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1987-06-17 第108回国会 参議院 決算委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年六月十七日(水曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  六月十日     辞任         補欠選任      下田 京子君     佐藤 昭夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         菅野 久光君     理 事                 石井 道子君                 鈴木 省吾君                 松尾 官平君                 梶原 敬義君     委 員                 河本嘉久蔵君                 沓掛 哲男君                 斎藤栄三郎君                 寺内 弘子君                 中曽根弘文君                 永野 茂門君                 福田 幸弘君                 真鍋 賢二君                 宮崎 秀樹君                 佐藤 三吾君                 山本 正和君                 及川 順郎君                 片上 公人君                 佐藤 昭夫君                 橋本  敦君                 関  嘉彦君                 抜山 映子君    国務大臣        運 輸 大 臣  橋本龍太郎君     —————————————        会計検査院長   辻  敬一君     —————————————    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    説明員        警察庁交通局交        通指導課長    田辺八州雄君        警察庁交通局交        通規制課長    橋口 俊二君        警察庁交通局運        転免許課長    村井  温君        法務省人権擁護        局調査課長    落合 紹之君        文部省初等中等        教育局高等学校        課長       小西  亘君        運輸大臣官房審        議官       井山 嗣夫君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    林  淳司君        運輸省地域交通        局長       熊代  健君        運輸省地域交通        局陸上技術安全        部長       清水 達夫君        運輸省貨物流通        局長       中島 眞二君        運輸省海上技術        安全局船員部長  野尻  豊君        運輸省航空局長  山田 隆英君        海上保安庁長官  栗林 貞一君        気象庁長官    菊池 幸雄君        労働省労働基準        局安全衛生部計        画課長      安藤  茂君        建設省道路局高        速国道課長    小林 芳夫君        自治省行政局振        興課長      吉原 孝司君        会計検査院事務        総局次長     秋本 勝彦君        会計検査院事務        総局第三局長   大沼 嘉章君        会計検査院事務        総局第五局長   三原 英孝君    参考人        日本国有鉄道清        算事業団理事長  杉浦 喬也君        日本国有鉄道清        算事業団理事   池神 重明君        東日本旅客鉄道        株式会社人事部        長        力村周一郎君        東海旅客鉄道株        式会社総務部長  伊庭 昌広君        西日本旅客鉄道        株式会社取締役        人事部長     南谷昌二郎君        西日本旅客鉄道        株式会社取締役        車両部長     井澤  勝君        西日本旅客鉄道        株式会社施設部        長        宮本  清君        日本貨物鉄道株        式会社常務取締        役        岡田 昌久君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和五十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十九  年度政府関係機関決算書(第百四回国会内閣提  出)(継続案件) ○昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百四回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十日、下田京子君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。     —————————————
  3. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 昭和五十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、運輸省及び日本国有鉄道決算について審査を行います。     —————————————
  4. 菅野久光

    委員長菅野久光君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  6. 菅野久光

    委員長菅野久光君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大臣、五十九、六十と会計検査検査結果が出ておりますが、不当事項が続いて指摘されておりますね。この問題についてどのように受けとめて対応していらっしゃるのか。まずそれをお伺いしたいと思います。
  8. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは運輸省ばかりではなく、いずれの行政でも当然のことではありますが、行政全般が適切に執行され、殊にその中における予算というものが適法かつ適切、公正に執行されることは、最も行政の信頼を保つ上で大切なことだと存じております。今回の決算におきましても、検査院から指摘を受けておる部分があることは大変残念なことでございまして、それぞれの指摘事項につきまして、今後の行政運営の適切な運営を図る上での参考とし、指摘を受けた事項については是正の努力を払うという基本的な考え方でありますが、いずれにしても指摘を受けましたような事項のありますことは大変遺憾なことであると考えております。
  9. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 不当事項ということは、検査院から見ましてもかなり慎重に配慮した上で出されている内容ですから、それに取り組む姿勢はやっぱり真摯にこたえていかなければならぬと思うんで、その点はひとつぜひそういう受けとめを大事にしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  そこで、ちょっと警察庁お見えになったと思いますからお伺いしておきたいと思うんですが、最近、東京都が行った調査によりますと、大型車の過積載違反車道路によっては三六・四%という事実が結果として挙げられておるわけでございますが、これは、こういう違反車がおるということは、道路の損傷はもちろんでございますが、振動、騒音などの公害や重大事故につながるがゆえに、五十三年道交法の一部改正の際に厳重な取り締まりを強化する、こういうことで法改正をなした経緯がございますが、その後の状況の中でどうしてこういう実態が出てくるのか、取り締まり状況を含めて原因等がわかればひとつお聞かせ願いたいと思うんです。
  10. 田辺八州雄

    説明員田辺八州雄君) 過積載運転につきましては、ブレーキを踏んだ際の滑走距離が延びるとか、あるいは積み荷による横転事故、あるいは積み荷カーブ等において落下させる事故、あるいは事故が発生した際の衝撃力の大きさといったようなことを考えまして、こういう要因がございますので重大な事故につながりやすい危険な違反であるということで、警察といたしましては、従来から交通取り締まりの最重点一つということで取り組んできたところでございます。  また、これらの事案を防止するためには、単に運転者を取り締まるだけではなくて、使用者等による安全運転管理の徹底などが重要であるという観点から、運転者違反の捜査にとどまることなく、使用者等背後責任につきましても積極的に追及をしてきております。今後とも同様の取り締まり方針で臨むとともに、過積載防止対策連絡会議といったようなものを通じまして、関係行政機関との連携を密にいたしまして効果的な対策推進に努めてまいりたいというふうに考えております。  この取り締まり実態でございますが、ただいま申し上げましたような方針のもとに取り締まりを実施しているわけでありますけれども、最近の取り締まり件数を見てみますと、ここ三年十万件台の取り締まりを行っておりまして、六十一年中には十万一千五百七十六件を過積載違反として取り締まりを行っております。また、この取り締まりを通じて使用者に対する下命容認違反であるとか、あるいは会社に対する両罰規定の適用というようないわゆる背後責任追及を行っているわけでございますが、これが昨年一年間で五千九十六件という数字に上っているところでございます。
  11. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 運輸省はこれは主管省ですが、どういう対応をしていますか。
  12. 中島眞二

    説明員中島眞二君) 運輸省といたしましても、この過積載防止ということはトラック輸送安全確保を図る上からも、また輸送秩序確保という観点からも大変重要な課題であるというふうに認識いたしております。この問題につきましては、関係省庁によります総合的な対策推進が必要だということで、中央におきまして警察庁とか総務庁建設省運輸省、それから荷主を所管します官庁でございます通産省、農水省の六省庁の間で連携をとりながら、連絡会議というものを設けまして全体の進め方を協議しておるところでございますが、地方におきましても各都道府県単位警察都道府県交通安全部局、それから以前は陸運事務所と申しておりましたが、陸運支局の三者から成ります過積載防止対策連絡会議というのを設置しまして関係機関の間の連携を強化してまいっております。  運輸省といたしましては、トラック事業者に対して従来から鋭意指導をしてまいったところでございますが、事業監査を行いますが、その際の監査重点項目としてこれまでもとられてまいりましたけれども、ただいまお話しございましたように、大変シリアスな事態であるというふうに私どもも認識いたしておりまして、昭和六十二年度におきます監査の最重点項目ということにこの過積載問題をとらえて、現在全国的な監査を実施しているところでございますし、また違反事業者に対する処分基準がございますけれども、これも今年度につきましては従来以上に厳しい基準にするということで、地方運輸局に通達をいたしまして厳正な処分をもって対応するというふうにして臨んでいるところでございます。御指摘のとおりなかなかこの違反が減少しないという事態を踏まえまして、私どもも今のように鋭意取り組んでいるところでございます。
  13. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それぞれ警察運輸省も取り組んでいる状況はわかりましたが、これはやっぱり大臣ね、六省庁の、問題が奥が深いですから、そういう取り組みを広げるのはいいんですけれども、あす総務庁にもちょっと聞いてみようと思うんですが、主管省である運輸省が、これが本気にならないと、三台に一台が過積載というんですから、これは異常な結果だと思うんで、ぜひひとつ、答弁要りませんけれども、ひとつ大臣も腰を入れて叱咤激励して、こういうことを早く解消するように御努力をお願いしておきたいと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。  そこで大臣にお伺いしたいと思うんですが、橋本さんは自民党行財政調査会長でしたですね。中曽根行革の五年間の推進の旗を振ってきたわけでございますが、特に国鉄分割民営では責任大臣として対処されまして、国会を乗り切って四月にスタートさせた。そういう意味では大変お骨折りをいただいたんですが、これは二カ月そこそこですからまだその評価、功罪は点数がつけられないと思いますけれども、もう中曽根さんも大体、本人の思惑は別にして、実際的に私どもが横目で見ると二カ月ぐらいしかないような感じがするんですね。  そこで一つ大臣にお伺いしたいと思うんですが、大臣自身は一体中曽根行革点数、同時にまたあなた自身の、おれはどれだけやったとひそかに自負している部分もあるんじゃないかと思うんですが、それも含めてひとつお考えを聞かしていただくとありがたいと思うんですが、いかがでしよう。
  14. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変意地の悪い御質問をいただきましたが、現内閣の任期があとどれぐらい続くか、私にはわかりませんけれども、党の行財政調査会長時代から今月までを通して見まして、鈴木内閣中曽根内閣と二代の内閣行財政改革という旗印を掲げて今日まで参りました。そしてその中で、私は、世間的には日本国有鉄道を初めとする三公社の民営化というものが大変注目を集めた行政改革成果と言われているように思います。ただ、これは委員指摘のとおりに、まだしばらくの時間をかさないと、その評価というものは確定をしない性格のものでありまして、私どもとしてはそれが実際に民営化に踏み切っただけの効果を上げてくれることを心から願っておるという実情であります。  ただ、世間的にその評価を得る得ないにかかわらず、私はこの二代の内閣の間に進めてきた行政改革と言われるものの中で、簡素にして効率的な政府を目指すという視点から、各省庁機構あるいは組織、また定員管理というものを厳正に行ってきたという点においては、私は評価を受けてしかるべきものはあろうかと存じます。殊に各国の行政改革を見て回りました際にも非常に評価を得ましたのは、機構膨張を防ぐ努力また定員膨張を防ぐ努力というものについては非常に高い評価を与えられてまいりました。こうした点については、私は後世評価を受けてしかるべき成果を上げてまいったと思います。  また、許可あるいは認可、検定あるいはさまざまな行政行為について、これをできるだけ整理合理化をし、許認可事項等整理を進めてきた努力というものも、これは私はそれなりの評価の与えられる部分があろうかと思います。  いずれにいたしましても、その中に携わってまいりました私どもからいたしますと、むしろ世間的に大変注目を集めました問題とは違った部分で、将来において評価を受けるべきものはあろうか、そのような感じがいたしております。
  15. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大変貴重なお考えをいただいたんですが、私は、中曽根内閣の今度の組閣の際にあなたが運輸大臣にぼっと発令を受けまして、第一に受けた印象は何かというと、ははあ、これはやっぱり国鉄民営分割を重視をしたんだなと、そう思ったのは間違いないんですが、もう一つ、一体橋本大臣に何を中曽根内閣が期待しておるんだろうか、そう思うと、もう一つやっぱり運輸省の中にあるんですよね。確かに許認可もございましょう。これも一番多い。それをあなたに言って、ひとつ行革方針できちんとしてもらわなきゃいかぬのと、もう一つはいわゆる船舶振興会という難題が運輸省の中にある。この問題についてひとつ橋本大臣にメスを入れてもらったらどうだうというのが、中曽根さんの腹の中にあったのかどうなのかわかりませんが、この問題については大臣はどのように認識されておるんですか。
  16. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは実は運輸大臣としてではありませんで、かつて私の先任の故森山運輸大臣当時、船舶振興会問題について運輸大臣としてのアクションをおとりになろうとされた時期がございます。ちょうど党側における行財政調査会長という立場にありました私に、法的な意味における船舶振興会位置づけというものについて党側でも検討してもらいたいという御要請が森山大臣からございました。  そのときの記憶を今振り返ってみますと、当時総務庁はございませんで、行政管理庁でありましたが、行政管理庁特殊法人の枠の中には船舶振興会は入っておったわけでありますが、その枠の中に入りながら、大変船舶振興会というものは特殊な位置づけに置かれておりました。そして、これは院の中で申し上げてお許しをいただかなければなりませんけれども、他の特殊法人と成立の過程が異なる。言いかえれば、議員立法によってモーターボート競走法が生まれ、そのモーターボート競走法の中において民法上の法人という性格を院の意思として付与されてこの法律が作成をされた。いわば法律に基づく法人でありながら、大変特殊な法的地位を院として与えてしまったということを当時私は知りました。そして、それを当時の森山大臣に御報告をいたした記憶がございます。それだけに他の特殊法人等々に対するそれぞれの監督官庁立場と相当に異なるという感覚は今も持っております。
  17. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その問題、院の問題は後ほどまた入りますが、これは参議院は否決したんですけれどもね。否決したのをまた衆議院が三分の二で可決しちゃって成立したという経緯もあるわけですから。
  18. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) それ知っているものですから、非常に答えにくかったんです。
  19. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 だから、参議院まで転嫁されたんじゃ困る、これは。あなた衆議院ですからね。  私がきょう聞きたいのは、笹川さんが大変話題の多い人ですが、春の叙勲勲一等旭日大綬章を授与されたと。五十三年には瑞宝章なんですけれども、調べてみますと、何か位が上がったというか、その間によいことをしたとかいう場合にはこういう例もあるようですね。それをだんだん、あす総務庁に聞こうと思ったところが、いやこれはやっぱり所管大臣の推薦があったからこうなったんだということらしいので、一体どのような理由がこの原因なのか。今あなたの答弁と照らし合わせてみてちょっと奇異な感じを持つんですが、この点はいかがでしょう。
  20. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは叙勲という行為にかかわりますので、事務方のつくりましたペーパーをそのまま正確に読み上げさせていただきます。   笹川良一氏は、日本船舶振興会会長として多年にわたり海事関係事業振興に努めるとともに、笹川記念保健協力財団会長がん研究振興財団最高顧問、元アフリカ飢餓会議議長ブルーシー・アンド・グリーンランド財団会長又は日本消防協会会長等として民間人立場保健医療飢餓救済文化青少年育成消防等の分野を中心に幅広く積極的に国際協力を実践し、相互理解国際親善の増進に尽力されている。  このたびの笹川良一氏に対する叙勲は、これら国家や公共に対する功労を総合的に評価して推せんしたものである。  以上であります。
  21. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなたもそれを読むときにはちょっとおかしいなと思いながら読むでしょう。私はやっぱりそういうことじゃないかと思うんですが、それでこの問題が行革のラインからそれたんじゃいけないんじゃないかというような感じがしてならぬのですね。  今あなたが申されましたように、森山さんが大臣のときに三つの申し入れをしていますね。一つは何かというと、勇退したらどうかと、高齢だから。それから二つ目には、振興会会長がお金を、補助金を出すと、その出す会長笹川さんで、それをもらう団体会長笹川さんというのはいかがでしょうと、こういうようなことはよくないんじゃないですか、これはひとつおやめになったらいかがでしょうと。それから、一日一善とかいってテレビに出てきますわね、余り格好はよくないですけれども、あの人はよくそういうところは得意なようですけれども、こういうことに対して自重なさったらいかがですかと。これが森山さんが言われた内容なんですね。私は、そういう点からいえば当然あなたはある意味では自民党内で行革会長をやってこられたという経緯もあって運輸大臣になったわけですから、当然そういう立場に立たれておるんじゃないかという感じがしておるんですけれども、いかがでしょう、この問題は。
  22. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 実は、私はその三番目のテレビに出るのをやめろと言ったというのまでは存じませんでした。前の二点を申し入れられたということは存じておりましたが、三点目は実は存じませんでした。  ただ、そうした御意見やりとり等からの影響もあるでありましょう。船舶振興会交付金配分につきまして、事業所管官庁あるいは地方公共団体などの意見を十分に聞くということだけではなくて、船舶振興会の中に運輸大臣の承認を経て委嘱をされました学識経験者で構成されている交付金運用専門委員会というものをつくりまして、懇意的な配分がなされない仕組みはとられております。  私は、今委員が御指摘になりましたように、たまたま例えば笹川さん個人が他の団体を兼ねているということから、補助金交付が左右されるようなことは当然あってはならぬと思いますし、またそういう状況にはないと考えております。しかし、昭和五十四年の公営競技調査議員懇談会などから御指摘をいただいたこともありまして、運輸省としては笹川さん個人代表者であります団体の数を減らすように従来からも指導をしておるようでありますが、これから先もこうした御論議を踏まえて対処してまいりたいと思います。
  23. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなたが今答えの中で出しましたが、私も、故森山さんがおっしゃったのは個人的な見解で言ったわけじゃないんですね。五十四年に総理府が設置をしました公営競技問題懇というそこの答申に基づいて言っておるわけです。私も今超党派で組織されておる公営競技調査議員懇理事をやっておるわけです。その行為をじっと今監視をしておるわけです、その後の運輸大臣がどういうふうにやってきたかをですね。ところが一向にそれ以後動いてない。そこでもうやはり第一に、交付金配分団体と受ける団体役員の兼任はいけません、振興団体役員長期在任は回避してほしい、同時に組織のあり方を検討したらいかがでしょう、こういった答申をしておるわけですけれども森山さんが一回その問題を取り上げた以外は以来の運輸大臣は一切これをやってない。大臣というのはそういう継承というか、懇談会答申というのは森山さんのときに受けたんだから後は知らぬでいいと、こういう感覚なんですかね。どうなんでしょう。
  24. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) それはそのとおりであるというお答えをもちろんするわけにはまいりません。ただ、率直に申しまして、私自身余り頭になかった問題であることは否定できません。率直に申しまして余り頭にあった問題ではございません。御指摘を受けましたので、改めて少し考えてみたいとは思います。
  25. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 考えるついでにぜひこの点もひとつ頭に入れておいてほしいと思うんですが、競艇の売上高の七四・五%は払戻金で出ますね。残りの二五・五%が主催者の、自治体がこれは主催するわけですから、笹川さんが主催するわけじゃないんですよ。自治体が主催する、収入になる。それがどう使われるかということで基準がございます。いわゆる選手の賞金とか開催経費に一三・三%、地方自治体収益金に六・八%、日本船舶振興会に三・三%、モーターボート競走会に一・二%、公営企業金融公庫納付金に〇・九%ということで配分されるわけですね。これは恐らく私はまだ変わってないと思いますが、もしこの基準が変わっておれば運輸省の方でお答え願いたいと思うんですけれども、その日本船舶振興会振興事業予算が六十二年度では一千九十八億円です。そしてこれが一号、二号資金として、また直接、直轄ですか、配分されるわけですが、この配分のために専門委員会がございますけれども、この専門委員の皆さんの意見を聞いてみると、ほとんど有名無実、とりわけ二号の場合には笹川さんのほとんど一存でやっておる、配分を。これが実態のようですね。そして笹川さんが船舶振興会から受け取る団体の、いわゆる会長理事長をしておる財団、団体というのがたしか私の調査では三十八団体あったと思うんですね、三十八団体。そうして、これらの団体の総資産が大体三千億ぐらいに達しておるはずです。ここで、言うなればピッチャーからキャッチャーという両方やっておるわけですから、こういうようなありよう、しかもこれらの団体運輸省の天下りの皆さんが二百人程度入っておる。違いますか。こういったことのありようについて大臣はどういうふうに御認識をいただいたんですか。
  26. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これ、委員お言葉を返して恐縮でありますが、今局長から資料をとって見ますと、笹川良一氏が会長を兼務いたしております補助団体、確かに昭和五十年代の初めには十九団体でしょうか、十九団体ぐらいございました。そしてそれをだんだん殊に五十四年度時点以降、恐らくその指示がありましたことが一つの影響をいたしておると思いますが、現在七つまで減っております。これ、今、局長の手持ち資料でありますから、私はこれは正確なものだと存じますけれども、補助団体会長を兼務しておられるものは七つに減っておりまして、それなりに従来御指摘を受けてまいりました結果を受けての指導というものを笹川さん自身も考慮して減らしてきておられるという感じを、今私はこの数字を見て思いました。  また、運輸省からの天下り云々というお話でありますが、私はそれは実はどんな実態になっておるか存じません。しかし、少なくとも今この資料を見ます限りにおいて、五十四年の以前と以降においてははっきりと兼職されておる補助金交付団体の役職を減らしておられるとかいった効果は出ておるように思います。
  27. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私が言ったのは理事長、そういう会長やっておる団体、こう言ったからそういう答えになると思うんですけれども、ファミリーも含めて笹川さんの息のかかった団体が三十八と私は言ったわけです。それは一つ訂正しておきますけれどもね。もしそれに間違いがあるなら、ひとつ後ほどで結構ですから資料を出してほしいと思う。  それから、大臣がよく把握していないようでございますが、天下りの実数ですね。これもできれば、私が言ったことに間違いがあれば、後で結構ですからきちっとした数字を出してほしいと思います。それは、きょうこの委員会で間に合わなければ後ほどで結構でございますから、ぜひひとつお願いしておきたいと思うんです。  いずれにしても大臣ね、私は今、笹川さんが勲一等旭日大綬章になったことについてけしからぬとかなんとかということを言っておるわけではないんですがね。その理由が、今申し上げたような資金をそれぞれ分配して歩いて、僕は本来ならこういう金というのは公的資金に値する取り扱いがあってしかるべきではないかと思うんですよ。ですから、そういう意味では第一同じ類の競輪とか競馬の場合はそうなっておりますし、特に競馬の場合は特殊法人としての会計検査院の検査も行われておるというような実態ですからね。少なくとも私はやっぱりこの競艇のいわゆる船舶振興会内容につきましても、金をもらう者も配る者も同一人というばかげたような状態をいつまでも放置しておく必要はないと。とりわけ橋本大臣という優秀な大臣が入ってきたわけですから、この時期にきちっとやっぱりめどをつけるぐらいのことがあっていいんじゃないかという気持ちを私は持っておりますから、先ほど指摘したわけです。これは先ほどお答えいただきましたように、答申も出されて、放置するんじゃなくて、ぜひそこら辺に対してきちっとした手を打っていただきたいということをひとつ要請しておきたいと思います。特に公的資金管理にふさわしい、国民の疑惑の晴れる制度と資金管理を私はひとつ、大臣がせっかくおっしゃるわけですから、期待しておきたいと思いますが、よろしいですか。
  28. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) その前に、先ほど御要求がありました資料等につきましてはできるだけ早く委員のお手元にお届けをするように事務方に指示をいたします。  また二点目につきましては、私はそうした点はきちんと行われておると思いますけれども、改めて自分の目で見直してみたいと思います。
  29. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ぜひひとつお願いしておきたいと思います。  そこで、時間がございませんので、今度は国鉄の問題でちょっと二、三お尋ねをしたいと思います。  十五日ですか、JR七社の今年度事業計画を認可をなさったようですね、大臣。その際に、基本計画で定めた定員に達しない欠員分については、ちょっとここはわかりにくいんですが、余った人件費を戻せという理由はわかるんですが、その方法として、余った土地を簿価で清算事業団に譲渡させ相殺するという方法を決定したというふうに新聞では報道されておるわけですが、しかもそれが時価で数千億、こういうふうに報道されておるんですけれども、この点は具体的にどういうことなのか御説明いただきたいと思いますし、JR各社の方もちょっととまどっておるようですね。疑問を投げかけているような節もあるようですから、どなたでもこれは結構だと思いますが、よろしくお願いします。
  30. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 細かくは事務方から説明をさせますけれども、現在、実は北海道地区並びに九州地区におきましてJR各社、本州の三社並びに四国会社、貨物会社、追加の要員の募集中でございます。この期間を一週間延長して現在その募集をいたしておる状況で、最終の各社の定員と申しますか、要員見込み数にどれだけの不足を生ずるのか、この数が現時点においてはまだ確定いたしておりません。私どもはこの北海道地区及び九州地区における再募集、追加募集にできるだけ多くの方々に応じていただきたいと考えておりまして、鋭意努力中でございます。  そこで、今委員が御指摘になりました採用目標に到達をしない場合の人件費分、それを土地で返させるという言い方はおかしいんですが、土地で返させるというやり方はいかがなものかという御指摘でありますが、実はそれぞれの会社に対しましては事業用資産として与えました中には例えば従業員の宿舎の用地がございます。欠員を生ずればそれだけの宿舎用地は不用になるはずであります。これは一つの例でありますが、そうしたところに着目して清算をさせようとしておるわけでございまして、基本的にその方向が誤っておるとは私は考えておりません。詳細につきましては事務方から補足説明をいたさせます。
  31. 林淳司

    説明員(林淳司君) ただいまの御質問でございますが、新会社の発足に当たりましては、各会社とも基本計画に定めました人数の国鉄職員を採用するという前提を立てまして、その前提のもとに承継債務額を決定したわけでございます。ところが、現実には各会社の発足時点の職員数、これは当初の採用予定数を相当程度下回るという事態になってきたわけでございます。新会社の発足前におきまして、こういう事態の発生をある程度予測できたわけでございますが、ただ具体的な人数は確定することができなかったわけであります。したがいまして、仮に人数が確定できましたならば、その時点におきまして、すなわちことしの三月の時点におきまして、新会社はその分だけより多くの長期債務を承継することができたわけでありまして、一方、清算事業団に残される長期債務の額がその分だけ減額することができるということになったわけでございます。したがって、その分については国民負担の軽減ということにも相なるわけでございまして、したがいまして、仮に新会社におきまして欠員分の補充がなされないという事態が確定しました場合には、この国鉄改革に伴う長期債務の処理に関する新会社とそれから国民との負担関係の適正化を図るということが必要でございまして、そのための所要の調整措置を講ずるということが必要だという判断をしたわけでございます。このために、仮に新会社におきましてその不足数と申しますか、要員の不足数の補充がなされないという事態が確定をいたしました場合におきましては、新会社が一たん国鉄から承継いたしました土地につきまして、業務の効率化を図ることによりましてできる限りの余剰土地を生み出してもらう。その用途廃止をいたしまして、改革法の施行法の三十二条の規定によりましてその土地を国鉄から簿価で清算事業団が買い取る。そしてその処分益によりまして先ほどの、本来ならば軽減できたであろう国民負担の軽減にその分を回すということにするのが妥当であろう、こういう判断をしたわけでございます。  ということでございまして、この三月の時点で国鉄から承継法人、新会社に資産、債務あるいは権利義務というものを承継させるための承継実施計画、これの認可に当たりまして、その認可のいわば一種の条件という形でその旨を指示をするという形をとったわけでございまして、その当時は当然国鉄総裁あての指示でございますけれども、各会社が発足いたしましたこの四月の時点におきまして、各会社に確認のためにこの旨を再度指示をいたしたという経緯があるわけでございます。  いずれにいたしましても、この点は承継実施計画によります権利義務の確定に際しましての一種の条件というものでございまして、債権、債務あるいは資産債務というふうなものの確定に当たっての、いわばその一体のものとしてこれを処理をしたということでございまして、こういう事態が三月時点である程度予想された、その可能性は予想されたと。しかし、現実には額は確定できなかった。人数が確定できませんから額は確定できなかった。こういう事態を踏まえて、承継実施計画の承認に際しまして、将来その点について調整をすることにしてその旨を一体のものとして指示をした、こういう性格のものでございます。
  32. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いずれにしても大臣ね、一万三千五百人も欠員が生まれるということは、今募集を行っておりますけれども、広域異動に反対という人たちですから、恐らく完全に応募はできないんじゃないかと思うんですね。一万三千五百というこの欠員ということは、計画自体に問題があったんじゃないかということを問われても仕方がないんじゃないかと私は思うんですね。  そういうことと関連して、きのう発表しました国労の安全運転黒書ではございませんけれども、首都圏を中心に随分初歩的な運転ミスが多発しておるという実態が明らかにされておりますね。これについてJRの会社側の方は、少し何というんですか、宣伝が多過ぎるとかなんとか言っておりますけれども、しかしあの内容を見ると、具体的に事実に基づいて出されておるようですね。決して私は軽視できないと思うんですね。一たんそれが起こりますと大事故に発展する、そういう内容もかなり私は含まれておるんじゃないかと思いますが、こういったことも私は今度の欠員問題と無関係ではないと思うんですね。無関係ではない。私はやっぱりそういう意味合いで、さっき点数がつけられないと言ったのはそうなんですけれども、もしここら辺からほころびが出てくると、これはやっぱり大臣分割民営化という方針に重大な傷がついてくることにもなるような感じがしてなりませんのですが、ここら辺は私はひとつどのように対応していくのか。もう例えば欠員が八百か千名しか補充ができなかったと、あと一万二千五百はもう欠員でいくのか。それでは今度は広域人事の結果こういう初歩的なミスがどんどん連発してくるというような事態が、大事故につながってくる危険性も出てくる。そこら辺にどう対応するのか。ここら辺について大臣としてどの程度の認識を持たれておるのか、これも聞いておきたいと思います。
  33. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員、欠員という御指摘でありますが、私はそれはちょっととらえ方を変えていただきたいと思うんです。と申しますのは、昨年の秋の臨時国会におきまして繰り返し御説明を申し上げましたように、その鉄道運行業務そのものについての要員体制であるならば、JR各社を通じて十八万六千人でその運行ができるという数字がその基礎にございました。ですから、仮にその鉄道の運行だけをぎりぎり詰めて新会社を発足させたとしますならば、その総数は十八万六千でよかったわけであります。しかし、できるだけ国鉄から去っていただかなければならない方の数を少なくしたい、それぞれの会社が将来関連事業等にも積極的に事業を展開していくことを前提にして、それぞれの企業の経営の中において抱え得るプラスの要員、余剰人員という言葉は使いたくありませんけれども、いわば上乗せをしてカバーできるぎりぎりの数字というものを採用目標数として置いたわけでありまして、鉄道運行事業業務そのものを遂行するために必要な十八万六千をはるかに超える職員を、それぞれの会社はトータルとしては抱えておるわけでありまして、これは欠員という中身ではないと私は理解をいたしております。  そういう状況でありますからこそまた、その結果として生ずる人件費の減に対して清算という手法をとる必要も出てきたわけでありまして、この対象数を欠員とおとりいただくことは多少不本意でございます。そうしてそういう数字の問題とは別に、これはJR各社ばかりではございません、交通機関として何よりもやはり安全運行というものは確保されなければならない最大のまた一番初歩的な基本の問題でありまして、そうしたために職員の教育の努力を続けること、そしてそのミスを減らすこと、そういう努力を行っていくことは当然のことであろうと、そのように思います。
  34. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 まあ、余剰員対策用の定員だと、それから現行運行上は一万三千五百というのはなくても差し支えないんだと、こういう御説明ですか。
  35. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 最終的にそういう言い方をされればそうなるのかもしれませんが、さきの秋の臨時国会において御説明を申し上げましたように、鉄道運行業務そのものの必要要員数は全社トータルで十八万六千人でありました。それに対しまして採用目標数として掲げましたものは二十一万五千名でありまして、それは余剰人員では私はないと思います。それは新たに展開していくべき新たな業務の要員でもありましょう。しかし、同時にそれができるだけ国鉄民営化されていく過程で職場を去っていかなければいけない方の数を減らそうとして設定をした目標であることも変わりはございません。
  36. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 しかし、それは大臣、ちょっとあなたの認識にも問題があるんじゃないかと私が思うのは、今JRの中に幾つか労働組合がありますね。その労働組合の意見を聞いてみますと、確かに安全黒書という形で出しているのは国労ですけれども、国労以外の労働組合も含めて、今の定員によるところの過重労働に対する不満というのはかなり高まってきておると私は受け取っておるんですよね。このことは、あなたがおっしゃるように十八万六千ということでは大変な過重労働になってくる、そこに無理な人事が行われて初歩的なミスが発生しておる、こうとらえていいんじゃないかと私は思っておるんです。  そこら辺の認識をきちんとしてもらわないといけないんじゃないかと思うんですが、その点はいかがなんですか。
  37. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに、私はJR各社の内部における労働組合の複数の議論の中にさまざまな声があるということも承知をいたしております。ただ、その中身が、今、委員が御指摘のような形から出てくる不満ばかりとは私は聞いておりません。  と同時に、これもその秋の臨時国会の際にさまざまな角度から御論議をいただきました中で、民間の鉄道の要員配置と当時の国鉄の要員配置との対比がしばしば議論になりました。そして、その観点からまいりますならば、仮に民間鉄道と同じような形で要員の積算をいたしました場合には、あるいはもっと厳しい数字が出たかもしれないと当時も議論をされております。  そうなりますと、私は、その運行業務に必要であると判定をされました十八万六千という数字そのものが、あの時点における国鉄の中における個個人の仕事ぶりと現在を対比して労働強化と言われるなら、それはそういうことになるのかもしれません。しかし、私は、全鉄道事業者の中における労務環境として、著しく劣悪な労働環境に置かれているものであるとは考えておりません。
  38. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これはちょっと、二カ月程度ですからきょうはこの程度の議論にとどめておきますが、ひとつ大臣も、気を配っておるようですけれども、ぜひ、画一的というか形式的じゃなくて、JR各社の中における各労働組合や労働者のそういった声というものは大事にしていただかないと、爆発した後でうろたえてもどうにもならぬわけですから、そこら辺はぜひお願いしておきたいというように思います。  また、これはひとつ時期を見てやらしていただきたいと思います。  そこで、時間がございませんから一つだけお伺いしておきたいと思うんですが、整備新幹線の問題でどうもすっきりしないんですね。  これは、財源問題等検討委員会の責任者は官房長官ということになっていますから、明日またそこで本題として聞かしていただきたいと思うんですが、本年度の予算では三線ですか、東北、北陸、九州・鹿児島ルート。これに、鉄建公団に対して財投から百億、利用債五十億、一般会計から建設推進準備事業費として鉄建公団に三十億計上されておるわけですが、この使途がどういうふうになるのか。整備新幹線を所管しておる運輸省としてどのような今後の対応をしようとしておるのか。  確かに予算を見ると、調査費から建設推進準備事業費と変わっておるわけですけれども、一向にすっきりしない。何かすりガラスの向こうでうろうろしているようなことで、おぼろげに見えるような見えぬような格好になっておるんですが、ここら辺ひとつ大臣、すっきり、運輸省としてはこうなんだという点をお聞かせ願えれば幸いだと思うんです。
  39. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、予算につきましては事務方から御説明を申し上げさせていただきます。  そこで、整備新幹線につきまして、運輸省としては、基本的に以下申し述べるような考え方をこの検討委員会においても申し述べてまいっております。  第一は、将来を考えるとき、高速鉄道網の整備は鉄道事業が発展していくために必ず必要である、そして、これは我々自身が必要だと考えておる、これが第一点であります。  同時に、その建設にかかる費用というものを新たに発足いたしましたJR各社の負担にゆだねること、これは将来にわたっての返済等々も含めてのことでありますが、等の行為というものは、新たに発足をいたしましたそれぞれの会社の経営に非常に大きな影響を与えることであり、我々としては、JR各社の発足後、現在の状況の中でそうした状況を迎えることについてはどうしても同意ができない。言いかえれば、新会社へ影響を与えるような形での費用負担は困るということであります。  また三番目の問題点としては、従来、ちょっといつの閣議でありましたか忘れましたが、在来線廃止というものが論議をされておりましたけれども、この在来線というのは、同時にそれぞれの地域会社の財産であり、同時に、貨物会社はそれを利用して貨物運送業を営むわけでありますから、これを、整備新幹線を引く代償として廃止をするというようなことについては軽々に同意ができがたい。  基本的に申しますならば、運輸省としての基本的態度は以上のようなことになろうかと思います。  我々は、高速鉄道は、将来の国土の均衡ある発展のためにも、また鉄道事業というものが将来なお国民の足としての役割を果たしていくためにも必要なものだと間違いなく考えております。ただ、それが新会社の経営に悪影響を及ぼすことは困る、これが私どもの基本であります。
  40. 林淳司

    説明員(林淳司君) 予算の点につきましてお尋ねございましたので、お答えをさせていただきます。  六十二年度の予算でございますが、これは東北、北陸、九州、九州は鹿児島ルートでございますが、この三つの新幹線の建設費といたしまして鉄建公団に百五十億円が計上をされております。ただ、これにつきましては昨年の予算編成に当たりまして政府・与党申し合わせがございまして、建設の着手に当たりましては整備新幹線財源問題等検討委員会、この結論を得るものとされておりますので、その結論を得た上で執行される性格のものでございます。  それから、それとは別に建設推進準備事業費ということで鉄建公団に三十億円が計上をされております。従来は調査費という形でございましたが、六十二年度は建設推進準備事業費という形でございまして、これは建設推進のためのいろいろな準備事業ということになるわけでございますが、この事業費は、基本的には従来から実施してきております調査事業、これに充てられるのが一つでございます。  そのほか、建設には至りませんが、その前段階で調査の深度を深めるという意味での種々の作業にこの費用を充てるということでございまして、具体的にどういう事業を行うかということにつきましては、これは公団の認可予算の内容でもございまして、現在その内容を検討中という段階でございます。
  41. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大臣の言うことはよくわかるんですが、しかし、どうなんでしょうか、そういう基本的な態度で対処していって、いつごろこの問題についてめどがつくというふうに大臣は踏んでおられるのか、そこはどうでしょうか。
  42. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは委員に逆に陳情して恐縮でありますが、官房長官を篤と問いただして、そのめどはできるだけ早い時期につけるように御協力をお願いしたいと思います。
  43. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あす尋ねてみたいと思いますが、何というんですか、総合交通体系なしに何かつけ足しみたいに、思いつきみたいに次々いくようなやり方というのはもういいかげんやめたらどうか。やっぱり日本国の将来を展望して、そして交通体系全体のあり方を吟味をして、行きつ戻りつじゃなくてきちっとした中で国民の納得を得てやるような、そういったあり方が大事じゃないかと思うんで、そこら辺はひとつぜひ大臣の御意見、非常に私は結構だと思うんですが、今後もその点を堅持していって遂行してもらいたいということを要請して、時間が参りましたから終わりたいと思います。
  44. 山本正和

    ○山本正和君 今、旧国鉄の問題も含めましていろいろと質問があったわけでありますが、今国民の間にどうもわからない、不思議だと思っている問題が幾つかあります。それは円がどんどん高くなって、そして景気が悪くなった。ところが、円が高くなったら少々国民にも還元があるだろうと、こういう部分も当然あってしかるべきだと、一向にそれが出てこない。その出てこない原因の中に、政府も実は円高のメリットを政府部内で隠しているんじゃないか、あるいは政府指導し、管轄するところのさまざまな企業、こういうものがそれを一向に国民に還元しないんじゃないか、こういう不満があちらこちらで聞こえてくるわけであります。  その中で、特にきょうはまず航空運賃の問題でお尋ねしたいと思います。  それはどういうことかといいますと、飛行機の運賃というのは一体どうやって決められるのかさっぱり国民にはわからない。確かに今までのいろいろな経緯がありますけれども、一体飛行機の運賃というのは何を基準にしてどういうふうに定められてきているのか、どうもその辺がわからない。まして外国へ旅行する者が大変ふえてまいりまして、何百万人という人が国際間の交流も含めていろいろ行ってる。ところが、日本の飛行機の運賃というのは外国の飛行機の運賃に比べると何でこんなに高いのだろうか。ですから、商社等が海外へ出張させる場合にも成田から出ていくんじゃなしに、一たんソウルヘ飛んで、ソウルから例えばアメリカへの往復切符を買う、あるいはヨーロッパヘの往復切符を買うと、この方がよっぽど安くつく、こんなことがよく言われるわけであります。  そこで、まず全般的に一体航空運賃というのはどういうふうな形でお決めになるのか、そしてこれは運輸省としてはどういう立場でもってこの航空運賃の問題に対してコメントしておられるのか、その辺をまずお尋ねしたいと思います。
  45. 山田隆英

    説明員(山田隆英君) まず基本的に航空運賃の決め方でございますけれども、航空運賃は、その他の各種の輸送機関の運賃と同じようにコストに見合って決められるということでございます。航空法に基づきまして航空運賃は認可制になっておりまして、その際の認可の基準といたしましては、コストプラス適正利潤が基準となるわけでございます。  今御質問のございました国際運賃について申し上げますと、基本的にはやはりコストに見合って決められるものでございますが、国際運賃の場合非常に関係する会社が多いわけでございまして、国際航空運送協会と申します国際航空会社が集まってつくっております団体がございます。そこの国際航空運送協会で各航空会社が今申し上げましたような各社のコストなども勘案して航空運賃を決めておるわけでございます。  国際航空運賃の場合、従来は基軸通貨、ドル建てで運賃が決められておりましたけれども、固定相場制に変わりましてから、それによりますと、為替の変動を非常に受けるものですから、各国がそれぞれ自国の通貨建てで運賃を決めることにいたしております。したがいまして、日本発の運賃の場合ですと円建てで運賃が決められますし、また外国発ですと、それぞれの外国の通貨で決められておりまして、例えば米国の場合ですとアメリカのドルで運賃が決られる、ドル建てで運賃が決められるということになるわけでございます。したがいまして、日米間の運賃を例にとりました場合に、日本発の運賃とそれからアメリカ発の運賃と、同じ区間をとりましてもそれぞれ日本発は円建て、アメリカ発はドル建てということになっておりますので、そのときどきの為替レートの変動によりましてその間の運賃が実質的には変わるわけでございます。  そこで運輸省といたしましては、それを方向別格差と言っておりますけれども、その方向別格差につきまして余りに大きな格差ができるということは決して好ましいことではないということで、その方向別格差の解消については昨年来円高が非常に進行した時期におきまして各種の措置をとってきたところでございます。  それから、基本的に円高差益の関係で申し上げますと、日本の航空会社の場合円建てのコストとそれから外貨建てのコストと両方から成っておりますし、また収入につきましても円建ての収入とそれから外貨建ての収入と両方から成っておりまして、それぞれほぼ外貨建ての収入コストが全体の収入コストのうちの、六十年度の場合でございますけれども、約二七%ぐらいになっております。したがいまして、外貨建てのコストにつきましては、円が高くなりますと確かに円高差益が生じるわけでございますけれども、外貨建ての収入に関しましては、逆に円が高くなりますと円高差損が生ずるわけでございまして、トータルとして見ますと、基本的には円高差益と円高差損とはほぼ等しいということで、結果として円高による差益も差損も生じないという状況にございます。  ただ他方、燃料油につきましては原油価格の下落等がございまして、燃油費についてはコストの減少を見ておるわけでございますけれども、同時に運賃につきましては、昭和五十七年度以降基本賃率は据え置きのままになっておりまして、基本賃率据え置きの中で各種の割引運賃の導入をしてきたところでございます。  他方、燃油費は今申し上げましたように若干下がっておりますけれども、その他の諸物価は一般的に上昇しております。特に、人件費を含めまして諸物価上昇の中で、今申し上げましたように基本賃率は据え置きというような状況にございまして、決して各航空会社の収支状況もそんな良好なものではない。  ちなみに現在の我が国の定期航空三社の状況を申し上げますと、昭和五十七年に一般的な運賃の値上げの改定をいたしたわけでございますが、その後、六十一年度までを見ますと、三社のうちその間配当を続けておりますのがわずか一社、これも配当率も八%でございます。それから、五期ございますが、五期のうちの一期だけ八%配当をしておりますのが一社、それから、他の一社はその五期を通じまして配当を一切しておりません。それから、ごく最近の収支で申し上げますと、六十一年度におきます三社の収支の合計といたしまして、経常損益で二百四億ということでございまして、これは全体の収入に比べますと約一・四%程度の経常利益でございます。  そういう意味で利益率も非常に低いということでございまして、私どもといたしましては、基本的に、国民の皆様方の関心が深いということは承知しておりますので、国際運賃につきましては、方向別格差につきましてはできるだけの解消をしていこう、それにつきましては航空会社の経営状況等をもにらみながらやっていこうということでございます。  それから、国内につきましても、割引運賃の導入等についてはできる限り検討はしていこうということで、現在、航空局の中に運賃問題懇談会というのがございまして、これらの問題を議論しておるところでございまして、これの議論の結果をも踏まえて私どもとしては今後対処していきたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、それから日本航空の場合は高い、ほかの航空会社を使えば安いというようなお考えがあるかと存じますけれども、日本発の運賃につきまして言えば、先ほど来申し上げましたように、これは各社同一の運賃ということでございます。  以上でございます。
  46. 山本正和

    ○山本正和君 今のお話で、仕組みだとかあるいは運賃をいろいろ決めていくけれども、なかなか航空会社としては必ずしも楽じゃないんだというふうなことは御説明を聞いたわけですけれども、率直に言いまして、国民の一般的な感覚からいったら、なぜ東京から例えばアメリカのロサンゼルスヘ行くのにアメリカの飛行機は安くて日本の飛行機は高いんだと、どうしてもそこがわからないんですね。そうしたら、アメリカの飛行機会社というのは日本よりももっと経営が楽で、何といいましょうか、いろんな意味での機能している部分が日本よりうんといいんだろうか。例えば、もっと言えば、パイロットの報酬等ももっと安いんだろうかと。実際はそうじゃないというふうな格好になっているわけですけれども。  ですから、例えば正直言いまして、資料も若干調べて見ていきますと、確かに昭和四十七年当時の円が一ドル三百十円当時、あるいは、それからいろいろと円が変動していきますけれども、現在円がとにかく百四十円台になっているという中で、どれぐらい航空運賃が下がってきたのか、数字等をずっと見ていきますと、どうもなかなかわからない。しかも、確かに一〇%とか一二%とか下げたという経緯はあるんですけれども、今考えたら、もっと下がってもいいんじゃないか。これは、アメリカあるいはヨーロッパヘ国民が旅行する場合、このままもう変わらないんだろうか、おかしいなと、こういう気持ちをみんな率直に持っているわけですね。ですから、今の現行運賃というのはそのまま変わらないでこのまま一体やっていくのかいかぬのか、その辺の見通しについてはどういうふうにお考えですか。
  47. 山田隆英

    説明員(山田隆英君) 過去の太平洋線運賃の推移をちょっと御説明申し上げたいと思いますが、私の手元にございますのは四十八年以降の太平洋運賃の推移でございますが、四十八年の運賃の水準を一〇〇といたしますと、日本発の運賃は一二九ということでございます。それに対しまして米国発の運賃は二二五、倍以上になっておるわけでございます。  特に日本発につきましては、六十二年七月から米国向けの往復運賃については七・四%の引き下げの方針を固めておりまして、現在関係の航空会社間で調整が行われているところでございます。私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、今後日本発の運賃につきましては、航空企業の経営状況あるいは為替の状況等を見きわめながら、日本発の運賃と米国発の運賃との差を縮めるようにしていきたい。  なお、これは為替レートの変動によって生じるわけでございますけれども、為替の、円のレートが比較的安かった時代には日本発の方がアメリカ発に比べて安かった時代もあるということは御承知おき願いたいと存じます。
  48. 山本正和

    ○山本正和君 要するに、今国民の間にあるのは、円がこれだけ高くなったんだからもう少しこういうところに反映してもいいんじゃないかと思っているわけですけれども、ずっと資料を見ていきますと、確かに努力して下げてきているというのはわかるんですね。ところが、アメリカ発の飛行機の運賃と日本発の飛行機の運賃との上げ下げをずっと見ていって、今のままでいいとはどうもわからないんですよね。今恐らく、どうでしょう、二百円前後ぐらいの勘定で運賃は定められているような気がするんですけれどもね。今何ぼいっても百五十円以下ですからね円が。だから、これはこのままでいいのかどうか。だから、これは今から変える気があるのかないのか、そこのところをちょっと聞かしてもらえませんか。
  49. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今細かく局長から御説明を申し上げましたけれども、基本的に我々はこのままでいいと考えておるわけではございません。ですから、この七月から日本発の往復運賃を七・四%下げるのと同時に、アメリカ発日本向けの運賃も五%引き上げることになります。ただ、これは本当に変動相場であります限りにおいてはギャップが生じる。いずれ側に生じるかは別として、ギャップが生じるという可能性を否定することはできないわけでありまして、現実の為替相場の変動を踏まえながら、この七月より日本発アメリカ向けの運賃の七・四%引き下げとアメリカ発日本向けの運賃の五%引き上げと、双方を一度に実施をいたすことにしております。
  50. 山本正和

    ○山本正和君 そういうことをひとつ国民の前でぜひ早く、円高が少しでもいいからメリットを出しますよと言っていただきたい、いつ発表されるかわかりませんけれども
  51. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 何遍も発表したんですけれども、なかなかニュースの多い世の中でありまして、大きな活字にしてもらえなかったということであります。こういう機会に少しでもその努力を知っていただけることは大変幸いであります。
  52. 山本正和

    ○山本正和君 わかりました。ひとつこれは、案外国際旅行をしている連中は知っているかもしれないんですけれども、どうして下がらないんだろうかという疑問がある。これはぜひともひとつお取り組みいただきたい。  それからあわせて、国内の航空運賃についてもどうもみんながわからないという部分が多いわけですね。例えば東京から札幌へ往復で買った場合と、それから帯広なりあるいは釧路なり、そういう形で行く場合に運賃に差があるということがよく言われるわけですよね。ですから、航空運賃というのがどういうふうに定められているかということについてなかなかわかりませんので、その辺については航空会社に対して運輸省から指導をしていただきまして、実はこういう仕組みになっているということをもっとわからせるように、ぜひともひとつ旅客に対する周知徹底について御指導いただきたい、こう思っております。  それから、これは若干要望も含めて言うのでありますが、私どものところにも、最近はヨーロッパやアメリカあるいはオーストラリアヘホームステイその他で、まだ学生だけれども単位を一応修得したから二カ月なり三カ月なり行きたい。そうすると、これはやっぱり往復で行ってくるわけです。あるいは企業やその他のいろいろな団体がヨーロッパやアメリカあるいはその他の海外へいろいろ行って研修をしてきたい、こう言っている。その場合、大変おかしな話でありますけれども、いわゆる観光旅行といいましょうか、いろんな観光会社がやっているところの旅行については随分割引がある。ところが、勉強をしに海外に行くということになりますと、なかなかそれに乗りにくい要素がたくさんあります。ですから、そういう本当の意味で外国へ行って勉強もしよう、あるいはいろいろなことをやってこようという者に対して、何らかの個人割引制度と言ったらおかしいんですけれども、そういうものを一体、今後検討できないものだろうか。とにかく何かしらないけれども観光会社ががぱっと切符を買って、そしてキャンセルがあったのをうんと割り引いて行ける。そのルートなら行けるけれども、それ以外なかなか行けないというふうな、どうも矛盾している。同じアメリカに行くのにこんなに運賃が違うという話が出てくるわけですね。ですから、学生等がそういう形でもって行く場合に、何らかの制度というものを設けられないのか、その辺について、ひとつ運輸省としては何かお考えございませんか。
  53. 山田隆英

    説明員(山田隆英君) 従来、割引運賃につきましては、今先生おっしゃいましたように、団体客用のものが主に設定されてきたところでございます。しかしながら、最近は国際旅客の需要動向等も変わりまして、確かに個人旅行あるいは小グループの旅行といったようなものがふえてきておりまして、それに対応して個人旅客向けの割引連賃の導入というものも進めてきております。六十一年には、欧州向けに七月に導入いたしましたし、それから十二月には南アジア向けに事前購入回遊運賃、これはアペックス運賃と申しておりますけれども、このような個人のための割引運賃を導入いたしました。また、六十一年の十月には、グアム、サイパンそれからアメリカの西岸向けに、家族旅行客用のファミリー運賃というものを新たに設定しております。また、六十二年にはオセアニア向けにもファミリー運賃を設定することを予定しておりまして、今後ともこのような個人旅行や小グループを対象とした割引制度の導入を進めていく所存でございます。  ただ、今先生からお話がございましたような学生向けの割引運賃というものにつきましては、今のところ検討の予定はございませんけれども、今申し上げましたようなアペックス運賃というようなものは学生の場合でも活用できるんではないかなというふうに考えています。
  54. 山本正和

    ○山本正和君 ひとつ、円が高くなったら何もかも悪いんじゃなしに、いいところもあるよという部分で、特に航空運賃の問題なんか、別に内需拡大に直接つながるかどうか別にいたしまして、ぜひ御検討いただきたい、こう思っております。  特に学生が最近、私どもの時代と違いまして、外国へ行って、それも別に昔のように遊びに行くという気持ちじゃなしに、本当に外国の生活を知りたいという中で長期滞在してきたい、こういうものが随分多いわけですから、それに対する便宜等も今後の検討課題としてお取り組みいただきたい。これは要望を申し上げておきます。  それから次にタクシーの問題でお尋ねをしたいんですが、日経新聞の六月三日付で、タクシーの運転手さんが個人タクシーへ転身したい、どうにも円高不況でタクシー業界は不況だ、随分一生懸命働いても水揚げが上がらない、どうにもならない。ところが、個人タクシーの場合は、それなりに一生懸命頑張れば一定の収入がふえるというようなことで、個人タクシーに対する免許申請が大変ふえている、こういうふうに報道されています。これは一体、今個人タクシーというのはどういうふうな格好になっているのか、問題点等も含めまして若干お伺いしたいんですけれども
  55. 熊代健

    説明員熊代健君) 先生御指摘の新聞は私どもも読ましていただきました。  個人タクシーというのは、我々としては、一人一車制の乗用自動車運送事業というふうな範疇でやっておりまして、これは、昭和三十年代、特に東京におきましてタクシーサービスが非常に悪くて、いわゆる神風タクシーといったような現象があった時期に、昭和三十四年に個人に一人一車制ということで免許を始めたのが最初でございます。これは、長年タクシー運転手をやってこられた方々に、自分で営業ができるということに対する、ある意味で夢を与えるといいますか、そういったことを含めてやったものでございます。  ただ、個人タクシーといいますのは、今申し上げたように一人一車制でございますので、その稼働時間といいますか、当然制限がございます。安全問題等に関しまして、東京とか大阪につきましては、一日二十四時間当たりの走行距離の制限というようなことをやっておりますが、法人タクシーに対しまして個人タクシーは、その特殊性から二分の一の距離をもって限度といたしております。  その後、個人タクシーにつきましては、いわゆる流し営業が可能な地域でないとなかなか生業の見込みがございませんので、そういう地域を地方運輸局が地域の実情に応じまして都市部を中心に地域を指定、告示し、それの申請があった場合に一定の資格要件を満たしている者に免許するという形でふえてまいってきております。現在四万七千台強が全国で稼働しておるわけです。地域によりまして個人タクシーと法人タクシーの割合といいますか、これはかなり違っておりまして、東京等におきましては台数では四割ぐらいが個人タクシーというような格好になっております。  先ほどの記事は、法人タクシーで勤めておる場合に比べて二、三百万円何か増収になるというような記事でございましたけれども、そういう実態は少し誇張をされているというふうな理解はしております。個人タクシーにつきましても、量がかなりふえてまいりますと、特に東京等におきましては、発足当初は非常に質がよかったけれども最近は多少質が落ちてきているんじゃないかというような批判が一部にあるとか、あるいは、三十年代に免許を取った方々が高齢化してきているといったようなもろもろの問題が生じておる。ただ、最近の雇用情勢等から、特に都会ではタクシー運転者の需給関係はむしろ買い手市場的な面も生じているというふうに理解しております。
  56. 山本正和

    ○山本正和君 今の御説明のように、三十年代では一万台ぐらいの個人タクシーが現在四万七千、こういうことでございますが、実は地域によって大変なアンバランスがある。これはやっぱり人口等の関係も含めてあると思うのですが、私はやはり自分が三重県の出身なものですからつい三重県のことが気になるもので、ちょっと人口が一体どうなっておるかということを調べてみようと思ったのですけれども、三重県で実は個人タクシーが認められておるのは伊勢市だけなんです。伊勢市が人口十万ぐらいで、これはただ観光都市ということで十台ほど認められている。その後県内の大きな町、といいましても三重県は一番大きいので二十五万ぐらいです。だけど人口がいろいろ変わってきているんですけれども、その辺自治省いかがでしょう。三重県の人口の変動をちょっとお知らせ願えませんか。
  57. 吉原孝司

    説明員(吉原孝司君) 私どもで所管をいたしておりますのは住民基本台帳に基づく人口でございますので、それを御要望のありました四十九年の三月三十一日現在、それから六十一年の三月三十一日現在、十二年間の期間でありますがそれぞれの時点における人口を少し御紹介をさせていただきたいと思います。  まず津でございますが、四十九年、六十一年と順番に申し上げますが、津が十三万五千五百五十六人から十四万八千七十七人へ、一万二千五百二十一人の増、九・二%であります。それから四日市が二十三万八千八百九十九人が六十一年には二十六万三千四百五十四人、二万四千人強の増、一〇・三%の増であります。それから伊勢はただいま御指摘のあったとおり、昭和四十九年時点では十万五千四百七十一人でございましたが六十一年時点では十万六千百十二人、十二年間の人口増減は六百四十一人の増であります。それから松阪市は十万六千八百五十人が十一万六千二百五人で九千三百五十五人の増となっております。それから鈴鹿市は十三万四千五百八十一人が六十一年には十六万四千百九十四人、二万九千六百十三人の増というようなところが三重県の主要都市の人口動向でございます。
  58. 山本正和

    ○山本正和君 今自治省から御説明いただきましたように、三重県のような新幹線の通らぬところでも随分人口の移動がございます。また地域のいろんな動き方も変わってまいりますけれども個人タクシーをやっぱりやりたいという者もおるんですが、この個人タクシーの各県あるいは市町村に対して一体どういうふうな形でもって何台というようなことをお決めになるのか、その辺のもし基準がございましたらお示しいただきたいと思いますが。
  59. 熊代健

    説明員熊代健君) 先ほど御説明いたしましたように三十四年来導入してきたわけですけれども、これは適用地域は順次拡大してまいっております。先ほど申し上げましたように一人一車でやるものですから基本的に流し営業、いわゆる東京のように流しているという営業が可能な地域でないと、車庫待ちで一人一車でやるということになりますと基本的に収入がなかなか上がらない、生業が難しいという観点から、先生御指摘のように現時点では三重県では伊勢市が四十五年以降免許をしてきておるわけですけれども、これにつきまして人口は確かに十万人なんですけれども、町の性格あるいは人口の張りつけぐあいということもあってここについては流し営業がかなり行われているということでここを指定し免許も行ってきている。今後我々としてはそれぞれの運輸局におきまして、今申し上げたような生業の見込みがある流し営業がかなり行われているというところについてそれを指定するということにいたしております。その個人タクシーを認める地域につきましては、先ほども申し上げましたように一車認めても台数的には法人タクシーの二分の一台の供給力という程度の判断をしておりますので、特に台数が幾らでなきゃいかぬというようなことはやっておりません。伊勢市につきましても六十一年の七月に一件免許を行っておりますが、その後は申請が出ていないということでございまして、先生おっしゃいました三重県の他の地域につきまして最近の実態からいって流し営業が行われ得るあるいは行われているという実態がありますれば、それについて検討するように中部運輸局指導してまいりたいというふうに考えております。
  60. 山本正和

    ○山本正和君 今のお話でしたら必ずしも台数をふやさないということではないと、今後十分に検討の余地があるというふうに承ってよろしゅうございますか。
  61. 熊代健

    説明員熊代健君) 地域指定をしておるところにつきまして免許申請があれば資格要件等、年齢でございますとか運転経歴あるいは地理ですとか法令に対する試験とかこういうものを併用しておりますが、そういう資格要件に合った者については免許もあり得るという態度でございます。  それから地域をふやす問題については相当慎重に、そこにおけるタクシーの需給関係というのも最近タイトになってきているところが、タイトといいますか供給過剰ぎみになっているところが多いものですから、そういう点も十分考慮した上で判断せざるを得ないかと思いますが、指定されておる伊勢市についての免許申請については最初に申し上げたようなことで対応していくことになると思います。
  62. 山本正和

    ○山本正和君 ですからそうすると伊勢市の場合はこれは率直に申し上げますけれども正月、年末ですね、伊勢神宮の参拝客が殺到いたしましてタクシーが足りなくて本当にどうにもならないという状況があるわけですね。ただ一年じゅうそれがあるかといったらそうじゃない。ですから季節によっていろんな問題が出てまいりますから、したがってその地域のタクシー業界も含めましていろいろ議論する中で、何らかのいい方法があればこれは今後もひとつ陸運局等で御検討いただけると、こういうふうに承ってよろしゅうございますか。
  63. 熊代健

    説明員熊代健君) おっしゃるとおりでございまして、ただ御指摘の伊勢市の年末年始にかけての問題は東京等どこでもそういう傾向がございまして、これは臨時増車という格好で対応しているところが多いわけでございますので、もしそういうことが伊勢市において行われていないとすれば、十分実情にマッチした供給をするようにということで我々対応させていっておりますので十分検討させたいと思います。
  64. 山本正和

    ○山本正和君 これはひとつ地方でも個人タクシー、確かに地域の問題がございますし、それからもっと言えば台数が二十台とか三十台とかいうふうな小さな会社は経営に四苦八苦しているという状況ですし、お客さんの数も限られていますからいろんな問題があろうかと思います。ただそういう中で働いているタクシーの運転手の中で本当にまじめに一生懸命働いている者に将来は希望を与えていくと、こういう趣旨が出発点ですから、地方についても今の地域指定等の問題も含めていわゆるその中での業界との話し合いが十分必要でありますけれども、そういうことも含めながら今後は検討していただきたいというふうに思います。  それからもう一つは、小さな会社が大変経営に苦しんでいる。そうするといろんな不況産業等が業種転換等の場合には通産省等も含めましていろんな助成や指導もする。ところがタクシー業界がいろいろやっていくのになかなかそれがせっかく持っている権利をなくしたら困ると思うし、それにしがみついておるものだから実はなかなか希望を持ったような格好での働きができない。これは私もよく承知しているんですけれども、例えば名古屋にある名鉄タクシーなんというのは、これはタクシーの運転手さん一生懸命働いてみんなで頑張ればハワイでもどこへでも成績がよければみんなを送りますよと会社が、あるいはもうちょっと次の成績のいい人はグアムヘ送りましょうといって家族ぐるみでのいろんな優遇策等も講じて、労使関係も非常に安定しているということを聞くわけですね。ところが小さな会社になりますとそれができないんですね。もう本当に神風タクシーみたいな格好で働かなければやっていけないと。ですから、そういうタクシー業界全体も含めて、これはぜひともひとつ御指導を願いたい。小さいところが合併すれば私はもうちょっとうまいこといけるんじゃないかというふうなことを思いますし、そこまで小さいならもう個人タクシーに切りかえてもやれるんじゃないかというようなことも出てくるわけですね。ですから、そういうことも含めて、もうこれは随分昔にこの問題をお取り上げになったわけですから、今日のタクシー業界の置かれている問題について、特に零細業者につきましては今後ともひとついろんな意味での御検討をお願いしておきたいと、こう思います。  それから、時間がありませんから、少しここで個人タクシー、これ東京の問題を少し申し上げておきたいんですけれども、東京で、個人タクシーと言えば私ども安心して乗れるというふうに思っておったんですけれども、いろんな声が出てまいりまして、特に身がわり運転を認めることが割合おおらかになってきたといいましょうか、身がわり運転がかなり随分進んでまいりまして、その身がわり運転をする際に幾つかの問題があるということを聞くわけです。これはまじめに働いているタクシーの運転手、いわゆる勤務タクシーですね、勤務運転手の人たちから聞くんですけれども個人タクシーの人たちが無謀運転していると。一体どうなんだということを聞くと、実は免許をもらった人じゃなしに身がわり運転をしている人がいる。その身がわり運転している人が、名義を持っている人のためにとにかくお金を払わなけりゃいけないので稼ぎまくらなきゃどうにもならないというようなことで、きりきり舞いをして働くと。そのために無謀運転と見られるような運転が出てくると。  さらにもう一つ問題点があるのは、ちょっと調べてみますと何か七十代の方がかなり免許をお持ちなんですね。その方たちが今度は、六十九歳以上になりますと譲渡できると。譲渡するに当たって権利金を取るというふうな話も聞こえてくるわけです。もともとは個人タクシーというのは本当にまじめに運転をされて実績のある方がおやりになっている。その方たちがお年をとられて今度は自分がそれを権利として渡す。これはどうも個人タクシーの趣旨にも反するというふうに思うんですけれども、今の身がわりタクシーの件と年をとられて譲渡するというふうな問題につきましては、運輸省としてどういうふうにお考えでございますか。
  65. 熊代健

    説明員熊代健君) まず身がわり運転、いわゆる代務運転者と言っておりますが、個人タクシーは本来は免許を受けた事業者がみずから運転するというのが原則でございまして、他人を雇って車を運転させるということは基本的には認めておりません。ただ、長期間病気で療養しなきゃいかぬといったような場合にまでその原則を適用いたしますと、その個人タクシー事業者自身の生計を維持できないといったような問題も生じますので、代務運転者という制度を認めてきているわけでございます。この代務運転者を認める場合にも、個人タクシー事業者にかわってその事業用自動車を運転するということから、個人タクシーの資格を有する者あるいはそれに準じた人に限って代務運転についてこれを認可するという形で処理しております。したがいまして、先生おっしゃったようなそれを潜って、病気とかそういう一定の要件もない場合にそういうことをやっているということは基本的にないと思いますけれども、なおその点については指導を十分させるようにしたいと思います。  それから、高齢者の問題は、我々としては三年ごとに免許は更新しておるわけですけれども、これまで続けた人が七十歳以上になったからおやめなさいというわけにはまいらない実態がございます。したがいまして、安全運転観点から、通常はその三年の免許更新のときに健康診断書を出してもらって、健康上の問題も審査しておるわけですけれども、高齢者につきましては、局によって多少年齢は違いますけれども、六十五歳以上等の方については毎年健康診断書を出していただいて、そういうチェックはしておる。それから、六十八歳以上の問題につきましては、我々としても、そういうお年寄りが運転しているということに対する不安感をお客さんがお持ちになるような場合もございますので、できるだけ代替を進めやすくするということで、譲渡譲受につきまして、六十八歳以上の方については譲渡譲受を相手方がきちっとした資格のある人であれば認めますという制度に改めたわけです。先生おっしゃるような権利金云々の問題でございますが、これは我々としても、個人タクシー協会を通じまして、年金等の共済制度をきちっとつくるとか強化するという指導をやっておりますけれども、権利金という言葉がどうかわかりませんけれども、車の譲渡値段、あるいは車庫の譲渡値段プラスアルファの部分がある程度あるんだろうとは思いますけれども、我々としては今先生おっしゃったように、ここでもう終わりだからということになかなかまいりませんので、その点は不当に権利金ということで譲受者が支払うということのないように、個人タクシー協会を通じて指導も強化してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  66. 山本正和

    ○山本正和君 それではひとつ、当初の勤務運転手の皆さん方に対して一定の希望を与えると、こういう趣旨も今後も生かしていただきまして、今やっぱり長く年数たちましたのでさまざまな弊害が出ておろうかと思いますので、今後ひとつこういうことにつきまして十分な御指導をいただきますように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  67. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 新聞報道によりますと、四月の二十一日に、JR東海が社員研修でコミュニケーションゲームの問題が出ておりますが、そのスリー・テンというところでだれが生き延びるのか、内容をもう一度、これは先般法務省に対しまして質問いたしましたが、ちょっともう一回内容を読みますと、ほんの偶発的な事故で世界じゅうが強力な放射能によって汚染されようとしています。しかし、ある科学者が特別なカプセルをつくり、小さいながらその中にいる人たちは完全に生存できることが保障されています。この室内には既に偶然選ばれた十人の人たちが入っております。その人たちは弁護士とかずっとあります。省略しますが。ところが、ドアを閉じる瞬間になってカプセルの中では七名しか生存できないことが判明しました。人類の生存者は七名のみというわけだ。どの人が外に出るべきか。生き残れない三名をあなたが決めてください。こういう研修のようですが、運輸省にお尋ねしますが、いつ、どこで、だれが、だれに研修をしようとしたために、こういうスリー・テンのコミュニケーションゲームをやろうとしたのか。
  68. 林淳司

    説明員(林淳司君) ただいま先生御指摘のコミュニケーションゲームでございますが、東海会社が四月の十七日から社員多能化研修ということで、その社員研修センター、これは名古屋でございますが、社員研修センターでその研修を実施したわけでございます。その研修の過程におきまして、ただいま御指摘のスリー・テンというコミュニケーションゲームというものを、教材としてこれを使おうということで予定をしておったというふうに聞いております。
  69. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そうすると、JR東海以外には、JR各社にはこういうような教育というのはやっているんですか、いないんですか。
  70. 林淳司

    説明員(林淳司君) 研修の過程におきまして、その一つのカリキュラムとしていわゆるコミュニケーションゲームというものはかなり広く採用されておりますので、ほかの会社においてもこれに類した教材を選んでやっておるということだと思いますけれども、スリー・テンというこの教材を使ってのコミュニケーションゲームというのは、東海だけで行おうとしていたというふうに理解しております。
  71. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私、六月四日の本委員会でこの点について質問をいたしました。そのときに人権擁護局長と法務大臣が答弁されましたが、特に法務大臣は私の質問に対して、「事実関係を調査して厳正な対処をしたい」という答弁が第一点。それからもう一つ私は重ねて言いましたら、法務大臣は、「ゲームにしろ最も悪質な方法じゃないかなと、社会的にも大きな問題にはなるなという感じがします」と、こういう答弁が返ってきておるんですが、事実関係の調査をどのようになさったのか、お尋ねします。
  72. 落合紹之

    説明員(落合紹之君) お答えします。  先生から御指摘いただきました後、名古屋の法務局の方を中心に現在調査を続けておりますが、現在までの調査結果では、先ほど運輸省の方でお話になりました点、それから先生の御指摘のあった問題を教材としようとしたと。その趣旨はコミュニケーションをつくるため研修員の雰囲気づくりと研修員が気楽に本音を出させる土壌づくりというふうなことをねらいにして使おうとしたと。しかし、十分説明がなされないまま教材が配付されたため、研修員から異議が出てこれを中止したというふうに現在のところ理解しております。
  73. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 今の調査の、調査というのは私は客観性がないとこれはいけないと思うんですが、今のお話では研修員が気楽に何かやってもらうためのというようなことは、この調査というのはもしや一方的に当局側というか経営者側、会社側からだけしか聞いてないことじゃないでしょうか。
  74. 落合紹之

    説明員(落合紹之君) まだ調査途中でございますので御指摘のとおりでございますが、それはそういう趣旨でやったというふうに説明を受けておるということでございます。
  75. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私は先般、六月四日の質問では、人権擁護局長ですか、「御指摘の事案につきましては、私どもまだ事実関係を承知しておりませんが、一体どういう研修で、そういった教材がどういう趣旨で使われたかということにつきまして、早速所管局を通じて」。だから、この問題というのは、私はマスコミでしか見なかったんですが、あるいは知らないんですが、多分どこかのテレビ局ですが、教育を受けようとした側の人がブラウン管に映っておったんですね。だから調査は、私は調査を早速するというなら、法務省はね、片手落ちじゃないですか、片一方だけ聞いて今こんな答弁をするというのはいかがですか。
  76. 落合紹之

    説明員(落合紹之君) 最初に申しましたとおり、現在まだ調査を完了したわけでございませんので、先生の御指摘の点を踏まえてさらに調査をやっていきたいというふうに考えます。
  77. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それじゃ、総括質問がまたありますから、この問題だけに時間をとったってしようがないんですが、早急にやっぱり教育を受けようとした側の方もなぜ、いわゆる気楽なものならすっといきゃいいわけですからね。教育を受けようとした側からも法務省としては調査をしていただけますか。
  78. 落合紹之

    説明員(落合紹之君) この問題、主として問題になるのは研修を行う側でどういう趣旨でやったかということがむしろ問題であるというとらえ方をしておりますけれども、ただ受ける方でどういうふうな感じで受けとめたかということも問題であろうかと思いますので、その点については調査してみたいというふうに思います。
  79. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 調査をしていただきたいと思うんですが、今あなたの最初の答弁では、そう問題意識がないような形でね、これは気楽に何かやってもらうために、そうこの教育には問題がないと、そういう観点からのこの委員会に対する調査に関するあなた方の報告ならば、これは私は片手落ちだと、問題があると、こう言っているわけですからね。ぜひそうしていただきたいと思います。  運輸大臣、私は清算事業団の雇用対策本部、前の人活センターの延長線上の問題のような、現地も何回も見た。総評も調査団をやって見て、ぜひ現地を見てください、あれは人間がああいう形でやられるようなものじゃないよと、こういうことで私も一、二ちょっと見たんですけれども、確かに私の知ってる人が、この雇用対策本部で教育を受けているのかどうかわからぬけれども、非常に清算事業団に行った人たちが人権をもう無視されたような形で、部屋の中で一人はうつ向いている、一人は横向いたり、いろんな何人かおるんですよ。これは私はやっぱりこういう人権無視の国鉄分割民営化のやり方の大きな嵐の中で、そういう雇用対策本部の、そういう今の職のない人たちが部屋に閉じ込められている。その実態というのは人権が無視されている。そういう流れがずうっとまだ私は残っているんだと思うんです。この東海のJRのさっき言いましたスリー・テン教育、十人の中からだれか三人出ていけというんでしょう。それの結論を教育の中でみんなで、一人一人、二十三名ですか、その研修員があのまま反対をせぬでその教育を受けたとすれば、結論出す。そして、その結論をだれかがまとめて発表するとかなんかいうやり方のようですけれども、こんなことがまかり通っていいものかどうなのかですね。いかがですか、これは。
  80. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 御指摘を受けましてから、この問題、運輸省としてもさまざまな角度から検討しておるところではございますが、今法務省が人権侵害に当たるものか否かについての調査を行っておられる最中でありますので、具体的にこれについてのコメントは控えさせていただきたいと思います。ただ、基本的に不愉快なゲームだという印象は私も覆うわけにはいきません。
  81. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 不愉快なと。運輸大臣としては僕はそれだけでは片づけられないと思うんですね。やっぱり運輸大臣としては、その問題については不愉快だと、責任者ですからね、一つ
  82. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 人権侵害に当たるか否かについて法務省当局が調査をしておられなければ、私は違った言い方をいたします。しかし、現に法務省当局が人権侵害に当たるかどうかの調査をしておられる以上、私は具体的にこの問題についてのコメントは控えるべきだと思います。ただ、一般的に申し上げるなら甚だ不愉快です。
  83. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  84. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十九年度決算外二件を議題とし、運輸省及び日本国有鉄道決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  85. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 まず最初に会計検査院にお尋ねしたいと思います。  本年四月一日、一部は去年の十二月に分割民営化され、合計十一法人日本国有鉄道清算事業団が発足しておりますが、これらの各法人に対する会計検査院の検査は今後どのようになるか。また、関連事業会社に対する検査はどのようになりますか。  会計検査院法第二十二条及び第二十三条は、必要的なあるいは選択的な検査対象など検査の範囲を定めていますが、この規定との関連から御説明をしていただきたいと思います。
  86. 辻敬一

    会計検査院長(辻敬一君) 会計検査の対象は、会計検査院法第二十二条及び第二十三条に規定しているところでございます。まず第二十二条では、「会計検査院の検査を必要とする」、いわゆる必要的検査対象を定めております。また第二十三条では、会計検査院が必要と認めるときに検査することができる、いわゆる任意的検査対象を規定しているところでございます。  そして、法人につきましては、「国が資本金の二分の一以上を出資」いたしておりますと、これは第二十二条の必要的検査対象ということに相なります。  それから、「国が資本金の一部を出資しているもの」、つまり二分の一以上出資でございますと必要的検査対象になりますので、この場合には二分の一未満の出資でございますが、そういう場合には任意的検査対象になるわけでございます。  それから、出資法人がさらに出資をいたしております法人、いわば孫出資法人というようなもの、あるいはまた国が補助金交付したり、貸付金等の財政援助を与えたりしているもの、これも任意的検査対象になるわけでございます。  そこで、日本国有鉄道は国が資本金の全額を出資しておりましたので、従来会計検査院法第二十二条の規定によりまして、必要的検査対象として検査を実施してきたところでございます。今回の分割民営化に伴いまして、国鉄の事業あるいは業務を承継する多くの法人が設立されたのでございますが、まず日本国有鉄道清算事業団につきましては、国が資本金の全額を出資いたしておりますので、必要的検査対象として検査を行うことになるのでございます。それから、東日本旅客鉄道株式会社など六旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株会社につきましては、国が資本金を出資しております清算事業団がさらに出資している法人、先ほど申し上げました孫出資法人でございます。それから、新幹線鉄道保有機構は国が貸付金等の財政援助を与えている法人でございますので、いずれも先ほど申し上げました第二十三条に規定する任意的検査対象に該当するわけでございます。  そういたしまして、これらの法人国鉄から多額の資産あるいは債務を承継しておりまして、国民生活にも密接に関係いたします重要な事業を実施していくものでございます。したがいまして、その事業について経理状況検査する、そして運営の適正を期する必要があると考えております。そこで、六旅客鉄道株式会社日本貨物鉄道株会社及び新幹線鉄道保有機構につきましては、先ほど申し上げました院法第二十三条の規定に基づきまして昭和六十二年度以降の会計を検査することを決定をいたしました。既に去る四月に関係者に通知済みでございます。  このように、従来国鉄につきましては第二十二条に基づいて検査をしておりましたのが、今回の分割民営化に伴う旅客鉄道会社等につきましては第二十三条に基づいて検査することになったわけでございます。しかし、検査の根拠規定は異なっておりましても、検査の範囲は変わることがないわけでございます。  今回の分割民営化は、経営の健全化を実現するために効率的な経営体制を確立することを目的としているのでございますので、その趣旨を念頭に置きまして、検査院といたしましても今後とも経営の効率化が十分に行われているかどうか、そういうことに重点を置きまして旅客鉄道株式会社等に対する検査の実施に努力してまいりたいと考えているところでございます。  なお、先ほどの御質問で。清算事業団外十一会社という御指摘ございましたので、鉄道通信株式会社及び鉄道情報システム株式会社、それから財団法人鉄道総合技術研究所につきまして簡単に御説明申し上げますと、鉄道通信株式会社及び鉄道情報システム株式会社は、先ほどの六つの旅客鉄道株式会社、それから日本貨物鉄道株会社から出資を受けている法人でございます。つまり、孫出資がさらに出資している法人でございますのでいわばひ孫出資法人に該当いたします。そこで、会計検査院法第二十三条に該当いたしませんので、本院の検査対象とはならないことになります。  それから、財団法人鉄道総合技術研究所につきましては、清算事業団等からの出資はございません。別途国から補助金交付されておりますけれども、この補助金は補助対象が限定されておりますし、金額も比較的少額でございますので、現在のところ会計検査院法第二十三条に基づく検査対象とはいたしていないのでございます。
  87. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 日本たばこ産業及びNTTは既に民営化されておりますけれども、いずれについても政府法律によって発行済みの株式総数の一定割合を保有することとされているのであります。当然検査院検査対象となっておるわけでございますが、日本航空につきましては現在政府出資が行われており、同社及び同社がさらに出資している子会社検査対象となっていると思います。  しかし、日本航空は近い将来政府保有株式の売却が行われ完全民営化が予定されております。その場合、日本航空及びその子会社に対する検査はどうなるのか。特にこの日本航空の検査につきましてのお答えをいただきたいと思います。
  88. 辻敬一

    会計検査院長(辻敬一君) 日本航空につきましては、現在政府が三四・五%の株式を所有いたしております。つまり国の一部出資法人でございますので、先ほど申し上げましたように院法第二十三条の任意的検査対象といたしまして検査を行っているところでございます。日本航空株式会社法を廃止する等の法律案が将来成立をいたしまして政府保有株のすべてが放出されることになりますと出資がなくなりますので、出資の関係で検査対象とすることはできなくなるわけでございます。  もっとも、先ほど申し上げましたように、その他の財政援助などがございますれば任意的検査対象として検査をすることは可能でございます。  日本航空の場合、従来政府保証を受けまして発行いたしました社債等の残額がございまして、これらにつきましては民営になりまして後も政府保証が継続する予定になっていると承知しております。したがいまして、その限りにおきましては国が借入金の元金または利子の支払いを保証しているものということで、法律上は任意的検査対象に該当することになるわけでございます。
  89. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 ここで要望しておきたいと思います。  国鉄分割民営化されたとはいえ、JR各社は清算事業団からの出資あるいは国からの補助金の支出、債務の保証等が行われているのか実態であります。JR各社は旧国鉄時代よりも多くの事業展開が予想されることでもありますので、公正な会計、経理を行い、いやしくも検査院指摘を受けることがないよう運輸省としても法律に基づく監督に万全を期すよう要望しておきます。  一方検査院に対しましても、現在検査対象とされているところについては、必要な検査は十分に行い、またJR各社などについては、その事業内容をよく把握し、適正な企業運営がなされるようしっかりした検査を実施するよう期待したいと思います。  次に、国鉄関係について質問をいたします。  まず、国鉄改革によって新しい事業体は当初から健全な経営ができるような会社として発足しておりますので、基本的には国の助成措置は必要とされていないと思います。しかし、清算事業団に対しましては、閣議決定によって、当面財政事情の許す範囲内で必要な国庫助成を行うなどとされているのであります。そのため、今年度予算では清算事業団に対して千六百六十八億円の助成が行われております。  そこで、昭和五十九年度の決算を見てみますると、国鉄関係助成費は、防災事業等を含めまして約六千四百七十四億円、六十年度では約六千一億円の金額となっております。これに対比する形では、今年度の国鉄関係予算の総額は幾らになるのか。分割民営化後は国の支出は従前に比べて減るものと考えられますが、この辺のことについて御説明をいただきたいと思います。
  90. 林淳司

    説明員(林淳司君) 昭和六十二年度の国鉄改革関係の予算でございますが、まず第一に先ほど先生御指摘ございました清算事業団に対する補助でございますが、これは長期債務等の円滑な処理のための補助金ということで千六百六十八億円、そのほかに清算事業団に対しまして、特定地方交通線対策のための交付金などでございますが、これが約百八十六億円ございます。それから第二に旅客会社等に対する補助でございますが、これは輸送の安全対策、それから防災対策、これに資するための踏切保安設備整備費補助金、それから防災事業費補助金といったもので約百三億円の国庫補助を行うこととしております。したがいまして、従来国鉄であったものの承継法人等に対する助成の総額、これは千九百五十七億円ということになります。  そこで、今先生御指摘のように、例えば昭和六十年度でございますが、昭和六十年度におきましては総額六千一億円の補助を行っておったわけでございますが、そのうちの非常に大きな部分を占めておりますのが約五兆円の棚上げ債務の利子補給金でございます。これがその六十年度で三千四百五十七億円ございます。したがいまして、それを除外して考えますと、六十年度は二千五百四十四億円の一般的な補助があったわけでございます。それに対しまして、この五兆円の棚上げ債務につきましては六十一年度末にこれは一般会計の無利子貸付金に切りかえられたということがございます。したがいまして、この三千四百五十七億円はこれは一般会計の方で負担をするということになりますので、これは国鉄関係の予算からは除外されたわけでございます。したがって、先ほど申しましたように六十年度の棚上げ債務以外の一般的な補助金二千五百四十四億円というものについて比較をしてみますと、六十一年度はこれが二千二十四億円、それから六十二年度はただいま申し上げましたようにトータルで千九百五十七億円ということで若干減少しておりまして、これは主として一般会計のシーリング等の関係でございますが、そういう推移になっておるわけでございます。
  91. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 次に、旅客会社の損害賠償保険の問題についてお伺いしたいと思います。  旅客会社は、旧国鉄と異なり、賠償保険に加入していないと聞いております。民鉄の場合は何らかの形で賠償保険に加入していると思われるのでありますが、今後、旅客会社で万一事故が発生するというようなことがあれば、乗客らの死傷に対する賠償とか列車等の施設に対する損害等、すべてを自社の責任で賄わなければならないことになります。収支決算で予想されている程度のわずかな黒字では、一たんこういう事故が起こりますと吹っ飛んでしまうわけでございます。  旧国鉄時代の賠償支払い額は、保険等の関係もございますけれども昭和五十九年度の六億四千万円、六十年度で九億三千三百万円と聞いておるわけでございますけれども、旅客鉄道会社は万一の事故に対してどのような対応をするつもりか、お尋ねしたいと思います。
  92. 林淳司

    説明員(林淳司君) 損害保険の関係でございますけれども、従前、国鉄であった時代でございますが、国鉄におきましては車両事故等に対応するための保険というものには加入をしておりませんで、事故が起きた場合には、そして車両とか建物に損害があった場合、これは修繕費という形で対応しておりました。それからまた死傷事故を起こした場合、これは業務費の中の賠償費という項目によって対応をしてきたというのが国鉄時代でございます。  そこで、新会社になった段階でございますが、六十二年度の、今年度の事業計画におきましては、これらの経費を過去の実績に基づいて積算をいたしまして、これは利益ではございませんで、経費の中に過去の実績に対応する程度の費用はそれぞれ織り込んで収支計算を立てております。したがいまして、基本的には事故等がございました場合の措置というものは、十分に対応できる体制になっておるということでございます。  ただ、保険に加入するかどうかということにつきましては、最終的にはこれは経営者の判断にまつ事項でございますけれども、私鉄でも現在、例えば鉄道賠償責任保険とかあるいは車両の火災保険とかあるいは建物の火災保険、機械類、これも火災保険でございますが、そういうふうな保険に加入している会社が多いという状況もございます。それから、新会社の経営状況というものも考えますと、合理的な範囲で保険に加入するということはこれはまた一つ考え方であろうかと思います。したがいまして、この保険制度を活用するかどうか、その辺につきまして、基本的には会社の経営者の判断でございますけれども、損害に十分対応できる体制というものについて、私ども政府側としても十分な指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  93. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 去る五日、橋本運輸大臣は四国に参りまして、JR四国を視察されて、記者会見が行われました。これを踏まえて若干大臣の御所見をお伺いしたいと思います。  大臣は同日の記者会見で、整備新幹線に関する閣議での大臣の御発言にも触れられて、JR各社が他の交通機関との競争に勝つためには高速鉄道が必要である、また四国新幹線についても整備新幹線、整備五線を解決した後に考えたいと述べておられました。私は、瀬戸大橋の架橋効果を高め、また四国地域の発展のためには新幹線の早期乗り入れが絶対的に必要であると思っておるわけでございます。大臣の四国新幹線についての構想はいかがでありましょうか。  また、現在策定されつつあります第四次全国総合開発計画の最終試案を見ますると、整備五線については整備を行うとされながら、四国新幹線については何ら触れられていないのであります。西暦二〇〇〇年を目標とする四全総においては、大臣の御発言の趣旨からしても、四国新幹線の位置づけを明確にしておくべきであると思うのですが、いかがでございましょうか。大臣は岡山県御出身でございまして、岡山、香川をつなぐ橋だけに大変期待の大きい問題でございます。大臣の御見解を承りたいと存じます。
  94. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ちょっと順番を逆さにさせていただきますが、四全総との関連ということになりますと、四国新幹線につきましては、四国新幹線という書かれ方はいたしておりません。御指摘のとおりであります。全国新幹線鉄道整備法に基づく基本計画路線というものは、現在検討されております国土庁の試案の中では、「国内幹線交通体系の長期構想」という項目の中におきまして、「全国新幹線鉄道整備法に基づく既定計画路線を基本としつつ、社会経済の動向、新たな鉄道事業体制への移行の成果、あるいは技術の進歩等を見極めながら対処する。」という記述がされております。運輸省立場からいたしましても基本計画路線につきましては、今御指摘になりましたように、整備新幹線の見通しをつけた後に検討をすることになると考えております。  ただ、これは午前中他の委員の御質問にも関連して述べたことでありますが、私どもは将来を考えますときに、鉄道事業というものの今後の発展のためには高速鉄道網の整備というものは欠くことができないと考えております。これはそれぞれの地域の開発という視点から考えましても、また鉄道というものが他の交通機関との競争の中で一定のウエートを国民生活の中で占めていくためにも、これは欠くことはできません。そうした中で現在いわゆる整備五線というものが財源等検討委員会の俎上に上っておるわけでありまして、私どもとしてはこの検討委員会におきましても将来において高速鉄道は必ず必要であると、この姿勢は一回も崩しておらないわけであります。その限りにおきまして、四国における二本の将来の構想というものも私は必ずいつか実現をしなければならないものだと考えております。  ただ、確かにお向かいの私から申し上げるのは大変つらいことでありますけれども、本来児島−坂出を結ぶ瀬戸大橋というものが、道路鉄道併用橋であるのみならず新幹線を通すことの可能な設計になっておるのは御指摘のとおりでありますが、新幹線網の整備の速度から考えて、私どもはこれはとにかく、とりあえずこの橋が完成され、実用に供せられる時点においては在来線をもって鉄道網を敷設したい、そしてその中で将来の高速鉄道網の整備の中において、できるだけ早い時期にこれが新幹線に切りかえる日が来ることを祈っておる点では委員と同じであります。
  95. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 大臣立場だけになかなか我田引水の話がしにくいかと思いますが、そうではなくて、大局的な立場に立って御判断をいただけるならば、大臣の今の諸所に見られますように、ぜひ新幹線を児島−坂出間の中に走らす日の一日も早いような御協力をお願いいたす次第でございます。  四国における旅客輸送量は漸減傾向にあります。また、今後の高速道路網の整備の進展などを考えますと、鉄道を取り巻く環境というのは厳しいものがあると思うのであります。明春に予定されております本四備讃線の開業に対応して、列車の体系の見直し等を検討しなければならないと思うのでありますが、四国の複線化率はわずか三%、電化率は七・七%という状況であります。この全国平均を大幅に下回る基盤整備のおくれを取り戻して、四国全域の幹線についての複線化、電化が急がれるのでありますが、今後の見通し等について、先ほどの質問と関連がございますけれども、お伺いいたしたいと思います。
  96. 林淳司

    説明員(林淳司君) 四国におきますところの複線、電化の問題でございますけれども、これにつきましては本年の三月に予讃本線の高松−坂出間、それから多度津の観音寺間、それから土讃本線の多度津と琴平の間、この間の電化が完成をしたわけでございまして、これは分割民営化に伴いまして、従来四国におきましては複線化率ゼロという状態でございましたので、その辺の経営基盤の強化という点も考えまして、六十一年度においてこれを緊急にやったわけでございます。その結果、この三月に完成をし、電車の運転が開始をされたということでございまして、引き続いて今年度におきましては予讃本線の坂出と多度津の間の電化、これを完成させましてこの区間をつなげたい。それからさらに、予讃本線の坂出−丸亀間、この間の一部の複線化工事、これも現在行っております。運輸省といたしましては、早期にこの複線、電化、現在やっています工事を完成いたしまして利用者の利便に供したいというふうに考えております。  それから、その後の複線、電化全般の問題でございますけれども、これは基本的には個々のプロジェクトごとの投資効果、それから採算性といったことを見きわめまして、四国会社が自分の経営判断に基づいてこれを行っていくべきものというふうに考えております。その場合、会社としては当然投資効果、採算性を考えながら、またそれがその会社の将来の経営基盤の強化につながるかどうか、その需要誘発効果といったものを十分見きわめて対応をしていくものであろうというふうに考えております。
  97. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 大臣何か一言。
  98. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、具体的な計画につきまして審議官の方からお答えを申し上げましたけれども、私ども四国という地域の中で、いわば新会社の中では一番小回りのきく形でスタートをしましたJR四国が、円滑な地域密着型の企業として伸びてまいります過程におきましては、今、委員が御指摘になりましたような電化あるいは複線化といったことで、基本的に利用客の増大を図る方途というものは当然講ぜられるだろうと考えております。私どももそれを好意を持って見守ってまいりたい、そのような気持ちであります。
  99. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 時間がございませんので、それじゃ次は海運関係にまいります。  今、我が国の造船業、海運業が大変な不況に直面していることは改めて申し上げることもないことであります。この点につきましては多々お尋ねしたいことがあるのでありますが、時間の関係上、政府に対し、産業構造の円滑な転換、離職者の雇用確保に一層努力されるよう要望するにとどめておきますが、ただ我が国海運の将来を考えますと憂慮すべき問題があると思いますので、これについて若干ただしておきたいと思います。  今年の三月、また二つの海員学校が廃止になりました。村上と香川県の粟島の二校でありますが、これでかって十三校を数えていた海員学校は八校になったわけでございまして、しかも今年度から海員学校の募集定員は四割削減されまして、就学年数も一年延長され三年となりました。そもそも海員学校設置の目的は、我が国海運が持っている国家的役割から国が責任を持って船員を養成し、海運企業に提供することにあると考えられるのでありまして、少なくとも国が養成した海員は海運での中核的役割を果たしてもらいたいと思うのであります。したがって、今年度からの募集定員の削減によって卒業生の雇用は保障される見通しがあるのかどうか。また、船員の数は、海運助成対象企業の海上従業員数を見ると、ここ十年間でほぼ半減し、かつ船員の高齢化が進んでおります。  このような現状を見ると、船員の需給状況はまことに心細いと言わざるを得ません。今後どのような対応をされるか、あわせてお答えをいただきたいと思います。  ついででございますけれども、これまで廃校になった五つの海員学校の跡地利用の状況がどのようになっておるか、この点についてもお答えをいただきたいと思います。
  100. 野尻豊

    説明員(野尻豊君) 近年、海運業が長期化する不況とそれから急激な円高によりまして厳しい経営状況にあることは先生御指摘のとおりでありまして、船員雇用情勢も大変厳しい状況であります。海員学校の卒業生につきましても、最近は外航海運からの求人が非常に少なく、内航海運とかあるいは官公庁船、こういったようなところから求人が来ている。あるいはまた、一部は陸上企業へ就職しているといったような状況でありまして、当面はこのような状況が続くものと予想されております。しかし、我が国の商船隊を安全、適正に運航させるという我が国の船員の担う役割を考えますと、これからもこうした我が国船員に対する期待は変わるものではないということは当然であろうというように考えております。  従って、長期的には、将来の船員の年齢構成を勘案しながら、若年労働力の導入について、あるいはまた優秀な海員技術の承継といったような観点からも教育をしていく必要があるというように考えております。  運輸省におきましては、再教育訓練を含めました教育制度の質的な充実を図りまして、今後とも日本人船員の確保を図っていきたいというように考えております。  それから、第二点の御質問で、かつて十三校ありました海員学校、先生御指摘のとおり、五校削減されまして八校になっております。  まず、昭和五十六年に児島、七尾、門司の三校を廃止いたしました。このうちの児島と七尾につきましては、船員の再教育機関としまして、海技大学校の分校ということで今も活躍しております。それから、門司の海員学校は、廃止されましたが、その後海上保安学校の分校ということで転用しております。それから、さらにことし、昭和六十二年の四月をもちまして、粟島と村上の二つの海員学校を廃止いたしました。粟島の海員学校の跡地につきましては、現在香川県、それから地元の詫間町が学校跡地を海洋レクリエーションの基地として有効活用したいということで、構想の検討を進めているところであります。それから、村上の海員学校の跡地利用につきましては、今県と村上市におきまして検討を進めているといった段階でございます。
  101. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 ただいまの説明で、粟島の海員学校の問題につきましては検討しておるということで、まだ中間報告はいただいておりませんですか。
  102. 野尻豊

    説明員(野尻豊君) 粟島海員学校につきましては、先ほど申し上げましたように、ことしの四月一日廃止いたしました。そうして、その跡地利用につきましては、六十年の十月に、今から約一年半前になりますけれども、地元の詫間町、それから香川県、それから学識経験者等によります調査委員会を設置いたしまして、二年間にわたりまして調査が行われました。そして、ことしの二月に、跡地を利用しました海洋レクリエーション基地の将来展望に関する調査報告書という報告書がまとめられました。この調査報告書を受けまして、地元の詫間町あるいは香川県におきまして、その利用計画を検討しているという段階だと聞いております。  運輸省としましては、この香川県ともこれからよく相談をいたしまして、可能な限り地元の意向が反映されるように、あるいは意向が生かされるように、努力してまいりたいというように考えているわけでございます。
  103. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 海運不況が長期化、深刻化するにつれて、我が国の海運事情に大きな変化が生じてきております。例えば運輸省が発表している「外航海運の現況」にも明らかなように、低賃金の外国船員を乗せた便宜置籍船が導入され、日本商船隊に占める外国用船の比率が高くなってきております。海運についても海上輸送路の確保も重要な問題であります。ペルシャ湾では昭和五十九年以降日本関係船だけでも十一隻が被害を受け、死亡者の発生すら見ており、その航行安全対策が切に望まれております。  貿易国日本にとって海上輸送の重要性は極めて高く、緊急事態における船舶調達の確実性などを考えると、日本船をふやし、日本人船員を確保しておくことがこれからの重要な課題と思うのであります。  二十一世紀を展望した船員政策あるいは海運行政につきまして、運輸大臣はどのような御見解を持っておられますか、お伺いしたいと思います。
  104. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 周囲を完全に海に囲まれております日本として、将来を展望いたしますとき、私どもはどんなことがありましても、いわば日の丸商船隊とも言うべき自国の商船を、一定以上はどんなことがあっても保ち続けなければなりません。  そして同時に、非常に質の高い船員としての評価を受けております日本人船員の養成も、それに見合ったものを確保していく努力を将来ともにこれは必要といたします。同時にもう一つの問題としては、この海運の状況いかんが我が国のやはり大きな産業の一つであります造船業にも非常な影響を与えるわけでありまして、こうした視点からも外航海運並びに造船業というものは、我々にとって一定以上はどんなことがあっても確保しておかなければならない重要な分野だと考えております。  ただ、その中で国際的な競争に打ち勝ってまいりますために、我が国の商船は近代化の速度を上げまして、省力化船、超省力化船といわれるような船を建造し、実用するに至りました。そうなりますと、一隻当たりの船員数もどうしても減ってくるわけでありまして、それに対応するだけの船員数というものはどうしても余剰を生み出してまいります。  現在、外国籍船への乗り組みでありますとかさまざまな努力をいたしておりますが、現状においては、遺憾ながら船員の雇用情勢には極めて大きな問題を抱えております。しかし、そうだからといって今後続く若い船員の供給を我々は手抜きをするわけにはいかない。船員学校の実態を今委員が御質問になりましたように、かってに比べて既に五校閉鎖をいたしたわけでありますが、少なくとも残る八校が維持できるだけの我々は商船隊を持ち続けたいということで、これからも努力をしたいと考えております。
  105. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 次に、海上保安庁関係の問題に移りたいと思います。  昨年十一月三原山噴火災害に際しまして、海上保安庁は観測、救急活動に努力され、円滑に業務が遂行されましたことに対し、まず敬意を表しておきたいと思います。  そこで、このような大災害が発生した場合、保安庁の予算に不足が生ずることも考えられるのでありまして、財政当局といたしまして、海上保安の業務に支障がないよう一層の配慮を要望したいのでありますが、予算的な準備は、まあ十分であるとはなかなか言えないと思いますけれども、どういうふうになっておりますか、長官その辺のことをお伺いいたします。
  106. 栗林貞一

    説明員(栗林貞一君) 昨年の十一月の二十一日に伊豆大島の三原山が大噴火をいたしまして、先生ただいまおっしゃいましたように、巡視船、測量船などを全国から動員いたしまして、住民等千九百名余りを救出いたしました。そのほか、また私ども水路部の関係で変色水とか溶岩流の調査あるいは航空磁気測量、水温観測、海底地形調査などを実施したわけでございますが、この件について申しますと私どもの方でその噴火のときから三原山噴火災害対策本部というものが廃止されました二月二十日までに、特にこれに要した経費は約一億五千七百万円ぐらいでございました。その主なものは航空機及び船舶の運航費が六千四百万円程度、それから水路関係、水路業務庁費といたしまして観測機材の整備などで二千八百万円余り、そのほか超過勤務手当などでございますが、これにつきまして特に水路業務関係のものについては予備費という格好で支出させていただきました。これが約三千万円でございます。そのほかの船舶、航空機などの運航費につきましては私どもの当初の予算の中でやったようなわけでございまして、必要に応じ財政当局とも相談しながら対策の実行については万全を期していくということでやっております。
  107. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 ことし二月遭難漁船の捜査に向かう途中で第七管区のビーチクラフト機が墜落して乗員五人全員が死亡するという事故がございました。これには保安庁でただ一人の女性航空通信士も含まれており、また二重遭難という意味でも痛ましい事故であったと思います。このような危険がありながらも昭和六十年我が国周辺の海域での一万人を超える遭難者のうち約八〇%が救出されていることでございます。海上保安の任務の重要さが痛感されるところでございます。  ただ遠距離海域での救助率が低いのでありますが、これは航空機等の装備の不足が原因しているかどうか、これを高めるためにどのような対策がとられているか、またこの洋上救急センターというのがありますが、これがかなり整備されていると思いますけれども、これに対する国の財政援助の現状がどのようになっておるか、この点についての御説明をいただきたいと思います。
  108. 栗林貞一

    説明員(栗林貞一君) 確かに遠距離の海域での海難の救助率は低いのでございます。遠距離と申しますと私ども数字を見ますと五百海里ぐらいまでは先生おっしゃいましたように八〇%程度の救助率になっておるわけでございますが、それからさらに遠いところの海域ではその率が非常に減っている、激減しておるようなのが現状でございます。それはどういうことかということを考えてみますと、やはり現有の勢力では五百海里を超えて捜索に出かけるようなことが不可能でございます。それから一たん海難が起きましても、そういう遠い海域でございますとなかなか付近に民間の船舶がおって助けてあけるというようなことも非常にまれなわけでございまして、そんないろんな条件からやはり遠距離における海難の救助率が低いんだろうと思います。そこで遠距離における海難に迅速的確に対応するために私どもは巡視船、航空機によります広域哨戒体制の整備というものを計画的に進めてまいっております。それと同時にまた遭難船舶の位置を速やかに確定するといったことで、船位通報制度というものを始めました。これは航海中の船舶の位置を海上保安庁に通報してもらいまして、それによって海難救助に役立てるというものでございますが、そういうものもだんだん普及してきております。  そういったことで広域哨戒体制の整備については五十七年度以降計画的に予算で整備を進めてまいりました。六十二年度予算におきましても千トン型の大型巡視船一隻を含む巡視船三隻、中型ヘリコプター三機、継続分といたしましてヘリコプター二機搭載型巡視船一隻及び中型航空機一機を整備することといたしておりますが、この巡視船艇、航空機の整備につきましては今後とも広域哨戒体制の確立に重点を置きまして、ヘリコプター搭載型巡視船及び遠距離における海難救助体制の確立のための航空機の整備などを推進していきたいというふうに考えております。  なお、洋上救急の問題はこれは一昨年からこの制度を始めまして、水難救済会が中心になり医師の大変な御協力をいただいて着々成果を高めつつありますが、私どもとしてもできるだけの応援をしていくということで進めたいと思っております。
  109. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 また昭和六十年の四月に宮崎県日向灘沖で、外国の高速船が保安庁の追跡を振り切って逃走するという事件がございました。昨今の国際情勢の厳しさを反映して日本周辺海域で不法行為等を行う外国船は昭和六十年で九百四十隻も確認されているのであります。領海を侵犯されこれを取り調べる機会を逸するというような事態は日本の威信にかかわることであり、技術大国日本の巡視船が外国船のスピードに追いつけないことではまことにゆゆしい問題であると思うのでございます。保安庁はすべての面でこのような事態への対応を完全なものにしておくべきですが、現在巡視船の性能はどういうふうになっているのかただしておきたいと思います。
  110. 栗林貞一

    説明員(栗林貞一君) 確かに時といたしますと高速のスピードを持った不審船があらわれることがありまして、他国の領海に逃げ込んだというような例もあるわけでございますが、私どもといたしましてはこれに対応するために巡視船艇の性能をアップするということを考えておりまして、今性能の現状がどうかということで、一番速いスピードが三十ノットの巡視艇でございます。これも実は大体沿海区域のあたりということになっておりまして、なかなかそういった不審船に対応する形では必ずしも十分でないというふうに考えておりまして、私どもとしてはこの巡視船艇の一層の高速化を図るということと、それから追跡するという関係で相当程度の航続距離がやはり必要であるということで、今計画しておりますのは六十二年度予算におきまして百八十トン型巡視船、これは大体三十五ノット程度は十分に出るような新しい型の巡視船を六十二年度予算におきまして建造をしたいと、そして航続距離も大体六百五十海里ぐらいは航行できるというようなものを計画して今年度実現したいと思っております。そのほか大型巡視船におきましてもヘリコプターとの連携能力を強くするとか、あるいは通信機能の充実、例えば不感地帯の解消とか性能の向上とか、あるいはまた一般にすぐに盗聴されないような秘話化というようなことも進めるとか、いろんな面から私どもの方の能力も向上してこういった事案に対処したいというふうに考えております。
  111. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 また海洋の利用と開発は、技術の進歩とともにその規模は巨大なものとなってきております。本州四国連絡橋、関西国際空港、東京湾横断道路などの建設は海上交通に大きな影響を与えると予想されます。幸い現在までのところ大きな事故は発生しておりませんが、各事業体は公共用水域の使用に当たって船舶の安全航行に十分な対策を立てるよう、この際運輸省指導を特に要請しておきたいと思います。  次に、現在海上保安庁にとって最も重要な課題はSAR条約への対応であろうと思います。SAR条約に基づく日米協力協定も締結されて本格的な広域哨戒が行われることとなっておりますが、果たしてこれに対応する装備は万全であるかどうか。哨戒海域は一挙に千二百海里にまで広がって、現在保安庁が保有している、先ほど申しておりましたが、YS11では対応できないのは明らかであります。条約義務を着実に実行し、国際協力推進していくことは我が国の責務でありまして、先般発表された緊急経済対策におきましては、国際社会への貢献がその一項目として挙げられておるところでございます。SAR条約実行のための装備の拡充強化等は、当然今回の緊急対策一つとして補正予算において措置されてもしかるべきでないかと考えるのであります。SAR条約に対応する装備の強化等についてはいかなる計画を持っておるか、お伺いしたいと思います。
  112. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 日ごろなかなか目を向けていただけない海上保安庁の第一線業務について、大変御理解をいただいて御質問をいただいておりますことをまずお礼を申し上げたいと思います。また、特に第七管区の航空機事故等についてもお触れをいただきましたことを、心からお礼を申し上げたいと思います。  今、委員から御指摘がありましたように、私どもはこれからこのSAR条約に対応して国際的な捜索救助の責任を果たしますためには、現状の海上保安庁の勢力では当然足りませんので、ヘリコプター搭載型の巡視船あるいは航空機を中心とする広域哨戒体制の整備を進めつつあります。これは既に成立をいたしました本年度予算の中におきましても相当程度の対応をさせていただいたわけでありますが、緊急経済対策の中におきまして私どもとしては当然のこととして巡視船艇並びに航空機の整備というものを考え、現在財政当局と煮詰めているさなかでございます。  大変微妙な時期でありますので、細部にわたりましてはお許しをいただきたいと存じますけれども、実は昭和五十七年度から長期整備計画を定めております中で、現在のところヘリコプター一機搭載型の巡視船四隻、また長距離の捜索救難機三機というものが未整備の状態でございます。私どもとしてはこうした点を踏まえてこの緊急経済対策の中においてでき得る限りの装備の充足を図り、第一線の負担を多少ともに軽くしたい、今折衝いたしておるところでございます。
  113. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 最後に気象庁にお伺いいたしたいと思います。  現在気象衛星としてひまわり三号が打ち上げられておりまして、観測データの収集に活躍しており、また今年三月からは清瀬市の気象衛星センターのコンピューターシステムの能力向上によって予報に大きな威力を発揮していると聞いておりますが、大体耐用年数が四、五年と言われておるわけでございます。そこで新たにひまわり四号の打ち上げが計画され、その打ち上げ費用が約二百三十五億円と聞いておるわけでございますが、予算措置についてどのように講じられておるか、お伺いいたしたいと思います。  また、四号の打ち上げによってこれまで打ち上げられた一号ないし三号はどのように処理するのか、素人なりのことしかわからないわけでございまして、お伺いをいたしたいと思います。
  114. 菊池幸雄

    説明員(菊池幸雄君) まずこれから打ち上げ予定の四号の「ひまわり」についてお話をいたします。  この四号は今働いております三号機の予備機を有効活用しようということで、打ち上げは六十四年の夏でございますが、六十年度から開発、製作を行っております。そういうわけでございまして、これは六十年度、六十一年度、六十二年度、六十三年度、六十四年度と五つに分けましてただいま先生おっしゃいました総額がこの一、二、三、四、五、五年度に割り当てられましてそれぞれ開発を行っているわけでございます。  ちょっと額を申し上げますと、六十年度は二億円、それから六十一年度は三十六億円、六十二年度は五十四億円、六十三年度は五十八億円、六十四年度は七十億円という予定で予算を組んでおります。  それが今後打ち上げる予定のものでございますけれども、今まで打ち上げました一号、二号、三号がどういう状況であるかということをお話しいたしますと、まずひまわり一号はこれは五十二年に打ち上げられました。それでその後約四年間気象観測に使われてまいりましたけれども、現在は東経百六十度で待機衛星となっております。この「ひまわり」の機能といいますのは、御案内のように気象の観測機能と通信機能と両方ございますけれども、現在この一号衛星は観測機能は失われておりますが、通信機能は確保されております。  それからひまわり二号は五十六年度に打ち上げられまして、約三年間気象観測に使用されました。この衛星は、現在百二十度にありまして、待機衛星となっておりますが、機能に関しましては観測機能並びに通信機能の一部にふぐあいが発生しております。  それから現在運用されておりますひまわり三号、これは五十九年に打ち上げられまして、現在気象観測に使われているわけでございますけれども、昨年観測装置の一部にちょっとしたトラブルがございました。しかしながら、観測機能には大きな影響はございませんで、現在気象観測はおおむね順調に行われている、そういう状況でございます。
  115. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 気象庁は、昨年度の予備費をもって伊豆大島噴火に係る緊急観測監視体制を整備し、これにより一層有効な噴火予知が行われると期待されておりますが、現在の体制で住民を事前に避難させるための予報が可能となっているかどうか確認しておきたいと思います。
  116. 菊池幸雄

    説明員(菊池幸雄君) 先生御指摘のように昨年度の予備費によりまして地震計を七カ所増設いたしました。したがいまして現在は十一カ所ございます。そのほかに傾斜計が八カ所、それから測距儀が二カ所、地中温度計が二カ所とあるわけでございまして、これらのデータは東京大学とかその他の機関のデータと一緒に合わせまして大島の測候所及び気象庁の本庁につないでおります。  それで、これらのデータに基づきまして大島測候所では常時監視を行っておりますし、また本庁におきましても当面支援体制をしいているということでございまして、これらのデータに異常が出た場合には予知連絡会あるいは予知連絡会の中の大島部会にデータを提示いたしまして、そこで今後の火山活動がどうであるかというような判断をいただくということになっておるわけでございます。
  117. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 気象庁は国の内外を問わず予報等に必要な情報を購入してでも幅広く入手して、国民の多様なニーズに対応できる予報の充実に一層努力すべきであると思います。外国における気象情報の利用の実態についてもよく調査研究されて、よりきめ細かな産業気象であるとか地域気象の予報を提供していただきたいと期待をいたします。長官の御所見を承って私の質問を終わります。
  118. 菊池幸雄

    説明員(菊池幸雄君) ただいま先生のおっしゃいましたように、気象庁の仕事といいますのは、気象関係の仕事というのは国際的な仕事でございまして、国際協力のもとにいろいろと進められているわけでございます。  そういう意味では気象庁自身もいろいろと技術開発とか予報の精度向上とかそういうことをやっておりますけれども、また同時にそれらの技術を発展途上国に移転するとか、あるいはまた他の先進国の技術を導入するとか、あるいはいろいろと意見の交換あるいは情報の交換などをいたしまして、国際協力のもとに日本国内における技術も向上させて、これからもよりよい情報を国民の皆様の家庭に届けたい、そういうように考えております。
  119. 片上公人

    ○片上公人君 国鉄が東北新幹線建設に伴いまして取得しました都市施設用地にかかわる問題につきまして、今後の対策についてお伺いいたします。  昭和五十九年度決算報告によりますと、特記事項として、国鉄の東北新幹線建設に伴いまして取得した都市施設用地について会計検査院は指摘をいたしておりますが、指摘した内容について御説明をお願いいたします。
  120. 三原英孝

    説明員(三原英孝君) まず、特に掲記を要する事項、これは略して特記事項と言っておりますが、これはどういったものかということからちょっと御説明さしていただきたいと思います。  特記事項と申しますのは、会計検査院法上検査報告の掲記事項として定められております不当事項とか、あるいは会計検査院法第三十四条または第三十六条に基づいて改善のための意見を表示し、または処置を要求した事項には該当いたしませんが、財政執行上大きな問題がありまして、早期の解決を図らなければますます事態は深刻になるような問題につきまして、特にこれを検査報告に掲記いたしまして、問題提起をいたしまして広く各界の御論議をいただき、国民及び関係者等の理解と協力を得て事態の進展を図る、こういうものでございます。  そこで、ただいま御指摘のとおり、昭和五十九年度決算検査報告におきまして、東北新幹線建設に伴い取得いたしました都市施設用地の問題について、これを特記事項として掲記いたしたわけでございますが、その内容について申し上げますと、国鉄では、東北新幹線建設用地取得の際、新幹線及び埼京線の本線用地並びに工事用道路用地のほかに、大宮、与野、浦和及び戸田の各市の要望によりまして、本線沿いの工事用道路用地の外側に沿いまして、将来道路、公園などとして利用するための都市施設用地を取得いたしております。この取得面積は昭和五十九年度末で二十七万五千平方メートル、これに対する取得費用は五百五十四億四千六百万円というふうになっております。そして、その取得に要する費用の負担につきましては別途協議するということにいたしまして、国鉄の費用で先行取得したものであります。  ところが、その後国鉄では、都市施設用地の費用負担につきまして、再三にわたりまして先ほどの関係四市に協議を申し入れてきたところでございますが、六十年九月の埼京線開業に伴いまして、暫定的な駅前広場を整備するための用地として約八千二百平方メートルについて有償譲渡する協定が締結されただけで、残りの大部分の都市施設用地約二十六万六千八百平方メートルにつきましては、関係四市から引き続き協議したい旨の回答があっただけで具体的な進展がなく、実質的な協議が行われない状況のままとなっていた次第でございます。そして、このような事態がこのまま推移いたしますと、取得した都市施設用地が長期間にわたり利用されないばかりでなく、投下資金五百五十四億四千六百万円は未回収の状況が継続することになり、しかも多額な建設利息を今後も引き続き負担する、こういうことになります。この建設利息の額は、五十九年度分だけで約四十一億六千七百万円、五十九年度末までの累計では約百二十二億一千四百万円になっております。  そこで、このような状況を明らかにいたしまして、問題を提起することによって事態の進展を図り、これらの都市施設用地が有効に利用され、取得費用の回収が図られることを期待いたしまして、これを特記事項として掲記した次第でございます。
  121. 片上公人

    ○片上公人君 検査報告では、取得費用負担につきまして各市と協議が進まなければ、取得費用の未回収が続きまして建設利息の負担が累増すると指摘しております。検査報告に指摘されたのは五十九年度でございます。もう既に二年が経過したわけでございますが、その後の事態の解決というのはどのようになっておるかひとつ。
  122. 林淳司

    説明員(林淳司君) 事実関係はただいま会計検査院の方から御説明があったとおりでございまして、国鉄昭和五十九年度の決算報告で会計検査院から指摘を受けました東北新幹線の都市施設用地、これの費用負担に関する関係四市との協議につきましてでございますが、会計検査院からの御指摘の趣旨を体しまして、国鉄がその後も鋭意働きかけを行ってきたところでございます。しかし、当該御指摘の前に関係四市と大筋で合意されました埼京線の開業に伴う駅前広場整備のための用地の有償譲渡が、総額約十六億円でございますけれども昭和六十一年十一月から六十二年二月にかけまして実現をいたしましたほかは、現在に至りましてもまだ具体的な進展を見るには至っていないというのが現在の経過でございます。  なお、六十二年四月一日からは、本件用地の処理に関します業務は、新幹線鉄道保有機構、これが国鉄から引き継いで関係市との協議を行っているところでございます。実際の折衝は、東日本旅客鉄道株式会社を窓口として行っておりますが、交渉の主体としては新幹線鉄道保有機構、これが当たるということに現在なっておるわけでございます。
  123. 片上公人

    ○片上公人君 そういたしますと、五十九年度末における取得費用は、大宮市内だけで二十二億二千三百万ですか、県南三市内では五百三十二億二千二百万、計五百五十四億四千六百万のほとんどが未回収のままということでございますでしょうかね。
  124. 林淳司

    説明員(林淳司君) 御指摘のように、当該用地の取得費用、これは総額五百五十四億四千六百万でございまして、それから未稼働期間中の建設利息、これは昭和六十一年度末で約百九十九億円でございます。駅前広場の整備のために当初取得用地のうちの約六千六百平米、これを先ほど申しましたように総額約十六億円で譲渡いたしておりますが、それ以外のものにつきましては未回収というのが現状でございます。
  125. 片上公人

    ○片上公人君 未回収となっておる資金は五百五十四億四千六百万ということでございますが、この投下資金の建設利息というのは、先ほどの報告にありましたように五十九年度末で百二十二億一千四百万にも達しているのでございますが、それが大宮市や県南三市との協議がいまだに解決されていないということですから、建設利息は現在さらに増大しておると考えられます。六十年度決算における建設利息、六十一年度決算における建設利息はどの程度になっておるかお伺いしたいと思います。
  126. 林淳司

    説明員(林淳司君) 五十九年度までの累積の建設利息が約百二十二億でございますが、その後六十年度に約四十二億、それから六十一年度が三十五億、合計いたしまして、若干端数の関係ございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたように、六十二年四月一日現在で約百九十九億の建設利息になっておるわけでございます。
  127. 片上公人

    ○片上公人君 投下資金の財源は大蔵省の資金運用部資金からの借り入れが大半で、あとは国鉄が発行しました鉄道債券、民間の金融機関からの借り入れと聞いておりますが、用地取得の開始は四十九年度からでございますが、金利の動向を見ますと、資金運用部資金及び民間金融機関の貸し出しの平均金利はおおむね七%から八%で推移しております。最近は低金利政策で資金運用部資金の貸し出し金利も四・六%に下がっておりますが、いずれにいたしましても建設利息は雪だるま式にふえていくことは確実でございます。建設利息の返済見込みというのはどうでしょうか。
  128. 林淳司

    説明員(林淳司君) この投下資本、これは有利子でございますから当然建設利息はかさんでくるわけでございますが、これの債務につきましては、先ほど申しましたように、新幹線保有機構に資産とともに引き継いでおります。そして、新幹線保有機構は、東北、上越、東海道、山陽、この四つの既設新幹線の資産、債務を一括して保有いたしまして、そしてその債務の償還を元利均等償還ベースで三十年間かけて回収する。回収はどういう方法かと申しますと、これは東日本及び東海、西日本各旅客会社にこれを貸し付けまして、そのリース料でもっていわゆる元本と利息を三十年間で支払う、こういう仕組みになっております。したがいまして、本件につきましても新幹線保有機構の債務の中に含まれておりますので、そういう形で、これは元利はすべていわゆる新幹線リース料でもって回収し償還をされる、あるいは利子は支払われる、こういう仕組みになるわけでございます。
  129. 片上公人

    ○片上公人君 検査院指摘するような事態が発生じた最大の原因につきまして、これは国鉄にあるとお思いでしょうか。
  130. 林淳司

    説明員(林淳司君) いろいろ経緯はあったと思うんですが、現在までこの交渉が難航しております一つの理由といたしましては、各関係の四市につきまして、一括してこれを購入するということになりますと、それぞれの財政力の問題もあろうかと思います。  それから都市施設、これは道路あるいは公園といったもの、そういうものの整備に充てるという計画であるわけでございますが、そういう都市施設の整備計画というものについても、これは非常に膨大な都市でございますので、それぞれ計画が必ずしも進捗していないという面もあろうかと思います。そういういろんな事情で現在まで交渉が難航しておるということではないかというふうに理解しております。
  131. 片上公人

    ○片上公人君 検査報告にも書いてあることでございますが、国鉄が有償譲渡について応じるように再三にわたって申し入れましたけれども、大宮市ほか三市がこれになかなか応じなかったということでございますが、市側の主張というものは主にどのような内容が、もう一度お願いします。
  132. 林淳司

    説明員(林淳司君) 自治体側のお考えというのも、ただいま申し上げましたように、やはり財政事情という問題、それから都市計画事業の進捗状況といったことから、自治体としてもすべての対象用地を一括して買い取るということは非常に困難であるという事情もあるのではないかというふうに考えております。  いずれにしましても、お互いに現実に歩み寄れるような、そういう実質的な協議をできるだけ早く進めてまいりたいというふうに考えております。
  133. 片上公人

    ○片上公人君 国鉄が用地を取得する前に、用地取得費の費用負担につきまして明確な取り決めを行わなかったのが最大の原因のようでございますが、大宮市等の市側もこれまた非常に施設用地は欲しいけれども金は出したくないというようなエゴもあるようでございますけれども、しかし二十七万五千平方メートルの用地が何ら利用されることなく放置されているということ、投下資金五百五十四億四千六百万円が未回収であること、建設利息が雪だるま式にふえていくという状況は、これは見逃すわけにはいかない状況だと思います。一日も早い解決を望むわけでございますが、国鉄は早期解決に向けましてどのような対応を行うつもりなのか、大臣にお伺いいたします。
  134. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほど来御指摘を受けておりますように、本件用地につきましては、従来さまざまな経緯があったようでありますが、本年の四月一日から新幹線鉄道保有機構の所有となりまして、これに見合う債務の返済が同機構によって行われることになりました。国鉄が当事者でありました当時と事情は異なってまいりましたけれども、協議がやはりこのようにおくれておりますことは非常に残念なことでありまして、関係者において十分な話し合いがなされて適切な結論が得られますように、新幹線鉄道保有機構に対しましても引き続いての指導をしてまいりたい、そのように考えております。
  135. 片上公人

    ○片上公人君 次に、交通安全対策についてお伺いいたします。  警察庁がことし一月五日に発表しました、六十一年の一年間におきます交通事故による死者の数は九千三百十七人と、五十六年以降五年連続して九千人を超えております。また、負傷者数は七十一万人と、四十九年以来十三年ぶりに七十万人を超えました。交通事故による死者と負傷者を合わせますと、死傷者数は七十二万人というのは、鳥取県の人口約六十二万人を十万人も上回る数でございます。このことは、全国各地で交通事故によりまして一時間に一人の割で死亡し、四十五秒に一人が負傷しているということにもなります。  警察庁にお伺いいたしますが、増加し続ける最近の交通事故の特徴というのは、どういうことが挙げれるかということをお伺いしたいと思います。
  136. 田辺八州雄

    説明員田辺八州雄君) 交通事故状況でございますけれども、六十一年中の交通事故死者を分析いたしてみますと、例えば交通事故に遭った場合の状態別という分類をいたしますと、自動車に乗車中に亡くなった方、これが対前年、つまり六十年と比較いたしまして一・七%ほどふえております。また、歩いていて事故に遭われた、つまり歩行中の事故が四十一人、一・五%というふうにふえております。それに対しまして、原動機付自転車、いわゆる五十cc以下のミニバイクでございますが、これに乗っていて事故に遭った方は三十七人、三・八%の減ということになっておりまして、この自動車乗車中とかあるいは歩行中の死亡事故が増加し、原付事故が減少しているというのが一つの特徴でございます。  それから、事故に至った運転者違反別で見ますと、わき見運転などの安全運転義務違反といった範囲でとらえられるものが三千百十八件、三五・一%もふえているということ、それから最高速度違反が二千九十一件、二三・六%、それから酒酔い運転が六百四十八件、七・三%ということで、この辺のところがいわゆる死亡事故の中の違反別で見た場合の構成率の高い違反でございます。また、歩行者が事故を起こす場合には、何といいましてもいわゆる信号無視によって事故に遭うというのが百二十八件、一・四%といったようなことになっております。  これが六十一年中の事故の特徴でございますけれども、ことしに入りましても相変わらず死者が増加の傾向にあるわけでございますが、一月から五月末までで既に三千四百九十三人の死者を出しておりまして、対前年同期比でプラス三人、〇・一%の増でございます。中身といたしましては、自動車乗車中が三・六%ほど減りましたけれども、それから原付乗車中が昨年に引き続きまして二二・三%減少しております。それに対しまして、ふえているのは自動二輪車に乗車中の者、これが一二%、それから歩行中が相変わらず多くて八%の増というところが目立っているところでございます。
  137. 片上公人

    ○片上公人君 車社会と言われ出しましてから大分久しいわけでございますが、交通事故は車の生産台数の増加に比例しているようでございます。六十一年に保有されている乗用自動車の数は二千六百七十二万台と聞いておりますが、このうちオートマチック車の台数は何台になりますでしょうか。
  138. 清水達夫

    説明員(清水達夫君) お答え申し上げます。  AT車の保有台数でございますが、AT車そのものにつきましては、私どもといたしまして正確な数値は把握いたしておりませんが、当省の把握いたしておりますデータを基礎に推定いたしましたところ、六十一年三月末現在の乗用車保有台数二千五百八十万台の約三三%、台数にいたしまして八百二十万台が存在しているものと考えられます。
  139. 片上公人

    ○片上公人君 オートマチック車というのは、最近販売される乗用車の中で最も人気があり、販売台数も伸びております。日本自動車販売協会連合会の調査によりますと、オートマチック車の販売台数は五十七年九十八万台、五十八年に百十万台、五十九年に百二十四万台、六十年に百四十一万台、六十一年には百六十八万台と、ウナギ登りにふえておるわけでございますが、またオートマチック車が乗用車の総販売台数に占める割合も、五十七年が三・四八%、六十一年には五七・一%と半分を超えるようになっておると聞いております。このオートマチック車がこのように大変人気があるのは、具体的にどういう点にあるかということもちょっと伺いたいんですが。
  140. 清水達夫

    説明員(清水達夫君) 御説明申し上げます。  御案内のように、オートマチック車は、走行条件に合いました適切な走行ギアの選択を車が自動的に行うことになっております。したがいまして、手動式の変速機の自動車のように煩雑なクラッチ操作が不要となっております。特に、このため発進に当たってアクセルペダルをただ踏み込むだけでスムーズにスタートする、また停車する場合にもブレーキペダルを簡単に踏み込むと、こういうことで、混雑した市街地などにおきます繰り返しの発進、停止や坂道発進など、こういったときの操作が非常に手動変速機の車に比べまして楽でございます。こういった操作の運転しやすさと簡易性というのが、オートマチック車が人気を上げている理由かと思われます。
  141. 片上公人

    ○片上公人君 オートマチック車は運転操作が簡単という点を売り物にして急速に普及しているということは、これは事実だと思います。しかしながら、運転する者が勘違いしてはいけないと思うのは、運転操作が非常に簡単だということがすぐに安全性に結びつかないということが非常に大事なんではないかと思います。これまでのオートマチック車による事故を見ると、ブレーキとアクセルの踏み違いというのがこのオートマチック車特有の事故原因のようでございます。  警察庁に伺いますが、自動車教習所で生徒が乗る車はオートマチック車でございましょうか。
  142. 村井温

    説明員(村井温君) お答えいたします。  今、全国の指定自動車教習所において使用しております車は基本的にマニュアル車、すなわちギアチェンジのついた車でございます。
  143. 片上公人

    ○片上公人君 教習所では、オートマチック車に関する教習は、基準教習時間二十七時間のうち二時間であるというふうに聞いておりますが、一方、六十一年の乗用車の総販売台数は二百九十四万台のうちにオートマチック車が百六十八万台と、五七・一%、半分以上を占めておるわけでございます。でありますから、自動車教習所ではマニュアル車で教習したものの、実際に乗る車はオートマチック車という人が随分ふえていると思います。オートマチック車特有の事故を未然に防止するため、オートマチック車による教習時間を二時間よりかもっとふやすように、基準教習時間二十七時間のうちにマニュアル車とのこの時間を逆転するぐらいにしてはどうかと、そういう対策も重要であると思いますが、どうでございましょうか。
  144. 村井温

    説明員(村井温君) お答えいたします。  今先生のお話しのように、本年四月一日から指定自動車教習所における普通自動車の教習の効率化を図るために、今までは基本的にマニュアル車でやってきておりましたけれども、その間に二時限ほどオートマチック車の教習を入れておるわけでございます。これは技能教習の最初の段階で、一段階で一時限、それから路上教習の段階で一時限と、これ二時限入れているわけでございますが、今後この時間をふやすかどうかということにつきましては、今後の事故実態の分析と、それから改正カリキュラム、これの教習の成果と、これを見まして、その過程で検討してまいりたいと思っておるわけでございます。  また、このほかにAT車をどうしても練習したいとおっしゃる方に対しましては、正規の教習時限以外に、任意教習としましてオートマチック車が練習できるように現在なっておるわけでございます。
  145. 片上公人

    ○片上公人君 次に、西ドイツのアウディ社のAT車の件ですが、アメリカ国内で四百件を超す異常な急発進事故を起こしまして、過去八年間に二十五万台が回収や修理を始めているということを聞いております。  運輸省はこうした事態を重視して、回収や修理を命じた全米交通安全局に照会する一方、アウディ社総代理店の外車輸入販売会社ヤナセに対しましても報告を求めるとともに、同種事故の独自調査を始めたと聞いておりますが、アウディ社のオートマチック車の事故原因につきまして、現在までのところどの程度判明しておるか、お伺いいたします。
  146. 清水達夫

    説明員(清水達夫君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のアウディ車につきまして、米国内で回収措置その他講ぜられたということが報道されたわけでございますが、我が国におきましては、当省におきまして、五十八年から現在までアウディ車におきます急発進の申し立てが七件報告されております。これらにつきまして、アウディ車の輸入代理店でございますディーラーから事故状況につきまして個々にこれまで詳細な報告を求め、事情聴取をいたしておるところでございますが、現在までのところ、車両構造上の欠陥即急発進事故に至ったということが確認がされてございません。  また一方、米国におけるアウディ社のリコール状況につきまして、本年一月十四日に実施されたわけでございますが、これらの事故とそのリコールに至った内容との因果関係の詳細につきまして、現在米国運輸省の高速交通安全局並びにアウディ本社に照会をする一方、さらにアウディ車を輸入いたしておりますオーストラリアとイギリスにつきましても、米国におきますアウディ車と同種事故が発生しているかどうか、これらの問い合わせをいたしておるところでございます。それで、現在まで回答がございましたのは、豪州、オーストラリアとイギリスにおきましては、米国において見られておるような事故がないため、リコール措置はとっていないと、こういうことでございます。  なお、米国の運輸省高速交通安全局からの回答はきょう現在まだ到着いたしてございません。そういうことで、現在鋭意調査を続行しておると、こういうことでございます。
  147. 片上公人

    ○片上公人君 アメリカではアウディ社のアウディ五〇〇〇による事故が大変多発するために、被害者団体が結成されて訴訟が起きているようでございます。特にアウディ五〇〇〇で最初の死亡事故が起きましたイリノイ州では、検事総長が全米に原因追及に立ち上がろうと呼びかけておるし、社会問題になっておりますが、全米交通安全局が修理を求めているのは、アイドルスタビライザーと呼ばれるエンジンの回転補正装置とシフトロック装置の二種類のようでございますが、この点については間違いございませんでしょうか。
  148. 清水達夫

    説明員(清水達夫君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の米国におきますリコール、アイドルスタビライザー、これにつきましては、御指摘のございましたようにアイドル時の回転数を一定に保つ装置でございますが、これがふぐあいであったということで米国においてリコールをいたしました。さらに後段のブレーキペダルを踏まなければギアを前進または後進に入れることができないシフトロック装置、これは車の安全性をより高めるということで、追加措置として米国で前段のアイドルスタビライザーと同時期にあわせてリコール措置をいたしております。
  149. 片上公人

    ○片上公人君 そうだといたしますと、このアウディ五〇〇〇というのは、構造的には欠陥車ということになりますが、このアイドルスタビライザーと呼ばれるエンジンの回転補正装置に欠陥があればどのような事故につながって、またシフトロックに欠陥があればどのような事故につながるかということを、ちょっとお伺いしたいんですが。
  150. 清水達夫

    説明員(清水達夫君) お答え申し上げます。  アイドルスタビライザーは、簡単に言いますとエンジンの回転数を一定の値に安定させる装置でございまして、車両振動などを抑制するものでございまして、車両をより良好な状態に保持するということで付加的に備えておるものでございます。またシフトロック装置はブレーキペダルを踏まないとギアシフトができないような、誤操作を防止する追加措置でございます。こういったものに欠陥が生じましたとしても、直ちに急発進その他に直結するものではないと考えております。
  151. 片上公人

    ○片上公人君 運輸省調査によりますと、日本に輸入されたアウディ社のオートマチック車で、急発進による暴走で死亡等は十二件の事故が発生していると聞いておりますが、欠陥車だとすれば、こうした車が走っている限り、車の運転者はもちろんでございますが、歩行者なども安心して外に出ることができない。こういう中にありまして、運輸省はアウディ社あるいは輸入総代理店ヤナセにどのような行政指導を行うつもりかお伺いいたします。
  152. 清水達夫

    説明員(清水達夫君) お答え申し上げます。  私どもといたしましては、このたびのAT車の急発進問題につきまして、特にアウディ車を輸入いたしておりますヤナセにつきましては、運転者の申し立てによります急発進の再現試験などを実施いたしまして、関係する部位につきまして車両構造上の不備がないかなどさらに詳細な原因究明を行うよう、さらに車両の構造装置にかかわるふぐあいが確認された場合は所要の措置を講ずるよう、今後指導してまいりたいと考えております。
  153. 片上公人

    ○片上公人君 先日の報道によりますと、日産自動車とトヨタ自動車の輸出しましたAT車も、死亡を含む二百件近い急発進事故を起こして、全米高速交通安全局は今調査しておると聞いておりますが、フェアレディーZの事故原因につきましては運輸省はどのように見ておるのか、またこの二社のAT車については調査をしていらっしゃるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
  154. 清水達夫

    説明員(清水達夫君) 先般新聞で報道されましたフェアレディーZその他の日本国産車の米国内の問題でございますが、これにつきましては現在米国運輸省に照会をいたしておりますから、その辺の詳細な報告を待って事情聴取をいたしまして原因調査を進めてまいりたい、かように考えております。
  155. 片上公人

    ○片上公人君 オートマチック車事故防止で、一つの案といたしまして、事故は発進時が大変多いと聞いておりますが、これを防ぐためには、レバーチェンジを前進、Dですかね、あるいはR、後退に入れた瞬間にチャイムが鳴るような仕組みにしてはどうかという意見がございます。これも一つの方法だと思います。  なお、この前進と後退とではチャイムの音色を変えて区別できるようにいたしまして、これで発進時の事故がかなり防げるのではないか、こう思います。チャイムは発進時のわずか五秒間程度で足りるようにすれば結構で、技術的には非常に簡単なはずだと思います。現在大型、小型トラックなどは後退の際にはチャイムが鳴る仕組みになっておりますけれども、それをこのAT車にも応用すればどうかというような案もありますが、どんなものでございましょう。
  156. 清水達夫

    説明員(清水達夫君) AT車の事故防止につきましては、まず基本的には正しい運転操作というのがあろうかと思いますが、やはり車が非常に大衆化いたしておりますから、車両構造面につきましてもいろいろ検討をする必要があろうかと考えております。そういった視点に立ちまして、ただいま先生の具体的に御指摘いただいた点につきましても十分参考にさせていただきたいと思います。
  157. 片上公人

    ○片上公人君 次に、四全総の国土庁試案では、一日交通圏の確立といたしましてコミューター航空の活用が言われておりますけれども運輸省として今後の取り組みについてお伺いいたしたいと思います。
  158. 山田隆英

    説明員(山田隆英君) 四全総の国土庁試案におきましては、国内幹線交通体系の長期構想といたしまして、「「全国一日交通圏」の構築のため、全国の主要都市間の移動に要する時間をおおむね三時間以内、」それから「地方都市から複数の高速交通機関へのアクセス時間をおおむね一時間以内にすることを目指す。」というふうにされております。このため航空につきましては、大都市圏におきます主要空港、それから地方空港及び離島空港を利用した航空路線によりまして、いわゆる基本的な航空網を形成することといたしました。さらに、地方都市等を中心とするおよそ五十から七十の地区につきまして、成立可能性を検討の上、コミューター航空の導入を進めることによりましてこれを補完するということにされておるわけでございます。  そこで、運輸省につきましては、この小型航空機による旅客輸送、これをいわゆるコミューター航空と言っておりますが、これは従来は離島を中心とした輸送に限られておったわけでございますが、本年の四月二十九日に大分−松山−広島という地点を結ぶ路線が開設されるなど、各地でこのコミューター輸送に対する期待感が高まってきております。しかしながら、コミューター航空につきましては採算性に特に問題があるということでございまして、この新しく始めました大分−松山−広島間の輸送の実績を見てみますと、まだ始めましてから一月半ほどでございますけれども、当初考えておりました採算点と申しますのが、利用率にして六〇%ぐらいを考えておったようでございますけれども、実際の利用率は三路線で平均二八・二%と三〇%弱、当初の予想から見ると半分ぐらいになっておるわけでございまして、これから見ても非常にその採算に問題があるということがおわかりいただけるかと思います。  これまでの離島航空の場合には、地域に果たす重要性にもかんがみまして、従来から関係の地方自治体等がその経営を支援してきたわけでございます。したがいまして、今後このコミューター航空の実現を図っていくためには、やはりそれぞれの地域がそれぞれの特性に応じた航空輸送につきましてみずから工夫し、検討していくということが不可欠であろうかと考えておりますけれども運輸省といたしましても、航空の新たな可能性を開くものとして積極的にこれに対応していきたいというふうに考えておりましてコミューター航空に使用できます小型飛行機の範囲を拡大するなど、コミューター輸送についての実施承認基準というものの緩和を図りますとともに、採算性の問題についての所要の調査をこれまで進めてきたところでございます。  さらに本年の四月二十七日に航空審議会に地域航空輸送問題小委員会というものが設けられまして、この小委員会でいろいろ御審議をいただいておりますが、この小委員会での御審議を踏まえ、今後とも空港整備のあり方を含めまして、小型航空機による地域航空輸送のあり方について十分調査検討した上でその推進方策を取りまとめていきたい、かように考えております。
  159. 片上公人

    ○片上公人君 非常にコミューター航空というのは重要な交通機関として取り上げられておりますが、今お話がございましたように、採算面が大変心配であるという点と、それで県等が助成を随分しておるようでございますけれども、このコミューター航空を推進する場合に、特にこれを地方公共団体の支援を受けて行う場合ですが、注意しなければならないのは、だれのためのコミューターかという点でございまして、企業の経済活動だけが中心で、地域住民の足の利便が置き去りにされるようなコミューター航空であってはならないと思います。コミューター航空の具体化に当たりまして、大臣の基本姿勢をお伺いしたいと思います。
  160. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、航空局長の方から全体状況についてお話を申し上げましたが、私は、実はこの大分−広島−松山の三角地点を結ぶ小型機による空路がスタートをいたしました時点以来、大変これを注目して見てまいりました。  私どもは将来を考えますときに、いわゆるコミューター空港というものの整備、普及というものは当然必要であると考えておりますけれども、同時に、今往々にしてヘリコプターによる空路とが分離されて論議されておりますが、固定機による輸送ばかりではなく、ヘリポートの整備等とあわせて物事を考えていかなければならないのではなかろうかということが一つ。同時に、地域における実用性、採算性というものについては今まで以上に掘り上げて検討しておかなければいけないのではなかろうかという点が一つ。その上で、やはり地域住民のために必要であるということであれば、積極的にその整備を進めていく必要もあろうか、そうしたことを考えてまいりました。  不幸にして現在この大分−松山−広島の空路は、局長からお答えを申し上げましたように、非常に数字的に低いところにとどまっております。果たしてこれがその宣伝不足とか何らかで、近い将来に回復する可能性を持つものなのかどうか、こうした点につきましても非常に私は今これを注目して見ておりまして、この中から将来に対するいわば我々の留意すべき点が改めて掘り起こされてくることを期待し、また半ば恐れておるというのが実態であります。
  161. 片上公人

    ○片上公人君 私の地元の兵庫県におきましても、このコミューター航空の具体化が以前から言われておるわけでございまして、新聞報道によりますと、兵庫県の豊岡の但馬空港の事業化について、県の方では国に予算要求をするというように報道されておりましたが、空港整備計画への組み入れなどを含めまして対応方針、開業予定あるいは調査内容等についてお伺いしたいと思います。
  162. 山田隆英

    説明員(山田隆英君) 兵庫県におきましては、但馬空港についてコミューター空港の計画がございますことは先生のおっしゃるとおりでございます。  これは県が今、計画しておるわけでございまして、県の計画によりますと、まず位置が兵庫県の豊岡市の南西約九キロメートルのところでございまして、千メートルの滑走路一本の計画でございます。総事業費といたしましては、用地買収費を含めて約九十五億円を予定しております。  兵庫県は、これまでこの但馬空港につきましては五十九年度から気象調査を実施いたしまして、これが六十二年九月に終了する予定でございます。そのほか空港計画であるとか、運航計画及び環境影響調査などを六十年度から六十一年度にかけて実施しておりまして、この但馬空港の基本調査としてはほぼ完了しているというふうに聞いております。そして兵庫県といたしましては、六十三年度から六十八年度にかけて、今申し上げましたような九十五億円の事業費でもって但馬空港の整備を行いたいと考えているというふうに承知しております。
  163. 片上公人

    ○片上公人君 この但馬地方というのは、県庁の所在地である神戸へ出るのに三時間、四時間、五時間とかかる場合がありまして、このコミューター航空計画というのは、大変この地方の発展にとりまして大きな期待が寄せられておりますが、兵庫県では県内航空ネットワークを図るために、神戸沖空港、播磨空港の整備ということについても大変強い期待を持っておるわけでございます。なかなか難しい点もあるというようには聞いておりますが、この点につきましてはどのような検討をされておるかお伺いしたいと思います。
  164. 山田隆英

    説明員(山田隆英君) まず神戸沖空港についての私ども考え方でございますけれども、神戸沖空港構想につきましては、兵庫県及び神戸市がいろいろな計画を立てているというふうに承知しておりまして、現在気象条件であるとか海象条件あるいは港湾機能に与える影響、環境保全、それから空域であるとか飛行経路の計画等について地元において調査検討を行っていく必要があるわけでございまして、運輸省としてもこの調査に対して今後とも協力していきたいというふうに考えておる次第でございます。  それから兵庫県といたしましては、先ほどの但馬空港、それから今、先生からお話のございました播磨空港でございますか、これらについてコミューター空港としての構想があるということも承知しておるわけでございまして、これらのコミューター輸送のための空港の整備につきましては、先ほども申し上げましたように、現在航空審議会の地域航空輸送問題小委員会というものの中で審議を行っておりますので、それらの審議をも踏まえまして私どもとしては今後の方策を考えていきたい、かように考えております。
  165. 片上公人

    ○片上公人君 次に、私鉄運賃の値上げ問題についてお伺いいたしたいと思います。  先般、関西の大手私鉄、近鉄、南海、京阪、阪急、阪神の五社の関東の京成の計六社の運賃値上げが、去る五月十六日から実施されました。私鉄運賃の値上げは、これまで関東、東海、関西及び九州の大手十四社が足並みをそろえて改定していたのでございますが、それが今回は関西の大手五社と関東一社の計六社のみが値上げとなった理由はどこにあるのかということをお伺いしたいと思います。
  166. 熊代健

    説明員熊代健君) 私鉄の運賃は、先生御指摘のように、五十九年の一月にいわゆる大手十四社のうちの名鉄、西鉄を除いた十二社が一斉に運賃改定をして三年経過したわけでございますが、六十一年度のそれぞれの鉄道事業としての実績等を見たところ、端的に申し上げて、都市圏構造の差異に基づくものが大きな原因じゃないかと思われますが、関東と関西、東京圏と大阪圏でかなりお客さんの伸びに差が出てまいりまして、端的に言いますと、東京地区は一・五%から三%の伸びがあった、にもかかわらず、大阪圏では横ばい程度という状況でございました。  基本的にそういう輸送需要の伸びの差異が原因となりまして、関東地区と関西地区、関東地区でも京成はちょっと別な要因がございましたが、そういうことでこのたび関西の五社と、関東では京成一社が運賃改定を申請してきた。それに対して、御指摘のように、厳正な審査をした結果、運賃改定を認可、実施させたということでございます。
  167. 片上公人

    ○片上公人君 今回の関西私鉄大手五社と関東の京成一社の運賃値上げが、五十九年一月以来の三年ぶりとは言いましても、実際は何一つ値上げをしなければならないというはっきりした理由はないように思われます。  六十一年四月一日、これは旧国鉄がまだ民営化する前でございますが、私鉄運賃と旧国鉄運賃の比較をしますと、例えば近鉄でございますが、近鉄難波から近鉄奈良まで三十二・八キロが普通運賃四百十円、これに対しまして旧国鉄が天王寺から奈良の三十七・五キロが普通運賃四百四十円と、このように両者の運賃格差が余りこれはありませんでした。ところが、旧国鉄は、民営化後運賃を値上げするということを打ち出していたために、私鉄側が旧国鉄の運賃値上げに乗りおくれるなという形で便乗値上げをしてきたのではないかと、このような疑問がありますが、運輸省は今回の私鉄運賃値上げについてどのような見解を持っておりますでしょうか。
  168. 熊代健

    説明員熊代健君) 先生がおっしゃったような便乗的なことというふうには我々理解しておりません。  私鉄の運賃につきましては、最近の物価の安定化傾向、あるいはウエートは小さいんですけれども動力費の値下げあるいは金利の低下ということで、可能な限り現行水準を据え置くという方針でやってまいったわけでございますが、今回の改定六社につきましては、先ほどちょっと触れましたように、輸送需要が横ばいあるいは部分的には減少している、それから、私鉄の設備投資につきまして、サービス改善あるいは安全対策等々含めまして計画的な設備投資を指導してまいっておりますが、そういうような設備投資による資本費の増加、それから三回にわたりますそれぞれ春闘を経た人件費の増高といったことから、このままの推移でいきますと、六十二年度において大幅な収入不足を生じて、鉄軌道部門における健全な経営が困難になるということが判断されましたので、各社の経営状況に応じました改定率で、それぞれ査定を行った上で認可をしたということでございまして、決して昨年の九月に国鉄が改定したからというような趣旨ではございません。
  169. 片上公人

    ○片上公人君 しかし、現在私鉄はもう値上げをしなければならない環境に本当にあるのかどうかというのは、大変これは疑問でございまして、疑問の第一としては、物価が非常に超安定状態にあるのではないかということです。つまり、消費者物価の上昇率を見ますと、五十九年度二・九、六十年度二・〇、六十一年度は〇・六と、超安定状態にあって、しかも上昇どころか低下傾向にあると。こうした中において運輸審議会は、近鉄の一二・五%から京成の七・三%までの値上げの答申を行ったと。運賃値上げに対しましてこの辺の物価安定についてのどのような査定を行ったのかということをお伺いしたいと思います。
  170. 熊代健

    説明員熊代健君) 先生おっしゃいましたように、物価そのものは安定基調にあるということは我々も十分承知をしておりますので、まず、収入、支出等につきまして、それぞれの費目について厳密に個別的な査定を行いました。と同時に、そのほかに一定の方式による増収努力あるいは生産性向上努力あるいは営業費用合理化努力といったものを求めて、それの包括査定で率を算定し、運輸審議会等にも諮ったわけでございます。  先生おっしゃいますように、鉄道のコストの中に占めるそれぞれの割合でございますが、人件費が私鉄の場合四〇%強でございます。この人件費は、物価は安定いたしておりますけれども、年々三%あるいは五%といったようなベースアップが行われておりますし、それから、先ほどちょっと触れました資本投資と償却費と投下資本に対する利子負担といったようなものがかなりのウエートを占めております。そういうものをそれぞれ個別に厳密に査定し、能率的な経営のもとにおける適正な原価という観点から判断をいたしまして、今、先生御指摘のような形の改定を認めざるを得なかったと、こういうことでございます。
  171. 片上公人

    ○片上公人君 さらに、私鉄は多くの電力を消費しまして、その料金、経費、運賃に大きな影響を電力は与えるわけでございますが、先ほどお話もございましたけれども、円高差益による電力料金の還元というのは、六十一年六月から第一次還元、六十二年一月には第二次還元が行われまして、    〔委員長退席、理事梶原敬義君着席〕 この電力料金の水準が六十二年度中も続くといたしますと、動力費は申請した六社の合計で、六十一年度で二十八億円、六十二年度で四十三億円軽減ができるという見通しになるわけでございますが、これを私鉄利用者に本来還元すべきであるにもかかわらず、逆に値上げをしたというのはどうも根拠がよくわからない、こういうのが一つございます。  さらに、私鉄運賃の値上げを認めるべきではなかった理由といたしまして、今日の低金利が挙げられます。内需拡大策の一つといたしまして、政府は低金利政策を行っております。企業向け長期貸出金利の指標である長期プライムレートは、六十一年一月には七・二%、六十一年二月には六・九、ずっと続きまして、六十二年四月には五・二%、六十二年五月二十八日から四・九と、過去最低の水準になっておるわけでございます。こうした低金利は、私鉄の資金調達にとって極めて有利な条件と言えるし、運賃値上げどころか値下げ要因ではないかと思うわけでございます。運賃値上げを審議する際、現在のこの低金利も、また先ほどお話があった差益還元も含めましてどのようにこれを査定したのか、もう一度お伺いしたいと思います。
  172. 熊代健

    説明員熊代健君) たびたび恐縮でございますが、六社の申請に基づきまして、六十二年度における収入及び支出がバランスするようにということで個別原価につきまして厳密な査定を行った。その中に、先生御指摘の動力費につきましては、還元前の数字では六社合計で動力費は三百二十七億かかるはずでございますが、それがまた六十三年一月以降の動力費の値段は決まっておりませんけれども、ことしの六十二年度の十二月までの水準が続くという前提で査定いたしまして、これを二百八十四億円のコストというふうに査定した。  それから、金利につきましても、ただ最近借り入れるものだけではございませんで、既往の債務についての金利負担というものが当然ございます。ですが、そういう最近の金利の低下傾向を勘案いたしまして、直近の三カ年の支払い金利実績ということで、この支払い利息あるいは配当等の所要額につきましては、電気やガス事業と同様にレートベース方式に基づく事業報酬率というものを根っこに計算しておるわけでございますが、従前はこれを八%ということでやっておりました。それから申請そのものも七・二ないし七・二五というような申請で出てきておったわけですけれども、さっき申し上げた直近三年の金利動向ということを反映させましてこれを七・〇に査定する、あるいは配当に伴う法人税の支払い所要額につきまして、一〇%配当ということじゃなくて八%配当と査定するとか、事細かく支出面を査定した上で今申し上げた所要増収率を算定したと、こういうことでございます。
  173. 片上公人

    ○片上公人君 それでは今回運賃値上げを見送りました関東の京王、小田急、西武、東武などの私鉄大手が将来運賃値上げを申請してきた場合、運輸省としてはどのような措置をとる考えか。経営内容に、申請理由の不当性によっては例えば運賃値下げの査定もある、こういうことでよろしいですかね。
  174. 熊代健

    説明員熊代健君) 関東の六社につきましては、現在のところ我々として運賃改定の申請の動きは承知しておりません。ただ、将来の問題としまして、申請が仮に出てまいりました場合は、先ほど来申し上げたような考え方で、経営内容について慎重に審査すると同時に、コスト等の計算等も厳密にやりまして、運輸審議会の議も経て処理するということになろうと思います。
  175. 片上公人

    ○片上公人君 今回の私鉄運賃値上げの中で一番値上げ率が高かったのは近鉄なんでございますが、近鉄の申請した値上げ率は一五・四%、運輸審議会の答申は一二・五%となっております。しかし、近鉄の経営損益を見ますと、五十九年度が八十七億円、六十年度が百十九億円の利益を出しておりまして、値上げする必要があったかどうか、本当は疑わしいんではないかと。ましてや、五十九年度は八億円の利益だったのに、六十年度に十五億円の赤字を出した京成の値上げ率が七・三%、それよりも黒字を出した近鉄の値上げ率が高い。近鉄の運賃値上げ率が高かった理由はこれは何かということをお伺いしたいと思います。
  176. 熊代健

    説明員熊代健君) 私鉄の運賃につきましては、よく議論になるんでございますけれども、関連事業部門を含めての検討云々ということがございます。先生おっしゃった近鉄の経常利益云々というのは関連事業等含めた総体の姿だと思います。京成についてもそうだと思います。  我々としましては、鉄道事業本来のものをきちっと再生産させなければいけないということから、投資等々につきましてきちっと振り分けをいたしまして、鉄道事業部門としての採算をきちっと把握し、それが適正な原価と適正な利潤を持てるような形で運賃を設定するということでやっているわけでございます。  近鉄が最終的に一番高くなりました理由は、一番大きな原因としましては東大阪線、これは鉄建公団のいわゆるP線工事でやったわけですが、これが昨年の十月に開業いたしました。総額約九百億円に上る投資でございます。これの資本費負担、これを全額考慮したわけじゃございませんが、これの資本費負担が増大したことが一番大きな原因でございますが、そのほかに御承知かと思いますけれども、近鉄という会社は、いわゆる他の大手私鉄と同様の都市圏鉄道、難波線、大阪線、名古屋線等のほかに、伊賀線ですとか北勢線といったようなローカル線をかなり抱えております。これらの線の経営悪化、収支の悪化も改定率を引き上げさせた一つの理由になっております。  それから、京成が一番低く出たのは、先ほど申し上げた鉄道事業として見たものでございますので、他の関連事業による部分についての配慮はない。京成も関東地区にあるものですから、需要はそれなりの伸びがあった、こういうことでございます。
  177. 片上公人

    ○片上公人君 近鉄の場合、お話のように、ローカル線を数多く抱えておるとともに、東大阪線の建設費の負担が一番大きかったと聞いておりますが、このような私鉄の建設費の軽減に対する、これから各私鉄も起こると思いますが、国のいろいろな対策が、策がちょっとなかったんではないか。それをしておれば、住民に運賃の値上げという形で負担さすこともなくできたという問題も多分あったんではないか、こう思いますが、今後こういうことはどんどん起こると思いますので、運輸省の今後こういう建設費軽減に対する見解をお伺いしたいと思います。
  178. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員の御指摘でありますが、これもし理屈をこねますならば、鉄道事業とは言いながら民間企業でありますし、利用者が特定される鉄道事業というものの本来を考えるなら、利用者がその費用を負担するというのが原則だということになろうかと思います。しかし、現実にはそういうことはできませんし、鉄道事業というものの公益性、あるいは投資規模が非常に大きいというようなことから、現時点におきましてもさまざまな税制上、金融上の助成措置を講じております。  今後とも鉄道整備の重要性というものを私どもは認識をいたしておりますし、利用者負担の原則というものに立脚はしながら、所要の助成措置が講ぜられるような努力はしてまいりたい、そのように考えております。
  179. 及川順郎

    ○及川順郎君 大臣にお伺いしたいわけですが、非常に国鉄民営化の大事な時期、しかも大変な時期に主管大臣として大変な御苦労をされたと思いまして、それにつきまして私はその御苦労を多とするところでありますけれども組織機構としてきちっと会社の形態ができ上がったのかどうか。将来展望を考えますと、経営責任と指導監督責任に対してやはりまだまだ心配、これから試行錯誤しなければならぬ点が残っておるんじゃないか、こういう感じを強くするわけでございます。  発足しまして三カ月目に入っておるわけでございますが、    〔理事梶原敬義君退席、委員長着席〕 そうした推移を見ながら、この点に対して大臣としてどのような所見を持っていらっしゃるか、その辺からお伺いしたいと思います。
  180. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) JR各社が発足をいたしましてから既に二カ月余りの日々を経過をいたしました。その間非常に多くの国民の温かい声援というものに支えられながら、それぞれの会社がそれなりに順調に毎日を過ごしておりますことを、まず私どもとしては非常に喜んでおりますし、こうした国民の期待にこたえて、各社がこれから先も全力を尽くしてくれるということを願わずにはおられません。  そして、そうした中で私どもはまず第一に、やはりそれぞれの会社にできるだけ自主的な努力をしてもらうためにも、過剰な介入というものは避けなければならぬと思います。と同時に、やはりこれだけ多くの課題を乗り越えて取り組んでまいりました国鉄改革というものの将来を考えますときに、新会社の適切な会社経営というものを確保いたしますためには、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株会社法に基づきまして必要な指導監督というものはいたしていかなければなりません。また、何よりも基本的に我々が欠くことができないのが安全の確保、利用者の利便の提供と向上という鉄道事業の持つ本来の目的でありますが、これらにつきましても鉄道事業法に基づいた適切な指導監督というものは実施をしていかなければならない。しかし、やはりそれぞれの会社ができるだけ伸び伸びと自主的な努力を積み重ねてくれるようなそうした観点からの指導監督というものをしてまいりたい、私はそう考えております。
  181. 及川順郎

    ○及川順郎君 基本的に私も異論はございませんけれども、旧国鉄、新しいJRの公的関与の比較を関係の書物で比較してみますと、大事な部分というのは、やはりかなりの線で国が責任をとらなければならない部分というものがあるように感ずるわけですけれども、今大臣がおっしゃいました過剰介入すべきではないという考え方で、そういう観点の中でこの分割民営化一つの目的でもありました公的な関与や規制を大幅に緩和するという点、この点についてはどこに主に力点を置いてこの緩和措置を行ったか、この点を御説明いただきたいと思います。
  182. 井山嗣夫

    説明員(井山嗣夫君) 御説明申し上げます。  会社法の中に特殊法人関係にいろいろな規制がございますけれども、この会社の特色といたしましては、例えば人事でございますけれども、通常の公社公団あるいは特殊会社の中には役員全員を任命あるいは認可にかからしめているという例がございます。この会社の場合は、私どもの方は代表取締役だけ選任の認可をさせていただく、あとは会社の株主総会で自由にお選びいただく、こういうことでございます。  それから、大きな二つ目といたしましては、会社の事業計画というのがございますが、通常の公社公団でございますと、そのほかに年間の収支予算でございますとか資金計画につきまして、非常に細かく認可制をとっておりますが、この会社の場合は基本的な事業計画のみ認可にいたしまして、予算とか資金計画につきましては会社が自由に決めていただいて、一応私どもにお届けはいただきますが、そういうことで基本的なところその二つだと思いますけれども、比較的自由に弾力的にやっていただく、こういうことで規制をしておるわけでございます。
  183. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、具体的な運営面についてはかなり会社の自主性というものを尊重するというぐあいに理解してよろしゅうございますか。
  184. 井山嗣夫

    説明員(井山嗣夫君) 先生おっしゃる運営面と申しますのは、多分鉄道事業の運営に関してかと存じますけれども、鉄道事業の運営に関しましては、従来国鉄と民鉄が、いわゆる私鉄でございますが、ございまして、私鉄の方は地方鉄道法という法律でかなり細かく規制をしておりました。国鉄につきましては、もと国であるということもありまして、比較的自由といいましょうか、主なところを押さえて、あとは届け出などでチェックをするという程度にとどめておりました。  そこで、今回この新会社の鉄道事業もいわゆる従来の私鉄の鉄道事業も同じ鉄道事業でございますので、たまたま民間会社がするということもございましたので、鉄道事業法におきましては両者の区別をしておりません。したがいまして、JRに関しましては従来の国鉄時代にあった規制、これをなるべく上回らないということで、逆に言いますと民鉄の方が比較的自由度が高くなったといいましょうか、こういうことで規制を考えたわけでございます。  主なものを申し上げますと、まず事業を開始いたしますときの免許、それから事業をやりますときの具体的な工事計画でございます。これは工事施工の認可と私ども言っておりますが、設計図などを認可するわけでございます。それから車両の安全性を確認いたしますための車両の確認制度、それから運賃料金、これが大事なものでございますが、この運賃料金の認可、それから運輸協定、いろんな各社間に協定がございますが、これにつきます届け出、それからダイヤでございます、運行計画と申しておりますが、これの届け出、こういうところが主な規制でございます。これにつきましては従来国鉄に対しまして国が規制していたものとほぼ同じということでございまして、特に今回新会社に対しまして規制を強化したということはございません。
  185. 及川順郎

    ○及川順郎君 鉄道事業の運営面についての今の御答弁、あわせましてもう一つは財政面での運営という点から考えまして、国鉄時代、つまり公共性と経済性という中において公共性に重点が置かれる、こういう運営の中で国鉄が累積赤字をずっと大きくしていった、こういう形態があるわけですね。今回のJRの運営の中で特に財政措置の面においては、過去の反省を踏まえてそうした繰り返しのないようにという点についてはどのような配慮、どのような考え方で臨まれているか、この辺を伺いたいと思います。
  186. 林淳司

    説明員(林淳司君) 新会社に対する財政面での国の関与がどうかということでございますけれども、これにつきまして、各新会社に対しましては会社法の関係でいろいろな規制その他の規定がございますけれども、財政面につきましては、これは事業計画の認可、従来は予算とかあるいは資金計画とか、こういうものにつきまして、特に予算につきましては国会で決定をするということでございましたけれども、今回はもう予算については全くの自由でございます。通常、特殊会社なんかにつきましては、予算についてだけと申しますか、予算については主管大臣の認可という制度がございますけれども、今回のJR各社につきましては、予算についてもこれは事業計画の添付資料というのにとどめまして、認可対象は単に事業計画だけと、こういうことでございまして、予算あるいは資金計画については、これはいわゆる規制対象から外しておるということであります。  あとは、財政面で申しますと、社債の問題、社債募集とか長期借入金の問題、これについては認可制でございまして、これは他の特殊会社等につきましても同様でございますけれども、その程度の財政上の関与をいたすわけでございますが、基本的には、財政的には各会社は従来の国鉄と違って自主的な判断で会社運営をしていくということが可能なような、そういう仕組みにしてございます。
  187. 及川順郎

    ○及川順郎君 通常運用の状況はそれで理解できるわけですけれども、問題は新線建設等に膨大な費用がかかってくる。これは先ほど午前中の質疑の中で整備新幹線の問題が出ましたけれども、一般鉄道の新線建設、これなども物すごくやはり膨大な費用がかかるわけで、既に新しい会社が発足と同時に社長に就任した方々の御発言の中にも、これはやはり十分な国の助成がなければ、会社独自では新線建設の必要性は感じても、具体的にこれを実行するというのは難しいと、こういうようなことを言っているわけですけれども、この新線建設等に絡む国の助成制度に対してはどのような御見解をお持ちですか。
  188. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員が御引用になりましたように、本日の委員会におきまして、新幹線につきましてはたびたび私ども考え方を申し述べてまいりました。その新幹線を除きましたその他の施設の近代化でありますとか、新線建設などの施設整備につきましては、私はこれは、それぞれJR各社というものが単独の会社として発足をいたしました以上、基本的には個々のプロジェクトごとの投資効果、採算性などを見きわめた上で、新会社それぞれの経営判断の中によって行われるべきものであると考えております。そして、その場合における財政措置と申しましょうか、税制上の措置でありますとかその他の措置と申しますものは、従来からの民間鉄道に対して行ってまいりましたものと同列の対応ということになろうかと思います。
  189. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、整備新幹線の問題はこれは別に置いてという、こういうお考えのようですが、果たして新しくできた会社の自力、自主性において、そうしますと四全総等にも盛り込まれております全国の鉄道網の整備というものが、これが具体的に推進できるだろうかという、こういう心配はどうしても抜け切れないわけですけれども、こうした四全総との絡みの中で、新線建設等の整備の総体的な事業計画が進むというぐあいに認識をされていると、このように理解してよろしゅうございますか。
  190. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 国土庁の試案をもとに、現在四全総は国土審議会において検討をされておる最中でありますけれども、この中に、例えばJRの責任においてどうこうしろといったような記述がないことは委員が既に御承知のとおりでございまして、私どもとすれば、この四全総が確定した段階で適切に対応いたしますという以上のことを現在申し上げられる状況にはございません。  ただその中で、やはり避けて通れませんのは、その整備新幹線の問題がどうしてもそこで絡んでくるわけでありますが、これは先ほど来たびたび申し上げておりますように、私ども運輸省といたしまして鉄道事業というものを将来ともに考える場合には、必ず高速鉄道というものは必要になるし、また必要であると信じております。ただ、その建設というものがJR各社にマイナスの影響を及ぼすのでは困るということもまた我々としては譲れない部分でありまして、そのために官房長官を座長とする財源検討委員会におきまして論議を重ねておるところでありますが、現時点におきましてはここにおいての結論を得ておりません。  そしてまた、それ以外の鉄道の整備と申しますものは、やはり私は、それぞれの企業が、事業の規模でありますとか時期でありますとか採算性というものについて十分検討した上で、開発銀行等からの融資などを得まして順次実行に移していくということになろうかと思っております。
  191. 及川順郎

    ○及川順郎君 今の整備新幹線の問題でございますが、大臣の今の御答弁を聞いておりますと、やはりJR各社の採算性という、こういう点を踏まえた上での御答弁でございます。  実質的にこの整備新幹線の建設については、極めて政治性の強い部分が私はあるんではないか。そうしますと、JR各社の意向というものがどこまで尊重されるのか。むしろやはり全国的に社会の要請として高速鉄道網が必要だと。この必要性に迫られて、そして建設を急ぐ余りにこれが実行されますと、やはりこの累積赤字のような、かつての国鉄の二の舞になるんではないかという心配がどうしても抜け切れないんですけれども、この点についての見通し、その点はどのように国としてお考えになって臨まれようとしているのか、この点大臣、もう一度お願いします。
  192. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) でありますから、たびたび申し上げておりますように、私どもは検討委員会においてまさにその部分での論議を重ねておるわけでございます。  これは、その参加する立場によって問題を考えるポイントは確かに違います。例えば、地方財政当局からすれば、この建設に当たって地方負担等が非常に大きなものになるのは困るといった意見も出ております。これはその建設を希望しておられる地域も含めての声であります。同時に、確かに費用を払うのは嫌だが、急いで敷いてくれとおっしゃる、これも事実であります。同様に、せっかく百十有余年の歴史を持つ国鉄というものを分割民営という荒療治までして鉄道事業を継続しようとしておりますときに、この将来を考えて確実に必要なものではありますけれども、この新幹線の建設というものが各社の経営の基礎を揺るがすようなものであってはならないという私ども立場も、これは譲れません。  ですから、見通しはと言われれば、これは官房長官を呼んで聞いていただきたいというのが一番正確な答えになってしまうんでありますけれども、私どもとしては、目下高速鉄道は必要であり、我々としてはこの点を認める。同時にそれがJR各社の経営の基盤を揺るがすようなものであっては困る。同時に、かつて閣議で並行在来線廃止という方針は決めておりますけれども、現実に並行在来線と言われるものは、それぞれのJR各社の財産であり、同時に貨物会社からすればその路線を借りて貨物運送業を営む生命線でありますから、整備新幹線が敷かれるからといって直ちに在来線廃止といった方法をとることには問題があり、地域の声、会社の声も十分聞いた上でなければその結論は出せないという私どもの言い分を申し述べておる、これが実情でございます。
  193. 及川順郎

    ○及川順郎君 大臣の胸中よく理解できますが、最後に私は、先ほどのこの組織会社としての組織運営機能、そして財政面の措置、もう一つはやっぱり人事面で、先ほどの御説明では代表取締役と監査役の選任、解任のみを運輸大臣の認可という、こういう御説明でございましたけれども、しかし私は、一般的な常識から考えますと、代表取締役社長の首をつかんでいるということは、これは会社に対しては、ある意味では一〇〇%影響を持っているという、こういう理解をしていいんではないか。  そうしますと、民営化になったとはいえ、この動向に対する国の責任というものは極めて大きいし、もしこれが借金財政にまたなっていくような事態になれば、そのツケは全部国民にまた返ってくると考えなければならない。そういう意味におきまして、この人事の公正さ、これに対して大臣の御所見を伺いまして、私の質問を終わらさせていただきたいと思います。
  194. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 御指摘のポイントは極めて私は大切な問題を提起していただいたと思います。そして、JR各社の発足に当たりましても、まさに私どもが一番苦心をいたしましたのは、そうした意味で、どこからどういう人材をいただいてきて経営の責任をとっていただくかでありました。そして、少なくとも会長には民間からそれぞれの人を、地域を考えながらちょうだいをすることができましたが、社長にはなかなか民間からの適切な人材が得られないままに、従来の国鉄の中でその業に当たる人あるいはまた運輸省のOBの方々の中からこうした問題に見識をお持ちの方々をお願いしなければならない状況もございました。さまざまな御批判を受けたことも事実であります。  ただ同時に、従来国鉄時代には考えられなかった現場の出身者を新会社のそれぞれの中に役員として登用することができましたことは、随分第一線の方々に喜んでいただけたようであります。そして、その方々が、いわば飾り物ではなく、本当にそれぞれの企業の重要なポイントを担う責任者として活躍をしていただいておることも、現在、私は各社の士気を非常に高揚しておると思っております。  なお、この機会に申し上げ、将来にわたっての御協力を得たいと思いますのは、実は、発足時、役員定員を全部埋めないで各社のスタートを切らせることにいたしました。それは、今後においてそれぞれの会社がそれぞれの経営方針の中でどういう人材を求めることになるのか、現時点で固定してしまうことは大変困難でございます。それだけに、例えば、民間の他社から優秀な人材をちょうだいする場合もありましょうし、あるいは社外重役として迎えるようなケースもありましょうし、さまざまなケースが起こり得ることを念頭に置きまして、それぞれ各社におきまして三、四名ずつの役員を空席のままに各社のスタートを切らせました。これは内部で優秀な方があれば登用していただいてももちろん結構でありますし、外部から人材を迎えていただいても、何らこれに対して私どもは注文をつけるつもりはございません。  そうした点で最大限、私どもとしては、人事の公正さに意を払い、新会社のスタートを迎えたつもりでありまして、今後ともにこうした視点からの御注目をいただきますことは、新会社にとりましても非常に幸せなことだと思っております。
  195. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 まず、先日申請をされておりますJR各社の六十二年度事業計画について質問をいたします。  当初の政府計画と同様に、売上税に相当する支出をこの計画の中には見込んでおりますが、明白に廃案になった売上税と同額を想定すること自体極めて不当であります。また、直間比率見直し問題も簡単に結論が出るはずがありません。したがって、六十二年度新税なし、こういうことになった場合は、この事業計画に含まれておる税相当分は当然国民に還元すべきものだと思いますが、代表して大臣の御見解はどうでしょうか。
  196. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 税制改正につきましては、現在税制改革協議会において協議が行われておる段階と承知いたしておりまして、現時点で税制改正全体の帰趨が不明確でありますから、私は、各社が作成した収支試算で、政府試算と前提を変えていないと承知をいたしております。  御指摘のような事態が生じたといたしましても、各会社がそのような利益に依存して本来の経営努力を怠るようなことがあってはならないということはそのとおりでありまして、その場合は、各会社の実情に応じて利用者への還元等適切な対応がされるべきであろうと考えております。例えば、それは旅客に対するサービスの向上といったものがまず考えられるべきでありましょう。私はそう考えております。
  197. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そこで、今も少し触れられましたが、国民への還元の具体的方法はいろいろあろうかと思いますけれども、その際に運賃問題も含めて検討をされてしかるべきでありますね。
  198. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、運賃改定というものは、経営者が当該年度の収支のみならず、将来の輸送動向というものを見定めた上で慎重に判断をされるべきものであると考えておりまして、JR発足後二カ月余りの現時点において、運賃改定の要否でありますとか内容でありますとかというものについて論議をいたすことは差し控えたいと思います。
  199. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 運賃問題を慎重に検討することは、これは当然のことでありますけれども、国民への還元方法を検討するに当たって、運賃問題はこれは別だ、検討対象にならないと頭からそういうふうに決めてかかるべきものではありませんね。
  200. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、差し控えたいと申し上げております。
  201. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 頭から除外をするということじゃないというふうに理解をしておきます。  そこで、もう一つ、この事業計画の中でJR各社の人件費が当初の採用予定人員の未充足のため黒字となっています。北海道と九州の清算事業団職員について現在再募集中でありますが、締め切りを延長せざるを得ないように、広域異動に対して非常に抵抗が強い。  その理由の一つに、子供、特に高校生の転入学問題があります。学費の面からも公立高校希望が強いわけでありますが、その受け入れ方について、受け入れがスムーズにいくように、学年の中途でもあり、文部省として今までも努力はされたと思いますけれども、一段と指導強化をしてもらいたいと思いますが、文部省、どうでしょうか。
  202. 小西亘

    説明員(小西亘君) 先生今御指摘の高等学校の生徒の転入学問題は、非常に重要な問題だと私ども考えておりまして、昨年の七月に、「日本国有鉄道職員の子弟の高等学校転入学について」ということで局長通知を出しまして、この転入学が非常に円滑にいくようにということを指導したところでございます。  それを受けまして、各都道府県がこれに全面的に協力をしてくれておりまして、その成果が上がっていると私どもは今理解をしておるところでございます。今後ともさらに努力をしたいというふうに考えております。
  203. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 次に、JRの実態について質問をいたします。  JRにおけるいわゆる分室、この種類と箇所数、その職員数。例えばJR西日本についてはどういう状況ですか。
  204. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 私ども西日本会社におきましては、監理委員会の「意見」にも明らかなように、適正な要員に約二割を上乗せいたしました社員数でスタートをしておりまして、これら鉄道事業部門以外に従事可能な社員について、増収、経費節減など経営改善に資する社員運用を行うことが経営上重要な事項となっております。このために、当社では輸送事業のみならず、関連事業や旅行事業などを積極的に展開いたしまして、事業の多角化によりまして経営基盤の確立を図る必要があるというふうに考えております。  このような観点から、会社発足後直ちに直営売店等の業務を行います事業分室や、新規事業開発の検討を進めるための開発分室、あるいはセールスや渉外業務を行う旅行センター分室を設置いたしまして、事業多角化によります収入の確保に全力を挙げているところであります。  ただいま御質問の分室の種類と設置箇所数、それから配置社員数でございますが、今申し上げました三種類でございますが、事業分室につきましては西日本旅客鉄道会社二十八カ所、千五百九十七名でございます。また、開発分室につきましては五カ所、二百十一名、旅行センターの分室は十四カ所、四百二十一名でございます。
  205. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 この分室というセクションはJR六社すべてありますか。全体のことですから、運輸省
  206. 林淳司

    説明員(林淳司君) 正確なところを完全に把握しているわけではございませんが、各会社ともそれぞれ先ほど答弁ございましたように、本来鉄道事業等に必要な要員数を上回った要員を抱えておりますので、したがっていろんな意味での増収活動に資するために、名称はいろいろあるとは思いますが、こういう形の何らかの機構組織をつくりまして要員を運用しておるというふうに考えております。
  207. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そこで、さっきも説明ありましたように、この事業分室や開発分室、これがそれぞれ事業部や開発部に属するそのもとの分室と、こういう機構じゃなくて、運輸部管理課に所属をしている、こういう姿になっているわけであります。  それから、さっきの説明でも、この分室なるものがつくられた目的というか、動機というか、それが多少いわゆる過員を抱えておる、この中からつくられてきたんだということが言われておるわけでありますけれども、こういう点で非常にこの組織は奇妙であります。理解しがたい点が多々ある。  加えてお尋ねしますけれども、この分室勤務の職員のうち、国労や全勤労の組合員比率がどれくらいか、あるいはかつて国鉄の時代、人材活用センターに所属をしておった職員の比率はどれくらいですか、西日本、代表して。
  208. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) ただいま御指摘ございました社員の配置でございますが、私どもは業務の内容に応じましてその適性や能力などを勘案の上、適材適所の配置を行っているものでありまして、組合別の所属につきましては私ども実は把握をいたしておりません。  また、現在各分室に配置しております社員につきまして、いわゆる人材活用センターの配置の有無でございますが、国鉄当時、人材活用センターに配置されていたかどうかは、私どもでは把握できておりません。
  209. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 その比率については調べようがないということでありますけれども、関西について私の調べたところでは、分室所属の職員は、そのうち国労、全勤労組合員が七九%です。また、かつて人材活用センターに配属をされておった者がその六〇%を占めている。明らかにこれは労働組合差別、選別であります。そして、さっきも言われました人間が余っているという、ここが動機になっているわけでありますから、わざわざそういうセクションをつくってそこへ配置する。結局これは新たな人材活用センターだと言わざるを得ない姿になっていると思うのであります。  そこで聞きますが、その一つ、旅行センター分室職員、お客開拓のためにいろいろセールスに出るんでありますけれども、その場合にも交通費が支給されていないと聞くんですが、そうですか。
  210. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 私ども会社におきましては、旅費規定によりまして必要な交通費については支給するようにしておりまして、必要がある場合にはこれは必ず支給できるし、またそのようにいたしております。  現在、旅行センター分室では、各班に分けまして当社の駅を中心に渉外活動を行うことにしておりまして、通常の場合にはこの交通費を支給するケースは発生いたしておりません。
  211. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そんなことじゃありません。  それなら確かめますけれども、どうしても交通費が必要であったという場合には、請求すれば出す仕組みになっている、ルールになっているということですね。
  212. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 渉外活動を行う場合には、あらかじめその計画を相談いたしまして、必要な場合にはあらかじめ回数券を渡すなど、事前に対応させていただくつもりでおります。
  213. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 開発分室の職員、この人たちがJRの新事業開発のためにいろいろと研究をしようにも予算措置がないということを聞くんですが、どうですか。
  214. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 調査開発に必要な経費は、私どもは措置をいたしております。
  215. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 事業分室の多くは食堂、売店などでありますが、私の住んでいます京都駅みやび二号のうどん店、この場合、調理室の温度が四十七度、客室で四十三度、おまけに生ものを扱っているので腐ったら大変ということで、冷房装置を何回も要求をしているんですけれども入らない。会社はどう考えているんですか。
  216. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 直営売店の施設につきましては、これはお客様に対するサービスの提供に最善を尽くすと同時に、私どもの社員が快適な作業環境で作業ができて、労働安全衛生に関する法令によって対策を講じてきたところでありますが、ただいま御指摘の高温対策につきましても、通風を図るとか、あるいは冷房の装置をつくるとかという措置を講じているところであります。  御指摘の点につきましては、換気扇の使用等が必ずしも十分でなかったこともございますし、多少温度が上がったケースもございます。今後そういったことにつきましては十分配慮してまいりたいというふうに考えておるところであります。
  217. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は具体的な店の名前も挙げて、温度も挙げて言っているんですけれども、今後冷房装置をつけるのですか、つけないのですか。
  218. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 私どもも実情を把握いたしておるつもりでございまして、実情に合わせまして適切な措置をとってまいりたいというふうに考えております。
  219. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 労働省おられますか。  労働安全衛生規則六百六条、ここで高温多湿に対する措置、これは定めておると思うんですけれども、その措置にはこの冷暖房装置もつけるということを含めてあの規則を定めておるはずでありますが、ぜひ労働省として実情を調査をして、必要な指導を行ってもらいたいと思いますが、どうですか。
  220. 安藤茂

    説明員(安藤茂君) 所轄の労働基準監督署を通じまして調査をしたいと思います。その上で問題があれば適切に指導をしてまいりたいというふうに考えます。
  221. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 次は安全問題であります。  西日本、特に関西の電車区で、民営となった四月以降、昨年に比べて故障が多発をしているんではないかと思うんですが、実情どうですか。
  222. 井澤勝

    参考人(井澤勝君) お答えいたします。  関西地区における車両故障、昨年の月平均発生とことしの四月、五月、これを比較いたしますとほぼ同程度の状況にございます。
  223. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ほぼ同程度だとおっしゃいますけれども、私はそのデータについてはちょっと信用しがたいんです。  私、京都の向日町運転所というところについて詳しく調べてみました。昨年の四月からことしの三月、要するに民営にされる以前の一年間、A故障が十二件であります。ことしの四月以降、四、五、六、約二カ月半で六件であります。この数字が示しますように、明らかに故障の発生率は倍化している。A故障というのは、言うまでもなく職場で事故のてんまつについて公表をされ、掲示もされるということで周知の問題でありますから、私は現にここにその全貌についての記録も持っています。それをもとにして指摘をするわけでありますけれども、こうした点で、この向日町の問題、私きのう申し上げておいたんで調べられましたかね、念のために。事故は倍の率でふえているぞと、確かめましたか。
  224. 井澤勝

    参考人(井澤勝君) 向日町の事故については十分承知しております。特に、御指摘のとおり四月以降を見ますと、向日町運転所の電車の車両故障が六件発生しております。これは、四月に五件ということで集中しておりまして、その後昨年以下の発生率に落ちついております。そのような状況で、四月に発生しました五件の車両故障の原因につきましては、偶発的なものかどうかも含めまして、現在厳重に調査をいたしておるところでございます。
  225. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 六件という数字は確認をされるわけでありますけれども、単に偶発的ということで済まされない。例えば、その中の四月の二日、雷鳥二四号、この事故などは、明らかに台車検査が廃止されていなかったら当然発見されて、未然防止ができたはずというのが関係者の意見であります。こうした点で、さっき関西全体についてどうかということを言われたけれども、もう一遍よく精査をして、本当に乗客の安全にかかわる問題でありますから、事故の数、その内容、再調査を私は要求をしておきたいと思うわけであります。  そこで、こんなふうに事故、故障が多発をしながら定員未充足、これがある。これは全く理解できないわけでありまして、一体この定員未充足の部課別の実態はどうですか。
  226. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 私ども、業務運営をするに必要な要員は十分措置しております。
  227. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いや、私の聞いていることは、要するに採用予定人員未充足です、あなたの言いたい言葉であれば。それが部課別にはどういう姿ですか。
  228. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 私どもの基本計画によります採用所定人員は五万三千四百名でございまして、これに対しまして四月一日発足いたしました現在には五万一千五百三十八名でございまして、その差約千八百名でございます。それの部課別という概念はございません。
  229. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いかに民間企業とはいえ、この部課別の人員の定めがない、こんな運営があっていいのかというふうに私は思わざるを得ない。そんなことがまかり通ったら、それこそ幾らでも労働強化をやって、人減らし自由自在と、こういうことになるじゃないかというふうに私は思うんですよ。  それなら具体的に聞きますけれども、乗客の安全にとって一番重要な関係になろうと思う保線、検修、こういう仕事の分野は旧国鉄時代に比べて、現在人員はどうですか、西日本。
  230. 南谷昌二郎

    参考人南谷昌二郎君) 私ども昨年の十一月を期しまして旧国鉄時代に合理化をいたしまして、より少ない人員で運営できる体制がとられたわけでございます。その後、退職なりあるいは転職なりという要素がございまして、現在ではその当時よりも個別の業務機関で見ますと少ない要員でやっておりますが、しかし、これは現在私どもが保守しなければならない業務に比べまして十分の要員を措置しているところでございます。
  231. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 数字を言われないわけですけれども、きのう資料を出していただいたところによりますと、昨年の十一月ダイヤ改正を通してことしの一月一日、ここでフィックスしている数は、京都保線区について言いますと百七十九、これが四月一日現在で百五十九と、約一二%減っている。このことしの一月現在の数字というのは、実はもう既に分割民営を前提にして相当人減らしをやったその上での数字でありますから、これは二年前、三年前と比べたらもっと大幅な保線の分野、検修の分野を初めとして私は人が減っているだろうと、こういうことの中から事故、故障が多発するという関係になっているんじゃないかというふうに言わざるを得ないんです。こんなふうにして人減らしを押しつけながら、しかし一方で職員の力がむだにされている分野がある。それがいわゆる清算事業団だと思うんです。  その実態についてでありますけれども、新しい就職のあっせん事業などはもう名ばかりで、いわゆる仕事もないということで放置しておいて、嫌気をつくり出して、意図的に退職を誘導しているんじゃないか。この五月の参議院運輸委員会でもこのことが議論になっています。事業団理事長、あの議論以後どういう改善をされてきましたか。
  232. 杉浦喬也

    参考人(杉浦喬也君) 雇用対策観点といたしましては、既に公務員等でお世話を願いまして内定をしている人、こういう方々は新しい職場へ向けて勉強をするという目標があるわけでございます。そうでない、内定をしていない、これから就職をしようという人が、今先生御指摘のような問題があるわけでございます。こういう方々に対して、職員に対してどういう措置を講ずるかということでございますが、私どもまず就職の気持ちを各職員全員についてしっかり持ってもらう、どういう方向で自分がこれから新しい道を開くかということを個人個人で固めてもらうということが大事であるというふうに思っておるところでございまして、四月発足以来全職員に対しましてそういう意味での全般的な研修を行いつつ、なおかつその後個人個人で面談を実施をいたしておるところでございます。  そうした面談の結果、自分の行く方向が決まってきた人たちに対しては、これはそれなりに個別の教育訓練につかせるということが手順になるわけでございまして、それ以後、私どもで十六カ所あります教育訓練所なり、あるいはその他の都道府県の職業訓練校あるいは民間の一般の各種学校等へ配属をいたしまして、そこで勉強してもらうというような職員も徐々にふえつつあるわけでございまして、現在、公務員関係の人については約四百三十名ばかり、あるいはまたそうでない、これから就職をしようとする人については約六百名ばかりを既にこうした学校に送り込んで実際の研修を行っております。  問題は、これから就職をしようとする人たち、しかも、それの個人個人の方向が定まっていない人たち、こういう人たちを一刻も早く方向づけをしたいということで、職場内研修も含めまして今一生懸命努力をしておるところでございますし、そうした個人面談以外に、職場内研修といたしましては、当該地域の雇用の情勢とか等々の情勢につきましてVTR等の材料を使いまして教育をしておるし、また、あるいは一般の基礎教育でございますパソコンとかワープロというようなものにつきましても同様な勉強をさせているという状況でございます。  一方、こうした機関におきまして……
  233. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ちょっと私の提起している問題と的外れでありまして、労働環境なんですよ、この清算事業団の。  あのときにも同僚議員から、例えば休憩室がないじゃないか、冷蔵庫も洗濯機もない。しようがないから自分の私物を持ち込んだら、要らぬ物を持ってくるなということで、これを撤去される。こういうひどい姿を放置しておいてどうかということで、それで橋本大臣は、こんなもの、もうそこまで言われたら今さら調査の必要もない、すぐ改善すべきは改善させますとこの席で言います、ということで、あなたはたんかを切っておった。しかし、一向に私改善されていないと思うんですよ。労働者を狭い部屋にすし詰めにして、労安規則六百十八条に労働者五十人以上使っている場合には休養室を設けなくちゃならぬというふうに書いてある。今も職場で休養室がつくられていないところがあるんじゃないですか、清算事業団。
  234. 杉浦喬也

    参考人(杉浦喬也君) 最初の御質問につきまして若干違った観点の御答弁を申し上げましたが、ただいまの休養室の問題でございます。  規則の六百十八条によりまして規定があるわけでございますが、当方、現場のそれぞれの支所におきましてこの規則の趣旨どおり、職員が横になって休養する必要があるという場合に備えまして、本当に病気である場合は、もちろんこれは診療所等に連れていくわけでございますが、そうでない場合におきましても、支所内において職員がいつも使っておる執務場所と違う場所、これを用意いたしまして休養をさせるという、そういう準備は整えておるところでございます。
  235. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 しからば、五十人以上のところ、女子だったら三十人以上のところということで、にもかかわらず休養室がないというところについて、具体的に改善の意見が出ればちゃんと措置しますね。
  236. 杉浦喬也

    参考人(杉浦喬也君) 私どもそういう用意がしてある、全般的にそういうふうに思っておりますが、もしそうでない場合、これはちゃんとそのように措置したいと思います。
  237. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 今挙げました一連の問題は氷山の一角でありまして、報道も多々行われているところであります。とにかく、国鉄の新しい未来に向けてということで出発をしている、これがみんな労働者の人権を無視したり国民の疑問を呼ぶような、そういった運営であってはならないということで、私ども会議員もしかとそれを見詰めていく責任がありますし、そうした国会議員や弁護士、報道機関の前に、国民の前にひとつこれを公開をするように。なぜかといえば、私ども会議員が一遍見たいということを申し入れても拒否をされるんですからね。  その点について、理事長、ひとつ公開をして、少なくとも私ども会議員には公開しますか。あなた、首振っているけれども
  238. 杉浦喬也

    参考人(杉浦喬也君) 先生御案内のように、雇用対策のそれぞれの支所におきましては、既に就職先が決まった職員、これは一生懸命それに備えて勉強するし、それから問題の、まだ就職が決まっていない職員、こういう職員を何とか新しい道へ向けようとしまして一生懸命話をし、またそれぞれの職員も真剣になって自分の将来の道を切り開くように努力をしている、そういう場所でございます。したがいまして、大変言ってみればデリケートな職場であるというふうに言っていいかと思いますし、なるべく静かな環境で、温かい雰囲気の中でそうした各個人の決断をしていただくという必要があるというふうに私ども考えておるところでございまして、そうした意味合いにおきまして、現在、部外の方が中に入りたいというふうにお申し越しがありましても、これはお断りをしているという状況でございます。  なお、現地の実情につきまして調査をしたいということでございますれば、それぞれの出先の雇用対策部あるいは雇用対策支部、あるいは場合によりましては本社におきまして、実情につきまして十分御説明を申し上げたいというふうに思います。
  239. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 とにかく理由にならない理由で、結果としては見せたくない、よほど見せたら困るというものがあるのかというふうに言わざるを得ない。少なくとも国の管理下に引き続いてあるこの清算事業団、国政調査の一環として国会議員に見せるというのは当然じゃありませんか。このことを重ねて強く主張をしておきたいと思うんです。  だんだん時間が経過しますが、次は、最近のJR東日本で大量に行われたわけでありますし、五月に東海JRでもありました組合バッジ着用をめぐる処分の問題です。  この処分運輸省指導に基づくものですか。
  240. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) それぞれの会社がどういう内部の規程を設けるかは、これはそれぞれの会社の自由でありまして、そうしたことに運輸省は立ち入っておりません。
  241. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 と申されても、それぞれの会社が自主的につくるという就業規則、今回の処分の理由になっている、これを見てまいりますと、くしくも、問題のこの処分にかかわるバッジ着用をめぐる個々の規程の部分は一字一句同じ文章になってますね。東日本、社長は来ておられませんが。同じように公共企業体から民間企業に移行をしたたばこ会社やNTTでは、組合バッジ着用を直ちに処分という方針ではありません。まさに今回のJR東日本の処分は、これは異常なやり方だという、こうした点から見ても思われませんか。このたばこ、NTTの実態御存じですか、東日本。
  242. 力村周一郎

    参考人(力村周一郎君) お答えいたします。  他運輸機関との激し競争下にあります私ども東日本旅客鉄道株式会社、事業の性格上お客様によりよいサービスの提供、それから列車の安全かつ正確な運行が強く要請されておりまして、そのためには服装の整正等企業秩序の確立が不可欠の要件であります。このような認識に立ちまして、就業規則第二十条では服装の整正につきまして規定しておりまして、特にその三項、「社員は、勤務時間中に又は会社施設内で会社の認める以外の胸章、腕章等を着用してはならない。」旨明記しております。会社の認めるものといたしましては、社員証、社章及び氏名札の着用を義務づけておりまして、その他「表彰取扱規程」とか「被服類取扱規程」で会社の認めるものは明記しているわけであります。したがいまして、組合バッジを含めましてそれ以外のものの着用は明確に禁止しております。  新会社となりまして、大半の社員は民間企業になりましたことの意義をかみしめまして就業規則に従っておりますけれども、一部組合バッジをつけるなど就業規則違反をしている者がおります。その者たちに対しまして、勤務時間中に制服等に組合バッジを着用した社員に対しまして管理者が注意指導することは当然でございまして、再三の注意指導にかかわらずそれに従わない者をこのたび厳重注意処分としたわけであります。今回の処分、以上のような認識に立ってやっておりますので、NTTさんあるいはたばこ産業さんの動向につきましては、私どもは存じ上げてないわけであります。
  243. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 同じような公営企業体から民間に移行したたばこ、NTT、そこもよく研究をしないままこういう処分を強行しているやり方というのは、断じて納得ができません。  今度JR東海の方へお尋ねしましょう。就業規則、全く一字一句おたくも同じと。その就業規則自体が私異常じゃないか。勤務時間中に会社の認める以外の腕章等を着用してはならない、会社の認める以外のものをつけてはならぬ。それにとどまらず会社の施設内でも、これは勤務時間内であろうと外であろうと、会社の施設内でだめだというんでしょう。これではもう労働者の団結権の全面否定、組合活動の全面否認に等しい、まさに憲法違反の就業規則だと思わざるを得ないんですが、どうですか。
  244. 伊庭昌広

    参考人(伊庭昌広君) お答えいたします。  就業規則に盛られております条項は、会社の秩序を維持するという観点から、会社施設内での会社の認める以外の胸章、腕章等の着用を禁止しておるわけでございまして、今先生からお話ございました組合活動のあり方につきましては、別途関係組合と労働協約を締結いたしておりまして、必要な便宜供与等についてもその中で労使の協定を既に締結をしておるところでございます。
  245. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 この就業規則には、それは賛成した労働組合もあるかしれないが、しかし異議の申し立てをしておる労働組合だってはっきり現存しておるわけでしょう。だから、あなたの言うようなそんな言い方で合理化がされるものではない。しかもきょうの同僚議員の中で例のスリー・テン、大臣極めて不快感を示されたああいうことをやるようなJR東海という会社でしょう。  さらに大臣御存じですか、この六月十三日付でJR東日本に対して神奈川県の地労委、東日本が不当な一方的な出向を命令したわけですね。それで本人の納得なしにそういうやり方はひとつやめてもらいたいということを労働組合が地労委に提訴をしておって、地労委としてこの中立人組合員九名に対する出向命令の実施を留保し、またこれに従わないことを理由として前記組合員に不利益を課してはならない、こういうとりあえずの命令書が出た。ここまで地労委としても言わざるを得ないような今の東日本なりJR東海のひどいやり方だと思うんですよ。ですからこういう憲法違反のこのファッショ的な処分、これはもう断じて認められない。各社長及びこの処分を結果として容認をしている運輸大臣に私は強く抗議をして、その撤回を断固要求をしておきたいというふうに思うわけであります。  答弁を求めていますとちょっと時間が迫っていますので、そのことだけ重ねて申し上げておきまして、あとちょっと気象庁にお尋ねをします。  まず、先日アメリカ空軍が行っている航空機による台風観測をことしの九月末で打ち切るという方針が、米軍当局から気象庁に伝えられたという報道がありますが、気象庁としては衛星でカバーできるという見解のようですけれども、しかしこれは例えば「ニュートン」という雑誌がありますね、色刷りの。あれの昨年の八月号に特集をやっていまして、要するに衛星からの観測ですから、雲の上からの観測、したがって雲の下の様子というのは十分にキャッチできない。だから本当に低空の雲の中のどういう気象状況になっておるかということは飛行機によってこそ観測できるのであって、したがって台風の動静をより正確につかもうと思えば、もう飛行機観測なんて要らないところかますます今後大事だというふうに書いておるんですね。気象庁としてはお金の関係からなかなかはっきり言えないということかと思うんですけれども、しかし飛行機観測なんというのはもう無用の長物だということじゃないでしょう。あるにこしたことないわけでしょう。その点どうですか。
  246. 菊池幸雄

    説明員(菊池幸雄君) 今先生御指摘のように、米軍航空機による台風観測は、データが少ない洋上にある場合に台風の中心とか中心気圧とか最大風速などを求める場合の手段として使われてきたわけでございます。それで、これが台風観測が行われなくなるということで、そのかわりに気象衛星のデータを使うということで、先生今、上から見ただけでは下の状況はわからないのではないかというお話でございますけれども、やはり下の状況も上に出てくるということもございまして、この衛星観測によるデータを用いまして……
  247. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私も気象学を勉強したのだからね、素人だと思ってだますようなことを言わんといてください。
  248. 菊池幸雄

    説明員(菊池幸雄君) だますわけではございませんで、それを用いまして中心位置とかあるいは地上の中心気圧あるいは最大風速というものを取り出すという、そういう技術が開発されて今実用化されてきておるわけでございます。しかも静止気象衛星「ひまわり」は、ことしの三月から定常的に毎時観測を行うようになっておりますので、これを用いますと、今言いましたようなデータが毎時入手できると、そういう状況でございます。  そういうわけでございまして、このような状況でございますから、今後とも衛星資料などを用いた技術開発の一層の向上を図る、そういうことによりまして台風の監視業務に支障がないように対処できると、そういうように思っております。
  249. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 余り苦しい弁解をなさらない方がいいと思うんですけれども、時間がないので次に聞きますが、そういうことで台風地域の観測をアメリカがやめる。そうすると、日本政府として、昨今、シーレーン防衛などのことを非常に問題にしておる時期ですね、この地域での台風観測などは軍事的にも重要だと政府として考えているんじゃないか。しかし、気象業務法はその第一条で「公共の福祉の増進に寄与する」ことを目的とすると、こう掲げていることに照らしましても、気象庁として、将来、軍事目的の気象観測、ここに踏み込んでいくというようなことは、気象庁としては断じてないということを明言をしてもらいたいと思うんですが、長官どうでしょうか。
  250. 菊池幸雄

    説明員(菊池幸雄君) 先ほどお答えいたしましたように、米軍の航空機による台風観測が打ち切られたといたしましても、台風に関します防災情報を作成する上では支障がないように対処できると、そういうように考えておりますので、気象庁といたしましても台風観測用の航空機をもって台風観測を行うということは考えておりませんし、また防衛庁にそのようなことを依頼するということも考えておりません。
  251. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 防衛庁依頼ということよりも、私言っているのは、気象庁として軍事目的の気象観測、こういうところに踏み込むということは絶対にありませんねということを確かめているんです。そこを答えてください。
  252. 菊池幸雄

    説明員(菊池幸雄君) 気象事業は軍事目的じゃございませんで、一般の人の福祉のためにやっております。そういうことでございます。
  253. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そういうふうに初めからすかっと答えてもらったらよかった。  時間になっていますので、あともう一つだけ聞いておきたいんですが、天気予報にとってアメダスというのが非常に重要な役目を果たしております。しかし、もうこの装置といいますか、こういうものがつくられて古いものは十五年、新しいものでも十年ぐらい経過をしていると。ところが、全然更新計画がないわけですね。レーダーなどは全国で二十カ所ありますけれども、十二年から十四年ごとに計画的に更新をしてきていると。それから、火山観測の機器もこれは十五年ぐらいで更新しているということからいって、レーダーがいよいよパンクする、パンクといいますか故障するということになると、天気予報にとってゆゆしい結果が出るわけでありますし、ひとつこの更新計画について検討に上せるという時期へ来ているんじゃないかというふうに思うんですが、長官どうでしょうか。
  254. 菊池幸雄

    説明員(菊池幸雄君) 確かに、アメダスの機器は、展開されましてから十年以上を経過したものが多くなってきておりまして、そういう状況にありますけれども、現在特に目立った故障というのは発生しておりません。しかしながら、いずれ更新はしなければならないわけでございます。したがいまして、この機器の更新ということに関しましては、その老朽化の度合いとか、あるいは気象庁におきましても他の重点施策というのがございますので、そういうものとともに総合的に検討して、将来計画に上せていきたいと、そういうように考えております。
  255. 抜山映子

    ○抜山映子君 今、国民が一番政治に対して不満を持っているのは、円高差益が十分に還元されていないのではないか、この点が一番大きいのではないかと、そういう気がするわけでございます。  先ほど、同僚議員の質問に対しまして、方向別の運賃格差の問題ですね、これ大臣は太平洋線に限って七・四%七月一日より下げることを認めている、このように言われましたが、この新料金でいきますと、一ドル幾らになるわけですか。
  256. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これには先ほどの答弁のやりとり全体を思い起こしていただきたいわけでありますが、まず第一に申し上げなければならないのは、航空機の料金設定は発地国主義であり、円ドル関係における円高というものが問題になります時点においては、まさに米国と日本との料金差が問題になります。そして、その中で、私もたしかレート百五十円ぐらいで計算したように覚えておりますけれども、ちょっと正確な数字を覚えておりませんが、日本側からアメリカに向かう方を七・四%引き下げると同時に、アメリカを立って日本に向かう方は五%引き上げておるというのが正確な状況でございます。
  257. 抜山映子

    ○抜山映子君 仮に七・四%下げたとしても、新料金では一ドル百七十六円の計算になって、やっぱりこれじゃ国民が納得できないのではないかということを指摘したいと思います。  ところで、太平洋線に限らずたくさん路線がありますが、ほかの路線については引き下げは今お考えになっていないと、こういうことでしょうか。
  258. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今申し上げましたように、日本発の運賃を引き下げると同時に、アメリカ発の日本に向かっての運賃を五%引き上げているというのも計算にお入れをいただきたいと思います。日本からアメリカに向かう方を七・四下げております。アメリカから日本に向かう方も五%これは引き上げております。それも計算にお入れをいただかなければなりません。  また、他のルートにつきまして、いろいろな制度を申し上げてまいりましたが、今、実は事前に御連絡ありませんでしたので、私もちょっと手元の資料を持っておりませんので、後刻方向別格差についての資料はお届けをいたしたいと思います。
  259. 抜山映子

    ○抜山映子君 実は、この航空運賃の問題は既に同僚議員が質問されておりますので、深入りするつもりはないんですけれども、私が運輸省資料等により作成という党からいただいた資料によりますと、この方向別運賃格差というのが大変に大きいわけです。例えば、香港の例でいきますと、往復で東京発は二十万二千九百円、外国発の方でいきますと、四千二百十八ドル、すなわち九万円にも満にない、すなわち半額以下だと、こういう大きな格差があるわけでございまして、これについては、幾ら発地国主義だと言っても、到底国民には納得いかない面があると思いますので、ひとつ大臣の方でしかるべく御検討いただきまして、太平洋線のみならず御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  260. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私も長々と議論をいたすつもりはございませんけれども、たまたま先ほど、どなたかの御質問の中で、日本航空機を例にとりまして航空局長が御説明を申し上げましたように、円建てのもの、ドル建てのもの、経費、収入の双方にございます。そして、それによっての収支というものはほぼバランスをするということも申し上げております。ただ、燃料のコストが下がったということを先ほども御説明を申し上げました。ですから、関係の資料等については、必要でありましたならばお届けをいたさせますが、発地国主義という基本的な原則は、これは今変えるに変えられないことであります。そして、日本の企業が日本の国内で、日本に本拠地を置いて経営をしております限り、その収支その他を勘案して料金を設定するということも、これはやむを得ないことであろうと思います。ですから、問題のある場所がありますならば、その交渉をすることを私どもは決していとうわけではございませんけれども、十分実態を御勘案をいただきたい、そう思います。
  261. 抜山映子

    ○抜山映子君 多少の差があるのは私はやむを得ないと思いますけれども、先ほどの例のように倍以上も差があるというのでは、これは国民の納得するところではないでしょう。しかも、今大臣みずからおっしゃいましたように、ジェットの燃料代というものが大変に安くなっている。そうとすればもっと見直さなければいけないのではないかということを申し上げたいわけでございます。  さてそれから、運輸省の関係になると思うんですが、パック旅行ですね、これが昨年十月前のものと現在のものと同じような旅程を比較いたしますと、多少安くはなっておりますけれども、それでは百四十円なりに下がっているかと、あるいはそれに近くまで下がっているかというと、決してそうではございません。この旅行ツーリストは、大体半年前に契約、手当てをするそうですけれども、ドル建てで契約している例が多いと聞きます。そうとすれば、随分円高差益が上がっているはずなのでございますが、これについては運輸省として何か方策をお考えになる必要があるんじゃないでしょうか。
  262. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 半年前に契約する実例がその中心であるかどうか、私はその辺はよく存じませんけれども、それは海外に対するパック旅行でございますか。
  263. 抜山映子

    ○抜山映子君 そうです。
  264. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 海外に対するパック旅行でございますね。そうなりますと、これは私はいろいろなケースがあろうかと思いますけれども、現在既に例えばファミリー運賃の割引でありますとか、さまざまな制度が随分できておりまして、実態的には相当な変わりが出てきておるのではなかろうかと存じますが、これも必要がありますなら、調べて御連絡をいたします。
  265. 抜山映子

    ○抜山映子君 ぜひ御検討いただきたいと思います。  それから、タクシーの料金なんですが、これちょっと円安になりますと従来はさっと値上げということだったんですが、今回随分大幅に上がっているわけですけれども、タクシー料金は下がっておりません。これはどういうことでございましょうか。
  266. 熊代健

    説明員熊代健君) 先生御指摘のように、第一次オイルショックのときにタクシー料金の問題が大きくクローズアップされたのは事実でございます。  このときには燃料油を確保するという問題が一つございました。そのほかにタクシー事業の原価構成、少しずつ地域によって違うわけです。といいますのは、人件費の占める割合が東京等の大都市と地方における人件費、東京の方がやはり高うございますので、その関係で多少の変動はございますけれども、全国平均で申し上げますと、人件費が六十年度の実績で七五・三%、燃油費が七・二%でございます。その他車両関係四・三、諸税〇・五、その他一二・七というような構成になってございます。先生御指摘のように、四十七、八年におきますオイルショックのときには、オイルショックに伴いまして人件費そのものも、公務員等におきましても三二%といったようなアップがあったわけでございまして、主たる原因は、値上げしなければならない理由は人件費にあったわけでございます。  先ほど、今回の円高それから原油安ということで、確かに五十九年度に比べまして約三〇%LPGが下がっております。その原価構成に及ぼす影響は、従いまして二%程度ということに相なってしまうわけでございます。初乗り四百七十円としますと十円弱というような原価のダウンにつながるという程度でございまして、タクシー需要そのものが昭和三十年代あるいは四十年代の初めのようにどんどん伸びておるときですと別だと思いますけれども、モータリゼーションの進展等によりまして、その需要の伸びというのはほとんどないというような状況の中で、我々といたしましては、その人件費等の高騰等で円高メリットは基本的に原価的には消えてしまわざるを得ないという状況にございますので、できるだけ現行の運賃水準、東京で言いますと五十九年の二月に改定したままになっているわけですけれども、それを長く維持してもらうということと、無線施設等を普及することによりまして、サービスの向上に努めるということをやらせている次第でございます。
  267. 抜山映子

    ○抜山映子君 そのような場合に多少とも、たとえ金額が少なくて還元できないというんであれば、メーター数を少し延ばすとかというような形でも還元できるのではないかと思うのでございます。  ところで、タクシーの運賃は、道路運送法に従って運輸大臣から権限を委任された各地方運輸局長の認可を受けることになっておりますね。大分前に京都市域におきましてMKタクシーが単独に運賃値下げ認可申請を出したところ、これが却下されてしまった。その却下処分道路運送法上違法な処分だとして大阪地裁が判決を出しましたが、この後この裁判の結果はいかがなっておりますか。運輸省の方、どう把握してますか。
  268. 熊代健

    説明員熊代健君) 御指摘のいわゆるMK裁判と言われております、五十八年に値下げ申請が出たものを却下したということについて争われておりまして、第一審では主として同一地域同一運賃という原則が議論になったわけですが、我々の処分理由は単にそれだけではなかったわけでございます。  国としては、いわゆる同一地域同一運賃という原則は基本的に行政方針として間違っていないという立場から控訴いたしまして、去る六月の九日に一応結審を見たところで、判決公判は一応九月の二十九日というふうに予定されておるところでございます。
  269. 抜山映子

    ○抜山映子君 第一審の判断によりますと、同一地域においても複数の運賃の存在を認めて、タクシー事業者間の運賃競争を容認したものですね。ところが、運輸省の方は、行政方針によって同一地域は同一運賃の原側であるべきだ、このようにお考えになっているようなんですが、その根拠はどういうところにあるんですか。
  270. 熊代健

    説明員熊代健君) 今言われた一審の判決が、先生御指摘のところまで踏み込んでいるかどうか問題があるんですが、その点は抜きまして、タクシー料金、運賃につきまして、いわゆる同一地域同一運賃ということを運賃の認可基準の適用に関する行政運営の基本的な指針、方針として長年やってきたわけです。  その理由はタクシー事業の実態、これは先ほども申し上げましたように、人件費が七割五分を占めるといったような事柄、それから労働実態、かなり長時間ハードな労働になるといったような問題等から、安全で良質なタクシーサービスというものを、しかも安定的に提供し、利用者との間で不要なトラブルを生ずるようなことなく利便を確保していくということから考えて、タクシー事業というのはいわゆる区域事業ということで一定の区域を限って営業を免許しているわけでございます。  そういう区域事業につきましては、特にタクシーにつきましては、その事業の実態等から運賃認可の運用方針として、同一地域における同種のサービスには同一の運賃を適用するのが望ましいという考え方に立っているわけですが、その根っこにあります考え方は、タクシー事業者間の原価につきましては、その同一地域におきましては各事業者間において基本的に近似性を有すること、それから同一事業区域内で、事業者間で異なる運賃が存在するという場合には利用者に無用のトラブルを生じかねない、あるいは運転者間のトラブルも生じかねないという蓋然性が高いということで、基本的には今申し上げたような同一地域におきます同種サービスについては、同一の運賃をもってその他のサービス面における競争を適正に行わせるということが望ましいというふうに考えてきた次第でございます。
  271. 抜山映子

    ○抜山映子君 私はやっぱり行政方針の方が間違っているんじゃないかと思うんですよ。と申しますのは、道路運送法の第一条に「目的」が掲げてございまして、「この法律は、道路運送事業の」「公正な競争を確保する」んだ、このようにはっきりうたっておるわけなんです。ですから大臣、この点についてはどういうように基本的にお考えでしょうか。
  272. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員の御質問を伺いながら、仮に各タクシーそれぞれに料金の違う場合を頭に描いておりました。その場合に、私は随分とのタクシーを拾うかについて戸惑うであろうと率直に思います。安いのをとめたつもりが、乗ってみたら一番高いのをとめてしまうかもしれませんし、私はやはりタクシー料金が余りふぞろいな状態というのは、利用者の利便をむしろ欠くのではなかろうかという感じがいたします。  「公正な競争」というその一点につきましては、それはサービス内容の向上であり、また正確、安全な運転というものをいかに顧客の満足がいく形で実行をするか、そういったところで行われるべきもので、料金差による競争がタクシーの世界に導入をされ、例えば駅待ちのタクシーを順番に並んで拾うといったようなときに、ばらばらの運賃の方が国民に対するサービスの向上になるかどうかというと、私はどうもちょっと委員考え方を異にするように思います。
  273. 抜山映子

    ○抜山映子君 私は、この条文の意味からいって、大臣が心配されておるようなことは起こらないと思うんです。  すなわち、道路運送法の第八条第二項に、運輸大臣が運賃や料金の認可をしようとするときには次の基準によってこれをしなければならないとありまして、その四号に、「他の一般自動車運送事業者との間に不当な競争をひきおこすこととなるおそれがないものであること。」と、わざわざ四号に入っているんですね。ですから、とてつもなく安くして、そして過当競争を生んで、安全基準に問題があって、利用者の便宜に反するというようなことは、そんなに起こらないんじゃないか。この条文自体が、同一地域同一運賃の原則に、ちょっとこの条文の趣旨からいうと反するのではないか、このように思うのですが、いかがですか。
  274. 熊代健

    説明員熊代健君) 先生おっしゃいましたまず第一条の「目的」には、「道路運送事業の適正な運営」という言葉がその前に入っておるのが第一点と、それから八条の運賃、料金の認可の基準はタクシーだけではございませんで、「一般自動車運送事業を経営する者」、一般ですから、乗り合いバス等についても適用されるわけですが、その「不当な競争をひきおこすこととなるおそれがないものである」ということで認可をするとすれば、先生おっしゃるような混乱は起きないじゃないかということですが、タクシー事業の実態、これまでの経緯を御承知かと思いますが、多少需要がタイトな場合におきまして適正な運賃じゃなくて、決められた運賃は守られず、雨が降った場合とかお客さんが多い場合には非常に高い運賃が収受されるとか、そういった混乱が何度も起きてきたわけです。  我々としては、先生おっしゃるように、複数、自由な運賃に近い弾力化した運賃形態というものもそれは考えられないわけではないわけですけれども、世界の大きな都市におきましても、タクシーについては同一運賃というものが適用されておりますし、我々としてはこの方針が間違っているというふうには考えておりません。
  275. 抜山映子

    ○抜山映子君 それでは伺いますけれども、同一地域で同一運賃の原則を貫徹できなかった事例がありますね。それはどこですか。
  276. 熊代健

    説明員熊代健君) タクシーの運賃につきましては、全国を七十七のブロックに分割して運賃が整理されておるわけでございますが、各運賃ブロックごと基本的には同一地域同一運賃が適用されております。  先生御指摘のところは現在八ブロックございます。場所は、富山県のB地区と言われるところ、青森県、山形県、秋田県のB地区、兵庫県淡路島、山陽のA、山陽のB、徳島県市部、奄美諸島というところでございまして、これらにつきましては当該ブロックの大多数の事業者が採用している運賃とごく少数の事業者がそれと異なった運賃を認可されたままになっている。その理由はいろいろあるようでございますが、増車を希望したにもかかわらず認められなかったとかいったような理由がかなり多いようです。  我々としましては、これらの地域につきまして運賃改定ということがごく一部のものを除いて行われないということによるデメリット、主として従業員、タクシー運転者の待遇の改善といいますか、そういったことも図られないというようなことになるデメリットと、それからごく一部のものがそういう格好で別の運賃になっているということに伴う混乱というものを比較いたしまして、やむを得ずそういうことになっているケースが今申し上げた八地区にあるということでございます。
  277. 抜山映子

    ○抜山映子君 消費者は大変に喜んでおると思うんですよ。この八地域においてそれじゃ混乱が起こっているかといったら、そんな混乱は一切新聞なんかの報道でも見かけませんが、これはどういうことですか。
  278. 熊代健

    説明員熊代健君) 今そこにおける別運賃をとっている事業者の保有している台数の比率といいますか、それがごく小さい。京都のMKの場合に二重運賃に仮になった場合に、MKタクシーというのは京都市域で約一一%のシェアを占めております。それが別運賃ということになった場合に問題が起こるおそれがかなり強いということでございまして、また同時に、我々としましては二重運賃程度になる話ではなくて、個別原価主義といったようなことになりますと、複数、多数、極端に言えばもう一社一社別運賃ということにならざるを得ないかもしれない。そういうことよりも、現在やっております標準原価計算対象会社というものを適正に把握し、そこにおける原価を能率的な経営における適正な原価ということで把握して運賃を決定するという方法が、最も適当であるということで行っているところでございます。
  279. 抜山映子

    ○抜山映子君 八地域については混乱が起こっていないのはどう理解されますかという質問を出したんですが、それについては特にお答えがなかったようでございます。  利用者に混乱を生じると言われますけれども、私どもタクシーをとめる場合に、わざわざあの車は大型であろうか小型であろうかなどと考えて手を挙げて乗る場合はないと思います。普通乗ってみたら、あっ、これは小型だったんだなと後で気がつくぐらいで。ですから、初乗りといいますか、最初のワンメーターの運賃がちゃんと車体に表示されていれば何ら混乱は生じない、利用者にとっては非常に助かると。しかも適正な運賃についてはこの法の八条の二項四号を指針として適正に決められるんだから、そんなにばかげた運賃は出ない、公正な運賃競争が行われることによってフェアな運賃が確定されるのではないか、このように思うんですが、いかがですか。
  280. 熊代健

    説明員熊代健君) まず第一点で、余り混乱が生じないと言いました八ブロックにつきましては、そこにおける全体の車両数に占める別運賃である部分が非常に小さいということ、シェアが小さいということでございます。  それから、今先生がおっしゃった利用者にとってみてそれが好ましいという御主張ですが、この点につきましては、我々今MK裁判を通じまして主張を闘わせているところでございますので、余り深入りしたくはございませんが、我々としては、長期的に見て利用者の利便にそれが最も望ましいという考え方に立っております。  先生の御立論を進めてまいりますと、どうしても個別原価、個別運賃ということにならざるを得ない点が一点と、それからMK裁判でも問題になっておりますのは、リース制という人件費につきまして非常に特異な形態を採用している会社でございまして、収入が逆に上がらなくても事業者の取り分は変わらない。そうしますと、基本的に運転者にそのしわ寄せがいく可能性が高い、こういうような賃金形態でございますので、それは我々としては基本的に余り望ましくないということから、先ほど申し上げました同一地域においては基本的にかなりのものが近似値で原価が構成されるということで、長期的に見て利用者の利便にその方が資する、それを厳格にきちっと守っていく方が望ましいというふうに思っております。
  281. 抜山映子

    ○抜山映子君 道路運送法の第二十一条ですけれども、この二十一条によりますと、これこれしかじかの場合には「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定は、適用しない。」と、こういうように書いてあるんですね。これは裏を返せば、公正かつ自由な競争の促進を立法目的とする独禁法が一般的には適用されるんだ、そういうことを前提としていると思うんですよ。  それで、この法律の除外例は、道路運送法の二十条、三十三条に基づいて運輸大臣の認可または命令を受けて行う正当な行為に限っては独禁法は適用されない、こういうように規定されてあるわけですから、可能な限り競争は確保されなければならないんだ、こういうように読むのが普通だと思うんですが、それじゃこの法律の規定をあなたはどのように解釈されますか。
  282. 熊代健

    説明員熊代健君) おっしゃるように、二十一条はいわゆる運輸協定等によりまして共同行為的なものを行うことについての独禁法の適用除外を定めた条文でございます。基本的に国、行政権が関与して運賃のように認可をする、その認可がばらばらでなければいかぬとか、一本の方が望ましいとかいうのは、これはいわゆる私的独占の禁止とは関係のない分野でございまして、ここで適用除外を言っておるのは、運輸協定とか、先生おっしゃった命令によって共同行為を行うものは私的独占の禁止の適用から外すということを言っているだけでございます。
  283. 抜山映子

    ○抜山映子君 だから反対解釈すれば、基本的には独禁法の適用があるんですよと、こういうことを言っているわけなんですよ。  ところで、運輸省の方で、昭和五十二年六月以降、タクシー運賃の改定申請の方式については独禁法上問題があるとする公取の申し出を受け入れて、タクシー事業者に対して独禁法に違反する行為を行わないようにしなさい、それから事業者団体による一括代理申請は認めないものとして、各事業者から個別に申請を行わせるものとするというようなことを内容とする指導を行っているんじゃありませんか。
  284. 熊代健

    説明員熊代健君) その点は先生御指摘のとおりでございまして、申請段階で事業者がいわゆる談合的になって運賃を改定しようということを決めて行ったりするのはいかぬ、こういう指摘が公取からあったのを受けまして、当方としては個別事業者がそれぞれの判断に基づいて申請をするようにという指導をその後やってきておる。ただ、それをどういう原価計算方法に基づいてどういうふうにやるかについては、従前からやっております同一地域における同種サービスについては、タクシーについては定額の同一運賃を維持するということで行ってきているものでございます。
  285. 抜山映子

    ○抜山映子君 もし裁判所の方でこの第一審の判決を維持するという判決が確定された場合には、運輸省の方も個別的に申請者、事業所ごとに審査して認可するという方式をおとりになりますね。
  286. 熊代健

    説明員熊代健君) 先ほど申し上げたような段階にございます。したがいまして、仮定の問題には我々はお答えしたくないわけでございますが、我々としては、その第一審の判断あるいは相手方の言い分等につきまして、我々なりの反論をしておるところでございますし、行政方針として、我々としてはむしろタクシー事業の実態を少し御理解の仕方が少ないんではないかというふうに考えて目下やっておるところでございまして、一審の判決が確定したということに基づいた行政方針の今後のあり方等については、現段階では考えておりません。
  287. 抜山映子

    ○抜山映子君 多分そのようにお答えになると思っておりました。  実はタクシー運賃の値上げの際、各タクシーに乗りますと運転手さんが、我々は望んでいなくてこういうことになった、我々は収入が上がるわけじゃなくて、運賃の値上げによってかえって収入が減るというようなことも時々漏らされまして、その運賃も一括して申請するというようなことじゃおかしいんじゃないかというような運転手さんの批判があるということも申し添えておきたいと思います。  ところで、今度トピックを変えまして、道路の渋滞の問題についてお伺いしたいと思います。  これは警察庁からいただいた資料ですが、運輸省の地域交通局陸上技術安全管理課からの資料を警察庁を通じていただいた資料でございます。これによりますと、自動車の保有車両数、これが昭和六十一年十二月末で約五千二十七万台、端数を切り捨てて五千二十七万台でございます。一方、運転免許の保有者数、これは警察からいただいた資料ですが、昭和六十二年五月末現在で五千四百八十五万人でございます。そうしますと、運転免許を持っておる人がほとんど自分で車、あるいは二輪車かもしれませんけれども持っていると、こういうような状況でございます。したがいまして、その結果、道路の渋滞というのは年を追って大変な数で上昇してきているということが言えます。  ところで、この首都高速道路の交通渋滞に限って質問いたしますけれども、そもそも渋滞の概念はどういうことでしょうか。
  288. 橋口俊二

    説明員(橋口俊二君) 御質問にありましたように、渋滞の概念というのは非常に難しいわけでございまして、地域との相対性、相関というようなものもございますし、渋滞に対する対策をどうするかという観点から見た場合の渋滞というものもあるわけでございます。  私ども、現在東京都を例にとってみますと、特定の交差点で停滞している車列の長さと時間を渋滞というふうにとらえておりますが、首都高速道路におきましては、これは私の方から答弁をするのはちょっと筋違いかとも思いますけれども、伺っておりますところでは、首都高速道路は御存じのように交差点がございませんので、いわゆるのろのろ運転といいましょうか、走行速度が落ちた場合の渋滞長を時間でとりまして、何分以上継続しておるならば渋滞というようなとらえ方をしておるところでございまして、すべて全日本に通ずような渋滞の概念というのは現在のところはございません。
  289. 抜山映子

    ○抜山映子君 私が解説を伺った範囲では、速度が二十キロメートル以下ですね、車列の長さが一・五キロメートル以上連なって三十分以上経過した状態を渋滞と見た場合においてつくられた資料をいただいておりますが、これによりますと、五十七年を指数を一〇〇と見た場合に、五十八年は一〇二、五十九年は一二二、六十年は一四一、六十一年は一五四と、すさまじい勢いで渋滞が激しくなっております。この渋滞の解決のためには、管制センター、信号機、道路標識、いろいろ改善を加えていく面があると思いますけれども、どういうようにしてこの交通渋滞を解決するようにお考えになっていらっしゃいますか。
  290. 橋口俊二

    説明員(橋口俊二君) 私どもも現場を預かっておる関係上、それから道交法の目的にありますように、「円滑」ということは非常に気をつけておるわけでございますが、何しろ交通量に対しまして交通容量が少ないと、これは道路のさばきの量でございますが、そういうところが原因でございますので、できるだけ道路容量をふやすような方法をとりたいということで努力をしておるわけでございます。  警察といたしましては、置かれた状況のもとでやらざるを得ないということになりますが、先生今お話のございました首都高速道路につきましては、余り本線上に車を上げますと当然これは渋滞になりますので、ランプを閉鎖するというようなことが当面の対策になるわけでございます。それから一般道路につきましては、今御指摘なさいましたように、私どもとしましては、交差点の容量をふやすために信号機を系統化するとか、あるいは信号機を高度化すると。これは交通量に従いまして青の時間を延ばしたり縮めたりするというような感じのものでございますが、高度化し、あるいは特定の交差点だけを対策をとりましても周辺の問題がございますので、面的な交通管制ということで、交通管制センターの機能を拡充するとか、あるいは路面そのものの規制につきまして、右折を禁止するとか、あるいは導流帯をつくりますとか、そういうようなこと、あるいは速度規制についても、いろいろ問題がございますので、見直しをしたり、あるいは道路の交通を邪魔しております違法駐車の車両の排除とか、あるいは規制面でございませんで、交通情報板やラジオ放送等で運転者に対する情報を的確に提供する、そのほか標識を見やすくしまして、前方にどういう規制状況があるのかというようなことを明示するというような対策をとっておるところでございます。
  291. 抜山映子

    ○抜山映子君 道路交通の渋滞によってバスが走行速度が非常に低下している。そのために経営が悪化する。経営が悪化すると、今度はマイカーがはんらんするということで道路渋滞がますます激化する。こういう悪循環をなしているわけですけれども、これについてバスの有効な利用についてどういうように構想をお立てになっていらっしゃるんでしょうか。
  292. 橋口俊二

    説明員(橋口俊二君) バスは御存じのとおり路線が決まっておりますし、定時性というようなものも確保しなくちゃなりませんし、路側でお客さんの取り扱いをするということと大量にお客さんを輸送するということで、我々は公共性の非常に高い大量輸送機関であるという位置づけをしまして、複数車線のある道路におきましては、バスの専用レーンというようなものをつくったり、あるいは優先レーンというものをつくっております。これは御承知のとおり、専用レーンですとバス以外は通行できないという形にして、優先度の一番高い対策をとっておるところでございますが、道路状況が必ずしもそれにマッチしておらないところが多うございますので、最近はバス感知信号機というのをつけまして、バスを感知した場合には前方の信号機の青時間を延ばすと、あるいは赤であるならば赤を早く切るというような形の対策をとりまして、できるだけバスを優先させようということで対策をとっておるところでございます。
  293. 抜山映子

    ○抜山映子君 建設省の方にお伺いいたしますけれども道路の渋滞を根本的に解決しようと思うと、やはり道路の拡充と、こういうことになってくると思うんですけれども、高速道路ですね、これの重層構造事例を資料をいただきましたけれども、首都高速では、五号線が四・一キロメートル、九号線が一・一キロメートル、環状線が一・三キロメートル、横羽線〇・九キロメートル、三ツ沢線一・四キロメートルと、こういうように数字をいただきました。この道路の重層化、高速道路の重層化ということは、外国では比較的大胆に行われいるようですが、これをもっとトラスチックに進めるお考えはございませんか。
  294. 小林芳夫

    説明員(小林芳夫君) 渋滞の解消というものを道路の方から見てまいりますと、先生も御指摘いただきましたように、道路をもっと整備いたしまして交通容量を上げるということが抜本的な方策でございます。その際、都市部におきましては、用地の取得というような問題等から、御指摘のような重層化というようなことが行われているわけでございますが、広い意味で一般の街路の上に自動車専用道路が乗っているというような例は、皆さん御承知のようにこれは相当ございます。それから交差点の立体化なんというようなことも、用地の取得というような面から行われているわけじゃございませんけれども、ある意味の重層化というようなことだと思います。それで自動車専用道同士が重層化している例が今先生が御指摘いただいたとおりの延長でございますが、今後都市内の道路を整備していくにつきまして、こういった道路の重層化というようなものは非常に大きな課題になってまいろうかと思います。ただ、例えば現在の都市高速の上にさらに都市高速を乗せるというような、そういう抜本的な問題につきましては、例えば非常に交通が集中いたしまして、ランプのあたりで、ランプと申しますか、自動車が出入りするところでございますが、そういうところで非常に混雑が激しくなるとか、非常に自動車が集中いたしますから環境問題等が生じやすいというようなことですとか、それから車を通しながら道路をつくっていくというようなことが非常に難しいというようなこともございまして、抜本的に、今都市高速の上にもう一階都市高速をつくるというような、そういうふうに代表されるように重層化を進めるというようなことはかなり難しいと思いますが、しかし、用地の取得とかいうことから考えまして、かなりそういった複数の立体的な利用をするということは、今後の課題だというふうに考えております。
  295. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 他に御発言もないようですので、運輸省及び日本国有鉄道決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明十八日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十一分散会      —————・—————