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1987-05-15 第108回国会 衆議院 外務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十一年十二月二十九日)( 月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 のとおりである。   委員長 山口 敏夫君    理事 甘利  明君 理事 浦野 烋興君    理事 奥田 敬和君 理事 北川 石松君    理事 中山 利生君 理事 高沢 寅男君    理事 神崎 武法君 理事 永末 英一君       石原慎太郎君    小川  元君       大石 正光君    鯨岡 兵輔君       坂本三十次君    椎名 素夫君       塩谷 一夫君    竹内 黎一君       武村 正義君    中山 正暉君       村上誠一郎君    森  美秀君       岡田 利春君    河上 民雄君       佐藤 観樹君    土井たか子君       伏屋 修治君    正木 良明君       渡部 一郎君    岡崎万寿秀君       松本 善明君 ――――――――――――――――――――― 昭和六十二年五月十五日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 山口 敏夫君    理事 甘利  明君 理事 浦野 烋興君    理事 奥田 敬和君 理事 北川 石松君    理事 中山 利生君 理事 高沢 寅男君    理事 神崎 武法君 理事 永末 英一君       石原慎太郎君    大石 正光君       鯨岡 兵輔君    椎名 素夫君       塩谷 一夫君    竹内 黎一君       中山 正暉君    水野  清君       村上誠一郎君    森  美秀君       岡田 利春君    佐藤 観樹君       土井たか子君    伏屋 修治君       渡部 一郎君    岡崎万寿秀君       松本 善明君  出席政府委員         外務政務次官  浜野  剛君         外務大臣官房審         議官      渡辺  允君         外務大臣官房審         議官      柳井 俊二君         外務省欧亜局長 長谷川和年君         外務省中近東ア         フリカ局長   恩田  宗君         外務省経済局次         長       池田 廸彦君         外務省経済協力         局長      英  正道君         外務省国際連合         局長      中平  立君         大蔵省国際金融         局長      内海  孚君  委員外出席者         外務大臣官房外         務参事官    久保田 穰君         外務大臣官房外         務参事官    平林  博君         大蔵大臣官房審         議官      岩崎 文哉君         大蔵省関税局企         画課長     冨沢  宏君         大蔵省関税局輸         入課長     伊東 俊一君         農林水産大臣官         房企画室長   入澤  肇君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫         課長      岩本  毅君         食糧庁業務部輸         入課長     重田  勉君         林野庁指導部計         画課長     杉原 昌樹君         通商産業省産業         政策局商政課長 柴崎 和典君         運輸省国際運輸         ・観光局外航課         長       野崎 敦夫君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部鉄道施設課長 本多 辰巳君         労働省労働基準         局監督課長   松原 東樹君         建設省建設経済         局宅地企画室長 藤田  真君         建設省建設経済         局事業調整官  和里田義雄君         建設省都市局公         園緑地課長   坂本新太郎君         建設省道路局道         路交通管理課長 足立頴一郎君         外務委員会調査         室長      門田 省三君     ――――――――――――― 委員の異動 一月二十七日  辞任         補欠選任   小川  元君     水野  清君 三月二十四日  辞任         補欠選任   武村 正義君     中島源太郎君   村上誠一郎君     東   力君 同日  辞任         補欠選任   中島源太郎君     武村 正義君   東   力君     村上誠一郎君 同月二十五日  辞任         補欠選任   大石 正光君     佐藤 静雄君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 静雄君     大石 正光君 四月十五日  辞任         補欠選任   岡崎万寿秀君     金子 満広君 同月二十四日  辞任         補欠選任   金子 満広君     岡崎万寿秀君     ――――――――――――― 二月十六日  国際花と緑の博覧会政府代表設置に関する臨  時措置法案内閣提出第三八号) 三月六日  文化交流に関する日本国政府ソヴィエト社会  主義共和国連邦政府との間の協定締結につい  て承認を求めるの件(条約第一号)  所得に対する租税に関する二重課税の回避及び  脱税の防止のための日本国政府カナダ政府と  の間の条約締結について承認を求めるの件  (条約第二号)  多数国間投資保証機関を設立する条約締結に  ついて承認を求めるの件(条約第四号) 同月十日  国際的に保護される者(外交官を含む。)に対  する犯罪の防止及び処罰に関する条約締結に  ついて承認を求めるの件(条約第五号)  人質をとる行為に関する国際条約締結につい  て承認を求めるの件(条約第六号) 同月十八日  商品名称及び分類についての統一システムに  関する国際条約及び商品名称及び分類につい  ての統一システムに関する国際条約改正に関  する議定書(千九百八十六年六月二十四日にプ  ラッセル作成)の締結について承認を求める  の件(条約第七号) 関税及び貿易に関する一般協定ジュネーヴ議  定書(千九百八十七年)の締結について承認を  求めるの件(条約第八号)  民間航空機貿易に関する協定附属書改正する  議定書(千九百八十六年)の締結について承認  を求めるの件(条約第九号)  原子力事故早期通報に関する条約締結につ  いて承認を求めるの件(条約第一〇号)  原子力事故又は放射線緊急事態の場合における  援助に関する条約締結について承認を求める  の件(条約第一一号) 同月二十日  アジア太平洋郵便連合憲章締結について承  詔を求めるの件(条約第一二号)(予)  アジア太平洋郵便連合一般規則及びアジア=  太平洋郵便条約締結について承認を求めるの  件(条約第一三号)(予)  南東大西洋生物資源保存に関する条約第八  条、第十七条、第十九条及び第二十一条の改正  並びに南東大西洋生物資源保存に関する条  約第十三条1の改正受諾について承認を求め  るの件(条約第一四号)(予)  千九百八十六年の国際ココア協定締結につい  で承認を求めるの件(条約第一五号)(予)  特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に  関する条約改正する議定書締結について承  認を求めるの件(条約第一六号)(予)  世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の  改正受諾について承認を求めるの件(条約第  一七号)(予) 五月十三日  国際緊急援助隊の派遣に関する法律案内閣提  出第六三号) 同月十四日  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び  安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び  に日本国における合衆国軍隊地位に関する協  定第二十四条についての特別の措置に関する日  本国アメリカ合衆国との間の協定締結につ  いて承認を求めるの件(条約第三号) 四月三日  国際人権規約完全実施等に関する請願小澤克  介君紹介)(第一三五四号) 五月十一日  核兵器廃絶に関する請願東中光雄紹介)(  第二八一五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月八日  朝鮮民主主義人民共和国在住日本人妻安否調  査及び里帰りに関する陳情書外一件  (第八六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  国際花と緑の博覧会政府代表設置に関する臨  時措置法案内閣提出第三八号)  文化交流に関する日本国政府ソヴィエト社会  主義共和国連邦政府との間の協定締結につい  て承認を求めるの件(条約第一号)  多数国間投資保証機関を設立する条約締結に  ついて承認を求めるの件(条約第四号)  商品名称及び分類についての統一システムに  関する国際条約及び商品名称及び分類につい  ての統一システムに関する国際条約改正に関  する議定書(千九百八十六年六月二十四日にブ  ラッセル作成)の締結について承認を求める  の件(条約第七号)  関税及び貿易に関する一般協定ジュネーヴ議  定書(千九百八十七年)の締結について承認を  求めるの件(条約第八号)  民間航空機貿易に関する協定附属書改正する  議定書(千九百八十六年)の締結について承認  を求めるの件(条約第九号)  原子力事故早期通報に関する条約締結につ  いて承認を求めるの件(条約第一〇号)  原子力事故又は放射線緊急事態の場合における  援助に関する条約締結について承認を求める  の件(条約第一一号)  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び  安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び  に日本国における合衆国軍隊地位に関する協  定第二十四条についての特別の措置に関する日  本国アメリカ合衆国との間の協定締結につ  いて承認を求めるの件(条約第三号)      ――――◇―――――
  2. 山口敏夫

    山口委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国際情勢に関する事項について研究調査し、我が国外交政策の樹立に資するため、関係方面からの説明聴取及び資料要求等の方法により、本会期中国政調査を行うため、議長に対し、承認を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山口敏夫

    山口委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 山口敏夫

    山口委員長 次に、国際花と緑の博覧会政府代表設置に関する臨時措置法案文化交流に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件、多数国間投資保証機関を設立する条約締結について承認を求めるの件、商品名称及び分類についての統一システムに関する国際条約及び商品名称及び分類についての統一システムに関する国際条約改正に関する議定書(千九百八十六年六月二十四日にブラッセル作成)の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定ジュネーヴ議定書(千九百八十七年)の締結について承認を求めるの件、民間航空機貿易に関する協定附属書改正する議定書(千九百八十六年)の締結について承認を求めるの件、原子力事故早期通報に関する条約締結について承認を求めるの件、原子力事故又は放射線緊急事態の場合における援助に関する条約締結について承認を求めるの件及び日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件、以上各案件議題といたします。  これより各案件について政府より提案理由説明を聴取いたします。外務政務次官浜野剛君。     ―――――――――――――  国際花と緑の博覧会政府代表設置に関する臨時措置法案  文化交流に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件  多数国間投資保証機関を設立する条約締結について承認を求めるの件  商品名称及び分類についての統一システムに関する国際条約及び商品名称及び分類についての統一システムに関する国際条約改正に関する議定書(千九百八十六年六月二十四日にブラッセル作成)の締結について承認を求めるの件  関税及び貿易に関する一般協定ジュネーヴ議定書(千九百八十七年)の締結について承認を求めるの件  民間航空機貿易に関する協定附属書改正する議定書(千九百八十六年)の締結について承認を求めるの件  原子力事故早期通報に関する条約締結について承認を求めるの件  原子力事故又は放射線緊急事態の場合における援助に関する条約締結について承認を求めるの件  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件     〔本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――
  5. 浜野剛

    浜野政府委員 ただいま議題となりました国際花と緑の博覧会政府代表設置に関する臨時措置法案について御説明いたします。  昭和六十五年に大阪市で開催される予定の国際花と緑の博覧会につきましては、国際博覧会に関する条約第十二条の規定により、開催国は、政府代表する国際博覧会政府代表を任命することになっておりますので、日本万国博覧会沖縄海洋博覧会及び国際科学技術博覧会の際における先例に徴し国際花と緑の博覧会政府代表臨時措置法により設置し、その任務給与等について所要事項を定める必要があります。したがいまして、今回提案法律案のごとく、外務省に、特別職国家公務員たる国際花と緑の博覧会政府代表一人を置き、条約及び条約第二十七条の規定に基づき制定された国際花と緑の博覧会一般規則の定めるところにより、国際花と緑の博覧会に関するすべての事項について日本政府代表することを任務とする政府代表の職を設けることとした次第であります。また、この政府代表がその任務を円滑に遂行することができるよう、それぞれの関係各省庁の長が、必要な国内的措置をとることが適当でありますので、法案中にその旨を規定することとしました。  さらに、本法案においては、政府代表俸給月額代表任免手続等について定めているほか、本法律案中には附則として、博覧会が終了した後、一年の期間を経過しますと失効する旨の規定を設けております。  以上が、この法案提案理由及びその概要であります。  次に、文化交流に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  我が国ソヴィエト社会主義共和国連邦との間では、昭和四十七年及び昭和四十八年に署名された交換公文に基づき、学者及び研究者交換政府広報資料配布等文化交流が行われてきております。両国政府は、このような文化交流をさらに拡大するため両国政府間で包括的な内容を持つ文化交流に関する協定締結することとし、交渉を行いました結果、昭和六十一年五月三十一日にモスクワにおいて、両国政府代表者の間でこの協定署名を行った次第でございます。  この協定は、相互主義に基づき、文化、教育及び学術の各分野における両国間の交流を奨励し、促進することについて規定し、このような交流実施を確保するため、展示会実施学者等交換政府広報資料配布文化交流委員会設置等規定を含んだものでございます。  この協定締結により、従来から種々の形で行われてきた両国間の文化交流相互主義の原則に基づき拡大均衡の方向でさらに促進されることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第でございます。  次に、多数国間投資保証機関を設立する条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この条約は、国際復興開発銀行における検討の結果、昭和六十年十月十一日にソウルで作成されたものであり、我が国は、昨年九月十二日にこの条約署名しております。  この条約は、開発途上国への生産的目的のための投資の流れを促進するため、非商業的危険を扱う既存の投資保証制度を補完する機関として多数国間投資保証機関を設立することを目的としており、同機関の設立、その目的、資本、業務、組織及び運営等について規定しております。  我が国がこの条約締結することにより同機関に加盟することは、開発途上国における経済開発のための国際協力を積極的に推進しようとする我が国外交政策に合致するものであり、また、我が国開発途上国との友好関係を増進する見地からも重要な意義を有するものであります。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第でございます。  次に、商品名称及び分類についての統一システムに関する国際条約及び商品名称及び分類についての統一システムに関する国際条約改正に関する議定書(千九百八十六年六月二十四日にブラッセル作成)の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この条約及び改正議定書は、それぞれ、昭和五十八年六月及び昭和六十一年六月にブラッセルで開催された関税協力理事会総会において採択されたものでございます。  この条約は、統一された品目表を定めるとともに、各国の関税率表及び統計表をこの品目表に適合させることについて規定しており、また、改正議定書は、この条約発効要件について規定しております。  我が国がこの条約及び改正議定書締結することは、国際的に統一された品目表を確立する努力に寄与し、世界貿易発展に貢献するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約及び改正議定書締結について御承認を求める次第でございます。  次に、関税及び貿易に関する一般協定ジュネーヴ議定書(千九百八十七年)の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この議定書は、昭和六十二年二月にジュネーヴ作成されたものでございます。  この議定書は、関税及び貿易に関する一般協定のもとで合意された我が国関税率の表を商品名称及び分類についての統一システムに関する国際条約に定められた品目表に沿って整理し直したものにかえることについて規定しております。  我が国がこの議定書締結することは、貿易実務迅速化及び関税交渉効率化に資するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第でございます。  次に、民間航空機貿易に関する協定附属書改正する議定書(千九百八十六年)の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明申し上げます。  この議定書は、民間航空機貿易に関する協定附属書に掲げられている三種類の対象産品の表を、商品名称及び分類についての統一システムに関する国際条約に定められた品目表に基づく表にかえることについて規定しております。  我が国がこの議定書締結することは、民間航空機貿易発展に寄与するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第でございます。  次に、原子力事故早期通報に関する条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この条約は、昭和六十一年四月のチェルノブイリ原子力発電所事故契機に、東京サミットでの提唱を受けて国際原子力機関の場において作成作業が進められ、昭和六十一年九月二十六日にウィーンで開催された同機関総会特別会期において採択されたものでございます。我が国は、本年三月六日にこの条約署名いたしました。  この条約は、国境を越える影響を伴う原子力事故が発生した場合にその影響を受けまたは受けるおそれのある国が事故に関する情報早期に入手できる制度を設けるものであり、条約対象となる事故範囲通報義務提供される情報範囲等について規定しております。  我が国がこの条約締結することは、原子力開発及び利用における安全のための国際協力強化に積極的に貢献するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第でございます。  次に、原子力事故又は放射線緊急事態の場合における援助に関する条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この条約は、昭和六十一年四月のチェルノブイリ原子力発電所事故契機に、東京サミットでの提唱を受けて国際原子力機関の場において作成作業が進められ、昭和六十一年九月二十六日にウィーンで開催された同機関総会特別会期において採択されたものでございます。我が国は、本年三月六日にこの条約署名いたしました。  この条約は、原子力事故または放射線緊急事態の場合において援助提供を容易にするための国際的な枠組みを定めるものであり、援助提供経費の償還、特権及び免除等について規定しております。  我が国がこの条約締結することは、原子力開発及び利用における安全のための国際協力強化に積極的に貢献するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第でございます。  次に、日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  政府は、日米両国を取り巻く最近の経済情勢の変化により、在日米軍経費、なかんずく労務費が急激に逼迫してきている事態にかんがみ、在日米軍従業員の安定的な雇用維持を図り、もって在日米軍の効果的な活動を確保するため日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結することにつき、昭和六十一年十二月以来米国政府交渉を行った結果、昭和六十二年一月三十日に東京において、我が方大臣先方マンスフィールド駐日大使との間でこの協定署名を行った次第でございます。  この協定の主な内容としまして、まず、我が国は、この協定効力を有する期間在日米軍従業員に支給される調整手当等に要する経費の一部を、当該経費の二分の一を限度として負担することとしております。我が国が負担する経費具体的金額は、我が国会計年度ごとに、我が国がこれを決定し、右決定米国に対し速やかに通報することとなっております。また、この協定は、一九九二年三月三十一日まで効力を有することとされております。  なお、右を踏まえ、政府は、六十二年度政府予算案において、所要経費として百六十五億四百万円を計上しているところでございます。  この協定締結は、在日米軍従業員の安定的な雇用維持及び在日米軍の効果的な活動の確保に資するものであると考えております。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第でございます。  以上、法律案一件、条約八件につき、何とぞ慎重に審議の上、速やかに賛同、御承認あらんことをお願いいたします。
  6. 山口敏夫

    山口委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 山口敏夫

    山口委員長 ただいま議題となっております各案件のうち、国際花と緑の博覧会政府代表設置に関する臨時措置法案、多数国間投資保証機関を設立する条約締結について承認を求めるの件、商品名称及び分類についての統一システムに関する国際条約及び商品名称及び分類についての統一システムに関する国際条約改正に関する議定書(千九百八十六年六月二十四日にブラッセル作成)の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定ジュネーヴ議定書(千九百八十七年)の締結について承認を求めるの件及び民間航空機貿易に関する協定附属書改正する議定書(千九百八十六年)の締結について承認を求めるの件について審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
  8. 高沢寅男

    高沢委員 これから質疑をいたすわけでありますが、きょうはこの国会で初めての外務委員会ということでございます。そしてまた、大臣はOECDへ出張された都合できょうはまだ御出席になっていないという状況の中で、政務次官を迎えて外務委員会を開くわけでありますが、これは従来の当委員会の、必ず委員会大臣出席のもとで、こういう慣例からいたしますと、これは異例のことでありますが、この点につきましては、これを前例としないということを理事会でも確認していますが、ここで一言委員長からその旨の御発言をお願いしたいと存じます。
  9. 山口敏夫

    山口委員長 高沢委員からただいま御発言がございましたが、御指摘のように、外務大臣はOECDの国際会議に出席をしております。国会も会期末を控えまして、外務委員会といたしましても重要案件が山積しております関係上、野党の理事の先生方の御理解、御協力をいただきまして、これを前例としない、こういう合意を踏まえまして、きょうの委員会、また政務次官の提案理由説明を聴取いただいた次第でございます。委員の御指摘を委員会としても委員長としても十分遵守いたしまして、今後の公平な委員会運営に供したいと思いますので、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  10. 高沢寅男

    高沢委員 政務次官、きょうは大変御苦労さまでございます。  これから御質問をいたしますが、やはり要所要所では政務次官からまた御見解をお願いしますが、ひとつ大臣の代理としてしっかりとした御見解をお願いしたい、こう思います。  初めに、花と緑の法案に関してお尋ねをいたしたいと思います。  この法案によりまして、万国博覧会に関する我が国政府代表設置するということになっておりますが、この政府代表と、万国博に関するいろいろな担当大臣あるいはまた博覧会協会の会長あるいはまたこの協会の事務総長等々の役職の方がおられますが、その責任分担といいますか、この関係はどういうふうになるか、まずお尋ねしたいと思います。
  11. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 お答え申し上げます。  第一に、博覧会政府代表でございますが、この代表博覧会条約十二条に基づいて設置されるポストでございまして、博覧会に関しますすべての事項につきまして開催国政府日本政府でございますが、それを代表し、博覧会条約及び一般規則に基づきまして、主として対外的な任務を担当いたします。  二番目に、博覧会担当大臣でございますが、担当大臣は、博覧会会場の計画、建設また博覧会運営等につきまして総合的な企画及び事業調整に当たるということになっております。博覧会協会会長でございますが、まず博覧会を準備、運営するための直接の実施主体は政府でございますが、この政府の監督を受けます公益法人たる博覧会協会というものが設けられまして、博覧会協会会長は、その協会の名において、政府の監督を受けつつ博覧会の実際の準備、運営を担当する。したがいまして、協会の事務総長は、簡単に申し上げれば、博覧会協会会長を補佐して具体的な準備、運営を所掌する、こういうふうな所掌分担になります。
  12. 高沢寅男

    高沢委員 今の御説明で、政府代表任務は主に対外的な側面の任務であるということはもうわかりましたが、その対外的な任務というと具体的にどんなようなことをやられるのか、それをちょっと説明願います。
  13. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 非常に広範にわたりますが、やはり一番重要なことは、まず博覧会条約の参加国に対して、できるだけ多くの国及び国際機関がその花と緑の博覧会に参加してくださるよう勧奨をする、これが一番重要な任務でございます。  それからまた、参加しようというふうに決定していただいた外国政府、国際機関につきましては、今度は実際の出展、それから実際の参加につきましていろいろな細かな打ち合わせをしなければなりません。例えば面積をどういたしますとか、それから物品、この場合、植物でございますから物品と言っていいのかどうかわかりませんが、仮に物品といたしますと、それをいつどこでどういうふうに陸揚げするとか、そういう実際の出展に関する事務の打ち合わせ、それから当然参加国及び機関側からいろいろな要望が出ることが予想されます。そういう要望につきましては、この政府代表が承ってこれを担当大臣に報告しまして、それで必要な国内的な調整、手当てを行う、大きく申し上げればこういうところでございます。
  14. 高沢寅男

    高沢委員 昭和六十五年までの間に、今御説明のあったようなことで、例えば何か国際会議が開かれるとか、そういうふうな場面というのはあるのでしょうか、あるいは主に日本にいながら今言われたような対外的な任務を果たされることになるのか。いかがでしょう。
  15. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 前回の筑波科技博の場合に徴しますと、先ほど申し上げました出展勧奨、これにつきましては、やはり代表みずから相手国に出向いて説得をするという場面もございますし、それから準備段階が進んでいくに従いまして我が方の計画その他を博覧会条約の場で、IBEと申しますが、ここで説明するというような場合もございます。したがいまして、国内で事務をする場合もございますし、海外へ出かける場合もございます。それから、直前になりますと、各国の政府代表が日本にお集まりになる、こういう場面も当然予想されます。したがって、国内、国外、双方というのがお答えでございます。
  16. 高沢寅男

    高沢委員 次に、花と緑の博覧会の財政関係をお尋ねしたいと思います。  これは建設省になりましょうか。この花と緑の博覧会のために総額としてどのくらいの資金が必要になるのか、その資金というのは、支出面では、こういう支出、こういう支出があって総額このくらい、それから今度はその資金の調達はこういう収入、こういう収入で総額このくらいというふうな、資金の出るのと入るのと両面にわたって計画をひとつ御説明を願いたいと思います。
  17. 坂本新太郎

    坂本説明員 お尋ねの件でありますが、本博覧会の全体資金計画につきましては、ただいまの財源面及び支出面でありますが、会場建設、運営等多岐にわたるわけでありますが、これらの全体計画及びその財源につきまして博覧会協会において現在検討中でございます。  なお、主会場整備費といたしましては、約四百八十億円程度を予定いたしておる次第でございます。また、このほかに、道路、地下鉄等事業規模約千八百五十億円の国際花と緑の博覧会関連事業計画というものが別途決定されておる次第でございます。
  18. 高沢寅男

    高沢委員 これは新聞報道によるものですが、今言った地下鉄新線の建設なども含めて、あとは会場の整備費とかあるいは博覧会の運営費等々入れると総額約三千二百億ぐらいになる、こんなふうに新聞などでは私は見たわけですが、おおよそそういうことになるのですか。今総額の説明はなかったですが、いかがですか。
  19. 坂本新太郎

    坂本説明員 お尋ねの新聞報道でございますが、そういう数字は当方ではまだ接しておりません。根拠がどういうものか、ちょっとはかりかねます。
  20. 高沢寅男

    高沢委員 そうすると、いつごろにそういう全体的な資金計画というものがまとまってくるのか、これはいかがですか。
  21. 坂本新太郎

    坂本説明員 現在、会場計画につきまして先般原案が確定いたしましたが、これはごくラフなものでございまして、それに基づきます基本計画というものを現在策定中でございます。さらに、それを受けまして、基本設計、実施設計となってまいりますが、そういった過程を経て全体計画が固まってまいるということになろうかと思います。また別途、出展関係ですが、これも現在勧奨中でございますので、これらによりまして、例えば地下埋設物が変わってまいったりいたします。そういうようなことで、正確な全体的な数字というのはなかなか急には固まらないかと存じますけれども、現在鋭意策定中でございまして、恐らくことしじゅうにはそういった概要はまとまってこようか、かように存じております。
  22. 高沢寅男

    高沢委員 それからもう一つは、今度は資金の入る面の関係ですが、やはり非常に重要なものは、この展覧会に入場者の数がどのくらいあって、どのくらいの入場料をいただくのか、これが一つあるでしょう。あるいはまた、国や地元の大阪府、市の負担、こういうもののほかに、民間関係で調達するという資金の調達もある。これは民間からの寄附等があったり、あるいは場合によると宝くしという方法もとられると聞いておるのですが、その辺の資金調達のやり方についての見通しはどうか、これをひとつ説明願います。
  23. 坂本新太郎

    坂本説明員 まず資金の調達面でございますが、ただいま御指摘の例えば入場料金でございますが、これにつきましては入場者数の予測がまず前提になってまいります。これにつきましては、昨年の十月に博覧会協会におきまして、これまでの概数を基礎といたしまして、さらに数学モデル及びサンプル調査によります面接調査等を併用いたしまして、おおむね二千万人という数字を策定いたした次第でございますが、さらに入場料金をどういうふうに設定するかということをまだ協会の方でお決めになっておられないということでありまして、これも一回限りの入場ですとか、あるいはその他団体ですとか、いろいろな水準がございますが、こういったものをお決めいただきまして総額が出てまいるわけでございますが、現在まだ検討を進めておられるという段階でございます。  それから、その他の民間からの御寄附等でありますが、現在なお鋭意各方面にお願いしている最中でございまして、ここで確定的な数字というのはまだつかめていないという状況でございます。(高沢委員「宝くじはやる計画はあるのですか」と呼ぶ)宝くじはお願いいたしまして、一応やってまいろうというふうになっております。
  24. 高沢寅男

    高沢委員 あと、入場者の関係で外国から来る入場者ですが、このことではいわゆる今の円高問題というのがむしろ非常に難しい条件をつくっているのじゃないかという感じがいたしますが、その辺はどんなふうに見ておられますか。
  25. 坂本新太郎

    坂本説明員 お答えいたします。  外客でありますが、実は最近の円高は非常に急速でありまして、かつての算定を見直さなければならない状況になってまいりまして、現在のところなお最新の推計はできておらないという状況でございます。
  26. 高沢寅男

    高沢委員 そういう円高が、これから数年間、この博覧会が開かれるまでの間に事態がまるきり変わってくるということはなかなか予想されないと思います。そういう状況の中では、特に先ほどの政府代表の対外的な任務との関係において、外国の博覧会へやってくる人、入場者というものを促進するためにはまた格別な努力が必要じゃないかと思いますが、その点はひとつ大いに御努力を願いたい、こう思います。  それから、先般行われました筑波の科学万博では売店あるいは飲食店などを出した業者が結果として非常に赤字になった、赤字になったのはその博覧会の当局の責任ではないかということで、それに対する損害賠償の訴訟が提起されたということもお聞きをしているわけでありますが、この提起された訴訟というのは現在どういう状況になっているかおわかりか、あるいはまたそういう業者が赤字になったということの原因は一体どういうことなのか、この辺のところを建設省当局筋はどういうふうに見ておられますか、それをお尋ねしたいと思います。
  27. 坂本新太郎

    坂本説明員 科学技術博の売店関係の損害賠償等に係ります訴訟につきましては、詳細は承知いたしていない次第でございます。なお、新聞報道その他、公式の刊行物によります資料を通して当方としては承知いたしておるという状況でございます。  したがいまして、建設省といたしましてどういう考えかというお尋ねでございますが、直接当事者ではございませんものですから、成り行きといいますかこの推移を見守っておるという状況でございます。
  28. 高沢寅男

    高沢委員 筑波博で業者が赤字になったということの理由ですが、私の聞くところでは、当局が非常にたくさんの業者の出店を認めた、その結果、要するに一つ当たりの業者の売り上げが減って赤字になったということが言われておりますけれども、そういうふうな教訓を、今度は次のこの花と緑の万博ではそういうことのないような、そういうお考えは持っておられるのかどうか。この点は、せっかく万博をやって、そしてめでたく成功して、後で業者からまた損害賠償の訴訟が出たということになるのではかえって後に失点を残すということになりますので、そういうことがないような、その辺のお考えなり対策は一体どういうふうにやっておられるか、お聞きしたいと思います。
  29. 坂本新太郎

    坂本説明員 今度の花と緑の博覧会の会場におきます売店、飲食店等の問題につきましては、博覧会協会が本来お決めになることでございますが、協会においては過去の博覧会の例などを考慮しながら適正な配置とか店舗数等についても現在検討しておられるというふうにお聞きしておりまして、当省といたしましても、十分にそこら辺の事情を聴取しながら指導してまいりたいと考えております。
  30. 高沢寅男

    高沢委員 次へ進みますが、今度は農林水産省にお願いいたします。  この博覧会の性格上、外国から参加される、出展されるところはいろいろな花とか木とかいうふうなものを当然持ち込んできて出展されるということになると思います。そうすると、その花とか木というものは土を当然伴ってくるということになると思いますが、今の我が国の植物の防疫体系からすると、そういう土は日本国内へ一切入れないという非常に厳しい制限があるというふうに聞くわけですけれども、今度のこの博覧会関係ではその辺の措置をどうされるのか、御説明願いたいと思います。
  31. 岩本毅

    ○岩本説明員 お答えいたします。  先生御指摘の植物防疫法に基づきます諸外国からの土及び土の付着した植物の輸入規制の問題でございますが、私ども現在、国際植物防疫条約及び植物防疫法の規定に基づきまして諸外国から我が国に輸入されます農林産物の植物検疫を実施しておるわけでありますけれども、その際、土及び土の付着した植物については輸入の禁止をいたしております。  しかしながら、万博に外国から出展されてまいります植物の中にはどうしても土をつけたままの状態で出展しないとどうもうまくいかないといったものが出てくるということは当然私どもも予想をいたしております。例えば盆栽といったようなものがその典型的な例だろうと思いますが、こういう特殊なものにつきましては、植物防疫法の規定に学術研究用として諸外国から土及び土の付着した植物を輸入する場合には農林大臣の特別の許可を得て一定の条件を付した上で輸入を認めるという規定がございます。この規定に従いまして、そういったどうしても土をつけて出展をしないとうまくいかないといったような盆栽については特別の扱いをしてまいりたいと考えております。
  32. 高沢寅男

    高沢委員 その趣旨はわかりましたが、今言われた一定の条件をつけでという、この一定の条件というのはどういう内容ですか。
  33. 岩本毅

    ○岩本説明員 これは試験研究機関がまず輸入するということ、それから特別の条件のもとで管理をするということ、それから他には譲渡をしないというような条件が主たるものになると考えております。
  34. 高沢寅男

    高沢委員 それともう一つ、ではそういう特別な許可をして入れたものが、万博が終わりますね、終わったときはそれを持ち帰ってもらうということになるのか、その辺の処置はどうするのですか。
  35. 岩本毅

    ○岩本説明員 先生御指摘のように、そういったものは持ち帰っていただくというのが一番いい方法であろうというように考えております。  ただ、国内で学術研究用に引き続き使うという場合には、先ほど申しましたような条件のもとに許可をしていくという道は開かれておるわけでございます。
  36. 高沢寅男

    高沢委員 この花と緑の博覧会が行われる趣旨は、要するに国土の緑化あるいは都市の緑化というものを進めていこうという趣旨からやはり出ている、こういうことだと思いますし、特に最近は二十一世紀に向けてそういう緑を大いにふやしていこうというふうなことが盛んに叫ばれている現状であります。そういたしますと、この面と、今度の、現実に今政府がやろうとしておる政策との矛盾があってはいかぬという感じがするのですが、ひとつこの矛盾の関係ということでお尋ねしたいのです。  これは後ほど政務次官、あなたにもお尋ねすることになりますが、今我が国は非常に内需拡大を求められております。その内需拡大の非常に大きな柱としては住宅建設、こういうふうになってくる。住宅建設をするには宅地の供給が必要だ、こういうふうになってきて、宅地の供給を進めるには大都市の市街化区域の中にある農地ですね、この農地を大いに宅地に転換させるということをやろうじゃないか、それにはひとつ宅地並み課税を強化していこうというようなことが現に今論じられているわけですね。  それが政府の政策として進められていくということになるとすれば、私の見解では、この大都市地域にある農地というのは、そこで農産物をつくるという機能のほかに、それが都市の緑化の非常に大きな役割を現に果たしておるというふうな面があるわけですね。さらには、よく言われる、例えば災害とかというときの都市住民の避難の場所としてそうした農地というものがいざというときには非常に重要な役割を果たすというような面とか、いろいろな機能を果たしているわけですが、その農地を今度は宅地に転換させる、宅地並み課税を強化する、そういうことでもって市街化区域で農業をやっている人たちが農業をできないようにやっていくというふうなやり方は、今のこの花と緑の博覧会の趣旨の、大いに緑化を進めますという趣旨と矛盾するのではないのか、こんなふうに考えるわけでありますが、この辺はいかがか。政務次官の見解もまたお尋ねしますが、初めに担当の農林水産省の方から、その点をどう見るのかというふうな見解もひとつお聞きをしたいと思います。
  37. 入澤肇

    ○入澤説明員 市街化区域内の農地につきましては、都市計画法ができましたときに、農林省としましてはできるだけ農業政策は調整区域に重点を置いて、市街化区域内の農地につきましては災害対策であるとか病害虫防除対策であるとか、そういうものに限定して行うようにというふうな約束事がなされております。現に宅地並み課税が行われておりますのは、これは一つは確かに先生御指摘のとおり生産緑地的なものを都市の中で必要とする自治体の側の要請に基づいて政府提案を行った経緯がございます。現に、これは五十七年から十年間の計画で、長期営農継続農地の認定を受けた農地につきましては農地並み課税をし宅地並み課税をしないということで制度の運用が行われておりまして、政府部内におきましてもその取り扱いにつきましてはいろいろな検討がなされているわけでございます。  都市計画区域の中の特に市街化区域の中の農地につきましては、生産緑地的な機能を持つ面もあります。しかし、ただ単に土地の値上がりを待つというような農業らしからぬ農地もございます。その二つをどういう区別をして農地を保存していくかということが重要な問題でございまして、今後この取り扱いにつきましては十分に検討していかなければいかぬというふうに考えておりますし
  38. 高沢寅男

    高沢委員 私は、そういう農地を宅地に転換していくというふうな場合に、その結果としてそこにどんどん虫食いのように建物が建ってくるというようなことで、緑はなくなる、跡にできてくる市街化区域が非常にスプロール的な無秩序なそういうものがどんどんできてくるということになると、それはもう都市政策として根本的に重大なマイナスである、こう考えるわけですが、そういうふうにならないためには、農地を宅地化していくそのやり方自体がいいか悪いかは別として、やる場合には、そのやり方は非常に計画的な、住宅も建つ、建物も建つが、しかし一方、非常に緑があるいは空地が確保される、そういう計画がまず大前提になければいかぬのじゃないか、こんなふうに考えるわけですが、この辺は農林水産省あるいはまた建設省、一体どんなふうにお考えか、お尋ねをしたいと思います。
  39. 藤田真

    ○藤田説明員 お答えいたします。  特に東京などを中心にいたしまして宅地需要の強い三大圏におきまして積極的に宅地供給を進めなければならないと考えておりますけれども、その際には、もう一方の観点といたしまして、良好な市街地形成を図るという観点から、あわせまして公園の整備あるいは緑地の確保を図っていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。  そのために、私どもといたしましては、区画整理事業などの都市基盤整備を推進する、あるいは貸し家住宅の建設に対する助成をするというような農地の宅地化の促進とあわせまして都市公園などの整備を図らなければならないと考えておるものでございます。  また、農地につきましても、環境整備あるいは公共施設の予定地として一定の機能を持つものにつきましては、都市計画に先ほどお答えございました生産緑地地区というものを設けましていわゆる宅地並み課税の対象外とするというような形でその保全を図っておるというようなことでございます。  現在、宅地並み課税につきましては五十七年に現在の制度ができておりまして、ちょうど五年目ごとの営農の確認の時期に当たっております。そういう営農の状況の結果を今取りまとめつつあるというふうに伺っておりますので、その結果を踏まえながら検討していかなければならないというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても必要な公園あるいは緑地の確保というような良好な市街地の形成に十分配慮して検討していかなければならないと考えております。
  40. 高沢寅男

    高沢委員 今の御説明はそれでわかりますが、私は実は練馬区に住んでいます。練馬区には練馬農協と大泉農協と石神井農協と三つ農業協同組合があります。私もその農協の皆さんとはふだん親しくおつき合いをしておりますが、つまりこの農協の人たちも、今の宅地並み課税の関係で、本当に農業をやっているということでなければいかぬ、農業をやっているふりをして実は荒らしづくりでただ固定資産税を逃げるというふうなやり方の農業ではいかぬということは言っているわけです。  その意味では、今言われたような農地を宅地に転換していく、そこに新しい市街をつくっていく、そのときに緑も公園も十分確保しながらというようなことを進める、計画的な政策を進めるには地元の農協、あるいは対象になる個々の農家、そういうところとのかなり十分な合意の上に進めることが非常に重要ではないかと思います。転換される農家が、無理やりやられた、おれは本当は農業をやりたいのだけれども無理やりに課税をかけられてそれで宅地転換せざるを得ないように強制されたというような意識を持てば、同じ政策を進めてもここに非常なマイナスが出ます。そういうことにならぬようなやり方が非常に重要じゃないかと思います。  政務次官は北区、板橋区で、やはり次官の地元にも同じようなたくさんの農地、農家があると思いますが、この辺の進め方はひとつ次官の御見解をお願いしたいと思います。
  41. 浜野剛

    浜野政府委員 質問の核とちょっと違いますが、今回の博覧会の主催の目的は、二十一世紀に向けて潤いのある豊かな社会をつくろう、そういう関連で私の考えをちょっと述べさせてもらいます。  先生のおっしゃる住宅の問題あるいは農地の取り扱いの問題、ごもっともだと思います。具体的には、これは外務政務次官として、建設省の問題とかあるいは税金の問題とはちょっとかけ離れますが、お互いさまお隣の村に住んでおりますので農協の方の御意見もよく承っております。問題は用途地域の総合的なバランスの判断だと私としては考えております。ですから、そういう意味においてこれから国際的な花と緑の博覧会を御了解願い、かつまた豊かな社会をつくろうやという形の見解で先生の御趣旨をよく解して、政府としても協力していきたいと思います。非常に大事なことだと思います。現実に農協は農協の立場でいろいろございますが、練馬でも板橋でも自治体の長がそういう面を一生懸命今やっておりますので、よろしく御検討願いたいと思います。
  42. 高沢寅男

    高沢委員 今は国内の緑の問題でお尋ねしましたが、引き続いて今度は国外の緑の問題でお尋ねをしたいと思います。  最近非常にボランティアの人たちなどが、東南アジアの熱帯雨林がどんどん破壊されていくじゃないか、しかもその破壊について非常に日本の責任が大きいのじゃないか、これを何とかしなければいかぬというふうな、一種の住民運動というか市民運動という形でも随分そういう動きが出てきております。私もこれは非常に重要な問題であると考えるわけです。我が国の企業が東南アジアに乗り込んで行って、そこにある非常に貴重な熱帯雨林でどんどん木を切り、その木を買い付けをしてくるというようなことから、結局熱帯雨林が破壊されていく、そこに住んでいる人たちの生活体系そのものがそれによって破壊されていくというふうなことが伝えられているわけであります。そういうふうなことはどうしても日本の責任としてその償いをしなければいかぬ。償いをするということは、木を切ってそして買い付けをすれば、その後に今度はまた森林をつくる、造林をする、植林をするという面における責任を十分果たしていく必要があるのじゃないか、こんなふうに考えるわけです。  まず、東南アジアにおいて日本が木材を買い付けする結果として、こういう非常に重大な問題が起きておるということについての認識をどのようにお持ちか、林野庁の方からひとつその認識をお尋ねしたいと思います。
  43. 杉原昌樹

    ○杉原説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のように、開発途上国におきまして焼き畑移動耕作等によりまして森林が減少している、こういう問題でございます。これら熱帯林の減少につきましては、やはりお話しのように途上国におきます住民の基礎的な生活物資である燃材等の不足とか農業生産環境の悪化等をもたらすだけではなくて、地球的規模での生活環境の悪化をもたらすおそれがあると考え、大変重要な問題と考えております。こういう問題につきまして、我が国としては、林業協力の分野において従来から行っております技術及び資金等に関する協力の一層の拡充を図りまして、これら熱帯地域の森林資源の保全、涵養に積極的に寄与していきたい、こういうふうに考えます。
  44. 高沢寅男

    高沢委員 ただいまの説明で、我が国も国としてのそういう協力は現にしておるという御説明はありましたが、私の考えでは、そこで買い付けてくる日本の企業の方は、とにかくいい木材が手に入ればいいんだ、そこの森林がどうなろうと、それこそ後は野となれ山となれ、そういう意識があって出ていくと非常な問題を起こすことになりますので、そこのところを十分日本の企業に、後々森林を荒廃させてはならぬという意識をはっきり持たせること。そのために具体的には、東南アジアから木材、南方材を買い付ける、その買い付けて輸入する容積、何千立米買ったとか何百立米買ったとか、そういう立米掛ける一定の金額で、後の造林のための一種の賦課金といいますか、そういうものを課して、日本の国が日本の輸入業者からそういう金を徴収して、そして一般財源と合わせて東南アジアの森林造成の基金をつくって、その基金をバックにして東南アジアに対する森林計画に協力していく。技術、資金等々を含めて協力していく。こういうやり方が今やどうしても必要ではないのか、こんなふうに私は考えるわけであります。  きょうは後でまたお尋ねすることで大蔵省からもおいでいただいておりますが、大蔵省の御見解どうか、あるいはまた林野庁の御見解どうか等々のお尋ねをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  45. 英正道

    ○英政府委員 高沢委員の今の御提案、大変興味あるものだと思います。検討すべきものかと存じますけれども、従来私どもがやっておりますのは、先ほど林野庁からも御答弁ありましたように、林業の振興ということでいろいろな協力を行っております。例えばフィリピンでありますとかブルネイでありますとか、日本が多量に森林を開発しているという地域には、プロジェクトタイプの技術協力ということで専門家を派遣して、先方のそういう関係者の要請に協力しております。  それで、そういうことに必要な資金は一般会計の予算に計上してやっているわけでございますけれども、考え方の基本としては、特定のそういう木材を輸入している人から目的税のような形で徴収するというよりも、やはり一般的な税収等の中でそういう経済協力に向ける資金を毎年一定のシーリングでいただいているわけでございますけれども、その中でなるたけ高い配分をしていくように努力するということで対応すべきではないかと存じます。
  46. 高沢寅男

    高沢委員 木材を輸入する業者があれば今度はその木材を買って使う人もいるから、それは全体的な国民の問題ということはわかりますけれども、開発輸入をする業者に特に森林の重要性を認識させる、意識させる方法として、今言った、目的税と言ったら言葉はおかしいですけれども、そういうふうな一定の負担を求めるということがあってもいいと私は考えますが、これは十分今後に向けて御検討いただきたいと考えます。  最近は、国際経済摩擦で、日本はいろいろ言うけれども結局やらぬじゃないかという批判が強いときに、思い切って今のようなやり方でやっていただけば、国際的に見てなるほど日本は本気でやっておるというようなことも認識をしてもらうこともできるのではないか、こんなふうに考えますので、この点は今の英経済協力局長の御答弁でありましたが、また一つ検討課題として検討していただきたいと思います。  以上で花と緑の関係は一応終わりまして、次へ進みたいと思います。  大蔵省からは内海国際金融局長おいででどうも御苦労さまです。これから、多数国間投資保証機関を設立する条約関係でひとつ大蔵省にお尋ねをしたいと思います。  まず初めに、この条約で保証の対象になる投資ですね、これは私は当然平和目的に限られるべきだ、かりそめにもその投資投資する相手国の兵器産業とか軍事産業とかいうものに向かう、それをこの機関で保証するというようなことはあってはならぬ、こう思いますし、特に日本もこの国際機関に資金を出すわけですから、そういう意味においてこの投資の平和目的ということがはっきり限定されなければいかぬと考えますが、この点はいかがでしょう。
  47. 英正道

    ○英政府委員 経済協力が平和目的に限られなければならないという点につきましては、本委員会における決議等もございますし、外務委員会ということでございますので外務省からこの点について答弁させていただきたいと存じます。  長い名前の条約でございますのでMIGAと称させていただきますけれども、MIGAの条約上、MIGAが保証を行う投資というものは、生産的目的のための投資でかつ投資受け入れ国の開発に寄与するものである、そういうことを必要とするということが明確に規定してございます。条約の第二条、それから第十二条の(d)項(ⅰ)でございます。  このMIGAというのは世銀グループの一つになるわけでございますが、こういう世銀等の国際開発金融機関においては、いずれもその協定において経済開発目的とする、その決定は経済上の考慮のみに基づいて行われる等の規定が置かれております。これらの規定上武器産業への資金支援はできないと解されておりますし、MIGAについても全く同様と解しております。  なお、MIGAの業務規則案においては、軍事的性格の投資は保証されないという明文の規定が置かれております。
  48. 高沢寅男

    高沢委員 この今へMIGAは国際的な多国間の機構ということになるわけでありますが、これと別個に我が国が二国間で投資保証というふうな関係を持っておる、協定を結んでおるところは現状ではどういうところがあるでしょうか。
  49. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 お答え申し上げます。  二国間の投資保護協定につきましては、我が国の場合は今までスリランカとエジプト、この二カ国と二国間の協定締結しております。
  50. 高沢寅男

    高沢委員 その二カ国ということは、こちらから提起してそういうのを結んだのがスリランカ、エジプトということでしょうか。いかがでしょうか。
  51. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 ただいま申し上げましたスリランカとエジプトの例でございますけれども、基本的には我が国の方からの投資が予想されますので、我が国から積極的に提案したわけでございます。他方、先方におきましても我が国を初めとするいわゆる先進国からの投資経済開発の上で役立てていきたい、そのための投資環境を整備したいというような気持ちも非常に強かったものですから、双方の意向が合致したということで締結に至ったという経緯がございます。
  52. 高沢寅男

    高沢委員 その御説明はわかりますが、そういう投資保証の協定を結ぼうとこちら側から提起すると、提起された相手側がじゃあおれの国は政情不安と見るのかというような意味の一定の不快感を持つようなことが果たしてないのか、そういう関係はどうでしょうか。
  53. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 この点につきましては、相手国の事情によりまして大変千差万別でございます。我が方から投資保護協定を結びたいと提案をいたしました場合に、政情が不安であるというふうに認定されたと思う国はそれほどないのではないかと思います。ただ、実際に交渉いたしてみますと、先方の法制面でございますとか税制の面あるいは経済開発に関する政策の面、また自国の独自の産業振興というようないろいろな政策の面から、必ずしも我が国が望むような形での交渉が進展しないという例は多いかと思います。
  54. 高沢寅男

    高沢委員 MIGAの今のところの署各国をずっと見ると、この中には中国はないわけですね。日本との関係で見ると、中国は日本から非常に多くの投資が出ていく相手国であるわけで、日中間において今言ったような二国間で何か投資保証をやろうというような話があるのか、あるいは行く行くは中国もMIGAの機構に参加してくるというふうな見通しなり可能性があるのか、その辺の関係はどうでしょうか。
  55. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 高沢先生御指摘のとおり、中国はまだMIGAには署名しておりません。後段の中国との二国間の協定の問題でございますけれども、御指摘のとおり隣国の中国との関係につきましては、投資を含めましていろいろ緊密な関係にあるわけでございますが、今後日中関係をさらに一層発展させていく上におきまして資本の交流、なかんずく直接投資が果たす役割は非常に大きいものがあると私どもも考えております。このためには投資環境の整備を一段と進めることが必要でございますが、先ほど来御指摘のとおり、投資保護協定というのも一つの有効な手段であると考えております。私どもといたしましてもこのような認識を持っておりますので、中国との間では既に二国間の投資保護協定交渉を開始しております。  若干経緯を申し上げますと、一九八〇年末に開催されました第一回の日中閣僚会議におきましてこの投資保護協定交渉早期に開始すべきであるということで意見の一致を見まして、その翌年の一九八一年五月から同政府の実務者間での交渉を重ねております。ただ、日中両国間におきましては、御承知のとおり社会経済体制の違いというものもございます。また経済発展の段階も違うというようないろいろな差異がございますので、残念ながらいまだに協定交渉は妥結をしておりませんで、なお調整すべき点があるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような基本的な認識に立ちまして私どもといたしましては今後ともこの締結の努力を進めていきたいと考えております。
  56. 高沢寅男

    高沢委員 その交渉過程で今のところネックになっておる、意見一致の大変難しい問題というのはどんなところがあるのでしょうか。
  57. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 投資保護協定につきましては、御承知のとおり、この協定の構造はどちらかといいますと通商航海条約的な構造になっております。言いかえますといわゆる待遇規定でございます。諸外国が投資をする場合に、その外国の間で差別を設けない、あるいは外国の企業と投資先の国内の企業との間で差別を設けない、例えばそういうようなことでございます。  この点につきまして、現在交渉中の日中の協定に関して申し上げますと、何分交渉中のことでございますので、詳細申し上げられないのは残念でございますけれども、一例を挙げますと、一つの大きな問題点といたしましては、いわゆる内国民待遇の規定をどうするかという点が挙げられようと思います。すなわち内外の資本に対して原則として無差別待遇を確保したいというのが私どもの希望でございますけれども、この点に関しましてはいろいろ社会体制の違い、経済制度の違い等もございましてまだ妥結に至っていないということでございます。一例を挙げればそういうことでございます。
  58. 高沢寅男

    高沢委員 これはひとつ内海局長にお願いいたします。  これは、今度はMIGAの協定のことで今審議をしておりますが、全体として今の世界の国際間における投資の動きというふうなものを見ると、先進国間の投資の動き、これは非常に大きな動きになっておる。ところが、先進国から発展途上国への投資というものはどうも最近動きが鈍い、あるいは比重が低下してきておるというようなことが伝えられるわけでありますが、そういう実態といいますか、あるいはまたその理由と申しますか、そういうことについての認識をひとつお尋ねをしたいと思います。
  59. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員御指摘の点につきましては、まず直接投資の分野で申し上げますと、例えば我が国の直接投資は最近開発途上国向けはほぼ横ばいに推移しておりまして、北米への投資が非常に大きなシェアを占めつつある。これは、一つには貿易摩擦の激化に伴いまして生産拠点をある程度向こうの方に移すというような多角化の動きもあるわけでございますし、また、金融の自由化に伴いまして金融業、保険業が向こうの方に進出してくる、これも大体は先進国の方に行くわけでございます。そういった問題が直接投資の方の分野においても存在する。他方、間接投資、例えば民間銀行からの貸し付けでございますが、これは流れとして見ますと、やはりここ二、三年非常に減ってきております。幸いなことに、我が国の民間銀行の対開発途上国への貸し付けの流れはその中では若干増加しておるものですからこれは救いではございますが、今申し上げたような問題は、まさに委員御指摘の点と符合する点がございます。  その背景といたしましては、やはり今年末の見通しといたしまして、開発途上国の累積債務が全部で一兆ドルに達しようというようなやや深刻な事態があるわけでございます。民間の先ほどの例で申し上げますと、民間銀行からの資金の流れというのは基本的にはリスクというものを頭に置いて流れますので、どうやればそのリスクを回避しながら円滑にお金が流れるかということに我々も取り組まなければいけない。それから直接投資の分野でもやはりそのような問題があるわけでございます。  今申し上げましたようなことを中心といたしましていろいろ議論が行われまして、世界銀行という枠の中でMIGAという形でまず直接投資が非商業リスクで脅かされることがないようなメカニズムを多角的につくっていこうということでこの条約はただいま御審議いただいているわけでございますが、これはその流れをエンカレッジする役割を果たすものと思っております。  また、民間からの資金の流れの問題につきましては、債務累積問題とどのように取り組むかという基本問題と絡んでくるわけでございますが、これはまた後ほどいろいろ御議論の御展開もあろうと思いますので、とりあえず現状認識を申し上げたわけでございます。
  60. 高沢寅男

    高沢委員 今触れられました累積債務の問題、この機会にひとつ解明をお願いしたいと思いますが、この累積債務国の中に、一部に先進国に対してモラトリアムをやろうとか等々の非常に政治的な動きというふうなことも伝えられているわけですが、こうなりますと、まさに政治情勢によって投資保証が危うくなるというようなことが言えるわけであります。今度のMIGAというものがそういう累積債務国の問題についての積極的な対応になり得るのかどうか。こちらは直接投資関係でしょうけれども、この辺のところはいかがか、お尋ねしたいと思います。
  61. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 ただいまの債務累積の問題で、御指摘の例えばブラジルの利払い停止、これは民間金融機関に対する利払い停止でございますが、これを頭に置いての御発言だと思います。  また委員御指摘のとおり、これは直接には直接投資とは関係がないように見えますけれども、これはやはり非常に関係しているわけでございまして、そのようなことを背景として現在債務累積問題に取り組む一つの中心的な議論になっておりますのは、よく委員もデット・エクイティー・スワップ、債権と直接投資とのスワップという言葉もお聞きになったことがあると思いますけれども、これはどういうことかと申しますと、債務累積国に対して民間金融機関の債権が非常に累増している。したがって、民間金融機関もある程度ディスカウントでその債権を第三者に売りたい、それによってまたある程度それ自身の流動性を高めたいという気持ちもあるわけでございます。  他方におきまして、そういう国に投資をしようという例えば製造業の会社があるわけでございます。その場合に、その製造業の会社はある程度ディスカウントで金融機関の持っている債権を譲り受ける。例えば百投資しようと思っているときに、そのディスカウントが仮に七十で買えるとしますと、七十で百の債権を取得します。そうすると、当該債務国はそれによりまして中央銀行はその百に対応した現地通貨を渡す、というとこれはまず直接投資をしようとする会社にとりましては安く投資ができるというメリットがあります。それから債権を持っている銀行にとってはそうやって身を軽くするというメリットがあります。  他方、一番大事なのは債務国の方でございますが、これは従来の債務が直接投資に入れかわることによって借り入れ負担、利子負担がなくなり、同時に当該国におきまして生産活動が起こり、経済がアクティベートされ、雇用も創出されるというメリットがあるわけでございます。  こういうようなことを国際的にもできるだけ推し進めようとしている折でございますので、特にこういったMIGAのような条約によって直接投資が政治的にも安心して出せるという形にしていただきますことは、そのような意味でも債務累積問題に貢献するところが大きいというふうに考えております。
  62. 高沢寅男

    高沢委員 先ほど我が国がもう世界の非常に大きな債権国になったということが出ましたけれども、今言われたそうした発展途上国への投資を促進するには、またそれが有効な効力の上がる投資になるように、そうするためにはお金が出ると一緒に技術が出る、一緒に経営のノーハウも出る、そういうようなやり方で出ていった相手国でその資金が本当に生きてくる、その国の経済の発展を促進するというふうなあり方が非常に必要じゃないか、こう思いますが、そういう点が、従来の金だけは出た、けれども、後の技術的な裏づけとかそういう経営のノーハウの裏づけは別にないというようなことであってはいかぬわけで、この辺のあり方はどうしたら本当にそういう投資が有効なものになるのか。その辺の御見解はいかがでしょうか。
  63. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 後ほどより総合的には外務省の方からお答えがあるかと思いますが、今の点につきましては、まさに一言で申せば、我が国がどちらかというと間接投資、つまり我が国にはお金が総体的にかなりあるわけでございますし、また貿易の黒字等の資金の還流ということはしていかなければいけないわけですが、今までのところその大きな流れになっているのは貸し付けのような形のいわゆる間接投資で、委員御指摘のような点は、まさに今お願いしているようなMIGAその他の手段によって促進しなければならない、直接投資という形で初めて我が国の技術とかそういったものが当該国に根づくという点におきまして、委員の御指摘のとおりであると思います。
  64. 高沢寅男

    高沢委員 薬局長、この点ひとつお願いします。
  65. 英正道

    ○英政府委員 直接投資の場合には、もちろん民間の企業が一義的には利益を求めて投資をするわけでございますが、委員御指摘のように、そのことが相手国の必要とする経済開発の分野において必要な資金の提供につながり、かつ技術の移転につながっていくということで非常に望ましいということは最近ますます理解されているわけでございますので、政府においてもいろいろな促進措置をとっていかなければいけないわけでございます。経済協力の分野でもそういう投資の促進に結びつけていくというような考えがいろいろ出てきておりますので、私どもも関係省庁の間で検討しておるところでございます。  それでまた、今度御審議いただいておりますMIGAもそういうような制度的な一つの促進の手段であると存じますけれども、実際に行われます投資が今委員が御指摘のような好ましい方向に進んでいくかどうかという点については、確かに日本側の企業がどういう態度をとるかということにかかわるわけでございますので、政府としても機会あるごとに、やはり技術の移転につながる方向、現地での合弁事業が望ましいとか、そういうことを説明する機会もございますし、また民間企業の間でできております機関投資の行動基準のようなものも考えて、そういう話が中に入っておるというふうに承知しております。
  66. 高沢寅男

    高沢委員 海外技術者研修協会という法人があります。この協会の専務理事をやっているのは私の学生時代の友人なんですが、この法人は、聞いてみると通産省の系列の法人だそうです。この法人は、発展途上国から技術の研修生を受け入れて、そして民間の企業との協力体制の中で研修をさせて、そしてまたその国へ帰していくというようなやり方をしていますが、ここで最近非常に力を入れているのは、具体的な技術だけではなくて、今言った経営のノーハウ、経営管理のやり方というふうな面で研修生を受け入れている。そういうセミナーをやる。そしてまたその国に帰して役立てるというようなことを非常に力を入れてやっていますが、私もそういう状況をよくその友人から聞いて、これは非常に大事なことだと思っております。  しかし、この機関は一応通産省の系列ですが、外務省の立場としてもそういう面に対外的な協力の中でもっともっと大きな力を入れていただくということが非常に必要じゃないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  67. 英正道

    ○英政府委員 政府ができることには限界があるわけでございますし、民間の企業が途上国からの技術者、マネジャー等を含めて日本でオン・ザ・ジョブ・トレーニングをするというようなことは大変いいことでございまして、まさに通産省において補助金をそういう企業に出すことによってそういうものを促進していくということが行われているわけでございます。私は、これは大変結構なことだと思いますし、政府の行う分野、また民間に補助金を出して促進すべき分野、いろいろなやり方があると思います。私は、そういうものを総体的に結びつけて、よく連絡をとって効果が上がるようにしていくということが一番必要であるというふうに存じております。
  68. 高沢寅男

    高沢委員 ぜひ外務省もまたそういう御努力をお願いしたいと思います。  休憩前にもう一つお尋ねしたいのは、今度中曽根総理の訪米でレーガン大統領とのお話し合いの中で、我が国のODA七カ年で倍増、これを五年で倍増というふうに短縮する、前倒しするというお話と、さらには二百億ドルを上積みするというふうな約束をされてきているわけでありますが、これは非常に大きな資金量になると思いますが、そういうものを今言った見地から本当に生きるように援助を活用していく、生かしていくというふうな点で、この実行についてどういうめどをお持ちかどうか、それをひとつお尋ねしたいと思います。
  69. 浜野剛

    浜野政府委員 お答えします。  先般の総理訪米の際、積極的な貢献のために第三次中期目標を発言されました。これは今先生御指摘のとおり、七年間でやりたい、それを今回、それではちょっと遅いではないか、鋭意努力してこれを五年間でやりたいという意向でございます。流れは、第一次は福田総理のときから始まり、鈴木総理、そして今中曽根総理という形でございます。  二百億ドルの資金還流をどういうふうにしてやるのかという御指摘でございますが、ただいま少なくとも予算編成時期でございますから、予算編成の段階でできるだけ配慮したい。それから、円借款の執行率、これはいろいろな問題がございますが、執行率の形で努力したい。  それから、二百億ドルの資金還流の実施につきましては、あくまでも国際金融機関との関連がございます。そこで、そういう国際金融機関との話し合い、また二国間ベースとの問題等条件がございますが、目途としましては、まず第一に世銀特別ファンド方式、これで八十億ドル程度、すなわち国際開発機関等を通じまして官民協力として八十億ドル、それから二つ目に輸銀のアンタイドの直接融資として三十億ドル程度、三番目としては海外経済協力基金、輸銀、民間銀行等による国際開発金融機関との協調融資、それから途上国の経済政策支援のための海外経済協力基金の直接融資として九十億ドル以上とし、これらの手段によって総計二百億ドル以上の還流を実現していきたいと考えております。
  70. 高沢寅男

    高沢委員 今次官から八十と三十と九十、こういう御説明、わかりました。その数字はあれですか、七年を五年に短縮するというこの期間内に今の八十、三十、九十を消化する、こういうことでしょうか。
  71. 英正道

    ○英政府委員 お答え申し上げます。  総理がアメリカで言われた二百億ドルの還流は、東京の市場における起債とか民間の協調融資であるとか輸銀、基金の持っている資金を使う、そういうことで行われるわけでございますが、これは全部がODAであるということではないわけで、ODAの部分というのは、例えば基金の円借款というようなものはODAになるわけでございますけれども、そういうものがふえていくということで二年の前倒しということには結びつくわけでございます。  しかし、あくまでもこれは相手国があるわけでございますので、今後先方からの要請、そういうものと我が方の能力というものを突き合わせながら進めていくわけでございますけれども、七年後の九二年に八五年の実績約三十八億ドルの倍の七十六億ドルをめどとするということで、二年繰り上げて九〇年にこの目標を実現するということで今後努力していかなければならないわけでございますので、還流計画に基づくいろいろな措置というものがとられることは、そういう努力に対して積極的な役割を果たしていくというふうに考えております。
  72. 高沢寅男

    高沢委員 ちょうど十一時半になりましたから、これで一たん終わりまして、また、午後お願いいたします。どうもありがとうございました。
  73. 山口敏夫

    山口委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  74. 山口敏夫

    山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。高沢寅男君。
  75. 高沢寅男

    高沢委員 国際経済の中における農業問題ということでお尋ねをしたいわけですが、初めにこの問題から入りたいと思います。  先般、アメリカのリン農務長官が来日されて、加藤農水大臣とリン長官との米問題でお話し合いがあっている。そこで、相手側からは米に関して日本の市場を開放しろというふうな要求もあり、その問題で二国間協議をやろうじゃないか、こういう要求もあった。そういうことに対して、農水大臣の方ではそれはできないというふうに拒否をされて、しかし、それならばガットの場で多国間の協議、ニューラウンドの中で農業問題をやろうということに対しては、それはやりましょう、それは受けますというふうな姿になってきているわけであります。  農産物問題全体といいながら、特に米問題ですが、米の問題はこれからのそういう国際舞台の中でどういう発展をたどるか、その辺の見通しも含めて、今後の推移はどうなるかということをひとつまずお聞きをしたいと思います。
  76. 平林博

    ○平林説明員 お答え申し上げます。  米の問題を含めましてすべての農業問題についてこれからどうなるかということでございますが、今般のOECDの閣僚理事会でも農業問題が一つの大きな焦点になったわけでございます。日本といたしましては、米を含めまして二国間でのディールを行うということにはまだ慎重な面がございますが、ウルグアイ・ラウンドが始まりまして、参加する各国がそれぞれの農業問題、すべての農業問題あるいはその制度につきまして、このラウンドで討議をするという段階になりました場合には、日本といたしましてもあらゆる農業問題を討議することにならざるを得ない。その場合には、米の問題を含めまして討議自体は否定できないことになろうかと思います。  討議の結果、農業問題、米を含めましてどういうことになるかということについては、国際会議でございますし、また、そのときの日本の農政のあり方等もございますので、現段階ではこれということを申し上げることはなかなか困難かと存じます。
  77. 高沢寅男

    高沢委員 実は昨年の秋、欧州評議会の会議がありまして、これに日本からの代表団として自民党の江藤先生が団長で、私もその団の一員に参加しました。欧州評議会の会議はフランスのストラスブールで行われましたが、そこでその会議のやりとりを見ていても、EC諸国の間で、それからもちろんアメリカ、それからカナダとか豪州、ニュージーランド、そういう国々の間で非常に激しく農業問題の論議が行われておりました。そこで特に、豪州なりニュージーランドなり、ああいうふうな農産物を出す立場の国は非常に強くEC諸国などの農業保護政策を攻撃するというような場面がありましたが、今言われた多国間の協議の場で農業問題となれば、日本も専らそういう攻撃を受ける立場ということになるわけであります。今平林さんの御見解もありましたが、私としては、ここで一回農林水産省がこの問題をこれからの展望を含めてどういうふうに考えておられるか、それをひとつまたお聞きをしたいと思います。
  78. 入澤肇

    ○入澤説明員 私どもは現在、農政審議会の報告書が昨年出まして、それに基づきまして農政改革を進めているわけでございます。内外から米問題を含めまして農業に対していろいろな批判が出ておることは承知しておりますし、その中には十分に耳を傾けなくてはいけない問題も含まれております。  ただ、私どもは内圧、外圧があるから農業改革をするのじゃなくて、農業内部の中にいろいろな問題を含んでいる。例えば生産技術が非常に発展してきておりまして、それに対して我が国の生産構造が似合わない、合致しない。それから、最近の急速な円高に伴いまして内外の価格差が非常に出ている。さらに、国内的に言いますと、新しい過疎化現象が起きてきまして、農村の活性化も新しく十分に起こさなくてはいけないというふうないろいろな要請がございまして、農政の改革を進めようとしておるわけでございます。  その方向といたしましては、まず第一に、構造政策を徹底的に推進して規模を拡大する。国際的にも十分通用するような規模の農業を実現していくということ。さらに、価格政策も合理化していきまして、国民が納得する価格で国民に安定的に食料品を供給するような仕組みをつくっていく。さらに、新しい貿易秩序づくりのためにウルグアイ・ラウンドに積極的に参加いたしまして世界貿易秩序の新しいルールづくりに貢献する、こんな基本姿勢で臨みたいと考えておるわけでございます。米の問題もこの一環として十分に議論したいと思っておるわけでございます。
  79. 高沢寅男

    高沢委員 今のお話の中にもありましたが、外から要求される、それにこたえなければならぬ、こういう面と、日本農業自体のより合理的な、より効率的な農業体制をつくるという両面の立場があろうかと思いますが、そういうことが結局、例えば食糧管理制度の今のこの体制でいいのか、じゃこれをどう変えるのか等々の議論にも当然これは波及してくると思うわけであります。  その内部の問題は一応それとして、外からの圧力というふうなことについて、米の輸入を求められていることに対して、もう絶対にゼロ回答というような立場でこれに臨むのか、あるいはこの程度まではやむを得ないというある一つのめどを持って臨むのか。この辺は非常に重要なポイントじゃないかと思うのですが、ここでこの辺のめどというふうな何かの腹づもりがあれば、ひとつ聞かしておいていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  80. 入澤肇

    ○入澤説明員 再三、加藤農林大臣が答弁しておりますように、米については慎重に扱わなくてはいけない、ニューラウンドの場でアメリカもウエーバーの制度を活用しまして相当な輸入制限制度をとっておりますし、それからECも大変な課徴金制度を採用いたしまして、大幅に輸入制限をやっております。そういうふうなウエーバーの制度であるとかあるいは課徴金の制度と並んで我が国の米に関する貿易制度も同一なレベルで議論されるのであれば、一生懸命議論しましょうという立場でこれから臨んでいきたいと思っております。
  81. 高沢寅男

    高沢委員 今の立場はわかります。アメリカが何か言えば、あんただってやっているじゃないか、EC諸国が何か言えば、あんたもやっているじゃないか、これは言えると思いますね。ただ、そう言える中でも、その程度が日本が一番ひどいじゃないかというふうなことがまた出てくるわけでありまして、そうすると、おまえもやっているじゃないかということだけで果たして切り抜けていけるかというと、これはなかなかそうもいかぬという状況もあるように思いますが、その辺のところを、結局一つの落としどころというものをひとつ腹の中に持って臨まなければいかぬのじゃないか、こんな感じがいたしますが、無理かもしれませんが、その辺の腹づもりはどうかということをまたお聞きしたいと思います。
  82. 入澤肇

    ○入澤説明員 米を含めまして農産物の貿易問題、実はことしメジロ押しで外交交渉ございます。アメリカからは十二品目につきましてガットのパネルに提訴されておりまして、私も先般パネルに行きまして議論してきたのですけれども、この問題、それから秋口には牛肉、かんきつの日米交渉の問題、それから豪州との間に牛肉の問題、それからまたニューラウンドヘの準備の問題等ございまして、落とし口がどの程度かというのを今にわかに明確に申し上げることはなかなかできない問題でございますけれども、私どもやはり独立国でございますから、すべて外交案件相互主義の立場に立って物を言わなくちゃいけない。  それから、もう一つ申し上げますと、日本だけが非常に保護水準が高いというふうなことが言われるのですが、これはいろいろな数値からいたしまして、それから制度の中身からいたしまして、日本が他国に比べて特別に保護が高いという状況にはございません。これははっきり申し上げたいと思います。
  83. 高沢寅男

    高沢委員 今の、日本だけ特別に高いわけじゃない、非常にはっきりと確信を持って断言されましたが、その辺もうちょっと、こういうことだからそうじゃないんだという、我々が今度素人に説明できるような、そういう状況説明をお願いしたいと思います。
  84. 入澤肇

    ○入澤説明員 一つは、例えば輸入制限品目、今二十二品目私ども抱えておりますけれども、アメリカは戦後圧倒的な力を持って、まだガットの加盟国が四十五カ国ぐらい、今九十二カ国ぐらいあると思いますけれども、そのときにアメリカの圧倒的な力でガットのウェーバーの規定を活用いたしまして、合法的に制限を認められた品目を含めまして十九品目につきまして輸入制限をやっております。アメリカの制限品目というのはほとんど主要な農産物、我が国の二十二品目というのはどちらかというとマイナークロップでございまして、地方経済にとって必要不可欠な品目についてやっておるわけでございます。それから、ECは課徴金の対象品目としまして六十品目を対象にしている、そういう輸入制限の面がございます。  それから、予算の中身を見ましても、例えば直接生産刺激的になるといいますか、農家の懐に入るようなお金、価格支持に使われているお金、これを比較してみますと、日本の場合には食管の繰り入れ等を含めまして五千億円、アメリカの場合には昨年の平均レート百六十九円で計算いたしまして四兆四千億円、ECは三兆七千億円。さらに、これを農家一人当たりに対する予算額、あるいは農家一世帯当たりに対する予算額、あるいはGNPに占める割合とか、いろいろな角度からしまして日本は先進諸国の中で最低でございます。  ただしかし、確かに内外価格差が御承知のとおりございまして、百六十九円何がしのレートで計算しますと、例えば生産者米価をとりますと、日本の政府の買い入れ価格とアメリカの目標価格と比べますと、大体五・六倍ぐらい。それから、消費者価格の方は二倍ぐらいですね。先般リン農務長官がアメリカのスーパーマーケットで調べてきた結果を私どもいただきましたけれども、リン農務長官の数字を見ますと、消資者価格が二・三倍くらい。レーガン大統領はそれを十倍ぐらいというふうに表現したというふうに新聞報道にございますけれども、これは間違いでございまして、二・三倍ぐらいですね。そういう内外価格差がございますので、保護の水準そのものは、内外比較しますとそんなにひどいものじゃないと私ども思っておりますけれども、さらに一層合理化努力をして内外価格差を縮小していかなくちゃいけないというふうに考えているわけでございます。
  85. 高沢寅男

    高沢委員 私も、今そういう具体的な御説明を聞きまして、まことに初めて知った事実がたくさんあります。そういう意味においては、日本の新聞やその他の論調も非常にそういう格差があるんだ、日本は特別な農業保護をやっているんだというふうな立場でいろいろな論説を展開するというような面がありますので、やはりまず正確に、事実を前提にして論議がなければいかぬというような点では、今言われたようなそういう事実関係はさらに明らかにする、こういう努力はひとつ大いにやっていただきたい、こう思います。  それからあと、米の問題になりますけれども、昨年アメリカの全米精米業者協会がいわゆるアメリカの通商法三〇一条、これによって日本の米を提訴するという動きがあって、一たんはこれが却下にはなったわけですが、しかし、その後の状況によればまたやるぞというふうな動きが十分アメリカ側にはあるわけですね。この辺の見通しといいますか、どういうふうな展望を持っておられるのか、これもひとつお聞きしたいと思います。
  86. 重田勉

    ○重田説明員 昨年RMAが九月に三〇一条の提訴をいたしまして、十月にUSTRが却下したわけでございますが、その後につきましては、具体的にRMAがどういう動きをしているというようなことは我々存じ上げておりません。
  87. 高沢寅男

    高沢委員 存じ上げておりませんでいいんでしょうか。この問題は大変今の最大の焦点の問題であるとすれば、向こうの業界がどういう動きをしているか等々のことは、その気でキャッチされれば十分キャッチできると思うのですが、承知しておりませんということで済むのかどうか。もう一度何かお答えができますか。
  88. 重田勉

    ○重田説明員 我が国におきまして米は国民の主食でございまして、また農業の基幹的な作物であるわけでございます。また、水田稲作というもうちょっと広いところから見ますれば、食糧とか農業といった範疇にとどまりませんで、国土の保全とか自然環境の保全といった重要な役割も果たしているわけでございます。またさらに、我が国の伝統的な文化の形成にもかなりの効果を持ってきておるわけでございまして、そういう日本国民にとりまして重要な作物でございます米につきましては、従来から国内自給の方針を通してきたわけでございます。そういうことで、今後ガットその他対外的な交渉の場におきましては、国会でなされました米需給安定に関する決議等の趣旨を体しまして、国内産で自給する方針を堅持いたしまして対処していきたいというふうに考えております。
  89. 高沢寅男

    高沢委員 今の御答弁は全く私もそうだと思いますし、全く理解のできるあなたの御説明ですが、私がお聞きしたのは、そういう日本の米の重要性であるけれども、相手のアメリカではアメリカの米を買え、こう言ってきておる。特に、その一番の問題は、全米精米業者協会がそれを求めて、それをやらぬようならば通商法三〇一条でやるぞ、提訴するぞ、こう言っている動きが昨年あって、一たんは却下になった。だけれども、状況によればまたやるぞ、こういうことがあるわけで、その辺の動きをあなたはどうキャッチしていますかということを聞いているわけですよ。その動きをちょっとあなた説明してくださいよ。
  90. 重田勉

    ○重田説明員 RMAが提訴しました通商法三〇一条と申しますのは、これはアメリカの国内法でございます。したがいまして、提訴した内容というものはUSTRが日本の米輸入制度について調査をしろという要求になるわけでございます。そういう意味で申しますと、直接二国間の問題というところまでまだいっていない。要するにアメリカの国内の話でございまして、我々としましてはそういう問題につきましても常日ごろからできるだけ情報はとるということでやっておりますけれども、その後のRMAの動きということにつきましては確たるものを我々は聞いておりません。
  91. 平林博

    ○平林説明員 全米精米協会の再提訴の動きにつきましては、我々もそういうニュースに接したことが最近ございますが、これにつきましては、非常に重要な問題でございますので、アメリカの大使館を含めましてさらに情報収集に努めております。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、米を含めまして農業問題はウルグアイ・ラウンドでほかの国の問題と一緒に討議をするということになっておりますので、そういうアメリカの特定の団体が通商法三〇一条を盾にしていろいろなことをやるということは必ずしも現段階で望ましいものではないのではないかと思います。アメリカのUSTRもいろいろ考えてこの間却下したわけでございますが、今回そこをどう考えるか、実際にどういう動きがあるのかまだつまびらかにいたしておりませんが、我々といたしましては、情報の入手に努める傍ら、今申し上げましたような国際的な脈絡での農業問題の動向につきまして、アメリカ政府ともども、全米精米協会等の関係者に対してよく現地でも説明にこれ努めていきたい、こういうふうに考えております。
  92. 高沢寅男

    高沢委員 ちょっとくどいですけれども、その多国間のそういうニューラウンドでやりましょう、これは一応日本も言っておる、アメリカもそれでいこう、こういうことですが、しかし今の通商法三〇一条でまた提訴されて、今度それを通商代表部が受理するというようなことになれば、今度は嫌でも多国間じゃなくて二国間でやらなければいかぬという段階が来るわけですね。  そうなってくるときに、その提訴の動きはどうだろうか、それを通商代表部が受理する可能性はどうだろうか。昨年の却下のときだって、大体ヤイター代表はことしの七、八月まで見て日本側に誠意がなければまた三〇一条を取り上げるぞ、こう言っておるわけですから、そういう点においてその動きをそれこそ外務省なり農水省は触覚を働かせてキャッチする、そしてそれに対するあらかじめのこちらの対応をちゃんと用意しておくというようなことがなければいかぬのじゃないのか、こう思って実は聞いているわけですよ。  ところがちっともそれにかみ合うあなたの答えになっていないということでさっきから聞いておるわけですが、ひとつそれに答える御答弁をお願いしたいと思います。
  93. 入澤肇

    ○入澤説明員 実は私ども米だけではなくて、アメリカ国内のトウモロコシの業者、小麦の業者、落花生の業者、それぞれがお米の輸入に関連しましていろいろな動きがあるのも十分承知しております。アメリカ国内の動きも非常に複雑な様相がございまして、アメリカ国内の中でどういうふうに精米業者の要求をアメリカ国内政策として処理するかということも十分にウォッチングしていかなければいかぬというふうに考えておりまして、おっしゃるとおり、十分に情報を収集しながら誤りなきを期していきたいと思っております。
  94. 高沢寅男

    高沢委員 いろいろロビー活動等も当然展開するということがあるわけですから、その意味では、アメリカの議会におけるロビー活動だけではなくて、そういう業界関係の方も、これはこちらがその気になれば十分そういう情報をキャッチするということができるわけですから、ひとつ大いにその努力をやって誤りなき対応をしてもらいたい、こう思います。  それで、ここで次官に一つお尋ねしたいと思います。  これは今度は多少政治的なあれになりますが、昨年のタブル選挙の後で中曽根総理がこういうことを言われたわけですね。自民党はこれから党の軸足を農村からむしろ都市へ移すんだというふうなことを言われたわけです。あれを聞いた私の印象としては、なるほどこれは今のアメリカの米の輸入要求とか日本に対する農業の市場開放の要求とか、これをどんどん受けていく、そして日本の農業はそれによって大きな打撃を受けるというふうになっても、それはそれで結構だ、その分おれたちは今度は都市でとるんだというような意味で言われたのじゃないかと実は私は受け取ったわけですが、その辺は政務次官、政治家としてそういう状況判断をどんなふうにお持ちなのか、ひとつ聞かせていただきたいと思います。
  95. 浜野剛

    浜野政府委員 外務省政務次官としてはお答えにくいことでございます。ただ、政治家としてどうかと言われれば、お互いさま東京都出身でございますから、それなりの考え方でいきたいと思います。そういうところでひとつ御了解願います。
  96. 高沢寅男

    高沢委員 なるほど確かにお互い東京出身でございますから、これ以上深追いして今度は自分にはね返りが来てもいけませんな。  もう一つ次官、そういう国際関係からすれば日本が非常に農産物の市場開放を迫られておる、しかし一方、今の日本の食糧の自給度を見ればこれこそ三〇%というところまで落ちておるという状況の中で、食糧安全保障、この点からすれば日本の必要な食糧は基本的に日本の農業でちゃんと賄っていく、この体制が必要という、こういう両面の必要がありますね。この辺のバランスといいますか、その辺のところは次官、どういうふうにお考えでしょうか。
  97. 浜野剛

    浜野政府委員 お答えします。  農業の米のコスト、これは生産コストと消費コストがございます。ですから、その辺の形を具体的に踏まえながらこれからの輸入米価あるいは国内産米とのバランス、これはもう具体的でなければいかぬと思いますが、売り買いの形で農業の生産コストと我々都市の消費コスト、これは率直に意見交換しながらやっていきたい。外務省としても海外諸国との調整、それから農林省が言っておりますように、ことしは米価を下げたい、こういうようなバランスの上で鋭意検討して先生の御趣旨に沿うように外務省としても積極的にやっていきたい、そのように考えております。
  98. 高沢寅男

    高沢委員 私は、その点については、海外からのそういう農業の圧力に日本の農業が対抗できるという農業に日本農業自体の構造改善とか体質改善というものを進めて、それで光なり何なりの農産物のコストを下げて、それがまた消費者価格の下落にもつながるというような日本農業自体の体制をとりながら、しかし生産としてはそれによって日本の必要な食糧生産というものを十分確保できるというふうな体制にいくのがいいんじゃないのか、こんなふうに思っていますが、ひとつそういう方向で御努力を願いたい、こんなふうに思います。  では、農業関係はこの辺で結構です。  あと、午前中に多数国間投資保証機関の問題でお尋ねをしましたが、それとの関連で、最近日本でアジア開銀の総会が開かれました。この総会のときに何かソ連がアジア開銀に加入したいというような意向があった、こんなふうに伝えられるわけでありますが、この辺の実情はどうだったのか、まず御説明をお聞きしたいと思います。
  99. 英正道

    ○英政府委員 ソ連が、本年四月二十七日から二十九日にかけて大阪で開催されましたADB、アジア開発銀行の総会に初めてオブザーバーとして派遣してまいったわけでございます。しかしながら、アジア開発銀行への加盟意思表示は行っておりません。現時点においてソ連がアジア開発銀行に加盟の意向を有しているか否かは承知しておりません。将来仮にソ連から加盟申請があった場合には、関係各国の意向も踏まえて慎重に検討するということになろうと思います。
  100. 高沢寅男

    高沢委員 それとちょっと類似の問題ですけれども、ガットがありますね。そのガットへソ連、それから中国、こういう国はまだ入っておりませんね。それが加入する、こういう意向があるというふうに伝えられておりますが、このガットとの関係では、ソ連や中国の加入の意向というのはもう確認できているのかどうか、その辺はどうでしょうか。
  101. 平林博

    ○平林説明員 ガットとの関係でございますが、まず中国の方につきましては、一九八二年からオブザーバーとして既にガットで活躍しております。また、中国はさらに、昨年の六月、ガットに対しまして正式に締約国としての参加の要請を行っております。これを踏まえまして、本年の三月四日にガットの理事会におきまして、この中国の加盟問題を審議する作業部会の設置が決定されております。この作業部会は近く活動を開始するというふうに了解しておりますので、その活動の結果を待ちたい、こういうふうに考えております。  また、ソ連につきましては、一九八二年ごろからガットの加盟を前提としたオブザーバー参加の意向をちらちらと示してまいりましたが、いまだ正式の要請はガットに対して行っておりません。そういうことで、ソ連と中国ではガットに対するアプローチにおきましてかなりな違いが現在のところあるというのが現状でございます。
  102. 高沢寅男

    高沢委員 その点はわかりましたが、これは聞くところによりますと、ソ連が加入ということを正式にもし出してくる段階になれば、これに対するアメリカの対応が、ソ連のガット加入は余り好ましくないと、これに対しては消極的である、それから中国のガット加入については好意的である、こんなふうに聞いておりますが、アメリカの態度をそういうふうに見ていいのかどうか、この辺はどうでしょうか。
  103. 平林博

    ○平林説明員 先生の御理解、全く正しいというふうに私感じております。ソ連は先ほどのような状況でございますが、米国は、もしソ連がガットへの正式の加入を申請した場合にはどうなるかという態度それ自体はまだ示しておりませんが、一つのこの態度を示唆するものといたしまして、昨年八月のウルグアイ・ラウンドヘの参加の希望の表明がございまして、このときにアメリカは、ソ連の貿易体制はまだガットの基本原則に合致していないのじゃないか、したがってソ連のウルグアイ・ラウンドヘの参加はガット体制の利益にはならない、こういう見解からこれに消極的な姿勢を示した経緯がございます。
  104. 高沢寅男

    高沢委員 そこで、今アメリカの態度をお聞きしましたが、いよいよそういう加盟ということが現実になってきたときに、当然今度は我が国は加盟に賛成する方向でいくのか、加盟を好ましくないというふうな方向でいくのかというようなことになってくるわけですが、この点では我が国の態度はどうか。  私は、ガットという世界的な、普遍的な、全グローバルなそういう貿易発展させる機構という性格からすれば、相手が入らないというのはこれは別ですけれども、相手がそこに加入しようというふうに来る場合には、そういう体制の違う国であってもこれをガットへ加入させて、その場で全世界の貿易発展させるというふうな行き方をとるのがいいのじゃないのか、こんなふうに思いますが、日本の態度というのはどうでしょうか。
  105. 平林博

    ○平林説明員 先生御承知のように、我が国といたしましては、ガットの問題につきましては、ガットの自由貿易の原則になじむような経済制度を整備する、あるいはそういうことを守るという意思のはっきりした国であれば、できるだけガットに参加してもらった方がいいのではないか、こういうふうに考えておりますが、ソ連がそういうようにガットの原則と合致するような経済体制、貿易体制等になっているかどうかということにつきましては、日本としてもまだ十分に検討する必要があるという考えを持っております。いずれにしましても、ソ連はまだガットへの加入の要請を行っておりませんので、そこまでの検討を深くは行っておりませんが、要請があった場合には、今のような考え方に基づきましてこれを処理していきたい、こういうふうに考えております。  また、中国につきましては既にオブザーバーとしてガットで活動しておりますし、また経済面での開放政策も進め、経済諸制度の整備に努めているということもございますので、中国がガットに加入してさらに自国の開放体制を進めるとともに、ガットの自由貿易の基盤を拡大してもらうことは望ましいことだということでございまして、この作業部会におきましてはそういうような方針で臨むということでございます。
  106. 高沢寅男

    高沢委員 中国の関係、今のあれでわかりましたが、今ガットに加盟している国の中で、東ヨーロッパに幾つかのいわゆる社会主義の国がありますね、そういう国々で加盟しているものがあると思うのですが、そういう国の場合には、これもとにかく社会主義国であるわけですが、それがガットの自由貿易の原則に合致するというふうな面において、どういうところがそういうものとして認められているのか。どういう、そのためのその国の貿易経済政策の仕組みがなされているのか、この辺をひとつ説明してください。
  107. 平林博

    ○平林説明員 いわゆるソ連、東欧諸国、さらにはキューバも含めまして、社会主義諸国でございますが、キューバとチェコスロバキアは原加盟国、原締約国でございます。ユーゴ、ポーランド、ルーマニア、ハンガリー、こういうような国が今ガットの加盟国になっておりますが、加盟のその都度、ガット締約国の方で、そのそれぞれの国の経済体制あるいは貿易体制、対外経済政策等いろいろ勘案いたしまして、これで適格だということで加盟を認めた経緯があるわけでございます。個々の国につきまして、こういう制度あるいは政策等にいろいろな違いはあろうかと思いますが、ガットの体制にかかわる基本原則については、これは大丈夫だという判断が当時の加盟国で下されたものでございまして、そういう意味では、ソ連、中国につきましても同じような観点から、これからそういう事態が起こった場合には、中国はもう既に起こっておりますが、締約国団の間で検討が行われるということであろうかと思います。
  108. 高沢寅男

    高沢委員 もう一つ、これに類似の国際的なそういう一つの経済機関としてIMFがありますね、国際通貨基金。じゃ、これにソ連なり中国なり、あるいは東欧の諸国、こういうような国々の加盟問題というのは一体現実に問題になっているのか、なる可能性があるのか、もしそういうものの加盟ということが出てきたら一体どういう扱いになるのか、その辺はどうでしょうか。
  109. 岩崎文哉

    ○岩崎説明員 お答えいたします。  IMFはブレトンウッズ体制という体制の中の一つの機関でありますけれども、既に中国は加盟しておりまして、理事を派遣しております。ソ連は入っておりません。それから、一部の東欧諸国も加盟しております。
  110. 高沢寅男

    高沢委員 そうすると、岩崎さん、そこで先ほど来ガットでいろいろお聞きしましたが、仮にこのIMFペソ連が入りたいというような状況になってきたときに、その加入を可能にするための前提はこういうことが必要、こういうことがあれば加入はよろしい、こういうことがなければだめ、何かそういうふうな物差しが一体どういうものがあるのか、参考のためにひとつお聞きしたいと思います。
  111. 岩崎文哉

    ○岩崎説明員 IMFあるいは世界銀行というものは金融的な行動を行う機関でございますから、その国の政治体制その他では特に差別をしないというのが原財でございます。  手続といたしましては、総務会、理事会の決議によって加盟が決まる。その中では、過半数あるいは場合によりましては加重の多数決による加盟ということになりますので、現在のメンバーの合意が必要であるというのが条件でございます。
  112. 高沢寅男

    高沢委員 現在のメンバーの合意が必要ということはよくわかります。それじゃ、逆に、今中国が既に入っているわけですね。その場合に、中国はIMFへ入ったことのメリットとして、中国の通貨元と例えば引き出し権、SDRとの関係とか中国の元とドルとの関係とか等々でこういう為替関係ができるようになっているとかいうような、つまり、中国が入った結果としてのメリットといいますか、その結果こういうことができるようになっているということがあれば、どういうことか教えてもらいたいと思います。
  113. 岩崎文哉

    ○岩崎説明員 IMFに加盟いたしますと、その加盟に伴います権利と義務を負うことになります。  権利といたしましては、借り入れの権限、出資、これはIMFの場合はその一部、自分の国力に応じた借り入れ権限というものを持つわけでございますけれども、その範囲内で国際収支上困難が生じた際に利用できるという権利が生じます。また、義務といたしましては、IMFのコンサルテーション、これは国際収支、対外経済に関する協議でございますが、そういう調査団を受け入れて政策の問題について協議するという義務を負うわけでございます。したがいまして、中国はIMFからの調査団を受け入れ、年に数回そのコンサルテーションをしておる。また、その協議の結果は理事会において報告され、加盟国の審議を受けるというようなことになっております。  また、中国の通貨と自由圏の通貨との関係がどうなったかということでございますが、これはIMFの加盟に伴います一定の要件がございます。例えば為替管理を全く自由にする八条国、我が国もこういうことでございますが、あるいは一定の為替制限を認められております十四条国というのがございます。中国はまだ十四条国、為替制限を留保する国の中に属しておると思いますが、その範囲内でその他の通貨に対する自国通貨の価値を維持するということは自国の権限として、主権の一部として持っておるということでございますから、そのときそのときの元の価値というものを対外的に対ドルあるいは他の対円その他の通貨によって決めるということは中国の自主権の範囲でやっておるということでございます。
  114. 高沢寅男

    高沢委員 随分勉強になりました。  今のお話からすれば、先ほどのソ連に戻りますが、いわゆる社会主義圏の中の貿易はルーブルでやるというようなことが多いわけですね。しかし、そのルーブルは、対ドルとか等々の通貨の連続性というかというような面において非常にハードカレンシーでないわけですね。だから、仮にソ連がIMFに入って、ルーブルという通貨と世界各国の通貨との間における流動性がもっと自由に持てるというような状況が出てくれば国際貿易には非常に大きなプラスになるだろうということは、今あなたのお話を聞きながら私も感じましたが、これは私の所見として申し上げておきます。  それから、今は投資関係でお尋ねしたわけですが、貿易関係に戻りますが、最近の国際貿易関係という問題が、先進国間の貿易の摩擦とか不均衡というようなことが非常に大きな問題になっています。現に日米もそうであるし、日本とECもそうであるということであるわけですが、そういうことの陰に隠れて、発展途上国と先進国の間の貿易という問題が何となくまた影がずっと薄れているという感じがいたしますが、これは国際貿易の中における大きな要素じゃないかと思います。  そういう見地から見たときに、ことしの七月に、今度またUNCTADの第七回の会議がありますね。このUNCTADのことしの会議で予想される問題点はどうなのか、それから我が国はそれにどういう方針で臨むのか、この辺のところはいかがでしょうか。
  115. 平林博

    ○平林説明員 先生おっしゃいますとおり、ことしの七月の九日から三十一日までジュネーヴで第七回のUNCTAD総会が開かれることになっておりまして、四年に一回の大きな国際的な会議でございます。  外務省といたしましては、たまたま今、日米、日欧等の関係で非常な貿易不均衡、貿易摩擦が厳しくなっておりますので、どうしてもそういうところに精力がとられますが、開発途上国との関係が非常に大事だという先生のお説につきましては肝に銘じてございますので、そういう諸国との貿易関係あるいは経済関係が同時に進捗するようにということで考えております。したがいまして、今度のUNCTADは大変重要なそのための機会だというふうに認識しております。  議題というかテーマ、一般的でございますが、貿易問題あるいは開発途上国の債務累積問題、あるいは一次産品の問題、海運問題等々いろいろございます。したがいまして、まだ一月少々ございまして、どれがどの程度の比重でということはなかなか申し上げられないと思いますが、まことに今、開発途上国も債務の問題あるいは一次産品の価格の低迷の問題等で苦しんでおりますので、こういう問題につきまして先進国を交えまして真剣に検討がなされると思います。日本もアジアでの唯一の工業国でございますし、国際的な責務をよく自覚してこの会議に臨みたい、こういうふうに考えております。
  116. 高沢寅男

    高沢委員 先進国と途上国の貿易、これは日本もそうですけれども、その貿易ではどうしても途上国から先進国が買うものは第一次産業のそういう関係のものを買うことが多いわけですね。そしてこちらからは工業製品が出ていくというふうな貿易の形になるわけですが、そこのところを考えてみると、日本は農業関係のそういうものを買うにも、実は同じ先進国であるアメリカから買うものが非常に大きいわけですね、小麦にせよ何にせよ。その他の発展途上国から買う農水産物等々のものは、したがって日本が買うものは余り大きくない。しかし、それに対してこちらからは非常に工業製品が出るということになれば、どうしても貿易はアンバランスにならざるを得ない。  だから、そこを解決するにはそういう途上国から、工業の発達としてはまだ十分じゃない、NICSのような相当程度になった相手もありますけれども、それは別として、もっとおくれた途上国は、工業水準がまだ低いという国との貿易の中で、そこでつくっている工業製品は、それは質的その他の点において十分な品物でないかもしれないけれども、そういうものも日本が買う、先進国が買うというふうな立場がないと貿易の不均衡はなかなか是正できないのじゃないか、こんなふうな感じがするのですが、どうでしょうか。
  117. 平林博

    ○平林説明員 先生のお説のとおりだと思います。日本といたしましても、ほかの諸国と一緒になりまして開発途上国の工業の発展あるいは輸出の振興にどういうことがいいのだろうかということを直剣に考えるべきだと思いますが、この四月からまた特恵制度を一段と開発途上国に有利になるように、また改正もこの国会で御承認いただいておるところでございます。  また、最近は円高の関係もございまして、ある程度環境の整ったところには日本の企業もどんどんと進出しているようでございますし、タイ等からの農産物、例の有名な鶏肉も含めましてかなり輸入がふえているというふうに了解しております。  まだ、いろいろと開発途上国の努力を妨げるような国際的な要素も多いものですから、これにつきましては日本としてはもとよりでございますが、他の諸国と一緒になりまして解決にできるだけ貢献してまいりたい。UNCTADはそういうための非常に重要な機会ではないかと考えております。
  118. 高沢寅男

    高沢委員 開発輸入という言葉がありますね。日本が途上国へ行ってそこで例えばトウモロコシの栽培等々の協力をして、できたトウモロコシはまた日本が買いますというようなやり方です。これは農産物の例ですけれども、そういうことを例えば工業製品でも、途上国へ日本が行って工業の技術協力をやって、そこでできてくる工業製品をまた日本が買うというようなやり方で、これは一種の呼び水でしょうけれども、そういうやり方で途上国が工業製品を輸出する一つの道を開いて、そこからだんだん自分の力でそれができるように進めていく、こういう考え方が私は非常に必要じゃないかと思うのですが、この点どうでしょう。もう一度見解を聞かせてください。
  119. 英正道

    ○英政府委員 一次産品の輸入の場合には、確かにそういう製品そのものについての一様性というものがむしろございまして、トウモロコシであれば、タイのトウモロコシでもアメリカのトウモロコシでも、価格さえ合えば日本は買える、そういうことで一次産品の開発を行って輸入するということは五十年代の終わりから六十年代ずっと行われて、かなりの進展を見たわけです。一方では一次産品の価格が下がってきてしまっている。交易条件が非常に悪化していることと、先進国において石油ショック以来かなり資源の節約が行われてしまって代替品が出てきている。そこで一次産品に対する需要がかなり低下してしまっているということがあるわけで、一次産品の開発輸入というものは一つの転換期が来ているのじゃないか。  むしろ工業製品の輸入、中間財とか消費財なんですけれども、そういう問題はやはり日本側の購買者が果たしてそういうものを買ってくれるかというのが基本にあるわけでございますから、先ほどのお話で少しぐらい質が悪くても買ったらいいじゃないかというふうになってくればいいんだろうと思うのですけれども、私も外国で暮らしていますと、外国の消費者は質が悪くても製品が安ければ買いましょうというのは日本の消費者よりもむしろ非常に経済的に割り切っているんじゃないかと思うのですが、日本の場合にはやはり質もよくなければいかぬということの選好が強いような気がするのでございます。そうなりますと、そういう中で競争していくためにはかなり先方での輸出努力とか製品の改良とかをしていかなければいけない。政府がそういうところにどこまで入っていけるか。  農産物の場合でございますと、先方の農業開発機関に専門家を派遣するとか、例えば農事試験場に品種改良の専門家を派遣するとかということでの協力ができるわけですが、工業製品の場合には、これはほとんどの国で民間セクターの分野であるわけでございます。そこの製品が日本に流れるために政府に何ができるかというのは実は大変な問題でございまして、日本としてはこういう円高の状況も踏まえて、やはり国を挙げて取り組んでいかなければならない問題ではないか。基本的にお金を貸しても返せなくなってしまってはしようがないので、やはり援助も大事ですけれども、先方が通常の輸出を通じて外貨を獲得することが好ましいわけですから、そういうことを可能にするために工業の振興にいろんな形で努力しなければいけない。例えばセミナーを開いて品質改善のための努力をするとか、最近マネジメントを含めてそういう技術的な専門家を補助金をつけて海外に行っていただくとか、いろいろな知恵を出しております。  それから、立地条件を改善するために整地をし、いわゆる工業団地のようなものもかなり努力が行われているわけですが、しかし、ただ立地条件を改善すれば出ていくというわけではない。やはり企業が出ていく、また先方の企業が育つというためには、その製品が日本で買えるかというのが先決になってしまうので、政府の努力は一次産品の場合よりも制約は大きいというような感じはしております。  しかし、一つの大きな流れは、実はけさ総理の諮問機関の対外経済協力審議会の答申が出ておりますが、その中でもやはり、援助貿易投資というものが三位一体となって途上国との間に調和のとれた発展、経済の関係をつくるようにしなければいかぬということがうたわれておりますので、今後これは政府においても、また関係反間企業においても相当心して検討して、前向きに取り組んでいかなきゃいけない問題じゃないかと存じております。
  120. 高沢寅男

    高沢委員 非常によくわかる御説明です。  ただ、今問題になっている発展途上国のいわゆる累積債務問題ですね、これはこれなりのいろいろな解決の仕方があるでしょうが、根本的には今言われたような、その国の一生懸命につくったものが貿易のルートでちゃんと輸出できる、先進国が買えるような状況をつくることが一番大事じゃないのか、こんなふうに考えますので、大いに御努力をお願いしたいと思います。  それでは、また次の問題に移りまして、ペルシャ湾で最近我が国の船が攻撃を受けて非常な被害が出た、このことに関連してお尋ねいたしたいと思います。  状況はもう御承知のとおりですね。日本籍のタンカーの秀都丸という船がペルシャ湾を航行していた。そして、イランの船と思われる船からミサイルの攻撃を受けた、あるいは機銃掃射を受けたというふうなことであったわけです。最近そういう事件がたびたびありますので、この船の場合は乗組員の人たちが非常に警戒して、大体イランが撃ってくるときはペルシャ湾を奥へ進航しているときは右舷から撃ってくるということで、乗組員の人はみんな左舷の寝室にいて、そして進航していた。そうしたら撃たれた。したがって、右舷の部屋にいれば死傷者が出たかもしれないけれども、左舷の部屋にいたから幸い人命の損傷はなかった。しかし船はやられた。こういう事件があったわけです。  この事件を考えてみると、公海上を走っていてやられた。しかも日本船籍の船である。これは考えようによれば日本の領土が攻撃をされたことにも匹敵する問題になるのじゃないか、こんなふうに思いますが、まずこの事件の認識をどんなふうに見ておられるか、お尋ねしたいと思います。
  121. 恩田宗

    ○恩田政府委員 先生御指摘のとおり、先般の秀都丸の被弾は、ペルシャ湾内において白昼、日本の船であるということがわかる状況において攻撃を受けたわけでございまして、極めて遺憾なことであると私ども考えております。外務省は、事件発生直後にこの船がバーレーンに立ち寄りましたので、直ちに大使館員に連絡をとらせまして、その後、この報告を受けた外務省、私から、直ちにイラン、イラク両国政府に対して、ここの大使を通じまして遺憾の意と問題の究明、それから日本政府及び日本の強い関心というものを伝えておきました。またイラン、イラクにおきましても我が方の大使を通じて、極めて重大な事件であると私どもが認識している、こういうことにつきまして申し入れを行ってございます。
  122. 高沢寅男

    高沢委員 いろいろな状況証拠から見て、その撃った船はもうイランの船であった、そう断定して間違いない状況じゃないかと思うのですが、では、外務省としてはイランに対してそういう認識のもとに抗議をする等々のことはなさったわけですか。いかがでしょうか。
  123. 恩田宗

    ○恩田政府委員 御指摘のとおり、攻撃を受けた場所及び攻撃をした船舶の形、それからまた新聞等でイランの船舶であったであろうという推測、こういう状況でございますので、そのような状況であるということの前提のもとでイラン政府に対しては私どもの強い関心と懸念を申し入れでございます。
  124. 高沢寅男

    高沢委員 恩田局長、それに対して、今度はイラン政府の対応、答えはどうであったか、これをひとつ聞かせてください。
  125. 恩田宗

    ○恩田政府委員 私どもの申し入れは数回にわたっておりますが、全体として日本とイランとの間におけるこの問題のやりとりは過程である、まだ依然としてそのやりとりの過程であるということでございますので、具体的に私どもの申し入れの内容、それから先方の答えぶりについてはここで申し上げることは差し控えたいのでございますが、イラン側は我が国の船舶が被弾したということは遺憾である、それからイラン国の船がかかる攻撃を行ったということは認めていない口ぶりでございました。また、湾内の安全航行の確保についてはイランとして強い関心を有している、かような回答でございました。
  126. 高沢寅男

    高沢委員 そのイランの言う湾内の安全航行の確保には強い関心を持っておるというこの言葉の意味はどういう意味なのか。つまり、安全航行を脅かされているのはイランの船じゃないわけですね。日本の船を含めて各国の船が脅かされているわけですね。その安全航行に強い関心を持っているという意味は、安全を守るための立場で言っているのか、その安全を、相手によっては撃つぞという立場で言っているのか、その辺のイラン側の言う言葉の意味は、局長はどういうふうに受け取っておられるのですか。
  127. 恩田宗

    ○恩田政府委員 イラン側の言葉でございますので、私がここで特にいろいろな解釈をするべきではないと考えますが、もともとペルシャ湾における航行の問題は紛争が発生いたしましてからもう七年目に入るわけでございますから、航行の安全の問題は以前から問題になっていたことでございます。イラン、イラクあるいは関係諸国及び国連安全保障理事国、この問題についてはいろいろな議論をやってきておりまして、そういう意味での過去からの経緯を踏まえまして、イランがこの問題に関心を持っている、こういうことは間違いないことでございますので、私の推測といたしましてはそれ以上のことをここで申し上げない方がよろしいかと、かように考えております。
  128. 高沢寅男

    高沢委員 局長からそこまで言われますと、それ以上なかなか聞きにくい問題ですが、ただ現実はあのペルシャ湾をめぐるイラン、イラクの戦争状態の状況など、あるいはイランはそういう攻撃のできる能力を非常に持ってきておるというふうな状況から見れば、これからそういうまたやられた、また撃たれたというふうなことが起きてくる可能性は非常に大きいし、またその危険性は非常に切迫している、こう私は思うわけですが、そのことに対して、では、どうやって防いだらいいのだ、それにはどうしたらいいのだということについてひとつ決め手になる、これがあるぞということを外務省は一体どういうふうにお考えか、これをひとつお尋ねしたいと思うのです。
  129. 恩田宗

    ○恩田政府委員 これは紛争地域でございますので、まず紛争当事国に対する自制と十分なる注意の喚起というのがまず一つの手段であろうかと思いますし、これは私どももかねてからあらゆる機会をとらえてやってきていることでございます。  それから、これは国際的な問題でございまして、日本国籍の船舶が被弾したのは二隻目でございますが、二百数十隻の船が既にやられているわけでございまして、これは日本のみならず世界の問題でございます。したがいまして、このような問題はまさに国際連合において国際的な問題として散り扱われるべきだ、さしあたりは安全保障理事会を中心とする関係国の協議、協力によってこの問題の解決の方途を探っていきたい、かように考えております。
  130. 高沢寅男

    高沢委員 私も、確かにそういう非常に国際的な広がりを持った事件ですから、したがって国連の問題に当然なるべきであるし、またすべきである。するとすれば、国連の機関としては安保理事会ということになろうかと思うのですが、そこに日本政府として、安保理事会に対してこういう対策をとるべきだという何か一つの提案が必要になるのじゃないのか、こんなふうに思うのですが、その辺のところは外務省としてはどういうお考えを持っておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  131. 恩田宗

    ○恩田政府委員 先ほども申し上げましたように、この紛争は既に七年目に入っておりまして、その間においてこの紛争から起こるさまざまな問題に関する決議あるいは議長の声明あるいは国連総会等におけるところの各国代表の演説等がございます。  昨年も倉成外務大臣から、総会の場において日本の関心の強さ、それから問題意識というものを訴えていただきました。決議についても、既に昨年の二月に日本も参加しまして採択されました安保理決議においても、中立国政府の船が攻撃されているという事態については大変遺憾である等々の内容の決議を採択しております。今後ともこのような形での努力というものを続けていくことを考えておるわけでございます。
  132. 高沢寅男

    高沢委員 どうもちょっとぐっとまだ胸に落ちないのですが、決議はされたというふうなことだけれども、現実の事態は依然としてそういう攻撃が次々に出てくるという、この攻撃のことについて、では、もう一つ。  これはイラン、イラクが戦争していますが、イラクがやったというふうに考えられるそういう攻撃のケースがあったのかどうか、この辺はどうでしょうか。
  133. 恩田宗

    ○恩田政府委員 昭和五十九年一月一日から本年の五月十三日までの間におきましてペルシャ湾内において被弾した船の数は推定二百三十八隻ございます。その中にはイラクの攻撃と思われたものもイランの攻撃と思われたものもそれぞれ入っております。
  134. 高沢寅男

    高沢委員 そういう状況のもとで国連で決議もしてきておる等とのことですが、しかし、それでも事態は変わらないとすると、じゃ国連という場でもう一歩実効のある方法ということにもし踏み込むとすればどういう方法があり得るのか、これはどうでしょうか。そういう攻撃行為をやめさせるための、国連としてもう一歩効き目のある方法をとるとすれば一体どういう方法があるか。いかがでしょうか。
  135. 恩田宗

    ○恩田政府委員 国連手続の専門的な研究をしてございませんが、通常の場合で申し上げますと、当事国に対するアピールでございます。それが決議としているわけでございます。それから先は、アピールが効かなかった場合にどういう行動をとるかということはあらゆる系統のことが考えられると思いますが、今ここでどういうことをとるだろうかということを想定するのはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  136. 高沢寅男

    高沢委員 そうすると、それじゃ我が国としてこれに対する対応として、イランとイラクがやっているのですから、その意味では、イランヘもイラクヘも、要するに日本が非常に重みを持つ特使を派遣して、そしてこのペルシャ湾における航行の安全をひとつ確保してもらいたい、攻撃行為ということが起きているけれども、ああいうことはないようにしてほしいという交渉を、イランに対しあるいはイラクに対して重みを持つ特使を派遣して行うというふうなことはいかがでしょうか。
  137. 恩田宗

    ○恩田政府委員 まず、先ほど先生のお取り上げになった問題は船舶の被弾という問題でございますが、これは大きなイラン・イラク紛争の中で起こる問題として考えていくべきではないか。紛争の中において船舶の被弾の問題だけを取り上げた行動をとるのか、あるいはそもそも問題の起こる、発生の根にある紛争自体の平和的解決を、こういう方向もあり得るわけでございまして、現在国連あるいは私どもが努力していますのは、個々の事件に対する遺憾の意と注意喚起等々を関係諸国に訴えるとともに、やはり紛争の解決全体に向かっての努力をやっていく必要があるのではないか、かように考えるわけでございます。  したがいまして、このたまたま今回起こりました秀都丸の被弾事件につきましては、既に高いレベルにおいて先方に申し入れ済みであり、先方との対話がまだ続いているという状況でございますので、現在のところ、この問題に限った形での特使というか使節の派遣ということは、まだ私どもでは考えておりません。しかし、既に国連においても、また長い間日本政府としても紛争自体の解決に対しての努力というのはやってきておりますので、その一環としての解決のために今後ともあらゆる場でぜひ努力していきたい、かように考えております。
  138. 高沢寅男

    高沢委員 そういう非常に困難な状況の中でいろいろな努力をされていることはわかりました。ただ、現状で見ると、こういう状態が続く限りはまたそういう事件が起きるんじゃないかという心配が、これはもうどうしてもあるわけです。  そういたしますと、日本の船舶がペルシャ湾へ行く、その乗組員の人たちの組合は全日本海員組合という組合があります。その組合の方でも、こういう危険が次々に起きるようではもうペルシャ湾へ行く船には乗船できぬじゃないか、船には乗れないぞというふうな話も出ておるように聞いております。それが本当に、もうペルシャ湾へ行く船には乗らない、こういう決定がもし下れば、日本の船はペルシャ湾へは行けない。そうすると、向こうからとにかく石油を持ってくることはできないというふうな事態もこれは起きかねないわけですね。そうなればそうなったで、これまた大変重大な結果をもたらすということにもなるわけですが、その辺のところの危険性、可能性を外務省当局としてはどういうふうに掌握されているのか、いかがでしょうか。
  139. 恩田宗

    ○恩田政府委員 まず今後の危険の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、この時点においては、イラン政府の当局者は、それがイランの政府の船が攻撃したということは認めてないわけでございます。もちろん今後の事態発展いかんでございますが、私どもとしては、ぜひこのような事件が再発されないように期待しているわけでございます。  先生御指摘のとおり、原油の輸入の五五%を湾岸地域に依存しているわけでございまして、これが日本にとって極めて重大な事態である、こういうような認識は私どもも持っているわけでございます。先ほど申し上げましたように、この問題のもとになっている紛争の解決という形を通じてぜひこのような事件が再び起こることのないような方向になるように、私どもとしても国際的な協力を通じて努力してまいりたい、かように考えております。
  140. 高沢寅男

    高沢委員 恩田局長から随分答えにくい問題に答えていただいているわけですが、運輸省おいでですね。今のこういう状況について運輸省としてはどういうふうにお考えか。私は、今度の事件について、近いうちにまた仮にやられるというふうな事件が起きれば、さっき言ったように、本当に海員組合では、じゃ、もうそちらへ行く船には乗りませんというようなことも出てくるおそれもあると思いますが、その辺のところの運輸省としての状況の認識とかあるいはまた対応をこの際運輸省からもお聞きしておきたいと思います。
  141. 野崎敦夫

    ○野崎説明員 お答えいたします。  先ほど来外務省局長さんの方からお話がございましたとおり、私ども非常に大きな衝撃を受けております。五十九年以来の二百数十隻に上ります船舶攻撃を受けた中に、少なくとも昨年までは日本船はなかったわけでございます。ことしの一月に日本のタンカーが攻撃を受けましたが、これは夜間だったということで、タンカーの横に大きな日の丸をつけておりますけれども、それが見えなかったかというエクスキューズもあり得たかと思います。今回は御承知のとおり、白昼、しかも数十メートルの至近距離からの攻撃ということで、私ども非常な衝撃を受けておりますし、また遺憾なことだと思っておるわけです。  そういうこともございまして、すぐに私どもは外務省にもお願いいたしまして、先ほど来お話しのようなアクションをとっていただいておるわけでございますけれども、それと同時に、さらに私どもといたしましては、海運労使ともどもよく連絡体制を密にいたしまして、従来から運輸省の私どもの方で幹事役を務めまして、海運労使、それからまたもちろん私ども官庁側も入りまして実務クラスによる連絡会をずっと設けてきておりますが、その辺をさらに綿密にしてやろうかということでございまして、現在二隻まだ日本の大きなタンカーが湾内におりますが、これを行き先を変更したりしまして、もうそろそろホルムズ海峡を近々出て日本に帰るというような対応も講じておりますし、また、もう一隻が本来の予定ならば入ろうということでペルシャ湾に向かっているのでございますけれども、それも、そういった全体の動きを見ながら湾内あるいは奥の方に行くことを変えるというようなことで、石油の引き取り先でございます荷主との相談を綿密にして状況に十分対処できるような、何といいますか、ある意味では自衛措置でございますけれども、そういった体制を私どもの方で指導してやっていきたいと思っておりますが、何分国際情勢微妙なものでございますから、基本的にはいろいろな形で外務省にお願いして、先ほど来お話がありましたようなことを基本的にやっていただくということかと思います。私どもは私どもなりに船会社あるいは労使ともども連絡体制をよくいたしまして、極力被害の再発の防止に努力してまいりたいと思っている次第でございます。
  142. 高沢寅男

    高沢委員 今の運輸省のお話では、そういうペルシャ湾に向かっている船に行き先を変更させる等の措置もとられたということですが、そうすると、ペルシャ湾の危険性の状況判断によっては、もうペルシャ湾に日本の船が行くことを当分やめなさいということも考え得るわけですね。  そうなったときに、さっき言った石油の引き取りができなくなるという場合の、日本のエネルギー問題として起きる問題と、それから今度は相手のイランが、その意味においては彼らも石油が売れなければ困るわけですね、イランの経済としては。というようなことで、こちらはイランの石油の引き取りができないというようなことになったとき、今度はイランに対してあるいはイラクに対して及ぼす打撃といいますか、向こうの痛さというふうなことですね、そういうふうなことは一体どういう相互の関係になるのか、運輸省はどういう判断をされますか。
  143. 野崎敦夫

    ○野崎説明員 お答えいたします。  いろいろ難しい想定も入りますが、今ペルシャ湾で一番油を買っておりますのがアラブ首長国連邦、これが昨年暦年の数字では大体四割ぐらい、それからあとサウジアラビア、割合南の方から買っておりますので、そういった意味では、クウェートあるいはイラクの方の奥まで行くというのは量としてはそれほど多くないかと思っております。  それから、御承知のようにイランからも実は買っておりまして、これが昨年十二カ月では大体一二%ぐらいかと思っております。これは湾の入り口の近くで引き取るわけでございますが、そういったことで、それからもう一方の当事国でありますイラクからは、湾内から直接買わずに、紅海側あるいは地中海側へパイブラインを回しまして向こうから買っております。これはこれでそれなりに入ってくるというようなこともございまして、現状そういったことが、今後の紛争当事国の事態の進展に応じてどう変わっていくのか、私ども推測するのはなかなか難しい段階ではございますけれども、現状そういうことになっておりますので、まだ、何と申しますかいろいろな意味でもう少し様子を見て、しかし、柔軟に対応できる方法を考えていきたいと思っております。
  144. 高沢寅男

    高沢委員 今のあれに関連しまして、日本の船が行かなくなって、そして今度はイランの石油が買えなくなった、日本は石油は買いません、こうなったときに、そのことがイランに対して与える一種の経済制裁的な効力はどの程度の効力があるのか、この辺はどうでしょうか。
  145. 野崎敦夫

    ○野崎説明員 お答えいたします。  イランが日本に対してどのくらい油を売っておるか、手元にすぐ数字がございませんが、日本で買います量の一二%でございますから、かなりの量に上ることと思います。それなりの経済的効果はないわけではないというふうに考えられます。
  146. 高沢寅男

    高沢委員 大変難しい問題で、この一発で効き目があるというふうな、なかなかそういう対策の難しい状況の中で、いろいろ今お聞きしましたが、いずれにせよ、外務省当局あるいは運輸省当局で安全のための最大限の努力をお願いをしたいということを申し上げて、あともう一つ、次の問題へ移りたいと思います。  これはやはり運輸省の関係になりますが、アメリカのUSラインズという船会社が日本に支社を持っていた、そこで約百五名の日本人の従業員がいた、ところが、USラインズが非常に経営が難しくなって、そして太平洋の航路から撤退する、船も売ってしまうというようなことになって、そして結局、日本支社を閉鎖してアメリカのUSラインズの責任者は本国へ帰ってしまったというような事件が起きたわけですね。  このUSラインズの経営者側と働いていた日本人の従業員の間にはちゃんと労働協約が結ばれていて、退職金の規定であるとかあるいは解雇する場合には解雇予告手当であるとか等々の規定があった。これは要するに日本の労働法のそういう規定に基づくものが結ばれていたわけですが、ところがいざ閉鎖となると、全くそういうものをやらずにさっと帰ってしまった、こういうふうなことがあったわけですが、このことに対する認識を運輸省はどういうふうに持っておられるか、お尋ねしたいと思います。
  147. 野崎敦夫

    ○野崎説明員 お答えいたします。  御案内のとおり、USラインズは世界一周航路を経営するなど、恐らく世界でも十指に入る大会社でございまして、歴史的にも長い経営を誇ってきた世界の海運会社の雄でございます。この会社が太平洋航路あるいは大西洋、世界一周航路をやっていながら、破産法の申請をアメリカの国内法によってするということは、なかなか予想し得なかったところでございます。逆に申しますと、その会社の経営の失敗もございますでしょうけれども、それだけ世界の海運界が不況であるということかと思われますし、現に日本の海運界も北米航路で何百億という赤字を出すということが予想されておりまして、非常に経営の激化あるいは海運自身の経営環境の悪化ということがまずバックグラウンドとしてあるのだろうと思われます。  そこで、あとはUSラインズ固有の問題等もありまして、昨年の十一月に企業の経営規模を縮小するという決断をいたしまして一世界一周航路をやめるというようなこと等やりまして、唯一残したのがアメリカと南米の航路、それから太平洋航路を残すということで、一たん経営の規模を縮小するということをしたわけでございます。その段階で太平洋航路が残りましたものですから、もちろん日本の支店の閉鎖もないというようなことであったわけでございますが、ことし三月、突如として太平洋航路も廃止する、したがって、日本の従業員も要らないということになってきたわけでございます。  参考までに申しますと、何もこれは日本だけではございませんで、韓国でも同じような問題、百人近くの従業員が日本と同じような状況になっております。台湾でも同様でございます。  そんなこともございまして、直接は労働基準法ないしは労働省所管の問題、つまり外国の会社と日本従業員の労働法関係ということになるとは思いますけれども、私ども関心がないというわけではございませんし、労働省ともども外務省にお願いいたしまして、アメリカ政府に何らかの誠意ある対応をUSラインズ親会社からしてもらえるように勧奨をしてもらうべくお願いしてあるところでございます。  運輸省としまして、それ以上になりますと、伝統的な日本の海運政策でございますけれども、外国の船会社を直接コントロールしておらないわけでございまして、日本の船会社はある程度行政規制の対象になりますけれども、外国の船会社は一切許認可に従わないというルールになっております。これは何もアメリカのみならず、どこの国の船会社にもそうしておりますし、また逆に、アメリカ自身も日本の船会社あるいは外国の船会社に直接的な規制はしておりません。そういうお互いに規制を差し控えるというルールがございますので、USラインズがこういうふうに一気に撤退いたしますと、運輸省自身、海運行政担当官庁としてある意味で残念でございますけれども、なかなか打つ手段がないというのが現状でございます。  これは弁解になるかもしれませんが、そういうこともございまして、外務省にお願いいたしましてやっておりますが、アメリカの国内でも最後はやはり民事上の問題になりまして、アメリカの政府も、アメリカの運輸省の海運局でございますけれども、なかなか決め手がないような話が伝わってきておりますし、またアメリカ政府自身もUSラインズに対してかなりの額を貸し付けておりますので、アメリカ政府自身も実は債権者として困っておるという立場もございます。そういった面もありまして、たしか日本のUSLの従業員の退職金総額二十億円前後かと思っておりますが、その辺の確保の問題等々について、私ども非常に難しい問題がまだ続くかなということで心配しておる次第でございます。
  148. 高沢寅男

    高沢委員 今運輸省から非常に詳細な説明がありましたが、労働省おいでですね。すると、相手の会社はアメリカの会社だ。しかし、日本の従業員を雇って仕事をやっていて、その間にそういう協約もあったというようなことになった場合、これは日本の労働法から見て今度の件は一体どういうことなのか、労働省の認識及び労働省がこれに対するどういう対策をとられたか、それをひとつお聞きしたいと思います。
  149. 松原東樹

    ○松原説明員 御指摘のありましたUSラインズ社が、労働基準法に定める解雇予告手当あるいは労使間で取り決めました労働協約に基づく退職金を支払わないまま国外に撤退してしまったということは非常に遺憾なことだというふうに思っております。お尋ねのありましたように、外国系の企業でございましても、日本で活動しておる以上は、国内法であります労働基準法が適用になるということでございまして、労働基準法に定める解雇予告手当が支払われなければ法律違反になりますし、それから退職金を支払わないままそのままにしておるということは、賃金不払いということでこれも労働基準法違反になるということでございます。  ただ、担当責任者が国内にいなくなったという状況になっておりますものですから、私ども労働基準監督機関としてなかなか打つ手がないということで、今運輸省の方からのお話もございましたように、特に外務省に依頼いたしまして、米国政府に対しまして、USラインズ社が労働組合と誠意を持って話し合いをするよう側面的な援助をするように要請をお願いしておるということでございます。  なお、当該労働組合におきましては、退職金等の労働債権の確保を図るために、当会社の国内におきます国内資産の差し押さえを求める訴えを裁判所に提起いたしておりまして、そういった民事的な手続によりましてできるだけ労働債権の確保が図られるよう私どもとしても期待をいたしておるという現状でございます。
  150. 高沢寅男

    高沢委員 労働省の認識はわかりました。ただ、具体的に相手とのそういう労働法を守らせるための措置としては、相手がいないということからすれば、これは今の運輸省の御説明でも、結局最終的にはアメリカ政府との間の外交ルートの問題にならざるを得ないというようなことだと思うのです。このことを先ほどの運輸省の課長の御説明では、アメリカ政府にもそういう問題提起はしてあるということであるわけですが、相手は、それは民間の問題だ、こういうふうに答えているということですが、この辺のところをもっと強く押していくための外務省としての決意なり、あるいはとっておられる対策というものをひとつお聞きしたいと思います。
  151. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来説明がございましたように、労働省、運輸省からお話を伺いました。私どもといたしましても、本件は極めて遺憾な事態だと考えたわけでございます。  そこで、早速四月二十八日に我が方の在米大使館に訓令をいたしまして、国務省を含むアメリカ政府当局に対して、本件は日本政府として非常に遺憾な事態と考える、我が国の法制、慣行に照らし誠意ある取り組みをUSラインズ側が行うようアメリカ政府としても側面からしかるべく援助してほしい、こういうことを申し入れたわけでございます。これに対しまして、先方は、私どもの説明を聴取しました上で、アメリカの関係省としても遺憾なケースだと思う、本件は基本的には民事上の問題であるので、当事者間による円満な解決を期待したいし、それから、アメリカの政府の権限として何ができるのかということも率直に申し上げて判然としないが、ともかく今後とも政府間の連絡を保ちたいし、また、何らかの事態の進展があれば日本側に連絡したい、こういう回答を得ております。  加えまして、五月一日でございますが、今度は東京にございますアメリカの大使館、ここの担当者、参事官でございますが、責任者に対しまして同様の申し入れを行いましたところ、やはり本件は不幸な出来事である、当事者間の解決を期待するが、米国政府としても何ができるか本国に連絡をしてみたい、かような回答に接しております。  当面はアメリカ側の出方を見守っておる次第でございますけれども、今後の進展いかんによりましては、またさらに申し入れるということも考えてみたいと思っております。
  152. 高沢寅男

    高沢委員 私がお聞きしたところでは、このUSラインズはまだアメリカで本社がやっているんだそうですね。何かニュージャージー州に本社がある、こういうことでありますが、相手の所在は一応そうやって明らかにわかっているわけですから、そこへ我が方、外務省のルートから、ひとつ責任ある者が日本へ来い、そして、来て、そういう労働債務の問題、それから恐らくいろいろ取引のあった関連中小企業の人にも大きな損害を与えておると思いますが、そういうことの責任ある処置をやるために、とにかくUSラインズの本社の責任者来いというふうなことをこちらから外交ベースで要求する、あるいはそのことをアメリカ政府を通じて要求するというようなことはできるし、また、必要じゃないか、こう思いますが、どうでしょうか。
  153. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 お答え申し上げます。  外国におきまする、この場合でいいますと、アメリカにおきまする日本大使館、あれは外交機関でございますから、公的機関の行動というものにつきましてはおのずからなる限界があることは先主よく御存じのことだと思います。したがいまして、私どもは、もともとこれは本来の民事上の問題でございますから、あくまでも当事者間の話し合い、連絡による解決というのが本筋でございまして、日本政府またアメリカ政府も可能であるとしても、政府ベースのアクションというものはあくまでも側面支援の域を出ないわけでございます。  そういうわけで、先ほど来申し上げておりますように、私どもといたしましては、アメリカ政府に対してあくまでも日本政府の考え方を伝えるということで、当面やっているわけでございます。これから先どういうふうに発展いたしまするか、ちょっと予測がつきませんけれども、必要に応じましてアメリカ政府に対する再度の申し入れということも考えなければいけないなという気はしております。
  154. 高沢寅男

    高沢委員 最近のように経済活動が非常に国際化しているというような時代には、今後もこの種の事件が起こるおそれは非常に大きい、こう私は思いますし、そうすると、このUSラインズのことできちんと一つの対応をとらせるという前例があれば、後起こるであろうそういう類似のケースに対して非常にいい土台ができる、こう思いますが、その意味では、アメリカから経済関係では日本は専らやられる立場というふうにきていますが、せめてこういうふうな問題では今度はアメリカをやる立場で大いにアメリカに外交ベースで強く要求して、とにかく向こうの政府をしてしかるべき措置をとらせるというふうなことを、今後もさらにと言われましたが、これはごく強くそういう主張を、要求をしていっていただきたい、こう思いますが、いかがでしょう。
  155. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 本日の本外務委員会におきまする御質問の趣旨及び雰囲気と申してもよろしゅうございますか、それから本件は予算委でも一度言及されたことがございますが、それを含めましてアメリカ政府側にもう一度物を言う、申し入れを行うということを検討してみたいと存じます。
  156. 高沢寅男

    高沢委員 ぜひそのことをお願いをして、私これでそろそろ終わりますが、最後に労働省、今のはアメリカの企業が日本へ来て日本でそういう大きなマイナスを与えるようなことをやったということになるわけですが、国際経済の時代では、今度は日本の企業が外国へ行って、仮にも今度は相手の国にそういう被害を与えるようなことは、これはもう絶対にやってはならぬということになると思います。     〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕 その意味においては労働省としても日本へ来ている外国の企業に対して、それから日本から外国へ出ていっている企業に対してこういう労働条件というものを十分にひとつ指導される、こういう立場を私は労働省には要望したいと思いますし、同じ立場で外務省からも、そういう日本へ来ておる外国企業、日本からよそへ行っておる日本の企業というものに十分そういう指導をされるよう、そのことをひとつお願いをし、御見解を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  157. 松原東樹

    ○松原説明員 外資系企業の本件のような事例は希有の事例でございまして、私ども今までこういう事例は承知しておらないところでございますが、今般のこの事例を十分教訓といたしまして、今後このような倒産等の動向を把握した場合には十分関係労働者の保護が図られるよう対処してまいりたい。また、労働関係の法令一般の周知につきましても十分努力していきたいと思っております。  一方、日本企業が他国に立地する場合の企業行動につきましては、現地の法令を遵守するよう、実は社団法人の日本在外企業協会というのがございますが、そういった団体等を通じまして関係企業に指導しておるところでございます。事実、当在外企業協会等が中心となりまして本年の四月に海外投資行動指針というものを新たにつくりまして、その中にも労働関係事項も盛り込んでおりまして、例えば「投資先国の労働組合組織や労働慣行について十分な認識と理解を深めることに努め」る等の事項を盛り込んでおりまして、そういったことを含めまして関係の企業にこれからも十分指導してまいりたいと思っております。
  158. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 我が国におきましての日本国内法の執行の問題、これは主管官庁の問題でございますが、本件のようなケースは極めてまれなことだと思いますが、もしも将来このようなケースが再発したような場合、さらに相手国政府に対して申し入れをする必要が生じた場合には、本件に準じて外務省としても協力してまいりたいと思っております。  それから他方、日本企業が他国において事業を行う場合、日本企業のコード・オブ・ビヘービアと申しますか倫理観と申しますか、そういうものははるかに強く、進出国の国内法を遵守するのは当然だと考えておりますが、ただいま御説明がございましたように、在外企業協会等を通じまして今までも御理解いただいているところで当然のことだとは思うけれども、進出先国の国内法令というものは厳正に遵守することが基本だということは今後とも繰り返し繰り返し御理解をいただくように徹底を図っていきたいと思っております。
  159. 高沢寅男

    高沢委員 終わります。どうもありがとうございました。
  160. 浦野烋興

    浦野委員長代理 伏屋修治君。
  161. 伏屋修治

    伏屋委員 私は、最初に国際花と緑の博覧会政府代表設置に関する臨時措置法案についてお尋ねをしたいと思います。  いよいよ三年後にはこの博覧会が開催されるわけでございます。今世紀、科学技術の非常な進歩によりまして、人類は豊かさと便利さというものは全く充足をされてまいったわけでございますけれども、いま一方、現実において何か物足りないものを感じておるというのが現況ではないか。ちょっと古いんですけれども、五十九年に行われた朝日新聞等の世論調査を見ましても、物の豊かさよりもむしろ心の豊かさのある生活をしたい、こういうような世論結果が八割を占めておる、こういうような現況でございます。そういう意味合いを込めて、今回のこの花と緑の博覧会が三年後に開催されるということはまことに時宜を得たものである、人類と自然の調和を図るという意味において、それを再認識するという意味においても非常に意義のあるものではないか、このように考えておるわけでございます。  その博覧会について個々にお尋ねをしてまいりたいと思いますが、最初にこの花と緑の博覧会政府代表というものの具体的任務というのは一体どういうものを指しておるのか、またその人選は一体どういうものを基準にしておるのか、この面についてお尋ねしたいと思います。     〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
  162. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 お答え申し上げます。  本件政府代表の主な任務といたしましては、第一には、諸外国及び諸国際機関ができるだけたくさん花と緑の博覧会に参加していただけるよう勧奨する。これが一番の任務でございます。一口に勧奨と申しますけれども、実はこれはなかなか難しい問題でございます。  それから、さらに今度は参加に踏み切っていただいた後も、具体的にどういう広さ、どういう場所を割り当てるかとか、あるいはどういう展示物をどういう手順で搬入し展示するか等々、細かな問題で調整を要するものが数多くございます。こういう場合に、主催国の政府代表といたしまして諸外国との間の調整を行う。これが二番の任務でございます。  したがいまして、この代表の仕事は、もちろん国内でも働かなければなりませんが、かなり頻繁に外国への出張がございます。それからまた、国内でもだんだん時期が熟してまいりますと、各国の代表を招集いたしまして、その会議を主宰する、こういう任務がございます。このあたりから割り出してまいりますと、やはり代表にふさわしい資格といたしましては、こういう国際的な問題の調整に対して十分な経験、それからまた各国のいろいろな要求を取りまとめて全体としての統一意見を導いていくという会議運営の技術にたけた、そういう資格が要るのではないかと思っております。
  163. 伏屋修治

    伏屋委員 ということは、もう少し平たく言うなれば、やはり諸外国あるいは国際機関等々に働きかけていく人物であるということは、大臣に準ずる、こういうような人物を想定されておるのですか。
  164. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 ただいま申し上げましたのは、仕事の性格上から要請される資質と申しますか要件と申しますか、それを申し上げたわけでございまして、ランクの問題でありますと、お手元の法案に書いてございますように、これは外務公務員法上の外務公務員でございまして、したがいまして、当然のことでございますが、外務大臣の指揮監督に服するということでございます。  それから、大臣に準ずるという御趣旨、私は必ずしも十分に理解いたしておりませんけれども、外務大臣の指揮下にある外務公務員ということでございます。
  165. 伏屋修治

    伏屋委員 現在その人選の進捗状況はどのあたりまで進んでおられるのか。そういう固有名詞が相当数上っておるのかどうなのかということでございます。
  166. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 まず御審議願っております臨時措置法案の成立をお願いするのが第一でございまして、具体的な人選その他はそれから後ということでございます。
  167. 伏屋修治

    伏屋委員 それはわかっておりますけれども、法案が通って即座にというわけにはまいらないので、そのあたりの内部の問題だろうと思いますけれども、この場ではちょっと公表できないかもわかりませんけれども、その進捗状況がわかる範囲、言える範囲を聞きたいな、こういう思いで質問したわけでございますので……。
  168. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 先ほど来申し上げておりますような資格、要件を満たす、当然語学力でございますとか諸外国に対する、ちょっと言葉が俗になるのをお許し願いたいのでございますが、いわば顔が通っておる人、それから国内的にもいろいろな調整がございますから、そういう調整についても十分な弾力性を維持しながら、かつ諸外国の考え方というものについても御理解をいただくような、説得力を持った者というような、いろいろの物差しを当てて現在考えておるところでございます。
  169. 伏屋修治

    伏屋委員 私どもは、この国際花と緑の博覧会に対しては基本的には賛成という態度で臨んでおるわけでございますので、その人物の固有名詞を出すといろいろ問題があるかと思いますけれども、それはそれ以上申し上げません。  この国際博覧会には一般博覧会と特別博覧会との区別が一応あるようでございます。今回の花と緑の博覧会というのは特別博覧会に属するようでございますが、この特別博覧会と一般博覧会というのは一体どういうところに違いがあるのか。
  170. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 御指摘の区分は、国際博覧会条約上に定められている区分でございます。簡単に申し上げてしまいますと、人類の活動、大げさな言葉で恐縮でございますが、そう書いてございますので、人類のもろもろの活動のうち複数の部門を展示の対象とする国際博覧会、これを一般博覧会とする。そのもろもろの活動のうち特定の分野あるいは比較的特定が可能な一つの部門、これに集中して展示を行う型の博覧会、これを特別博覧会というふうに区別いたしております。  抽象的でございますが、これを我が国の過去の例に即して申し上げますと、一九七〇年の大阪万博、この万博ではテーマが「人類の進歩と調和」。このテーマからすぐお察しのように、これは人間の活動のもろもろのものを含むわけでございますので、これは一般博でございます。  これに対しまして沖縄海洋博、七五年でございますが、この場合は「海-その望ましい未来」といことで、比較的範囲が特定される。それからまた、八五年の筑波博でございます。これは名前のとおり科学技術博でございますが、「人間・居住・環境と科学技術」、こういうテーマを掲げておりまして、やはりこれも科学技術という一つの領域に特定されている。この沖縄海洋博、筑波科学技術博はしたがって特別博。  今回の博覧会は「花と緑」ということでございまして、したがってこれは特定の分野であるから特別博、こういうふうに区分されるわけでございます。
  171. 伏屋修治

    伏屋委員 聞くところによりますと、一般博の場合は、幾つかのパビリオンを設定する場合に、それはその出展国が負担をする、こういうふうに聞いておるわけでございます。特別博というのは開催国がこのパビリオンを負担する、このように聞いておるわけでございますけれども、それは国際的に決められておるわけでございますか。
  172. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 御指摘のとおりでございまして、先ほど申し上げました一般博、特別博の区別を当てはめますと、概して申せば、一般博の場合は非常に規模が大きいと言っていいんだろうと思います。したがいまして、そのパビリオン、建造物を全部開催国が建てる、提供するということになりますと、これは非常に大きな負担になる。他方、特別博におきましては、大体規模も小さくまとまっておる、したがって開催国に対して過重な負担をかけるということもないであろう。こういう観点から、御指摘のようなパビリオンの建造責任者の区分というものが設けられているわけでございます。
  173. 伏屋修治

    伏屋委員 今回の博覧会は、いわゆるテーマゾーンとガーデンゾーンとアミューズメントゾーン、この三つのゾーンに分類をしておられるようでございますが、それぞれパビリオンの予定もあるのではないか。この花と緑の博覧会に対するパビリオンはどれぐらいの予定をしておられるわけですか。
  174. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 今回の花と緑の博覧会は、当然のことでございますが、園芸博覧会でございます。庭でございますとか花壇でございますとか、そういうものの展示が中心になりまして、まだ参加国は完全に確定はいたしませんけれども、参加国のすべてがパビリオンを要求するということはちょっと考えられないのでございます。そういう状況でございまして、その意味では筑波博とか沖縄博とかというもののパビリオンとはちょっとあるいは相当規模で差があるのではないか、かように考えております。
  175. 伏屋修治

    伏屋委員 六十一年の末に出展を受け付けておるわけでございますけれども、非常に予想外に低調であったというように新聞報道をされておるわけですが、その原因はどこにあるのか、またそれに対してどういうふうに再検討をしておるのか、そのあたりもお聞きしたいと思います。
  176. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 いろいろな事情があると思いますが、例えば私どもが予想しなかった条件といたしまして、円高という事情も一つでございます。しかしながら、やはりこういう企画を立てて推進しております以上、私どもとしては、まさに政府代表の仕事になるわけでございますが、今後とも多数の各国各機関の積極的な御参加を確保するように働きかけてまいりたいと思っております。
  177. 伏屋修治

    伏屋委員 午前中の高沢委員の御質問にもありましたけれども、財政規模、それに対する収入予定をどういうふうに考えておるのかというようないろいろな問題がございましたので、それを重ねては聞きませんけれども、花を対象にした博覧会だからということで全くパビリオンを建てないということはあり得ない、こう考えるわけでございます。やはり一つのパビリオンを建てるについては、十億以上あるいは二十億に近いお金がかかってくる。そういうことを考えれば、今二つに分けたゾーンの中で、予定されておるパビリオンというものの中で、財政的にはどれぐらいの考えを持っておられるのか。
  178. 坂本新太郎

    坂本説明員 お尋ねのパビリオンの件でございますが、諸外国に対しましては参加招請を行っていただいておる段階でございます。また、国内の出展につきましては、いわゆる民間出展でございますが、現在十六件の申し込みを受けているという状況でございます。  なお、花と緑の博覧会の特徴と申しますか、パビリオン以外にもいろいろな民間の参加ということで既に申し込みをされておられたり、あるいは問い合わせがあもというような状況でございます。
  179. 伏屋修治

    伏屋委員 今回、鶴見区と守口市にまたがるところの博覧会場においてパビリオンを建設し博覧会を開催する、高沢委員も御指摘がありましたように、内需拡大に貢献する一面がある、そういう面では評価できると私も思っております。今日本に一番求められておるのは内需拡大である、こういうふうなことからも考えまして、やはりそういう面での評価は高いものがあるのではないかと私は思います。  そういう面と、日本ではこれが大阪万博から始まりまして四度目の博覧会になるわけでございますけれども、一般博覧会というのは大体二十年サイクルくらいにやるというようなことも聞いております。昭和四十五年に大阪万博があったわけでございますので、そういう面から考えれば、この花と緑の博覧会の後にはまた一つのそういうような大きなイベントを考えておられるのかどうなのか、そのあたりもちょっとお尋ねしたいと思います。
  180. 柴崎和典

    ○柴崎説明員 お答えいたします。  結論から先に申し上げさせていただきますと、先ほど来お話の出ている六十五年の花と緑以降、国際博覧会を開催するという予定は現在特にいたしておらないわけでございます。先生もメンションされましたように、国際博覧会の開催につきましては国際的な制約がございます。国際博覧会条約におきまして、余り頻繁に博覧会を開催すると各国の財政負担も大変である、あるいは博覧会の質も低下してしまうということで、一定の制約を設けておるわけでございます。確かに同じ国で開催する場合は二十年あけなければいかぬ、こういうことがございます。他方、別の国ならば十年、これは一般博覧会の場合でございます。  今後の一般博覧会の予定でございますけれども、既にスペインで実施することが決まっておるわけでございます。これが昭和六十七年でございます。したがいまして、一般博ということでありますと、例えば日本で開催する場合には十年あけないといかぬ。そうすると昭和七十七年以降ということになりまして、二十一世紀に入ってしまう、こういうようなことでございます。他方、特別博ということでございますと、例えば昭和七十年以降どうかということでございますが、七十年はどうもハンガリーが立候補しておる、そういうところがもし認められれば、さらにその二年あいた七十二年以降、こういうような制約があるわけでございます。  いずれにしましても、こういう大きな国際博覧会の開催というのは、もちろん大変有意義なわけでございますけれども、財政負担の問題、国際的なコンセンサスの問題等々ございまして、慎重な対応が必要かと思います。  以上でございます。
  181. 伏屋修治

    伏屋委員 この花と緑の博覧会は、予定しておる人数は筑波博と大体横並びの二千万人という入場者を予定しておられるようでございますが、今まで三回開かれましたそれぞれの一般博、大阪の万博、沖縄海洋博、筑波博、いろいろな博覧会を見てみましても、大阪万博の場合は当初は三千万人であったけれども、結果的には六千万を超える入場者があった。それに対応するに非常にいろいろな問題を抱えたということも聞いておるわけでございますし、また沖縄の海洋博におきましては非常に不評を買って余り成功したとは言えなかった。そしていろいろな面で、事業の倒産者も出、また自殺者も出た。こういうようなことも聞いておるわけでございます。午前中の高沢委員の筑波博についての問題も同じような問題が残されておる。一応入場者が二千万人を突破したことにおいては成功したと言えるけれども、後に業者の訴訟が起こっておるということにおいて問題が残された、こういうような御指摘もあるわけでございます。  そういう面から考えれば、今回の花と緑の博覧会も、やはりこういう問題が起こらないように万全の態勢で臨まなければならないのではないか。しかも、今までの博覧会というものがともすれば一過性のものであった。筑波博等もあれだけの立派なパビリオンをつくりながら、終わった途端にそれを全部壊して原状回復をしなければならぬというようなことがあったわけでございますが、この花と緑の博覧会はそれとは性質を異にしなければならない。鶴見区と守口市のいわゆる廃土の地あるいは今現在公園になっておるところを利用するということでございますので、そういう面からも都市計画の一環として成功させなければならないと考えております。また、その跡地の利用について、付近との調和を図りながらその跡地を利用できるようにしていかなければならないのではないか。そうでないと、せっかくの博覧会が生きてこない、こういうふうに考えるわけですが、その辺の御所見はどうですか。
  182. 坂本新太郎

    坂本説明員 御指摘の点でございますが、御指摘のとおり、本博覧会は現在既に一部開設いたしております大阪府下の都市公園であります鶴見緑地において開催いたすわけでございます。博覧会の終了後は、本博覧会の意義あるいは成果を二十一世紀の人々に伝える緑の資産として立派な都市公園を後世に残すということがかねてから言われておりますし、そういった考えで進めておる次第でございます。また、そういった観点で都市計画的な検討も進めておる次第でございます。
  183. 伏屋修治

    伏屋委員 前国会ですかで、一応花と緑の博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置法が成立して準備に入っておるわけでございますけれども、博覧会はいよいよ三年後に迫っておるわけでございますが、会場の整備状況等々について、どのような状況かお聞かせいただきたいと思います。
  184. 坂本新太郎

    坂本説明員 整備状況でございますが、去る三月九日に万博協会の会場計画委員会におかれまして計画原案というものを御決定になりました。これを受けまして、現在鋭意基本計画を詰めておる段階であります。この基本計画を詰めまして、直ちに基本設計にかかり実施設計にかかって着工にまいるというふうな段取りでございます。年内には着工してまいるという予定を伺っております。
  185. 伏屋修治

    伏屋委員 その次に、パビリオンとかそれに付随する附帯施設ですね、そういうものの誘致あるいはその現状をお聞かせいただきたいと思います。それともう一つ、沖縄とか筑波博と今回の花と緑の博覧会の準備状況の違い等を説明していただきたいと思います。
  186. 坂本新太郎

    坂本説明員 お尋ねの点でありますが、第一のパビリオンの招請といいますか誘致でございますが、これは現在申し込みを受け付けておりまして、これからそれぞれ内容を詰めながら立地をさらに詳細に詰めていくということになろうかと思います。  会場計画全体の進捗でございますが、基本的にはほかの博覧会とそう根本的に異なることはないと存じておりますけれども、ただ一点、今回の花と緑の博覧会の誘致の決定をいたしましたのが、例えば科学技術博覧会に比べますと若干遅いと申しますか、準備期間が約一年短いという状況でスタートいたしております。そういうふうなことから、順次日程といいますか、工程が後ろへ押されてきておるという点が若干前回の、特に科学技術博覧会と比較しまして違う点と申しますか、そういった特徴があるということが言えると思います。
  187. 伏屋修治

    伏屋委員 前回の筑波博と比べると進捗状況がおくれておるということですね。答えていただかなくても結構です。  この博覧会に対しての、いわゆる二千万人という予定した入場者数に対しての輸送対策ということについて二、三お尋ねしたいと思います。この博覧会会場までの輸送手段、それに伴う道路等の拡張等の計画があったらお聞かせいただきたいと思います。
  188. 和里田義雄

    ○和里田説明員 お答えいたします。  花と緑の博覧会にかかわります、その会場に至りますアクセスの道路につきましてのお尋ねでございますが、この整備につきましては、本年一月三十日の関係閣僚会議におきまして昭和六十一年度以降総事業費三百四十七億円ということで関連道路整備計画が了解されております。
  189. 伏屋修治

    伏屋委員 あとまとめてお尋ねしてまいります。時間もありませんので……。  入場者を会場まで運ぶメーン輸送手段というものは一体何を考えておられるのか、これがまず一点。それから、私の聞くところによりますと、京橋あたりから会場までの輸送にリニアモーター方式を計画しておるというようなことでございます。これが二点目。それからまた三点目としては、非常に交通渋滞というものが予想されるわけでございますが、そういう新しい交通情報通信システムというものが考えられておるのかどうなのかその三点についてお尋ねしたいと思います。
  190. 和里田義雄

    ○和里田説明員 お答えいたします。  会場への輸送交通の手段についてでございますが、市街地の中ということでございますので、京阪電車ですとか国鉄ですとか、そういう鉄道を利用して集まられる方、そのほか遠来の方たちを集めるためには、花博協会の方で運行いたしますシャトルバス等の公共交通機関利用というようなものも検討されているというように伺っております。
  191. 足立頴一郎

    ○足立説明員 御質問の三点目についてお答えしたいと思います。  博覧会場へのアクセス交通の安全円滑を図るためには的確な道路交通情報提供が不可欠であると考えております。本年の一月三十日の関係閣僚会議了解にあっても会場へのアクセス道路において道路標識、道路情報提供装置の整備を図るということになっております。建設省といたしましては、この閣僚会議了解に基づきまして道路交通情報提供の充実を図るということで、道路情報板、路側通信システム等の整備の推進について現在鋭意検討を行っているところでございます。
  192. 本多辰巳

    ○本多説明員 質問の二番目の、京橋付近からリニアを計画しているかということについてお答えいたします。  御指摘の路線は大阪市の七号線、いわゆる鶴見緑地線という地下鉄路線の話かと思います。  この路線につきましては、去年の六月五日付で特許をいたしておりまして、その後工事施行認可をいたしまして、現在、全区間にわたりまして工事を実施いたしております。この地下鉄につきましては、将来の輸送需要等も考えまして小型地下鉄でやるということになってございます。  ただ、この地下鉄の推進方式、モーターをリニアモーターとするかどうかについては今の段階では明らかになっておりません。これにつきましては、リニアモーター駆動方式の地下鉄につきまして運輸省と地下鉄協会の間で今研究開発を進めております。大阪の南港に実験線を敷設いたしまして、この三月から走行テストに入ったところでございます。したがいまして、この鶴見緑地線にリニアモーター駆動の地下鉄を導入するかどうかにつきましては、この研究の成果を踏まえながら、参考にしながら、大阪市当局が総合的な観点、いわゆるコスト的な観点等を踏まえまして今後決定をしていくということに相なると思います。  大阪市自身も独自にリニアモーターを含めました地下鉄のあり方について現在研究を進めておりまして、遅くとも来年の夏ごろにはいずれにするかを決めたいということを言っております。  以上でございます。
  193. 伏屋修治

    伏屋委員 以上で大体花と緑の博覧会についての質問は終わりたいと思います。  次に、MIGA設立条約について数点お尋ねしたいと思います。  多数国間投資保証機関、いわゆるMIGA加盟の意義はどういうものを考えておられるのか、また、そのメリットについてお尋ねしたいと思います。
  194. 英正道

    ○英政府委員 現在、開発途上国は、一次産品の価格の停滞でございますとか累積債務の深刻化等の非常に困難な問題に直面しておるわけでございます。  こういう諸国の経済の持続的成長を達成するためには、これら途上国に対して十分な資金のフローを確保するということが非常に重要になっているわけでございますが、中でも、開発に必要な技術移転を伴うということで、かつ債務の負担を伴わない資金のフローである直接投資が非常に重要であるという認識が深まっております。  この点、MIGAは、現存の投資保証制度を補完し、投資に伴う非商業的リスクを軽減することにより、途上国への直接投資の追加的な促進に大きく寄与するということが期待されておるわけでございます。
  195. 伏屋修治

    伏屋委員 このMIGAに対して、主要各国というものはどういう考え方で臨んでおられるのか、わかる範囲で結構でございますが、お答えいただきたいと思います。
  196. 岩崎文哉

    ○岩崎説明員 先進国を含め現在までに五十七カ国が参加の意思を表明して署名をしております。その先進国の中には、いわゆる七カ国を含め十二カ国が入っております。途上国は四十五カ国が署名を終えております。全体の予定されております中でのこれらの諸国のシェアというのは大体六六・七%、つまり三分の二が既に参加の意思を表明しておるという状況でございます。
  197. 伏屋修治

    伏屋委員 このMIGAの設立条約締結に当たっては我が国はどのような権利と義務を有することになるのか、その辺をお答えいただきたいと思います。
  198. 英正道

    ○英政府委員 この条約締結によりまして我が国が有することとなる権利の概要は次のとおりでございます。  第一に、我が国投資家がこの条約に加盟しております開発途上国への投資をするときにMIGAによる保証を受けられるということ。これは第十三条でございます。第二に、総務を任命し、投票権を有するということ。第三十一条同じく第三十九条。  それから義務の概要でございますが、第一に、MIGAの当初の授権資本株式、これは十億SDRでございますが、これに応募する義務。第六条。それから我が国の当初の授権資本株式に対する応募額は五千九十五万SDR、約九十億円でございます。それから第二の義務といたしまして、我が国が応募する当初の授権資本株式について払い込むこと。この条約我が国について効力を生ずる日から九十日以内に応募額の一〇%は現金で、追加の一〇%は債務証書で払い込む、残額の八〇%はMIGAからの払い込み請求があったときに払い込むということでございます。第三に、MIGAの財産及び資産並びにMIGAの職員などに対し特権及び免除を与えること。それから最後に、MIGAとの間の紛争を附属書のⅢに定める手続に従って解決すること。  以上でございます。
  199. 伏屋修治

    伏屋委員 この条約というのは世銀で検討され作成されたわけでございますが、このMIGAは世銀とどういう関係にあるのか、その辺の御説明もお願いしたいと思います。
  200. 英正道

    ○英政府委員 この設立条約はMIGAと世銀との関係については次のように定めております。  第一に、MIGAは世銀など国際開発金融機関活動を補完することを目的とする。第二条でございます。それから第二に、世銀の総裁はMIGAの理事会議長となる。理事会議長の指名に基づいて理事会がMIGAの総裁を任命する。第三十二条の(b)、第三十二条の(b)。第三に、世銀の総裁はMIGAの総務会の創立総会を招集する。第六十二条でございます。それから四番目に、世銀はMIGA設立条約の寄託者として行動する。第六十三条。  以上でございます。
  201. 伏屋修治

    伏屋委員 従来こういう条約に対して、アメリカは二国間援助に重点を置いておりまして、非常に消極的であったと聞いておるわけでございますが、このMIGAに対するアメリカの姿勢というのはどんな姿勢で臨んでおるのか。
  202. 英正道

    ○英政府委員 米国は、二国間援助に重点を置いているのみならず多数国間の援助にも貢献をしておりますけれども、この条約に対する姿勢ということで申し上げますと、既にこの設立条約署名をしておりまして、下院の包括貿易法案に本条約締結に関する規定がございます。そのほか一九八八年度、ことしの十月から一年間の予算にもMIGAへの応募額の払い込み措置が既に盛り込まれております。
  203. 伏屋修治

    伏屋委員 このMIGAに対する再保険というものがアメリカが抱えておるところの累積債務国の不良債権の肩がわりをねらっておるのではないか、こういう憶測も聞いておるわけでございますが、そのあたりのお考えはどうですか。
  204. 久保田穰

    ○久保田説明員 MIGAの設立条約第二十五条におきまして「機関は、健全な業務及び慎重な財務管理の慣行に従い、あらゆる状況の下で自己の財政上の義務を履行する能力を維持することを目標としつつ、活動を行う。」というふうに規定しております。引き受け基準、引き受けメカニズム等がMIGAにおきましてはしっかりしておりまして、不良債権の肩がわりを行うというようなことを避けるように工夫をされております。
  205. 伏屋修治

    伏屋委員 このMIGAに対するアメリカの出資というのは非常に大きいわけでございますね。二〇%を超えるシェアを占めておるわけでございますが、こういうような出資額というのはどのようにして決められてきたのか、このことについてお答えいただきたい。
  206. 久保田穰

    ○久保田説明員 ただいま先生御指摘のように、アメリカのシェアは、加盟票百七十七、応募票二万五百十九ということで非常に大きなシェアを占めております。このシェアにつきましては、国際復興開発銀行、世銀でございますが、世銀における条約案の確定の時点におきまして各国の出資責任における出資シェアに基づいて決められたものでございます。ただ、スイスが世銀には加盟しておりませんので、MIGAにおきましてはスイスが入りまして、その分だけほかの国々が若干減額されるという形で調整を見ております。
  207. 伏屋修治

    伏屋委員 このMIGAに対するアメリカのシェアが非常に大きいということで、MIGAというものがアメリカの意思によって左右されるという懸念はないのかどうか、その辺もお答えいただきたい。
  208. 久保田穰

    ○久保田説明員 ただいま申し上げましたように、アメリカのシェアは合計で二万六百九十六票となりまして、これはMIGAの投票権数の総数におきまして一六・三五%を占めております。MIGAにおきますところのこの決定につきましては、一番大切な機関でございます総務会におきまして通常、過半数の決定を行っております。一部重要事項につきましては、総投票権数の三分の二以上の賛成を要件とする特別多数ということもございます。しかしながら米国のシェアは一六・三五%でございまして、米国を含めまして一国のみがMIGAにおける決定を左右するということはできない構造になってございます。
  209. 伏屋修治

    伏屋委員 メキシコ、ブラジル等の主要債務国というものが本条約には署名しておらないわけでございますけれども、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
  210. 久保田穰

    ○久保田説明員 メキシコ、ブラジルが署名しておりませんけれども、メキシコ、ブラジルその他中南米諸国におきましては、投資紛争につきまして自国の裁判所以外の裁判管轄を認めないといういわゆるカルボ主義というものをとっております。他方、MIGA条約におきましては投資紛争を国際仲裁にゆだねるというふうに規定しておりますので、この点が問題となって、メキシコ、ブラジルを含めまして多数の中南米諸国が署名していないというふうに考えられます。  他方、このMIGAは債務累積国であるか否かを問わずに開発途上国に対する投資の促進ということを目的としておりまして、いわゆる債務累積国の中でもコロンビア、ボリビア、チリ、エクアドル、象牙海岸、ナイジェリア、フィリピン等の国々は署名しておりますし、また大口の投資受け入れ国である韓国、インドネシア、トルコ、エジプト等も署名ないしは締結しております。したがって、中南米のカルボ主義を採用しておる国が加盟しないといたしましても、このような大口の投資受け入れ国も入っておりますし、機構としても十分機能するというふうに考えております。
  211. 伏屋修治

    伏屋委員 MIGAはそういう非商業的な紛争というようなことについての保証でございますけれども、そういうものに対して一件当たり、また一国当たりどの程度の額が保証されると考えておられるのですか。
  212. 久保田穰

    ○久保田説明員 この機関が一国当たり、また一件当たりどの程度の額の保証を行うのかということにつきましては現在のところはっきり決まっておりませんが、条約の条項の中で関係の条項がありまして、まず一件当たりにつきましてはMIGAと被保証人との合意する額ということが基本になりますけれども、上限は保証対象額の九〇%を超えないということがございます。  それから、国につきましては、偏らずになるべくリスク分散を図っていくという考慮を働かせておりまして、限度額につきましても個々の事業、個々の投資受け入れ国、投資または危険の類型ごとにMIGAが引き受けることのできる債務の限度額について理事会が決定する、こういう危険分散に対して理事会が考慮を払うというふうに規定されております。
  213. 伏屋修治

    伏屋委員 MIGAとは直接関係ございませんが、今回中曽根総理が訪米したときに、いわゆる黒字減らしということで、国際社会への貢献への一環として日本の資金を二百億ドル以上途上国に還流する、そういうようなことを約束した、このように聞いておるわけですけれども、その内訳はどういう内訳になるのか、午前中にもちょっと高沢委員に回答があったようでございますが、再度御回答いただきたいと思います。
  214. 英正道

    ○英政府委員 この資金の還流措置実施に当たりましては、今後関係の国際開発金融機関との話し合い、それから二国間ベースでの要請などを踏まえながら、途上国のニーズにこたえる形で三年間にわたって順次行っていく、こういうことでございます。  したがいまして、あらかじめ具体的な金額を完全に特定できるということではございませんが、おおむねの目途といたしましては三つございまして、一つは、世銀の特別ファンドの方式によりまして国際開発金融機関を通じた官民の協力として八十億ドル程度、第二に、我が国の輸出入銀行のアンタイドの直接融資へ三十億ドル程度、第三に、海外経済協力基金、輸銀、民間銀行による国際開発金融機関との協調融資及び途上国の経済政策支援のための海外経済協力基金の直接融資、円借款でございますが、これらの合計として九十億ドル以上というものを考えておりまして、これらの手段によって総計二百億ドル以上の還流を実現したいというふうに考えておる次第でございます。
  215. 伏屋修治

    伏屋委員 大体内訳はわかりましたが、その内訳の対象というのはいわゆる全世界的なものだと考えてよろしいですか。
  216. 英正道

    ○英政府委員 これは債務累積に悩む国、途上国全部を対象にしたいと考えております。先ほど申し上げましたように、国際機関との関係、二国間の要請等がございますけれども、一部の地域だけでなく、広く必要とする国に流れるように努力をしていきたいと考えております。
  217. 伏屋修治

    伏屋委員 時間がありませんので、次のHS条約について少しお尋ねをしたいと思います。  このHS条約に一本化されるわけでございますけれども、今まではアメリカとかカナダは独自の品目表を採用しておったわけでございますが、その理由はどの辺にあったのですか。
  218. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 お答え申し上げます。  私も当初この交渉に参加いたしまして、全く不思議でございまして、実はアメリカ、カナダに聞いてみたことがございます。そのときの答えを率直に申し上げますと、大体関税分類の統一について特に熱心であったのは欧州であったわけでございます。国境を越える物資の移動が非常に頻繁でかつ量が多かったという事情があったのだろうと思います。これをアメリカ、カナダの方から見ますと、統一的な分類をしようというのはあれは欧州の動きだ、我々アメリカとかカナダは米大陸の存在であって、そうそう簡単に欧州の影響を受けることを潔しとしないという何か一種の文化的な理由があったようでございます。  さはさりながら、実際問題として貿易発展してまいりますと、そうそういつまでも独自性だけを誇っているわけにもいかない。実際の支障も生じます。交渉のたびに非常な時間を食うようになりました。そこでアメリカ、カナダも次第次第に、こういうことではいけないということで今回のHSの作業には参加をいたしまして、この際、国際的に統一されたシステムを実行しよう、こういうふうに踏み切ったそうでございます。
  219. 伏屋修治

    伏屋委員 このHS条約が来年一月一日に発効するための改正議定書が採択されたわけでございますが、来年一月一日発効の目途が今立っておるのかどうなのか、またアメリカ、カナダ、ECを含めて各国の準備状況はどういうふうになっているのですか。
  220. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 各国の準備状況から御説明申し上げるのが早いと思いますが、例えばECにつきましては、ことしの四月、EC理事会といたしましてHS条約受諾承認を行いました。これを受けまして、各加盟国ともおおむねことしの九月末ぐらいまでに国内手続を終了するべく推進しているそうでございます。  まだ、アメリカにつきましては、議会に対して政府貿易法案をことしの二月に提出いたしております。その中にHSを採用する方針がはっきりうたわれておりますし、恐らくは今月の末には新しい分類に基づいた譲許表を議会へ追加提出する運びになると思います。  そういうことで、少なくとも主要国に関する限りはこれをできるだけ早く国内手続を進めるという方向でそれぞれ鋭意努力をしていると承知しております。
  221. 伏屋修治

    伏屋委員 HS条約の中身について私もわからないところがたくさんございますので、第一条から第三条、第十条と聞いてまいりたいと思っておったわけでございますけれども、時間もあと五分ぐらいしかございませんので、最後にウルグアイ・ラウンドについてちょっとお尋ねしたいと思います。  今回ウルグアイ・ラウンドを提唱したのは我が国提唱したわけでございまして、そういう意味からも、そういう交渉の枠組み及び交渉計画が決定されて実質的に交渉が開始されているわけでございますけれども、東京ラウンドとウルグアイ・ラウンドとの違うところ、また特色はどういうところにあるのですか。
  222. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 御質問は極めて重要な御質問だと思います。  御案内のように、ガットと申しますのは貿易関税に関する一般協定でございます。したがいまして、発足からかなりの期間は専ら関税に集中しておったと考えても差し支えないと思います。関税障壁が外されてくるに従いまして、だんだんやはりそれだけでは足りない。そこで、いわゆる関税外、非関税貿易障壁というものに対して手をつけていかなければいけない、こういう意識が高まってまいりまして、これを非常に簡単に申し上げてしまえば、これが最も鮮明にあらわれましたのが東京ラウンド、あるいはケネディ・ラウンドも若干の傾向がございましたが、まあ東京ラウンドというふうに考えていいのだろうと思います。  そこで、それでは今度のウルグアイ・ラウンドではどういうことに相なるかと申しますと、やはり貿易の実態の変化を反映しております。  第一に、物の貿易、それに加えましてサービス、役務の貿易、知的所有権というものの取り扱い、こういうガットが当初必ずしも予想していなかったような要素、新分野と称しておりますが、こういうものに手をつけていかなければいけないという意識が高まってきておる。そこで新分野というものが入ったのが一つでございます。  それからもう一つ、貿易障壁を関税にせよ関税外にせよ外してまいりますと、当然のことながら貿易の相互のペネトレーションというものが強くなってくるわけでございます。ということは、どうしても貿易に関する紛争が出てくる。そこで、貿易紛争をどのように処理していくかという紛争処理でございますとか、あるいはセーフガードでございますとか、あるいはアンチダンピングでございますとか、こういうもろもろの手続的な面を充実していかなければいけない。こういう意識が最近非常に高くなっておりますし、我が国としてもそこに重要な利害関係を持っているわけでございます。これは二番目の特色でございます。  それから三番目に、品目といたしましては工業産品を重点に今まで取り扱ってきた傾向が強いことは否めないと思います。裏返しますと、それだけ農産物というものはそれぞれの国に困難が大きかった。ただし、こういう状況になってまいりますと、農産物についても考えなければいけない、日本の立場からしましても避けて連れない問題である。これはつい最近採択されましたOECD閣僚理事会のコミュニケでも明らかでございます。  今申し上げましたそういう三点が新ラウンドと東京ラウンドとを比べた場合の大きな差ではないかと思います。非常に駆け足でございますので、全くスケッチでございますが。
  223. 伏屋修治

    伏屋委員 最後に、東京ラウンドというものは当初三年で終結を目指したわけですけれども、七年を要した。今回のウルグアイ・ラウンドは四年間で終結を目指しているわけですけれども、東京ラウンドの例から見ると十年はかかるのではないか、このように言われておるわけでございますが、提唱国である日本の責任は非常に重要である、こういうふうに考えるわけでございますが、政府機関の決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  224. 浜野剛

    浜野政府委員 今担当責任者から発言がありましたように、ガットの持つ重要性は大変なことでございます。そこで、ウルグアイ・ラウンドで関税の問題とか農業の問題とか金融その他の問題が取り上げられました。政府としては四年間での交渉終結に向けて頑張るということではございますが、これはその見通しどおりやっていきたいと思いますが、なお非常に維持強化、成果が問われておる原点でございますので、四年にこだわることなく精力的に早期の努力もやっていくつもりでございます。よろしく御了解願います。
  225. 伏屋修治

    伏屋委員 終わります。
  226. 山口敏夫

    山口委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  227. 山口敏夫

    山口委員長 速記を起こしてください。永末英一君。
  228. 永末英一

    永末委員 多数国間投資保証機関を設立する条約というのがかかっておりますが、その投資保証の問題は、我が国が外国へ投資して経済活動を行う場合に極めて重要な関係のあるものでございますので、これは殊に我が国発展途上国に対する関係において生ずる問題でございまして、二国間で投資協定を結んで今のような投資に対する保護をしている事例を御説明願いたい。
  229. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま先生御指摘の二国間の投資保護協定でございますが、これまで我が国といたしましてはエジプト及びスリランカ、この二国と締結しております。エジプトとの協定は五十二年に発効しております。また、スリランカとの協定は五十七年に発効しております。なお、このほかに現在交渉中の二国間投資保護協定が幾つかございます。例えば中国でございますとかASEAN諸国、トルコ、パキスタン、こういう国々と交渉中でございます。
  230. 永末英一

    永末委員 発展途上国におきます投資について、その投資の保証をしてほしいという期待を持っている企業は昔からたくさんあるわけでございますが、今お話を伺いますと、既に協定が成立したのは二カ国であって、あと交渉中のものが数カ国である。そんなことでいいのですか。
  231. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 御指摘のとおり、遺憾ながらこれまで発効しておるのは二カ国、また、交渉中のものもそれほど数多くはございません。私どもといたしましては、日本企業が投資する場合の環境整備の一つの方法といたしましてなるべくこのような投資保護協定の数をふやしていきたいという気持ちでおりまして、いろいろな機会に開発途上国との間で締結の話を出しているわけでございます。  ただ、御承知のとおり、開発途上国側といたしましては、いろいろな法制上の問題あるいは自国産業の振興等々の事情がございまして、正直なところ、必ずしも私どもが期待しているほどに交渉が進展していないというのが現状でございます。なお、今後とも努力はしていきたいと考えております。
  232. 永末英一

    永末委員 この投資保証の問題は、我が国のここ十数年来の対外投資あるいは現在の我が国貿易の黒字というものが諸外国に与えている影響、また、投資保証の対象である発展途上国が我が国をどう眺めているかということを考えた場合に、今あなたが言ったように、相手方の理由ではなくて、我が方の理由によって保証協定がつくられていないという事例があるように私は思う。我が国の理由によって投資協定ができていない、そういう国々があったら事例を教えてください。
  233. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 ただいま御指摘の点は大変難しい点でございまして、交渉事でございますので、もちろん我が国の事情もございます。また、先方の事情もございまして、必ずしもどの事例が我が国の事情で交渉が成立していないというようなことは言えないのではないかと思います。いずれにしましても、二つの国の法制あるいは政策というものをすり合わせて、双方に受諾可能な道を探すということで努力していきたいと思っております。
  234. 永末英一

    永末委員 我が委員会提案されておりますのは多国間の投資保証でございます。したがって、そのいただきました資料では、署各国がそれぞれ批准すればそれらの国々が対象になってくる、こういうことであろうかと思います。しかし、ここで言われておる保証の原因、戦争・内乱の発生あるいは当該受け入れ国政府の収用というような商業的でないいろいろな危険に対する保証をしよう、こういうものでございますが、先ほど事例に挙げられました我が国のエジプト、スリランカ等に対する二国間協定では、今回審議しておりますこれらの機関による保証と内容が違いますか。
  235. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御審議いただいております条約、いわゆるMIGAでございますが、これは、先ほど御指摘ございましたように、非商業的なリスクに対して保証あるいは再保険といった方法をもって投資を保証するという仕組みの条約でございます。これに対しまして、二国間の投資保護協定の場合におきましてはいわゆる通商航海条約と同じような仕組みになっているわけでございます。  すなわち、通常待遇規定と申しておりますけれども、我が国の企業が相手国に出てまいりまして事業活動をする場合にその相手国の企業と同様の待遇を得る、これがすなわち内国民待遇でございます。あるいはスリランカなりエジプトに第三国から投資をしている企業と同じような待遇を受ける、いわゆる最恵国待遇でございますが、そのほか送金の保証等のいわゆる待遇規定が中心でございます。その意味におきまして両者は仕組みが違いますが、目指すところは投資の促進、保護ということでございまして、それぞれ側面は違いますけれども同じような目的に資するものというふうに考えております。
  236. 永末英一

    永末委員 この多国間条約によりまして投資の保証ができるようになった相手国――今の話によりますと二国間協定でも多国間のこの条約に加盟してくる相手方と似たようなものだ。似たようなものなら二国間協定は結ばぬでええ、そういうことですか。
  237. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 ただいま申し上げましたのは、目的とするところが投資の促進というところで似ているというふうに申し上げたつもりでございます。ただ、仕組みが非常に違うわけでございます。多数国間機関の場合には国際的に資金を集めまして、これをもって保証あるいは再保険といった形で保証する。これに対しまして、二国間の協定は最恵国待遇あるいは内国民待遇といった形で投資を促進する、あるいは投資環境の整備と申し上げた方がいいかもしれませんけれども、そういう仕組みの違いがございますので、やはり理想的には両方の条約があるのが一番よろしいというふうに考えております。
  238. 永末英一

    永末委員 中国におきましても投資保証を求める日本側の企業の話を聞いたことが何通もございます。今交渉中の相手側の国として挙げておりませんが、例えばパプアニューギニアのように独立をした国で新しくその国の法律体系やあるいはまた今のような投資環境をつくろうとしているところで、日本側の企業で投資をしたいが見通しを考えると投資保証を欲しいと思っている、しかしそれがないために足踏みしておるというところもあるわけですね。そこで、我が国以外に中国で投資保証協定を持っている国がどこであって、それから我が国が今交渉しているが一体どういうところが難点になっているか、パプアニューギニアのごとき国につきましても投資協定を持っている国があるかどうか、それから一体我が国交渉するつもりがあるのかないのか、お答え願いたい。
  239. 長谷川和年

    ○長谷川(和)政府委員 パプアニューギニアに関しましては現在投資保護協定がございません。先方から結んでほしいという申し入れもございまして、我が方としてはその前にまずいろいろ投資環境等を調査したいということで現在実情の把握に努めております。
  240. 永末英一

    永末委員 あなたは申し入れがあったから実情調査中と言うが、何年かかっているんですか。そんな話はあの国が独立した直後からあったのであって、独立してからもう大分年数がたっておると思いますが、どれぐらい調査研究しておるのですか。
  241. 長谷川和年

    ○長谷川(和)政府委員 パプアニューギニアに関しましては先方から一九七九年にいろいろ打診がございまして、一九八〇年に交渉を開始してはどうかという話がございましたが、先方から時期的に都合が悪い、そういう回答がございました。その後いろいろな話がございまして、現在も先方と話し合って我が方としては関係の事情を調査しているというところでございます。
  242. 永末英一

    永末委員 あなたの方は乗り気なのですか、乗り気でないのですか。あっちもああいうふうに政権がくるくるかわるところですからいろいろ問題がありますが、太平洋ベースン地域の一つでございますから、我が方があの地域に対してもっと資本投下を行ってやっていこうというならおのずから姿勢が変わってきて当たり前だと私は思う。相手方が言ってきたらやろう、相手方が退いたらもうやめだ、それでは日本政府の積極的な意思はないじゃないですか。どうなっているのですか。
  243. 長谷川和年

    ○長谷川(和)政府委員 こういった協定締結交渉に入ります前に、日本側としても関係各省あるいは民間の方々の意見も伺いましてその上で決定して交渉等を始めるわけでございますが、パプアニューギニアの投資環境に関しましては民間の方々にも種々の意見がございまして、我々としてもいろいろなルートを通じまして先方の投資環境に関する我が方のいろいろな意見を先方に対して伝えでございますが、現在、パプアニューギニアにおける一般の投資環境、すなわち投資関係の法令だとか習慣だとか慣習といったものを調べている最中でございまして、その決定を待って結論を得て決定をしたいと思っております。
  244. 永末英一

    永末委員 あとどのぐらいかけるつもりですか。
  245. 長谷川和年

    ○長谷川(和)政府委員 現時点であとどれくらいかかるかということをちょっと申しかねますが、ただ日本の民間企業は、パプアニューギニアに関しましては最近いろいろ事情がございまして、むしろ撤退するとかあるいは投資の可能性を悲観視する向きもございまして、こういったこともまずよく調査してそれから結論を出すことが重要であると考えております。
  246. 永末英一

    永末委員 投資協定がないのも一つの原因なんだね。企業というのは、投下した資本の安全性がなければ事業を続けないわけである。あの国に産業があるわけではございません。いろいろな第一次産品の産出もございますが、我々が太平洋政策というものを考えてみた場合に、どう位置づけてやっておるかということがしっかりしていないからそういうことになるのであって、国会では大平さんのときから環太平洋政策と演説しておるけれども何にもないじゃないですか。お答え願います。
  247. 英正道

    ○英政府委員 太平洋島嶼国、PNGを含みます。その関係をさらに強化していきたいということを考えております。それで、現在の状況では、もちろん投資も重要な分野でございますけれども、今欧亜局長説明のとおり問題点もなきにしもあらず。やはり政府開発援助、そういうものをもっと強化するということでこれら諸国との関係を密接にする、そういう趣旨で先般倉成外務大臣がフィジーを訪問した際には、そういうことで日本政府は今後積極的に取り組んでいくという立場を表明した、さらにはUNDPに約二百万ドルの太平洋島嶼基金をつくった、そういうことで政府が本格的に取り組むという姿勢を示すということによって先方の政府にもやはり日本ともっと関係強化しようという気持ちをさらに増大させ、かつ日本の関係の企業からそういう政府の意向を受けてこれら諸国との関係強化していこうという動きが出てくるということを期待しておるわけでございます。
  248. 永末英一

    永末委員 発展途上国と我々の国との最初のつき合いはそういう援助ないしは開発援助――援助にもいろいろな形がございますね。技術援助、青年海外協力隊の派遣等もございまして、あるいは国際機関に頼って開発援助をやる場合もある。いろいろありますが、しかし成熟してくれば、やはり対等の立場でそこで企業が事業ができるような環境をつくっていくのがこれが当然の筋道だと思います。  この地域の投資保証に対しての要望はパプアニューギニアの独立当時からあったのであって、それも今話を聞くと二十一世紀になってできるかどうかわからぬような話ですね。そういう言葉はなかったけれども、やはり真剣になってやっていかなければ。  この前、中曽根大臣もそこへ行きましたね。何か援助費の約束をしたようでありますが、倉成さんも行った。倉成さんも中曽根さんもフィジーに行きましたね。フィジーは革命が起こったようでございますが。これは投資はどのようになりますか。投資環境はどうなりますか。
  249. 長谷川和年

    ○長谷川(和)政府委員 現地からの報道によりますと、フィジーではクーデターがあったようでございますが、現在の政権は少なくとも従来の対外関係を尊重していくという方針をとるようでございまして、政府としては現在情勢を見守っておる最中でございます。在留邦人等もすべて安全であって、投資環境については少なくとも現時点においては現地の情勢を見守って今後ともフォローしていくということでございまして、大きな変化は今のところ見られませんが、何かございますればそれなりにいろいろ検討してみたいと思います。
  250. 永末英一

    永末委員 南太平洋には十一くらいの独立国家がございますし、それからまた北太平洋に属しますけれどもミクロネシアを初めとして国連の信託統治地域もそれぞれ独立の地位に近づきつつある。あるいは独立しておるという判断があるかもしれませんが、あっちの方は独立しておると判断しておるけれども我が国との関係ではまだ一〇〇%の独立国としてのつき合いになっておるかどうか疑わしい点があると思います。しかし、総じてこれらの地域の太平洋島嶼諸国に対する経済関係は、単に援助ということのみならず、いろいろな関係でもっと密接にやっていかなければならぬ、そういうグランドストラテジーは、これは大臣のかわりに政務次官、外務省として考えておられますか。
  251. 浜野剛

    浜野政府委員 今先生御指摘の太平洋政策、これは非常に大事なことだと思います。また、パプアに関する現状については早急になお確認して御返事をしたいと思います。  我々日本国としては、もう今さら言うまでもなく、中国あるいは世界との平和、特に海洋国家として環太平洋政策については鋭意具体的に努力していくつもりでございますので、御了解願います。
  252. 永末英一

    永末委員 中国に関する話が答弁ございませんな。答弁。
  253. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 お答え申し上げます。  中国との投資保護協定につきましては、一九八〇年末に開催されました第一回の日中閣僚会議におきまして、この交渉早期に開始すべきだということで意見の一致を見たわけでございます。そしてその翌年の一九八一年から両政府の実務者間で交渉を行ってまいりまして、これまでに七回の交渉を行っております。ただ、遺憾ながらまだ妥結には至っておりません。かなりいろいろな問題が詰まってきてはおりますけれども、まだ最終的な妥結には至っていないというのが現状でございまして、なお一層今後とも妥結に向かって努力を続けたいというふうに思います。
  254. 永末英一

    永末委員 中国との問題は一つ一つの問題が問題であるのではなくて、全体的に我が国と中国との関係のそのときのシチュエーションに応じていろいろな問題が出てくるわけでございまして、ここに来る直前光華寮の問題をやっておったのでありますが、したがって投資保証協定も七年かかってなかなか決着がつかぬ、こういうことになっておりますと、やはり問題が出てくると思うのです。ネックはどこにありますか。
  255. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 交渉中のことでございますので、詳細御報告できないのは残念でございますけれども、御指摘のネックという点について申し上げますならば、この投資保証協定におきましてもいわゆる事業活動の内国民待遇というものを我が方としては獲得したい、またこれが関係企業の要望でもあるわけでございます。この点につきまして中国側としてはなかなかその点は難しいというような立場でございまして、 一つの大きなネックになっている次第でございます。
  256. 永末英一

    永末委員 中国が最近四つの現代化の一つとして特区等をつくり深センなんかやっておりますが、そういう特別区における投資協定の話などは今の交渉の中にございますか。
  257. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 これまで行ってまいりました協定交渉は特区に限ったものではございません。一般的な日中間の投資保護というものでございます。
  258. 永末英一

    永末委員 一般的といいましても、中国のような経済状態でございますので、一般的に日本の企業が出ていける状態ではないと思います。ただ、彼らは彼らなりにいろいろな、形は違いますがあちらこちらに特区と称するものをつくって、そこでは資本主義国の企業の進出がよりたやすくなれるような環境づくりをしていることは事実であります。ただし、そこ自体におきましても、今のような企業がそれならば投資をしてその資本の保証をせられるかというと、なかなか難しい状態なのです。  したがって、今あなたがおっしゃったように一般的にどこへでもということではなくて、彼らのとっているそこの部分について対応策があるのかないのか。具体的な問題として問題をお取り上げになって解決していく。例えば技術協力にいたしましても、我々が考えている技術協力と中国側の考えでいる技術協力とは内容が違っているように我々は思うわけであります。それは資本主義国とああいう国柄とは違うわけでございまして、しかし、その接点である例えば特区の運営について双方が協力すればよりいい運営ができるということがあるならば、それはそういうふうに切り離してそこだけを促進させる。協定は国と国でございますから、しかしあちら側が特にある地域を限りそこの部分についての特別の条件を整備するということであるならば、我々もそれに対応して考えていくということが現実的な処理だと思いますが、いかがですか。
  259. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、何せ社会経済体制の違う国でございますので、欧米における投資事業活動と全く違いまして、至るところで何か投資をやるというわけにはいかない点はそのとおりであると思います。御指摘のような特区というような形で中国側としても日本とは違った社会経済体制の中で開放経済政策を進めているわけでございますので、ただいまいろいろ大変貴重な御意見いただきましたので、そういう点も含めまして今後とも中国との交渉あるいは協定という形でない、形の別な技術協力その他の方法もあると思いますが、そういう点も含めまして検討していきたいというふうに考えます。
  260. 永末英一

    永末委員 この投資保証の問題は、我々が発展途上国との対応を考える場合に、中国は発展途上国であるかどうかわかりませんが、重要な問題でございますから、我々のやる経済協力全般を見渡しつつ、その中でこの問題の設定を十分ひとつ注意をしてやっていただきたい、強く希望しておきます。  もう一つ質問したいのでございますが、大蔵省の人が来ておると思いますが、統一システムに関する議定書が本委員会にかかっておりまして、いろいろ長い間かかりまして関税対象になるべき品目について統一的な名前がついたというのですが、売上税はもう死にかけておりまして、我々は死んだと思っておりますのでこれを審議するつもりはございませんが、あの売上税をでっち上げられる過程におきまして、これは相手方から物を輸入し、関税をくぐり抜けてそして我が国商品として取引の対象になってくる場合に課税される対象ができるわけですな、免税品でなければ。したがって、大蔵省の人来ておられましたら、売上税の非課税品目なるものを考えた場合に、この統一システムで扱っている品目と同じ名称が書いてありますか。
  261. 伊東俊一

    ○伊東説明員 ただいま売上税の免税品目と統一システム品目との関係についてのお尋ねでございますけれども、輸入品にかかわる売上税の免税対象品目の範囲関税商品分類統一システムを極力リンクしたものとすることによりまして輸入品が課税か非課税かを明確にいたし、先生御指摘のように輸入取引に支障が生じないようにしたいと考えているところでございます。
  262. 永末英一

    永末委員 したいと考えているので、なっておるのじゃありませんな。
  263. 伊東俊一

    ○伊東説明員 さようでございます。
  264. 永末英一

    永末委員 十年ぐらいかかってゆっくり御検討いただければいいことがあるかもしれぬと思います。  質問を終わります。
  265. 山口敏夫

    山口委員長 次に、岡崎万寿秀君。
  266. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 きょうは予備質問でございますので、問題を絞って質問をしたいと思うのです。  まず、ジュネーヴ議定書に関連して我が国関税負担率にかかわる問題でございますけれども、アメリカ、それからEC、カナダ、こういう諸国と比べまして我が国関税負担率はどうなのか、高いのか低いのか、御答弁願いたいと思います。
  267. 冨沢宏

    ○冨沢説明員 なかなか関税率の国際比較というのは難しいのでございますけれども、関税負担率と申しまして、関税の税収額を輸入の額で割ったものを便宜関税率の比較には用いておりますけれども、それによりますと、我が国関税負担率二・五%前後でございまして、これは国際的に見まして、先進国の中でも最も低い水準になっております。     〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕
  268. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 大蔵省の資料によりましてもそのとおりです。一九八四年、日本が二・五%、アメリカが三・四%、ECが二・八%、カナダが四・〇%になっておりまして、最も低いし、しかも一九七八年四・一%であったのが八四年には二・五%に下がっていますので、決して高くない。このことをはっきりと確認しておく必要があると思うのです。  その上に立ってお尋ねしますけれども、中曽根首相は、去る訪米の際にナショナル・プレス・クラブでの講演の後、記者の質問に答えて、アメリカの対日貿易赤字が解消されない原因について、一つには、日本の市場開放が必ずしも十分ではないという面があると述べられたと報道されていますけれども、外務省も同じ見解なのかどうかお答え願いたいと思うのです。
  269. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 総理が我が国の市場開放で足らない面があるとおっしゃったかどうか、そこははっきりした文言は私承知いたしませんが、従来から政府が特にアメリカとの関係で申しておりますことは、現在の日米の貿易のインバランスはJカーブ効果によって確かにドルでは依然として日本の輸出は伸びておる。それからまたギャップも若干ながら増大の傾向が依然続いておるけれども、しかし増勢は鈍っておる。これが一つでございます。  それから二番目に、Jカーブ効果によってこれを円ベースで見た場合には日本の輸出は明らかに減少の傾向を示しておる。したがって、既に事態は改善の方向にある。さはさりながら大幅な黒字国としての責任というものは日本はそれなりに自覚しておる。その限りにおいて貿易の問題あるいは貿易摩擦を拡大均衡の方向で解決する見地から我が方としてさらに市場アクセスを改善するための努力、これは引き続き推進いたしたい、こういう趣旨を常に述べられておりますし、政府の考え方もそれと同じでございます。
  270. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 どうもすっきりしない答弁ですけれども、足りない面があるとか言われたということですね。あなた、そばにいられたんですか。いずれにせよ日本の市場開放が必ずしも十分ではない、こういう見地に立っていないということなんですか、立っているのですか。
  271. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 言葉の適否を細かくせんさくするつもりはございませんが、最近、つい二、三日前に採択されましたOECDの閣僚理のコミュニケ、これを論じておる過程におきまして、一部の国から、さらなる日本の市場開放という用語を示唆された経緯がございます。  これに対して私どもは、その用語は適切でない、日本市場への参入をさらに推進する、こういうふうに反論いたしまして、結果としてのOECDのコミュニケの文言はそういうふうになっております。したがいまして、市場開放が不十分ということではございませんで、大幅黒字国としての責任を見たす一環として日本市場への参入をさらに促進する、こういう考え方に立っております。
  272. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 市場開放が不十分だとは思わないという見地でございますね。総理のナショナル・プレス・クラブでの演説の後での記者会見のあれは不正確な報道であるというふうに言われることになるわけでございますが、それでよろしゅうございますね。
  273. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 言葉はそれぞれの文脈と時点において使います。それから、確かに簡単に物を言う場合に、日本の市場開放をさらに進めねばならない、これは例えば依然として強い保護を要請されておる方々に対して、やはり日本としては市場開放を進めなければならない、こういう物の言い方をする場合が、これはございます。しかしながら、対外的には日本の市場開放が不十分だということではございませんで、やはり日本市場への外国産品の参入をさらに促進するはうに日本としてはそれなりの責任を果たしていきたい、こういう考え方で一貫いたしております。
  274. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 同じ答弁になっていますから、これ以上詰めることはよしましょう。  そういうことから農産物の輸入の自由化の問題が今大きな懸案となっているわけでございますが、この四月一日から日本のたばこ市場が全面開放になった、関税が撤廃されたということでございますけれども、これについて大蔵省の関税局長の大橋宗夫さんが「貿易関税」という雑誌ですが、ことしの三月号に「最近の対外経済関係をめぐる諸問題」という論文をお載せになって、この中で次のように書かれているのです。   日本政府の立場としては、もちろん、わが国のたばこ市場に不公正があるとは考えていない。   では、わが国のたばこの関税が高率なのかどうかであるが、従量・従価を組み合わせて約二〇%であり、これをわが国の平均関税率と比べれば、確かに高いが、一般の農産加工品に比べて取り立てて高いわけではない。また、世界の紙巻きたばこの関税を見ると、米国が大体二〇%、欧州は九〇%も取っている。   そこで協議が始まった。わが方としては、前述のようにわが国たばこ市場に不公正はないものと考えているが、この問題の円満な解決が保護主義の台頭を防あつし、自由貿易体制の維持強化を図るため必要であるとの大局的見地から協議に応じた。 そして、   交渉の結果をどう評価するかはたいへん難しいが、世界の中での日本の対外経済政策を進めていく中で、やむを得なかった選択だったという感じを持っている。 このようにお書きになっていますが、このたばこの関税の全面撤廃について外務省も同じ見解でしょうか。
  275. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 同じ見解でございます。
  276. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 これは明らかにアメリカの不当な圧力に屈した全面的な譲歩ではないかと幾つかの新聞も載せているわけでございますが、これが日本の葉たばこ耕作農民にとってどういう影響を与えるか言うまでもないことであります。アメリカのたばこの日本市場でのシェアというのは約四%ぐらいですけれども、これが急速に高まっていくことは必至でありますし、フランス、イタリアなどでは、たばこの輸入自由化の措置後三年程度で二〇%から三〇%までふえているのですね。一%ふえれば国内のたばこ耕作面積が数百ヘクタールも影響を受けるということになるわけですけれども、こういう関税の全面撤廃に対して同じ見解だと言われる外務省、これでよろしいのですか。
  277. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 御指摘の関税引き下げにつきましては、大蔵省はもちろん、関係の省庁とも十分に相談いたしまして、大局的見地から我が方としてはこの措置に踏み切らざるを得ないだろうと考えて踏み切った次第でございますが、同時に、生産者に対する配慮ということも考えまして、例えば葉たばこ産業近代化財団に対する手当てというような措置がとられたというふうに承知いたしております。
  278. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 新聞によりますと、「米のかわりにたばこで譲歩」とか、あるいは「アメリカの中間選挙へ政治配慮」とか、いろいろと書かれています。大事なのは、これは毎日新聞の去年の十月五日付でございますけれども、「「押せば折れる」波及が怖い」、このことだと思うのです。こういう理屈に合わないようなことでも日本は押せば結局譲歩する、こういう見地で外交姿勢が貫かれると、これは今後非常に大きな問題を残すように思うのです。この毎日の記事はこのように書いています。   しかし今回の「関税ゼロ」という決着の仕方は日本が白旗をあげたに等しい。形の上では報復はとられずウワサされていた自動車部品や酒などへの波及は避けられたものの、日本の全面譲歩という決着スタイルが今後の通商協議に微妙に影響する恐れもある。 こういうことなどが書かれている状態なんですね。  六月のベネチア・サミットなどに向けて、農産物の自由化の問題、市場開放の問題が米などを含めて今盛んにアメリカの筋から圧力が加わっている中で、このようなたばこの全面市場開放に見られるような姿勢はとるべきではないというふうに思うのです。その姿勢を問いたいと思いますけれども、これは政務次官でしょうか、政府の姿勢をきっぱりとお答え願いたいのです。
  279. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 先ほどの大橋局長の論文にもございましたように、現在のアメリカの議会で燃え盛っております保護主義の動き、これは決して理論的な可能性ではございません。御案内のように、ゲップハート条項を含んだ法案が大差で下院で可決されておるわけでございます。上院でもいわゆるアドバーサリアルトレードという言葉を含んだ法案が、委員会ベースでございますが、可決されておる。アメリカの世界経済における相対的な地位が下がったとはいいましても、アメリカの貿易政策というものは、やはりこれから先今世紀の終わりまでを踏まえた貿易ルールのあり方に非常に大きな影響がございます。  特に新ラウンド交渉が既に発足しております。その中で例えばセーフガード交渉がどうなるか、もちろんアメリカだけの判断で、アメリカだけの考えでそれを世界じゅうに押しつける、それを国際ルール化するということにはそれはならないだろうと思います。しかしながら、アメリカがどういう態度で交渉に臨むかということは、決定的とは言わないまでも、非常に重要なファクターでございます。  他方、我が国といたしまして、自由、無差別、多角的、この三原則に立脚したガット体制というものを何とか守り抜いていく、これが我が国にとっての本当に死活的な重要性を持つ課題であることは、これは委員御高承のとおりでございます。  こういうことを踏まえまして先ほどの大橋局長の、私の理解では、苦渋に満ちたお考えの表明ということになったわけでございます。  それでは、じゃ何でもいいのかということであります。それはそうではございません。やはりそれなりに我が国としての関係の生産者、国内の状況、そういうものに対する配慮、手当てというものは必要でありましょう。それからまた、アメリカの主張がどう考えてみても国際ルールに照らして問題がある、こういう場合にはこれは拒む、お断りする。例えば先般半導体問題に関してアメリカが三〇一条を適用して発動いたしましたいわゆる報復措置でございますが、これに対しては私どもは納得いたしかねるということでガットの方に問題提起をしておる、そういうことでございまして、大きな方向は失わない、国内の困難に対してはできる限りの手当てはする、国際ルールというものは日本はできるだけ守り、アメリカに対してそれを守るように強く働きかけていく、こういう方針で対処しているわけでございます。
  280. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 理屈の問題じゃない、苦渋に満ちた譲歩だというお話でございますが、言われることはわかりますけれども。しかし、とにかくアメリカでさえも二〇%の関税率をかけているわけですね。日本があるからといってこれを全面的にゼロにするというのは不当だと思うのです。こういうことに対する譲歩の姿勢が波及効果を及ぼすことについて非常に懸念している国民が多いということはしっかりと認識していただきたいと思うのです。  さて、話を進めまして、五月七日、参議院の予算委員会で我が党の上田耕一郎委員長が質問したことでございますけれども、日米貿易の問題について見る場合、それぞれの相手国への輸出額とともに、在日米系企業、日本にあるアメリカの企業、多国籍企業と、それから在米日系企業、アメリカにある日本の企業、この売上額を合計するならば、アメリカ人一人当たりが買っている日本製品は二百三十七ドル、日本人一人当たりが買っているアメリカ製品は四百五十二ドル、このように政府自身が答弁されました。八三年統計による試算なんでございますが、そのとおりですね。答弁は少し簡単にお願いします。
  281. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 実は非常に精密な積み上げの計算というのはなかなかできないのでございます。幾つかの仮説を置きましてごく簡単に目途としてはじいたという数字はそのレンジでございます。
  282. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 これはどういうことを意味するのかということをお尋ねしたいのですけれども、何か日本人はアメリカの製品を買わないと言う。中曽根さんは百ドル買おうじゃないかということをテレビにまで出ておやりになったようでございますけれども、そうじゃない、買わないところか日本人はアメリカ人の二倍近く買っているのだということ。これは日本がアメリカに対して大きく市場を開放していることになりませんか。これの持つ意味についてお答え願いたいと思います。
  283. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 一つの考え方としてはそのとおりだと思います。そしてさらにそのほかに、日本におけるアメリカのサービス産業、例えば、企業の名前を言っていいのかどうかわかりませんが、例えばでございますが、ハンバーグでございますとか鳥の揚げたものとか、ああいうものの日本における消費、これを加えますと非常に実はふえるのでございます。したがいまして、こういうふうに生産ベースの相互浸透というものが行われている、こういう時代において、貿易だけに着目して、しかもそれを二国間だけのバランスを云々するということが果たして実体経済上どういう意味を持つのだ、こういうことはしばしばアメリカ側に指摘しているところでございます。  ただ、残念ながら、どうもアメリカの議会におきましてはなかなかこの議論が浸透いたしませんで、やはり二国間の貿易のバランスの数字、これが大きくクローズアップされるというのが現状でございます。しかし、考え方としては私どもはそれだけではいかぬということを考えておりますし、指摘しているところでございます。
  284. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 大変重要な答弁だろうと思うのです。私たちも前からこの問題は主張していまして、日米間の貿易問題を見る場合に、二国間の輸出入額だけではまずい、今は経済も国際化していますし、多国籍企業の問題を無視しては語ることができないという見地に立っていましたけれども、今の答弁もそういうことに着目した御意見であったというふうに思うのですね。  この市場開放の度合い、製品の相互浸透の度合いをはかる指標としてやはり多国籍企業の問題を勘定に入れるということ、そうでないと科学的でないし、正確でないというふうに思うわけですが、その見地は、日本の外務省はもちろんですけれども、日本政府見地として今後そういう見地でアメリカに対しても国際的な立場、場所でも貫いていかれるということ、ここではっきりお約束できますね。
  285. 池田廸彦

    ○池田(廸)政府委員 先ほど申し上げましたように、既に何回もそういう指摘は実は行っておるところなんでございます。問題は、定性的な議論はできるんでございますが、なかなかこれを定量化できないというところに悩みがございまして、考え方としては私どもはそれは筋だと思います。今後もその考え方をアメリカ側に引き続き指摘していこうと思いますが、どうもいまひとつ最後の決め手としての数量化というところに困難がございます。
  286. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 ぜひその筋を通して交渉してもらいたいと思うのです。日米の貿易不均衡というものの原因について日本の市場開放が不十分だからという見地は全くおかしい、そう思うのですね。主たる原因はアメリカにあると多くのマスコミ等、論者等も言っておりますのであえて繰り返しませんけれども、毅然とした姿勢で日本の外交、経済外交を進められることを希望したいと思うのです。  さて、MIGAの設立条約について話を進めてまいりたいと思います。  このMIGAは、開発途上国で起きる非商業的リスクを担保するために設けられるわけでございますが、条約の第三章は、非商業リスクとして「(イ)送金(ロ)収用及びこれに類する措置い契約違反(ニ)戦争及び国内争乱」を挙げております。御承知のとおりです。  この中で、時間の都合もありますので、問題を絞って収用リスクについてお聞きしますが、これはどういうことを言うんでしょう。
  287. 久保田穰

    ○久保田説明員 MIGAにおける「収用及びこれに類する措置」につきましては、御指摘のように第十一条(a)(ⅱ)にありますが、「投資受入国政府の責めに帰すべき立法上の措置又は行政上の作為若しくは不作為であって、被保証人がその投資を所有し若しくは支配する権利又はその投資から生ずる実質的な利益を得る権利を剥奪する効果を有するもの。」ということでございまして、国有化、収用、資産の凍結等を含み、従来の投資保証制度対象としているものとおおむね同一の概念というふうに考えております。
  288. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 そういうことでございますが、この収用について調べてみました。これは国際法学会編の「国際法辞典」でございますけれども、「収用」ということについて、「国際法は国家がその領域内にある財産を収用もしくは国有化する権利をもつことを認めているが、同時に外国人財産に対しては一定の条件に基づく取扱いを主張して外国人およびその本国の権利を保護している。」こういうふうに国際法上も権利として認めているということを指摘しています。  また、国際法の権威である田畑茂二郎氏が書かれた「国際法Ⅰ〔新版〕」、有斐閣から出た本でございますが、この中には、国家による「外国人財産収用の形態には、たとえば、道路建設のために、特定の外国人の財産を収用するといった、いわゆる個別的収用と、たとえば、専売制度を設けるなどのように、特定の財産(企業を含む)そのものを一般的に収用する、いわゆる一般的収用とがあるが、一般的収用といっても、一九一七年のロシア革命の例をはじめとして、最近では、国家の社会的・経済的な変革過程の一環として、いわゆる「国有化」というかたちで、外国人財産の収用が行われることが多くなっている。そのように外国人財産を収用することそのことは、国有化をも含めて、とくに条約で禁止されていないかぎり、国際法上かならずしも違法とはされていない。」  二つだけ紹介いたしましたけれども、これは違法でないというのが通説だということです。政府の見解は同じですか。
  289. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生のお引きになりました国際法の先生方の御意見、これは通説と言ってよろしいかと思います。収用そのものは国際法上禁止されていないというふうに申し上げてよろしいと思います。  ただ、よく問題になりますのは、その収用のやり方というか手続の問題ですとか、あるいは収用を行った場合に十分な適切な補償がなされないというような問題が現実に生ずるわけでございます。しかしながら、そのような適切な手続を経て、また適切な補償がなされる場合には、収用そのものが違法であるということは言えないと考えます。
  290. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 今言われたように適切な手続、適切な補償があれば収用そのものは合法である。日本政府もこれを認めるという立場ですね。
  291. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 適切な手続と補償がある場合には収用は可能である、国際法上禁じられていないという考え方でございます。
  292. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 ですから、日本政府はそういう見地だと理解して、さらに質問します。  一九七四年の第二十九回国連総会で採択された諸国家の経済権利義務憲章は、途上国の経済主権を確立していく上で、一九六二年に国連で採択された発展途上国の天然資源に対する恒久主権の決議とともに極めて重要な意味を持っていると思いますけれども、日本はなぜこれに棄権されたのですか。
  293. 中平立

    ○中平政府委員 お答えいたします。  委員御指摘のように、一九七四年の第二十九回国連総会におきまして、日本は経済権利義務憲章について棄権したわけでございます。  その理由は、もちろん日本としては政策といたしまして開発途上国発展を促進して南北の格差を是正したいということを深く念願しているわけでございますけれども、実際国連の議論におきまして開発途上国はコンセンサス達成のための努力を十分尽くさなかった。もちろん我々としては、こういう重大な問題につきましてはやはり諸国が十分その議論を尽くしてコンセンサスを得るべく努力しているわけでございますが、残念ながら、この件につきましては途上国側が一方的な主張を反映した問題のある条項を含んだままこの憲章草案の採択を要求した次第でございまして、こういう状態で投票に付されたために我が国は棄権した次第でございます。
  294. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 二つ言われたようです。一つは、コンセンサスを得るために論議を尽くさなかった、一方的な形で進めたという点と、問題ある条項を含んだままという指摘があったようでございますが、その問題の一つでございましょう憲章の第二条二項について、日本は(a)、(b)、(c)とも反対しています。  なぜ反対なのか。これまた時間がありませんので、特に第三のつまり(c)項のところですね、収用にかかわる部分について、なぜ反対なのか、具体的な御説明を願いたいと思います。
  295. 中平立

    ○中平政府委員 簡単にお答えいたします。  この条項におきまして、国有化に当たって補償の問題の争いが生じた場合に最終的に国有化した国の国内法で解決することができることになっているわけでございますが、確かに先ほどからいろいろ御議論いただいております点はあるのでございますけれども、やはり実態的な問題といたしまして国際投資の安全を図るという観点からいたしますと、その国が自分の国内法で最終的に解決することになりますと世界の投資家というものに対してどういう影響があるだろうかということを現実問題として考える必要があるのではないか、こう思うわけでございます。したがいまして、開発途上国の経済発展のために必要な先進国からの資金の流れがむしろそういうことによって阻害されるおそれがありはしないかということを深く懸念するわけでございまして、そういう意味で反対したわけでございます。
  296. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 そうしますと、この(c)の中の収用そのものに反対だったからではなくて、紛争が生じた場合、国有化した国内法に基づいて、かつその法廷において解決されなければならない、ここに反対だったということなんですね。  これも反対される理由になるにしては随分どうかと思いますけれども、進出した企業がその国の国内法に基本的に基づいて紛争を解決するというのは当然じゃありませんか。ほかにどういう方法があるのです。基本的にはやはり国内法に基づいてやるのが当然じゃありませんか。
  297. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 御指摘のとおり、確かに第一次的にはその国の国内法に従った手続をとるのが通常であると思います。ただ、国有化の問題につきましては、これはもちろん公共の目的ということで収用するような場合が多いと思いますけれども、この当事者はだれかということになりますと、その投資先の国家が一方の当事者であり、もう一方の当事者は外国の企業であるということでございます。そういうわけでございますので、そこの国の国内的な手続は踏まなければなりませんけれども、必ずそれで公平な解決が得られるかということになりますと、一方の当事者が相手の国でございますので、その当事者の決めた手続によって裁かれるということになりますと、場合によっては必ずしも公平な解決が得られないということも現実的にはあるわけでございます。  そこでしばしば使われますのが第三者による国際機関あるいは第三国の適当な仲裁裁判官等でございますけれども、そういう第三者機関による公平な解決というものが考えられるわけでございまして、これまでもいろいろ国際的に調停でございますとか仲裁でございますとか、そういう方法が試みられているわけでございます。
  298. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 今も第一次的にはその国がとおっしゃっているわけで、あえて反対する理由だったのかどうかについては大いに疑問ですね。  いずれにいたしましても、収用そのものについて反対されたわけではなかった、これははっきり確認してよろしゅうございますね。
  299. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 私、当時の国連での議論を必ずしも詳細に承知しておりませんけれども、国際法的な観点から見ます限り、公共のためにする収用、これが正当な補償により、また正当な手続を経て行われるものであるという前提に立ちます場合には、この収用そのものには反対すべき立場にないと考えます。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、現実に問題が起こった場合の紛争解決の手続というものはやはり公平な手続が必要であるという点が問題であったというふうに承知しております。
  300. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 MIGAについて、先ほども紹介をしました「貿易関税」の八六年四月号でございますが、この中で大蔵省国際金融局の谷口和繁さんが論文をお書きになっているわけです。この方はMIGAの条約づくりに深くかかわっておいでになった方だと伺っていますが、「MIGAは、世銀・IFC等と協調しつつ途上国の投資環境整備を助長するとともに、投資にかかる非商業リスクの発生の確率そのものを低下させる役割も期待されている。」このように書かれているわけです。  私が留意したいのは、「投資にかかる非商業リスクの発生の確率そのものを低下させる役割」、これをMIGAが持っている。これは政府も同じ見解ですか。まあ大蔵省の方でありますけれども、個人の論文でございますのでね。
  301. 英正道

    ○英政府委員 私、その論文を拝見しておりませんので、必ずしも正確な解釈をしていないかもしれませんけれども、要するに言わんとしているところは、途上国が資金と技術の移転をもたらす投資を奨励する、それからいわゆる先進国の側でも投資を行いたいという、そういう両者の願望の上に立って国際的なこういう流れを促進すべきだという立場に立ってこのMIGAの取り決めができている。そういうことは結局双方の、特に受け入れ国のエンライナンド・セルフ・インタレストということを通じまして、そういう非商業的なリスクが起こる確率を減らした方がそういう流れが促進されるという意識を生み出すという意味でそういう効果をもたらすというふうに述べたのだと理解しております。
  302. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 非商業的リスクを減らした方が流れが促進される、御答弁のとおりこれは谷口さんの論文の趣旨と同じだと思うのです。しかし、これは例えば収用リスクについてそれが起こる確率を減らすというふうになりますと、事実上国家的な必要から、また公益性の問題とか、それからちゃんとまた補償もするとかいう、そういう原則を国際法上踏まえながらやっていく、これを抑えることにならないか、このことを非常に懸念するわけです。MIGAはそんなことをやるのですか、どこでそういうことをやるのです。仕組み、やり方、そういう性格なのか、簡潔にお願いします。
  303. 久保田穰

    ○久保田説明員 MIGAが保証活動を行うにつきましては、MIGAと関係国との間の合意というものを前提にしておりますが、委員御指摘の問題につきましては、MIGAは従来の機関よりも若干広い役割を果たすことを想定しておりまして、投資機会に関する情報提供、それから投資国及び被投資国におきます投資促進に関しての環境整備促進に関する技術的な助言というものを行うことになってございます。したがいまして、今申し上げたようなプロセスを通じまして投資を阻害するような要因を除去していくということになると思います。
  304. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 情報をとり、技術的な助言をして環境整備を促進していくという話でございますけれども、これが実際上その国の経済主権、自主的な経済発展を抑えるようなことにならないかということについて非常に懸念するわけなんです。途上国においてそれぞれの国が必要によって外国企業の国有化あるいは規制ということは起こり得ることなんですね。MIGAはこういう途上国の自主的な経済発展の選択に対して、世銀をバックとしてこれを抑え込むような役割を果たすのでしたら、これは大きな問題だと思うのです。  それに関連しまして条約の二十二条には、投資の流れを阻害する要因の除去に努める、先ほどから答弁されていることと同じことを言っておりますけれども、これがどういう中身を持つのか、先ほど私が懸念したようなことにならないのか、御答弁願いたいと思います。
  305. 英正道

    ○英政府委員 二十二条の阻害要因の除去というのは、具体的に途上国においてはその国民が行う対外投資につき制限を行っているような場合、そういうことをやめる、また開発途上国においては対外投資の受け入れを制限し、または対外投資受け入れにかかわる法制度が整備されていない場合、こういうものを除いていく、それによって投資を促進するという趣旨でございます。御質問の途上国がやむにやまれぬ立場から正当なる補償を行い正当な手続を踏んで収用を行ったという場合に、それを抑えるというような意図はないと考えております。ただ、これが補償を行う場合にはやはり途上国におけるいろいろな状況というものを念頭に置いて行っておりますから、その辺は今後のMIGAの運用によって出てくる問題であろうかと思います。
  306. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 抑える意図はないということでございますけれども、現実の性格、役割等考えた場合は、この懸念は大いにあるというふうに私たちは警戒するわけです。  それに関連して、東京銀行月報の八四年五月号でございますが、その巻頭時言にこういうことが書いてございます。「現在、債務問題に苦しんでいる国の多くは、一九六〇年代中葉以降、直接投資に厳しい規制を課してきた国でもある。…… したがって今後、直接投資を拡充するうえで第一になすべきことは、発展途上国が透明かつ合理的な外資政策を打ち出すことである。ただしそのためには経済政策全般の見直しが必要となるであろう」。これはさっと読みましたけれども、途上国に貸し付けている日本、アメリカ、ヨーロッパ等の銀行の利息が高過ぎるということも今途上国の債務問題を深刻にしている原因だと思うのです。  その銀行が途上国に向かって、債務問題に苦しんでいるのは多国籍企業の直接投資について門戸が狭いからだ、もっと直接投資を自由化しなさい、それだけではなくて経済政策全般についても見直しなさい、これはちょっと言いがかりじゃないかというふうに思うのですけれども、これは銀行の見解でございます。  先ほどから私が大いに懸念を示しているのは、こういう日本の財界、銀行筋の見解と同じ流れのものでないかという点なんです。これは途上国の立場に立ったということよりか、一つの大企業的発想といいますかね。こういうことについて先ほどの質問とも関連して、抑える意図はないとおっしゃいますけれども、日本の財界筋はこういう見地を持っているのだ、これは途上国に対して自主的な経済発展を阻害し、あるいは干渉がましいことになっていかないかどうか、もう一度銀行の時言ともあわせてお答え願いたいと思います。
  307. 英正道

    ○英政府委員 御指摘の問題に関しては、銀行でございますとか実際の投資を行う者の立場、いろいろの立場があるかと思います。繰り返しになりますけれども、この条約自身は非商業リスクから生じた損失を補てんすることによって投資を促進していこうというところにかなめがありますので、その実施する機関のいろいろな助言でありますとか施策でありますとかということから受け入れ環境を整備していかなければいけない、それから受け入れた企業との間に良好な関係を保っていった方が受け入れ国の方にとって有利であるということを理解する、そういうことを進めることによって民間投資が促進されるという効果を持つものであると考えておりますので、今御指摘のような観点から途上国に何らかのみずからが欲しないところのものを強要するというようなことは全く予想されていないと考えております。
  308. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 銀行だけじゃなくて、田村通産大臣のお言葉の中にもそれと類似するものを発見しました。ことしの一月十五日、バンコクでのスピーチでございます。「二十一世紀に向けてのアセアン諸国と日本」という題がついています。その中で田村通産大臣はこのように述べられています。  「日本企業の誘致を求める声が諸外国から日増しに高まっている現状にもかんがみ、アセアン諸国においても、例えば、出資規制、国産品使用義務、雇用規制等をより一層緩和するなど、更に魅力ある投資環境を整備するよう期待しております。」何でもなく読み過ごすところでありますけれども、具体的に出資規制や国産品使用義務、雇用規制等を挙げてこれを緩和しなさい。いかにも恩着せがましく聞こえるようなことを言われているわけでございます。  これは今日の異常円高のもとで今これに対応するために大企業が生産拠点をアジアのNICSやASEANに大規模にどんどん切りかえようとしているわけでございますが、このような大企業の海外進出を助ける立場からの発言にも通ずるように思うのです。  外務省の経済外交というものも、田村通産大臣の言うように、途上国に対して日本の大企業が進出しやすいように規制を緩めるという対応であるのかどうか、そういう立場なのかどうか、お答え願いたいと思うのです。
  309. 英正道

    ○英政府委員 田村通産大臣のおっしゃったことの文脈を完全に私存じませんけれども、今委員のお読みになられた限りで申し上げますと、大変現実主義の立場に立っての友好的なアドバイスと、もちろんそれを先方がどう考えるかは先方の問題である、こういうふうに私は伺いました。
  310. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 向こうを前に言ったのですから、友好的アドバイスと受け取る人もいるでしょうし、私が懸念するように受け取る人もいるでしょうけれども、聞いたのはそのことじゃなかったのです。外務省も同じ見地なのかということを聞いているのです。
  311. 英正道

    ○英政府委員 政府の考えは、民間投資というものは、現在途上国が必要としている資金と技術の移転をもたらし、かつ債務累積というような問題を起こさないという意味で望ましい形態の資金の流れである。しかし、それを実際に実施するのは民間の企業でございますし、また、その受け入れの条件を定めるのは途上国の政府でございますので、その両者がお互いの利益に合致するところでそれぞれの国において政策を決めていくことが一番望ましい、こういう立場であると思います。
  312. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 きぱっとした答えになっておりませんけれども、途上国においても資金が必要である、技術が欲しいという点はあるでしょう。直接投資そのものも途上国の発展にとってすべて有害であるという見地ではありません、  しかし、現に進められている途上国へのこのような直接投資が、先ほどから言っているように、途上国の自主的な経済発展を顧みないで、大企業の利潤追求の立場からどんどん進められてくることになれば大変な問題である。そういう立場に立ってMIGAの問題を見ているわけでございます。田村通産大臣の言った、出資の規制とか国産品の使用義務を外しなさいとか、雇用の規制についても緩和しなさいとか、アドバイスとはいってもこれは国の政治について余計なお世話なんです。やはり干渉なんですね。こういう見地をとるということは、やはり日本の大企業の海外進出をどんどん開いていくことを推進する立場になりますし、問題が多いと思うのです。  自主的な経済発展を支持する立場、そして日本の産業の空洞化によって日本の中小企業を初め日本国民に深刻な打撃を与えることのないようにする立場に立つならば、こういう問題は大いに検討しなくちゃいかぬ内容を含んでいるように思うのです。  もう一回MIGAにかかわって言いますけれども、私が先ほどから繰り返し質問しているような懸念、政府の立場としてはこれは全くありませんというふうに言い切れますか。もう一度お答え願いたいと思うのです。
  313. 英正道

    ○英政府委員 繰り返しになりますけれども、この条約の基本は、投資国、投資を行う企業のある先進国と、それから投資を受ける途上国との間にイコール的、友好的な関係を前提とした取り決めであろうと思います。したがって、御懸念のようなことは起こらないと考えております。
  314. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 私は、幾つかの材料を紹介しながら、やはり重大な問題を含んでいることについて指摘しましたけれども、このような大企業の利益を中心とする海外直接投資、大企業というのは当然収益性を第一義的に追求しますので、これについて手放しで臨むのは大変危険であると思うのです。先ほどから言われているように、友好という見地に立つ、あるいは発展途上国の本当の経済の自主的発展の立場に立ってこの問題を見る必要があるということをもう一度強調して、私のきょうの質問をこれで終わります。
  315. 山口敏夫

    山口委員長 次回は、来る十八日月曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時八分散会