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1987-05-14 第108回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年五月十四日(木曜日)     午前十時三十分開議 出席委員   委員長 石川 要三君    理事 竹中 修一君 理事 戸塚 進也君    理事 船田  元君 理事 宮下 創平君    理事 上原 康助君 理事 鈴切 康雄君    理事 竹内 勝彦君 理事 和田 一仁君       有馬 元治君    内海 英男君       江藤 隆美君    大村 襄治君       河野 洋平君    鴻池 祥肇君       武部  勤君    月原 茂皓君       前田 武志君    森  美秀君       谷津 義男君    大原  亨君       角屋堅次郎君    田口 健二君       野坂 浩賢君    井上 和久君       川端 達夫君    児玉 健次君       柴田 睦夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長官後藤田正晴君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 山下 徳夫君  出席政府委員         人事院総裁   内海  倫君         人事院事務総局         給与局長    中島 忠能君         内閣総理大臣官         房審議官    本多 秀司君         内閣総理大臣官         房外政審議室長 國廣 道彦君         総理府賞勲局長 海老原義彦君         総務政務次官  近岡理一郎君         総務庁長官官房         長       古橋源六郎君         総務庁人事局長 手塚 康夫君         総務庁行政管理         局長      佐々木晴夫君         総務庁恩給局長 品川 卯一君         防衛庁人事局長 松本 宗和君         大蔵省主計局次         長       篠沢 恭助君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房特別基金検討         調査室長    平野 治生君         総務庁行政管理         局管理官    片岡  勒君         国税庁長官官房         会計課長    服藤  收君         厚生省援護局援         護課長     山岸 親雄君         厚生省援護局業         務第一課長   村瀬 松雄君         内閣委員会調査         室長      石川 健一君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十五日  辞任         補欠選任   田口 健二君     石橋 大吉君   井上 和久君     市川 雄一君 同日  辞任         補欠選任   石橋 大吉君     田口 健二君   市川 雄一君     井上 和久君 五月十三日  辞任         補欠選任   有馬 元治君     藤波 孝生君 同日  辞任         補欠選任   藤波 孝生君     有馬 元治君 同月十四日  辞任         補欠選任   有馬 元治君     森  美秀君 同日  辞任         補欠選任   森  美秀君     有馬 元治君 同日  理事鈴切康雄君同日理事辞任につき、その補欠  として竹内勝彦君が理事に当選した。     ――――――――――――― 三月二十七日  国家秘密法制定反対に関する請願上田利正君  紹介)(第一一八三号)  国家秘密法案の再提出反対に関する請願河上  民雄紹介)(第一一八四号)  同外一件(薮仲義彦紹介)(第一一八五号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第一二五六号)  同(田川誠一紹介)(第一二五七号)  同(小川国彦紹介)(第一二八〇号)  同外一件(小林恒人君紹介)(第一二八一号)  同外二件(嶋崎譲紹介)(第一二八二号)  同(田川誠一紹介)(第一二八三号)  同(田川誠一紹介)(第一二九四号)  同(山花貞夫紹介)(第一二九五号)  引揚者在外財産補償法的措置に関する請願  (衛藤征士郎紹介)(第一二五八号)  同(榎本和平紹介)(第一二五九号)  同(小渕恵三紹介)(第一二六〇号)  同(太田誠一紹介)(第一二六一号)  同(鹿野道彦紹介)(第一二六二号)  同(玉生孝久紹介)(第一二六三号)  同(近岡理一郎紹介)(第一二六四号)  同(丹羽兵助紹介)(第一二六五号)  同(藤本孝雄紹介)(第一二六六号)  同(船田元紹介)(第一二六七号)  同(箕輪登紹介)(第一二六八号)  同(森下元晴君紹介)(第一二六九号)  同(栗山明紹介)(第一二七〇号)  同(渡部恒三紹介)(第一二七一号)  同外九件(加藤紘一紹介)(第一二八四号)  同(平泉渉紹介)(第一二八五号) 四月三日  国家秘密法案の再提出反対に関する請願菅直  人君紹介)(第一三四九号)  同(田川誠一紹介)(第一三五〇号)  同(水田稔紹介)(第一三五一号)  同(山下洲夫君紹介)(第一三五二号)  同(田川誠一紹介)(第一三八一号)  同(木間章紹介)(第一三八六号)  同(田川誠一紹介)(第一三八七号)  同(松本善明紹介)(第一三八八号)  同(山花貞夫紹介)(第一三八九号)  同(河上民雄紹介)(第一四二九号)  同(渋沢利久紹介)(第一四三〇号)  同(中西績介紹介)(第一四三一号)  同(松前仰君紹介)(第一四三二号)  引揚者在外財産補償法的措置に関する請願  (田中直紀紹介)(第一三九〇号)  同外八件(小里貞利紹介)(第一四三四号)  国家機密法制定反対に関する請願金子満広君  紹介)(第一四二一号)  同(児玉健次紹介)(第一四二二号)  同(中路雅弘紹介)(第一四二三号)  同(不破哲三紹介)(第一四二四号)  同(正森成二君紹介)(第一四二五号)  同(松本善明紹介)(第一四二六号)  同(矢島恒夫紹介)(第一四二七号)  同(山原健二郎紹介)(第一四二八号)  国家秘密法制定反対に関する請願中西績介  君紹介)(第一四三三号) 同月十五日  国家秘密法案の再提出反対に関する請願(田邊  誠君紹介)(第一五四六号)  同(奥野一雄紹介)(第一五五六号)  同(河上民雄紹介)(第一五五七号)  同(広瀬秀吉紹介)(第一五五八号)  同(薮仲義彦紹介)(第一五五九号)  引揚者在外財産補償法的措置に関する請願  (有馬元治紹介)(第一五六〇号)  同(穂積良行紹介)(第一五六一号)  同(宮崎茂一紹介)(第一五六二号)  同外一件(鹿野道彦紹介)(第一六三三号)  同外九件(山中貞則紹介)(第一六九五号)  OTHレーダー設置反対に関する請願岡崎万  寿秀紹介)(第一六九一号)  同(児玉健次紹介)(第一六九二号)  同(柴田睦夫紹介)(第一六九三号)  同外一件(中路雅弘紹介)(第一六九四号) 同月十六日  国家秘密法案の再提出反対に関する請願中村  茂君紹介)(第一七二三号)  同(山口鶴男紹介)(第一七二四号)  同(石橋大吉紹介)(第一八二七号)  同(大出俊紹介)(第一八二八号)  同(河上民雄紹介)(第一八二九号)  同(佐藤徳雄紹介)(第一八三〇号)  同(田並胤明君紹介)(第一八三一号)  同(土井たか子紹介)(第一八三二号)  同(野坂浩賢紹介)(第一八三三号)  同(山花貞夫紹介)(第一八三四号)  国家秘密法制定反対に関する請願外一件(中  西績介紹介)(第一八三五号) 同月二十日  国家秘密法案の再提出反対に関する請願奥野  一雄紹介)(第一九五五号)  同(河上民雄紹介)(第一九五六号)  同(佐藤徳雄紹介)(第一九五七号)  同(辻一彦紹介)(第一九五八号)  同(中西績介紹介)(第一九五九号)  同外二件(馬場昇紹介)(第一九六〇号)  同(安田修三紹介)(第一九六一号)  同(金子みつ紹介)(第二〇一四号)  同(河上民雄紹介)(第二〇一五号)  国家秘密法制定反対に関する請願金子みつ  君紹介)(第二〇一六号) 同月二十四日  国家秘密法案の再提出反対に関する請願竹内  猛君紹介)(第二一三五号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第二一八六号)  同(河上民雄紹介)(第二一八七号)  同(城地豊司紹介)(第二一八八号)  同(新盛辰雄紹介)(第二一八九号)  同(野口幸一紹介)(第二一九〇号)  同(松前仰君紹介)(第二一九一号)  同(小澤克介紹介)(第二二一一号)  同(木間章紹介)(第二二一二号)  同(左近正男紹介)(第二二一三号)  同(田並胤明君紹介)(第二二一四号)  同(松本善明紹介)(第二二一五号)  同(三野優美紹介)(第二二一六号)  同(水田稔紹介)(第二二一七号)  同(新村勝雄紹介)(第二二七二号)  国家機密法制定反対に関する請願柴田睦夫君  紹介)(第二二一〇号) 同月二十七日  スパイ防止法制定に関する請願天野公義君紹  介)(第二二八三号)  国家機密法制定反対に関する請願不破哲三君  紹介)(第二二八四号)  国家秘密法案の再提出反対に関する請願伊藤  忠治君紹介)(第二二八五号)  国家秘密法制定反対に関する請願岩垂寿喜男  君紹介)(第二三三九号)  同(木間章紹介)(第二三四〇号)  同(佐藤敬治紹介)(第二三四一号)  同外一件(新村勝雄紹介)(第二三四二号)  同(田中恒利紹介)(第二三四三号)  同(田並胤明君紹介)(第二三四四号)  同(土井たか子紹介)(第二三四五号)  同(中村正男紹介)(第二三四六号)  同(野口幸一紹介)(第二三四七号)  同(堀昌雄紹介)(第二三四八号)  同(三野優美紹介)(第二三四九号)  同(水田稔紹介)(第二三五〇号)  同(渋沢利久紹介)(第二三八一号)  同(土井たか子紹介)(第二三八二号)  引揚者在外財産補償法的措置に関する請願  (保岡興治紹介)(第二三八〇号) 五月六日  国家秘密法制定反対に関する請願角屋堅次郎  君紹介)(第二四五二号)  同(川俣健二郎紹介)(第二四八三号)  国家秘密法案の再提出反対に関する請願安藤  厳君紹介)(第二四八〇号)  同(菅直人君紹介)(第二四八一号)  同外三件(清水勇紹介)(第二四八二号)  同(上田哲紹介)(第二五四三号)  同(串原義直紹介)(第二五四四号)  同外二件(中村茂紹介)(第二五四五号)  同(渡部行雄紹介)(第二五四六号)  スパイ防止法制定に関する請願外一件(衛藤征  士郎君紹介)(第二五四七号) 同月八日  国家秘密法案の再提出反対に関する請願大原  亨君紹介)(第二六一三号)  同(上坂昇紹介)(第二六一四号)  同(土井たか子紹介)(第二六一五号)  同(中村正男紹介)(第二六一六号)  同(安藤厳紹介)(第二六九九号)  国家秘密法制定反対に関する請願武藤山治君  紹介)(第二六一七号)  国家機密法制定反対に関する請願児玉健次君  紹介)(第二六九五号)  同(柴田睦夫紹介)(第二六九六号)  同(中島武敏紹介)(第二六九七号)  同(野間友一紹介)(第二六九八号)  国家秘密法制定反対に関する請願土井たか  子君紹介)(第二七〇〇号)  スパイ防止法制定に関する請願田原隆紹介  )(第二七〇一号) 同月十一日  傷病恩給等改善に関する請願山崎拓紹介  )(第二七七四号)  同(渡部恒三紹介)(第二七七五号)  同外二件(伊藤宗一郎紹介)(第二八六五号  )  同(塚原俊平紹介)(第二八六六号)  同(野呂田芳成君紹介)(第二八六七号)  同(森喜朗紹介)(第二八六八号)  国家秘密法案の再提出反対に関する請願(永井  孝信君紹介)(第二七七六号)  同(阿部昭吾紹介)(第二八一一号)  同(岩佐恵美紹介)(第二八一二号)  同(土井たか子紹介)(第二八一三号)  同(松本善明紹介)(第二八一四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月八日  スパイ防止法制定促進に関する陳情書  (第六七号)  国家秘密法制定反対に関する陳情書外一件  (第六  八号)  国家秘密に係るスパイ行為等防止法案提出  反対に関する陳情書外一件  (第六  九号)  在外私有財産に対する国家補償早期実現に関  する陳情書  (第七〇号)  農地被買収者等に対する給付金に関する陳情書  (第七  一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  三五号)      ――――◇―――――
  2. 石川要三

    石川委員長 これより会議を開きます。  まず、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事鈴切康雄君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石川要三

    石川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴う補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石川要三

    石川委員長 御異議なしと認めます。よって、理事竹内勝彦君を指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 石川要三

    石川委員長 内閣提出恩給法等の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を求めます。山下総務庁長官。     ―――――――――――――  恩給法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  6. 山下徳夫

    山下国務大臣 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近の経済情勢等にかんがみ、恩給年額増額するとともに、普通扶助料最低保障額及び傷病者遺族特別年金について特別の改善を行うこと等の措置を講じ、恩給受給者に対する処遇の適正な充実を図ろうとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  この法律案による措置の第一点は、恩給年額増額であります。  これは、昭和六十一年における公務員給与の改定、消費者物価の上昇その他の諸事情を総合勘案し、恩給年額を、昭和六十二年四月から、二%増額しようとするものであります。  その第二点は、普通扶助料最低保障額及び傷病者遺族特別年金特別改善であります。  これは、普通扶助料最低保障額を、昭和六十二年八月から、他の公的年金との均衡を考慮して、さらに引き上げるとともに、傷病者遺族特別年金年額についても、これに準じて引き上げようとするものであります。  その第三点は、寡婦加算及び遺族加算増額であります。  これは、普通扶助料を受ける妻に係る寡婦加算の額を、昭和六十二年八月から、他の公的年金における寡婦加算の額との均衡を考慮して引き上げるとともに、公務関係扶助料受給者等に係る遺族加算の額についても、これに準じて引き上げようとするものであります。  以上のほか、傷病恩給に係る扶養加給増額恩給外所得による普通恩給停止率引き上げ等所要改正を行うことといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  7. 石川要三

    石川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  8. 石川要三

    石川委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。
  9. 角屋堅次郎

    角屋委員 ただいま山下総務庁長官から御提案のございました恩給法等の一部を改正する法律案について、本日は後藤田官房長官の御出席もいただきまして質疑を行いたいと思います。  御案内のような国会の経過がございまして、ようやく当内閣委員会も開かれることになりました。本来ならば、この法案改正問題については、戦後処理問題等も含め、やはり相当時間をかけてというのがお互い認識であったろうと思いますけれども法案審議が諸般の情勢上非常におくれましたので、理事会の御相談によって本日中に議了しよう、そして五月二十七日の会期末までには必ず片をつけよう、こういうことでございまして、我々も恩給法等の一部改正は基本的に賛成でありますから、恩給関係者の期待にこたえるためにもそうすることが妥当であるというふうに考えております。  そこで、恩給法等の一部改正中身についても、若干その基本的性格等も含めて山下総務庁長官にお尋ねする予定でございますが、本日御出席を願いました後藤田官房長官は、十一時から記者会見があるということで、そちらの方に向かわなければならぬことを私も了承しておりますので、官房長官にお尋ねするという問題を若干前段に出して審議を進めたいと考えております。  そこで、官房長官にお尋ねしたいのは、前々から当委員会でも議論をしてまいっております戦後処理の問題であります。これは、特に本委員会においても、昨年のダブル選挙後、私も含め、私どもの党の上原委員等も含めて、ダブル選挙の際にいろいろ政府与党は、シベリア抑留者問題あるいは軍恩欠格者問題等々についてはかくかくしかじかの立法で早期処理をするということで、関係団体選挙に対する応援等も要請していくということが全国的に行われたわけであります。それらの議論については私は繰り返すつもりはございません。しかし、いずれにしても戦後処理問題は、やはり早期お互いの努力によって処理してまいらなければならぬ政治的な命題であるという認識を持っておるわけであります。  それで、ことしの政府予算を決定される前に、政府与党におかれましては、「戦後処理問題に関する政府党合意」ということで、三項目にわたる政府党合意を、昭和六十一年十二月二十九日、自由民主党の方からは幹事長の、同期生であります竹下登さん、総務会長の、同じく同期生であります安倍晋太郎さんを初め政務調査会長伊東正義さん等々が代表して出られ、政府側からは内閣官房長官後藤田正晴さん、大蔵大臣宮澤喜一さんということで、「戦後処理問題に関する政府党合意」というのをなされたと報道を通じて承知をしているわけであります。  まず後藤田官房長官から、従来からの懸案の戦後処理問題の経過あるいは議論というのを踏まえて予算編成最終段階でこういうことをなされたというふうに承知しておるわけですが、その間の問題について少しく御説明を願いたいと思います。
  10. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 御質問にございますように、いわゆる戦後処理問題、かねてからの重要な課題としてこれをどう解決するかということで、御承知のように、官房長官諮問機関を設けまして、いわゆる戦後処理墾で御意見をちょうだいをしたわけでございます。  いろいろ御意見はございましたが、その御意見を一まとめにして言えば、要するに、もはや今日の段階になっていわゆる個別補償というものは適当ではあるまい、といって、ああいったお立場に立っていらっしゃる方のことを考えれば、何らかの意味において慰謝の念を政府としてはあらわすという必要があろう、それには特別基金制度を設けてそれで処理をすべし、こういう一応の結論じみたものがあったわけでございますので、政府としてはそれに従ってどういう処理をしようか、こういうことを鋭意検討しておったわけでございますが、一方、党としては、やはりシベリアの問題なり、在外資産の問題なり、あるいは恩欠の問題なり、個々にわたってそれぞれの方々から、それはあかん、やはり個別補償をやれ、こういう厳しい御要求予算編成の際に出てまいりまして、これは議院内閣制のもとにおける一つの政治慣行とでもいいますか、こういう問題になりますと、政府与党政治解決事項ということでいつも協議が行われるわけでございます。その協議をいたしました結果が今御質問の中にございましたような三項目申し合わせというものであって、それぞれ見なり政府なりの関係者解決方策について打ち合わせをし署名をして今日に至っておる、こういうことでございます。  その中で一番厳しく論ぜられたのはシベリア抑留者の問題でございました。これは御承知のような酷寒の地で強制労働等にも従事をさせられて多くの犠牲者も出るといったような、各地で戦後いろいろな厳しい運命のもとにさらされた軍人軍属の中でも特にシベリアの場合は厳しい境遇に陥れられた人たちではないのか、ならばこれらの人々に対してだけは何らかの処置をすべし、こういう御要求が出ました結果、一応このシベリア抑留者の問題については、これは戦後処理墾から出ましたように、全体としては基金制度創設をして関係者の労苦を慰謝する、こういう基本原則、これは基本原則として置きながら、その中で戦後強制抑留者問題についてはそういった経緯を踏まえまして書状慰労の品及び慰労金を贈呈をするということとし、それを基金特別事業として行う、こういう一応の申し合わせができたわけでございます。  ただ、この慰労金につきましては、恩給を受給しておる方と受給してない方があるわけでございますので、恩給受給者を除く生存者に限って慰労金支給することとし、支給の金額は一人につき十万円とする、支給は六十三年度から開始をすることとして、その方式は財政状況等をも勘案しながら別に検討をする、こういう結果になりまして、とりあえず六十二年度の予算の中では、この特別基金制度全体の創設を六十三年度として、それまでの間に具体的な内容調査検討をするといったようなこともございますので、調査費を計上するということで六十二年度の予算が編成せられておるわけでございますので、私ども政府としましては、基金制度によって戦後処理問題は処理をするのを基本原則とする、しかし同時に、シベリア抑留者につきましては生存者について書状なりあるいは慰労の品なりあるいは慰労金なりといったものを支給する、これによってこういった問題についての一応の結論をつけたいというのが今日の私ども政府としての考えでございます。この考えに従って処理させていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  11. 角屋堅次郎

    角屋委員 ただいま後藤田官房長官から「戦後処理問題に関する政府党合意」に基づいて御答弁がございました。これは政府与党としてこの問題に前向きに対応していこうということで、その合意事項の確認をされたものというふうに思います。  ただ、この政府与党合意中身については、これは率直に言って議論の存するところでございます。シベリア抑留者に対する慰労金というのを差し上げるのは我々としてももちろん賛成でございますが、しかし、他の恩給欠格者その他に対しては個人のそういう慰労金等は出さない、シベリア抑留者についてだけ限定して出すというのは、与党内にも論議が当然あり得ると思いますし、我々与野党含めるとその辺のところは議論の存するところだと思います。ただ、私はきょうは持ち時間が一時間程度でいろいろなことをやらなければなりませんので、その中身について深く触れるには時間的ゆとりがございません。  ただ、シベリア抑留者の問題について、軍恩受給者を除く生存者に限るということで、しかも、これは本年度調査費が盛り込まれて来年に向けての準備をしていくということになるわけですけれども、一体この恩給受給者を除く生存者に限ったのはなぜかという問題もありますし、シベリア抑留者の中で恩給受給者が明確にどれだけであり、しかも生存者はどれだけである、あるいは調査は具体的にどのように行うのかというところについて担当のところから簡単に御答弁願いたいと思います。
  12. 平野治生

    ○平野説明員 ことしのシベリアに関する調査費は八千万円ほどついてございます。そして、その方々のうち恩給受給者がどれくらいかということを知らなければならないということで、現在その具体的な調査をどういうふうにしたらいいかということをいろいろ検討しておるところでございます。恩給受給者はどういうのが恩給受給者かという問題につきましても、先生御指摘のとおりいろいろ問題があろうかと思いますので、そういうことも踏まえて私ども検討していきたいというふうに考えております。
  13. 角屋堅次郎

    角屋委員 必ずしも私の質問に親切に答弁されたとは思いませんけれども、次に移りたいと思います。  当内閣委員会でもこれまでに法案審議の際の附帯決議というのを恩給法等の一部改正についてもつけてまいったわけですが、次に問題にいたします台湾人元日本兵の補償問題という点については、第九十四回国会、昭和五十六年三月三十一日の衆議院内閣委員会で、いろいろな附帯決議の中で、「現在問題となっているかつて日本国籍を持っていた旧軍人軍属等に関する諸案件(解決済みのものを除く。)について検討を行うこと。」ということで、その後、当委員会では附帯決議がいろいろついて今日に至っております。また、台湾人元日本兵の補償問題につきましては、当国会の関係でも、台湾人元日本兵等の問題議員懇談会、会長の有馬元治先生が当委員会に御出席でございますが、かねてこの議員懇談会でも非常に真剣にこの問題を与野党協議で取り上げてまいりまして、だんだんと具体的に実施する方向に進んできておるというふうに受けとめておるわけでございます。  ただ、この台湾人元日本兵の補償問題というのは、言うまでもなく外交関係の問題として、日本と中国の将来にわたっての友好関係というものは大切にしなければならぬ、しかも、最近は日中の関係というのは、他の諸問題等も関連して、中国の首脳部から日本の最近の政策等についてあるいは裁判等の問題についていろいろ厳しい意見が出ておりますので、そういったことも踏まえて、慎重な配慮をしながら、しかも中国等の深い御理解もいただきながら円滑に実施をしていく、そういう政治的配慮が当然なされなければならぬというふうに思っております。  また、具体的に議員立法等でこの法案を出す、それを裏づける予算措置もしなければならぬ、また、窓口等についてはどういうルートを通じてやるのがいいのかとか、いろいろ諸般の問題も当然あるわけでありまして、有馬会長等を中心に大変な努力を最近でも続けられております。きのうも有馬先生の方から私の方に電話で御連絡がございまして、そういう点も十分承知をし配慮しながらこれからの問題を具体的に人道的見地から推進をしてまいらなければならぬ、こう考えておるところでございますが、この台湾人元日本兵の補償問題については、御案内のとおり東京高裁における判決あるいはそのときに特別の異例の付言等もございまして、これは政府並びに国会に対して司法から注文をされたというふうに受けとめておるわけでありますけれども、この問題について官房長官政府の責任の立場においてこれからどういうふうに処理をされていこうとしておるのかお伺いしたいと思います。
  14. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 まず最初に、有馬先生初め関係の議員の皆様方が非常な困難な情勢の中で本件解決のために非常なお骨折りをいただいておりますことについて、まずもって深く感謝の意を表しておきたい、こう思うわけでございます。そして、同時にまた、私どももこの問題は何らかの形で解決しなければならぬ、こういう考え方を持っておるのだということをまずもってお答えをいたしておきたい、かように思うわけでございます。  しかしながら、その解決に当たりましては、角屋さんの今の御質疑の中にもございましたように、何といいましても非常にデリケートな外交関係の中で静かにこの問題は解決する必要がある。しかも、日本政府としては、戦後問題いろいろございますが、しかし、先ほど申し上げましたシベリアであるとか恩欠であるとか在外資産といったようないわゆる戦後処理懇で取り扱った問題とは違って、これは別に扱っておるわけでございます。この別の問題であるという意味合い、しかしこれだけは何としてでも日本政府としては放置できない、これは本当に申しわけない、何らかの処置をしなければならぬのだという根本の考え方を政府は持っておるのだ、このことははっきりと私は申し上げておきたいと思うのです。  しかし、何せ台湾と中国政府、こういった問題がございますので、この国交関係ということを壊さないで、しかも日本政府としてやらなければならない台湾人の元日本兵問題ということを考えますと、何とかここは双方の立場を考えながら御理解を仰いで、その上に立ってぜひとも早急に解決をしたい、かように考えておるわけでございますので、現時点においてその中身がどのようになっておるのかどうなのかといったようなことは、まことに申しわけありませんけれども、この席ではお答えを申し上げることを差し控えさせていただいて、政府としては何とかこの問題を皆さん方の御協力を仰ぎながら解決をしたい、こういう強い熱意を持っておるのだということだけをお答えをさせていただいてお許しをいただきたい、かように思うわけでございます。
  15. 角屋堅次郎

    角屋委員 台湾人元日本兵の問題についても、昨年末、政府予算を決定する際に党側からこの問題について四項目の申し入れがございまして、後藤田官房長官はこれに対して、右の党側の申し入れの趣旨を体し誠意を持って対処する、こういうふうに党側の代表にお答えになっておることも承知をしております。  申し上げるまでもなく、かつて日本に籍を置いておりました台湾兵の過ぐる大戦中の軍人軍属の動員は約二十万、その中で約三万近くの人が戦死されておるという状況は十分御承知のところでありまして、私どもは対外的な外交関係に慎重な配慮をすると同時に、人道的立場からこの問題は早期処理してあげなければならぬ、こういうふうに考えておりますので、この問題については、議連の大変熱心な活動と相まって政府の前向きの対応をお願いしておきたいと思うわけでございます。  官房長官、もう一点だけ尋ねて新聞記者会見の方に行っていただきたいと思います。これは戦後処理問題とは少し異なっておりまするけれども、私ちょっと疑問に思っておりましてお尋ねしたいと考えておる問題がございます。  先般、私どもの尊敬する国会の大先輩であります三木武夫先生が、四月十四日、衆議院本会議において院議をもって特別表彰を受けられました。私の選挙区の尾崎行雄先生が特別表彰を最初に受けられたわけでありまして、第二番目に三木武夫先生が特別表彰を受けられた。これは五十年以上在職して憲政上特に功績顕著な者に本会議において表彰議決をする、こういうことに相なっておるわけでございます。  そこでお尋ねしたいのは、国会の、立法府としての表彰として、私もここに額がかかっておりますけれども二十五年表彰を五十八年の二月十日に受けたわけでございます。また、今回の特別表彰も院議をもって表彰を受けたわけでございますけれども、この国会議員の在職年数というのが、栄典の方の叙勲とか受章とか、こういうところになると計算がまた違っておることが最近わかったわけであります。賞勲局長にお伺いしたいのでありますが、この三木武夫先生の場合は賞勲局で計算する場合は何年になるのでございましょうか。
  16. 海老原義彦

    ○海老原政府委員 三木武夫先生が何年になるかという御質問でございますが、答える順序といたしまして、どういう計算方式をとっておるか、それはどういうゆえんによるかということを一言申し上げておきたいと思います。  叙勲におきまして勲等を擬叙するに当たりましては、叙勲基準というものが昭和三十九年の閣議決定でございますけれども、これは大枠を決めたものでございまして、基本的には具体的な擬叙はすべて先例との比較を行うことによってやっていく。先例と比較するために、一つの要素といたしまして在職年数ということがあるわけでございまして、この在職年数を計算する際には、そうすると先例の際に計算したと同じ計算方式でないと比較にならないわけでありますので、ずっと先例どおりの計算方式をやっております。  その先例をずっとさかのぼっていきますと明治十六年の叙勲条例までさかのぼるわけでございますが、要するに叙勲条例には「年月ノ計算ハ一年ハ満十二ケ月ヲ以テシ一月ハ十五日ヲ以テ区分ス」、すなわち、十五日を超えておれば一月である、十五日に満たなければ半月である、こういうやり方になっておるわけでございます。そういうやり方で三木先生のを仮に計算してみますと、現時点におきましては四十九年と二月というような数字になるわけでございます。  こういうことで、先例と比較するに当たって、先例と同じような計算方式をとるということを叙勲ではやっております。
  17. 角屋堅次郎

    角屋委員 立法府での二十五年表彰あるいは五十年の特別表彰というのは、やはりその表彰に伴って国費がそれぞれ支出をされるという、いわばオーソライズされた形であります。今、賞勲局長の方からお話ございましたが、三木先生の場合は、昭和十二年四月三十日に初当選をされてから今日まで連続十九回当選されて五十年の特別表彰を受けられた。通常、国民の常識からいえば、昭和十二年四月三十日に初当選をされて今日まで連続でずっと来ておれば、ことしの四月に五十年が来た、私どもの場合もそうでありますけれども、これが国民の常識であります。  しかし今、賞勲局長がお話しのように、いろいろ明治時代からの計算の基礎を言われましたけれども、賞勲局の場合の計算でいけば四十九年二カ月にすぎない、来年にならなければ五十年の表彰という年限に達しない。いわば国会とそれから行政のところにある賞勲局で計算がまるっきり違う。しかも、この計算というのは叙勲その他の場合の重要な算定基礎になる。この二様の形があるというのは、どういう経過でどうであるということは別にして、少しく問題ではないかという疑問を率直に持っておるわけであります。  私は官房長官の方に、この問題については今直ちに即答で、国会の表彰の基準に合わせます、そこまではなかなかいかないと思いますし、またこの功績標準評価基準というものについては、栄典に関する有職者会議というものが御案内のとおりあるわけでございますが、これはこういう状態でそのままでいいとは必ずしも言えませんので、検討していただく重要な課題ではないかこう思いますが、後藤田官房長官の御答弁をお願いいたします。
  18. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 国会の方の在職年の計算については、私の立場からとやかく申し上げる筋合いのものではございません。  問題は、この叙勲の際の年限計算でございますが、これは今、局長からお答えしましたように、明治十六年以来先例に従ってやっておる。ということになりますと、十五日を基準にしてやっておりますが、国会の場合はこれは一カ月が場合によると二カ月計算になることもあり得るということでございましょう。そこらの違いからくる開きですから、御説のようにそれはできれば一つにするのが方法であろうということも考えられますけれども、しかしそれぞれの制度が違う、しかもこれが叙勲の場合は明治十六年以来百年にわたってやっておるということになりますと、それを今変えるということはその制度の中における今度は不均衡問題ということが出てくるおそれが十分考えられるわけでございますので、御意見はよくわかりますけれども、叙勲の方の制度について今ここでこれを検討して、場合によれば改めることも考えてよろしいというわけにはまいらない、この点はぜひお許しをいただきたい、かように思います。
  19. 角屋堅次郎

    角屋委員 今の後藤田官房長官の御答弁、私としては必ずしも御答弁として満足というわけにまいりません。ただ、いずれにしてもこれは問題である、そのままでいいというわけにはいかぬだろう。しかも、叙勲等の場合はこのことだけでファクターにするわけじゃなくて総合的にファクターにすることだし、しかもこの賞勲局の国会議員の在職年数というのは何も公にする問題ではないわけであります。公になっておるのは、二十五年表彰とか五十年表彰というのは天下に公になっておる在職年数としての認識である。そういうことを考えると、まあ官房長官としては今直ちには答えにくい問題だけれども、ひとつぜひ御検討をお願いしたいと思っております。――官房長官、結構でございます。  そこで、戦後処理問題でもう一、二点お伺いをいたしたいと思います。  一つは、シベリアけい肺の問題でございます。  このシベリアけい肺の問題というのは、多くの議員先生の場合は、シベリア抑留者の問題を先ほど取り上げましたけれどもシベリアけい肺の問題というと必ずしも耳になじんでない方々もあるかと思います。当委員会の場合は、シベリア珪肺全国連絡協議会等から当内閣委員会請願が出され、その請願処理してきたという経過もございますので、当委員会に関する限りは十分な御理解をいただいておるわけでございますけれども、全体としてはシベリアけい肺の問題というのは必ずしも全国会議員にポピュラーな認識にはなっていないというふうに思います。ただ、このシベリアけい肺問題については、この全国協議会の会長は斉藤博さんでございますが、事務局長の山本泰夫さんというのは、みずからもシベリアけい肺の病状にありながら、私どもを訪ね、あるいは恩給局を訪ね、全国にもいろいろなことを御連絡し、非常に熱心に御努力をされております。この間も、大原先生が今度は内閣に来たので、これは社労のベテランだから彼のところへも行ってよく話をしておくようにということで行ってもらったりしておりますが、なるべく広く認識を得ながらこのシベリアけい肺問題を前進させるということに御協力を、政府側お互いもしてまいりたいと考えておる一人でございます。  それで、ここでシベリアけい肺の問題について深く触れる時間的ゆとりはございませんけれども、この問題については、特に昭和四十五年の四月に、シベリアけい肺の発見者として関係筋には知られております鹿児島大学名誉教授の縄田千郎博士が、このシベリアけい肺の多発を予想いたしまして患者救済のための厚生大臣あて上申書を提出された。それで毎日新聞がこれに呼応するように全国的なキャンペーンを実施されまして、そして名簿の作製、患者発見に努めるというふうなことで、厚生省も全国援護課長会議の際にこの問題を取り上げ、その年の秋までに新たに五十七名のシベリアけい肺が認定されるというふうなこと等もあって今日に至っておるわけであります。  本委員会に出されました請願採択の中でもいろいろな要請事項が出ておるわけでありますが、改めてその内容について一々は触れませんけれども、社労の関係あるいは内閣の関係で、ソ連抑留後遺症シベリアけい肺の潜在患者並びに遺族の調査及び救済の対策、あるいは呼吸器障害専門のリハビリテーション施設の設置とかシベリアけい肺の進行性にかんがみまして、関係当局の私的諮問機関として学識経験者及び関係行政機関の職員をもって構成する審議会の設置とか――審議会の設置とかいうかた苦しいことでなくて、そういう問題が処理されるにふさわしいような形の機関というもので、全国協議会の関係者等も含めて、円滑かつスムーズになるべく早く適正な処理がなされるということでなければならぬと思うわけでございまして、この際、この問題について、従来の経過とこれからの対応についてお答えを願いたいと思います。
  20. 品川卯一

    ○品川政府委員 シベリアけい肺症につきましては、御指摘のとおり非常に重い病気でございまして、これにつきましては、これまでもいろいろできるたけ十分な対応をしたいということでまいってきているところでございます。  傷病恩給は、公務傷病による心身の障害またはそれによって日常生活活動に障害が生じているという場合に、その障害の度合いに応じて給するものでございます。  御承知のように、恩給法の別表にそれぞれの障害の程度に応じて格付基準がございますが、けい肺症は呼吸機能を害するということでございますので、別表には、高度に呼吸機能を妨ぐるものが三項症、中等度が五項症、軽度に害するものが三款症というふうな基準がございますので、この基準にのっとりまして、個々的にはエックス線の写真とかあるいはその他のできるだけ詳細な資料を審査の上、個別にそれぞれの専門の顧問医の御意見を十分聞きながら対応してまいっているところでございます。  現在時点におきまして、シベリアけい肺症を含めましてけい肺症によるところの給与の対象になっております受給者の数が百二十人に及んでおります。これは、今の別表には三つの項症あるいは款症しかございませんけれども、この百二十人の中の一番重い方が第三項症でございまして、一番軽い方が第四款症になっております。それぞれの段階に各散らばっております。ということは、三段階の基準が別表にはございますけれども、実際はそれぞれの症状の度合いに応じてきめ細かく格付を行っているということでございます。  また、御質問にございましたように、審議会等を設けて対応することはどうかということでございますが、今申し上げましたように、それぞれ個別の審査を行ってできるだけ適正な症状に応じた対応を行っておるところでございますので、シベリアけい肺症につきましても、その傷病の特質性を十分配慮しながら症例に応じて今後とも対応してまいりたい。したがいまして、シベリアけい肺症についてだけ特別の審議会を設けるということは当面考えていない、しかし、できるだけ最大限の努力をして適正な対応をしてまいりたい、こう考えているところでございます。
  21. 角屋堅次郎

    角屋委員 シベリア抑留者、その中での恩給受給者というのは、これはこの数字でいいのかどうかわかりませんけれども、先ほど質問したときに関係の方から必ずしも的確な答えがありませんでしたが、十一万七千名程度恩給受給者があるのではないかと私は思っております。その中で、今御答弁がございましたように、シベリアのあの極寒の地で、炭鉱その他で非常に労働条件も劣悪のところ、しかも安全対策も十分ないところでシベリアけい肺にかかる。これは数年の労働でありますけれども、十年ぐらいたった以降において非常に激痛その他を訴える。  私は山本事務局長から同じこういう病気で悩んでおる人のお便りを見せてもらったのですけれども、このお便りを見ても大変な苦労をされておる。途中ちょっと読んでみますと、   さて私も一月中旬頃から、二月、三月とかけて病状が悪化したというのか、進行したというのか、とうとう寝込んでしまいました。起き上れなくなってしまいました。喀血はちょいちょいするし、発熱はするし(高い時は三十八度八、九分、低い時でも三十七度二、三分)という具合で、而もそれが長期に亘って続きました。用便の時は一日一回、家内の肩や手に支えられて、ゆっくりゆっくり歩いて済ませるという状態です、小用はベッドの上で済ませるので心配いりませんが。風呂はもう三ケ月も四ケ月もはいれないという状態です。中でも一番変ったのは酸素吸入です。 ここで酸素吸入にたくさんの金がかかっておるという状況が書いてございまして、「酸素を吸入しないと苦しくて、呼吸が停止するのではないかと思う位い息苦しいのです。」ということで、いろいろ病状の苦労の一端に触れておるお手紙を拝見したりしたのです。  これは単にこのお便りの人だけではなしに、じん肺は国内の関係ではじん肺法でやる。ところが、場所は違いますけれどもシベリアで、じん肺法の中に入るシベリアけい肺の者はそれとは相当アンバランスな形で取り扱われるというのもいかがなものであろうかと率直に思うわけでありまして、今度の私の質問の際にも全国協議会の方からは五項目にわたってのこういう点を具体的に詰めてもらいたいということがございましたけれども、全体を一時間でやらなければならぬ情勢でありますから、これは恩給局の方に後ほど差し上げますので、こういった問題については熱意を持って、誠意を持って対応して問題の前進を図っていただきたい、こう思うわけであります。その点について、山下総務庁長官からお答えを願いたいと思います。
  22. 山下徳夫

    山下国務大臣 長年にわたりまして極寒のシベリアで御苦労なさった方々に対して、まことにどうもお気の毒でございまして、このことにつきましての補償その他は先ほど官房長官からも御答弁があったとおりでございますが、ただ、けい肺の問題につきましては、一応これと切り離して日常生活の障害の度合いに応じてどのような措置をとるかということだろうと思います。  実は、私は佐賀県でございまして、炭鉱が大変に数多くて、けい肺患者も多かった。また、有田地域の窯業につきましては、あの土を粉末にするということでこれまたけい肺の患者が多かったということで、地元の国立、公立病院等についてはけい肺の病床も別に、今でもあると思うのでございます。そういうことで私もけい肺については一応ある程度承知をいたしております。  このけい肺の症状につきましては、非常に差があると申しましょうか重度から軽度については差がある。したがって、それらは先ほど申し上げました病状と日常生活の障害の度合いに応じて医師がこれを判定するということで今やっておるわけでございまして、たくさんの病気の中でこれだけを切り離してここで特別の措置をとるということよりも、今申し上げたようなことで今後ともいいのではなかろうか、かように思っておる次第でございます。
  23. 角屋堅次郎

    角屋委員 戦後処理問題でもう一点ちょっとお伺いをしたいのであります。  それは、旧満州には我が国の開拓政策として戦時中、百万戸、五百万移民ということで推進をされた経過がございます。私も旧満州で開拓総局というそれを推進する現地の関係に籍を置いておりましたから、したがって、北浦の六百万ヘクタールのアルカリ地帯とか三百万ヘクタールの湿地帯の、いわゆる日本の開拓民を受け入れるための新しい開拓地の造成という調査等も責任を持った立場で推進してきたことがございますが、これが我が国の敗戦のときに惨たんたる結末を遂げたことは御承知のとおりであります。  そういう中で、天満州開拓青年義勇隊の訓練兵並びに義勇隊開拓団員の死没者遺族の援護法適用申請の問題について、社団法人全国拓友協会等からかねて要望がございます。  これらの問題については、その考え方の是非は別として、当時の戦時下の体制の中ではこういった百万戸、五百万移民というのは、日本の人口政策的な立場から分村計画等もやりながら推進をしたという側面と同時に、ソ連に対する北の守りというものを、単に関東軍ばかりではなしに、北に開拓団を配置してソ連に対する守りの重要な一端を担わせる、これは私は直接そういう関係に旧満州でおりましたから、そういう役割を持っておったし、また、関東軍の首脳はそういう趣旨で彼らにも訴えておった経緯があるわけでございます。  そういう意味で、当時関東軍の隷下にあった、いわば北方の守りの重要な一翼を担ったという点等から、援護法の適用面ではいろいろ配慮されていいのじゃないかと思うわけでありますけれども、この点については厚生省の方からお答えを願いたいと思います。
  24. 山岸親雄

    ○山岸説明員 お尋ねの件でございますが、満州開拓義勇隊員及びそれから開拓団に移行された方につきましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法によりまして援護措置を講じてございます。障害年金、遺族給与金あるいは弔慰金を給付するというものでございます。
  25. 角屋堅次郎

    角屋委員 時間の関係ではしょらなければなりませんので、次に移ります。恩給法等改正の問題について幾つかの点をお尋ねしたいと思いますが、大原さんへのバトンタッチの時間も近づいておりますし、大原さんが引き続き一時間程度やられるわけですから、他の問題についてはそれでやっていただけるかと思います。  そこで、先ほど提案理由説明もございましたが、恩給法の審議に当たって、特に戦後新たな公務員制度等の施行とともに国家公務員共済あるいは地方公務員共済、私学共済というような形でそれぞれ恩給法から分かれていって新しい制度ができていく、その受け継ぎについてはそれぞれの時期に法改正等を通じてなされてきたという経緯がございます。  そこで、常に基本論としては議論されるわけですけれども恩給というものと社会保険である各種の公的年金とは性格を異にしているという点が基本的にあると思うのでありますが、それらについて大臣の所見をお伺いいたします。
  26. 山下徳夫

    山下国務大臣 恩給の性格及び意義につきましては、恩給法には別段の規定がございません。しかし、恩給は公務員が相当年限忠実に勤務して退職した場合、あるいは公務による傷病のために退職した場合、さらに公務のために死亡した場合、それぞれ国がその者との特殊な関係に基づき、使用者としてその公務員またはその遺族に給付するのが建前でございます。公務員の退職または死亡後における生活の支えとなるものである、そのように解釈するのが相当であると私は思っております。  したがって、相互扶助の精神に基づきまして一定の拠出を行い、保険数理の原則によって運営される社会保険である公的年金とは基本的にその性格を異にするもの、かように認識をいたしておる次第でございます。
  27. 角屋堅次郎

    角屋委員 公的年金恩給制度は明治八年に実質上のスタートを切った、ここにもありますが、総理府恩給局が昭和五十年十月の恩給局長の序文をもって「恩給百年」というのを出しておりまして、長い歴史がある。戦前、戦中、戦後を通じて長い歴史を経て今日の恩給法ができ上がっておるわけであり、しかも恩給法適用の場合は、かねて言われておりますように旧軍人が九割以上を占めておる、九四%までが軍人恩給である。しかも新規参入というのはない、既裁定者ばかりである。平均年齢が六十九・六歳というふうな高齢であるといったようないろいろな関係で、これからの恩給問題については、かねて臨時行政調査会あるいは行革審等々でも公的年金の問題に注文をつけると同時に、恩給制度については公的年金改革とのバランスを考慮した見直しが要請されておるわけであります。  これらの見直しに基づいて今回の改正が出された点もございましょうし、また、これから国民の理解と共感を得るという立場から検討していかなければならぬ問題も当然あると思うのでありますが、それらについてはどういう経過があり、これからどういう姿勢で臨んでいくのかという点についても大臣から御答弁願いたいと思います。
  28. 山下徳夫

    山下国務大臣 公的年金制度の改革に関連した恩給制度の見直しにつきましては、これまで恩給局において恩給問題懇談会を開催する等鋭意検討を行ってきたところでございます。  恩給国家補償的性格を有する制度でございまして、このような恩給制度を公的年金制度改革との関連において見直しを行うに当たっては、まず、恩給制度は、相互扶助の精神に基づいて、保険数理の原則によって運営される公的年金とはその基本的性格を異にしておるということでございます。次に、その対象者がすべて既裁定者であり、新規参入者がないということであります。三番目には、対象者の大部分が御指摘のとおり旧軍人という特殊な職務に服した者やあるいはその遺族であって、極めて高齢であるということでございます。これらの特殊性を考慮いたします必要があり、制度の基本的枠組みを変更することは適当ではない、私はこう思うわけでございます。  しかしながら、恩給も年金としての機能という点から見れば公的年金と共通する面がございまして、これとの公平を図るためのバランスという見地からは、まずスライド方式のあり方あるいは多額所得による普通恩給の停止制度といったものを中心的な課題として検討を行ってきた次第でございます。  その検討結果を踏まえて、昭和六十二年度の恩給年額の改定に当たりましては、物価の変動、公務員給与改善等を総合的に勘案いたしまして二%の改定を行うこととした次第でございます。また、公的年金改革の趣旨を考慮いたしまして、社会的要請にこたえるために現行の多額所得による普通恩給の停止制度の一部を強化することといたした次第でございます。
  29. 角屋堅次郎

    角屋委員 いわゆる社会保険である各種の公的年金恩給の相互関係、これをどう考え、これから長期展望に立ってどうしていくかというのは、それぞれの意見も違いますし、また全体としても議論の存するところだというふうに思いますが、いずれにしても、今度の改正は二%引き上げを前提にした改正が行われておるわけであります。  恩給のベースアップという問題については、公的年金等の一連の改正あるいは七十年を目指す公的年金制度の一元化といった問題の中で、それぞれの年度等における引き上げをどうするかというのは、公的年金については公的年金考え方が出されており、それとの見合いにおいて考えます場合に、恩給のベースアップ問題というのも当然検討として持ち込まれておるというふうに思うわけでありますけれども、こういった問題についてはこれからどういうふうな姿勢でいかれようとしておるのか、お伺いをいたします。
  30. 品川卯一

    ○品川政府委員 御承知のとおり、臨調答申あるいは行革審答申あるいは六十年末におきますところの共済法の改正に際しての衆参の委員会における附帯決議等によりまして、公的年金はただいま先生御指摘のような展望における改革を行ってきておるところでございますが、これに対して、恩給との間にバランスがとれているのかどうか、そのバランス検討を実は求められてきたわけでございます。  したがいまして、そのような要請にこたえて、ただいま大臣からも御答弁いたしましたように、恩給問題懇談会を昨年の八月に開催いたしまして、いろいろ御意見を伺いながら勉強をし検討を重ねたわけでございます。十二月までに十回の開催を行っていろいろな面から検討を行ったわけでございます。  その懇談会におきましてまず前提として基本認識をいただきましたのは、恩給は社会保障とは違う国家補償である、したがって基本的な枠組みの変更はできない、公的年金の改革におきましては、例えば基礎年金制度を導入するとかあるいは一般方式から通念方式に移るとか、いろいろな大改革が行われているわけでございますが、そういった基本的な枠組みの変更は恩給制度にとっては適当ではない、なぜならば、これは国家補償であるからである。まずこういう前提の御認識をいただいたわけで、検討事項といたしましては、スライド方式をどうするかあるいは非常に多額の恩給外所得を得ておられる方については支給制限を強化することはどうかといったような点の御検討を中心に議論をお願いしたわけでございます。その結果に基づきまして今回の改正案を整えまして御審議をお願いしているところでございます。
  31. 角屋堅次郎

    角屋委員 いろいろ質疑したい点もありますけれども、最後に一点。  今度の改正の中で、御案内のとおり、恩給所得と恩給外所得とをトータルいたしまして普通恩給の停止基準というのを決めて、トータルした所得が高額になる場合に普通恩給の停止を一定の基準で行うということが従来の法の中にもありますが、今回これを四段階普通恩給の停止基準の改正を行いまして、八百七十万から千四十万、千四十万から千二百十万、千二百十万から千三百八十万、千三百八十万以上、こういうふうに分けてそれぞれ停止基準を決めて、従来よりは高額所得者について支給を一部停止をするという点を強化していこうとしておるわけであります。いずれも百七十万円刻みということで四段階制をとられたわけでありますけれども、この検討過程でどういうふうな物差しでこういうふうにしたのかという点を簡単に御説明を願いたいと思います。
  32. 品川卯一

    ○品川政府委員 多額停止制度の強化の内容でございますが、現行停止基準は、四十八年の法改正によって設定した停止基準をもとといたしまして、その後における普通恩給増額等を考慮して基準の普通恩給年額及び恩給外所得の額を御承知のとおり逐次引き上げてまいってきているところでございます。  昭和五十九年の法改正の時点におきまして停止率を二割から三割五分に引き上げて、また五十三年度以降据え置かれておりました恩給外所得を七百万に引き上げたという措置をこの五十九年にとっております。  六十二年度におきましては、さきの公的年金改革の趣旨を考慮いたしまして、社会的要請にこたえるために、停止率につきましては所得が多くなるに従って停止率を高くするといういわゆる累進的な考え方を新たに取り入れたわけでございます。  さらに、非常に多額の恩給外所得があるにかかわらず、この恩給という国民の税金に基づいて支給する恩給額をそういう多額の所得がある方に差し上げるのは、その恩給外所得の多額になるに従ってこれの制限を強化するということが国民感情にも合致するのじゃないかといった観点から、これを四段階に分けまして、刻みといたしましては、この恩給所得が百七十万以上の者につきましてこれを対象としておりますので、その百七十万を便宜借用いたしましてその四段階の刻みを百七十万ごとに高めていったということでございます。
  33. 角屋堅次郎

    角屋委員 時間が参りましたので、最後に総務庁長官に御決意を聞いて終わりたいというふうに思います。  恩給については百年以上の長い歴史があるわけでございまして、しかも先ほど来議論の過程で言っておりますように、今日、昭和六十二年度予算の場合に、恩給の文官受給者というのは十一万七千、軍人の受給者というのは二百万七千ということで、二百十二万四千の恩給法適用で、九四%までかかっての大戦等に従軍しあるいは帰りあるいは亡くなったという人であります。  一方では、恩給の基本的性格という長い歴史の中の性格も踏まえながら、同時に、社会保険である各種公的年金というものが長寿社会の中でそれに対応する改正等も行われていくというのに見合った、その面の国民の理解と共感を得るための改正改正としてやっていく。一方では年金受給者の期待にこたえながら、他面では社会保険である公的年金というものの改正と見合い、長寿社会の動向の中で社会保障全体として万遺憾のないように対応していくことが極めて大切なこれからの政治課題であろうと思うわけでありますけれども、特に恩給法については総務庁長官が直接担当の責任を持っておられるわけでありますので、この機会にこれからの運営の問題についての御決意をお伺いして、質問を終わらせていただきます。
  34. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほどからお話がございましたように、非常に長い歴史を経て今日まで至っておる恩給でございますけれども、その性格とか意義につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように別段の規定ございませんけれども、少なくとも本旨としては国家補償である、しかも国家の業務に長年携わってこられた方々に対してあるいはまたその御遺族に対して国家補償的な性格を持ったものをひとつ差し上げるというのが趣旨でございますから、今後ともまずそういう本旨というものをはっきりとわきまえながら処してまいらなければならないと思っております。
  35. 角屋堅次郎

    角屋委員 官房長官、せっかく息せき切って駆けつけていただきましたが、私の持ち時間が終わりますので、あとは大原委員の方にバトンタッチをいたします。ありがとうございました。
  36. 石川要三

    石川委員長 関連して、大原亨君。
  37. 大原亨

    大原(亨)委員 今、角屋委員質問がございまして、私も、珍しいことですが熱心に聞いておりましたから、重複しないように進めていきたいと思います。  官房長官もおいでいただいておるわけですが、私の全体で一時間ちょっとの質問は、基本的にこういう考え方であります。  これは長い間やってまいりましたが、今、日本の皆年金制度を進めておりまして、その中で昨年の四月から基礎年金という横割りの年金を導入いたしまして、閣議の決定では昭和七十年に公的年金一元化ということを決定をいたしておるわけであります。その公的年金一元化の問題を議論する際には、年金制度の中においては七つほど法律があるわけですが、その全体を見て一つの問題を議論しなければいけない。その中で皆年全体制への新しい今の年全体系を考える際には、今御答弁がありました国家補償に基づく恩給制度も頭に置いてやらなければいけないわけです。一つだけの分野でいいことを言っただけではだめだというふうになっておると私は思います。  後藤田官房長官は、慣例に従いまして年金問題についての閣僚懇談会の座長、特に国鉄共済年金についての座長をしておられます。それから山下長官は、これは今御答弁になりました恩給局長の監督大臣でもあります。しかし一方では、角屋委員からもお話がございましたが、今まで臨時行政改革推進審議会がしばしば恩給と年金の関係について答申、勧告をいたしておるわけです。それから社会保障制度審議会もいたしておるわけです。そういう面とのかかわりは、山下長官は、これは後藤田長官は先輩ですが、総務庁の行政管理局長を監督する長官です。――山下さん、想定問答集を離れてやりますからね。  角屋委員質問、これは戦後処理の問題をかなりやりましたから、私も時間がないから余りダブったことはやりたくない。しかし、私が言うのは、今言っているように恩給法の関係と、それから、簡単に挙げてみますと、文官の公務員の中には非常に、六%しかないという指摘をいたしましたが、恩給法関係プロパーがあるのですが、しかしその継続しておる人については旧法による共済がございまして、恩給と旧法の共済と新法の共済年金で保険主義を原則とした制度があるわけですから、文官の場合はつまりよく言われておるように、国鉄の共済等でも言われましたように、追加費用と言われる部面があるわけです。国鉄共済では四兆九千億円ほど計上いたしました。今度統一見解に基づいて措置をしたときに少し修正しておるようですが、そういう問題がある。追加費用というのは恩給と古い共済の関係です。そのつなぎがあるものですから文官の方は恩給の対象者が少ないわけですよ。  防衛関係、旧軍人関係は、恩給法を、軍隊をつくるために、廃止したものを昭和二十八年に復活いたしましたが、しかし軍人を引き継ぐ共済制度は日本にはないわけです。国家公務員等共済組合法の中で防衛庁の共済がございまして、非任期制と任期制を分けて保険料を決めたり条件を決めているわけです。これはしかし国家公務員等共済組合法の中にあるわけです。だから軍恩欠格だなんだという問題が旧軍人については起きてくるわけです。それをどう処理するかということは全体の中で考えていかなければならないという問題ですが、しかし、それだけを議論しましても一時間余りはすぐ済みますから、それだけの議論はいたしません。  問題点を指摘するのですが、私が指摘をいたしますのは、まず今の角屋委員質問の続きなのです。申し上げましたように、山下長官は恩給局長の監督大臣である、一方では臨時行政改革推進審議会等の答申を実施する行管局長の監督大臣であって、あなたは二重人格である。あなたの今答弁されていることは恩給局長の書きましたメモをお読みになったのであります。しかし、やはり恩給制度と年金制度というものは国家補償と保険主義であるというだけの短絡的な考え方で考えていくわけにはいかないわけです。ですから私どもの基本的なスタンスは、できるだけ戦争犠牲者に対しましては公平でかつ行き届いた措置をとってもらいたい、ということは恩給法の体系、戦傷病者戦没者遺族等援護法の体系、あるいは新しい年金制度との関係、そういうものを総合的に考えながらやらなければいけないということです。  そこで第一の質問は、昭和五十六年の第一次答申にもありますが、第三次答申が昭和五十七年七月三十日に出ておりまして、「当面第一次答申の趣旨を尊重するとともに、年金制度とのバランスをとるために必要な見直しを行う。」こういうのもございますし、それから五十八年の十二月には臨時行政改革推進審議会、今度新しい会議が発足しますが、前の会議がやっておりますと一緒に、五十九年七月二十五日に「当面の行政改革推進方策に関する意見」の中で、②といたしまして、「恩給等の給付改定の検討に当たっては厳しい財政事情等を考慮するとともに、新規の個別改善は行わない。 また、共済年金制度について公的年金制度の一元化を目指した改革案を早急に作成するとともに、」これはまだ政府はつくっておりません。  年金閣僚懇談会の座長は後藤田官房長官であります。年金担当大臣は厚生大臣ですが、厚生大臣は厚生年金と国民年金の代表でございまして、共済や全体の制度を見る立場にないものですから、そこで官房長官が歴史的にやっておりまして、そして特に最近は国鉄共済について四閣僚懇談会の座長をしておられるわけです。しかし、後藤田官房長官は万能ではないわけですから、年金のことが全部わかっておってやっておられるわけじゃないわけです。これは失礼なことですが、そういう事実であることは間違いない。大体アバウトでやっておられると思う。  年金改革案を早急に作成するとともに、政府全体ですが、昭和七十年の公的年金一元化についてのスケジュールと構想はまだできてないのです。閣議決定しているだけなのです。それをやるためにはたくさんの前提条件があるのです。最も古い歴史を持っている国鉄共済の救済方法も一つ、これができなければできない。もう一つは、最も大きな、制度としてはよろしいのですが、基礎年金の欠陥が出ておるわけです。国民年金基礎年金。国民年金は四分の一は保険料を払ってないのですから、それで実際には厚生年金や共済年金から拠出をするような仕組みになっておるわけですから、このままではいかぬわけです。今、福祉目的税の議論がありますけれども、私どもは基礎年金税のことを言っておるわけです。これは話をさらに進めません。  恩給制度について、公的年金制度改正とのバランスを考慮して必要な見直しを行うというふうに、総括的に臨調、行革審が答申を出しておる。また、行革審の最終答申では、「恩給制度については、年金制度改正とのバランスを考慮して、必要な見直しを急ぐとともに、引き続き新規の個別改善は行わないこと」、こういうのがある。それから、昭和六十年四月に社会保障制度審議会が年金の改正に関係をして答申を出しておるわけであります。「恩給制度についても、今回の改正との均衡を考慮し、スライドの在り方その他を含め速やかに不公平を是正する等の措置が望まれる。」これは亡くなられた大河内さんが会長で、今井さんという熱心な年金のベテランがおられまして、私も五十二年の皆年全体制化下の新年金構想をやるときに希望いたしまして五、六年間これに参加をいたしました。国会からも出ております。労使全部出ております。そういうところの答申でございます。そういう答申を受けて発言をするというのは行政管理局長でありましょう、行政管理局長の監督大臣としての山下さんでありましょう。二重人格の側面であります。  そこで、そういう議論があるということについて、これを消化して恩給法の改正もやらないと、恩給法だけでこれが突出するわけにはいかぬわけです。そういうものなんです。税金をどう使うかということからいうならばそういうものなんです。ですから、あなたが御答弁になりましたことは一つは真理でありますけれども、私どもの要望があるわけですよ。戦争犠牲者に対してはこれは十分にやる。原爆被爆者二法の問題も含めて、これはあした私も議論いたしますが、そういうことが必要なわけです。戦争犠牲者の救済は国の責任で公平にやるということが必要であります。  角屋さんも指摘いたしましたように、長官が御答弁になりましたが、政府与党との話し合いにいたしましても、これは一つのたたき台であって、十分国会でも議論をして昭和六十三年以降の方針を決定すべきである。例の十万円問題であります。これはそんなことで済むのかという議論もあります。何かといったら、武官の、旧軍人の恩給制度というのはしり切れトンボになっておりまして欠格者の処理はないのですが、文官の方は、公務員の方は通算するのですから切り捨てられておらないわけです。十二年の年限とか十七年の年限に達しない人も通算するのですから、生きておる者は通算する仕組みになっておるわけですから、文官の方は恩給の対象者が少ない。武官の方が多いというのは、切れておるからです。  そういう演説だけしておると私の演説で終わりますから質問をいたしますが、そういう答申を受けて二%のベース改定を今度予算化いたしました。二%というのは、生活水準とか賃金とか物価、そういうものを総合的に勘案して、がらがらぽんとは言わぬけれども、ぽんと二%を出したのですね。そうすると、年金のスライドとの差が――年金は全部〇・六%です。あした社労で審議いたしますが、児童扶養手当から何から全部〇・六%ですからね。しかし年金制度には、五年ごとに財政再計算をする、国民生活水準や、国会の補正でやりましたが賃金スライド等を勘案して再計算する制度があるのです。そうすると、二%と〇・六%の関係、年金は五年ごとに財政再計算、収支を計算いたしまして、そのときに生活水準に年金水準を合わせることになるのですが、それとの関係は一体どういうふうに考えて本年度の予算措置を決められたのであろうか。角屋さんの質問にダブらぬように私が質問いたしておるわけですから、ポイントを、一番大切なところをだれでもいいから答弁してください。
  38. 品川卯一

    ○品川政府委員 御指摘のように、公的年金におきましては五年ごとに財政の再計算を義務づけられているわけでございまして、その際に標準報酬月額の再評価を行って、物価、賃金との間に格差が五年間累積しておる場合におきましては、それを再評価の結果埋め戻すという措置をとることになっております。従来そういうやり方を行っておられますし、今後もそういうやり方をとられるものと思います。  これとのバランスを考えますと、このたび恩給は給与の二・三一%というのを採用いたしませんでした。したがいまして、御指摘のように〇・六%はもちろん採用しておりませんが、二%とこの間に〇・三一という差があるわけでございます。今後、物価なり給与なりがどういう推移で経過するかは全く予断を許しませんけれども、同じようにこの間の格差が継続してまいりますと、御指摘のように生活水準向上部分というものが取り残されてくるという事情がございますので、公的年金がおやりになっておると同じような見直しを、五年という時期を合わせるかどうか別ではございますが、何らかの見直し、そういう累積生活水準の取り戻しということをやらなければならないのではないかということは予想されるところでございます。
  39. 大原亨

    大原(亨)委員 官房長官山下長官、今の答弁を聞きますと、私が指摘をいたしました点は、昭和六十年、六十五年、七十年――七十年は公的年金一元化があるわけですが、五年ごとにそれぞれの保険財政の収支のバランスを考えて保険料を決め、給付を決めるわけです。見直していくわけです。他の年金制度は現在は物価スライドで、〇・六%上げたのですが、これは特例でやったのですけれども恩給は二%をやったわけです。ただし人事院勧告の二・三一%より低いわけです。腰だめでやった。  物価スライドではけしからぬという議論もあったでしょう、国家補償だからという議論もあったのですが、今答弁のように、昭和六十五年に年金の再計算をやって国民生活水準に合わせるときには、恩給についてもそのことを配慮しながらやる、スライドについて調整する、そこでバランスをとる、当面は二%だ、こういう意味の答弁ですか。
  40. 品川卯一

    ○品川政府委員 御指摘のとおりでございます。
  41. 大原亨

    大原(亨)委員 臨調が何回も答申を出している、あるいは制度審議会が出しておるものの真意を探求してみますと、その点のバランスを考えてやれということを言っておるようですね。  ただしこの問題は、例えば公務扶助料にいたしましても、恩給関係を調べてみますと、非常に政策的な点もありますけれども、兵隊その他の恩給が低いために最低保障制度を設けておるわけです。その最低保障も二%上げているわけですからね。ベース改定と一緒に、ベース改定の二%と並行いたしまして最低保障を上げておる。恩給の二%アップだけじゃなしにやっておるわけです。底上げしているのです。戦争犠牲者に対する補償という場合にはそういう底上げをすることが必要でしょう。大将や元帥をどんどん上げるのでなしに、底上げするという考え方は軍人恩給あるいは恩給法の改正ではずっとやってきたと思います。社会党などは中尉の程度でそろえたらいいんじゃないか、こういう議論をしたこともありますが、実際上はかなりそういうことが考えられておるわけです。最低保障を上げる。  だから、恩給の制度の特色から見て、受給者が年をとっているということから見て、そこで、できるだけ時期を失しないようにやるという意味で二%をまず当面はやった。しかし、年金とのバランス、臨調や社会保障制度審議会等が答申をしているバランスというのは、五年ごとのベース改定のときには当然にそのことを配慮してやるだろう、それを上回る場合にはそれ相当の理由が要るだろう、こういうふうに考えられますが、私が答弁を先回りして質問したように見えますが、長官、御見解いかがでしょうか。
  42. 品川卯一

    ○品川政府委員 公的年金が物価で増額改定をするということとバランスを失しないかということでございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、いろいろ検討いたしました結果、恩給国家補償である。したがって、その国家補償、特に大部分が旧軍人の方である、また非常に高齢の方でいらっしゃる、現在の時点におきまして推定いたしますと、七十一・六歳ぐらいに平均年齢がなっていると思います。そのような特殊な事情を考慮すれば、公的年金と同じような物価スライドをとることは適当ではない。しかしながら、他方また給与スライドをそのまま継続することも適当ではない。恩給法二条ノ二には、国民の生活水準、給与、物価という指標がございます。そういう指標に従って総合勘案することが適当であるという検討結果に基づきまして今回の措置をとったわけでございます。その結果が二%の増額ということでございます。
  43. 大原亨

    大原(亨)委員 もっともらしい答弁をしておるが、その二%というのはどういう根拠ですか。
  44. 品川卯一

    ○品川政府委員 先ほども申し上げましたように、国民の生活水準、公務員の給与、物価その他の諸事情を総合勘案した結果でございまして、これは一定の算式に基づきまして二%という数字を算出したというものではございません。諸事情を総合勘案の結果二%という数字が出てきたわけでございまして、その点御理解を賜りたいと思います。
  45. 大原亨

    大原(亨)委員 僕はそれは理屈にならぬと思うのだ、一部は理屈になるけれども。年をとった人が多い、これは老齢年金は皆そうです。それから低い人が多いのです。そういうこと等で毎年毎年賃金スライドをするという考え方は私はいいと思うのですよ。それならばそういう方針でやったらどうだ。賃金スライド二・三一をやったらどうだ、しかし、片方の年金の方は五年ごとに再計算するという制度で、これは我々も反対したけれども、結果としては、毎年は物価スライドにしておいて、五年目の再計算のときに生活水準、賃金を考えてやる、こういうことにしたわけです。  それは制度としてあるのですが、国家補償という場合に、結果、結末は同じですよ。国民生活水準はそう上がることはできないんだ、賃金水準は上がることはできないのですが、しかし、毎年賃金水準に従って是正をしていくという方針を決めるのならばこれは一つの筋である。腰だめで二%ぽんとやる、政治的な圧力とか運動だけでやるというようなことは筋が通らないというのが、臨調の答申であり社会保障制度審議会――内閣総理大臣の諮問機関、建議機関ですが、それの答申の趣旨であるから、私の言うことが正しいと思うが、山下長官、いかがですか。
  46. 山下徳夫

    山下国務大臣 権威者の先生に対する答弁になるかどうかと思いますけれども、先ほどから申し上げておりますように、国家補償という一つの恩給の性格と、それから年金という一つの保険制度から出発するものとの基本的な違いがある。国家補償というものは、やはり補償ということは一つの生活の保障であろうかと思います。  そこで、さっき先生、元帥、大将の例もおとりになりましたけれども、戦前においては十六倍くらいの開きがあったのが、現在、恩給においては大体六倍、手取りにおいては四倍と私聞いておりますが、かなり圧縮されているということで、いわゆる底上げというものはそういう面においてかなりなされてきておるということでございます。  なお、やはり公務員として退職し、死亡された方々に対して支給されるという面においては年金と類似しておりますので、そこらあたりは考慮しながらやっていかなければならぬということで、スライドのあり方とか給付水準等についての見直しは今後とも行われていかなければならぬ、こう思っておる次第でございます。
  47. 大原亨

    大原(亨)委員 その議論は非常に単純な議論なんですね。国との雇用関係とか命令服従の関係の場合は国家補償でやるのです。しかし、これはやはり税金ですからね。保険料だって広い意味では税金なんですから。保険制度をやって国庫負担を導入する場合でも、これは社会保障というのですけれども、保険料を出す人と給付を受ける人とは関係ないですよ。だから税金と同じことなんですよ。だから皆年金制度ができて給付をそろえる場合には、保険料負担についてもそろえるというのが政府考え方なんです。ですから国家補償という場合も、一定の保険料を出していないから、逆に言うならば理屈が通っていなければいかぬということになります。高いほどいいというものではない。そういうことで、大将と兵隊、下士官との差が縮んできたということは当然の議論の結果でございます。当然です。そういうことはここで一応問題点として指摘をしておきたいと思います。  限られた時間ですから前へ進めていくのですが、後藤田官房長官、こういう問題があるのですよ。公的年金一元化の中で国家公務員、地方公務員共済年金の場合には、追加費用ということで恩給や古い恩給と同じような共済の制度は引き継いでおるわけですよ。そこで勤務が終わった人は、その恩給をもらったり旧法による年金をもらっているんですよ。しかしそれは非常に数が少ないんです。ずっと続いておるわけです、国鉄でもどこでも。国鉄は続いている分が四兆九千億円ほどあるというのですよ。遺族扶助料を入れましたらずっとあるんです。まだまだ続くわけですよ。清算法人がやっておるわけですね。  そこで、今までの問題を頭に置きながら年金の問題を議論するときに一番大きな問題は、国鉄共済年金は一番古いのです、大正時代からあったのですから。それで戦争中、戦後、国の動脈としてやったのです。交通機関はなかったのですから、これがなかったら戦争もできなかったし、復興もできなかったのです。戦争の方は別にいたしましても、そういうことです。これは年金制度の中心ですから、何とかしなければいけないということですね。  それと一緒に、保険料と給付を一元化する際に考えておかなければならぬのは、防衛庁関係の共済であるというふうに私は指摘しておるのです。これは非公式にも指摘をしておるのです。防衛庁の共済は非任期制と任期制があるのですね。任期制というのは二年、三年というものだ。技術者が三年で、単純労務者じゃないが兵隊が二年でありますが、任期制。非任期制というのは一般公務員の共済組合と同じようにやっているんですよ。  そこで御答弁いただきたいのは、任期制と非任期制の年金の掛金は幾らですか。それに加えて、国家公務員共済年金の掛金、それを三つ並べて答弁してください。
  48. 松本宗和

    松本政府委員 御質問の年金の掛金でございますが、任期制自衛官につきましては標準報酬に対しまして千分の三十七・五でございます。それから非任期制自衛官、つまり定年制の自衛官でございますけれども、これは千分の七十七・一でございます。また、今お尋ねのありました一般の国家公務員でございますが、これは千分の六十一・三ということになっております。なお、これにはいわゆる国鉄財調分千分の四・三を含んでおります。
  49. 大原亨

    大原(亨)委員 今答弁がありましたように、自衛官につきましても国家公務員と同じようにやはり国鉄の共済に一カ月に千二百円、国家公務員、NTT、たばこのグループ、国家公務員グループ全体で昭和六十四年までの五年間に二千二百五十億円、これを国鉄共済に援助しておるわけです。その中には自衛官も皆入れておるわけです。それを含めて非任期制は千分の七十七、それから任期制の方は千分の三十七というふうになっておるわけですね。  これは決め方が問題があると私は思うのですよ。任期制の場合は、後民間へ行きましたならば、厚生年金へ通算するのです、その分だけは。それぞれの関係で適当かどうかというような問題がありますよ。自衛官は、衣類とか住居は現物給付ですからね。月給十万円ぐらいでは収入と標準報酬から見まして低いですけれども、計算の仕方はややこしいですが、それにいたしましてもこういうことがあるんですね。あるんですが、しかし非任期制の自衛官は千分の七十七・一の掛金を出しておるわけです。公務員の六十一・三よりも高いわけですね。それはなぜ高いのですか。
  50. 松本宗和

    松本政府委員 御案内のように、自衛官につきましては若年定年制がしかれております。そういう関係で、国家公務員共済組合法では特例を設けていただいておりまして、一般の公務員につきましては六十歳から年金の支給を開始するということになっておりますが、非任期制自衛官につきましては五十五歳から支給するということになっております。  ということは、それだけ年金を掛ける期間が短うございまして、もらう期間が長くなるということになりますので、そういう関係で財源計算をしてまいりますと、一般の公務員よりも、これはいわゆる保険数理を適用してまいるという現在の形をとっております限り、非任期制自衛官については高くなってくるというのが実情でございます。
  51. 大原亨

    大原(亨)委員 例えば下士官等で退職する場合には定年は五十三歳でしょう。五十三歳で退職いたしますと、年金は五十五歳開始の場合から二年引くのですか、減額年金ですね。減額率は四%です。共済年金は四%です。共済全体が四%です。厚生年金は八%です。国民年金も八%です、減額年金で早く取るときには。これが一つ問題になっておるのですが、しかしこれは昭和七十年ごろにはなくなるというのです、減額年金は。  そこで、このまま進んでいったならば、官房長官、非常に政治的な判断ですけれども、アバウトな感じとして、昭和七十年公的年金一元化のときに自衛官の年金はどうなるのですか。自衛官の年金というのはいろいろな形態があるのですが、厚生年金になって全部一緒にしてしまうというのがある。共済は共済で一緒になって、共済で分かれておって独立てきる人はする。しかし、今の基礎年金ではだめですよ。基礎年金を改革するということが前提ですが、大体七十年にはどういう方向へ行くんだということの想定が必要になると思うのです。  これについてもしお考えがあれば――国鉄年金について非常に苦労されたのですから……。国鉄年金のときにも防衛庁の共済をにらんで私は議論しておりました。国鉄共済はハンディがある、ギャップがあるのですから。しかし、千二百円をみんなが出して援助する、調整するという調整年金はこれで終わりです。金額を、千二百円を毎月毎月上げることもないし、延ばすこともない。これは私どもが大蔵委員会におりましたらああいう調整年金のようなインチキなものはつくらぬですが、たまたまみんなが集まって政府与党で抑えつけてあれをやったんです。しかし、あれは議論しよりましたら、あんなものは落第であって、もうこれからはないのです。そのときに国が責任を持って処理すべき問題を統一見解を出したのですが、防衛庁の共済、自衛官の共済を私はにらんで議論をまとめておったわけです。  自衛官の共済年金はどうするのですか。例えば軍人恩給、九四%ある軍人恩給を引き継いだ形で車の恩給をつくるのですか、国家補償の精神によって。戦争するのですから、やるのですか。忙しくやりますか。中曽根さんはもう続きませんけれども、やりますか。徴兵制度が前提になるかもしらぬですよ。志願兵制度がなくなるかもしらぬですよ。そうするのですか。それとも、他の厚生年金、民間と一緒にするのですか。共済で一定の部分だけやっておいて、保険料と年金開始の条件の特例を残しておくのですか。年金開始の特例は国家公務員等共済組合法の附則の第十二条の九にあるわけです。当分の間は五十五歳として年金開始をするという特例があるのですが、他の厚生年金は六十歳です。他の共済年金の方は今五十七歳まで行っておって、六十歳までに行きます。そして、その次には六十五歳にする、昭和七十年ごろには六十五歳開始にすると言っているのですよ。  自衛官の共済の開始年齢と保険料、こういう関係を見て、自衛官の共済年金を、軍人恩給を復活して、そうすれば欠格条項なんかかなり救済できるといったって、もう時間がたっておるからそういうことはできませんし、日本の憲法ではできませんから、やはり共済年金制度でいかなければならぬ。しかし、独自にたくさん出さなければならぬところを抱えておりますと、答弁がありましたように保険料が上がってくる。保険料の公平化を図るわけにはいかぬじゃないか。年金の一元化というのはそれが目的でしょう。給付についてもそうでしょう。給付条件が違うじゃないか。じゃ、違う分をどういうふうにするのかということを考えなければいかぬじゃないか。国鉄と同じです。  そういうことで、恩給と追加費用と年金との関係を考える際に、質的には自衛官が一番難しいのですよ。自衛官の年金制度をどうするかということについて政府の中で議論をしておりますか。または、大体においてこういうふうにすべきであるというふうに考えを持っておられますか。これは、総務庁でいえば行政管理局長だけれども、しかし、恩給局も関係ないことはない。これは全部関係あるのですから、全部ずっと今の点について御答弁ください。
  52. 松本宗和

    松本政府委員 今先生御指摘のように、自衛官の年金につきましては将来大変な問題を抱えております。  この問題につきましては、一昨年、国家公務員等共済組合法が改正されました際にもこの内閣委員会で御指摘いただいておりまして、早急に検討していくべきであるというぐあいに私ども検討を命ぜられておるわけでございますが、これを受けまして、現在、防衛庁の内部で委員会を設けまして検討いたしますとともに、これは公的年金全般にもかかわる問題でありますし、非常に技術的に難しい問題であろうと思いますので、外部の年金関係について詳しい有識者の方々にいろいろ御意見をお伺いして、現在鋭意検討しておる最中でございます。したがいまして、今後それをどうしていくかということにつきまして、今のところはっきりとした方向づけというものはまだ申し上げられる段階にはございません。
  53. 大原亨

    大原(亨)委員 それでは、大まかな質問ですが、共済年金の制度の中で改革を進めていくということになるでしょう。いかがですか。軍人恩給を復活して、軍人恩給につないでいくということはないでしょう。そんなことをやったら、徴兵制度から何から全部憲法に抵触しますよ。それは論争すればおもしろいのですが、時間が惜しい。  それで、共済年金のカテゴリーの範囲で改革をしていくのですか。
  54. 松本宗和

    松本政府委員 先ほども申し上げましたように、まだはっきりした方向というものは私ども持っておりませんけれども、この問題は若年定年制という、いわゆる国家的な要請と申しますか、そういうところから来ておる問題であるということで、言うなれば人事施策の一面という点でもとらえなければならないと思います。もちろん、共済年金の中でどこまで対処していくか、それから人事施策全般の中で幅広くどういうぐあいに検討してこれに対応していくかということを総合的に判断していかなければならないかと考えております。
  55. 大原亨

    大原(亨)委員 例えば五十三歳定年、五十五歳定年、大将は五十八歳定年、こういう定年があるでしょう。この定年を延長して六十歳、六十五歳としますか。それではやはり役に立たぬかな。そういう議論になるのかな。全部大将にするか……。
  56. 松本宗和

    松本政府委員 最近、確かに平均寿命が延びておりますし、高齢者の労働能力と申しますかこれも伸びております。そういうことを勘案いたしまして、できるだけ人材を有効に活用するということも含めて考えまして、定年延長は既に五十四年から五十九年にわたって実施いたしました。  そういうことで、現在、精強性という点から考えますと、これ以上定年延長をする計画はございません。
  57. 大原亨

    大原(亨)委員 そうすると、当然定年との関係で支給開始年齢の五十五歳の特例というのは制度としては延ばすわけにはいかぬと思うのです。「当分の間」となっておるが、この附則を外してしまうと、共済年金ではなくなってしまうから。そうすると、五十五歳からさかのぼって減額年金を五十三歳ぐらいからほとんどの自衛官はもらっているのですから、六十歳定年ということになると六十歳開始ということになるのですから、そうすると、その間はかなり人数も多くてかなりの金額になるのです。それを何かの方法で措置しなければいかぬ。それは一般の公費でやるしかないのです。保険料でやろうと思うと、保険料負担がどっと突出して、短期の掛金と一緒になりまして、税金との関係もあって限界を超えるのです。その総合的な議論を一つも税制調査会はしておらぬのだ。年金や医療でたくさん金がかかるということだけ言っておどかしておいて、福祉目的税どうかと言うから、何に使うのかわからぬじゃないかという議論と同じようになってしまう。だからこの問題は、五十五歳の特例というのは動かせないのです。  そうすると、そのギャップを保険料で埋めないといたしますと給付を下げなければならなくなるのです。それでなければ保険料を上げなければならぬということになる。今でも高いのですから、一般の公務員は千分の六十一でこっちは七十七ですから、だから七十年にかけて保険料の負担と給付を一元化するといったって、一遍にはぽんとできないのです。それを調整していかなければならぬ。その案が政府にはないのです。  そこで、皆年全体制で新しい基礎年金を入れておいて、どういうふうに財源と保険料の負担をするかという問題なんです。山下さんが言われるように、税金だから国家補償だったら幾らでも出せるという問題じゃないのです。そうすると、その間の六十歳までは、将来は六十五歳、その間の自衛官の給付の財源をどこで見るかということになれば、結局国の要請でやるということで、国鉄と同じようなことになると私は思います。そういうことをしないと自衛官の共済年金はバランスがとれてこないです。だから、そういう問題と恩給のベース改定は絡まっておるわけですから、毎年毎年短絡的にこの問題を考えても、これは文官、公務員との恩給と年金とのつながりを考えてみましても、そう単純なものではないのです。  だから、社会保障制度審議会やその他は労使全部おるわけですから、各政党も出ておるのですから、出ておっても居眠りしたり勉強しなかったりするやつがいっぱいおるのですけれども、それから次官クラスがみんな出ておるのですから、大蔵省も厚生省も総務庁もみんな出ておるはずですから、それで一生懸命やっておれば――しかし、実際の専門家から言うと、専門的な見解から言うと、私が指摘したような問題を離れて恩給のベース改定を考えることはできないのです。理屈が通れば堂々とやればいい。私の意見は、毎年毎年特殊な条件であるということで、五年ごとに見直すのじゃなしに、一年ごとに人事院勧告でやるならやるということにしなさいということです。単に二%という腰だめでやるということは、そんないいかげんなことをしてはいかぬというのが制度審議会や臨調の、まあ臨調の方は、あのおっさんたちの考えは削ればいいという考えがあるんだね。それはそうなんです。  年金担当大臣の後藤田さん、厚生年金や共済年金の国庫負担分があるわけです。二割とか一八・五とかいう国庫負担、その四分の一をカットしておいて、大蔵省がマイナスシーリングで召し上げておく、それが一兆数千億円になっておるのです。たまっておるやつを払う払うと言っておいていつ払うかわからぬ。あるとき払いですか。そんなことがマイナスシーリングでまかり通っておるのです。  大蔵省は将来の年金なんかを考えて税金の制度や年金の制度を考えておるのじゃないと思うのです。大蔵省はきょう見えておるはずですが、非常に苦しんでおるからよくわかっておると思うのです。きょうは主計局次長やそれぞれ見えておると思うのですけれども、大蔵省的な考え、大蔵省はマイナスシーリングで苦し紛れに帳じりを合わせるということでやると、そうすると各省庁が一生懸命走って、それで矛盾はさらに累積しておるのです。  そのことをよく考えながら、税金と保険料の負担をどうするのだということを年金、医療にわたって考えるというのが本当の行政改革ではないのか。そのとき福祉目的税という議論が出てくるのはいいけれども、ぽんと出てくるのはおかしい。これは、福祉関係は四十兆円以上使っておるのですから、その中の国庫負担分をはね出すために売上税を持ってきましたら数兆円の財源が出てくるけれども、制度というものは一つもよくならぬということになるから、制度の根幹を十分分析しておいて、公的年金一元化についてはもう政府は決めておるのですから、その上に立って行政改革なり税制改革を考えていくということでなければ政治にはならぬと私は思うのです。  必ずしも社会党の中で私の意見に全部賛成とは言いませんよ。言いませんけれども、誤解して理解しておる人もたくさんおりますけれども、しかし、ほとんどは理解しておる。  ですから、税制改革で目的税、目的税と言ったって、そう単純なものではないのです。何のために税金が必要なのか、ナショナルミニマムは何でやるのかそこで恩給恩給とこう言うから、ここは恩給ではいいことを言っていればいいけれども、票がふえるからいいけれども、そういうものではありませんよ、税金でやるから国家補償だったらどんどんできますよというものではありませんよ。筋の通ったことをやりなさい。やるなら二・三一をやる。恩給は五年ごとの見直しをやらないわけですよ、他の年金の方は五年ごとに見直しをする、いい悪いにかかわらず、国民生活とのバランスをとるということで、制度としてそれをやるのです。ですから、二%という問題もこんな簡単な決め方はないんじゃないかというふうに思うわけです。しかし、よくなるのだから反対するわけでもない、こういうのがあの議論であります。  私の議論につきまして、中曽根総理大臣もあとわずかになりましたが、後藤田官房長官は、全体として見て、この税制改正その他の事務を引き継ぐ場合に、行政の制度それから年金の制度、こういうものに触れて恩給の問題についても考えるという私の考え方について、ひとつ賢明な見解をお聞きしたいと思います。これは想定問答集にないからな。
  58. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 大原さんがおっしゃるように、恩給にしろ共済制度にしろ、あるいはお話に出た福祉目的税、こういうものがどうなるかわからぬ話ですけれども、しかし、いずれにせよこういう施策というものがすべてが整合性を持って考えなければいけないのだという御説、これは私はよく理解のできるところでございます。  先ほど来御質問の若年定年制を採用しておる防衛庁の共済制度を今度どうするのか、これはまさか軍人恩給にするわけにいかぬことはもう決まり切っている話ですが、その場合も、今年金も掛金も非常に高くしておりますが、これは人事制度との関連があるものですから、七十年年金一元化の政府の基本方針は決まっておる、ならばそれにどういうように考えていけばいいのかということで、せっかく防衛庁の中で今検討機関をつくっておるわけですから、政府としてはしばらくその結果を見させていただきたいと思います。  それから、これとやや似た立場にあって、今はかの共済から援助を願わなければならなくなっておる国鉄の問題がありますね。これは六十四年度までの分は一応の解決を見たつもりでおりますけれども、六十五年度以降どうすればいいのかという、これまた大きな問題が残っておる。  それから、七十年年金一元化という基本方針は決まっておりますが、これはもう大原さん御承知のように、いろいろ立場、利害関係が非常に複雑でございます。したがって、この一元化の問題についても結論を出すのはなかなか容易なことではなかろう、しかしこれはやらなければなりません。  そこで、一つだけ大原さんが間違っておることを指摘をしておきたいと思うのです。それは、国民年金一元化についての閣僚協議会、それから国鉄年金の問題を解決するための閣僚協議会の座長は内閣官房長官であるということだけは間違いでございますので、この次からは必ず年金担当国務大臣である厚生大臣をお呼びいただくようにひとつお願いをいたしておきたいと思います。
  59. 大原亨

    大原(亨)委員 それが実際はそうではないのですよ。一昨年十一月、共済の四法案を四つの委員会審議をしたのですが、そのときに私が統一見解を求めて質問をいたしましたね。そして統一見解が出ました。統一見解については、もう最近の会議でも年金に関係しましたら百遍以上政府は答弁しているのです。これへ皆逃げ込んでいるわけです、統一見解、統一見解と言って。これは答弁書をつくりましたらすごいわけですよ。  それから、あの統一見解をつくるときには年金担当大臣の増岡前厚生大臣は機能しなかったのです。インチキな年金担当大臣を決めてはいかぬ、やはりちゃんと設置法を決めて、権限を決めて、年金担当大臣はこうするのだと言わなければ、閣議決定だけではだめだと私は言ったのです。そこで政府の答弁にあらわれた人は藤波官房長官です。そして総理大臣が後をなぞられたということになります。  あの統一見解は国鉄だけの問題じゃないのです。これからの年金をどうするかという基本になっているわけです。今まで昭和六十年から六十四年まで国鉄の財政調整で毎月千二百円ずつ負担している二千二百五十億円の問題は、法律としては非常にずさんな法律なのです。あれが誤りだということを認めたのが統一見解なんです。  しかしその当時、竹下大蔵大臣はオールジャパンということを盛んに言いました。オールジャパンというのは、共済や私学、農林共済、厚生年金、国民年金を含めてオールジャパン。全部で負担してくれ、まあ国民年金は除くのですが。しかし保険料負担の条件、給付の条件、今防衛庁のことを言ったような問題点を全部ネグレクトしておいて、全部の年金で、例えば自衛官の年金は五十五歳の特例があるから五十五歳から六十歳まではみんなで負担するんだということになりますかといつのだ、国鉄の問題と同じようにならぬですよ、制度としてやるのならば必要なところが負担しなさい、それは国が責任持つしかありませんよ、年金制度じゃありませんよということを言ったのがあの統一見解のときなんです。これは専門家で議論するときにはずっと自衛官の共済年金を僕は出したわけです。日本たばこその他ありますけれども、それは解決できますから、二つの問題。  もう一つは、もうきょうは余り時間がありませんから大切なことだけ言っておきますが、私ども議論をして、私も社会保障制度審議会へ建議をするときに五カ年間自分で希望して出ておったのですが、基本年金という構想、基礎年金、名前はどうでもいいです。それは西欧の全部の例、北欧型でカナダ、イギリスずっと含めてですが、これは税方式でやっているのですよ、基礎年金は。そしてフラットにしているのですよ。最低保障年金にしているのです。そして二階、三階ということで社会保険方式にするのですよ。報酬比例にするわけですよ。報酬に対応してやるわけです。  そこをマイナスシーリングの圧力の中で亡くなった山口年金局長が非常に苦労いたしましてね、死ぬるほどの苦労をいたしまして、そして社会保険方式でやったわけです。四十年間掛けて、しかも単一の年金額で出す。五千五百円ずつ出すのですが、国民年金は七千八百円ぐらい取っているのですが、国民年金は四十年間掛けて五万円ですから、基礎年金といいながら、底のない年金、年金をもらえない人も出てくる、無年金もたくさん出るような中の制度ですから誤りなのですよ。  だから、それをやるのにどうしたらいいかということを衆知を絞って社会保障制度審議会をやった中で、亡くなった大河内一男さん、今井一男さんがやったのは税方式でやる。その税方式というのは、保険料に近いものとして所得型の付加価値税、シャウプが勧告してきまして、国民経済の数理計算ができない時代でしたからパアになりましたが、それは法人、個人に、支払い賃金総額、利潤、利子、地代、家賃、減価償却を除いたその部分に対しまして二%かけるという案です。そうしてやっておかないと、昭和七十五年に、ずっと掛けて高齢化社会に対応できる年金の制度をつくることはできない。ですから、その基礎年金を内容を改造するということで税方式を考える。  そのときに何の税金がいいかということは、その制度に似通ったものがよろしい。もうけとは関係なしに、保険料に近くて、そして産業ロボット、オフィスオートメーションで頭割りで取るよりも、経済の外形に二%をかけた方がいい、そして基礎年金の財源にする。ほっとけば保険料がずっと上がるのですが、そうではなしに、そういう税金の取り方をすれば保険料の負担率を動かさないでできるではないか、こういう議論をして、各党の代表もおったのです。田中正巳君なんかもおって、今体が悪いですけれども、非常に熱心に勉強したのですよ。労使も皆おったわけです。同盟も総評も皆おったのです。社会党の国会議員もおったのです。皆さんそこで議論したのです。  ですから、そういう制度にふさわしい財源の制度を、保険料か税金がということを考えながらやっていくというのが本当の行政改革であり財政改革ではないかという議論です。この議論は最近としては私は初めて公に議論することなんです。しかしずっと続けてきて党内では議論していることなんです。これは労使を超えて経過的に共通の基盤になると私は言っているのです。それをやらないと防衛庁の共済も国鉄共済も全体の共済もうまくいきませんよ、七十年の一元化は。基礎年金という形だけつくっても魂を入れておかないとだめですよ。国鉄共済年金をどうするか、防衛庁の共済はどうするか日本たばこ、ずうっと地方自治体の崩壊状況の年金をどうするかということを頭に入れると一緒に、やはり基礎年金の財源方式を考えなければいけないのではないかということですね。そういうことをやっておいて初めて、これは税金でやるということになれば、恩給の制度についてもバランスをとっていくことができるのではないか。あれは保険方式だからだめだとかこっちは国家補償だとか、そういう議論はもう通らない、そういうことではないのかというのがこの制度審議会等の答申ですね。  最後にひとつ官房長官とそれから二重人格の山下長官、それぞれ答弁いただきたい。官房長官、年金閣僚の座長は藤波さんの後を受けてあなたです。
  60. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私は今御意見を拝聴しておって、非常に参考にさせていただくことができました。十分考えなければならぬ点を含んでおると心から敬意を表したいと思います。  ただ、大原さんに大平内閣のときに痛められて、それで各閣僚みんな答弁させられたでしょう。それでろくな答弁がみんなできないと怒られたあげくの果てに、だれが一体内閣は責任を持つのだ、これだけのいろいろな制度が分かれておるのにということで、それ以後、やはりこれは内閣としてもきちんと対応しなければいかぬということで、年金担当国務大臣を設けるということで、組閣のたびにこれは辞令まで出して今やっているのです。それは厚生大臣を年金担当国務大臣に指定するという、これはもう正式辞令が出ておりますから、その点だけはひとつぜひ、官房長官だけをいじめないで、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  61. 山下徳夫

    山下国務大臣 先生のお話、ずっと承っておりまして、指名されまして我に返ったようなことですが、本来、答弁というものは知らない人から聞かれて知った者がやるのでございます。これは逆でございまして、知り抜いた先生からの御質問にどう答弁していいか戸惑っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、恩給国家補償的なものであり年金はいわゆる一つの保険を中心とした問題であるということでございますから、これは何遍も私は繰り返して申し上げるまでもありませんが、恩給はとにかく既に決まった人たちだけであり、対象者がだんだん減っていくし、年金も七十年の一元化を目指してそれぞれ一つの過渡期にあるということでございますから、双方の整合性等を十分ひとつ私ども考えながら、先ほども申し上げましたように、やはり国のために働いた方々に対して生活の保障という立場から支給されるべきものだという理念だけは間違えないように今後処していかなければならぬ、こう思っておる次第でございます。
  62. 大原亨

    大原(亨)委員 最後ですが、山下長官、私はあなたに、あなたは行政管理局長の上部ですから、監督大臣ですから、ですから年金担当大臣を決めるときはめくら判を押さないで、年金担当大臣はどういう職務、権限を持ってやるんだということを閣議決定で中身を明示するか、年金担当大臣の設置法をつくって、年金担当大臣が国民年金や厚生年金の代弁者だけではなしに、日本の年金制度についてはどうするんだということについて、北海道開発庁長官とか沖縄開発庁長官と同じように、ぱんぱんとするようにしないと、年金担当大臣が言いましても、あれは厚生年金の代弁者だとかいうふうなことになるんですよ。今までそうなったので、それで官房長官が調整機能を発揮するということになったのだから。  それと一緒に、私どもは、戦争犠牲者に対する救済ということについては、これは公平で、万遺憾なきを期さなければいかぬ、そういう意味において戦後処理の問題は非常に大切である、あるいは恩給改善問題も大切である。ただしこれはバランス感覚のある公平な制度の中でこの理由をつけていかないと、税金を国民が負担するのですから、国民から見れば納得できないというふうな議論になると思いますから、そういう二つの点を指摘をしておきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  63. 石川要三

    石川委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十五分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十五分開議
  64. 石川要三

    石川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上和久君。
  65. 井上和久

    井上(和)委員 まず初めに、行政改革についてお尋ねをいたしたいと思います。  政府の社会経済情勢の変化に対応した適切かつ合理的な行政の実現をということで、第二次臨調を発足させまして、五次にわたる答申を受け、その答申を達成させるために行革審を設置をいたしました。さらに、行政改革推進の態勢をつくるためにこのほど新行革審をスタートさせたのであります。  臨調答申、行革審あるいは新行革審設置、こういう流れの中にありまして、政府が行ってきた行政改革というものは「増税なき財政再建」を目指しているということでありますが、その点におきまして、我々が知る範囲におきましては、決して骨にまで達するような行政改革とは言いがたいのじゃないのか、こういうふうに思うわけであります。どちらかといえば、やりやすいところを主として進めてきたという感が強いように思うのであります。  そうした中にありまして、国民は、今回発足した新行革審の動向について注視をいたしておるところでございます。新行革審は、いま一度原点に立ち戻って行革の立て直しを図り、行政の体質改善をすべきであると思うのでありますが、総務庁長官の決意とともに、この行政の体質改善対策についてのお考えをまずお伺いをいたしたいと思います。
  66. 山下徳夫

    山下国務大臣 政府は、これまで臨調並びに行軍審の答申を尊重しながら、数回にわたる行革大綱に沿って逐次具体的に方策の推進を行ってきたところでございます。  六十二年度の予算の編成に当たりましても、行政組織あるいは行政事務の整理合理化あるいは国と地方との事務の再配分とか、各般にわたって改革問題に関して取り組んできたところでございます。しかしながら、昨年の行革審の最終答申にも述べられておりますように、いまだ道半ばでございまして、さらに今後諸般の改革については進めていかなければなりません。  そういうことで、政府といたしましては、今後とも臨調、行革審答申を尊重しながら、新行革審における調査、審議の動向等も踏まえて、行政の広範な分野にわたり、その守備範囲あるいは公的規制のあり方等について聖域なき見直しを図ってまいりたいと思っております。
  67. 井上和久

    井上(和)委員 新行革審の大槻会長でありますが、初会合におかれまして、行革はいまだその途上にあり、今後とも強力に推進する必要がある、国民的立場に立って積極的に意見を申し上げたい、このようにごあいさつをなされております。このごあいさつのとおりでありますと、まさに国民的立場に立ってということでありますが、ただ、この大槻さんは、今回の与野党最大の対立と混乱を招きました売上税に対しまして、国民の大多数が反対をした売上税を推進しようとする立場をおとりになった方でございます。そう考えますと、果たしてここに言う国民的立場に立って新行革審を引っ張っていくのかどうかということにつきまして、甚だ疑問を感ずるものでございます。  これまで政府が行った行革というのは、年金、医療、教育など、平たく言いますと比較的改革に対して抵抗の弱い、すなわち弱者に犠牲を強いてきた、こういう感じがするのであります。その一方で、官僚機構の改革や特殊法人の統廃合、補助金の削減など、国民の立場から見るならば、行政に対してこれをやってもらいたい、こういうふうに国民が願う、そこのところにメスが入れられてないというのが現状じゃなかろうかというふうに思うわけであります。高級官僚が役員となって一期四年間就任しただけで二千万円前後の退職金を得て渡り歩くということがいまだに残っております。昨年総務庁がおやりになった調査でもその一部が明らかになっておるのであります。行政のむだや不正の是正、さらに不公平税制の改革を断行するなど、行財政改革はそういうことによって実ってくるわけであると思うのであります。減税もできる、こういうふうに私どもは思うわけでありますが、このことにつきまして、長官の、執念を持ってむだを省き、不正を是正して、不公平税制改革をやっていく、こういう決意をお伺いいたしたいと思います。
  68. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 行政改革につきましては、先生先ほど御指摘のように、臨調、旧行革審、それから新行革審を通じまして、一貫して政府は聖域なき見直しを進めてまいったわけであります。先ほど言われました年金、医療保険のその他の分野につきましても、これは戦後最犬の見直しを行った、こういうことであります。それから、役所の機構あるいは特殊法人につきましても、これは相当大幅な合理化をいたしておるわけであります。  御指摘のありました役所の関係につきまして今とりあえず申し上げますと、臨調で指摘されておりました例えば行政の総合調整機能の強化あるいは中央省庁の統廃合という問題につきまして、これは総理府の大部分と行政管理庁を統合した、戦後初のいわば大統合をなし遂げました総務庁の設置、あるいは総合調整機能の強化としまして内閣官房の組織の再編成、それから、各省庁の内部部局につきまして十省庁二十局に及ぶ再編成、それから、ブロック機関としまして、運輸省の陸運局と海運局の統合とか、郵政省の地方貯金局と地方簡易保険局の地方郵政局への統合とか、こうしたようなブロック機関の大幅な統合を行っております。また、府県単位機関としまして、総務庁の地方行政監察局、大蔵省の財務部等を縮小してこれを事務所にした、あるいは農林の食糧事務所の支所とか営林署とか、その他出先機関につきましては大幅な合理化をいたしておるわけであります。また、特殊法人についてのお尋ねがございましたけれども、これにつきましても相当大幅な改組、縮小をなし遂げておるわけであります。  これにつきまして、今いろいろと御指摘がありましたし、それからまた私どももなお推進すべきものがあるということは認めるわけでありますが、臨調答申指摘の事項につきましては、相当これを忠実にやってきたということについては御理解をいただきたいと思うわけであります。
  69. 井上和久

    井上(和)委員 六十二年度の行革大綱が昨年末に発表になりました。その中に国家公務員の定員管理の一項がございます。そこでは三千四百人余りの定員削減をうたっておるわけでありますが、この計画はどのようになっておりましょうか。
  70. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 政府といたしましては、要するに組織なり定員の合理化を行いますために、御承知のように、組織につきましてはスクラップ・アンド・ビルドの原則でこの拡大を防ぐ、先ほど私、今までの統廃合の実績だけを申し上げましたけれども、これはちょっとつけ加えておきますと、なおこれを私どもは強力に推進していくつもりでおります。  それから、定員につきましては、一方で定員管理計画をつくりまして、これは四十二年以降でありますけれども、各省庁にまず自然減を出させる、その上で今度は特に必要な分については増員を認める、こういうことでもっていわば組織の拡大を抑制をしてまいったわけであります。  今御指摘の昭和六十二年度の定員の問題につきまして申し上げますと、これは昨年八月に第七次定員削減計画を閣議決定をいたしておりますが、この定員削減計画を着実に実施するとともに、真に必要とされる行政需要については所要の増員を行うこととしておるところであります。その結果、省庁によってネット増となるところとネット減となるところがございますけれども、御指摘のとおり、全体として増員、削減の差し引きでネット三千四百三十二人の純減を達成をしたということであります。  なお、ネット減となりました主なものを申し上げますと、農林水産省で二千四百六十人の純減、それから郵政省で千二百二十人の純減、建設省で三百十人の純減、こういうことで、今の行政需要の消長に応じましてできるだけ減員を立ててまいる、このような努力を払っておるわけであります。
  71. 井上和久

    井上(和)委員 大蔵省にお伺いをいたしたいと思います。  三千四百人余りの国家公務員を削減しようということでありますが、そういう中にありまして大蔵省は、売上税導入による国税庁の職員七百四十九人の増員が予定をされておったというか考えられておるわけでありますが、今日、この増員計画というのはどういうふうになっておりますか。また、これに関する予算というのはどのくらいを見込んでおられましたのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  72. 服藤收

    服藤説明員 お答えいたします。  売上税の導入に伴いまして、定員につきましては七百四十九人の増員、内訳は国税庁分が六百人、税関分が百四十九人でございますが、予定されておりまして、それにかかわる人件費等といたしまして七億九千六百万円、国税庁分が六億三千八百万円、税関分が一億五千八百万円、予算に計上されておるわけでございます。  これらの予算を今御審議いただいているわけですが、成立した段階での執行につきましては、売上税関連法案が御案内のとおりの状況で、先般の衆議院議長あっせんに基づきまして設置されることとなりました税制改革に関する協議機関、ここで検討されるということでございますので、その状況を注視してまいるつもりでございます。それを踏まえまして適切に対処していくということで、予算の適正な執行に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  73. 井上和久

    井上(和)委員 ちょっと確認を申し上げたいと思うのですが、売上税が廃止になった場合には、この予算というものは削減をするべきであると思うし、そうなるんじゃないかと思います。そこのところをもう一度はっきりとお教えいただきたいと思います。
  74. 服藤收

    服藤説明員 お答えいたします。  売上税が廃止になった場合の話でございますけれども、これは、当初の予算は一応人件費を含んだところでそのまま成立するわけでございます。それをそのとおり執行していいかどうかという問題がその時点になれば出てくるわけでございまして、そういった事態になったときには、そういったことも考慮に入れて、いずれにしても予算の執行が適正であるように措置をしてまいりたいというふうに考えております。
  75. 井上和久

    井上(和)委員 総務庁にお伺いをいたしますが、各省庁の部局三十二を再編整理する、こういうことでありますが、この具体的なものにつきましてもう少しお教えをいただきたいと思います。  まず、先ほど若干伺いましたが、中央省庁の統廃合というのは六十二年度にはないのかどうか。もし六十二年度にはこれはありませんということでしたら、その理由についてお教えを願いたいと思います。
  76. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 中央省庁の再編成につきまして臨調の答申事項の中で唯一残されておりますものは国土三庁の統合であります。国土庁と北海道開発庁、沖縄開発庁を統合するということが臨調答申にありながら、いまだ実現をいたしていないということであります。  これについて、今どういうふうに一応私ども考えておるかということを申し上げますと、要するに臨調答申は、国土に係る行政体制のあり方につきまして整合的、効率的な行政の展開を図る必要があるとして、国土三庁の企画調整機能の強化のためにこの三つの役所の統合を提言したものということであります。そこで、統合につきましては、北海道、沖縄県はともに地域的特殊性があるということで、当該機関の担当する行政の特殊性にも配慮しながら、各方面の意見を聴取しつつ検討を進めてまいるというのが政府の基本方針としておるところであります。政府としまして、このほかに、臨調答申の趣旨を踏まえまして、ただいま国土開発関係三庁連絡会議を設置しまして、関係行政施策及び計画の円滑な調整と整合的かつ効率的な運営に努めておるところでありまして、先般決定をいたしております六十二行革大綱にありましてもこういう趣旨が述べられておるところであります。  その国土三庁の問題を除きましては臨調答申はすべて実施をいたしておりまして、今年度新たな中央省庁の再編ということについては予定はいたしていないところであります。
  77. 井上和久

    井上(和)委員 次に、恩給法の改正についてでございますが、政府はこれまでの答弁で、恩給国家補償的な性格のものであるということを述べられておりますし、また、その指標といたしまして給与スライド方式をとっているということを明言をされてこられたのであります。ところが、今回政府恩給年額の基本額を一律二%改定する、こういう方針をとられたわけであります。これは、従来の政府方針というものが今回から変わるということであるのかどうか政府方針は変更した、これでいいのかどうか、このことについてお伺いをいたしたいと思います。
  78. 山下徳夫

    山下国務大臣 昭和六十二年度における恩給年額の改定につきましては、公的年金制度改革に関連した恩給制度の見直し結果を踏まえて、恩給国家補償的性格を有するものである等の特殊性を考慮しながら、恩給年額の実質価値を維持する観点から、昭和六十一年における物価の変動、公務員給与の改定その他の諸事情を総合勘案して、二%の改定を行うということにしたものであります。
  79. 井上和久

    井上(和)委員 恩給の改定方式は昭和四十八年から公務員給与改善率にスライドする方式に切りかえまして、さらに五十一年からは公務員給与改善傾向も取り入れた回帰分析方式となって現在まで定着をした、このように認識をいたしておるのであります。     〔委員長退席、戸塚委員長代理着席〕  ところで、昨年の公務員給与改善率は二・三一%でございました。また、物価の上昇率というのが年〇・六%でございました。本年度の恩給改善は給与スライドともまた物価スライドともいえないような一律二%、こういう改善率でございます。このような一律二%の改善というのは、そのような今までの経過からいいまして、いかなるものかという感じがするわけでありますが、この一律二%としたことについての理由をもう一度お伺いをいたしたいと存じます。
  80. 品川卯一

    ○品川政府委員 一律であってなぜ上薄下厚等の措置をとらなかったか。五十一年から御指摘のように回帰分析方式によりまして上薄下厚、いわゆるax+b方式、bの定額が大きければ大きいほど上薄下厚になるわけでございますが、給与の改善の状況をこの算式に反映させまして、上薄下厚措置をとってきたわけでございます。  今回一律にいたしましたのは、いろいろ理由がございますけれども、一つは、上薄下厚の措置をとるための算式を得るには、給与改善をそのまま採用するということでないとその給与の傾向を算式に反映できないわけでございます。二%とした場合にはしからば定額を幾つにするか、合理的な説明のつく算式ができないわけでございます。したがいまして、一律の場合にはそういう技術的な算式を得られないということが一つございます。  また、上薄下厚につきましては、これまでいろいろ最低保障制度、御承知のように普通恩給、扶助料につきましては、長期を四十一年、短期が四十九年、また、公務扶助料につきましては四十八年から最低保障制度を導入してきておりますし、ただいまの五十一年からの回帰分析方式によりまして格差がどんどん縮小してまいってきております。終戦直後におきます大将と兵の格差が十六倍、仮定俸給であったわけでございますが、現在ではこれが六倍に縮まっております。仮定俸給がそのまま年額になるわけではございませんで、最低保障制度というものを設けた上で比較をいたしますと、今軍人の場合、最高が元中将の四百万強でございます。それに対しまして、長期の兵が最低保障によりまして八十九万何がし、約四倍ちょっとの差しかございません。このように格差が非常に縮小してきているということがございます。  それからまた、六十一年度の給与改善が上薄下厚という改善傾向の度合いが非常に低いといったようなこともございます。  以上のような理由によりまして、今回の恩給改定につきましては、二%ではありますが、一律ということでやらせていただいたところでございます。
  81. 井上和久

    井上(和)委員 上薄下厚の件につきましては改めてお伺いしようと思いましたが、答弁の方で先にやっていただきましたので、これにつきまして、まず今御答弁いただきましたように、十六倍だったのが六倍、または実質的には四倍、こういうふうなお話でございますが、これで今後もこういうふうな、現在縮まっているんだからもうこれでいいんですか、それともこれについての努力はもっとされますか。
  82. 品川卯一

    ○品川政府委員 昨年八月から恩給問題懇談会を開催いたしまして、十二月まで十回、いろいろこのバランス問題の御議論をいただいたわけでございます。その中でこの上薄下厚、上下格差問題についてもいろいろ御議論をいただいたわけでございますが、一律というやり方をとった場合においては、やはり給与に比べまして、給与の方は上薄下厚がある程度あればそれが積み重なってまいりますので、やはりある程度の推移した段階においては、その改善傾向を反映してやはり恩給においてもある程度の見直しをする必要があるであろうというような御意見もございました。  公的年金におきましては、五年ごとの財政再計算の際に再評価ということも行われておりますので、そのようなやり方をも勘案しながら、いずれかの段階においては上下格差についてもう一度考えてみたいと考えております。
  83. 井上和久

    井上(和)委員 今回の二%の決定につきましては、昨年の暮れの恩給問題懇談会の意見というのがかなり強く影響をしているというふうに伺ってもおるわけでありますが、この恩給問題懇談会の中ではどのような内容検討なされまして、どういう結論を見たのか、これにつきまして概略で結構ですのでお伺いをいたしたいと思います。
  84. 品川卯一

    ○品川政府委員 臨調、行革審の答申がございまして、バランス検討をしろということでございますが、五十七年に臨調の第三次基本答申がございましてからかなりの年数を経たわけでございます。その間におきまして、前行革審が五十九年、六十年、同じような趣旨の推進答申を行っております。また、昨年六月に、前行革審の最終答申におきまして、恩給について検討検討と続けておったことに対しまして、この検討を急げという最終答申の指摘があったわけでございます。  したがいまして、六十二年度予算が最終的な措置を要する段階ではなかろうかということで、昨年の八月から恩給問題懇談会でいろいろこのバランス問題を検討していただいたわけでございます。  最初に御認識をいただきましたのは、恩給は社会保障、社会保険と違って、国家補償である。したがって、基本的な枠組みを変更することは適当でない。社会保障、社会保険とはその点において基本的な性格が違うのだ。公的年金におかれましては、将来に向かっての展望において大改革が行われまして、例えば基礎年金制度を導入するとか通年方式を導入するとか、共済につきましても新たに同じような統合の方向への大改革が行われたわけでございますが、それとは違って、恩給については基本的性格が違うからそういう枠組みの変更はすべきではないという諸先生方一致した御意見を最初にいただいたわけでございます。  それでは、バランス検討を求められているのに対して何を検討するかということで、一つはスライド問題、毎年の年額改定に当たってのスライド問題、いま一つは恩給以外に多額の所得を持っておられる方についての停止措置、現在野にとっておりますけれども、その措置をさらに強化をするかどうか、この二つの問題について御議論をいろいろいただいたわけでございます。  その詳細の内容につきましては、実はいろいろ難しいあるいは微妙な問題が多々ございます。懇談会は審議会と違うということで報告書は作成しておりません、また、それをまとめてあたかも機関意思を決定したかのごとき、審議会と紛らわしい形でこれを公表するということもまた適当ではない、これは懇談会自体がそうお考えになったところでございます。それを政府もまたしかるべきものと考えまして、これは公表しておりませんので、中身の詳細につきましては差し控えさせていただきますけれども検討した事項は、スライド問題といま一つは多額所得停止問題、この二つの検討結果を踏まえまして、今回の改正法の御審議をお願いしておるところでございます。
  85. 井上和久

    井上(和)委員 臨調や行革審の答申あるいは社会保障制度審議会の中で、恩給についてそれぞれ御意見というか、一つの方向というものが取りざたをされております。  例えば、五十二年の十二月には社会保障制度審議会におきまして、「恩給受給者等についても、基本年金の創設に伴い、それとの調整をはかることが公平上要請される。」あるいは五十七年の七月に臨調の第三次答申で、恩給制度について、「年金制度とのバランスをとるために必要な見直しを行う。」あるいは六十年四月には社会保障制度審議会におきまして、「共済年金制度創設以来の最大の改革を行うに当たっては、いわゆる官民格差の要因となっている恩給制度についても、今回の改正との均衡を考慮し、スライドの在り方その他を含め速やかに不公平を是正する等の措置が望まれる。」また、昨年六月十日の行革審答申におきましても、「恩給制度については、年金制度改正とのバランスを考慮して、必要な見直しを急ぐとともに、引き続き新規の個別改善は行わないこととする。」  これらについてこういうふうな御意見があるわけですが、この御意見につきまして、今後物価スライドを導入する考えはないのか、その点もお伺いをいたしたいと思います。
  86. 品川卯一

    ○品川政府委員 今回二%という率で増額改定を御審議いただいておりますのは、恩給法二条ノ二というのが四十一年に設けられたわけでございますが、その中で、恩給増額改定に当たっては、国民の生活水準、公務員の給与、物価その他の諸事情を総合勘案して必要な措置をとるという旨の規定になっております。  実はこれが設けられました四十年代の当初におきましては、この規定の運用をいかにすべきかといろいろ模索した時期がございます。御承知のように、四十一年、四十二年、三年ぐらいまでは消費水準方式とかあるいは物価方式の時代もございました。当時の恩給審議会の答申に基づきまして、四十四年から四十七年までは、いわゆる恩給審議会方式と言っておりますけれども、物価をベースにいたしまして、物価と給与の差の大掛けを上乗せするといったようなやり方をとった時期もございます。  四十八年以降、御指摘のように給与スライドにしてまいっておるわけでございますが、それはそのときどきの段階におきまして最も適当なやり方は何か恩給法二条ノ二の運用として最も適当なやり方は何かということをいろいろ総合勘案した結果、最近におきましては給与スライドが定着してきているということでございますけれども、臨調、行革審で見直し検討を求められた結果、その検討結果に基づきまして、いわば恩給法二条ノ二の原則に立ち戻ったといいますか、物価に準拠する公的年金方式を物価方式と申しますならば、給与を給与方式ということでありますならば、この恩給法二条ノ二の文言に即した総合勘案方式、これを総合勘案方式と言って差し支えないだろうと思いますが、総合勘案方式を今回とったということで、今後も同じような考え方で対処してまいりたいと考えておりますので、当然のことながら、当然物価方式、当然給与スライド方式ということではないのでございます。その点の御理解を賜りたいのであります。
  87. 井上和久

    井上(和)委員 政府は今後、共済年金、厚生年金あるいは国民年金等をもちまして公的な年金の一元化を昭和七十年までに進めよう、こういうふうに言われておるわけでありますが、こういうふうな一元化の中にありまして、恩給がどういうふうな位置を占めて、どのような立場にあるものなのかこれにつきまして総務庁長官の御意見を承りたいと思います。
  88. 品川卯一

    ○品川政府委員 先ほど、恩給は基本的な性格において公的年金とは違うという御認識をまず懇談会においていただいた上、それを踏まえて検討した結果を今回の措置として御提案申し上げているとお答えしたわけでございまして、将来の展望におきまして恩給公的年金一元化の中に入っていくということは全く考えていないところでございます。
  89. 井上和久

    井上(和)委員 旧軍人及びその遺族に対する恩給制度が再発足をしまして既に三十五年近くになるわけでありますが、現在でも受給の申請を出される方が後を絶たない、こういうふうに理解をいたしております。  そこで、お尋ねをいたしたいと思いますが、一年間で新たな申請というのがどのくらい出されておるのかこれを三年間くらいさかのぼってお教えを願いたいと思います。未救済という言葉が以前議事録に載ったと思いますが……。
  90. 品川卯一

    ○品川政府委員 お答えいたします。  過去三年間の恩給種別ごとの受け付け状況でございますが、五十九年度におきましては、旧軍人、一般文官含めましてトータル十万九千五百六十六件の受け付けを行っております。六十年度は九万八千三百五十六件でございます。六十一年度が八万五千三十八件でございます。
  91. 井上和久

    井上(和)委員 このようにいまだに申請者が後を絶たないということであります。これにつきましていろいろな理由があるのだろうと思うわけでありますが、受給資格がありながら現在その中へ入っていないということは大変問題だというふうに思います。欠格者におかれましても何とかというふうな意見も非常に強いものがある中にありまして、現実に資格がありながらそれを受給されていないということは大変問題だというふうに思うのです。  それで、この恩給法の改正等に当たりましては官報で公示をされるわけでありますが、これがなかなか国民の皆さんに周知徹底をしていないということが現実にあるんじゃないかというふうに思います。昨年の衆議院の公職選挙法の改正で定数是正という問題がございましたが、あのときに官報による公示の日時について問題になりまして、それでもってマスコミがこれを取り上げたことがありましたが、あの時点で官報というものを初めて知ったという人が何人かいたように思うわけであります。そういうふうなことでありますから、恩給法の改正等がまた官報に公示されたとしても、皆さん方それを見る機会も少ない。でありましょうし、ついついそれで未救済の方々がふえていくというのが私は現実の姿ではないかというふうに思うわけでございます。  この点につきましてまずお伺いをいたしておきたいと思うのですが、この新しい制度、あるいは恩給だけじゃなくても結構なんですが、いろいろなことを国民に周知徹底する場合に広報活動というのをなさっておられると思いますけれども、まず恩給制度についての広報活動をどういうふうにされておられるか、広報版だけじゃないんだろうと思うのですけれども、この辺について……。
  92. 品川卯一

    ○品川政府委員 恩給のうち、旧軍人関係でございますと、陸軍は各県が本属庁でございます。海軍は厚生省援護局でございますが、陸軍の件もまた援護局に集まっております。また、文官につきましては各省庁が本属庁でございます。これらの本属庁が、どういう方がどういう経歴を持って、資格があるかないか、恩給を請求する権利があるかないか 一番詳しい把握をされておるわけでございます。  従来、このような本属庁の御協力を得まして、該当者がいらっしゃれば早期に申請をお願いされるように御協力方をお願いしていると同時に、恩給局自体におきましてもいろいろな努力を続けているところでございます。これまでも新聞とかラジオ、政府刊行物等の各種の広報媒体がございまして、これらを通じていろいろ努力を続けておりますけれども、都道府県や市町村あるいは恩給関係の各団体、御承知のように恩給団体は、一般の文官関係でございますと退職公務員連盟、戦没者の方でございますと遺族会、傷痕軍人の方は傷痕軍人会、それから元気な軍人の方は軍恩、これらの団体も相当活発な活動をされておりますので、そういうような各団体にお願いいたしまして、県、市町村の広報紙、四団体の広報紙といったところにPRの解説版、告知版をいろいろ記事を載せていただきまして周知を図っているところであります。また、毎年最近の時期でございますけれども、各ブロック段階におきましてブロック会議を開催いたしまして、各県における担当の方々に対しましていろいろなお願いかたがたPRを兼ねた周知徹底も図っているところでございます。今後ともそういった面について努力をしてまいりたいと考えております。
  93. 井上和久

    井上(和)委員 もちろん努力をされておると思いますが、ただ、今までもよく言われますように、役所仕事という言葉がありまして、それは事務的であるとか冷たいとかいうふうなことが含まれるような言葉でありますが、そういうことからいいましても、特に恩給問題等につきましては温かい接し方が大事であろうと私は思うわけであります。そういうことを踏まえまして、権利のある人の掘り起こしということについてもっと積極的におやりいただきたいと思うわけであります。  ただいまもお話がありましたように、海軍の履歴原票、陸軍の兵籍簿、こういうものがそれぞれ厚生省あるいは総務庁の所管になっておるのだと思いますけれども、保管をされておるわけでありますから、やろうと思えばできないことはないのじゃないか、これが私の意見でございます。これはやろうとしてもどうしてもできないものなのかどうなのか大変ではあろうと思うのですけれども、その点についてお教えいただきたいと思います。     〔戸塚委員長代理退席、委員長着席〕
  94. 村瀬松雄

    ○村瀬説明員 恩給法は制度的に請求主義をとっておりまして、この制度を知らないために請求することができないという方たちに対しまして、これまで総務庁恩給局の要望によりまして、厚生省援護局といたしましても各都道府県の会議などいろいろの機会をとらえましてPR方に努力をいたしてきております。今後におきましても、このような機会をとらえましてさらに御要望に沿えるように努力をいたしてまいりたいと思っております。
  95. 井上和久

    井上(和)委員 PRももちろん大事なんですけれども、具体的に言いますと、例えば履歴原票あるいは兵籍簿なんかを見まして、それでもってあなたはこうこうこういうことですから対象者になっていますよというはがきを一本個人的に差し上げる、それができると広報もPRもあったものじゃなくてそのとおりぴしゃっといくのじゃないかというふうに私は思うわけです。もちろん、私そういうことにつきまして余り詳しく知らないのでありますが、ただ、考えましたらそういうふうになるのじゃないかなという気がするわけでありまして、そういうことは到底無理だということなのか。今のお話ですと、申請主義ですからということでありましたが、言えば、言ってこない方が悪いのだというわけでありまして、それですと、告知はきちっとしてある、だから言ってこない方が悪いのだからしようがありませんというのじゃ余りにも味気ないのじゃないのかなという気がするわけなんです。それで、例えば一人一人におはがきでも出してあげるようなことなどは不可能なのかどうなのか、そのことをお伺いをいたしたいと思います。
  96. 村瀬松雄

    ○村瀬説明員 ただいま御説明いたしましたとおり、PRにつきましては、あらゆる会議なり関係団体の打ち合わせ会議なりそういうところに参りまして、十分に先生のおっしゃるような御趣旨よくわかりましてPRをいたしてきておるところでございます。
  97. 井上和久

    井上(和)委員 それでは次に行きたいと思います。  春闘の件ですが、六%ないしはそれ以上ということを目標といたしまして、急激な円高、深刻な雇用不安あるいは消費者物価上昇率の鎮静化という、労働側にとってはまさに史上最悪という環境下で展開をされたと言われておりますこの春闘の結果でありますが、名目で三・四%程度であろうか、こういうふうに聞いております。  そこで、既に人事院では従来どおり民間の給与実態調査の作業に入っておられると思いますので、人事院総裁にお伺いをいたします。  一体ことしの官民の給与較差というのはどの程度の数値になるとお考えなのでしょうかこれにつきましてお教えを願いたいと思うのですが、細かい数字があれでしたら、総裁の個人的な見解でも構いません。まずお伺いをいたしたいと思います。
  98. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 民間の給与の改定状況につきましては、人事院におきましてもかねがね関心を持っておりまして、その動きを注視しております。  ことしの春闘の妥結状況といいますか、中間報告になりますけれども、国民春闘共闘会議というのがございますが、そこがまとめた数字では、五月八日現在ですが、昨年の四・七%に対してことしは三・七一%。日経連がまとめたものでは、これは五月十一日現在ですが、主要企業で昨年の四・四七に対しましてことしは三・四七、中小企業では昨年の四・三六に対して三・二二ということでございますので、まあ一%内外ダウンしておるということでございます。  この民間の賃上げ率というのが人事院の給与勧告率にどのように影響があるかというのは、それぞれ官民給与水準が異なりますしアップ率の算定方式も異なりますので、にわかに結論を出すわけにまいりませんけれども、昨年よりも低いということになりますと、昨年の人事院勧告が二・三一でございますからそれよりも相当低くなるなということじゃないかと思いますが、現在、民間の給与の実態調査中でございますので、そのことにつきましては現在のところ確たる御説明は申し上げかねる状況でございます。
  99. 井上和久

    井上(和)委員 まだ春闘が終わったわけでもないですし、人勧の率というものがわからないということでもありますから、はっきりしたことが出ないというのも仕方がないかと思います。  ただ、勧告を行う行わないという場合の基準、それについてはどのようにお考えなんでしょうか。極端に言いますと、例えば一%でもするとか、それだったらもう勧告はしないとかいろいろあるんじゃなかろうかと思いますので……。
  100. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、現在民間の給与の実態調査の途中でございますし、その結果も出ておりませんので、勧告に臨む基本方針については、現在、人事院の方が何らかの方針を持っているわけではございません。  ただ、一般論として御説明申し上げますと、給与を決定するときに考慮すべき諸要素というのがございます。公務員給与の場合では、民間給与の改定状況とかあるいは物価の状況とか、そういうものを私たちは現在正確に把握いたしまして、把握した結果、慎重に検討いたしまして結論を出すわけでございますけれども、その際には、給与勧告制度というのが労働三権の制約の代償措置であるという、その給与勧告制度の趣旨をも踏まえて結論を出していきたいと考えております。
  101. 井上和久

    井上(和)委員 人事院の勧告の取り扱いにつきましては、ここ数年来、政府の財政事情を理由に実施時期をおくらせたりあるいは勧告率を抑えたり、さらには給与改定の見送りなどがございまして、不完全実施が続きまして、やっと昨年度完全実施にたどり着いた、こういう経緯がございます。このようなことが将来においていつまた繰り返されるかわからない、こういうように考えますと、これは大変な問題であろうというふうに思うわけでありまして、人事院から給与改定の勧告が出された場合に、給与の担当大臣としてどのように勧告を取り扱うお考えなのかを長官にお伺いをいたしたいと思います。
  102. 山下徳夫

    山下国務大臣 御案内のとおり、人事院の勧告というのは公務員の労働基本権の制約に対する代償措置の一つであります。申すまでもなく、団結権であるとか団交権であるとか争議権、これは公務員の性格上禁止されておる、それに対する一つの代償措置でありますから、仮に今年度の予算が苦しいからやらなくていいよなんというような考えは毛頭持っておりません。給与担当大臣の基本的な姿勢としては、これはやはり完全に実施すべきである、こういう考え方で今後とも臨んでまいりたいと思っております。
  103. 井上和久

    井上(和)委員 このほど、人事院の生涯給与問題研究会が国家公務員と民間人の生涯収入の比較に取り組んでこられまして最終報告書をまとめられたわけでありますが、人事院総裁にその概要をお聞かせ願いたいと思います。
  104. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 概要ということでございますので、三点について御説明を申し上げておきたいと思います。  生涯給与ということでございますと、在職中に受ける給与、そして退職するときに受ける退職手当と退職後受ける年金というのを生涯給与と従来呼んできておるわけでございます。  まず、その在職中受ける給与でございますが、在職中受ける給与につきましては、民間の場合には、労働者が一番多い製造業につきまして、管理、事務、技術関係の男子職員につきまして年齢別平均給与額をそれぞれ出しまして、それを積み上げて計算する。そして公務員の場合には、行政職(一)適用職員について年齢別平均給与を出して積み上げて計算していくということを行いました。その結果、高校卒、大学卒につきましても、かつて日経連からいろいろ御批判がございましたように、官が民に対して高いという結果はその限りにおいては出てこなかったということでございます。  第二点でございますが、退職手当でございますけれども、退職手当につきましては官民それぞれおおむね均衡しておるという結論でございます。  第三点の年金でございますけれども、年金につきましては、六十年の秋の臨時国会でいろいろ御議論いただきまして制度改正が行われました。その結果、公務員については職域年金部分というのが設けられておりますが、それがあることによりまして、年金につきましては官の方がその部分だけ高くなる、そういう結論でございます。  ただ、この生涯給与の問題につきましては、現在存在する資料というのがなかなか限られておりますので、特に民間については限られておりますので、正確な比較というのは難しゅうございました。私たちの方ではできるだけ研究会の指示に従いまして資料を収集し、研究会の便宜のためにいろいろ努力をしたわけでございますけれども、資料の関係でなかなか正確な比較ができなかったということを御理解いただきたいと思います。  そして最後に、先生にひとつよくよく御了解いただきたいのですけれども、生涯給与という場合には、三者を合算して、その合算したもの同士を比較するということが従来論ぜられておりましたけれども、この研究会の報告では、三者それぞれの性格も違う、その趣旨も異なる、そしてまたそれを受ける年代、世代も異なるということで、それを合算して比較するというのではなくして、それぞれに応じた比較をすべきであるという結論が出されております。これは臨調の結論と同じでありますけれども、そういうような研究会の報告をちょうだいしたわけでございます。
  105. 井上和久

    井上(和)委員 今御答弁いただいたとおりであろうと思うのでありますが、特に、言われました日経連の労働問題研究委員会が五十二年以来ずっと調査を行い、その結果として官高民低であるというような言い方を発表されておるわけであります。私どもとしましても、人事院の研究会が日経連がやったことと同じことをやって違う結果が出る、しかも反対なのが出るということは、もちろん資料、データをどういうふうなものをどうつかまれたかということによって変わるのだろうと思いますけれども、そういう国民的な給料、所得の問題、大変な問題だと思うのですが、このことについて話し合いというか、どちらかでそのデータでは不完全じゃないかというような話が起こってしかるべき筋合いじゃないのかなという気がするわけなのです。こういう点については、同じことについて調べてどうしてこんなに全然反対の結果が出るようなことになるのかこのあたりが非常にわかりにくいのです。
  106. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 今先生が御疑念を表明されましたが、そういうために、私たちの研究会におきましては日経連からも代表者に委員に入っていただきまして、その研究会の場でよくよく議論をしていただきました。  どうしてそういうふうに違うのかということは、日経連タイムスというのがございますが、五月十三日付の日経連タイムスの言葉を引用して申し上げますと、違う理由は二つある。一つは、日経連が批判したときに使った資料の作成時点、そして今回の研究会が使った資料の作成時点というのが時期的に相当大きな違いがある。日経連の場合には五十二年から五十六年あたりにかけていろいろ推計されたわけですが、そのときに使った資料と我々が今回の研究会で使った資料とは作成時点が違う。そしてその作成期間の間に退職手当と年金については制度改正が行われた。しかもその制度改正は民間寄りの制度改正が行われたということで、日経連の話では、年金と退職手当についてはほぼ我々も納得できる改正が行われたというふうに書いております。  第二点の在職中における給与の話でございますけれども、日経連の方はモデルを使って計算をなさった。今回の研究会の場合には、モデルではなくして先ほど御説明申し上げましたように年齢別平均給与というものを積み上げて計算したということでございまして、モデルによる計算か実額計算がということの違いが出てくる。  その二つの点において日経連の方の推計と今回の研究会の推計の差があるのではないかというふうに私たちは考えておりますし、先生にもそのように御理解いただいていいのではないかと思います。
  107. 井上和久

    井上(和)委員 それでは、これから新行革審の課題の一つでもございます情報公開につきまして若干お尋ねしたいと思います。したがいまして、関係のない方はお引き取りいただいて結構でございます。  それでは、まず情報公開法の制定、個人情報保護法の制定あるいはオンブズマン制度の実現など、こういうふうなものが行革審の課題の中でも大きな部分を占めるかとも思うわけでございますが、この課題につきまして現時点においてどういうふうな検討をされておるのか、お伺いをしたいと思います。
  108. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 今おっしゃいました三つの課題は、いずれも臨調それから旧行革審においても指摘されておる事項でございます。政府といたしましては、それに従いまして諸般の検討を進めておるところでございます。  そこで、新行革審においてこうしたような問題が取り上げられるかどうかにつきましては、これは新行革審の所掌事務が臨調、旧行革審の答申、意見に係る政府の施策につきまして審議を行うということでありますので、こうしたような課題につきましても当然新行革審の課題の中には入っておるわけでございます。  ただ、新行革審としては、この四月二十一日に第一回会合を開いて発足をいたしまして、ただいま関係省庁から諸般の行革の施策につきましてヒアリングを開始したばかりでありまして、そのあたりのヒアリングを行いました上で審議会としての今後検討すべき課題について検討が行われるということでありますので、これが直ちに取り上げられるかどうか、行革審の場で本格的な論議が行われるかどうか今のところはちょっと推測ができないという段階でありますことを御理解賜りたいと思います。ただ、課題としては当然のことながら行革審の所掌事務の中に入っておるということは今おっしゃったとおりであります。
  109. 井上和久

    井上(和)委員 今御答弁いただいた内容を伺っていましても、私自身考えまして、情報化ということは緒についたばかりであるということですけれども、かなり決意を新たにして取り組まなければならない問題じゃないかなという気がするわけでございます。社会的な、時代的な流れというものからいいましても大変でありますし、またOA、情報化の進展、行政の情報化ということは大変な問題だと私は思うわけなんです。経済あるいは人間、文化、こういうふうな国際化の中にありましてもこれは重要な政治課題であると思うわけでありまして、どうもちょっと弱いのじゃないかという気がいたしますが、総務庁長官、どうでしょう。
  110. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 課題につきましての認識は、実は先生と共通をいたしておるわけであります。そういう趣旨で臨調にありましてもこの問題に一項目を割きまして、今の情報化の進展に対応して、特に個人情報の保護の問題、OA化の問題あるいは情報の公開の仕組みの問題、こうしたものにつきまして諸般の検討を進めるようにと提言されておるわけであります。そういう問題意識を持って今度の行革審でも当然に政府側の現在の対応状況をヒアリングされて、これにつきまして検討が行われることになろうかと思います。
  111. 井上和久

    井上(和)委員 現在、各省庁におきます電子計算機の主要な適用業務というものはどのようになっておるのか、お伺いをいたします。
  112. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 行政機関の電子計算機の利用につきましては、昭和三十二年に開始されておりまして、これは実は国勢調査と天気予報の数値予報に利用したわけでありますが、その後、行政事務処理の効率化、高度化の観点から順次拡大をしてまいっておるわけであります。  その重立った適用業務を申し上げますと、一番早かったのが給与だとか共済だとか人事等の管理事務でありましたけれども、そのほか警察庁で運転者管理とか厚生省で社会保険の関係、あるいは運輸省で車検登録の関係、郵政省で貯金、簡易保険の関係、あるいは労働省で雇用保険とか職業紹介といったように、各省庁の大変多くの分野につきましてこれが適用をされてきております。さらに、最近では情報のデータベース化等、電子計算機利用の技術の進展に伴いまして、行政施策の企画立案等のための情報検索など、情報処理の高度化が順次進んでおるというのが現段階でございます。
  113. 井上和久

    井上(和)委員 総務庁の分につきまして、電子計算機の主要業務ですね、これをどのようにシステム化をされているのかお伺いをいたしたいと思います。
  114. 古橋源六郎

    ○古橋政府委員 総務庁におきましては、従来から事務の合理化であるとか迅速化であるとかあるいは高度化という観点から、積極的に電子計算機の利用を図ってきたところでございます。  総務庁におきましては二つの考え方がございまして、一つは各省に共通するもの、共同利用という観点から、九段の方におきまして法令検索であるとか国会の会議録であるとかそういうようなものについて共通に使っております電子計算機、これは各省で共通に使っております。  それからもう一つは、私どもの固有の事務につきまして電子計算機を使っておりますけれども、それは各種の業務資料等の処理、検索でございまして、例えば管理局でありますと定員管理の資料であるとかあるいは監察局でございますと許認可の関係の情報検索であるとか、そういうようなものがございます。それから、今管理局長から申し上げましたように、総務庁職員の給与とか共済事務の処理、こういうもの、それから統計局がございますので、その統計局で、国勢調査であるとかあるいは労働力調査であるとかそういう統計関係の集計に使っております。それからもう一つ、恩給局におきましては、恩給の計算でございますとかあるいは恩給の証書の発行、こういうようなものにつきまして電子計算機を使用いたしておるわけでございます。
  115. 井上和久

    井上(和)委員 行政府内の情報化ということは各省庁において自主的になされている面が多いというふうに思うわけでありますが、一方、全省庁にまたがる相互システム化も当然これは時代の要請であるというふうに思うわけであります。この相互システム化の作業ですね、ネットワークあるいはトップダウン的なプログラム作成、こういうことにつきまして総務庁ではどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
  116. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 おっしゃいますように、政府全体としての情報化が今進展をいたしておるわけであります。そこで、臨調でもそうしたものの全省庁的ないわば調整の問題が指摘をされておるわけであります。総務庁としましては、それを受けまして、各省庁の連絡会議をいろいろとつくっておりますけれども、その連絡会議を通じまして、毎年の行政改革大綱におきましてもこの各省庁の情報の処理の効率化を推進をするということを述べておるわけであります。  具体的に申しますと、総務庁としましては、各省庁が保有する磁気データの省庁間相互利用の推進を図るため、各省庁保有磁気データに関する省庁間利用要領を策定するとともに、各省庁において統一的なデータの提供窓口の整備を図っておるというのが実績としてございます。  今後とも、この行政情報の相互利用をさらに推進するために、行政情報のデータベース化の推進、それから行政情報の所在案内機能の整備等を逐次検討し、これを推進してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  117. 井上和久

    井上(和)委員 去る六十一年の十二月二十一日に、行政機関における個人情報の保護に関する研究会というのが個人情報、プライバシーですね、この保護のあり方に関する報告書を発表いたしました。プライバシー保護法の制定を提言をしておるわけでありますが、これにつきまして総務庁長官に、この報告書の骨子は何なのかということについてお伺いをいたします。
  118. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 今御指摘の研究会の報告は、経緯といたしまして、これも昭和五十八年三月の臨調の最終答申におきまして、個人データ保護に係る制度的方策について、法的措置を含めて積極的に対応せよということが指摘をされた経緯があるわけであります。政府としましては、これにつきましての方針を取りまとめるべく検討を進めてまいったわけでありますけれども、その一環として、昭和六十年七月から昨年十二月まで、行政機関における個人情報の保護に関する研究会を開催してまいったわけであります。その結果を昨年十二月に総務庁行政管理局において整理をして公表したものが、御指摘の「行政機関における個人情報の保護対策の在り方について」でございます。  そこで、議論概要といいますかその要旨を申し上げますと、次のとおりでありまして、まず第一に、個人情報の保護対策の考え方でありますけれども、個人情報保護対策の基本的考え方として、電子計算機処理の特性等からくる国民の不安感だとか権利利益の侵害のおそれ、それから、諸外国の動向等に対応するため、行政機関等の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護対策の基本的事項を定めた新規立法の制定が必要であるということがまず第一点であります。  そこで、その法律案におけるところの保護対策の対象範囲でありますけれども、保護対策の対象範囲としては、国の行政機関等における電子計算機処理に係る個人情報を対象とする。しかしながら、統計調査、医療、教育などの特殊な分野の個人情報の扱いは別途検討をすべきである、このような指摘がございます。  また、地方公共団体の保護対策も、国の対策と基本的事項については統一性の確保が必要である、このように言われております。  それから、保護対策の内容でありますけれども、具体的に申しますと、行政機関等が個人情報ファイルを設置する場合は、法の統一性を確保するための機能を有する機関に対して事前に通知することを義務づけるとともに、ファイル名、それから収集・蓄積目的等を官報により公示することとする。  また、個人情報を利用・提供する場合は、収集・蓄積目的に沿った利用・提供を基本として、さらには維持管理、個人情報処理の委託等を適正に行うための所要の措置を講ずべきであるというふうな指摘がございます。  また、国民に対しては、自己情報の開示の請求権や訂正の申し立ての機会の付与等を認めることといたしているわけであります。  以上がこの研究会の議論概要でございます。
  119. 井上和久

    井上(和)委員 今申されましたように、法的な措置を講ずる方向ということで具体的に検討するということだと思いますが、これの立法化につきまして具体的なことをどういうふうに進めていかれるのかをお伺いいたしたいと思うのです。  特に、来月ベネチアでサミットが開催をされますが、この個人情報の保護法が制定をされていないのは、この参加国の中で日本とイタリアだけである、こういうふうに言われております。これから見ましてもこの立ちおくれというのは明らかであると思いますので、これに対しまして速やかな立法化の対応が望まれると思います。したがいまして、時間的な意味からいいまして、これの年内の法制化は可能であるかどうかこういうふうにお伺いをいたしたいと思います。
  120. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 今申しました研究会の議論を振り返りまして、実は昨年十二月に閣議決定しました六十二年行革大綱の中で、「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護の制度的方策については、法的措置を講ずる方向で、そのための具体的検討を行う。」という閣議決定をいたしたわけであります。したがいまして、政府としては、一方そういうことで各省庁とも意識を共通にして一歩前進をいたしたわけであります。  そこで、これからの法的措置の準備でありますけれども、行政機関における個人情報の保護対策というのは、我が国にとりまして全く新しい分野の問題なのであります。すなわち、個人情報の取り扱いについて行政の各分野に共通する新しい仕組みを構築しようとするというものでありますだけに、それ相応の検討が必要になってまいるわけであります。また、統計情報や医療及び教育情報の取り扱いなど、専門的見地から関係省庁で別途検討すべき分野もありますので、相当広範な検討が必要であろうと思います。  したがいまして、現在既に私どもの方でも諸般の検討の準備を一応進めておるわけでありますが、立法化の時期がいつかということについては、今なおお答えできる段階にないということについては御理解を賜りたいと存ずるわけであります。いろいろと勉強いたしておるというのが現段階でございます。
  121. 井上和久

    井上(和)委員 プライバシーの権利というのは、自分に関する情報の流れをコントロールする権利である、こういうふうに一般に言われておるところでありまして、本人の同意取りつけと、まずは本人への公開がプライバシーの権利における基本的な事項、こういうふうに思うわけでありますが、プライバシーの権利についてどのようにお考えでしょうか。
  122. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 このプライバシーという概念は、御承知のように大変いろいろな概念があるわけであります。昔から言われておりますのは、例えば個人をそっとしておいてもらう権利というふうなことが言われておる、これが古典的な解釈であろうかと思います。  ただ、今問題になっておりますいわば情報処理におけるところのプライバシーという問題は、これは個人の情報がむやみに歪曲して使われないということを何とかして担保をいたしたいということで従来議論が進んできた問題でありまして、例えば、既にプライバシー保護法制を持っております各国にありましては、おっしゃるように個人情報を自己がコントロールする権利というふうなことで言われている場合がしばしばございます。ただ、これは、今申しましたように、情報化、電子計算機処理に伴って発生した問題でありますから、そういうものとして固定しておるかと言われれば必ずしもそうでもないと思いますが、いずれにしても、個人が自己の情報の閲覧をある程度認めるというふうなことで、これから私どもとしても検討を行うに当たって考えていくべきではなかろうか、このように思っておるわけであります。
  123. 井上和久

    井上(和)委員 今、自分に関する情報の流れをコントロールする権利である、これについてはそのとおりであるとお認めいただけたというふうに思っておるわけであります。  最近、民間の金融システムセンターというのがプライバシー侵害の不安を解消する策といたしまして「金融機関等における個人データ保護のための取扱い指針」というのをつくり、本人からの開示請求にはできる限り応じていくようなことを関係業者に呼びかけておるのは御案内のとおりと思うのですが、こういうふうにこの動きというものが民間において起こっております。また、六十年七月の総理府の世論調査でも、個人情報の保護対策が必要である、こう答えた人が七五・七%、こういうふうにおるわけでありますが、この状態から見ましても、もう立法化ということは議論をする段階から既に進んでいるのじゃないか、民間の動きを見ましても、また国民の意識というものもそういうふうになっているのじゃないか、こういうふうに私は思うわけでありますが、これについてもう一度。
  124. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 いろいろな問題がこの問題についてはあります。まず第一に、現在まで私どもは行政機関のコンピューター処理につきましてある程度の調整を行っておるわけであります。これは行政運営の相互調整という観点から調整を行っているわけでありますけれども、具体的にコンピューター処理で実害が起こった場合が今までどの程度あるかということにつきましては、これは人によって見方が違う部分があるにしても、具体的には今のところまだ発生をしてないという部分があるわけであります。しかしながら、コンピュータ処理はどんどん進んでおる。それだけに、予防的見地からこれにつきまして法的な措置検討する必要があるというのが私どもの現在の立場であります。その意味で先ほどもお答えをしたわけでありますが、昨年末に決定をされました六十二年行革大綱におきまして、「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護の制度的方策については、法的措置を講ずる方向で、そのための具体的検討を行う。」ということを規定をし、政府全体として一歩前進をしよう、こういうふうにいたしておるわけであります。  なお、今民間の事例につきましてのお話がございましたが、これにつきましても同じ閣議決定で述べておりますが、「なお、民間企業等の保有する個人情報の保護についても、それぞれの関係省庁において所要の連絡調整を図りつつ、引き続き検討を進める。」このようにいたしておるわけであります。政府全体としましてこれからもこういう閣議決定の方向に沿ってできるだけ速やかに検討を進めてまいりたい、このように考えておるわけであります。
  125. 井上和久

    井上(和)委員 次に、共同利用施設の問題についてお尋ねをいたします。  総務庁が設置、管理をしておられます電子計算機共同利用施設の現況についてでございますが、特にこの中におきましてお伺いをしておきたいのは、この共同利用施設の種類が幾つかあるわけでありますが、一の事項区分、あるいは二の登録キーワード、三の書誌的事項、この三つがあるわけでありまして、これについて、どのようにこれが利用でき、また各省庁はこれをどのように利用しているのかという実態についてお尋ねいたします。
  126. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 この電子計算機の共同利用施設も実は私ども行政管理局が所管をいたしておりますので、大体の概要についてお答えをいたしたいと存じます。  この電子計算機共同利用施設といいますのは、各省庁の事務の合理化を行いますために昭和五十三年の四月から運用を開始しておるわけであります。したがって、現段階まだ九年程度でありますから、発展途上にあるということが言えるかと思います。  この施設の主要業務といたしましては、まず第一に、法令検索とか国会会議録検索など、各省庁の共通する情報の検索システムを開発運用をいたしておるわけであります。これが第一点であります。  それから第二に、電子計算機を導入していない省庁等におきましての給与計算処理などの共通事務処理システムを開発運用いたしておるわけであります。  第三点は、行政機関における電子計算機の基幹要員等を養成するための情報システムの統一研修をいたしておるわけであります。この三つの業務を主たる業務として現在運用をいたしておるということでございます。  なお、各省庁との法令検索あるいは国会会議録等の検索システムにつきましてはオンラインで結びまして、それぞれの業務の効率的な実施を図っておるわけでありますけれども、オンラインの端末機について申し上げますと、利用件数の多い省庁から計画的に設置しておりまして、昭和六十二年四月現在で十一省庁二十四台が設置され、これを活用いたしておるというのが今の実態でございます。
  127. 井上和久

    井上(和)委員 この一の事項区分、これは十九の分野に分かれておる、こういうふうに言われておるわけでありますが、この入力事例の最も多いところはどこでしょう。
  128. 片岡勒

    ○片岡説明員 細かなことでございますので私からお答えさせていただきますが、先生がおっしゃったのはたしか国会会議録の分野の問題ではなかろうかと思います。  国会会議録は今のところ十九分野の開発を行いつつございます。その各分野ごとの利用件数は今把握しておりませんが、全体の利用件数は、六十一年で国会会議録の利用件数が三千百三十一件、ちなみに六十年度は二千七百七十六件ということで、次第にふえてきております。  さらに、この共通検索システムの中で法令検索システムというのがございますが、その利用件数を御参考までに申し上げますと、六十一年度で約二万五千件、ちなみに六十年度は二万件と、その利用は急速に伸びつつある状況でございます。
  129. 井上和久

    井上(和)委員 大変申しわけないのですが、ちょっともう一つだけ聞かせてください。  この書誌的事項の中に人名という項目があるのですが、これには国会議員の名前が全部入っているかどうかということですね。  それとついでに、閣議の情報検索システムというのは、これはいつからサービスを開始したかということ。この二つをまずちょっと教えてください。
  130. 片岡勒

    ○片岡説明員 結論から申しますと、入っております。議員の先生方の事項で検索することができます。  開始でございますですね。これオンラインでサービスいたしておりますのは六十年度からでございますが、それ以前から、バッチ処理と申しまして、一括処理と申しますかいわば足を運んで利用するというような利用の仕方はずっと以前の五十四年ぐらいから既に開始いたしております。
  131. 井上和久

    井上(和)委員 もう時間が参りましたので、これで終わりたいと思うわけでありますが、特に情報の公開の問題につきましては今後の新しい段階を迎えての重要な事項ではないかと思われるわけでありまして、個人のプライバシーが守られるということも大事でありますし、逆に行政の中の機密がより多くの方々に知られるということも大事なことだというふうに思いますので、これにつきましても今後しっかり取り組んでいただきたい、こう思います。  以上で終わります。
  132. 石川要三

    石川委員長 川端達夫君。
  133. 川端達夫

    ○川端委員 時間が限られておりますので、端的にお伺いをしたいと思います。  初めに、今回提案をされた恩給法等の一部を改正する法律案についてお伺いをしたいと思います。  まず初めに、恩給年額増額に関してでございますが、「仮定俸給年額を、昭和六十二年四月分以降、二%引き上げる」、こういうふうな内容になっております。昨年までのここ数年間続いております仮定俸給年額の引き上げの際には、例えば六十年度でございますと、「昭和五十九年度の国家公務員給与改善(行政職俸給表(一)の平均改善率三・三%)を基礎として、恩給年額の計算基礎となる仮定俸給年額を、昭和六十年四月分以降、」云々、あるいは昨年、昭和六十一年度ですと、「昭和六十年度の国家公務員給与改善(行政職俸給。表(一)の平均改善率五・二%)を基礎として、恩給年額の計算基礎となる仮定俸給年額を、昭和六十一年七月分以降、」こういうふうな表現で改定をされているという意味では、率それから時期ともに明らかに前年度の国家公務員の給与水準の改定と密接に連動している、給与スライドしているというふうに考えられるわけですが、確認のために、昨年までの引き上げ率の算定の根拠をお知らせいただきたいと思います。
  134. 品川卯一

    ○品川政府委員 四十八年以降昨年までは、公務員給与にスライドしてまいっております。部分的に若干の数字の違いはございますが、それは、例えば五十七年度は公務員給与が凍結されれば五十八年度の恩給は同じように凍結するとかといったような途中の事情はございますけれども、原則、公務員給与の率に合わせた措置を行っております。
  135. 川端達夫

    ○川端委員 それに引きかえて今年度は、前年度の国家公務員の給与水準改定が、前年度と同じような数字でいいますと行政職俸給表(一)の平均改善率が二・三%に対して、いえば二%となっている。そして表現的にも、前年までそういう明記をしていた分が明らかに欠落をした形で提案をされているわけですけれども、そういう意味で、今回の引き上げ率の算定の根拠はどういう根拠に移されたのかということと、表現方法が変わっているという意味で、給与スライドをやめたというふうに理解をしていいのかについてお知らせいただきたいと思います。
  136. 品川卯一

    ○品川政府委員 御指摘のように、給与の二・三一という数字を採用しておりません。二%は、恩給法二条ノ二にございますように、国民の生活水準、公務員の給与、物価その他の諸事情を総合勘案して決定したということでございまして、一定の算式に基づいて決めた数字ではございません。
  137. 川端達夫

    ○川端委員 確かにおっしゃるように、恩給法第二条ノ二で、「年金タル恩給ノ額ニ付テハ国民ノ生活水準、国家公務員ノ給与、物価其ノ値ノ諸事情ニ著シキ変動ガ生ジタル場合ニ」云々ということで、諸事情を総合勘案して改定の措置をとる、こういうふうに条文でうたってあるわけですが、これは殊さら今回新たにできたものではなくて、ずっとそれに準拠して今まで改定がされてきた。その中で、特に明確に今までは根拠として給与スライドを準用されていた、それが今回条文の「総合勘案シ」をもって判断をしたのですというふうにお答えになったわけですが、そういう意味では、その中で、特に今までの分でいえば国家公務員の給与に非常にスライドしていた、性格をそこに置いていたのを変えられた理由というのをお伺いをしたいのです。  それともう一点は、この条文で言う「諸事情」というのは、具体的なことで言うとどういうことを考えられるのかということについてお伺いをしたいと思います。
  138. 品川卯一

    ○品川政府委員 恩給法二条ノ二が創設されたのは四十一年でございますが、自来いろいろなやり方をとってまいっておりまして、御指摘のように、四十八年以降公務員給与準拠方式を昨年の六十一年度まで採用してまいったわけでございます。今回これを変えた、なぜ二・○というようなやり方に変えたのかということでございますが、五十七年に臨時行政調査会の基本答申におきまして、公的年金とのバランスの見直しを行えということの指摘がまずございました。それを受けまして、前の行革審から五十九年、六十年と、この臨調答申の趣旨を推進する観点から、恩給についてのバランスを検討しろという答申が出ております。また、最終答申におきましては、これを急げという言い方でさらにこれの促進方を促されておりますので、今回、恩給問題懇談会を設けながら鋭意検討を進めまして、その結果、恩給法二条ノ二の原則に立ち戻って、単純物価、単純給与という方式ではなくて、諸事情を総合勘案するという方式で今回はこの見直し検討の成果と考えるということで、二%という結論を出したわけでございます。  二条ノ二の「其の他の諸事情」とは何かということでございますが、主な事情は当然ここに例示されております国民の生活水準、公務員の給与、物価、これが最も基本的な要素でございます。その他、強いて申し上げれば公的年金の動向等が考えられると思います。
  139. 川端達夫

    ○川端委員 「諸事情ヲ総合勘案」というその「諸事情」の中に、いわゆる公的年金恩給というものの性格の違い、いわゆる社会福祉的な側面だけではなくて国家補償的な意味を有している、そういう理解をするということはいかがお考えでしょう。
  140. 品川卯一

    ○品川政府委員 恩給制度は、これが基本的に国家補償的性格を持つ制度であるということが前提にございますので、そういう恩給制度を構築しておりますこの恩給法の体系の中で二条ノ二が設けられて、恩給増額改定に当たってはこういうことを考えるという主な例示を並べながら総合勘案という方式が示されているわけでございますから、いわば恩給が基本的に国家補償であるということがまさにその前提でございまして、恩給法の中で増額改定に当たってそのことを特に恩給法が明示する必要はない、それは一番初めの大前提であるというふうに理解しております。
  141. 川端達夫

    ○川端委員 先ほど、臨調答申のいわゆる公的年金とのバランスというものの検討を急ぎなさいというふうな背景の中で今回出てきたという御説明だったのですが、その公的年金の関係でいいますと、六十年十一月二十九日及び十二月十九日に、国家公務員及び地方公務員等の共済組合法等の一部を改正する法律案に対して、衆参両院で、「今回の改正が行われると、共済年金と恩給との間に大きな相違が生ずるので、恩給制度についても、公的年金制度の改正をふまえつつ、検討を加えること。」こういうふうな附帯決議がされているわけですけれども、これと今回の改定に対しての関連についてはどういうふうにお考えでしょう。
  142. 品川卯一

    ○品川政府委員 先ほど、バランス検討はまず臨調の基本答申に始まって行革審の三次にわたる指摘ということを申し上げましたが、同時に、六十年末の衆参両院の委員会における附帯決議も当然同様の趣旨として受けとめております。
  143. 川端達夫

    ○川端委員 その公的年金とのバランスという意味でお伺いをしたいのですが、いわゆる最終的な公的年金の一元化という制度の骨格の問題と、それから給付のいわゆる基準の改定、その水準というものと両面あると思うのですけれども、その分で、臨調答申及び国家公務員、地方公務員の公的年金の制度改定に伴ったときにバランスをとるべしということは、その両面の性格については両方にバランスをとらなければいけないというふうな御理解なのかどうかということについてお伺いしたいと思います。
  144. 品川卯一

    ○品川政府委員 公的年金の一元化の方向における全体の骨格の問題でございますが、恩給制度は基本的に国家補償であり、社会保障、社会保険ではないということで、年金の一元化の方向の中には参入すべきではないと考えております。  それから、臨調答申には必ずしもはっきり出ておりませんけれども、社保審の答申あたりは、共済制度は新たに、今回の改革によりまして、通年方式の導入等によりまして一部の方々についてはスライドを停止するという措置がとられているわけでございます。これは一部の多額の方、勤務年数が長くてかつ多額の方あるいは勤務年数は短くても退職時の位が上位であって俸給月額が高いような方、こういった方々が一部停止をされているわけでございますが、同じような停止を、共済制度に三十四年の十月に移行したわけでございますけれども、移行する前と役とを比較してバランスがとれないじゃないかというような御認識が社保審にございまして、そのような意見も出ているわけでございます。この点につきまして、今回の見直しに当たりまして、いろいろ検討はいたしましたけれども、いろいろな理由によりまして、恩給制度につきましてはスライド停止措置を一部についてとることは適当ではないという結論になったわけでございます。  その理由といたしましては、一つには、共済制度が制度の枠組みの中の基本的な事項でありますところの通年方式の導入といったような大改革あるいは基礎年金の導入といったようなことを行っておりますけれども恩給制度にはそのようなことは行っておりません。その性格が国家補償であるということから、基本的な枠組みの変更は適当ではないということでそういう変更は行っておりませんので、いわば恩給制度は静的な状態にあったわけでございます。片方は、共済制度は将来における年金の展望におきましてそういった改革を行わざるを得ない、行うことが必要であるということで一部停止というような事態にも今回なったわけでございまして、これは共済制度の内部のバランス調整の問題である、恩給プロパーの問題ではございません。そういったようなことの理由が一つございます。  それからまた、恩給の給付水準が必ずしも高くないということがございます。現在の段階におきまして、文官普通恩給の全体の平均が年額百二十万強になっております。これに対しまして、国家公務員共済の場合は百八十数万、百九十万ぐらいになっているのではないかと思います。地方公務員が二百万に近づいていると思います。このようにかなりの格差がございます。  また、例えば三百万以上の年額になっている方の全体に占める割合はどのくらいかということを、懇談会における段階で資料をいろいろ検討しました結果、普通恩給の受給者、三十四年九月までの全体の者に対します三百万以上の受給者の割合に対しまして、共済制度に移行いたしました三十四年の十月から三十八年度までの段階において共済として退職された方の全体の中における三百万以上の受給者の割合は、恩給の割合に対しまして三倍ぐらい相対的に数が多くなっております。そういったような事情を考えますと、恩給年額は高くはない。  またそのほかに、共済制度に移行する場合に退職金の制度改革がございまして、従来よりも共済制度に移行した以降は割り増しをするという措置がとられております。  いろいろそのような事情を勘案いたしますと、恩給については必ずしも給付水準は高くない。したがって、スライド停止といったような措置をとることは適当ではない。  他方、しかしながら、恩給外所得が非常に高いという方につきましては、今回御提案を申し上げております恩給支給額の一部停止制度の強化をするということでこたえることはまた必要であるということで、そのような御提案をしているところでございます。
  145. 川端達夫

    ○川端委員 そういう背景の中で、いわゆる給与スライドから、何方式とおっしゃるのかちょっとまだよく理解できませんけれども、二条ノ二の総合的に勘案をするというふうに変えられたという御説明であったのですが、そのときに、この恩給というのは過去の経緯もあり、いろいろな複雑な経過をたどってきているという難しい事情も十分理解するのですけれども、まさに国家補償的な年金であるという背景の中で、公務員の給与は二・三一%上がりました、消費者物価は〇・六%でした、いろいろ考えて二%にしましたという、どうしてその二%という数字になったのですか、いや総合的に勘案をしたのですというふうに結果としてなってしまう。  そういう中では、ほかの年金の引き上げの算定方式と比べても、明らかに補償という意味で総合的に勘案するというのが財政的な事情に左右されないという保証もないしということでは非常に不安に思うのですけれども、以前からいろいろな方式を、恩給審議会方式、それから給与スライド方式と変遷をしてきているわけですが、そういう中で明確に算定できるような式を出すということは難しいのでしょうか。やはり出されるべきだというふうに思うのですけれども、その点についてはどんなお考えでしょう。
  146. 品川卯一

    ○品川政府委員 臨調答申等を受けた検討の結果、いわゆる総合勘案方式を今回採用し、今後もこのような基本的な考え方で対処してまいりたいと考えておりますので、一定の算式に基づいて決めるということは、まさに総合勘案ということでございますから、算式にはなじまない。もちろん、算式があって、自動的にそれに適合するといったようなやり方が一番簡明ではございますけれども、今回とった措置は総合勘案方式であり、今後もこの方式で対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  147. 川端達夫

    ○川端委員 時間が限られていますのでこれ以上申し上げませんが、総合的に勘案をするということは、それであればことしの二%が二・一%でいけないのかいいのかということは、まさにどの数字にでもなるというふうに理解できますので、何らかの工夫をしていただきたいなというふうな感を強く持つことを申し上げて、次に移りたいと思います。  公務員の給与の改定についてでありますが、現在、ほぼ民間の給与改定の交渉は山場を越えて集約段階に入っているというふうに理解をしておりますが、六十二年度の民間給与実態調査の進捗状況、それから今後のスケジュール寺お聞かせをいただきたいというふうに思います。
  148. 山下徳夫

    山下国務大臣 まず、基本的姿勢について私から申し上げたいと思いますが、昭和六十二年度の人事院勧告の取り扱いにつきましては、依然として財政事情が非常に厳しい、そういう状況の中にはございますけれども、先ほども御答弁申し上げましたように、給与担当大臣といたしましては、やはり労働基本権の制約の代償措置、その一つであるこの人事院勧告制度を尊重する基本姿勢というものは今後ともはっきりと持続していかなければならぬ、勧告を完全実施する方針、これをもって今後とも臨んでまいりたいと思っております。
  149. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 人事院におきましては、従来と同様な方式によって調査を進めておるわけでございますけれども、対象事業所として四万二千、その中から約七千七百の事業所を選びまして、人事院の職員と都道府県及び指定都市の職員が連休明けから実地調査に入っているところでございます。この実地調査をおおむね六月の中旬まで続けていきたいということでございます。  その後は集計作業に入るわけでございますけれども、その後の具体的な日程については現在確たることを申し上げる段階にはないというふうに思います。
  150. 川端達夫

    ○川端委員 民間を中心とした賃上げ闘争は大体終結に向かっているというふうに思います。いろいろな団体によって対象も違いますのであれですが、ことしの賃上げ相場は前年に比較して約一%低い水準になっているのが実情がというふうに思いますが、このあたりをどのように把握しておられるか、それから、どういう認識、コメントをお持ちなのかをお聞きしたいと思います。
  151. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 民間企業従業員の春闘の状況でございますが、五月八日現在、中間報告ということになろうかと思いますけれども、労働四団体が国民春闘共闘会議というのを結成しておりますが、そこが発表したものによりますと、三・七一%、昨年が四・七%でございます。それに対しまして、五月十一日現在、日経連が調査したものによりますと、主要二百八十二社でございますが、三・四七%、昨年が四・四七%でございます。中小関係では三・二二%、昨年が四・三六%ということでございます。なお、国の四現業職員でございますけれども、調停委員長見解によりますと三・五一、昨年が四・三四ということでございます。  中間的な話になるわけでございますけれども、それぞれの企業経営者は、申し上げるまでもございませんけれども、円高不況に代表される厳しい経営環境とかあるいは賃金を決定する際に考慮すべき諸要素というものを十分考慮されまして、今申し上げましたような賃金改定ということに現在なっておるんだというふうに人事院では理解しております。
  152. 川端達夫

    ○川端委員 今申されましたように、ことしの賃上げ闘争は、情勢としては労働側にとっても経営側にとっても非常に厳しい環境であったというふうに思います。おっしゃったように、円高、貿易摩擦、まさに企業の存立を問われるような状況の中で、しかし、やはり労使協調して企業を守っていく、雇用を守っていく、労働条件を守っていくという環境の中で妥結に至ったという意味では、その努力は大変なものだったというふうに思います。  そういう意味で、〇・一%高く取る、高く妥結をするということにおいても非常に厳しい中での結果だったという意味で、同じように、額に汗して、公務員の方も同様にこれからの人事院勧告というものを非常に期待をしている、注目をしているという状況だと思います。五%条項というものをもっと研究したらどうかと思うというふうな御意見もありますけれども、そういう中で、人事院として、これからのことでございますが、勧告をして労働条件の向上を考えていただきたいという意味で、総裁の御意見をお伺いしたいというふうに思います。  それと、蛇足でありますが、春闘共闘会議というのは必ずしも全体的な労働団体を総括した数字ではございませんので。それと、春闘という言葉と賃闘という言葉を労働団体によっては使い分けをしておるということで、できましたら、そういうお言葉をお使いにならない方がいいのじゃないかというふうに思いました。  総裁、申しわけないですけれども、その御答弁で、御都合がございますようですので御退席いただいて結構です。
  153. 内海倫

    内海(倫)政府委員 今、いろいろ状況を見ておりますと極めて厳しい条件にございますし、また、私どもも現在民間給与の実態調査に着手したばかりでございますので、現段階で勧告問題についてどういうふうなお答えをすべきか、まだ私どもとしてはその案を持っておりません。  いずれにしましても、たびたび申し上げておりますように、勧告というものは労働基本権の制約されております公務員に対しまして、いわばこれの代償としての機能を営むものでございますから、私どもとしては、この勧告問題については、法律の趣旨に従って、法律の趣旨を尊重して対応してまいりたいと思います。ただ問題は、客観的な諸条件が極めて厳しい中でございますし、また、当然公務員も国民の方々の理解と支援というものの上に職務を行わなければなりませんので、この辺のこともまた十分私どもとしては考えなければならないかと思います。  いずれにしましても、まだ給与の民間調査に着手したばかりでございますので、その結果を得て十分に検討をし、繰り返しますが、国公法の定める趣旨に従って判断をしていきたい、こういうふうに考えております。
  154. 川端達夫

    ○川端委員 どうもありがとうございました。  総裁の後にお伺いしようと思いましたら、冒頭に長官の方からお答えいただきまして、勧告が出たら完全実施をする決意をお持ちだという決意をもう既に表明していただいておりますので、ぜひとも勧告していただきますようにお願いをしたいというふうに思います。  官房長官、お忙しいところ来ていただきましてありがとうございます。戦後処理問題について御質問をさせていただきたいと思います。朝からも出ておりましたので、重複する部分があるかもしれませんが御容赦いただきたいと思います。  戦後処理問題の中で、恩給欠格者問題、戦後強制抑留者問題、それから在外財産問題について政府の御所見をお伺いしたいと思います。  戦後処理問題懇談会の報告の中では、個別補償については否定的な見解、すなわち、「もはやこれ以上国において措置すべきものはないとの結論に至らざるをえなかった。」というふうに五十九年十二月に御報告をされているわけですけれども、それ以降若干の年月を経る間に、国会内外で、各諸団体、国会議員さんも含めて、そうは言わずに何とかならないだろうかという御要望が非常に強く出されてきて、いわゆる基金制度の中でやるということじゃなくて個別補償が何とかならないだろうかという運動が随分強く出てきたというふうに思いますが、そういう環境の中で政府としてどのようにお考えになっているのかということをお伺いしたいと思います。
  155. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 いわゆる戦後処理問題につきましては、戦後処理問題懇談会を官房長官諮問機関として設けさせていただいて検討した結果、答申を出されて、その中を見ると、今おっしゃったようにもうこれ以上個別補償は必要がない、しかしながら、置かれておるこういった人たちの立場というものを十分考え政府として慰謝の念を表するということは必要であろう、それがためには基金構想でやりなさい、こういうことになったわけでありますから、政府としては基本的にはこの線でやらさせていただきたい、かように考えております。  ただ、仰せのように、依然としてシベリア問題、さらには在外資産の問題、いろいろ御要望があることは事実でございます。しかし、考えてみれば前回の大戦というものは国民すべての人が被害を受けておる問題なんですね。その中で政府としてもできる限りの措置は今日までしてきておると思います。しかし、今戦後処理懇で議論をしておるような三つの問題については、またこの方々の御意見もあるわけですから、いろいろな意見が出たのだろうと思います。  そこで、六十二年の予算編成の際に、その中でも特にシベリア抑留者の方々につきましては、ああいう酷寒の厳しい客観条件の中でいわゆる強制労働に従事させられたといったような特殊な事情もあるではないかということで、午前中の審議に出ましたような措置をとらせていただいたわけでございますから、これはこれなりの措置をいたさせていただきたいと思います。しかし、それ以外の在外資産あるいは恩欠等の問題については、戦後処理懇の答申の線に沿って処理させていただくつもりでおります。
  156. 川端達夫

    ○川端委員 そういう中で、懇談会報告を受けて内閣総理大臣官房特別基金検討調査室というのが六十年四月に設置され、六十年度一億三千六百万円、六十一年度一億三千五百万円の予算で特別基金検討及び調査を行うということで、六十一年七月に調査結果、意識調査と実態調査ですか、を出されているわけですけれども、その調査によってどういう結論を得られたというふうにお考えになっているのかということと、また六十二年度予算でさらに一億二千数百万円の予算を計上しているわけです。そういう中では今長官御答弁いただきましたシベリアの調査を特に重点的におやりになるというふうなことなのですが、今までの二年間の分で、アンケート調査それから実態調査を踏まえてどういうふうに思っておられるのかということの御見解を担当の方からお伺いしたい。  それと、戦後処理問題懇談会の時点ではいわゆる三つの問題はもはや何もすることはないのだという中で、いろいろ運動をしてこられた、その過程でこういう調査費というようなものがついて、シベリアに関してはかなり前進をしたことになってきた。そうするとあとの二点、恩欠者の問題あるいは在外財産に関してもこういう実態調査が今やられたじゃないかそうするともう少し頑張れば何とかなるのじゃないかというふうな動きが当然やはり出てくると思います。  それから、前にも議論になりましたけれども、自民党を中心として議員立法でこういう案をやりますよというふうなことまであった、そういうふうなことを見ますと、非常におのおの皆さん高齢になっていろいろな思いをお持ちの中で、自分で会費もお払いになって運動を続けておられる方にとって、やってもらえそうな、だめみたいな――今の長官のお答えですともう二つはだめよと言う。これが少し前ですと三つともだめですというふうなことから動いてくるという意味で、政治的な非常に難しい問題だというのは理解するのですが、いわゆる政治というものの信義、いわゆる公約ということ、政治に対する信頼感というものではどういうふうにお考えになっているのだろうか。  今の二つの問題は、そういうふうな背景でまた何か動きが出てくるというふうなことになるのか、いや今の御答弁ではもうやっぱりだめですよというのかどうもはっきりしない。一方で、地元に帰られると先生方は、任せておきなさい、調査費もついたでしょう、こういうふうな話が時々聞こえてくるというふうなことになるので、そういう政治的な判断をされて今回シベリアだけがということか、あとの二点に関しては、今御答弁なさったことで、もうそういうことなんですよということかどうかということをもう一度お伺いしたい。  担当の方からは、去年、おととしの調査の結果をどういうふうに判断しておられるのかということをお伺いしたいと思います。
  157. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私からは後段の点だけお答えしたいと思います。  まさにおっしゃるところが政治の一番難しい、厄介なところだなあという思いがあなたと同じようにいたします。六十二年の予算編成のときも本当に厳しいやりとりが最後まであったわけです。しかし同時にまた、政治家の皆さん方は選挙区でいろいろお約束なさるでしょう。しかし私ども政府を預かっておる者としましては、それはお気持ちはよくわかるのです、私だって本当の腹の中を割ってみれば気持ちはわかっていただけると思いますよ、しかし同時に、これはやはり国民の税金を使うんだという、ここの点のけじめだけははっきりと政府の側としてはしておきませんと、これは限界のない広がりを持つ問題なんですね。これは恐らく、場合によれば最後は国内で戦災を受けた人にまで広がるおそれがありますね。  一体どういうことになるんだという点も私どもとしては頭の中に置かなければなりませんので、今のせっかくの御質問でございますけれども、ともかくシベリア抑留者に対するあの処置がもう本当に限度いっぱいの処置である。したがって、恩欠の問題とか在外財産ですか、これはお気持ちはよくわかりますけれども、本年度のシベリアの処置で打ち切りにいたしたい、これが私の考え方で、私というよりも政府考え方でございます。
  158. 平野治生

    ○平野説明員 先生御指摘のとおり、六十年度、六十一年度二年間にわたりまして、私ども検討調査室におきまして関係者の方々の御心情とかあるいは一般の方々の世論謝査等を行いまして、どういうふうに考えていらっしゃるか、また、昨年度六十一年度におきましては、そういうことを踏まえまして特別基金でどのような事業をやればいいのかというようなこと等につきまして調査を行ってきたところでございます。  この調査内容はまだ最終的にまとまっていない部分があるわけでございますけれども、私、率直に申し上げまして、関係者の方々と一般の方々とは少し違う点があるなどいう点は確かにあろうかと思います。しかし、やはりさきの大戦におけるいろいろな形での損害あるいは労苦、そういったものについての御心情というものは似たような形で残っているわけでございます。  私が少し違うんじゃないかと申し上げましたのは、関係者の方々がやはりさきの大戦についての思いが当然深いということに対しまして、一般の世論調査等におきましては、もちろんそういうことに強い関心をお持ちの方は引き続きいらっしゃるわけでございますけれども、そういうことがあったかなあというような感触の方もかなりいらっしゃるという点なんでございます。  そのことが、まさに戦後処理懇の報告にも書いてございますとおりに、やはりさきの大戦における損害とか労苦というもの、そういう記憶を含めまして風化すると申しますかそういったものを後世に語り継ぐということが極めて重要ではないかというようなことにもつながってくるわけでございます。つまり、そういうことが非常に必要であるということにつきましては、一般の方々も関係者の方々もそれを強く望んでいらっしゃるということであろうかと思います。したがいまして、私どもは特別基金をつくりまして、その戦後処理懇の趣旨にも書いてございますとおりに、やはりさきの大戦における損害、労苦、そういったものに思いをいたしまして、そういった意味では記憶、記録をきちっと後世に伝え、そして平和を祈念するというような事業をきちっとやっていくことが極めて重要なことではないかというふうに思った次第でございます。
  159. 川端達夫

    ○川端委員 時間が来てしまいましたけれども、長官もおっしゃいましたように、まさにこの方たちの思いというものは大変なものだと思いますし、実際の御苦労も大変だと思います。そういう意味で、政府として、まさに戦争の犠牲に対する補償という意味で形があらわれるような、形のあらわれ方はいろいろあると思いますけれども、そのことが一刻も早く実現するように御努力をいただきたいのと、それから特にその関係者の方の御理解と協力なしには、その事業たるものをやっても反対して、そんなものはしてほしくもないのにということでは全く意味のないことになりますので、その点も御留意いただいて、御努力を特にお願いをしておきたいと思います。  時間が参りましたので、防衛庁の方、お呼びして質問しませんで申しわけございませんでした。これで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。
  160. 石川要三

  161. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 最初に、戦後処理問題についてお伺いします。  去年の末の予算折衝の際に、政府は自民党とこの問題で「戦後処理問題に関する政府党合意」という文書を取り交わしております。戦後処理問題というのは、この合意文書にありますシベリア抑留者のほかに、恩給欠格者問題、在外財産問題などがあるわけでありますが、これらの戦後処理問題は、政府自身もこれまで戦後処理問題懇談会で同じテーブルで検討してきた経過があります。今回の合意では、具体的処理としての慰労金の問題がこのうちシベリア抑留者問題だけに限られるということになっておりますが、今説明があったようにも思いますが、なおこれでよいのかという気持ちを持ちますので、そういう角度から御答弁いただきたいと思います。
  162. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 その点は、午前中からお答えをしておるように、政府は戦後処理問題懇談会を設けまして、あれは二年間でしたか慎重な討議をしていただいて一応の御答申をちょうだいしたわけです。つまり、個人補償というものはこの際もはや適当でないではないか、しかし何らかの慰謝の念をあらわして、戦争というものに対する反省が国民の間にしみ渡っていくような何らかの基金制度を設けて運営した方がよろしい、こうなっているわけですから、政府はそれによって処置をする、こう申しているわけでございます。したがって、それで終わらしていただきたい。  ただ、シベリアの方々についてだけは、あの極端な悪条件の中で強制労働までさせられているんだから、基金制度の運用の中で、極めてわずかな金額でございますが、慰労金を出すとかあるいは、書状を出すとか何かの品物を出すとかといったことでお慰めをするというか、そういう誠意を政府が示すべきでないかという結果に六十二年度予算の最後の厳しい折衝の中で決まったわけでございます。  したがって、今お答えしたように、いわゆる戦後処理問題と言っている三つの案件についてはもうこれで終わらしていただきたい、これが政府考え方でございます。
  163. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それでは今の合意内容について伺いますが、一つは、ここで言っております「恩給受給者を除く」というのは、これは軍人恩給のことか、それとも公務員通算恩給のことかまた各種共済年金受給者はどうするのかというのが一つ。それから二つ目は、「生存者に限る」としたその理由。三つ目は、一人十万円の慰労金の対象人数とその予算。四つ目は、「支給の方式は、財政の状況等を勘案しつつ、別に決定する。」としておりますけれども、どんな支給方式で行うのか。五つ目は、これらの措置を行うのに立法措置が必要と考えておられるのかどうか。この五点を簡潔にお答え願いたいと思います。
  164. 平野治生

    ○平野説明員 ただいま官房長官から御答弁がございましたとおりに、昨年の合意に基づきまして六十二年度に基金をつくるということで、今年度いわゆるシベリア抑留者の方々の実態把握の調査を行うということになっているわけでございます。したがいまして、ただいま先生の方から御質問がありましたことについては、それぞれその調査の中できちっと検討して決めていかなければならないというふうに私ども思っているわけでございます。常識的に申し上げまして、例えば恩給受給者というのは、年金、恩給をもらっている人とか、あるいはその在職年に基づいて年金をもらえるようになる人とかというのは当然含まれることになると思いますけれども、いずれにいたしましても、その点については私ども今年度の実態把握の調査の中で決めていきたいと思っているわけでございます。  そういう意味におきまして、その次に御質疑がございました生存者という問題でございますが、この問題も官房長官からも御答弁がございましたとおりに、シベリア抑留者の方々にこういう処遇をするに至った経緯の中には、ああいう酷寒の地で非常な強制労働につかれたということでもございましたので、御本人に慰謝の念を示すという点で生存者というふうに一応限られていると私どもは理解いたしております。  それから、十万円という対象者数は、冒頭に申し上げましたとおりにこれから調査をいたしますので、それがわかり次第、また概算要求という問題もございますので、その時点である程度決めたいと思っております。  支給の方法につきましても、合意の中に「財政の状況等を勘案しつつ、別に決定する。」というふうにございますので、これから関係方面と連絡をとりまして、六十三年度に基金が発足し、その特別事業を円滑に進めることができるように準備を進めてまいりたいと考えております。
  165. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いろいろ問題はありますが、これまでシベリア抑留者恩給欠格者関係者は個人補償を強く要求してきた経過があります。それだけに、関係者から、今回の措置につきまして、政府・自民党の合意はわずか十万円の慰労金で戦後処理問題をすべて終結させようというもので許せないという批判も上がっていることは事実であります。  もともと自民党の場合は、この抑留者問題について、昨年の通常国会までは抑留期間に応じて五十万円から最高百万円の特別給付金支給する法案を準備していたわけであります。昨年の通常国会、百四国会の会期末に、自民党は共産党に対しても、各党の同意が得られれば内閣委員長提案として被抑留者等に対する特別給付金支給に関する法律案を出したいからと、この法案を持ってこられました。しかし、結局法案提出されませんでした。聞くところによりますと、それは官房長官と大蔵省が強く反対したためだと伝えられておりますが、官房長官はこの経過についてどのように御承知でしょうか。
  166. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 こういう問題につきましては、さっきの質問の方にも申し上げましたように、私も腹の中を割ってみればいろいろな考え方はあるのです。しかし、政府という立場に立ちまして、これは本当に際限のない広がりを持つ問題である、国民から預かっておる税金であるということを考えますと、立場はよくわかるけれどもなかなか皆さん方がおっしゃるようにはまいらない点があるんだということは、ぜひ御理解をしていただきたいと思うのです。  各党の中でいろいろなお話し合いがあったことは仄聞はしておりますけれども、私自身はそのことについては全然承知をいたしておりませんが、御質問の「「被抑留者等に対する特別給付金支給に関する法律案」。についての了解事項」というものがあるのです。この法律案中身についてはないのです、「(別紙)」と書いてあるのですが、それについては「次の国会に提出し、成立を期する。」こう書いてある。そうしまして党の役員の方がサインをなさっておる。党の三役、幹事長総務会長政務調査会長がサインをしているのだから、大蔵大臣官房長官、おまえらは政党内閣だからこのとおりやれ、サインしろ、こういうお話がございました。大蔵大臣は、できません、こういうこと。官房長官はどうだ、官房長官は、残念ながら、お気持ちはよくわかるけれどもこれは責任上できませんということで、サインをしなかったというのが経緯でございます。
  167. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 六十一年の五月十五日のその了解事項を読みますと、「「被抑留者等に対する特別給付金支給に関する法律案」についての了解事項 右法律案(別紙)については、次の国会に提出し、成立を期する。」こうなっているわけで、後藤田官房長官、竹下大蔵大臣、金丸幹事長、宮澤総務会長、藤尾政務調査会長、それぞれ名前が連ねてあります。  この点につきまして、昨年十一月の臨時国会で我が党の立木議員の質問に対して金丸副総理は、責任を感じていると答弁されました。このとき官房長官は、この了解事項に同意していないという答弁をされております。しかし、この了解事項の文書というのは、官房長官の名前が入って関係団体の機関紙や文書でどんどん出回っているわけです。サインはなさらなかったかもしれないけれども、この了解事項に名前を連ねていることに対して特に当時否定をされたということもない、こういうことから考えますと、この了解事項と政府のかかわりがあるのではないかと思うのですが、これはどういうことになるのでしょうか。
  168. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 まさにこれは私の名前と大蔵大臣の名前、官職、姓名が書いてあるのです。それでこれにサインをしてくれ、こういうことでございます。この官房長官後藤田正晴という字は、したがって私の字ではございません。大蔵大臣もサインをするわけにまいらぬとおっしゃる。官房長官としても、それならばこれはやはりできません、こういうことでサインをしなかったことは事実でございます。  ただ、六十二年度予算案を審議をしました昨年の暮れに話を聞いておりますと、当時の大蔵大臣も、それから現在の官房長官、つまり私もこれにサインをしておる、それが全国に流れておるからけしからぬじゃないかという、あなたが今おっしゃったと同じことを聞きましたよ、私は。しかし、幾らそれを聞かされましても、サインしてないことは事実なんですから、これにあるんですから、だから私はそれに責任を持たないということでお断りをしたわけです。
  169. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 今の点を言いますと、全抑協中央連合会の機関誌があるのですけれども、今長官自身がおっしゃいましたように、長官の名前入りの了解事項が掲載されております。この機関誌は去年の五月十六日に行われたこの総会の内容を報じております。この総会は了解事項の取り交わされた翌日に開かれているわけです。相沢議員や加藤六月議員、それから東家議員などのあいさつの中でも、竹下大蔵大臣後藤田官房長官の了解を得たということが、同じ自民党の先生方のあいさつの中で述べられているわけです。特に東家議員のあいさつの中では、「党三役のサインは戴いてあります。両大臣の方は、藤尾政調会長が、責任をもって戴き次の国会へ提出、成立させます。として、政調会長一任となっております。「俺に任せろ」と藤尾政調会長が言っております。相沢会長、吹田先生、私、三名が最後の詰めのときに了解を確認しました。」こう発言しておられるわけです。  ということになりますと、同僚の議員の先生方がこうおっしゃっているのですから、これを見るとどうしても、長官自身も、サインはしなかったにしても了解を与えられているのじゃないか、こういう疑問を持つのですが、いかがでしょうか。
  170. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 そういう個々の具体的な事実がどうであったかは、私が言明する限りでもありませんし、承知もしておりません。しかし、私がサインしてないことだけは間違いがないんですから、その点はひとつはっきりと御認識をしておいていただきたい、こう思います。
  171. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次の国会になりますと、これは解散の国会になりまして、選挙で自民党は、党として戦後処理の推進ということを公約に掲げられました。自民党の多くの候補者がこの了解事項を使いまして、抑留者恩欠者の個人補償実現の選挙公約を掲げられたわけであります。  選授公報をずっと繰ってみますとそれが非常によくわかります。幾つもありますけれども、その典型的なもので、当時の内閣委員長、解散前の内閣委員長でありました志賀議員の場合は非常に具体的に書いておられます。「シベリヤ抑留者の国家保障法案は、私が委員長を務める内閣委員会提出される直前、衆議院が解散されましたので、これを総選挙後の内閣委員会提出、すみやかに成立させる事の確約を政府ならびに自民党幹部から得ました。」こう書いてあります。官房長官が、自分は了解を与えていない、こう言われますと、この志賀代議士の選挙公報は事実に反しているということになりますが、いかがでしょうか。
  172. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 それは柴田先生、無理じゃないですか。それは今どなたのをお読みになったのか知りませんが、それは私の選挙公報じゃないんですから、それについて私に意見はどうだ、こう言われましても、それは私は意見を申し上げるわけにはまいらぬ、こうお答えする以外にないんです。  ただ、私が言えることは、党の公約は、戦後処理問題の解決ということで、戦後処理問題に関してはその解決に努めますと書いてある。やはりそのとおりに今日までやってきておるということだけは間違いがありませんから、この党の公約には私は反してないと思いますが、個々の代議士さんが選挙公報に何をお書きになったのかということまで私に答弁しろと言われても、それは答弁できません。
  173. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 今申し上げましたのは、結局、「総選挙後の内閣委員会提出、すみやかに成立させる事の確約を政府ならびに自民党幹部から得ました。」一連の経過から見まして、さきの提出されなかった法案のことを言っておられるわけで、まさに政府の了解を得ているということを言っておられるわけですから、そうすると、官房長官政府としては約束されていないということになれば、このことを公約した人たち、特に政府からの確約を得ているということを言われた人たちは間違いだという結論になると思います。  今、関係者の間からも、結局自民党の公約違反は売上税の問題だけではなくて、戦後処理もやはりそうだ、こういうことが私の耳にも入ってまいります。選挙前には五十万円から百万円の給付金が、選挙が終わったら慰労金となって十分の一の十万円になってしまったというわけです。これでは関係者が公約違反と怒るのも当然であると思います。  この責任の一端というのは、やはりこうした政府からの確約を得ている、法律も出して、それでこれはこういうわけでやめて次に出す、こうこの選挙のときに与党の先生たちは言っているわけですから、政府にも責任があると思います。仮に、その了解を与えていな。かったということにしても、了解を与えたという文書や選挙公報が出ておりますのに、それを放置していたのでは、事実上了解を与えたと同じことになる。一般の国民はそのように理解すると思うのです。裁判所でも、相手方の主張に対して黙っていると承認したものとみなされるという扱いをしますから、国民の間ではそういうことになると思います。特に、日ごろから政府与党自民党は一体と主張しておられる点から見ても、政府の責任は重大であって、有権者に対する背信行為、こう言われても仕方がないと思うのですが、政府の責任については、これはないというようにお考えですか。
  174. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 何か柴田さんのお話を伺っていますと、仮に官房長官はサインしてなかったとしてもというのは、実際はおかしいんじゃありませんか。さっきから私はしとらぬと言っておるじゃないですか。そして、しておったという証拠はどこにあるんですか。だから、私は全然そういうものはサインはしてないんだから、そのサインしてないという前提の上に立っての御質問でないと、仮にしてないとしてもというのはちょっと話がおかしいのじゃないですかな。私は本当にそう思う。  ただ、私は、政府に責任があるのかこうおっしゃれば、先ほどから申し上げているように、こういう人は気の毒な立場なんですから、個人的には本当は何らかの措置をしてあげたいですよという気持ちはある。しかし、限度のない問題であるし、今日の財政の状況、しかもそれは国民からちょうだいする税金を政府として使うわけですから、そう簡単にこれにサインするわけにはまいらないので、残念ながら我々政府の人間はサインをしなかったんだ。したがって、政府に責任ありやなしやということになれば、政府としては責任を負うわけにまいらない、こう私は思います。
  175. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 今のところ、私もサインということについては言っておりません。サインをしてないと長官言われましたから、サインということを言っておりません。了解を与えていらっしゃらないということも言われますから、いろいろな経過から見て、了解を与えたとみんなが言っている、そういう中で、了解を与えていなかったとしてもということで私は質問しているわけであります。  我が党が昨年の末に中曽根総理あてに、個人補償を行うべきだという立場からシベリア抑留者恩給未受給者の補償に関する申し入れを行いました。この中でも明らかにしておりましたが、戦後四十一年を経た今なお国に戦争に関する補償が求められている原因は、これまでの政府の戦争犠牲者対策が貧困であった、ここにあると考えております。このことは、政府の調査によっても、政府の施策が十分だったという回答が四%だったのに対して、不十分だったと答えている人が七倍の二八%に上っていることからも言えると思います。こうした切実な要求が今なお続いている背景に、戦争犠牲者対策の今までの貧困さがあると思いますが、この点はいかがですか。
  176. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私どもは、過去の戦争というものに対しては厳しい反省の上に立って新しい平和な国づくりに全力を挙げなければならないという決意を固めて今日まで四十数年やってきたわけでございます。過去の戦争における犠牲者の方、本当にお気の毒だとは思います。したがって、できる限りの措置はやるべきことが筋道であろうと私は思います。しかし、それにもそれなりのおのずからなる限界があるんだ。今回のシベリア抑留者に対する措置についても、関係者の皆さん方があれで満足なさっていただけるなんて私は思いません。それはもう少しやったっていいではないかとお考えになる方が多いと私は思うけれども、しかし、こういった今日の厳しい財政状況の中で政府としてはとにもかくにも精いっぱいのことはやらせていただいたんだということだけはひとつぜひ御理解をいただきたい、また御理解していただければありがたい、こう考えておるわけでございます。
  177. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 官房長官、お時間でしたらよろしゅうございます。  我が国の戦争犠牲者対策が貧弱であったということについては、国際的な比較からも感じられるわけであります。第二次大戦で同じ敗戦国となりました西ドイツでは、こうした対象者に対して個人補償を支給する制度が確立しております。抑留者の補償については戦後処理懇の報告にも盛り込まれているところでありますが、恩欠者もやはりそうです。西ドイツの普通恩給の受給資格年限は十年です。しかし、十年以下でも年金が支給されています。生計年金として退職時給与の百分の三十五が十年未満の人にも支給されております。こうした点、国際的に見ても我が国の戦争犠牲者対策はおくれていると言わなければならないと思うのです。こういう点からしても戦争犠牲者対策を改善する必要があります。いわゆる戦後処理問題は、軍歴通算の公務員と民間の格差問題、シベリア抑留者の民事裁判、行政裁判も続いておりますし、今回の政府・自民党の合意によっても本質的な解決をいたしません。  こういう問題は今後も取り上げることにいたしまして、若干の時間が残っておりますので、法案の問題についてただしていきたいと思います。  今回の恩給二%の改定は、従来の改善指標でありました公務員給与を、臨調、行革審の答申に基づいて、改善指標に関する解釈を変更して導き出したということは問題であります。しかし、二%引き上げそれ自体は改善措置であって、また、他の年金の物価スライド〇・六%改定、こういう問題についての国民感情などを考慮いたしまして、我が党は法案には賛成するものであります。  ところで、恩給の引き上げは昭和四十八年以来公務員給与改善を基礎として実施されてきたのですが、今回の改定が公務員給与引き上げ率より低いものである、この問題点をただしたいわけであります。  御承知のように、恩給法では、年金である恩給額の改定は、国民の生活水準、国家公務員の給与、物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合、変動後の諸事情を総合勘案して措置する、法律の規定はこうなっているわけです。この総合勘案の象徴が昭和四十八年度以降は公務員給与であるとされて、この公務員給与改善を基礎として恩給増額してこられました。そういう中では、公務員給与が凍結されたときには引き上げ改定をしないという甚だ不当なこともあったわけであります。  したがって、こういう昭和四十八年度以降の例によれば、ことしは二・三一%の改定措置が講じられなければならないのです。この法律の今までの解釈からいってそうなんですが、ことしは総合勘案の結果が公務員給与でなくて違うものになった、これはなぜであるかまずお伺いします。
  178. 山下徳夫

    山下国務大臣 公的年金制度の改革に関連しまして恩給制度の見直しをやらなければならぬということは当然のことでございます。けさからの質疑でも再三申し上げましたように、この恩給制度というのは本来国家補償的なものでございますから、まずそこに配慮をしながら恩給年額の実質を維持するということが基本的な理念でなければならぬ。その上に立って、公務員給与の改定であるとかあるいは物価の変動等、これらの諸事情を勘案しながら二%ということに決めたということでございます。
  179. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 改正案の提案理由では、「公務員給与の改定、消費者物価の上昇その他の諸事情を総合勘案し、」となっております。去年、公務員給与改善どおりの引き上げを行ったときの提案理由を見ますと、「昭和六十年度における公務員給与改善を基礎として、増額する」という内容になっておりました。法律自体は別に変わっていないわけでありますが、これが結果的に違ってきた理由これをお伺いします。
  180. 品川卯一

    ○品川政府委員 臨調等の答申を受けまして公的年金改革との間におけるバランス検討を行った結果、この二条ノ二の原則に立ち戻りまして、総合勘案方式というのを新たにここで決めたわけでございます。二条ノ二は「国民ノ生活水準、国家公務員ノ給与、物価其ノ他ノ諸事情」と書いてございますので、四十八年から六十一年までは、その中の一つの要素である公務員給与に準拠することがそのそれぞれの時点においては最も適当であると判断して、二条ノ二の運用上、公務員給与にスライドしたということでございますが、このたびは原則に立ち戻って、諸般の、そこに例示されておりますような主要な要素を総合的に勘案して二%と決めたということでございます。
  181. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その点でちょっと関連して聞きますけれども、今までの公務員給与改善、この点も当然ことしの改定の中に考慮されている問題だと思うのですけれども、これはやはり公務員給与改善、これが恩給の改定の中心的なものになる、このことは言えるわけですか。
  182. 品川卯一

    ○品川政府委員 いろいろな要素を総合勘案するに当たって、もちろん御指摘のように一番大きいと言ってよろしかろうと思いますけれども公務員給与の状況がどうであったかということが言えると思います。
  183. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 改正案の扶養加給のところを見ますと、昭和六十一年における国家公務員の扶養手当の改定に準じて増額をしております。これは公務員給与改善を基礎とする恩給増額というものも、恩給法の二条ノ二の解釈上、その適用上正当な根拠があることを示すものであると思うのですが、公務員給与改善を基礎に年金である恩給改正する方法に復活する、そういうことは今後検討の対象になるわけですか。
  184. 品川卯一

    ○品川政府委員 御指摘のように、扶養加給につきましては、制度以来、公務員給与に準拠して同じような取り扱いにしてまいっております。かつて、例えば恩給審議会方式というのを四十四年から四十七年まで採用しておったわけでございますが、その場合におきましても、扶養加給につきましては、公務員と同じ率で措置をしたという経緯がございますので、そのような沿革的な要素を勘案いたしまして従来どおりの引き上げにしたところでございます。  ただ、これは扶養加給のそのような特殊な性格に基づいてそのような扱いをしたということでございまして、一番基本的な事項でございますベースアップと増額改定率につきましては、新たに総合勘案方式を採用した、今後もこのような基本的な考え方で対処してまいるということでございまして、扶養加給につられてもとの給与準拠方式に直ちに戻るといったようなことは考えておりません。
  185. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それじゃ、もう一つ最後に、恩給のいわゆる上厚下薄の問題を改善するということで、昭和五十一年度から上薄下厚、そういう説明のある改定が行われてまいりました。今回の改定ではこの点が実現しないということになっていると思いますが、今の状態を見てもやはり上厚下薄の傾向があるわけですから、これを改善すべきであると私は思うわけですけれども、この点の検討努力はなさいますか、どのような方法をとられますか、お伺いします。
  186. 品川卯一

    ○品川政府委員 今回は一律二%でございまして、上薄下厚措置をとらなかったわけでございます。  理由といたしましては、公務員給与改善傾向も上薄下厚的な傾向が非常に低かったということもございますし、従来のいろいろな措置によりまして上下格差が非常に縮小してきているといったような事情もあります。いろいろな事情で今回は回帰分析方式をとれなかったといったこともございまして一律方式を採用したわけでございます。  ただ、現在程度の格差がこれで十分かどうかということにつきましては、必ずしもこれで十分であると言い切るわけにはまいらないと思います。したがいまして、今回は一律ではございますけれども、今後、来年、再来年また一律ということを仮にやった場合におきましては、この上下格差の度合いが毎年度累積してまいりますので、ある段階におきましてはそれを見直して、その格差をさらに縮小するといったような措置検討する段階があるということは否定できないと思います。
  187. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 時間が参りましたので、終わります。
  188. 石川要三

    石川委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  189. 石川要三

    石川委員長 この際、本案に対し、船田元君から修正案が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。船田元君。     ―――――――――――――  恩給法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  190. 船田元

    船田委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げますと、施行期日について、原案では、一部のものを除き「昭和六十二年四月一日」から施行することといたしておりますが、既に四月一日を経過いたしておりますので、これを「公布の日」に改め、これに該当する改正後の規定は、同年四月一日から適用しようとするものであります。  よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  191. 石川要三

    石川委員長 これにて修正案についての趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  192. 石川要三

    石川委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、船田元提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  193. 石川要三

    石川委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  194. 石川要三

    石川委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  195. 石川要三

    石川委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、船田元君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。上原康助君。
  196. 上原康助

    上原委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について速やかに善処すべきである。  一 恩給の改定実施時期については、現職公務員の給与との遅れをなくすよう特段の配慮をするとともに各種改善を同時期に一体化して実施するよう努めること。  一 恩給最低保障額については、引き続きその引上げ等を図るとともに扶助料については、さらに給付水準の実質的向上を図ること。  一 恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること。  一 外国特殊法人及び外国特殊機関の未指定分の件について、速やかに再検討を加え適切な措置を講ずること。  一 恩給欠格者等の処遇について検討すること。  一 現在問題となっているかつて日本国籍を持っていた旧軍人軍属等に関する諸案件(解決済みのものを除く。)について検討を行うこと。  一 旧満洲国軍内の日本人軍官の処遇問題について検討すること。  本案の趣旨につきましては、当委員会における質疑を通じて既に明らかになっておることと存じます。  以上、御説明申し上げます。
  197. 石川要三

    石川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  198. 石川要三

    石川委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、総務庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。山下総務庁長官
  199. 山下徳夫

    山下国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、今後慎重に検討してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  200. 石川要三

    石川委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 石川要三

    石川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  202. 石川要三

    石川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十二分散会      ――――◇―――――