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1987-05-22 第108回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年五月二十二日(金曜日)     午前十時三十二分開議 出席委員   委員長 鹿野 道彦君    理事 小里 貞利君 理事 亀井 静香君    理事 久間 章生君 理事 関谷 勝嗣君    理事 津島 雄二君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君 理事 河村  勝君       小渡 三郎君    亀井 善之君       北川 正恭君    鴻池 祥肇君       田中 直紀君    二階 俊博君       平林 鴻三君    増岡 博之君       山村新治郎君    若林 正俊君       渡部 恒三君    小林 恒人君       新盛 辰雄君    戸田 菊雄君       浅井 美幸君    中村 正雄君       辻  第一君    中島 武敏君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 橋本龍太郎君  出席政府委員         運輸大臣官房長 服部 経治君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   林  淳司君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部長      丹羽  晟君         運輸省運輸政策         局長      棚橋  泰君         運輸省国際運         輸・観光局長  塩田 澄夫君         運輸省地域交通         局長      熊代  健君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      神戸  勉君         運輸省海上技術         安全局長    間野  忠君         運輸省海上技術         安全局船員部長 増田 信雄君         運輸省航空局長 山田 隆英君         運輸省航空局技         術部長     大島 士郎君         海上保安庁次長 大塚 秀夫君  委員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   越智 俊典君         外務省アジア局         南西アジア課長 渋谷  実君         外務省中近東ア         フリカ局中近東         第二課長    渡辺 俊夫君         大蔵省主計局共         済課長     山口 公生君         水産庁漁政部企         画課長     上木 嘉郎君         水産庁研究部漁         場保全課長   三村 悌二君         気象庁次長   平井  清君         運輸委員会調査         室長      荒尾  正君     ————————————— 委員の異動 五月十五日  辞任         補欠選任   北川 正恭君     瓦   力君   清水  勇君     石橋 大吉君 同日  辞任         補欠選任   瓦   力君     北川 正恭君   石橋 大吉君     清水  勇君 同月二十二日  辞任         補欠選任   村上  弘君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   辻  第一君     村上  弘君     ————————————— 五月二十二日  船舶安全法及び道路運送車両法の一部を改正す  る法律案内閣提出第八六号)(参議院送付) 同月十八日  ハイヤー・タクシー、観光バス事業規制緩和  反対等に関する請願大出俊紹介)(第二九  八八号)  函館海洋気象台海洋気象観測船建造等に関す  る請願藤原房雄紹介)(第二九八九号)  同(奥野一雄紹介)(第三〇四七号) 同月十九日  函館海洋気象台海洋気象観測船建造等に関す  る請願児玉健次紹介)(第三一二七号)  同(佐藤孝行紹介)(第三一九七号)  肢体障害者のための東日本旅客鉄道会社十条駅  改善に関する請願中島武敏紹介)(第三三  三八号) 同月二十一日  港湾の整備に関する請願村上弘紹介)(第  四一〇四号)  函館海洋気象台海洋気象観測船建造等に関す  る請願中島武敏紹介)(第四一〇五号)  北陸新幹線早期着工に関する請願村井仁君  紹介)(第四二〇六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  船舶安全法及び道路運送車両法の一部を改正す  係る法律案内閣提出第八六号)(参議院送付  )  陸運海運及び航空に関する件等運輸行政の  基本施策)      ————◇—————
  2. 鹿野道彦

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉原米治君。
  3. 吉原米治

    吉原委員 過ぐる五月十四日に運輸大臣から所信表明を承りました。その所信表明の範囲内で限られた問題だけ質問をさせていただきます。  大臣所信表明の第一番目に触れられておりますが、この四月から民営化として発足をいたしておりますJR会社の問題でございます。この改革法が通りまして四月一日から発足しておりますJR各社現状と展望について、数点にわたって質問をさせていただこうと思います。  第一に、JR各社旅客会社六つ貨物会社一つということで合計七つ会社発足しておるわけでございますが、最初各社収支見通し計画どおりにいっておるのかどうなのか、その点を含めてひとつお答えを願いたいと思います。
  4. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 各位の御協力によりまして、おかげさまで四月一日にJR各社は新たなスタートを切ったわけでありますが、それ以来今日まで五十日余りが経過をいたしました。  現時点におきまして、まだ四月分の各社取扱収入が出てきているだけの状況でありますので、確定したことを申し上げるわけにはまいりませんけれども、各社間の清算がなされる前の状態でありますが、本年四月分の各社取扱収入はおおむね前年並みでありまして、東日本会社が三。六%増、西日本が二・八%増、東海が二・五%増、四国が〇・四%増、北海道が一・〇%減、九州が一・二%城となっております。また、貨物につきましては一三%の減になりました。これは各社間における清算等が終了いたしませんと、まだ支出について確定したことを申し上げられる段階にはございません。  輸送量について見ますと、このほど取りまとめました主要線区特定区間における特急・急行列車輸送人員は、おおむね各線区とも前年並みか若干の減になっております。しかし、これは、本年の四月は御承知のとおり日曜日が二回、統一地方選挙が行われ投票日でありましたこと等の出控えがあったこと、また、四月後半のゴールデンウイークの天候が不順でありましたこと、同時に曜日の配列が、昨年よりもお休みを続けておとりになるには組み合わせが余りよくなくて、レジャー客の出足が五月にずれ込んだといったような状況があったと考えております。  また、貨物輸送量が、発送トン数でありますと一四・九%の減となっておりますけれども、これは六十一年十一月のダイヤ改正による輸送体制合理化の結果であると考えられておりまして、いずれにしても発足後一カ月の収入輸送量実績で全体を判断することは多少早計ではなかろうかと考えております。  殊に、御承知のように旧国鉄時代とは変わりまして、関連事業への進出を非常に大きく認めておりますし、各社努力中でありますので、これらの収入実績等はしばらく様子を見ないと確定をしないという状況でありますが、私自身は、おおむね順調なスタートを切っておる、そのように考えております。
  5. 吉原米治

    吉原委員 昨日、四、五月分の前年対比の実績を明示していただくように資料をお願いしておったのですが、政府委員、おりませんか。今、資料ができておるので大臣答えでいらっしゃるはずだから。
  6. 林淳司

    林政府委員 ちょっとその辺の資料要求について私存じませんでしたので、まことに申しわけございません。  四月の速報値収入あるいは輸送量等につきましては、後ほど先生のお手元にお届けさせていただきたいと思います。五月につきましては現在まだ進行中でございますので、四月分につきましてお手元にお届けをさせていただきたいと思います。
  7. 吉原米治

    吉原委員 そうすると、今大臣お答えになったのは四月分ですか。それぞれJR各社東日本を初めいろいろと、貨物会社だけが一三%減というお話がございましたが、これは四月分のことでございますか。
  8. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 四月分の速報値でございます。
  9. 吉原米治

    吉原委員 それじゃ、五月分がきちっと把握された時点で結構ですから、対前年比の数字をひとつ後ほど提示していただきたいと思います。  そこで、今東日本の例を挙げて聞きたいわけでございますが、当初要員は二十一万五千人体制で出発するという計画でございます。そういう意味からいきますと、東日本の場合は八万九千人、それを見込んだ人件費が実は計上してあるわけでございますが、実際の要員というのは、今度再募集もされておるようでございますが、七千人余り募集をされておる。つまり予定人員に満たないということであろうかと思いますが、そういう意味では、八万九千人相当額人件費というのは、現実には七千人も実は少ない要員スタートしておるわけでありますから、当初の計画の四千三百十億円という人件費は大幅にダウンするのじゃないか。したがって、さっき大臣は、東日本の場合は三・六%の増というふうに言われましたが、もっと人件費が減るわけですから、数字はもっとふえるのじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
  10. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 新会社発足当初における職員数基本計画採用予定数に満たなかったということは、御指摘のとおりでございます。  もともと鉄道事業のみを完全に実行するためには十八万六千人の要員で賄えるということは、先国会において御説明を申し上げました。ただ同時に、関連事業への進出、また国鉄JR各社に姿を変えます過程において、なるべく職場を去る方を少なくしたいといったような気持ちから、二十一万五千人を対象として基本計画を組んだわけでございます。ところが、その後におきまして、委員が御指摘のように採用を辞退される方等もございましたために、現在、東日本ばかりでなく、東海西日本四国貨物各社、また北海道会社九州会社も含めまして、それぞれ基本計画採用数を下回っております。  しかし、一方、北海道地区及び九州地区において残念ながら新会社採用がかなわなかった方々が多数おられ、しかも鉄道事業に引き続き参画したいというお気持ちを持っておられる方も多い状況でありますので、北海道会社及び九州会社は再募集を行いまして、ちょっと正確な人数を私忘れましたけれども、既に採用内定通知はお渡しいたしました。そして現在、御指摘東日本会社も含めまして各会社は、北海道地区及び九州地区において再募集を行っております。ですから、最終的には、この再募集にどの程度の数の方々が応じていただけるのか、これを見ませんと、基本計画採用予定数実態の差というものは確定をいたしません。  ただ、委員が御指摘のそういうすき間が生じる可能性は確かにあるわけでございまして、その場合には所要措置をとり、それぞれの会社から、例えば宿舎用地等でお渡ししておるもの、これらも会社の財産でありますが、こうしたものを、返還を願うという言い方が適当かどうかわかりませんけれども、清算事業団にお渡しをいただくといった措置をとり、基本的に狂いのない状態をつくりたいと思っております。
  11. 吉原米治

    吉原委員 これは、今東日本の例で七千名の再募集つまり予定人員よりも七千人少ないままで発足しておるというこの七千人は、人件費に直しますとどのくらいの額になりますか。
  12. 林淳司

    林政府委員 人件費は、給与その他いろいろ含めてでございますが、一人当たり大体五百万程度考えれば三百五十億程度になろうかと思います。
  13. 吉原米治

    吉原委員 三百五十億程度ということでございますから、東日本だけに限って申し上げますと、当初予定した人件費より三百五十億円マイナスになる、それだけ黒字幅が出てくる、こういう勘定になります。また東海旅客も、三千八百名でございますから相当額人件費が削減をされる。  私はなぜこんな質問をしておるかといいますと、それなりにもうかる、もうけになるという見通し相当額債務を分割各会社に負担させておる経緯がございますので、そういう意味では、うんと黒字が出るということになると、債務もそれ相当のものを負担しなさいということに今後なっていくであろう、こう思いますがゆえに、あえてそういう数字の問題にちょっとこだわっておるわけでございます。  ところが、今東日本の例を申し上げただけでございますが、各社に共通して言えることは、私は西日本選挙区を持つわけでございますが、第二の人活じゃないかと言われておる事業開発部というのがまた新しい会社にある。事業開発部と呼び名は大半共通しておると思いますが、違った名称を使っておる会社もあるようでございます。この事業開発部というのは、名前から想像はできるのですが、実態余りにもかけ離れておる。つまり、朝出てきて点呼を受けて、そのまま終日部屋の中でぶらぶらしておる。夕方点呼を受けて、それでさようなら。欠員だから再募集をしなければならぬという会社の中で、相当数欠員があるからさしずめ休日出勤等で皆さん大変頑張っているのだろうなと想像しておったが、そういう想像とは裏腹に、そういう人間使い方をしておる。  これは一体どういうことをやろうとしておるのか。とうとう嫌気が差してやめていくことを期待しておるのかどうなのか。現状、違っておる会社もありますよ。私は今西日本の例を挙げて言っておるのですが、大半は旧国労の活動家がそういう、言ってみれば第二の人活部屋に閉じ込められて非常に不安にさらされておる。一体運輸省としては何を期待してそういう人間使い方をしておるのか。随分むだなことだと思いますよ。  ただ、過渡期だから私鉄並み関連事業でうんと稼ぐ、それがための要員教育だ、それならそれで一つ過渡期だから理解がいくのですが、朝来て点呼をとって、夕方まで囲碁などをしてぶらぶらしておる、そんな研修というか教育というか、それはないだろうと思うのですね。もっときちっと日程を立てて教育をするのなら教育をする、そういうことをやるべきであって、朝点呼をとって、夕方まで何もさせない、そんな手はないと思うのですが、何を考えていらっしゃるのか。大臣お答えできるのですか。
  14. 林淳司

    林政府委員 先ほど先生からも御指摘がありましたように、例えば東日本会社であれば、もともとの基本計画による採用予定数は八万九千人強、それに対しまして現在おります要員数は八万二千人強ということで、約七千人予定数より下回っているわけでございます。しかし、北海道九州会社を除いて他の会社はいずれもそういう状態でございますが、いずれの会社も本来必要な所要員は上回っているわけでございます。いわゆるトータルで二十一万五千人に対して十八万六千人が所要員でございますので、北海道九州会社を含めましていずれの会社所要員は上回っておる、いわゆる過員という状態にあるわけでございます。  したがいまして、この過員につきましてはとりあえず関連事業等でできるだけ活用していく。将来関連事業を展開していくのに備えてそちらの方面の経験も積んでいただくという必要もあるわけでございまして、そこで関連事業関係の組織にそういう人たちを所属させまして、その関連事業に関する諸般の増収活動に従事をさせておるという状況があるわけでございます。  そのほか、さらに過員になった人につきましては、例えば要員機動センターというふうなものをつくりまして、特別改札その他の増収活動にも従事させておるという状態があるわけでございます。したがいまして、基本的には所要員を上回った要員が現在いるということで、できるだけその要員を活用して増収活動に結びつけていくという観点から、そういう仕事をやっていただいておるというのが現状でございます。
  15. 吉原米治

    吉原委員 総括審議官、あなたのおっしゃる答えは私も想像しておった。多分そんな答えをされるだろうと思った。その方針と現実のギャップはどういう理解をされておるのか、そういう現状を把握されておるのかどうなのか。朝点呼をとって、夕方まで何も研修らしきものはない、そういう毎日の繰り返したというのですよ。これは七会社共通しておるとは言わぬ。西日本だけかもわからぬが、どうですか、その現実を把握されておるのかどうなのか。
  16. 林淳司

    林政府委員 ただいま御答弁申し上げたような形で要員を活用しておるというふうに会社の方から私ども報告を受けておりまして、その実態についてすべてをつまびらかに知っておるわけではございませんけれども、そのような方向で徐々に各会社の方で要員を活用していただいていくのではないか。現在過渡的な状態にございますので、場所によっては若干そういう事態もあるいはあろうかとも思いますけれども、日時が経過するに従って本来の目的に沿った要員運用が行われるであろうと考えております。
  17. 吉原米治

    吉原委員 関東、関西の方なら、簡単にとは言いませんけれども、教育をし直して、鉄道分野で関連する事業にそれぞれ対応する人材を養成するということは可能だと思う。ところが、西日本大臣西日本でも日の当たる方の山陽側でございますが、山陰側の方は関連事業などそう容易にある地域じゃない。そういう状況の中で関連事業向け人員を養成するといってみたって、今僕が言ったように、朝点呼をとったら夕方まで何にもすることがない。週刊誌を読むか、せいぜい将棋でも打っておるか、こんなばかげたことが現実に行われておるので、そういう現実を直視して、しかるべき御指導をされるように要請しておきます。  それから、各社共通して言えることでございますが、特に本州の三会社はそれぞれ、今大臣速報値で何%増かの収入増を言われておりましたけれども、北海道四国九州のような言ってみれば当然赤字が予想される会社については、三島基金を準備して、その運用益赤字を補てんするという当初の計画でございました。  当初七・五%の運用利率ということが言われておったのですが、途中から七・三%に運用利率を下げられた。これは北海道四国九州のそれぞれの会社に一定の基金を任せるということじゃなくて、政府のサイドで利率計算をしてそれ相当額の金を交付する、そういうやり方をされておるようでございますが、当初の計画ではそういったただ単なる帳簿上の計算利率計算をして運用益を渡すというやり方ではなかったのじゃないか。北海道会社なら北海道会社の、それぞれの基金を積んでおいて、その運用益赤字相当額を埋めるという発想に立っておったはずでございますが、その具体的な基金を、現金をいつになったら三島会社に渡すのか、それが一つ。  それから、利率の下がったこと。これから先は私の意見なんですが、民間会社にそういう基金の運営を任すよりも、むしろ政府がその基金を管理しておいて、政府責任運用益を生み出すようなことを考えるべきじゃないか、私はそういう意見を持っておるのですが、その辺も含めて考え方を聞かせてもらいたい。
  18. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 その他の点については事務方から答えてもらいますけれども、最後の先生の御意見についてだけは私から申し上げておきたいと思います。  私は、今委員のおっしゃったような考え方一つのお考えだとは思います。しかし、せっかく民営ということで国から離れて、まさに自分の足で歩こうとしております各社に対し、基金とはいいながらその基金政府が一元的に運用して交付をするという形では、その部分を通じて、これはせっかく民営化しながら政府がまだ新会社介入するのではないか、そういうことがあってはならないという御指摘先国会で何回もいただいたわけであります。その基金を通じて政府介入あるいは政治の介入を受ける危険性もあるわけでありまして、委員のお考えに対して、私はそれぞれの会社がその責任を持つ形の方が望ましいと考えておりますという自分考え方のみ申し上げ、あとは事務方から御説明を申し上げます。
  19. 林淳司

    林政府委員 一つ運用益を出すための利率の問題でございますけれども、これにつきましては、基金の額を確定するためには一つ利率というものを想定しなければならないわけでございます。したがいまして、前国会で御審議をいただいたときには七・五%というものを一つの前提として基金を算定したわけでございますけれども、その後、ことしの三月の時点で最終的に債権債務確定する段階で、直近のデータに基づいて利率を想定する方がよかろうということで見直しをしたわけでございます。その結果、過去十年間の長期国債平均応募者利回り時点修正して計算いたしましたところが七・三%になったわけでありまして、これを運用利率ということにして基金の額を確定したという経緯でございます。  それで、これにつきましては十年間で償還をすることにしておりまして、当初二年間はこれを据え置く、以後八年間で元利均等償還という形で、最終的には十年後に全額基金が設定されることになるわけでございます。これにつきましては、そのような形をとりましたのは、当初二年間はある意味でこの七・三%の金利相当分というものを保証しているわけでありまして、その後八年間で元利均等償還ということになりますと、当初はいわゆる基金そのもの元本相当分については相当少ない額でございます。最初二、三年は毎年全体の大体一割程度、これが元本でございます。したがいまして、元本は後になるほど逐次多くなっていくわけでございまして、それまでの間はその金利相当分について七・三%のものが保証されておるということになるわけでありますので、北海道四国九州会社にとっては非常に有利な状態になるわけであります。そういうことも考慮いたしまして、最初二年間据え置き、後八年間の元利均等償還方式というものをとったわけでございます。
  20. 吉原米治

    吉原委員 そうすると、十年後にそれぞれの島会社元本は渡るという理解ですか。それでいいですね。  そこで、これは大臣にちょっとお聞きしたいのですが、今、公定歩合の引き下げということで、七・三%の利率にしてもかなりの高い利率になるわけです。国内でそういう基金運用益を生むような利殖方法、そこら辺は政府の懸命な努力によるものだとは思いますものの、そういう方法が一体あるのかな。あれば、私は早速借金してでも、このごろは借入金利も安いのですから、七・三%の利殖を図る方法だって考えてもいいことだなと考えるのです。  そういう意味でいえば、七・三%相当運用益というのをコンスタントに島会社に、毎年か半年に一回かどうか、分割されるかどうか知りませんけれども、それぞれの会社に支給することができるのか。どういう運用方法政府考えていらっしゃるのか、そこを聞きたい。  オーストラリア銀行は預けるときは金利が高いから、そっちへ持っていくんだという話もあるかもわからぬが、それならそれで、私も借金してでもオーストラリア銀行へ預けるような方法考えなければならぬ。そこら辺をちょっと聞きたい。
  21. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 それがさっとお答えできれば、私ももう少し所得がふえておると思うのであります。  先ほど審議官から御説明を申し上げましたように、過去十年間における長期国債平均利回りというものでこの七・三%を設定したという経緯は御承知のとおりであります。そして、現行の金利水準から見て、これが多少高目に見えるという御指摘について、私はそれを否定するものではございません。むしろその意味では、七・五%と先国会において申し上げておりましたのが、ある意味では実勢を反映し、〇・二下がっておるということでもございます。  金利水準の動向は、現在の日本の経済情勢の中で、日本だけの恣意的な意思で動くとは必ずしも申せません要因がありますだけに、委員の御指摘はある意味では大変難しい課題を私どもにお与えをいただいたということでありますが、我々としては、与えられた条件の中で最善の運用が図られることを心から願うということであります。現在、例えば郵貯の自主運用あるいは年金の自主運用というものを政府自身も手がけようといたしておるわけでありまして、そうしたものと絡み合いながら適切な対応が図られると私は考えております。
  22. 吉原米治

    吉原委員 七・三%の利潤をどうやって生み出すか、そこが聞きたかったのですが、何か方針があるような意味合いの大臣の答弁でございます。少なくとも七・三%の運用益政府責任で生み出す、そして関係会社にそれを補てんする。黒字になるようなことはないと思うけれども、仮に三島会社がそれぞれ黒字になっても、それはコンスタントに続けられるのでございますか。
  23. 林淳司

    林政府委員 今回の国鉄改革に際しまして、いわば外部からの介入を排除するということが非常に大きな民営化一つの眼目であるわけでございますけれども、そういう観点から、北海道四国九州会社についてもいろいろ自立できるような条件、いわゆる債務を一切しょわさないとか、あるいは必要な基金を設定するとか、こういう条件を整備いたしまして、あとは自分責任でそれを運用し、自立をしていただく、こういう大原則でございます。したがって、各会社が経営努力によって黒字を生ずるということは、将来の会社の健全経営というものを定着させていくことになるわけでありますので、そういうことがあったからといって、基金の額をまた変えるとか、あるいはこれをどうこうするということについては一切考えておりません。あくまで今回の承継実施計画によりまして設定した権利義務というものはもう確定したもので、その後これを変動させるつもりはございません。
  24. 吉原米治

    吉原委員 わかりました。案外黒字になったから基金を減らす、そういうこともちょっと懸念をされましたので、確認をさしていただきました。したがって、赤字黒字に関係なく相当基金に対する運用益は続けられる。  そこで、政府がやるからそれができるのであって、民間会社基金を積み立ててやった場合に、その利益に対しては税金がかかりますね。税制度の問題はこれからどうなるかわかりませんが、少なくとも今の税制度で考えると、三五%は分離課税で徴収されるはずです。政府がやればそれはかからぬのでしょう。どうですか。
  25. 林淳司

    林政府委員 会社の方で利益が出れば、これは当然法人税その他の一般の税制に従った課税がなされるということでございます。それで、政府の方で基金を管理し運用しまして、その運用益会社に交付するというふうなやり方は全然考えておりませんので、そのような方式については検討したこともないわけでございます。ただしかし、仮にそういうことをしたといたしましても、会社の方にそれなりの交付金なりなんなりが渡るならば、それを含めて会社の利益計算がなされて、その結果利益が出るならば、当然その法人として必要な課税はなされるということになるであろうと思います。
  26. 吉原米治

    吉原委員 そこで、私の意見だがということで意見を言わしていただいたんですが、民間の会社は、例えば利子収入があった場合には、会社ですから総合課税という形もあるいはとれるのかもわかりませんけれども、平たく考えますと分離課税で取られてしまう。政府、公共団体がそういうことをやれば、恐らく税金を納めなくてもいいと思うのです。そういう観点から、むしろ基金政府が管理をして運営される方が実質的にはいいのじゃないか。そういう理解に立ったものだから、基金は各関係会社に任すのではなくて、むしろ政府の管理のもとに運営をしていくことの方が賢明ではないのか、こういう意見を私は持ったわけでございます。  今、その関係会社黒字になった場合は、当然所得税を納めなければならぬわけです。それは当然でございますが、基金が生み出す利子収入、これは民間の会社が持っておる方が有利なのか、政府が持っておる方が有利なのか、そこら辺を聞いたのです。
  27. 林淳司

    林政府委員 基金運用益に対しまして、それに分離して課税をされるということは、私どもとしてはあり得ないと思います。これはあくまで会社の全体の損益でございまして、まず営業損益でどうなるか。それに対してこの基金収入というのは営業外利益でございますから、それを加えてトータルの経常損益で赤になるか黒になるかということでありまして、その経常損益で利益が出た場合には、それに対して通常の課税がなされるということであります。仮に政府の方で運用したとしても、その運用した運用益というものを会社に交付すれば、それは会社収入になるわけでございますから、最終的には会社の経常損益に帰着するわけでございまして、結果は同じことであろうというふうに思います。
  28. 吉原米治

    吉原委員 それは、言われる意味はわかりました。少なくとも株式会社でそれを運用しても、総合課税されるから同じじゃないか。ところが、限られた基金だけのことを考えますと、それは、運用益を補てんすることによって総合的に経常収益が黒字になる場合と、補てんをされてもなお赤字が出る場合とあるわけでしょう。そういう場合に、一億運用益を入れるのと、税金が引かれない、例えば一億五千万を交付されるのとでは、受ける方の会社収入というのは変わってくるという点を私は言っておるわけです。私の言っておることがわかりますか。
  29. 林淳司

    林政府委員 先生の御指摘でございますが、まず基金の場合は、会社の内部において営業外利益として計上される、それと営業損益を総合いたしましていわゆる経常損益というのが出てくるわけですね。会社の内部に基金の利益が生み出されたという場合に、その経常損益で利益が出た場合には当然課税対象になる、これは先ほど申し上げたとおりでございます。  先生がおっしゃるのは、多分、外部の方からいわゆる赤字補てんという形で交付金なりなんなりが交付されたという場合に、それは課税対象にならないんじゃないかという御指摘だと思うのですけれども、その場合でも、会社の損益に対しまして外部から何らかの形の交付金というものが出ますと、それは会社一つ収入になるわけでございます。したがいまして、最終的に会社の経常損益を見て、それで利益が出るならば、それに対してはやはり課税をされるということになるわけでありますから、結果的には同じことになるというふうに思います。
  30. 吉原米治

    吉原委員 基金を関係会社が独自に管理をする場合と、そうでなくて政府基金を管理する場合とでは違うんじゃないかという点を言いたいわけだ。政府運用しても三五%の分離課税は取られるのだな。取られるのなら同じですよ。多分納めないはずだ。
  31. 林淳司

    林政府委員 政府が管理して運用してその利益を出すということについては、それは政府のお金である限りはもちろん課税対象にはならないわけですね。だけれども、それが結果的には北海道四国九州会社に交付されるわけですから、交付されればその会社収入になるわけでございます。したがいまして、その段階会社の中にその損益というものは内部化されるわけでありますから、その結果としてその会社に利益が出れば、これは当然課税対象になるわけでございますので、内部で運用しようと外部から交付しようと結果は同じであろうと思います。
  32. 吉原米治

    吉原委員 そこで、これは大事な基金の問題ですからちょっとしつこくしておくのですが、私が今言ったように、ある意味では民間会社の自由裁量で、民間会社の裁量権で決まる。あるいは、とてつもなく赤字が出た場合には、その基金を取り崩すといったようなことだってできるはずですからね、管理をその関係会社に任す限りは。政府の金でなくなるのだから、関係会社基金なのだから自由に使える。もっと取り崩す場合もあるだろうし、当初七・三%の予定だったけれども、もっと高い利回りのところへ投資しようということだって自由なんでしょう。  だから、それができるということは非常に投機性を持ってくるわけで、とうとう元本とも返済がしてもらえないようなところに仮に投資をする、端的に言うと、オーストラリアでそれなりの土地を買うとか、あるいはアメリカで買うとか、そういう投機的な面にもっと利潤を、運用益を出さんがための善意の努力というのをやられることが想定されるわけです。それはあなたの会社が勝手にやったことだから、それで元本ともにパアになったということになったら君のところの責任だ、こう言ってしまえばそれまでだけれども、そういう不確定な分野にまで分割会社運用益を出さんがために、そしてそれを埋めることによって企業の収支をとんとんにしょうという努力をする場合、そういうことが考えられるわけです。  だから、コンスタントに、補助金なんという名前は余り好ましい表現じゃございませんから、運用に当たってはひとつ政府がかわって運用してあげましょう、その運用益をあなたのところの会社に差し上げます。これは赤字補てんの補助金じゃありませんよ、当然のことです。そういう管理の仕方がいいのじゃないかという意見を私は持っておりますので、ひとつ御検討いただきたい。  それから三つ目に、雇用問題についてお聞かせ願いたいのですが、今東日本では七千名の再募集、この五月十八日から既に始まっておりますが、応募の受け付けが開始されております。合計すると一万三千五百四十名再募集をされることになるわけです。ところが、それに応募する方の側から見ますと、清算事業団に移籍をされた職員約七千名、これ以外の者は応募するわけにはいかぬでしょう。一万三千五百四十名も再募集しながら、応募する方の側は七千名しかおらない。仮に全員七千名を採用したとしても、六千名から人員が足らない。足らないままでやるということですか、足らない部分は一般公募するということですか。
  33. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 確かに、基本計画というものを考えました時点で二十一万五千という採用目標を定めたわけでありますけれども、同時に、たびたび申し上げておりますように、鉄道事業というものを円滑に推進していくために必要な要員数は十八万六千人でございます。そうした中で、現在新しい各社は、採用計画に対して一定のすき間、委員のお話のとおり総計とすれば一万三千五百名でありましたが、それだけの差があるわけでありますけれども、これは本来からいうならば鉄道事業そのものの遂行に必要な数字を満たした上での話であります。それだけに私どもとしては、北海道地区九州地区の雇用状況等をも考え、少しでもその方々に新生JR各社でお働きいただく場を提供したいということで再募集をいたしておりますけれども、その方々の再募集が終了した後に一般公募をしてまでも二十一万五千人まで採用をしなければならないとは考えておりません。
  34. 吉原米治

    吉原委員 再就職の未定者が約七千人おるわけでございますが、全員採っても二十一万五千人体制にはまだ六千人欠員が生ずるけれども、それはそのままでやるということですから、それはそれで一つ考え方だと思います。  鉄道本体の仕事以外の関連事業をやるという前提で若干の余分な人員を採る、こういう方針からいきますと、その方針と二十一万五千人体制とでそう現実に狂いはない、こういう大臣の御見解なら、それはそれで私も、六千人足らぬのだから、何が何でも鉄道を動かすためには二十一万五千人要るのだ、こうは主張しませんけれども、少なくとも鉄道本体と関連事業をやるという前提で二十一万五千人の人員配置をしたはずなんだから、六千人というのはかなりの人数の差ではありませんか。それでやるのですな。  当初予定しておった鉄道事業だけでなくて付随する関連事業にもひとつ手を伸ばしていこう。やれるかやれないか。まあ、やれるようにやるという答弁もあるかもわからぬな。これはどっちですか。
  35. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 まさに委員が最後につけ加えられましたように、やれるようにやるという言い方があるいは一番適切なのかもしれません。  ただ、先ほど委員から御指摘を受けまして、関連事業開発という名のもとに遊んでいる職員がいるんだという御指摘だったものですから、実は私が自分の目で見ました場所とは随分感じが違う御指摘でありまして、予想外と申し上げては失礼でありますけれども、予想外の御指摘をいただいたという感じを持ちました。  と申しますのは、私は委員指摘のとおり山陽道の出身でありますけれども、例えば岡山駅の場合のパソコン教室を開いておりますようなものは一般の方々にも大変好評でありまして、相当数人員がそこで現に活躍をしてくれております。博多の駅に参りましたときにも、例えばパンをつくるところからJR九州の諸君が全部やっておられる、あるいはその売店に働いておられるといったようなことで、ある意味ではフル操業状態というものを何カ所かで見ておりました。  そういう状況の中で非常に積極的に関連事業への進出が続いておるわけでありますけれども、一方では、委員が御指摘のように、なおその新たな分野への取り組みが出てこない状態で遊んでおる職員があるといたしますならば、私は、無理をしてあとの六千人を本当に埋めなければならないという感じのものだとは考えておりませんし、最終的にそれぞれの会社の再募集確定後の人員で十分にやっていけるという状態になると思っております。
  36. 吉原米治

    吉原委員 わかりました。  そこで、雇用問題でもう一つ、これは私のお願いでございますが、当初、昨年の段階で、分割・民営以前の段階から、北海道九州からいわゆる広域配転と称する配転にたくさん協力した職員が、今本州三会社に就職をして頑張っておるはずでございます。この広域配転に協力した職員は、すぐあしたの日からということにもなりませんけれども、それぞれ北海道九州、遠隔地から配転に応じた、言ってみれば各JR会社が好ましいといいますか、非常に協力的な職員であります。そういう方がたくさんいらっしゃると思うのです。  そこで一定年限を勤めながら、自分北海道に家もあり、また年老いた両親もおる、あるいは九州にしてもそうですが、そういう方がたくさんいらっしゃるはずでございまして、四月に発足した会社がこれから三年、五年とたちますと、それぞれ三島会社にも自然減が出てくる、そういう場合、採用するに当たっては最優先的にそういう人たちをUターンさせる、大臣、こういうお約束はしていただけますかどうか。
  37. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは少々御無理なお話になるのではないかという感じが率直にいたします。  と申しますのは、旧国鉄の時代におきまして、確かに広域配転で、その広域異動に応じて本州地域に異動された職員の方々、この方々が異動されるにつきましては、新会社がむしろ積極的に、職員採用に際して優先的にその雇用を考慮するといったように、御本人の雇用の場の確保に従来から十分配慮をいたしてまいりました。そして、それぞれ御本人の意思を確認し、その方々自身のお気持ちで本州の各会社にお入りをいただいておるわけでございます。  新会社に移行しました後には、今度は各社それぞれがみずからの経営方針の中で事業運営を行っておるわけでありますし、人事運用につきましても、現在は移行直後でありますのでそれほど大きな変わりはないとは申しますものの、次第次第にそれぞれの会社が、それぞれの地域の特徴とがそれぞれの企業目的といったものに合わせた人事運用をしていくことになるわけでありまして、これはまさに各会社の自主的な判断というものになってまいります。  委員が御指摘になりましたように四年なり五年なりという時間が経過した後になりましてから、旧国鉄時代における広域異動の経緯を理由として採用の特別扱いということは、私は、言うべくしてなかなか難しいことではなかろうか、そのように感じております。
  38. 吉原米治

    吉原委員 新しい会社へ来て、新しい職場で一定の年限がたちますと、それぞれ重要なポジションにつくということも人によってはあり得ると思うのです。ただ、自分はまだ年老いた両親を北海道に置いて、東京へ来て働いておる。しかし、一方で、四、五年先か何年先かわかりませんが、例えば北海道会社欠員が生じて何十名か採用しなければならぬ、そういうときを想定した場合に、本人、例えば東日本に所属する職員が、この際だからひとつ帰してもらえぬか、こういうことは起こり得ると私は思うのです。  大臣、私が言わんとしておるところはおわかりになると思うのです。分割JR会社それぞれの自主的な判断で、こう言われますが、当初無理を言って広域配転に協力してくれたんだから、そういう場合には、もちろんすべてのケースということにはならぬだろうけれども、ちょうどいいケースだ、あなたは札幌に郷里があるんだから、札幌に帰って勤務しなさい。あれだけの大騒動をやって広域配転に応じさせた責任者は運輸大臣、今のあなたなんだから、そのくらいの返しはしてやっていいのじゃないか。  すべてのケースにその約束は無理かもわからぬ。例えば東日本に来ても代替のきかない重要ポストについておる者を、あなたは北海道だから北海道へ帰りなさい、こういうわけにはいかぬでしょうけれども。そういう点を聞いておるのですが、どうですか。
  39. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、委員が御指摘になるようなケースが全く想定できないわけではありません。  実態の問題とすれば、例えば北海道会社なり九州会社なりがそれぞれの年度における採用計画を策定する中で、新規採用、いわゆる新卒採用のみを考えるのか、あるいは他の会社に勤めていた方の中途採用をも含めた採用計画を組むのか、その中途採用をも含めた採用計画を組むとすれば、その場合に委員が御指摘になりましたような例示に当たる部分の方々を考慮するかしないか、これは実態の問題としてはあり得ることだと思います。しかし、それはあくまでも各会社の判断の問題でありまして、その場合に各会社がその御本人の出身地を考慮するかしないか、あるいは旧国鉄時代における広域異動に応募した実績等を判断するかしないかは、まさにそれぞれのケースによって違うと私は思います。  そしてまた、広域異動そのものも御本人の同意を受けて行われたものでありますし、その広域異動に応じていただいたという実績を判断した上で、新会社はそれぞれのケースにおいて優先的にこの方々を雇用しておるわけでありまして、その採用の際にも御本人は同意をしてそれぞれの企業に就職をされておるわけでありますから、それが何年か前に行われた広域異動に応じたというそれだけの理由で北海道会社あるいは九州会社への異動を行う理由になるとは私は思いません。
  40. 吉原米治

    吉原委員 何年か先のケースを想定して、現職の運輸大臣としてはなかなかそこまで約束はできないという気持ちも立場もよく理解できるのですが、心情的には、そういう場合もあるので、出す方の側と受け入れる方の側、双方の会社の判断、それを拘束するようなことは大臣としては言えない、その立場はよくわかりますけれども、本人は納得したと言いながら好んで広域配転に応じたのではないわけでございまして、それこそ仕方なしに広域配転に応じたわけでございますから、それは何らかの形でそれに対してこたえてやるような温かい配慮が必要ではないか、私はこう思って今大臣のお気持ちをたださせてもらったのです。これ以上答弁は要りません。  そこで、次は共済年金の問題についてお聞かせを願いたい。  前国会では、国鉄共済年金については、少なくとも政府責任で六十四年度までは計画どおりの支給を続けますが、六十五年度以降は端的に言えばわかりません、こういう答えになっておって、それから一歩も前進していないはずだと思いますから、あえて聞かしていただくわけでございます。  私の計算では、今日、国鉄共済の受給者は約四十八万四千名おる、掛金を掛けておる現役組が約二十二万四千人、成熟度は二一六、実は一人で二・一六人の年金を出しておる、こういうことになっておるはずだと思いますが、その数字に誤りがないかどうか。また、この破産状態国鉄の共済年金制度については、六十五年以降どうするという見通しでおられるのか、お尋ねしたい。
  41. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 まず成熟度の関係の数字でございますが、今私どもの手元にございます数字は六十年度末の決算の数字でございまして、六十一年度末の決算がまだ出ておりません。そういう意味では先生の御指摘数字よりも若干古い数字で、まだ国鉄共済組合時代の数字でございますが、それを申し上げますと、六十年度末の組合員数は二十八万二千人、年金の受給者数は四十四万三千人、成熟度は一五七%でございます。それで当然、それ以降の時点の推移でこの辺の数字は成熟度を高める方向に動いているということは、事実として認識しております。  それから、第二点の六十五年度以降の対策の問題でございますが、先生御存じの、六十年十一月の政府統一見解というのがございます。それを受けまして、まずは第一段階、六十四年度対策というのをさきの三月末に、国鉄共済年金問題に関する閣僚懇談会という四閣僚の懇談会がございますが、そこで結論を出してございます。その統一見解によりますと、その結論の後、速やかに六十五年度以降分についての対策を講じて、支払いの維持ができるように措置をする、こういうことが決まっておりますので、鉄道会社の職員とか年金の受給者の方々に不安を与えないようにすることが大切であるということを基本的な認識といたしまして、今後も鋭意努力を続けていきたい、こういうふうに考えております。
  42. 吉原米治

    吉原委員 数字はとる時点によって変わってきますから、数字の符合しない点は、それはそれでいいと思いますが、少なくとも職員に不安を与えないようにという抽象的なことでは、どうも納得がいかぬのです。ある日突然、他の年金制度と統合しますなんということはできっこないはずでございますから、少なくとも六十五年度以降、年金受給者に不安を与えないような方策を考えるのなら考える。方向はまだはっきりしていないのですか、全く白紙ですか。
  43. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今私は就任直後のあるときを振り返っておりましたが、国鉄共済年金の問題は非常に深刻になるということが就任直後から私の頭にこびりついて離れないことでありました。そして、従来の閣議の中にあります年金問題の閣僚会議では問題が拡散してしまうと思いまして、官房長官、大蔵大臣、年金担当大臣にお願いをして、国鉄共済年金問題に関する閣僚懇談会をおつくりいただいたわけであります。  これはもう委員がよく御承知のように、この共済年金は残念ながら運輸省の所管ではありませんで大蔵省の所管でありますが、国鉄改革を進めていく上で、職員の方々に安心をいただくためにも、我々としても関心を持たなければならないものということで閣僚懇談会をおつくりいただきました。その中で、六十四年度までの対応につきましても、非常に難航に難航をし、ようやく追加費用の見直し、積立金の取り崩しといったことで対応するという方針が、決まったばかりと申し上げては恐縮でございますが、決まったわけでございます。  委員が将来について心配をされるそのお気持ちは私どもも同様でありまして、この懇談会の場を使いながら、六十五年度以降の対応につきましてもできるだけ早く御報告のできる状態に持っていくように努力をいたします。
  44. 吉原米治

    吉原委員 六十五年度以降は最大限努力するということで一歩も前に進みませんから、これ以上は追及いたしません。  次に、債務処理の現状をちょっと聞かしていただきたいのです。  言ってみれば国民の方にツケ回しがされるのではないかということで大変心配をしておりますが、長期債務の処理の現状、処理の方法としてはとりあえず土地売却ということが言われておるわけでありますが、どういう計画策定のもとに売却をされようとしておるのか。きょう決めて、あしたすぐ売るということにもなりますまいし、この土地は計画的に公正に売却されていくことを期待しておるのでありますが、この計画は今の段階でお示しをいただくわけにはいきませんか。
  45. 林淳司

    林政府委員 先生指摘のとおり、清算事業団に残置した長期債務の処理のために、一つの重要な財源としまして土地の売却というものがございます。これにつきましては、六十二年度におきましては予算上土地売却収入を三千億円と見込んでおります。その具体的な売却計画、さらに来年度以降三千三百五十ヘクタールをどういう形で売却していくかということについては、現在全体的な計画を検討中でございまして、最終的には清算事業団に置かれました資産処分審議会の意見も闘いで定めるということになろうかと思います。全体的な計画につきましてめどが立つのは、おおむね三年程度後であろうかというふうに思います。
  46. 吉原米治

    吉原委員 十分時間をもらったつもりですが、ちょっと時間が足らなくなりました。債務処理の見通しについては三年後ぐらいにははっきりできるということをお聞きしただけで、次に進みます。  次は整備新幹線、いろいろ話題になっておりますが、整備新幹線の展望、特に財源問題を含むわけでございますけれども、これと鉄建公団との関係について伺いたい。  ここにちょうどことしの二月四日の朝日の社説が載っておるわけでありますが、「鉄建の温存は行革に反する」、こういう見出しで載っておるわけです。  改革法が成立して実施に移されたこの四月以降もう二月ばかり経過した中で、この建設主体を従来の技術ノーハウを持っておる鉄建公団にやらせるということについては、私は異議は持たない。ところが、これまでの鉄建公団に対する政府の方針というのは二転三転しておるわけです。  当初は、解散するとか他との統合を図るとか、特に青函トンネルが完成する六十三年三月末までには他との統合を図るあるいは解散するという方針であったのが、大臣の所信の中では一行ばかり、整備新幹線の問題については「本年一月の閣議決定等に基づき、適切に対処してまいります。」ということだけに終わっておる。当初の方針とこの一月の閣議決定とは違ってきておると思いますが、その違った理由、どういう理由で当初の方針を転換されたのか、まずそこをお尋ねしたいと思います。
  47. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 まず第一点として申し上げなければなりませんのは、整備新幹線の問題につきましては、たびたびお答え申し上げておりますように、六十年八月の政府・与党間の申し合わせによりまして設置されました整備新幹線財源問題等検討委員会におきまして、六十二年四月の国鉄分割・民営化スタートまでを目途として結論を得るべく鋭意検討を行ってまいりました。しかし、その時期までに結論を得るに至りませんでしたために、去る三月二十六日の第七回の検討委員会におきまして、検討課題について基本的な方向づけを政府・与党から成ります少人数のグループで早急に行うということになりまして、当面、この少人数による検討の状況を見守っておるという状況でございます。  整備新幹線の建設主体につきましては、検討委員会を通じまして、鉄道建設公団をその衝に当てようということで合意が得られておるわけでございます。また、運営主体につきましては、全国新幹線鉄道整備法の改正に当たりまして旅客会社とする措置が講じられております。そうした状況が一方にございます。  そしてもう一方で、問題として今委員が御指摘になりました鉄建公団の問題がありますが、これは御承知のように、昭和五十四年当時、鉄建公団にさまざまな問題が世間から提起されまして、その批判の中で、五十四年十二月に「青函トンネルの本体工事が完了した時点において、他との統合等を図る。」という閣議決定がなされました。当時、私は与党の行政改革の責任者でありまして、この方針を決めた張本人であります。  その当時の空気としては、鉄建公団に対する風当たりは極めて強く、鉄建公団を即時解散させるべきであるという強硬な御意見も多く出されておりました。しかし、その当時はまさに青函トンネルの工事に全力を挙げて努力されていた時代でありまして、私どもとしては、青函トンネルの本体工事をやはり優秀な技術陣をそろえておる鉄建公団の諸君の手によってなし遂げてもらわなければならない、それが完了したところでその存廃を考える、そして、その当時の雰囲気としては、鉄建公団はそのまま存続が認められるという雰囲気では到底ございませんでしたために、他との統合を図るという考え方を出したわけでありますが、そのときの対象は国鉄であったわけであります。国鉄と鉄建公団の統合ということがそのとき皆の頭の中にあった絵図面でありました。  ところが、その後の状況の変化の中で、日本国有鉄道そのものが分割・民営化という、五十四年当時においては全く想定されていなかった状況の変化を迎えたわけでございます。そして同時に、現実の問題といたしまして、整備新幹線のみならず、大都市部における通勤線等の建設あるいは第三セクター線の受託工事、民鉄の受託工事等々という工事需要等を考えてまいりますと、長年培われてまいりました鉄道建設、特に大規模工事についての技術的蓄積を持つ鉄建公団の役割というものは、むしろ今後ともに非常に大切な存在ということに変わってまいりました。しかも、その統合の対象として考えておりました国有鉄道がJR各社という新たな姿を迎えることになりまして、統合対象を失ったということでございます。  こうした状況の変化の中におきまして、昨年末行われた六十二年度の予算編成時における政府・与党の申し合わせというものを受けまして、一月三十日の閣議決定により、鉄建公団につきましては「大規模工事の円滑な実施に資するようその存続を図るもの」という結論をまとめた次第でございます。
  48. 吉原米治

    吉原委員 若干時間が迫りましたから、答弁はひとつ簡潔にお願いをいたします。  整備五線を初め、今大臣はいろいろ経過を踏まえてお話をされておりましたけれども、建設主体を鉄建公団にやらせるということについては、繰り返し申し上げておりますように異議がないわけでございますが、結局、建設費がかからなくても、分割JR会社に負担をかけなくても、在来線の並行として新幹線ができた場合には、当然在来線の赤字ということが予測されるわけです。そういう意味で、建設費は仮に公的な財源でやったとしても、その後起きるだろう在来線に与える影響というものもあるわけでございますから、つくればいいというものではなくて、やはり効率的に、せっかく公的な財源でつくるなら、つくってもそれが運営主体の方でまた大変な赤字を背負い込むことになる、第二の国鉄になるようなことを繰り返してはならぬ、そういう立場から私は心配して申し上げたわけでございます。  建設費もそうでございますが、整備新幹線を建設することによって、少なくとも関係JR会社の運営に大きな支障を起こすことのないようなそういう配慮をひとつ事前にしておいていただきたい。このことだけを申し上げて、次に進ませていただきます。  次は、航空関係についてでございます。  大臣は、「新たな航空政策の展開」ということで第二点目に所信を述べられております。この中で日本航空の完全民営化について触れられておりますが、なぜ日本航空を完全民営化されようという方針になったのか。昭和四十七年のニューデリーの事故以来、一昨年の一三二便の事故まで、十三年間に六回も大きな死傷事故を起こしておる日本航空、死傷者もその間に七百三十四名を数えるという事故を起こしておるわけでございまして、大ざっぱに言いますと二年に一回ぐらいそういう大惨事を起こしている会社でございますが、今回、完全民営化の方針を出された理由がもう一つ私には納得がいかない。  特に、昭和五十六年の日航法改正のときにも、同じく私は日航法の問題について質問に立ちました。朝田さんが社長をしていらっしゃった当時でございますが、何とかひとつ政府の規制を緩和してもらって、自主的な運営ができるように法改正をお願いしたいということで、かなりの規制緩和をそのときにしたはずなんです。それから六年たった今日、さらに政府の持ち株を完全に売却して完全民営化をしよう。どうも財源捻出のために完全民営化をされようとしておるとしか私は理解ができないのでございます。なぜ民営化をするという方針になったのか、お答え願いたい。
  49. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 第一点の財源捻出のための民営化という御指摘に対してだけは、私は全くそういう考え方ではないということだけをまず申し上げたいと思います。  財源捻出のみの必要性でありますならば、日航法を廃止せず、株式のみを全部売却することも可能であります。しかし、問題はそういうことではございません。むしろ日本航空は、戦後日本の空が民間に返ってまいりました当初、民間航空の立ちおくれている中で、まさに国策として自主的な国際航空運送事業というものを速やかに開始すべく、政府の出資を得て法律に基づいてつくられた特殊法人であります。  しかし、今、それ以来非常に大きく変わってまいりました航空業界の中で、日本航空のみならず、我が国には複数の航空企業が非常に大きく成長し、それぞれの企業基盤というものも強化されてまいりました。その中で日本航空は、今日では世界有数の航空企業となり、むしろ特殊法人という姿で設立をされた目的は既に達成したと私どもは考えております。  こうした状況の中で日本航空株式会社に本当に自主的に、かつ責任のある経営体制を確立させると同時に、むしろ航空企業間の競争条件を均等にしていくためにも、運輸政策審議会、また臨時行政改革推進審議会は、速やかに完全民営化という方向を打ち出されました。  一方、委員承知のとおり我が国の航空政策は大きく変わり、国際線を日本航空一社として他国の航空企業と競争せしめていた状況は既に変わり、国際線に複数の会社進出する状況に至っております。同時に、国内線においても会社間の競争を行わせることによって、利用者にとってより利用しやすい航空交通を実現するために、ダブルトラック、トリプルトラックが進められていることも御承知のとおりであります。  そうした中におきまして日本航空一社が特殊法人といういわば政府の庇護と監督のもとにある姿で他社と公平な競争ができるかどうかは、お考えをいただけばおわかりのとおりのことでありまして、まさにそれが日航を完全民営化しようとする私どものねらいであります。財源捻出のためでないことだけは明瞭に申し上げておきます。
  50. 吉原米治

    吉原委員 財源捻出のためだけだということになったら大変なことになるので、大臣はそんなことを肯定されるという気持ちで聞いているわけではございません。ただ、政府の三四・五%の持ち株があるために、労使の言ってみれば親方日の丸的な体質、これを改めなければならぬというねらいも、大臣の答弁の中にはなかったのですが、私は想像しておるわけです。  ところが、政府の持ち株が三四%あるから親方日の丸だとか、あるいはそれだからこそ事故を起こしてもいいというものではないのであって、そういう意味では完全民営化を図るということと効率的な企業の運営というものは別次元の問題だ。政府の持ち株があるからずさんな経営でいい、何をやってもいい、親方日の丸だからつぶれることはないんだ、こういう認識の持ち方は次元の違う話だと私は認識をしておりますからあえて申し上げるわけでございます。  どうも日航というのは、私も長年日航には注目をしておる一人でございますが、親方日の丸的な感覚はむしろ労の方よりも使の方にあるのではないか。最近の経営陣のごたごたでは、大臣相当苦労なさったようでございますが、経営陣の中身というのは非常に意思統一が図られていない。  やめられた会長の後は考えていらっしゃるのかどうか。また会長制というふうなものが引き続いて日航のあの会社の中に必要なのかどうか。普通の感覚でいいますと社長が最高責任者のように思うわけでございますが、その上に屋上屋を重ねるように会長制をしく。しかも、代表権を持った会長なんというものは余りにも屋上屋を重ね過ぎるんじゃないか、こう思いますが、次の人選をされておるのかどうなのか。  また私は、経営陣が余りにも親方日の丸的な感覚で、経営がずさんだ、放漫だ、こう指摘をしたいわけでございますが、例えば関連企業の日航開発の運営。きょうは日航の山地社長に来てもらって、中身について篤と私は質問さしてもらおうと思って、参考人で出席をしてもらうようにしておきましたが、法案の審議ではございませんので、また次の国会で法案の審議の場ではしっかり質問をさしてもらおうと思います。  関連企業の日航開発、JDC、ここの日航の会計監査の指摘が監査報告書によってなされておるわけでございますが、JDCは早晩財務的に破綻に瀕するほどの経営状態にあり、その規模からいって親会社の大きな負担となり、その経営にも重大な影響を及ぼすものであると指摘をしておるわけでございます。これからの日航経営に大きな支障を来すくらいの放漫経営。  それから、先ごろ新聞をにぎわしましたが、四月十九日に「ドル先物予約で日航、大損」という見出しで新聞にも書かれております。十一年先の先物を買うなんということは普通の会社では考えられない。こういうことがいとも簡単にされておる。  あるいは五十六年の日航法の改正のときにも私は触れたのですが、HSSTという磁気浮上式の鉄道、この間のつくば博にも出しておりましたけれども、あの当時、日航幹部のおもちゃじゃないか、余りにも高くつくおもちゃだ、こういう皮肉も言ったほど五十二億円もかけたこのHSSTを、今度わずか一億二千万で新会社に売却してしまう。率直に申し上げて、そういう意味で日航というのはでたらめなことをやる会社だなと、経営陣の感覚を私は疑うわけでございます。  きょうは関係会社の社長が来ておりませんから細かく申し上げませんけれども、そういう体質を持った日航をこれから完全民営化さしていこうというわけです。私はそういう意味で、完全民営化するまでにはそういった経営陣の体制、経営陣の発想、こういうものをきちっと正してからでないと民営化はやるべきじゃない、こう思いますが、いかがでございますか。
  51. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 非常に広範な問題にお触れをいただいたわけでありますが、確かに委員指摘のように、日本航空につきましては、企業体質の問題などに関連してさまざまな問題が提起をされておりますことを私もよく存じております。そして、これらの問題のすべてが必ずしも放漫経営につながるものばかりとは私は考えておりませんけれども、そういう批判を受けるようなものがあること自体、日航としても非常に残念なことでありまして、経営に対しての努力を本当に遺憾なきという水準にまで上げてもらわなければならぬと思います。今国会では日航の完全民営化についての法律を残念ながら時間的に御審議をいただくことが難しいようでありますけれども、こうした点も私どもとしては十分念頭に置かなければなりません。  そこで、日航の首脳部の人事、その会長の後任をどうするのかというお話をいただきましたが、私は、よい方がありましたならば御推薦をいただきたいということをお願い申し上げてはおりますが、必ずしも急いで会長をつくろうとは考えておりません。そして昨日、その人選を経済界からということでお願いをいたしておりました経団連の斎藤会長に対して、今度の決算取締役会、役員会までに会長の人選を急ぐというような意思は私はありませんから、どうぞゆっくりいい方を選んでいただきたいということを申し上げ、わかりましたという御返事をいただきました。私は、会長がなければ企業が動かないものだとは必ずしも考えておりません。
  52. 吉原米治

    吉原委員 当初、会長制というか伊藤会長が就任をされたときに、今後の運営については会長に丸任せのような話も一部報道されておりましたけれども、少なくとも山地社長、利光副社長の三者で最高経営会議というものもできたようでございますが、言ってみれば三人で協議をしながらやるという合議制とでもいいますか、そういう格好でやられるのかなと思ったら、実質はどうもそういう形にならなかった。そういう意味発足したものなら、三本の柱が一本欠けたんだから欠陥人事だ、だからそれをきちっとして民営化するならすべきじゃないか、こう私は思っておるのですが、一本欠けたといえども会社の運営には支障がない、こう大臣はあえておっしゃいますから、きょうはそれを信じておきます。  最初に私が申し上げたように、十三年の間に六回も大事故を起こして七百三十四名の死傷者を出しているという日航には何か特殊な体質があるんじゃないか。同じ民営の全日空にしても東亜にしても、フライトの時間は違うにしたところで、現実航空事業をやっていらっしゃる。事故も皆無とは言えないけれども、日航のように回数は多くない。何か日航には特殊な体質があるのじゃないかということをもっと究明せずに、あるいはそれに対するチェック策も講じないままに民営化してしまう、こういうことには私は危惧を持たざるを得ないわけでございます。  民営化されると、当然のごとくより以上の効率的な運営ということが持ち出され、それがために合理化も進むでしょう。私はむだをせよなんということは言っておりませんが、それがためにはいろいろな問題もこれから派生してくると思います。例えば安全性は無視すべきじゃない、これは航空事業では最大の課題でございますから、安全性の問題については軽視、無視されるとは思いませんけれども、今でさえも政府の方から復配を強要される事実もあるやに聞いております。完全民営化されますと、ますます民営としての営利追求型の体質は避けられないだろう。  その上に、運政審の答申の話もございましたが、一般的に言って交通産業に競争の原理を導入するという発想は危険だと私は思う。むしろ規制を強化して秩序ある交通事業を進めていかないと事故の防止は図れない。利潤追求型から、とかく人件費を削減するために、例えば整備事業——資料を出してほしいということをきのう申し上げておきましたけれども、最近五カ年間の整備人員のデータなどを後ほど手元に送ってもらいたいと思うのです。  ことしは、なるほど整備に百名ばかり人員採用しておるようでございますが、整備人員を充実強化さしていく。そして、五十六年にも申し上げたのだが、例のD整備、五十六年当時でさえもD整備をやって、整備に力を入れておったものが、最近どうもD整備が抜かれておるようでございます。当時の機種機材と違っておるからその必要はないとおっしゃるかもわかりませんが、私はそうはいかぬと思いますよ。B747、DC10、B767、こういうものになぜD整備をしないんですか。  聞くところによると、サンプリング方式といって、十機ある中の二機を点検して、これで異常がなかったら、あとの八機は無チェックで飛ばしよる。こんな整備方式はいかぬと私は思う。これはまた法案審議のときに関係会社を呼んで、きちっと整備体制も強化してもらわなければなりませんが、そういう意味合いから、チェックをしていく点はきちっとチェックしてからでないと軽々に民営化すべきじゃない。  運輸省は、民営になったらどうやって日航の体質をチェックされようとしておるのですか、現行の航空法で事足りるという認識ですか、どうですか。
  53. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 お言葉を返すようでありますが、委員が御指摘になりましたとおり、民間企業である航空会社の方が事故が発生しておらないということは、民営化の方向が間違っていないという傍証にもなろうかと思います。  また、御承知のように、今アメリカの国内における航空企業というものは、猛烈なダンピング競争を多数の会社が争って行っております。委員の今の御議論をもしアメリカに当ではめてみるとすれば、アメリカの航空企業は極めて危険な状態ということになるのかもしれません。しかし、同時に、今アメリカの、数十社という企業が入り乱れてまさに猛烈なダンピング競争をやりながらの航空企業の鉄則は何かと言えば安全であります。事故を起こした会社の飛行機にはお客は乗ってくれなくなる。だから、民間企業としてその競争に打ちかつためには安全というのが何より優先なんだ、これがアメリカの航空企業の人々の合い言葉であります。この言葉には耳を傾けるべきものがあると思いますし、この言葉はまさにそのまま日本航空の体質に対する批判にもなるでありましょう。私はそのように思います。
  54. 吉原米治

    吉原委員 今の大臣お答えには大いに反論をさせてもらいたいと思いますが、残念ながら事故はあります。そこで、次回の法案審議のときには、日航の労務対策や中期計画、運賃制度問題等々についてしつこく質問をさせてもらいますが、きょうは時間が参りましたから終わります。
  55. 鹿野道彦

    鹿野委員長 西中君。
  56. 西中清

    ○西中委員 最初に、大臣、我が国は今、経済的には、大変急激な円高によりまして、好むと好まざるとにかかわらず産業構造の大転換を余儀なくされておることは御承知のとおりであります。一方で、我が国の膨大な貿易黒字は新たな貿易摩擦を次々と表面化させているわけでありますし、アメリカでは保護主義の動きも極めて憂慮される状況でございます。  その結果、我が国経済は輸出依存型経済からの転換、修正が求められておるわけでありますけれども、そのために今盛んに言われでおるのは内需の拡大、市場の開放ということであろうかと思います。政府としても、近く当然具体的な政策をまとめられることと思いますけれども、運輸省としてはこういう問題についてどういう対応をしていこうとされておるのか、もしも何かお考えがあれば伺っておきたいと思います。     〔委員長退席、津島委員長代理着席〕
  57. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 その意味では、今極めて大きな転換期にあります日本の経済の中で運輸省の置かれております立場も、まさにその縮図にほかなりません。  今吉原委員から最後に御指摘をいただきました航空企業のように、まさに国際場裏で壮絶な競争をいたしておる分野もございます。また、極めて残念なことでありますけれども、この猛烈な円高の中で、第三造船国の追い上げによって極めて厳しい状況に置かれております造船産業のようなものもございます。逆に、鉄道貨物のウエートが落ちてまいりましたかわりに、国内における物の流れというものの中でトラック輸送が非常に大きなウエートを占め、近年はまた、その中で高付加価値の商品につきましては航空機による物資輸送も非常に盛んになってまいりました。こうした分野でも実は産業構造の変わりがございます。  そして、内需拡大の一つの大きな柱であります公共投資という分野から考えでまいりますならば、今交通体系の変わり行く中で、我々は飛行場の整備を外に向けても中に向けても急がなければなりません。港湾の整備あるいは海岸の整備も当然同じような位置づけにあります。殊に港湾というものを考えます場合には、従来の、ただ単なる港がある、そこに人が流れ、あるいは物が流れていくという状況の中から、むしろ港湾という一つの空間を利用してより高度な利用、付加価値の高い利用というものを目指す方向にその整備は変わってまいりました。さらに、国民の余暇活動の中から、マリーナの整備とか新たなテーマも生まれております。  こうした意味では、非常に大きな転換期にあります中で、私どもは一昨日本年度予算を成立させていただきましたばかりでありまして、これから総合経済対策に基づき補正予算の策定作業に入っていく中で、置かれている運輸行政の位置づけを見失わないような努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  58. 西中清

    ○西中委員 その意味では運輸省の立場というものも極めて重要だ、こういうように私は認識しておるわけでございます。そういった点ではまた特段の御努力を要望しておきたいと思っております。  そこで、今もちょっとお話が出ておりましたけれども、今国会に総合保養地域整備法案、いわゆるリゾート法案が提出をされておるわけでありますが、現在全国で計画をされておるリゾートの開発、この動きというものは、今までの観光というようなイメージより、より大きな、そしていわば人間が休暇を楽しむという、衣食住と並んで人間の本能的な本来の欲求に近いもの、それに根差したもの、こういった観点でとらえていく必要があるように思うわけであります。いわば産業として新たな展開がまた行われるだろうというように思っておるわけです。そういう意味で内需拡大の上でも大きな重みを増してきておるわけであります。  したがって、運輸行政は、従来の観光という枠を打ち破って、組織、政策、予算、そういう面でもさらにひとつ発想を転換していただいてこれからの政策をやっていただく。こういう意味で、観光部というのが運輸省にあるわけですが、この部は三課ということでありますけれども、それだけでは新しい概念でこういった問題をとらえていく上ではちょっと不十分ではないかな、こういうように実は思っておりまして、この辺のところは体制を拡充強化するということも大事だと私は思っておるのです。  そういう点について大臣はどういうようなお考えをお持ちか、伺っておきたいと思います。まずそれだけ聞いておきましょう。
  59. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私にとりましては大変頭の痛い御質問でありまして、私は与党の行革屋の大将として、かつて運輸省にありました観光局を整理したいわば元凶の一人であります。その限りにおきまして、今の御指摘は大変耳の痛い思いがいたします。  私は、まさにこれから先の運輸省の役割の中で観光というものは大変大きなウエートを占めてくるであろうと思います。それは決して国内だけではなく、海外諸国に対する観光、あるいはもっと枠を拡大するならば開発途上国に対する援助の中で観光開発に対する援助というものも、これからは恐らく非常に大きなウエートを占めてくるであろうと思います。そういうことを考えれば、私は現状の組織のままでいつまでもいいとは思いません。  ただ、委員に御理解をいただきたいと思いますのは、行政の仕組みというのはやはりできるだけ簡素で効率的なものが望ましいことは御承知のとおりであります。現在運輸省には、これは事務方の諸君に怒られるかもしれませんけれども、国有鉄道改革推進部、従来の国有鉄道部があるわけでありますが、例えば運輸省の組織を考えます場合に、JR各社が本当に軌道に乗って育っていきました段階において、国有鉄道改革推進部がいつまでも必要であるようでは困るわけでありまして、そうしたものも含めて、私は、運輸省の組織というものはおのずから変革の歴史をたどるであろう、今までもたどってきた、そして国民のニーズにこたえていく努力を払ってまいりますということを申し上げたいと思います。
  60. 西中清

    ○西中委員 観光という言葉のイメージが新しい展開の中ではどうももう一つぴたっとこないなということもございますので、観光ということもひとつ検討の対象にしていただいたらどうか、こう思います。  同時に、今大臣もちょっと触れられましたけれども、南太平洋等の各国では、リゾート開発を経済協力で進めたい、こういう意向が高まっておるようでありますが、この点、運輸省としてはどういうように対応していこうとされておるのか、伺っておきたいと思います。
  61. 塩田澄夫

    ○塩田政府委員 ただいま御指摘がございました南太平洋地域の経済協力でございますが、南太平洋に限らず、太平洋にあります開発途上国の多くの国々、例えばタイ、マレーシア、インドネシア等を含めて、リゾート開発を含む観光開発の協力要請がたくさん寄せられておりまして、この三つの国につきましては既に協力を始めております。運輸省といたしましては、これらの要請に対しまして、開発途上国の地域的な特性等諸条件を勘案いたしまして、各国の実情に即したリゾート開発を含む観光開発に適切に協力をしてまいる所存でございます。     〔津島委員長代理退席、関谷委員長代理着席〕
  62. 西中清

    ○西中委員 同じく内需拡大という意味一つの問題提起をしておきたいと思いますが、大都市におけるオフィス需要の拡大、これは大変地価の高騰を招いていることでもございます。そういう中で、大都市の鉄道路線の上空を利用するという考え方があるわけですが、新たな用地創出という意味で、それはそれなりに効果があるのではないかというように思っております。したがって、内需拡大の観点からもあわせて国なり地方自治体がこういう事業を推進するのが望ましいのではないかというように私は考えております。そのために、例えば鉄道用地の高度利用促進特別措置法というような法律によって税の優遇、低利融資等々の対策を立てる、同時にまた既存の法制の緩和、これをあわせて行う、こういったことをやってはどうかというふうに考えておるわけでありますけれども、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  63. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 実は、先国会におきまして天野建設大臣の私案が大変論議をされた時期がございます。これは、御承知のとおり東京駅周辺の再開発を目指されたものでありますが、これがまさに線路敷地の上空を利用される御案でありました。あんまり天野大臣がその話をなさるものですから、参議院の特別委員会で私は、建設大臣がそれほど空中を利用することに御熱心であるならば、国道の上に全部建物を建てたらどうですかという答弁を申し上げたりして、後でしかられたことがございます。  ただ、問題は、今日本の法律制度の中で空中権というものは確定をしていないということから、委員の御指摘になるような法律を果たしてうまくつくり得るかどうかという点に私は一つの疑問を持っております。アメリカにおいては割合に空中権が確定しておるようでありますけれども、我が国の法律制度上、空中権というものは確定をいたしておりません。  また、鉄道の線路用地はそれぞれの鉄道会社の所有するものでありまして、その上空を含めた有効活用というものは、本来その土地の所有権者である鉄道の経営判断にゆだねるべき性格のものであります。同時に、鉄道線路上の空間を有効に利用するということを考えます場合にも、日々運行しております列車あるいは電車の安全かつ円滑な運行を阻害することのないような工事をしなければなりません。しかも、線路の上空に大規模な人工的な地盤をつくるわけでありますから、このコストは、私は相当割高なものになるのではなかろうかという気持ちもいたします。  そうなりますと、委員が御指摘になりましたような考え方を活用し得る場所というのは、まさに、例えば委員が御指摘になりましたような事務所用地の非常に逼迫しております東京都心部といったようなところに限定をされ、しかも、その用途もまた収益性の高いものに限定をされていくのではなかろうか。それで、実は技術的な面でも、率直に申しまして、私どもは必ずしもこれに自信を持っておりません。  ただ、その技術的な問題点以前の問題として、今委員が御指摘になりましたような法律制度を整備するとするならば、それ以前の段階において空中権の問題を確定しなければならぬということがあるわけで、私は現時点においては法整備というところまで考える必要はなかろうと考えております。
  64. 西中清

    ○西中委員 確かに空中権というのは我が国では確立をされておらない。これは重大な問題でございます。そういう点についても、これは政府はすぐというわけにいかぬと思いますけれども、今後の問題としていろいろあることもよくわかっておりますが、その上でなお、こういった問題を解決すべく努力をしていただきたい、こういうふうに要望しておきたいと思います。  次に、造船不況について伺っておきます。  長期化しております造船不況ですが、その対策として三月末に特定船舶製造業経営安定臨時措置法が成立をいたしました。その後どういうように対応をしてまいられたのか、伺っておきたいと思うのです。  私も当委員会でこの法案の審議をいたしましたが、特に、グループ化によって製造設備の基数単位の二〇%削減を行うということ、これは業界各社の思惑もあって極めて難しいのではないかという指摘をさせていただきました。このあたりを含めまして、その後の様子を御報告いただきたいと思います。
  65. 間野忠

    ○間野政府委員 三月末に特定船舶製造業経営安定臨時措置法を成立させていただきましたけれども、その後、四月に早速海運造船合理化審議会の方に経営安定のための基本指針について諮問いたしました。  これは、御承知のように、造船事業者が集約なり設備処理なりする際の基本的な考え方大臣が定めることになっておりまして、その際、海運造船合理化審議会の意見を聞けということになっております。現在、鋭意御審議いただいておりまして、今月中に答申がいただけると思います。  一方、造船事業者の現実の動きでありますけれども、それぞれグループを形成しながら設備処理を円滑に進めたいということで、鋭意検討を続けております。  それで、事業提携につきましてはいろいろ難しい点もございますが、二割の設備処理につきましては、何とか達成できるという確信を抱きつつあります。ただ、非常に厳しい状況でありますので、今後の国際競争力を十分備えたグループ、事業提携がどういう形のものであるかということにつきましてはまだ検討を続けております。具体的な形としてはまだ浮かび上がってきておらないという現状でございますが、二割の設備処理につきましては、いろいろ提携をしながら何とかやり遂げられる状態にあるということでございます。
  66. 西中清

    ○西中委員 当時、三月ごろですが、法案の審議の御説明では、集約化という点について、業界も必要であることを認めておる、協力的であるというような御答弁でございました。しかしながら、最近の状況では、各社がグループ化、系列化、こういうものについては非常に疑問を持っておる、また、反対の立場に立つ人も少なくない、こういうようなことも聞いておるわけであります。このままでは、法律はできましたけれども実効ある成果が期待できないのではないか、こういうように思いますが、重ねて御答弁をいただきたいと思います。
  67. 間野忠

    ○間野政府委員 グループ化あるいは集約化の進展の度合いが遅いという点は、確かに先生指摘のとおりかと思います。ただ、その遅いというのは、必ずしも集約とか提携ということに疑問を持っておるとか、こういうことはやらなくていいという感じではございませんで、その必要性は重々認めるのでありますけれども、お互いに非常に弱っておる財政事情等もございまして、実現するのはなかなか難しい点がかなりあるということでございます。  現在のところ、どちらかといえば、既存のグループの提携関係をさらに強化するとか既存のグループを拡大するという方向ではかなり進んでおります。ただ、おっしゃいますように、全く新しい形の提携というのはまだ芽が出ておらないというのが現状でございますが、何とか進めたいと思っておりますし、業界もその必要性は十分認識しておりますので、何らかの形での進展があると確信しております。
  68. 西中清

    ○西中委員 法律があるからそれはどうしてもやらなければならないという立場に立つと、これまた問題があるわけでして、その辺のところをひとつ慎重に進めていただくということが大事だろう、こう思います。  次に、国鉄の問題に若干触れておきたいと思います。  大臣が中座をされておりますので、ちょっと具体的な問題に入らせていただきますが、国鉄職員の新会社への移行は各社とも採用予定人員を下回ったということでございますね。合計一万四千人の定員割れということですが、その原因及び今後の追加採用という問題はどうなっておるのか、伺っておきたいと思います。
  69. 林淳司

    林政府委員 先生指摘のとおり、新会社につきましては、当初基本計画で定めた採用予定数に対しまして、現実採用された人はその計画数を下回るという結果になったわけでございます。  この原因でございますけれども、一つには、当初希望退職で退職される職員、これは約二万人というふうに見込んでいたわけでございますが、結果的には約三万九千人の方が希望退職でおやめになったという点がございます。さらに、公的部門について一括採用という方式をとりまして、昭和六十五年度首まで採用を一括して内定するというやり方をとった結果、公的部門への再就職が現段階確定するということがあったわけでございまして、そういう方々は新会社には行かれなかったという事情があるわけでございます。  そういう諸事情から先ほど申しましたように採用予定数を下回ったわけでございますが、この問題につきましては、本来、基本計画を下回っても所要員は上回っておりますので、そのままにしておくということも考えられるわけでございますけれども、ただ、北海道及び九州地区におきまして非常にたくさんの方々採用漏れになった、いわゆる過員状態であったためにかなりの数の再就職要対策者が出てきたということがございます。したがって、その辺の事情を勘案しまして、特に北海道九州は雇用情勢が非常に厳しいわけでございますので、これにつきましては再募集の手続をとろうということになったわけでございます。  そういたしまして、北海道九州それぞれの旅客会社につきましても、計画数より下回っていたわけでございますけれども、これにつきましては既に追加採用の手続をとりまして、四月一日現在のこの二つの会社職員数現実にそれまで四月一日時点採用になった方との差でございますね、約六百九十名でございますが、六百九十名の方については、それぞれ北海道及び九州会社に追加採用いたしました。  引き続きまして、さらに北海道九州地区についてはなおかなりの数の過員がおられますので、この方々につきましては第二次追加募集ということで、五月十八日から再募集を開始いたしました。これは本州地区の三社及び四国会社貨物会社に対しまして北海道九州地区からの再募集、いわゆる広域募集ということでございますが、こういう形での再募集を開始したところでございます。  以上が現在の状況でございます。
  70. 西中清

    ○西中委員 追加採用というのは従来の職員の方ということだろうと思うのですが、新たな採用計画というのはあるのでしょうか。
  71. 林淳司

    林政府委員 現在の追加募集は、清算事業団に移行した元国鉄職員を対象にしてやっております。
  72. 西中清

    ○西中委員 そこで、今度は清算事業団全体としての再就職、今の問題にも関係があると思うのですが、この見通しはどういうようになっておるのか、伺っておきたいと思います。
  73. 林淳司

    林政府委員 ただいま申し上げましたように、全体で申しますと、基本計画で定めた採用数現実に新会社採用された人との差、これは先ほど先生もおっしゃいましたように約一万四千人くらいございます。一方、新会社に行かずに清算事業団に所属をしております元国鉄職員、そのうち再就職先が未定の方は約七千六百人ほどございます。そこで、先ほど申しましたように、この七千六百人の方々につきましては、これからの第二次募集で本州の三つの会社四国あるいは貨物、それぞれの会社に応募をしていただいて、できるだけ新会社採用していただきたいと考えておりまして、私どもとしてはそのように指導しております。  それでもなお広域異動について、家庭の事情その他がございまして残る方々もあろうかと思います。そういう方々につきましては、清算事業団でこれから三年間かけまして再就職のお世話をするわけでございますけれども、清算事業団においていろいろ再就職先のあっせん、それから特に教育訓練、いろいろ技能を習得していただくとか、そういう教育訓練を重点的に行いまして再就職のお世話をしていく。その場合に、政府の雇用対策本部、いわゆる国鉄職員の再就職対策本部というところで従来からいろいろ再就職についての計画を立て、清算事業団とタイアップしてやっているわけでございますけれども、今後におきましても、公的部門、関連会社あるいは一般の民間会社というふうなところにつきまして、政府の雇用対策本部も清算事業団と十分協力しながらその再就職先の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
  74. 西中清

    ○西中委員 国鉄審議の中で一つ問題になりましたのは公的部門という問題でございましたけれども、この問題についてはどのような経過になっているかわかりますか。
  75. 林淳司

    林政府委員 公的部門につきましては、当初の計画によりますと全体で三万人ということであったわけでございますが、いわゆる雇用の場の確保と申しますか雇用の申し出があった、これが約二万七千人ほどございました。それに対しまして、実際に再就職が決定あるいは内定をいたしましたのが公的部門全体で二万一千七百六十人でございます。この二万一千七百六十人は既に公的部門に再就職をされた方あるいは将来昭和六十五年度首までの間に逐次採用するということで、先ほど申し上げましたように一括して採用が内定されている方、これすべてを含めまして現在二万一千七百六十人が再就職が決定あるいは内定いたしております。
  76. 西中清

    ○西中委員 今後とも努力をされるということでございますので、特段の御努力を重ねで要望しておきたいと思います。  年度内に追加採用を実施してもなお定員を下回った場合、運輸省としては土地等の資産の返却を求める考えがあるやに伺っておるわけでありますが、この点は実際どうなんでしょうか。また、実際にそういうことをするとするならば、どういう形でやっていくのか、伺っておきたいと思います。
  77. 林淳司

    林政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、現在追加募集を行っておりますけれども、第二次追加募集というものが完了した時点におきまして、なお本州会社あるいは四国貨物会社等につきまして採用予定数より下回るという事態が生じた場合には、余剰となる用途廃止等による土地につきまして、これを清算事業団に簿価で譲渡するという形でその間の調整を図っていきたいというふうに考えております。  これにつきましては、いずれにしても、現在第二次募集を開始したばかりでございまして、具体的にどの程度応募していただけるか、最終的にどの程度のいわば乖離が生ずるかということについては、この八月ないしは九月の時点になりませんと確定いたしませんので、その段階で具体的な方法等は検討したいというふうに考えております。
  78. 西中清

    ○西中委員 大臣国鉄の方に入っておるので、具体的な問題に先に入って、今事業団の雇用問題等に触れておったわけでありますが、改めてお伺いをいたします。  四月からJRグループがスタートをいたしまして、まだそう日にちがたったわけではありませんけれども、さまざまな問題があることも事実だと思います。しかし、さほどの混乱もないというような認識を私もしておるわけでございますが、今後、やはり新会社が一日も早く軌道に乗って、国民、利用者から本当に信頼される鉄道へと発展することが一番大事な問題でございます。このJRグループのスタートについて、大臣は今どのような御感想をお持ちか、伺っておきたいと思います。
  79. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ちょうど新会社それぞれが発足をいたしましてから五十日余りが過ぎたわけでありますが、その間、JR北海道あるいはJR九州等々で幹部職員に話をする機会がありまして、そのとき私はこう申しました。  おかけさまで国民の祝福の中に新会社発足をした。大変円滑に動いていることを私も幸せに思う。この上は一日も早く経営を安定させて、地域に定着した会社として育ってもらいたい。それが、この改革に際して心ならずも、自分の人生を預けていた日本国有鉄道という職場から去っていかなければならなかった方たちに対するあなた方の務めだろう。  私はそのとき本当にそう思い、今もそう思っておりますが、国鉄の改革に伴って多数の方々に職場を去っていただかなければならなかった、第二の人生を考えていただかなければならなかった、その方々に報いるためにも、私は今、一日も早く安定した経営をそれぞれの会社ができるようになることを心から祈っております。
  80. 西中清

    ○西中委員 新会社スタートしたわけでありますけれども、この新会社の経営を軌道に乗せることとあわせで大事な問題といいますのは、言うまでもなく清算事業団の方へ移行された方々の雇用及び長期債務償還、先ほども同僚議員が触れておられましたが、共済年金、土地の処分、さまざまな問題が山積をしておるわけでありまして、国鉄改革はまさにこれからと言っても言い過ぎではないと思います。こういう点についての大臣の決意のほどを伺っておきたいと思います。
  81. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 共済年金の問題につきましては、今、本当に六十五年以降についてどのようにすればいいのか、その方向を模索をいたしながら、直接自分たちの主管でありません問題だけに、祈るような思いでその方策の樹立を待っておる心境であります。  また、今申し上げましたように、職場を去っていただかなければならなかった方々という言葉を使いましたが、殊に九州及び北海道地区において、第二の人生のコースが定まらないままに国鉄を去っていただき、清算事業団に移行した方々がたくさんおられます。一方、当初の基本計画の中で定めました採用予定数各社とも下回っているという実態もございます。  私どもとしては、まず北海道及び九州の両地域方々に対して、北海道会社九州会社が再募集を行いました。現在、東日本東海西日本四国並びに貨物各社がそれぞれの地域に対して再募集を行いつつあります。私は、この中でできるだけたくさんの方々が新生JR各社採用されることを願っておりますが、その後に残る方々がありますならば、当初何遍も申し上げてまいりましたように、全力を挙げてその方々の再就職の確保に努力をするつもりでございます。  また、長期債務の問題に連動いたしまして、清算事業団の用地の売却を、これから消化を行っていくわけでありますが、これにつきましてはあくまでも国民から疑惑を招かないように、そして最終的に国民に御負担を願う金額を少しでも減らせるように最善を尽くすつもりであります。
  82. 西中清

    ○西中委員 そこで、ちょっと具体的な問題ですが、債権債務の承継計画では、六十二年度から売上税が導入されることを前提に、その影響を回避するために経営安定基金の積み増しや承継債務の減額処理を行いましたが、それぞれの額は一体どの程度になったのか、各社別にわかりましたならば伺っておきたいと思います。
  83. 林淳司

    林政府委員 各社別ということでございますので申し上げますと、経営安定基金でございますが、北海道が約百八十億、四国が約五十億、九州が約百八十億、合計いたしまして四百十億程度の増額をいたしております。  それから、承継債務の減額でございますが、これは本州の三社と貨物会社についてでございます。これはいろいろな要素があって最終的に債務の調整をしたわけでありますけれども、その中で売上税の関係で調整いたしました額、これにつきましては、東日本が約二百七十億、東海が四百三十億、西日本が八百二十億、合計いたしまして約千五百二十億、それから貨物会社が約百八十億、総計で千七百億程度債務の減額をいたしております。
  84. 西中清

    ○西中委員 売上税法案の廃案は今確定的でございますが、六十二年度に導入されなければ承継債務の増額や経営安定基金の減額を行うのが筋ではないかという声もありますけれども、この点についてどうお考えになっておるのか、伺っておきたいと思います。
  85. 林淳司

    林政府委員 北海道四国九州については経営安定基金、本州三社あるいは貨物会社については債務の額でございますが、これらについては、先ほど述べましたような状況を勘案いたしまして、この三月時点で、承継実施計画で新会社の権利義務として確定したものでございます。したがいまして、これはもう既に新会社一つの、ある意味では財産権と申しますか、そういうものになっておるわけでございまして、これについていわゆる減額あるいは増額の修正をするということは考えておりません。
  86. 西中清

    ○西中委員 定員割れの場合は土地の返却を求める、売上税廃案については何の対応もないというのは、そのおっしゃる意味はわかるのですが、何となく矛盾があるような気がしないではないわけです。当然、権利義務というのは確定しておるわけでありますから、これ以上申しませんけれども、そういった点もいささか疑問が残っておるということだけ申し上げておきたいと思います。  次に、整備新幹線の問題についてお伺いしておきたいと思います。  昨年既に凍結方針を撤回されて、政府・与党の合意であったと思いますけれども、およそ六項目の決定をされたと思います。そのポイントは、整備新幹線については、東北、北陸、九州・鹿児島の三ルートを優先的に着工する、そして六十二年度に百五十億円を計上すること、それから鉄建公団が建設を一元的に行うこと、第三点としては武生以西の北陸新幹線及び北海道新幹線は調査を進めること、建設促進準備事業費として三十億円の計上ということだったと思いますが、これは六十一年度中に財源の結論を得た後に着手するということになっておったと思うのです。  この問題は先ほどもちょっと触れておられましたけれども、この結論はまだ出ておらぬわけですが、これからどういうようなスケジュールでこの問題を処理しようとされておるのか、大臣に伺っておきたいと思うのです。
  87. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 関係地域方々は一日も早い決定を待ち望んでおられます。そのこと自体は私どももよく存じております。そして、昨年度中にその方向づけをしたいということで作業をいたしてまいりました財源問題等検討委員会でありますけれども、これを得るに至りませんで、少人数によるグループ作業に移行いたしました。  政府側は、運輸省はいわば高速鉄道はぜひ欲しい、しかし、JR各社への経営の悪化になるようなやり方は一切断るということで極めてスタンスが明らか過ぎるものでありますから、むしろ財源主管官庁としての大蔵省と政府全体の調整という立場からの官房長官が政府側を代表してその小委員として作業中でありまして、私どもも一日も早く結論を出していただくことを願っておりますが、今、いつという日時が確定しておるようには私は報告を受けておりません。
  88. 西中清

    ○西中委員 そこで、六十二年度の鉄建公団予算に計上されております百五十億円と三十億円、これはどういうような使途になるのか、伺っておきたいと思うのです。
  89. 林淳司

    林政府委員 まず鉄建公団に計上しております百五十億円でございますが、これはいわゆる建設費でございます。したがいまして、これについては先ほどの財源問題等検討委員会の結論を待って工事に着手するということになっておりますので、この財源問題等検討委員会の結論が出なければ執行をしない、こういう性格のものでございます。  それから、三十億円は従来から調査費というような形で計上しておりますけれども、引き続き建設推進準備事業費という形で、これは建設費ではございませんで、調査その他いわゆる準備行為を行うものでございます。したがって、これは財源の結論が出なくても執行できる性格のものでございます。
  90. 西中清

    ○西中委員 これは路線別にどういうような積算がなされておるのか。そういう点は出ておりますか、まだ出ておりませんか。
  91. 林淳司

    林政府委員 これは整備五線全体について鉄建公団に一括計上しておりまして、路線別の内訳はございません。
  92. 西中清

    ○西中委員 いずれにしても財源問題が片づかないと前へ進まぬということははっきりしておるわけです。これは私たち非常に心配しておる点でありますが、先ほど大臣も申されておりました各旅客会社の運営ということから、やはり設計とか財源とか、こういう点についても旅客会社そのものの意見を十分聴取して、希望を聞いていかなければならない問題だと思うのです。  それで、いろいろな問題があると思いますけれども、従来の東北とか上越というような非常にすばらしい新幹線という考え方もあると思うのです。採算性、運営という点から考えれば、場合によっては単線であるとか、それからいろいろ安全の問題はありますけれども、車両、レールの勾配、カーブ、こういった点も洗い直して、できるだけ安価な形ででき上がるように、考え方を変えていくようにすることが大事だろう、こういうふうに私は思っているのですが、いかがでしょうか。
  93. 林淳司

    林政府委員 先生指摘の点はまさにそのとおりでございまして、現在、東北新幹線の盛岡−青森間あるいは北陸新幹線九州新幹線の鹿児島ルート、これにつきまして既に工事実施計画の認可申請が出ておりますけれども、これにつきましては、その後の技術開発の状況その他をいろいろ勘案いたしまして、例えば駅などについてもできるだけ地平で済むものは地平でやっていくとか、あるいは高架部分につきましても盛り土で済むところは盛り土でやっていくとか、計画面あるいは技術面でいろいろな配慮をして、できるだけコストが低減されるような配慮が加えられております。今後ともそういうコスト低減の努力は続けていくべきであろう、そういうふうに考えております。  先ほど私、ちょっと間違った答弁を申し上げました。百五十億円は東北新幹線と北陸新幹線、それから九州新幹線の鹿児島ルート、この三線についての建設費でございます。建設推進準備事業費、これは五線全体についてでございます。訂正させていただきます。
  94. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、事務方から御答弁を申し上げたとおりでありますが、あえて私から補足をいたしますならば、私は、安全面への配慮等はもちろん十分考えた上でコスト低減策を考えていくということは当然でありましょうし、もっと新たな発想というものがあれば、それもまた結構なことだとは思いますけれども、関係地域方々が求めておられるものはまさに新幹線そのものでありまして、その辺のところも私どもとしては十分考えの中に入れておかなければならぬと心得ております。
  95. 西中清

    ○西中委員 新幹線の方はそれくらいにいたしまして、次は航空業界について若干伺っておきたいと思います。  航空業界は、国際的な航空自由化の流れの中で国際線の複数社化、国内線の競争促進という方向で速度を速めながら進んでまいる、こういうように思われるわけでありますが、航空行政の基本的な考え方、これから政府としてはどういうように持っていこうとお考えなのか、まず基本的な問題を伺っておきたいと思います。
  96. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 航空企業の運営体制のあり方につきましては、昨年の六月、運輸政策審議会から提出をされました答申がまさにそれに当たると存じます。そして、運輸省といたしましては、その答申の趣旨に沿いまして、安全運航を図りながら。航空企業間の競争促進を通じて利用者の利便の向上を図るということを基本にいたしております。具体的には、国際線の複数社制であり、国内線におけるダブルトラックあるいはトリプルトラック化、また日本航空の完全民営化というもので示されております。
  97. 西中清

    ○西中委員 そこで、民間の競争原理を生かしていく、こういう方向で運営の効率とか利便の増大、こういったものを図っていくということは基本的にあると思います。それはそれで結構なんですが、現行の路線権、便数枠などは直ちに利害がぶつかり合う問題でございますね。ですから、そういう方向でいくんだということはよくわかるのですが、具体論としては極めて難しい問題ではなかろうか、こう思うわけでございます。したがって、行政としても、将来を見通した上でこういう問題が一つ一つ解決できるように、行政の指針なり実施細目なり、そういったものがある程度示されなければならないのではないか、こういうふうに思っておるのでございますけれども、その点いかがでございましょうか。
  98. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 競争の促進に当たりましては、できるだけ企業の自主的な経営判断を尊重するということで考えていきたいと思っておりますけれども、その際、今先生のおっしゃいましたような調整の問題も生じてくるわけでございます。  まず、先ほど大臣が基本的な考え方として申し上げましたように、国際線については複数社制を促進していく、国内線につきましてはダブルトラック化あるいはトリプルトラック化を進めていくということでございますが、その際の考え方について多少具体的に申し上げますと、国際線につきましては、高需要または大きな需要増が期待される路線を中心に複数社化を図ることをいたしたいと考えております。国内線につきましては、高需要路線及び一定の需要規模のある主要空港を結ぶ路線を中心といたしまして、ダブルトラック化、トリプルトラック化を推進していきたいと考えております。  また、競争促進につきましては、将来にわたって実効性のある競争を担保いたしますために、当分の間は航空企業間の体力格差に配慮することといたしておりまして、個々の行政の運営に際し適切に対応していきたいと考えております。  具体的な指針につきましても、国内線につきましては運政審の答申をいただきまして、その後国内線のダブルトラック化及びトリプルトラック化の指針を航空局長通達という形で出したわけでございます。その中では今申し上げましたような高需要路線をさらに具体的に述べまして、ダブルトラック化の対象路線といたしましては年間の需要が七十万人以上の路線とする、さらに主要空港間にありましては年間需要三十万人以上の路線とする、そしてトリプルトラッキング化の対象路線といたしましては年間需要百万人以上の路線とするというような通達を出して、この線に従って今後競争促進を進めていきたい、かように考えております。
  99. 西中清

    ○西中委員 一方で、これは国民の足でございますから、公共性ということもやはりあるわけです。したがって、競争を促進させることと会社が堅実な経営をするという点とあわせて考えていくと、不採算路線、離島路線といったところの廃止という問題につながらないかという心配を実はしておるわけですが、この問題については運輸省はどうお考えになっているか、伺いたいと思います。
  100. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 地域住民め足として生活上必要な離島路線の運航につきましては、政府としてもその維持について配慮していきたいと考えております。  その場合、いわゆる不採算路線が多いかと思うのですけれども、これらの路線を維持することが離島の住民の生活上必要不可欠なものであるということが考えられる場合に、その路線の運営について配慮していくことを考えでおりまして、それらを運営しております航空企業が不採算路線を持っております場合に、その不採算路線の運営についで配慮していきたいと考えております。さらに、その航空企業の経営基盤の強化に資するような路線展開につきましては、企業の性格と能力に応じてこれを認めていきたいと考えております。  それから、本来、これらはそれらとは別に考えられなければならないことでございますけれども、航空企業の事業運営の効率化、合理化、運賃水準の適正化によって離島路線等を運航する航空企業の運営が維持される必要があるわけでございまして、さらに地域の足はみずから確保するという観点に立ちまして、地元の地方公共団体等からの援助、協力も期待していきたいと考えております。
  101. 西中清

    ○西中委員 今、地方公共団体の助成といいますか援助といいますか、こういうお話がありましたけれども、政府助成というのは考えておらないということですか。
  102. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 政府が直接補助をするということにつきましては、確かにそういう御要望があることは承知しております。ただ、政府が直接補助をするという場合に、その交通手段が唯一の交通手段であるという場合、例えば離島航路の場合ですと補助をしておるわけですけれども、航空の場合果たしてそこまで言えるかどうかにつきましてはやはりいろいろ問題があろうかと思います。  もちろん、現在、政府といたしましても、離島路線につきましてはある程度の助成はしております。例えば通行税につきましては、全国的に一〇%の通行税が課税されておりますけれども、離島路線の場合はこれを五%に軽減しております。また、政府が運営する空港の着陸料とか固定資産税についてもある程度の軽減をしておるわけでございまして、そのように政府と地方公共団体とあわせて生活上必要不可欠な離島路線等の運営の維持を図っていきたい、かように考えております。
  103. 西中清

    ○西中委員 いずれにしても、生活路線ということになりますと極めて大きな問題になりますので、また十分検討もされ、いろいろ対応をお考えいただきたい、こう要望しておきたいと思います。  次に、大臣も仰せの国際線の複数社制、国内線のダブルまたはトリプルトラッキング、この問題について伺っておきたいのです。  複数社化、これは競争をしっかりやっていただくという点でサービスその他がよくなるのだろうと思いますが、外国企業も多々あることでございますから、国益という点で心配はないのかどうか。将来競争激化に生き残れないという事態を予測されておらないのかどうか。一方、国内線の問題では、こういうように競争が激しくなるという形ですから、企業間の格差というものも一つの大きな問題としてあると思うのですね。その点では適正な競争が確保できるのかどうか。この二点について伺いたいと思います。
  104. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 まず国際線の問題でございますけれども、今後国際線におきます競争の促進を図ってまいりますために、従来は日本航空が原則別として一社で運営してきた体制を改めまして、今後は各航空企業の意欲とか能力に応じて国際線への進出を積極的に認めていきたいと考えておるわけでございます。  その場合に、我が国航空企業が過当な競争をして、それによって企業体力が低下をする、あるいは国際競争力が低下をするのではないかという御心配かと思いますけれども、その点につきましては国際競争力の確保という点で十分配慮していきたい。それによって逆に外国企業との競争力も強めていくことができるのではなかろうか。そのための必要な路線の運営について私どもとしては適切に対応を図っていきたい、かように考えております。  それから国内線の問題につきましては、従来、日本航空はいわゆる幹線のみ運営するということが決められておったわけでございますけれども、今後は、従来の幹線、ローカル線の区分にとらわれず、路線の需要規模等に応じてダブルトラック化、トリプルトラック化を推進することにしておるわけでございます。したがいまして、日本航空につきましては国内線の進出の機会がふえるかと考えられます。  ただ、私どもといたしましては、競争促進に当たりましては、企業間格差等に起因して企業間の適正な競争が期待できないこととならないよう配慮していきたいと考えております。日本航空につきましては、同社と他社との間の企業格差を路線構成の際に留意するということが必要であると考えておりまして、個別的な具体的事案につきまして、今後これらのことも考慮に入れまして適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  105. 西中清

    ○西中委員 それらの点はまた次の機会にいろいろと御質問いたしたいと思いますが、時間も参りましたので、二点申し上げて終わりたいと思います。  一つは、現在の円高で燃料費が相当コストダウンしているということで、一社当たり百億ないし数百億というような円高差益が生じておるわけであります。この差益還元ということは、政府として指導するお考えなのかどうか。具体的には運賃の引き下げということになると思いますが、その点伺いたい。  もう一点は、コミューターについての関心が地方で非常に高まっておりますが、航空交通体系の中でこのコミューターの基本的な位置づけ、今後の運輸省としての考え方、こういった問題について御説明をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  106. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 まず円高差益の還元でございますが、国際路線について考えてみますと、国際路線を運営する航空企業の場合、外貨建ての経費と外貨建ての収入とございます。外貨建ての経費につきましては、おっしゃるように円高によりまして差益が生ずるわけでございますが、同時に外貨建ての収入につきましては、逆に円高によりまして収入が減りますので差損が生ずるわけでございます。  現在の国際線の状況を見てみますと、外貨建ての収入とその経費はほぼ比率が等しくなっておりまして、基本的に円高そのものによる直接の差益というのはほとんど発生していない状況にございます。ただ、国内企業も含めまして原油の価格低下、これは確かに大きいものがございますので、それによってかなりの費用削減を見ているということは事実でございます。  このような状況におきまして、六十一年の四月及び九月の総合経済対策等を踏まえまして、国内航空におきましては昨年割引運賃の拡充を行いました。また、国際航空につきましては、円高に伴います方向別格差を縮小するための日本発運賃の引き下げ等の措置を講じてきたところでございます。さらに、国際運賃につきましては、今月初めにも、これらの措置の一環といたしまして、米国向け往復運賃の七・四%引き下げの方針を固めたところでございます。  航空企業の経営状況は非常に厳しいところでございますけれども、私どもといたしましては、そのような中で今後の為替の状況の変化あるいは企業の経営状況等を見きわめつつ適切に対応していきたい、かように考えております。  それから、最後のコミューター航空に関する考え方でございますけれども、コミューター航空につきましては、従来は離島路線に例があるだけでございましたが、四月に大分、松山、広島を結ぶ離島以外のコミューター航空の路線が開設されたところでありまして、最近各地でコミューター航空につきましての期待感が高まってきているところでございます。  ただ、コミューター航空につきましては採算性等に問題がございまして、従来から関係の地方自治体等がその経営を支援している状況にございます。今後、小型航空機による地域航空輸送の実現を図るためには、まずそれぞれの地域がそれぞれの特性に応じた航空輸送についてみずから工夫し検討していくことが不可欠であろうかと考えておりますけれども、運輸省といたしましても、航空の新たな可能性を開くものとして積極的にこれに対応していきたいと考えております。  これまでもコミューター航空に関する承認基準の緩和とか採算性、空港整備の問題等についての調査などを進めてきたところでございまして、さらに本年四月には航空審議会に地域航空輸送問題小委員会というものを設けまして、ここで今後コミューター航空に関するあり方についていろいろ調査検討していただきたいと考えているところでございます。これらの審議をも踏まえまして、今後空港整備のあり方を含め、小型航空機による地域航空輸送のあり方について十分調査検討し、その推進方策を取りまとめていきたいと考えております。
  107. 西中清

    ○西中委員 終わります。
  108. 関谷勝嗣

    ○関谷委員長代理 河村勝君。
  109. 河村勝

    ○河村委員 去る五月五日、ペルシャ湾におきまして日本籍のタンカー秀邦丸がイラン国籍と思われるガンボートから銃撃を受けて損害を受けました。この種の事件はこれまで随分多発しておりますけれども、今度の事件は非常に大きな特色がありまして、ペルシャ湾に就航する日本人船員の人命と航行安全に重大な危惧を持たせる事件であります。  大体御承知と思いますけれども、この特色というのは、一つは事件の起きたのが公海上であって、しかも白昼である。したがって、日本船籍であるということを確認できるし、また確認した上での攻撃である。それもパトロールボート二隻が五百メーターという至近距離まで接近をしてきて、通常行われるべき誰何もやらないで、無警告でロケットと機銃とを両方発射して、しかも機銃の方は二度にわたって船員の居住区に打ち込んだ。だから、そこに人がいれば当然殺傷される可能性が十分にあった。幸いにして、たまたま人命に被害がなかったのでありますけれども、これは本当に大変なことでありまして、こんなことでは日本の生命線である油を積みに行っている日本の船員を今後そのまま就航させるわけにはとてもいかなくなってしまうという大きな事件であります。  これは、先般、参議院の予算委員会の際に、起こった直後に我が党の議員からこの事件の説明をして、政府の善処を求めたのでありますが、そのときはもちろん、起こった直後でしたからまだ対策はできなかったかもしれないが、それから随分日数も経過いたしました。その後一体どういう対策をとってこられたか、まず運輸大臣に先に伺います。
  110. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今委員指摘のとおり、この事件は私どもにとりまして非常に大きな衝撃を与えました。そして、今の委員のお話と多少異なっておりますのは、委員は五百メートルぐらいということを言われましたが、実はそれよりもはるかに接近いたしまして、数十メートルという距離まで近寄った上で機銃等は発射をされております。ロケット砲にしてもしかりであります。右舷の燃料タンク、また機関室右舷の外板等数カ所に三十センチから六十センチくらいの破口を生じておりました。幸いに火災が発生いたしませんでしたし、人命の損傷もございませんでした。  秀邦丸は、その直後バーレーンに入港いたしまして応急修理を行いまして、十三日にバーレーンを出港いたしましてからサウジアラビアのジュアイマで油を満載いたしまして、現在日本に向けてインド洋を航行中でございます。  船体には縦三・五メートル、横五メートルの日の丸をかいておりまして、これが視認できなかったとは全く考えられません。しかし、それにもかかわらず数十メートルの距離から攻撃を受けたということで海運労使双方が非常に衝撃を受け、その後の善処方を私どもにも要請をしてこられました。そして直ちに、私どもとしては自力で打つ手がありませんために外務省に要請をし、外交的努力によってこの事態の打開をお願いしたところであります。  ところが、その後情勢はなお深刻になりまして、今私どもは一層の心配をいたしております。と申しますのは、日本船として白昼攻撃を受けたのはこの秀邦丸が初めででありましたが、その時点におきましてもそこはかとないわずかな期待感が皆に残っておりましたのは、ソ連船及びアメリカ船は一度も被害を受けておらないということでありました。しかし、この秀邦丸の事件の直後にソ連船が、そして先日はアメリカの海軍艦艇がそれぞれ誤爆、あるいはいろいろなことが言われておりますけれども、現実に安全水域と目される部分において攻撃を受けたわけであります。それだけに関係者の声は大変悲痛なものがございます。  今週火曜日の閣議の席上、私は正式に発言を求めて、外務大臣に対しその声を伝えると同時に、一層の外交的努力をお願い申し上げました。たまたまその時点におきましてイランの外務次官が訪日中でありましたので、この機会をとらえて、少なくとも安全水域とされている部分における安全航行だけはぜひ担保する御努力を願いたいということでお願いを申し上げました。  外務大臣の方からも、既に国連のデクエヤル事務総長に対して協力要請をしており、事務総長もまた、当事国に対して外交的努力をするとお約束をいただいているという御発言がございまして、その後事務当局もイランの外務次官と話し合いを持ったようでありますし、外務大臣もイランの外務次官に対してじかにお会いをいただき、その席上、強くこの善処方を要請していただいたと伺っております。しかし、誠意ある回答は必ずしも得られなかったようでありまして、私どもとしては切歯扼腕の思いでありますが、外交努力の一層の進展を心から願っておるという状況であります。
  111. 河村勝

    ○河村委員 外務省、その後の経過。
  112. 渡辺俊夫

    ○渡辺説明員 外務省中近東二課長の渡辺でございます。  今までの話と若干重複する部分もあろうかと思いますが、事件発生後の外務省の努力につきまして御説明申し上げます。  外務省といたしましては、事件発生後直ちにイラン、イラク両国政府に対しまして、現地の我が方大使を通じまして、まず、今回の事件発生は非常に遺憾であるという遺憾の意の表明、次に、事件の事実関係の調査の要請、また同時に、今後の湾内の安全航行確保のための配慮というものを強く求める、そういう申し入れを行いました。現地でこういった外交内申し入れをいたしますと同時に、東京におきましても、中近東アフリカ局長より、両国の大使を呼びまして同様の申し入れを行ったところでございます。  さらに、ただいま運輸大臣から御説明がございましたように、きのう出発いたしましたが、この十八日から二十一日までイランのシェイホレスラム外務次官がたまたま訪日いたしました。そこで、十九日には倉成外務大臣から、そして昨二十一日の朝には中曽根総理大臣からも、ただいま申し上げましたと同様の趣旨の申し入れを強く行ったところでございます。さらに、十八日には倉成外務大臣から、たまたま訪日中でありましたペレス・デクエヤル国連事務総長に対しまして本件を提起いたしますと同時に、ペルシャ湾内の安全航行確保のために国連事務総長としてもできるだけの努力をしていただきたいという要請をいたしたところでございます。  こういった我々からの申し入れに対しまして、イラン側の反応でございますけれども、日本の船が被弾したことは非常に遺憾であるということは向こうも申しております。ただ、自国がこういう攻撃を行ったということは認めておりません。他方、同時に、イランとしても、ペルシャ湾内の安全航行の確保については非常に強い関心を有しているというような趣旨の対応をしております。  外務省といたしましては、こういった形で既にいろいろ申し入れをいたしてきておるわけでございますけれども、今後とも外交ルートを通じまして強力な外交的努力を続けてまいりたいと思っております。
  113. 河村勝

    ○河村委員 イランの方は自分のところの船が攻撃したということを認めでいないというお話だったけれども、さっきもイラン、イラク双方に対して警告をしたというようなお話だったが、今回の場合にはイランであることがほぼ確実であるはずであって、しかもパトロールボートの写真まで現にあるわけでしょう、物証が。そういうものを突きつけても、なおイランは自分のところの船がやったということを認めないわけですか。
  114. 渡辺俊夫

    ○渡辺説明員 私どもが承知しているところでは、写真は存在いたさないと思います。ただ、船員の方が記憶を頼りに書かれたスケッチのようなものがあるということは承知しておりますけれども、写真はないのじゃないかと思います。
  115. 河村勝

    ○河村委員 外務省はこれを御存じであろうか。九日付のアブラールというイランの新聞です。この性格はおわかりだろうと思うのですが、ああいう国ですから、新聞だからといって国の方針にたがうような記事が掲載されるわけはないという前提に立っていいと思うのですけれども、それにこういうことが書いてある。「ソ連貨物船「イヴァンカロテエエフ号」及び日本籍タンカー「秀邦丸」への攻撃はこここのところはちょっと意味が不明だけれども、「更なるペルシャ湾軍事化の動きに対する必然の結果である。」だから、ソ連船と日本のタンカーは同類であって、これは必然の結果である。その後、ソ連についてのことが少し書いてありますが、「ソ連はかかる米ソの共同行為の最初の犠牲となったやに思われる。」要するに、米ソがいずれも中立を装いながら、実はイラクと結ばれておるということを前提にして言っておるわけですね。  その上に、「現在サウディのラスタヌラ港に係留中の日本籍船舶二隻は、数日中にクウェイトのアマディ港に寄港する予定であり、また、クウェィトにチャーターされたソ連船のうち一隻は現在バハレーンの港で荷積みを行っている。大国及びその影響下にある国によって練られたセキュリティ・プランの下、これらの船舶の運命がどうなるか注目すべきである。」こういう論説がある。これはあなたは知っていますか。
  116. 渡辺俊夫

    ○渡辺説明員 存じております。
  117. 河村勝

    ○河村委員 知っていれば、こういうことは恐らく政府の意図するところを書いてあるに相違ないので、こういうものを一体どう考えるかということをイラン政府に確認しましたか。
  118. 渡辺俊夫

    ○渡辺説明員 外務省といたしましては、九日付のアブラール紙が先生のただいまの御説明にもありましたような報道をしているという報告を受けまして、直ちに訓令を出しましてイランの外務省に遺憾の意を表明すると同時に説明を求めております。これに対してイラン政府からは、この報道はイラン政府意見を反映したものではない、イランには報道の自由があるという反応をとりあえずは示しております。
  119. 河村勝

    ○河村委員 では、もう一つ見解を聞きたいと思います。  今度の事件はペルシャ湾の西側、イランの設定した戦闘地域外であるということはもちろんですね。それから、米ソの関係を見ると、どうもクウェートに利するようなことをやるものは攻撃するという意図が見えるようであるけれども、今度の秀邦丸というのはクウェートとは関係がなくて、アラブ首長国連邦とサウジアラビアの油を船積みするための船ですね。だから、利敵行為に対しては報復するということが国際法的に正しいかどうかは別にして、仮にそういう仕分けをしてみても該当しない。だから全く不法きわまるものだと思いますが、いかがですか。
  120. 渡辺俊夫

    ○渡辺説明員 私、条約局の者ではございませんので、立ち入った国際法上の議論に入ることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般的にこういった攻撃が認められるとしたら、それは自衛権の行使という場合しか考えられないであろうと思います。そういうことでございますから、今度の秀邦丸事件のようなケースについては、これを正当化するような理由は全く考えられないというふうに思っております。
  121. 河村勝

    ○河村委員 これから先どうするかということをこれ以上あなたに責任を持って答弁しろと言っても無理かもしれないけれども、日本国はイラン、イラク両方と今日まで友好的な関係にあるわけですね。そうであれば、イランに対してもうちょっと米ソの——米ソはともかくとして、日本はとにかくイラン・イラク戦争に対しては完全に中立の立場をとって、イランについてはその他の面でも随分経済協力もやっているわけですから、そういう立場に立って特使を派遣するというような何か明確な方法をとらなければ、ただ普通の外交ルートで押し合いへし合いでやったって、いつまでたっても自分のところがやったのだと認めなければ何の解決策も出てこないわけですね。あなた自身の責任というよりも外務省としてその辺は一体どういうように考えておられるのか。少なくとも今外務省の大体考えていることを言えたら聞かしてほしい。
  122. 渡辺俊夫

    ○渡辺説明員 先生からただいまお話がございましたように、我が国はイラン、イラク両国と非常に友好的な関係を維持しているわけでございまして、先ほど紹介申し上げましたイランの外務次官との会談におきましても、こういった事件が起きることは両国の友好関係に照らして非常に遺憾なことである、友好関係に傷がつくことを我々は心配しているということを繰り返し伝えております。私どもとしましては、今後は東京及び現地の両方の外交ルートを通じまして強力な働きかけを続けるという努力に集中したいと考えております。特使の派遣ということにつきましては、当面はまだ考えておりません。
  123. 河村勝

    ○河村委員 幾ら言っても相手が誠意のある態度を見せない場合には、もしあるならば何らかの対抗措置をとるというのがこういう国際的な紛争の場合の常識ですね。今考えて、日本とイランの間で対抗措置をとる可能性、そういう手段があり得るとあなたは考えますか。仮定の話で結構だ。無理かな。
  124. 渡辺俊夫

    ○渡辺説明員 大変難しい御質問で、ちょっと私の権限を越えていると思いますけれども、当面私どもといたしましては、まず調査して、事実関係をはっきりさせてほしいという申し入れをしておりますので、それに対して納得のいく回答を得るということをまず強力に働きかけていきたいと考えております。
  125. 河村勝

    ○河村委員 これ以上あなたに言っても無理でしょう。帰って外務省の中で、いいかげんに済ませることでなしに、ひとつ前向きの検討をしてください。  運輸大臣、お願いですけれども、国務大臣としての立場でぜひ積極的に取り上げてほしいということと、もう一つ、一昨年からペルシャ湾問題についての官民連絡会議というのができていますね。外務と運輸、それに船主協会、海員組合、これはどうもローレベルの会合であって余り機能しないように聞いております。この際、これを強化して有時即応体制ができるようにできないでしょうか。
  126. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 このペルシャ湾安全対策官民連絡会をも十分活用し、私どもとしてもやれるだけの努力をしてみたいと本当に思いますし、外務大臣に対しても再三再四同様のお願いを繰り返して、粘り強い折衝をしていただくように働きかけてまいりたい、そのように思います。
  127. 河村勝

    ○河村委員 時間も残り少なになってしまいましたが、国鉄共済年金問題でちょっと伺いたいと思います。  国鉄清算事業団の六十二年度の予算に組まれておる金額は五千九百五十七億円というふうになっていますが、この金額で六十四年度までの国鉄共済年金を支払い可能にするための手当てが全部できているというふうに考えてよろしいのですか。
  128. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 先生の御質問の五千九百五十七億円でございますが、その内訳を簡単に申し上げますと、第一に追加費用が五千三百九億、第二に公経済負担の清算金が五百二十九億、それから恩給負担金が百十九億でございますが、最初に申し上げました追加費用の五千三百九億円の中に、去る三月の末に年金関係の閣僚懇談会で決めました六十四年度対策のうちの一つの追加費用に関しての精算金の見直しの金額が入ってございます。これは六十二年度から六十四年度までの三年間で約千億円を入れるということを考えておりまして、そのうちの初年度分といたしまして三百十二億、これがございます。  そのほかに、今の予算の外の話といたしまして、この共済組合の積立金の取り崩しということで六十四年度までは対応するということでございますが、詳しくは大蔵省の方から御説明があると思います。
  129. 河村勝

    ○河村委員 わかりました。この前の閣議決定では、国の負担と同時に、国鉄の自助努力という中に積立金を崩すというのがあるわけですね。聞くところによると、この積立金が六十四年度で、四千二百億あったのが千六百億に減ってしまうということに相なるようであります。国鉄の年金外の諸支払いもあるわけですが、一体それでやっていけるのかということと、それから、これだけ積立金を減らしてしまったら、今後他の共済と統合していく際等に持参金ゼロに近い状態で一体可能になるのかという心配がありますが、その点はどうお考えですか。
  130. 山口公生

    ○山口説明員 お答えいたします。  先生おっしゃるように、積立金が六十年度で四千二百億ございましたけれども、それを今回の対策で万やむを得ずある程度取り崩しをせざるを得ない、今の時点でほかの大がかりな何か救済策等を考えるのはなかなか難しいという事情にありますので、ある程度の取り崩しをお認めいただく必要があるのじゃないかということで、対策をとったわけでございます。その結果、六十四年度のお約束の年限の末には積立金が千六百億になってしまうということは、私どもにとっても余りいいことではないということは承知しておりますけれども、六十四年までとりあえず御安心をしていただく必要があるということで、そういう措置をとったわけでございます。  それで、六十五年度以降どういうふうな話になるか。先生おっしゃいますように統合とかそういった話になれば、もちろん持参金の話が出てくることになろうかと思いますけれども、六十四年までの対策として万やむを得ずこういう措置をとりましたので、その後は、こういった積立金がかなり減少した事実を踏まえながら、六十五年度もやはり検討していかざるを得ない事情に、言ってみれば追い込まれているということでございます。  六十五年度以降の対策といいますのはまた六十四年までの対策に比べましてもはるかに大きな問題でございまして、六十五年度以降ずっと将来にわたってということでもございますので、非常に頭が痛い話ではございます。ただ、六十四年度までは、運輸大臣を初め四大臣で御会合を何度も持っていただきまして、何とか対策をまとめていただいたわけでございます。六十五年度以降も関係閣僚によくお願いいたしまして、いろいろ一生懸命検討し、一刻も早く結論を出して、受給者の方々に不安を与えないようにできるだけの努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  131. 河村勝

    ○河村委員 いずれにせよ、地方公務員ともう一遍財政調整をやるか、厚生年金と統合するか、二つに一つだろうと思いますが、その辺の見当をつけるのは、閣議了解では六十四年度までの見通しがついたらすぐにということだけれども、大体今どういうスケジュールで作業を進めているか、それを聞かしてください。
  132. 山口公生

    ○山口説明員 六十四年度までの措置もかなり苦労してまとめたわけでございまして、それを三月二十四日に閣僚懇談会でお決めいただいたわけでございます。しかる後六十五年度ということがすぐに問題になっておるわけでございまして、私どもすぐに検討をやるというお約束はしておりますけれども、まずは国鉄共済が六十五年度以降どういう収支になっていくだろうか、俗に三千億とかいう話を今まで言っておりましたが、果たしてそういうことになるだろうかというところを今勉強しております。それから、国鉄共済の給付の現状はいかなるものであろうか、そのあたりの分析から始めまして鋭意検討し、できるだけ早く結論に持っていきたいというふうに思っておりますけれども、いつまでにやるということをお約束するには余りにも大きな問題でございます。  また、ほかの例示、今議員がおっしゃったいろいろな対策の例示というのも、私だけで考えてもすぐにどうこうできる問題でもございませんので、その辺は若干時間がかかると思いますけれども、余り時間がないといってともよく認識しておりますので、最大限の努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  133. 河村勝

    ○河村委員 もう時間がなくなったので、一つだけ確認しておきたいと思いますが、財政調整中にはいろいろな制約をしょわされて、現在JRで働いている者も既に年金をもらっている者も他の共済年金に比べて随分分の悪い状態になっているのですが、この調整期間というのは六十四年で終わりと考えるのか。年金改定をストップするというような問題、これを六十四年で終わりにするのか、さらにその先にまで延びざるを得ないと考えているのかということが一つ。それから、現在野にもらっている人たちの年金、これは少なくとも現給は保障する、これは間違いないのでしょうな。この二つだけ最後に返事をしてください。
  134. 山口公生

    ○山口説明員 現在行っておりますいわゆる財政調整というのは五年ごとの仕掛けになっておるわけでございます。したがって、最初の五年間は六十年度から六十四年度までというふうになっております。六十五年度以降はまた改めてということになっておりまして、六十四年度までで終わりかどうかというふうなお尋ねでございますけれども、それはあくまで六十五年度対策の中でまた検討されるということでございますので、私限りで、これで終わりですと言うわけにはいかない事情にございます。  それから、現給保障のお話でございますけれども、現在、議員御承知のように、国家公務員等が年間大体一万五千円ずつ協力をしているという状況にございますし、今受給者の方々にもかなり我慢をしていただいているわけでございますが、将来給付がどういうふうになるかということも、やはり協力と自助努力の兼ね合いといいますか、そういったものともかかわりがありますから、そういう点も含めまして六十五年度対策の中で検討してまいりたいというふうに考えておりますので、御承知おきいただきたいと思います。
  135. 河村勝

    ○河村委員 事務当局にこれを聞くのは無理だったかもしれないけれども、橋本さん、国務大臣の立場で、これだけはちょっと返事をしてください。現にもらっている年金がベースアップがストップされる、これは状況によってやむを得ない場合もあるけれども、今より減らされるというのは年金そのものに対する信頼をなくしてしまうことだから、これはひとつ、絶対にやらないんだということは、あなたの立場で、そうであるとまでは言えなくとも、必ずそうするようにしますと言ってほしいと思いますが、いかがですか。
  136. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 国鉄共済の問題は大変頭の痛い問題であることは間違いありませんが、理論的にこれを解決するには、なるほど委員の御指摘のように給付水準を引き下げるという手法もあり得ることは事実でありますが、これはとるべき手法ではありません。
  137. 河村勝

    ○河村委員 時間が来たから終わりますが、本当は、鉄建公団の問題で自民党の方から、政府にかわって、新しい整備新幹線をやる場合には鉄建公団に仕事をやらせるようにするという議員立法を持ってこられて、今どうしようかと考えているところです。そのこと自体は悪くはないけれども、本来なくなるべき、廃止すべき鉄建公団が、状況が変わったからといって、これに便乗して焼け太りみたいになるというのは甚だよろしくない。将来日本のために鉄道技術を温存する必要があるということは認めつつも、徹底した合理化をやらなければ認めがたいと思っておりますので、いずれ臨時国会質問をいたしますが、鉄建公団そのものは運輸大臣の方ですから、その点を事務当局に検討するようによく言っておいてください。お願いします。  終わります。     〔関谷委員長代理退席、津島委員長代理着席〕
  138. 津島雄二

    ○津島委員長代理 中島武敏君。
  139. 中島武敏

    中島(武)委員 運輸大臣は、この間の当委員会における所信表明で「安全の確保は運輸行政の要締であります。」というふうに述べられました。  そこで大臣に伺いたいのですけれども、一大事故につながりかねない運転ミスが国鉄の分割・民営の一年ぐらい前から激増して、一たん減少しておりますけれども、新しい会社になってからも増加傾向をたどっておることを御存じでしょうか。  例えば昨年十二月十九日の九時三十分ごろのことでありますけれども、中央線の三鷹電車区構内で起きたことであります。八一七Kという電車、この電車は西船橋発、三鷹着九時二十七分という電車なんですけれども、この電車が三鷹駅に十分くらいおくれて到着をしました。本線運転士にかわって構内運転士が入れかえ信号機五五Rの現示しているところを確認せずに冒進をした。それで次の七七〇ポイント付近で冒進に気づいてブレーキをかけたけれども、七七〇ポイントを約百メートルぐらい行き過ぎて停車した。慌ててバックした。それで二番線の上り方七両停止位置までバックしてしまったわけです。  これは御存じかもしれませんけれども、信号機を過ぎて冒進をしてしまったという場合には、そこでとまって、どうしたらよいか、指令の指示を仰がなければならない。ところが、そういうことを無視してずっとパックしてきた。何しろ何の知らせもなしに無人電車がバックしてくるわけです。それで駅の助役も大変びっくりした。もし次の電車が入ってきたら大惨事になるところだったのです。  大臣はこういう事実を御存じでしょうか。
  140. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今御指摘になりましたケースそのものは、私は存じておりません。また、最近において運転ミスによる運転阻害事故が特に多発しているとは聞いておりませんが、いずれにしても、やはり安全の確保、そしてまた正確さというものは輸送機関の最大の使命でありますから、これから先も安全対策に最大限の努力をするように指導してまいりたいと考えております。     〔津島委員長代理退席、委員長着席〕
  141. 中島武敏

    中島(武)委員 事は人命にかかわる大問題であります。こういう事実を知らないというのは重大なことなんじゃないかと、率直に言って私は思っておるわけであります。  実は、三鷹電車区の点呼掲示板に掲示された事故警報・速報件数によりますと——ちょっと委員長、お許しをいただきたいのですが、時間の節約のために大臣にこれを見ていただきたいのです。  八六年の四月、これは事故警報・速報で掲示された件数ですけれども、棒線グラフになっておりますが、十五件です。それから、多少のジグザグはありますけれども、月ごとに非常に激増してまいりまして、ことしの二月には七十六件というところまでふえたのです。  それで、電車区ではこれを実際にどういうふうに扱っているかといいますと、毎日どういう事故があったかということを赤枠で囲んでわかるように掲示をして、運転士の点呼のときに厳重に注意を促しているというものなんです。これは三鷹電車区の掲示板に張り出されたものの件数を調べたものであります。こういうものについては御存じでしょうか。
  142. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 個別の線区におけるこうした状況まで私は到底存じません。
  143. 中島武敏

    中島(武)委員 ぜひこういう実態をつかんでもらいたいと思うのです。個別のと言われますけれども、これは一つの例なんですが、何もここだけに限ったことじゃないと思うのです。こういう実態にあるのだということを林総括審議官はつかんでおられますか。こういうものはぜひつかんでもらいたいと思うのです。
  144. 林淳司

    林政府委員 運転阻害事故等の全体的な傾向についてはある程度知っておりますけれども、個々の運転区等についての実態まで承知はいたしておりません。
  145. 中島武敏

    中島(武)委員 棒線グラフで示したように、なぜこんなに事故がふえてきているのかという問題なんですが、これは国労所属のベテラン運転士が本務から外されるのとほぼ正比例してこういう数値があらわれてきているわけであります。これを事故と呼ぶかどうかという問題はあると思うのですけれども、この電車区ではこれを事故と呼んでおりますが、事故警報あるいは事故速報に載せられている事故がほぼ正比例してふえてきているということを同時に示しております。  といいますのは、後で申し上げたいと思っておりますけれども、国労所属の運転士五十四名が今日は十名になってきた。どんどん減っていくのと事故件数がふえていくのが今申し上げたようにほほ正比例しているということであります。同時に、広域配転者が東京へやってきたことは大臣もよく御存じだと思うのですが、大変教育不十分のまま運転をさせているということもこうした事故が発生する要因の一つだと私は思います。  といいますのは、ほかでもないのですけれども、三鷹電車区の場合には、大臣、お持ちのものを見ていただけば黄色になっているのが実はそうなんですが、九月に十名、十月に二十名、十一月に三名、十二月に二名というふうに、本線に配属されたことも決してかかわりのないことじゃない、重要な要因の一つになっていると思うのです。  ところが、これをごらんになってお気づきになるかと思いますけれども、三月に事故が激減しているのです。なぜ激減したかというと、実は広域配転で来られた方を一たん運転からおろして再教育をしたのです。その間は国労のベテランの運転士が電車を運転したわけです。そうすると、こういうふうにストレートにあらわれたかどうか、いろいろな原因もあるかもしれませんけれども、ほぼこういうような激減をするという傾向になってあらわれているわけであります。  しかし、民営会社発足しました四月、五月と、またこうした事故がふえ始めております。例えば、これはJRになってからですけれども、四月十日の八時二十三分のことです。電車番号は八三八A、西国分寺駅で百四十メートルも大幅に行き過ぎて車掌弁でとまった。運転士が慌ててバックした。それで、これはいかぬというので、車掌がまた車掌弁を引いて電車をとめるということをやっているんですね。  ここでわかることは何かといいますと、百四十メートルも行き過ぎてまだ走ろうというのですから、これはとまる意思がなかったのじゃないかということです。もう一つは、さっきも言いましたけれども、信号機を行き過ぎてしまったという場合には、その場にストップして指令の指示を仰がなければいけない。ところが、そういうことを無視してバックをする。だから、さっきも申し上げたように、これは大変重大な事故につながりかねないことなんですね。  これは初歩の初歩ができてないということなんです。このことは初歩の初歩が習得されてないということを証明しているわけです。所属からいえば勤労の所属で、盛岡から広域配転で来られた方なんです。  この扱いがどうなっているかというと、その日、本人をおろして事情聴取をして、翌日すぐ乗務させているわけです。JR発足する前にもし国労の運転士がこういうことになったらどうなったろう。そんな例は余りないけれども、三日間ぐらいは乗務をおろされるだろうなというのが現場の話であります。  しかも、これは事故として掲示されなかった。事故隠しじゃないかと国労から言われて、おくれて、事故事例を張り出すところじゃない反対側に、何のことだかよくわからない目立たないところに張り出すということをやっているわけです。そこには、ラッシュ時間帯、雨天のブレーキ扱いに注意、西国分寺駅、大幅行き過ぎ、こう書いてあるだけなんです。いつものところじゃないのです。  僕は心配なものですからいろいろ聞いてみますと、非常に重大なことがいろいろあるのです。このほか、信号冒進したとか、一たん停止を無視したとか、手ブレーキを緩めるのを忘れたものだから、台車が発熱して異臭を発するようになったとか、交代の乗務員が来ていないのでそのまま運転を継続したとか、発車時間に三分三十秒もおくれて出場したとか、三、四両も行き過ぎてとまって慌ててバックしたとか、信号の見方がわからなくて五分間もおくれてしまったとか、ハンドルを忘れたとか、キーを差したら動くものだと思っていたのが動かないので大騒ぎになったとか、これは中央線関係だけでも私どもがわかった一部分に過ぎないのですけれども、こういうことがあるわけです。  分割・民営になって元気になりますというようなことを言ったのですけれども、ちっともそうなってない。私は、こうした実態については本当に調べでもらわなければだめだと思うのです。  広域配転で来られた方にしてみれば、私は率直に言いますけれども、今までやっておられたところと東京と条件がまるっきり違うと思うのですよ。地形も違えば、スピードも違えば、進入スピードも違えば、信号機間隔も違えば、電車の運行密度も違う。東京じゃ二分ヘッドで動かしているわけです。あるいは省エネの二〇一系統だったら、例えば北海道にはないわけです。だから、今までいろいろ経験しておっても、その経験が生きないような条件にあるわけです。  こういう場合には十分に教育をして、正常に運転ができるようにするべきじゃないか。私は率直に言って、広域配転者の方も犠牲者だと思いますよ。問題は安全なんですから、安全を本当に守るためには必要なだけ十分な教育をするべきじゃないかと思うのです。どうですか。
  146. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大変長くまとめていろいろな問題を話されましたので、全部をフォローアップできるかどうかわかりませんが、私なりにお答えを申し上げてみたいと思います。  私は、今、広域異動によって配属をされた運転士の方々は、乗務する車種や作業について必要な教育訓練を行った後に乗務についておられると聞いております、これらの運転士は、列車の運転に必要な業務知識はもちろん習得済みの職員でありますけれども、新任地における線路の状況等について熟知するように十分な教育及び指導を行っているということでございます。  それで、東日本旅客鉄道株式会社の東京圏のうち旧東京三局分の事故の状況について事務方調査をさせてみました。確かに、運転士のミスにより人の死傷だとか列車の大幅な遅延を生じさせた事故というのはないものの、これに至らないもので停車位置の行き過ぎ等のミスが若干発生しているようであります。委員のお話しになったようなケースはそれを指すのかもしれません。ただし、特に新会社になって急増しているという事実はないというふうに聞いております。  いずれにしても、これらの事故についてもよく原因の調査をし、対策を徹底するように指導してまいりたい、そのように考えております。
  147. 中島武敏

    中島(武)委員 必要にして十分な教育がもし本当にやられておるならば、こうしたことは起きないと私は思うのです。この点は、今大臣から答弁がありましたけれども、実際をよく調べてもらって、さっきも言ったのですが、大事なことは安全問題でありまして、安全にかかわる重大問題なのですから、必要なだけの教育をしていただくことが必要だということを申し上げたいと思うのです。  僕は、そういう条件というのはあると思うのですね。といいますのは、さっきもちょっと言いましたけれども、国労所属でベテランの運転士がたくさんいるのですが、運転の本務につけないでいる運転士が随分たくさんいたわけです。  共産党は二月の段階大臣に、新会社発足、配属という問題について、ぜひ全員を採用してもらいたい、そしてまた、配属に当たっては経験や技能を考慮し、本人の希望を第一に考えて、差別のない配属をやってもらいたいということを申し上げたことがあります。  ところが、残念なことに、三鷹電車区を例にとりますと、次のページを見ていただけばわかるのですけれども、国労所属の運転士は八六年四月に五十四名定期乗務についていたのですが、それが十名に減ってしまっている。勤労その他所属の運転士は、二十九名だったのが七十二名にふえている。予備運転士も、国労は二十五名だったのが二十六名、勤労その他は三名なのですが、これは特発予備、特別重要な予備であります。それから、日勤グループということで十一人の人たち人活センター的な扱いを受けている。あるいはまた、二十名の人たちが駅の営業関係、事業部、売店等へ配置されるというような実態になっているわけです。  私は、売店とか駅での業務そのものを何も悪いと言うわけじゃないのですけれども、そこへ配置されている人たちを見ると、三枚目を見ていただけばわかりますが、経験年数もあり、そしてまたベテランの運転士が本務から外されてそういうところへ行っている。一方で今申し上げたような事故が多発するという状況にあるのです。  例えば新宿駅のアルプスでコーヒーを販売させられている人の中には局長表彰を受けた人もいるのですよ。これはレールが曲がっているのを発見して、車をとめて知らせて、水をかけてレールをまた真っすぐにして運転をした、それで列車事故の未然防止によって表彰された、こういう人なんですね。そういう人たちがちゃんと本務につくということがこうした問題を解決していく上で非常に大事なんじゃないだろうか。  三鷹電車区には定期運転士は十名、小金井電車区では一名、豊田並びに中野電車区では一人もいないのです。そういう実態になっているのですね。私は、これはやはり所属組合による差別と言わざるを得ないと思うのです。こういう点を直ちに改めてもらいたいと思います。
  148. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、鉄道業務の運営に必要な要員につきましては、それぞれの新生会社は本人の適性、能力等を勘案して、当然企業として適材適所の考え方に基づいて配置を行っておると考えておりますし、その中において、委員が言われるように労働組合の所属が云々ということによる差別等は考えられないと思っております。
  149. 中島武敏

    中島(武)委員 ところが、大臣は適材適所の配置だと言うのですけれども、実態的な点からいいますと、国鉄労働組合を抜けるとじきに、その翌月からといいましょうか本務につける、こういうのが実態なんです。例えば三鷹電車区の場合で言えば、昨年の九月に六名、十月に二名、十一月に六各国労をやめました。それから一月に四名ありますけれども、そうしましたらすぐに定期の運転に携わる、こういうふうになっているのですよ。大臣は適材適所というふうに言われますけれども、率直に申し上げて、私は、これは所属組合による差別があると言わざるを得ないのです。  三鷹だけじゃないのです。方々にあります。一々申し上げる時間もありませんけれども、例えばJR東海、大阪第二運転区においても、当局が工作したと言われているのですが、国労を抜けて鉄産労へ入ったら定期の乗務につかせられているという例もあるのです。こういう例はたくさんあります。私は、こういう差別をこそ改めるべきじゃないか、そして安全運行を確保するというふうにするベきじゃないかと思うのです。
  150. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 なぜそれほど労働組合別で差別をしているというふうに物事を曲解されなければならないのか、むしろ私にはその方がよくわかりません。
  151. 中島武敏

    中島(武)委員 大臣は言うに事欠いて妙な言い方をされるけれども、私は事実に基づいて言っておるだけにすぎないのです。曲解でも何でもありません。実際にはこうなっているからこういうふうに申し上げているわけであります。  これは大臣も御存じかと思うのですが、分割・民営の前ですけれども、改革労協の人たちも口をそろえて、職場配置でも差別があるから早く国労を抜けてこいというような国労脱退工作をやられたのです。これは朝日新聞でも三月三十一日の社説ではっきり言っていますよ。「国鉄当局は「公平」を主張しているが、所属組合によって職員の採用、不採用や新職場への配属に差が生じているのは明らかである。」こういうふうに述べていますね。  私が言いたいことは、こういう差別は直ちにやめて、それこそ本当に適材適所、ベテランの運転士を本務につけることによってお客さんの安全な輸送ができるということです。このことを強く要求して、次の問題を質問させてもらいます。  それは伊豆大島の火山監視体制の強化をぜひ求めたいという問題なのですが、伊豆大島の今後の火山噴火の可能性はどういうふうに見たらよろしいでしょうか。
  152. 平井清

    ○平井説明員 伊豆大島につきましては、昨年の十一月十五日の噴火以後一たん静まりまして、その後十二月十八日に再度噴火いたしまして、それ以後噴火はとまっております。しかしながら、いろいろな火山活動現象はなお尾を引いておるわけでございまして、火山性微動もまだ続いておるわけでございます。今後とも注意深く監視を続けていかなければならないというふうに判断をいたしております。
  153. 中島武敏

    中島(武)委員 今お答えがありましたが、予知連絡会の統一見解も五月七日付で発表されておりますけれども、やはり今後も噴火が起きる可能性があると考えられるので、厳重な監視を続けなければならない、同趣旨のことを言っていると思うのですね。  実は私もことしの一月十三、十四日、伊豆大島の噴火口や元町、それから大島測候所、東大地震研究所を見せてもらいました。私が行ったときは、元町の観測機器のひずみ計は潮の満ち引きをまだ反映していない、つまりまだ正常に動いていないというような状況だったのですけれども、現在は測候所の皆さんの御奮闘で正常に作動しているというふうに聞いております。  昨年の十二月、帰島の直前に、政府は十一億の予算を投入して観測機器の大量導入を行って、観測体制も三人掛ける四という体制にされましたけれども、新たにたくさん機器を導入した。大島三原山の噴火問題というのは非常にショッキングな事件でありましたので、社会的に言いますと予知に対する期待が非常に強いわけですね。そのために職員の皆さんの精神的、肉体的なプレッシャーというのは非常に大きなものがあります。  私も現地を見せてもらって思ったのですけれども、こんなに緊張した活動をしていらっしゃる姿というのはよその研究所では見たことがありません。とにかく本当に、私語もとてもできないような緊張感で計器をずっとにらんでおられる。何かあったら大変だというので、もう目をそらさない。そういう非常に緊張に満ちた活動をやっておられるのです。それで、そのためかと思うのですけれども、病人が続出して、亡くなった方まで出ているという実態でありまして、一番最初の定員十六名のうち八名がもう転勤等で新しく交代されていらっしゃるという実態もあります。  私もいろいろ現地でも説明を伺ったのですけれども、例えば地震計のアラームが鳴ったからといって地震とは限らないのですね。自動車が走ってもそれを反映するわけだし、あるいは風が激しくても反映するわけだし、地震以外の要素がいろいろ地震計にも反映されますものですから、やはり正しくこれを読み取るということは非常に大事なわけです。そうすると、やはり機器だけじゃなくて、人間の持っている意味というのは大変重大だということをそのときも感じた次第であります。  ところが、非常に心配しておりますのは、伊豆大島の監視体制を気象観測と予報体制、すなわち二名掛ける四というふうに縮小をされようというような計画があるとか、あるいは現在本庁の火山室は二十四時間オールウォッチング体制でやっていらっしゃるわけですけれども、これも解消することが検討されているとかいうような話が聞こえてくるものですから、そんなことになったら本当に大変だと思うのです。やはり火山の専門家でない人たちがいろいろなデータの判断をしなければならないとか、あるいは今伊豆沖で群発地震がいろいろ起きていますけれども、そのためにまた非常に忙しくなっているわけですが、そういう状況のもとで人数を減らすということになったら大変なことになってくると思うのですね。現地では明けもとれなくなるのではないかといって非常に心配しているわけです。  私は、これは何といっても非常に大切な仕事でありますから、伊豆大島の観測体制については、気象庁の火山関係の定員枠をふやすというのが一番本筋だと思うのですけれども、同時に、最低でも現在の三名掛ける四という体制はぜひひとつ維持していただきたいというふうに思っているのです。
  154. 平井清

    ○平井説明員 大島測候所におきます火山監視でございますが、緊急に整備されました監視体制は当初から測候所の現有の職員で運用可能というように整備をいたしたものでございます。そのためには、最新の技術を用いましてそういうことが可能なように十分な配慮をしたつもりでございますが、何分にも新しく整備された施設でございますので、そのシステムの運用に習熟するまではということで、ただいま本庁から職員を派遣いたしまして応援態勢をとっておる。その応援態勢の中で先ほど先生が御指摘になりました三掛ける四という体制がとられておったということでございますが、今後この習熟が図られた時点におきましては、測候所の現有職員によって監視を続ける体制に移行したいと考えております。その習熟も、私どもの見るところかなり進んできておると考えております。  そういうことでございますけれども、なお今後火山活動の異常その他の不測の事態が発生し、または予想されます場合には、あらかじめ十分な対応措置もとってまいりたいと考えており、十分慎重にやってまいりたいと思っております。
  155. 中島武敏

    中島(武)委員 時間のようですのでもう終わらなければならないのですけれども、さっきも言いましたように世間が非常に期待をしているという状況のもとですから、そう言っては失礼ですが、本庁でお考えになっている以上に非常に緊張した活動をやっておられます。それは習熟をすればとおっしゃるのですけれども、習熟をしても、これはやはり世間の期待と相関関係でもありますので、その辺はたくさんの機器を持ち込んでいることでもありますし、体制をむしろ減らすのじゃなくてふやしていくという方向でやっていただきたいと思います。大臣、いかがですか。
  156. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 珍しく我が社の職員の勤務ぶりをほめていただきましてありがとうございます。いつもこういうふうにほめていただけるようにほかの部門でも頑張りたいと思います。そして同時に、申しわけありませんが、委員も私も観測という業務については素人でありますから、専門家の諸君の運営に支障のない姿を維持したい、つくってまいりたい、そのように思います。
  157. 中島武敏

    中島(武)委員 終わります。      ————◇—————
  158. 鹿野道彦

    鹿野委員長 次に、本日付託になりました内閣提出参議院送付船舶安全法及び道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、趣旨の説明を聴取いたします。運輸大臣橋本龍太郎君。     —————————————  船舶安全法及び道路運送車両法の一部を改正す   る法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  159. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ただいま議題となりました船舶安全法及び道路運送車両法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  小型船舶につきましては、昭和四十年代からその隻数が増加し、小型船舶に係る事故が増加したことから、その堪航性を確保し人命の安全の保持を図るため、昭和四十八年の船舶安全法の一部改正により小型船舶についても検査を実施することとするとともに、昭和四十九年に当該検査事務を行う機関として小型船舶検査機構が設立されました。  また、軽自動車につきましては、昭和四十年代からその台数が増加し、軽自動車に係る事故等が増加したことから、軽自動車の安全を確保し軽自動車による公害を防止するため、昭和四十七年の道路運送車両法の一部改正により軽自動車についても検査を実施することとするとともに、同年当該検査事務を行う機関として軽自動車検査協会が設立されました。  以降、十数年にわたり、小型船舶及び軽自動車の検査は国民の間に定着するとともに、両法人の運営の基盤も安定してまいりました。  このような状況のもとに、臨時行政調査会答申におきまして、両法人について「経営基盤の安定化を図り、自立化の原則に従い民間法人化する」こととされております趣旨等に従い、政府出資金の返還、国の規制の整理合理化所要措置を講じ、もって、小型船舶及び軽自動車の検査の充実、両法人の経営の自立化、活性化等を図ることとして、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、小型船舶検査機構及び軽自動車検査協会の自立化及び活性化を図るため、両法人につきまして、政府からの出資金を返還することといたしております。  第二に、役員の選任方法につきまして、両法人の自主性を尊重するため理事長及び監事の選任方法運輸大臣の任命制から認可制に改めることといたしております。  第三に、両法人に、その運営に関する重要事項を審議する機関として評議員会を設けることといたしております。  第四に、両法人の自立化及び活性化を図るため、資金計画運輸大臣認可制を廃止する等国の規制を整理合理化することといたしております。  第五に、小型船舶に係る検査の合理化を図るため、新たに認定検査機関制度を設けることといたしております。  第六に、両法人につきまして、これらの改正に伴い、国税及び地方税における両法人に対する特例措置を整理合理化することといたしております。  なお、本法の施行につきましては、両法人について定款の変更等必要な準備を行った上で施行することといたしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  160. 鹿野道彦

    鹿野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  161. 鹿野道彦

    鹿野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新盛辰雄君。
  162. 新盛辰雄

    ○新盛委員 けさほどの理事会で、大変私的なことですけれども御配慮をいただいて、座って質問をという御理解をいただきましたことをまず感謝いたします。状況が非常によろしゅうございますので、後ほどもしそうでしたら失礼をお許しいただきたいと存じます。  この法案の審議に入る前に、関連をして、これまでの質問の中でぜひ一つ確認をしておきたいと思いますのでお願いします。  それは先ほど河村委員の方からもお取り上げになりましたペルシャ湾の安全運航に関する問題でありますが、外務省も来ていらっしゃると思いますけれども、お聞きしておりましてもなかなか当面の解決に向かっていないような気がするわけであります。それで、ここまでくれば、もう中身は省略をしますが、自衛権の行使、我が国のイラク、イランに対する外交的な面でも、大使館も置いてあるわけですから、ここはひとつ具体的に交渉されるという場面をつくっていただかなければいけないのではないか。それは特使を派遣するなどして誠意を見せて行動する以外にないのじゃないかと思うのであります。また、外務、運輸、船主、官民の三者会議もございますけれども、そうした面でも具体的にどう対抗措置を講ずるのか。そうでなければ当面の局面の打開にならないわけです。  実はきのう私も、社会党海運対策特別委員会の方で、ペルシャ湾における安全航行の確保についての緊急申し入れを官房長官を通じて中曽根首相にしてございますので、その内容については省略をしますが、そういう面で具体的な行動を外務省は直ちにとってほしいということについて、もう一回御回答をいただきたい。  さらに、公海上における航行安全に対する全般的な問題ですけれども、運輸大臣として当然それに対する方策というものがなければならないのでありますが、そのことについて大臣の方からお答えいただきたい。
  163. 渡辺俊夫

    ○渡辺説明員 先ほど御説明申し上げましたように、秀邦丸事件につきましては、東京、出先双方におきまして、外交ルートを通じまして高いレベルで緊急の申し入れを行う等その外交的努力を重ねでいるところでございます。私どもといたしましては、当面こういった外交努力をさらに強化することに努力を集中したいと考えております。
  164. 新盛辰雄

    ○新盛委員 高いレベルはいいのですけれども、特使を派遣するとか、具体的にアクションを起こさなければ、これは解決に向かわないのじゃないか。今、確かに超大国の米ソだって、イラン・イラク戦争の状況の中では、どちらの側もそれぞれの主張があるわけですから、日本の場合、そういう中での公海上の安全という面で確保しなければならない自衛権の問題ということになるわけでしょう。  だから、そういうことについて、この間もイランの外務次官が来て話はした。しかし、イラン側は、ペルシャ湾の元凶、これはイラク側にあるのだと言って、逃げられてしまうのですよ。そういう状況ですから、イランの側にもイラクの側にも日本から派遣をしてきちっとやる、外務省はそれくらいの手をとってもらわなければ困るのじゃないですか。どうするのですか。今のままで高いレベルでということだけで終わるのですか。いかがですか。
  165. 渡辺俊夫

    ○渡辺説明員 先ほどから同じことを繰り返し申し上げておりまして大変恐縮でございますけれども、私ども、イラン、イラク双方とも、政府の間では良好な関係を維持しておるわけでございまして、外交チャンネルその他を通じて率直な話ができる間柄にあるというふうに考えております。そういう関係の上に立ちまして外交努力を重ねているわけでございますけれども、これからもさらにこういった努力を強化したい、当面のところはそういった努力に集中したいというふうに考えております。
  166. 新盛辰雄

    ○新盛委員 どうもかったるいけれども、大臣、どうですか。
  167. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 委員が御指摘のように、ペルシャ湾における湾岸諸国の領海の幅員につきましては、国によって十二海里から三海里、さまざまな国がございます。いずれにしても湾内には相当部分の公海が存在するわけでありまして、このような海域の部分は、公海に関する条約で、本来どこの船であっても航行の自由が確保されていなければなりません。しかし、イラン・イラク紛争が激化した結果、ペルシャ湾水域における一般商船への攻撃までエスカレートをし、その領海を越えて、例えばイランはペルシャ湾内に広がる戦争水域を設定する、イラクも同様に立入禁止区域を設定する、こういう行動が続いております。  外務省の立場は今お話がありましたが、本来日本の立場からすれば、これらの戦争水域などの設置は外交上認めておらないはずであります。しかし、我が国の商船隊の安全航行ということから、事実上この海域を避けて運航させてきました。今もそうであります。にもかかわらず、コスモジュピターが、そして秀邦丸が攻撃を受ける、しかも、それは両国の設定した戦争水域の外で被弾をしておるということにつきましては、私どもとしてはこれ以上遺憾な事実はございません。  とにかくペルシャ湾というものは我が国にとりまして原油輸送の極めて重要な海域でありますし、運輸省としては、少なくとも安全であるとみなされる海域を航行する我が国の船舶の安全航行について、また日本の乗組員の安全を確保しなければならないという趣旨から、これまでも外務省に事あるごとにこうした要請をしてまいりました。そして、たまりかねた感じで今週火曜日の閣議の際、正式に閣議の席上において外務大臣努力方の要請もさせていただいたわけであります。  運輸省の立場自身としては、こうした状況の中でペルシャ湾安全対策官民連絡会をさらに活用し、湾内外の日本関係船舶の動静の把握等に努めると同時に、この地域における情報を関係者に迅速に伝達するなどの措置を講ずることによって少しでもその安全確保のために資してまいりたいと考えておりますし、外務省に対してもより以上の努力方を要請し続けるつもりでおります。
  168. 新盛辰雄

    ○新盛委員 事は人命にかかわる問題ですし、また日本の商業活動にもかかわる重大な問題でございますから、今後とも最善の御努力をいただきたいと思います。  続いて新幹線の問題ですけれども、私は南の鹿児島ルートの関係で非常に渇望しております。東北の皆さんもそうだと思いますが、要は、議員立法で、建設主体は鉄道建設公団という形で出されるとか出されないとかいう話がございましたけれども、早く財源措置の問題で動いてくれなければ、地元はもはやしびれが切れたというか、どうにもならないという状況です。東北にしても九州地域にしましても、過疎化の速度が速まっておりますし、地域のアンバランスが出ます。活性化をさせるためにも必要だ。こういうことで私どもは挙げて頑張っておるわけですが、財源の問題でなかなか前に進まない。  確かに、それぞれのJR旅客会社は、負担能力においても今後の経営の主体においてもいろいろと問題があります。大体この問題は政府責任を持ってというところに来る必要があると思うのですが、議員立法が最善の道だということも一面わかりますけれども、七月の臨時国会には政府は法案として提起される気持ちがおありなのか。我々は議員立法でも結構なんですけれども、これは財源の問題がついて回らないとどうにもならないわけですから、それまでに、形成されるべき建設主体あるいは財源、運営主体、そういうものについて明確な方向を出していただきたい。  百五十億の建設費の問題も、これは結論が出るまではちょっと凍結だということも先ほどお話がございましたが、既に準備室を設けている箇所では一体どうなるのだろうかということで非常に不安に思っておりますので、大臣としては非常にじくじたるところがありましょうけれども、お答えをいただきたいと思います。
  169. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 この問題だけは、本当に党派を超えて地域ごとに大変御熱心なお話がしょっちゅうありまして、私も本当に頭の痛い思いをいたしております。  運輸省の立場を率直に申し上げますならば、将来の総合交通体系というものを考えるときに、高速鉄道の必要性は間違いありません。ただし、同時に、JR各社の経営に悪影響を及ぼすことも困る、言いかえればその費用をどうしてくれるのだというところがやはり問題の中心であります。そして、検討委員会におきまして昨年度内に結論を出すように努力をしてきたところでありましたが、残念ながらそこまでの作業が煮詰まりませんで、現在、政府・与党の少人数から成るグループの作業にその推移をゆだねておりまして、私どももある意味ではかたずをのんでその結論を待っておるところでございます。  それぞれの地域における強い御要請の存ずることは、私もよく承知をいたしております。
  170. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そうすると、本問題は七月以降でないと、それまで動かないわけですか。このままでいくんですか。     〔委員長退席、関谷委員長代理着席〕
  171. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 実は、その少数のグループという中に私は入っておりません。と申しますのは、運輸省の立場はもう極めて明快に、将来の高速交通体系として新幹線鉄道は必要であるということを言い切っております。同時に、財源をJR各社に求めるあるいは借金の返済をJR各社に求めるということは困る。これは、将来の会社経営は成り立たないということも極めて明快に言い切っておりまして、ある意味では私どもはもう述べるだけの意見を述べてしまっておるという状況でございます。  そこで、財政当局の責任者である大蔵大臣と内閣全体の総合調整の責任者である官房長官が政府側を代表する形でこの作業に従事をしておられまして、私としてもできるだけ早い御結論をいずれにしてもお示しをいただきたいという気持ちでおりまして、今、いっその作業が確定するということをお返事申し上げるまでの報告を受けておりません。
  172. 新盛辰雄

    ○新盛委員 最善の御努力をお願い申し上げまして、法案の中身について質問をしておきたいと思います。  小型船舶検査機構あるいは軽自動車検査協会、特殊法人を統廃合する内容であります。もちろんこれは臨時行政調査会及び臨時行政改革推進審議会の提言ということで、六十一年十二月三十日の閣議で決定をされて内容の改正が提出されているようであります。  小型船舶検査機構を今回の法改正によりまして民間法人化するわけでありますが、何かメリットがあるのか。これによって、資本金はもう政府は出しませんよ、民間の運営の中で自主的におやりなさい、こういうことになるわけですが、人命の安全にかかわる重要な検査を実施している機構ですから、民間法人化していいのかどうか。これはやはり問題がありそうな気がするんですが、そこのところをどういうふうにお考えか。  それから、この出資金の一括返還、これで小型船舶の方は二億五千万の出資金一括返還になりましょうし、軽自動車協会の方は利益金が九十二億四千二百万あるわけですが、検査手数料等の問題は後で申し上げるとして、今回の法改正に至った経緯は、先ほどの行革、そして今回こうして変えることによって支障が出るのか、あるいはまた逆に、民間活力という面でも相当大きな効果を上げることができると期待しておられるのか、その辺のところをひとつお聞かせいただきたい。
  173. 間野忠

    ○間野政府委員 最初に、小型船舶検査機構を民間法人化した場合にどういう効果があり、また安全の検査に悪影響があるかどうかということでございますけれども、この効果と申しますのは、先生がただいまおっしゃいましたように、民間法人化して活性化を図るということと、この検査について制度的な独占を排除するというような効果を期待しておりまして、安全の面につきましては従来どおり、国の方で安全基準についてはしっかりチェックいたしますし、その意味で何ら悪い影響はない、民間の活力といいますか、それが十分に活用できる改正であろうというふうに考えております。  それから、出資金の返還につきましても、ごく簡単に申しまして、先生がおっしゃいましたように機構の努力もございまして、一応小型船舶検査機構の場合十五億円ほどの内部留保を持っておりますので、二億五千万ほどの出資金を返しても、今後の安定的な検査需要というようなものを考えますと悪影響はないというふうに考えております。
  174. 新盛辰雄

    ○新盛委員 この機構は、船舶の方も軽自動車の方も同じですけれども、検査手数料の収入で今後運営されていきますね。この検査手数料というのは法定化されて、これまでの基準が出ているわけですが、この手数料の基準というのはどういう決め方をするのですか、どこで決めるのですか。自主的に運営を確保していくためにこれは少し値上げをしなければいけないとか、あるいは収益が非常に多いからこれは引き下げなければいけないとか、そういう判断を必ず迫られると思うのですが、それも自主的に政府の干渉なしで行える、こういうふうに理解していいのですか。
  175. 間野忠

    ○間野政府委員 原則的に、検査の手数料と申しますのは、検査に要する費用を勘案して必要な時期に見直すわけでございますが、一応これは法令で定めることになっておりまして、政府で検査するものも小型船舶検査機構で検査するものも、検査の料金としては法令で定めることとしております。それで、今後検査手数料の決定につきましても全く同じような考え方で、同じようなチェックをしながらやっていきたいと考えておりますので、極端に機構の都合次第でといいますか、例えば需要の伸びが少ないから値上げをするとか、そういった恣意的なことはできないというふうに考えております。
  176. 新盛辰雄

    ○新盛委員 現状の、進めてこられました特殊法人の際の手数料、これは継続しますね。そして収益も上がっています。  ここで小型船舶検査機構の検査員の問題でお伺いしますが、検査員約百五十人、その他の嘱託が約五十人、二百名前後ですね。最近、モーターボート、瀬渡し船、遊漁船など小型船舶、十二メートル未満、五トンという船が非常に多くなったのですが、三十三万隻を超えるという勢いです。これは六十年度の統計だそうですけれども、六十一年度はまたさらにふえるでしょう。今日レジャーの進んでいる段階ですから、さらにふえるだろうと思うのです。そこで、二百名程度の人でこの検査をするのに、三年に一回の定期検査、そうしたものをやるにしても、毎年十万隻以上のものを担当しますね。そうしますと一人当たり五百隻です。  現地に行って船の検査をする。救命具がついているか、法定備品はいかになっているか、あるいは推進をするのか、推進する船と帆でもって進む船、それもやはり小型船舶に入っているわけですから、そういうものについて、これはとてもじゃないが、担当能力といいますか検査能力が欠けることになると思います。要員と年々ふえできます小型船舶の増大とのバランス、いわゆる要員が足りるかどうかということも含めてお考えを聞きたいと思うのです。
  177. 間野忠

    ○間野政府委員 確かに、おっしゃいましたように、全体で三十万隻程度、年間十万隻程度の検査をやるわけでございまして、しかも、これが全国に散在しておるわけであります。ただ、小型船舶というのは、例えばマリーナのようなところとか漁村とか、そういうところにかなり集中的に存在する場合がございますので、それに加えまして機構の方でも検査の事前に、検査を受ける方々に対しまして、大体いつ、どこに検査員が行くから、この辺に集めてほしいというようなことをやるなど、非常に効率的な検査を心がけております。もちろん、それはたまたまマリーナ等で集まっているということもあるのですけれども、そういったことで、現在までのところこれだけの検査を二百人足らずの人間で効率的にやってまいっております。  今後の予測でございますが、確かに、どちらかといえば安定的に増加する傾向にはございますが、比較的安定的な推移を示しておりますので、少なくとも当分の間は現行の検査体制で十分執行できるというふうに考えております。
  178. 新盛辰雄

    ○新盛委員 もうできなくなったときは、この要員の増員というのはあり得るのですか。
  179. 間野忠

    ○間野政府委員 ございます。
  180. 新盛辰雄

    ○新盛委員 軽自動車の方は、エンジンの総排気量が五百五十cc以下で三輪以上。最近軽乗用車の方が非常にふえていますね、一千万台。これからまたさらにふえるだろうと思います。このことも今の小型船舶と内容的には似ているのですが、それはどうですか。
  181. 熊代健

    熊代(健)政府委員 基本的には小型船舶と同様でございまして、我々としては、今回特に民間法人化を図ることによって自立化、活性化ということを申し上げている中身の一つには、そういう検査ニーズに対応しました検査体制の充実ということも念頭に置いておりますので、先生のおっしゃるように、今後は多少増加量は鈍化するとは思いますけれども、その検査の量の増加傾向等に当然対応して、検査箇所の増加とか要員上の対応ということを即応してやっていくようにしてもらえるというふうに考えております。
  182. 新盛辰雄

    ○新盛委員 もう一回確認しておきますが、小型船舶の政府出資のこれまでの累積二億五千万、これは返還をするわけですね。それから、軽自動車の方は四十八億、これは返還するのですね。返還をしますと無出資の法人になるわけですが、これで経営上安定していくのですか。
  183. 間野忠

    ○間野政府委員 小型船舶検査機構の場合も軽乗用車検査協会も同様かと思いますけれども、立ち上がりの時期におきましては比較的検査の対象になる船舶も少なくて経営的に非常に苦しい時期がございましたが、その後検査の対象になる船舶もふえまして、先ほどおっしゃいましたように三十万隻を超えたような状態になってまいりました。そういった事情でございますし、また、その間積み上げてまいりました内部留保が出資金を返した後もございますので、それに今後の小型船の安定的な増加ということを考えますと、出資金を返還いたしましても十分安定的な経営は望めると考えております。
  184. 新盛辰雄

    ○新盛委員 小型船舶の検査関係の方で、これからその要員の問題等もいろいろと大変なんですが、五トン未満の船舶については船員法とか海上運送法などは適用されていないわけです。乗務員を適正に配置しているのかどうかの基準の問題、あるいは瀬渡し船の場合は乗客を何名乗っけて、乗員名簿をつくるとか、少なくともソフト面で完備しなければならないのですが、その面がどうも無法地帯というか、何かきちっとした規制というものはないようですけれども、これはどうお考えですか。  それから、これに伴いまして安全性の問題で、海上保安庁来ていらっしゃると思いますけれども、最近の小型船舶の事故の現況、あるいは瀬渡し船だとか遊漁船だとか、いろいろなトラブルもございますが、そうした現状をお聞きしておきたいと思います。  そして警察庁の方から、軽自動車はこれまで余り事故がなかったという御報告もありますけれども、これから先どんどん増大をしますので、この軽自動車の事故の発生件数というのがわかっておりましたらお答えいただきたいと思います。     〔関谷委員長代理退席、委員長着席〕
  185. 間野忠

    ○間野政府委員 最初に御指摘の船員法の関係でございますけれども、船員法はその主たる目的が船員の労働保護でありますので、小型遊漁船のように、その多くが船主船長といいますか所有者が船長を兼ねているようなものにつきましては、労働保護法である船員法の適用を拡大する必要はないのではないかというふうに考えております。ただ、遊漁船などの小型船舶につきましても、先生が今おっしゃいましたように配乗の問題がございますが、小型船舶の航行の安全を図るためには、船舶職員法によりまして小型船舶操縦士の資格を持つ者の乗り組みを義務づけておりまして、その面から安全の確保を図ってきておるところでございます。
  186. 熊代健

    熊代(健)政府委員 先生指摘のもう一点の海上運送法との関係でございます。先ほど御説明がありましたように、遊漁船等につきましては基本的に、船の安全性については船舶安全法、それを操る人の問題としては船舶職員法ということでやっておりますが、海上運送法につきましては、これは人または物の運送をする事業に対する事業監督法規でございまして、これら事業につきましては、事業関係とか運賃等のほかに安全問題等に関する各般にわたる規定を置いておるわけでございます。  しかしながら、御指摘の遊漁船等につきましては、いわゆる人の運送に主眼があるというものではないこと、しかも通常は規模も小さいものであるということから、海上運送法の適用対象外ということにされておるわけでございます。このような事情は、確かに広範にふえてはございますけれども、人の運送を主たる目的とするものでないという点につきましては特段に事情の変更がございませんので、我々としては現時点でこれら遊漁船等に対しまして海上運送法の適用を拡大するということは考えておりません。
  187. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 小型船の海難現況でございますが、海上保安庁では救助を必要とした船舶をもって海難件数としておりますので、このような要救助船舶隻数につきましては、いわゆるプレジャーボートについては、六十年が四百六十隻、六十一年が四百七十八隻でございます。六十一年の海難種類別の内訳といたしましては、エンジン故障百隻、転覆八十一隻、衝突七十八隻等となっております。なお、瀬渡し船につきましては、六十年は十一隻、六十一年は十二隻という件数でございます。
  188. 越智俊典

    ○越智説明員 軽自動車の事故の状況でございますけれども、軽自動車が第一当事者となった交通事故件数は、六十年では七万六千九百七件、うち死亡事故が八百四十五件、六十一年は八万五千三百十九件、うち死亡事故は八百五十七件でございます。  軽自動車の台数は最近急激に増加しておりまして、事故件数も絶対数としては少しふえております。ただ、軽自動車と普通の自動車との事故率というものを一万台当たりで比べてみますと、軽自動車の場合が七十二件程度、自動車全体ですと百十件程度ということで、全体の七割程度で、事故率そのものは軽自動車の方が低い状況になっております。  今後の安全対策ですけれども、私ども、運転免許行政とか教育面では軽自動車は普通自動車と同じように扱っておりまして、免許も普通免許が必要ということになっております。軽自動車は今後ふえることが予想されますけれども、安全対策上は特に問題はないのではないかと考えております。
  189. 新盛辰雄

    ○新盛委員 六十一年でプレジャーボートは四百七十八隻、瀬渡し船も十二隻の事故というふうに今増加しつつありますが、これの登録制度についてはどうお考えですか。こういう小さな船というのは登録制度がないものですから、遊漁船の場合などは特に漁業本体の業者との競合という問題も出まずし、あるいは盗難その他の問題でもいろいろと問題が出るのですが、この登録義務づけということについてはどうお考えですか、五トン未満の船についてどうですか。
  190. 間野忠

    ○間野政府委員 船舶法上の船舶の登録制度でございますけれども、国際航海に従事し得る日本船舶の国籍を公証するということを目的といたしております。したがって、このような制度の目的から見まして、国際航海に従事することはまず想定しがたい総トン数五トン未満の小型船について登録の義務づけということは行っておりませんし、当面行う考えもございません。
  191. 新盛辰雄

    ○新盛委員 それと、小型船舶の船体に事故が生じた場合には保険制度というのがなければならぬのですが、加入率が非常に低いし、掛金も高い。漁船には国の制度として漁船保険がありますね。漁船保険の問題になりますと水産庁の方もいろいろと事情があるようなんですが、これは私の方から申し上げておきますので、後ほど具体的な問題を、お答えは要りませんからぜひお知らせをいただきたいと思います。  漁船には国の制度として漁船保険がありますけれども、遊漁船とか水産動植物を反復継続して捕獲する漁業、こうしたものは漁船ということになるのですが、小型船舶の遊漁船は相当数がふえましたのでいろいろ問題を起こすわけです。これは漁船保険の道を開くべきじゃないか。これは各県ごとにばらばらです。だから、今後こうした問題についてぜひとも前向きに御検討いただきたい。  また、遊漁船の中の漁船登録、これは法律上は遊漁船を漁船というふうに言っていいのかどうか。前に農林水産省で遊漁法案というのをつくろうとしたのですが、義務と権利の問題でできなくなってしまったのです。それほど問題がたくさんございます。したがって、漁船登録等の問題について今後積極的に御検討いただきたい。これはお答えは要りませんが、お願いしておきます。  そこで、水産庁の方も来ていらっしゃると思いますが、過日の二月四日、千葉県銚子漁港沖で青森県八戸市の第六十五惣宝丸が遭難をしました。御承知のように、イワシの魚価が値下がりをしているというので無理をして航海に出たわけであります。この無謀な出漁が原因で十二人以上のとうとい犠牲が出たわけですが、海上保安庁としては気象条件について通告をする程度ですね。  ところが、こういう小型漁船の場合もそういうことが想定されるのですが、気象上の連絡が小型船舶の場合には全然行き渡らないんですね。港を出るときだけ自分で判断しなさい。しかし、瀬渡し船など、判断に過ちがあってとうとい犠牲者が出るものもあるし、銚子沖で遭難しました惣宝丸も同じような状況だと思われるのです。惣宝丸の問題については、その後の補償問題も含めて、あるいは刑事責任の問題も出ておるようでありますが、どういうふうに措置をされてきているのか、お聞かせをいただきたい。  また、気象通報上のこういう連係動作は、海上保安庁の方でどういうふうな処理をされてきているのか、今後どういうふうにされるのか、その点をお聞かせいただきたいと思うのです。
  192. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 このような小型漁船についての海難防止については、日ごろから私ども、海難防止強調運動の実施、海難防止講習会の開催あるいは訪船指導等を行い、海象、気象等の把握に努めて無謀な出港を行わないよう、また無謀な航海を行わないよう関係者に対する指導に努めているところでございますが、残念ながらこのような事件が発生いたしましたので、当惣宝丸の所属いたします株式会社福島漁業に対しては、事故防止対策に万全を期するよう文書により指導を行ったところでございます。今後このような形での漁船の事故が二度と起きないように、さらに一層海難防止について指導を強化していきたいと考えております。  なお、この惣宝丸につきましては、現在刑事責任についてさらに捜査中でございます。
  193. 上木嘉郎

    ○上木説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、二月四日に惣宝丸が沈没いたしまして、十五名の方が死亡なり行方不明になったことはまことに遺憾なことでございますけれども、私どもといたしましては、従来から運輸省との連携を密にしながら、こういう海難事故の防止につきましては特段の指導をしてまいっておるわけでございます。  今回の事件発生後、原因の究明なり責任につきましては関係筋において調査中でございますが、私どもといたしましては、惣宝丸が所属しております福島漁業の責任者においでいただきまして事情聴取をいたしますとともに、こういう事故を二度と発生させることがないように、社内の体制の整備あるいは教育というようなことも含めまして徹底されますように、具体的な指導に努めておるところでございます。
  194. 新盛辰雄

    ○新盛委員 この後、本会議があるものですから、河村委員が省略をされましたので、私も時間短縮をして御協力申し上げたいと思います。  最後の質問ですが、これと同じように漁業関係を含め、安全航海あるいは海難事故、こうした問題でいろいろな事件が発生しているのです。  ことしの一月十四日に、鹿児島県川辺郡笠沙町野間沖でインド船のリシャ・アナログ、一万一千百七十九トンが、随分大きな船なんですけれども、しけのために沈んだ。乗組員の方々は幸い全員救助されたのですが、この船は今八十八メートルの深海に沈んでいるのですけれども、約四百四十一トン積んでいた重油が流れ出して、白砂青松の吹上浜一帯、そして八漁協にかかわるそれぞれの漁場を油濁、環境汚染をして、積んでおりましたコンテナが定置網を引き破るということで大変な被害を受けました。  ところが、スラッジを取り除くことを県が一生懸命になって対策本部をつくってやったのですが、その経費は払わないとか、もともと原因者負担ということで国際法上もいろいろありますけれども、油の回収とか被害補償がいまだに解決していない。海上災害防止センターで取り扱っているようでありますが、外務省も来ていらっしゃると思いますが、補償の国際的な問題、あるいは水産庁の方は漁業補償について一体どういうふうな措置をされたのか、お答えいただきたいと思うのです。
  195. 渋谷実

    ○渋谷説明員 この問題は、我が国国民の直接の利害にかかわることでございますので、外務省としても、海上保安庁ないし鹿児島県等の関係者から報告、それから側面協力の要請を受けまして、早期の解決にお役に立てるようインド側との連絡等の側面支援を既に行ってきております。  先生も御承知のとおり、汚染油回収費用や沿岸漁民への補償の手当てに関する件は民事上の問題ではございますけれども、現在当事者間で行われている話し合いに外務省としてさらに側面協力し得ることがあれば、今後とも協力していきたいと思っております。
  196. 三村悌二

    ○三村説明員 お答えいたします。  先生から御指摘がございましたように、本事件の被害額は、関係漁業者、関係漁業組合の集計では一億四千七百万ほどということになっております。これらの被害に対しましては、関係の漁業協同組合から船主に対しまして、六十二年三月二十三日付をもって漁業損害賠償等請求書が提出されているところでございます。私どもといたしましても、この被害の発生からいろいろな後の処理等につきまして、その方法あるいは従来ありました同じような事例等につきまして県にもいろいろお知らせいたしまして、処理が円滑に進むようにしてまいったところでございます。  先ほど外務省の方からもお話がございましたように、本件につきましては汚染者、原因者が判明しております。原因者が明らかである民事上の問題として当事者間で処理すべき問題というふうに考えておりまして、私どもといたしましては当然この問題の早期の解決を望むわけでございますけれども、今当事者間で交渉が進んでいる段階で、水産庁といたしましてはあれこれはたから言う立場ではないのじゃないかというふうに思いまして、これからも交渉の進みぐあいについて情報を収集しながら推移を見詰めていきたいと思っております。
  197. 新盛辰雄

    ○新盛委員 質問を終わりますが、きょう質問通告をしておりました「へりおす」の今後の取り扱いについて、そう申し上げればおわかりだと思いますが、いまだに遺体が揚がらないという相馬沖での海洋調査船ですね。二百三十メートルの深海にまだいるわけですが、これの原因調査。実は安全対策、検査機構について問題があるのでありまして、まだ遺体が全部引き揚げられていないわけですが、七月ころサルベージ会社が引き揚げるという話でございます。このことについては、原因の追求を含めまして、今後こういう事件のないようにしたいと思いますので、いずれまたその際に申し上げることにして、時間前で少し早いですけれども、終わりたいと存じます。ありがとうございました。
  198. 鹿野道彦

    鹿野委員長 西中清君。
  199. 西中清

    ○西中委員 今回の改正は、特殊法人等の整理合理化が盛り込まれました昭和五十八年の臨時行政調査会答申を受けて、小型船舶整備機構及び軽自動車検査協会の両法人を政府出資金の返還等によって民間法人化を図る、そして自立化、活性化を図っていこうというものだと思います。  そこで、臨調答申が出されてから既に四年の歳月を経ておるわけでございますけれども、この長い期間かかってまいったのはどういうわけなのか、まず伺っておきたいと思います。
  200. 熊代健

    熊代(健)政府委員 先生指摘のように、五十八年の三月に「自立化の原則に従い民間法人化する。」ということの指摘を受けたわけでございますが、その前提としまして「経営基盤の安定を図りこということがございまして、小型船舶検査機構、軽自動車検査協会ともに出資金をそれぞれ返還することによって自立をするということでございましたので、その出資金の返還が可能になるようなことを図らなければならない、あわせて今後の経営が安定的にやれるというような体制をつくらなければいかぬということでございました。  昨年の通常国会、百四回国会に他の五法人と一緒に、この臨調答申を受けで民間法人化する法案を御提案申し上げた次第でございますが、他の五法人は昨年の国会において可決、成立を見たのですけれども、この二法人については継続審議、引き続き廃案ということになって、今国会にさらに提案をさせていただいた次第でございます。
  201. 西中清

    ○西中委員 そこで、臨調答申の趣旨を見ておりますと、この法律案の成立をまつまでもなく、それなりにその趣旨に沿って改善をすべき点も多々あるのじゃないかと思いますが、四年間のうちに両法人で何か改善をされた点があったならばお伺いをしたい。  特に小型船舶検査機構については、臨調答申には「国民負担の軽減の見地から、検査対象とすべき船舶の範囲について、規制目的に配慮しつつ、専門的・技術的観点に立って見直しを図る」、こういうようにも書いてあるわけでございます。具体的にはどういう見直しをされたのか、また、今後どのようなことをお考えになっておるのか、伺っておきたいと思います。
  202. 間野忠

    ○間野政府委員 臨調答申で御指摘いただきました「国民負担の軽減」という点につきましては、恐らく、海域とか湖とかいろいろあると思いますが、例えば非常に静ひつな水域においては検査から除外してもいいのではないかという御趣旨と受けとめまして、そういった除外する海域、水域を指定してまいりました。
  203. 熊代健

    熊代(健)政府委員 私どもといたしましては、基本的に、先ほど言いましたように出資金が四十八億という額に上っておりますので、これを返還できる体制にするということとあわせまして検査場等の整備といったようなことを進めてまいりました。
  204. 西中清

    ○西中委員 軽自動車検査協会の六十年度決算書によりますと、当期利益金として約二十三億七千八百万円が計上されております。協会の収入で検査手数料としては五十五億四千万円ということになっておりますが、検査手数料収入の四割を超えるものが利益となっている勘定でございます。これはどうもいかにももうけ過ぎという感じがしないわけではない。営利団体においてもこれだけの収入が出るのは超優良企業と言わなければなりませんが、この点についてはどうお考えになっているのか、伺っておきたいと思います。
  205. 熊代健

    熊代(健)政府委員 おっしゃるような状況になっておりますが、軽自動車の検査手数料につきましては、昭和五十二年の十月に現在の手数料に改定しております。五十三年の十月以来約八年近くそのまま据え置かれておるわけでございますが、先生がおっしゃいました五十三年当時は、軽自動車検査協会の累積赤字がなくなりましたのは昭和五十五年度でございまして、五十三年度において設定されたときは非常に苦しい状態にあったわけでございます。御承知かと思いますが、五十年代の後半になりまして、軽自動車の性能等も上がってきたということもあると思いますが、年間一〇%程度の伸びを示してきた。それが六十年度末で九十二億、それから六十年度で単年度二十三億というような状況になっておるわけでございます。
  206. 西中清

    ○西中委員 軽自動車の台数が大変急増いたしておるということが非常に大きな要因であろうと思いますが、念のために五十二年度から六十二年度までの手数料収入の推移を各年度ごとに教えていただきたいと思います。
  207. 熊代健

    熊代(健)政府委員 五十二年度の検査手数料が概数で申し上げまして約二十四億、五十三年度二十八億、五十四年度三十五億、五十五年度同じく三十五億、五十六年度四十一億、五十七年度四十三億、五十八年度四十九億、五十九年度五十三億、六十年度五十五億という推移をたどっております。
  208. 西中清

    ○西中委員 現在の軽自動車の増加ぶりというものは今後そう急激に変化をするというふうに思えないわけです。多少の鈍りはあるかもしれませんけれども、やはり増加をしていくというように私は見ておるのですが、その点はいかがでしょうか。
  209. 熊代健

    熊代(健)政府委員 先生指摘のように、昭和六十年末で千百万台弱、六十一年末では千百七十七万台というようなことになっております。  近年におきましてユーザーの嗜好が多様化している傾向にございますが、それに応じまして軽自動車の方もボンネットバンあるいは前輪駆動車、ターボ仕様といったようなものが生産されているということもございまして、先ほどの検査手数料でもおわかりかと思いますが、五十五年度以降年度平均約一〇%の伸びを示しております。  今後につきましては、我々としても、自動車の普及がかなり進んでいるということもあって、このような一〇%といったような伸びは想定できませんけれども、数%程度の伸びは今後ある期間は続いていくんじゃないかというふうに考えております。
  210. 西中清

    ○西中委員 現在の決算状況を見でおりますと、先ほど申したとおりに、自動車台数がふえたということが原因ですけれども、同時に余りにも利益が上がり過ぎる。こういう点からいくと、やはり今回の民間法人化を機会に手数料を引き下げる、そういう検討をしてもいいんじゃないかなというふうに思うわけでございます。  推定しますと、六十二年度末の利益剰余金は、政府出資分の四十八億円を返還したとしても恐らく百億にはいかぬでしょうけれども、それに近い剰余金になるのではないか、こういうふうに私は思います。それに加えて、ここ数年間は年々二十数億円という利益を生み続けていくわけでございますから、営利法人でない協会がこんな巨額な剰余金を今後も膨らませていくということはいかがなものかな、こう思わざるを得ないのでございますが、大臣、この点はどのようにお考えになりますか。
  211. 熊代健

    熊代(健)政府委員 今のままでまいりますと先生おっしゃるようなことになろうかと思います。  手数料につきましては、先ほど申し上げましたように五十三年の十月に現在の手数料になっておるわけでございますが、現在の手数料は、車を持ち込まない場合が九百円、それから車を持ち込んだ場合、対象によって違うわけですが、これが千二百円というレベルでございます。  検査手数料の値下げといった問題につきましては、それが可能かどうかという点につきまして、先ほど来の出資金の返還、それから、これは特に申し上げたいと思っておるのですけれども、五十四、五年までは、発足当初からこの法人は、確かに政府出資は受けておりましたが、自前でやっていかなければいかぬ、赤字が出た場合には借金で賄ってきた法人でございます。そういう点から、厳しい経営環境の中で、ユーザーに対するサービス面で必ずしも十分に行われてきていないと言わざるを得ないわけでございます。  したがいまして、検査施設の整備を初めとする検査体制の充実あるいはユーザーサービスの向上といったことにまず第一に充てるべきだろうと考えておりますが、それらに充当した後、さらに今後の検査件数の推移、それに対する見通し等を含めまして検討すべき問題であろうというふうに認識しております。
  212. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 基本的に、今担当局長としてお答えを申し上げた線を出ないわけでありますが、いずれにしても将来にわたって考えていくべきポイントの一つ、そのように思います。
  213. 西中清

    ○西中委員 その点は十分おわかりいただいているように思いますが、一歩譲って料金の引き下げが当面考えられないとするならば、少なくとも健全な経営をするために適当なる利益を上げるということは当然必要なことでございますけれども、何といってもユーザーからいただいているものでございますし、営利団体ではないわけですから、今おっしゃったようにユーザーに対するサービスの還元、こういうことがあろうと思います。  それから、施設の改善等々でかなりの費用もかかるのかと思いますけれども、それにしてももうかっておるなという気持ちは何となくぬぐえないですね。ですから、これが果たしてこの協会の目的に合うのか合わないのかという問題もあろうかと思いますが、ユーザーに還元する方法だって、例えば交通安全対策であるとか、それから一つの例を挙げますと、交通事故等で重度障害を受けた方々の療護施設を現在自動車事故対策センターでやっておりますけれども、そういったところへ出資をするとか、いろいろな面で応援もできるんじゃないか。そういう働きもして、このお金を有効に使うようにしていったならばいいんじゃないかなという気がするのですが、そういった点についてお考えがあれば伺っておきたいと思います。
  214. 熊代健

    熊代(健)政府委員 剰余金を先ほど申し上げたようなことに充当した後、さらにどういうことを考えるべきかという御指摘でございまして、交通安全対策への充当あるいは交通事故による重度後遺障害者に対する療護施設といったようなものの建設等、こういう御指摘でございます。  まず、軽自動車検査協会の目的そのものは、軽自動車の安全の確保と公害の防止を図るために検査の業務を行うということを目的といたしております。したがいまして、軽自動車の安全の向上といったような範囲で、この法人の目的達成業務として可能な範囲で、そういう交通安全対策等のためにあるいは検査の改善といったようなことのために充当するということは今後検討してまいりたい。  ただ、先生指摘の交通事故による重度障害者の療護施設につきましては、これはいわば交通事故の被害者救済ということになろうかと思います。したがいまして、この協会の目的達成事業というにはちょっと外れるかなと考えております。  御承知のように、当省は自動車損害賠償保障法に基づきましていわゆる自賠特会というのを持っておりまして、その目的とする被害者救済の一環として、自動車事故対策センターを通じまして直轄で、現在千葉で療護センターを運営しております。六十二年度予算で新たに仙台で委託方式で建設に着手するということにしておりますが、この自賠特会の方で重度障害者の療護施設というものは、その拡充に努めてまいりたいというふうに考えております。
  215. 西中清

    ○西中委員 この協会の目的という点ではいささか無理な点もあるかと思いますけれども、今後の検討課題にしていただければ、こう思っております。  それから、特殊法人の民間法人化に当たっては、臨調では制度的に独占とされていないこととされておりますが、小型船舶の検査について認定検査機関制度を設けるということになっております。これは具体的にはどういうことを指しておるのか、伺っておきたいと思います。
  216. 間野忠

    ○間野政府委員 小型船舶の検査制度におきましても、できれば、独占の排除ということは認定事業場を活用してやっていきたいと考えておるわけでございます。  ただ、小型船舶の検査の場合には、六年ごとに比較的詳しい定期検査というのをやりまして、この場合にはまさに認定事業場といいますか造船所などを使うわけですが、三年目の中間検査の場合には非常に簡便な検査をやるわけでございまして、造船所のあるようなところまで持っていって船を上架するといいますか、ドックヘ入れるといいますか、そういうことをやらない状態で、浮上中に検査をするという非常に簡単な検査でございます。  この点につきまして認定事業場で制度をもって独占を排除することは非常に難しいものですから、もう一つ中間検査をやり得るような能力を持った団体、法人を認定検査機懐として指定しまして、できればこれに中間検査をやらせたいという趣旨のものでございます。
  217. 西中清

    ○西中委員 具体的に名前は言えないのですか。
  218. 間野忠

    ○間野政府委員 まだ決まっておりませんけれども、例えば舶用品の検定など全国的にやっているような団体もございまして、そういうものも一つの候補たり得るかなと考えております。
  219. 西中清

    ○西中委員 法案については以上で終わりますが、最後に大臣にお伺いいたします。  運輸省というのは、仕事の性格上、とかく許認可事項、検査・検定事項が極めて多いわけでございます。しかし、一方では、近年技術が飛躍的に進歩いたしておるし、また、対外経済摩擦の面からも規制緩和ということにもっと努力しなければならぬという一面もある。臨調の指摘やマスコミの指摘をまつまでもなく、運輸省みずからがこの問題についてはそれなりにお考えだと思いますけれども、より計画的に、また機関等も決めて、許認可、検査、検定、指定の洗い直しをやって、でき得る限り緩和すべきものは緩和していく、こういうことが重要だと私は考えておりますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  220. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 一般的なことから申しますならば、許認可とか検査、検定といった行政行為によって民間のさまざまな分野に政府介入する度合いは少なければ少ないほど望ましいことは言うまでもありません。そして運輸省の場合でも、やはり運輸事業というものは、経済社会情勢の変化に対応しながら利用者の利便を増進する良質なサービスの提供に積極的に取り組んでいくということから考えれば、私は、不断の見直しをする必要は当然あろうかと思います。  ただ、委員指摘のように、運輸省という役所の持つ業務分野は、まさに利用者が必要な輸送サービスを安全かつ良好な状態で安定して効率的に受けることができる、そういう目的からまいりますと、参入規制あるいは運賃規制といった規制がどうしても必要な部分があることもお認めがいただけると思います。  運輸省としては、そうした認識に基づいて既に省内には検討委員会を設けておりまして、規制の見直しを行いながら、六十年七月の行革審答申の指摘事項も含めまして、改善措置を着実にまた計画的に実行しつつあります。これから先も、運輸事業における規制のあり方というものにつきましては幅広く検討を進めて、随時必要に応じて対応してまいりたい、そのように思います。
  221. 西中清

    ○西中委員 終わります。
  222. 鹿野道彦

  223. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、船舶安全法及び道路運送車両法の一部改正案についてお尋ねいたします。  小型船舶検査機構と軽自動車検査協会を認可法人の形態のままで民間法人化するというわけですが、軽自動車と小型船舶の検査は国が法律で義務づけている。しかし、その実施を利潤追求のための民間にやらせるということでは、安全検査そのものの存在意義が問われかねない重大な問題を含んでいるのではないかと思うわけです。運輸省としては、こういうそもそもの問題について検討されたのでしょうか。
  224. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 そもそもの問題からまいりますならば、私はむしろ、こうしたものは発足当初から民間の自主的な機関で検査が行われることの方が望ましかったのではなかろうか、個人的にはそうした気持ちを持っておりました。  ただ、たまたま小型自動車の急速な普及あるいはプレジャーボートの急速な普及という時勢の中で、長い間時間をかけてこうしたものが普及をしてまいりました欧米諸国とは異なって、日本の場合には急激に普及が図られていく中で自主的なそうした行為が伴いませんために、国が特殊法人という形でこうした検査を実施した意味はやはりそれなりにあっただろうと私も思います。  しかし、それが今日ほど定着し、安定化してくれば、私は当然民間の手に戻して何ら支障はないものだと考えますし、委員は今、民間営利本位と言われましたけれども、西中委員からは特殊法人がもうけ過ぎておるという御指摘をいただいたような状況でありまして、それだけ国民の中に定着したものと考えております。
  225. 中島武敏

    中島(武)委員 大臣の見解はわかったのですが、安全はどういうふうにすれば担保できるかという点についてはどうでございますか。安全検査です。
  226. 熊代健

    熊代(健)政府委員 先生今御指摘のように、認可法人でございます小型船舶検査機構と軽自動車検査協会の出資を返すとか、あるいは自主性を重んじて国の関与を緩和するということでございますけれども、それぞれが行っております、小型船舶の堪航性及び人命の安全の保持、軽自動車の安全の確保と公害の防止という点については重要性は同じでございまして、これらにつきましては、それぞれ船舶安全法及び道路運送車両法でクリアすべき基準を定め、それをクリアできるような状態にあるかということを国にかわってこの法人がやっておるわけでございます。  そのやり方等につきましては、検査の厳格性とか公正性を確保するためにいろいろな監督規定を設けておりますが、これについではいじっておりません。従前どおりということでございますので、その点の指導監督といった点は今まで同様に行っていくことによりまして、安全なり公害の防止の確保ということについては従前と何ら変わりはなく、我々としては今後とも同様にやっていくということにいたしております。
  227. 中島武敏

    中島(武)委員 今のお答えによれば、実態的には安全検査についての変更はない、担保できるという答弁なんですね。大臣からのお答えもあったのですけれども、私の考えでは、やはり国がやるという方がいいと思うのです。それで、実際に安全検査という点について民間法人化しても変わりがないというのであれば、その面からいえば積極的に民間法人化する意義というのは大変薄れてくるんじゃないか。臨調答申が言っているからそれを実行してみた、こういうことになろうかと思うのです。  だけれども、民間法人化ということになれば、現在は小型船舶、軽自動車それぞれ一つの検査機構ですけれども、これは独占しないということになるわけですから、今度は将来的には複数の検査機構ができてくる、こういうことになるわけですね。複数の検査機構ができてくるということになった場合には、安全検査を担保するという問題についても支障が出てきはしないだろうか。なぜならば、競争あるいは利潤追求というようなことが優先しますと、やはりそういうことが出てくる心配というのは否定できないのじゃないかというふうに私は思うのです。どうですか。
  228. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私はそう思いません。
  229. 中島武敏

    中島(武)委員 これは見解が違うのですね。  それでは、船舶及び自動車などの安全対策の問題で関連して幾つかお尋ねしたいと思います。  二階建てパスの事故が六十年十月五日と六十一年七月十二日と二度にわたって起きておりまして、多数の死傷者、重軽傷者を出しております。二階建てのバスというのは、御存じのとおり重心が高いわけですね。そこへもってきて、二階建てというのは非常に珍しいものですから、乗客は二階へ集中するという傾向があります。そうするとますます重心が不安定になる。普通のパスと同じように長距離運転を強いられたらどうなるか。疲労や過労運転による注意力の低下が起こるというようなことになったら、普通のバスだったら起きないでもいい事故が起きる可能性というのが出てくるのですね。  そういう点で、二階建てバスという特殊な構造に対応した運行基準、労務管理の基準といったものを示すべきではないかと思うのです。例えば連続してハンドルを持つ時間はこれこれというようなこともその一つだと思うのですけれども、そういう点についてはどうですか。
  230. 神戸勉

    ○神戸政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、一昨年十月、それから昨年七月に二階建てのパスの事故があったわけでございますけれども、これらの事故の状況を見てみますと、当時はいずれも降雨の状態でございまして、路面が非常にぬれた状態、湿潤な状態であったわけでございます。しかも、運行状況を見てみますと、相当の制限速度を超えたスピードで走っていたものでございます。事故件数そのものは、二階建てのパスとしては、我々が承知していますのはその二件でございます。  運輸省といたしましては、同じような事故が再発することを防止するために、道路の状況、気象の状況等に適応した安全運転を励行するように、そのようなことを中心としました通達を直ちに出しまして、パス事業者に指導の徹底を図ったところでございます。今後とも、二階建てバスの特性から、特に高速道路等での降雨時における安全走行について強力に指導してまいりたいと思っております。  ただ、先生から御指摘のありました重心が高いという面でございますけれども、それにつきましては、二階建てであろうと二階がない車であろうと同じような基準を設けておりまして、ある面でいえば、トラックなんかになれば二階建てパスよりももっと重心の高いような車、ただ、どっちにしても基準はすべて満足しておりますが、相違のないような車もあるわけでございまして、そういう意味で運転者が自分の車の性能というものをよく知って、その車に合った運転をされないといけないわけでございます。そういう面では、運転者の安全運転に対する教育というものもさらに指導してまいりたいと思っております。
  231. 中島武敏

    中島(武)委員 制限速度を超していたとか、今いろいろ指摘があったのですけれども、長距離を運転するという場合になってくると疲労度において違いが出てくるというような問題があるとか、あるいはカーブがあるところを運転するのと平地の運転では違いますし、スピードが東京都内のようにのろのろしか進めないところと、高速道路のように、飛ばす方が悪いといえばそれまでですけれども、そういう場合と一律じゃないのですね。だから、私はそういう点では、今お答えがありましたけれども、単に運転者に対して注意しなさいという通達を出しているだけじゃなくて、運行基準を設けるとか、労務管理というのですか労働条件についての基準を設けるとかいうようなことが必要じゃないかと思うのです。  似たような問題ですけれども、もう一つ伺いたいことがあります。それは、トレーラー型のタンクローリーのジャックナイフ現象ですね。  東京の目黒区で、大型タンクローリーが横転して炎上したことがあります、御存じだと思うのですが。バックするときとかカーブするときとか、あるいは前後部のブレーキの状態など、幾つかの条件が複雑に重なり合いますとジャックナイフ現象が起きるわけです。そういう点でいいますと、タンクローリーの構造上の解明と対策は一体どうなっているのだろうかなということであります。これを伺いたいと思います。大変密集しているところをタンクローリーが走って、こういうことがまた起きるということになりますと重大な被害も考えられますので、この点について関連してちょっと伺っておきたいと思うのです。
  232. 神戸勉

    ○神戸政府委員 トラクターあるいはトレーラーというような連結車両は当然のことですけれども、単体車両で走っているときと連結しました状態とではそれぞれ異なった運動特性を有しているわけでございます。その対策といたしまして、直進状態でハンドルのみを操作した場合、また旋回時にブレーキをかけた場合の安定性に関しまして、特別に規制を設けましてその安全性を確認しているところでございます。  しかしながら、トラクター、トレーラーは、先生指摘のように、ジャックナイフ現象等によって横転しやすいというような指摘もありますので、車両構造面における走行安定性について、現在、交通安全公害研究所等におきまして調査研究を進めているところでございまして、これらの結果を踏まえて、今後とも一層安全性の向上に対処してまいりたいと思っております。
  233. 中島武敏

    中島(武)委員 似たような問題で幾つかちょっと簡潔にお尋ねしたいのですけれども、漁船、プレジャーボート、遊漁船、こういうものの事故が多発している。特に漁船などは勝手に改造しているために、人命にもかかわるような事故が起きる場合があります。こういう小型船舶の安全基準の見直しという点はどうなっているのかという点が一つです。  それから、スキーリフトの事故の問題ですけれども、これも重軽傷者が出る事故が発生することがあります。運輸省としてはどういうような問題点が明らかにされているか、また、どういうふうに改善してきているかということについて伺いたい。  関連してもう一つ伺います。  鉄道事業法が制定されまして、その四十一条で鉄道や索道施設の検査を指定検査機関にゆだねることができるようになっていますが、日本鋼索交通協会を検査機関に指定しようとする動きもあるやに聞いているのです。もしそういうことになりますと、安全検査を業界団体に任せることになってしまいますので、そういうことのないようにする必要があると思うのですが、その点はどうなのか。  法律は指定検査機関を指定することができるようになっているのですけれども、しなくてもいいのですね。実は、さっき法案についてお尋ねしたときにちょっと大臣考え方を伺ったのですけれども、僕は、この種のものは、民間に任せていくというのではなくて、国が責任を持ってやっていくという方向が正しいのではないかというふうに考えるわけです。  それから、遊園地で豆電車がひっくり返って事故を起こすという場合があるのです。一体これはどこが管轄していらっしゃるのか。運輸省しかないと思うのですけれども、安全基準を示し、そしてまた運輸省がその担当を引き受けられるのが至当だと思うのですが、お考えを聞かせていただきたい。
  234. 間野忠

    ○間野政府委員 最初に、小型船舶あるいは漁船、遊漁船等の話でございますけれども、その構造、設備などの安全基準につきましては、それぞれ小型船舶安全規則とか小型漁船安全規則といったものに定められております。こういった規則は昭和四十九年に定められたものでございますけれども、その後、国際条約が発効するというようなときに、これに合わせるために必要に応じて適時改正を重ねてまいりまして、改正のたびに新しい安全基準の周知徹底に努めてきているところでございます。
  235. 神戸勉

    ○神戸政府委員 スキーリフトの件でお答えいたします。  索道の事故につきましては、最近は減少傾向にございますけれども、毎年十件程度起こっている状況でございます。多くは乗客の不注意と申しましょうか、異常勤作によって起こっている事故でございます。そのため、いろいろな安全対策を講じているわけでございます。  第一番目に、設備的な面でございますけれども、リフトの新設に当たっては、地形等の自然条件を勘案し設置位置を選定するとともに、ロープの強度、昇降場等の構造面においても基準を設けてその安全確保を図っております。また、日常の点検保守につきましても、始業点検等定期検査を実施させて、その安全性の確認を図っているわけでございます。  二番目に、運行面につきましては、従業員の教育訓練のことでございますが、日常からその訓練を充実したものにし、日常の旅客取り扱いにおける安全確保を図るとともに、特に、異常気象時等に事故発生のおそれのあるときは、気象状況を的確に把握するように指導し、必要であれば早期に運転規制を実施するよう、事故防止に対して適切な措置を講ずるように指導しているところでございます。  第三に、施設及び運行の安全確保を確認するために、運輸省におきましても、新設時に完成検査を実施するとともに、定期的にも保安検査というようなものを実施いたしまして、索道技術管理者の研修会等いろいろな機会を通じてその安全思想の徹底を図っているところでございます。
  236. 熊代健

    熊代(健)政府委員 索道について、指定検査機関の件ですけれども、国にかわって検査を実施する機関については、検査能力、公正中立性等が確保できるようにそれなりの要件を定めております。  それから、現在まだ指定申請は出ておりませんけれども、日本鋼索交通協会というのは財団法人でございまして営利を目的としたものではない。指定に当たって、指定基準に適合しているか否かだけではなくて、実施について、検査員等の選任、解任の認可あるいは業務規程の認可、それから、役員及び検査員は公務に従事する職員とみなされるといったようなことでございますので、仮に申請が出た場合にも、これを指定することについて、安全保持の観点から特に問題はないというふうに思っております。  最後に、遊園地のミニ鉄道でございますが、これにつきましては、御指摘のように、最近新潟で事故が起きております。これまで、免許等の鉄道事業と違いまして、これらにつきましては、設置者が安全規制についても責任を負うべきものということで、事業法の適用対象から外しております。ただ、今後、おっしゃるように、運輸省として、これらの施設の設置状況あるいは事故の発生状況等を調査した上で、必要に応じその安全性の確保についての対応策を検討してまいりたいというふうに思っております。
  237. 鹿野道彦

    鹿野委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  238. 鹿野道彦

    鹿野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出参議院送付船舶安全法及び道路運送車両法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  239. 鹿野道彦

    鹿野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。橋本運輸大臣
  240. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ただいま船舶安全法及び道路運送車両法の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の結果御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。  政府といたしましては、本委員会における御審議の趣旨を十分に尊重し、小型船舶及び軽自動車の検査のより円滑な実施に万全を期する所存であります。ありがとうございました。(拍手)
  241. 鹿野道彦

    鹿野委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  242. 鹿野道彦

    鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  243. 鹿野道彦

    鹿野委員長 次回は、来る二十六日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十分散会      ————◇—————