○
稲葉誠一君
予算委員長砂田重民君
解任決議案の
趣旨の
弁明をいたします。
主文といいますか、
本院は、
予算委員長砂田重民君を解任する。
右
決議する。
〔
拍手〕
こういうことが
決議でございます。
その
理由とするところを、以下述べさせていただきたいというふうに思います。
ちょうど四月の十四日に、この本
会議におきまして、
三木武夫先生の在職五十年に及びます、それに関連をいたしまして祝賀がございまして、
三木先生のごあいさつが配られておりましたが、それを見ておりましたときに、
三木武夫先生が
政治家として絶えず健全な
議会政治の発展というものを心にかけていらっしゃったということを感じ入ったわけでございます。この
予算案の
強行採決というものを、この
状態というものを
三木武夫先生が
ごらんになったらどのようにお考えになるでございましょうか。私はそのことを胸にしみて感ずる次第でございます。(
拍手)
それは十四日でございましたが、十五日の日に、午後二時でございます、ちょうど
質問の
順番でいきますというと私の
総括質問の
順番でございましたので、私は
予算委員会の部屋に入って待っておったのでございますが、そのときに、
砂田重民委員長が後から来られまして、そこで一体何が行われたのかよくわかりません。よくわかりませんけれ
ども、要するに、怒号といいますか、そういうふうな中でしゃべっておられたのですけれ
ども、それが今度の
予算案の
採決であるということにはなかなか私
どもにはわからなかったのであります。
一般の我々が聞いても、
予算の
採決があったというふうにはとても考えられないような
状態のもとに
採決が行われてしまいました。
そして、
議事録その他いろいろ拝見し、そのときの
状況等から見まして、これは、
予算の
議決が私には不
存在であるというふうにしか考えられないのであります。(
拍手)それは最初からないものなのであって、有効、無効の
段階にまでいかないものであるというふうに考えざるを得ません。あのときの
状況を
ごらんになっていたたくさんの方々は、これが
日本の
民主主義なのであろうか、これが
議会政治というものの本当の姿なのであろうかということをまじめに考えられたに違いないと私は思います。(
拍手)
そこで、
砂田重民さんを私も存じ上げておりまするが、非常に温厚な、知性豊かな立派な方でございまして、私も尊敬を申し上げておる方でございます。しかし、このときにおきまして、私
ども議員の、
予算委員の
審議権というものを、
国会議員の
予算に対する
審議権というものを一瞬にして奪ってしまったということについては、私は
日本の
議会政治というものの名前にかけてどうしても許すことができないのであります。(
拍手)
我々の持っておる
権利、
国会議員として一番大きな
権利は、むしろ義務であるとも言えるかもわかりませんけれ
ども、
審議権であることは御案内のとおりでございますが、その
予算という重要な、たくさんの問題がございます、その
総括質問の中で、わずか二人の人が済んだだけで、各党の
書記長三人の方はまだ問題が残っておるわけであります。
一般質問については、まだだれもやっておらないのでありますが、そういう
段階の中でいきなり
審議権を奪ってしまうということは、これは暴挙以外の何物でもない、私は断じて許すことができないということを我々
議会人として強く感ずるものでありまして、心ある
皆様方は、そのことについて当然御理解をいただけるというふうに思う次第であります。
私は、
砂田さんから、
予算委員長から、そのいわゆる不
存在の、
議決といいますか、とにかく不
存在なのですから
議決と言えないと思いますけれ
ども、そのことをなぜやったかということについての御
説明があるのだというふうに思っておりましたが、別の機会にしろ、全然と言っていいくらい我々に対してそれはありません。だから、何のために、どのような
理由から我々の
審議権というものを、
国会議員の一番重要な
権利である
審議権を奪ったのかがわからないのであります。どうかそのことについては御自身の口から
弁明をお願いをいたしたい、かように存ずる次第でございます。
また、人はこういうふうに言うかもわかりません。それは、野党が
審議について十分に協力をしなかった、だから
予算を早く上げなければいけなかった、だからやったんだという人がいるかもわかりませんけれ
ども、それは事実と違うわけであります。
代表質問が終わった
段階で、二月四日、そのときに一方的に
大蔵大臣の
予算の
趣旨説明が行われました。これは後から二度目のやり直しがあったわけでありまして、このようなことは私は前代未聞だというふうに思うのでありまして、
日本の
国会の歴史の中に大きな
汚点を残したものというふうに思います。このことを
砂田さんは一方的にというか、
強行をされてしまいました。これは、私はまた憲政の中に大きな
汚点を残したのだというふうに思うわけです。あの温厚な
砂田さんがどうしてこういうふうなことをやるのだろうか、だれかの指図によってやっておるのかもわからないということを、だれかの意を受けてやっておるのかもわからないということを私はしみじみ感ずる次第でございます。
同時に、それだけではなくて、公聴会の
日程の問題その他の問題、そして同時に、一番重要なものとして当然考えられてまいりまする、これは政省令にたくさん委任をいたしております、百二十一の政令、省令、それらのものがなければ――売上税の法案、これは大蔵
委員会でやるのかもわかりませんけれ
ども、同時に、それが
予算の中の一番大きなウエートを占めるておるわけですから、当然
予算委員長としては政省令を早くの
段階において出させて、十分野党なり与党の皆さん方が
審議をできるようにしていかなければならない重要な
予算委員長としての私は義務があると思う。これを懈怠をしておるというところに、私は
予算委員長砂田重民君の解任に
賛成せざるを得ないのであります。
同時に、皆さん方、この今度の
予算案の中で、たくさんの問題を提案せざるを得ないのであります。たくさんの問題がまだまだ未解決のままになっておるわけでございます。例えば、私は十五日のときに
質問の要項というものを
提出をいたしました。
予算委員の皆さん方には配られて、机の上にあったはずでありますけれ
ども、それは今まで
質問の出なかったことをたくさんといいますか、細かくポイントを挙げて皆さん方に
説明をしようというので出しておいたわけです。
私は、まず第一に、公約違反公約違反と言うけれ
ども、公約というのは一体何を言うのか、本質論というものをはっきりさせなければいけない、こういうふうに考えておりましたし、同時に、外国に対しての公約というものが一体今の
日本、独立国の主権国である
日本にそういうものがあるのだろうかという疑問を私は持っておりましたので、そのことをお聞きしたいというふうに思っておりました。
同時にまた、中曽根さんが
国会の牛その他で言っておりますることは、政府の税調等を通じて言っておりますることは何かと言えば、これは、所得税なり法人税の大幅な減税をやるということを言っておられる。同時に、それは直接税、間接税の比率というものを、直間比率を直すということを言っておられる。となれば、大幅な減税をやるのに間接税を増強、ふやしていくということはここから出てくるではありませんか。だから私は、中曽根さんの言っておる大型間接税導入をしないという公約というものは、それは間違いであり、うそというか、言葉の非常に足りないものであるということを、それをそのまま国民に投げかけておるものであるというふうに感じておったのであります。その他たくさんの問題がございます。売上税の問題にいたしましても、例えば税額票の問題があります。あるいは
一般消費税との違いの問題等たくさんの問題があるわけでありますが、こういう問題全体が全くまだまだ問題にされておらないわけであります。
ですから、
予算委員長としては、
予算案が政府から出された以上、一体どこにその問題点があり、国民は一体何を聞きたがっておるかということを当然自分で判断をされて、そういうような形で、十分それが
審議できるような方向に持っていかなければならない大きな責任が国民に対してあるというのが私の考え方でありまするが、そのこと自身が全くと言っていいくらいやられておらないで、いきなり
審議権が抹消されてしまった。私は、たくさんの問題がある、その問題というものを、今後皆さん方の力をいただきながら、あらゆる機会に解明をしていかなければいけない、こういうふうに考えておる次第でございます。
そういう中で、たくさんの問題があります。そこで問題は、私
どもが大きな課題として考えておりますのは、売上税がこれだけ大きな国民の世論として
反対が盛り上がっておる。盛り上がっておって、そして、これを廃案にしようということが自民党の中でも言われており、多くの、中小企業だけじゃなく、
一般の方々から言われておる。現に、いろいろな形の選挙の中にもその影響があらわれておるではありませんか。皆さん方の中でも、それに
反対している人がたくさんおられる。そうならば、
予算委員長といたしましても、国民の意思がどこにあるか、自民党の中でもそういうような
反対がたくさんあるということを率直に身に受けて、それを国民の前に明らかにするために、この売上税の法案というものを廃案にすることを、方向の示唆といいますか、そういう方面で努力をすることも、私は
予算委員長の一つの国民に対する義務ではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。(
拍手)
こういうようないろいろな角度から物を考えてみまするというと、一番大きな原因は、何といいましても私
どもの持つ
審議権というものを奪ってしまったということ、これは、それよりもより大きな合理的な
理由が仮にあるといたしましても――それはありません、仮にどうかといたしましても、我々国民の、
国会議員の
審議権というものを上回るものはないはずであります。それをこういうふうな形で奪ってしまった
砂田委員長に対しては、私はどうしても解任をせざるを得ない、国民の名において解任をせざるを得ないものである、こういうふうに考えざるを得ないのでございます。
今申し上げましたように、こういう形でこの
予算案というものを、中で一番大きな売上税というものを、皆さん方も
反対をされておるのですから、その
反対の意を受けてやるというのが私は
予算委員会の正しい運営の方向でなければならないというふうに思います。所得税減税の問題でもそうですけれ
ども、まだまだたくさんの問題が未解明であり、大きな疑問が出てまいるわけであります。そうした問題は、例えば法人税の帰着の問題があります。法人税の帰着の問題一つをとってみましても、そういうことはもっともっと解明をしなければならない義務を我々は負っておるというふうに考えるのであります。(
拍手)
私は、そういう中で
砂田委員長が
予算案に対して今言った
審議権というものを全くと言っていいぐらい奪ってしまったということを第一の要素とし、そして第二の問題として、最初に申し上げましたように、政省令というものをもっともっときちんと整備をして、十分
審議ができるようにしなければならない義務があるのに、その義務を果たさなかったということ、あるいは一方的に提案の
説明をやってしまって、後からそれをやり直してしまった、二回もやっておるというような不始末をやってしまった。こういうような形で、絶えず独断といいまするか、専行といいまするか、そういう形で
予算委員会というものを運営をしたこと、こういうようなことは今私は大変大きな問題であるというふうに考えるわけであります。そのことは決して小さな問題ではございません。
国会議員として、
予算委員長として、どうしても欠陥があるというふうに考えざるを得ないのであります。
個人
砂田重民さんに対して、私自身は尊敬を促し、恨みはございませんけれ
ども、しかし同時に、そういう形でこの
予算委員会が運営をされたということについては……