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1987-06-04 第108回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年六月四日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  五月二十三日     辞任         補欠選任      鈴木 貞敏君     福田 幸弘君      本村 和喜君     斎藤栄三郎君  五月二十五日     辞任         補欠選任      青木 幹雄君     河本嘉久蔵君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         菅野 久光君     理 事                 石井 道子君                 大島 友治君                 鈴木 省吾君                 松尾 官平君                 梶原 敬義君                 田代富士男君     委 員                 井上  孝君                 沓掛 哲男君                 斎藤栄三郎君                 杉山 令肇君                 寺内 弘子君                 永野 茂門君                 福田 幸弘君                 真鍋 賢二君                 宮崎 秀樹君                 守住 有信君                 久保田真苗君                 佐藤 三吾君                 及川 順郎君                 片上 公人君                 刈田 貞子君                 佐藤 昭夫君                 橋本  敦君                 抜山 映子君    国務大臣        法 務 大 臣  遠藤  要君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員  葉梨 信行君        会委員長)    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総長       草場 良八君        最高裁判所事務        総局総務局長   山口  繁君        最高裁判所事務        総局経理局長   町田  顯君    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    法制局側        法 制 主 幹  新川 行雄君    説明員        内閣法制局総務        主幹       秋山  收君        警察庁警務局長  大堀太千男君        警察庁刑事局長  仁平 圀雄君        警察庁刑事局保        安部長      漆間 英治君        警察庁交通局長  内田 文夫君        警察庁警備局長  三島健二郎君        総務庁行政管理        局管理官     片岡  勒君        経済企画庁国民        生活局消費者行        政第二課長    吉田  博君        法務大臣官房司        法法制調査部長  清水  湛君        法務省民事局長  千種 秀夫君        法務省刑事局長  岡村 泰孝君        法務省人権擁護        局長       野崎 幸雄君        法務省入国管理        局長       小林 俊二君        外務大臣官房領        事移住部査証室        長        木村 光一君        国税庁直税部法        人税課長     瀧川 哲男君        文部省学術国際        局国際教育文化        課長       田原 昭之君        文部省学術国際        局留学生課長   雨宮  忠君        厚生省社会局生        活課長      矢野 朝水君        通商産業省産業        政策局消費経済        課長       北畠 多門君        労働大臣官房参        事官       坂根 俊孝君        労働省労働基準        局監督課長    松原 東樹君        建設省建設経済        局建設業課長   小野 邦久君        自治大臣官房長  持永 堯民君        自治省行政局選        挙部長      小笠原臣也君        自治省財政局長  矢野浩一郎君        会計検査院事務        総局第一局長   疋田 周朗君        会計検査院事務        総局第二局長   志田 和也君    参考人         公営企業金融公        庫総裁      近藤 隆之君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和五十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十九  年度政府関係機関決算書(第百四回国会内閣提  出)(継続案件) ○昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百四回国会内閣提出)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る五月二十三日、鈴木貞敏君及び本村和喜君が委員辞任され、その補欠として福田幸弘君及び斎藤栄三郎君が選任されました。  また、去る五月二十五日、青木幹雄君が委員辞任され、その補欠として河本嘉久蔵君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 昭和五十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、法務省裁判所自治省警察庁及び公営企業金融公庫決算について審査を行います。     ―――――――――――――
  4. 菅野久光

    委員長菅野久光君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  6. 菅野久光

    委員長菅野久光君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 梶原敬義

    梶原敬義君 昭和五十九年度会計検査院報告等を見てみましたが、自治省警察庁法務省裁判所等につきましては指摘事項がございませんでした。私は、これは大変結構なことだと思っております。  そこで、自治省警察庁にお伺いをいたしますが、交通反則金関係でございますが、いろいろと調べてみましたが、非常に難解でございまして、最初に反則金歳入歳出の流れ、これについて御報告お願いをいたします。
  8. 矢野浩一郎

    説明員矢野浩一郎君) お尋ねの御趣旨は、交通反則金と、それからこれを充てておりますところの交通安全対策交付金、この関係についてのお尋ねと存じますが、歳出の方で垂れております交通安全対策特別交付金は、これは交通安全施設整備の財源にいたしますために、道路交通法で定める交通反則金を原資として交付されるものでございます。毎年度交付金の額は交通反則金収入の額に応じまして交付決定をされる、こういう仕組みになっておるわけでございます。  具体的に申しますと、交通反則金収入があるわけでございますが、この収入の中に余裕金の運用に伴って生じた収益、利子も含めまして、これから必要な経費を差し引きまして、その差し引いた額が各年度交通安全対策特別交付金になると、こういうことでございます。  交通反則金は毎月入ってくるわけでございますが、実際の予算上の処理といたしましては交通安全対策交付金に充てる歳出の方は、毎年四月から二月までに入ってくるものと、それから前年度の三月分、これを加えたものを毎年度交付金として交付をする、こういう仕組みになっておりますから、実際に反則金が入ってまいります年度と、それからそれを交通安全対策交付金として配る年度との間にはずれがある、こういうことでございます。この辺は予算で、見込みで計上いたしておるわけでございますが、実際にはその額が、当然のことでございますが、食い違ってまいります。ただ、その額は常に翌年に送り、送られて、最終的には地方公共団体交通安全対策費に充当をされる、使われる、こういうことになるわけでございます。
  9. 梶原敬義

    梶原敬義君 反則金収入予算ですね、なかなかこれは難しいと思うんですが、毎年毎年予算の段階で何か基準にして積算をしているんだと思いますが、それは一体どういうようなやり方をされておるのか。  それから、昭和五十九年度歳入歳出の額、それから特にことしの四月から反則金が大体倍近く上がっておりますので、六十二年度反則金予算ですね、この二つについてお尋ねをいたします。
  10. 内田文夫

    説明員内田文夫君) 反則金歳入見込みでございますけれども、これは前年度のちょうどこの予算を編成をいたします四月から六月の時期におきます実際の告知件数、これをベースにいたしまして、その一件当たりの平均単価、ことしの場合は四月から反則金の額が上がりましたので、そのアップ率といいましょうか、そういうものを加味いたしましての歳入見込み額を計上しているわけでございまして、六十二年度反則金見込み額といたしましては千三十六億五千百五十四万五千円を計上いたしておるところでございます。
  11. 梶原敬義

    梶原敬義君 六十年ですね。それから六十二年。
  12. 内田文夫

    説明員内田文夫君) 今の六十二年でございまして、六十年は六百六十二億九千四百六十二万四千円を計上していたところでございます。
  13. 梶原敬義

    梶原敬義君 予算を組むわけですから、途中で交通違反の少ない場合、予算を下回るような状況というのは多々出てくるんではないかと思いますが、無理やりにその予算に合わせるような交通違反取り締まりというようなことを状況を見てやるようなことというのは、そういうようなことはまさかないだろうと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  14. 内田文夫

    説明員内田文夫君) 先ほど申し上げましたように、反則金歳入見込み額と申しますのは、その前年度反則金実績といいますか、納金実績を基礎として積算されておるわけでございまして、第一線において実際の交通指導取り締まりに当たりますのは交通の安全と円滑と、交通公害防止を図るという観点から、交通事故発生状況等を勘案して実際に取り締まりを行っておるわけでございまして、この交通指導取り締まり活動というものがこの歳入見込み額に拘束されるということは全くないわけでございまして、現実に六十年度、六十一年度も実際の歳入見込み額よりもこの反則金収納額がかなり下回っているということもあるわけでございます。
  15. 梶原敬義

    梶原敬義君 昭和五十九年度歳入歳出の結果、不用額というのが三億三千三百七十五万八百六十八円と、こう出てきておるんですが、この不用額というのは一体どのような処理をするものかお尋ねします。
  16. 矢野浩一郎

    説明員矢野浩一郎君) 五十九年度交通安全対策特別交付金勘定決算で発生いたしております不用額、御指摘のように三億三千万円余でございますが、このうち三億円は不測の事態に備えるためあらかじめ計上してあった予備費がそのまま不用額となったものでございます。また、残りの三千三百万円余は、これは通告書送付費支出金及び賠償償還及び払戻金の予算額に関して不用が生じたものでございます。地方団体交付される交通安全対策特別交付金についての不用額ということではございません。
  17. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは、そうすると国庫に返すとかそういうことではないわけですね、この額については。
  18. 矢野浩一郎

    説明員矢野浩一郎君) 反則金の中で必要経費を除いた残りは、これはすべて地方団体交通安全対策費のために交付するということになっておりますので、こういった不用が生じた場合には、翌年度における交通安全対策特別交付金の額としてさらに使用される、交付されると、こういうことでございます。
  19. 梶原敬義

    梶原敬義君 ということは、準備金の中に振り込むということですかね。
  20. 矢野浩一郎

    説明員矢野浩一郎君) 不用額として生じましたものは、翌年度歳入の中に加算をされるということでございますので、それが交付金として翌年度歳出として使用されると、こういうことでございます。
  21. 梶原敬義

    梶原敬義君 ちょっと私、そこのところを、五十九年度会計が六十年度にどうなっているか、そこをちょっと調べておりませんので、後日でも結構ですが、その分がどういうように処理をされておるのか教えていただきたいんです。  次に、反則金を各地方自治体に特別交付する場合の交付基準についてお尋ねをいたします。
  22. 矢野浩一郎

    説明員矢野浩一郎君) 交通安全対策特別交付金交付基準でございますが、昭和六十一年度まではこの交付金は各地方団体における交通事故件数と、それから人口集中地区人口二つ指標にいたしまして、前者すなわち交通事故件数ウエートを二、それから人口集中地区人口ウエートを一という割合で、これをそれぞれに総額をいわば案分比例の形で交付をするということにいたしておりました。なお、昭和六十二年度からは最近の情勢にかんがみまして、この要素のほかに新たに改良済み道路延長をこれに加える。すなわち、指標を三つにいたしまして、そしてその割合交通事故件数を二、人口集中地区人口を一、それから改良済み道路延長を一と、つまり二、一、一と、こういう割合計算をした割合を配分の基準として決定をしておるところでございます。
  23. 梶原敬義

    梶原敬義君 ありがとうございました。  次に、第三次交通安全施設整備計画では、交付金が支出される単独事業予算は千九百億円と聞いておりますが、それが六十一年度から発足した第四次整備計画では千三百五十億円というんで、五百五十億円減額をされておりますが、少しこの辺がわかりませんので、第三次、第四次、これらの比較についてわかるように説明お願いをいたします。
  24. 内田文夫

    説明員内田文夫君) この安全施設整備計画で行います事業には、国が二分の一を補助いたしまして行う特定事業と申しておりますが、それと都道府県でいわゆる単独事業として行います事業があるわけでございまして、今、先生のお示しになりました数字は国の補助で行う事業、国の予算の方でございまして、これは第三次計画では計画額が千九百億円だったのが第四次計画では計画額が千三百五十億円ということで五百五十億円の減額となっているところでございます。しかし、地方での単独で行います事業は第三次の整備計画で三千五十億円であったのが、第四次五カ年計画では三千六百八十億円ということで六百三十億円の増額となっているところでございまして、この理由は、第四次五カ年計画をつくるに当たりまして特定事業地方単独事業事業区分の見直しを行いまして、従来特定事業で実施しておりました信号機の新設とかあるいは可変標識、それから固定の大型標識等地方単独事業で行うように変更をしたということでございまして、これによりまして地方の実情に沿った事業ができるものと理解をしているところでございます。
  25. 梶原敬義

    梶原敬義君 ありがとうございました。  会計検査院お尋ねしますけど、反則金使途につきましては、大体今お話がありましたように、歳入歳出関係がずっと出ておりますが、これまで反則金歳入歳出検査をされたことがあるかどうか。直近状況についてわかれば御報告お願い申し上げます。
  26. 疋田周朗

    説明員疋田周朗君) お答えいたします。  交通安全対策特別交付金は、先生御承知のとおり、交通安全施設整備に要する費用に使用されるものでございまして、私ども会計検査院といたしましても、従来から自治省所管の他の補助金等と同様にその使い道が法令等に適合したものとなっているかどうか、そういった点につきまして検査を実施してきているところでございます。特に昭和五十三、五十四両年度分につきましては、この制度が発足後十年を経過したというようなこともございましたので、可能な限り精力を投入いたしまして重点的な検査を実施してきたというような経緯がございます。
  27. 梶原敬義

    梶原敬義君 新しい最近のそこら辺のその検査、まあできれば私は一度よく直近でやってもらいたいなと、こう思う節があるんでございます。  次に移りますが、私は今これは昭和六十二年四月三十日の朝日新聞の切り抜きを持ってきておりますが、ちょっと大きな見出しだけ読んでみますと、「反則キップ支払いお任せ」、「少ない入会金会費で一年間に何回でも保証」、「代行業者が大はやり」、「警察庁、止まれとも言えず」、「取り締まる法なし」と。こういう状況というのは御存じだろうと思いますが、実態は一体どうなっているのか、警察庁お尋ねいたします。
  28. 内田文夫

    説明員内田文夫君) こういったものは、我々といたしましては、交通違反を助長することにもなりかねないということで、好ましくないものと考えておるわけでございまして、いろいろと法令検討も行ってきておるわけでございますが、現在これを直接規制する法令はないということでございます。  この実態でございますけれども、現在私の方で把握いたしておりますのは、全国で二十四社、支店等の数で百十支店ということで把握をいたしております。
  29. 梶原敬義

    梶原敬義君 法務大臣お尋ねしますけど、これは反則金というのは、やっぱり罰金を払うことによって交通違反を繰り返さないと、こういう精神が秘められておるわけでございますが、この反則切符支払い代行業者が、今お話がありましたように全国で二十四社、百十支店、さらにまた拡大しそうな傾向でありますが、法務大臣としてはこの点についていかにお考えか、お尋ねします。
  30. 遠藤要

    国務大臣遠藤要君) 先生指摘の点については、端的に申し上げると、法務大臣としては好ましくないと、このようなお答えを申し上げておきたいと思います。
  31. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは商売の方法としては保険業法に当たるのか当たらないのか、その点は一体いかがでしょうか。  それから、法務省にまたお尋ねしますが、反則金支払い代行業目的とした会社設立登記申請があった場合、一体それを法務省としては受理をするのかしないのか。既に今まで登記をしているこういうものは好ましくない、こういうことでございますから、何らかの対応を考えていただかなければいけないと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
  32. 千種秀夫

    説明員千種秀夫君) 会社設立登記申請に関する手続について若干申し上げますが、交通反則金支払い代行業というようなことを会社目的として申請してきた場合のことでございますが、現在ではその内容がよくわからないので具体性がないということで、申請を受理しないような取り扱いをしております。しかし、これは会社設立登記手続に関する問題でございまして、中身についての判断は必ずしもしているわけではございません。というのは、その手続が、同一管内で同じ商号の同じ目的会社があっては紛らわしいので、目的は具体的に書くようにということになっておりまして、その内容がはっきりしないようなものは受理しない、こういう手続的な理由でこれを拒否しているわけでございます。しかし、具体的に反則金をてん補する補償というようなことを目的に書いてきたものの中には既に受理してしまったものもあると、こういうのが実態でございます。  これを一体今後どうするかということが一つの問題でございますが、登記所手続というものは窓口の現場で登記官判断をして受理するかしないかということなものでございますから、基準が非常に明確に法令違反と、こういうことになっておりませんと、好ましくないということで拒否するわけにはなかなかまいらないわけでございます。そこで、これを禁止する法律があるとか、そういうことになりますと、これは門前で却下できるわけでございます。そういうことで、現在は、それは好ましくないのですが、中身が、実態がどういうことであるかということが必ずしも十分把握されておりませんので、これは公序良俗に反して無効であるというようなことまで結論が出ておりません。なお検討を今続けておるわけでございます。もしこれが公序良俗違反になるということになりますと、これは登記事項は無効であるということで却下の理由になりますし、またこれを受理したものについても抹消する手続が考えられると思います。
  33. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは新聞記事によりますと、東京八王子のこの業者は、入会金二千円、年会費六千円を納めれば、何回反則金を払ってもオーケーだと、こういうこと。しかし業界から、この種の商売から見ますと非常にうまみのある商売のようでございまして、反則金支払い実績は全会員の一二%。だから、四月から反則金が二倍前後引き上がってもこれは相当採算がとれる商売だと、こういうこと。これが事実とすれば、こういうおもしろい、もうかる商売はないわけですから、どんどん膨らんできますから、これは早目早目対応をされるように要望して、次に移ります。  次に、交通安全協会についてお尋ねしますが、財団法人全日本交通安全協会都道府県交通安全協会のそれぞれの性格、両者の性格の違い、そういう点について。
  34. 内田文夫

    説明員内田文夫君) 財団法人全日本交通安全協会並びに各都道府県にございます都道府県交通安全協会、ともに交通事故防止を図るために交通道徳普及高揚を図って、交通秩序の確立それから交通安全の実現に寄与しようということを目的といたしております民間団体でございまして、目的はともに同じでございます。ただ、全国的に規模を有するものが財団法人全日本交通安全協会であり、都道府県単位のものが各都道府県交通安全協会と、こういうことでございまして、この全日本交通安全協会都道府県のそれぞれの安全協会を主たる構成員とする団体でございます。  一方、各都道府県にあります交通安全協会につきましては、警察署単位にあります地区安全協会その他の都道府県単位交通関係団体等会員といたしまして、社団法人あるいは財団法人となっておる団体でございます。
  35. 梶原敬義

    梶原敬義君 全日本交通安全協会には警察庁退職者、OBの皆さんが昭和五十八年十四、五十九年十四、六十年十五、六十一年十四、六十二年十五。それから都道府県交通安全協会が、これも警察庁からいただいた数字です、五十九年八月現在二千百五十五、六十年十月現在二千四百三、六十一年八月現在二千八百四十名、この数字は間違いございませんか。
  36. 内田文夫

    説明員内田文夫君) 間違いございません。
  37. 梶原敬義

    梶原敬義君 それから、財団法人全日本交通安全協会に対する国の一般予算から出ております委託費についてお尋ねしますが、昭和五十九年で言いますと幾らでございますか。
  38. 内田文夫

    説明員内田文夫君) 八百十二万九千円でございます。
  39. 梶原敬義

    梶原敬義君 ちょっとその使途について、あらましで結構でございますが御報告お願いいたします。
  40. 内田文夫

    説明員内田文夫君) これの使っております中身といたしまして、四つの項目に分かれるわけでございますが、一つ交通安全国民総ぐるみ運動中央大会開催費ということで、これは毎年一月に東京で行われているものでございます。  それから第二点目が、自転車の安全な乗り方教室、これの指導者全国から集めまして講習をやっている講習会費でございます。それから三番目が、安全運転教育推進に必要な経費ということで、これは各都道府県で更新時講習等を行っておりまして、その講師を集めてこれの指導を行っておる経費でございます。それから四番目が、交通安全教育用資料費ということで、これも今申しましたような更新時講習とかそういった講習のときの教育用の資料等を作成をしておる経費でございます。
  41. 梶原敬義

    梶原敬義君 全日本交通安全協会は、各種の事業をされて交通安全の啓蒙、啓発、宣伝、その他安全にかかわる事業をずっとやられておりまして、私どもとしては本当に有意義なことをやっておられると思いますが、先ほど十四名警察庁から人も出ておりますから、あるいは国の委託費関係もありまして、できれば財団法人全日本交通安全協会の経理の関係が一体どうなっているのか、私はこれは出していただくようにお願いをしたんですが、安全協会とすれば警察庁の了解を得ればと、警察庁安全協会がどう言うかということでキャッチボールがあったようでございまして、ついにいただけませんでした。できればその後、どういうような寄附やどういうところから会費が入って賄われておるか、こんなことは国民に明らかにしても何ら差し支えないことだと思うんですが、この点いかがでしょうか。
  42. 内田文夫

    説明員内田文夫君) 全日本交通安全協会の例えば六十年度決算を見てみますと、一般会計と特別会計があるわけでございますが、一般会計の方の収入は約五億一千二百万でございまして、これはこの会員になっております各都道府県安全協会からの会費収入、それからただいま申しました警察庁からの委託金、それから運輸省からの補助金等でございます。  それで、支出の部を見てみますと、決算額は約四億五千七百万でございまして、これは国民の交通安全意識を高めるためのいろいろな啓発活動、あるいは交通ルールの定着化を図るための宣伝費だとか、交通安全管理指導者だとかいった者に対する講習、あるいは企業の安全管理者に対しますいろいろな施策、あるいは交通安全子供自転車大会の開催等、そういった事業に使っておるところでございます。  それからもう一つ事業会計がございますけれども、こちらの方は教材とかそういったものの製作、頒布をいたしておるわけでございまして、これの会計収入、支出とも約三十八億円、こういうことでございます。
  43. 梶原敬義

    梶原敬義君 私が聞いておりましたのは、委託費という形で国の予算からは出ているということを聞いておったんですが、今のお話では運輸省から補助金が出ているようなお話でしたが、間違いございませんか。
  44. 内田文夫

    説明員内田文夫君) 間違いございません。
  45. 梶原敬義

    梶原敬義君 それなら、補助金が出ているものを国会で、中を我々がこうして決算委員会で見るのに資料を出されないという理由はどういうことでしょうか。
  46. 内田文夫

    説明員内田文夫君) 特に内容の問題でなしに、こういった法人につきまして、警察庁といたしましてはこれを監督をするといいましょうか、そういった観点からいろいろな予算決算を含めまして、業務計画書、そういうところの報告を受けているところでございますが、これはこのものを一般的にこういった団体の公表といいましょうか、積極的にしてはいないんだと思います。  ただ、各都道府県会員、そういう者にはそういった資料はかなりの量を予算書、決算書等も配っているわけで、特にこれを公表しないと、こういうものではない、こう思っているところでございます。
  47. 梶原敬義

    梶原敬義君 同じような内容でこの決算委員会で、私は日本柔道連盟と講道館が非常に一体感がありまして、その辺の決算書類は一体どうなっているのか調べたことがあるんです。当初文部省も、今言われましたようになかなか出しませんでしたが、結局補助金が出ている、それをずっと突き詰めていったら出さざるを得なくなって、今、日本柔道連盟と学生柔道連盟の統一の協議会が進められておりますが、私は当然補助金が出ているものを国会に提出をしないというのは理由がないと思うんです。会計検査院、その辺については検査院も、補助金が出ているんだから、委託費じゃなくて補助金が出ているものについては肩越しになりますか、検査をする必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
  48. 疋田周朗

    説明員疋田周朗君) 私ども会計検査院といたしましては、先生御承知のとおり会計検査院法というのがございまして、国から補助金が交付されている団体なり個人につきましては、必要に応じて検査できるという規定がございます。ケース・バイ・ケースでいろいろ私ども検査の必要が生じたと考えられる場合には検査いたすということになっております。以上でございます。
  49. 梶原敬義

    梶原敬義君 警察庁、いいでしょう、その内容は後日で結構ですが、いただいて。
  50. 内田文夫

    説明員内田文夫君) 検討さしていただきます。
  51. 梶原敬義

    梶原敬義君 検討してどうするのですか、いつまでどういう検討をするんですか。
  52. 内田文夫

    説明員内田文夫君) 例えば、運輸省の補助事業関係ではこれは特別会計で、これまた別途経理をいたしておるところでございまして、そういう特別会計につきましては補助金をいただいているということでございますので、これは安全協会等ともこれからちょっと連絡をとって検討さしていただきたいと思います。
  53. 梶原敬義

    梶原敬義君 七月の二、三日が本院の決算委員会の総括質問ですから、五十九年度決算が終わるまでに私としては資料を出していただきますように要請をいたしまして次に移ります。  福岡県の苅田町の事件でございますが、ついでに警察庁に先にお尋ねしますが、私もつい一昨日ですか、北九州にも行ってまいりまして、いろんな北九州の皆さんのお話も聞いたんですが、地域住民は、尾形町政八年間のいろんな問題というのを機会あるごとに福岡県警や、あるいは地域の警察署等にいろんな苦情といいますか、問題があるんじゃないかと、こういうようなことをずっと繰り返しやってきているように仄聞をいたしましたが、東京地検が九州のあそこまで入る前に福岡県警は一体何をしておったのか、問題じゃないか。警察庁、この点どうお考えでしょうか。
  54. 仁平圀雄

    説明員(仁平圀雄君) 先生お尋ねの事件につきましては、福岡県警察におきましても、それまでに必要な情報収集を行うなど、事実関係の把握に努めてきておったわけでございます。しかしその後、御承知のように、苅田町関係者から東京地検の方に告発がなされました。同地検が捜査に着手されたということで、同一事件に対しまして捜査が競合するということを避けるという意味合いから、現在警察といたしましては検察庁における捜査の推移を見守ることにいたしておるところでございます。
  55. 梶原敬義

    梶原敬義君 私は、福岡県警がやっぱり手ぬるい、これまで手ぬるかった。この点だけはどうしても指摘をしておかなければいけないと、みんなそう思っておるんですからね、地域住民、県民は。この点については警察庁としても深く反省をしていただかねばならないと思います。  自治省お尋ねをいたしますが、苅田町の住民税の不正操作の疑惑についての告発は、だれが、いつ、どういう内容でされたのか、その点について詳しくお尋ねをしたいと思います。
  56. 岡村泰孝

    説明員(岡村泰孝君) お尋ねの件でございますが、本年の四月に苅田町長から東京地検に対しまして告発がございました。告発の内容は、苅田町の収入役をいたしておりました花房という者が、昭和五十七年から六十年ごろまでの間、多数回にわたりまして保管中の公金、合計数千万円を着服したという疑いがあるというものでございます。
  57. 梶原敬義

    梶原敬義君 その件につきまして、もういろいろとマスコミで出ておりますが、二日の日ですか、東京地検が再び二度目の福岡県入りをしたと、こういう新聞記事が出ておりますが、その後の福岡入りをした捜査の状況を、できればここで明らかにしていただきたいと思います。
  58. 岡村泰孝

    説明員(岡村泰孝君) 現在、本件につきましては捜査中でございますので、具体的な事柄につきましては申し上げかねるところでございます。
  59. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうしますと、捜査の時期といいますか、今捜査中だと、これはいつまでも時間かけりゃいいというものではないんですが、どのように捜査を進めていこうかと、捜査の方針についてお尋ねします。
  60. 岡村泰孝

    説明員(岡村泰孝君) 捜査の方針といたしましては、一般的に申し上げまして告訴、告発を受ければ、そういう事実があるのかどうかという事案の真相の解明に努めるということでございまして、本件につきましてもそういう観点から捜査をいたしておるところでございます。
  61. 梶原敬義

    梶原敬義君 それでは、なかなかそれ以上の答えが出てこないと思いますが、花房収入役が、尾形町長が三選を果たした六十年七月の町長選の前後三回にわたり、尾形現代議士の指示で千五百万円、二千万円、千五百万円を口座から引き出して渡したと、こういう供述をしているというような新聞記事が出ておりますが、この点については、そのように供述としては事実関係はそうだと、こういう受けとめ方を我々としてはしていいわけですね。
  62. 岡村泰孝

    説明員(岡村泰孝君) 新聞等におきまして、いろいろ報道されておりますことは承知いたしておるところでございますが、その報道の内容が事実かどうかということを含めまして、現在捜査中でございますので、具体的な事柄につきましては申し上げかねるところでございます。
  63. 梶原敬義

    梶原敬義君 これ以上なかなかついても出てこないと思いますが、特に警察庁、最近は地方自治体を舞台にした汚職事件というのが非常に頻発をしております。低成長になりまして公共事業予算も減り、その他民間の土木建築工事も減ったような状況の中で、数少ない公共事業をねらって、そして業者がわいろを持ちかけてやるというような傾向が、私はここのところ非常に強まってきているような気がしてなりませんが、私も幾つかそんなことをやっぱり帰れば地方で耳にするんですが、こういう傾向について一体どうお考えか、これに対してどのような対処をすべきか、この点についてお尋ねします。
  64. 仁平圀雄

    説明員(仁平圀雄君) 最近の汚職事件の傾向といたしまして、自治体汚職、御指摘のように自治体の市長をめぐる汚職事件、あるいは自治体の議長等の選任をめぐる汚職事件等が多発しているところでございます。年間百件を超える検挙をいたしておるところでございまして、そういうことからそういった事案の捜査につきましては第一線を指導、督励いたしているところでございます。  それから先ほどの福岡の苅田町事件の警察の捜査の問題につきましては、ちょっと御指摘がございましたのであわせて御答弁させていただきたいと思いますが、現在全国の警察の中で福岡県警のこの種事件の検挙実績というのは最高でございまして、積極的に捜査をやっているところでございますので、福岡県警の名誉のために答弁させていただいたわけで、よろしく御了承いただきたいと思います。
  65. 梶原敬義

    梶原敬義君 私も隣県の大分県ですから、九州の福岡がこんな次々にまた問題を起こしておりまして、いいことではないんですが、ぜひ悪の根を思い切って絶っていただくように、さらに全力を挙げていただきたいと思います。  法務大臣お尋ねしますけれども、苅田町の不正捜査の問題というのは、これは国会議員が絡む問題でありまして大変重要な問題でございます。しかし、ここは東京地検特捜部が非常に積極的に勇気を出して悪い人間は眠らせないと、こういうことで事実関係を中心に今頑張っておられますが、この捜査については法務大臣としても決意を固めて事実関係をはっきりしていただきたいと思いますが、大臣の決意はいかがでしょう。
  66. 遠藤要

    国務大臣遠藤要君) 梶原先生お尋ね、よく理解をしておるわけですが、もっと真相をお話しすればいいんだろうけれども、刑事局長はさきの法務委員会でもただいまお答えしたようなことで一時間ほど押し問答がそのとおりで終わったというようなことで、今捜査のさなかでございますので、その点は刑事局長の気持ちをひとつ御了察願っておきたいと思います。  ただいま先生のこの問題について法務大臣としての考えはどうかということでございますが、この告発の問題の内容は事税金の問題でございます。そのような点を考えるとき、国民の納税思想に対する影響等も考えていかなければなりません。やはり日本の民主主義社会を守り抜くということには、こういうような点がもっとすっきりさせておかなければならないという点を私は深く感じておりまして、今、捜査当局としてはこの解明に一生懸命に努力しておる、こう承知をいたしておる、刑罰に触れる点がございますれば厳正な処理をすると承知をいたしておりますので、御了承願いたいと思います。
  67. 梶原敬義

    梶原敬義君 自治大臣にお尋ねしますけれども、こうして住民税を裏帳簿をつくって、そしてそれをしかも選挙絡みに使うというような疑惑でございまして、想像ができないんでございますけれども、しかし、一連の、昨今の自治体の汚職の問題というのは、今警察庁からもお話がありましたように、次々に出ているわけですね。全く地方自治のことだから、自治大臣、おれは知らないというわけにはいかない。どのような考えでこれから自治大臣としては対処をしようとしているのか、決意をお伺いして次に移りたいと思います。
  68. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) ただいま捜査中のこの苅田町の事件につきましては、予想外というか、もう想像もできない案件でございまして、それが事実であるとすれば言語道断である、このように考えております。  ただいま法務大臣からも御答弁ありましたように、国民の納税思想にも重大な悪影響を及ぼす事件であると考えますので、厳正な捜査を行い、真相を解明してもらいたいと考えているところでございます。
  69. 梶原敬義

    梶原敬義君 地元で百条委員会をつくってやろうとしても、本人が出てこないというような状況ですね。やっぱりそういう面では、百条委員会や何かというのは自治省の管轄だと思うんですが、もう少し自治省東京地検、法務省警察庁に任せるんじゃなくて、自治省で疑惑解明にできることがあれば自治省としてもっと積極的に指導をすべきではないかと思うんですが、その点を私は聞きたかったわけです。
  70. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 刑事事件としての捜査のほかに、地方自治という観点から法律的に決められております対応方法につきましては、ただいまの百条委員会等十分にその機能が発揮できるように指導してまいりたいと考えております。
  71. 梶原敬義

    梶原敬義君 ありがとうございました。ぜひ百条委員会も現地で機能ができるように指導を強めていただきたいと思います。  それで、次に朝日新聞の阪神支局襲撃事件についてでございますが、鋭意警察庁も百五十人の専従態勢をとって犯人逮捕、割り出しに向けて努力をされておられるようでございますが、一体、今どうなっているのか、捜査状況が。この点についてお尋ねをします。
  72. 仁平圀雄

    説明員(仁平圀雄君) 地元の兵庫県警察に捜査本部を設置して捜査しているわけでございますが、この捜査本部を中心にいたしまして、全国警察の捜査力を結集いたしまして、現在も引き続き現場を中心とした地取り捜査を初めとして、犯行動機に関する捜査、それから銃器弾丸に関する捜査、さらに犯行声明にかかわる捜査等を中心に鋭意捜査を進めているところでございます。  捜査はそれなりに進展しているわけでございますが、具体的な捜査の内容につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  73. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは言論の自由に対する挑発でありますし、本当に何としても、どんなことをしても私は、総力を挙げて犯人の逮捕をしていただかねばいけないと思うんです。  散弾銃の関係でいろいろと調査を進めておられるようでございますが、新聞や何かを見まして唖然としたんですが、散弾銃の盗難件数が非常に多い。こういう状況については、全体で散弾銃の盗難状況が一体どうなっているのか、当該の、皆さんが今推定をしておりますレミントン社の、日邦工業がつくったと思われる銃の関係は一体どのようになっているのか、この点についてお願いします。
  74. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 昭和五十二年から昭和六十一年までの十年間における盗難にかかわる所在不明の猟銃の累計は三百五十五丁でございます。この同じ時期に発見されました銃が百五十四丁ございますので、この間、十年間未回収の数は二百一丁ということになります。さらに、この期間に盗難に遭いました散弾銃に絞りますと、累計が三百四十三丁、回収が百四十九丁でありますので、未回収の数が百九十四丁ということになります。なお、散弾銃につきましては銃種別ごとの統計はとっておりませんので、今問題になっておりますような十二番口径の盗難にかかった丁数は明らかでございませんけれども、所持許可を受けている散弾銃のうち十二番口径の散弾銃の占める比率が八六・五%でございますので、これを当てはめてみますと大体百六十八丁程度ではないかというように考えております。
  75. 仁平圀雄

    説明員(仁平圀雄君) 御質問の弾の関係でございますが、現場に遺留されておりました散弾粒は規格上七・五号弾ということははっきりいたしておるわけでございますが、その製造元がどこであるかといった点につきましてはいまだ断定するには至っておらないところでございます。
  76. 梶原敬義

    梶原敬義君 今大体十二番口径の盗難銃というのが百六十八丁ぐらいと推測をされましたが、これをずうっと一丁ごとに、いつどれがなくなったかというのは、多分この捜査、調査を今していると思うんですが、ほとんどこの百六十八丁についてはいつの段階でどういう盗難に遭ったかというのはもう割り出しされておるんですかね。
  77. 仁平圀雄

    説明員(仁平圀雄君) 本件犯行に使用されました猟銃が、果たして盗難銃とか所在不明銃であるるかどうかということはわからないわけでございます。正規に所持許可を得ている猟銃が使用されているという可能性もあるわけでございますが、しかし常識的に見まして盗難銃等が犯行に使用される可能性が強いということから、全国的にその調査は今指示いたしておるところでございます。ただ、個々に具体的なケースとして、今御指摘のような状況まで、状況をどれだけ解明しているかということは掌握いたしておりません。
  78. 梶原敬義

    梶原敬義君 いろいろと車の関係とか、新聞で毎日毎日捜査状況が載っておりますが、私はやっぱりこの種の問題は、国民あるいは地域住民が一体どれだけ協力するかということに大きなウエートがかかると思うんですね。兵庫県の県警というのは、余り言っていいかどうかわかりませんが、福岡の話もさっき出ましたが、いろいろ兵庫県警というのは問題があるところで、暴力団も鉄砲をどんどん撃つし、なかなか住民も警察に対する信頼感というのか、これはやっぱり薄れているんではないかと。もうちょっと気合いを入れて、特に兵庫県についてはグリコ・森永事件の問題も出ましたように、どうもあっちの方が悪いような気がしてなりませんが、もうちょっとぴしっと一本筋を入れるようなことはできぬのですかね。いかがでしょうか。
  79. 仁平圀雄

    説明員(仁平圀雄君) 実は先月二十七日にも私も現地に出向きまして、関係府県を集めまして捜査会議を開催してきたわけでございますが、御指摘のような心配はございませんで、大変士気旺盛に取り組んでいるところでございます。  また、先生指摘のように、捜査活動におきまして一般市民の協力を得なけりゃならぬということは、捜査上大変重要なことでございますので、個々の捜査活動におきまして、捜査に当たる捜査員が熱意と努力を持って市民に接しまして、捜査協力をいただくということで進めてまいりたい。捜査の秘密との兼ね合いもございますが、できる限り積極的な広報活動も行いまして、この事件に対する市民の関心を喚起し、協力を得ながらといいますか、協力をいただいて捜査を進めてまいりたいと考えております。
  80. 梶原敬義

    梶原敬義君 ぜひ頑張ってください。  次に移ります。  法務省、私はここに一つの新聞の切り抜きを持ってきておりますが、各社とも出ておりましたが、今持っているのは毎日新聞ですが、JR東海で「社員研修で〝殺人ゲーム〟「人権無視」に急ぎ中止」と、こういう見出しで出ておるんで、ちょっと読んでみますと、「世界中が放射能に汚染された。しかし十人のうち三人は核シェルターに入れない。どの職業、立場の三人を犠牲にするか、決めて下さい」というような、JR東海の社員の研修で問題が出たようでございます。これはテレビにも出ております。一体「十人の中から「どの人が外に出るべきでしょうか」」ということで、十人のうちには、弁護士と弁護士の奥さん――この人は妊娠六カ月。それから教養学部の女子学生、十八歳。プロ野球の選手、二十五歳。中堅の女優、四十歳。東南アジアから留学している医学生、三十歳。有名な小説家、六十七歳。大企業の管理者、五十四歳。牧師、七十歳。武装した警察官、四十五歳。これで何かをやっぱり社員教育に当てようとしたんですが、人権無視も甚だしいし、そういう意味で法務大臣、これ一体どういうことでしょうか。しかも、JR東海というのはこの前まで国鉄でして、まだ国の資本が入っておるんですが、これはどういうことですか。この点について、私は状況、事情をやっぱり調査をして、人権擁護の観点からも対処していただきたいんですが、いかがでしょうか。
  81. 野崎幸雄

    説明員(野崎幸雄君) ただいま御指摘の事案につきましては、私どもまだ事実関係を承知しておりませんが、一体どういう研修で、そういった教材がどういう趣旨で使われたかということにつきまして、早速所管局を通じて調査をしてみたい、かように考えておるところでございます。
  82. 梶原敬義

    梶原敬義君 大臣ですね、一言でいいんですが、やっぱりこれは問題だとあなたは判断されているのかどうか。そして、問題だと思われるなら、やっぱり何らかのアクションをとるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  83. 遠藤要

    国務大臣遠藤要君) ただいま人権擁護局長がお答えしたように、事実関係を調査して厳正な対処をしたいと、かように考えております。
  84. 梶原敬義

    梶原敬義君 法務大臣、事実関係をとらえると言ったって、新聞にも出てテレビにも出て、もう何日もたっておるんですからね。きのうも私も夜、法務省の方にもこういう内容については御通知申し上げておりましたから、事実関係の調査というだけではなくて、やっぱり問題だと。大臣、問題だと思いませんか。いかがですか。
  85. 遠藤要

    国務大臣遠藤要君) まだその新聞の方は全然承知しておらないのですが、今先生お話のとおりだとすると、これは大変ゲームにしろ最も悪質な方法じゃないかなと、社会的にも大きな問題にはなるなという感じがしますので、とにかく事実関係を究明して対処したいということで御了承願いたいと思います。
  86. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に移ります。  簡易裁判所の統廃合問題についてお尋ねをいたしますが、私の地元も三カ所簡易裁判所がなくなりそうでございますが、裁判を受ける権利、あるいは民事の調停等簡易裁判所がなくなると地域住民は大変困るわけでございますが、一体どういうような観点からこういう方向で進んでおられるのか最初にお伺いします。
  87. 山口繁

    最高裁判所長官代理者(山口繁君) 現在、国会で御審議をお願いいたしております簡易裁判所の整理統合に関する法律案でございますが、私どもがこの問題を提起いたしましたのは、委員よく御承知のとおり簡易裁判所は戦後の昭和二十二年に設置されたわけでございます。それ以来今日まで四十年間、大きな社会事情の変動はございましたけれども、簡易裁判所の配置はそのままの状態で今日に至っているわけでございます。その結果、簡易裁判所の運営上いろいろな無理、むら、ひずみというようなものが生じてまいっております。地方の簡易裁判所に参りますと、非常に利用度が少なくなっておる。他面、交通事情は飛躍的に向上しているわけでございまして、そういう状況を勘案いたしまして、簡易裁判所の配置を現在の社会の実情に適応させるようにその配置の見直しをしなければならないと、こういう観点から簡易裁判所の適正配置を考えたわけでございます。  確かに、御指摘のように、簡易裁判所を廃止いたしますと、従来の簡易裁判所を利用されていた方々は少し足を伸ばしていただいて、統合先の簡易裁判所を利用していただかなければならないわけでございますが、現在の統合の対象になっております簡易裁判所は非常に事件数も少のうございますから、簡易裁判所の判事も配置していない、こういう状況でございます。したがいまして、月一回あるいは二回、あるいは週に一回、裁判官が来るのをお待ちいただかなきゃならない。ところが、統合先の裁判所でございますと、裁判官は常駐いたしておりますし、人的、物的な設備にも恵まれております。そういうところを御利用いただくことによって、むしろ裁判を受ける権利をより充実させることにしたいというような観点から、今回の適正配置を考えているところでございます。
  88. 梶原敬義

    梶原敬義君 もう時間が来ましたからやめますが、国民が裁判を受ける権利をより充実をすると言われましたけれども、もう民事にしても我々も裁判にいろいろ立ち会ったことがあるんですが時間がかかってしようがない。途中から裁判官が変わりましてそしてまたやり直し、いろんな手を打たなきゃいけない、そういう状況なんですね。それでこの簡易裁判所を統廃合する場合に約二千億ぐらいの経費節減になる。しからばそういうことで裁判官や一般職員やあるいは簡易裁判所の判事についてもそんなに数がふえるようなことではないということになりますと、今言われたような理由プラスもう行革、二つのねらいがあるような感じがしてなりません。どうかそういう意味では今時間がかかっております裁判がもっとスピードアップできるように、ここでそんなに金が浮くんなら、もっと本格的に裁判官の人員要求や職員の人員要求をして、それの方が先だと私はそう思うのですが要望して終わります。
  89. 久保田真苗

    久保田真苗君 私はいわゆるじゃぱゆきさんの問題をまず取り上げたいと思います。これはもう既に報道にも大分取り上げられましたしニューヨーク・タイムズなど海外の雑誌にも出たりしまして、かなり社会問題としての認識があるものでございます。国会でも取り上げられております。私はきょう幾つかの問題に絞りましてもう少しお伺いしたいと思います。  それでこのいわゆるじゃぱゆきさん、不法就労に従事する外国人につきましては最近の動向について法務省の入管局の発表資料などから見ますと、非常にここのところウナギ登りにふえているということでございますね。初めで六十一年度に一万件を突破するという入管法の違反事件がございまして、これが最近非常にフィリピンが著しい増勢傾向を続けているということでございます。また男性の出稼ぎ者がふえているということでございます。何しろこの急激な円高でございますから、こういうものが影響いたしましてぜひ日本に行って有利な賃金を得たいと望む、そういう出稼ぎ圧力というのは非常に強いと思いますけれども、まずお伺いしたいのはなぜフィリピンが最近急増しているのか、どんな実態なのか、そこのところをどうごらんになっているかを法務省にお伺いいたします。
  90. 小林俊二

    説明員(小林俊二君) 近年いわゆるじゃぱゆきさんと呼ばれる不法就労者が増加している背景には、先生指摘のように急激な円高ということがあると思われます。日本へ行くと言って稼ぐことが自国の通貨に対比して非常に効率的であるという問題が出てきたわけでございますが、その前に七三年の石油ショック以降の世界的な景気停滞の中で、それまで東南アジア諸国から出稼ぎ者を大量に吸収していた中近東石油産出諸国における景気が、非常な落ち込みを見せて多くの者が職を失った。そして本国に還流せざるを得なかったという事情もあろうかと思います。  それから最近数年間における急激な増大、この増大の中には女性のみならず男性がふえているという御指摘のとおりの傾向があるわけでございますが、その増大の背後には送り出し国内部及び受け入れ国たる日本内部におきます送り出し、受け入れのブローカーあるいはあっせん業者といった者の活動が非常に目に見えて組織化されてきておる、その体制が整ってきておるということが、この急激な増大の背後にあるというふうに考える必要があろうかと思います。特にその中でなぜフィリピンが多いのかということにつきましては、これは女性の場合におきましてはそれまで中近東に出稼ぎに行っていたイスラム諸国につきましても同じことでございますが、男性が社会的に専ら働く、女性は表に出て働かないという社会慣習の違いがございます。その点フィリピンはキリスト教国であるということがあって、女性が表に出て働くことに社会的な制約が全くないといったようなこともあって、ふえてきているということかと思います。その観点におきましては例えばタイも同じことでございますが、仏教国であるということが若干の違いがあろうかということもあります。それからまた社会的な体制、状況といったものもその背後にあろうかと思います。すべての規制といった面から見てフィリピンが最もそういう活動を容易に許す社会的な背景があるといったようなこともあろうかと思うわけであります。
  91. 久保田真苗

    久保田真苗君 フィリピンの国の事情に加えまして、恐らく御指摘のようにフィリピンが悪質なブローカー等の組織化が進みその草刈り場にされているという点を非常に強く感ずるわけでございます。  ところでそのいわゆる不法就労者ですね、それがどんなピザを使ってそしてどんな実態で不法就労しているのか、それについてもちょっとお伺いしたいと思います。
  92. 小林俊二

    説明員(小林俊二君) いわゆる不法就労者の大半は観光の資格で入国を申請し認められている人々であります。数の上から言えばこれがほとんどすべてに近いと言ってよろしいかと思います。女性の場合にはクラブホステス、ストリッパーあるいは売春婦といったような業種、業態を呈しておるようであります。男性の場合には土木作業員あるいはその他の単純労働者ということがほとんどの形態を占めておるようであります。
  93. 久保田真苗

    久保田真苗君 風俗営業、男性の場合は単純労働が多いということでございますけれども、私大臣の御認識をお伺いしたいんですけれども、観光ビザもあるんですけれども、そのほかにいろいろなビザがございまして、例えば就学ビザとかそれから研修ビザとかそういったさまざまのビザを使ってくるわけでございます、興行ビザというのもございますね。私はまず観光ビザから始まりまして、これらのビザの使用の実態が余りにもビザの建前とかけ離れてきているんじゃないかということを感ずるわけでございます。そしてそれがいわゆる不法就労と言われまして、その不法就労を利益する悪質な仲介者の手にかかりまして、フィリピン初めアジアの方々に関連して各種の人権侵害状況が起きている、そこにこの問題の最大の問題があるというふうに感じておるのでございますが、法務大臣はどんな御認識をお持ちでございましょうか。
  94. 遠藤要

    国務大臣遠藤要君) お答え申し上げたいと思いますが、今先生指摘のような面で、実は自分が法務大臣就任直後閣議でもこのお話を、きょうは自治大臣も同席していただいておりますが、二、三度しております。今先生の御指摘のように、入国の目的に異なった不法入国といいましょうか、それによって就労するということによって日本の労働情勢にも大きな悪影響を与えておるということが一つ。それから、ただいま先生指摘のように、悪質な仲介者があって、それが不当利得して、真に働く者の収入というのはごくわずかだという点等を考え、しかももろもろの仕事がございますけれども、大変国辱的な就労もあるようでございます。そういうふうな点を考えると、これから入国関係のビザを厳正、徹底するということも大切ではあるけれども、やはりそれを受け入れる体制もあってはどうか、それは何とか対策を講じていかなければならぬではないかというようなことを閣議でお話を申し上げ、男子関係では単純労務者の受け入れ口である建設省、農林省、それに労働省というような関係者で相集まってその対応の策を講じてほしいということで、法務省が中心となって各省庁と今いろいろ対応をしておるわけでございますけれども、今のところこのような状態で、大変私どもも残念でございますけれども、入管局自体も必死となって何とか対応をしたいということで努力をしておりますけれども、その根が絶たずと申しましょうか、どんどん入国してくるというようなことで頭を痛めておるわけでございますが、最終的に日本の国で不当な低賃金でこういうふうな酷使をしたというようなことが、もしも世界の中において問題になったときに日本国はどうするかという点を考えると、もっとやはり真剣にこれを突きとめ対策を講じていかなくてはならないというような考えで、私自身心で焦りを持っておりますが、そういうような点で閣議でもしばしば発言をし、各省庁で、今外務省も一緒になって対応していただいておるというのが現状でございますので、その点先生指摘のとおりで、私も先生と同じような気持ちで、何とかしなければならぬという気持ちでいっぱいでございます。
  95. 久保田真苗

    久保田真苗君 大臣のおっしゃる劣悪な労働条件で酷使される、あるいは売春を強要される、そういった形の人権侵害の事例というのは法務省の資料にもたくさん事例が載っておりまして、これは、そういうことになってはではなくて、現に既にたくさん頻発している事例なんでございます。私は、一般労働力を受け入れるにはどうすればいいかというその前に、もう一つ大前提として人権侵害を絶対に起こさないような国内体制が、まず各省庁の間でじっくりと持たれるということが最も大切なことじゃないか、そのことが行われないで、そしてただ労働力を入れるか入れないかというような論議をするということは、全く順序が逆だと思うんですが、大臣はその辺どうお考えでしょうか。
  96. 遠藤要

    国務大臣遠藤要君) ただいま先生指摘の問題でございますけれども、私自身としてはそれが前提なんです。人権問題が前提で、低賃金で、例えばあっせん業者が三十万で受け入れて、実際働く者の当人の手には十万欠けているというような面などもあるやに聞いておりますので、そういうようなことでその人の人権、いろいろ不当労働といいましょうか、また大変変なことを強いられているというようなことも聞いております。その人の人権の問題とあわせて人権問題を前提のもとに私は申し上げておるのでございまして、その点は御理解願いたいと思います。
  97. 久保田真苗

    久保田真苗君 外務省にちょっとお伺いしたいんですが、実はこういう問題は必ずしも日本が新しいことではなくて、カナダとかアメリカとかそういったところでも非常にビザの建前と実態がかけ離れるような、そういうことを防ぐためにかなりビザの発給を拒否するというケースが高いと聞いておるわけです。私はこれまでどうも日本はその点ルーズなんじゃないかと思っておりましたけども、最近の状況、それからもしそれに対する理由があればお伺いしたいんですけれど。
  98. 木村光一

    説明員(木村光一君) お答え申し上げます。  外務省といたしましては、御指摘のフィリピン人等入国後不法滞在や不法就労をしているという実態があることについては、国内的にも好ましくないし、また国際的にも対日イメージの関係から決して好ましくないと考えております。  したがいまして、外務省としましては、数年前から関係の在外公館、我が方の大使館や総領事館に訓令を発しまして一般に査証発給を厳格に行うよう指示しております。このように審査の厳正化を図っておりますので、我が方が実態とかけ離れた査証の発給を行っているということは必ずしも当たらないと私どもは考えております。ただ、在外公館が査証審査の段階でこれらの活動を完全に見破るというのは、人権上の問題等がございまして限界があるということもまた事実でございます。  具体的に例えば、御指摘の点に関連いたしまして、マニラにおきます我が方の総領事館がどういうふうに査証審査の厳格化を図っているかということでございますが、まず三点ほどございまして、第一に、特に昨年の秋ごろからでございますが、非常に館内の人手不足なんでございますけれども、複数の査証官みずからが窓口に立ちまして申請人みずからと面接する、この面接重視ということで、毎日平均約四百人ぐらい申請者がございますけれども、この審査に当たっております。結果としまして、毎日四百人という数字でございますので、連日関係事務が終了するのが真夜中、深夜を過ぎるというような実情になっております。  第二点目でございますけれども、それぞれ観光とか就学とかそれから興行目的目的に沿った必要な書類、それから正当に発給された旅券等を提示させて審査するわけでございますけれども、こういうものにつきましても偽変造が非常に多うございまして、これもまたチェック、点検の対象といたしております。  三番目には、渡航目的に応じまして十分な財政、資力があるか、それから身元保証人ないしは招聘人がしっかりしているか、そういう子細なところまで審査の重点といたしております。このように厳格に査証審査をやっておりますので、一応査証画での対応ということではぎりぎりの限界に来ていると申し上げてもよいかと思われます。  以上申し上げました点につきまして、少し具体的に査証を入国の目的別に御説明させていただきますと次のようになります。  まず、先生がおっしゃいました観光等を目的とする査証申請でございますけれども、今まで申し上げましたような厳格な査証審査を行っておりますので、最近では男、女を問わず申請人の約四〇%程度が査証を拒否されているという現状になっております。それから就学査証の申請でございますが、これは査証の発給前に招聘人または身元引受人が法務省の方に事前審査終了証というものを要請いたしまして、その正当な審査証を所持している者、また我が方の在外公館に提示した場合には査証を発給する、そういう基本的な制度になっております。興行のための査証申請につきましても同じような制度にのっとりまして査証が発給されております。ただ、今申し上げました就学、興行のための査証申請いずれの場合も、我が方の在外公館での査証審査の段階で不正な終了証がしばしば発見されまして、査証段階でこれがチェックされまして、結果として査証発給が拒否されるということがございます。  このように、少し詳しく申し上げましたけれども、在外公館における査証審査というのは、結論から申し上げますと、申請する人たちの人権の尊重という建前と、それから審査を厳正化するという建前との兼ね合いの中で行われているわけでございます。  いずれにいたしましても、先生が御指摘の不法滞在とか不法就労の問題につきましては、単に査証審査の面だけではなく、取り締まりとか入国の審査、それから在留管理の面で関係省庁とも随時協議を重ねてきておりまして、今後とも一層の努力を払ってまいりたいと思っています。  なお、御参考まででございますけれども、御指摘の点等につきまして、我が国だけでの対応では十分なことができませんので、当該国の関係政府機関とも随時協議を行っております。これは、先方の申請人の持つ旅券だとか、それから査証審査に非常に重要であります、提出や提示を求めているいろいろな公的書類の偽変造が非常に多うございますので、先方政府機関の協力を得ませんと審査の厳正化を得られないという事情がございまして、随時いろいろなレベルで協議を行っております。
  99. 久保田真苗

    久保田真苗君 ところで、今ございました就学ビザのことについて少しお伺いしたいと思うんですね。まずこの就学ビザというのはどういう教育施設に対して発給されるのか、その範囲をお聞かせください。
  100. 小林俊二

    説明員(小林俊二君) 当局では留学生と就学生とを区別いたしております。今査証とおっしゃいましたのであるいはこれは外務省の問題かもしれませんが、私どもでこれに関連いたします区別は在留資格の方で生じてまいります。すなわち、入国の際の入国申請、上陸申請に対して与える在留資格でございます。いわゆる留学生というのは学校教育法に基づく大学その他の高等教育機関に入学をする、あるいは就学をする人々でありまして、これに与えられる在留資格は四-一-六と言われております。その他の学校すなわち専修学校であるとかあるいは各種学校であるとか、そうした、この中には日本語学校なども含むわけでありますが、これらの教育機関に就学する人々を就学生と呼んでおりまして、この場合には十六の三という資格を与えておるわけであります。この二つの点で両者の間には私どもとしては截然たる区別をいたしておるわけであります。
  101. 久保田真苗

    久保田真苗君 今、日本語学校について各種学校に含むというふうにおっしゃったと思うんですが、これは学校教育法の中にある各種学校というふうに見てよろしいのかどうか、そこをお伺いいたします。
  102. 小林俊二

    説明員(小林俊二君) 各種学校である日本語学校の場合もございましょうし、あるいは専修学校というカテゴリーに入るものもあろうかと思います。ただ、日本語学校と申しましても、学校教育法に基づく大学等の附属機関としての日本語教育機関もございますので、その場合には就学生とは呼ばずに留学生のカテゴリーに入るということもございますので、日本語の研修を行っている、勉強を行っているからすべて十六の三に該当するというわけではございませんけれども、大半の場合にはこの十六の三というカテゴリーに属する扱いを受けております。
  103. 久保田真苗

    久保田真苗君 そこが非常に大事なところでしてね、日本語学校とはどういうものなのか。もしこれが各種学校であって、学校教育法に一応位置づけがございます各種学校であるならば、それは文部省の所管されるところになると思うんですけれども、文部省はこの日本語学校についてどういうかかわりをお持ちなんでしょうか。
  104. 田原昭之

    説明員(田原昭之君) お答え申し上げます。  ただいま先生お話しございました日本語学校と文部省のかかわりという点でございますが、先ほど法務省局長さんからもお話ございましたように、現在日本語学校として四百三十七校が我が国にあると、こういうことでございます。その内訳を申し上げますと、大学とか大学院というのが約二百十、それから高専が二十三、それから専修学校が十九、各種学校三十二、それからその他、いわゆる個人立てすとかあるいは法人立てすとかあるいは株式会社というような形で設置されておりますのが百五十三、計四百三十七校ございます。  文部省と日本語学校とのかかわりということでございますが、日本語学校の設置そのものにつきましては、現在のところ、特に法的な規制はございません。したがいまして、設置者の自由な判断で設置をされるわけでございます。ただ、先ほどもお話ございましたように、学校教育法で言っております大学なり専修学校、あるいは各種学校につきましては、それぞれ監督の権限は文部省が持っておる、こういうことでございます。
  105. 久保田真苗

    久保田真苗君 今おっしゃったその他ですね、個人や法人がやっているもの、それが百五十三ですか、そこのところがかなり数が多いんですよ。そして、それは文部省がその教育内容なりについて監督権をお持ちなのか、そこをお聞かせください。
  106. 田原昭之

    説明員(田原昭之君) そこの点の日本語学校につきましては、文部省は現在のところ、直接的な監督権を持っておりません。
  107. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、就学ビザですよ、就学ピザが発給される根拠としては、その教育内容について国が認可もしないし、監督もしないと、自由にやられている、もちろん自由に勉強することは結構なんでございますよ、ですけれども、このビザの趣旨からしまして、就学なんですね、その就学であって一定の何といいますか、知識の向上が担保される、そのようなことはどこが所管されるわけでございますか。
  108. 小林俊二

    説明員(小林俊二君) 法務省といたしましては、日本語の勉強のために入国を希望する外国人が我が国において、その目的に沿ってまじめに勉強をしてくれるということを確保するというのが、要するに本人の申し立てる目的に沿った活動が我が国において行われるということが、法務省入国管理当局の唯一最大の視点でございます。  その入国した外国人が実際に本人の期待するような教育を受けられる相手方であるか否かということにつきましては、そのことから入国を規制すべきであるという問題が生じてこない限り、法務当局といたしましては直接関与することはいたしておりません。言いかえれば、我が国において行われる日本語教育の水準、良否につきましては、これは現在のところ、入国管理当局が直接関与するという面はないわけでございます。
  109. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、いわゆる個人、法人によるもの、学校教育法によらない個人、法人がやると、それは民間のそういうこともございますでしょう。ところが、法務省の方としては、それじゃこの日本語学校の生徒が、いわゆるその目的外の就労をしている、そういうことが起こったときに、やはり今の御答弁を聞いていまして、法務省の視点がそうであるというよりは、むしろ法務省の願望がそうであるのであって、その願望を担保する何ものもないというふうに私は見るんですね。  つまり、日本語学校と言われるものの中には、極めて管理がルーズで、その生徒として登録した者が実際には学校に全く出席もせず、あるいはほんの一部だけ出席をして、そしてむしろ遠方で住み込みでもって就労している、そういうケースが法務省の事例でも発見されているはずなんです。  そういたしますと、これは、就学ビザという特典を与えて、普通一般よりも長い期間の滞在、しかも非常に更新が簡単なんでございます。そして、それを管理する場所はないわけでございます。ですから、ここがいわゆる不法就労の温床になり、そこからいろいろな労働にまつわる人権問題が惹起されてくるというふうに思わざるを得ないんですね。  それで、ひとつ警察の方にお伺いしたいんです。去年の秋、四つの日本語学校、これは氷山の一角だと思いますけれども、警察が家宅捜査をされたということが報道されておりました。それが事実ならば、そこでどういう実態が発見されたのか、また、今現在そういう学校はどういうふうなことになっているのかお聞かせください。
  110. 小林俊二

    説明員(小林俊二君) 私が先ほどお答え申し上げましたお答えの仕方が、若干おわかりになりにくかったのかと存じますけれども、私が申し上げましたのは、日本語学校等における教育の程度につきましては入国管理当局は直接関与していないと申し上げたのであって、それは私どもの視点から若干外れる問題であると。しかし、私どもが唯一最大の関心事としておりますのは、まさに入国の目的に沿った活動が我が国内において行われておるかどうかという点でございます。その点から言えば、先生が御指摘の不法就労の問題はまさに入国管理当局の最大の関心事なのでありまして、これを規制するというのは入国管理当局の責任であり義務であります。入国におきましても、これらのいわゆる就学生の活動については、十分の注意を持ってフォローしているつもりでございます。その点から私どもとしては、まず実際に教育を行う、そして生徒の管理に当たる学校当局との連絡を密にし、学校当局の管理を通じてそうした事例の廃絶を図っていきたいと考えでおるわけであります。  先ほど外務省の方から報告のありました事前審査制度という、先生のおっしゃる簡易化された制度というのも、私どもが特定の学校について認めている制度でありまして、言いかえれば、学校の管理が当を得ておるという場合に認めている制度であります。したがって、私どもが信用ができないというような学校につきましては、そういう簡易化された制度の適用を認めておりません。その点から、この制度の適用を受ける学校につきましては、将来そうした制度の適用が受けられなくなることがないように、生徒の管理に一層の注意を払ってくれているものと考えておるわけであります。  そこで、先生が今御指摘の昨年十一月の日本語学校四校についての家宅捜索の話でございますが、これは私どもの地方支局であります東京入国管理局が、管轄の裁判所の許可状を得て行政捜査を実施したものであります。  これらの学校は、その実態において水増しの入学、定員を超える入学を認めていたり、あるいは当局に提出する出席状況に関する証明書に虚偽の記載をしていたりした事実が確認されておるのであります。  一方、これらの学校に在籍する外国人の中には、日本語習得を目的にしながら、実際には御指摘のように男性の場合には土木建設業その他の業務、女性の場合には風俗営業関係の業務に携わっているという事例が認められたのであります。  これら四校のうち二校につきましては現在も授業を継続しておることが確認されておりまして、現に在学している者についても、在留期間の更新に当たりましては、まじめに勉学を継続しているということが認められる限りにおきましてはその申請を認めております。他の二校については、その後学生からの在留期間の更新の申請というものも行われておりませんので、廃校になったものと推定いたしております。
  111. 久保田真苗

    久保田真苗君 今おっしゃった就学ビザについて八四年の十月に法務省手続を簡素化した。これはなぜ簡素化なさったのか。  というのは、つまりその後から非常に急増しているわけです。つまり、従来は個人個人が保証人を求めて、そして大使館へ直接申請するという形になっていた。ところが、その後この簡素化によりまして、学校が一括して保証人になる代理申請結構だと、こういうことになっておりますね。それで、事前審査終了証とおっしゃいましたけれども、終了済み印ですか、そういうものがあって、入学許可があると簡単にできる。このことがそもそもこの就学ビザによる目的外の就労を助長しているというふうにはお考えになりませんでしょうか。
  112. 小林俊二

    説明員(小林俊二君) 先生指摘手続の簡易化は、その目的におきましては、一口で申し上げれば、我が国への就学、留学を促進する、我が国における就学、留学を希望する者の増大に対応するということでございます。そして、その手段としてその日本語学校等、入学する学校に保証能力を認めだというのは、それまで個々に個々人が日本国内において保証人を求めなければならないという点が日本における留学、就学を妨げるネックになっているという傾向があったからであります。そこで、私どもとしては、特定の学校についてそういう簡易化された制度の適用を認めることによって、逆に多数の就学生等についての管理を、日常生徒に接している学校当局の管理にゆだねることによって、より適切な管理が行われるということを期待したからであります。言いかえれば、そういう簡易化された制度を適用するという特権と引きかえに、これらの学校についてより綿密により細心の注意をもって学生の管理に当たることを期待しているということを担保しようとしたわけであります。
  113. 久保田真苗

    久保田真苗君 本当に法務省がこういった日本語学校の管理がおできになるんでしょうかね。教育内容については法務省の視点と違うとおっしゃるけれども、これ就学でございますから、やっぱり教育内容というものに一応の担保が必要だと思うんですね。  なぜ私がこういうことを申し上げるかと申しますと、こういうふうに手続が簡素化されたために東京の一定の地域に雨後のタケノコのように日本語学校が乱立したわけですよ。そして、そういうところで問題が起こっているわけですね。これは就学を促進するとおっしゃいましても、就学を促進するというのは一体どういうことなのか。なぜこういう余り信用できないような内容にあるそういうところをも含めて、就学を促進するというふうに考えられるのか。  そもそもフィリピンではあれがございますでしょう、要するに、為替レートの激しい格差が効いてきまして、例えば一年間二十万円あれば何とか暮らせる。そういう国からこちらへ就学してくる場合に、それが親元からの仕送りでやるとか本人がために貯金でやるとか、そんなことはこの東京では不可能と考えるのが常識じゃございませんか。そうなりますと、当然にそれは就労するということが考えられるわけです。そして、その就労も相当の就労をしなきゃだめだと。なぜそうしたら勉学の機会が担保されるんでしょうか。私はそこのところの考え方がもう一つどうしても理解ができないんですね。そういう者に対して就学ビザを発行していくということが本当にそんなに適切なことなのかどうか。
  114. 小林俊二

    説明員(小林俊二君) この問題につきましては二つ申し上げるべきことがあろうかと思います。  第一の点といたしましては、私が先ほど申し上げましたとおり、就学生についての管理は実際にその人々を受け入れ、日常これに接する教育機関の適切な管理にまつということが妥当であろうかと思いますので、そしてそのために先ほどの簡易化された制度も私どもが管理に手落ちがないと認める学校についてのみ認める、これを適用するということによって、実際にかなり効果的にこの制度を背景として学生に対する管理は進められておると考えております。現に昨年八月から十月の間の先生指摘の四校につきまして、私どもが実際に摘発をした結果二校が廃校になっておるという事実は、いかにこの制度の適用が厳しい結果をもたらしているか、あるいは効果的にその結果を担保しているかということを裏づけるものとも言うことができるわけであります。  もう一つの点、すなわち日本語教育の水準がいいかげんであるものまでも学校としての形態を整え、学生を海外から受け入れるということを認めてもいいのかどうかと、この点は私が先ほど申しましたとおり、直接入国管理局が関与をしている問題ではありませんけれども、将来、例えば文部省が中心となって我が国における日本語教育の水準を確保するために、いやしくも日本語教育に当たる者、当たる機関については文部大臣その他の許可を要するというようなことが法的に整備されて、それらの学校以外は実際に外国人の日本語教育に当たることができない、すべきではないというような情勢になっていくならば、入国管理当局としてはもちろん喜んでこれに協力し、そうした許可を受けない機関についての就学は認めないという方向に行くことに、何ら問題はないと私は個人的には考えるものであります。したがって、その点は今後の動きにまつ必要があろうかと存ずるわけであります。
  115. 久保田真苗

    久保田真苗君 文部省にお伺いしたいんですが、総理の指示で二十一世紀への留学生政策懇談会というのが提言いたしましたですね。その内容は、要するに留学生十万人計画ということで十万人まで留学生を早く持っていきたいというお話のようなんですけれども、文部省としてはこういった日本語学校の生徒、すなわち今のところは個人、法人が勝手にやっているというたぐいのところへ就学する、そういう人たちの頭数も入れて十万人計画というふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
  116. 雨宮忠

    説明員(雨宮忠君) お答えいたします。  私ども先生指摘のような十万人計画ということを考えております。その留学生の概念範囲でございますが、それは四-一-六、ビザの地位で申しますと、我が国の大学等の高等教育機関で勉学するということで入学許可を得て、四-一-六のビザを得て就学する者、その数を拡充いたしたいと、こういうことでございます。
  117. 久保田真苗

    久保田真苗君 今はやりの日本語学校につきましてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。私なんかから見ますと、もしそんなに日本語を習得させたいのであれば、ちゃんと勉学できるようなそういう条件をつくって、特にアジアからの人には到底そんな自費で留学するなんてことはできない。こちらでもうフルタイマーとして働いても生活はかつかつだと思われるので、これはもう初めから矛盾した計画といいますか、矛盾したことなんじゃないかと思うんです。  そういたしますと、私としましては、日本語学校というものの位置づけが文部省の方でできますならば、それに適切な奨学金を与えるなりそういうことをして、そんなにアルバイトなんかをしなくても、あるいは就学ビザというものが実際はもう就労のための隠れみのに使われていると思われるようなそういう入国をさせなくても、奨学金で勉学ができる、そういう環境を当然その体系の中で賄うべきじゃないかと私は思うんですね。文部省としてはそういうことについて何か構想なぞおありなんでしょうか。
  118. 雨宮忠

    説明員(雨宮忠君) 外国の学生で我が国の大学等の高等教育機関でぜひ勉学したいという者に対しては、大いに門戸を開放するということ、それからできるだけ勉学条件を整えて所期の勉学の成果が得られるようにするということ、それからできることならば日本の社会や文化についての多くの理解を得て満足して帰ってもらうという、これらのことが私どもの留学生施策の要素になるわけでございますが、その場合に今先生指摘のように、留学生の日本におきます経済生活というのが確かに極めて重要なことでございます。  六十一年の五月現在におきまして約一万八千人の外国からの留学生が参っておるわけでございます。このうちアジア諸国からの留学生が八割強を占めていると、こういうことでございます。これらの一万八千人のうちの約三千人余り、これが我が国の政府の奨学金を得て勉学しておるという留学生でございまして、いわゆる国費留学生と称しておるものでございます。この国費留学生につきましては、先ほど先生指摘のような留学生受け入れ拡充計画ということもございまして、年々その数の拡充を図ってまいっておりまして、それによりましてアジア諸国等からの国費留学生の数も年々ふえておるわけでございます。  それ以外の留学生、いわゆる私費の留学生につきまして、外国政府の負担で参っておる者もございますし、また親元からの仕送りを得てやっている者もございましょうし、先ほど来のお話のようにアルバイトを得て生活をしている者もございます。いわゆるこれらの私費の留学生に対する経済的な援助というものは、留学生施策を進める上で重要な課題だと考えておるわけでございます。  そのために奨学金支給ということの御指摘がございました。私どもといたしまして、特に私費留学生に対する奨学団体の設立促進あるいはその活動の拡充というのが、非常に重要なことでございまして、実は昭和五十九年度以来私どもの直接所管する留学生奨学法人だけでも既に七団体が設立されておるわけでございます。それらの団体から奨学金を得られる留学生の数も千三百人余りというようなことで、年々ふえてまいってきておるわけでございます。それ以外にも大学独自が基金を集めまして、留学生に奨学金を出すというところも最近ふえてまいってきておるわけでございます。私費の留学生を国費に切りかえるという措置もいたしております。これも年々ふやしてきておるわけでございます。それから、住宅の問題というのは、住宅そのものの問題であるだけでなくて、それに対する経済的な負担ということも非常に重要な要素でございます。留学生のための宿舎の確保ということで、大学付設の宿舎の増設ということにも努力させていただいておるところでございます。これら各種の施策を通じまして私費留学生のための生活援助ということも考えてまいりたいということでございます。
  119. 久保田真苗

    久保田真苗君 時間がどんどんたちますんで、ちょっと労働の方へ移りたいと思うんです。  それで、まずお伺いしたいのは、この就学ビザで来た人たち、これに対して一週二十時間のアルバイトを認めているというのは、一体どこでどういう措置として行われていますか。
  120. 小林俊二

    説明員(小林俊二君) この問題につきましても、先ほど申し上げましたように、留学生と就学生では取り扱いを違えております。留学生というのは大学その他の高等教育機関に在学している人たちでありますけれども、その場合には週二十時間まで入国管理局の許可を得ることなくしてアルバイトに従事することを認めるということであります。二十時間を超える場合には、その詳細を申請をして許可をもらうように義務づけておるわけであります。  他方、就学生につきましては、すべてのアルバイトについて入国管理当局の許可を得るようにということを要求しておるわけでありまして、二十時間以上であると以下であるとにかかわりなく、入国管理当局の許可を必要ならしめているという制度であります。
  121. 久保田真苗

    久保田真苗君 実は就労の状況なんですが、この法務省の資料で拝見いたしますと、非常に労働関係のいわゆる国内法破りが多いんですね。  例えばこういうのがございますね。暴力団が絡んで、そして日本で稼働するためにホステスとして六カ月働くということをした。観光のビザで入った。だからこれ自体がちょっと問題ですけれども、問題は、その後転々とさせられまして暴力団に四十万円でほかの店へ売り渡された。そして軟禁状態で稼働させられた。そしてその間の報酬の支払いはなかった。逃げたらば見つかって殴るけるの暴行を受けた。そして非常に激しい暴行を受けだということが警察で発覚したと、わかったということなんですね。こういうことを見ますと、例えば強制労働とか、それから賃金を支払わないというような労働基準法に当然違反するような疑いがここであるわけです。それから、そのほかにももちろん売春を強要されたというケースも非常に多いわけですね。そして、売春をやったけれども、そのうち報酬として受け取ったものは、二万五千円のうち五千円だけ本人が受け取ったと。それから売春ではなくていわゆる平生ホステスとして働いていた分については、月額八万円の報酬を受ける約束をしたけれども、それは受領していないと、そういうような事例が法務省の事例で出ているわけです。そういたしますと、これは一体こういう人たちの人権はどういうふうに扱われるのか、労働省にまず伺いたいんですけれども、労基法の適用、それから職安法の適用、それからこういうあっせんといいますか、仲介をするブローカーなり暴力団なりに対する労働者派遣法の適用、それは詳しいことは結構です、これの適用の実態はどうなのか、適用をどういうふうにされるのか、やったことがあるのか、それをお聞かせください。
  122. 松原東樹

    説明員(松原東樹君) お尋ねの労働基準法などの労働者保護法規につきましては、国内での就労に関します限り、外国人であれ日本人と同様にひとしく適用になっておるというところでございます。  なお、具体的な事例につきましては、私ども労働基準監督署に申告として上がってきているケースも一、二ございますが、最近の例では、アルバイト就労に関連しまして賃金不払いの事案がございましたが、これは幸い元請の事業主と話をいたしまして、無事解決をいたしております。その他、労働災害等を不幸にしてこうむったような事例もございまして、そのような場合につきましては、労働安全衛生法等の違反につきまして、検察庁に送検をしたというような事例もございます。  なお、派遣法等につきましては、ちょっとそちらの方からお願いいたします。
  123. 坂根俊孝

    説明員(坂根俊孝君) お答え申し上げます。  職業安定法あるいは労働者派遣法との関連でございますが、まず職業安定法につきましては、労働者保護等の見地から、原則として労働大臣の許可を受けなければ、有料あるいは無料の職業紹介事業あるいは労働者供給事業ということは行うことはできないということになっているところでございます。  無許可の職業紹介事業あるいは労働者供給事業者が、入管法違反の労働者の職業紹介あるいは労働者供給を行っているということがございますと、二重に法違反が行われているとも言えるわけでございまして、極めて問題が多いというふうに考えております。  労働省といたしましても、既にこういう無許可の職業紹介事業等におきまして入管法違反の労働者の職業紹介、そういったことが行われる場合には、そういう事業に対しまして告発も含め厳正に対処するよう都道府県あるいは安定所に指示をしているところでございます。また関係団体関係業界にもそのようなことが行われることがないよう協力要請を行っているところでございます。  また、現実にも新聞等でおわかりのように摘発がされているという例がございます。それから……
  124. 久保田真苗

    久保田真苗君 済みません、ありがたいんですけれども時間がなくなりましたので、現状の詳しい説明は結構です。  それでですね、法務省の方でこういう話を聞くんですよ、法務省の方でこれを捕まえると要するに不法在留だと、あるいは目的外の就労をしてたんだと、そういう法務省関係のもので、不法在留外人なんだからもうすぐに本国送還するんだと、こういうふうにもしますね。ところが実際にはその人たちは不法就労であったかもしれないけれども、当然受けるべき賃金を受けずに送り帰されちゃうと、そういうケースがあると聞くんですね。賃金はもちろんのこといろいろなそういう暴力行為を受けたり、あるいは売春を強制されたりという、そういう結果についての被害をそのままで送り帰されてしまう。それは結局臭い物にふたなんじゃないか。その辺はどういうふうに本人たちの人権が守られるように考えていただけるのか、そこのところを。またそういう連絡をとってそういう人たちには使用者の方へ賃金を不払いじゃないかとか、あるいは前借金の相殺じゃないかとか、そういう非常に原始的な違反ですよ、日本では余り考えられなくなったような強制労働とか、前借金の相殺、いわゆる人身売買的なものですよね、それから賃金の不払い、こういったものがあるんですね。それはどういうふうにして両省の間で解決なさるのか、そこのところをちょっと聞かしてください。
  125. 小林俊二

    説明員(小林俊二君) 入管当局といたしましては、これらの人々を送り帰すことだけではなくて、そもそもこれらの人々を受け入れる人々、酷使する人々、搾取する人々の規制が基本的には重要であるというふうに考えております。しかしながら、これらの面すなわち労働関係法規その他の法規に基づく規制につきましては、関係当局との協力が不可欠でございますので、現にここ数カ月来警察庁、労働省、その他との協議を進めているところでございまして、こうした協議を通じてより根本的な対策が可能になっていくことを期待しておるわけでございます。  また、実際に搾取されて泣いておる人々がそうした事情を入管当局に訴えた場合、そうした場合もあるわけでございますけれども、これに対して金を払うようにということを即刻命令する法的な権限は、入管当局にはないわけでございます。ございませんけれども、実際上の行為として相手方に話をして賃金を払わせる、あるいは帰りの航空賃を出させるということは、これは任意に基づく行為でございますから、決め手とはなりませんけれども、実際問題としては行っておるところでございます。
  126. 久保田真苗

    久保田真苗君 私、民事上のそういう何というか、補償の責任だけじゃないと思うんです。これは労働基準法に明らかに違反していると、この事例からはそうだと思うんですね。そういう場合に、当然これを雇った使用者に対して労働省として労働基準監督の立場から処置があるべきなんだと思うんです。その点の事例がありましたか。そして、こういうケースについて、きょうは結構ですから、私どういう扱いをしたのかという資料をいただきたいんです。お願いできますか。
  127. 松原東樹

    説明員(松原東樹君) 御指摘のように、強制労働あるいは中間搾取、こういった事案は近年ほとんど影を潜めてまいっておるわけでございますが、これら外国人の就労に関連いたしましてそういった問題が懸念されるということで、本年度特に地方労働基準局に対しまして、外国人の就労にかかわりまして強制労働あるいは中間搾取といったような悪質な事案がないよう十分情報収集に努めて、かつそういった事案に対しましては厳正に対処するように特に指示をしたところでございます。  今お話のありました具体的な事例につきまして、特に労働基準法違反ということで措置をしたものはないかと思いますけれども、先生お持ちの資料、後でいただきまして、また検討して実態を御報告いたしたいと思います。
  128. 久保田真苗

    久保田真苗君 ぜひ警察に伺っておかなくちゃいけないんですが、結局フィリピンを中心として内外のブローカー、日本側にもいるし向こう側にもいるんだろうと思うんです。それが暴力団に絡みまして、要するに勧誘募集、そして入国、移動先のあっせん、こういうことをやりまして、非常にそういう人たちの大きい資金源になっている、そういうふうに聞くわけですね。それで私はぜひ、これはもう警察でないとなかなかできないんじゃないかというふうにも思いますし、こういう悪質なブローカー、暴力団に対する取り締まり、それを徹底的にお願いしたいと思いますけれども、どんなものでしょうか。
  129. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 先ほどから御質問に出ておりますこの事案に対しましては、私もこれが非常に弱い立場の人たち、外国人で来日された方々に対しましてそういうようなことがあってはならない。また暴力団の資金源として暴力団がばっこする一つのよりどころになってはならない、こういうことから国家公安委員会におきましてもたびたび話題に上せまして、厳正な取り締まりを行うよう命じているところでございます。
  130. 久保田真苗

    久保田真苗君 よろしくお願いいたします。  ところで、厚生省いらっしゃると思うんですけれども、不法就労だ、不法残留だというようなことで、本人からなかなかいろいろな申告が行われない、そしてまた、本人も当然得べき賃金その他をあきらめて行ってしまうというような、そういう弱みにつけ込んで、そのブローカーや悪質な使用者が非常に丸もうけになっているんですよね。ところが、これに反しまして救済を求める外国人というのがあるわけです。それは例えば軟禁された、あるいはホステスとして勤めているともう当たり前のように売春を強要される、お客をとらされる。昔の売防法のない時代をさながらに現出したようなことが、外国人に対しては殊さら目に余るような形でどうも行われているらしい。  そしてこれについて厚生省の方は、この間一月二十日の民生主管部長会議に売防法による婦人保護施設の活用ということを指示なさったと思うんですけれども、簡単にその後活用されているのかどうかということと、それからもう一つ民間団体がボランティアでもってこういう方たちに血の通ったお世話をというか、シェルターですか、緊急避難のための宿を提供したりしてやっているわけです。ところが、これは相当な人数になるわけですね。そして十カ月の間に例えば延べ七百五十日宿泊があるというようなことになりますと、これはなかなか大変でございます。私はこういうところに何か行政として補助金というよりか、その逃げてきた緊急避難の外国人が生きて、生活していく一時的な実費とか、こういうものを考えていただける方法はないのか、そこをお聞かせください。
  131. 矢野朝水

    説明員矢野朝水君) 売春を行うおそれのある女子の相談、指導に当たるということで婦人相談所がございます。それからまた婦人相談員というものが置かれているわけでございます。こういった相談機関といいますものは外国の方にも当然相談に応じなくちゃいかぬ、こういうことでございまして、今お話のありましたように民生部長会議あるいは先般こういった婦人相談所の所長会議が開かれたわけですけれども、そういったところでも積極的に対応するように、こういう指示を行ったわけです。  その後活用されておるかということでございますけれども、具体的にこういう婦人相談所でこういう事例があったということは実はまだ聞いておりません。これはそういった事例、調べてみたいと思います。  それから、ボランティア団体でキリスト教関係団体が新宿におきまして、こういった方々の相談に乗ってあげているということもよく承知しております。こういったものにつきましていろいろな補助の手はなかろうか、こういうことでございますけれども、これができますときにいろいろ側面から御援助いたしまして、厚生省関係団体の寄附なんかもお願いした、こういうこともあったわけですけれども、運営費等につきまして先生がおっしゃったような形でも支援するかどうか、こういう点は先ほど申し上げましたような公的な機関、施設があるわけでございますから、そういったところとの兼ね合い、いろいろ難しい問題もございますけれども、検討してみたいと思います。
  132. 久保田真苗

    久保田真苗君 どうぞひとつ前向きに、と申しますのは、悪いことをする人は結局丸もうけになっちゃって、そのしりぬぐいをするのが市民の拠出によらなければならないというんじゃ、行政は余りにもちょっと無責任な気がします。どうぞひとつ前向きに御検討お願いします。  それで、あとほんのわずかなんですけれども、私、法務大臣にぜひお願いしておきたいことがあるんです。  それは、一年前に前大臣、前民事局長のときに私、民法七百五十条の婚姻すると夫婦いずれかの姓を称さなければいけないという、夫婦同氏の強制をしている現行民法に若干の修正を加えてほしいというお願いをいたしました。それはなぜかといいますと、現在、人生八十年時代でかなり遅く晩婚の人もあり、また再婚の人もふえております。そして男性が職業活動をしているのはもちろんなんですけれども、女性にも生涯にわたって職業活動をする人がふえてきておりまして、そういう方たちが名前を変えるということに対して非常に不利益を感じている方があるわけですね。そういうことに対してぜひそういう希望する人を、特にそういう場合は従前の自分の姓によっていていいんだというそういう道を、現在の法制の一方にそういう道も開いてほしいということをお願いいたしました。  それで、私は大臣もかわられたことですし、再度このことをお願いしたいと思うんです。  それで、前回法務省としては大変理解のある見解はお示しになったんですけれども、何といいましても法制審議会に昭和三十年からいわばたなざらしの形でございまして、取り上げられないことには議論もできないわけでございます。ぜひ早い機会に法制審議会で検討、研究をしていただきますように、前回の法制審議会での昭和三十年の時点では大方の方が大変前向きだったんですけれども、これはかなり手続的な処理も必要なことも多分あるんでしょう。  そういうことで、ひとつ棚の上からおろして御検討お願いしたいと、このことをお願いして終わりますが、大臣の御答弁をいただければ幸いです。
  133. 遠藤要

    国務大臣遠藤要君) 先生お話、よく承知をいたしております。家族が同一の姓を名乗るということが普通、当たり前のような感じを持っておりますけれども、しかし社会的な活動をされておる人が五十になって結婚したというときに、その姓を変えてということになるとまあいろいろ問題も、その人の個人的な問題もあるだろうし、支障もあるというようなお話も私なりに感じておる次第でございます。  隣国等でも、結婚はしたが姓はそのままという国もございますので、今先生お話によりますると、三十年ですか、法制審議会の方で検討されたというようなことで、今ちょっと席を外しておりますが、この委員会に前法務大臣もいらっしゃることでございますから、私としては先生の御意見を法制審議会の方にも伝え、ぜひそれを前向きでお話が願えればと、こういうふうなことを感じておりますので、そのような気持ちで法制審議会の方と検討してみたいと、こう思っております。
  134. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ―――――・―――――    午後一時二十三分開会
  135. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十九年度決算外二件を議題とし、法務省裁判所自治省警察庁及び公営企業金融公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  136. 田代富士男

    田代富士男君 最初に、私は再審制度、死刑制度の問題についてお尋ねをしたいと思います。再審制度は、御承知のとおりに、常に法的安定性と具体的正義という二つの要請をどう調整するかにかかっておりまして、そこで、こうした観点から幾つかお尋ねをしてまいりたいと思います。  現在までに、免田事件、財田川事件、松山事件が、死刑、再審無罪となっておりまして、ことしの三月には島田事件の再審開始が決定をいたしました。一方、再審請求を十八回、恩赦出願五回という帝銀事件の平沢死刑囚がこの五月の十日、九十五歳という高齢で獄中死いたしました。逮捕されてから実に三十八年八カ月、死刑確定後三十二年、病身であり、高齢の身で拘禁され続けてきたことにつきましては、ある意味ではこれ以上の残酷な刑はないと思いますが、最初に遠藤法務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  137. 遠藤要

    国務大臣遠藤要君) 先生に改めて申し上げるまでもなく、死刑が一度執行されれば回復しがたい重大な結果を招くということは御承知のとおりでございまして、刑の執行命令権者はそのような点から慎重に対処すべきだということを改めて申し上げるまでもないと思う次第でございますけれども、そのような点で再審請求等があれば、今平沢の問題もお話がございましたけれども、三十二年間の中において平沢は十八回の再審請求、五回の恩赦の出願がございます。そのような点で三十二年間牢獄に強いられたというようなことではなく、本人自身が三十二年間そのような点で再審請求しておったということで御理解をちょうだいいたしたいと、こう思うわけでありまして、先般の法務委員会や何かでもその点で御質問がございました。一部何とはなしに三十二年間も放置しておくことは怠慢ではないかと、そういうふうな、長く牢獄に置くということはどうかというような点もお話がございました。そのような点で、私として、しかし死刑執行ということは最も重大な問題で、執行すれば後回復することはできないという点を考えると、慎重に慎重を重ねてきたと。それが怠慢だと言われるようなことであるならば、再審ということに対しても考え直さなければならぬではないかなというような感じを、私は先般率直に申し上げたわけでございますけれども、私としては、やはり死刑の執行ということは、今後とも慎重に慎重を期すべきだという考えを持っており、平沢問題については、先般の法務委員会でも質問者が御理解いただいたと思いましたけれども、これは間違いなく真犯人であるということを、ひとつ質問者の先生からも皆さん方にお伝え願いたいというようなお話を申し上げたわけでございます。  さような点で、私もこのような立場になる前一般論として、九十五歳、三十二年間そのままにしておくということは、何か、何かがあるんじゃないかという疑問を持ったこともあるわけでございますけれども、よく調べてみると間違いなく真犯人であり、そして再審、また時間を置かずしてまた再審ということのために慎重を期したんだなということをしみじみ感じさせられ、平沢自身としても、そのようなことで十八回の再審請求によって刑の執行を受けないで死去したということは、本人としても何とも私は申し上げたらいいかわかりませんけれども、その点は御理解をちょうだいいたしたいと思います。
  138. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま遠藤法務大臣が御答弁の中にもちょっとお話しされておりましたけれども、平沢の死亡後、参議院の法務委員会が五月の十四日行われまして、その席上で法務大臣が、再審請求に回数制限を設ける旨発言をされ、翌日事務当局に検討を指示したものではないということを釈明されたのでございますが、さらに名古屋高検の検事長に就任されました豊島氏が、再審請求が流行し過ぎていると記者会見でお述べになったわけでございますが、いずれも法律で認められております再審請求の適正な運用、すなわち不当な判決を受けた者に対する具体的正義となる救済を妨げるものであると思いますけれども、大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  139. 遠藤要

    国務大臣遠藤要君) 名古屋高検の検事長が着任のときに記者会見で、一般再審の請求が多少流行している嫌いがあるというような発言がされたということで、ただいま先生指摘のとおり法務委員会でも指摘をされたわけでございます。その後、私どもの方として当事者の名古屋高検の検事長に照会をいたしたわけでございますけれども、その結果、これは確かに流行という言葉を使ったのはやや適切を欠く嫌いがあったと本人も申しておるわけでございますけれども、最近のあれとしては再審請求が多いという傾向を迷ベたにとどまるんだと、それもしかしただ単なる、本当に問題があるという点の再審請求でなく、さきの再審と何ら異なることのない再審請求が出る場合もあるということを指摘したのであって、検事長としては再審請求に対して是非論というようなことでなく、やはりあくまでもそういうような面はそういうような面で慎重に取り扱うべきであるというような点でございまして、私さきの法務委員会でも流行という言葉は不適切だ、余計なことだと、こう私は申し上げたのですが、本人もそのように反省をいたしておりますので、御理解ちょうだいいたしたいと思います。
  140. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま大臣から御答弁いただきましたとおりに、本意ではないということを理解をいたしますが、災いは口より出て身を破るということもございますから、以後注意をしていただきますようにお願いを申し上げておきます。  次に質問を移します。  現行の再審制度につきまして、これまでのたび重なる再審事件の経過や結果、特に結果は死刑が無罪になった件が三件ございますが、こういうことから見まして、法改正の必要性についてどのように考えていらっしゃるのか、大臣にお伺いをしたいと思いますが、私が冒頭に触れましたように、法的安定性と具体的正義をいかに調整していくかが再審制度の大きな問題点ではないかと思うのでございます。  そこでまず、刑事訴訟法においては費用負担能力のない被告に国選弁護人を付すことになっておりますが、それでも逮捕から起訴までの間は御承知のとおりに国選弁護人を依頼することができず、これまでの再審事件にかんがみましてもここに冤罪発生の盲点があるのではないか。また、再審において国選弁護人が認められていないが、この点どうなのか、あわせてお伺いをしたいと思いますが、これに関連いたしまして、刑事訴訟法第四百三十五条第六号を改正して、旧刑事訴訟法絡みの事件だけでも救済するための特別立法を検討してもよいのではないかと思いますが、この点いかがでございましょうか。
  141. 岡村泰孝

    説明員(岡村泰孝君) まず、捜査中の被疑事件につきまして国選弁護人を付するような制度を設けることはどうかという点につきましてお答え申し上げます。  捜査といいますものは、合目的的に行われていると申しますか、そういうような実情にあるわけでございまして、国選弁護人を付して捜査の当事者主義化を図るという問題につきましては、これは刑事訴訟法の根幹にも触れる問題でございますので、十分な検討が必要であると考えられるところでございます。また、現実論といたしましても、弁護士が地域的に偏っていると申しますか、そういう実情もあるわけでございまして、捜査段階におきましてまさに迅速に弁護人を付すると、そういうような要求に対しまして、国選弁護人をそういうふうに迅速に付するということが、現状から見まして可能であろうかどうかというような点も問題があろうかと思われるのでございます。また、国の財政能力といった面からの問題もあろうかと思われるのでございまして、ただいまの点につきましては慎重な検討が必要であるというふうに考えておるところでございます。  それから、第二点の旧刑訴法四百八十五条六号に関する問題でございますが、これにつきましては現行刑訴法の四百三十五条六号の再審事由に関しまして、委員既に御承知のことと存じますが、いわゆる最高裁決定の白鳥決定というものが出ておるわけでございます。この白鳥決定は現行刑訴法の四百三十五条六号に関する決定でございます。しかしながら、旧刑訴法の四百八十五条六号と現行刑訴法の四百三十五条六号とは平仮名と片仮名の違いはありますけれども、中身は同じであるわけでございます。したがいまして、現行刑訴法の四百三十五条六号に関します白鳥決定の趣旨は、旧刑訴事件につきましても同じようにやはり尊重されて、適正な運用が行われるものと考えられるわけでございまして、特に旧刑訴の適用事件につきまして特別な扱いと申しますか、特別な立法をするまでの必要はないというふうに考えられるものでございます。
  142. 田代富士男

    田代富士男君 この再審開始が決定されますと、御承知のとおりに検察側から不服申し立てが行われるわけでございますが、これが再審開始をおくらせる原因となっておりまして、再審制度の制度的意義を損なっていると、こういう見方もされておりますけれども、この不服申し立てのあり方について検討の余地はないものかどうか、このお答えをいただきたいと思うのでございます。この再審請求があると同時に、検察よりまた刑の執行の停止を申し出ることができ、また再審が決定した場合には、裁判所決定によりまして刑の執行を停止することができることになっておるわけでございますが、したがって、懲役刑の場合は即釈放となりますけれども、死刑囚の場合は現行では死刑囚の刑の執行を停止されるということで、それが直ちに釈放に結びつかず、勾留されたままであると、そういう立場から一定の条件のもとに釈放できるように明文化するよう検討すべきではないかと思いますが、あわせてお答えいただきたいと思います。
  143. 岡村泰孝

    説明員(岡村泰孝君) 第一点の、再審開始決定に対しまして、検察官が不服申し立て、すなわち抗告がなし得るというのが現行法でございます。この点につきましては、公益の代表者である検察官といたしまして、そういった不服申し立て権を持つことがやはり必要なことでありまして、これによりまして再審請求審におきます審理あるいは決定が、適正また公正に行われることが担保されるものであるというふうに考えているところでございます。検察官の抗告権をなくしてしまうということになりますと、違法、不当な再審開始決定がありました場合に、法的安定性の見地からこれを是正する余地がなくなってしまうという問題があるわけでございます。こういった問題もございますし、要するにこの問題は司法制度全体のあり方とも関連することになりますので、慎重に検討しなければならない問題であるというふうに考えているものでございます。  次に、執行停止の関係でございますが、例えば免田事件等におきましては、再審無罪の判決がありました時点で拘置の執行を停止しているところでございます。したがいまして、現行法のもとにおきましても、いろいろな事情を考慮いたしまして、再審裁判の確定前におきまして刑訴法の四百四十二条あるいは四百四十八条の規定の解釈適用によりまして身柄を釈放することも可能であるということになるわけでございます。先ほど申し上げましたような事件につきましても、その具体的事案に応じまして適正妥当な措置がとられているところでございますので、この点につきましては現在のところ、特段立法の必要性は認められないというふうに考えているところでございます。
  144. 田代富士男

    田代富士男君 ことしに入りまして、まず三月十八日、東京高裁において連続ピストル射殺事件の永山被告に、そして続いて三月二十四日、最高裁におきまして連続企業爆破事件の大道寺、益永両被告にそれぞれ死刑の判決がありました。  そこで次の点についてお伺いしたいと思いますが、現在、この死刑を廃止している主な国名とその数はどのくらいあるのか、それらの国々で死刑に値する犯罪がふえていると言えるかどうか、お伺いをしたいと思います。  それと、この死刑に具体的な何といいますか、犯罪抑止力とも言うべきものがあるとは思えないし、それを証明するものもありません。永山被告に対するもとの二審判決においては、死刑の言い渡しはどんな裁判所でも死刑を選択したであろうと判断される場合に限られるべきだと述べておるが、もちろん、現実にはどこの裁判所とも相談するわけではなく、個々の判断にゆだねられていることは言うまでもございません。五月十五日の衆議院法務委員会におきまして法務大臣は、法制審議会に死刑廃止を諮問する考えはないという答弁をされておりますけれども、今も質問の中で私は申し上げましたが、死刑の逆転無罪が三度起きておりまして、そういう立場からでもなおそのようなことを言われる理由をお聞かせいただきたいと思います。
  145. 岡村泰孝

    説明員(岡村泰孝君) 死刑制度を廃止している主な国でございますが、例えば、西ドイツ、フランス、オランダなどでございます。また、テロ事件等を除きましていわゆる通常の犯罪に対しまして死刑を法律上廃止している国としては、イギリス、イタリー、スペインなどでございます。私どもが承知している限りにおきまして、この両者を合わせました死刑廃止国が三十三カ国であるというふうに承知いたしているところでございます。ちなみに、死刑を残しております国は百八カ国というふうに理解いたしているところでございます。  次に、死刑廃止国で死刑を廃止した前後におきまして死刑に相当する犯罪の増減状況はどうかということでございますが、私どもが承知している限りにおきましては、イギリスでは、死刑が廃止されました後一時期、急激に殺人が増加したということでございます。また、フランスでは、死刑を廃止いたしました後、殺人はやや増加に転じているところでございますが、例年の増加に比して特に急激なものとまではどうも認められないようでございます。西ドイツでは、死刑が廃止されましたのが一九四九年でございまして、どうもその以前の統計がございませんので廃止前後の死刑相当犯罪の増減につきましては具体的に申し上げかねるところでございます。  ところで、死刑が犯罪の抑止力があるかという問題でございますけれども、犯罪の発生件数と申しますものはいろいろな社会的な条件、つまり経済状態とか治安情勢、社会体制、教育の程度、その他いろいろな刑罰以外の要因も加わってくるところでございまして、一概に数字の上から見まして死刑について犯罪の抑止力があるかどうかということを具体的に証明するということは非常に難しい面があろうかと思うのでございます。また、一方におきまして、死刑の抑止力ということになりますと犯罪を犯さなかった者に対してどういう影響があったかということになるわけでございまして、犯罪の発生件数から死刑の抑止力の有無というものを的確にとらえることは非常に難しいという状況にあろうかと思うのでございます。
  146. 遠藤要

    国務大臣遠藤要君) さきの法務委員会で死刑を廃止する意思はないかということに対して、法制審議会にかける意向はないかというようなお尋ねがございました。それに対して私は、今のところございませんというお答えを申し上げておるわけでございますが、これは今ただ単なる刑自体のことのみならずして、司法制度全体の面から検討していかなければならぬ問題で、突然委員会に呼ばれて大臣どうだと、それじゃすぐに、とは言わなくとも審議会にかけましょうというわけには、組織の中に入るとそういうふうな答えはなかなか出しがたいことは先生も御理解願えると思います。そういうふうな点で、司法制度全体を見て慎重に今検討した結果によるという点でそのようなお答えを申し上げておるということで御理解を願いたいと思います。
  147. 田代富士男

    田代富士男君 よろしく御検討のほどをお願いいたします。  じゃ次に質問を移します。法令台帳の問題についてお尋ねをいたします。法治国家たる我が国におきまして、立法、違憲審査、法律の施行、運用などに当たる最高権威はそれぞれ国会、最高裁判所、内閣にありますが、それぞれの法令台帳の整備についてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、それぞれの機関が法令台帳を作成、整備する根拠法規は何であるのか、順次お答えをいただきたいと思います。時間も制限がございますから、質問をしていてこういうことを言っちゃ失礼でございますが、要領よく簡単にお願いいたします。
  148. 清水湛

    説明員(清水湛君) 法令の調査、整備、編さんということにつきましては、これは法務省の所掌事務になっているわけでございまして、法務省設置法の三条の五号に「内外の法令並びに司法制度及び法務に関する資料の調査、収集、整備及び編さんに関する事項」ということが規定されてあるわけでございます。これに基づきまして、当省におきましては司法法制調査部におきまして、この業務といたしまして我が国の法令につきまして官報に基づき、法令の種別、題・件名、公布・施行年月日、根拠法条等を記載した法令整備カードというものを整備いたしまして、そのカードに当該法令に改廃のあった都度、改廃した法令の公布・施行年月日、改廃内容等を記入することによって改廃の経過が直ちにわかるようにいたしておるわけでございまして、このカードは慶応三年以来の我が国の法令について、すべて整備されているところでございます。この法令整備カードに基づきまして、法令の編さんを行い、現に効力を有する法令につきましては、漏れなく収録して遺漏のないようにいたしているところでございます。
  149. 山口繁

    最高裁判所長官代理者(山口繁君) 最高裁判所におきましては、法令の制定、改廃の有無等の調査に資するために、ただいま法務省から御説明のございましたと同様の法令カードを作成しているところでございます。  下級裁判所におきましては、国の機関が作成しております法令調査のための資料といたしまして、官報、法令全書、それから主要法令条文別改正経過詳覧、さらには旧法令の改廃経過総覧というようなものを備えつけておりまして、そのほか民間の出版社のものでございますが、現行法規総覧等をそれぞれ備えつけているところでございます。
  150. 秋山收

    説明員(秋山收君) 法令の改廃に関します資料整備は、内閣法制局設置法の三条第五号に「その他法制一般に関すること。」という規定がございまして、この中に含ませることができると考えております。  それで、法令資料の保存、記録には、内閣法制局も十分留意しているところでございまして、具体的には閣議に付されます法案、条約案、政令案の写しを整理、保存しておりますほか、法令の公布関係の官報も整理、保存しております。それから、近年のものにつきましては、法律案、政令案の新旧対照表も保存しておりまして、これによりまして法令の移り変わりについての情報を十分把握しているという体制になっているわけでございます。
  151. 片岡勒

    説明員(片岡勒君) 総務庁は、従来から電子計算機利用の効率化、高度化という観点から、法令検索ばかりでなくて、閣議情報検索システム等々、各省庁に共通のシステムの運用をいたしております。これらは総務庁設置法第四条八号の行政機関の運営の総合調整の一環として実施しているものでありまして、直接の契機といたしましては、行政機関に大型の汎用コンピューターが導入されつつありました昭和四十三年の閣議決定、「政府における電子計算機利用の今後の方策について」ということによりまして、各省庁による共同利用の推進とか要員の統一研修等を行っているものでございます。
  152. 新川行雄

    ○法制局参事(新川行雄君) 参議院の法制局でございますが、参議院法制局においては法令台帳の整備をしてございます。法令の根拠といたしましては、議院法制局法第三条の規定に基づく参議院法制局事務分掌規程第七条第四号の規定がございまして、「法令台帳の整備に関する事項」を法政局の所掌事務といたしまして、局の総務課で分掌いたすことになってございます。  この機会に法令台帳の内容について簡単に申し上げますと、各法律及び政令ごとに台帳をつくりまして、法令の改廃がございましたごとに、その内容を台帳に記帳いたしてございます。そのことによりまして、法令の各規定の改正経緯、現在におきます法令の規定の姿というものが一覧にして正確に把握できるようにいたしているものでございます。  以上でございます。
  153. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま根拠法について概略御説明をいただきましたが、参議院の法制局にお尋ねいたしますが、それぞれの機関がこの法規をもちまして法令台帳を作成、整備されておりますけれども、その理由は何であるのか、お答えいただきたいと思います。
  154. 新川行雄

    ○法制局参事(新川行雄君) 先ほど先生が御発言してございました中に、立法府、司法府、それぞれ立法及び法の適用に携わっているわけでございますけれども、御案内のとおり、そのためには現行の法令を少なくとも正確に把握しておかなければいけないこと、これはもう当然必要不可欠なことであると存じます。  それぞれの関係機関におきましては、そういう意味において、一番最近におきます複雑多岐にわたります法律の制定、改廃の沿革、経緯を明らかにし、現在におきます効力を持つ法令を確実に正確に把握すること、それが執務上絶対必要であり、国民に対する法令のPRの上におきましても、確実なものを掌握しておく必要があるかと、そういう趣旨、目的をもちまして、それぞれの省庁において法令台帳ないし法令整備を図っていると存じております。
  155. 田代富士男

    田代富士男君 今、私、短い時間にお答えいただいて、もっと説明もしていただきたい面もありましたけれども、参議院におきましては、昭和二十三年に法制局発足と同時に法令台帳が作成されまして、完璧な台帳が作成されております。現在三名の女性が担当されまして、ここに私、二千冊か三千冊あるそうでございますが、その中の一冊をお借りいたしまして、これを見させていただきました。これは健康保険法の法令台帳ですが、大正十一年四月二十二日公布から、まあ実にこれは立法の戸籍簿と言うべきものじゃないかと私思います。これは本当に忍耐力の要る仕事じゃないかと私思いまして、三名の女性の人がやっていらっしゃいますけれども、大変な労作業だと私は思います。  このようにして見ますと、まことに戸籍簿と言われるごとく、どれがどのように変わってきたのかと原点に戻ることができるわけでございまして、私は、これは参議院の法制局だけが現在はこれだけのものがそろっていて、ほかの機関ではどうなっているだろうかと。大事な機関がたくさん、国の最高権威としての機関がありますけれども、どうなっているだろうかと思いますが、本当はこれをごらんになっていただいた上でお答えをいただきたいと思いますけれども、その実態というものは大枠どのようになっておるんでしょうか、お答えいただきたいと思いますが、簡単で結構でございます。
  156. 清水湛

    説明員(清水湛君) 法務省におきましても、先ほどお答え申し上げましたとおり、法令一件ごとにカードを備えまして、既にそのカードの枚数は十数万枚に達しておると、こういう状況にあるわけでございます。  しかも、これは非常に貴重なカードで、丹念に毎日毎日の官報に基づいてつくっておるものでございますので、一度消失するというようなことになりますと大変でございますので、同じものをマイクロフィルム化しまして別なところに保管すると、こういうようなことまでいたしまして極めて正確なフォローを私どもいたしておるつもりでございます。  そういうような意味におきまして、法務省に保管しております法令整備カードも、まあ参議院の方は私よく存じておりませんけれども、対外的に権威あるものとして誇り得るものだというふうに私どもは考えておるところでございます。
  157. 山口繁

    最高裁判所長官代理者(山口繁君) 最高裁判所におきましても、先ほどお答え申しましたように、法務省から御説明があったと同様の法令カードを整備いたしております。  御承知のように裁判所、組織がたくさんございます。下級裁判所に同じようなものをそれぞれ保存するということにはまいらないわけでございます。そのような場合、下級裁判所からそれぞれ照会がございました場合、私どもの方でその照会に回答して、法律の適用上遺漏のないようにやっているところでございます。
  158. 秋山收

    説明員(秋山收君) 私どもでは、今見せていただきましたような台帳という形での整理はいたしておりませんけれども、先ほど申し上げましたような法令案の写しあるいは新旧対照表等を整備しておりまして、それによっていつの時期にある法令がどういう姿であったかということは十分把握できる体制にいたしております。
  159. 片岡勒

    説明員(片岡勒君) 先ほど申し上げました総務庁の法令検索システムは、現行の憲法、法律、政令全三千三百ばかりの法令を蓄積いたしておりまして、用語を指定して条項を検索したりあるいは内容を指定して検索したりするインデックス検索とか、該当条文検索等々のサブシステムから成っておりまして、これを行政機関として法令を作成したり改正したりするときに利用しておりまして、六十一年度で二万八千件の利用をいただいており、年々それは増加しつつある状況でございます。
  160. 田代富士男

    田代富士男君 本来であるならば、この法令台帳をごらんになってもらってからお答えをいただいたら、よりその違いが明確になったのではないかと思いますが、ただいまの御答弁でも、カード式であるとか法令の写しをずっと保管していくとかいろいろ、内閣法制局でつくっていらっしゃるその書類等も我々いただいておりますからわかりますけれども、総務庁の法令検索システムは、法令の改廃の経過がたどれる戸籍簿形式の参議院のこの法令台帳と異なりまして、何といいますか、カード式だとかそういうことをやっておりますけれども、必ずしも完璧なものではないと思うんです。私は参議院議員だから言うわけじゃございませんけれども、参議院の法制局のこれはすばらしいものではないかと思いますし、これは法務大臣にちょっとこれごらんになっていただいて――ちょっと持っていってください。
  161. 遠藤要

    国務大臣遠藤要君) いや、見ています。私はずっと前から見ています。
  162. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ後ほどお聞きいたしますから。  そういう意味で私は、国の権威ある各機関においてはやはりこのくらいのものを整備しなくちゃならないということを申し上げたいわけなんです。その一つの例といたしまして、私は記録の大切さを訴えたいのは、例えばさきの百八国会において成立いたしました刑事確定訴訟記録法はまさにその趣旨を体したものではないかと私は思います。改廃された法令を漏れなく収録して後世に伝えるためにそれぞれの機関において法令台帳を整備しておくことは歴史の求めるところであり、それは人類の貴重な、これはただ単なる法令台帳でなくして、文化遺産ではないか、私はこのようにも確信をしている次第でございます。  特に実際の事件において適用すべき法令に誤りがあるということを言っているのでありませんが、最高裁においては事件当時行われていた古い過去の法令が問題にされることが多いのでありますから、今カード制度でやっていらっしゃいますけれども、裁判所みずからこれを、一応参議院のこの法令台帳を参考にしていただきまして、整備することができるならば現実的に対応すべきではないかと思いますけれども、法務大臣と最高裁のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  163. 遠藤要

    国務大臣遠藤要君) 今先生からお話の刑事確定訴訟記録法がさきの国会で満場一致で成立をしていただきましたことを、改めてこの席をかりて御礼申し上げておきたいと思います。これも三十年ぶりでようやく成立したというような点で、大変私自身うれしく思っております。  そのような点で、法令整備というのは法治国家としていかに重要なそして意義を有するものであるかということは、先生指摘のとおりでございまして、法務省においても今お話を申し上げたように法令整備カードを備えて法令改正の経緯等を正確に把握しておるというような状態でございまして、先生にもひとつ法務省のカードもごらん願って、なるほどこれは近代的だなというような点も御閲覧願えば大変結構だなと、こう思っておりますが、私どもとして、自分の役所でやったのがこれは最高だということではなく、改善すべき点があればさらにより以上改善していきたい、こういうふうに考えておりますのですが、とにかく正確な記録を保存しておくということは今先生指摘のとおりでございますので、どうぞその点、我々としても今後一層検討していきたい、こう思っております。
  164. 山口繁

    最高裁判所長官代理者(山口繁君) 事実を確定いたしまして法律を適用することを責務といたしております裁判所といたしまして、法令の調査さらに改廃経過の調査等について遺漏のないようにすることはもう当然でございます。  先ほど来申しておりますように、私ども、現在利用いたしております法令カードと申しますものは、そのような目的に十分資するものであるというふうには考えておりますけれども、なお一層、法令の調査、改廃経緯の調査等について、さらに充実を期してまいりたいというように考えております。
  165. 田代富士男

    田代富士男君 今、ちょっと届けましたから、私の質問をやっている最中に一回目を通してください。遠藤法務大臣が言われましたとおりに、では法務省のカードを大臣の御指導どおりに見させていただきます。  では、問題を次に移します。外国人労働者と不法入国の問題についてお尋ねをしたいと思います。  午前中、同僚議員が外国人の不法就労についてさまざまな角度から質問をされましたが、関連してお尋ねをしたいと思います。  今後もこのような不法就労の傾向が続くといたしましたならば、我が国の労働市場への深刻な影響など、事態はゆゆしいことと言わねばならないと思います。  そこで、全建総連が大手建設会社と住宅会社に対しまして入管法違反の外国人労働者の就労防止について申し入れましたけれども、業界を指導する立場にあります建設省としてどのように承知されており、外国人の不法就労防止についてどのような対策を講じるつもりであるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  166. 小野邦久

    説明員(小野邦久君) お答え申し上げます。  国内で不法に稼働しております外国人に対しましては、出入国管理及び難民認定法違反といたしまして関係当局においていろいろ摘発が行われ、退去強制手続がとられているところでございます。これ以上につきましては、外国人の不法就労者が広くいろいろな産業界に相当に存在しているのではないかと考えられること、あるいはその対象が入管法違反ではございますけれども現に労働しておられるといったようなことを考えますと、大変難しい問題を包含をいたしておりまして、今後どのような対策が有効であるかということにつきましては、関係省庁が中心になりまして、緊密な連絡のもとに全体的な見地からの検討結果というものを受けまして取り組んでいく必要があると考えております。  建設省といたしましても必要な対応というものを全体的な見地からの検討結果を踏まえて行ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  167. 田代富士男

    田代富士男君 また、このような事件の急増は、法務省説明によりますと、地方入国管理局等におきます調査要員、収容施設など、その処理能力をはるかに上回る事態に至っているのではないかということが言われておりますけれども、そういう立場から抜本的な対策が迫られておりますけれども、そういう立場からずっと検討してみますと、例えば出入国審査費が五十八年度二千四百八十三万円から六十二年度は二千三百九十四万円というように予算的にも年々減ってきている中で、現実はどのように対応されているのか。また、抜本的対策ということが言われておりますけれども、そういう立場から調査要員の増員や収容施設の増設というものをやろうとしていらっしゃるのか。それ以外にどういう対策があるのか。忌憚のない御意見を聞かしていただきたいと思います。
  168. 小林俊二

    説明員(小林俊二君) 先生指摘の資料にもございますように、私どもの業務の遂行上その必要が非常に年々増大しているにかかわらず、経費あるいは定員の面における制約が年々非常に厳しい状態になってきておるということは事実でございます。こうした状況にございますけれども、私どもとしてはその可能な範囲内において総力を傾注して責務を果たしていくべく、例えば摘発につきましても時期を定めて集中的にこれを行う、あるいは管理の強化についても集中的にこれを行うということで、可能な限りの要員あるいは経費を最も有効に使うようにという努力を例えばいたしておるところでございます。また、入管当局だけにおきましてこの問題について対処するには限度もございますので、午前中にもお答えを申し上げましたように、関係省庁、例えば警察庁あるいは労働省あるいは外務省の協力も得て全体としての対策を強化していくべく連携に努め、その体制の強化に努力をしておるという状況にございます。  また、抜本的な対策といった観点からは、例えば収容施設が非常に不足してきておるということにつきましては、成田の空港において第二ターミナルがつくられようとしておるその一環として、収容施設についても考慮を求めるということがございますし、関西空港の新設ということについてもこの点で十分な配慮を得たいということを考えて、そういう例もございますように、基本的にこれに対処する体制を整備していくべくあらゆる機会をとらえて努力を続けていく必要があるということでございます。
  169. 田代富士男

    田代富士男君 もう既にこれは講じられたことでございますが、国内におきます外国人弁護士の事務の一定の条件のもとの開放などと同様に、今後とも法務行政も国際化の進展にこたえていかなければならないのではないかと思うわけでございます。国際化の進展に伴って起きてまいります、かつまた我が国において需要の高い分野における外国人の熟練技能労働者の問題についてお尋ねをしたいと思います。  まず第一点は、現在の外国人の熟練技能労働者の受け入れについて、現状はどうなっているのか御説明いただきたいと思います。  それと同時に第二番目は、コンピューター分野その他ハイテク分野において相当の人材が不足すると言われておりますが、これらの分野では熟練労働者不足対策を講じていかなければならないのでありますが、その一つのステップとして法務省が意図されました財団法人入管協会についてお尋ねをしたいと思いますが、これら熟練技能労働者を受け入れるであろう企業が、法務省とタイアップして設立しようとしております財団法人入管協会の設立がおくれておりますけれども、その理由は何であるのか。ほかでもなく日本国内の企業に対する外国人雇用に関する情報交換の場として設立しようとするのに、その雇用政策を預かる労働省など関係省庁抜きとはちょっと理解できない面もございますけれども、法務大臣、この点に対するお考え、いかがでしょうか。
  170. 小林俊二

    説明員(小林俊二君) 外国人の雇用を目的とする、あるいは稼働を目的とする入国については、一つ極めて明快に申し上げられることは、私どもはこれを二つの分野に分けて考えているということでございます。一つは非熟練労働者、いわゆる単純労働者であります。他はそれ以外の要員でございます。  単純労働者につきましては、今日まで我が国は一貫してこれを雇用を目的としては、稼働を目的としては入国を原則として認めないという施策を維持しております。  その他の外国人要員、すなわちその中には技能者あるいは技術者と言われる人々を含むわけでございますが、これは我が国社会の、特に経済界を中心とする需要の動向に応じて弾力的にその入国を認めていくということを基本方針といたしております。この方針に基づいて、そしてまた我が国財界を中心とする、経済界を中心とする需要の多様化あるいは増大に応じて、実際に入国し稼働する外国人の数も年々ふえているのであります。したがって、この面におきましては政策上これを規制するという考え方はございません。したがって、今後の経済動向、国内の動向にこれは左右されるものと存じます。そして、その状況が非常に拡大しておりますので、これに対応するように入管当局と財界との間、経済界との間のパイプと申しますか、チャネルを、意思の疎通を円滑化するという目的に当たってもらうために入管協会を設立するという動きになったわけでございます。この点については、経済界からも積極的な反応をいただいて準備が進められているところでございまして、若干の技術的な理由で遅延はございましたけれども、本月二十九日に総会を開いて発足するという段階に達しております。
  171. 田代富士男

    田代富士男君 最後の質問でございますが、時間がありませんからまとめて、公営企業金融公庫の総裁おいでいただいておりますから、お尋ねをいたしますが、近藤総裁が機関誌「公営企業」の一九八六年四月号の巻頭言におきまして、「国の施策としての市町村合併」と題して所信を述べられておりますけれども、そのことにつきましてお尋ねをしたいと思いますが、格段の援助措置の美名のもと、国の強力な指導によって推進される市町村合併が、その住民の意思をどれだけ反映し得るのか保障がないと思いますけれども、この点はどうなのか。また、総裁御自身、「具体的な基準・方式となれば難しい問題が多い」と言われておりますが、総裁として基準・方式にどういうお考えがあるのか。また、国の推進する地方自治ではなく、地域住民がみずから求める地方自治であり、市町村合併であるべきで、国の指導は最後の最後であり、どこまでも拙速を避け慎重にあるべきであると思いますけれども、この点に対するお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  172. 近藤隆之

    参考人(近藤隆之君) 私ども公営企業金融公庫で出しております雑誌「公営企業」に載せました私のつたない文章、お目通しいただきましてまことに光栄であります。御承知のように、町村合併につきましては、これは関係地方公共団体の自主的意思に基づいて合併するというのは当然のことであり、大原則であります。私のこの短い文章の中にもそのことは前提として書いておいたつもりでございます。  そこで、しかし今の時代において果たして合併というのを、市町村の自主合併だけでいいんだろうか。国は何らかの考え方を持って市町村合併というものに対して、必要な場合には援助するというようなことをもっとやってもいいんじゃないのか。つまり、世の中というのは現在非常に変わっておりまして、ここにも書いてございますように、明治の市制、町村制施行の前に山県有朋が行いました大合併、あれによって我が国の明治体制ができたわけですし、それから戦後の義務教育等の市町村移譲に伴いまして、市町村の体質を強化しなきゃならないということで昭和二十八年の町村合併促進法ができました。あのときと同じような事態が目の前に迫っておるんじゃないだろうかと。一方では、御承知のように高齢化社会、福祉社会と申しますけれども、福祉行政の面一つとってみましてもこれから非常に事務量というのはふえてくると思います。行政が関与する量はふえてくると思います。当然住民の一番身近な市町村がその責務を負わなければならない時代が来る。一方では国土庁が現在四全総というのをつくっておりますけれども、一日交通圏と申しますか世の中が非常にこれからも変わってまいります。そういうことを前提としておりますと、広域行政というものの使命、これから重くなってくると思います。もちろん、広域市町村圏行政というようなものもありますけれども、それでできる場合はそれで結構です。しかし、それには限界のある場合がある、町村合併が必要な場合もある。そういった場合に、やっぱり国としても何らかの考え方というのを持つ必要があるんじゃないか。そこで、この題名にありますように、「国の施策としての市町村合併」ということにしたわけでございます。  ただ、先生も御承知のように、これは一ページの短い文章で提言をしておるわけでございますので、舌足らずの点がないとも限らないと思いますけれども、私の真意は市町村の自主性を阻害するなんということは毛頭考えておりません。そこで、いろいろな問題がある、これをみんなで検討しようじゃないかということで結んでいるわけです。  その検討はどういうことかと、お前は何を考えているかということでございますけれども、昨年の六月十日だったと思いますけれども、臨時行革審におきまして、「今後における行財政改革の基本方向」という最終答申を行っております。この行革審の参与ということに私なっておりまして、この合併問題、非常に関心もございますので、ここでいろいろ私なりの御意見も申し上げたわけでございますけれども、そこでコンセンサスを得た範囲におきましては、あの最終答申の中に盛り込んでございます。一々説明すべきかと思いますけれども、時間の関係がございますので省略さしていただきますけれども、あの中でも地方団体の自主性というものを十分尊重しろという趣旨は私はにじみ出ていると思います。  ただ、一昨年、本国会におきまして通過させていただきました町村合併の特例法、十年間延長になりましたですね。あれだけではこれからの先行きのことを考えると不十分じゃないだろうかな、もっと何か先を見て国としてもどうあるべきかということを考えるビジョンというのが必要なんじゃなかろうか、そういう問題を提起したくてこの提言を行ったわけでございます。  したがって、最後に先生がおっしゃいましたように、拙速を避けて慎重にやれ、当然のことでございます。これ結婚と同じでございますから。非常に大事なことですから慎重にやるんですけれども、やっぱりこれは地方行政をどうするかということは国全体の国づくりの立場で考える必要もあると思います。国と地方は車の両輪と申しておりますけれども、したがって、国も必要な場合には適切な助言、勧告、地方自治の侵害しない範囲ということは当然ですよ。ですけれども、それもだめだということには私はならないだろうというふうに思います。以上でございます。
  173. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は、まず自動二輪の問題について警察庁の方にお伺いするわけでございますが、交通白書等を見ますと、依然として自動二輪車及び原付ですね、ひっくるめてバイク、これによる事故及び死亡者というのはふえているわけでございまして、私がこの問題を取り上げました理由は、息子たちが大変にバイクを乗り回しておるということを危惧しているお母さんたちが、最近みずから調査をいろいろやっております。それからまた、バイクに伴うヘルメットですね、このヘルメットそのものについても大変な関心を寄せておるわけでございます。  そこで、ヘルメットに関する調査等も自分たち自身でたくさんやっているものが出てきておりますので、私がそうした子供たちの動向を心配し、バイクあるいはヘルメットについて心配をしているお母さんたちの声を代弁するという意味でこの問題を取り上げてみました。  またあわせて、原付ミニバイクでございますが、これが大変最近主婦の間等でも愛用され始めておるということによります問題がございますものですから、このことを取り上げたということに相なるわけでございますけれども、まずこの間、春の交通安全週間を終わったわけですが、その間のバイクによる事故の状況についてまず御説明いただきたい。――いいです、いいです、それじゃ、時間ないんです。  次、問題は、その前、昨年の七月の五日から五十cc以下の今言った原付ミニバイク、主婦たちが乗るラッタッタみたいなあれですよね、あの手のものをみんなヘルメットを着用しなさいというのが義務づけになりましたね。それが七月五日だったと思います。そして、その月の十日から十一日の未明にかけてヘルメットの調査、ヘルメットをいかに着用しているかどうかについての調査を行われたと思いますけれども、そのときの状況は持っていらっしゃってますか。
  174. 内田文夫

    説明員内田文夫君) 昨年の七月十日から十一日にかけまして調査した結果でございますけれども、この二日間でヘルメットの着用義務違反といたしまして五千四百五十七件の取り締まりを実施いたしたわけでありますが、着用率そのものは特別に調査しておりませんので、ちょっとそのパーセンテージはわからないのでございますが、なお、この一斉取り締まりの際にこのほかに約七千件の着用指導というのを行っておりますけれども、その主な内容は、いわゆる規格外の保安帽といいましょうか、そういうようなものを着用していたとか、あるいは着用方法が正しい着用方法でなかったというような者で指導したというものがございます。
  175. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 その規格外というのは、例えば工事用のヘルメットとかああいうふうなものの意味のことでしょう。
  176. 内田文夫

    説明員内田文夫君) そのとおりでございます。
  177. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 七月五日からミニバイク運転者にもヘルメット着用が義務づけになったということがなされて、それで、もっともその一年前の六十年には既にこれは決めて、施行がその次の年、一年、間があったはずですから、だから徹底されていないことの方が本当はおかしいんだけれども、なおかつ多数の七千ですか、に及ぶ人たちが、六千九百六十五に及ぶ人たちが指導を受けたという実態があったわけです。私は本当は、その一年たったこの春の安全週間でヘルメット着用というのがどこまで徹底して効果があらわれてきているかというのが知りたくて、安全通関の成果あるいはバイクによる事故等の現状はどうだったんですかというのをまとめられたらまとめておいてくださいとお願いしておいて通告したんですが、じゃ、まとまっていませんか。
  178. 内田文夫

    説明員内田文夫君) ちょっと今、事故の件数の資料を持っておらないわけでございますけれども、事故件数は義務化いたしましてから着実に減ってきておるところでございます。
  179. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 死亡事故はどうですか。
  180. 内田文夫

    説明員内田文夫君) 死者の件数でございますけれども、義務化をする前がその前年と比べまして約七%増加の傾向にあったわけでありますけれども、七月以降は、義務化してから減少をいたしておりまして、それから本年の四月までの十カ月間を見てみますと、大体その間の前年のペースと比べて約一五%という大幅な減少をいたしております。
  181. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そこで私はこのヘルメットそのものについてお伺いをするので、今度は通産省にお伺いをいたします。  このヘルメット、きょう持ってきたわけでございますけれども、これがハーフ、これがフルフエースですね。(ヘルメットを示す)この中間にジェット、セミジェットがありますね。種類で言えばA種、B種、C種でございますね。それで各バイクの大きさによってこれが分類され使用途が決まっていると、こういうことですね。  それじゃ具体的に聞きます。これ、買ってから四年たっているんです。これまた使えますでしょうか。
  182. 北畠多門

    説明員(北畠多門君) 具体的に先生の御指摘のハーフ型でございますけれども、今のものが使えるかどうかについてちょっと判断はしかねると思いますけれども、私どもの方の経験的な感じから言えば、通常の保管状態あるいは通常の使用状態と、こういうことであれば使えるんではないかなという感じはいたしておりますが、個別の一つ一つについてお答えをするというのはちょっと難しいかなという感じがいたします。
  183. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 感じの問題を聞いているんじゃなくて、法律的に四年たったものがどうかという話に相なるわけなんですが、私も実は今回お母さんたちのいろんな要望を聞いていろいろ調べたり勉強した結果、ヘルメットに耐用年数があったということを初めて勉強したんです。それとあわせてヘルメットには製造年月日、これ、JISで製造年月日が義務づけられているんでしょう。
  184. 北畠多門

    説明員(北畠多門君) 御説明をいたしますが、ヘルメットの製造年月日に関しましてはJISの基準がございます。その場合におきましては製造年月日またはその略号ということで、JIS製品であればその表示をする必要がございます。それから私どもの関係では消費生活用製品安全法でございますが、この関係でいわゆるJIS的な基準ということでSGマークというのを張っておりますが、その張る際におきましても、そういう製造年月及び略号を付すという、どちらかを付すと、こういうことになっております。
  185. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 略号なんですね。どのくらい見てきたかわからないんですけれども、中をひっくり返してみると全部略号で、それで製造年月日というのは使っている使用者にはわからない。わかるのはその略号を打ったメーカーだけがわかる。例えば警察の方にこれ持っていっていつ製造したものかわかりますかと。日本で大手、最たるところのさるメーカーの会社の社長さんは耐用年数は三年だと、こういうふうに豪語しておられるし、一般的にもこの手のフルフエースでも三年だということになっているのならば、警察の方は陣がさでもいいとは言ってないようだけれども、頭に乗っかっていさえすればどうもそのまま前を黙って通過していっても、おい、こらはやらないみたいなのよね。そうすると、この点の規格ですね、もっと世間の人が知らなければいけないし、まずはそれを着用する本人が知っておかなければいけないと思う。ところが、この製造年月日は私も何ぼ記号を見てもわかりません、これは、いつの製造年月日かわからない。これももちろんそうですが、これは買った本人が四年前に買ったというから四年前に製造したんだろうと思う。聞きに行ったら、製造してから二年売れなくて、その次にあなたが買いに来たというのでこれは六年たっているわけね。  それで問題は、今度構造の問題でいくと、この中に発泡スチロールのあれが入っていますね。その発泡スチロール自身が持ついわゆる衝撃の吸収力というものがこれの一つの生命ですね。ところが、それが経時変化を起こすので、その発泡スチロールのいわゆる気泡の能力というかな、気泡がだんだん少なくなっていくと。このメーカーの社長さんはこれを店頭に黙ってこうやって八年飾っておくと、これはこのままもう使えなくなるというんです。つまりこのヘルメットはそんな種類のものだったのかということを非常に勉強したんです。ちなみにこれが四千円、これが三万六千円。私どもが調査してもらったのでは千円から六万二千円までの種類のものを買っています。あなたが持っているヘルメットは幾らでしたかということについて聞いたらば、ライダーの人たちは全部個々のあれを言うた。それについて千円から六万二千円まであるわけなんです。この値段の差は何なのか、まず通産省にお伺いするのと、その耐用年数、これをどう考えたらよろしいのか。
  186. 北畠多門

    説明員(北畠多門君) 先生の御質問の価格の問題につきましては、私どもの方で特にどの価格がいいということを指導するような問題ではございません。むしろ製造工程等あるいは流通のコスト等によって決まっていくものだと思います。  それから先生のお手元にございますようなフルフエースの場合は、やはりそれだけの材料も使っておるだろう、それから恐らく形等最低限の基準を満たしたものであろうというふうに想像いたしますけれども、その場合、色とかデザインとかいろいろあると思いますので、そのようなことで価格が決まっていくだろう、こういうふうに思っておるようなわけでございます。  それから二点目の耐用年数の問題につきましては、明確な耐用年数がどれぐらいかということについての規定というのは私ども承知をいたしておりませんけれども、具体的な発泡スチロールを使ったりするということである程度の経年変化というのは、またこれは太陽光線が直接当たるかどうかとか、それから店頭にどんなふうに置いてあるかとか、こういうことによってもかなり違うであろうというふうに考えております。
  187. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それからJIS規格の中に取扱説明をつける、添付するようにということも一つ入っていると思うのね。だけれども、それがついてないのが大部分ですね。ないしは買った、販売するときに説明書として入れたものがあるのかもしれませんけれども、一応はこのボディーにつけるようなこういう指示があるはずなんですが、ついてない。それから外国製品でついておるのがあるけれども、今イタリーのが大分入っています、イタリー語とか英語で全然効用がない。こういうことでこの説明書の問題もこれはやっぱり大いにもう一度検討しなければならないのではないかなという御指摘を私はしたいんです。  というのは、これはもう一度さらに伺うんですが、一度衝撃を受けたヘルメットは効用が半減する。つまり頭を再び守るというこの力が半分に低下するということがありますね。そうしますと、この取り扱いというものは実は大変なことになるんです。実はこのヘルメットも傷がついているので借りてきたんです。これは落下ではないのですけれども、傷がついております。そういたしますと、このヘルメットの能力というのは一体どうなんだろうかという問題もございまして、やはり私はこの品物そのものにつけておくところのその注意事項というものが大変大事になるであろうかというふうに思いますし、おたくの方でお出しになっているこのJISの中の「取扱い上の注意事項の一例」としてはこの帽子、安全帽の手入れをするについて、これ汚いでしょう、これ洗いたいわけよ。だけれども、洗剤、消毒剤等は次のとおりである、とまで書かなければいけないようになっておるわけ、JISだと。そんなもの書いてあるもの一つもありませんよ。これ、どうしましょう。
  188. 北畠多門

    説明員(北畠多門君) 先生の方は、今JISのお話をされたんでございますけれども、JISの場合は日本工業標準ということで、いわゆるJISマークを使える工場を認定をして、その工場が製造するものについてJISマークを張ることができる、こういうことになっておるようなわけでございますので、その意味では自主的な基準であるわけでございますけれども、通常道路交通法等に基づきまして使われておりますヘルメットにつきましては、消費生活用製品安全法に基づいて、いわゆる検定品目ということで検定をしておる品目でございます。その際におきましては、先ほどの表示につきましても基準がございまして、具体的には、若干私手元に持っておりますので読み上げさしていただきますけれども、製造または輸入の事業を行う者の氏名もしくは名称とか、通産大臣の承認を受けた略号または記号、それから頭によく合ったヘルメットを使用すること。あごひもは正しく締めるべきこと。それから大きな衝撃ですね、先ほど先生がおっしゃいました大きな衝撃を受けたヘルメットは、外観に損傷がなくても使用してはならないこと。こういうようなことを表示をするということを義務づけております。
  189. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 警察にお伺いいたします。  ヘルメットというのは、そんなにとてもデリケートなものだということを御存じでしょうか。つまり、何でも頭に載せてれば、これはおい、こらじゃないということにはならないことになるわけなんです。つまり、それでないと頭に着用していても効果がないということが商品の性格ないしは規格の上からは言えるわけなんですけれども。それで、私がさっき昨年の七月十日から十一日にかけて取り締まりしたときに、規格外品についてかなりの注意、指導をなさったというから、どの手の規格外品について注意、指導をなさったのかなということで、実はそのことを冒頭にお尋ねしたんですけれども、いかがですか。
  190. 内田文夫

    説明員内田文夫君) 先ほどお話ししました約七千というのは、その規格外の保安帽というだけではなしに、規格品でもかぶり方が正しくなかったといいましょうか、そういう者の指導も含まれておるわけでございまして、それ以降も警察庁の方といたしましては、このヘルメットを何でもいいということではございませんので、警察庁の方で道交法の施行規則の第九条の五というところに一応の基準がございまして、これは抽象的な基準でありますけれども、例えば「左右、上下の視野が十分とれること。」あるいは「衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。」とか、そういう規定がございまして、実際のヘルメットの規格につきましては、先ほど通産省からお話もございました、通産省が所管しております消費生活用製品安全法に基づきまして、Sマークをつけたもの、これを道交法の基準に合致するものとして、これをつけるように指導をいたしておるところでございまして、その後そういった指導をずっと続けておりまして、最近これは全国的なものをとってないんでございますけれども、東京の警視庁で、昨年の春と秋の全国交通安全運動期間中に調査した結果ですと、二輪車で〇・七%、原付で五・五%程度がそういった工事用の保安帽だとか、そういうものをかぶっているケースがあったと、こういう報告を受けております。
  191. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 今Sマークの話が出ましたね、セーフティーマークですね。そのSマークの話なんだけれども、私はこのおたくの監修している警察庁交通局監修の教則本の中で、「乗車用ヘルメットの着用」ということの中で、これが指摘されている事柄なので、後で通産省さんにもお聞きしますけれども、「SマークかJISマークのついたものを使いましょう」というふうにお書きになっていらっしゃるんです。これについて私は、表現が違うと。「SマークかJISマークのついたものを使いましょう」ではなくて、SとJISだ、あるいはSやJISがついたものを使いましょうと。このSマークというのは、後から通産省さんにも御説明いただきますけれども、これは特定指定商品にだけしかつかない。国が強制的につけさせるセーフティマークでありまして、現在八品目しか指定されていない。その中に人身に及ぼす安全性を最大限確保しなければならないということでつけられる非常に大切なマークがSマークなんです。  だから、SはくっついてなくてもJISのついたものでもいいというわけにはいかなくて、Sがなければヘルメットは売れないはずなんです。  そうしますと、運転者にヘルメットを買わせる場合に、SまたはJISではなくてやっぱりSやJISがついた、あるいはSマークとJISマークがついて、その次にSGもみんなついてます。業界がみんな加入なさってますから、SGもついてます。だけれども、教則本でこういう書き方をしてはならないと思うのですが、これはいかがですか。
  192. 内田文夫

    説明員内田文夫君) これは原付にヘルメットが昨年の七月から義務化されたということで、昨年の五月に消費生活用製品安全法の施行令等が改正されまして、原付の自転車に乗る場合にヘルメットの安全基準が定められて、これもSマークがつくようになったわけでございます。それ以前は自動二輪車の方はSマークがついてましたけれども、原付のヘルメットにつきましては、いわばそういう規定がなかった。一般のJISでヘルメットをかぶっていた、一般に売られていたということであるわけでございます。  そういったことがございまして、実際にはJISの基準がそのままSの基準になったわけでございますが、今新しいのは全部Sマークがついておりますけれども、したがって、五月以前のものはJISマークしかついてないというのがある。耐用年数はどのくらいかと先ほど先生が言われるとおり問題があるわけですが、当分の間は、したがって昨年の五月以前に売られたJISマークだけのものも認めていかざるを得ない、こういう考えでそういう規定になっておるわけでございます。
  193. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それから、先ほど視界の話が出ました。これは通産省さんの方にお伺いをするのですが、JISの規格で視界が百五度になってますね。それで、たくさんのアンケートの中からこの百五度の視界についていろいろやっぱり意見があります。左右の視界が百五度以上であることなんです。だけれども、これをどういうふうに考えればいいかということで、「以上」の読み込みなんですが、これをどういうふうに考えればいいかということを一つお伺いしたいのと、さっき言ったSかJISのついたものをという表現は、これは教則本だから直した方がいいのではないかと思うのだが、いかがかという、その意見、その二つを伺います。  それで、これも警察庁監修の自動二輪車用の本なんですが、準教科書だろうと思いますが、それに「視野と速度の関係」というのが通産省さんあるわけです。  それによりますと、車の速度が早くなるほど運転車の確認できる視野は狭くなっていくと、これは原則ですね。こういうことも含めて百五度という視界の問題をどういうふうにしたらいいかというんですが。つまりアンケートなんかでは非常に見にくいと、こういう話よ。これはどういうふうにしましょうかということ。
  194. 北畠多門

    説明員(北畠多門君) 先生の御質問の二点でございますけれども、視野の百五度と申しますのは、先ほどのSあるいはJISの議論ではございませんけれども、両方とも百五度以上、こういうことで規定してございまして、ヘルメット、例えばお持ちの全部かぶる帽子ですね、その場合ですと、余り視野を広くしてしまいますとそれ自身の構造が弱くなるとか、そういうような問題点も恐らくあるだろうと、こういうことで、ほかの国際的な基準等も恐らく参酌してだと思いますけれども、百五度という一つの最低ラインを設定したんだと、こんなふうに私どもは理解をしております。先生がおっしゃいましたような、具体的に使ってみたときになかなか使いにくいと、こういうような御意見も、私どもこういう基準をつくるに当たりましては十分拝聴すべきポイントだろう、こういうふうに思っておりますので、少し討ち帰りまして研究もしてみたいなと、こんなふうに思います。  それからもう一つ交通の教科書の方にSマークまたはJISマークと、こういうふうに書いてある点について、それを直すべきではないかという御指摘の点でございますけれども、先ほど警察庁の方から御答弁がありましたような経緯があるんだろうと私ども理解をしておるようなわけでございます。しかしながら、こういうような問題については、基本的に、昨年の道交法の改正以来、新しくこういう基準になってきておるようなわけでございますので、私どもの方といたしましても警察庁の方とよく相談をさせていただきまして必要な対応をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  195. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それからお母さんたちの意見の中に、最近ヘルメットが、さっき価格の問題を千円から六万円まで申し上げましたけれども、そのことの中でファッション化の話が出てきております。最近のヘルメットは、これはかなりまともな方でございますけれども、非常にファッション化してきておりますですね。そのことをどうこうということはないわけで、今のSないしはJISがあればこれはいいわけですけれども、ファッション化がエスカレートしていわゆる改造ヘルメット、この問題が出てくるわけなんです。これはおたくの問題じゃなくて今度こちらの問題になるわけですけれども、改造ヘルメットの場合には、これはやっぱり違反事項として扱いますか。
  196. 内田文夫

    説明員内田文夫君) その改造の程度とかそういう、具体的な場合でないと私もわかりませんけれども、いわゆる本来の基準を設けてSマークをつけている、そういったものと比べて、その趣旨に反するといいましょうか、その程度の改造がなされていれば、Sマークの本来のヘルメットに買いかえるように指導をするということになろうかと思います。
  197. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 御存じでしょうけれども、本屋さんに行くと、自動車、レーサーの関係のものとか、それから今のオートライフとかオートファッションとか、その手の自動車、バイクに関する本とか雑誌が別コーナーであるでしょう。物すごくありますね。あの中にたくさんの興味ある本がありまして、時間があると私も開いて見ておるのでございますけれども、そういう中で、ヘルメットのいわゆるレプリカ、これをむしろ指導をしているような雑誌がたくさん出ているんです。  それで、私どもも改造ヘルメットについて関心を持ちましたものですから、アンケートで調べてもらった結果では、この改造、加工についてはやっぱりカラーリングが一番多いんです。特に十六歳から二十五歳までの男性に圧倒的に多いということで、カラーリングが最高ですけれども、そのほかに、あごひものつけかえ、あるいはまた、暑いということだろうと思うんだが、帽体に穴をあける、その他という種類の改造をやった経験があるという、そういうアンケートの答えが出てきているわけです。  これをやりますと、特に帽体に穴をあけるというようなことになりますと、ヘルメットの生命がなくなるわけですよね。外見的にはわからなくても、つまり中の機構に対してもう効力をなくするということで、私どもはこの手の、これはヘルメットカラーリングプロテクニックというような紙面があって、こういうところで改造の仕方の指導をやっているような、こんな雑誌が出ているわけです。こういう種類のこともやっぱり私は警察で考えてもらわなきゃいけないことではないかなと思うし、この手のものがどんどん若者のニーズに従って出版されているということ、これはえらいことだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  198. 内田文夫

    説明員内田文夫君) 確かにそういったような改造がなされると、最近のそういった傾向を好ましいこととは我々も思っていないわけでございますが、ただ昨年の改正以降いろいろと広報活動等も行ってきておりまして、そういったものを含めて、Sマークのいわゆる正規の帽体といいましょうか、帽子、それ以外のものをかぶっている人の数というものは、むしろ統計的には少しずつ減ってきているというように今私ども承知しておるわけでございます。
  199. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 法改正をした目的は安全を図るということにあるわけでございますから、やはり私はそういうものがそういう形で抜け穴になっていくということではこれは大変ですので、ぜひその点も、頭に何か乗せているから大丈夫なんだといって警察の前を黙って通っていかれるというようなことではなく、やっぱりヘルメットの質そのもの、それもしっかりとチェックをしてみていただきたい、このように思います。  また通産省さんの方にはあわせて、いろいろ私申し上げましたので、いわゆる規格、基準の問題、強度の問題等についてもよろしければ、この主婦たちがつくったアンケートとか調査とか、それからまた工場見学に行ってのいろいろ記録がございますので差し上げますから、ぜひこんなことを参考にしながら、一体どんなことが子供たちがバイクを乗り回しているそのことを心配している親たちの関心事なのかということがわかると思いますので、ぜひこんなことを考慮に入れていただきたいと思うんです。  それから、これは通告のときにもちょっと申し上げておいたんですが、文句を言うわけじゃないんだけれども、SGのいわゆる製品安全協会の方のことですけれども、これ今までに事故原因を調査なさって、それを適切な措置をするかしないかというケースについて、なかなか取り上げられてはおりませんですね。そして結局、結果的には、例えば私はこんなのは非常に考えてみると不当だと思うんですよ。これは、事故例は乗車用ヘルメットをきちっと着用していた。そして、左折しようとした自動車に後方からオートバイで直進してきた被害者が衝突し、五十メートルほど前方に飛ばされ即死した。脳挫傷。ヘルメットは全部飛散して散らばってしまったということで、これ試験の結果、ヘルメットには問題は認められなかった。今回の事故は、基準をはるかに超えた衝撃が加わったと思われる。したがって、製品には問題がなかったから措置不要と、こういうことになるわけです。  このSGの考え方ですけれども、製品に瑕疵があった場合に補償していくわけですけれども、私こういうものの考え方、これについてももっともっと考えていかなければ、加入している会社も浮かばれないんじゃないかなという思いがあったり、事実上もしこの事故の例だけで言えば基準をはるかに超えた衝撃が加わったからこういうことになっちゃったというんなら、さっきの強度テストなんかの基準を考える必要があるんじゃないかというふうにも思うのね。全部この手のことで措置不要になっているわけ。この製品安全協会がヘルメットに対してどういう見解をお持ちなのか私わかりませんけれども、やはり製品安全協会はおたくの管轄下でございますから、ぜひいろいろ事故例等もお聞きになりながら、こんなことに配慮する方法はないのかとかいうふうなことでこの賠償というか補償というか、こういう問題も私考えていく必要があろうかというふうに思うのでこれはお願いをしておきます。  まあ時間がなくてヘルメットばっかりやっていたものですからもう大変に大幅におくれてしまいまして、これで終わりにいたしますけれども、決してつまらない話ではなくて、今このオートバイの出回っている数量と、そしてエスカレートしていく今日の状況を見ればこの手のものが、ヘルメットですね、この手のものが今私たち生活の周辺でとっても大事なものだということがおわかりいただけたと思うんですけれども、国家公安委員長いかがでございましょうか。
  200. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) お母さんとしての立場からだろうと思いますけれども、生活実感に富んだいろいろな御質問を伺っておりまして、私もこのヘルメットの問題十分に考え直さなければならないと、このように感じました。通産省といたしましては恐らくというか詳細な安全基準を決め、また厳しい検査を行って製品を市場に出しているのでありますけれども、ただいま先生が言われましたような事例に対して、一体安全基準が今のままでいいのかどうかということを私も感じまして、これはもう一度検討してもらいたいなと思います。  それからヘルメットの耐用年数の問題も大事な問題でございまして、先ほど答弁、こちら警察庁から三年という答弁ございましたが、一体使っている人たちがそれを承知しているかどうかという問題がございますので、ヘルメットの見えるところに製造年月日を入れると、そしてまた仕様書にはちゃんとそのことをうたうというような措置が必要ではないであろうか。  それから何といいますか、飾りとして穴をあけたりというようなことは危険だからやってはいけないということで、雑誌あるいはこの交通関係あるいは自動車関係の雑誌の編集者などに交通局から注意を喚起するということも必要ではないかと思う次第でございます。いろいろ御示唆に富む御質問をいただきましたが、きっちり対応していきたいと思います。
  201. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大変誠意あふるる御答弁をちょうだいいたしまして、私も感激いたしましております。このことは会議録ができましたら、それがぜひ欲しいというPTAやらお母さんのグループがたくさんございますので、その大臣の答弁しっかりと皆さんにお伝えをいたしますのでよろしくどうぞお願いします。  私は次に選挙人名簿のプライバシー保護にかかわる問題について、時間のある範囲内でお尋ねをするわけでございますが、まずこれは自治省にお伺いをすることに相なるわけですが、公職選挙法第二十九条二項「市町村の選挙管理委員会は、」「選挙人名簿の抄本を閲覧に供し、その他適当な便宜を供与しなければならない。」というふうに規定をしているわけでございますけれども、この規定の趣旨からまず伺わせていただきたいと思います。
  202. 小笠原臣也

    説明員小笠原臣也君) お答えを申し上げます。  公職選挙法第二十九条第二項は、ただいまお読み上げになったとおりでございますが、これは選挙人名簿の抄本の閲覧に関する規定でございますが、同条項は、選挙人名簿への登録は選挙権行使の資格にかかわるものでございますので、登録につきましては、できるだけ常時選挙人の確認を得て、選挙人名簿の正確性を期する必要がある、そのために市町村の選挙管理委員会は、選挙の期間等選挙管理事務が集中する期間を除いて、選挙人名簿の抄本を閲覧に供し、その際これに伴う適当な便宜を供与しなければならない、こういうことを定めておるわけでございます。
  203. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 昨年六月から七月にかけて大量の、その制度を利用してと言えばよろしいのでしょうか、選挙人名簿が外に出され、    〔委員長退席、理事梶原敬義君着席〕 それが名簿屋さんとか通信販売あるいは金融業者等々、いわゆる本来の目的とは違った形で町に流れたという事件があったわけでございますけれども、この辺のところ把握していらっしゃると思いますけれども、全国五十九選挙管理委員会から一万一千とも一万五千とも言われる選挙人名簿がコピーされ、売買されたということを私ども新聞等で知っておるわけでございますが、この辺のところはどのように把握しておられますか。
  204. 小笠原臣也

    説明員小笠原臣也君) お尋ねの件につきましては、当時新聞報道がなされましたので、早速私ども関係都道府県の選挙管理委員会に電話照会をいたしましてできる限り調査をしたわけでございます。その調査によりますと、五十九年の十一月から六十一年の五月にかけまして、ある参議院議員あるいはその秘書の名義で選挙人名簿抄本の閲覧申請が多数の選挙管理委員会に対してなされたわけでございます。閲覧目的が後援会組織の拡充強化など政治活動に資するということになっておりましたので、選挙管理委員会といたしましては、選挙人名簿抄本の閲覧の趣旨に即するというふうに判断をいたしまして閲覧を許可したものでございます。  なお、閲覧を許可するに当たりましては、すべての選挙管理委員会が、閲覧により得られた資料を目的外に使用しないというようなことを内容とする誓約書をとっておるわけでございます。  その後、その関係の議員の方から選挙管理委員会に送付された文書によりますと、第三者が同議員の名前を使って選挙人名簿の抄本を閲覧し、広報宣伝等の資料に利用したとのことでございまして、一部の選挙管理委員会では、当該人物に対しまして閲覧により得られた資料を返還をしてもらいたいということを求めたわけでございます。いずれにしましても、この閲覧により得られた資料が閲覧申請書に記載されたものとは別の目的に利用されたものでございまして、大変遺憾に思っておる次第でございます。
  205. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 「昭和六十二年度国の施策及び予算に関する決議要望」、全国市長会から出ておるものでも、この選挙人名簿が営利目的等不当な目的に利用され、プライバシーの侵害などの問題を発生させているため、国に対して法的措置を含めた規制措置をぜひ講ずるよう要望するというのが一節入っていたと思います。  それから一方では「情報公開法を求める市民運動」、東大の奥平先生の会でございますけれども、そこの会からも、情報公開制度を一般市民と一緒に進めておられながら、一方では、ただし名簿公開は慎重にせよということを、今情報公開条例を制定している五十四の地方自治体に対して送っておられる、こういう事実等もございまして、私はやはりこの情報公開ということとそれからプライバシーの保護というのは非常に微妙な関係にあるものであると思いますし、既に各地方自治体でこの情報公開に取りかかっているところも、プライバシー保護法とセットでスタートを始めているのが実情ではなかろうかというふうに思うのでございますが、昨年の事件の後自治省ではこの事件、つまりかつてなかった非常に大型な事件だということから、この事件を一つのきっかけにして、「自治省は現在原則として自由に認めている選挙人名簿の閲覧・謄写を制限する方針を固めた。近く公職選挙法改正の検討に着手する。」という、これは私六十一年十一月十六日の新聞を持っておるわけでございますけれども、これ今どうなっているのかをお伺いするのと、それから、私ども名簿屋さんなんかに会って、実は消費者問題の中でプライバシーの保護ということが大変に大きな課題になっておりまして、私は消費者問題出身者なもんでございますからそちらの方の人たちとの話し合いもいたします。そして名簿屋さんと称する方々との接触もございました。その方たちのお話によりますと、奈良、摂津、それから吹田というようなところの名簿は今非常に値段が高いのだ、こういう話なんですね。それはなぜかと聞いたら、なかなかとれないから、とったものは非常に高いのだと、こういうことで値がいいそうでございます。  そこで、私は吹田市に問い合わせをいたしまして、吹田は一体どんな規制を加えているから、そんなにそれがとれた場合には高くなるのかということを調べたく、ちょっとその要綱を読ませていただきましたところ、かなり厳しいんですね。それで、これは大阪府が府内全域の市町村の選管を呼んで、そして府がつくったものを各市が何かみんな任意にそれを受け入れて、これが事実上吹田市あたりから非常に厳しく実行がなされているということになっているそうでございますけれども、そこでは、閲覧の方法、閲覧の拒否、そして閲覧者の責務等、私どもがやっていただかなければならないことが全部この中にうたわれておるわけですね。ぜひこんなものも参考にしながら、国でもやはり取り組む必要があろうかというふうに思うんでございますけれども、今後公選法改正の検討に着手するというこの実情は今どうなっているかを御答弁いただきまして、多分時間でございます。
  206. 小笠原臣也

    説明員小笠原臣也君) 自治省といたしましては、先ほど御報告申し上げましたような事件が起きたものでございますから、このようなことがあってはならないという立場に立ちまして、このような大量閲覧にわたる場合には、閲覧により得られた資料が営利目的とかあるいは不当な目的に使用されるおそれがございますので、そういう場合には十分慎重に対処するように指導しておるわけでございます。それで、それもありまして大阪府下の選挙管理委員会においては府下の市町村に対しまして準則を定めまして、コピーの禁止等がなり厳しい制限を加えるようになったということでございます。  次に、自治省としてこれに関連をして公職選挙法の改正を考えているかどうかということでございますが、新聞の報道は私ども承知をいたしておりませんが、自治省としましては、かねてからこの閲覧制度というのはあくまでもその名簿の正確性を期するために認められておるんであるから、営利目的とか不当な目的に閲覧をさせるということはできないのだという立場をとっておりまして、従来から研修会とかいろいろな質疑応答の中で、閲覧を許可する場合は選挙人が自己または特定の人につき登録の有無を確認するためとか、あるいは候補者等が選挙運動または政治活動を行うために閲覧する場合とか、あるいは公共目的の世論調査等のために閲覧をする場合に限られるというふうに指導しておるわけでございまして、閲覧の範囲とか基準についてはほとんどの団体で大枠において同様な取り扱いをいたしております。要綱を策定いたしましたりあるいは内部の規定をつくったりいたしまして、そういう措置をして適切に運用をしておるわけでございます。しかしながら、それにもかかわらず先ほど申し上げたような事件も起きたわけでございますので、今後の問題として私ども問題意識を持っておりまして、運用でさらにそういう事態にどう対処していくべきか、あるいはそれが有効であるかどうか、それがもし有効でないとすれば、先ほどお挙げになりました市長会の要望にあるような何か法的な措置を考えなきゃいけないのかどうか、その辺をいろいろと今勉強をしておる最中でございます。
  207. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 まず、最近重大化している霊感商法の問題について質問をいたします。  経企庁、この悪徳商法による近年の被害状況、被害の件数や金額など簡単に状況説明してください。
  208. 吉田博

    説明員(吉田博君) 御説明申し上げます。  国民生活センター及び地方の消費生活センターで受けております開運商法に係ります苦情件数及び金額でございますが、六十年度が千九十五件、約十八億円になっております。それから六十一年度は、仮集計でございますが、二千七百四十九件、約五十億円、こういうふうになっております。
  209. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それによる主な販売の商品、販売活動の手口、こんな点はどうでしょうか。
  210. 吉田博

    説明員(吉田博君) 商品でございますが、印鑑であるとか、つぼ、それから多宝塔、高麗ニンジン茶、こういうふうなものが挙がっております。  それから手口でございますが、病人あるいは病弱の人の弱みにつけ込むとか、不幸に見舞われた人の不幸につけ込む、あるいは宗教的不安感をかき立てる、古来からの言い伝え、迷信を強調する、こういうふうな手口になっております。
  211. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 今も主な特徴が紹介をされたわけでありますが、今日までの国会質問や多くの新聞、雑誌などの報道に出ていますように、死相が出ているなどと称して相手を不安に陥れるとか、長時間軟禁状態にして判断力を失わせ原価の五百倍に及ぶ暴利販売を行っているというものであります。先日、私も京都の被害者から直接訴えを聞きましたが、その中の一人などは合計四千二百三十八万円の被害を受けたと。もう、まことに許せない不法行為であります。  ところで、この悪徳商法の手口について「ヨハネトーク」と称する詳細なマニュアルというか手引書、これがあるわけでありまして、その写しはきのう経企庁にもお渡しをしておきましたけれども、この概要は既に文芸春秋の八四年七月号にも元世界日報編集局長の副島嘉和氏の内部告発として紹介をされているところでありますが、経企庁、国民生活センターとして把握をしている被害例、これに照らしても大体このマニュアルに沿った形で組織的な販売活動がやられているということですね。
  212. 吉田博

    説明員(吉田博君) 国民生活センターにおきましても、そういう呼ばれ方をしております販売方法があるということは承知いたしております。
  213. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 とにかく不法な詐欺、恐喝商法、また薬事法違反でもないかと思わざるを得ないような不当、不法な商法を断じて放置してはならないわけであります。  そこで警察庁警察庁としてはどのようにこれに対処をしているのか、今日まで事件として処理をしたその件数と内容報告してもらいたいと思うんです。
  214. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 警察といたしましては、霊感商法いわゆる悪質商法に対しまして、消費者の保護、弱者保護の立場から被害の未然防止、拡大防止を最重点として取り組んでいるところでございます。  御質問の霊感商法につきましても、その態様によっては脅迫罪、恐喝罪、詐欺罪あるいは薬事法、訪販法などを適用して厳正な取り締まりを行っていくとともに、関係行政機関等と密接な連携を図りつつ、その実態について効果的に広報をいたしまして、被害の未然防止、拡大防止に努めていく所存でございます。  これまでの霊感商法の検挙状況ということでございますが、この商法を指定して報告を求めましたのは昨年からでございまして、総数で四件ございます。詐欺罪を適用したものが二件、脅迫罪を適用したものが一件、迷惑防止条例を適用したものが一件、計四件でございます。いずれも有罪となっております。
  215. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 さらに、この悪徳商法についてこれを批判をする言論活動に対して、報復的な脅迫行為がこれまた最近激しくなっているのであります。批判的な報道を行う新聞社への脅迫電話の集中、被害者救済に取り組んでいる弁護士への脅迫。北海道であった例でありますけれども、テレビで訴えた消費者協会の代表宅へ頼みもしないすしや貸し衣装などが連日届くという嫌がらせ。最近奈良市で、被害者家族の会というのがもともと結成をされておったんですが、その代表が勤める職場に日に数百本も電話が集中をして、会社に大変迷惑をかけるということでついに会社に辞表を出すという事件など、こういった事例が頻発をしているわけであります。  そこで法務大臣お尋ねをいたしますが、こうした姿というのはまさに言論、表現の自由に対する真っ向からの否定であり、攻撃であるということでありまして、こうしたことは断じて許されない問題だと思うのでありますが、法務大臣の御所見はどうでしょう。
  216. 遠藤要

    国務大臣遠藤要君) 悪徳商法の批判に対する嫌がらせといいましょうか、そういうふうな言論妨害といいましょうか、そういうようなものに対しては捜査当局としても十分承知をいたしておると思います。そのような点で私どもとしては厳正な対処をしていくというように承知をいたしておりますので、御了承願いたいと思います。
  217. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 断じてあってはならないことで、厳正に対処をしなくちゃならぬという御所見でありますけれども、具体的にはこういう脅迫行為、これをきっぱりと禁止をしていくためにどういう手立てを法務省としては考えておられるんでしょうか。
  218. 岡村泰孝

    説明員(岡村泰孝君) 御指摘のような嫌がらせの電話等につきましては、現行法上もその内容が脅迫的なものでありますならば脅迫罪の適用が可能でございますし、あるいはまた業務妨害的なものにわたるような場合は業務妨害罪の適用も可能であるわけでございまして、現行法令によりましてそういった行為に対しましては厳正に対処すべきものであるというふうに考えているところでございます。
  219. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 さらに重大な問題は、先ほど幾つか事例を挙げましたけれども、そういう例でも明白に出ているわけでありますが、この霊感商法の組織的な背景に世界基督教統一神霊協会、いわゆる統一教会ないしは国際勝共連合があるという問題であります。  警察庁お尋ねをします。  五十九年の一月十二日の青森地裁判決に関連をしました弘前警察署の捜査報告書、この中ではこれら恐喝が会社ぐるみの犯行であり、会社は統一教会及び国際勝共連合の思想教育を受けた者の集まりだとこの捜査報告書の中に書いていると思いますが、間違いありませんね。
  220. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 当時の事件に関する公判記録の中に、お尋ねのような事実を記載をした捜査報告書があるということについては承知をいたしております。
  221. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 今も確認をされたとおりでありまして、これは単に個別例として済まされる問題ではないと思います。一事が万事でありまして、現に霊感商法の総元締めのハッピーワールド社、ここの社長の古田元男氏は統一教会の経済局局長でもあります。こういう組織的な関係にもあるということからいって、今重大化をしております霊感商法の組織的な背景に統一教会、国際勝共連合があるという問題は明白であります。  この統一教会について、我が党はたびたび今日まで国会でも取り上げてまいりました。アメリカで脱税のため投獄をされた文鮮明、これを教祖にいただいておる。そして韓国語を世界語にするのだとか、日本を韓国に統合をするのだとか、こういう恐るべき韓国中心主義を教義とする組織でありまして、その政治組織が勝共連合である。こういった点でいささかも問題を安易に放置をすることになれば未来に重大な問題を引き起こすということになりかねません。  こうした点で、この霊感商法を行っておる団体といいますか企業といいますか、これと統一教会、勝共連合の組織的な関係について必要な事実調査も行いながら、ひとつ断固たる対処をしてもらいたいというふうに心から望むものでありますが、この点で法務大臣国家公安委員長、それぞれ両大臣にその所見をお尋ねをいたします。
  222. 遠藤要

    国務大臣遠藤要君) 御指摘の霊感商法なるものに関して、その陰の組織といったらいかないか、そういうような点が刑罰に触れるような事実があるということになりますれば、先生指摘のとおり厳正な処置をとっていくというようなことを承知いたしております。
  223. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) いわゆる悪質な商法につきましては、善良な国民がその犠牲にならないように配慮していくことが肝要であると考えているところでございます。  この種商法につきましても、違法行為があれば厳正に対処することはもちろんでございますけれども、同時にその悪質商法の実態を広く国民に知ってもらうように努力をいたしまして、被害の未然防止に最善を尽くしていきたいと考えております。
  224. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 先ほど両大臣に私、資料を三枚とじほどのものを差し上げたかと思いますが、きょうの前段の議論で非常に異常とも言うべき悪徳商法をやっておるその際の手引書、「ヨハネトーク」と表題をつけております、いかにも神がかったそういう表題ですけれども、その一番最後の三ページ目をごらんをいただきたいと思いますが、そういうつぼを売ったりなんかしています、販売活動をやっている元締めであります「世界のしあわせ」、その美術工芸部、ここが「統一教会との確認事項」、こういう見出しで幾つかの項目をそこに書いておりますね。特に最初の方をごらんをいただければはっきりしますように、「教会は事業部との交渉窓口となる責任者を決め、その人が一切の処置にあたって下さい。」、そして「その責任者は壼の出庫、返品時に立ち合って下さい。」ということで、明らかにそういう販売活動をやっている団体と統一教会との間にこういう確認事項を結ぶという形にまでの、組織的関係が否定できないという一つの証明かと思いますけれども、こうした点でそれぞれ答弁をされてますように、違法な活動があればこれは厳しく対処するというのは当然のことでありますけれども、こういうことが頻発をしてきます。その組織的背景に何があるかというここをぜひ究明をしていただいて、国民の大きな注意を喚起していくということで、ぜひ政府として一段の御努力をお願いをしたいと思うわけであります。済みませんけれどももう一遍両大臣、基本的な御所見をお尋ねします。
  225. 遠藤要

    国務大臣遠藤要君) 先ほどお答えしたとおりでございまして、法務省としては、このような問題が国会なり何かでたびたび質問なりお話が出ておりますので、捜査関係も十分承知をしておる、こういうふうに申し上げておりますが、刑罰にかかわる問題のときには厳正な対応をしたいということは当然でございますが、さらにまたその根を絶やすような方途もこれから検討していかなければならぬ問題だなと、こう思っております。
  226. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 今ちょうだいしました資料は十分に後ほど読みまして、検討させていただきます。
  227. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は重大な盗聴事件について質問をいたします。  最近、我が党の上田副委員長、さらにはその前に緒方国際部長宅に電話盗聴という事実があることが発覚をいたしました。言うまでもありませんけれども、こういう電話盗聴というような行為は今日の憲法下においても、また法制度下においても絶対に許されない非道な反社会的行為である。同時に民主主義の根幹にかかわる重大な侵害行為であることは言うまでもありません。  まずそこで警察庁に認識を伺いたいのでありますが、電話盗聴なる行為は明らかに違法な犯罪行為である、これは間違いありませんか。
  228. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 違法行為は許されるはずはございませんで、警察は、当然のことでございますが、違法行為に対しましては厳正に対処してまいる所存でございます。
  229. 橋本敦

    ○橋本敦君 電話盗聴がどの法律に違反するどういう違法行為か、明確に答えてください。
  230. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 態様によると思いますが、有線電気通信法あるいは電気通信事業法、それから刑法、そういったような各種の法令に該当する場合があると考えます。
  231. 橋本敦

    ○橋本敦君 法務省刑事局長の御見解はいかがですか。
  232. 岡村泰孝

    説明員(岡村泰孝君) 電気通信事業法によりますと、「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密を侵した者」に対しまして処罰規定を設けているところであります。一般的に申し上げますと盗聴というものはこの罰則に当たる場合が多かろうというふうに理解いたしております。
  233. 橋本敦

    ○橋本敦君 有線電気通信法でも第九条及び第十三条の規定がありますが、これにも違反する可能性があるのではありませんか。
  234. 岡村泰孝

    説明員(岡村泰孝君) 有線電気通信法の例えば十三条は、「有線電気通信設備を損壊し、これに物品を接触し、その他有線電気通信設備の機能に障害を与えて有線電気通信を妨害した者」というものにつきまして罰則規定を設けているところでございまして、これらの要件に該当するならば有線電気通信法違反が成立するということになろうかと思いますが、盗聴行為が直ちにこれに当たるかということになりますと、これは具体的な事実関係のもとで判断されるべきことではなかろうかと思っております。
  235. 橋本敦

    ○橋本敦君 電気通信事業法百四条で、秘密侵害すればどういう罰則がありますか。
  236. 岡村泰孝

    説明員(岡村泰孝君) 電気通信事業法第百四条によりますと、罰則は「一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」ということでございまして、その行為が電気通信事業に従事する者の行為でありますときは「二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」ということになっております。
  237. 橋本敦

    ○橋本敦君 いずれにしても憲法原則をじゅうりんし、同時に、具体的な法律に違反して懲役刑をもって処断される重大な犯罪であることは明らかであります。  さきの予算委員会において警察庁長官は、我が党上田議員の質問に対しまして、警察は電話盗聴はやっていないということを答弁されました。しからば、電話盗聴はしばらくおくとして、電話盗聴以外の盗聴器を用いた盗聴行為はやったことがあるのかないのかという問題があるわけですが、例えば私の今手元に昭和二十八年十月一日付の判例時報がありますが、「捜査官憲の盗聴器使用と特別公務員職権濫用罪の成否」という題で東京高裁の昭和二十八年七月十七日決定が掲載をされています。この決定は、警察庁警備局で編集をされた「警備実務判例集」一編の二十七ページにも登載されていますから、警察庁も御存じのとおりでしよう。  これの決定理由書を読みますと、これは昭和二十六年に起こった事件でありますけれども、新潟の国家地方警察十日町地区、ここの警備係の警部補五十嵐という人、これが盗聴マイクを仕掛けまして共産党員の会合を探索してひそかに盗聴しておったということが発覚をしたんでありますが、この事実については、この裁判所決定は、「いずれも記録によって明白である。」、こう断定しています。  ついでながら、「またその頃日本共産党が合法政党であったことは当裁判所に顕著な事実である。」ということも言っておりまして、合法政党である共産党に対して盗聴器を仕掛けた、こういう盗聴行為があったことは裁判所判決の認定からも明らかです。  そこで警察庁に伺いますが、電話盗聴はやったことはないと警察庁長官は答えられたが、電話盗聴以外の盗聴器を用いた盗聴行為を警備情報活動の一環としてやったことがある事実は否定されませんね。
  238. 三島健二郎

    説明員三島健二郎君) ただいま御指摘のケースは十日町事件というものであると思いますが、これにつきましてはただいま御指摘のとおり昭和二十八年七月十七日東京高裁におきまして、この行為につきましては、これは当時の捜査目的のために秘聴器を使ったというケースでございますけれども、適法なる秘聴器の使用であるという結論が出ているところでございます。
  239. 橋本敦

    ○橋本敦君 職権乱用罪、刑法百九十三条に該当しないというのがこの判旨なんですよ。今あなたがおっしゃったように適法かどうかということについては学界でも異論があり、刑法百九十三条を適用すべきだ、この決定に対する学界の異論も大きく巻き起こっておる。私は法律家ですからそこらあたりの論争は大いに結構だと思いますけれども、時間がありませんからやりませんけれども、私が質問したのはあなたも認められたように、盗聴器を仕掛ける行為をやった事実はこの判決でも明らかだ、決定でも明らかだ。だから、盗聴器をもってこういう情報活動をやった事実はこれ以外にもまだあるのではないか。どうですか。十日町事件以外にあるのではないんですか。
  240. 三島健二郎

    説明員三島健二郎君) 違法な盗聴行為をしたという警察活動は過去にはございません。
  241. 橋本敦

    ○橋本敦君 事実を聞いている。違法か合法かの法的判断は何ぼでも議論があるというんだ。盗聴器を用いて情報活動をやった事実はこれ以外にあるんでしょうと、こう聞いている。事実を述べてもらいたい。
  242. 三島健二郎

    説明員三島健二郎君) ただいま申し上げましたように、警察といたしましては警察活動、警察目的を達成するための活動を行います上に、当然のことながら合法的な手段を用いているわけでございまして、違法な行為、例えば違法な盗聴を行うということはやっておりません。
  243. 橋本敦

    ○橋本敦君 合法な盗聴ってどこにあるんですか、どこの社会に、冗談じゃないですよ。  きのうも資料を渡しておいたんですが、三輪良雄さんという方、この方は昭和三十年代は警察庁警備部の第一課長ですが、その後警察庁の警備局長になられて、防衛庁に転出をされて防衛次官に就任された方である、これは間違いありませんね。
  244. 三島健二郎

    説明員三島健二郎君) そのように存じております。
  245. 橋本敦

    ○橋本敦君 警察の警備情報関係の資料がたまたま外に漏れるという事態があって、この三輪良雄さんは昭和三十年七月十四日付で、こういう不祥事が起こらないようにという書簡を警視庁警備第二部長、府県本部長、管区局公安部長それぞれにお出しになっている。その書簡の形をとった注意喚起の書面を読んでみますとこう書いていますよ。    〔理事梶原敬義君退席、委員長着席〕 公文書というのは、これは暴露された公文書は故人が「監察の際提出した報告書なのですが、」云々とあって、「実に詳細を極めて居り、殊に警備情報の収集については、某所(明記)」――実際報告書には明記されているという意味です。「に盗聴器をかけて、情報を得たとか、」云々とか、「協力させたとかいうことを細かく載せ、管内の警備対象者、外勤巡査別の警備情報々告成績表などが全部記してあります。」、こういうことはやめましょう、こういう書簡ですが、これを見ても「盗聴器をかけて」云々とはっきり書いていますから、盗聴器を使っての情報収集活動というのはまさに警察の一般的なやり方の一つとしてあったという事実はこれからも明らかであります。まことに許しがたいことでありますが、こういうようなことを一体警察のどこがやるのか。これが私どもが言ういわゆる四係ということの存在であります。  そこで、次に伺いますが、「警察電話番号簿」、この写しが私の手元にあります。きのうお渡ししておきました。これの二枚目には警察庁の電話番号簿がありまして、三枚目には警視庁、こうなっていますが、まず警視庁を見ましょう。警視庁には公安第一課があり、その中に第四係長、第四係、内線番号が四三〇八、四三一〇それから四二九三、こう記載がありますね。次にめくってみますと、今度は神奈川県警、ここで公安第一課があり、その中で調査第四、内線番号三八二五、資料三八二六、こうある。次、大阪、公安第一課の中にこれも第四とあって、内線番号が書いてあります。次のページが愛知県警、これも公安第一課の中に第四係、はっきり書いてあって内線がこうあります。  以上、私が指摘したこの「警察電話番号簿」の記載はこれは事実間違いありませんね。
  246. 三島健二郎

    説明員三島健二郎君) ただいま電話番号簿ということでございますが、その電話番号簿というものがいかなるルートで入手されたのかにつきまして当方全く承知いたしておりません。そのような電話番号簿に限らず、警察といたしましてはいろいろな内部的な執務上の資料というものをつくっていることは事実でございます。しかし、そのような資料、例えば今の電話番号簿のような内容を具体的に申し上げることにつきましては、これは警察活動に支障を来すおそれがございますので差し控えさしていただきたいと思います。  それから、ただいまの四係ということでございますが、これは全国警察に非常に数多くの係があるわけであります。その係にどういう名称をつけるかということは、これはそれぞれ各県あるいは各課の課長判断等によるものでございまして、全くこれはまちまちでございます。したがいまして、各県によりましてそれぞれ例えば固有の名前、名称をつけてみたり、あるいは一、二、三、四、五、こういうナンバーを追ってつけたりということでございますので、したがいまして、全国的に何か統制をとったそういう名称があるというようなものでは全くございません。と同時に、その数字につきましてはこれは四であるからあるいは三であるから特別な意味があるとか、そういったふうなものでないことは当然でございます。
  247. 橋本敦

    ○橋本敦君 この間も長官はそういった趣旨の答弁をされておりましたが、まさにそれは表向きの言いわけじゃありませんか。今私が指摘した電話番号簿でどこの課にも四があると言っているんじゃないですよ。各県警本部で警備公安、その第一課、その中に四係というのがある、内線電話もちゃんと書いてある、これは間違いないでしょうと聞いているんですよ。どの課にもいろいろ番号があるなんて聞いてない、警備公安、これです。そして、あなたはどこから資料を入手されたか知らないと言いながら、この電話番号簿の記載が間違っているということは否定されなかった。間違いなら間違いとはっきり言ってください。この電話番号簿は私だけが知っているだけじゃありません、新聞記者諸君もみんな知っているものですよ、間違っていますか。
  248. 三島健二郎

    説明員三島健二郎君) 先ほども申し上げましたように、この電話番号簿の内容等につきまして、それが正しいとか間違っているとかいうことを申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。  それからまた、全部に四係があるという御指摘がございますが、これはそれぞれ各県で独自につけているものでありますが、例えば多くの県に、もちろん四係という係を持っている県もございますし、公安あるいは警備の課にですね、まだない県もございます。そういう意味では全くばらばらでございます。
  249. 橋本敦

    ○橋本敦君 それじゃ聞きましょう。私が指摘した警視庁の公安第一課に四係がある。それから神奈川県警公安第一課に四係がある。大阪府警公安第一課に第四という係がある。愛知県警、ここの公安一課に第四係がある。この事実は認めますね。あっちもこっちも聞いたんじゃありませんよ、特定して聞いている。
  250. 三島健二郎

    説明員三島健二郎君) 各県におきましては、それぞれ県の課におきまして課長がそれぞれの判断でもってそれぞれの係の名称を決定しているところでございまして、したがって、各県でもってそれぞれ独自にそのような係をつくったということはあり得ると思います。
  251. 橋本敦

    ○橋本敦君 否定されなかった。各県で四をつくっているという事実について否定されなかったことは重要です。  そこで次に、きのう渡しておいたんですが、昭和三十年七月十四日付文書番号備発備第二〇七号、警察庁警備部長から「警備関係機密文書の取扱いについて」と題する通達。あて名先は警視総監、各管区警察局長、各道府県方面本部長、こうなっておりますが、こういう通達を当時出された事実は間違いありませんね。
  252. 三島健二郎

    説明員三島健二郎君) ただいまの御指摘の通達でございますが、警察といたしましてはこの通達の発出事実等について調べてみましたけれども、そのような通達を出したという事実はございません。
  253. 橋本敦

    ○橋本敦君 冗談じゃないですよ。この通達の写しにはちゃんと認め印も上の方に押してある、かなり古いから判別は不可能だけれども。そして、しかもこのことはもう既に古く、この私が手に持っておる岩波書店から出ている「警備公安警察の研究」という本が、これが広中俊雄教授の手によって出されておりますが、この本の中でも、警備関係機密文書の取り扱いに関する資料として四百五十四ページ以下全部掲載されておる。警察庁はこういう事実について偽りの資料で学者がこんな分厚い本で研究をやっている、そんな事実はないなんて一言でも言ったことありますか。ないでしょう。
  254. 三島健二郎

    説明員三島健二郎君) 先ほども御答弁申し上げましたように、この資料につきましてはいろいろと関係資料等を調べてみたわけでありますが、しかしこの通達を出したという事実が確認できないということでございます。
  255. 橋本敦

    ○橋本敦君 承知できません。これの通達の第三項が重要なんであります。第三項によりますと、警備文書をこれから厳重に保管するというだけではなくして、一般事務概況報告書等を作成するときは警備関係機密事項は努めてこれを記載しないようにする、口頭説明をもってかえることとする。「とくに四係関係事項は記載しないこと。」こうはっきり書いてある。一番秘密の作業を専門的にやっておる四係については絶対に記載するな、こういう通達ですよ、これは。だから、そういう意味で江間氏が言ったように、まさに四係は、これは全国の道府県方面本部長あてに出されているんですから、全国に出されているんですから全国に四係があるんですよ、その証明ですよ。そういう意味においてこの四係というのは、これは実に特別のスパイ、盗聴を含む秘密工作をやる専門機関だと江間恒氏が語った事実は、これは私は極めて重大だと思うのであります。  話を変えますが、つい先ごろ目黒芳雄という警官が神奈川県警におられたんですが、亡くなられました。その目黒芳雄さんが横浜市緑区でアパートを借りられた場合の賃貸契約書の写しが不動産会社にコピーとして保存されておりました。お手元に資料として出しておりますが、そこに勤務先は横浜市中区日本大通り一番地神奈川県庁となっておりますが、電話番号は〇四五-二一一-一二一二となっております。この電話番号はどこの番号ですか。
  256. 三島健二郎

    説明員三島健二郎君) 先ほども御答弁申し上げましたように、警察電話に関しましてそれぞれ電話の番号についてその内容が何であるのか、それがどういう係であるのか、あるいはどういう人間がそこに担当しているのかといったふうな内容を申し上げるということにつきましては、今後の警察活動に支障が起きる危険性がございますので御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  257. 橋本敦

    ○橋本敦君 冗談じゃないですよ。県警本部の代表電話どこにでも書いてありますよ。私はきのう念のために〇四五を回して一〇四を回して県警本部の電話番号を教えてくださいと言ったら即座に教えてくれましたよ、二一一-一二一二だと。どうですか、こんなことまで隠すんですか。
  258. 三島健二郎

    説明員三島健二郎君) ただいま御答弁申し上げましたのはその警察電話の中身でございまして、ただいまの御指摘の点はこれは神奈川県警の警察本部でございます。
  259. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうでしょう。そして内線は三八二五と書いてある。この三八二五とは何か。先ほど警察電話番号簿で、お渡ししている資料を見てください、三八二五は神奈川県警の第四係ですよ。だから、この目黒芳雄さんというついこの間亡くなった警官は、これは第四係の方であったということがここからも明らかになってくる。新聞は、疑惑の公安メンバー、重要なかぎを握る方が亡くなったということで報道しておったのでありますが、この目黒さんは、勤め先を神奈川県警と書かないで、それを秘匿して、神奈川県庁と書く、なぜそういう理由があったんでしょうか。おわかりですか。
  260. 三島健二郎

    説明員三島健二郎君) これは個人が自分の家を契約するときに書いたものでございますので、これは全く個人的なことでございますので、承知いたしておりません。
  261. 橋本敦

    ○橋本敦君 警察官が自分の勤め先県警を言わないのか言えないのか、問題があります。  この方は、新聞によれば、急死なさったそうですが、どういう病気で亡くなられたのか、死因は明らかですか。また、死体解剖はやられておりますか。
  262. 大堀太千男

    説明員大堀太千男君) 同人は五月十五日、脂肪肝により死亡いたしました。なお、監察医による解剖をいたしております。
  263. 橋本敦

    ○橋本敦君 脂肪肝というのは突然死ぬという直接の原因なのかどうか非常に疑問を持っている医者もありますが、近所の人の話よりますと、最近非常に疲れておられたという、疲労感が濃かったと言っている人もある。私どもが聞いた情報では、奥さんが、きょうは何か胸騒ぎがするというので急いで帰られたら亡くなっておったという情報もある。何か本当に疲れ切って亡くなったという感じがするんですが、この方は亡くなってから警部補に昇進されたと聞いておりますが、間違いありませんか。
  264. 大堀太千男

    説明員大堀太千男君) ちょっとその点は事実を確認しておりませんので、お答えできません。
  265. 橋本敦

    ○橋本敦君 今、検察庁はこの件について捜査を開始しておられることは、これは当国会でも捜査中であるということで中身お話しになりませんけれども明らかですが、重要な関係者の一人が亡くなったということであるとすれば、私はその死因についても本当にいろいろ心配しているわけでありますけれども。  その次に、これに限らずお尋ねしたいのは、問題の盗聴行為をやったメゾン玉川学園二〇六号室をめぐる問題であります。この盗聴の態様は、近くの電柱の端子函、そこから緒方国際部長宅に入っている電話線、それを選び出して、それに引き込み線をつないで二〇六号室へ持ち込んで、そこで盗聴しておる。こういう態様でやられたことは明らかですが、まず伺いますけれども、田北紀元という警察官は神奈川県警におられますか。
  266. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 御質問は現在町田署で捜査中の事件に関連しての御質問だと思いますが、同事件は現在捜査中でございますので、これに関連する具体的な御質問にはお答えできません。
  267. 橋本敦

    ○橋本敦君 捜査の中身、何やったか聞いているんじゃないですよ。こういう警官はおられますかと聞いている。どうなんですか。
  268. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) それを含めて捜査中でございますので申し上げられませんと申し上げております。
  269. 橋本敦

    ○橋本敦君 久保政利、こういう警察官はおられますか、神奈川県警に。
  270. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) これについても同様でございます。
  271. 橋本敦

    ○橋本敦君 いないという否定はなさいませんね。いなかったらいないと言ってください、間違っちゃうから。
  272. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 捜査中であるので答えられませんと申し上げております。
  273. 橋本敦

    ○橋本敦君 いるんですよ。我々が客観的に調べて明らかな事実によっても、このメゾン玉川学園二〇六号室を借りたその借り主名義人は田北昌彦。今お聞きをした田北紀元は、神奈川県警勤務と見られるこの警官は、借り主名義人の父親である。保証人は、志田鉱八。この人は東芝勤務だが、元神奈川県警の警備におられた人。全部はっきり事実としてわかっているんじゃありませんか。どうですか、答えてください。
  274. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) たびたびで恐縮でございますが、御質問の点は現在捜査中の事柄にかかわり合いもございますので、御答弁できません。
  275. 橋本敦

    ○橋本敦君 警察は、捜査中だから答えられないと言うけれども、捜査されている立場ですよ。いいですか。検察庁はこの事件について捜査をやっているんです。(「委員長」と呼ぶ者あり)何が答えたいのか知らぬけれども。いいですか。それから同時に、いかな捜査中だといっても、こういう警官がおりますかという質問に対して答えられないという法はないですよ。警察官は身分証明書の提示を国民から求められてごらんなさい。必ず官職、氏名を示さなきゃならないと法律で決まっているじゃないですか。なぜ答えられないんですか、この警官がいるということ自体を。こんなことで時間をとりたくない。答えなさい。
  276. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) ただいま御質問のそれぞれ具体的な名前が挙がった人物につきましては、この事件に関連があるのではないかということでマスコミ等でいろいろな形で浮かび上がっている人物の名前でございます。したがいまして、現に捜査をしておる町田署におきましても、そのような事柄も念頭に置きながら捜査を進めているわけでありまして、したがってこの捜査にかかわりがあるということでお答えできないというように申し上げているわけであります。
  277. 橋本敦

    ○橋本敦君 わかりました。ある程度正直におっしゃった。捜査の対象範囲にある人物だからということをおっしゃったとおりです。それだけじゃありません。この久保政利という神奈川県警の警官は、志田鉱八氏が保証人になるのに必要な住民票を、志田鉱八氏にかわってわざわざ海老名市にまでとりに行っている。こういう活動もやっている。それからさらに、この家賃はメゾン玉川学園の近くの東京都民銀行玉川学園支店から自動振り込みで落とされたが、そこへ送金してくる銀行はどこから送金してくるかというと、県警本部のすぐ近くにある東京都民銀行横浜支店から送ってくる。これもはっきりした。しかし、借り受け人の田北なる人物は東芝勤務で、職場も家も川崎ですから、そんな横浜からわざわざ送金するはずは絶対にない。こういう疑惑も重大である。  こう考えますと、自治大臣、お伺いしたいのですが、この盗聴事件については警察がかかわっていたのではないかという重大な疑惑が持たれても仕方のない事情が存在するという重大な事案だ。だからどの新聞も、驚くべきことにこの盗聴行為が警察官によってやられたという、こういう疑惑が起こって、これは解明しなくちゃならぬと、こう書いているのは当然です。自治大臣、認識をお伺いしたいのですが、いかがですか。
  278. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 法秩序の維持に当たります警察が、このような事件に関与していることはあり得ないと確信をしております。
  279. 橋本敦

    ○橋本敦君 あり得ないとおっしゃられる根拠をおっしゃっていただきたい。法秩序の維持に従事しているという警官でも、いいですか、先ほど私が言ったでしょう、盗聴器を使って盗聴行為をやった事実はあると警察が認めたとおりですよ。電話盗聴はやったことはないと警察庁長官は言ったけれども、今度の事件で警察がやったと疑われても仕方のない状況的事実はいっぱいあるじゃないか。こういう事実があるからこそ、警察官がやったという重大な疑惑が起こって、これが社会問題になっているのは当然ですから、これについて謙虚に受けとめて、その認識をはっきりしてもらわなきゃ困るじゃないですか。自治大臣、何の根拠があってそう言って開き直られるのですか。
  280. 三島健二郎

    説明員三島健二郎君) 事務的にお答えいたしたいと思いますが、ただいま御指摘の過去に盗聴行為を行ったといったふうな御質問でございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、警察といたしましては過去に違法な盗聴行為等はやっておらないところでございます。したがいまして、警察が何か違法行為をやっているということを前提としてのお話でありますとすれば、それは過去の事実と反するということでございます。
  281. 橋本敦

    ○橋本敦君 これはもう幾ら言ったってだめです、やったことははっきりしたんだから。  自治大臣、国家公安委員長として、警察がこの盗聴行為をやったということについて重大な疑惑があると今社会的に見られているという、こういう事態になっていることは事実じゃありませんか。そこの認識を聞きたいです。
  282. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 本事件につきましては、警察といたしましては、昨年の十一月二十七日に事件を認知いたしましてから鋭意捜査を進めているところでございます。今後も厳正な捜査を推進し、一日も早く真相を解明するべく警察を督励してまいる所存でございます。
  283. 橋本敦

    ○橋本敦君 先ほど私が聞いた中からもはっきりしたように、私が指摘した人たちの名前を言えないのは、そういう人たちがこの盗聴行為に関連する疑惑の中に含まれている人たちだから、捜査の対象という関係で捜査中だから言えないと答弁されたんですよ。大臣もお聞きになっていたでしょう。だから、そのように警察官の行為と見られる状況的事実があるということで、まさに事態は重大になっているんですよ。だから、国家公安委員長は、警察がそういう疑惑を受けているという事実をまず認識されて、そして徹底的にこれを解明するという責任を果たされるべきだ、私はこう思うんですが、いかがですか。
  284. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 警察といたしましては、事件を認知して以来、鋭意捜査を行ってきたところでございます。今後とも厳正な捜査を進めて、真相の解明に努めてまいりたいと考えております。
  285. 橋本敦

    ○橋本敦君 警察は捜査される立場にあるという、その面をもっと深刻に認識されるべきですよ。検察庁はこの事件についていろいろ捜査を今進めておりますが、たとえ警察官であろうとも、検察庁の取り調べが必要な場合には全面的に事態を解明するために検察庁の捜査にはこれは協力する、当然のことだと思いますが、大臣いかがですか。
  286. 遠藤要

  287. 橋本敦

    ○橋本敦君 いや、自治大臣、警察の方から。  検察庁の捜査に対して警察が全面的に協力するという姿勢をとるのは当たり前だ、それは間違いないかと聞いているんです。
  288. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) この件につきましては、ただいま検察庁で捜査を進めておられるところでございます。協力を求められました場合には、警察としては捜査に御協力をしたいと考えております。
  289. 橋本敦

    ○橋本敦君 その協力の中には、警察自身が関係者として検察庁から参考人もしくは事件関係者として呼んで聞くということもあり得るんです。それに対しても積極的に誠意を持って応じる、間違いありませんか。
  290. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 必要な限りにおきまして、積極的な御協力を申し上げたいと思います。
  291. 橋本敦

    ○橋本敦君 国会で、捜査中だから言わない言わない、こう言ってほとんど秘密のうちに隠すというのは、まさにそれこそ私は警察の秘密性と言いたくなるが、捜査について検察庁から協力やあるいは要請があって事情を聞かれたら、これは包み隠さず積極的に事実を解明するという姿勢で協力する、こういうことで承ってよろしいですか、大臣。
  292. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) おっしゃるとおりでございます。
  293. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで、検察庁にはもう一度、この事件の徹底的な捜査を、これは警察が疑われている事案だというのは社会的にもう公知になっている事実ですから、検察庁の捜査の責任は大事です。警察官必要であれば呼んでいただくというのは当然ですが、徹底的に捜査を遂げていただくことを大臣の所見としてもう一度お伺いしたい。
  294. 遠藤要

    国務大臣遠藤要君) さきにも橋本委員にはお答え申し上げておるとおり、法務省としては、検察庁としては、厳正な立場で捜査を進めておりますので、今ここで警察が何かと決めつけられてその捜査をするということになると、厳正なとは言いかねますので、私どもとしては白紙で厳正な立場で対応しているということを御理解願いたいと思います。
  295. 橋本敦

    ○橋本敦君 新聞によれば、黙秘だとか言わないとかいろいろあるけれども、そういうことじゃなしに、本当に国民の前に徹底的に事態を解明するということで、警察も責任を持って捜査にも協力し対処してもらう、当然だということを重ねて申し上げておきます。  盗聴事件はこれで終わりますが、最後に二分ほどありますので、ちょっと苅田町の事件について質問します。これは自治省への質問です。  苅田町では、前町長尾形氏時代の不正事件に関連して百条委員会が設けられて、鋭意調査中でありますが、私は、この百条委員会の調査権というのは地方自治法に基づいた非常に大事な権限だと思います。したがって、この百条委員会から証人として出頭を要請された場合には、これは行っても行かぬでもいいというようなものではなくて、厳粛に受けとめて出頭に応じる義務がある、呼ばれた者にはある、法の建前はそうなっていると思うのですが、自治省いかがですか。
  296. 持永堯民

    説明員(持永堯民君) 突然の御質問で、所管の局長参っておりませんが、法律上ただいまのとおりでございます。
  297. 橋本敦

    ○橋本敦君 自治大臣お聞きいただきたいんですが、この百条委員会で呼ばれた証人は、正当な理由がなく出頭しませんと、百条第九項によりまして、議会はその正当の理由のない出頭拒否について告発しなければならない、こう書いてある。告発するかどうかの裁量じゃないんです。正当の理由なしに証人出頭しなかったら告発しなきゃならない、これほど重いんです。そして、正当な理由のない出頭拒否については六カ月以下の禁錮または罰金ですから、本当にこれは大事なんですね。こうして地方自治における不正行為の議会における解明について地方自治法は道を開いておる。  ところが、尾形現在の衆議院議員、前町長は、呼び出しにもかかわらず、三回にもわたって出頭しないという状態が続いた。私は、これはまことに不穏当な遺憾なことであると思うんですが、前町長ともあろう人が、この事態の解明のためには百条委員会に証人として呼ばれたら当然応じて、事態の解明の責めの一端を担うべきだと思いますが、自治大臣、この百条委員会との関係で御所見をお伺いしたいと思います。
  298. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 午前中の御質問にもお答え申し上げましたが、百条委員会についての規定がございますから、その規定が正確にまた正しく守られて機能するように指導してまいりたいと思います。
  299. 橋本敦

    ○橋本敦君 刑事局長に最後に聞きますが、今の指導にもかかわらず不当に出頭しないとなれば、議会はこれを告発する可能性が十分あります、百条九項に基づいて。告発すれば、当然それは捜査ということで捜査権を発動して捜査を遂げていただくという事案になることは間違いないと思いますが、これは当然そうですね。
  300. 岡村泰孝

    説明員(岡村泰孝君) 捜査当局といたしましては、適法な告発を受ければ必要な捜査をいたすということになるわけでございます。
  301. 橋本敦

    ○橋本敦君 今検察庁が苅田町事件を捜査している重要な一環として、ここにも視野を置いて今後の検討を進めていただくことを要求して終わります。
  302. 抜山映子

    ○抜山映子君 覚せい剤事犯が現在第二次の乱用期である、このように報道されておりますけれども、戦後の覚せい刑事犯の発生状況の推移、傾向等をお伺いいたします。
  303. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 終戦直後の覚せい剤事犯は、昭和二十九年をピークに激減をしましてほぼ根絶状態にございましたが、昭和四十五年ごろから再び増加をし始めまして、五十六年以降は、毎年二万人を超える検挙人員を見るなど、高水準で推移をいたしております。  昨年の検挙は、三万二千百六十五件、二万一千五十二人でありまして、前年に比べて件数、人員ともわずかに減りましたけれども、押収量が三百五十キログラムというように、三年連続して史上最高の記録を更新いたしました。また、ことしに入りましてからでも、福岡県警が二百五十三キログラム、警視庁が百四十キログラムというように、これまで考えられもしなかったような大量押収が相次いております。
  304. 抜山映子

    ○抜山映子君 昭和二十九年にピークであって、それからどのように鎮静化したのか。それがまた増加の兆しを見せたのはいつですか。
  305. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 戦後第一次の覚せい剤乱用期を鎮静させることに成功しましたのは、覚せい剤の密造の基地が我が国の中にありまして、この基地を壊滅することができたということが最大の要因であったというように考えております。  これに対しまして、昭和四十五年以降の第二の覚せい剤乱用期における最も大きな特徴は、国際交流の活発化等が進む中で、覚せい剤の供給源が海外に移行をいたしまして、事犯が国際化、広域化しているという点にございまして、そのために捜査が極めて困難になってきているという事情があるかというふうに考えております。
  306. 抜山映子

    ○抜山映子君 要するに国際化したということは、密輸、そういうものがふえた、こういうことだと思うんですが、さらに密売が組織的になってきたという点はいかがでしょうか。
  307. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 御承知のように、暴力団が覚せい剤の密売をなりわいにいたしておりまして、その資金源の重要な部分を占めておるという実情にございます。したがいまして、この密造ルートをたたくことも覚せい剤対策の重要な一つの柱でございます。
  308. 抜山映子

    ○抜山映子君 お伺いしたところによりましても、覚せい刑事犯というのは、質的にも量的にも大変な事態になっているということが言えると思います。  ところで、そのように覚せい刑事犯が非常に組織的になった、暴力団も関与している、こういうことになりますと、捜査のやり方は、末端の言うなれば被害者の面も持つ注射を打った人間とか、そういう末端の人間を捕らえて、これを捜査の端緒として上へ上げていくという方法ももちろん必要でしょうけれども、さらに内偵とか緻密な聞き込みとか、情報を収集して上から捜査を進めるという、結局大口販売者等を根源的に検挙するという方法が必要になってくると思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  309. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 警察は、乱用者でありますとかあるいは密売人でありますとか、そういう者の徹底検挙を目的とするいわゆる下からの突き上げ捜査と申しますか、そういう捜査方法とともに、水際であるいはひそかに隠しておりますアジトで大量に押収することを目的として捜査するいわゆる上からの捜査と申しますか、これにつきましても非常に力を入れておりまして、そのあらわれが二月に福岡県警の史上最高の二百五十三キログラムというような大量な押収につながっておりますし、また五月には警視庁が百四十キログラムというような三けたの押収に成功いたしておりますのも、そういう手法をとっていることのあらわれでございます。  いずれにしましても、そういうことではございますけれども、実際に我が国に流入しております量の多さを考えますと、我々が押収できている量はそのほんの一部にすぎないというように考えておりまして、今後ともますますこの手法の捜査を徹底してまいりたいというふうに考えております。
  310. 抜山映子

    ○抜山映子君 ところで、覚せい刑事犯に最近主婦とか学生とかが大変ふえているということが言われておりますが、数字的にはどのような動きを示しておりますんでしょうか。
  311. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 手元にある覚せい剤に関する統計によりますと、十五年前の昭和四十七年の主婦の検挙人員は六十二人でございます。全検挙人員が四千七百九人でございますので、一・三%に当たります。それが昭和六十一年になりますと五百六人でありまして、四十七年の約八・二倍、全検挙人員は二万一千五十二人でありますから、大変分母が多くなっておりますが、これに占める比率が二・四%というように増加いたしております。  また、少年につきましても、十五年前の昭和四十七年の検挙人員が七十五人、全検挙人員の一・六%でございましたが、昭和六十一年は千七百八人でありますので、四十七年の約二十二・八倍であります。全検挙人員に占める割合も八・一%と非常に高くなっております。
  312. 抜山映子

    ○抜山映子君 そのように、従来そういう覚せい剤事犯、そういうものは特殊な人たちのやることだというような認識でしたが、今の数字をお伺いしていますと、ごく普通の生活をしている人たちにも蔓延し始めている。これは大変重大なことだと思うんですね。そうなりますと、こういう一般の人々に対する啓蒙活動を大いにやらなくちゃいけないと思うんですが、現在はどのような方法で啓蒙活動をとっておられますか。
  313. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 覚せい剤の乱用を撲滅するためには、その供給を断つための取り締まりと合わせまして、乱用の根絶に向けまして官民一体とたった総合的な対策を進めることが肝要であると考えております。  そのため警察では、かつて覚せい剤を乱用して立ち直った人々の生の体験をまとめました「白い粉の恐怖」という小冊子を配布をいたしますとともに、映画でありますとかポスターの作成あるいは交番とか駐在所でつくっていますいわゆるミニ広報紙あるいはマスコミ等の協力による広報、覚せい剤相談電話の設置等を行ってきたところでございます。  しかし、今後は、覚せい剤の乱用防止の活動を一層国民的な広がりを持ったものとするために、地域に根差した団体でございます防犯協会でありますとか、このたび新設されました麻薬・覚せい剤乱用防止センターと提携をいたしまして、民間の力も結集いたしまして力強い運動を展開してまいりたいというように考えております。
  314. 抜山映子

    ○抜山映子君 ところで、今おっしゃった「白い粉の恐怖」という小冊子ですけれども、何部ぐらいつくっておられて、どのようにして配布しておられますか。
  315. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 六十一年で約九万部であります。配布は、先ほど申し上げました防犯協会等の組織が末端まで行き渡っておりますので、そういう系統を通して配布いたしますとか、あるいはその他の地域の各種の団体がございますので、そういう団体に提供いたしてございます。
  316. 抜山映子

    ○抜山映子君 九万部という数字をお伺いしましたが、やはり数としては本当に微々たるものだと思うんですね。やはり、一般の人に対するPRというのは、何と申しましても視覚的なものに訴える、すなわち何と申しましてもテレビが一番である、あるいは新聞広告なんかもいいかもしれませんが、そういうマスメディアを通じる方法をもっと強力にやらないと大変なことになるんではないか、このように思われますが、いかがでしょう。
  317. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 御指摘のとおりでありまして、私どももそういう点は大いに活用してまいりたいというように考えております。
  318. 抜山映子

    ○抜山映子君 先ほど薬物事犯、覚せい刑事犯ですね、大変国際的になった、こういうように言われましたけれども、国際的な捜査情報の収集ですね、あるいは水際作戦ですね、これはどのように強化されているでしょうか。あるいはまた、これからどのように強化されていかれるでしょうか。
  319. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 覚せい剤の供給源が海外に移行しました結果、御指摘のとおり、いわゆる国際化対策が最大の重点となってきております。そのような観点から、警察庁におきましては、このほど薬物乱用防止対策要綱を策定いたしまして、海外情報の収集活動の活発化など、国際化対策の強化を中心とする基本指針を定めました。今後は、国内外の関係機関等と十分に協力をいたしまして、その実効を期してまいりたいというふうに考えております。
  320. 抜山映子

    ○抜山映子君 これは六月二日の新聞でございますけれども、警察庁の方で「薬物乱用防止要綱決める」「海外情報収集に重点」、このように見出しがありますけれども、この防止要綱の概要ですね、おっしゃってみてください。
  321. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 基本的な考え方を、覚せい剤の供給の遮断それから乱用の根絶、この二つに置きまして、その柱のもとに国際化対策、それから捜査体制の強化、それを支援する物的ないろいろなシステムの構築、そういった内容を全体として要綱としてまとめてございます。  いずれにしましても、現在、先ほど来再三強調いたしておりますように、覚せい剤の供給が海外から流入するものが全部でありますので、その海外から入ってくる覚せい剤をいかにして遮断するか、これについて人的な面、物的な面からアプローチをしてまいりたいというように考えておるわけでございます。
  322. 抜山映子

    ○抜山映子君 覚せい刑事犯につきましては、私の調べたところでは量刑の趨勢なんかも大変今は重くなっている。懲役一年未満も昭和五十二年では七二%だったけれども、昭和五十九年では三六・一%、こっちの方は低くなって、懲役一年以上二年未満については二六・一%から六〇・七%に増加した、こういうように数字がなっておりますけれども、このように量刑が重くなってきているにもかかわらず、先ほど伺ったところによりますと、驚異的な数字でもって覚せい刑事犯が多くなっている。そういうことになりますと、非常にドラスチックな対処方法が必要になってくると思うんですね。特に国際協力などが必要になってくると思います。  それで、国際協力の面について、どういうようにドラスチックな強化をとっていくか、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  323. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) なかなか劇的に国際的協力を強化するということは困難ではございますけれども、地味ながら着実に各種の会議等を積み上げて、その中で良好な国際関係を醸成してしていきたいというふうに考えております。  一例を申し上げますと、警察庁といたしましては今年の六月から七月にかけましてオーストリアのウィーンで開かれる国連の新条約検討会議への参加を初めとしまして、七月に国際刑事警察機構アジア地域会議、八月から九月にかけまして麻薬犯罪取り締まりセミナー、それから十一月から十二月にかけまして国連アジア太平洋地域麻薬取締機関長会議、これをいずれも東京において開催することといたしております。  これらの会議等を通じまして、国際的な薬物乱用防止対策の推進に積極的に貢献するとともに、関係国との協力のもとに我が国への覚せい剤の密輸入の阻止を図ってまいりたいというように考えております。
  324. 抜山映子

    ○抜山映子君 先ほどの六十二年六月二日、これは日経だったと思いますが、この新聞の記事によりますと、「今秋、同庁に」、同庁というんですからこれは警察庁ですか、「国際麻薬Gメンともいうべき薬物情報官を置く」と、このように書いてございますが、この薬物情報官の数は何名ですか。
  325. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 十月から薬物情報官が設けられることになっておりまして、数は一名でございます。
  326. 抜山映子

    ○抜山映子君 一名ということは、どう常識的に考えても大変に少ない数字であると思います。しかもこれは国際麻薬Gメンともいうべき薬物情報官、このように書いてございますから、一人ではまた危険も大変に伴うのでないか。行革の折からではございますが、こういうような社会的に非常に脅威となっているこの覚せい刑事犯の壊滅のためには、麻薬Gメンの数もそれこそドラスチックにふやしていただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  327. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) 私どももそういうふうに願望いたしております。しかしこういう時節でございますから、各方面に御理解を訴えてまいりたいというふうに考えております。
  328. 抜山映子

    ○抜山映子君 ところでトピックは変わりますけれども、豊田商事の残党がかかわっている悪徳商法、これで捜査当局に摘発されたものはどんなものがございますでしょうか。ちょっと。
  329. 漆間英治

    説明員(漆間英治君) お尋ねの元豊田商事の役職員の絡む悪質商法事犯といたしましては、昨年中全国の警察におきまして十七事件を検挙いたしております。これらの事件に関連をいたしまして警察が把握している被害者の総数が約四千三百人、被害総額が約五十九億円という状況でございます。これらの悪質業者は法の目をくぐりまして、あの手この手と方法を変えまして表面的には正常な営業活動を仮装して行っているものなど、明確な証拠を残さないためになかなか取り締まりは容易ではございませんけれども、警察といたしましては、豊田商事に限りませんで常習的にこの種の事柄を繰り返している悪質業者がたくさんおりますので、これらに対しましてその実態及び動向を把握し各種の法令を適用いたしまして厳しい姿勢で取り締まっていくということで対応してまいりたいと考えております。
  330. 抜山映子

    ○抜山映子君 覚せい剤事犯に関しての関連の方はもうこれで結構でございますので、お引き取りください。  警察学校のことについて伺いますが、警察学校というのは、どういう方が入って修業期間は何年でどういう教科を教えるのか、ちょっと簡単にお答えください。
  331. 大堀太千男

    説明員大堀太千男君) 都道府県警察学校におきましては、まず警察官に採用をいたしました者に対する教育を行うことを一つ目的にしております。それ以外にも警察官には昇任試験がございますので、昇任試験の合格をした者に対する教育とか、あるいは専門的な職種に従事をする場合の専門的な教育などを行っておりますが、まず基本的な採用時における教育期間等をお答えを申し上げますと、初任科というもので一年、その後各現場で職場実習を三カ月いたします。それが終わりましてから初任総合科というものを六カ月いたしますので、都合一年九カ月で教養を行っておるものでございます。
  332. 抜山映子

    ○抜山映子君 教官にはどのような方がなっておられますか。
  333. 大堀太千男

    説明員大堀太千男君) 警察では職務に必要な知識とか技能を習得させるいわゆる実務教育とともに、また良識を備えた人物、人間教育に力を入れておりますので、警察学校の教官には人間味豊かで信頼性があり、能力的にもすぐれ、実務経験も豊富で真に教官としてふさわしい者をえりすぐって充てているところでございまして、階級的には警部補の階級にある者が主体でございますが、一部巡査部長それから一部警部の階級におる者がこの都道府県警察学校の教官に当だっておるものでございます。
  334. 抜山映子

    ○抜山映子君 これは本庁からいただいた資料でございますけれども、都道府県警察学校等における過去三年度の初任科入校者数及び卒業者数でございます。五十八年度は入校者数が八千四百九十七、うち退職者数が五百六十六、昭和五十九年で入校者数が七千五百九十二、うち退職者数が四百八十三、昭和六十年度におきまして入校者数が六千二百十一、退職者数が四百六十八と、こういうようになっておりまして、かなり高率でございます。昭和六十年度におきます、これは都道府県別に入校者と退職者数とを分類してございますけれども、これを見ますと近畿が割と高いようでございます。京都は二百五人が入校者数で退職者数が二十七名、大阪が六百五十名入校者数で、うち六十五名が退職者数、兵庫が三百七十八名入校者数、退職者数が五十一と、こういうように出ておりまして、一割を超えておるわけでございます。  これは必ずしも近畿に限らないんですが、私二、三の方から聞いたところによりますと、教官による学生に対する暴力が大変に多いと、こういうことを聞かされたことがございました。もちろん警察のことでございますから勇猛果敢な人間に育て上げなくちゃいけないということで行き過ぎがあるのではないかというように私も反問いたしましたけれども、厳しい訓練、そのための多少のことならば耐えるけれども、そうでなくて、それに名をかりていじめとかいびりのような形の暴力が多いと、こういうように漏れ聞いております。これが偽りであれば大変結構なんですけれども、このような声もある以上は、ひとつ通達か何らかの形でそのような教官による暴力というものはぜひ慎んでもらいたいと、こういうような形で指導していただきたいと思いますが、簡単に御回答いただきたいと思います。
  335. 大堀太千男

    説明員大堀太千男君) 警察学校では、学校を出たばかりの若者を社会人としての円満な良識を備えて、しかも心身ともにたくましい警察官に育てるために、教官はあるいは厳しくあるいは温かな態度で接していくよう指導しておるところでございまして、そのために先ほども申し上げましたとおり教官には人格的、能力的にもえりすぐった人物を充てておりますので、御指摘のような暴力とかいじめとかいうようなものは皆無であると私は信じておりますが、やはり最近の若者の風潮として団体生活になじめなかったり、あるいは自己都合といいますか、家庭の事情でやはり警察には向かないというようなことで途中退職をするような者があることも事実でございます。  私どもはやはり優秀な警察官を採用し、それを優秀な警察官になるべく教育をするという目的のために、温かくしかもその中にも厳しく今後ともすぐれた警察官の養成に努めるよう第一線を指導してまいりたいと考えております。
  336. 抜山映子

    ○抜山映子君 それでは自治省の方にお伺いいたしたいと思います。  これは昭和六十一年五月十六日、まだ記憶に新しいところでございますけれども、公選特の特別委員会の委員長発言として、「衆議院議員の選挙区別定数については、昭和六十年国勢調査の確定人口の公表を待って、速やかに抜本的改正を図るものとし、抜本的改正に際しては、例外二人区、六人区の解消並びに議員総定数及び選挙区画の見直しを行い、あわせて、過疎過密等地域の実情に配慮した定数の配分を期するものとする。」、こういう発言があるわけでございます。また、この発言を受けて、六十一年五月二十一日の「衆議院議員の定数是正に関する決議」というのがございました。「今回の衆議院議員の定数是正は、違憲とされた現行規定を早急に改正するための暫定措置であり、昭和六十年国勢調査の確定人口の公表をまって、速やかにその抜本改正の検討を行うものとする。  抜本改正に際しては、二人区・六人区の解消並びに議員総定数及び選挙区画の見直しを行い、併せて、過疎・過密等地域の実情に配慮した定数の配分を期するものとする。  右決議する。」、こうなっております。しかるにさっぱり音なしの構えで動きがございませんが、この点について、この暫定措置を、既に国勢調査の確定人口の公表があったわけですから、いつ、どういう形で着手する運びなのか、その考え方をお伺いいたします。
  337. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) ただいま先生がお述べになりましたような経過で、昨年、定数是正が衆議院議長のごあっせんによって行われ、また、国会決議がなされまして、昨年暮れの国勢調査確定値の公表を待って抜本是正を行うことになっているわけでございます。この抜本是正につきましては、選挙といいますか、政党活動の基本にかかわる問題でございますので、各政党におきまして十分に御協議をいただいて、そしてこの抜本是正が行われるのがしかるべきであろうと、こう考えておりまして、各党間における御協議が速やかに行われるよう自治省としては御期待を申し上げているところでございます。また、この御協議が開始されますれば、自治省といたしましては最大限の努力をしていきたいと思っております。
  338. 抜山映子

    ○抜山映子君 この議員定数というのは、本来、大変それぞれに利害関係の錯綜している問題でございますから、各党間の御協議をというように、それを期待しているという姿勢だけでは一向に動き出さないと思います。自治大臣としてどのようにイニシアチブをとられるか、そのあたりをお伺いしたいと思います。
  339. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) これはやはり政党政治でございますので、与党と野党が御協議を始めることが肝要であろうと思います。自治省といたしましては、私としましても、担当者には、そのような御協議が始まればすぐに対応できるように各般の場合を想定して研究を進めるよう命じているところでございます。役所からイニシアチブをとるということはいかがなものかと。各党の御論議が始まることを期待し、お待ちしているのが実際の姿でございます。
  340. 抜山映子

    ○抜山映子君 じゃ、各党の御論議が始まらなければ二年でも三年でも五年でもお待ちするというのが大臣のお考えでしょうか。
  341. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 選挙制度の改革は、衆議院におきます定数是正のほかにも、参議院の比例代表制等の問題がございまして、自治省といたしましては、これら両問題について積極的に取り組みたいと考えております。特に昨年参議院の改選がございまして、明後年には次の改選期を迎えるわけでございます。そういう意味におきましても、また衆議院も三年後には定期改選がございます。ただいままだ選挙には十分な時間がございますので、このような余裕のあるときに落ちついて十分な議論を行うことが一番必要ではないかと常々私は考えておりまして、そのようなことを機会あるごとに申し上げているわけでございます。
  342. 抜山映子

    ○抜山映子君 参議院の比例代表制の問題が問題になっていることは私もよく存じておりますが、そちらの方は別に緊急の要請は特にございません。これは各党間の話し合いを待ってやっても別に問題ございませんけれども、この衆議院の二人区とか六人区の是正の問題は本来暫定措置であると、公職選挙法の中選挙区制にこれを枠を超える異例の措置であったわけです。だからこそ私は何とか早くやらなくてはいけないのではないか。そしてまた衆議院議員の選挙はまだ先でございますというお話がございましたけれども、衆議院議員の方はいつ解散があるかもわからない、こういう院でございますから、私は自治大臣としてもただお待ちするではおかしいんじゃないんですかと、三年でも五年でもただお待ちするのですかと、そこをお伺いしているんです。
  343. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 衆議院につきましては、もちろん解散がいつあるかわからない。ただ任期としてはこれから約三年ございますということを申し上げたわけでございます。先ほどから申し上げますように、これは政党間で御協議をいただくべきことでございますから、先生もひとつお帰りになりましたら民社党の方にお話しをいただきたい。私も自民党の選挙制度調査会長にはこのような御質問があり、御要望があったことを伝えたいと思います。
  344. 抜山映子

    ○抜山映子君 それでは、裁判所の方にちょっとお伺いいたしますけれども、大阪の地方裁判所で出ました昭和六十二年四月三十日の豊田商事事件の判決でございますが、これは確定いたしましたね。
  345. 町田顯

    最高裁判所長官代理者(町田顯君) 六十二年四月三十日に言い渡しのございました豊田商事の元従業員に対します不当利得返還請求訴訟、御指摘の事件でございますが、判決は確定いたしております。
  346. 抜山映子

    ○抜山映子君 御存じのように、この判決は破産した豊田商事が元セールスマンに支給した高額の歩合報酬、これが公序良俗に反するものとして不当利得だということから、破産管財人にその歩合給を返還せよと命じたものです。そういうことになりますと、この徴収分について過誤納部分があったと、還付しなくちゃいけないんだということが法律上出てくると思うんですが、これについて大蔵省はどのように事態を認識しておられますか。
  347. 瀧川哲男

    説明員(瀧川哲男君) お答え申し上げます。  今御質問の件ですけれども、それは判決のあった二十名の方についての御質問と理解してよろしいでしょうか。
  348. 抜山映子

    ○抜山映子君 必要ならば二つに分けていただいて御回答いただいてもよろしいんですよ。
  349. 瀧川哲男

    説明員(瀧川哲男君) それではそういうことを前提にします。  まず、今回の判決の論旨といいますか、そういうものから御説明するのが一番いいかと思います。  今回の判決は、豊田商事が支払いました二十名の特定の外交員の、それからそのうちのまた特定の期間に受けました極めて高額な外交員報酬につきまして判示されたものでございます。  その論旨の進め方は、まず豊田商事が行いました商法ですね、商売のやり方の違法性は極めて強いとまず評価いたしまして、次に個々の外交員の勤務期間でありますとか、あるいは社内の経歴であるとか、あるいはセールスの方法であるとか、あるいはその方々が個々にいただきました報酬額というものから、その違法性を基礎づける主要な事実についての認識の有無を個別に認定しまして、そしてこれらの社員が違法性を有する会社の商法に加担したというように位置づけまして、その結果としてその歩合報酬契約が公序良俗に反し無効であるから不当利得に当たる、こういうような論理構成のように私は理解しておるわけでございます。つまり、もうちょっと裏を申し上げますと、豊田商法が違反だから歩合報酬がすぐ違反だ、こういう論理にはなっていないということでございます。  それから一方、私ども税務上の問題点を申し上げますと、税金と申しますのは、税を徴収するにいたしましても、それからまたこれをお返しするにしても、いずれにせよ法律にのっとって適正に行われるべきであるということが税法として当然のことであると思うわけでございます。したがいまして、これは一般論でございますけれども、既に徴収されておりまする源泉所得税を還付できるというのは、例えば源泉徴収の対象となりました所得の支払いが誤りだということで返ってきた、そういう場合、あるいはその所得が源泉徴収の対象とならないことが法的に明確にされた場合というものに限られると思うわけでございます。また、これも一般論でございますけれども、先ほど申し上げたような判決が出ましても、既に支給された給与であるとか、あるいは訴外の外交員の報酬であるとか、あるいは豊田商事以外の法人が支払いました給与とか外交員報酬、こういうものについては判決の影響を受けるものではないというように思う次第でございます。  以上のような観点から、現在その判決で示されました権利義務関係とかあるいは経済的事実につきまして、詳細に検討を進めておるところでございまして、できるだけ早く結論を出したいと考えております。これが一般的な話としてのお答えでございます。  また一方、二十名の問題でございますけれども、これもまた確たることを申し上げられるような状況でございません。大いに勉強している状況でございますが、ただこれもまた一般論で申し上げますと、その報酬が所得税法第二百四条に言います外交員報酬に該当しない、あるいは誤払いであったということになれば、その報酬について既に徴収されている源泉徴収は還付することになる、こういうふうに思っておるわけでございます。
  350. 抜山映子

    ○抜山映子君 長い御説明だったので簡単に言うと、当該二十名についてはその高額な歩合の分、この分についての過誤納付分としてこれは返す、そのほかのものについてはそれぞれ同趣旨の判決が出ないと返さない、こういうことになりますか。
  351. 瀧川哲男

    説明員(瀧川哲男君) 確たることを申し上げる状況にないと申し上げたのは、今おっしゃったような結論にまでもまだいっていないということでございまして、できるだけ早くやりたいと思っておるわけでございます。
  352. 抜山映子

    ○抜山映子君 個々的に個人個人で判断するんだとおっしゃいますけれども、それじゃ訴訟まで至っていない泣き寝入りをしている被害者についてはどうするのかという配慮が全くありませんが、その点はいかがですか。
  353. 瀧川哲男

    説明員(瀧川哲男君) 私どもの方で先ほど司法の世界でやっていただいたような判断ということ、つまり効無効の判断をするということは私は非常に難しいことだと思っております。
  354. 抜山映子

    ○抜山映子君 難しいことはよくわかりますが、この豊田商事という会社は、そもそも名前自体を、商号をトヨタとの関連会社かと思わせるような名前を使っていること、それから態様が、手段それから方法、その内容、すべて違法性に満ち満ちているわけです。ですから個々的に判断するということではなくて、何も私は月給の分を、基本給の分のそれを返せと言っているんじゃなくて、歩合制の分の百万だとか二百万だとか取っているその分についての税金の分を返せと言っているわけなんですから、決してそんなに難しい法的問題ははらんでいないんじゃないですか。
  355. 瀧川哲男

    説明員(瀧川哲男君) 私も百八十数ページにわたるその判決を読ませていただきましたけれども、その中におきましては、この人は幾ら報酬をいつどういう時期にもらったかということ、あるいはこの人のセールス方法はどうであったかということを個々に位置づけて、そしてその個々の外交員の違法性の認識というものを持ってきていくわけですけれども、それはやはり非常に難しいことだろうと私は思っております。
  356. 抜山映子

    ○抜山映子君 国税庁さんに申し上げたいんですけれども、ちょっとした不足の分についてはすぐ国税庁の方は更正してくださいと言ってこられますけれども、こんなに多額のものについて、しかもこの事犯はそんなにデリケートなボーダーラインの事件じゃなくて、社会的耳目を集めた本当に犯罪的な事件ですね。そして既に判決も確定してしまっている。それなのに対処できないというのは私は大変非情だと思うんです。また、それぞれ裁判をやってそれぞれが確定しなくちゃいけないなんて言っておりますと、被害者は大変高齢者が多いわけでございますから、それぞれ亡くなっていかれる方が多いわけですから、もうちょっとこれは世間的な良識に従って還付すべきものは還付する。別にあなたのポケットが痛むわけでもございませんから、ひとつ良識を持ってやっていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  357. 瀧川哲男

    説明員(瀧川哲男君) 私のポケットにあるものならむしろ出しやすいんですが、私ども預かっておりますのはやはり何といっても国民の信託財産でもあるわけでございますから、そこはやはり返すにしてもきちっとした世界で返さぬといかぬだろうとは思っております。ただ、おっしゃるとおり、判決でなければ本当にいけないのかどうか、そういうことも含めていろいろ勉強しているというのが実態でございます。
  358. 抜山映子

    ○抜山映子君 ただいま判決でなければいけないのかということも検討しなければいけないという御回答を得ました。ひとつこれはもうぜひ検討していただきたいわけです。  先ほど大蔵省の方でしたか、個々的の従業員について判断しなくちゃいけないなんていうことを言われましたけれども、従業員に対して大々的に研修を行っているんですよ、この豊田商事は。どういうようにして巻き上げるか、グループで行けというようなことですね。それから、なるべく老人、年寄り、男の老人には女でグループを組んで行け、なるべく優しくしろだとか甘い言葉をかけるとか、預金をおろしに行くときには全員でついていけとか、そういうもろもろの研修を行っているところから見ますと、もうそれは個々的に個人個人について違法性の認識があったかどうか、それを判断しなくちゃいけないという問題があるなんということじゃないと思うんですよ。この豊田商事の法人自体の存在がもう既に非常に違法性を帯びて、いかがわしい存在だと、こういう認識の上に立って、ひとつ国税庁の中でかわいそうな被害者のために良識ある結論を出していただきたいということを切望いたしますが、その点についてひとつ御回答いただきたいと思います。
  359. 瀧川哲男

    説明員(瀧川哲男君) 私も先ほど申し上げましたとおり、先ほどの個々に判断したというのは判決の中の論理がそうなっているということを申し上げたわけでございます。裁判官でさえ外交員報酬の無効という結論を出すには、そういうステップがどうしても必要であったということだろうと私は思います。  それから豊田商法の違法性といいますか、ひどさ、これは全くそのとおりだと思います。ただ、その商法の違法性そのものが外交員の連法性の認識を通じての外交員報酬契約の無効に行きつくかどうかということは、これは私ども行政官庁として司法判断をするのは非常に難しいんだということを先ほど来申し上げております。ただ、この問題が非常に社会的に大きな問題を持っているということは十分認識した上で研究させていただいております。
  360. 抜山映子

    ○抜山映子君 何度も繰り返しになるので言いたくないんですけれども、私は二十万、三十万、五十万程度の基本給の分について返せとは申しておりません。あくまでも歩合制のとてつもない法外な収入、歩合制の収入を得ている、その歩合制の分だけについて過誤納付ということを言っているんですから、ぜひ検討していただきたいということを切望して私の質問を終わります。
  361. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 他に御発言もないようですので、法務省裁判所自治省警察庁及び公営企業金融公庫決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明五日午前十一時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会      ―――――・―――――