○中曽根
内閣総理大臣 大塚論文なるものは、同じ選挙区の自民党の代議士が反論しているのを私見たことがございます。これは、疑惑があるということは全くありません。これは共産党・赤旗でそういうことを論ぜられたことがありますが、それについても私は反論しておいたところで、全くそういうことはございません。
そもそも西戸山の開発が始まったというのは、やはり民間の活力を利用して、できるだけ都民に適正な住宅を供給しよう、そして、あの地帯は昔の戸山ケ原の地帯で国有地でありますが、約四万平米くらいありましたか、あの一角に公務員住宅がありまして、非常にもったいない、ぜいたくなやり方で公務員住宅がつくられておった、これはいけない。そこで公務員住宅を一カ所に集めて高層化して、残った広大な土地を都民の住宅にできるだけ早期に開放する、そしていわゆる当時言われた民活あるいは規制緩和という形で大至急やろう、そういう議がまとまりました。
そして、それをやるについてはちゃんとした法律手続でやらなければいかぬし、東京都の御理解、御協力も要るし、新宿区の区長さん以下議会の御協力も要る、そういうことでその後全部手続を進めまして、そして民活という意味において、お金は国が出すわけにいかぬ、それは民間で集めなさい、集める
方法はないか、そういうようなことでいろいろ検討した結果、六十六社の方々が集まって開発会社をそこへつくった。
そしていろいろ計画をつくり、これは都市計画で指定されるという形になれば、それは公益事業として随意契約の対象になる。そういうこともあり、いろいろ法的
関係も研究の上、都ともいろいろ連携をしました結果、都市計画があり、そしてそれが都市計画の指定になりまして適法な会社として指定されました。
そこで民間のお金をそこへ集めて、大至急民間の手法によって、いい、適正な住宅及び皆さんの公共の
場所も一緒につくりたいというのでやりまして、その結果六十年の十月に東京都の都市計画審議会において都市計画を可決され、さらに十一月に国有財産の関東地方の審議会において開発会社への売却を答申し、十二月に東京都から同社を都市計画事業者として認可されまして、そして公平に行われるようにというので、一社が独占してはならぬというので六十六社の方々が集まって会社をつくり、中田三菱地所の会長さんを社長にして、適正にこれが行われ、その結果六十一年の十月に分譲の募集をいたしましたが、申し込み総数が二万五千三百六十七名という多数に上がりまして、
平均倍率が四十四倍、最高が七百九十五倍、対象が五百七十六戸ということで、被分譲者には十年間みずからこれに居住する義務を課せられている、そういう形で転売されないような配慮もされ、公共的な施設としては公園とか緑地とか道路、これが敷地全体の四割強を占めているほか、多
目的ホールあるいは公共広場、こういうものも中に建設するようにして、そして既に建設が始められ、今申し上げましたような物すごい倍率の需要が殺到した。これは東京都民の皆さんが待ち受けていて、その期待にこたえて、これらのことが既に進行しているということなのであります。
問題は、共産党・赤旗が指摘したような不正なことがあるかといえば、絶対それはないのであります。一日も早く都民の要望にこたえるような、民活の成果を上げる、そういう意味におきましてこれは上がってきた一つの例である、こういうふうに確信しておるものなのであります。
それから、その次の容積率の問題でありますが、これは東京と大阪を比べてみればわかるので、東京は山手線の中は五階以上ですか、つくれない、そういう制限がある。大阪は全部その制限はありません。東京と大阪の大都会でなぜその差があるのか。これは、なるたけ制限をやめて、そして高層化する、ただし容積制限という形で、横にあるものを縦にするようにすれば、公共の広場もできるし、またそれを計画的にやれば下水とか交通とか
社会資本に対応する計画も成り立つ。そういう意味で、この容積率を改革しよう。一種専任と二種専任とありましたけれ
ども、大阪並みにしよう。それによって地価を下げ、都民の住宅をふやそう。つまり職住接近という当時の思想に基づいて、それを行うべく努力したところなのであります。
東京都も非常に賛成しましたが、問題は、区が権限を持っております。区がやはり自分で議決しなければそれはできない。区はおのおのの
目的なり政策を掲げておるものですから、一挙に区まで全部行うというわけにいけないで、今東京都が区と相談しつつ、順次そのような解除が行われて進行しておる。こういうことで、私はさらにそれを進行させることが大事だ。ただし、今言った住宅のほかに交通とか下水とかそのほかの問題もよく考えておく必要がある、昼間人口と夜間人口の問題も考えておく必要がある、そういう配慮をもって行うべきであると思います。
地価の問題につきましては、公有地、国有地、国鉄所有地等の処分によって、これが民間の地価を高騰させる、そういう誘発的要素を持たないようにということで、これもいろいろ制限をしまして、転売を禁止するとか、何年以内にこれは建設にかからなければならないとか、そういういろいろな制限をつけまして今やっておるところであり、地価対策
関係閣僚
会議におきましても、これらの抑制問題について今いろいろ協議もしておるところで、今後ともそのように努力してまいるつもりであります。
以上でございます。