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高木健太郎君 これも現実をちょっと申し上げますと、現在、いわゆる
専修学校としてできている鍼灸
学校が、恐らく私立の方で三十ぐらいあるんじゃないかと思うんですね。大体五十人ぐらいとっているんじゃないでしょうか。だから千五百か二千人ぐらいの人が出ているわけです。しかもこれは二年半なんですね。だから、いわゆる盲
学校における三年よりも割がいいわけです。盲
学校の方はマッサージもとりますから、それで三年ということになっているんでしょう。普通の鍼灸学
校は二年半で出てしまうわけなんです。ところが、患者というのを
一つも診たことがないんですね。
はりというのは、中曽根総理も自分でおやりになっていますし、胡耀邦におい、刺してやろうかと言われたそうですが、胡耀邦からこうやられたということを聞いております。また、国会の
先生方の中にも鍼灸というのを愛好されている
先生もおありなわけです。
ところが、鍼灸師というのは国家
試験、地方自治体による
試験で鍼灸師になるわけですけれ
ども、それが患者というものにさわったことがないんですね。それから病気というものを診たことがない。診たことがないといっても風邪ぐらいは診るでしょうけれ
ども、本当の病気というのを患者を前に置いて診たことはないわけですね。辛うじて明治鍼灸
大学には附属の病院あるいは関連病院がありまして、そこへ行って患者を診て勉強しているという、
大学ではそうやっている。今度附属として東洋医学診療センターというものをおつくりになるというのは、そういう意味では私非常にいいと思うんです。
非常にいいんですが、それじゃほかの専攻科はどうなっているか。それからほかの
専修学校はどうするんだ。ここはいいがこっちは悪い、私はそんなものじゃないと思うんですね。人間の体を診るのにここでいいということはないわけなんですね。ここまでは最小限度入れようということであればやはり全体をそこへそろえるべきじゃないかなと思うわけで、少なくとも現在の
専修学校は、これは厚生省の管轄になりますけれ
ども、
専修学校でもあるいは盲
学校における専攻科でも、ある程度何か体をさわらせる。それからまた、現在は解剖も何もございません。
視覚障害者の方には解剖はございませんから、我々はいろいろ便宜を図りまして、
大学の中へ連れてきて、そして死体をさわらせる。そのことによって、内臓は、肝臓はこうですとか、いろんなことを我々はお手伝いをしておるわけですね。そういうこともございますから、医療センターができるということは私はこれは非常に望ましいことでございますが、ほかとのアンバランスが大きくなるということは私はこれはぜひ何とかお
考え願いたいと思います。
そういう意味で、もう時間がなくなりましたので、文部大臣に私
お願いをしたいと思いますが、鍼灸師あるいはこういう
視覚障害者の方で、
先ほど申し上げた川島さんのように、頭が非常によくてそれから研究意欲も旺盛で、そういう方がおられるわけですね。そういう方が
大学なり研究所なりあるいは医療機関なりで、自分はここで勉強したいというときに、それを受け入れてやるように
大学が門戸を開いていただきたい。これが第一点です。これは何とかして国立の
大学なり研究所なり、そういうところで勉強したいという者には特別にそれに対して便宜を与えてやるような方策をひとつ講じていただきたい。これが
一つでございます。
もう
一つは、これは多分五十年より以前と思いましたが、四十七、八年だと思いますが、日本
学術会議から、日本は東洋医学のメッカだと言われておるのに、実は国立の研究所というのはないわけです。立派な研究所というのは全然ございません。いわゆる鍼灸師というものだけでございまして、その人たちが勉強しようというところでもない。あるいは鍼灸とは何物だということを鍼灸師にさせるということはこれはできないのです。また、医
学部の
先生がそういうことに携わるということは余りおやりにならない。ところが、欧米でも中国でも、中国は鍼灸の
大学を今度北京につくります。そういうように、世界の
状況がそうなっているのに、日本古来からの
一つの医療である鍼灸が本当に片隅に追いやられている。そういう意味で、この短大も私非常にいいと思うんですけれ
ども、願わくは将来国立の研究所というものもひとつぜひこれも脳裏にとめていただきまして、将来、東洋医学というものが日本に来れば非常に勉強になったと世界の人から言われるように、そのようにしていただきたい。この短大の設立を契機としてそういうことを文部大臣に申し上げまして私の質問を終わりたいと思います。文部大臣、何か御感想がございましたら
お願いをしたいと思います。