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1987-03-04 第108回国会 衆議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年三月四日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 砂田 重民君    理事 今井  勇君 理事 野田  毅君    理事 浜田 幸一君 理事 林  義郎君    理事 吹田  愰君 理事 上田  哲君    理事 川俣健二郎君 理事 池田 克也君    理事 吉田 之久君       相沢 英之君    愛野興一郎君       伊藤宗一郎君    上村千一郎君      小此木彦三郎君    小渕 恵三君       越智 通雄君    奥野 誠亮君       海部 俊樹君    片岡 武司君       小坂徳三郎君    左藤  恵君       桜井  新君    志賀  節君       杉山 憲夫君    田中 龍夫君       西岡 武夫君    原田  憲君       福島 譲二君    細田 吉藏君       武藤 嘉文君    村田敬次郎君       村山 達雄君    山下 元利君       井上 一成君    井上 普方君       稲葉 誠一君    川崎 寛治君       菅  直人君    嶋崎  譲君       細谷 治嘉君    山口 鶴男君       大久保直彦君    坂口  力君       水谷  弘君    宮地 正介君       木下敬之助君    永末 英一君       楢崎弥之助君    金子 満広君       寺前  巖君    中路 雅弘君  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         国 務 大 臣 金丸  信君         法 務 大 臣 遠藤  要君         外 務 大 臣 倉成  正君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         文 部 大 臣 塩川正十郎君         厚 生 大 臣 斎藤 十朗君         農林水産大臣  加藤 六月君         通商産業大臣  田村  元君         運 輸 大 臣 橋本龍太郎君         郵 政 大 臣 唐沢俊二郎君         労 働 大 臣 平井 卓志君         建 設 大 臣 天野 光晴君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     葉梨 信行君         国 務 大 臣         (内閣官房長官後藤田正晴君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 山下 徳夫君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         開発庁長官)         (沖縄開発庁長         官)         (国土庁長官) 綿貫 民輔君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 栗原 祐幸君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      近藤 鉄雄君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)     三ッ林弥太郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 稲村 利幸君  出席政府委員         内閣官房長官 渡辺 秀央君         内閣法制局長官 味村  治君         内閣法制局第一         部長      関   守君         総務庁長官官房         審議官     百崎  英君         防衛庁参事官  瀬木 博基君         防衛庁参事官  古川 武温君         防衛庁参事官  児玉 良雄君         防衛庁参事官  筒井 良三君         防衛庁長官官房         長       友藤 一隆君         防衛庁防衛局長 西廣 整輝君         防衛庁教育訓練         局長      依田 智治君         防衛庁人事局長 松本 宗和君         防衛庁経理局長 池田 久克君         防衛庁装備局長 鎌田 吉郎君         防衛施設庁長官 宍倉 宗夫君         防衛施設庁総務         部長      平   晃君         防衛施設庁施設         部長      岩見 秀男君         経済企画庁調整         局審議官    田中  努君         経済企画庁総合         計画局長    及川 昭伍君         科学技術庁長官         官房長     矢橋 有彦君         科学技術庁科学         技術振興局長  藤咲 浩二君         国土庁長官官房         長       清水 達雄君         国土庁長官官房         会計課長    佐々木 徹君         法務省刑事局長 岡村 泰孝君         外務省北米局長 藤井 宏昭君         外務省経済局次         長       池田 廸彦君         外務省条約局長 斉藤 邦彦君         大蔵省主計局長 西垣  昭君         大蔵省主税局長 水野  勝君         厚生大臣官房総         務審議官    長尾 立子君         農林水産大臣官         房長      甕   滋君         農林水産大臣官         房予算課長   上野 博史君         通商産業省産業         政策局長    杉山  弘君         通商産業省基礎         産業局長    鈴木 直道君         通商産業省機械         情報産業局長  児玉 幸治君         通商産業省生活         産業局長    浜岡 平一君         中小企業庁長官 岩崎 八男君         運輸省運輸政策         局長      棚橋  泰君         郵政大臣官房長 成川 富彦君         郵政省貯金局長 中村 泰三君         労働大臣官房長 岡部 晃三君         建設大臣官房長 高橋  進君         建設大臣官房総         務審議官    渡辺  尚君         建設大臣官房会         計課長     市川 一朗君         自治省財政局長 矢野浩一郎君         自治省税務局長 津田  正君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      右田健次郎君     ――――――――――――― 委員の異動 三月四日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     片岡 武司君   松野 幸泰君     杉山 憲夫君   井上 普方君     山口 鶴男君   木下敬之助君     永末 英一君   柴田 睦夫君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   片岡 武司君     宇野 宗佑君   杉山 憲夫君     松野 幸泰君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和六十二年度一般会計予算  昭和六十二年度特別会計予算  昭和六十二年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 砂田重民

    砂田委員長 これより会議を開きます。  昭和六十二年度一般会計予算昭和六十二年度特別会計予算昭和六十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  3. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私は、日本社会党護憲共同を代表し、また、ともに売上税粉砕のためにスクラムを組んでおります公明党民社党皆さん方とも連携をしつつ、公約違反売上税、この問題について中曽根総理初め各閣僚にただしたいと存じます。  憲法六十六条でありますが、「内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。」とあります。そうして「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」こう定められております。まさにこの予算委員会総括質疑は、この憲法六十六条をいわば体現したものというふうに考えております。議院内閣制をとる我が国の議会制民主政治の象徴であるこの席上において質問をするわけでありますから、たくさん政府委員皆さん方おられますが、政府委員皆さん方を煩わせることなく、専ら総理大臣及び各閣僚に対して御質問をいたしたいと存じます。  まず、去る一月二十六日の中曽根総理施政方針演説、お伺いをいたしました。その中で総理は、「本年は、日本国憲法が施行されてから四十年目に当たっており、憲法基本理念である民主主義は、今や、国民の最もとうとい共有の財産」になっている、こういう認識を示されました。「私は、人道主義理想のもとに、独善を排し、衆議を求め、常にみずからを反省」していきたい、こう述べておられるのであります。大変立派なお言葉を述べておられます。  人道主義とは何でしょうか。いわば人の道でしょう。やはり人にとって最も守らなければならないことは、人を、他人を欺いてはならないということではないでしょうか。「人道主義理想のもとに、独善を排し、」そうして反省しつつ政治を進めると中曽根さんはおっしゃられた。ところが、実際どうですか。あの昨年の衆参同日選挙のことを私は思い返していただきたいと思うのであります。  五月二十二日が国会最終日でございました。その前日、五月二十一日、党首会談中曽根さんは社会党を初め他の党の党首皆さんとそれぞれ行いました。そのとき、石橋委員長、前委員長になりますが、定数是正をしたら解散是正をしなくても解散円高でも解散、こんな理不尽なことはないと詰め寄られました。それに対して中曽根さんは何とお答えになりました。自分は一言も解散を言ったことはない、解散は今何も考えていないとおっしゃられたじゃありませんか。  また、公明党の竹入委員長、前委員長でございますが、恣意的解散のための臨時国会憲法違反衆参同日選挙考えておりませんね、こうただしたところ、中曽根総理白紙だと。竹入前委員長が、白紙とはやらぬということだな、こう重ねてお伺いをいたしましたところ、中曽根さんは、白さも白し富士の白雪とおっしゃられた。  また、民社党塚本委員長が、同日選挙は行うべきでない、参院軽視の疑いがあり、まさに違憲になるのではないか、こうただされた。中曽根さん、何とお答えになりました。解散は全く考えておりません、そんなことを考えるのは不見識だ、こうお答えになったでしょう。  そうして、国会が終った後、五月の二十四日、内閣記者会とあなたは会見をされました。テレビ全国に放映をされました。国民皆さんもすべて見ておられたわけであります。そのとき中曽根総理は、解散念頭にない、これまでの解散念頭にないという言い方を今変える段階にはない、こういうふうにおっしゃいました。国民皆さんにも、解散考えていませんよ、そういう考えを今変えませんよ、こう国民皆さん方に約束をされた。ところが、どうですか。五月の二十七日、閣議を開いて、六凡二日臨時国会召集を決定したでしょう。しかも、この臨時国会召集のテーマは何であったかというと、円高不況克服ということだったじゃありませんか。  昨日、日本失業率が三%に達した、雇用不安が深刻だということが大きく報道せられました。あのときに、もし円高不況克服のための審議を徹底的にやると言うならば、我々は国会の中に入って堂々たる議論をしようじゃないか、法案を出しますか、予算を出しますかと詰め寄った。このことは、ここにおる閣僚の中では、綿貫国土庁長官、当時の議運委員長ですから、この間の我が党を初めとする野党の主張は全部承知をしておるはずじゃありませんか。ところが、どうですか。六月二日、臨時国会召集冒頭中曽根さんは解散をせられた。まさにうそうそを重ねた解散じゃありませんか。  そうして、現在の深刻な円高不況、雇用不安を招いた責任はまさに中曽根さんにある。これでも、あなたは、人の道を守った、人道主義を守った、人を敷かなかった、こう強弁できますか。
  4. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 昨年のいわゆる同時選挙に関する御質問でございますが、山口さんもつとに御承知のように、国会におきましては、この衆議院定数是正について違憲状態を一日も速やかに解消すべしという決議を前の臨時国会でやっておりまして、これは与野党全員一致でやったわけであります。国会決議というのは非常に重いものでございます。それから、最高裁判所は、最高裁判決におきましても、違憲状態克服、早く解消するということは我々の責任考えて、そのような判決をまた指示されておるところです。最高裁判決もまた国政上非常に重いものです。この国会決議と、それから最高裁判決という国政上最も重要な二つの問題から指摘されて、私は、国会議員政府も一日も早く違憲状態解消することが民主主義に沿うゆえんであると考えておりました。  そこで、この違憲状態解消するために、各党でいろいろ相談をいたしまして、そして解消のための定数是正法案というものをお互いで協力し合って制定しようとしておったわけです。それで、その定数是正法案というものが成立するまでは、それは解散であるとか、そのほかのものは口にすべき問題ではございません。なぜなれば、違憲状態解消することはできないわけです。ところが、定数是正法案成立すれば、これは違憲状態解消することができます。そういうような情勢から見まして、定数是正問題がどういうふうに扱われるかということを黙ってじっと見ておって、それまでは白紙状態であるということは当然であります。  そこで、あの最終日におきまして、定数是正法案成立いたしました。一たんこの定数是正法案成立すれば、政府国会も一日も速やかに国会決議あるいは最高裁判決に基づいたことを行って違憲状態解消するということが政治家の至高な任務になってきた。憲法違反を直すということぐらい大事なことはない。そのために国会も努力してきたわけでございます。そういうような違憲状態克服するという大事な憲法上の責任を果たすために解散ということを行ったという次第でございます。
  5. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 今のは答弁になっておりませんね。私どもも定数是正の問題については積極的に協力をしたはずです。そうして最終日衆議院定数是正成立をした。しかし問題は、二十七日に閣議でこの臨時国会召集を決めた理由は一体何だったんですか。円高不況克服ということだったんじゃないですか。我々は、円高不況、深刻な雇用不安、これを克服するためだったら幾らでも審議に応ずる、だから予算を出しなさい、法案を出しなさいということを言いました。テレビ討論会でも当時の官房長官後藤田さんに私はそのことを言った。ところが、円高不況克服でもって臨時国会召集して、それをやらぬで解散とは一体何なんですか。だからこそ今深刻な雇用不安、円高不況国民全部が苦しんでいるじゃありませんか。中曽根さんは国民の苦しみよりも自分の都合を優先したということじゃありませんか。はっきり答えてください。
  6. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 あのころ私は、憲法違反状態是正することは非常に大事であるとずっと言ってきたつもりでございます。それから、臨時国会召集するについては、円高に伴う経済政策もありましたけれども、定数是正問題というものも党内で非常に大きくこれが論議され、主張されておったわけでございます。そしてあの解散が行われましたときの政府声明におきましても、そういうような趣旨のことははっきり述べて、申してきた次第でございまして、やはりこの違憲状態を一日も早く直すという大きな仕事を行うためにはやむを得ない措置である、そういうふうに考えております。
  7. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 中曽根さん、円高不況よりも定数是正が必要だ、違憲状態解消が必要だと言うんだったら、そのことをはっきり党首会談でも、それから国民に向かっての記者会見でもおっしゃったらいいんじゃないですか。そういうことをおっしゃらないで、円高不況克服臨時国会召集して、解散に持っていった。これが人の道に反しないことですかと私は聞いているのですよ。人を欺かないと言えますかと、こう聞いているのですよ。
  8. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 これは今まで申し上げましたように、その前の年の臨時国会から定数是正問題は大問題でありまして、そして国会決議も行われ、それから次の通常国会におきましてもこれが大問題で、ずっと各党で樽俎折衝が行われておった。したがって、憲法違反状態是正できる情勢になるまでは、これは白紙であるということは当然でございます。しかし、法律が通りまして、憲法違反状態是正することができる環境が生まれましたら、これは一日も早くこの違憲状態を直すということは政府責任であり、また国会議員としても同じような責任であると私は考えておる。そのころにおきましても、やはりこの憲法違反状態是正するということもはっきり私は当時言っておる。これはその当時の記録をごらんになればわかると思います。
  9. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 党首会談でそのことをはっきりおっしゃいましたか。言ってないじゃありませんか。
  10. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 党首会談は、この法律を制定する前に行われておりまして、まだ違憲状態克服できる状態ではなかった。私の記憶ではそうです。たしか二十日前後に行われたと思っております。(発言する者あり)
  11. 砂田重民

    砂田委員長 皆さん、ちょっとお待ちください。  質疑者政府も真剣に討論をいたしておるところでございますから、どうぞ御静粛にお願いをいたします。
  12. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 党首会談定数是正法律成立する前だったからああ言った、こうおっしゃいましたね。それでは、記者会見国民皆さんに物を言ったのは一体幾日だったですか。五月の二十四日ですよ。定数是正成立した後じゃありませんか。そのときもなお国民を欺瞞したじゃありませんか。これが人の道に反しないと言えますか。
  13. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 それは国会成立しまして、ともかく国会召集するという大きな仕事がございまして、国会成立する、そういうときになってその点ははっきり私は申し上げたつもりでおります。
  14. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 だめですよ。二十一日ですね、党首会談は。定数是正が二十二日に成立をしたわけですから、前だから言わなかった、こうおっしゃった。ところが、国民に対して記者会見をやったのは五月の二十四日、成立した役なんですから。そのときも国民を欺瞞するということは許せぬじゃありませんか。中曽根さんの答弁は矛盾していますよ。そんなことじゃ質問できませんよ。
  15. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 ただいま申し上げましたように、この定数是正法案成立する前と後では政治状況は全く変わっておりまして、定数是正法案成立する前にはそういうようなことができない状況にあるわけであります。したがいまして、白紙であるということは、これは当然であるのです。しかし、一たん成立しました以上は、定数是正ができる環境になりましたものですから、そこで一日も早く違憲状態克服する、そういう行動に出たものであります。それで、この違憲状態克服するということは、あの発言につきましては、円高という問題と、それから違憲状態克服という問題、国会の前後におきましては、これを国民皆さんにも申し述べておるという記憶が私はたしかあると思っております。
  16. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 円高不況よりも勝手な解散の方を優先するということは許せぬよ。私の質問に真正面に答えてないじゃないか。
  17. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 臨時国会召集につきましては、法律事項で、円高不況克服という問題もある、たしかそういう議論もありまして、たしか信用保険法の一部改正とか、そういうような問題があったと記憶しております。しかし、その問題もある程度行政政策でそれが可能である、そういうことも当時通産省で勉強しておりまして、円高不況に対してどういうような対策を講ずるかということは、もちろん研究もいたしておりました。
  18. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 研究しておられた、こう言うのですね。たしか後藤田さんもテレビ討論会のときには、法案を二本くらい用意しているというようなことを言いました。そうして円高不況克服臨時国会召集されたのですよね。法案を出しますか、補正予算を出しますかと、各党はそれぞれ議院運営委員会理事会で主張したわけですよ。ところが、それにも答えず解散に打って出たのでしょう。そうすると中曽根さんは、国民が苦しんでいる円高不況、雇用不安よりも、みずからの野心を優先する、こういう考えだったんじゃありませんか。そうなんですか。こんなことは国民は絶対許さぬと思うのですよ。
  19. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 私は個人的な野心などでそういうことはいたしません。やはり憲法上の大義である、憲法違反状態を一日も早く克服する、そういうことが政治家としての大きな責任であり、それは国会を通じましてのかなり長い間の我我共同責任であったわけであります。その共同責任を果たすという責任感が私を支配しておったのでございます。
  20. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いずれにせよ、円高不況克服臨時国会召集して、法案を提出せよ、補正予算を提出せよという野党の一致した要求にもこたえず一方的に解散したということは、円高不況に苦しむ国民あるいは雇用不安に悩んでおる国民皆さん方、そういうことは構わぬ、こういう不当な政治姿勢であったということが明らかになったと思います。私は絶対納得できませんけれども、少なくとも中曽根さんはそういう態度であったということを国民の前に明らかにすることができたと思いますので、次に進みたいと思います。  次は、中曽根総理はことしの正月、伊勢神宮をお参りいたしまして、四十年の政治生活を振り返っていろんなことをおっしゃられました。  そこで、お尋ねをしたいことが一つございます。昭和五十一年、第七十七通常国会。当時三木内閣でございました。このとき中曽根さんはたしか幹事長だったですね。
  21. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 三木内閣のときは幹事長をしておりました。
  22. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 当時国会はロッキード問題が大きな政治課題になりまして、国会空転をしたことがございました。  問題は、当時私は議院運営委員会理事だったのですが、ロッキード問題に関する国会決議というのを国会でいたしました。アメリカの上院にありますところのすべての資料をこの国会に提供してほしい、そのために政府は全力を尽くせというのがあのときのロッキード問題に関する国会決議の主要な内容でございました。私、自分で書いたのですから、今でもよく覚えております。  ところが、アメリカは、資料は提供することは提供する、しかし、検察庁にだけ提供するということで、国会にこれを提出することを拒んだのであります。  国会は当時の三木内閣に対して、国会決議を守るようにさらに強くアメリカ政府と交渉すべきだということを主張して、国会空転をいたしました。そのとき中曽根さんは、その国会空転国会の不正常を打開するために与野党書記長幹事長会談を提唱された。御記憶ありますね。
  23. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 多分そういうことがあったと思いますが、大分昔のことでございますから、必ずしも記憶は定かではございません。
  24. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 去る二月十日、砂防会館全国集会では昔のことも大いに雄弁で述べられたようでありますから、昔のことをよく御記憶あるんじゃないかと思ってお伺いしているわけであります。  五十一年の四月五日、与野党書記長幹事長会談は開かれました。野党側米側資料公開アメリカにあくまでも強く要求することを求めましたが、当時の自民党幹事長であった中曽根さんはこれを拒否して、会談は物別れとなりました。ところが、その後、中曽根さんは四月十四日にテレホンサービスというのをおやりになったですね。まあ今度この売上税が問題になりましてからも、テレホンサービスでこのPRに太いに努めるというようなことをおやりになっているそうでありますが、中曽根さんはテレホンサービスがお好きである。どんな御発言だったか、御記憶ありますか。
  25. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 あのころ問題にされたということを記憶しておりますが、中身については大分昔のことでありますから定かではございません。
  26. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ここのところへ資料を一切持ってきましたが、結局、中曽根さんは与野党書記長幹事長会談を提唱されたが、それはいわばペテンの書記長幹事長会談でしかなかった。あなたは、そのように率直な発言ではなかったけれども、事実を通じてそのようなことをテレホンサービスでお述べになったわけです。したがいまして、当時社会党公明党、共産党、民社党、各野党一斉に怒りました。そうして、中曽根さんはついに民社党に対しては陳謝文を、他の野党に対しては陳謝の談話をお出しになったじゃありませんか。  中曽根さん、このように書記長幹事長会談というのは、この議会制民主政治、政党政治の中では最も重要な会談じゃありませんか。そのような会談を、野党をペテンにかけるようなやり方をやったことに対して、私は、厳正にこれは反省をしていただかなければならぬと思うのです。そういうようなことは今後絶対やりませんね。そのときの反省と今後の政治姿勢について率直なお考えを述べていただきたいと思います。
  27. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 あのときの発言で、私は野党をペテンにかけるようなそういう品の悪いことはやったことはありません。  私がたしか記憶にありますのは、ともかく私は一生懸命やっています、それで野党皆さんももっと協力してくれるといいと、たしかそういうような趣旨に基づく発言ではなかったかと思うのです。その点はまだ定かではございませんが、ペテンにかけるようなそういう品の悪いことはやっておりません。
  28. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いや、この書記長幹事長会談をおやりになったのが四月の五日、テレホンサービスの御発言の内容では、その以前からずうっとある党に対して接触をして、そうしてこういう約束をしておったんだということをおっしゃったんですよ、あなたは。ある党とひそかに接触をして、そうして密約を結んでおって、その上で、それを知らぬ顔にして書記長幹事長会談を提唱するということは、まさにこれはペテンにかけたことじゃありませんか。しかも当該の党は、そんなことはないということでお怒りになって、あなたは陳謝文をお出しになった。まさに不当な御発言だったと思います。まあこれ以上私は申しませんけれども、ある程度その記憶が戻ってきたんじゃありませんか。
  29. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 記憶が戻ってまいりました。それはやはり野党皆さんに非常に協力を求めるように一生懸命やっておる、しかし野党皆さんは割合に冷たくて反応がないけれども、一つの政党でも二つの政党でもいいからともかく協力して、そして予算を速やかに本会議を通すように一生懸命やっています、その点では一生懸命、全体の党とは言いませんけれども野党の一部の皆さんと話してやったと、そういうことの趣旨を言った覚えはあります。
  30. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 とすれば、明らかにペテンにかけた党があったということじゃありませんか。それをあなたはお認めになった。今後はそういうことはやりませんねということをこの際明確にひとつお答えをいただいておきたいと思います。
  31. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 幹事長になればやはり野党といろいろ接触して、そして予算成立させるためにあらゆる正当な、妥当な方法をやることは当たり前のことではないかと思うんです。それが幹事長仕事であるので、そういう、私は道徳的に悪いことをやったとは思いません。まあしかし、山口さんがそういうふうにおとがめになるならば、やはり今後とも正々堂々とできるだけやるようにしたいと思いますが、野党皆さんも御協力願えるということは私は大事である、そう思っておるのであります。自民党だけで一生懸命やっても、国会というものは野党皆さんと一緒にやりませんとなかなか動かないものである、そういうことをよく認識しておるのであります。
  32. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 あなたはその際、すべての党に陳謝をされたわけですから、誤りであったということは認めておられるわけです。まああなたもお認めになったように、話をしておって、それを一切知らぬ顔をして書記長幹事長会談を開くというようなことは、これは間違いだということはあなたもよくおわかりいただけると思います。  それでは、次に問題を移したいと思います。  二月十日に中曽根さんは、自民党税制改革推進全国会議で、「税制改革に関し私の真情をお聴き下さい」ということで四十分にわたる大演説をされたそうですね。ここにこの御発言になりましたものを持ってまいりました。売上税問題に関してうんちくを傾けていろいろお話しになったようであります。中身の問題については後でいろいろお尋ねいたしたいと思いますが、その中で、この際、私お聞きしておきたいことが一つあるのです。  これだけの売上税問題に関してうんちくを傾けた御発言をされたのに、一月二十六日のあなたの施政方針演説では、「間接税制度の改革」という言葉があっただけで、売上税のウの字もなかった。このことは一体どういうことか。今国民は、この選挙公約と売上税との関係について大きな関心を持っている。我々国会議員も同様です。とすれば、施政方針演説の場を通じてそのことについて丁寧に御説明あるのが当然だ、こう思っておりました。  しかるに、「間接税制度の改革」という言葉があっただけで、売上税という言葉は一つもない。これはけしからぬということで議場内交渉係の皆さんが演壇に行かれて、そして折衝された。その結果、十秒ばかり、間接税制度の改革とは売上税のことでありますというような御発言を中曽根さんはおやりになったのですけれども、この四十分にわたるこれだけのお話をされる中曽根さんであるならば、なぜ施政方針演説で、四十五分間の演説をされたのですから、その中で十分とか十五分時間を割いて説明をされなかったのですか。その点、どういうわけで当初おっしゃられなかったのか、またおっしゃったのもわずか十秒で済ましたのか、中曽根さんの率直なお考えを聞かせていただきたいと思います。
  33. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 私が施政方針演説で申し述べましたその一部の中を申し上げますと、   戦後四十年を経て、税制を取り巻く我が国の経済社会情勢は、大きく変化してきております。このような変化に伴い、三十七年前にシャウプ勧告に基づきつくられた直接税を中心とする我が国の現行税制には、ゆがみ、ひずみ、税に対する重圧感等さまざまな問題が生じており、国民の皆様の不満や改善に対する強い要望は、もはや放置することを許されない状況にあると痛感いたします。  このため、政府は、重税感が指摘されていた中堅サラリーマンの負担の軽減を中心とする個人所得課税及び法人課税の軽減合理化と見直し、間接税制度の改革及び非課税貯蓄制度の再検討を大きな柱とする抜本的な税制改正案を今国会に提出することとしております。 こう申し上げまして、税制の大改革の骨子をここで申し上げたつもりなんです。  それで、ここにありまする「間接税制度の改革」という中には、もちろん売上税も入っておりますし、物品税の廃止も入っておりますし、あるいはそのほかの、地方税の関係で電気税とかあるいは木材引取税とか、そういう諸種の流通課税もございました。そういうような意味で、それらを総合的に表現する方法として「間接税制度の改革」、こう申し上げたのです。  大体、どういう税をつくるというその税の名前まで言うということは施政方針演説では多少なじまない、やはりこの大きな改革の骨組み、大方針をここで申し上げて、大蔵大臣の演説でそういう細かい具体的な説明はさせていただこう、そういうことで大蔵大臣に譲ったというのが私の心境であります。しかし、野党の皆様方からの御指摘もありまして、これは大きな改革でございますから、売上税という名前を出さなかったと指摘されれば、それは落ち度であったかな、そうも反省をいたした次第で、そこで本会議におきまして是正の発言をした、こういうことでございます。
  34. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 今の御答弁はいただけませんね。結局、国民がどういうものか関心を持っている売上税、そしてマル優制度の撤廃に関しては、わずか「間接税制度の改革及び非課税貯蓄制度の再検討を大きな柱とする抜本的な税制改正」、これだけしか言ってないのですから。しかも、個々の税法の名前まで言う必要はない、こうおっしゃいましたね。後で私は論議したいと思っているのですが、大平元総理解散をする前に、施政方針演説で一般消費税というものをちゃんと言っているんですよ。大平元総理の正直な御態度と中曽根総理の今のようなこの御答弁と、天と地との差があるじゃありませんか。心にやましいことがあるから売上税を言えなかったのじゃありませんか。
  35. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 心にやましいことなんかまるっきりありません。それは今までの私の施政方針演説をつくるときの一つのパターンがございます。したがって、そのパターンに沿ってこの大きな骨組みの改革を行うという大網、大方針をお示し申し上げまして、細かいことは大蔵大臣の演説に譲る、それが私の考えでございましたので、別にこれで売上税というのを出さないで逃げたというそういうやましい考えは全くなかったのでございます。
  36. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 売上税が細かいというのですか。きのう山下元利さんの質問に対して、いや大型間接税じゃないかもしれぬけれども中型間接税じゃないかとおっしゃったじゃないですか。相当大きいということはあなたもお認めになった。それが細かいことで済むのですか。
  37. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 細かいという言葉は適切でなかったかもしれませんが、要するに大綱をこの施政方針演説では申し上げまして、具体的なやり方等については大蔵大臣の演説にお譲りした、こういう趣旨でございます。
  38. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 細かいというのは取り消してもらいましょう。  大平総理は、解散する前の施政方針演説で一般消費税という言葉をちゃんとお使いになっているんですよ。それと比べてあなたは――この問題は後で議論しましょう、解散前の通常国会で、全然売上税とか大型間接税ということはおっしゃらない。それから、前の百七回臨時国会でもそういうことはおっしゃらない。大平さんはちゃんと一般消費税、検討しなければならぬということをおっしゃっているのですよ。そういうことと比べて、中曽根さん、一体どうなんですか、大平元総理の方が誠実であった、人の道を忠実に守っておられたというふうに御感想を持ちませんか。
  39. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 大平さんは大平さんで御立派であったと思います。しかし、私の場合は、まだ税制の調査会で、政府税調におきまして審議しておりまして、選挙のときにはもちろんのこと、税制の名前も決まっていなかったわけであります。選挙中もとより決まっておりません。選挙が終わりまして、九月過ぎて、そして税制調査会が最終のまとめをやるときになってその幾つかの案が出てきた、そのときから名前が使われ始めた、そういうことでございまして、選挙のときにはそういうような具体的なことは行われておらなかったのでございます。
  40. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この点はまた後で議論しましょう。大変中曽根さんの態度は不誠実であるということだけここで指摘をしておきたいと思います。  そこで、二月十日の演説の中で中曽根さんは昔のことをいろいろおっしゃいましたですね。「古い話では、」ということで、小村寿太郎さんのお話、それから戦後においても吉田総理は、それから岸さんは、ということでお話をされておられます。「戦後においても、吉田首相は、アメリカとの平和条約」、アメリカとの平和条約というのはおかしいのじゃありませんか、サンフランシスコ平和条約じゃないですか。アメリカとだけ平和条約を結んだのですか。そうじゃないでしょう。イギリス、フランス、カナダあるいはオーストラリア、それらの国々とこのサンフランシスコの講和条約を結ばれた。アメリカとの平和条約というのは間違いだということをここで申し上げておきましょう。「これをやる時に、アメリカその他の部分条約だ、全面講和でなければ戦争になるというので大反対が起きた。これは今時の反対ではないです、あの頃は。そういう大反対の中にも、吉田さんは、今ここでこの内閣がやらなければ日本の運命は開かれぬというので、吉田さんは必死の願を込めておやりになった。安保条約が如きは、自分一人でサインしてきているんです、ほかの全権は入れないで。」こうおっしゃっておられる。  ところで、中曽根さん、サンフランシスコ平和条約のころは民主党におられたですね。そうして、民主党の総務会ではこのサンフランシスコ平和条約の問題に対して大激論になった。苫米地さんが全権団に行くことがいいか悪いか大激論になった、こう承っております。ある評論家の当時の文章を私は拝見をいたしました。中曽根さん、御記憶ありますか。
  41. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 記憶があります。あのころは、日本の命運に関する大変大事な講和条約であるから、よく我々は内容も知り、かつまた、やるという以上は国民に説得して国民的な講和条約というものにする必要がある、そういうことを私は議論した覚えがございます。
  42. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ある政治評論家の文章ですが、総務会では激論が行われた。そのとき中曽根さんが、「このような屈辱的条約にわれわれは責任を分担できない。アメリカは無差別爆撃で日本国民に大変な損害を与えた。われわれはアメリカに賠償を要求すべきだ」こういう御主張を中曽根さんは大きな声でされたというのが記録に残っております。そうでしょうね。
  43. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 それは評論家が書いた文章でありまして、それで、それは必ずしも正確でないんです。それは前後がいろいろありまして、そして、日本だけがいろいろ犠牲や負担を受けるというようなやり方は我々は納得できない、我々の言うべきことはもっと言うべきである、そういう趣旨のことを私はその際言った記憶がございますが、損害賠償を求むべきとかなんとかというようなことは正確に言ったかどうか記憶がございません。しかし、日本日本の主張をやるべきである、広島の原爆に対しましては私はかなりの憤りを持っておりましたから、あれについては本当はアメリカは遺憾の意を表すべきである、そういう議論を言ったことは記憶にございます。
  44. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その評論家は、その中曽根さんの言葉が「いまだに耳にこびりついている」とお書きになっておられるのであります。  そうして、このとき御一緒だった同志の方に園田直さんがおられます、お亡くなりになりましたが。園田さんがその後、「中曽根君は一番先に〃絶対反対〃というからついて行ったんだが、気がついたら彼はいなくなっていたよ」こうおっしゃっておられます。結局、一番先にあなたは絶対反対だということを盛んに強調された。だから園田さんも、そうだ、おれも同じ気持ちだということになって、いさ投票ということになったら、園田さんと一緒の行動をされたのはわずか三人であったということを言い残しておられるわけであります。そのようなこと、あるいは中曽根さんが青年将校と言われたころは、吉田総理をこういう予算委員会の場でいろいろな形で追及されたですね。私も記憶がございます。  そういう、特にサンフランシスコ平和条約に関して中曽根さんがそのような御主張を、それは政治家だから堂々お述べになるのは結構だろうと思うのですよ。そういった御主張を堂々とお述べになった。しかるにこの二月十日には、吉田さんは立派だ、だからこそ私も内政問題だが身命を賭して売上税をやらなければいかぬ、こう言っておられるわけですね。ですから、中曽根さんの言動というのは、かつてしゃべったことと全く正反対のことを平然とおっしゃる。大変特殊な才能をお持ちの方じゃないか、こういう気がするのですが、いかがですか。
  45. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 今の園田君との関係は事実と違います。  それは、講和条約の問題が出まして、そして講和条約の内容がだんだんわかってきました。初めのうちはともかく我々は見当もつかない。また安保条約につきましての内容が全然見当がつかない。そういう状態であるから野党としては、私は当時野党でしたから、もっとこれを出しなさいと、ちょうど今山口さんが与党を攻めているようにやったわけであります。  しかし、だんだん内容がわかってくるにつれて、問題は、講和条約はやむを得ないな、次は安保条約だな、安保条約の内容はまだ内容が示されていない、これは我々は厳重に監視する必要がある、そういうことになりまして、当時川崎秀二君と私と稻葉修代議士と園田代議士でいろいろ相談をしてやったのです。それで、だんだん内容がわかるにつれて、これは我々は賛成せざるを得ぬ、そういう考えになりまして、私と川崎秀二君はこれはもう賛成しよう、稻葉さんと園田さんは、いやまだ我々は納得できない。何晩かともかく夜四人で集まっては協議をして、最終的には私と川崎秀二君は説得したのです、お二人を。それで、こういう状況だから我々はもう賛成しよう、しかしお二人は説得に応じなかった。自分たちの独自の行為を認めてくれ、そういう話でありましたから、最終的には、国会議員のことだから自分考えで行動しよう、そう言って別れておのおのの行動を行った。当時、改進党は賛成しようという党議に最終的には決定したのです。しかし、党議がまとまるまでの過程においては、議員はおのおのみんな勉強していろいろの議論を言い合った。そういう過程の一こまであるというふうに御理解願いたいと思います。
  46. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 我が党の代議士を長らくされ、衆議院副議長も歴任せられました岡田春夫先生が、最近、御本をお出しになりました。その本の中にこの今私が述べたことが明確に出ております。政治評論家の方は実名まで挙げて書いてございますが、あえて私はここでは申しませんでした。そうして、この岡田春夫先生が、  「君らは本当に単独講和に反対を通すのかい」と聞くと、園田さんは「もちろんだよ。ここまで来たら、日本の将来のために絶対にさがらないよ。だけど、仲間が十七人いるうち、採決になったら、いくらか減るかもしれない」と答えた。  同年十月二十六日、いよいよ衆議院会議での採決となった。  園田直、石田一松、小林信一の三人は離党届けを出して議場では堂々と反対投票をした。北村氏は議場から退場した。本会議が終わって、この園田さんに会うと、園田さんは  「戦争中は国のために命を賭けてきたんだからね。こんなの当たり前だよ」「中曽根君は一番先に〃絶対反対〃というからついて行ったんだが、気がついたら彼はいなくなっていたよ」  と、あの独特のスマイルで笑っていた。 こう書いておられるわけであります。  このように、絶対反対、屈辱的な条約だ、こういう議論を大いに展開された。政治家の信念、結構でしょう。それが二月十日になると、全くそういうことでない発言を堂々おやりになるということは一体いかがなのかなという疑問を私はここで強く中曽根さんに呈しておきたいと思います。
  47. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 講和条約のような日本の運命を決する大事な問題については、当時我々は本当に真剣に毎晩けんけんがくがくの議論をやったものであります。初めのうちは、我々は野党ですから、講和条約の内容も安保条約の内容もわからない状態であった。したがって、こういうような状態では我々は賛成できない、そういうような演説を私らはやりました。それは事実であります。  しかし、だんだん内容がわかってまいりまして、そして少なくとも平和条約については、かなり寛大な平和条約でもあるし、これは我々としてはこの際賛成すべきであるというふうに党内の世論も非常に変わってまいりまして、私もこれはこの際は賛成した方がいい、日本がこれで国際社会に復帰する必要がある、そういう考えに立って、反対しておった園田君やその他を川崎秀二君と二人で説得してやったというのが真相でありまして、黙って自分たちだけが、私が勝手な行動をとったというものではないのであります。しかし、政治家ですから、信念ですから、ですから、これは我々が絶対に引きとめるといったって引きとめられないものがあります。  当時園田さんは岡田さんと非常に仲よくていろいろお話もしておったようでありますが、私は岡田さんとは考えがあのころまるっきり違っておった考えでありました。したがって、岡田さんと同じような行動をとるということは私は絶対やらない、そういう考えを持って、そして講和条約に賛成し、安保条約につきましては、これまたなかなか最後まで内容がよくわからなかったのです。そこで、苫米地さんを全権団の中へ入れるか入れないかという大問題があって、安保条約については、これは全権団といえども留保しておけ、中身がわかって納得したらこれはいいけれども、中身がわからぬうちは我々は、苫米地さん、全権として賛成すべきではない、判こを押すべきではないというのが当時の改進党の態度でありました。そして現地に行きましてからは、吉田さんは自分でサインをしておいでになった。しかし、その後安保条約の内容もわかってまいりまして、これは日本安全保障のために必要である、そういう、後でわかってからは我々はそういう判定を下したというのが実相でございます。  したがいまして、あの当時のことを考えますと、平和条約、安保条約というものをここで日本が決めて、賛成して締結したから、今日の日本の繁栄があるのである、私はそう確信して、間違っていた行動ではない、そう思っておる。
  48. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いや、中曽根さんが間違った行動をとったとか言っているわけじゃないですよ。そういう屈辱的な条約だと、絶対反対だ、こういう御議論を大いに当時はおやりになった。ところが、二月十日では口をぬぐって、そうではない御発言をしておるというところに、私は大変疑問を感ずるということを申し上げたわけです。  それでは、次の質問に移っていきたいと思います。売上税の問題です。  外務大臣にお尋ねしたいと思います。あなたは、選挙公約で大型間接税はあくまでも反対ということをお書きになりましたね、選挙公報に。今の売上税が大型間接税ではない、一体どういう理由なんですか。また、何で閣議において売上税法案に賛成されたのですか。  同じことを聞きましょう、天野建設大臣。あなたも選挙公報で、項を分きく挙げて「大型間接税には反対」、この大きな見出しですよ。そこで「税制については〃大型間接税〃は反対です。」ということを、さらに述べておられます。  それから、ついでに稲村さんにお伺いしましょう。「マル優制度を守ります。」こう公報にはっきり書いていますね。今度マル優制度は守られましたか。  それから唐沢郵政大臣。当時、あなたは官房副長官ですね。「いわゆる大型間接税導入に反対し少額貯蓄優遇制度を維持します。」と、こう書いてある。維持されていますか。あなた、担当の大臣じゃありませんか。この少額貯蓄優遇制度が維持されていますか。あの選挙公約と現在、この閣議におけるあなたのこの署名と、どうなんですか。お伺いをいたしたいと思います。
  49. 倉成正

    ○倉成国務大臣 私は選挙公約にはこのように書いております。「所得税・住民税の抜本改正と減税の断行」ということで、「文字通り、大衆の暮しを守るために、所得税、住民税を基本的に見直し、汗して働く者が損をしないような減税を断行し、大型間接税など排除します。」こう申しておるわけでございまして、この精神は、るる総理からもお話がございましたように、住宅ローンや教育費に悩む中堅所得者に対する減税を、これを行うということと、不公平税制を直すという基本的な精神がこの中にあるわけでございます。  同時に、大型間接税を排除しますということについては多少舌足らずの面があったということは思います。しかし、率直に申しまして、御案内のように、私は常に税のことについては選挙のときいろいろ正直に申し上げております。したがって、舌足らずということを率直に申し上げておりますが、売上税については、るる申し上げておりますように、全事業者の八七%に当たる事業者が課税対象から外れている、また飲食品、社会保障、医薬品、学校教育、住宅、不動産投資等々、これが外れておるということでございますから、しかも税率が五%という低い、欧米その他からいたしますと極めて低いわけでございますから、少なくとも大型間接税という概念には当たらないと思います。そういう意味におきまして、私の公約はこれで間違っていないと思います。
  50. 天野光晴

    ○天野国務大臣 今御質問にあったように、私は大型間接税反対を公約に出してあります。現売上税は大型でないという総理答弁に信頼をしております。
  51. 稲村利幸

    ○稲村国務大臣 山口先生にお答え申し上げます。  私は、さきの選挙の際にマル優制度の存続を唱えました。今回の中曽根内閣でのマル優制度廃止につきまして、母子家庭、身体障害者、それに高齢者――高齢者というのは六十五歳以上ですから、山口さんのように若い方も間もなく六十五歳になる。ニューリーダーなんかもみんな六十五歳で、もうそろそろあれですけれども、とにかく私は、時の全国組織委員長として、なるべく勝利の道を選んで一生懸命頑張った。そして、マル優を存続することはいいことだなと思って一生懸命国民に訴えました。しかし、社会的弱者を十分に重んじて、今、内閣閣僚の一員として税の不公平是正ということも考えなければならないという点で、このマル優の廃止は弱者の救済を十分認めた上で仕方ない、こういうふうに考えております。
  52. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 ただいま先生言われましたように、私も少額貯蓄優遇制を維持しますと申し上げております。  担当大臣でありますから、ちょっと時間を拝借をいたしまして申し上げますと、私は、こういう国際化、自由化が進みますと、MMCとかCDとか大口の貯金がどうしても大事にされる傾向がある。それに対しまして、サラリーマンとか中小企業とか農村の方とか奥様方だとか、そういう方が将来のために蓄えられる少額の貯蓄は大事にしなければいけない、これは私の信念でございます。  そこで、このたびも公定歩合が〇・五%下げられました。しかし、福祉定期とか通常貯金は据え置きになりました。また、定額貯金なんかも一番下げたのが〇・三七%、公定歩合は〇・五%下げたけれども、〇・三七%の引き下げにとどめる、それだけは郵政省の事務当局にも大いに頑張れといって督促をいたした次第でございます。  ところで、今の郵便貯金の非課税制度の問題でございますが、ここでも吹田委員から御激励を受けまして、私も確かに郵便貯金の利子非課税制度の存続のため今後とも努力をさせていただく所存でございますということで、昨年そのために努力はいたしてまいりました。しかし結果は、先生仰せのように、来年度の予算案では非課税制度が改正されることになりまして、その意味では、昨日も申し上げましたように遺憾に存じております。  ただ、今稲村さんが申しましたように、やはりお年寄りが老後のことを心配していらっしゃる、貯蓄がやはりお年寄りにとって大変大事であるということで、六十五歳以上の方には非課税制度が存続をいたしますし、また社会的に温かい手を差し伸べなければならない皆様には、初めは母子家庭だけ入っておった、その上にさらに税制調査会でいろいろ御検討いただいて、身体障害者まで非課税制度を存続させていただくことになったわけでございます。そのほかいろいろ……(山口(鶴)委員「もういい」と呼ぶ)いいですか。じゃ、そういうことであります。
  53. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 唐沢さん、「私の公約」ということで「いわゆる大型間接税導入に反対し少額貯蓄優遇制度を維持します。」と、こう書いて、そのお年寄りとかなんとか、そういうまくら言葉は全然ない。唐沢さん、「大型間接税導入に反対し少額貯蓄優遇制度を維持します。」はっきり言っているじゃありませんか。まさに公約違反だということをあなたお認めになったことでしょう。それから、他の大臣もいろいろ言っておりますけれども、とにかく公約違反閣僚がたくさんおられるということだけ、この際、指摘をしておきたいと思います。  さて、それでは総理、大平元総理の……
  54. 砂田重民

    砂田委員長 静粛に願います。
  55. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 回顧録をお読みになったことがありますか。大平元総理の回顧録をお読みになったことがありますか。
  56. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 回想録を残念ながらまだ拝読しておりません。
  57. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私は「大平正芳回想録」を拝見をいたしまして、大変感銘を受けました。  次のようなことがあります。「「理を尽くして説得すれば国民は解ってくれる」という信念のようなものが見られた。選挙ではこの問題を避け、選挙後に新たな負担を求めることを持ち出すというやり方は、国民との間の信頼と合意を裏切ることになると大平は考えていた」ということが「大平正芳回想録」の中に書いてございます。そうして、大平元総理は、昭和五十四年一月四日、伊勢神宮参拝の際に一般消費税問題に触れて、一日も早く導入したいということをはっきりおっしゃいました。そうして一月二十五日、第八十七国会では施政方針演説で、一般消費税の導入など税負担の問題についても、国会の内外において論議の深まることを強く望むと明確に述べておられるのであります。そうして、解散を断行した前の第八十八国会所信表明演説、五十四年の九月三日ですけれども、歳出を賄うに不足する財源は、国民の理解を得て、新たな負担を求めざるを得ないと考えております、こういうふうに明確に述べておるのであります。  私は、中曽根さんの百七回のこの所信表明演説、それから百四通常国会施政方針演説を拝見いたしましたが、税制調査会でこういうことを検討いただいておりますということは言っておりますが、大型であれ中型であれ、国民に新たな負担をお願いするというようなことは何にもおっしゃらなかったじゃありませんか。中曽根さんと大平元総理、その政治姿勢。この、選挙ではこの問題を避け、選挙後に新たな負担を求めるようなことをするということは国民との間の信頼と合意を裏切る、こういう信念をお持ちの大平さん。中曽根さんはどうお考えになりますか。
  58. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 大平さんはなかなか哲学的な政治家で、最後まで道を求める求道者であった立派な政治家であると尊敬いたしております。  私は私流の政治家としての考え方を持って行動いたしておるものでありますが、大型間接税の問題につきまして選挙中私は、何といっても今重税感に悩むサラリーマンあるいは中小企業者、そういう方々の減税をやることが大事だ、思い切った減税をやります、しかし、その財源をどうするかということについては、これは赤字公債でやることはできません、この財源をどうするかということは減税額に見合って今政府税調においていろいろ措置を研究してもらっておる、その政府税調における研究の成果を見守ってやっていきたい、そういうことを申し上げておるので、この政府税調におきましては、財源の方の研究はそのころはそれほど進んでおらなかった。いわんや売上税というような性格の税金が出てくるということは、当時まだそう予想しておったところではございません。いろいろな選択を勉強しておった最中でございます。  したがいまして、政府税調の考えを尊重するということを私は前から言っておりますものですから、そちらの歳入の部分、言いかえれば減税をやるそれを補う財源の問題については、政府税調の答申を待つ態度で終始しておったということであります。
  59. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 とにかく、大平さんのように選挙前の国会の所信表明演説あるいは施政方針演説で、新たな税負担を求めざるを得ない、一般消費税の問題について国会内外の議論の深まることを望むということを明確におっしゃって選挙をやられた方と、それから、後で逐一お尋ねいたしますが、中曽根さんの言動とは、これも天と地ほど隔たりがある。この点、私は大変残念でなりません。  まず、衆参同日選挙の中でこの問題が問題になりましたのは、NHKの討論会で藤尾政調会長が大型間接税、マル優問題に触れたわけでありますが、その前に、昭和六十一年の三月、大型間接税反対中央連絡会議が大型間接税のアンケート調査を実施いたしました。それから昭和六十一年五月二十日、大型間接税反対国民総決起大会を開かれた。そのとき、藤尾政調会長名で二度にわたって通達をお出しになった。大型間接税導入の問題については党内で何ら方針は決まっていない、すべて今後の課題である、したがって、このようなアンケートの調査に応ずること、大会に出席することは今後の自民党税制改正の審議を制約しかねない、したがって、これに応ずるべきでない、こういう通達をお出しになったわけです。  そうしてその次、この六月六日、藤尾政調会長はNHKのテレビ討論会で、マル優制度は明らかに不公平な税の特別措置だ、原則として撤廃する方向で指導する、間接税は税の取り方の問題だ、所得税という直接税が重いということなら、その負担の一部を購買力による間接税に転嫁するのは考え方としては当たり前だ、世界じゅうでやっている、こういうことをお述べになった。藤尾さんは極めて正直におっしゃったわけです。  当日、中曽根総理は、藤尾さんがそういうことを言いましたよということを記者団から聞かれて、そんなことは決まっていない、党の考えは消極的だ、こういうふうに否定をされた。そうして六月十一日、札幌の遊説で中曽根さんは、あれは藤尾政調会長の個人的な意見だ、誤解されている面がある、こういうふうにお述べになった。そうして同じ六月十一日、兵庫の遊説先で当時の金丸幹事長は、藤尾発言は舌足らずで国民に誤解を招いた、自民党は幅が広く、いろんな考え方の人がいるが、まだ何にも決まっていない、こうおっしゃった。そうして六月十四日、自民党本部で開かれた衆参同日選挙のための東京都各種団体協総決起大会の席上で中曽根総理は演説をされましたね。そのときの言葉が、国民や党員が反対する大型間接税と称するものをやる考えはない。その後、日本じゅう有名になった言葉ですよね。これをお述べになった。そうして藤尾政調会長がさらにこの六月十九日の録画撮りで、首相も間接税的発想、特に消費税的なものはやらないと言っている、幹事長もやらないと言っている、私がやるんだと言ったのでは党内不一致になる、こう発言をしておるわけです。  ですから、結局このアンケート、総決起大会に行くなど言って抑えた藤尾さん、その藤尾さんがやると言った。それに対して中曽根さんは、いやそんなことは決まっていない、私は慎重だ、そうして国民や自民党が反対するようなものはやらない、こうおっしゃって、そうしてこの問題に率直に言えば火をつけた藤尾政調会長が、首相も間接税的発想、特に消費税的なものはやらないと言っている、幹事長もやらないと言っている、私がやるんだと言ったのでは党内不一致だ。ここまで言えば、国民は、消費税的なもの、間接税的なもの、大型でないから中型ならいいというようなそういうことではなくて、消費税、間接税、こういうものはやらないのだ、こういうふうに自民党が公約したと信じて投票したのじゃありませんか。まさに、私はこれらの言動を一貫して考えれば、今回中曽根さんがお出しになった売上税、中型だ、こう言いわけをしておりますけれども、明らかに公約違反ではありませんか。
  60. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 藤尾さんがNHKの各党討論会へ出まして今のようなことをおっしゃって、それがすぐNHKのテレビやあるいはほかのテレビ、新聞等で大型間接税をやる、そういうふうに報道され、出されました。私はそれを聞きまして、これはいけない、まだ党で決まってもいないことをそういうふうに引用されて、藤尾さんの意に反してかあるいは意に沿ってか知りませんけれども、ともかく大型間接税を自民党がやる、そういうふうに報道されたことはこれは行き過ぎである。したがって私は即座にそれを打ち消す、決まってないことをそういうふうに報道されたら党は迷惑ですから打ち消す、そういうことでこの自民党の東京都の会のときにもそれを打ち消し、それからたしか八王子へ行って演説しましたときにも打ち消しまして、そうして党員やあるいは国民が反対するような大型間接税と称するものはやらない、それからマル優の問題については、弱い方々、老人あるいは母子家庭あるいは寡婦等々弱い方々のこれは守っていかなければならぬ、しかし、悪いことをしていると思われる人や不公平税制は是正しなければならない、そういうことを私は演説しまして、そしてその演説をすぐ全部の公認候補者に即日伝達したのです。ですから、公認候補者はそれをもって党の考えとして演説したと思います。  つまり、大型間接税と称するものはと言ったのは、この国会でいろいろ議論しまして、きのうも御答弁申し上げた大内書記長あるいは公明党の矢野書記長に対する答弁、つまり普遍的、網羅的云云で投網をかけるようにごっそり全部取り上げるようなそういう間接税、大型間接税と、そういうふうに定義したわけです。それでその定義で国会の中は流れておって、大内さんもあるいは矢野さんも、その答弁に対してそれは聞きおくということで別に異議は挟まなかった。ですから、国会における大型間接税、我々の観念は今申し上げたような投網でばさっとかけて全部とるようなことは大型間接税と定義されておる。国会の定義という、ここで答弁した言葉が一番大事であると我々は思います。それで、称するものはと言ったのは、それが頭にありまして、国会でいろいろ議論されておるいわゆる大型間接税というものはやりません、党員が反対し、あるいは国民が反対するようなものはやらない。そういう意味で、ちゃんと大型間接税については定義づけておったというのが私の考えなのです。  しかし、きのうも申し上げましたように、国民の皆様方は国会におけるそういう細かい議論は御存じでないですから、一部の方々が中曽根公約違反したと言われれば、それは説明不十分であったと、私も万能ではありませんから反省いたします、しかし、私の真意はそういうことなのでございます、そういうふうに申し上げた次第なのです。
  61. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 藤尾さんが六月十九日、首相も間接税的発想、特に消費税的なものはやらないと言っている、幹事長もやらないと言っている、私がやるのだと言ったのでは党内不一致になる、あなたが十四日に発言した以降、こういうことを言っているのですよ。消費税的発想、間接税的発想のものはやらぬ。売上税ははっきりそうじゃありませんか。まさに消費税じゃありませんか。国民が品物を買うときにみんな税金を払わなければならぬ。後で大久保さんや永末さんが質問されると思いますけれども、食料品だって運搬費、包装代みんなかかるのですから、売上税に関係ない品物があるというなら教えてくだざいよ。庭になっている柿の実はそれはそうかもしれぬけれども、買う物は一切売上税がついて回るんじゃありませんか。まさに消費税、それから間接税、そういうものはやらない、選挙中、そうはっきり言っているわけですよ。それから中曽根さんも、二月十日のあの自民党の全国会議で、選挙のとき、国民の一人一人にはよくわからぬよと、そう言われるでしょう、そのとおり、国民皆さんはそんな細かいことまでは知っているわけがない、こう総理みずから認めてこの二月十日に発言しておられる。きのうも同じ趣旨のことを言われたですね。  ですから国民は、選挙公約の、選挙の際に中曽根さんや、それから自民党の政策の最高責任者である藤尾さんや、あるいは幹事長であった金丸さんや、そういう方々の演説、それが新聞に載ったもの、それを見て、ああ、自民党はこうなんだな、消費税的なもの、間接税的なものはやらぬのだな、こう思って投票したんじゃありませんか。だから結局、この一月二十六日に私ども野党四党が十一の流通業界の代表の皆さんとお会いしました。そのとき皆さん方が口々におっしゃったのは、だまされた、怒りでいっぱいだ、選挙公約違反だ、自民党の後援会長は私はもうやめました、こういうような発言が相次いだ。  結局国民皆さん方は、あなたがよく言う多段階で普遍的、網羅的、包括的で投網をかけるような、あるいは縦横十文字とかそういう大型消費税はとらぬというような国会議論よりは、問題は選挙公約なんですよ。国会の食言かどうかを私は問うているのじゃない。国会の食言かどうかならば、あなたが当時の矢野書記長、大内書記長に対してこの政府統一見解を述べた、それに対して違ったことをやったというなら、私はこれは食言だと言って追及しますよ。  私は選挙公約かどうかを聞いているわけです。選挙公約というのは、先ほどあれした選挙の公報あるいは自民党の政府首脳の皆さん方が発言したことを国民は見て聞いて判断する、これが選挙公約違反かどうかの問題じゃありませんか。そのことを私は中曽根さんにはっきりお答えをいただきたいと思うのです。
  62. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 ですから、私は選挙が終わりましたすぐに、政府の税制調査会の小倉さんに、私は選挙中こういう公約をしましたからそれにかからないように答申はぜひお出し願いたいと申し上げて、小倉さんはそのことを政府税調の皆さんにお伝えいただいて、そして公約違反にならないようにやりましょうという趣旨のことを皆さんに申し上げておるのです。  それから党の税調、山中調査会と言われるものにつきましても、幹部の皆さんに、こういうふうにやっているから違反にならないようにお願いします、そう言って出てきたものでありまして、そういうところからいろいろ考えていただいて、一億円以下の皆さんにはかからないようにする、あるいは食料品やらそのほか消費者物価をいろいろ調査をする際の六五%は除く、そういう思い切った措置をし、税率も下げる、そういうことでやったのでこれは大型ではない、そういうことで政府税調も答申をしていただき、党税調もそういうふうにして配慮をしていただいたのでありまして、これは大型間接税ではないと私たちは確信しておるものなのであります。
  63. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私は選挙中の公約と反しているかどうかを聞いているのですよ。  さらに中曽根さんのお言葉についてお伺いしましょう。  中曽根さんは六月三十日、もう選挙の終盤です。遊説先の札幌市で記者会見をしまして、国民や自民党が反対している大型間接税は反対だ、そういう性格のものは一切やらない、こう強調して、それで所得税減税をやる、所得税が大変重たい、特に中堅サラリーマンの方々の所得税が重たい、この減税を大いにやりたい、そうしてその問題についていろいろ知恵を使って努力したい、国有財産を多く持っているし、NTTや日本航空の株の売却もある、こう言って、そうして減税の抱き合わせとして消費税的なもの、間接税的なもの、そういうものをやるとは限らぬ、国有財産やNTTや日航の株を売れば立派にサラリーマンの減税はできる、こう言ったじゃありませんか。そうして、この私の顔がうそを言う顔に見えますかということまでおっしゃっておられるわけです。NTTの株を売れば立派に今年度の減税ぐらい幾らもできるじゃありませんか。そういうことを言って、違うことをやっておられる。選挙公約違反じゃありませんか。
  64. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 あの記者会見でNTTの株や国有財産を、そういうことを挙げたことは事実です。しかし、それは一つの例示としてこういうものもあるということで申し上げたのでございます。  しかし、私が申し上げましたことは、要するに減税を所得税、法人税についてやります、しかしそれに見合う分については、財源については税制調査会で今研究しているからその答申を待つ、そういうことをはっきり言っておるので、そしてそれが我々の考えの中心にある考えであり、答申を得ましたから、その答申の線に沿ってやっておるということなのであります。
  65. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 今のは答弁になりませんね。とにかくあなたは、所得税減税をやる、その財源として今回のこの中型間接税ですか、売上税をやらざるを得ぬのだ、こう言っておるのですが、選挙のときには、所得税減税をやります、そしてその財源は国有財産、NTTの株あるいは日航の株の売却でできる、こういうことをおっしゃって、国民皆さん方はそれを信じて投票した、この事実を否定することはできないでしょう。  それからさらに、自民党の政策の責任者であった藤尾政調会長、減税をやりたい、そのためには財源確保を考えなければいかぬ、赤字公債に頼ることだけはしたくない、細かいもの、税目で補てんを考える、例えば、たばこ、ガソリン、ゴルフボール、ウイスキーなど、捕捉を正確にやればかなり広い範囲で徴収はできると述べて、現行の間接税制度、この適用いかんによって所得税減税は立派にできる、こういうお話をされているじゃありませんか。  自民党の政策の責任者が、新たな売上税というような別個な間接税はやらない、現行間接税の適用範囲、拡大あるいは捕捉というものでやればいい。あなたが、国有財産の売却、NTTの株の売却、それから日航の株の売却でできる、こう言えば、国民皆さん方は、ああそうか、減税だけやってくれるんだな、少なくとも大型間接税というようなものは我々国民が反対しているのだからやらないんだな、まして中型間接税とか売上税とか、そんな形を変えて換骨奪胎でごまかしてくるというようなことは考えないで投票されだからこそ、国民皆さん方が今だまされたとおっしゃるんじゃありませんか。その点を私はきちっと踏まえて総理からきちっとした答弁をいただきたいと思うのです。
  66. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 選挙中には各地で皆さん方自分のアイデアを言ったり、自分はそういうふうに努力したいと言ったり、みんな言うものであります。ですから、選挙中のことについては、党のちゃんとした文書の公約があります。それから、私が正式に言った言葉もございます。それは、先ほど申し上げましたように、国民も反対し、党員も反対するような大型間接税と称するものはやりません、そういうふうに申し上げたので、それは忠実に守っておるつもりです。  つまり、今ある売上税というものはいろいろな面で、一億円以下の方はかけないとかあるいは食料品その他を外すとか、あらゆる面で非常な努力をしておるわけでありまして、大型間接税ではない、公約は守っていると私は考えておる。ただ、国民の皆様方にすればそういう細かいところまではよくわかりませんから、そういう点で説明不足であったことは遺憾でございますと、そのように申し上げているわけであります。
  67. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 まさに中曽根さんも公約違反を認めたわけです、これは。選挙中の言動に対して今回のことは違っているということをお認めになった。きのうは中型なんとおっしゃったのですがね。  中曽根さん、公選法、あの定数是正のときを考えてごらんなさい。私どもは中選挙区を守れと言った。自民党は何と言ったのですか。いや、選挙制度は小選挙区と大選挙区しかないのだ、一名区が小選挙区、それ以上は大選挙区だ。あなた方は小と大だけで中はない、こう言った。今回は苦しくなって、大型間接税でなくて中型間接税、こう言っているけれども、明らかに今私が指摘したように、選挙中あなた方あるいは藤尾政調会長が言ってきたことと今回の措置は違う。申しわけない、こう認めているのですから、私はこういう公約違反の財源を含む予算、これは撤回すべきだ。撤回されない限り、私どもは選挙公約というものを承知しながら予算審議なんてできますか。  議会制民主政治というのは一体何ですか。選挙というものが一番中心じゃありませんか。選挙に党が、候補者の皆さん方がそれぞれ公約をされる、それに対して主権者たる国民が審判をする、それによって議会というものが成り立つわけですから、選挙公約に違反するということがはっきりしている以上、そういうことでこれからの審議を進めるなんてことは、議会制民主政治の墓穴を掘ることだ。そんなことでは我々はもうこれ以上審議はできません。潔く撤回すべきです。
  68. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 私は、ここで一貫して公約に違反しているとは思いませんと申し上げておるのです。それで、我々がここでも議論をしたいわゆる大型間接税ではないのです、売上税はそうではありません、そういうことを一貫して申し上げておるので、公約違反であると認めたことはございません。ただ、国民皆さんに対する舌足らずの点は、それはありましたと。それは、国会におけるいろいろな議論、これが我々が一番重んずべき考え方でありまして、国会で速記録に載っている言葉、これを守るということが一番大事である、私はそういうふうに考えておるわけであります。
  69. 砂田重民

    砂田委員長 この際、議事進行発言を許します。川俣健二郎君。
  70. 川俣健二郎

    ○川俣委員 お許しいただきまして、議事進行の提案をいたしたいと思います。議事進行ですから、時間の方よろしく。  うちの書記長は、政治姿勢公約違反、特に公約違反だということを力点にして、なかなかこのままだと時間のあれがどんどん過ぎておりますので、私の方から、何とぞ理事の一人として、議事進行を提案したいと思います。  というのは、今いろいろと公約違反かどうかということを静かに聞いておりましたが、特に書記長は「税制改革に関し私の真情をお聴き下さい 中曽根康弘」というのを質問されておりましたが、この中にこういうことがあるんですね、総理の発言に。「真情をお聴き下さい」「新しい税金をつくるという時には、これは別の血液が入ってくるようなことでありますから、全身にアレルギーが起こるということは、当然であります。今度のような大型の、」そうですよ。「今度のような大型の、大掛かりな税制改革を行う、そういう場合には、やはりそれ相応の大きな反応が起こるのはあり得べきことであり、それだけに皆様方にもいろいろ御迷惑をおかけしていると思うのであります。」こういうようにはっきり言うておられる。  そこで私は、さりとて、きのうせっかく与党の御質問、いわゆる身内の質問ですね、これを伺っておりまして、せっかく税調の小委員長質問でありますのですが、評論家の言い分をかりて中型かなと、いよいよ中型にこうぱっと変わった。じゃ、大型と中型とどう違うだろうということがわからない。はっきりしない。  それからもう一つは、国民が反対するような間接税は行わないと。したがって、国民が反対していると思われませんか、全国津々浦々の反対ののろしに思われませんか。  さらに申し上げます。簡単にやれということですから、もう一回申し上げます。  我々理事会で非常に論議が沸騰したのは、政省令にゆだねておる箇所が非常に多い。そこで、政省令を出しなさい。委員長の御配慮で政府から政省令を出してもらった。ところが、政省令が七十ぐらいまだ出してないものがあるのですが、その一つだけ言います。国が行う事業に係る資産の譲渡等のうち政令で定めるものには課税する。政令で定めるのは課税するですよ。こういうことを、立法機関に政省令というのはかからなくてもいいということを盾にして、全部政省令にゆだねておるじゃないか。これがやはり委員長理事会の協議に戻ると思うのですよ。したがって、私たちはどうしても、これは書記長質問を伺っている限りにおいては公約違反以外の何物でもない、こういうように思います。  そこで、書記長が冒頭言われましたが、私たちは公明党民社党と一緒に、国民とともにこの売上税を盛り込んだ予算の撤回を求めております。したがって、この点で委員会に何とか委員長に休憩をお願いして、理事会でもう一遍協議をお願いしたいという動議を提案します。  以上です。
  71. 砂田重民

    砂田委員長 委員長として川俣君に申し上げます。  単なる議事進行発言だけではなくて、御意見も加味されていたかと委員長は承りました。政府からの答弁を求めました上で、議事進行についての委員長の発言をいたしたいと思います。
  72. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 ここで累次申し上げますように、大型間接税というものに関する公約違反にはなっていないと私、確信いたしております。したがいまして、この予算案を撤回する考えはございません。
  73. 砂田重民

    砂田委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十八分休憩      ――――◇―――――     午後四時三十三分開議
  74. 砂田重民

    砂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  日本社会党護憲共同公明党国民会議民社党・民主連合、日本共産党・革新共同所属委員の御出席がありませんが、やむを得ず議事を進めます。  理事会の協議により、山口鶴男君の残余の質疑は、後に譲ることといたします。  次回は、明五日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十四分散会