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1987-03-25 第108回国会 衆議院 社会労働委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十一年十二月二十九日)( 月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 のとおりである。   委員長 堀内 光雄君    理事 稲垣 実男君 理事 戸井田三郎君    理事 長野 祐也君 理事 丹羽 雄哉君    理事 浜田卓二郎君 理事 池端 清一君    理事 沼川 洋一君 理事 田中 慶秋君       粟屋 敏信君    伊吹 文明君       小沢 辰男君    大野  明君       大野 功統君    片岡 武司君       木村 義雄君    古賀  誠君       佐藤 静雄君    自見庄三郎君       高橋 一郎君    戸沢 政方君       中山 成彬君    野呂 昭彦君       藤本 孝雄君    三原 朝彦君       箕輪  登君    持永 和見君       河野  正君    田邊  誠君       中沢 健次君    永井 孝信君       広瀬 秀吉君    村山 富市君       新井 彬之君    大橋 敏雄君      平石磨作太郎君    吉井 光照君       塚田 延充君    浦井  洋君       田中美智子君 ――――――――――――――――――――― 昭和六十二年三月二十五日(水曜日)     午後一時二分開議 出席委員   委員長 堀内 光雄君    理事 稲垣 実男君 理事 戸井田三郎君    理事 長野 祐也君 理事 丹羽 雄哉君    理事 浜田卓二郎君 理事 池端 清一君    理事 沼川 洋一君 理事 田中 慶秋君       粟屋 敏信君    伊吹 文明君       小沢 辰男君    大石 正光君       大野  明君    大野 功統君       片岡 武司君    木村 義雄君       熊川 次男君    古賀  誠君       自見庄三郎君    鈴木 恒夫君       高橋 一郎君    戸沢 政方君       中山 成彬君    藤本 孝雄君       三原 朝彦君    村上誠一郎君       持永 和見君    中沢 健次君       永井 孝信君    広瀬 秀吉君       村山 富市君    新井 彬之君       大橋 敏雄君   平石磨作太郎君       森田 景一君    塚田 延充君       浦井  洋君    田中美智子君  出席国務大臣         労 働 大 臣 平井 卓志君  出席政府委員         労働大臣官房長 岡部 晃三君         労働省労政局長 小粥 義朗君         労働省職業安定         局長      白井晋太郎君  委員外出席者         経済企画庁調整         局産業経済課長 黒川 雄爾君         大蔵省主計局主         計官      中島 義雄君         通商産業省産業         政策局企業行動         課長      広瀬 勝貞君         中小企業庁計画         部計画課長   大塚 和彦君         労働大臣官房審         議官      黒河内久美君         労働大臣官房政         策調査部長   清水 傳雄君         労働省職業安定         局雇用政策課長 廣見 和夫君         社会労働委員会         調査室長    石川 正暉君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十九日  辞任        補欠選任   浦井  洋君    金子 満広君 同日  辞任        補欠選任   金子 満広君    浦井  洋君 三月六日  辞任        補欠選任   伊吹 文明君    相沢 英之君   片岡 武司君    宇野 宗佑君   古賀  誠君    越智 通雄君   高橋 一郎君    海部 俊樹君   戸沢 政方君    松野 幸泰君   中山 成彬君    武藤 嘉文君   野呂 昭彦君    小坂徳三郎君   箕輪  登君    山下 元利君 同日  辞任        補欠選任   相沢 英之君    伊吹 文明君   宇野 宗佑君    片岡 武司君   越智 通雄君    古賀  誠君   海部 俊樹君    高橋 一郎君   小坂徳三郎君    野呂 昭彦君   松野 幸泰君    戸沢 政方君   武藤 嘉文君    中山 成彬君   山下 元利君    箕輪  登君 同月二十五日  辞任        補欠選任   伊吹 文明君    鈴木 恒夫君   佐藤 静雄君    大石 正光君   野呂 昭彦君    村上誠一郎君   三原 朝彦君    熊川 次男君   吉井 光照君    森田 景一君 同日  辞任        補欠選任   大石 正光君    佐藤 静雄君   熊川 次男君    三原 朝彦君   鈴木 恒夫君    伊吹 文明君   村上誠一郎君    野呂 昭彦君   森田 景一君    吉井 光照君     ――――――――――――― 昭和六十一年十二月二十九日  北海道旧土人保護法及び旭川市旧土人保護地処  分法の一部を改正する法律案戸井田三郎君外  四名提出、第百七回国会衆法第七号)  国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法  律案(内閣提出、第百七回国会閣法第一一号) 昭和六十二年二月十二日  身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二六号)  勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二七号) 同月十三日  年金財政基盤強化のための年金福祉事業団の業  務の特例及び国庫納付金の納付に関する法律案  (内閣提出第三三号) 同月十六日  医薬品副作用被害救済基金法の一部を改正する  法律案内閣提出第四一号) 同月十七日  児童扶養手当法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第四五号)  原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第四六号)  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す  る法律案内閣提出第四七号) 三月十七日  地域雇用開発等促進法案内閣提出第九号) 同月十九日  外国医師又は外国歯科医師が行う臨床修練に係  る医師法第十七条及び歯科医師法第十七条の特  例等に関する法律案内閣提出第六八号)(予  ) 二月二十日  国立療養所稚内病院経営移譲反対等に関する  請願水田稔紹介)(第一〇号)  同(安井吉典紹介)(第一一号)  生協法改正反対等に関する請願浦井洋君紹  介)(第一二号)  高齢者福祉充実等に関する請願村山富市君  紹介)(第二八号)  都市児童健全育成事業等に関する請願田中美  智子君紹介)(第三四号)  保育制度維持充実に関する請願相沢英之  君紹介)(第五七号)  同(村田敬次郎紹介)(第五八号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第九〇号)  同(渡海紀三朗紹介)(第九一号)  保育所制度充実に関する請願今井勇紹介  )(第五九号)  同(大村襄治紹介)(第六〇号)  同(小泉純一郎紹介)(第六一号)  同(竹内黎一君紹介)(第六二号)  同(友納武人紹介)(第六三号)  同(古屋亨紹介)(第六四号)  同(増岡博之紹介)(第六五号)  同(松野幸泰紹介)(第六六号)  同(水野清紹介)(第六七号)  同(武藤嘉文紹介)(第六八号)  同(渡部恒三紹介)(第六九号)  同(奥野誠亮紹介)(第七一号)  同(梶山静六紹介)(第七二号)  同(愛野興一郎紹介)(第七七号)  同(平泉渉紹介)(第七八号)  同(村岡兼造君紹介)(第七九号)  同(石川要三紹介)(第八八号)  同(田邉國男紹介)(第八九号)  同(佐藤敬夫紹介)(第一六五号)  あん摩、マッサージ及び指圧を保健事業に導入  に関する請願奥野誠亮紹介)(第八六号)  子供・青少年等たばこの害から守るための対  質に関する請願中山太郎紹介)(第八七号  )  同(武村正義紹介)(第一六六号)  福祉国庫負担金削減反対等に関する請願(経  塚幸夫君紹介)(第一五七号)  同(児玉健次紹介)(第一五八号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一五九号)  同(田中美智子紹介)(第一六〇号)  同(不破哲三紹介)(第一六一号)  同(藤原ひろ子紹介)(第一六二号)  同(村上弘紹介)(第一六三号)  同(山原健二郎紹介)(第一六四号) 同月二十三日  保育所制度充実に関する請願船田元紹介  )(第一九二号)  同(大野明紹介)(第二一八号)  同(森下元晴君紹介)(第三〇一号)  同(松田岩夫紹介)(第三三一号)  福祉国庫負担金削減反対等に関する請願(上  田哲君紹介)(第一九三号)  同(大出俊紹介)(第一九四号)  同(岡田利春紹介)(第一九五号)  同(川俣健二郎紹介)(第一九六号)  同外一件(川俣健二郎紹介)(第二一九号)  同(中路雅弘紹介)(第二二〇号)  同(村上弘紹介)(第二二一号)  同(井上一成紹介)(第三〇二号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願外一件  (愛野興一郎紹介)(第二六二号)  同(伊吹文明紹介)(第二六三号)  同(小野信一紹介)(第二六四号)  同(大石千八紹介)(第二六五号)  同(大西正男紹介)(第二六六号)  同(大野功統紹介)(第二六七号)  同(奥田敬和紹介)(第二六八号)  同(川俣健二郎紹介)(第二六九号)  同(瓦力君紹介)(第二七〇号)  同(菊池福治郎紹介)(第二七一号)  同(左近正男紹介)(第二七二号)  同(坂本三十次君紹介)(第二七三号)  同(櫻内義雄紹介)(第二七四号)  同(白見庄三郎紹介)(第二七五号)  同(嶋崎譲紹介)(第二七六号)  同外一件(田口健二紹介)(第二七七号)  同外三件(田邊誠紹介)(第二七八号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第二七九号)  同(辻一彦紹介)(第二八〇号)  同(戸塚進也紹介)(第二八一号)  同(中西啓介紹介)(第二八二号)  同(野呂昭彦紹介)(第二八三号)  同(長谷川峻紹介)(第二八四号)  同(平林鴻三君紹介)(第二八五号)  同外二件(広瀬秀吉紹介)(第二八六号)  同(福田一紹介)(第二八七号)  同(藤本孝雄紹介)(第二八八号)  同(保利耕輔君紹介)(第二八九号)  同(牧野隆守紹介)(第二九〇号)  同(増岡博之紹介)(第二九一号)  同(三野優美紹介)(第二九二号)  同(武藤嘉文紹介)(第二九三号)  同(村山喜一紹介)(第二九四号)  同(森下元晴君紹介)(第二九五号)  同(森田一紹介)(第二九六号)  同(山崎拓紹介)(第二九七号)  同(渡部恒三紹介)(第二九八号)  同(相沢英之紹介)(第三三二号)  同外二件(粟屋敏信紹介)(第三三三号)  同(池端清一紹介)(第三三四号)  同(石破茂紹介)(第三三五号)  同(井上泉紹介)(第三三六号)  同(小沢一郎紹介)(第三三七号)  同(越智伊平紹介)(第三三八号)  同外一件(大原亨紹介)(第三三九号)  同(河野正紹介)(第三四〇号)  同(木村義雄紹介)(第三四一号)  同(古賀誠紹介)(第三四二号)  同外一件(鴻池祥肇紹介)(第三四三号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第三四四号)  同(中沢健次紹介)(第三四五号)  同(丹羽雄哉紹介)(第三四六号)  同(野坂浩賢紹介)(第三四七号)  同外一件(平沼赳夫君紹介)(第三四八号)  同(三原朝彦紹介)(第三四九号)  同(持永和見紹介)(第三五〇号)  同(森喜朗紹介)(第三五一号)  難病患者等医療及び生活保障等に関する請願  (三野優美紹介)(第二九九号)  国立大蔵病院整備拡充に関する請願山花貞  夫君紹介)(第三〇〇号)  保育制度維持充実に関する請願粟屋敏信  君紹介)(第三二九号)  同(岸田文武紹介)(第三三〇号) 三月五日  腎疾患総合対策早期確立に関する請願外一件  (石橋政嗣君紹介)(第三六四号)  同(大原一三紹介)(第三六五号)  同(川俣健二郎紹介)(第三六六号)  同(佐藤敬夫紹介)(第三六七号)  同外一件(斉藤斗志二君紹介)(第三六八号)  同(笹山登生紹介)(第三六九号)  同外一件(塩谷一夫君紹介)(第三七〇号)  同(月原茂晧君紹介)(第三七一号)  同(戸沢政方紹介)(第三七二号)  同(友納武人紹介)(第三七三号)  同(中村正三郎紹介)(第三七四号)  同外四件(中山正暉紹介)(第三七五号)  同(松田岩夫紹介)(第三七六号)  同(粟山明君紹介)(第三七七号)  同外一件(安田修三紹介)(第三七八号)  同外一件(山口鶴男紹介)(第三七九号)  同(渡辺栄一紹介)(第三八〇号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三九七号)  同外一件(小澤克介紹介)(第三九八号)  同(武村正義紹介)(第三九九号)  同外二件(塚田延充紹介)(第四〇〇号)  同(宮下創平紹介)(第四〇一号)  同外二件(永井孝信紹介)(第四〇七号)  同(山口鶴男紹介)(第四〇八号)  同(小川国彦紹介)(第四六八号)  同(山口鶴男紹介)(第四六九号)  同外一件(新井彬之君紹介)(第五四六号)  同(臼井日出男紹介)(第五四七号)  同(貝沼次郎紹介)(第五四八号)  同(片岡武司紹介)(第五四九号)  同(坂口力紹介)(第五五〇号)  同(田中直紀紹介)(第五五一号)  同(中島衛紹介)(第五五二号)  同(中村茂紹介)(第五五三号)  同(浜田卓二郎紹介)(第五五四号)  同(平泉渉紹介)(第五五五号)  同(堀之内久男紹介)(第五五六号)  同(村田敬次郎紹介)(第五五七号)  同(森田景一君紹介)(第五五八号)  同(森本晃司紹介)(第五五九号)  同外一件(吉井光照紹介)(第五六〇号)  国立大蔵病院整備拡充に関する請願岩佐恵  美君紹介)(第三八一号)  難病患者等医療及び生活保障等に関する請願  外一件(広瀬秀吉紹介)(第四〇九号)  同(川俣健二郎紹介)(第四七〇号)  同(小林恒人紹介)(第四七一号)  同(田中美智子紹介)(第四七二号)  同外一件(塚田延充紹介)(第四七三号)  同外一件(児玉健次紹介)(第五六一号)  同(中沢健次紹介)(第五六二号)  同(沼川洋一紹介)(第五六三号)  同(藤原房雄紹介)(第五六四号)  同外六件(吉井光照紹介)(第五六五号)  国立王子病院統廃合反対等に関する請願(中  島武敏紹介)(第四六七号)  身体障害者希望町設置に関する請願有島重  武君紹介)(第五三五号)  同(遠藤和良紹介)(第五三六号)  同(近江巳記夫紹介)(第五三七号)  同(玉城栄一紹介)(第五三八号)  同(春田重昭紹介)(第五三九号)  同(薮仲義彦紹介)(第五四〇号)  同(吉浦忠治紹介)(第五四一号)  保育制度維持充実に関する請願有島重武  君紹介)(第五四二号)  保育所制度充実に関する請願金子原二郎君  紹介)(第五四三号)  同(浜田卓二郎紹介)(第五四四号)  子供・青少年等たばこの害から守るための対  策に関する請願村上弘紹介)(第五四五号  ) 同月十日  国民健康保険制度に対する都道府県負担の導入  反対に関する請願沼川洋一紹介)(第五八  八号)  福祉国庫負担金削減反対等に関する請願(山  口鶴男紹介)(第五八九号)  同(中路雅弘紹介)(第六五四号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(衛藤  征士郎君紹介)(第五九〇号)  同(小沢辰男紹介)(第五九一号)  同(小渕正義紹介)(第五九二号)  同(佐藤静雄紹介)(第五九三号)  同(塩崎潤紹介)(第五九四号)  同(田村良平紹介)(第五九五号)  同(中山太郎紹介)(第五九六号)  同(三塚博紹介)(第五九七号)  同(山下八洲夫君紹介)(第五九八号)  同(大野明紹介)(第六一〇号)  同(村山富市紹介)(第六一一号)  同(安田修三紹介)(第六一二号)  同(熊谷弘紹介)(第六五五号)  同外一件(左近正男紹介)(第六五六号)  同(川崎寛治紹介)(第七〇四号)  同(武田一夫君紹介)(第七〇五号)  同(山村新治郎君紹介)(第七〇六号)  難病患者等医療及び生活保障等に関する請願  (五十嵐広三紹介)(第五九九号)  同(村山富市紹介)(第六二二号)  同外一件(池端清一紹介)(第七〇七号)  同(河野正紹介)(第七〇八号)  同外二件(佐藤徳雄紹介)(第七〇九号)  保育制度維持充実に関する請願虎島和夫  君紹介)(第六〇七号)  同(渡辺栄一紹介)(第六〇八号)  同(新井将敬紹介)(第六五三号)  保育所制度充実に関する請願渡辺栄一君紹  介)(第六〇九号)  同(相沢英之紹介)(第七〇三号)  国立腎センター設立に関する請願臼井日出男  君紹介)(第六五一号)  同(友納武人紹介)(第六五二号) 同月十三日  予防接種健康被害者及び遺族援護法制定に関す  る請願高沢寅男紹介)(第八二〇号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(愛知  和男君紹介)(第八二一号)  同(安田修三紹介)(第八二二号)  同外一件(浦井洋紹介)(第八七三号)  同(田中慶秋紹介)(第八七四号)  同外一件(田中美智子紹介)(第八七五号)  同外一件(寺前巖紹介)(第八七六号)  難病患者等医療及び生活保障等に関する請願  外一件(新井彬之君紹介)(第八二三号)  同(安井吉典紹介)(第八七七号)  国立王子病院統廃合反対等に関する請願外九  件(中村巖紹介)(第八二四号)  国立鳴子病院経営移譲反対等に関する請願外  一件(戸田菊雄紹介)(第八七一号)  看護専門学校寮における電気製品使用規制緩  和寺に関する請願村山富市紹介)(第八七  二号) 同月十九日  福祉国庫負担金削減反対等に関する請願(井  上普方紹介)(第九二一号)  同(加藤万吉紹介)(第九二二号)  同(広瀬秀吉紹介)(第九二三号)  同(井上一成紹介)(第一〇〇〇号)  同(川俣健二郎君組分)(第一〇二七号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願大橋  敏雄紹介)(第九二四号)  同(柴田睦夫紹介)(第九二五号)  同(田中美智子紹介)(第九二六号)  同(中山成彬紹介)(第九二七号)  同外一件(日笠勝之紹介)(第九二八号)  同(山原健二郎紹介)(第九二九号)  同(鹿野道彦紹介)(第一〇〇一号)  難病患者等医療及び生活保障等に関する請願  (大橋敏雄紹介)(第九三〇号)  同外三件(永井孝信紹介)(第九三一号)  予防接種健康被害者及び遺族援護法制定に関す  る請願吉原米治紹介)(第九五六号)  同(田中慶秋紹介)(第一〇〇三号)  同(上田卓三紹介)(第一〇二九号)  国立腎センター設立に関する請願山本幸雄君  紹介)(第一〇〇二号)  同(串原義直紹介)(第一〇二八号)  看護専門学校寮における電気製品使用規制緩  和寺に関する請願菅直人紹介)(第一〇〇  四号) 同月二十三日  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(鳥居  一雄君紹介)(第一一〇八号)  同(米沢隆紹介)(第一一七一号)  国立腎センター設立に関する請願砂田重民君  紹介)(第一一〇九号)  予防接種健康被害者及び遺族援護法制定に関す  る請願坂口力紹介)(第一一一〇号)  ハイヤー・タクシー労働者労働時間の改善等  に関する請願岩佐恵美紹介)(第一一五五  号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第一一五六号)  同(工藤晃紹介)(第一一五七号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一一五八号)  同(柴田睦夫紹介)(第一一五九号)  同(中路雅弘紹介)(第一一六〇号)  同(中島武敏紹介)(第一一六一号)  同(不破哲三紹介)(第一一六二号)  同(松本善明紹介)(第一一六三号)  同(村上弘紹介)(第一一六四号)  カイロプラクティック等医業類似行為に関す  る請願鴻池祥肇紹介)(第一一六五号)  同(砂田重民紹介)(第一一六六号)  同(戸井田三郎紹介)(第一一七六号)  同(松本十郎紹介)(第一一八一号)  保育制度維持充実に関する請願金子満広  君紹介)(第一一六八号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一一六九号)  福祉国庫負担金削減反対等に関する請願(池  端清一紹介)(第一一七〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十一日  国民健康保険制度等の改善に関する陳情書外二  十四件  (第一七号  )  国立明石病院岩屋分院経営移譲計画中止等に  関する陳情書外三件  (第一八  号)  障害者対策に関する陳情書  (第一九号)  地域健康福祉システム開発に関する陳情書外  一件  (第二〇号)  痴呆性老人対策充実強化に関する陳情書  (第二一号)  母子保健法改正に関する陳情書外二件  (第二二号)  保育所制度充実に関する陳情書  (第二三号)  学童保育制度化に関する陳情書外二件  (第二四号)  美容業着物着付業務に関する陳情書  (第二五号)  食品添加物規制緩和等反対に関する陳情書外  一件  (第二六号)  カネミ油症被害者救済に関する陳情書  (第  二七号)  中国残留日本人孤児援護に関する陳情書外一  件  (第二八号)  雇用対策充実強化に関する陳情書外九件  (第二九号)  婦人の就労環境等の向上に関する陳情書  (第三〇号)  聴覚障害者手話通訳早期制度化に関する陳  情書  (第三一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  地域雇用開発等促進法案内閣提出第九号)      ――――◇―――――
  2. 堀内光雄

    堀内委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  厚生関係基本施策に関する事項  労働関係基本施策に関する事項  社会保障制度医療公衆衛生社会福祉及び人口問題に関する事項  労使関係労働基準及び雇用失業対策に関する事項 以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会設置関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期調査を進めたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堀内光雄

    堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 堀内光雄

    堀内委員長 内閣提出地域雇用開発等促進法案議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。平井労働大臣。     —————————————  地域雇用開発等促進法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  5. 平井卓志

    平井国務大臣 ただいま議題となりました地域雇用開発等促進法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  我が国におきましては、内外の厳しい経済情勢を反映して、雇用情勢にも厳しいものがあります。特に、地域における雇用の現状を見ますと、経済の低成長のもとで労働力需給の地域間格差が拡大しつつあると同時に、円高の影響を受ける産地、造船、漁業等に関連した特定不況地域、石炭政策の影響を受ける産炭地域やこれらの要因が重なり合う地域など雇用情勢の極めて厳しい地域が見られ、地域の雇用問題が深刻化しております。  このため、雇用開発を中心とした総合的な地域雇用対策を積極的に講じていくことが緊急の課題となっております。  政府といたしましては、このような課題に適切に対処していくため、中央職業安定審議会の建議を踏まえ、地域に係る雇用対策を統合整備し、これら関係労働者の雇用機会の拡大、雇用安定のための施策を一層強力に推進することとし、関係審議会に諮った上、この法律案を作成し、ここに提出した次第であります。  次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一に、この法律で対象とする地域は、雇用開発促進地域、特定雇用開発促進地域及び緊急雇用安定地域の三つの地域としております。  雇用開発促進地域は、求職者が多数居住し、かつ、求職者数に比し相当程度に雇用機会が不足している地域を、特定雇用開発促進地域は、雇用開発促進地域のうち経済上の理由により事業規模の縮小等を余儀なくされ、これに伴い雇用に関する状況が著しく悪化している地域を、また、緊急雇用安定地域は、経済的事情の著しい変化により事業規模の縮小等を余儀なくされ、これに伴い雇用に関する状況が急速に悪化している地域を指定することとしております。  第二に、地域における雇用開発を効果的に推進するため、国は地域雇用開発指針を策定し、また、都道府県は雇用開発促進地域ごとに地域雇用開発計画を策定することとしております。  第三に、雇用開発促進地域については、当該地域において事業所を設置し、または整備し、求職者を雇い入れる事業主に対して必要な助成及び援助を行うほか、雇用促進事業団の行う施設の設置に関する特別の配慮、職業訓練の機動的実施、職業紹介等の積極的実施等の施策を実施することとしております。  第四に、特定雇用開発促進地域については、雇用開発促進地域に係る施策のほか、事業所を設置し、または整備して離職者を雇い入れる事業主について特別の措置を講ずるとともに、職業訓練施設に係る資金の貸し付け、失業の予防等のための助成及び援助、事業主に対する雇用の安定のための要請、職業訓練の実施に係る特別の措置、雇用保険の失業給付の延長、公共事業への就労促進、広域職業紹介活動の命令等の措置を講ずることとしております。  第五に、緊急雇用安定地域については、失業の予防等のための助成及び援助、雇用保険の失業給付の延長、職業訓練の機動的実施、職業紹介等の積極的実施等の施策を実施することとしております。  なお、この法律は、本年四月一日から施行することとしております。  以上、この法律案提案理由及び内容の概要につきまして御説明申し上げました。  何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  6. 堀内光雄

    堀内委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  7. 堀内光雄

    堀内委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池端清一君。
  8. 池端清一

    池端委員 我が国の完全失業率は、一月の労働調査でついに三%に達したわけであります。これは昭和二十八年の調査開始以来最悪の数字でございます。まさに人減らし旋風円高列島を覆う、こういう極めて深刻な状況に立ち至っているわけでございます。  平井労働大臣は、先般の衆議院予算委員会で、高失業時代に入らんとする警鐘と受け取っている、こういうふうに表明をされましたが、このような雇用失業情勢をどのように認識をされているのか、また今後の見通しについてどのようにお考えになっておられるのか、その点の見解をまず承りたいと思います。
  9. 平井卓志

    平井国務大臣 最近の雇用失業情勢は、もう既に御案内のように、生産活動が極めて停滞いたす中で、雇用調整を実施する事業所が増加をいたしまして、求人の減少、失業者の増加と大変厳しい状況にあるわけでございます。六十二年、本年一月でございますが、有効求人倍率が〇・六一倍、失業率は一月で初めて三%を記録いたしたわけでございまして、雇用関係の指標もこうした厳しい実態をあらわしておるわけでございます。特に造船、鉄鋼等の不況業種では非常に大量の過剰人員が発生をいたしまして、また出向、配転、一時休業、希望退職の募集等大変幅の広い雇用調整が実施されているのが現状でございまして、関連地域においてもすべて雇用は深刻化いたしております。今後につきましては、これら不況業種や関連地域を中心にさらに厳しい雇用情勢が続くと考えられるわけであります。  このために、業種、地域の雇用情勢を、やはりその実態を迅速かつ的確に把握いたしまして、内需の拡大と適切な経済運営と相まって機動的な雇用対策を推進し、雇用の安定を図らなければならぬ、かように考えております。
  10. 池端清一

    池端委員 先日発表されました野村総合研究所の予測によりますと、ことし半ばにも完全失業者数は二百万人を突破する、六十二年度平均の完全失業者数は二百三万人、失業率は三・三%前後になる、こういう予測を示しているわけでございます。また通産省は去る三月十一日に臨時円高対策本部を開いて、その会議の席上、昭和六十五年度には失業率が四%に達する、失業者数は二百五十万人というまさに驚くべき数字を明らかにしているわけでございます。雇用冬の時代到来、こういう感を一層強くするものでございますが、こういう情勢に対応して、それでは労働省としてはどういう対策を講じようとしているのか、具体的なその対策の内容をお尋ねをしたいと思うのであります。
  11. 平井卓志

    平井国務大臣 かつて予算委員会でも御答弁申し上げましたように、実効の上がる効果的な雇用対策というのは、これはもう御案内のように、昨今の雇用情勢の中では労働省単独の対応をもっては対応し切れないという前提はございますけれども、私ども労働省としてどういう対策をとるかということになりますと、基本的には総合対策をもって内需を中心とした景気の持続的拡大、これはもうまさしく不可欠でございまして、あくまでも総合的な雇用対策の推進が必要であると考えております。  特に、この不況地域と申しますのが、地域とある業種にかなり集約されておりますので、一つには、不況業種における職業転換訓練に対する助成金制度の創設、またこれは民間主導、財団法人でございますが、産業雇用安定センターに対する援助を通じた労働力の円滑化、これを図っていきたい。さらに、もう過去やっておりますけれども、雇調金制度の拡充強化、こういうことでできる限り力いっぱい失業の予防を図っていかなければならぬと考えております。三番目には、地域における雇用開発のための助成金制度の創設と総合的な地域雇用対策を整備していく。こういうことを内容とする三十万人雇用開発プログラムの実施を初めといたしまして、雇用対策について格段の強化を図っていかなければならぬ。特に地域の嘱用対策につきましては、やはり従来の枠組みを超えた強力な措置が必要ではなかろうか。  そのために、このたび地域雇用開発等促進法案をお願いをいたしておるわけでございまして、今後これらをお認めいただいて、これら対策の機動的な推進を速やかにきめ細かく弾力的に行って、雇用の安定に努めなければならぬ、かように考えております。
  12. 池端清一

    池端委員 ただいま大臣からそのような御答弁がございましたけれども、率直に言って、今度の法案を見てみましても、新味に乏しい、そして従来の職安行政の延長にすぎないという感を実は免れない、そういう気持ちを私は持っているわけでございます。今日の雇用情勢悪化の主たる原因は、ただいま大臣も言われたように、産業構造転換の進展と急激な円高です。きのうも円は一時一ドル百四十八円台に突入した、こういう円高の直撃を今受けているわけでございまして、今日の雇用問題というのは、単なる労働行政の枠で考えるのではなくて、産業政策全体の問題として受けとめていかなければならない、取り組んでいかなければならない問題だ、こういうふうに私は考えるのですが、その点について大臣はどのような認識をお持ちでしょうか。
  13. 平井卓志

    平井国務大臣 ただいまの点はまさに委員御指摘のとおりでございまして、率直に申し上げれば、昨今の情勢の中での雇用の安定というのは、やはり一番には日本が直撃されております為替のしかるべき安定がまた前提ではないか。その中で一昨年来非常に言われておりますけれども、なかなかめり張りのきいた効果の出ない内需拡大、これはもう基本的にまさに雇用対策のベースでございまして、そういう中で経済政策、産業政策一体となった関連施策を総合的にやっていくということでなければ今後の雇用不安の拡大に対処するのはなかなか難しい。特に今後の失業率等の見通しについては、前提の置き方によっていろいろな数字がとれるわけですけれども、政府の見通しといたしましては、でき得る限りの施策を効果的に実行することにおいて六十二年度年間平均で二・九%程度に何とか失業率を抑えていきたい、こういうことでございまして、本法案につきましても、こうした観点から雇用開発に向けた総合的な地域雇用対策を推進しようというものでございまして、引き続き政府が一体となって雇用の確保に取り組むことが必要である、かように考えております。
  14. 池端清一

    池端委員 重ねて申し上げるようでありますけれども、今日の雇用悪化の原因というのは単なる一過性のものではない。中長期的ないわゆる日本経済の構造転換に根差すものであるということでございます。したがって、単なる対症療法的な対策では、その効果は十分に期待することはできない、私はこのように思うわけでございます。  したがって、何よりも緊急に対処すべきは、現在の経済政策を根本的に転換すること、今日の緊縮財政から積極的な財政政策に転換する、そして今大臣も言われたように、めり張りのきいた内需拡大、これを求めるということなくして今日の雇用不安を解消することはできない、私はこういうふうに考えるわけですが、この積極的な財政政策の転換という観点については、雇用担当大臣の平井さんとしてはどのようにお考えか、ひとつ見解を承りたいと思います。
  15. 平井卓志

    平井国務大臣 結果的に一口で申し上げますと、内需拡大策という内需景気の刺激ということが、ただいまの日本経済全般から見ますと、国内的にも国際的にも求められておる非常に重要な政策でございまして、ただ、現在の内閣は、これも御案内のように、緊縮財政、財政再建、そして行政改革という旗印のもとに今日まで国政をお預かりしてまいったわけでございまして、そういう中でこういう緊急的な国際的産業構造の転換、こういう非常に大きい転換点に立って、そういう内需拡大策にどのようにこたえていけるのか。私はこれはこたえざるを得ないと思うわけでございまして、これは総理も予算委員会等で御答弁ございましたように、やはりやるべきはやらなくちゃいかぬ。まさに緊急避難的な要素であろうとなかろうと、もはや内需の拡大というのは、もう現在の経済運営においては非常に大きいウエートを占めざるを得ないというふうに考えております。その点はもう御指摘のとおりでございます。  ただ、そういう中で、労働省といたしましても、雇用対策費二兆三千七百億というかつてない、前年比で一〇%を超える積み増しをお願いいたしておりまして、そういう中で今後さらに総合的な経済対策等々を考えますと、私の立場といたしましては、一日も早い予算の成立というものをお願いした上で積極的にこの問題に取り組んでいく。そういろいろたくさん方法があるとは私考えられません。やはり総合的に、従来の発想を超えた大型の公共事業等を中心にして、この内需拡大というのは、御案内のようにいろいろな方法論がございますけれども、実効の上がる内需策というのは、具体的な案になりますとなかなか出てまいらない。やはりその中で、従来の手法の踏襲ではございましても、相当程度の内容を吟味した上での大型の公共事業というものが下支えという意味も含めて非常に重要な柱になるのではないか、かように考えております。
  16. 池端清一

    池端委員 私の地元のことを申し上げて恐縮ではございますけれども、私の地元北海道室蘭は、鉄鋼、造船の企業域下町としてかつては大変いんしんをきわめた町でございました。従来人口十八万人おりましたものが、現在は十二万八千人に落ち込んでいる、こういう状況でございまして、今、町全体が倒産と失業の不安におののいている、こういうことが実態でございます。これは単に室蘭のみならず、地域差はございますけれども、日本列島全体を覆っている現状でないかと思います。  したがって、この際、例えば公共事業、マイナスシーリング、ゼロシーリング、こういった概算要求基準枠というようなものをもう撤廃して、公共事業を積極的に拡大をする、そして特定不況地域には、これを傾斜配分するといったような大胆な思い切った発想を展開していく、そして内需の拡大を図っていく、さらに社会資本の充実を図るといったような経済政策、これなくしてはもう雇用対策は後手後手、後追いの政策に終わってしまう、私はこう思うのですが、重ねてお尋ねを申し上げます。
  17. 平井卓志

    平井国務大臣 これは御指摘のとおりでございまして、従来の雇用対策というものは若干ややもすれば後追いになっておる。一つの現象が出て、雇用不安、雇用調整が行われてから種々の対策を講じるということでございましたし、またそのことで雇用問題を解消できる程度の雇用不安でございましたら、私はさして問題とするに足りないと思うわけでございますが、このたびの雇用不安と申しましょうか、非常に世界的な大きい経済構造ないしは産業構造の転換を含めた大きい転換期でございますから、よっぽど中長期の展望に立った、腰を据えた対策でないとなかなか失業問題の解消というのは容易でないというふうに考えております。  特に、今御指摘になりました公共事業のシーリング枠の問題でございますけれども、手っ取り早く申し上げますと、やはりこの厳しい雇用情勢に対処するためには、公共事業の活用等を通じて総量としての雇用需要を確保するというのが非常に効果的には早いわけでございまして、早く効果の上がる問題から手をつけてまいるということが特に私は重要だと思っております。その問題につきましては、政府・与党雇用対策推進本部というのがございまして、総理も本部長でやられており、私もその席で再三にわたって今委員御指摘になりましたような公共事業の傾斜配分も含めて、とにかく各関係省庁雇用問題について格段の配慮を願うということは常々主張してまいったわけでございます。ただ、このシーリングの問題につきましては、いろいろな立場からのいろいろな御議論があるところでございまして、今後各方面の意見を踏まえ、また先生の御指摘も配慮に入れながら、政府全体としてこれは検討していくべきもの、かように考えております。
  18. 池端清一

    池端委員 ひとつ労働大臣のさらなる御努力をお願い申し上げたい、こう思います。  そこで、法律の中身についてお尋ねをしますが、新法では雇用開発促進地域、特定雇用開発促進地域、緊急雇用安定地域の三種類の地域を考えているようでございますが、これらの地域指定についての考え方をひとつお尋ねをしたいと思うのです。  また、従来既存のいろいろな地域指定がございます。従来指定された地域の中で今度の新法によって指定漏れになるような地域はない、私はこのように理解をしているのでありますが、それでよろしいかどうか。その点もあわせてお答えをいただきたいと思います。  なお、これに関連をいたしまして、附則の第二条の規定の趣旨についてひとつ御説明を願いたいじ、あわせて附則第二条に言う「当分の間」という期間はどの程度の期間を指しているのか。これについてもお答えをいただきたいと思います。
  19. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  指定地域の考え方につきましては、先ほど大臣が法案の説明の中で申し上げましたが、具体的には地域全体の問題といたしまして、地域間に格差があるということで、この法律自体は緊急の問題も含んでおりますが、中長期的にわたる恒常的な問題として立案させていただいたものでございます。そういうことで、中長期的に見まして地域開発をしていくということで、雇用開発促進地域というのは、求職者が多数居住しているにもかかわらず雇用機会が不足している一般地域を指しまして、これを全国で百十から百二十地域程度まんべんなく指定してまいりたいというふうに考えている次第でございます。  これらの地域の中で、先ほどからお話に出ております最近の産業構造の変化、それから不況業種からの多数の離職者の発生等で特に雇用情勢が厳しい地域、これらの地域を特定雇用開発促進地域ということで指定してまいりたい、これを四十地域を超えるぐらいの地域を考えております。  それからもう一つ、緊急雇用安定地域は、これは臨時的なものでございますが、いわゆる城下町法等に基づきまして、円高その他で地域の、特に輸出関連の産業が集中している地域がやられてきておりますが、これらの地域につきましては、この城下町法等で中小企業等への融資助成等が行われる中で、その離職者に対する対策を行うということで百二十市町村程度を指定してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、御質問の第二点の既存の特定不況地域等についての今度の法律の場合での問題でございますが、これらの地域が現在指定されているということにつきまして、新たに指定することになるわけではございますが、現在までの状況を十分にしんしゃくして地域指定をしてまいりたいということで、現在作業を進めてまいっております。具体的には中央職業安定審議会に諮って決定いたしました指定基準に照らしまして地域指定を行うということになるわけでございます。  それからさらに、これらの地域——今先生御指摘になった地域につきましては、そういうことで前向きに検討してまいりたいというふうに思っております。  それからもう一つ、地域の中には予算措置で五十七年度から雇用開発推進事業というのを行っている雇用開発地域がございます。これは新たに各県にそれぞれモデルをつくってやってきていただいた地域でございますので、新法でやる場合に必ずしも指定基準に該当しないという場合も発生するかと思いますが、しかしその場合には、現在野にいろいろな施策を進めている、それからその施策の実行の途上にあるというようなことを考慮して、本法施行後、一定の期間に限りまして適用を暫定的にしていくということを考えているわけでございます。  それから第三点で、附則第三条の「当分の間」ということにつきましての御質問をいただいておりますが、この条文によります暫定的に広域職業紹介活動命令が発せられる地域、現在の職業安定法の十九条の二で地域指定をして広域職業紹介活動命令を発しているわけでございますが、ここの条文が改正になりますので、その地域につきましては、当分の間、従来の施策を継続したいということでございまして、「当分の間」というのはいろいろ考え方あろうかと思いますが、何年ということはちょっと今検討の段階でございまして、雇用状況が改善し、当該地域において求職者数に比して雇用機会が著しく不足していると認められることが改善するという期間まで一応考えなければならないのではないかというふうに考えております。
  20. 池端清一

    池端委員 地域の雇用問題、特に北海道、九州において深刻になっていることは御案内のとおりであります。とりわけ北海道におきましては、明治以来北海道経済を支えてきました石炭、水産、農業、林業、鉄鋼、造船、非鉄、そして国鉄などの基幹産業が円高不況やあるいは内圧、外圧、こういったようなドリブルパンチによって深刻な雇用不安に今陥っているわけでございます。  平井労働大臣は、就任早々北海道に飛びまして、つぶさにその実情を調査してこられたわけでございますが、このような北海道の状況を大臣としてはどのように認識をされ、北海道対策をどのように今後進めていこうとお考えになっているのか、具体的なものをひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
  21. 平井卓志

    平井国務大臣 ただいまも御答弁申し上げましたように、基本的には急激な為替の切り上げ、この円高の進展によって全国的に雇用失業問題ということが非常に大きく顕在化したわけでございまして、ただいまもやはり円高基調はいささかも変わっておらないという情勢に立って判断いたしますと、さらに今後雇用問題は一層の厳しさを増してくるのではないかと考えております。  御指摘をまつまでもなく、この北海道地区、私も視察に参りましたけれども、委員が今おっしゃられましたように、かつての北海道経済を支えた中心産業部門はもう押しなべて不況業種ということでございまして、もう昔日の面影は全くございません。一々私、北洋漁業問題から炭鉱問題、さらには国鉄職員問題等は申し上げませんけれども、日本有数の厳しい地区である。したがって、そういう意味ではやはり効果が上がるような抜本対策が必要である。当然のことながら、先ほど来私が申し上げておりますような総合対策をもって当たらなければなかなかこの問題の解決は容易でないというふうな認識もいたしております。したがって、ただいま御審議をいただいておりますこの地域雇用開発等促進法案も、これも率直に申し上げれば、やはり失業情勢が特に厳しい北海道を念頭に置きまして、地域または業種の問題もいろいろ分析討議をいたしまして、この法案をお願いしておるという経過もございます。今後さらに総合経済対策等で公共事業問題等、これは建設大臣また通産大臣等も北海道地区については格段の御理解をいただいておりますので、そういうふうな公共事業等の配分も含めて最大の配慮をいたさなければならぬ、こういうふうに考えております。
  22. 池端清一

    池端委員 北海道のことばかりお尋ねをして恐縮ではございますけれども、それだけに今深刻な状況だということをひとつ御理解をいただきたいと思います。  今大臣が言われたような状況でございますので、今度指定される特定雇用開発促進地域が北海道では非常に多くなるのではないか、こういうふうに考えられますが、現在どのような地域が検討されているのか、ひとつ具体的なものがございましたらここでお示し願いたいじ、最終的にこれはいつの時点で地域指定がなされるのか。四月一日からこれは施行でございますから、その前だと思うのでありますが、その日時等についてもあわせてお示し願いたいと思います。
  23. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  北海道は、今大臣が言われたとおりでございまして、現在の特定不況地域におきましても、全国で三十七地域の指定の中で十二地域の指定がなされております。具体的には十二いろいろございますが、函館の造船、セメント、それから紋別の水産、製材関係、それから小樽の漁業、それから電炉、合板関係、それから釧路の漁業、ダンボール関係、それから室蘭の電炉、造船関係等々でございます。そういうことで、先ほど先生の御質問にもございましたように、今回の新しい法律によって指定する場合につきましても、従来からの施策の継続も図らなければならないわけでございまして、これらの地域については十分配慮いたしますとともに、さらに石炭問題その他で滝川とか夕張とかいろいろなところで起こってきております。これらにつきましても十分検討させていただきまして、もちろん先ほど申し上げましたように、基準の設定によりまして、その基準に合わせていくわけでございますが、前向きに検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、いつごろに指定されるのかということでございますが、本法律を早急に通していただくことになっておりますが、閣議の日程等の関係もございまして、この三月末には指定できるように鋭意作業を進めているところでございます。
  24. 池端清一

    池端委員 閣議というと火曜日ですから三月三十一日だというふうに理解をいたします。  次に、先般発表されました鉄鋼大手五社の大幅な合理化計画、これによりますと、約四万人に及ぶ人員削減、関連企業を含めますと約八万人、大変な影響を雇用にもたらす内容になっておるわけでございます。関連、下請を含めて、まさに地域の存亡にかかわると言っても言い過ぎではないような状況になっておるわけでございます。したがって、この鉄鋼に強く依存している地域の対策も私は喫緊の課題である、こういうふうに考えるわけでございますが、この鉄鋼等の企業城下町に対する対策についてどのようなお考えをお持ちか。また従来、高炉による製鉄は特定不況業種に指定をされておらなかったわけでありますが、私はこれは当然今後指定すべきである、こういうふうに考えますが、この点についてあわせてお答えをいただきたいと思います。
  25. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  鉄鋼業につきましては、今先生御指摘のとおりでございまして、現在も大手五社を中心に一時休業を実施しております。さらに中期経営計画のもとで四万人を超える人員削減の方針が出されている状況は、今御指摘いただいたとおりでございます。この問題が、鉄鋼業そのものはもちろんでございますが、この雇用調整によりまして影響を受けます下請関連企業その他地域に対する影響を非常に懸念いたしているところでございます。  現在、この一時休業その他につきましては、これも御存じのとおり、雇用調整助成金制度の機動的活用によりまして、何とか失業者として外へ出さない形で失業の予防を図っているところでございます。そしてまた鉄鋼業の中では電炉等につきましては、既に不況業種としてきめの細かい再就職促進の施策等を進めているところでございます。今後とも地域の問題、本法によります地域への対策その他をもちまして関係労働者の雇用の安定を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。  なお、鉄鋼業、高炉の関係の特定不況業種指定の問題につきましては、労働省としましては、現在関係労使からのお話をお聞きしているところでございまして、資料その他を整備しながら、今後指定その他の問題につきまして鋭意検討してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  26. 池端清一

    池端委員 造船の問題でございますが、造船業界も現在深刻な問題を惹起しております。例えば富山の日本海重工では大量の人員削減、合理化が強行されようとしておりますし、また住友重機工業では六名の従業員に対して指名解雇の通告が出されております。これら六人の方々はいずれも組合の活動家でございまして、これは明らかに不当労働行為でございます。さらに労働協約では退職は五十八歳、こういうふうになっているものを五十三歳から五十五歳、こういったまさに働き盛りの労働者を指名解雇する、こういうやり方はまさに労働協約違反あるいは解雇権の乱用以外の何ものでもないと私は思うのであります。したがって、二月二十日に神奈川県の地労委は指名解雇留保の勧告を行っております。こういうような違法行為というか違法状況が各地に頻発をしているのであります。労働省の鳴り物入りの定年延長も、これでは絵にかいたもちにすぎません。私はこういうような状況に労働省は積極的に対応していくべきである、こう考えますが、造船労働者の雇用問題についてどういう対策をお考えになっているか、これについてもお答えをいただきたいと思います。
  27. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  造船問題は非常に深刻な問題でございまして、昨年一年間で離職者が既に一万人を超えております。特に暮れから一月にかけて多数の離職者が発生いたしておりますし、今後さらに設備の処理等に伴いまして余剰人員の発生が見込まれている極めて厳しい状況にございます。  不況業種の中にもいろいろございますが、鉄鋼のような一時帰休で対処しているもの、それから石炭のように閉山されていく業種とございますが、造船業はその中間と申しますか、離職者が希望退職を募って発生しているという厳しい状況にあるというふうに理解いたしております。  そういうことで、従来からも雇用調整助成金その他、訓練その他の失業者に対する施策等鋭意進めてまいっているわけでございますが、今回の法案の成立に当たりましても、地域指定その他につきまして、従来からもそうでございましたけれども、造船の関連地域というものは特に考慮を払ってまいらなければならないというふうに考えている次第でございます。  個々のいろいろな希望退職者に対する処置の問題その他がございますが、これらにつきましても、それぞれの都道府県に対しまして、不当労働行為に当たるようなことを発生させないようにそれぞれの指導を行っているところでございまして、それぞれの県におきましては、例えば部長が事業主を呼んで実情を聞いて指導するとか、いろいろな措置をとりながら実施いたしている次第でございます。
  28. 池端清一

    池端委員 ひとつ十分な指導をお願い申し上げたいと思いますし、今局長が言われたように、造船及び関連産業のある地域でいまだに特定不況地域に指定されていないところが幾つかあります。宮城県の石巻、静岡県の下田、清水、焼津、富山県の富山、三重県の伊勢等々、これらの地域がありますので、十分これらの地域についても配慮していただくように、これは強く要望をしておきます。  時間がなくなりました。最後に私は職安行政についてひとつお尋ねしたいと思うのであります。  先般、私は北海道の函館、室蘭の公共職業安定所に参りました。職員の皆さんが大変御苦労をなさっている姿を目の当たりに見てまいりました。非常に狭い庁舎の中で、ちょうどその日は認定日でありましたので、失業者がたくさん職業安定所を訪れておるその中で、非常にわずかばかりの職員の方で大変な仕事に精励をされている、こういう状況をつぶさに見てまいりました。私はこのように今日雇用情勢が厳しいときこそ職員の思い切った増員を含め職業安定行政の充実強化を図るべきではないか、これは臨調行革、いろいろあるでしょうが、それらとは別個にその増員を思い切ってやるということが何よりも今大事である、こういうふうに感じてまいったわけであります。これについての大臣の見解を承って、まだいろいろ用意しておりましたけれども、時間になりましたので、これで質問を終わりたいと思います。
  29. 平井卓志

    平井国務大臣 ただいま御指摘の増員問題でございますが、これはもう御案内のように、定員削減が計画的に実施されておりまして、非常に状況は厳しいわけでございます。職業安定行政の置かれた現状と申しますか、これを関係方面にも十分理解していただきまして、必要な体制の整備が図られますように引き続いて努力をしてまいりたいと思います。
  30. 池端清一

    池端委員 先ほどから申し上げておりますように、行き過ぎた円高の是正、内需の拡大、時間短縮、積極財政の展開、こういった問題に政府全体として取り組む、そのことによって雇用問題の解決を図っていく、これが何よりも喫緊の課題であると思いますので、労働大臣、ひとつ声を大にして、これらの問題を政府部内で主張をされて雇用対策の万全を期していただきたい、このことを心からお願い申し上げまして私の質問を終わります。
  31. 堀内光雄

    堀内委員長 以上で池端清一君の質疑は終了いたしました。  永井孝信君、
  32. 永井孝信

    永井委員 初めに、ただいま質問されました池端委員と重複する部分がかなり出てまいりますが、御了解をいただいておきたいと思うわけであります。  まず最初に、大臣にお尋ねをいたしますが、今も内需拡大が極めて難しい状況にあるということを大臣が答弁をされました。時あたかも今春闘の直前でありまして、いつもの年でありますと、春闘問題の集中審議をこの社会労働委員会としては行ってきているわけでありますが、ことしはその時間がとれていないわけであります。したがって、その関係について深く議論をしようとは思いませんけれども、片方で円高不況のために経済団体は依然として賃金抑制策を打ち出している。そして片方で失業者がどんどんふえている。これでは内需拡大になるわけはないのであります。加えて今も指摘がされておりましたけれども、雇用対策というものが常に、石油ショックのときもそうでありましたけれども、産業政策の後になっていることは間違いないわけですね。したがって、閣内でいろいろな対策を立てられるときに、産業構造調整が進んでいくのに対応しての雇用対策ではなくて、雇用安定というものあるいは雇用の確保というものを前提とした産業構造調整をどうするのかという視点にもう一度発想を逆転させて、内閣としてもあるいは行政当局といたしましても、労働行政を進めるべきではないかと思うのでありますが、この関係について最初に大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  33. 平井卓志

    平井国務大臣 やはり雇用確保を前提とした、言いかえれば雇用の実効が上がるということを前提にした産業調整に導くような雇用調整政策が必要でないかということ、私も原則的にそのように考えておるわけでございまして、先ほど来御答弁も申し上げておりますように、やはり大きい世界的な経済の転換期でございますから、小手先のびほう策的な対策では、もう到底対処し得ないという認識に立って、このたびの法案もお願いいたしておるわけでございます。同時に労働省の一対策法案のみをもって現状の雇用不安をすべて解消できるというふうには到底考えておりませんで、やはり今言われましたような内需拡大、経済政策、産業政策、もう政府一体となっての対策をどこまでやりおおせるか。そうしませんと、なかなか実効が上がらないわけでございまして、そういう意味で、もう御案内と思いますけれども、雇用対策推進本部というのができまして、全国八ブロックにおいて地元自治体、経済人等々も入れた協議会が逐次開催されております。関東地区、きょう東京でやっておりますけれども、この協議会が最後でございまして、いろいろな御意見、主要な点を全部討議いたしまして、関係各省庁にも申し上げる、総理にも御報告を申し上げて、今後の対策について参考とすべき点はすべて吸い上げていこうというふうな体制もとっておりまするし、さらには通産省とも事務次官レベルにおいて常に必要とあれば協議体制をとっていくということで、先ほど来私が特に申し上げて、なおかつ重ねて申し上げたいのは、やはり雇用開発に向けて総合的な地域対策というものを今お願いをいたしておるわけでございますが、これだけでは到底効果が出ない。やはり効果的にやりまするには、大変難問でございますが、やはり為替の安定と思い切った内需の拡大策というのは、現状ではもう避けて通れない、まさしく政府一体の雇用対策であり、雇用確保でなければならぬというふうに考えております。
  34. 永井孝信

    永井委員 そこで、失業率の問題について私からも質問をしてみたいと思うのですが、今も若干の議論がありました。  総務庁が労働調査というのをやっておるわけですね。これは新聞で発表されたりあるいは政府の施策を立てる場合のいろいろな資料の中にそのことが入ってくるわけでありますが、これはサンプル方式でやっておるわけですね。全国で大体三万人程度を対象にして無作為で抽出して調査をするという方法をとっているようであります。このサンプル方式で出されました労働調査によりますと、五十五年の九月、百九万人で一・九%という数字でございました。五年後の六十年九月、百五十八万人で二・六%という失業率でございました。これらの経緯から労働省としては少なくとも失業率を二%以内におさめたいということをこの委員会でもたびたび歴代の労働大臣が主張されてきているわけであります。このサンプル方式なるものが果たして労働行政で雇用対策を立てるための完全な基礎資料になり得るのかどうなのか、お答えいただけますか。
  35. 清水傳雄

    ○清水説明員 お答え申し上げます。  総務庁の統計局で実施をされております労働調査は、御指摘のように標本調査でございます。しかしながら、一定の統計理論にのっとりまして、集計の結果について一定の精度を保つように設計がなされておりまして、この調査につきまして特段の問題はないものと考えておるわけでございます。もちろん政策の実施に当たりましては、求人あるいは求職等の労働力需給の状況でございますとか、企業におきます雇用調整の状況でございますとか、そのほかのいろいろな統計指標もあわせて総合勘案いたしまして雇用情勢を判断をして行うことにいたしておるわけでございますし、労働調査によります失業率も、その資料の一つとして十分に活用をしている、こういうものと理解をいたしておるところでございます。
  36. 永井孝信

    永井委員 それではなぜこの失業率の問題について、例えば産業界を指導していく立場の通産省と労働省がこんなに論争してきたのですか。通産省は、米国流で言うと、日本の失業率は発表されている労働調査の数値の約二倍になると言っている。労働省は、米国式に勘案をしてみても大差はない、こう言う。かなりホットな論争になっておるわけですね。労働省の担当者がわざわざ新聞で「誤解生む失業率の比較」ということで論文まで発表されておる。私はこの中身についてここで細かく論争しようという気持ちはないのであります。  私がなぜ昭和五十五年の九月と六十年の九月を数字で挙げたかと申し上げますと、これは国勢調査の年なんですね。国勢調査で見ますと、五十五年の十月では、総務庁の労働調査では百九万人の失業者に対して、国勢調査では百四十二万人という数字が出ているわけであります。失業率も、総務庁の調査の一・九%と違って、この時点で既に二・四八%という数値が出ています。六十年の国勢調査では、総務庁の百五十八万人、二・六%に対して、二百五万人、三・四%という数字が出ているわけであります。  国勢調査は、一体人口は何人かということを調べるだけではなくて——衆議院の定数是正の問題もありましたから、その人口の動態が主として大きな問題になってきたわけでありますが、この国勢調査はいろいろな重要な資料を提供しているわけですね。二%以内に抑えるとか、三%を超えそうだとか、間もなく四%に来るとか言っているけれども、国勢調査で見る限り、六十年の十月には既に三%をはるかに超えているわけでしょう。  そうすると、労働省の雇用政策は、私は後追いと言いましたけれども、単なる後追いではなくて、あえて総務庁の労働調査の数値に頼って雇用調整あるいは雇用確保という政策がどうしてもおろそかになってきたのではないかという心配をするわけであります。この辺の関係について、この調査の仕方にもし通産省と労働省が論争されているように、閣内でも問題があるとするのであれば、欠陥のある調査と見なければならない。もっと的確に国勢調査の結果などを労働行政に反映するようなことを考えることができないのかどうなのか、この辺についてお答えいただきたいと思います。
  37. 清水傳雄

    ○清水説明員 日米の失業率の比較につきましては、かつて五十年代の初めごろいろいろな議論がございまして、その後国際的に見ましても、その双方の違いその他をすべて明らかにし、結果といたしまして差がないものというふうな理解が現在統一的になされているところでございます。  確かに国勢調査労働調査の失業率の数値に乖離が見られるわけでございます。双方とも総務庁で調査をされておられるわけでございますけれども、国勢調査は五年に一度全国一斉に人口に関するいろいろな事項を全般的に調査をいたしておるわけでございますし、労働調査の方はまさに就業状況そのものを詳細に把握をすることを目的といたしまして、長年にわたり毎月継続的に調査をされてきた実績を持つものでございまして、双方の失業率の数値の乖離、開きが見られるところにつきましては、調査票の形式の差でございますとか、あるいは調査員の差でございますとか、あるいは次に続く質問事項等によってどの程度チェックができてきているかとか、そうしたこと等によって出てきておるものというふうに理解をいたしておるわけでございます。  国勢調査によります数値そのものにつきましても、労働調査によってとらえ切れていないいろいろな細かな年齢別の状況でございますとか、あるいは都道府県別の状況でございますとか、そうした面につきまして十分に活用がされておるわけでございますし、何と申しましても、毎月継続的にしかも一定の速報性を確保しつつ政策運営に資する、こういった意味合いにおきまして、労働調査の結果というものは、先ほど申しましたように、十分に政策実施に当たって活用できる、そういう性格のものと考えておるところでございます。
  38. 永井孝信

    永井委員 この問題で時間をかけて論争することはできませんけれども、この国勢調査がたとえ五年ごとであったといたしましても、ここで出てくる中身というものをさらに細かく分析をして対応すべきものだと私は思うのですね。だから、毎月の労働調査がむだだと言っているのじゃないのでありまして、乖離のあるままに、例えば政府が出してきました三十万人雇用創出のプログラム、こういうものを見ましても、そのもとになる失業者の状態がどういう状態なのか、失業率はどこまで今高まっているのかということに、その基礎数値が違う、そこに政策上も手抜きが出てくるのではないかという心配をするから私は申し上げているわけでありまして、この論争はもうこれ以上時間がおりませんからやりませんけれども、労働調査というものはもっとより正確に把握できるようなことを考えてもらいたい、こういうことを私はお願いを申し上げておきたいと思います。  もう一つは、この同じ失業率に関係はするのでありますが、今の産業界で、労働省の調査をされたところによりますと、過剰雇用というものが存在をしている。いわゆる余剰人員といいますか、この過剰雇用が推計で七、八十万人に上るのではないか、こう言っているわけですね。それが失業率に換算をすると一%に相当する、こう言われているわけであります。今回のこの促進法は、新法は私はそれなりに高く評価をするわけでありますが、この法律ができるのを待って、この過剰雇用とされている働く人々が、もしもこの法律ができたために、この法律を適用するということから、便乗合理化になっていきはしないかという心配を片方でするわけです。少なくともこれは雇用確保を前提とした、そういう立場での法律でありますから、もしも政府から助成がもらえるということで便乗合理化などが出てきたのでは大変だ。この辺については労働省としてどのようにこのことについての行政指導をされようとしているのか、お伺いをいたします。
  39. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  過剰雇用の問題につきましては、今先生御指摘のように、労働省の調査によりますと、製造業で二四%の事業所が過剰雇用を抱えているという状況等が出ております。過剰雇用の計算の仕方というのはいろいろ難しい問題もございまして、一定の条件でいろいろな計算がなされておりますが、民間では九十万人とか言われているのもございますけれども、この調査で推計いたしますと、今先生おっしゃられましたように、六十万人の過剰雇用があるかというふうに見れるわけでございます。しかし、この抱えている過剰雇用につきましてのいろいろな施策というのは、先ほどから大臣からも説明がございましたように、雇用調整助成金制度その他を用いまして対応いたしているところでございます。  今回のこの地域立法は、その地域におきます雇用機会を開発していこうということでございまして、失業を外へ出すということではなくて、そこにいる求職者その他の雇用の機会を開発して、そこへ就職させていくということでございますので、そのために過剰雇用を出していくということではないというふうに考えております。特に一般的な雇用開発促進地域におきましては、その地域での求職者を雇っていこうということでございます。ほかの地域から特別に排出してそこへ持っていくというようなことではないわけでございますので、この法律の成立によって便乗合理化が行われるということはないものと考えておりますが、万一そういうことの場合には、そういうものについては行われないように行政上も十分注意して参いりたいというふうに思っております。
  40. 永井孝信

    永井委員 今まで日本の産業界というのは終身雇用制が定着をしておりました。そして年功序列制、労働組合としては企業別労働組合、これが日本的なよき労使関係であり、日本的雇用慣行と言われてきたわけですね。そしてそういう日本的雇用債行の中で、労働者側には企業から協力が呼びかけられて、日本が経済大国になるための大きな力になってきたことは事実なんですね。しかし、今全国的に円高不況の中で起きてきている実態を見ますと、もうそんな終身雇用制なんて関係なく、片方でパート労働者がどんどんふえてきたこともありますけれども、もう人員整理や出向、配置転換などについては問答無用というところが大変ふえてきたわけですね。だから地労委などにかかってくる件数も随分ふえてまいりました。その中で私が心配しておりますのは、労働組合については企業の側の姿勢が大幅に変わってしまって、労働組合の活動家などについては不利益な取り扱いをすることが間々見受けられる、そういうことがあってはならぬので私は申し上げているわけです。この円高不況の際に、いわば便乗して——便乗合理化と私は言いましたけれども、便乗して労働運動そのものを抑制する役割をそこで果たしてしまってはどうにもならぬ、このことを私は大変心配をするわけです。  そこで私は、大臣にちょっとこの関係についてお聞きしたいと思うのでありますが、例えば労働運動の抑制ということは、企業が合理化をする際に希望退職を募る、希望退職だけでは賄い切れないから指名解雇ということに発展をしていく。その指名解雇に発展をしたときに労働運動への不当な——不当労働行為というのですか、不当な介入が行われていく、こういうことが私は一番問題だと思うのです。  そこで、ここでこれも議論をするつもりはないのでありますが、例えば最近の例で言うと、国鉄では余剰人員対策ということで大変な問題を起こした。人材活用センターをめぐって提訴されることも随所に起きてきた。そしていよいよ新会社への振り分けや採用に当たっても、御承知のように、特定の組合がだれの日から見ても大変な差別を受けたことだけは間違いないと思うのですねりしかし、その作業をしてきた当局側からすれば、これは勤務成績を勘案して決めたんだ、公平に振り分けを決めた、公平に採用を決めた、こう言っているのでありますが、私の心配しているようなことから考えて、今振り返ってみあと、国鉄もそういうことは本当に公平になされたと思っていらっしゃるかどうか、大臣としての感想を聞かせていただきたいと思います。
  41. 平井卓志

    平井国務大臣 ただいま御指摘の点で、労働運動の抑制と申しましょうか、そういうことにつながるような指名解雇、言うなれば、一口に申し上げて不当労働行為ということになるわけでございますが、例えば今御指摘の国鉄なら国鉄の問題でございますけれども、これは御案内のように、この採用は日本国有鉄道の改革法にのっとりまして、設立委員の定めた採用基準に基づいて適正に行われたものであると私は承知いたしておりまして、殊さら労働運動の抑制という意図で行われたというふうには私は考えておりませんし、同時にまた、そのような個々の事案というものについては、具体的に承知をいたしておりません。
  42. 永井孝信

    永井委員 大臣、労働行政を預かる最高責任者でありますから、私は余りこの問題から逃げてほしくないわけです。大臣も政治家なんだから、率直に私は大臣の感じたことをお聞きしたかったわけであります。  例えば、北海道で見ますと、不採用者が四千七百六十七名、そのうち労働組合別に見ますと、不採用になった者が国鉄労働組合が三千四百、全勤労と言われているところが七百九十二、鉄道産業労働組合が五百五十二改革協と言われておる側はわずかに二十二名しか不採用になっていないのですよ。それほど特定の組合に加盟をしている者が勤務成績が悪いのでしょうか。そんなことは断じて私はあり得ないと思うのです。どんなに言葉をかたってみたって、やはり恣意的に労働運動で特定の運動をしてきた者については排除するということがその根底にあったことは間違いないと思うのですね。私はこれを今もとへ戻せと言っても戻りっこないことは承知しているのです。しかし、私が心配なのは、仮にいい法律をつくって、この法律はいいんだけれども、この法律を適用してもらうために便乗合理化が始まっていく可能性がある。しかも、労働省が認めているような、過剰雇用者と言われている六、七十万、何とか企業が雇用だけ守らなければいかぬと精いっぱい努力をしてきたけれども、この法律ができたために、これを適用してもらって、この際整理をしておくかというところが出てこないとも限らない。私はこれを大変心配するのです。そういうときに、国鉄に右へ倣えで恣意的な労働組合に対する不当労働行為があってはならぬと心配するから、私は大臣に聞いてみたんです。そんなかみしも着たような答弁じゃなくて、率直にもう一言お答えください。
  43. 平井卓志

    平井国務大臣 そういうふうな新しい法律が適用されます場合に、やはり労働運動の抑制と申しましょうか、そういうことを意図した組合間の差別というものは決してあってはならぬものでございまして、今後そういう点についても指導監督してまいりたい、かように考えております。
  44. 永井孝信

    永井委員 これももう時間がありませんので、また改めての場を求めて大臣と一回話し合いをしてみたいと思います。  さて、その次に、この法律の中身に関連するのでありますが、昨年の秋に成立しました特定地域中小企業対策臨時措置法というのがありますね、これで四十三地域、百七十五市町村が指定をされました。今までのいわゆる特定不況業種に関係する救済法で三十二業種が指定されてきているわけですね。今度新たに緊急雇用安定地域がこの法に基づいて指定されていく。かなり広がってはきたのでありますが、今の産業界の実態を見ますと、この三つの法律を中心にして特別な政府の助成というものが全部網をかぶせることができるだろうか、これを実は私は心配をするわけであります。  例えば、この「緊急雇用安定地域一覧」で見ますと、私の地元のことを言って恐縮でありますが、兵庫県のかなりの市町村が対象になっているわけでありますが、ここに挙げられている自治体はほとんどが家内工業的な地場産業なんですね。だから、この地場産業で働く労働者が今新たに雇用創出という立場で新しく就職の機会を得るということは極めて困難な状態にあるわけです。伝統的工芸品などを含めて、もう昔からこつこつと家内労働的にやってきた、そういう地場産業が円高の影響をもろに受けているわけです。ところが、片方で既に成立しました昨年秋の法律によって、大型産業を含めて救済措置がとられている。私の地元にも、新日鉄や神戸製鋼やあるいは川崎重工、いろいろな大産業も存在をしているわけであります。  この三つの法律をどのように適用されていくかということをいろいろ考えてみましたら、例えばどの法律も適用されない地域に下請、孫請の企業が存在をする場合が数多くあるわけですね。例えば鉄鋼関係でいいますと、たくさんの下請があります。その下にまた孫請があります。単に製造業だけじゃないのですね。トラックの運送などについて例をとりますと、大企業と専属契約を結んでいる。この大企業と専属契約を結んだところは下請だということで法律の保護の対象になっているわけであります。ところがその専属契約の下に十数社のまたもう一つ下請がありまして、その下にさらに孫請が存在して地域でトラック協会がつくられているのです。調べてみると、専属契約を結ぶトラック運送会社は、この法律の保護の対象になっているのでありますが、下請については全く対象になっていかない。いわば一番生活の基盤に脅威を感じている底辺の企業や労働者が結果としてこの法律の網から漏れてしまうという危険性を持っているわけであります。  そう考えていくと、法のもとで平等という立場から考えて、指定地域以外のところについても、やはり法律が保護をできるように、助成ができるように、弾力的な運用なども含めて対応することが必要なのではないか、私はこう思いますが、どうでございますか。
  45. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  業種関連の法律と、それから地域につきましては、先生おっしゃるようにいろいろな法律があったわけでございまして、それを今回はまとめまして、総合的に一つの法律として、中身も充実させていくということで、特に一般的な雇用開発促進地域につきましては、できるだけ広く拾っていくということを考えているわけでございまして、例えば東京とか大阪とかいう場合は別でございますが、各府県につきましても、できるだけ拾えるようにということで地域の指定についても検討いたしておるということで、従来の施策に比べればさらに広範な対応をし得ると考えております。  それから、今の業種その他の場合の孫請等の問題でございますが、地域の網にかかってこない場合もそれはあり得ると思います。現在のところ、どこまで拾えばいいのか、できるだけ弾力化を図ってきておりますが、なお足らないところもあるかと思います。具体的な問題につきましては、さらにいろいろな御意見や資料を検討しながら検討を進めさせていただきたいと思っております。
  46. 永井孝信

    永井委員 時間がなくなりましたので、もう最後の質問にしたいと思いますが、総評が職業安定所を訪れている人々を対象に今全国的に調査をされているのです。その中身を見ますと、個々面接で調べてみると、完全失業者と言われている人たちの圧倒的な数が零細企業の人たちなんです。その人たちは、やはり再就職をする場合はどうしても自分の住んでいるところで再就職をしたいという希望をお持ちなんですね。だから、法律で単に助成するだけではなくて、どうやって雇用創出を本当にでき得るかどうかが私はこれからの行政の責任として問われてくると思うのです。この辺の関係について、ひとつこの法律が適用でき得るように、法律はつくったけれども、適用する対象がなかったら適用できないのですから、雇用創出を図るということは、具体的に起きてきて初めて適用されるところも随分あるわけですから、そういうものを私は特段に御努力願いたいということです。  もう一つは、法のもとの平等ということを私は申し上げましたけれども、例えば雇用保険にしても、特定雇用開発促進地域の離職著にかかわる延長給付は九十日になっていますね。緊急雇用安定地域にかかわるものの六十日と三十日の差があるわけです。緊急雇用安定地域であろうと特定地域であろうと、失業したことには変わりはないわけでありまして、その適用によって九十日と六十日と差があることは平等ではないと私は思うのです。やはり生活を守るために、法律があまねく公平に適用できるように、改革すべきものはさらに改革をしてもらいたい、このことを要望して終わりたいと思うのですが、最後に一言だけお答えください。
  47. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  今回の法律でいろいろな制度をお願いしているわけでございますが、この制度を活用すれば、特に特定地域については三年間の賃金助成、それから借入金その他に対する助成が五年間。その他移転費、訓練、制度としては考え得る制度が網羅されていると思うわけでございますけれども、そこへ何を持ってくるか、そこで本当に雇用創出ができるのかということになりますと、先生御指摘のように、国、県そして市町村、地元が関係労使その他と十分検討しながら知恵を出して、そういうものを考えていかなければならないと思っております。我々はそういう面で施行に当たっては知恵の出し方ということをやっていかなければいけないと思っております。  それから、今の延長給付の問題でございますが、これは特に緊急雇用安定地域については、例えば有効求人倍率が急速に低下しているような地域もございまして、その地域でやられているという状況等もございます。したがって、全体的な雇用保険の受給月数の中でさらに六十日の延長給付をいたしているわけでございますけれども、これはある意味ではかなり厚い保護をしていると思っているわけでございます。それらがもし不況業種から出てくる職業であれば、それらの地域においても九十日の延長ができることになっているわけで、業種別、地域別に見てみれば、私は今の状態では公平にやっていると思っている次第でございます。
  48. 永井孝信

    永井委員 終わります。
  49. 堀内光雄

    堀内委員長 以上で永井孝信君の質疑は終了いたしました。  平石磨作太郎君。
  50. 平石磨作太郎

    ○平石委員 私もしばらく社会労働委員会を離れておりましたが、今回社労へ帰ってまいりました。しばらく外しておりますと、いろいろな面で認識のずれが出るというようなことがございますが、一応今回の政府提案による地域雇用開発等促進法について御質問を申し上げてまいります。  まず、大臣にお伺いをいたします。  今我が国の経済は大変な状況の中に入ってまいりました。まさに急激な円高の中で日本の経済が大きく衣がえをしなければならないまことに重要な時期にさしかかっておるわけであります。特に円高に見舞われた企業の経営の不振、さらには輸出関連産業を中心とするところの減益とか、そういうまことに厳しい状況の中で我が国の経済成長率もだんだんと鈍化してまいりました。過日経済企画庁が発表いたしました六十一年のGNPにつきましても、わずか二・五%台にとどまろうか、こういう予測がなされたわけであります。そういう情勢の中で、雇用情勢も次第に悪化をして、あちこちで、閉山による全員の解雇だとか、造船、鉄鋼等、構造不況業種を中心に、企業におきましては出向あるいは配転を行い、希望退職者を募る、一時休職といったような合理化計画、さらには雇用調整が進んでおるわけです。こういった雇用不安が増大しておる中で今回の法案が提案されたわけでありますが、大臣はこういった状況を御認識の上でどのような見解を持っておられるか、一言お伺いをいたします。
  51. 平井卓志

    平井国務大臣 御指摘のとおりでございまして、産業構造の転換といい、経済構造の調整といい、やはり中核に位置するのは雇用対策ではないか。ここのところが円滑に有効に働きませんと、産業構造調整と申しましてもなかなか容易でない。御案内のように、引き続いて円高基調でございまして、雇用関係の指標等も非常に先行き不安をあらわしておるということでございます。なかんずく私が承知いたしております範囲では、構造調整というのが私たちの知識では当然五年、六年はかかるであろうと考えておりましたけれども、例えば昨年の造船からの離職者が一万四百、本年一月に入りまして、一月だけで六千四、五百。構造調整が地域によって非常にスピード化しているのじゃないかということも考えますと、これは造船だけじゃございませんけれども、特に対策を急がなければならぬ。  今後の問題でございますが、特に造船、鉄鋼等の不況業種、さらなる合理化が打ち出されておるわけでございまして、御指摘のように、出向、配転、一時休業、さらには希望退職の募集、非常に幅広い雇用調整が各産業界なかんずく輸出関連で行われておるわけでございます。先ほど来当委員会でも申し上げましたように、やはり不況業種ないしはその関連の地域というところに集中いたしておるということでございますから、このたびの対策の中心をなす、三十万人雇用開発プログラムと申し上げておりますけれども、地域の対策雇用開発のこの法案、これら情勢を的確に把握した上で、とにかく柔軟に機動力を持って適切な運営と相まって雇用対策を推進してまいらなければならぬ。決して大げさには申し上げませんで、やはり戦後四十年の歴史の中で、今最も対策を誤ってはならぬ経済の非常に大きい転機の中で、雇用問題が日本経済の当面する最大の問題と理解をいたしております。
  52. 平石磨作太郎

    ○平石委員 今考え方を承りましたが、まさにおっしゃるとおりでございます。そこで今回の法の提案になったわけでございますが、先ほども論議がございましたけれども、総理府における労働調査、これを見てみましても、いわば重厚長大という従来型の産業が非常に低迷をし、さらにはこれへの雇用吸収ということはまず見込みがないんじゃないか、こういった感じすら持つわけであります。そういう状況の中で、今後どういう方向に産業を転換するか、そしてそこへどのように雇用を吸収していくか、こういったことがまさに焦点になってこようと思うのです。  そういう意味から考えたときに、今回のこの立法、これは非常に緊急的な法案でございますから、日切れ法案の処理の中で緊急的にこれに対処しておるわけでして、まさにこれへの十分な政府並びに国会の対応というものがこの審議にあらわれておるわけてすが、この法律をつくれば、大体大まかに産業転換あるいはそういったような面への貢献といいますか何といいますか、そういった面をも十分配慮しての立法だと思うのですが、これの重点は何にあるんですか。
  53. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  今先生御指摘の産業転換、それに伴います労働力の移動を図っていかなければならないということが基本にあるわけでございますが、緊急の円高問題、特定不況業種の問題等に関連いたしまして、今回雇用対策上検討して予算その他でお願い申し上げておりますのは、先ほど大臣が申し上げましたように、三十万人雇用開発プログラムと申しておりますけれども、三つの柱を立てまして、一つは職業転換の訓練、これも今までの訓練の弾力化を図りまして、大幅な助成によりまして、企業や専修学校を含めまして委託訓練その他を実施していく。それから従来からございます雇用調整助成金制度の拡充強化によります失業の予防。三番目といたしまして、地域開発を柱としました法律をお願い申し上げているわけでございます。  そういうようなものが相まって転換を進めていくということでございまして、地域雇用開発は、全体的に見まして、今回のいろいろな構造不況の問題は、地域に、特に企業城下町がそうでございますが、そういう地域に影響を及ぼしているということで、地域の雇用開発を図っていこうということでございます。そのための制度を、先ほどから申しておりますように、いろいろな制度を設けているわけでございますけれども、この制度をいかに活用していくかということは、先ほども御議論ございましたように、これを活用するためのいろいろな知恵の出し方というようなものを十分お互いに進めていかなければならないというふうに思っている次第でございます。
  54. 平石磨作太郎

    ○平石委員 私の質問がちょっとわからなかったかもわかりませんけれども、今大変な企業でいわば企業内の失業者、過剰人員を抱えている。こうなると、この法律によって今の企業に対してカンフル注射していく、そして失業を予防する、こういう形の法律。また一方、雇用創出という面で転換をしなければなりませんから、一つの雇用創出という面で、そういった面にもこの法律の適用がなされていく。いわば二面作戦。前回、中小企業対策臨時措置法ですか、中小企業庁でできました。これで地域指定がなされて、いわばそういう形の通産と労働とが一体となった形において、今の雇用問題の解決、雇用問題の解決はひいては企業の維持、そして新しい分野での企業の事業展開、こういった面が図られていかなければ生きを期することはできないだろう、こういう認識でお聞きをしたわけです。したがって、私はこの法律が、第一条を見ますと、「失業の予防」もありますし、「雇用開発」というところもありますが、どれに重点を置くかということをお聞きしておったわけです。
  55. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  質問の趣旨を取り間違えまして、失礼いたしました。  企業が抱えております過剰雇用の問題等につきましては、先ほど申しました、ちょっと説明が不足したかもしれませんが、新たな就職先への転換、それから失業を伴わないで、失業の予防をしながら他の企業へ移っていくというような問題につきましては、この三十万人雇用開発プログラムの中で、先ほど申しました訓練、それから雇調金その他の活用によってこれを進めていくということでございます。  そして地域の雇用開発ということにつきましては、雇用対策の面から、新たな助成金制度を設けながら、その地域の開発に対しましてインセンティブを持っていくというのが今回お願いしている法律の中身でございます。  したがって、そういう地域につきまして、一つの地域の企業が転換していくという場合には、先ほど先生の御指摘にございましたが、先ほどの臨時国会で成立いたしました特定地域中小企業対策臨時措置法に基づいて、融資制度その他を活用しながら転換していく。そして失業者に対する対策その他を行うために、この法律の中では緊急の地域としてその地域を指定していくというふうにしているわけでございます。したがって、この対象地域につきましては、十分中小企業庁とも連絡をとりながら従来も指定してまいりましたし、今後も指定していく方針でございます。
  56. 平石磨作太郎

    ○平石委員 中小企業庁からもそれぞれ地域指定がなされておるわけでございますが、ちょっと見てみますと、中小企業庁におきましては四十三地域の百七十五市町村、こういう形になされておるようでございます。それから労働省としましても、今まで既に特定不況地域の指定がなされ、あるいは緊急雇用安定地域の指定がなされておるわけでございますが、五十八年から六十二年ごろあるいは六十三年ごろにかけての期間指定のようでありますが、これと今度の新法とはどういう関係になるのか、一言お聞きいたしたいのです。
  57. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  今度の新しい法律におきましては、先ほどから御説明申し上げておりますように、従来の今先生御指摘になりました特定不況地域、それから緊急雇用安定地域というような地域指定もございましたし、そのほか安定法の十九条の二というので広域の職業紹介の指定地域等もございまして、それらのいろいろな地域の施策を、重複したところとかいろいろあったわけでございまして、これを一つにまとめまして、今回の法律に入れてきたということでございます。  したがって、今回の法律では地域指定を三つに分けまして、一般的な雇用開発促進地域、これを全国で百十から百二十地域指定してまいりたい。その中で、従来特定不況地域として指定されていたような、構造不況業種が集積して失業者が出てくるというような地域につきましては、特定雇用開発促進地域ということで四十を超える地域を指定していく。それから、それでもまだ地域指定の中から漏れてまいります関連では、先ほどおっしゃいました中小企業庁の企業城下町法に対する地域指定、これとの関連で漏れているところにつきましては、緊急雇用安定地域として指定していくということで、三つの地域指定でこれらをすべて拾っていきたいというふうに考えている次第でございます。
  58. 平石磨作太郎

    ○平石委員 これは全部を網羅するといってもなかなか大変かもわかりませんけれども、先ほどの論議もございましたが、この三つの指定という形での指定によって全部を把握する。あるいは企業におき、あるいは労働者におき、漏れるというようなことがあっては大変なことになるわけでございまして、そこらあたりは中小企業庁の方もそれぞれの考え方によって指定がなされておると思うのですが、ひとつ中小企業庁の課長さんにその点お伺いをしたいと思うわけです。
  59. 大塚和彦

    ○大塚説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生が御指摘になりました特定地域中小企業対策臨時措置法、これは去年十二月五日に公布、施行になっておりますけれども、四十三地域、百七十五市町村というのが特定地域として指定されているわけでございます。  それで、ただいまお尋ねの指定の基準でございますけれども、私どもとしては、この法律で、円高などのもとで非常に影響を受けている産業、それに依存する地域、その経済に対して、その経済が悪くならないように、何とかいい状態でいってほしい、それから当然のことながら雇用の関連もぜひ問題が起きないようになってほしい、こういう趣旨で幾つかの点を総合的に勘案して地域指定をしております。  ちょっと具体的に申しますと、業種の関連では、私どもは、円高等で影響を受けております業種を特定業種というふうに呼んでおりまして、その業種が、一つはどれぐらいの規模であるか、それからその地域でその業種に依存する割合がどんなものであろうか、そしてその特定業種が、最近出荷の下落などがどれくらい生じておるのだろうか、こういった三点を業種に関してとらえます。それから四点目は、これは非常に重要な点でございますが、雇用の状況。雇用の悪化が、例えば有効求人倍率あるいは雇用保険の受給者数等で悪い状態になっているかどうか、これを第四点として見まして、そして第五点は、指定の対象となるべき市町村でございますとかあるいはその存在する都道府県などが指定を受ける意思があるかどうか、こういった五点を総合的に勘案いたしまして指定をしているというのが私どもの考え方でございます。
  60. 平石磨作太郎

    ○平石委員 これは私は新聞でちらっと見たのですけれども、労働省と通産の方で何かこれに関する連絡協議会とかいったようなものをつくってやっておられるというようなことをお聞きしたのですが、これの、今言ったようなことでの両省の協調、協力だと思うのですけれども、それはどのような形においてなされておるものですか。一言お伺いしたいと思います。
  61. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  通産省と労働省の間では構造調整関連対策協議会というのを設けまして、両省の事務次官がキャップになりまして、関係局長以下出席して、昨年の十一月以来いろいろな施策につきまして両省間の協議を行っているのでございます。先ほどから御指摘ございますように、非常に急速な円高、その他産業構造の変化を背景といたしまして、厳しい雇用情勢になっているわけでございます。産業を取り扱う通産省、雇用を取り扱う労働省との間でそれらの施策、お互いの施策を、適切な連携を保つということで意見交換をいたしているところでございます。  そういうところでは、その意見交換をいたすわけでございますが、実際に地域指定その他をするにつきましては、先ほど中小企業庁の方からもお話ございましたが、それらの基準等に照らしながら事務的には常に連絡をとり合って、具体的な調整を図っているということでございます。
  62. 平石磨作太郎

    ○平石委員 私、この間ちょっと北海道の方へ調査に行ってきました。それはいわゆる炭鉱へ行ったわけですけれども、幌内炭鉱を見させてもらったわけです。ここも今の石炭産業の抱えるいろいろな問題で、大変深刻な状況の中で経営がなされておるわけでありますが、過日第八次の政策答申もあったようでございますけれども、輸入炭の問題あるいは価格差の問題、こういった中での経営がなされておりましたが、特に労使協調をしまして山を守るということでやっておるようであります。いろいろ労働組合の方々のお話もお伺いをいたしましたが、給与においても、非常に抑制をされ、さらにボーナスにおいても、他社と比較したときに五〇%くらいのものとしてどうにかこうにか守っておる。こういう実情を見たときに、その際もお話がございましたけれども、お先真っ暗な状況の中で炭鉱の仕事をしておられるが、これが将来閉山ということにでも相なれば大変なことになる。新しい仕事につこうとしてもなかなか大変なことだ、こういうお話を承りました。  したがって、先ほどもちょっと触れましたけれども、新しい仕事に転換をするということになりますと、当然そこには、今言われておりますところの需給のギャップが出てまいるわけでございまして、こういった面での需給ギャップをどのように埋めていくかということがこれからの大変な問題だろうと思うわけでございますが、そういった面でどのようにお考えなのか、ひとつお伺いをしたいと思うわけです。
  63. 平井卓志

    平井国務大臣 労働力需給のミスマッチについての御指摘でございますが、ある程度中長期にわたって構造の転換が行われていくということになりますると、その点のギャップの問題をどう埋めていくかということは、今後の非常に重要な雇用対策の中での課題でないかと考えております。  おっしゃるように、この円高等によりまして、造船、鉄鋼、こういうところではさらに業況が悪くなっていく、当然のことながら雇用が減少してまいる。一方また、情報化、サービス化という中、こういうことを背景にサービス業、さらには技術革新関連産業、これらにおいては雇用が増加してまいる。労働力の移動と申しましょうか、需給ギャップと申しますか、ミスマッチの解消というのは重要である反面、また非常に難しい問題であろうかというふうに考えております。いずれにしましても、今後景気の浮揚を通じまして、基本的に雇用の拡大をしながら、教育訓練、出向等を活用し、円滑な産業間、企業間の労働力移動を促進するために力を入れてまいらなければならぬ、  具体的には、不況業種事業主が、専修学校、また企業等に委託をしまして労働者の職業転換のための訓練を行う場合、高率の賃金助成、これは中小企業には五分の四まで見ておりますし、大企業においても四分の三という大変高率の賃金助成でございますが、これを行う。またこの委託先に訓練費用を支給する特別の助成制度も創設する。さらには財団法人でございますが、産業雇用安定センターに対し運営費の補助。また全国の安定所の情報収集、紹介等をもって支援を行う。また出向、再就職あっせん、雇い入れに関する助成制度の助成率も引き上げる、こういうふうに網羅しておるわけではございますけれども、やはり今後とも就業が多様化し、さらに高度化してまいるというのは必然でございますから、職業訓練、能力開発も含めまして、中長期の展望に立って、現行制度で足らざるところはさらに補足してまいる、これは非常に力を入れてまいらなければならぬ一つの雇用対策の柱であろうか、かように考えております。
  64. 平石磨作太郎

    ○平石委員 今、新しい需給ギャップ、こういったものにつきましてのいわゆるミスマッチの解消ということは、言うべくしてなかなか大変なことだと思うのですが、地域地域においての、地域に密着した産業といったことが非常に大事なことではなかろうか。したがって、北海道でお聞きしたときに、東京で第三次産業に吸収力がありますけれども、東京へ来てくれといってもなかなか事情が許さない、こういったお話も聞いたわけでして、そうなりますと、どうしても先ほども論議がありましたが、北海道あたりは大変な状況に陥っておる。そうなりますと、やはり地域での雇用開発、あるいは産業もそれに沿った地域産業といったような面での指導があってしかるべきだ、こう考えるわけです。そういった面で各段の御努力をお願いしたいと思うわけでございます。  それから、今大臣のお話にございましたが、新たないわゆる職業訓練、そういった転換の新しい対応といったことでの前の状況をちょっとここで資料で見てみますと、離職前の訓練といった職業訓練についての実施が非常に少ない。どういうことなのかわかりませんけれども、五十九年度におきまして、金額におき、人員においてもわずか一・五%あるいは一・八%、六十年度も同じく一・四、一・四といったように非常に実効が上がっていない、こういうことが資料の中に示されておりますが、こういうことでは新しい職業転換のための、あるいは再雇用訓練といいましてもなかなか実効が上がらないという実績でございます。これから行おうとするものがこういう形なのかどうなのか、ちょっと心配がございますので、お伺いをしておきたいと思うのです。
  65. 黒河内久美

    ○黒河内説明員 御説明申し上げます。  先生御指摘のとおり、職業転換のための職業訓練の重要性ということを私どもも認識いたしておりまして、特に昨今の厳しい雇用情勢に対応いたしまして、労働省としては、昨年の十二月以降緊急能力開発対策というものを推進しております。この基本的な考え方は、先生が御指摘なさいましたように、特定不況業種等の労働者に対して離職前にも訓練を積極的に行おうという考えでございまして、既に実施している部分もございます。  具体的に申し上げますと、従来の公共職業訓練施設における訓練を行うほか、さらに民間企業あるいは事業主団体、さらに専修学校、各種学校等でも、従来あります委託訓練というものをさらに積極的に活用いたしまして、特に民間企業の分野では、今後雇用が拡大することが期待されるような分野、例えばマイクロエレクトロニクス関連でありますとか、あるいは建設関係については既に幾つか訓練を実施いたしております。さらに今後ビルメンテナンスとか外食産業等、さらに雇用の拡大が期待されるようなサービス分野、第三次産業関連の分野にも職種を拡大いたしまして、積極的に訓練を実施していくことといたしております。  さらに、六十二年度におきましては、三十万人雇用開発プログラムの中で、特定不況業種の労働者や特定雇用開発促進地域等の離職者を対象とした職種転換訓練の一層の拡充を図ることにいたしておりますので、その効果が遺憾なく発揮されるように私ども懸命に努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  66. 平石磨作太郎

    ○平石委員 今そういう新しい先端産業等への訓練、こういったことのお話もございました。その方向をとっていただきたいわけでありますが、資料をいただきまして今の訓練状況を見てみますと、大体溶接だとか自動車整備、塗装、経理の事務、木工といったような在来型のものがほとんど訓練校で行われておる。そして今答弁にありましたようないわば新しい分野についての訓練につきましては、委託訓練ということになっておるようでありますが、これをやはり労働省自身においてやるべく指導員とか先生の養成、新しい訓練についての必要な指導員を確保するという意味からももっと養成が急務であろうか、こういうふうな感じを持ちましたので、これは御要望申し上げるわけでございます。  それから、指定につきましてちょっと申し上げたいのですが、私の地元でございます高知県の状況も、御多分に漏れず今回の円高の波をもろに受けておるわけでございます。造船も全部倒産をいたしました。それに下請企業もそのままもろに被害を受けているわけでございます。したがって、高知はまさに沈没といったような状況でございます。そしてまた今まで鉄鋼、セメントという企業さんもありましたけれども、神戸製鋼も閉鎖をいたしましたし、過日また東京製鉄も工場閉鎖をいたしました。こういうことで、日ごろ高知の経済というのは非常に低位にはありますけれども、そういう中でさらに今回の状況が生まれた。こういうことで地元は大変なことなんですが、過日の企業城下町法によりまして企業庁からも指定を受けております。そういうこともございまして、今回の新たな立法に基づく地域指定といったような面でもカバーができるのだろうかどうだろうかというような心配を持っておるわけでございますが、この点につきましてひとつお考えをいただければありがたいな、こういうことでお伺いしておるわけでございます。
  67. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  今先生御指摘のように、高知の職安管内の区域は造船、製材等の不況業種が集積いたしておりまして、従来から非常に厳しい状況にあるということで、特定不況地域として指定して、各般の雇用安定対策を講じてきているところでございます。  お尋ねの本法に基づきます特定雇用開発促進地域の指定につきましては、先ほどから申しておりますように、従来からの経緯も十分見て検討してまいりたいと思っておりますが、具体的には中央職業安定審議会に諮った上の指定基準に基づいて現在検討いたしておりますので、その先生の御趣旨を十分勘案しながら努力してまいりたいと思っております。
  68. 平石磨作太郎

    ○平石委員 なお、重ねて労働省の方でも特定不況地域の指定もいただいておるようでございますし、さらに高知市の場合もあるいは安芸市の場合もともに指定を従来いただいておるようでございますが、ひとつ十分御考慮いただきたいこと、心からお願いをいたしまして、時間が参りましたので、質問を終わらせてもらいます。
  69. 堀内光雄

    堀内委員長 以上で平石君の質疑は終了いたしました。  田中慶秋君。
  70. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今回提案されております雇用開発等促進法のそれぞれ法案に関連しながら幾つか質問をしてみたいと思っております。  我が国の雇用失業情勢は極めて厳しいものがありますし、一月の時点ではもう既に失業率が、先ほども言われておりますように、戦後最大三%という数字を記録しているわけでありますが、逆にまた、とり方によればこれが四%にもなるだろう、こんな話も出ているのが昨今であります。  そこで、実は三和総研が予想されております失業率は、もう既に三年後には四・四、五%になるであろう、こんな話が出ているわけであります。労働省としてこの雇用失業情勢の実態をどのように認識しながら、さらに一ドル百五十円台を推移したという過程でまいりますと、これからどのような形になるのか。同時に一ドル百五十円台でそれぞれこれからの推移を前提としてまいりますと、輸出関連企業はもう既にこれだけでも六〇%が企業の存続すら危ぶまれるという、こういう一つのレポートが出ているわけであります。これらの問題についてどのように認識をして対処されるのか、冒頭にお伺いしたいと思います。
  71. 平井卓志

    平井国務大臣 お答えいたします。  先ほど来当委員会で申し上げておるわけでございますけれども、戦後の歴史上、経済運営の中で最も転機ともいうべき時期に参っておる。特にその中身は、経済構造の調整、産業構造の転換という中で雇用問題が最大の課題と今なっておるわけでございまして、御指摘のとおり雇用関係の指標も非常に悪いわけでございます。ただ、失業率の問題につきましては、前提のとり方、対策に対する考え方等々によりまして非常に幅が広いわけでございますけれども、やはり政府といたしましては、今後今お願いしておる対策等も含めまして、機動的、弾力的に全力を挙げて六十二年度平均で二・九%に何とか抑えたいというのが政策目標でございます。  ただ、現状はどうかと申しますと、造船、鉄鋼等の不況業種は、今後さらに合理化計画案も出てまいりましょうし、出向、配転、一時休業、希望退職と非常に雇用調整が幅広く行われることはもう恐らく間違いないだろう。当然のことながら関連地域においてもさらに深刻化してまいるというふうに考えておるわけでございます。やはりこの問題は、内需の喚起という抜本的な対策の中でのみ雇用対策は効果を発揮する、私はそのように考えておりまして、一対策のみをもって足りるとは到底考えておらぬわけでございます。今後につきましては、これら不況業種や関連地域を中心に悪くなることを想定いたしまして、特に業種、地域の雇用情勢を常に的確にヒアリング等において把握してまいらなければならぬ。先ほど来申し上げておりますように、やはり経済政策、産業政策、そしてまた雇用対策、すべて一丸となって総合的な対策のもとにこの雇用対策を機動的に推進して、何とかかんとか二・九%に抑えなければならぬという使命感を持って私は取り組んでおります。
  72. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大臣の使命感はわかるのですけれども、先ほど申し上げたように、現況為替レートがもう一ドル百四十八円台に入っているわけです。そういう中で、先ほど申し上げたように、このまま輸出関連を考えてみますと、三年後には六〇%が企業の存続すら危ないであろうという、具体的にこういうことが発表されているわけです。これも既に、これは私どもの発表ではなく、政府筋、例えば中小企業庁等の問題についてそういうデータも出ているわけでありますから、こういう問題を考えでみますと、今二・九%に努力をしたいという努力目標と現実とは違う、こういう点はよく認識をしておいていただきたいと思います。  そこで、お伺いしたいのは、実はきょう経企庁がお見えになっていあと思いますけれども、関連して、経企庁はこれらの問題についてどのように対応されているのか、あるいはまた通産省はこれらに対する産業政策としてどのように考えられているのか、この辺もお伺いしたいし、大蔵省は既に今年度予算を見る限りゼロベースを基本としておりますから、そういう点では内需拡大というものにはほど遠いわけであります。こういうことを含めて、為替レート、内需拡大、経済成長の見通し等々含めて、それぞれの部署でお答えをいただきたいと思います。
  73. 黒川雄爾

    ○黒川説明員 現在どういうことをやっているかということでございますけれども、完全失業率が一月で三%という二十八年以来の高さということになっておりまして、不況業種、不況地域は非常に厳しい状況にあります。それで昨年の十二月に総理大臣を本部長といたしまして政府・与党雇用対策推進本部というものを設置しました。そして一月に地域雇用対策推進協議会というものを設置して、全国の八つのブロックで開催しまして、二月から本日の関東地域の協議会で一応全部終わったわけでございますけれども、地域によりましては、石炭、鉄鋼、非鉄、造船、海運、こういった不況産業の問題をいろいろ抱えておりまして、とにかく雇用関連法案の早期成立、それから景気対策というものに非常に強い要請があったわけであります。  それで、政府としましては、去年の九月に総合経済対策ということで大型補正予算を組みまして、内需の拡大を図っていたわけでございますけれども、産業、雇用の非常に深刻な現状ということから、地域雇用開発等促進法とか産業構造転換円滑化臨時措置法といったものを日切れ法案扱いということで御審議願い、早期成立させるということをやっておりますが、このような法案成立を通じて産業構造の高度化とか地域経済のための施策、それから三十万人雇用開発プログラムの実施といった産業、雇用対策を図るわけでございますけれども、そのほかに、本予算の成立を待って総合経済対策を取りまとめて、経済対策を総合的に進めていきたいというふうに考えております。  それで、経済の見通してございますけれども、六十二年度は何とか三・五%を実現するように努力していきたいということは今も変わっておりません。
  74. 広瀬勝貞

    広瀬説明員 私どもも雇用情勢は大変厳しいものがあると考えておりまして、こういう雇用問題への対処に当たりましては、一つは内需主導型の経済成長を図っていくということとあわせまして産業の新たな発展分野の開拓とかあるいは地域経済の活性化といったようなものを促進いたしまして、多様な雇用機会を創出していくということが必要であろうと考えております。このために、中小企業につきましては、既に中小企業事業転換法あるいは特定地域中小企業対策法といったようなものを制定させていただきまして、業種別あるいは地域別に疲弊の著しい業種、地域につきまして対策を講じさせていただいているところでございます。また今国会にただいま産業構造転換円滑化臨時措置法案というものを出させていただておりまして、新しい産業分野の開拓とか地域の活性化のための支援をさせていただくというようなことを考えております。また疲弊の著しい地域に対しまして、公共事業につきまして重点配分をお願いするというようなことで、予算の成立を待ちまして、関係省にお願いをしていきたいということも考えております。
  75. 中島義雄

    中島説明員 雇用対策の重要性あるいは緊要性につきましては、大蔵省といたしましても十分深くこれを認識いたしております。このため、ことしの予算につきましても、三十万人雇用開発プログラムを初めといたしまして、雇用対策にできる限り積極的に対応させていただいたところでございます。今後とも関係省庁、労働省、通産省あるいは経済企画庁などと十分緊密に連絡をとりながら、雇用対策、景気対策について万全を期してまいりたいと考えております。
  76. 田中慶秋

    田中(慶)委員 後ほどそれぞれ再度質問をさせていただきますが、今回の雇用問題というのは大変なことでありますけれども、今それぞれ各省庁の考え方が述べられましたが、いずれにしてもばらばらなんです、はっきり申し上げて。また後で指摘申し上げたいと思います。  そこで、実は私ども民社党が昨年の十二月、円高不況の長期化の中で雇用確保の問題を大変深刻に受けとめまして、雇用開発促進法という民社党としての一つの提言をさせていただきました。これらの問題についても、今回の法案には大分盛り込まれておるわけであります。例えば失業の防止、離職者対策のみではなくして、具体的な雇用開発の問題に力点を置かれている問題、不況により雇用情勢が著しく悪化した時点で雇用開発地域指定をされている問題、あるいは構造転換法に伴う企業への助成制度の問題など、それぞれ主張されたものに対する理解をいただいたことについては高く敬意を表したいと思います。  しかしながら、例えば産業構造の変化に対応しながら雇用対策の一体化を進める上においては、今申し上げたように、はっきりと申し上げて各省庁がばらばらであります。縦割り行政というこのセクショナリズム、今回の法律の中にちゃんとそういうものを超えて具体的な対応がされていない、こういうところに本気でこの雇用開発等促進法というものに取り組まれているかどうか、私は大変疑問のところが幾つか出てきております。  例えば、通産省は通産省のやり方、あるいは建設省も、さらにはまた経企庁は具体的に将来の見通しを明確に出したならば、これに対する取り組み、あるいはまた大蔵省が財政的な裏づけの問題等々考えたときに、この一連一体化というものが、せっかく法律をつくるのに、こういう問題について何か仏つくって魂入れず、私はこんな形に受け取れてならないわけであります。こういう点で、この連携を十分にとる必要があると思います。先ほどは政府・与党雇用対策推進本部を設置して云々、各省庁、これだけだったらもうとっくに昨年の時点から検討されてきているわけですから、具体的にそういうものが何らかの形で、円が先般、一月の時点で百五十円台を割って、その対応策が迫られ、そして今また同じように百四十八円台に来ている、こういうことを考えたときに、これらの問題が本当に小回りのきくような形でならなければいけないわけでありますけれども、大変残念ながらそういう問題が今回の法案の中にも見られない。こういうことを含めてどのようにお考えになっているのか、これは大臣ですか、ひとつ御答弁をいただきたい。
  77. 平井卓志

    平井国務大臣 各省間ばらばらでないかという御指摘でございますが、現状で、先生も御指摘のように、雇用対策推進本部というものが昨年設置されて、総理が本部長になられたわけでございます。それらを考えてみますると、今後そういう対策本部の中でどれだけ各省間の連携を密にしていくかということが私は最も重要なことであろうかと思うわけでございます。当然のことながら、委員御指摘の趣旨も踏まえまして、同本部においてさらに関係省庁との連携を強化して、地域の雇用対策を推進してまいるべく、私自身その本部会議においては司会を務めておりますので、そういう点で、労働省として全力を挙げてまいりたい。  いま一つは、雇用対策の裏面になりますベースと申しましょうか、内需の拡大策というのは内外ともに避けて通れない問題でありまして、これら等を有効に行うには、どうしても政府一体でやらなければならぬという認識のもとにやってまいりたいというふうに考えております。     〔委員長退席、長野委員長代理着席〕
  78. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そこで、私どもは産業雇用開発機構、仮称でありますけれども、こんなことを提唱させていただきました。これらについての認識と解釈はいかがでしょう。
  79. 平井卓志

    平井国務大臣 今御指摘の産業雇用開発機構を中央段階に設置するのはどうかということでございますが、当面は政府・与党雇用対策推進本部で最大限の努力をいたしてまいりたい。ただいま御指摘のございました中央に新たな機構を設けるのはどうかということでございますが、ただいまのところはいささか困難であろうか、そういうふうに考えております。
  80. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、雇用という問題は国民ひとしく全般にわたる問題でありますから、これらの問題についても、私は与党という形で連絡会議という形だけでは決してよくないと思います。そういう点で政府・与党連絡会議、それですべてが解決するのであれば問題はないわけでありますけれども、雇用というものは、そういう枠を超えた中でもっともっと連携を密にすることが必要であろう、こんなふうに考えております。大臣は政府の大臣なんですから、そういうことを含めてちゃんとしてもらいたい、この辺は要請しておきます。  そこで、実は国鉄民営化等に当たって、例えば国鉄の場合においては再就職あっせん等々を含めて政府みずからが閣議決定をして行っている。例えば民間の不況企業の中においても、労働者の離職対策等々については責任を持って再就職保障あるいは賃金の問題等々のシステム、やはり同じ国民であるならば、国鉄の今回の雇用問題、再就職問題と同じような形で考えるべきじゃないか。国鉄だからこうだ、民間だからこうだ、これではやはりひとしく国民として憲法に保障されている問題からはいささか不公平ではないか、こんなふうに考えますけれども、その辺はどうでしょう。
  81. 平井卓志

    平井国務大臣 かつてない雇用情勢が大変厳しい中での対策でございまして、基本的に企業内において雇用維持を図るための雇用調整助成金の助成率を大幅に引き上げ、さらに教育訓練、出向等を活用した労働力の円滑な産業間、企業間の移動、先ほど来申し上げておるわけでございますが、さらに具体的には、不況業種事業主が他の企業やさらに専修学校等に委託して在職労働者の職業転換のための訓練を行う場合に賃金の高率助成を行う、さらに訓練委託先にも訓練費用を支給する特別の助成制度、さらには出向等に関する情報収集、提供を行う産業雇用安定センターへの活動の援助、さらに出向や不況業種事業主が行う再就職あっせんを通じた雇い入れに対する助成内容強化、これらの新規施策が三十万人雇用開発プログラムに措置済みでございまして、いずれにしましても、今後御指摘の趣旨を生かす形で雇用の安定が図られますよう以上の諸施策を効果的に弾力的に機動的にきめ細かく最大限の努力を傾注したいと考えております。
  82. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、これからせっかくこの雇用転換訓練助成制度等々を含めて前向きに検討されておりますので、ぜひこれらの問題についても完全なものにできるだけ努力をしていただきたい。  そこで、お伺いしたいのは、今回の三十万人プログラムの中に雇用転換訓練助成制度というものがつくられて、今具体的なお話も出ているわけですけれども、例えば鉄鋼業のような形のものが今回対象にならない、こういうふうに承っております。鉄鋼業の雇用の厳しい状態において、これらの問題について対象にならない理由と、これから少なくとも鉄鋼業を特定不況業種に指定する考えが当然あってしかるべきではないか、私はこんなふうに思いますけれども、この辺はどうなんでしょうか。
  83. 平井卓志

    平井国務大臣 鉄鋼業におきましては、各企業の人員削減方針が今出されておりまして、非常に厳しい雇用状況にあることは承知をいたしております。特に高炉による製鉄業等に関する特定不況業種指定の問題でございますが、関係労使から十分なお話を今伺っておるところでございまして、このために、労働省としましても、現在関係業界団体、さらに事業所管官庁を通じて業界の実情についての把握に努めておる段階でございまして、今後関係業界団体等から各種データを取りそろえまして、具体的に指定要請が行われた場合には、指定要件に照らして御趣旨の方向で検討いたしたいと考えております。
  84. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、基幹産業と言われているこれらの問題すべてが不況に値するような形でありますから、これらについても御検討をお願いしたいと思います。     〔長野委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、今回の失業率三%等の問題について、雇用調整助成金制度でありますけれども、大臣、この制度をもっと簡単に利用できるような形をとる必要がある、こういうことで実態把握というものがいま少しリサーチされて、そしてこれらについてはもっと簡素化される必要があるだろう。時間の関係がありますから、これは明確に要望しておきます。もっと簡素化していただきたい。  今回の雇用開発等促進法に制定されております雇用対策、現行の雇用対策法とか特定不況業種雇用安定法あるいは雇用保険法等々、法律そのものが今回四本になるわけですね。そうしますと、雇用対策のこの四本の柱が、法律も複雑に入り組んでいて、逆にこれを利用する場合において大変な混乱が生じやすい。そういう点では法律は統合一元化という方向が一番好ましいと思いますけれども、これらに対してどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。  同時に、例えば地域雇用開発会議設置というものが昨年中央職業安定審議会の中で建議をされました。しかし、今回の法案の中にはどこにも入っておりません。少なくとも建議された時点で各労働界においては大変評価をしながら下部に通達し、その体制というものに取り組んでいるわけですけれども、今回の法案にはこういうものが見られていない、こういう点で、これらに対してどのように対応するのかお伺いしたいと思います。
  85. 平井卓志

    平井国務大臣 御質問、二点ございますが、まず御指摘のように、適用される法律が明瞭であることは望ましいこと、これは当然でございます。この雇用対策に関する法律は、率直に申し上げて、それぞれ時代を反映した目的、内容、制定経緯等に異なるところがございますので、おっしゃるように、直ちに統合一元化ということはなかなか容易でない。なお、このたびの地域雇用開発等促進法は、現行の各種法律により講ぜられている地域雇用対策を整理統合してわかりやすくするとともに、その内容を充実したというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。  いま一つの問題でございますが、地域雇用開発会議、この会議法律に盛り込まなかったのはなぜかということでございます。多様な参加者が参加いたしまして、この会議法律上の性格また位置づけ、構成員の選定方法等につき多くの技術上の困難がある。言うなれば、法律事項として盛り込むことに必ずしもなじまないと考えたからであろうと考えております。ただ、会議の運用につきましては、公共職業安定所、市町村、労使団体等地域関係者を構成員として当該地域の雇用開発について協議を行い、地域の実情に即した雇用機会の拡大につながるように十分配慮してまいりたいと考えております。
  86. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、この法律は、もう少し雇用なら雇用という立場に立ってやらなければいけないと思いますし、今の地域雇用開発会議等々の問題については、せっかく中央審議会で、やった方がいい、法案つくった方がいいと建議をされたわけですから、そういうものについては、運用の面だけではなくしてもっと積極的にやるべきだ、こんなふうに思います。  最後に、時間になりましたが、先ほど来内需拡大というものが至上命令である。円高の問題等々含めて内需拡大の問題を考えてみますと、実は先月私どもワシントンに行きアメリカの首脳ともお会いしてまいりました。そのときにはたしかアクションプログラム、内需拡大、これが円高を解決する問題である。同時にもう一つは、保護貿易法案の問題についても、これはリンクする問題だから、日本としてこれらの問題については積極的に内需拡大に取り組んでほしい、こういう話がございました。同時に、最後にここで言われたのは、今の売上税というものは内需拡大に逆行する、こういうふうに考えられる、こういう指摘もされたわけでありまして、そういう点では国際的に内需拡大なりアクションプログラムというのは、G5なりG7という形の中で約束事でありますから、政治はやはり原点はお互いに約束事を守ることになっているのだろうと思います。そういう点で、この内需拡大等の問題についても、それぞれの省庁がやはりもっと責任を持って連携をとりながらやらなければいけないと思います。特に指摘をされたのは、内需拡大という問題に対して売上税そのものが大変重大な問題である、これに対して大変関心を持っている、これらに積極的に取り組まない場合においては、為替レートというものがこれからの大きな−今後日本の円高というものは、将来とも為替レートにおける、百八十円台を我々は主張したわけですけれども、その百八十円台の主張というものは大変難しいぞ、こういう向こうからの回答があったわけであります。  こういう一連の問題を含めながら、いずれにしても、それぞれの省庁は連携をとり、そして責任を持って内需拡大、雇用の問題等々積極的に取り組んでいただけるよう要望して、私の質問を終わらせていただきますが、所見がありましたら大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  87. 平井卓志

    平井国務大臣 御指摘の点ごもっともでございまして、御趣旨を踏まえて全力を挙げます。
  88. 田中慶秋

    田中(慶)委員 終わります。
  89. 堀内光雄

    堀内委員長 以上で田中慶秋君の質疑は終了いたしました。  田中美智子君。
  90. 田中美智子

    田中(美)委員 総務庁が発表しましたことしの一月分の労働調査によりますと、完全失業者が百八十二万人、昨年一月に比べますと、この一年間で十七万人も失業者がふえているということです。失業率も三%と昭和二十八年の統計開始以来最悪の水準になっているということは御存じだと思います。  それから、三月十一日に通産省の臨時円高対策本部が鉄鋼、機械、自動車、繊維など主要十七業種の調査結果を発表しています。これによりますと、現状では第三次産業も労働力人口の伸びを吸収できない。失業者が毎年約二十万人は増加するであろう。昨年からの一年間で十七万人でしたけれども、これから二十万人ずつは増加するであろう。その結果、三年後の昭和六十五年には失業率は四%を超え、約二百五十万人の失業者数に達するおそれがあるというふうに言っているということは御存じのことだと思います。  このように通産省は予測をしているわけですが、労働省は今後の失業率や失業者数をどのように見込んでおられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  91. 平井卓志

    平井国務大臣 今後の失業者の見通しにつきまして、いろいろな分野からの分析、またその数字の御指摘があったわけでございますが、私どもで正確に申し上げますと、一月の段階で昭和二十八年調査以来初めて三%という高率に達したわけで、非常に厳しい段階でございます。さらに今後構造調整がスピード化いたしますと、これは私、閣議で申し上げたのでございますが、例年三月期にはやはり失業者の数がふえる傾向にある、そういう意味では施策を急がないと、二百万人失業ということも必ずしも楽観を許さないということで申し上げたわけでございます。ただ、ある前提を置いて何年度に四%、四・何%という想定の数字はそれぞれに一応成り立つ側面も持っておりますけれども、やはりそれに対応する対策をいかにやるかということで当然結果が変わってまいりまして、必ずしも私どもはそのように考えておりませんで、政府見通し、政策目標として二・九%までに抑えるべく全力を挙げたい。  ただ、先ほど来本委員会で御答弁申し上げておりますように、やはり基本的には為替の安定ということが不可欠、さらには思い切った内需の拡大をもって基本的にベースになっております景気を浮揚して雇用の需要をふやさなければならぬ。その間に労働省として雇用対策を具体的にどう展開していくかということで、このたびの促進法案をお願いしておるわけであります。
  92. 田中美智子

    田中(美)委員 予測が、対策をとれば二・九%に抑えられるとおっしゃるのかもしれませんけれども、こういう新法を出してくるには、やはりどうなるからどうするという想定というのがあっていいと思うのですけれども、先ほどからのお話を聞いておりましても、はっきり労働省としては言わないというところが私は非常に疑問に思う点です。これ以上追及してもおっしゃらないと思いますけれども。  失業者がふえていくので似ないかという心配を非常にしているのです。今為替の安定とか内需拡大というようなことを言いましたけれども、この円高はきのうは一ドル百四十八円になっている。これがひょっとすると百二十円になっていくかもしれないというようなうわさも飛んでいるようなときですけれども、失業者が非常にふえてくる原因の大きな一つに、この為替の問題があるということを今大臣も言われたわけですけれども、では、この円高の見通しについては、労働大臣としてはどのように見通しを立てておられるのでしょうか。
  93. 平井卓志

    平井国務大臣 内需拡大と為替の安定というのは表裏一体の面がございまして、必ずしも為替相場、これは自由経済原則で、多少の介入でもって左右されるものでない、自由市場の中で適正に決められるのだということが一応表面上の理由ではございましょうが、やはり先進国間の協調という面から考えますと、内外ともに非常に必要だと言われておりますこの内需拡大策、これをとることにおいて、やはり為替は安定の方向に向かわねばならぬというふうに考えております。ただ、私ども為替の専門家でございませんが、種々の要因に非常に影響されますので、その先行きを的確に見通すことが大変困難であろうかと思うわけであります。  いずれにしても、急速な為替の切り上げというのは、当然のことながら雇用情勢にまたさらに重大な影響をもたらすわけでございまして、労働省としましては、やはり基本的に為替の安定というものに重大な関心を持ち、期待をいたしておるわけであります。
  94. 田中美智子

    田中(美)委員 今までのお話を聞いておりますと、失業がどれくらいふえるかという一番労働大臣がしっかりしなければならないところではっきりとした見通しをおっしゃらないし、また円高についても、ただ期待し祈るばかりだというふうな感じで、労働大臣としてどういう努力をなさるのかということを私はお聞きしたい。国民はそれを期待しているのだと思うのですけれども、それに対してのお答えがありませんので、結局労働省としては打つ手がない、だからこの法案でもって何とか打とうどいうことなんだというふうに理解いたしまして、次の質問に移りたいのですが、そういうようなあいまいな立場でこの法案をつくっても、実際には有効なものにならないのではないかと私は心配しているわけです。  それで、細かい中のことについて質問したいのですが、今度新しい制度として、雇用機会の拡大のための費用助成金、地域雇用特別奨励金を設けておられます。いわゆる雇用を拡大した事業所に対して五百万から一千万円の奨励金を出すということですね。これをやることによってどれぐらいの事業所が新設され、また雇用がどれぐらいふえるかということは、ある程度の見通し、多少外れても、ある程度の見通しというのをお持ちだと思いますけれども、それについてお答えいただきたいと思います。
  95. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  この法律の施行によりまして、今先生御指摘の地域雇用開発助成金の創設を図るわけでございますが、これでどれぐらいの雇用開発が図れるかということは、今後のこの制度の活用いかんによるというふうに思います。一応積算上は、三十万人雇用開発プログラムの中で、その一環としてこの制度を設けていくわけでございまして、当初雇用開発のための賃金助成等につきましては、一応積算の上では二万人近くの増を設けております。  それから、今具体的におっしゃいました、事業所に対します設置、整備のための五百万から一千万の特別助成、これが二番目の柱になるわけでございますが、これにつきましては、その助成の受け入れを図りまして、実際に支給するのは六十三年度になりますので、積算上の人数には上がっておりません。
  96. 田中美智子

    田中(美)委員 労働省は二万人というふうに見ているわけですね、雇用が増ということで。それで事業所の数はどれぐらいになるというふうに考えられていらっしゃるのですか。
  97. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  雇用者数ではじきまして、事業所の数は積算上ははじいておりません。
  98. 田中美智子

    田中(美)委員 事業所の数が積算されないままに、これだけの金を出してやったら、どれだけの拡大ができるかということの予測がなしにつくっている。私が今ちょっと十分ぐらいの間に質問している中でも、ほとんど的確な回答がないわけですね。ですから、どういう予測のもとにこの法律をつくったのかということが非常にあいまいだというふうに私は思うのです。この事業所に五人以上拡大していけば、これは五百万から一千万事業所に奨励金を出すんだというのは机上で考えればいいことですね。拡大してくれれば国が金を出してやる、これはいいことですけれども、その事業所の数がどれぐらい拡大するかというのもわかっていない。  そうすると、この賃金の助成と、それから事業所に対する奨励金、これで予算は幾ら組んでいますか。
  99. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  賃金の助成の方で六億円組んでおりまして、もう一つの奨励金とおっしゃいましたいわゆる五百万から一千万のところにつきましては、先ほど申し上げましたように、六十三年度に支給されるということで、六十二年度には予算上は計上いたしておりません。
  100. 田中美智子

    田中(美)委員 そうしますと、賃金の助成の方は、雇用がふえることによってわずか六億円ということですから、非常に小さくしか考えていられないんだというふうに思います。この事業所の推定ということはなされていないということなので、この法律ができたら一体どれだけ雇用が拡大され、さっきから大臣が言われているような内需拡大ということになっていくのかということ、事業所がどれぐらいいくかということが全く積算されていないということを見ますと、果たしてこれでこういうものをつくっても絵にかいたもちになってしまわないかというふうに私は心配するわけです。  それで、通産省の認可法人である日本立地センターというのが昨年十一月から十二月にかけて調査をしております。これは新規工場立地計画に関する動向調査というのをやっております。この調査は資本金が五千万円以上の企業三千社について新規工場立地についての企業の動向調査ということで、当然御存じだと思いますが、千十七社が回答しております。その中で新規に工場を立地するという計画があると答えている企業はわずか百三十三社ですね。百三十三社で全体の一四・七%だということです。これは昨年は一九%だったわけですから、一四・七%と昨年よりも立地計画というのは非常に減っているわけですね。地域別に見ましても、北海道などではたった一社しかそういう計画はない。沖縄と九州を一緒にしましても、わずか七社だ。パーセントでいけば、〇・六%か四・二%か、こういう状態なんですね。こういう状態の中で労働省というのは、やはりどれぐらいに−やってみなければわからないと言うのじゃなくて、全く机上の空論ではなくて、ある程度現状を見て、それに対して奨励金を出すんだ、こういうふうに考えなければいけないと思うのですけれども、これだったら、せっかく奨励金を出そうとしても、出す企業がないというようなことになるおそれはないのでしょうか。
  101. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  今からこの法律施行の前に既にどこどこの地域にどれだけの企業が入ってくるということがわかっていれば非常に簡単な問題でございまして、むしろこういう制度が要るのかどうかもわからないと思います。したがって、こういう制度をもってインセンティブとしてそういう新たな企業の誘致、これは誘致だけじゃございませんで、その地域での企業が増設または整備の拡充を図りまして、そこで雇用増を図るということで、それに対して助成していくということも含んでおるわけでございます。  その支給対象としましては、安定所にあらわれております失業者、求職者が何人雇い入れられたかというようなことを入れて、それで支給していくということでございまして、これにつきましては、従来予算措置で各県一つずつモデルとしていろいろ今まで検討いたしてまいりました。そういうような面からの推計をもって雇用増の方で検討いたしたわけでございまして、それで六十二年度の予算は確かに六億で、小さいようでございますが、賃金助成につきましても、半年に集計いたしまして、そこで支給するということでございまして、六十二年度はその新たに雇用された分の半年分について支給されるということになります。そういうふうな積算になっておりまして、先ほど先生御指摘の両方の助成金を合わせますと、平年度ベースに持っていけば四百億ぐらいになるのではないかという考えを我々としては持っております。
  102. 田中美智子

    田中(美)委員 日本立地センターの先ほど申しました調査の中で、新規の工場の立地は海外へ立地を希望する企業がふえている。これは二十三社、一二・九%となって、昨年の三・八%から一挙に一〇・一%もこの調査によればふえているわけですね。こういうのを見ますと、どんどん企業が外の方に出ていくということになりますと、言われているようないわゆる産業空洞化の方向に近づいていく。そうなりますと、ますます失業者が出てくるという、もちろん雇用保険の日にちを延ばすということは緊急なこととして大事なことですけれども、三カ月、二カ月たった後どうなるのかというふうに考えたら、もう就職できないのだということでは大変ですし、ますます失業者がこの調査によってもふえていくのではないかという心配をさせられるわけですね。こういうものにこの法律がどれだけ役に立つのかということを考えますと、今わずかな時間に伺ったのでも自信も余りおありじゃないようですし、これだけこうなりますというようなことはないようです。結局雇用の拡大とか確保とか職業の安定というのは絵にかいたもちにならないだろうか、そういう心配を私は非常にしているわけです。  それで、時間がありませんので、最後の質問に移りたいと思うのですけれども、第三セクターにした場合に、これで企業をやって雇用を拡大する、そういう場合には地域雇用特別奨励金は出るわけですね。
  103. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 もちろん第三セクターでも出ます。
  104. 田中美智子

    田中(美)委員 そのときの賃金助成はどうなりますか。
  105. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 先ほど申し上げましたように、安定所紹介によって雇用者をふやしたということに要件その他が当てはまればもちろん出ます。助成がされます。
  106. 田中美智子

    田中(美)委員 その助成はどれだけ出るのですか。三分の二、二分の一、三分の一と出るわけですか。
  107. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 そのとおりでございます。
  108. 田中美智子

    田中(美)委員 第三セクターも三年間で、一年目は三分の二、二年目は二分の一、三年目は三分の一という賃金助成が出るということですね。わかりました。  その次に、第三セクターは、企業と地方自治体などが金を出して、それでやるわけですから、こういう場合に地方自治体の出資金に応じた助成金というのは、これは出すのですか。
  109. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  先ほど先生、第三セクター全部三年とおっしゃいましたが、これを制度としまして、一年のところと特定地域のところについては三年、こういうことで条件で一年と三年となりますので、訂正させていただきます。  それから、第三セクターに対しましては、企業と同じように、この助成金制度すべて出ますので、そこでやっていくということで、第三セクターそのものに支給するということで、市町村に支給するものではございません。第三セクターそのものへ支給していくわけです。
  110. 田中美智子

    田中(美)委員 そうしますと、これはそちらでいただいたのですけれども、六十二年二月というので、衆議院社会労働委員会調査室の「社会労働委員会付託法律案参考資料(その一)」というのがありますね。これの十三ページの一番下のここなんですけれども、「地域雇用開発助成金の支給」というところの下に「(第三セクターに特別配慮)」と書いてあるのですけれども、今のこの奨励金と賃金助成だけでしたら特別の配慮はないわけですね。どういう特別の配慮をしてくださるのですか。
  111. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  第三セクターにつきましては、市町村等に助成すること等によりまして支給していこうということも当初は考えたことがございます。しかし、これはいろいろな金の支給の仕方その他からいきまして非常に困難な点がありますので、第三セクターそのものに助成した方がいいだろう、そういうことで措置をとらしていただいたわけでございます。  それから、今先生お手元にお持ちの資料につきましては、第三セクターについては全部三年で配慮していこうということを賃金につきまして検討したこともございます。しかし、第三セクターそのものだけをとらえるのは、他の企業との関係もあって問題があるのではないかということで、第三セクターのみということは外したわけでございますが、第三セクターにつきまして、その地域でのいろいろな計画その他を検討していただくわけでございますが、それが非常に公益的であって、しかも波及効果が大きいというような面等を考慮することができれば特別な配慮をしていくことを考えようということで、その運用面については現在検討中でございます。
  112. 田中美智子

    田中(美)委員 そうすると、「(第三セクターに特別配慮)」と書いてあるのは、これは撤回したのではなくて、今後運用の上で特別の配慮をする努力をするということですか。そうでないとおかしいじゃないですか、全く同じでは。
  113. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 先生おっしゃるように、特別の配慮をすることを今検討しておるということでございます。  ただ、その資料はちょっと古い資料でございまして、それ以後正式に出しておる資料は、そこの括弧のところは全部消して出してございます。しかし、その思想は残っております。
  114. 田中美智子

    田中(美)委員 これはいかに計画がずさんかということ。これは二月ですよ。二月に出しておるのですね。新しいこういうものが次にないじゃないですか。ぺらみたいな紙、レクチャーのときに持ってきた紙にはこれが抜けておりますけれども、これが古い資料だったら、新しい資料を出さない限りは、これが古い資料だなんてことではおさまらないですよ。二月じゃないですかで今三月ですよ。それでは問題だと私は思うのです。レクチャーのときに持ってきたこれは紙切れでしょう。それにはこれがとれているということは、計画している最中にいかにぐるぐる変わっていっているかということが今の中で明らかになったというふうに思うのです。  ですから、こんなことでは第三セクターに特別な配慮をすると言ったって、精神だけ残っておるけれども、気持ちはあるけれども、実際には何もしないんだということでは、地方自治体と企業が一緒になって第三セクターをやるという——地域の人たちはそれを非常に期待しておるのですね。小さな一企業ではこれはなかなか拡大できないんじゃないかという、それはこちらのおっしゃる言葉を借りれば、やってみなければわからないということかもわかりませんけれども、やはり地方自治体がもっとかんで、責任ある形で雇用を拡大してほしい。それに対しては国が出資金に比例した補助金を出すなり、それから賃金助成にしても、一年のものではなくて三年にしていくとか、そういう特別の配慮があるのが当然だと思います。  だから、まだ計画が十分じゃないのに、新法でありながら日切れ法案に便乗するような形でちょこちょことこういう質疑をするところに問題があるのですね。それをここでとやかく言っても始まりませんけれども、全くこれはけしからぬことだ、私は国民に対してふまじめとさえ感ずるわけです。  それで、最後にもう一つ質問いたしますけれども、外国に立地するのがどんどんふえている。これも永遠にふえていくかどうかわかりませんけれども、これに対して労働術としては研究なり何かやっていらっしゃるのですか。
  115. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  その調査資料のことについては、二月と書いてあるのは、それをつくったところのあれでございまして、うちでは十二月、予算折衝のときにちゃんと変えておりますので、御理解いただきたいと思います。  産業空洞化の問題につきましては、これは円高その他に伴いまして非常に重要な問題だということで、昨年の秋から雇用問題政策会議におきまして、その専門委員会をつくりまして、雇用の面に及ぼす影響につきまして検討を進めていただいております。早急に結果を得まして、それに基づきます雇用面でのいろいろな提言をそこから出していただくということで現在研究中でございます。
  116. 田中美智子

    田中(美)委員 日本労働協会ですか。
  117. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 雇用問題政策会議と申しまして、政労使、それから学識経験者も入っております。
  118. 田中美智子

    田中(美)委員 それはいつごろに報告が出る予定でしょうか。
  119. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 去年の秋お願いいたしまして、一年以内にはということで今鋭意進めていただいております。いろいろな調査、ヒアリングその他も行っておりますので、一年間くらいはかかると思います。
  120. 田中美智子

    田中(美)委員 そうすると、その結果が出るのは秋ということですね。  大体わかりましたけれども、計画が絵にかいたもちではないか。実際に賃金の助成をしようと思っても、労働者が雇用されなければその助成もないし、事業所が雇用を拡大しなければ奨励金も出ない、こういう法案ではないかと思います。もちろん雇用保険を延ばすということは緊急の問題として当然のことですけれども、これを実効あるようにするということは、やはり雇用を拡大する、そのために事業所の立地などをどんどん進めていくということをやらない限りは、この法律はつくっても絵にかいたもちであるし、雇用がそれによってふえていけば非常に有効に働くと思うのですけれども、有効に働かせるために、労働大臣、労働省は全力を挙げていただきたいと思います。  最後に、労働大臣の決意を伺いたいと思います。
  121. 平井卓志

    平井国務大臣 いろいろ御議論もございましょうが、このたびお願いをいたしております地域雇用開発等促進法案を中心にいたしまして、さらには産業政策等々、政府一体となって、内需の拡大も含めまして、当面する日本経済の最大の問題は雇用対策であるというふうな認識のもとに全力を挙げてまいりたいと考えております。
  122. 田中美智子

    田中(美)委員 質問を終わります。
  123. 堀内光雄

    堀内委員長 以上で田中美智子君の質疑は終了いたしました。  浜田卓二郎君。
  124. 浜田卓二郎

    ○浜田(卓)委員 先ほど来各要員から質疑がありまして、私もほぼ問題点が出尽くしてきたと思いますので、最後に一点だけ私の見解を申し上げまして、労働大臣の御所見を承りたいと思います。  私も、今日の雇用不安の問題は、先ほど来他端理事を初め各委員から御指摘のとおり、一過性のものではなくて日本経済の構造的変化に伴うものであると認識いたしております。今回の地域雇用開発等促進法案の緊急性あるいは必要性というのは、私も当然認めるところでありますけれども、今日の雇用不安全体の問題から考えますると、地域的な対応であるというような点、非常に部分的な対応にとどまっている。あるいはまた先ほど後追い的だという表現もございましたけれども、対症療法的な取り組みにとどまっている。そういう意味で、これだけで十分というわけにはいかないと私は思うわけであります。今や日本経済全体の問題としての全体的、総合的な取り組みが必要である。そのために雇用担当大臣として労働大臣が各省庁の先頭に立ってこういう総合的な政策の推進に努めていただくべきであると私は考えるわけであります。  二点だけ申し上げますと、一つは円高に対する対応であります。きょうの終わり値は聞いておりませんけれども、各国の協調介入にもかかわらず、きょうの東京マーケットではドル売り圧力が非常に高まっているということであります。宮澤大臣がどういう約束をしてきたかとか、そういう会議の経過だけの問題ではなくて、まさに今円高に対して何をお互いの国々でしなければならないか、その点が十分に確認されておらず、また実行されていないという点を私は大変重要なことだと思うわけであります。特に我が国において緊急の課題として内需拡大が言われているわけであります。これはきょう起きてきた問題ではなくて、既に久しく我々が論議をしてきたところでありますが、なかなか実行に移されていないと私は残念ながら言わざるを得ないわけであります。特に今財政当局、宮澤大蔵大臣初め責任者においては真剣に内需拡大の方法について検討いたしております。例えば、予算が成立をすればできるだけ公共投資の前倒しの執行を急ぎたい、その上で補正による追加も行っていきたい、さらには六十三年度の予算編成方針について一日も早く拡大策の具体的な打ち出し方というものも考えていきたい、宮澤さんの新財政構想というのが先般の演説で披露されておりますけれども、こういったものも具体化を急いでいく必要があると私は思うわけであります。そのためにも予算の早期成立というのはどうしても必要だ。暫定予算でつまみ食い的にこういう問題を盛り込んだとしても、それは私の申し上げているように、部分的、一時的な対応にしかすぎないわけでありまして、極めて不十分であると言わざるを得ないわけであります。その点、雇用担当大臣として、予算の早期成立を初め今日の雇用不安の問題に本格的に政府が取り組む、そういう体制を一日も早くつくり出す努力をもっとしていただきたいということを申し上げたいわけであります。  第二に申し上げたいことは、先ほど来言葉としては出ておりますけれども、産業の空洞化の問題であります、例えば新日鉄が高炉の火を何本か消したということでありますけれども、実はその分だけ全部生産が落ちているわけではない。つまり輸出用の自動車の冷延薄板の一部はアメリカの中堅の鉄鋼メーカーを買収してアメリカで生産をする、そういう情報にも接しているわけでありますけれども、なぜこういうことが起こるか、つまり産業の空洞化というものがどうして進行していくかという点をもっと真剣に考えていかなければならない。もちろん円高の影響はあります。しかし、それだけではない。やはり税制の問題が大きいということも私は強調しておきたいわけであります。例えば法人税のアメリカに比べれば実質二〇%も高い、また所得税の世界一局い現状という問題もあるわけでありまして、こういう税制改革を含めた産業空洞化の原因というものを徹底的に分析をして、それに効果的に対応していくことでなければ、この流れというものは食いとめることができないと私どもは考えるわけであります。  ですから、私は今円高の問題、それから空洞化の問題を申し上げました。私は円高というのは一時的な現象ではなくてまだまだこれからも続いていくと考えざるを得ない。その場合に我が国の産業をどう持っていくか。ここは産業政策全体の問題として取り組んでいかなければ、雇用の問題というのは私は解消しないと思うわけであります。  以上、二点申し上げたわけでありますけれども、雇用担当大臣として労働大臣は各省庁の先頭に立って総合的な取り組みを一層進めていただきたい、このように要望するものでありますが、労働大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
  125. 平井卓志

    平井国務大臣 お答え申し上げます。  内需拡大を早期に図るために、本予算の一日も早い成立と御指摘の点は全く異論ございません、そのとおりでございます。そのために最大限の努力をいたしてまいりたい。  いま一つ、産業の空洞化問題でございますが、私の理解では、現在九千社近くが海外に出ていっておる。ただ、いろいろな業種、規模、出ていった国、また今後の見通し等々、やはり空洞化問題というのは中長期的に判断いたしませんと、今後非常に産業構造の上でも重大な影響があるわけでございますから、そういう点については誤りないような結論、また検討をしなければならぬ。  いずれにいたしましても、御指摘の点につきまして、今後とも関係各大臣とも強力に連携をとって全力を挙げてやってまいりたいと考えております。
  126. 浜田卓二郎

    ○浜田(卓)委員 終わります。
  127. 堀内光雄

    堀内委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  128. 堀内光雄

    堀内委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  地域雇用開発等促進法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕     —————————————
  129. 堀内光雄

    堀内委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
  130. 堀内光雄

    堀内委員長 この際、浜田卓二郎君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同五派共同提案に係る本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。浜田卓二郎君。
  131. 浜田卓二郎

    ○浜田(卓)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     地域雇用開発等促進法案に対する附帯決議(案)  政府は、雇用問題が経済、産業のあり方と密接不可分の問題であることにかんがみ、内需拡大等、経済、産業政策と一体となった総合的雇用対策を推進するととに、本法を施行するに当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一 深刻な地域の雇用動向を迅速かつ的確に把握し、国と地方が一体となって本法の適切かつ機動的な運用を図ること。特に、地域指定については、関係諸施策との連携に十分留意しつつ、関係地方公共団体等の意見も十分尊重して行うこと。また、各指定地域の対策については、労使関係者の意向が十分に反映されるよう配慮すること。  二 地域における雇用の安定を図るため、地域経済の活性化に努めるとともに、中小、下請企業労働対策が重要であることにかんがみ、各種援護措置が適切に活用されるよう努めること。  三 円滑な職業転換を図るためには、地域における職業能力の開発が重要であることにかんがみ、公共職業訓練施設の充実・強化、民間各種職業訓練施設の積極的活用等職業能力開発体制の整備を図ること。  四 公共事業への離職者の吸収に努めること。  五 地域雇用対策と業種雇用対策は、密接不可分であることにかんがみ、本法の施行状況を踏まえ、業種雇用対策充実・強化の検討を進めること。  六 各種助成金等については、その有効活用が図られるよう努めること。  七 現下の厳しい雇用失業情勢に対処するため、本法の効果的な運用に努めるとともに、さらに、中高年齢者の雇用対策、パートタイマー、派遣労働者の雇用安定対策、職業紹介機能の充実雇用対策全般にわたる一層の強化を図ること。  八 本法の実効ある運営を確保するため、定員増を含め行政体制の充実・強化を図ること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  132. 堀内光雄

    堀内委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  浜田卓二郎君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  133. 堀内光雄

    堀内委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、平井労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平井労働大臣
  134. 平井卓志

    平井国務大臣 ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいる所存であります。     —————————————
  135. 堀内光雄

    堀内委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 堀内光雄

    堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  137. 堀内光雄

    堀内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十五分散会      ————◇—————