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1987-02-25 第108回国会 衆議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年二月二十五日(水曜日)     午後五時三分開議 出席委員   委員長 池田 行彦君    理事 大島 理森君 理事 熊川 次男君    理事 笹山 登生君 理事 中川 昭一君    理事 中村正三郎君 理事 野口 幸一君    理事 柴田  弘君 理事 玉置 一弥君       甘利  明君    新井 将敬君       石破  茂君    臼井日出男君       江口 一雄君    遠藤 武彦君       金子 一義君    北村 直人君       小泉純一郎君    古賀  誠君       笹川  堯君    高鳥  修君       月原 茂皓君    戸塚 進也君       鳩山由紀夫君    村井  仁君       村上誠一郎君    上田 卓三君       沢田  広君    中村 正男君       早川  勝君    堀  昌雄君       武藤 山治君    日笠 勝之君       水谷  弘君    森田 景一君       山田 英介君    安倍 基雄君       工藤  晃君    正森 成二君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         大蔵政務次官  中西 啓介君         大蔵大臣官房総         務審議官    足立 和基君         大蔵省主計局次         長       角谷 正彦君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省理財局長 窪田  弘君         大蔵省証券局長 北村 恭二君         大蔵省銀行局長 平澤 貞昭君         大蔵省国際金融         局長      内海  孚君         厚生省年金局長 水田  努君  委員外出席者         中小企業庁計画         部金融課長   土居 征夫君         郵政省貯金局経         理課長     安岡 裕幸君         参  考  人         (日本銀行理事青木  昭君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ————————————— 委員の異動 二月十九日  辞任         補欠選任   山田 英介君     坂口  力君   正森 成二君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   坂口  力君     山田 英介君   不破 哲三君     正森 成二君 同月二十五日  辞任         補欠選任   今枝 敬雄君     北村 直人君   杉山 憲夫君     臼井日出男君   藤波 孝生君     甘利  明君   山中 貞則君     月原 茂皓君   山本 幸雄君     古賀  誠君   矢追 秀彦君     水谷  弘君 同日  辞任         補欠選任   甘利  明君     藤波 孝生君   臼井日出男君     杉山 憲夫君   北村 直人君     今枝 敬雄君   古賀  誠君     山本 幸雄君   月原 茂皓君     山中 貞則君   水谷  弘君     矢追 秀彦君     ————————————— 二月二十日  大型間接税導入反対所得税減税等に関す  る請願伊藤茂紹介)(第四号)  同(串原義直紹介)(第五号)  同(正森成二君紹介)(第六号)  同(水田稔紹介)(第七号)  同(上田卓三紹介)(第一五号)  同(串原義直紹介)(第一六号)  同(串原義直紹介)(第二一号)  同(大原亨紹介)(第三五号)  同(松前仰君紹介)(第三六号)  同(竹内猛紹介)(第七三号)  同(金子満広紹介)(第一四〇号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一四一号)  同(東中光雄紹介)(第一四二号)  同(松本善明紹介)(第一四三号)  同(矢島恒夫紹介)(第一四四号)  大型間接税導入反対不公平税制是正等に  関する請願田並胤明君紹介)(第八号)  同(佐藤観樹紹介)(第一七号)  同(野坂浩賢紹介)(第一八号)  同(水田稔紹介)(第一九号)  同(安井吉典紹介)(第二〇号)  大型間接税導入反対少額貯蓄非課税制度の  存続等に関する請願佐藤敬治紹介)(第九  号)  同(寺前巖紹介)(第一四五号)  同(藤原ひろ子紹介)(第一四六号)  同(正森成二君紹介)(第一四七号)  大型間接税導入反対大幅減税等に関する請  願(岩垂寿喜男紹介)(第一三号)  同(山口鶴男紹介)(第一四号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第二二号)  同(渋沢利久紹介)(第三七号)  同(馬場昇紹介)(第三八号)  同(山口鶴男紹介)(第三九号)  毛皮製品に対する物品税課税廃止に関する請願  (森喜朗紹介)(第五二号)  同(渡辺美智雄紹介)(第五三号)  子供・青少年等の健康を守るためのたばこの広  告・宣伝の制限等に関する請願中山太郎君紹  介)(第八二号)  同(武村正義紹介)(第一二五号)  大型間接税導入反対に関する請願安藤巖君  紹介)(第一二六号)  同(石井郁子紹介)(第一二七号)  同(浦井洋紹介)(第一二八号)  同(柴田睦夫紹介)(第一二九号)  同(辻第一君紹介)(第一三〇号)  同(寺前巖紹介)(第一三一号)  同(中路雅弘紹介)(第一三二号)  同(野間友一紹介)(第一三三号)  同(東中光雄紹介)(第一三四号)  同(正森成二君紹介)(第一三五号)  同(松本善明紹介)(第一三六号)  山林に係る相続税軽減措置に関する請願(奥  田幹生紹介)(第一三七号)  大型間接税導入反対等に関する請願工藤晃  君紹介)(第一三八号)  大型間接税導入反対税制改革等に関する請  願(寺前巖紹介)(第一三九号) 同月二十三日  大型間接税導入反対少額貯蓄非課税制度の  存続等に関する請願奥野一雄紹介)(第一  七〇号)  大型間接税導入反対所得税減税等に関す  る請願左近正男紹介)(第一八二号)  同(田中恒利紹介)(第一八三号)  同(五十嵐広三紹介)(第二〇九号)  同(野口幸一紹介)(第二一〇号)  同(松前仰君紹介)(第二一一号)  同(山花貞夫紹介)(第二一二号)  大型間接税導入反対に関する請願上田哲君  紹介)(第一八四号)  同(大出俊紹介)(第一八五号)  同(岡田利春紹介)(第一八六号)  同(川俣健二郎紹介)(第一八七号)  同(中路雅弘紹介)(第二一六号)  同(中路雅弘紹介)(第二二五号)  大型間接税導入少額貯蓄非課税制度廃止  反対等に関する請願児玉健次紹介)(第二  〇四号)  同(柴田睦夫紹介)(第二〇五号)  同(辻第一君紹介)(第二〇六号)  同(不破哲三紹介)(第二〇七号)  同(山原健二郎紹介)(第二〇八号)  大型間接税導入反対税制改革等に関する請  願(安藤巖紹介)(第二一三号)  同(工藤晃紹介)(第二一四号)  同(中路雅弘紹介)(第二一五号)  大型間接税導入少額貯蓄非課税制度廃止反  対等に関する請願楢崎弥之助紹介)(第二  二四号)  同(中沢健次紹介)(第二五三号)  同外一件(中路雅弘紹介)(第二五四号)  同(野口幸一紹介)(第二五五号)  同(松本善明紹介)(第二五六号)  同(山原健二郎紹介)(第二五七号)  同(工藤晃紹介)(第三一三号)  同(児玉健次紹介)(第三一四号)  同(佐藤祐弘紹介)(第三一五号)  同(藤田スミ紹介)(第三一六号)  同(村上弘紹介)(第三一七号)  同(矢島恒夫紹介)(第三一八号)  売上税導入マル優廃止反対等に関する請  願(安藤巖紹介)(第二三二号)  同(井上泉紹介)(第二三三号)  同(江田五月紹介)(第二三四号)  同(小野信一紹介)(第二三五号)  同(金子満広紹介)(第二三六号)  同(川俣健二郎紹介)(第二三七号)  同(経塚幸夫紹介)(第二三八号)  同(工藤晃紹介)(第二三九号)  同(左近正男紹介)(第二四〇号)  同(坂上富男紹介)(第二四一号)  同(新村勝雄紹介)(第二四二号)  同(田口健二紹介)(第二四三号)  同(田中美智子紹介)(第二四四号)  同(中島武敏紹介)(第二四五号)  同(野口幸一紹介)(第二四六号)  同(野間友一紹介)(第二四七号)  同(不破哲三紹介)(第二四八号)  同(正森成二君紹介)(第二四九号)  同外一件(山原健二郎紹介)(第二五〇号)  同(吉原米治紹介)(第二五一号)  同(大原亨紹介)(第三一九号)  同(岡田利春紹介)(第三二〇号)  同(加藤万吉紹介)(第三二一号)  同(金子満広紹介)(第三二二号)  同(経塚幸夫紹介)(第三二三号)  同(佐藤敬治紹介)(第三二四号)  同(中路雅弘紹介)(第三二五号)  同(東中光雄紹介)(第三二六号)  同(不破哲三紹介)(第三二七号)  同(正森成二君紹介)(第三二八号)  売上税導入反対に関する請願塚本三郎紹介  )(第二五二号)  大型間接税導入マル優廃止反対等に関する請  願(松本善明紹介)(第三一二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  資金運用部資金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三二号)      ————◇—————
  2. 池田行彦

    池田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出資金運用部資金法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を求めます。宮澤大蔵大臣。     —————————————  資金運用部資金法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま議題となりました資金運用部資金法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  資金運用部資金は、郵便貯金厚生年金積立金その他の特別会計積立金等政府資金を統合管理し、いわゆる財政投融資の原資として国民経済に重要な役割を果たしております。  最近における内外経済金融環境の変化に対応して、このような資金運用部資金の機能を円滑に発揮し、国民経済の要請に一層的確にこたえるためには、資金運用部預託利率について、市場金利の動向に対応し、弾力的に変更を行うとともに、資金運用部資金運用対象拡大する必要がございます。  このような趣旨から、資金運用部預託利率法定制を改めるとともに、資金運用部資金運用対象外国債拡大するため、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、資金運用部預託金には、国債金利その他市場金利を考慮するとともに、郵便貯金厚生年金等預託者側の事情に配慮して、資金運用審議会意見を聞いた上で、約定期間に応じ、政令で定める利率により利子を付することとしております。  第二に、資金運用部資金外国政府国際機関及び外国の特別の法人の発行する債券に運用できるものとし、その金額は、資金運用部資金の総額の十分の一を超えてはならないこととしております。  そのほか、資金運用審議会の権限、簡易生命保険及び郵便年金特別会計余裕金に付する利子特例等について所要の規定を設けることとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようにお願いを申し上げます。
  4. 池田行彦

    池田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 池田行彦

    池田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事青木昭君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 池田行彦

    池田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  7. 池田行彦

    池田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  8. 堀昌雄

    堀委員 この法律審議に入ります前に、宮澤大蔵大臣は先般パリで開かれましたG5、G7会議に御出席になりまして一連の取り決めをしてお帰りになっておりますので、この問題について最初にお尋ねをいたしたいと思います。  今回のパリにおきますG5、G7につきましては、大臣を初め関係者皆さん大変お骨折りをいただいていい結果をもたらした、そういうふうに私は判断をいたしておりまして、その限りにおきましては皆さんの御苦労を多といたしたい、こう考えておる次第でございます。  ただ、この声明に触れて少しお尋ねをしたいのでありますが、私はこの前の十二月十二日の当大蔵委員会一連財政なり減税についての論議を実は大蔵大臣とやらせていただいたわけであります。そこからひとつ入りまして、今後のお考えを少し明らかにしていただきたい、こう考えるわけであります。  この十二月十二日に、私は、ちょうど十一月二十日にクラブで記者会見をいたしましたときに配りました「減税、増税を一定期間を限って同額とし、併せて現在の財政上の矛盾と誤りを是正する提案」という文書を実は読み上げたわけでございます。それを読み上げまして大蔵大臣の御所見を伺ったわけでありますが、そこのところをちょっと私ここでもう一回読み上げておきたいと思います。   これは既に記者会見に使った資料でありますが、ここで私が述べておることと宮澤さんが総務会長のときにお述べになっていることとはベースとしてはほとんど共通しているのじゃないか、こんなふうに思うのでありますが、宮澤大臣の御答弁をいただきたい。
  9. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 堀委員のこの十一月二十日の御所見というのは、私も既に拝見いたしておりまして、一つの御卓見であるというふうに存じております。そこで、私がことしの三月ごろに述べましたことと思想的に共通しておるところがあると仰せられましたが、まさにかなりの部分、私も基本的に理解できる部分要素が相当にございます。時間がありませんのでちょっと中略をいたしまして、   例えば、この御提言の中で、減税をまず先にやって、二年でございましょうか、三年でございましょうか、その何年間かのギャップは短期国債でつないでおけばいいだろうとおっしゃいますのは、財政家としての一つの識見だと思いますけれども、それは金繰りと申すよりはその間国債を出すということでございますから、その利払いは当然のことながらいたさなければならないといったような問題に逢着いたします。したがって、ただいまのような財政状況では、何とか増減税とんとんということでいかざるを得ないのではないか。結局、この問題は一つのところへ戻りますので、今のような経済財政状況の中で、多少の国債はふやしても減税あるいは事業を行うべきか、あるいは、やはりそこは一般歳出ゼロという、いわゆる今のシーリングと申しますか、そういう基準のもとで財政を行わなければならないかという、二律背反いたします二つの要素をどの程度に調和していくかという判断の分かれ目ではないかと私は考えております。
  10. 堀昌雄

    堀委員 実は日本経済新聞が、十二月十日の朝刊でこのように伝えているのであります。  「日本税制改革失望 NYタイムズ社説」【ニューヨーク九日共同】九日付の米紙ニューヨーク・タイムズ社説で、日本税制改革日米貿易摩擦解消に全く役立たないことに強い失望を表明、「中曽根首相減税を避ける決定をするようではもはや(貿易均衡は)どうにもならない」と酷評した。「日本税制を改革するが貿易問題を改革しない」と題する同紙社説は、自民党税制調査会が決めた税制改革案について、税制改革であっても減税でないため、消費者購買力を増和することにならないと指摘日本内需拡大にも、輸出依存体質の改善にもつながらないだろう、と述べた。  そしてこうした税制改革案が浮上した背景には「中曽根首相が、日米貿易均衝で非難されるべきは米国政府財政赤字減らしに失敗したことである、と信じ込んでいることを反映している」と決めつけた。  さらに社説は「もし米国があすにもベルトをきつくすれば、日本経済はひどい景気後退に見舞われるだろう」と警告、「両国はまずます貧しく、しかも怒りっぽくなっていくだろう」と極めて悲観的な見方を示した。 こういうふうに実は私は申し上げているのであります。  そこで、この今の声明でございますけれども、四番目のところで、「大臣及び総裁は、これらの望ましい方向への進展はあるものの、いくつかの国の大幅な貿易収支及び経常収支の不均衡が深刻な経済的・政治的危険をもたらしていると考える。また、大幅かつ持続不可能な貿易均衡縮小優先順位の高い課題であり、そのような縮小をもたらす上で世界経済がより均衡のとれた形での成長を遂げることが中心であるべきことに合意した。」こういうふうに実は合意をされたことが報告されておるわけでございます。  そこで、あとずっと申し上げますが、要するに今度の合意というのは、「日本国政府は、内需拡大を図り、それにより対外黒字縮小に寄与するような財政金融政策を続ける。」こう書いてあるのですね。「続ける」と。続けるということは、もう今までもやってきていますよということのようですが、私はそう認識してないのですが、「続ける」と書いてある。「今国会に提出した税制全般にわたる抜本的見直しは、日本経済の活力の維持・増進に資するものである。一九八七年度予算の速やかな実施を確保するため、その成立に全力を傾注する。内需振興を図るため、総合的な経済対策が、経済情勢に応じ、予算成立後準備されることとなろう。日本銀行は、二月二十三日から公定歩合を〇・五%引き下げることを発表した。」こういうふうにおっしゃっているわけであります。要するに、内需拡大を図るということをこのG5で日本側約束をしたことになっているんじゃないだろうか、この文面を拝見するところでは。  そういたしますと、二律背反とこの前十二月十二日におっしゃったこの問題の中のどっち側を内需拡大として選択なさるのか、この点についての大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。
  11. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昨年の十二月に堀委員からこの同じ問題について御指摘がございまして、堀委員のお持ちになっておられます問題意識は私にもよく、間違いなく御質問を通じて伝わっておりまして、そのとき申し上げましたように、そういう国の内外から我が国に寄せられておる期待というものが片っ方にあり、他方で財政再建という問題があって、この後者の問題も、将来のことを考えますと、財政弾力性を何とか早く回復しておかなければならないということは何人も否定しがたいところでございますので、その辺のバランスをどうするかということが問題であるということを申し上げたわけでございます。それはよく記憶をいたしております。  そこで、このたびの二月二十二日の声明でございますが、これは昨年の九月の末にワシントンでございましたG7等々と実は同じ考え方の延長に立っているものでございます。冒頭にお読みになりました第四項にございますように、まあまあ東京サミット以来お互いに一生懸命やってきたがまだまだどうも十分ではない、こういうことが黒字国赤字国おのおのについて言われておるわけでございます。したがいまして、この「日本国政府は」とおっしゃいました、ただいま「続ける」というのは、今までやってこなかったという意味ではございません。今までやってきたのであるけれども、なお全体的に、お互いそうであるが、まだまだ十分ではないではないかというのがこのG7全体の物の見方である、この点は申すまでもないことでございますけれども、他の国に対してはたから見ておりますと、もう少しいろいろなことがやれそうなものだ、黒字国赤字国おのおのにそういう感じがございますので、我が国のやっていることは、もっとやれないかというそういうふうに外から見られるということも十分あることでございます。また我が国が他国についてそう考えておることも十分あり得ることでございますが、そういう雰囲気の中で、我々としては一生懸命やってきたつもりであるけれども、これからもなお続けてそういう努力をいたしたいということをここで申しております。  ただ、この「日本国政府は」云々といういわば政策意図を表明いたします我々の立場といたしましては、ちょうど国会予算を御審議いただいておるまさにその段階でございますので、それを超えまして、あるいはそれを前提といたしましてその後どうこうということを対外的に申すことは慎重でなければならない、不謹慎のそしりがあってはならないという気持ちもございましてこういうような表現にいたしておる、そういうようないきさつでございます。
  12. 堀昌雄

    堀委員 私は、今大体百五十円から百六十円の間を為替が動いておりますけれども、今度の皆さんのお骨折りで当分この状態が続くのだろうということで、何といいますか、これ以上円高が進行することはないだろうというふうに考えておるわけでありますが、どうもこの文章を見てみまして、日本の場合は今おっしゃるように予算委員会の問題がございますからよくわかりますけれどもドイツ連邦を見てみますと、「ドイツ連邦共和国政府は、経済における公共支出の割合を一層減少させる政策を遂行し、民間部門の活動と投資に対するインセンティブの強化を目的とした包括的税制改革により、個人及び法人税負担を軽減する政策を遂行する。これに加えて政府は、一九八八年実施が既に立法化されている減税規模拡大することを提案する。」こういうふうに極めて具体的に実は西ドイツは述べておりますし、フランスも、「一九八六年から一九八八年にかけて、中央政府財政赤字を対GNP比一%削減し、かつ、同期間法人及び個人について十分な税率引下げを行って同規模(対GNP比一%)の減税プログラム実施する。一九八七年には、(六十億ないし七十億ドルと見込まれる資産売却を伴う)民営化プログラムを遂行し、フランス経済、特に労働及び金融市場自由化を強化する。」フランス西ドイツもこの声明の中では極めて具体的なことが述べられておるわけでありますね。  私は今、この国際問題をやっております中で非常に心配をいたしますのは、アメリカ欧州もそうでありますけれども、大体が契約社会でございますから、この契約社会の慣行としては、約束をしたらそれは必ず実行するということが前提になって物事が動いている、私はこう思うのでありますが、我が国というのはそういう契約社会からやってきておるわけではございませんから、その限りではどうも約束が少し安易に流れる感じがするというのが私がこれまで見ておる中で感じておることであります。ですから、アメリカなり欧州の側から、日本約束はするけれどもどうも一向に実行しないというのが常にはね返っておるということを実は非常に心配するわけであります。  私どもはこれまで大きな国の後ろをついてきている間はいいのでありますけれども、私ども経済的には今世界の中で最も資金の上では余裕のある国だというふうにアメリカからも欧州からも見られているわけでありますが、資金があってやればやれることをどうもやらないのではないかというのが実は先ほど読み上げたニューヨーク・タイムズの論調でもありますし、欧州皆さん考え方でもございます。ですから、私は、今度のG5をより成果あらしめるためには、内需拡大ということをお約束になった以上、今度はこれを実行していただかないとこのG5というものの成果が生きてこないのじゃないか、こういうふうに考えますので、その点、大蔵大臣は、今の私の申し上げましたような考え方の上に立って、内需拡大について今度は具体的に実行する、こういうふうなお考えかどうか。それはさっきの二律背反の方の多少財政の問題が、私は余り財政の問題に負担をかける気はなくて、要するに短期国債でやる。確かにそれは金利を払いますから国債ではありますけれども、そのわずかの金利の問題と、今の日本経済がだんだんと今下降しておりますところの問題に対応する問題とは、もう次元が違うくらい大きな差があるのじゃないかという感じでこれまでも問題を提起してきたのでありますが、その点についての大蔵大臣のお考えをひとつ承りたいと思うのであります。
  13. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 このたびの声明の中における政策意図我が国の述べておりますところが余り定数的でない、やや定性的である、具体的でないという御指摘がございましたけれども、これは多少経緯がございまして、御記憶のとおり、我が国は、米国とでございますが、昨年十月三十一日に共同声明を出しております。その中におきまして、三兆六千億円の総合経済対策実施、それからやがて国会に御提案を予定しておりました税制の総合的な改正及びあの当時の日本銀行の公定歩合の引き下げ、この十月三十一日の共同声明ではかなりその点を具体的に述べておりまして、このたびの二月のポリシーステートメントは、その後を受けるという形になっておりますこともありまして、比較的定性的になっておるという経緯はお認めをいただきたいと思うわけでございます。  しかし、お尋ねは、やはりこれからのこのような状況の中で我が国に期待されているものがいろいろある、それは今までのことでは不十分ではないかという御発言は、恐らく堀委員G7に御出席でいらっしゃいましたらまさにそういう声がたくさんあったということをお感じになりますような種類の御発言でございます。私がそれに対しまして申しましたことは、おっしゃることはよくわかっております、おりますが、日本政府としては、今、国会に御提案申し上げておる予算案、それから税制改正、これをもってこの際としてはベストの努力をしたつもりであります、皆さんがまだまだとおっしゃることはよくわかりますが、ともかくこの予算案を早く成立をさせていただいて早く執行をいたしたい、税制についても同様でございますが、そうしてその上に立ちましていろいろなことをやはり考えていかなければならないということは私としてもよくわかっておりますということをG7でも申し上げたのでございますけれども、ただいまのお尋ねに対しましてもさように申し上げます。
  14. 堀昌雄

    堀委員 今日本の政治の問題で、この十二月十二日にもお話をしておりますけれども、今日本の政治といいますか行政を含めた政治という問題の中で、官僚の皆さんの考えておることと政治家の考えておることの間にかなり開きが出てきている、私はそういう認識なんでございます。  それはどうしてかというと、先ほど申し上げたように、宮澤総務会長のときに御発言になったことと私が押していることはほとんど同じなのでございます。政治家としての宮澤総務会長がお考えになったことと私が政治家として考えでおることはかなり前からずっと同じな形になっているのですが、それがどうしてこうなったかと言えば、官僚主導によって、例えば今の減税の問題を先行しよう、こういう問題は、多くの識者もそういう考えでいながら、官僚の諸君は手がたいというのかどういうのかわかりませんけれども、同年同額で増減税をやる。同年同額で増減税をやるということは減税効果が生きてこないということですから、これは宮澤さんが総務会長のときにおっしゃっていることも私が言っていることも全く同じことになっているのです。その政治家の考えが現実に政治に反映できなくて、行政官がともかく安全運転のために考えておることだけが行政の前面に出てきているというのが今の日本の政治ではないでしょうか。  私は今新聞を見ておりますと、自民党の内部でももっとそういう自民党主導でやることが必要ではないかという声が高く上がっています。政治家は政治家としての判断がある。行政官というのは、一定の幅の中で、そして余り長期で責任が持てない立場でありますから、何回直言いますけれども、せいぜい二年か三年が政策決定の時期なんでありますが、私はこれで国会にもう二十七年置いていただいているわけでありますけれども、私どもは長期の展望に立って、広い、世界的な視野の中で、この日本という国をどうしたらいいのか、それだけをただ考えて問題を提起しておる。そこは与野党を超えて私は今のこの問題については同じ考え方ではないのか。それが象徴的に宮澤さんの総務会長のときのお考えと私がかねてから言ってきている考えはこう一致しておる。  ですから、ここで非常に重要なのは、官僚の皆さんの主導ではなくて、要するに政治家主導の内需拡大という問題をやらない限り、国際的に日本は非常に困難な立場に追い込まれるのではないだろうかということを私は大変心配をいたしておるわけでございます。どうか、そういう意味で、今微妙な時期でありますから私もこれ以上多くは申しませんけれども、政治家としての宮澤大蔵大臣の決断、同時に自由民主党もひとつどうか皆さんで、党で方針を決めて、ひとつ政府がこれをやりなさい、こうきちっとやってもらうようなそういう政治を日本に打ち立てることが今の日本の困難な状況を解決する最大の課題だと思いますが、大臣、いかがでございますか。
  15. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 戦後の我が国をここまで持ってきましたことにつきまして、これは国民一致の努力の結果ではございますが、しかし、官僚の諸君がよく公務員として大筋を誤らないで仕事をしてきたというその功績は私は決して軽く考えてはいけないと思っております。  ただ、いかにも今日の我が国はこの間までの我が国とは違った大きな責任を内外に対して負うことになりまして、とかくこういうときには今までの経験的な過去を踏んまえました考え方でありますと新しい事態に急速に対応できないということはありがちなことでございますから、私も堀委員と同じような、政治をやらせていただく立場に立ちまして、官僚諸君の知識、経験等々手助けを受けながら、間違いなく我が国内外に対する責務を遂行してまいりたいと考えております。
  16. 堀昌雄

    堀委員 そこで、ちょっと経済的な問題について論議をいたしてみたいのでありますけれども、足立総務審議官アメリカの一九八七年経済というのを大蔵省は大体どんなふうに見ているか、お答えをいただきたいのです。
  17. 足立和基

    ○足立政府委員 アメリカの八七年の経済でございますけれども個人消費を中心といたしました国内需要が八六年ほどには期待することはできないのではないか。これは消費の状況を見てみますと、かなり貯蓄率も下がってございます。しかしながら、引き続き物価も安定するというぐあいに思っておりますし、金利低下の効果というのはこれからアメリカ経済においても出てくるのではないか。さらに、貿易収支の改善という観点で外需がかなりプラスの方に寄与してくるのではないか。こう見てございますので、アメリカ政府といたしましては八七年の成長率を三・一%と見込んでございますが、緩やかな拡大ペースというものを引き続き維持していくものと私どもも考えております。
  18. 堀昌雄

    堀委員 この為替の問題というのはどちらにしてもファンダメンタルズに影響されることでありますから、私どもアメリカ経済がどういうふうにこれから推移をするかということは非常に重要なファクターだと見ているわけでございます。いろいろな見方があるわけでありまして、アメリカでは今一番多いエコノミストは二・五%ぐらいの成長ではないかということを言っていますし、この間ヘッドのボルカーさんは二・五から三の間になるだろうということを議会で証言をされておるようであります。また、日本の野村総研あたりはかなりペシミスチックに見ておりまして、二%を割るのではないかという見方があります。これはおのおのの国の状態ですからこれからどうなるかわかりませんけれども、私は、アメリカ経済ができるだけいい調子で推移してくれることが今度の為替の問題についても非常に関係がある、こう見ているわけであります。ただ、見ておりますと、アメリカでは今M1もM2もかなりふえておるわけでありますし、三十年国債金利もややちょっと高どまりといいますか下がる見通しが今のところないというような面もありまして、どうもアメリカ経済、今のところはまだ必ずしもこうなるなというふうに私自身も確信を持っておるわけではないのでありますけれども大蔵大臣、今の審議官の答弁を踏まえて、大臣は大体どんなふうにお考えでしょうか。
  19. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 せんだってもパリでそんな雑談もいたしたわけでありますけれども、まあまあ足立審議官が今申し上げましたようなあたりが中庸的な見方ではないかと思っております。
  20. 堀昌雄

    堀委員 欧州が昨年かなり調子がよかったのですが、ここへ来て少しスローダウンしているようであります。きょうの夕刊を見ますと、なるほどと思いましたのは、「西独、九〇年に二百五十億マルク減税 連立三党合意 一部を来年実施」、これが一つ出ておりまして、「米財政赤字、一月大幅減」、大変結構なことなんでありますけれども、どうも周辺はかなり決意を新たにいろいろな問題に取り組んでいるなというのが率直な感じでございます。  今日本が特に為替の問題で影響を受けていますのは、何しろ日本貿易というのはほとんどがドル建てで、円というものがもう一つ有効な処理がされていない。ところがマルクの場合には、かなりのものがマルク建てで、おまけに域内でもあるということでありますから、ドルがどう動きましても受ける影響というのは日本とはかなり違う、こう見ているわけですね。ですから、そういうことになると、短期的な問題はいろいろございましょうが、やや中長期的に見ると、どうしても円の国際化をあらゆる角度から進めるようにしない限りこの問題というのは長く尾を引く問題になるのではないか、こういう気がするのでありますが、宮澤大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。
  21. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまの問題は、殊にここに参りまして我が国の輸出が対米の比重がまた大きくなっておりまして、かつてはお互いに何となく三割、それがもう少し減ったなんということもございましたが、もう四割に近くなって、あるいは四割というところがいい数字かと思いますけれども、これはいかにも大きくなっておりまして、これが今言われました我が国経済がいわばドルに対するディペンテンスが非常に大きいということ、西ドイツが域内であることもありまして、その点の両者の違いがあるということは言われるとおりだと思います。  しかもその上に、輸入はほとんど円建てというのが二けたに達しない、何%ということでございますからよけいにそういう要素がございまして、これは何とかだんだんに円というものの役割を大きくしてまいりたい。この点は堀委員もよく御記憶いただいておると思いますが、円というものを国際的にどのくらい機能させるか、これはある意味ではそれだけのまた責任を負うということでもございますので、戦後それについてはかなりいろいろ迷いもございましたし、いろいろな意見があったと思いますけれども、ここへ参りますと、円というものをできるだけ自由にしてみんなにも使ってもらう、そして役割が自然に大きくなれば決してそれを阻害するようなことはしないということが大事ではないかと思います。
  22. 堀昌雄

    堀委員 欧米ではこの前の前川リポートを大変重視しているわけでありまして、一体その前川リポートというのは、ただ言っただけか、実際に実行するのか、こうなっているわけでありますけれども、この前川リポートの中にも円の国際化というのははっきり取り上げられているわけでございますし、私もそういう意味ではできるだけ前川リポートが実践できるような努力をこれからも続けてまいりたいと思いますが、どうかひとつ大臣及び大蔵省の皆さん、我々約束したことは必ず守るようにしたい。  私がかつて軍隊におりましたときに、昔の甲子園ホテルを川西航空機が管理をいたしておりましたが、私は大阪警備府付軍医下士官をしておりまして、呉の海軍病院からこれを接収して大阪の海軍病院にしろという命を受けて川西航空機の関係者と折衝いたしました。私が少なくとも七月中にこれを明け渡してくれということを七月上旬に話しましたら、相手の人は、いやこれを明け渡すのはどうしても八月十日までかかります、御勘弁いただきたいということでございました。いろいろ努力しましたが八月十日と言うので、やむを得ませんので、私はそのことを呉の鎮守府の方に連絡いたしました。ところが、七月二十五日になりましたら、八月一日に明け渡しをいたしますと向こうの代表者が連絡をしてまいりました。そして彼が私に言うのはこういうことです。堀さん、日本で時計を修繕に出したら——今ごろは時計を修繕に出すようなことはありませんが、あの戦争のころは、時計は一年に一遍くらい分解掃除をするのが習慣でありましたから。時計を時計屋に出して、日本で何日にできますと言われてその日にもらいに行ってできているためしがありますか、大抵二、三日とか三、四日は必ずおくれるのです、アメリカではそういうことはありません、私は長くアメリカに住んでおりましたけれどもアメリカでそういうことをやるときは、例えば八月一日にできると思ってももし何かのことでおくれたときには相手に迷惑をかける、そこで私は八月十日と言って一生懸命頑張って堀さんもやむを得ないと言って了承していただきました、しかし軍の要請にこたえてできるだけ早くしたいと一生懸命やって八月一日に明け渡しすることができました、どうかひとつ私たちは安易に約束して守らないという日本の民族的な問題というのを改めていただきたいと思いますというのが川西航空機のそのホテルを所管していた責任者の話でありました。  私はまだそのとき外国に行ったこともありませんから、なるほど、それは大変いいことだ。というのは、私も海軍におりましたからですけれども、海軍というのは時間を守ることは大変厳しいわけでありまして、整列五分前というので、決められた時間の五分前には必ず整列をして処理をする。ですから時間を守るという点では船乗りでありますから非常にあれですが、約束を守るということの重みということをそのとき私は感じました。  どうかひとつ政府及び官僚の皆さんも、我々がペーパーに出してよそに約束をした、このことを少なくとも確実に実行するようにお願いをして、この問題に関する質問を終わって、法案の審議の方に入りたいと思います。  厚生省、今度の運用部の改定の問題は、昨年の五月七日の当大蔵委員会で、私は、だんだんと金利が低下をしてくる過程の中ではどうしても資金運用部の金利を法定しておることでは対応ができなくなる、御承知のようなデレギュレーションをいろんな方面にわたって進めておるわけでありますが、窪田理財局長に、これはもう当然法定を外すべき時期だ、こう言って提案をして、ついにここへ来て法定が政令で処理ができるようになりました。現在の経済情勢の中では当然なことだと思うのであります。長期プライムはもう既に五・五%になるようであります。そうしますと六・〇五と比べれば〇・五五%の乖離が生じるということでございますから、私は今度のこの法定から政令に移行したことは大変時宜に適したことだと思うのです。  ただ、この前のときにも実は議論はしてございますが、郵便貯金の方は、これは要するに貯金金利も下がりますから、大体連動しますから、この方は法定でなくても問題がないのでありますけれども、厚生年金の原資の問題というのは、これは下がれば下がるほど実は年金加入者にとってマイナスになるというのが現状であります。そこで、もう時間がありませんから、厚生省としてこの運用の問題をこういうふうにさせてほしいという考え方があれば述べていただきたいと思います。
  23. 水田努

    水田政府委員 お答え申し上げます。  厚生年金の受給者は六十年三百万人だったものが三十年後には四倍の千二百万人に急激にふえてまいりますので、後代の人の負担の軽減を図るためには年金の積立金を高利に運用して後代の人の負担の軽減を図るということが年金制度の運営の上でどうしても必要になってまいるわけでございまして、私どももかねがね他の共済組合と同様、自主高利運用をやるように、こういう要望をいたしておったわけですが、今回私ども、一兆円と額は少のうございますが、六十二年度予算編成の際に自主運用の道を開くことができましたので、今後この道を充実させながら年金積立金が担うべき後代の人の保険科負担軽減という役割が十分果たせるようにやってまいりたい、このように考えております。
  24. 堀昌雄

    堀委員 これは厚生省は水田年金局長ですね。大蔵委員会だから遠慮して物を言う必要ないのですよ。これは私がお尋ねしているのですから。これは初めて一兆円できたから、私はそれは大変いいと思うのですね。しかし、私は、この前、ともかくもっと適切な運営をできるようにすべきだとボールを投げているわけですね。だからあなた方が今こうしてほしいということをここでひとつ率直に言ってください。遠慮要りません。
  25. 水田努

    水田政府委員 決して遠慮してしゃべったつもりはございませんが、やはり年金の積立金は三つの機能を持っておる。一つは高利に運用していく、それから過去の経過がございますので財投に協力していく、それから四十年にわたる一方的な保険科の拠出を求めている拠出者に対する福祉還元、この三つをバランスをとりながら積立金の運営をしていくことが最も肝要だと思っております。したがいまして、私どもは、他の共済組合と同様、積立総額の三分の一を自主高利運用に持っていくという目標で今後努力してまいりたい、このように考えております。
  26. 堀昌雄

    堀委員 今のがどうも本音のようです。最初の話はちょっと遠慮した話でしたから。遠慮していないと言うけれども、やはり遠慮していたのです。  私は、理財局長、五十六年二月に、もう財投というものの抜本的見直しをやりましょう、こう言っているわけですね。要するに、財投というものがある意味でやはり公的性格を持っておるところがそういう安易な条件に、悪い言い方かもしれませんが、あぐらをかいているという感じがしてなりません。民間は今厳しい競争条件の中にあるときに、財投をどんどん絞り込むことこそ日本経済を活性化させるために大きく役立つことではないのか、こう私は考えているわけです。そういう立場から見るならば、今国民が一番関心を持っているのは税金より実は年金なのですよ。将来自分たちの年金はどうなるだろうか。  私は六十年の予算委員会で税の問題を取り上げたときに、最初に国鉄共済年金の問題を取り上げたわけです。そして、国鉄共済年金というのは六十五年から一体幾ら金が要るのですかと聞きましたら、当時の総裁が、年間三千億の資金をいただきたい、それは二十八万人体制です、こう言っているわけです。二十八万人体制で三千億要るというのは、今度は二十万人体制ですから一体幾ら要るのか私どもにはわかりませんが、少なくとも四千億か四千五百億か要るのではないでしょうか。言うならば、国鉄共済年金というものは六十五年以降は運営できるのかどうかわからない非常に危険な状態です。これは単に国鉄共済年金だけではありません。その他の共済年金もやがて時間が来ればそれに近い状態が起こってくることは避けられないのでありまして、年金の問題というのは非常に重要な問題だと思うのです。  そうすると、今、年金局長が言いましたように、共済年金で三分の一が運用できているのなら当然厚生年金も、同じ働く人たちの年金でありますから、三分の一に速やかに。まあ一遍にはいかないでしょう。大蔵省も、とにかく郵便貯金の非課税を取っ払うために郵政の自主運用をこれまでは頑として認めなかったのを認めた権衡上、厚生年金もことし一兆円、こうなったのでしょうが、理財局長、これは金の話ではないのですね。要するに、財投という仕組みをずっと絞り込んでくる過程を通じてそういうものの自主運用がより高利にできるようにするメカニズム、それが日本経済の活性化にもつながるし、あわせて年金の受給者にとっても少し安心ができる方向になるのじゃないか、こう私は思うのですが、まず最初に理財局長の答弁を求めて、大蔵大臣の御答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  27. 窪田弘

    ○窪田政府委員 昨年五月七日の大蔵委員会で、新しい時代に入っているのであるから財投も古いしがらみにいつまでもとらわれていないで新しい改革の第一歩を始めたらどうか、具体的には預金金利法定制廃止とそれに関連して自主運用という二点を御指摘になりました。  今回の制度改正はその問題提起におこたえしたものと私どもは考えておりますが、今まで私どもがなかなか踏み切れなかったゆえんのものは、やはりこの財投資金というものが日本経済の再建と発展に非常に大きな役割を果たしてきた、やはり国のもとに集まったお金はまとめて効率的に運用したいということで統合管理の原則をとにかく守っていきたいということでございました。ただ、御指摘のように、だんだん時代が変化いたしておりますので、その運用面でもいろいろな新しい考え方を入れる必要はあると思います。しかし、どうしても超えられない限界は、やはり国の特別会計で行っている事業である以上、その国のもとに集まってきたお金というものは、資源配分上重要なものでございますから、これは大事に使うと申しますか、全体を通して効率的に使っていかなければならない。しかし、片や、おっしゃるように年金の重要性というものも私は十分心得ているつもりでございます。その調和を図るために、やはり一たん全体を資金運用部にお預けをいただいて、その中から財投に向けるものとそれから年金の有利運用に振り向けるものと、これを毎年毎年見直していこうというふうなシステムをとらせていただいたわけでございます。  私は堀先生とちょっと違いまして、どんどん縮小していった方がいいというふうにも必ずしも考えないので、まだまだ公的資金のやる分野は大きいと思いますが、この年金の要請とそれから財投で使うべき問題と、毎年よく慎重に検討してまいりたい。頭から何分の一というふうな率を決める段階ではないのじゃないかなというふうに感じております。
  28. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今回こういう法改正をお願いすることになりました問題につきましては、以前から堀委員が問題を御指摘いただいておったことを私もよく存じておりました。そのような御指摘に従いながら今度改正をお願いするわけでございますが、今局長が申し上げましたが、確かに統合管理ということはそのとおりだと思いますが、そういう建前をきちんと立てながら、何かしかし年金の方にはおっしゃるように御事情がある、これはそのとおりだと思いますので、両方で建前は立てながら、お互い考え方があるだろうということで、今度各省の間でかなりいろいろお互いによく譲り合いもし、話し合いもいたしたと思います。こういう結果になったわけでございますが、今後ともそういう精神で進めてまいりたいと思っております。
  29. 堀昌雄

    堀委員 世の中は変わりますから固定的に物を考える必要はないと思っています。最初に申し上げたように、皆さん手がたくやっていらっしゃるので結構なのですが、ひとつ大臣、やはりこれは政治の問題として、ただ統合運用、手がたくということだけがすべてではないというふうに私は考えておりますので、何といってもやはりデレギュレーションで、財投を小さくするという表現はよくないかもしれませんが、できるだけ競争条件の中で問題が処理される方向に替っていかない限り問題の解決にならない。やはり現在は市場経済でございますので、そういう方向で公的部分を減らすことは今日的課題として極めて重要だと私は思っておりますので、どうか、今のお二人の御答弁の方向で結構でございますので、その方向に着実に進めていただくように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  30. 池田行彦

    池田委員長 早川勝君。
  31. 早川勝

    ○早川委員 今、堀先生の質問を拝聴させていただきまして、大蔵大臣所見も伺わせていただきましたけれども、法案審議に入る前に、一点だけ大臣にお伺いしたいと思います。  いわゆる今回のG5、G7の中で、これからの世界経済の観点に立っても協調が大変必要だということが明らかになったわけでして、問題は、協調の必要性と同時に、それぞれの国が具体的にそれを実行するかどうかというのがより重要な観点じゃないかと思います。  そこで、日本の場合には内需拡大に極力努めるということを約束されまして、先ほど堀先生は、その内需拡大のためには減税がどうしても必要なんだという観点で御意見質疑されたわけですけれども、私は、それに関連して本当の一つだけですけれども税制改正の面でいわゆる内需拡大をするということが一つと、もう一つは、貿易の収支の問題に関して言えば、輸入を拡大するための施策を講じなくちゃいけない、こう二つあると思うのですね。この二つの側面から考えますと、今政府が出されている税制改正の中身の中で、どうも売上税というのは内需拡大の方向にも逆行する。それから、輸出の方については免税でいいのですけれども、逆に輸入品については五%の売上税がかかる。輸出品は従来どおりの価格で外国へ出ていく、輸入品だけは国内消費に当たっては五%上乗せされる、こういう二つの側面がありますので、そうすると内需拡大という方向への約束に反するのじゃないかと思うのですけれども、この点いかがでしょう。
  32. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 売上税だけをとりまして、これがそれだけでいわゆる内需、国民消費にプラスになるかマイナスになるかというお尋ねでございますと、これは大いに内需を振興するということはお答え申し上げにくい。そのとおりであろうと思います。ただ、政府が御提案申し上げておりますのは、くどくは申し上げませんが、このような財政事情のもとにおいて、個人所得税法人税を大幅減税することが企業意欲、勤労意欲を助けますし、また、個人所得税の場合には可処分所得を非常に大きくするという要素もございますので、総合的には内需振興経済成長にプラスに働くというふうに私ども判断をいたしておるわけでございます。  なお、このたびの売上税、計数的には実は国民の消費者物価水準に与える影響極めて軽微であるということは、先般もいろいろな統計から申し上げたとおりでございます。
  33. 早川勝

    ○早川委員 つまり、内需拡大に向かって日本は率先してその協調のための施策を講じるというふうに考えますと、先ほどの議論の中にございましたように減税を先行させていったらどうかというのが当然の主張だと私は思います。それと符節を合わせるためには、逆に考えますと増税部分は後からでもいいんじゃないか、こうなるわけですね。その点について、増減税ゼロというとやはり経済的な効果もゼロというふうに判断した方が私は適切じゃないかと思うのですね。減税は先にやって増税分は後にずらすのが適切な施策であり、そういう意味で売上税というのは撤回するのが適切な施策じゃないかと思うのですが、その点だけ伺いたいと思います。
  34. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 現実にこのたび御提案申し上げております税制改正の実行に当たりましては、所得税がまず早い時期から、四月から私どもの御提案では軽減をされる、法人税につきましても四月以降に終了する年度ということでございますに対しまして、売上税は翌年の一月ということでございますので、その間何がしかの時間的な差が設けられておることは御承知のとおりでございます。その限りにおいて減税が先行するということは申し上げても間違いでなかろうかと思いますが、私ども、全体といたしましてやはり余りに直接税にウエートが置かれ過ぎている結果、日本経済全体あるいは国民生活全体にそれがおもしになっておるのではないか、こういう判断からこのたびのような御提案をいたしたわけでございます。
  35. 早川勝

    ○早川委員 売上税の問題については後日またお伺いしたいと思います。  次に、法案についてお伺いしたいと思います。  今回、資金運用部は、これまでの経過、歴史を踏まえても、ある面で大きな一つの段階を超えることになるのじゃないかなという感じを持ちます。資金運用事業の対象機関として新しい分野が設けられたという問題と、それから預託金利法定制から政令へいわゆる弾力化が行われるということなんですが、この資金運用事業の創設につきましての見解をちょっと伺いたいと思います。
  36. 窪田弘

    ○窪田政府委員 御指摘の点は運用対象拡大の点かと存じますが、今回お願い申し上げておりますのは、外国国債外国の特別の法人の出します債券、それから国際機関の発行する債券、これに運用を拡大するようにお願いをいたしております。現在の資金運用部資金法七条で運用対象が非常に厳格に限定列挙されておりますが、いろいろ国際的に資金の交流の大きくなった時代でございますので、国際的協力の見地から国際機関債を引き受けてもらえないかというような打診がある場合がございまして、従来はこれにこたえられなかったわけでございます。今度その道を開きたいと考えているわけでございます。
  37. 早川勝

    ○早川委員 郵便貯金特別会計と年金福祉事業団、それから簡易保険郵便年金福祉事業団、いわゆる特別会計政府関係等機関、公社公団、それから金融機関、これらが現在の対象機関になっているわけですね。それに新しい運用事業としてこの三つの分野が加わったということについての評価につきまして伺いたいと思います。
  38. 窪田弘

    ○窪田政府委員 先ほども御質問の中にありましたように、郵便貯金は今後金融自由化の時代に対応した一つの体制を整えたいという御要望がございますし、年金の方は積立金をできるだけ有利に運用したい、簡保の事業もできるだけ有利な運用をしたいという要請がございます。それにおこたえをするとともに、やはり資金運用部資金法の一条、国の手元に集まった資金は統合管理するという原則を守り、かつ、これは四十八年ごろに社会党の田中寿美子先生初めの御提案が契機になってできました長期運用法では、国の資金の長期運用は全部レビューできるように国会にお出しをしてその議決を求めることになっております。そういうふうな精神からいいましても、やはり国のお金は一遍資金運用部に預けていただいて、その後に財投資金あるいは国債への配分、地方への配分をバランスをとりながらいわゆる自主運用をやっていただけるような仕組みをつくりたいという工夫をいたしたわけでございます。  郵貯の場合は、一遍私どもにお預けしたお金を再び郵便貯金特別会計にお貸しをして、そこに資金をつくってそこで運用をしていただくという、これは特別会計の中で運用していただくような仕組みにしたわけでございますが、年金と簡保の場合は、もうちょっと有利なものに踏み出したい、例えば信託のようなものまで取り込みたいということでございます。そういたしますと、国の特別会計が直接そこまでやるのはいかがかな、つまり有利なものは反面必ずリスクを伴いますので、それで年金の場合は年金福祉事業団、簡易保険の場合は簡保年金事業団というものを経由して運用していただく、ワンクッション置くという仕組みを考えたわけでございます。つまり、一遍お預けいただいたものをそこへお貸しをして、そこで有利運用をして、その運用益は年金特別会計なり簡保にそれぞれ戻していただく、こういう仕組みをとったわけでございまして、その結果として郵便貯金特別会計と年金福祉事業団、簡保年金事業団というものが財投の対象に加わってきたということでございます。
  39. 早川勝

    ○早川委員 そこで、郵政省の方でも今回二兆円ですか、自主運用を設けられたわけです。長年の懸案であった自主運用という道がある面で開かれたわけですね。それぞれの評価で、そういう統合管理の枠内だという評価からしますとまだまだということになるかもしれませんけれども、郵政省はこの点についてどのようにとらえているのか伺いたいと思います。
  40. 安岡裕幸

    ○安岡説明員 お答え申し上げます。  金融自由化対策資金の創設という形で郵便貯金の自主運用が実現する運びになったわけですけれども、これにつきましては、郵便貯金が金融の自由化に積極的かつ適切に対応していかなければいかぬ、そのためには資金運用の面を改善をしていかなければいかぬということで、かねてから私ども予算要求の重要な柱として要求をしておったわけでございますけれども、今回自由化対策資金という形でこれが認められまして、金融の自由化に対応できる基盤が確立できたということでございます。したがいまして、私どもの求めてきております目的が統合運用という形ではございますけれども達成できたのではないか、かように考えておるところでございます。
  41. 早川勝

    ○早川委員 先ほど厚生省の方の答弁として、どれくらいの自主運用枠の希望があるかということで、たしか三分の一までと言われたのですけれども、郵政省の方の希望はそういうのはございますか。
  42. 安岡裕幸

    ○安岡説明員 この金融自由化対策資金規模でございますけれども、先ほど来議論に出ておりますように初年度二兆円という規模で考えておりまして、その後六十三年度から六十六年度までにかけまして毎年五千億円ずつ増加させていく、こういうふうな格好になっておりまして、六十六年度末の累計でいいますと、推計でございますけれども、ちょうど郵便貯金残高の約一割相当、百四十六兆円ぐらいを見込んでおりまして、それの約一割に相当する、こういうふうな格好になっております。  ただ、例えば初年度でございますけれども資金の二分の一以上は新規国債の引き受けに充てていく、こういうふうな形でございまして、初年度の六十二年度でいいますと、二兆円のうちの一兆円は新規国債を引き受けるというふうな形になっております。
  43. 早川勝

    ○早川委員 御存じのように資金運用部資金が財投計画を考える場合の原資の中心になっているわけですね。この原資を拝見してみますと、郵貯それから厚生年金等がその大宗を占めるのです。そうしますと、今それぞれの省が希望という形で例えば自主運用を三分の一まで期待したいとか、さしあたり六十六年度段階で一〇%ぐらいになる。確かに統合管理の中で、一定の枠の中で大蔵省が計画し管理できるのだということは言えると思うのですけれども、ただ、今までと同じようにはならない。そういうふうに考えますと、どうも年金と郵貯の部分資金運用部資金の中でのウエートがどんどん下がっていく。今現在、今年度の財投計画もそうなんですけれども、見ていますと、どうも回収金その他という分が非常に多いわけですね。資金運用部の資金の中で財投計画に回っているウエートを見ますと、最近五年間、五十七年から六十一年までですけれども、回収金というところが三二%から四二%、昨年は四二%、約四三%ですけれども、いわゆる資金運用部賢金の中でのウエートでは回収金という分が非常に重要になってくる。先ほどの郵貯だとか厚生年金の部分が、自主運用の枠がどんどん広がっていけばいわゆる財投の原資面から規模がだんだん縮小していく、その中で回収金の比重がもっと上がっていく、こういうことが考えられるのですけれども、その認識についてはそのように認識してもよろしいものですか。
  44. 窪田弘

    ○窪田政府委員 「回収金等」というふうに一括してございますが、この中には回収金とその他の細かい特別会計その他財産の処分によるものというふうないろいろなものがございますが、大宗は回収金でございます。これは、資金運用部資金がもはやある程度自転する段階に入っておりますので、回収金というものがかなりのウエートを占めてきている段階である、そういう発展段階だと思います。  ただ、六十二年度でそこが非常に大きくなっておりますのは、今度いわゆる自主運用をやっていただくことにいたしました結果、やはり原資に不足が生ずるわけでございます。そこで、六十年度、年金、郵便貯金が予定より余計ふえたものが、郵貯が約二兆円余、年金が一兆円余、合計で三兆六千億ぐらいふえましたが、そのうち六十年度と六十一年度に財投や国債の追加をいたしましたものがございます。それを引きますと大体二兆一千億ぐらい郵貯や年金が予定以上に伸びた分がございます。実はこの約二兆円ほどの資産処分をすることを考えております。つまり、恐らく保有国債を売却することによって資金を調達することになろうかと思いますが、その分が回収金等のところへ入っておりますので六十二年度の回収金等の原資が膨らんでいるというのが実情でございます。
  45. 早川勝

    ○早川委員 そうしますと、郵貯だとか年金がふえるというのはなかなか考えられないと思うのですが、いずれにしろ財投をふやしていこうとすれば何らかの形で回収金等をふやしていく施策を講じないといけないわけですね。ところが、拝見していますと、回収金の中身というのがなかなかつかみ切れないのです。この回収金がそれぞれどの程度今までの融資機関から戻ってきているのか、あるいは今おっしゃられたような資産処分で賄われるのかというところをぜひ知りたいなと思うのですが、これはできましたら五年ぐらい、特に先ほど言いましたように資金運用部資金の中で三三%ぐらいの回収金等のウエートが四〇%まで上がった、一〇ポイント上がったわけですね、その中身がどうも国民の前には明らかにされていないのですけれども、ぜひ出していただきたいなと思っているのですが、この点はいかがですか。
  46. 窪田弘

    ○窪田政府委員 六十二年度の計画で申し上げますと、回収金等が十二兆二千四百五十八億ございますが、そのうち回収金が九兆二千八百九十四億でございます。これは、今財投機関が五十六ほどございますが、これからの回収金でございまして、その中身は非常に細かいものの積み重ねでございます。これはある程度自動的にアウトプットされてくるもので、ほとんど九兆前後で微増しているのが現状でございますが、六十二年度はそのほかに、その他の特別会計の預託が六千四百四十億、前年度の財投不用によるものが千六百二十四億、それからさっき申しました債券の売却が二兆一千五百億、こういう内訳になっているわけでございます。回収金そのものは各機関からの何年という期間でお貸ししていますものが約定どおり返ってくるその見込みでございますので、これは非常に機械的に計算されたものでございます。
  47. 早川勝

    ○早川委員 資料として回収金がいろいろな機関から最近五年間でそれぞれどれぐらい入ってきたのかということをいただきたいと思うのですけれども
  48. 窪田弘

    ○窪田政府委員 非常に細かいもので、どういう形でお出しできるかわかりませんが、検討させていただきます。
  49. 早川勝

    ○早川委員 それで、厚生省の年金の問題について伺いたいのですが、先ほどの質疑の中でもありましたように、実際には政令で預託金利が下がることになるんですね。財政再計算というのは五年置きにやられて、最近ですとたしか六十年ですかやられて、次の再計算期というのは六十五年になるわけですけれども、そうしますと、どうも今回の法律によって政令にゆだねられるということは、結局は預託金利が下がるわけですね。そうしますと、六十年のときの再計算における預託金利を途中で下げる、変更するということになると思うのですが、六十五年のときの再計算に当たって、今回のこの法案による影響というのですか、その点はどういうふうに計算されておりますか。
  50. 水田努

    水田政府委員 年金の再計算は、直近は五十九年にやっておりまして、次回は五年後の六十四年を予定いたしているわけでございますが、年金の再計算の際の考慮すべき点は、やはり高齢人口、それから寿命ですね、寿命というのは、平均余命というのは当然受給期間に影響しますので、こういうもの、それから物価の動向、賃金の動向、それから当然今お尋ねの積立金の運用収益の変更、これらの諸要素を次回、六十四年の再計算のときに将来を見通しながらやる、こういうことに相なるわけでございます。
  51. 早川勝

    ○早川委員 最後になりますけれども、今回預託金利が下がるということになります。そこで、恐らく人口だとか今言われたような要素を入れても、少なくとも六十年のときと六十五年を考えますと、新しい要素として加わったわけですね。そうすると、単純に言いますと恐らく掛金率は上がってくるのではないか。その要素は掛金率計算をする場合にマイナスの要素となるわけです。そういうふうに考えますと、これから政令で決めていくわけですから、資金運用審議会があるわけですが、そこで審議しまして決めていくということになるわけです。現在この資金運用審議会のメンバーは七名ですか、七人以内ということで構成されているわけですが、預託金利が下がる、ひょっとすると掛金率の計算においてマイナスに作用するよといったときに、そして最終的に預託金利を決める資金運用審議会の中に、拠出者の代表というのですか、もう少し直接的に実際に掛けている人たちがその金利決定の場に参加する機会があってもいいのではないか、あるいはその審議会の中の一人のメンバーに加えられてもいいのではないかなというふうに考えるのですけれども、この点はどのように考えられていますか。
  52. 窪田弘

    ○窪田政府委員 資金運用審議会のメンバーにつきましては、資金法の十条の二項というのがございまして、「審議会の委員は、学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。」いわゆる第三者的な学識経験者ということになっております。しかし、その委員の中には翁委員のように厚生省にいらっしゃった方もおられますし、あるいは専門委員として委員のほかに大勢の方をお願いしておりますが、社会保険庁の長官とか厚生省年金局長も加わっていただいております。したがいまして、年金のお立場はそういう方々を通じて十分伺えるものと思っておりますし、また、そのほかに年金資金懇談会というのを私どもでつくらしていただいておりまして、この資金運用審議会にかける前には年金資金懇の御意見を伺うことにいたしております。その中には労働界の代表の方あるいは産業界の代表の方というものも加わっていただいてその年金資金のあり方についての御意見を承っておりますので、その特定の意見の代弁をされる方に入っていただくというのはどうかな、むしろ今のような形で年金の拠出者の御意向は十分伺ってまいりたいと考えております。
  53. 早川勝

    ○早川委員 今七人ということなものですから、どうもメンバーを私などはふやしても直接声を聞いた方がいいのじゃないかなと思います。というのは、本当にこれから二十一世紀がある面で高齢化社会だと言われるわけですから、年金に非常に関心が深いわけだし、また、あらゆる人が老後の生活ということを考える場合に、ライフサイクルの大きなポイントになるわけですね。そういうふうに考えますと、現在七人なわけですけれども、このメンバーをそれぞれの基準に立たれて選任されていると思うのですけれども、その基準の枠にどうしても入らなければその人をふやしてもいい、それぐらいの問題があるんじゃないかなと思っております。  そういうことで、これはいわゆる各種審議会の問題になりますけれども、もう少し幅を広げて国民の声を直接聞く機会を広げていただきたいなと思います。  これで私の質問を終わりますけれども、先ほど大蔵大臣が答弁いただきましたけれども、輸出と輸入の問題について触れられなかったものですから。やはり日米貿易摩擦の問題、レートの問題を考えても、貿易収支の問題が一つあるわけですね。売上税は食料品にはかけないということなんですけれどもアメリカからの輸入品を見ていましても、食料だけじゃなくていろいろな問題、まだ割合少ないわけですね。そういうふうに考えますと、輸入振興のためにはどうもなじまないんじゃないかなと思いますので、その貿易との絡みで売上税の問題についての見解を伺いまして、終わります。
  54. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほどその点についてお尋ねがございました。お答えを落としまして失礼いたしました。  このたびの売上税、輸出入関係は御指摘のようなことにいたしておるわけでございますが、これは御承知のようにヨーロッパでやっておりますVAT、付加価値税と同じ建前をとっております。したがって、国際的には一般的に認められたそのとおりの慣行を採用いたしたいと思っておりますし、なお現在の物品税につきましてもその点は同じような考え方でいたしておりまして、この点は国際的にあれこれ問題指摘を受けるということはないのではないかというふうに考えております。
  55. 早川勝

    ○早川委員 終わります。
  56. 池田行彦

    池田委員長 柴田弘君。
  57. 柴田弘

    柴田(弘)委員 まず最初に、私は、先ほど来いろいろ御質問のありましたG5、G7の問題につきまして、大臣にお伺いしたいと思います。  その前に、大臣、非常に御苦労さまでございました。  私、いろいろと今回の合意内容を見さしていただきまして、一つは、果たして今回のこの合意内容でその実効性があるかどうか、これは私は極めて疑問であると思います。  まず第一に、これは市場の期待をしておった協調介入の実施というものが明文化をされてない。これはまた後で大臣のいろいろなお考えがあると思います。  それから二つ目には、アメリカのいわゆる財政赤字、これは多少パーセンテージで出されました。ところが、貿易赤字については一体どうなのか、この辺がどうも不明確。先ほど堀先生がいろいろお話がありましたが、しょせんは日本内需拡大しかしょうがないんじゃないか。私はそうは思いませんが、まだまだアメリカのいわゆる産業の空洞化という問題もあろうかと思う。やはり私は言うべきことは言うべきじゃないか、このような考えを一つ持っております。  それから三つ目には、我が国のいわゆる総合経済対策、これはもう既に新聞に報道されまして、やはり余りにも新味がないじゃないかということを私は強調しておきます。本当に、ではどの程度の内需拡大日本がやっておるんだ、そして市場開放をどんどんやって、どう対応していくかという問題があると思います。  それから四つ目には、西ドイツ減税ですね。確かに規模拡大をされましたが、果たしてその数字的なものはどうか。しかもこれは繰り上げ実施というのが期待をされておった。ところがその表明をされていない。このようなことを申したんですが、これはドイツ内部の、連立政権内部の、いわゆる政策調整のおくれというものを印象づけた結果ではないか。  でありますから、関係者は、今後どうなっていくんだ、確かに百五十円から百六十円ぐらいのところで当分は安定するだろうけれども、まあこれも六月のベネチア・サミットまでぐらいではないか、その後きちっとされないとやはりまたドル安・円高ということになっていくだろう、こういう問題があると思う。  それから、私、何よりもこれはもう大臣に申し上げたいのは、この円高不況で悩んでいる、いわゆる構造調整の中で悩んでいる企業、そして円高倒産の中で苦しんで、本当に塗炭の苦しみの中にあえいでいるそういった輸出型中小企業の皆さんの声、これは一体本当に、このG5、G7においてあなたが、我が国の実情はこうなんです、失業者の実情はこうなんです、こういうことを本当に訴えられたかどうか、少なくともこの合意内容を見ただけでは判然としません。だから、まことに申しわけない言い方をして恐縮でありますが、大臣記者会見で、満足をしているというようなお話があったと聞きます。ところが、本当にこの中小企業の皆さんあるいは構造不況の中でやむを得ず失業していく皆さんの声というものは一切どの程度このG5、G7合意に反映されているか。あの人たちは恐らく何とか百八十円ぐらいには持っていってもらいたいなという期待があったと私は思いますよ。そういった、今、日本経済において本当に何が一番大事か、何を救っていかなければならないかということをよく見定めていただいてG5、G7に臨んでいただきたかった、私はこんな気持ちでいっぱいであります。  いろいろ羅列しました。この諸問題について、私、いろいろと御質問したいと思いますが、まず総論的に大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  58. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま幾つかの点を御指摘になったわけでございますが、まず、このたびの合意の有効性ということにつきまして、この合意に至りますまでにはかなり長い経緯がございました。殊に日米間には昨年の九月にさかのぼる経緯がございましたわけでありますが、ここに来まして、いわゆるプラザ合意以来の動きというものが各国の経済の基本要因を反映するに至った、したがってこれ以上為替が大きく動くということはお互いのためにならない、そのお互いのためにならないということについて関係者のみんなの合意があったということがこのたびの共同声明の有効性を示唆するものであると私は思っております。  一方の利益にはなっても一方の利益には必ずしもならないということでありますとこのような合意の有効性が疑われますけれども、ここに来ましてアメリカ自身もドルがさらに急落をするということはアメリカ自身にとってもいいことでないという認識を持つに至りました。そういう意味で、そのようなことがございましたときに、あるいはその反対のことがございましたときに、各国間の協調がおのおのの利益に合致した形で行われるということがこのたびの合意のペースになっておると思うのであります。  次に、我が国の殊に中小企業の方々の苦難というものは御指摘のとおりでありまして、私もそれは痛切に感じております。感じでおりますので昨年の九月からこのような努力を続けてまいったわけでございまして、ともかく私としましては、底なしでありましてはこれに適応していく努力というものの目標が設定できないわけでございますから、まず事態を安定させることが先決であろうというふうに考えたわけでございます。  その点は、今回各国間の合意として生まれたわけでございますが、これは安定を意図しておるわけでございまして、固定を意図しているわけではございません。すなわち、固定相場に復帰をするということを考えておるわけではございません。考えますと、各国の間のいわゆるファンダメンタルズ、経済の基本的な流れが自然に時間をかけて変わっていきますとそれが自然に市場に反映される、そのことが我々の考え方の基本でございます。したがいまして、ここでもう相場というものがこれで決まってしまうんだ、将来に向かって長い間固定されるんだということではありませんし、それが意図されているところでもございません。私自身は、プラザ合意以来一年数カ月でございますか、時間がたちますと、これが米国貿易収支に反映されないはずはないと考えでおるものでございますので、多少時間をかしていきますれば、そういう意味での経済のファンダメンタルズの相対的な変化というものは今後出てくるのではないか、こう考えておるわけでございます。
  59. 柴田弘

    柴田(弘)委員 後段については多少理解します。  私が質問いたしておりますのは、今の失業の問題あるいはまた倒産の問題、これは大臣も御承知だと思いますが、もう二・九%ですね。それで、それ以外に三和総研の調査によりましても、製造業全体で九十万人の余剰人員を抱えておる。これは、雇用削減だけで解決いたしますと、失業率は四・二%になるわけですね。それから、パート、老人等を入れれば、企業の抱える余剰人員は百五十万だと言われております。今の二・九%以外にですね。また、昨年九月、当時の我が国の完全失業率は二・八%、これは通産省が試算をいたしまして、いわゆるアメリカ方式で試算をいたしますと五%なんですね。こういった実態、本当に泣く泣く職を離れる人の実態というものを承知だと思います。その声をどうしてG5、G7にぶつけられなかったかというのが私の一番言いたいところです。  それから中小企業円高倒産、負債一千万円以上は、昭和六十年十月から一年四カ月の間の件数は七百二件、前回の円高時、すなわち昭和五十二年七月から五十三年十月まで、これは二百七十八件でございまして、四百二十四件ふえている、一五三%の増加であります。これは労働省の調査等もありまして、製造業の中で三八%がもう既に何らかのいわゆる雇用調整の対応策をやっている。これはもうよく御承知だと思う。つまり、国際競争力があった有力企業の中でも、もう百五十円そこそこでは採算がとりにくくなっている、今、現状であります。今後、三月期決算を前にしまして、私はますます倒産というのはふえてくると思います。せっかくのG5、G7です。それは各国間の協調ということは大事だと思います。今、大臣もおっしゃいました。私はよく理解できます。が、しかし、今日本経済に何が一番大事か、日本の国民は何を一番求めるかということを基本に置いてやはり私は堂々とG5に臨まれるべきではなかったかというのが本当に一番残念だったと思います。  まことに申しわけありませんが、重ねてこの問題についての御答弁をいただきたいと思います。
  60. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 率直に申しまして、そういう方々の御苦心というものは、私も本当に身につまされて就任以来感じております。そのゆえに日米間でまずとにかく安定を図りたいと考えてまいったわけであります。その安定のラインそのものが十分でないではないかとおっしゃっておられます御指摘はよくわかるわけでございますけれども、実はその失業という問題について申しますならば、アメリカにおきましての失業率は七%前後でございますし、今度は各国間の多角的な調整でございますので、ヨーロッパにおきましては一〇%に近い失業率がございますので、各国ともその問題を持っております。  だからといって我が国が事態が軽いと思っておるわけではございませんけれどもお互いにそういう問題を持っております中での相対的な為替レート関係ということでございますものですから、我が国としてはできるだけの主張を日米間でし、またこのたびの会議でもいたしましてこういう結末になっておるわけでございまして、私は、先ほども申しましたようにともかくここで安定をするということで、何とかまずこれに対応する各企業の努力目標、泥沼では設定のしょうがないということから、ボトムラインと申しますか、一応の安定を企図したわけでございますけれども、それが即固定につながるというふうには先ほども申し上げましたように考えておらないわけでございます。
  61. 柴田弘

    柴田(弘)委員 そういう問題意識を私は持っておるということ、そういう国民の声、そういった本当に犠牲になってきたこの声、これはやはりよく肝に銘じていただきたい。心から要望しておきます。  そこで、具体的に通貨安定の協調介入という合意があったかどうかという問題ですね。これはもうマスコミ等でいろいろ言われておりますが、やはりこの際改めて私は本委員会において御答弁をいただきたいと思いますから御質問いたしますが、大臣記者会見で、「為替安定のための協調介入が具体的に盛り込まれていない点について「この種の問題は具体的にいわない方が効果的な場合もある」と述べ、暗に協調介入」を示唆された、こうあるわけです。そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  62. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 このたびの声明を書くに当たりましで、その点をどのように表現するかということは各国の間でかなり議論になったところでございました。中には、もっと直接的な表現の方がいいのではないかという主張をした国もございますし、いや、むしろこういうことは事の性質上公に言わないことの方が対応としては有効であるという主張もございました。その間の主張を結局こういう表現であらわしたわけでございますけれども、この表現については、しかしこの表現から市場が事態を誤って受け取ることはよもやあるまいということが一同の一致した見方でございました。
  63. 柴田弘

    柴田(弘)委員 また次から変な質問をしまして恐縮です。  この共同声明では、「為替レートを当面の水準の周辺に安定させる」、こういうことですね。この周辺という言葉は、つまり現行程度の為替水準、この表現ですね。英語でアラウンド・ザ・カレント・レベルズ、こう言うそうであります。ある消息筋の情報によりますと、これは円に対してドルをこれ以上安くしないことである、ドルは一ドル百五十円より安くしない、逆に一ドル百五十円以上になりそうなときには歯どめをかけ、一ドル百六十円、百七十円と円安になる場合は放置する、こういうふうなことも言われておるわけです。  先ほど来、為替レートを固定させるつもりはないというお話がありましたが、それ以上のことは私も申しませんが、やはりこういったニュアンスで理解をしてよろしゅうございますでしょうか。
  64. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点につきましては、先ほども申し上げましたように、この声明の表現をどのようにするかという議論を御紹介いたしましたことからも御納得いただけるかと存じますけれども、その具体的なことにつきましては、いわんやお互いの間で何も言わない方が適当であるという、そういう約束なり合意をいたしておりますので、その点につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますし、その点御理解をお願いいたしたいと存じます。
  65. 柴田弘

    柴田(弘)委員 今回のG7合意貿易摩擦が終わったと見るのは、私は早計だと思いますね。これは、貿易摩擦あるいは為替摩擦といいますか、やはり日米間の巨額な貿易均衡がありまして、アメリカは、確かにこれ以上のドル安というのはいろいろな問題が出るということがありますが、まだまだ円が安過ぎるという不満も根強いと私は思います。これは私の判断です。だが、アメリカのこうした赤字の行方次第では、再びまだ円が安いじゃないかという声が強まるおそれがあります。そうなればアメリカ政府も、ドル相場が緩やかに下がり続けることに対して表立って阻止しにくいではないか。だから、ドルが今後下がった場合、円高になった場合に、アメリカが為替市場への協調介入に積極的に参加してくれると大臣はや考えになっているか。その確認はなされたのかどうか。
  66. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 従来、円がもっと高くなってしかるべきであるというようなことはしばしばアメリカ側から発言がございまして、それが相場に好ましからざる影響を与えた経験がございます。この点は、昨年の九月以来は、少なくともアメリカ政府の責任ある人の発言ではないということであったのでございますけれども、しかし、議会等々ではいろいろな発言がございました。  このたびのこの声明の意味は、アメリカ政府はもはやそういう考えは持たないということを非常にはっきりさせたところに意味があるわけでございます。それも日米間だけでなく、G7という多角的な立場においてそれを各国と一緒に表明をしたということ、それがこのたびの意味でございますから、今後何かそのような発言が仮にございますとすれば、アメリカ政府の責任ある人の意見ではないというふうに、我々はそれを正確に受け取って間違いのないところでございますし、またここにございますように、そのような想定された事態が起こりましたときには、密接に協力をするということも明確に第十項に述べられておりまして、御質問に対しましては、そのとおり考えておるというふうにお答えをいたしてよろしいと思います。
  67. 柴田弘

    柴田(弘)委員 この米国財政赤字、これは共同声明の中では、八八年度の政府支出の伸びを一%未満に抑制する、財政赤字の規模を対GNP比二・三%にとどめる、こうなっております。そして相互監視をしていこう、こういうことです。しかし、今日までの状況を見てみますと、本当に努力はしているでしょうが、最近の米議会の予算局が試算したところでは、いわゆる財政均衡法に基づいて提案されているこの予算教書、これも実際の赤字は目標額を二百六十億ドル上回って千三百四十四億ドル、こういうようになった、こう一応言われています。私はこの赤字削減について、この共同声明に盛られている、これを疑ってはいけないかもしれませんが、やはり言ったこと、合意したことと、それをきちっと守るということは言行一致でいくべきではないか、こういうように考えているわけなんです。このようなところまで踏み込んではいかないかもしれませんが、こういった点についてのいわゆる確認というのはどういうふうに今後なされていくのか。  それから、我が国合意しました内需拡大、今の失業あるいは中小企業の問題等々で先ほど来申しましたが、日本の市場開放、それをやっていくには内需拡大ということがどうしても必要だと私は思います。それについてのきちっとした明確な路線というものを我が国が打ち出して、それに対応していかないと、せっかくの合意が御破算になってしまうだろう。アメリカ側には要求すべきは要求する、ただし日本もそれにこたえてしっかりやっていく、言行不一致にならないような対応というものが私は必要だろう、こんなふうに考えますが、その辺はいかがでしょうか。
  68. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この声明の中に、各国が政策意図の表明をいたしておるわけでございまして、各国ともこれはまじめに実現を図るという意図を持ちまして表明をいたしましたことは、申すまでもないことでございます。  また、このG7は、ある一定の間隔を置きまして年に何回か集まるわけでございます。そうしてその際に、東京サミットで定められましたようないわゆるお互い経済状況の吟味と申しますか、サーベイランスをいたすわけでございますので、ここに述べられておる政策意図がそのとおり忠実に実行されておるか、事態が非常に離れてきておるかということは、そういう機会にお互いにまた議論をいたしますし、しなければならないことになっております。その結果は、また六月のベニス・サミットでも報告をされることになっておるわけでございますので、その点は、各国が善意をもって一生懸命この政策意図を実現しようといたしますことは間違いないところであると思います。  アメリカにつきまして、この削減目標というのは六百億ドルぐらいになろうかと思いますが、少なくとも行政府としては、グラム・ラドマン・ホリングス法のこともございまして何とかしてこの目標を実現したいと、財務長官は強く決心をしておるということは、私ども会議の席でも表明がございました。
  69. 柴田弘

    柴田(弘)委員 それで、我が国における一番問題の内需拡大の問題です。これは総論的に申しまして、やはり将来緊縮路線から積極財政路線をとっていくべきことであるのかどうか、お答えをいただきたい。
  70. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この声明にもございますように、我が国は従来から対外黒字縮小に寄与するような内需拡大を図り、そうするような財政金融政策を続けると書いてございまして、従来そういう努力をいたしてこなかったわけではもとよりございません。財政再建の問題がございますので、それにおのずから制約もあるわけでございますけれども、今後、この声明にも述べられておりますように、そういう状況の中ではございますけれども内需振興のためにさらに努力を重ねたいというふうに考えております。
  71. 柴田弘

    柴田(弘)委員 そこで、ベネチア・サミットがこの六月にありますね。四月にはIMFの暫定委員会もありますね。やはりここでこういった合意を確認をしていくということのようにお聞きをしておるわけでありますが、結局その後なんですね。円安になるどころか、ますます今後このラインから円高になるのではないかと心配をする関係者もあるわけですね。そこら辺の御判断はいかがでしょうか。
  72. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは柴田委員も御専門でいらっしゃいますので、おのずから見方がいろいろあろうかと思いますけれども、プラザ以来これだけ時間がたちまして、いわゆるJカーブと言われている問題がいつまでも無限に続くということは恐らくないことであって、これだけドルが下がりますと、アメリカの相対的な輸出競争力はふえてきておるというふうに考えるべきであろうと私は思いますし、また、黒字国側における輸入も容易になっておることも事実でございます。そういう意味では、このファンダメンタルズはアメリカ経済にとってプラスに動いていくのではないかと私は期待をいたしております。
  73. 柴田弘

    柴田(弘)委員 イタリアがG7に欠席いたしました。いろいろ言われております。G6になっちゃった。しかも、この六月のベネチア・サミットはイタリアで行われる。このサミットの開催というものも危ぶまれる声もあるわけでありますが、これについての御判断、あるいはまた大臣として開催への御努力は何かされるお考えがあるか。
  74. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は外交当局者でございませんので、十分行き届いた判断をいたすことができないわけでございますけれども、イタリー自身が東京サミットにおきまして、いわゆるG7といったようなものを認めるべきであるということを主張した一つの国でございますから、イタリー経済が大変に好調である、それだけ発言力が強くなってしかるべきだというこのたびの主張から申しましても、こういう共同努力から長く背を向けていくということではないであろう。このたび、国内事情もあるいはあったのではないかというふうにも人は言っておりましたけれども、いろんなことでこういうことがございましたけれども、だからといってベニスのサミットが危うくなる、あるいはまたこのG7といったような会合にイタリーが今後ともこれをボイコットするといったようなことになることはないのではないか、またそうしてはいけないということでございますので、今度の主催国でありましたフランスがもともと縁の深い国でございますので中心になりまして、その辺の修復も図っているように聞いております。
  75. 柴田弘

    柴田(弘)委員 今の内需拡大、積極財政路線への転換という問題に関連をいたしまして、財政の再建問題についてお聞かせをいただきたい。  大臣も御承知のように、これはもう当たり前のことですが、六十五年度赤字国債脱却、これは財政再建目標であります。中期展望あるいは仮定計算あるいはまた財政改革の考え方、こうした資料をずっと私も読ましていただきまして、本当に六十五年度赤字国債脱却は大丈夫か、極めて疑問に思っております。この問題は、また改めて私は機会があればやらさしていただきたいと思っておりますが、きょうは簡単に御質問をさしていただきます。  要するに、六十三年度以降、赤字国債の発行額を毎年一兆六千六百億ずつ減額していくということが絶対の条件ですね。ところが、これは六十二年度に赤字国債の減額幅がわずか二千六百五十億円にとどまった。要するに六十五年度赤字国債ゼロ、こういう一つの仮定をいたしますと、途方もない削減額である。これが一つあります。  それから二つ目には、税収が六十三年度から三年間毎年六・六%、これは本当にできるだろうか。今日までの名目成長率をここ数年見てまいりましても、六%には乗っておりません。それ以下です。  また、しかも租税弾性値は一・一%。一・一%というものを過去のデータでやられた。それはそのままいくかどうか、これはここで私が説明するまでもなく、大臣がよく御承知のところです。  それからNTTの株の売却というのは、これは確かに効果がある。ところが、これは見てまいりますと、毎年一兆八千三百億円調達する。ところが、昨年一年間に、企業が時価発行増資と将来株式に転換する転換社債で調達をした資金というのは三兆一千億なんですね。そうすると、NTT株をこのシナリオどおりに売却していくには、全体の五八%をひとり占めすることになってしまうとも言われているわけですね。今、株高いですけれどもね。だけれども、本当にこういう異常な株高の中でそれがどこまで続くであろうか、私はこういう不安を持っています。  そういった諸問題があります。まだいろいろと申し上げたいことがあります。がしかし、本当に財政再建が達成されるかどうか。達成されるというのであれば、私はこの七年間毎回のように質問に立ちましで、それに至る財政再建の手順と方途をしっかりと示していただきたいと申しました。竹下さんのときから渡辺さんのときから、何度も言ってまいりました。なかなか難しい、そうですかということで引っ込んでおりました。がしかし、きょうは財政再建の手順と方途というところまでは話は入りません。一言だけ言っておきます。極めて難しい現状であるということを御指摘申し上げたいと思いますが、ひとつこの辺は、私がなるべく再質問をしないように大臣の明快な御答弁をいただきたい。
  76. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いわゆる中期展望、この中で租税収入の計算についても御指摘がございましたけれども、これは御承知のように一定の仮定計算をいたしておるわけでございまして、租税収入が六・六現実に伸びるか。六十年度にもそういう伸びはございませんでしたし、六十一年度もなかなかそういう伸びは恐らくないであろうということでございますから、これは一種の仮定計算をお示ししているということとして、かねてそういうふうに御理解を願っているところでございます。現実の経済の運びは、なかなかそういうふうにはまいっておりません。  そこで、六十五年度に赤字国債依存の体質から脱却をすることが今の時点で可能だと考えるかというお尋ねについて申しますと、ちょうど今御指摘がありましたように、なかなか容易ならない事態だということは率直に感じております。おりますが、さて、現実にこの予算編成をいたしております立場から申しまして、やはりそういう目標を掲げて歳出削減をやっていく、一般歳出をゼロに抑えるといったような作業をいたさなければならないといたしますと、そういう目標をただ放てきするというだけでは、現実の予算編成、このような厳しい予算お互いに納得しながらつくっていくということは容易なことでございませんで、したがいまして難しいことではある。それは認めますけれども、これを看板をおろすといったようなことはなかなか大蔵大臣としてはできない、現実に仕事をしております上でできないということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
  77. 柴田弘

    柴田(弘)委員 御理解できません。本来ならもうここでこうなるところですが、資金運用部資金法の改正法案もありますから、また機会があれば、私はこの問題でひとつ徹底的に議論をさせていただきたいと思います。前もって予告をしておきます。  そこで、累積債務国のいわゆる金融不安、これは急にブラジルが、これは前からあったと思いますが、邦銀を初めとする民間債権団に対して利払いを停止をする。初めは九十日間の利払い停止だと言っておりましたが、それは言わない、まあ、そんなような話が出ましたね。それから、アルゼンチンもそのようです。それから、メキシコは大丈夫だというようなことを言われておるわけでありますが、G5、G7でこういった対応については何か各国の間でお話があったでしょうか。
  78. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実は、この出来事はG7の会合の余りに直前であったものでございますので、関係者がみんな正確な情報を持たないと申しますか、ブラジル政府の意図そのものが明確でない、いろいろそんたくはいたしましたのですけれども、そういう状況でございます。したがって、G7として大変に注目はいたしましたけれどもお互い意見交換程度でございまして、どうこうという意思の合意は別にいたしておりません。事態を大変に注意深く重大なこととして見ておるというようなことでございました。
  79. 柴田弘

    柴田(弘)委員 では、国際金融局長お尋ねをいたします。  まず一つは、開発途上国におきます債務残高、公的資金と民間資金に分けて御説明をいただきたいと思います。もしお差し支えなければ、この民間資金の中に邦銀は一体幾ら出しているのか、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  80. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 ただいまお尋ねの債務累積の総額、これは世界銀行の推計によりますと、今年度で約一兆ドルに達するということでございます。これは、公的資金と民間資金に分けますと、おおむね公的資金が四割程度、それから民間資金が六割程度でございます。そのうち我が国の民間資金がどれくらいを占めるかでございますが、これは各国を全部推計してみまして、大体大ざっぱに一割程度というのがその数字でございます。     〔委員長退席、大島委員長代理着席〕
  81. 柴田弘

    柴田(弘)委員 わかりました。  それで、このうち中南米に日本の民間銀行が貸している残高はどの程度でしょうか、中南米だけです。
  82. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 中南米全体ということで申し上げますと、我が国の中南米向けの民間債権は、大体全部で三百五十億ドル前後になろうかと思います。
  83. 柴田弘

    柴田(弘)委員 このうちブラジルはどれだけの民間資金が入って——その前に、公的機関も含めてブラジルの全部の長期債務といいましょうか、そしてそのうちの民間資金アメリカ等も含めて幾ら、そして日本はどれだけあるか、まことに申しわけありませんが。
  84. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 ブラジルの長期債務の合計というのが、大体一千億ドル超でございます。そのうち、西側から先進国の銀行よりブラジルに対して貸している総額というのが、大体六百五十億ドル強ぐらいというふうに考えていただければよろしいと思います。そのうち我が国の銀行は百億ドル強ということであります。
  85. 柴田弘

    柴田(弘)委員 大臣、今お聞きのとおりであります。これはG5、G7で今お話があったような程度のことしかなかった。  それで、国際金融局長お尋ねするのですが、今回のいわゆる金融不安、これはメキシコから端を発した八二年の金融不安とは多少違うだろう、こう私は思うのです。この辺の理解、比較してどう判断をしていらっしゃるかということが一つと、それからもう一つは、ブラジル等いろいろ情報を聞いてみますと、とにかく利子の支払い停止というものをぼんと宣言していって、そして後、有利に利子の削減ですとかあるいはまた余分に借りよう、こういう魂胆もあるやに耳に挟んでいるわけでありますが、その辺はどうか。これが燎原の火のごとく、八二年のときのように、メキシコから端を発して中南米全土を覆った、そして東ヨーロッパにも及んだということで、そういうことをちょっと聞きましたが、その辺のところをどのようにお考えになっておるのか、ひとつ八二年と比較をして今回のこの金融不安についてお聞かせをいただきたい、こう思います。
  86. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 お答え申し上げます。  八二年から三年にかけての問題と現在の問題が違うという点がどの辺にあるかということを考えてみますと、一つには、債務国における政治的な情勢が大変厳しい経済調整プランというものに対応することがなかなか難しくなってきているという国内的な状況があると思います。したがって、八二年当時のウエートはどういうところにあったかと申しますと、IMFが債務国と話をしまして、物価、財政経済運営全般にわたりまして非常に厳しい自助努力をお願いする、それにあわせて債務国が自国民にも厳しい努力を強いるとともに、国際的にはIMFからの資金協力をてこといたしまして、民間資金が円滑に流れてくるというストラテジーだったわけでございます。  今申し上げましたように、国内的になかなか難しくなってきましたためにベーカー提案というのが行われたわけでございますが、これは単に厳しいと言うだけではなかなか難しいので、ある程度成長への夢をその債務国の国民や経済にも持たせる必要があるということで、世界銀行とかそういう開発機関も一緒に協力して、そのための協力の資金を提供する。そういうことで、成長に結びつけながら調整をやっていくという道が開けてきたわけでございまして、この点が八二年の当時と現在と違う第一点。  それから第二の点は、民間銀行からの資金の流れというのが、このところ、こういう状況を背景といたしまして大変細ってきているというところであろうと思います。こういうところはやはり債務国の方の努力、それによる信頼の回復、それからさらには国際機関のそれに対する協力、あるいは我々先進国におきまして民間からの資金が安全に流れていくようなスキームの工夫というようなこともあるわけでございまして、今国会、多数国間投資保証機関というようなものの国内措置法をまた当委員会でお願いしておりますが、そういうのもそのようなことに対する対策の一つでございます。
  87. 柴田弘

    柴田(弘)委員 結論として、今回のこの金融不安の問題は問題ない、こう言っていいんですか。また、あるんですか。
  88. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 私は、大変難しい問題だとは思いますけれども、過去に積み重ねてきました経験、それから国際機関、IMFとか世界銀行でございますが、こういうところの協力、それから債務国における一層の努力、それから債権国側あるいは先進国におきましては市場をできるだけ開放して、開発途上国の産品にマーケットを開放するとか、あるいは低金利政策を推し進めて金利負担の軽減を図るといったようなこと、さらには民間銀行が円滑に資金を供給できるような環境をつくるというようなことと相まって、関係者の英知と関係者の努力の集積によって道は見出し得るものと信じているところであります。
  89. 柴田弘

    柴田(弘)委員 大蔵大臣もそのような認識でございますか。
  90. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今政府委員が申し上げましたように、前にああいう経験をいたしておりますので、先進国側あるいはその金融機関、国際機関、それから債務国自身、そういうおのおのの立場における物の考え方、それからどういう仕組みを通じて問題の処理をすればいいかといったようなことは、一つのパターンが御承知のようにできております。おりますから、前のように慌てる事態にはなっていないわけでございますし、先ほどちょっと柴田委員がおっしゃいましたように、ブラジルもあるいは一種のバーゲニングの立場であるかもしれない、おっしゃいましたようなことは確かに考えられないわけではございませんしいたしますから、いわばお互いに誠意を持って処理をしますと、何かの形で処理ができるのではないかと思っております。  ただ、そうは申しましても、殊にIMF等々がかなり厳しい条件を債務国に課すわけでございますから、それをその国の政治として受けられる限度、あるいはそれを受け得るだけの政治的な受容力があるか、政権に力があるか、いろいろそういうことがございますので、その点はやはりそういうことも考えながら対処していかなければならない要素はあろうかと思います。     〔大島委員長代理退席、委員長着席〕
  91. 柴田弘

    柴田(弘)委員 やはりそうだと思いますね。それと、民間資金というのはやはりアメリカが多いと思いますね。これを一歩間違えますと、ドル売りがまた出てくると私は思う。それは我が国にとっては余りいい影響じゃないと思います。これは答弁要りませんが、そんな感じもしますので、ひとつ適切な対応をしていただきたいと要望いたします。  それから、あとわずかになってまいりましたが、銀行局長一つ金利自由化の問題について伺います。公定歩合が二・五%に下がりました。もう史上最低ということです。さまざまなひずみが出ております。ここで私が説明をする時間はありませんが、あなたの方で金融・資本市場に係るアクションプログラムというものをつくられましたね。一つは、この春をめどに大口定期預金、MMCそしてCD、こういったものを引き下げていこうという話がありますが、もう春になってきたわけでありますから、これに具体的にどう対応されるお考えであるのか。  それからもう一つ。郵政省、来ていらっしゃいますか。——郵政審議会で小口金利の規制撤廃というものを答申をされておる。大口金利からだんだんと小口になってきている、これは非常にいいことだと思います。法人が多い。ところが小口の方は、個人の預金者も相当おってみえるわけですね。これはなかなか一概に言えないと思いますが、その辺のところはどういうふうにお考えになっているか。簡単に一言ずつお願いします。
  92. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今お話にもございましたように、大口預金につきましては、六十年七月のアクションプログラムにおきまして、この春までに金利規制の緩和及び撤廃を行うということになっております。したがいまして、本年四月にそのプログラムのスケジュールに従いまして、例えば大口定期預金につきましては最低預入単位を一億円に引き下げる、あるいはMMCにつきましては二千万円まで引き下げるということを行う予定をいたしております。したがいまして、以上の措置によってスケジュールはすべてそのとおり行うということになろうかと存じます。
  93. 安岡裕幸

    ○安岡説明員 郵便貯金につきましては、金利自由化というのはまさに時代の趨勢であるということでございまして、この小口預金の自由化については積極的に対応していきたい。こういうことで、今具体的な問題といたしましては、いわゆるMMCという形で自由化をしていこうということで、現在大蔵省さんとも鋭意協議を続けているということでございまして、できるだけ早く小口預金の自由化をしたい、かように考えております。
  94. 柴田弘

    柴田(弘)委員 理財局長、お待たせいたしました。最後に一問だけ。今回の政令による金利の弾力化ですが、金利の決定につきまして、昨年末、大蔵省はいわゆる国債の表面利率の〇・一%以下、郵政省は市場連動金利型、こういうさや当てと言っては失礼ですが、あった。今、審議会に対する御意見もありましたし、あるいは年金等の積み立てについての御意見もありましたから、私は申しませんが、今回そういったものがきちっと総括をされて——確かに預託利率が下がるということはいいことだと思います。やはり政府系の金融機関が低くなるのはいい。ところが、余り下げ過ぎますと今の預託の問題が出る。自主運用一兆円あるいは年金は二兆円、こうなっている。政令で決めるということでありますが、その辺の配慮をきちっとしながら、もちろん市場金利に連動させていかなければならぬと思いますが、そこら辺はどういうふうに決められますか。  それからもう一つは、内需拡大に相当大きな効果があるという御説明でございますが、そこら辺の判断は、これは大臣にお聞きしましょうかね。  まあ、その二つでいいです。
  95. 窪田弘

    ○窪田政府委員 金利の弾力化につきましては、かねて、一昨年の秋ぐらいから金利の体系が非常に変動してまいりまして、預託金利も六十年の秋から昨年の春にかけまして三回引き下げて、とうとう法律の下限に突き当たったわけでございますが、そのころから郵政省及び厚生省とは、この金利の問題をずっと話し合ってまいりました。その話し合ったコンセンサスといいますか考え方の基本が、この改正法でお出ししております「国債金利その他市場金利を考慮する」という市場金利を考慮するという原則と、片や郵便貯金事業、厚生年金事業のような預託者側の事情に配慮するという、二つの原則を法律で立てさせていただいたわけでございます。  一番初めにおっしゃった、国債の表面利率マイナス幾らということが新聞に報道されたこともございますが、具体的にそういう案をもとにして金利を決めようとしていたことはないわけで、いろいろな考え方を話し合っていた段階でございます。その後、我々の予想以上に急速に金利が低下してまいりましたので、これをどうするかというのは、この法律を御議決いただいてから関係省と早急に協議をいたしまして決めるということになりますが、この法律にありますように「国債金利その他市場金利」を一つの基準として話し合いを始めるということになろうかと存じます。現在、財投機関の金利とこの預託金利とがかなり逆転しておりますので、金利引き下げが非常に渇望されておりまして、これを実現すれば内需拡大に相当寄与し得るものと考えております。
  96. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 このたびこの法律をお認めいただきますならば、ただいま局長が申し上げましたように預託者側の立場も十分考えてまいらなければなりませんが、同時にこれによりまして、資金運用部の資金が今の低金利時代にふさわしいような形で運用されることになります。公共事業にいたしましてもあるいは中小企業にいたしましても、地方に対しましてもそのような効果はいわゆる内需拡大にプラスになって働くものと期待をいたしております。
  97. 柴田弘

    柴田(弘)委員 時間が参りましたので、終わります。
  98. 池田行彦

    池田委員長 玉置一弥君。
  99. 玉置一弥

    ○玉置委員 私も大蔵大臣に先日のG7内容について若干お聞き申し上げ、その後法案の方に入りたいと思います。  先ほど柴田委員の方からもお話がございましたように、今回のG7会議における成果を政府の方では一応予測した線におさまった、こういう見方をされているようでございますが、我々の感覚からいきますと、今、日本経済、いろいろな産業の事情を聞いてみますと、百五十二、三円というレベルではとても企業経営なり事業の存続が難しい、こういうふうな意見が非常にたくさんございます。また、昨年に行われましたようなアクションプログラムあるいは新しい円高対策等の実施の状況を見ても、これがそのまま今の経営状態を改善させるような方向には向いていないと思うわけでございます。確かに、ある程度援助という形ではできておりますけれども、実際にいろいろな企業に聞いてみますと、企業努力というのは一年間に一〇%くらいが通常よく頑張ってできる範囲である、それを超えた部分については、確かに切り詰めていかなければいけないけれどもいまだにめどが立たない、こういう事情でございまして、そういういろいろな意見を総合いたしますと、我々がどう見ても今のレベル、百五十円前後というドルの値段では日本経済がこのまま存続していくというのはまさに難しいのではないか、こういう気持ちを持っているわけでございます。そういう意味で改めて大蔵大臣に、G7の評価についてどういうふうにお考えになっておられますか、それから今申し上げましたドルのレベル、これについてお考え、お感じになったことをお答えいただきたいと思います。
  100. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、一年余りで通貨が五〇%以上も切り上がるということは、いかに元気のあります日本経済でも簡単に対応できない事態であることは余りにも明白でございます。大き過ぎましたし、それがまた急にあらわれたということでございますから、今玉置委員の言われましたことはそのとおりで、それは容易ならないことである、その事態は今日も変わっていないと考えております。  ただ、私思いましたことは、そのような円高がとめどもなく続くということではこれは対応しようがない、目標の立てようがないと考えられますので、まずこれを安定することができないだろうかと考えましたのが、昨年の九月以来私が努力をいたしてまいりましたゆえんであったわけでございます。このたび、それが多国間の合意になったわけでございまして、それは一つの成果であったと思っておるのでございますが、これは先ほども申し上げましたとおり、これで物事が未来永久に固定されるのだというふうに、もともとそういう性格のものではございませんので、こういう安定の中から、さらにかねてプラザ合意の目的であったアメリカの国際収支改善といったようなものが実現されてまいれば、各国間のファンダメンタルズというものは相対的に変わっていくと考えていいのではないかと思っておるわけでございます。
  101. 玉置一弥

    ○玉置委員 先ほどもJカーブ等の話が出ておりますけれども円高になってから輸出総額そのものがまだふえておりますけれども、我々がいろいろな外国の評価を聞いておりますと、日本人のいろいろな日ごろの努力、そういうものを顧みないで、むしろ数字だけをとらえた発言が非常に多いように思うわけです。我々がいろいろな業界の方々とお話をしておりますと、これだけ努力して、まさに為替の変化のために大変な損害をこうむる、このこと自体、経済というか先の見通しに対する大変消極的な面も出てまいりますし、日本の国内で非常に心配されておりますいわゆる産業の空洞化、こういうものにもつながってくる。ですから、先ほど大臣おっしゃったように、まず安定ということは大変重要なことだと思います。逆に言えば、行き過ぎたのだから戻してほしい、こういう言葉もあるわけでございまして、そういう意味で幾らが妥当かというのは非常に難しいと思いますけれども、少なくとも現段階だと百九十円から百八十円、このくらいにまで戻せば、企業としてそこまでだったら努力すればいけるという一つの見通しがつきます。ある年数を経てまた百五十円が、本当に世界各国が日本の評価をしているということであればそこまで将来やっていこう、こういう一つの方向が出てくるわけでございますが、おっしゃるように一年間に四〇%という大変大きな変化を受けまして、これをまだまだ追いかけているところだ、こういうふうに思うわけです。  ですから、私たちにすれば、日本の国内事情、いろいろな産業の状態、雇用の状態、これからますます悪化をしていくと思われますけれども、まさに引っ張っていく機関車がなくなった日本経済、やはりここに大変な問題があるわけでございますから、国内だけで騒がずに、諸外国に対しても国内事情を説明して回る、そういうプロジェクトなりいろいろな機会を通じてぜひやっていただきたい、こういうふうに思うわけです。ですから、この問題について、G7でどういう説明をなさったのか、また、これから諸外国に対してどういうふうにこういう説明をなさっていくのか、お聞きをしたいと思います。
  102. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は、やや意外にお思いになられるかもしれませんけれども、一昨年のプラザ合意以来、我が国は非常な苦労をしたわけでございます。実は、そのことはかなり後まで諸外国に比較的知られておりませんで、西ドイツすらが、あのプラザ合意以降のマルクの動き、これは還元の問題もあったと思うのでございますけれども、全体的に大変還元されて、経済は好調であるということをかなり後まで言っておりました。しかし、日本にとってはそうではないのだということを認識してもらうのにかなり時間と努力が要りまして、昨年の九月に、こういう状況は、期待されている日本の成長、内需充実、拡大にマイナスに働いているのだということを、例えばアメリカのベーカー長官に納得してもらうのに実はかなり努力が必要であった。それは、よその国がそうでなかったものでございますので、いわんや我が国周辺の新興工業国もプラスの方がはるかに大きいものでございますから、我が国だけがやや例外的につらい立場に立ったということがございました。  最近は西ドイツも、実はそういうことになってまいりましたが、そういうことがわかってきましてこのたびのような合意になったと思いますので、多少時間がかかったわけでございますけれども、そういう努力をいたしてまいったつもりでございます。
  103. 玉置一弥

    ○玉置委員 今申し上げたように、諸外国に対して今まではなさってきました。ただ、我々から見て、まだまだ雇用問題とかのアピールというものが非常に少ないように思うのです。まさに造船の問題あるいは今まで非常に機関車になっていた電機、自動車、こういうものが今非常に低迷しているわけです。場合によっては、潜在失業者を企業内に抱えておる、こういうお話も聞いております。こういうものをアピールしていかないと、単なる輸出入の数字だけでとらえられて、日本はまだふえているじゃないか、黒字幅が拡大したじゃないか、こういう責められ方をしているわけでございますから、これに対して日本の国情の説明というものが今後要ると思うのですが、その辺についていかがですか。
  104. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 我が国経済については今や各国がかなりよく知っておりまして、製造業で世界に名が通っておりますような会社が三割も四割も減益を決算で実際出したということは、よく知れ渡ってまいりました。容易ならぬ事態であるということは大分わかってもらっておりますが、それが雇用についても大きな問題になろうとしております。ただ、我が国は、今まで雇用状況が、少なくとも統計的には大変によかったものでございますので、彼らからいいますと、我々が考えておるほどの深刻さを日本経済にまだ考えていないかもしれませんけれども、機会あるごとにそういうことは知らせてまいらなければならないと思います。と同時に、それらにつきまして、政府といたしましても、六十二年度の予算ではいろいろ対策を盛っておりまして、できますならばなるべく早く予算成立させて、執行させていただきたいと念願をいたしております。
  105. 玉置一弥

    ○玉置委員 本論に戻りたいと思います。  今回の関係の資金運用部資金でございますが、今お話がありましたように、日本の国内事情を国会の中で論議をしていくということもやはり一つのPRの方法だと思います。そういう意味では、予算委員会が開かれなければいけないと思いますが、売上税という法律が出てきまして、税法の改正がございます。それでなかなかうまくいかない、こういうことでございます。  今の予算の話に関連をいたしますけれども、今回のG7におかれましても、内需拡大という従来からの方向を再び確認をしてきた、こういうことでございますが、予算におきましては、公共事業、額でいって私は減ると思うのですが、政府の御見解では事業量は確保する、こういうお話でございます。いろいろ見てまいりますと、従来一般会計で見ておりましたものが財投なりで肩がわりをする、こういう傾向がかなり強く出ておりまして、ある程度景気対策上やむを得ない、こういうような気持ちもあるわけでございます。  例えば、内需拡大のためのいわゆる第三セクター活用の民間活力何とか法、こういうのがございます。民活法が実施をされまして、いろいろな企業なり地方自治体が参画して事業を行っていこう、こういうことでございますが、第三セクター方式だと資金運用部資金の活用ができない、こういう資金法の規制がございます。そういう意味で、これから民活というものを重要視していくならば、ある程度は長期にわたる事業が計画されておりますけれども法律改正なりあるいは対応の柔軟化ということをして、やはり政策に合わせた運用というものが必要ではないか、こう思うわけでございますが、いかがお考えでございましょうか。
  106. 窪田弘

    ○窪田政府委員 第三セクターには確かに資金運用部から直接お貸しできないわけでございますが、いわゆる第三セクターと申します中にも、大きいものから小さいもの、実は性格がさまざまでございまして、現在まだこれから発展しようという分野でございますので、いろいろなものがございます。地方の小さい第三セクターなどは、資金運用部が直接お貸しするというよりは、開発銀行等の金融機関を通ずるのがやはりいいのではないか。大きい、例えば東京湾横断道路株式会社のようなものに、資金運用部資金を直接お貸しするようにしたらどうかという問題は確かにございました。しかし、民間活力の活用という点から見れば、民間が民間資金を中心に事業を行うという性格づけをしたい、そこで公的資金依存の印象を避けたいということで、この東京湾の場合は、政府保証債とか開銀を通ずるという方向になったわけでございます。したがいまして、今後またどんなものが出てくるか、いろいろ発展があろうかと思いますが、御指摘の点は今後の一つの検討課題であると考えております。
  107. 玉置一弥

    ○玉置委員 今回の法律改正によりまして、中小企業を中心とした金融は政府系金融機関を通じてやられておりまして、この貸付金利の引き下げになるだろう、そういうものがあるために、これだけ難航しております国会の中で優先してこの法案が審議をされる、こういうことでございますが、一方から見ますと、今の厚生年金なり保険の積立金がございますが、この運用益がかなり大幅に目減りをするだろう、こういう心配がございます。  厚生省からも来ていただいておりますが、上限に張りついた金利が今度下げられると思いますけれども、運用益にどの程度影響していくのか。それから今回、六十二年から年金積立金の一兆円を、自主運用という形でございますが、方法としては多分資金運用部からの貸し付けになって、その貸し付けている期間を自由に使える、こういうことだと思いますが、運用益の見込みがどうなっているのか。逆に言えば、この一兆円のメリットというのは穴埋めできるのかどうか、こういうことも聞きたいと思いますし、またどこまで自主通用が可能か。さらに、将来の計画も含めて、足りない分を補っていく方法についてお聞きをいたしたいと思います。
  108. 水田努

    水田政府委員 お答え申し上げます。  年金の財政は、収入と支出があるわけでございますが、収入面は保険料とそれから積立金の運用収益、この二つになるわけです。私どもは、積立金は利子を稼ぐために預託しているつもりでございまして、今度預託金利が弾力化されることによってどの程度影響を受けるのか、まず最初の御質問がそういうことでございますが、これは、今後毎年度新規の運用対象になる預託金が全部影響を受ける、こういうことになるわけでございます。  六十二年度で申し上げますと、保険料から新規に預託するものが四・四兆、それから、七年物でお預けしておりますので、それが満期になって再預託される分が五・五兆、これを合計しますと九・九兆。預託金利がどの程度下がるかはまだ政府部内で決まっておりませんが、仮定の話として仮に一%下がるとすれば、六十二年度、九・九兆の一%でございますので九百九十億の減収になる、こういうことになるわけでございます。六十二年度から向こう七年間の新規の運用預託額の累計は約八十五兆ぐらいになるわけでございますが、これが仮にずっと一%下がったまま、そういうことになっては大変でございますが、であると仮定して計算いたしますと、複利計算をしないで単利で計算して三兆二千億の減収になるということでございます。  今後の自主運用によってどの程度その減収が回復できるのか、こういうことでございますが、六十二年度は一兆円と既に決まっておるわけでございますが、六十三年度から六十八年度まで新規運用額の三分の一自主運用量が確保できたとしますと、六十二年度から六十八年度までの累積の運用資金は約二十六兆になるわけでございまして、これが預託金利よりも一%高利に回せたとしますと、そこで稼ぎ得る利差は約九千億でございます。一・五%利差稼ぎができたとすると一兆三千億ということで、同じ条件のもとで目減りしたものに対する利差による回復度合いは、一%の場合は約二八%程度であろうかと思います。利差一・五%に回した場合には四割強の目減りの回復ができるのではないか、こういうふうに見ているわけでございます。
  109. 玉置一弥

    ○玉置委員 従来は、法定主義ということで運用部資金金利を決めておりましたけれども、今回お伺いしますと、確かに下がって喜ばれる方もたくさんおられますが、下がって悲しまれる方もたくさんある。言い方をかえれば、今すぐ生きるか将来安定するか、こういう問題だと思うのです。そういう面から考えていきますと、今までは財投を中心にした金利が主体でございましたし、国債にも影響ありますけれども、どちらかというと金融の専門家、こういう方々の金利の感覚で決められてきてよかったと思います。しかし、資金運用審議会意見を出されるということでございますが、今のお話を聞いておりますと、今でもそうだと思うのですが、年金の積立金等に大変大きな影響が出るわけでございます。  まず、その年金の積立金等金利について、現在までに厚生省なりあるいは団体なりにどういうふうにお話をされてきたのか、これが一つ。それから、きょうの附帯決議にもあるようでございますが、この審議会のメンバーの中に、先ほどの影響力の大きい年金なり保険の積立金の拠出者、そういう方々を入れるべきではないかという意見がございます。この方についての御意見を伺いたいということでございます。
  110. 窪田弘

    ○窪田政府委員 まず第一の点につきましては、従来お預かりする金利大蔵大臣が決めることになっておりましたが、決して一方的に決めていたわけではございませんで、厚生省と十分御相談をしていたわけでございます。したがいまして、六十年十月に〇・三下げましたときは、実は六月からお話を始めてやっと十月に下げることができたというぐらい十分御相談をしたわけでございますが、今後ももちろん、年金の重要性を十分心得ておりますので、厚生省と十分御相談をしてまいりたいと思っております。  資金運用審議会委員の問題につきましては、この資金運用審議会委員は学識経験者をもって充てるという法律の規定がございますので、特定の分野の代表という方に加わっていただくのはいかがかと思いますが、今でも専門委員という形でいろいろ御参加をいただいておりますし、その中には厚生省の年金局長も入っていただいております。そのほかに年金資金懇談会というのを私どもはこしらえておりまして、この金利の問題を資金運用審議会にお諮りする前に懇談会を開いて御相談をいたしております。ここには年金をめぐる各界の方に御参加をいただいておりますので、そういった形で、今後とも十分年金のお立場というものを考慮に入れながら、金利を決めることにいたしたいと思っております。
  111. 玉置一弥

    ○玉置委員 今、窪田局長の方からお話がございましたのは一応御相談しているということですが、我々が受けるのは、どのくらい下げたいという話がずばっと来て、イエスかノーか、こういう感じだと思うのですね。だから本当を言えば運用益、これからは自主運用が片方にあるということでございますから、両方見ながらやっていかなければいけないと思うのですが、その辺でまさに今までと違った形での御相談があるべきじゃないか、こういうふうに思います。これについていかがですか。
  112. 窪田弘

    ○窪田政府委員 今までもそういうつもりでおりましたが、今後なおそういう点を念頭に置きまして御相談をしてまいりたいと思います。
  113. 水田努

    水田政府委員 私ども六十二年度の予算で、かねての悲願でございますが自主運用が実現でき、今国会に既に法案を出しているところでございますが、それに先立ちまして、私ども厚生省に設置されております年金審議会にお諮りしまして、満場一致で二点注文を受けているわけでございます。  その一点は、自主運用の運用量をふやしていく、その努力をしなさいということ、それから、政令で弾力化された預託金利の改定に当たっては、年金財政の安定という見地から、十分政府部内で厚生省はその立場を踏まえて努力せい、こういう御注文を二点いただいておりますので、今先生の御指摘のように、両方をにらみながら、よく大蔵省と御相談しながら、年金財政に対する影響を極力小さいものにするようにしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  114. 玉置一弥

    ○玉置委員 ありがとうございました。  今回、資金運用部資金法の改正に当たりまして、同じくこの後六十二年で、特にこれから金融自由化を迎えて郵政省のいわゆる自主運用というものがあるわけでございます。金利の決め方をどうしていくのか、この辺の問題がかなり出てくると思いますが、これは理財局だけじゃなくて銀行局との関係もあると思いますし、預託金利とそれからいわゆる預金金利、この辺の関連をどうやって決められていくのか、それについてまず大蔵省、そして郵政省にお伺いしたいと思います。
  115. 窪田弘

    ○窪田政府委員 その点は郵政省とも従来ずっと議論をしてまいりましたが、結局その集約したものが今回お出ししている法律に書いてあります、国債金利その他市場金利を考慮するとともに預託者の立場を考慮する、この両面を考えるという点でございます。  市場金利と申しましてもいろいろございますが、やはり長期の金利の代表は国債金利であるということで、こういうものを基準にして考えてまいりまして、そのうちこういう経験を積み重ねて一つのルールに定着できればいいな、こういう感じておりますが、今はケース・バイ・ケースで決めていくことになろうかと存じます。
  116. 安岡裕幸

    ○安岡説明員 郵政省といたしましては、今回の資金運用部の預託利率法定制を改定いたしまして預託利率を政令で決めていくということによりまして、預託利率にいわゆる市場金利を反映させる、これが可能になるわけでございまして、それと同時に政令の制定に際しましては、郵便貯金資金運用部へのいわば最大の預金者でございますので、その意向、私どもの意向を十分に反映させることができる、こういうことになったのではないかというふうに考えております。こういう仕組みにすることによりまして、郵便貯金資金の自主運用の実現でございます金融自由化対策資金の創設とあわせまして、金融の自由化に適切に対応して、責任を持って郵便貯金事業の健全経営を行う基盤になったのではないか、このように考えておるわけでございます。  それから、もう一方の預金金利の方でございますけれども金利自由化というのは非常に急ピッチで進んでおりまして、まさに時代の趨勢である、このように考えておるところでございまして、郵便貯金金利のつけ方につきましても、できるだけ市場の実勢に合ったものをつけていかなければいかぬ、かように考えているところでございます。現在、小口預金の金利自由化ということで、いわゆるMMCという、ある市場の指標に連動させる、こういう預金の創設につきまして具体的な検討に入っておりまして、いろいろ大蔵省とも協議をしておるということで、できるだけ早く小口預金の自由化を進めていきたい、このように考えております。
  117. 玉置一弥

    ○玉置委員 時間が来たようでございますので、一問だけ中小企業庁に質問をして終わりたいと思います。簡単に答えていただきたい。  今回の法律改正で一応市場に近い金利引き下げをやろう、こういうことで話が進んでおりますが、今回の法律改正によって中小企業対策としてどういうインパクトがあるか、この辺について簡単にお答えをいただきたい。
  118. 土居征夫

    ○土居説明員 御承知のように政府系中小企業金融機関の基準金利というのは、中小企業対策の観点から、大企業への最優遇金利であります長期プライムレート以下でこれまで設定してきたところでございますけれども、一月二十八日以降基準金利が長プラを上回るという極めて異例な事態になっておりまして、現に多くの中小企業者が借り入れに困難を生じておりまして、引き下げを強く希望しているという状況でございます。  今回の財投金利資金運用部法の改正によります金利の引き下げというのが実現すれば、これによって中小公庫等の金利が引き下げられるということでございますので、三月は企業の決算期でございますので、一刻も早くこれらの金利の引き下げを行うことが、中小企業対策の観点それから景気対策の観点から期待されるところでございます。
  119. 玉置一弥

    ○玉置委員 終わります。
  120. 池田行彦

  121. 正森成二

    ○正森委員 大蔵大臣、先日は短い期間パリ−東京間を往復されまして、さぞお疲れだったと思いますし、御苦労さまでございましたと、こう申し上げたいところなんですけれども、共同声明内容を見ますと必ずしもそう申せない点もございますので、失礼でございますが二、三点聞かしていただきたいと思います。  今回のG5あるいはG7では、これ以上の円高・ドル安に歯どめをかけて為替を安定したというように言われておりますけれども、一ドル百五十円で安定というのは高値安定ではないでしょうか。  最近の新聞を見ますと、例えば二十四日の朝日新聞には通産省首脳が、「為替レートを最近の水準の周辺に安定させるとしているが、一ドル=一五〇円あたりということなら問題がある」ということで、私どもは必ずしも同意できませんが、一ドル百六十から百七十円程度の安定が望ましいという考えを明らかにしたと報道されております。あるいは関西経済連合会会長の日向方齊氏でさえ、産業界の多くは現状の円レートでは国際競争力を維持することが難しいという意味のことを述べております。  ですから、百五十円あるいは百五十円台で安定するということは、これは相当競争力のある大企業だけでなく、中小企業に至っては二百円から二百二十円ということをおおむね望んでおるというのが調査の結果出ておりますし、一九八五年の労働省調査による消費購買力平価では二百三十一円、あるいはまた一九八六年の先月出ましたOECDですかでは、購買力平価は大体二百二十三円で、一九八六年の日本の為替レート平均百六十九円から見て、先進国の中で一番過大評価されておるというように言っております。  そういう点について、私どもは、国民経済に決していい影響を与えない高値安定ではなかろうかというように思いますが、いかがでしょうか。
  122. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは以前にも正森委員に御説明を申し上げたことがございますが、昨年の九月以来私がやってまいりましたことは、いわゆるプラザ合意によってドルを非常に下げた、これは人為的に下げたわけでございますが、その結果として我が国のように非常に急激に短期間に円が上がった、それが我が国経済に大変な影響を与えておる。しかもそれがいつまで続くのか、そこがわからないという状況が、高くなったということも困るわけでありますが、どこまで進むのかわからないということの方がさらに企業の対応を困難にするわけでございますから、ともかくここらあたりでもうこのプラザ以来のドルを下げる人為的な努力というものは終わる、いわゆるファンダメンタルズがこの辺で形成されて市場に任せてもいいという、そういう合意を日米間で昨年の十月に取りつけたわけでございますが、このたびもそういう考え方に立っております。  したがいまして、こういう状況であれば、この「当面の水準の周辺に安定させる」ために努力をしようと申しておりますので、その後各国の経済のファンダメンタルズが変わってまいりますと、それはまたそういう形で市場に反映されていく。したがいまして、このたびの努力はこの際における安定の努力であって、ここで為替相場を未来永劫固定させよう、こういう意味ではないということでございます。
  123. 正森成二

    ○正森委員 それは共同声明の第十項でよくあらわれておりまして、この第十項を注意深く見ますと、ファンダメンタルズに「概ね合致した範囲内」という現状認識とか、「レートのこれ以上の顕著な変化」とか、あるいは「当面の水準の周辺に安定」というように、決して固定的に見ていないわけですね。  一方、報道等によりますと、このことは為替に変動幅を設ける、その幅が百五十円上下一〇%、百三十五円から百六十五円を検討したとか、あるいはそれはある程度認めたのではないかという報道がなされておりますが、そうだとすると、これは百五十円を基準にしてさらに一定の範囲内で円高になることすら、それがファンダメンタルズの反映であるということで暗黙に許容したのではないかという解釈も一部にあります。そうだとすれば、日本の産業にとって非常にゆゆしい問題だと思いますが、その辺の御感触をお聞かせ願えればありがたいと思います。
  124. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点はここに書いてあることがすべてでございますが、つまり、「当面の水準の周辺」というものでまずこの際みんなで安定を図ろう、それはお互いでございますので、我が国だけのことを言っているわけではございません。お互いの関係、円、ドル、マルクその他でございますが、当面の努力といたしまして、少なくともその多角的な関係をこの辺の水準の周辺で安定させよう、それが合意のすべてでございまして、いわばそれがどの辺の幅である、何円何円というようなことは、これは市場安定のために、そういうことを具体的に申したり決めたりすることはむしろ逆効果であろうというふうに、関係者はみんな考えておるわけでございます。  それは、しかし「当面の水準の周辺」でございまして、時間がたってまいりますと、ファンダメンタルズが相対的に変わればその水準というものは自然に市場に、つまり、ここに書いております「顕著な変化」であるとかなんとかというような形でなく、自然に市場に時間をかけて反映されていくということは十分に考えられることと思います。
  125. 正森成二

    ○正森委員 次に私が非常に関心を持ちましたのは共同声明の第八項、時間の関係で要約いたしますが、「かなりの新興工業国が世界貿易において、ますます重要な役割を果たしている点に留意した。」中略「最近においては、貿易黒字が累積している国もあり、」中略「それゆえに、大臣及び総裁は、新興工業途上国が、貿易障壁を削減し、自国通貨が基礎的な経済諸条件をより一層反映できるような政策をとることにより、」云々という文言がございます。  例えば、我が国の場合は対米貿易も非常に比重が多うございますが、同時にアジア諸国との貿易量が非常に多うございます。ところが、香港はもう典型的でございますが、韓国も台湾も事実上管理通貨的でドルに合わせて動いておりまして、我が国はドルに対して円高といいますか、それと同じことをウォンだとか元だとかいうのに対して持っておるという状況です。  一方、西ドイツなんかはどうかと見ますと、これは貿易量がヨーロッパ、EC相互間が約五〇%ぐらい占めておりまして、対米貿易はもちろん多うございますが、ヨーロッパ関係が多い。ところが、そのヨーロッパの通貨は、おおむねマルクと同じようにドルに対して変わっているということですから、ヨーロッパ関係では貿易上そう悪い影響はないのですね。  これは、我が国にとっては非常に大きな問題で、そのために韓国、台湾などは猛烈な貿易黒字を出しておりますし、我が国も非常に大きな影響を受け、ある意味では、部品などを調達のために企業がそういうNICSに出ていかざるを得ないということで、我が国の失業問題というようなことでも重大な影響があります。  この共同声明八項を見ますと、最近アメリカでは、韓国、台湾等の通貨の状況をこのまま放置できないということで議員立法の動きがあったり、あるいはその他の報道によれば、政府みずからが韓国政府等との話し合いを呼びかけたとかいうような報道が出ております。そこで、我が国政府として、あるいは日銀にもおいで願っておりますが、これらのアジアにおける発展途上国の通貨と日本の円との関係についてどういう御認識なのか、あるいはアメリカが行おうとしているのに似たような何らかの対応も考えておられるのか、率直に伺いたいと思います。
  126. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまおっしゃいましたような事情が確かにございます。その点についての我々のいわば関心をここに表明をしたわけでございますけれども我が国につきまして、私は、これらの国あるいは地域に対しまして、その通貨について云々をするというようなことはいたしたくないというふうに考えております。  それは、少し時間をかけてでございますと、やはりこういう周辺の国あるいは地域と我が国との間で、産業の交流と申しますか、そういうことがあるのは好ましいことであると考えております。ただ、余りにそれが急激に起こりまして困難をしておりますけれども、それは長い目で見れば、それらの国、地域に対してはいいことであろう、この地域全体としてもいいことであろうと私は思いますので、我が国としてその点についての特定の何かをいたすつもりはございません。  ただ、もう一つの問題、つまり、それらの国々もかなり世界貿易の中で大きな力を持ち、シェアを占めるようになりましたから、そういう意味では、自由貿易のルールというものにはひとつなじんでもらいたい、それには協力をしてくれないか、この点は我が国としても申してもよろしいことである、私はこう思っております。
  127. 青木昭

    青木参考人 日本銀行青木でございます。  新興工業途上国に対する私ども考え方はまさに今大蔵大臣御答弁のとおりで、特につけ加えるようなことはないわけでございます。この共同声明にも、こうした国々が「貿易障壁を削減し、自国通貨が基礎的な経済諸条件をより一層反映できるような政策をとることにより、開かれた世界貿易体制を守るため」云々、こういうことでございまして、こういった国に対する要請というふうにとどまっておるわけでございまして、私どもが何かすべきというふうに当面考えているわけではございません。  以上でございます。
  128. 正森成二

    ○正森委員 それでは、時間の関係で法案の問題に入らせていただきたいと思います。  現在の預託金利といいますか、財投金利が実情に合わなくなっているという点では、私どもも同様に考えております。例えば、理財局長のお答えになることかもしれませんが、現在資金運用部資金で、昨年も四兆円でしたか、ことしも四兆円国債を買う予定になっております。そうすると、その預託金利が六・〇五%だ、国債は五%であるということになれば、率直に言えば、資金運用部資金が一般会計に一%分補助金を出しておる。それは、四兆円なら四百億円になるのですが、それと論理は同じことになるのですね。高いお金で安い国債を買って、そして一般会計を助けておるという格好になります。  あるいは、同僚議員が既に質問されましたけれども、国民金融公庫その他政策金融がプライムレートよりも高いところにとまっておる。プライムレートが、五・八が近く五・五に下がるなどというときに、預託金利がそもそも六・〇五で、それに若干のマージンを見て六・二ぐらいで貸さなきゃならないということになれば、借りる人がいなくなるのは当たり前で、これは何とかしなければならないということはよくわかるのです。この点に関しては、局長とも宮澤大蔵大臣とも、全く意見が一致すると思うんですね。  しかしながら、そうだというわけで今まで金利を法定にしておったのを一挙に政令にゆだねてしまうというのは、そこまでの必要性があるかどうか。例えば法律を変えて、今七年以上が六分ということになっておりますが、これを五分であるとかあるいはその周辺に法定しまして、それから現在でも附則でその上に特利を付することができるということになっておりますので、この附則の中に、現在の法律の改正条項に出ております国債金利とか市場の動向とか預託者の利益とか、そういうのを勘案して政令なりなんなりで特利を決めることができるというようにしても、政策的には一向に差し支えがないことであって、それを一挙に法定制廃止してしまって、全部政令で政府がやりたいようにやるというのは、国会に対する軽視ではないかというのが私どもの率直な印象であります。なぜそういう改正をせずに、一挙に政令にゆだねるというようなことにしたのですか。
  129. 窪田弘

    ○窪田政府委員 今おっしゃったようなやり方もあろうかと思います。例えば、下限を大幅に引き下げるとか特利で調整するとかというやり方もあろうかと思います。しかし、仮にそういたしますと、金利自由化時代でございますから、下限は相当低いところまで下げざるを得ない。もしその方式をとりますと、そんなところまで下げるのかということで、具体的に言ってもどうかと思いますが、例えば年金の関係の方はそれはとてもいかぬとおっしゃいますでしょうし、特利のやり方は何と申しましても、現行法でも「当分の間」とありますように変則でございます。そこで、私どもも一昨年ぐらいから、この問題については関係省といろいろ話し合ってまいりましたが、やはりこれは政令にゆだねざるを得ない。しかし、何にも条件なしで直ちに政令に落とすのも御指摘のようにいかがかと思いますので、その考え方をはっきり書かせていただこうということで、国債金利その他市場金利を考慮するとともに、預託者の事情も十分考慮するというふうなことをかなり具体的に書かせていただいたつもりでございます。
  130. 正森成二

    ○正森委員 それは私ども法案を読みまして、その御苦心のほどはわかっておりますし、また大蔵省からそういう説明も受けております。しかしそうだとしても、それでは政令に任せておれば国民年金や厚生年金の預託者が安心するかといえば、逆に何らの制限がないんだから四分ところか三分、二分、一分、どこまで下がるかわからぬというような不安もあるんですね。ですから、当面の金利状況ではこれはここまでである、なお一層世界金利動向が下がれば、そのときには国会審議をしていただいてそれで下げる場合もあり得るというのが、私はこういう大事な国民の金を預かっている資金運用部としてはあるべき姿ではないか。  それで、附則でございましてなんて言うけれども、「当分の間」と書いてあると言うけれども、その「当分の間」が私の記憶に誤りがなければ、昭和三十六年ころから当分の間でやっているのではないですか。そうしたら、二年や三年でなしにもう既に二十六年たっているのです。だから、それが非常に短い時間の不安定なものだということは言えないと思うんですね。もちろん、法案としてお出しになったのですから、御自分の態度が正しいということで本日採決までいかれるのだろうと思いますけれども、私どもの率直な考えを述べさせていただくとすれば、大蔵大臣、私は、一挙に政令委任事項とするのでなしに、私が申し上げましたような方法をとることによっても現在の金利動向に対応できるし、それが国会や、あるいはお金を預けておる方のお気持ち、利益にも合致するというように思うのですが、いかがですか。
  131. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま政府委員から経緯については申し上げたわけでございますが、預託者との関連とおっしゃいましても、これはすべて政府関係者でございますから、そういう意味で、政令は御承知のように閣議決定をいたします。その間に政府部内の調整は、実際上調整ができませんと政令を書くことはできませんので、まあ、おっしゃいますような弊害はないのではなかろうか、また、ないように運用いたさなければならないと思います。
  132. 正森成二

    ○正森委員 法律を見ますと、例えば資金運用部資金法では第一条に法律の目的が書いてあります。いろいろ言われておるのでは主に三つありまして、第一が統合管理、それから第二番目が確実かつ有利な方法での運用、第三番目が公共の利益の増進に寄与、大抵の本を見ますと、この三つが主な目的であるというように言われております。それからまた、俗に長期運用法と言われている法律の第一条、「趣旨」を見ますと、「長期の運用が国民経済の中で果たす資源配分的機能の重要性にかんがみ、その適正かつ効果的な実施に資する」というように書かれております。  今ここで読んでおりますのは、「図説 財政投融資」昭和六十一年度版で、大蔵省の理財局の資金第一課長、第二課長あるいは地方資金課長が執筆したものであります。この本を見ましても、例えば二百三ページを見ますと、「財投は、一般会計と目的、機能の点で種々異なるが、一般会計と密接な関連を持ちつつ、一体となっていわば第二の予算としての財政機能を果たしており、」云々と書いてあります。つまり、資金運用部資金は第二の予算としての機能を果たすことが期待されているというのが、大蔵省の公的考えだろうと思うのです。  ところが、今度の改正を見ますと、資金運用部資金の十分の一という限度ではあるものの、外債等に運用できるということになっているのです。そうしますと、確実かつ有利、こう言うけれども、為替がこれだけ変動して、生命保険会社の首脳部が、こんなに為替が急に動くようでは対米投資は控えなければならぬ、こう言って、今でもアメリカ国債を買う場合には、元本を回収するときの危険に備えてヘッジ売りをしておるのです。それが逆にドル安・円高を促進する面もあるというように経済関係の本を見ると言われているのです。それから、第二の予算だというように言われるとすれば、アメリカが軍備拡大などで二千億ドルも出したアメリカの赤字を、なぜ我々が、零細な預金者や国民年金の掛金者がファイナンスしなければならないかという問題が起こってくるのです。  だから、こういう外債等への運用という規定は、そもそも資金運用部資金のあり方や今までの考え方自体に反するのではないですか。しかも、今は金利がどんどん下がって、民間の資金がどんどん外国へ流れて、アメリカの赤字の約半分近くは日本余裕資金がファイナンスしておるというように言われているときに、なぜ資金運用部資金がそこまで手を伸ばして介入しなければならないのかというのは非常に疑問だと思うのです。これは財投のあり方の根本にかかわる問題であって、我々は軽視することができないというように思いますが、いかがですか。
  133. 窪田弘

    ○窪田政府委員 外国債への運用は、確かに御指摘のような問題はございますが、私どもは、これはやはり今お読み上げになった資金運用部資金法一条の原則に反しないように運用しなければならないと思っております。かねがね日本金融市場、ひいては公的資金外国から非常に関心を持たれておりまして、例えば世界銀行債とかそういうものを日本の公的資金で引き受けられないかという内々のサウンドはいろいろございました。したがいまして、私どもは、そういう国際協力的な部面でこの公的資金を活用できる場合にやらしていただこう、しかもリスクは確かにございますので、そこのところの問題に十分慎重に対応しつつやりたいと思っております。
  134. 正森成二

    ○正森委員 我が国は一般会計でも、経済協力あるいは世界銀行などへの出資等もございますけれども、その場合には、大蔵でどれだけのものを出資するとかいうことが条約あるいは国内法ということになって初めて出るのですね。  ところが、今度の法案の改正を見ますと、十分の一以内という限度ではあっても、資金運用部資金の総額は、この一月末現在で百七十九兆六千億ですね。そうしますと法文上は、その十分の一というと膨大な額でありますが、それが外債等に運用できる。しかも、短期資金の場合には全く自由に運用できるということになれば、これはゆゆしい問題であって、政府内部で意思統一するからというようなことにとどまらないのです、そのもともとの金は零細な国民の預金であり、各国民の年金、保険料その他ですから。だから、それをそこまで拡大することが公共の利益であり、確実かつ有利な運用であり、ましてや第二の予算と言われる我が国資金配分の中に入っていいのであろうかという問題は依然として重大な問題だ。これは二、三十年前と、国際関係が決まっただけでは済まされない問題であるというように思うのですね。  大臣も御参考にと思いますが、新聞を読んでおりますと、日銀のOBなどが非常に心配をして意見を言っておるのですね。こう言っております。「今の日本経済はあらゆる意味で米国依存にのめり込み過ぎた。円高ドル安攻勢にほんろうされての利下げは、日本に自立性がなくなっていることを金融面が象徴的にみせたにすぎない」というのが、日銀幹部OBのお話として新聞に載っているのですね。そういう中で、私は、第二の予算と言われるものまでこういうように運用されるということには、重大な問題点があるのじゃないかということを指摘しておきまして、時間でございますので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  135. 池田行彦

    池田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  136. 池田行彦

    池田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  資金運用部資金法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  137. 池田行彦

    池田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  138. 池田行彦

    池田委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、中村正三郎君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。野口幸一君。
  139. 野口幸一

    野口委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して案文を朗読いたします。     資金運用部資金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、次の事項について十分配慮すべきである。  一 国民年金・厚生年金積立金の財源の強化のための事業については、その充実に努めること。  一 資金運用審議会の運営に当たっては、年金掛金の拠出者の意見が反映されるよう配意すること。 以上でございます。  何とぞ速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  140. 池田行彦

    池田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  141. 池田行彦

    池田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。宮澤大蔵大臣
  142. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま資金運用部資金法の一部を改正する法律案につき御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして十分配意をいたしてまいります。     —————————————
  143. 池田行彦

    池田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 池田行彦

    池田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  145. 池田行彦

    池田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時二十六分散会      ————◇—————