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1987-07-02 第108回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年七月二日(木曜日)    午前十時四分開会     ―――――――――――――    委員異動  五月二十八日     辞任         補欠選任      永野 茂門君     浦田  勝君  七月二日     辞任         補欠選任      三治 重信君     柳澤 錬造君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         高木 正明君     理 事                 北  修二君                 水谷  力君                 宮島  滉君                 稲村 稔夫君                 刈田 貞子君     委 員                 上杉 光弘君                 浦田  勝君                 大塚清次郎君                 川原新次郎君                 熊谷太三郎君                 鈴木 貞敏君                 初村滝一郎君                 本村 和喜君                 上野 雄文君                 村沢  牧君                 及川 順郎君                 諫山  博君                 下田 京子君                 柳澤 錬造君                 山田耕三郎君    国務大臣        農林水産大臣   加藤 六月君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        農林水産政務次        官        星  長治君        農林水産大臣官        房長       甕   滋君        農林水産省経済        局統計情報部長  松山 光治君        農林水産省農蚕        園芸局長     浜口 義曠君        農林水産技術会        議事務局長    畑中 孝晴君        食糧庁次長    山田 岸雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (昭和六十二年産米生産者米価に関する件)  (食糧管理制度根幹堅持、米の市場開放阻止  等に関する件)     ―――――――――――――
  2. 高木正明

    委員長高木正明君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る五月二十八日、永野茂門君が委員辞任され、その補欠として浦田勝君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 高木正明

    委員長高木正明君) 次に、農林水産政策に関する調査のうち、昭和六十二年産米生産者米価に関する件を議題といたします。  まず、昭和六十二年産米生産者米価について政府から説明を聴取いたします。山田食糧庁次長
  4. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) それでは、本日昭和六十二年産米穀政府買い入れ価格につきまして米価審議会の方に諮問さしていただきましたので、諮問概要につきまして御説明さしていただきます。  今お手元に配付さしていただいておりますところの資料の「諮問」というのと「諮問についての説明」というのがございますので、まずそれを朗読さしていただきます。     諮問   昭和六十二年産米穀政府買価格について、将来にわたり我が国稲作の健全な発展を図るとの観点に立ち、需給事情に即応しつつ生産費及び所得を考慮して決定することにつき、米価審議会意見を求める。     昭和六十二年七月二日      農林水産大臣 加藤六月     諮問についての説明   米穀政府買価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図ることを旨として定めることになっており、その算定については、昭和三十五年以降生産費及び所得補償方式によりその時々の需給事情等に応じて行ってきたところであります。  このような中で、昨今の米をめぐる内外の諸情勢から、稲作の中核的な担い手となる農家やこれら農家中心とする集団を育成し、将来にわたって我が国稲作の健全な発展を図り、国民の主食である米を安定的に供給していくことが現下の最大の課題となっており、このための各種施策を鋭意推進しているところであります。  また、米の需給事情については、消費が依然として減少傾向にある一方潜在生産力は高水準で推移し、潜在的な需給ギャップ拡大傾向にあり、過剰を懸念しなければならない状況の下にあります。このため、三度の過剰を招かぬよう水田農業確立対策推進と併せて政府の的確な米管理の徹底を期すことが重要となっております。  なお、米の管理に係る財政運営も、国家財政が厳しい状況にある中で、一層困難な局面に直面しております。  他方、稲作については単取水準上昇投下労働時間の減少、更に一般経済情勢面では物価金利水準低下労賃上昇率鈍化等をみております。  本年産米穀政府買価格につきましては、以上の事情総合勘案の上、生産費及び所得補償方式により算定することとしてはどうかということであります。  次に、お手元にお配りしておりますところの「昭和六十二年産米穀政府買価格試算」の資料について説明さしていただきます。まず、資料に入らしていただく前に算定の基礎的な考え方について申し上げておきたいと思います。  本年産におきましては、先般の米価審議会委員懇談会、前広米審での御論議も踏まえまして、五十九年五月二十五日の米価審議会において採択されました米価算定に関する米価審議会委員会報告の趣旨に沿って算定しております。  すなわち、算定方式としましては生産費所得補償方式によることとし、対象農家平均生産費について、物財雇用労賃など実際に支払う費用につきましては生産費調査結果を物価修正するとともに、家族労働費については都市均衡労賃評価がえをし、実際の支払いを要しない自己資本利子自作地地代についても一定評価方法により算入しまして、これらを合計した評価済み生産費平均単収で除したものに収量変動平準化係数を掛けまして、求める価格、米全体の農家稲作価格でございますが、を算定しております。  具体的な算定につきましては後ほど説明さしていただきますが、主要な点について申し上げますと、まず、生産費対象農家につきましては、巨額の財政負担を伴って、生産調整を行わなければ需給均衡が図れないという現下の米の需給事情米価算定に反映させることとしております。すなわち、生産費対象農家として、農家生産費の低い順に並べて、その累積生産数量比率一定比率、今年は七九%を使っておりますが、になるまでの農家をとっております。  その場合、この一定比率を求める際の分子当たりますものにつきましては、これまで生産予定量をとっておりましたが、本年においては、生産者側自主調整が実施され、そのうちの二十万トンは本年度の転作強化によって在庫減を予定しているものであることから、本年の需要に含め得るものとして、生産予定量千十万トンにその二十万トンを加えたものをとっております。  また、分母当たります潜在生産量につきましては、六十二年度における潜在生産量千三百七十万トンから、昨年の試算値と同様に、他用途利用米生産予定量三十五万トンのほか、転作畑相当分を含む永年性作物分定着分三十二万トンを控除しております。  次に、主な算定要素について御説明いたしますと、まず、家族労働評価に用います都市均衡労賃とり方につきましては、基本的には五十六年度以降のとり方と同様、常用労働者数五人以上千人未満事業所規模製造業賃金について、都道府県別米販売量ウエートにより加重平均した賃金という考え方算定しております。  また、自己資本利子及び自作地地代につきましては金利動向が大きく影響いたしますが、本年の場合、金利が短期的に大幅に低下し、戦後最低の水準になっていることにも配慮し、家族労働費とともに重要な所得付与部分を占めるこれらの要素が、金利水準の急激な変動により大きく揺れることは必ずしも適切でないとの考え方に立ち、その影響を緩和するようなとり方をしております。すなわち自己資本利子金利とり方につきましては、自作地地代算定における金利とり方とも関連づけて、米価算定時における農協六カ月定期と一年定期平均の五十八年以降五年平均をとっております。なお、昨年の政府試算では、より短期の農協三カ月定期金利も織り込んでいましたが、本年においては金利水準の安定を図るために織り込まないことといたしました。  また、自作地地代評価につきましては、五十九年産型のやり方と同じく、固定資産税評価額を元本とする土地資本利子という考え方に立ちまして算定しておりますが、その際の適用利率につきましても、金利低下影響を緩和する観点から十年利付国債の過去五カ年間の平均応募者利回りを用いております。  企画管理労働につきましては、現行米価算定方式対象となっております圃場における直接的な生産労働とは異なること、その範囲や把握の仕方等調査上にもいろいろ問題があること、零細な農家まで含めた米販売農家算定基礎としていること、現下の米の需給事情等から見て、米価算定に算入する際には無理があると考えられます。  一方、作付規模拡大生産組織化複合化等推進により、水田農業を確立していくことが重要な課題となっている中で、今後、企画管理的な労働もより重要になってきている点に配慮いたしまして、本年においては暫定的な取り扱い方として、いわば担い手予備軍的な農家と考えられる規模層、一・五ヘクタールでございますか、それ以上のものにつきまして企画管理労働を付与するとの観点から、過去のデータに基づいて、その生産性相当分を算入しております。  以上に加えて、近年の新しい収量変動算定値に実際上大きく影響していることにかんがみ、昨年の政府試算と同様、米価算定適用年直近三年平均の十アール当たり生産費と単収を基本としつつ収量変動平準化のための一定係数を用いることにより、収量変動影書を緩和するようにしております。  その際、昨年の政府試算においては、直近三年平均単収と直近三年の平均単収の技術水準に修正した直近五年平均単収との比率収量変動平準化係数として用いましたが、本年においては、昨年の方式のような過去の技術水準平準単収で修正するといった違和感や、期間を何年にするとかといった問題が解消され、かつ、より安定的であると見られる生産費単収と推計により求めた平年ベース生産費単収との比率を用いております。  以上のような方式により試算されました結果は、一-五類一-二等平均包装込みで、いわゆる基本米価現行米価よりも五・九五%低い一万七千五百五十七円となります。  それでは、次に、資料に入らしていただきます。  お手元資料の第一ページにございます算式でございますが、Pイコール云々とある中の分子部分は、十アール当たり評価がえをしました生産費、それの三年平均を示しておるわけでございまして、分母にありますところの十アール当たり収量、これも三年平均でございますが、それで割りますと、一応キログラム当たり生産費、これは生産費所得補償方式評価がえを行った生産費でございますが、それが求められることになるわけでございます。その生産費にαというのを掛けまして六十キログラム当たりに換算しておるわけでございますが、このαが先ほど申し上げましたような収量変動平準化係数でございます。  その収量変動平準化係数につきましては九ページをお開きいただきたいと思います。九ページの真ん中辺に「3 収量変動平準化係数算定」というのを書いております。式はごらんいただきますと若干いかめしいような式になっておるわけでございますが、分子直近三年間において実現されました生産費単収を平均したものでございますし、分母につきましては、分子と同じ直近三年間におきますところの平年ベース生産費単収を推計しまして、それを平均したものであります。この平年ベース生産費単収の推計は、少し下の方のZr分のというところの説明に書いてありますように、米生産費調査による米販売農家の十アール当たり平均収量農林水産省統計情報部作物統計調査に基づく十アール当たり収量との関係から計測した次式、次のページに一応挙がっておりますが、yイコール云々と、この式によりまして一応計算したものでございます。  以上のような一ページの式に基づきまして計算した結果が二ページの上に書いておりますところの「求める価格」でございます。三年平均のものの評価がえをしました生産費、下は単収でございますが、それに今説明いたしました収量変動平準化係数を掛けまして六十キロ当たりの求める価格、いわば農家庭先価格でございますが、それが求められるわけでございます。この価格運搬費を計上いたしまして、足しまして政府買い入れ場所における価格に換算するわけでございます。私どもこれを基準価格と呼んでおります。この基準価格をもちまして「3」に書いておりますような「うるち軟質3類1等裸価格」を算出するわけでございます。この算出は、所要方式につきましては従来と同じような方式で算出しておるわけでございまして、結果は一万七千四百四円と、こういうことに相なっておるわけでございます。この価格からウルチ一-五類、一-二等平均包装込み生産者手取り予定価格、いわゆる基本価格でございます。私ども米価云々といって代表させる場合におきましてはこの基本価格を使わさしていただいておるわけでございますが、これも所要計算方式によりまして計算いたしますと、一万七千五百五十七円になるわけでございます。  この価格が昨年の一万八千六百六十八円に比べますと、額にいたしまして千百十一円マイナスになるわけでございますし、率にいたしまして五・九五%のマイナス、こういうふうなことに相なるわけでございます。三ページには御参考までに「類別等級別政府買価格」を掲げております。これは先ほどウルチ軟質類一等裸価格類別格差等級格差でもって開いたものでございます。この等級間格差なりまた類別格差につきましては前年どおりの格差を適用さしていただいております。  大体以上が今回の試算概要でございますが、先ほどもちょっと説明さしていただきました中に、企画管理労働費について規定を織り込んでおるということを申し上げましたが、それにつきましては八ページをお開きいただきたいと思います。八ページの真ん中辺に「(7)企画管理労働費」というのを置いております。それをちょっと読ましていただきますと、「米生産費補完調査の結果に基づく稲作に付帯して必要な集会出席技術習得資金調達及び簿記記帳に係る時間」、これが二時間に相なります。「時間に、対象農家生産数量に占める水稲作付規模一・五ヘクタール以上層の割合を乗じて求めた時間に見合う評価額」を都市均衡労賃評価して算定しております。十アール当たりにいたしまして、先ほど申し上げました企画管理労働費の時間が二時間でございますし、一・五ヘクタール以上層の生産量のシェアが五〇・八%でございますので、それを乗じました結果一時間というのが得られるわけでございます。以上をも今回の試算では織り込みまして、先ほど申し上げましたような結果に相なっておるわけでございます。  そのほか細かい算定の内容につきましては時間もございませんので省略さしていただきたいと思います。  以上でございます。
  5. 高木正明

    委員長高木正明君) 次に、昭和六十二年産米生産費調査結果を聴取いたします。松山統計情報部長
  6. 松山光治

    説明員松山光治君) お手元にお配りしております資料によりまして昭和六十一年産米生産費について簡単に御説明さしていただきます。  一ページ目に総括表が出ておるわけでございますが、本年の場合は最近の稲作をめぐる事情、その中での調査環境の変化といったようなことも勘案いたしまして、玄米十俵以上販売農家平均値としてお示しし、六十年産の結果についても必要な組みかえ集計を行った結果をお示ししてございます。ごらんいただきますように、十アール当たり数字で申しますと、物財費が二%強の増、労働費が二%強の減という状況の中で、費用合計から副産物価額を差し引きました第一次生産費で十三万七千八百七十五円、それに資本利子地代を算入いたしました第二次生産費が十七万七千七百二円という結果に相なっておりまして、前年との増減では一%程度の増、こういう数字に相なっておるわけでございます。右側に六十キログラム当たり数値が出でございますが、六十キログラム当たり数値につきましては、第一次生産費が一万五千三百十二円、第二次生産費が一万九千七百三十五円ということでそれぞれ一%程度マイナスに相なっておるわけでございますが、十アール当たりが増になり六十キログラム当たりが減になっておるというのは、昨年御案内のように豊作でございまして、十アール当たり収量が五百二十九キログラムから五百四十キログラム、二・一%上昇しておる、こういうことの反映でございます。  こういう状況の中で収益性については、そこにございますけれども、粗収益で十アール当たり十七万三千八百七十七円、所得で八万二千五百十一円といずれも一%台の増ということに相なっておりまして、これはいずれも収量増が反映したもの、こういうふうに御理解いただいたらいいのじゃないかと思います。  中身について若干の御説明をさしていただきますが、二ページをお開きいただきますと、まず費目別構成でございますけれども、「(1)費目構成」というところをごらんいただきますと、一番大きなウエートを占めておりますのが労働費でございまして三六・七%でございます。続きまして農機具費が三〇・七、以下肥料費賃借料料金農業薬剤費と続いてございまして、この五つの費目費用合計の八六・八%を占めておるわけでございます。  これら主要費目の十アール当たり数値動向でございますけれども、まず労働費につきましては、先ほども申しましたように五万二千四百五十五円ということで、前年を二・四%下回ってございます。これは労賃単価上昇はいたしましたものの、十アール当たり投下労働時間が五十二・二時間という結果に相なりまして、マイナス四・二%ということが影響しておるわけでございます。  農機具費につきましては前年を三・七%上回っておりますが、自脱型コンバイン等高性能機械への更新が進んでおるといったような事情があるわけでございます。  肥料費につきましては、ほぼ前年並みとなってございます。昨年、肥料単価が六十一年七月に改定になりまして、主要十品目で一〇%強の値下がりになったわけでございますけれども、既にその段階では六十一年についての肥料の手当ではほとんど終わっておるということで、この六十一年の結果には昨年の肥料価格低下は反映されておらないというふうにごらんいただいていいのではないかというふうに思います。  賃借料料金につきましては、ライスセンターでございますとかカントリーエレベーター等利用がふえておるという、そういう意味での稲作作業委託の増加を中心といたしまして前年を七・八%上回ってございます。  農業薬剤費は前年並み地代につきましても若干前年を上回る、こういう数字でございます、このほかに、ウエートとしてはそれほど多くないんですけれども、光熱動力費、これは油代等減少によりまして一二%近いダウンに相なっております。  以上が主要費目動向でございますけれども、作付規模別生産費状況をその次に記載いたしてございます。十アール当たり費で見ましても、それから六十キログラム当たりで見ましても、規模が大きくなるにつれまして費用が逓減するという形が明瞭にあらわれており、特に六十キログラム当たりではその程度が大きくなるというのが全体の姿でございます。  これは作付規模の大きな階層ほど農機具の効率的な利用が行われる、稲作労働省力化も進む、それに伴いまして労働費なり農機具費なり賃借料料金費用低下するといったようなことになるわけでございますが、例えば数字で申しますと、三ページの一番上の方にございますように、十アール当たり生産費で申しまして、生産費の一番高い〇・三ヘクタール未満層を一〇〇として見てみますと、一・五ヘクタールから二ヘクタール層で七三、二ヘクタールから三ヘクタールで七一、三ヘクタールから五ヘクタールで六九、五ヘクタール以上層で六四というようにかなりはっきりした逓減の様子が見られるわけでございます。  収益性については、先ほど申し上げたところでございますが、十アール当たり所得を一日当たり所得に引き直してみますと、省力化の進展を反映いたしまして前年を五・八%上回って一万二千九百十八円になっております。これが六十一年産米生産費の結果でございます。  四ページ以下に細かな統計表が出ておりますけれども、ひとつこれは後ほど御参照いただければありがたいと思います。  以上でございます。
  7. 高木正明

    委員長高木正明君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより本件に対する質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 村沢牧

    村沢牧君 六十二年生産者米価について農林水産省は、事前調整方式などといって、米価審議会前に政府と自民党が調整をし、諮問案ができ上がった時点で事実上の決定にしてしまうというような方針をとった。そのために諮問米価決定が随分手間取ったわけであります。米価米審に諮って決定するのが食管法規定であり、米審前に事実上の決定をするというようなことは本末転倒であるのみならず、米審審議を無意味にし、またその機能を形骸化するものであります。大臣米価決定について米審等関係をどういうふうに考えていらっしゃるのか。
  9. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) ただいま十時から米審を開いていただきまして、政府諮問案諮問いたしたところでございます。そして、冒頭、米価審議会全体の意見として、村沢先生が御質問になったような全体の御意見が出ました。  そこで、私はお答えをしてきたわけでありますが、昭和五十九年の米審の小委員会においての算定方式算定基準その他があり、また五月には米審懇談会を開いていろいろ算定についての御議論を承り、また先般行いました前広におきましても米審委員先生方のいろいろな御意見を承った。その米審を尊重し、米審皆さん方算定方式基準、いろいろな線を貫いていき、米審を尊重する立場からきのう一日時間が長引いたことは申しわけない、こういうお答えをしておきました。米審政府としてはあくまでも尊重しておるということを申し上げたわけでございます。  そしてまた、一般的に申し上げますと、本年産米価決定に当たっては、昨年の経緯にかんがみまして、その水準とともに決定プロセスについても国民の理解と納得を得られるものが重要である、こう考えております。そして、今回の諮問は昨年の諮問を上回る引き下げ幅になることが確実と見られておりましたことから、生産者団体等ともあらゆる機会を通じて意見交換を行いますとともに、与党との間でも、生産者米価のあり方はもとより、今後の稲作の振興の方策等についても意見交換調整を行ったところでございます。  そういう今回の諮問に至る過程におきまして、与党初め関係各方面と種々意見交換調整を行ったことは事実でありますけれども、これは米価審議会から答申をいただいた後、決定に至る間の、国民の目から見ればいわば不透明とも映るプロセスをなくしたいという意図によるものでございまして、したがいまして、冒頭申し上げましたように、生産者米価決定までを行ったものではございません。決定は、米価審議会意見を伺った上でこれを尊重し、適正に行いたいと考えておるところでございます。      ―――――・―――――
  10. 高木正明

    委員長高木正明君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま、三治重信君が委員辞任され、その補欠として柳澤錬造君が選任されました。      ―――――・―――――
  11. 村沢牧

    村沢牧君 米審を尊重して米価を最終的に決定するということは、本日諮問したこの諮問米価がそのまま即決定米価には必ずしもならない場合もあるというふうに理解していいんですか。
  12. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) ただいま米審諮問をいたしたわけでございます。これから米審の方におきましていろいろ御審議をいただくわけでございます。そして、今お答えいたしましたように、米審意見を尊重しまして適正に決定していきたいと考えておるところでございます。
  13. 村沢牧

    村沢牧君 政府と自民党の折衝によって諮問米価は五・九五%、金額にして六十キロ当たり千百十一円という大幅な値下げになった。実に三十一年ぶりの値下げであって、我々の容認できないところであります。日本社会党はかねてから政府に対して六十二年産生産者米価等に関する申し入れを行って、大臣にも折衝してまいりました。我が党は、六十二年産生者米価は、生産費及び所得補償方式によって算定をし、農民の所得を補償し、再生産が確保されるよう決定すべきである、つまり農民団体の要求する米価を最低限度として、これを補償せよという申し入れは、これは大臣御承知のとおりであります。  そこで、当委員会はこれから審議を行うところでありますが、したがって、米審意見を尊重することも当然のことであるけれども、国会における審議、提言、意見等も米価の最終決定の際には十分しんしゃくして、参考にして決定をするのか。
  14. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 「昭和六二年産生産者米価等に関する申し入れ」、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党、社会民主連合、各党それぞれの申し入れ、先ほど各界、各方面の御意見を十分承りという中に参照いたしております。
  15. 村沢牧

    村沢牧君 各党の申し入れも参考にするということでありますが、これから審議する、要求する問題についても最終決定の際には十分しんしゃくしていただけますね。
  16. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) これから十分いろいろな御意見を承りたいと思います。
  17. 村沢牧

    村沢牧君 承っておっただけじゃだめですからね。我々の意見、国会の意見も十分くみ上げて決定しなきゃだめです。強く要請しておきましょう。  政府は、六十一年産米生産費調査も判明しない以前から六十二年産生産者米価を大幅に引き下げることを宣伝し、大臣、あなたもそのことを言明して引き下げを既定事実のようにしてきたわけなんです。そして前広米審では九・八%下がるという試算を示した。この九・八%という数字は、食糧庁がいかに弁明しようとしても、昨年引き下げようと思ったができなかったその不足分も含めていることは、これは明らかであります。全く不当なものである。大臣、従来は米価の引き下げについて大蔵省がPRした。ことしは大蔵省とともに農水省が表面に立って国民世論をかき立ててきたんです。これが農業の発展を願い、農民の生活向上を求めるべき農水省の態度といえるんですか。
  18. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私は、米価決定については三大基本方針があるということをかねがね申し上げております。  そのうちの一つの中に、昨年の米価決定の経過並びにその後における米あるいは食管制度に対する内外のいろいろな要請等というのを三大基本方針のうちの一つに入れておりまして、また農政審の報告を尊重し、誠実に着実にこれを実施していく、それからもう一つは、内外の厳しい情勢の中に内外価格差というものを念頭に置いて考えていく、こういったことを申し上げておったわけでございます。  そういう中で、先ほどお答えしましたが、米審答申をいただいた後の最終的米価決定に至る経緯というもの、それを事前に十分意見を承りながらやっていくという立場をとったわけでございまして、ある面で申し上げますと、昨年の生産者米価決定がそのまま尾を引きまして今日の諮問につながる経緯もあるわけでございます。したがいまして、今回の生産者米価諮問案というものは、この一年間の国民各界各層の御意見、方法、献策を承って決めたものでございまして、その間いろいろなことがありました。今御指摘になりました九・八%といったものは、前広米審を開くに際しまして複数の委員から、昭和六十一年どおりの計算をしたら幾らになるか出せという御意向がございまして、その線に従って出したものでございます。あれが即政府諮問値でないことは御存じのとおりでございます。
  19. 村沢牧

    村沢牧君 いずれにしても、ことしの米価は下がります下がりますと、生産費もわからないうちから農水省があちこちに宣伝した。こういう態度は許すことはできないと思うんですよ。  それじゃ、今大臣は、ことしの米価決定については昨年の経緯を踏まえてそこから尾を引いていると言っているんですが、ことし試算をしたら九・八%下がる、しかし諮問は五・九五%の引き下げにとめたと。そうすると、その差の三・八五%はまた来年尾を引くんじゃないですか。そういう考え方だったら、また来年試算をするときに、ことし実は六十二年度九・八%下げようと思ったけれども下げなかった、したがって六十三年度のこの米価算定方式を今のままとするならば、また来年も尾を引くということになりますが、そういうことをしませんか。
  20. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) ことしの諮問案を決める前、各界各方面の意見をいろいろ承った際にも、昨年の政府諮問米価は三・八%引き下げ諮問でありました。それが試算値の一部として、試算値として昨年の要素基準をそのままにした場合の九・八という数字が出た際にも、昨年の三・八は引いて計算しろという御意見がありましたが、昨年どおりの数字を入れれば九・八というのが諮問値ではありませんが出るということは間違いありません。したがいまして、私は各界各方面と調整をいたします場合に、もしことしまたいろいろなことをやると、来年に、もちろん来年のことを言ってもこれからの物価とか金利とかあるいはいろいろな情勢の変化大いにありますが、来年に持ち越すことになる可能性もなきにしもあらずでございますということは各界各方面にはっきり申し上げました。それは算定方法、算定基準要素の取り入れをこのまま変更しないでいったならばという前提はつきます。
  21. 村沢牧

    村沢牧君 昨年はいろいろあったけれども据え置くということに決定した。決着はついたんですよ。それをまた三・八なんて持ち出したのはおかしい。そういう論法でいくと、ことしも五・九五%下げると決着をする、また来年そのことを、九・八下げようと思ったけれども五・九五だからその差額をまた来年に持っていくということになるでしょう。絶対そんなことをやっちゃいけない。はっきりした答弁をしてください。
  22. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 今米審において米価諮問をいたしておりますが、また片一方、米審において生産費所得補償方式その他によって算定要素算定基準米審が議論していただくところでございます。ここで承認され、おつくり上げていただいたものに従ってやるわけでございます。
  23. 村沢牧

    村沢牧君 米審審議することはわかっているけれども、ことし算定した不足をまた来年持ち越す、大臣の答弁聞いているとそういうことになっちゃうんですよ。そんなばかなはずがない。ただ、ことしの算定は少なくしたわけです。来年またそれがはね返っていくわけですね。ことしはことしで決着するんですよ。決着したところから出発しなきゃいけないんです。もう一回答弁してくださいよ。
  24. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) そこら辺の議論も随分ありました。それらの議論を踏まえ、五月の米審懇談会においてそこら辺をお諮りしておるところでございまして、来年以降のそういう問題については今後米審において御審議願うようになっておるわけでございます。
  25. 村沢牧

    村沢牧君 米審において審議することは当然のことですが、冒頭申し上げたように、国会の意見だって聞かなきゃだめですよ、大臣。きょうは米価だけで終わりますが、そういうことはずっと農林水産委員会でやりますよ。そんなふざけたような決定の仕方はだめだ。  そこで、大臣はことしの米価決定を考えるに当たって三大方針を言った。私は一つ欠けている問題がある。それは何か。米価食管法に基づいて決定しなきゃならない。食管法には生産者米価及び消費者米価決定基本原則が明記されており、この規定食管法の根幹である。ところが、今日まで大臣のいろいろな話を聞いても、大臣の口から食管法に基づいて決定するという言葉は一言も出てこない。幾ら大臣食管法基本を守ると言ったって、こういう姿勢じゃだめなんですよ、食管法の立場がない。
  26. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私はいかなる場合にも三大基本方針を申し上げた後、食管法規定に従い米審にお諮りいたしますということを言っております。
  27. 村沢牧

    村沢牧君 私が今指摘したから言ったんじゃないですか。さっき言わなかったじゃないですか。  そこで、大臣生産者米価の引き下げをPRするとともに、消費者米価の引き下げも宣伝した。消費者米価を下げるということは結構なことだけれども、実際に行うのか。またそれはいつ、どのくらいの幅で行うのですか。
  28. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私は生産者米価のことにはよく言いましたが、消費者米価問題に直接言及はほとんどいたしておりません。ただ、あるところの質問で出ましたから、私の後の農林水産大臣が年末に考えることでございます。その私の後の農林水産大臣に選択の余地を残してあげたいというのが一点でございます。  それからもう村沢委員御存じのとおり、今この十月末には恐らく百九十万トンの持ち越し分が出できます。これらに対して、もし生産者米価が下がるようになった場合にどういう措置をしなければならぬかということは政治家として念頭に置かなくてはならない問題であります。このように言っておるわけでございます。
  29. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、あなたの寿命は短いかもしらぬが、私の後の大臣が決めることだって、全く失礼な言い方ですよ。自由民主党が政権をとってやっていくとするならば、大臣がだれにかわろうとあなたの言ったことはやらなきゃいけないじゃないですか。あなたはしかし生産者米価を下げれば消費者米価も下げますと盛んに宣伝している。もしあなたの言うような今の答弁だとするならば生産者米価を下げるための一つのPR、手段、それに使ったにすぎない、全く邪道だ。本当は消費者米価下げる気持ちがあるんですか。はっきり答弁してください。
  30. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 消費者米価も同じように米審にお諮りいたすわけであります。そうして今までの慣例で消費者米価といいますか、政府売り渡し価格決定するのは年末にやっております。そういう意味で私は申し上げたわけであります。  ただ、私の念頭には我が国の米の需給を貫いていき食管制度の根幹を守っていくためには、消費者、国民、納税者、こういう方々の理解と納得と支援がなければならないということを申しておるわけでございます。
  31. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、あなたがここでどういう弁解しようとしても、あなたの言ったことが新聞に報道されている。消費者米価も下げますよ、しかも大臣は二段階に分けて下げると言っている。農水省の事務次官はそんなことはできないと言って、そんなことまで新聞に出ているんですね。一体消費者米価下げるのか下げないのか。米審において決めることは当然のことですが、諮問するのはあなたなんですよ。どうなんですか。
  32. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 今も申し上げましたように、米の自給を貫いていく、そうしてまた食管制度の根幹を守るということ、これは単に生産者だけのためではない、国民全体のためであるという理解と納得と支援をいただくためには、もうここから先は申し上げなくても賢明な村沢委員はおわかりいただいているだろうと思うのであって、私は食管制度というものが生産者のためだけにあるのではいけない。そうしてまた米の内外価格差がこれほど激しく議論されておるときに、生産者だけが云々と言うのではなくて、国民の、消費者の理解と納得が得られなければいけない。そうしたらさらに詳しくこういう、きょうは時間が余りないから申しわけないと思うんですが、私のところへも主婦連や消費者団体や生協の皆さん方が、ぜひ加藤さん食管制度を守ってくれ、自給を貫いてくれと言ってこられる。これらに対してありがとうございますというだけの言葉ではいけないので、これを形で示すためにはどういうようにしたらいいかということは、もう国会であろうと、その場に当たる者は皆さんお考えになっておられる問題であると考えております。
  33. 村沢牧

    村沢牧君 大臣の言葉から推察するならば、消費者米価も下げるというふうに私は理解しておりますが、大臣消費者米価というのは、これ食管法によって決めるんですね。家計の安定を旨として決めるんだ。生産者米価が下がったから消費者米価を下げるとか、生産者米価が上がったから消費者米価を上げるとかそんなものじゃないんだ。ですから、あなたが言うように、国民が納得するためには消費者米価も下げる。いいですね、そう理解して。そう理解しますよ。
  34. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 村沢委員がおっしゃったとおりに生産者米価イコール政府売り渡し価格の引き下げというような規定にはなっておりません。そのとおりでございますが、先ほど来申し上げておるような立場で今後政府売り渡し価格は考えていかなくてはならないと思っております。
  35. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、時間がありませんから個々のこと質問できませんが、ことしの生産者米価を下げる理由は、生産費も下がったというふうに言っているんですけれども、先ほど統計情報部長から説明があったように、六十一年産米のこれを生産費調査で見るならば生産費は下がっておらない。つまり前年対比十アール当たりでは一・一%の増、六十キロ当たりではマイナス一%、わずかな減少ですね。だから現行の平均生産費は一万九千七百三十五円、現行米価と比べてみても随分この生産費が高いわけです。ましてやこの諮問価格と比べて、この生産費と比べてみると諮問価格の方が二千百七十八円も低いんですよ。こういう数字を皆さんが発表したって生産費が下がった下がったと言えないじゃありませんか。  そこで具体的に聞きますけれども、諮問米価生産費をカバーできる農家数あるいは一戸平均の販売数量、これを示してください。数字だけで結構です。
  36. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 六十二年産諮問米価と六十一年産生産費を比べて、そこでカバーしているものがどれぐらいか、こういうことにつきましては若干問題なしとしないと思うのでございますが、御指摘の点について申し上げますと、第二次生産費をカバーできる農家の戸数のシェアは一九%ではないかと、このように算定しておりますし、また販売数量シェアでは三七%程度ではないかと、こう計算しておる次第でございます。
  37. 村沢牧

    村沢牧君 まだ答弁になっていませんよ。どのぐらいな面積、あるいは一戸当たりどのぐらい販売したら採算がとれるのか、それも質問しているんです。
  38. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 面積にいたしますと、二ヘクタールから二・五ヘクタール規模層ぐらいではないだろうか、このように見ておりますし、またその場合におきますところの販売数量につきましては、この販売数量について二ヘクタールと二・五ヘクタール、こうしたものにつきましては一応生産費のカバーというふうなカバー率を出す場合にはこれが言えるわけでございますが、規模の中にも二ヘクタールから二・五ヘクタール以上のものにありましても生産費は非常に高いものもございますし逆に低いものもある、こういったことで厳密な計算はなし得ないわけでございます。したがいまして、ここの数字を正確に出せ、こういうふうなことになりますと問題があるわけでございます。
  39. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、お聞きのように、この諮問米価で第二次生産費がカバーできる農家というのは二ヘクタール以上、昨年は一・五ヘクタール以上でカバーできたんですよ。ことしは二町歩以上つくらなければカバーできない。しかも、その農家は米づくり全農家の一九%、しかも販売数量の三七%。今、食糧庁次長は答弁ができなかったけれども、二年ぐらい前の農水省の資料によれば米百俵以上、ことしは恐らくもっと要るでしょう。百五十俵ぐらい売る人でなくちゃ生産費がカバーできないんですよ。こんな米価でもって一体生産費を補償した、これでもって稲作農業ができると言えるんですか。
  40. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 食管法を尊重するということは先ほど来申し上げておるわけでございますが、今回さらにいろいろ具体的な数値を検討しましたが、私が念頭に置き、また各党の先生方のいろいろ御要請があった点を踏まえたわけでございますけれども、一つは潜在需給ギャップ拡大傾向に示される米需給の趨勢、あるいは単取水準上昇投下労働時間の減少等の現に進みつつある生産性の向上や生産コストの状況、あるいは物価金利水準低下労賃上昇率鈍化等の最近の趨勢、こういうもろもろのものを的確に反映させたいという基本的視点に立っておるわけでございます。
  41. 村沢牧

    村沢牧君 大臣の答弁のようにはなってないじゃないですか、諮問米価は。米生産戸数の八一%は生産費が償えない。販売数量の六三%は償えないんですよ。  じゃ大臣、そんな生産費を償えないような二ヘクタール以下の米づくりなんというものは要らないというんですか。それじゃ、一体これだけの現時点において生産費を償えるような農家だけに米をつくってもらうんだと、その他の農家はもう米づくりは要らないというんですか。それとも稲作農業生き残るためにどういう展望と農家のビジョンを持っているんですか、はっきり答えてください。
  42. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 毎年米価決定するときに零細米づくり農家の問題は議論になっておるわけでございます。しからば、そういう方々が米をおつくりになるのをおやめになっておるかというとおやめになっておりません。この事実は厳としてあるわけでございます。私たちは、したがってそういう零細米作農家皆さん方がさらに生産性を向上していただくためのいろいろな施策、方法を講じておるわけでございます。具体的には農蚕園芸局長あるいは食糧庁次長からお答えさせますけれども、土地を貸したり、あるいはまたそういうものの皆さん方から新しい企業体をつくっていただいたり、いろいろな方法を講じておるわけでございます。
  43. 村沢牧

    村沢牧君 いろいろ方法を講じて規模拡大を図っていかなければならない必要性は十分承知をしております。承知をしているけれども、諮問米価ではこれだけしかカバーできないんですよ。カバーできなくても零細農家は米づくりをやめない、そうでしょう。しかし、専業農家で米をつくっている人たちが採算が合わないとなったらやめちゃうんですよ。それで日本の米は安定的に供給できるようになりますか。ですから、いろいろのことを言っているけれども、こんなに諮問米価を下げて、それをそのまま決定しようとすることはいかにしてもこれは無理だ。本当に農民の立場、農家の経済を考えているやり方ではない、そのことを強く私は指摘をしておきたいと思うんですよ。これ以上言っても大臣からそんないい答弁返ってきませんからね。大臣、よく考えてください、私の言うことが間違っているかどうか。  そこで、昨年どおりの算定方式算定したらこういうことになりますと、さもこの算定方式が正しいものである、絶対的なものであるような印象を国民に与えているわけです。私はそうじゃないと思う。この要素の取り方によって米価を上げることも下げることもできるし、政府の最近の農産物価格決定方法は、最初に下げるとか上げるとか据え置きを決めておいて、それによって要素を合わせているにすぎないじゃないですか。この要素だってそうですよ。九・八%下がったけれども、これを五・九五%に下げたのも要素を勝手に変えちゃったわけですね。どうにでもできるじゃないですか。しかし、例えばことしは大幅に下げたけれども五十六年産米決定の際には従来の算定方式でいくならば一一・七%上がったんだよ。それを皆さん要素を変えて据え置きにしちゃった。こんなことをやって算定方式が正しいなんて言えたあれじゃないと思うんです。そこで、その算定方式についても今度だって変えるべきだと思う。どうしてこのことを考えなかったんですか、大臣
  44. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 先ほど来御説明申し上げましたように、五月の米審懇談会においで算定方式のいろいろな考え方について米審先生方意見を承っております。そうしてまた、先般の前広米審においてもこれらに対する意見はいろいろ出たわけでありますけれども、ことしは間に合わない、時間的に余裕がない等の御意見があり、そしてまた先般の前広米審におきましては、昭和五十九年に決定した算定方式の大筋を尊重して諮問案を考えるという御意見等があったところでございます。
  45. 村沢牧

    村沢牧君 時間的に間に合わないと言ったって、食糧庁なんか去年のうちからもう来年の米価を下げるって頭に描いておったじゃないですか。ですから算定方式を考えることだったら十分できることなんです。しかしもう一つ、ことし変えることができなかったことは、去年の米価決定の際、六十二年度米価は現行の算定方式どおりに決定をする、こういう政府と自民党との確認事項があった。ですから、こういう確認事項をつくっておいて、ことし算定方式を変えるからと言ったって、それはなかなか理屈に合わないことなんです。ことしはそんな確認事項はありませんね。何もありませんね。
  46. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) ことしも確認事項はあります。ただ申し上げておきたいのは、昨年もそういう確認事項は行いましたわけでございますけれども、伊東政調会長メモというのがございまして、現行の算定方式には、今後米価審議会において検討の結果採用すべきものとされた方式も含むというのがあります。
  47. 村沢牧

    村沢牧君 それは、今大臣が答弁あったことはことしの確認事項ですか。確認事項があったのなら何と何を確認したのかはっきり答弁してください。
  48. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 昭和六十三年産米価は現行の算定方式どおりに決定する、そうして同じように昭和六十三年生産者米価は、今申し上げましたような今後米価審議会において検討の結果採用すべきものとされた方式を含んでやるというようなのが、まだ私は今日まで署名しておりませんが、回ってくるようになっておると思います。
  49. 村沢牧

    村沢牧君 大臣が署名をしたらその署名を当委員会に提出していただけますか。
  50. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) させていただきたいと思います。
  51. 村沢牧

    村沢牧君 ですから、ことしの諮問米価を決めるのに既に六十三年のものも確認しておるんですね。来年どうなるかわからない、そんなやり方があるんですか。ことしはことしで決着をつけなきゃだめなんですよ。ですからそんなやり方は私は納得することはできませんね。後からその確認事項をいただきましょう。  そこで、今の潜在生産需給ギャップ方式ですか、なかなか難しい名前を使っていますが、需給ギャップといっても、大臣需給ギャップがあるから減反をしているんですよ。しかもことしは七十七万ヘクタールという大幅減反をしている。しかし基本的には需給ギャップなんかあるはずがないんじゃないですか。需給ギャップがあるから減反しているんじゃありませんか。
  52. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 需給ギャップの問題、例年先生からいろいろと御指摘いただくのでございますが、私ども転作をやる際におきまして、今回も千三百七十万トンというのが潜在生産量と、このように見ておりまして、それからこれは転作関連で一応算定される数字でございますが、私どもでこの比率算定するに当たりましては分母の面に置いておるわけでございますけれども、その潜在生産量マイナスすることの先ほど説明させていただきました他用途利用相当分と、それから定着分というものを差し引かしていただいておるような次第でございまして、この数字分子に計上されますところの需要量、これとの整合性を保ちながら適正な需給ギャップ比率算定する、こういうことでやらしていただいておる次第でございます。
  53. 村沢牧

    村沢牧君 私が言っていることは、需給ギャップがあるから、生産過剰になるから減反をしているんだよ。だからそういう建前からは需給ギャップがあってはおかしいわけなんだ。豊作になれば少しふえるかもしれませんよ。しかし今農水省が考えているような需給ギャップはおかしい。しかも需給ギャップ潜在生産量基本になる千三百七十万トン、これは私は何回も指摘をしておるようにあくまでこれは推計数字である。それは転作面積だとか転作補助金を出す前提としての数字であって、転作がなかったらば千三百七十万トン確保できますというこの数字はない。そのことは確認できますね。できるかできぬか。
  54. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 農蚕園芸局の方からお答えいたしますが、現実には需給ギャップは間違いなく存在しておるわけでございまして、これを無視するわけにいきません。二つの言葉があるわけでございます。顕在需給ギャップという言葉と潜在需給ギャップ、もう村沢委員の方がお詳しいわけでありますが、ここら辺のことはもう御存じのとおりでございます。
  55. 村沢牧

    村沢牧君 私の言ったことは歴代もう三年ぐらいずっと皆さん方がそのとおりでございますという答弁をしているんですよ。千三百七十万トンはこれは推計数字である、絶対的なものではない、そういう答弁をしていますね。会議録を私は持ってきていますけれども、それはお認めになっていただいて、その基本になる千三百七十万トンが推計だと、はっきりしたものじゃない。それから引いたり足したり割ったりしたって出てくる答えが正しいものが出てきっこないじゃないですか。ですからこの方式だって絶対的なものじゃないんです。――答弁ありますか。
  56. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 村沢先生御指摘の点につきまして先ほども御説明させていただいたのでございますが、千三百七十万トンの潜在生産量、これから他用途利用米でございますが、その分の三十五万トンを引き、さらに定着分といたしましてその三十二万トン、これを引かしていただいておるわけでございましてその分子の需要量見合い、千三十万トンと見合いの数字ではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
  57. 村沢牧

    村沢牧君 そんな説明を聞いているんじゃないです。千三百七十万トンという基本数字が違っておれば、架空のもの、推定のものであるとすれば、それから足したって、引いたって、割ったっていい答えができっこないと言うのだよ、私は。ですから、あなたはことしの最初の生産者米価諮問米価決定するについては七八%の農家をとったわけですな。きょう諮問に当たっては七九%、幾らでも動かせるじゃないですか。ですからそんなものをもって正しい米価でございますなんてPRしておるのは全くもってけしからぬと思うんです。きょうは時間がありませんからこの問題については後ほど論議しましょう。  そこで大臣、私の時間も参りましたから最後に申し上げますが、大臣の方はことしは米価は下がりますよ下がりますよと盛んに宣伝した。しかし私が指摘をしたように、この諮問米価によってカバーできる農家はどうか。農家は大幅な減反を受けて大変に苦しんでいる。生産費だってそんなに下がっているわけじゃないんです。この農家の苦しみというものを、私どもが諮問した米価ではこれだけしか今日本の農家のカバーはできませんよと、同時にあなたはPRする必要があるんですよ。米価決定のときには、農家の現状はこうです、農家皆さん方にもこれだけ御苦労をかけています、犠牲をかけていますと、そのことを言わなかったら、ただ下げればいい下げればいいじゃ農林大臣のとるべき態度じゃない。したがって、要請しておきますが、米価を最終決定する場合においては国民に対して、ことし決まった米価においてはこれだけの農家生産費がカバーできますけれども、あとの農家皆さん方には負担もかけています、農家も苦しいんです、大幅減反もやられていますと、そのことをはっきりあなたが国民の前に明らかにしてもらいたい。
  58. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 最後の御質問、私も全く同じ意見でございまして、農村の不況、地域の不況、そして水田農業確立によって三割つくるのをおやめいただいておる。さらに今回こういうことになるということでございまして、大変生産者、農民の皆さんにも御苦労をおかけし、現実には血を流していただいておるんだということを私は国民各界各層の皆さんに一生懸命説明し、PRしなければならないと深く期しておるところでございます。
  59. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 大臣に簡単にお伺いいたしますが、いよいよ米価諮問価格決定しまして、本日、委員会にかけられるようでございますが、当初九・八%というふうに一応取りざたされておりました価格が五・九五%というところまでいわば下げられて諮問米価になったわけであります。いろいろの経緯があったことと思いますが、ここに至りますまでには大臣も随分御苦労もされ、努力もしていただいたことと存じまして、その努力に対しましてはこれを心から評価申し上げるのにやぶさかではありません。ただしかし、せめてこの下げ幅を五%以内にとどめてほしいという強い要望を持っておりました農家の方々また関係の皆様にとりましては、やむを得ないとは考えましても、一様の一抹の強い寂蓼感といいますか、寂しさが漂っておりますことも事実であると考えるわけであります。  もうベテランの大臣にこのようなことを申し上げるまでもありませんが、言うまでもなく農業は気候、風土など自然に依存する度合いの強い、多い産業でありまして、ほかの計画的な経営のできる産業とは違って非常にいわば弱い産業であります。また、非常に大切な国民の食糧を賄う産業ではありますが、個々の農家は、何といいますか、零細な収入に甘んじなければならない。しかも自然の不測な災いを常に憂慮しなければならぬ極めて不安定な状態にあるということも事実でありまして、私どもとしましては、この上とも一貫してひとつ思いやりのある米価対策というものを考えていただきたいということでございます。  殊に現在、農家地域の周辺には農業じゃない多くの中小企業も存しておりまして、農家の減収ということがそういう地域全体の経済状態にも非常に大きな関係を持つことは言うまでもないわけであります。そういうあるいは減反でありますとか減収等によります金額がどの程度になりますか、八百億になりますか千億になりますか、よくわかりませんが、そういうこともこの際は十分考慮しなければならぬと考えるわけであります。したがいまして、今回の米価諮問諮問といたしまして、今後とも米価算定あるいは方式とり方等につきましては、いろいろなこういう点を根底に置かれた思いやりのある対策をこの上とも当局は一層強化していただきたいということを心から要望する次第でございます。簡単でございますが、一言お答えいただければありがたいと思います。
  60. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 今回の諮問案決定するに当たりまして、農家、農民に対する思いやりの気持ちを持てという御意見、お話は随分承りました。政府といたしましても、先ほど来申し上げておりますように、我が国稲作の健全な発展を図り国民の主食である米の安定供給を図っていくためには、農家、農民の皆さん方の意欲というもの、そしてまた、それにつながる生産性向上、規模拡大ということを大いに考えたわけでございます。私は思いやりあるいはそれ以上の意欲を持っていただくということに大いに配慮しまして、そしてまた、そういう方々が意欲を持ち生きがいを感じていただくということを夢寐にも忘れてはならない。ある面で申し上げますと、日本の農業を守り日本の米作を押し上げていく気持ちというものが今熊谷委員のおっしゃいました思いやりという言葉であると思います。政治にとって大切なものは思いやりでございまして、これは決して忘却することなく、さらに今後の農政の上にも大いに思いやりという気持ちを配していかなければならぬと考えます。
  61. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 もう一つでございますが、最近、政府部内におきまして稲作農業と農村の活性化という問題が取り上げられているわけでありますが、これに関しまして今後のできるだけひとつ具体的な対策、金額あるいは補正予算としてお出しになることとか、そういう具体策につきまして、簡単で結構でございますから一言御答弁いただければありがたいと思います。
  62. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 稲作に関連する関連対策、これらにつきましても随分議論をいたしました。農業、農村をめぐる内外の厳しい諸情勢にかんがみまして、稲作中心とする我が国農業の生産性向上を図るとともに、農村地域の活性化を図っていくことが緊急の課題であると考えております。したがいまして、こういった観点から、生産者団体等の要請も十分考慮しながら、来るべき臨時国会に提出いたします本年度の補正予算等における対応も含め、所要の政策というものを鋭意進めてまいる所存でございます。
  63. 及川順郎

    ○及川順郎君 大臣、三十一年ぶりで今の空気では事実上米価値下げという、こういう事態濃厚でございますけれども、これはやはり戦後の一つの農政の節目になる。こういう事態に対して、大臣、率直な今の御感想をまず承りたいと思います。
  64. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 内外とも農業をめぐる厳しさというのは、一段とその風の強さは増してきておるわけでございます。そういう中において、先ほど来申し上げております米の自給を貫いていくということと食管制度の基本を守っていく、そしてまた、食管法に従いまして適正に処置していく、あるいはまた、今我が国農業に求められているものは生産性の向上、規模拡大、いろいろありますけれども、さらにこの輪を広げますと、我が国農業というものに対して国民全体の理解と納得とそして支援が必要である。そういう中でこういう数字が、食管法規定あるいは食管法の中、あるいは米価審議会において御決定いただいております計算方法、要素の取り入れ等でこういう数字が出てきたということで、冷静に受けとめながら今後の農政の展開を図っていきたい、こう考えておるところでございます。
  65. 及川順郎

    ○及川順郎君 村沢委員からお話のありました今回のような一発方式米価決定に対する米審を形骸化させるという問題に対して先ほど御答弁がありましたけれども、答弁の趣旨は趣旨としまして、結果的に米審の存在というものを、この位置というものを形骸化させることには変わりないんじゃないかという感じがするわけですね。もしそれを否定するとしたならば、本日諮問しましたこの米価が、そのとおりにならないで、別な価格で決まるということがあり得るのかどうなのかという点について、私は再度確認をさしていただきたいと思います。
  66. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 先ほど十時に諮問いたしたわけでございまして、米審におきましてこれからどういう審議日程をお立ていただき、どういう御報告をいただくかわからない段階において私がいろいろなことを申し上げるわけにはいかないのは及川委員御承知のとおりでございまして、裏を申しますと、私は、きのう一日かかったというのは、米審をいかに尊重していくかということに対しての折衝が相当たくさんあったということを申さしていただきます。
  67. 及川順郎

    ○及川順郎君 大臣は、かねてからこの米価決定につきまして、これは国民の各界各層からの理解と協力が必要である、このことを強調しておるわけでございますが、今回決まりました五・九五%という政府案、この額につきまして国民各界各層、とりわけ私は農家の方々が果たして納得しているだろうか。大臣農家の方々にも御納得いただけるという認識をお持ちですか。
  68. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 先ほど来御意見がございましたが、農家と一口に申し上げましても零細農家から相当幅広い農家まであるわけでございますけれども、私としましてはそういう皆さん方も納得していただける適正な諮問案であると考えております。
  69. 及川順郎

    ○及川順郎君 私の認識では、少なくとも今まで農業団体、各界から寄せられた意見、こういうものを総合いたしますと、理解を得られるというのは極めて難しいのではないか、むしろあきらめの方が先行しているというのが実情じゃないだろうかという憂いを深くするわけです。  話は変わりますけれども、マスコミの伝えるところによりますと、三十日の閣議で特に大臣は発言を求めまして、米の国内自給方針と食管制度の堅持をこの際再度明確に宣言をする必要がある、こういう趣旨の御発言をされたと伝えられておりますけれども、この真意について伺いたいと思います。
  70. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 国内だけではなくして諸外国においてもまた我が国の米の政策、あり方についていろいろな動きが出てきております。したがいまして、こういうときに農民の皆さん方の不安を解消し、農林水産大臣としての考え方を閣議においてはっきり申し上げ、閣僚の皆さん方の認識を同じものにしておきたい、こういう気持ちから言ったわけでございます。
  71. 及川順郎

    ○及川順郎君 大臣のこの発言は、気を悪くなさらずにお聞きいただきたいと思いますが、農業団体が警戒する米政策の大幅軌道修正の不安を打ち消すとともに、その見返りとしてことしの生産者米価引き下げを納得させることをねらった政治的発言と、こういう指摘があるんですけれども、この点についてはいかがですか。
  72. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 今申し上げましたように、内外の動きということを申し上げましたが、一部の国からはまた日本の米に対する非難、あるいは一部の国においては御存じの一九七四年通商法三百一条に従っての提訴を行うといった一連の動きが伝わってきておるわけであります。そしてまた、国内においては米価決定する云々ではなくして、それよりかもっと大切な、日本の農業は一体どうなるんだろうか、日本の米作は今後どうなっていくのだろうかという不安があることは間違いありません。    〔委員長退席、理事水谷力君着席〕  したがいまして、私はそういう趣旨で、現在の農村では稲作や農業の将来に対し不安感が持たれておるという、それからまた米の市場開放要請という問題があるという立場から、米の市場開放要請に対しては断固として国内自給方針を堅持していくこと、食管制度についても事情の変化に即応して適切な運営面での改善を図りつつ、制度の基本は今後とも堅持していくということを、この際再度明らかにすることが必要でありますと、そういう意味で言ったわけでございまして、私は、したがってまた、ある面では生産者米価数字が少々こうなるということよりか、今申し上げました二つの線を守り、そして農家皆さん方の不安を解消していき、そして意欲ある人が真剣に農業に取り組んでいただくようなことを政府としてはっきりしておきたい、ここら辺の真意でございます。
  73. 及川順郎

    ○及川順郎君 算定方式につきまして、先ほどの御答弁で、やはり覚書がある、六十三年産米価、来年までは現行算定方式で行うというようなことが先ほど御答弁にございましたですね。これは事実ですか。
  74. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 事実でございますが、まだ私が署名しておりませんので、そのうち私のところへも回ってくると思いますが、まず関係者の党の方から署名をとりまして、後は一番最後が去年も私でありましたから私のところへ来る、このように判断しております。
  75. 及川順郎

    ○及川順郎君 私はこのような姿勢というのは非常に問題があるんではないか、こう思います。手続論はともあれです。  ことしの農業団体、ずっと統一してどこの団体、どの層の人たちの御要請を私たち聞きましても、そこに一貫してあったのは算定要素の改善というものが強く求められていたというのが特徴だったと思うんですね。少なくとも対象農家とり方家族労働、自作地の地代評価企画管理労働付与の評価生産性向上分の還元、こういう一つ一つを比較してみますと、政府考え方にかなりの食い違いがある、この点が指摘されておるわけです。やはり私は農家の方々の意見にしっかりと耳を傾ける姿勢というものが主管庁としての農林省、言うなれば国と農業生産者の方々の信頼関係の一番のもとになると私は思うんですね。  そういう観点から考えますと、農家の方々の意向というものをしっかりと受けとめて、これに対応するということから考えるならば、来年もことしの算定方式でやるということは時間的に間に合わないなんていう理由にはならないと思うんです。やはり私は農家の方々の意向というものに真摯に耳を傾ける姿勢に欠けているんじゃないかという、こういう感じを強くするんですが、大臣、この点についてはいかがですか。
  76. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 真摯に耳は傾けておるわけでございます。そしてまた、先ほど説明申し上げましたが、米審において今後算定方式が変わればその問題は取り入れていくというやつもあるわけでございますから、ただ、ことしの昭和六十二年度の諮問米価決定するに当たっての時間的余裕がなかったというのが米審委員先生方の御意見であったわけでございます。その点を誤解のないように申し上げておきたいと思います。またある面では、米審におきましては算定要素の取り入れ方についての問題についてもそこまで入れなくてもいいんじゃないか、これを入れるのはおかしいのじゃないかという議論があるのもこれ事実でございます。  したがいまして、私もある面で申し上げますと、ただいま先ほど十時に諮問したばかりでございますけれども、今回の例えば需給ギャップ反映必要量比率の問題とか、今回新しく昭和四十四年以来取り入れました企画管理労働費の算入の問題等が果たして米審で御理解いただけるのかいただけないのか。私はそちらの方を逆に心配いたしておる。今回の諮問案決定に当たっては団体並びに各党からこの算定要素の改善ということについては大変よく承り、団体からも承っております。
  77. 及川順郎

    ○及川順郎君 今年度のことについては私はもう理解しております。六十三年については再度この算定方式を見直すということをこれを私はぜひ努力していただきたいと思います。  ここ数日、農業各団体からいろいろな方々の御意見を寄せていただいておりますけれども、それを整理しますと幾つかの項目になるわけですが、冒頭私が今回の米価の値下げ、この問題について大臣の御感想を求めました。これと関連いたしまして水田農家生産意欲を減退させるというのは、米の値下げの幅も大事だけれども、むしろそれよりもそのような傾向に転換になっていくということに対する心理的な影響というのが非常に大きい。あわせてこの担い手の農家離れに非常に拍車がかかるんじゃないか。そういう意味では日本の農業にとって非常に大きな禍根になるという意見が強く出されている。この点についての御所見は大臣いかがでございますか。
  78. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 意欲ある農家皆さん方の御意見というものもいろいろな方法で承っております。そういう中で放が国の農業の実態というものは第二種兼業農家、第一種兼業農家、専業農家という分類の仕方もあるわけでございますが、    〔理事水谷力君退席、委員長着席〕 要は経営規模拡大が意のままにならないということと、それからもう一つは生産性向上あるいは品質のいい米をつくる問題との関連、こういった問題がいろいろあるのではないか。したがいまして、農政審の報告にもそういう点をはっきりうたってございますし、私たちとしましても生産性向上の問題と経営規模拡大、そして意欲ある農家が今後意欲を持って農業に取り組んでいただけるようなあらゆる施策を講じていかなくてはならない、こう思っておりますし、また先ほどお答えしましたが、先般の閣議における私の発言もそういう皆さん方の不安を解消してあげる一助にもなればと思って申し上げたわけでございます。
  79. 及川順郎

    ○及川順郎君 時間がなくなってまいりましたので大臣、確認をしておきたいんですが、一つは食管制度の存廃に対する議論、それからもう一つは米の輸入自由化に対する議論、もう一つは日本の農業保護政策が強過ぎるという問題に対する議論、この三つに対する大臣の所見をまとめて確認をさせていただきたいと思います。
  80. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 前の二点につきましては先ほど来申し上げ、また閣議で発言いたしたとおりでございまして、米の自給方針は断固貫いていくということ、それから食管制度にありましては時の流れ、いろいろな問題がありますが、そういうものに十分配意しながら、その基本は堅持していくということ。  それから、三番目の我が国の農業の保護問題につきましては国際的にも大変議論をされておるところでございまして、私はそういう問題につきましてはいろいろ国際的には反論し、言うべきことは言っておるわけでございますが、今後世界の流れというものは農業保護に対する、農業助成に対する削減をしていかなくてはならないということは世界の流れになってきております。ただ、その中におきまして私が主張しておるのは弾力的にやっていかなくてはならないということと、それぞれの国にその政策の選択の幅は持たすべきであるということを主張しまして、その点はOECDなどの宣言にも採択されたことは事実でございます。  そういう中におきまして今後ガット、ニューラウンドがいろいろ進展をしてきます。そういう中においての議論というのはまたこれからいろいろ頑張っていかなくちゃなりませんが、前に申し上げました米の自給方針であるとか食管制度というのは、その場においてもその重要性を主張していく。それからその中にあって一番頭が痛いのは内外価格差というものがあるわけでございまして、ここら辺に対する問題は、我が国の自然条件というものがおのずからあるわけでございます。そこら辺を国民の皆さんには大いに理解していただきながらやっていかなくてはならないと考えておるところでございます。
  81. 下田京子

    ○下田京子君 大臣政府と自民党によって米審が一日空転しました。これはやっぱり米審軽視という点で問題であります。指摘をしておきます。その結果がどうであったか。昨年に比べて五・九五%、金額にして千百十一円マイナス。果たしてこれが農民に納得できる米価だと言えるんでしょうか。私は、決してそうではないし、これは断じて容認できません。  そもそも生産者米価というのは何かといえば、米販売農家約二百六十万戸、家族含めて一千万人、その家族の生活がかかっているんです。どの程度影響になるかといえば、政府米、昨年買い入れ価格トン当たり三十一万円、自主流通米は推定でトン当たり三十五万円として、平均でトン当たり三十三万円で、ことしの予約限度数量六百九十三万トンを掛けてみますと、約二兆三千億円になるわけです。その二兆三千億円の五・九五%マイナスということになりますと、約一千四百億円、米販売額に対して収入が減ると、こういう状況です。これだけ収入が減るのに、一方で年金の掛金は上がる。国民健康保険税の掛金は上がる。しかも生産基盤の農家負担もふえる。これでもって本当に稲作の健全な発展だとか、意欲を持ってもらいたいだとか言えるんでしょうか。希望を持って営農をやっていただきたいと確信を持って言えますか。
  82. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) まず一つお断りしておきますが、米審軽視ということでは絶対ないということをはっきり申し上げます。米審を尊重するがゆえにきのう一日かかったということを申し上げておきます。  それから、私も今回の諮問案を決めるに当たりまして、農産物総生産額の構成比であるとか、各県別の順位であるとか、あるいは都道府県別に見た農家所得における稲作所得一戸当たりの問題であるとか、もうこれを常に見ながら苦慮、苦悩したということを申し上げておるわけでございます。そして、意欲ある農家皆さん方が本当に希望を持ってやっていただけるためにはどうしたらいいかということも十分考えながらやったのが今回の諮問案でございまして、私は理解をいただけるものであると考えております。
  83. 下田京子

    ○下田京子君 到底理解できないと思いますよ。大臣国民の納得と支持の得られる適正な米価ということを常日ごろずっと言われておりました。その国民の中には果たして農民が入っているのか、私はこう言いたいほどでした。当然農民を含むと思うんです。そうすると、現実に今米作農家の人たちがどんな暮らしをしているか。大臣よく御承知だと思います。  今年度からスタートした新減反政策で一体どういう影響が出ているか。これは福島県の場合ですけれども、県農協中央会の試算で八十二億八千八百万円の農家所得減になっている。一農家当たり六万五千円の所得減です。宮城県の場合にはどうなのか。一戸平均十五万円の所得減だと言われております。しかも一千万円以上の固定負債を抱えている農家が宮城県で千六百戸もある、こういう状況ですよ。しかも夜逃げ、自殺者まで出ているわけです。大臣がことしの水田農業確立対策で農民に血を流していただくような厳しいものだと、こうおっしゃいましたけれども、それに追い打ちをかけるようなのが今出された諮問の中身じゃないかと思うんです。大臣の言う国民の理解というのは、生産農民に血を流してもらうことですか、自殺者を出すことですか。そうじゃないでしょう。
  84. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 国民の中には農民がおるのは当然でございますし、私も今おっしゃいましたような事態はよく存じております。ただ、意欲ある農家、あるいは希望を持って農業をやろうとする人が私のところへ来られておっしゃるのは、米づくり、農業は保護の固まりであり罪悪であるかのごとく言われるのが一番つらい、何とかして政府はこういう問題をはっきりしてくれと、こうおっしゃるわけでございまして、そこら辺の問題に対しても、私は大いに配慮してやっておるわけでございます。そして、意欲ある人が希望を持って農業に、米づくりに励んでいただくようにあらゆる方法を講じなくてはならないというのが私の気持ちでございます。
  85. 下田京子

    ○下田京子君 大臣今言われた中で、農民が国民の中に入る、これは改めて言うまでもないんです。当然なんです。その際に、今言われましたけれども、内外価格差だとかいろんな攻撃がある。確かにことしはアメリカからの米市場開放が公式に繰り返し出されております。財界からも、一部マスコミ等を抱え込んだ形でもって大変な農業攻撃が強まっております。そういう中での米価決定であるという厳しさはわかります。しかし、だったら逆に、基本的に生産費を償い、その国民の主食であるお米の生産にきっちりと政府が責任持った米価決定をすべきじゃないでしょうか。私はそう申し上げたいんです。  問題をここではっきりさせたいのは、米価の引き下げをやればそういう攻撃をはね返せるというふうに大臣理解しているんですか。つまり米価を引き下げればアメリカや財界からの米輸入自由化攻勢、これはなくなるというふうにお感じなんですか。
  86. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私は、直接今回の諮問案がそういった批判あるいは要求に対してどういう因果関係が生じてくるかというのは、まだ十分検討しておりません。また、今御指摘にあったような問題につきましては、いろいろな国内からも提言、意見が開陳せられておるのは事実でございます。しかし、これらの問題については、昨年来私もいろいろ反論し、申し上げておるところでございますが、要は農政審報告を踏まえて農林水産省が今後の農政のあるべき方向として検討しているものと共通の指摘をされておるもの、あるいはまた基本的に見解を異にする点等も含まれておるわけでございますが、私は米について国際価格水準並み価格の実現を目指すべきであるといったような指摘は実現困難であると思っておりますし、また米を輸入することはできないと、こういったことを中心に内外に申し上げておるところでございます。
  87. 下田京子

    ○下田京子君 大臣米価を引き下げればアメリカや財界の米輸入自由化攻勢を阻止できるというふうにもしお考えなら、これはもう重大な間違いですよ。  私は、去る五月十二日、予算委員会で、大臣がOECDに出かけられているときに総理に質問したんですけれども、アメリカの米生産額に対する補助金は六十年度でどの程度かといいますと、七六・五%補助しているんですね。日本の場合には一八%なんです。アメリカの方がはるかに手厚く保護されているんです。そのアメリカがこの農業補助金を削減したい、そしてさらに市場開放、新たな市場を求めて日本に米の輸入自由化攻勢をかけてきているということなんです。うなずいておりますからそうだと思うんですけれども。ですから、こういうアメリカの米市場開放要求は日本で米価を引き下げたからといって解決できるものじゃないんです。  その点で農水省の佐野宏哉国際顧問が「農業協同組合」という雑誌にずばりこう書いているんです。日米貿易摩擦の問題というのは、「日本の問題である以上に米国の問題である。なぜ米国は、生産する以上に支出しているのか? 一つには、財政赤字、その核心は軍事費、二つには、需要に対して国内生産が有効に反応しなくなるほどの産業空洞化、の故であると考えられる。米国がこのような事態から脱却する展望は、現在のところ見いたしえない。解決不能な問題と相当長期間共存する覚悟が必要であろう。」、こう言っているんです。つまり、根本的にはアメリカが政策転換しないと今日の事態は解決できないというような見方をしているわけですね。大臣はどう思いますか。
  88. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 諸外国によっていろいろ事情は違いますが、農産物を輸出することによって一つの国是――国是ではございませんが、方式として農業を行い農産物をつくっておられる国々もあります。我が国の場合は必ずしもそうではないわけでございますが、この席でもう余り時間がありませんから申し上げませんが、私は、米国あるいはその他の国々に対しても言うべきことは言うという中に、我が国は世界最大の農産物の輸入国であり、そしてまた我が国農地の二・六倍に匹敵する農産物を輸入しておるということをいつも冒頭に言って各論に入っておるわけでございます。
  89. 下田京子

    ○下田京子君 アメリカの方も、これは理不尽な要求を改めさせるのは毅然とした政府の態度と日本の世論なんです。それで、財界にしてもどうかといえば、財界の要求というのはどうなのかと改めて私申し上げなくても大臣よくわかると思うんですよ。昨年十二月に何て言っていますか。日経連が内需拡大の問題の関連ということで意見述べておりますね。それで、やってはならないこと賃上げ、やるべきこと米の完全自由化、こういうことを言っているわけですよ。ですから、アメリカにしても、日本財界にしても、米価の引き下げをやったからといって、そういう攻撃を改めるなんということはとてもでないけれども考えられないんです。そうでしょう。
  90. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 財界あるいはマスコミからのいろいろな意見というのは十分に私も勉強しております。その中で、まじめないい提言としてこれは率直にいただきましょうというものと、これは感情的に言っておるな、これは誤解に基づいて言っておるなと、いろいろな問題はあります。そういう中で、私が先ほど申し上げましたが、国によっては輸出するための農産物をつくっておるということ。我が国としては今農業は、農政審報告にもありますが、産業として自立するように一生懸命血みどろの努力をやっておるところでございます。そこら辺に基本的な違いがあるわけでございますが、そこら辺の違いについては、私はっきり毅然とした以上の毅然として外国に言うべきことは言っております。
  91. 下田京子

    ○下田京子君 今言われたそのマスコミの問題なんですけれども、「世相を斬る」というテレビで農業攻撃を盛んにおやりになっている竹村健一さん、「日本農業大改造論」を出しておりますね。その中で何て書いてあるか。こう書いてある。「農業問題の火つけ役で中曾根首相に感謝された」、どういうふうに感謝されたかというと中曽根さんは手紙をくれた。その手紙の中にこう書いてある。「「竹村さんが露払いをしてくれたおかげで、(農政改革が)やりやすくなった。ありがとうございました」政治家も、充分わかっていたということである。ただ、政治家は世論が喚起されないと、自分からはなかなか言い出しにくい側面がある。そのことを中曾根さんは手紙でさり気なく伝えてきたのだ。同時に、手紙の終わりには、「ご主旨は充分参考にさせていただくよう、加藤農水大臣や玉置総務庁長官にいろいろ指示いたしました」とも付け加えてあった。」と、こう言っています。大臣、何指示されたんですか。
  92. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 農政の面において国民に理解と納得をしていただくように頑張ってほしいというお話はございました。  今先生がお読みになった本以外にもたくさんの人がいろいろなことを言っております。先ほど来申し上げておるように、事実に基づく温かい勧告のものもあれば、あるいは基本的認識を異にして言っておられることもあれば、あるいは錯誤に基づいて主張されておる方々もあるということを申し上げたわけでございます。また、その今の文章は今回の統一地方選挙に盛んに使われたということも私よく存じております。
  93. 下田京子

    ○下田京子君 それで、正しい要求という中に、実は消費者の要求、一般的にこういう宣伝がなされていきますと、正しい報道がなされないために何か正当な米価を要求することが悪のように言われていますけれども、消費者の立場というのは何かといえば、これは十八団体が繰り返し総理並びに大臣に申し入れていると思うんです。二つなんです。一つは、国民の食生活を守るために生産コストの引き下げ、これはあらゆる努力を行ってほしい。同時に大事なのが、生産者に対しては再生産を保障することというふうに言っているんです。引き下げろなんてどこにも言ってないんですよ。これを受けてやったら今回のような引き下げ諮問なんてことはなかったと思います。  そもそも生産費を償わない米価であるというその何よりもの証拠は、昨年の米価そのものが全農家戸数の二七%しか生産費償ってないじゃないですか。そうでしょう。本来なら国民が必要とするお米に、その条件の最も悪いところも含めて、そして正しい労賃、つまり消費者である労働者の賃金にも相当する、そういうもので補償していくというのが本来の米価算定のあり方であってしかるべきじゃないか。この点から考えていきますと、昭和五十二年度のその米価算定方式というものを使ってしかるべきだと思うんです。それで計算いたしますと二万八百四十九円になるんですよ。ですから、昨年の一万八千六百六十八円に対して逆に一一・七%アップしなきゃならないんです。三千二百九十二円も値切ったということになるんです。計算上そうなりますでしょう。
  94. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今計算上どうなるかということでございますが、昭和五十二年産算定いたしました方式で計算いたしますと、基準価格でもって二万六百四円、基本価格で二万八百四十九円になります。
  95. 下田京子

    ○下田京子君 そうでしょう。ですから、消費者それから生産者、つまり国民の納得いく米価ということはこういうことなんですよ。農民運動全国懇だとかその他の団体等も二万円以上の米価ということを要求していますけれども、こういうことでいけば根拠があるわけですよ。しかも、申し上げたいのは、そもそも三十五年から米価審議会米価算定委員会の中で現在の生所方式というものが採用された。その考え方というのは、適正な限界の農家もきっちりと含んだ形でやりなさいということなんです。その点からいったら、これは今回の引き下げ諮問というのがまさしく日本の国民の主食である米つぶし、さらには農業つぶしという大変な問題を含んでいるということを私は申し上げたいんです。  最後に大臣お答えいただきたいんですけれども、そういう中で、詳しくは今の問題は後で山田次長と質問やりとりいたしますけれども、即刻やっていただきたいのは三つ。一つは、米価引き下げの前に農機具など資材の引き下げをやってください、これです。二つ目が負債対策です。これはもう大変です。三つ目にお願いしたいのは、生産基盤に伴う農家負担の軽減です。既事業についての金利引き下げ等は難しいと、こう言っておられますけれども、引き下げられた米価の中で、高い金利時代のやつの負担を払い続けることが可能ですか。以上三つ、対策、決意聞かしていただいて質問終わります。
  96. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) まず答弁は求めないと言っておっしゃいました米づくりつぶし、農家つぶしということは、これははっきり申し上げたい。農家を守り、農家に意欲を持ってもらい、そして日本の農業を発展さすためにどうしたらいいかということを考えに考えに考えてやったのが今回の諮問案であります。そのことははっきり申し上げておきます。  それから、後のお答えを求められた三点につきましては担当局長からそれぞれ……
  97. 下田京子

    ○下田京子君 大臣の決意。
  98. 加藤六月

    ○国機大臣加藤六月君) 私の決意ということになりますと、実は農機具についての農家受け取りコストというものと輸出コストの問題がありまして、徹底的に議論しまして、いやしくも輸出価格というものと農家に売る農機具価格が違うというようなことは絶対に許されないというので徹底的にやっております。それから、これは単に農機具だけでありません。肥料についても農薬についても徹底的に議論いたしておりまして、後から説明させますが、そういう点ははっきりいたしております。  それから、負債対策につきましては、きょう御説明申し上げたと思いますが、今回全体のものとしては農家負債というのは軽減いたしておるわけでございます。しかし、個々の農家あるいは地域により、あるいは業種によって負債問題が大きな経営負担になっておることもよく存じておりまして、これらについてもいろいろな方法を講じておるところでございます。  それから、農業基盤整備とこれからの新しい負担問題についてもいろいろ考えまして、新しい方式、メニュー等も考え、そうしてまた、生産性の向上と規模拡大には農業基盤整備というのは欠くべからざるものであるということについて、思いを新たにしてこれらに対するいろいろな施策を講じておるところでございます。  以下、担当局長がおりますから必要ならお答えいたします。
  99. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 米価政策につきましてはここのところ強く抑制策がとられております。昭和五十二年の政府買い入れ米価、つまり生産価格は十キログラムで一万七千二百三十二円であり、昭和六十一年の生産者米価は一万八千六百六十八円で、この十年間ほどでわずか千四百三十六円、率にして八・三%の上昇にとどまっております。しかも、この期間中には昭和五十五年から五十八年の四カ年間連続の不作が続いており、その結果五十九年にはついに政府の手持ちが底をつきまして、韓国からの緊急輸入をするという異常事態を招いておるのでありますが、もしこういった場合、米価が市場原理によって決定されるシステムがとられておったとすれば、米価はもっと高く決まっておらなければならないはずであります。このために生産農家側は、物価が上がるばかりで、米価だけが抑制されているという強い感じを持たれるのも当然かと思います。  にもかかわりませず、ここのところ農業への批判が厳しく続いております。そしてきっかけとなったのは、言うまでもなく、昨年夏の生産者米価決定をめぐる動きであると言われておりますのが大方の意見のようであります。私はそのようには思いません。それは国家財政の窮迫から食管会計の赤字削減を求められ、その対策として政府米価の売買逆ざやの解消が強く求められておりますことの結果であると思います。そういったことから、生産者米価の値上げがわずかであるにかかわりませず、消費者米価は約それの四倍以上も値上げをされておるということで、消費者といたしましては米価が上げ続けられているという実感を持っておいでになりまして、こういったところから強い不満が出ておるのだと思います。巷間言われておりますように、政治的圧力に対して国民的不満が爆発をした結果だと仮にすれば、今年の場合もその心配はなしとしないように思います。  お米の問題はまことに重要であります上に、確かに解決の困難な問題でもありますし、さらには、何と否定されようとも私は、食糧、わけてもこの日本のお米は戦略物資だと思います。なればこそ、生産者と消費者とが一体になって対応する必要がありますけれども、今日の状態では、お互いが不信感を増幅してけんかをさせられているというのが現状なのではないだろうか。国家将来のためにまことに憂えるものでありますけれども、大臣米価決定方式について考える必要があると考えられないだろうか。その辺についてお尋ねをいたします。
  100. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 山田委員が申された国内の論争ということ、私も一番恐れておるのは、生産者側と消費者側の意見の分裂、あるいはまた輸出産業と日本農業との意見の分裂ということを一番恐れておりまして、それをどうやって調整していくかということがある面では今私にとって最も大切なことであると思っております。  それから、諮問米価決定の仕方につきましては、先ほど来申し上げておりますように、米審においてその算定要素その他について先般もいろいろ御議論いただき、五月の懇談会においてもお諮りしておるところでございます。先ほど来のお答えの中にも申し上げでおいたように、これらについては米審の御意見を十分承っていきたいと考えておるところでございます。
  101. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 昨六十一年産米から引き下げ価格諮問をされるようになりました。昨年の場合は加藤農林水産大臣も就任早々の関係の上、初めての買い入れ価格の引き下げ諮問ということもありまして極めて苦しい答弁を強いられておいでになりましたようであります。その答弁の基調は、諮問米価を決めるに当たって、基本的な考え方として次のように言っておられます。  第一点は、膨大な潜在需給ギャップがさらに拡大しつつある中で、第三期過剰時代を招いてはならない。二つ目には、来年度から開始される水田利用再編対策、いわゆるポスト三期において転作面積の相当な拡大が必要になっている。第三点は、賃金及び物価の安定、金利の急激な低下と一般経済情勢、さらには稲作労働時間の着実な減少が見られる、以上の事情を十分配慮するとともに、農家の経営意欲に及ぼす影響をも配慮してぎりぎりの選択をしたところでありますということでございます。昨年は御就任早々のことでもあり、ある意味では理解できるといたしましても、満一年が経過をいたしました今日、やっぱり同じ問題を抱えたままの諮問であります。激動期に処する加藤農林水産大臣らしい施策を欲しいと思います立場から次のことをお尋ねいたします。  お米の問題になりますと米価だけが突出し、それが運動のすべての観を呈してしまいます。もちろん政府が尊重される立場にあります審議会の報告等には価格政策に加えて構造政策及び関連の制度問題にも言及されてありますが、制度の改廃にいたしましても需給実態と密接な関係にあり、また需給そのものが自然を相手にしたいわゆる天候によって大きく左右される原始産業でありますこと、構造政策にいたしましても短期に解決できるものではありません等極めて困難でありますだけに、どうしても価格問題がひとり歩きすることになるのではないか、これが今日の実態のように思います。それでは問題の解決にはなりません。  例えば第三期過剰時代を迎えることを非常に心配しておいでになりますけれども、それではそれを迎えないためにどのような施策をおとりになっておりますのか。今年の場合を見ましても作付後の晴天と高温は西日本の稲作の豊作の前兆と思われています上に、最近の関東地方の水不足はむしろ一部を除いては豊作につながる可能性さえ示しております。本来、豊作は喜ぶべきことでありますのにかかわりませず、減反がつきまといます結果から、生産農家はこのことをむしろ気に病まなければならない現状は何としても解消せなければならないと思います。そういったことから考えて消費拡大の施策が起こってこないのだろうかと私は不思議に思います。消費拡大により減反が減少すれば農家所得の確保につながるものであり、このままでは座して第三期過剰時代を待つようなものではないかと思います。  先般、岩手県に参りましてのことを申し上げました。食糧庁次長さんはそのことについて早速食糧事務所長会議で言及をしてくださったそうでありますが、反応の早さに敬意を表します。ただ、こういったことについて農業協同組合がなぜもっと運動をしてくださらないのだろうか、そういった点を願っておるものでございます。  次に、もし引き下げ価格決定されるようなことになりましたら、農家所得減少による農家生活への圧迫は軽視できません。確かに宿命的な小規模経営が日本産米の高コストの原因になっておりますけれども、肥料、農薬さらには農業機械等で、先日も京都大学の辻井助教授が発表をしておいでになります調査によりますと、非常に日本のそれは割高であるということであり、わけても日本の肥料費はタイの六百十五倍、すなわち肥料そのものの価格比較ではないようでありますけれども、農家の諸資材の割高はやっぱり問題だと思います。先日、朝日新聞は、農協や農民の皆様方からなぜもっと真剣に農機具肥料価格引き下げ運動をやらないのだろうか、やらなくてもやっていけるからという解釈は余りにも酷なのだろうか、こういうことが社説に出ておりました。  米価引き下げだけでは、まじめに日本の食糧生産を支えていただく農民の皆様方には全く気の毒であり、むしろ中核農家をつぶすことになるとさえ思えるのでございますけれども、そういった各般の面を含めて、もっと広範囲に総合的に対応を進めていただく必要があるように思いますが、大臣の御所見をお尋ねいたします。
  102. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) もう最後におっしゃいました広範囲に総合的に農政を展開していくべきではないかというのは全く同感でございまして、価格政策、構造政策その他万般のものを考えながらやっていかなくてはなりません。それから、農家の購入する諸資材についての考え方、これも例えば生産者米価に対するウエートは非常に高うございます。ここら辺の問題を考えながら、しかも一生懸命やっておることを農蚕園芸局長からぜひお聞き取りいただきたいと思います。  それから、消費拡大に対するお考えでございますが、全く同感でございまして、私は水田農業確立対策の的確な推進ということと、もう一つは米の消費拡大の積極的推進がぜひ必要であるという考え方を持っておるわけでございまして、このためいろいろやっておるわけでございますが、これまでも長期的な視点に立って我が国の風土、資源に適した日本型食生活というものを広く維持定着させていく必要があると考えておりますし、さらに具体的には米についての正しい知識の普及啓発、それから地域における米消費の拡大対策、それから米飯学校給食の計画的推進あるいはさらに米新加工食品の開発普及というような施策を積極的に農水省としても講じてきておるところでございますし、さらにこれらを早く着実に進展させていきたいと思っておるところでございます。
  103. 高木正明

    委員長高木正明君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ―――――・―――――    午後一時十五分開会
  104. 高木正明

    委員長高木正明君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査のうち、昭和六十二年産米生産者米価に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  105. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 午前中大臣のおいでになるときに、いろいろと高度な観点から、それぞれの委員からの御質問があったわけであります。大臣の御答弁を伺っておりましても、どうも私なりになかなかすとんと落ちないものがございます。特に米価決定に至ります経緯の問題等について、非常にこの辺で考え直していただかなければならないんではないだろうか、そんなふうにも思う点もございます。星政務次官おいでになりますので、その辺ひとつ御見解をお伺いしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  それは、やはり私は、どういうふうに言われましても、今回のような生産者米価諮問の仕方というのは、事実として米価審議会審議によって諮問案をどういうふうにするというようなことができない仕組みになっているのではないだろうか、そんなふうにも思うんです。もう申し上げるまでもありませんけれども、かなりぎりぎりのお話をそれぞれやってこられて、ぎりぎりの線で諮問案として提起をされるわけでありますから、そうすると、そこをほとんどいじる余地がないんじゃないだろうか、そんなふうに思うんです。こういう提起の仕方というのは、やはり私は米価審議会を事実上、主観的には大臣もいろいろと言われていたような考え方でおやりになっているかもしれませんけれども、しかし客観的に見れば、それでは米価審議会というのは何のために存在をするんだろう、そんな感じもするわけなんです。こういう提起の仕方というものに至りました理由をもう一度よくお聞かせをいただきたいと思います。
  106. 星長治

    説明員(星長治君) お答えいたします。  本年産生産者米価決定に当たっては、昨年の経緯にかんがみまして、その水準とともに、決定プロセスについても国民の理解と納得の得られるものとすることが重要であると考えております。特に、今回の諮問は昨年の諮問を上回る引き下げ幅となることが確実と見られたところから、与党を初め関係者との間で種々意見交換調整を行ったところであります。この調整に時間を要したところから、昨日は米価審議会政府案を諮問することができなかったところであります。これは米価審議会から答申をいただいた後、決定に至る間の批判の多いプロセスをなくしたいとの意図によるものであり、いわんや生産者米価決定までを行ったものではなく、決定米価審議会意見を伺った上で、これを尊重し、適正に行いたいと考えております。
  107. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 次官、建前はそうだと思うんですけれども、しかし現実に政府与党との間でどうもぎりぎりの詰めをやられて、そしてもうぎりぎり決着の形で出てきた結論ということになりますと、これを今度はこういうふうに変えてくださいと言うことというのは非常に困難だということになるんじゃないですか。
  108. 星長治

    説明員(星長治君) ただいまの御意見でございますけれども、そういうことは実際ないと考えております。
  109. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そうすると、米価審議会の答申を受けて、あるいは政府与党との間で御議論になりましたそれと多少違うことになることもあり得ると、こういう要するに詰めたものが諮問案として出されたわけですからね。そうすると、それと違うこともあり得る、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  110. 星長治

    説明員(星長治君) 今審議会で審議してもらっておるものでございますので、その決定を見ましてから農水省として対処いたしたいと、こう思っております。
  111. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そういうことを聞いているのではなくて、要するに審議会と価格決定とのかかわりを私は伺っているんですよ。ですから、審議会が同じ結論を出すかもしれません、違う結論を出すかもしれません。そういうことで、違う結論、多少違う結論が出るということがあったら、それにのっとって価格決定を考える、こういうことがあり得るのですか、こう聞いているんです。
  112. 星長治

    説明員(星長治君) あくまでも審議会の意見を尊重しながら検討していきたいと、こう考えております。
  113. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 わかりました。  それで、私は生産者米価決定に当たってはいろいろと今までも議論をされてまいりましたけれども、本委員会でもいろいろと議論いたしましても、米価審議会の結論がないと何とも言えない、こういうのが従来から政府のとってこられた態度であります。そして米価審議会の答申が出ますと、それから決定ということになりますが、この決定の時期には委員会が開かれているというような形にはなっておりません。ということで、国会で具体的に生産価格はどの程度が適当であるかということを本当に突っ込んで議論をするという機会がないわけですね。米審の最中は今お話しのように審議している最中ですからと、こういうことになります。それから、米審の開かれる前だったらまだ米審が開かれる前にはまだ何をかいわんやと、こういうふうに常に政府は言われる。そして、今のように終わって答申からあれの間というのは短い間のときもあるし、少し時間かかるときもあるが、その間は今度は委員会は開かれておりませんから、言ってみりゃ国会でそういう掘り下げた議論をする機会がないという形になっています。私は、国会で議論をされるということはいろいろな要素等についてもそれをガラス張りにしていくという意味では非常に大事だというふうに思うんです。私は、次官は今建前として米価審議会での審議があくまでも優先をいたしますというふうに言われましたけれども、現実は財政上の問題だとかいろいろなかかわりがあって、実際はなかなか違う結論が出るような格好にはなっていないというふうに私は受け取っております。  そういたしますと、価格決定をされるのは政府与党だけ、政府与党との間の問題だけであって、ほかのところが余り具体的に関与する余地がないような形に現実、実際の問題としてはなるんではないか、これていいだろうか、ガラス張りと言われるときにこれでいいだろうか、こんなふうに思うんですが、その辺はどのように、これは御感想で結構であります。
  114. 星長治

    説明員(星長治君) できるだけ皆さん方の御意見を聞きながら決定いたしたいと、こう考えております。
  115. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 意見を聞きながらとおっしゃるけれども、そういう形で議論が結局現実の問題なかなかかみ合っていかないわけでしょう。ここから先さらに突っ込んでいきたくても、それは今度は今米価審議会審議の最中でございますと、こういうふうになるから、算定要素のあり方がいいか悪いかくらいの議論しかなかなかできないわけですね。こういう形というのが少し今のようなこういう時期になったらおかしいのでは、考えなきゃならない問題――おかしいとは言いませんね。失礼しました。考えなきゃならない問題ではないかと私は思うんですけれども、その辺はいかがですか。
  116. 星長治

    説明員(星長治君) 大臣のところにはいろいろな方々から陳情なり要請が来ておりますので、いろいろその面を考えながらひとつ決定いたしたいと、こう考えております。
  117. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 ここのところはもうのれんに腕押しにしかならないと思いますのでこの程度にとどめざるを得ませんが、ただ要望といたしまして、私はなぜこういうことを伺ったかといえば、今回の諮問案決定というものについて、本当に五・九五%の引き下げという形でなされたということに、日本農業に対しての、稲作農業に対しての危機感が私にはあります。そういうことで大変今回のこういう形で出されたことは残念でありまして、それで改めて米価決定についてはいろいろな要素を考えていただけるようにしなけりゃいかぬのじゃないか、こう思うわけです。その辺は今後の問題としてひとつ十分に御検討いただきたい、こんなふうに思います。  次に、少し算定要素とのかかわりで伺いたいというふうに思います。  午前中にも幾らか出ておりましたけれども、生産費とり方について私はどうしても納得しかねるものがございます。それは先ほど統計情報部長から御説明のございました米の生産費調査の中で、例えば肥料費、それから農薬費、これは〇・四とか〇・一とかということで、ほぼ同水準で、わずか上がっていると、こういう形ですね。ほぼ同水準と言っていい。ところが、これに対して労働費は二・四%これは下がっておるということになります。そして農機具費が三・七%上がっている。こういう形になっているわけですね。そういたしますと、これは労働生産性を上げてコストを引き下げていくというやり方を今までいろいろと追求をしてこられたと思うんですけれども、労働生産性を下げていって、そして二・四%、今はとにかく統計上も出てくるように、差が低くなるように出てくるようになってきた、労働費は低くなるように出てきた。しかし農機具費が三・七%これで上がっていくというようなこんな形になっていたら、これは労働生産性のメリットを追求しても何にもならない。帳消しになっていってしまう。こういうことになるんじゃないですか。その辺はことしの米価決定をしていく、算定をしていく要素の中ではどういうふうにお考えになりましたか。
  118. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  今、先生御指摘の点につきましては、最初物財関係費用の御指摘ではなかったかと思うんでございますが、私ども生産費所得補償方式によりまして、物財雇用労賃につきましては、生産費調査で得られた諸元につきまして物価修正をいたしまして、それを評価がえ生産費ということで計上しておるわけでございます。もちろん今の機械等の償却費その他につきましても同じように経費の中に入っておりますので、それは物価修正されまして評価がえ生産費として計上されておるわけでございます。  もう一つの生産性の向上の問題につきましては、これは生産性の向上二つあるわけで、御案内のように、単収の増の問題と、それから労働時間の減少の問題と二つございます。  この単収増の問題は、生産費所得補償方式でございますので、けさほど説明させていただきました数式の中の分母になっておりまして、その単収で割る。この点につきましてはやはり生産費所得補償方式生産費というようなものに着目してやりますので、ほかの数字を使うことはいかがなものであろうか、このようにも思うわけでございます。  もう一つの労働時間の問題につきましては、確かにだんだんと生産性は向上されて時間が少なくなっておることも事実でございます。その点、単位当たり労働時間につきましては、私ども都市近郊労賃の評価がえというふうなことでその単価を掛けさしていただいておるわけでございまして、その単価につきましては、製造業におきますところの生産性が上がり、製造業におきまして給与が上昇しますれば、その給与が上昇したものが一応単価として織り込まれるわけでございますので、そうした面の生産性の向上はその面で織り込まれておる、このように基本的には理解しておるわけでございます。
  119. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 ちょっと違うんだよね、聞いていることと。今いろいろと御説明になったその一つ一つの要素についてのとり方説明をされたんですよ。だけれども、私が今伺っているのは、労働費は下がっています、そうすると、つまりそれは生産性が上がっているということを意味するんでしょうが、労働費は下がっています、しかし一方で農機具費が上がっています、そうすれば、そこでもって生産性向上のメリットが帳消しになってしまうんじゃないですか。そうでしょう。例えば物財費の方で経費がかかるようになっていって、労働費の方が幾ら下がったって、そっちの方で経費がかかってくることになれば、全体として例えば労働生産性は上がりましたといっても、その生産性のメリットというのはこれは物財費の値上がりの方で帳消しになる、こういうことになるんじゃないですか。その辺いかがですか。
  120. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 御指摘の点につきましては、最終的には物財費と、それから労働費につきましても雇用の労働費とそれから家族の労働費、この二つがあるわけでございますが、それも経費と最終的には見まして、その経費を足し上げて一応コストということになるわけでございますので、今先生の御指摘のように帳消しになるという見方も成り立とうかと思うんでございますが、いわば機械を導入することによりまして生産性が上がり、そのことによって家族労働報酬なり所得が上げられ得るような経営は利潤の追求ということがなされておるんではなかろうかと思うわけでございます。
  121. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 これはそれぞれ平均をされてくるその数字ということですから、個々の一つ一つのものの生の数字ということではないですからね。だから、それはこういう平均的な姿というのは本来は数字の上ではあるけれども、現実の経営の中ではなかなか見つからないという、そういうものであろうと思いますけれどもね。しかし、この平均に近いところというのはいろいろとあるということになります。この平均に近いところは現実の問題として労働生産性を上げるために農機具を入れた、そしてその農機具のために労働生産性のメリット分が帳消しになってしまう、こういうことに、平均のこれに近いところはそういうふうになりませんか。
  122. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今先生御指摘のように、生産性上昇すれば経費が少なくなるわけでございますので、機械償却その他の面は多少ふえましても、全体としては帳消しないしはそれ以上の効果を発揮するというのが一般的な形態ではなかろうかと思います。
  123. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 午前中の同僚委員の質問の中で農機具費であるとか、それから大臣はさらにそれに農薬、肥料等も含めて、具体的には輸出価格との比較というのが念頭にあったんでありましょうが、輸出価格の方が安くて国内価格が高いようなそういうあり方というのは正していくというような意味のことを言っておられたと思うんですね。しかし、私はそれだけではなくてやはり生産性を上げるという、要するに米価は国際競争力との格差を縮めなきゃなりません縮めなきゃなりませんと、こう食糧庁も農水省も常に言ってきているわけだね。そうすると、それを縮めるというためには労働生産性が上がっていく分を今度は帳消しにするような物財関係の経費増があってはならないということになるんだと思うんですね。そうしないと労働生産性を幾ら上げていっても意味がないわけです。ですから、そういう意味でいったらむしろ積極的に農機具費引き下げあるいは農薬、肥料の引き下げというようなことを行政指導としてかなり強力にやっていかなければメリットになってはね返ってこない、そう思うんですけれども、その辺はいかがですか。
  124. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 稲村先生のお話の生産費考え方でございますが、先ほど大臣からお話を申し上げましたように、農業生産資材の生産費の低減のためには、その大宗を占めております肥料あるいは機械、さらに農薬等々の生産資材の資材費の節減が必要であることは言うまでもないというふうに考えております。極めて重要なことであるというふうに考えております。  先生お話しの点でございますので、ここ一、二年の経緯というものを簡単に御報告を申し上げたいと思います。  この農業の生産資材の価格というものにつきましては、これまた稲村先生御案内のとおりでございまして、第一義的には使用者の全農と製造業者との交渉をして決めた価格が目安となりまして、商系を含めた小売価格が形成されているわけでございます。最近におきます円高等を背景といたしましてこの農業生産資材の価格等についてはかなり大幅な削減が行われているところでございます。  肥料につきましては、六十一年の肥料年度でございますが、これは六十一年の七月から六月にかかるものでございますが、第一回目で一〇・四%、一〇%を上回る引き下げが行われております。さらに六十二年の一月からこの上に引き下げが行われまして、六十一年の肥料年度におきましては合計で一一・四%の引き下げが行われているところでございます。さらに六十二年の肥料年度でございますが、これはことしの七月一日から、きのうから向こう一年間でございますが、五・六%の引き下げが行われたと、私どもはこれにおきましては、一つは先ほど申し上げましたように原料等の円高等の問題、さらに企業等の合理化努力といったものが加わっていると見ておりますが、いずれにいたしましても、先ほどの六十一年度の一一・四%の上に五・六%の引き下げが行われたということでございます。  一方、もう一つの大きな生産資材でございます農業機械につきましては、六十二年の一月から外国産トラクターにつきましては、これは円高等の問題がございますので平均して五%の引き下げが行われているところでございます。具体的に申し上げますと、低いところで一・八%というのがございますけれども、大きいところでは一五・七%の引き下げが行われております。さらに、安全性の問題から、千五百ccを超えるものの安全フレームの装てんということもございましたが、簡単に申し上げますが、ここのところにつきましては、トラクターにつきまして七月一月より一%から三・四%の引き下げが行われております。また、具体的な製造メーカーでございますので特に名前を申し上げませんが、合理化あるいはトラクターのシンプル化、装備のシンプル化ということでございまして、この七月一日から低コスト化を進めているところでございます。この低コストにつきましては一三%から一五%というようなことを言われておりますが、いずれにせよ機械のシンプル化というようなことからそういう対応がなされているところでございます。  農薬につきましても、この場合には円高の問題等で、電力、燃料費の値下げといったものの反映だと思いますけれども、二・二五%の引き下げが行われたところでございます。  以上のように、これらの資材の価格等につきましては、農家の方々の組織されております農協系統とメーカーとの話し合いが第一義的に行われますが、これに対しまして、私ども先ほど申し上げました観念に立ちまして、農業機械、肥料は農業生産にとって不可欠な資材であり、農業生産性の向上を図るためにはこれらの適切な価格で安定的に円滑に供給されることが肝要であるというように考えるものであります。したがいまして、今後とも関係省庁とも連携を図りながら、関係業界、団体の指導に努めてまいる所存でございます。  なお、補足的に申し上げますが、これも統計情報部長が申し上げましたとおり、先ほど御報告いたしました生産費調査につきましては、先ほど私が個々具体的に申し上げました六十一年以降の引き下げというのがタイムラグによりまして反映されていないということでございまして、私の方から重ねて触れさせていただきたいと思います。  以上でございます。
  125. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そうすると、この生産費調査には、今、農蚕園芸局長のお話しになったような、それぞれの値下げになっているもの、引き下げになっているものは入っていないということになるんですね。そうすると、今のこれらの引き下げというものの中で、ちょっともう一つ確かめておかなければならなかったんですが、うっかりしました。肥料の場合には、これは化成肥料と硫安、尿素の関係がありますが、これは同じように皆合計して、それを全部引っくるめての引き下げですか、それとも、そのどれか代表的なものでの引き下げのことですか。
  126. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 先生御指摘の点につきまして私が例えばことし六十二年肥料年度から五・六%と申し上げましたことは、これは加重平均でございます。そのうち、例えば尿素といったものがあるわけでございますが、これにつきましては大体八%程度の引き下げ、それから、大体我が国の農家の方々がお使いになっております肥料の一番大きい分野、これは高度化成と言われているものでございますが、その部分につきましては少し高うなりまして六%を超える引き下げというものが行われることになっております。七月一日からでございますので、ことしの肥料年度からは引き下げられる。またさらに、先ほど申し上げました一一・四%は既に昨年の肥料年度から使われているわけでございます。  ただ、これは重ねて申し上げますが、六十一年度の肥料には、先ほど先生御指摘のように大体横ばいであるような表面になっておりまして、これも先生が言われましたようにタイムラグの意味をもちまして反映されていないということでございます。
  127. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そうすると、七月からのあれは、ちょっとまだ私はのみ込みが悪いんですが、さらに五・六%と言われたけれども、例えば今尿素は八%、それから高度化成は六%と言われましたね。
  128. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) はい。
  129. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そうすると、五・六%というのは、これはちょっと考えただけでは、一番多いのは高度化成の関係だと、こういうことになれば、なおさらのこと、どうしてこんなに五・六になるのかなと思うんですが、それはどういうわけですか。
  130. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 内訳を簡単に申し上げますと、まず尿素でございますが、それは今申し上げましたように八・三%の引き下げを行う予定でございます。それから、主なもののうちと申し上げました高度化成につきましては六・五%の引き下げとなります。先生御指摘のように、じゃ、それならば五・六というのはおかしいじゃないかということでございますが、一方硫安でございますが、硫安は一・六%の引き下げということでございます。こういったものを平均いたしますと、先ほど私が申し上げましたようにトータルで五・六%の引き下げになります。今、先生の御疑問のところを率直に申し上げますと、硫安の部分については一・六%という形になっていること等によるものだというふうに考えております。
  131. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 ちょっとまだ私はわからないんです。尿素はまたちょっと別にしても、一番多く使われているという高度化成が六%、高度化成というのはむしろメーカーも余り大きくないところが多いですし、農協さんが直接いろいろ関与をしておられる部分になるわけであります。  ところが、硫安の場合は、これはたしか私は肥料二法の継続問題をいろいろと議論しましたときも、原科については、今まで捨てていた溶鉱炉の排ガスを利用するとか、化学繊維の廃液を利用するとかいうようなことで、かなり成績を上げているということの話も当時はありました。これはコストを実際に知ることができないということにもいろいろと問題があるのでありますけれども、しかしそれで十分に外国とも太刀打ちができるというようなことがいろいろと当時言われておりましたけれども、言ってみれば、一番大きな企業が受け持っている部分の硫安というのがどうも下げ幅が少ないというのは、これはどういう理由になるのかなということが今度は私は気になるんですけれどもね。
  132. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 私は先ほど来六十一年と六十二年の肥料価格につきまして引き続き数字を申し上げたわけでございます。先生の御疑問の点は、確かに六十二年度におきまして硫安の値段が低いということの御指摘のように思いますが、これは、ちなみに先ほどの二年間の経緯のところの点を申し上げますと、硫安につきましては、六十年の肥料年度に対応いたしまして実はもう六十一年肥料年度におきまして一番大きな引き下げが行われているわけでございます。  それは数字を申し上げますと、硫安につきましては、対六十年肥料年度につきましてトータルで二一・〇%、それから尿素につきましては二八・六%ですが、高度化成肥料年度につきましては一二・六%の引き下げ、そういう経緯がございます。なお、このうち尿素につきましては、今申し上げましたとおり少し高いのですが、これにつきましてはやはり国際的な原料の価格の反映というものが一番大きく反映されたというふうに我々は理解しております。  そういう意味におきまして、硫安につきましては、今回全体の五・六%という数字になっております六十二年度の肥料年度におきましては、やや――ややといいますか、わずかに一・六%という引き下げになっておりますが、その点に関して見れば、経年的に六十年から六十一年、そういったものと関連して考えていかなきゃいけないんではないかというふうに考えておるところであります。
  133. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 いずれにいたしましても、生産資材の方のあれが物財費の中でかなりの大きなウェートを占めている間は労働費を下げていきましてもなかなかメリットが反映できないということが起こり得るわけであります。それだけに、今の資材関係価格引き下げというものに政府の方が努力をしてこられたということは今わかりましたけれども、さらにこの辺のところの指導をしっかりとやっていただきませんと、これからの経営の中では特に規模拡大をしていけばいくほどこの辺のところが影響が大きくなってまいりますので、それだけ十分な指導をしていただきたい、こんなふうに思います。  次に、また米価関係に戻りますけれども、米価決定といいますのがこれまで私は本当の意味で理論的にきちんと整理された形で価格計算をされたことがめったになかったような気がいたします。といいますのは、そのときそのときで算定要素のどこかが変えられてきたと、こういう経緯があるわけですね。本来、理論的に考えていけばそんなに算定要素がいろいろと変わっていくはずがないのでありますけれども、それがそのときによって違ってまいりました。特に単収について計算方法がいろいろと違ってきたということについては私も随分疑義があるんですけれども、単収の計算の仕方、ちょっと推移について御報告いただけませんか。
  134. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  昭和三十五年以降、私ども生産費所得補償方式をとらしていただいておりまして、御案内のように生産費の中には随分いろいろの項目があるわけでございます。今御議論いただいておりましたような肥料、農薬等のいわゆる物財費、そのほか雇用労賃、ほかにも自家労働費の問題とか金利だとかいろいろあるわけでございまして、こうしたものにつきましてのいわゆる算定要素、どのようなレベルの数字を採用するか、こういうことにつきましては……
  135. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 いやいや、それぞれのことを聞いでいるんじゃない。単収について聞いているんです。
  136. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) それで、算定要素とり方といたしましては、やはり安定性というふうなことも考えなければなりませんし、またそれを余り極端にやりますと非弾力的、硬直的なものになる、こういうこともございまして、いろいろと諸事情需給事情なりまた他の生産事情なりを加味いたしまして、そのときどきの算定要素とり方がなされておる。今先生御指摘のような単収につきまして、過去におきましてワンシグマその他がとられておったと、こういうようなことも聞くわけでございますが、こうした段階におきましては、いわば増産する方向に誘導しなければならないといった需給事情等が相当強く反映されておったのではなかろうかと思うわけでございます。
  137. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 どうも私の伺っていることにぴたっと答えていただいてないんで、聞き方が悪いのかもしれませんが、ワンシグマ方式でいっていた、それが今いろいろ、需給を反映しなけりゃならないとかいろいろな理屈がついて、そしてそのときそのときで単収の出し方が変わってきました。これは事実なんですね、経過として。分子の方がわずかでも変化があるのよりも、分母がわずか変化すると非常に大きいです。だから私は、単収の変化というのは米価算定には極めて重要な意味を持っているというふうに思うんですよ。その単収がそのときそのときで変わってきたということは、これはおかしいのではないか、本来理論的に考えていったらそうではないですかと。  そうすると、言ってみれば限界生産地を、その時代に例えば需要のことを一つ考えだとすれば、それと同時に限界生産地をどの辺のところへねらいを置いてそれで算出するかというようなことが明確に出されてこなければ本当は理屈として合わないんじゃないだろうか。つまり限界生産地以下のところは農業やめてくださいと、こう言わなければ理屈が合わなくなるんではないだろうか、そう思うんです。過去の例えばワンシグマ方式のときには八〇%バルクラインにほぼ近いというようなことを言われましたね。そうすると、大体八〇%の農家生産費はカバーされていると、こういうことになりますね。そういうために平均生産費からワンシグマということで平均単収が考えられました。そうすると、それから手直しをしていったたびに限界生産地というものが狭められてきた、こういうことに理解をしてもよろしいでしょうか。ちょっと聞き方の角度を変えまして同じことを聞いているつもりですけれども。
  138. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) ちょっとお答えになるかどうかと思うのでございますが、過去に限界生産費的な概念が導入されて算定が行われました。四十二年から四十四年ごろではなかろうかと思うのでございますが、その後におきましては、四十五年以降におきましては、基本的には平均単収というふうなことで生産費のうち……
  139. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 聞いていることと違う。
  140. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) したがいまして、今は限界生産費的な考え方算定をしていないわけでございます。
  141. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私は限界生産費で計算をしろと言って聞いたのじゃないんですよ。限界生産地――土地の「地」です。要するに生産をする限界。そういう表現を使ったからちょっと誤解を招いたのかもしれませんが、要するに今度は違う角度から言えば、必ずしも全部が経営規模だけで一定できないから僕はそういうふうな言葉を今使ったんですけれども、非常に粗っぽくあれしていけば、そうすれば経営規模について単純な平均単収をとったらかなり生産費がカバーできないそういう水準のものが小さい方の規模のところは出てきますね。ということになるわけですけれども、そういう小さいところがカバーできないように、そういう形で今までワンシグマを捨てたときからだんだんそういうふうにして、そうして小さなところが生産費をカバーできない。さらにもう少し大きいところにそれが拡大をし、さらにまた大きいところに拡大をし、こういうふうになってきたんではないかと思う。  そして、きょうの午前中の話でいきますと、大体生産費がカバーできるのは二・〇ヘクから二・五ですか、ということにまで拡大してきた、こういうことになるわけですね。そうすると、二ヘクタール以下の農家というものはもう生産費割れを起こす。議論をもっと進めるために伺いますが、そうすると、二ヘクタール以下のところは生産費割れを起こす、こういうふうに理解をしていいですか。
  142. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今御指摘の点でございますが、私ども今とっております生産費対象農家でございますが、それは必要比率を求めまして、コストの安いものから並べて累積生産量比率が八〇のところでとめる、こういうことでやらしていただいておるわけでございますが、その八〇の中に入りますところの農家生産費を見ますと、規模が小さい中にも相当安い生産費農家もあるわけでございまして、そういった農家につきましては、今の潜在需給ギャップ反映必要量方式におきましても対象農家にはなっておるわけでございます。しかしながら、一般的に生産規模の小さい農家の方が生産費が高い、こういうことは一般的な傾向であろうかと思います。
  143. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私は、大体平均をして二ヘクタール層以上がほぼ生産費をカバーできるということというのは非常に重大だという感じを持っているんです。  というのは、極めて零細規模農家の場合は、既に安定就業をどこかで一方ではしていて、そして稲作の方は、非常に何といいますか、片手間と言うと言葉は悪いですけれども、生活の中心は安定就業している賃労働兼業なり何なりそういう方法でもらっています。ところが、規模が大きくなってきまして、一・五ヘクタールとか二ヘクタールとか三ヘクタールとか、こういうふうになってきますと、今でも稲作だけではやっておりませんけれども、賃労働兼業は不安定就労になっている部分が非常に多いと思うんですね。不安定就労になっているにもかかわらず、米価の方が例えば今の生産費ぎりぎりでカバー程度でもって、そうすると生産費カバーですから、さらに所得の方がどの程度になるのか、これを伺っていませんでしたから、なんですけれども、そうすると、その層というのは、私は就労の場を確保する方に向くことができない層じゃないだろうか、そんなことを心配をしているんです。そういうことが今度の米価決定の中では配慮されたんでしょうか。
  144. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今、先生御指摘のような規模別の労働なり就業条件まで私の方は規模別に配慮してやったということには相なっていないわけでございますが、やはり規模拡大というふうなことは必要な当面重要課題でございますし、こうした面にも着目させていただきまして、企画管理労働につきましてそれを一・五ヘクタール以上の者の生産量シェアでもって織り込ませていただいておる、こういった点は一応関連する部分であろうかと思うのでございますが、そのほか就業条件等につきましては直接的には織り込んで算定しているということには相なっておりません。
  145. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 就業条件をその中に入れて考えているかというんじゃなくて、ちょっと私の聞き方が本当に悪かったんだと思いますけれども、要するに二ヘクタールなら二ヘクタール層というのが農業を経営して農業だけで食っていけるというような方向に持っていくのか、それとももう就労を前提にして、それで経営を縮小していきなさいと、そういうふうに考えて計算をされているのか、そこのところをお聞かせくださいということです。
  146. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 価格政策におきましては、今御指摘の点につきまして直接的に誘導するというふうな政策効果というのは非常に期待しがたい問題であろうかと思うんですが、生産なり構造政策なり、そういった面から今先生御指摘のような比較的中規模ないしは小規模農家にありましてもできるだけ規模拡大をしていただく、また中核、担い手の中心になっていただく方ないしはそこに土地その他を提供していただきまして高能率な生産組織でもって対応していただくとか、そういうふうなことを私ども期待しておるわけでございまして、決して切り捨てとかなんとか、そういう部面では考えてないわけでございます。
  147. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 だけれども、小さな人が拡大を望んでいますと言うけれども、小さな人が拡大したときに、例えば一ヘクタールの人がそれが二ヘクタールになったってやっと生産費カバー程度、こういうことになるんでしょう。そうしたら、本当に規模拡大一生懸命やれる条件でしょうかね。
  148. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 御指摘の点につきましては、規模の大きい層を見てみますと、土地の純収益なりが支払い小作料よりも上回っておる、また現在の実態を見ますと、規模の大きい層にだんだんと土地の利用権その他が集積されておる、こういう実態もあるわけでございまして、そうした方向に進められることを期待しておるわけでございます。
  149. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私は、次長が期待しておられるようですけれども、なかなかそう簡単に期待をしているようにはならない、そんなふうに思います。それは言ってみれば農家の皆さんの所得が上がっていかなければ、例えば土地だって売買をされるとか、あるいは借りるにしたって借り賃を払わなければならないわけですから、実際には金がかかるわけですから、所得がふえていかなければそれはできない、こういうことになるわけでしょう。そうしたら、その所得が実際にふえるのかといったら、今度は米価は引き下げられる。引き下げられて所得がふえたということが言えるんですか。こういうことになりますね。具体的に今まで減反をやってきましたね。じゃ、ちょっと違う形からの質問になりますが、減反が去年強化をされたことによって、それまでよりもどの程度農家所得が落ちる、こういうことになりましょうか。これはわかりますか。
  150. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 水田再編対策の後を受けましてことしから実施しております水田農業確立対策基本的な考え方は、委員会等についても申し上げましたとおり、水田と水稲とあるいは転作作物を通ずる生産性の向上を図るということにあるわけでございまして、トータルで農家の皆様方の経営の態様というものを考えていかなければいけないのじゃないかということであります。  先生御指摘のように、まず転作をする場合に水稲の面積というのは減るわけでございまして、そこにおきます水稲から上がる収益というのは当然減るわけでございますが、私どもそういうようなものが現下の需要減というようなところの対応の仕方としてどうしても必要である、しかしそういう状況に対応する場合において、一方では転作といったようなものに農家の方々の知恵を働かしていただきたいということを申し上げているわけでございます。  もう一つは、これまで構造政策的な形というものではなくて、補てん的な形でございましたが、奨励金にかえまして農家に対する助成金というものを出すということをしているわけでございます。そういう意味で、例えば一番簡単なところを申し上げますと、水田農業確立対策で我々が一番典型的に考えておりますのは、例えば稲作を縮小いたしまして、需給等の関係から縮小されて、その後に水田農業の輪作体系ということで麦と大豆といったようなものをつくる。そういった場合両者を合わせる。さらに、今第二の問題として申し上げましたように、奨励金といったようなものを付加することによって農家の経営が新しい事態というものに対応していただきたいということでございます。  その場合におきます奨励金につきましては、基準といったようなものを二万円ということに圧縮をいたしておりますが、一方加算というのに第一加算、第二加算というものをそれぞれ二万円、一万円というのを付加しております。そういった意味で奨励金の意味の五万円というものを頭に置いていただいて、水田農業確立対策といったようなものを確立していただきたいというのが我々の考え方であります。
  151. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 いろいろな理屈は、私も理屈で少し伺おうと思って、限界生産地のそれをどの辺に置いてどういうふうに考えておられるのかというのを少し聞きたいと思ったけれども、理屈での議論をしているとどうもお答えの方も長くなるし、こっちの方の聞き方も悪いみたいで、時間がちょっと経過をしてしまいましたので、理屈の方は別にしまして、それで今のお話で、それじゃ、その転作作物をつくったら米と同じだけの収入が、あるいはそれ以上の収入が得られるんですかということが一つ、具体的に。それからその規模。これの米の方も規模拡大ということを考えるわけでしょう。米の方の規模拡大をしていくということの中で、私はそれとの整合性がどうもよくわからぬ。こういうことにもなります。  それからもう一つは、せっかく転作をしなさいと、こう言ったって、その転作をしたもののマーケット等を確保していただくのでなければ、つまりそれに対しての輸入制限も、きちんとこれだけは自給するんですよと、こういうことをしてもらわなければ転作をしろと言ったって現実には転作は難しい、こういうことにもなるんじゃないですか。その辺はいかがでしょうか。
  152. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 第一の点、先生の御指摘の点でございますが、その点につきましては今申し上げましたように、一つの地域地域におきましてどういう作物をつくっていくかということは、これ地域に応じた一番のものを選択していただくという農業者の方々にお願いしなきゃいけない問題でございますが、今申し上げました一つの典型的な考え方といたしまして、水田農業確立対策が農政審の答申等の試算等で掲げさしていただいておりますのは、米から例えば麦、大豆といったようなものの輪作はできないだろうかということでございます。  そういった場合においては、私どもその反当収量といったようなものにおきます現在低い反当収量を上げるというようなこと等を付加していただければ、その部分の二作物において、二作物ができるところにおいては水稲に匹敵するような生産を上げ得るというふうに我々は考えております。ただ、そのほかに今申し上げました構造政策的観点に立ちます助成金というものを付加していただければ、一つの具体的な経営の実践といたしまして、そういう農業が実現できるのであろうというふうに我々は考えるところであります。  それからもう一点、先ほど来大規模のということの先生の御指摘のところでございます。時間もございますので簡単に申し上げますと、私どもといたしましては、例えば昭和七十年に対しましてかなり大規模な面積を想定いたしております一つの試算というものを掲げさしていただいているわけでございますが、その場合におきますそれは技術上の体系から出てくるものでございまして、一つの生産性の向上は規模拡大するという道が一つあろうと思いますし、また地域地域におきます農業者の方々の生産組織、そういう集団的生産組織においてそういう作業規模を実現するという道も残されているというふうに考えるものであります。
  153. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私が今の転作というものを含めて、例えばそれを輪作ができるようにということのお話や何かも、それはそれなりにわからぬわけじゃありませんけれども、問題は転作をしたその作目が、理屈はどうであれ、農家の皆さんの方からすれば、転作をして、それが完全に売れて、そして今までと同じあるいはそれ以上の所得が得られるという、そういう条件がなければ転作の意味がないんですと、こういうことをまず申し上げていたわけですよ。そしてそのためにはまた輸入だとかなんとかという、もう大豆だってほとんどまだ輸入しているわけでしょう。麦だって輸入しているわけでしょう。そういうものについての一定の制限というのをきちんとしなきゃいかぬのじゃないですか。  そういうものも含めて対策を立てなければ、それでなければ、それとあわせて米価というものを考えてもらっているのでなければ、今回のような措置というのはとても私どもは承服しかねる、こういうことにもなるわけでありますし、農家の皆さんは生産者米価ということで、言ってみれば米価が一番大きな所得であって、それに生活のやっぱり中心を置いてきているわけですから、これは下げられるということは賃下げと同じことですよ。それくらいの厳しさを持っているんです。それに対応する政策というのがさっぱり今度はそっちの方では保障できないというんじゃ、片っ方で下げるんだけれどもこっちでもって何とかしてやれますよというのがあるのなら納得できるけれども、こっちの方はもうそうなっていないし、こっちは下げます、これでは納得ができません。こういうことをぜひ今度念頭に置いて今後の政策を進めていただきたいということを申し上げて、私は終わりたいと思います。
  154. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 午前中からの先輩諸議員及び大臣の御答弁の中から、本当に農業あるいは米をめぐり非常に厳しい中で温かい心でいろいろのことを考えられておられるということを感じまして、私も、ある哲人が申しております大きな転換期にあるときには冷静な分析あるいは判断力、これが非常に必要だ、しかしまた、その反面においては温かい心あるいは温かい配慮ということを忘れてはならないと、こういうふうな言葉を実は朝来から思い出しておったわけでございます。  いろいろ先輩議員の御質疑の中で出ておったわけでございますが、私はまず第一に、今、米審の真っただ中でございますけれども、もとよりこの米価問題、まさに農民の方を初め全国民の注視の的の問題であるわけでございますけれども、私が出身県に参りまして、生産者の方、農民の方といろいろ接触し、会合に出た際に一番感じますことは、米価そのものはもとより大切でございますけれども、それ以上にこれからの農業というのは一体どうなるんだという将来に対する一つの不安といいますか、そういったものであるわけでございます。  いろいろ私が今まで接してきまして、スローガンなりいろいろのものが会場には掲げられ、そしてまたバンフ等でもいろいろの呼びかけがあるわけでございますが、その中で一番やはり何といいましても大きいのは、先ほど来いろいろ御議論にもありましたけれども、政府はアメリカの米の市場開放要求というものを果たして拒否できるのかどうかというふうな一つの不安、あるいは米の需給均衡がさらに拡大いたしまして、どこまでも水田転作というものが拡大されていくのじゃないかというふうな不安、そういった一つの不安というものが非常に強いということを私も感じてきたわけでございます。  したがって、朝来いろいろ質疑の中にもございましたけれども、私は第一に、三十日でございますか、閣議で加藤大臣が発言を求めて、特にこの米価決定に当たっての自給方針あるいは食管制度の堅持という点につきまして発言されたということでございます。しかし、及川議員でしたか、もございましたが、私も新聞を見ましたが、極めて残念ながら非常に小さい記事である。しかも、どうも中央紙でも載ってない新聞もある。こういうふうな実態でございまして、消費者を含めて全国民が知らなくちゃならぬことが非常に徹底されておらないんじゃないかというふうなおそれを抱くわけでございます。そういう意味で政務次官に改めて私から、この加藤大臣が閣議において発言されました趣旨を、午前中も大臣からございましたけれども、さらにひとつ再現いたしましてここでお述べ願いたいと思います。
  155. 星長治

    説明員(星長治君) 米は日本国民の主食であります。我が国の農業の基幹をなすものであること、また水田稲作は国土や自然環境の保全上不可欠の役割を果たしておるのみならず、我が国の伝統的文化の形成とも深く結びついていることであります。昨年十一月の農政審報告を尊重し、生産性の向上を図りつつ今後とも国会における米の需給安定に関する決議等の趣旨を体し、国内産で自給する方針を堅持していく考えであります。このような米についての国内自給方針のもとで、食管制度については米を政府が責任を持って管理すること、管理することにより生産者に対してはその再生産の確保をし、また消費者に対しては安定的にその供給責任を果たすという制度の基本を維持しつつ、広く国民各界各層の理解と協力を得られるよう適切な運営改善を図り、より一層国民の理解を求めていきたいと考えております。なお、米の自給方針並びに食管制度の基本の堅持につきましては、一昨日閣議におきまして加藤農林水産大臣から発言し、再度その方針を明らかにしたところであります。  以上でございます。
  156. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 ひとつ今の食管の基本の堅持あるいは自給方針の堅持という二つの基本的問題、これにつきましては折に触れ機に触れ、あるいはいろいろの組織を通じて、あらゆる手だてを尽くして農民の方はもとより全国民に徹底するように、これからもひとついろいろ御努力を願いたいということをお願い申し上げておきます。  それで、実は新聞の取り上げという問題にも関連するわけでございますけれども、私も県を歩いておりまして、五十九年度で衆議院及び参議院でそれぞれ米の自給方針等についての決議がなされておるわけでございますが、どうも農民の方はそういう事実を知っておるのか、知らないんじゃないか。中にはどうも知らないような方もおられるように私は印象を受けたわけでございまして、非常に重要なそういった方針というものは案外伝わっておらないというふうなことを実は危惧するわけでございます。したがって、非常に生産者を含め大変そういった基本的な方針について不安を持つことのないように、今後もそういった面についての御配意は特にお願いしたいと思いますが、改めてそういった基本方針の徹底方策について次官のお考えを確かめておきたいと思います。
  157. 星長治

    説明員(星長治君) ただいまの御説もっともでございますので、農水省今後挙げてひとつこの方針を、これらの問題をちょうちょうしていきたいと、かように考えております。
  158. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 いろいろこの米の問題、農業問題大変いろいろの議論があるわけでございます。私は非常に素人ながらそういった中で情報社会の中におきましてマスメディアなり評論家、批評家、いろいろな方の影響力が非常に大きいということを感ずるわけでございます。午前いろいろある評論家の本のことも掲げられておったわけでございますけれども、あるいはある先輩議員が消費者と生産者との対立と、こういうふうな視点からも論じておられたわけでございますが、私は全体的に対立と摩擦というような面にいろいろな論議が大変集中されるような傾向にある、むしろ協調という面よりも非常に摩擦とか対立とかそういう面に焦点が当てられていろいろマスメディアが論じられるというふうな傾向があるのじゃないかと思うわけでございます。  例えば貿易摩擦につきましてもそうでございますし、この米、農業問題につきましても地方と都市、あるいは田園と都会、あるいは生産者と消費者、こういったものはそれぞれ利害が相反するようなそういう観点から非常に強い視点が当てられて論ぜられる。しかも一方においては市場原理一辺倒で論ぜられるというふうなことがあるわけでございます。私も自分の県を回りましていろいろ生産者の方の声を聞きますと、まあ農業というのは弱い立場である。これはまさに工業生産力、どんどん自動車を輸出してその犠牲に農業がなっておるのだと、こういう声を非常にたくさん聞くわけでございます。  私はそういう声をなるほど一面真理でしょうけれども、そういう被害者意識でいるということは非常に日本国民として悲しいことであるというふうな感じをまた一面に持つわけでございまして、やはり日本国民全体としてその辺調和のとれたひとつ考えていく必要があるという面もいろいろ声を聞きながら感ずることもあるわけでございますが、しかしいずれそういう非常に対立的な面からいろいろ取り上げていくということはやはりお互いに足を引っ張り合うということにもつながるわけでございまして、こういう点はひとつ我々自身それぞれの立場立場を考えながらひとつ考えていく非常に大切な時期だなと、こういうことも感ずるわけでございます。  また、米の問題から外れますけれども、そういう意味で国と国との立場におきましても貿易摩擦ということで、アメリカとの関係が大変プレッシャーが強いということで不安を持つわけでございますけれども、私も過日アメリカに国防会議議員連盟の一員として参りましたけれども、やはり日米安保体制という両国の間のつながりというものが底辺にあるということが基本的な信頼関係というものを培っておるというふうなことを実は実感として感じてきた者の一人でございます。こういった土台がなければ果たしてどうなっておるんだろうかというふうなことも感じてきたわけでございます。  それから、実はマスメディア関係で私個人的に感じておりますのは、中央紙と地方紙、これの差が非常に何か大きいのじゃないか。これは地方と都市のいわゆる住民としての農業問題に対する感覚がいよいよ格差が広がっていく一つの土台にもなっておるのじゃないか、こういう感じも受けるわけでございます。まあ地方紙ですと、やはり農業問題を非常に詳細に農民の実態、働いておるぐあい、共同作業の実態、いかに苦労しているか、そういうことを詳細に論じているわけでございます。しかし中央紙は大体そういう具体的なことよりもむしろ国際価格の差がこれほどあるというふうな、そういう視点から非常にどうしても焦点が当たるということでございまして、そこにどんどん認識なり格差が出てくるというふうな面もあるのじゃないかということでございまして、私は農業の大切さと、だれしもが日本農業を何とかひとつ育てていかなくちゃならぬ、もうこういう気持ちは変わらぬわけでございまして、そういう意味でのひとつマスメディアの重大性、そしてそういう面でのひとつ啓蒙というものを特にお願いしたいという気持ちを持っておるわけでございます。  そういう点と、それからこういう機会に私の個人的な体験に基づく農業という問題について実は申し上げたいわけでございますが、私も長い間治 安関係におったわけでございますけれども、日本の治安が何でこんなにいいのかということをよく外国人から聞かれたわけでございます。いろいろ私も私なりに考えましたが、日本が島国である、あるいは同一民族である、あるいはまた非常に法律、制度が全国斉一で非常に立派であるというようないろいろな要素を挙げられるでしょうが、私は何といいましてもやはり日本民族が農耕民族である、すなわち農耕民族というのは社会的な帰属意識が非常に強い。お互いにスクラムを組んで、土地、水というものに結ばれて共同作業をする。そういった民族の伝統、こういったものがやはり日本の治安というものを支えておる最大のものであるということを、外国人その他国際会議等でも強調してきたわけでございますけれども、やはり日本人の一つの伝統、気質といいますか、勤勉であって、自分に打ちかつ克己心であるとか、節約心であるとか、あるいは自然を恐れ敬う、こういったいい気質はやはり農耕民族に由来する。そういう気持ちがまた治安を支えておる非常にいいものであるということを確信しているわけでございますが、そういう意味で、何としてもこれからの農業をひとつ育てていかなくちゃならぬということも私も信念として持っているわけでございます。  そういう意味で、いろいろ申しましたが、マスメディア、そういった面についての政務次官の個人的見解をひとつお願いいたします。
  159. 星長治

    説明員(星長治君) お説もっともでございますから、今後とも検討していきたいと思います。
  160. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 さらに個人的考えを申し上げますけれども、私も、前川リポートとかいろいろの最近のあれが出ておるわけでございますけれども、第一次、第二次、第三次産業ということに日本の経済構造がどんどん変わっていくということでございまして、第一次産業としての農林水産業というのが、いわゆる就業人口、就業面におきましても、あるいは生産額の割合におきましても、どんどん低下していく。比率が下がっていく。こういうことを全部そういうものに取り上げておるわけでございます。四全総の中でもそういうことをはっきりうたっておる。  二次産業は横ばい、あるいは一部ハイテク等はアップしていく。そして、第三次産業というものはどんどん伸びていくと、こういう傾向をそれぞれ数字的にも挙げておるわけでございますが、そういった第一次産業がやはりどんどん低下していくというふうな状況にあるわけでございまして、午前来、大臣もそういったあれで、農業のひとつやる気のある人が本当に希望を持ってやれるようにしなくちゃならぬということを強調しておったわけでございますが、私も、そういった経済の構造が変わる中で、どんどんやはり人口も減っていくんだと。所得生産額割合も減っていくというふうな中で、日本の民族の将来を考えた場合に、たとえ人口は減っていっても、やはり国土のある限り、人間のいる限り、農業というものは本当に希望を持って、日本民族の命として生きていかなくてはならぬ、そしてまた、そういう意味でのサポートもしていかなくちゃならぬというふうに思っている者の一人でございますが、そういう意味で、そういう趨勢の中で、やはり非常に多角的にいろいろの手だてを打っていかなくちゃならぬと思うわけでございますが、米価以外のいわゆる周辺対策とか、あるいは近代化対策とか関連対策とか、いろいろの言葉で言われておるわけでございますけれども、朝来もいろいろ議論が出ておりましたけれども、低コスト稲作のための各種の条件整備、今回の米価がいずれ決まる際にまたそういう関連の施策というものを打ち出されるわけでございますが、こういった関連対策というものについての格段の努力がこれから必要ではないかと思うわけでございますが、そういう面につきましてひとつ御所見を伺いたいと思います。
  161. 星長治

    説明員(星長治君) 私も同感でございます。先生方の御協力を得ながら、ひとつこれを推進していきたいと思います。  具体的な問題は事務当局から説明いたさせます。
  162. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 具体的なあれはもう結構でございます。いろいろの先輩議員から申されておりましたので結構でございますが、まあ一つだけ、私も先輩議員の質問が一応触れておらなかった点だけを触れたいと思うわけでございますが、一つは、そういった人口が減っていくわけでございますから、就業の場といいますか、減った人をどうするかということがやはり非常に重要な問題になってくるんじゃないかと思います。そういう意味で、就業の場をどうして確保していくか。そのためには一・五次産業とか言われるいわゆる加工業を含めたそういった一つの新しい形態の産業を興すというふうな発想も当然必要でしょうし、そういう意味での就業の場の確保は、農水省だけじゃない、全体的な国としての立場で考えなくちゃならぬわけでございますが、その点だけ一つ確認しておきたいと思います。
  163. 星長治

    説明員(星長治君) よくわかりましたので今後とも検討していきたいと思います。
  164. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 話が、質疑が飛び飛びになりますが、もう一つ感じておることでございますけれども、農林水産省としましてはいろいろの統計をたくさん作成しているわけでございます。ああいった専門的な統計ほどどうも余り読まれないというのが通弊であろうと思うわけでございますが、私は、こういったいわば大転換期にありまして、いわゆる統計というよりも、何といいましょうか、むしろ農民の方の意向調査といいましょうか、あるいは何をやりたいか、あるいは将来こうしたいとかいうふうなそういうニーズとか、そういったものをもっと生のものをひとつ吸い上げて、それを農政というものに使っていくというふうな着意での一つの調査といいましょうか、そういったことをひとつ考えてはどうかという一つの提言でございます。  その私の意味するところは、農民の方といろいろお会いしますと、今まで我々は農林省の言うことをそのままに忠実にやってきた、しかしその結果が減反政策を迫られ、そしてこのざまである、猫の目農政というふうなことで、本当に忠実にやってきて果たして将来希望が持てるのかというふうなそういう一つの考えをいろいろ聞くわけでございます。そこに見られるのは、何といいましょうか、言われたことを忠実に行うという一つの受け身的な姿勢が非常に強いわけでございまして、むしろこれからの農政というのは、やる気があるとか、自助的な努力とか、そういうみずからわき出る意欲を持って新しい農政を開拓していくというものなくしてこれからの農政はやはり産業として自立てきない、いわゆるプロとしての意識がないともう成り立たないと、こうも私は思うわけでございます。  そういう意味で、そういった農民の方の自発的な経営的な意識を高揚させるといいますか、いわゆる官の言うことをそのまま聞くというのじゃなくて、農民の方の気持ちを具体的に結集させるためのいろいろの体制なり構成なり予算なり、こういったものを組み立てていく、いわゆる共同作業としてのものをつくり上げていくというふうな方向に進むべきじゃないかというふうなこと。そしてまた、農林水産省のこれからの施策の、またそれを支えにしていくというふうなことでやっていく。そのためには通り一遍の紙を渡してそれに記入するということじゃなくて、やはりやり方としましては、一人一人の農民の方に接触して、後継者の問題を含め、規模拡大の問題を含め、いろいろひとつ本当に腹を割った農民一人一人の方の気持ちを酌んだ、生きた素材がそこから引き出されなくちゃならぬ、意味がないと、こう思うわけでございますが、そういうことを系統的にやるようなことはいかがであろうかいう一つの提案でございますが、それに関連して、今農水省としてやられているいろいろのセンサス、農業調査あるいは総理府等でやっている世論調査的なものの活用、そういった全体的な状況をひとつお知らせ願いたいと思います。
  165. 松山光治

    説明員松山光治君) お答え申し上げます。  御指摘ございましたように、けさ御報告申し上げました米の生産費もそうでございますけれども、私たち統計情報部におきましては、農政を展開していきます上で必要な基礎的な数値であって、かつまた専門的なといいますか、立場でとらえていかなければなかなか難しいようなそういう調査を、農業構造でありますとか、あるいは生産でありますとか、農家経済でありますとか、流通でありますとか、各節の面にわたりましていろいろな統計調査をやっておるわけでございます。御指摘ございましたように、これからの農政の推進当たりましては、農業者を初めといたします関係の方々の意向というものを的確にとらまえまして、それを踏まえて推進していくことが必要であるということは御指摘のとおりでございます。  で、そういう方々の御意向なり御要望というのは、一般的に申し上げますれば、例えば陳情でございますとかあるいは要請でございますとか、そういう形でまずは把握できるわけでございますけれども、具体的な問題ということに相なりますれば、課題に即しましてボーリングしていく必要があるわけでございます。そういうことでございますので、私どもの統計情報部といたしましても、先ほど申しましたような基礎的な数値調査の一環といたしまして必要に応じて農家の意向を把握するというようなこともやってございまして、例えば今当面課題になっておりますのが水田利用の問題もあるわけでございますけれども、その水田の利用、特に転作の推進当たりまして一体どういう点に重点を置いて農家の方々は取り組んでおられるのだろうかといったような意向の把握を例えば昨年もやったわけでございます。しかし、その種の具体的なボーリングということになりますれば、調査技術の話にもなるわけでございますけれども、やはり具体的な政策課題との関連においてこれをとらえていく方がより的確にとらえられる場合が多いわけでございまして、私どもの統計情報部だけではなくて、各行政部局におきましても必要に応じて必要な調査なり情報の収集をやっておるというのが現状の姿でございます。  若干例を挙げて申し上げたいと思いますが、例えば昨年の場合には、一種の事例調査の形でございましたけれども、大規模な土地利用型の経営におきまする受委託なり、あるいは組織活動への参加の意向、さらに比較的大きな畜産経営におきます飼養規模なり飼料の作付についての意向といったようなことについての調査もいたしてございます。また、ことしにおきましては、農業者年金問題と関連いたしまして、経営の継承あるいはこれからの就業についての農家の意向の把握、さらには中核農家におきますこれからの経営転換に関する意向といったようなことについても実は情報収集を今関係の部局において進めておるというのが実情でございます。そのほかに、こういった一定の約束事に基づきます調査なり情報収集のほかに、御案内のとおり、農林省では、大臣以下幹部が現地に出向きまして一日農林水産省を開催するとか、あるいは定期的に中央なり地方におきまして市長村長さんとの懇談会を開くとか、また地方の出先機関が関係の方々と会合を持つとか、また私ども本省の職員が現地に出向きまして直接農家の方々にお会いしていろいろお話を伺うとか、いろいろな形で農業者の御意向の把握に努めておるわけでございます。  いろいろな農業者なり関係の方々の御意向なり御要望が多様化し、かつ複雑化してきておりますので、今私申し上げましたような多面的な形で意向の把握に努めていくのが適当ではないかというふうに考えておりますけれども、私ども統計情報部といたしましても、そういった努力の一環といたしまして必要な情報を的確に提供していく、こういう考え方のもとに引き続き努力してまいりたい、このように考えております。
  166. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 どうも最後になりましたけれども、お願いしておきます。農家が希望と意欲を持って将来邁進していけるように、あらゆる総合的な手だてを意欲的にひとつ進められることを心からお願いいたしまして、質問を終わります。お願いいたします。
  167. 高木正明

    委員長高木正明君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  168. 高木正明

    委員長高木正明君) 速記を起こしてください。
  169. 及川順郎

    ○及川順郎君 午前中の大臣への質問で残しました件につきまして、次官の御見解を初めに承りたいと思うんでございますが、稲作経営の取り巻く状況というものは、経済社会の国際化あるいは財政事情の悪化等で厳しくなる状況の中で、日本の農業の基幹産業であります稲作を今後どのように位置づけるかという明確なビジョン、これを実現するための手法、展望をやはり政府としては示していかなければならないんじゃないか、こういうことを強く感じておるわけでございまして、特に水田が持つ国土の自然環境保全に果たす役割を国土整備計画に組み込んで、この点につきましては将来に希望の持てる我が国水田農家の確立を図るべきだ、このように思っておるわけでございますが、次官、どのような御見解をお持ちでしょうか。
  170. 星長治

    説明員(星長治君) 稲作生産性は、優良品種や新技術の開発、普及、生産基盤の整備、高性能の機械の開発、普及により、この三十年間に単収で四五%増、平年単収は三十年の三百二キログラム、六十年には四百八十一キログラム、労働時間が七〇%減少する、昭和三十年の百九十時間が六十年には五十五時間、労働生産性も約五倍と飛躍的に向上してまいりました。  今後の稲作を展望する場合、第一義的には生産のコストの低減による生産性の向上を図ることが重要であり、最近開発されつつある新技術で、その普及により生産性の向上が期待されるものとしておりますのは、現在の労働時間の二三%を占めるいわゆる苗代一切及び田植え作業の大幅な省力化を可能にする湛水土壌中直播技術、田植えとの同時作業による省力化及び施肥量の軽減と初期生育の確保による生産の安定化を図る側条施肥技術、気象情報に即した向こう数週間の生育予想による的確な栽培管理を可能にする生育診断予測技術、気象、稲の生育状況、耕種条件等の情報を基本としたシミュレーションによる病害虫の発生予察によるところの的確な予防、防除を可能にする技術等が開発、実用化されつつあり、さらに、高速田植え機、汎用コンバインが実用化されて普及されつつあるわけでございます。  今後の稲作生産向上の可能性としては、昨年十一月に報告されました農政審議会の報告により、およそ十年後の七十年時点において普及が見込まれる高速大型田植え機あるいはコンバイン等の大型または中型の機械化体系と、三十アールの区画で用排水が分離され、団地化された圃場条件下で水稲と麦、大豆等を組み合わせたいわゆる輪作体系を採用することにより、稲作労働時間について二十時間-十二時間、現状の三七%-二一%、生産費用については六十キロ当たり八千三百-七千二百円、現状の五三-四六%に軽減可能であると試算しておるわけでございます。  なお、これを直ちに一般化するための条件が整備されていないが、各地域の条件に即した技術の適用、普及により将来の稲作生産の向上に努めてまいりたいと思います。
  171. 及川順郎

    ○及川順郎君 具体的な問題で質問いたします。  午前中に農産物輸入自由化に対する、外圧に対する基本的な姿勢を承りましたけれども、農水省として今後のスケジュールの中で、どのような考えてその基本戦略を考えていらっしゃるか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  172. 星長治

    説明員(星長治君) 我が国は、国際化時代に対応して、一層均衡のとれた国際経済関係の形成に努めていくことが重要な課題となっております。他方、農業は食糧の安定供給を初め、国土、自然環境の保全、地域社会の振興等我が国経済社会の土台を支える重要な役割を担っております。  農産物の自由化問題については、昨年十一月の農政審報告を尊重してまいりたいと考えております。すなわちガットにおける新しい農産物貿易ルール策定の作業等に積極的に参加、貢献するとともに、その状況を踏まえて、我が国農業の健全な発展と調和を図ることを基本にして適切に対処してまいりたいと考えております。
  173. 及川順郎

    ○及川順郎君 次に減反についてですけれども、ここ数日農業団体の方々等の御要請を受ける中で、やはり将来見通しのない安易な減反は非常に不安である、この不安を取り除くことをやはり国の責任として考えていただきたいと、こういう要請が強くございました。今後二十一世紀を展望した計画の中で、やはり田畑輪換方式やブロックローテーションによる集団転作の導入、拡大を図るなどをいたしまして、他の作物を安心してつくれる体制の整備が必要であると、私たちもかねがねこれを主張してきたところでございますけれども、農水省として少なくとも十年、十五年を見通したこうした減反に対する将来見通し、この計画、これはどのような計画をお持ちでいるか、この点をお答えいただきたいと思います。
  174. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 水田農業再編対策の後を受けましてことしから新たな対策を始めているわけでございますが、ただいま及川先生御指摘の点につきましては、将来のビジョンを掲げましてこの新たな対策を始めていかなきゃいけないというふうに考えていたところでございます。この点に関連いたしましては、既に先生御案内のとおりでございまして、農政審議会の報告を受けました中に、この問題につきましてかなりの部分を割いていただいたところでございます。  私どもといたしましては、現在、我が国の農業の基幹的作物であり国民の主食である米については、生産力が需要を大幅に上回っております。またその需給ギャップがなお拡大する方向にあるということから、今後とも今先生のおっしゃったとおり、長期的視点に立って、需要の動向に即した米の生産を計画的に調整していかなければならないと考えるところでございます。そういう意味で、六十二年から新たに実施をいたします水田農業確立対策におきましては、一つは水田を活用いたしまして生産される作物の生産性の向上、それから地域輪作農法の確立、ただいま先生にはブロックローテーション等々おっしゃっていただきましたが、各地各地におきます農家の方々が英知と努力を傾けて実践されました各地域の経験あるいは教訓といったようなものを踏まえまして、地域輪作農法の確立というものを第二に掲げ、さらに需要の動向に応じた米の計画生産を一体的に推進することといたしまして、向こう六カ年を当面の期間と考え、その前期につきましてこの水田農業確立対策を実施することとしたわけでございます。  その点につきましては、これも先生御指摘のとおりでございますが、着実かつ円滑に推進していくためには、農林省が関与しております構造政策あるいは価格政策あるいは生産流通対策等々、あらゆる関連施策を活用いたしまして総合的に水田農業の確立を期する体制を整えなきゃいけないというふうに考えているところでございます。そういう意味で、この水田農業確立対策の実施に当たっては、農林水産省挙げまして農林水産省の関与する施策をこれに集中して実施しようというふうに考えるところでございます。  特に、具体的な問題につきましては先生既に御案内のとおりでございますが、本対策の一環といたしまして地域輪作農法の確立のためのモデル事業であるとか、あるいは排水対策特別事業であるとか、あるいはその他の事業、合計いたしまして三百億を上回る金額を計上いたします新規施策をこれの実施のためにまとめ上げまして、あわせて実施しようというふうに考えるところでございます。今後とも、これらの施策を有効に活用いたしまして、農家の方々あるいは生産者団体あるいは行政とが一体となってこの水田農業の確立を図ってまいる所存でございます。
  175. 及川順郎

    ○及川順郎君 他用途米についてでございますけれども、やはり実態に見合った価格の設定と各用途向けの品種開発が必要ではないか、また、あわせまして米のアルコール化対策については、これは技術的、経済的可能性の追求が必要だということがかねがね指摘されておるわけでございますが、農水省で今取り組んでおりますこの品種開発等につきまして、具体的な取り組みがありましたらお述べいただきたいと思います。
  176. 畑中孝晴

    説明員(畑中孝晴君) 今のお尋ねでございますが、昭和五十六年から米の他用途用品種、従来の炊いて食べるだけではなくて、ほかの用途に使おうということで品種開発を進めてまいりまして、こういうものは一番大事なのは多収であるということでございますので、そういう点に重点を置いて品種をつくってきたわけでございますが、ごく最近になりまして、第一段階の成果として、西の方に適する品種としてはアケノホシというのとホシュタカという品種をつくりました。それから東北、北陸地域に適するものとしてはアキチカラという品種が登録になっておりまして、これ以外にもまだ有望な品種になるものとしていろいろな調査が行われておるわけでございますが、こういった多収性ということになりますと、従来の日本の稲の品種だけではなかなかそういったものが出てまいりませんので、インディカ系統の稲の血を入れるとか、あるいは将来的にはもっと画期的なものをつくるというためにはバイオテクノロジーの技術とか、そういうものを使ってやっていきませんと画期的なものが出てこないというようなことで、そういう基礎的な研究も現在進めているところでございます。
  177. 及川順郎

    ○及川順郎君 稲作生産費を下げる点についてもう一点共通しであったのが、肥料、農薬、農業機材等を生産する大企業の価格が独占的な価格で決められております。これのやはり強力な値下げ指導が行われないとなかなか生産コストを下げるということに結びついてこないという、こういう窮状を訴える声が非常に強かったわけでございますが、この点に対する農林水産省としての指導はどのように組まれておって、今日までどのような成果を上げてこられているか、この点を、主なもので結構でございますからお述べいただきたいと思います。
  178. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 先生御指摘のとおりでございますが、農産物の生産コストの中で、例えば農業機械あるいは肥料等の生産資材費の割合は極めて高い状況にございます。そういう意味で、生産性の向上を図るためには、構造政策の推進に加えましてこれら生産資材費の節減が喫緊の課題、重要な課題であるというふうに考えるところでございます。  まず、この価格等につきまして先生、独占的な価格というふうなお話の御指摘でございましたが、これを製造しておりますメーカーと、それに対応いたしまして農業者の系統組織というものを構成しております全農との間で第一義的に交渉して決めて、価格というものは形成されている形になっております。そういった価格を商系も含めまして小売価格が形成されているというのが現実でございます。  この点に関連いたしまして、一、二具体的な点を申し上げますと、最近におきましては、円高等の傾向を反映いたしまして肥料につきまして六十一肥料年度に一一・四%の引き下げが行われておりまして、さらに六十二年肥料年度におきまして五・六%の引き下げが行われたところでございます。  次に、農業機械について申し上げますと、六十一年の一月から、これも円高等の還元という点でございますが、外国産のトラクターにつきまして一・八%から一五・七%、平均いたしまして五%の引き下げも行われておるところでございます。さらに、農業機械の安全性の見地に起因をいたします安全フレームというものを指導的に付加させたところでございますが、その関連におきます安全フレームの付加されたトラクターにつきまして、この七月一日から一%ないし三・四%の引き下げも行われておるところでございます。  いずれにいたしましても、農業機械あるいは肥料等は農業生産にとりまして不可欠の資材であります。農業の生産性の向上を図るためには、これらが適切な価格で安定的かつ円滑に供給されることが肝要であると考えるものであります。今後とも関係省庁とも連携を図りながら、ただいま申し上げましたシステムにはなっておりますけれども、関係業界、団体の指導に努めてまいる所存でございます。
  179. 及川順郎

    ○及川順郎君 米価算定方式につきましては、午前中もいろいろな角度から指摘がございましたけれども、当初の政府試算九・八%から、いろいろ算定要素を修正をいたしまして、与党とのやりとりの中で六・二%という、こういう数値も出てきている。最終的には五・九五という数値に落ちついたわけですけれども、この算定要素を修正した項目を具体的にお述べいただきたいと思います。
  180. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  今先生御指摘の九・八%、これは御案内のように昨年の試算方式をとりまして計算したものでございますが、その後私どもいろいろの算定要素とり方等について検討もしてまいりまして、修正した点につきましては、大きいところは次の四点であろうと思います。  第一点は、潜在需給ギャップ反映必要量比率とり方でございます。けさほど申し上げましたように、分子の方に、二十万トンの自主調整保管分の六十三米穀年度に供給されるものを分子に計上したという点でございます。その点の計算によりまして、七八%の比率が七九%になったという点が一つでございます。  それから、自己資本比率自作地地代を計算いたします際の金利の取り扱いにつきまして、より長期的な金利をとらせていただいたという点が違ったと思います。  第三点は、企画管理労働費の取り扱いでございます。九・八%の場合には、これは昨年の試算値方式でございますので、私ども入れてなかったわけでございます。  もう一点は、収量変動平準化係数取り扱い方でございます。昨年の方式よりはより平年ベース数字が反映される方式を採用させていただいたわけでございまして、この方式につきましては、先般の米価審議会の懇談会等におきまして、昨年の方式もあるが、もう一つの今回採用させていただいている方式についても非常に平年ベースを代表するようなものじゃないか、そのいずれを使うかは国の、食糧庁の方で十分検討していったらどうか、こういうふうな御意見をいただいておったところでございますが、以上四点につきまして修正させていただいたような次第でございます。
  181. 及川順郎

    ○及川順郎君 この算定要素につきましては、午前中にも私強調しましたけれども、今後農業生産者、特にそうした人たちの具体的な現場の声をぜひ反映するようになお鋭意努力を望みたいと思いますが、あわせまして生産費が下がったから米価を下げるという、こういう短絡的な考え方に対してもいろいろ御批判がありまして、例えば生産費が下がっても農業所得の向上がこれは連動してない、こういう指摘もあるわけでございまして、ちなみに農業所得の絶対額につきまして十アール当たりで結構でございますけれども、ここ十年ぐらいの、もし年度別に必要でなければ五十年と六十年の比較を通してこの点に対する御回答をいただきたいと思います。    〔委員長退席、理事水谷力君着席〕
  182. 松山光治

    説明員松山光治君) 十アール当たり所得でございますが、全階層平均で申しまして昭和五十年の数字が九万一千五百三十四円ということになっております。六十一年産米につきましては、けさほど御報告しました八万二千五百十一円と、こういう数字に相なっておるわけでございます。
  183. 及川順郎

    ○及川順郎君 五十年-六十年、やはり所得の絶対額は減っているという、こういう状況でございますね。
  184. 松山光治

    説明員松山光治君) 年によりかなりの振れがございまして、その年の作柄がどうか等々によって変わるわけでございますが、生産費調査の結果で見ます限りは今申し上げたような数字に相なっておるわけでございます。
  185. 及川順郎

    ○及川順郎君 この点も米価決定に対する重要な内容としてぜひ御検討をお願いしたい、このように思うわけでございます。  次に、水田農業の体質を強化するためには、いろいろな個々の段階では出ておりますが、規模拡大とか、あるいはコスト低減とか、地代負担あるいはまた基盤整備、技術対策、担い手対策、価格保証、こういったそれぞれの個々の段階で見るというよりも、これが総合的に整合性を持つことがやはり大事ではないか。この整合性について農林水産省としての試算値があれば示していただきたいことと、あわせまして二十一世紀に向けての具体的なプロセスをお持ちであればお示しいただきたいと思います。    〔理事水谷力君退席、委員長着席〕
  186. 甕滋

    説明員(甕滋君) 大変大きな御質問で具体的な御答弁になるかわかりませんが、水田農業の確立につきましては、その生産対策、構造対策、それからその担い手を通じます規模拡大等をもととした生産性の向上と、こういったものを具体的には国の目標として長期見通しの基本的な試算等において省内等でもいろいろ勉強をしております。そういったものを今後、昨年の農政審答申に基づきまして具体的な農政展開の過程におきまして、その長期見通しの改定等についても今後検討を進めてまいりますので、そういった中におきまして具体的な姿を種々勉強してまいりたいと考えております。
  187. 及川順郎

    ○及川順郎君 今回の食糧庁で出しました「米価に関する資料」の二十二ページのこの一覧表の中で、土地純収益、それから支払い小作科、これが今回の五・九五%、一応諮問された米価のこの算定値で、一・五ヘクタールから二ヘクタールまでのところと、それから五ヘクタール以上というところの六十一年度の数値が出ておりますが、このわきに今回のこの試算を、ちょっと数値を示していただきたいと思います。
  188. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 土地純収益につきましては、御案内のように粗収益から引くことの費用合計資本利子でございまして、今先生御指摘のような粗収益の減というようなことは政府買い入れ価格が下がればその分が下がるというようなことになるわけでございますが、一方御案内のように、流通しておりますものの四四、五%のものにつきましては自主流通米というふうなものでございますし、自主流通米がどの程度下がるかということにつきましては、やはり銘柄の随分売れたといいましょうか、良品質のもので全然影響なく推移するのではなかろうかということが期待されるような銘柄もございますし、また政府買い入れ価格に近いような今価格動向を示しておるものにつきましては同じような引き下げになるというふうなものもあろうかと思いまして、必ずしも粗収益につきましてもどの程度減収といいましょうか、この価格条件の変更に基づきまして影響があるかということもよくわからないわけでございますが、なお費用合計等につきましてはちょっと今の段階で推計することが非常に難しいのではなかろうかと思っておるわけでございます。
  189. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは数値的なものはまた後ほど示していただくとして、私が心配しているのは、今回の値下げでこれが今進めております構造政策に支障が出ないかどうかという点なんです。この点に対しての見解をお述べいただきたい。
  190. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今六十一年の数字でごらんいただきますと、先生御指摘の一ヘクタールから一・五ヘクタールにおきまして土地純収益が二万五千八百四十五円、それに対しまして支払い小作料三万四千百四十一円ぐらいでございますし、五ヘクタール層におきましてはまた相当これは差が出ているというふうなことでもございます。したがいまして、この土地純収益がどの程度になるかということにつきまして、支払い小作料との間で相当のギャップのあるところにつきましては、これは余り関係ないのじゃないかと思うわけでございますけれども、ちょうどボーダーラインのところぐらいになりますと影響が出てくるかどうか、それも先ほど申し上げましたような、入る方の問題と出る方の問題がどの程度の問題かということによりまして多少影響度合いが違ってこようかと思っておりますが、なおこの辺につきましては、さらにいろいろと検討を深めてみなければはっきりしたことがちょっと申し上げかねるような次第でございます。
  191. 及川順郎

    ○及川順郎君 今のそのボーダーラインのところが大事でして、やはり純収益が落ち込んできますと支払い小作科が払えなくなるという、こういう現実的な悩みが水田農家を襲うわけですね。ですから、この辺に対する考え方、これはやはり米価決定に対して重要な要素として勘案をしていただきたい、こういうぐあいに思うんです。  時間が参りましたので、最後に、食糧自給率が極端に低い我が国におきましても、国民の供給熱量の二八・二%はまだ米から供給されている、こういう事実がある一面で、二十一世紀までの米の消費は半減するといった、こういう試算も報道されておるわけでございますが、そういう意味では消費の見通し、また消費拡大への努力というものが極めて大事な要件になってくるだろう。これは米作農家の方々にとりましても重要な関連を持つわけでございまして、この点に対する農林水産省としての啓蒙スケジュールといいますか、そういう御努力されているこういう具体的なスケジュールがありましたら御披露いただき、また今後のこの種の努力に対する計画もお述べいただいて、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  192. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 米の消費拡大につきましては先生御指摘のとおり非常に重要な問題でございますし、現在の食生活が多様化する中におきましてある程度の緩急の差はあれ、なお減少傾向にあるということもございますし、なるべくこれを下げどまるような方向で、まあ私どもも消費者の啓発事業なり、また消費拡大のためのいろいろと事業を興すとか、それにつきましては地域における米消費の拡大対策というふうなことで都道府県にいろいろと助成をいたしまして、地域ぐるみの消費拡大運動をやっていただくとか、また、先ほど申し上げましたような新しい米の消費につきましての知識の普及啓発、こういう事業もやっておるわけでございますが、そのほか学校給食用の米飯納入、こういうことのより一層の推進、特にこの問題につきましては大都市周辺の学校に導入率がさらに落ちておりますので、こういったところに対しまして今後学校給食の週何回というのをふやしていただく。こういうことを関係者の皆さん方、また私どもの食糧事務所の職員等も調査等に行ったり、またそういった関係者にお会いいたしまして御意見を賜り、こちらから御協力をお願いするなり、こういうこともやっているような次第でございますし、さらに米の新加工食品の開発普及、こういう問題につきましても無償で新開発の研究をなさる場合にはお米を差し上げて研究に使っていただく、こういう事業もやってまいっておるような次第でございます。  なお、こうした問題につきましては私ども単に農林水産省だけではなくて、農業団体なり、また、お米の販売関係の方々なり教育の関係の方々、多方面の方々の御協力もいただきながら、ともに協力いたしましてさらに積極的な消費拡大推進してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  193. 下田京子

    ○下田京子君 午前中大臣にことしの五・九五%マイナス諮問はとても農家はもちろん消費者も含めて納得できないということは申し上げましたが、最初に米価算定のあり方で質問いたします。  今回米審諮問された五・九五%、この大幅引き下げですね。実は前年同様に算定すると九・八%引き下げのところを引き下げ幅を圧縮したんだということで、さも農家の皆さんに配慮したように言われている節もあるんですけれども、一方マスコミ等は、一部こういう引き下げ幅圧縮というのはもう政治加算でけしからぬというような論調もあるわけなんです。でも現実にこの諮問米価五。九五%引き下げというのは大変な農民に対する影響でありまして、前年同様というならばなぜ五十五年度作況八七という大不作の翌年、つまり五十六年ですが、前年同様の方式で計算しなかったのかということが出てくるんですね。あの際は一一・七%もアップするところをわずか〇・五%のアップでとどめたと思うんです。実質一〇%以上引き下げたわけです。ですから、このときは逆に言うと何らの激変緩和措置もとられなかったんですけれども、事実としてそうであったと思います。御確認ください。
  194. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今御指摘のような算定方法をとりましたことは正しいと思っております。  なお、今先生御指摘の年度におきましても一つございますのは、その当時も既に潜在生産力というものにつきましては当時の需要量を大幅に上回っておる、それで転作等の措置も講じられておりまして、そういった面にも配慮して算定しなければならなかったという実態があったものと考えます。
  195. 下田京子

    ○下田京子君 需給ギャップということなんですけれども、これは何か算定方法を変えなければならなかった理由のように言っておるんですが、それ以前に私さらに指摘したいのは、五十七年の場合はどうだったかということなんです。家族労働評価を大改悪した五十六年、その算定方法と同様にしますとやっぱり九・四%アップしたわけです。それをまたわずかに一・一%アップで抑えたんです。ですから五十六、五十七とこの二年間で何と二割以上もの引き下げをやられたわけなんです。その理由を今需給ギャップだということをおっしゃられましたけれども、五十五年作況は幾らでしたか。八七でしょう、五十六年九六でしょう、不作が続いたんですよ。その潜在需給ギャップの話なんですけれども、生産調整なかりせば生産量と需要量がこういう形になりますよというそのオーバーしている率ですけれども、五十五年は一二六%ですね、二六%オーバー。それから五十六年が二六・三%オーバー、五十七年はどうかといえば二五・四%です。つまり潜在需給ギャップだと言われておりますけれども、五十五年も五十六年も五十七年も結局特別拡大されているということはないんです。同じなんです。事実でしょう、これは。
  196. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今先生御指摘の需給関係数字はおおむね合っているものではないか、このように思っております。
  197. 下田京子

    ○下田京子君 おおむね合っているって、事実これは計算した結果ですから。つまり私が言いたいのは、需給ギャップ云々だということを理由にして五十六、五十七年と実質二割も引き下げたというのはおかしいじゃないかということを今証明したと思うんですよ。なぜ五十六、五十七年こんなに引き下げたかといったら、はっきり言いましていわゆる行財政改革としては臨調行革がスタートして食管合理化という名による財政の削減だったんです。明確なんです。これは指摘しておきます。  次に問題なのは、五十六年の改悪のポイントが何かということなんです。これは毎回私たちはこのことを言っていますけれども、家族労働評価賃金の取り方なんです。ことしの米価算定評価賃金は幾らかというと一時間当たり千百三十三円四十三銭ですね。これを五十五年方式で見ますと千四百五十五円になりますね。実にその格差は二二%、金額にして三百二十円、そうですね。
  198. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) そのとおりでございます。
  199. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、五十五年以前の米づくりの労賃と五十六年以降の米づくりの労賃の評価が二割以上も下がるというような合理的な根拠というのは一体どこにあるんでしょうか。説明してください。
  200. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今御指摘の点につきましては、私ども都市均衡労賃という評価をどのように求めていくかという問題でございますけれども、そのときどきの全体の経済事情にも配慮することが必要でございましょうし、先ほど申し上げましたような潜在需給ギャップがどの程度開いており、需給事情がどうなっておるか、こういうようなことも考えなければならないような事情にあるわけでございまして、今先生御指摘のところが非常に改定をしたところでございまして、大きく開いておるわけでございますが、その後におきましては同じ考え方数字を採用させていただいておるような次第でございます。
  201. 下田京子

    ○下田京子君 お米づくりの労賃の評価をそのときどきの需給事情だ財政事情だといって変えるべきじゃないんだ、これが生所方式考え方の根本であったと思うんです。昭和三十五年にこの生所方式の根本的な考え方を打ち出されていると思うんです。特に米の消費者と生産者が同一の水準所得が得られるよう「農家稲作自家労働を都市賃金の代表としての製造業規模平均賃金評価する」、こういうふうに明確にうたっておりますでしょう。これは三十五年の米価審議会に提出された算定方式委員会資料であるわけです。そうですね。
  202. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) そのとおりでございます。  なお、米価審議会の小委員会の報告の中に、五十九年におきましては現在採用しているような考え方も妥当だ、こういう意見もあるわけでございまして、今先生御指摘の三十五年という時代でございますか、まだお米が足りなくて生産を増産誘導するというふうな基本的な考えもございましたでしょうし、さらには高度成長期におきますところの農業と他産業との所得のアンバランスが拡大する、こういうふうな方向にもあった段階でございまして、当初の考え方としてはそういうことで出発し、その後において米価審議会におきましてもいろいろ御議論をいただき、現在のような結果になっておる、このように私理解しております。
  203. 下田京子

    ○下田京子君 生所方式の根本的な考え方というのは今いみじくも言われましたけれども、都市と農村の所得均衡を図ることということだと思うんです。これは変わってないはずです。ということは、重大なポイントというのは何か。お米を食べる消費者とお米をつくる生産者が同一水準所得が得られるようにということなんです。これはだれが考えたっておかしいということにはなりませんでしょう。こういう考え方をいわゆる労賃の考え方のポイントにしなきゃならないんだということを私は申し上げたいんですよ。そういう点からいけば、あれこれといじってきたというのはまさに米価引き下げの何物でもないということがはっきりするわけです。  ですから、今のような状況を本当に補償していきませんと、これは福島でもそうでしたが、米どころの宮城県でも、ついせんだって調査に行ったとき聞いてきたことなんです。Uターン青年が意欲を持って農業をやろうと思った。政務次官のところです。ところがようやくお嫁さんにきた奥さんから言われた。朝四時起きて夕方の七時、八時まで働いてそれでも暮らしが成り立たない。どうして農民は人間らしい暮らしができないんだというふうに言われている。その原因は都市と農村のこういう格差なんですよ。それを是正していこうというのが米づくりの労賃の評価のポイントじゃないですか。そのような考え方で全中等が要求されている五人以上の製造業賃金評価いたしますと、その部分だけ見ただけでもことしの米価というのは二万百三十四円、こういうことになって二万円米価ということになるじゃありませんか。そうでしょう。
  204. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 計算上はそのようになると思いますが、現在の需給事情、特に膨大な巨額の財政負担をしながら需給均衡しなければならない、こういう事情にもございまして、そうした中におきまして今のような例えば賃金とり方を変更するということにつきましては、国民の十分なる御理解が得られないのではなかろうかと私ども考える次第でございます。
  205. 下田京子

    ○下田京子君 需給事情と言いますけれども、これはもう七十七万ヘクタールの減反やっているわけです。ですから、生産されたお米というのは国民にとって必要な米なんです。それを見込んで生産調整やっているわけですから。そうでしょう。そうしますと、その結果として出てきたお米についてのきちっとした労働評価をするというのは当然じゃないですか。しかも、申し上げたいのは、その生所方式があたかも、今も次長おっしゃられましたけれども、何か農民が不当に高い米価を要求してきた元凶のように言われているんですけれども、また農政審の中でも「中核的な担い手となり得る農家層の生産費を反映した価格算定を行うこと」というようなことをお述べになって、価格政策を通じて露骨な農家の切り捨てというものを出してきています。  しかし本当に米価というのが高いんでしょうかということで、この生所方式が採用された昭和三十五年とそれから六十一年と比較してみたいんです。生産者米価昭和三十五年、六十キログラム当たり四千百六十二円です。昨年一万八千六百六十八円です。四・五倍です。ところで米の管理費です。この中には事務費あるいは金利、保管料等もあるでしょう。三十五年当時四百四十九円だった。それが三千六百三十九円、八・一倍になっています。特に生産費です。六十キログラム当たりで三十五年当時二千三百七十四円、それが一万九千七百三十五円、八・三倍になっています。生産費は八・三倍なのに米価は四・五倍ですよ。しかもこの間に製造労賃は幾らになっているか。十四倍です。どうですか、米価高いと言えますか。
  206. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) その点につきましては、今先生御比較の諸数字の中では相対的に上昇率が低いということは言えるわけでございますが、なお国民の中には内外価格差の問題等非常に気になさる方もおられるわけでございまして、そういった点にも配慮し、国民全体の一応御理解を得ながら今後稲作の健全な発展と、こういうことも図っていかなければならない事情にあることも御理解いただきたいと思います。
  207. 下田京子

    ○下田京子君 国民の中には内外価格差を気にされて云々だとおっしゃっていますが、それはだれですか、一体。もうずっと言ってきているとおりじゃありませんか。生産費の中身を見てもどうなのかといえば、米価は四・五倍でしょう。生産費はこの間、今申し上げましたように八・三倍なんですが、その生産費の中身を見ますと、六十キログラム当たりですけれども、労働費は三十五年に一俵、六十キログラムで千百九十一円です。それが六十一年で五千八百二十六円で四・九倍。じゃ、物財費はどうかというと、千百九十二円が一万三十五円で八・四倍。つまり生産費の中身で労働費は四・九倍だけれども、物財費はその倍の八・四倍だ。その物財費の中の農機具です。農機具費がどうかというと、二百十八円が何と四千八百七十三円で二十二・四倍なんです。ですから、コスト低減とおっしゃっておりますが、生産費を押し上げているのが物財費だ、特に農機具だという数字がはっきりと出ているじゃないですか。そうでしょう。
  208. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 傾向はそのとおりだと思います。  なお、先生御指摘の問題につきましては、やはり生産性向上のための機械の導入というふうなこともウエートとしてありましてそういった経費がふえておるのではなかろうか。農家といたしましてはやはり生産性を向上させてみずからの所得を上げよう、こういうことで対応されている問題ではなかろうかと思うわけでございます。
  209. 下田京子

    ○下田京子君 農家は大変コスト低減で努力しているんですよ。今言ったように、米づくりの労働時間というのは十アール当たりで見ますと三十五年当時が百七十二・九時間だったでしょう。今は五十二・二時間ですよ。三分の一以下に減少しているんです。だから農民の努力で労働生産性というのは非常に向上しているんだということがきっちり出ているわけです。しかも、六十キロ当たりにいたしますと、収量も増加していますね。ですからその結果として、一俵当たりでいけば二十三・二時間だったものが何と五・八時間、実に四分の一に圧縮されているんですよ。ですから、農民に対してコスト引き下げと言うなら、まずその際、先にやらなければならないのが農機具などの価格の引き下げではないかということを午前中も大臣に申し上げたんですよ。そのことがよりはっきりしたでしょう。どうですか。
  210. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 農機具価格の引き下げなり、そういった協力も得ながら、私どもといたしましては稲作生産性の向上なりを今後とも積極的に進めていただくようなことを期待してやまないものでございます。
  211. 下田京子

    ○下田京子君 だから、農機具の問題に今移りますけれども、何か農家の人たちが大変正当な労賃で評価した米価政府に言うことが社会悪みたいに言われているけれども、そうじゃないということはずっと今の経過の中で明らかになったということなんです。  それで農業機械の価格問題で聞きます。農蚕園芸局長、五月十二日、私予算委員会で総理に質問いたしました。その際に農機具価格、特に農水省の調査によりまして三十五馬力のトラクター、六十二年一月段階で国内価格が二百七十六万円で輸出価格が百八万円だ、その格差二・六倍になっているということを明らかにしたんですが、その際に局長は三つの理由を述べまして内外価格差はあたかもないような答弁をされているんです。私はその三つの局長がお述べになった理由の一つずつ確認していきます。  第一です。小売価格と卸価格の問題です。これはFOB価格というのは日本の港積み出し価格ですから、言ってみれば卸価格と同じだと思います。そういう点でこの卸と小売価格のその実態を調査されましたか。
  212. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 先生御指摘のとおり、私どもの資料と申しますか、当時先生がお配りになられました資料は、その数字は全国平均農家購入価格、三十五馬力内外、二百七十六万円という数字でございます。さらに、当時輸出価格という名目の上で今先生もお話しになりました点は百二万六千円でございます。
  213. 下田京子

    ○下田京子君 いやいや、違う、違う。一月段階だから百八万二千円だ。
  214. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 百八万二千円でございます。その一月段階の点につきましてはおっしゃるとおりでございまして、その点に関連いたしまして私が答弁を申し上げたのは、まず前提といたしまして、国内価格というふうに掲げられている価格は、それは農家平均購入価格である、さらに輸出価格という数字は、これは大蔵省の貿関統計を単純に平均した数字を掲げさしていただいているという点を申し上げました。  そういう点で申し上げて、私どもの点から、今、先生がこれから御指摘になろうという第一の具体的な卸売価格の点あるいは具体的な部品の問題あるいはその他の、これは数字的にはなかなか把握はできませんけれども、具体的な日本の農家が購入しておられる価格については水田用であり、輸出用については畑作用的なもの、言うなれば水田の部品がないというような点等を考慮していかなければいけない。そういう前提の上で、ほぼ大体輸出価格として私どもが提示しました数字等々は国内の価格と匹敵するのではないかということを申し上げたわけです。
  215. 下田京子

    ○下田京子君 それはもう済んでいるんですよ。調査したのかと聞いている。あなた、ちゃんと聞きなさいよね。今言ったことは、前回五月十二日に答弁したことを繰り返して言っているだけじゃないですか。そのうちの第一のFOB価格というのは卸価格と同じなんだ、だから小売価格と卸価格の実態について調査されたのかどうなんだ、お答えくださいと言っているんです。その答弁になっていませんでしょう。  そこで、私は試算をいたしましたが、農協の手数料というのがどういうものかということなんです。これは系統経済事業の全農総合企画部が出しているやつだから間違いありません。それで、単協だと手数料大体一〇・七%、経済連が四%、全農が一・五%、つまり一六・二%、バックマージンその他含めても大体小売価格の二〇%引き、これが卸だというふうに見ていいでしょう。とすれば、三十五馬力のトラクターというのは、これは小売価格二百七十六万円ですが、二百二十万八千円、これが卸価格に相当するというようなものが推計できます。間違いないですね。
  216. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 今おっしゃったように、小売の手数料の関係から考えますと、全農等の数字は先生がおっしゃるとおりだと思います。その他機械のシェア、流通等を見ますと、大体機械におきましては商系の分野がかなり広うございます。そういった点につきますと、例えば大体予想的な数字等々から考えますと、二五%というようには申し上げませんが、二〇%から二十数%を考えるべきではないかというふうに考えます。
  217. 下田京子

    ○下田京子君 調査したかどうかということについてお答えにならないで、全農といえども商系と競争しているんですから、いみじくも二〇から二五%、とれは小売価格から引いていけば卸がわかるというふうに言われたじゃありませんか。  第二の問題なんですが、あなたはタイヤ、バッテリーなどのついているついてないで、だから差があるんだみたいなことをおっしゃいました。端的に答えてください。輸出品には一般にタイヤ、バッテリーは装備されてないとおっしゃっておりますけれども、現実にタイヤ、バッテリーの値段、幾らなのか、お調べになりましたか。
  218. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 具体的な私ども試算というものは持っております。計算いたしました。これにつきましては今、先生が御指摘のように、基本的には、一般的には輸出のものにつきましては私ども調査いたしましたところ、ロータリーあるいはバッテリー等々がないのが原則である。もちろん個別にいろいろなものがついている例もあろうと思いますけれども、貿易統計等々の御議論ですから、基本的にはそういうふうに予想するのが一般的だろうというふうに考えております。
  219. 下田京子

    ○下田京子君 タイヤとバッテリーの価格、今また申されたロータリーの価格、幾らなのかお調べになりましたかと聞いているんです。
  220. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) トータルで、私ども一応推計のものとして考えられる部分については、具体的に約百万円を超えるものだというふうに考えております。
  221. 下田京子

    ○下田京子君 とんでもないです。私はその数字言ってくると思ったんです。  実は、聞いていたときにタイヤ等が約四十万だと言うんです。ロータリーが六十万だからと、こう言うわけなんです。タイヤなんというのは今値段あってないみたいなんですよ。私は農機具屋さんにちゃんと伺ったんです。これは正確にデータがとり得ないぐらいに値下がりしているんです、タイヤは。そうでしょう。どうやって調べましたか。これが一つ。それから水田ロータリーというのは六十万なんかしていません。五十万ぐらいです。責任持って調査すべきですよ。  大体、今おっしゃった――いいですよ、調査するかしないかだけでいいんです。今の数字は非常にあいまいだということを私は言いたいんで、なぜかといいますと、水田用のロータリーが輸出向けにはついているかついてないかということは、これは通関統計上からしか見てないでしょう。実際に統計の資料が具体的にないでしょう。ありますか。全部チェックしましたか。アメリカ向け、七九%シェアのうち、ついているかついてないか、タイにはどうか、ECはどうか、調べてみましたか。
  222. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 先ほど来申し上げておりますように、この比較においては、何度も私ども申し上げておりますように、具体的な貿易関税統計におきます平均値ということで推計をするのだということを何度も申し上げておるわけでございます。そういう状況のもとで申し上げております。  それからもう一つ言わしていただきますと、ロータリー等々……
  223. 下田京子

    ○下田京子君 いいです、いいです。  ですから、貿易通関統計でやっているんですよ。私は調査したかということを言っているんです。独自に調査しなかったらだめですよということを言っているんですよ。いいですか。貿易通関統計なんというのは私が見たってわかりますよ。ここに持ってきていますよ。あるんですよ。  それで申し上げますけれども、余りにも誠意がないんです。いいですか。私は、五月十二日のときにも、代理大臣でしたけれども、調査して引き下げのためにやりますと約束しているんです。加藤農相もそう言っているんです。だから貿易通関統計云々じゃなくて現実に調査しなさい、具体的な事例でもってメーカーに聞き取りやったっていいじゃないですか、抜き取りでやったっていいじゃないですか。  そこで申し上げたいんですけれども、今の小売価格二百七十六万、卸が二百二十万八千円でしょう。部品が、私の調査によりますと、タイヤ、バッテリー等やってもせいぜい十五万なんです。ロータリーは五十万程度にしましても部品関係六十五万円、ですから二百二十万八千円から六十五万円を引きますと百五十五万八千円、約百六十万円です。そういうことで、この輸出価格は実は一月段階では百八万だったんですけれども、四月段階では百万円に下がっているんです。ですから国内価格は変わらぬ。逆に一・六倍というような差がはっきりしてくるわけなんですよ。通関統計についてもいろいろ不明なところがあるんですよ。だから調べなきゃならないと言っているんです。  私が今申し上げましたけれども、タイの価格なんです。三十から五十馬力のトラクターです。六十二年の一月から三月の平均です。私ここに持ってきております。タイヘの輸出価格、五十一万二千円です。アメリカへの輸出価格、百万三千円です。ECに対しては幾らか。百十四万四千円です。こんなに違っているんです。ですから、タイの価格の場合には日本の三分の一じゃないかというふうにも見えるんですね。だから、この差は一体何なのか。馬力の違いなのか。いずれにしても価格差が多過ぎるということなんです。調査されますか。
  224. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 何度もこの点については申し上げますが、具体的な日本における購入価格及び私どもが操作の問題として貿易関税統計と比較する場合の前提条件として、先生これは御指摘のとおりでございますが、それぞれ違うわけでございます。そういう意味におきまして、その具体的な点におきまして、日本の購入価格についても違いますが、一つの輸出、日本の企業が輸出する問題と日本の農家に売る問題というものを概念的に比較する場合に、我々が資料を出したわけでございます。そういう意味におきまして、それぞれの点について個別の具体的な点をおっしゃいましたけれども、私どもはそういう数字の具体的、蓋然的な取り扱いの上においては、抽象的な前提に置いた上での比較というのが妥当だというふうに考えております。
  225. 高木正明

    委員長高木正明君) 下田君、時間が来ていますから、簡潔にしてください。
  226. 下田京子

    ○下田京子君 はい、わかりました。  個別に調べるべきなんですよ。私はこれを個別に調査したんです。それから農民運動全国懇という団体も調べました。日本のある代表メーカーの場合、昨年の八、九月、アメリカに輸出した三十四馬力のトラクターの価格です。八十四万七千円です。しかもこれにはタイヤがついています。アメリカまでの船賃込みの価格です。FOB価格じゃありません。アメリカ到着価格です。日本国内用トラクターの水田用ロータリーの五十万円除きますと、実にそれでも百七十万八千円でしょう。ですから、その差を見ますと八十六万一千円ということになるんですよ。本当にそういう点から見ましてこれはもう問題であって、個別に調査をしなさいということなんです。そして価格差は現実にある、そしてこの価格差はやっぱり是正していくために引き下げやるべきだということなんです。  時間だから申し上げたいんですけれども……
  227. 高木正明

    委員長高木正明君) 簡潔にしてください。
  228. 下田京子

    ○下田京子君 一台で九十万や百万も違うんですからね。アメリカで日本産のトラクター買って逆輸入した方がいいんじゃないかという話まで出ているんですよ。ここずっと地元からも全国からも皆さんお見えになっておりますけれども、こう言っていますよ。東京からサンフランシスコの航空運賃幾らかといったらエコノミークラスで往復三十一万五千六百円だというのです。このお金でもってアメリカに農機具買いつけのツアーでも組もうか、こんな冗談まで出ているくらいなんです。そこをきっちりとわきまえて調査して引き下げるということを、再度調査をしなさい、そして引き下げのための具体的な指導をしなさいという点で大臣も約束されているんですから、当然そういう対応を事務方としてもやるべきだということを申し上げまして質問を終わります。
  229. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 午前中大臣から答弁をいただきました件につきましてもう少し掘り下げてお尋ねをいたします。  まず第一点は、加藤大臣は第三期過剰時代を招いたら生産費所得補償方式そのものも、あるいは食管制度そのものも崩壊してしまうと心配をしておいでになりますが、そうならないためにどのように対処をされているのかということでございますが、私の見るところではようやくにして減反政策だけが行われておるのではないか。先ほども農林省の担当の方の答弁の中にこういうことがございました。需給動向に対応した水田農業確立対策として麦と大豆を組み込んだ転作体系を確立していきます旨の答弁がありましたそのときに、傍聴席においでになります多くの方の表情が緩みました。それは共感を示しておいでになる表情ではないと私は見ております。このような麦や大豆を組み込んだ輪作体系を本当に目標としてやっておられる方はまずないのではないか。  私の地元に帰りましても、政府は集団転作に対して手厚い保護を加えておいでになります。けれども、一定地域にその集落の全農家の方々の農地が平均して存在をすることはございません。だから多い方と少ない方ができます。集落の人たちはお金を出し合って、そしてそれぞれの面積に応じて損害補償をしておいでになります。その拠出金は年々増額をせなければならないということであり、このことが将来自分の営農のためにどうしても組み入れていこうという熱意や目標はございませんというのが事実でございます。こういったことでありますので、やっぱり私は消費者の恣意に任じておいたらお米はだんだんと余ってくると思います。  例えば今日お米の消費量は横ばいのようにおっしゃっておられますけれども、私の地元には琵琶湖がございます。その琵琶湖での水質は、汚濁指標は変わりませんけれども、回復基調ですと行政は言います。絶対回復しておる基調は見られません。だから、消費量の場合にも横ばいということは着実に減っていっておるのではないか、このように見なければならないと私は思います。  そして、簡単に申し上げましても、今の高齢化社会の中でお米を常食とすることになじんできたお年寄りがだんだんと年をいくに従って摂取量が減ってくるということは当然のことでありますし、労働時間の短縮が叫ばれながらも各企業の生き残り競争はやっぱり技術革新と合理化競争でしかありません。その上に女性の職場進出は依然として高率を見ておりますのですけれども、手づくり料理の時間がそのことのために奪い去られていく。こんなことを数え上げれば切りがございませんのですが、そういった場合に消費をふやしていかなかったら、これは大変なことになっていくのではないか。その消費をふやすためにどうしたらいいのか。やっぱり私は教育が大切だと思うのであります。  消費者の皆さん、アメリカのお米が安いからといってお値段だけに飛びついていただいたら、日本の米作は破壊をされていきます。日本の米作がなくなったときには外国のお米が独占商品になってしまいます。そして安保の問題を考えても軽易に看過することのできない問題であります。こんなことがやっぱり農協を通じて国民皆さん方にPRされていくことが必要な時期に来ておるのではないか。皆さん方は、国では日本農業を守るとおっしゃっておられますけれども、本当に守るための施策をやっていただいておるのかどうか。今消費がだんだんと減っていくことはこれはやっぱり日本米作農業滅亡への一里塚を歩んでおる、このように言わざるを得ないのでございますけれども、本当にどう思っておいでになるのか、御所見を承りたいと思います。
  230. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  先生御指摘の消費の動向でございますが、私どもも、若干の下がり方が緩くなったり強く下がったりということはございますが、今なお消費は減退傾向にあるということは認めておるわけでございます。したがいまして、そうした中におきましていかにして消費の減少を防止するか、こういうことが緊要の課題でございますし、我々といたしましてはできるだけ多くの範囲の消費の拡大対策、こういうふうなものをいろいろと考えてやっておるわけでございます。先生も今御指摘のように、年齢構成別のお米の消費の実態等を見ましても、やはり男女で多少の差はございますが、今の若い人の方の消費量が少ない、こういうふうな実態も見受けられるようなわけでございまして、こういった点を是正していくためには学校給食その他に今後とも力を入れていかなければならないでしょうし、また現実の問題といたしまして、最近の消費の動向は消費者世帯よりは生産者世帯の減少の量の方が多い、こういう実態等もあるわけでございまして、その辺につきましては農業団体の方々にも積極的に取り組んでいただきまして、ともども消費の減少度合いに歯どめをかけるようなことを創意を出しながら積極的に取り組んでいこうではないか、こう考えておる次第でございます。
  231. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 その次の問題は、今の基本的農政といたしまして中核専業農家の経営規模拡大による国際競争力の強化を基本的に考えておいでになると思います。けれども、やっぱり国際競争力を強化するために経営規模を、アメリカ並みにはとてもいきませんけれども、せめてその十分の一程度にまで拡大をするといたしましても大変な離農層を出していかなければならぬ、このように私は思っております。本当にそんなことができると思っていらっしゃるんだろうかどうか、この辺についてお尋ねをいたします。  かつて石油ショックのときに生活保護家庭が急増をいたしました。私はどういった方が生活保護をお受けになるのかということを調べてみました。そしたら安定職業層においでになる方は絶対生活保護家庭に転落はありませんでした。不安定職業層においでになる方が転落をしていかれます。景気のよいときには転落を免れられます。景気が少し悪くなれば転落をする。いわばその境界線を浮きつ沈みつして進んでおいでになると言っても過言ではございません。不安定職業層とは総体的にどういう層の方を申し上げるのか。それも就労の形態が日雇い形態というのもいけません。さらに時間的なものは、フルタイマーはよろしいけれども、パートタイマーはやっぱり問題です。  それでは、こういう人たちがどうして生まれてきたのか。皮肉にもそのときにたまたま多かったのは、かつて農業基本法が制定をされました。自立農家を育成するということであります。そうすると、当然のこととして景気のよいときでありましたから離農者が出てまいります。その離農した人たちは、今言ったように多くの人が日雇い形態で就労をされたり、さらにはパートタイマーで就労をなさった。こういう人でありますから条件が悪い。そういった方が石油ショックによる不況に対して保護家庭に転落をなさった。  それを考えてみますと、今自立農家育成だとかあるいは中核専業農家育成のために離農者をむやみに出していくということは本人のためには不幸なことであり、国家的に考えてみても大変不経済なことのように思われてなりませんけれども、そんなことを考えてみたり、さらには日本の地形等から見てアメリカ並みに簡単に規模拡大が可能なのかどうか。それをしも押して経営規模拡大ができると思っておいでになりますのか。確かに模範となる事例はあります。けれども、その事例はそれなりに過去の積み重ねがございます。そういったことから考えてみまして大変危惧いたしますから、以上のことをお尋ねをいたします。
  232. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 先生御指摘のように、規模拡大ということが非常に難しいということは私どもも重々理解しておるわけでございますが、今後の土地利用型農業におきますところの生産性の向上を図るためには、ぜひともこれを実行していかなければならない問題であろうとも考えておりますし、そうした過程におきまして就労等の問題の起こることも考えられるわけでございまして、この点につきまして私どもの方では、農村工業導入法、こういうふうな法律も持ってやっておるわけでございますが、これのみで十二分に期待するということにもならないのではないか。さらにいろいろの各般の施策、また関係各省の御協力も得ながらこの問題は取り組んでいかなければならない問題である、非常に簡単な問題ではないというふうに我々も自覚しておる次第でございます。
  233. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 以上の二つの点から考えていただきましても、農業自体とてもやっぱり経済行為でありますから、経済の原則を無視するわけにいきません。できるだけ経済社会の中で競争力をつけていただきますということは必要であります。けれども、これだけでやっていけるという日本の現実の状況ではございません。だから政府が農業者を守るとおっしゃるなれば、やっぱりその限度以上のことについては手厚い保護が必要なのではないか。だから保護と自立と、そのミックスした政策が確立されなければならない、このように私は思っておるのでございますけれども、最後にその辺の御見解をお尋ねをいたします。
  234. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 先生の御指摘のように、いろいろの施策を総合的に考えまして、有機的関連を持ちながら効果を発揮させなければ到底土地利用型農業、こういったものの健全な発展ということは図れないのではなかろうか。したがいまして、私どもも生産、構造、価格、各方面の施策をこれに向けて積極的に取り組んでいこうと、このように考えておる次第でございます。
  235. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 米の問題は、生産農家の方ももちろんですけれども、消費者の方々にその本質をもっと理解をしていただかなければならないと思います。やっぱり消費者と生産者とが本質的に問題を理解することによって米は守られていくと思うのでございますけれども、そのためには政府としては正確な情報をもっとやっぱり国民に知らしていただく努力が必要だと思えてなりませんけれども、アメリカの例えば次期支援戦闘機の売り込み一つを見てみましても、極めて強引なところが見受けられます。農業問題とても、私たち枢機に参画することのない者にはわかりませんが、交渉の窓口においでになります政府皆さん方にすれば、その辺いろいろのことを感じておいでになるのではないかという心配を持っておるのでございますけれども、そういった面から国民に真実を知らすことのできない事情があるのかどうか。あるとすれば、それは解決はできないのかどうか。私は、国民に対する真実の情報の提供がいかにも少ない、そこには協力は得られない、こういった悪循環を来しておるように思えるのですけれども、お差し支えない程度で御答弁を願います。
  236. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お米の海外との関連の情報等につきまして、昨年ぐらいまでは特にアメリカあたりも対日輸出市場開放といったような問題も余りなかったわけでございますので、そういった関連の情報等につきましても、例えば先方の生産なり需給なり価格事情等はわかっておりましたが、日本に向けてどうというふうなことはなかったわけでございます。しかし、昨年の九月以降、アメリカの精米業者協会あたりがUSTRに日本がお米の市場を完全に閉鎖しているというふうなことで提訴した以降におきましては、アメリカサイドでもいろいろと動きのあることは事実でございます。しかしながら、私どもも的確な情報の把握ということに努めていかなければならないわけでございますが、何分にもアメリカにおきますところの精米業者協会なりは輸出産業といたしましてもマイナークロップの部類に入るような次第でございまして、情報等も非常に少ないようなのが実態であろうかと思うんでございますが、今後ともそういった関連の情報の収集には極力努めまして、国民に対して参考になるようなことにつきましては積極的にお知らせするといったことがいいんではないかと、こう私は思っております。
  237. 高木正明

    委員長高木正明君) 本件に対する本日の質疑はこの程度といたします。     ―――――――――――――
  238. 高木正明

    委員長高木正明君) 稲村君から発言を求められておりますので、この際これを許します。稲村君。
  239. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私は、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、二院クラブ・革新共闘の各派及び各派に属しない議員山田耕三郎君の共同提案に係る昭和六十二年産生産者米価決定に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     昭和六十二年産生産者米価決定に関する決議(案)   政府は、本日、米価審議会に対し、昭和六十二年産生産者米価について、五・九五%の大幅な引下げ諮問を行った。  この諮問米価は、減反政策の強化や米価抑制、累積債務等により農業経営がますます苦しくなり、将来への展望を持ち得ないまま生産意欲を失いつつある生産農家の厳しい実情を全く無視したものである。また、わが国農業の特殊事情を踏まえず、性急に内外価格差の縮小をはかることは、中核農家の経営をも破綻に追い込むものであり、極めて遺憾である。  よって、政府は、昭和六十二年度生産者米価決定に当たっては、算定要素の改善を行い、再生産所得を確保する価格決定すべきであり、引き下げを行うべきではない。  あわせて、生産基盤整備の促進と農家負担の軽減、流通施設の整備、生産資材価格の引下げ等稲作農業の体質強化と生産性の向上に資する各種施策を拡充強化すること。  また、食糧管理制度の根幹を堅持するとともに、米の市場開放要請に対しては、第百一国会の本院における米の完全自給等を確認した本会議決議により、断固としてこれを拒否すること。  右、決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  240. 高木正明

    委員長高木正明君) ただいまの稲村君提出の決議案につきましては、その取り扱いを改めて理事会で協議いたします。     ―――――――――――――
  241. 高木正明

    委員長高木正明君) 次に、農林水産政策に関する調査のうち、食糧管理制度根幹堅持、米の市場開放阻止等に関する件を議題といたします。  宮島君から発言を求められておりますので、この際これを許します。宮島君。
  242. 宮島滉

    ○宮島滉君 私は、この際、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘の各派及び各派に属しない議員山田耕三郎君の共同提案に係る食糧管理制度根幹堅持、米の市場開放阻止等に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     食糧管理制度根幹堅持、米の市場開放阻止等に関する決議(案)   最近の我が国農業・農村をとりまく環境は、農産物価格の低迷に加え、雇用の不定と地方経済の停滞等誠に厳しいものがある。  特に稲作農家は、七七万ヘクタールに及ぶ転作に鋭意取り組んでいるなかで、海外からの米市場開放要請等により、稲作の将来に対し大きな不安を抱いている。  よって政府は、次の事項の実現に万全を期し、稲作農家の不安を解消し将来展望を拓くため、確固たる米穀政策を確立すべきである。  一 国民基本的食料である米の安定供給を図るため、食糧管理制度の根幹を堅持すること。  二 米の市場開放要請に対しては、第百一国会の本院における決議を体し、断固として国内生産による完全自給方針を堅持すること。  三昭和六十二年産生産者米価については、再生産所得が確保される適正な価格を実現すること。  右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  243. 高木正明

    委員長高木正明君) ただいまの宮島君提出の食糧管理制度根幹堅持、米の市場開放阻止等に関する決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  244. 高木正明

    委員長高木正明君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、星農林水産政務次官から発言を求められておりますので、この際これを許します。星農林水産政務次官。
  245. 星長治

    説明員(星長治君) ただいま御決議をいただきました事項につきましては、米価審議会におきまして審議中の事項もございますので、その御意見も承りました上で十分検討の上適切に対処してまいりたいと存じます。
  246. 高木正明

    委員長高木正明君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時十四分散会