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西廣政府委員 私、先ほど洋上防空研究において二つのシミュレーションをやったということを申し上げましたが、これはあくまで防空のためのシミュレーションということで、そういった二つのパターンにおける空からの
攻撃に対してどう対応するのが最も被害が少なくて済むかというシミュレーションであります。
一方、今先生、
潜水艦の被害と航空の被害というようなお話がありましたが、この点について言えば、そういった総合的な
海上交通の破壊に対するシミュレーションというのは、実は昨年終わりましたシーレーン
防衛の研究というのがございまして、そこでいろいろな研究をしたわけであります。その中に、
相手方は
潜水艦、航空機等、
もろもろの彼らが持っている機雷その他で
攻撃をしかけてくるわけですが、そういったものに対して我が方の
船舶がどんなに被害を受けるか、あるいは一カ月、二カ月後に
我が国に入港する
船舶がどれだけ減ってくるかといったような結果を求めてシミュレーションをシーレーン
防衛研究でやったわけであります。
その際の結果について、細部の数字等は御勘弁いただきたいのですが、私どもの得た結果というのは、そのシミュレーションそのものが五十八年度の
防衛力、つまり五十八年度に発注した
防衛力、六十三年ごろでき上がる
防衛力でありますが、その
段階の
防衛力でシミュレーションいたしましたので、対潜
能力についてはかなりのものを我が
防衛力そのものは持っておる。したがって、
潜水艦による被害というものはあることはあるけれども、逐次我が方の対潜
能力の成果というものがあらわれてきてそれは低減してくるわけでありますが、一方航空機による
攻撃について言えば、先ほど来申し上げているように、
船舶攻撃であっても従来のように
船舶の頭上に来て
攻撃するのではなくて、もう少し離れたところからミサイルで
攻撃してくるということになりますと、そういったものに対応する装備というものが現在ほとんどないわけであります。ということで、一撃一撃の被害はさることながら、ずっとそれが累積してくる。しかも、
相手方は今申したように我が方の手の届かないところから
攻撃してくるものですから全く被害を受けないので、我が方が航空機の
攻撃から受ける被害というものが減っていかない、いつまでたっても同じ
状況が続いていくということで、二カ月、三カ月たちますと、
潜水艦による被害よりも航空機による被害の累積の方がより多くなってしまうというような
一つの結果が出ているのはまた事実であります。
そういったことも踏まえて、やはり
船舶の防空についても当然のことながら洋上防空ということについてもう少し何らかの対抗措置をとらないと
我が国の生存のために必要な
輸出入が確保できないというような
一つの教訓をシミュレーションで得たわけでありますが、そういったことも踏まえて先ほど御
質問のあった洋上研究というものがここ一年ぐらい行われておるわけであります。
それに対応する手段として、本
委員会でも先ほど
月原委員の方から御
質問があってお答えしたところでありますが、その対応手段としては、まず第一
段階としては非常に広域の早期警戒、監視、そういったものが必要であろう。そういったものがないと十分な対応なり避難、例えば
船舶がそういう
攻撃から避けられることはできないという問題があります。第二番目は母機対策。ミサイル
攻撃をしかけようとしている
相手の航空機そのものを
撃破できないといつまでたっても
相手の
攻撃がとまることがない、それをどうするかという問題。そして最終
段階としては、なおかつ撃ち漏らした母機からのミサイル
攻撃というものに対してどこまで自衛措置がとれるような、例えばエイジスのようなシステムが必要かという三
段階に分けて研究したわけであります。
そのうちの広域の警戒、監視あるいは母機対策、そういったものは単に
船舶の防空ということだけではなくて、それは本土防空そのもの、防空の一番大きな
任務である国土の防空、しかもそれを担当しておりますのは航空自衛隊の主たる
任務になっておるわけでございますが、そこの本土防空機能として今申し上げたような一
段階、二
段階についてどこまでのことがやり得るのか、あるいはどこまでやらなくちゃいけないのかというようなことをあわせ検討しませんと、
船舶の防空というようなことだけで、ある
一つの機能なり部隊をつくってしまうということになりますと、次から次に何か問題ができれば新しい部隊をつくって対応していくということになれば、大綱の別表にある枠組みの中でそれを可能にすることは不可能でありますし、限りなく
防衛力というものはふえていってしまうというようなことも考えまして、我々としては、単に
海上交通の
保護に関連した防空ということにとどまらず、やはり全般防空の中でこれは十分
レビューしていくことが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。