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1987-04-06 第108回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年四月六日(月曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 堀之内久男君    理事 糸山英太郎君 理事 上草 義輝君    理事 近藤 元次君 理事 新村 勝雄君    理事 草川 昭三君       新井 将敬君    石渡 照久君       臼井日出男君    岡島 正之君       片岡 武司君    高橋 一郎君       中島  衛君    中村正三郎君       野田  毅君    穂積 良行君       松野 頼三君    谷津 義男君       渡辺美智雄君    小川 国彦君       渋沢 利久君    渡部 行雄君       小川新一郎君    大矢 卓史君       岩佐 恵美君    中路 雅弘君  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         国 務 大 臣 金丸  信君         法 務 大 臣 遠藤  要君         外 務 大 臣 倉成  正君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         文 部 大 臣 塩川正十郎君         厚 生 大 臣 斎藤 十朗君         農林水産大臣  加藤 六月君         通商産業大臣  田村  元君         運 輸 大 臣 橋本龍太郎君         郵 政 大 臣 唐沢俊二郎君         労 働 大 臣 平井 卓志君         建 設 大 臣 天野 光晴君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     葉梨 信行君         国 務 大 臣         (内閣官房長官後藤田正晴君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 山下 徳夫君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)         (国土庁長官) 綿貫 民輔君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 栗原 祐幸君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      近藤 鉄雄君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)     三ッ林弥太郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 稲村 利幸君  出席政府委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房会計課長  河原崎守彦君         内閣法制局長官 味村  治君         警察庁刑事局保         安部長     漆間 英治君         警察庁交通局長 内田 文夫君         総務庁長官官房         審議官              兼内閣審議官  勝又 博明君         総務庁長官官房         会計課長    塩路 耕次君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       矢部 昭治君         防衛庁参事官  瀬木 博基君         防衛庁参事官  古川 武温君         防衛庁参事官  児玉 良雄君         防衛庁参事官  筒井 良三君         防衛庁長官官房         長       友藤 一隆君         防衛庁防衛局長 西廣 整輝君         防衛庁教育訓練         局長      依田 智治君         防衛庁人事局長 松本 宗和君         防衛庁経理局長 池田 久克君         防衛庁装備局長 鎌田 吉郎君         防衛施設庁長官 宍倉 宗夫君         防衛施設庁総務         部長      平   晃君         防衛施設庁施設         部長      岩見 秀男君         経済企画庁長官         官房会計課長  村田 憲寿君         経済企画庁調整         局審議官    田中  努君         経済企画庁国民         生活局長    横溝 雅夫君         経済企画庁物価         局長      海野 恒男君         経済企画庁総合         計画局長    及川 昭伍君         科学技術庁長官         官房会計課長  武田  昭君         国土庁長官官房         長       清水 達雄君         国土庁長官官房         会計課長    佐々木 徹君         国土庁土地局長 田村 嘉朗君         国土庁防災局長 山本 重三君         法務大臣官房会         計課長     則定  衛君         法務省刑事局長 岡村 泰孝君         法務省訟務局長 菊池 信男君         外務大臣官房審         議官      谷野作太郎君         外務大臣官房領         事移住部長   妹尾 正毅君         外務省北米局長 藤井 宏昭君         外務省経済局長 渡辺 幸治君         外務省条約局長 斉藤 邦彦君         大蔵大臣官房会         計課長     増田 煕男君         大蔵大臣官房審         議官      大山 綱明君         大蔵大臣官房審         議官      尾崎  護君         大蔵省主計局次         長       斎藤 次郎君         大蔵省理財局次         長       入江 敏行君         大蔵省銀行局長 平澤 貞昭君         大蔵省国際金融         局長      内海  孚君         大蔵省国際金融         局次長     畠中 杉夫君         国税庁税部長 門田  實君         国税庁調査査察         部長      日向  隆君         文部大臣官房会         計課長     野崎  弘君         文化庁次長   久保庭信一君         厚生省健康政策         局長      竹中 浩治君         厚生省薬務局長 森  幸男君         厚生省社会局長 小林 功典君         厚生省保険局長 下村  健君         農林水産大臣官         房長      甕   滋君         農林水産大臣官         房経理課長   吉村 龍助君         農林水産省経済         局長      眞木 秀郎君         農林水産省構造         改善局長    鴻巣 健治君         農林水産省農蚕         園芸局長    浜口 義曠君         農林水産省食品         流通局長    谷野  陽君         水産庁長官   佐竹 五六君         通商産業大臣官         房審議官    末木凰太郎君         通商産業大臣官         房会計課長   田辺 俊彦君         通商産業省通商         政策局次長   吉田 文毅君         通商産業省貿易         局長      畠山  襄君         通商産業省機械         情報産業局長  児玉 幸治君         通商産業省生活         産業局長    浜岡 平一君         中小企業庁長官 岩崎 八男君         中小企業庁計画         部長      小林  惇君         運輸大臣官房会         計課長     井上徹太郎君         運輸省港湾局長 藤野 愼吾君         郵政省電気通信         局長      奥山 雄材君         労働大臣官房会         計課長     伊藤 欣士君         建設大臣官房長 高橋  進君         建設大臣官房総         務審議官    渡辺  尚君         建設大臣官房会         計課長     市川 一朗君         建設省建設経済         局長      牧野  徹君         建設省都市局長 北村廣太郎君         自治大臣官房長 持永 堯民君         自治大臣官房会         計課長     津   実君         自治省行政局選         挙部長     小笠原臣也君         自治省税務局長 津田  正君         消防庁長官   関根 則之君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局庶務課長 矢部丈太郎君         北海道開発庁総         務課長     畑  正一君         防衛施設庁総務         部会計課長   大原 重信君         大蔵省主計局司         計課長     兵藤 廣治君         会計検査院長  辻  敬一君         会計検査院検査         官       中島  隆君         会計検査院事務         総局次長    秋本 勝彦君         会計検査院事務         総局第一局長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局第二局長  志田 和也君         会計検査院事務         総局第三局長  大沼 嘉章君         会計検査院事務         総局第四局長  吉田 知徳君         会計検査院事務         総局第五局長  三原 英孝君         参  考  人         (青森県副知事山内 善郎君         参  考  人         (蚕糸砂糖類価         格安定事業団理         事長)     二瓶  博君         決算委員会調査         室長      大谷  強君     ————————————— 委員の異動 四月六日  辞任         補欠選任   熊谷  弘君     野田  毅君   古賀  誠君     臼井日出男君   竹下  登君     中島  衛君   古屋  亨君     中村正三郎君   森下 元晴君     片岡 武司君   野間 友一君     岩佐 恵美君 同日  辞任         補欠選任   臼井日出男君     古賀  誠君   片岡 武司君     新井 将敬君   中島  衛君     竹下  登君   中村正三郎君     石渡 照久君   野田  毅君     熊谷  弘君   岩佐 恵美君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   新井 将敬君     森下 元晴君   石渡 照久君     古屋  亨君   中路 雅弘君     野間 友一君 同日  理事熊谷弘君及び古賀誠君同日委員辞任につ  き、その補欠として熊谷弘君及び古賀誠君が理  事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  参考人出頭要求に関する件  昭和五十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十八年度政府関係機関決算書  昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十八年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十九年度政府関係機関決算書  昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書      ————◇—————
  2. 堀之内久男

    堀之内委員長 これより会議を開きます。  この際、会計検査院長に就任されました辻敬一君並びに会計検査官に就任されました中島陰君の両君から、それぞれ発言を求められておりますので、これを許します。辻敬一君。
  3. 辻敬一

    辻会計検査院長 このたび会計検査院長を拝命いたしました辻でございます。  微力ではございますが、全力を尽くして職責を全ういたしたい所存でございますので、何とぞよろしく御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。(拍手
  4. 堀之内久男

  5. 中島隆

    中島検査官 去る四月二日、検査官に任命されました中島でございます。  微力ではございますが、最善を尽くしてこの職責を全ういたしたいと存じております。何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  6. 堀之内久男

    堀之内委員長 次に、昭和五十八年度決算外二件及び昭和五十九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、各件について締めくくり総括質疑を行います。  これより関係大臣に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部行雄君。
  7. 渡部行雄

    渡部(行)委員 本日は、遠いところから参考人として青森県の副知事が御出席に相なりまして、本当に御協力感謝いたします。最後までひとつよろしくお願いしたいと思います。  そこで、早速御質問に入りますが、青森県が国の補助工事として施行されました港湾防波堤離岸堤粗悪召使用不正工事事件について、その経過と現在の御心境をお聞かせ願いたいと思います。
  8. 山内善郎

    山内参考人 お答えをいたします。  このたびの捨て石に係る事案につきましては、この問題の発生後直ちに捨て石使用した箇所について、その実態把握のため調査を実施いたしました。その結果、昭和五十六年から六十年までの五年間の工事百十件のうち、八件におきまして県の仕様に適合しない石が混入しておることが判明いたしました。これまでも公共事業の適正な執行について留意してきたところでございますが、このような問題が発生いたしましたことは、まことに残念でございます。県議会におきましても、知事からも遺憾の意を表したところでございます。
  9. 渡部行雄

    渡部(行)委員 副知事、あなたにばかりほとんど四十分、最初例質問しますから、いすをその辺にあれしてすぐに立てるようにしていてください。そして、答弁は簡潔明瞭にお願いします。  そこで、この工事の中身について若干お伺いいたしますが、まずこの土屋石と言われる粗悪石を採取した現場石材の性質について、これは規格に適合していないという判断がなされたようでございますが、その問題について県としてはどのように取り扱ってきたか、お伺いいたします。
  10. 山内善郎

    山内参考人 この土屋石材石山の石は、選別さえ厳正にやりますと、県の捨て石規格に該当する石はあるものと考えております。
  11. 渡部行雄

    渡部(行)委員 県の規格に適合する石があるものと思うと言われることは、大体どのくらいあると思いますか。
  12. 山内善郎

    山内参考人 これは全部区別して調査をした結果ではございませんが、推定といたしましては、捨て石基準に該当するものは六〇%内外はあるものと推定をいたしております。
  13. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これはあくまでも推定ですから、まあ私ども実態調査をいたしまして、とても六〇%の石が規格に適合しておるとは到底思われません。  そこで、特にこの野内防波堤及び土屋石材土場、ここの石の試験結果について、八戸工業大学土木工学科杉田教授に依頼して、その試験結果がまとまって報告されております。そこで、ここにはいろいろ細かに所見が述べられておりますが、時間の関係上まとめてひとつ結論的なものを申し上げますと、   岩石風化作用とは、岩石が大気、地表水、動植物などとの接触域で受ける変化のことである。これを定量的に表示することは現時点では困難である。しかし、今回の供試体は視察によっても、また、比重吸水率圧縮強度などの物理的、力学的試験の結果からみても、相当程度風化の進行した岩石であることは間違いない。   吸水率の大きい材料は凍害を受けやすく、内部に吸水された水が冬期において凍結融解を繰返し、材料の劣化を促進するという事実も積雪寒冷地である本県においてはとくに留意されなければならない。   殆どの土木工事においては竣工後の長期間の信頼性供用性を確保するために、このように風化した岩石を除去して行われるのが通常である。社会資本としての公共性を有し、具それ故に長期間の安定した供用性と高い信頼性を要水される土木構造物にこのような低品質材料が、数年間にわたり相当量使用されたことは極めて遺憾であり、また、信じがたいことである。 こういうことが大体まとめとして言われているわけですが、これに対してはどういうふうにお考えでしょう。
  14. 山内善郎

    山内参考人 八戸工業大学先生調査をされた結論は、私も承知をいたしております。私どもも、東北大学、また埼玉大学のこの道の専門家先生においでをいただきまして調査をしていただいたわけであります。  昨年の十月二十八日から十一月一日にかけて調査をお願いいたしましたところ、結論といたしましては、「岩質の分布は一様でないが、適切に選択して使用目的に応じた品質を確保する必要がある」との所見を得ております。したがって、使用に際しましては選別を適切に行う必要がある原石山と認識をいたしております。
  15. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、この工事をやる前に、青森技術センター調べによる有限会社土屋石材骨材試験成績表というものが出されて、その試験石土屋の石であるという確認方法はどんな方法でなされたのか、その辺を明確にしていただきたいと思います。
  16. 山内善郎

    山内参考人 従来の検査体制では、遺憾ながら試験の石をとるときに県の職員が立ち会っておりませんので、今先生が申されたような疑問が県議会でも出されたわけであります。したがいまして、検査体制見直し等において、今後そういうことのないように、原石山試験の石をとるときには県の職員が立ち会って、その石を県の職員が持ってきて検査をすることに見直しをいたしました。今後はそういうことにいたしたわけでありますが、そういう疑問も出されましたので、去る二月に、土屋石材の石を使用した年度ごとに採取した近くの場所から試験の石をとる調査をいたしました。これにつきましては、県議会の御要請もありましたので、各党各派代表者の方にも立ち会いをいただきまして、まあ中には後で、いやおれは立ち会ったのではない、ただ見に行っただけだとおっしゃる議員もございましたが、とにかく同行をお願いいたしまして、各年度ごとの採取した近所の石を採取して試験をいたしましたところ、その年度試験をした石と大体似た数値が出てまいりました。したがって、土屋石材の石を試験したものと考えております。
  17. 渡部行雄

    渡部(行)委員 土屋石試験結果と似たとあなた言われましたが、実際、科学的に分析した結果を見ますと、土屋骨材試験成績表では、これは六十年四月の試験ですね、吸水率が〇・五三一、見かけ比重が二・五八三、圧縮強度が一〇〇四、こういうふうに出ております。  そして一方、和田石材という、ここの石は比較的いい石ですが、この試験結果は、これも六十年四月ですが、吸水率が〇・三〇七、見かけ比重が二・五〇六、圧縮強度が九一〇と、こっちの方が悪くなっているのですね。  ところが、私の方で調べた、八戸工業大学コンクリート研究室で調べた結果は、これは野内防波堤に使われた石をとって検査をしたところ、見かけ比重は二・三八、吸水率は三・四、圧縮強度は一九九から二八二、この一九九は三本平均、そして二八二は二本平均、こういうふうに出ているわけです。余りにも違い過ぎるじゃないでしょうか。私もこの石を実際に持っておりますが、今副知事の言われました、その付近の石というようなことで差し支えないという御判断が出されたようですが、見もしないで差し支えないという判断はどこから引き出してこられたのでしょうか。
  18. 山内善郎

    山内参考人 今の八戸工大先生試験の結果をお聞きいたしましたが、先ほども申し上げましたように、土屋石材石山は、決して全部がいい石ではないが、選別すれば良質の石も出るという結論が出ておりますので、それは試験のとり場所によってはそういう結果も出るのではないかと思っております。  ただ、今申し上げた県議会議員さん立ち会いのもとに二月に調査いたしました、六十年に使用した石の近所の石を採取して試験いたしましたところ、比重が二・五〇五、吸水率が〇・七七三%、圧縮強度が一〇〇二という数値が出ておりますので、大体この試験に供した数値と似ているのではないかと我々は判断したわけであります。
  19. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ちょっと、私の質問をそらさないでください。  私は、どういう方法採石現場の石と供試された石というものが同一物であるという確認をしたかと言っているのですよ。どういう方法で同じ土屋石、いわゆる原石を採取した石とそれから県が試験したその石とが同一のものであるという確認はどういう方法でやったかということ、これについてまず簡単明瞭にお答え願いたい。  そこに加えて、今あなたの言われた近所の石が似ておったからという近所の石の試験結果をここで発表されて、しかもそれは最近でしょう、これは工事する前の石ですよ、工事に使った石について私は尋ねているのですから、そういういいかげんな答えでは困ります。はっきり言ってください。
  20. 山内善郎

    山内参考人 試験に出した石と実際工事現場に使った石との差ということの御質問でございましょうか。
  21. 渡部行雄

    渡部(行)委員 差でなくて、今これをつくった石は土屋採石からとってきた石であるという確認、つまりそこから持ってきたという、関連があるという確認をどういう方法でやったのかということなんですよ。
  22. 山内善郎

    山内参考人 それについては、先ほど申し上げましたように、百十件の現場について石を数百個持ってまいりまして試験をいたしました結果、八件を除きましては構造物として設置した目的に沿うものと判断したわけでありますが、その数値はばらばらでございまして、実は残念ながら、先ほど申し上げましたように、前の検査体制では土屋の石を持ってくるときに検査員がそこに立ち会っておりませんので、それははっきりした確認はいたしておりません。
  23. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この問題は、試験された石と使われた石どの関連は全然ないと判断してよいと思います。そして、後からやった調査試験石はまさにその近所の石でこれもまた関係がない。ちょっとわきにそれるとそこにはいい石山もあるわけで、近所というだけでその類似性を強調するのは、ちっともこれは科学的な根拠になっていません。  そこで、この問題発生後、実態把握のための調査を実施した結果、八カ所において県の捨て召使用基準に適合しない捨て石使用されていることが判明したと言われておりますが、その八カ所の場所名前をお聞かせください。
  24. 山内善郎

    山内参考人 私、先ほど近所の石と申し上げましたが、二月に試験に供した石は、前に採取したちょうど隣の石をとってきて試験をしたわけでございます。それから、修補工事をやった場所名前でございますが、青森原別防波堤工事番号第一の一号、同じく青森工事番号第一の四号野内防波堤、同じく青森港第一の十二号原別防波堤、同じく青森港緑第一の七号安方護岸堤、次は小湊侵第五十の一の三号浜子離岸堤、同じく小湊侵第五十の一の二号浜子離岸堤、次は水産部関係でありますが、野内の魚道第五号青森大字宮田、それからこれも漁港でありますが、奥内の漁港五十八年災第五十二号、この八カ所でございます。
  25. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この工事は設計図どおりになされておったでしょうか。
  26. 山内善郎

    山内参考人 当該原石山捨て石使用した工事箇所につきまして、関係資料の確認及び工事関係者からの事情聴取を実施したところ、設計図書と実際施工された構造物の寸法が違うという事実は出てこなかったのであります。
  27. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは社会党の青森県本部が専門家を入れて、潜水夫まで使って調査をしたわけです。その結果は、防波堤の一番底の長さが規定どおりになっていなくて短い、それから、こういうふうになったのり、これも設計どおりになっていないということが判明したのですが、そういう検査は現実にやったでしょうか。
  28. 山内善郎

    山内参考人 のり面については現実に測量はいたしておりません。ただ、高さについては実測をしておりまして、その他につきましては検査調書、出来形管理図表、工事の写真、これは水中写真でございますが、及び工事関係者からの事情聴取により十分判断できたと我々は考えておる次第でございます。
  29. 渡部行雄

    渡部(行)委員 今の御説明では全然判断ができませんね。私は、この写真判定などではわからない、実測しなければわからない部分について言っているのですよ。いわゆる土台の一番底辺の長さは何ほどだというのが設計図には出ておるが、実際そこをはかったところがそれほどない。そして今、のり面については全然見ていない。それではどこを見たのですか。何のための写真なんですか。写真で長さがどういうふうに判定できますか。私の問いに対してあなたは全然科学的に答えられていないというふうに私は考えざるを得ないわけです。  時間がありませんので次に移りますけれども、これは後で工事を請け負われた施工業者について指名停止処分をされたようでございます。しかも相当厳しい処分だというふうに新聞にも出ておりますが、これはどういう理由に基づいてやったのか、その内容もあわせてお願いしたいと思います。
  30. 山内善郎

    山内参考人 この工事は、石の購入、使用に当たって請負業者として当然求められるべき注意を欠いた、そのために石の選別が適当でなかったものと判断をいたしまして、過失による粗雑工事として、県の指名停止要領によります、この条項に該当する最高の六カ月の指名停止を高重組に対していたしました。
  31. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは過失という認定をされたようですが、どういうところが過失なんでしょうか。私の調べでは、工事を請け負うために出した書類の中に、しかもそこの石でない石をつけて試験に供して、今日まで長い間その粗悪石を使ってやってきた、こういう内容で、一体どういう点が過失だったのでしょうか。
  32. 山内善郎

    山内参考人 先ほども申し上げましたように、二月に改めて調査した石は、工事に使った石のちょうど隣、隣接した箇所から試験……
  33. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そんなことは何回も聞いているのだから、同じことを繰り返す必要はないですよ。
  34. 山内善郎

    山内参考人 どうして過失が、それは先ほども申し上げましたように請負業者として当然求められるべき注意を欠いた、したがって選別に誤りがあった、そういうことで過失による粗雑な工事と認定して処分いたしたわけであります。
  35. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは非常におかしい、無理な答弁をしておられるようですが、この土屋石をとった原石山は全体として温泉化現象による風化が進んでいるところなんです。私も行って見ましたが、使用にたえられるかなと思うところは、あの山の中央部分のいわゆる柱状節理というところが若干あるだけで、ほとんどは皆風化石で問題にならない。手でつぶせばばらばらと壊れるような石なんですよ。そういうことをあなた方は知らないで、どうしてこの業者が、専門家の業者が過失でそれをやるというようなことがあり得るでしょうか。しかもここは、前の業者、旭砕石という業者がこれを買い受けて、そして県にこの石の使用の許可願を出したところが、再三にわたって却下され、ついに一年足らずにしてこの山を放棄したという経過があるんです。県はそのことを知らないとは言われないでしょう。知っておるでしょう。そうしたらどこにこれは過失があるんですか。故意のあれじゃないでしょうか。
  36. 山内善郎

    山内参考人 ただいまお話ありました旭砕石の問題につきましては、県議会でも問題になりましたので、当時の責任者に、担当部の方から行って事情を聴取いたしましたところ、当時県に試験を依頼した事実はないという回答を得ております。
  37. 渡部行雄

    渡部(行)委員 まあこれは旭砕石を呼ばなければわからない話で、ここで議論しても無意味でございますから、この点は別にこれ以上追及いたしません。しかし、過失と認定したところに大変な無理があることは、恐らくここにおられる方々はみんなそう思ったと思いますが、これをなぜ過失と認定したのか。それは後に、過失でない、故意だと認定すれば大変なことが起こるから無理矢理そこに当てはめたものと思われます。  そこで、この問題については土本部長が県会で答弁されているわけです。長年にわたってこの不正工事を続けてきたところに、いわゆる業者と県政の癒着という点が県民からとやかく言われる原因になったと思いますが、この点はどういうふうに思いますか。
  38. 山内善郎

    山内参考人 県の工事の指名に当たりましては、いろんな条件を考えまして、私が会長をいたしておりますが、指名審査会というものがございまして、指名業者をなるべく数多く指名をいたして競争入札をさせるわけでございます。したがいまして、今言われましたように県が特定の業者と癒着をして特定の業者にのみ仕事を与えるという事実はないものと考えております。
  39. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ここで、あるなどということはだれだって言えないことで、問題は、それは県内の県民が巷間伝えられておる事実として、この山を砕石の原石採取をするという、工事石に使うということ自体が問題だという認識の中で、前の業者はそれができないと言われてその山を捨てたものを、今度別な業者、土屋有限会社がそれを買い受けて、そこで今度すごいもうけ方をしたというこの経過を知っている人は、これは県が幾ら口を酸っぱくして癒着は考えられない、こう言っても、県民を納得させることはできないんじゃないかと私思うのですよ。  こういう疑惑を県内に生んでおいて、また一方で、この前の三沢市のような汚職が全国にはっきりとさせられる、そういう状況からすると、この青森県の行政的立場というのは大変不利な立場に今立たされていると私は思うのですよ。だから、そういうことはないんだ、本当に潔白なんです、これは本当に私たちの故意ではなくて全く不注意によるものだというようなことをはっきりと弁明する必要があると思うのですが、その点いかがでしょうか。
  40. 山内善郎

    山内参考人 ただいまの三沢の事件を初め、県としても非常に遺憾に存じておる次第でございますが、こういうことを契機にいたしまして県としては検査体制その他を厳重に見直し現場検査職員も本庁から十八名増員をいたしまして体制を整えたところでございます。  ただ、今の、前の業者が使い物にならないということで手放したという事実につきましては、庁内の技術屋から、そういうことはどういう理由によるものだということを、私専門家でありませんので技術的にただしましたら、その業者はアスファルト、コンクリートを主としてつくる業者であって、あそこの石は粒子の関係上そういう製造には適さないから放したのであろう、こういう回答を得てございます。
  41. 渡部行雄

    渡部(行)委員 コンクリートをつくる一般石材を売り出す業者であったのかもしれませんけれども、それが県の方では全然あずかり知らぬことだと先ほど答えながら、今聞くと、わかっているんじゃないですか、そういう業者でその石を使おうとした事実については。どうもお答えがあいまいで一貫性がないですよ。  これは前のことだからまあそれといたしましても、結局、業者がその試験に供する石をごまかして県に判断を誤らせたと私は考えるのですが、そうではないんでしょうか。
  42. 山内善郎

    山内参考人 この問題はいろいろ論議になりまして、ほかのいい石を持ってきて県に検査を依頼したのではないかという疑問も県議会でいろいろ出されたわけでありますが、そういうことを解明するために、ただ残念ながら当時検査をする技術センターに持ち込んだその検査をした石はもう投げてしまってありませんので、次善の策として、先ほど申し上げましたように、県議会議員さん方に立ち会いをしていただいて新たに試験する石をとってきて再調査をしたわけであります。
  43. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、私は不思議なのは、この圧縮強度がこの土屋石で千以上になっているということはとても考えられないんです。和田石材の石の方が立派な石なのに、それよりも強度が強い。そして今度学者の調べによると、全く問題にならない、その強度というのは二百から三百くらいの強度に落ちている。これほど、千と二百の違いというのは大変な違いですよ。こういう違いがどこから出てくるのか、素人でもわかるでしょう、その石の違いは。それを、なぜそれほど業界を弁護しなくちゃならぬのでしょうか。本当のことをありのまま述べてくださいよ。
  44. 山内善郎

    山内参考人 実はそういう御疑問も出るのを心配いたしまして、二月にとった石は、先ほど申し上げましたように県議会議員さん方六名立ち会って、その場所でとって、その石を技術センターに持ってきて、実際、圧縮強度試験するときにもぜひ立ち会っていただきたいと要請をいたしたわけでありますが、残念ながら、お待ちしたが一人もおいでにならないので、それが非常に私ども残念だと存じております。
  45. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そして今度は、この粗悪石工事ごとの混入率を見てみますと、水産部関係は一カ所は四二・五%、他の一カ所は八五%ですよ。ほとんどが粗悪石でやられている。ところが、不思議なことに土木部関係の混入率というのは五%とか一〇%とか全く少ないのです。一体同じ工事をやるのにこんなに差があるというのはどういうことでしょうか。これは工事の差なのか検査の差なのか、さっぱりその辺が明確にされていないじゃありませんか。
  46. 山内善郎

    山内参考人 その理由は私も今ここではっきりお答えができないわけでありますが、修補を命じたときの検査のときの石がそういう結果が出ておるということは事実であります。
  47. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間が大分経過しまして、この後も、今度大臣からいろいろ所見をお伺いすることになっておりますので、参考人の方に対する私の質問はこれで終わりたいと思います。  大変御協力ありがとうございました。
  48. 堀之内久男

    堀之内委員長 参考人の皆さん、ありがとうございました。
  49. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次に、農林水産大臣にお伺いいたしますが、今のやりとりでおおよそ見当がついたと思いますけれども、この問題に対する大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  50. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 今回のような問題が発生した原因として、青森県の捨て石工事に関する検査体制等に問題があったとも考えられますので、今後はこの点の強化を図るよう関係機関に対し指導を徹底し、このような問題の再発防止に努めてまいる所存でございます。
  51. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これについて、水産庁長官来ておりますね。ひとつ対策、今後の方針等は具体的にはどんなことを考えておられますか、お伺いいたします。
  52. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 今回の問題につきましては、青森県から、手直しすべきところは手直しするとともに、適正な工事の確保を図るため、工事の監督検査体制の改善を図ったという報告を受けております。その限りにおいて適切な措置がとられたものとは考えておるところでございますが、今後とも補助事業一般につきまして、適正な実施についてより一層の指導に努めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。具体的には、工事の監督のやり方等につきましても指導してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  53. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それから運輸大臣にお伺いいたしますが、運輸省関係工事が非常に多いので、この問題は既に大臣のお耳に入っておったと思いますけれども、これに対する御所見をお伺いいたします。
  54. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 一口に申しまして大変残念な話と承っております。そして運輸省の港湾関係の事業の中で、直轄事業についてこうした規格外の石が入っておらなかったというようなことから考えてみますと、やはり県の方でその石の購入に際しての採取状況に対するチェックとか、そうした点に私どもとしても問題がなかったとは思いません。青森県からの状況報告を受けまして、こういう事態が起きないよう港湾管理者等を指導いたしたところでありまして、私も大変残念という気持ちで承っております。
  55. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この工事に対しては会計検査院が現地に赴いて実地調査をしたところでございます。したがいまして、会計検査院のその結果についての御説明をお願いしたいと思います。
  56. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 お答え申し上げます。  私ども、昨年十月に青森県に赴きまして実地検査を実施したわけでございますけれども、その問題につきましては、事態を解明するためには非常に研究を要する点が実は二つほどございました。一つは、使用されております材料捨て石品質、それから鉱物の組成の状況とかあるいは風化の状況、こういった使用された資材の品質的なものの状況がどういうふうになっているかという点でございます。それからもう一つは、そういうふうな材料が使われた場合に構造物といたしまして耐久性、安定性にどのような影響が生ずるか、この二点でございます。  その二点につきましては、部外の専門家の万三名に各種の試験調査、分析検討を行っていただくよう依頼を申し上げていたところでございますけれども、三月中にその報告が出そろいましたので、現在、ただいまその内容につきまして詳細に検討をいたしておるところでございます。
  57. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これからずっとあなたに聞きますから、あと何分もないからわきに待っていてください。  この品質構造物の安定性とかいろいろ学者、専門家調査をさせたと言われましたが、その専門家の三名の名前を言ってください。
  58. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 専門家の方に御依頼申し上げたわけでございますけれども先生方はいずれも国立大学の教授をしておられまして、その道の一流の専門家でございます。ただ、御依頼申し上げますときに、本件事案というものが非常に世間の注目を集めた問題にかかわる事項でございます。そうした関係で、できるだけ客観的な立場で厳正な御判断をしていただくということを特にお願い申し上げますとともに、結果については御迷惑をおかけしない、そういう条件で御依頼を申し上げている事情もございますので、本店で具体的な氏名等について申し上げるということは御容赦いただきたいと考えております。
  59. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは本当に不思議な御答弁ですね。例えば御依頼するその時点では、だれに依頼したかわかれば、そこに手が伸びたりいろいろする危険性があるからその人の名前は隠してあげますよ。しかし、試験が終わって結果が出て報告書がつくられる段階で、なぜ隠さなければならぬのですか。隠す必要がどこにあるのですか。そんなことやるからますます疑惑が深まるのですよ。もっとオープンにあなた、考えてくださいよ。私は国会議員ですよ。国民の代表ですよ。それに対して今報告したものについて隠さなければならぬという理由がどこにあるのですか。
  60. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 別に隠す隠さないということを申し上げているわけでございませんで、ただ御依頼申し上げるときにそういうふうな条件で御依頼を申し上げている関係で、この席で私が一方的に先生にお名前を公表するということは信義上いたしかねるわけでございます。専門家の御意向を聞きました上で、もし御了解が得られれば申し上げることにはやぶさかでございませんけれども、そういうふうな鑑定を御依頼したときのいきさつがございます。  それからもう一点、こういった鑑定結果云々ということにつきましては、本件以外にも今後将来同じような事態が生ずることも十分考えられるわけでございます。そういったことも考慮いたしますと、先ほどのような御答弁をせざるを得ないということを御理解いただきたいと思います。
  61. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、今委員長にお見せした写真のとおり、既に土台となっている石が崩れて、その土台の上に構築されたコンクリートの構築物は陥没しておる。そして割れて前の方にずっと入り組んで、その割れ目もそこにきちっと写真におさめてあります。こういう状態なのに何の安定性なのか。会計検査は一体どういう観点でこの調査をやったのか。今度のやり方は非常におかしい、不明朗である。公明正大な態度が少しも見受けられないということは私は非常に遺憾であるという意思を表明して、この質問を終わります。
  62. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 本院の検査姿勢について非常におしかりをいただいたわけでございますけれども、私どもはもちろん、検査をする上におきましては客観的で公正な立場で結論を下したい、そういうことで従来から検査を実施してまいっているところでございます。本件につきましても、したがいましてできるだけ広い立場から多くの資料を集めて、各方面の必要な御鑑定等もいただきまして公正な立場で検査をいたしたい、そういう考えで実施してまいりました。  先生御承知だろうと思うのですけれども捨て石現場と申しますのは非常に多量の捨て石が使われております。その中で一つか二つの石を拾い上げましてそれがどうだから全体としてどうだ、そういうふうな考えにはなかなかまいらないわけでございます。また、初めに結論ありきというふうな立場で検査をするということは、私ども従来からとらないところでございます。そういう意味で、先生先ほどおしかりをいただきましたけれども、私どもとしては公正かつ客観的な立場で検討を下す、そういう考え方で検査を実施しておりますことを特に申し述べさせていただきたいと思います。
  63. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この問題はまた今後追及することにいたしまして、きょうはこれで終わります。どうもありがとうございました。
  64. 堀之内久男

    堀之内委員長 渋沢利久君。
  65. 渋沢利久

    ○渋沢委員 時間がないので簡潔にただしていきます。御答弁の方も御協力をいただきたいと思うのです。  私は米軍の戦闘機からのミサイルの落下問題と東京の地価急騰についてただすのですが、その前に、大蔵大臣が目の前におりますから、これはやはり一つ二つ聞かぬわけにいかぬことがありますね、あなたは税制改正の主役ですから。  売上税の修正論的なものがここのところずっと出ていますね。これはいつ正式にどんな中身で修正を、与党あるいは政府はお決めになったのですか。
  66. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 政府といたしましては、慎重に検討いたしました結果、最善と存じておりますものをただいま国会で御審議を仰いでいるわけでございまして、修正の考えは持っておりません。
  67. 渋沢利久

    ○渋沢委員 そうでしょう。野党も断々固としていかなる修正も応じないということは、もう最初から終始明々白々なんです。連日のようにそのことは明らかになっておるのです。にもかかわらず、選挙のさなかになるとにわかに、もう修正がほぼ決まったような、そういう喧伝がされる。だれが考えたって選挙対策で、この売上税に対する国民の審判をかわそうという、そこのところに目を据えたいつもやる手、中曽根さんらしいやり方というにすぎないのですね。今度の売上税に対する問題というのは、提案された中身のひどさもさることながら、やはり総理の余りにも国民をばかにした政治姿勢に対する不信と税制の中身に対する不満というものとが重なり合って、今のような問題、批判が広がっているわけでしょう。そこへきて、また選挙のためだけのこういう手法が横行するというのは非常に不愉快である、私はそう思うのです。  宮澤さん、きょうは時間がないから多くを言いませんけれども、これはやはり考えてもらわないと、こんな小手先のテクニック、地方議会や首長が売上税について多少の言い方をすることは黙認すると戦術転換をしてみたり、選挙が終わるまでは手段を選ばないこの種のやり方は、中曽根さんになってから余りにも際立っているのですよ。あなたも多分大変御尊敬になっておられるであろう鈴木善幸元総理が、みずからの予算委員会での財政再建に対する言葉、言明に責任をとって、健康でいらっしゃるのにあっという雰囲気の中でおやめになっている。みずからの言葉に責任を持つ政治家の生きざまを我々は忘れないですよ。そうでしょう。大平さんは選挙に不利だとわかっていて、堂々と一般消費税について国の財政のためにはかくあるべしということを述べた。そうしてこれが中曽根総理の言う王道の政治だ、ある意味では。ところが、言葉ではそういうことをもてあそぶけれども、やることはまるで違うことが見えて見えて見え透いて、国民はもうだまされません、こういう状況になっているのですよ。総裁レースを競うあなたとして、こんなやりざまはやはりちょっと考え直してもらわぬといかぬ。いかが思いますか、一言言ってください。
  68. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、政府といたしましては修正といったようなことを考えておりません。
  69. 渋沢利久

    ○渋沢委員 あしたあなたはG7に行かれる。あしたではない、八日か。伝えられるところによると、そこであした総合経済政策の基本方針を決める。いわばそれを踏まえてアメリカの財務長官との会談等も予定されておる。安倍さんが行き総理が行くというような一連のスケジュールを政府の側で組んでおられるようだけれども、その総合経済政策の基本方針というのはあした決めるというのだが、どういうことですか。
  70. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま六十二年度の予算を国会で御審議していただいている段階でございますので、予算が成立いたしましたならば速やかにそれを執行いたしまして、またその後の事態についてもいろいろその時点で判断をいたさなければならないと政府としては考えておるわけでございますけれども、予算を御審議いただいておるただいまの段階で、そのようなことをあれこれ政府として申しますのは不謹慎のそしりを免れないと考えておりまして、自由民主党としては予算成立後の事態をいろいろ検討中であるということでございます。
  71. 渋沢利久

    ○渋沢委員 予算成立後という表の話は別として、実際はいわゆる伝えられる総合経済政策というものをきちっと決める。少なくとも訪米前にそれを決めるという方針で作業が進んでいることは事実でしょう。それは党に総理は作業を命じたというのだが、まさか党の案を持って総理が外国へ行くという話でもありますまい。これは閣議に、政府の方針にしようということなんだ。予算の趣旨や性格と全く無縁なといいますか、違った形のものが伝えられておりますな。積極財政への転換、内需拡大に向けて大胆な転換、前倒し、大型補正。細かいことは、おっしゃるとおり、今言える立場じゃないという趣旨の話だが、しかしそういう方向で準備が進められていることは否定なさいませんね。これは事実ですね。
  72. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 例えば昨年の例で申しますと、予算成立後に公共事業の大幅な前倒し等々をさせていただいたわけでございますが、党におきましても当然そういうことを検討しておるに間違いございません。  ただ、今閣議云々と言われましたけれども、政府といたしましてそのようなことを閣議決定をしてやり得る段階ではないわけでございます。
  73. 渋沢利久

    ○渋沢委員 これ以上聞きませんが、もう一つちょっと聞いておきたい。  大蔵大臣、協調介入で百五十円の線が守れなかった。これは重大な事態だ。日銀総裁が慌てて、いや、その後の推移を見ればドルの暴落とはいえないなんと言ってみても、日本の政府に対する不信感といいますか、これは抜きがたいものですよ。一体どうするつもりですか。
  74. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 二月二十二日の各国による共同声明の中で「為替レートを当面の水準の周辺に安定させる」ということを決定しておるわけでございますが、今回の事態はまさにこの声明に申しますような事態であるという判断から、我が国初め米国等々かなり大幅な、しかも共同の介入をいたしておるわけでございます。  このたび、再度先進七カ国の会合がございます。この二月二十二日の声明の趣旨を、当然のことでありますが再確認をいたし、共同の行動を必要があれば続ける、こういうことになろうかと思います。
  75. 渋沢利久

    ○渋沢委員 とにかく深刻な事態ですね。大蔵大臣、この円高対策を、大きな思い切った政策の選択を絞って一つ、政策の展開はこれしかない、一つと言えば何ですか、二つと言えば何ですか。
  76. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 やはり我が国といたしましては、過去数年間にかなり過度の輸出依存体質になっておりますから、それを改めつつ内需の振興を図っていくということが最も緊要であると存ぜられます。その一番の、今さしずめ私どもとしていたしたいと考えておりますのは予算の速やかな執行でございますので、何とぞ早期に予算が成立するようにあらゆる努力をいたし、また念願をいたしておるわけでございます。
  77. 渋沢利久

    ○渋沢委員 この部分の議論をしてもしようがないからやめますが、全く内需拡大に背を向けた予算なんですね。中曽根政策というのはまさにそういうことなんですね、行革という名のデフレ政策。冷ますようなことばかりずっとやってきているわけですよ。まさに円高の根源はそこにあるわけです。完全に行き詰まりましたね。円高が象徴していると思いますよ。この今までの緊縮路線の行き詰まりというのはいまや明々白々。まさに大胆な、野党が早くから長く執拗に強調しておったように内需拡大、輸出依存型の政策を抜け出て、内需振興型に大転換が必要だということは野党は一斉に言い続けてきている。しかし、まさに今度の予算もそうだけれども、マイナスシーリング、売上税と、冷ますような政策ばかりやって、内需拡大に背中を向ける予算と政策をやってきて、それが行き詰まりでしょう、今の貿易摩擦にしても円高にしても。やはり大変な瀬戸際に来ておる。もう旗をおろさなければいけませんね。今おろしかけて、それを目立たないように責任転嫁を上手にやりながら、転嫁は税制の面でも上手だけれども、転嫁政策をやろうとしている、こういうことだろうと思うのです。もう議論はやめますが、大蔵大臣、これは非常に、決算委員会ですが、今までの中曽根内閣の施策というのはいろいろな意味で行き詰まってきているということを言うほかないと思うのであります。  そこで、本題でありますミサイルのことについてこれからちょっと幾つかお尋ねをしたいというふうに思います。これは外務大臣と防衛庁の長官にお尋ねすることになるわけであります。  空からミサイルが舞いおりる恐怖だというのですね。大変なことだと思うのです。しかも、いつこんな事態が起きてくるかわからない。あり得るはずがない、こう言っておったものが現に起こっている。こういう事実の前に、国民は非常に心配している。基地周辺の国民の不安はさることながら、全日本の国民にとってこれは大変な心配の種であります。まず、いつ、どこに、どうして、何が落ちたのか、それから、それへの対応、例えばその確認、被害、回収等々、ひとつ今明確に政府がわかっている事情を、事実を説明していただきたい。
  78. 倉成正

    ○倉成国務大臣 本件につきましては、四月三日午前、米側より、同日午前十時ごろ岩国飛行場北北東約八十キロの地点において、岩国海兵隊所属の戦闘機F4ファントムが同飛行場に帰投中、何らかの事故によりミサイルのとめ金が外れ、ミサイルが機体から落下した旨の連絡を受けました。米側よりはさらに、当該ミサイルについては依然危険性があることは排除されないが、起爆装置を作動させていないので、通常は爆発しない旨の説明を受けております。まあ当該ミサイルから五十メーター以上離れておれば大体問題はない、こういう説明でございます。  したがいまして、現在関係当局、地元警察、防衛施設庁、米軍において落下したミサイルの捜索が行われておるとともに、米側において原因究明の調査が行われると承知しております。  外務省といたしましては、今後とも事故原因と事実関係の把握に努め、適切に対処してまいる所存でございます。
  79. 渋沢利久

    ○渋沢委員 被害はあるのですか、ないのですか。伝えられるところによると、大変な振動で、家のガラスも吹き飛んだというようなことも伝わっておる。被害はないのですか。
  80. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 お答えいたします。  ただいま外務大臣からお話がございましたように、落ちたということは事実でございますが、どこへ落ちたのか、どんなふうに落ちたのか、これはわかっていないわけでございます。今捜しております。したがいまして、被害もあるかもしれませんが、そこのところは定かでございません。今捜査をいたしておりますから、落下物が発見できますれば、あるいは山中かもしれませんし、あるいはどこかわからないのでございますけれども、立ち木等の被害があることもあり得るかと思います。
  81. 渋沢利久

    ○渋沢委員 今日この時間でも、どこへ落ちたかわからぬというのはどういうことですか。しかも、一般論としては爆発はないと思う。なければ、山中であればその危険も被害も推定できるが、しかし状況によってはその被害なりもわからぬ。爆発の危険性、可能性も一〇〇%否定し得るものではない。これは大変な事態ではありませんか。しかし、いまだにわからぬ。その発見に当たって、どこがどういう調査をやっているのですか。
  82. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 捜索は警察、米軍及び自衛隊の三者でやっております。
  83. 渋沢利久

    ○渋沢委員 これはもう既にいろいろ言われておりますが、まず事故発生の時間、それから防衛庁に米軍から連絡のあった時間、防衛庁が現地に知らせたというか外に明らかにしたというか、この時間、非常にずれがあるのですね。これはちょっと正確に言ってください。何時に落ちたという連絡があったのか、そして実際に落ちた時間と防衛庁に連絡のあった時間、それから防衛庁は何のために現地や外に知らせることに時間を必要としたのか。
  84. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 事故が起こりました時間は九時四十五分ごろというふうに聞いております。私どものところに一番最初に連絡が入りましたのが十一時少し前かと思います。それは、連絡を受けまして、どんな飛行機がどこで何を落としたのか、それがわかりませんことには情報にもなりませんものですから、その情報収集をいたしまして、私のところに報告がございましたのが大体お昼ごろでございました。当日は午後二時から私のところの部長が記者会見をする予定でございましたので、そのときまで集め得る情報を整理いたしまして、午後二時に記者の諸兄にお話を申し上げた、こういうことでございます。
  85. 渋沢利久

    ○渋沢委員 これは、推定され、また伝えられているところでは、米韓合同演習の帰路、ミサイルを搭載した戦闘機が岩国の基地に帰る途中の事故だと言われている。それ以外には推定しがたい。その飛行目的というのは聞いておりますか。それから、この種の米軍戦闘機の国内飛行の行動というのは事前にも事後にもわかるようになっているのですか。
  86. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 本件の飛行機は訓練の帰途であるというふうには聞いておりますけれども、米軍の運用の詳細一々については、日本政府として承知する立場にないということでございます。
  87. 渋沢利久

    ○渋沢委員 このF4Sファントム戦闘機が搭載しているスパローというのは、自衛隊も同じ機能のものを持っているというふうに言われているが、そうですか。そうであろうとなかろうと、起こるべきでないこういう事故が起きるということに絡んで、自衛隊についても今保有しているものについての見直しというか再点検というのは当然おやりになってしかるべきものだと思うのです。去年たしか百里の暴発事故というのがありましたね。あれは外へ出なくて被害もなかったから幸いなことだったけれども、あれをつくっているアメリカのメーカーの製造ミスだということが明らかになっている。ですから、これは大変なことです。総点検が必要なんじゃないですか。自衛隊はどういう対応をしようとしているのですか、あるいは大臣はこのことについてどうお考えですか。
  88. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 お答え申し上げます。  現在航空自衛隊が持っておりますスパローミサイルでございますが、これは二つタイプがございまして、一つがF4周といたしましてAIMの7Eというタイプでございます。もう一つはF15用でございましてAIMの7Fというタイプでございます。今回事故を起こしました米軍機がどのようなタイプのスパローミサイルを搭載しておったか承知しておらぬという状況でございまして、現在米軍に対して事実関係確認に努めているところでございます。  なお、点検の必要性につきましては、何よりもまず事実関係、原因の究明が不可欠でございますので、それを承知した上で、もし必要があれば点検ということも考えてみたいというふうに考えておる次第でございます。
  89. 渋沢利久

    ○渋沢委員 時間がないので、外務大臣並びに防衛庁長官にただしますが、三日の朝九時過ぎに落下して、いまだにどんなものがどこへ落ちたかすらわからない。捜しているけれども見つからない。まず爆発はないと思うけれどもその危険性が一〇〇%ないというわけでもない。これは大変な事態である。こういう状況の中で急がなければならぬことは、その状況です。なぜこんな事故が起きたのかという原因の究明です。そして、二度とこういうことの起きないようにどう担保するか、これは政府の重大な責任です。こんなことでは心配で基地周辺の国民はどうしようもありません。大変な問題でしょう。しかも、いまだに知らされない。恐らく米軍の知っていることをなかなか教えてこないということもあるだろうと思うのです。まして、米韓の合同演習の帰りだなんということになると、ぞっとするじゃないですか。この間も北朝鮮の金日成氏が暗殺されたという一方的な情報が入ってきて国が動くというような、薄氷の上を歩くような非常に危険な状況の中で、しかも合同の軍事訓練が行われている、日本の基地がそれに利用されている、この構造の中でこういう事故が起こるということは非常に心配な状況です。このようなことが再発しない保証、対策を速やかに米軍に対して申し入れ、責任のある対応をしてもらわなければならぬ、それが政府の責任だと思う。外務大臣と防衛庁長官所見を承りたい。
  90. 倉成正

    ○倉成国務大臣 ただいまの委員のお話はまことにごもっともでございます。私もテレビで拝見したばかりでございますけれども、地元の警察関係その他相当大勢の方たちが一生懸命捜しているけれども、まだ現物を発見できないという状況のようでございます。しかしながら、外務省といたしましては、本件の発生後米側からの通知を受けますと同時に、直ちに米側に対しまして、原因の究明を図るとともに再発防止及び安全確保に万全を期するよう口頭で申し入れたところでございます。  いずれにしましても、原因の究明、そしてまたこのミサイルの早期発見ということが第一の要件であろうかと思いますので、この件について最善を尽くしたいと存ずる次第でございます。
  91. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 今外務大臣からもお答えがありましたが、防衛庁といたしましても、米軍に対して、原因の究明、事故の再発防止ということについて可及的速やかにやってもらいたいと強く申し入れてあります。
  92. 渋沢利久

    ○渋沢委員 時間がありませんので、急激な地価の高騰に係る部分について、国土庁と大蔵大臣に簡単に一、二点尋ねます。  国土庁が明らかにしたように、この一年間の全国の地価上昇率が平均七・七%。前年が二・六%ですから大変なことです。東京は住宅、商業地含めて七六%、四十八年の列島改造ブームの狂乱地価を上回る史上最高の急騰を示しておる。こういう中で、去年の調査で最高の数値を示した三カ所の地点を国土庁が無理やり変更させておる。これはどういうことなんです。少なくとも、どんな場合でも継続性があって、同じ地点がどう変わっていくのかを毎年見なければ意味がない。ところが、去年やって一、二、三位の東京のどえらい上がっている地点を、ことし当然やると思っておったところが、原案ではやるようになっておったが、ことしのその上から三つを外させておる。これは新聞でも明らかになっておる。なぜそんなことをしたのか。それが一つ。  それから、大蔵大臣、もう時間がないので言いませんが、こういう東京の急騰の中で国有地の払い下げが行われた。いわゆる中曽根民活、総理の一言で、財政再建に寄与するために国公有地の払い下げがどんどん都心で行われてきました。一たん民間のデベロッパーに渡ったらもう戻るものではないんだ。東京を人間の住める町にしようという発想からいうと、まるで逆立ちをしたやり方がやられておる。地価急騰に国有地の払い下げの果たした役割は非常に大きい。このことについてどう考えるか。  この二点だけ尋ねて終わります。
  93. 田村嘉朗

    田村政府委員 地価公示地点の御質問でございますけれども先生御案内のように、地価公示の標準地につきましては、土地取引に際しまして目安を提供する、こういう目的で効率的な配置を心がけているわけでございます。  東京都について申しますと、今回は、地価高騰状況にかんがみまして、次のような観点から選定がえを行ったわけでございます。  一つは、土地取引がほとんど行われていない状態の高度商業地の標準地の合理化を行いまして、土地取引の目安の提供の必要度の高い地域への重点配置を行ったわけでございます。銀座、新宿、渋谷等の昨年の最高価格の標準地が選定がえをいたしましたのは、こういった理由からでございます。  さらにまた、三大都市圏におきましては、現況林地の標準地二百ポイントのうち五十ポイントを都区内に配置がえをいたしましたので、そういった関係で、すべての標準地について、効率的な配置の観点から選定がえを行ったというような状況がございます。
  94. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 国有地の処分につきましては、公共用の用途を大事に考えることはもとよりでございますが、それでないものにつきましては、会計法令が定めますように一般競争入札をいたしております。これは国民の財産でございますので当然のことであると存じますが、競争入札によりまして、したがって、価格はいわば公開の市場で形成されておるものと考えるわけでございます。いわゆる実需の価格である。ただ、御指摘のように投機的なことになりましてはこれは断じてなりませんので、五年間の転売禁止、地価高騰地域につきましては十年間という厳しい制限をつけております。
  95. 渋沢利久

    ○渋沢委員 終わります。     —————————————
  96. 堀之内久男

    堀之内委員長 この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として蚕糸砂糖類価格安定事業団理事長二瓶博君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 堀之内久男

    堀之内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  98. 堀之内久男

    堀之内委員長 草川昭三君。
  99. 草川昭三

    ○草川委員 公明党・国民会議の草川であります。  私は、昨年来六回にわたりまして、蚕糸価格政策並びに生糸、乾繭の各取引所における違法行為について、質問主意書で政府の見解をただしてまいりました。その上に立って一歩進んだ質問をきょうはさせていただこう、こう思います。  まず、蚕糸砂糖類価格安定事業団、以下事業団と申し上げますが、事業団からおいで願っておりますので、事業団の在庫処理について具体的な見通し、そしてまた長期借入金、欠損金の総額をお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、上草委員長代理着席〕
  100. 二瓶博

    ○二瓶参考人 お答え申し上げます。  現在事業団におきまして、この三月末に十五万二千七百四俵の在庫がございます。借入金の方は、総額二千百五十二億三千二百万円に相なっております。  それで、事業団といたしましては、このような在庫を極力減らしていきたいという考えを持っております。ただ、事業団の売り渡しにつきましては、安定帯の中に糸価をおさめるということを目的にいたしております。そういう繭糸価格安定制度という制度の枠組みの中で極力在庫を減らしていきたいということでございます。  なお、借入金の方につきましては、こういう売却代金を充てるということで考えますが、売買差損等が出ますので、これらの面につきましては国からの損失補てん交付金の交付を受けるというようなことによりまして借入金の返済の方も円滑に進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  101. 草川昭三

    ○草川委員 外務省にお伺いいたします。  二国間協定に基づく対中国との生糸の取引についての未履行分というのが現在約一万二千五百俵あると聞きます。これは六十年度分であります。それから韓国の方についても、やはり六十年度分だと思いますが、一万二千五百俵残っていると思います。さらに、六十一年度分の交渉というのが今後行われるのではないかと思いますが、その間の事情について簡潔に御答弁を願いたいと思います。
  102. 谷野作太郎

    谷野(作)政府委員 お答えいたします。  仰せのようにまず中国についてでございますけれども、農水省から伺いましたところによりますと、六十年十一月、東京におきます日中間の協議におきまして合意されました五十九、六十両年度分の生糸の輸入数量が一万七千五百俵でございまして、そのうち五千俵につきまして発注済みになっておる由でございます。したがいまして、残り一万二千五百俵が輸入の積み残しになっております。  それから、いずれ中国と六十一年度分につきまして協議の段取りとなっておりますけれども、現在私どもは現地の大使館を通じまして具体的な協議の日程について調整中でございますが、いずれ近々、できますれば今月じゅうにも中国と協議をいたす運びになろうかと思います。いずれにいたしましても、先生も御承知のとおりでございますけれども、中国は、本件生糸は伝統的な対日輸出商品であるということで、日本への輸出に大変な関心を持っておるということでございます。  それから韓国につきましてでございますが、これにつきましても、仰せのように一万二千五百俵全量が実は五十九年度、六十年度年度分について輸入積み残しになっております。これが輸入につきましていろいろ農水省においても御努力中であるやに伺っております。六十一年度の協議を、これもまた中国に合わせていたさなければなりませんけれども、現在中国の日程をもにらみ合わせまして、韓国といずれ近いうちに交渉を持つべく先方と協議中でございます。
  103. 草川昭三

    ○草川委員 今の御答弁にありましたように、中国側、韓国側はそれぞれ六十年度分の積み残しがあるわけでありますし、六十一年度の交渉をしてもらいたいという強い要望があります。でございますから、それは事業団の方から答弁がありました十五万俵をさらに上乗せをしなければいけないという非常に厳しい状況になってくる、こう思うのですね。ですから、そういう上に立って在庫処理を速やかにということを言っておられますが、基本的に非常にお金が要る問題になってきますから、これは深刻な事態になる、こういうことを一番最初に申し上げておかなければいかぬと思うのです。  ところで、今度はまた事業団の方に話が戻りますが、事業団が抱えているところの在庫にカビ糸が発生をした、こういう事件があるわけです。どうしてカビ糸が発生したかわかりませんし、その発生をしたメーカーはもう倒産をしておるわけですから、そこに責任を追及するということも問題があると思うのでございますけれども、とにかくカビ糸が発生をしたから事業団はそれを売却をするということがあったわけです。その売却は五百十二俵ですからわずかではございますけれども、我々が試算をいたしますと、一万四千円時代に購入をした糸、そういうことでございますから、それと倉敷料等計算しますと、それだけでも約五億円ぐらいの損失になると思うのですが、これは六千五百円から八千五百円ぐらいの間の価格で特定の業者に売り渡したということが、この質問主意書のやりとりの中で政府の方から答えられております。  そこで、ここで私がきょう聞きたいのは、問題のカビ糸の売り渡しをする場合に、カビ糸であるかないかの検査は、ことしの一月十二日から十四日の間に神戸の指定倉庫でやられたというように聞いておりますが、そうでございますか。
  104. 二瓶博

    ○二瓶参考人 お答え申し上げます。  先生のおっしゃるとおり、神戸生糸検査所におきまして、一月の末に内容閲覧という形におきまして調査をいたしました。
  105. 草川昭三

    ○草川委員 それで、そのときに売り渡し予定価格の検討をされたのですかどうですか、お伺いいたします。
  106. 二瓶博

    ○二瓶参考人 内容を閲覧をしまして、カビの全然出ていないものもありましたけれども、五百十二俵につきまして、程度の差はいろいろございますが、カビが出ておったわけでございます。その後これを売り渡すということにいたしまするとどういう評価をしたらいいのか、そういう面につきまして専門家の方、生糸の流通等について造詣の深い方々等の意見を伺ったわけでございます。
  107. 草川昭三

    ○草川委員 そのときのカビ糸の状況を検査をした担当者はどのようなメンバーでございますか。私の方から申し上げてもいいのでございますけれども、事業団の社員とその他、これは答弁書にも書いてありますけれども、流通業者、学者、こう言っておりますが、それに間違いはございませんか。
  108. 二瓶博

    ○二瓶参考人 事業団の職員のほかに、先生からお話ございましたように、品質評価について学識経験があるというふうに思った方々、これは五名ほどお願いをいたしました。三共生興の荒川さんという方、それから松村株式会社の佐々木さん、それから丸八生糸の塩尻さん、元神戸生糸検査所の西本さん、元神戸農林規格検査所の加茂さんというこの五名の方を品質評価委員として、検討をいただいたわけでございます。
  109. 草川昭三

    ○草川委員 そこで私が実は聞きたいのは、事業団は慎重な意味で学者だとかあるいは検査所のOBだとか、いろんな方を入れるのは結構なんですけれども、今お話がありましたように松村、丸八という、糸商というのですか、そういう業界の方を含めて、そのカビ糸のいわゆる中身を見せて、そして予定価格の検討をしておるわけでありますね。ところが、これはおかしいのでございますが、もう一回前へ戻りますが、カビ糸を七社に特定をして売り渡しておるわけですが、その特定をした七社の中に、特にこれは大手でありますが、松村と丸八というのが入っておるのではないですか、お答えを願いたいと思います。
  110. 二瓶博

    ○二瓶参考人 お答え申し上げます。  七社の中に入っております。
  111. 草川昭三

    ○草川委員 でございますから、そうすると特定の業者の七つの会社にそのカビ糸を安く売るわけですよね。これはいい。事実です。安く売るわけです。ところがカビ糸ですから、それはどの程度品質がいいのか悪いのかを専門家に相談をする。その専門家の中に、当該の指定する七社の代表する業者が二人入っているということは、それは公平ではないと思うのですね。明らかにこれは業者と癒着をしておると言われても仕方がないと思うのですが、その点はどうですか。
  112. 二瓶博

    ○二瓶参考人 お答え申し上げます。  生糸の流通関係専門家ということになりますと、どうしてもそういう流通業界で相当の経験を踏んだ方ということがやはり学識経験豊かということにもなりますので、そういう者だけでどうということは困るので、検査所のOBの方とかいう者も入れまして、今申し上げました丸八の方なども入ってもらったわけでございます。  なお、この評価委員の意見といいますものは、当然これは予定価格を国で決めます際の参考ということでございまして、あくまで決めますのはこれは事業団の方で予定価格を決める、こういうことでございます。
  113. 草川昭三

    ○草川委員 それは当たり前ですよ。その決定権を事業団が持つのは当たり前ですが、事業団というのは長い間の歴史があるわけですし、専門家の方々がそれぞれいるわけでしょう。そのカビ糸の品質管理をわざわざその売る相手の意見を聞きながら評価をするなんというのは、恐らくほかの省庁ではやってないと思うのですよ。事業団といったって国ですから、国が買い上げる、在庫を放出する。売り先の相手に、この品物の品質はどの程度ですか、そんな意見を聞かなければならないようなお粗末な事業団なら私はない方がいいと思うのですよ。そんなことはほかの省庁では通りませんよ。これは後ほど農林水産省の関係の方々にもお伺いしますけれども、いろいろな国の買い入れる物の売り方については、私は法律に違反しているのじゃないかと思うのです。  今も、それは何とか委員会、何とか委員会と言っておりますが、そんな委員会なら幾らでもいるわけですよ。ところが、何回か言いますけれども、購入者をあらかじめ呼ぶということは、その購入者はいずれにしてもその品質の中身がわかるわけですから、買う場合に有利じゃないですか。明らかに私は差別だと思うのです。その点についてもう一度、思うか思わないのか、正しいと思ってやっておみえになるのか、反省すべき余地はあるのかないのか、お伺いしたいと思います。
  114. 二瓶博

    ○二瓶参考人 カビ糸の品質の評価ということで、その道の専門の方ということで五名の方にお願いをしたわけでございます。その後予定価格を決めまして、今度売る段になりましてどういう売り方をするかということで、七名の方を最後のときに選ぶことになったわけですが、これにつきましては、事業団が直に選ぶということは望ましいことではないということで、日本間屋協会、こちらから具体的に推薦をいただいたその七社を売り渡し相手方としたということでございまして、初めから丸八とかそういうところをこちらが予定していたというものではございません。一番適当なところを日本間屋協会というところで七社ほど推薦をしてもらいたいと言った中に入ってきた、こういうことでございます。
  115. 草川昭三

    ○草川委員 今の答弁は売り渡し先の話なんですよ。私は、その価格、品質を相談するのにどうして売り渡し先のメンバーを入れるのか、それはおかしく思いませんか、こう聞いておるわけです。  時間がないので、これはまた別の機会にお伺いをするといたしまして、問題は、引き受けた七社のうちの二社が事前に相談に乗っているという問題でございますけれども、そのうちの一番大手の松村という社は、昨年来買い仕手、いわゆる先物取引市場で仕手戦が行われておるわけですが、その仕手が独占的に約半年の間買い占めた。ほかの人は全然買っていない。その買い占めた品物を期末に自分が引き受けて、引き受けたってそれは仕手の会社ですからどうしようもありませんね、いわゆる実需者じゃないわけですから。その業者が今言った一社に生糸の売りさばきを頼む。これが全国的に市場を確保するために独占的に買い支えた品物を売って業界から大変ひんしゅくを受けたという歴史があるわけですよ。そういう業者になぜ事業団が特別な配慮をしなければいけないのか、特別の配慮をするには多くの疑問点がある、こう今言われているわけであります。私が申し上げたいのはたくさんあるのでございますけれども、少し問題を進めるために、問題があるということだけを提起をしておきます。  そこで、さらに私は今から申し上げますが、一月の二十二日でありますけれども、事業団は神戸の事務所で先ほどの説明会を開いて七社を呼ぶわけです。七社を呼んで説明会をやるわけです。ところが、カビ糸の売り渡しについては秘密にしてほしいという要請をし、さらに撚糸の加工以前に転売を禁じますよという念書をとったというのですが、その点はどのようにお考えになられますか。
  116. 二瓶博

    ○二瓶参考人 お答え申し上げます。  カビ糸の売り渡しの問題について、秘密にしてほしいというようなことを申し上げたことはございません。  それから、念書の話につきましては、カビ糸が一般的な正常な糸と混同して流通するということは非常に市場を混乱させますので、撚糸加工をした後に先染めの産地、ここでもって確実に消費をしてもらうということで、そういう趣旨の念書といいますか届け出というものを出してもらいたいということでいろいろ話をしたということは事実でございます。
  117. 草川昭三

    ○草川委員 秘密にして実はその七社だけで売り渡そうとしたんですよ。ところが、実際そういう話が漏れて、転売を禁止をするという念書、届け出があったにもかかわらず、全国からおかしいじゃないかという声があって、百十何社ですかの連中が、私にも分けてくれよ、そんなに安く分けるなら私も欲しいよと言ってきて収拾がつかなくなったんですよ。そこで、その百十何社を呼んで抽せんをやって、五十数社に渡したんでしょう。そういう経過があるんじゃないですか。
  118. 二瓶博

    ○二瓶参考人 お答え申し上げます。  事業団が七社に五百十二俵を売却をいたしました。ところが、先ほども申し上げましたように、これはカビ糸の性格からいたしまして、先染め織物業に使ってもらうという、それが適当だろうということで先染め産地の最大の産地、これは何といいましても京都の西陣でございますので、そちらで消費してもらうことを前提に流通業者七社に売ったわけでございます。ところが、西陣織の工業組合、今度は機屋さんの工業組合の方で、西陣だけと言われますと西陣織のイメージダウンになるということを危惧されまして、うちだけでは困る、うちのほか、その他の先染め産地ならということになりまして、七社の方で事業団から買ったものの西陣の方で売りさばけないという事態に実はなったわけでございます。そこで、日本間屋協会、この七社も問屋協会に入っておりますが、日本間屋協会の方で、その七社のところに行きました五百十二俵を今度は日本間屋協会の会員の中、先染め産地を中心にしたそういうところで譲り渡しのあっせんをやってもらいたいということでお願いをしまして、その抽せん会を日本間屋協会が行いまして、五十三社の方にこの七社の方から譲り渡した、こういう経緯でございます。
  119. 草川昭三

    ○草川委員 今事業団の理事長は結果だけを言っておるのですよ。私が言っておるのは、その経過を聞いているのです。なぜそういう結果が生まれる経過が行われたのかという質問をしておるのに対して、全然御説明がないわけですよ。とにかく安く入るわけですから、みんながわっと寄ってきたわけですよ。それは何にしても七社だけでは——品質上おかしいとかという意味じゃないのです、先染めですから。糸を先に染めるわけですから、全国の連中が手を挙げるのは当たり前ですよ。それがばれたわけです。だから、全国の人に抽せんて渡さざるを得なかった。公開入札でも何でもない。しかも、おたくの方はカビ糸の念書というのをとっているんですよ。その念書の原稿を業者に渡したんでしょう。私は、この写しをここに持っているのですよ。念書と書いてあるのです。蚕糸砂糖類事業団にこういう文書を書きなさいよ。最後のところには、「委託の契約を拒否されても異議は申し述べません。」これに違反をした場合は今後契約を拒否されても異議は申し述べません、という念書があるんですよ。私が、念書があるのじゃないかという質問主意書を出したら、念書ではなくて届け出があったものと聞くというのが農林省の答弁なんですよ。おたくの方はうそを言っているのじゃないでしょうね。念書でしょう、原稿を渡したのは。どこでそれが届け出にすりかわったのですか、お答え願いたいと思います。
  120. 二瓶博

    ○二瓶参考人 一応念書という形で業者の方々ともお話をしましたが、これは概念的に言って一種の届け出といいますか、両方で協議した上で合意した届け出という表現でも差し支えないのではないかと思います。私たちの原案といいますか、一応の形としては念書という書き方で向うに提示しました。
  121. 草川昭三

    ○草川委員 だから、今私が言っている念書で業界に渡しているということはお認めになった。ところが質問主意書では、この質問主意書の答弁というのは総理大臣の答弁ですよ。念書があるのじゃないですかと私は聞いた。そしたら総理大臣は、いや届け出があったものと聞くと農林省は答えておるという総理からの答弁ですからね。質問主意書というのは閣議で決められるわけでしょう。内閣法制局の御審議もあるわけでしょう。今のようなやりとりを聞いていると、私は、事業団なり農水省の態度というのは非常に疑問がありますね。疑問というよりも疑惑が生まれできますね。私は非常に残念です。またこの点については、きょうはもうその種の時間がございませんので、問題があるということだけでこれは打ち切っておきましょう。  そこで、一回会計検査院にお伺いをいたしますけれども、会計検査院の検査報告は、特記事項として蚕糸価格安定制度についてはいろいろと何回か問題提起をしておると思うのです。それで、これで十分な改善がなされていると思うのですかね、今のような私のやりとりを聞いておっていただいて。その点どのように御判断になられますか。
  122. 吉田文毅

    吉田会計検査院説明員 お答えいたします。  繭糸価格の安定制度につきましては、五十八年度の決算検査報告におきまして「特に掲記を要すると認めた事項」といたしまして報告したところでございます。その後農林水産省におきましては、制度の改善を行われたりしておりまして、この対応がなされてきていると考えておりますけれども、今後におきましても本制度の運用につきましては十分な関心を持って対処してまいりたい、このように思っているところでございます。  以上でございます。
  123. 草川昭三

    ○草川委員 この際ですから検査院にもう一つお伺いしますが、今のカビ糸の発生なんですけれども、この事業団の保管をしておる生糸の中でカビ糸が発生をした、そして売却をした。今のようなさまざまな疑問があるわけでありますし、疑惑を生ずるような契約が現実に行われている。検査院はこの点についてもっと厳重な検査を行うべきであると思うのですが、その点はどうですか。
  124. 吉田文毅

    吉田会計検査院説明員 お答えいたします。  カビ発生生糸の売却の件につきましては、会計検査院といたしましても関心を持っているところでございます。したがいまして、今後の検査におきまして、カビの発生の原因、それから生糸の保管、管理の状況、それから売却方法等につきましても十分調査し検討してまいりたい、このように思っております。
  125. 草川昭三

    ○草川委員 ちょっとここで農林大臣なり農水省の担当の局長、どちらでもいいのですが、お答えを願いたいのです。  今検査院からこういう答弁がありましたね。今のそういう答弁で、改めて先ほど来から私が言っておりますように、念書というものがある。この念書の中には明らかに転売禁止という念書があり、それが上がってきておるわけです。それをおたくの方は質問主意書では届け出だと言っておるわけですが、届け出であろうと念書であろうと、転売禁止、そしてそれに違反をした場合には今後の契約についてはいかような処分があっても甘んじて受けるというような趣旨の文書があるわけですね。「拒否されても異議は申し述べません。」こういうことになっておるのですが、この七社は明らかに転売したわけですからね。こういう念書があるにもかかわらず、日間協ですか、問屋協会の連中のいろんな声があってすぐ転売したわけでしょう、キロ当たり二百数十円の価格をオンして転売をしておるわけですから。明らかにこれに違反しておると思うのですが、その点はどのようにお考えになられますか。これは事業団でなくて監督官庁の意見を聞きたいと思います。
  126. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 ただいま先生から念書の問題ということでお話しになりました。この点について質問主意書に対する回答でございますが、念書は事業団と生糸流通業者の協議の上提出されたものである。またこの念書の内容は、契約の条件ではなく、事業団が売り渡した後の生糸の処分に関する指導に属する性格を有している、こういうお答えをさせていただいているところでございます。  このカビ糸につきます経過等につきましては、先ほど事業団の理事長からお話を申し上げたところでございまして、当初、先生おっしゃるようなこのカビ糸の異例と思われるようなものにつきまして、独自の事業団の過去の歴史の中にもございませんことでございましたので、そういう形で特定の業者の中に売り渡しをする、こういうことで行ったわけでございまして、その後、先ほど理事長からお話をお聞きのとおりでございまして、そういう形においてこの処分がなされたということでございます。そういうことでございますので、私どもの回答は先ほど読ませていただきましたが、念書ということではございますけれども、生糸の処分に関する指導に属する性格を有しているというふうにお答えしたところでございます。
  127. 草川昭三

    ○草川委員 そういう答弁を聞きますと、ますます念書の性格、一体何のために念書をとるのですかということですね。常識的にはこの文章を読めば転売禁止だ。今のお話だと、質問主意書の答弁にもありますように、それは契約の条件ではない。では条件でなければこんなものとる必要はないのですよ。フリーでいいわけですよ。だからそれは我々がおかしいじゃないか、おかしいじゃないかと言うと、そうではない、ああではないといって逃げてくるわけですよ。  もう一つ、新規用途の売り渡しの場合も同じような念書をとっておりますね。新規用途というのは、新しく業界の方がネッカチーフだとかハンカチーフとかそういうものをつくるということを条件に、事業団から安く材料であるところの生糸を売り渡してほしいというようなことになっておるわけですが、この場合も、必ず生糸はそのまま製造しなさいよ、それを転売してはだめですよ、特別な承認を受けた場合に限って交換をします、違反をした場合はいかなる処分を受けても異議は申し立てませんというような、これもいわゆる誓約書のような念書、きちっと言葉では念書と書いてあるわけでありますけれども、そういうものをとってやっておるようでありますけれども、現実にはそうではないということが言われておりまして、非常に簡単に関係者の方々のところを回って判をついて届けておるというようなのが実態になっておるわけであります。  そういうことについて、これも最後になりますけれども検査院にお伺いをしますが、このような新規用途の売り渡し、非常に安く生糸を払い下げをするわけでありますから、これの運用についても非常に厳しくしなければいけないと思っておりますけれども検査院ではその運用が内規に従ってきちっと行われているものかどうかお伺いをしたい、こう思います。
  128. 吉田文毅

    吉田会計検査院説明員 お答えいたします。  事業団の行われます生糸の売り渡しが、法令等に従いまして適正に行われているかどうかということにつきましては、従来からも検査を行っているところでございますけれども、今御指摘のございました新規用途等の売り渡しにつきましても、これの適切な実施については検査を実施してまいりたい、このように思っております。
  129. 草川昭三

    ○草川委員 この売り渡しについては以上で終わります。  これまた農水省にお伺いをいたしますが、今度は流通の、先物取引市場の問題についてお伺いをします。  昨年来、乾繭あるいは神戸、横浜の生糸市場において非常に激しい仕手戦が行われて、市場が混乱をしておると言われております。私もその点については、正常化すべきではないかというような質問書での申し入れを何回かしておるわけでございますが、その市場の動きあるいは現状についてどのように考えておみえになるか、お伺いしたいと思います。
  130. 谷野陽

    谷野(陽)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、昨年来、生糸あるいは乾繭の市場におきまして取り組み高が大変多いというような状況があったわけでございます。  先物市場は、その性質上、そのときそのときによりましていろいろな動き、需給あるいは価格の動向を考えまして取引が行われておるわけでございまして、その中には投機的な動機を含むいろいろな方々が参入をされる、これが先物市場の実態であるわけでございます。私どもといたしましては、そのような先物市場における取引が一定のルールの中で行われますように市場管理を行っていく、あるいは受託が適正に行われていくというようなことが必要でございますので、それぞれの状況に応じて十分指導するように取引所に対しまして申してきたわけでございます。
  131. 草川昭三

    ○草川委員 問題は、そのとおり実行されておればいいわけでありますが、私がきょう指摘をしたいのは、いわゆる蚕糸価格安定制度、当時、一キロ当たり一万二千円で買い支えをする——買い支えをするという言葉が適当かどうかわかりませんが、価格安定制度というのがあります。その制度が仕手戦に利用されたのではないかと思われる経過があるのですが、その点はどのように考えられますか。
  132. 谷野陽

    谷野(陽)政府委員 商品市場におきます価格の形成は、需給あるいは価格の先行き、こういうもののそれぞれの自由な判断におきまして取引が行われているわけでございます。そういういろいろな判断の中で、蚕糸の価格につきまして、ただいま御指摘のございましたようなことにつきまして、先行きどうなるだろうか、こういう判断も一つの要素であるわけでございますが、これはすべての商品につきまして先物市場において起きることでございまして、私どもは、そういういろいろな判断の中の一つとしてそういうものがあったということはあるのではないかと考えております。
  133. 草川昭三

    ○草川委員 あったのではないかというのは、仕手に蚕糸価格安定制度が利用されたということをお認めになったと理解していいですか。
  134. 谷野陽

    谷野(陽)政府委員 先物市場というのはいろいろな動機を持つ方々が参入をされるわけでございまして、そういう方々が、市場、需給、価格、こういうものを動かす要因につきましてそれぞれの自由な御判断によって参入をされるわけでございます。  一方、蚕糸の価格安定制度というのは法で定められた制度であるわけでございますので、そういう制度があるという前提でそれぞれの判断をなさって、先物市場に参入をされたのだろうということはあると考えておるわけでございます。
  135. 草川昭三

    ○草川委員 この前も、実は決算委員会で大蔵大臣にも申し上げましたが、きょうは質問しませんけれども、聞いておいていただきたいのです。  農林大臣もお見えになっておりますけれども、私どもは、将来日本は金融の時代で伸びていくと思いますし、国際的にも先物取引市場というのはボリュームをもっと大きくしてリスクヘッジをしなければいけない、これは何も農作物ばかりではなくて、工業品取引とかいろいろとあると思うのです。でございますけれども、特に農政関係の先物取引市場は、一昨年からでもそうですが、豊田商事の非常にダーティーな金が入り込んで、今でも三十数億先物取引市場に残っておるのではないかと言われておるわけであります。それで仕手戦が仕掛けられている。  そういうことをやった業者というものを、これは農林水産省は随分否定をしておみえになりましたけれども、つい最近ようやくお認めになって、豊田商事の金が入っている取引員というのが五日間の停止になったことは、皆さん御存じのとおりであります。私どもがかねて主張したとおりになったわけですね。  同じような流れが今回も行われておりまして、今局長が言われた一定ルールで市場の運営がされるならば、何も我々は文句を言う必要はないと思うのですよ、我々は正常に先物取引市場が伸びることを願っておるわけですから。ところが、一定ルールではなくて、ルール破りのことが数限りなく、前橋の乾繭においても、豊橋においても、横浜においても、神戸においても取引所で行われているわけですよ。それを何回か我々は指摘してまいりました。  特に、六十一年三月より神戸と横浜市場で行われました、仕手筋の機関店のO社が三月、四月、五月、六月、七月、八月に買い占めた数量トータルは七千四百四十五俵であります。これは明らかに取引所法違反なんですよ。こういう事実を私どもが言いますと、いや、名前が違っておるからそういう事実はないと言われる。ところが、それをずっと詰めていきますと、実は、今からも申し上げますけれども、本来は禁止をされておるところの機関店が客先に融資のあっせんをするというような事実があるわけですよ。農水省はそこまで調べられておりますか、お伺いをします。
  136. 谷野陽

    谷野(陽)政府委員 取引員が客に対しまして融資をして建て玉をする、こういうことは委託証拠金をきちんと取る、こういう前提に対しまして悪い影響があるわけでございまして、これは行わないように、こういう指導をしておるわけでございます。また、ただいま御指摘がございましたようなあっせんにつきましても、必ずしも望ましいことではございません。そういうことで、取引所の内部におきましてそういう取り扱いをしているところがあるわけでございます。  ただいま御指摘の案件につきまして、そういう情報が私どもの方にも入ってまいりましたので、早速調査をしたわけでございますが、この問題につきましては、融資というものが取引について行われる際に、どのようなところについて今申し上げましたような原則との関係で規制をすべきであるか、こういうことになるわけでございます。支配関係法人という概念が私どもの取引所法にもあるわけでございますが、支配関係法人に当たるところからの融資の事実があるか、あるいはそのあっせんの事実があるか、こういうことを調査いたしましたところ、私どもの方の調査ではそういうものは発見されていないということでございます。
  137. 草川昭三

    ○草川委員 そこが一番問題でございますから、農水の問題は、私は判断の問題だと思うのですね、支配する関係があるかないか。  では、例えば類似する企業といっていいのでしょうか、グループ企業といってもいいのでしょう、社長が同じだったら、その点はどういう判断になりますか、お答えを願いたいと思います。
  138. 谷野陽

    谷野(陽)政府委員 支配関係法人につきましては、商品取引所法及びそれに関連いたします政省令等に一部規定があるわけでございますが、その際に、資本関係二分の一以上でございますとか、役員あるいは代表権を持つ役員が半数以上同じである、こういうような諸要件を課しておるわけでございまして、そういうルールにのっとって私ども判断をいたしておるわけでございます。
  139. 草川昭三

    ○草川委員 そういう判断がどの程度その実態を把握しているのか、あるいは私どもが問題提起をする場合には、常識的には機関店が融資のあっせんをする、あるいはその企業の担保をとっておる、担保をとって、実際上は金を渡して、それで仕手戦に参加をさせる、こういうことになってくるわけでございますけれども、私が申し上げたような具体的な資料を出したら、当局はどうしますか、調べますか、あるいはそんなことはわかっておるので、これからもどうぞ御自由にそういうことはおやりなさいよという答弁になるのですか。局長、どうですか。
  140. 谷野陽

    谷野(陽)政府委員 私どもは市場管理に関します諸情報につきまして関心を持っておるわけでございまして、いろいろな情報につきまして、手に入りましたものにつきましては慎重に検討いたしたいというふうに考えております。
  141. 草川昭三

    ○草川委員 私ここに、仕手に参加をした企業の、具体的な名前は申し上げませんけれども、いろいろな固定資産の謄本を持っております。その謄本のいわゆる担保の欄を見ますと、機関店なり機関店に類似をする企業の名前がほとんど担保に設定をされておるわけですから、私は先ほどのようなことを申し上げたわけです。  ところが、農水省はその点については、最初はそういう事実はないというような答弁でございますが、やはり私は甘いと思うのですね。そういうことが黙認をされておるからこそ現実の買い占めが行われる。そして買い占めをしたものの価格が下がる。価格が下がったら事業団に持ち込めばいいじゃないかといって、たまたま五十九年の十一月以来、昨年の九月事業団が枠を開いて買い入れをしたトータルが約三千七百六十俵、その中の千俵というのは私が先ほど申し上げました仕手グループのもうけたかすですよ。仕手をやってつり上げておいて、値段が下がったその分、ちょうど千俵は事業団が買い入れをするというわけですから、何回か申し上げますように、蚕糸価格安定制度というものは仕手の連中に利用されたんだ、そんなばかなことはないじゃないかということを私は声を大にして叫んでおるのですが、本当に農林水産省の市場の管理がなまぬるいのじゃないかということを言っておるわけです。  その点では通産省の方が厳しいですよ、工業品取引所の方が。それはなぜかといえば、将来の国際化に対応しようというわけです。今のような商品取引ではだんだんボリュームが小さくなってだめになる、こういうスタンスの違いがあるわけですよ。だから、ここの点は、私どもは何か目くじら立てて先物取引の問題だけを取り上げておるのではなくて、将来の問題を取り上げ、それがさらに農作物価格制度の問題になるということを言っておるわけであります。  時間が来ましたので、私の今のような数々の疑問について、法務大臣あるいは刑事局長、関心を持たれるのかどうか、これは一般論でいいのですが、そういう御関心を持つような問題がどうか、御答弁を賜りたい。  そして農林大臣、これは所管の行政でございますから、農林大臣として私が申し上げた点についてどのように御判断になるのか、お答えを願いたいと思います。
  142. 遠藤要

    ○遠藤国務大臣 先生から今もろもろのお話がございましたけれども、検察当局としては、刑罰、法令等に触れる疑いまたは事実があった場合に、捜査当局として厳正な処理をしようという考えでございますが、私どもとしては、週刊誌その他も読ませていただいておりますので、これからいろいろ検討してみたいと思います。
  143. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 先生から質問主意書を数回いただきまして、それに対しましてお答えいたしておるとおりでございますが、今後、繭糸価格安定制度という問題と市場の関係というものは、国際情勢の変化、また国内の内需の問題あるいは新製品の消費拡大の問題等々と絡み合いましていろいろの変化を持ちながらやっていくと思いますけれども、法に従いましてその趣旨を一生懸命守っていきたいと考えておるところでございます。
  144. 草川昭三

    ○草川委員 これは最後になりますが、今、法に違反をするならば厳正な処置をする、そのとおり、次のいろいろな行政上の対応あるいはその他の対応がぜひ必要だと思います。  実は昭和五十九年の生糸の期中改定というのがあったわけでありますけれども、そのときにはたしか一万四千三百円の基準糸価が一万円に下がると言われておったのでございますが、いろいろと経過がありまして一万二千円になったわけであります。それがずっと続いてきたわけでありますけれども、このような情報を知り得た人が、そのときに先物取引市場において大量の買いを入れて、わずか二日間で数億の利益を得た、こういうこともあるわけであります。そのときにだれがどのように買ったのか、注文をしたのは海外のどういう口座でそういうことをやったのかということを、私どもの方もある程度承知をいたしております。しかし、行政上の立場あるいは周辺の動きの情報を知りながら個人だけが利益を上げるということは明らかに許される行為ではないと私は思うのです。  こういう問題があるわけでございますから、いま一度、最後に刑事局長から、一般論としてで結構でございますが、私のこういう問題提起についてどのようにお考えになられるのか、お答えを願いたいと思います。それで終わりたいと思います。
  145. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 一般論として申し上げますと、先ほど大臣が答弁されましたように、法に触れるような具体的事実が認められるならば、検察当局といたしましては厳正に対処するものと承知いたしておるところでございます。
  146. 草川昭三

    ○草川委員 以上で終わります。
  147. 上草義輝

    上草委員長代理 大矢卓史君。
  148. 大矢卓史

    ○大矢委員 民社党の大矢卓史でございます。質問時間が限られておりますので、各省庁の大臣、せっかく御出席でございますから質問させていただきますが、簡潔にお答えを願いたいと思います。  まず、今草川委員の方から御質問がございました養蚕価格の安定制度、これにつきまして私は以前から大変関心を持っておりました。そういうことで簡潔に御質問申し上げますので、大臣の方からお答え願いたいと思います。  今いろいろ指摘されておりましたように、この価格安定は、やはり当初は養蚕農家を保護していくという立場からなされたことだろうと思います。しかし、国際的な価格との間に余りにも格差があり過ぎる。それが一万二千円であり、今回また九千八百円といいましても、国際価格が五千八百円というように、価格に大変違いがある。その中にいろいろな問題点が出てくるということは先ほど指摘されたことだろうと思います。その反面、養蚕農家を守るという意味からいきますならば、この価格安定制度は安定制度なりに私は意味があろうと思います。  しかし、それであるならば商品市場でのこの扱い——今まで米なら米を安定さすために食管会計があった。片一方で、もし米の価格を安定させながら米相場というものをやった場合に、これは非常に問題が出てくることは明らかであります。私の考え方は、養蚕農家を守るなら守るということに徹せられるのか、それとも国際化を目指してあくまでも市場開放で、商品市場でもって適切な価格を求めてやっていくのか、その二つに一つ、二者択一の今後の方針がなければいけないのではないか、そういう基本的な問題でございますので、大臣の方から簡潔に御答弁をちょうだいいたしたいと思います。
  149. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 農産物の生産は、本来、天候等自然条件に左右されやすいということは先生御存じのとおりでございます。生産及び価格が不安定になりやすい性格を有しております。さらに、生糸及びその原料である繭については、製品である絹の需要が経済変動や流行等によっても変動いたします。また、蚕糸業の零細性もありまして、価格がより不安定となること等から、今おっしゃいましたように安定価格帯を設け、これを基準として蚕糸砂糖類価格安定事業団による生糸の売り渡し、買い入れができることとしております。このような在庫調整機能を通じまして、価格の過度の変動を防止しまして、価格の安定に努めることにより、養蚕農家、製糸業者等の経営の安定を図ることとしておるというのが趣旨でございます。  この事業団の売り渡し、買い入れの基準となる価格は、現実の生糸流通取引における価格でありますが、これまでの生糸取引におきましてはその大部分が商品取引所において形成される価格を基準としてきております。繭糸価格安定制度もこのような現実の流通実態を踏まえつつ運営してきたものでございます。したがいまして、商品取引所における価格形成も、以上のような繭糸価格安定制度の枠組み及び生糸の流通実態を踏まえて行われているものであると思います。  なお、今回の安定基準価格の改定に際しましては、今後事業団の売買業務について運営上の配慮を加えることとし、特に買い入れ方式については、買い入れの発動について一定期間、例えば三カ月ぐらいの期間を設けましての生糸価格の動向、生糸生産量の見込み、取引量の動向等を総合的に勘案し決定することにいたしております。したがいまして、制度というものと商品市場というものとはうまくかみ合って運営していくようにいたしておるつもりでございます。
  150. 大矢卓史

    ○大矢委員 うまくかみ合わしていくとおっしゃいますけれども、現実にはそうなっておらないわけであります。大臣、それはよく御存じだと思います。そういうことでございますので、やはり製品は中国なりでつくって輸入してくるということが行われていることも事実であります。  そういう点も踏まえて、今後、安定価格と商品市場、これが機能すれば非常にいいのですけれども、先ほどから指摘されておりますように、逆にそれでもって大もうけをしようとする人たちがおるわけでありますし、当然その制度を利用いたしましたら大もうけができるわけでありますから、そういうことのないように今後とも御検討いただきたいと思います。  それでは、文部大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  昨年の十月二十一日の決算委員会で私から郷土の先輩の大臣にいろいろとお尋ねいたしましたが、私が申し上げましたことが大変わかりにくかったのかどうか知りませんけれども、御答弁の中で非常に私自身の意に反することがございました。私は芸術とか芸能というものに公の方やいろいろなものが関与することについて申し上げたことは一度もございませんし、また、これを保護すべきだということを申し上げたつもりはございません。しかし、大臣の御答弁では、私と考えが非常に違うということを言われました。  私が前回指摘をいたしたことは、芸術祭賞というのを文化庁でやっておられる。この文化庁がやっておられる芸術祭賞をいただくために参加をする公演が東京だけに限られておる。これはもう四十年にわたってやっていらっしゃるようでありますが、言っては失礼ですけれども、このごろ参加をいたします参加者が非常になくなってきたのではないか、賞を渡す相手方がなくなってきたのではないか。そういう意味で見直しをしなければならぬというようなこともございますけれども、そうじゃなしに、まだまだ地方ではこの賞をちょうだいするのに値する方々がたくさんいらっしゃるわけなんです。その人たちが東京へ来なければ参加ができない、そういうことではいけない。また、どんどんそれに参加できるようにと言いますけれども、地方ではやはりいろいろな制約がございましょうから、少なくとも大阪でもそのような参加ができるものをおやり願いたい。大臣も、東京では秋でありますが、春に考えたらどうかということをおっしゃっておりますけれども、その後どのように進捗をしておるのか、このことをお伺いいたしたいと思います。
  151. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 芸術祭賞の御質問でございますけれども、これは御承知のように秋でございますね、一定の期間に参加作品を一定の決められた審査員で審査をする、同一の審査員でする、そこが非常に難しいところでございまして、その審査に当たっておる方は、実はほとんど東京に居住しておる方でございます。この方を大阪に移動させ、あるいはまた京都にというふうに分散をして審査をすることはなかなかできにくいという技術的な面がございまして、やむを得ず東京で審査を受けることになっておるというのが実情なんでございます。  それで、私も、大臣に就任いたしましてから、文化の地方分散を進めるためにこういうものは大阪でできないだろうかということを検討させたのであります。検討させましたが、関西の文化的な、特に芸術祭に参加し得るような作品の集積というものは大阪ではなかなか難しいということもわかってまいりましたし、先ほど申しました審査員の方々を大阪に一定の期間缶詰にして審査に参加をさす、審査をやるということは非常に難しいという事情がわかってまいりました。  それでは、地方文化の振興というもので何かそういう刺激があるのかということで、昨年の秋から、第一回でございましたが、国民文化祭というのをいたしました。それは各地域ごとに自主的にやっていただいて、参加していただいた作品には参加賞というものを渡し、そういう中から文部省が、地方の文化でこういうものが参加されましたということを一般に公開して関心を持っていただく、そういうふうな制度を導入した。だから、芸術祭は東京でいたしますけれども、国民文化祭をそれに並行させて、地方で芸能芸術振興をやろう、こういう二本立てになっておるということでございます。
  152. 大矢卓史

    ○大矢委員 審査をする人たちが東京にだけしかいないということですけれども、これは関西の方に非常に失礼な話です。大阪にもたくさん審査員に値する方がいらっしゃるし、その点も説明に来られた方に言いましたけれども、僕はそういうことは理由にならぬと思うのです。大臣も大阪出身の方であって、大阪にそういう賞を選ばれる方がいないというようなことは絶対ないわけです。  それともう一つ、非常に詭弁を弄していらっしゃるのは、全員が全員そのものを全部見て回るということを言っていらっしゃいますけれども、参加するのは自由である、東京で参加するのは自由である、その自由な参加をした人たちを全員が全部見て回るということは実際問題として不可能だと私は思います。不可能なことをやっているようなことを言うのは全く詭弁なんです。ですから、全員が見て、全員が納得して、全員が賞を出すということは絶対あり得ない。そういうことを大臣は係官から聞いておられるのかわかりませんけれども、私も大阪でそういう賞を扱ってまいりましたが、そういうことは絶対にでき得ないことだ。そういうできないことをやっているようなことを言って、そういうことがあるからそれを前提に大阪ではできないということは、私は納得することはできませんので、またこれは改めて今後、大臣がおっしゃっていただいたように、春なら春には大阪でやる、参加できるような道を開くということで前向きに検討していただきたい。いかがでございましょうか。
  153. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 参加者全員に賞をやるというのではございませんで、審査員と言っているのでございます。審査員が東京、大阪に集結をして同じ作品を見るということは不可能だ、こういうことを言っているのです。
  154. 大矢卓史

    ○大矢委員 大臣、私はそういう意味で言っているのではありません。審査員が全部見て回らなければならぬからだめだと言っているのでしょう。全員が全部の参加者を見て回らなければならぬ、だからだめだと言っているのでしょう。そういうことはあり得ないのです。それでは、一人でも病気で欠けたら、それは賞の対象にならないのですか。三十日やっているわけでしょう。そのときたまたま同じ時間に同じものが重なったらどうするのですか。全員が同じものを見て回るということはできないのですよ。それをあたかもやっているようなことを言って、大阪でできないというのはどうか。  私は全部に賞をやれと言うのではないのです。参加をするのは自由なんです。参加をされたその人たちの作品を全部の審査員が全部見て回らなければならぬからできないと言っているのですが、そんなことはできるはずがないですよ。同じ時間に同じ催し物の参加があったらどうするのですか。全員見られないじゃないですか。そういうこともあり得るわけなんです。そういうないことを係官も大臣にまことしやかに説明しているのです。僕の前ではそれは通用しないわけです。
  155. 久保庭信一

    ○久保庭政府委員 お尋ねは芸術祭の参加公演のことでございますが、参加公演につきましては、参加される方からそれぞれの御意向を提出していただきまして、その中から大変企画性に富みまして創作意欲の高いものを、日程等の調整をいたしまして芸術祭の期間、ほぼ十月いっぱいでございますが、その期間に審査ができるようにそれぞれの日程を組みまして、その上で実施していただいておるということでございます。  なお、その審査に当たりましては、先ほどから大臣が御答弁申し上げておりますように、審査員がすべての公演を見るということでございます。これは、同一の目で作品を見なければコンクール、審査になりませんので、約十名足らずの審査員の方でございますが、この方にずっと詰めていただきましてすべての作品をごらんいただくという仕組みでございます。したがいまして、地方で行います場合に、審査員全部にその地方に行っていただくということは大変困難でございまして、そのような物理的な関係から東京で実施せざるを得ないというのが現実でございます。
  156. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういたしますと、これは芸術祭に参加する以前に審査をする、そして厳選をしてそれしか参加させないということのようなんですが、そうなんですか。
  157. 久保庭信一

    ○久保庭政府委員 決して私どもの方でいいものだけを事前に集めるということでなくて、まず申請をしていただきまして、お申し出のあったものの中で重複したり数が多くてとても審査できないという場合に、その中から日程等の調整で選ばなければならない場合もある、調整せざるを得ない場合もあるということを申し上げたわけでございます。
  158. 大矢卓史

    ○大矢委員 時間がございませんのでこれ以上できませんが、ただ、長い期間の中で参加する人がなくなってくる、本当に賞に値する人で参加する人がなくなってくる、関西では賞に値する人がいながらもらえない、これは非常に不合理でございますので、今後またの機会にこの問題を詰めていきたいと思います。文部省関係はこれで終わらせていただきます。  外務大臣にお尋ねいたします。  今回、半導体の制裁といいますか報復措置が出てまいったわけでございますが、在米の外交活動またスタッフの方々、大変御苦労願っておるとは思いますけれども、これは私ども国益の問題でございますので、これが察知でき得なかったのかどうか、このことについてお尋ねいたしたい。
  159. 倉成正

    ○倉成国務大臣 お答えいたしたいと思います。  御案内のとおり、対米の経済関係は、米国の対外貿易の大幅な赤字の約三分の一は日本が原因になっておるという状況でございますので、これは、松永大使初め館員が一体となりまして、米国政府並びに米国議会に対していろいろ日本の実情を説明したり、懇談したり、全力を尽くして対応してきたところでございます。しかしながら、対日決議あるいは報復法案等が出ましたことはまことに残念なことと思っておる次第でございます。
  160. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういう外務省の外交活動が国益に非常な影響を及ぼすわけであります。その点について、もしそういうことで外務省のスタッフが非常に足りないとかいうことでありますならば、今後充実していかなければならぬ、特にアメリカ問題は非常に難しい時代でございますので、もっともっと充実し強化していかなければならぬと思いますけれども、その点いかがでございますか。
  161. 倉成正

    ○倉成国務大臣 ただいま委員仰せのとおり、大変重要な御指摘をちょうだいいたしまして、外務省として感謝申し上げる次第でございます。  在米国大使館の定員は六十一年度八十九名でございまして、これに対しまして在日の米大使館の館員は二百四十一名でございますが、実は、ことしは関係の方々にも大変御努力をいただきまして、六十二年度は、もし予算を早く通していただければ一名だけふえて九十名になるわけでございます。しかし、今日の日米関係の重要性にかんがみまして、大使以下昼夜を分かたず健闘いたしておりますけれども、この人員では非常に不足しているという状況でございます。しかし、我々は与えられた条件の中でベストを尽くして努力をいたす覚悟でございます。     〔上草委員長代理退席、委員長着席〕
  162. 大矢卓史

    ○大矢委員 これからも、第一線でございますので、極力御努力願いたいと思います。  通産大臣、時間がございませんので一言だけお伺いをいたしたいのですが、先日の委員会でも指摘をいたしました下請代金支払遅延防止法、これで「等」ということがございますけれども、支払い代金を六十日のサイトで支払いをして、それ以後百二十日以内の手形だということであります。特に繊維では六十日の手形だということでありますけれども、やはり親会社の力関係によりまして、九十日でも百二十日でも百五十日でも現金化することが可能な親会社とそうでない親会社があるわけであり、一般的に九十日なり百二十日で線を引かれるといたしますと、せっかく下請を保護するという意味で百二十日に線を引いていただいても、なお親会社の力関係によりまして、下請がその百二十日以内の手形でも消化できないということがあるのではないか。その点についてどのようにお考えでございますか。
  163. 小林惇

    小林(惇)政府委員 四月二日の委員会でも御答弁申し上げましたように、手形のサイトについて公正取引委員会と中小企業庁とで指導している事実がございます。それは、先生御指摘のように原則として百二十日以内、それから繊維産業については、その事情の困難性にかんがみ九十日以内にするようにしております。  ただ問題は、サイトの長さだけで現実の経済が動いているわけではないわけでございまして、例えば百二十日以内のいわば指導に沿った手形でございましても、下請事業者あるいは親事業者の信用力によりまして割引が困難なような場合には、やはり下請代金法で禁止している割引困難な手形交付に該当するということで、私どもといたしましては下請代金法違反ということで扱っているものでございます。したがいまして、この九十日あるいは百二十日という指導基準はあくまでも指導基準でございまして、現実に下請企業あるいは親事業者の信用力を向上するように持っていくことが極めて肝要であるというふうに私ども考えております。
  164. 大矢卓史

    ○大矢委員 今の御答弁の中で、九十日、百二十日でありますけれども、それ以内であっても、現金化が難しいものについてはより努力して縮めるようにしていくという御答弁でございますので、この点、もう九十日と百二十日であるならば構わないんだ、百二十日の手形なら大っぴらに出せるんだということでなしに、今言うように親会社の信用力によって割り引けない、そのものについてはもっともっと狭めていって割っていく、そういう指導と同時に、親企業の信用力がなくて割れない百二十日のものについてもやはり関係機関で協力をしていく、取り締まるだけでなくして、これを現金化していくための努力をされるということについてはいかがでございますか。
  165. 小林惇

    小林(惇)政府委員 先生御指摘のとおり、百二十日あるいは九十日という画一的な指導基準ということではなくて、その親事業者あるいは下請事業者の信用力向上を図るための関係機関の協力が極めて必要であるというふうに考えております。
  166. 大矢卓史

    ○大矢委員 時間が来ましたので、今後も努力していただきたいことを要望いたしまして、一応終わらせていただきます。
  167. 堀之内久男

  168. 岩佐恵美

    岩佐委員 近年、障害者、高齢者、乳幼児の災害などによる被災率が高まっていると消防白書で報告をされています。この点について、今、障害者の方々の中から防災対策に対するいろいろな希望が強くなっているわけでございます。昨年の三原山噴火の際には、障害者の施設利用者の避難が村当局及び消防の行き届いた対応で大変スムーズに行われたと施設関係者から伺いました。これは本当によかったと思っています。  障害者の施設の防災対策、これについては過去の被災の経験からかなり対応を強めておられるというふうに伺っておりますけれども、しかし、町の中で個々に自立して生活している障害者に対する防災対策は確立をされていない、これが実情だと思います。ことしは国連障害者の十年の中間年です。我が国の四百万人を超える障害者、そしてその家族は、国際障害者年の目的である障害者の社会への全面参加と平等を一日も早く実現できるよう希望し、障害者が安心して暮らせる環境づくりを期待しています。また、高齢化社会を迎え、お年寄り、障害者などに対する防災対策を充実する必要があると思います。  最初に、厚生大臣、それから消防庁長官のこの問題に対する決意を伺いたいと思います。
  169. 斎藤次郎

    斎藤国務大臣 障害者の方々に対する防災対策というのは、障害者の方はいろいろな種類のハンディを持たれておるわけでございますから、それだけに通常の方以上にそれぞれの障害に合ったきめ細かな防災対策というものを常日ごろから念頭に置き、講じてまいらなければならないというふうに考えております。  厚生省といたしましても、在宅の障害者の防災対策といたしまして、その防災対策の一助となるべきものといたしまして、日常生活用具の給付等を通じてこれを行っておるわけでございます。詳細につきましてはまた政府委員から御答弁させますが、今後ともその実を上げてまいりたいというふうに考えております。
  170. 関根則之

    ○関根政府委員 先生から御指摘がございましたように、三原山の噴火災害に際しましては、地元の消防団を初めといたしまして大変手際よく対応することができたと考えております。私ども、特に災害対策全般を通じましてその強化を図っているところでございますけれども、特に身体に障害のある方々が災害に遭ったときの避難でありますとか災害の防除でありますとか、そういった面でできるだけ強力な対策を立て、きめ細かく対応できるよう、そういう指導をしているところでございますが、今後ともなお一層そういう面に気をつけながらきめ細かい対策を進めてまいりたいと考えております。
  171. 岩佐恵美

    岩佐委員 きょうは傍聴席に聴覚障害の方々が来ておられます。火災とか病気あるいはガス漏れなど緊急事態のときに、しゃべることのできない方々にとって通常の電話連絡はもちろんできません。  多摩市では、昨年の二月下旬から、ミニフアックスを利用して障害者の家庭と消防署を結ぶ聴覚障害者緊急通報システムを確立しました。私は最近視察をしてまいったわけでありますけれども、障害者の家庭に緊急、ガス漏れ、火災、こういうカードがあるわけです。これをその事故に応じてそれぞれファックスで送る。  ちょっとこれを見てください。それは消防署につながっていまして、消防署がそれを受けて救急車なり消防車を出動させる、そういうシステムになっているわけです。これは市が障害者のミニフアックスの受信装置を多摩消防署内に置くよう協力を求めて実現をしたものです。昨年の七月三十日の深夜、多摩市内の障害者の一歳になる子供さんが発熱をして、このシステムを利用してファックスで緊急連絡して、多摩消防署の救急車がすぐに駆けつけ、無事病院に運ばれ、関係者から喜ばれ、また新聞の地方版のニュースにもなっております。  そこで伺いたいのですけれども、先ほど大臣からもお話がありましたが、昭和五十九年度から日常生活用具給付及び貸与事業があります。この種目にミニフアックスが取り入れられておりますが、このミニフアックスの普及はどの程度か、事務当局の方からお伺いをしたいと思います。また、あわせて、その他のガス、火災等の防災対策機器の支給件数もお知らせをいただきたいと思います。
  172. 小林功典

    小林(功)政府委員 まず最初のミニフアックスの普及状況でございますが、昭和五十九年度で申しまして千二百二十七件、全国で普及しております。  それから、全般的に在宅の身体障害者に対する日常生活用具の給付あるいは貸与の状況でございますが、大臣が先ほど申しましたように在宅の身障者に対する防災対策の一助となるものとしてやっております。  その例を申しますと、まず第一に、例えば喉頭摘出等によって嗅覚機能を喪失した方に対しましてはガス警報器、火災発生の感知及び避難が非常に困難だという障害者に対しましては火災報知機や自動消火器、そして視覚障害者には電磁調理器をそれぞれ日常生活用具として給付しております。それから、別に、難聴者または外出困難な身体障害者の方に対しましては緊急連絡用の手段として福祉電話、今先生からお話がありました聴覚または音声言語機能障害者に対しましてはミニフアックスをそれぞれ日常生活用具として貸与しているわけでございます。
  173. 岩佐恵美

    岩佐委員 多摩市のように自治体が自主的に緊急システム等障害者防災対策をとっているところは全国的にあるでしょうか。
  174. 小林功典

    小林(功)政府委員 私ども、今の段階で多摩市と狛江市というふうに聞いております。
  175. 岩佐恵美

    岩佐委員 多摩市の場合、消防署内のミニフアックスの設置補助、電話使用料、電気代を市が負担しているわけです。このような障害者対策について、各地方自治体任せではなく、全国どこに住んでいても安心して暮らせる環境をつくっていく必要があると思います。国が障害者のための緊急通報システムを自治体と相談しながら全国的に普及させるよう検討すべきだと思いますけれども消防庁長官いかがでしょうか。
  176. 関根則之

    ○関根政府委員 今お話のございました緊急通報体制を障害者、特に聴覚障害者のためにとっております消防本部は全国で三十三ございまして、まだまだすべてに行き渡っているという体制ではございませんけれども、各在宅の障害者のための家庭でのミニフアックスができましたようなところにおきましては、消防の方はできるだけそれの受け入れ体制を整えるよう指導してまいりたいと考えております。
  177. 岩佐恵美

    岩佐委員 あわせて、先ほど厚生省の方からお話のあった日常生活用具給付及び貸与事業ですけれども、幅広く多くの障害者が利用できるようにこれを広げていく必要があると思うのです。特にミニフアックスを必要とする障害者はかなり多いわけですけれども、そういう方々にいろいろな制限を設けないで、ぜひ幅広くこれを利用できるようにしていただきたい、このことを要望したいのですが、いかがでしょうか。
  178. 小林功典

    小林(功)政府委員 先ほど大臣もお話をしましたように、身体障害者の方はいろいろな面でハンディを負っておられるわけでございまして、それをなるべく守ると申しますか、そういった意味でこれからも日常生活用具の関係予算の増額についても努力をしてまいりたいと思います。
  179. 岩佐恵美

    岩佐委員 昨年三月に災害弱者のための防災対策研究会の報告書が出されました。それによると、「音、光、熱、振動、映像など」「情報関連機器、身体障害者の歩行、避難補助などのための行動補助機器の開発が急がれる必要がある。」と提言しています。  例えばパトライトにつきまして、緊急のときに電気がつくわけですけれども、真夜中寝ているときのパトライトというのは何の役にも立ちませんという声が障害者から寄せられているわけです。よりよい情報伝達の手段を障害者の方は大変待ち望んでいるわけです。障害者の日常生活に必要な機器の開発、普及の促進とあわせて、防災機器についても開発、普及を促進すべきだと思います。  その際、障害者の意見を十分聞いて参考にすることが大事だと思います。また、このような機器の技術基準を確立すべきだと思いますけれども、厚生省、消防庁それぞれいかがでしょうか。
  180. 小林功典

    小林(功)政府委員 これは福祉機器全般について言えることでありますが、それが利用者の方に有効に働くように、福祉機器の改良とか技術の向上とか、そういった面については大変重要な問題と認識しております。国といたしましても、従来から委託費等を予算に計上いたしましてその開発の促進に取り組んでまいりましたけれども、特にことしの三月、テクノエイド協会、これは財団法人でございますが、そういう団体を関係者にお集まりいただいてつくりました。そこでの一番の問題は福祉機器の開発であります。あるいは標準化、規格の設定、こういうことでございますが、それによってもこれからも力を入れる体制は整ったと考えておりますので、いろいろな方策を組み合わせながら福祉機器の充実あるいは研究に努力をしてまいりたいと思います。
  181. 関根則之

    ○関根政府委員 特に障害者の避難でありますとか、そういった防災対策をスムーズに進めますために機器等の開発を進めていく必要があるというふうに考えております。最近、私の方といたしましては、誘導灯を点滅式のものも取り入れるというような形も導入いたしましたし、また音声装置つきの誘導灯の開発、その基準等を定めましてその普及推進をいたしております。こういった形での障害者の避難等に便利なような機械器具の開発というものは今後とも大変重要なことだと考えておりますので、積極的に取り組んでいきたいと考えております。  また、その際に障害者の御意見を聞くことも必要であろうと思いますし、従来から私どもは、こういった機器の開発をいたしますときに専門家の、特に障害を有する方に対するその方面の専門家先生方にも入っていただきましていろいろと御意見を承っております。いろいろな方法があるかと思いますけれども、できるだけ意見を聞きながら、実態に即した開発を進めていきたいと考えております。
  182. 岩佐恵美

    岩佐委員 それから手話通訳ですけれども、手話通訳は聴覚障害者の意思伝達に欠かすことができません。きょうも傍聴席で手話通訳の方が活躍をしてくれているわけですけれども、先ほどの聴覚障害者緊急通報システムでも、真夜中に事故が起こる、あるいは朝の忙しいときに隣近所にちょっと頼めないというような時刻に起こる、こういうように災害というのは時を選ばないわけですからいろいろなときにぶつかります。そういうときに遠慮なく手話通訳の方を頼める、こういうような制度をぜひ保障してほしいというのが聴覚障害者の方々の切実な願いであります。  手話通訳の制度化、これは今検討しておられるということですけれども、その促進をぜひしていただきたいというのと同時に、緊急時の手話通訳、こういう場合にもどう対応されるのか、そういうこともあわせてぜひやってほしいということですけれども、その点についてお伺いしたいと思います。
  183. 小林功典

    小林(功)政府委員 手話通訳制度につきましては、先生も御承知だと思いますが、五十七年度から全日本聾唖連盟に検討を委託しておりまして、六十年五月にその基本的な考え方が提出をされた、こういうことでございます。その報告書を踏まえまして六十一年度からは手話通訳認定基準等の作成検討というテーマで、これも全日本聾唖連盟に委託をいたしまして、そこで具体的な方策と実施上の問題点、これらについて引き続き検討をしておるわけでございます。聞き及びますところによりますと、近く中間報告が出るということであります。したがいまして、その中間報告が出ましたら、それを見まして、さらに手話通訳の特に認定基準等につきまして細かな検討をしていく、このように考えております。  それから緊急の場合でございますけれども、これも御案内のように聴覚障害者のためのコミュニケーション手段の確保ということで、四十五年度以来国庫補助事業としてやってまいりました。ですから、そういう手話奉仕員養成あるいは派遣事業、それから手話通訳設置事業、こういうものを弾力的に運用しましてそういう御要望に対応していきたいというふうに考えております。
  184. 岩佐恵美

    岩佐委員 国、地域の防災計画において、現状では障害者の防災対策が明記をされていません。国土庁は昨年三月に、先ほど申し上げました「災害弱者が安心して暮せる地域を目指して」という防災対策の調査報告書をせっかく出しておられます。国、地方の防災計画に障害者、お年寄りへの対応を明確に確立をする必要があると思います。  現在、地域の防災訓練などでは、自治体によっては障害者に呼びかけ、防災訓練を一緒に行っている、そういうところもあるようですけれども、対応はまちまちであります。もちろん、その障害者が自立して生活をする場合、隣近所とのコミュニケーションも大切です。すわ隣が火事といっても聴覚障害者は気がつきませんし、その場合、もちろん消防署の対応は重要ですけれども、隣近所の対応も重要だと思います。しかし、その隣近所だけに頼るわけにもいかないわけです。先ほど申し上げた多摩市のような緊急システム、そういう自治体がやるべきこともあるでしょうし、いろいろなことが考えられるわけであります。  総合的にそういう障害者の防災計画を国、地域の段階でつくっていってほしいというのが各自治体あるいは障害者の切実な今の願いであります。そういう点で障害者や専門家などが参加をする委員会をぜひつくって、障害者の意見を反映させた障害者のための防災計画をつくっていただきたいというふうに思うわけですけれども国土庁長官に御意見をお伺いしたいと思います。
  185. 山本重三

    ○山本(重)政府委員 ただいま先生から御指摘がありましたように、一昨年私どもは、いわゆる災害弱者に対するきめ細かい防災対策を推進する必要があるということで、一年くらいかかりまして検討し、昨年三月にその成果を公表したわけですが、私どもは、この具体的な内容ができるだけ実現されて障害者に対するきめ細かな対策を進められますように、今後とも地域防災計画あるいは各関係省庁の業務計画に反映されますよう、防災基本計画の検討も含めて、せっかくまとめた報告書でございますので、この内容が実現いたしますように今後とも努力してまいりたいと考えております。
  186. 岩佐恵美

    岩佐委員 せっかく自治大臣がお見えですから、自治大臣にちょっとお伺いしたいと思います。  多摩市では、先ほど申し上げた障害者の緊急システムをきちんと条例でつくろうということで今作業を進めているんだけれども、参考にすべきものがないので困っているというようなことで、国レベルで国が責任を持って障害者の防災対策に対応してほしいという意見があるわけです。先ほど消防庁にもいろいろお話を伺いましたし、あと厚生省にもお話を伺っているのですが、そういうことを取り入れた、各自治体を指導するような格好が自治省の役割だと思いますけれども、その点で御意見をお伺いしたいと思います。
  187. 関根則之

    ○関根政府委員 私どもも多摩市の実際の例等は勉強させていただいておりますし、ほかの市でも同じような動きがありますときには一つの参考事例といたしまして指導をしていきたいと考えております。ただ、消防サイドからすべての障害者に対しましてこういったようないわば濃密なものを速やかにつくり上げるということはなかなか難しい、いろいろな問題もございますので、でき上がりましたものについて消防サイドから受け入れを拒否するとか、そこに障害が起こることがないようにしていきたいというように考えておるところでございます。
  188. 岩佐恵美

    岩佐委員 それから、地域の防災計画をつくったとしても、障害者にわかる手引書がないとよくわからないということになります。障害者が地域の防災計画に参加できる障害別の手引書をつくる必要があると思います。例えば視力障害者向けには点字の手引書あるいは聴覚障害者、肢体不自由者向けにはさらにきめ細かな障害別の対応の手引書が必要なのではないかと思います。知恵おくれの障害の場合には、火事になったら動けなくなってしまう、そういう場合にはこうしなさいとか、そういうきめ細かな対応が必要だと思います。そういう点で、障害者へのいわゆる手引書みたいなものをつくるという点についてはいかがでしょうか。
  189. 関根則之

    ○関根政府委員 個別的には、各消防本部等におきまして障害者のための実際の避難のやり方でありますとか火災の際の注意事項でありますとか、そういうものをまとめたものを相当あちこちでつくってはおりますけれども、いろいろな各種障害に対しまして網羅的といいますか、普遍的なものをまとめたものというのは必ずしも整備されていない状況でございます。私どもといたしましては、せっかく御提案もございましたので、そういったものを何とかつくれないか、こういった研究も進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  190. 岩佐恵美

    岩佐委員 最後になりますけれども国土庁長官にぜひやっていただきたいというふうに思いますのは、先ほどから障害者の防災については各省庁にまたがる、そういう事業なわけですね。これをやはり国土庁で、防災計画を出しておられるその国土庁がそれぞれ縦割りを全体として包括してまとめていかれる、しかもその防災計画の中にきちんと障害者対策を明記させるということで作業をしていただきたい、このことをお願いしたいわけでありますが、長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  191. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 災害時におきます高齢者とか障害者の防災対策というものは極めてきめの細かい対策が要るということで、一昨年国土庁でいろいろ調査をいたしました。目下その調査に基づきまして関係省庁といろいろ対策を協議しておるというのが現状でございます。今後もその点で努力してまいります。
  192. 岩佐恵美

    岩佐委員 終わります。     —————————————
  193. 堀之内久男

    堀之内委員長 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑に入るに先立って、質疑者各位に申し上げます。  質疑時間は、申し合わせ時間を厳守し、超過をしないようお願い申し上げます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。糸山英太郎君。
  194. 糸山英太郎

    ○糸山委員 質問に入る前に、地方統一選挙の真っただ中を、閣僚の皆さんに、大変お忙しい最中、五時間ほどお時間をいただいております。何しろ五十八年、五十九年という決算がおくれております。これを例としませんので、きょうは五時間後には是認いただく予定になっておりますから、しばらく御辛抱をお願いいたす次第でございます。  では質問に入ります。  総理、売上税問題でございますが、総理の公約違反であったということが大変マスコミでも言われておりますが、先日の予算委員会の公聴会では、たしか東京大学の佐藤教授が公約違反ではないと発言されたそうでございます。私もさよう考えておりますが、しかし、多くの国民が誤解を、また不安を抱いているのではないかという点で、総理はどうお考えでございますか。
  195. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 ここで何回も申し上げておりますように、あれだけの大きな例外をつくっていただいたわけでございまして、公約違反ではないと確信しておりますが、しかし、国民の皆様方からすれば、あるいは誤解される向きがなきにしもあらずでありまして、そういう誤解があるということはこちらの手落ち、落ち度でございますので、甚だ申しわけないと思っております。大蔵委員会を開いていただきまして、十分議論を尽くして解明し、意見を述べ合い、そしてこれが適正なる結論に達するように、合意を形成するように努力してみたいと思っておるところでございます。
  196. 糸山英太郎

    ○糸山委員 きょうの朝刊あるいはきのうもおとといも、この休みの最中、私、毎朝新聞を見ますと、すべてが売上税問題で、各紙いろいろと勝手なことを書いているわけでございます。  ここで一言伺いたいのですが、修正の用意があるというように報道しておりますが、ただいま六十二年度の予算委員会の審議中でございますので、大変答弁は難しいことだということもよくわかっております。しかし、けさの新聞などは、予算成立後、政府としては、大蔵委員会での審議の過程や各党間の話し合いの推移によっては修正あるいは凍結など柔軟な姿勢に対応する意思がある、そういうふうに新聞論調で出ているわけでございますので、あえてこの場合、決算委員会でちょっと質問したいと思います。
  197. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 政府はこの案を最善の案として考えて出しておるのでございまして、修正とか撤回ということは考えておりません。大蔵委員会におきましていろいろ議を尽くしていただき、その過程において建設的ないろいろな御議論があれば、政府としても、今まで各委員会でやっておりますように耳を傾け傾聴する、そういう態度は謙虚に持っていきたいと考えております。
  198. 糸山英太郎

    ○糸山委員 総理は、四月二十九日からだと思いますが、訪米の御予定でございます。日米間の焦点になっている半導体問題に対してどんな基本的な姿勢であるいは方針で臨まれるのか、国民は大変注目をしているわけです。また総合経済対策に関して、アメリカの理解を取りつけるためにどんなお考えをお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。
  199. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 半導体問題に関しては日米間の行政当局で合意がありました。我々はこれを誠実に履行しておるつもりでございますが、アメリカ側からああいう処置をとられたことは非常に遺憾でございます。直ちにその合意に基づいて緊急協議を申し入れて、今専門家同士で話し合っているところでございますけれども、我々の方はこれを守ってきた所存でもあり、またいろいろ例証も挙げてやっておるところであり、速やかなる撤回を我々は強く希望しておる次第であります。
  200. 糸山英太郎

    ○糸山委員 総理大臣、昨年の同日選挙の際、減税財源として、たしかNTTの株の売却利益を充てると、公約されたかお話しされたか、伺っております。六十二年度に百九十五万株が売却されると聞いておりますが、土曜日の終わり値では一株当たり二百九十万円でございます。計算すると合計五兆六千五百五十億円になります。NTT株の売却利益は、国債整理基金特別会計法によって国債の償還に充てられることになっておりますが、六十二年度は二兆一千七百億円が充てられるわけです。そうなりますと三兆四千八百五十億円が残るわけでございます。  そこで、総理、この三兆四千八百五十億円に関しては、国民の貴重な資産であり、中曽根内閣の行革の成果そのものであります。内需拡大など効果的に使うべきではないかと私は考えます。NTT株に関しては、六十三年度、六十四年度もそれぞれ百九十五万株の売却が予定されておるわけでございます。今の株価で推移すると、実に合計十兆円近くの余裕資金が出ることになります。総理は公約との関連の上でどうお考えになっているのか、御所見を伺いたいと思います。
  201. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 選挙中和がNTT株等に関して申し上げましたことは、まず第一に、政府税調において今いろいろ財源について議論しております、したがって、政府税調の結論を待って我々は検討いたします、そういうことを申し上げておる。どの場合でもそういうふうに申し上げておるのです。したがって、政府税調の答申を得て、それを我々が検討するという筋でやってきておるわけであります。  しかし、例示といたしまして、行政改革であるとか、あるいは国有財産の処分であるとか、あるいはNTT株の問題、日本航空の株式の問題等も挙げたこともございますが、その際も、やはりこれは政府の税制調査会で、今財源埋め合わせのこと、言いかえれば思い切った所得税、法人税の減税をやるわけでありますから、その埋め合わせの財源等については政府税調において議論さるべきものであり、まず政府税調としては減税を先に言ってきました。選挙のときには減税の中間答申が出ていたわけで、埋め合わせの財源の問題はまだ出ておらなかったわけですから、政府税調がどういう結論を出すか見守る、これを尊重する、そういうことを一貫して申し上げてきておるのです。そして、その際に付言して、例えばこういうものも考えられるとも思われるということも申してきたのであります。これを明らかにしておきます。  それから、NTT株の問題については、これは法律で使途が決まっておりまして、国債整理基金の中に入れて国債償還に使うという使途が決められております。私は、このNTT株にせよ、あるいは将来日本航空の株式売却にせよ、こういう国民の貴重な財産でございますから、これは終局的に国民の利益に還元する、それがやはり正しい態度であると思います。しかし、法律で決まっているルートもあるわけでございますから、やはり法律に従うべきであります。しかし、直接間接いろいろな方法も考えられるでしょう。終局的に国民の利益につながる、国民に還元するという考えを持ちまして、適正な手続により、かつ計画的にこの処理は行わるべきであって、一時の思いつき等で行うべきではない、そういうふうに考えております。
  202. 糸山英太郎

    ○糸山委員 時間が大変押しておりますから、最後に大蔵大臣に一言決意をお伺いしたいと思います。  大蔵大臣、たしかあすだと思いますが、ワシントンで行われますIMF総会に出席されるようでございますが、現在大変深刻な時期でございます。きょうもたしか百四十六円ぐらいだと思いますが、当然各国の大蔵大臣と為替問題なども話し合われることだと思います。また出てくるでしょう。この通貨の安定に関して、これまで以上に真剣に、いつも大蔵大臣は真剣に行っておりますが、確実な方法を考える必要があるのではないか。突っ込んだ話し合いもして、国民が宮澤大蔵大臣に大変期待を寄せているわけでございますので、どうかお体に気をつけて頑張ってきていただきたいということをこの際つけ加えておきます。御決意だけで結構でございますからお聞かせください。
  203. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 お励ましをいただきまして、ありがとうございました。  二月二十二日に七カ国が、現在の水準から大きく為替が動きますときには共同動作をとるという決定をいたしました。このことは今まで例のなかったことでございますが、最近このような想定にいわば合致するような事態が不幸にして起こりましたので、現実に各国が自己の負担におきまして相当大きな介入をいたしておるところでございます。  このたび再度七カ国が集まるにつきましては、この二月二十二日の決意の再確認を当然いたすべきものと考えておりますが、なお、それとともに、二月二十二日の際にも各国で申し合わせましたような政策努力、この政策努力の協調ということがやはり基本的には最も大切なことでございます。我が国はもとより各国もその政策努力をさらに進めることを確認いたして、これによって我々の共同の決意を疑いのないものにいたしてまいりたいと考えております。
  204. 糸山英太郎

    ○糸山委員 終わります。
  205. 堀之内久男

    堀之内委員長 新村勝雄君。
  206. 新村勝雄

    ○新村委員 社会党の新村勝雄です。  まず総理に御質問いたします。  総理はかつて非常に高い国民の間の支持率を誇っていらっしゃったわけでありますけれども、最近の世論調査によりますとその支持が激減をしておるということが言われておるわけでありますが、そういう事態をどうお考えであるのか、御感想を伺いたいと思います。
  207. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 世論調査というものは、一つは参考資料として我々は考えております。最近のことは、売上税等に関する我々の説明が不足であり、国民の皆さんの御理解を十分まだ得ていないことであると思いまして、大いに努力しなければいかぬ、一生懸命努力をいたしまして挽回いたしたいと思っておる次第であります。
  208. 新村勝雄

    ○新村委員 かつて国民は、総理のキャラクターあるいは政治家としての力量に評価を与えたと思います。しかし、それが一変して支持率が激減をしておるということは、これは何といっても今の売上税に関して総理の昨年の同日選挙における御発言とその後の行動とが違う、いわゆる公約違反ということにあると思うのですね。その点についてはどうお考えでしょうか。
  209. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 今、糸山議員に申し上げたとおりであります。
  210. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、公約違反という世論、これをお認めになりますか。
  211. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 あれだけの大きな例外をつくりまして、そういう案を提示していただいて、私も公約違反にならないようにお願いいたしますと政府税調、党税調にもお願いして出てきた結論なのでありますから、公約違反ではありませんと自分は考えておる、そう申し上げたとおりであります。
  212. 新村勝雄

    ○新村委員 政治上の評価、特に公約違反であるかないかということは、これはやはり基本的には総理がお決めになるのではなくて国民がお決めになるんだと思いますね。そういうことで、何十%を超える世論が公約違反であるというふうに見ているわけですから、公約違反ではないというふうにお考えになっても、やはりそういうふうに国民が見ているという事実はあるわけです。ですから、それをどういうふうに解決をされ、どういうふうに公約違反という評価を晴らしていこうとなさるのか、それを伺いたいと思います。
  213. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 税制の問題というものはかなり技術的な面がございまして、ここの予算委員会等で野党の皆さんと私と質疑応答をしたり、また政府が統一見解として申し上げたり、かなり技術的な問題でございます。そういう大型間接税に対する定義というものは、そういう細かい点は国民の皆さんあるいは御存じない、無理もないところでありまして、そういう点で誤解を受けたという点は甚だ遺憾で、我々の努力不足である、そう考えておるところであります。
  214. 新村勝雄

    ○新村委員 今、国会の情勢はまことに異例の状況にあるわけですね。こういう状況の中で六十二年度の予算がまだ審議にも入れないという状況でありますけれども、また、売上税についても大変国民的な不満が渦巻いているという状況であります。こういう中で今後どういうふうにこの国会の状況を打開していこうとお考えですか。
  215. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 国会議員の職務というのは国会法等で決められてもおりますが、まず憲法でも決められておるとおり国会で審議することが我々の任務でありまして、国会の外で物が決まるということはよくない。これは戦前の軍部の独走時代等を考えてみると、やはり国会というものを尊重して、委員会、本会議の審議の中で物が決められていくというこの厳然たる原則は守らなければならない。そういう意味において、野党の皆さんも国会へ出てきていただいて十分審議を尽くすということが国民代表たるものの国民に対する崇高な責任である、そう考えております。  理屈はいろいろありましょうが、やはり国会で審議するという第一原則に我々は自覚を持たなければならぬ、そう思うのであります。そういう意味において、速やかに審議が行われ、あるいは各委員会においてしかるべき討議が行われるように、議会主義の手続に従って物が進むことを強く希望しておる次第です。
  216. 新村勝雄

    ○新村委員 確かに審議をすることは使命であるし、そうあるべきだと思いますけれども、それができないというのはやはりそれなりの背景なり理由があると思うのですね。それから、自民党さんは三百四議席を持っていらっしゃるけれども、それでなおかつその数が機能しない、させることができないということにも問題があるのではないか。それは、今、全国民のうちの八十数%が売上税に反対である、そういう背景なり世論なりがそうさせているという面があると思います。ですから、野党ももちろん、審議拒否を続けるということについては、その点では問題があるでしょうが、それは単なる野党の審議拒否ということではなくてその背景がある。全国民の八割以上が反対しているということの事実を総理はどうお考えですか。
  217. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 国民のお考えも大事でありますけれども、戦前の日本の議会を見ますと、やはり一部の者にあおられて、軍部あるいは軍国主義というもので日本の世論がやや一色に近いくらいになったこともあります。しかし、そのときに、議会を守り、議会主義を守るということの重要性が認識される、私はそういうふうに考えております。
  218. 新村勝雄

    ○新村委員 今、総理がおっしゃったのは逆であって、現在の状況は国民の世論が政治を動かしているということも言えるのじゃないでしょうか。この世論が何といっても現在の政治を動かしているというふうに我々は見ておるわけであります。ですから、世論に誤解があれば政府の責任において誤解を解く、あるいは誤解がなくて反対をしているのであれば、それは税制改革の必要性を政府が説得をするその努力に欠けている、あるいはその手順に間違いがあったのではないか、こう考えるわけであります。とにかくこういう状況の中でこれを力で押し切ることはできないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  219. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 ですから、議会を開き、委員会を開いていただいて税制に関する審議を十分やっていただく。まだそういう機会がないから、国民の皆さんは中身を御存じない方が非常に多いわけであります。一億円以下の方は税の義務者にならないというのだけれども、床屋さんや八百屋さんあたりでも税がかかると思っていらっしゃる方が多い。魚屋さんでもかかると思っている。口に入るものほかかりませんよ、そう言うと、ああ本当かね、そう聞かれる状態です。  そういうわけですから、大蔵委員会でもっと審議を詰めて、国民の皆さんにこれがよくわかるようにまず理解していただく、その上に立って、いいか悪いか判定していただく。その委員会が開かれておりません。したがって、国民の皆さんがお知りにならぬのは無理もないところで、できるだけ早く、どういう内容でどういうものであるかということをお知り願いたいために、我々は早く委員会を開いてくださいとお願いしているわけなのであります。
  220. 新村勝雄

    ○新村委員 最近総理は、この売上税に関して修正に応じてもいい、あるいは修正をする決断をされたというように伝えられておりますけれども、今の御心境はいかがですか。
  221. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 新聞の記事に一々私は責任を持つという関係にはございません。
  222. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、あくまで今の姿勢を貫くということでございますか。
  223. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 この国会で答弁したことを誠実に守っていくということであります。よくここでも申し上げましたように、委員会で審議を尽くしていただいて、国民にもよくお聞きを願い、建設的な御議論については、ほかの委員会でもよくやっておりますように謙虚に我々も耳を傾ける、そしてできるだけ合意の形成に努める、そういうことを申し上げてきておる次第なのです。
  224. 新村勝雄

    ○新村委員 これだけの税制改革をするのに、国会に対してもあるいは国民に対してもその説明ないしは準備が極めて不足であったと思うのですね。国会にしても国民にしても、その税制改革の必要性なりあるいは売上税をどうしても導入しなければいけないという必然性について理解がいかない、また、その準備についてもほとんどなされていないという印象を我々は持っておりますけれども、いかがでしょうか。
  225. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 税制改革につきましては、昭和六十年の三月に村山調査会ができまして、自民党ではいろいろ研究を始めた。その前に、大平さんのときに、たしか五十三年ぐらいでございましたか、一般消費税というものが問題になって、国会の決議もその後行われるくらいに、間接税の問題というのは皆さん関心を持ってきておったわけであります。  そういう前提の上に村山調査会でもいろいろ議論もし、六十年の九月に政府の税制調査会がありまして、そこへ正式に諮問をして、そして去年の秋に答申が出てきた。一年有半にわたっていろいろ議論もしておるところであり、自民党も最後の詰めでは皆さん相当エネルギッシュに討論もやり、おまとめもやっていただいたわけです。そこで国会へ提案という形になりました。大蔵委員会におきまして、ここで大いに議論をして慎重審議をやりたい、その間にまた国民の皆さんにもいろいろお考えもお聞きしたい、そういうふうに考えておるところなのでございます。
  226. 新村勝雄

    ○新村委員 税制改革、特に売上税を導入しなければいけないというその理由、必然性、それについて伺いたいと思います。
  227. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 かなりの額の所得税、法人税の減税をやります。また、今まで税の不公平感、重税感にサラリーマンの皆様は、いわゆるクロヨンとかトーゴーサンとかいって悩み、苦しみ、重税感を訴えてこられました。それらを直す、シャウプ以来の税のゆがみ、ひずみというものも直す、そういう面もあり、また、これだけの思い切った減税を実行するについて、これを埋め合わせる財源が要ります。そういう点から見まして政府税調、党税調でいろいろ検討の結果出てきた案を我々は使わしていただく、そういうことになった次第です。
  228. 新村勝雄

    ○新村委員 それで、現在のこの状況を打開するために、自民党は六十二年度の予算については単独採決も辞さないということが伝えられておりますけれども、そういうお考えはありますか。
  229. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 ともかく国会を開いていただいて、委員会を開いていただいて審議するということが大事である、そう考えております。
  230. 新村勝雄

    ○新村委員 今の状況で自民党さんの中にいろいろの違った意見があるやに報道されておるわけであります。売上税を修正する、あるいは今後の国会運営についてもいろいろと異説が伝えられておりますが、そういうことは一つの閣内不統一あるいは党内の不統一を示すものであると思いますけれども、そういうことがありますか。
  231. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 別に今、不統一があると思っておりません。自由民主党は、自由民主主義ですからいろんな議論はありますが、時期が来ればちゃんと党の機関機関がこのことをきちんとまとめて、そして統一が形成されていく、そういう段取りがいつも行われておるわけなのであります。
  232. 新村勝雄

    ○新村委員 今、統一地方選挙が行われておりまして、自民党の候補者も売上税に反対であるというふうに口をそろえて言っていらっしゃるわけです。私は自民党の候補者の演説を聞いたのですけれども、自由民主党は自由な政党であるから中央の方針をそのまま守る必要はない、自由に政見を発表してもいいのだ、ですから我々は売上税は反対ですということを言っておりますね。少なくとも、政権を担当する政党でありますから、きちっと党の方針を決めたら、その方針で国民に臨んでいただかなければ、政治に対する政党の責任があいまいになってしまうのではないでしょうか。そういう点で我々は大変疑問に思っているわけです。  確かに税制改革は、国民には耳ざわりのいいことではないと思います。総理も、自分はどうなってもいいのだ、これは国のためだからやるのだとおっしゃっておりますが、それだけの自信がおありになるのであれば、自民党としては断固としてやるのだということで、総理以下全党員がそのつもりで責任を持っていただかなければ、中央では売上税を導入する、地方のれっきとした自民党員の候補が、売上税には反対である、自民党は自由なのだから何と言ってもいいのだということでは政党の責任が疑われるわけでありますけれども、そういうあり方はいかがでしょう。
  233. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 税制の改正の問題は国政の仕事でありまして、地方議会の皆様方はその地方の建設の問題が主たる任務で、それが地方自治の本旨に従うゆえんです。言いかえれば、身の回りのことは地方自治体が自分たちでやる、身の回りのことを中心におやりになるのが地方自治の本旨だろうと思うのです。したがいまして、国政に関する重要な問題については我々が責任を持ってやっておりますが、その地方の建設あるいは福祉、交通、教育、そういう地方の問題については地方の人が責任を持っておやりになる。中央のこういう、我々国会議員が責任を持ってやるという問題に対して、いろいろお考えもあるでしょう。我々も一つの参考としてはこれを考えておるものであります。
  234. 新村勝雄

    ○新村委員 地方において自民党員が中央の方針と全く逆なことを宣伝して票の獲得を図っているということは、政治倫理からいっても全くうなずけないことなのです。ですから、自民党の方針がそうであれば、苦しくても何でも堂々と自民党の政策を貫徹していただかなければ国民に対する政党の責任は果たせないと考えます。そういう点でもう一回お願いします。
  235. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 国政の問題と地方行政の問題というのはおのずから性格の差もあるだろうと思います。我々は国政を担当している方でありまして、国政の問題については非常に大きな関心を持っております。地方の問題につきましては、地方の皆さんが責任を持って第一義的におやりになる問題である、そう思っておりまして、地方の方が国会議員の権限に関すること、国会の権限に関することをおっしゃるということ、これは一つの参考としてお聞きしておく、こういうことであります。
  236. 新村勝雄

    ○新村委員 それはおかしいので、自民党の中央の政策と全く逆なことを言って当選を図るということは、選挙が終われば当然自民党の中央の方針に従わなければならないわけでしょうから、そういう点で一つの政治のルールを乱すことではないかと思いますし、政権党である自民党としての責任体制が大変疑われるということでありますけれども、大蔵大臣はこの点についてどうお考えですか。
  237. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 地方で今地方選挙をやっておられる方々、この問題についても御自分の御意見はおありであろうと思います。私はときどき議論もいたしますけれども、そういう御意見をお持ちになることはその方々の御自由であろう。ただ、その方々は、今総理も言われましたように国政に直接参与される方々ではないのでございますから、そういうお立場からの御意見であると承知をいたします。
  238. 新村勝雄

    ○新村委員 次の問題に移ります。  これは厚生省に関係あることで、医療費の問題でありますけれども、医療費の報酬、まだ実現していない将来の医療費を一つの債権と見て、その債権を担保にして融資を図っている、あるいはまた、その将来の債権が一種の売り買いのような形で転々と移動しているという事実があるわけであります。これは一般的に、将来の確実な債権についてはそういったことをしてもいいという判例があるようでありますが、事医療費に関する限りは、それが病院の経営を圧迫し、病院の破産につながる憂いがたくさんあるわけでありまして、医療という特殊な分野におけるこのような傾向は大変危険であると考えますけれども、厚生大臣はどうお考えですか。
  239. 斎藤次郎

    斎藤国務大臣 今先生も御指摘になられましたように、診療報酬債権を債権といたしたりまた担保にいたすということについては、民法上これを規制もしくは禁止することはできないものだと思っております。しかしながら、お話にもございましたように決して望ましいことではないと思いますし、このことが医療の経営を圧迫し、また正しい医療の確保ができないというようなことになっては大変なことでございますので、そういう観点からの指導を私どもとしては強化いたしておるところでございます。
  240. 新村勝雄

    ○新村委員 こういったケースはどのくらいあるのか、件数、一件当たりの額、総額を伺いたい。
  241. 下村健

    ○下村政府委員 お答えいたします。  診療報酬債権譲渡の状況でございますが、支払い金関係で本年一月の実績で申し上げますと、譲渡件数が二百八十九件、医療機関数が二百八十一、金額が三十億ということになっておりまして、総体の診療報酬の約〇・五%でございます。  国民健康保険の関係ははっきりいたしませんが、件数で二百二十七、医療機関数で二百十二、金額ははっきりいたしておりませんが、二十五億程度であろう、これも総体の〇・五%程度に相当すると見ております。  実は、薬あるいは診療機器の購入、診療所の新築代金の支払いというふうなことで健全なものが大部分でございますが、一部民間の金貸し業者というふうなところに債権が回っている例があるのではないかと見ているわけでございます。
  242. 新村勝雄

    ○新村委員 総理に伺いますけれども、今のような、まだ実現していない将来の医療費を担保にして融資をする、あるいはこれが債権として移動している、こういう事実があるわけです。現在の病院経営は普通であっても大変苦しいわけでありますから、一たびそういう状態になればまっしぐらに破産に転げ落ちていく、こういう危険があるわけです。そういう状態になった場合には一番しわ寄せを受けるのは患者でありますから、こういう状態を未然に防ぐ、あるいは救済融資の方法なり、そういう指導が特に要請されていると思いますけれども、どうお考えですか。
  243. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 それは不正常、不健全なやり方だろうと思います。したがいまして、政府としても、医師会等とも連絡をとって、そういう不正常、不健全なやり方を是正するように努むべきであると考えます。
  244. 新村勝雄

    ○新村委員 それからもう一つ、今問題になっておりますいわゆる霊感商法なるものが横行しておりまして、一般の市民が大変被害を受けている、あるいは不安を持っておるわけです。これについて私は質問主意書を出しまして、当局もそれについては一応の認識は持っておられるようでありますけれども昭和六十一年度において千八百件程度の被害があるという回答があったわけでありますが、実際にはこの程度ではないというふうに言われております。この点について政府は今後どういうふうに対処されますか。豊田商事等こういった類の市民の生活を脅かす悪質ないろいろな商法が横行しておりますけれども、そういったものに対する対処の仕方、態度をお伺いしたいと思います。
  245. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 いわゆる悪質な商法につきましては、善良な国民がその犠牲にならないように配慮していくことが必要であると考えているところでございます。  今先生が言われました霊感商法につきましては、違法行為があれば厳正に取り締まっていく方針でございまして、詐欺罪、恐喝罪あるいは薬事法、訪問販売等に関する法律、迷惑防止条例等を適用いたしまして検挙しているところでございます。これからも違法行為に対しましては厳正に対応していく所存でございますけれども、同時に、この霊感商法の実態を広報いたしまして、よく国民の皆様に知っていただきまして、こういう被害を未然に防ぐ努力をしていきたい、こう考えているところでございます。
  246. 新村勝雄

    ○新村委員 ただ抽象的に防いでいくということだけではなかなか納得できないのですけれども、具体的にはどういう対策あるいは手を打つべきと考えますか。
  247. 漆間英治

    ○漆間政府委員 お答え申し上げます。  この種の商法につきましては、まずその商法の悪質性を国民の方々によく知っていただくということが大事でございます。したがいまして、警察はもとよりでございますが、関係機関等が集まりましてこの種の問題について情報交換を行いまして、どうすれば国民の方々にこの種の悪質性をわかってもらえるかということについて、日々情報交換をしながらいろいろな対策を模索いたしております。  その中で、警察といたしましては、何といいましても、検挙できるケースにつきましては検挙して、一罰百戒的な効果を上げることが肝要と考えておりまして、その意味で、証拠収集等に努力いたして検挙にも努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  248. 新村勝雄

    ○新村委員 終わります。
  249. 堀之内久男

  250. 渡部行雄

    渡部(行)委員 まず最初に、会計検査院長にお伺いいたします。  この決算委員会はずっとおくれてやられ、今昭和五十八年度と五十九年度が一緒に総括されておるような次第でありまして、甚だ異例の審議ともいうべき姿ではないだろうか、こう考えます。ある意味では、決算というものは一番大事ではないか。なぜかというと、これは予算の一つの基礎をなし、そしてまた行政が正しくガラス張りに行われたかどうかということを国民に知らせる役割を持っているからでございます。  そこで、今までの会計検査院が決算を誠実にかつ立派になし遂げるためにはどうしても院法の改正を必要とする、こういう立場で、また国会もこれを認めて、昭和五十二年来衆議院において、そして昭和五十三年来参議院において、両院で毎年決議案を出して院法改正を図ろうとしてきたわけですが、いまだに院法は改正されていない。昨年は院長の答弁の中にも、ぜひ院法を改正してもっと会計検査院の機能を強めてほしい、こういうような意思表示もあったわけですが、今度新しくかわられた院長はどのようにこの問題に取り組むか、お伺いいたします。
  251. 辻敬一

    辻会計検査院長 院法改正問題につきましては、かねてから本委員会を初め国会におきましてたびたび御議論をいただいているところでございます。  会計検査院としての考え方は、かつて昭和五十四年に院法改正案要綱を作成いたしまして、内閣にお示しいたしました際に明らかにいたしたところでございます。その後いろいろな経緯がございましたが、一昨年二月、内閣官房副長官から新しい通達が発せられまして、いわゆる肩越し検査につきまして協力方針が明確になりましたので、ただいまはこの方法によりまして検査の実効を上げるように努力しているところでございます。
  252. 渡部行雄

    渡部(行)委員 肩越し検査ができるようになったと言うけれども、これは相手が協力して初めてできるので、権限としてできるわけではないのですよ。ですから、この問題はよほど強力にやっていかないと、この間のマルコス疑惑に対して一つも手がつけられない、こういうような状態が現実に出ておるわけですから、やはり憲法で保障された会計検査院という立場を十分考えてこのことはやる必要があると思います。そういう点で、今までこの院法改正を怠ってきた内閣総理大臣は、一体この問題をどう考えておられるのか、今後どう取り組む決意でおられるのか、そこを明らかにしていただきたいと思います。
  253. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 この問題につきましては、官房長官、大蔵大臣、会計検査院で随分長い間協議いたしまして、当面の現実的な解決案といたしまして、ある程度話し合いが行われ、官房副長官の通達が出されまして、事実上いろいろ協力できる体制ができ、かつ既に実施されて肩越し検査が行われているのもあるやに聞いております。当面は、これで一応成果が上がりつつあると思いまして、この推移を見守る。私は、大体今の三省庁の合意あるいは院の合意でいいのではないか、そう思っております。
  254. 渡部行雄

    渡部(行)委員 今、院の合意というのは間違いだと思いますが、私は、会計検査院というこの牽制機関を強化して、行政府と検査院とのバランスをとるようにしていかないと仕方ないと思うのですよ。その院法改正をどうして渋るのか、私にはどうもわからないのです。行政指導でやるのと法律権限でやるのとでは全然違うんで、そういう点でなぜこの会計をもっとあからさまに国民にわからせようとしないのか、その点についてもう一度お伺いいたします。
  255. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 やはり自由主義経済を行っておりまして、統制経済ではない今の我々の体制でございますので、金融関係その他について不測の、おもんばかりと申しますか、障害が起きるのをある程度防止する、そういう考えもあるわけなのでございます。行政によりまして、会計検査院とも協力して事実上それが行われるようにある程度限定的にそれを行うというやり方で当面はいいのではないか、そう考えております。
  256. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この問題でいろいろ時間をとってもなんですから、私は非常に不満な答えとして意思表示をしておきますが、次に移ります。  今、日本は非常に厳しい情勢の中に立たされ、貿易摩擦あるいは半導体摩擦、その他円高とかあるいはまた世界の国々から大分孤立しつつあるような感もしないわけではないのでございますが、今こういう日本丸を運転しておられる総理はこの事態をどのように認識されておるのか、どのように受けとめられているのか、その点についてお伺いいたします。
  257. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 やはり日本の輸出力、生産性というのは非常に高い、そういうような結果もあり、またアメリカ側におきましても財政赤字の処理のテンポがそれほど速くない、そういう問題もあり、いろいろな不整合の問題があってこういう問題も起こりつつあると思います。しかし、半導体等に関しては我々は合意を守って、通産省がかなり監督を厳重にしつつやってきたところで、成果も上がりつつあるところでございます。そういういろいろな問題につきましては一つ一つ丹念にこれを解決していく、できるだけ迅速に解決していく、あるいはG7とかG6とかということで合意した問題についてはこれまた誠実に実行していく、そういう形で現在の国際社会における政策協調、構造改革の問題に対処していきたいと考えております。
  258. 渡部行雄

    渡部(行)委員 今の国際問題のこの緊張を緩和させるということは、言葉ではなくて事実によってこたえなければならないところまで来ていると私は思うのです。貿易摩擦が大体黒字三百億ドルくらいのときから問題になって、大変議論を今日まで繰り広げられてきたわけですが、年々その黒字はふえる一方なんです。ことしは恐らく一千億ドルに達するのではないか、こういうふうにさえ専門家は言っているんです。貿易黒字を圧縮し、縮小していくということで努力しますと言っていながら、どんどんそれがふえてきて一千億ドルを突破しようという、ここまで来たら理屈じゃないでしょう。これは現実にその黒字を削らなくちゃならないでしょう。その責任と義務があるはずですよ。そうするにはどうしたらいいのか、そうするにはもっと納得のいく政策をやる必要があると思うのですよ。  今この黒字減らしには、まず輸出の規制とか、あるいは生産調整とか、あるいは輸入の拡大、そして国内的には内需拡大、こういうものを図っていかなければどうにもならないでしょう。ところがどうです。輸出の規制等々は若干やりましたけれども、しかし現実には内需拡大なんて何かやりましたか。今までの決算の中に具体的な問題がありましたか、内需拡大のためにこれだというのが。何にもないじゃないですか。ところが、そういう事態の中で今度は売上税を導入したら、内需拡大どころか、これは内需縮小ですよ、売上税というのは売る物の値段をみんな上げる税金なんですから。何にも難しいことないのです。売る物の値段が上がれば、売る方の人も買う方の人も困るということなんですよ。そういう国民に困ったことを、国民が反対することをあなたは押しつけようとしているから公約違反だと言われるのです。これはあなたが判断することでなくて、国民は既に判断して、岩手の選挙のように結論を出しているのですよ。そして世論調査の中でも、あれほど最高の人気の、もう偉大な総理と言われたあなたが、今がたがた落ちて、何ですか、二一%くらいの支持率という、こういう落ち方は、これはあなたの人格がなしたわざなのか、売上税が根本にあってなしたのか、その辺はどういうふうに受けとめておりますか。
  259. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 税制問題は、やはり説明が不足で御理解を得るのがまだできない、そういう点が非常に多いのではないかと思って、一日も早く議会を開いていただいて、これらの問題を討議して、我々の説明のチャンスを与えていただければ幸いであると思っております。
  260. 渡部行雄

    渡部(行)委員 どうも問いに完全に答えていないですね。あなたはそらしてはかりいて、まともに答えていないんですよ。国民が何か勉強不足で、そしてこの税制の理解が足りないみたいを言い方をするけれども、勉強すればするほどこの税金には皆反対してくるのですよ。だから、最初自民党の幹部でさえ意思統一したのが、最近は皆修正もあり得る、きのうの新聞にも出ていますよ、「売上税修正決断したが」、これは毎日新聞。そして「国民の声検討する」と安倍総務会長が発言しているのですよ。こういうふうにみんな自民党の幹部の中から今度ぼろぼろ売上税に対する批判が出ているのです。これはあなた、説明できないじゃないですか、今の答えでは。  総理というものは国民をばかにしてはだめですよ。国民を説得し、納得させ、そして総理に対する敬服の念を与えるようなやり方をしていかなければ、あれはうそつきだと、最大の侮辱じゃないでしょうか。一国の総理がうそつき呼ばわりされるというのは、私は耐えられないと思う。こういう不名誉をはね返すためにも今や行動の時期なんです。貿易摩擦はこうして私は解消する、あるいは売上税は撤回して、そして新たに検討し直す。大体、この売上税の提案の仕方自体が問題でしょう。こんな重大なものを予算と絡めてべこっと出してきて、しかも予算の方を先に出して法案を後から出すなんて、こんな話はないですよ。  今度の売上税は、売上税だけじゃない、税制改革なんですよ。税制改革をするとすれば、まず税に対する国民のコンセンサス、言ってみれば哲学が必要なんですよ。その哲学の確立をどういうふうにみんなでやっていくか、そういう段階を経て、なるほどおれは国のために、社会のために税金は負担しなければならぬのだ、そしてその負担は公平で公正でなければならぬ、こういう理解のもとにこの税制改革に国民が協力するならわかりますよ。何ですか、租税法定主義と言われる予算案をひょこっと数字だけ出してきて、後からその基礎になる法律案が出てくるなんて、こんなばかな話はないですよ。そして、あなたは口を開くと早く国会で審議してください審議してください。これはまるで土俵をつくらないで相撲をとるようなものですよ。まず土俵をつくるのはあなた方に責任があるのだから、そこで土俵をつくって、さあ来い、仕切ろうじゃないかというなら仕切りますよ、私たちは待っているのだから。そういう国民をまやかすようなことは避けてください。その点についてもう一度お願いします。
  261. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 土俵は、国会という立派な土俵はもうできておるので、力士が上がってこないのじゃないかと私は思うのです。やはり国会というのが一番大事な憲法上の土俵ですから、ここで上がってきて大いに議論させてください、そういうお願いを申し上げでいるところなのであります。
  262. 渡部行雄

    渡部(行)委員 どうも後の方だけちょこっと答えて、前の質問に対しては全然話にもならぬですね。あなたのごまかし方はそこなんですよ、上手なのは、いつか肩透かしを食って、あれ、大分質問したようだが、さて振り返ってみれば何にもなかった、こういうことでは困るのです。  そこで、時間が大変ありませんので私は詰めて言いますが、今あなたがこれほど人気が下がったという原因、一番大きな原因は何ですか。
  263. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 売上税に関する説明が十分浸透していない、そういうことだと思います。
  264. 渡部行雄

    渡部(行)委員 国民に浸透するまでそれでは売上税を保留する、あるいは撤回して提案し直しする、そういう御意思はございませんか。
  265. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 撤回する意思はありません。
  266. 渡部行雄

    渡部(行)委員 審議の中で大分柔軟に対応するような発言がほかの大臣等からありますが、まあ私どももこの真相を早く国民の前に明らかにしたいと思っております。  さてそこで、最近アメリカから、特に半導体摩擦について問題になっております。この半導体は協定を守って正しく対応していると言われておりますが、きのうの晩のテレビで、この取引の中心的な役割を果たしていると言われる人々がそれぞれ発言されたのによれば、今こんな協定を守っておるユーザーは一人もいませんよと言っているのですよ。あなたが守った守ったと言ったって、相手が守ってくれないのだと言うのです。しかもこれは、とてもこんな価格で今取引なんかできませんよ、三百五十円以上でなんか。もう百九十円から二百円そこそこのものをそんな高く売れませんよ、また買う人もおりませんよ、こう言っておるのです。  しかしもう一面、私はこのアメリカの出方にまた問題を感じているのです。アメリカは、これは日本のダンピングだということで、何といいますか、一つの言いがかりをつけておるようにしか思えませんが、本音は先端技術という一つの軍事技術上の戦略から文句をつけてきているのではないか。したがって、そういうものを見通した上で対応していかないと、ただ商売上の対応とか約束上の対応とか、そんな単純な対応の仕方ではとんでもないところに日本が追い詰められるのではないか、私はこんなふうに思うのですが、総理はいかがですか。
  267. 田村元

    田村国務大臣 昨夜のテレビを私は見ておりませんから存じませんが、アメリカが我々に対して文句を言っておりますのは、要するに政府対政府の問題でございます。半導体協定で我々は協定をいたしましたけれども、日米の直の取引についてはアメリカは文句を言っておりません。問題は、第三国経由のダンピングがあると彼らは言うわけです。もう一つは日本が売り込むだけで買わないということについて文句を言っておる、こういうことでございますが、日本政府としてはもうやるだけのことはいたしました。これ以上何ができるかということでございます。あとはもう、もし仮にアメリカの言うとおりのことがあるとすれば、企業のモラルの問題だと思います。生産調整も指示いたして、相当進んできております。昨夜の、私は知りませんが、どうもグレー輸出の問題らしゅうございますが、いずれにいたしましても第三国経由でダンピングをするということが仮にあるとすれば、それは日本政府が担当官を第三国へやって調査するということは、相手国の主権の問題がございますから簡単にできることじゃありません。また日本帝国主義がどうのこうのということになってまいります。  向こうのものを買う、これは確かにもっと買ってもらいたいと強く要請しております。強く要請しておりますが、一つには基本的な問題として日本とアメリカとの営業のやり方が違うということがあると思うのです。先般新聞を読んだ程度でございますから私もここで発言する種にするのもおかしゅうございますけれども、日本の業者は営業マンが血眼になって売り込む、泣くようにして売り込む、アメリカの方はパンフレットを送ってきて、そうしてパンフレットを送ったのに買いに来ないと言って怒っておるというようなことが新聞に書いてございました。  そういうような違いもあるのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、この問題は戦略的な問題とかなんとかという厄介な問題ではなくて、やはり営業上のことでございますから、企業が十分なことをしてもらう。生産調整等でクレーマーケットにおける出回りはほとんどなくなると私どもは確信しております。
  268. 渡部行雄

    渡部(行)委員 政府はやることはやった、これ以上何もできないというような趣旨の御答弁でしたが、私はそう思わないのです。  大体、今円高円高と言っておりますけれども、その円高が外国に向かっては正しく作用しておりますが、日本の国内で作用しているでしょうか。この前、大蔵大臣は、卸売物価が一〇%も下がっている、消費者物価は横ばいだ。我々が重要視するのは消費者物価ですよ。円の値打ちが高まれば、消費者物価は高まっただけ下がらなくちゃならないのです。それが逆に上がっているでしょう。ガスと電気だけ下がって、ほかのほとんどは上がっておる。これは物価は上がっているのですよ。ただ数字上出てこないだけで、総体的にはそういうことになっている。  そういうものを放置しておいて、そうして貿易摩擦の対策は十分やったと言われますけれども、私はそう考えない。大体、今円高、今こそ輸入すべきときなんですよ。何を輸入するか。商社に任せておいたのではだめなんで、日本は将来を見通した百年の大計をつくって、いろいろな重要な、例えば希少金属とか、あるいはその他重要ないろいろなものがあるはずなんです、そういうものを今どんどん買い込んで、あるいは日本の社会経済をさらに裕福にし、そして社会資本の蓄積を図る、そういうことも今が絶好のチャンスだと思うのです。そういう手を打たない、また打てないのです、今の法体系では。それは企業の金に手を突っ込むわけにはいかないから、だからそこで企業を指導する、輸入して黒字になった半分は国策に協力しなさいとか、何か手を打ってそういう輸入対策をすべきではないかと私は思うのです。そうすれば一挙にこんな黒字は解消するはずですよ。  それからもう一つは外交でございますが、今アメリカ追随の、一辺倒の外交をやっているから、アメリカから逆に言いほうだいのことを言われておる。日本は一体独立国なのか何なのかと疑うくらい、私は毎日腹を立てておりますよ。売上税の問題までヤイター通商代表からも指摘されたのではありませんか。そういう形で日本の予算の中にまで食い込んでどんどん口を入れられて、そして御無理ごもっともですで、そこで総理が今度訪米する。何を獲得するために訪米されるのか、その辺もお伺いしたい。  今こそ、ソ連とも北朝鮮とも国交を緊密にさせていく、そして世界全体、全方位の外交を強力に展開して、そして平和か戦争かの認識をはっきりとして、世界の外交の主導権をとっていくというようなことに心がけなければならないと私は思うのです。そういう点でひとつ、内閣総理大臣及び外務大臣、それから関係の大臣からお答えをお願いします。
  269. 田村元

    田村国務大臣 今御答弁申し上げたのは、半導体のことをお聞きになったから、半導体に関しては打つべき手はすべて打ち尽くしたということを私は申し上げたので、まさか半導体の御質問で私がお答えしたのが貿易全体というふうに受け取られようとは夢にも思わないで、まさに半導体なんです、半分の半ですが、半導体に関してお答えを申し上げたのです。  輸入問題につきましては、自由主義経済でございますからもちろん限界はございます。まさか戦時中の統制経済のようなことはできません。これを買わなければしょっぴくぞとか、おまえのところへ立入検査をやるとか、それはできません。できませんけれども、行政指導としては、我々はもう可能な限りの手を打ってまいりました。明日も午後、百五十一社でございましたか、企業を呼んで、私からなおも輸入拡大の促進をお願いすることにいたしております。いろいろな手を打っております。また野党の方もいい案がございましたら、どうぞいろいろと具体的にお教えをいただきたい。私いつでも飛んでまいりますから、どういうふうにしたら輸入がふえるか、どういうふうにしたら黒字が減るか、どうぞひとつ、何かとお教え願いとうございます。
  270. 倉成正

    ○倉成国務大臣 今、日米間で貿易の不均衡、すなわちアメリカの貿易赤字の約三分の一が日本が原因になっている、こういうことから非常に貿易摩擦が起こっておることは先生御指摘のとおりでございます。したがって、この問題については、我々もやるべきことはやらなければいけないと思っております。  しかし、防衛関係の問題等につきましては、日米関係は非常に良好にいっているところでございます。したがって私ども、アメリカに友好国として言うべきことは言い、そしてまた聞くべきことは聞くというのでございまして、決してアメリカ追随をいたしておるわけではございません。日本は完全なる独立国でございます。
  271. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 おっしゃるような非同盟中立主義的立場に立った全方位外交という考えを私はとっておりません。
  272. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間が参りましたのでこれで終わります。どうもありがとうございました。
  273. 堀之内久男

    堀之内委員長 渋沢利久君。
  274. 渋沢利久

    ○渋沢委員 総理、先日はお国入りでお墓参り、きのうはお花見だそうでございます。散り際のさわやかなことが特徴といえます桜の花見、心行くばかり御満喫でございましたか。     〔委員長退席、糸山委員長代理着席〕
  275. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 花見をしたというのは新聞の誤報でありまして、あれは私は、私宅へ帰りまして、本をとりに行ったということであります。
  276. 渋沢利久

    ○渋沢委員 日本の政局に重大な影響を持ち得る知事の選挙が始まって、それぞれが政治生命をかけて激しく競い合っているというこういうさなかに、我が国の総理が今のようなお話、これは歴史に残るお話だろうと思うのですね。  先ほどの質疑にもありましたが、党史始まって以来最大の議席を得た人が、一年もたたぬのに、党史始まって以来でしょう、知事の選挙で告示の日に街頭で総理が物をおっしゃらぬ。総理の周辺の首脳がいろいろなおぜん立てを総理の出番についてして、大体、お話の好きな総理だとみんなわかっておるからいろいろ御苦労なさったが、いまだに出番がつくられない、これは深刻な事態だと思うのです。我々は野党の一員ですが、しかし、この国の政治のありようについて責任を分かち合う者の立場で、我が国の総理が国民からここまで不信を受けるという事態は、これは異常な事態だと非常に深刻に受けとめざるを得ないのです。何でここまで国民から嫌われねばならなかったか。先ほど来、説明不足、説明不足と一貫しておっしゃっておるわけですが、そうでしょうか。売上税はよく説明したら国民が納得されるというようなものだと本気でお考えですか。そんなことはないでしょう。  説明不足ということを乗り切るのならば方法は幾らでもある。この国会の始まる前に野党が党首会談を求めたでしょう。あなたは断った。施政方針演説の日に、まさに税制改正の国会、売上税国会でしょう、百も承知の中で総理御自身が、饒舌という批判があるほどお話好きの総理が、まさに売上税のウの字も言わなかった。この姿勢は、ひとり野党が腹を立てただけじゃないのです。国民は見ていますよ。昨年来の事の経過の中で、なぜもっと率直に我が国の総理は、この大事な、まさに国民の暮らしも、人間関係、生きざまから商いのあり方、すべてに直接大きな影響をあしたから与える、そんな大事な税制改正をやろうというのに、何で売上税のウの字もなしにあの選挙ではあのような態度で、これは余りにもひど過ぎる、こういうことじゃないでしょうか。私は、説明不足などというものではさらさらないと思っているのですよ、総理。  今、ここまで不信があるという異常な事態ですね。まあお花見までできる事態というのは、これは、マル優の廃止、売上税、税制改正の葉そのものに対する国民の批判ということと、いま一つ、我が国の総理、まして国民からいえば、あれほど大きな議席を自民党に与え、支持を与えたのですよ。あなたへの信頼ですね。ここまで信じた人が、政府が、政治家が、ここまで見事に破廉恥に堂々と裏切りをされる、そして特有の言葉のもてあそび、そこを全部見抜いてしまった。やればやるほどこれはもういけませんね。非常に汚く見える、それだけですね。  ですから、売上税そのもの、税制の案の悪さ、これはもう言うに及ばずですが、それだけではない。それだけならあなたはPRをおやりになればいい。お呼びがなくたって、出て物を言ったらいいじゃないですか。それだけじゃないでしょう、あなたがじっとしておらなければならぬというのは。やはり政治不信、あなたへの不信ですよ。私はやはり国民の良識というものを、あなたは知識水準発言で、今度アメリカへ行っても議会では演説をさせられないはずだが、それはともかくとして、日本人の良識というものを、水準の高さを私は感じました。あの岩手の選挙でも、今のこの事態を見ても。まさに、こんなひどいやり方は許さぬという国民の怒りが重なり合ったところに今の深刻な事態があるのとは違いますか。このことは総理、やはりあなたほどの方が正直にお受けとめにならぬと、この袋小路は抜け切れぬと私は思う。どう思われますか。
  277. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 まず、破廉恥という言葉を使われましたが、お取り消し願いたい。
  278. 渋沢利久

    ○渋沢委員 お気にさわったようだから、これは取り消します。私がそう言わぬでも世間はそう言っておるのです。しかし、その一言は取り消しましょう。  しかし、今私が言ったことにお答えいただきましょうか。
  279. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 今やっているのは統一地方選挙でございまして、いろいろ地方問題等が中心で、地方の建設問題というものをメーンテーマとして地方自治の本旨に基づいて行われるべきものであります。国政の問題ならば私が方々に直接お願いするという直接的な要請もございますけれども、今は地方問題でやっている最中でございますから、私としては、特に私がどうしても出ていかなければいけない、そういう性格のものでもあるまい。そういうことで地方からいろいろ、一部には来てくれというお考えもありますが、余り騒ぎ立てない方が自分としてはいいだろう、そう思うから自分は行かない、そういう方針を大分前に決めて連絡をした次第なのであります。
  280. 渋沢利久

    ○渋沢委員 とんでもない話だ。まあしかし、それはいいでしょう。承りました。  しかし、あなたは選挙のときに、自民党が反対する、なお国民が反対する大型間接税は導入しない、こう言った。自民党は賛成なすって党税調から党議で決めてきたものだから、そこはクリアできたが、国民が反対する大型間接税という部分でいえば、これは残っている。まさか国民投票をやるわけにもいかない。この部分でいうと、あなたは先ほどの新聞の世論調査の趨勢については一致した下降傾向。今極端に上がるのは、土地の急騰と株の急騰そして中曽根内閣の不支持率の急騰だ。これは非常に特徴的ですね。しかもばらつきがない、各社平均してそういうパターン。これは岩手の選挙の結果が——新聞のことはそれは新聞のことだとおっしゃったが、そういうことではないでしょう。民心をはかる上で重要なデータだ。あなた、国民が反対するというその国民という部分は何を尺度としてお考えなさるか。そういう意味ではこの地方選挙を非常に大事な物差しとしてお考えになってしかるべきでしょう。そう思いませんか。
  281. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 国民が反対する大型間接税と称するものはと言っておるので、大型間接税と称するものに当たらないように政府税調、党税調であんばいをしてくれてあれだけの大きな例外をつくった。したがって大型間接税に当たらないものと自分は考えておる、党も総務会でそういうふうに承認をして、認めてくだすった、そういうことを前から申し上げているとおりです。しかし、そういう内部のいろいろなお考えは国民の皆様方にはそうすぐストレートにはわかるものではないから、そういう点では認識不足も説明不足もありまして、そういう意味で国民に御迷惑をかけたことは申しわけない、そう思っていると申し上げているとおりであります。
  282. 渋沢利久

    ○渋沢委員 それはまあ説明不足という言い方しかあなたはできないのかもしれないが、これは認識が違うのです。先ほどお話がありましたが、この大型間接税問題では国民は過去二回、あなたの場面で三度目だが、経験を持っています、一般消費税という形で。ですから、過去の経緯を振り返るまでもなく、国民の側、関係の業者の側は、現に非常に子細な勉強を積んでおるんですね。ですから、国民の側に認識の不十分さがある、説明すればわかるというようなおっしゃり方は、これはかなり認識の違いがあると思う。知っていますよ、皆さんは。  もう一つ、あなたが一貫しておっしゃっていることの中で、これは地方の問題だと。地方選挙のテーマ、問題じゃない、国が決めることなんだ、参考にはなるけれども地方選挙の結果これが売上税に対する国民の声と受けとめるわけにはいかないというような言い方をされているが、それでは伺いますが、今度の売上税が導入された場合、例えば東京都の財政の面でいうと予算上どういう影響があるかということは御存じでしょうか。
  283. 持永堯民

    ○持永政府委員 東京都の財政に対します今回の税制改革の影響でございますけれども、現在私どもが考えております案からいたしますと、数百億円オーダーの影響が出てまいります。ただこれは、地方財政全体としてはいわゆる歳入中立性ということでプラマイ・ゼロの形に相なっておりますが、団体別に見ますと若干そういう差は出てまいるということでございます。
  284. 渋沢利久

    ○渋沢委員 今ここで時間がないので細かい数字の議論はいたしませんが、私が都の主税局から聴取した結果からいっても今の数字はちょっと違うのです。売上税が導入された場合、東京都が説明しているだけでも、歳入滅、歳出増を含めて最低二千億からの損失がある。我々の方で調べたところでは、どう少なく見積もっても二千四百億。まあ金額の問題は別といたしまして、地方財政にもろに影響もあるのです。  そういう意味でいうと、この売上税やマル優の廃止で都民は国民として大きな打撃と損害を受けるが、加えて地方財政の上でも二重の損害と負担を受けなければならぬ。地方の政治が、まあ地方は身の回りのことだけやっておればいいということにはならぬ。やはり売上税に対して、これが国民、県民、都民に与える重大な影響、財政に与える影響をおもんぱかって、これが今度の選挙の中でも非常に大きな争点の一つになるのは当然のことだと思うのです。これはやはり地方選挙の趨勢というものを重く見ないはずはない。それは地方の問題だから何も総理が出なくてもいいという話ではさらさらないだろうと思うのであります。  私は、総理にいま一つ伺うが、これも予算委員会等で出た議論の繰り返しになりますから余りくどいことは言いませんが、総理、これだけ大きな税制改正はやはり時間をかけて、議会はもとより国民の各層の参加のもとで議論をし、決めていくということが重要である。そこを通り起さないで、しかも選挙の際には全く否定的を言動を繰り返して、そしていきなりこういう法案を出してくる、こういうことでしょう。これは国民が納得するわけはないのです。時間をかけて議論をする、その上で法律案を策定するということが必要なんです。手続を間違っておると思う。  ましてあなたは、選挙のときに、大型間接税、国民が反対する大型間接税のごときものとか一流の言い方でおっしゃっているが、あなたはみずから任命した政府税調が仮に決めてきても大型間接税はやらない、やらせない、そこまできめの細かいことで御否定なさっているわけだから、大型間接税、中型間接税という言葉の言い回してはなくて、国民が思っているイメージの上で素直に説明すべき性質のものである。あの選挙の前の国会でもさまざまな類型が議論され、ある意味では議論され尽くしているのです。しかも、あなた自身が政府税調に対して、いつまでには減税の案、秋までにはその裏づけの案、そういう意味では明らかに増税案の引き出しを提起しているわけです。そういう状況の中であなたがあそこまで言えば、それはない、こう見るのは当たり前なんです。言葉をもてあそぶのもほどほどにされないと、この国民の不信を取り除くことはできないと私は思うのです。  隣の宮澤さんの顔を見ながら私は思うのだが、総理、鈴木善幸さんは私はある意味で非常に御立派だったと思うのは、予算委員会での、財政再建、いつまでにどうというこの発言にみずから責任をお感じになって、だれもやめろとおっしゃらないのに、健康も非常にしっかりしておられたあの総理が、みずからその言葉に責任をとっておやめになったと私は思っておる。これは政治家の生きざま、まして総理という責任のある立場を占められた政治家としての責任のある行動だったという思いが私は残っています。大平さんは、選挙のときに、一般消費税を課題にすることがいかに不利であるかということを承知の上で、しかしあえて財政再建のために、必要な意見は意見として堂々とお述べになっている。これがあなたがよく言葉の上でおっしゃる王道の政治の一つの類型かなと私は思う。あなたの昨年来おやりになっている行動は、これはどう言葉を取り繕おうと、国民の信頼を取り戻すことのできるものではないと私は思うのです。  この際、一つはっきり伺っておきます。先ほども出ましたが、今ここで修正論などが、柔軟に対応しますというようなことが出ている。それはないとおっしゃった。もう一度改めて聞きます。これはきっぱりおっしゃった方がいい。総理のおっしゃり方はなかなか皆さん信用しないのですよ、どこまでが本当かわからぬから。この間何かどこかで演説なすったことで、翌日には、もう総理も腹を決めた、先ほど来話が出ているように、政府はもう決定的にいろいろな中身で修正をと流れています。ところが、そんなものはどこでも決めておらぬ。非常に誤解が多いのです。修正なんということは考えているわけがないでしょう。きっぱりおっしゃっていただきたい。
  285. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 先ほど来何回も申し上げているとおりであります。
  286. 渋沢利久

    ○渋沢委員 修正などということは全くするつもりもないのに一それはそうです。仮にそういうものをお出しになったって野党はそんなことでいささかも動じない。断固として、売上税は受け付けない、修正にも応じないという態度を最初から決めております。これは制度として認めてならぬというもので決めておる。決めておることを承知の上でこんなものがどんどん流れる。だから、新聞が書いておりますように、やはり地方選挙のための、これはまさに地方選挙目当ての宣伝かというような新聞の記事が出てくるのももっともなことだ。  そこで総理に一つお尋ねいたしましょう。売上税は今や撤回する以外に、この国会の運営を軌道に乗せることも、国民の信頼を取り戻すことも、国民が期待する税制改正に道を開く、そういうきっかけをつくることもできない、これはまさに天の声だと私は思っておる。いかがですか。
  287. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 先ほど来申し上げているように、撤回の考えはありません。
  288. 渋沢利久

    ○渋沢委員 売上税についてはそういう態度でありますからこれ以上議論をいたしません。  そこで総理、あなたも御苦労なすったが、しかし、中曽根政策のある意味では破綻と言っていい状態が示されているのはやはり円高の問題だと思う。協調介入で、百五十円の線が切れる、守れない、これは重大な事態ですよ。大蔵大臣があしたお出かけになるというのだが、これは非常に深刻な事態だと思うのです。  これはどの新聞の論説を見ても私ども考えていることをそのまま指摘をしておる。「円レートが一円上がると、輸出産業では百億円単位の損が出るという。そこで企業は人と金を減らして業績を支えようとするから、輸出の勢いは落ちない。貿易の黒字は相変わらずで、行きつくところはまた一段の円高、そしてまた新たな雇用不安。」この繰り返しだ、こう言っている。まさにそのとおりだと思う。今や、この円高は過大な輸出の是正や内需振興に大胆に進まない限り食いとめることは難しい。「このような経済情勢をもたらした政策の責任は大きい。」こう言っている。どうお考えですか。
  289. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 明後日からいわゆるG7等々の会議がございまして、二月二十二日にパリで決定いたしました共同声明の趣旨をさらに再確認する、各国前例のないことでありますが、協調して大きな介入をしつつあるわけでございます。確かに事態は厳しい事態でございますけれども、各国が決意を新たにしてこれに対処をしていくということでございます。  それはやはり基本的には、おっしゃいますように内需を振興していく、それから過度に輸出依存になりました我が国の経済体質も時間をかけて直していく、こういうことが基本であるには違いございません。ただ、こういう財政の状態でございますから、財政再建ということも、一般会計の二割以上が国債費になっているのでございますから、これもないがしろにできませんから、その間で財政ができる最大のことをいたしていくということと存じます。
  290. 渋沢利久

    ○渋沢委員 これはどう考えても、今までの行革という名のデフレ政策、緊縮財政、この政策というものの破綻ですよ、この円高の状況というのは。内需拡大に背を向けた予算を組み、仕事をしてきた、これが円高の元凶でしょう。どう考えてもそういうことでしょう。そして今総合経済政策を立てて、それを背中に蔵相も出られる、総務会長も出られる。そして総理が行こうかという話のおぜん立てはできておるというのですが、その中身は、まさにこの予算の最も欠けている部分を中身として補う、そういう性質のもののようになっている。また、そういうものでなければ今ここで何の役にも立たないものになりかねない、そういうことでしょう。公共事業の大きな前倒し、下期の補正、そういうものでしょう。いかがですか。
  291. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま六十二年度の予算そのものが衆議院において御審議中であり、御審議が実は余りはかばかしくないという現状を私ども心配しておりますけれども、そうであります限り、この予算成立後をいろいろ想定いたしまして今あれこれ政府として公に物を申すことは不謹慎のそしりを免れませんので、私どもの自民党の中でも実はいろいろ検討をいたしてはおります、昨年の例で申せば、さしずめ公共事業の大幅な前倒しをいたしたわけでございますが、そのような手法についてもいろいろ党内では検討をいたしておりますが、政府の立場は先ほど申したとおりでございますので、何とか早くこの予算の成立をひとつお願いをして、それをできるだけ早く執行して、その後の事態を考えていきたいと念願をしておるわけでございます。
  292. 渋沢利久

    ○渋沢委員 総理、この総合経済政策を政府自身がではなしに、党の側に、党政調に立案を命じたというふうに伝えられておるが、それは理由はどういうことですか。
  293. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 内閣でも企画庁長官に勉強を命じてありますが、党の方でもお願いしたいというので言ってあるわけです。
  294. 渋沢利久

    ○渋沢委員 これは総理が御自身お使いになった言葉ですが、ロン・ヤスと言われた時代と今は全く背景が変わっている。レーガン大統領の側も、議会の状況も非常に変わってきている。言うまでもないこと。ですから、今ここで総理がアメリカへ行かれるというんだが、レーガンの立場は、向こうの立場というのは、これはかなりきついことになりやしないかと、これはだれしも思っている。市場開放等でかなりの譲歩、国内的に言えばそこが非常にまた重大な問題である。円高不況で痛められて、そしてまた売上税などを押しつけられようというような状況の中で、さらに市場開放が、どういう形で言質を与え展開になるかということのさまざま与える影響を国内はやはり心配もしている。しかし、そこでかなりのものを持っていかなければ内需拡大の——予算も今のこんな内需拡大に背を向けるようなマイナスシーリングと売上税の予算で説明ができますか。ですから総合経済政策で大型の何とかと、まさにおっしゃるとおり、この予算がまだ審議中に、この予算でまさに補い得ない致命的な欠陥を総合経済政策で立案してそれを説明させようか、党のプランにさせようというのもよくわかりませんが、そういうことで済む状況ではないように思うんです。  かなりの譲歩と大胆な内需拡大への具体的な展開、もはや言葉で相手との関係が修復できるような状況ではないと思う。そういうさなかに総合経済政策、その中身は非常に重大な関心を集めざるを得ない。これはいつ国民の前に明らかになるんですか。アメリカからどなたかがお帰りになってから、その流れの中で国内に持ち込まれるのですか。そういうものでは本来ないでしょう。この予算、これ以上のものはないという形で、財政再建路線は変えないという流れの中で、そして予算審議をやっているさなかに、内需拡大、大胆な展開、積極財政への転換、そんなことは言えないでしょう。それを言うなら、それをやるなら、総理がまず国会に対して、国民に対して説明をしなければならぬことがあるでしょう。それならばあなたの行き詰まりを説明せざるを得ないでしょう。どういうことですか。どうなりますか。
  295. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御承知のように政策には手順がございまして、昨年の十一月に成立させていただきました補正予算、これに基づく施策がずっとその後今日まで進行しているわけでございます。殊に公共事業関係はそうでございますから、そういう現状の中で新年度に新しい六十二年度予算がまずスタートをして、そして公共事業にいたしましてもあるいは雇用、三十万人の雇用開発を計画しておりますが、そういうような施策あるいは産業転換等々、これはどうしても本予算で幕をあけませんとやれない種類の仕事でございます。そしてその本予算を執行して、後に必要があればまた何をどうすべきかということを考えさせていただきたい、こういうふうに申しておるわけです。
  296. 渋沢利久

    ○渋沢委員 時間だそうですので、終わります。
  297. 糸山英太郎

    ○糸山委員長代理 小川国彦君。
  298. 小川国彦

    小川(国)委員 中曽根総理にお伺いいたしますが、士農工商という言葉の意味を総理はどういうふうに理解されておりますか。
  299. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 徳川時代における一つの階層秩序というものを示した、封建的な制度のあらわれではないかと思います。
  300. 小川国彦

    小川(国)委員 その言葉が今形を変えまして、士農工商がマネーペーパーの紙になって「紙農工商」という、マネーペーパーを扱う業界が一番上位を占めている、そういう「紙農工商」という言葉が生まれているということについてはお聞きになっておりますか。
  301. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 聞いておりません。
  302. 小川国彦

    小川(国)委員 それからもう一つ、中曽根総理の時代になりましてからマネーゲーム時代、一億総投機時代が到来している、こういう経済の実態についての認識はどのようになすっておりますか。
  303. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは別に中曽根内閣と直接に関係のあることではないと思います。一種の世界的な傾向でございますが、やはりこれを可能にした一番大きな原因はコンピューターであったと思います。同時にまた、世界経済そのものがやや低成長でございますから、設備投資あるいは在庫投資の意欲が非常に低いというようなことから、いわばやや金余りの状態になっておる、そういうことも副次的には関係いたしましたけれども、基本的にはやはりコンピューターの進歩ということであったと思います。
  304. 小川国彦

    小川(国)委員 コンピューターの進歩でこういうことになったということは、この問題点を適切に見ていない、私はこういうふうに思うわけなんです。  今証券市場が空前絶後異常な活況を呈している。こういう中で業界トップの野村証券の経常利益は八五%増加している。中小証券では二・五倍もある。こういうような状況の中で、野村証券の経常利益は三千八百九十四億円。銀行トップの住友銀行の六十一年三月期の決算が千五百七十二億ということですから、この倍以上の経常利益を出して、松下、日立の製造業を抜いて、トヨタ自動車も追い越すであろう、こういうふうに言われているわけですね。  そういう中で、野村証券の営業利益が八千百七十七億の中に株式委託手数料が三千百十六億、大和の営業利益が五千四十一億のうち一千八百八十一億の株式委託手数料ということで、株式委託手数料で大変な利益を上げているわけなんです。そういう状況の中で株式委託手数料引き下げをしましたけれども、こういう史上空前の利益を上げている状況の中で株式委託手数料の引き下げはまだ低い、大蔵大臣の認可は甘い、こういう声がございますが、大蔵大臣、このことについてどういうふうにお考えになっていますか。
  305. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 委託手数料引き下げが最近に行われました。またこれは御承知のとおり日本だけが高いというようなことは余りこの節は、実際問題といたしますと、そうしますと何も日本で取引をしなくてもよそでもできるということになりますから、やはり国際化の時代でもある。大証券、中小いろいろございますから、その間の、何と申しますか利害調整ということも入り用でございましょうけれども、業界でも自主的にやはり下げていくという大きな趨勢にあると思います。
  306. 小川国彦

    小川(国)委員 その料金の趨勢はいいのですが、異常な利益は国際的な趨勢でございますか。
  307. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そうでございますね、株式の出来高はニューヨークでもロンドンでも非常に欠きゅうございます。それはやはり先ほど申し上げたようなことに関係があると思います。
  308. 小川国彦

    小川(国)委員 そういう異常な出来高の中で、今度政府は税制改革案で有価証券の取引税を引き下げだというのは、これはどういうわけですか、税収を減らすようなことを国がやっているわけですが。
  309. 大山綱明

    ○大山政府委員 お答え申し上げます。  有価証券取引税につきましては、今回の税制改革の御提案で、株式に係る税率を万分の五十五から万分の五十に引き下げると同時に、転換社債等に係ります税率を引き上げるということで、全体としては若干の増加を見込むような改正案を御提案しているところでございます。  御質問の引き下げの方の趣旨でございますが、これにつきましては、有価証券の取引が国際的な商品としていろいろ行われます中で、例えばイギリスなどにおきましても有価証券取引税が引き下げられる、万分の五十になっておりますが、そういった国際的な水準を勘案いたしまして、イギリスと同程度の負担をお願いするということで、株式に係ります有価証券取引税を引き下げることといたしております。一方におきまして、他の税率とのバランスから転換社債に係るものは引き上げるということで、全体としてバランスのとれた有価証券取引税の体系にいたそう、かような趣旨でございます。
  310. 小川国彦

    小川(国)委員 総理に伺いますが、今度の総理のやった税制改革の中で一番不公平の最たるものはキャピタルゲインに課税をしないことだというふうに言われていますが、総理はこの点どうお考えになりますか。——総理大臣に聞いていますから……。
  311. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 事実関係を申し上げますが、キャピタルゲインに課税をしないといったようなことは事実ではございません。
  312. 小川国彦

    小川(国)委員 総理はどういうふうに御認識なさっていらっしゃいますか。
  313. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 株式譲渡利益に対する課税は強化してありますね。たしか十二万、十二回でしたか、あの回数と取引額と、それをもっと狭めましたですね。そういうような措置を行ってもおります。
  314. 小川国彦

    小川(国)委員 総理大臣の数字は間違っているのですけれども、年間五十回以上かつ二十万株以上、同じ銘柄を年間二十万株以上を、今度年間三十回以上、十二万株以上と改めたのですが、それではこのキャピタルゲインによるところの課税収入はどのくらいになっておりますか。
  315. 大山綱明

    ○大山政府委員 個人と法人に分けまして、法人におきますところのキャピタルゲイン課税収入、これは一般的な法人所得の中に込められております。そんな関係でそれだけ抜き出すというようなことができない状況でございます。  それから、個人に対しますところのキャピタルゲイン課税、これは一般的には非課税としつつ、特定のものにつきまして今御答弁がございましたような形で課税をいたしておりますが、件数といたしましてはそう大きな件数ではないというところから、ただいま手持ちの数字をちょっと持ち合わせておりませんのでございますが、余り大きな数字ではないと存じます。調べまして御報告をいたします。
  316. 小川国彦

    小川(国)委員 この数字が出てこないとちょっと質疑ができないのですが、総理もキャピタルゲインに対しての課税は強化されているというふうにおっしゃっているわけなのです。現実に総理も大蔵大臣も外務大臣も、税収を取っていると、こういうふうに今おっしゃるのですけれども、それでは、取引税については日本だけがやっていることかもしれませんが、その他の国もありますけれども、外国ではキャピタルゲイン課税をきちんとやっておりますね。これはアメリカでは二兆六千七百億取っているし、イギリスは六億八千八百万ポンドで千六百五十一億取っている。では、日本はこれに見合うようなキャピタルゲイン課税を取っておりますか。これは総理の認識、大蔵大臣の認識を伺いたいのです。     〔糸山委員長代理退席、近藤(元)委員長代理着席〕
  317. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは終戦後に一遍シャウプ勧告もありまして実行いたしましたことは御記憶でいらっしゃると思いますけれども、やってみてどうもそれがうまく行政ができなかった。できなかった基本的な理由は、やはり株式の取得についてのデータが集まらない。その事情は現在でもやや似ておりまして、つまり端的に申しまして、本当に納税者に背番号でもつけるというようなことでもいたしますならば、米国の場合には社会保障の番号というようなものがございますのでそれができておるわけでございますけれども、そういうことでもございませんと、目についたものだけが課税を受けるという、税としては一番避けなければならない非常に不公平な行政になる、そういうことが基本の問題としてございます。
  318. 小川国彦

    小川(国)委員 有価証券譲渡益のキャピタルゲインに対する課税については、私が資料請求しましたところで、皆さんの方では五十六、五十七、五十八、五十九、六十年、継続的取引と二十万株以上の取引でそれぞれ九十八件、八十二件、百十二件、九十一件、百二件と件数は報告されているのですが、具体的にこの譲渡益が金額で幾らあったのか、この数字が示されていないのですが、これは明示できないですか。
  319. 大山綱明

    ○大山政府委員 先ほど件数についてのみお答えをいたしましたが、所得あるいは課税額につきましては、所得税は原則として総合課税になっているものでございますから、その中からキャピタルゲインに係るもの幾ら幾らというような統計をなかなかとりにくいところでございまして、そんな関係がございまして資料の御要求に対してもお答えを申し上げられなかったということで、なかなか幾らあるということは、総合課税でございますから、数字は私どもも持っておらないというのが実情でございます。
  320. 小川国彦

    小川(国)委員 中曽根総理に伺いたいのですが、先ほどから申し上げているように、売上税の問題もこれだけ問題になっているのですけれども、売上税で言えば自動車とか家電に対する物品取引税の引き下げが不公平じゃないか、これが国民の指摘しているところです。  それから第二点は、キャピタルゲインの中の、一日一兆円の商いが行われている、年間三百五十兆円行われているという有価証券の取引に対してキャピタルゲインの課税がなされていない、課税らしい課税がなされていない、ここに一番大きな問題があると思うのですよ。今申し上げたように、アメリカでは百七十八億ドル、イギリスでは六億八千八百万ポンドというふうに国民にキャピタルゲイン課税の金額を明示しているのですよ。そういう数字を明示されないということでは、国民がまさに不公平じゃないかと言っても当然のことじゃないですか。総理、いかが思いますか。
  321. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは税制調査会でもいろいろに御議論があって、方向としては強化するのがいい、しかし、本当に行政がやれるようにしてやりませんと、これは最も避けなければならない大変に不公平な課税が行われる、こういうことでございますから、方向としては強化をいたしたい、ただ、私どももそういう背番号というようなことはやりたいことでございませんから、そういう中でどういうふうに強化をしていくかということと思います。  それからもう一つは、有価証券取引税、これは相当大きな税収になっておりますことは御承知のとおりかと思います。
  322. 小川国彦

    小川(国)委員 相当大きな税収という言葉だけじゃ困るのですよ。やはり決算委員会に臨むからには、外国でさえきちっとこういう数字を示しているのに、幾らになっているのか一有価証券取引税を取っているから日本はキャピタルゲインは原則課税していないのだ、こう言うのでしょう。片方は、有価証券取引税は今上がって一兆円になってきた。しかし、このキャピタルゲインに課税すれば十兆円ぐらいの税収があるじゃないか、七兆円ぐらいの税収があるじゃないか。ごく大まかに言いましても、三百五十兆の株取引の中で一〇%の株の上昇利益が三十五兆あった、私は分離課税が好ましいとは思いませんよ、総合課税でいくべきが本来ですけれども、これに仮に二〇%課税したら七兆円の税収になるじゃないかというふうに言われているわけです。こういう大胆な仮説も成り立つのですが、いかがですか。
  323. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ですから問題は、そういう方向が悪いと申し上げているのではありませんで、どうやって行政をやるか、どうやって捕捉するかということでございます。
  324. 小川国彦

    小川(国)委員 政府や大蔵省としてはキャピタルゲインに課税した場合にどれだけの税収が見込まれるか、私が素人考えでもこういう数字を出せるのですが、皆さんの方で御検討なすった数字が当然あると思いますけれども、それはどういう数字になっておりますか。
  325. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは、先ほど申しましたように、まずフラットの税率でございませんから、総合課税でございますから、つまりその中から累進がかかるものですから資料が取り出せないということが一つあるわけでございますね。もう一つは、現実に公平な行政ができないという事実は捕捉ができないということでございますから、どのぐらいあるかと言われましても、それはお答えができにくいということになります。
  326. 小川国彦

    小川(国)委員 有価証券取引税とキャピタルゲインの課税とを比較してみますと、大体四、五倍の税収になるだろうというのですよ。日本は有価証券取引税を諸外国がやっていないのにやっているからキャピタルゲインは原則として課税しないということでいっているわけでしょう。  だから、これも思い切った議論ですが、仮に一兆円の有価証券取引税をやめても、キャピタルゲインにきちっと課税をすれば、そこでそれをはるかに上回る税収が上がる、片方一兆円に対して七兆円の税収が上がると言われている。あるいはまた、こういう見方もされるのですね。六十年三月末の個人保有の株式時価総額は四十二兆一千億であった。ところが、一年間で十兆円増加した。だから、この十兆円の増加分に対して三五%の分離課税としても三兆五千億という巨額の財源になる、こういう見方もありますね。あるいはまた、総合研究開発機構でも、キャピタルゲインの数字はやはり二兆円から十兆円というものを今までの過程の中で出しておりますね。  そうすると、これだけの譲渡益がありながらそこに課税の方針を立てていない政府というものは、まさに今のマネーゲーム、総投機時代で過大な利益を上げている証券業界をほうっておいて、一般の苦しい、経常利益がない、あるいは健康保険や労災保険や公的年金も掛けられないというたくさんの業界から売上税を取ろうとしているのでしょう。ここに国民の怒りがあるわけですよ。総理、こういうところをきちっと研究なすってやるべきじゃないかと私は思いますが、いかがですか。
  327. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいまのお話は、証券会社の利益は法人税で取っておるわけでございますから、それはいわゆるキャピタルゲイン——今までおっしゃっておりましたのは恐らく株式の売買による譲渡益ということをおっしゃったんだと思いますが、それは取ってはいかぬとかいうことを申し上げているのではありませんで、どういうふうに捕捉をするかということと思います。  それから、有価証券取引税との関連をおっしゃいましたが、キャピタルゲインはキャピタルロスに対応するものでございますし、有価証券取引税は有価証券そのもののいわば取引に関するものでございますから、これはロスとかゲインに関係がない、まあ御承知のことでございますけれども
  328. 小川国彦

    小川(国)委員 もう一遍繰り返して伺いますが、有価証券譲渡益の課税状況について、件数を報告できてなぜ金額が報告できないのですか。これはおかしいじゃないですか。件数が報告できているわけでしょう。年間五十回以上、二十万株以上の取引のあったものについては件数を報告しているわけですよ。件数を報告しているということは、当然この件数に基づく譲渡益の、キャピタルゲインの税収は幾らあったのかという金額が出てきていいはずでしょう。それは捕捉できるのじゃないですか。
  329. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは先ほど申し上げましたフラットの税率でございませんから、累進がかかっていきますので、その部分がどうということが申し上げられないということを政府委員がさっき御説明したわけです。
  330. 小川国彦

    小川(国)委員 累進がかかっていくといいましても、この件数というのは、一つ一つのこれを超えた件数について皆さんの方は売買報告書を求めた上で……。ではどうしてこの数字が出てきたのですか。この点は非常に疑問だと思いますよ。  それから、時間がないからもう一つ申し上げますが、大蔵大臣はコンピューター時代だというふうにおっしゃいましたね。このコンピューター時代に、何も私は一億総背番号制をやれと言っているのじゃない、株の取引をしている人だけきちっと登録をしてもらうという、アメリカでやっているソシアル・セキュリティー・ナンバーという社会保障番号のような形を取り入れるなり、あるいは日本は、目的別カードで株の売買別のその人だけのカードをつくれば掌握できるはずなんです。これをやらないというのは、私は証券会社と大蔵省の怠慢だと思っているのです。やるつもりなら、この一定の回数以上を超えたものをできるはずです。  それからもう一つは、今度皆さんのつくった取引の十二万株以上、三十回以上というのもざる法だと思っているのです。郵便貯金と同じように家族名をいっぱい使ったり、それから一回の取引は何銘柄買ってもいいのだそうですから、そうするとこれにひっかかってくるこの六十年の百二件というのは、よっぽど何か皆さんの指導でかかったのか正直な人かということだけで、譲渡益の実態というものはやみの中ですよ、やぶの中ですよ、総理。  こういう中であなたが公平、公正、簡素だと言っても、一日一兆円、年間で三百五十兆円もの商いが行われているところに対して何ら課税の具体的な方策を講じないで、そして私ども社会党でも大増税だ、悪政だというので書き上げました。芸能から百貨店、チェーンストア、紳士服、呉服、織物、靴、化粧品、クリーニング、スポーツ用品、コンピューター、ソフト、旅行、葬祭業、漁業、農業、マンション、建設、トラック、印刷、豆腐、生活協同組合、これは二十二業種調べましたが、総理、私この業種を全部回ってみて、業界の人々は経常利益を割ってしまっている、さっき言ったように公的な負担金も払えないという業界がたくさんなんですよ。そういうところに売上税を課して、そしてさっき申し上げたような過大な利益を上げているところを税法改正の枠外に置いておいたら、国民は納得しないじゃないですか。  しかも、そういう業界から自民党に対する政治献金は、三大証券協会、四大証券から五十九年度で二億四千四百十万、六十年度は二億四千四百三十八万、八%伸びているのですよ。こういうマネーゲームの時代に、そこからの政治献金を年々ふやしながら、私は、六十一年、去年は大変な政治献金が団体から、党から、個人からなされたと思いますよ。そういう中で、こういうところを放置しておいて国民が納得できますか。  これは総理に答えていただきたい。総理が答えられなかったら、私は総理の資格はないと思う、これだけの重大な問題について認識を持たないということは。
  331. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 政治献金と今のマネーゲームとは関係はありません。  今大蔵大臣が申し上げましたように、キャピタルゲインというものはなちたけ手をつけてやりたい、しかし公平な捕捉がなかなか難しい。仮にやるとしても、株式取引をやっている人に背番号みたいのをつけないとできないのじゃないか。キャピタルゲインだけじゃなくて、損することもありますし、取引の形態もいろいろな形があります。店頭取引まで入れればいろいろありますし、そういう意味で公平な把握ができない、それで今悩んでおると大蔵大臣からお答えしたとおりなのであります。
  332. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、やる気があるかないかだというふうに思うのですよ。いろいろな学者の意見を聞いた。そうしたら、さっきの大蔵大臣の言うとおりなんですよ。コンピューターがあること、もう一つは総理がやる、この二つがあればできることだと言うのですよ。やる気がないということとコンピューターを使わない、この二つだからできないというふうに私は思うのですよ。  今証券会社が顧客名簿をきちっと持っておられる。たとえ多少の株でも取引すれば売買報告書というのはちゃんとお得意さんに行く。そうすれば、証券会社は証券取引が行われたものの台帳はきちっと顧客名簿の中で取引実態も把握しているはず。それは大蔵省も掌握できるはず。そこを把握するのには、総理は背番号制でいつも逃げられるけれども、背番号制の問題じゃないと思う。どうしてそこをやるか。  総理がこれからアメリカに行かれる。アメリカではきちっとこれをやっておられるわけです。アメリカでソシアル・セキュリティー・テンパーというのは、図書館で本を借りる場合も、源泉徴収で納税する場合も、きちっとこれでやっていらっしゃる。あれだけ民主主義の発達したアメリカで国民がこういうものを受け入れてやっている。そういうことが日本でできないはずはないと思うのですよ。政府自身がやる気を持つかどうか、そこにかかると思うのですが、総理、この点いかがですか。
  333. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 やはりグリーンカードというものについてあれだけ嫌悪感を示されたというのは、背番号になる、そういう心配でありまして、株式取引をやっている人も日本ではかなり大勢いるし、その中には老人もおるし、家庭の主婦もおるし、いろいろな種類の人たちがおやりになっておる。それを全部そういうような形で把握できるかどうか。これは心理学的にもなかなか難しい要素もあり、現実問題としても難しい要素はある、そう考えております。
  334. 小川国彦

    小川(国)委員 総理、そんなことをやっていたら永久にできませんね。決算委員会の今の質問の中でも、総理が正直に、あるいは大蔵大臣もそうだと思うのですよ、正直に答えて国民に事実を知らそうという努力をしていない。アメリカでさえキャピタルゲインの収入については、イギリスでもきちっと幾らあるという金額を公表しているでしょう。だから、私ども国会で審議したって、このキャピタルゲインの、現在の譲渡益を把握できてないはずはないと私は思うのですよ。これだけ件数が上がっていて、幾ら累進課税だからといっても、これだけの大きな租税の客体になるものの実態を掌握してないということは怠慢じゃないかと私は思いますよ、総理。やはりやるべきだと思います。  私は、だからそれには単にグリーンカードのやり方を言っているわけじゃない。一つの提案をしている。政府だったらもっと具体的なやり方がいろいろあるでしょう。そういう方法を求めて、やはりやる気を持つかどうか、そういうことについてこれから取り組むお考えはありませんか、総理。
  335. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 今提案をしていると言われましたが、株をやる人だけに番号をと言われましても、すべての人が株をやることができますので、それは国民全部に背番号のようなものを考えるということにならざるを得ないと思いますが、そのことは恐らく国民の多くが好まれるところではないという経験を私ども最近において持っておりますので、そこまでやることがいいのかどうかというのには疑問を感じております。
  336. 小川国彦

    小川(国)委員 このキャピタルゲインに対する課税をやっているのは、ヨーロッパはほとんどの国がやっているわけでしょう。やってないのが日本と言われてもいいぐらいなんでしょう。なぜそれがそういう理由のためにできないのですか。材価加値税を取り入れたのも、ヨーロッパの国々の中から総理は学んでおやりになったわけでしょう。キャピタルゲインに対する課税を先進国は背きちっとやっているのに、なぜそれを学んで、取り入れてやろうとしないのですか。そこのところが私は理解がいきません。
  337. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 何度も申し上げておりますとおり、公平な行政の自信が持てないということでございます。  この背番号の話は、私はこの節どういうお立場になっておりますか存じませんけれども、かつては徴兵制につながるとかいろんな御批判が国会で随分ございましたので、国民の中にもそう考えておられる人もございましょうし、なかなか慎重に扱いませんといけない問題だと思います。
  338. 小川国彦

    小川(国)委員 私も根気よく聞きたいと思いますが、総理、日本で行っている有価証券の譲渡益課税の所得金額、税額というのは公表できないのですか。
  339. 大山綱明

    ○大山政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、有価証券譲渡益課税の対象となります譲渡益、これはある場合には譲渡所得になります、ある場合には雑所得になりますといったように、所得の種類を十に分けておりますが、それぞれの中に入り込んでしまっておりますものでございますから、現在、税務統計上はとり得ない状況になっております。そんな関係で、なかなか税務の統計からこれを拾い出すということは困難でございます。
  340. 近藤元次

    近藤(元)委員長代理 時間ですので……。
  341. 小川国彦

    小川(国)委員 時間が参りましたから終わりますけれども、ここは決算委員会ですから、その委員長に取り計らいを願いたいのは、この有価証券の譲渡益の課税状況について件数が報告になってその中身がないというのは、これはまさに不可思議なんですよ。だから、ここのところは当委員会においても継続した問題としてこの点が究明されるように私はこれは委員長に要望し、それから総理や大蔵大臣にも国民に知らしむべしということを強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。     〔近藤(元)委員長代理退席、上草委員長代理着席〕
  342. 上草義輝

  343. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は売上税の問題については総理とまた御堂とは意見が違いますが、同じ日本人として、日本の政治家として、アメリカからこの問題についてとやかく言われることを好むものではございません。この点について、まず、だからといって売上税に対して理解しているとかという問題ではなくして、四月二日、ヤイター米通商代表が米上院の財政委員会という公式の場で、我が国の売上税問題に関し、内需拡大につながらないと批判をいたしました。これに対して総理は、勉強不足だと反論し、後藤田官房長官も、売上税は我が国の内政問題であり、意見を言われるのは釈然としない。私も同じ日本人の立場として、国内問題では右だ左だ、だから我々も議論いたします。でありますが、なぜアメリカがこの売上税問題について批判をしなければならないのか。公然とアメリカの上院の財政委員会でそういった質問を受けて答弁したということでございますから、この際、公式の場のこの決算委員会で総理大臣が御反論をなさるもよし、またそれに対するお考えを述べるもよし、当然これは公式の場でお願いしたいと思います。
  344. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 伝えられる発言の内容を正式に文書で確認したものではございませんが、新聞で伝えられた内容に関する限りで申し上げれば、勉強不足である。我々がやっておる売上税というものについては、所得税、法人税の減税が先行しておる。売上税を考えても、企画庁の報告によれば、GNPを中期的には〇・一%押し上げる、そういう結果に総合的になるという報告も来ておるわけであります。あるいはアメリカ側がかつて関心を持っておった例の貯蓄優遇課税の問題、これも貯蓄過多になる一つのモメントであると先方側は言っておりました。今回はこれについては特別の配慮を行って、老人とか社会の弱い方々に対する配慮を行ってこれを変えたわけでありますが、そういう点は目も振らずに、また所得税減税、法人税減税にも目も振らずに、その売上税だけを取り上げるということは税制全般に対する勉強が足らぬ、そういうような認識不足で発言されることは遺憾千万である、そう思います。
  345. 小川新一郎

    小川(新)委員 私もそれは当然だと思います。いいの悪いのを決めるのは我々国会であり、日本の議会であり国民であり、その選択についてはそれぞれの見識の中から党を挙げ、議員としての見識の中で賛否の態度を堂々と表明しておるのでございますから、いわれのない問題については、たとえアメリカであろうと何であろうと、これは公式の場で総理大臣の厳然たる姿勢を示さなければならぬことをまず私は希望するとともに、これは田村通産大臣がきっちりと申し上げておったのを私はこの間の決算委員会で聞きましたが、黒田審議官の発言についてもとやかく何だかんだと言っております。こういう問題についても公式の場ではっきりと田村通産大臣は明言をなさっておりますので、あえてここで申し上げるわけでございます。  そこで、総理は訪米して米首脳らと会談するということでございますが、売上税問題などが問題になったらどうするかということ、これは今申し上げましたからもういいですが、対日半導体報復措置問題、これは今大きな政治問題になってまいりました。これは一体アメリカ側が本気でこういうことを言っているのか、それとも日本側から何らかの対応をさせるための、表現は不当であるかもしれませんが、おどしの一種だと見るのか。大事な我々の判断基準になりますので、もしアメリカ側が本気でこの報復問題を考え、この間も私は発言したのでございますが、摩擦などという問題ではない、これは経済問題戦争状態というような条件の中で一方的に言ってきたのかどうか、この辺のところはどのように総理はお考えになっておりますか。
  346. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 半導体の問題については長い間の歴史と交渉がございまして、アメリカ側は日本のダンピングということを指摘して、そしてこれに対する措置を常々要請してきたところでございます。  日本側の内情を見ますと、半導体業者というのは非常に多くできまして、激烈な競争をしておる。しかも、半導体の製造技術の進歩が非常に速く、新しい型の性能のいいものがどんどんできてくる。そういうわけで、日本側は非常に苛烈な競争のもとに生産性を上げたりして値がどんどん下がってきておる。アメリカ側は日本側と比べてみるとそれほどの競争もない、大きな市場でアメリカは悠々とやっておる。そういう両国の落差がありまして、そういうものが響いてきておると思うのです。  そこで、日本側は、ダンピングのようなことがあってはいけませんから、いろいろ両方で話し合った結果、合意をつくりまして、その合意のもとに日本としては努力をしていくということを約束しました。その線に沿って努力は続けられてきておったのでございます。しかし、第三国市場の問題というものは日本の主権が及びません。第三国市場に対する部分については、日本側のできるだけの努力ということが表明されておったのであります。ところが、その点についてこの間うちからああいう問題が起きまして、そして今回のようなアメリカ側の三〇一条の発動、そういう形になりましたものですから、日本側としては非常に驚いて、我々としては我々の誠意を尽くして努力をしておる最中である、そういうことで今緊急協議を要請しまして、そして我々の方の資料を示して、これが撤回方を強く交渉しておる、そういうところなのでございます。
  347. 小川新一郎

    小川(新)委員 品物をつくる、売る、自由経済体制の中ではアメリカも日本も全く同じ体制の中で競争しておるわけでございますから、一方的に言われることは納得できない。これに対しては、日本の企業はかわいそう過ぎます。私は日本人として、また日本の利益を守らなければならない国会議員の立場としても、総理大臣がアメリカに行かれる、また安倍総務会長も訪米される、これに対して、この問題の回避はできますか。
  348. 田村元

    田村国務大臣 これは相当誤解が多いわけですから、米側と十分の討議をすることによってこの誤解は解けるものと私は思います。  ただ、問題は、日本側がアメリカのものを買わないという向こうの非難です。これはやはり向こう四、五年で二〇%台には乗っけてほしいと向こうは言っておるわけですが、日本の半導体の中には、種類によってはアメリカのシェア、八〇%ぐらい占めておるものもありますから、そういう点でのアンバランスというものは確かに考えなければならぬでしょう。そういういろいろなことを踏まえて日米で十分に緊急協議で話し合うことで打開の道は模索できると私は思っております。
  349. 小川新一郎

    小川(新)委員 総理の御決意。
  350. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 通産大臣が御答弁申し上げたとおりでありまして、日本側の実情をよく説明し、また我々が今とっておる政策、顕著に成績も上がってきつつあると私確信しております。そういうことによりまして解決できると思いますし、また解決のために努力しなければならぬと思います。
  351. 小川新一郎

    小川(新)委員 こういうぎすぎすした相互間の誤解、また日本がなすべき責任問題、これはいろいろと議論しなければなりませんが、その橋渡しというか地ならしというか、安倍総務会長さんが訪米をされる大事なタイミングは、この十七日までと報復の期限が打ち出されておりますが、一体いつ行かれるのですか。
  352. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 総務会長に時期は一任してありますが、私は、当面の一応の考えとしては二十日前後をお考えになっておるやに聞いております。
  353. 小川新一郎

    小川(新)委員 二十日前後ということは、十七日がタイムリミットと私判断しているのですが、間に合いますか。
  354. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 この問題は、今両国の専門家同士でお互いの資料を持ち合って、そして専門的、科学的に協議しているところでございまして、やはりそういう合理的な証明というものを背景にしてこの妥結、打開が進められるのが適当ではないかと思っております。
  355. 小川新一郎

    小川(新)委員 日程については二十日前後、こう理解いたします。そして、手ぶらで、まさか子供の使いというわけにはまいりませんですから、安倍訪米に対する制裁回避のための何らかの具体案、対策を持っていかなければならないと思っている。その具体案というものはどういうものが用意されているのですか。
  356. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 安倍総務会長は外務大臣を今まで長い間やっておりまして、アメリカにも知己もおり、かっこういう事態でもございますから、日米関係一般の問題及び個別的な問題等について隔意なき協議をしてもらおう、そういう考えでお願いしておるわけであります。特別にどういうようなお土産を持っていくかというような性格のものではないが、しかし問題を解決するために努力をしてもらう、それに必要な日本側の考え方、政策というものはそれまでにいろいろ努力もしてみたいと考えておるところであります。
  357. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は公明党を代表してきょうしゃべっているわけですが、総理は、何か言うと必ず対案ということを言われます。そのとおりだと思います。我々も対案なくして総理を批判するわけにいかない。でありますので、例えば、具体的対案ということをここで言えないということであるならば、第二KDD、すなわち国際電電の問題が、今アメリカ、イギリスと日本との摩擦の大きな問題になりかかっております。また関西空港に対する日本側の態度、次期支援戦闘機、FSXの米国産使用、そのほか農産物等の問題、または関税の問題、いろいろあるでしょうけれども、我々、きょうこの決算委員会で聞きたいのは、なぜこういうことを聞いているかと申しますと、「日米地ならしが私の使命」という昨日の新聞報道の中で、こういうことが報道されております。「外交は有言実行。言うべきことは言い、日米間の将来を考えて決着すべき時は私の政治家としての判断で決断を下す」「日本側がある種の犠牲を強いられるような場合でも、政治決断で決着を図りたいとの決意を表明」なされたということが報道されております。これは大変な御決意でございます。政治家たる者、一身を顧みず国益と国民のために、それだけの決意がなくしては外交をできるわけではございませんが、国会としては、一体何を決断されるかということが非常に関心があり、また心配にもなり安心にもなる。総理、そういう立場から、私が今例を二、三申し上げましたが、こういう問題も対案の中に含まれていいのですか。
  358. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 今何がそういうアイテムであるかということを私から直接申し上げることは適当でないと思いますが、両方で関心を持っておる問題、懸案の問題点、そういう問題につきましては十分こちらの方も考え方を整え、やり方も準備をし、できるだけの努力をして、日本の国益を一方において踏まえつつ、かつまた国際法というものに従って、そしてお互いで話し合いをしつつ妥協し合う、そういう形で落着するように、そういう問題について精いっぱいの努力をしてみたい。私自体も今陣頭指揮で、いろいろな案件の問題については努力しておる最中なのであります。
  359. 小川新一郎

    小川(新)委員 第二KDDとか関西空港についてはアメリカ側に試験を受けさせるくらいのことは考えてあげてもいいと私は思っておりますが、その点はいかがですか。
  360. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 関西空港の問題については、私は商務長官のボルドリッジ氏やその他の人力に対して、今第一段階、島づくりということはもう既に進行しておる、しかし第二フェースに至る間、その途中の問題及び第二フェースの問題を含めまして、内外無差別でこれはやるようにいたします、そういうふうに言っておるのでありまして、その言明は誠実に守っていかなければならぬ。また、アメリカの会社が日本に不案内の様相もあります。したがって、そういう点についてはできるだけ親切に、それと同時に透明度を十分高めて、そしてそういう疑心暗鬼の起きないようなやり方で、公明に堂々とやれるようにしたい、実績を残すようにこっちも努力してみたい、そう考えておるところであります。
  361. 小川新一郎

    小川(新)委員 第二KDD、すなわち国際通信会社の問題については御答弁がなかったのですが……。
  362. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 この問題については、経団連の情報通信委員長渡辺氏がいろいろ調停の労をとりまして、この間案をつくって、そして関係の二グループに対して提示をいたしました。私はその内容はかなり妥当な内容ではないかと思っておりますが、これに対して二グループはどういう反応を持ってくるか、慎重に見守っておるというところでございます。
  363. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは関係大臣は、政府が余り介入してはよくないのではないかと思っているのですか。一言御決意を。
  364. 唐沢俊二郎

    ○唐沢国務大臣 第二KDDのことにつきましてはただいま総理大臣から御答弁があったとおりでございますが、渡辺委員長の示されました案は、二グループから依頼を受けて調整をされました結果、一グループ四社当て、合計八社を中核会社にして、それを株式シェアは均等であり、ともに役員を派遣することを認めておられるということで、これは内外の各企業の要望にもこたえた案でございますので、我々といたしましては、この調整を基礎として早期に最終的な合意に達するように希望いたしております。  ところで、今までこういう国際電気通信の分野で役員を派遣したということは、これを認めるということは初めてでございますし、法律の規定に基づきまして三三%、三分の一ですね、外資を歓迎するということも初めてでございますので、我々の進めております政策は世界で最も自由化、国際化という面で先頭に立っておる、このように考えております。
  365. 小川新一郎

    小川(新)委員 私、大臣の御意見はわからないでもないのですが、いたずらにイギリスまで敵に回すことはない、今アメリカだけで精いっぱい、対日包囲陣ができ上がったのではそれこそ大変だ、戦前派の我々はそう考えるので、あえて御忠告しているわけでございます。  そこで総理、私、総理大臣の一面非常に御立派な点を買っている一人でございますが、また国民のために立つ総理として、よりよく、広く総理はさらに御苦労なさらなければならない立場に立っておられます。でありますが、売上税の問題については、もういろいろと批判殺到の中で、今非常に防戦にお努めになられておりますが、このスパイ防止法案、国家機密法、これもまた非常に大変に問題になってきた。  というのは、半導体がアメリカの国防、軍事力に非常に大きな影響を与えてくるという事態がだんだんはっきりしてきた、これの資力を日本が握っている。これからのスパイだとか国家の機密などというものは、東条内閣軍国主義時代の横須賀の軍港に立って大和の写真を撮ったとか振らないとか、機密がどうだとかいう時代から、先端技術が民間と国防に大きく錯綜してくるという中で御危惧なさっているのだと私思いますが、弁護士連合会だとか国民、我々野党、すべて反対をしておりますが、これは今修正されてこの国会に御提案をなさるのかなさらないのか、今非常に国民が注目しておりますので、お考えをお聞かせいただきたいと思います。  ただ、これは検討させているとか今検討中だとか、いろいろと御答弁が出ると想像をしておりますが、そうでなくて、総理大臣としての見識の中ではどうなのか。客観情勢もいろいろ踏まえなければなりませんが、この反対の問題については、売上税についても非常に時間をかけなければならぬというところにだんだん自民党の中でも考えが変わってきているように私は見受けておりますが、この問題については総理のお考えがどこにあるのかが知りたいのです。お願いします。
  366. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 機密保護の問題については今まで案を自民党でつくっておりました。今も努力もしております。しかし、これは基本的人権に関する点もあり、あるいは国民の側の知る権利というものにもかかわる問題でもあり、極めて慎重を要すると考えて、党の責任者の方には極めて慎重にやってもらいたいと伝えております。特に今、売上税がこういう状況でございますから、こういう状況下に今の新しい問題まで抱え込んで国会でやるというのは必ずしも状況としては適当でない、そういう状況下にあると考えております。
  367. 小川新一郎

    小川(新)委員 状況が好転すれば出すのですか。
  368. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 ともかくこの問題については慎重にやるように、そういうことを責任者に私から伝えてあります。
  369. 小川新一郎

    小川(新)委員 総理御自身のお考えをお聞きしておるのは、慎重にやれということが総理のお考えであって、やるとかやらないとかまでは考えていないのだということなんでしょうか。
  370. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 私は、国の機密を守る、特に防衛とか外交上の重要な国家の機密というものを守る法的措置は必要だと思っておるのです。ただそのやり方について、いろいろ御議論もあるでしょうし、また国民の皆さんのお考えもあるでしょう。したがって、それらについては、新しくやることであるから非常に慎重によく隅々まで配慮して行う必要があるのだ、そういう意味で慎重論を唱えておるわけでございます。
  371. 小川新一郎

    小川(新)委員 わかりました。  中央公論一月号に掲載されました「緊急直言地価高騰 「中曽根民活」の虚構を働く」と題した自民党衆議院議員、衆議院法務委員長大塚論文。これは中央公論の一月号でございますからもうごらんになっておられると思います。この問題につきましては天野建設大臣に御質問いたしましたが、当事者でございませんので天野大臣からは明快な御答弁が出なかったのは当然であります。この論文の中にはいろいろなことが言われておりますが、要約して言えば、地価高騰の最高責任は中曽根総理の判断の誤りであるとか、前にこういうことをやったからこれが原因になったとかということを書いております。  特に「国有財産の売却は、入札によるべきと決められており、随意契約で特定尻問会社に払い下げることは禁じられている。」しかしながら、新宿区の旧公務員宿舎跡に建設されている超高層マンション西戸山タワーホウムズは、中曽根首相お声がかりの中曽根民活第一号として宣伝された。新宿西戸山開発会社へ随意契約で払い下げられたものでありますが、当時の担当者の回答は、首相の命令ですのでとか、これが最初で最後だということにするという弁明が返ってくるだけだったという。このように「「西戸山」の随意契約のケースは、政治と開発業者の癒着の疑いを抱かせ、都市開発に汚点を残した。こうしたやり方は二度とあってはならないと思うのである。」と結んでおります。これに対するお考え方が一つ。  次に、「「山手線の内側では、すべて五階以上の建物を建てられるようにしてはどうか」と、容積率の見直しを進めるよう指示した。」「これ以後、首相は一度ならず、三度にわたって、同じ趣旨の発言を繰り返した。」「首相の容積率緩和発言が当を得ていないのは、第一に、容積率などは地方自治体の権限にあることだ。」「第二に、首相の発言は、実態を無視したきわめて非現実的な認識に基づくものである」と指摘されている。これが第二点であります。  その次は、地価対策関係閣僚会議の第一回会議で加藤自民党政調会長代理から、政府が民活や規制緩和を言い出してから地価高騰が始まった気がする、こういうことも言われております。  私はこれがすべて言いっ放され、書きっ放され、公式の場で総理大臣たるお方が御堂の代議士にここまで言われる。これは言論の自由、民主主義の立場からいっても、公然どこの場で御反論なさることは結構だと思いますし、当然だと思います。その上で地価対策についての判断を私は私なりにしていきたい。大塚論文が正しいとか、中曽根総理のやられたことが間違っているとか、こんなことを今私はここで言う気はございませんが、ここまで言われたことについての総理の御見解、また御反論、結構でございます。どうぞ。
  372. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 大塚論文なるものは、同じ選挙区の自民党の代議士が反論しているのを私見たことがございます。これは、疑惑があるということは全くありません。これは共産党・赤旗でそういうことを論ぜられたことがありますが、それについても私は反論しておいたところで、全くそういうことはございません。  そもそも西戸山の開発が始まったというのは、やはり民間の活力を利用して、できるだけ都民に適正な住宅を供給しよう、そして、あの地帯は昔の戸山ケ原の地帯で国有地でありますが、約四万平米くらいありましたか、あの一角に公務員住宅がありまして、非常にもったいない、ぜいたくなやり方で公務員住宅がつくられておった、これはいけない。そこで公務員住宅を一カ所に集めて高層化して、残った広大な土地を都民の住宅にできるだけ早期に開放する、そしていわゆる当時言われた民活あるいは規制緩和という形で大至急やろう、そういう議がまとまりました。  そして、それをやるについてはちゃんとした法律手続でやらなければいかぬし、東京都の御理解、御協力も要るし、新宿区の区長さん以下議会の御協力も要る、そういうことでその後全部手続を進めまして、そして民活という意味において、お金は国が出すわけにいかぬ、それは民間で集めなさい、集める方法はないか、そういうようなことでいろいろ検討した結果、六十六社の方々が集まって開発会社をそこへつくった。  そしていろいろ計画をつくり、これは都市計画で指定されるという形になれば、それは公益事業として随意契約の対象になる。そういうこともあり、いろいろ法的関係も研究の上、都ともいろいろ連携をしました結果、都市計画があり、そしてそれが都市計画の指定になりまして適法な会社として指定されました。  そこで民間のお金をそこへ集めて、大至急民間の手法によって、いい、適正な住宅及び皆さんの公共の場所も一緒につくりたいというのでやりまして、その結果六十年の十月に東京都の都市計画審議会において都市計画を可決され、さらに十一月に国有財産の関東地方の審議会において開発会社への売却を答申し、十二月に東京都から同社を都市計画事業者として認可されまして、そして公平に行われるようにというので、一社が独占してはならぬというので六十六社の方々が集まって会社をつくり、中田三菱地所の会長さんを社長にして、適正にこれが行われ、その結果六十一年の十月に分譲の募集をいたしましたが、申し込み総数が二万五千三百六十七名という多数に上がりまして、平均倍率が四十四倍、最高が七百九十五倍、対象が五百七十六戸ということで、被分譲者には十年間みずからこれに居住する義務を課せられている、そういう形で転売されないような配慮もされ、公共的な施設としては公園とか緑地とか道路、これが敷地全体の四割強を占めているほか、多目的ホールあるいは公共広場、こういうものも中に建設するようにして、そして既に建設が始められ、今申し上げましたような物すごい倍率の需要が殺到した。これは東京都民の皆さんが待ち受けていて、その期待にこたえて、これらのことが既に進行しているということなのであります。  問題は、共産党・赤旗が指摘したような不正なことがあるかといえば、絶対それはないのであります。一日も早く都民の要望にこたえるような、民活の成果を上げる、そういう意味におきましてこれは上がってきた一つの例である、こういうふうに確信しておるものなのであります。  それから、その次の容積率の問題でありますが、これは東京と大阪を比べてみればわかるので、東京は山手線の中は五階以上ですか、つくれない、そういう制限がある。大阪は全部その制限はありません。東京と大阪の大都会でなぜその差があるのか。これは、なるたけ制限をやめて、そして高層化する、ただし容積制限という形で、横にあるものを縦にするようにすれば、公共の広場もできるし、またそれを計画的にやれば下水とか交通とか社会資本に対応する計画も成り立つ。そういう意味で、この容積率を改革しよう。一種専任と二種専任とありましたけれども、大阪並みにしよう。それによって地価を下げ、都民の住宅をふやそう。つまり職住接近という当時の思想に基づいて、それを行うべく努力したところなのであります。  東京都も非常に賛成しましたが、問題は、区が権限を持っております。区がやはり自分で議決しなければそれはできない。区はおのおのの目的なり政策を掲げておるものですから、一挙に区まで全部行うというわけにいけないで、今東京都が区と相談しつつ、順次そのような解除が行われて進行しておる。こういうことで、私はさらにそれを進行させることが大事だ。ただし、今言った住宅のほかに交通とか下水とかそのほかの問題もよく考えておく必要がある、昼間人口と夜間人口の問題も考えておく必要がある、そういう配慮をもって行うべきであると思います。  地価の問題につきましては、公有地、国有地、国鉄所有地等の処分によって、これが民間の地価を高騰させる、そういう誘発的要素を持たないようにということで、これもいろいろ制限をしまして、転売を禁止するとか、何年以内にこれは建設にかからなければならないとか、そういういろいろな制限をつけまして今やっておるところであり、地価対策関係閣僚会議におきましても、これらの抑制問題について今いろいろ協議もしておるところで、今後ともそのように努力してまいるつもりであります。  以上でございます。
  373. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間が来ましたのでこれでやめますけれども、総理のお話を聞いておりますと、大塚論文が全く当ての外れたことを書いておるんだ。普通だったらこれは、うちの党だったら除名になってしまいますが、さすがは自由民主党、自由であり、おおらかであり、総理がこういう発言の場を野党から与えられて、もらって、とうとうと時間内で述べる、まことに結構な国会でございますけれども、私は一言申し上げたいのは、いずれにしても地価がめちゃくちゃに上がったということ。これは今あなたがここでどのように反論されようとも、五〇%も六〇%も東京の地価が上がった。この結論に対する答弁がここでいただけない。時間が来ましたのでここで引き揚げざるを得ない、この断腸の思い、総理、よくお酌み取りくださいまして、反論も結構ですが、いい政治をやっていただきたいと思います。
  374. 上草義輝

    上草委員長代理 草川昭三君。
  375. 草川昭三

    ○草川委員 草川であります。  まず最初に総理にお伺いをいたしますが、私は午前中にいろいろと、行き詰まっておりますところの蚕糸行政の問題を取り上げましたし、それから過去六回ほど質問主意書でまた総理の方からの答弁もいただいておるわけであります。しかし、非常に誠意のない、質問主意書とは全くのすれ違い答弁でありまして、いま少し親切な答弁が質問主意書に反映できないものかどうか。これは総理の名前でありますから、御意見を賜りたいというのが第一。  それから第二番目に、今日の蚕糸行政というのは、内外からの批判も強いわけでありますし、臨調からの指摘もあり、会計検査院からも繰り返し問題提起がされておるわけであります。また、これは与党の中におきましても、たしか五十一年だったと思いますけれども、とりあえずこの制度というのは三年をめどに見直そうではないかという覚書が与党内の商工部会と農林部会でございますか、その部会で行われているやに聞いております。また、事業団のこげつきの借入金というのは二千億を超えるというのが当局の方からも答弁が出ておりますし、欠損金も五百億を超えているわけであります。一方また、午前中にも指摘をしましたように、事業団の在庫管理には数々の問題がありまして、カビ糸が発生する、それをまた安く払い下げをする、払い下げに問題があるというような点もあるわけであります。また、本来は国際化をしなければならない先物市場というものが一部の仕手筋に悪用されまして、生糸の価格維持制度が利用されているという問題もございます。  特に総理の地元の前橋市場にもそういう事例があるわけでありまして、私はこの際、取引所の抜本的な運営の改革あるいはまた本来の輸入一元化政策、このようなものを見直すべきであるとの主張、そういう立場からの質問でございますが、総理の見解をまず第一にお伺いしておきたい、こう思います。     〔上草委員長代理退席、委員長着席〕
  376. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 草川議員からこの問題につきましていろいろ御質問書をいただきましてお答え申し上げましたが、御満足のいくような回答でないことを大変残念に申しわけなく思います。  この問題は、非常に困った状況に来ている問題です。正直に申し上げますと、絹離れと申しますか着物離れと申しますか、そういうことで生糸に対する需要が減ってまいってきております。しかし、一方におきましては繭の値段、生糸の値段、農民の側の立場も考えなければなりません。そういうところで蚕糸及び糖価安定事業団というものがその間に立っていろいろ操作をしてきたところでございますが、おっしゃるように十七万俵の滞貨、二千億円の国費、そのほかに欠損、そういうようなものがだんだん累積してまいりまして、このままいったら日本の着物はもうできないような情勢にもなりかねまじきところまで来ました。そこで、法律改正も行いまして、諸般の、行政価格も決め、あるいはまことに農村の皆さんには恐縮ですが価格の引き下げまでもやりまして、二千円近くの価格の引き下げもやりました。  そういうことで今改革へ一歩一歩歩み始めているところでございますが、仰せほとんど一年分ぐらいの生糸を抱えているわけであり、その中には外国から来ているものが非常に多いという様相もございまして非常に苦慮しておるところであり、私も、政府関係力を合わせてこの問題の解決、打開に努力していかなければならぬと考えておる次第でございます。
  377. 草川昭三

    ○草川委員 今の総理の答弁につきましては、また後日、別の機会でこの問題を取り上げさせていただきたいと思っております。  そこで、まず防衛庁長官にOTHの問題をお尋ねいたします。  本年度の予算に六百万円の調査費がついていると思いますが、OTHの候補地として馬毛島の調査を行ったことがあるかということをお伺いしたいわけであります。馬毛島についてはもう御存じのとおり、鹿児島県種子島の沖十二キロにある島でございますが、私がこれからいろいろと御質問するまず最初に、このOTHの調査、そして具体的な内容について長官にお尋ねをいたします。
  378. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 OTHというのは、専守防衛で我が国としては情報収集機能を強化する、そういう意味でその有用性について着目していることは事実でございます。しかし、これを導入するかどうかということはまだ決めておりませんし、いわんやどこそこに設置をするというようなことについては一切検討しておりません。
  379. 草川昭三

    ○草川委員 一部の新聞報道によりますと、今の長官の答弁ではございますけれども、OTHの候補地調査をした防衛庁の内部資料としての採点表というのが報道をされているわけであります。それによりますと、丸印、三角、バッテンの評価がありまして、馬毛島が最も高い評価となっています。このような採点表はありますか、ありませんか。
  380. 西廣整輝

    西廣政府委員 お答えいたします。  一部の新聞にその種のものが出たということは承知しておりますけれども、我々の公式の資料としてそのようなものは存在いたしません。
  381. 草川昭三

    ○草川委員 ただいま公式ということをおっしゃいましたが、それに類似するものはあるのでしょうか。
  382. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほど防衛庁長官からお答え申し上げましたけれども、用地といいますか、配備場所につきましては、硫黄島を含む小笠原諸島、それから南西諸島の島嶼部ということで、現地に即して私ども検討いたしましたのは硫黄島だけでございまして、それ以外は空中なり地図上でこういうものがあり得るというものについては一応当たっております。
  383. 草川昭三

    ○草川委員 では、今抽象的な御答弁がございましたが、類似するものがあるとかないとかということではなくて、間接的な検討の対象になったと理解をしたいと思います。この問題については時間の関係がございますので追及をいたしません。  そこで、刑事局長お見えになっておられると思いますので、まずお伺いをいたしたいと思うのですが、伊藤榮樹検事総長は常日ごろ、巨悪は眠らせないという言葉をおっしゃっている、こういうことをいろいろと私どもも聞いておるわけでございますが、検察側の姿勢というのはこの伊藤榮樹検事総長がおっしゃっておられる姿勢だというように理解していいのかどうか、お伺いをいたします。
  384. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 検察といたしましては厳正、公平、不偏不党の精神で事に当たることを方針といたしておるところでございまして、検事総長のおっしゃるような方針で事に当たっているところでございます。
  385. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、これからずっと局長にお伺いをしたいと思うのでございますが、これも一部の新聞報道ではございますけれども、旧平和相互銀行の系列会社が所有するところの、先ほど来からの馬毛島という島の売却をめぐりまして、平和相互銀行の幹部が豊田一夫氏なる人物に二十億円の工作資金を渡し、そのほぼ全額を国会議員に贈って自衛隊のOTHレーダー基地として国に買い上げてもらう工作をしたと東京地検特捜部に供述をしているという報道が実はなされているわけであります。この記事は事実があるいは虚偽か、お答えを願いたいと思います。
  386. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 馬毛島問題につきましていろいろ報道されておりますことは承知いたしておるところでございますが、その具体的内容につきましてはお答えをいたしかねるところでございます。
  387. 草川昭三

    ○草川委員 では、続いてお尋ねをいたしますが、平和相互銀行はいつ強制捜査に着手をし、いつ終結をしたのか、お答えを願いたいと思います。
  388. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 平和相互銀行に関連いたします一連の不正事件につきましては、かねてから東京地検におきまして捜査をいたしておったところでございますが、昨年の七月六日に関係の被疑者を逮捕いたしまして強制捜査に着手いたしたところでございます。その後いろいろ捜査を遂げまして、七月の二十六日、八月の十二日にそれぞれ公判請求をいたしておるところでございます。その後八月の末に、強制捜査で逮捕、勾留をいたしましたけれども、諸般の事情から公判請求する必要のない者につきまして不起訴の処分をいたしたところでございます。
  389. 草川昭三

    ○草川委員 局長、行ったり来たりで大変申しわけないのですが、八月十三日の各紙の報道によりますと、東京地検が八月の十二日に捜査終結宣言をしたと報道をしております。そのとき検事正かあるいは次席検事が捜査終了の旨の記者会見をされたと思うのでございますけれども、捜査終結宣言と新聞に書かれておるような内容であったのかどうか。また、法務大臣が昨年の八月に国会において、これ以上犯罪の嫌疑を得られなかったと述べておみえになりますが、その点はどうでしょうか、お伺いします。
  390. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 昨年の八月十二日に二回目の起訴をいたしたわけでございまして、そのころまでの捜査の結果を踏まえまして、公判請求するに足る証拠があり、かつ、公判請求する必要のある者につきまして、東京地検といたしまして公判請求をいたした。そういう意味では一段落がついたと申しますか、そういう趣旨のことを東京地検におきまして発表したというふうに承知いたしておるところでございます。
  391. 草川昭三

    ○草川委員 この事件の被告の中に、札幌の不動産業者でありますところの大野伸幸という方がおみえになると思うのですね。それから同じく平和相互銀行の営業融資第二部長であるところの山本義則なる人物も逮捕者の中にいたと思うのですが、その点はどうですか。
  392. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 御指摘の両名は、強制捜査の対象となっております。
  393. 草川昭三

    ○草川委員 その平和相互銀行営業融資第二部長の山本義則氏の処分はどのような処分であったのか、また、いつ釈放したのか、お願いをしたいと思います。
  394. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 山本第二部長につきましては、昨年の七月七日逮捕いたしまして、七月の二十六日ではないかと思いますが、これはやや正確を欠きますが、身柄を釈放いたしております。そして昨年の八月二十七日に不起訴処分にいたしております。
  395. 草川昭三

    ○草川委員 では、もう一方でございますが、太平洋クラブというのがございます。この太平洋クラブというのは平和相互銀行の系列の会社になるわけでございますが、この太平洋クラブの常務に玉井照雄なる人物がいると思うのです。この玉井照雄なる人物はいつ逮捕し、どのような処分をし、いつ釈放をされたのか、お伺いしたいと思います。
  396. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 御指摘の人物につきましては、昨年七月七日に逮捕いたしまして、七月二十六日に釈放いたしております。  なお、先ほどお尋ねいただきました山本部長でございますが、これも七月二十六日に釈放いたしましたことは間違いございません。
  397. 草川昭三

    ○草川委員 その次の質問に移りますけれども、昨年の十二月十五日の日に東京地方裁判所で、先ほどお伺いをいたしました大野被告に対する第四回の公判が開かれたわけです。この公判廷で弁護人の被告人質問というのがあるわけでございますけれども、その質問によりますと、大野被告が次のように供述をしているわけであります。これはどういうことを言っておるかといいますと、「馬毛島売却の工作資金として、平和相銀から五億円、太平洋クラブから五億円、計十億円を豊田一夫なる人物に渡した。」と供述をしているわけですね。  さらに、もう少し中身に入った問題を言いますと、「次に」これは弁護士が聞いているのですが、「次に注2の二番目、馬毛島五億円とあるのは何か」との弁護人の問いに対して、大野被告は「太平洋クラブから下総興産を介して馬毛島の、これが一回目に運んだ金です。このときに平和相銀の石村常務、伊坂弁護士秘書の山田穂積、それから私の運転手をしていた杉谷と四人で豊田一夫さん、確か表札にはそう書いてありましたけれども、そこに運びました。」と述べているわけです。  この公判でのやりとりは、検察庁としては当然確認をしておみえになると思うのですが、どうでしょうか。
  398. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 大野証人がただいま御指摘のありましたような証言をいたしましたことは、そのとおりでございます。
  399. 草川昭三

    ○草川委員 これは検事さんも立ち会っている場での供述ですから、当然今のような御答弁だと思いますね。  実は非常に重要な証言をしておるわけであります。実はこの供述の中で出てきたところの注2の二番目というのは、私の方もこの抜粋を持っておるわけでございますけれども、これはある人物の検事調書に添付をされたものなんですね、この注2の二番目というのは。検事が調べた平和相互銀行、太平洋クラブから大野被告に渡されていた金の一覧表の一項目でございますけれども、この一覧表についての存在はお認めになっておられますか、お伺いをします。
  400. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 東京地検といたしましては、平和相互銀行に関連いたします一連の不正事件を捜査するに当たりましていろいろの角度から捜査を行い、またいろいろの人を調べて供述調書を作成したわけでございますが、その中身につきましては、既に公判廷において提出しあるいは公判で証言された部分を除きましては具体的にはお答えいたしかねるところでございます。
  401. 草川昭三

    ○草川委員 それはそれで結構でございます。  そこで問題は、このある人物というのは平和相互銀行の営業融資第二部長の山本義則のことであります。その検事調書では、「十億三千万円は、馬毛島工作資金として融資した。その後判明したところでは、大野はそのうちから五億円を使って同融資の担保物件である札幌郡広島町大曲の土地を購入しており、不相の都合で大野屋に実行した金額は正味五億三千万円程度だ。注2のNO2の五億円は、馬毛島の工作資金として下総興産を迂回し融資した。」とあるわけですね。ここで言う注2のNO2は、平和相互銀行と太平洋クラブから大野被告に渡されていた金の一覧に、お金の流れの説明に出ているものなんですね。  さらに、実はもう一通あるわけでありますけれども、太平洋クラブ常務の玉井照雄氏の検事調書には、「五十八年五月二日、下総興産から大野屋に貸し付けた二億円、五十八年五月四日、下総興産から大野屋に貸し付けた三億円の計五億円は、いわゆる馬毛島工作資金だ。大野をダミーとして使っただけで、この五億円は大野が豊田一夫に渡しているはずだ。」こう言っているわけですね。検事調書ですね。  この二通の検事調書及び添付の一覧表は、既に先ほどの答弁でもありますように、裁判で証拠として検察側から提示をされている、いわゆる開示をされているものですが、これは否定はできないと思うのですが、その点はどうでしょう。
  402. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 刑事訴訟法の規定に従いまして証拠の開示は検察官がしなければならないところでございますが、証拠の開示をしたということは決してその事実を検察官が公表するということではないのでございまして、裁判の公開という原則から見まして公開の裁判で証言されあるいは証拠として採用されておりますれば格別でございますが、そうでない場合におきましては、そのような調書があるかどうか、あるいはそのような調書の内容がどうなのかということにつきましてはお答えいたしかねるところでございます。
  403. 草川昭三

    ○草川委員 いずれにいたしましても開示をされているものなのです。それはひとつしっかりと聞いておっていただきたいわけでありますけれども、ところで実は、ここに問題があるのです。  何が問題かといいますと、この二通の検事調書の日付は、何と捜査終了の宣言、一段落をしたという先ほどの答弁でありますけれども、実はその宣言をされましたところの六十一年八月十二日付の調書になっているわけです。これは一体どういうことでしょうか。この検事調書並びに一覧表にある事実というのは、この平和相互銀行の裏に大きな疑惑が隠されていたことを物語っているのではないかと思いますし、地検の特捜部としては当然注目をしなければいけない事実だと思うのです。これは、このままだと地検は何もこの点の調べをしないまま捜査を打ち切ったことになるのではないか、その点は一体どうなんでしょう。  山本義則氏は六十一年八月十二日付でやられておるわけでありますし、玉井照雄、太平洋クラブの常務ですね、山本さんは平和相互融資部長ですが、いわゆる大野氏に渡したのだ、こう言っているわけですね。その大野氏の先は一番最初に申し上げましたような流れになるわけでございまして、この十二日せっかく検事が調書をとった、ところがそのときに、新聞報道によりますと一段落をしたという、こういう大変な食い違いがあるわけです。これは、先ほど申し上げましたように、巨悪、悪い者は眠らせないという大命題と検察側の態度というのは食い違うのじゃないか、こう思うのですが、その点は刑事局長どのようにお考えになられるのか、お答えを願いたい、こう思います。
  404. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 一段落したと申し上げましたのは、それまでの長い期間にわたります捜査の結果に基づきましていろいろ検討いたしましたところ、起訴できる事実につきましては起訴いたしたということでございまして、その時点におきましてすぐにでも次の具体的な容疑事実が起訴できる、そういうような状況ではないということでございまして、長期間にわたります捜査が一応一段落がついた、こういう趣旨のことを東京地検の方において発表したというふうに承知しているところでございます。
  405. 草川昭三

    ○草川委員 今の答弁は、継続性、また将来この問題の新しい状況がわかるならば取り上げる、こういう趣旨で御答弁なすっておるならば私どもは了解をするわけでありますが、そこがやはり、打ち切り宣言という非常に強烈な発表という形で国民に報道されているから私はこのようなことを言っておるわけであります。これは納得できぬと思うのですね。  検察庁、つい最近豊田商事の詐欺罪による逮捕というのがございましたね。大阪地検特捜部、これは府警との合同でありますが、国民の特捜部に対する信頼というのは非常に高いものがあると私思うのですよ、従来の検察庁のあり方というものからは。いろいろと今日の世の中は腐敗したものあるいは問題が多いわけでありますけれども、その中で、唯一国民の信頼を背中に受けながら巨悪というものにぶつかっていくという検察の態度というのは非常に私は高く評価をしておるのではないか。特に、豊田商事倒産後、永野会長が殺害されまして一部の幹部が逮捕されましたが、一年九カ月ぶりに豊田商事事件の幹部が逮捕された、お年寄りは拍手喝采ですよ。我々も、よくぞ一年九カ月の間我慢をして詐欺罪で逮捕をした、私はそういう意味では地検特捜部を非常に高く評価をするものでありますけれども、事この平和相互銀行から馬毛島に至る今の私の問題提起から考えますと、検察の態度というのは非常におかしいと私は言わなければいけません。ひとつ、さすが特捜だというような期待を裏切らないためにも、もっと努力をすべきだと思うのです。同時に、平和相互銀行については豊田商事の詐欺罪に比べますと本当に努力をされたかどうかという形跡が認められぬわけであります。そこを検察側にいま一度お伺いをいたしますが、伝えられているように本当に検察はこの問題について捜査を完全に打ち切っているのか、あるいはこの事実に今なお関心を持っているのか、あるいは過去このことについて関心を本当に持っておみえになったのか、ひとつ過去、現在あるいは当時、こういう三点について刑事局長のしっかりとした答弁をいま一度求めたい、こう思います。
  406. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 東京地検の特捜部といたしましては、平和相互銀行をめぐります一連の不正事件につきましても当時のいろいろな情報あるいは資料をもとにして鋭意捜査いたしたところでございまして、相当の期間にわたります努力の結果として、平和相互銀行に関連します不正融資事件を起訴することができたのでございます。  ただ問題は、やはり証拠関係いかんということが一番の問題でございまして、証拠が集まるかどうかということ、これがやはり起訴できるかどうかということにつながってくるわけでございます。また一般論として申し上げますならば、検察当局といたしましては、そのときそのときの情勢に応じまして、起訴するに足る十分な資料がある、証拠があると認められる事件につきましては随時適切に対処するものと承知いたしておるところでございます。
  407. 草川昭三

    ○草川委員 いずれにしても、新聞に国会議員十余人に二十億円というようなことが書かれておるわけでありますし、先ほど来の質問にもあるわけですが、これは国会の名誉にも関することなんです。贈賄については間もなく時効が完成すると思うのですけれども、収賄については少なく見積もってもあと一、二年はあるわけです。しかも、百歩譲って脱税で追及できる可能性も私はあると思うのです。そういう点でいま一度、一般論でいいですから、重大な関心を持っておるのかおらぬのか、そのことだけお伺いをしたいと思います。
  408. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 一般論として申し上げますと、東京地検、特に特捜部といたしましては、いろいろな情報、資料の収集に努めまして、そこに犯罪事実を認めるに足るような事実が存在する場合には、これに対しまして適切に対処し、また厳正に対処するものと承知しているところでございます。
  409. 草川昭三

    ○草川委員 どっちにしてもそれは徹底的にやってくださいよ。それはやらなければ国民は認めるわけにはいかぬ、こう思います。  そこで、大分局長歩いたりしていますからちょっとここで一分休んでいただいて、とりあえず法務省の質問は留保いたしまして国税庁にお伺いをしたいと思うのです。  今のやりとりを聞いていただいたと思うのですけれども、馬毛島を売却するための工作資金として、平和相互銀行などから直接あるいは大野屋を経由をして豊田一夫氏に多額の金が流れているという。銀行はこの資金について税務上どのような処理をしているのか、また税務当局はこれに対しどのような措置を講ずる考え方か、明らかにしていただきたい、こう思います。
  410. 日向隆

    ○日向政府委員 私どもといたしましては、あらゆる機会を通じて有効な資料、情報の収集に努め、これら資料、情報と申告書等を突き合わせまして、課税上問題がある場合には関連する法人、個人に対しまして実地調査を行い、税務上適正な処理をしているところでございます。  委員御指摘の事柄につきましても、課税上貴重な資料、情報としてこれを受けとめまして、関連する法人、個人について適正に対処してまいりたい、かように考えております。
  411. 草川昭三

    ○草川委員 じゃ、もう一つ。  平和相互銀行などから豊田一夫氏に流れた多額の金は、課税上非常に問題があると思うんですね。先ほど来のは渡した方にも問題があるじゃないか、今度は受けた方にも問題があるじゃないか、こういうことでございますけれども、その点はどうでしょうか。
  412. 日向隆

    ○日向政府委員 ただいま委員が御指摘になりました事柄につきましては、一般論としてお答えすることをお許しいただきたいと思うわけでございますが、その実態によりましてはさまざまな課税上の問題が発生すると思われます。したがいまして、御指摘の事柄を踏まえ、課税上の問題点を十分念頭に置いて、関連する法人、個人について実地調査を通じてできる限り厳正に対処してまいりたい、かように考えております。
  413. 草川昭三

    ○草川委員 今おっしゃいましたように、ぜひ厳正に対処していただきたいと思います。  もう一つ、実は国税に同じような質問になりますけれども、先ほどの話ですが、大野氏を介した十億円以外に、翌年の五十九年の五月と六月に各五億円ずつ、計十億円が豊田氏に流されていると報道されているわけです。これは翌年ですから、もう少し工作資金が欲しい、こういう請求があって、今回は平和相互銀行の方から直接融資という形で来ておるわけです。これは、平和相銀の元社長の稲井田被告もこの十億円の事実を公判廷で認めています。この公判廷の報道を見ましても、この十億円は豊田氏から工作資金の追加要求があったということになるわけでありますし、平和相銀は直接豊田氏に渡したものとされております。銀行から個人に渡す場合は、貸し付けいわゆる融資しかないわけでありますので、名目は融資になっています。しかしこれは五十八年の大野を介した十億円と同じ工作資金の趣旨になるわけでありますので、そう認定した場合に、これも五十八年の十億円と同様、課税対象として調査をしなければいかぬと思うのですが、同様の質問になりますが、いま一度お答えを願いたいと思います。
  414. 日向隆

    ○日向政府委員 委員も御案内と思いますが、資金の出し手でございます法人の側については、その実態に応じて貸付金または交際費、寄附金、使途不明金等として課税上の処理をする場合が考えられます。また、この資金を受領した個人の側におきましては、その実態に応じて借入金または雑所得として課税上の処理をする場合が考えられます。かような課税上の問題を念頭に置きまして十分に対処してまいりたい、かように考えております。
  415. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひその趣旨でやっていただきたいと思うのですが、ここで銀行局長があるいは大蔵大臣。  出した方ですね、平和相互というのは約五千億の不良の貸し付けがあり、そして住友と合併をした、こういうのですけれども、そういう本当に安易に五億円、五億円を特定の人に融資をする。内部資料によりますと、融資をしたのだから当然豊田氏の家屋を担保にとっておると言うんですよ。ところが我々が調べてみますと、少なくともその時点においては、去年の八月現在でもことしの三月でも、受け取った方の家屋、財産はきちっとした真っ白ですね。担保に入ってないわけですよ。とするならば、これはもう事実、私どもこれを幾ら見せてもいいんですけれども、真っ白なのにどうして担保をとって融資をしたということを言っているのか。一体銀行の内部検査というのはそんなずさんなものかどうか。  稲井田氏は公判廷で、政治家にある程度話をつけて、本来ならば大変な検査をやられるのだけれどもすんなりとパスをした、そういうことを言っておるわけですよね。そのようなことを公判廷で聞きながら、一体銀行局というのはどういう検査をしているのか、大蔵省というのはどういうような銀行の管理をしているのか。我々はそういう銀行にお金を預けているわけですからね、ばかばかしいじゃないですか。そんなずさんなことが許されていいのかどうか、大蔵大臣からお答えを願いたい、こう思います。
  416. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 ただいまお尋ねの点は特定の金融機関と特定の取引先との具体的な取引に係る事例でございますので、具体的な問題については答弁を差し控えさせていただきたいと存じますけれども、一般論として申し上げますならば、銀行検査におきましては、金融機関の健全性確保、そういうような見地から資産内容の査定を行い、その結果に基づき必要な指摘あるいは行政上の指導を行っている次第でございます。したがいまして、平和相互銀行につきましても、このような考え方のもとに検査を行ってきたということでございます。
  417. 草川昭三

    ○草川委員 大蔵省の銀行局の態度というのは非常に弱いですね。せっかくこういう問題が出ているのですから、一般論でいいですから、全容はもう解明したんだ、だから君たち心配するなというぐらいのことを言ったっていいんですよ。それは全容が解明できてないわけでしょう。不良債権として落とそうとしているわけでしょう。そんなばかなことが許されていいんですか。  最後になりますが、もうあと五分より時間がございませんので、ここでまとめて総理にもお伺いをしますし、いま一度刑事局長、国税の方は非常に積極的な態度が出ておるわけですが、刑事局長として、先ほどから言っておるように巨悪は眠らせないという方針があるのだから、これは国民のためにも徹底的にやってくださいよ。そういう意味では我々は、日本を本当に守るのはそういう検察の姿勢だと思うのですよ。日本のようなこれから大変難しい時期に、検察はやはりきちっとしておってもらいたいと思うのです。いいのか悪いのか、これだけは非常に強く求めて、もう一度刑事局長の答弁。  それから総理に、今のお話を聞いておっていただいて、そのことの内容はどうあろうと、流れはやはりずさんだと思われると思うのですよ。  それで、ちょっとここでお伺いをしたいわけですが、最近、地方選挙をめぐりまして、与党内の派閥の幹部から百万円単位のお金が支給されているということをどの新聞にも書いてありますね。交通費というのですか足代というのですか、これは政界だけ、いわゆる永田町だけに通じる話だと思うのです。その新聞を見て我々の後援者の連中は、一体何ですか草川さん、あなたたち政治家は、与党の中で選挙で百万円がぽんぽん配られている、これは何かおかしいと思わぬのか、政治資金規正法に届けてあるのか、あるいはそんなに大量のお金がどこから来るのか。私はどう考えても不思議なんですよ。我々の歳費からいって出る金も大きい。それで何とかかんとかで一生懸命やっている、そういうところへ百万単位の金がどこか派閥の親分からばあっと配られる、どこから来るのだろうか。どう考えても私は、そういう新聞が出たら与党の総裁としてもおかしいと言うべきだと思うのですよ。いいかげんなことはやめてくださいよ。それでなければ国民が、特にこういう売上税の問題については今全国民がお茶の間で議論しておるわけですよ。財政はどうあるべきか、減税はどうあるべきか、そして売上税はどうか、こんなに大変熱心に言っている時期はないですよ。そういうところへ、どこから来た金か知らぬけれども百万円ずつ配りましょう、新聞全部に書いてあるわけですよ。これは与党総裁として、私は一言あってしかるべきだと思うので、その点を第二番目にお答えを願いたい。  それからもう一度大蔵大臣、銀行の管理、本当に不相と住友の問題については心配するな、融資したものは必ず回収させるとか、きちっとした決意表明をしてください。
  418. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 個々の事件につきまして具体的なことは申し上げかねるところでございますが、一般論として申し上げますれば、先ほど来申しておりますように、検察当局といたしましては、刑罰法令に触れるような事実が認められるならば、随時適切に、また厳正に対処するものと承知しているところでございます。
  419. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 今御質問を拝聴しておりましたが、検察庁においてもあるいは国税庁におきましても、法に従って厳正、公平に処置が行われているものと確信をいたしますし、今後もそのような措置が行われるものと確信しております。  政治資金の問題につきましては、恐らく選挙に際して組織活動費用というような形で行われたのではないかと想像いたしますが、いずれにせよ、こういうような問題については大いに自粛自戒して、いやしくも国民から疑惑を受けるようなことがないようにしなければならないと思っております。
  420. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 一般論として申し上げますけれども、平和相互銀行は、合併に当たって所有する債権全体について洗い直しをいたしまして、償却すべきものを償却したというふうに聞いております。  なお、住友銀行が合併をしたわけでございますが、合併期日における平和相互銀行の資産、負債、その他一切の権利義務を引き継いでおると承知しております。
  421. 草川昭三

    ○草川委員 後段の権利義務の引き継ぎについてははっきりしておいてくださいよ。かかる不透明なものは落とすべきではない、こういう私の最後の発言をさせていただきたいと思います。  なお、委員長、先ほど最後に総理もおっしゃっておられますけれども、この問題は国民の疑惑に答えていかなければいかぬということが非常に大切だと思います。ぜひ豊田一夫氏並びに平和相互銀行の関係者を機会を見て、次の機会でも結構でございますので参考人として当委員会に呼んでいただきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたい、こう思います。どうかよろしくお願いを申し上げます。
  422. 堀之内久男

    堀之内委員長 ただいまの件につきましては、後日理事会において協議いたしたいと存じます。さよう御了承願います。
  423. 草川昭三

    ○草川委員 終わります。
  424. 堀之内久男

    堀之内委員長 大矢卓史君。
  425. 大矢卓史

    ○大矢委員 大変暗いニュースが多い中で私も非常に明るく思っておりますのは、この四月一日に、百三十七日という長い間誘拐されておりました三井物産マニラ支店長若王子さんが救出されたということであります。翌四月二日に日本へ帰ってこられまして、中曽根総理のところにもごあいさつに行かれたようでありますけれども、人の命というのは地球の重さよりもとうといと言われております。これにつきまして、我が国も非常な救出についての努力をされておりますが、その間の経過、並びに中曽根総理がお会いになったときの、貴重なお話等あったろうと思いますけれども、御感想を承りたいと思います。
  426. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 若王子さんが無事に生還されまして、国民の皆さん、みんなほっと喜びました。私もその一員でございます。  この間におきまして、フィリピン政府、特にアキノ大統領が陣頭指揮をされまして、また、軍の方も警察の方も本気で本当に努力していただきました。また、フィリピンのシン枢機卿以下教会関係の方にも大変お世話に相なり、フィリピン国民全体の皆さんに対して大変な御迷惑をおかけもし、またお世話にもなりまして、心からお礼を申し上げたいと思います。また、若王子さんが無事にお帰りになりまして、私もお会いをいたしましたが、元気であるのに我々も非常に喜んだ次第でございます。  こういう不幸なことがありましたけれども、日本とフィリピンとの友好親善協力の関係というものはいささかも損なわれるものでなく、さらにこの機会に親善友好の靱帯を強めてまいりたいと考えておる次第であり、かつまた海外商社関係の方々も、こういうような事件が再び起きないように大いに注意、警戒をしていただきたいと思っておる次第でございます。
  427. 大矢卓史

    ○大矢委員 この救出について日本政府の果たされた役割等わかりましたらお答えを願いたいと思いますけれども、私は、総理の外遊費が予備費で賄われておるというようなことは大変不合理と申しますか、これだけ国際社会になったのでございますから、総理が全世界を駆けめぐって国民のために御努力願う、しかも当然年間ある程度の予定がおありだろうと思います。それ以外に不測のことについて海外へ出られる場合にこういう予備費というのが作用してくる。そういう意味からいきまして、この際、総理はフィリピンに出かけられて、その感謝の意を直接フィリピン国民並びに大統領にお伝えになる御意思はございませんか。
  428. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 予算の執行中に、予期せざる機会にこういう問題が出てくるものでございますから、今まで予備費で支出したケースが大部分ではないかと思います。これはやむを得ない事情で、予算編成のときにいつどういうものがあるということが明確に決まっておりますならばこれは当然予算に計上すべきものでございますが、大部分の外遊というようなものはそういうような環境で行われるものでございますからやむを得ないものであると思います。しかし、そういうふうに確定しているようなものがあれば、当然予算に計上すべきものであると考えております。
  429. 大矢卓史

    ○大矢委員 この際、予備費を使っていただいてフィリピンに出かけられるような意思はございませんか。
  430. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 今のところ、私がフィリピンに赴くという計画はございません。
  431. 大矢卓史

    ○大矢委員 きょうは地方選のさなかに決算常任委員会が開かれたのでありますけれども、地方議会でございますと特別審議会でその期間だけやりまして、必ずそれが上がって、その決算によって来年度の予算が組まれるわけでございます。しかし、地方議会と違いまして、五十八、五十九年度がいまだに残っておるということで、堀之内委員長、また糸山筆頭理事等が大変努力をされまして二年度分を特にこの総括の委員会で上げる。毎年、決算については委員長なり理事の方に非常に御苦労願っておると思うのですけれども、こういうあり方について、必ずしもこれが従来から予算の新しく組み込むところに作用しておらない。  これは、当然議会の問題ではございますけれども、この承認を受けるという立場からいきますとやはり内閣の問題でもあるわけであります。後藤田官房長官、この内閣の方針として、決算委員会がせっかく二年間分を非常に協力的に一日で済ましてしまわれるわけでございますので、これからはおくれを取り戻す意味で決算委員会をどのような形でやっていくのか。これは議会の問題だといえばそれまででございますけれども、今申しましたように内閣としてもこれを承認を受けるという意味からしてもやはり一緒になって考えていかなければならぬと思いますが、いかがでございましょうか。
  432. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 当然のことながら、決算委員会のお役目は、予算審議で厳しい国会の論議を経ながら成立させていただいた国民の金がどのように本当に適切に使われ、それが国民の生活の向上、福祉の上に役立っておるのか、むだはないのかといったようなことを適切にこの委員会で御審議を願って、政府として国会の厳しい批判を受け、それを我々としては十分心得ながら、是正すべきものがあれば是正をしていくというのがこの決算委員会の本当のお役目であろうと私は思います。それだけに、政府といたしましては、国会の決算委員会の皆様方の御要求、いろいろな資料の御要求もございましょう、できる限りの御協力を申し上げまして、当委員会がその成果を十分に上げられるように政府は政府なりの努力をしていく決意でございます。
  433. 大矢卓史

    ○大矢委員 六十一年度の決算についてはもう国会に提出されておるわけでございますけれども、まだ五十八、五十九年度となりますと、六十年、六十一年とまだ二年間あるわけであります。ちょっと追いつくのになかなか難しいようでございます。また、こうやって中曽根総理を初め各閣僚に出ていただきます総括をやるにいたしましても、幸か不幸か、これは地方選で中曽根総理がどこにもお出にならぬ、この結果、先ほど申しました委員長なり筆頭理事が非常に御苦労願ってこういう場を持っていただいたわけであります。  先ほどからのお話でございますと、総理は地方選には行かない方がいいのではないか、行くべきではないというお考えのようでございますけれども、そうなりますと、これからもこの地方選のときには、四年に一遍でございますけれども、やはりこういうような決算委員会を持たれることが非常に好ましいというお考えでございますか。それとも、場合によっては地方選で忙しくてまた開けないということになるのか、そこらの点をお尋ねいたしたいと思います。
  434. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 すべて国会優先で物は処理した方がいい、そう考えます。
  435. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういうことのようでございますけれども、実際は総理に全くお呼びがかからなかった。特に私が残念に思いますことは、八日の日は大阪だということを聞いておりました。やはり総理が先ほどから申しておられますように信念に基づいて売上税の問題等国民に直接呼びかけて、お話しなさいますのは非常にお上手でございますので国民に対しても大いにお話ししたかったろうと思いますけれども、地方選の候補者が来てもらっては困るのだというようなことで取りやめになったように聞いております。総理、非常に残念であろうと思いますけれども、これについて重ねてお尋ねをいたしたいと思います。
  436. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 統一地方選は地方問題が中心に論ぜられるもので、国政の外交とか内政とか予算、そういうような問題でしたら我々が直接責任をしょっている問題で、やらなければいけませんが、地方の問題はやはり地方が地方自治の本旨に基づいてやるべき問題ですから、必ずしも私が動かなくてもいい、そう考えておるわけであります。
  437. 大矢卓史

    ○大矢委員 総理の心情を察しましてこれ以上申しません。  金丸副総理にお聞きしたいのでございますけれども、私は、金丸副総理というのは人の約束というものを非常にお守りになるということで、尊敬をいたしておる一人でございます。幹事長当時に、与野党幹事長・書記長で六十一年中に減税をやるということについて発言をされて、その結果いろいろございましたけれども、結果的には千三百二十億の減税ということで金丸副総理のお約束が果たされたわけであります。うそをつかない方ということで私も大変信頼をいたしておりますけれども、三月十六日に金丸副総理が、この売上税について何か知恵を出さなくてはということで御発言になりました。そして、そのことが土台で、きょうの報道によりますと来年の十月に売上税導入をする、そして税率が三%以下だということ、総理も修正に対して腹を固められたというようなことでございますけれども、いかがでございますか。
  438. 金丸信

    ○金丸国務大臣 三月の際のただいまの質問に対しましては、あれは新聞が私の話を聞きながら、一つのニュアンスという受け取り方で新聞に書いた。私は政治家として、あなたも同じだと思うのですが、今のような状況で本当にいいのだろうか、国家のためにいいのだろうか、国民のためにいいのだろうか、こういう考え方を持つ者は私一人ばかりではないだろう。そういう意味で後藤田官房長官に、何とか知恵をかせ、こういうことを言った。こう言ったら、修正だとかいろいろのことを言っているけれども、修正もそれはニュアンスの中にあったろう、しかし私は、ニュアンスということであれば凍結もニュアンスだ、あるいは強行採決もニュアンスだ、こういうように言っておるわけでありまして、私が、減税をやります、あるいは修正をしてこれを二%だ、三%にするなんということは言った覚えはありません。
  439. 大矢卓史

    ○大矢委員 副総理が言われたということでなくして、副総理が何か知恵を出さなくてはと言ったのが土台になってこういうものが固まったのではないか、決して副総理が直接、税率を三%にするとか、また来年十月に導入を延期するとかいうことを言われたのではなくて、何か知恵を出さなくてはならぬということから、こういうことが内定をしたのではないかというほど大きく出ておるわけであります。予算委員会の審議もございまして当然これらのことはあり得ないということになろうと思いますけれども、やはり党の幹部の方にいたしましても修正をにおわされるということでありますし、また今の御発言で、強行採決も凍結もこれは一つの知恵だということをおっしゃっていただきました。そうなりますと、副総理の中には凍結ということも一つの知恵の中にあるのだということに、これは私なりに解釈をしたいと思います。  かつて、昭和二十三年に導入をされました取引高税というものがございます。これが導入をされ、一年で廃止になった、こういう経過がございますが、これについて、どういうことで廃止になったのか、お答えを願いたいと思います。
  440. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは、昭和二十三年の暮れの選挙で吉田内閣が取引高税廃止ということをいわば選挙の公約にされまして、その選挙で勝ったわけでございますけれども、二十四年になりましてドッジ氏が参りまして、そういう時期でないということですぐには廃止になりませんでした。しかし、そのかわりに、シャウプ氏を招いて全体の検討をする、そういう経緯があったわけでございます。  理由は、結局一つは、あのときは統制経済でございますために、この取引高税をやりますと取引関係の資料がいろいろ出てまいります。そうすると、統制違反になるということを、あのころのことを御記憶でいらっしゃいますとだれも思い出すのですが、いわゆるやみというものが半ば公然としていながら、しかしこれは経済法規違反だという時代でございますから、そういうことが商売をやられる方に非常に大きく関心の的になった。もう一つは、納付の方法、印紙を用いたと思いましたけれども、そこらあたりにもいろいろ混乱があったと思います。
  441. 大矢卓史

    ○大矢委員 過日二日の決算委員会で私、大蔵大臣に、非課税業者、免税業者が入りますと合計いたしますと五%以上の税率がかかる、二重課税ということで質問させていただきましたら、いろいろと考えてみても二重課税は現在の仕組みの中ではやむを得ないのではないかという御答弁がございましたが、よろしゅうございますか。
  442. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それはこう申し上げたつもりでございます。つまり、非課税業者が消費者相手にでなく例えばデパートならデパートへ納入をいたしますような場合には、結局そこで一つ取引のチェーンが切れまして、新たにデパートがその納入した物についてお客さんに売る、こうなりますから、いわばそういう意味では課税業者の場合に比べまして税の累積のようなことが起こる、そういうことはどうもそのとおりでございますと申し上げたのであります。
  443. 大矢卓史

    ○大矢委員 昭和二十三年六月二十四日の衆議院の財政及び金融委員会の速記録によりますと、中曽根総理がその当時の取引高税についての質問をしていらっしゃいます。そしてこの税に対して、まず、新税は悪税と言われているように、感心しない税金であります、特に考えなくてはならぬことは、中小企業の立場である、そして、段階的に、この場合は段階的に一%ということでございますけれども、五段階、六段階、そういうことが重なっていくと実質的には五段階、六段階一%ずつでなくして百分の十とか百分の十五になっていく、そういうことで中小企業にとっては非常に苦難になるので、こういうものにはやはり反対だということを言っていらっしゃいます。  総理が中小企業の立場に立ってこれほど御熱心に当時から考えていらっしゃるということは私存じ上げなかったわけですけれども、今の大蔵大臣の御答弁にもございましたように、五%と言われながら、非課税、免税業者を認めることによって二重課税なり累進的な性格を持ってやはり五%では済まない、あるものは九%も一〇%にもなるのではないかということを大蔵大臣がお認めになったわけでございますけれども、当時を思い出していただいて、中小企業の立場に立って、このような仕組みの税金が中小企業にとって非常に酷であるということについての総理の御見解を承りたいと思います。
  444. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 取引高税の場合は、初めは証紙を張るなどで非常に複雑な手続もあり、それから税金が累積していく、各段階で取られていく、そういう欠点があると思いますが、今回はそういう経験にもかんがみまして前段階税額控除方式、そういう形で累積を避ける、できるだけ累積を避けていく、そういう配慮は取引高税に比べて非常に強く出ておるのであります。  そのほか、一億円以下の方々は課税業者にならないとか、あるいは扱う品物にしても生活必需品は全部除くとか、そういう形で生活身辺に一番サービスしていらっしゃる中小企業者、家庭に一番接近しているそういう中小企業者というようなものをできるだけ課税の対象から除くように今度も努力したわけで、そういう意味では中小企業に対する非常な配慮があると思います。しかし、どうしてもぐあいの悪いという人は課税業者にもなることができまして、これは簡易的な方法でやれるようにしております。  そういうような配慮もいろいろいたしまして、中小企業者の皆さん方のためには非常に苦心して考えたということを申し上げる次第なのでございます。
  445. 大矢卓史

    ○大矢委員 一億円以下の免税業者が八七%にも達するということを言っていらっしゃるのですけれども、実際どのようなデータでそういうことをおっしゃっておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  446. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 法人企業統計でございますとか、それからその他課税資料等によりまして全体の企業数の推計をいたしまして、売り上げで一億円以下のものの割合が八七%になるというように計算をいたしております。
  447. 大矢卓史

    ○大矢委員 法人企業統計調査、これは全国二百万の法人に関する統計でありまして、先ほどからいろいろな税金のことで総合課税を言われておりますけれども、売り上げが、普通の中小企業者の場合、個人の場合に出てくるのですか。
  448. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 法人企業統計だけではございませんで、そのほか課税上の資料その他を参考にいたしまして、個人企業を含めまして推計をいたしております。
  449. 大矢卓史

    ○大矢委員 これは、私どもは資料がないと思いますけれども、あるとおっしゃるならそれでも結構であります。  そこで総理、言われておりますように、免税問屋が、業者が一つ入りますと、やはり御破算願いましてということでまた一から課税になる。そういうことになりますと二重課税と申しますか累積課税と申しますか、そういうことになるのではないかと大蔵大臣に前回の決算委員会でお聞きいたしました。特に今もお答えになりましたように、今のところはそれはやむを得ないんだ、できるだけ課税業者になってもらったら結構だということで、今の八七%が非課税業者だ、免税業者だとおっしゃいますけれども、しかしそれは言葉の上だけであって、実際は中小企業で商売する方がやっていきたければ課税業者になりなさいということのように思いますけれども、いかがでございましょうか。
  450. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 大矢委員が御指摘になっていらっしゃる場合がむしろ例外的なケースと申しますか、つまり小売業者が、これはサービスでも物でもでございますけれども、例えば私鉄の駅のターミナルの近くに商店街というものがよくございますけれども、ああいうところはもう全部が最終消費者相手の御商売でございますから、こういう人たちは、免税業者の方が全く御自分も消費者も利益でございますので、課税業者を選択する理由はございません。  ただ、先ほどからおっしゃいますように、納入業者になる場合、取引がそこで一遍切れる場合にはそういうことがあるということで、それは恐らく三十万ないし五十万人、そういうことを選択される人があるのではないかという推定をいたしておりますが、数にしてもその程度のものでございます。
  451. 大矢卓史

    ○大矢委員 末端業者の問題にも触れられましたので申し上げますけれども、末端業者が確かに免税業者でございましても、消費者も非常に得なんだとおっしゃいますけれども、それまでにかかってくるものをやはり課税をされる場合に果たしてそれが消費者に払っていただけるのかどうか、逆を申しますと、それまでかかって負担をいたしました課税金額はそのまま消費者にどういう形でこれを要求していくのか、免税業者であるために消費者からいたしますと税金がかかっておらないものに、前段階でかかってきたからといってそれをどういうふうに負担していただけるのか、そのことがやはり非常に末端の免税業者と言われておる中小企業者が危惧をしておることである。大蔵大臣は常に、転嫁をしていったらいい、最後は消費者に転嫁をしたらいいんだと言われますけれども、今言うように全部がそういう免税業者でございましたら税金がかからないかわかりませんけれども、毎回言われておりますように税金のかからない品物は何もないといわれておりまして、必ずかかってくるわけである。そうなりますと、その値上がり分をどのように消費者に転嫁をしていけばいいのか、そこらを、大蔵大臣が今そこまで御説明でございますので、重ねてお伺いをいたしたい。
  452. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 今のお尋ねは、最終取引をする小売業者が免税業者であればそこのところの五%の問題はないわけでございますけれども、まあこの売上税によって万般の資材なりサービスなりが、いわば国民経済全体がそういう売上税によって影響を受ける、それがそういう意味でのコスト増の要因になるであろう、こう言っておられるのだと思います。  それはそのとおりでございますけれども、その程度は、経済企画庁の調査においても消費者物価を一・六%引き上げると推定をしておる。実際上物価がそれだけ上がるかどうかは別ですが、そういう推定でございます。しかも、それは売上税が行われるときに一度だけ起こることでございます。  そこで、この税がある日を期して一斉に行われるわけでございますから、消費者においてもそういう意味での値上がりというのは皆さん御存じであるし、したがってそれは、小売屋さんにおいて仕入れがそれだけ上がればある程度のものはそういうことで消費者に負担をお願いするといいますか、それだけ価格が微細ではありますけれども上がるということは、これは国民全部がこの売上税が実施される結果だということは御存じであると思うのであります。
  453. 大矢卓史

    ○大矢委員 総理は当初、製造業者庫出税ですか、そういうことを考えていらっしゃったというふうに私は仄聞をいたしております。そういうことでございますのでああいうぐあいに間接税はやらないということを言っていらっしゃったようでございますけれども、その点、今の売上税に変わりました——私がお聞きしていることが間違いなら間違いでも結構でございますけれども、総理のお考えが当初そういうことであったろう、それが変わったということについてのお答えを願いたい。
  454. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 政府税調あるいは党税調の御審議について、私はいつも白紙の立場でおって、先入観を持ってはおらなかった、全く白紙の立場で見ておった、そういうことであります。
  455. 大矢卓史

    ○大矢委員 それなら、売上税の問題が果たしてアメリカと約束いたしております内需の拡大ということと、この内需の拡大をすることによってやはり急激な円高を抑えていこう、こういう約束でございますけれども、この点はいかがでございますか。
  456. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この点は、売上税だけを考えますと、ヤイターが言ったというようなことになってしまうわけでございますけれども、御承知のように所得税、法人税、これで大きな減税をいたしますので、そこから生まれる可処分所得、購買力というものが非常に大きゅうございますから、一体として考えますとやはり私は日本経済全体にはいい影響がある、売上税だけを取り出して議論をするということにちょっと、考え方の何と申しますか不十分なところがありまして、政府は税制改正の一環として売上税をお願いしている、こういうことでございます。
  457. 大矢卓史

    ○大矢委員 また、この間からお聞きしておりますことの中に直間比率の見直しということがございます。総理もよく直間比率の見直しということを言われますけれども、ただ単に見直しということだけでなくして、どういう直間比率であれば理想的だとお考えでございますか。
  458. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは国によって違うと思いますし、また租税収入がどのように使われるかということによっても違うと思いますけれども、我が国のように所得水準がかなり高い、しかも平均化している、格差が少ないといったようなところにおいては、間接税を、薄いものを負担して、社会の共通の費用を皆さんに持ってもらうという基盤が十分にあるわけでございます。かたがた直接税関係が非常に高い、それが企業意欲や勤労意欲を阻害している。  こういう状況でございますから、今の七、三というのはこれはいかにも直接税に偏り過ぎている、こういうことだけは申し上げて間違いがないと思うのでございます。
  459. 大矢卓史

    ○大矢委員 総理から。
  460. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 やはり薄く、広くという感じのものが適切ではないか。また、今の直接税と間接税の比率というものは、日本の場合には余りにも直接税に偏り過ぎている、そう言われても仕方がないと思います。
  461. 大矢卓史

    ○大矢委員 これを導入いたします大きな考え方の中に、直間比率の見直しということを常に総理昼言っていらっしゃるわけであります。ただ単に直間比率がある程度変わったということだけでいいのか、将来に向けてもどうあるべきが一番正しいとお考えであるのか。総理、もし御見解がございましたら、重ねてお尋ねいたします。
  462. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それはやはり一概には申せないというのが一番正確なお答えではないかと思いますので、そのときの国のあり方、それから歳出歳入の関連等々がございますので、これが永久の真理であるといったような意味での直間比率というものはちょっと申し上げられないというのが本当のところではないかと思います。
  463. 大矢卓史

    ○大矢委員 総理、いかがですか。
  464. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 まあ、これは国により、また生活慣習によってみんな千差万別。一番適当なものを各国が選ぶということでありましょう。  日本の場合は、戦前と戦後を比べてみますと全く逆転をしております。しかし、やはりある程度バランス感覚に合ったものがいいのではないかということで、直間比率の是正論というものが非常に強まってきておりまして、今の状況でも大体、税制の改革は必要だな、それから直間比率の是正という形で財源を生み出すということもまあやむを得ないな、こういうところには国民の皆さんの大方の方々が近づいてきているのではないかと私は考えております。
  465. 大矢卓史

    ○大矢委員 これについても私は意見がございますけれども、時間がございませんので、先ほどから質問の中に出ておりましたが、大阪の関西国際空港。  橋本運輸大臣、恐れ入りますが、アメリカからの入札の問題等が、総理も非常に前向きにそれを検討していくということでございますけれども、仄聞するところによりますと、運輸大臣がこの関西国際空港の建設問題について非常に御関心を持っていらっしゃって、いろいろと報道の中では、関西は非常に特殊なところで、建築、またそういう土木事業においても仕事をあたかも我が物顔のようにして、もう大体すべての工事が内定しているような形で行われておる、入札もしておらない前から行われておるというようなことも私聞いておりますし、また運輸大臣そのものもそういうことをお聞きになっておるのではないか。そうなってまいりますと、幾ら外国企業が入札参加ということになりましても、よほどの政治力で解決をしないとこのような問題が解決しない、私、そのように感じてならないわけであります。  日本全国でそういうことが隅々まで行われておるのかどうか知りませんけれども、余りにもそのような業界での横暴が続くということになりますと、非常に問題があろうかと思います。運輸大臣、いかがでございますか。
  466. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 関心は確かに私は持っておるわけでありまして、自分の所管範囲の仕事でありますから、当然関心は持っております。  ただ、委員、多少誤解をしておられるのではないかと思いますのは、これは総理も今まで各国からこの問題についてのいろいろな話があります際に同じことを述べておられたと思いますが、私からも日本としてはその工事を実施し得る能力を持つ優秀な業者の方々であれば内外の差別をつけませんということは繰り返し申し上げております。と同時に、当初予定をいたしておりましたのよりも工事に着工いたすまでに時間がかかりまして、工期が短くなりました。そして、先般ようやく起工式を迎えたわけでありますが、その第一期工事と言われるその第一段階、人工島をつくる工事につきましては、今から外国業者の方々にお入りをいただくこと自体が無理であります、その人工島ができ上がった上での滑走路でありますとかエプロンでありますとかターミナルビルの建設でありますとか、そうしたものについては内外の企業ということでの差別はつけませんということを宣言しておるわけでありまして、今、多少委員の御質問、取り越し苦労と申し上げては失礼かもしれませんが、そんな印象がいたします。
  467. 大矢卓史

    ○大矢委員 時間が来ましたのでこれ以上私申しませんけれども、橋本運輸大臣も恐らくよく御存じだと思いますけれども、大阪のそういう業者のやり方と申しますか、あなた自身が非常に苦慮していらっしゃることが多くあろうかと思います。日本は日本といたしまして、そのようなことも含めて日本が国際社会としてこれからも大きく伸びていくために、外国の企業にもあらゆる機会の開放化というものも、日本の制度とまた外国の制度とをかみ合わせながらこれからも大いに世界の日本として発展をしていただきたい。  以上で質問を終わらせていただきます。
  468. 堀之内久男

  469. 中路雅弘

    中路委員 最初に総理にお尋ねいたします。  自民党の総裁としてお尋ねしますが、知事選に続いて四月三日から一斉地方選挙の道府県議、政令都市の選挙が始まりましたけれども、今度の一斉地方選挙で自民党は選挙公約の中に売上税の創設というのを掲げておられますが、自民党推薦の候補者が皆さん公然どこの売上税に反対と言っておられるわけです。党議に反することでありますし、政府・自民党の首脳皆さんは統一地方選挙に突入する直前に、売上税法案の修正は念頭にない、既定方針どおりで予算成立と税制改革に向けて全力を挙げると確認をされておられるわけですが、こうしたいわば党の決定に反する候補者について何らかの処分を考えられているのか、黙認をされるのか。また、一斉地方選挙の後に公約そのものを変えられるのか。  ここに朝日新聞の四月四日の社説がありますけれども、この社説でもこう言っているのです。「これが正式の方針として」、売上税を導入するということですね。修正しない。「これが正式の方針として生きている以上、自民党系の候補者は有権者に対して最後まで「売上税推進」を公約して選挙を戦うべきである。また、自民党は売上税反対・修正の候補者の公認・推薦を取り消すのがスジではないか。」と社説に書いていますが、私もこれが公党としては筋ではないかと思うのです。総理のお考えはいかがでしょうか。
  470. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 前から申し上げているように国政と地方選挙とは別でありまして、そういう個人的な意見をお持ちになっているものは一つの参考意見とする、こう前から申し上げているとおりであります。
  471. 中路雅弘

    中路委員 総理は先ほどから国政とは別だとか、先日も参議院の予算委員会で権限のない方が意見を表明しているわけだから参考にするという意味のお話をされていますが、この売上税の問題は地方政治にとっても直接非常に重大な影響を与えるものでありますし、地方税である電気税、ガス税も取り上げるわけですし、自治省の資料でも一兆円近い影響があるということを言っているわけです。そういう意味では、文字どおり国政の問題であるとともに地方財政、地方政治のまた重要な問題でもあるわけです。こういう問題について、公党として売上税の導入を約束されている、公約されている、しかしその党員は反対を、逆なことを言っている、これでは公党として体をなさないのではないかと私は思うのです。総理の答弁はお聞きしていますから、こういうことでまた一斉地方選挙で国民を事実上だますということは本当にけしからぬことだということを最初に私は一言申し上げたいと思います。  同時選挙の際の売上税の問題について、マスコミの世論調査でもこれが公約違反だということは七六%の多数の人たちが言っておられますが、もう一つ、私は、公約違反に非常に重要なものがある。それは軍事費のGNP一%枠の突破の問題ですが、総理もダブル選挙でこの問題について各地でお話をされています。  一つだけ新聞に出ている記事で引用しますと、六月十五日、高松の記者会見ですが、総理はこう言っておられます。三木内閣が決定したGNPの一%以内をめどとするとの方針は引き続き守っていくように努めたいということをおっしゃっていますが、GNPの一%枠を引き続き守っていく、そして今度の国会で、一月には閣議決定でこの枠を突破されたわけですが、これも明らかに公約違反ではありませんか。
  472. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 守っていきたいと申し上げまして、その努力をしたのでございますけれども、予算編成に際しましては、円高に伴う労務費の問題であるとかあるいは自衛隊員の訓練あるいは住居問題、そういうようないろいろな問題が出てまいりまして、残念ながら一千分の四でございましたか、超すということになりました。しかし、三木内閣の閣議決定の精神を今後も守って努力したい、こういうことを申し上げている次第なのでございます。
  473. 中路雅弘

    中路委員 選挙の際には一%枠を守っていきたい、選挙が終われば事実上この一%枠を突破する。明白な、これも選挙の際の公約という非常に民主主義の基本にかかわる問題ですね。これがすぐ突破をされる。本当にけしからぬことだと思うのですが、一月二十四日の今おっしゃった閣議決定で、いわば新しい基準といいますか歯どめといいますか閣議決定をし、官房長官の談話が出ていますけれども、その談話の中で、中期防、六十年九月十八日のいわゆる六十年度価格で十八兆四千億円程度の枠内でという中期防、これが新しい基準ということで談話が出されています。  これは防衛庁長官でもいいのですが、今度はローリング方式はとらないということも言っておられますから、この十八兆四千億程度という総枠がいわゆる政府の言う新しい基準といいますか歯どめといいますか、そういうことになるのですか。
  474. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 金額で言うとそういうことであります。
  475. 中路雅弘

    中路委員 金額で言うと六十年価格で十八兆四千億程度。そうしますと、例えば物価の上昇は別にしまして、売上税が入りますと、時間の関係がありますから予算委員会に出された資料の数字でお話ししますと、六十二年度は一月から三月までですから売上税相当額が百十六億円、平年度ベースで八百七億円という数字が出ています。単純に六十三年、六十四年、六十五年の三カ年で八百七億円を三倍しまして、六十二年度のこの三カ月の百十六億円を足しますと二千五百四十三億円。単純計算で中期防に係る売上税額が二千五百四十三億円となりますが、十八兆四千億では済まされないわけですね。この場合は総枠を変えるのですか、上積みするのですか。あるいは、この総枠の十八兆四千億の中で例えば兵器の購入を削減するとか、そういう処置をとられるのですか。
  476. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 十八兆四千億というのは昭和六十年度の実質価格ですが、今あなたのおっしゃった売上税その他のことは名目金額なんです。したがいまして、十八兆四千億と売上税の問題とは直接に関係がない、こういうふうに御理解をいただきたい。  詳細は政府委員からいたします。
  477. 西廣整輝

    西廣政府委員 今防衛庁長官からお答え申し上げたように、中期計画の経費というのは六十年度の価格でございますから、それ以後の、例えばベースアップだとか円高による減あるいは売上税による増といった名目的な増減というものは除いて考えなければいけませんので、今先生のお話しのように、売上税がふえたからそれと十八兆四千億の総額と比べるというものではございません。
  478. 中路雅弘

    中路委員 それでは局長長官にお聞きしますけれども、六十二年度予算の際の新規を含めた後年度負担の総額は幾らになるのか。それから、いわゆる中期防の終わる六十五年度で後年度負担は推計でどのぐらいになるのですか。
  479. 池田久克

    ○池田(久)政府委員 六十二年度の後年度負担につきましては二兆六千億円でございます。  なお、中期防最終年度の後年度負担については、関係の政府委員からお答えいたします。
  480. 西廣整輝

    西廣政府委員 御案内のように、中期防というのは主要な装備と歳出ベースでの十八兆四千億という経費の総額を決めておるわけでございまして、年次計画あるいはもろもろの購入計画すべてを決めておるものではございません。それらについては年度年度の予算編成の裁量にゆだねられている部分が非常に多いわけであります。したがいまして、中期防として後年度負担が幾らであるということを確定しているわけではございませんが、正面装備について比較的平準的に、なだらかにふえていった場合の後年度負担は二兆五千五百億程度であろうという推算はいたしております。
  481. 中路雅弘

    中路委員 六十二年度予算での後年度負担は二兆六千億と出ていますけれども、それ以後の後年度負担は事実上確定してないわけですね、推計でおっしゃっていますけれども。事実上、後年度負担というのはある意味では裁量で自由になる。  先ほど、中期防全体の歳出ベースの十八兆四千億、これが一つの歯どめといいますか新しい基準だとおっしゃったのですが、新しい閣議決定の中では後年度負担という問題は全く触れられてないですね。後年度負担については全く野放しなんですか。自由な裁量でできるのですか。
  482. 西廣整輝

    西廣政府委員 例えば防衛力整備の計画をつくる際に、契約機能額で物を考える場合、歳出で考える場合、いろいろな考え方があろうかと思います。例えばアメリカ等では契約機能額を中心に組んでいくという考え方もあろうかと思いますが、我が国の場合は従来から歳出ベースで計画等をつくっておくという考え方に立っております。したがいまして、仮に現在の中期計画の後年度負担が何兆か出たということになれば、次の五カ年なら五カ年の計画がつくられる際に、その歳出ベースの中でそれを土台にして考えるということで精査されていくということになろうかと思います。
  483. 中路雅弘

    中路委員 例えば六十二年度予算で見ましても、P3Cでいいますと約百億ですね。九機購入なんですが、予算の上ではゼロですね。頭金もゼロ、九機分全部後年度負担になっていますから。こういう方法をとってどんどん後年度負担の方へ押していけば、例えば売上税やいろいろ入ってきて十八兆四千億がふえるにしても、一応それで抑えるとすれば後年度負担の方へ回していく。六十六年以降は全く基準がないですね、これから検討する。六十六年度以降は、今までのように例えばGNPの比率だとか総額明示とか、何か基準は考えられているのですか。
  484. 池田久克

    ○池田(久)政府委員 後年度負担の問題でございますけれども、御承知のように防衛庁は、航空機や艦船やミサイル、そういうものではどうしても数年の生産工程を要します。また最近では施設なんかでも、特別な通信施設になりますと数年を要します。また修理費も、これは線表で流れてまいりますからどうしても後年度が出てまいります。これは避けがたいものでございますが、我々としても極力抑制する努力はやってまいっております。現に後年度負担の伸びというのはこのところ減ってきております。しかし、先生御指摘のように勝手にできるのじゃないかということはございませんで、これは国庫債務負担行為あるいは継続費、それに伴う後年度負担ということで、予算の一環として議会でお認めいただいておる、そういう性質のものでございます。
  485. 中路雅弘

    中路委員 私がお話ししているのは、新しい歯どめだとか基準だとかいうことで出されているのは、あくまで歳出ベースのことだけですね。十八兆四千億という中には、例えば後年度負担は幾らぐらいということは全くないわけです。特に六十六年度以降はまだ基準もはっきりしていませんから、後年度負担もだんだん二兆何千億とか三兆円近くなると一年間の防衛予算近くになるわけですよ。それだけの膨大なものが事実上ツケとして後へ回されていくわけですから、こうした問題も明確にしないとこれは何が歯どめか基準か全くわからない、文字どおり歯どめのない方向へ進んでいくということにならざるを得ないのです。  建設大臣おられますけれども、先日建設委員会で売上税と建設の関係をお尋ねしましたら、公共事業に係る売上税でも、国の事業でいいますと九百五十四億、地方の公共事業、これは単独あるいは補助事業を含めて六千二百七十三億というふうに自治省が推計しています。両方合わせて七千二百二十七億という大変な額ですね。五%とすればこれは結局百五分の五事業量が削減されることかとお聞きしましたら、建設大臣も、そういう影響を受けると。だから、これは内需拡大という点から見れば、その分はどんどん削減されるわけです。教育の予算でも福祉の予算でも、そういう形で売上税が入れば、当然同じ金額でも事業量は削減せざるを得ない。  しかし、防衛予算はそういう点では事実上どんどん後年度負担へ回していけばいいわけですから、聖域になっていくという状況になりますね。私は、そういう点でこの一%枠という——私たちは一%ならばいいということは今まで言っていません、その中で事実上どんどん軍拡予算が組まれてきたわけですから。しかし、これが一定の制約であったことは事実。それも取っ払って、事実上これから政府の裁量でできるという方向へ踏み切られたと、そう言わざるを得ないと思うのですね。そのことも強く指摘し、やはりこうした軍事費を聖域にするということじゃなくて、私たちは、この売上税の問題も一つはこうした軍事費の増強の財源づくりであるということも指摘しているわけですけれども、逆に軍事費を削ってもっと国民生活の方向に回すべきだということを強く主張しておるということを指摘をしておきたいと思います。何か防衛庁長官から……。
  486. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 何か後年度負担でどんどん伸ばせるという趣旨のお話があったから、これだけはお断りしておきます。  というのは、今の中期防衛力整備計画の中に、その前の、正面装備で言えば後年度負担が一兆七千六百億だと思いましたね。それで今度は、この中期防衛計画が終わった後に送る後年度負担は、今防衛局長が言ったように二兆五千五百億と推定される。それに基づいていろいろとその次の防衛計画が立てられるものと思いますよ。したがいまして、その段階で急に先送りするというようなことはできないんです。もう少し後年度負担の問題について御研究賜りたいと思います。
  487. 中路雅弘

    中路委員 六十六年度はどうするか、防衛予算を。全然まだこれ以降決めていられないのですよ。じゃ、六十六年度に新しく新規に後年度負担もできるわけでしょう。それははっきりしないじゃないですか、それだったら。それまでの繰り送りがあるにしても、それに新規の後年度負担というのは加わるわけでしょう、六十六年度。私はそのことを言っているので、そのことは明確になっていないじゃないかということを指摘しているのです。  もう一点質問しますけれども、やはり防衛問題で、簡単にやりますが、横須賀の基地の問題と、今問題になっています池子の米軍住宅の問題ですが、かつて一九七三年の二月二日の衆議院の予算委員会で私の党の不破議員がミッドウェーの母港化に関連して質疑を行っていますけれども、当時の防衛庁長官、増原さんですね、外務大臣は大平さんだったんですが、当時の議事録を見ますと、ミッドウェーの母港化に伴って特別に施設を提供するということはないというので母港化に同意したという答弁をされています。母港化したからといって新しい施設を提供する必要はないんだということを言っておられるわけですが、また、同じ七三年ですね、当時、神奈川県の当時の津田知事とロジャーズ在日米軍司令官との会談のことが新聞に報道されていますが、この際にも、母港化に伴って例えば厚木航空基地でミッドウェーの着艦訓練をやるというようなこうした提供はしないということを確認しているということが報道されています。同じ趣旨が神奈川県議会の答弁でも、厚木航空基地でいわゆるNLPですね、着艦訓練は行わないということを米側と約束しているという答弁もあります。  しかし、この母港化に同意して、その後、今御存じのように厚木ではすさまじい夜間の訓練、離発着訓練がやられている。しかも、さらに三宅島に新しい訓練基地を求めてきている。そして逗子には新しい住宅の建設を要請してきておる。私は、これは母港化の際のこうした国会やあるいは県議会の答弁、約束にも反することだと思うのですね。十四隻のアメリカ空母が世界で今行動していますが、ミッドウェーだけですね、海外にこういう母港基地を持っているのは。しかも、人口密集地域でこうした夜間訓練をやる。私は、これはやはり明白な最初の約束の違反であるということを指摘しておきたいと思うのです。  それとあわせてお聞きしたいのは、最近新聞の報道で出ていますけれども、このミッドウェーの、今の横須賀を母港にしている十隻のグループ、この中で巡洋艦、駆逐艦等を最新鋭に再編成していく。これは読売新聞ですが、「今後三、四年以内に、老朽化したミサイル駆逐艦を大型の最新鋭艦と交代させるなど、大幅に再編する方針を固め、非公式に日本側に通知してきた。」政府側が明らかにしたのは、「米側はすでに、この再編・乗組員増に伴う米軍人家族住宅の増設など、受け入れ態勢整備への日本側の協力をも打診してきておる」と新聞が報道しています。その報道の中には、例えばこの交代、再編成する中にいわゆるミサイルを装備した巡洋艦、エイジス巡洋艦ですね、これも含まれているということが新聞で報道されているのですが、外務省ですか、こうした事実はありますか。
  488. 倉成正

    ○倉成国務大臣 二点の御質問でございますが、まず第一は、空母ミッドウェーの乗組員家族の我が国居住は、第七艦隊艦船として前方展開しており、我が国の安全にとって大きな役割を果たしておる同艦の効率的な運用に資し、また、米抑止力の維持に寄与するものと考えております。また、空母艦載機の、ただいま御指摘の夜間着陸訓練、いわゆるNLPは、空母艦載機パイロットの練度の維持向上にとり必要不可欠であり、日米安保体制の効果的運用のために極めて重要と考えております。三宅島における艦載機着陸訓練場確保のため、政府の努力もかかる観点から行っておる次第でございます。また、池子の住宅の問題も、一般的な米軍の住宅の不足を部分的にも早く解決したいというものでございまして、以上のようなことを排除するような約束を、ミッドウェー乗組員家族の横須賀居住に際し日米間で交わしたことはございません。我が国としては今後とも施設面等で日米安保体制の効果的運用確保のため努力する所存でございます。  第二点の、ミッドウェーを中心とする機動部隊の近代化の問題でございますが、米国が抑止力の維持向上のため順次新型艦船を導入する等の努力を行っていることは、アメリカの国防報告等で明らかにされているところでございます。したがって、一般論として言えば、現在横須賀に乗組員家族が居住しておる艦船についても、その他の艦船と同様今後いずれは順次新型艦船に交代していくものと考えられますが、現在艦船更新の具体的計画が決定されているとは承知しておりません。また、住宅建設についての協力要請を受けた事実はございません。  いずれにしましても、政府といたしましては、米艦船の本邦寄港や米艦船乗組員の家族の本邦居住については、日米安保条約及びその関連取り決めに従って対処する所存でございます。
  489. 中路雅弘

    中路委員 最初の点ですけれども、これは私が言いました七三年二月二日の衆議院予算委員会の、例えば増原防衛庁長官の答弁では、この母港化に従ってのいろいろ新しい施設の提供に関連して、こう言っているのです。これは所管は外務省ですが、検討の上これは特別に施設を提供するということも不要であるということなので、そういう意味で母港化に同意したという答弁をしているのですね。これは明白なこのときの国会の答弁ですから、そして神奈川県議会では米側とこの母港化に伴って特別そういう訓練はやらないという約束もしているという当時県の答弁ですから、私はこれに違反するんじゃないかということを今指摘をしているわけです。  もう一つ、後の点ですが、一般論で話をされて、今具体的な計画はまだないと言われているのですが、一つだけ指摘しますと、例えば最近、横須賀の米海軍基地の岸壁、これは戦後初めてですが大改修をやったのですね。六号、七号バースを今まで百十八メートルあったのを五十四メートル延ばしたのですよ。百七十二メートルにしています。でき上がっていますが、しゅんせつもやっています。何で五十四メートルなんて中途半端な工事をやったのかなと私はその当時思っていたのですが、この百七十二メートルというのは、新聞で報道していますエイジス艦がジェーン年鑑で見ますとちょうど長さが百七十二メートルなんですね。それから、今具体的な計画は何もまだ進行してないというお話ですが、現実にこの横須賀の基地のいろいろ改造を、強化を見ましても、新聞報道されているそういうのに見合って、例えばエイジス艦に合った岸壁の改修をやっているのですね。だから私は、そういう意味でこの池子の住宅の問題も、今まで住宅の問題は特別新しい施設を提供しないと言いながら一千戸近い住宅を要求するのも、明らかにこうした横須賀基地の強化の問題と関連しているということを指摘せざるを得ないのです。  もう一問この問題をお聞きしますけれども、池子の弾薬庫というのは、弾薬庫としては五十二年から遊休化しているのですよ。今古い倉庫に船具をちょっと置いているだけなんです。弾薬庫として使っていたからこそあれだけ広大な地域を持っていたわけです。だから、地位協定の二条の三項によりましても、アメリカに提供している施設は目的が「必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。」そして「合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する。」ということが地位協定に書いてあるわけです。十何年も全然使ってないあの弾薬庫の施設のかぎは逗子の市長が預かっているのです。そして、たまにアメリカ軍が横須賀から来てあけてちょっと巡回する、月に何回。そういうことをやっている施設、十何年置いている。  地位協定からいっても、逆にこれは弾薬庫として使わないのかどうかということもはっきり聞きたいのですが、今後使わないということならば、当然日米の間で返還の交渉をするべきだと私は思うのですが、この一問だけ外務大臣、もう一度。
  490. 倉成正

    ○倉成国務大臣 それでは、御質問いろいろございましたが、今の池子の問題でよろしゅうございますね。  池子の住宅の問題につきましては、池子は現在住宅地区として家族住宅の建設を準備しているとともに、住宅地以外についても、海軍の補助施設として補給品の保管等のため、米軍が重要な施設、区域として環境保全にも配慮しつつ使用しております。遊休化しているとの御指摘は当たりません。したがって、返還を求める考えはございません。  いずれにしましても、政府としては今後とも安保体制の円滑な、効果的な運用を図るため、施設、区域の確保に努めるとともに、地元の要望にも配慮してまいる所存でございます。
  491. 中路雅弘

    中路委員 私は、これは当然返還の交渉をすべきだということを強く要求しておきたい。  あと、時間短いですからもう一問のテーマだけお聞きしたいのですが、今の防衛問題と全く別の問題ですけれども、最近調査して、これは非常に重要な問題だと私も思いましたのでお聞きしたいのです。  交通事故の問題ですが、昨年一年間の交通事故による死者が、警察庁の一月の発表を見ますと年間九千三百人を超えているのですね。これは、この十年間で見ますと昭和五十八年に次いで二番目に多い数字になっています。負傷者は前年よりさらにふえて七十一万人です。交通事故で死者が一万人近い。負傷者が七十一万人。これはかつてのベトナム戦争の年間の死傷者よりも多いですね。今のイラン・イラク戦争よりもはるかに大規模な死傷者を出しています。交通戦争と言われるのは当然だと思うのですが、この交通事故の撲滅、これはまさに政治に課せられた緊急の課題ではないかと私は思いますが、最初に一言、この問題の緊急性について総理の御意見、認識をお聞きしたい。
  492. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 交通事故による死傷者については我々も重大な関心を持って、内閣を挙げて毎年努力してきておるところであります。一時かなり減少してきましたのがまた少しふえつつあるのを見まして、さらにこれは各省庁とも連絡をとって引き締めていかなければいけない、そのように感じておるところでございます。これは内閣としても非常に重要視して積極的に努力しているということを申し上げる次第であります。
  493. 中路雅弘

    中路委員 私はいろいろ、七月に出された六十一年度の警察白書を読んでみますと、非常に特徴があるのに気がついたのですが、歩行者の事故が、車と車の事故もありますけれども、特に車に歩行者がひかれて死ぬとか、全く悲惨なケースだと思うのですが、この人対車の事故、特に死亡事故が集中しているのが交差点なんですね。さっきの警察庁の統計、人対車両事故、死亡事故の道路形状別、事故類型別の発生件数を見ましても、死亡事故が起きているのは圧倒的に多いのが交差点、その周辺、これが全体の死亡事故の四四%を占めているのです。去年一年で、八五年ですと三千六百七件ですね、交差点での死亡事故。だから私は、ここにひとつ具体的な対策を今立てないと、この交通事故の死傷者対策は改善できないのではないかということを感じるのです。  時間がないので警察庁にまとめてお聞きしますけれども、特に見ますと、青信号で道路横断中にひかれたというケースが、信号を守っていても事故になるというのがケースで見ると多いのです。それは結局、車両の信号と歩行者の信号が同時に青信号になって右折、左折を始めるからなんです。私ももう一度交差点で見ていましたら、お年寄りなんかが交差点で青信号の時間内に渡ろうとするとなかなか大変です、すぐ車が発進してきますから。その方でやはり皆大変な不安を感じられているというのがわかるのですが、こういう点で、歩行者は当然青信号を安全と信じて歩き出すわけですから、車の発進、それが左折するものと出会い頭に接触する、衝突する。しかも最近は高齢者が多くなってきていますから、お年寄りの歩行者も大変多い、時間もかかるという状態なので、一つはこの具体的な対策として、交差点での交通のあり方、安全対策のあり方、例えば信号、これは素人ですから私具体的にわかりませんけれども、車の発進を若干おくらせるとかあるいは車の発進の箇所をちょっとずらすとかいろいろ対策があると思うのですが、やはり人命尊重という立場からこの対策が今緊急に必要ではないかと思いますので、警察庁の意見をお聞きしたい。
  494. 内田文夫

    ○内田政府委員 交差点におきます死亡事故、先生おっしゃるとおり、殊に人対車両といいますか歩行者が巻き込まれる事故では、その周辺も含めまして約四十数%のものが交差点及びその周辺で死亡事故に遭っているということになるわけでございますが、そういった実態を踏まえまして、警察といたしましても現在までに、交通規制の面では歩行者用信号機の設置だとかあるいは狭い交差点におきます自動車の右左折の禁止だとかあるいは原付自転車の二段階右折だとか、そういったような施策を講じてきているところでございますし、そのほか、何といいましても安全の基本というのは譲り合いの精神と交差点での交通の安全の確認ということにあるわけですが、そういった意味で、指定自動車教習所におきます安全教育だとか、あるいはまた特に最近被害者がふえております高齢者の方々に対します老人クラブ等を通じましての安全教育等に努めているところであります。  それから、先生御指摘になりました交差点におきます車と歩行者の完全分離といいますか、そういった問題につきましては、例えばスクランブル交差点だとか、あるいは歩行者が横断しているときに右折、左折を切るといいましょうか、そういったやり方があるわけでございまして、現実にスクランブル交差点というのも現在全国で五百数カ所やっておるわけでございます。  ただ問題は、スクランブル交差点をいたしますと一定の時間車両を完全にとめるということになるわけでございまして、どうしても交差点の時間当たりの車両の交通量が少なくなる、そういったことで渋滞等に大変大きな影響を与えるということになるわけでございます。そういったことから、こういう施策を講ずる場合には、歩行者の数が大変多いとか、それと車両の円滑な通行が確保できるというような条件のある交差点についてそういう施策を講じております。  それから、もう一つの歩行者横断中に右左折を切るという場合につきましても、特に右左折車両の滞留のスペースが十分あるかどうかということが一つ大きな問題になるわけでございまして、そういった十分な施設がある場合についてそういった規制を行っておりますが、そういったいろいろな条件を検討しながら考えてまいりたい、こう思っておるところでございます。
  495. 中路雅弘

    中路委員 時間ですので終わりますけれども、いずれにしましても人命尊重の立場から、道路交通行政とりわけ交差点の問題について、ひとついろいろ実情も調査をしていただいて、具体的な問題がある箇所から重点的に対策を立てていただくということを重ねて要望しまして、質問を終わります。
  496. 堀之内久男

    堀之内委員長 これにて昭和五十八年度決算外二件及び昭和五十九年度決算外二件についての質疑は終了いたしました。  大蔵大臣及び議決案に関係する大臣以外の大臣は御退席をいただいて結構でございます。     —————————————
  497. 堀之内久男

    堀之内委員長 昭和五十八年度決算及び昭和五十九年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、各位のお手元に配付いたしております。  これより議決案を朗読いたします。     議決案   昭和五十八年度及び昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につき、左のごとく議決すべきものと議決する。   本院は、毎年度決算の審議に際し、予算の効率的執行並びに不当事項の根絶について、繰り返し政府に注意を喚起してきたにもかかわらず、依然として改善の実があがっていないのは、まことに遺憾である。  一 昭和五十八年度及び昭和五十九年度の決算審査の結果、予算の効率的使用が行われず、所期の成果が十分達成されていないと思われる事項が見受けられる。    左の事項がその主なものであるが、政府はこれらについて、特に留意して適切な措置をとり、次の常会に本院にその結果を報告すべきである。   1 対外貿易摩擦の解消に最大限努力を傾けるべきである。   2 対外経済協力に当たっては、その適正かつ効果的、効率的な実施を確保するよう引き続き努めるべきである。   3 学校教育の重要性にかんがみ、教育に対する教員の情熱、使命感及び社会的変化に対応した指導力などを養成するため、研修などの方法により、教員の資質の向上に努めるべきである。   4 蚕糸業をめぐる諸情勢に対応し、蚕糸砂糖類価格安定事業団の生糸の過剰在庫について、その計画的処理に努めるべきである。  二 昭和五十八年度及び昭和五十九年度の決算検査報告において、会計検査院が指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。    政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生ずることがないよう万全を期すべきである。  三 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。   政府は、今後予算の作成並びに執行に当たつては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、財政運営の健全化を図り、もって国民の信託にこたえるべきである。     —————————————
  498. 堀之内久男

    堀之内委員長 これより昭和五十八年度決算外二件及び昭和五十九年度決算外二件を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。上草義輝君。
  499. 上草義輝

    上草委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十八年度決算及び昭和五十九年度決算を議決案のとおり議決することに賛成の意思を表明するものであります。  当委員会は、予算の執行等について各省庁別に審査を行い、その都度問題を提起してまいりました。  ただいま委員長が御提案になりました議決案に示されているように、委員会の審査の結果、予算の効率的使用が行われず、所期の成果が十分に達成されていないと思われるものが見受けられ、特に留意して適切な措置をとるべき事項として、海外経済協力に当たってはその適正かつ効果的、効率的な実施を確保するよう引き続き努めるべきであるなど四件が指摘されております。  また、昭和五十八年度決算検査報告において不当事項、改善処置要求事項等百八十二件、金額にして百七十一億四百六十四万円の指摘がされ、昭和五十九年度決算検査報告においても不当事項、改善処置要求事項等百八十件、金額にして二百二十五億八千六百一万円の指摘がなされております。財政事情が厳しい状況のときに、このような指摘が行われていることは甚だ遺憾なことであります。  政府は、当委員会の指摘事項及び会計検査院の指摘事項を今後の予算編成に反映させるとともに、予算の執行を効率的かつ厳正に行うべきであります。  また、昭和五十八、五十九両年度の国有財産関係の四件につきましては、是認すべきことに賛成するものであります。  以上をもちまして私の賛成討論といたします。
  500. 堀之内久男

    堀之内委員長 新村勝雄君。
  501. 新村勝雄

    ○新村委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま委員長から提案されました昭和五十八年度決算及び昭和五十九年度決算につき、その議決案に対し反対の意思を表明するものであります。  議決案は大要次の三項目から成っておりますが、その第一は、委員会における決算審査の結果に基づき、政府に対し特に留意して適切な措置をとるべきことを求めた指摘事項が挙げてあり、この各項については我が党も賛成であります。  第二は、会計検査院が指摘した不当事項については当委員会も不当と認めるというものであって、この点も賛成であります。  第三において、「前記以外の事項については異議がない。」としてこの決算を総体として是認することになっているのは、我が党としては賛成いたしかねるものであります。政府に対して警告すべき事項は、前記の各項に尽きるものではないからであります。  例えば、我が党が指摘した事項で、政府開発援助に絡み我が国の受注企業にリベート支払いをした問題、補助事業における港湾の不良工事及び板より機の設備共同廃棄事業においての不正行為等であります。また、会計検査院の検査の充実強化については、いわゆる肩越し検査により検査の実効を図っておりますが、会計検査院法の改正によってその機能及び権限を強化すべきであります。  以上のように、我が党の指摘した事項を拾ってみただけでも警告に値する事項が少なくないのであります。これを無視して本決算を異議なしとすることは妥当ではないと思いますので、我が党は本議決案に反対の立場をとらざるを得ないのであります。  以上をもちまして私の反対討論を終わります。
  502. 堀之内久男

    堀之内委員長 草川昭三君。
  503. 草川昭三

    ○草川委員 私は、公明党・国民会議を代表して、昭和五十八年度、五十九年度決算外二件に対して、これを是認できないことを表明し、ただいま委員長より御提案されました議決案に対し、反対の意思を表明するものであります。  以下、反対の主な理由を申し上げます。  まず第一は、議決案に「前記以外の事項については異議がない。」とされていますが、この事項以外にも数多くの指摘と異議があるからであります。  反対の第二は、財政再建の失敗であります。  政府は、目標とした五十九年度赤字国債脱却が不可能となり、五十八年八月には「一九八〇年代経済社会の展望と指針」を出し再建年度を六十五年度まで延長しましたが、今日の現状を見ると、財政赤字はますます増加し、六十五年には特例公債の依存体質から脱却するとの方針は放棄せざるを得なくなっています。  財政の対応力は低下し、国債残高が昭和四十九年には九兆六千億円、対GNP比七・〇%であったものが、五十九年度には百二十一兆円、対GNP比四〇・二%と、十年間で金額にして十三倍、対GNP比六倍という急増ぶりになっています。さらに、六十二年度末における国債残高は百五十二兆円を超えることが見込まれ、我が国財政は完全に破滅のふちに立たされていると言えます。  また、急激な円高不況により財政収入は大きく落ち込んでいますが、その原因は、大幅な経常収支の黒字解消対策を怠り、積極的な内需刺激の拡大策を行わなかった政府の失政に起因することは明らかであります。  第三は、会計検査院の指摘事項は依然として後を絶たず、恒常化の傾向を見せていることであります。  五十九年度における税金のむだ遣いともいうべき指摘金額は二百二十五億円にも達し、前年度に比べ三二%増加し、これは過去三年間で最高のものとなっています。  また、本委員会で指摘した蚕糸砂糖類価格安定事業団については、会計検査院の特記事項としてたびたび掲記されているにもかかわらず、なお過剰在庫が解消されず、抜本的見直しの必要が迫られています。  政府は、かかる指摘を真摯に受けとめ反省し、国費のむだ遣いを絶滅し、予算の効率化、適正化に最大限の努力をすべきであることを主張し、反対討論を終わります。
  504. 堀之内久男

    堀之内委員長 大矢卓史君。
  505. 大矢卓史

    ○大矢委員 私は、民社党・民主連合を代表し、昭和五十八年度決算外二件、昭和五十九年度決算外二件について、ただいま委員長より御提案のとおり議決することに反対を表明するものであります。  反対する第一の理由は、政府がマイナスシーリングを設け、財政の景気調整機能を無視し、相変わらず無責任で消極的なものにとどまっており、我が党が再三にわたって要求してきた積極経済政策への転換を無視し、緊縮型財政経済運営を踏襲しているからであり、断じて容認できないものであります。  第二に、財政再建の大前提であり、国民的課題となっている行財政改革については、公務員の定員削減による総人件費の抑制、補助金の大幅整理などは、かねてよりの主張を無視した不徹底な内容となっており、到底賛成できるものではありません。  とりわけ五十九年度においては、減税財源確保の名のもとに増税や公共料金の軒並み引き上げを強行し、健保の改悪など福祉の後退をはかるばかりでなく、十分な景気対策を講じておらず、国民の期待を大きく裏切ったものと言わざるを得ないのであります。  具体的に申し上げますと、我が党の強い主張によって所得税減税が実施されたのでありますが、行財政改革に十分着手することなく、この財源を法人税、物品税、酒税等の引き上げによって賄ったことは、大増税路線への転換との批判を免れ得ないものと考えるのであります。  また、健保法改悪により本人一割負担が強行され、福祉が大幅に後退したことは、福祉の充実を訴える我が党にとって絶対に認めることのできないものであります。  以上の理由等に基づき、私は議決案に反対の意思を表明し、討論を終わります。
  506. 堀之内久男

  507. 中路雅弘

    中路委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、昭和五十八年度及び五十九年度決算を議決案のとおり決するに反対の意を表明いたします。  最初に、五十八年度決算について簡単に反対理由を述べます。  本決算が、平和と軍縮、国民生活の向上を求める国民世論に逆行し、一般会計の伸び率が一・四%という中で、軍事費だけを六・五%と三年連続で異常突出させたこと、また財政再建の公約が事実上投げ捨てられ、赤字国債七兆円を含む十三兆三千億円もの国債が発行され、発行残高が初めて百兆円を突破するなど、軍拡、財政破綻などをもたらしたことであります。  続いて、五十九年度決算について反対の理由を述べます。  軍拡、増税、国民生活圧迫をもたらす五十九年度予算の執行結果、健康保険十割給付など戦後確立され定着してきた福祉、社会保障等に係る諸制度を次々と破壊し、高齢者や障害者、病人だけでなく、これらの人々を抱える家族を含めた大多数の国民生活を直撃していること、軍事費ではシーレーン防衛、海峡封鎖作戦をねらってF15戦闘機などの兵器が軒並み前年度を上回る新規の契約がなされ、レーガン戦略が一層進められたこと、さらには、軍拡優先と財界奉仕による国民生活破壊の予算の執行結果、大企業の繁栄とは対照的に中小企業の倒産が二万件近くに上り、完全失業者数も百六十一万人にも達し、失業率二・七%と過去十年間で最高の数値を示すなど、深刻な国民生活の危機を到来させたのであります。  以上の内容を持つ五十八年度及び五十九年度決算について、ごく限られた指摘事項のほかは異議がないとする本議決案には到底賛成することはできません。  昭和五十八年度及び五十九年度国有財産の増減及び現在額総計算書は、広大な米軍・自衛隊基地使用が含まれており、政府出資も専ら大企業向けの機関等への出資が大幅にふやされており、このような国有財産管理のあり方を示す本計算書を是認することはできません。  同両年度国有財産無償貸付状況計算書については、制度自体の意義は否定しませんが、その実態を示す資料は提出されておらず、管理運用の一部に重大な疑惑がある事態が残されたままとなっており、これを是認することはできません。  以上で私の討論を終わります。
  508. 堀之内久男

    堀之内委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  509. 堀之内久男

    堀之内委員長 これより順次採決いたします。  昭和五十八年度一般会計歳入歳出決算昭和五十八年度特別会計歳入歳出決算昭和五十八年度国税収納金整理資金受払計算書及び昭和五十八年度政府関係機関決算書並びに昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算昭和五十九年度特別会計歳入歳出決算昭和五十九年度国税収納金整理資金受払計算書及び昭和五十九年度政府関係機関決算書を議決案のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  510. 堀之内久男

    堀之内委員長 起立多数。よって、議決案のとおり決しました。  次に、昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和五十八年度国有財産無償貸付状況計算書の両件は、これを是認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  511. 堀之内久男

    堀之内委員長 起立多数。よって、両件は是認すべきものと決しました。  次に、昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書の両件は、これを是認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  512. 堀之内久男

    堀之内委員長 起立多数。よって、両件は是認すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  513. 堀之内久男

    堀之内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  514. 堀之内久男

    堀之内委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。近藤経済企画庁長官
  515. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 ただいま御決議のありました対外貿易摩擦の解消につきましては、御決議の趣旨に沿うよう、今後とも努力してまいる所存であります。
  516. 堀之内久男

    堀之内委員長 次に、倉成外務大臣。
  517. 倉成正

    ○倉成国務大臣 ただいま御決議のありました開発途上国に対する我が国の経済協力につきましては、御決議の趣旨に沿うよう、今後とも努力してまいる所存でございます。
  518. 堀之内久男

    堀之内委員長 次に、塩川文部大臣。
  519. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 ただいま決議のありました教員の資質の向上に係る事項につきましては、決議の趣旨を踏んまえ、努力してまいりたいと存じます。
  520. 堀之内久男

    堀之内委員長 次に、加藤農林水産大臣
  521. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 ただいま御決議のありました蚕糸砂糖類価格安定事業団の生糸在庫の計画処理につきましては、御決議の趣旨に沿うよう、今後とも努力してまいる所存であります。      ————◇—————
  522. 堀之内久男

    堀之内委員長 この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  本日の委員異動に伴い、理事が二名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  523. 堀之内久男

    堀之内委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事に       熊谷  弘君 及び 古賀  誠君を指名いたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十二分散会