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政府委員(増田信雄君) 六十
年度末におきます日本の外航船員は約三万人でございます。ちなみに十年前の五十
年度末で約五万五千人おりましたので、この十年間で大げさに言いますなら、約半減をしたという
状況になっております。
先生御
質問の外航船員だけの
雇用状況という統計をとっておりませんので、船員全般の
雇用状況を御報告申し上げますが、六十一年の十月の
状況で申し上げますなら、求職者が約九千名に対しまして求人が千三百名強でございます。いわゆる有効求人倍率は〇・一四、この場合、陸の求人倍率が〇・六一くらいだと承知しておりますので、陸と比べますと就職のチャンスが四分の一以下しかないという
状況になっております。求人の方は外航の方が極度に悪うございまして、外航からの求人はほとんどないというような
状況になっております。
なお、六十二
年度の商船大学あるいは商船高専の新卒者も外航にはなかなか採用してもらえないというような
状況でございます。
なお、これらに対しましてどういうふうな
対策をとってきたかということでございますが、従来は海から海への労働力の移動ということを主として念頭に置きながら
対策をとってまいっております。
例えば日本人の船員の優秀さが買われまして、外国の船に日本人の船員が乗っておるケースがございます。このケースは大体において職員が主になっております。そこに私
ども着目をいたしまして、日本船員福利
雇用促進センターというところを通じまして、部員の職員化のための訓練あるいは英語の訓練というものを行いまして、これに
補助金をつけてまいっております。
なお、日本人の船員が外国の船に乗るようなケースにおきましては、私
どもは奨励金を支払っております。
さらに、船員全体としましては、船員の職業安定所を通じまして広域の職業紹介というものを進めてまいっておるところでございます。
しかしながら、海での労働人口の吸収というのにはおのずから限度がございます。特に、現在
世界的に見ましても、台湾、韓国、フィリピン、バングラデシュ、インドネシアというところが船員の供給国として今力を入れております。特にまた、東欧の国からも船員の供給が行われるような
状況になっております。こういうことを考えますと、やはり海で吸収できない船員は陸の方に転換を図っていかざるを得ないというふうに思っておるわけでございます。
そこで、これは運輸省だけでできる問題ではございませんので、昨年以来、労働省、厚生省あるいは
地方公共団体の方々と協力しながら、一つには船員職業安定所と公共職業安定所の連絡を密にする
対策をとっております。相互に情報を交換しながら陸上に転換しやすいような
措置を考えている次第でございます。
また第二番目には、船員が持っているいろいろな資格がございます。これが陸上で通用できるように相互の資格の間で、例えば試験を免除してもらうとか、受験資格を緩和してもらうとか、そういう
措置を
実施に移しております。さらに、私
どもは陸上の訓練校に船員も入れてもらうということで基本的に
お願いをいたしまして御了承を得ております。
こういうような
措置を今後強化をしながら、陸上に船員が移っていく場合に
支障のないように努めてまいりたいと考えております。