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1987-05-21 第108回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年五月二十一日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 村岡 兼造君    理事 谷  洋一君 理事 中島  衛君    理事 野中 広務君 理事 平沼 赳夫君    理事 森田  一君 理事 中村  茂君    理事 坂井 弘一君 理事 西村 章三君       榎本 和平君    金子原二郎君       瓦   力君    佐藤 敬夫君       桜井  新君    鈴木 宗男君       田村 良平君    月原 茂皓君       渡海紀三朗君    中島源太郎君       中村喜四郎君    東   力君       穂積 良行君    松田 九郎君       松永  光君    井上  泉君       小野 信一君    坂上 富男君       三野 優美君    大野  潔君       伏木 和雄君    伊藤 英成君       塚田 延充君    石井 郁子君       辻  第一君    中路 雅弘君  出席国務大臣         建 設 大 臣 天野 光晴君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 綿貫 民輔君  出席政府委員         国土庁計画・調         整局長     星野 進保君         国土庁土地局長 田村 嘉朗君         国土庁大都市圏         整備局長    柳   晃君         国土庁地方振興         局長      澤田 秀男君         建設大臣官房長 高橋  進君         建設大臣官房総         務審議官    渡辺  尚君         建設省建設経済         局長      牧野  徹君         建設省都市局長 北村廣太郎君         建設省道路局長 鈴木 道雄君         建設省住宅局長 片山 正夫君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   古川 定昭君         大蔵大臣官房企         画官      田谷 廣明君         大蔵省主計局主         計官      武藤 敏郎君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 川  信雄君         農林水産省構造         改善局農政部農         政課長     中村 光弘君         林野庁林政部林         産課長     高橋  勲君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部生産業務指導         課長      岩村  敬君         自治省税務局固         定資産税課長  佐野 徹治君         消防庁予防救急         課長      木下 英敏君         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十一日  辞任         補欠選任   中村喜四郎君     穂積 良行君   浜田 幸一君     鈴木 宗男君   三塚  博君     佐藤 敬夫君   伊藤 英成君     塚田 延充君   辻  第一君     石井 郁子君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 敬夫君     渡海紀三朗君   鈴木 宗男君     月原 茂皓君   穂積 良行君     中村喜四郎君   塚田 延充君     伊藤 英成君   石井 郁子君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   月原 茂皓君     浜田 幸一君   渡海紀三朗君     三塚  博君     ――――――――――――― 五月二十日  総合保養地域整備法案内閣提出第八〇号)(  参議院送付) 同月十九日  有料道路通行料金割引制度対象範囲拡大に関  する請願安田修三紹介)(第三一九八号)  同(新村勝雄紹介)(第三三四七号)  同(愛知和男紹介)(第三四九二号)  同(鴻池祥肇紹介)(第三四九三号)  同(齋藤邦吉紹介)(第三四九四号)  同(坂田道太紹介)(第三四九五号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第三四九六号)  同(吹田愰君紹介)(第三四九七号)  同(水田稔紹介)(第三四九八号)  同(宮里松正紹介)(第三四九九号)  同(渡辺紘三君紹介)(第三五〇〇号) 同月二十日  有料道路通行料金割引制度対象範囲拡大に関  する請願池端清一紹介)(第三七二九号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三七三〇号)  同(大坪健一郎紹介)(第三七三一号)  同(岡田利春紹介)(第三七三二号)  同(佐藤守良紹介)(第三七三三号)  同(坂口力紹介)(第三七三四号)  同(田邉國男紹介)(第三七三五号)  同(渡辺省一紹介)(第三七三六号)  同(中西績介紹介)(第三九一三号)  同(船田元紹介)(第三九一四号)  同(若林正俊紹介)(第三九一五号)  同(渡辺省一紹介)(第三九一六号) 同月二十一日  公共賃貸住宅増設等に関する請願中路雅弘  君紹介)(第四一〇六号)  有料道路通行料金割引制度対象範囲拡大に関  する請願奥田敬和紹介)(第四一八四号)  同(糸山英太郎君紹介)(第四一八五号)  同(宇野宗佑紹介)(第四一八六号)  同(佐藤徳雄紹介)(第四一八七号)  同(玉置一弥紹介)(第四一八八号)  同(野間友一紹介)(第四一八九号)  同(野呂田芳成君紹介)(第四一九〇号)  同(米沢隆紹介)(第四一九一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国土利用計画法の一部を改正する法律案内閣  提出第七七号)  建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出  第四九号)  建設業法の一部を改正する法律案内閣提出第  五八号)  総合保養地域整備法案内閣提出第八〇号)(  参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 村岡兼造

    村岡委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国土利用計画法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
  3. 中村茂

    中村(茂)委員 最近の土地地価の異常な急上昇、特に東京一極集中大都市中心部の物すごい値上がり、この値上がりによってさまざまな社会現象が起きているというふうに思います。その二、三についてはこれから順次質問していきたいと思いますが、いずれにしても、この上昇によって勤労者東京では住宅ももう持てない、こういう悲鳴が上がっています。ですから、土地問題、特に地価をどのようにして安定していくかというのは、今の大きな政治課題ではないかというふうに思います。そういう観点質問を続けていきたい私の気持ちを冒頭申し上げて、それぞれ質問に入っていきたいというふうに思います。  そこで、最近の地価急上昇、どういうことが原因になってこうなってきたのか、まず最初にお答えいただきたいと思います、
  4. 田村嘉朗

    田村政府委員 最近の東京中心とした地域地価高騰原因でございますが、まず都心商業地地価上昇について見ますと、我が国経済国際化情報化サービス化、こういった構造変化に伴いまして、業務機能管理機能東京へ非常に集中しているということで、東京オフィスビル床需要が非常にふえているということが基本的な要因であろうと思います、この需給のアンバランスによりまして地価上昇が生じていると思います。  住宅地につきましては、都心ビル用地需要に伴いまして、用地を売却した人たち周辺部の比較的環境のよい住宅地で買いかえをしている、こういうことで周辺部への地価上昇が波及しているというふうに思います。  また、こういった実情を当て込んだ一部業者によります手当て買い等需要、その他投機的な取引金融緩和情勢を背景として活発である。こういうことが地価上昇を加速させているというふうに思っております。
  5. 中村茂

    中村(茂)委員 今言われた、いわゆる需給のバランスが崩れてきているということではないかというふうに思います、それはそれで納得できるわけですけれども、それにまつわって土地投機または不当な地上げ等の行為がさまざま起きています。  そこで、このような状況の中で、地価の安定、土地問題というものについて安定させていくにはどのようにしたらいいのか。その概略についてまず御説明いただきたいというふうに思います。
  6. 田村嘉朗

    田村政府委員 現在講じている地価高騰対策内容いかんということでございます。  昨年の四月に国土庁東京都で相談をいたしまして、都心地価高騰対策というものをまとめたわけでございます。その柱は、一つは先ほど申し上げました、旺盛な事務所需要に対応するために事務所用地供給に努めるということが一つでございます。もう一つは、投機的土地取引を抑制するということで、国土利用計画法活用等に努めていくということでございます。  土地供給策といたしましては、既成市街地高度利用を進めるということとあわせて臨海部開発を進めていくということで、昨年の十一月に関係行政機関それから東京都で東京臨海部開発推進協議会というものを設置いたしまして、基本的な整備方針について検討を進めているところでございます。  投機的取引抑制策につきましては、昨年十二月に小規模取引規制強化を目的とする都条例施行されまして現在に至っているわけでございますが、一方、不動産業界に対しまして国土庁から、それから金融機関に対して大蔵省から、それぞれ投機的な取引を行うことのないよう自粛するように指導をしているというところでございます。  さらに、先般地価対策関係閣僚会議におきまして、土地取引規制強化、それから国等土地売買等契約を締結しようとする場合に適正な地価形成されるように配慮していく、それから土地税制改善土地関連融資適正化、こういったことを内容とする地価対策が了承されたところでございます。  特に土地取引規制強化につきましては、ただいま御審議いただいております国土利用計画法改正、それから土地税制についても、二年以下の超短期保有土地譲渡益に重課等の案を国会で御審議をいただいているところでございます。  以上がその内容でございます。
  7. 中村茂

    中村(茂)委員 それでは、本題の国土利用計画法に入っていきたいと思いますが、その前に国土庁長官から、この異常な土地上昇に対してどのように対処していくか、決意のほどをまずお聞きいたしたいと思います。
  8. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 御指摘のように、地価高騰ということの及ぼします影響というものは極めて大きいものがございます。特に公共の福祉に供する土地等が上がるということは大変大きなマイナス面をもたらすわけでございます。地価高騰を抑えるためには、ただいま土地局長から申し上げましたようないろいろの施策をただいま講じようとしておるわけでございますが、今後ともさらに関係省庁とも緊密な連絡をとりつつ地価高騰を抑えるように一生懸命やってまいりたいと考えております。
  9. 中村茂

    中村(茂)委員 天野建設大臣に二点ほどお聞きいたしたいというふうに思います。  私のところに、この国土利用計画法を策定した当時の念書があります。これは、そのときの衆議院建設委員会委員長木村武雄先生、まだ国土庁はなくて、土地問題に対する所管は経済企画庁長官内田常雄先生、そういう中で十分論議されて、別に念書の中身をどうこうというふうに言うつもりはございません。そのつくった経過並びにそのときの経済状況なり、そういう中でこういうものがつくられてきた。そうして集約したものが今申し上げた、建設委員長から経済企画庁長官に出されて、その立ち会いという意味で、当時その作成に努力されたいわゆる理事さんだというふうに思いますけれども天野先生それから社会党井上普方先生公明党だった北側義一先生民社党だった渡辺武三先生、それぞれ立ち会いとして署名に入っているわけですけれども、ずっと見ていきますと、ほとんど政界にはおられない人が多い。天野先生ひとり建設大臣でこの衝についておられる。  こういうことを考えてみると、やはりその当時開発法で出てきたものが、急激な土地狂乱によって一応の計画法、制限を含めたこの法律議員立法としてつくり上げた。そうしてここまで来たわけですけれども、この土地値上がり状況というのは子細に検討してみると、その当時と現在とは違います。その当時は調整区域まで含めて大きな土地を買い占めて、それでもうけにもうけていこうというような全国的に波及した狂乱状態、今回は小さなところだけれども大幅な値上げ東京または大都市集中してきている。ですから、地上げなど、細かい土地でもどんどんあさる。ですから、届け出制などについては二千平米というような枠でその当時は間に合ったわけですけれども、今はそれではとても間に合わない。いろいろ状況変化があるわけです。そして、確かにこの法律が果たしてきた役割は私は十分認めます。しかし、その間に状況変化に合わせて改正するなりまたは運用を的確にするなりという点については後手後手に回ってきたのではないか、こういう私の考え方が強くあるわけです。  そういうことで、その当時これを熱意を持ってつくり上げた大臣の感想をひとつ聞いておきたいというふうに思います。
  10. 天野光晴

    天野国務大臣 国土利用計画法そのものは、御存じであろうと思いますが、田中内閣ができまして日本列島改造論にあおられて、ブームに乗って今中村先生がおっしゃったような狂乱土地値上がりということになったわけでありまして、政府余り手をつけようとしていなかったものですから、それでは我々でやろうじゃないかというので社会党公明党民社党と話し合いをいたしまして共同で提案をして、今の国土利用計画法をつくったわけであります。  その当時はこの法律のできたことによってその他のいろいろな施策も講ぜられましたから一応安定的な格好で来たわけでありますが、最近になりまして非常に異常な状態になっておることも事実であります。時は変わるわけでありますし、その変わりやすいものを扱う法律でありますから、そういう点ではその都度その都度時宜に適した改正をして処置をすべきではないかと思っております。  私はこの間の閣議でもこの法律案が出たときにちょっと発言をしたのですが、法律をつくった責任者として非常に遺憾に思うのは国公有地始末をしなかったということであります。その当時、今から十三年か十四年ぐらい前の話でありますが、国公有地がこんな状態になろうとは全然考えられなかった。ですから、今のような状態になって、国公有地を高く売って始末をしようという政府の一部機関が出てくるような状態になりましてはちょっと手をつけにくいのではありますが、国公有地それ自体土地の暴騰の導火線になるようなことがあってはいけないから、本来ならばこの始末を先にやるべきだったのが、非常に残念だがこれは知恵がつかなかった。そういう点で我々はこれからこの問題について検討しなければいけないと発言をしているのでありますが、十年たちますと、恒久的な憲法とは違うのですからいろいろな面で変化が出てきます。これは政府当局責任だけでなしに議会においてもひとつ十二分に御検討願いまして、議員立法があるわけでありますから、この法律自体議員立法でありますから、そういう点で十二分に対策を講ずるようにしていただければありがたい、幸せだと思います。法律をつくった者が何か責任転嫁するような話でまことに恐縮なんですが、その点ひとつ御理解願えればありがたいと思います。
  11. 中村茂

    中村(茂)委員 大臣、ありがとうございました。  本法案改正点について、大体わかっておりますから簡潔で結構です。
  12. 田村嘉朗

    田村政府委員 改正案概略でございますが、まず、都道府県知事は、地価が急激に上昇するあるいはそのおそれのある区域につきまして監視区域というものを指定することができるようにしております。それで、その監視区域指定する場合には、その区域内で土地に関する権利の移転等届け出を要する面積の限度を、都道府県規則で現在の規模よりも引き下げることができるようにしております。  それから、都道府県知事は、監視区域指定した場合には地価動向等に関する調査を行うということ、また、土地売買等契約を締結した者に対しまして、事前届け出の義務のない者についても必要な事項について報告を求めることができるようにしているということでございます。  それから、国等は、土地売買等契約を締結しようとする場合には適正な地価形成が図られるように配慮することとしております。  もう一つ、細かい点でございますが、届け出があった場合には、勧告をする必要がないと認めた場合には速やかにその勧告をしないということを通知いたしまして、その通知を受けたときから契約を進めるように事務簡素化を図っているということでございます。
  13. 中村茂

    中村(茂)委員 前段の監視区域設定ですけれども、それを設定すると事務量がふえますから、余り地方自治体の負担にならないような措置をひとつしておいてもらいたいということ、それから、東京は既に条例を持って実施しているわけですけれども、この法律が通った後は東京条例との関係はどうなるのか、この二点についてまず御説明いただきたいと思います。
  14. 田村嘉朗

    田村政府委員 まず、監視区域指定した場合に地方公共団体事務量が増加するのではないか、確かにそういうおそれがあるわけでございますが、事務処理能力を十分勘案した上でこの指定をしてもらいたいというふうに思っております。また、その施行事務に要する経費につきましても、国土利用計画法施行に要する経費として地方公共団体に対する交付金がございますので、事務処理量に応じて交付金を交付するということで地方公共団体に対する手当てをしたいというふうに思っております。  それから、この法案が成立いたしますれば、公布の日から三カ月以内に政令で定める日から施行するということになっておりますが、東京都の場合には、その期間内に条例を廃止して、この法律に基づく監視区域指定して、それに基づく規則を制定するということで、この法律による制度に切りかえることになるというふうに思っております。
  15. 中村茂

    中村(茂)委員 監視区域設定は結構だというふうに思います。  そこで、この法律では規制区域設定できるようになっています。投機的な取引が相当範囲集中した場合及び地価の急激な上昇またそのおそれのある場合には規制区域設定ができるようになっている。この法律規制区域設定ができるようにした経緯というのはいろいろあるということをお聞きしていますが、今回のような東京の一点集中的な値上がり、しかも一定のところに集中している。どの範囲設定していいかという点についてはいろいろあるというふうに思います。三区でいいのか五区でいいのか、私は五区ぐらいが地価上昇状況などを見て設定するのに一番適当ではないか、こういうふうに思っているわけです。  そこで、先ほども若干御報告がありました昨年の十二月に出された「地価対策に関する提言」、この5の(3)の中では、今申し上げているいわゆる土地東京一点集中値上がりに対して、東京では条例をつくって地価及び土地取引動向をきちっとやっていくというふうになった、「情勢いかんによっては規制区域指定検討すべきである。」こういう提言もなされている。  そこで、先ほど申し上げましたように経過はいろいろあるわけですけれども、先ほど申し上げた制定当時の念書の中ではこの点をどういうふうに言っているかというと、長いものですから簡単に申し上げますと、「第十三条に規定する規制区域指定等に係る指示権及び代行権については、地方自治本旨に則り、地方公共団体の長の権限を最大限に尊重するものとし、その行使は、事前地方公共団体の長に対して適切な指導を行い、」ここのところも大事なんですけれども、「正当な理由なく一定期日を超えて地方公共団体の長が適切な措置を講じないときに限るものとする」。地方公共団体意見を尊重しなさい、しかしそうやっていても、一定にここのところをやる必要があるというふうに政府判断した場合にはその限りでもないよ、しかし、基本は「地方自治本旨に則り」ですから、十分尊重してやりなさい。  この法律がせっかくあるにもかかわらずこれだけの投機が起きている、一点集中値上がりがある。宝の持ちぐされではないか、私はこういうふうに思うのですけれども、これが行使できない理由はどこにあるのですか、または行使しようと考えているわけですか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  16. 田村嘉朗

    田村政府委員 国土庁といたしましては、一昨年の秋ごろから都心部地価高騰の兆しが見えてきたということで、東京都と相談をいたしまして、かなり頻繁に会合を重ねまして意見交換を相当したわけでございます。また一方で、昨年の四月には通達改正いたしまして、既成市街地におきましても規制区域指定することができる、その場合の考え方はこのようなものであるということで、通達で具体的な方針を示したわけであります。  そういうことでいろいろ検討を重ね、東京都とも意見を交換してきたわけでございますけれども東京都といたしましては、法律に書いてある要件でございますが、御案内のように、投機的取引の発生が相当範囲にわたって集中している、こういう事態ではまだないのではないかというふうな判断をしております。私どもの見るところ、投機的取引、いわゆる転売の割合というのは、十数%のところもありますが、数%のところもあります。そういったような状況の中で、今申し上げましたような判断をし、また、こういった事態に対応するためには条例を制定して小口の取引規制する、こういうことでいいのではないかという判断東京都として知事がいたしたわけでございますので、私どもとしてはこの判断を尊重したいと思っております。  しかし、今後の情勢いかんによって規制区域指定する必要があるかないか、この点については東京都と密接に連絡調整を図ってまいりたいというふうに思っております。
  17. 中村茂

    中村(茂)委員 ひとつ真剣に検討してみてください。  次に、この法律の二点目の改正点である国等地価形成配慮規定です。  先ほど天野建設大臣も、この法を制定した、しかしその当時は、国等と言うのは面倒くさいですから国公有地というふうに言いますが、国公有地についてこの法律の網をかぶせるのを失念していたというかその当時の状況じゃなかった、こういうふうに言われたわけですけれども、最近の国公有地、特に国鉄などの用地処分のあり方を見ていると、土地対策の面から見れば大変なことをやっているのじゃないか、こういうふうに思うわけです。債務があるからそれをカバーしなければならないということが一方にありますけれども、それはそれとしても、土地対策という面から見れば、この国公有地処分というものについては土地の値下げに活用すべき問題であって、土地値上げ国公有地が作用してくるというような処分はすべきではない、こういうふうに私は思うのです。  もともと国公有地というのは、国、地方公共団体土地を得ようとする場合には、法律に基づいて一方的に土地を収用できる方法もあります。収用すれば固定資産税もかからない、譲渡税もかからない。それはどうかといえば、国民のために広く活用していくという側面があるからそういう保護を受けていると思うのです。この土地処分する場合に、値上げにそれが作用してくるというような処分の仕方はすべきではない。そういう観点から見ると、この配慮規定というのは私は不満です。何に配慮するのですか。さっぱりその中身がわからない。しかも、地価形成するとは何を形成して、配慮するのだろうか。  そこで、少し中身を聞いておきたいと思うのですが、具体的に申し上げますと、国鉄の処分すべきものは今、国鉄の清算事業団ですか、そこのところに移っているそうですね。しかし、取り扱いは国公有地ということで取り扱われるのじゃないかというふうに私は思うのです。これを処分する場合にはどういうふうに配慮するのですか。どういうやり方でするのですか。
  18. 田村嘉朗

    田村政府委員 国鉄清算事業団用地処分するに際してどういう配慮をするかというお尋ねでございますけれども、この点につきましては私ども運輸省といろいろ話し合いをしてきたところでございますが、当面こういうことをやろうではないかということが先般、三月の地価対策関係閣僚会議で確認されたわけでございます。  その内容は、一つは、これは清算事業団用地に限りませんけれども、国有地も含めまして、処分をするについて関係行政機関が必要に応じて緊密な連絡、情報交換を行うということでございます。  それから国鉄清算事業団用地そのものにつきましては、まず事業団が定める土地処分の基本方針の中で次のような点を明らかにするということでございまして、一つは、地域土地利用に関する計画に配慮するということでございます。それから二つ目は、地価高騰地域において公開競争入札によって土地処分する場合には、地価高騰の防止のために必要な条件をつけるということでございます。それから三つ目は、地価を顕在化させない土地処分方法、これは例えば借地とか信託というふうな方法が考えられると思いますが、そういった方法の導入の可能性について検討する。この三つを盛り込んでいただくということになっているわけでございまして、さらに今後、先ほど申し上げましたような行政機関同士の連絡、情報交換によりまして、それぞれ具体の処分のあり方についての御相談をしていく、こういうことにしたいと思っておるわけでございます。
  19. 中村茂

    中村(茂)委員 地域土地利用に関する計画に配慮する、これは地方公共団体が都市計画なら都市計画なりをつくる、またはその中に地方公共団体が何かの施設をしたい、それに配慮する。もう少し具体的にひとつ明らかにしていただきたいと思います。  それと、必要な条件をつける。必要な条件とは何ですか。
  20. 田村嘉朗

    田村政府委員 地域土地利用に関する計画に配慮する、この具体的なやり方でございますけれども、この点は具体のルールにつきましてこれから運輸省とも御相談をしていきたいと思っております。国有地の場合には、処分する場合に公共団体に買い受け勧奨をするというふうな手続がございますけれども、そういうものを参考にしながら、結局地方公共団体の意向も聞かなければならないと思いますし、そういった精神に即していろいろな手続を御相談していきたいというふうに思っておるところでございます。  それから公開競争入札における条件でございますが、現在のところ、国鉄それから清算事業団におきましては、国有地に準じまして、地価高騰地域では千平米以上の土地については十年以内の転売を禁止する、それから二年以内に着工して五年以内に完成するという条件をつけまして、これに違反した場合にはそれぞれ違約金等を課するということでございます。また、たしか千平米未満につきましては五年の転売禁止というようなことになっているかと思います。
  21. 中村茂

    中村(茂)委員 ここで特に地方公共団体が都市計画なり事業計画を立てて、そこの土地を、ざっくばらんに言えば欲しい、その計画の一環としたい、こういう意向があった場合には、それを尊重しますか。
  22. 田村嘉朗

    田村政府委員 そういう意向は十分配慮するということであると思います。
  23. 中村茂

    中村(茂)委員 配慮するということはどういうことですか。
  24. 田村嘉朗

    田村政府委員 処分をするに当たりまして、いろいろ処分の際の相手方とか相手方の利用の目的、こういったものを十分考えながら適切な処分をしていかなければならないと思いますけれども、その場合に、地方公共団体あるいはその他の地域における土地利用計画というものが立てられておればそれを十分生かすように考えていくということでございましょうし、都市計画ではっきり決まっておれば当然それに即した土地利用が図られなければならないという、これは直ちにそのこと自体が条件になるということだと思います。
  25. 中村茂

    中村(茂)委員 尊重と配慮とどこが違いますか。
  26. 田村嘉朗

    田村政府委員 この点、私どもは最大限尊重していただきたい、こういうふうに思っております。この点につきましてはこれから相談をして、具体的なやり方については関係省庁相談してまいりたいと思います。
  27. 中村茂

    中村(茂)委員 特に国鉄の土地に絞って言っているわけですけれども国公有地全体について、処分する場合には高く売れば売ったで問題が起きる、安く売れば、特に民間へやった場合には安く売ったでまた問題が起きる。これはどっちにやっても、民間へ払い下げというか、売却する場合には問題が起きるのです、今の状況の中では。だから私は、国公有地というのはやはり地方公共団体の計画に合わせて地方公共団体が活用できるような優先的な取り扱いをすべきだ、これを基本にしながらこの処分をどういうふうにしていくか、こういうふうにすべきだというふうに思うのですが、私の考え方、間違っているでしょうか。
  28. 田村嘉朗

    田村政府委員 私どもとしては、今先生おっしゃったような気持ちで同じでございます。
  29. 中村茂

    中村(茂)委員 運輸省、来ていると思いますけれども、運輸省にお聞きいたします。  今国土庁といろいろやりとりしてまいりましたが、この法律ができて配慮規定ができたわけですけれども、運輸省としてはどのように対処しようとしておりますか。
  30. 岩村敬

    ○岩村説明員 お答え申し上げます。  適正な地価形成への配慮でございますが、先ほど国土庁の方から御答弁がございましたように、第一点は、土地処分に当たりまして地域土地利用に関する計画に配慮をするということでございます。これにつきましては、具体的には清算事業団に設けられます資産処分審議会に地域部会というようなものを設けまして、そこで地域の御要望等をくみ上げていろいろ御検討いただくということで対処してまいりたいというふうに考えております。  また、地価高騰地域におきます公開競争入札による土地処分については、地価高騰の防止のために条件を付すということでございまして、先ほどこれも国土庁からございましたように、転売の禁止、それから建築をある一定期間にさせる、そういったことで転売等を防止する措置をするということで、そういう規則を現在整備中でございます。  それから地価を顕在化させないための土地処分方法の導入の可能性についての検討につきましては、これも資産処分審議会におきましていろいろな御検討をいただいて適切に対処してまいりたい、そのように考えております。
  31. 中村茂

    中村(茂)委員 時間がありませんから私の意見をまず申し上げておきますが、先ほどいろいろやりとりしたけれども、これは特に今もいろいろ言われて、それを見ていると「適切に」とかそういう文句が今言われた中では物すごく多いのですよ。「適切」なんという文句ではなかなか納得できませんけれども、要は、先ほど言われましたように、地方公共団体、そこと密接な連携をとって、そこで活用できるようなことを重点に、これはどんなことがあっても考えてもらいたい。  それで、確かに東京とか土地値上がりのところは、入札にすれば高く入りますよ。金も多く入るでしょう。しかし地方に行ってみれば、国鉄の処分する用地でも買い手のないところがいっぱいあるのですよ、また反面。それをやはり活用していくということになれば、これは地方公共団体と都市計画の中で連絡をとってきちっとやっていかなければ、一生だったって処分できぬところがありますよ。しかしそういうところだけは地方公共団体にお願いしますよ、都心に来たらここのところやりたいと言っても、いやこれは競争入札した方が余分になるから、そういう姿勢ではだめですから、答弁は求めませんけれども、ひとつ運輸省もその点留意してやっていただきたいというふうに思います。  運輸省に対して二点目ですが、きのうの新聞によりますと、新聞記事ですが、国鉄清算事業団の杉浦理事長が十九日の日に名古屋市において、国鉄用地処分地価対策についていろいろ懇談した。その中で、「現実問題としては計画的に国鉄の土地処分していかねばならず、地価が凍結されると大変なことになる。」地価が凍結されると大変なことになる、これは高く売りたいということを言っているんだな。これを処分しようとする事業団の理事長がぬけぬけとこういうことを言って多かれたなら、土地対策にもならないのです。この事実はどうなんですか。
  32. 岩村敬

    ○岩村説明員 先生ただいま御指摘の新聞の報道でございますが、早速に清算事業団の方に問い合わせましたところ、清算事業団の杉浦理事長が五月十九日に名古屋市におきまして記者会見を行っておりまして、その質疑応答の中のことではなかろうかということでございますが、その発言の趣旨は、一つは、地価高騰をどうするかは政府地価対策の問題であり、事業団は政府方針に従ってまいりたい、第二点は、事業団は計画的に土地処分していかなければならず、これが国民負担の軽減につながるものであると考えている、第三点は、今後関係省庁のこの問題についての御意見を伺いながら適切に対処をしていく、概略、以上のような趣旨のお答えをしておるというふうに聞いておりまして、一部新聞に報道されておるような発言がなされたとは聞いておりません。
  33. 中村茂

    中村(茂)委員 慎重な発言と慎重な取り扱いを要求しておきます。  それから、国公有地ということになると国鉄の用地処分ばかりではありません。大蔵省も来ていると思いますけれども、今のやりとりをお聞きになって、大蔵省としてはどのようにお考えでしようか。
  34. 川信雄

    ○川説明員 国有地の処分に当たりましては、公用、公共用に優先的に充てることを原則としておりまして、公用、公共用に供しないものについては、適正かつ公正を期する見地から、会計法令の定めるところにより一般競争入札により処分することとしております。その際、土地に対します投機的動きを防止する観点から、必要に応じまして五年間の転売禁止等の条件を付しているところでございます。特に、地価高騰地域におきます入札による処分につきましては、今般、投機的要因による不当な地価高騰を防止するため、十年間の転売禁止等、より厳しい条件を付すこととするなど、一層慎重に対処することとしております。  今後とも国有地処分に当たりましては地価問題に十分配慮して慎重に対処してまいりたい、このように考えております。
  35. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、今地価対策をどういう方針でやっているんだという先ほどの御答弁の中で、土地譲渡税、今度皆さんの方から所得税法等の改正の中に出してあります超短期の重課税、この中身については私は若干意見があるのです。二年までは重課税にしますけれども、五年というのは十年のものを下げていますから、そこのところはもう一ランク重いのをつくって、七年を持ってくるなら持ってくるのでいいけれども、十年のものを五年まで下げてしまったというところが私は不満なのです。  しかしこれは、売上税等六本の法案というふうに言われているのですけれども、五月二十七日にこの国会が終われば廃案になるということになっているのです。廃案になれば、この法律はやろうと思ってもできないわけです。私はやはり今の段階で、中身には不満はありますけれども、この超重課税のところはきちっとすべきではないか、こういうように思っているのですけれども、これはどうなりますかね。
  36. 田村嘉朗

    田村政府委員 土地税制はいろいろ要望しておりますが、一つは、超短期二年以内の重課税、これにつきましては、私どものお願いしておりますこの改正案が実現すれば、投機的取引の抑止に非常に効果があるというふうに思っておりますので、とにかく一日も早い実施を願っているわけでございます。  なお、長短区分の見直しについては、一言申し上げておきますが、現在長期、短期の区分が十年ということになっているのを五年というふうにするわけでございますけれども、この対象になる土地は昨年末までに本人が所有していた土地に限るわけでございまして、ことし以降新たに買う土地については適用されない、従来どおり十年ということでございますので、この税制改正によりまして、土地を買うことが有利になるということで土地需要がまた多くなるという心配は避けられるのではないか、むしろ、十年まだたっていないけれども、税制の関係で、売りたくないという地主さんが手放す、そういう供給効果の方が大きいのではないかというふうに思っているわけでございます。
  37. 中村茂

    中村(茂)委員 これは法律の所管は大蔵省になるのですけれども大蔵省はどうお考えですか。
  38. 田谷廣明

    ○田谷説明員 お答えいたします。  今回の税制改革は、所得、消費、資産とそれぞれ均衡のとれた税体系を構築するために行いましたものでございまして、改正項目のうち相互に密接に関連するものにつきましては、一括法として一本の法律案で御提案申し上げているところでございます。このような観点から、一括法には、今御指摘のございました土地に関します超短期重課制度の創設あるいは土地譲渡所得にかかる長短区分の短縮等々の土地税制関係が含まれているわけでございます。ただいま申し上げましたように、抜本的見直しを税制全般にわたって行うという今回の税制改正の一環として土地税制もやっておるものでございますから、この部分だけを切り離して実施するということは考えておりません。  いずれにしましても、今後の税制改革の進め方につきましては、先般の衆議院議長あっせんに基づきまして、税制改革に関する協議機関における検討結果を私どもは注視してまいりたいというふうに考えておりまして、この協議機関が一日も早く活動を開始されまして、実りある成果を上げて、望ましい税制改革が達成されることを期待しているところでございまして、私どもとしてもそのためにできるだけのお手伝いをしてまいりたいというふうに考えております。
  39. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、土地の買いかえ特例制度、これは、土地供給するというか、引き出すには一つのいい制度で、これがなければなかなか土地も出てこないという側面があると思います。しかし、これが余りにも、最近の土地の値上り等によってさまざまな問題を引き起こしているのではないか。特に、都心部から三多摩、この方に世田谷を通じて土地上昇がずっと波及していったわけですけれども、それは、この買いかえ制度によって都心を売った人たちがそちらの方へ移っていく、それで値上がりが起きてくる、この波及が非常に大きかったのではないか、こういうふうに思っているわけです。したがって、これを野放しにしていくのではなしに、今相当な額に上がっているわけですから、私は、公示価格に基づいて一定の線引きをきちっとやって、それ以上は税金をいただきますというふうに手直しを要求いたしたいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
  40. 田村嘉朗

    田村政府委員 先生御指摘のように、買いかえ需要というものが非常に大きい、そしてこのような需要を当て込んだ不動産業者等の手当て買いが活発化しているということが地価高騰関係があるわけでございますけれども、私ども実は、六十二年の税制改正の要望の過程で、買いかえ特例の見直しについて要望案に取り入れたわけでございます。これは何を基準にするかいろいろ問題があるわけでございますけれども一定の額までは繰り延べを認めるがそれ以上の額については認めないというふうな改正案を出したわけでございますが、いろいろ税務当局等との話し合いの過程で、問題点が多いということで見送られたわけでございます。  それはどういう理由かと申しますと、一つは、税で適正価額というものを設定することが妥当であるかどうだろうかということ。それから、仮に設定するといたしましても、個別の土地価額についてだれが見ても直ちに価額が明らかになるような尺度とか基準というものがどうもないのではないか、技術的にその点についての困難性があるのではないかということ。それから、仮にその価額が決められましても、個々の所有者が非常に不満を持って、どうして自分の土地はこういう価額に決められたのかということについて苦情を申し立てる、あるいは訴訟になるかもしれない、こういった税務上の実務的な問題点がいろいろあるということで、実現は、改正案の中には取り込まれなかったわけでございます。  しかし、私どもといたしましては、買いかえ需要がもとになって周辺地域地価上昇が波及していく過程で一番大きいのは、買いかえ需要というものを当てにした業者の手当て買いあるいは転がしが件数的には非常に多いと思っております。したがいまして、このような取引に対しては、今御提案申し上げておるような国土利用計画法でその小口取引規制していく、あるいは超短期の重課制度を適用していく、こういうことで相当抑えられるのではないかというふうに思っているわけでございます。しかし、今後この買いかえ需要というものがどの程度要因となってどういうふうな地価動向が見られるか、この点を見守りながら、私どもとしても先ほど申し上げましたような技術上の問題点を踏まえていろいろ研究をしていきたいと思っております。
  41. 中村茂

    中村(茂)委員 最近は少し悪質なものも出てきて、地上げの対象にも織り込んで追い出しにかかる。これだけの有利な手がありますよ、そこで地上げ一つの対象にもなってくるというような状況までいった場合には、これは何らかの対策、見直しをしないと、ただ放置すべき問題ではないのではないか。税の絡む問題ですから大蔵省も呼んでありますが、時間がありませんから大蔵省の方に聞くのは省略いたします。  それから次に固定資産税。自治省から来ていると思いますが、これだけ値上がりしてくると、そこに永住している人は、土地値上がりによって何らの恩恵がないにもかかわらず固定資産税はどんどん上がって住みにくくなってくる。黙っていてもこれだけ固定資産税が上がるようでは、こんなところに住んでいられない。この状況というのは、住環境を整備していくという面からもやはり検討すべきではないか。特に明年度は見直しの三年がたつわけですから、私の要請は、何%なりどのくらい上がったというところについては六十一年、昨年並みに据え置くべきではないか。それは住宅でどういう範囲とか、どのくらいの住宅とか、いろいろ枠はあると思います。無制限ではない。特にそこに住んでいる住宅、宅地についてひとつ見直しをすべきではないか、こういうふうに思うのですが、自治省、どうですか。
  42. 佐野徹治

    ○佐野説明員 固定資産税につきましては、三年ごとにその間におきます状況変化だとか経済活動の伸展に伴う資産の価値の変動に対応して見直しを行っているところでございます。  地価の問題につきましては、今お話がございましたが、確かに都心部中心といたします一部の商業地におきまして地価高騰が見られておるところでございますが、住宅用地についてのみ評価額を据え置くということにつきましては、ほかの固定資産税を課税している資産の評価との均衡と申しますか、そういう問題もございますので、いろいろと問題があるのではないかと思っておるところでございます。  なお、昭和六十二年度の土地の評価がえにおきましては、現在課税団体において作業が進められておるところでございます。自治省におきましても、全国的な観点から、評価の基準となる地点について適正な評価が行われるよう調整を行っているところでございますけれども、その場合、御指摘のような特異な地価状況にも十分配慮しながら、課税団体とも調整を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。  また、お話の住宅用地につきましては、一定住宅用地については課税標準を二分の一といたしておりますし、さらに二百平米までの、私ども小規模住宅用地と言っておりますが、この二百平米までの住宅用地については課税標準を四分の一とする、こういった住宅用地についての税負担面からの配慮も行ってきておるとろでございますので、その点につきましても御理解をいただければ幸いでございます。
  43. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、地上げの問題ですけれども、いろいろ申し上げたいことがありますが、時間がありませんから、地上げ業者に対しての規律の問題についてのみ触れておきたいと思います。  ここに朝日新聞の「天声人語」があるわけですが、この一節にこういうことが言われています。地上げ屋の仕事でかなり荒っぽいことが行われている。「①放火②打ち壊し③脅迫④詐欺⑤殺人などが起こり、住民の「強制疎開」が続いている」、火をつけられた人、ノイローゼになった人、いられなくなっている。このごろの新聞でも、大阪では火をつけて、そこに住めなくなってしまえば出ていかなければならぬわけですから、地上げ屋のえじきになっている。また東京でも、一晩じゅうがさがさ戸を揺すられたり、夜中に電話が続いてかかってきて、とてもそこには住んでいられない。これは特に長い間、十年、二十年と借家に住んでいた人を追い出して、そこのところへ本人がビルを建てるのか土地を売るのか知らぬけれども、それを暴力団を使ってやっている。これは全くけしからぬ行為で、そういうことが行われて土地を買い上げていく。だから、その間に不動産屋なり大きいものがついていなければそういうことは起きてこないわけですけれども、その手先になってこういう暴力的なことが行われているということについては断固として措置しなければならないというふうに思います。この点についてお聞きしたいと思います。
  44. 牧野徹

    ○牧野政府委員 極めて悪質な地上げ行為について規制すべきではないかというお話でございますが、私どももそのように考えております。ただ、いろいろな態様がございますので、例えば地方公共団体、警察など関係方面とも十分協議しながらいきたいと思いますが、私ども一応三つに分けて考えております。  一つは、いわゆる宅地建物取引業に基づく免許を取っております業者がかりそめにも今先生が御指摘のあったような取引の中で詐欺、暴行、脅迫等の行為があれば、これは断固法律に基づいて厳正に処罰といいますか対処をしてまいりたいと思います。  それからその次に、断固処分する、違法とまでは必ずしも言い切れないというふうなことも実際上起こり得ると思います。いわゆる商業道徳上好ましくないと思われるような行為の場合には、営業の自由との関係もございまして難しい面もありますが、昨年、不動産業について二十一世紀までを見通した中長期ビジョンを出しましたが、その中でも「不動産業の目指すべき将来像」、四つある中のトップに信頼される産業であるべきだということを決めておるわけでございます。そういうふうな観点からしても、今申し上げましたような確実に違法と言えないような行為でもとてもこれは思わしくないというようなことについても何かはしなければいかぬのではないかということで、まずそのためには、そういう商売に携わっておられる職員といいますか方々の人材養成というか教育の問題が、若干迂遠かもしれませんが極めて大事だということで、現在住宅宅地審議会に御諮問申し上げまして人材育成の方法――ちなみにもう一つ特急で急いでおりますのは総合的な取引保証の観点でございますが、それと並んで人材をいかに育成していくかという面を御検討いただいております。その結果が出れば、できるものから具体化していきたいと思います。  それから最後に三つ目は、実はこういうケースもかなり多いわけですが、宅地建物取引業の免許を持たない、これはやってはならないと法律に書いてあるのですが、無免許でやっておられる方、これは法律に基づく行政処分といっても対象がないわけですから、これについては必要な場合には告発をして司法当局の御判断に任せるというふうにしてまいりたいと考えております。
  45. 中村茂

    中村(茂)委員 毅然たる態度でやっていただきたいと思います。  時間が来ましたけ札とも、最後に長官から土地問題に対する決意を、姿勢を正して断固としてやっていただきたいということで決意をひとつお聞きしたいと思います。
  46. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先ほどから御指摘の諸点等を十分踏まえまして、地価対策については今後とも関係省庁と十分協議をして対策に万全を期してまいりたいと考えております。
  47. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  48. 村岡兼造

    村岡委員長 坂井弘一君。
  49. 坂井弘一

    ○坂井委員 綿貫国土庁長官にお伺いしたいと思います。  最近におきます東京での地価の暴騰、この原因についてはいろいろ言われるわけですが、せんじ詰めてみますと、どうも人も物も金も東京一極にすべてが集中をする。しかも、この現象が最近において加速度的に進行してきた。このことが東京、特に都心における地価暴騰の言うなれば最大の要因ではないかと私は思うのですが、長官はどうお考えでございましょうか。
  50. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 御指摘のように、最近の国際化情報化、ソフト化、こういう世界的ないろいろの流れの中から東京にいろいろの機能が集中をしてまいりまして、その関係からビル需要土地需要、こういうものが急激に起こってきたことは間違いのないことでございます。そしてさらにこれに、金余り現象の中から短期譲渡によっていろいろの利益を得ようというような行為が間に入って土地高騰を来しておる、こういうことでございまして、東京一極集中ということに対する御指摘は私どもも承知しておるわけでございます。
  51. 坂井弘一

    ○坂井委員 東京地価が暴騰する、がしかし一方、地方においては地価は安定をしております、こういう説明がある。これは地方における地価安定策なるものが功を奏して安定をしていると私は思えない。全くやっていないと言うつもりではありません。しかしその真因を探りますと、冒頭申しましたように、地方の人も物も金も東京一極に集中をしてしまう。その結果、地方はどんどん言うなればあらゆる面で過疎化をする。その結果引き起こされる地価の、時には暴落というような場所もあるわけであります、そういう現象の結果、地方における地価が平均的に安定をしている、こう見るのが妥当であろうかなと私は思うわけであります。したがって、地価の安定策、特に東京におきます地価暴騰対策土地対策、これを長期的に安定させるためには東京一極集中を分散させる、この手法、この手段が長期的には東京における地価暴騰に対する最も有効な手段である、こう見る見方もあるようでございますが、さて長官どうお考えでございましょう。
  52. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 ただいま国土庁では四全総を策定中でございますが、この中におきましても東京あるいは都市圏の一極集中を、いろいろの都市の中で地方に分散できる機能は分散をさせるべきである。また、いろいろの地方圏の開発についてもこれからは力を入れることによって均衡ある国土の発展を図る、こういうことはとりもなおさず地価対策も含まれておるものだというふうに理解をいたしております。
  53. 坂井弘一

    ○坂井委員 御指摘のように、四全総が地価抑制の視点から効果があるのかどうか。ここに効果を持たしたかどうかという角度から四全総を見ましたときに、実は結論から申し上げまして私権の制限ということに触れてお尋ねをしたいわけでございますが、四全総の中で、土地は個人、企業の自由な利用に任せては適正、合理的な土地利用の確保が難しい、こういう四全総におきます指摘でございます。このことは、今後におきましては土地所有者の私権の制限のあり方につきましてある意味での国民的な合意、私権制限についてコンセンサスを得る、そういう方向づけというものを四全総において示唆したのではないか、こう思いますが、これはこのような理解でよろしゅうございましようか。
  54. 星野進保

    ○星野政府委員 先生御指摘の土地に関しますいわゆる私権制限の問題でございますが、本日冒頭に先生が言われましたように、まず、土地につきましてもこれは一つの材として認められますから、その限りでは需給を調整するということで多極分散型というような、国土全体をまんべんなく使うということが非常に重要だというのが第一番目でございます。  第二番目は、やはり土地というのはちょっと普通の財と違うのじゃないか、しかも土地の上でみんな生活したり生産したりしているわけでございますので、ある意味ではそういう国民全体の共有財産である。ただしかしながら、片や私有財産制のもとで財産権が完全に保護されるといいますか発揮される世の中で一体その調和をどこへ求めていったらいいかということを考えますと、オール・オア・ナッシングではなくて、その間に一番調和するポイントがあるはずでございますので、私どもの四全総のような長期構想を考える場においてひとつそういう国民コンセンサスを得るような場をつくっていったらどうだろうかということを頭に置きながら、現在実は関係省庁とそういう観点で議論を進めさせていただいているところでございます。
  55. 坂井弘一

    ○坂井委員 私見を交えながらお尋ねをしていきたいと思いますが、私は、日本ほど完全に土地が商品化されている国はほかにはないと思います。ただ考えますと、土地に対する日本人の愛着というか、愛着を超えて執着ですか、つまり先祖伝来の土地だ、先代が残したこの財産は他人に手渡すことは恥であるといいますかね、何とかこれを守っていきたい、そういう日本人的な、ある意味で歴史的、土着的、土地に対する愛着思想といいますか執着、これは非常に強いですね。ここのところが、もう一方におきます憲法に保障されます私権ですね、それと、今確かにこれだけ時代が移り変わりまして、いろいろな角度から近代化もされていきました、国際化もされてきました、そういう中で東京に一極集中するというこういう現象、現実、そういう中で、やはり土地は私のものだとする考え方から土地は広く社会のために利用、活用すべきである、つまり所有から活用、こういう時代に今入ったのではないかな。ということになりますと、言われる公共の福祉でありますとかいうことのためには私権の一部制限といいますか、ある程度制約されてもこれはやむを得ない、こういう物の考え方というものがまさに国民的合意として形成されていくことが望ましいのではないか、私はそう思います。  そういう意味において、私権を一〇〇%認めるそういう中で土地そのものが完全に商品化されて、しかもそれが最近言われるような地上げ屋が横行してまさに犯罪まがいあるいはもう近代的な最悪の犯罪にまで、放置できないところまできている、この状況を打破するために、国土庁が四全総の中にも土地は公という、そういう観点から広く国民的な議論を呼び起こす、そういう四全総における問題提起をしていただければ私は大変結構だと思いますので、その辺を踏まえて重ねてひとつ御答弁をいただければと思います。
  56. 星野進保

    ○星野政府委員 先生御指摘の方向で現在各省と相談している最中でございます。
  57. 坂井弘一

    ○坂井委員 ぜひそうお願いいたしたいと思います。  そこで公共の福祉ということになりますと、土地の利用権を先ほど申しました東京一極集中から分散ということの方向をにらみながら申し上げますならば、公共の福祉のための土地利用を、地方自治体にかなり土地の利用権を持たせるといいますか、ある程度私権の制約ということを前提にしながら、その土地の使用権を自治体に持たせていくという方向、これはいかがかなと思うのですが、その辺についてのお考えがあればお聞かせをいただきたい。
  58. 田村嘉朗

    田村政府委員 先生のおっしゃる御趣旨がどのくらい明確に私どもにわかっているか自信がありませんけれども土地の利用について自治体がイニシアチブをとるということは大変重要なことだと思っております。一つにはやはり公有地を拡大するという政策もあると思いますが、これについてはそのための法律制度もございますし、鋭意その政策を今後進めていく必要があると思います。また、土地の利用そのものについての地方公共団体のコントロールの権限としては、例えば国土利用計画法もあるわけでございまして、土地取引における利用目的等を厳重にチェックするというふうな制度もあるわけでございますので、これを的確に運用していくことがとりあえず必要なのではないかというふうに思っております。
  59. 坂井弘一

    ○坂井委員 恐らく今後におきましても私はこの委員会の場をおかりしながら一貫して申し上げてまいりたいと思いますことは、やはり集中と分散ということ、これを車の両輪としてとらえて、これを一番根っこに踏まえての土地対策でありあるいは住宅行政であり、さまざまな建設行政あるいは大きくは日本の国土行政――国土行政ということは、単に政治の側面だけではなくて社会、文化、経済、すべての分野にわたって集中から分散へ、この方向をひとつ根本に踏まえまして、そこで議論を重ねて私の思う方向である地方分散ということが真に具体化され、そういう中でさまざまな問題が解決をされていく、本当のあるべき望ましい国土の方向、そこで一億一千万がすべて豊かにといいますか平等にと申しましょうか、生活をエンジョイ、享受できるような国土のあり方、それは分散の手法だ、こういう観点からお尋ねをしてまいりたいと思っております。  したがいまして、東京におきます最近の地価暴騰は、まず、都心部におけるオフィス床の不足は供給が不足しているんだ、供給すればこれは是正される、解決される、そう見るのはいささか近視眼的ではなかろうか。当面の対策としてこれは不必要だとは私は言いません、やらなければならない。しかし足らないから供給をふやせばいいのだという論理で進めますと、ますますそこに人が集まる、物が集まる、全国の企業の本社、中枢機能というのはすべて東京集中する、供給すればますます東京に集まる、こういう悪循環を断ち切ることはできない。  したがって、例えば東京におきまして多核多圏域型の都市構造をつくる、これが都心における地価高騰、オフィス床の不足を賄って東京圏域のあるべき姿にする、まず当面の手法である、このことは否定はしません。否定はしませんが、多核多圏域型のそういう東京圏ということだけを考える施策、政策になりますと、もう一方におきます地方がそれじゃますます東京東京に、この流れは変わらない。流れを変える手法は何かというと、大変極論かもしれませんが、極論で申し上げますならば、もう東京は何もしない、地価が上がれば上がるで上がりっぱなし、供給はしない、いたし力なくそれじゃという地方への誘導策がもう一方にあれば、そんなのはいたし方がない、これぐらい物の考え方を頭の中で割り切って、まずそこからどういう手法が具体的に現実的にあるかというぐらいの発想に立たなければ、この東京におきます地価暴騰、それに伴いますさまざまなデメリット、これを解決することはもはやできないのではないかな、私はそんな気すらしてなりません。  と申し上げますのは、今日までも地価対策につきましては随分苦慮され、さまざまな施策が用意されて手が打たれてきたことは事実です。大変な御苦労をいただいてきた。にもかかわらず、なぜ今日このようなまさに犯罪にも似たような東京における地価暴騰、狂乱が起こるのか。企業はもう土地投機に狂奔をする、金が余った人は金を持って東京にやってきて土地を買いあさる、こんなばかげたことが世界じゅうどこにも行われている国はないと私は思う。この事実を本当に怒りを持って食いとめなければいかぬ、是正しなければならぬということを考えた場合に、私が今申しましたような、いささか極論かもしれません、暴論かもしれませんが、それぐらいの物の考え方を持ってしなければこの地価暴騰を食いとめることはできないのじゃないかなというような気がいたしますものですから、申し上げているわけでございます。  そこで、例えば今東京圏がそういう状況にある、そうすると一方、関西圏は関西新国際空港ができる、これにかけまして関西の復権と、今盛んに関西の各方面はこれにしがみついて必死でございます。本当にここに関西空港ができて、東京圏に対するもう一つの相対するくらいの力のある関西圏ができ上がるかどうか。これはまさに、今申しました東京一極集中を地方に分散していく多極分散のその一翼を関西圏に持たすのだというその物の考え方が基底にありませんと、単に空港ができる、国際空港だ、二十四時間本格的な空港ができます、この空港をてこにして関西は浮揚するのです、これだけでは関西は浮揚しない。のみならず、これは国土全体にとって均衡ある発展にはならないと私は思う。四全総で言う多極分散型を本当にやるのだというならば、例えば今の関西における関西圏は、これは東京が国際交流の日本における唯一の拠点である、この唯一の東京の拠点をもう一つ、関西も国際交流のもう一つの拠点である、つまり単眼から複眼にするというような考え方が根底にあって、そこで関西空港だ、関西の復権だというのならばこれは成功するであろうと私は思います。  そういうものの考え方、そのことのためには、東京集中いたしました中央管理機能あるいは情報機能、それらを例えば今言う関西なら関西に一部は分散をする。その前に本社機能を関西に持っていきなさい、情報機能を関西で受けとめるように一つはしなさい、発信機能も置きなさいと言ったってこれはだめだ。政策の誘導がなければ、行政側の誘導がなければできない。その行政側の誘導は何かというと、まさに中央省庁の地方への一部分散だ。分散という言い方がいいのかどうなのか、これはよくわかりません。つまり、中央官庁が全部東京にある。これを関西圏なら関西圏に、九州圏なら九州圏に、東北圏なら東北圏に、北海道あるいは四国、国鉄がJRで六つになりましたが、それぐらいの多極の考え方、手法を持たなければ、きょうは土地問題をメーンに置いてのお尋ねをしているつもりでございますが、この東京における地価高騰も食いとめることはできないのじゃないか、こう思いながら申し上げているところでございます。  この議論につきましてはまたおいおいとお願いいたしたいと思いますが、ただ、この際、長官御出席でございますので、この四全総で中央省庁の一部を地方にということが取り上げられるというようなことのようでございますが、その辺のお取り組みについて、お聞かせいただける範囲でお願いできればと思います。
  60. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先ほどから坂井先生の地方分散ということについての御意見、全くそのとおりだと思っております。  特に、最近東京一極集中の弊害といたしまして、例えば今環状二号線という道路をつけようといたしますと、大分過去の計算でございますが、一・四キロで四千三百億円かかる、こう言われておるわけでございまして、今後の集中の中におけるインフラ整備というものは大変なことになるのではないかというような気がいたします。したがいまして、地方の振興のためには、四全総において策定するのはもちろんでございますが、今回この国会にリゾート法等も提出させていただきまして、地方の活性化その他を法律の面からもぜひ支援していきたいとも考えております。  また、関西圏その他につきましての振興につきましても、文化学術研究都市、関西空港、それらを含めまして、例えば第二の国会図書館、これを関西に持っていくという話も今実りつつございます。これは一つの例でございますが、その他研究機関等、東京に所在しなくてもむしろ地方に持っていった方がいいもの、こういうものを各省庁とも協議してまいるつもりでございます。  そのような形で東京の一極集中を多極分散型に切りかえるという方向については、今後とも全力を挙げて各省庁と努力をしてまいりたいと考えております。
  61. 坂井弘一

    ○坂井委員 長官、本当にそういうお考え、大変結構だと思います。ただ、多極分散というのは、今お話しのように例えば第二国会図書館をとかいうような東京におきます中央の機能を地方に移さなければ絵にかいたもちに終わってしまう。なかなか流れを変えることは至難なことだと思いますので、その至難なことを可能にする方法はあるかと言えばある、それは何かと言えば、中央におけるそういう機能を地方に移す、これしかなかろう。その場合にまず国の機能だ。これが率先してやりますと、これが誘導いたしまして、本社機能等についても一般、民間のあらゆるものが地方に分散していく、こういうことじゃないかな、こう思いまして申し上げたわけでございます。  法案の方に戻りますが、今回のこの法律では監視区域制をとる。この監視区域制というのは届け出制規制区域制の中間に位置する制度と思いますが、こういう中間的な監視区域制、これをなぜ採用するのだろうかということ、それから、このことによって地方公共団体事務がかなりふえるであろうと思われますが、その辺は大丈夫かという点について簡明にお答えいただければと思います。
  62. 田村嘉朗

    田村政府委員 今度の監視区域指定されますと、その中では小規模な土地取引について届け出を義務づけられるわけでございます。いわば土地取引をきめ細かく監視する制度である、こういうふうに御理解いただければいいと思います。そういったことで、土地取引動向をよく見ておいて、必要がある場合には規制区域の発動を機動的に行う、こういうことでございますので、一般の区域規制区域のいわば中間に位置づけられるような制度ではないかというふうに考えております。  この区域指定されますと、地方公共団体事務量がふえるという心配も確かにございます。この点につきましては、地方公共団体事務処理能力を余り超えて監視区域指定するようなことがないようにしなければならないと思っておりますが、ある程度の事務量の増大に対しましては、国土利用計画法による交付金の配分を傾斜してやらせていただくというふうなことも考えております。さらに、従来からの事務の簡素合理化にも努めたい、こういうことで、何とかやっていけるのではないかと思っております。
  63. 坂井弘一

    ○坂井委員 東京都が昨年の暮れに条例で、指定区域五百平方メートル以上は届け出、こういたしまして、それで今度は、七月一日から東京二十三区と武蔵野、三鷹両市につきましては三百平方メートルに引き下げる方針ということのようでございます。最近の土地取引が細分化の傾向にある、したがって三百まで引き下げる、これが適当であろうということのようでございまして、同時にその他区域でも五百平方メートル。東京におけるこの指定区域制というものが効果があったということだろうと思うのです。  これは国土庁としても歓迎されると思いますが、同時に、先ほどからの東京の暴騰、ある一部地域においてはそれこそもうここだけはやむを得ないから規制区域指定するぞ、これは考えられませんか。これは当然地価の凍結です。全部とは言いませんよ、ある一部地域についてはいかがでしょうか。
  64. 田村嘉朗

    田村政府委員 確かに規制区域という制度はございます。これは御案内のように、土地投機的取引が相当範囲にわたって集中して行われている、あるいはそのおそれがあるということと、地価が急激に上昇している、あるいはそのおそれがある、二つの要件を同時に満たす区域については指定されるわけでございますけれども規制区域になりますと、あらゆる土地取引が許可制になりまして、許可を受けないものは無効である、しかも価格は指定時の価格にほぼ凍結される、こういう大変社会的に影響の大きい制度でございます。したがって、その指定は非常に慎重にしなければならないと思っております。  一昨年の秋から私ども東京都ともよく意見交換をしておりまして、その必要があるかないかお互いに検討し、意見を交換してきたわけでございます。従来までのところでは、都知事としては規制区域指定する必要はない、むしろ小口の土地取引規制条例でやっていく、こういうことでいいのではないかという判断をされたわけでございまして、知事判断というものはやはり尊重していかなければならないというふうに私どもは思っているわけでございます。  今後の地価動向、それから取引状況がどうなっていくか、これは今後またよく見守る必要があると思いますので、そういった情勢を見ながら、今後とも東京都といろいろ相談をしてまいりたいと思っております。
  65. 坂井弘一

    ○坂井委員 地価動向を見守りながら、この規制区域ということの指定も大いにあり得るぞ、ひとつそんな方向をにらむぐらいの感じでやっていただきたいな。これは伝家の宝刀であるけれどもこんなものを抜くことは全くないのだというのでは、法律の権威の問題もありますし、また、現状はこれを許さないような状況にまで至っていることは御指摘のとおり。したがって、一罰百戒というような意味を込めても、この伝家の宝刀はいつ抜くかもしらぬぞ、これぐらいな構えを見せていただきたいなと、これはお願いをしておきます。  先ほど申しましたが、都心における特にオフィス床の不足、それを賄う供給策ということになるのですが、私は頭の中は大変矛盾を感じながら御質問をいたしたいと思います。  当面の問題として、やはり供給をふやさなければならぬと思います。ただ、東京都心ないし東京圏においてオフィス床がどれぐらい必要かということは、どれくらいの需要があるかといつことをあらかじめ予測して、だからこれだけの供給をいたしましょう、この考え方をしてもらいたくないと私は実は思っております。それをやりますと、さっき申しましたように、堂々めぐりの悪循環になってしまう。したがって、東京圏内におけるオフィス床の需要というものはふえるから、ふえるに従ってそれだけ供給するのだという考え方ではなくて、一定の、あるべき東京圏内におけるオフィス床はこれだけだというものをまず明確に置いていただきたい。他のオフィス床はいわゆる多極分散というならば日本列島のあちこちに、国土の均衡ある発展のためにそういう機能はどこどこ方面にはこれだけの機能を持たせましょう、とことこ方面にはこれだけのオフィス床を置きましようというぐらいの物の考え方で取り組んでいただきたいということをまず前提に置きながら、お尋ねをしたいと思います。  当面、この東京におけるせっぱ詰まったオフィス床の供給不足に対しまして、JRの駅舎の線路上を活用する、これは空中権の活用になりますか、高層ビルをどんと建てれば東京圏内の主要駅だけでも十万室ぐらいのオフィスが確保できる、こういう指摘がございますが、これについてはどう御判断、どうお考えでございましょうか。
  66. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 駅舎上空の利用につきましては、既に私鉄等について随分活発に行われておるところでございます。今後JRにつきましても、具体的に東京駅初め数カ所において計画の検討が今行われている段階でございまして、周辺の道路の整備状況とか公共施設の関係もございますが、できるだけ積極的に対応してまいりたいと存じます。
  67. 坂井弘一

    ○坂井委員 はしょってお尋ねをしたいと思います。  問題点を変えます。  地価公示制度の問題であります。昭和四十五年にこの制度が発足をしたのかと思いますが、当初は地価を安定させる目的が大変功を奏したといいますか、この地価公示が権威のある数字であったと思います。地価を安定させるということのために地価公示制度が役立ってきましたが、最近における状況を見ますと、どうも何か地価高騰を追認するというのですか、後追いでこれを認めるようなことになっているのじゃないかな、そういう嫌いがあるのじゃないかな、つまり地価安定の積極的な役割はどうも果たし切れていないのではないかという指摘があるようでございますが、これはどうでしようか。
  68. 田村嘉朗

    田村政府委員 地価公示価格は買い進みとか売り急ぎ、そういった特殊な事情のない普通の市場で成立する正常な価格である、そういう観念で資料を集めて判定をしているわけでございます。したがいまして、かなり投機的な高い値段の取引とか、今申し上げましたような非常に特殊な事情によって市場の大勢よりは飛び離れて高い値段、こういったものを排除して判定しているわけでございます。そういうことで、私どもは通常の市場の正常な価格をあらわしているというふうに思っております。いわゆる実勢価格といいますのは、店頭価格、売り値とかそれからその地域における一番高い取引の値段、こういったものを指して言われることがよくあるわけですけれども、そういうものと地価公示価格とは離れている。これは今申し上げましたような私ども考え方からして当然であるというふうに思っております。  一般に、土地取引をする場合には、当事者はそれぞれの事情があって個別にその取引を成立させるわけですから、一体どういう値段が妥当なのかということはなかなか判断がしにくいわけでございます。そういうときに私どもができる限りのいろいろな資料を集め、あるいは理論ではじき出した数値というものを取引の目安に提供するということはそれなりに意味があるんだろうというふうに思っております。  それからもう一つは、国土法あるいは都条例によって届け出があった場合の価格について、公示価格等を参考にして非常に高い値段の価格の取引は抑制するように運用しているわけでございますから、そういう意味で私はそれなりの効果を上げているのではないかというふうに思っているわけです。
  69. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間がございませんので、この公示制度につきましてはまた改めて続いてお尋ねをするといたしまして、最後に一つだけ、東京湾コスモポリス構想なるもの、つまり通産省とエンジニアリング振興協会、これがまとめたようでございますね。何でも今世紀最大の大開発だ、こういうことのようでございまして、東京湾に四つの大規模な人工島をつくる。全部で一万ヘクタール、これは山手線の内側の一・五倍、これだけを造成する。そこにはビジネス街、住宅それから空港もつくる。この完成までには六十年を要する。直接総投資額が五十五兆円、経済波及効果百二十兆円等と言われているようでございますが、この東京湾コスモポリス構想なるものについての御評価、何かそういうことで通産省あたりと御相談、御協議がありましたでしょうか。これについてどう見ておられますかお尋ねをいたしまして、終わりたいと思います。
  70. 柳晃

    ○柳(晃)政府委員 エンジニアリング振興協会から先ほど先生御指摘のような構想が発表されまして、ケースを二つ分けていますが、ケースの一つとして首都移転まで含めたような大構想が発表されました。東京湾に関しましてはこの構想を含めまして大きなもの、中規模なもの、いろんな規模の将来構想が現在いろいろと出ております。しかしながら、こういうような大規模な構想につきましては超長期的な課題ではないだろうか、したがって国土全体の均衡のある発展に資するものかどうかとか、あるいは東京湾を長期的にはどう利用し、あるいは保全をしていくのかという観点から十分検討していく必要があるのではないかと思っております。  政府が六十一年に第四次の首都圏の基本計画を、法定計画でございますが、定めておりますが、その中では、東京湾につきましては大変貴重な空間だという認識のもとに東京湾の適切な保全を図るとともに、いろいろな多方面からの要請にこたえるために秩序ある利用も進める必要があるということをうたっております。したがいまして、大規模のものにつきましては超長期の課題というように認識しておるわけでありまして、当面はどうかという点になりますと、先生御指摘のオフィスとかいろいろなものの要請を東京あるいはその周辺部で受けとめなければいかぬと仮にしましても、東京湾の臨海部には既に埋め立てられた土地が相当ございまして、その中には再開発可能なものとかあるいは未利用な埋立地も多数ございます。例えば十二号埋立地だとかあるいは晴海とか豊洲、そういうようなものでございますが、そういうものだけでも相当ございますので、当面はそういうところの有効活用が先なのではなかろうかな、かように国土庁としては考えております。
  71. 坂井弘一

    ○坂井委員 終わります。
  72. 村岡兼造

    村岡委員長 西村章三君。
  73. 西村章三

    ○西村委員 最初に、今回の国土利用計画法の一部を改正することによってどのような効果が期待できるのか、まずその見通しからお尋ねをしたいと思います。
  74. 田村嘉朗

    田村政府委員 今回の法改正は、一つには、東京等の地価上昇の著しい地域におきまして現在の国土利用計画決の届け出の対象にならない小規模な土地取引が多いわけでございまして、こういった取引規制することによって目的を達成しようということが第一の内容でございます。また、国有地等の取引につきましても適正な地価形成されるように配慮していくという規定を盛り込んでいるわけでございます。こういったことによりまして、従来では不十分であった規定が整備されることによりまして民間取引及び国有地の処分、両方にわたって価格の抑制が期待できるというふうに思っております。
  75. 西村章三

    ○西村委員 具体的な内容に入ります前に国土庁長官にお尋ねをしたいのですが、国土庁は、昭和五十九年度の国土の利用に関する白書、この中で、五十ページでございますが、「都心部商業地地価上昇は、特定の地域集中した店舗、事務所需要に支えられているので、一般の商業地に波及していない。また、住宅地商業地とでは、需要者や需要要因等が質的に異なっているので、今後も、商業地の局地的な地価上昇が一般の住宅地へ波及することはないとみられる。」こう述べておるわけであります。  ところが、御承知のように地価はその後も、一般の商業地はもちろんでありますが、一般の住宅地へも急速に波及をしてまいりました。わずか一年の間で昭和四十八年の狂乱地価を上回るような深刻な事態を招いたということでありまして、私は、これは本当に重要なことだと思っておるのであります。また、今回の土地取引届け出面積の引き下げもそうでございますが、昨年、今回の国土法の改正に先行して東京都が条例改正いたしました。もちろんこれは、東京都と国土庁とが検討されまして、その結果取りまとめた都市の地価高騰対策に沿うたものであるということは承知をいたしておりますが、こうした一連の状況は、国民サイドから見ますと、どうも国土庁地価対策は見通しや対応に一歩おくれがあるのではないか、何か後手後手に回っておる、こういう感じが否めないのであります。地価問題について地方自治体やあるいは各省庁を指導助言すべき立場にある国土庁として、この事実を一体どのように受けとめて、今後どのように活用されていくのか、責任者としての大臣の見解を伺いたいのであります。
  76. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 地価の問題につきましては、国土利用計画法ができまして以来地価の安定が図られてきたと思っておりますが、今御指摘のように今回の土地高騰はまことに急激であり、しかも短期間にこれが起こっておるわけでございます。これは先ほどからも申し上げておりますように、急激な国際化の中におけるビル需要の急激な増大等がてこになっておると思いますし、また経済環境としての金余り現象、これを背景にしての土地投機対象にした行為等が絡んで起こっておるものだと思います。したがいまして、今のビル需要の中から出ます、土地を売った方が今回は買いかえの制度によりまして住宅地にそれを求めるというような行為も最近急激に起こったような状況でございます。これらに対しましては、今土地対策として供給規制両面からこれを行おうということで、供給の面につきましても、今回の税制改正等におきまして十年の所有期限を五年に切り下げて土地が出るような対策も講じると同時に、監視区域あるいは短期の転がしについて重課をする、これらの対応策を今御提案申し上げておるところでございまして、これらが実現いたしますならば相当の成果が得られるものだと確信をいたしておるところでございます。  なお、土地の見通し等につきましては、憲法の第二十九条におきます財産権の保障の問題と公共福祉に供する土地の問題との両方うまくやりたいということで今までも土地対策についてはいろいろの施策を講じてきたところでございまして、今後もこの方向について、十分土地対策が実現できるような方向で努力をしてまいりたいと考えております。
  77. 西村章三

    ○西村委員 現在は、東京中心にその隣接地域あるいは三大都市圏の商業地ということに限定をされておりますが、この傾向が必ずしも全国に波及をしないという保証はないわけでございまして、そういう意味では今後の土地動向には細心の注意を払って分析をして、後手に回らないようにお願いをしておきたいと思うのであります。  そこで、今回の改正内容についてでございますが、新しく監視区域を設置して、知事届け出面積の引き下げあるいは地価動向調査土地売買契約内容報告を求めることができるようにしたということは、これは地価抑制策の一環として私どもも評価ができるということでございますが、ただ問題は、法の的確な運用が行われるかどうかということでございまして、幾ら立派な法律がございましてもその運用がまずければ効果は期待ができないのであります。  そこで、改正内容について具体的にお尋ねをいたしますが、知事指定できる監視区域における届け出勧告制の要件でありますが、地価の急激な上昇、またはそのおそれのある場合、こう表現しているのでありますが、急激な上昇あるいはそのおそれの認定というのは何を基準として決められるのか、具体的に数字であらわすとどの程度ということになるのか、対前年比価%くらいをめどにしているのか、その辺のところを答えていただきたいと思うのです。
  78. 田村嘉朗

    田村政府委員 地価が急激に上昇しているかどうかにつきましては、その地域での従来からの地価の趨勢あるいは全国の地価の趨勢、社会経済情勢等を考えて、実態に即して判断するということになろうかと思います。御参考までに申し上げますと、今回東京都が条例を制定したわけでございますけれども東京都の場合には、今申し上げましたような諸点を勘案して、約三〇%以上の上昇率の地域をこの条例の対象地域というふうにしておるわけでございます。  また、上昇するおそれがあるかどうかという判断基準でございますけれども、これは、今申し上げましたような地域地価の趨勢、将来の土地取引動向の見通し等を考えまして、地価の急激な上昇が生ずることが相当程度確実であると予想されるかどうかということによって判断するということでございます。
  79. 西村章三

    ○西村委員 東京の場合はこういう狂乱地価の中で三〇%が一つのめどだということでございます。それぞれ地域事情あるいは前年に対してのいわゆる上昇率、これが一つの実態であろうと思うのでありますが、一般的に申し上げて、前年比三〇%というのは異常な数値だと私は思うのです。したがって、通常の場合は大体二〇%アップすればこれは異常な値上がりだということで、例えば監視区域の対象になるというようなことにはならないのでしょうか。この辺はどうですか。
  80. 田村嘉朗

    田村政府委員 これは一概に何%以上であればということはちょっとここでは申し上げられませんけれども東京以外の地域における従来の地価動向から見ますと、確かに二〇%以上というふうな上昇率がある場合には、急激な著しい地価上昇と見られるのではないかと一般的には考えられると思います。
  81. 西村章三

    ○西村委員 今回の改正のねらいは、いわゆる小規模な土地取引規制するということが一つの大きな眼目でございますが、その中で知事届け出面積の引き下げができるとしておるのでありますが、引き下げの下限についてはどういう考え方ですか。
  82. 田村嘉朗

    田村政府委員 下限でございますが、結局、社会経済活動への影響とか地方公共団体事務処理能力等を勘案しまして、監視の実効性が確保されるような面積まで引き下げる必要があるわけでございます。具体的な引き下げ面積の限度については定めておりません。したがいまして、その地域の実情に精通している知事判断をゆだねているということでございまして、全体の取引の中である程度の割合が捕捉されればこの効果が出るわけでございますので、従来の全国的な取引における捕捉率等を勘案して判断していただこうと思っております。
  83. 西村章三

    ○西村委員 わかりました。それぞれ地域によって事情は異なるということでございますから、それに準じて下限を設定すればよいではないか、こういう考え方だろうと思います。  ただ、東京の例でございますが、昨年の十二月から御承知のとおり五百平米以上を届け出対象としております。しかし、この五百平米以上の土地所有者というのは、二十二区全体の土地所有者から見ますとわずか九・五%、一割弱であります。この七月一日から仮に三百平米以上としても全体の土地所有者から見ますと一八%弱でありまして、あとの八二%は三百平米以下だということでございまして、地価抑制の実際効果という点では大口取引の対象だけでは効果が余り期待できないのではないか。小口取引というのが最近非常に多うございまして、特に先ほど御質問になりましたいわゆる地上げ屋の場合は小口の百平米以下のような土地でもどんどんいろいろな手段を使って買い占め、それを一つにまとめていく、こういう方向があるわけでございます。したがって、小口取引での地価相場が上がっている事実から考えて、本当に今やらなければならぬことは、相場に影響のない取引以外のすべてを対象にしなければ実際効果が上がらないのではないかと私は思うのですが、どうでしょうか。
  84. 田村嘉朗

    田村政府委員 確かに地価抑制という観点からすればなるべく多くの取引規制する必要があるわけでございますが、従来私どもが国土法を運用している実績から見ますと全国的には大体一〇%の取引規制の対象といたしておりまして、かなりそれで効果を上げていると思っております。ただ、都心部におきましては、現在の制度では二、三%とか非常に少ない捕捉率でございますが、おっしゃいましたように五百平米以上ということになりますと都心五区では一八%くらいの捕捉率であるということで、それなりの効果は出ておると思っております。また、さらにそれ以上の小口取引も確かにあるわけでございますが、例えば東京都条例の場合でございますが、一団地が五百平米以上あれば、その部分部分の取引もこれは対象になるということでございます。したがいまして、ある程度の建築敷地をまとめるいわゆる地上げの過程における小口取引、これは規制の対象になるわけでございまして、それなりの効果が期待できるのではないか。現に東京都条例もそういう機能を果たしているのではないかと思いますし、私ども、今度の法改正案が実現すれば、そういう方向へさらに一層弾力的に運用できるのではないかと思っております。
  85. 西村章三

    ○西村委員 こういう実態を受けて、今後国土庁としては東京都とどういう協議をされるのか。商業地供給策、あるいは今申し上げたいわゆる小口の取引の実態を把握して、それの対策をどうするのか。もう一つは、やはり金融緩和に基づくいわゆる不動産業に対する投資、こういうものが非常に過大だという面で、今後国土庁としては東京地価狂乱に対して東京都との協議内容はどういうものを考えていますか。
  86. 田村嘉朗

    田村政府委員 まず取引規制でございますけれども、現在東京都の条例では五百平米以上、そして二十三区、武蔵野市、三鷹市というところを対象にしておりますけれども、本年の七月からはさらに都下十三の市について対象地域を拡大するということを検討しておりますし、また五百平米を三百平米に引き下げるということも検討しているように聞いております。さらに、東京都の市長会では十三市以外にもかなり広く条例の適用地域を広げるべきであるというふうな要望もなされているわけでございまして、こういった要望を踏まえて、東京都が検討するその過程で私どもも十分連絡をさせていただきたいというふうに思っているわけでございます。  それから、特に都心事務所用地供給対策につきましては、いろいろ臨海部開発等につきまして、これは私どもの局の直接の所管ではございませんけれども関係行政機関東京都が一体となってこの計画の詰めを今行っているところでございます。  それから、金融緩和のお話もございましたけれども、これは都というよりも大蔵省あたりとの関係になろうかと思いますけれども金融機関投機的な取引あるいは非常な高値の取引に対して融資を余り行わないように、その抑制が十分行われるように従来から通達を再三出していただいているわけでございますけれども、その趣旨がさらに徹底するように十分連絡をとってまいりたいと思っております。
  87. 西村章三

    ○西村委員 先ほど同僚議員からも出ましたが、いわゆる国土法にあります規制区域の問題でございます。この指定は、国土法制定以来まだ発動されたことがございません。影響が甚大だということで慎重の上にも慎重を期さなければならぬということはよく理解ができるわけでございますが、一度やってみたらどうなんでしょうか。逆効果ばかり心配して憂いの方ばかり先行してしまうものですから、せっかくの伝家の宝刀がありながらなかなか光りが光ってこない、こういう嫌いがあるわけでございますから、これはいつまでも技手傍観しないで、一遍、慎重にやらなければなりませんけれども、その中で勇断を振るってやるということも検討されたらいかがですかということを提案しておきます。  そこで、規制区域指定の要件が二つございます。投機的な取引の相当範囲にわたる集中及び地価の急激な上昇、この二つの要件が満たされなければこれが指定できないのであります。これはどちらか一つにされた方がむしろ実効を持ってくるんではないか。抜く抜かないは別にして、効果として上がってくるのではないかと思うのですが、いかがでしよう。
  88. 田村嘉朗

    田村政府委員 これは先ほども申し上げましたように、規制区域指定されますと、その区域内での土地取引は全部許可に係らしめられる、その許可がなければ効力が発生しない、また価格も指定時の価格にほぼ凍結される、こういう国民の財産に対する非常に大きな影響を持つ制度でございます。したがいまして、この国土利用計画法が立案される過程でも、このような規制区域制度が憲法上許されるかどうかという議論も随分あったように聞いておりますけれども、その議論を踏まえて、今規定されているような要件が定められたのだろうと思っております。  したがいまして、私どもは今後研究は続けていかなければならぬと思いますけれども、この要件そのものを法律改正できるかどうかという点につきましては憲法上の問題を考えますとなかなか難しいのではないかなと思っておりますが、ただ、運用につきまして弾力的にもっと考えていくということは私どもも考えておるわけでございまして、そのために今度の監視区域のような制度ができればきめ細かい地価動向が把握できるわけでございまして、その動向を把握した上で、いつでも機動的に規制区域が発動できる状態というものが出てきやすくなるというふうに考えているわけでございます。
  89. 西村章三

    ○西村委員 時間の関係で、次の問題に移ります。  今度の改正の中で、いわゆる国有地等の売買契約については「適正な地価形成が図られるよう配慮するものとする。」こう規定をされたわけでございます。従来のいわば野放し状態よりも前進されたものだと理解はいたしますけれども、これは極めて抽象的で、規制そのものは精神規定にとどまっておる、こうも考えられるわけでございます。  そこでお尋ねをいたしますが、今後国公有地の放出については、関係省庁あるいは地方公共団体と協議をして適正な地価形成が図られるよう売却価格については協議し、合意を求める、こういう内容だと理解をしてよろしゅうございますか。
  90. 田村嘉朗

    田村政府委員 この国有地あるいは国鉄清算事業団の所有地等の処分に当たりましては、地価対策に資するために関係行政機関は必要に応じて緊密な連絡、情報交換を行うということが先般の地価対策閣僚会議で確認されたわけでございます。したがいまして、私どもはこれからこの具体的な連絡、情報交換のやり方を関係省庁相談をしてまいりたいと思っておりますけれども、個々の案件そのものについてどうするかというところまでいくかどうか、これはわかりません。いずれにいたしましても、この処分計画については十分な意見交換、情報交換ができるようにしたいと思っておるわけであります。
  91. 西村章三

    ○西村委員 ここに書かれておる文面はあくまでも「緊密な連絡、情報交換」ということで、協議、合意ということはないわけでございます。したがって、合意の義務づけというものは全くないわけですから、協議が調わなければこれはだめだ、あるいはもう単に情報交換だけに終わってしまうという可能性もなきにしもあらずでございまして、実際的な効果が本当に期待できるのかというと非常に疑問があると私どもは考えております。さらに政府部内の調整をいろいろと進めていただいて、例えば一定地価狂乱地域あるいは一定の期間内における国公有地の放出については、例えばその上限価格を設定するとかあるいは国土庁と協議がまとまらなければ処分はできないというところまで押し込んでいかないことには、特に東京都心の中における国公有地というものは歯どめがきかない、こう思っておるわけでございます。現実にその例がたくさんございますね。この期間になぜこの地域でやらなければならぬかというその辺が一番私は問題だろうと思うのでありますが、それについての歯どめ策は今回の規定では全く期待できない、こう思うのですが、いかがでしよう。
  92. 田村嘉朗

    田村政府委員 国有地につきましては、処分の原則が一般競争入札によるという会計法の原則それから国有財産法の規定もございまして、こういう法令のもとでやっていくということになっておりますので、私どもが自由にその価格を設定するということはなかなかできにくい、こういうことでございます。しかし、私ども大蔵省などとも平素から十分意見交換をしておりまして、国有地について申しますと、今地価高騰地域におきましては非常に処分を抑制しているというふうに思っております。  問題は、国鉄清算事業団所有地であろうかと思います。この点につきましても、一般競争入札に準じた方式を原則とするというふうに法律で定められておりますので、今私が申し上げましたような制約があるわけでございますけれども、正直言いまして国鉄の時代には私どもは余り連絡はやっておらなかったわけでございますが、先ほど申し上げましたような閣僚会議の申し合わせも踏まえまして、事業団とは国有地と同じようなスタンスでこれから相談してまいりたいと思っております。
  93. 西村章三

    ○西村委員 時間が参りましたので、最後に、大臣にお尋ねをいたします。  先般の当委員会における私どもの議員の質問、あるいは参議院の予算委員会でも質問が出たと思うのですが、土地問題の抜本的な解決を図りながら地価高騰の抑制や将来に向けた均衡ある国土の発展のためには、学識経験者、地方自治体の代表あるいは民間人など各界の英知を集めて強力な権限を持った総合的、抜本的な検討をするための土地臨調を設置したらどうかというのが私ども考え方なんですが、関係閣僚会議があるから云々というようなことではなしに、今土地問題というのは単に土地に関することだけではなしに政治的、社会的にも大きな問題でございまして、本当に将来の日本の運命を左右するような大きな一つの要素でもございます。今、対外的にはやはり農業問題と土地問題が緊急に解決すべき要件だとされておるわけでございますが、そういう中での土地臨調の設置について大臣の御所見を承りたいと思います。
  94. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 土地の問題は、財産権を保障しております憲法第二十九条で公共の福祉に供するときはこれを法律で定めることができるとなっておりまして、私ども国土利用計画法とその他の法律を適用いたしましてこれまでも地価対策に当たってまいったわけでございますが、今回特に御提案申し上げております国土利用計画法並びに土地税制等の法律がこの国会で成立をさせていただきますならば相当の効果が得られると考えておる次第でございますし、さらに行政的なあらゆる手段を講じまして今後とも土地対策に当たってまいりたいと思っております。  土地臨調の問題につきましては、それらの成果を見た上で改めて考えてみるということではないかと考えております。
  95. 西村章三

    ○西村委員 最後にお願いをいたしますが、国有地の処分の問題にいたしましても各省庁の利害の対立というのが一番根本にあるわけでございまして、この対立を超えた方針をどう決めるのか、あるいは四全総にある土地に対する私権の制限、こういった非常に重要な問題がこれからたくさんございます。そういう面では、ぜひ土地臨調の設置の中で広範な、しかも非常に大局的な面からの検討を促したいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  96. 村岡兼造

  97. 中路雅弘

    中路委員 国土利用計画法の一部改正案に修正案を提案しておりますので、委員の皆さんにお配りいただきたいと思います。  質問に入りますけれども地価高騰の重要な要因が大都市への諸機能の集中、特に上場企業のうち約半数の本社が東京都内に位置して、そのうち七割が都心の千代田、港、中央の三区に集中していますが、四全総構想や首都改造計画では国際化とか情報化などといって内外の大企業の東京への集中を加速化させているわけですが、東京を国際金融都市といって多国籍企業の拠点にしようとしているそのことが、大企業の事務所の集中をさらに激化させているのではないかと考えます。  四全総について昨年十二月に、国土庁の計画・調整局ですか、そこがまとめられた四全総調査審議経過報告というのが発表になっています。それについては地方自治体等から大変たくさんの批判や意見が寄せられています。これを読まさせていただきますと、特に東京重視であるとか地方を置き去りにするものだという強い批判がありますし、とりわけ地方自治体の中では関西の関係の自治体からいろいろ不満、批判等も寄せられているわけです。  新聞の報道によりますと、国土庁の試案が作成されて今関係省庁と協議中と聞いていますが、これまで寄せられたこうした地方自治体の東京集中というような批判、意見について、この国土庁の試案の中でこうした意見が十分反映されているのかどうか、この点について最初に大臣にお聞きしたいと思います。
  98. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 四全総は最初から地方を軽視するというようなことは毛頭ございません。均衡ある国土の発展を図るという目的のもとに四全総を計画しておったわけでございます。ただ、最近の東京集中の急激な変化というものを否定するわけにはいきませんので、それらを踏まえながら、さらに均衡ある国土の発展を図るという方向でただいま四全総は策定中でございます。
  99. 中路雅弘

    中路委員 現実は今のこの東京集中が一層進んでいるというか、これについて有効な手だてが打たれていないと思うのです。国土庁の基本的な考え方地価高騰原因土地供給不足だということに求めているわけですが、東京事務所、ビルの集中に備えた土地供給はどれくらい必要になっているのか。  国土庁大都市整備局が監修して出されています「首都改造計画」を読ませていただきますと、この中で東京都の区部で昭和七十五年までに約五千ヘクタール、超高層ビルにして二百五十棟分に相当の床需要が発生すると予測されているわけですが、一方で民間の調査などを見てみますと、例えば協和銀行の調査部が発表しました「都市再開発とオフィス床需要」によりますと、同じ東京都の区部で供給量が二千百九十二ヘクター火需要量が千九百九十三、差し引きして供給需要を約二百ヘクタール上回ってしまうというように指摘されていまして、「首都改造計画」では七十五年までに五千ヘクタール床需要の発生を予測し、今申し上げました民間の調査では二千ヘクタールと余りにも開きがあるのではないかと思うのです。私は、供給不足ということをあおって都市開発ラッシュを招き、それがまた地価高騰に拍車をかげているのではないかと思うのですが、国土庁による「首都改造計画」発表前後から地価高騰が始まっているということでもこのことが言えると思うのです。国土庁責任も大変大きいのではないかと思いますが、いかがですか。
  100. 柳晃

    ○柳(晃)政府委員 先生御指摘の「首都改造計画」の中では東京都心部での事務所需要を五千ヘクタールと予測しております。ただ、これはただ単に五千という数字を予測しただけではありませんで、「首都改造計画」は昭和六十年の五月に作成したものでございますが、何もしないでこのままほっておけば二十三区だけでもそのぐらい、相当数の需要が発生してしまうという、いわば警告的と申しましょうか、そうした意味合いを込めての数字だと我々は受け取っております。数字そのものは、五十六年の事務所統計等をもとにしまして、昭和五十七年から七十五年までの十九年間の数字を算出したものでございます。  「首都改造計画」では、この需要をすべて二十三区で受け持たせるということではなくて、東京圏から数十キロ離れておりますいわゆる業務核都市などの周辺地域にも分散をさせようという考えでございまして、「首都改造計画」の全体をお読みいただきますならば、決して供給不足感をあおったものではないことが御理解いただけるのではないかと私どもは考えております。「首都改造計画」では、一つのビジョンでございますが、このような東京都心部への一極依存構造を是正するために、立川・八王子、横浜・川崎、大宮・浦和、千葉、筑波・土浦等の業務核都市の育成によりまして、東京大都市圏を多核多圏域型の連合都市圏として再構築をして、オフィス床需要をこれらの業務核都市へ誘導しようということをねらったものでございますので、御理解いただきたいと思います、     〔委員長退席、平沼委員長代理着席〕
  101. 中路雅弘

    中路委員 今、供給不足をあおっているのではないというお話だったのですけれども、もう一例だけ挙げておきますと、これは建設省の調査で、「新時代に対応した都市政策に関する調査 結果の概要」というのを読ませていただきましたが、例えば東京臨海部については、建設省のこの調査によっても、本社等の東京臨海部への立地可能性について、「本社全体を移転する可能性がある」と答えたのが三・二%、「本社の一部を移転する可能性がある」というのが五・八%ということで、七百二十九社のうち実際にわずか六十五社なんですね。こうした点でも、先ほど私が挙げましたけれども、いろいろこうした調査と民間の調査を比べまして余りにも差が大きいのではないかということを改めて指摘しておきたいと思います。  もう一つ私が非常に危惧の念を持っているのは、これは先日五月十八日付の新聞に報道されたのですが、四全総の国土庁試案に土地所有者の私権の制限が盛り込まれるという報道がありました。こうした報道にあるようなことが、あるいは考え方が試案に書かれているのかどうか、まずお尋ねしたいと思います。
  102. 星野進保

    ○星野政府委員 土地問題につきまして、基本的には土地需給ということが土地の価格を決定することだというふうに私どもわきまえておりますが、ただ土地というのは、先ほども御答弁申し上げましたように、国民の生活あるいは生産その他についての極めて共通の基盤であります。したがいまして、そういう意味では普通の財とはちょっと違うんじゃないかという観点で、確かに財産権という私権があるわけでございますが、それといわゆる公共の用というものとの関係に何か調和点があっていいんじゃないんだろうかそういう調和点を求めるためのコンセンサスを得るための議論というのはしていいんじゃないかということで、そういうコンセンサスを得るための議論の場をこれからつくったらどうだろうかという意味合いを含めまして、四全総というのは長期の構想計画でございますので、その中でそういうコンセンサスを求めるようなことを書いて、今各方面と御議論をしておるということでございます。
  103. 中路雅弘

    中路委員 同じようなことが、これは国土庁長官の私的諮問機関一つになるのですか、国土政策懇談会で議論をされていますが、最近三月六日に発表になりました「明日の国土政策を考える国土政策懇談会における議論の概要」という文書を読ませていただきますと、その中で、「公共性の観点から、所有権万能の考え方にメスを入れることが必要」とした上、「所有権と利用権の在り方を全面的に見直し、国土利用計画法の充実、開発利益の帰属、土地収用、借地借家法等の具体的問題を含め、制度の基本にかかわる検討」が必要ということを述べておられます。  私は、一問この問題で長官に考えをただしておきたいのですが、私権の制限ということで事実上開発優先でどんどん進めていくということになりますと、やはりそこに住む住民の犠牲ということが大きく問題になってくるわけなんで、大変批判を招くことは必至だと思います。私権制限という問題が提起されてきていますが、この問題について、開発との関連で長官のお考えをお聞きしておきたい。
  104. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 国土政策懇談会というのは、私の私的な御相談をする機関でございまして、結論を出すとかそこで何かを決めるとかいうものではございません。フリートーキングをしていただいた内容でございますから、中身は何でも言ってもいいわけですから、私はそれは自由な討論の結果だと思っております。  なお、私権制限ということでございますが、憲法二十九条による財産権の保障と公共の福祉に用いる場合の財産権の制限につきましては、今までもいろいろの知恵を絞りながら今日まで土地対策をやってきたところでございます。この国土利用計画法の中にも、特別に規制区域というものを規定することによって地価を凍結するというような、まさに統制経済に走るようなことができるようになっておりますけれども、そういうことをしたならば統制経済にもなりますし、いろいろな面でそういうことを用いないようにしながら土地政策というものを進めていきたいということで今までも努力をしておるところでございまして、今後もその方向で努力をさせていただくつもりでございます。
  105. 中路雅弘

    中路委員 地価高騰の具体的な要因の中で、土地投機的な対象とみなして、特に金融機関の過剰融資による土地の買いあさりにあるという面について先日の十五日の委員会で指摘をしましたが、局長もそういうこともかなりあるということを答弁されましたけれども、私の質問の後でNHKテレビを見ていましたら、十八日に、「地価高騰・何が地価を狂わせたのか」という特集をやっていました。都心を追われた人が郊外の住宅地に移転するから地価高騰が起こるのではないという追跡調査がやられているわけです。  このテレビが放映されたので私も直接そこを調べてみましたけれども、テレビの舞台になった世田谷区あるいは成城学園など都市で見ますと、六十年一月から六十一年九月までに、世田谷区全体の土地取引は個人が五六%、法人が四三%に対して、成城学園では個人が三七・一四%、法人が六二・八六%。明らかに、需要供給関係高騰というよりも買いかえ需要を目当てにした手当て買いというか転がしというか、こうした投機的な対象とされているということで起こっているのではないかと思うのですね。  局長は、規制区域での土地取引の許可制度について先日、東京都がその要件のうち投機的な取引集中とまだ認めていないという事態ではないかと答弁されたのですが、実際にはこうしたことがどんどん進行している中ですし、東京都だけに任せるのではなくて、国土利用計画法の中でも例えば十三条その他の対策を立てる方策もあるわけですから、私はもっと積極的な指導があるのではないかと考えますが、この点についてもう一度お伺いしておきたいと思います。
  106. 田村嘉朗

    田村政府委員 確かに東京の区部あるいはその隣接地域におきまして地価上昇が見られる、その背景に一部業者の手当て買いあるいは転がしというふうな状況があって、これが地価高騰に拍車をかけているということはあると思いますが、やはりその基本には都心部でビル用地を売った人たちの買いかえ需要が存在するということがあって、この実需を背景にして一部の投機的取引が行われているというふうに思っておるわけでございます。  規制区域の話が出ましたけれども、私ども把握している限りでは、法人間の取引というのは世田谷区で見てみましても二〇%ちょっとというふうなことでございます。法人の取引がすべて投機的取引であるというふうには即断するわけにもいかないと思いますが、ただ、そういう取引もかなりあるということは私どもも認めているわけでございまして、なおこの動向を見守りながら今の都条例、この法案が成立いたしますれば監視区域の運用ということで十分対処していけると思いますし、さらに動向いかんによっては規制区域の発動が一体必要なのかどうなのかという検討は進めてまいりたいと思っております。     〔平沼委員長代理退席、委員長着席〕
  107. 中路雅弘

    中路委員 改正案監視区域設定がありますが、東京都は先行的に五百平米以上を届け出対象としていますけれども、実際の取引を見ますともっと細分化されているわけですね。例えば東京都の出した土地問題資料集を見ますと、取引の件数、面積及び一件当たりの面積で見ますと、六十年ですが、港区で百九十六平米、世田谷区が百六十五、武蔵野市が二百一と、監視区域東京都は七月一日から三百にするというお話ですけれども、こうして非常に細分化されていますから、国土庁としても実態に即して対象面積の設定等についても十分な指導をしていただきたいということを、時間が限られていますから、ひとつ要望をしておきたいと思います。  終わりに、修正案との関係ですが、きょう修正案を提案いたしましたのは、現行法の枠の中でも国有地、公有地の問題について、地価高騰についでこれが一つ要因になっているわけなんで、ここにメスを入れる必要があるのではないかということです。  内容といたしまして、監視区域国公有地の売却について都道府県知事の協議を義務づけるということ、知事は協議に際して関係市町村長、東京特別区長及び土地利用審査会の意見を聞かなければならないという趣旨の内容でありますけれども、先ほど中村議員の質問で、出席されました天野建設大臣も、この法案議員立法でつくるときに国有地、公有地の問題に網をかぶせるのをやらなかったという問題について反省的に発言もされていたわけですけれども、最近の地価高騰の例で国公有地地価高騰に拍車をかけている例が各所にあるわけですね。  二、三、例を挙げますと、興和不動産が国鉄の品川駅貨物跡地、細かい中身は省略しますけれども、この売却で見ますと、報道ですが、周辺地価の約四倍と報道されています。大京観光が千代田区の旧司法研修所跡地を落札したので見ますと、これは周辺公示価格の約二・八倍になっています。新光産業が九段の国鉄宿舎跡地で落札したのを見ますと、近接基準地価の三倍と報道されていたわけですし、最近では六十二年の三月、国鉄蒲田駅構内の跡地が公示地価の三・五倍ということになっていますから、これが周辺の高騰の要因にもなっていると思うのですね。  この国公有地の売却についての規制措置が必要だと考えますけれども、この問題について大臣のお考えを聞いて、質問を終わりたいと思います。
  108. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今回の国土利用計画法改正の中にも、国等土地を売却するときには地価の適正な形成が図られるように配慮をするという規定が入っておりますが、これは法律改正のみならず、こういう今後の国公有地処分に当たりましては、地価対策関係閣僚会議等におきましても十分協議をしていくということでございます。
  109. 中路雅弘

    中路委員 終わります。
  110. 村岡兼造

    村岡委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  111. 村岡兼造

    村岡委員長 この際、本案に対し、中路雅弘君から修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。中路雅弘君。     ―――――――――――――  国土利用計画法の一部を改正する法律案に対す   る修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  112. 中路雅弘

    中路委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、国土利用計画法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由を説明いたします。  案文はお手元に配付してございますので、朗読を省略させていただきます。  最近の東京都を初めとする大都市部における地価高騰は異常であり、まさに狂乱地価と言うべきものであります。また、このような事態は、住宅、公園、下水道など国民本位の内需拡大を進める上でも大変な障害となるものであります。さらに地価高騰の著しい東京都心部の住民は、過重な固定資産税、相続税の負担にたえ切れず、住みなれた町を追い出され、人口が急減し、人間が住めない町が急速に広がっています。  地価高騰対策は現下の緊急政治課題であります。  我が党は、既に四月二十一日、七項目の緊急対策国土庁長官に申し入れましたが、その対策の実施を改めて強く要求するものであります。  原案は、地価上昇の激しい地域について、監視区域指定し、土地取引届け出対象面積の下限を土地利用審査会や関係市町村の意見を聞いて引き下げることができることを内容としたものであり、現行国土利用計画法の枠の中では一定地価抑制効果が期待できるものであると考えるものであります。  ところが、地価高騰の重要な要因となっている国公有地の競争入札による売却については、適正な地価形成が図られるよう配慮するものとするという内容にとどまり、極めて不十分なものであります。  修正案は、こういう点を改めて、国公有地の民間への売却について一定規制を加えるものであります。  修正案の内容の第一は、監視区域内の国公有地の売却について関係知事との協議を義務づけることにしたことであります。  第二は、知事は協議に際し、土地利用審査会、関係市町村長の意見を聞くものとすることといたしました。  国民の貴重な財産である国公有地の売却は、払い下げによる場合でも国民本位に利用すべきであると考えるからであります。  以上が修正案の概要であります。  委員各位の御賛同をお願いいたしまして、提案理由の説明を終わります。
  113. 村岡兼造

    村岡委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  114. 村岡兼造

    村岡委員長 これより本案及びこれに対する修正案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  国土利用計画法の一部を改正する法律案及び中路雅弘提出の修正案について採決いたします。  まず、中路雅弘提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  115. 村岡兼造

    村岡委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。  次に、原案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  116. 村岡兼造

    村岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  117. 村岡兼造

    村岡委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、森田一君外三名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。森田一君。
  118. 森田一

    ○森田(一)委員 ただいま議題となりました国土利用計画法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     国土利用計画法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 国土利用計画法制定の主旨と経緯にかんがみ、引き続き国土利用計画法の的確、厳正な運用に努めるとともに、今後とも規制区域制度を含む国土利用計画法制度のあり方について、社会経済情勢の変化を踏まえて必要な検討を行うよう努めること。  一 監視区域制度の運用においては、地方公共団体事務の増大に的確に対処するため必要な措置について配慮すること。  一 国公有地等は国民共有の財産であり、その利用・処分については、地域土地利用計画等に関する地方公共団体の意向を十分に尊重するとともに、民間への払下げに当たっては、転売禁止等必要な条件を付し、周辺の地価への悪影響をもたらさないよう配慮すること。  一 土地取引価格の適正化を図るため、地価公示制度の的確な運用と活用をすすめること。  一 地価高騰を抑制するためには総合的な対策が必要であり、国土の適正かつ合理的な利用を確保するため、今後とも土地利用制度土地税制等関連諸制度全般について早急に検討すること。  一 高齢化社会の到来に対応しつつ、都市環境の保全と都市住民の住宅を確保するため、都心における居住機能及び業務機能の適正な配置のあり方について必要な検討を行うよう努めること。  一 東京都心部におけるオフィス床の需給見通しを的確に把握し、新規業務拠点の育成を図るとともに、諸機能の分散立地を推進し、多核多圏域型構造への誘導に配慮すること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  119. 村岡兼造

    村岡委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  120. 村岡兼造

    村岡委員長 起立多数。よって、森田一君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、国土庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。綿貫国土庁長官
  121. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 国土利用計画法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会において熱心な御審議の上、ただいま全会一致をもって議決され、深く感謝申し上げます。  審議中におきます委員各位の御意見やただいま議決になりました附帯決議の趣旨は十分に体してまいる所存でございます。  本法案審議に対し、委員長初め委員各位から賜りました御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表してごあいさつといたします。ありがとうございました、     ―――――――――――――
  122. 村岡兼造

    村岡委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 村岡兼造

    村岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  124. 村岡兼造

    村岡委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十三分休憩      ――――◇―――――     午後一時十九分開議
  125. 村岡兼造

    村岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出建築基準法の一部を改正する法律案及び建設業法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂上富男君。
  126. 坂上富男

    ○坂上委員 まず、建築基準法改正に関連をいなしまして質問を申し上げたいと思います。  具体的な実例でございますが、世田谷区奥沢二の三十七の十六にメゾン自由ケ丘マンションというのがあります。このマンションのことにつきまして五月十七日、日曜日の毎日新聞朝刊に次のような表題で記載があります。「地価狂騰 いさかい東京」と題しまして、「ちょっと身勝手?屋上拝借」「マンション住人、部屋増築」「空間を有効利用」「隣人猛反発、訴訟」こういう記載で大きく出ておるわけでございますが、この要旨によりますと、私もまだ現地を調査してなくていろいろの関係者のお話を聞いた上での質問でございますが、結局のところ共有部分に当たる屋上に自分が勝手に自分の建物を建築した、こういうわけでございます。言葉としては部屋の増築というふうになっておりますが、共有地上、共有物件上に自分の建物を建築した、こういうことになるわけであります。  そこで、その面積は約四十平方メートルで、いっぱいに鉄骨を上げて工事をなさっておる。そのようなことから下の人たちに雨漏りがしたりあるいはひびが入ったり騒音が起きたりして、被害が続出をしておるという状況であるそうです。そこでこれについて住民の人が世田谷区に陳情したようでございますが、そういうような状況下にあるものなのであります。  そこで、まず警察庁にお聞きをしたいのでありますが、このような不法な同意を得ない建築は、まさに不動産の侵奪罪でございましたか、それから建造物損壊並びに住居侵入罪に該当するのではなかろうかと思っておりますが、警察庁が把握なさっている範囲につきまして、この実態と法の適用についてお聞きをいたしまして、これからの警察の処置についてもお聞きをいたしたいと思います。
  127. 古川定昭

    ○古川説明員 お尋ねの件につきましては私ども新聞等で承知しておる限りでございまして、現時点では事件という観点から警察として事実関係の把握はしておりません。したがいまして、ただいまお話のありましたような罪名に触れるかどうかという点についての御答弁はちょっと今ここでは申し上げにくいところでございます。  それからなお、この事案について、記事で拝見する限りでございますが、果たして警察が事件として乗り出すべき事案であるかどうかという点につきましては少々確信がまだ持てない感じがいたしまして、むしろやや民事的紛争の色彩の方が強いものではないかと考えておりますが、今後成り行きを関心を持って見守ってまいりたいというふうに考えております。
  128. 坂上富男

    ○坂上委員 また後で質問します。  また、これに対しましては建築基準法の第九条の是正命令が出せるのじゃなかろうかと思っておるわけでございます。それから、これに対しまして代執行がなされてもいいのではなかろうか、こう思いますが、本件について建設省の方に善処方を要請しておったわけでありますが、現在のところこれに対する処置と解決がどのような方向に行っておるか、お聞かせをいただきたいと思っております。
  129. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 御指摘のございましたメゾン自由ケ丘の増築の問題でありますけれども、この件は四階の屋上共有部分に無確認で延べ約百二十平方メートル程度の増築工事を行おうとしているものでありまして、確認申請の手続がとられておりませんので、まず手続違反であります。  さらに、本件の増築工事でありますが、増築をなされる既存の建築物につきまして、その後用途地域の変更がございましてこの建物自体が既存不適格にまずなるわけでございます。現在の建物は違法ではございませんけれども、その後の地域変更によりまして既存不適格となりますので、そこに増築をするということになりますと容積率制限の規定に違反する場合がこれはまず極めて濃厚であろうかと思いますが、現在、世田谷区におきましてこれは調査中でございまして、本日さらに事情聴取をするということになっております。  なお、世田谷区におきましては、これを知りまして後即座に、五月十一日でしたか、工事の停止を指示いたしまして、現在工事はストップをしている、こういうことであります。  なお、違反建築物について申し上げますれば、基準法の第九条の規定によりまして、その状況でありますとか必要に応じまして工事施工停止でありますとか使用禁止でありますとか除却等、そういう違反を是正するための措置を命ずることができることになっております。
  130. 坂上富男

    ○坂上委員 警察庁に申し上げますが、私は、具体的な事実を申し上げまして、その事実にこの法律を適用するとこういう条文の構成要件に該当するのじゃないか、こういう質問をしているのです。実態を調べた結果はどうかという質問じゃないのです。それはもう、きのうきょうの状況であるものだから警察庁の方は調査ができないという報告、さっきお聞きいたしたからいいのです。私が申し上げた共有部分に無断で建物を建てるというのは、不動産侵奪罪に当たらぬか、こう言っているわけです。人の建物の上に勝手に自分が建物を建てて、穴があいて水漏れがするというようなことについては建造物損壊罪に当たらぬか、こう言っているわけです。それから、他人の占有状態にあるものを、一部は自分も持ち分によってありますけれども、排他的に排除することについては建造物侵入あるいは住居侵入に当たらぬか、こういう質問なのでございます。あなたたちが調査しないことぐらいわかっているのです。今言ったような事実を刑法の構成要件に当てはめてみると、今言った三つに当たるのではなかろうか、こう言っているわけです。警察庁、私たちがちょっと建物にばんとポスター、ビラを張りますと建造物損壊罪と言ってあなたたちやるんだ。こういうものについてはどうか、こう聞いているわけです。
  131. 古川定昭

    ○古川説明員 警察といたしましてその事実関係の把握をしていないということを前提にしての御説明といいますか御答弁でございますが、不動産侵奪につきましては、先生御承知のとおり、何らの権限なく不法領得の意思をもって他人の占有している不動産に建物を建設するなどしてその占有を排除し自己または第三者の占有に移せば不動産侵奪罪は成立すると言われておりますが、この場合は何らの権限なくという点が果たしてどうだろうかということが一つあろうかと思います。共有といいますか、その記事によりますとAなる人物が全く権限がないということであるのかどうかという点につきましては、一つの事実関係として問題になる点ではないかと思いますし、建造物損壊あるいはおっしゃいましたほかの罪名につきましても、ゆえなくとか、あるいはその他の条文の構成要件上、事実関係との照合によりまして、私どもとしまして現時点では積極的にそれがなるかならないか、あるいは確信をもってならないというような御答弁がこの場ではちょっといたしかねるということでございます。
  132. 坂上富男

    ○坂上委員 私は、こういう場合どうかという私の前提があるのです。この前提に構成要件が当てはまるかどうか、これを聞いているのです。しかも、共有物件を排他的に排除すれば、これはもうそこに侵奪ということがあるのじゃないですか。自分で権限があるというのは何分の一の権限なのですよ。何分の一の権限が全体を支配することができるか、こういうことなのです。刑法の講義ではありませんので、これ以上議論したって始まりませんから、ひとつよく実態を調べていただきたい。  なぜこういうことが問題になるかといいますと、午前中にありましたように、地上げ、不当な行為、そういうものが東京に横行しておって、こういうのは結構頻繁に起きています。こういうものを民事問題だといって解決しないでいる。さっき本会議場で国土利用法を通してまいりましたが、そういうふうに我々は地価の抑制ということについて大変心配をしているわけです。しかもまだ、こういうことを民事だ、民事だといって逃げていたのでは何にもならない、こう言っているわけであります。ひとつきちっと情勢を把握していただきまして――一々これを裁判に出して裁判所で仮処分してもらう、これにはもう何百万の保証金を積まなければならぬ。この裁判だったら何年もかかるのであります。こういうような犯罪行為はひとつきちっと調べてもらわなければいかぬと私は実は思っているわけであります。どうぞひとつ警察庁の方もこの事件に注目していただきまして、捜査に乗り出していただきますことを期待いたします。こういうもの全体を調べてみると、これに類似したものは相当あるのです。どうぞひとつお願いをしたいと思っております。  これはまたぜひ大臣にお願いをしたいことでございますが、今度、住宅にも身障者のためのエレベーターの設置が許されるということが報じられていますが、大変結構なことであります。  三つの質問をします。その法的な根拠はこういう場合はどこから来ているのか。二番目に、エレベーターを許す場合の条件、せっかく身障者のためだ、こう言っておるわけでありますから、これに対してひとつ大臣、三番目でございますが、財政的な援助あるいは財政的な補助。今お伺いしますと、大臣も何か足が御不自由だそうでございまして、まさにこういう歩けない人たちのためのエレベーターを家庭の中に入れようということなのでございます。そんなような意味で、せっかく許可になっても、エレベーターをつけられる人というのは相当の人なのです。我々はそうなった場合なかなかつけられません。これについては財政的な援助というのが必要なのだろうと思います。  きょうは厚生省から来てもらおうと思ったのですが。今突然に言ったって厚生省は目を丸まっこくするだけでございますから、まず建設省の方でこれに対する態度をきちっと固めていただきまして、本当に、ただ許すだけではなくして、そういう福祉の面から強い処置をひとつしていただきたいな、こう思っておるわけでございますから、三点にお答えいただきまして、最後の点、財政援助をひとつ大臣からの御答弁をいただきたいと思っております。
  133. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 まず第一点の法的根拠のお尋ねでございますが、エレベーターにつきましては、その安全性を確保するという観点から建築基準法並びに施行令におきまして設置する場合の基準を定めております。設置します場合はその基準に従って設置する、そういう規制であります。  しかしながら、この基準自身は事務所ビルでありますとか共同住宅を想定いたしましたものでありまして、これを一戸の個人住宅の中に個人用エレベーターとして設置いたします場合は性能が過大となってしまうわけでありまして、今回は、そういうホームエレベーターとしまして、性能過大でない適正なエレベーターをホームエレベーターとして普及していくという観点で新たに基準をつくったところであります。  そのエレベーターの条件というお尋ねでありますが、まずホームエレベーターにつきましては、一戸の住宅内に設置されるということから定格速度を毎分十二メートル以下、通常のエレベーターですと速度の制限というものは設けておりませんで、速度に応じまして安全性を確保する、こういう規定になっております。したがいまして、例えば通常のビルの場合ですと毎分四十五メートルから九十メートル、サンシャインの場合、高速のものは毎分六百メートルというのもあるわけでありますけれども、それはそういうスピードに応じまして安全性をしっかり確保しなさい、こういうことになっております、ホームエレベーターにつきましては、特にスピードの制限を設けることによりまして、定格速度毎分十二メートル以下、かごの面積は一・一平方メートル以下、これも、大きなボリュームになった場合に、一戸の住宅の中でのいろいろな安全性を考慮しまして制限を課し、かつ昇降の高低、上下の高低を十メートル以下、積載荷重を二百キログラム以下、定員は三名以下という垂直式昇降機ということで、なお、安全装置としましてそのほかにドアスイッチでありますとか緩衝器等を設ける、こういうことにいたしております。
  134. 天野光晴

    天野国務大臣 私は初めてなものだから、先ほど事務所で打ち合わせをしてきたのですが、助成の措置が仮にあるとすれば厚生省です。私の方では全然考えておりません。  融資等の条件の中にはこれもプラスできるようにはなっているようです。
  135. 坂上富男

    ○坂上委員 これから仕事が始まるわけでございますから、こういうものはやはり本当に体の御不自由な方に対する一つの前進の施策だろう、こう思っておりますので、ひとつ融資あるいは補助、こういうものは政府の立場ということで期待をしたい、こう思っております。それだけお願いをいたしておきます。  さて今度は、木造建築に対しまして三階建ての建物が建てられるということでありまして、これはまた大変よろしいことだろう、こう思っておるわけであります。そこで、私はこの部分について少し質問をさせていただきます。  まず第一に法二十一条、これは「大規模の建築物の主要構造部」でございます。それから法の六十二条「準防火地域内の建築物」でございます。この二つの条文の中には安全上、防火上必要な技術基準、これを政令で定める、こう書いてあるわけでおります、準防火の中には安全とは書いてありませんけれども。この技術基準とは一体どういうものを指すのか、そして、これを政令で定められるのでございますが、大体どんなことを定めようとしているのか、お聞きをしたいわけであります。
  136. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 まず法第二十一条の大規模建築物に係ります安全上の基準でございますけれども、まず火災、地震等によります倒壊防止、こういう観点から柱、はり等の骨組みに大断面集成材を用いること、二番目としまして二階床等を防火構造とすること、三番目としまして壁及び天井について所要の内装制限をすることなどを定めることとしております。  それから法第六十二条、準防火の方の関係の政令の内容でありますけれども、これは火災時の延焼防止を図る、こういう観点から、まず外壁を防火構造とし、屋内側からの加熱に対しても防火上有効な、例えば燃え抜け用防止装置というようなものを設ける、それから外壁に設ける開口部について隣地境界線等から距離に応じた制限を何らか課すこと、三番目としまして軒裏を防火構造とすること、四番目としまして床、屋根等に防火上有効な燃え抜けどめを設けることを考えております。
  137. 坂上富男

    ○坂上委員 例えば木造三階建てに防火用としてコンクリートづくりの外壁をつくるということになりますと、三階ということになりますと九メーター以上。このセメントの外壁は大体一メーターぐらいの基礎といいますか下部が必要だそうでございますが、セメントの厚さ一メーターで天井まで持っていくということになりますと、これは実務上容易でないそうです。したがいまして、セメントづくりということは実務上どうも不可能になるんじゃなかろうか。耐火構造ということで政令の中でやるべきなんじゃなかろうか。セメントなどというような条件がづけられると、これはとてもじゃないが不可能である、こういう話を聞くわけでございます。これについて一点。  それから、外壁だけを防火建築にすべきでありまして、軸組みのうち柱とかはりは除くべきでなかろうか、こう思っておるわけです。そうでないと三階木造を認めた意味がなくなる。はりとか柱も木造以外のものというようなことになりますと、木造たる意味がなくなるんじゃなかろうか、こう言われておるわけであります。この二点について。
  138. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 まず第一点の大規模建築物の場合の外壁の問題でありますけれども、今回九メートル、十三メートルの制限を外すという趣旨は、軸組みなどに大断面集成材、これは木材でできているわけですが、そういうものを使った場合で必要な防火措置を講じた場合について制限を外すということでありますので、まず主要な構造となるところは木であります。その場合の外壁の防火等の必要な措置と申しますのは、御指摘のありましたような大変厚い防火措置というか防火物というか、そういうものを想定しているわけではございませんで、通常考えられております実用性のありますそういう構法を採用してきてやる、こういうことでございます。ですから、下部におきまして一メートル幅になるようなものは想定しておりません。  それから次に、準防火の方の場合については、これも木造の振興ということもございまして、そして必要な防火性能を持ったものを普及するという観点での措置でございますので、柱、はり、そういうものの本体は木材でございます。そこに例えば通常の外壁防火構造と申しました場合については、通常のよく普及されておりますモルタル塗り、あるいは内壁からの過熱の防止対策としましては、これもよく普及されて単価も低い耐火ボードを張るとか、そういうような非常に普及されていて実用性のあるものを使うことを想定した基準といたしたいと考えております。
  139. 坂上富男

    ○坂上委員 まだ政令ができていないんだろうと思うのですが、あるいは用意してあるのでしょうか、それもまず一点。  本来確かに建築基準法等でいいものはつくっていただくのですが、私たちもそれ以下のことは細目についてなかなかわからぬわけです。今度はもう細目は政令で決められるものでありまするから、実務になりますとせっかくの本文が政令によって骨抜きにされる、こういうようなのがどうも業界の実情のようでございまして、そういう声が私のところによく耳に入ってくるわけです。したがいまして、これは一般的な要請でございますが、政令で法の本文を骨抜きにするようなことのないようにひとつお願いをしたいと思います。そのことのために、ぜひともこの法案改正に際しまして、いわば政令の策定に当たっては建築あるいは設計等の団体の代表の方から御意見を聞いていただきまして、本当に実務上の実態に合ったような政令をつくっていただくようにひとつお願いしたい、こう思っておるわけであります。  と申し上げまするのは、一つ例を申し上げますと、いやそれも必要なんだとおっしゃるかもしれませんが、例えば雪国ではこういうことが起きております。法の三十六条、これは「この章の規定を実施し、又は補足するため必要な技術的基準」についてという条文でございます。この施行令百十四条第二項は、防火上主要な間仕切り壁については、三室以下かつ百平米以下については間仕切り壁をつくることになっておる、こういうことです。これを実際にやってみますと、上は雪で屋根が覆われているものだから冷たいわけです。下は暖房で暖かくするものでございますから物すごく暖かい空気が上に上がるわけです。冷たいのと暖かいのがぶつかりまして天井裏は湿気だらけになっておりまして、材木、建築物が耐用年数の半分ももたないというのがどうも実態なんでございます。確かに防火上そういうふうに部屋ごとに間仕切り壁をつくらなければ危険なんだ、こういうことでありまするが、実際上、民宿をしておる人たちはそんなことで非常に困っておるわけでございまして、通風という概念もこの中にやはり入れていただかなければならないのじゃなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。  事のついでに、せがいづくりというつくりが田舎の方でそろそろ普及し出しておるわけです。この建築物については外壁防火構造でつくられるようにしていただきたいというのがいわば雪国の建築士さんたちの意見なんでございます。  今言った三点、ひとつ御答弁を賜りたいと思います。
  140. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 まず第一点の基準作成に当たっての御注意でございますが、今回の基準は実用性を十分考慮し、また施工性も配慮してつくることといたしておりますので、そういう施行令に至った段階でもわかりやすくかつ合理的な必要最小限のものにとどめたいと考えております。また、その実用性、施工性を配慮するということでありますので、当然それらを専門といたします団体の方々の御意見は十分拝聴いたしまして反映させたいと考えております。  その次に、法三十六条に根拠を置きます施行令百十四条の二の小屋裏または天井裏の間仕切りの壁を耐火構造または防火構造にしなければいけないという規定でありますけれども、これはそもそもの規定の趣旨としましては、病院でありますとかホテルあるいは学校等多数の方々が利用される施設におきまして、急激な火災の拡大を防ぐという観点から小屋裏のところに至るまでも防火構造または耐火構造という規定を設けているわけでありまして、このこと自体は必要だと考えております。しかし、この基準を具体的な基準としまして現在使っておりますのが、三室あるいは百平米以下の場合についてそれごとに間仕切りを立ち上げなさい、こういう規定になっておりまして、この基準を設けました経緯といたしましては、ニュージャパンの火災が起きまして、その際天井裏の隔壁等が非常に不十分であったために急激にバースト状に火が広がった、こういうこともありましたので、従来そのあたりの扱いが各特定行政庁でばらばらでございまして、これではいかぬということでもって、その際にきちんとした客観的な基準をつくった、こういうことでこういう基準がつくられたわけであります。  しかしながら、御意見にありましたように、三室以下という基準につきまして、基準を設定いたしましたときに想定してない使い方というのが出てまいりまして、若干実態と合わない点が出かかっております。したがいまして、この百平米という基準自体は防火上必要最小限の規定でありますのでこれを変えるわけにはまいりませんが、三室についてはその状況をもう少し調べまして、必要に応じまして検討を加えていきたいと考えております。  それから、最後のお尋ねのせがいづくりにつきましては、雪国の特別な事情ということで、雪対策という観点から特別の工法を行うために建物の高さが高くなってしまう、軒を大きく出すためにいろいろと中間にはりを設けるとかそういう特殊なことを行いますために背が高くなるということで、現行の規定の軒高力メートルに抵触してしまう、こういうことがあるわけでありますが、この点につきましては、そのせがいづくりの構造耐力性能でありますとか防火性能、こういうものを十分調査検討いたしました上で建築基準法の取り扱いを考えてまいりたいと考えます。
  141. 坂上富男

    ○坂上委員 時間がありませんので、また時間が余りましたら建築基準法をもっと質問したいと思います。  今度は建設業法をひとつ。  営業所ごとの専任技術者や工事現場に置く監理技術者となる資格者から、今回の改正は二級建築士を排除というような結果になるわけでございます。私の新潟県の場合を調べてみましたら、建築士四千六百人いるうち一級建築士が八百人、二級建築士が三千八百人という状況でございます。経過措置その他で大変な御配慮をするんだとおっしゃっておるわけでございますが、二級建築士に対する既存の地位あるいは処遇が悪くならないようにと大変心配しておるわけでありますが、もう少しこれに関連する対策をお答えいただきたいと思います。
  142. 牧野徹

    ○牧野政府委員 今回の改正に伴って二級建築士がどういうふうなことになるかというお尋ねでございますが、まず大前提として、先生よく御承知のように、建築士法で一級建築士と二級建築士の間では可能な業務範囲というのがまず違っておる、そういう前提もございます。それを受けて、私ども建設業法で特定建設業の技術者として認定いたします場合でも、現行法で一級建築士であればそのままでございますが、二級建築士の場合にはその資格の上にさらに付加された要件として三千万円以上の工事について二年以上指導監督的な実務経験を持っていること、こういう付加条件を付して初めて同じという扱いに現行法上なっておるわけであります。  ところで、もう少し具体的にどうなるかということを見てまいりますと、建築士の方が技術者として認められます建設業の業種というのは、二十八の中で五つございます。建築工事業、大工工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、内装仕上工事業の五つございます。今回の改正は、そのうちで特に技術が総合的かつ高度な内容を持つと思われます建築工事業ただ一つについてやるわけでございます。この場合には非常に総合的、高度な内容を持っておりますので、実務経験の付加要件だけでは必ずしも十分な技術水準があるとは認めがたいので、一級建築士に限った。つまり、残りの四つは全く手を触れない、従来どおりということでございます。  それから、さらにこれは実質的なお話になりますが、特定建設業というのは二千万円以下を下請に出すということでございますが、この金額の引き上げを現在検討中でございます。これは実はどうなるかといいますと、それを引き上げますれば一般建設業のままでできる範囲が非常に広がるわけでございます。  以上申し上げましたようなことをもろもろ総合すれば、二級建築士が従事可能であった建設業法上の施工管理の範囲が今回の改正で大幅に縮められるというふうなことにはならないと考えております。  さらにもう一つ先生の御質問の中にもございましたが、この法律は四十六年のときもそうでございましたが、もし成立させていただきますと公布の日から一年後に施行する。まず一年。さらに施行の日から二年間は全く従来どおり。つまり、長く見れば三年、少なくとも施行後二年間にいろいろ御努力いただいて一級の国家資格を取るようにしていただきたいと思いますが、いろいろな御事情で一級建築士に合格しないということも考えられる。その場合には、二級建築士の方が、もちろん誠実にお仕事をしていただいているということが条件ですが、現実に今のその方が特定建設業の資格者として認められる方については大臣の認定という条項がございますので、そういうもので個別認定をして、現在お持ちになっている地位は失われることのないように十分配慮していきたいと考えております。
  143. 坂上富男

    ○坂上委員 建築士という一つの資格でございますから、現在の人はそういうふうな配慮をするけれどももうこれからの人については二級建築士の資格を取っても今おっしゃるような対象にはどうもならないということにもなるわけでございますが、これは私もまだよくは詰めてなかったのでありますけれども、少し主客転倒しているのじゃなかろうか。というのは、資格でございますから、資格者ができる仕事の範囲というのは法律できちっと決まるわけでございますから、そういう資格とか地位を業務の内容によって動かすというところはどうも私はまだ腑に落ちない部分があるわけでございます。  と申し上げますのは、沖縄弁護士という制度があったのでございますが、この人たちについては時限立法で、もう独立国になったものだから、一定期間までに試験を通らなければ一定期間までしかこれを認めませんといって資格を剥奪したようなことがありまして、僕らの方で大論議して、私はそれは一生認めるべきだと主張したわけでございますが、その後どうなったかちょっと忘れましたが、どうもそんなことに通ずるようでございますので、しかし私はそれ以上突っ込むだけの勉強をしておりませんので、ぜひ資格なんだということを頭の中に置いていただきまして、既得権のある人については完全な保護を将来ともに与えていただきたいし、これから資格を取る人については、これはだめというようなことになると資格の内容が変わってしまうのじゃなかろうかというふうな感じもしておるわけでございますから、その辺不公平のないようにお願いしたいと思っております。これは要望だけにしておきます。  その次に、時間がありませんからまとめて聞きますが、指定試験機関制度導入ということが行われておりますが、これの具体的な内容についてお聞きしたいのであります。  もう一つは、経営事項審査の経営状況分析、これはどういう機関がなされる予定なのか、この二点をお聞きしたいのであります。
  144. 牧野徹

    ○牧野政府委員 まず指定試験機関制度導入でございますが、これは現在法律に基づきまして建設大臣が五つの種目、すなわち建設機械施工、土木施工管理、管工事施工管理、造園施工管理、建築施工管理の五種目について技術検定試験を行っておりますが、そのうち建設省がみずから行っておりますのは土木、造園の一級の実地試験、あとはすべて外部機関が行います。しっかりした機関でございますが、この機関の行います試験の合格者について、その申請によって技術検定試験の一部または全部を免除するという方法でやっております。今回は、一級の技術検定の合格者につきましてこれを特定建設業の専任技術者として法律上明示するということに伴いまして、現に試験を行っておる機関法律上の指定機関として明確に位置づけると同時に、一層適正な試験の実施を担保する必要があると考えまして、この指定試験機関制度を導入いたしました。  御承知のように、この指定機関制度というのは五十八年の臨時行政調査会の最終答申にもございまして、試験事務等はなるべく民間機関へ委譲しろというふうなことでございます。私どもの省でも早いところでは建築士法なり宅地建物取引業法等においてはそれぞれずっとやってきておりますが、私のところは、こう言っては何ですが、おくればせながらといいますか、幸い今回法律改正をお願いしておりますので、今回の全体の中で措置していただきたいと考えておるものでございます。  それから、経営事項審査の経営状況分析をどのような機関が行うのかということでございますが、これは法律にもございますが、公正中立で専門的な審査能力を備えた第三者機関ということでございまして、法律上も経営状況分析の適正かつ確実な実施ができるということと、民法三十四条法人である、いわゆる公益法人であるということが指定基準として定められております。具体的な機関については今のところ未定でございます。  いずれにしても、建設大臣指定をいたしましたならば、新たに今回の改正案の中でも監督命令する条項あるいは秘密を厳に保持する義務等が決められておりますので、十分に公正中立の確保を図りながら進めたいというふうに考えております。
  145. 坂上富男

    ○坂上委員 時間がありませんが、ちょっと急がせていただきます。  建設工事紛争審査会の紛争の取り扱いでございますが、これはあっせん、調停、仲裁、特にこの仲裁については建築の請負契約の中に判を押して、お互いに紛争が起きた場合仲裁に仰ぐことができると書いてあるから、仲裁というまさに大変な条文があるわけでございます。  こういうものがあるにかかわらず、統計を調べてみますると、中央と地方を合算いたしましても六十年は四百七十八件しかないのですね。私たち耳にするのは、大変な紛争がいっぱいあるわけであります。雨漏りがして直してくれないとか、いろいろ工事をしたけれども、思うようにいかなかったとか、いろいろのお話をよく聞くわけであります。これはこんな程度しか全国で生かされないというのは大変残念なことだと思うわけであります。やはりこういうように、今申し上げました三つのことも、ともに余り国民のものになっていないんじゃなかろうか。確かに、つくるのはいいんでございます。しかもこれだけの非常に画期的なものがつくられているんでありますが、国民が利用しない、こういうことは一体どういうことなんだろうか。私は、やはり一つは建設行政においてPRが足りないんじゃなかろうか。まずそれが一つであります。  それから、審査会に対する信頼、こんなもの、向こうへ行くよりも裁判所へ行った方が手っ取り早いや、こういうような状況、あるいはここへ行っても業者本位なんだ、こういうようなこと、そんなようないろいろのことが重なって思うようにいかないんじゃなかろうか。こういうのは迅速に処理をいただけるのか。どうも見てみますると、やはり一年くらいかかっているようでございます。そうだといたしますと、これでは役に立たないんじゃなかろうか、こう思っておるのですが、これ、ひとつ御見解を承りたいのであります。  大臣、大変恐縮でございますが、最後でございますので、ひとつお聞きをしたいのです。  建築工事について暴力団が大変介入している、こういうお話をよく耳にするわけでございます。建設省との程度把握をなさっているか、これに対する対応をどうしているのか、ひとつお聞きをしたい、こう思っております。  いま一つでございます。ちょっと建築基準法にかかわることですが、民法の例えば相隣関係建築基準法関係。これは一体、一般法対特別法の関係に立つのか、あるいはお互いに並列なのか。判例が相反しているようでございますが、建設省の態度はどうなのか。特にこの問題は建築基準法の六十五条と五十四条にかかわる問題でもあるわけでございますが、もう時間ありませんから、一言ずつで結構でございます。     〔委員長退席、野中(広)委員長代理着席〕
  146. 牧野徹

    ○牧野政府委員 なかなかちょっと一言ではお答えしにくいのですが、まず紛争審査会でございますが、先生御指摘のような取扱件数でございます。ただ、十年前に比べますと三倍近くにふえているということもございますので、PR不足という点は私どもも場合によれば謙虚に受け入れてどんどんお使いいただくようにしたいと思いますが、傾向的に見れば非常に件数は上がっておりますということと、もう一つ実は、紛争審査会に至る前に、私どもの担当部局で、建設省や都道府県の窓口レベルで紛争相談を相当数、これはもう千のオーダーでやっておりますので、この相談の結果、事実上解決に結びついているというふうなことも御説明につけ加えさせていただきたいと思います。  いずれにしても、信頼がないということはなくて、私どもの認識では、むしろ技術的なことについては、裁判所のことを云々するわけではございませんが、非常に信頼を得ておりますし、それからちょっとございました、業者本位だから何だからということは、この紛争審査会の委員に関しては断じてないというふうに断言できると思います。  それから暴力団の関係でございますが、私ども通達を出しておりますのでお答え申し上げますが、確かに大きな問題になっていることは私どもも承知しております。これに対しまして、昨年来全国建設業協会あるいは各都道府県内にあります業界団体で、暴力団排除決議や連絡協議会の結成が進んでおります。そこで昨年十二月、警察庁の方とも十分御相談をした上で、各都道府県知事及び主要発注機関などに対しまして暴力団排除の徹底に関する通達というものをお出ししました。これは、例えば暴力団構成員に建設業の許可を与えないとか、公共工事から暴力団の経営する業者は排除するとか、もし工事妨害を受けた場合には警察に被害届を出させた上で工程の調整を行うとか、もろもろの内容を持った通達を出しております。これのみにかかわらず、今後とも関係省庁地方公共団体と連携しながら暴力団排除に努めてまいりたいと考えております。
  147. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 建築基準法の第六十五条は民法第二百二十四条第一項の特則と建設省は考えております。それから五十四条は民法と同様に両方が適用される、こういうふうに考えております。
  148. 坂上富男

    ○坂上委員 大臣、いいですか。――では、終わります。ありがとうございました。
  149. 野中広務

    ○野中(広)委員長代理 三野優美君。
  150. 三野優美

    ○三野委員 建築基準法について、まず建設大臣にお尋ねをしておきたいと思います。  今回の改正一つには、木造建築に対する技術の進歩、そして国内における木材需要の低迷による日本の森林経営の悪化に対する木造建築の推進、これを目指したものの改正と見ていいのだろうと思いますが、これが第一点。それから二つ目は、東京を初め大都市における土地不足に対応して、主として都市における建築基準の見直しによって建ぺい率の増加を目指す。また建築技術の向上によって建築物の利便性を目指したものが改正の主な点だと思うのでありますが、そうでよろしゅうございますか。
  151. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 今回の木造に関します制限の合理化は、第一は木造に関します技術開発が相当進んできたということ、それからまた背景に木造の住宅の振興等もありまして、それに基づきまして規定の改正に取り組んだところでございます。  その内容といたしましては、容積率の合理的見直しの結果、結果としては緩和につながるということも内容になっております。
  152. 三野優美

    ○三野委員 日本の住宅は、先進国の指導者からしばしば言われているのでありますが、庶民の住宅というのはまさにウサギ小屋だ、こう酷評されたこともあるのでございますが、アメリカ及びヨーロッパなど先進国から見て、我が国の住宅が二十一世紀に実現すべき目標、これは例えば一戸当たり五人なり七人の家族であった場合、部屋数にして大体どのぐらいを目指すのか、そして建築物の延べ面積はどのくらいが必要とお考えになっておられるのか、またそれにふさわしい環境に恵まれた宅地面積というのは一体どのくらいが適当であり、それを目標にしているのか、この点をお尋ねしておきたいのであります。  また、この際、都市部における宅地面積と郊外、田園地帯における面積とはおのずから異なるのではないかと思いますが、そこらの目標、基準というのは一体どこに置いているのか、お尋ねしておきたいと思います。
  153. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 我が国の住宅水準が欧米に比べましてまだまだ低いというのは御指摘のとおりでありまして、この改善を目指しますために第五期の住宅建設五カ年計画、これは六十一年度から始まっております五カ年のものでありますけれども、その中に従来の最低居住水準に加えまして新たに誘導居住水準というのを設定いたしまして、その実現に今歩んでいるところでございます。  この内容といたしましては、西暦二〇〇〇年を目指しまして、その時点におきまして我が国の住宅の半数がその誘導居住水準を満たすことを目標にするということであります。具体的な内容といたしましては、これは共同住宅型と戸建て住宅型に分かれますけれども、共同住宅型の場合につきましては四人世帯の標準世帯で九十一平方メートル、この場合の室構成としましては三LDK、それから一戸建ての住宅につきましては標準世帯の四人の場合で百二十三平方メートルでありまして、この場合の室構成としましては三LDKSということになっております。
  154. 牧野徹

    ○牧野政府委員 そういう住宅を受ける宅地の方の面積についてのお問いただしでございますが、私どもも昭和六十一年度から十年間の第二次宅地需給見通しというものをつくっております。これの前期五年はちょうど今の住宅局の五期五計とぴったり合っているわけでございますが、それらと今住宅局長が申し上げました誘導居住水準も十分踏まえ、かつ現実の傾向も踏まえまして、総平均で申し上げますと、戸建ての場合には約二百三十平米、約七十坪になりますか、これを考えております。  都市部と地方では違うのではないかということでしたが、都市部という場合でも首都圏、近畿圏でございますと百七十から百九十平米、それから中部圏が二百四十平米、その他地方が二百六十から七十、おおよそそういうことで第二次需給見通しを立てております。
  155. 三野優美

    ○三野委員 いわば共同住宅の四人家族で九十一平米、一戸建てで百二十三平米、三LDK、これが二〇〇〇年の目標ですか。そして、宅地面積も今聞いてみると七十坪程度ですね。地方においても二百六十七ですから、百坪に足らないわけです。これで大体ヨーロッパ並みとお考えなんでしょうか、先進国の水準に達するとお考えになって建設省は目標を立てているのでしょうか。
  156. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 宅地の方の規模の水準のお話は経済局長からあると思いますけれども住宅につきましては欧米と日本の水準を厳密に比較する指標は現在残念ながらないわけであります。と申しますのは、はかり方におきまして、欧米の場合ですと室の内のりで面積を出しましてカウントする、それから主たる居室を中心にカウントするという国もございます。日本国の場合には、通常戸建て住宅の場合ですと壁心ではかります。壁心と内のりではかりましたときで、例えば八十とか百平方メートルぐらいのものですとそれですぐ一割ぐらい規模が変わってくる。それから、先ほどの主たる居室を中心にカウントするというようなことは日本ではやっておりませんで、日本は全建築物の面積を出してしまう。厳密に比較する指標はございません。したがいまして何とも言いかねるわけでございますが、先ほど申し上げました誘導居住水準九十一平方メートル、それから戸建ての場合で百二十三平方メートルという指標は、現在西ドイツなどの場合のフロアの平均水準が九十平方メートルぐらいでございますことを考えますれば、かなりの豊かな水準ではなかろうかと考えております。
  157. 牧野徹

    ○牧野政府委員 宅地の方につきましては、残念ながら住宅よりももっと統計資料がございません。今ちょっと数字を持っていませんが、たしか国土白書で、日本の国土利用三千七百八十万ヘクタールでございますが、その中の宅地面積がたしか九十二万だと思いますけれども、国民一人当たりで割った記憶がございます。一人当たりが七十七平米というようなことで、これをアメリカとかそういうところと比べようと思いましたが、そもそもそういう考えがないというようなことで、残念ながらわからないというのが実態であります。  ただ、今申し上げました住宅の方の誘導居住水準、仮に四人で百二十二平米だと、それに対する宅地の割合がどんなイメージになるかといいますと、仮にこれをそのまま割れば容積率は五三%台でございます。それから、仮にその百二十三平米を二階建て、一階の半分が二階というふうな普通の格好で考えますと建ぺい率は三五%ぐらい、この数値はちょうど今の一種住専の一番緩やかに住まいをするというふうなところでもございますので、まあまあかな、世界で比較はできませんが、そんな感じがしております。
  158. 三野優美

    ○三野委員 残念ながら別に私は手元にヨーロッパの先進国の住宅基準というものを持っているわけではないのですけれども、率直に言いまして、一般的にかなりの格差があるというふうに言われてきたわけです。東京の一部とかそんなのは除いてみても、率直に言いまして都市で七十坪、地方へ行っても八十坪というのが実は先進国に匹敵しているとは私は全然考えないわけです。これはかなり数字に大きな差があるのではないか。ひょっとするとこの倍も三倍もヨーロッパはあるのではないかという気がするわけです。決して諸外国と比較する基準がないなんということはないと思うのですけれども、この点については建設省としてももう少し調査をする必要があるだろうと思うのです。  一般的に求められているのは、少なくとも東京都心などは別として、一般的な地方の市街地においては三百平米前後はだれでも求めようとする、金の問題はありますけれども。それから、地方に行きますと三百五十なり四百平米ぐらいの土地、百から百五十坪というのは一般的にも欲しいわけだし、今現実に、分譲にしても百坪以下というのは地方の田園地帯ではなかなか行かないという状況だと思うのであります。  そこで問題になりますのは、開発許可基準というものもやはりこれを基礎にしているのかどうかという点が一つ。  それから、きょうは農水省も来ていただいておるのですが、農水省は例えば調整区域あるいは無指定地域における農地転用基準というものはやはり建設省のこの七十坪、八十坪を基準にしておられるのかどうか。  そして、この際建設省、農水省にももう一つお尋ねをしたいのですが、農家と非農家の宅地基準というのはどういう基準を置いているのかどうか、これも聞いておきたいと思います。
  159. 牧野徹

    ○牧野政府委員 開発許可の場合におきましては、まず結論から言いますと、一般の場合には宅地規模をどうしなければいかぬという許可の基準はございません。もちろん、開発許可をする場合には安全上等の配慮あるいは公共施設をどう配置するかというふうなことで技術上の基準がございますけれども、それに適合していればいいのであって、その上に立地する建物のための敷地規模そのものに関する規定は一般的にはございません。  一般的にないと申し上げておりますが、一定の場合には制限することがあります。例えば地区計画なんかが決められておって、そこでお互いにいい環境で住むためには最低敷地規模をこうしようというようなことが都市計画としての地区計画に定められておるような場合には、当然のことでございますが、開発許可に当たってその基準を守っていなければいかぬということはございます。  それから、農家と非農家というのは、私どもの方では余り意識したことはございません。
  160. 中村光弘

    中村説明員 市街化調整区域内の転用の許可の取り扱いでございますが、これは都市計画法上市街化を抑制すべき区域ということで定められておりますのでそういった許可についても開発抑制的に運用されているという前提のもとに、転用の取り扱いにつきましても、一方で農業の生産の重要な場ということも配慮いたしまして、優良農地を確保するという点も考慮されておるところでございます。具体的基準として市街化調整区域における農地転用許可基準というものがございますが、私どもこの基準に基づきまして、市街地に近接した農地あるいは生産力の低い農地というものをそれぞれ順に転用をしていくという方針でやらせていただいておるわけであります。  ところで、いわゆる市街化区域内とそれからそうでないところとの取り扱いに違いがあるかという点でございますが、その点につきましては、実は一般的にそういう違いはございません。申請面積が申請の目的づけのために必要な限度のものであるかどうか、また、法令等によります面積につき基準が定められております場合にはこれをしんしゃくして判定をするというようなことでございまして、市街化区域内とそうでないところとの違い、取り扱いの差、これはございません。
  161. 三野優美

    ○三野委員 実はこの点について私がお尋ねしていますのは、だんだん生活水準が高まっていく過程の中で、ゆとりのある居住環境、そのためにはやはり宅地をできるだけ広く求めたいという意見が実際にはある。私は先ほどヨーロッパの問題を出したのですが、ヨーロッパの生活環境は日本とは全然違っている。向こうの人が来て日本の住宅を見たら、ウサギ小屋じゃないかなんということを言っているのではない、全然規模が違うんじゃないかという気がするわけですね。したがって、できるだけゆとりのある居住環境というものを確保するためには、ある程度の宅地というものは確保すべきではないか。もちろん宅地の価格との関係がありますが、それを抑えながらそういう指導をすべきではないか、こう思うのですね。そういう意味で、二〇〇〇年、二十一世紀を目指した建設省の住宅政策というものはもっとゆとりのあるものになっていいんじゃないかという気がするわけであります。  開発許可基準には別にこれらしい法律的な基準はないと言うのですけれども、市に開発許可の事務委任しているところあるいは県がやっているところとありますが、どこへ行ってみても実はこれが非常に厳しいわけなんです。例えば百五十坪の土地が欲しい、非農家で五人家族だよとなると、それは要らないということになってしまって、制限されるわけですね。道路や学校の公共用地で買収になった人でさえ、なかなか難しい事態があるのですね。田舎でいえば、七畝の田んぼがあった、七畝ですから二百十坪だ、それはおまえ多過ぎる、百五十坪にしてこいということになる。法律的な規制はないとあなたのところは言ってみても、現実はそういうこと宣言ってくる。売る方は、二百十坪あるものを百五十坪だけ売ってあとは残すなんということでは売ってくれないわけすね。したがってやはり七畝買う。ところが、開発許可のときにそれはいけないとなる。それを何とかしてくれということで話をすれば、いやそれなら駐車場をこっちへ持ってこいとかなんとか、二百十坪に適当に建物が配置されていなければならぬというようなむだなこともさせられているのが現実ですね。現場ではそういうことが現実として動いているということを御存じだろうと思うのです。  私は、住環境を将来に向けて前進さすということであるならば七十坪、八十坪などという基準ではなしに、地域を何ほかに分けてもっとゆとりのある住環境を確保するという前提の方針を出すべきではないかと思うのです。七十坪、八十坪の基準を法律的に決めているのではないと思いますが、少なくとも基準があるものだから現場では足を引っ張ってなかなかいかないということになるのです。その基準を見直す気はないのかどうか、聞いておきたいと思います。  それから、建設省のそういう基準が出れば、それに伴って農水省もともに足並みをそろえて動いていかなければ住環境は改善されない。あなたのところは農地を守るということが前提ですから、一方で米をつくるな、それはよせと言っておきながら、宅地に売ると言ったらそれはだめだとなかなか厳しいわけですが、やはりそのように基準に合わせなければならぬと思うのです。  それから、もう一つ私が言ったのは、農家と非農家。農家の場合だと東北なんかに行ったら宅地でも一反も一反五畝もあるのじゃないでしょうか。私の方の四国でも最低百五十坪から二百坪ぐらいある、あるいは二百五十坪あるわけです。ですから私は、農業経営をやっている人の宅地と非農家の宅地とはおのずから利用度が違うと思います。そこらについても的確な方針を出すべきだと思うのでありますが、その点もあるのかないのか、ないとすればどういう見解を持っておるのか聞いておきたいと思います。  それから、いまひとつ今度の改正の中でも明確でないのでありますが、いわゆる風致地区における住宅の構造。例えば防火地域あるいは準防火地域指定されている。たまたまそれは風致地区と重なっている。御承知のように風致地区は、建ぺい率四〇%というような、これは法律ではないのかもわかりませんが、県などでそういう指導をしています。隣との住宅の間隔を一定程度確保しなさい、こういうことがある。言うまでもなく、風致地区と言う場合にはその環境を守るということが前提でありますので、そうなりますと日本風の建築様式というものが求められると思うのでありますが、そういう場合に、四〇%に建ぺい率を抑えてみてもなおかつ、防火あるいは準防火地域においては例えば壁面によろい板を打つとか、そういうことについて建築基準法上どういうふうにお考えになるのか。私はもっと現実に合った指導をすべきではないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  162. 牧野徹

    ○牧野政府委員 先ほど来申し上げております私どもの宅地需給見通しというのは、先生がおっしゃるとおり、法律の根拠とかあるいは政令にしろ、一切何にもございません。ただ、私どもが一応宅地供給をその任務として仕事をしている以上、こういうものがなければいかぬだろうということで第一次十年を決め、今度第二次の十年を決めて、行政上の目標に私どもは使っております。でございまして、先ほど言いましたように昨年いろいろな状況を勘案して決めたものでございますから、今直ちに見直すかと言われてもちょっと今のところはそういう考えはない。  それから、現実のそれぞれの家の事情としては、先生がおっしゃるような農家と非農家でいろいろ差がある。もちろん大都市と地方都市でもあるし、先ほどは長屋建てだけ申し上げましたが、共同住宅であればもっと小さいとかいろいろあります。いずれにいたしましても、私どもの今はじいておる数字というのは非常にマクロなものでございますので、私どもの方で農家と非農家で云々というようなことではじいておるわけではないということを申し上げておきたいと思います。
  163. 中村光弘

    中村説明員 農家と非農家で転用の許可に違いがあるのかということでございますが、許可申請面積の適否の判断に当たりましては、この転用許可基準上の差はないわけでございます。ただ、この審査に当たりまして、農家住宅の場合は、単に居住用の建物だけでなくて農業経営の場として作業場等が入る場合がございます。そういう点はその場合におきましてそれぞれ考慮をして、必要最小限の転用であるかどうかという点についての判断、これが審査に際してはなされておる、こういう実態でございます。  でございますので、今後の取り扱いにおきましては、そういうもし広い住宅が必要であるということになってまいりますと、それは当然転用の場合も考慮してまいる、こういうことになるわけでございます。
  164. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 風致地区と防火地域または準防火地域関係についてちょっとお答えしたいと思います。  まず風致地区につきましては、よりよい風致を確保し、それによって都市景観を確保しようという感じでございますから、当然のことながら建ぺい率あるいは高さ等のかなり厳しい制限がございます。それに対しまして防火地区、準防地区というのは、これはまさに火災的な災害から生命財産を守るということでございますから、当然のことながら防火建築あるいは準防火建築ということになります。  お尋ねの趣旨は恐らく、風致地区という非常に生活的なあるいは風景からいっても環境のいいところに木質系でなくてコンクリート系のようなものが建てば全体の風致というのが壊れるという御趣旨じゃないかと思いますが、近ごろの住宅におきましては、例えばコンクリート系におきましてもまさに箱そのもの、四角いコンクリートの箱が転がっているというような構想ではございませんで、かなりデザイン面でも工夫されておりまして、現実問題として市場に提供されておりますプレハブ系の建築あるいは現実に建てられます注文個別生産の住宅でもかなり質の高いもの、あるいはデザイン的にも配慮されたものが建っておりますので、この風致地区の現状を考えますとお尋ねの心配は余りないかと存じます。
  165. 三野優美

    ○三野委員 この点はもうこれ以上時間がないのでしませんが、さてその改正点について一、二お尋ねしておきたいと思うのですが、まず今度の改正によって、土地の有効利用、いわば容積率はどのように変わっていくのか。例えば都心部東京などでは土地の不足というのが言われているわけでありますが。一体今度の改正というものがそういう土地不足に対してどんな影響をもたらし、どういう結果になるとお考えになっているのかが第一点。  二つ目は、同時に容積率が拡大されるということになると、そのことによって建築費に与える影響は一体どうなのか。どの程度安くなるのか安くならないのか。  それから三つ目は、今度の改正点で日照及び景観の確保というものに変化があるのかないのか。どのような結果が起こるのか。  それから四つ目には、木造の場合、高さの制限をなくしたわけでありますが、その場合の安全性は確保できるのか。いわば、従来はあった、それを技術が高くなったからもう無制限だというのは、これはやはり法律形態上どうもおかしいじゃないか。もちろんほかの方法でいわば確保しようとお考えになっておるのでしょうが、その点はどうなのか。  それからもう一つ、五つ目は、今度、例えば十五メートル、六メートル道路の場合に七十メートルのところまで斜め斜線でひとつ容積率を拡大していくということなんですが。この七十メートルという基準は何を根拠にしているんだろうか、この点をまずお尋ねしておきたいと思うのです。  時間がないですから、余り触れませんが、もうこれで終わるつもりですが、どうも七十メートルというところが、例えば六十五メートルではいけなかったのか、あるいは七十五メートルはどうしてだめなのか。七十メートルでなければならぬという根拠を示してもらいたい。私はどうもこれは防災用でもなかろうし、この斜めにして七十メートルがすっきりしないのですね。  ここらのところをひとつお尋ねしておいて終わりますが、ただ大臣、先ほどの議論の中で七十坪、八十坪でヨーロッパ並みだと考えられている建設省、私はどうも素人でよくわかりませんが、ひとつ考え直した方がいいんじゃないか。そうしてもっとゆとりのある環境の中で住宅政策が前進する、そしてやはり同時に地域の経済も、住宅が一番経済的な影響力強いわけですから前進するように、みんなが持っておる銭も住宅に出すようにということを大臣いつも言っているのですが、少しみみっちい話みたいな気がするわけでありますので、これは再検討をお願いしたいことを申し上げて終わります。
  166. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 まず第一点の、容積率はどの程度増加してくるのかというおただしでありますけれども、これを例えば市街地全体で推計するというのは、道路の幅員でありますとか敷地の規模、形状等がいろいろ違いますので、一律にこれを定量的にお答えするわけにはなかなかいかないわけでありますけれども、今回の改正項目に着目いたしまして一般的な状況を想定して推計いたしますと、幅員の広い道路に近接する場合の七十メートルの範囲内におきましては、平均して二割程度敷地につきまして増加が図られる。それから壁面線を指定した場合の特例措置につきましては、これもいろいろ形状によって違いますけれども、二ないし三割程度の増加が図られるのではないか、こう考えております。  その次に、この制限の合理化に伴いまして、単価にどのような影響が出てくるか、こういうわけでありますが、これも建物の形状でありますとか大きさなどによってかなりまた差がありますので、これを一律定量的に算定することは極めて困難でありますが、しかしながら今回の改正点の中に、例えば斜面の壁面が今回の改正によって是正されるというような措置がございます。こういうことになりますと、例えば斜面の壁面に比べまして普通の建築物の場合になりますと、仮枠を設置する場合の手間もかなり容易になりますし、コンクリートの打設についてもかなり容易になるということで、こういうのは単価の軽減にかなりきいてくるであろう。それから建物が非常に整形的につくることができることになりますので、建物自体の効率もまたこれ上がってくるということになれば相対的に実単価が低くなる、そういうような効果があるのではないかと考えております。  それから次に、日照関係に悪影響はないかということでありますけれども、今回の改正につきましては日照の確保に一番大きな効き目のあります日影規制でありますとか北側斜線制限についてはこれは触れておりませんで、従来どおり適用がされていくことになりますので、そういう環境は確保されていると考えております。  その次に高さ制限を突破したためにこれが大丈夫か、こういうおただしでございます。何か上の方が別の数字の制限をつくったらいかがかというような御趣旨もございましたけれども、本体の建築物の安全性につきましては、構造計算によりましてまず安全性を確保いたします。その場合は、例えば各部分の部材の強度でありますとか変形量とかねじれ、こういうのを構造計算でチェックを十分いたしまして、さらに防火上の措置も加えますので、高さが無限ということはあり得ないわけですけれども、そういう高くなったら高くなったなりの構造上の措置が行われることになりますので、十分安全性は確保することができると思います。  それから七十メートルの根拠いかんということでありますけれども、我が国の市街地の状況を見まして、例えば十五メートルの幹線がおおむね五百メートルあるいは数百メートルと言われておりますが、そういう間隔で我が国の市街地には配置されている。そういうことから、実態的に一番ありそうな平均的な市街地を調べましたところ一番小さい小街区がおおむね七十メートル、こういうことでございますので、幅員の広い道路から中に入っていきますとき、一小街区の範囲まではとろう、それがおおむね七十メートル、これは東京二十三区の平均的な市街地におきます敷地規模でいきますと五敷地分に当たる、結果的にはそういうことになるので、そういうことが根拠にあります。
  167. 野中広務

    ○野中(広)委員長代理 井上泉君。
  168. 井上泉

    井上(泉)委員 いろいろ質問する条項をまとめておりましたけれども、三十分の時間でありますので十分そのことを申し上げる時間がないので、極めてその中の私自身今日明らかにしておきたい問題を質問したいと思います。  大体建設業法というのは、これは法律そのものが発注者の立場を中心にして考えた法律である。そうすると、建設業法には、受注者側、つまりそれを請け負って仕事をする建設業者にとりましては、これはいわば格好としては資質の向上を図る、あるいは適正な施工を確保するためとかいろいろ明文が並べられておるわけでありますけれども、今日、建設産業というものは五十二万も三万もあって、日本の就労人口の約一〇%を占める、これはもう大変な産業である。今日のこの不況を克服する道としては、公共事業の大幅な投資によって内需の活用も図らなければいかぬというようなことを言われておるほど公共事業は重視されておるわけですが、そういう場合に、五百万もの就労人員を抱えておるこの業に対して、これを法律で縛るというよりもむしろ助成をするようなことを考えるべきではないかと思うわけですが、この点、大臣どうですか。
  169. 牧野徹

    ○牧野政府委員 大所高所からの御意見でございますが、私ども建設業法が、これはもちろん先生のおっしゃるとおり発注者の保護がございますが、第一条「目的」をごらんいただきましても「発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もって公共の福祉の増進」ということでございまして、それぞれ考えてこの法律はできているというふうに理解しております。
  170. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、発注者を保護するというような場合に、「適正な施工を確保し、発注者を保護する」というようなことは、具体的にはどういうふうな方法を講じて行政指導をされてきておるのか、その点ひとつ経済局長、御答弁願いたいと思います。
  171. 牧野徹

    ○牧野政府委員 まさに発注者の保護というのは、それを受注して施工する建設業者がきっちりお約束のとおり建設工事を仕上げるということを確保するということだというふうに私は思っております。
  172. 井上泉

    井上(泉)委員 確かにそれも一つの大きな理由でありますが、やはり受注者側の機会が均等でなければならない、そして適正な受注状態でなければならない。ところが受注ということになると、これはもう全部発注者の意思の中で左右されることになるわけなので、発注者の権限というものは非常に強いわけです。それについての配慮というものが建設業者を本当に良好な経営体質に指導していくためには大事なことではないか、私はかように思うわけですが、その点についての行政措置というものは進められておるのかどうか。
  173. 牧野徹

    ○牧野政府委員 先生のおっしゃるとおりだと思いますが、私から御答弁申し上げるのがいいのか、あるいは発注者ということですと別の者になるかもしれませんが、私の理解するところで申し上げるならば、やはり発注者と業者とは本来対等でございますから、例えば工事の発注に際しましても、今度の法律改正でもお願いしておりますが、業者のいろいろな経営事項審査を適正に行うことによって端的な例を申し上げれば、ランクづけといいますか指名の際の基準をつくって、それぞれの大きさに対応した工事を発注するというようなことで発注者、受注者ともに建設工事を適正に施工していくという考えでやっておると思っております。
  174. 井上泉

    井上(泉)委員 今度の業法の改正審議会の答申の基本的な考え方に基づいて出されたと思うわけですけれども、そうなればもちろん技術と経営にすぐれた企業が成長していくこと、これは本当に大事なことであるし、そうでなければならないわけでありますが、それがためにも、五十二万もある業者というものが適正な規模であるのか。そして、ずっと統計を見ると、毎年業者の数がふえておったのが、最近においては、六十一年度から業者の数が減っておる、そういう傾向にあるわけですけれども、今後においてもこの業者の数というものは、建設業界の通例として一軒のかなりの業者がつぶれたら後に二軒三軒の業者がまた誕生する、そういうことがよく言われるわけでありますので、そうした点からも、業者数の適正な規模といいますか、健全な業者を育成するという面からも、業界のいわば過当競争にならぬような形で受注の機会を均等に与える。  そういう意味において、最近非常に各地ではんらんしておりますジョイントベンチャーのやり方、これは非常にいいと思うわけです。一般に土木工事では案外そういう面においても、大手業者と地元業者とがやっておるというようなこともあるわけです、決して十分とは言いませんけれども。しかし、建築に関してはほとんどそういうふうなものが見えない。鹿島、大成、清水、そういうような業者が大きな建築物をやっておる。それに地元業者が参画してジョイントベンチャーでやっておるというようなことが非常に少ないように考えられるわけであります。建設業というものは受注産業でありますから、受注しなければできない、そして五百万の労働者を抱えておるということになると、大手業者はいろいろな形で民間事業なんかに手を出しておるわけですから経済力も強い。ところが中小企業は経済力が弱い。そういうようなものには一つの枠をはめた形で、ジョイントを組むということではなしに、もっとそこらのところに、効率的な、そして健全な業者を育成していく面におけるジョイントというものを指導するようなことは大事ではないかと思うわけですけれども、その点どうですか。
  175. 牧野徹

    ○牧野政府委員 まず、五十二万という建設業の許可を得た業者数が多いか少ないかという点でございますが、確かに先生御指摘のとおり、建設業の長期ビジョンにおいてはこれは多いというふうに書いてあります。といいますのは、建設業が許可制を導入したのは御承知のとおり四十六年でございますが、その前の登録制時代の業者数の最高値がたしか十九万数千、二十万弱だったと思いますが、その後許可制を導入して以降十六年たちまして、現在は結果として五十二万でございます。そういう実態を見た上で、ビジョン研究会では答申といいますかお考えが出たわけでございますが、私どもは、であるから例えば一議に及ばずこれを何割か削減するというふうな考え方は持っておりません。先生のお話にもございましたように、基本的には、技術と経営にすぐれた業者が自由な競争市場のもとで適正な競争を展開することによって不良、不適格業者が排除されていく、その結果数が減るかもしらぬということではなかろうかというふうに思っております。  それから第二点で、ジョイントベンチャーの適正なあり方を指導すべきではないかというおただしでございますが、これもまことにそのとおりだと思っております。私どもは、やはりジョイントベンチャーというものはそれなりに、相互に技術あるいは労働力等を提供し合うことによって工事を円滑に適正に執行するという意味でいい制度だとは思っておりますが、ただ、いろいろな問題点も目立ってきております。不良業者が入るとかあるいは共同施工が本当に確保されているかどうかとかいろいろ問題がございますので、現在、共同企業体運用の適正化を図るという意味で、中央建設業審議会で御審議をいただいております。審議会のことでございますから、私から断定的にいつ御答申いただけると言うことは差し控えたいと思いますが、ただいままでの状況を勘案いたしますと、おおよその目途としてはことしの夏、七月ないしは八月ごろには御答申をいただけるというふうに考えておりますので、その上で先生御指摘の点も踏まえまして、ジョイントベンチャーの適切なあり方という点に適正な対応を図ってまいりたいと考えております。
  176. 井上泉

    井上(泉)委員 中小企業の方がいわゆる大手の業者の方とジョイントベンチャーを組んでやるということは、その中小企業で働いておる職員についても、大手の業者の職員と技術力あるいは施工能力においてお互いに現場におけるよい意味の競争といいますか、勉強し合うことで中小企業の職員の資質の向上にも非常に役立つと思うのです。それが単にペーパージョイントで三〇%は甲、二〇%は乙、そして丙はあとの五〇%で大手業者が持つというようなことでやる、ペーパージョイントということで実際の仕事は大手が自分の連れておる下請に全部やらせてしまうというようなやり方であっては、せっかくのジョイントというものも価値が減殺されるわけなんで、私は、そういう点について規制というか指導、取り締まりではなく指導というものを考慮すべきではないかと思うわけですが、そういうことについてのお考えを承っておきたいと思います。
  177. 牧野徹

    ○牧野政府委員 ただいまおただしの件は、私どもまことにそのとおりだと思います。そこで、先ほど申し上げました中央建設業審議会で、例えばジョイントベンチャーを組むときのその業者の数とか割合、あるいはどういうものをそのジョイントベンチャーで施工してもらうか、そういういろいろなことが総合的に絡んでまいりますので、基本的にはただいま先生のおっしゃったようなことだと私どもも理解しておりますが、中央建設業審議会の御答申もいただいた上で適切に対処したいと考えております。
  178. 井上泉

    井上(泉)委員 私がそういういわゆる業界の施工について、また受注の関係について質問申し上げるのは、御承知のようにきのう予算が成立した、そして上半期に九〇%前倒してやる、そして新しく内需活性のために五兆円というようなことで公共事業の補正を組むとかいうような話が出され、不況地区に重点配分されるという報道がなさ札でおるわけでありますが、この不況地区への予算の重点配分というものについても、そこへ直轄の工事が配分されてきてもそれに従事する者はその地域以外の業者が出てくることは今までの状況としてはもう必至である。そうすると、やはりそういう場合でも地元の業者の受注の機会というものがそがれるわけだから、そうしたことについての心配りというものが十分なされなければ、せっかくの地方の不況地域における雇用の拡大、内需の活性化を図るという方針にも沿わないことになるわけです。これは大臣、不況地域へ傾斜配分をするということを政府は口癖のようによく言うわけですが、今まではしてなかったから今度は本当に重点配分をする、こういうことですか。
  179. 天野光晴

    天野国務大臣 今度の傾斜配分というのは、通産省と労働省と連絡をとりまして、不況地域あるいはまた失対関係の多い地域等をお話し願って、その地域に必要な公共事業について配分のできる最大限を傾斜配分するというのが、去年の補正から私が始めたわけでございます。  それで、今井上先生の言われるように、やはりその地域の業者を使わなくては本物ではないと思うのです。そういう観点からその点も指導はしているつもりでありますが、これから半年の間に相当大幅な公共事業が出ますから、今度の場合、先生の御意見のように地域にも、十二分ジョイントできるのですから共同企業で仕事のできるような措置を講じて、その傾斜配分の目的に沿うような施工ができるような格好にいたしたいと思います。
  180. 井上泉

    井上(泉)委員 言葉としては立派な御答弁をいただいたわけでありますけれども、実際にそういうふうに配分されたかどうかというようなことについて、私は、国民も果たして政府がそういうふうにやっておるのかどうかという目で見ておると思うのです。  例えば私のところは高知県ですが、高知県にいたしましても、また大臣の郷里の福島県にいたしましても、そう大して景気のいい地域じゃないと思うのです。第一次産業は非常に不振だし、第二次産業は全くない。そういう地域の中で公共事業に依存しておる度合いというものは非常に高いわけで、そういうところへ、去年まではこういう公共事業の配分があったが不況地域指定も受けた、これだけ失業者がふえてきておる、だからそういうところは配慮してこの地域にはこれだけの公共事業の配分もやったよということは、いわば建設省の事務当局で決めるわけで、大臣がわざわざそこまでしないと思うわけですが、その結果の資料というものは提供してもらうことができるでしようか。
  181. 高橋進

    高橋(進)政府委員 補正予算がもし御審議いただいて成立するということになりますれば、基本的な配分は今大臣が申し上げたとおりでございます。  もうちょっと具体的に申し上げますと、例えば特定地域中小企業対策臨時措置法に基づきます特定地域とか、地域雇用開発等促進法に基づきます特定雇用開発促進地域あるいは緊急雇用安定地域というようなこと、あるいはこれらの地域に隣接する市町村など、そういったところを重点的にやるわけでございますが、その配分結果につきましては取りまとめて御報告することはできると思います。
  182. 井上泉

    井上(泉)委員 これは、土木事業についてはジョイントベンチャーで地元の業者が入っていく。そうすれば、そういう仕事へ参画しない零細な中小企業の方がそれだけまた別の仕事の面で余裕ができてくる。それで大手の方はそういう仕事の領分が減ったにしても、そこではただ単に減っておるかもしれぬけれども、いわゆる大手の受注状況を見れば年々ふえておる。大体受注が減っておるのが普通なのにふえておるというのは、それだけの企業努力もありましょうし、また資本力もありましょうが、零細な中小企業にはそういう力がないので、やはり公共事業に業として入るということが何といっても建設業としては決定的な要素になるわけです。だからそういう機会を多く与えるという意味において、今審議会の答申待ちという状況でもあるようですが、どういう結果の答申が出るかわかりませんけれども、少なくとも私は一定の基準を設けるとかいうことはやっていただいて、不況地域における公共事業が本当に地域人たちに恩恵を与えるような、就労の機会を多くつくり出すような、そういう措置がとられるようになお一層行政指導を強めていただくことが大事ではないかと思うわけです。その点は、今官房長は答弁をされたわけですが、なおまたそれを一歩進んで、これくらいの工事ならジョイントでやりなさい、そしてこのジョイントにはこれくらいのものまでは入ってやるのだからと。そうすればそれだけ業者としての雇用の機会を多くつくることができる。  一方、建設産業の労働者ほど、大工さんとか左官さんだとかいう特別な技術を持っておる者はともかくといたしましても、普通の一般労務者ほど建設労働者が法的にもいわば冷遇といいますか、その法の保護の中から置き去りにされておる面が多々ありはしないか。つまり、五百万の就労人員が今日おるわけですけれども、この中で健康保険、厚生保険の該当者が五百万おるのだろうか、こういうふうに私は思うわけで、そういう点についても建設産業における労働者の保護というもの、そして、そのことは必然的に労働者に対する保護のいわば疎漏なのは中小企業に多いと指摘せざるを得ないので、中小企業を大事にすることは中小企業がその雇用する労働者というものにきちんと法的な保障も与える、そういうこともできていないようなものは業者として失格であるから、そういう面における業者の指導というものも、それは労働者のことだから労働省というのではなしに、建設省としても指導すべきだ、私はこう思うわけですが、その点どうでしょう。
  183. 高橋進

    高橋(進)政府委員 従来から中小企業にも十分受注の機会を確保するようにということで発注標準の遵守、それから工事の効率的な施工に配慮しながらの分離発注、先ほどのジョイントベンチャーということについて指導しておりますが、今後とも、仮に大型な補正ということになりますれば地元の業者の協力を十分得なければなりませんので、特にそういった点を配慮するように指導してまいりたいと思います。  なおまた、いろいろ労働者に対する措置、福利施設、共済関係、年金制度とか退職金制度、そういったものの加入状況につきましても配慮しながら、そういったことにちゃんとしている業者を指名の際にも考慮するように従来からも指導しておりますが、今後ともそうしたいと思います。     〔野中(広)委員長代理退席、委員長着席〕
  184. 井上泉

    井上(泉)委員 今官房長の言われる線というものは、単に建設省の各地建その他でやる直接の工事だけではなしに、住宅公団あるいは道路公団、それぞれの建設省の関係の団体における公共事業の工事の施行に対しては、これは当てはめて施行させねばならないと私は思う。当てはめて受注の機会というものを与えるように、ジョイントベンチャーなどで与えるように。これは例を挙げて私は指摘をしたいわけでありますけれども、そこまでは今申し上げるつもりもしておりませんので。  私らは本当に毎日そういう人たちの中に生活をしておるので、建設省のお役人が夜も残業残業の中で電気をつけて遅くまで仕事をしておるというのと、私ども毎日現場で働いておる人たちと接触する者とそこに多少感覚的なずれがあると私は思うわけです。いろいろ悪戦苦闘しておる中小企業業者の姿を見ておる者と、中小企業者がお願いに上がってくるものだけを見ておる者とこれは大きな違いがあると思うわけなので、そういう点において大臣は非常に建設行政には詳しい。これは政府・与党の中における傑出した権威者だと私は思うわけですが、あなたは大臣になられて随分抱負も持っておられたと思うし、そしてまたこの間の大臣の所信表明も聞かされたわけでありますが、大臣としての、なおこれからの補正予算あるいはその予算の執行に当たっての住民への福祉をどういうふうにして守っていくかということ、そして今までの建設省の状態の中に、大臣としてひとつこういう点を活を入れてやろうと思うようなものが何かお考えありとするなら、この機会に承って私の質問を終わりたいと思います。
  185. 天野光晴

    天野国務大臣 いわゆる昨年度の円高対策による補正予算編成のときから、幾分でも不況地域に潤いのあるような格好にしたいということで重点的な配分計画を立ててやっておるわけであります。ですから、去年の補正ときのう通していただいた今年度の予算も今までの方針どおりそこまでやっておりますが、御存じのように、六十二年度のきのう上がった予算は、至急、できれば今月中くらいに執行を始める予定で準備を進めております。  問題は、これから出すようになるだろう補正予算でありますが、この補正予算もしっかりした内容にしまして、期待に沿えるだけの予算も獲得したいと思っております。この補正に関する限り、この配分計画は、去年の補正とことしの年度当初予算との配分計画とよく比較検討いたしまして、できるだけ公平に配分計画ができるようにいたしたいと思いますし、特に地域不況、円高対策等によってという名目がついておりますから、そういう観点から、その地域の経済力に強く影響のあるような措置を講ずるようにいたしたいと思います。委員会だけで議論するのではなくて、ひとついい知恵があったらお教え願えればありがたいと思います。
  186. 井上泉

    井上(泉)委員 頑張ってください。ありがとうございました。
  187. 村岡兼造

    村岡委員長 坂井弘一君。
  188. 坂井弘一

    ○坂井委員 五十分程度、時間をいただきます。  よくウサギ小屋に住む働き中毒とか言われるのですが、なるほど今日なお最低居住水準に満たない住宅が一一・四%、三百九十五万戸も現存するということでありまして、改善が思うようには進んでいない。  そこで、これはなぜ進まないのか、その原因、それから対策、見通し等概略お願いいたしたいと思います。
  189. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 御指摘がありましたように、最低居住水準未満の世帯三百九十五万、比率にいたしまして一四・四%がまだございます。この最低居住水準未満の世帯は年々解消はしてきたわけでありますけれども、なお残っておるわけであります。このことの一番大きな問題は、やはり住宅価格と住宅取得費の間に大きな乖離がありまして、この乖離がこの数年間大きくなってきて住宅がより取得しづらくなってきた、こういうところにあるのではないかと考えております。  しかしながら住宅水準の向上は我が国の住宅対策の大変重大な課題でございますので、この解消を目指しますために第五期五カ年計画におきまして、ほぼすべての世帯が六十五年度までにはこれを解消するように、さらにはよりレベルの高い誘導居住水準を設定いたしまして、二〇〇〇年を目途に我が国の世帯の半数はそれを満足する。誘導居住水準につきましては、現在の時点で満足しておりますのは二八%でございますから、これを二〇〇〇年までには五〇%を達成する、こういう目標に向かいまして諸般の施策、例えば住宅取得の負担力軽減の措置としましては長期低利融資の充実、公庫融資の充実あるいは初期負担軽減効果の大変高い住宅減税の拡充などに取り組んでおるところであります。
  190. 坂井弘一

    ○坂井委員 失礼しました、一四・四%ですね、三百九十五万。
  191. 天野光晴

    天野国務大臣 一一・四です。
  192. 坂井弘一

    ○坂井委員 一一・四ですか、そうですね。  この木造一戸建ての家に住みたいという希望が非常に多いですね。それも庭つきということでしょうね。そうするとつまり宅地の問題ですね。つまり地価の問題が一方にあるものですから、一戸建て庭つきというのはどだい夢みたいな、特に東京あるいはこの周辺は夢にもならぬ。これは見果てぬ夢みたいなものです。そこで勢い高層化せざるを得ない。そうすると単位当たり単価が安くつく。  今言ったように一戸建てでは大変負担が大きい、しかし一戸建てに住みたい、この見果てぬ夢をかなえるためにはどうしても地価の安定ということ、これがありませんと一戸建てをふやすことはできない。特に一戸建て木造住宅を希望する向きが多いわけですが、こうした地価との関係あるいは住宅地の提供、果たして供給できるかという観点、それからもう一方においてはやはり中高層の方が土地高度利用ができる、単価も安い、これはこのバランスの問題があると思いますが、どちらに比重を置くのですか、これからの住宅建設について。
  193. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 御指摘にありましたように木造一戸建ての住宅の件数は年々これは減少してまいってきておりまして、例えば昭和五十年度におきましては八十五万八千建設されましたけれども、六十年度で四十八万九千と大変減りました。六十一年度はやや持ち直しまして、前年度より三・九%増の五十万八千と木造一戸建て住宅が回復したのですけれども、全体の木造率から見ますと五十年度は六六・六%でありましたのが六十一年度は四六・四%と、比率におきましても大変減ってきております。  住宅需要の世論調査を行いますと、やはり木造一戸建て住宅に住みたいというのが圧倒的に出てまいります。しかしながら、現実はいかんせん土地費が大変かかりまして、住宅価格の中にかなりのウエートを占めます。例えば五十九年度のフローでもって土地費の住宅価格の中に占めます割合が、大都市地域では四八%ぐらいでありますけれども、その他地域は四〇%前後、こういうところでありまして、かなり土地費は現実の問題としては大きなネックになっておるわけであります。  したがいまして、国民の希望はそうでありますけれども、しかしながら一方で職場と住宅は近接しなければいけないというのが現実の問題としてございますので、そういう希望はあるものの、現実の問題を踏まえますとやはり職住近接ということでできるだけ都心に近いところでもって共同住宅の建設の促進を図り、場合によりましては、住宅の好みの問題もありましょうけれども、その選択の問題の場におきまして戸建て住宅を持つ場合は郊外で、こういう形になろうかと思っております。
  194. 坂井弘一

    ○坂井委員 両方バランスというのか、両者相まってということですよね。わかります。  もう一つ、木造住宅がなぜ進まないのかという原因一つに、住宅会社、工務店の体質の問題と申しますか、つまり本当に設計どおりうまく木造住宅を建ててくれるのかなという、ちょっと不信があるというのですかね、最後まできちんとやってくれるのだろうかというある種の心配、この辺も木造住宅が不振の一因といいますか、あるいは原因としては小さいかもしれませんけれども、そんなこともあるのじゃないでしょうか。大半の住宅会社とか工務店は立派にやっていると思いますよ。しかし一部においてはどうも余り信用のおけないような、あるいは若干いかがわしいようなそういう風評、あるいはせっかく木造住宅を注文して建てたが欠陥がいろいろ出てきたとかという話をあちこちで聞く、こんなことも一因というようには考えられませんか。あるいはそういう住宅産業界に対する適切な行政上の指導といいますか、そういうことについてはどう行われておりましょうか。
  195. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 木造一戸建て住宅が余り進まない、こういう主たる原因はやはり地価値上がり土地の取得難あるいは注意識の変化、こういうことがありまして、特に都市部におきまして中高層共同住宅が増加している、こういうことであろうかと思います。  しかし住宅の生産供給面においても何か問題はあるのではないか、こういう御指摘でありますけれども、消費者サイドからいわゆる小規模建築工事業者を見ましたときの不安に思う点というのもやはりございまして、それは一つには品質に大変ばらつきがあるというようなお話、あるいはまた工期が大変かかってしまう、さらにニーズに的確にこたえていただけない、いい設備、機器が欲しいのだけれどもその提供がないとか情報を教えてくれないとか、そういうような批判が消費者サイドにあることは事実であります。また、小規模建築工事業者というのはどうしても経営的には弱いわけでございますので、消費者のそういう不安を解消して的確に対応しますためには、やはり経営の近代化でありますとか技術開発につきまして公共の側としましても何らかのお手伝いをする必要が現にございます。  そういう観点から木造住宅生産近代化促進事業というのを建設省でもやっておりまして、この場合、例えば材料を共同購入するとか、あるいは施設を協業して使うとか、あるいはコンピューターの設計、積算を指導するとか、さらには性能保証制度をビルトインしていくとか、そういうような形でもってできるだけ供給が円滑にいくような措置もまたあわせてやっておるところであります。
  196. 坂井弘一

    ○坂井委員 OECDあたりでは住宅というのは社会的なストックだ、つまり良質なものをつくるということが必要である、社会的ストックとなるようないいものをつくれ、こういう勧告のようですね。そういたしますと、我が国のいわゆる木造住宅に象徴されるといいますか、社会的ストックになるほどのいいものが、まあ一部あるでしょうが、最低居住水準にも満たぬような悪い木賃アパートもあれば木造の住宅がまだまだ一一・四%、三百九十五万戸もあるという現実。それから、日本人というのは、昔は、住まい、住宅というのは一代物あるいは孫まで、末代というくらいの感じ。ところが今はどうもちょっと変わってきましたね。機能的にも物理的にも二十年か三十年だ。時代もかなり変わっていくぞ、この家におれは一生住むとは思わぬ、こういう耐久消費財的な考え方というのでしょうか、使い捨て時代に象徴される。これは僕は悪い面しゃないかなという気がしてならぬわけです。しかし、生活のスタイルが違いますし、それに伴ってだんだん変わっていくという多様性があってもいいのじゃないかという要求も一方にはあるようですし、一概には言えませんが、OECDが言うような社会的ストックとしての非常に良質な住宅、これは百年、二百年先までもというほどのいいもの、もう一方における今の日本の現代的な住宅に対する考え方、ちょっと相入れぬものがあるような気も実はするわけでありますが、その辺はどういうふうに御判断されておられますか。また、それをどうとらまえ、どう行政上進めていかれますか。お考えがありますれば……。
  197. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 住宅の建てかえの状況でありますけれども、これを住宅統計調査でもって、昭和四十八年から五十三年時点の間に住宅がどのぐらいかわったかということをベースに、その期間での住宅の寿命の全国の総平均、これを見ますると四十六年でありまして、それから五十三年から五十八年の期間での住宅の壊れ方をベースに算定しますと五十三年でありますので、住宅の総平均からいいますと、だんだん寿命は長くなってきていることは一つございます。  しかしながら、これをまた建築時期別に滅失の状況を調べてみますと、全ストックでもってその年に壊れた戸数を割るものを滅失率と定義しました場合に、建築時期が古いものは当然年当たりの滅失率が高い。例えば持ち家でいいますと、昭和二十年から二十五年に建てられましたものは二・六%、ところが、これが四十六年から五十年では一・五%というふうに新しいものほど滅失率は低い、こういうことになります。ところが、借家について見ますると、それがちょっとそうではないような状況がございまして、例えば昭和二十年から二十五年では年当たり三・三%壊れたのですけれども、二十六年から三十五年に建てられたものは三・九%と、逆に新しいのに滅失率が高くなってきている。三十六年から四十五年になりますと三・二%と三・三とほぼ同じくらい、本来ですと新しくなればなるほど低くなるべきはずのものが逆に高くなったり同じような水準にいるということは、借家については必ずしも建築のその時期に関係なく、御指摘の中にありましたような二十年とか三十年で何か建てかえるというような状況があるやに見受けられます。これを考えまするに、一つには従来古い時代に建てられましたものは概して住宅の規模が小さいというようなこと、特に借家につきましては、設備水準というのが貸し家経営上大きなポイントでございますので、設備水準が古いものは大変悪いというようなこと、さらには土地をもっと有効利用したい、こういうような観点でもって専ら借家を中心に建てかえが早くなってきている、こういうようなことだろうと現状を認識しております。  ただ、OECDの勧告にもありましたように、我が国ストックは大変悪いわけでございます。そういう指摘がございます。そのとおりでございますので、このストックの改善をするということは、まず一つには、新規供給住宅について良質なものをどんどん供給していくということが第一でありまして、それと同時に、現在ありますストックについても増改築でありますとかあるいはリフォームでもって質の向上を図っていくことが重要なことだろうと思っております。
  198. 坂井弘一

    ○坂井委員 それから、リフォームに対する関心というのは最近大変高まってきましたね。インテリア業界も参入するというようなことのようですが、このリフォームというのは一方では内需喚起というかそういう面からの要請ということもあるのでしょうが、どうですか、建設省はリフォームは歓迎されますか。とすれば、リフォームの喚起策といいますか、これはお考えでございましょうか。
  199. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 リフォームを推進することも住宅対策の中での一つの重要な課題だと考えております。現に新たに土地を必要とするということではございませんので、需要といたしましては即効性があるということもあわせ考えれば、なおのこと重要な課題と考えております。  このために、建設省におきましては、まず住宅金融公庫の住宅改良資金につきまして、従来から融資の対象に取り上げておりましたけれども、六十二年度におきましては貸付限度額を四百十万に引き上げた、かつまた償還期間を十年から二十年に延長して選択ができるようにする。さらにはまた、財団法人日本住宅リフォームセンターを活用しまして、全国の大工さんたちに対しまして若干の講習を行った上で増改築相談員というものになっていただきまして、この増改築相談員の方々が十分なるリフォーム指導をする。六十二年の三月末現在で全国で二万一千百五十四人というふうになっておりますので、そういうことも通じましてリフォームの促進策、さらにはリフォームフェアというのを国並びに地方公共団体で開催しておりまして、この二月には晴海におきましてリフォーム増改築フェアというのを行いまして、わずか数日間に十五万人の参加者があり、先般の連休にかけまして行いました国際居住年推進博覧会におきましては三十八万人の人が集まった、こういうこともあります。また、地方公共団体も全国各地でやっておりまして、六十二年度は全国各地で四十三カ所のリフォームフェアを行う、こういうことを通じましてリフォームの促進に努めているところでございます。
  200. 坂井弘一

    ○坂井委員 リフォームは大いに進めていただきたいと思います。  それから、土地高度利用と、もう一方、敷地が随分と細分化して地価が高い、そのことが都市の空間の適切な利用、活用といいますか、それを非常に阻害しているということがよく言われるのですが、なるほど都市環境が悪くなる、のみならず防災上これは問題があるのじゃないかと心配する向きもあるようでございます。これらについてはどう考え、また、どう対策を講じられますか。
  201. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 まず、敷地が小さくなるために住環境が大変悪くなる、これの対応策としまして、郊外の戸建て敷地地域につきましてはミニ開発を防止いたしますために、例えば地区計画を適用いたしまして良好な市街地形成に努める、あるいは建築協定をかけることによりまして住民みずからが良好な市街地をつくっていこう、こういうような指導をしておりますし、また、市街地におきましては小さい敷地の共同化促進ということを図っております。例えば、これは再開発の一環としてでありますけれども、二つ以上の敷地を共同して建築物をつくる場合については国が助成をするというような制度もありまして、優良再開発建築物整備促進事業というのでありますけれども、そういう仕事をしまして、高密度の中におきましても良好な市街地環境ができるだけ保てるように努めているところであります。
  202. 坂井弘一

    ○坂井委員 さて、今度の建築基準法改正ですが、一口に言いまして、容積率の緩和といいますか容積率制限を合理化する、このことが一方地価高騰につながらないか、また、現にそういう状況があらわれてきているのではないか、こういう指摘もございます。したがって、時期的にちょっと悪いのじゃないかなというような見方もまた一方にあるようなのですね。  さてどうでしようか。この辺は余り心配はありませんか。
  203. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 容積率を緩和いたしますと、当然のことながらその戸の敷地におきましては土地の利用効率が高まるということでもって、このことは地価に当然影響を及ぼしてくる、こういうことになろうかと思います。しかしながら一方、容積率が全体としてふえるということは、都市全体として見ますれば床面積の供給は増加するということにつながっていくことであり、当然ながら床面積の需要供給のバランスを緩和する方向にと作用していくわけでありますので、今回考えております容積率の緩和の問題としましては、現在問題になっておりますような全般的な地価上昇と直接には関係していないのじゃないかと考えております。
  204. 坂井弘一

    ○坂井委員 おそれなしとしないのではないかという指摘もあるようでございますので、ひとつ御配慮はいただきたい、これは要望しておきたいと思います。  そこで、ちょっと大臣にお尋ねをしたい。  住宅ローンの問題、これは経企庁長官がこの間記者会見で、何でも今度住宅ローンの利子全額を所得控除にしたらどうだという提案といいますか、今税額控除方式でやっているわけでして、それを全額所得控除とする、これは大変大胆な提案だろうと思いますし、私どもの党もその方向は歓迎したいと思っておるのです。ただ、これはどの所得層に基準を合わすのか、やはりそこらも考えませんとという指摘もあります。経企庁長官のせっかくの御提案でございますので、建設大臣、この提案に対しまして何かお考えがございましたらひとつ。
  205. 天野光晴

    天野国務大臣 まだ正式には相談にもあずかっておりませんし、新しい形になりますから、それは十二分に執行当局と相談しまして、御期待に沿えるような格好なら大いに取り入れたいと思います。
  206. 坂井弘一

    ○坂井委員 次は、建設業法でお尋ねをしたいと思います。  中建審、中央建設業審議会の第一次答申が出ました。それで、第二次はいつごろになりますか。つまり「共同企業体等の在り方」、それから「産業構造の改善を進めるための諸方策」、この二つに対しては第二次答申で答えが出る、答申されると思いますが、それはいつごろになりましょうか。
  207. 牧野徹

    ○牧野政府委員 お話のとおり、四項目の諮問が大臣から昨年の二月二十五日付でありました。うち、おおむね二項目について本年の一月十三日付で御答申をいただいたわけでございます。  さて、残りの二項目ですが、中央建設業審議会で御審議中ですから事務当局の私から断定的には言えないところでございますが、およそのめどとしては、「共同企業体等の在り方」につきましては、先ほども申し上げましたが、今年の夏、七月ないし八月ごろかな、「産業構造の改善を進めるための諸方策」につきましては来年度早々にも御答申をいただけるのではないかというふうに考えております、
  208. 坂井弘一

    ○坂井委員 町を歩いておりましても、二つの企業体が一緒に共同でやりますという工事のあれが大変目につきますね。大変注目をいたしておりますので、二次答申を見てまだ質疑をいたしたいと思います。  今回の答申で、三ページに「施工能力や資力信用に欠ける者、不誠実な者が建設市場に不当に参入している実態にかんがみ、これらの不良・不適格業者を排除する施策を強力に推進するとともに、業界の自助努力を積極的に支援する誘導施策を適切に講じていく必要がある。」という指摘がございます。  ここで「不当に参入している実態」とあります、同時に「不良・不適格業者を排除」とうたっているわけでございますが、この実態につきましては詳細把握されておられましょうか。
  209. 牧野徹

    ○牧野政府委員 御指摘のようなことが御答申の基本的な考え方にございますが、ただいまおただしの、詳細に把握しているかということが例えば五十二万業者のうちで幾つ幾つということでもしありますれば、その数はわかっておりません。
  210. 坂井弘一

    ○坂井委員 十四ページには「第二に、許可行政庁においては、毎年十七万にものぼる建設業者の経営事項審査を処理しており、大多数の許可行政庁において必要最小限の審査にとどまることを余儀なくされている。この結果、虚偽申請や粉飾等について十分なチェックを行えず、このため、優良な建設業者を的確に選択するという目的が十分には達成できていないおそれがある。」という記述がございます。虚偽申請や粉飾等について十分なチェックが行われていないということでございますが、この点については実態はいかがでしょうか。
  211. 牧野徹

    ○牧野政府委員 大変厳しい御指摘をいただいておるわけでございますが、経営事項審査の審査対象業者は五十二万業者のうち毎年ほぼ十七万程度ございます。これを審査するのは、現在許可行政庁でやっておるわけでございますが、担当の職員の方の数が非常に少ないところもございます。その結果必ずしも十分な審査が行えないというのが、残念ながら実態でございます。  昨年、四十七県すべてについてアンケート調査をいたしましたが、職員の方で何らかの形でこの業務に従事しておられる方は一県当たり十二人を少し切る程度でございます。その結果、感触的なことがございますが、十分な審査が行えるかという質問に対して、行えるというのが一県、不十分だというのが四県、大半の四十二県は必要最小限度の審査は行える、しかしなかなか十分でないという声が圧倒的でございます。
  212. 坂井弘一

    ○坂井委員 十分なチェックのできるような体制をとる、そのための改善策といいますか、それはお考えでしようか。
  213. 牧野徹

    ○牧野政府委員 もちろん一言で言えば、いい業者、技術と経営にすぐれた業者が伸びていくということを担保するために、この経営事項審査制度内容を私どもはより一層充実していく必要があると思っております。ただ、そのためにはまずどうしても人手間が要ることになります。ただいまの状況を総合的に勘案して、それを国家公務員なり地方公務員の増加で賄うことはいかがなものかなということもございますので、今回建設業法の一部改正をお願いしております中で、信頼できる者を大臣が指名して、経営状況の分析という事実的なチェックの面についてはひとつこちらの方で行っていただく、最後的な判断、これはもちろん許可行政庁が行う、こういうシステムを、法律をお通しいただければ構築できるのではないかと考えております。
  214. 坂井弘一

    ○坂井委員 今指摘されますように、今回の業法の改正がそれなりの効果を発揮するであろうと私も期待いたしてございます。  特に暴力団、これの不法な介入というのはまさに社会問題ですね。これが建設業界あるいは建設行政に対する国民の不信を招いている。このことはゆゆしきことだといずれも認識をしておるわけでありまして、特に暴力団の許可の不正取得あるいは工事の不正受注、新聞紙上で承知をする程度でございますが、実態的にはかなり悪らつに行われている、こう言われますね。ようわからぬのですが、どれくらいか、ここで概要御説明いただければお願いしたいと思います。
  215. 牧野徹

    ○牧野政府委員 お答えを簡単に言いますと、残念ながらこれも数量的な把握をここで御答弁申し上げるほどの持ち合わせがないということでございます。非常に難しい点がございまして、暴力団の不当介入という場合に、先ほども御答弁申し上げましたが、警察の方との十分な打ち合わせがありませんとこれが暴力団だという特定すらまず基本的にできなかったという事情もございますので、そのこともありまして統計数字的なお答えはしかねるという状況でございます。
  216. 坂井弘一

    ○坂井委員 難しいんでしょうな。競争入札で指名を除外する、その認定基準は一体何なのかというような話になりますと、トラブルが起こる心配もありますよね。ただ、これはもうほってはおけぬぞということで、東京都なんかは要綱をつくりまして暴力団を締め出す。大阪も前にやりましたかね。これはかなりな効果が上がっているのでしょうか。
  217. 牧野徹

    ○牧野政府委員 まず、暴力団がどうかというところで発注当局なり建設業の許可事務当局がなかなか、そういうものは業を行わしてはいかぬということは決まっておったのですが、そういうものであるかどうかの認定が従前は事実上できなかったわけでございますが、今回警察庁とも十分御協議した結果それらの情報をいただけるということになりましたので、今後は本当にその組そのものが建設業者だという場合には、わかれば許可も与えないし、工事も発注しないということになろうかと思います。  それから、後段の東京都と大阪府の要綱でございますが、東京都は二月一日から措置要綱をつくっております。それから大阪府も四月一日から同じく措置要綱をつくっております。ただ、今言いましたように二月とか四月でございますので、実施以後まだ日が浅いものでございますから、これによって何件排除したというふうなことまではまだ承知をしておりません、
  218. 坂井弘一

    ○坂井委員 今度のこの業法の改正施行で、技術と経営にすぐれた企業の成長をねらっておる、これは大変結構だと思います。当然だと思うし、そのことは今の暴力団を締め出すというか不当なものを排除するということにつながると思いますので、それは大変結構だと思う。ただ、まじめな中小零細建設業者、それも従来の経験とか勘、それから実績の積み重ねがあるそういう中小零細な業者の締め出しということ、もしそんなようなことがあるとすればこれは大変戒めなければならぬ、受注機会を狭めるというようなことにもならないように配慮しなければならぬ、こう思いますので、これはひとつ要請だけ申し上げておきたいと思います。  ただ、公共事業、公共事業、こう一口に言いますが、公共事業に抱く国民のイメージというのは必ずしもいいとは私には思えません。時には不信もあるんじゃないかな。つまり、今はやりの民活手法も取り入れられるんですが、どうも国民とかけ離れたところで一部だれかが利得、利権を得ているんではないか、一部においてもうけているんじゃないかというようなイメージをどうも一般国民は持つ、その傾向といいますか、そういう感じが非常に強いように実は思うんです。ですから、公共工事を今度うんとやるんだ、大臣、補正予算でうんとやってください、これはぜひお願いをいたしたいと思います、また民活手法もどんどん採用していただいて結構でございますが、ただ、今申しましたような点がちょっと心配で、やればやるほど、かけ声がかかればかかるほど国民はちょっと白けるというような感じが出てまいりますと、これは事志と全く違った方向に――やはり国民の信頼とか国民の応援といいますか、そういうものがバックアップ、大きな力になって背景にありませんとなかなか公共事業というのはうまくいかないと思いますので、その辺の御留意もぜひいただきたいなと思います。  それから具体的なことでございますが、最近専門工が非常に人手不足で深刻だということを言われますね。住宅建設業界、つまり大工さんとか左官さんとか型枠工、こういう専門工。国勢調査によりますと、何でも左官さんは六十年には二十二万七千五百人、これは五十五年に比べまして二三%も減った、こういう報告もあります、やはり専門工を育てなきゃいけませんね、その辺はどうお考えでしようか。
  219. 牧野徹

    ○牧野政府委員 中央建設業審議会でいろいろ御審議いただいております中でも、最大の問題の一つは、熟練したいい技能工をどう確保するかという点でございます。例を一つだけ申し上げますと、重いものをつり上げるクレーン、あの業界は十年たったらそれに従事する職員の平均年齢が十歳上がったというようなことで、何とかして若い優秀な人に建設業界に入っていただいて、そのためには待遇もよくして、魅力ある職場にして何とか育てたいというのが最大の問題の一つになっております。おっしゃるとおりでございますので、これは前提条件等なかなか難しい面もありますが、今後努力をしてまいりたいと考えております。
  220. 坂井弘一

    ○坂井委員 前後しまして恐縮でございますが、今度の業法改正、五つの業種につきまして指定建設業ということでございますが、今後九業種の指定もやるんですね。この時期は大体いつごろを予定されておりますか。
  221. 牧野徹

    ○牧野政府委員 おっしゃるとおり答申では、中長期的に十四業種について技術者の資格を国家資格に限定すべきだ。今回五つやりますが、しからば残りの九つはどうかというお尋ねでしたと思いますが、私どもは当面これは指定するという考えはございません。ただ、御答申もございますし、施工技術の変化あるいは社会的要請の変化、あるいはもう一つ大事なのは、限定する場合にはそういう国家資格者が十分おる、ある程度おるということも大事でございます。そういうことを総合的に勘案して今後検討していきたいと考えております。
  222. 坂井弘一

    ○坂井委員 それから関西新国際空港に外国企業の参入ということがこれから検討されますが、それらと関連いたしまして、外国人も専任技術者あるいは監理技術者に当然なることができるという判断でよろしいでしようか。
  223. 牧野徹

    ○牧野政府委員 我が国の建設業法は内外無差別、オープンだと申し上げておりますが、専任技術者なり監理技術者につきましても、資格があれば当然外国人の場合でもなることができます。
  224. 坂井弘一

    ○坂井委員 最後に一点だけ、公共工事の前払い金の問題なんですが、四〇%を現金で前払いするというあの制度、あれが本当にうまくいっておるのかどうかということなんです。大方はうまくいっておるのだろうと思うのですが、ただ、これは釈迦に説法でして、大臣、確かに建設業界というのは重層構造で、下請があり孫請があり、大手さん、元請さんは系列化したいという気持ちもある。そういう中で国から、国は発注者、そうすると元請の大手に四〇%の前払いの現金というのは、確かに額は大きいですね。この現金をごそっと元請が手にいたしまして、従来建設省の方針はできるだけこの現金を下請の方に回してあげなさいよ、相当する額、こう言っているのですか――公共工事においては発注者から現金で前払い金がなされるので、企業の規模にかかわらず下請負人に対し相応する額を現金で前金払いするよう十分配慮すること、こういう通達を何回もお出しになっておりますね。相応する額といったら一体どの程度なんだろうかなと思いまして、随分前に私お尋ねをしたことがございました。何%くらいですかと言ったら、五十二年当時でしたか、四〇%を一〇〇%としまして三十七、八%くらいが適当でしょうかというような御答弁も一時あったようでございます。ただ、その後、相応する額といったって、パーセントで示せといったってこれはどだい無理ですよという御答弁もまたございました。だから、これはどれくらいが相応する額なのかというようなやぼなお尋ねをするつもりは全くないのですが、ただ、四〇%を手にいたしました元請さんが要するに相応する額を適当に下請に渡してやりませんと、これが下静に対するある種の締めつけ、それから、そのことがひいては働く人の賃金、条件の悪化につながる心配がある。そこのところだけは一点きちっと見据えていただいて、適切な指導をぜひ続けておやりいただきたい。必ずしも全体的にうまくこれが機能しているとは言いがたい状況が一部にあるやに私は聞きますものですから、あえて御注意を喚起いたしたいという気持ちで申し上げた次第でございますので、適切な運用をお願いいたします。なお、それに対しましてもし大臣御答弁がおありであればちょうだいをいたしまして、終わりたいと思います。
  225. 牧野徹

    ○牧野政府委員 再三御指摘のような通達を経済局長名で出しておることは事実でございます。いわゆる盆暮れ通達というものでございますが、それに基づいて、六十一年度ですと、先ほど先生三七、八%とおっしゃいましたが、外注ですから三〇・七%程度、率としてはそうなっております。  いずれにいたしましても、私どもは元請の方に発注者が支払った前払い金が適切な範囲内で下請にいくということは大事なことだと思っております。その観点から、前払い金につきましては御承知のとおり保証会社がその使途監査をやっておりますので、保証事業会社に対しまして現場立入調査を一層強化するなどきちっとやってくださいという指導もさらにやっております。今後とも十分注意してまいりたいと思います。
  226. 坂井弘一

    ○坂井委員 終わります。
  227. 村岡兼造

  228. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 建設業法の一部を改正する法律案等につきましては、それこそ建設業者の経営の近代化、合理化等の一層の促進を切にお願いしておきます。それからまた、建築基準法の問題につきましても十分な安全性の確保の問題あるいは良質な木造建築物の普及の問題、さらには良好な市街地環境を確保する等、こうした問題について一層強力な御努力を要請しておきたいと思います。  きょうはそのほかの問題につきまして、ちょうど現在のタイミング上ぜひ道路予算の問題等を中心にしてお伺いしたいのですが、私は去年の十一月二十六日の建設委員会で道路予算の問題についてお伺いいたしました。そのときに、冒頭天野建設大臣から、特に概算要求等の問題でありましたので、そのときには自分はまだその概算要求の要求をしていた当人でなかったのでという話もされながら、これからの折衝の問題については私に責任があるというような言い方で、今後の問題について所信等いろいろとお伺いをしたわけでございます。あるいは目の前に第十次道路整備五カ年計画の問題で近々結論も出るような状況にもあるわけでありますし、あるいは道路特定財源等の法律の暫定税率等の期限も来年の春には期限が来るというような状況等そうした背景があるものですから道路予算の問題についてお伺いしたいわけでありますけれども、まず最初に、六十二年度の道路予算で財投の投入等によって総事業費が五兆七千五百三十二億円、対前年比で八・五%増を確保しているわけであります。この点は評価するわけでありますけれども、その中身を見たときにやはりいろいろ問題があるなということで、六十二年度道路予算では自動車重量税を含む道路特定財源は全額道路予算に充当されたというふうに考えられているのかどうかについて、まずお伺いいたします。
  229. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 昭和六十二年度の道路整備予算におきましては、揮発油税の特会直入及び資金運用部資金の活用によりまして二兆一千三百七十四億円、これは剰余金を除いた額でございますが、そういった歳出額が確保されているところでございます。  一方、道路の特定財源としての税収は、揮発油税が一兆七千百三十億円、石油ガス税百五十五億円、自動車重量税三千八百八十八億円、合計二兆一千百七十三億円となっております。  したがって、六十二年度予算におきましては、道路特定財源税収額を二百一億円上回る歳出額が確保されており、道路特定財源の全額確保が図られたと考えております。
  230. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今のお話ですと、全額確保されているんだよというようなことでございますけれども、しかし本当は六十年度以降の資金運用部からの借入金、そういうものを道路特定財源以外の財源で返済して、初めてそういうふうなことが言えるのではないのかなというふうに思います。六十年度から始まった資金運用部からの借入金が六十二年度末でトータルして六千四百九十七億円になるわけでございますけれども、その返済についてはどういうふうになっているのかお伺いをいたします。  これは大臣が昨年の末だったでしょうか、記者会見でも、大蔵省との間で覚書が交わされているというような話もされているわけでありますけれども、その内容についてもお伺いをいたします。
  231. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 先生今御指摘の資金運用部資金の借り入れでございますが、これはあくまでも臨時的な措置でありまして、本来自動車重量税税収がそのまま充当されるべきであると考えておりまして、これまでの借入金の元利償還につきましては、六十二年度の予算編成におきまして、今後昭和六十二年度に別途財源により措置されることとなっておりますので、それによりまして、返済によって道路整備が支障を来すというようなことはないと考えております。
  232. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今、別途財源で措置されるので問題ない、こういうふうに思っておる、こういうお話でございましたけれども、別途財源というのはどういう形でされるわけでありますか。
  233. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 別途財源とは、自動車重量税を含む道路特定財源以外の財源という趣旨でございます。
  234. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 どういう内容なんですか。
  235. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 お答えいたします。  別途財源とは自動車重量税とか道路特定財源以外の財源ということでございまして、一般会計等というようなことでございます。
  236. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 大蔵省の方はどうでしょうか。
  237. 武藤敏郎

    ○武藤説明員 別途財源とは何かというお話でございますけれども、ここでは別途財源が何かということは具体的には示されておらないわけでございます。私どもといたしましては、道路整備の財源として自動車重量税創設時の経緯もありまして、自動車重量税の国分の八〇%に見合う額を一般会計から道路整備特別会計へ繰り入れるという慣例でずっとやってきたわけでございます。この覚書におきます趣旨は、そういう慣例を尊重しながら別途に財源を求めるというふうに理解しております。
  238. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それは一般会計から六千四百九十七億円はちゃんと返済をするよというふうに考えていいわけですね。
  239. 武藤敏郎

    ○武藤説明員 具体的に今後のこの借入金の返済をどうするかというお尋ねでありますれば、これから六十三年度予算編成のときに問題になるわけでございますけれども、ちょうど次の道路整備五カ年計画策定の時期にも当たります。そういうことも念頭に置きながら、建設省と十分相談して対応してまいりたい、かように考えております。
  240. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 繰り返しお伺いいたしますけれども、今のお話は五カ年計画との関係もあって、建設省と相談をしてやりますということでありますが、相談をして一般会計から持ってきて云々ということでやれそうだと考えていいのですか。
  241. 武藤敏郎

    ○武藤説明員 六十二年度の予算編成ということになりますと、六十三年度予算の財政事情、まあ歳入面も含めまして財政事情がどういうふうになるかといったようなことがやはりポイントでございます。そういうことでございますので、現段階では、六十二年度の財政事情あるいは六十三年度以降の道路整備の進め方といったようなことを念頭に置いて六十三年度予算編成の過程で十分建設省と相談させていただく、こういうことを申し上げているわけでございます。
  242. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 建設省とも十分相談されるそうでありますが、建設省は今の御意見に対してどんな感じでございますか。
  243. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 建設省といたしましても、先ほど申し上げましたような道路の特定財源、自動車重量税を含む道路特定財源以外の財源を充てていただくということで理解しております。そういった財源で措置されるということで、今度の第十次五カ年計画の法律改正等にも絡みまして、大蔵省とも十分相談をして処置をしたいというふうに考えております。
  244. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 そもそも、これは大臣間同士で覚書を結んでやったりあるいは局長間同士でやったりということでやっておりますね。――大臣、御意見は。
  245. 天野光晴

    天野国務大臣 それは当然な約束ですから、一般会計であろうと何であろうと、大蔵省からいただきます。
  246. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 頑張ってよろしくお願いします。  私が先ほど申し上げたのは、資金運用部から六千四百九十七億円のお話をいたしました。同じように、重量税の問題、これもずっと長きにわたって問題になっているわけでありますけれども、重量税のオーバーフロー分四千百八億円の問題につきましても、これは先回といいますか、先ほど申し上げました十一月の二十六日の建設委員会のときにも私が御質問等したわけでありますが、建設大臣も、あくまで四千百八億円は貸した金であるからこれはちゃんと取り立てるつもりだ、大丈夫ですよというふうに言われました。それこそ大臣間の覚書でも、可及的速やかに道路整備に充当するのだというふうに言われましたけれども、その問題についてはいかがでございますか。
  247. 天野光晴

    天野国務大臣 それはそのとおり。大蔵省するいかもね、なかなか素直じゃないですから、そういう点で間違いなく始末はいたします。始末するということは取るということです。
  248. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それこそ今まで何度もこういう、それぞれの大臣間の覚書等いろいろあったりして、実際には実行されずに、御努力はされたのでしょうが何となくいいかげんにきてしまっているなという感じを持つわけです。天野建設大臣に、これは絶対やるんだよ、当然だということで今も非常に力強いお言葉をいただいたわけでありますし、六十二年度予算の問題についてももう間もなくというような状況でありますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。それこそ大臣にもう一度決意をと申し上げようと思いましたけれども、先ほどのあれですべて物語っていると思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  それからもう一つ、第二東名、第二名神高速道路の問題でございますけれども、私はこの委員会でももう二、三回この問題について御質問等をいたしました。そして、まさに緊急に具体的な計画を進めていくべきであるというふうに主張をいたしました。昨年は、今ここにいらっしゃいます中島政務次官もあるいは道路局長も第二東名・名神の必要性は高いという認識を述べられて、調査を進めていく旨の答弁もされました。現在その調査はどういう状況になっているか、お伺いいたします。
  249. 天野光晴

    天野国務大臣 もう既に御承知だと思いますが、高規格自動車用道路、いわゆる高速国道の延伸をいたします。それは四全総の完成を待って始末をしたいと考えておりますから、幾らおくれてもこれから一カ月ぐらいの間に処理されるのではないかと思います。前々からお話もございますし、北海道から九州まで必要であるかどうかというのを十二分検討いたしておりますから、今ここで発表することはちょっと穏当を欠きますから、十二分検討しているということで御了解願えればありがたいと思います。
  250. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたしたいと思います。  今度の第十次道路整備五カ年計画の中でこの第二東名・名神高速道路の問題についてはどういうふうにお考えですか。
  251. 鈴木道雄

    鈴木(道)政府委員 第二東名・名神につきましては、四全総で策定される高規格幹線道路網の中で明確な位置づけをするという意味のことを今大臣が申し上げたわけでございますが、それに基づきまして第十次五カ年計画の中ではできるだけそういう整備が進められるように積極的に検討してまいりたいと考えております。
  252. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 実はもう少し詳しく具体的なところ等についてもお伺いしたかったのですが、何となく大臣のお顔の状況からしますときょうはそれ以上聞かない方がいい、しかし中身はこれからちゃんとやるということだと思います。それは、私ここで何度も申し上げましたけれども、この第二東名、第二名神問題というのは日本のこれからの経済成長等を考えたときに大変な問題になる、これはちゃんとやらないと大きなネックになる、また、それをベースにして、さっきちょっと話に出ました全国の幹線道路等、道路をちゃんとやらないとそれこそ大変なことになるというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げまして質問を終わります。ありがとうございました。
  253. 村岡兼造

  254. 中路雅弘

    中路委員 建築基準法の一部改正の方から質疑をしたいと思います。  今度の法案内容は全体的に規制の緩和ですが、一つは高さの制限緩和、法案の五十五条で第一種住居専用地域内の高さの制限が十メートルから十二メートルに緩和されることになりますが、こうなると、第一種の住居地域内に四階建てのビルも建築できるのではないかと思いますが、いかがですか。
  255. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 今回の改正で新たに十二メートル地区をつくりますと、高さ制限十二メートルということで、陸屋根、屋根の平らな構造のものにつきましては四階が可能となります。
  256. 中路雅弘

    中路委員 私も建築問題の専門家にも話を聞きましたけれども、十分四階建ては建築できるという話であります。  この問題と関連して、きょうはワンルーム・マンションの対策の問題についてお聞きをしたいのですが、現在、ワンルーム・マンションの建築に対する紛争や生活環境の問題についてはあちこちでいろいろ問題が起きてきています。こうした中で第一種住居専用地域内の高さ制限の緩和と関連して問題があるのではないかと私は考えるのですが、最初に、このワンルーム・マンションの建設について建設省は五十九年に「小規模分譲マンションの建設に関する対応等について」という通達調査をやられていますが、ワンルーム・マンションの調査に基づく建設戸数、最近の年度別、紛争別の件数を簡単に御報告いただきたいと思います。
  257. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 五十九年の四月から三大都市圏の規制市街地につきましてワンルーム・マンションの確認の申請件数を調査しております。この場合、ワンルーム・マンションというのは十五平米ほどをめどとしておるわけですけれども、五十九年度におきましては東京都、横浜市、川崎市、名古屋市、大阪府、神戸市等も入れまして大都市地域中心にしまして九百十六件、六十年度に千二百五十三件、それから六十一年の四月から十二月末で千三百九十一件ということで、全体的に増加の傾向にありますが、これの地域的な分布状況は、東京都におきましては微増の傾向に移っていって、だんだん周辺部に拡大している、移っているという傾向が見られます。  それから、次に紛争の件数でありますが、同じ地域におきまして五十九年度が三百一件、六十年度が二百六十件、それから六十一年の四月から十二月では二百四十七件というわけでありまして、全体の棟数の比率で申し上げますと減少の傾向にございます。
  258. 中路雅弘

    中路委員 今件数について御報告いただきましたけれども、私のいます川崎市でも調査しますと、三階以上で十五戸以上のワンルーム・マンションで統計をとりますと、建設戸数も六十年度が分譲、賃貸含めまして千百六十九、六十一年は七月末までですが千七百四とふえてきております。それに従って、例えばいろいろな紛争についての議会に対する請願、陳情の件数も五十九年から六十一年までずっと増加をしてきているわけです。その請願、陳情の中身を見ますと、日照の問題もありますけれども、大部分は管理面、環境の問題、こうした問題が大変多いわけです。  一、二紹介しますと、これは川崎の中原区の丸子通ですが、ダイカンプラザ新丸子建築計画というワンルーム・マンションです。今川崎市は団地造成の基準を設けていまして、七十戸以上については、公共施設の整備だとか、空地の提供だとか、ごみ保管、し尿処理、いろいろ義務づけているわけですね。あるいは周辺の住民の生活環境に配慮して、周辺住民との合意の問題もいろいろ出しているのです。このマンションで見ますと、百十二戸建てるのですけれども、こういう基準があるものですから、同じ建て方なんですが六十四戸をワンルームにして、あとは事務所という形で届け出を出しているものですから、この基準にある駐車場の整備だとかあるいは公共用地の提供だとか、こうしたことは一切抜きにしてぎりぎりいっぱい建てるということですから、周辺の住宅からも環境の面、管理面で大変苦情、請願が出ているということです。  また、私の部屋にも幾つかこうした関連の要請も来ているのです。一つ紹介しますと、最近手紙で来たのですが、これは神奈川県の海老名市です。積水ハウスの分譲ですけれども土地を購入した人と交わした売買契約書の中では、分譲地に共同住宅や店舗は建てないということが明記されているのですが、この一画を買ったミヤマという株式会社もやはりここにワンルーム・マンションを建設しようとしているわけです。風紀の問題や騒音や防犯、あるいは駐車場も全く設置がありませんから通学路に車が置かれるということで、こうした環境悪化の問題について周辺の皆さんから要望がされて、私のところにも対策の要請が来ているわけです。きょうは倍々の対策について御質問するわけではありませんけれども、全国的にこうした問題が重大な問題になっていると思うのです。  今までの政府対策を調べてみますと、五十九年の八月三十日付で通達を出しておられます。先ほどの実態調査もこの通達に基づいてやられたと思いますが、通達の中身を見ますと、「各特定行政庁においてもワンルーム・マンションの建設状況等につき実態把握に努めるとともに、ワンルーム・マンションの建設によって居住環境に著しい影響が及ぶと予想される地域における地区計画、建築協定等の制度の適切な活用及び供給者と周辺住民との紛争についてのあっせん、調停等の適切な措置につきよろしく取り図らわれるようお願いする。」という通達なんですね。余りにも一般的で、不十分ではないかと私は思うのです。  自治体でも最近は独自に条例指導要綱を作成して紛争の解決に当たっていますし、先ほど例で挙げました川崎市の場合も、ワンルーム形式集合住宅の建築指導要綱というのを作成しまして、ことしの六月一日以降の建築基準法に基づく確認申請からこれを適用するということになっています。先ほど例を挙げたのは、こうした前に業者の駆け込みという性格を持っているのですけれども、私はこの点で、国の方も今までの通り一遍の通達だけではなくて、今地方自治体も苦労しているわけですから、この解決についてもっと有効な対策が必要ではないかと思うのですが、この問題で関係局長なり大臣の御意見をひとつお聞かせ願いたい。
  259. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 特に大都市部におきまして少人数世帯が増加したことを背景にしまして、ワンルーム・マンションがここのところふえていることは先ほど御説明したとおりでありまして、それなりの需要に対する供給の役割を果たしているわけではあります。しかしながら一方、ワンルーム・マンションに入ります居住者の層が特定の若い層に偏っているとか、そのため管理人室が不十分であるとか、また当然のことながらマンション形式をとりますために、既存の市街地の環境と調和を乱すというような問題点も確かにございます。  そういうことを憂えまして、五十九年八月に通達を出したところであります。内容が少し抽象的過ぎるというような御指摘がございましたが、気持ちはやはり、良好な環境を保ちつつ良質な住宅のストックの形成ということを目指しているわけでありますので、そのような趣旨から、なお地方公共団体、それから関係業界に対しても指導を徹底してまいりたいと考えております。
  260. 中路雅弘

    中路委員 大臣にそのたびごとに立っていただくのもあれですから、今の局長の御答弁で、ひとつ有効な、さらに具体的な措置をお願いしておきたいと思います。  もう一つ、木造建築物に係る制限の緩和の問題ですけれども、六十二条で、準防火地域内に木造三階建ての建築物が建てられるようになるわけです。消防庁、来ておられると思いますが、都市防災上これは問題がないかということについて御意見をお聞きしておきたいと思います。
  261. 木下英敏

    ○木下説明員 木造建築物は従来、火災拡大危険等の点で問題があると考えられておりまして、それが建築基準法において例えば準防火地域に木造三階建ての建築を制限してきた理由であると理解をしているわけでございます。  したがいまして、木造建築物に対する制限の緩和に対応いたしますしかるべき防火安全上の措置、他棟への延焼危険を増大させない防火上の措置等が十分講じられるならば、特に問題はないと考えております。
  262. 中路雅弘

    中路委員 この木造建築物に関する規制緩和によって、一つは木材の需要ですが、大まかにどの程度需要が拡大されると見ておられるのか。これは林野庁にちょっとお尋ねをしたい。
  263. 高橋勲

    高橋説明員 お答えいたします。  木材需要の拡大は、我が国の林業とか木材産業活性化を推進して山村の振興や国土保全を図るというふうな意味で、大変重要な仕事であると考えております。  今回の建築基準法改正案によりますと、建設需要が大きくて土地高度利用に対する要請の強い準防火地域内で三階建てが建てられるというふうなこと、それから、体育館などの大空間を有する建築物も促進され、あるいは大規模な畜舎などの防火壁をつくらないでいいというふうな形になりますので、木材需要に対しましては、量的にはこれを把握するのが難しい点がありますけれども、大きな前進が見られるものというふうに期待をしております。
  264. 中路雅弘

    中路委員 今お話しのように、大きな前進といいますか需要が拡大するということは確かだと思いますが、今日本の木材需要を調べてみますとなかなか大変な状況なんですね。三十年代の高度成長期に植えられた山林が現在だんだん伐採時期を迎えてきているわけです。  林野庁にお答え願いたいのですが、例えば樹齢三十年からあるいは二十年くらい、これから伐採時期に入るのですね。今の木材の状況ですね、例えば五年ぐらいごとに区切って、これからどのくらいの需要が出てくるのか、お伺いしたいと思います。
  265. 高橋勲

    高橋説明員 お答えいたします。  木材が利用できる林齢といいますのは、通常五十年あるいは場所によっては四十年というふうな林齢でございますけれども、日本の国の人工林の五十年生以上、これは六十六万ヘクタールございまして、四十年生以上というふうに見ますと、これが百十万ヘクタールございます。これが既に利用できる伏期に達しておるわけでありますが、さらにその次にあと五年後、十年後になって利用できるというふうな面積が三十四万ヘクタール、九十五万ヘクタールというふうに、過去に人工造林をいたしました森林が順次年齢が上がってまいりまして、これが増加してくる傾向でございます。
  266. 中路雅弘

    中路委員 十年後になりますと相当見通しがふくれ上がるのですね。しかし一方で全体として需要の方は低下していると思うのですが、この点についても最近数年の間でどういう変化があるのか、需要についての、五十六年あたりとりまして、六十年、六十一年くらい、どの程度になっていますか。
  267. 高橋勲

    高橋説明員 お答えいたします。  木材需要はそのおよそ半分が建築用に向けられておりまして、その大部分は住宅用というふうになっております。そうしまして、住宅用の木材が、最近では新設の住宅着工戸数そのものが減っておりますし、それから木造住宅の率も減っております。そういうことでかなり量的に減ってきております。通常は建築用五〇%というふうに昭和五十年の時期は言われておったのでありますが、最近では四三%というふうに下落しております。
  268. 中路雅弘

    中路委員 最近四割ぐらいという御報告でありますし、木材需要の最も大きな割合を占めるのは住宅建設でありますけれども、これが低下している状況ですから、この点では一この法案が全体としては建築物の形態等の緩和で、ある意味では大都市の高度高密の利用を一層進めるという点で都市の乱開発を進行するおそれもあるわけで、そういう点ではこの緩和措置によってあるいはまた土地の底地買い等がさらに助長されて地価高騰に拍車をかけるという結果にもなりかねないという点で、この面では賛成できないわけですけれども、今の木造建築物に係る制限の緩和によって木材の需要拡大につながるという点については私たちも賛成でありますし、日本の木材、林業の振興になる点だと思うのですね。  木材の需要の拡大に当たっては、法改正というだけではなくて、現在行われている諸施策とあわせてさらに木材需要についての有効な対策が立てられるようにやっていただきたいと思いますが、この点について一言大臣のお考えもお聞きしておきたいと思います。
  269. 天野光晴

    天野国務大臣 中路先生のおっしゃるとおりでございますから、三階建ても私、強引にこれをやらせるようにしたわけでありまして、いろいろな面で国内の木材の使用量がだんだん減ってきて外材に押されているというような状態、これはイコール治山治水に影響があるわけでありまして、木材が使われないようになりますと植林いたしませんから、そうしますと治水に大きな影響があるわけでありまして、そういう観点から、どうしても国内産の木材を多く使わせたいと思いましていろいろな施策を講じてみたのです。  まず第一に、公営住宅をひとつ奨励しようというので、木造住宅をやるものには優先的に全額をやる、それから中高層的なものはその余った金で割り振りをするというようなこともいろいろやってみました。なかなか思うようにはいかないのでありますが、いかないからといって努力しなければどうにもなりませんので、一生懸命努力をして、いろいろな総合的な関係がありますから、要するに木材、木造建築というものを、逆効果みたいなものではありますけれども奨励しようということで今やっているところでありますから、御理解願えればありがたいと思います。
  270. 中路雅弘

    中路委員 次に、建設業法に関連して二、三、改正について質疑をしたいと思いますが、今度の法改正案が、ことし一月十三日の「今後の建設産業政策の在り方について」という第一次答申、中建審の答申に基づいて提案されたものであると思いますが、中建審の答申の中でとりわけ技術者の資格要件については、この法改正に入ったもの、それから将来検討すべきものとして先送りされたもの、またそのうち法改正を必要とするものと政省令改正にゆだねられるものと、それぞれについてお答えいただきたいと思います。
  271. 牧野徹

    ○牧野政府委員 このたびの中央建設業審議会の御答申では、まず建設業の業種は二十八でございますが、その中で施工技術が総合的、技術的ということで土木工事業、建築工事業以下十四の業種について、特定建設業、一般建設業とも国家資格に限定する方向が適当だ、これが御答申でございます。  その中で、今回の法律改正で私どもがお願いをしておりますのは、法律段階でいえば特定建設業のみについて指定建設業をつくるということをお願い申し上げております。その中でさらに具体の業種の指定は政令で行うということにしておりますが、その政令段階では、ただいまのところ土木工事業、建築工事業、それから舗装工事業、管工事業、鋼構造物工事業、その五つを予定しておりますから、残りの九つ及び一般建設業に係る指定建設業は将来の問題、こういうふうになります。
  272. 中路雅弘

    中路委員 今御答弁いただきましたけれども、答申が出されているわけですから、答申のように将来残りの特定の九業種ですか、及び一般建設業についても国家資格に限定するという方向であるわけです。もしそうなるとしますと、零細な一般建設業者も国家資格化によってあるいは締め出されるというような不安も今非常に強まっているわけですが、それにつながりかねない事態だと思うのです。この点についてはいかがお考えですか。
  273. 牧野徹

    ○牧野政府委員 まず特定建設業の十四の、今回予定する五以外の九つ、これにつきましては当面これを指定する考えはございません。  ただ、御答申もございますし、施工技術の変化あるいは社会的要請、国家資格者の充足など総合的に勘案して、今後、これは政令問題でございますが検討してまいりたいと思います。  さらに一般建設業の方になりますと、これは先生御指摘のとおり対象の業者数も非常に多うございます。それから当然のことながら中小零細業者がほとんどであるという実態もございます。ですから、特段に慎重な取り扱いがなされるべきであると考えております。  が、いずれにいたしましても、この一般建設業に指定建設業制度を取り入れるということは、これは法律改正が必要になります、今お願いしておる中にはないわけですから。必要性が生じた場合には、国会で十分御審議をお願いしたいと考えております。
  274. 中路雅弘

    中路委員 この改正案が、答申、そしてその前の建設産業ビジョンに基づいてやられてきていることは事実なわけですが、ビジョンには、建設産業の最大の問題点として、建設需要が少ないのに業者数が多過ぎるという需給ギャップということを中心に置いているわけですね。今後はある程度企業規模の拡大を目指す中で、その結果として業者数が減ることが望ましいという方向を出しているわけで、今回の改正もそのほんの一部を取り上げた。今後は検討するということであるわけですが、今、中小の一般建設業について慎重な取り扱いというお話もありましたけれども、私、ちょっと一例だけお話しします。  これは、昨日新聞を送っていただいて見たのですが、委員長のおられる秋田県です。「資格失う業者続出」ということで大きな記事が出ているわけです。  秋田県では本年一月、資格要件の適正化といって建設業者が県発注の、これは秋田県がやったのですが、公共事業に参加する基準となる建設工事入札参加資格の審査基準を変えてより厳しくし、五月一日から新しい格付を発表したわけですが、この結果、新しい基準による格付によって、前年度格付資格を有していた延べ二千八百十四業者のうち、約四百五十以上の業者がランク外となって入札参加資格を失う事態が出て、大問題だという記事が出ておりますけれども、なぜランク外になったかというと、新しい基準では、有資格の技術者を一定数、中小が置かなければならない、抱えるということを不可欠の要件として出してきているからです。  これはまさにビジョンや中建審の答申の先取りのようなことを実際に県でやられている。建設省がより資格基準を厳格にするという指示を出されている、それに基づいて秋田県はやったんだということが言われていますけれども、こうなりますと、今慎重に取り扱いをしなければいけないという御答弁ですけれども、現実にはこうしたことが秋田県で大問題になって、業者も非常に気にしておられるということです。この新聞記事によりますと、県は執行からわずか二週間足らずで緩和措置を講じましたけれども、しかし、来年度からは決めた基準でやるということを言っているのですね。  今、慎重に取り扱うと言われましたけれども、現実にこうした事態が起きているわけです。中小業者が切り捨てられようとしているわけです。こうした事態をどうお考えになるのか、適切でないというならば、県を指導してこうした点の是正を図っていただきたいと私は思いますが、いかがですか。
  275. 牧野徹

    ○牧野政府委員 まず、基本的な立場を申し上げておきますと、建設業の場合、日本の全産業もそうでございますが、個人及び資本金一億円未満の中小企業が非常に多うございまして、パーセントで申しますと九九・三%が中小企業でございまして、三分の二程度の工事を行っておるわけでございますから非常に大きな役割を果たしております。  今回お願いしております法律改正は、施工技術の高度化、経営体質の改善に資するということを目的としておりまして、御答申の中にもございますが、「企業規模の大小にかかわりなく「技術と経営に優れた企業」が成長していく」、そのための条件整備をするものでございます。決して業者数を減らすというか抑制するというつもりのものではないということをまず申し上げておきたいと思います。  それから、私はただいま初めてでございますが、秋田県の例でございますが、これはいわゆる発注者としての秋田県が建設業者のランクづけをどうするかという御判断で基準の改定をなされたのだと思います。  私どもが今回お願いしているのは、そのもっと光といいますか、根っこといいますか、建設業者のあり方として、技術と経営にすぐれたものが成長できるような条件整備をしようということでございますから、その後の、それでパスしている建設業者の方のランクづけをどうし、どういう発注をとるかということは、それは個別の発注者の方のお考えであって、そのことが直ちに今度のこの法律改正に基づく意図とかあるいは指導とかいうこととは全く関係ないというふうに私どもは考えております。
  276. 中路雅弘

    中路委員 しかし現実に、前に資格があったのが一挙に四百以上の業者が資格を失うというような事態が起きているわけですね。それは秋田県に聞きますと、建設省から資格をもっと厳しくという一般的な指導もあるからということも聞いているものですから、そうだとすれば、ひとつその点は是正をしていただくということを重ねて要望しておきたいと思います。  時間も限られていますからもう一問だけですが、もう一つは、改正案で、経営事項の審査のうち経営状況の分析について、新しく建設大臣指定する機関に行わせるということがありますけれども、この機関というのはどういう団体ですか。
  277. 牧野徹

    ○牧野政府委員 具体的な機関名をどこどこというふうなことは未定でございまして、決めておりません。ただ、公正中立で専門的な審査能力を備えた第三者機関指定するということが改正案の中に入っております。と同時に、民法法人で公益法人でなければいかぬというふうな要件もございますから、こういう機関指定して厳正に業務を行わせてまいりたいというふうに考えております。
  278. 中路雅弘

    中路委員 報道等によりますと、この機関はOA財団とか言われていますが、保証会社の出向社員が入るというようなことも報道されています。経営事項審査というのは企業力を的確に評価するための重要な審査でありますし、こうした会社が入るということになると、第三者機関としてふさわしいかどうかということも問題になりますし、また、有料化することになると業者には負担にもなるわけですね。  この点で私は、この審査の中でランクづけがされて公共事業に参入ができなくなる事態が起きるとか、あるいは企業の秘密保持の問題、そうした点が守られていくのか、これについてお聞きします。
  279. 牧野徹

    ○牧野政府委員 指定する機関は、先ほど申し上げましたように公正中立な機関指定いたしますが、さらに法律上の手当てといたしましては、建設大臣の監督、命令の規定なりあるいは厳重な秘密保持の規定が入っておりまして、十分公正中立性が確保されると思います。  と同時に、ランクづけを行うかというふうなただいまのおただしでございますが、この機関が行いますのは経営状況の分析ということでございますから、言ってみれば単純な数字のことでございまして、経営規模の認定とか、さらにそれを総合いたしました最後の評定をするのはあくまでも許可行政庁でございます。この指定された機関がランクづけあるいは外への公表というふうなことは一切行いません。
  280. 中路雅弘

    中路委員 時間になりましたので終わりますが、この改正案提出理由一つに、暴力団等の不良、不適格業者の排除等が目的ということで言われていますけれども、現行法の七条の「請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。」という許可基準によっても、こうした点は十分規制できるわけです。今回は特定業者への規制強化にとどまっていますけれども、ビジョンあるいは答申に基づいてこれからやられるわけで、業者数の削減ということがこのビジョンの中でも言われているわけですから、中小切り捨ての一環ということにもなってくるわけですし、また、特定の業者の中の中小業者にとっても大変大きな負担になることは間違いないと思うのです。そういう意味ではこの改正案に私たちは賛成できないということを明らかにして、質問を終わりたいと思います。
  281. 村岡兼造

    村岡委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  282. 村岡兼造

    村岡委員長 まず、建築基準法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  建築基準法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案について賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  283. 村岡兼造

    村岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  284. 村岡兼造

    村岡委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、森田一君外三名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。森田一君。
  285. 森田一

    ○森田(一)委員 ただいま議題となりました建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれては十分御承知のところでありますので、この際案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 木造建築物の制限の改正については、十分な安全性を確保するよう措置するとともに、良質な木造建築物の普及のため、関係業界等に対する指導を徹底すること。    なお、準防火地域内の三階建て木造建築物については、現在の木造住宅の施工の実態に十分配慮すること。  一 容積率制限及び道路斜線制限等の改正については、良好な市街地環境が確保されるよう、地方公共団体と緊密な連携を図り、適切な執行に努めること。  一 第一種住居専用地域における十二メートルの高さ制限地域設定に当たっては、地域の実情に十分配慮するとともに、地元住民の意同を踏まえた都市計画とすること。  一 市街地内において土地の適切な高度利用が進むよう、都市基盤施設の整備の推進により   一層努めること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  286. 村岡兼造

    村岡委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  287. 村岡兼造

    村岡委員長 起立多数。よって、森田一君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。天野建設大臣
  288. 天野光晴

    天野国務大臣 建築基準法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見やただいま議決になりました附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  289. 村岡兼造

    村岡委員長 次に、建設業法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  建設業法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  290. 村岡兼造

    村岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  291. 村岡兼造

    村岡委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、森田一君外四名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております、  提出者より趣旨の説明を求めます。森田一君。
  292. 森田一

    ○森田(一)委員 ただいま議題となりました建設業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれては十分御承知のところでありますので、この際案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     建設業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 建設業許可制度改正が、中小零細建設業者の淘汰・排除とならないよう十分配慮すること。  一 中小零細建設業者が進める経営の近代化合理化等について適切な指導・援助を行うなど、保護・育成のための施策を強力に推進すること。  一 適正な施工を確保するため、技術者がより的確な施工管理能力を習得できるよう、実務経験の豊かな者に対する受検資格の優遇など、施工管理技士の資格取得の促進に十分配慮すること。  一 施工技術の進歩に対応して技術力の維持・向上を図るための、建設業者団体等が自主的に行う技術者の教育、講習会等について、積極的な援助・指導を推進すること。  一 施工技術の適正な確保に必要な国家資格の創設に当たっては、その必要性等を十分勘案し、中小零細建設業者の負担とならないよう配慮すること。  一 経営事項審査制度の見直しによって中小零細建設業者の受注機会を狭める結果とならないよう配慮すること。   また、第三者機関は、公正中立なものとするとともに十分な指導・監督体制の確立を図ること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  293. 村岡兼造

    村岡委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  294. 村岡兼造

    村岡委員長 起立総員。よって、森田一君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。天野建設大臣
  295. 天野光晴

    天野国務大臣 建設業法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見やただいま議決になりました附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  296. 村岡兼造

    村岡委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  297. 村岡兼造

    村岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  298. 村岡兼造

    村岡委員長 次に、内閣提出参議院送付総合保養地域整備法案を議題といたします、  趣旨説明を聴取いたします。綿貫国土庁長官。     ―――――――――――――  総合保養地域整備法案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  299. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 総合保養地域整備法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  近年における国民の余暇時間の増大、生活様式の多様化等に伴い、余暇における活動に関する国民の需要は増大しており、これに伴ってその内容も多様化しております。すなわち、自然との触れ合い、健康の維持増進、創造的活動、地域、世代を超えた交流等に対する国民のニーズが高まってきているわけであります。  また、今後の地域振興を推進していくためには、経済のサービス化の進展等産業構造の変化に対応して、地域の資源を活用しつつ、第三次産業を中心とした新たな施策を展開していくことが必要であります。  本法律案は、こうした見地から、国民がすぐれた自然条件の中で滞在しつつスポーツ、教養文化活動などの多様な活動を行うことができる地域整備を、民間事業者の能力の活用に重点を置きつつ進めるための総合的な措置を講ずることにより、ゆとりのある国民生活のための利便の増進並びに当該地域及びその周辺地域の振興を図り、もって国民福祉の向上並びに国土及び国民経済の均衡ある発展に寄与することを目的とするものであります。  次に、本法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一は、本法律案により整備の対象となる地域についてであります。  本法律案により整備の対象となる地域は、①良好な自然条件を備えた相当規模の広がりを有する地域であること、②用地の確保が容易であること、③民間事業者による関係施設の整備が相当程度行われる可能性があることなどの要件を備えた地域としております、  第二は、基本方針の作成についてであります。  主務大臣は、整備に関する基本的事項、対象地域設定等について、都道府県の作成する基本構想のための指針となる基本方針を定めることとしております。  第三は、基本構想の作成についてであります。  都道府県は、主務大臣の定めた基本方針に基づき、特定地域について基本構想を定め、主務大臣の承認を申請することができることとしております。基本構想においては、対象地域整備方針、当該地域整備される特定施設に関する事項、公共施設の整備方針に関する事項、整備の一環として推進すべき産業の振興に関する事項、土地の確保に関連した農用地整備に関する事項、自然環境の保全との調和、農林漁業の健全な発展との調和、居住機能との調和、観光業の健全な発展、地価の安定等について定めることとしております。  第四は、基本構想の実施及びそのための税制その他の助成措置についてであります。  基本構想に基づいて実施される地域整備は、民間事業者の能力の活用に重点を置いて行うこととし、税制、財政、金融上の措置などを講ずることといたしております。すなわち、基本構想に従って民間事業者が設置した一定の施設等については租税特別措置法による特別償却、地方税法による特別土地保有税等の減免措置を講ずるほか、必要な資金の確保に努めることとしております。  さらに、地方公共団体が民間事業者の設置した一定の施設について、固定資産税等の不均一課税を行った場合には地方交付税による減収補てん措置を講ずるほか、民間事業者に対して出資、補助等の助成を行ったときは当該助成に要する経費を地方債対象経費として特例的に扱うこととしております。  また、国及び地方公共団体は、基本構想を達成するために必要な公共施設の整備の促進に努めるとともに、農地法等による処分についての配慮、国有林野の活用、港湾に係る水域の利用についての配慮等所要の措置を講ずることといたしております。  なお、本法律案国土庁長官、農林水産大臣、通商産業大臣、運輸大臣、建設大臣及び自治大臣が協力して実施することといたしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  300. 村岡兼造

    村岡委員長 以上で趣旨の説明聴取は終わりました。  次回は、明二十二日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二分散会      ――――◇―――――