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国務大臣(
宮澤喜一君)
総理大臣が、何よりも六十二
年度の
予算の成立をお願いして執行したい、そこから始めたいと言われますのは、まさにそのとおりでありまして、昨
年度のことをお
考えいただきましても、六十一
年度の
予算が成立し、その執行をいたしまして、その線上で必要な
措置を秋に補正
予算としてお認め願ったわけでございます。補正でお認めを願いました公共
事業が現在まだ行われておりますが、今度六十二
年度の
予算の成立、執行をお願いいたしまして、そのまた線上に立ってと申しますのは、この
予算には、御承知のように公共
事業でありますとか、あるいは三十万雇用開発でありますとか、あるいはまた産業の転換でありますとか、いろいろなものを含んでおりますから、これをぜひスタートさせていただきまして、その延長線上においてまた必要な
措置を必要ならば講じる、こういうことにぜひお願いをいたさなければ手順が立っていかないということを
総理大臣も言っておられるわけでございます。
そこで、お尋ねは、そのようにしていきますと、当然ある時期に、
昭和六十三
年度の
予算編成をどのように
考えるかということになります。
我が国の
一般会計が国債に二〇%近く依存しておる、そして国債費は二〇%を占めておるという現状はどうも一向に改まっておりませんので、依然として財政の再建は急務でございます。同時にしかし、
野田委員が御指摘のような内外からの
内需拡大という命題を私どもは
解決しなければならない。いわばそういう二律背反したような
状況で問題の処理をしなきゃならぬわけでございますが、実は昨年の暮れに六十二
年度の
予算編成を終わりましたときに、その経験にもかんがみまして、六十三
年度の
予算編成にはもう一つ、財政が与えられた
状況の中で精いっぱいのことはしたと言われるような工夫が必要であろうと
考えまして、そのことは昨年の暮れに事務当局に実は指示をいたしております。
それが具体的にどのような形をとりますかはこれからの問題でございますけれども、財政再建の必要性はもとよりなくなるものではございませんけれども、そういう中で、現在の内外からの要請にこたえてどのような優先度、アクセントを
予算の中でつけていくかということは構想を新たにして
考えるべき問題であろうというふうに思っております。
なお、それとの関連で、ただいま
昭和六十五
年度までに赤字国債を脱却するということは事実上非常に難しいではないかと御指摘がございました。私どもも、ここまでまいりますとこれが容易でないということはよく存じております。ただしかしながら、今まで財政再建がやってまいりました、なし遂げた成果、つまり一般歳出を五年間にわたってゼロ、マイナスに置いたということは行政としてはかなり厳しい
努力でありましたし、またそういうことの中から制度あるいは意識についての幾つかの改革も生まれております。
そういうことがございますので、ただ六十五
年度赤字国債脱却という看板をおろしただけでは、むしろ害の方が多い。もしそれを変えるのであれば、それにかえて何を財政抑制の基準とするかということはどうしても必要でございます。したがいまして、まだ時間もございますので、今の点につきましてはもう少し、かわりにどういうものをもって財政のいわば規制のめどにすべきかということを
考えていかなければならないと思っております。