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川崎(弘)
政府委員 引き続きまして、
予算の参考として、お手元にお配りしてあります「
昭和六十二年度の
経済見通しと
経済運営の基本的態度」について御
説明いたします。
まず、
昭和六十一年度の
経済について申し上げます。
昭和六十一年度の我が国
経済は、個人消費、
住宅投資を中心に国
内需要は緩やかに増加する一方、円高の進展等により輸出が弱含みであることなどから、鉱工業生産は
基調としては停滞傾向で
推移しており、全体として景気は底がたさはあるもののその足取りは緩やかなものとなっております。また、これまでの急速な円高の進展等により、製造業を中心に企業の業況判断には停滞感が広がっており雇用面にも影響が及ぶなど景気の二面性がより明瞭になっております。一方、経常収支は原油価格の低下、円高による黒字の一時的
拡大等により大幅な黒字が続いております。
政府は、調和ある対外
経済関係の形成に努めるとともに、
内需を中心とした景気の着実な
拡大を図り、雇用の安定を
確保するための機動的かつきめ細かな
経済運営に努めでまいりました。
この結果、
昭和六十一年度の実質
経済成長率は三%程度になるものと見込まれます。また、物価は引き続き安定した状態で
推移し、消費者物価は〇・五%程度の上昇となる見込みであります。
昭和六十二年度の我が国
経済を取り巻く国際情勢を見ますと、米国を初め先進国の景気は、原油価格の安定、物価の落ちつき、金利の低下、技術革新の進展等を背景として、引き続き緩やかに
拡大するものと期待されます。ただ、
雇用情勢は、欧州諸国を中心に依然として厳しい
状況が続くものと予想され、保護主義的な動きにも引き続き根強いものがあります。また、発展途上国は、景気の緩やかな
拡大が期待されるものの、一部の諸国では多額の累積債務を抱えるなど困難な
状況にあります。
国内的には、一昨年来のドル高修正を背景に
内需主導型
経済成長への転換が期待されるものの、この過程で生じる鉱工業生産、雇用、
地域経済へ与える影響が厳しさを増しつつあります。一方、我が国
財政は依然として大幅な不均衝の状態にあります。
このような基本認識のもとにおける
昭和六十二年度の
経済運営の基本的態度は次のとおりであります。
第一に、
内需を中心とした景気の持続的
拡大を図るとともに、雇用の安定及び
地域経済の活性化を図ること、第二に、我が国が国際
経済社会に占める地位にふさわしい役割と責任を担い、自由貿易体制の維持・強化に向け率先して
努力するとともに調和ある対外
経済関係の形成と世界
経済活性化への積極的貢献とを行うこと、第三に、
行財政改革を強力に
推進すること、第四に、引き続き物価の安定を維持すること、第五に、活力ある
経済社会と安全で快適な
国民生活の実現を目指し、我が国
経済社会の中長期的な発展基盤の
整備を図ることの五項目であります。
このような
経済運営のもとにおいて、
政府は、
昭和六十二年度の
経済についで、
内需を中心として、実質三・五%程度の成長を見込んでおります。また、物価は引き続き安定的に
推移し、消費者物価は一・六%程度の上昇と見込んでおります。
雇用については、就業者総数の
伸び率は〇・九%程度と見込まれます。
国際収支については、貿易収支、経常収支とも黒字幅はかなり縮小し、それぞれ十二兆二千億円程度、十二兆六千億円程度となるものと見込まれます。
なお、以上申し上げました諸数値につきましては、我が国
経済は民間活動がその主体をなすものであること、また、特に国際環境の
変化には予見しがたい要素が多いことにかんがみまして、ある程度の幅をもって考えられるべきであります。
以上、
昭和六十二年度の
経済見通しと
経済運営の基本的態度につきまして御
説明した次第であります。