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1987-05-15 第108回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年五月十五日(金曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 村岡 兼造君    理事 谷  洋一君 理事 中島  衛君    理事 野中 広務君 理事 平沼 赳夫君    理事 森田  一君 理事 中村  茂君    理事 坂井 弘一君 理事 西村 章三君       榎本 和平君    金子原二郎君       瓦   力君    木村 守男君       桜井  新君    鈴木 宗男君       田村 良平君    渡海紀三朗君       中島源太郎君    中村喜四郎君       東   力君    松田 九郎君       松永  光君    三塚  博君       井上  泉君    木間  章君       坂上 富男君    三野 優美君       伊藤 英成君    辻  第一君       中路 雅弘君  出席国務大臣         建 設 大 臣 天野 光晴君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 綿貫 民輔君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      大森 政輔君         国土庁長官官房         長       清水 達雄君         国土庁土地局長 田村 嘉朗君         林野庁次長   松田  堯君         運輸省港湾局長 藤野 愼吾君         建設政務次官  東家 嘉幸君         建設大臣官房長 高橋  進君         建設大臣官房審         議官      中嶋 計廣君         建設省都市局長 北村廣太郎君         建設省河川局長 陣内 孝雄君         建設省道路局長 鈴木 道雄君  委員外出席者         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     田内  堯君         気象庁地震火山         部地震火山業務         課長      鈴置 哲朗君         建設省河川局次         長       三木 克彦君         建設省道路局次         長       望月 薫雄君         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ————————————— 委員の異動 五月十五日  辞任         補欠選任   瓦   力君     渡海紀三朗君   浜田 幸一君     鈴木 宗男君   三塚  博君     木村 守男君   小野 信一君     木間  章君 同日  辞任         補欠選任   木村 守男君     三塚  博君   鈴木 宗男君     浜田 幸一君   渡海紀三朗君     瓦   力君   木間  章君     小野 信一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  治山治水緊急措置法及び河川法の一部を改正す  る法律案内閣提出第二九号)  民間都市開発の推進に関する特別措置法案(内  閣提出第四四号)  国土利用計画法の一部を改正する法律案内閣  提出第七七号)  建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出  第四九号)  建設業法の一部を改正する法律案内閣提出第  五八号)      ————◇—————
  2. 村岡兼造

    村岡委員長 これより会議を開きます。  内閣提出治山治水緊急措置法及び河川法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂上富男君。
  3. 坂上富男

    坂上委員 坂上でございます。  建設大臣参議院の方にお出かけだそうでございますので、ちょっと順序が狂いますが、大臣にまず御質問申し上げたいと思っておるわけでございます。  補正予算の問題については、まだ今当初予算審議中でございますので問題にすること自体に問題があるのだそうでございますが、参議院予算委員会中曽根首相天野建設大臣に言われてという言葉をあえて使いまして、公共事業を、アメリカにおけるレーガン会談の中において五兆円の規模補正予算を組みたいということになって、特に天野大臣の方からその補正予算がひとつ早期に成立するよう要請があった、こうあるわけであります。  そこで、公共事業補正予算治山治水の関係についてどの程度見込んでおられるのか、そして特に大臣は急がれる理由の中に、雪害地区において特に早くしてもらわないと間に合わないというお話もあったそうでございます。その希望されるところの補正予算見通しはこれからどういうふうになるおつもりなのか、御答弁賜りたいと思います。
  4. 天野光晴

    天野国務大臣 まだ本予算が通っていませんから、正式に補正予算内容についてお話を申し上げることは——それでも欠陥予算欠陥予算なのですから、私はそう思うのです、正直に言っていいと思うのですけれども。なかなか事務的にやりくりがあるようでございますから、そういう点で明確に補正予算としてのお話を申し上げるわけにはいきませんが、ただ私の主張しているのは、補正予算を組まなければならないという客観的、また主観的な情勢の中で、組むのであるなら組むだけが目的ではあるまい、仕上げることが大切ではないか。去年も非常に苦労したのですが、積雪寒冷地帯が非常に多い。その地域に特に今の円高ドル安に関係する不況ムード地帯が多いので、これを完全消化するためには雪の降る前にやるべきではないか。野党だってみんな考え方は同じなのですから。そういう意味で私は、七月だなんて言わないで六月に考えるわけにはいかないかと閣議発言をしたわけです。閣議発言は表に出ないことになっているのですが、少なくとも十二月の雪の降る前までに三分の二ぐらいは消化したいという発言をいたしたのはそういう意思でございまして、規模は我が党で五兆円以上やる、こう言っております。  これは事業費か国費かということで問題になっておるのでありますが、我が建設省としては、やはり七兆円ぐらいまででないと消化が難しいということなものですから——それは事業量であります、そういう意味で五兆円を何ぼ上回るか。五兆円以上というのは、六兆円は越さないだろう。六兆円以上というのなら、六兆円を超すわけですが、五兆円というのは五兆九千九百九十九億までは五兆円だと思う。しかし一億円でも五兆を超えたことになるが、そんなちゃちなことではだめだという発言はしてあります。具体的に振りつけとかそういう予算の中身については担当局長から答弁をさせます。  去年は雪がありませんからことしは恐らく相当豪雪になるのではないかと私は考えておるものですから、そういう観点で、私も東北ですから、北海道東北、北陸という地域はやはりどうしても急がなければいけないという考え方で、大体今申し上げたようなそういう発言をしてあります。
  5. 坂上富男

    坂上委員 これから具体的になってくるのでございましょうが、公共事業について大変前倒しをしていただきまして地方に起きる内需拡大あるいは事業の振興、そしてまた地方要請におこたえになる御努力はわかるのでありますが、治山治水の五カ年計画財源確保見通し、そしてまた、地方公共団体におきましては、大変な前倒しもいただいておりますが、地方市町村負担部分財源措置になかなか困っておるという状態なのじゃなかろうか、こう思っておるわけであります。ですから、せっかく前倒し前倒しをしていただきましても、地方公共団体がこれを消化する力がなかなか、今消化不良を来しておるのじゃなかろうかというふうにも思っておるわけでございます。  また一方、この間NHKのテレビでもやっておったわけでありますけれども、仕事は受けたけれども、これに働くところの労働者、大工さん、そういうような技術者が極めて足りない。北海道のような、城下町でだめになったところに労働者あるいは技術者を雇いに行きましても、なかなかこれに応じられるような状況でないというようなことも言われておるわけでありますが、そんなような観点はどのように建設省の方で見ておられるのか、ひとつ御答弁賜りたいと思います。
  6. 天野光晴

    天野国務大臣 地方財政との関連性の問題ですが、今御審議願っておる六十二年度本予算につきましては既にもう手当て済みでございます。  ただ、問題は補正予算であります。補正予算の場合は、過去の例からいいますと、全額地方財政影響ない格好で執行するというやり方が過去の慣例ではありますが、ことしの場合は例外でありまして、非常に金額が多うございますから、そういう観点でこの問題についてはちょっと問題があるのではないかというので、これも私は閣議発言をしております。  執行するのは地方自治団体と国と大体において半分半分でやるわけですから、そういう意味において、予算が多いからといって地方自治団体負担の軽減をしなくても、ともかくも地方自治団体が執行できるように財政やりくりをしてもらわなければ困りますよ、これは自治大臣大蔵大臣でよく協議の上やってほしいということで、一応補正については今の段階では問題なくやれるのじゃないかなという感じがいたしております。  その他の問題については局長から答弁いたさせますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  7. 高橋進

    高橋(進)政府委員 技術者中心とする労働者の不足が問題にならないかということでございますが、これにつきましては、建設経済局中心といたしまして業界にもいろいろ事情聴取いたしております。その結果、時期的にあるいは地域的に一部鉄筋工とか型枠工とか、そういったような技能労働者について不足する場合がなしといたしませんけれども、マクロ的には十分可能であると考えておりまして、実際の施工に当たりましては業界にもいろいろ努力してもらって、労働者の移動とかその他予備軍的な方々もおられるわけでございますので、十分可能というふうに建設省では考えております。
  8. 坂上富男

    坂上委員 また大臣がお見えになってからこの問題を少し議論させていただきたいと思います。  出席の各省庁がお見えでないので順序が大変狂って、総論をやるべきことを各論みたいになっておりまして大変お聞きづらいことじゃないかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。  まず森林法。この間最高裁違憲判決が出たのでございますが、百八十六条、共有林分割請求制限条項でございます。最高裁からこういう違憲判決が出るというのは、官庁にとっては不名誉なことでございます。まず、この判決によって森林行政でどのような影響が出るのか。この国会で、森林法改正削除法律改正を提案なさっているそうでございますが、どこでどう審議になるか、農水でございますか。この問題に対する責任ある御所見を賜りたいと思っております。
  9. 松田堯

    松田(堯)政府委員 お答え申し上げます。  森林法第百八十六条は、森林共有されております場合に、林業経営の安定を図る見地から、共有に係る森林分割につきまして過半数をもってすること以外は分割を請求することができないということを規定しているものでございます。  この百八十六条の規定がなされました昭和二十六年当時の時代といたしましては、山村における住民の生活森林とのかかわり合いが大変深い状況にあったわけでございまして、共有林の大多数は共有者によって共同使用収益に供されるという実態にあったわけでございます。したがいまして、共有林複数所有者による共同森林経営に供されるべき土地ととらえまして、その経営の安定を図るという目的達成手段として共有分割を制限することを講じておりましたことは、当時の共有林実態から見て必ずしも合理性に欠けるものではなかったと考えられるわけであります。しかしながら、エネルギー革命等の経過を経まして、現状におきましては、昔のような山村におきます国民生活森林とのかかわり合い大変希薄になってきておる。したがって、所有者すべてによって共同経営に供されるといったような実態が崩れてきている状況にもあるわけであります。このため、森林法第百八十六条の規定による規制手法がその目的との関連におきまして必ずしも実態に合致しないこともございまして、さきの最高裁判決におきまして違憲、無効であると判示されたものと考えているところでございます。  現在、林野庁が講じている森林経営安定化のための施策につきましては、このような森林所有利用実態を踏まえ、生産森林組合等協業経営体の育成や所有は個別のまま施業を共同化するといったように促進する方向施策を講じているところでございまして、この森林法第百八十六条の規定削除による特段の影響は生じない、このように考えているところでございます。
  10. 坂上富男

    坂上委員 これは、明治の初めから森林法のこういう規定があったと聞いているわけであります。新しい憲法になって均分相続になった。一体どのような影響が今日まであったのか、これはほとんどないわけであります。今御答弁ありましたとおり所有分割ですから、所有分割森林保全ということは別でございまして、いわばこれによって力の強い者が力の弱い者を抑え込むというような条項としてのとらえ方もあるわけでございます。これと同じことが農地の場合の相続にもあるわけでございます。できるだけ農地を分散させたくないということから、何としても農家を相続する人が農地を持ってもらいたい、こういうような希望があるのでありますが、法律上どうにもならぬわけであります。これが近代法実態なのでございます。森林法も今おっしゃったように影響は全くないんだ、ないのをこうやって残しておくところに問題があったのだろうと私は思うのであります。でありますから、当然百八十六条などというものは大した実務上の適用にならなくて、思いもしないことが裁判になって思いもしない結果が出てきたというような状態なのでございます。やはり法律の施行に当たりましては、各省庁がこういうようなことについて本当にこの条文がどういうふうに庶民の生活影響を及ぼしているのかということを知っていただきたいと私は思っているのであります。単に条文だけが残っておって、そのものが我々の実生活の中にどういう影響を及ぼしているか、本日、治山治水の問題、河川の問題はまさにそのものにつながるものでございますから、治山の問題に絡めまして御覧間申し上げたわけでございますが、実際こんな判決があろうとどうこうじゃないんだという御答弁であります。多分そうでしょう。また、そのはずなんです。それだったらなぜこういう余分なものを残しておくのかというところに責任があるわけでありまして、最高裁判所からわざわざ指摘を受けなければこうやって残っておるというところに問題があるわけであります。  私は、緊急措置法という解釈についても冒頭皆様方から御説明をいただきたいと思っておるわけでありますが、大体そんなような角度の中から本日の治山治水の問題について質問させていただきたいと思っております。  そこで、今度雪崩対策についてお聞きをしたいわけであります。今表層雪崩研究というのはどの程度になっているか、ひとつお聞かせをいただきたいので、ございます。
  11. 三木克彦

    三木説明員 建設省といたしましては、人命の保護を目的といたします雪崩対策に真剣に取り組んでいるつもりでございます。ただ、雪崩につきましてはその解析が非常に難しいという点がございます。このため、昭和六十二年度から「総合的雪崩対策指針」というものを策定いたしまして、これに基づいて総合対策実施するという基本方針で今検討をいたしておるという状況でございます。
  12. 坂上富男

    坂上委員 全層雪崩研究はなさっているのだそうでございますが、表層雪崩については今言われた程度のことでございます。表層雪崩というのはどういうところから出てくるか、このメカニズムの解明というのはやっとこれから実験段階に入ろうとされているのだそうでございます。特に私たち雪国というのはなかなか大変で、ございまして、そういう危険にしょっちゅうさらされているわけでございます。ぜひひとつ早くこれに対する解明予算確保をお願いしなければならないと思っておるわけで、ございます。  そこで、御存じのとおり、新潟県能生町の柵口というところで昨年大変な表層雪崩の事故が起きたわけでございまして、大変な犠牲者も出たわけでございますが、これに対する省庁責任分担についてでございます。道路については建設省林業部分については農水省が担当しているのだそうでございますが、この表層雪崩はその間のどこが担当していいかわからない部分で、いわば行政のエアポケットのところにこの災害発生をしたと言われておるわけであります。だから、この責任建設省国土庁あるいは農水省にあるのか大変あいまいだ、そんなところからこの問題が起きてきているのだという指摘もあるわけでございます。建設省道路保全から一歩踏み出して表層雪崩を念頭に置いた集落の雪崩対策事業を打ち出したのが六十年度からだと言われておるわけであります。そんな状況にあるわけでございまするから、こういう表層雪崩中心とした災害対策について今どのような対策とお考えをお持ちなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  13. 三木克彦

    三木説明員 雪崩対策につきましては、先生御指摘のとおり、森林につきましては林野庁道路施設等公共施設につきましては所管の省庁が担当するということで実施をいたしてきたわけでございます。御指摘柵口地区につきましては、もちろん手を抜いていたわけではございませんが、そういう責任を持ってやっていたところがないところで起きている、こういうことでございまして非常に残念で、ございます。  そういった観点もございまして、建設省としては、昭和六十二年から仰せのとおり総合的雪崩対策指針に基づきます事業実施していくという方針を決めたわけでございます。柵口地区につきましても早急に雪崩対策事業実施するということで、一億八千万の事業費を投入して対処したいというふうに考えているところでございます。柵口地区につきましては、さらに早期雪崩防止施設が概成いたしますように事業費を重点的に配分してまいりたいということでございまして、こういった施策を通じまして被害防止を図りたいということで、ございます。
  14. 坂上富男

    坂上委員 雪による被害というのは、積雪もさることながら、こういうような想像できないような事態がとんでもないところから起きてくるわけでございます。  そこでお願いをしたいことの一つは、この間私は長岡の雪害研究所も見せてもらいました。何か新庄にも科学技術庁研究所があるのだそうでございますが、きょうは科学技術庁から来てもらっておりませんのでお伝えでもいただくよりしようがないのでありますが、新庄の方は何かやめになるとかという話も聞いておるわけであります。これは、雪害というものはいろいろなところからいろいろな問題が起きてきているわけでありまして、特にこういう雪害研究所政府の機関の中からなくするなどというようなことはひとつ御勘弁をいただきたいと思っておるわけでございます。  それから、建設省の方で雪崩災害防止法を策定されているということでございますが、これはひとつ年内ぐらいでできないものでございますか。
  15. 三木克彦

    三木説明員 先ほど六十二年度から総合的な雪崩対策指針を策定すると申し上げましたが、その実施状況を見守りながら法制度が必要であるかどうか、法制度をつくります場合にどういうふうな体制でつくるべきか等につきまして検討いたしたいと存じます。ことしというのはちょっと……。
  16. 坂上富男

    坂上委員 検討というのはどの程度ですか、法制は。
  17. 三木克彦

    三木説明員 法制は、今彼に法制度考えます場合には、一つは、計画的に雪崩対策事業実施していくという面の事業促進立場が、ございます。それからもう一つは、行為規制をいたしませんと実効的な雪崩対策実施できないという側面がございます。この行為規制につきましてはいろいろなお考えがあろうということでございまして、この辺につきまして詰めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  18. 坂上富男

    坂上委員 この問題はそう時間をとりたくないのでございますが、去年の十月、私たちの地元の新聞に「雪崩災害防止法策定へ 建設省方針固める。六十三年度立法化目ざす」、こういうふうに出ているわけであります。雪害地の県民としては、少しでも私たちの危険を防止していただく方法として建設省はやってくれるのだと期待をしているわけであります。こういうお話建設省から出たのでございましょうから、ぜひひとつ実のあるものにして、そしてまた私たちの目に見え施策にしていただきたいということを要請したいと思います。これはもう結構です。  それでは、今度法制局もお見えでございますから、ひとつ本題に入らせていただきたいと思います。  まず、緊急措置法という名前がついているわけでございますが、私はこの法案にはもちろん賛成する立場で御質問を申し上げるわけでございますから、誤解なさらぬように。まず緊急措置法という題名をつける場合、どういうふうなお考えでこういうものがついたのか、お聞きをしたいと思っております。  まず、法律題名はその体をあらわすようにしなければならないという原則があるというのが政府答弁でございます。そんなような観点から、法制局の方からまずお聞きをしたいと思います。
  19. 大森政輔

    大森政府委員 法律題名つけ方でございますが、これはまさにただいま委員指摘のとおりでございまして、法律内容に即したふさわしい言葉を選ぶということでございます。
  20. 坂上富男

    坂上委員 そこで、緊急措置法という場合の意味についてお答えをいただきたいのであります。法制局
  21. 大森政輔

    大森政府委員 緊急という言葉は何を意味しているかということに尽きようかと思いますが、緊急という用語は、事態が差し迫って、即刻臨機の措置をとる必要があるという意味で使われるのが一般であるというふうに考えております。
  22. 坂上富男

    坂上委員 まさに緊急措置法というのはそうなんだろうと思うのです。  調べてみますと、措置法というのは五つの区分があるようでございます。臨時、暫定、緊急、特別、そういうような区分があるようでございます。特に緊急措置法というのは緊急事態に対処する措置、こう法制局の解説で書いてあります。まあ似たような御答弁でありまするから合格だろうと思うのでございますが、さてそこで治山治水条文を見てみますると、「緊急かつ計画的」こう書いてあるわけであります、第一条は。まずこの意味についてどなたか御回答をいただきたいと思います。
  23. 三木克彦

    三木説明員 治山治水緊急措置法は、治山治水事業の著しいおくれに伴います台風、豪雨等による激甚な被害及び産業経済の発展に伴う諸用水の急増等事態にかんがみまして、このおくれを取り戻すために緊急かつ計画的に対策実施したいという観点から措置をされるものでございます。  その後、措置法措置実施されてきたわけでございますが、なお昨年の豪雨等による激甚な被害発生状況、それから本年の渇水状況、こういったことを考えますと、まだ緊急かつ計画的に対処するという実態は変わっていないという観点から、両方あわせまして一層治水事業の拡充を図ってまいりたいという観点から緊急かつ計画的と申し上げておると思われます。
  24. 坂上富男

    坂上委員 緊急と計画的というのは矛盾しているのじゃないですか、どうですか。もうちょっと具体的に、緊急というのはどういう場合を指すのか、計画的というのはどういうものを指すのか、緊急と計画性はどういう関連を持つのかということをお聞きしているのです。
  25. 三木克彦

    三木説明員 水害の状況に対処する、あるいは渇水状態に対処する、こういった事態につきましては極めて緊急な事態である、これは非常に長く続いてはおるわけでございますが、非常に緊急な事態になっておるわけでございます。  ところで、これに対応する措置につきましては、災害復旧のような形で一気にやってしまうという方向もないわけではございませんが、この対策は非常に膨大な事業でございます。そういった意味合いにおきまして、全国的に統一的な基準を持ちまして計画的に実施していく、こういう観点から計画的ということで、ございます。
  26. 坂上富男

    坂上委員 この法律は三十五年にできたわけであります。一体これは何年ぐらい予定をなさってつくられたのです。
  27. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 この治水対策というのは歴史的に長く続いておるわけでございますが、現在私どもが考えておりますのは、二十一世紀に向けまして当面目標といたしております、大河川につきましては戦後最大の洪水を安全に流すという中間目標、それから中小河川につきましては、時間雨量八十ミリでございますが、このうち五十ミリを暫定的に安全に流すというような目標をおおむね達成するというような長期的な目標を立てながら、その中間目標としての第七次治水事業五カ年計画を策定して、これに鋭意取り組んでいきたいと思っております。
  28. 坂上富男

    坂上委員 五カ年計画をずっと進められる。今までの経験から見て、この法律をつくって効果はどの程度出ているのですか。
  29. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 昭和三十五年に第一次治水事業五カ年計画を策定して以来今日で第七次に至るわけでございますが、第五次まではそれぞれの五カ年計画、おおむね一〇〇%達しております。残念ながら第六次につきましては計画規模の七九・四%ということで、これまた厳しい財政事情のもとではいたし方なかったと思いますが、そういうような努力を積み重ねた結果、例えば大河川につきましては、先ほど申し上げました戦後最大の洪水を安全に流すという当面の目標に対しまして五七%の進捗に至っておる次第でございます。
  30. 坂上富男

    坂上委員 調査室や建設省から資料をいただいていますから、仕事の進捗率とか予算の獲得などというのは皆わかっていますから、そういうことはいいんです。そういうふうなことをお互いに勉強した上に立って問題点を指摘しているわけでございますから。そこでこの法律をつくって一治山治水というのは本来政治の原点でございます。まさに戦国時代も治山治水というのが政治の、日本を統治する要諦であったわけであります。まさに古くて新しい問題でございますので、治山治水が政治のいわば根源であると私は思っているわけであります。一生懸命に頑張っていただきたいとは思っておるわけでございます。  そこで、五カ年計画をずっとつくってこられまして、第六次のときは予算が削られてしまって全額獲得できなくて、こういうお話でございます。やむを得ないということなんでございますが、先生方治山治水だけは一生懸命やらなければ大変じゃないか、災害とつながるのだからというお話があったわけであります。そこで今度、仕方がなく何を言い出したかというと、政府が金をくれないならば国民から取ろうじゃないかというわけで水利・水源税、最初はそういう名前だった。今度は森林河川緊急整備税、こういう名前であります。これを知らぬ人が聞けば、あすでも堤防が崩れてみんな水害になる、山から鉄砲水が流れてきて水にみんな押し流される、表層雪崩が起きて家が全部倒壊される、こんなような響きを森林河川緊急整備税の法案は与えたのだろうと思うのです。これと同じように皆様方は、まさに治山治水というのは国民の政治の原点であって、古くて新しい重要な問題でありまするから、何事をおいてもやらなければならぬというのはわかるのでございますが、力が余って、政府が出してくれないから国民から取ろう、こういうわけでございます。そこに私は、この法律のいかにも緊急一それはそれで結構です、二十年かかろうと三十年かかろうと。名前にこだわりません。だけれども、そのことが今度国民に、おまえたちから税金を取って、出してもらわなければ川は守れませんよ、山は守れませんよというところに大きな問題があろうと私は思っておるのです。去年この問題がつぶれましたが、ちょっと御所見を賜りたいと思います。
  31. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 治水事業の緊急性につきましては先ほどから御答弁申し上げているところでございますが、昨今の災害状況あるいは渇水状況を見ますと、この事業をさらに今後とも推進していかなければならないというふうに私ども考えておるところでございます。  これにつきましては財源の確保が大事でございますが、第七次治水事業五カ年計画におきましてはこの完全達成のために最善の努力を続けてまいりたいと思いますし、森林河川緊急整備税にかわる措置として自民党の税調の方で四つの措置案を講じていただいたわけでございますが、そういうものを今後十分フォローしながらこの目的の達成のために努力してまいりたいと思います。
  32. 坂上富男

    坂上委員 農水の方からもお答えいただきたい。
  33. 松田堯

    松田(堯)政府委員 森林河川緊急整備税につきまして、林野庁といたしましては、六十一年度、水源税という形でその税制度の確立をお願いをしたわけでございます。六十二年度は緊急整備税、こういう名称でお願いをしておったわけでございます。  森林の管理というものが現在非常に問題になっておりまして、将来にわたりましての水資源の涵養機能等が損なわれる、そういう懸念が非常に大きくなっておりますので、利水者等による税制度ということで緊急整備税をお願いしたわけであります。これは税制改正要望として行ったわけでございまして、本法とは直接的に関係はない、このように考えておるところでございます。
  34. 坂上富男

    坂上委員 お二人のお話を聞いてもおわかりのとおり、治山治水緊急措置法だ、五カ年で本当にこれをやらなければならぬ、これは結構なんです。政府予算を削っちゃったから国民から取らなければならぬ、特別に国民から取らなければならぬ、こういうやり方、これでは困ると私は言うのです。  この部屋でした。厚生省も言ったでしょう、通産省も言ったでしょう、こういう税金を取られては困りますと。私はこの質問をやらせてもらった。当時、廣瀬さんが局長さんだった。終わってから局長さんが、先生、私も発言させてくれと言う。私がさせないわけじゃない、委員長がさせないわけでございますから。終わってからの冗談です。先生、厚生省にやらせたり通産省にやらせたりして一方的じゃないかね、こういう話。冗談です。弁護士というのは一方的なんだ、後は国民が判断するんだ、冗談ですがこういうことを言ったわけでございます。  今お聞きをしていますと、緊急整備税のかわりに災害関連予算をつくってもらいました、こうおっしゃっているのです。私はその考えが問題だというのです。本来、治山治水緊急措置法ですから、国は何事をおいてもこの問題について力を入れて予算をつけてもらわなければならないのであって、国がしてくれないからおまえたち金を出せよというこのやり方、農水もそうでございますが、建設もそうでございますが、御注意いただきたいと言っているわけでございます。御答弁を聞いていますと、その税がだめになったものだから今度は特別こういうふうにもらいましたという答弁。五カ年計画というのは、確かに私たちは支持しているのです。できるだけ予算を取ろうと思って努力しているのです。だけれども、政治の力が弱いために治山治水まで削減される、こういう状態なんです。しかし、このように水利、水源に税金をかけるというようなやり方は大きな問題があるわけでございます。でありまするから、今回のこの法案の改正に当たってどのようにお考えになっているか、このことを聞いているのです。
  35. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 治水事業は、国民の生活環境、産業基盤の整備という意味で、国政の最も基本的な大事な事業であると私ども認識しておるわけでございます。この事業の推進につきましては、国民の広い御支持をいただきまして、この治水事業五カ年計画の達成のために何分の御理解と御協方をいただき、また先生の御指導を賜りますようお願い申し上げたいと思います。
  36. 坂上富男

    坂上委員 まあいいでしょう。  さて次に、農水省の方にお聞きをしたいのでございます。やはりこれも災害に開運をするわけでございますが、今減反が大変厳しく言われているわけでございます。減反を厳しく言われますと、一番最初に対象地になるのは、農家の皆様方は山田、山の田んぼをまず減反の対象にするわけでございます。山の人のお話をお聞きいたしますと、この山田は本来ならば水がめの役目をしているんだ、これをなくしますと鉄砲水が出てきて、あるいは地すべりが起きて災害の原因になるんだ、こう言っておるのでございます。農水省、この見解はいかがでございますか。
  37. 田内堯

    ○田内説明員 減反が地すべりの原因であるのではないかということでございますけれども、これまでの新潟県の長岡農業試験場におきます調査結果によりますと、水田の畑地化は地下水の供給増にはほとんど関係がないということ、また、管理されております水田地帯においても地すべりが発生しておること、また、昭和二十四年から六十年までの三十七年間の地すべりの発生頻度の統計によりますと、減反が実施されました昭和四十五年以前におきましても近年に匹敵するほどの多い発生が見られるということ等から、減反が直接地すべりに結びつくものではないというふうに考えております。  なお、新潟県におきましての地すべり防止工事の実施数は二百八でありまして、我々としましても全国規模事業費の約三割を持っていって実施しております。今後とも県の要望を踏まえながら事業実施していきたいと考えております。
  38. 坂上富男

    坂上委員 具体的にこれに対応するもので長岡の竹の山高地というところがあるのでありますが、去年の十二月地すべりが起きて交通遮断になったわけでございます。この原因、そして今対策がどういうふうに行われているか、お聞きをしたいと思います。
  39. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 お答え申し上げます。  昨年十二月十五日から十七日にかけまして、三日間にわたり八十五ミリの降雨がございました。こういった大きな雨が原因となりまして、当地域の地先におきまして地すべり災害発生したというふうに見ておるわけで、ございます。  この地すべり災害によって長岡市道の東幹線二十八号線で延長七十四メートル、それから普通河川太田川というところで埋塞被害が生じております。この災害につきましては早速この一月に災害査定を実施いたしまして、災害復旧費は四千九百万円と決定したところでございます。  この内容は排土工と排水ボーリングでございますが、現在この復旧のために鋭意努力をしているところでございまして、十月末までには完成する見込みでございます。
  40. 坂上富男

    坂上委員 気象庁もお見えのようでございますから、最近、富山と新潟の間でしょうか、長野等も含むのでしょうか、焼山という火山があるわけでございますが、大変火山活動が活発化したと住民は心配しておるわけでございます。気象庁どんなような見通しでございましょうか。
  41. 鈴置哲朗

    ○鈴置説明員 新潟焼山の現況について御説明申し上げます。  この火山の状況は、実は五月一日に山頂付近に雪の変色域が認められるということがございました。その後そのまま経過いたしておりましたが、八日になりまして山頂付近の数カ所から高さおよそ五十から百メートル程度の噴気が出ているのが観測されております。その状況は現在も続いているわけで、ございます。  この状況に対しまして私どもといたしましては、現在、最寄りの気象官署がございますが、そこで三カ所から遠望観測を行っておりまして、そういった形で観測の強化をしております。今後の推移につきましては、今申し上げましたような観測体制をもちまして慎重に監視を続けていきたいというふうに考えております。
  42. 坂上富男

    坂上委員 見通しはどんなですか。
  43. 鈴置哲朗

    ○鈴置説明員 見通しにつきましては、火山の噴火の予知というのは最近かなり技術的には進歩しておりますが、まだ実用化の段階にはいま一歩の段階でございます。そこで気象庁といたしましては、今申し上げた形で観測の体制を強化し、状況に変化が生じました場合には機動観測班を派遣するなどして火山の活動の現況を的確に把握し、その状況に変化が生じた場合には先般も出しましたような臨時火山情報等を発表いたしまして防災に役立たせていただくという形で対応してまいりたい、そういうふうに思っております。
  44. 坂上富男

    坂上委員 今度、河川に移ります。  河川法改正は市町村に工事を認めるという改正だそうでございますが、特にその大きな理由の一つに、景観と親水性、環境整備のために国民に親しんでいただくという意味を込めている、こうおっしゃっておるわけでございます。  確かに町の中にきれいな水が流れ、流れる水を美しく景観するということはいいことでございます。しかし、一体そういうような状況河川はいっているのか。殊に町の中を流れておるところの河川の汚濁の状況はそういうところまで来ているのか。環境庁おりませんか。——来ておりませんね。では河川局からでもお答えいただけますか。
  45. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 河川はその機能からしまして、治水、利水は非常に大事でございます。しかし同時に環境機能というものも兼ね備えておるわけでございます。ただいま先生御指摘のように、河川に対しまして環境問題で非常にさまざまなニーズが国民の中に出てきておるのは事実でございまして、私どもは今後水辺のある貴重なオープンスペースとして、親しみやすいやすらぎの場として、また地域環境の形成のために河川の環境整備に努めていきたいと考えておるわけで、ございます。  ところで、環境というのは空間的なものと水質水量的なもの両面が備わって初めて十分なものになると思うわけでございますが、ただいま御指摘になりました水質に関しましては、建設省では所管しております一級河川を総合的に管理する立場から河川の水量や水質を調査し、河川の汚濁状況を監視してきているところでございます。昭和六十年に実施しました一級河川の水質調査結果によりますと、水質汚濁の代表指標でありますBOD、これは生物化学的酸素要求量という意味でございますが、これの年平均値で見ますと三ppm以下の水質の占める地点数の割合は全調査地点のうちの八四%となっておりまして、昭和五十九年と比較しまして約三%増加、つまりよくなっておるということでございますが、長い目で全般的に見ますと、この数年この傾向は横ばいになっておるという状況でございます。
  46. 坂上富男

    坂上委員 時間がありませんので概括的に質問を続けますが、余り長く答えないで結構でございます。  まず、私の選挙区、三十三市町村ありますが、この河川法の改正に当たりまして私は、地元負担の関係も含めて、これが改正になりますとこういうことになりますがどういう意向がありますかということを三十三全部に照会を申し上げた。回答はたくさん来ませんけれども、来ているところからはやはりこういう回答が来ているのです。  「市町村が河川行政に参加し、より高度な都市環境整備の推進に寄与できることは歓迎すべきものと思われます。」ここまではいいです。「反面、市町村に財政的な負担が転嫁され、地方財政の健全化に支障を来たすことも憂慮されます。」私の町ではもう「景観、都市環境の整備のため、市費を投入して整備に取り組んでいるところであります。」しかし、「河川の治水機能の維持及び管理については、従来どおり」、これは、維持管理は従来どおりですが、工事だけだ、こうおっしゃるわけですが、「本来の管理者が行うことが妥当と思われます。」これは建設省の方が期待しておる回答なんだろうと思う。  その次の町はこう言っています。「財政負担の転嫁が危惧されるところであります。地方財政逼迫の折柄、着しご指摘のような市町村への負担となることにつきましては町財政の運営上苦慮せざるをえぬ」、反対だ、こう言うわけです。  これがまたなかなか哲学的な方でございまして、「負担の公平を期す上から」「制度が出来れば受入ざるを得ないと思って居ります」、大変まじめな、だけれども不満なのでございますよ。  また、こうも書いてあります。「河川法の一部改正につきまして、御承知の通り行財政の厳しい折、大変困惑しておる状況にあります。」それから、これはきちっと意見書として、経費負担が高率である、「市町村の財政事情から見てとうてい受け入れられない。」  五通しか回答ございません。あとは回答がないから電話で聞いてみました。やはり三分の二は反対でございます。先生、余り反対の意思表示をすると、緊急整備事業のように、反対だという文書を出しておいたのですが、陳情に行ったら、河川局の方でコンピューターか何かをぼんと押したら、ああ三条市は反対だ、考えておきましょう、ぽんと加茂市を押したら、はい考えておきましょう、こういうことになる。それで今度は何が来たかというと、緊急整備で早くつくってくださいという陳情書が私らのところに来ていたわけであります。建設省にできるだけ予算をいただきたいと思って私への回答も遠慮でございます、遠慮でございますが、これだけ出ているわけでございます。市町村の負担部分は高率だ。少しぐらいは負担しましょうというのが市町村の意向でなかったか、こう思っておるのであります。ぜひひとつその点の御配慮もお願いしなければならないと思うのです。  それから、これは希望によってやるのですから、希望しなければよろしい、これで済むわけでありますが、しかしやはり希望した方が優先的に仕事がもらえるのじゃなかろうか、予算がつけられるのじゃなかろうか、こういう心配をするわけであります。ひとつそういう差別をおつけにならぬように、それからもっと市町村の負担というものを軽減できないのか、お聞きをしたいと思っております。
  47. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 ただいまのお話の中にもございましたけれども、河川環境に対する関心というのは総じて最近非常に高まってきておりまして、町づくりのシンボルとして河川を活用したり、あるいは地域づくりの中の他事業との関連においてきめの細かい河川事業を行いたい、そういう形で、いろいろと地域に密着した立場からの河川に対する取り組みの要望があることは事実で、ございます。これに対しまして、河川行政をより広めるという意味で、市町村が望まれるところにおいては、その御発意に従いましてこういう道を開こうということで、ございます。  そして、これに対する費用負担につきましては、この事業の性格が非常に地域的なものである、効果が地域的に限定されるというようなことから、市町村に三分の一を負担していただく、残りの三分の二につきましては都道府県が三分の一、国が三分の一ということで、この予算の制度そのものは、従来から都市小河川改修事業というのがございましたが、この制度に倣ったものでございます。
  48. 坂上富男

    坂上委員 これはこの程度にしておきましょう。  さて、去年は大変な水害でございましたが、大臣のところの郡山、これは県の管理ですかな、これが大水害を起こして、工場団地と食品団地がめちゃめちゃになった。それから仙台の方、宮城県の吉田川へ行ったわけであります。これまた大水害でございました。社会党調査団で行ったのでございますが、社会党の先生、もう結構でございます、連日偉い人が来て調査をなさっておりますから、こういう話です。だから、私は前の日の会議に行ったわけであります。この責任は、おまえさんたちが土下座をしてお願いするのか、あるいはこれは政府責任なのじゃなかろうか、そういうことの調査に来たのだ、そうですか、それならひとつあすの朝見てください、こういうわけであります。朝の五時から起きまして見に行きました。やはり郡山の川と同じ。しかも、去年の災害委員会の八月二十日の議事録を私は見せてもらいましたが、川の中に堤防より高いところの柳の木がある。いっぱい繁茂しておるわけであります。やはりこれで堤防を溢水しまして、そして堤防の破壊が外側からやられて、決壊をして水害になったのだろうと思うのです。郡山も同じです。  御存じのとおり私は加治川の裁判に参加したわけであります。それからその後いろいろと河川の裁判が行われて、建設省の方が勝ったわけでございます。しかし、この判決を見ますと、やはり治山治水について国の責任というものを強くうたっておることは御存じのとおりでございます。河川の中に何キロにもわたるぐらいに柳の木が堤防より高くなっている。当時の政府答弁を聞いていますと、いや、その木がありますと水が緩やかに流れて結構なんですというような答弁があったりいたしまして、何事じゃと言って佐藤委員が突っ込んでいたが、そういうわけじゃございません、こう言っておるわけであります。しかし、これを除去するにも何しろ民有地があるものでございますから容易ではありません、予算がありません、こう言っておるのです。一体どうなのですか、こういう問題については。今実際そんなに予算が足りなくて、川の中に繁茂しておる柳の木を切るだけの予算がないのですか、どうなのですか。
  49. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 河川管理上必要な措置は講じておるところでございます。ただいま先生の御指摘になりました件につきましては、これは既に答弁させていただいておりますように、流水を和らげるというような効果もあるというような総合的判断のもとに現在に至っておるところでございます。
  50. 坂上富男

    坂上委員 水が大変たくさん流れるときもそうですか。
  51. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 流水の激しいときにそういう効果が大きいというふうに思うわけでございます。
  52. 坂上富男

    坂上委員 近藤さんという人いますか。その人がこう答弁しているのです。「樹木がないことが望ましいのはもとよりでございます。ただ、吉田川におきましても他の河川におきましても、非常に民地が多く、民地内の樹木につきましては土地所有者とのお話し合いが必要であるということが第一点。それから、この樹木を伐採するについては相当の予算が必要でございます。我々としましては、堤防の高さを上げるべきか、樹木伐採に予算を回すべきか、非常に選択を問われるところでございますが、今回の経験にもかんがみまして、極力伐採等にも努力してまいりたい」、こう言っておるのです。  どっちなのですか。さっきの答弁と違います。
  53. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 ただいま私が申し上げましたようなことも含めながら、今検討段階でございます。
  54. 坂上富男

    坂上委員 この水害は去年なのです。八月二十日の答弁なのです。一年にもなろうとするのに、あなたまだ検討しているのですか。しかも、おっしゃっているように樹木伐採にそんなに予算がかかるとは思わぬわけであります。治山治水のこの法案の審理なんでございますが、全国の川の中に生えている樹木を切るのに一体どれくらいかかるのですか。御答弁を。
  55. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 通常そういう例は余り多うはございません。私ちょっと数値的な統計的な資料は持ち合わせておりませんので御答弁を数値の上でさせていただくわけにはまいりませんけれども、必要なものにつきましては、その影響の度合い等の高いものから逐次改善してきているところでございます。
  56. 坂上富男

    坂上委員 また梅雨に入ってきて、こういう災害はもう繰り返していただきたくないということで治山治水予算をかけ、私たちが調査をし、こうやって時間をかけて議論をしているわけでございます。去年の経験をいまだもって生かしていない。しかも伐採する予算がないなんという、こんなばかげたのが一体河川行政であるのですか、治山治水のあれで。伐採の金がないから繁茂させておくのかね。もう一遍お聞きしましょう。
  57. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 必要なものにつきましては適切な措置を講じてまいります。
  58. 坂上富男

    坂上委員 信濃川の水力発電の再開発によります問題点でございますが、水量が極めて足りないことは、もう時間がないからやめますが、そのことのために渡し場が六十五年になくなるわけでございます。橋をかけることが、市道でございますから市長と土地改良の協議会と協定ができているわけでございますが、これは六十五年までに完成する見通しになっているのでしょうか、お調べいただいておりますでしょうか。
  59. 望月薫雄

    ○望月説明員 お話の渡船場は小千谷の細島と真皿の間の渡船と理解いたしますけれども、これにつきましては、お話のように地元の小千谷市の方から早くこの渡船施設の解消ということを求められていることは事実でございまして、私どもこの計画の必要性ということについて十分認識させていただいております。具体的には、市の方からは市町村道補助事業という格好で早く整備していただきたいという要望をいただいておりますが、私どもとしましても、この橋は国道と県道を結ぶ大変大事な路線である、こういった認識に立っておりまして、早いところ事業に着手したいという考え方で現在精力的に検討しております。(坂上委員「ことしの予算はどれくらいです」と呼ぶ)まだ事業化はいたしておりませんので、早く採択の方向検討したい、こういう現状でございます。
  60. 坂上富男

    坂上委員 ちょっと時間が残りましたが、以上で終わらせていただきます。準備のためゆうべ大変遅くなりまして、御協力ありがとうございました。
  61. 村岡兼造

    村岡委員長 坂井弘一君。
  62. 坂井弘一

    ○坂井委員 治水は国づくりの基本と言われますが、国民の生命、財産を守るということで確かに治山治水事業というのは大変大事な事業でございます。ただ問題は、この治山事業治水事業が適切に行われているかどうかということだと思いますが、一例を申し上げまして、大臣の御所見をちょうだいできればと思います。  御案内のとおり一昨年の七月で、ございましたか、長野市の地附山の地すべり、大きなのがございました。老人ホーム松寿荘ですか、老人が二十六人のみ込まれるという大惨事になりました。  この災害には何回か予告があったと言われております。前兆があった。何回も何回も土砂崩れがありまして、逃げ出した人も随分前にあったという事実。それから、信州大学の何人かの先生方、教授がこういう事実を指摘しながら、今に大きな災害になるぞという警告をしておりました。ところが、県の方も積極的な対策はどうもおとりにならなかったようです。  そこで大臣に御所見をとお願いしましたのは、実は災害が起こりますといつも災害復旧、これはほっておくわけにはいかぬわけですから災害復旧は必ずやる。しかし、どうも事前に予防的なといいますか、災害を未然に防ぐための治山治水を含めてそういう事業についてはやっておるのだけれども、それが災害予防だよということになりますとなかなか予算がつきづらい、そんな嫌いがあるのではないか。この先生の指摘していますのは、数年前に水抜き工事をやっておれば惨事は免れたであろう。きのうの新聞を見ますと、ここで被災された住民の方々、これは道路建設が原因だ、つまり有料道路の設置による水系の変化でこの災害が起こったとして訴訟に及んだということのようで、ございます。  そこで、御答弁いただきたいと思いますのは、こういう地すべり災害一つ見ましても、ここに一つ行政の体質と、一方財政のあり方というのでしょうか、災害が起こってからは金は出す、だけれども未然に予防するという趣旨のお金はどうにもつきづらいという面があるのではないか。この辺について大臣のお考えをちょうだいしたいと思います。
  63. 天野光晴

    天野国務大臣 それはそのとおりだと思います。私も災害関係を二十数年間やっておるのでありますが、災害が現実に起きればいや応なしに始末をしなければいけないが、予防的措置としてということになりますと、何となく予算がとりにくいのではなくて、全然つかないと言った方がいいんじゃないでしょうか、今までの慣習的なやり方でいきますと。例えば噴火にしろ地震にしろ、今地震の予知問題についてやっておりますが、ああいうのはともかくも、その当時の国会の力だ、私はそう理解しているのであります。  ですから、予防するのに使う金はわずかで済みます。災害が起きれば膨大な金がかかるわけです。先ほどのお話のように川の中に木が植わっている、取るのにかかる金よりも、取らなかったために起きた災害の結果の後始未の方が何倍もかかるだろうと私は思います。そういう点で、いつもこの問題で私は終始一貫、与党ですから、そういう建前で縁の下の力持ちみたいな議論を恐らく何千回できかないと思うのですが、いまだ改善されておりませんが、ただ確実に見通しのつくものについては措置しなければいけないと思います。見通しのつかないものをやっていると、地震だって大変膨大な金をかけて予知をやっているのですが、こなかったら何と言われるのかな、相当やはりうるさいのじゃないかと思います。そういう点で、私は完全に見通しをつけたものについてはその措置を講じたい。急傾斜地帯の対策なんかその分に入るのですが、予算の獲得が非常に難しいものですから、私自身いつまでもここに座っているわけじゃありませんから、また党に戻りましたらこの問題について先生方の御協力を得まして何とか始末をいたしたいと思いますので、その点御了解を願えればありがたいと思います。
  64. 坂井弘一

    ○坂井委員 ぜひ積極的にお取り組みをお願いいたしたいと思います。火山列島日本、地勢、地形、いろいろな面でいつも災害に見舞われるものですから……。ただ、こういう治山事業治水事業ということになりますと、このこと自体が何ら利益を目の前に生むものではありません。今はやりの民活だと言ってみたとて、こんなところに民間の金は流れてこない。これは挙げて財政が対応しなければならぬ。国のすべての責任、国の財政をもって当たらなければならぬ。それだけに今大臣おっしゃるように、未然に防止だということになりますと、今災害が起こってないのだからということでどうも後回しになりがち。今仰せになりましたが、この場合は大学の先生が何回か警告をしているという事実があるようでございますし、こうすれば災害は未然に防げますよ、水抜き工事をやりなさいよという提案までなされたという経過があるようでございますので、この議論はするあれじゃありません。これ以上のことを申し上げるつもりは全くありませんので、一応国の姿勢の問題として積極的なお取り組みをいただきたい、御要望を申し上げておきたいと思います。  そこで、今回一、二級河川の管理権の一部を市町村に移譲する、これは大変結構な措置だと思います。もちろん自治権の拡大ということにもつながるでありましょうし、流域の市町村がそれなりにその水系の中で水のよさを取り入れた多様な利用をする、河川の改修工事等も独創的な市町村の考えで進められていくことでありましょうから、それはそれで大変結構だと思うのです。ただ、先ほどからも指摘のありましたように、最近におきます補助率のカットや起債の償還等で市町村財政が大変逼迫をしておる、果たしてうまくいくのだろうかな、市町村負担分の財源措置についてもどうだろうかな。つまり、市町村はありがたいと思いながらも、財政的なことを考えますといささかこれはお金の面でうまくいくのかどうかというためらいもあるのではなかろうかなと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  65. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 今おっしゃいましたような面もないではないと思いますが、既に昭和四十五年度から都市小河川改修事業というものを実施してきております。これは、東京都区部、政令指定都市、地方中小都市、そういうものに接続している市街化の著しい都市におきまして、緊急に河川の整備を必要とし、また整備をする能力のある行政主体において実施されてきたところでございまして、昭和四十年代から五十年代の都市化の激しい時代における都市の治水対策の推進に非常に寄与してきているところでございます。今度はそういった改修工事のみならず、さらに河川の環境面につきましても幅広くこういう制度を拡大していったらどうかということで、むしろ地方の熱意、要望を受けとめるような形で河川法の改正に取り組んでおるところでございます。  ただ、おっしゃいますように、最近の財政事情等から地方負担につきましては相当厳しい状況が出てきておりますので、市町村に対する財政措置の充実につきましては今後とも十分努力を図ってまいりたいと思います。
  66. 坂井弘一

    ○坂井委員 これは一部の意見だと思いますけれども、国も財政逼迫で国の治水財源がどうも頭打ち、そこで地方自治体の方はある程度ゆとりがある、それからこの種の事業は民間資金も導入できるのではないか。つまり、景観の保全でありますとか河川敷を使った公園でありますとか、これは利潤を生む一つ事業になり得るものですから、したがって民間資金の導入も可能になる。そういう一定の条件整備といいますか、ねらいも国にはあるのではないかなという受けとめ方もあるようでございますが、これはいかがでしょうか。
  67. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 河川につきましては、潤いと安らぎを与える、あるいは都市の中で河川固有の景観、ひいてはまた河川の文化をはぐくむというようなことで、これはすぐれて公共のために河川に親しみ、楽しんでもらいたいということでございまして、そういう趣旨から今回こういう制度の拡大を図っていくところでございます。ただ、そういうものが結果として、例えば今まで河川に対して後ろ向きに家が並んでいたのが川に面するようになるとか、いろいろ地域のシンボルとしての川の位置づけが高まって地域の活性化等につながる、民活につながるということも十分期待できる面もあると思います。
  68. 坂井弘一

    ○坂井委員 私はこれは大賛成です。自治体もお金を出しましょう、民間もお金を出しましょう、そして我々の住む町の水をうまく取り入れて、潤いとかゆとりというものを地域の住民の一つの財産としていくというような考え方で進められるということについては大賛成です。それはそれで結構なんです。そのことによって、むしろ頭打ちになってきた国の財源、いろいろな意味での財源を補完するようなことが地方自治体あるいは民間においてなされるということならば、これも結構だろうと思うのです。かたくななことを決して考えているわけではございません。  ただ、もう一つ心配なことは、従来こういう河川の管理責任ということを治水という面、水害防止の面から非常に重視してきたわけです。そうしますと、各自治体がそれぞれのアイデアに基づいて極めてユニークなといいますか、いろいろなことを考えて改修をおやりになるだろうと思うのですが、その場合に水害防止あるいは管理責任という上から見て心配になるような事業がなされないだろうかどうだろうか。例えば、河川の堤防に桜の木でもずらっと植えて景観をよくする、水のせせらぎ、清らかな流れ、春は桜の風情、秋は向こうの川岸にはひとつもみじをずらっと並べてみようか、そして公園として取り込む。ちょっと想像しますと非常にきれいな絵が実は広がるのですけれども、これは水害防止、治水、堤防の保全ということから見ますと実は極めて危険じゃないか、根が張っていって決壊するおそれがある、そういう点から心配はないのかどうかということなんですが、これはどうお考えでしょうか。
  69. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 河川の管理というのは、水系一貫管理をするというのが大前提でございます。そのために一級水系におきましては建設大臣、二級水系におきましては都道府県知事が管理いたしております。この管理責任というものは今度の法改正においてもそのままでございまして、市町村が河川事業に参加できる分野というのはそういう河川の水系一貫管理に影響のないような形で参加していただくということでございまして、市町村長が河川改良の工事をしようとする場合には、都道府県知事にその協議をして、そういうおそれがないかどうかを確認した上で承認し実施していただくということでございます。  なお、川というものは植樹によって非常に彩りがよくなってまいります。その辺につきましては植樹基準というものが別途ございまして、そういう基準に従ってその許される範囲内で利用していただくというようなことになり、河川の管理上支障のないような形がとれるものと考えております。
  70. 坂井弘一

    ○坂井委員 河川を改修して、そして堤防等を多目的に活用利用する、例えば堤防兼用道路、こんなのもやっぱり入ってくるわけですか。
  71. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 今回市町村参加による河川事業を行おうとする中にそういうものが積極的に入ってくるかどうかについては、ちょっとそうはないんじゃないかと思いますけれども、一般論といたしまして、河川の堤防を兼用道路として利用する場合もございます。ただ、その場合におきましても、河川の本来持っております環境を損なわないような形あるいは通常の河川管理に支障のないような形での兼用道路の許可ということに相なろうかと思うわけでございます。
  72. 坂井弘一

    ○坂井委員 昭和六十一年の建設白書、「当面の整備目標に比べてすら整備が不十分である現状では、災害発生する可能性が大きく、たとえ、それが達成されたとしてもその対象とする洪水を上回る洪水が発生する可能性は否定できない。」こう述べているわけであります。治水対策、政策というものをうんとしっかりやっていきませんと、水源の保護あるいは防災調節池、あるいは遊水池、そういう建設等々総合的に組み合わせて、非常に科学的な抜本的な治水対策というものを考えの中に入れてこれから取り組んでいきませんと、従来の治水対策治山対策事業の延長線上の考えでは、ちょっと、冒頭申しましたような未然防止といいますか、そういう積極的な意味合いというものを持たすことはできないのではないかなというような危惧を実はこの建設白書が非常に正直に指摘をしておりますので、そうも感じまして、これもひとつ大臣に御決意、積極的なお取り組みのほどをお聞かせいただければ大変ありがたいと思います。
  73. 天野光晴

    天野国務大臣 河川敷あるいは堤防等の利用は、これはあいているものですからどこでもいろいろ地域住民の要望があるわけでございますが、今言ったとおり、最悪の状態の完全予防を図るという意味で金をかけてつくっているわけですから、その目的に反しない段階においてはある程度利用も可能性はあると思うのでありますが、やっぱり根本的にはその点と十二分に関連してやるべきじゃないかと思いますし、私は東京都内の大きな河川、荒川とか大きな河川がありますから、その河川の堤防というだけではなくて、河川の堤防の上に大きな道路をつくれば簡単にいけるんじゃないかなという感じもいたしておりますが、いろいろな問題で積極的に使用することが国家社会のために利益になるということであるとすれば、私はやはりある程度のことは考える必要があるんじゃないかと思いますが、これは十二分に検討をいたしてみます。
  74. 坂井弘一

    ○坂井委員 備えあれば憂いなしとか言われるわけであります。不幸にして災害が起こった場合の措置でございますが、災害情報の伝達網でありますとか、それからまさかのときに避難する場所の問題、安全な避難路の設定の問題、それからそうしたときの応急の防災工事に地域の方々の御協力を得て取り組むとかそういう体制の問題でありますとか、そうした面についても全国的にこれはどういうふうなことになっておりますか。よくわからないままにお尋ねをしておるのですが、一度総点検といいますかをされたらどうかという提案なんです。実は何か起こりますと、急にそこで何か起こったんだ、いやそうじゃなくてこれは人災だ、いやいや天災だ、とんでもない人災だ、大体人災ということになるケースが多いようでございます。ですから、一回全国的にそういう点についても総点検をおやりになったらいかがだろうかという提案ですが。
  75. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 洪水とか高潮による被害を軽減するという意味では、まず治水施設の整備、つまりハードの整備が大事でございますし、一方では情報、避難、そういったソフト面での体制の強化というのも非常に重要なことだと考えております。したがいまして私どもは、まず情報の収集の面につきましては雨量、水位その他いろいろな情報を観測、分析するようなシステムを持っておりますし、また、これを先ごろ設立いたしました河川情報センターによりまして高度に処理し、わかりやすく一般の地方自治体にもこれを流すというような形で、災害に備えた情報の有効活用面に心がけておるところで、ございます。  また、治水におきましては水防というのが非常に大事でございます。これは水防団あるいは消防団によりましてそれぞれ地先のところで守っていただいておりますけれども、最近の高齢化の時代あるいはその他の理由によりまして水防体制というのが次第に弱体化している。これをいかにして強化するかということで、水防に関するPRにも努め、また技術の訓練等のための演習も積極的に実施しておりますし、またこういった方々に出水期を前にしまして河川の点検を河川管理者とともにやっていただくというようなことで、できるだけの措置は講じておるところでございます。  その他土石流災害とかあるいは火山泥流等につきましても、これはやはり人身災害につながるおそれの非常に大きい災害でございますので、やはり避難、誘導というような、こういうソフト面の体制の強化が必要であるということで、そういう点につきましても制度の拡充強化を図ってきているところでございます。
  76. 坂井弘一

    ○坂井委員 今提案申し上げたのも、昨年の十月のあの台風のとき随分情報センターに問い合わせが殺到した。雨量はどうなのか、水位はどうなのかというようなこと等々、大変な問い合わせがあって一時的に麻痺したというような、それぐらいやはりそういうときには情報を知りたい、そういう意識が住民には非常に強い。でありますから、今のようなことを積極的に総点検をして災害に備えるということの必要性があるのじゃないかと思いまして、提案、お尋ねをしたような次第でございます。  なお、同じように、浸水予想図をつくったらどうかとか、あるいはこれは一部つくっているところもあるようですね。自分の住んでいる土地がどの程度危険なのかというか、水害のときに堤防が決壊して浸水の心配はというようなことを考えまして、どの程度危険なのか住民が前もって知っておく、そういう必要もないではない。そのために洪水を想定した浸水予想図というものを全国的に整備してみてはどうかという提案でございますが、これはいかがでしょう。
  77. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 最近、都市化の著しいところにおきましては、特に新しい方がそこに住みつくというようなことで過去の災害についての知識がないというような事態も多うございまして、そういった場合には避難あるいは水害に対する備え等が十分でないということで被害を大きくするというようなおそれもございます。そういったことで私どもとしましては、まず浸水の実績、これは比較的容易にそういう実績を調査してまとめることができますので、こういう浸水実績の公表というものを進めてきております。  一方、さらに今後浸水の予想についてもそのような必要があるのではないかというようなお話河川審議会の方からもいただいておりまして、私どももそれについて検討した結果、ただいま新河岸川について浸水予想図を公表したところでございます。今後もいろいろ調査研究を進めまして、他の河川についてもできるだけそういうふうな取り組みをしてまいりたいと考えているところでございます。
  78. 坂井弘一

    ○坂井委員 お答えいただきましたので結構です。できるだけ全国的にこれを進めていっていただきたいと思います。ただ、反対も強いところがあるのでしょう。ここが浸水するところかなんというようなことになりますと、不動産屋さんとか、いろいろな意味でなかなか難しい問題もあるようでございますね。ただ、人命、これは一番大事にしなければならぬ問題でありますし、災害、水害が起こって人命が失われた後でというのでは何にもならないものですから、あえて積極的な意味でそういう御提案を申し上げたような次第でございます。  本会議の時間が迫ってきておるようでございますので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  79. 村岡兼造

    村岡委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十三分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  80. 村岡兼造

    村岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。伊藤英成君。
  81. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 渇水の問題についてお伺いしたいのです。  今ちょうど東日本でも渇水の問題が深刻になっておりますけれども、去年も中部地方で、木曽川の関係で渇水で大変だったのですが、その現況並びに対処の状況についてお伺いします。
  82. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、昨年の渇水は、台風が一つも本土に上陸しなかったというような特別な事情もございまして、八月以降東海、近畿を中心に雨が非常に少なくて、秋から冬にかけまして木曽川、淀川が渇水に見舞われたのでございます。特に木曽川は、牧尾ダムが空になるなど近年まれに見るような渇水で、節水の状況も、最大で農水では三〇%から四〇%、上水で二〇%、工業用水でこれまた三〇から四〇%という大幅な節水を強いられたのでございます。この渇水は、本年の一月末をもって幸い終わったわけでございます。  また最近、この四月に異常に雨が少なくて、特に関東内陸から東北南部にかけましては平年の二割にも満たないという地区がございまして、水道用水の取水が困難となったり、あるいは田植えに支障を来すなどの地域が出てまいっております。しかしこれも、幸い十三日から十四日にかけての降雨で現在は小康状態を保っております。  昨年発生しました渇水では、中部地方建設局、近畿地方建設局に渇水対策本部を置きましたし、またこれを受けて建設本省にも渇水対策本部を設置いたしました。それから、渇水発生したそれそれの河川渇水調整協議会等を開催いたしまして、節水の強化、地区内の水の有効利用要請するとともに、水質の監視体制の強化や、水質障害を未然に防止するための排水者への協力要請等を実施してまいりました。  今年の渇水でも、東北地方建設局、関東地方建設局にそれぞれ渇水対策本部を設置し、本省におきましても五月の十二日に渇水対策本部を設置したところでございます。また、那珂川など渇水発生している河川においては、節水の強化やPR、緊急非常連絡体制の整備、水質監視体制の強化、水質汚濁防止の呼びかけ等を実施しているところでございます。
  83. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今のようないわゆる対症療法的な対策だけではなくて、地域の発展の基盤を整備するという視点でも長期的な展望に立った対策実施していかなければならぬ、こういうふうに思いますけれども、どうですか。  そしてまた、第七次治水事業五カ年計画においてどういう方針で整備を進めるつもりでございますか。
  84. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 昭和五十九年、それから昨年、今年と全国的な渇水が頻発しておりまして、この原因は、異常気象による雨の少ないこと、それからダム等の水資源開発施設の建設に非常に長い期間を要するようになったこと、それから、水需要の構造そのものも若干変化しておりますし、不安定取水等がまだ解消されずにそのまま残っているというようないろいろの理由が挙げられると思います。また、これまでの傾向から推測いたしますと、今後とも都市用水の需要を中心にしまして水需要はふえていくというふうに私ども見積もっておるわけでございます。  したがいまして、建設省では、これらの水需要の増大や不安定取水を解消すること等を目指しまして、水資源開発を今後とも長期的観点に立ちまして積極的に進めていくべきであると考えております。  現在存在する不安定取水量を考慮しまして、昭和七十五年において全体としておおむね水需給のバランスをとるということを目指しまして、このたびの第七次治水事業五カ年計画におきましては、計画期間内にダム等の水資源開発施設の建設を計画的に進めてまいりたいと考えております。
  85. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今までの実施状況を見ても、さらに財源の状況等も考えるとなかなか大変だと思いますけれども、ぜひよろしくお願いします。  それから、今のお話関連して、木曽川水系における水資源の開発の状況はどうなっているか、お伺いします。
  86. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 建設省の所管します木曽川水系における主要な水資源開発につきましては、木曽川水系における水資源開発基本計画に基づきまして、阿木川ダム、味噌川ダム、徳山ダム及び長良川河口ぜきの四ダムを水資源開発公団の事業として実施しておるところでございます。  その進みぐあいでございますが、まず阿木川ダム及び味噌川ダムにっきましては、用地補償費の支払いも終わりまして、現在ダム本体の工事中でございます。徳山ダムは、昭和五十八年度に用地補償基準が妥結し、現在補償費の支払い及び道路工事等を実施しております。長良川河口ぜきは、現在まで漏水対策工事等を実施する一方、漁業補償等の交渉を鋭意進めておるところでございます。  これらのほか、建設省の所管事業といたしまして、直轄事業では丸山ダムの再開発事業、木曽川導水事業実施しておりますが、現在、それぞれ事業初期の段階であり、関係者と調整を行っているところでございます。  木曽川水系の水資源開発というのは名古屋圏の発展に重要でありますので、今後とも鋭意これらの事業の進捗を図ってまいりたいと考えております。
  87. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 次に、河川の整備の問題についてお伺いいたします。  河川の整備は、地域の活性化、都市の発展のための基盤づくりという視点に立って、都市施設整備と歩調を合わせて実施していくべきであるというふうに考えますけれども、どうでございますか。そしてまた、河川整備の現状、それから、第七次治水事業五カ年計画における整備方針についてお伺いをいたします。
  88. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 河川の整備というのは、地域づくり、町づくりを図り、生活産業基盤を整備するという意味で大変重要な事業でございますので、この事業を進めるに当たりましては、都市施設の整備と十分調整を図りながら、歩調を合わせながら進んでまいりたいと考えております。  昭和六十一年度末の河川の整備状況でございますが、大河川につきましては、当面の目標でございます戦後最大洪水によるはんらん被害防止に対しまして五七%、それから中小河川におきましては、当面の目標であります時間雨量五十ミリ降雨に対する浸水の防止に対しまして二八%、このうち都市河川につきましては四八%というふうにより進捗が高いわけでございます。  これに対しまして第七次治水事業五カ年計画におきましては、これらについて計画的な整備を進めることとしておりまして、この五カ年計画が終了いたします昭和六十六年度末におきましては、大河川については約六二%、中小河川については三五%、そのうち都市河川については約六一%を目途に整備水準を高めるよう、安全で活力ある国土基盤の形成に向けて積極的に治水事業を推進してまいりたいと考えております。
  89. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 都市の中における河川についてですけれども、都市河川は住民に安らぎを与える貴重な空間であると思うわけでありますけれども、そうした意味で、都市河川の整備の方針についてお伺いします。
  90. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 都市河川の大事な役割の一つとして、ただいま先生のおっしゃいましたように潤いと安らぎを与える大事な機能がございます。人口の稠密した都市におきましては、最近身の回りに緑が少なくなった、あるいはオープンスペースが少なくなったということで、かわって河川にこういうニーズが求められるようになってきたのも事実でございます。  このため、昭和六十二年度を初年度とする第七次治水事業五カ年計画におきましては、「うるおいとふれあいのある水辺環境の形成」というのを三つの主要課題の中の一つといたしまして計画を策定する方針でございます。この点に十分配慮しまして都市河川の整備を推進してまいる所存でございます。
  91. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 次に、浸水に対する災害防止についてお伺いしますけれども、この間の防災白書に、去年の八月の阿武隈川水系の洪水で郡山市の中央工業団地が浸水したケースが取り上げてあります。その中に出ておりますのは、たしか三百十六億円余の被害があった、そしてそのために工場も長期間稼働することができなかったという状況が書いてありました。こうした災害に対して、過去の浸水の歴史等を調べて、例えばコンピューター等を二階に置けばかなり対策ができて被害も少なかったのではないかというような御指摘などがしてあるわけであります。  建設省が新河岸川流域浸水予想区域というのを公表しておりますけれども、こういうものを今後も発表して有効活用の促進に努めてはどうかと思いますが、いかがでございますか。
  92. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 浸水被害を軽減するという上から、浸水の可能性のある区域に住んでいる人たちがよく自分たちの治水上の事情を知っていただくということは、大変大事なことだと考えておるところでございます。このため、まず浸水実績を公表するということに力を入れて、これまでに二百七十数河川についてそういう公表を行ってきたところでございますが、さらに一歩進めまして、浸水予想区域の公表を行うということで、お話にございましたように新河岸川について先ごろ公表を行ったところでございます。  これにつきましては、いろいろとこの公表についての問題点等もあろうかということで、私どもは慎重に取り組んできたわけでございますが、現在のところ、非常に評価をしていただいているというふうに私どもは見ておりまして、今後こういった公表につきまして、できるところから前向きに取り組んでまいりたいと考えております。
  93. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 最後になりますけれども、森林の火災についてお伺いしたいのです。  ついこの間も、私の地元の近くでも大きな火災がありました。これはいろいろな要因があると思うのですが、国民のこうしたいわゆる公共物の利用のモラルの向上というようなことも大きな問題なのかもしれません。それから、白書等で見ますと、林野火災の約七〇%くらいがたき人やたばこの火の不用意な取り扱い、そういうものによるというようなことも出たりしております。  そういうことで、最近の大規模な山林火災の発生にかんがみて、利用者等の不用意な火の取り扱いということ等も懸念されるわけでありますけれども、そうした状況を踏まえて、管理体制と言っていいのか、適当な表現が見つかりませんけれども、どういうことをこれからやろうとするのか、お伺いをいたします。
  94. 松田堯

    松田(堯)政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘のように、ことしは、異常気象の関係もございまして、一月以降、十ヘクタール以上消失した山林火災が四十七件、三千三百ヘクタールに上っております。例年、過去五年間の平均では三千百ヘクタールぐらいの山林の火事がございますので、既に五月におきまして年平均を上回っているといったような異常な事態が出ているわけであります。  先生御指摘のように、山林火災の原因の大半は、たき火、たばこあるいは子供の火遊びといったようなことであり、また、最近山林への入り込み者が多くなっているといった傾向の中で、火を出さないための予防対策を推進することが最も肝要ではないか、このように考えているところでございます。  このため、林野庁といたしましては、森林保全巡視員の配置、ポスター、宣伝車などによります入山者に対します注意を喚起するなど防火思想の啓蒙普及を行い、山火事の未然防止に努めているところであります。また、不幸にいたしまして一たん火災が発生した場合におきます、最小限に食いとめるための防火器具の配備や防火線の整備などの予防対策実施しているところでありまして、今後とも林野火災防止に努めてまいりたいと考えております。
  95. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 森林を育てるのは大変なことでありますし、期間も長くかかるわけでありますけれども、しかし、それを一瞬にしてというか、一時にあっという間に失うということは大変な被害を与えるわけですね。そういう意味で、これからも強力に推進をしていただくことをお願いをして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  96. 村岡兼造

    村岡委員長 辻第一君。
  97. 辻第一

    ○辻(第)委員 私に与えられた時間は二十分でございますので、できるだけ御答弁は簡明にお願いしたいということをまずお願いをして、質問に入ります。  河川法の一部改正についてでありますが、今回の改正で、一定の要件を満たせば市町村長がみずから河川工事、河川維持を行うことができるということになるようでありますが、これは、市町村長みずからがやりたいと希望している場合である、このように理解をするわけであります。都道府県が市町村に事業をやれと押しつけるようなことがあってはならない、このように思います。  それからもう一点。財政事情等でみずからやれない市町村も少なくないと思うわけでありますが、その場合は、従来どおり必要なものは県がきちんとやるべきである。今回の改正を機に都道府県が手を抜くというようなことがあってはならない。そのようなことがないように十分注意を払っていただきたい、このように考えるわけでありますが、この二点について明確にお答えをいただきたいと思います。
  98. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 今回の河川法の改正によりまして、市町村長は、その市町村の行財政能力、それから河川状況等にかんがみまして実施の必要性、可能性等をみずから十分に判断した上で、都道府県知事と協議して河川工事あるいはまた河川の維持を行うことができるというふうにしておるわけでございます。このように今回の改正というのはあくまでも市町村長の側の発意を前提としたものでありますので、河川管理における都道府県の責任を市町村に押しつけるものではございません。したがいまして、市町村の財政事情その他によりましてこういう発意に基づく河川工事ないしは維持ができないようなものについては、従来の河川管理者であります都道府県知事が従来どおり対応に努めてまいるところになるわけでございます。
  99. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、治水対策でお尋ねをいたします。  まず初めに、私は昭和五十七年八月に災害対策特別委員会、五十八年三月に予算委員会の分科会で、昭和五十七年八月の豪雨による大和川の水害問題を取り上げました。そして総合的な治水対策の確立を求めました。現在のこの大和川の総合的な治水対策の進捗状況はどうなっておるのか、お尋ねをいたします。
  100. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 大和川の流域というのは、大阪に近い等の理由もございまして、近年非常に急速なスピードで都市化あるいは地域開発が進んでおるわけでございまして、これに対応した治水施設の整備をより重点的に実施する必要があるというようなことから、治水施設の整備、それから流域における保水、遊水機能の確保、適切な土地利用の誘導、こういったものを総合的に行うための総合治水対策特定河川にこの大和川を指定しまして、現在それに基づく対策を進めている段階でございます。  既に昭和五十八年には建設省並びに奈良県、関係市町村から成る大和川流域総合治水対策協議会を発足いたしまして、六十年七月に流域整備計画を策定いたしました。現在は、この計画に基づきまして、治水対策と流域対策の二本の柱につきまして、期間はおおむね十年間を目標として事業実施に取り組んだところでございます。  この治水対策としましては、当面の目標は、大和川はおおむね十年に一回程度の雨を対象として改修することといたしておりますし、また流域対策につきましては、保水機能の積極的な保全と適正な土地利用基本方針として取り組んでおるところでございます。昭和六十一年度におきましては、本川及び支川の改修並びに遊水地の整備を進めるとともに、ため池の改修や流域貯留施設の整備を実施してまいりました。  大和川総合治水対策というのは緒についたばかりでございますので、今後、流域総合治水対策協議会及び関係住民の御理解と御協力を得ながらこの推進に努めてまいる所存でございます。
  101. 辻第一

    ○辻(第)委員 建設省や県その他関係の二十五市町村で総合治水対策協議会をつくられるなど、大変な御努力をいただいているということであります。しかし私ども、あの水害のときにいろいろと調査をし勉強いたしましてその原因を究明し、総合的な科学的な治水対策というものを一つの冊子にまとめるなど努力してきたわけでありますが、奈良県というのは全国有数の人口急増地域でありますし、どんどんと開発が進められ宅地化されるということは、山や森やあるいは田んぼ、こういうところが失われていくということであります。  昭和三十年に奈良県の大和川流域では人口が五十五万であったわけでありますが、昭和五十五年には約百万になりましたね。市街化地域の割合は、昭和三十年には四・六%だったのが五十四年には二〇・一%になりましたね。六十年では人口、それから市街化の割合はどれくらいなのか。それから今後わかれば六十五年、七十年はどのように予測をされておるのか、近い数字でも結構ですのでお答えをいただきたいと思います。
  102. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 私どもが流域整備計画をつくるに当たりまして想定した数でございますが、現況としましては六十年ではなくて五十六年のデータでございますが、この時点では約二三%の市街化率でございました。これがおおむね十年後の七十年には約三〇%程度に市街化率が高まるであろうというふうに見込んでおるわけでございます。
  103. 辻第一

    ○辻(第)委員 まだこれからもどんどんと人口がふえ、宅地化され、市街化の地域がふえていくということであります。しかも奈良県の地形、大和川のなには、扇のかなめのところから、渓谷というのですか峡谷というのですか通って大阪へ流れていきますね。そこに亀ノ瀬というところが御存じのようにあって、そこが全国有数の地すべり地帯ということでさわれないということですね。ですから、そこのところが大和川のいわゆるネックになり、もう一つはそこのところを掘削できないということがネックになる、こういう状況であります。ですから、こういうふうにどんどんと宅地化が進んで、開発が進んで、そのための保水機能が非常に低下しておるということが今度の水害の大きな原因の一つであったというふうに思います。もちろん治山治水対策の長期にわたるおくれというものがその根底にあったということは言うまでもないと思うわけでありますが、そういう点でこの保水能力を十分確保していくということが非常に重要であります。  そういう点で、これまで貯留施設あるいはいろいろやっていただいたのですが、どの程度にやられたのか、貯留能力がどれくらいなのかお尋ねをしたいと思います。
  104. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 大和川流域は、急速な都市化によりまして治水の安全度というのは総体的に低下しているわけでございまして、これを補うために、抜本的な亀ノ瀬の地すべり対策の推進によりまして、あの地区における河道の流下能力の増大、それからまた、それを受けとめる大阪府内における大和川下流本川の治水対策の推進、こういうものを整えながら上流における排水能力の増大を図っていくということでございますが、何しろ急速な都市化に対応した治水対策としましては、先生御指摘のような流域内において保水遊水機能を確保していくということが当面一番大きな重要な施策だろうと考えております。そのために、幸い大和盆地にはため池等がたくさんございますので、この保持を図るために特定保水池整備事業実施しておりますし、それから公共公益施設での雨水貯留施設の整備等を進めております。  その進捗の程度でございますが、六十一年度までに特定保水池としては一カ所、それから流域貯留浸透施設としては五カ所を実施しているわけでございます。ただ、これによって具体的にどの程度の治水効果、つまり洪水調節能力が出たかについては、現在数字の上では把握しておりません。
  105. 辻第一

    ○辻(第)委員 建設省の六十年七月の「大和川流域整備計画」にも治水対策あるいは流域対策ということで述べられているわけでありますが、その流域対策の中に「市街化調整区域を極力保持することにより、市街地の無秩序な拡大を抑制する。」こういう項目がありますし、「保水機能の役割を有している森林・緑地等の自然地を積極的に保全する。」こういうようなこともあるわけであります。先ほどお話がありました貯留施設の問題も当然述べられているわけでありますが、こういう点、どんどんと市街化されていく、こういうふうなきれいごとではなしに乱開発に近いようなものもたくさんあるわけでありまして、そのことは治水上大変重大な問題を含んでいる。このことに対する規制といいましょうか、適切な対応といいましょうか、そういうものがもっともっと必要ではないかということであります。  それから、保水機能の役割でありますが、「森林・緑地」と書いてあるわけでありますが、ことに治水という問題では治山というのが古今東西非常に根本的な問題ではないかということであります。それで奈良県の現状を見てまいりますと、現実として森林の保水機能が今どんどんと低下をしている現状ではないかというふうに私は思うわけであります。  きょうは林野庁にもお見えいただいているわけでありますが、私の印象では森林の保水機能はまだまだ低下をしていっているのではないか、こういうことが一つですね。それから、このような状態から逆に保水能力が高まるめどがいつごろになるのか、いつごろからこれが変わってくるのか。大変難しいことかもわかりませんけれども、その辺のことについて簡明にお答えをいただきたい。印象的でも結構でございます。
  106. 松田堯

    松田(堯)政府委員 森林の持ちます洪水調節機能あるいは貯水機能は、健全な森林をつくることによりまして土壌の膨軟性といいますか、スポンジ状の状況を言っているわけでありますが、それを高めまして降水量等の浸透能等を高めるということが一番基本ではないか、このように考えております。したがって、健全な森林の造成を図るために、森林計画制度の的確な運用によりましてその機能を高めることに努めているところでございます。また、流域保全上重要な森林につきましては、保安林に指定をいたしまして計画的な治山事業実施あるいは造林事業の推進、さらには森林開発公団によります水源林造成事業等も進めているところでございます。  また、今回御審議いただいております第七次治山事業五カ年計画におきましても、荒廃地の復旧整備とあわせまして保水機能の高い複層林の造成等を総合的に行います水源地域緊急整備事業を新たに実施いたしまして、水源涵養機能の充実強化を図ることといたしております。  今後とも、森林計画制度また保安林制度の的確な運用によりまして活力ある森林造成を図り、水源涵養機能の向上に努めてまいりたい、このように考えております。
  107. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろ説明、御答弁をいただいたわけでありますが、現状は、私もこの五月七日に明日香村と高取町の国有林をちょっと見せていただいたのですが、まず間伐がやられていないですね。本当に山が荒れているなというのが正直申しまして私の印象であります。国有林しかり。民有林も、大変な努力をされておりましても間伐を初めいろいろと山が荒れつつあるというのが現状であります。ということは、やはり保水能力が低下をしているのではないか。いろいろなほかの対応があっても、全体として保水能力が低下しているのではないかというふうに思うわけであります。  そこで、河川局長にお尋ねしたいのですが、治山ということは本当に総合治水対策の重要な問題でありますが、農水省との連絡といいましょうか関係といいましょうか、いかがなものでしょうか。
  108. 陣内孝雄

    ○陣内政府委員 大和川の総合治水対策を進めるに当たりましては、県の企画部あるいは県の農林部局を含めた関係機関の協議会をつくっておりまして、ここにおきまして流域における森林、緑地等の積極的な保全対策等を盛り込んだ整備計画をつくっております。したがって、今後、そういう計画に基づいて所期の目的が達成されるよう相互に連絡調整を密にしながら取り組んでまいりたいと思っております。
  109. 辻第一

    ○辻(第)委員 県の機関とはそういう一定の協議ができる状況にあるようでありますが、農水省直接との関係はないと私どもは考えておるわけであります。そういう点で本当に総合的な本格的な治水対策をということで見てまいりますと、大変御努力をいただいているのはよくわかるわけでありますが、まだまだ改善をしなくてはならない点があるのではないかと私は思うわけであります。あの水害のことを今思い起こしますと、何としても二度と再びああいうことがあってはならない、本当に悲惨きわまる状態、たくさん犠牲者も出たわけであります。そういう点で本当に総合的な対応をと保っていただきたい。  さらに申し上げますと、例えば建設省でも、皆さん方は治水ということで御努力をいただいておりますが、建設省の中には治水と相反するような開発を主にするような部局もあるということであります。その辺のところは非常に難しいところがあろうと思います。また、地方自治体でも、奈良県もいろいろ御努力をいただいている中で、昔からいわゆる遊水地的な働きをするところがあるのですね。大和川から少し入りました支流に属するところでありますが、古来からの堤防に高低をつくって、大水が出ればあふれて、そこが低地でありますので遊水機能を持つというところがあるのです。そういうところに県が食肉流通センターをつくるということが既に住民の願いを踏みにじってやられるというようなこともあるわけであります。そういう点、私の県の見識を疑うわけでありますが、そういうこともやられております。  それから、今申し上げましたように治山という問題、山を守るということは治水の根本的な問題でありますので、農水省ともっともっと緊密な関係を持ってコンタクトをしていただいて、十分な対応をしていただきたい。これは言うはやすし現実は難しい問題もあるわけでありますが、しかしもっと連絡を密にしてやっていただきたい、こういうふうに考えるわけであります。長期的な視野を含めて総合的な治水対策をやっていただきたいと強く要望をして、質問を終わりたいと思います。
  110. 村岡兼造

    村岡委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  111. 村岡兼造

    村岡委員長 この際、本案に対し、平沼赳夫君から修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。平沼赳夫君。     —————————————  治山治水緊急措置法及び河川法の一部を改正す   る法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  112. 平沼赳夫

    ○平沼委員 ただいま議題となりました治山治水緊急措置法及び河川法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文は、お手元に配付してあります。  御承知のとおり政府原案では、この法律昭和六十二年四月一日から施行することといたしておりますが、現在既にその期日を経過しておりますので、これを公布の日から施行することに改めるものであります。  以上で修正案の趣旨説明を終わります。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  113. 村岡兼造

    村岡委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  114. 村岡兼造

    村岡委員長 これより本案及びこれに対する修正案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  治山治水緊急措置法及び河川法の一部を改正する法律案並びに平沼赳夫君提出の修正案について採決をいたします。  まず、平沼赳夫君提出の修正案について採決をいたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  115. 村岡兼造

    村岡委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  116. 村岡兼造

    村岡委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  117. 村岡兼造

    村岡委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、森田一君外四名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。森田一君。
  118. 森田一

    ○森田(一)委員 ただいま議題となりました治山治水緊急措置法及び河川法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれては十分御承知のところでありますので、この際案文の朗読をもって趣旨の説明にかえます。     治山治水緊急措置法及び河川法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 治山治水事業の緊急かつ計画的な実施を促進するため、新治山事業五箇年計画及び新治水事業五箇年計画の完全達成に努めるとともに、五箇年計画の三年後の見直しの検討に当たっては、整備の進捗状況等を勘案し、事業費の拡大に努めること。  一 治水事業においては、近年多発する災害に対処するため、災害復旧等に万全を期するとともに、事業計画的な実施に努めること。  一 近年における河川流域の開発、土地利用の高度化にかんがみ、都市河川等の整備を進めるとともに、地域行政との調和を図りつつ、河川環境の改善、河川空間の適正利用等の推進に努めること。  一 今後増大が見込まれる水需要に対応し、渇水の恒常的発生に対処するため、水源地域対策事業を通じて山村地域の活性化に配慮しつつ、水資源の開発の積極的な推進に努めること。  一 近年において森林の公益的機能に対する国民の要請の多様化、高度化に対応するため、治山事業及び治水事業の緊密な連携を維持しつつ、治山事業による森林整備の積極的な推進に努めること。  一 都市河川が、流域住民にとって貴重な公共空間であることにかんがみ、市町村長の行う河川工事等に係る整備計画について住民の意同を尊重するよう努めること。  一 市町村長の行う河川工事及び河川の維持に要する費用について、市町村に対する財政措置の充実を図ること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  119. 村岡兼造

    村岡委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  120. 村岡兼造

    村岡委員長 起立総員。よって、森田一君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。天野建設大臣
  121. 天野光晴

    天野国務大臣 治山治水緊急措置法及び河川法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決をされましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいま議決になりました附帯決議の趣旨を十二分に尊重してまいる所存でございます。  ここに委員長を初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  122. 村岡兼造

    村岡委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 村岡兼造

    村岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  124. 村岡兼造

    村岡委員長 次に、内閣提出民間都市開発の推進に関する特別措置法案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三野優美君。
  125. 三野優美

    ○三野委員 ただいまから若干質問させていただきたいと思いますが、まず最初に建設大臣に、この民間都市開発の推進に関する特別措置法についての決意をお尋ねしておきたいと思うのであります。  この法律措置法は、地方都市を中心として開発するということになっているわけですね。これは言うまでもありませんが、今大都市中心に開発が進み、特に東京などは集中的な、洪水的な開発が進んでいる。それに比べて、この狭い日本列島が地方においては非常に過疎化が進み、経済的な停滞というものがある。そういう意味地方中心ということなんだろうと思いますが、これから運用する際の地方中心ということについての大臣の見解をまず最初にお聞きしておきたいと思います。
  126. 天野光晴

    天野国務大臣 地方都市における民間都市開発事業の推進は、現下の急務である内需の振興、地域経済の活性化のため緊急の課題であります。今回御審議をお願いしている法律案の成立を受けて、民間都市開発推進機構を中心民間都市開発の積極的な推進を図ってまいりたいと思っております。
  127. 三野優美

    ○三野委員 さて、地方都市を中心というのでありますが、今この法律で明記されておらないのでありまして、恐らく政省令で規定するだろうと思うのでありますが、いわば大都市を除くという場合のその大都市というものは、どの範囲をお考えになっておるのか、それについて聞いておきたいと思います。
  128. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 東京、大阪、名古屋の中心部を考えております。
  129. 三野優美

    ○三野委員 東京、大阪、名古屋の三大都市の中心部と言われたのでありますが、その中心部というよりも、むしろ周辺も含めて今開発が急速に進みつつあると私は思うのであります。中心部とあなた言われたのでありますが、その中心部とはどこを指すのでしょうか。中心部を中心としてその周辺というものも除くということを考えるべきだと私は思うのでありますが、どうでしょう。
  130. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 これは政令にゆだねられる事項ではございますが、政令の中身としてただいま私どもが考えておりますのは、東京の場合は二十三区、大阪、名古屋の場合は旧市街地というようなことを考えております。  なぜこういう形で大都市部のしかも中心地区に絞っているのかという点について続けてお答えしたいと思うわけでございますが、この制度の目的というのは地方振興という大きな柱が一つあるわけでございますが、もう一つ大きな柱といたしまして、やはり東京一点集中型、これは近ごろ非常に大きな傾向があらわれておりまして、種々弊害を現実にもたらしておるわけでございます。その一つのあらわれが特に東京都中心部、具体的に申しますと東京都心の千代田、中央、港三区を中心といたします土地の急騰でございます。これによりまして地上げ屋の横行等のさまざまの弊害等があらわれておるわけでございますが、これを是正するには単に地方都市を振興しただけでは間に合わないわけでございます。やはり大都市中心部、特に都心三区がきりのように突出いたしまして土地の高騰等の元凶になっている。そのためには、その分散を大都市圏の内部でも図っていかなきゃならぬ。そのためには例えば、一つはダサイタマと言われておりますような現状、大人口を抱えておりながらやはり都市的機能の充実が低いという埼玉県、あるいは千葉県、神奈川等におきましてもややそういう傾向が見られるわけでございますので、その辺をてこ入れいたしまして、まず例えば諸悪の根源と言われております東京都心の地価高騰あるいは事務所のオフィス不足、そういうものを抑えていこう、こういったものも一つございますので、その両々相まちましてこの機構によって対処していきたい、こういう考え方でございます。
  131. 三野優美

    ○三野委員 私の質問が下手なものですから答弁の方が長過ぎて、詰めて議論できませんので、質問だけに答えていただきたいと思います。  今の局長答弁を聞いておりますと、それは千代田、港含めまして都心部の地価高騰をさらに拡大するような、東京周辺に拡大するような考え方になっていくわけなのです。むしろそうじゃなしに、先ほど私が大臣に見解を求めたように、いわば大都市中心で今開発が進んでいる、それは同時に地価高騰にもはね返っておるのでありますが、むしろ地方中心という形の中でこの法律というのは推進されるべきだと思うのであります。それがあなたが言われるように、東京都内でも特に中心部を除いて、あるいは三区ぐらいを除いてその周辺ということになると、そこにさらに開発を引き寄せるような法律を制定することによって三区中心の地価高騰あるいは東京中心のこれが拡大をされていく、こういうことになると思うのでありまして、私はこの法律の趣旨に反すると思うのであります。その点についてもう一遍お答えしていただきます。  続いて、こればかりやってもいけませんから、もう一つついでに答えてもらいたいと思うのですが、私の見解についてあなたは、それは間違いなら間違いでどこが間違いかということをひとつ示してもらいたいと思うのです。それだと、あなたの言っていることをやっていたらやはり東京、大阪、名古屋中心のその周辺の開発に集中するに決まっているわけですよ。これは民間資本がやるわけですからね、そこに集中するに決まっている。やはり利益中心考えるわけですから。そこのところが私は見解が少し違うので、ほかの地方から出ている議員の皆さんも恐らくそうだろうと思う。この点については、私の間違っているところをひとつ指摘してもらいたいと思うのです。  それから、この法律の中に「公共施設」という言葉を使っているのでありますが、ここで言う公共施設という場合に、私的な資本が有料で行う事業も含めて公共施設と言っているのでありますが、そういう場合に公共施設という呼称の法的な根拠、そしてその公共施設の範囲というものはどれを、何を指すのでしょうか。これをちょっとお伺いしたい。
  132. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 まず第一の点でございます。  この制度の基本的目的は、やはり根本的には地方振興、国土の均衡ある発展でございます。しかし、国土の均衡ある発展を図ります場合に、とりあえずこの大都市圏の異常な地価高騰の現況というものもあわせて抑えませんとますます加熱化するような状況にございますので、その辺も冷やさなければならぬ。しかし、非常に長期的に、あるいは基本的に申しますとこれはやはり地方振興、これが第一義であり根本であるという点については間違いございません。  それから第二の点でございます。  公共施設と申しておりますものは、この法律で二条に掲げております点かと存じますが、道路、公園、広場のほか政令において一定のものを定めることとしております。具体的には下水道、緑地、河川、それから港湾の係留施設等を考えておるわけでございます。
  133. 三野優美

    ○三野委員 最初の部分は、最後に大臣の見解を聞くことにして一応保留しておきたいと思います。  その次に、この公共施設の整備を伴うものであって、一定の要件に該当するもの、こうなっているわけですね、対象物件が。「建築物及びその敷地の整備に関する事業のうち公共施設の整備を伴うものであって、」一定の「要件に該当するもの」、その一定の要件というのはどういうものを指すのでしよう。
  134. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 良好な市街地の形成と都市機能の増進を図る観点から、事業の施行面積、それから建物の延べ面積等を指定することと考えております。施行面積二千平方メートル、建物の延べ面積も二千平方メートル、いずれもそのように考えておる次第で、ございます。
  135. 三野優美

    ○三野委員 この法律の「機構の業務」の中で「避難施設、駐車場その他の建築物の利用者及び都市の居住者等の利便の増進に寄与する施設」と、こうなっているのですね。「その他の建築物の利用者」ですからそこの建築物を利用している人たち、「及び都市の居住者」、つまりその周辺の居住者の「利便の増進に寄与する施設」、こういうようになっているのですが、これはどういうものが該当されましょうか。
  136. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 例示といたしまして避難施設、駐車場等が挙がっておりますけれども、そのほかに、例えば人工地盤でございますとか、それから例えば建物の共用に供する施設がいろいろございます。例えば電気、ガス等の供給施設とかあるいはごみ処理施設とか共用の通路部分、そういうものを予定しております。
  137. 三野優美

    ○三野委員 さて、ここに事例として挙げておりますのは「公共施設並びにこれに準ずる避難施設、駐車場その他の」云々、こう書いているのですね。  今局長から言われたように、電気、ガス、水道等が言われているのですが、これが指定される、その指定された地域の中にホテルなりあるいは百貨店なり、その他の事業主が入っていく。その場合に、その建物に必要な電気、ガスあるいは水道、これはこの法律があろうがなかろうが、必然的にとらなければならぬものでありますが、そういうものまでも対象に入れるという理解なんでしょうか。例えば、我々個人のものでなければ、個人が住宅を建てたって電気、ガス、水道はとらなければならぬが、それも対象に入れるということなのか。あるいは、あなたが事例に挙げた中で例えばごみ処理場だとかあるいは下水道にしても、共同で第一次浄化をして下水に流すとかという共同施設だとか、そういうものはやはり共同施設だと考え部分とそうでないものとがあると思うのです。  例えばここに挙げている避難施設の場合に、災害なんかあったときに避難する広場、これは当然あった方がいい。しかし非常階段その他もこの避難施設の中に入る。あるいは火消し、義務づけられていますね、ビルを建てると消火器を置かなければならぬ。これも消防施設なんですが、こんなものまで入るとは思えないのですが、それはどうでしようか。
  138. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 ちょっと回り道になりますけれども、この制度の目的から申しますと、できるだけ優良な町づくりに寄与したい、優良な町づくりに役立つプロジェクトというものを援助したい、こういう趣旨でございます。したがいまして、そのプロジェクトに対しましてはできるだけ公共部分というものの整備を一緒に図ってくれ、例えばみんなが集まって共同利用できる広場だとかあるいは人工地盤だとか、あるいは外部の人が自由に出入りできる屋根つき広場、まあアトリウムというようなものとか、そういうものをまず整備してもらう、これは大事な条件でございます。  そのほかに、やはりそういう優秀なプロジェクトでございますから、例えば消防法、建築基準法というものの最低基準を満たすだけではなくて、安全施設の避難施設とか防火施設にしても、より高度なもの、あるいはそういう施設等を利用いたしまして近隣の防災等にも役に立つというようなもの、あるいは処理施設におきましても、今の例えば市役所が定めておりますごみ処理ですとポリバケツに入れて外に出してくれればいいということでございましょうが、それではいかぬ、ハエや蚊が発生しないようにちゃんとしたごみ処理の施設を設けまして、においやそういうものが外に出ない、そういう優秀なものをつくってもらおうということで、全体として優秀なプロジェクトに対してその公共的な部分を出してもらうと同時にてこ入れもしてやろうということで、どういうふうに分けようかということでございまして、もっぱら例えば売り場に充てたりするところとか事務所に充てたりするところはこれは収益事業だから除こう、しかしその他の防災部分とか処理部分とか供給部分というのは補助対象として分けて考えたらいいのではないかというようなことで、援助の一つの目安、あるいはよりよいものをつくっていただくための方針ということで、そういう考えをとっている次第で、ございます。
  139. 三野優美

    ○三野委員 今の局長説明によりますと、幾らか指摘したように、災害があった場合に避難する広場、これは共同で使いますね、ある意味では一般市民も利用させていただけるわけですから、これは極めて公共的な性格が強い。これはいいだろうと思うのです。それから、例えば避難施設という場合に、私が今言ったように避難階段あるいは消火栓、これは建築基準法で義務づけられているわけですね。あるいは、消火器の場合だったら消防法で義務づけられている。今あなたの説明を聞くと、建築基準法なり消防法で示されておる以上の、それ以上のよりいいものを設置する場合に、その基準を超えた部分について援助の対象にするあるいはこの法律の対象にする、こういうように考えてようございましょうか。
  140. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 その部分も含めまして全体をその低利融資の対象等といたしたい、こういうことでございます。
  141. 三野優美

    ○三野委員 その部分を含めましてとなると、私は少しやはり問題があるような気がするのです。当然、建築基準法なりあるいは消防法で決められた部分というのは義務的なものなんですね。それをよりいいものにするという意味で援助の対象にするということが筋だろうと私は思うのですね。そこらの点については、これから政省令でお決めになるのだろうと思いますが、十分検討してもらいたいと思うし、その点はもう少し明確にしておいた方が後の行政上問題を残さないのじゃないかという気がするのですが、もう一度お答えをいただきたいと思います。
  142. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 例えば市街地を再開発いたします場合に、都市計画法とか建築基準法だけに従って建てればかなり敷地いっぱい、しかも公共広場とかそういうところをとらなくてもいい。しかし町づくりに貢献していただく以上、町の真ん中に相当大きな施設を建てるためには、やはりみんなが使えるような緑地部分、公園部分を出してくれ、あるいは一般の人が使える、あるいは地元の児童がつくってくれた交通安全のポスター等を張るようなそんなビルの中の広場空間も欲しいよ、そういうものを御相談しながら、建築主あるいは公共団体も入りました第三セクターのような場合が多うございますけれども、それに御協力いただいているわけでございます。そのかわり、全体としていろいろ御援助申し上げましょうということでこの制度をつくっているわけでございますので、その場合に、公共広場とかそういうもの以外の部分についてもある程度援助もする。一種の相互乗り入れみたいな考え方でございますが、その場合に、では一体何を援助対象として相互乗り入れの対象としようかということを考えました場合に、売り場とか事務所とかその部分まではいくまい、やはり防災設備とか処理、供給施設とか、そんなところが限度であろうということで考えているわけでございます。  例えば、非常に優秀な防火施設を備えましたビル、しかも堅固なビル、最近の消防法それから建築基準法をクリアしているビル等につきましては、むしろ大地震の際などはそのビルの中に避難した方が安全だということまで建築専門家が言われているような状態でございますので、その辺を頭に置いて御理解いただければと思う次第でございます。
  143. 三野優美

    ○三野委員 局長、ですから私が言っているのは、基準で、法律で当然定められた以上のより豊かな施設を設置するために援助するということについては賛成だ、こう言っているのです。ただ、法律で定められた範囲においてはみずからの責任においてやるというのは、これは常識だろうと思うのですね。例えばガス、水道なども含めてそうですが、あるいは電気など、いわばその二十アールの中で幾つかの施設あるいは個別の施設が共同してそこに施設をつくるという場合には、これは共同施設として対象になっていいと私は思う。しかし、その中においても、一企業がみずから行うべきものについてこの援助の対象にするかどうか、あるいは電気、水道、ガスなどについては少し疑問のあるところだと思うのであります。常日ころ行政官の皆さんが行政の水準あるいは公平と言う場合にそういうことを私はしばしば教えられてきたのでありますが、この点についてはまだ少しあなたと食い違いがあるような気がするわけでありまして、この点、少し後に残しておきましょう。  さて続きまして、いわば機構が援助あるいは参加するものに対し長期かつ低利の融資、こう言っているのですが、長期というのは二十年間の話だけれども、低利というのはどの程度までを考えているのか、これをひとつ聞いておきたいと思うのです。
  144. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 まず期間でございますが、償還期間は二十年ということを基準に考えております。  それから、これは予算編成の段階でございましたが、財投金利が六・〇五%でございました。その財投金利の六・〇五%から〇・五五%引きということで五・五%というものを当時の、予算編成時点の予算の組み立て方では予定していたわけでございます。しかし最近、財投金利が下がりまして、六・〇五から五・二%になりました。これをどうするかということは、私どもといたしましてもいろいろ住宅問題とかございまして、横並びで、予算成立後の実施段階で金利の動向をとらまえまして検討をいたしたいと考えておる次第でございます。
  145. 三野優美

    ○三野委員 二十年という期限はいいとして、五・五%を考えたけれども下がっている。今の時点で幾らを考えていますか。五%を大幅に割りますか、割りませんか。
  146. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 政府関係の全体の金利の流れでございますけれども、他省庁の例等々を考えておりますと、五%は割ると私どもでは考えております。
  147. 三野優美

    ○三野委員 どのくらいお割りになりますか。
  148. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 このものについて大蔵省との話はまだできておりませんが、参考のために、ほぼ決まっておると承っております他の省庁の例を申しますと、例えば通産関係においては四・八五というような金利が固まりつつあるというのも聞こえております。それから、住宅関係においては例えば四・七前後というようなことも聞こえておりますので、常識的な金利の全体の体系というのはおのずから定まってまいりますので、あるいはここらあたりも、全体とした政府金利の体系の中で私どもにとっても決して不利にならないような位置づけがなされるであろうと期待しております。
  149. 三野優美

    ○三野委員 四・五ないし四・七と言うのですが、今の市中銀行の状況を見ている限りにおいて、我々サラリーマンが借りる場合は別ですよ、しかし、大手の事業者が市中銀行を利用しているのはかなり低いといううわさがある。ひょっとするとあなたのところで考えている四・五や四・七よりかもっと低いのが出るのじゃないでしょうか。そうすると、果たして利用する者があるのかどうかという気がしないでもないわけですね。きのうの新聞にも出ておりましたが、通産がやっている部分についても、民活法でやったのですけれども、借り手がない、利用し手がないというのですね。そんなことになりやしないかと思うのでありまして、その中身については後でまた大臣にお願いをしたり見解も聞いておこうと思うのであります。  さてそこで、今幾つかの問題点が出てきたのでありますが、例えば駐車場だとかあるいは避難施設だとかそういうものをやろうとしているわけですけれども、建設省が対象にしている部分の中には、事前に説明を聞いたように、例えば百貨店なら百貨店、ホテルならホテル等大きなビルができた、その一階フロアは市民に開放して交流の場にする、これはもちろん無料ですね。できるだけ広いスペースをとって市民に開放していただく、あるいは屋外に小公園及び避難場所も含めて緑地帯をつくっていただく、これは私は非常に重要だと思う。そういうものが市民から求められると思うのでありますね。  さて、駐車場あるいは子供の遊園地が対象になるというのですが、駐車場の場合、無料の場合と有料の場合とあると思うのです。これを同じに扱うのかどうかということですね。あるいはビルならビル、ホテルならホテル、百貨店なら百貨店の専用駐車場と、有料であっても市民に公開している一般駐車場と同じに扱うのかどうかという問題点が少しあるような気がするわけでありますが、そこらはどうでしょうか。  それともう一つは、例えば百貨店なら百貨店に来たお客さんの子供のために、子供の遊園地をつくる、そこに遊技施設を置く。同じ経営ではあるけれども、その遊技施設そのものが、それを業としてする場合と、そうではなしに、親が百貨店を利用している間子供を遊ばせてもらうための付随的な施設である場合があると思う。あるいは駐車場の場合も、今言ったように、駐車場を業とするような経営と、そうではなく、市民に低い費用で活用してもらう、それも専用駐車場ではなしに一般に開放する、これらのことがあると思うのですが、そこらはどうなんでしょう。同じ扱いをするつもりなんですか、差を置くのでしょうか。
  150. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 プロジェクトによって判断される事案であろうとは思いますけれども、原則的に再開発で整備される駐車場につきましては、たとえそのビルの駐車場という位置づけが行われましても、ただいま先生の御質問にもございましたとおりそのビルそのものが公共目的に使う広場等も備えているわけでございまして、当然そこを使いに来る人たちを除外するというような利用形態は考えられないわけでございます。また、屋上部分の遊園地というようなものにつきましても、ほとんどすべての場合におきましてそのビルの利用者に対するサービスで、たとえ有料といたしましても、例えば電気代、ペンキ代を賄うとか、そんなふうなことが多かろうと思います。まあ遊園地とか駐車場で集中的に大々的に商売をしようというようなものにつきましては、この整備プロジェクトの中でむしろ計画段階で調整を図って、そのようなプロジェクトとしては余りふさわしくないというようなものについては優先順位が低いというような位置づけをしまして、むしろ地区の全体のために役立つようなプロジェクトというものに誘導していくという方向を図ってまいりたいと存じます。
  151. 三野優美

    ○三野委員 そうしますと、今の局長の話だと、有料駐車場あるいは有料の子供の遊技施設であってもいいのだけれども、それを主とした業としてそこから利益を生むというものでなければいいということであって、電気代その他最低限維持するための有料ぐらいならいいけれども、それを主として業として利益を生むというものについてはこの対象から排除する、あるいは指導段階においてそういうものは十分経営上の注意を払う、こういうことに考えてようございましょうか。
  152. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 優良な町づくりに寄与する、地元のために十分役立つというような方向で調整を図ってまいりたいと考えております。
  153. 三野優美

    ○三野委員 やはりここのところははっきりしておきたいと思うのです。あなたの方の資料の中にも、先ほど私が指摘したように、こういうように言っているのですね。「公共施設並びにこれに準ずる避難施設、駐車場その他の建築物の利用者」、建築物の所有者ではないのですね。「及び都市の居住者等の利便の増進に寄与する施設」とあるのです。「及び都市の居住者等」ですからその周辺の都市住民ですね。都市住民の利便の増進に寄与する施設、こうなっているわけですね。したがって、あくまでもこの範囲のものであるということを明確にした方が混乱がないのではないかという気がするわけなんですよ。  ということになると、ここに書いている部分は、有料であろうかなかろうが、一定程度不特定多数を含めた例えば職員の専用駐車場ですよという場合と、いや、これは一般市民、ここのビルに来られる利用者に対して有料であっても開放するのですという場合とおのずから違うと思うのです。したがって、今私が申し上げた部分を基礎に置くのかどうか、ここのところをひとつ明確にしておきたいと思うのです。
  154. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 この条文の流れは、先生のおっしゃった御質問の内容にあったとおりかと存じます。やはり再開発ビルあるいは再開発施設というのは、その施設そのものが複合施設でございます。いろいろな、オフィス的機能があったり商業的機能があったりあるいは文化的機能をあわせ持つということでございますから、その機能全体をとらえまして、したがってそれに付随する避難施設とか駐車場というのは当然その施設の一体のものという形で考えておりますので、ここにございますような「公共施設並びにこれに準ずる」というような表現の中で十分把握できる、実態上そういうものだと私どもは理解しております。
  155. 三野優美

    ○三野委員 さて、この法律は、「民間都市開発事業の基礎的調査の実施に対する助成」、こう言っていますね。この基礎的な調査という場合、これは予備調査もあるでしょう、しかし同時に、事業実施のための調査も基礎的な調査として存在すると思うのでありますが、ここで言う基礎的調査という場合には予備的調査も含まれるのでしょうか、どうでしょうか。
  156. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 プロジェクトごとの調査をするためにも、例えば全国的な再開発事業実態とか成功例、場合によっては失敗例、あるいは諸外国の例等を十分積み上げておくことが大事でございます。したがいまして、基礎的な一般的な調査と、具体的なプロジェクトの基盤となりますその地区にある程度基づいた調査、その両方ともこれに含まれると理解しております。
  157. 三野優美

    ○三野委員 実施段階における基礎的な調査についてはわかるのでありますが、予備的調査という場合にはかなり広く解釈されると思うのであります。例えば、あるコンサルタントが予備的な調査をして、そして自治体なりあるいは事業主に対して、この地域でこういう開発をしたらと思うのだけれどもということで予備的な調査をして売り込んでいく。これは余りいい例ではないのですが、こういう場合も予備的調査に入ると思うのですが、私は、それは非常に危険な面があると思うのです、公的な資金が流れるという場合においては。やはり予備的な調査を行う場合には、少なくともこれは次の実施調査につながるべき予備的な調査でなければならぬ、こう思うのでありますね。  そういう意味では、民間の資本による開発といえども大型の開発が予想されるわけでありまして、そういう場合には少なくとも県なり市町なり地方自治体の意見を求める、推薦もしくはこの合意のもとに行われる。行われるのは地方自治体の行政範囲で行われるわけですから、そこを何も知らないでは困るわけなんであって、予備的調査についても地方自治体の推薦もしくは同意を得て行われる。少なくとも国が援助する場合、この機構がこれに協力するわけですからこれはやはりひいては国になりますので、そういうことだというように理解していいでしょうか。
  158. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 そのとおりでございます。
  159. 三野優美

    ○三野委員 ありがとうございました。  次に、この機構は民間資本による開発事業を施行する者に対して必要な資金をあっせんする、こういうふうに言っているわけですね。機構が直接協力をする長期低利の資金以外の資金と考えでいいのかどうか、これをちょっとお聞きしたいと思います。
  160. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 お尋ねのとおりでございまして、内容的には、例えば機構が貸します金というのは、公共施設及びそれに準ずる施設の部分でございます。その他の施設部分が当然あるわけでございまして、それについては、例えば開銀とか都市銀行とか、そういうものの融資が行われることになりますので、そういうものを全体のプロジェクトに対して協調しながら融資するということを考えておるわけでございます。
  161. 三野優美

    ○三野委員 という場合には、これは機構がいわば直接融資する長期低利の資金以外の資金ということでありますから、そうなりますと、この機構があっせんする資金といいますのは政府関係資金だと考えてようございましょうか。
  162. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 政府関係資金もございますし、純粋な民間の資金もございます。
  163. 三野優美

    ○三野委員 その場合の資金のあっせんというのは、推薦あるいは保証——貸し付けは機構が直接やる部分ですね。それ以外の部分、推薦、保証、ここらについてはどの程度のことをお考えになっているのでしょうか。単に、あそこでやっているので、うちもこれだけ資金を流していますので民間市中銀行に貸してやってくれという言葉だけの推薦なのか、あるいは何らかの形で政府関係の保証機関というものが保証しておやりになるということなのか、そこらはどうなのでしょうか。
  164. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 機構と、それから政府関係金融機関でございます例えば開発銀行、北海道東北開発公庫とかそういうものと、それから地元銀行あるいは都市銀行等が協調の融資団をつくりまして、お互いに連携をとりながら、そして融資の条件あるいはただいまの保証、担保等について御相談しながらプロジェクトに参加していく、こういう形になろうかと思います。
  165. 三野優美

    ○三野委員 保証、担保ということは、これは機構が保証するわけではないのでしょうな。機構が保証するあるいは他の政府の保証機関で保証するという意味ですか、単に推薦だけなのか、そこのところ、済みませんがもうちょっと。
  166. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 この条文で予定しておりますのは純粋にお世話をするという点でございまして、この機構そのものは保証業務を予定しておりません。
  167. 三野優美

    ○三野委員 その場合に、単に推薦をするというだけでありますが、しかし貸す側にすれば保証がなければなかなか銀行というのは貸さないのであります。機構が直接保証するのではないけれども、県の保証協会その他の関係保証機関に、少なくとも機構がみずからの資金というものを流すわけですから、その流してあと足らない部分、もちろん民間資本が直接自分で持っている部分もあるでしょう、しかし足らない部分について貸してやってくれということで推薦をするのですが、同時にみずからも金を貸しているわけですから、これはもちろん担保をおとりになるのだろうと思いますが、担保をおとりになるのかどうか、あるいはその他の保証機関というものは保証をつけるのか。あるいはもう一つは、今言った民間資本の金を流す場合に、あわせて地方自治体なりあるいは県の保証協会なりその他の保証機関の保証もするように機構は勧めて努力をしていく、こういうことも考えているのでしょうか。
  168. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 融資全体の枠の中でそれぞれ担保をどうするか、それから保証をどうするかというようなことを相談してまいるわけでございますから、当然ながら、ここでございます「あっせん」の中にその保証の仕組みも入っている。つまり、みんなで相談して、あるいは地方公共団体等の御指導等も得ながら全体プロジェクトの融資あるいはその担保、保証の枠組みを考えていく、こういうことでございます。
  169. 三野優美

    ○三野委員 そうすると、機構が融資する資金、流す資金、これは担保をとるのですか。政府が流している金ですから、政府関係とあわせて融資するのですが、それに対して政府が保証するのですか。どっちが保証するのでしょうか。
  170. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 一般的には担保という形になろうかと存じます。
  171. 三野優美

    ○三野委員 では、機構が融資した場合に、政府が保証するというのではなしに担保ということですね。わかりました。担保をとってやる。  さて、その次に、機構は民間都市開発事業推進の調査研究を行う、こういうのですね。民間都市開発事業の推進のための調査研究をやるのでありますが、これは例えば自治体ないしは事業をやろうとする民間団体等の依頼で調査研究を行うのか。  これはもちろん機構が行う調査ですから、費用一切は機構が見るんだろうと思うのですね。民間団体に出してくれとか自治体に出してくれというのではないので、独自でやるのだろうと思いますが、日本列島全体に、こういう民間資本で開発してその見通しのあるところ、あるいはやるべきところというのを独自で調査をされるのか、いやそうではなしに、自治体なりあるいはこれに加盟しようとする民間資本の依頼によって、それで可能かどうかという調査をするのか。ここのところをお伺いしておきたいと思います。
  172. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 全国的に事業を展開していきますためには、当然ながら、例えば全国的な景気の動向あるいは地方経済圏あるいは地方都市の再開発に対する熟度、意欲、そういう基礎的な調査も必要でございますが、具体的にはやはり特に地元の市、都市当局の御意向を踏まえまして、そして具体的な再開発の可能性とかあるいはその場合の規模とかそういうものについて調査をしていく。つまり、調査をすることによって都市再開発を進めていこう、あるいは都市の再開発を援助していこう、こういう意図が入っているわけでございます。
  173. 三野優美

    ○三野委員 次に、国の援助の部分で、国は当該事業の推進を図るために必要な助言、指導その他の援助を行う、それから地方公共団体もこれに協力する、こうなっているのであります。ここでいう国の援助、これは機構ではないのでありまして、国が直接あるいは地方自治体が直接助言、指導を行い、その他の援助を行うのでありますが、この援助という場合に、その範囲というものはどのことを考えておるんでしょうか。  例えば指定される二十アールを中心とする開発地点、この周辺整備の公共事業を指して言うのか、いやそれだけではなしに、二十アール内部におけるさまざまなものについて、機構以外の国及び地方自治体が公的な資金でもって援助するということまで含まれるのか、そこらのところはどうでしよう。
  174. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 ただいまお尋ねのような例でございますと外部でございまして、内部の施設というのは事業者の方で整備するというのが原則でございます。
  175. 三野優美

    ○三野委員 局長、私は一般的にはあなたの言われるように、指定された二十アールの外部の周辺環境整備、道路その他緑地を含めて、これは公共事業でやるのが筋だろうと思う。ただ内部でも、道路などについてはそういうことは起こり得るということは考えられませんか。
  176. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 内部、外部という言葉だけで区分けするわけにはいかないと思います。例えば非常に大きな面積を再開発する事業でございまして、そこを通過する道路が、域内の交通とか域内の施設に対する交通サービスばかりではなくて、都市全体の大きな流れの交通をさばくということになってまいりますと、当然これは公共団体側で、ある程度あるいは場合によっては全部負担するというようなケースも出てこようかと存じます。
  177. 三野優美

    ○三野委員 これは道路だから。例えば、その域内を通る公的性格を持つ下水道などというものもやはりそういうことは起こり得ると私は思うのです。ですから、それはそれでいいだろうと思うのです。  さて、いろいろと質問させていただいてきたわけでありますが、この開発はやはり地方においてはかなり大きなプロジェクトになるだろうと思うのです。その場合に、大手企業だけが出てきてやるということではちょっと問題があるかと思うのでありますが、中小企業を含めて地方の地場産業、これらがともに参加をする、できるならば共同化、協業などによって参加するということについて配慮すべきだと思うのですが、そういうことは考えておられるのか、指導面でそういうことを強く求めていくということが考えられるのかどうか。
  178. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 都市の再開発が地元の都市をいい町に仕上げていこう、地元の経済の活性化を図っていこう、あるいはよりよい生活環境をつくっていこう、こういう趣旨でございますから、当然地元の全面的な参加が必要であり、またそれがなくては事業そのものが成立しないと考えております。
  179. 三野優美

    ○三野委員 これを実施する場合に、もちろん二十アールという一応の基準がありますから、新都市拠点整備事業に基づく開発なりあるいは都市計画、これらとあわせ持ちながらやるということが一番合理的だろうと思うのです。そういうことは当然この実施に当たってお考えになっていると思うのですけれども、その点はどうでしょう。
  180. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 立派な町をつくっていこうというためには、公共部分である都市づくりと、それからこの再開発事業主体とがお互いに手を携えて行っていく必要があろうかと存じます。
  181. 三野優美

    ○三野委員 さて、こういう開発が聞こえてくると、指定地になる、調査が始まる、ややもするとその周辺の地価高騰に結びつく危険性があると思うのでありますが、それについてはどう考えているのでしようか。  例えば私が一番気になったのは、先ほどあなたの言われた東京の三区あたりを中心としてその周辺をやるということになると、直ちに乗ってくる人もおる。そうでなくとも、こういう法律がなくても自分がやろうとしている、こういう法律が出たら便乗してすぐこれにくっついてくるわけですね。これは後で大臣とやりますが、あなたは地価高騰を抑えるためにその周辺を対象とするのだと言うが、私は地価高騰を呼び起こすような気がするのですが、地価高騰を抑えるための方法、手段というのはどんなことをお考えになっていますか。
  182. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 具体的に首都周辺等で考えられているプロジェクトというのはいずれも国鉄跡地あるいは海浜の埋立地等でございまして、新しく大量に土地を取得してこれを行うというようなものについては考えておらないわけでございます。あるいは工場跡地等で、その跡地の所有者そのもの事業に参加する、つまり土地の取引を伴わない、こういうことを考えておりまして、大規模土地取引を要するというようなものについては、お尋ねのように地価高騰に万が一手をかすようなことがあってはいけませんので、ただいまのところ考えておりません。
  183. 三野優美

    ○三野委員 さて、今言ったように地価高騰をさせないためには国鉄跡地だとか国公有地などというものを活用したい、それは私は基本的に賛成なのですけれども、国公有地なり国鉄用地というものはそこに参加しようとする民間資本に買わそうとするのか、それとも国鉄用地なら国鉄用地があって、今清算事業団ですが、そこらがともに参加するということも想定されておられるのかどうか、これはどうでしょう。
  184. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 清算事業団などとも今いろいろなお話を進めております。あるいは一部国鉄施設そのものが残存する場合もございますので、その上を使うというようなことでも考えておりまして、この場合具体的には、地方の場合には土地の異動を伴わないできるだけ再開発事業を行う、第三セクターに随意契約で譲渡を願いたい、あるいは土地を持って参加いただければ結構ではないかというようなことで基本的なお話し合いを進めております。
  185. 三野優美

    ○三野委員 これらが地方でこれから行われるあるいは指定される場合に、地方公共団体に対して負担を求めるようであってはいかぬと私は思うのです。そうでなくてもこれが指定されますと、その周辺の整備について一定程度地方公共団体は協力しなければならぬと規定しているわけです。その協力をする場合に、地方財政を圧迫するようではいかぬと思うのですが、指定された場合には、また後で建設大臣に聞きますが、地方公共団体のそれに要する費用については国の方で別に面倒を見るという考え方があるのかどうか、これを聞いておきたいと思います。  それから、時間がないものですから続けてお聞きしておきますが、例えば昭和六十二年度の事業費が二百億で二千億の事業、こう見ているわけですね。初年度この予算の中で何カ所ぐらい指定ができると考えておるのか、その見通しについてお尋ねしておきたいと思います。と同時に、次年度以降の見通しは一体どうなのか、全国からどの程度の希望件数が出る見通しなのか、これも聞いておきたいと思います。  次には、初年度二千億の事業実施された場合に、これは次年度以降もだんだん整合性はしていくのでありましょうが、その場合に地域における景気浮揚効果というのは一体どうなのか。この事業をやることによっての地域における景気浮揚の効果は一体どうなのか、雇用増は一体どうなのか。特に地方では雇用の問題が一番気になっているわけです。きのう私が言ったように、きのうはちょっと時間がなかったものですけれども、公共事業その他をやってみても、建設労働者は足らないけれどもほかのものは吸収しないというのでは余り意味がないので、今度の場合は民間資本が入って事業活動をずっと永続的にやりますから、その場合の雇用増の効果というのは一体どうなのか。  それから、自治体に対する固定資産税その他いろいろあると思うのですが、増収効果は一体どうなのか。その他の地域の経済や文化に対する影響というのはどういう見通しを持っておられるのか、この際聞いておきたいと思います。
  186. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 まず、プロジェクトの数でございますけれども、初年度の六十二年度で私どもが全国でこの機構全体といたしまして調査をしたわけでございます。四十ないし五十のプロジェクトが助成対象として地方の方から手が挙がっておりまして、そのうち参加業務、つまり一緒になって再開発事業に参加してほしいと言ってきておりますのが十二ないし十五、全体の事業費としては六百億程度事業が申し出をしております。それから、資金を貸してほしいという希望を申し出ておりますのが二十八ないし三十五。幅のある数字でございますのは、果たして適格性があるかどうか、その辺までは探っておりませんので二十八ないし三十五で、一千四百億ほどの全体事業になろうかと存じます。合わせまして、機構そのものが使います金として二百億、全体の事業として二千億というような形になっております。それから、明年度以降のものでございますけれども、これは六十三年度以降として今ある程度見通しがつくものについては、約七十ほど私どもで把握している次第で、ございます。  続きまして、第二のお尋ねの点でございます。景気の浮揚効果、雇用、地方税増収等々についてはどうかというお尋ねでございますけれども、総事業費二千億という日本全体をとらまえました場合には、関連産業を含めまして生産誘発効果が約五千億、それから、事業によりますオフィスとか商業施設等が整備されますと、従業者が定着することによります雇用増というようなもの、これは物によって非常に変わってまいりますのでちょっと言いにくいわけでございます。中規模のホテル程度で五百人程度ということになりますと、全体としては万単位の雇用になろうかと考えておる次第でございます。固定資産税、住民税等地方税の増収も施設によって当然払われるわけでありますし、全体として地方産業の活性化、それから文化の振興等に大きく寄与すると思っております。  これを局部的なプロジェクトの一例で私どもが試算した例が実はございます。地方都市ということで事業規模六百億ないし七百億のプロジェクトを一つとらまえまして試算いたしました結果によりますと、生産誘発効果は約千五百億、それから雇用でございますが、小さく見積もっても五千人程度、最大限見れば九千人くらいにもなろうかという形の雇用が見込まれるわけでございます。それから、平年度といたしまして地方税は、市段階、県段階の税収すべて合わせまして三十億程度という試算の一例があるので申し上げておきます。
  187. 三野優美

    ○三野委員 時間も大分過ぎたので、この際大臣に今までの議論の経過を踏まえながらひとつぜひ聞いておきたいと思うし、私の意見も申し述べておきたいと思うのですが、まず最初の大都市を除くということ。局長は東京の中心三区ぐらいを除いてなんて話をやっているのですが、私は東京などというのは、こんな施策をしなくてもその周辺だってどんどん来ちゃうと思う。東京だけではない、その周辺の県だって私はそうだと思いますよ。むしろこの法律のねらいというものは、地方の経済が冷え切っている、そして国鉄用地も含めて土地も余っている、土地を持ったままどうにもならないというところがある。東京などというのは土地が足らぬといって困っている。東京周辺だって、少なくも一時間半ないし二時間ぐらいが通勤区間ですから、そこらでそういうものを焦ってする必要はないんじゃないか。むしろ大企業が来なくても、住民の住宅だっていいんですからね。東京で仕事をしているけれども、住んでいるのは向こうの方に住んでいるのですから。むしろ私は地方の開発、景気の浮揚、雇用の拡大、これに重点を置くべきだと思うのであります。そういう意味では、先ほど東京、大阪、名古屋を除くと言ったのでありますが、単にそれは都市部の中心部だけではなしに、少なくともその圏域は除いて地方に重点を置く、こういう点を明確にすべきだと私は思うのでありまして、この点を第一点、まず聞いておきたいと思うのであります。  それからもう一つは、これは大臣答弁を求めるのはどうかと思うのでありますが、先ほどの議論の過程の中で、建築基準法及び防災法等で当然義務づけられた範囲、このものをそう対象にすべきではない。むしろそれ以外の、ゆとりのある、環境をよくするための施策に対して積極的に援助、協力すべきであるという気がするのですよ。実は私はこの説明を受けているうちに、これでは少し足らぬのじゃないかという気がするわけです。  ですから、例えばその周辺の十ヘクタールの中に公園、小公園をとる、子供の遊園地をとる、あるいは一フロア交流の場として市民に開放する、これらの分というのはもっと積極的に援助すべきだという気が実はするのです。そして当然法律的に義務づけられている分についてはその対象範囲から外すという形の中で、やる方もこれで開発しようという、民間資本の方もこれならやれるわというようなものをしなきゃならぬし、あるいは受け入れた市民の側も自治体も、これはいいものをつくってくれた、企業は単にみずからの利潤追求だけでなしに、同時にあわせて地域に貢献する仕組みであるというものでなきゃならぬと思うのです。その点ではこの援助の内容というのは弱いと私は思って実は心配しておるわけなんです。これは、少し性格が違いますが、内閣は既に通産省のやった民活を見直さなきゃならぬ。これではだれも来はせぬ。先ほども言ったように五%近い金利を取ったのでは、ここへ頼まぬで、局長のところへ行って頭を下げて難しいことを聞かなくても民間資本は出しますよ、今残余りで困っていますから。  そういう点については、今直ちにどうこうということを私申し上げるわけではありませんが、これが、もしこの委員会で賛成をされ、そして本会議法案が通過した後は直ちに状況を見ながら改善していく、そういう方針をしてもらわなきゃ困る。せっかく法律をつくったけれども、よくテクノポリスは指定だけしておって、地方からは陳情に一生懸命来ているけれども、指定されても何もない、後は大学が足らぬわ、研究施設だってと、地方にとっては銭の要ることばかり言われまして、そういうものになってはつまらぬと思うのでありまして、そこらの点について大臣の決意と見解を聞いて私の質問を終わります。
  188. 天野光晴

    天野国務大臣 地方都市の開発が中心でありますから、ただ都市周辺でも、東京都内でなくて隣接している県、例えば埼玉とか千葉とかという県でありますが、そういう地域にも該当するものがあるわけであります、これは地方自治団体からの強力な要請によってです。そうですから、あくまでも基本的な目的地方の都市再開発というものを中心に行うという考え方で進めてまいりたいと思っておりますし、法律ができてひとり歩きはさせませんから、これはひとつみんなで法律の動きを見守りつつ、よりよき方向に持っていくように努力をいたしたいと思います。
  189. 三野優美

    ○三野委員 終わります。
  190. 村岡兼造

    村岡委員長 坂井弘一君。
  191. 坂井弘一

    ○坂井委員 今なぜ民間都市開発推進特別措置法なのかという問いにお答えください。
  192. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 この制度の趣旨そのものが、一つは、地方都市のと申しますか、都市の開発というものにウエートを置いておりますが、その基本が、役人と申しますか、国とか地方だけが頑張るだけじゃない、民間の方もぜひ都市の優良な町づくりに御参加願いたい、しかしそのためには国なり地方なりもある程度のお手伝いをいたしましょう、こういう趣旨でございますので、そういう趣旨をあらわしたわけでございます。
  193. 坂井弘一

    ○坂井委員 と申し上げましたのも、日本開発銀行が都市開発事業やあるいはビルの建設に対しまして財投融資金利並みの低利融資をやっておりますね。開銀によりますと、企画あるいは事業採算などのアドバイス、それからコンサルタント業務、これもやっておる。さらに昭和六十年からは出資制度もできまして、直接第三セクターに事業参加するというようにもなった。そこで、開銀の担当者の言い分によりますと、今申しましたようなことで開銀は附属の設備投資研究所にも専門のスタッフを設けておりまして、建設省考えているようなこの法律に基づく財団法人都市開発機構、こんなことは必要ないのじゃないか、業務は一切開銀でこなせるというようなことを言っているようですが、反論がおありと思います。お答えいただきたいと思います。     〔委員長退席、野中(広)委員長代理着席〕
  194. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 この法案あるいはこの機構をつくりますために、予算審議を行っております段階でいろいろ開銀御当局とも意見の交換を図りました。確かに開銀だけでも十分じゃないかという御意見もございましたが、その後いろいろ調整を図ってまいりますうちに、この機構が開銀以上の低利の融資を供給すみものとしてやはり意味がある、しかもなおかつ、その資金を開銀に寄託いたしまして、実際の貸付業務につきましては開銀の窓口を通してやっていただく、その段階でむしろ両々相まって十分都市開発に役立つというような考え方で意思の統一が図られたわけでございます。
  195. 坂井弘一

    ○坂井委員 窓口は開銀に一本化というふうなことになったのですか。
  196. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 貸し出しの窓口は開銀に統一いたしました。
  197. 坂井弘一

    ○坂井委員 それからもう一つ建設省が都市未来機構をつくりましたね。これは国鉄用地などを活用して都市整備を進めるためということで、昭和六十年八月、財団法人都市未来推進機構、これをつくったわけでございますが、今この法律によってできます今度の新しい財団、民間都市開発推進機構、これとの競合ということも、これはないのですか。
  198. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 財団法人都市未来推進機構の業務は、主に都市の拠点地区の整備事業に関する計画をまず策定することのお手伝い、具体的には都市から受託業務という形で計画策定に携わります。それから都市開発事業の手法、どういう形の再開発が一番その都市に適当か、あるいは例えばそこに入ってまいりますテナントにつきましてどんな形態が適当かというようなことを判断する、そういう段階で、つまり計画等の段階で都市の再開発をお手伝いするという仕事が中心でございます。  これに対しまして、ただいま御審議をお願いしております法案でつくり出します民間都市開発推進機構は、その具体的プロジェクトに参加するあるいはそれに対する融資業務を行うというのが中心でございまして、仕事の面での競合はないかと存じます。
  199. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。  この民間都市開発機構の構成ですな。どんな構成になるのでしょうか。それから、いつごろから発足ということになりましょうか。
  200. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 構成につきましては、まず融資部門がございます。それからやはり全体的な調査とか相談に乗る調査相談窓口というようなものも当然設置いたします。  ただ融資につきましては、先ほど申し上げましたとおり、具体的な貸付事務というのは開銀さんにお願いしておりますので、かなり簡素な機構になろうかと存じております。  それから発足のあれでございますが、もしこの国会内で成立させたということになりますると、できるだけ早く、十月には発足したいと考えております。
  201. 坂井弘一

    ○坂井委員 全国各市、大変多くの民間都市開発事業のプロジェクトがあるんだろうと思うのですけれども、先ほどもお答えになっておりましたが、これはなお吸い上げるといいますか、積極的に都市開発のいろんな形のプロジェクトを企画検討しどんどん上げてこい、こういう積極的な取り組みになりますか。
  202. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 積極的に御活用をいただきたいということで地方公共団体等に御相談しております。
  203. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、この地方の都市開発プロジェクト、いろんなものがあると思うのですけれども、その開発プロジェクトの中の土地造成、それから交通広場みたいなものだとか、それから先ほども御答弁ございましたが屋根つきのスタジアムとか、いろんなものがあるんだろうと思うのですが、いずれも公的性格の強い整備部門といいますか、そういうところに対しましてこの長期低利融資がなされる。こういう民活プロジェクトをどんどん発掘するということになりますと、相当な件数、量が上がってくるだろうと思うのです。  そこでお尋ねしたいのは、まずこの種の土地造成、これにもこの融資は対象になりますね。それからその場合の規模、どれくらいの土地面積、あるいは先ほどの屋根つきのスタジアム、私は全天候多目的スタジアムというような物すごい大きな、一万人収容ぐらいのものが頭の中に浮かんでくるのですけれども、そんな大規模なものはだめだとおっしゃるのか、つまり、そうした施設、建築物の規模、面積、これはどうお考えになっていますか。
  204. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 建物あるいは施設の規模、面積等につきましては、現在私どもにお申し出があるものでも随分バラエティーがございます。  ただいまお話のあった屋根つきスタジアムにつきましても具体的に申し出があるわけでございますけれども、これはある県の記念事業として行いたいという事業でございまして、やはり県民の相当部分が集まって、スポーツばかりではなくて各種競技に、きょうは雨天だから順延とか、そういうことのないように活用してまいりたい、かなり期待されている施設でございます。  それから小さなものといたしましては、例えばある村でございますけれども、村の中の公園をつくりまして、そこに優良施設のいわゆる観光牧場というようなものをつくりたい、そして村民の就労の場であると同時に、そこに地区外からお訪ねになった親子連れあたりが一日を十分その自然の中で過ごす、そんな施設のお申し山もございまして、随分いろんなバラエティー、種類としてもあるいは大きさとしてもいろんなものが候補として今のところ挙がっております。
  205. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。  実は四全総との絡みといいますか、そこで地方都市のさまざまな、今言われますようなアイデアに基づきますプロジェクトというものが多彩に各地域に興るということは大変好ましいことだと思うのです。そこに民間活力が大いに発揮される、これまた大変結構だと思う。  そういう観点からお尋ねをしているわけでございますが、四全総に言う多極分散と、そこで地方の経済の活性化を図るあるいは地方における雇用の確保もする、そういう一環といいますか、今回のこの法案なりこの機構を持つというのは、そういうところにも一つねらいを持っているのだというようなことになりますか。
  206. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 そのとおりでございます。
  207. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういたしますと、これは各地方自治体、それから地域の住民、いろいろな創意工夫等を持って、そしてその地域における大変望ましい、こうありたい、ぜひこれを実現したい、そういうプロジェクトが一つここに立案される。蒸し返しお尋ねをするようでございますけれども、そういうものが計画として示されれば、それは非常に歓迎する、こういうことですか。
  208. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 大いに歓迎して御相談に乗っていきたいと思っております。     〔野中(広)委員長代理退席、委員長着席〕
  209. 坂井弘一

    ○坂井委員 大変よくわかりました。  私は大臣、この民活を言う場合に、国は金がないから民間の力をかりるのだというのではなくて、そうではなくて、民間でできるものはまず民間でやらせるというぐらいの積極的な考え方、そうすれば金がといいますか、そこに一定のものが浮いてくると言うとおかしいですけれども、余裕が生じる。そうすれば、長期投資でそれを地方に投入する。民活ということに対する物の考え方なんですけれども、つまり今民活といいますと、国の財政が逼迫しておる、ですからそれを補う意味において民間にある活力の中の資金も導入をしたい、どうもこういう考え方で受けとめられている向きが多いのじゃないかな。ただ、果たしてそういう考え方でよろしいのかどうか、むしろもっと積極的な意味合いにおいて、民間でできるものはまず民間でやってください、これくらいの構えての民活なのか、その辺はどう考えたらよろしいのでしょうか、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  210. 天野光晴

    天野国務大臣 私も余り専門的ではございませんが、少なくとも政府は金がない、世界一の富裕国である国民は金を持っているということですから、私は、公共事業として進める仕事の中で、国の方で進めるのはなかなか容易でないというものに対して協力を得て民間活力を利用してやるというのがまず第一義ではないかと思いますが、国民自体の持てる力によって、やはり公共事業中心になるのではないのでしょうか、その他のものでは営業上利益を得る商売になるわけですから。そういう意味では、公共事業の中でもやりくりというか、金利の返済も可能な事業が幾つもありますから、党におったときに私は会長をやっておったのですが、そういう考え方で民間活力というものを考えてやってきたつもりでございます。
  211. 坂井弘一

    ○坂井委員 民活によりまして社会資本の整備あるいは国土開発をやる、その場合の官と民の役割分担の問題ですが、本来的にはこれは官がやる仕事、それに対して民が協力しましょう、これが一つ、二つ目は半官半民で実施をする、それから三つ目は全部民に任せる、大ざっぱに言えば大体この三つだろうと思うのです。  この三つを頭に置きながらお尋ねしているわけですけれども、今度考えている民間都市開発というのは、今の三つのどんなところが一番ねらいなんでしょうか。
  212. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 民を中心に立てながら、それに対しまして官側で資金面とか何かお手伝いをする。しかし全体としてはいい町づくりでございますので、大きなところから官側では目を届かせている、こんなことかと思います。
  213. 坂井弘一

    ○坂井委員 これもよくわかりました。やはりやる以上は、中途半端ではお互いにもたれ合いまして、平たい言葉で言いますと責任のなすり合いというのですか、そうなっては何にもならぬ。思い切って、やるのならば民の方に相当ウエートを置くといいますか、お任せをします、どうかひとつ存分におやりください、それで国は協力をしましょう、基本的にこういう考え方の方が物事はうまくいくのではないかなという気がいたします。また、今の地方を振興するという観点から見ましても、それぐらいの思い切った考え方がありませんとなかなか進まぬのじゃないか。物事の考え方が逆転しているじゃないかと言われるかもしれぬが、そうではなくて、本当に民の活力を出すにはやはり民が主体だというくらいの考え方を踏まえませんとできないのじゃないかなという意味で申し上げているわけです。そういうことを言いますと、国がやるべき仕事を放棄して何もかも民に金も出せ、力も出せということなのかという誤解がまたすぐ出るものだから、大変くどい言い方になって恐縮なんですが、決してそういう意味ではなくて、本当に民間活力を引き出そうと思えば民が主体だ、民がやるべき仕事は民にお任せをします、これくらいの考え方を持ちたいな。社会資本、それから国土の開発の分野にまで民にひとつ大いに力を発揮していただきたい、こういう基本的な考え方を踏んまえた方がよろしいのではないかな、私は個人的にそう思う。ちょっと大臣、御感想がございましたら……。
  214. 天野光晴

    天野国務大臣 今日まで来る間に、民間活力を活用するという問題についてはいろいろ考え方があると思います。私が最初考えたのは、国のやる公共事業、要するにもうかる仕事は民間で皆独特に考えてやっていますから、国でやらなければいけない仕事は余り利益の伴わない仕事が多いわけでありますが、その利益の伴わない仕事をやることが国益のために大きくプラスになるわけでありますから、そういう観点で私はできるだけ民間に御迷惑をかけない程度公共事業をやりたいという考え方をいたしました。  それで、いろいろ考えてみました。それで、道路とか橋梁、隧道のような仕事は大丈夫やっていただけると思って進めてきました。いろいろな変形にはなりました。東京湾横断道路のごときは、私は完全民間でやろうと思ったのですが、これがちょっとずれて、道路公団で三分の二くらいやるような格好になっておる。一番心配したのは、きょう午前中御審議願った水対策で、ダムの構築が進みません。予算は非常に取りにくい。そして、大きなダムだと場所を指定してからでき上がるまで二十年はかかる。私のところでも来年から着工するダムがあるのですが、二十八年かかりました。いろいろな状態があってなかなかできにくい。ですから、できたらすぐにこれを仕上げたいという考え方をいたしまして、これを民間活力でやろうかと思ったのですが、民間を利用しますと金利の出場所がなくなりまして、現在の建設業界におけるダムの営業日数といいますのはようやく四五%ぐらいの稼働になってきましたが、私が言い出したころはまだ三〇%で、一年のうち四分の三は遊んでいる。仕事が終わってしまえば事務所は閉じて機械がさびないようにして人夫は帰してしまうというようなことではどっちも能力が上がらないから、これはもう業界に者やらせてしまって、そのかわり経費に対して、後払いになる費用の利息だけは政府が持てという主張を、これは与党の中ですから随分勇ましい仕事をやってみたのですが、そこのところまではなかなかいきかねるというような状態なもので、しかし、橋とか隧道だとかは早くつくって通せば使用料が取れますから、それで金利を賄うということもできるものですから、これは全力を挙げようと思っておるのです。  ただ、今都市再堀発に関係する法律案につきましては、地方都市開発というのは基本でありますから、その地域その地域のアイデアもあり、その地域その地域の持っていき方もあろうと思いましてこれは千差万別でありますが、開発の結果何とか利潤の伴ってくるような格好で成功できれば大変ありがたいと思っておるわけでありまして、これがもしまずくいくようですといろいろな面でとんだ御迷惑をかけることになりますから、そういう点を私は午前中もちょっと答弁を申し上げたのですが、これはもうこの法律にひとり歩きをさせない、毎日厳重に見守りつつやる必要があるのではないかというような考え方を持っております。  今政府は税金の取り方が下手なのか、どうも思うようにいかない。国は赤字だらけでどうにも困っている。借金の利息払いも容易ではない。私も金持ってないからよくわからないのですけれども、日本の国民はべらぼうに金があって、貿易黒字で、ともかくも世界の半分以上は日本の貿易の黒字だそうですから、それほどあってどこへ一体金が行っているのか、その国に金がないなんて不思議な話です。私は土方ばかりやってきたものですからそういうことは全然素人で、どうも恥ずかしい話なんでありますが、マネーゲームに走るよりは社会、公共のために、地域の将来のために金を投資してもらうということが非常にいいことだと思いまして、そういう点で、拠点開発とでもいいましょうか、地方の開発のために民間の活力を活用できればありがたいと思ってこの案に賛成したわけでございます。皆さん方の御意見をお聞きしまして、この法律の執行に当たりましては細心の注意を払ってやりたいと思っております。
  215. 坂井弘一

    ○坂井委員 私も留意しなければいかぬかなと思います点は、公共的なこうした基盤整備、つまり、下水道でありますとか道路でありますとか公園でありますとか、本来は国あるいは地方自治体がやるべき分野、この分野を民間にゆだねるということになりました場合に、やはり企業、民間というのはそれなりの利益を求めるわけでありますから、それらが乱開発でありますとか環境破壊というようなことにならないか、ここのところは十分注意をしなければならぬところだろうと実は思うのです。  そういうことにかんがみますと、地元の住民の代表というのですか、あるいは学識経験者といいますか、そういう人も交えて十分に議論をして、乱開発、環境破壊にならないようなプロジェクトをまとめ上げる、こういうことが大事じゃないかなという気がするのですが、その辺についても建設省はいろいろ対応されると思いますが……。
  216. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 基本が町づくりでございますし、それから複合的な施設をつくりますので、実際上の都市開発の場合に、今までの例におきましても地元の財界関係の方あるいは学識経験者の方あるいは文化関係の方それぞれお入りいただいて、御意見を拝聴して進めてまいっておる次第でございます。今後とも、この機構におきましても同じような仕組みで進めてまいりたいと存じます。
  217. 坂井弘一

    ○坂井委員 本日はこれで終わらせていただきたいと思います。どうか、先ほど大臣申されておりましたが、細心の注意を払いながらかつ積極的に進めていっていただきたい。  なお、さきの質問者の指摘にもございましたが、地域地方都市の開発、地方経済の活性化、またそれを通じて地方の雇用を確保する、そのことが先ほど私が申しました四全総の多極分散という方向に向かわしめるような法案の的確な運用ということであろうと思いますので、ぜひそういう方向でお取り組みをいただきたいことを要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  218. 村岡兼造

    村岡委員長 伊藤英成君。
  219. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 まず、民間都市開発の推進に関する特別措置法案の効果についてお伺いしたいのです。  今、アメリカを中心とした対外経済不均衡とか急速な円高の進展等の状況下で、内需の振興が国際的な公約となっているわけであります。また、特に一部の地域においては、円高不況の深刻化による経済の著しい停滞、雇用状況の悪化等の問題も顕在化しております。こうした状況において、内需の振興、不況地域の経済の活性化、雇用の拡大を図ることが緊急の課題ともなっているわけでありますけれども、本法案による都市開発の推進によってこれらに対して具体的にどういう効果があるのか、まずお伺いをいたします。
  220. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 まず、昭和六十二年度の内容についてお答えしたいと思います。  二百億円の資金を用意しているということでございますけれども、これによりましてプロジェクト全体といたしまして六十二年度に予定をしておりますのが二千億でございます。さらに、その二千億が具体的に回ってまいりますと、関連を含めまして約五千億の生産誘発効果につながる、このように考えている次第でございます。
  221. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 この民間都市開発推進機構についてでありますけれども、設立の理由、そもそもなぜ設立するようになったのか、それについてお伺いいたします。
  222. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 私ども都市行政に携わっておりまして、再開発事業としては今まで法定の再開発事業というものがあるわけでございます。その他、例えば面的なものとして土地区画整理事業等もあるわけでございますが、そういうものを通じまして、地元の都市からいろいろな相談事が参っておったわけでございます。  一つは、地方都市の場合特に経済的な力が弱うございますので、その都市にとってはかなり大きな再開発事業を組み立てますと資金面での不安がある。金が単に集まらないということではなくて、かなり安い資金を用意しませんとプロジェクトが成功するまで持ちこたえられない、あるいはその資金の範囲内でやろうと思うと公共的な空間とかいい施設づくりができないとか、いろいろな悩みが資金面であったわけでございます。  もう一点は、再開発事業を行いますのにプロジェクトの内容として、初めて取り組むわけでございますから市役所等都市の側におきましてもあるいは地元経済界におきましても自信が持てない。どういう計画にしたら成功するのか。あるいはその内容といたしまして、例えば文化施設、カルチャースクールのようなものを入れたいとか市民ホールをつくりたいとか、いろいろな御要望があるわけでございます。その組み合わせをどう考えたらいいか。例えばホール一つつくるについても、数千人規模なのか数百人規模なのか、その辺からいろいろな悩み事があるわけでございます。  したがいまして、その機構をつくりましたのは、一つは、そういう財団法人として集めました資金の果実を利用いたしまして相談業務も行いたい、もう一つは、資金面で、参加業務あるいは融資業務という形で御援助申し上げたい、この二つの点からこの機構をつくりたいと考えたわけでございます。
  223. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今ちょっとお話もありましたけれども、この推進機構の助成が地方都市というふうになっているわけですね。その理由についてもちょっとお願いしたい。  それから、事業見通しでありますけれども、六十二年度、それから六十三年度以降について今どんなふうに考えているのか。卑近な例でありますけれども、例えば私の地元の愛知県なんかではどんなものがありそうなのか、具体的にもしそういうことがわかれば御説明をお願いしたいと思います。
  224. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 具体的に六十二年度あるいは六十三年度以降で今まで私どもにお申し出があったものについては、九〇%以上がいわゆる三大都市圏外の地域事業でございます。さらにその具体的な内容については、大規模な再開発事業から、あるいは先ほども申し上げました村の公園の中のいわば触れ合い牧場とか、そんなものまでバラエティーがあるわけでございますが、愛知県内につきましては、ただいま私どものところに参っておりますのは、刈谷市の駅前等の開発を含めまして三件ほどのプロジェクトのお申し出がございます。
  225. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 これは基本的な考え方にもなるのですが、予定される事業の対象となる地域というのはどういうようなところになるのかについて、ちょっとお聞きします。
  226. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 この法律では政令にゆだねておるわけでございますけれど、ただいまの私どもの考えといたしましては、東京都の二十三区、それから大阪市、名古屋市の旧市街地部分、昔の市街地部分でございまして、これは他の法令で区域が定められている例がございますので、そのあたりについては除外したい、このように考えております。
  227. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 先ほども、地方都市等を対象として、大都市圏の中心を除くというふうな話になったりしておりますけれども、いわゆる大都市の周辺部、この辺も、最近の都市部へのいろいろな機能の一点集中化あるいはそれに伴う地価高騰等を思いますと、都心に集中する機能の郊外への多核的な分散を促進をするということも必要なわけでありますけれども、そうした意味でこの民間都市開発事業の推進を先ほど申し上げたような意味で図っていくことが必要だ、こういうふうにも思いますが、いかがで、ございますか。
  228. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 大都市圏内での格差是正あるいはその再配置、適正な町づくりというような観点から役立つプロジェクトについては、ただいま申しました区域外のものについても、適切なプロジェクトがあればこの機構として対象といたしたいと考えております。
  229. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 それから融資条件等についてお伺いいたしますけれども、最近は金利が非常に低い状況になっているわけであります。したがって、低利融資によって民間都市開発事業を促進をしていくというふうに考えますと、貸出金利をさらに相当低いものにしないと、そしてまた融資対象の範囲をできるだけ広くするというような形で手厚い助成措置をしないとなかなかうまくいかないんだろうな、こういうふうに思うわけでありますけれども、融資条件その他の助成の条件についてお伺いをいたします。
  230. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 まず期間でございますけれども、二十年程度を償還期間としてただいまのところ考えております。  それから金利でございますが、予算編成時、昨年の十二月段階におきましては、財投金利の六・〇五%から〇・五五引きました五・五%程度ということにしたわけでございますが、その後、財投そのものが五・二%と大幅に下がっております。したがいまして、他の政府関係の融資等の制度の動向を見ながら、できるだけ低い金利で再開発に役に立つようにこれから財政当局と折衝してまいりたいと存じます。
  231. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 この都市開発推進機構には、資金の面ですけれども、都市開発資金融通特別会計のほかに道路整備特別会計、そしてまた港湾整備特別会計というところから無利子資金を貸し付けるということになっているわけですけれども、このそれぞれがどういうふうに使われているのか、まずお伺いをいたします。
  232. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 道路特会についてお答え申し上げますと、つまり道路法上の道路に当たるような施設の整備にこれを使うということでございまして、具体的には、一般的には道路に面しまして歩行者の通行に資する施設をつくります。つまり、その施設の前に幅広い歩道のようなものを設けまして、人がそのままベンチ等で休んだりあるいはいろいろ話し合い、触れ合いの場にもする、あるいは地中にも共同溝をつくりましたり、ミニ共同溝でございますキャブシステムというようなことで電線をなくし、きれいな。町づくりに役立つ、そのような事業にこの道路特会の金を使っていきたいと考えておるわけで、ございます。
  233. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 港湾特会からの無利子の貸付金は、予定の事業の中で港湾施設のうちの公共施設、具体的には臨港交通施設でありますとか港湾環境整備施設でありますとか係留施設でありますとか、そういったようなものの整備に充当するという考え方でございます。
  234. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今の話は、特にこういう道路特会なりあるいは港湾整備の特別会計等から持ってきたときに、そうした金が、そもそもこうした特別会計で取っている目的税が他の用途にひょっとして使われるということはなかろうかな、そういうことはないだろうなということを思いながらお伺いしたわけでありますけれども、今のお話で、大丈夫なのかなという気もしないでもないのですね。特に、例えば道路特別会計から受けてこの機構が業務を推進をしたときに、本来の道路整備費を圧縮をしてしまうあるいは今立ちおくれている道路の整備に支障を生じさせるということはないのかしらんというふうに危惧するわけでありますけれども、そういうことは大丈夫でございましょうか。
  235. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 広い意味で、いずれ整備を要する道路部分に投入していこう、そこが一番町の中でいい道路になるかもしれませんが、そういう形で、道路以外の部分には使う予定はございませんので、道路整備の資金を圧迫することにはならないかと存じます。
  236. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 質問はこれで終わりますけれども、何といったって今の日本は、経済力からいえば世界に冠たる経済力を持っているわけですね。そうなんですけれども、都市等を見たときにはやはり非常にみすぼらしい都市であるというふうにもまた言えると思うのです。だからそういう意味で、例えば内需の振興とかあるいは不況地域の活性化を図るということだけじゃなくて、都市を本当に潤いのある可なり美しい町にしていくためにはどうしても再開発というのを推進をしていかなければならぬ、そういう意味で、今回のこの法律を本当にちゃんと都市再開発に役立つように生かすことを強く要請をしておきたい、こういうふうに思います。  以上で終わります。どうもありがとうございました。
  237. 村岡兼造

    村岡委員長 中路雅弘君。
  238. 中路雅弘

    ○中路委員 法案に即して二、三お聞きしたいのですが、大臣認可で今度設立される民間都市開発推進機構の資金ですが、昭和六十二年度は約二百億ということですが、その内訳ですね、どのようになっているのか。政府からの貸し付けや保証債、出捐金、借入金等ありますが、項目別で教えていただきたいと思います。
  239. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 二百億の内容を正確に申しますと、二百一億三千五百万でございます。その内訳は、参加業務費といたしまして百四十三億六千万円、資金融通業務費として五十七億五千万円、それから支援・推進業務費として二千五百万円を考えております。  また、これらの資金の内訳は、国からの無利子の貸付金が五十五億円、政府保証債が二十三億円、民間の借入金が百二十三億一千万円、それから、財団でございますので基本財産がございます。これの運用収入が二千五百万円、これをもって賄うことを予定しております。
  240. 中路雅弘

    ○中路委員 この開発推進機構が行う業務を第四条で六項目ほど挙げておられますけれども、その予算規模はどうなっているのか、中身についてお聞きいたしたいと思います。
  241. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 参加業務、資金融通業務の内容でございますけれども、対象プロジェクトとしては、初年度、六十二年度に四十ないし五十のプロジェクトを助成対象として考えております。  参加業務につきましては、機構の事業費として百四十億円をもって、全体事業費五百億ないし六百億を考えております。  それから資金融通業務につきましては、機構の事業費としては六十億円を使いまして、全体事業規模一千三百億ないし一千五百億を考えておりまして、全体として機構事業費二百億で二千億の事業規模となるというふうに想定しております。
  242. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほどお話の都市開発資金融通特別会計、道路整備特別会計あるいは港湾整備特別会計の五十五億、政府からの資金の貸し付けについては無利子で貸し付けるということになっていますけれども、貸付金の返済方法は政令で定めるということになっていますが、その返還の方法はどのように考えられていますか。
  243. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 無利子貸し付けの返還につきましては、ただいまのところ、利子がございませんからもともと元金しかございませんが、元金を均等に半年賦償還ということで、償還期間は五年据え置き二十年というふうに考えております。
  244. 中路雅弘

    ○中路委員 この開発推進機構が、開発銀行からだと思いますが、それぞれのプロジェクトに融資する場合の条件はどのようになっていますか。
  245. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 まず期間でございますが、これは二十年を考えております。金利につきましては、予算編成時におきましては五・五%を考えておりました。考え方といたしましては、財投の金利、当時六・〇五%でございましたので、これを〇・五五%下げた五・五%を予定したわけでございます。しかし、その後財投が逐次下がってまいりまして今五・二%で運用されております。それに対しまして五・五%をどの程度下げるのが適当かということを、今後、大蔵省、財政当局と詰めたいと考えておる次第でございます。
  246. 中路雅弘

    ○中路委員 そうしますと、例えばこの施行日までに財投金利がまた引き下げられるということになると、またそれに応じて低くなるということになるわけですか。
  247. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 そのようにしたいと考えております。
  248. 中路雅弘

    ○中路委員 今、都市開発資金の貸付けに関する法律地方自治体に貸し付ける条件が出ていますが、この都市開発資金の地方公共団体に対する貸付内容はどういう条件かというのはおわかりになっていますか。
  249. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 現在の都市開発資金制度の都市に対する貸し付けの概要は、一つは工場等の敷地の買い取りがございます。対象の地域は首都圏の工業等制限区域と近畿圏の工場等制限区域の両方でございまして、対象物件としては、制限施設、つまり工場、学校等の敷地でございます。貸付条件としては、利率四・七%、償還期間十年、これは三年の据え置きを含むわけでございます。  それから、都市施設用地の買い取りがまた別途ございます。これは対象都市は、東京都、大阪市などの合計三十三都市が指定されておりまして、対象物件としては、都市計画決定された道路、公園、緑地、終末処理場の用地でございます。貸付条件は、利率五・二%、四年の据え置きを含めまして償還期間十年というふうになっております。  その他第三のグループといたしまして、都市機能更新用地の買い取りがございまして、対象都市は首都圏の既成市街地、近畿圏の既成都市区域などでございまして、名古屋、北九州市など合わせまして十二都市が指定されておりまして、対象物件は、三ヘクタール以上の高度利用地域の地区計画の区域または二号区域の区域内の土地でございます。貸付条件は、利率五・二%、四年据え置き十年というような制度になっております。
  250. 中路雅弘

    ○中路委員 今御説明いただきましたが、それによりますと、この都市開発基金の方は、地方公共団体に対する土地の買い取りに必要な資金の貸し付けは工場等の用地の場合が四・七%、それから都市施設の用地、都市機能の更新用地が五・二%で返済の期間が十年ということで、今度の民間都市開発機構への貸付条件は無利子で償還の期間が二十年ですから、この点では、地方公共団体に対する貸し付けの条件から見ますと、今度の民間都市開発機構に対して非常に優遇になっているということが言えるのではないかと思うのです。  この民間のプロジェクトは、もちろん地元の中小企業も入る場合もあると思いますけれども、主として民間の大きな企業というのが中心になると思いますし、そういう意味では地方公共団体に対比して見ても大変な優遇措置になっているのではないかと思います。今の御説明だとそうなりますね。
  251. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 先ほどもお答えしたとおり、六・〇五でございました金利がただいま五・二に財投が下がっております。したがいまして、この都市開発基金の金利につきましても予算にセットしたもので運用できるかどうかという問題がございまして、全体といたしまして、これは政府関係機関全部共通でございますが、貸付条件と金利の方を検討したいと考えておる次第でございます。
  252. 中路雅弘

    ○中路委員 少し具体的にお聞きしたいのですけれども、今まだ法律が通っていませんから当然詳しくはつかんでおられないと思いますが、この民間都市開発推進機構を使って事業をやろうとして現在プロジェクトを検討中の都市は、先ほど御質問の中でたしか十二か十五ぐらいというお話もありましたけれども、この今検討中の都市の名前はわかりますか。プロジェクトの内容はいいのですけれども、都市の名前だけ。
  253. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 手元に資料としては用意しておりますけれども、その内容が先ほどお答えに申しましたとおり、六十二年度プロジェクトで四十ないし五十と申し上げましたその十の差というのは、私どもといたしましても果たして事業対象となるのかなということで今後精査を要するというプロジェクトでございます。したがいまして、ただいまの時点で何市というふうに明確に申し上げるにしてはちょっと時期が早いかと存ずる次第でございます。
  254. 中路雅弘

    ○中路委員 私も持っているのですが、今のような御答弁だから、では、出すのはきょうはよしましよう。  その中の一つで、私も独自に調べてみたのです。まだほとんどのところで具体化されてない状況ですけれども、一番具体化されているところの一つの例で調べてみたのですが、広島市の西部の商業街区開発計画というのがあります。  これは商業地域ですけれども非常に大きな計画なんですね。敷地面積が三万四千三百平米、建物の総延べ床面積が十六万八千百平米、総工費三百億ということですが、このプロジェクトに参加している企業を見ますと四つなんです。三井不動産、フジタ工業、広島電鉄、中国新聞ですが、三井不動産は御存じのように資本金百四十九億円、フジタ工業も、八十二年ですが資本金百五十八億という、いずれも大企業のプロジェクトなんですね。この四つが中心で進めているのですが、今の広島市の場合は商業街区の開発計画で店舗面積も四万六千平米が予定されているわけですから、こうなると地元の商店街に及ぼす影響が非常に大きいということで、地元関係の周辺の商店街からこの計画についてたくさんの陳情や市議会に対する請願が集中しているのです。  二、三御紹介しますと、例えばこれは広島の己斐商店街連合会、西広島商店連合会、駅前商店会、商工振興会、ここの出しているものの中でも結論的なところを紹介しますと、この計画が商店街に何の説明もなく進められて非常に遺憾である、計画実行を中止するよう要望するという趣旨の陳情が出されています。また、西部の関係の商店連合会、これはたくさん出ています。観音新町商店会とか、幾つありますか、連合で出ている陳情を見ましても、この構想が周辺小売業者への影響が甚大であるので中止されたいとか、小売商業者の直接的な参加による合意を得なければならないということを言っております。また、同じ周辺の南観音商店会の陳情を見ましても、この構想を取りやめて計画実行を中止し、周辺の商店街と至急話し合いするよう要望するというように、非常にたくさんの要望が集中しているんですね。また、これらの商店街から広島の市議会に対しても同様趣旨の請願が出されているわけです。  こうした都市開発が地元の商店街あるいは住民の皆さんの意見を事実上無視して進められる、しかももしこのプロジェクトが入りますと、国の無利子の貸し付けを行うことになるわけです、これを進める機構に。こうなると私は非常に問題点が大きいと思うのです。広島の事情を詳しく御存じないかもしれませんが、今議会に出た請願や陳情について一部紹介しましたけれども、お考えはいかがですか。
  255. 北村廣太郎

    ○北村(廣)政府委員 広島のプロジェクトについては、六十二年度から事業を開始したいということで、この法律が成立いたしますと機構対象として融資を受けたいというお申し出があると承っております。また、事業内容といたしまして、ただいまお申し出のような商業施設というものも含まれているようでございます。ただ、この内容を見ますと、あるいは大店法の適用によりまして正式な商調協によって地元調整が図られるというような規模になろうかと存じておりますので、その辺の推移を見ながら対応としては検討してまいりたいと存じます。
  256. 中路雅弘

    ○中路委員 私は一例で挙げたのですが、今検討されているこの機構の対象としてプロジェクトが北海道から鹿児島まであるのですが、こうした地元と非常に大きな矛盾を起こすという問題になりますと、これは大変なことになるのです。この点はやはり、広島でいいますと地元との十分な話し合いが必要だと思います。  いずれにしましても、私たちも民間が行う都市開発を一般的に否定するものではありませんが、今度出されている法案を見ますと、今例で挙げましたけれども、全体としてやはりこうした大きな企業の都市開発を推進するための新しい制度ではないかと言わざるを得ないわけです。そして、推進機構に対して政府の保証債を発行できるようになっているわけですが、この問題は、百四国会で東京湾横断道路の建設事業の株式会社に商法法人として政府保証債を認めたわけですけれども、今回は民法法人に対して初めて政府保証債を認めることになるわけですね。民間都市開発機構の場合は、東京湾横断道路の建設事業株式会社の場合と異なって事業計画や収支、予算等について大臣の認可制になっているということは言えますけれども、こうした民間に対する政府の保証が次々と行われるということになりますと、企業に対する優遇措置であるとともに、財政のあり方としても私は問題点があるのではないかというふうに思うのです。  こうした点も指摘をしまして、この法案について私たちは賛成しかねる、反対の態度でありますけれども、このことも質問の終わりにあわせて表明しておきまして、時間ですので終わりたいと思います。
  257. 村岡兼造

    村岡委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  258. 村岡兼造

    村岡委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  民間都市開発の推進に関する特別措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  259. 村岡兼造

    村岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  260. 村岡兼造

    村岡委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、森田一君外三名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。森田一君。
  261. 森田一

    ○森田(一)委員 ただいま議題となりました民間都市開発の推進に関する特別措置法案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては既に質疑の過程において委員各位におかれては十分御承知のところでありますので、この際案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     民間都市開発の推進に関する特別措置法案に対する附帯決議案   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 民間活力の活用による内需の振興、地方経済の活性化と雇用の拡大を図るため、民間部市開発事業の推進を図ること。    なお、地元中小企業の利用について配慮すること。  一 民間都市開発事業の推進に当たっては、他方公共団体とりわけ市町村の都市計画等との整合性及び周辺住民の意向について十分に留意するとともに、地価の高騰を招くことのないよう配慮し、地域社会の健全な発展に努めること。  一 民間都市開発推進機構に対する無利子資金の貸付け、政府保証については、機構の業務運営が円滑に行われるよう配慮すること。  一 民間都市開発推進機構の設立及びその業務の運営については、地方公共団体に対して財政負担をもたらすことのないよう配慮すること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  262. 村岡兼造

    村岡委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  263. 村岡兼造

    村岡委員長 起立多数。よって、森田一君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。天野建設大臣
  264. 天野光晴

    天野国務大臣 民間都市開発の推進に関する特別措置法案につきまして、本委員会におかれましては熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいま議決になりました附帯決議の趣旨を十二分に尊重してまいる所存であります。  ここに委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  265. 村岡兼造

    村岡委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  266. 村岡兼造

    村岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  267. 村岡兼造

    村岡委員長 次に、内閣提出国土利用計画法の一部を改正する法律案建築基準法の一部を改正する法律案及び建設業法の一部を改正する法律案の三案を議題といたします。  順次趣旨の説明を聴取いたします。綿貫国土庁長官。     —————————————  国土利用計画法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  268. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 ただいま議題となりました国土利用計画法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  現在、地価は全国的には安定傾向を示しておりますが、東京等一部地域においては著しい上昇が見られます。この地価高騰に対しては、土地取引の適正化と土地供給の促進の両面からの対策を進めてきたところでありますが、特に土地取引の適正化に関しては、現在国土利用計画法の届け出制の対象となっていない小規模土地取引等についても法律上の措置を講ずる必要があります。  本法律案は、このような状況にかんがみ、地価が急激に上昇している地域等を都道府県知事が指定し、現在届け出の対象となっていない小規模土地取引についても届け出を義務づけることができることとする等により、土地の投機的取引及び地価の高騰が国民生活に及ぼす弊害を除去するとともに、適正かつ合理的な土地利用確保を図ろうとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、都道府県知事は、地価が急激に上昇し、または上昇するおそれがあり、これによって適正かつ合理的な土地利用確保が困難となるおそれがあると認められる区域を、五年以内の期間を定めて、監視区域として指定することができることといたしております。  第二に、都道府県知事は、監視区域を指定する場合には、当該区域において土地に関する権利の移転等の届け出を要する面積の限度を都道府県の規則で引き下げることといたしております。  第三に、都道府県知事は、監視区域を指定した場合には、地価の動向等に関する調査を行うとともに、その調査を適正に行うため必要があると認める場合には、当該区域に所在する土地について土地売買等の契約を締結した者に対し必要な事項について報告を求めることができることといたしております。  第四に、国等は、土地売買等の契約を締結しようとする場合には、適正な地価の形成が図られるよう配慮することといたしております。  以上がこの法律案の提案理由及び内客の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  269. 村岡兼造

    村岡委員長 天野建設大臣。     —————————————  建築基準法の一部を改正する法律案  建設業法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  270. 天野光晴

    天野国務大臣 ただいま議題となりました建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。  近年、木造建築物等についての防火性、耐震性の技術が向上してきております。また、環境の整備や合理的な土地利用の促進の観点から、建築物の形態に関する制限について改善を要する面があらわれてきております。  このような状況にかんがみ、木造建築物等についての建築制限並びに建築物の容積及び高さの制限等を合理化する必要があります。  以上がこの法律案を提案する理由でありますが、次にこの法律案の要旨を御説明申し上げます。  まず、一定の技術的要件に適合する木造建築物等に係る制限の合理化についてであります。  第一に、高さ十三メートルまたは軒の高さ九メートルを超えて建築することができることといたしております。  第二に、火災の発生のおそれの少ない用途に供するものについて、防火壁の設置を必要としないことといたしております。  第三に、準防火地域において三階建てのものを建築することができることといたしております。  次に、建築物の容積及び高さの制限の合理化等についてであります。  第一に、幅員の小さい道路が幅員の大きい道路に接続する場合及び壁面線の指定がある場合について、前面道路の幅員による容積率を割り増すことといたしております。  第二に、第一種住居専用地域内における建築物の高さの限度に、現在の十メートルのほか十二メートルを加えることといたしております。  第三に、道路斜線制限の適用を、一定の範囲内に限定するとともに、道路から後退した建築物については緩和するものとし、あわせて隣地斜線制限についても所要の合理化を行うことといたしております。  第四に、総合的設計による一団地の建築物の特例について、建てかえ等に関する手続を整備することといたし保ております。  以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  次に、建設業法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。  近年の建設業は、需要が低迷する中で競争が激化し、また、施工能力、資力信用に問題のある建設業者が不当に参入するなど早急に解決しなければならない問題を抱えております。  このため、本年一月に中央建設業審議会から「今後の建設産業政策の在り方について」の第一次答申がなされ、これに基づき、建設業の健全な発達を促進するため、本法律案を提案するに至ったものであります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、総合的な施工技術を要する指定建設業について、特定建設業の許可を受けようとする者は、営業所ごとに国家資格の取得者等で専任のものを置くことといたしております。  第二に、建設工事紛争審査会の特別委員の任期を一年から二年に延長することといたしております。  第三に、指定建設業に係る特定建設業者が工事現場に置く監理技術者については、国家資格の取得者等とするとともに、公共工事における現場専任制を確保するための手段として資格者証を交付することといたしております。  第四に、技術検定について、その試験を指定機関に行わせることができることといたしております。  第五に、経営事項審査について、経営状況の分析を指定機関に行わせる等審査の充実を図ることといたしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行することといたしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ、慎重御審査の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  271. 村岡兼造

    村岡委員長 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  次回は、来る二十一日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十九分散会      ————◇—————