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山中郁子君 公のものでも公式のものでもない、特定の政党、しかも政権党ですよ。そこの政党と
NHKの幹部が話をされて、そしてその中身は言うことができないということは一体何を
意味するのでしょうか。そんなことがあっていいのでしょうか。まず、私はその問題の持つ根の深いところをやはり考えていただかなければならない。
自民党は、私が今手元に持つておりますのは、昨年の十一月十一日に案内状として出しておりますが、
放送懇談会として、奥田さん、佐藤さん、お二人とも
郵政大臣の経験者でいらっしゃる。その方たちが世話人ということで、「
放送懇談会開催のご案内」ということをされています。この文面によりますと、
NHKの幹部との懇談は済んだ、これから先、次のように懇談をしたいのでぜひ出席してほしい。テレビ東京、日本テレビ
放送網、東京
放送、
全国朝日
放送、フジテレビジョンと、民放各社です。これが一つ明らかに、自民党の
放送懇談会からの
放送事業者への懇談の申し入れ。昨年は十一月五日に
NHKと行って、その後今申し上げましたものにより十一月二十六日テレビ東京、十二月三日日本テレビ
放送網、十二月四日東京
放送、十二月十日
全国朝日
放送、十二月十一日フジテレビジョンと、こういうふうに案内を出している。それで、そのホテルには個人の世話人のお名前だけ出して、公式の何の会議をやるのか、そういうものは出ていない。まさに
会長がおっしゃったように非公式、というよりはむしろ秘密に行われる、そのような性格を察せられるような実際の開き方でした。これは、その前の年は、
NHKとは十二月五日、赤坂プリンスホテルでこれをおやりになっているはずです。
会長は御記憶があるはずです。そしてそこで交わされた懇談の内容として、自民党が自身報告書として取りまとめられていらっしゃる。
そこで、私は今、事の重大さに照らして幾つかのことを
NHKにもあえて申し上げます。これはないしょであなた方が自民党と話をして、それで国民に隠して済ませるようなものじゃないからです。「懇談要旨」として自民党がまとめたものは、
NHKとの懇談の中身はこうこうこういうものである、これを民放の各社に回覧をさせて、社長だけが閲覧をするという種類の文書として配っている。例えば「”天皇御在位六十年記念式典の
報道”をネグレクトしたのはどういうわけか」、やらなかったのは。それから終戦記念
番組について、「最近は反戦・反米に力点が置かれている。」。基地反対
報道については、「
報道する記者自身が反対の
立場に立っているばかりか、知事・市長など反対の
立場の人の
意見ばかり流し、外務省・防衛庁の責任者の
意見をきちんと伝えない。これは「偏向
放送」ではないか。あるいは、基地反対運動に対する肩入れだ。」。裁判
報道については、「公害、政治色の濃い裁判の判決当日の現場
報道は、係争中の一方だけをクローズアップし、記者の解説も公平とは程遠い。」。これらのことについて、
NHKはこう答えたと自民党は報告書をまとめています。「数年前から偏向は正そうとしているが、まだ直らない部分もある。(基地反対運動の肩入れたとの
指摘に対し)そのように受け取られる所がある。人選はきちんとしていきたい。」何というだらしのない、なんという卑劣な態度ですか。
NHK特集については、「全体としての評価は高いが、中には「その日、一九九五年の日本」、「世界の科学者は予見する、核戦争後の地球」のように、情緒的で危機感が過度に強調されていたり、「核戦争後の地球」のように、
国会で”国民に恐怖を抱かせ、国防意欲を失わせる偏向
番組一だと批判されるようなものもある。」、これに対しては、「記者の
報道に一部情緒的でバランスを欠いているというような点はあるかもしれない。」、そのように
NHKは答えた。ドラマの偏向内容。「ドラマに、反戦・反核・反安保・日本人の残虐性などを不自然に強調した部分が目につくという
指摘があり、「おしん」「炎熱商人」「山河燃ゆ」「心はいつもラムネ色」「富士山麓」などの内容の一部が例としてあげられている。」。まだたくさんあります。
このようなことが懇談会の中身で、そして自民党が取りまとめておられるんです。そして自民党と
NHKがこのように話し合いをする。そして
NHKが、私はあえて申し上げますけれ
ども、毅然とした態度を維持することなく卑屈に、政権与党のこのような干渉です、
放送への。それに屈しているさまというのは、まさに日本の表現の自由、
放送、言論の問題の根っこのところを脅かす大変重要な事態だと思わざるを得ないので、私は今あえて
NHKにこのことをお
伺いをしているわけです。まさに政権党の
NHK、
公共放送たる
NHKへの干渉じゃないですか。民放各社の懇談にもそういうことがたくさん出てくるんです。きょうはそれを御紹介する時間がありません。
川原さん、これは自民党からそういう申し入れがあったから、嫌だと言うわけにいかないから行った。それで行って、非公式だというから外に出すわけにはいかないと、そういうふうにおっしゃっておいて、例えばことしの
事業計画見ますでしょう、たくさんいろんなこと書いてありますよ。一つだけ例挙げれば、「
放送番組については、
視聴者の
意向を積極的に受けとめ、
公共放送の使命に徹し、
国際的視野と
社会的連帯感を基調に、公正な
報道と豊かな
放送番組の提供に努める。」。こうした類のことはいっぱい書いてあるわけです。そして何回もの
委員会の中であなた方はそのように答えていらして、私
どもも当然のことながらそういうことを
要望し、期待もしてきているわけ。私は国民に対して二枚舌であってはならないと思います。率直にお考えを聞かせていただきたい。