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1987-07-03 第108回国会 参議院 決算委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年七月三日(金曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員異動  七月二日     辞任         補欠選任      山本 正和君     及川 一夫君      片上 公人君     矢原 秀男君  七月三日     辞任         補欠選任      真鍋 賢二君     久世 公堯君      鈴木 省吾君     大塚清次郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         菅野 久光君     理 事                 石井 道子君                 大島 友治君                 松尾 官平君                 梶原 敬義君                 田代富士男君     委 員                 井上  孝君                 板垣  正君                 大塚清次郎君                 河本嘉久蔵君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 斎藤栄三郎君                 杉山 令肇君                 寺内 弘子君                 中曽根弘文君                 永野 茂門君                 福田 幸弘君                 宮崎 秀樹君                 守住 有信君                 及川 一夫君                 久保田真苗君                 佐藤 三吾君                 及川 順郎君                 刈田 貞子君                 矢原 秀男君                 佐藤 昭夫君                 橋本  敦君                 関  嘉彦君                 抜山 映子君    国務大臣        内閣総理大臣   中曽根康弘君        外 務 大 臣  倉成  正君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        文 部 大 臣  塩川正十郎君        厚 生 大 臣  斎藤 十朗君        通商産業大臣   田村  元君        運 輸 大 臣  橋本龍太郎君        郵 政 大 臣  唐沢俊二郎君        労 働 大 臣  平井 卓志君        建 設 大 臣  天野 光晴君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  山下 徳夫君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)        (国土庁長官)  綿貫 民輔君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)      三ツ林弥太郎君         ―――――        会計検査院長   辻  敬一君         ―――――    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局経理局主計  濱野  惺君    事務局側        庶 務 部 長  菅野  清君        常任委員会専門        員        小島 和夫君    国立国会図書館側        総 務 部 長  藤田初太郎君    説明員        内閣参事官        兼内閣総理大臣        官房会計課長   河原崎守彦君        人事院事務総局        管理局長     加藤 和夫君        人事院事務総局        管理局会計課長  森   猛君        警察庁長官官房        会計課長     井上 幸彦君        皇室経済主管   井関 英男君        総務庁長官官房        会計課長     八木 俊道君        北海道開発庁総        務監理官     中田 一男君        防衛庁長官官房        長        依田 智治君        防衛庁教育訓練        局長       長谷川 宏君        防衛庁経理局長  日吉  章君        防衛施設庁総務        部長       弘法堂 忠君        経済企画庁長官        官房会計課長   安田  靖君        科学技術庁長官        官房会計課長   武田  昭君        科学技術庁原子        力局長      松井  隆君        環境庁長官官房        会計課長     窪川  功君        沖縄開発庁総務        局会計課長   五郎丸日出昇君        国土庁長官官房        会計課長     佐々木 徹君        法務大臣官房会        計課長      則定  衛君        外務大臣官房会        計課長      須藤 隆也君        外務省経済協力        局審議官     川上 隆朗君        大蔵大臣官房会        計課長      佐藤 孝志君        大蔵省主計局次        長        斎藤 次郎君        大蔵省理財局次        長        公文  宏君        国税庁次長        国税庁間税部長          事務取扱     日向  隆君        文部大臣官房会        計課長      野崎  弘君        文部省初等中等        教育局長     西崎 清久君        文部省教育助成        局長       加戸 守行君        文部省社会教育        局長       澤田 道也君        厚生大臣官房会        計課長      多田  宏君        農林水産大臣官        房経理課長    草野 英治君        農林水産省構造        改善局次長    内藤 克美君        農林水産省食品        流通局長     谷野  陽君        通商産業大臣官        房会計課長    牧野  力君        通商産業省機械        情報産業局長   児玉 幸治君        運輸大臣官房会        計課長      井上徹太郎君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    林  淳司君        郵政大臣官房経        理部長      山口 武雄君        郵政簡易保険        局長       相良 兼助君        労働大臣官房会        計課長      伊藤 欣士君        建設大臣官房会        計課長      市川 一朗君        建設省道路局長  鈴木 道雄君        自治大臣官房長  持永 堯民君        自治大臣官房会        計課長      滝   実君        会計検査院事務        総局次長     秋本 勝彦君        会計検査院事務        総局第一局長   疋田 周朗君        会計検査院事務        総局第二局長   志田 和也君        会計検査院事務        総局第五局長   三原 英孝君    参考人        首都高速道路公        団理事      栗山 昌久君        首都高速道路公        団理事      並木 昭夫君        日本鉄道建設公        団総裁      内田 隆滋君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和五十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十九  年度政府関係機関決算書(第百四回国会内閣提  出)(継続案件) ○昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百四回国会内閣提出)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二日、山本正和君及び片上公人君が委員辞任され、その補欠として及川一夫君及び矢原秀男君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 昭和五十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、前回に引き続き総括的質疑第二回、内閣総理大臣及び各省大臣に対する質疑を行います。  質疑時間等につきましては、理事会において協議し、各質疑者に御通知申し上げましたとおりでございます。  それでは、これより質疑に入りますが、まず私が、各会派のお許しを得て、決算委員長として若干の質疑をいたします。  まず第一点といたしまして、参議院における決算審査充実について総理の御所見を伺いたいと思います。  総理も御承知のように、参議院におきましては議長の諮問機関であります参議院改革協議会におきまして、総括的質疑充実決算審査改善について検討が進められているところであります。本委員会におきましても、決算審査重要性からその審査充実に努めてまいったところでございます。特に今期は昨年九月十一日からの臨時国会、引き続いての通常国会となり、御承知のように国鉄関連法案、そして売上税関連法案等審議中断ということがあり、思うように委員会審議を行う日程がとれないまま五月二十七日の会期末を迎えたのであります。そして七月上旬には国際的な公約でありますところの内需拡大のための補正予算等審議するため臨時国会を召集するという日程が予定されました。当委員会といたしましては、五十九年度の決算審査臨時国会までに終えることを目途に、閉会中でありましたが理事委員各位の大変な御協力を得て本日の締めくくり総括質疑までわずか三十数日の間に都合七回の委員会を開いて審査を重ねてまいったのであります。総理はこの参議院の取り組みにつきましてどのように受けとめられておられるか、まず御所見を伺いたいと思います。
  4. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 決算予算の内容並びにその執行の適正等についてこれを検査し、その適否を判定するという大事なお仕事でございまして、参議院におかれましてはつとにこの決算重要性を指摘され、また決算委員会仕事重要性についても強調せられておられました。特に参議院に設置されました協議会におきましてはこの点を特に指摘されて、また今まで審議につきましても充実した審議を行ってきていただいた次第でございます。政府といたしましても、この御趣旨にかんがみまして最大限の御協力を申し上げるように努力もしてきたところでございますが、休会中にもかかわらずこのような精力的な御審議をしていただくことについては非常に感謝申し上げ、かつまた心から敬意を表する次第であり、政府としても真剣に参議院の御期待にこたえるように努力してまいりたいと思う次第でございます。
  5. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいま総理から御答弁がございましたが、総理も前の委員会でも「決算は、予算遂行並びにその結果に関する審査をしていただく場でございまして、予算と並んで極めて重要な意義を持つものであり、そのように心得なければならないと考えております。  国民税金がどういうふうに使われたか、その行方を見定める大事な仕事でございますから、国民に対する大きな責任もまた持っているものと考えております。政府もそれに対しましては審査に全面的に協力しなければならないと思います。」というふうに述べておられて、総理の御答弁をお聞きいたしますと今も全く変わっていないというふうに思います。  そこで第二点といたしまして、総理の本委員会への出席について伺いたい、このように思います。  ただいまも総理から御答弁をいただきましたが、予算と並んで極めて重要な意義を持つものである、政府審査に全面的に協力しなければならないと思いますと、このような御答弁がされております。前の委員会では「できるだけ万障繰り合わせまして決算審査につきましては出席もし、」「御答弁を申し上げるべきものと心得ております。」というふうに述べておられたわけでありますが、しかし現実はどうなっているか。本委員会は毎年度決算審査締めくくり総括的質疑を二日間行います。この第二日目に総理出席を求めていますが、総理出席はこの日のうちの三時間が限度であるわけです。これで果たして決算予算と並んで極めて重要な意義を持つものと言えるでありましょうか。また、万障繰り合わせて出席し、充実した御答弁を申し上げるべきものと心得ておりますというふうに言えるでありましょうか。総理が真に決算審査重要性及び充実必要性をお考えでしたら、今直ちに予算審査と同様とまではいかなくても、冒頭及び締めくくり総括審査には出席されて、出席時間も延長し、一層充実した決算審査協力されるべきであるというふうに思いますが、いかがでしょうか。総理所見を伺いたいと思います。
  6. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたように、決算委員会は重要な機能を果たしておるところでございまして、政府といたしましても全面的に御協力申し上げなければならぬと心得ております。したがいまして、こちらのできるだけの時間を工面いたしまして委員会にも出席さしていただくべきであると考えており、そのように努力いたしてまいりたいと思っております。なお、与野党の御協議もございますので、その御協議に従いまして政府としてはできるだけの努力をいたす決心でございます。
  7. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 参議院改革協議会でこのことについてもいろいろ論議をされているところでありますので、積極的な協力姿勢をぜひとっていただきたい。これは理事会でも総理出席の問題についてはいろいろ論議をしているところでございますので、こういった面で積極的な総理としての出席についての協力、そういったような点について、まあ五十九年度の決算はこれで終わるわけでありますが、総理の在任がいつまでかということはまだわかりませんが、およその見当はつくわけでありますが、六十年度の決算冒頭総括があるわけですが、これは間違いなく中曽根総理の手でということになるわけでありますが、こういった点について積極的に出席方について協力をしていただきたいというのが理事会での話し合いなわけですが、いかがでしょうか。
  8. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたように、できるだけ御協力申し上げるべきものと心得ており、与野党の御協議を待ちまして、そのように処理してまいりたいと思っております。
  9. 菅野久光

    委員長菅野久光君) この点については参議院決算委員会理事会での話し合いの結果に基づいて私の方で質問申し上げておりますので、今後ともひとつ総理出席についての協力方をお願いを申し上げたいというふうに思います。  次に、第三点は、本委員会審査に対する政府協力姿勢について伺いたいと思います。  決算審査を通じまして、政府の不協力な面が目につきましたのは大変遺憾であります。すなわち、政府等への出席要求に対しましてこれを拒むというような姿勢が目につきました。また、種々の口実を設けて答弁をはっきりしない、あるいは留保する、さらに資料提出要求等に対しましてもそのような姿勢が見受けられました。この点については本委員会警告として取り上げたこともございます。これに対して当時の竹下大蔵大臣は、「決算審査または国政調査権の行使の協力につきましては、十分留意してきたところでありますが、今後とも最大限努力をしてまいる所存であります。」、このように述べておられました。また、かつて総理は本委員会におきまして、政府審査協力しなければならないと述べ、さらに、「資料提出等につきましても、可能な限りの資料を提出すべきものであると、このように考えます。」、そのように述べられました。しかし、このような総理のせっかくの御発言にもかかわらず、政府協力姿勢は旧態依然たるものがあるように思います。この点についての総理の御所見を伺いたいと思います。
  10. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 参議院におきまする質疑に対する答弁、あるいは資料提出要求に対する処理、いずれも国政調査権に対する政府の対応でございまして、これは我々としても誠心誠意できるだけの努力をしなければならない責任を持っておると考えております。このように大いに今後とも努力してまいるつもりでおります。
  11. 菅野久光

    委員長菅野久光君) この点については総理答弁をしっかり我々も受けとめて、これからの委員会運営に生かしていきたいと、このように考えます。  では次に、会計検査院法改正について伺いたいと思います。  ロッキード事件の反省から、その再発防止のため、国会会計検査院の権限を充実強化するための会計検査院法改正、いわゆる院法改正を行うよう政府に対しましてこれまで数回にわたって要請し、決議もしてまいりました。これに対して政府は、院法改正を行うことなく、いわゆる翁通達及び藤森通達をもって対応してまいりました。しかし、会計検査院はやはり院法改正は必要である旨を明確に述べております。政府院法改正について消極的である理由として、自由主義経済体制下における公権力過剰介入あるいは政策金融の円滑な遂行との兼ね合いなどを挙げ、慎重に対処すべきものとしてまいりました。しかし、公権力過剰介入防止会計検査院の良識に十分期待できるものでありますし、これまでの検査の実績から可能であるというふうに思われます。政策金融の円滑な遂行との兼ね合いの問題も、既に現在の通達のもとにおいても支障なく行われているところであります。したがって、政府の言う院法改正支障となる理由は存在しないのではないかというふうに考えられるのであります。また、職務遂行上、それが通達によって相手方の協力を得て初めて行使できるものと、法令上明確な根拠を持つものとでは、その職務に従事する職員職務遂行に対する熱意と責任は当然に異なるものであります。さらに重要なことは、通達による協力には限度があります。一たん不測事態が生じた場合には、果たしてこの所期の目的が達せられるかどうか、その保証はありません。  このように、種々観点から見ましても院法改正を拒む理由はなく、院法改正必要性は依然としてあるものと考えるのでございます。総理としては、国会のたび重なる決議を尊重し、会計検査院の長い間の希望も入れて、国民の前に英断を持って院法改正に踏み切るべきものと考えますが、この点についての総理のお考えを伺います。
  12. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この問題は長い間の懸案でございましたが、政府側考えは前から申し上げておりますように、自由主義市場経済のもとにおきまして、やはりこのような自由な経済活動を阻害するおそれのあることはできるだけ政府としては避けた方がよろしい、過剰介入というようなことはややもするというと企業側畏怖心を与えるという面もなきにしもあらずでございます。そういう意味におきまして、行政措置によりまして最善の措置を講ずることはできないかということで、最近におきましても御存じのように、今のお話にもありましたように、いわゆる官房長官藤森通達というものによりまして各省庁の協力も指示し、いわゆる肩越し検査というようなものも実質的には行われているという状態になっておりまして、今のところそれほど支障を来しているものとは考えておりません。この今の藤森通達を有効に機能させるようにいたしまして、御期待におこたえいたしたいと考えておる次第でございます。
  13. 菅野久光

    委員長菅野久光君) この点につきましては、私も申し上げましたように当の会計検査院院法改正の必要を唱えておるということでありますし、私が先ほど申し上げましたように藤森通達あるいは翁通達等でやってきたことで支障はないというようなことで、これは不測事態に備えてということがやはり重要な問題であろうというふうに思います。種々な点について改革を行ってきた総理でございます。今までだれもなし得なかったこの行政改革をやり遂げてまいりました。国鉄とか電電、たばこなどの民営化は、それは評価はいろいろありましょうが、後世に残る大事業でした。首相としての任期も残り少ないようでありますが、この際こういうような多年の懸案にわたるものを総理の手できちっとやっていくということが、非常に重要なことではないかというふうに思いますので、この点についてさらに総理としてもお考えをいただきたいということを私の方で申し上げ、時間も余りございませんのでその程度にとどめておきます。  次に、政府海外援助に対するチェック体制の認識についてお伺いをいたしたいと思います。  言うまでもなく海外開発援助の原資は、国民税金等から成るものであり、我が国財政事情が非常に厳しい中で種々の経費を節約して援助を続けているわけでありますから、適正かつ効果的に使用されなければならないことは言うまでもありません。本委員会昭和五十八年度決算に対し、援助相手国国民生活向上と民生安定に資するため、適正かつ有効に使用されるように援助実施手続及び評価体制改善を図るべきであるという警告を行いました。しかるに、昨年八月、国際協力事業団において指名業者選定等をめぐって不祥事件が発生しましたことはまことに遺憾であります。今海外援助我が国に課せられた国際的責務でもあり、また政府は、政府開発援助の第三次中期目標により援助額を倍増しようとしております。このような状況において、我が国経済協力のあり方については、行政の一元化、援助実施体制適正化評価公正化などこれまで指摘されてきた問題が一層重要になってくると思われます。総理は、今後いよいよ拡大する海外援助情勢において、これらの問題についてどのような見解を持っておられるか、また不祥事の発生を防ぐためにどのような措置をとられたかお伺いいたしたいと思います。
  14. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先般の国際協力事業団JICA職員不祥事件につきましては、まことに恐縮なことでございました。外務大臣よりの業務改善命令を行いまして、JICAにおきましても、再発防止業務の適正かつ効率的な実施の双方の観点から改善推進委員会等を設けて検討し、既に綱紀粛正内部監査体制強化及びコンサルタント契約事務管理強化等措置について逐次改革を実行しておるところでございます。今後ともJICA内部改革を進めるとともに、監督官庁指導監督に遺漏なきを期してまいりたいと思っております。  いわゆるマルコス疑惑問題の中心にあるものは、我が国援助実施に関連して金銭が外国高官の手に渡ったのではないかという点でございますが、それが不正ないし違法な犯罪行為になるのではないかという点でもあります。このような問題の真相究明は、第一義的にはその外国側において行わるべき性質の問題でありまして、他方既にいろいろ御論議いただきましたように、政府としてもできる範囲で事態の正確な把握に努めたところでございます。  国民税金等によって賄われている援助が適正かつ効果的、効率的に行わるべきことは論をまたないところであり、政府といたしましても対外援助につきまして適正に行われているとは考えますが、今後ともさらに厳正かつ効果的に援助実施されていくように一層努力してまいりたいと考える次第でございます。
  15. 菅野久光

    委員長菅野久光君) また、この海外経済援助に対する会計検査院の調査につきまして既にいろいろと問題が提起されておりますことは、総理も御承知のとおりでございます。会計検査院もそれなりに努力しているところと聞いておりますが、やはり政府協力ないし援助が必要なことは言うまでもありません。  本委員会におきましてもこの点はたびたび取り上げられましたが、昨年の五月十六日の本委員会では丸谷前委員長は、会計検査院の海外調査費が外務省の評価委員会に比べて余りに低いと指摘されました。これに対して総理は、「政府といたしましても今回の事案にかんがみまして、よく反省、検討もいたしまして、改善すべきものは改善していく考えでおります。」、このように答弁されております。海外援助を適正かつ効率的に行うためには、相手国の主権を尊重しながら、検査院の権限を強化し、予算や人員の面でも検査院をバックアップすることが国民期待にこたえる道ではないかというふうに思いますが、この点についての総理の御所見を伺いたいと思います。
  16. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 我が国海外援助は、当該国の行う自助努力に対しまして、福祉の向上あるいはインフラの整備等々について我々が協力するということで行われているところでございます。  我が国会計検査院が相手国の事業に関して会計検査を行うということは、相手国の立場、権利の尊重等の立場から必ずしも適当であるとは考えません。この点については従来より国会においても申し上げてきたところでございますが、会計検査院といたしましても外務省等の協力を得ながら海外の案件の適正な視察を行い、実態の把握等について遺漏なきを期していると承知しておりまして、今後とも外務省等についてはそのような協力を積極的に行うように指示してまいりたいと思っておるところであります。
  17. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 以上で私の質疑は終わります。  それでは、質疑を続けていきます。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  18. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 中曽根総理、サミット御苦労さまでした。また、臨時国会を前にいたしまして大変御苦労でございます。  私は幾つか項目を用意をしておりまして、次々に質問いたしますので、的確に御答弁のほどをお願いをいたします。  中身に入る前に最初に、中曽根総理が詠まれたという「くれてなお命の限り蝉しぐれ」、これは私は後世に残る名句のような気がしてなりません。時の最高権力者が任期をあと数カ月にして詠まれた気持ちが私もわかるような気がするんですけれども、総理、この心境を、こうしてたびたび質問することはないわけですから、私も聞かせていただきたいと思います。
  19. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まだ必ずしも暮れているとは思いませんが、「命の限り蝉しぐれ」はぜひ実行したいと考えております。
  20. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 じゃ頑張ってください、暮れるまで。  いつごろ暮れるんですかね。
  21. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まだ梅雨が明けておりませんから、気象庁によく聞いてみたいと思っております。
  22. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 随分心配しておる方がおられるんじゃないですかね。  ベネチア・サミットにつきまして、日本たたきが余りなくてほっとされているところだと思います。総理を初め政府・与党におきましては、相当成果があったというような評価をされているようでございますが、ミッテラン・フランス大統領は、サミットが儀式的になっている嫌いがあるというような懸念を表明したように伝えられておりますし、またサミット曲がり角論を言う批判もありますし、またサミットに何か効能を期待するのが無理ではないかという見方もされております。  私はベネチア経済宣言を読んでみましたが、そう目につくものはないと感じました。サーベイランスの強化といってもどうもはっきりいたしません。特に私は非常に問題なのは、為替相場の安定を強調し、うたっておりますが、今のような百四十円台で安定をするということは一体我が国の経済にとって大丈夫なのか。通産大臣あたりは百六十円プラスマイナス十円と、こういうような言い方をしておりますが、私は百七十円台でもなかなか厳しい状況だと思うんです。じかに私は輸出企業の関連の部品納入業者とか下請企業とか、こういうところの厳しさを本当に見て訴えられておりまして、このまま行ったらどういうことになるのか、この点について大変危惧をしておる。失業者はまたどんどんふえようとしておるし、電機労連の調査では、この関係で、円高の関係で八十二万人ぐらいの失業者がぼんと出る、こういうような計算もされた情報がきょうの新聞に報道されております。こういうような非常に高位安定でもいいのかどうなのか、この点が一つと、総理はサミットの成果についてどうお考えになっているのか、最初にお尋ねをいたします。
  23. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今回のベネチア・サミットは、私は世界全体の分岐点に当たる大事なサミットであると考えておりました。幾つかの点において我々は大事な合意を見、政策を推進することになりましたが、私がそれらの中でも特に重要視したのは、一つは為替の長期的安定、具体的にはドルのこれ以上の低落を阻止する、そういうような各国首脳部のかたい決意と実行を行うということが大事であると思いました。  もう一つは軍縮と平和の問題で、レイキャビク会談以降の後を受けまして米ソ関係でできるだけ早期に核兵器等を中心にする軍縮の実を上げるように、我々いわゆる西欧先進主要国が一面において結束すると同時に、ソ連と積極的な姿勢を示して、この実りある交渉へ前進しようとすることを行うということであります。  そのほか、各国の政策協調とか構造改革とか、あるいは発展途上国に対するいろいろな措置とか、あるいはペルシャ湾の問題であるとか、そういういろんな問題についても成果があったと思いますが、特に先ほどの為替の安定という問題につきましては、今までG7とかG5で大蔵大臣レベルの声明やら合意は強くあったわけでありますが、今回は大統領、総理大臣レベルにおけるさらに強い決意の表明と合意がありまして、特にこれ以上の為替の変動というものは経済成長の発展を阻害するし、あるいは貿易の不均衡を是正するためにもならない。そういうはっきりした認識を持ちまして、そして以上のような決意の表明、合意をやったわけでございます。  ほかのいろんな状況もございますが、自来、円・ドル関係は円安にやや転じてまいりまして、たしかけさは百四十七円まで来ているようでございます。これはやはり一つの成果ではないかと思いますし、今後もこのような共同の意思を持続しながら世界経済の安定に向けて努力してまいりたいと思うところでございます。  それから、いわゆるINFを中心にする核兵器の軍縮の問題につきましても、非常に熱烈な討論が実は行われまして、これに関する我々の足並みの一致というものを見まして、それらが政治宣言等に盛られたところでございます。  特にソ連に対して平和の交渉、核兵器の削減等に対して強い呼びかけを行った。平和に対する、あるいは軍縮に対するインビテーションカードを強く書いて出すということが声明にも盛られ、また一面において我々も建設的態度でこれに対応する、そして結束していく。そういう意味の我々の方の足並みの一致を見たところでございますが、これは今までいろいろ騒がれておったところでございますが、ベネチアにおきまして完全に足並みの一致を見たという結果を踏まえて、レーガン大統領はアメリカへ帰りまして対ソ呼びかけの声明を出したところであります。それに対するソ連側の反応はかなり好意的とはまだまいりませんが、相応する反応を示してまいりまして、それがシェワルナゼ・シュルツ会談に今ずっと及んできておりまして、米ソ首脳会談の準備をするというところへ進められつつあると思います。  そういう意味において、軍縮、平和問題につきましてのベネチア会談、ベネチア・サミットというものは大事な仕事を果たしたと考えており、今後もそういう方向で努力してまいりたいと考えておるところでございます。  そのほかのいろんな面もございますが、その二つの点を特に強調申し上げたいと思う次第であります。
  24. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私は、為替相場の問題については、やっぱり百四十六円とか四十七円では困る、やっぱりもっと百六十円、七十円、そこら辺で安定をしてもらわなければ困る。だから国際公約として現状で相場の安定をもし約束したとすれば、これは問題がある。こういうことを強く総理にただしたいのであります。  それから、二番目にINFの問題についてお話がありましたが、報道によりますと、レーガン大統領に対してINFをアラスカに百弾頭配備するように総理が勧めたと、これが十九日に報じられておりますが、事実かどうか。どういう場で発言をされたのか、それが一つ。  それから、そのすぐ後の報道で、自民党の首脳は、アラスカ配備を勧めたことについては、そんな話は聞いていない、おかしな話だと、こう言っているんですね。それからまた、二十日の報道では、後藤田官房長官が、自民党首脳や野党が首相発言を批判していることに対して、反対を言う方がおかしいのではないか、意味がわからぬのではないか、このような反論をした記事が連続して載りましたが、この点について事実かどうか、その点だけ。
  25. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 為替相場の問題に対する我々の見解は下げどめを行うということでありまして、適正価格が幾らであるかということは、いろいろな諸元の調和の上に行われる。そういう意味におきまして、我々が数字を特に明示するということは避けたいと思っておるわけであります。しかし、我が国が円高による不況に深刻に悩んで、そして相当な失業も出ようとしているというこの事実を我々は見逃すわけにはまいらぬ、そう思っております。  それから、INFにつきましては、これはレイキャビクの会談におきまして、いわゆるパーシングⅡに対するSS20の処理というものはゼロがこれは期待しているところでございましたが、シベリアに百、アメリカ側領域内に百というような話が行われたやに我々は聞いておりました。  我々は今回のベネチア・サミットにおきましてもはっきり申しましてきたことは、これは世界的にゼロである、そしてヨーロッパとアジアにおいて不平等であってはならない、差別があってはならない、ヨーロッパ・ゼロならアジアもゼロでなければならぬ、両方とも世界的にゼロにすべきであるということを強く主張してきたのであります。  そこで、その立場を堅持すると同時に、INFの交渉というものは同じカテゴリーで交渉、兵力の削減をやっているわけです。ICBMについてはICBM、長距離INFについては長距離INF、短距離INFについては短距離INF、そういうわけで同じカテゴリーで削減が行われ、交渉が行われているわけであります。そういう場合に、もし万一シベリアに百置くというようなことになった場合には、どうしてもこれは早く撤去をしてもらわなければいけない。その撤去をどうするかということを第二段の将来の問題として我々は考えざるを得ない。速やかなる撤去を行うべきであります。しかし、その前にシベリアに置くべきでない、アメリカにも置くべきでない、それが我々の強い、頑強な主張であったのであります。しかし、交渉した場合に、最後のとことんのところまで行って、今までは核兵器はふえてきたのでありますが、今度はそれを減らすという思い切った第一歩が印せられようとしておるときに、このシベリア百という問題によって全体の核兵器を削減するということが御破算になるという最後のとどのとどのつまりの場合が想定されるというような場合に、我々がそのことを強く主張することによって核兵器が削減する、そういう第一歩が破壊されていいものだろうか、そういう点も考えたわけであります。  そういうようなことも考えつつ、しかし何としても置かないということが一番大事でございますから、今交渉中ですから、したがってシベリアに百置かさせないようにするためには、それに対抗するアメリカ側のそれも置かれると。そうすれば意味ない、したがってやめにする、そういうアメリカ側の交渉の切り札といいますか、材料としてそれを、アメリカ側のものを活用して、そしてシベリアの百もゼロにし、アメリカの百もゼロにする、そういうような方途も将来のやり方の一つとしては考えられるところである。あくまでそれはシベリアの百をゼロにするための一つの努力であり、過程であります。  そういう意味において、もし万一アメリカ側においてやむを得ず百置くというような場合には、それはやむを得ない形であるかもしれぬけれども、シベリアの百を早く消すための材料としてやってもらいたい、そういう意味のことを言ったのであります。
  26. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 その前に、地上発射巡航ミサイルの射程というのは二千五百キロメーター、パーシングⅡというのは千八百キロメーターなんですね。私は、アラスカのどこに総理大臣は配備しようとそういうことを言ったのかどうかわかりませんが、アラスカの一番シベリアの方に近いところを中心にして二千五百キロと千八百キロの円を描いてみました。その円を描いたところの行き着く先というのはそんなに遠くはないわけです。二千五百キロの巡航ミサイルがペトロパブロフスクですか、このカムチャツキーの原潜基地のあるところ、この辺はやっとカバーするぐらいのところなんですね。千八百キロのパーシングⅡというのは、これはそう余り意味がないような気がする。だから、官房長官も何か物すごく意味があってということを言っているんですが、どういう戦略上の、この二つの総理発言が、戦略的な意味があると、だから知らぬやつは知らぬのがおかしいんだと言った、官房長官もそう言われたんだから、ちょっと官房長官に先にお聞きしましょうかね、その点。短く。
  27. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私の発言したことでありますから私から御答弁申し上げますが、要するに核兵器をゼロにするための交渉の場合の交渉のテクニックの話をしておったわけであります。どこに置かれるかわかりません。しかし、レイキャビク以後の情報を聞いてみると、シベリア、アジアの方に置く、片っ方は米国領土内に置く、そういうような情報が出てきておったわけであります。そうなると、その辺のどこに置くかわかりませんが、やはり両方がお互いに脅威になって、これは意味ないからやめよう、そういうところへ持っていかせる以外に方法はない、そういうふうに考えて、まだ交渉の過程でありますから、両方ともつまらぬからやめようという方向に持っていくための交渉材料の一つのアイデアとして申し上げたということであります。
  28. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 核をお互いにゼロにするというその考え方、発想はわかるんですが、総理大臣、時々海外へ出ますと、日本列島不沈空母論が出たり、三海峡封鎖が出ましたり、今度はまたアラスカに配備が出たり、どうもアイデアか何かわかりませんが、突出した話がぼうんと出てくるんです。我が国は非核三原則を国是としておりまして、そして日本が核戦争の舞台にどんなことがあってもその舞台にならない、これはやっぱり国の最高責任者は考えなきゃならない。したがって、力には力というような背景を、物を基本に置いて考えるというのは、我が国の被爆国としての立場としておかしいんじゃないか。アメリカもソ連もどこも核をゼロにしてほしい、日本は核戦争の基地に再びなってはいけない、それに対して、一方では力には力で、そうして相手を抑え込んでゼロにするという発想というのは、どうも私は間違っておると思います。  きょう、朝日新聞の「論壇」の中に、税理士の方が「「アラスカに核を」は論外」と、「日本政府は米ソに軍縮推進訴えよ」、こういうことを書いて、今さっき読んできたんですが、私はこれが大体国民の大筋の世論だと思う。総理大臣のそういう発想というのは大変危険でございまして、私はこの議論を次々にしておると、あといっぱいありますから、恐らく予算委員会で議論になると思います、きょうは火をつけた形になると思うんですが、もう一度総理、危険な突出した物の考え方というのは少し反省をしてもらわなきゃいけないんではないか。しかも、どうもパーシングⅡやあるいは巡航ミサイルの配備の位置や何かどういう意味を持っておるのかさっぱりわからぬ。それをやっぱり、それは相手に到達しない距離だから、その論理をずっと総理の論理を飛躍していくと、それはひょっとすると力には力だというんなら北海道だっていいじゃないか、北海道だって配備すればいいじゃないかと。危険なところに飛ぶ可能性だってあるわけですよ。だから非常に私は心配でなりませんから、その辺について総理、心配要らぬのやと、このことをひとつ答弁していただいて、次に移りたいと思います。
  29. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 心配はないと思います。我々は非核三原則を堅持しております。それから基本的な考え方としまして社会党の皆さんと我々と違うところがありますのは、やはり我々は均衡による抑止力で戦争を防ごう、そういう考えを持っておるわけであります。それは、この間ミッテランさんも言っておりましたけれども、やはりフランスも同じような立場を厳然と持っておりまして、両方が核兵器を持ってそして両方が壊滅に帰すると、そういう恐怖があるから戦争は起きないんだと、これは日本の国会へ来てもミッテランさん演説したところそのままであります。  そういうような基本的立場で核兵器をなくし、かつ戦争を起こさせないということを必死になって現実的に考えた場合に、今の現状を見ますというとそういうことであります。ソ連もアメリカもそのような考えに立って平等削減ということを妥協の道として選んでいるわけでありまして、国際社会がそういう現実で動いている以上は、我々もそういう現実に目をつぶるわけにはいかない。しかし核兵器をゼロにしよう、そういう熾烈な考えに燃えまして一生懸命努力しているという点については、御理解していただきたいと思うのであります。
  30. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 力の均衡の理論を進めていけば、総理考えというのはちょっともう少し一歩飛躍すれば、ミッテランの話じゃないが、日本に核装備もやむを得ないじゃないかと、ここに通ずる可能性が非常にありまして、そこが私は危険だと、こう思うんです。  次に移ります。  税制改革とマル優廃止問題、所得税減税問題について、もう時間がありませんから簡単に質問します。  総理大臣、サミットの場でもマル優制の廃止についてはやりたいと、やると、こういうようなことを言われたようでありますし、今、御承知のようにあのような混迷し混乱した国会の収拾の後、議長あっせんが出まして、衆議院で税制改革協議会が発足をして、今一生懸命検討の緒についたところでございまして、そのさなかに、問題は立法府に移って、立法府が今一生懸命やろうとしているときに、横から大蔵省の首脳もいろいろ言っておりますし、減税とマル優は抱き合わせだと、こういうことを言って臨時国会に提案しようなんということを言ったり、総理がサミットで言ったり、これは立法府の経過もあるし、機能を侵すことになると思うんです。だからそういうことを軽々にやるべきではない、こう思うんですが、この点はいかがですか。
  31. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この点等につきましては衆議院にある税制改革協議会の推移を見守ってまいりたいと考えております。
  32. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そうしますと、マル優廃止の問題については新聞報道やあるいは国対委員長会談の記事なんかも読んでみますと、六十五日の次の臨時国会の会期中ではやっぱりもう無理ではないか、こういう感じに受けとめるんですが、それはそれで総理としては今の御答弁もありましたから、もう抵抗はされないと、このように受けとめていいわけですね。もう異論がなかったら御答弁要らないんですけれども。
  33. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ともかく税制協議会審議の成り行きを見守ってまいるというのが政府の態度であります。
  34. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 じゃ大蔵大臣にお尋ねしますけれども、昭和六十一年度決算の剰余金については、私、数字持っておりますが、大体どのくらいになられたのか。それと、所得税減税とマル優の廃止抱き合わせというようなやり方ずっとやられておりますが、所得税の減税というのはたび重なる内需拡大を求めて与野党国会でもう何回も議論をして本格的な減税やると言いながら、ちびりちびりというような経過があるわけですから、そういう剰余金が出ている場合は、これを元にして、NTTの株の売却益の問題もありますし、財源は不足しないと思うんですが、その点については、私、さきの決算委員会でも西ドイツの三期にわたる所得税の減税について大蔵大臣の答弁もいただきまして、なるほどこれは規模は大きなものだと、人口にして、そういう答弁もありました。私は早急にやはり所得税減税については、これは税制改革協議会の方もその点については話は進んでくると思うんですが、大蔵省としても前向きに財源の問題も解決すると思うんで、やってもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  35. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 昭和六十一年度のいわゆる自然増収は概算で二兆四千二百億円ぐらいということがほぼわかってまいっております。  この処理でございますけれども、本来であれば二分の一は国債整理基金に入れるということでございますが、これはまあ法律で、国会のお許しを得れば別途の処理も不可能ではない。まず、このうちで地方交付税に当然に分けなければならないものがございます。それから、やがて国会で御審議をお願いしようと考えております補正予算にこの剰余金の一部を、四千億円程度でございますが、使わしていただきたいと考えておりまして、それらのものを差し引きましたあと、かなり大きな金額が残るということは事実でございます。  国会の税制改革協議会においてどのような所得税の減税を適当とするかという御検討はまだ御検討の途中でございますのでその大きさがよくわかりませんが、この自然増収というものはある程度の所得税減税ならば、数字の上では賄う程度の金額が残るというところまでは算術の上では御指摘のとおりだと思います。
  36. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大きな額というのは大蔵省の試算で、これ新聞に出ておりましたが、約二兆三千二百八十六億円ですね、端数を切り捨てまして、そして、地方交付税交付金財源等、特定財源等で五千七百二十九億円、差し引き一兆七千五百五十七億円相当と、こういうことのようでありますから、今言われましたように大変いいことでありまして、大きな数字ですから、ひとつぜひ税制改革協議会を見守りながら、横から横やりを入れぬで、所得税減税の方針が固まれば大蔵省も前向きに取り組んでいただきたいと思います。  次に、米価の問題について若干お尋ねをいたします。  総理大臣、米価引き下げ、五・九五%引き下げ諮問を審議会にいたしまして、まだ審議会の答申は決まってないんではないかと思いますが、私、最近帰りまして、地元の農家の皆さんと夜遅くまでずっと回りながら議論をしておりますが、減反については食管制度を守るということが前提にあるから、まあ農家の若い人たちも、農村の人たちもやむを得ないかなと泣く泣く納得をして、非常に不満があります。しかし、米価を五%、六%も引き下げるということは、政府としては農村、農家、食糧というものを長期的に一体どう考えておるのか。もうお先真っ暗で不安でならないと、どうでもしてくれと、こういうような気持ちを率直に受けるわけです。ぶっつけられるわけです。  まあ一軒当たりに大体一人が平均茶わん四杯で八十円ぐらいの米を一日に消費している。これが家計に占める米の値段というのがそうびっくりするような形じゃない。むしろ政府としては米の消費量を一割とか、あるいはまあ何%かふえるような研究やなんかをむしろやって、そこから減反の問題や、あるいは米の、米作農家の将来の問題に少しは明るさをつくってもらうような、そういう施策というのが欲しいんです。どうも何かしらぬ、今は農家の皆さんは農家いじめ。それから選挙になりますと、しかしまあいろいろつるの筋がありまして、農家の皆さんそういっても政府、今の自民党にすすっと票が集まりますから、まあ今のところ皆さんはそう心配をしてないかと思うんですが、やがてやはり米の自由化問題等が差し迫ってくれば、私は売上税でデパートの皆さんやスーパーマーケットの経営者や労働者が一緒になって旗を上げたように、農家の皆さんももう辛抱し切れなくてやっぱり大きな声を団結をして上げるようになると思うんです。  どうも今の米価決定をめぐって、しかし、今のまた農業政策のあり方について農家の皆さんも全く先が見えない。例えば、まあもう先祖代々の自分の代まで続いてきた家をこれでもうおれの代でつぶしてしまうのか、そういう後継者もなくて非常につらい気持ちでお年寄りが農村地域で今頑張っておるんです。こういう状況をいかに考えるのか、米価決定との問題絡みで総理のお考えを承りたいと思います。
  37. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 食管制度の基幹を維持しようというのは政府考えでございまして、先般来OECDの閣僚会議におきましても、あるいはベネチア・サミットにおきましても経済宣言、声明等の中においてやはり食糧の安定供給、あるいはその国情に応じた多面的なバランスのとれた、しかも弾力性のある措置を各国が行う、あるいは環境に対する配慮、そういうような文章を我々の努力で入れてもらったというのは、いわゆる食管制度の根幹をどうしても維持しなければならぬと、そう考えておるからそれを特にやったわけであります。  食管制度の根幹を今後も維持していこうとするためには、やはり国民的理解がなければそれはとても維持できるもんではありません。そういう面から見ますと、適正米価というものはやはり必要になってまいります。農家のことももちろん考えなきゃなりませんし、考えておるわけでありますが、一面におきましては消費者の点、あるいは国民経済全体における米価というものも考えなきゃなりません。特に最近は、外国が米を自由化せよと強い要望を持っておりまして、そして内外の価格差が五倍であるとか、あるいは三倍であるとか、相当な価格差が指摘されている。こういう状況のもとにおいて農家を守っていくというためには、我々としてもある程度の適正な措置をしていかなければ永続はできないのであります。  米の値段につきましては、戦争前も米穀統制法とか、あるいは戦争中からは今の食糧管理法というものによってパリティというものを中心にして米価を決めてまいりまして、その後いろいろ所得の補償とかいろんな面で多少の手直しはありましたけれども、やはり適正米価というものをちゃんと公式をつくりましてやってきておるわけであります。その延長線のルールに従って物をやっていかないというと、これは制度が崩れる危険性も出てまいります。そういうことで、ルールに従った計算方法というものを考えますというと、去年の例、ことしの例というものを考えますと、かなりの数字が出てくる。しかし、自由民主党としましては、農家に対する打撃というものも考え、減反も相当思い切ってやっていただくということも考えまして、いろいろな配慮のもとに先般のような決定をしたわけでございまして、これは食管制度を守っていくためにはやむを得ない措置であり、国民も消費者も御理解をいただける数字である、そういうふうに考えておる次第でございます。
  38. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 今、農村、農家がつぶれようとしているその状況のことが本当におわかりではないと思います。ぜひその辺のことも早急に総理頭に入れていただいて、いいことばっかり総理は案内しますが、もっと苦しいところもぜひ見ていただきたいと思います。  次に移ります。  参議院決算委員会における審議に当たっての政府協力姿勢について、先ほど委員長からも質問がありまして御要請がありましたが、私もこれまで三年間決算委員会をずっとやってきまして、肝心なところにいきますと、なかなかもう資料が出てこない、あるいは答弁もこれはよそでは言っていることをやはり国会の場では言わない。こういうことがあって、これは一体何なのか、国会調査権。総理、先ほど国会調査権の話が出たが、そういう強い思いをしておる。これは私だけではない、皆さんやっぱりそうだと思います。だから、この点については何でこんなに声を大きくして何回も言っているのかということ。そういうことがあるから言っているわけでしてね。十分理解をしていただきたいと思うんです。  ひとつもう一度総理、この点については、特に参議院の場合は決算を十分やって、そして次の年の予算編成に向けて反省をしながら予算を組んでいく。このチェックが十分にやっぱり今まではなされていないから、参議院改革協も決算委員会を重視していこう、こういうことでございますから、その点もお含みになって一言御答弁を願いたいんです。
  39. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先ほど委員長の御質問にお答え申し上げましたように、特に参議院におきましては決算も重視せられており、政府としても誠意を持って全面的に御協力申し上げなければならない。答弁もそうですし、あるいは資料の提出もそうでありまして、その点はよく関係者に念達しておきたいと考えております。
  40. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それでは決算になじむ問題にちょっと入らしていただきます。  中曽根内閣がスタートされましたのが五十七年の十一月からでございまして、丸々五年になろうとしておりますが、この間における決算審査を通じて感じたことでございますが、会計検査院の指摘事項、会計検査院の報告書を総理が院長からいつもいただいている写真が載った報告書が出ますが、特に五十八年度以降をちょっと挙げてみますと、会計検査院の指摘事項は、五十八年度が百八十二件、金額にして百七十一億四百五十七万円、実施検査数に対する施行率が八・四%、五十九年度が百八十件、二百二十五億八千六百一万円、検査施行率が九・〇%、六十年度が百四十六件、指摘金額が百九十一億八千八百万円、検査施行率が八・七%、これは施行件数に対する施行率でありまして、会計検査院に対して金額に対して、じゃどれぐらいの検査をやったのかというその数字を出してくるとしますともっと小さくなるわけです、この施行率というのはね。これはもう出さないんだ、会計検査は出ないんですよ。こういう状況というのは私は氷山の一角だろうと思うんです。政府の最高責任者であります総理大臣としては、依然としてこういう状況が毎年毎年やっておるにもかかわらず続いております。少しは改善してきているんですが、続いておりますが、総理、お考えを承ります。
  41. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 毎年の会計検査院検査におきまして非違あるいは不当事項の相当数が指摘されておりまして、まことに遺憾な次第でございます。政府はそのようなものの根を絶つためにいろいろ監督を厳重にしてやっておりまして、今後ともその件数をさらに顕著に減らしていくと、そういう努力をしてまいりたいと思っております。
  42. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そのようにお願いをし、期待をいたします。  次に、中曽根総理の総決算のこれまた一つになるんですが、財政再建対策の失敗の問題でございます。これは私は五十九年度決算に当たっての本会議でも質問をいたしましたが、六十五年赤字脱却の公約を「一九八〇年代経済社会の展望と指針」を閣議決定をして出されましたが、そして毎年一兆円ずつ赤字国債の発行を減額していくと、これはもう公約ですね、政府の方針ですから。これがしかるに初年度の五十九年度においては五千二百五十億円しかできなかった。六十年度は七千二百五十億円、六十一年度は四千八百四十億円、六十二年度は二千六百五十億円ですね。一兆円に対して大幅に下回っておりまして、もうだれが見ても、あと三年先のことはもうこれは無理だということははっきりしているんです。大蔵大臣もきのうの同僚委員答弁では、なお中曽根総理大臣の気持ちをしんしゃくをして、まあ旗をおろさないと、努力をすると、先に何か目標ができたときにそれを変えると、こう言う。何か蜃気楼みたいにひっかかっちゃまた次々いくような話をちょっとされておりましたが、総理大臣やっぱりこれはできなかったんですからね、しかも見通しはもう全くない、そのことに対してはやっぱりここでは遺憾の意を私は表明をしていただきたい。一生懸命我々がこの数字の検討をしておるんですが、お願いをいたします。
  43. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 内閣としましては懸命な努力をしてきたつもりであります。  昭和五十七年度予算におきましてゼロシーリング、五十八年度以降からマイナスシーリングで、マイナスは五年連続であります。そういうわけで増高すべかりし経費をどれぐらい節減したかというと約十兆円ぐらい節減したと考えられております。そして各省庁におきましても毎年ベースアップがありますけれども、このベースアップというものを節約によって満たしたのが約一兆ぐらいあると思います。それから年金等におきましても六千億円ぐらい、そういう面もあるだろうと思います。人間にいたしましても二万人、二万九十人でしたか、ネットでこれを減らすとか。あるいは補助金にいたしましても九千億円ぐらいこの間で減らしておる。そして公債依存率は二七%ぐらいから一九・四%でしたか、要するに二〇%を割るところまで公債依存率を引き下げました。補正予算等によりましてまた二一%に上がりましたけれども、ともかくしかしそういう努力は継続しておるところであります。やはりこういう経常経費節減、削減に対する努力は今後も努力して続けていかなきゃならぬと思っています。しかし、社会資本とか公共事業というものは、景気やあるいは円高の動向にかんがみまして、新行革審におきましても緊急措置として認められておりますので、それを補正予算として今後も実行してまいろうとしておる次第でございます。  そういうような全般を考え、幸いにNTTの株式が我々が期待しているような値段で売れるとか、あるいは去年は相当な自然増が御指摘のように出ました。この自然増に乗りましてことしもその調子で行ってくれれば、また税収もあるいはおもしろい結果が出るかもしれません。こういうようなものを組み合わせていきますと、六十五年赤字公債依存体質脱却は必ずしも望みなきにあらずの状態である。いろいろ私自体でそろばんはじいてみましたら、これやり方によってはそう難しい、絶望ではない、望みはある、やり方によりましては、また今後の景気や税収やその他の情勢によりましては。そういうことでありますので、幸いにNTT株というものはこれがもう守護神のように出てきてくれまして、それでそういう希望が強く出てきたわけであります。これは当初からそういうことを期待しつつやったわけであり、また電電の民有化もそれでお願いしたわけでございますが、そういう状況になってきている。あるいは将来におきましても、国鉄JRも大分一生懸命やってくれまして、黒字の方向に対して希望が出てまいりました。JRの株なんかも将来はまた期待できるかもしれません。日航もありますね。そういう面を見ますというと、これは財政運用のやり方あるいはJR等の経営の仕方等々考えてみますと、必ずしもそう悲観すべきものばかりではないのであります。それは国民が蓄積してくだすった財産というもので、国民の長い間の汗と努力が今こういうわけで実りつつあり、還元されつつある、この非常の急場に間に合わしていただいているという意味において我々の先輩の努力に心から感謝申し上げたいと思っておる次第なのであります。
  44. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 総理大臣、ゼロシーリングやその他経費の節減合理化等で随分経費を節約をされたようなお話をされましたが、総理がとってきました総需要抑制の政策、そして財政が収支とんとんになるかというと税収の伸びが非常に落ち込んでこれまで来ました、ここのところは別ですよ。それで税収の伸びが、自然増が落ち込んだ。その自然増の落ち込みの分の計算はあなたは言わなくて、節約したところだけ、いいところばっかり言うわけです。NTTとか国鉄とか例外で話をされるようなこれは筋ではなくて、やっぱり当初計画に沿って一体どうだったのかという、そういう判断をしなければいけないわけです。これから一兆七千億円ぐらいの毎年毎年国債の発行額を抑えていくようなことは、あと三年間あなたが幾らどういうことを言ったってこれはできない。あと三年たって私総理大臣のところへこれどうだったかと持っていきますから覚えておいてください。本当に総理大臣、やっぱり国民に対して、私去年もちょっと言ったんですが、本当の姿を、一番最高権力者である総理大臣が本当のことを言ってもらわないと国民はみんなうそをつきますよ。総理大臣がああやね、こうやねと口先でこう逃げていけば、口先で物事をかわしていけば、おれもそういうやり方がいいのか、善なのか、そういうやり方がいいのかと上から下まで子供までそういうまねをするようになりますからね。私はいいことはいい、できぬことはできぬ、これだけはぴしゃっと。NTTの株とかあるいは国鉄の問題なんか、これは別ですね。これは計画に対して一体どうだったのかということですからね。これはそういう口先で次々に物を言いかわすような言い方というのは、時間もございませんが、納得ができません。  そして、総需要を抑制した結果がアメリカにも、これは確かにアメリカの財政経済運営に問題があったかもしれませんが、日本も総需要が相当抑えられて、そしてこのような急激な円高になって今失業者は先ほど言いましたように大変な失業率になろうとしております。そして産業の空洞化が進もうとしております。一方では、中曽根内閣のもとで中央集権化が、どんどん情報も何も全部東京に寄ってくる、地方から見ますと大変な問題でございます。  もう時間がなくなりました。あと土地政策の問題で、これも総理のやはり任期中に国有財産をどんどん売り出して、ここから東京圏の土地の価格の暴騰がぎりぎり舞って上がってきまして、今や大阪や京都やあるいは地方の中核都市までこれからどんどん土地の狂乱地価が今舞い上がろうとしておる。これも、時間がございませんが、総理の在任中の最大の私は失政の一つだと、こう思っております。こういう問題についてきのう建設大臣は、やっぱり総理の土地政策というのは失敗だったと、こういう答弁もありましたけれども、土地問題について一言だけ総理にお伺いして終わります。
  45. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 土地問題は現下の日本の政治項目の中で非常に重要な問題であると考えております。東京の金融的な立場が非常に世界的に強化されまして、そういう意味で東京の都心の一部の地価が暴騰して、それが次第に波及しているという現状を放置できません。そういう意味で政府は、国土計画の法律の改正とか税制の改正とか、そういうことによって対応してきたわけでありますが、さらに強力な手を打つ必要がある、そういう考えを持ちまして、きょう実は閣議で総務庁長官に対しまして、新行革審において今当面の財政政策に関する助言を得ておりますが、それが終わったら新行革審においてこの土地問題を検討していただいて、行政改革観点から適切な助言を得るように取り計らってもらいたいということを閣議で発言して、総務庁長官がこの措置をすることになっておるわけでございます。できるだけ早期にこの助言をいただきまして、かなり思い切った土地政策というものを推進していきたいと思っております。これは総務庁長官が行革審の皆さんと相談しましてどういう段取りでいつごろまでにどうするか、そういう問題も先方の御意見も聞きながら決めてもらいたい、そう考えております。
  46. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 時間ですのでこれでやめます。  中曽根総理中曽根総理の民活によって内需拡大をしようとしたそこから、そして国有財産、国公有地を払い下げてきた、民活によってやろうとしたところからこれは上がりかけたんです、もとは。もう時間がありませんから言いませんがね。それから、土地問題の検討を新行革審でと言うけれども、なぜ一番状況がわかっている行政でもっとやれと言わないんですか。すぐ何か国会の外でやって、そしてそれを持ち込んでくる。なぜ行政の中心で一番状況をわかっている行政でやるということを指示しないんですか。僕はそれはおかしいと思うんです。  それから、建設大臣はきのう、土地問題は中曽根政治の土地政策の失敗だということをはっきり言われたんですが、総理は先ほど、土地問題というのは何か違うようなところに問題があるように言われたんですが、土地問題、きのう言ったことにお変わりございませんか。
  47. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 土地問題は、先ほど申し上げましたように非常に重大な問題ですが、これは各省庁にわたる非常に複雑な内容があるわけであります。もちろん建設省の役目は非常に重大で、特にデレギュレーション、規制解除という面がやはり相当有効に動く性格のものであると思いますが、これも地方議会との関係とか、いろんな問題でややこしい面がありまして、私も手をつけてみて、ほとほと難しい問題であると。これは中央政府だけでやれる問題ならばそれほどでもないんですけれども、やはり自治体の関係がありまして、区会議員さんや区長さんの御意見等々も入ってくるから、協調してやらなければできない問題でもあるんです。それは交通量とか水道の使用とか、そういうものにすぐ響いてくる問題でもございます。そういう点で総合的にやる必要があるという観点から、今回新行革審にお尋ねする、そういうことにしたわけでございます。民社党の方から土地臨調をつくれという御要望がかねがねございまして、そういう民社党側の御要望も頭に置いてやっておることでもございます。
  48. 松尾官平

    ○松尾官平君 通告の問題について質問をいたします。  限られた貴重な時間でございますし、私が総理に質問する機会はきょうが最後かもしれませんので、簡明、率直に伺いますから簡明、率直に誠意のある答弁を御期待申し上げたいと思います。  まず、財政再建と内需拡大の問題であります。昭和六十五年度に赤字国債依存体質を脱却するという大変立派なにしきの御旗を立てて今日までこられました。それはそれなりに成果が上がっていると思うわけであります。しかし、ここへ来まして緊急経済対策という財政出動が必要になった時点において考えますと、結論として、この際は、当分の間はこのにしきの御旗を丁重に巻き上げて神棚へしまっておく方がいいのではないかというのが私の提言であります。  総理が全幅の信頼を置いておられる新行革審の小委員会の報告を読ませていただきますと、これには、「内需拡大を図るに当たって、その起爆剤として財政面からの刺激が重要である。」ということを冒頭に書いてあるわけであります。いわゆる内需拡大には刺激剤、起爆剤が必要なのであります。ところが、新聞によりますと、今回の報告書を読んで、中曽根内閣に助け舟を出した内容になっているけれども、アクセルとブレーキの両方に足をかけたような格好だ、こう書いているわけであります。いわゆるアクセルは新経済対策であり、ブレーキは依然としてにしきの御旗を掲げている、こういうことになるのではないでしょうか。  きのうも我が党の石井委員の質問に対して宮澤大蔵大臣は、変わるべきいい旗もないし、それをつくろうとすれば日時もかかるし、今のところはこれでまいりますというような趣旨の答弁でございました。しかし、これまたきのうの新聞に出ておりますように、いわば東芝バッシングの問題が写真入りで、東芝のラジオですか、ハンマーでたたき壊す写真入りでこうしてトップに出ております。  いわゆる人間の気持ちというものの転換がなければ、せっかく六兆円に上る景気対策をやりましても、国民の心がそこへ行かなければ内需拡大の効果が上がらないと思うわけでございます。この際、内需拡大、輸入促進の経済対策の本当の効果を上げるために、昭和六十五年度赤字国債依存体質からの脱却というにしきの御旗は、焼いてしまえとも投げろとも言いませんが、大切に旗を巻いてしばらく神棚に上げるような気持ちでの何らかの施策が必要かと思うのであります。この点についてお伺いをいたします。
  49. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはり自動車にはアクセルとブレーキと両方必要だろうと思うんです。アクセルばかりあってブレーキのない自動車というのは欠陥車だろうと思います。やはり財政政策につきましても、吹かすところは吹かす、締めるところは締める、そういうものがあってバランスがとれて、国民生活も安定していくと思うんです。  そういう意味におきまして、行政改革は、冗費を節減して、そしてできるだけ国民に負担をかけない小さな政府で効率的な政治をやっていこうというのが理想でありまして、これは絶対捨ててはならぬものであり、私は、行政改革は三代の内閣、十年の仕事だ、そういうふうに申し上げておるんです。これはちょっとでも緩ませますというと、各省から膨大な需要要求がまた出てくるのであります。これは各省が神様ならいいんですけれども、神様じゃない、人間の集団であります。いろいろ複雑な要素から行政や政治が行われているわけでございますから、したがって、そういう面もやはり持っていなければならない。しかし、円高等々によって今のような失業者が出てくるという情勢になれば、それに対応する対策は臨床的に当然やっていかなければならぬ問題で、それはそれとして今懸命に努力しておるところなのであります。六十五年赤字公債依存体質脱却というあの旗があったために、やはり今のような各省の経費の引き締めというものは有効に行われておると思うんです。それまでとってしまうという形にすると、これはまた噴き出してまいります。  まあうまく神棚に納めろというわけでありますが、どういうふうにしてうまく神棚に納められるか、なかなか難しいところでありまして、やっぱり皆さん見ているところでありますから、納まっているか納まっていないか、なかなか難しいところでございます。しかし、言わんとするところは私も気持ちはわかりますから、やはりアクセルとそれからブレーキとうまく運用の妙を得てやるようにいたしたいと考えております。
  50. 松尾官平

    ○松尾官平君 総理らしいお上手な答弁でございますが、アクセルとブレーキがなければ、これはどうしようもないので、それはそのとおりなんです。私は、今回の措置の効果を上げるために、ブレーキペダルから足を少し離しておいてアクセルを踏むようなことを、国民にわかりやすく示すべきではないかということを申し上げたいのでありますが、きょうの質問の主題の新幹線問題の時間がなくなりますので、以上でこれは終わります。  さて、ここで古い話を持ち出して恐縮なんですが、古いことと新しいことをまず思い出していただきたいと思います。  昭和四十七年には、中曽根康弘総理は、鉄道建設審議会会長でございましたね。そして運輸大臣の丹羽喬四郎先生に対して、「諮問第十三号に対する答申」として、「建設を開始すべき新幹線鉄道として基本計画へ組み入れる路線は、別紙のとおりとするを適当と認める。」、こういう答申を審議会会長の立場で出しました。これを受けて、四十七年六月二十九日に基本計画が決定されているわけであります。それを受けて、四十八年十一月に運輸大臣新谷寅三郎先生から、国鉄総裁へ建設の指示がまずなされているわけであります。それから、第九十六回国会昭和五十七年六月三十日の予算委員会の席上で私が新幹線問題に対して質問をしました際に、当時の総理鈴木善幸先生は、「松尾さんから昭和四十四、五年当時のお話を伺いまして、私も当時を思い起こすわけでございますが、これは国土開発を総合的に進めるという観点から新幹線網の計画がございまして、その中に北海道札幌から鹿児島まで日本列島の背骨をなす幹線的なものとして計画ができました。その中に津軽海峡トンネル、青函トンネルも入って着工をいたしたわけでございます。」云々とありまして、「盛岡以北そして北海道、札幌というような開発の可能性の非常に大きい地域に対して新幹線を建設するということは、私はいまでも重要なやはり国土開発の課題である、このように信じております。」と答弁をしておられるわけであります。その席上に現総理はたしか行管庁長官としてお座りになって聞いておられたと思うのであります。そして、昨年六月九日に出されました我が党の選挙公約の「重点政策」の中で、「整備新幹線は、国土の均衡ある発展と地方の活性化を促進するため、国鉄の分割・民営化後も引続き、国の重要政策としてその建設を強力に推進します。さらに、この新幹線建設は、地域経済に多大な効果をもたらすものであり、緊急課題である内需拡大における極めて有効な政策でもあります。」、これを天下に公約をしているというこの三点について、まずそのとおり御記憶があるかどうか簡単にお答えを願います。
  51. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大分昔のことでございますから、今お読みいただきまして松尾さんが御指摘なさるんですから、多分そういう事実はあったんだろうと思います。私も鉄道審議会の会長もしておりましたし、また鈴木内閣の行管庁長官もしておりましたから、そういうことはあったろうと思います。
  52. 松尾官平

    ○松尾官平君 そこで運輸省御当局に伺います。大臣から聞くほどのことではございませんので、運輸省の方で確認をしてください。  東北新幹線の区間、起点、終点はどこからどこまででありますか。
  53. 林淳司

    説明員(林淳司君) 起点は東京都でございまして、それから終点が青森市ということになっております。これは、四十六年の時点では東京都から盛岡市まででございましたが、これはその後変更されまして、四十七年に変更されまして、ただいま申し上げたような起点、終点になっております。  主要な経過地につきましては、この基本計画におきましては宇都宮市付近……
  54. 松尾官平

    ○松尾官平君 そこまで聞いてない。言ったことだけ。
  55. 林淳司

    説明員(林淳司君) 以上でございます。
  56. 松尾官平

    ○松尾官平君 もう一点だけ聞きます。  起点、終点があって、東京から青森までとなっておって盛岡までしかできていないということは、青森-盛岡間は残区間、残りの区間だと考えてよろしいわけですね。
  57. 林淳司

    説明員(林淳司君) ただいま基本計画上は起点、終点、申し上げたとおりでございますが、その後四十八年に整備計画が決定されまして、東京から盛岡につきましては、この整備計画はそれ以前でございますが、四十六年でございますが、その後盛岡から青森までにつきましては、四十八年にその他の四線と同時に、いわゆる整備五線という形で同時に計画決定がなされておるということでございます。したがいまして、盛岡までと青森までの間では、若干その整備計画の決定段階で扱いは異なっておるということでございます。
  58. 松尾官平

    ○松尾官平君 とんでもない話ですよ。段々の正規の計画を審議会や計画や議論を経て、東京から青森までとなっているものを、ただそれを事業するために整備計画というものはできたものであって、中曽根総理審議会会長で妥当なものとして認めるとしたこの答申を、あんた方は後で勝手に変えたんですか。これはまあこの辺にしておきます。  そこで、総工費六千七百八十一億円を投じた世紀の大事業である青函トンネルは今まさに完成しようとしております。この十月には海峡線の試運転がされるとも聞き、来年四月からは正式に供用されることと聞いているわけであります。昭和三十九年五月の調査坑掘削から実に二十三年間を経過しております。とうとい工事関係者、人命の犠牲をも伴いながら、たゆまぬ工事関係者の身命を賭しての取り組みが今回の完成に至ったのでありますが、北海道民、青森県民は、悲惨な洞爺丸事件に思いをはせながら、一日も早い新幹線のトンネル通過を期待して見守ってきたのであります。  この時点に立って中曽根総理、これを建設した鉄建公団総裁の所感を承りたいと思います。
  59. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 青函隆道につきましては、関係者の多大の御努力によりまして貫通を見、今在来線として使用するべく整備が行われまして、来春から在来線としてこれが使用される計画で進行しております。これで北海道と東北あるいは本州というものは完全に連携できまして、国民経済的にもあるいは精神的にも非常にいい新たなる時代に入りつつある、そう思います。  青森―盛岡間の問題につきましては、法的性格から見ると、さっき政府委員答弁したようで、東京から盛岡までは保有機構、新幹線保有機構が持っておりまして、保有機構の管理下にあり、これが東日本JRに貸与されているという形です。したがって、盛岡―青森間は新しく建設していくという仕事、松尾さんは新しくというんじゃないと、これは昔から決まっていることだと。法的に言いますとそういう形になりまして、それでこれをどういうふうにやるかという問題についていろいろ今党でも検討していると、そういうところなのであります。
  60. 内田隆滋

    参考人(内田隆滋君) 今先生の御指摘のとおり、青函トンネルは本州と北海道の間を天候に左右されない、しかも安全迅速にこれを結ぶということを目的といたしまして建設に着工されたものでございます。この大きな事業が完成に近づいているということは、大変感慨無量のものがございます。総理が御指摘になりましたように、来年三月には現在線として開業いたすことになっております。また、先生の御指摘のように、青函隆道そのものは新幹線が通り得る断面になっておるわけでございますが、これは整備新幹線の政府の御方針に基づいて今後進めてまいりたいというように考えております。
  61. 松尾官平

    ○松尾官平君 もう時間がなくなりますので一言ずつで答弁をお願いします。  段々の経過は今さら申し上げません。一昨年、段々の経過を経て、当時の山下運輸大臣が、国鉄からこの青森-盛岡間の建設の工事実施認可申請書を出す際に、山下運輸大臣は、運輸省ではかねてからこういうものを受理する際には、これを許可する前提のもとに受け付ける、受理することになっているんだがということを再三申し出られたのに対して、それを子とするということで一昨年受理しているわけであります。これをいつまで放置しておくか。一昨年ですよ。おととし、申請書を受理するということは認可が前提であるということを責任者の運輸大臣が確認して、政府・党首脳の確認を得て受理しているわけであります。その後、去年の六月になって、党が重点政策としてはっきりと早期に建設に着工するということを天下に公約をしているわけであります。  総理、あなたの任期はいつまであるかわかりませんけれども、この際、内需拡大という緊急経済対策を行うこの時点において思い切った決断をすることこそ、中曽根総理の名前が永久に日本の国政史上に残るのではないでしょうか。最後をうそを言って公約を破って終わるようなことがあっては、せっかくのこの五年間の御努力が無に帰する心配があるわけであります。この際御英断をお願い申し上げます。
  62. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は前から、新幹線につきましては希望のともしびを消してはならないと、そういうことを申し上げておって、前向きな姿勢をとっておるわけです。もう二十一世紀にかけては高速交通時代に入りまして新幹線が在来線みたいになるだろうと、そういうことも言ったこともあるので、そういうような見通しで物事をやっていく時代に入りつつあると思うのであります。  ただ、青森-盛岡間の起工あるいは着工あるいは実施、これを具体的にどんどん進めるという問題になりますと、その前にいろいろ検討を要する問題がまだ残っておりまして、それらの問題についてできるだけ早期に結論を得るように努力してまいりたいと、そう考えておる次第なのでございます。
  63. 松尾官平

    ○松尾官平君 まあ段々の経過は十分知っておりますけれども、今私が順を追って御質問申し上げましたように、もう運輸大臣は受理しておられる。これは認可が条件だ、前提だということをはっきりその際確認しているわけであります。  それから去年の選挙公約であります。北海道から九州まで新幹線が通って初めて新行革審も言う効率的な投資というものがなされるわけであります。新行革審もそのことを指摘しているではありませんか、効率的な投資をしなさいということを。なぜ盛岡から北海道は切れているんですか。九州は日本で、北海道は日本ではないんですか。国民の関係者の声はもうそこまで激高しているんですよ。しかも、国民にうそを言わない総理がこうして重点政策としてちゃんと発表しておられる。その選挙結果が前回青森県でどのように出たかも御承知のとおりであります。これをいつまでもほうっておくということになれば、これは最後は有終の美というわけにはまいりませんし、あなたの日本憲政史上における名前も最後に傷がつくかもしれない。ぜひひとつ総理の英断、いろいろな手順が必要なことはわかります。わかりますが、トップがやろうと言えばそれは片づくことだと私は思う。  JRの経営上の問題点を今聞くことになったそうでありますが、それを聞くときには、工事費は一切政府で、君らに迷惑をかけないからと言って運営上の意見だけ聞くのであればまだ話がわかりますよ。どういう聞き方をするかわかりませんけれども、妙な諮問を出したらこれ幸いとJRはそれなりの自分に都合のいいお答えだけ出してくるでしょう。やはり工事費その他一切国で持つ、運営は君らに保有機構を通じて貸し付けをする、これを明確にしてJRの意向を聞くようにしていただきたいと思います。  なおまた、この予算の関連を見ましても、昭和五十四年から今日まで毎年建設費を計上しているわけでしょう。使ったのは六十年の八千万と六十一年の十二億七千万、調査費は使っておりますが、これだけで、あとは全部不用額になっているわけであります。決算委員会としてもどうしてこういうことを指摘しないんだということを会計検査院に言いましたら、会計検査院の幹部は、会計検査院が青函トンネルの問題、新幹線の問題に調査を入れて意見を出すとすれば、松尾議員が願っていないような意見を出すかもしれませんよと言って私を脅迫したのがいる。それは会計検査院全体の意見ですか、院長の意見ですか、内部でそういう審議をしているんですか。最後にそれだけ聞いて私の質問を終わります。
  64. 辻敬一

    会計検査院長(辻敬一君) ただいま本院の職員の発言とおっしゃいましたものは、公式の場で申し上げたのではございません。恐らく本院の職員委員に御説明に伺いまして委員とお話を申し上げている際の発言についておっしゃっているものと存じます。私といたしましては本院の職員が今おっしゃいましたような発言をいたしたとは思わないのでございます。少なくとも職員の真意は御指摘のようなことではなかったと考えております。しかしながら、いずれにいたしましても結果として委員にそのような印象をお与えいたしましたとするならば、あるいは言葉が足りなかったというようなことがあったかもしれないと存じまして、そうでありますならば、この点につきまして遺憾に存じております。  なお、青函トンネルの投資効果につきましては私どもも大きな関心を持って見守っているところでございます。最近までの情勢の変化あるいは投資効果発現の程度、将来の見通しその他を考えましてどのようにこの問題に対処してまいるか、慎重に検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  65. 田代富士男

    田代富士男君 私は、最初に米国議会の保護主義の台頭と我が国の立場についてお尋ねをしたいと思います。  去る六月の十七日から三十日まで、参議院の五党代表によりまして経済摩擦の問題、安全保障の問題、外交の問題、軍縮の問題等で特定事項の調査に行ってまいりました。そのときに、アメリカにおいてあるいはカナダにおいていろいろ現地の声を聞いてまいりました。その声もあわせましてお尋ねをしたいと思います。当委員会のこちらにいらっしゃいます板垣先生も一緒に同行をしていただきましたが、板垣先生は党の事情で御質問はされません。私はその声を代表いたしまして質問してまいりたいと思う次第でございます。  六月の二十四日にワシントンに入りました折に、アメリカの上院での包括通商法案審議が大詰めに来ておりました。各委員会ごとの審議が終わりまして本会議に上程というところでございまして、二、三週間後には上院案を可決するのではないかというそういう見通しの話等を聞いたわけでございます。  同法案は、もう中曽根総理も御承知のとおりに、下院で可決済みの包括貿易法案と同様、日本などの貿易慣行に問題があるとの批判、それから報復措置の適用を強化する、こういうような保護主義的色彩が濃い内容となっておりますが、その背景にはドル安の進行にかかわらず、アメリカの貿易赤字が一向に改善されないことへのいら立ち等があったでありましょう。その結果を重視するアメリカ議会の気持ちのあらわれではないかということをいろいろ話を聞きながら感じた次第でございます。また、御承知のとおりに、アメリカでは十一月の中間選挙を控えております。我々も議員でございます。選挙の経験がありますから、議員の立場とするならば、議会における保護主義的傾向は今後さらに高まってくるということが予想されます。  また、これは昨年のことでございますが、英国国際問題研究所のジェームス・エバリー氏が東京で講演をしております。その講演の内容は、米国は、財政貿易赤字の拡大で近い将来強力な保護貿易政策をとることは必至であるとの観測を述べております。  これらの動きを総理はどのように受けとめて対処をしていかれるかという点が第一点でございます。  それから第二点は、商務省のローン次官補を訪問いたしたときの話の内容でございます。  四年前は最大の債権国でありましたアメリカが、八六年末にはその債務は、我々が今まで聞いた金額の中で最高の金額でございましたが、二千六百三十六億ドルとなっているということでございまして、びっくりした次第でございます。これはメキシコ、ブラジル等中南米の債務国の債務を合計した金額よりも多いくらいではないか、そういう数字でございますが、こういう事態を見るにつけ、聞くにつけ、パックス・アメリカーナが既に維持不能な状態に陥っているなということを率直に感じた次第でございます。  そういう立場から、人種複合国家として普遍的な文明、文化を創造し、かつ国際社会において今日まで政治、軍事、経済、通貨と多面的に果たしてきたアメリカの役割を単独で今後担っていける国家というものは、今後再びあらわれることはないのではなかろうか。この米国基軸の時代から主要国の協調と共同負担による秩序維持の時代へと向かっていくのではないかという、そういう感じを受けました。それだけに、米国に次ぐ経済力を持ちます我が国への負担増の要求というものが強まってくることは避けられないのではなかろうか。それと同時に、みずからの繁栄に陶酔し、膨大な黒字を背景に世界市場を席巻するだけでは、世界の敵意を招き、孤立するだけではなかろうか、こういう感じを深くした次第でございまして、今や、国際協調に当たっては、今後、基本原理と合理的ルールの確立と世界の中の日本のあり方を冷静に考え、位置づけるべきときが来ているのではなかろうかと思いますが、総理の見解をあわせてお聞かせいただきたいと思います。
  66. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私も、今、田代さんのお話を拝聴いたしまして同じ考えを共有しておるものでございます。  第一に、アメリカの立場というものが変化しつつあるという点も事実であるだろうと思いますし、債務国に変わりまして情勢がまた非常に変化しつつあるという点も我々はこれを見逃すわけにはまいりません。将来的な展望を行いながら、世界経済に影響を与えないように我々としては十分いろいろな措置考えていかなければならぬ、こう思っておりますし、債権国として黒字がこれだけたまっておる日本の責任、世界経済に対する責任というものも考えていかなければならぬ時代に入ってきている、そう思う次第でございます。  田代さんの見解と同じ見解を持っておるということを申し上げる次第です。
  67. 田代富士男

    田代富士男君 次に、緊急経済対策に関する問題でございます。  ワシントンで三日間、いろいろな人にお会いいたしました。そのときのことをありのまま申し上げますと、サミットの終わった直後でございまして、サミットにおいて一番活躍したのは中曽根総理であったという、こういう声が聞かれました。ありのまま申し上げておきます。  そういう立場からいろいろ話をしている中でマツナガ上院議員に、御存じの方だと思いますが、お会いした際、中曽根首相がベネチア・サミットで提案した五兆円に上る緊急経済対策によりまして米国内において、特に議会を抑える効果があったので、日本の議会の五党代表の皆さんたちでありますから、議会でも早く承認し、実行をしてくださいと反対に要望をされたのでございます。  昨年九月、御承知のとおりに内需拡大を目標に三兆六千億円の総合経済対策を打ち出されましたけれども、その具体的な裏づけとなります補正予算に計上された一般公共事業費は八千五百億円だけで、しかも、同年中、国庫支出金はわずか一千三百三十億円にすぎなかったこと、こういう経過もアメリカ側は知っております。  そういうところから、日本はやるやると口先ばかりで何もやってこなかったではないかという、こういう批判の声も強くありました。一部そのとおりと認めざるを得ないのではないかと思いますが、有言不実行という背信行為というものは、今回はサミットの場においてもこのようなものが提案されておりますから許されないと思いますし、臨時国会に臨む総理の決意というものをお聞かせいただきたいと思います。
  68. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) サミットに先立ちまして私は訪米いたしまして、党が決めた五兆円の内需振興策を申し上げてきました。また、二百億ドルに及ぶ国際資金還流政策も申し上げてまいりました。しかし、帰ってまいりまして、もっとこれは強化する必要があるというので、六兆円にこれをしていただいたわけでございまして、これらは誠実に実行をしていかなければならぬと思っております。  ベネチアにおきまするサミットにおきましても、我々はこういう計画を実行し、七月には臨時国会を開いていただいて、これは七月中に予算としても成立させて、直ちに資金が国に循環するように手当てをしたい、そういうことも申し上げてきて、私の政策として言ってきているところでございます。  そういう点からいたしましても、誠実にこれは実行してまいりたいと思いますし、議会の皆様方の御協力も仰ぎたいと思っておる次第であります。
  69. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、これは国内的な問題になるかと思いますが、この緊急経済対策における問題点が幾つかあるのではないかと思います。  その問題点を申し上げますと、一つは公共投資が大半土地代に使われ地価高騰に結びつかないか、また、まして特定企業だけをより潤すようなことにはならないかという、こういう心配な点がございまして、こうした点を国会において厳重にチェックしていくべきではないかと思うのでございます。  第二番目には住宅投資の問題でございます。この住宅投資こそが現在の日本における内需拡大の決め手ということが言えるのではないかと思います、この点についてはカナダにおいてもこのことを知っておりまして、カナダの材木等に対する関心というものが非常に強うございました。私もカナダにおいて申し上げたことは、材木は昨年カナダにおいて四カ月間のストがあったために十年前の値段に上がっております。本当に内需拡大を日本がやっていこうと思うならば、木材の安定供給、値段の安定というものが必要なんだという意見は申し述べてまいりました。  こういうようなことで、住宅投資というものは内需拡大の決め手になることは間違いないわけでございますが、今回の措置では、住宅では住宅金融公庫に対しまして貸付金利の引き下げと貸付限度額の引き上げによる、事業規模として七千億円を追加しただけでございまして、この要らざる制限や煩わしい提出書類など庶民のニーズに合わない、こういう言葉が適当であるかどうかわかりませんが、役所的発想を前提にこの金額というものが消化できるかどうかというものに一部危惧する面を持っております。私は、やる前からこういうことを言ってはなんでございますが、結果的には恐らく多額の使い残しを生む公算が強いのではないかと思いますが、こういう点に対する総理の見解をお聞きしたいと思います。  それと同時に、やはりこの緊急経済対策を成功さすには、何といっても所得税の減税等に対する配慮をやっていくのが当然のことではないかと思います。所得税減税は、もともと本年度予算では一兆八千億円程度が予定されております。さらに、マル優廃止など増税がセットされるというようなことが今論議されておりますが、こういうことになったら全く効果がないのではないかと思います。  この点は今度の臨時国会において論議される最大の問題点であると思いますから、これはきょうは論議を延ばすといたしまして、こういう遅過ぎた対策であるだけに、もっと実質的な大幅減税というものを考えられないだろうか、そういう意味からこの住宅減税というものを今持ち出しましたから、それで考えてみますと、歳出総額に占めます住宅関連全体の減税や免税額を欧米に比較してみましたところ、アメリカでは六・六%、西ドイツでは四・七%、これに対しまして日本はわずか一・六%にすぎないわけであります。  こういう立場から、これを欧米並みに引き上げる住宅減税というものを軸に減税を考えたらどうだ、ある経済評論家はこういう立場から、五兆円規模の大幅減税を実施するという、こういうことがこの対策を成功させ、それが即庶民の要望ではなかろうかと、これが庶民の望む緊急経済対策というものではなかろうかということでございます。サミットにおいても提案されましたことだし、世界の注目を集めるこの問題に対する総理の御見解をあわせてお聞かせいただきたいと思います。
  70. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 具体的な問題でございますので便宜私からお答え申し上げます。  公共投資がいわゆる土地代に多くなってしまってはせっかくの政府の施策が意味がないと言われますことは、まことに御指摘のとおりでございます。建設大臣初め実施官庁において、この点は十分に御注意を払っていただいておるものと存じております。  また、特定企業を利するようにならないように、これもごもっともなことでありまして、経済情勢を見まして、地域的に経済が落ち込んでおりますところへ十分に重点的に配分をすること等を含めましてただいまの御注意を十分留意をしてまいります。  住宅投資は、七千億住宅金融公庫への財投でございますが、これは十分公庫当局の意見も確かめまして財投をつけたわけでございまして、もし、いわゆる簡素化等々がさらに必要であればそれはどうしてもやっていただかなければなりませんが、公庫としては消化の自信があるというふうに聞いております。  最後に減税の問題でございますが、先ほど総理が御答弁をされましたように、衆議院の議長のごあっせんによる税制改革協議会においてこの問題は御検討中でございますので、その結果をしばらく見守ってまいりたいと存じております。  なお、住宅減税の問題は、確かに外国におきましてかなり我が国より大きな住宅関連の減税がございますけれども、結局、我が国の場合、我が国なりの住宅減税、さらにそれ以上の財源を一般の所得税の軽減に充てるべきか、あるいは住宅という特定なものの減税に充てるべきかという、結局選択の問題であろうと考えておりまして、私どもは現在程度の住宅減税に加えまして、財源は一般所得税の減税に充てる方が国民全体の利益になるのではないかというふうに判断をいたしております。
  71. 田代富士男

    田代富士男君 次に、ドルの問題についてお尋ねをしたいと思います。  ボストンへ参りましたときに、日系企業の代表の皆さん、またその他の地域でもお会いいたしましたが、ボストンでの話を申し上げますと、その懇談したところ、ドルは二、三年後は一ドル百二十円の時代が来る、我々は間違いなくそのように考えております、それからアメリカの中にも、百二十円はおろか百円というような声もありますけれども、そこまではなんですが、百二十円というのは覚悟しております、こういう生の話でございます。現在でも現地価格の値上げで切り抜けておるけれども、そのようになったときは製品が果たして売れるかどうか心配である、そのためには、それ以上円高が進まないよう、国内の市場を開放してもらいたい、こういう強い要望がございまして、総理がただいま同僚議員の質問において、サミットの宣言の中に為替の長期的安定とドル低落の阻止ということが言われましたけれども、現実にこのように受けとめ、対処しようとしている姿を見受けました。  そのときに半導体の問題等の話が出まして、御承知のとおりに産業の米であります半導体分野では、日本の優位というものを許すならば技術大国としてのアメリカの存在価値がなくなってしまうという焦りというものがあったでありましょう。富士通によるあのフェアチャイルドの問題、それから沖電おとり事件の問題等々起きまして、その直後に対日報復措置の決定という矢継ぎ早の措置となってあらわれたわけでございます。  こういうのを、カナダやアメリカで現実に関係者と、ボストンの郊外のNECの工場も行ってまいりました。そういうことを聞くにつけまして、二十一世紀を生き抜くため、アメリカは国連をかけてハイテク優位を守ろうとしているなという感じを受けました。今回のアメリカの報復措置というものは、アメリカの苦渋がにじんだものであるということを私は見逃せないなと思いまして、その対応を誤まるならば日米ともに厳しい冬の時代を迎えるのではなかろうかという、こういう感じを受けてまいった次第でございます。  それから、ブルッキングス研究所のトレザイス主任研究員と話をしました折に、その話の中で、ドルはもっと安くなるということは明確に返ってまいりました。私はこのことでつくづく感じたことは、かつては石炭文明のポンドの時代から、それから石油文明のドルの時代へと時代は移り変わってきた。そういう流れに立っていくならば、今申し上げました半導体をめぐる今回の報復措置がとられている、こういうことを考えますと、エレクトロニクス文明の円に対する米国側の牽制ではなかろうか、こういうような感じがしたわけでございまして、このような石炭文明のポンド、石油文明のドル、エレクトロニクス文明の円という立場から言いまして、ドルというものが百二十円また百円になった場合、果たして日本という立場がどうなっていくだろうかと。一面では日本の発展を喜び、一面では日本の危機というものを痛切に感じた次第でございますが、総理の率直な、こういう現場の声またアメリカの声というものにどういうふうに対応していかれるのかお聞かせいただきたいと思います。
  72. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 非常に参考になる御意見を拝聴いたしましたが、特に時代の推移を文明史論的にごらんになりまして、石炭のポンド、石油のドル、エレクトロニクスの円という仕分けをされたのを非常に興味深く伺ったところであります。  しかし、アメリカ経済は私はそれほど弱いものであるとは思っておりません。やはり彼らが持っておる基礎科学あるいは研究の培養力というようなものは大きなものがありますし、またあのアメリカ民族の精神というものを見ましても、やはり一たん緩急あれば立ち上がる民族、それはまだ烈々たるものがあると思っております。アメリカ議会におけるいろいろな議員さんの言動等を見ますと、非常なバイタリティーを持っているということがわかると思うのであります。日本がいつまでもそう強靱であり続けるかということも、これまた一つの課題であります。我々は、今田代委員がおっしゃったような御心配を同じうしておりますから、ここで国際経済に調和した日本経済の転換を行う。そして長期持続の体系に持っていこうと、今までのような体質のものからここで脱却しなければおっしゃったような心配が出てくる、そういう考えを持ちまして、いわゆる構造調整、いわゆる前川リポートというものを我々が採用した政策を今進めつつあるところでもございます。  そういうような点と、もう一つはやはり今後の産業や金融について、日米間の協調というものは世界を動かす大きなファクターに成長していくだろうと、今既にそうなっておりますが、さらに大きく成長していくだろうと思います。そういう面から日米間でよく話し合いをいたしまして、お互いが補完し合う、助け合う、そして世界経済を繁栄に持っていくという方途で努力し合うということが正しい、そういう協調体系を日本の、あるいは日米間の産業、金融関係にうまく築き上げていく、民間レベルにおいてあるいは政府レベルにおいて独禁法に抵触しないように。そのことがやはり非常に大事なことになってくるであろうと、そういうような我々の政策の展開によって、今おっしゃったような不安は解消することができると考えております。
  73. 田代富士男

    田代富士男君 時間があればもっとお聞きしたいんですが、質問の項目と時間とが押し迫っておりますから次に質問を移します。次にFSXと日米関係についてお尋ねをいたします。  六月の二十四日、ベーカー国務次官補代現代行と会いました。ワインバーガー米国防長官が日本へ訪問するということを、そのときにFSXの話を聞かされたわけなんです。その話を聞いているときに、我々五党代表のメンバーの受けとめ方は、アメリカの言うことを聞かなかったら日米関係に障害を来すというような、そういうニュアンスの話し方、受け取り方、受け取り方がそうであったかと言われればそれまでですけれども、そういうことがありましたから、我々一行からFSXがうまくいかないと日米関係は今後うまくいかないのかということをくぎを刺しました。それに対して、FSXで日米関係を壊したくはない。小さなことで大きなことを壊したくはないというような、そういうやりとりがあって帰ってきたわけでございます。こちらへ帰ってまいりましたら、六月二十八日にワインバーガー米国防長官が粟原防衛庁長官と会談をされまして、自衛隊の次期支援戦闘機FSX選定問題について、米国防総省から正式な提案として、米国主導の日米共同開発を検討するよう強く求められたという、そういうことをいろいろ帰ってきまして我々は聞くことができました。それに対して粟原防衛庁長官が日本の自主開発案に全く触れなかったことから、日本政府としては純粋な自主開発の考えはないことを示唆したものではないかという、これは新聞で見さしていただきました。そういう立場から、この自主開発案を出している日本のFSX民間合同研究会首脳も、最近日米共同開発を受け入れると譲歩の考え方を示しているやに承っておりますが、政府姿勢もこれに沿ったものであるのかどうなのか、これを確認したいし、また、共同開発という同じ言葉でも日米の案に大きな差があるようにも思いますけれども、この点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  74. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) ワインバーガー長官がお見えになりまして、FSXで話をいたしました。ある意味で非常に率直な話でございました。おっしゃるとおりアメリカは非常に戦闘機といいますか、航空機については優秀である。それにある種の改善を加える、また日本のテクノロジーというものを加えていくならば、価格の面でもあるいは性能の面でも非常にいいんじゃないかというお話がありました。私はそれは一つの御提案として承りますと申し上げたんです。それでいきますと言ったんじゃない。一つの御提案としてよく検討いたしてみましょう。私の方の基本的な考え方はいわゆる開発、これは共同開発まで含めますが、開発と、現有機の改良、それから外国機の導入、それで今選定作業を進めているわけであります。しかも、俗に言う栗原三原則ですね、客観的に、軍事的に、防衛的にすぐれておる、日米の安全保障ということを念頭においてやらにゃいかぬ、それからもう一つは、両国の防衛産業の圧力は受けない、こういうことでやっておりまして、今航空幕僚監部、それに技術本部というものの検討を加えてやっておりますが、大体これがまとまりかける、逐次報告が来ておりますので、今度は総合的に内局まで含めていろいろと検討していこうということでございまして、アメリカ側からそういう話があったのに対して日本側が何にも言わなかったのは、それはもう自主開発というものを捨てたんじゃないか、そういうようなところまでいっておりませんので触れなかったと、そういうことには触れなかった、今までどおりでございます、そういうことで検討しておりますということを申し上げたわけでございます。それが現状でございます。
  75. 田代富士男

    田代富士男君 訪米を要請されて、長官はその訪米をお受けになられたと、そういう報道記事を読みましたけれども、いつごろ行かれるのかお答えいただきたい。
  76. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) これは、この訪米要請というのがある意味において大変恐縮でございますけれども、防衛の問題について訪米を要請されたというよりも、むしろある意味においてはお互いに特別な用件はないけれども、会っていろいろと話をすると、そういうことに意義があるという意味の要請でございます。したがいまして、私再三にわたってその話がございましたから、せっかくの御招待でございますから国会の方の都合がついた段階で御返事をいたしましょうということになっておりますから、いつというわけにはまいらぬわけでございます。
  77. 田代富士男

    田代富士男君 今逐次防衛庁長官のところへいろいろな検討事項が集まっているということで御答弁がありましたが、そこでFSXの機種選定の問題についてお尋ねをいたしますが、この研究開発費を含め総額約一兆円ぐらいに上るビッグプロジェクトではないかと思いますし、過去においても理由が示されないまましばしば決着が図られまして、そのたびに国民の不信を買ったいきさつがございます。問題はそうした愚かなことをやめてもらいたいという国民の声にどうこたえるべきであるかという問題でございます。そのためには国民にわかりやすい機種選定のプロセスを示すべきではないかと私は思うのでございます。今、つまり私のところに集まってきているという、それはそれでよろしいですが、国民に示していただきたい。  またもう一つ指摘しておきたいことは、議論が機種選定に偏り過ぎてはいないかという問題でございます。このFSXには速度マッハ二以上、作戦行動半径も現在のF1を大幅に上回る。聞くところによれば八百キロ以上の能力が要求されているほか、対地攻撃能力に加えまして空対空ミサイルの拡充も図られるとされております。こういうことをここまで見できますと、見方によってはこの要撃戦闘機に匹敵する能力とも言えるのではないかと思うのでございますが、そういう意味から我が国にふさわしい防衛のあり方を十分論議する中で、支援戦闘機の役割が求められる能力などを明確にするのが先決ではないかと思うわけでございます。  公明党はこのFSXについても、そもそも日本にとって必要なのかという原点から論議しておりますが、その上で必要というならば、あくまで専守防衛に徹した機種を選ぶことが第一の条件ではないかと思うわけでございます。そういう立場から、FSXの決定は急ぐべきではない、国会を中心にあらゆる角度から十分に議論すべきではないかと思いますが、これは総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  78. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) FSXにつきましては、栗原三原則を私は支持しております。すなわち、やはり機能を中心にして考え、またコスト、費用というものとそれから効果というものをよく考える必要がある、それから第二番目は日米安保条約を有効に機能し得るということ、それから軍需産業の圧力を受けないと、この三原則を強く支持しておりまして、客観的にしかも広い視野に立ってこの問題を解決すると、そういう方針を支持しておるわけであります。防衛庁の専門家や防衛庁内部におけるこの問題の処理を私は見守っておると、こういうことでしばらくはまいるつもりでおります。  いずれにせよ、専守防衛の見地に立って日本の防衛力は構成さるべきでありますが、いろいろな機能の複合的な形成によって防衛力をつくり上げていくという点でFSXも大事であると、そう考えておる次第でございます。
  79. 田代富士男

    田代富士男君 次に、中曽根総理のINF配備論についてお尋ねをいたします。  同僚議員からも今さっき発言がございましたが、中曽根総理がベネチア・サミットの場で、ソ連のINFアジア配備に対抗する上で米国もアラスカに百発配備してはどうかとレーガン大統領に提案したというこの事実が浮かび上がってきたわけでございますが、世界で唯一の日本は被爆国であります。アメリカやソ連などに核兵器全廃を強く要求すべき日本の最高責任者でありますけれども、私は国民の声としてこういうことはあるまじき発言ではないかと思うわけでございます。かつそれは日本国民大多数の意見とかけ離れたものであり、我が国の基本路線を大きく逸脱していることは間違いないのではないかと、このように思っております。  現在ジュネーブで開催中のINF撤廃交渉は、レーガン大統領のダブル・ゼロ案受け入れによりまして一歩進展を見せておりますけれども、残された重要課題の一つにアジアのソ連残存核百発がございます。このことにつきましては、きのう、おとといといろいろ取りざたされまして、西側報道がされました。西側の条件つきでアジアのSS20撤去という、そういうことはないということはソ連が改めて否定しておりますが、今やりとりがなされている最中でございますが、去る六月の十九日に記者団の質問に中曽根総理は、ソ連の百発を消すにはこちら側も百発必要だ、レベルダウンの一要素としてやむを得ないと。また、けさの同僚の委員の質問にもこういう趣旨の御答弁をされておりますけれども、これはまことに言いにくい言葉でございますが、日本語で申すならば語るに落ちると言うべきではないかと私は言わざるを得ません。なぜなれば、アラスカに百発置けばアジア配備百発を許すというのでしょうか。日本はどこまでも全廃を主張すべきであります。百発、百発配備を目指すべきではないと思うわけなんです。ここらあたりは意見の食い違うところでありましょうけれども、やむを得ない場合などを勝手に想定をいたしまして、米ソ双方INF配備の固定化を米大統領に進言するなどという行動は、日本の国民が絶対に望まないし、アジア諸国民や世界世論が望まないのではないかと私はあえて申し上げる次第でございます。  我が国の歴代政権で核配備論を米国に進言したことはかってなかった。中曽根総理は一昨年十月の国連総会の席で、日本人は地球上で初めて広島、長崎の原爆の被害を受けた国民として、核兵器の廃絶を訴えてきたとして、米ソの指導者は廃棄せしむべき道を全人類に明示すべきと演説をされました。今回のアラスカ配備発言はこの立場を根底から覆すのではないかと思いますし、我が国はINFも戦術核も戦略核も地球上からの全廃を強く主張すべきではないかと思いますが、総理の御所見を伺いたいと思います。
  80. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は全廃を主張しておるのであります。したがって、シベリアの百ということも許さない、すなわち地球的にゼロである、アジアとヨーロッパが差別を受けてはならない、平等でなければならない、そういうことを言っておるので、それを実現するために、交渉の過程でありますから、今のような発言もそれに似た発言もした。さっき申し上げた発言であります。シベリアに百置きっぱなしで、そして、じゃアメリカの方は何にも、ゼロにしておいて、そういう状態が起きた場合にシベリアの百がなくなるかというと、それはなくならないという心配を非常に持っておる。やはりアメリカの方も考えることによってシベリアを同時になくしてしまう。つまり初めから置かない。つまりゼロを実現する。そういう意味の交渉の過程における一つの材料的発想としてそういうことを申し上げた。つまりゼロにするための一生懸命の努力の一つである、そういうふうにお考え願いたいと思うのであります。
  81. 田代富士男

    田代富士男君 これにも意見がありますが、時間がございませんから、次に質問を移します。  これは在外公館職員の待遇の問題でございます。今、私は、経済摩擦の問題やハイテク摩擦の問題、FSXの問題等々申し上げまして、緊張の高まる日米関係で一番大事なことは、調整役の先兵として重要な役割を果たしているのが在米の大使館、領事館の皆さんたちではないかと思います。ところが、その実態というものは世界各国の実情に比べまして甚だお寒い限りでございます。これはもう外務大臣も御存じのとおりに、ソ連は約四百人ぐらいおるそうでございます。カナダも三百人、フランスも三百人、主要国は三百人以上の人員を本国より派遣して精力的な活動を展開しているのに比べまして、我が国のこの日本からの大使館員は、資料をいただいたら八十九名、それから現地で採用したそういう人たちを入れましても二百名そこそこでございます。館員の苦労というものは大変なものではないかと思う次第でございます。  私も現地でいろいろ伺いましたら、アメリカ議会でもいろいろなこういう大事な法案が委員会あるいは本会議で審議されております。主要議会があるたびにそれをやはり掌握しなくちゃならない、館員を派遣しなくちゃならないけれども、全部の委員会等に派遣することが人が足らなくて派遣ができない。そういうときはどうしておりますかと尋ねたら、記者の皆さんから取材をして掌握をしているという実情というものを、審議の全体のフォローができない。こういう実情を聞きまして、日米関係は今までにないこういう危機状態を持っている。こういうときにちょっとした判断ミスというものは大変な事態になります。だから、もちろん国には国の規則というものがありますけれども、こういうときにはこれでよいのかということを考える必要があるのではないか。  行政改革は当然配慮しなくちゃならないけれども、日本が置かれた、今さっき私が申し上げました世界の日本という立場で言うならば、経済外交などの重大局面を考えるときに、この在外大使館の補強というものを私は真剣に考えなくちゃならないのではなかろうか、このようにこれは切実に考えます。だから松永大使にも尋ねましたら、多くは要りません、あと三割ないし四割あるならばそれだけの仕事はできるし、それだけの仕事をしてみせますと、そういうような苦渋に満ちた、これは懇談の中からの話でございまして、これはこのまま看過できない問題ではないかと私は思う次第でございます。  それと同時に、大使館員の待遇でございますが、一昨年以来の円高の影響を受けまして、在勤基本手当が最近三回にわたりまして減額されております。そうしますとこれは従来より五〇%ダウンしているというのが実情でございます。本年四月からは配偶者手当が五〇%解決されているという、こういう状況でございまして、現地へ赴任するときには、アメリカにおきましては自動車は不可欠でございまして、例えば家族持ちであるならば職場と家庭にそれぞれ一台ずつ車を持たなければならない。その購入価格は高く、その他に家具や住宅の維持費、医療費は高い。だから一人百万から三百万円ぐらいの在外貸付金を利用しなくちゃやっていけない。こういうようなときに、円高のために三回にわたって調整されるけれども、円で借金をしてきている、現場ではそれを調整された、この差益の分は全部赴任している館員にかかるわけなんです。これも昨日外務省で調べましたら規則がありまして、円高のときにはこういう調整をするという規則になっているけれども、少なくともぜいたくを許すという意味ではありませんけれども、もうちょっとやりがいのあるような、希望を与えるようなやり方を与えてあげたらどうかと思う次第でございます。この実態は宮澤大蔵大臣がアメリカへ行かれたときにもお聞きになられたというようなことも聞いております。賢明なる大臣がお聞きになった以上は手を打ってくださると私は信じておりますと、このように言ってまいりましたけれども、この待遇改善の問題についてもこれ何とかしてあげなくちゃならないと思いますが、この二点の問題についてお答えいただきたいと思います。
  82. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 田代委員から大変温かい外交活動に対する御理解と、またきめ細かい内容についての御質問をちょうだいいたしまして、外交の衝に当たる外務大臣として厚くお礼を申し上げる次第でございます。  外務省は毎年の予算要求で定員の拡充を最重点事項として重視をいたしておりまして、在外公館の定員についても六十二年度には六十二人の純増を獲得いたしておるわけでございまして、特に財政事情の厳しい中にもかかわらず特別な御配慮を大蔵省関係当局からちょうだいしていることは事実でございます。ただ、今先生お話しのように、アメリカに例をとって申しますと、過去四カ年、五十八年から六十二年の四カ年の間で在米大使館の増加が七名でございます。四年間で七名、八十三人が九十人になったということでございますから、御承知のとおり、その他の地域のことは時間の関係上省略いたしますけれども、本当に一名でも二名でも欲しいというのが実感でございます。したがって、こういう厳しい財政状況の中でございますから、大変これは難しいことと思うわけでございますけれども、今後とも、ここにも総理、大蔵大臣御列席でございますから、また議会の皆様方にもお願いいたしまして、定員の増加に努めたいと思います。しかし、我々は与えられた条件の中で全力を尽くして日本の国益を守るために頑張りたいと思っておる次第でございます。  なお、本省の定員につきまして申しましても、大体アメリカの五分の一、それからイギリスの三分の一ということでございますし、また現地におきましても大体フランスの二分の一というようなことでございますから、やはり全体としてどうも一割国家になった日本としては在外公館、本省の定員は少ないという感じでございますので、この上も努力いたしたいと思います。  なお、今御指摘の外勤基本手当の円ベースでの問題で、どうも在外職員が困っているんじゃないかという点につきましては、これは円ベースの減額及び配偶者手当の支給率の変更は、それぞれ、最近の円高及び生計費調査の結果に基づく措置でございまして、いずれも現地での受取額の実質価値を減ずることのないよう配慮いたしておる次第でございます。いずれにいたしましても、今後とも我が国外交の第一線で働く在外職員の給与改善については、十分に意を用いてまいりたいと思っておる次第でございます。  なおこの機会に、やはり現地の方がいろいろあっちこっちへ行って活動したいと思いましても旅費がないとかあるいは通信費がないとかいう問題を、私も世界じゅう回りましていろいろ見たり聞いたりいたしておりますので、これらの点は、厳しい財政事情のもとでございますけれども、大蔵当局にもお願いして最善の努力をいたしたいと思うわけでございまして、御激励をいただきまして厚くお礼を申し上げる次第でございます。
  83. 田代富士男

    田代富士男君 もう時間が参りまして、四全総の問題で準備していただきましたけれども、質問を割愛させていただきます。  それから、在外公館の問題をよろしくお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  84. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 マル優問題で総理にお尋ねをします。  売上税とともに、マル優廃止はさきの国会国民世論の前に廃案となりました。これは昨年の衆参同時選挙での総理の各地での公約に照らしても当然のことであります。主権者である国民をだまして強行しようとする政治は絶対に許されない、必ず破綻をするんだということが天下に示されたわけであります。にもかかわらず、国会が廃案を決めて半月もたたぬ間に、またもやサミットでマル優廃止の約束を行ってきたと言われております。国際公約として国会を拘束するものでないことはもちろんでありますが、こういう総理の態度というのはまさに二重三重に国民国会をペテンにかけるやり方の繰り返しじゃないかと思うんでありますが、どうですか。
  85. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先ほども申し上げましたように、衆議院の税制改革協議会の推移を見守っておるところであります。
  86. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私がお尋ねしているのは、サミットでのあの国際公約とも言われるような発言、あれは国民国会をもう二重三重にペテンにかけるやり方じゃないか、どう思っておるかということです。
  87. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) あれは願望の表明でございまして、来国会におきまする処理につきましては、ただいま申し上げたとおりであります。
  88. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そうであれば、約束をしたというほどのものでもないと、願望をあらわしたにすぎないんだということであれば、しからば問題を明白にするために、臨時国会へはマル優廃止法案の提出はしないと、これは去年の選挙での公約に照らしても当然のこととして、そういう法案の提出はしないときっぱりと約束をすべきではありませんか。
  89. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 税制改革協議会の推移を見守っておると、先ほど申し上げたとおりであります。
  90. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 推移を見守るということは、言葉を変えれば、あわよくばマル優廃止法案の再提出をやりたいと、あるいは売上税と名前は変わっても新しい大型間接税の再提出をやりたいというのが本心だということですか。
  91. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 税制改革協議会の推移を見守っておると申し上げたとおりであります。
  92. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 同じことを繰り返しているだけじゃありませんか。しかし、そんなことを言ったって、言い逃れのできない証拠があるんです。今伝えられておる補正予算案の内容、どうですか。売上税とマル優廃止を歳入にちゃんと組み込んだ形で補正予算を出そうということで、既に大蔵省は作業を着々と進めているでしょう。あなたの言うようなことであれば、当然こういう歳入措置、これは削除をすべきものでありますが、本当に国民国会の意思を尊重するということではそういう態度をとるべきではないかということで、私は断じてこういう態度というのは認めることができません。今申し上げた売上税とマル優廃止に相当をする補正予算における歳入措置、こういうものはきっぱりと削除をするということでやってもらう必要があると思いますけれども、総理と大蔵大臣、御両人の答弁を求めます。
  93. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そのお話でございましたら、衆議院の議長のあっせんという公の出来事によりまして各党の間で税制改革協議会が開かれて、今後の税制改革をどうすべきかということを御検討中であるという事実を考えますと、ただいまおっしゃいましたような措置を仮にいたしますと、現行の税制が全部復活するかということにならざるを得ませんで、そのことはこれから税制改革協議会が検討して結論をお出しになるという状況から考えますと、穏当なことでないように思われます。したがいまして、協議会の結論の推移を見て今の点は決めるべきであろうというのが私どもの考えでございます。
  94. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 総理
  95. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大蔵大臣が答弁したとおりですが、減税をやりたいと、こうも前から言っておるとおりで、これも税制に関係することで、これもやってはいかぬということで果たしていいのだろうかという感じもいたします。要するに、税制改革協議会を見守っておる、そういう結論であります。
  96. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 減税をやるべきだというこの問題は、つとに我が党は主張をしてきたところでありまして、その財源としては例えば軍事費を削るとか、あるいは大企業に対する優遇税制を改めるとか、そういう具体策も付して、早くからこの提案をしてきた問題でありますけれども、減税を理由に、多少名前は変わるかもしれないけれども、大型間接税の導入とかマル優廃止、これが必要だからというような考え方を前提にしてこの補正予算を組んでくるということは、まことに不当じゃありませんか。何よりも当面の焦点になっておりますこのマル優の廃止、これこそはきっぱりと補正予算から削ると、まず当然政府として率先してやるべきじゃありませんか。再度、総理大臣の答弁を求めます。
  97. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そうではございませんで、私は事実の誤認があると思いますが、もしそういうことをいたしますと、現行税制に全部歳入面は返れという御主張になるんだろうと思いますが、それはしかし今税制協議会が話をしていらっしゃるその推移を見守ろうというのがやはり政府としては穏当な立場であろう、こういうふうに考えておるわけです。
  98. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 総理、御答弁
  99. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大蔵大臣のとおりです。
  100. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 もう答弁をなさるたびに税制改革協議会云々とおっしゃいますけれども、この税改協なるものには私ども日本共産党は加わっていません。国会の正規の協議機関だということではないと思うのです。あの議長あっせんが出ましたときに、原衆議院議長は共産党も加わってもらって協議をしていこうという、そういうあっせんの内容であったんですけれども、その後の事態は今申し上げたような姿になっている。だから、その結果によってどうこうという、そういう問題でもないし、いわんや、その中でできればマル優廃止をやっていきたいし、あるいは名前を変えた大型間接税の導入をやるんだと、こういう態度は断じて認めることができない。繰り返して、補正予算から、こうしたことが前提になっておる歳入措置はきっぱりと削除をすべきだということを強調しておきます。  次に、アラスカに対する、同じくサミットでのINF配備発言、これについてお尋ねをしますけれども、あなたはレーガン大統領に対して、ソ連への対抗措置としてINF百発のアラスカ配備を進言をいたしました。先ほど以来の同僚委員との応答の中で、アジア・ゼロを実現をしていくステップとしてのああいう提言をしたんだというようなことの理由づけをされておるようでありますけれども、しかし、これはどんな言い方をしようとも、レーガンの代弁者として、結果としては核軍縮どころか、むしろ核軍拡、この方向に事は進んでいくという、その旗振り役をしたんだということは紛れもないと思うわけであります。まさしく世界でただ一つの被爆国の総理大臣として、核軍拡を積極的に推進をする結果になるような、そういう発言ということは、もうこれはあるまじき発言だということで、この発言は直ちに撤回をしてもらいたいと思います。総理、どうですか。
  101. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはりSS20、長距離INFに関しまして、これをアジア・ゼロを実現すると、そういう目的のために一つの材料として考えて言ったということであります。
  102. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 どのような理由を繰り返されようとも、それは今の情勢と事柄の筋道、道理に合わないというふうに思うんです。これは最近の内外の報道によっても、最近の情勢は、アジアを含めてINF全廃の米ソ交渉も進みつつあるという、こういう時代になっている。このときに、結果としてむしろINFを拡大をするような、これを進言するという発言というのはどうなのかという問題。  それからまた、この六月の二十三日、当院の加藤武徳議員を団長といたしまして参議院の調査団が出ていますが、この調査団が六月の二十三日にエメリー米軍備管理軍縮局副局長、この方と会談をして、その際にエメリー氏は、米国としてINFのアラスカ配備の考えは一切持っていないというふうに言っているんです。アメリカがそう言っているときに、何をわざわざ日本の側から、唯一の被爆国の日本の首相がそういうことをわざわざ言うのか、これはもう全くピエロ的な核軍拡のけしかけだというふうに言わざるを得ないと思うんです。  総理が本当にもし発言をするとすれば、アジア・太平洋全域からすべての核をなくそうじゃないかと、直ちに。このことを積極的に提案をすることこそが被爆国の首相としての最も務めじゃないかと思うんですが、どうですか。
  103. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先ほど来申し上げておりますように、アジアもゼロにしなければいかぬと、そしてグローバル・ゼロと、アジアとヨーロッパが差別があってはならぬと、それがもう私の基本でありまして、それを実現する一つの方法として交渉の過程における、そういう一つのアイデアというものを私は申したのでありまして、私はそういうようなものが効いてきているから、ソ連もアジアからもう百というのはやめようという機運が出てきているんじゃないかと思います。確かめたわけじゃありませんが、今交渉の最中であるんですから、それをゼロにするというための努力はあらゆる手段を使ってゼロにする努力をすべきであると、そう私は考えておる。今までの軍縮のパターンでは同じカテゴリーの兵器について減らしていくと、パリティーをもっていくと、そういうことでやっておるわけですから、ソ連がアジアの百をやめてくれればすべてゼロになるわけです。ソ連がアジア百を置こうということを固執していれば、日本にとっては非常に迷惑なことにもなるわけであります。だから、百マイナス百はゼロになる。数学でこういうジュネーブにおける軍縮方式の一つのパターンにそういうものもあるんだということを申し上げる次第です。
  104. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 また世界と国民をだますような、そういう論法を言ったらだめですよ。ソ連が現在百でアメリカはゼロじゃないでしょう。アメリカが現にアジア・太平洋地域にたくさんの核を配備してるんじゃないですか。だから今大事なことは、アジア・太平洋地域からすべての核をすべての国がなくそうじゃないかと、この提唱をすることが一番大事じゃありませんか。さっき私引用いたしました加藤議員を団長とするそういうやりとりがあったということはお聞きになってますか、なってないんでしょう。虚心にもう一遍立ち返って、本当に今被爆国の首相として行動をするとすれば何が大事か、私が言ったことを真剣に検討してもらいたい、どうでしょう。
  105. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) あなたは今ジュネーブにおいて行われ、あるいは米ソにおいて行われている軍縮の実態を全然御存じない、またパターンも御存じない。先ほど申し上げたように、同じカテゴリーのもの同士でレベルダウンあるいはゼロの交渉が行われておる。SS20に対しては、これはクルージングミサイルとパーシングⅡですね。そういう同じカテゴリーで話が行われているので、韓国にあるとか日本にあるとかソ連の連中が言っているようなそういうようなものが対象になるべきではないんです。SS20に対してはパーシングⅡとかクルージングミサイルという、ちゃんと話でついているわけであります。そういう過程において考えてみた場合に可能な方法を考えるのが我々の努力で、いかにしてゼロにするかという努力をしておるのであります。
  106. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 もうこれ以上続けても繰り返しになりますから、近く臨時国会も言われておるようでありますから、そこで引き続き論争することにしておきましょう。  次の問題、大学入試制度の問題について、これも総理を中心にお尋ねします。  総理は臨教審を設置するに当たって受験地獄の解消、入学試験制度の改革国民に訴えてきましたけれども、事態は成功してません。毎年のように入試方式が変わって、ことしも大変大揺れに揺れたということはもう御承知のところでありますけれども、今日の事態を招いたそもそもの発端、それは総理が直接国立大学協会に乗り込んで改革を迫って、その改革が余りに性急に過ぎたというこのことについて総理多少は反省なさってるでしょうか。総理が言うたことだから。あなたかわりに反省しておるんですか。
  107. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いや、その前にちょっと。大学の入試は私のところの関係ですから、ちょっと話を聞きなさい。  あなた先ほどいろいろな混乱が起こったということ、それは数字の上でいろいろ私は検討して意見を言う人私はあると思うんです。しかし私はずっと高校生、受験生等に聞いてまいりましたら、複数制になったということを非常に歓迎しております。そしてチャンスはやっぱりふえたということについて歓迎しております。そういう点をやっぱり基本に置いて、例えば足切りが十万人だったと言いますけれども、実際は三万一千人なんです。そういう実態を見まして、その上で数字をきちっともう一度精査し、新しい改善への道を開いていくというのがこれから我々のとるべき方策であって、方式としては私はこの複数受験の方式は間違いではなかったと、こう思っておりまして、文部省としては大学が複数制の入試制度をとるということに対しまして、私たちは賛成し、それでまたできるだけの援助をしようと、こういうことでございます。
  108. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 文部大臣から経過の説明のようなことありましたけれども、私が尋ねているのは、総理が問題の発端であったと、しかし事はちっとも成功していないし混乱に混乱が続いていると、総理は多少の反省はありますかということで中曽根総理に尋ねているんです。お答えください。
  109. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一歩前進したと思っています。
  110. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 だから、そういうお気持ちであるとますますこれからが不安だ。本来大学入試の決定権は学校教育法の定めるところで大学側にありますね。ところで当初の新テスト、これを昭和六十四年度から実施をするというふうに決めたのはどこで決めたんでしょうか。
  111. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 当初文部省並びに大学入試改革協議会等で相談をいたしまして、まあ六十四年を一つのめどにということで作業を始めました。しかし六十一年度から……。
  112. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いや、それをどこで決めたのかと、どういう機関で決めたのかということです。
  113. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは関係者が集まりまして決めたのでございまして、特定の機関でこれを決めるという前に、それぞれ文部省と大学入試改革協議会とそれから大学関係者等いろいろ話し合って、一応の目標として六十四年をめどにしようということになったということでございまして、まだその状態を正確に見ます場合に、六十四年度では若干無理が起こるんではないかということで、六十五年度実施ということに正式に決めたということであります。
  114. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私が尋ねておるどこで決めたかというこの問題については、大学関係者の意見を聞いたというふうにおっしゃるけれども、十分に聞かないまま教育改革推進閣僚会議、すなわち閣議で決めたんです、強引に、六十四年度から実施すると。だから六十四年度と決まりながら本当にそれが実施できるような体制が十分に進まないということで、今文部大臣も後半で触れられたように六十五年度から新テストを実施をするのだというふうに延期決定をせざるを得なかった。この六十五年度からの一年延期決定をやったというのも、これも文部大臣の私的諮問機関であります大学入試改革協議会、これが昨年に決めたわけでありますけれども、そして文部大臣が総理と相談をして最終結論を出したということで、この大学入試改革協議会なるものの構成ですけれども、ここには国立大学協会の代表は入っていません、まあそれは多少の大学の学長は入っています。しかしメンバーの中の過半数は大学と直接関係のない人たちによって占められています。こんなところで決めたって、一体それぞれの大学がどういう体制になるかと、この新テスト方式というのがうまくいくかということについて見定めた、そんな議論がやれる力があるはずないんです。ですから六十五年に延期決定をしたというんですけれども、本当にこれでうまくいくかという保証はないでしょう。しかも来年はどういう年ですか。六十四年の入試をどうするかということをひとつ決めなきゃならぬでしょう、それと同時に、六十五年から新方式、新テストを実施するに当たっての予告をやらなくちゃならぬ年だ。二つの問題が一緒にわっと出てくるんです。ことしだってあれだけ新聞にもいろいろ反映されたように、受験生、皆さんがいろいろ述べておるじゃないですか、いろいろ問題になってきていると。そういう時期に来年は六十四年度の入試のあり方を決めなくちゃならぬし、六十五年度からの新テストの予告が出るということで、それこそ受験生にとっては大変な混乱が起こってくると思う。  ですから、ここで今度こそひとつ総理、あなたに答弁を求めたいんです。  今日までのこういう経過の上に立って、ひとつこの問題を白紙に返す、そうして本当に大学関係者の、大学の当事者の意見をよくくみ上げて、それをもとにしてよく議論をして新しい大学入試制度のあり方をどうするかということを決めるという、原点に立ち返ってもらう必要がある。そうしないと、何遍も何遍も決定の手直しばっかりで、結局被害を受けるのは受験生とその親たち。現に、そういう立場で国立大学協会からも私立大学連盟からも、ひとつ自主性の尊重という表現ですけれどもね、大学側の意思をよく尊重してもらいたい、こういう要望が出ているでしょう。中曽根総理、ぜひ考えてもらわなくちゃならぬ瞬間です。総理答弁を求めます。
  115. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一歩前進したと申し上げたとおり、複数の機会を与え、チャンスをふやしていくということは受験生が非常に歓迎しておるところで、そういう点ではこれは後退さすべきでないと私考えております。しかし、マイナスの面もなきにしもあらずで、そういう点は直していく必要はあろう、そういう意味で、あなたの考えと違います。
  116. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 最近、外国の圧力なんかもありまして、物、財貨であるとか金融であるとか、そういった方面の門戸開放は進んでまいりました。国際化が進んできた。それなりの努力政府としてもやられてきた、その点は評価するに異存ありませんけれども、しかし、それに伴って心の国際化がおくれているんではないかということを感ずるわけであります。  心の国際化と申しますのは、つまり物の見方、社会問題なんかを見る場合のそういった物の見方が国際的に通用しないような見方をしていたり、あるいは時代おくれな見方なんかをしていますと、日本の憲法の前文に言ってあるような、国際社会において名誉ある地位を占めることはできないというふうに感じております。その心の国際化、いろんな面がありますけれども、きょうは問題を絞りまして、一つだけ、人種問題についての日本人の物の見方が非常におくれている点があると思いますので、それを取り上げたいと思います。  最近、貿易摩擦なんかがありまして、先ほど来いろいろありましたように、日本たたきと言われる現象がいろいろ新聞に報道され、そのせいで、それに対する反発としてでありましょうけれども、日本は何も悪いことをしていないのに日本がたたかれるのは、これは人種的な偏見から来ているんであるとか、あるいはさらに甚だしい場合には、日本が四面楚歌になるのはユダヤ人の国際資本の陰謀によるんだと、そういったふうな本あるいは論文なんかが見られるようになりました。いろいろ評判になりましたので私も店頭に行っていろいろ見てきたんですけれども、確かにユダヤ人に関する本なんかがたくさん出ております。その中の一冊を持ってまいりました。「ユダヤが解ると世界が見えてくる」この本は、昨年の四月に初版が出たんですけれども、ことしの四月、一年の間に、この本に書いてあることが本当だとしますならば九十一版出ております、伝えられるところによると五、六十万部売れているという話ですけれども。これを読みますと、ユダヤの国際資本がいろんな陰謀をめぐらせて日本を孤立化させようとしている。例えば、例を挙げますと、田中元首相のロッキード事件というのも、これもユダヤの陰謀であるし、NTTを民営化したのも、これもユダヤの陰謀から、つまり乗っ取るための陰謀からである。もし事実であれば、中曽根内閣はその端をかついだことになるわけですけれども。あるいは、さらに甚だしいのは、松田聖子の結婚式、これを十時間にわたって各民放が放送したんですけれども、これは日本人の総白痴化をねらうためのやはりユダヤの陰謀だそうであります。ユダヤ人の議定書、ユダヤのプロトコールの中に、いかに愚民化していくかということが書いてあるんで、それと結びつけて解説してあるんですけれども、こういった、何か悪いことがあるとそれを一つの原因に結びつけて、ある集団の陰謀によるんだと、例えば、何か悪いことが起こるとマルクス・レーニン主義者はこれは国家独占資本の陰謀であるとか、あるいはまた逆に右翼の人たちで、何か悪いことが起こるとこれは共産主義者の陰謀によるんだとか、そういった何か一つのことにすべての原因を求めるというやり方は、歴史上陰謀理論と言われているんですけれども、最もプリミティブな、また時代に合わない間違った歴史論であると思います。  こういったふうな本がたくさん売れるということは、私はやはり、日本人の知的水準がいかに低いかということをあらわしているんじゃないか。確かに学童たちが、数学の能力でありますとか、あるいは地理の地名なんかをよく知っている、そういう知識の点では日本人の知的水準は高いかもしれません。しかし、国際社会においていかに身を処していったらいいか、いかに人種なんかの違っている人たちと対等につき合っていったらいいか、そういうふうなウイズダムという点については、私は日本人はあえて十二歳とまでは言いませんけれども、非常に劣っているんではないか。したがいまして、私はやはり、別に政府が言論に干渉するというふうなことを言っているわけじゃ全然ないんで、その点は誤解しないようにしていただきたいと思いますけれども、そういった人種問題に対してやはり正しい理解をする、そういった啓蒙活動を政府としてはやるべきではないか。男女均等雇用なんかについての啓蒙活動、これは随分やっておられますし、私も評価しております。しかし、人種問題についての啓蒙活動は、私が見た限りにおいてはほとんどなされていないと思うんですけれども、政府としてそういうことをやるべきじゃないかということを感ずるんですけれどもいかがでしょうか。
  117. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 人種的偏見というものを去るということは、憲法上も我々やるべきことであると思いまして、いい方法があれば積極的にどんどんやるべきであると思います。
  118. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 総理府なんかにおいてもこういったふうな啓蒙宣伝をやっていただきたいし、また、教育の場においてもそういったことを配慮していくべきであり、今後ますます国際的な交流が広まっていって、日本の企業が外国で人を雇う、アメリカあたりで人を雇う、あるいは外国からいろんな人が入ってくる、人種の違う人たちが入ってくる、そういうときに不必要な摩擦を起こさない、そのことが日本の孤立化を避ける上において非常に大事なことであると思います。  それに関連しまして、人種差別を禁ずる国際条約が三つほどある。日本がまだ批准してない条約、署名はしてますけれども批准してない条約が三つほどございます。  一つは、国連で一九六五年に採択されました差別禁止諸条約というのがございます。これは、人種的な優越または憎悪に基づく思想のあらゆる流布、そういったところ、団体に金を出すことはもちろん、そういったふうな思想の流布をするような行為も法的に罰すべきもの、パニッシャブルなものと規定しております。この条約はこれは言諭の自由に関する問題であります。したがって、私は、日本は無条件には批准すべきでない、そういう点に留保条件をつけるなり何なりしてであれば別ですけれども。これはたとえいかに日本が非難されても、日本は言論の自由はあくまで守るんだと、そういう点からこのままでは批准すべきではないと思います。  国際条約の中にもいろんな国際条約がありまして、何でこんな国際条約ができたんだろうと。一時の公債に駆られて多数決をもって無理やりにつくり上げたような条約もありますので、私は国際条約全部批准しろなんてことは言っておりません。  しかし、それ以外に人種差別に関する問題でも、例えばILOの百十一号条約、雇用及び職業についての差別待遇に関する条約、これは人種だけではございません。性別であるとか出身であるとか宗教であるとか、そういったふうな差別待遇を禁じているんですけれども、これは日本はまだ批准しておりません。  それから、ユネスコの教育上の差別待遇防止に関する条約、これも教育における人種なんかに基づく差別待遇を禁止しているんですけれども、まだ批准しておりません。  この二つの条約を批准してないのは、関係者の話によりますと、もとになる国連の条約を批准しないから批准してないということだそうですけれども、しかし、こちらの後の二つ、ILOの条約とユネスコの条約、これは何も言論の自由に関するところは全然ないんでありまして、前の条約と全く切り離してこれは批准して差し支えないと思う。こういう条約を批准しないでおくということは、例えば我々がうっかり失言をしましたときに、日本人は単一民族であるから知的水準が高いんだというふうなことを失言しましたときに、痛くない腹を探られる。日本人はやっぱり人種的な偏見を持っているからこういう条約にも批准しないんだ、こういう条約に批准してないことが示すとおり、日本人は人種的な偏見を持っているんだ、そういう痛くない腹を探られることになると思うんです。こういう批准について、十分総理、きょう初めてで条約の内容、十分お読みになってないと思いますけれども、関係者に対してそういう批准を督促するように指示されるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  119. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御趣旨はよくわかりますが、恐らく国内法との整合性等々のいろんな問題があってまだ批准してないんではないかと思います。そういうような点につきましてはよく検討さしてみたいと思います。
  120. 抜山映子

    ○抜山映子君 日本の繁栄を評して、かごの鳥だと評した外国の方がおられました。まこと日本は外国から食糧、石油を入れて繁栄している現状でございます。したがいまして、日本の平和の道につきまして、日本の国内だけで軍事費を削減したらどう、軍事費を増大したらどうと、こういう議論もございますけれども、よりグローバルに平和を達成することを考えなければいけない時期に来ておると思います。ですから、軍事よりも外交、そして経済交流というものにもっと重点を置いていくべき時期に来ておると思います。  そこで総理にお伺いいたしますが、ベネチア・サミットでもペルシャ湾の安全航行の問題が出ておりますが、総理のお考えとして、日本はこの点についてどのように協力していくかということを構想にお持ちかお伺いしたいと思います。
  121. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本は、ホルムズ海峡を通ってくる油、日本の国内で使っておるものの五五%はあそこを通ってくる、最大の受益国の一つであります。  そういう意味において、ペルシャ湾の安全航行及び湾岸地帯の平和というものについては非常に関心を持っておる国であり、また我々は当然平和維持、安全航行の確保のためには貢献しなければならぬ立場にあると思っております。  今ペルシャ湾の内部に起きているいろんな情勢を見ますと、基本的にはイラン・イラク戦争を早くやめさせる、これがもう基本的でありまして、その点について今全力を尽くしておるところであります。倉成外務大臣をイランに派遣しましたのもその努力の一つであります。  それで、国際的にどういうことが今後行われるか、平和や安全航行の確保のための仕事で日本が役立つものがあり、かつそれが憲法や国内法に適合したものであるならば我々としてもこれは検討すべき立場にある。そう考えて、どういうものが出てくるか見守っておるというところであります。
  122. 抜山映子

    ○抜山映子君 日米がお互いに基軸となって相協力していくことは非常に大切なこととは思いますけれども、対ソの関係におきまして、米国はソ連と距離的にも離れておりますし、何を言ってもそれほどいろんな意味で響きませんが、日本は地理的に隣国であるということもあって、おのずから米国がソ連に対するスタンスと日本がソ連に対するスタンスとは違わなければいけないのではないかと、このように思うのでございますが、総理の御意見はいかがでしょうか。
  123. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国おのおの国情があり、憲法があり、おのおの違うのは当然のことであり、日本は日本独自の立場をとっておるわけであります。  しかし、平和を維持するために、共同行為をして平和維持のために役立つという面においては、憲法の許す範囲内においてそういう積極的努力も行うべきであり、これは国連を中心にした努力、あるいは二国間の努力、さまざまな対応があり得ると思うのであります。
  124. 抜山映子

    ○抜山映子君 新聞報道で見ましたけれども、文化協定がソ連との間に結ばれて、歌舞伎の公演が、過ぐる五月から六月にかけて日本の歌舞伎がソ連で公演され、非常に聴衆の感激を呼んだ、こういうこともかなり効果的に相互の不信を低くするというようなことで役立っていくと思うので、こういう面についても大いにこれから総理としても心がけていただきたい、このように思うのでございます。  そこで外務省にお伺いしたいのでございますけれども、過ぐる数年前でございますが外務委員会で日本が被爆国としてその被爆の恐ろしさをもっと世界にPRする必要があるのではないかということを申し上げましたところ、日本外務省では「ザ・ジャパン・オブ・ツデー」という本を各外国に配付していると。それには原爆についての記載もある、こういうようなことでございましたが実際に取り寄せて中を読みましたところ、原爆についての記載はわずか一行、二行にわたるものでございまして、長崎、広島の原爆の被害を含めて日本は、戦争の悲惨さを経験しておる日本としてはその平和を希求しているところであるという趣旨の非常に短い一文があるだけでございます。  私は平和運動というものはヒステリックなデモンストレーションよりも、事実をそのまま開示するということによって共感を呼ぶ部分が非常に多い、そういう意味におきましてこの小冊子の中にもっと原爆についての被害を取り入れて紹介することが妥当と思いますが外務大臣いかがでしょうか。
  125. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) ただいまの資料の点につきましては、私どももさらに先生の御趣旨を踏まえまして検討させていただきたいと思いますが、政府といたしましてはここに宮澤大蔵大臣もいらっしゃいますが広島の御出身、私も長崎の出身でございます。広島、長崎における被爆の実情を客観的に世界に知らせることの意義を認めまして、国連におきまして原爆資料の備えつけを実現させました。これは国連においでになった方はごらんになったと思います。また「広島と長崎」と題する原爆映画を主要な在外公館へ配付をいたしておりまして、これはかなりの方に見ていただいております。また国連軍縮フェローシップ計画参加者の広島、長崎への招待等の努力を行っているところでございまして、政府としてもただいまの先生の御趣旨を踏まえまして原爆の惨禍、恐ろしさというものについて世界の人々に認識を深める努力をさらにいたす所存でございます。
  126. 抜山映子

    ○抜山映子君 ただいま外務大臣が在外公館に原爆広報映画を用意しているというように言われました。その資料を幾つの国に行っているかと思って資料をいただきましたところ十一公館なんですね。これでは私は大変にわずかなものではないかと思うのでございます。  私は米ソの大国が原水爆を使用することについては、恐らく相当の知識を持っている国としてそういうことはない。総理の言われたパリティの原則によってお互いに制約されていると思いますけれども、恐ろしいのは開発途上国で核弾頭、インドなんかではもう千六百七個分に相当する核分裂性物質を持っている、イスラエルも百二十六個分持っている、パキスタンも九十個持っている、こういうような実情でございますし、これらの国々が果たしてどれだけこの原爆の被害について認識を持っているかということの恐怖感、さらに最近はやっておりますテロ集団でございますが、工学部の大学院を出ておれば原爆ぐらいは小さなものはつくれる能力を持っている人間も出てきたというようなことを聞きますと、やはり原水爆の被害の恐ろしさというものをもっともっと世界にPRしなくてはいけない。そのためには日本がその広報活動の先端に立つべきだとこのように思うものでございますので、これは答弁を要しませんけれどもひとつ総理外務大臣によろしくお願いするところでございます。
  127. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 午前の審査はこの程度とし、午後二時三十分まで休憩いたします。    午後一時二十五分休憩      ―――――・―――――    午後二時三十二分開会
  128. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十九年度決算外二件を議題とし、総括的質疑各省大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  129. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大蔵大臣、中曽根総理大臣が出席したときにやりたかったんですが、政府専用機をアメリカから二機購入という問題で、私先般質問をいたしましたけどね、今度の臨時国会の補正予算にこの二機購入の問題は予算計上してくるものかどうなのか、それが一つ。それから、大体その予算は幾ら計上するのか、この二機でですね。この二つを最初にお尋ねします。
  130. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) このたびの補正予算に計上をいたそうと考えております。最終的な詰めをやっておりますけれども、二機分と考えますと、国庫債務負担行為の限度額を一応三百八十八億円、これが全部の限度でございますね、現実に予算に支出として計上されますのはそのうちで八十億円ぐらいになろうかと思っております。
  131. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 これは私よくわからないんですが、今度その発注をして何年間かの延べ払いで、そして実際にその飛行機が日本に着くのは、使用開始というのはいつからか、それはいかがでしょうか。
  132. 河原崎守彦

    説明員河原崎守彦君) ただいまの問題でございますが、実は機種の選定の問題等につきましては補正予算をお決めいただいた後で決めてまいりたいと考えておりますので、そういう関係からただいまの御質問のようなことはそういう契約の中身になろうかと思います。
  133. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 中身になって、どういうことかい。
  134. 河原崎守彦

    説明員河原崎守彦君) 契約条件として詰めてまいりまして、具体的に相手方といろいろ交渉いたしまして……
  135. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 何言ってるか。購入をする場合に、いつごろめどでこの飛行機が使えるようになるの。買っても何にもならぬじゃないか、使わなきゃ。いつから使うのか。
  136. 河原崎守彦

    説明員河原崎守彦君) ただいま申しましたように、機種の選定をいたしまして、その後三、四年後に具体的に購入といいますか、入ってくるということになろうかと思います。
  137. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大蔵大臣、予算を組む場合に、もう六日からの臨時国会で、機種、それはまだかもしれない。しかし、いつごろから使用、これを使うのかどうかね、そんなことがわからぬで、それこそきょう国会で、決算委員会審査についても総理大臣も協力すると言ったのに、今のような話でどういうことですかね。ちょっとわからぬです、常識で。大蔵大臣答えてください。
  138. 斎藤次郎

    説明員斎藤次郎君) 今の御質問でございますけれども、予算に計上した後具体的な機種の選定、契約交渉に入るのでそういうお答えをしたんだと思いますが、おおむね五年後ぐらいまでには購入したいということで、国庫債務負担行為の年度割りを五年間に組んでおるわけでございます。
  139. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 わかりました。  当初私が何回か質問しましたが、一機当たりの費用は新聞では百四十億円と、こう出ておりましてね、それでそれが二機にしますと二百八十億ぐらいかなあと、こう思っておりましたけれどもね。三百八十八億ということになりますと、相当中の電子部品の装備やなんか入れてそういうことになるだろうと思うんですが、これは大体二機とも同じような電子部品等入れて、そういう立派な飛行機に仕上げるのかどうなのか。そこは大体のことでいいです。
  140. 河原崎守彦

    説明員河原崎守彦君) ただいまの点につきましてもまだこれから検討してまいるということだと思います。
  141. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 どうして三百八十八億円が出てくるんですか、そしたら。根拠は。
  142. 斎藤次郎

    説明員斎藤次郎君) 各機をどういう仕様をするかということについては、まだ具体的に決めてないわけでございますが、今の大体の構想を申しますと、一機についてはかなり特別な仕様を仕組むと。もう一機は予備の機種ということで、席数を多くして、例えば邦人の救出用に当てるというような大体の構想でございます。
  143. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 わかりました。その程度でいいんです。  大蔵大臣、新聞の報道によりますと、二機で維持管理費が一年間に約百億円ぐらいかかるであろうと。私は百四十億円ぐらいを前提にして、あらまし資金コストから減価償却、あるいは想定されるパイロットやあるいは乗員、あるいは修理、そういうのを想定してたかだかいって三十億ぐらいで一機上がるんではないだろうか、まあ六十億ぐらいかなあと。先般決算委員会官房長官とやりとりをしたんです。そのときははっきりしなかったんですが、三百八十八億ということになりますと、年間やっぱり百億ぐらい、それはなるでしょう、五年先のことですから、具体的にはなるんではないかと。これは、いつも言いますように大変な金額でして、中曽根総理総理大臣になりまして海外へよく出かけられましたけれども、我々が調査で得た数字では大体十五億円ぐらい使っておられるわけですね。それがここ五年近くの間でそれだけなんです。二機入れただけで一年間に百億ぐらい超すということになりますと、これは大変な国費を使うことになります。その飛行機は一体どれだけの稼働率になるのか、そんなにならないと思うんですね。その他、だれがパイロットをやってどうするのか、いろいろ自衛隊法との関係等もあるんですが、それはきょうは私は質問をいたしませんが、大変な金額になるわけです。果たしていろいろこの前から、大蔵大臣やあるいは官房長官から説明を聞いて理解できないことはないんだけれども、余りにも国費のむだ遣いではないかと。だから、言いますと、一機ぐらいになぜできなかったのか、その点をきょうは大蔵大臣のお考えを聞いて次に移りたいと思います。
  144. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのお尋ねの点は、純粋の経費、経済論から言いますと確かにいろんな議論がございますわけですけれども、この話は実は過去に一度、ほとんど最終段階まで本格化しかかったことがございまして、それは昭和五十三年、四年のころであったわけでございますけれども、昭和五十年にサイゴンが失陥いたしまして、そのときに多数の邦人が実はサイゴンから退避をしたい、しかし我が国としてはそういうことも考えまして日航機をチャーターをいたそうとしたのでありますけれども、また現実にはマニラまでは送ったわけでございますが、いざ陥落の日といいますか退避の日というのは、なかなか当然のことながらきちんと決まりませんで、しかもだんだん戦闘は悪くなりまして、日航機がついにサイゴンに入ることができませんでした。それは一つは、乗務員等々の問題があったわけでございますけれども、もう一つは保険がほとんど禁止的な金額になりまして、つまりその機体そのものが損壊するということのほかに、よその飛行機に損害を与えるというところまでを保険しなければならないということで、保険が禁止的なことになりまして、ついに我が国は、サイゴン撤退のときには全部いわば米国におぶさったようなことになりましたことは、御記憶のとおりでございました。こういうときに国の飛行機がありますと、ともかく自分でやることはやれるのだがという反省がそのときにございまして、かたがたかねて総理大臣が外国へ出張されるときに、やはり自分の飛行機があることがどうも肝要だと、それにはこのごろ殊にそうでございますけれども、旅行中に必要な何か出来事が起こりましたときに、それを報告を受け指示を与えるといったような通信上の問題というのがこういう時代になりますとますます必要になってまいりますが、普通のチャーター機ではそういうことは当然のことながらできないわけでございますし、また要人が外国で亡くなりましたときに、殊にアラブはそうでございますが、もうあした葬式をするというようなことがよくございまして、そういうときにはなかなかチャーターでは間に合わないと、そういう事情が出てまいっております。  そのようないわば総理大臣等々の出張のための飛行機ということと、邦人を何かの場合に救出をしなければならないが、それは民間の飛行機ではできない、実はその後にもう一遍イランで出来事がありましたことは御記憶のとおりでございますが、そういう両方のことから、純粋な経済の話としてならば別でございますが、どうもやはりここで持っていなければならないといったようなことから、今回決心をいたしました。  なお、一機でなく二機というのには、何かこれは技術的にどうしても一機では仕事ができないんだという理由があるように承知をいたしております。
  145. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私は、ゼロからスタートするんですから、それは二機あった方がいいかもしれませんが、ゼロからスタートすることから考えりゃ一機だって、二機いつももうどこかに置いておくような状態ですから、しかも機種の大きさというのは三百人乗りぐらいの機種を考えておるようでございますので、一機で悪いという理由がよくわかりません。まあ、どうせ予算委員会でこの問題の質問も出ると思いますから、私の強い要望としてこれは一機でいいじゃないかと、こういうことを要望申し上げておきます。  次に、私はこれも総理大臣によく聞いてもらいたかったんですが、国土の均衡ある発展をよく言うわけですが、本当にそれが、不均衡発展がやっぱり非常に進んでいる、中央集権化のもとで。それで、今度の国鉄の分割・民営化等の関係からいたしましても、運輸大臣、このJR九州ですね、この問題で地域の問題を取り上げてみたいんですが、日豊線というのがあります。小倉からずっと大分通って宮崎行って西鹿児島まで行っているんですが、ここの複線化工事が今遅々として進まないんですね。これは分割・民営化をしてしまえば、もう全く複線化というのは希望がなくなるのではないかということで、あの国鉄分割・民営化のときの国会でも私も運輸大臣に質問をいたしました。現状はどうなっているかということですが、小倉と大分の間はほとんど複線化が進んでまいりましたけれども、なお十三・二キロにわたりまして二カ所、この複線化が今まだ進められておりますが、非常にゆっくりしたベースであります。その十三・二キロの複線化工事に要する見積もり金額というのが約四十四億六千八百万円ですね、どうもわずかな金額なんです、今の飛行機のあれから比べますと。こういうのが出ておるわけです。我々の地元も複線化期成会というのをつくって知事を先頭にして陳情しておる。ところがJR九州と相談してもJR九州は赤字だと、国からもらった基金の運用利子をもって埋めてやっと黒字が出るかどうかぐらいの状況。だからこういう、ましてや大分から宮崎、鹿児島に向けての複線化というのは考えられないわけですよ、JR九州においては。だから先ほど松尾議員がしましたように、盛岡から青森の新幹線の問題もそうなんです。だから、こういう問題については、これはこのままJR九州にぽっと持っていって複線化が大分から以南はもうとまってしまう、こういう状況で、しかもそんなに大きな金額ではない。こういう地域の不均衡発展に対して、特に鉄道輸送の面について運輸大臣としては複線化問題についてはどうお考えになっておられるか、先に伺います。
  146. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに今委員が御指摘になりましたように、日豊線の複線化の状況といたしまして、小倉-大分間では立石-中山香間五・二キロ、及び杵築-日出間の八キロを除いては複線化が完成をしているものの、大分-鹿児島間はすべて単線の状況であり、現在のところ複線化の計画はないと聞いております。今、委員は四十数億というお言葉をお使いになりましたが、私どもが聞いております限りにおきましては、この立石-中山香、杵築-日出間の複線化に要します工事費としては、昭和六十二年度以降五十二億円を見込んでおります。そしてこの複線化につきましては、三月三十一日から四月一日にかけての間に旧国鉄からJR九州に移行いたします段階の承継計画において、この複線化については承継をしておるわけでございます。ただ、具体的な進め方となりますと、確かに今後の輸送需要の動向などを考えながらJR九州の経営判断によって行うこととなるわけでありますが、今私どもといたしましてはできるだけ均衡のある発展が遂げられる総合的な交通体系の中において、日豊線の複線化計画というものを考慮されるべきである、そのように考えております。
  147. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 運輸大臣、ということは例えば大分以北、私は四十四億六千八百万と申しましたが、十二億ということですが、これはJR九州でやれといったって金がないから、民間企業というのはやれる限界というのがあると思う。それはJR九州でやれといったってこれから先は無理じゃないかと思う。方法がないと思う。これについては国でやるとか、何か別な方法はないんですか。
  148. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 国鉄というものから民営鉄道としてのJR各社に変わりました現段階において、国で行うという手法はございません。
  149. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 わかり切って聞いているんですがね。分割・民営化すればこういう状態が来るぞと、永久に日豊線の海岸の交通網というのは、特に鉄道網というのはこういう形になるだろうと、私は地図を置いて見せながら大臣や運輸大臣に質問をしましたね。これが今こうなって地元の皆さんも何か政府にだまされたという感じがしているんですね。だからこの問題については、まず日豊線の大分以北の問題については少なくとも、十三・何キロですから、民間になったといってもまだ株は政府が全部持っているんですから、一応これは進めるように運輸省としては一段の努力をしていただくように要請をします。  大分から鹿児島に向けてのこの線というのはどうしようもないんですが、これはこういう場合に国鉄とすれば、あと地域住民のニーズに対して一体どのようにこたえようとしているのか、運輸省のお考えをお伺いします。
  150. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今国鉄という御質問でありますが、国鉄は既に姿を消しておるわけでありまして、国鉄に成りかわりまして私は答弁をする資格はございません。  それと同時に、今まで国鉄が大変厳しい状況の中でついに分割・民営という日を迎えざるを得なかった中に、委員も御指摘になり、また本院におきましても衆議院におきましてもたびたび御議論がありましたのは、不採算の路線を政治が押しつけた責任ではないか、従業員の責任ではない、そういう御発言も多くあったわけでございます。そして、そういう問題が全くなかったとは私ども申してまいりませんでした。そして今委員自身が、これは委員のお言葉をそのまま拝借すればどうしようもないところだと言われまして、そこに新たなレールを引けと言われまして、その採算をとることは果たして民間企業として可能かどうかと考えていきますと、これはやはり私は経営者の判断というものが働かざるを得ない部分があろうかと思います。ただ小倉-大分間におきましての複線化計画というものは承継計画の中にも織り込んでおるわけでありまして、その所要金額も五十二億ということを御答弁申し上げたわけでありますが、これら経営者の判断としても、途中で切れておりますよりはこれが一貫した複線体系になっておる方が、輸送状況としても有利なことは当然でありましょうから、そうした努力は払われるものと考えております。
  151. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 時間があれば運輸大臣と一つ一つ議論をしてみたいんです。随分感覚のずれがあるんです。ただ地元としてはやっぱり大分、宮崎、鹿児島のこの日豊沿線の地域住民としては、どうしてここだけこんなに永久に取り残されなければならないのか、これはあるわけですね。だから、それに対して私は、政府、運輸省としてはその辺のことはよくわかると、こういう言葉が当然返ってくると思ったら、何か違うところから話が出まして、少し誠意が感じられないことに対しては不満であります。  大蔵大臣、今私は専用機の話をいたしましたが、こういう状況というのは、今度一回私の地元においでになったときはよく説明しますけれども、同じ金を使う場合に、大きな今のような話で年間二百億も維持がかかり、しかも本体で三百八十億かかる。それもいいでしょうけれども、やっぱり今言う地方の問題ももっと真剣に、運輸大臣の答弁には真剣さが感じられなかったので、もう少し真剣にやっぱり政府としては考えてもらいたいと思います。答弁要りません。  次に、同じような問題ですが、建設省、道路の問題でいきますと、国道十号線というのが小倉からずっと大分を通って宮崎に行っている。この十号線は片道一車線なんですね。だからあるときは大変混雑をするし、ラッシュ時には時間がかかる、こういう状況で一体将来の問題としてどのように対応を考えておられるのか、最初にこの点についてお伺いします。
  152. 鈴木道雄

    説明員鈴木道雄君) 一般国道十号線は、先生御指摘のとおり北九州を起点として大分、宮崎より鹿児島に至る重要な路線でございますが、現在沿道の大半が二車線でございます。したがいまして、交通量に対応できないという現況でございます。このうち北九州から大分に至る間約百二十五キロございますけれども、この区間については北大道路ということで幹線道路整備計画を立てまして、現在全線にわたってバイパスの事業に着手して事業を進めているところでございます。  内訳を申し上げますと、大分県内におきましては中津バイパス、宇佐バイパス、宇佐-別府道路及び大分南バイパスの事業実施しておりまして、昭和六十年代の半ばにはほぼ全面にわたりまして当面の整備を完了するという事業の進め方をしております。  それから大分から南につきましては、宮崎県におきましてあと土土呂バイパス、佐土原バイパス、宮崎西バイパス、都城拡幅等のバイパスを整備しておりますし、鹿児島県におきましても隼人―加治木バイパス、姶良バイパスという混雑区間につきまして、現在重点的に整備をしておりまして、今後とも引き続き事業の促進に努めまして一日も早く渋滞を解消するというふうにしたいと考えております。
  153. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それからついでですが、九州横断道ですね、長崎から大分に向けての。今日本道路公団が鋭意建設を進めておられますが、特に大分県に入りまして工事が非常におくれておりますが、この関係についてはどのようになっておられるのか。  まあ私は、今のように内需拡大が迫られて、しかも道路もあるいは国鉄の方もなかなか非常に単線で厳しい状況の中ですが、こういうときこそ少しピッチを上げていただきたいんですが、あわせてお願いをいたします。
  154. 鈴木道雄

    説明員鈴木道雄君) 横断自動車道につきましては、これは長崎から大分まで全長二百四十四キロでございまして、このうち現在八十八キロが供用しております。  大分県に関係する区間といたしましては、朝倉インターから日田インターの間二十二キロにつきましては現在工事を進めておりまして、六十年代中ごろの供用を予定しております。それから日田インターから湯布院インター間四十六キロにつきましては現在設計協議を行い、地元と御相談しながら幅ぐい設置を進めておりまして、用地買収の進展にもよりますが、できるだけ早く整備をいたしまして七十年ごろには供用さしたいという予定で工事を進めております。また、湯布院から大分の間三十九キロメートルにつきましても用地買収と工事を行っておりまして、これもできれば六十年代の中ごろまでには供用したいというような状況になっております。  御指摘のように、内需拡大という観点からもこういった高速自動車国道の整備につきましては、建設省といたしましても重点的に進めていきたいと考えております。
  155. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大蔵大臣にお願いをしますのは、もしあれだったら答弁は必要ないかと思いますが、道路も言われますように、もう本当に困るんですよ。  先般十号線というのが大分からちょっと宮崎の方に下ったところでがけ崩れで去年崩れまして、もう両方とも通れなくて、これは建設大臣に決算委員会のときに質問をいたしまして、鋭意建設省としては努力をするということでやっと通れ出した。まあその周辺は小さな、馬車が通るような道をそれぞれ上下分かれて大変な苦労をしたんですけれども、そういうような状況なんですね。  ですから、道路の関係につきましてもやはり少し真剣にこの際、内需拡大、そういうときにはこういうおくれた地域にもう少し重点を置いていただくようにお願いしたいんですが、この道路のことにつきましてお願いします。
  156. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 地域の問題につきましては、たまたま平松知事からよくお話を伺う機会がございますので、私なりに問題を存じておりまして、できるだけひとつ建設省等々とも御相談をしながらやってまいりたいと思います。
  157. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に、農水省にお伺いしますけれども、農業の国営かんがい事業といたしまして大蘇ダムというのを今計画中でございます。これは熊本県の産山村にダムをつくりまして、そのダムの水を引いて、そして畑作に水を供給するという計画でございますが、この計画が非常に私も現地に入りましたら大変におくれている、こういうことで現地の皆さんやあるいは実際に工事に携わっている皆さんからも事情を聞いて、現地を見てまいりました。この点について、一体どのくらいおくれており、これは一体どうしようとしているのか、いつごろ完了をしようとしているのか、簡単でいいんですが、最初にお尋ねします。
  158. 内藤克美

    説明員(内藤克美君) ただいま先生御指摘の件は、大分県の大野川上流という国営地区でございますが、先生おっしゃるとおり大蘇ダムは大分県が受益地区なんですが、熊本県にダムサイトがございます。国営かんがい排水事業として従来より事業効果の早期発現を念頭に置いてきておるんですが、近年公共事業費の抑制により農業基盤整備全体が伸び悩んでいること、また、物価上昇等によって若干事業費が高騰していること、それと熊本県にダムサイトがあるというようなことから工期が若干遅延しております。  そこで、非常に厳しい財政状況でございますが、国営かんがい排水事業等の予算に重点的な確保を行うというようなことを図っていこうということにしておりますが、特に本地区については六十二年度、本年度からダムにかかわる事業を特別型というものに振りかえまして資金運用部の資金を有効に活用する、こういうことによって事業費を拡大するというようなことを図ることにしております。そんなことによってダムの早期完成を目指して事業効果の早期発現を期待しております。  以上でございます。
  159. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ちょっと、その早期完成の目途ですね。
  160. 内藤克美

    説明員(内藤克美君) 一応今計画変更が当然予定になっておるんですが、これはフィルダムでございますので、急激に堤体を積むことができませんが、一応予定としては、堤体工事は六十四年ごろからかかりたい。堤体そのものは四年ないし五年で多分終わるであろうという予定で組んでおります。
  161. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そうしますと、大体六十九年ごろの完成ということで見ていいんですね。
  162. 内藤克美

    説明員(内藤克美君) 予定としてはその程度を目標にしてございます。
  163. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に移ります。  ちょっと時間がないんで申しわけないんですが、建設省は首都高速道路の通行料金を現行五百円から百円値上げをしようとしておりますが、どうも納得ができないんです。いろいろ決算書類等、少し詳しくは見てないんですが見て、何で五百円でやれないのかという疑問が一つ。  それからもう一つは、首都高速道路の葛飾川口線、葛飾江戸川線の延べ延長約二十七・一キロメートル、これは総事業費三千七百七十三億、これは「エコノミスト」の投書で出ておりましたから、ここで働いている公団の職員の投書ということで。それで、私は資料を調べたんですが、もうほとんど道路ができ上がっているんです。それを九月開通ということで、いや七月開通でやっていけるじゃないかと、技術者がそう言っている。  これは一体何で、こんなものは早くできたら早く技術的にやれるものをわざわざ九月まで延ばさなきゃならないのか、どうも理解ができないので、その二つについてお願いをいたします。
  164. 栗山昌久

    参考人(栗山昌久君) お答えいたします。  首都高速道路は御承知のとおり、建設、管理、運営等にかかります費用、これは道路を利用するお客さんから料金としていただいて、それでもって一定年限の間に償還していく、こういう建前をとっております。今回葛飾川口線、葛飾江戸川線の供用に伴いまして償還すべき金額が大幅に変わりますので、現在償還計画の見直しが必要ということで公団において検討中でございます。今後諸般の情勢を総合的に勘案の上料金を申請していきたい、こういうふうに考えております。
  165. 並木昭夫

    参考人(並木昭夫君) 二番目の点につきましてお答えいたします。  葛飾川口線、葛飾江戸川線でございますが、御指摘のとおりほとんどでき上がっておりますが、まだ残工事が若干残っております。この残工事と申しますのは出入り口の工事と、それとつながります下の一般街路の工事、そういった出入口につながる工事と、それとさらに標識であるとか可変情報板といったような附属施設の工事が現在まだ残っておりまして、これを鋭意実施いたしまして、さらにこの附属施設の総合調整といいますか、テストランといったようなものを含めまして九月初旬までに完了させまして九月初旬に供用を開始させるという予定でおります。
  166. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ちょっと時間がないですから要望だけしておきますが、料金の値上げの根拠がちょっとはっきりしないわけですね。だからできれば、なぜ数字上そうなるのか、ここで申請する前に詳しくお聞きしたかったんですが、後でいいですから教えていただきたいと思います。  それから開通ですが、やる気になればもう本当、四月ごろのエコノミストの投書で議論をあなたたちがしているんだから、七月ぐらいにでき上がっているはずでしょう。それをぼつぼつ九月にやっているあなた方の仕事のやり方というのは私は納得ができないから、いろいろ調べて今質問をしているんですから、もう一度その点についてはそれらしい理由があるならあるように後でいいですから、また機会を見つけて早急にやりますので、御提出方お願いをしたいと思うんですが、いかがでしょう。
  167. 栗山昌久

    参考人(栗山昌久君) 資料をまとめて関係のところと十分打ち合わせの上御説明に上がりたい、こういうふうに考えております。
  168. 並木昭夫

    参考人(並木昭夫君) 全体の工程の調整をいろいろ考えまして、今のような形で進めておりますが、御疑念の点、また資料を持ちまして御説明に上がりたいと存じます。
  169. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 どうもありがとうございました。  次に柔道問題について文部大臣にお尋ねします。  六十一年の十一月二十一日の本決算委員会におきまして文部大臣に対しまして今全日本柔道連盟と学生柔道連盟が分裂をしている問題について質問をいたしました。その後大臣が鋭意統一に向けて私的諮問機関であります柔道問題懇談会を設置されまして御努力されていることにつきましては十分承知をしているつもりでございます。ただ、文部大臣から示されました柔道界統一に関する三項目というのが出ておりまして、私もちょっと読ませていただきましたが、これはやっぱり全く世間の常識で疑問のないところでございます。正しいと思うんですが、これが一体いまだ今日なぜそういう大臣まで出てやっているにもかかわらず進まないのかという問題でございます。この点をお尋ねします。  それからもう一つは、私は客観的に見ましてどっちがいいとか悪いとかは別として、全日本柔道連盟というのは任意団体でありまして法人格を持っておりません。したがって、全日本柔道連盟が寄附金で集めた十四億ぐらいのお金というのは一回日本の体協に持っていって、体協が三%ぐらいコミッションを取ってもう一回全日本柔道連盟の特別会計に入れて、今度特別会計から講道館に寄附をする形で講道館の国際センターというのをつくりまして、この国際センターの中には住友銀行が入って、月間六百万円ぐらいの家賃で講道館が貸している。これはまさに講道館はそういう公で集めた金を、今度は個人の形でこの六百万を講道館が家賃として取っている、もちろん道場もありますが、取っている。どこから話をしても非常に講道館と全日本柔道連盟との癒着の関係、これはおかしいわけでして、ここを早く切り離して大臣が設置された諮問委員会で示された統一見解に沿って早急に統一に向けてやるべきだと思うんですが、この点について大臣の決意をもう一回重ねて聞いておきたいと思います。
  170. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) この柔道界改革のためには中曽根総理も非常に熱心でございまして、私もよく相談しながらやっておるのでございますけれども、実は現状を申し上げますと、この三項目は私が特にお願いいたしまして設置いたしました柔道改革への懇談会のメンバーの方々が全員一致でお決めになったのでございます。しかもこの柔道改革に関する懇談会というのは各日本のスポーツ界並びに柔道界の公平な、中立的な立場にある方ばかりで構成したものでございまして、そこで決められた三原則でございました。それだけに私はその重みを持ちまして各団体にこの方向で一歩前進をしたいのでと言いまして、それぞれの各団体は了解はしてくれたのでございますが、全柔連の、全日本柔道連盟の方につきましては解散、つまり全柔連が解散するということについての議論にまだいろいろと申しておられることがございました。私はいずれの団体も全部一応解散をして新法人に帰属してもらいたいというのが趣旨でございますが、全柔連の方がそのように発展的解散をするということについてまだ態度がはっきりと示されないというところに、この問題の一番重要な問題点があると思っております。しかしながら、柔道界の地方組織はもう既に新法人を設立して、そこに一本化すべきであるという地方組織の世論が次第に高まってきておりますので、もう一度近いうちに私は各団体お集まりいただき、この問題を再度確認をして地方組織とともにこれをさらに一歩進めたい、同時に全日本柔道連盟に対しましてもこの趣旨をわきまえていただいて、ぜひひとつ協力してもらうようにもう一度強い行政指導に乗り出していきたい、こう思っております。
  171. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 最後に一つだけ。  文部大臣の決意は私は本当に多とするものです。文部省当局の方もやっぱり大臣の決意を受けてしっかりやっていただきたいと思います。  東芝機械のココム違反の問題について、通産大臣、二、三点だけちょっと簡単にしますのでよろしくお願いします。  昨夜私はテレビを見ておりましたら、何チャンかわからぬのですが、東芝の電気製品をアメリカの国会議員が何人か寄ってたかって打ち砕くテレビを見ておりまして、大体やり過ぎじゃないか、こう思ったんですよ。一体その経過はどうなっているのか。果たしてソ連の潜水艦のプロペラが東芝機械の輸出したやつで音がそんなになっているのかどうなのか、その辺のこともはっきりわからぬまま、ちょっと余りやり過ぎではないかという感じがしたんですが、もう時間がありませんからまたのチャンスを待ちますが、この点について。
  172. 田村元

    国務大臣(田村元君) 私はそのテレビを見ておりませんが、昨日の朝ワシントンから電話が入りました。こういうテレビをやっておるぞということでありまして、これはちょっとやり過ぎじゃないか、余りと言えば余りだな、日本の議会と違ってちょっとひどいな、日本の議会の方がはるかに良識があるなと思って実は聞いておりました。それで車に乗りまして秘書官に聞きましたら、日本でもやったということでありまして、もうおっしゃるとおり度が過ぎる。もちろんそれをやる心情、理由、そういうものはまた向こうなりにあるだろうと思います。それはそれとして、あそこまでやらずともよかろうものにと。まるっきり国旗を焼いてデモをやるような姿に、まあそこまでのひどさではないかもしれないが、それに等しいと言えるぐらいのひどさだというような感じで私も非常に悲憤慷慨をいたしております。     ―――――――――――――
  173. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 委員異動について御報告いたします。  本日、真鍋賢二君が委員辞任され、その補欠として久世公堯君が選任されました。     ―――――――――――――
  174. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大変申しわけないことなのでございますけれども、建設大臣、実はきょう雨も降っておりますけれども、私は渇水対策についてお伺いをしようと思っておりましたのでございますが、昨日同僚の石井先生の方からも大変お詳しくお話がございましたものですからこれを割愛したいのでございますけれども、ただ、この後私、婦人問題についてお伺いをいたしますものですから、もし閣僚の一員といたしまして婦人問題等を聞いていっていただければ大変ありがたいとは思うのでございますけれども、本当に大変恐縮でございました。渇水の問題については、農林水産省にこの水がれについて、今野菜の市場が大変高くなってきている問題についてだけ残しまして、これを御質問することにいたしましたもので、本当にお煩わせをいたしまして恐縮いたしました。  農林水産省の方にお伺いをいたしますが、ただいまも申し上げましたように八年ぶりとも言われる渇水状況で、東京都も給水制限などだんだん強化されていっておるわけですが、各地域の主婦から野菜の値段が大変高くなって困っておるという話がございまして、これについての対策をお願いすることができるのかできないのか国会で聞いてみてほしいと、こういうことでございますので、まず野菜の値段の状況について一部私ども主婦たちで調べましたものをちょっと御披露いたしますと、やはりキャベツが一番高うございます。局長、キャベツが三倍、わかりますね。これはなぜか今の季節キャベツが三倍でございまして、昨年の今ごろですとキロ百二十六円で買えたのが今三百五十五円から四百円、こういう状況でございます。ちなみに五月はキロ百三十九円であったわけで、やはり家庭に及ぼす影響は非常に大きいと思います。そのほかキュウリ、レタス、これが大変にお高くなってきております。新聞等ではホウレンソウ等の葉物類も二倍以上になってきているというようなことが報道されておりますけれども、こうした野菜の値上がりについて食品流通局はどんな対応をなされるのか、どんな状況として把握なさっておられるか、お伺いいたします。
  175. 谷野陽

    説明員(谷野陽君) ただいま御指摘がございましたように、ことしの五月前後大変雨が少なかったわけでございまして、その影響を受けましてただいま御指摘のようにいわゆる葉物を中心に野菜の価格が例年に比べまして高くなっているということは事実でございます。私ども卸売市場の段階で調査をいたしておりますが、対前年比では今御指摘のようにキャベツ等では三倍程度になっているものもございます。ただ昨年が大変例年よりも安うございまして、平年比でございますと大体卸売価格でキャベツなどは二倍ぐらいにまで値上がりをいたしております。小売価格になりますとその後のマージンが固定的でございますので、それほどまでに上がっていないという数字がございますが、いずれにいたしましてもキャベツ、ホウレンソウなどの葉物を中心に価格が高騰をいたしているという事実はございます。  また一方、トマトでございますとかナスでございますとか、そういうようないわゆる実がなる野菜でございますが、これは大変お天気がよろしゅうございましたものですから花のつきもよく味もよろしい、こういうことで入荷量も例年に比べて多くなっておりまして、価格も例年に比べまして大変落ちついた動きになっておるわけでございます。  特に東京周辺におきましては、キャベツが東京の方に入ってまいりますのが、五月は神奈川、千葉、六月は東京、こういう近郷から入ってまいります。全国の雨の降り方を見ましても東日本の降り方が大変今まで少なかったわけでございまして、これらの影響を受けておるということでございます。  私どもといたしましては雨の影響を、これはなかなか畑作でございますので難しいわけでございますけれども、いろいろマルチングつまり土をビニール等で覆うというような技術がございますし、そのほか幾つかの干害に対する技術があるわけでございますが、そういう問題につきましてさらに各農家の御注意をいただきたい、こういうことで五月の十一日に担当の課長名でお願いの文書を出したりして努力をいたしておるわけでございますが、ただいま御指摘のようなことでお天気の影響が出ているということは今のところあるわけでございます。
  176. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 今後の天候との関係があるわけでございますが、さらにこうした状況がエスカレートしていくときには、かって雪対策でタマネギ等の緊急放出等をしていただいた時期がございましたけれども、そんなふうなことにも十分御配慮いただきたいというふうな声がございましたのでお伝えしておきます。
  177. 谷野陽

    説明員(谷野陽君) 今後の対策でございますが、冬に比べまして夏野菜でございまして、日本列島大変長いわけでございますので、今後、今ごろの野菜はどちらかと申しますと近郊物でございますけれども、これから北海道でございますとか、あるいは群馬、長野というような高冷地の野菜の出荷の方に入ってくるわけでございまして、この地域の成長がどうなるか、こういうことになるわけでございます。この地域におきましても多少今までの雨が少なかったという影響は受けておるわけでございますけれども、より広範な出荷地域から入ってくるというような段階になってまいりますので、さらに最近では多少降雨不足も解消いたしております。そういうことでこれからは緩和に向かうのではないかというふうに考えております。ただ、今御指摘がございましたように、私どもといたしましてもまず数量を確保する、こういうことが価格対策として大変重要でございますので、今後の各地域の成育の状況等をあらかじめ前広に調査をいたしまして出荷を要請する、あるいはその地域につきまして出荷を調整する、こういうような対策をとりましてできるだけ干害の影響が消費者の皆様に及ぶことの少なくなるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  178. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 よろしくお願いをいたします。  では、次に移らせていただきます。  一昨年行われたケニア・ナイロビの婦人国際会議において示された西暦二〇〇〇年に向けての将来戦略を受けまして、「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画」というものができ上がったわけでございまして、先般読売ホールでこの全国会議が開かれ、中曽根総理出席されてごあいさつをされておられます。そのごあいさつの最後に、「私は、ナイロビ世界会議において、日本の首席代表を務めた森山真弓、当時の外務政務次官が、その代表演説の中で引用した、歌人与謝野晶子さんの「山の動く日来る」を、本日の会議でも思い起こしております。「すべて眠りし女今ぞ目覚めて動くなる」と、その歌は結んでいるのですが、その前に「かく云えど人われを信ぜし」と彼女は詠嘆もしております。」このようにおっしゃっておられます。「しかし今日では、西暦二〇〇〇年が「山の動く日」となることを疑う人は、もうほとんどいないのではないかと思います。」というふうに総理が言っておられます。「私としても、女性の意欲と能力が十分に開花する二十一世紀を期待し、女性自身の努力を原動力とし、本部としてはそれを支えるための条件整備を着実に推進していく所存である」というふうに総理はごあいさつをされておられます。  非常にありがたいことだと思うんでございますけれども、こうした総理の決意、これ本当は午前中に中曽根総理自身にお伺いしたかったんでございますけれども、機会を得ませんでしたものですから、ぜひ所管の大臣として官房長官のこの新国内行動計画、今後婦人を対象としてどうした日本の社会にこれを展開させていくか、抱負等お伺いしたい。  よろしくお願いします。
  179. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 総理のそのごあいさつのように、西暦二〇〇〇年、そのときに本当の意味での男女が平等、差別なしに協力し合える世の中が来るのか来ないのか、これはよほど努力をせぬと本当はそうはいかないなというのが私の率直な感じでございます。形、制度等を幾ら言ってみましても、本当の意味での男女共同の協力する、支え合う、その社会の実現というのはよほど考えないといけないと。それを目指しての男女共同参加型社会を形成するということが例の新しい行動計画の私は目標であったと思います。  その中身に、もう先生の方が私よりは詳しいんじゃないですか、本当は。それがためにはいろんな条件を整備しなきゃいけませんから、そこでその条件整備としては、一つが意識の変革という問題ですね。私はこれは基本だと思いますよ、本当は。それからその次が平等を基礎とした男女の共同参加だということ。三番目が多様な選択を可能にする条件整備。四番目が老後生活等をめぐる婦人の福祉の確立。五番目が国際協力及び平和への貢献と。こういうような項目を挙げまして、その項目の中にそれぞれの具体的な条件、目標といいますか、施策の重点というものを示しておるわけですが、これをお互いの協力の中で努力をしていく必要があるだろうと、こう考えておるんですが、先ほど言いましたように、現在それでは日本の社会でどうなっておるのかということを考えますと、それはこういう答弁のときはうまいこと言いますよ、言う。言うけれども、しかし本当にそれじゃ役所の中なり、あるいは会社の中で男女が本当に平等に扱われておるのかと、採用条件はどうだと、昇進はどうなっておるということを考えますと、だんだんよくなってきていることは事実だ、これは、私はいいことだと思う。しかし、それがあと十三年ぐらいでそんなにうまいこといくのかということになると、やはりこの行動計画で決めたことをお互いが真剣になって努力をしていく必要があると。それへ向けて政府としては努力をいたしますから、お互いに社会全体がその方向でお互いに協力し合おうということで私のお答えにしたいと思います。なかなかしかしこれは容易でありませんよ。
  180. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 名答弁だと思います。  今回のこの行動計画ができ上がる過程で、有識者会議の提言を受けてこれができ上がったわけでございますが、まさにこの有識者会議の提言がその今の御答弁の中身を書いておられるわけですね。国だけではなく、地方自治体、そして諸団体、そして一人一人の意識までにその努力が大事だということの提言を受けて、今回のこの行動計画ではそれを進めていくプロセスの中に今度それをうたい込んでおるようでございますけれども、まさに私も今の御答弁のとおりだと思う。  そこで、やはりこれを下敷きにしながら、今度は一つ一つ各論を本当は時間をかけてゆっくりとお伺いをしていきたいところでございます、各省庁の分野にわたって。しかし、きょうは時間がないので、私が今日の前で短期的に考えている、危惧している事柄と、それからこれをクリアするために長期的に考えていかなければならないことと、二つの点に絞って私はこのことについてお伺いをしていってみたいというふうに思います。  したがいまして、官房長官総括的な御答弁ちょうだいいたしましたので結構でございます。ありがとうございました。  それで、私が今申しました長期的視野に立ったこの新国内行動計画の施策の達成を進めるためにということから考えますと、私はやはりこの教育の問題が非常に大変大事であろうということを考えるわけでございまして、ただいま後藤田長官が挙げられました第一のその意識の変革というようなことにも、まずこの教育という問題がかかわってくるわけでございますが、提言の中には、学校教育の見直しという言葉が使ってあり、この新しい行動計画の中では、学校教育の充実という言葉にかえてあるわけでございますけれども、私はむしろこの見直しの方が適切であろうかというふうに思うんですが、学校教育の中でやはり見直されなければならないものがたくさんあろうかというふうに思います。あわせて社会教育の推進、この中でなされていかなければならないことたくさんあるわけですけれども、まずはまずこの行動計画を受けて、文部省これからどういういろいろ諸施策に取り組まれようとなさるのかお伺いします。
  181. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 先生御指摘のとおり、この二〇〇〇年に向けての新国内行動計画が設定されたわけでございますが、学校教育につきまして申し上げますと、やはり基本的には学校教育の小、中、高の段階で実際に子供たちにこの男女の問題、両性の平等という問題、それから女性の社会参加の問題、そういう問題が定着するということが基本でございます。その手段といたしまして私どもが考えなければなりませんのは、やはりまず一番初めの問題としては学習指導要領、この学習指導要領を先生御指摘のような点を含めまして現在も教育課程審議会でその手直しの議論をしていただいておりますが、そういう方向に沿って私どもが指導要領をこれから設定していくという問題が一つでございます。それから第二の問題といたしましては、やはり主たる教材として使われます教科書の内容、これをやはりこの行動計画等に盛られておるような提言に沿った内容、これはやはり指導要領が基本ではございますが、そういう内容で設定する。それから三番目には、先生方がそういうものを基礎として実際にそういう方向で教えていただく。こういうふうな方法が私どもとしてとるべき措置ではないかというふうに思っておるわけでございまして、基本的な線をまず申し上げれば以上のとおりでございます。
  182. 澤田道也

    説明員(澤田道也君) 社会教育局の立場から若干補足をいたしますと、まず、国立の婦人教育会館が今年十年を迎えますが、公立の婦人会館の施設も充実しております。また、国立大学等で女性問題の公開講座を設け、社会教育の場として広く一般に公開しておりますが、例えば、その中で婦人問題、そもそも社会教育のいろいろな講座物、講座物と申しますか、大学の公開につきましてもそれから公民館等につきましても、一般のものについても女性の参加がだんだんふえておりますが、その中でも婦人のことを特に対象とする講座というものも年々ふえてきておりますし、公的にはそれに対する助成を助長しておりますし、またさらに、それを男性に対しても理解してもらうようにという努力、これはなかなか難しいんでございますが、そういうことも婦人教育会館等を通じてやっているところでございます。
  183. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 今の学校教育の方の問題では私は教科書を大分調べてみましたけれども、男女差別とか男女平等とかいう言葉について記述されている社会科の教科書、小、中、高というのを調べていますけれども、実にその記述の箇所が少ないわけですね。恥ずかしいほど少ないわけで、しかも、例えば、これは中学校の社会科、中学校社会公民ですけれども、ここではまだこんなことが書いてある。「日本には、男は社会にでて働く者、女は家庭を守る者という根強い男女分業論、あるいは男尊女卑の考え方が残っているせいか、社会的に女性の地位は、他の先進国とくらべると、まだかなり低い。」、こんなふうなことが書いてあるんです。その後に少々うたって、だから例えば、代議士が少ないとか、大臣がいないとか、地方自治体の長がいないとか、いろいろ書いていて、そして第二次世界大戦以降憲法に保障されて云々と書いて、そして最後に、「「婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃条約」が採択され、日本も一九八〇年にこれに署名」しました、これでおしま。大体こんな程度なんです。項目は大項目で「男女差別」、こういうふうに書いてあるわけですね。この程度のあれでは、なかなかこれを使って中学でひとつ授業を進めていくには非常に厳しいんじゃないかなというふうに思うわけ。  ただ、私は最近、小学校の四年生の作文を読みました。ある一クラスの作文ですけれども、四十八人クラスだからその中で女子が二十二人かな、いた女子の中の作文を読みました。その作文は、あなた方は将来何になりたいかと、こういう作文を書かせているクラスのものなんです。それを見てうれしかったのは、昔私たちは、作文ないしは将来何になるかというとお嫁さんと、こういうのが普通だったと思うんですが、その中では非常におもしろい作文がたくさん出ておるわけです。パイロットになりたい、それからプロレスラー、それから大臣、それから動物園の園長というふうな非常に自由な発想で自分の将来を女の子が描いているわけですよね。私は、今男女共学をずっと進めてきながら、このクラスには、いわゆる小学校課程かな、こういうものが我々がキンキン言うことなしに、何かそういうものが意識の中に潜在的にもう育ってきているのかなというふうなことをふと思ったんでございます。ただ、それが今度は、中学課程ないしは高等学校の課程等に入りますと、進路指導等の段階でやっぱり進学の専攻分野とかあるいは就職の就業分野、こういうものに対して、むしろ大人の社会が子供に対して今の概念ないしは枠で子供たちに何か押しつけていく、そういうものが起きてくるようなそういう事態に危惧を私は感じでいるんですが、文部大臣、いかがですか。
  184. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) やっぱり子供は非常に自由な発想をすると思っておりまして、大人の指導が、私は学校の先生はみんな平等に教育しておってそういう差別をつけて指導しておるとは思いませんけれども、それがあったということを今お聞きしましてちょっと意外に思っておるところです。
  185. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 女性の就業等については特別な御見解をお持ちである文部大臣やに私、ちょっと受けとめたものでございますからお尋ねをしたわけでございますけれども、各婦人団体からいろいろ御要望があります中で、教員とか社会教育主事、社会教育指導員等に対して資格取得のときに必ず女性問題を含めた科目を履修させてほしい、こういうふうなことが出てきております。したがいまして、こういうこともさっきの指導要領の問題とあわせて文部省でも真剣に考えていただきたい、こんなふうに思います。  申し上げたいことたくさんあるんですけれども、急ぎますものですから次の問題に移らしていただきます。  次は、当面の問題として労働の問題がやはりあろうかと思います。この男女共同参加型社会の形成ということでは、今女性は地域活動として社会参加をしていくパターンとあわせて、やはり労働の場を得て社会参加をしていくというケースがふえてきているのは労働大臣、一番よく御存じだろうと思うわけでございますが、この今回の新国内行動計画の三つ目の重点目標であるところの「多様な選択を可能にする条件整備」ということの中で、やはりこの労働条件を十二分に整備していかなければならない、こういうことが私あろうかと思います。それともう一つは、四番目の「老後生活等をめぐる婦人の福祉の確保」ということの中に、これは厚生省にも関係するわけですけれども、婦人の年金権の確保がうたってあります。ところが、その「所得保障の充実」という十一番目の目標の年金権の確保とあわせて、自助努力による資産形成の促進ということが一つ書いてあります。これは何を意味するかといえば、私は年金だけでは、公的年金だけではやはり婦人は老後の暮らしができない、だからやはり自助努力をして資産形成の促進をしていきなさい、こういうことに相なるのではないかというふうに、それしか資産の形成の方法がないわけですよね、今日の我が国では。そういたしますと、やはりこの労働条件の整備というものは本当に大事な課題になっていくというふうに思うんです。  そこで、これも出されておる問題でございますが、先般お尋ねいたしました再雇用推進、促進制度ですか、この状況をまず伺います。それで、女子再雇用促進の給付金を六十一年度と六十二年度で比較してみましたところ、これは六十二年度予算額が七百二万五千円ほどふえておりました。したがいまして、これは新しく取り入れた制度ですけれども非常に利用者が多かったんだろうかというふうに思うんですね。この辺のところは、今後さらに上積みをしていっていただくことによってこの条件整備をしていくことになるのかどうなのか。それから、育児休業制度の奨励金、これは六十一年度、六十二年度は同額でございます。したがいまして、これは一体どのようにこの数字を読んだらいいのか。こうした制度を一生懸命整えていただかないと、さっき言った「多様な選択を可能にする条件整備」ということにはつながっていかないわけでございますけれども、労働大臣の御見解をお伺いします。
  186. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) ただいま御指摘になりました、これから平等に参加してまいり、社会活動さらには経済活動にも参加する、そのためにはあらゆる面における女子の参加がしやすいように条件整備ということになりますと、御案内のように男女均等法という法律が施行になりまして、    〔委員長退席、理事梶原敬義君着席〕 さらには育児休業制度、そして今御指摘になりました女子の再雇用促進給付金制度、これは六十一年度から新設いたしたわけでございまして、そういう環境整備という意味におきましては育児休業奨励金制度、さるには今申し上げましたこの六十一年度からの再雇用促進給付金制度、二の両制度の普及促進にさらに今後とも私は努めていかなければならぬと考えております。  また、この奨励金、給付金、非常に少ないではないかという御指摘も過去いろいろございましたけれども、より一層の活用についてさらに努めなきゃならぬと思っておりまするし、今後この予算額につきましては、これからのこの実績を踏まえまして、さらに対応して条件整備に一層努めてまいりたい、かように考えております。
  187. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 機会均等法施行云々という話が出ましたけれども、これは東京都がまとめられた六十一年度版の「労働相談概況」で、読ましていただきますと、均等法が何か逆手にとられている部分が相当あるという実態があるのですね。つまり、例えば産前休業が長くなった分だけ休みがとりにくくなったとか、生理休暇がとりにくくなったとかいうふうな事柄というのは、これはたくさん出ているのですよ。そして、やはりそういう訴えというものが非常に多くなってきております。これで私はやはり、次々と法律をつくる、ないしは条件整備をしていかれるようであるけれども、しかしそれが果たして本当に女性が職業生活を充実させていくことに事実つながっていくかどうか。やはりシビアに調査をしながら、温かく環境づくりをしていっていただきたいものだということを私は感じておる者の一人ですが、    〔理事梶原敬義君退席、委員長着席〕 これも時間がないので申し上げられませんからぜひひとつお願いしたいと思います。  それから、これは百八国会議続になった例の労基法改正の問題でございますが、御婦人の方々からたくさん問題が寄せられてきておりまして、例の週四十時間労働の問題ですね、これが女性にとって非常に厳しい形へとなっていくのではないか。つまり変形労働という形の問題を大変危惧されておりまして、私どものところへも非常に訴えがあるわけでございます。したがいまして、こうしたことについてはこれからの話ですけれども、やはり十分に注意して、女性が本当に喜んで社会参加していかれる、そういう環境をつくっていっていただかなければならないというふうに思うのでございます。  時間がないので、非常に言葉が足りなくて申しわけないのですけれども、一言。
  188. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) 今御指摘になった時間短縮の問題でございますが、これはもう委員御案内のように、内外ともの要請でお互いに議論を尽くして、どうしても実現しなきゃならぬ問題と、かように考えております。  そのときに、ただいま御指摘になりました変形労働制の問題、さらに大きく申せば、その主体を占める中小企業、一部にしわ寄せ、不都合等々がないように今後の御議論をいただきまして十分に対処したい。  また、ただいま御提案申し上げて継続審議になっておる問題でございますから、いずれ十分な御議論をいただくわけでございますが、私は、やはり段階的に縮小してまいる中で、原案で十分に対処し得るものと。また、御異論もございましょうけれども、これはまだその当該委員会において十分に御意見を拝聴いたしたい。  いずれにしても、一部の方にしわ寄せがいくようなことのないように、十分気をつけてやってまいりたいと考えております。
  189. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 アバウトな質問なものですからそんなことになってしまうんですけれども、どうぞ一部の弱い者にしわ寄せがいかないような、そういう環境づくりをぜひ進めていただきたいと思います。  それから、次にこの行動計画の五番目の「国際協力及び平和への貢献」という問題は、私、これ非常に関心のあるテーマでございますけれども、ここの国際化の進展に伴う私たち婦人の対応として、いろいろこれから考えられていく部分がたくさんあると思います。その中で一つ私が最近大きく関心を寄せている問題に里親制度の問題があるんでございます。これをぜひ厚生省にお伺いをしておきたいわけですが、里親制度といいましても国際間の里親制度の問題ですね。  この国際里親活動というのは、実は諸外国ではかなり進んでいるんですね。ところが、我が国では残念ながら非常にこの事業と申しましょうか、活動がおくれているという現状にあろうかというふうに私は思っております。日本国際社会事業団、ここがまあ遅々たる努力をなさって、これは私、記述で調べたのでよくわかりませんけれども、千四百十六人の国際養子縁組を行ったということの数字を得ておりますが、一方で一九七九年の国際児童年を契機に英国で開催された国際里親養育会議を契機に、国際里親機構、IFCOですか、発足したんだけれども、これは日本は全く所属してない。そして、オランダ、ベルギー、ニュージーランド、アメリカ等、どんどんとこの会議を機構が主催して開催しているんだけれども、日本はその蚊帳の外におるという状況にあるわけですけれども、私ども母親という性を持つ者として、やはりこうした国際里親制度というようなものを通した国際協力というようなことが、今後日本として進めていくことができるのだろうかできないのだろうか。私自身は大変関心のある課題で、こういうことに取り組んでおる人も実は知っておるわけでございます。グループも存じておりますが、厚生大臣、どんな御所存でいらっしゃいますか。
  190. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) 先生御承知のように、現在要保護児童につきましては、保護施設やまた乳児院、そして里親制度という中で対応をいたしておるわけでございます。  日本の里親制度も、おおむね三千三百人ぐらいの里親制度がずっと進行を、ここ十年ぐらいいたしております。そして、里親に登録されている方々も八千人からおるわけでございまするけれども、国内でございます。そういう場合に、登録者の約五千人ぐらいが既に里親を今待っているという状況であります。  その場合に、里親の縁組をするのにいろいろ難しい問題があろうかと思うわけです。死別の場合でございますと里親の方の希望ということが非常に大きく優先されてまいりますし、また離別の場合、その子供の親御さんの気持ちという、また選択というものもございます。そういうことによってなかなかその縁組が思ったほど多くなっていかないということでございますけれども、できれば家庭においての保護、養育というようなことは大変いいことだと考えておりますので、今後とも伸ばしてまいりたいと思っております。  外国との国際的な里親につきましては、おっしゃるようにほとんど行われていない状況でありますが、制度としては外国人も受け入れられるようになっておるわけでございます。その点、今申し上げました国内においての難しさ、これがなおまた外国との関係においてはもう一つ難しい問題が、なかなか進展しない問題ではないかというふうに考えておりますけれども、先生御指摘のように、国際的なそういう広がりを示しておる現状でありますので、厚生省といたしましてもこれからひとつ大いに勉強さしていただきたいというふうに思う次第でございます。     ―――――――――――――
  191. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 委員異動について御報告いたします。  本日、鈴木省吾君が委員辞任され、その補欠として大塚清次郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  192. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 初任者研修の問題でお尋ねをしますが、今期決算委員会として最後の質問の機会かと思いますので、できるだけ文部大臣、直接お答えください。  今回新しく初任者研修を制度化することは、初任者の教育観や思想を統制して、学校の権力的な管理を強めようというものかと思いますが、ことしと来年はいわゆる試行の段階であり、当然六カ丹後の本採用にこの研修の成績が影響するということはないものだと考えますが、間違いありませんでしょうか。
  193. 加戸守行

    説明員(加戸守行君) ただいま先生御指摘なさいましたように、両年度試行で行います。したがいまして、もちろんこの試行期間中の初任者研修の結果いかんが任用に影響することはございません。
  194. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 しからば、明後年、六十四年度から本格実施と言われておるわけでありますけれども、この初任者研修の成績が本採用に影響をするということはどうですか。
  195. 加戸守行

    説明員(加戸守行君) 取り扱いにつきましては、現在教育職員養成審議会で御審議をいただいているところでございまして、その考え方を受けて対応する予定でございますが、あくまでも条件つき採用期間あるいはその更新といいますか、本採用に移行する場合の本人の勤務能力というものの評価でございますので、それはその視点において評価されるべき事柄でございまして、初任者研修を受けた結果がどうであるということとは直接的なかかわりは持たないで、あくまでも本人が教員として勤務にたえ得る能力を持っているかどうかの視点から判断されるべき事柄であろうと考えております。
  196. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そこで大臣、そもそもこの初任者研修というものは、当然、教育行政を律する基本であります教育基本法、それから法律によって研修という事柄を定めております教育公務員特例法、十九条、二十条で定めておるかと思いますけれども、こういった教育基本法や教育公務員特例法などを、これを前提にしてやっていく初任者研修になると思っておりますが、ちょっと大事なところかと思いますので、大臣、お答えください。
  197. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは当然でございまして、先ほど加戸局長言っておりますように、教員としての適性をちゃんと初任者研修のときに見るということ、これは大事なことだと思うんです。臨教審の答申の中にも、教員の採用について、適性の、選考について多様化を図れということが書いてございまして、その一つにもなることだと思っております。
  198. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 御答弁の前段で、教育基本法や教特法、これを前提にしたものだという、そのことで結構ですけれども、後段の答弁がちょっと怪しげで、理解の仕方いかんではあれかと思うんですけれども、教員の適性をよく身につけてもらうためにこの研修をやるんだという、こういう事柄をおっしゃったものとしておきます。  そこで、学校での初任者研修、これには指導教員というものが配置をされますけれども、この指導教員というのには、いわゆる職務命令権、これはございませんね。
  199. 加戸守行

    説明員(加戸守行君) 初任者の教員に対しまして、ベテランの先輩教員が指導教員としての職務に従事するわけでございますが、この指導教員に、指導といいますか、初任者教員に対します指導は、職務命令として命じていただくわけでございます。しかしながら、その指導教官が指導する場合、つまり初任者教員に対します指導は命令ではございません。
  200. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 指導教員にはそういう職務命令権はない。あり得るとすれば校長だということだと思うんですね。
  201. 加戸守行

    説明員(加戸守行君) そのとおりでございます。
  202. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そこで、初任者研修には大別して三つの種類があるというふうに文部省も説明しておられますが、今申しました、それぞれの学校での指導教員などによる研修、それから教育委員会が主催をする、一堂に集めてやるいわゆるセンター研修、それから文部省が主催をする、ことしは夏と秋、二回に分けて船に乗せて連れていくということらしいですけれども洋上研修というものがあるわけでありますけれども、二つ目のいわゆるセンター研修、ここでどういう具体的な内容の研修をやるのかという問題については、文部省として別にそれほどの細目を決めているわけじゃない、細目は教育委員会に任せているんだというふうに今までの説明で聞いているんですけれども、そこで、あるところの例でありますけれども、必要とあらば後から県の名前を申し上げますけれども、同和教育についてどういう内容で教育委員会がレクチャーをしているかということについて、もちろん同和教育のいろんな経過、歴史ありますが、最近の重要な事柄は、昨年の十二月、具体的に内閣に対して意見具申が行われました地域改善対策協議会、この十二月十一日付、昨年の、だったと思いますけれども、この問題をレクチャーの中で取り上げていないというところがあるのであります。これは、こういう形で同和教育のレクチャーがやられるとすれば大変な片手落ちというふうに私は思うのでありますが、どうでしょう。
  203. 加戸守行

    説明員(加戸守行君) 初任者研修に当たりまして文部省といたしましては、例えば教育センター等におきましては学習指導とかあるいは児童生徒理解とか生徒指導とか、こういったような柱についてこういったような事項を指導していただきたいというような一般的な、大まかな目安はお示しいたしておるわけでございます。なお、そのほか研修の具体的内容の事例として例えば同和教育についての考え方というような、一つの研修例の柱としてもそういったいろいろな事項はお示ししておりますが、それ以上の細目についてどうするかというのは、各都道府県教育委員会あるいは指定都市教育委員会が自主的に御判断になって研修を実施していただく事柄でございます。なお、同和教育に関しましてどのような指導を行うのかということは、それぞれ各県が御判断いただく事柄でございますけれども、先生おっしゃいますような基本的な事柄を含めまして適切な対応ということは、それぞれ内容を十分理解し適切な処置ができるような方向への研修が必要であろうかと考えております。
  204. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いや、私が尋ねているのはそういう抽象論を尋ねているのじゃなくて、具体的に同和教育について、教育委員会側が初任者、いわゆる新規採用教員にレクチャーをやるわけですね、そのときに、最近の重要な事柄としての昨年十二月の例の地対協の意見具申、これを取り上げていないということは、いや構へん、それは教育委員会がやることだから好きなようにしたらよろしいという見解なのか、やはりそれはきちっと教えるべきものなのかという、これを聞いているんです。
  205. 加戸守行

    説明員(加戸守行君) 限られた時間におきます研修、盛りだくさんでございますので、どのような事項にどの程度のウエートを置くかはそれぞれ研修を実施される任命権者側において判断されるわけでございますし、また研修担当官の持ち味にもよろうかと思いますが、基本的には同和教育というものは初任者教員がいずれ学校において当面するわけでございますので、その学校内におきます処理が適切になるような方向での基本的な考え方ということが指導されるべきであろうと考えております。
  206. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 どうもあいまいですね。  ではここで総務庁長官にお尋ねをいたしたいと思いますが、地対協報告なり意見具申で述べております、同和関係者に対しての特権的な扱い、これが過度になるということについては是正する必要があるとか、それからいわゆる運動団体の糾弾的な行為、こういうものに対して学校も含めて行政機関の毅然たる対処、これが必要なんだということをあの中でかなり述べておると思うんですね。こういう問題は学校の同和教育についても徹底を図るべき事項だと、この意見具申で言いますと、このタイプ印刷でいただいているものによると十三ページ、そういったくだりが出てくるわけですけれども、私が申し上げましたような事項、これについては学校の同和教育についても徹底を図るべき事項だというのが地対協の提言と、また、それに基づいて総務庁として指導をなさっている方向だということじゃないでしょうか。
  207. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 同和問題に関しましての啓発推進につきましては、既に昭和五十九年にこの協議会から意見具申が出されましたし、また昨年の十二月に再度出されましたこと、今先生の御指摘のとおりでございます。総務庁といたしましては、この意見具申を踏まえて、さらに啓発推進指針というものをつくりまして、各省庁あるいは地方公共団体にお示しいたしておりますので、その趣旨に沿って私は現場において啓発推進が行われているものと理解をいたしておる次第でございます。
  208. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 文部大臣、今の総務庁長官の御答弁、それから先ほど来の局長などの答弁をお聞きになっておって、私が言っていますこの地対協意見具申ですね、これにどの程度の時間をかけるかどうかという、そんなところで私は問題にしているんじゃない。京都なんですよ、例は。私の京都府教育委員会のセンター研修、実際に私は調べてみました。一言も出てこないんです、この地対協のこの問題がね。というのは、これは明らかに、しかも京都といえば大体関西中心に学校に対してもいろいろ糾弾行為が起こってきたし、今もなくなってない地域でしょう。そういうところで、しかしこの問題を一言も触れないという、こういうセンター研修のやり方というのは。この地対協の意見具申というのは全大臣に出たんですから総理を初めとして、内閣に対して出たものでありますから、その点については一遍文部省としての指導を、必要な調査もなさって、事実であればきちっとした指導をしてもらうということが最低必要じゃないかというふうに思うんでありますが、大臣どうでしょうか。
  209. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 具体的なお話が出ましたんで、まあそこが本音の御質問だろうと思うんでございます。これは、私も今お聞きいたしましたので、具体的な問題でございますから、よく実情を調べさしまして、あくまでもやはり地対協の改善対策というこの意見具申出ておりますから、これ原則としてやっぱり守っていくべきだろうと思っております。一回よく調べてみましてまた御返事いたします。
  210. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ぜひ調査をなさって事実であればそこの指導をやってもらう必要があると思います。  時間がありませんのでほかの例が挙げられませんけれども、ほかで言いますと、例えば労働三権をどう教えるかということについて、わかりやすいためにということだったものですからマルとペケで分けてるんです。それで教職員の労働三権は、団結権はマル、争議権もちろんペケ、それから交渉権もぺケなんですよ。しかし、これは明らかに行き過ぎで、交渉権は制限されています、確かに。管理運営事項は交渉できぬとか、あるいは協約権は文書協約を結ぶことはできぬとかね。しかし勤務条件については交渉できるんですから。しかも御丁寧に教育委員会と一切交渉は持てませんという説明文までつけて、それをやっておるということもあるんですからね。このことについて時間ありませんからそこの逐一見解は聞きませんけれども、そういったのを含めて実態をよく調べて必要な手を打ってもらいたいと思うんです。若干の例を挙げて初任者研修というのが、文部省がきれいにおっしゃっているのとは逆に、末端へいくと随分ねじ曲がった形で出てくるという例を挙げたわけです。  しかも私重大だと思いますのは、この間から文部省にいろいろ聞くんですが、せめてサミット関係諸国、こういう諸外国の初任者研修制度とうなっておるのか、文部省としてどういう調査をしましたかといって調査結果の資料をくれと言ったら、出てきたのは、何日たっても、一週間たっても結局出てきたのは西ドイツとイギリスの二カ国。しかもそれは簡単などっちもペラ一枚ぐらいの資料なんですね、そういうものであると。これはもう文部省なんて当てにならぬと思って文教調査室に頼んだら、調査室の方からはかなり詳しい四カ国の資料が出てきた。それからさらに、我が国の他の公務員の初任者研修の実態はどうか、それを資料で出していただきたいと、そんなもの調べたことないと言うんですよ、文部省は。こういうことで、ほかの公務員がどういうふうになっているか、外国の制度がどうなっておるかということについてろくろく調べないで、まあいわば初めに結論ありきで、もうそんなものどうでもいい、とにかく初任者研修制度をやるんだ、文部省の音頭でやるんだ、こういうやり方でなっているということを文部大臣御存じですか。聞き始めですか。
  211. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いやいや佐藤さん、そうおっしゃるけれども、教育はそれぞれの国の特性に基づいてやるものでございまして、どこの国がこういうことをやっておるから日本はそれをまねしようという、そういうものじゃなしに、私たちは初任者研修というものは……
  212. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 まねしようなんというんじゃない。せめて比較をせぬといかぬ。
  213. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは研究してやっております。それは研究しておりますが、おっしゃるように日本の制度と同じようなものがほかの国でやっているかといったらそうじゃないと思うんです。  でございますから、研修のあり方というものについてはいろいろと調査しておりますけれども、同じ初任者研修のものほかにあるかといったら、これは同一のものはないだろうと。それはそこはやっぱり国の独自性、教育は国の基本的な私は主権の発動だと思っておるんですよ。そうすると、やっぱり国としてきちっとした独自の研修制度あってしかるべきだ。それが同じようなものないんじゃお前ら調査してないのかとおっしゃるけれどもそういうことではない。研修はどんな形でやっておるかということは調べておりますが、初任者研修という形態でとっているかとっていないかということは別だということです。
  214. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 何もどこかの国をぴったりそのとおりにやれというようなことを私一言も言ってないですよ。せめて日本の、新しい制度でしょう、初任者研修制度、文部省がこういうことで予算組んで、文部省主催で洋上研修までやろうというようなことは、というようなことを始めるに当たっては、諸外国の姿はどうなっているかということもよく調べてみる、ほかの公務員の姿はどうなっているかということもよく調べてみるということを念入りに調査をして、この方向が一番いいんだ、我が国の教育の未来にとってこの方向が一番いいんだということをよくよく慎重に検討し、探り当てていくというのがやるべき道なんですよ。ところが、さっき言いましたように、相当文部省も今までもう日数かけてやってきておるはずだ。ところが、資料出しなさいと言って出てきた資料は、もう薄っぺらいペラ一枚程度の西ドイツとイギリスの例しか出てこない。ほかの日本の公務員の姿は、制度はどうなっていますかといったってそんなもの調べたことないという返事なんですよ。これでは本当にひどいじゃありませんか。こんなことでとにかく突っ走っていったら、後でしまったなあということでほぞをかむようなことになっても、それこそ教育は国家百年の大計というんですからね、大変な間違いを犯す。  ぜひとも最後に大臣に言っておきたいんですけれども、よくそういう諸外国の姿なりほかの公務員、公務員といったって教員と同じように専門職もあるんですからね。そういう人が、新規採用者についてはきちっとした研修もやる必要あるですよ、同じように。そういうのをよく調べて、間違いない方向を決めるという点で、ひとつ今文部省が考えている初任者研修制度、こういうものは白紙撤回して、もう一遍慎重に慎重を期しての検討をやるということをすべきではないかと思うんですが、どうですか。
  215. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いろいろな調査をせいとおっしゃること、これは私たちも今後も一生懸命努力いたします。現在進めております試行、これはやはりあくまでも試行でございますが、最善を期していきたい。その中でいろんなやってみまして検討し、改善すべきところは積極的に改善をして、本当におっしゃるように教育は百年の大計でございますから、それに間違いのないようにきちっとした研修が行われるよういたしたいと思っております。
  216. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 先般、アメリカ政府は半導体取り決めを日本側が違反した、そういうことを口実にしまして経済制裁に踏み切ったわけでございます。私はこれ大変遺憾なことであるというふうに考えております。こういったふうなことが二度と繰り返されないために質問したいと思っております。  まず最初に、アメリカの方で半導体に対する取り決め違反であるというのは、どういう点で日本が違反しているというふうにアメリカは言っておりますか。時間が余りないので要点をお述べいただきたいと思います。
  217. 児玉幸治

    説明員(児玉幸治君) 日米の半導体協定は三つの骨子から成り立っております。一つは日本市場への参入の拡大について日本側で努力をするという部分でございますが、もう一つはダンピング輸出をしないということについて必要な手当てをするということでございまして、これがさらに二つに分かれておりまして、アメリカ向けの輸出の問題と第三国向けの輸出の問題になっております。アメリカ側が協定が十分に履行されていないというふうに言っておりますのは、日本の市場への参入の拡大がアメリカ側の期待ほどになっていないということと、第三国で安売りが行われているということの二点でございます。
  218. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 日本の市場への参入の拡大が行われてないということは、したがってフェアでないということは単に参入の機会をもっと公平にすべきであるということだけにとどまらず、アメリカの方としてはもっと結果において、実際においてアメリカの方の日本市場におけるシェアがふえないということを問題にしているんだと思うんですけれども、何かこの取り決めをする場合に日本の方で例えば日本の市場の二〇%なら二〇%まで高めるんだというふうな約束でもしたんであれば、これは私は問題だと思うんですけれども、そういうことは恐らくなかったんだと思うんですけれども、いかがですか。
  219. 児玉幸治

    説明員(児玉幸治君) これは先生の御指摘のとおりでございまして、アメリカも日本もともに自由主義経済の国でございます。ビジネスは民間において行われるわけでございまして、そういった事柄につきまして一定のマーケットのシェアを政府間で合意をするということはあり得ないのでございます。
  220. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 したがって、その参入を容易にするために協会をつくっていろいろアメリカの製品のPRをするとか、研究を共同でやるとかそういったふうなことについては努力をしておられると思うんですけれども、結果においてふえることを要求することは、アメリカの方は自由貿易ということを言っておりながら、あたかも日本が計画経済の国であるかのように考えて要求しているんだというふうに思われるんですけれども、そのように考えてよろしいですか。
  221. 児玉幸治

    説明員(児玉幸治君) 協定そのものは先ほども申し上げましたとおりでございますので、決してマーケットシェアについての約束を政府レベルでいたしておるわけでございません。  先生御指摘のように、この半導体の世界的な交流というのは、これから先のエレクトロニクス産業の発展のために非常に重要なことでございますので、交流の拡大を図るという見地から日本の半導体のユーザーの方々にも外国製の半導体の購入について勧奨をする、英語ではエンカレッジというふうに言っておりますけれども、そういうことをするという約束をいたしておるわけでございます。昨年の九月初めの協定の正式締結以来数次にわたりまして、これは事務的にも関連のユーザーに対して勧奨いたしましたし、また通産大臣御自身にも御出馬をいただきまして、そういう勧奨をいたしてきたわけでございまして、私どもといたしましては、協定に基づく義務は十分に果たしていると思っているところでございます。
  222. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 ダンピングの方の問題についてお伺いしますけれども、日本の新聞の報道するところによりますと、アメリカの方は日本がそれに違反しているということの証拠を示さずに、単に違反しているんだ、違反しているんだというふうに報じられているんですが、ことしの六月十九日のサンケイ新聞が、アメリカの方は、つまりこういう理由で日本のダンピングを認定しているんだ、その認定の根拠を数字を挙げてスクープしたらしいんですけれども、これは通産省の方にももちろん来ていると考えてよろしいですね。
  223. 児玉幸治

    説明員(児玉幸治君) 四月十七日の制裁措置と申しましょうか、アメリカ側の差別的な措置の開始以来、日米両国でその事態を打開するためにいろんな場で協議をいたしておりまして、その中で日米両国が第三国市場における価格動向につきまして調べまして、お互いにデータを持ち寄って突き合わせをするという作業をいたしておることは事実でございます。  したがいまして、私どももその協議の過程で、アメリカ側が調べましたデータにつきましてアメリカ側から提示を受けたということはこれは事実でございますけれども、何しろこれは日米間の協議でございまして、内容的には個々の企業にかかわる情報でございます。アメリカ側からのいろんな要請もございまして、その先生御指摘のそういった新聞に報道されておりますデータそのものが、私どもの手元にあるかないかということにつきましては、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。
  224. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 ちょうど五月の終わりごろ、アメリカのワシントンDCに行ったんですけれども、どうも向こうの話を聞きましても、それから通産省の話を聞きましても、結局ダンピングの定義が両方が一致していない。つまり、どういうデータをとるか、どういう計算方法をするのか。例えば、そのコスト、ノルマルプライス以下、コスト割れしているというようなそのコストの計算方法ですね、これは例えば過去の半年前から今までのやつの平均でとるかどうか、あるいは現在だけとるか、こういった先端技術なんというのは半年もするとコストというのは非常に変わってくる。したがって、どういうタイムスパンでとるか、あるいはそのコストの中に研究調査費、それをどういうふうに入れるかということについて、どうも両方に食い違いがあるんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点どうですか。
  225. 児玉幸治

    説明員(児玉幸治君) 確かに、ダンピングであるかないかという議論を、特に第三国の問題につきまして議論いたします場合に、アメリカ側の考えておりますことと日本側で考えておりますことが幾つかの点で違っているのは事実でございます。ただいま先生の方から御指摘のありました、例えばどの時期をとらえてコストの計算をするかとか、あるいは現地の販売経費をどういうふうに見るか、さらには研究開発費について当該品物に対しましてどういうふうな割り掛けをするかというふうな点につきましては、少なくともこれまでのところ日米間で見解に差があったわけでございますが、五月の終わりから六月の初めにかけましてワシントンで協議をいたしました際に、この問題についてギャップを何としても縮めていかなければならないという点につきましては、日米双方認識が一致いたしました。具体的にどこをどういうふうに考えて物の考え方を整理しようかということについては、協議を進めようということになっておりまして、既に五月の終わりの段階でも一部スタートいたしましたが、今後ともできるだけ早く機会をとらえまして、この問題についての両国の見解の差を縮めたいと考えております。
  226. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 こういうコストの計算方法なんというのは非常に重要な問題で、やはり取り決めをするときにそういった細部まで両方が詰めておくことが、不必要な摩擦を避ける意味において私は必要ではないかと思いますので、この半導体の問題については早急にその対策の差を詰める、あるいはそのほかの問題につきましても同じようなことが起こるような場合においては、そういう努力をしていただきたいということを希望しておきます。  しかし、その問題はそれといたしまして、こういったふうなトラブルが起こってまいりますのは、やはり日本の企業のビヘービアと申しますか、つまりもうけになる、利益になるというふうに思うと相手の産業全部を根こそぎにしてしまっても、結局安いのが売れるのだからそれでいいんだと。結局強いものが正しいのだ、そういったふうな考え方にやっぱり問題があるのじゃないか。やはり国内においても一つの企業が弱い企業を全部なぎ倒しちゃって、市場占拠率を高めるということになると公正な競争が阻害されるわけですから、やはり競争の内容を変えて、単に利益さえ上げればいいんだというのじゃなしに、やはり日本は世界経済を支えている重要な柱である、単なる自由経済の利益を受ける方だけではなしに、利益を与える、そういったベネファクターの役目を果たさなくちゃいけないのだ、そういう自覚をやはり企業に持たせることが必要ではないかというふうに思うんですけれども、通産大臣いかがですか。
  227. 田村元

    国務大臣(田村元君) 全くおっしゃるとおりでございます。半導体のみならず何でもそうでありますが、利益を上げることに手段を選ばないという批判があることは事実でありますが、その以前の問題としてシェア拡大主義、シェア主義をとっておるというところに過当競争が一層激化するという面がございます。でございますから、通産省としましてもそういう点、企業がおのずからなるモラルを守っていく、いわゆる商道といいますか、モラルを守っていくというふうにしていただくためにも、あらゆる機会を通じて努力をしていきたいというふうに思っております。
  228. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 その努力はぜひしていただきたいと思います。  最後に、どうも自由貿易ということあるいは自由経済ということを両方が言っておるんですけれども、どうもその内容がはっきりしてない。例えば自由貿易を守るということをアメリカの方は言っているんですけれども、実際においてアメリカが日本に今まで要求してきたことは、繊維にしましても電気製品にしましても、自動車にしましても鉄鋼にしましても、結局自主規制をせざるを得ない、そういう要求をしてきているわけです。  日本の方でも自由経済ということを言っておるんですけれども、自由経済というのは単なるレッセフェール、自由放任主義では私は自由経済というのは維持できないのじゃないか。やはり完全な自由貿易でもない、完全なレッセフェールでもない、完全な保護主義でもない、何かその中間のある程度の管理を加えたところの貿易、そういった貿易秩序、経済秩序を両方で話し合っていく必要があるのじゃないかということを感ずるんですけれども。
  229. 田村元

    国務大臣(田村元君) おっしゃるように、まことに困った事態が展開されております。特に米議会のいら立ちというものが尋常でない面があります。そして、保護主義へ走っておる。ただ、アメリカ政府は、これに対して毅然として自由貿易、自由経済を唱えて立ち向かっておりますが、我々としましても、おっしゃいましたように自由放任であってはなりませんが、そこにおのずからなる自然の規律というものがあってしかるべきものと。もちろん政府が介入する限界はございます。ございますけれども、我々が求める姿を示していくことはいいことだと思いますので、そういう点で今後とも鋭意努力を重ねていきたいと思っております。
  230. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 通産大臣結構でございます。  あと官房長官に質問したいと思っておりましたが、私の持ち時間あと三分余りになってしまいましたので、私、意見をずっと述べますから、最後にそれについてコメントがあればしていただきたいというふうに考えております。  昨年、国防会議が改組されて安全保障会議が設立されて一年になるわけですけれども、いろいろ私調べましたところによりますと、確かに安全保障会議の回数は従来に比べてふえているように思います。しかし、その会議で主として取り扱われたことは、結局防衛予算の追認が主たる仕事ではなかったか、一%問題を含めまして。それじゃ内容的には前の国防会議の時代とほとんど変わらないんじゃないかというふうに私は感じております。しかし私は、安全保障会議がつくられた理由は、やはり安全保障の問題を多角的に取り上げる。例えば、現在INFの軍縮交渉が進んでおりますけれども、この軍縮の問題を単に外務省の軍縮課だけに任せておくわけにはいかない。やはり、そのINFの交渉が日本の安全保障にどういう影響を与えていくか、それに対してどういう対応をしていったらいいか、あるいはペルシャ湾ならペルシャ湾の危機の問題に対して日本はどういう対応をすべきであるか、そういうことを関係の閣僚の間で議論する、それが私は安全保障会議の一番大きな仕事でなくちゃいけないと思うんですけれども、どうも今まで調べましたところでは、そういうふうなことが行われたという知らせを私は得ておりません。何か安全保障の問題を一回取り上げると、自分の省の持っている権限が取り上げられるんじゃないかというふうな懸念からかどうか知りませんけれども、政府全体として安全保障の問題を何か避けてきている、そういう印象を受けざるを得ないわけであります。しかし、そういった内閣の姿勢が、例えば今度の東芝機械なんかのああいったふうなココム違反なんかの問題を引き起こす。そういう政府姿勢がやはりお役人にも、何かそういったふうな問題を避けていこう、あるいは業界としてもそういったふうな安全保障の問題に音痴になってしまう、鈍くなってしまう、そういう原因になっているんじゃないかと思うんです。  したがって、官房長官にお願いしておきたいんですけれども、先ほど申しましたような趣旨で、安全保障の問題を十分にその安全保障会議で取り上げていただきたい。日本の国家全体の問題として、お役人も業界もすべてを含んで、そういう問題に対して意識を高めるようにしていただきたいということを考えている次第でありますし、お願いする次第であります。何かコメントがあればお答え願いたいし、なければ結構でございます。
  231. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 安全保障の問題は、おっしゃるように非常に幅の広い観点からコントロールをしていかなければならない問題だと考えております。そういう趣旨で先般機構の改革もし、その仕事の準備も進めておるわけでございますが、関さんの御所見、私はごもっともであると、そういった方向に向けて安全保障会議のこれからの運営に御意見をできる限り反映さしていくようにやってまいりたいと、かように考えます。
  232. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 他に御発言もなければ、昭和五十九年度決算外二件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 御異議ないと認めます。  これより昭和五十九年度決算外二件について討論に入ります。  昭和五十九年度決算の議決案はお手元に配付のとおりでございます。  なお、内閣に対する警告案文につきましては、理事会において協議の結果、意見が一致したものであります。  案文を朗読いたします。    内閣に対し、次のとおり警告する。  (1) 近時、航空自衛隊三沢基地、新田原基地等に所属する自衛隊機の墜落、同百里基地におけるミサイル不時作動、陸上自衛隊上富良野演習場におけるりゅう弾砲の誤射等の事故が続発し、またこれらの事故の中には過誤によるとみられるもの、あるいは事故発生の公表が遅れたものがあったことは、誠に遺憾である。    政府は、基地周辺住民等の生命及び財産の安全を守り、また、国有財産の損失を防ぐため、過去の教訓を生かし、事故の再発防止に万全を期すべきである。  (2) 旧日本原子力船開発事業団が、原子力船「むつ」の修理を佐世保港で行うことに伴い、国は長崎県に対し、魚価安定対策事業のための魚価安定特別基金として、二十億円の補助金交付を行ったが、その後同基金のうち国庫補助金相当額は、国に返還すべき条件に適合する状況にあるにもかかわらず、未だに返還が実現されていないのは、水産県・被爆県でありながら国の要請を受けて原子力船「むつ」の修理を受け入れた長崎県の立場は理解できるとしても、看過できない。    政府は、国費の効率的使用の観点からも、可及的速やかに長崎県との協議を整え、早期返還が図られるよう努めるべきである。  (3) 政府開発援助の拡充強化は、平和国家たる我が国の重要な国際的責務であり、今後ともその拡充に努めなければならないところ、国際協力事業団が発注した海外開発調査業務等について不祥事件が発生したことは誠に遺憾である。    政府は、政府開発援助の原資が国民税金等であることに留意し、同援助が相手国の経済社会開発及び民生の安定と福祉の向上に資するため、適正かつ効果的・効率的に使用されるよう努めるとともに、この種事件の再発防止のため、同事業団に対し、業者選定の厳格化、職員綱紀粛正を図るよう指導監督強化すべきである。  (4) 租税の徴収に当たり、徴収額に過不足が生じた事例が見受けられることは、国民期待する適正かつ公平な税務執行の観点から看過できない。    政府は、徴収額の決定に誤りなきを期すため、税務職員に対する研修の充実、納税者等に対する税法の周知徹底等税務執行体制の充実に配意し、公正な税務執行に一層努めるべきである。  (5) 地方公共団体が、地方債を財源の一部として建設事業実施する場合において、特定の地方公共団体が地方債の許可申請に当たり、同事業事業費から控除すべき指定寄附金を控除していなかったり、あるいは貸付対象外費用を同事業費に含めていたことなどにより、結果として、簡易生命保険の積立金の長期貸付けにおいて過大貸付けの事態が発生したことは看過できない。    政府は、地方公共団体等に対する貸付けの適正化を図り、この種事態再発防止に努めるべきである。 以上であります。それでは、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  234. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、昭和五十九年度決算外二件に対し是認することができないことを表明するとともに、委員長提案の内閣に対する警告案に賛成するものであります。  反対理由の第一は、五十九年度の財政・経済運営についてであります。  当該年度は、かつて鈴木内閣において、赤字国債依存脱却の目標年次に設定された年次であります。しかるに、特例国債発行決算額は、六兆三千七百十四億円でありまして、当該年度末残高は百二十一兆円余の巨額に達し、そのため国債費の増大によって財政の硬直化、財政の対応力の低下が一層深刻になっております。このように、自民党政府が公約した財政再建は、完全に失敗し、財政窮迫化に拍車をかけることになった財政運営の責任は重大であります。  第二に、当該年度の歳出は、第二臨調の最終答申及び中曽根総理の節約一本やりの総需要抑制政策によりその後の国際収支の異常黒字、そしてG5以降の円高不況の引き金となりました。誤った財政運営の結果であったことは言うまでもありません。また、当該年度を出発点として、以来今年度まで公共事業費は、毎年度二%ずつ削減して、四年間に五千億円圧縮し、経済景気対策をないがしろにしてきましたが、六十一、六十二年度の両年度で二兆三千億円を超える補正追加を余儀なくされようとしております。これは全くの無定見な財政運営でありました。こうした財政運営の初年度である当該年度決算を是認することはできません。  第三は、五十一年度以来財特法に明記していた特例国債の現金償還という歯どめを破り捨て、借換債の発行への道を開いたことであります。政府が建設国債と特例国債との唯一の違い、そして特例国債管理の節度と大見えを切ってきましたものでありますが、現金償還を建設国債と同様に六十年償還としたことは財政の借金依存体質を助長するばかりか、中曽根内閣の特例国債脱却の財政再建路線とも政策的に大きく矛盾する暴挙と言うほかはなく、財政インフレの危険をますます強める国債管理政策を開いた当該年度決算を是認することは、後世代に対する大罪と言わざるを得ません。  最後に、当該年度の決算検査報告を見ても相変わらずずさんな経理と税金のむだ遣いが是正されていないことであります。現在審査中の当該年度の決算では税金のむだ遣いが五十八年度の百七十一億円から二百二十五億円にも膨張していますが、会計検査院の実地検査は全省庁、政府関係機関のうちわずかに九%に対して行われたにすぎず、もしこれを全予算に単純に当てはめて拡大するとすれば、税金のむだ遣いは優に二千五百億円を超えるという試算すらもあります。  そこでどうしても納得できないことは、特例国債の増発など極めて厳しい財政運営の状況の中で、こうした巨額の税金のむだ遣いが依然として発生していることであります。こうした状況は中曽根内閣の金看板の一つである行政改革の推進とは大きく矛盾することであり、全く容認することはできません。  以上の反対理由を述べ、私の討論を終わります。
  235. 大島友治

    ○大島友治君 私は、自由民主党を代表して、昭和五十九年度決算外二件に対して、これを是認するとともに、委員長提案の警告案に対しても賛成の意を表明するものであります。  五十九年度の経済運営の基本的態度は、第一に、国内民間需要を中心とした景気の持続的拡大を図り、かつ、雇用の安定を図ること。第二は、物価の安定基調を引き続き維持すること。第三に行財政改革を強力に進めること。第四に、国際協調の精神のもとに、自由貿易体制の維持・強化のため率先して努力するとともに、調和ある対外経済関係の形成と世界経済活性化への積極的貢献を図っていくこと等でありました。  五十九年度の当初予算が、一般会計歳出の伸びが〇・五%という極めて低い伸び率になりましたのは、第二次臨調による改革方策の着実な実施を図り、特に行財政の守備範囲を見直す等の見地から経費の徹底した節減合理化を行うために、予算規模を抑制することとした結果であります。  このような限られた予算の中で、政府は四月には、まず上半期の公共事業施行について七〇%を超える契約率を設定し、公共事業等の機動的・弾力的な施行に心がけ、次いで市場の開放及び輸入の促進、先端技術分野における市場開放等、さらには金融・資本市場の自由化及び円の国際化の促進などを柱とした対外経済対策を打ち出し、国際経済社会において我が国が果たすべき役割を積極的に果たしていこうと努めたのであります。  また十二月には、災害復旧などのため、八千八百億円規模の補正予算を編成し、適時適切に対処してきたのであります。  その結果、五十九年度の経済成長率は、当初見通しが、名目五・九%、実質四・一%であったものが、名目が六・七%、実質で五・〇%といずれも目標を大幅に達成し、一方、物価についても総合卸売物価指数を一%、消費者物価指数を二・八%の上昇と見込んでいたのに、それぞれ〇・二%、二・二%という、まさに超安定状態で推移し、雇用においては労働力需給はなお緩和した状態にあったものの、求人が増加するなど改善の動きが見られました。  財政再建についても、昭和五十九年度赤字国債依存体質脱却は達成できなかったものの、当初見込んだ国債依存度二五%を、決算段階ではさらに下回ることとなり、政府みずからが新たに設定した昭和六十五年度赤字国債依存体質脱却という財政再建に向けて、着実な歩みを記した年度と言うことができるのであります。しかも政府が、当初国民に約束した所得税減税初年度八千七百億円を同時に実行し、国民の税負担の軽減に努めてまいりました。  このように五十九年度にとられた政府の施策は、まことに時宜に適したものであったと言えるものであります。これが本決算外二件を是認する最大の理由であります。  財政執行の過程における個々の事例につきましては、本委員会審査において明らかになった点、あるいは会計検査院の指摘に見るような、反省すべき点、留意すべき点があったことは事実でありますが、政府は、この際、警告の趣旨を十分にしんしゃくし、今後一層財政の効率化、行政適正化に努め、国民の信託にこたえるよう要望いたしまして、賛成討論を終わります。
  236. 田代富士男

    田代富士男君 私は、公明党・国民会議を代表して、昭和五十九年度決算外二件に対しては、これを是認できないことを表明し、委員長提案の警告案に対しては、賛成の意を表明するものであります。  以下、決算外二件について反対の主な理由を申し上げます。  その第一は、財政経済運営の失敗であります。  五十九年度の経済運営は、安心で豊かな国民生活を目指す上から、第二次石油危機以降の日本経済の構造を、政府の積極的な施策によって輸出主導型から内需主導型に転換させ、景気の持続的拡大を図るとともに、調和ある対外経済関係を形成するべきであったにもかかわらず、政府には何ら具体策もなく、失敗に終わったのであります。  すなわち、その執行の結果を見るならば、経済成長率は、五年ぶりに実質五・〇%の成長となり、当初見通しを達成したものの、内、外需別の寄与度では、内需の見通し三・一%に対し、その実績は三・七%となり、特に、拡大し続ける国際収支における黒字の抑制を図るため、大事な目標とされていた外需については低めに立てた見通し〇・五%を大きく上回って一・三%となり、依然として輸出依存型の体質を改善できなかったのであります。  その結果、国際収支の黒字は、五十九年度末には三百七十億ドルになり、六十年九月の五ガ国蔵相会議後、各国の協調介入による急激な円高もあって黒字は一層増大し、六十年度末には五百五十億ドル、さらに六十一年度末にはついに一千億ドルを突破するに至ったのであります。  今日、我が国がアメリカを初め諸外国から日本たたきとも言うべき批判にさらされ、貿易摩擦の解消に苦慮し、一方では長引く円高不況によって国民生活が大きく圧迫されているのも、もとをただせば五十九年度経済運営の失敗からであり、その影響はまことに大きいと言わざるを得ません。またこの間、企業倒産件数は過去最高の二万三百六十三件で、その負債総額は実に三兆四千六百八十九億円の巨額に達し、完全失業者数も同じく過去最高の百五十九万人となるなど、国民生活にとっては極めて厳しい情勢が続いたのであります。  その第二は、減税についてであります。  政府が鳴り物入りで打ち出した五十九年度の大幅所得減税のその内容は、七年ぶりの諸控除の引き上げであり、税率では高額所得者に厚く、低所得者に薄い改正であり、国民の大きな声を反映したものとはならなかったのであります。  一方、法人税とともに酒税、物品税の税率引き上げにより国民生活は大きな圧迫を受けるところとなりました。これを国税、地方税を合わせた租税負担率で見るならば、実に二四・三%と過去最高となったのであり、減税とは名ばかりであり、私どもは到底容認することはできません。  第三に、我が党各委員が本委員会において指摘した高騰する地価対策、米の転作、アスベスト粉じん公害、輸入車の安全性等、国民生活に深いかかわりのある諸問題について、政府の対策に大きく欠ける点があったことは実に遺憾であり、これらについては速やかな対策を改めて強く要望いたしたいと思います。  会計検査院から毎年同じような不当事項が繰り返し指摘され、半ば恒常化しているものが見受けられることは甚だ遺憾であり、行政に臨む政府姿勢を正すよう強く反省を求めたいと思います。  最後に、国費のむだ遣いの絶滅を期すことはもとより、予算執行後の事業効果の発現という点にも十分留意することを求めたいと思います。  以上、決算外二件の反対理由を申し上げました。  委員長提案の警告に対しては賛成であります。  政府は、警告の趣旨を体して速やかにその実現を図るよう要望し、私の反対討論を終わります。
  237. 橋本敦

    橋本敦君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十九年度決算を是認することには反対であることを表明いたします。  以下簡単にその理由を申し述べます。  我が党は、中曽根内閣の軍備拡大、増税、国民生活圧迫をもたらす五十九年度予算については、当初において国民生活向上を第一とする方向で予算の組みかえを強く要求いたしました。しかし、これが入れられず、これを拒否して成立をしたその予算を執行した結果、健康保険十割給付など戦後確立され定着してきた福祉、社会保障等に係る諸制度が次々と改悪され、高齢者や障害者、病弱者だけではなくて、多くの国民の生活が増税も相まって実質的に引き下げられる結果を招いたのであります。その反面、軍事費では異常な増大を続け、シーレーンの防衛、海峡封鎖をもねらってF15戦闘機などの兵器が軒並み前年度を上回る新規の契約で増大され、レーガン戦略に沿って我が国と世界の平和と安全に逆行する道を一層進んだのであります。  さらに、大資本優先の中曽根政治とその予算を執行した結果、貿易黒字が増大されたことに示されるように、大企業の繁栄は大きく進みましたが、それとは対照的に円高も進んで中小企業の倒産が二万件近くにも上り、完全失業者数も百六十一万人にも達し、この年度において失業率二・七%と過去十年間で最高の数値を示すなど赤字国債依存体質からの脱却もできないまま、まさに経済と国民生活の危機を深刻にさせたのであります。このような五十九年度決算について、ごく限られた部分的な指摘事項を示すだけで是認することには到底賛成することができません。  なお、委員長提案の警告案には賛成であります。  また、昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算書等につきましては、我が党が反対した右の予算の執行の結果を国有財産の移動という面で示したものにすぎません。これには反対であります。  以上で討論を終わります。
  238. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私は、民社党・国民連合を代表して、昭和五十九年度決算外二件に対し是認できないとの立場から、また委員長提案の警告案につきましては賛成の立場から、討論を行うものであります。  決算外二件に反対する第一の理由は、昭和五十九年度における政府の経済・財政政策の問題であります。民社党は、行財政のむだを排し、効率化・簡素化を行うという行政改革と、適正な経済成長を維持するための積極経済政策は矛盾しない。すなわち行政改革を断行し、それによって浮いた財源を用いて、経済の発展と国民生活の安定に資する拡大均衡型の経済政策を行い、あわせて税の自然増収を図るべきだと主張してまいりました。ところが政府は、行政改革と財政再建に名をかりて、縮小均衡型経済運営をとったのであります。そのため国内経済の持つ潜在的成長力を十分引き出すことができず、経済成長は輸出に依存せざるを得なくなりました。その結果生じた巨額の貿易黒字は、国内市場の閉鎖性とあいまって、諸外国の批判の的となり、大きな国際問題となったことは今さら説明するまでもありません。政治において「もしも」という言い方は必ずしも適切ではないでしょうが、我が党が主張していたような積極財政運営への転換がもっと早く行われていたなら、諸外国の評価もかなり違っていたと言えるでしょう。国内的批判には耳を傾けず、国際的な批判を受けてから慌てて対応に追われるという政府姿勢は、問題にされなければなりません。  第二は、行政改革の不徹底についてであります。五十九年に中央省庁の組織再編成が一部行われましたが、それは小手先だけの、数のつじつま合わせにしかすぎず、部局の統廃合や事務の合理化、公務員の定員削減、補助金の整理・合理化は不十分なものでしかありませんでした。このため政府は支出抑制の方策として、画一的な全省庁一律のマイナスシーリングに頼らざるを得ず、財政の硬直化を招いたわけであります。  第三は、政府の無策によって、国民の間に不公平感を募らせたことについてであります。内需喚起の切り札とも言える所得税減税も、財政上の逼迫、財源の確保を理由に、酒税を初めとする間接税の増税を伴って行われました。このため当然のことながら、それは内需の拡大には結びつかず、トーゴーサンとも呼ばれる不公平税制に対する国民の不満を一層助長しただけに終わりました。と同時にそれは中曽根内閣が掲げていた増税なき財政再建の放棄でもありました。加えて農政に関しても長期的なビジョンを欠き、場当たり的な米価形成を行ったため、食管制度の赤字の拡大、ひいては消費者米価への価格転嫁となったわけであります。このような国民への負担の転嫁という政府の安易な政策は、ほかにも健康保険の改悪、公共料金の値上げと枚挙にいとまがありません。  以上の理由昭和五十九年度決算外二件を是認することは到底できません。  最後に、委員長提案の内閣に対する警告案につきましては、政府に対してその速やかな是正を求めるとともに、今後効率的な予算執行と決算の一層の充実を要望して、私の討論を終わります。
  239. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  240. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算昭和五十九年度特別会計歳入歳出決算昭和五十九年度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十九年度政府関係機関決算書の採決を行います。  第一に、本件決算は、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  241. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 多数と認めます。  第二に、内閣に対し、先刻朗読のとおり警告することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  242. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 全会一致と認めます。よって、昭和五十九年度決算につきましては、多数をもってこれを是認することとし、内閣に対し、先刻朗読いたしましたとおり警告すべきものと議決いたしました。  次に、昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算書の採決を行います。  本件につきまして、異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  243. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって異議がないと議決いたしました。  次に、昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書の採決を行います。  本件につきまして、異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  244. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって異議がないと議決いたしました。  なお、これらの案件審査報告書の作成につきましては、これを香員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  245. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、内閣に対する警告について関係国務大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。栗原防衛庁長官
  246. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) ただいま御決議のありました自衛隊機の墜落事故等の再発防止につきましては、従来から庁を挙げて取り組んできたところでありますが、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも各種事故の防止についてさらに一層の努力をしてまいる所存であります。
  247. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 次に、三ツ林科学技術庁長官
  248. 三ツ林弥太郎

    国務大臣三ツ林弥太郎君) ただいま御決議のありました長崎県の漁価安定特別基金につきましては、現在長崎県において返還に向けて県内意見の集約に努力が払われているところでございます。国の要請を受け、原子力船「むつ」の修理を受け入れていただいた長崎県の立場は理解できるところでございますが、御決議の趣旨に沿い今後とも早期返還が図られるよう努めてまいる所存でございます。
  249. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 次に、倉成外務大臣
  250. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) ただいま御決議のありました開発途上国に対する我が国経済協力及び国際協力事業団に対する指導監督強化につきましては、御決議の趣旨に沿うよう今後とも努力してまいる所存でございます。
  251. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 次に、宮澤大蔵大臣。
  252. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御決議のありました税務執行体制の充実に配意して、適正かつ公平な税務執行を行うということにつきましては、従来から努力を重ねているところでありますが、御決議の趣旨に沿って今後とも一層努力してまいる所存であります。
  253. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 次に、唐沢郵政大臣。
  254. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) ただいま御決議のありました簡易生命保険積立金の過大貸し付けの再発防止につきましては、既に所要の措置を講じておりますが、御決議の趣旨に沿って今後一層努力してまいりたいと存じます。
  255. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 以上をもちまして、関係国務大臣の発言は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十四分散会