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山田公述人 御紹介いただきました全民労協の
山田です。
余り原稿をまとめましてかたい話をしましてもどうかと思いまして、ざっくばらんに私
どもが今感じておることを申し上げたいと思います。いろいろなことをお話しする前に、先生方には釈迦に説法かもしれませんが、一体今勤労者なりサラリーマンというのはどういうような感じなり実態にあるのかということを一言だけ申し上げておきたいと思います。
昨年、国税庁発表で、六十年分
民間給与
生活者の実態というのが公表されておりますが、一年を通して働いた
民間の給与
生活者というのは三千六百九十四万人ということであります。事業所の規模にしますと、五百人以上のところが二一・八%。平均給与、これを知っておいていただきたいのです。平均給与は三百五十二万円です。これはボーナスも残業手当も全部ひっくるめての国税庁で把握した収入金額ですが、三百五十二万円。平均年齢が四十・六歳、勤続年数が十九年。そのうち男子が四百二十八万円、四十・九歳の十二・一年、女子が二百七万円で四十・〇歳、八・四年。ですから、くどいようですけれ
ども、三百五十二万円ということであります。そのうち五千人以上の規模のところで働いている人たちが五・一%ぐらいしかいないということで、圧倒的に
中小企業、零細
企業で働いている人が多いということは申し上げるまでもないと思います。そこで、年収三百万円以下の人たちが五〇・七%です。それから、年収が三百万から五百万以下の方が三〇・六%、年収五百万円以上という方は一八・六%しかいないということなんです。
さらにまた、全民労協でも、六十年、六十一年、六十二年にわたりまして、中流意識のもとでの
生活ということで、三部作で発表させていただきました。その内容を詳しく申し上げるような時間がございませんが、ただ共通していることは、中流意識というとらえ方についても、世間並みだというとらえ方が六〇%、世間並み以下だというとらえ方が四〇%というような
状況です。特に、家計の中で
負担が非常に重い、その内容については税金、社会保険が三七・六、住宅購入のための貯蓄返済が三二・四%、食費が三一・一%、子供の教育は二七・九%、こういうところがサラリーマン全体の共通した不満といいますか、非常に重さを感じておるということであります。
それから、収入のことをちょっと触れましたが、正直言いまして、今勤労者の
生活というのは本人の賃金だけではもうとてもやれない。それを支えているのはいわゆる時間外、残業です。それから共働きです。これがなかったら一体どういうことになるだろうかということも私
どもは十分ひとつ考えてもらいたいと思います。
昭和五十九年現在で、もし残業がなくなった場合どういうことか。暮らしてはいけないという方が二一・九%、大幅に切り詰める三〇・四%、貯金ができなくなる一三・四%、もともと残業がないというのが二二・二%というような数字が並んできます。
円高によりまして
輸出関連
産業が今ずっと
雇用問題まで引き起こしておりますが、ほとんど時間外が規制されております。私
どもは労働時間短縮を主張する
立場なんですが、一面でまたこういう矛盾も実はしょっておるわけでありまして、
輸出関連
産業のそれぞれの
産業別組合がつい最近いろんな調査をしておりますけれ
ども、大体七五%以上が、残業がなくなりますともう大変
生活が窮屈になってくるというような調査結果も実は発表されておるということであります。最近は
雇用の関連で、言うならばパートとかそういう
関係もかなり減少しているような
状況にあります。
つい最近、
個人消費がかなりマイナスを記録したということがありまして、何か
政府の方ではお天気のせいのようにされておりますが、それは余りにも実態を知らな過ぎると思います。賃上げがなかなか思うようになってないということ、ボーナスが減るということ、
雇用不安を引き起こしているということ、さらには今申し上げました残業手当、さらには共働きが非常に減少してきている、こういう点が非常に大きな
個人消費に対する
影響を来しておるというぐあいに申し上げておきたいと思います。
それから、時間の
関係でずっとはしょりますが、もう一つだけ申し上げておきますが、年金
生活者の問題で、
昭和六十二年度の
予算でいきますと、三十二年掛けのモデル年金が約十八万四千円になっています。モデル年金が出ますと、世の中全体が何かモデル年金をもらえるような錯覚を起こしているわけなんですが、実はこのモデル年金以上もらえる人は二割強しかいない。八割近い人は、賃金の格差に大体比例しまして七割、七掛けてこの年金も見てもらったらいいということも正直に申し上げておきたいと思います。後で御質問があれば、それぞれまた内容を説明したいと思います。
二つ目は、
経済政策にかかわる問題でありますが、今回の
政府の
予算を見まして私
どもが申し上げていることは、超縮小均衡
予算だ。もっと厳しく申し上げますと、私
どもは
民間の労働組合の
立場で
合理化、
雇用で非常に悩んでおるわけなんですけれ
ども、
円高不況、それから
失業をむしろ
促進するような
予算の内容だということを申し上げたいわけであります。特に、防衛費の聖域化に伴う突出ということも、我々としては全体の
予算が削減される中で、抑制される中で極めて不満を持っております。そういう中で、一律のマイナスシーリングもおよそ限界に来ておりますし、むしろそのことによって大きなひずみをあちらこちらに起こしているような受けとめ方もしております。そういうことで、結論的に申し上げたいことは、
経済の実態に沿ったような形で機動的に
予算もぜひひとつ
対応してもらいたいということであります。
円高不況からの脱却について。まず第一は、
内需主導の高目の
経済成長率五%程度をぜひひとつ
目標に置きながら
予算を組んでほしい。そのための潜在力は十分にあるということは、むしろ
経済関係の省庁の資料からも明らかに実はされているところでありまして、十二月の
段階で中曽根総理にお会いしましたときに私
どもは積極的にこういうことを主張いたしました。
政府の方は、六十一年度の
経済成長率も四%程度は何とか確保できますということをつい十二月の
段階で私
どもに言われておったんですが、暦年でも二・五%というような数字ですから、まあだまされたとかだますとかいう
言葉がありますが、何も税金問題だけでなくて、余り数字がかけ離れますと、非常に大きな政治不信にまで結果が及んでいくのではないかということであります。六十二年度の三・五%も、このままいきますと危ういというぐあいに私
どもは見ております。そのためには積極的に
財政政策の発動をしてもらいたい。
議論をしますと、一番のポイントは
財政再建であります。私
どもは
財政再建についても大事にしていきたいし、今日までもこの点については我々なりに
対応した
気持ちであります。ここで五年以上は先送りにして、一遍見直してやり直してもらいたい。それと同時に建設
国債の増発もしっかりやってもらって、
景気の後退、税収の伸び悩み、
財政赤字の増大という悪循環をここで一遍逆転をさせてほしい、
政策の転換をひとつやってほしいということであります。さらに
円高メリットの還元、物価の安定、大幅
減税、効率的でかつ重点配分による社会資本の整備、公共投資の推進、住宅投資の
促進、設備投資
減税、労働時間の短縮、週休二日制の普及な
ども内需拡大の極めて重要な柱になるということを申し上げます。
特に、
内需拡大、公共事業を推し進めるに当たりまして、地価の安定、土地供給の拡大などが
土地政策としては大変重要だと思います。私は臨調にも参加をしておりましたが、この土地の価格の問題につきましては思い切って凍結をするぐらいの
政策手段を打たないと、なかなか土地問題の安定は期し得ないというぐあいに私は判断をしております。利用法を初めいろいろな
関係法律がありますが、もしそれが障害になれば、ぜひ皆さんたちの手で凍結に近いような手段が打てるような法律の内容に変えて
対応してほしいと願っているわけであります。さらにまた、公有地の売却等に当たりましては、
民間規制と同じような扱いでぜひやってもらいたいということであります。また、線引きの緩和につきましては、私
どもは私
どもなりにこれを受けとめてはおりますが、このことがむしろまた地価の高騰の引き金になるということを一面では大変おそれておりますから、その辺の両面からの
対応をきっちりやる中で公共事業なり
内需拡大に関する
対応をやってほしいということであります。
特に、住宅とのかかわり合いで宅地並み
課税の問題もございますが、先ごろの
経済構造審議会でも、特例
措置を廃止して、原則として宅地並み
課税を全面的に
実施すべきだという答申も出されておるわけでありますから、この際、この問題についてもしり抜けのやり方ではなしに、ひとつきっちりやってもらいたいと思います。特に住宅
政策につきましては、サラリーマンの一番の悩みどころでありますけれ
ども、ウサギ小屋と言われる
日本の住宅に対する金融なり
税制面からの
対応というのは極めて薄い。
歳入に占める住宅
減税額等は
アメリカで四・九、
イギリスで三・八、
フランスで一・五、西ドイツで一・三、
日本では〇・三、これは既に皆さん御承知のとおりであります。この辺の
政策に対する発想の転換を思い切ってやってもらいたい。
以上、
経済にかかわる一つの面を申し上げました。
さらに二番目は、適正な為替レートの安定を図ってもらいたいということです。
生活水準、購買力、
経済、
産業の実態から見ますと、私
どもは一昨年から百九十円から二百円ぐらいが適正な
円レートだということを主張してまいりました。
産業別にもその内容の数字を明らかにしてまいりました。ところが、最近のG5、G7の経過を見ますと、何か百五十円が当たり前のような雰囲気で推移をしていることに私
どもは実は大変
危機感を持っているわけでありまして、為替レート一本やりの対外調整だけでは非常に問題があるわけですから、くどいようですけれ
ども、
内需拡大等もあわせながらもっともっとわかりやすい積極的な対策を打ってほしいということであります。
三番目には、海外
政策との協調であります。これはもう説明の必要はないかと思います。
それから、あとは
雇用の問題でありますが、時間もありませんから一言だけ申し上げておきます。
経済成長にかかわる
雇用、構造不況、言うならば
円高によって加速された
雇用、
内需拡大を中心にする
経済体質転換に伴う
企業の海外進出その他による
産業の
空洞化の問題、これらの問題が一つに絡みまして、今
雇用不安が非常に大きな問題となっております。いろいろな手につきましては、
政府の方でも、三十万創出の問題だとかそれから円滑法の問題だとかいうことを準備してもらっております。内容についていろいろな
意見もあります。特に
雇用については事前協議、事前合意をしっかりやるような仕組みにしてもらいたいということであります。あとはひとつ走りながら、
対応しながら、問題があれば幅を持って機動的に直せるようなやり方で進めてほしいということであります。結論的に言いますと、五%程度の実質
経済成長率を実現しないことには、半年、一年は間に合いましても、二年、三年を見通しますと
雇用は極めて不安。
成長率を高めるしかない、
経済環境を明るくするしかないということであります。
それから
税制の問題ですが、私
どもサラリーマンの
立場からいいますと、
減税という
言葉が非常に誤って伝えられておる。今まで納めています税金をまけてくれとは一つも言っておりません。今から上がる分を緩和、是正してくださいというのが私
どもの主張でありますから、正確に言いますと
減税という
言葉は当たらないということであります。
昭和五十二年度から六十一年度までのサラリーマンの給与と税金の比較をしますと、一%賃金がふえますとちょうど二・五%税金が上がっております。申告所得者は一%の所得がふえて同じような
状態、いわゆる一%ということであります。それから、長年私
どもは税金問題を訴えてまいりましたが、
昭和四十一年から五十年、十年間で三兆六千九百二十五億円の
減税を
政府はやっておられます。特に田中内閣当時、四十九年に一兆七千二百七十億、これを現在に換算をいたしますと、六十一年ベースで四兆六千億円に四十九年の
減税は匹敵するということが言われております。ところが、五十一年から六十年の十年間を見ますと、わずかに一兆八百七十億円しか是正されていないということでありますから、サラリーマンにとっていかに過酷なことかということがこの資料だけでもはっきりすると思います。
不公平税制で私たちが一番言いたい点は、申告納税者は消費者物価上昇分が必要経費で組み込まれながら、サラリーマンには全然
関係しないということであります。これは諸外国の例にもありますとおり、物価調整、そういう制度がインデクセーションの形で
アメリカでも
イギリスでも
フランスでも
導入されておる、どうして
日本でやられないのか。毎年毎年、私
どもとしてはそれこそデモをやったり集会をやったり大変なんです。きちっと安定するように制度化してもらうと少しは落ちつくと思いますから、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
それから住民税です。
生活保護法の支給基準よりも低い収入でありながら税金がかかるとは何事かと言っているのです。もっと働く人を大切にしてほしい。
大蔵省の方は非
課税限度額なんて
言葉をかえまして面はそろえていますが、ちょっと上がりますと、制度は変わってないですから、水中まで潜って全部税金を持っていかれるような仕組みになっているのですが、私
どもは何も無理なことを言っているわけではないので、その二点が実は
不公平税制の一番言いたいサラリーマンの
気持ちであります。
それから財源はどうかということを聞かれるのですが、私は長いことこの問題をやってきておりますが、無理です。ちり一つないぐらいかき集めて
予算を組まれた後におまえたちの対案はと言う。こんなばかなことはないので、むしろ
政府の方がサラリーマンの
減税を大切にするということであれば、その
政策を最優先しながら
政府の責任できちっと用意して、どうか、こう言われるのが当たり前だというぐあいに思うのです。私
どもも、余り言われるものですから、あるとき持っていったことがあるのです。例の補助貨幣の積立金です。私が持っていったのです。そうしたら
政府の方は、これは重要な制度だからなくするわけにいかない。これは明治
時代にできた。
日本だけです、残しているのは。一年たちましたら金不足になった、それをいわゆる雑収入に入れてちゃんと使っておられる。幾つかそういう例があるのですけれ
ども、一つの代表的な例ですがね。いいかげんにしてもらいたい。知恵を出して持っていけば別に使われるということでは、対案持っていっても何を持っていったかわからぬということになってしまう。一つの例だけを正直に申し上げておきたい。
それからさらに、私
どもは、不公平の問題で、特にクロヨン、トーゴーサンという問題があるわけですが、このことについては記帳義務の問題だとか総収入申告制の強化だとか、これは臨調の答申にも実は入っているのですが、何か
政府税調でもやりかかったのですが、自民党税調でしり抜けになってしまって、今度また復活しておるようですけれ
ども、そういうことをやることによってどれだけの財源が出てくるか聞くのですが、教えてくれませんね。これは臨調の答申にも入っていることなんだ。だから、
国民納税者カード、グリーンカード的なものも私
どもはプライバシーの問題を侵さない範囲で出してほしい、そういうことでいうならば公平を図ってほしい。
制度の面では資産所得、利子配当、キャピタルゲインの
課税強化をやってほしい。世の中はマネーゲームの
時代ですから、そういうところにやはり
課税しないというのはおかしいというふうに私は思っておるのです。
アメリカでも、レーガン
税制の
議論に当たりましては、不公平の問題を徹底的に直せばこれだけの金が出ますということを
国民に明らかにしていますよね。どうしてそういうことが
日本ではできないのか、私
どもとしては納得できないわけです。
さらにまた、脱税
関係でありますが、
日本だけがどうして時効が五年から七年ぐらいなのか。どの国を見ましても無期限がそれとも長期にわたる期限を定めておるのですが、そういう点では、時効については時効なしを含む延長をぜひ図って、きっちりするところはすべきじゃないか。どうしてこういう
議論がまだ出てこないのかなというような感じであります。
何でおまえたちはサラリーマンでありながら
売上税を含むことについてかんかん怒っているのかとよく聞かれるのですが、私
どもが言いたいことは、ここ何年間国会で与野党の合意メモが出ておりますが、メモだけです。やられたためしがない。前段に何回もだまされているわけです。今度の
売上税だけじゃない。都
会議員の選挙のときには、中曽根総理は、サラリーマン
減税をやります、優先的に。これは都
会議員の選挙です。非常に頼りにしましたが、今度のような結果。今回は大型間接税、
売上税はだまされたのだ、それに関する人はそういう発言もしていますが、私たちから見ますと、もう一つ、サラリーマン
減税は具体的にどうなったのですかということが言いたいのです。同額の増
減税なんということを一言も言われなかったわけであります。
それから、
減税案については、中堅サラリーマンを大事にする。中堅サラリーマンとは何を指しておられるか、私
どもにはわかりません。そういう点では、年収四百万円の人が一%年収が伸びますと税金が三・二%伸びておったのです、今までの制度では。今度の制度では三・四%にむしろ
負担が増すというような階段づくりをやっておられるのですよね。そして、七百万円ぐらいのところからなだらかになっておる。完全にこれは高額所得優遇以外の何物でもないということを申し上げておきたい。これは間違った数字じゃございません。なお、共働きになりますと七百万以上もまたぐっと下に落ちできますから、そのこともつけ加えておきます。それから、配偶者の特別控除の問題ですが、これはかなり今回浮上しましたが、私
どもとしては、みなし法人専従者給与に手をつけないまま中途半端な形で出ておるのは極めて遺憾だと思います。実額控除は、声ばかりで何も内容はありません。医療費控除の足切り限度額は五万から十万、これはもってのほかだというようなことを申し上げておきたい。
まず、
政府は、そういう点で何かサラリーマンの
減税がありますよと言いながら、一方は全審言われないわけですが、私
どもはつい最近、
法人税の
減税が
国民に還元されるかどうか、これは
企業を通じて調査をいたしました。それから見ますと、還元をしましょうというのは一割もない。現に、在来型
産業で
雇用で必死に今頑張っておるところでは、とてもじゃないがそんな余裕がない。
産業によっては賃上げも要求していないところもございますからね。どこからそういうような
計算が出てくるか、私たちにはさっぱりわからないということなんです。
そういうことで
計算しますと、増
減税の分岐点は年収六百万円から七百万円のちょうど中間ぐらいになります。冒頭申し上げましたように、五百万円以上の方は一八・六ですから、推定ではおよそ一割もいない、実質
減税になるのは。高校卒、中卒、これは全然だめです。大卒の定年前だけがちょっとひっかかる、そういうような内容だということも申し上げます。
マル優の問題については、私
どもは、結論からいうとこれはもう廃止してもらったら困る。
昭和五十九年の全民労協調査、中央値で貯金は二百三万円です。貯蓄増強中央
委員会は三百十万円と発表しました。百万円からの開きがある。どこの調査をやられたのかわかりません。私
どもの調査は、大
企業中堅サラリーマンを中心にした調査の内容ですから、
中小企業が入りましたらもっとこれは下がるということになる。五十歳でようやく三百万円になるということです。マル優カードで限度管理でいいということなんです。カード代の
予算がないと言われたのですが、私
どもはカード代は二百円出しましょう、そういう建設的な
意見も出したのですが、それに対してはいまだに返事もございませんでした。
それから、汗水流して働いたお金に税金は現行でも七八%、不労所得への利子
課税が現行でも三五%、それがまた二〇%に今度下がる。汗水流して働いている人たちを大事にするのか、どっちを大事にするのか、考え方をはっきりしてほしいなと思います。グリーンカードをつぶしたときには何か
資金シフトが起こるからどうだのと言った、あの話は一体どこへ行っちゃったのか、それが一遍聞きたいわけです。私たちは総合
課税、グリーンカードをやれと言う方ですから。
それから
売上税については、結論からいいますと大衆
課税だということです。逆進性、物価上昇、安易な
増税、納税コスト、そういう点で私
どもとしては総合的に見てこれに反対ということで、物価上昇については
政府の試算が私は甘いと思います。大和証券
経済研究所での三%を初め
民間調査機関で幾つかの発表がありますが、甘いと思います。
直間比率の問題がいつも言われるわけなんですが、むしろ私
どもが長年これは
政府に対して主張をしてきました。その都度その都度やはり是正
措置をしながら、余り極端な開きがないように日ごろからこれは
努力するということが大事なことなんで、何か
売上税を入れたらバランスがとれるという単純な問題ではないと思うのです。七三が七一になるぐらいのことを今度
政府でも発表されておりますがね。もしもこれでもっとバランスをとるんだということになれば、もっと
売上税を
増税しなくちゃバランスがとれぬのだということを裏づけとして言っておられるような感じがしてならない。
物品税のこの問題、コーヒー、紅茶の問題から始まっていろいろあるわけですから、そういう点をやってほしいなと思うのです。
結論的に申し上げますと、私
どもは、言うならば広く浅くという
言葉が大嫌いなんです。広く浅くということは高額所得の方を削って、中堅、低所得の方に上積みをするという、そのとおりの
言葉ですから、はっと聞いたときにはきれいごとで何か受けとめやすいような感じがするのですが、掘り下げてみると、その広く浅くということが
税制全体の一つのまとめになっておるな、これは困る、絶対に困るということであります。
そういうことで、ぜひ
税制問題については
国民の合意ということを前提にしながら
税制の基本構想的なものを中心にまとめた
議論をしてほしいと思います。何年かかってもよろしい。
イギリスなんかグリーンペーパーで二、三年これを
議論をして、かなりな
国民の合意を取りつけながら
税制の
改正に乗り出したというようなことがありますから、できれば
税制基本法的なものを中心にひとつ大いに
議論して、一〇〇%は合意できないでしょうが、大方合意できるような考え方をひとつまとめておくということが大事だということを申し上げます。
それからさらに、今回の場合は一律主義の方にずっと
税制改正が流れていますが、私
どもは応能主義を大事にしたいと思うのです。これについて
政府の方は、言うならばそういう
方向に転換をしたのかどうか。どうももやもやしておりますので、それを申し上げたい。今まさに所得格差が年年開いておるというような
状態であります。
もとに戻りますが、国税庁の調査によりましても、今賃金格差というのは大手
企業を一〇〇としますと
中小企業六三、ボーナスは一〇〇に対して一六というような実態もありますから、さらにこれを拡大するような
税制のあり方というのは、私は重大な内容を含んでいるような気がしてなりませんし、ぜひひとつ今回の
政府の
税制改正は一から出直して
議論を十分尽くしてほしい。当面する
売上税については、もう絶対これは撤回するまで私
どもは頑張りたい、こういうことを言う場所じゃありませんけれ
ども、申し上げておきたいと思います。
そのほか、社会保障の
関係もございますが、これはひとつカットさせていただきます。
それから、特に公務員の仲裁、人勧についてはぜひひとつ完全
実施ということでやってもらいたいことを最後につけ加えまして、粗雑になりましたけれ
ども、一応私
どもの見解を申し上げておきたいと思います。(拍手)