四国横断道あるいは東北横断道等七道十一路線については特別に資金コストを三%まで下げて国費を重点的に投入してやっておりますけれども、こういった施策を今後もっと大幅にとらないと全体の採算性については問題があろうかと思います。したがって、私どもも今まで以上に国費の投入を図って採算性を確保して、料金が過度に上がらないようにしなければいけないと思っておりますので、そういった場合には、先生が御指摘になりますような高速道路を利用する道路利用者が負担している税額ぐらいは少なくとも目安として投入すべきだというようなことも考えながら、国費の投入を図っていきたいというふうに考えております。
  151. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今の局長の言葉で、それに関連するわけでありますけれども、いわゆる高速道路をつくっていきますと当然そのアクセス等の関連道路整備をしていかなければいかぬ、こういうふうになりますね。そうしたときに、道路予算全体の中で高速道路関連のウエートは高まっていかざるを得ない、私はこう思うのです。これは物の考え方でありますけれども、そういうふうになっていくのです。そういうふうにしたときに一般道路整備はどういうふうになっていくというふうに考えられますか。
  152. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 道路の場合には、当然ネットワーク効果が働かないと全体として機能しないわけでございますので、高速道路整備が進めば進むほどそれに関連するインターチェンジの道路等の一般道路整備が必要となってくるのは当然でございます。  現状でいきますと、高速道路につきましては全国プールで集中的にやっておりますので比較的順調にいっておりますけれども、この関連道路につきましては個々の国道なり県道なりで対応しておりますのでなかなかおくれがちでございまして、高速道路でインターまでは一時間で行ったけれども、そこから出て二時間もかかったというようなことで私どももいろいろ苦情を承ることも多いわけでございますので、やはり高速道路を重点的に進めると同時に、それに関連する道路についても並行的に整備をしていきませんと全体としてその機能が低下してしまう。そういった意味で、その連絡道路一般道路でございますので、その辺、国費の案分をどうするかというのがこれからの一つの難しい問題ではないかというふうに理解しております。
  153. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今の話は、局長がそういうふうに答えられればそういうこともあるでしょうという感じがするのですが、私は、要するに歴史のそれぞれの時点で何を重視するんだろうかということを考えてこういうものは決定していかなければならぬだろう、こういうふうに思うのです。そのときに、いわゆる一般道路、もちろんこれもいろいろ考えなければいけませんけれども、今はそれよりは重点の置き方としてはいわゆる高速道路に重点を置いて促進をすべき時期である、こう思うのです。それはこの間の四全総でもそうでありますし、あるいは建設白書なんかでもそうでありますけれども、何と言ったって今必要な話は、国土の均衡ある発展を図らなければならぬということで高速道路網をやろう、そして地方を発展させるためにも、ひょっとしたらそれが最大のキーポイントになっていくかもしれないということで高速道路網をちゃんと完備しようというふうにしてきた、こう思うのです。だから、例えばあの四全総の中でも、具体的に数値まで出しているものはこの道路網だけじゃないかというくらいの気さえ私はするのですね。しかも、この中にも出ておりますけれども、地方を発展させるためには何が必要か、そのときに出てくる例は高速道路の例であります。この高速道路の中で、例えば東北自動車道や中央自動車道の開通によって、その沿線においてあるいはインターチェンジの周辺においてどういうふうに発展をしてきているかということ等が例も引いて出ているわけですね。あるいは関越自動車道の場合にはどうだというふうに書いてある。私はそのとおりだと思うのです。  そういう意味では、この高速道路を今こそやらなければならぬ。そして、さっきも局長から話がありましたけれども、例えば高速道路の交通分担率というのを見ても、諸外国と比較すれば日本はわずか六%、それがアメリカやドイツでありますと二四、五%だというふうにおくれている。だから今こそ整備を進めていかなければならぬことだと思うのですね。そういう意味で、今はどちらかというと一般道路よりはまずは幹線のところをちゃんと整備をすることが必要だということなんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  154. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 ちょっと御説明が舌足らずで大変申しわけなかったわけでございますけれども、私どもといたしましても、今回四全総できちっと明示された計画でございますし、今度の五カ年計画の中でも、こういう交流ネットワークの確立を図るということでこの高規格幹線道路網整備を重点的にしていくという方針でございます。ただ、その場合に、それに関連する道路も、むしろ高速道路整備を中心としたネットワークも同時にあわせて考えないと高速道路の効果が落ちるという意味で、一般道路の方も忘れてはいけないのだというふうに申し上げたつもりでございましたけれども、ちょっと御説明が舌足らずで失礼いたしました。
  155. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 舌足らずというお話ですが、それでも私はまだちょっと違うのじゃないかという気がするのですね。それは若干各地方ではいろいろ不便を来すかもしれない。しかし、そういうところをよくするためにも、まず順序として幹線のものを引っ張らないと各地方は発展することにはなりませんよ、その活力を生み出すことにはならないよということだと思うのです。  さっき私がちょっと歴史的な云々という話をいたしましたけれども、「高速道路便覧」、この中に、それぞれの国の高速道路供用延長の推移というのを時系列にとってあります。これはもう皆さん方御承知のとおりの話でありますが、例えばアメリカですと、一九五五、六年に四千キロぐらいの高速道路網でありました。それがずっと延びてまいりまして、サチュレートというか、まあまあそこにいったのが七五年から八〇年になります。八〇年になりますと六万五千キロまでいきます。あるいはドイツでいきますと、一九六〇−六五年ぐらいからずっと延びてまいりまして、例えば一九六五年の三千三百七十二キロから八十年くらいに七千五百三十九キロまで、約四千キロ近いものが八〇年まで延びている。あるいはフランスでもそうですけれども、一九六五年から七〇年くらいのところの水準が千五百キロ弱から八〇年には五千キロまでなった。あるいはイタリアなんかでも、一九六五年の千七百三十六キロからまあまあ安定するのが七五年くらいで、五千四百三十一キロになった。  この表をみてみますと、高速道路をばっと延ばしている、そしてまあまあの水準に持っていくための期間というのはざっと十年から十五年の期間でやっている。このことはものすごく大きな意味を持っている、私はこう思うのです。日本も、先ほど話したように、それぞれの関係者、建設省等も一生懸命御努力をされてこういうふうにやってきておりますけれども、なかなか大変だ。そしてそれが三十年先というふうになったりしたときに本当にちゃんとやっていけるのだろうかということを思うわけです。  そういう意味で私は大臣にお伺いいたしますけれども、建設白書でもしかり、建設省関係の書類にもいろいろなものに多く出ております。日本はこれから急速に世界一のスピードで高齢化社会に向かっていく。高齢化社会に向かっていけば、今マル優でどうのこうのとやっておりますけれども、貯蓄率が高いと言われていても、その姿も、あるいは建設白書の言い方ですと、労働力率についてもどんどん低下をしていく、今日本は社会資本を整備しなければならぬ、こういうふうに言いますけれども、その余力もどんどん減殺をされていくというふうになっていくわけですよ。だから、建設白書もこう言っているのです。「高い貯蓄率など相対的に恵まれた環境下にある特に二十一世紀までの残された期間は、社会資本ストック形成にとっての貴重な期間である。」というふうに規定をして、その余裕のある期間は今しかないのじゃないかという認識を示していると私は思うのです。  では、その認識の上に立って具体的にこの問題は展開をしていかなければならぬというふうに考えたときに、どちらかというと今までのような延長で本当にできていけるのだろうかということを懸念するわけでありますけれども、いかがでございますか。大臣の見解を。
  156. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、先ほど来申し上げておりますように、今までの二百キロベースを三百五十まで上げるために、組織とか人員とかそういった問題も含めて、全力を挙げてこの高規格幹線道路を前倒しで二十一世紀までになるべくその成果が上がるように努力してまいる所存でございます。
  157. 天野光晴

    天野国務大臣 問題は金でございます。先ほど来申し上げているように、日本のような矛盾したというか、こんな非常識な道路計画はないのです。我が国で最大量高の公共事業である道路に国の正式の金が一銭も入ってこないなんてばかな話はありませんよ。それですから、それは私たちにも責任がないわけではありませんからあれですが、これをまず根本的に変えよう。特定財源だけで一般国道をやっているわけですから、高速道路はそのほかにやらざるを得ないから、それで借金政策、いわゆる財政投融資を使うわけです。ここまで財政投融資でやってきたんですから、公共事業一般会計から金を出さないというのなら、せめて財投を多く出させるようにして、今言ったとおり今までの計画では五十年かかりますから、それを三十年や二十五年ぐらいに詰めて仕上げるためにも金をいっぱい出してもらわなければいけません。それは大蔵省自体の懐から出るのではなくて財投でやるわけですから、そういう点では関連して出てくる金はわずかきり出ませんから、そういう点では大丈夫やれると私は思っております。  それですから、六十三年度の予算概算要求が大体あすあたり根本的な方針が決まりますが、その段階でもこれはきちっと申し入れをしておくつもりでありますし、皆さん方に御協力を願ってどうしてもやらなければいけない。この委員会はイデオロギーがないからいいんですよ。自民党も社会党も共産党も関係ないですかう、皆同じですから、自民党がやっているから道路の幅を十五メーターにして、社会党がやると十メーターにするなんということは絶対ないんですから、そういう点でこれはすべてのものに優先して、新しく来年度から臨む道路政策に大きな力になるように私の方から御協力をお願いしておきます。
  158. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私どもは大応援団のつもりでやりますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に、高規格幹線道路の十次五計の中での予算はどういうふうにしていく予定なのかお伺いいたします。
  159. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 第十次五カ年計画につきましては、六十三年度の概算要求時に財政当局に概要を要求する予定でおりますけれども、まだ現在、どれだけの規模を要求するか、また高規格にどれだけの事業費を配分するかについては作業中でございます。  ただ、今まで御指摘いただきましたように、この高規格幹線道路網整備を最重点に入れて、十次五カ年計画でも、今まで七千六百キロの残った分あるいは新しい分についても必要度の高いものについては整備ができるような五カ年計画にしたいということで、今作業をしているところでございます。
  160. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今いろいろやっていらっしゃるときでありますが、建設省としてはどうしたいかというのは……。
  161. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 建設省としてどのような要求をするかということを今作業しているわけでございまして、今申し上げましたのは、建設省として高規格幹線道路網の要求を五カ年計画の中の一つの大きな柱にしていきたいということで、今までの九次五カ年計画よりも規模等を拡大する考え方で準備をしております。
  162. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 次に、第二東名・名神の問題でありますけれども、まず通称この名称でいいんでしょうか、お伺いしたいのです。  この第二東名、第二名神の建設の必要性については私もこの委員会で何度も申し上げたりいたしましたし、そしてまた、建設省ほかそれぞれの関係者の方が努力されてこのように実現しそうな形になってきたということにつきまして非常に感謝もするわけでありますけれども、私は、この問題については最も緊急的優先的に整備をしていかなければならぬと考えているわけであります。この第二東名・名神の優先度についてはどんなふうに考えられるのか。あるいはこの十次五計との関連でどのような整備計画を考えられているかについてお伺いをいたします。
  163. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 第二東名・名神でございますが、名前につきましては、第二東名の方は正確には第二東海道ということで今回は御審議をお願いしていますし、第二名神につきましては近畿道名古屋神戸線ということでお願いしておりますが、通称第二東名、第二名神というふうにお答えさせていただきたいと思います。  この両路線の重要性につきましては、本委員会でも先生から前回御指摘を受けたところでございますし、その交通需要が大変多く、現在でも既に混雑度一を超える区間がかなり高くなっているわけでございまして、現在既に問題の箇所でございます。  前回もお答えをいたしましたけれども、その一部については新しい法律の改正以前に改築ということで現道拡幅等をやっておりますけれども、今回のこの改正の中では、抜本的に第二東名あるいは第二名神をつくってこの混雑の解消を図りたいと考えております。  高速道路につきましては全体の採算がプールになっているということもございまして、現在の東名、名神にかかるウエートもかなり高いわけでございますので、やはりこういった利用者の方々のことも考えますと、一日も早くこの第二東名・名神につきましては手当てをしておくことが全体の高速ネットワークをつくる上にも非常に重要だということで、この第二東名・名神につきましては一日も早く着工できるように、この法案を通していただいた後、国幹審の審議等の中でまたそういった御議論をお願いするわけでございますが、私どもといたしましては、今申し上げましたような理由からこれについてはできるだけ早く事業に取りかかれるよういろいろな手続を進めていきたい、こういう方針でおります。
  164. 天野光晴

    天野国務大臣 これは私ごとになりますが、先ほどちょっと申し上げましたように、これは一本一本特別会計でやっておったわけでありますから、勘定すると、第一東名でも第一名神でも二本分ぐらいは払っているのじゃないかと思うのですよ。しかし、先ほど言ったように私東北ですが、東北地方の横断線とか、四国とか九州、そう言っては失礼ですが、中国等はとても採算が出ないわけですから、それで全部特別会計を改めましてプールにやった私は元凶です。そうですから、そういう責任もこれあり、第二東名、第二名神が大変切望されておるようでありますから、切望されていなければゆっくりでいいのですけれども、切望されておるようでありますから、採算上の関係からいっても当然これは優先的に、そういう過去の扱いからいって当然やるべきだと思いまして、今度、きょう提案しておるものが承認された暁においてできるだけ早い機会にあの審議会を開きまして、これは着工させる予定で指示しております。
  165. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 ありがとうございました。私はしょっちゅう自分でもハンドルを持ちながら使っているわけでありますが、そういう意味でも実感として感じますので、今の力強いお言葉、ありがとうございました。よろしくお願いいたします。  最後になりますけれども、先ほどもいろいろ私も申し上げたりいたしましたけれども、実はこの間の先進国サミットとか、ああいうときでも思うのですけれども、日本がそれこそ世界のGNP大国、こういうふうになってきても、しかし決定的なおくれは日本の社会資本のおくれであるということであります。そしてまた、きょうも朝からいろいろ言われておりますけれども、首都圏の一極集中から多極分散型の国土形成を図らなければならぬ、そのためにということで、あるいはその根幹をなすものとしていわゆる高速道路網を早く整備しよう、こういうふうにやってきているわけですね。そして、そのために関係者の人みんながいわゆる高速道路網整備のために努力をしているわけであります。  ところが、そうでありますけれども、実はこの高規格幹線道路という格好で言われるものが何となくみんなにわからない、言葉としてわからないなという気が私はするのです。これは、それこそ国民みんなに理解をしてもらって、ああ日本はこういうふうにしなければいけないんだとその必要性を理解してもらって促進をしていくことが非常に重要なことだと思うのです。  そういう意味で、この構想を国民的なビジョンというかそういうような形にして、もう少しわかりやすい、いい響きの名称をつくって進めたらどうか。例えば新高速道路計画だとか、高速道路倍増プランだとか、ニューハイウェープランだとか、ハイウェープラン30だとか、また先ほどの話では二十五年から二十年ぐらいということになっているでしょうからハイウエープラン20とか、あるいは二十一世紀のハイウエープランとか、あるいはひょっとしたら天野プランとかというようなことも含めて、そういうような名称でもつくってわかりやすい形で、日本はこういうふうにやっていくんだよということを検討されたらいかがかというふうに思います。それを御提案をして、局長並びに大臣の御意見をお伺いして、質問を終わります。
  166. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 おっしゃるように高規格幹線道路網というのは確かに読みづらい名前でございまして、そういう御批判もございますので、大変貴重な御提案でございますから私ども十分参考にさせていただきたいと思います。
  167. 天野光晴

    天野国務大臣 我々は高規格幹線道路なんて言ったことがないので、高速道高速道と言っている方が簡単なんですけれども、そういう意味も含めて十分検討してみます。
  168. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 どうもありがとうございました。
  169. 村岡兼造

    村岡委員長 辻第一君。
  170. 辻第一

    ○辻(第)委員 今回のいわゆる国幹道の改正法は、第二東名や第二名神など新たに二十四路線三千九百二十キロメートルの高速道路計画を、日本道路公団整備を進めているいわゆる国幹道予定路線に追加するものであります。昭和四十一年に策定をされた既定の三十二路線七千六百キロに追加をされる、合わせて一万一千五百二十キロメートルというものであります。  そこでお尋ねをいたしますが、これまでの予定路線七千六百キロ、これが六十一年末でどれぐらいまで実現をしたのか。それから、その七千六百キロは大体いつまでに実現をする目標であったのか。それから、今度全部合わせた分ですね、それはいつごろ完成をする目標なのか、その三点をお尋ねいたします。
  171. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 現行の七千六百キロの高速道路計画のうち、六十一年度末に供用している部分は三千九百十キロでございます。  それで、七千六百キロの供用目標はいつかということでございますが、今の四全総の中では、現行の七千六百キロにつきましては計画期間中でございますから七十五年までに概成ということになっております。概成というのはどれだけかという問題でございますが、現在日本道路公団で既に事業にかかっているのが六千四百十キロございまして、これについては完成するわけでございますが、まだ整備計画の出てない、次回には出るところもあると思いますけれども、そういったものについては現在まだ施行命令が出ておりませんから七十五年までにできるかどうか見通しが立っておりませんので、七十五年まで概成、こういうふうに言っているわけでございます。  それから追加の分でございますが、追加も含めて全体一万四千キロということでお答えさせていただきますけれども、六十一年度末は三千九百十キロでございますが、六十二年度末になりますと四千三百キロ。いずれにいたしましても約一万キロをこれからつくっていくわけでございます。それで、本日も何回かお答えはしておりますけれども、今までの道路公団の現七千六百キロの施行実績は年間約二百キロでございます。そうなりますと五十年ということになりますが、今回は、この一万四千キロにつきまして国幹道法によるものと一般国道自動車専用道路によるものと二つに分けて、道路公団が主体となるものと建設省が主体となるようなものの二つ整備手法でやっていこうという考えにしております。道路公団の方の担当の分は、現在二百キロの分を少なくとも年間二百五十キロになるように施行能力を改善していただく。それから、直轄といいますか建設省等でやります一般国道自動車専用道路については、すぐは百キロにはなりませんけれども、現在、高規格幹線道路と銘打っておりませんが、それに類似の一般有料道路等では四、五十キロやっておりますからまあ百キロくらいだろうということで、合わせて年間約三百五十キロ平均の施行能力が現在から見ても可能だろうということになりますと、先ほど来申し上げておりますように約三十年、昭和九十年くらいまでには全体を何とか完成したい、こういう大ざっぱな計画でございます。
  172. 辻第一

    ○辻(第)委員 御丁寧に御答弁をいただいたわけでありますが、時間の関係でできるだけ簡明にお答えをいただきたいという御要望を申し上げます。  それで、私も今度の二十四路線を見てみますと、いわゆる第二東名、第二名神などを除いたところはやはり非常に地方でございますね。もちろん人口が減少し、高齢化をし、一次産業、二次産業は大変な状態。殊に円高不況、産業の空洞化というような状況の中で、雇用の問題それからその他深刻な問題を抱えている地方が多いと私は思うわけであります。そういうところでありますので、私もいろいろ調べましたところ、またそこで非常に要望が強うございます。そういう点では本当に必要な道路だなと私も考えておるわけであります。ところが、そういうところというのは、道路をつくっても採算ベースに乗らないという地域だと思うわけであります。そういう点、しかも、これまでの道路公団の経営状態といいましょうか、そういうものを見てまいりますと、非常に大変な状況ですね。  時間がないのにこんなことを言っていると何でございますが、大体六十年度の決算額で二百九億の当期損失、六十一年度の見込み額で二百四十七億の損失ですね。貸借対照表によりますと、六十一年度末の繰越欠損金は一千四百八億ということになっているわけであります。こういうところ、それからあと残っているところ、またこれから追加をされるところ、東名、名神は除いてですが、そういうことを見てまいりますと、これはその面から実現が非常に難しい。朝からの御論議の中で大臣も第二の国鉄になる云々というお話がありましたけれども、そういう点を心配するわけであります。そういうことになりますと、国が一般会計を含めて本当に十分な対応をしなければ実現をしない、私はこういうふうに思うわけでありますが、大臣、御所見はいかがでございましょうか。
  173. 天野光晴

    天野国務大臣 先ほど来申し上げているように当然一般会計から導入すべき性質のものでありますから、それを、役所で考えたのではなくて党の方で考えて今の特別会計特定財源というものをつくったわけですから、そういう関係からいって、プラスアルファにするという約束がプラスアルファどころか、今丸々一〇〇%特定財源で賄っているわけです、特にこの高速国道の方は先ほど来申しているように財政投融資でやっておりますから、せめて工事期間を繰り上げてやることきり今の段階では日本財政上いけないと私は思いますから、そういう点で今二十年と言っておりますが、これをどれだけ繰り上げられるかわかりませんが、今までの状態だと五十年かかりますよ。ですからこれは、今度のもので一万四千キロのうち一万一千五百二十キロが高速国道になるわけで、あとは今も説明したように一般会計から出るのではなくてこれも特定財源の中から出てくる金で賄うわけですから、そういう点で来年度の予算概算で、あす私、大蔵大臣と折衝するようでありますから、その段階からこの問題は申し入れを強くしておくつもりでございますから、党側の方からもひとつ御協力をお願い申し上げておきます。
  174. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、局長に端的にお尋ねをいたしますが、将来地方自治体に負担を求めるということはないと思うのですが、いかがでしょうか。
  175. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 国幹道の場合にはそういった採算性改善のためには国費を投入するということになっておりますから、現在のところそういうことは考えておりません。
  176. 辻第一

    ○辻(第)委員 それで、道路をつくっていく優先順位といいましょうか、先ほど来何度もお話があったわけでありますが、新聞などでは、第二東名、第二名神という線、また、来年度からというような報道もあったようであります。そうして、今このような道路公団の経営実態、そういうことを含めますと、東名、名神は緊急性といいましょうか、それから経済性ですね、採算性ですか、そういうものから先にやられる。あとの、今私どもが願っておる本当に苦しんでおられる地方、殊に、一極集中ではなしに多極分散、こういうことが唱えられておるわけでありますが、本当にそのためには地方を優先しなければならない、東名、名神というのはその必要性は私も全然否定するということじゃないのですけれども、そういうものをつくることがまた一極集中につながってくるということだと私は思うのです。極端なことを申しますと、東名、名神はできるけれども、本当に切実に望んでいらっしゃる地方は二十年、三十年、極端な話で四十年というようなことになりますと、これはまさに絵にかいたもちですね。こんなことであってはならないと私は思うわけであります。そういう点で、東名、名神優先ではなしに、これを抑えてぜひ地方を優先していただきたい、そのことを私は強く願うわけでありますが、大臣、一言お答えをいただきたいと思います。
  177. 天野光晴

    天野国務大臣 先ほど伊藤先生の質問にもお答え申し上げておいたのですが、この高速国道法をつくったときの考え方は、全部特別会計で一本一本やったのです。そうしますと、もう東名も名神も今ごろまで二本分ぐらいは上がっているわけです。それでは非常に平等を欠きますし、そういう観点でこれを一本のプールにしたわけであります。そういう意味で、東京−大阪間の人たちが失望するということになれば採算の都合もございますからそれは優先的にひとつやろうということなんですが、それだからといって非常に採算性のとれないところはやらないかというとそうではなくて、五対五ぐらいの考え方で、要するに採算性のとれるのは五、それから開発目的で五というような格好でやれるようになるのじゃないかと考えておりますし、そういう方針であることも事実でございますから、その御心配は大丈夫だと思います。
  178. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ一極集中につながる東名、名神中心ではなしに、地方を中心にということを重ねて要望したいと思います。それで、先ほども申しましたように一極集中ではなしに多極分散、地方を本当に振興していく、そういう観点からぜひやっていただきたい、そういうことと、道路行政を本当に民主的にやっていただきたいということが私どもの願いであります。  今、この国幹道ではありませんけれども、いわゆる高規格幹線道路の一つであります圏央道、ああいうところの実態を見てまいりますと、その路線の決定でありますとか構造の問題が、とても私どもの容認できがたい状態で事が進められるような状態になっているわけであります。そういう都市中心部の建設の問題、それは先ほど来申しておりますような一極集中につながるような側面も持っており、また、先ほど申しましたような路線の決定、構造上でも問題があるということ。こういう問題については我々は積極的に認めていくという立場ではないわけであります。  そういう状況の中、また奈良県の例を申し上げて何なのですが、建設省もかかわりがあることであります。それは奈良県で第二阪奈道路国道三〇八バイパスの建設計画があるわけでございますが、住民の多くの方から見ますと環境アセスメントが非常に不十分なんですね。しかも、沿線住民の方に十分な説明も完了してい。ない状態の中で、いわゆる計画の縦覧を強行されるというようなことがありました。住民の合意、納得のない上にどんどん計画を進めようという、そういうような道路行政が進められているわけであります。これは奈良県の道路公社でしょうか、そこがやっておられるということであります。  そういう状況の中で、私も国会でただしたわけでありますが、建設大臣がもっとチェックをしていただきたいと思うのに、私どもから見れば十分なチェックのないままで認可をされるというようなこともあったわけであります。さらに具体的に申しますと、県が行いました第二阪奈道路についてのアセスメントは、大気汚染においては調査項目を二酸化窒素と一酸化炭素だけに絞っておる、また重要な土地構造などについては十分な調査が行われていなかったということであります。昭和五十九年七月にも奈良市と生駒市の関係住民に、一部の自治会には説明があったようでありますが、十分な事前説明なしに計画を縦覧し、都計審を通し、六十年十二月二十二日に県から申請が出れば即日建設省が、大臣ですか、認可をし進められておる、こういうことであります。  こういうことのないように、環境影響評価の問題、本当に住民参加の環境影響評価を進めていただく、また、住民の意見を本当に尊重していただく、そういう民主的な道路行政を進めていただきたい、このように考えるわけであります。局長、いかがですか。
  179. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 個別の実態について私ちょっと了知しておりませんけれども、一般的に、道路事業を実施する場合には、必要に応じて都市計画決定の中で今先生がおっしゃったような環境影響評価の手続がなされまして、その中で住民のいろいろな声を反映するというシステムになっているわけでございますので、そのシステムが当初の考えどおり運用されるように私どもも十分注意してまいりたいと思います。
  180. 辻第一

    ○辻(第)委員 昔に比べればかなり改善はされているというふうにも言われているわけであります。昔はどちらかと言えばそこのけそこのけ国道が通るというようなことで、天下り式で強権的にやられたという印象を特に強くしているわけでありますが、今なお私が先ほど申し上げました例のような状態があるわけでありますので、どうかその点は十分な対応をとっていただきたい、このように思います。  また、自然破壊ですね、こういう問題。殊に、これからつくられるところは本当にすばらしい自然を持っておるというところだと思うわけであります。自然系の破壊、生態系の破壊、そういうことについては、十分な配慮の上にも配慮をしていただいて対応をしていただきたい、このように思います。局長、いかがですか。
  181. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 国幹道建設に当たりましては、従来から沿道の環境との調和に十分配慮した計画をするよう指導しておりますし、現実に整備に当たるに際しましては、環境影響評価書をつくって県知事さんの意見を十分聞いて、それからこの国土開発幹線道の審議会にかけるという手順を経ておりますので、そういう中で自然環境や生活環境が十分守れるように事業を進めていきたい、そういう考え方でおります。
  182. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、名阪国道の問題でお尋ねをいたしたいと思います。  名阪国道というのは、西と東が有料道路になっておりまして、その真ん中を一般国道自動車専用道士して供用されているということであります。朝からお話が出ておりました河野さん、あの時分は建設大臣ですか、千日道路としてつくられたというような、そういう点で非常に有名な道路であります。地域経済に欠かすことができない非常に重要な役割を担っております。ところが、一日の通行量が約四万台で、道路の安全面からまいりますと六十一年度で五百四十三件の事故が発生をし、危険度が高いということであります。そういう点で、その安全確保のために数点御要望を申し上げたいと思うわけであります。  一つは、これは奈良盆地からかなり高い、五百メートルくらいの高原を通ってまた三重県の上野盆地へおりていくという形をとるわけでありますが、そういう地形の影響もありまして、しかも大型の重量車が非常にたくさん通るわけであります。そういうところ。それから、冬季はかなり雪が降るわけであります。ですから、チェーンを装着する。こういうことによりまして路面の摩耗が著しい。随所にわだち掘れというような状態が起こっているわけですね。こういう形でへっこんでいるわけですね。もちろん走行の安定を損ないますし、特に雨の日はハイドロプレーニング現象によるスリップ事故というようなことも起こるようであります。私もまた経験したことがありますが、大雨が降りますとそのわだちの跡のところへ水が川のように流れるのですね。ちょうどこちらが走るときにそのわだちの跡へ入ってしまうのですね。そうなりますと、ばっとかぶって前方が見えぬ。私も具体的に経験したことがあるのですが、そういう状況にもなるわけですね。ですから徹底した路面の補修を行っていただき、摩耗の状況を定期的にチェックをしていただいて、常時安全度の高い路面を維持していただきたい、このように思うわけであります。  時間の関係で次々言いますが、名阪国道の各インターチェンジ、これは大分昔の話で、千日道路というようなことで突貫工事でつくられたというようなこともあるのでしょうか、今見てまいりますとやや構造的に危険な側面があるのですね。いわゆる助走路というのが余りないということですね。そういうこと。それから、おりてからも角度が非常に厳しいというようなこともあるわけですが、そういうことで、減速、加速の助走路がなくて本線上でブレーキを踏んでインターチェンジに出なければならない。また、本線への合流もスムーズにしがたいという状況があるわけですね。こういうことでございますので、私ども調査をいたしましたところ、危険度の高いところ、それは福住インターチェンジの上り出口、五月橋インターチェンジの上り出口、下り出口、五ケ谷インターチェンジ下り入り口、上り出入り口、針インターチェンジ上り出口、下り出入り口、小倉インターチェンジ上り入り口、下り出入り口、神野口インターチェンジ上下出入り口、このようなところが特に危険度が高いというふうに見たわけでございます。ぜひ改良工事を行っていただきたい。  三つ目は、登坂車線を次のところに設置をし、自動車の走行がスムーズにできるようにしていただきたい。下り線では遅瀬計量所から菅生峠、下り線山添橋から切播、上り線天理東インターチェンジから中畑、上り線薬師橋から高峰、このところに登坂車線をぜひつくっていただきたい。  もっとたくさんあるわけでありますが、きょうはひとまず三点お願いをしたいわけでありますが、御答弁いただきたいと思います。
  183. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 それでは、ただいまの三点についてお答え申し上げます。  まず、わだち掘れの件でございますが、御指摘のように大変重交通のところでございますので、わだち掘れがあるのは事実でございます。定期的に点検をいたしまして、できるだけ早く舗装して良好な路面の維持に努めております。例えば六十一年は補修費だけでも十一億四千五百万という大変多額な維持費を投入しまして舗装の補修を行っておりますので、よろしく了解願いたいと思います。  それからインターチェンジでございますが、この道路昭和三十八年に今で言えば一般国道自動車専用道路としてつくられた道路でございますので、前後の最近できた高速自動車国道と比べますと大分見劣りするのは事実でございまして、特に御指摘のようにインターチェンジの加速車線等が今の規格よりは悪いわけでございます。したがいまして、今先生指摘の箇所と一致するかどうかわかりませんけれども、既に六十一年二カ所インターチェンジを完成しておりまして、六十二年度も五カ所のインターチェンジを改良して、今御指摘のような危険箇所を少なくするようにそういった対応策をとっているところでございます。  それから登坂車線におきましても、大型車の混入が高いわけでございますので登坂車線の必要性がございまして、一部登坂車線の設置を進めておりまして、先生指摘のような点を逐次解消していきたい、そういう方針でこの名阪道路を管理しておりますので、よろしくお願いいたします。
  184. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ十分な対応をいただきたい。お願いをいたします。  私ども今度のこの法案に対しましては大枠で賛成であります。先ほども申しましたように、本当に地方の生活や産業あるいは文化をどう守っていくのか、深刻な問題だと思うわけであります。しかも、このような高速道路に対しましてもそのような状況の中で非常に熱望されているのをひしひし私も感じるわけであります。先ほど来、大分先の話ということになるのですね。そうなりますと、どうなるのか。十年先でも遠い先の話だと私はこのごろ思うようになったわけでありますが、それが二十年、三十年ということになりますと、これは大変な先のことになるわけで、その辺のところがどうなるのかということであります。  そういうことで、きょうは非常に積極的な大臣の御答弁もいただいたわけでありますが、大臣の御答弁だけではなしに、本当に建設省としてそのように御対応いただきたいということを強く要望するわけであります。そして、このような地域の住民の人の強い要望を私どもは積極的に取り上げていかなくてはならないと思いますし、また、高速道でありますとかあるいは新幹線でありますとか空港でありますとか、このような交通体系の近代化ということについては、私ども斯界進歩の方向の問題として本質的にはとらえているわけでございます。そういうことでございます。ただし、住民の意思を本当に尊重していただく、そのような民主的な道路行政をぜひ積極的に進めていただきたい。また繰り返してなんですが、自然環境を本当に守っていく、そういうような対応もしていただきたい、このように願うところであります。  また、こういうふうに申しますと、共産党は四全総やあるいは道路審の建議に賛成であるのか、こういうような感じを持たれる方もあろうかと思いますが、その点については、私どもそれを認めているという立場ではないわけであります。四全総の問題でいえば、やはり地方分散、このように言っておられるわけでありますが、うたい言葉であって、実際はやはり一極集中という側面が非常に強うございます。地方分散という形については具体的な対応が少ない、対策が少ないというような内容のものであり、私ども賛成をする立場ではありません。また、いわゆる道路審の建議につきましても、先ほど来少し触れましたように、東名、名神を優先をするというような考え方でありますとか、あるいはいわゆる圏央道でありますとか外郭環状道路というんですか、そういうようなところの問題だとか、これは私ども容認できるような状況でないものがあるわけであります。そういう点では我が党は反対をするわけでありますが、今度の法案については先ほど来申し上げましたような立場で賛成をしてまいるところであります。そういう立場でございます。  どうか、先ほど来申しましたような私どもの要望にぜひ十分こたえていただいて、本当に住民の願っておるそのような高速道ですね、殊に地方の高速道を充実をさせていただきたい。重ねて要望いたしまして、質問を終わります。
  185. 村岡兼造

    村岡委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、明後三十一日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十二分散会      ————◇—————