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1986-10-06 第107回国会 参議院 予算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十月六日(月曜日)    午前九時一分開会     ─────────────    委員氏名     委員長         桧垣徳太郎君     理 事         佐藤栄佐久君     理 事         原 文兵衛君     理 事         降矢 敬義君     理 事         村上 正邦君     理 事         吉川 芳男君     理 事         野田  哲君     理 事         峯山 昭範君     理 事         内藤  功君     理 事         井上  計君                 岩動 道行君                 石本  茂君                 梶木 又三君                 金丸 三郎君                 北  修二君                 坂野 重信君                 坂元 親男君                 下稲葉耕吉君                 杉元 恒雄君                 関口 恵造君                 田中 正巳君                 竹山  裕君                 名尾 良孝君                 永田 良雄君                 鳩山威一郎君                 林 健太郎君                 林田悠紀夫君                 増岡 康治君                 森山 眞弓君                 吉村 真事君                 稲村 稔夫君                 粕谷 照美君                 福間 知之君                 矢田部 理君                 安恒 良一君                 山口 哲夫君                 高桑 栄松君                 鶴岡  洋君                 中西 珠子君                 上田耕一郎君                 吉岡 吉典君                 小西 博行君                 野末 陳平君                 下村  泰君                 青木  茂君     ─────────────    委員の異動  十月三日     辞任         補欠選任      山口 哲夫君     上野 雄文君      野末 陳平君     宇都宮徳馬君  十月四日     辞任         補欠選任      岩動 道行君     野沢 太三君      鳩山威一郎君     青木 幹雄君  十月六日     辞任         補欠選任      林 健太郎君     大塚清次郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         桧垣徳太郎君     理 事                 佐藤栄佐久君                 原 文兵衛君                 降矢 敬義君                 村上 正邦君                 吉川 芳男君                 野田  哲君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 井上  計君     委 員                 青木 幹雄君                 石本  茂君                 大塚清次郎君                 梶木 又三君                 金丸 三郎君                 北  修二君                 坂野 重信君                 坂元 親男君                 下稲葉耕吉君                 杉元 恒雄君                 関口 恵造君                 田中 正巳君                 竹山  裕君                 名尾 良孝君                 永田 良雄君                 野沢 太三君                 林 健太郎君                 林田悠紀夫君                 増岡 康治君                 森山 眞弓君                 吉村 真事君                 稲村 稔夫君                 上野 雄文君                 粕谷 照美君                 福間 知之君                 矢田部 理君                 安恒 良一君                 高桑 栄松君                 鶴岡  洋君                 中西 珠子君                 上田耕一郎君                 吉岡 吉典君                 小西 博行君                 宇都宮徳馬君                 下村  泰君                 青木  茂君    国務大臣        内閣総理大臣   中曽根康弘君        国 務 大 臣  金丸  信君        法 務 大 臣  遠藤  要君        外 務 大 臣  倉成  正君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        文 部 大 臣  塩川正十郎君        厚 生 大 臣  斎藤 十朗君        農林水産大臣   加藤 六月君        通商産業大臣   田村  元君        運 輸 大 臣  橋本龍太郎君        郵 政 大 臣  唐沢俊二郎君        労 働 大 臣  平井 卓志君        建 設 大 臣  天野 光晴君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    葉梨 信行君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  玉置 和郎君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)        (国土庁長官)  綿貫 民輔君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       近藤 鉄雄君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)      三ツ林弥太郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  稲村 利幸君    政府委員        内閣官房内閣内        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房内政審議室        長        的場 順三君        内閣審議官    遠山 仁人君        内閣審議官    中島 眞二君        内閣法制局長官  味村  治君        内閣法制局第一        部長       関   守君        内閣総理大臣官        房審議官     本多 秀司君        警察庁交通局長  八島 幸彦君        警察庁警備局長  三島健二郎君        総務庁長官官房        審議官      百崎  英君        総務庁長官官房        審議官      稲橋 一正君        総務庁長官官房        交通安全対策室        長        矢部 昭治君        総務庁人事局長  手塚 康夫君        総務庁行政管理        局長       佐々木晴夫君        総務庁行政監察        局長       山本 貞雄君        総務庁恩給局長  品川 卯一君        防衛庁参事官   瀬木 博基君        防衛庁参事官   千秋  健君        防衛庁参事官   筒井 良三君        防衛庁長官官房        長        友藤 一隆君        防衛庁防衛局長  西廣 整輝君        防衛庁教育訓練        局長       依田 智治君        防衛庁人事局長  松本 宗和君        防衛庁経理局長  池田 久克君        防衛庁装備局長  鎌田 吉郎君        防衛施設庁長官  宍倉 宗夫君        防衛施設庁総務        部長       平   晃君        防衛施設庁施設        部長       岩見 秀男君        防衛施設庁建設        部長       大原 舜世君        防衛施設庁労務        部長       西村 宣昭君        経済企画庁調整        局長       川崎  弘君        経済企画庁物価        局長       海野 恒男君        経済企画庁総合        計画局審議官   冨金原俊二君        経済企画庁調査        局長       勝村 坦郎君        科学技術庁科学        技術政策局長   中村 守孝君        科学技術庁研究        開発局長     長柄喜一郎君        科学技術庁原子        力局長      松井  隆君        科学技術庁原子        力安全局長    佐々木壽康君        環境庁企画調整        局長       加藤 陸美君        環境庁自然保護        局長       古賀 章介君        国土庁長官官房        長        清水 達雄君        国土庁計画・調        整局長      星野 進保君        国土庁土地局長  田村 嘉朗君        国土庁大都市圏        整備局長     柳   晃君        法務省民事局長  千種 秀夫君        法務省刑事局長  岡村 泰孝君        外務大臣官房外        務報道官     波多野敬雄君        外務省アジア局        長        藤田 公郎君        外務省北米局長  藤井 宏昭君        外務省条約局長  小和田 恒君        外務省国際連合        局長       中平  立君        大蔵大臣官房総        務審議官     足立 和基君        大蔵大臣官房審        議官       佐藤  浩君        大蔵省主計局長  西垣  昭君        大蔵省主税局長  水野  勝君        大蔵省関税局長  大橋 宗夫君        大蔵省理財局長  窪田  弘君        大蔵省国際金融        局長       内海  孚君        文部省初等中等        教育局長     西崎 清久君        文部省高等教育        局長       阿部 充夫君        厚生省健康政策        局長       竹中 浩治君        厚生省保健医療        局長       仲村 英一君        厚生省保健医療        局老人保健部長  黒木 武弘君        厚生省生活衛生        局長       北川 定謙君        厚生省社会局長  小林 功典君        厚生省保険局長  下村  健君        農林水産大臣官        房長       甕   滋君        農林水産省経済        局長       眞木 秀郎君        農林水産省構造        改善局長     鴻巣 健治君        農林水産省農蚕        園芸局長     浜口 義曠君        農林水産省畜産        局長       京谷 昭夫君        食糧庁長官    後藤 康夫君        林野庁次長    松田  堯君        水産庁長官    佐竹 五六君        通商産業大臣官        房審議官     末木凰太郎君        通商産業省貿易        局長       畠山  襄君        通商産業省立地        公害局長     加藤 昭六君        通商産業省機械        情報産業局長   児玉 幸治君        資源エネルギー        庁長官      野々内 隆君        運輸大臣官房国        有鉄道再建総括        審議官      林  淳司君        運輸省運輸政策        局長       棚橋  泰君        気象庁長官    内田 英治君        労働省職業安定        局長       白井晋太郎君        建設大臣官房長  高橋  進君        建設大臣官房総        務審議官     渡辺  尚君        建設省河川局長  廣瀬 利雄君        建設省道路局長  萩原  浩君        自治大臣官房審        議官       森  繁一君        自治省行政局選        挙部長      小笠原臣也君        自治省財政局長  矢野浩一郎君        自治省税務局長  津田  正君    事務局側        事 務 総 長  加藤木理勝君        常任委員会専門        員        桐澤  猛君    説明員        日本国有鉄道総        裁        杉浦 喬也君        日本国有鉄道常        務理事      須田  寛君        日本国有鉄道常        務理事      前田嘉代治君    参考人        日本銀行総裁   澄田  智君        首都高速道路公        団理事長     淺井新一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国政調査に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○予算執行状況に関する調査派遣委員の報告     ─────────────
  2. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) ただいまより予算委員会を開会いたします。  国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、予算執行状況に関する調査を行いたいと存じますが、御異調ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 次に、予算執行状況に関する調査を議題といたします。     ─────────────
  5. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 理事会における協議決定事項について御報告いたします。  質疑を行う日は本日六日一日間とすること、質疑時間総計は百八十分とし、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党それぞれ四十八分、公明党・国民会議二十八分、日本共産党二十一分、民社党・国民連合十四分、新政クラブ、二院クラブ・革新共闘及びサラリーマン新党それぞれ七分とすること、質疑順位及び質疑者等につきましてはお手元に配付の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。  右、理事会の決定どおり取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本調査のため、本日、日本銀行総裁澄田智君、首都高速道路公団理事長淺井新一郎君の両名を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) それでは、これより質疑を行います。野田哲君。
  10. 野田哲

    野田哲君 まず、三選を果たされました総理に対して、冒頭に総理政治理念あるいは憲法に対する考え方についてお伺いをしておきたいと思うんです。  まず最初に、昨年の軽井沢における自民党のセミナーで総理特別講演をされていらっしゃる。そこで述べられたことについて二、三お伺いをいたしたいと思うんです。  総理はあの講演の中で、自分がぶっ壊れていいという憲法はない。もちろん改正はできるが、自分が破壊されていいという憲法はあるはずがない。国家もしかり。そういう考え防衛をもう一回取り上げて、政治のレギュラーに、正常な扱いに入れて云々、こういうふうに述べておられるわけですが、総理は、今の日本国憲法では日本はぶっ壊れる、破壊される、こういうふうな認識をお持ちでこのような講演をされたわけでしょうか。その点からまずお伺いいたします。
  11. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今の日本国憲法日本がぶっ壊れるというような考えは毛頭持っておりません。しかし、憲法というものが存在する以上は、やはり憲法みずからが存立し得る保障を講ずるのは当然である、条理であると考えています。現に、日本国憲法の前文を読んでみますれば、最後のところに、この崇高な理念でありましたか——理念理想を達成するために我々は全力を尽くす、そういうことも書いてあります。それから、たしか憲法九十九条でございましたか、天皇、摂政、大臣国会議員、公務員はこの憲法を擁護する義務を負うと書かれております。つまり憲法みずからがこの憲法を充実させ、そしてこれが一〇〇%機能するように望んでおるわけであります。およそ国家が存在する場合には、その主権独立を守る、あるいは領土、人民の生命、財産を守る、これはもう国家存立上の基本条件でございます。そういう意味におきまして、防衛国家存立独立主権の維持というものについては、みんなおのおの国によってやり方は違いますけれども、それぞれ保障措置を講じておると思うんです。ある国は軍備に力を入れる国もありますし、ある国は外交に力を入れる国もありましょう。日本日本国憲法によりましてやはりそういう措置を講じていると我々は条理上解釈しております。  憲法第九条の問題がございますけれども、この憲法を擁護し、あるいは我々の憲法に掲げられた理想を実現していくためには、やはり国家独立主権を維持するということは不可欠の条件でありまして、それには今、自衛隊方式、あるいはアメリカとの安全保障による提携ということによって平和と独立主権を維持しているというのが我が国のやり方であると、そう考えております。
  12. 野田哲

    野田哲君 もう一回総理軽井沢講演の中からお伺いをしておきたいのは、極東裁判についてどういうふうに考えておられるのか。総理はこういうふうに言っています。日本は戦前に皇国史観があった。戦争に負けると太平洋戦争史観が出てきた。いわゆる東京裁判戦争史観とも言われる。連合国自分で法律をつくり、日本を被告にして文明の名で、平和の名で、人道の名で日本を裁いた。歴史がこの裁判については終局的な判断をするだろう、こういうふうに述べておられるわけです。  この発言というのは、日本ポツダム宣言を受諾し、平和条約によって極東軍事裁判裁判を受諾するということに調印をしたわけでありますが、この経過について疑念を持っておられるわけですか。この点いかがですか。
  13. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私が申し上げましたのは、文明史的な観点からの考察と、それから今おっしゃる国際法法的観点からの考察と、そういう二つの面があって、法的な面をおっしゃっているだろうと思うのであります。私が軽井沢で昨年講演をした中には、今御指摘になったような、いずれこれは歴史が審判するであろうということを言っております。しかしその後で、たしか日本も裁かれるに値するようなこともなくはなかった、そういうことも言っております。  私が指摘したのは、戦後、特に独立前後におきましては日本自虐的思想というものが非常に強かった。「真相はこうだ」というようなあのころラジオにいろんな問題が次々に出まして、私の受けた印象というものは、日本人自体がもう日本戦争前のことは全部悪かった、そういう非常に悲観的な絶望的な空気がありまして、一部の左翼の学者はそれに乗じてむしろ自虐的な思想を述べたと自分は感じた。しかし、日本の二千年のこの長い歴史から見れば日本ぐらい平和の続いた国はない。侵略を受けたことも蒙古襲来の一回ぐらいしかないし、第一、昔は国防軍、軍隊なんというのはなかったんです。平安朝からずっと長い間なかった。そういう国家防衛の軍というものが出てきたのは、恐らく蒙古襲来のときと、それからあの尊皇攘夷が出てきたころのことで、それまでは鎖国とか、他国との関係は余りなくして、対明貿易であるとか、あるいは出島を通ずる貿易であるとかということで、日本極東で孤立しておったと思うんです。  そういう長い歴史というものも考えてみますと、やはり我々は長い歴史的観点から日本全体を見直す必要があるんだ、そういう一時の自虐的思想だけではいけないんだ、だから科学的に、合理的に見直そうと。我々がやったことの中には間違ったこともある。私は、この間の太平洋戦争については、やるべからざる戦争であり、誤りの戦争であったとも言っております。そしてその軽井沢講演におきましても、超国家主義はいけない、そして国際的に通用する合理的、科学的な思想でなければ今後の日本はやっていけない、そういうことも戦争教訓としてみずから考えて言っておる。こういうことは日本人みずからが自分判断をすべきことであって、外国から言われてああだこうだと言うべきものではない。外国から言われたことは大いに参考にいたします。傾聴しなければならぬと思います。しかし、最終判断日本人自分で反省もし、あるいは我々が長所と思う点は維持していきたい、そういう考えを持ってやるのが正しい。そういう意味において日本のアイディンティティーを確立しよう、日本とは何ぞや、日本長所はどこだ、日本の欠点はどこだ、そういうことを日本人みずからが見つけ出して教訓とし、あるいは将来の発展を期そう、そういう意味で申し上げて、全文を読んでいただければはっきりそうなっておると思うのであります。
  14. 野田哲

    野田哲君 総理はそうおっしゃったわけですが、今総理自身も言われた「我々に裁かれるに値するようなこともなくはなかった」という言葉が確かにあるわけです。あの文脈の中でのあの言葉というのは、やはりそう大して悪いことはしていないが、多少はまずいところもあったというような印象にしか私どもは受けとめられないんです。  総理は今、極東軍事裁判の問題につきましていろいろ説明をされたわけでありますけれども、「自由民主」という、これは去年の九月号ですから月刊誌ですか、総理講演を特集した「軽井沢セミナー特集」、こういう出版物が自由民主党から出ているわけですね。この特集号を見ると、東京裁判の写真を載せてこういう説明がついているわけです。「東京裁判は正しかったのか……」、疑問を持つような説明を写真に付しておられるわけです。この総理の発言を収録し、そして写真にこういう説明を付しておられるということは、これは総理が今ここで長々と釈明をされましたけれども、やはりあの裁判には疑問を持っておられるんだな、こういう印象が非常に強く残るわけであります。  そういう立場に立って私は次の問題に入っていきたいと思うのですが、中曽根総理は先日、藤尾文部大臣を罷免するという異例の措置をとられました。しかし、あれで一件落着と考えてはならないと思うんです。確かに藤尾発言には問題がありましたし、同時にまた、一連の藤尾発言に流れているような物の考え方を助長するような風潮が、中曽根総理を自民党総裁としてトップに立てて日本政治を動かしている、この中での中曽根総理の言動に、あの藤尾発言を助長するような土壌ができていたのではないか、これがやはり私が二、三取り上げました昨年七月の軽井沢セミナーにおける総理講演で表明をされているところの教育論あるいは靖国神社問題発言、そして東京裁判に対する批判、戦後政治の総決算論あるいは憲法論、こういう点について私どもは、藤尾さんの発言と同じスタンスに立っているのではないか、こういうふうに受けとめざるを得ないのであります。  藤尾さんの発言があのような形で本音が出たのも、総理の新国家主義と言われている一連の言動によってそういう土壌ができている、例えば自由民主党の機関誌の中で今も私が指摘をいたしたような東京裁判批判のようなキャンペーンを行われている、こういう中から私は藤尾発言も出てきた、こういうふうに考えざるを得ないのではないか、こういうふうに思うわけであります。韓国の現地の新聞、私もいろいろ調べてみましたけれども、やはりそういう論調であの藤尾発言というものを批判しているわけであります。総理はそういうふうにはお考えになっておりませんか。
  15. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 藤尾発言というのは、あの発言記録の冒頭でも言っていますように、自分個人の考えであると言っておるのであれは藤尾君個人の考えで、私の考えとは違います。これは今までいろいろの御答弁で申し上げたとおりであります。
  16. 野田哲

    野田哲君 私は、ああいう発言が出るというのは、総理が指導している自由民主党に総理の言動を通じてそういう土壌ができているのではないか、こういう点を指摘しているわけであります。韓国の新聞の論調もここにいろいろあるわけでありますけれども、やはりそういう論調で書いています。  もう一つ、私はあの藤尾発言に関連をして官房長官の見解を伺っておきたいと思うんですが、あの一連の経過を通じて私どもが非常に心配をするのは、総理や官房長官のマスコミに対する情報収集機能のすごさというか、物すごいものだな、こういう印象を受けるわけであります。この情報収集機能、ゲラの段階でもう総理や官房長官の耳に情報が入ってくる、そしてそれを差しとめに動く。これは受け取りようによっては憲法二十一条の出版、表現の自由の保障、検閲の禁止、この条項にもう踏み込んでいるような印象を受けるわけでありますが、少なくとも私と同じような印象を受けた人は大分いると思うんですが、官房長官はあの一連の経過の中でのそういう指摘に対してどのような感想をお持ちですか。
  17. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 内閣の情報収集機能について大変高い御意見をお伺いいたしましたけれども、現実は私は、日本の国のような場合にはあらゆる意味において情報というものは大変重要だ、こう考えておるんです。そういう観点から見ますれば、我が国の内外にわたる情報の収集機能は極めて不十分である、私はそう言わざるを得ない、これは私の考え方でございます。  ただ、しかしながら、先般の問題についてゲラの段階で入手し、ああいうことをやるのは、憲法二十一条の表現、出版等の自由を侵すのではないか、こういう御心配でございますが、いかに情報が必要であるといいましても、私どもが考えなきゃならぬのは、法律を犯したりあるいはのりを越えて情報を収集するということは私は断じてあってはならぬと思います。先般、私どもが入手をし、処置をしたことについては、お願い、協力を申し上げたわけであって、決して禁止を前提にした事前審査という意味におけるいわゆる検閲などという意図は毛頭ありませんし、そしてまた、事実関係もそういうものではございませんでしたので、そういう点については御安心をしていただきたい、かように思います。
  18. 野田哲

    野田哲君 また、この問題は機会があると思いますのでそのときに。  引き続いて、総理の発言についてただしてまいりたいと思うんですが、中曽根総理の自民党研修会における知的水準発言、それから女性に対する発言、これはやはり相当ゆゆしい問題だと思うんです。アメリカの新聞を私もずっと取り寄せて見たわけです。それで、総理の発言の報道とそれに対する反応が載っている新聞を持ってこいと、こういうことで扱っているところに依頼をいたしますと、いつまでも続いているものですから、いつまでの新聞を届けにいけばいいんでしょうか、こういうことなんです。ずっと続いていると言うんです。  私どもとして一番問題として考えなければいけないのは、このアメリカの受けとめ方、報道なんです。九月二十六日のニューヨーク・タイムズはこういうふうに見出しをつけております。日本人の民族的うぬぼれのあらわれだ、こういうふうに言っているわけです。あるいは九月二十四日のロサンゼルス・タィムズは、多くの日本人はこの同一性を自慢し、それをこの国の経済的成功の要因として挙げている、同時に、この国は何か文化的統一を弱めるかもしれないものに対しては用心をする。九月二十五日のワシントン・ポストは、ミスター中曽根は日本人のメンタリティーの裏側にあるものを暴露した、すなわち、日本はすべての外国人を日本人よりも価値の低いものとして一括して扱う排外的な社会なのである。まだ挙げれば切りがないのですが、参考のためにこういう報道もありますよ。九月二十五日、ロサンゼルス・タィムズは、この知性的な首相は合衆国の知識水準の低さを本当に心配してくれて、彼は国際的教育委員会の長に就任することを望んでいるのであろうか。  問題は、日本人を偏狭でうぬぼれの強い排他的な国民だと、こういうふうな受けとめ方がアメリカに広がっている。日本人のイメージを著しく傷つけているわけであります。きょうのある新聞も、カリフォルニア州あたりの日系企業、在留邦人は危険を感じてうかつに店をあけることもできない、戦々恐々とした生活が続いている、こういう報道がきょうの新聞にも出ているわけであります。これはアメリカの少数民族、アメリカ人を非常に傷つけただけではなくて、日本人のイメージに対しても大変な傷をつけているわけでありますから、総理はこの発言については、アメリカに対して、アメリカ国民に陳謝をするだけではなくて、日本の国民に対しても率直に陳謝をし、あの発言は全面的に取り消されることが適切な措置ではないかと思うんですが、いかがですか。
  19. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私の不用意な発言によりまして、アメリカ社会の一部の方々あるいはアメリカ人自体を傷つけたということについては、申しわけないと遺憾の意を表しましてメッセージを送りました。それによりまして、アメリカ政府は初めからこれは問題にしないと言っておりましたが、アメリカの議会のいわゆるマイノリティーグループと言われる人たちも了承してくれたわけで、決議案も廃案になる、そういう処置になったわけでありますが、アメリカは非常に広い複雑な複合的な人種でつくられている社会でありますから、反応はまだ多少続くものであると考えておりました。しかし、最近の情報をいろいろとってみますと、非常にもう鎮静してきている、そういう話であります。しかしいずれにせよ、私の不用意な発言によりましてこういうことが惹起されましたことは国民の皆様方にも申しわけないので、そのように国会におきまして、衆議院におきましても私は意思表示をいたした次第なのでございます。  それから女性に関する問題につきましては、あれはあの文章を読んでいただきますれば、断定はしていないので、そうらしいですねという意味のことを言っておるので、女性の審美眼は男性よりすぐれているから注意しないといかぬよ、そういう意味のユーモアで実は私は言ったつもりなのであります。しかし、そういうことでもし誤解を受けたとすれば遺憾でございましたと、そのようにも申し上げておるところでございます。  今回のことによりまして、やはりアメリカはいろんな人種から成る複合民族、複合国家であるという点については偉大な強みを一面においては持っておると、これも言っておるのであります。アポロ計画とかまた今回のSDIというような問題についても、科学技術は相当伸びておるし、底力を持っておる。だから、月へ人間が行くなどという夢を実現したのはアメリカ人が初めてであります。あるいはSDIについてもどういうふうに発展するかわからぬ、そういうようないろんな面から非核の防御手段で核兵器を絶滅しようという大きな夢を持って出てきているものであり、また一面、相当科学技術も進歩するという可能性もある。我々は我々の解釈によりまして国会決議には違反しないという解釈をもちましてアメリカと交渉しよう、おくれないように交渉しよう、科学技術の問題も重視してそういうことも実は言っておるのであります。  そういう面で、マイノリティーグループが一生懸命やっているということがアメリカの大きな底力の基礎をつくっておる。ヨーロッパから来たいろいろ移民の皆さん方がアメリカをまたリードしている。キッシンジャー氏もそうですし、あるいはそのほか有名なノーベル賞をとった方々も多い。そういう意味において複合民族の強みを持っている。開放的である。しかし、日本はそれに比べると今度はやはり閉鎖的である。そういう弱点も大いに指摘をされてきております。経済の問題もそうですし、文化性もそうでございます。そういう点はこれを機に大いに反省いたしまして、やはり本当の意味における国際国家、民主主義国家として我々は前進しなければならぬ。そういう教訓を私は自分として得たと考え、直していきたいと思うのでございます。
  20. 野田哲

    野田哲君 きのうですか、日本におけるアイヌの方々もあの発言には非常に傷つけられている、こういうことが報道されているわけでありますが、そういたしますと総理は、あの発言は適切でない、こういうことで日本の国民に対してもこの席を通じて陳謝されるわけですか。
  21. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 衆議院でもやりましたように、参議院におきましても国民に申しわけないと申し上げる次第でございます。
  22. 野田哲

    野田哲君 総理にもう一つ。国家機密法の取り扱いについて伺っておきたいと思うんです。  総理はこの国会で、冒頭の各党代表質問に対する答弁の中で、スパイ防止のための何らかの法的根拠が必要である、こういうふうに述べておられる。そして、この問題に触れた総理の発言をいろいろ見ますと、日本はスパイ天国である、あるいは日本にはスパイがうようよしている、こういう表現で国民に誤った認識を持たせる極めて挑発的な言葉を使ってこの法的な措置の必要性を強調されているわけであります。  そこで、まず総理の御答弁の前に栗原防衛庁長官に伺っておきたいと思うんですが、防衛庁の周辺にはスパイがうようよして、スパイ天国のような状態で、防衛上の秘密事項がスパイ活動によってどんどん外国に漏れて国益が大きく損なわれている、そういう事実が具体的にあるのかどうか。私もよく知っている、前に防衛庁の次官を務めてこられた丸山さん、あるいは官房長の竹岡さん、こういう防衛庁の最高幹部を務めてこられた人々は、評論活動等を通じての発言で、スパイ天国とか、スパイがうようよしているという状態はないということを言っておられるわけでありますけれども、栗原さん、いかがですか。
  23. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 今の法制からいきますと、スパイが自由に活動できる、そういう余地は多分にあると思います。ただ、現実にスパイがうようよしている、そういう問題につきましては特定をすることができません。
  24. 野田哲

    野田哲君 総理はスパイ天国とか、スパイがうようよしている、こういう表現はどのような根拠で発言をされているわけですか。
  25. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 戦後におきましてソ連から亡命した人がおります。その人が出版をいたしました。その出版物等を読んでみますというと、日本社会に相当食い込んでいたという事実が露呈されております。あれは氷山の一角だろうと思います。また、防衛庁の内部自体から佐官クラスがスパイ容疑で捕まったということもございます。そういういろんな面を考えてみますれば相当うようよしていると考えて差し支えない、そう思っておる次第でございます。
  26. 野田哲

    野田哲君 うようよという具体的な根拠を示してもらいたいと思います。庁内の人が漏らしたのはこれは銭をもらってやったことなんで、それ相当の処分を現行法で受けているわけだし、裁判にもかけられているわけです。周辺にうようよしている、こういう状態は具体的にはない、防衛庁の長官あるいは最高幹部の方々は、そういう事実はない、法制的には自由自在だけれども、スパイがうようよして機密を外にどんどん通報する、こういう事実はないということを言っているわけなんです。ただ、総理がソ連の亡命した人の書いたものを取り上げて、いかにもうようよしている、天国、こういう表現をされるということは、私は一国の最高指導者としては不見識な言葉ではないか、こういうふうに思うんです。
  27. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはりあの亡命者、名前は特に挙げませんが、あの文章の内容を読んでみますというと、日本の相当な社会に食い込んでいろいろ工作しているという事実が出ております。そういうようないろんな状況を見れば、やはりあれと類似のことは今も行われておると考えざるを得ない。また、現にアメリカにおいてもそういうことを、イギリスにおいてもそういうことを、フランスにおいてもそういうことで、相当な人が国外退去を命ぜられたりいたしておりました。日本においてもそういうケースがあって、国外に脱出さした、そういうこともございます。  そういう点を見ますというと、日本人は割合に寛大な気分で見ておりますが、日本の社会ぐらい自由化されて、そして出入も自由でいる社会はないと思うのであります。ああいう手記自体を読んでみますれば、ああいうような類似のことは今ないとは断定できない。私は相当そういう可能性があると読んでおるわけであります。
  28. 野田哲

    野田哲君 私は、日本防衛庁の幹部を務めてこられた人の書いたものを根拠にして、その人はそういう事実はない、また、日本には戦後外国へ通報されて困るような秘密はない、こういうふうにはっきり言っているんです。あなたは亡命した外国の人の書いたことを根拠に言っている。どっちを国民に信用してもらえばいいと思うんですか。いかがですか。
  29. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本にも大事な国家の機密はあるんです。これは国防上の機密もあれば外交上の重大機密もございます。それらは厳として守らなければ日本存立保障し得ないのであります。そして、先ほど申し上げましたように、実証せよというお話でありますから、あの亡命した人の手記というものは、あれを読んでみますればかなり真実に近いと思われるものでありまして、ああいうことが今でも行われていると想像することは合理性があると私は考えております。
  30. 野田哲

    野田哲君 まあ平行線ですから、これはまた機会があると思うんです。  自治省にお伺いしたいと思うんです。  スパイ防止のための法律制定促進議員・有識者懇談会、こういう団体がありますが、それと同じところにスパイ防止法制定促進国民会議、こういう団体がやはり同じ場所にある。この団体の五十八年、五十九年、六十年の資金の状況、収入額、そしてそれはどこから収入を得ているか、これを説明してもらいたい。
  31. 小笠原臣也

    政府委員小笠原臣也君) お答えを申し上げます。  まず、スパイ防止のための法律制定促進議員・有識者懇談会でございますが、これは六十年六月に設立をされたものでございますので、六十年分についてだけ御説明を申し上げますが、収入額は一千三十二万九千七百七十二円、こういうことになっております。そして、そのうちの寄附の収入が七百八十一万九百二十二円、こういうことでございます。これは個人及び団体から寄附がなされております。  それからスパイ防止法制定促進国民会議でございますが、これにつきまして五十八年分、五十九年分、六十年分についてお尋ねがございましたが、まず五十八年分でございますが、収入額は七千四百二十三万四千四百二十一円でございます。このうち、寄附の収入が六千二百五千九十五万円でございまして、その大部分は国際勝共連合から入っております。国際勝共連合からの寄附は六千二百五千九十五万円でございます。——失礼いたしました、もう一度正確に申し上げます。五十八年分でございますが、収入額は七千四百二十三万四千四百二十一円でございます。そのうち、寄附が六千二百万五千九百五十円ということになっておりまして、これはすべて国際勝共連合からの収入でございます。  それから五十九年分でございますが、五十九年分の収入は四千二百六十一万九千円でございまして、そのうち国際勝共連合からの寄附が三千六十万円、こういうことになっております。それから六十年分でございますが、六十年分の収入は四千二百三万七千円ということでございまして、そのうち国際勝共連合からの寄附が二千三百八十万円、こういうことになっております。
  32. 野田哲

    野田哲君 総理、今お聞きのとおりであります。永田町の二の四の十一のフレンドビルというところにスパイ防止のための法律制定促進議員・有識者懇談会、こういう団体があるわけであります。そして、同じ場所にスパイ防止法制定促進国民会議、この団体が同居をしているわけであります。そして、お話がありましたように、その資金というのはほとんどすべて国際勝共連合という団体が賄っているわけであります。  今、自治省の政府委員の説明はかなりもたもたいたしましたが、正確に言えば、昭和五十八年六千二百万五千九百五十円、昭和五十九年三千六十万円、昭和六十年二千三百八十万円、ほとんどすべての活動費、経費は、これだけの勝共連合からの寄附で賄われているんです。  この国際勝共連合というのは、今非常に大学で問題になっている原理研究会、アメリカで問題になっている文鮮明という人が代表する統一協会、この系列の団体であることはもう明らかなんです。こういう団体からの資金の提供を受けて、そして各地方自治体の議会に対してスパイ防止法制定の要求を決議しろ、こういう形で地方議会に対して工作をやっているのがこのスパイ防止法制定促進国民会議、その実体は国際勝共連合なんです。こういう団体の運動によってスパイ防止法を制定していこうというのがこの前の国会で提出をされた国家機密法、これなんです。こういう実態について総理はどのようにお考えでしょうか。
  33. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私の属しておる自由民主党は国家機密、特に防衛上の重要機密を守る法律の必要性を考えまして、そしてこの努力を今までしてまいりましたし、その法律案をつくるという作業も今やっておる最中でございます。私もそういう法律が日本に欠落していると考えておりまして、ジャーナリストや学者や国民の皆様方がよく御納得のいく正しい、適正な国家機密を擁護する、守る法律をつくるべきであると考えておりますが、あくまでこれは慎重に、何しろ言論の自由あるいは表現の自由等に関する大事な問題でございますから、あるいは学問、思想の自由にも関する問題でございますから、これは非常に慎重にやるように指示もし、党でもそのように鋭意努力しておるところで、いずれ案が出ればわかると思います。しかし、当初の、昨年提出しました案は少しその点において思慮の足りない点もあったと認めまして、そういう点を大いに補強いたしまして、より正しい、より健全な、民主主義を守るための立派な法律にしようということで今作業もしておる最中で、そう無謀な、戦前に返ろうというような考えでやっておるものでは絶対ございません。普通の民主主義国家が自国の国家機密を守るに必要なことをいろいろ法的にもやっておりますが、そういうことも参考にしつつ、日本の場合は特に憲法上の人権に注意しつつそういう作業をする、そういうことで今進めておるというのが現状でございます。  今の民間団体の運動に関しましては、日本の法律にのっとりまして適法な手続をしてきている運動というものについては、我々はこれを権力的に制肘すべきものではございません。やはり表現の自由、思想の自由あるいは集会、結社の自由、そういうものがあるのでございまして、これらの憲法上の人権あるいは集団的な行動の自由というものは我々はあくまで守らなければならぬ、そう考えております。
  34. 野田哲

    野田哲君 総理、私が聞いているのは、スパイ防止法を国会に出していこうという自由民主党の動きの背景に国際勝共連合という、そしてその本部はアメリカにあった文鮮明氏を代表とする統一協会、こういう外国の影響下にある団体が運動をやっている。これに乗せられている動き、これは妥当かどうか、一体どういう考えを持っておられるか、こういう点を聞いているんです。
  35. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やっぱり一番大事なのは、憲法上の基本的人権あるいは思想の自由を守るということが一番大事なので、その中身についていろいろ政府はせんさくすべきものではない。そのような合法的なしかるべき手続で、日本国の法律及び憲法に合致することについては我々としては権力的にこれをどうこうすべきという立場にはない。それが結局は人権を守り、自由社会を守っていく大事な要諦である、そう考えております。
  36. 野田哲

    野田哲君 その団体に対してどうこうしろということを私は総理に見解を聞いているんじゃないのです。背後にそういう動きがあって、その影響を受けている自由民主党のスパイ防止法制定という動きは一体妥当なのかどうなのか、このことを聞いているわけであります。もう一回その点についてのお答えをいただきたい。
  37. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 基本的人権や憲法上の大事な結社の自由等に関する問題について、大事なポイントに関連しているそういう問題については、運動の内容についていろいろ我々がコメントするということは適当でない、そう思います。
  38. 野田哲

    野田哲君 これは尽きない議論ですから、また機会を見て続きをやりたいと思うんです。  財政、経済の問題について伺いたいと思います。  まず、日銀の澄田総裁に御出席をいただいておりますので、余り長くお待ちいただいては失礼だと思いますから、順序を変えて、日銀総裁、それから引き続いて宮澤大蔵大臣伺いたいと思うんです。  お二人は、この間IMFの総会、それから世界銀行の総会に出席をされまして一連の協議を行ってこられたわけでありますが、まず日銀の総裁に伺いたいのです。  この一連の経済政策や通貨、金融等の国際的な協議の場で、日銀総裁に対していろいろ金融問題等についての、あるいは内需拡大策等についての要請があったと思うんですが、一体どのような状況であったのか、そしてまたどのように日本日本銀行総裁として対処されようとしているのか。現地の記者会見を各紙が一斉に報道しておりますが、あの報道では、日銀総裁は帰ってから利下げ、公定歩合の切り下げに踏み切られるのじゃないか、こういう印象を受けるような報道が一斉に流れたわけであります。副総裁が衆議院の予算委員会出席をされたときのお話では必ずしもそうではない。また、総裁が帰ってからの会見でもそれを否定されておられるようでありますけれども、その辺のところを伺いたいと思うんです。
  39. 澄田智

    参考人澄田智君) お答え申し上げます。  今回のIMF総会、その他一連の会議におきまして広範な問題が論ぜられたわけでございますが、今お尋ねのような面で申し上げれば、世界経済の現状や見通し、あるいは各国間の対外不均衡の問題、それから為替相場の安定等をめぐる問題、そのほか、もちろん債務の累積国の問題とかいろいろございまして、そういう点についての広範な意見の交換が行われたわけでございます。  我が国に対しましては、一般的に申せば、大幅な貿易収支あるいは経常収支の黒字を是正するという観点から、内需をもっと拡大すべきである、こういった意見が多く見られたところでございます。こうした意見に対しましては、宮澤大蔵大臣初め出席された人がいろいろと我が国の立場を説明されたわけでございますが、私の関係におきましては、金融政策で内需拡大の余地はないか、こういうような点が言われたわけでございます。私からは、現在金利は既に、過去にさかのぼって歴史的に見ましても、あるいは国際的に見ましても低い水準にあるというようなこと、そして金融は十分に緩和している、内需拡大に資することのできる状態であるということ、また一方におきましては、マネーサプライが相当その伸びを強めているというような状況であるというようなところから、現在におきましては、これまでとられてきました公定歩合の引き下げに伴う効果を見定めて、その効果が十分期待できる状態であるのでそれを見定めていくべきである、追加的な措置を講ずべき段階ではないということを申した次第でございます。  なお、ただいまお尋ねがございましたワシントンにおきます記者会見におきます質問におきましては、当時、日独の内需拡大、そのための日独の金融面を含む措置等についていろいろ言われており、あるいは現地の新聞等にも書かれておった、そういう背景で記者団から、私がペール西独連銀総裁と面談をしたということに関連して、日独において公定歩合を引き下げないということで互いに手を結んでいくということで合意をしたのではないか、こういうような質問が出たわけでございます。それに対しまして私は、これは金融政策の当然の建前でございますが、その時点で総合的な判断をするものである、そうしてこれは各国が自主的に決めるべき性格のものである、そういうことを申した次第でございます。こうした自主的に決定すべき性格のものであるという、そういう金融政策の基本的な一般論を申して、決して日独の間において手を結んでやるというような性格のものでないということを述べた次第でございますが、私の説明が不十分であって、あるいは言葉が足りないというような点もあったかと思いますけれども、あの当時の会議の空気等から私の態度が柔軟になったのではないかというような記事になったものと思われる次第でございます。  したがいまして、衆議院の予算委員会におきます三重野副総裁の答弁あるいは帰国後の私の記者会見で述べましたことが本意でございまして、現在、当面におきましては公定歩合の引き下げということが適当でないというような、そういう従来の考え方を変えている次第ではございません。
  40. 野田哲

    野田哲君 宮澤大蔵大臣にこの間の一連の国際協議の状況をお伺いいたしたいわけです。
  41. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) いろいろなことが議論されておりますけれども、世界経済の情勢について申しますならば、例えば、アメリカのように非常に大きな国際収支の赤字のある国はできるだけこれを縮小するために財政を初め内需を抑えていくべきである、他方でその対応といたしまして、国際収支の大きな黒字国はできるだけ内需を拡大すべきである、そういう図式として論じられておるわけでございます。そして累積債務国、発展途上国は、したがいましてなおさら国際収支の黒字の大きな国の内需拡大を望んでおる、こういう図式として議論されております。  なお、累積債務国の中で、メキシコにつきましては会議の期間中にある程度暫定的にめどが立ちまして、これによって累積債務国の問題解決の端緒があるいは開かれるかもしれない、そういったようなことでございました。
  42. 野田哲

    野田哲君 澄田総裁どうもありがとうございました。  まず内需拡大、これは国際的に今非常に大きな日本に対する宿願になっているわけでありますが、その一つの方策としての減税の問題、総理も選挙中に日本列島全域でこの減税の問題を演説してこられているわけであります。ことしの春三月四日、金丸総理が幹事長のときに一筆約束をされている減税の約束事もあるわけであります。それから政府税調の方からも既に二兆七千億円の所得税、住民税の減税案が出されているわけでありますが、この減税は総理ちゃんとやるんでしょうね、どうでしょうか。
  43. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 選挙中の公約は着実に守りますし、実行いたします。
  44. 野田哲

    野田哲君 問題は、片一方において減税をやっても別の方法で増税をやったのでは、これはちっとも減税にならないわけなんです。問題は、この減税のための財源を間接税の導入、マル優廃止、そこに求めていこう、ここのところに一番の問題点が今あるわけであります。それから今の減税案、これが実施されたとしても間接税の導入やマル優廃止、こういうことになると所得の中堅以下のところは逆に増税になる、こういうデータもあるわけであります。  総理が選挙中にしきりに言われている、国民が反対をし、自民党員が反対をするような大型間接税の導入はやらない、税制調査会から答申が出ても取り入れない、こういうふうに言っておられるわけですが、いろいろ総理の話をされたことを新聞報道、テレビのビデオ等で念を入れて見るのでありますが、必ずこのまくら言葉がついておりまして、国民の反対をするような、自民党員が反対をするようなと、こういうふうになっているわけであります。国民が賛成をしたり、自民党員が容認をしたりするような別の大型間接税あるいは新型間接税、これはやりますよ、実施いたしますよ、こういうことなんですか。そこのところはどうなんですか。
  45. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) まず最初に、仮に歳入といたしまして、歳入中立的であるという前提に立ちましても、それがどのような税収から成るかということによりまして、国民経済、国民生活に与える影響は私は非常に異なってくるであろうと思います。  このたびの税制改正で、公平、公正、簡素、選択、活力あるいは国際化といったようなことを掲げておりますのは、所得税、法人税等々直接税について相当大きな減税を行うことによりまして、その中から国民経済の活力あるいは公正、公平、国民の選択ということを実現したい、こういう意図でございますので、したがいまして、仮に税収が同じでありましても、そのような形で税制改正が行われるということは国民生活、国民経済に影響が私は大きいと考えるわけでございます。  ところで、ただいま政府税調でやっております段階は、そのような直接税の減税につきましてある程度試案を考えております傍らで、その税源をどうするかということでございます。御指摘のようなことでございますが、それと同時に、例えば間接税につきましては、現在あります間接税がかなりのひずみを持っておる。あるいはまた、今御指摘になりました利子配当課税について公平、公正の面から問題はないかといったような点を含めまして財源対策として検討されておる。まだこれという試案が出てまいっておるわけではございませんけれども、そういうことを考える中で、総理大臣が選挙中に、あるいは国会においてしばしば言明されておられることは十分に念頭に置いて、税制調査会がもう少し具体的な案を考え、やがて答申をされてこられるであろう。政府としてはそれを待っておるというのが今の段階でございます。
  46. 野田哲

    野田哲君 円高対策の問題について伺いたいと思うんですが、私ども予算委員会といたしましても、造船不況あるいは輸出産業の状態やら果樹園芸、こういう問題について愛媛県、広島県の実情を調査したわけでありますけれども、総理は非常に楽観的な話を六月、七月ごろはされているんですけれども、私どもが予想する以上に造船産業あるいは自動車産業の特に下請関連企業あるいは果樹、こういうところは大きな影響を受けているし、非常にやはり雇用不安、そして企業城下町と言われるところの自治体の運営の困難さ、こういうものをつぶさに伺ってきたわけであります。やはり一番の共通した声としては、余りにも急激に進んでいったということです。  もう一つは、どういうレートでいつごろ落ちつくのだろうかという見通しが立ててもらえない。そのために円高対策というのはもう企業の経営努力というのを超えている、こういうふうな点が強調されているわけであります。  いろいろお聞きしたいことはあるんですけれども、いつごろどういう相場で為替レートが定着をするというか、落ちつくことになるのか、その点の見通しは大蔵大臣いかがですか。
  47. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) まず、前段で仰せられました今度の円高が、わずか十カ月という非常に急な期間に起こった。それに対して国民経済の各層が対応できないで苦しんでおると言われますことは、私は御指摘のとおりであると思います。  次に、後段の問題でございますが、円の相場について予測らしいことを申し上げますことは不謹慎でありますし、慎まねばならないと思いますが、このたびのIMFの会議等一連の会議で議論されましたことは、先ほど申しましたように国際収支の大きな赤字国、国際収支の大きな黒字国、両方の政策協調によって、為替が大きく変動することをやはり防ぐことができるような政策協調が大事だということが、いわゆるG7の結論になっておりまして、その点はみんなの合意があったというふうに考えております。
  48. 野田哲

    野田哲君 なかなか投機的な思惑が絡まる問題ですから、明確なお話はできないのだろうと思うので、そういう実情で、やはり率直に言って、この前の通常国会が終わるまでの間、政府は非常に私は問題の深刻さの認識が足りなかったんじゃないか、これが一番の問題だと思うし、特に選挙中全国を回られた総理の楽観論というのが今日非常に後手に回っている大きな要因になっているんじゃないか、こういうふうに指摘をしておきたいと思うんです。  そこで、これからの総合経済対策について伺いたいと思うんですが、まず一兆四千億円の公共事業、この内訳は一体どのような公共事業を想定しているのか。一般公共事業の追加がどのぐらいの規模なのか、災害復旧事業は幾らであるのか、あるいは国庫債務負担行為、こういうものがどのぐらい組まれているのか、こういう点についてまずお伺いしたいと思うんです。
  49. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように総額を一兆四千億円といたしておるわけでございますが、予算編成の作業を今月の半ばごろから始めさせていただきたいと考えておりますのは、実はまさに御指摘の災害の規模というものが、まだ災害が予想される時期でございますので、あり得る時期でございますので、できるだけそれを見きわめたいという気持ちがございます。したがいまして、災害をXといたしますと、一兆四千億円からそれを引きましたものが一般公共事業の規模になるわけでございまして、それはもう申すまでもなく道路であるとか橋梁であるとか、いわゆる公共事業に当たるわけでございます。  それからその中でいわゆる国庫債務負担行為と言われますよりは多分ゼロ国債だけなのかどうかというお尋ねであろうと思いますが、この点は建設国債との関連で申しますと、これから補正予算編成にかかりますときに、歳出歳入面に非常に大きな不確定要素がまだございまして、と申しますのは、歳出面では災害を初め幾つかのこと、歳入面では九月期決算、あるいは三月期決算の会社で申せばその九月期の中間決算でございますが、それを実は見ませんとどうも法人税等々の歳入状況に不安があるように思われます。したがいまして、そこらあたりの税収、歳入欠陥があるいはと思われる点がございますので、それを十月の半ばまで見きわめたい。そういたしますと、これらの要素はかなり大きく振れる大きさでございますので、それとの関連において国債の発行等々をどう考えるかという全体の問題になってまいりますので、もうしばらくその時期まで見当をつけさせていただきたいと考えておるわけでございます。
  50. 野田哲

    野田哲君 私どもとしては、あの総合経済対策ではそう目に見えた効果は上がらない、もっと大型のものをやるべきだ、こういうことを主張しているわけであります。  そこで具体的に、今、宮澤大蔵大臣がお述べになった公共事業費の問題ですけれども、ある報道では総合経済対策、一兆四千億円、内訳は災害復旧費が六千億、一般公共事業八千億、そしてこの災害復旧費の六千億のうち国庫負担分五千億、これは全額建設国債、それから一般公共事業費八千億、この中の国庫負担四千億分について年度内が千五百億、そして国庫債務負担行為が二千五百億、こういうかなり具体的な数字を挙げて報道している新聞があるんですが、大体こんな見当なんですか。
  51. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) その報道は私も実は読んでおりますが、普通、災害というものが五千五百億、六千億、どこかそういう感じではないかということは経験法則的に推測をしたものではないかと思われます。しかし、その後のことになりますと、財源の問題は、つまり先ほど申しましたような事情に非常に大きく制約されますので、ただいままだ申し上げる段階でない、作業がそこまで進んでおらないというのが事実でございます。
  52. 野田哲

    野田哲君 それで大蔵大臣、いつ補正予算を国会へ提出されることになるんですか。これは公共事業が中心になるわけですから、提出の時期がおくれていくと北海道とか東北とか日本海側のような積雪の地域、非常に冷え込む地域はこれは非常に困る、着手ができない、こういう状況が生まれてくるのではないかと思うんです。そういう懸念もありますので、できるだけ早いことが望ましいと思うんですが、提出はいつですか。
  53. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御懸念の点は私どもも十分留意をいたしておるわけでございますが、先ほど申しましたような歳入歳出の事情から、今月の半ばごろ作業を開始いたしまして、今月の終わりにはすべての準備を完了いたしたい、こう考えております。  それから、ただいま御指摘の点でございますけれども、成立いたしましたらしたがいましてもうできるだけ早く執行するのは当然でございますが、補正予算を組みますと、今年度の本予算にございますところの公共事業費、それが今八割近い前倒しをした状況になっておりますが、残りを全部今度はもう倒すことができることになりますので、そういう意味では積寒地についても早い施行ができる、そういうことも考えております。
  54. 野田哲

    野田哲君 もう一つ、大蔵大臣に財政上の問題でお伺いをいたしたいと思うんですが、たしか九月の初めごろであったと思うんですが、財政運営についての見解を表明された中で、十八カ月という、これは新聞の見出しですからこういう表現を使われたかどうかは別にいたしまして、十八カ月構想、つまり景気対策というのは一時的に短期的に処置できるものではないので、ある程度長期的な対策を考えていかなければいけない、そのためには今度出す補正と昭和六十二年度の予算とはつなげた考え方を持っていきたい、こういう構想を述べられたことがあると思うんです。私もそういう考え方が当然出てこなければいけないと思うんです。  ところが、八月に決定をしている概算要求基準、これは依然として非常に厳しい緊縮型の、一般政策費についてはマイナスシーリングになっています。せっかく三兆円補正をやって景気対策だといっても、来年四月からの昭和六十二年度の予算が非常な緊縮型のもので編成されるということになると、私はやはり業界、民間の意欲が出てこないと思うんです。そういう点から、大蔵大臣が述べられた、この十八カ月予算という言葉を使われているかどうかは別にいたしまして、その編成の構想、つないでいくという考え方、これを生かそうとすれば、当然あの八月の概算要求基準というものはもう一回再検討し、見直さなければいけないということになるんじゃないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。
  55. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そのような発言をいたしましたことは事実でございます。  私の申そうといたしましたのは、円の切り上がりがかなり短期間に急激でございましたから、その対策は一遍の補正予算で済むものではあるまい、かなり長く考えていかなければならないということと、及び財政改革というものもこれもいっときに済むものでございませんので、これも長い目で考えていかなければならない。したがって、その両方を考えながら明年度の予算編成も考えていかなければならない、そういう意味で申したわけでございます。  ところで、それと概算要求基準との関連でございますが、やはり財政改革の見地からいきまして厳しい概算要求基準を崩すわけにはまいりません。同時に、それによりまして優先度の高いところの支出を確保していくことができるという要素もございます。公共事業につきましては、確かに概算要求基準を掲げておりますが、事業量は何とかして前年度を上回るものを確保したい。それはいろいろ工夫の要ることでございますが、そういうふうな工夫をいたしてまいりたいと思っております。
  56. 野田哲

    野田哲君 二、三具体的な問題で伺っておきたいと思うんです。  総理伺いますが、石炭の問題、九月十七日の本会議で同僚の対馬議員の質問に対して、石炭問題は雇用だけではなくて地域の町ぐるみの社会問題であるので政府も慎重に対処していく、こういうふうに述べておられるわけですが、今日、この基準炭価が、鉄鋼の三分の一という値切りの強行によって石炭産業は非常な危機的な状況にあるわけですが、この打開のためにはやはり相当政治的な適切な対応策が必要だと思うんですが、重ねて総理に具体的に伺いたいと思うんです。
  57. 田村元

    国務大臣田村元君) 御承知のように、石炭はただいま審議会で御審議中でございます。私がその審議会に自分の意見を述べて圧力をかけることは極力御遠慮申し上げなきゃならぬことは当然であります。しかし、今、野田委員がおっしゃったように、石炭問題は重要であると同時に非常に深刻な問題であります。地域ぐるみの問題であり、そして非常に深刻な雇用問題を含んでおります。でありますから、これはいつまでも審議会で長く御審議願うわけにいかないということで、去る二十五日に私から急いでほしいということを申し上げました。また、総理からもなるべく急いで結論を出していただくようにという私に対する御要望もございました。それで、早速審議会の方にもお願いをいたしまして、御承知と思いますが、向坂さんが座長になっていただいて、石炭と鉄鋼と中立の三者構成で三十日にまず第一回の御議論を願った。何といっても石炭業界も大変でございますけれども、それを受ける側の鉄鋼、セメント等がまたこれが大変なことで、我々が買ってくれという、お願いをする相手が助けてくれということですから、これは本当に大変なことなんです。でございますから、万全を期していかなきゃならぬことは申すまでもありませんけれども、この審議会の模様をしばらく横目で眺めてその答申を待ちたいが、場合によっては折を見て私自身乗り出さなきゃならぬ場面もあるのかなというような気持ちで、今非常に案じながら眺めておるというような状況でございます。
  58. 野田哲

    野田哲君 これは総理に直接伺いたいんですが、北海道の三笠市の小学校の真紀ちゃんという方が、山がなくならないように努力してくださいという手紙を総理に出したんだそうであります。総理から、山の問題は私も心配しており努力しています、こういう返事が行っています。ここに、これが総理の直筆の返事のようでありますが、「拝啓 おてがみ拝見しました炭鉱の問題は私も心配して出来るだけご心配かけないよう努力しています 元気で頑張って下さい クラスの皆さんによろしく中曽根康弘」と、こう書いてある。これはやっぱり純真な子供を裏切らないようにひとつぜひ山の存続、維持のために政府の対策というものを考えていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  59. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 石炭の問題は、前にも申し上げましたように町ぐるみの大問題でございまして、単に鉱業だけではない、町全体の中小企業者に至るまで、あるいは農業者に至るまで影響を受ける大問題、社会問題でございますから、この取り扱いは慎重にやるように考えてもおり、また努力もさしておるところでございます。今後もそういうつもりでやってまいりたいと思います。  その手紙は、私も手紙を拝見して自分で返事を書いたので、そういう気持ちで実行してまいりたいと思っておる次第でございます。
  60. 野田哲

    野田哲君 橋本運輸大臣、鉄道の問題で、簡単にこの長期債務の問題についてだけ伺っておきたいと思うんですが、国鉄の長期債務、これは監査報告によりますと、六十年度までの監査報告で二十三兆五千六百十億円、こういう数字が示されているわけでありますが、監理委員会の方では、昭和六十二年当初の長期債務を二十五兆四千億と見ている、こういう資料があるわけですが、さらに年金負担金四兆九千億、三島基金九千億、余剰人員対策九千億、鉄建公団債務四兆六千億、本四公団債務六千億、こういうものがあって、最終的には三十七兆三千億と、こういう債務になるんだということですか。
  61. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 監理委員会の意見におきまして、国鉄改革において処理すべき長期債務等の額を三十七兆三千億円といたしておりますのは御指摘のとおりであります。
  62. 野田哲

    野田哲君 この長期債務の要因としては、やはり新幹線の建設あるいは輸送力の整備、こういう問題があるわけでありますけれども、これらは日本国有鉄道の主体的な意思によるものではなくて、社会的な要請や国の政策的な判断によって行われたものであります。昭和三十六年以降五十九年までの設備投資額が新幹線建設や輸送力整備などを中心に十四兆六千億に達している。その財源はほとんど自己調達になっているわけです。ところが、新幹線整備法によりますと、国が助成をしなければならない十三条の規定があるわけでありますけれども、なぜこの法に基づく助成がとられなかったわけですか。
  63. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員御質問の点には二点あろうかと思います。  まず第一に、鉄建公団あるいは本四公団の建設施設に係る資本費というものは、貸付料の支払いという形で国鉄が負担することとされております。また、年金負担に係る費用も本来これは国鉄が負担すべきものであります。さらに雇用対策、あるいは三島基金、これは今後の新会社が自立をし、これはもちろん国会で御審議をいただき、法律が通過した後のことではありますけれども、健全な経営を確保するために必要になるものとして一義的に国鉄の負担にするべきものだと私も思います。  また、新幹線整備法には、確かに委員が御指摘のように「助成その他必要な措置を講ずるよう配慮しなければならない。」という配慮規定はございます。そして現に東北新幹線につきましては、四十七年度から六十年度までの間に五千五百九十四億円の工事費に対する利子補給と、四十六年から五十年度までに七百五十二億円の出資を行っております。また上越新幹線につきましても、四十八年度から六十年度までの間に三千七百三十九億円の工事費に対する利子補給並びに四十六年度から五十一年度までに七百三十一億円の出資を行っているわけでありまして、法に違反している状態ではございません。
  64. 野田哲

    野田哲君 官房長官にお伺いしますが、国鉄がやっている通学割引、通勤割引、それから身障者の割引、お年寄りの割引、こういう負担は大体八千億ぐらいあるのだというふうに言われているんですが、これについては国鉄に負担させるべきものではなくて、文部大臣とか厚生大臣とか関係大臣と協議をして、これは国で持つような結論を出します、次の国鉄の運賃改定までには出します、こういう約束が前の藤波官房長官から国会でされているんですが、これは結論を出して措置されたのですか。
  65. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 藤波官房長官のときに、御質問のような点について結論を出しますというお答えをいたしておるわけでございますが、それに従いまして本年の八月に関係省庁で打ち合わせをいたしまして、いわゆる公共負担というものに三つばかり種類がございますね。その一つ一つを検討いたしまして、私鉄並みのものはこれは営業上の政策として私鉄がやっているんですから、民営・分割になりましてもこれは同じようなやはり扱いにならざるを得ない。それ以上に特に負担をかけている分については、これは国においてその分については措置をせざるを得ない。こういう結論に達しまして、それは六十二年度の予算の中で関係省庁の間で協議をして措置する、こういう扱いにしたい、こう考えております。
  66. 野田哲

    野田哲君 外務大臣総務庁長官伺います。  まず外務大臣伺いますが、きょうの新聞にも報道されておりますが、JICAの汚職ですね。相次いで癒着ぶりが報道されて事件が起きているわけですが、このODAの予算というのは例年別枠といいますか、特別の措置予算的にされているわけであります。フィリピンのマルコス疑惑と言われているああいう問題も起こっているわけでありまして、そういう点についてどう考えておられるのか。特に外務省は、ほかの公務員が毎年ずっと人を減らしていく中で外務省だけはどんどんふえている状態なんです。そういう状態の中で一体ODAを適切に運営されているのかどうか、非常に私は疑念を持たざるを得ないと思うので、これについてどう考えているのかという点。  それから総務庁長官伺いたいと思うんですけれども、このような状態について、ODA等に対する行政監察を受け持つ立場として総務庁長官は一体どう考えているのか、この点を伺いたいと思うんです。
  67. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) ただいま委員の仰せの点につきましては、これから平和国家日本として大きく伸ばしていかなきゃならない対外援助の問題、特にODAの問題等につきましてこのような不祥事件をしばしば起こしたということについては、まことに遺憾に思っております。  私は早速有田総裁を招致しまして、内部について徹底的な業務の見直しをいたすように指示をいたしました。しかし、それでも足らないと思いまして、有識者の方々と懇談をいたしまして率直にこの問題についての意見を求めまして、これについて考えていかなきゃならないのは、どうしても同一人が専門的な職場に長くとどまる。専門的な知識のためにはやはりある程度の時間が必要でございますけれども、人事の交流をもう少し適切にやるということも必要であります。しかし、基本的には使命感に徹したモラルの確立ということが大事ではなかろうかと思いますので、私はそういう意味におきまして、今アフリカの現地においてあるいは南米のアマゾンの流域において一生懸命に働いておるJICAの職員の方々、またカメルーンのあの災害に際しましても、率先して先頭に立って働いた諸君の士気が阻喪しないように考えていきたいと思います。  したがいまして、根本的にこのJICAの問題についてはひとつ検討いたしまして、皆様の御期待に沿うようにいたす所存でございまして、重大な決意を持っておるということを御報告申し上げる次第でございます。
  68. 玉置和郎

    国務大臣(玉置和郎君) 私も閣僚の一人として、JICAの今度の重なる汚職、これについて国民の皆さんに対してまことに申しわけないということで、まずおわびを申し上げたいと思います。  私は、総務庁長官に就任しまして外務省の幹部と三回ばかり接触しました。総務庁としては、JICAに対して定員については直接ああしろこうしろと言う権限はありません。しかし、臨調、行革審の答申の精神からしまするならば、こういった問題についても当然物が言える、こう思いまして、私は現在JICAから出てきております四十三人の増、これに対して、おかしいじゃないか、今これだけ世間を騒がして政府の信を落としておるこのJICAが、人数をふやしただけで事が済むのか、こう言いましたら、ああでないこうでない、ああでないこうでないと言う。外務省には済みませんという言葉がないのかと言って私はしかったばかりであります。それだけにこういった問題につきましても十分検討していきたい。  殊にJICAの問題については、平均してこの五年間七・七%の予算の増になっております。大変なことであります。またODAにしましては、この五年間で平均して一〇・二の予算の増であります。そういうことをいたしまするならばこれは大変なものでありまして、ほかの役所は定員は減らす、予算はマイナスシーリングで減らしていく、その中でこれだけ突出させていいのかという考え方を持っておりまして、私は農協の比じゃない、こう思っております。農協はまだ民間ですが、これは血税です。私は本来ならそっちへ行ってこっちへ聞きたいんだが、もう十年間やってきたんで。  とにかく私はこれは笑い事じゃない、こう思っておりまして、今外務大臣も御答弁になりましたが、外務大臣その他の官庁ともよく相談をしまして、この問題についてはやはり不退転の決意で監察調査、そういうことをやっていきたい。ただし、これは相手国のある問題でございますので、相手国の主権を侵さないという慎重な姿勢で監察調査の中に当然やっぱり考えていかなきゃならない、こう考えております。御理解をいただきたいと思います。
  69. 野田哲

    野田哲君 玉置長官にもう一つ不退転の決意を聞きたいんですが、八月十二日に人事院の勧告が出ているんですが、出たままでその後どうなっているのか、一体どう扱うのか、不退転の決意を伺います。
  70. 玉置和郎

    国務大臣(玉置和郎君) 衆議院の予算委員会でも答弁申し上げたかな、内閣委員会で申し上げましたが、野田さんは一番知っているように、私は自民党の中のミスター人勧なんだ、それ以上聞かなくたってわかっておる。だから、いろんな財政事情の厳しい中ですから、関係閣僚の皆さんともよく御相談申し上げて、そして早期完全実施に向かって努力をいたしたい、こう思います。
  71. 野田哲

    野田哲君 北洋漁業の対策について大蔵大臣農林水産大臣伺いたいと思うんです。  まず北洋漁業、大変な状態です。減船が四百九十六隻、こういうふうになって、千三百億円ぜひ何とかしてもらいたい、こういう要望が出ているわけであります。大蔵大臣にこれは特段の配慮をお願いいたしたいと思いますし、農林水産大臣にも特段の配慮をお願いしたい、こういうふうに思うわけですが、いかがですか。
  72. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 今次の日ソ、日米漁業交渉の結果、大幅な減船を余儀なくされました。そのことにつきまして、ただいま財政当局と真剣にお話をいたしておるところでございます。  先般一部に漏れたようでございますが、財政当局と農林水産省との間では総額において大きな開きがまだあるところでございますが、誠心誠意努力していきたいと思っております。  総理の今国会における所信表明の中にも、北洋漁業対策に万全を期すという所信表明もあったわけでございますが、私たちもその線を踏まえまして、今後財政当局と万全を期すべく詰めていく、そして補正予算の中ですべてこれを解決いたしたい、こう考えて目下努力しておる最中でございます。
  73. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいま農水大臣のお答えのとおり、両省間で善処いたします。
  74. 野田哲

    野田哲君 もう一点加藤農水相にお願いしたいんですが、二百海里問題ですね。韓国漁船が二百海里区域の中で相当な操業をやって、いつもトラブルが起きるわけであります。十月の末で一つの期限になるわけでありますから、これはこの際やはり日本の漁民を守るという立場で措置すべきじゃないかと思うんですが、この点いかがですか。
  75. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 先ほど御質問のありました、北海道中心の北洋漁業関係が大変な減船を余儀なくされておるという中におきまして、北海道周辺における韓国の漁船が今までどおりの操業を行うということは、何としても納得のいかないところでございます。  先月から庁長会談等々、水産庁長官をソウルに派遣し、あるいはまた日本側等で、目下私が申し上げました立場を踏まえまして実務者協議を行っておるところでございまして、十月末までに何とかうまく事を図らなくてはならないということで努力いたしております。  一方また、韓国側の態度もなかなか厳しいものがあるわけでございますけれども、そういう中で必死の努力を目下行っておる最中でございます。
  76. 野田哲

    野田哲君 最後に、防衛の問題をお聞きしたかったわけでありますけれども、時間がなくなりましたので、一点だけ栗原長官にお伺いいたしたいと思うんです。  総理も、防衛費GNPの一%の枠は守る、こういうふうに答えておられるわけです。昭和六十二年度の予算案の要求基準で、防衛費の扱いは六・三%の増が認められているわけであります。二千百六億円の増加になる。これを昭和六十一年度に足しますと三兆五千五百四十一億円、こういうふうになるわけであります。この金額でGNPの一%以内におさめようとすれば、昭和六十二年度のGNPは三百五十五兆四千百億円以上、こういうことになるわけでありまして、三百五十五兆四千百億円というのは、これはもう五・五%以上のGNPの伸びがなければおさまり切らないわけでありますが、栗原長官はそういうGNPの伸びがあって六・三%ふやしても防衛費はGNPの一%以内におさまる、こういう判断をしておられるわけですか。
  77. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) これから経済成長率がどうなるかというようなことで、GNPの一%の問題はいろいろと浮動してまいります。したがいまして、今の段階で確たるお答えをするわけにはまいりませんが、基本的には防衛計画の大綱水準を達成する、そのために整備計画ができました。私は六十二年度の概算要求をしたわけであります。この概算要求をしたというのは、防衛力の整備という観点からやっているのでございまして、一%問題はそれを予算上どうするかというときに出てくる問題でございますので、私が六・三%を要求しているということは一向に矛盾がない。いずれにいたしましても、総理が言われたとおり、三木内閣の一%の防衛費、これは守ってまいりたい、こう考えております。
  78. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 以上で野田哲君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  79. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 次に、村上正邦君の質疑を行います。村上君。
  80. 村上正邦

    村上正邦君 私は、国民の立場から、角度を変え、身近な問題を挙げて質問させていただきます。  まず、政治姿勢についてでございますが、さきの衆参同日選挙に私は自民党総裁としての総理の遊説に同行いたしました。その際、強く印象に残っておりますことがございます。それは、新幹線のホームやホテルのロビーで総理を見つけますと、中学生や高校生たちから、まるでアイドルを迎えるように、歓声を上げながら足をばたばた音をさせながら、熱狂的歓迎を受けたことでございます。また、団地やスーパーでは、多くの主婦、若い女性たちが総理を囲み握手を求め、もみくちゃにされていた光景もありました。街頭にあっては、総理が陛下の六十年にわたる御足跡についてお話をされたときの、大勢の聴衆が雨にぬれながら涙を流し真剣に食い入るように総理の話を聞き入っていたその情景は、今私の心に焼きついた感動的情景でございました。  総理の、常に政治家が国民の中に溶け込み、国民に親しまれ、国民にわかりやすい政治政治を国民の側に近づけ政治と国民の距離感をなくすことが民主政治理想であると、政権担当以来一生懸命努力なされたその努力が国民に理解された結果であると信じます。私はそこに大衆政治家のあるべき姿を見た思いがいたしました。多くの国民は総理に期待をいたしております。だからあれだけの議席を自民党に与えていただいたものと思っております。二十一世紀に生きる若い人たち、さらに婦人の期待が非常に大きい。歴代総理の中で女性の支持は最高なんですね。それだけ総理の責任も重いわけであります。総理はこれに対しどのような決意でどうおこたえなさるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  81. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この前の選挙を通じまして、国民の皆様方から自由民主党に対しまして非常に温かい御支援をいただきましたことを心から御礼申し上げ、公約を誠実に実行しなければならぬとみずからを引き締めておるところでございます。  また、選挙中いろいろ国民の皆様方に接しまして、非常にいい勉強をさせていただきました。やはり国民の皆様方の顔を見、あるいはお話も聞いて、我々がふだんでは聞けないことやあるいは訴えというものを肌をもって感じたという次第でございまして、私は欠点の多い人間でございますけれども、今後とも一生懸命国民の皆さんと手をつないで、わかりやすい政治を実行してまいりたいと思う次第でございます。
  82. 村上正邦

    村上正邦君 さて総理総理は最も得意とする外交問題で最近大変御苦労をなさいました。一つは藤尾前文部大臣の発言であり、もう一つは総理御自身のアメリカの知的水準発言であります。総理の心境は、先ほど野田議員からも御質問があってお答えなさり、また衆議院の予算委員会の答弁におきましても私どもは理解をいたしておるところでございます。  そこで、私はこの二つの問題で考えさせられることは、国際社会にあって、私たち政治家の一つ一つの行動、その発言が世界から注目されて直ちにはね返るということであります。私たちは、自分の立場は立場として自信を持ちながらも、相手の立場にも思いをいたしてその言動は慎重の上にも慎重に配慮しなければならないということでありましよう。  人と人とのつき合いにおいても、おのずから言っていいことと言ってはいけないことがあります。といいましても、ただ単に我慢し合いこらえ合っているだけでは本当の心の触れ合いはできません。心の底から相手の心情を理解し、さらに感謝し合ったときこそ、真の和解と友情が芽生えるものではないでしょうか。国家間においても同様であろうと思います。あつものに懲りてなますを吹くと言います。しかし、国民が総理を強く支持しているのは、その積極的な政治姿勢にあります。短期的修復も大事ですが、世界の中における日本の役割を果たすという、より長期的な実績こそ総理の本当の評価になると思うのであります。  総理、私も若輩でありますが、人間社会において、またこの政界においても、得意の分野で失敗した例をたくさん見てまいりました。総理は、週に一度参禅をなさって、禅に造詣の深い総理でいらっしゃいます。私が聞いた禅の講話に、人の欲望は尽きないものがありますが最後の最後まで残る欲望は、あの人は生前名誉を求めなかったと言われたい名誉欲であると言われます。大いに御自重いただき、戦後政治の総決算、改革路線の推進に全力を挙げていただきたいと思います。  私の思ったことを率直に申し上げました。御感想がございましたならば……。
  83. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先般来の問題につきまして、私の心境は先ほど野田さんに申し上げたとおりでございます。やはりいろんな問題を経験し、反省しまして、日本には単一民族という非常にいい誇るべき長所もございますが、その反面においては、閉鎖性というものあるいは視野の狭さ、経験の不足、そういうものもやはり非常にある、そういう点も反省させられたところでありまして、私は国際国家日本ということを言ってまいりましたが、ますますそういう面に前進していかなければならない、そう感じた次第でございます。  それから人間としての生き方、政治家としての生き方につきましては、皆様方が皆それぞれの人生観をお持ちで、自分の道をお選びであろうと思いますが、私も私なりに精進修行いたしまして私なりの人生を全うするように努力していきたいと思いますが、結局は、その悟りというようなものはなかなか得られるものじゃないと思うのです。悟ったということを言った人がいたら、それはお釈迦様以外にはあり得ないと思うんです。無限大、無限に向かって努力していくその過程が悟りなのではないか。ここまで来たからもう悟ったとか、もう一歩行ったら今度は悟るとか、そんな問題じゃないんだ、悟りがないということがわかるのが悟りじゃないか、逆説的に言えばそういうふうなことを感じておりまして、もうただただ一生懸命努力する、そういう気持ちでおる昨今でございます。
  84. 村上正邦

    村上正邦君 ところで、教育問題に移りますが、文部大臣、現在、中学や高校の歴史教育はどうなっていますか、必修でしょうか選択でしょうか。
  85. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 我が国の歴史教育は、中学校におきましては、我が国の歴史を世界史を背景に理解させ、それを通して我が国の伝統と文化の特色を考えさせるとともに、国民としての自覚を育てること、これを目標にいたしております。そして、教科書につきましては、このような観点に基づいて我が国の自主的な判断歴史教科書を編成しておるものでございます。  お尋ねの歴史教育の全体の流れについて申しますと、小学校のときにおきましても、六年生で歴史教育をいたしておりますし、また中学の段階に入りまして、先ほど申しました必修科目としてこれを履修せしめております。ただし、中学校におきましては、社会科の中におきまして歴史的分野ということでいたしておるものでございます。高校生になりまして、これを選択科目として高校の二年、三年におきまして日本史並びに世界史をそれぞれ履修せしめる、こういう趣旨で実施をいたしておるところでございます。
  86. 村上正邦

    村上正邦君 これは九月十日付のある新聞でございますが、「中高生に世界史離れ」という記事が載っております。    〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕 それによりますと、高校における世界史の履修率は六十年には六四・四%、つまり高校生十人のうち四人近くは世界史を勉強してないということになりますね。都道府県別では三〇%台が二県、四〇%台が六県もあるという。総理、ただいまも国際国家日本というお言葉が出てまいりましたが、これで国際国家日本と言えましょうか。
  87. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この間その新聞を見まして、私も非常に今憂いをともにしている者でございます。やはり国際国家と言う限りにおいては、周りのこと、我々が住んでいる世界、社会のことをよく知らずして国際国家には絶対になり得ない。そういう意味において、高校生の世界史の履修者が四〇%いないということは世界史を知らないということでございますから、隣国やあるいは世界の国々を知らないという状態ではいけない、これは何とか改革する必要があると感じておる次第でございます。
  88. 村上正邦

    村上正邦君 文部大臣にお尋ねしますが、天照大神、日本武尊命、東郷平八郎、今の子供たちがどのような読み方をしておるか御存じですか。
  89. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) その点につきましては調査をいたしたことがございませんが、何か御意見がございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  90. 村上正邦

    村上正邦君 大臣ね、今の子供たちはこう読んでいるんですよ。天照大神のことを「テンショウダイジン」と読んでいるんです。日本武尊命のことを「ニホンブソンメイ」とこう読むんですね。それから東郷平八郎のことを何か団地と間違えまして、「トウゴウダイラハチロウ」と、こういう読み方をやるんです。今の子供たちは歴史教科書離れをしているわけです。歴史離れをしておる。なぜかと言いますと、戦後の歴史というものは唯物史観に基づいた執筆者が書くからなんです。歴史というものは、そこにはそのときどきのその時代をつくった人、文化を担った人、社会のために貢献をした人、そうした人物が登場してきて初めて私は歴史教科書に興味を持つ。ドラマがないんです、人物が登場しない。私はこう思いますが、大臣はどう思われますか。
  91. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) その点、村上委員のおっしゃるのに私も同感いたします。そして、歴史の記述の中で、人物の扱いが歴史の流れの中において評価されていかなければならないのでございまして、一人一人の人物論を歴史の編集の中に組み込んでそれを中心に編集するのではない、やはり事実の流れ、歴史の流れの中で人物を扱っていく、そういう方向でやるべきだと思っております。
  92. 村上正邦

    村上正邦君 そういう意味で、文部省もこの歴史教科書については十分ひとつ考えていただきたい、こう思います。  そこで文部大臣、さらに、我が国の歴史教科書がたびたび外国によって問題にされるということはいかなる理由によりましょうか。どうお考えですか。
  93. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) その前に一言私から申し上げたいことは、先ほど、ある週刊誌で高校生の歴史離れが極端に起こってきておる、こういうお話でございました。しかし、文部省が調べましたところによりますと、高校におきまして歴史は選択科目ではございますけれども、できるだけこれを履修せしめるように努力をいたしておりまして、相当なやはり履修者が出てきておるという報告も聞いております。したがって、今後とも歴史の履修にさらに一層積極的な指導が学校においてなされますように我々も努力いたしたい。ちょっとつけ加えて申し上げたいと思っております。  さて、先ほどの御質問でございますが、歴史教科書がなぜこうしてたびたび変わってきておるのかということでございますけれども、やはりこれは文部省が検定制度を維持しておりまして、公正、中立、そして不偏性というものを堅持しております。その点におきまして、私は内容において大きい変化はそんなにないと思うのでございますが……
  94. 村上正邦

    村上正邦君 そんなことを聞いてない。外国から……。
  95. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) しかし外国からいろいろ言われるというのは、やはり外国におきましてそれだけ国民感情がその時代時代において日本の教科書に対する目が向いてきておる、その感度によって違ってきておると思うのであります。
  96. 村上正邦

    村上正邦君 今またさかのぼられて世界史の履修についておっしゃられたが、ある県では、大臣、二八・八%ですよ、できるだけの履修とおっしゃるけれども。これはやっぱり世界史は必修にすべきだと私は思います。このことを要望いたします。  そこで、たびたび日本歴史教科書が外国からいろいろ言われる。私はこれは一つの参考になるのじゃないかと思うのでございますが、ヨーロッパの諸国のかつての歴史は、御承知のように国と国との抗争、侵略の繰り返しでありました。そこで最近、この当事者間によって委員会をこしらえて、お互いの教科書を見直す作業が進められておるということを知っております。それは、平和共存が進行するにつれて、お互いに憎しみをかき立てるような表現をやめよう、そして友好をさらに進める前向きの願いから、そうした両国間で教科書について意見を言い合っていく、こういうことだそうであります。    〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕  そこで、これは総理に私は提案がございますけれども、当面、日韓、日中両民間人による円卓会議を開いて、お互いが腹蔵のない意見交換をしてみたらどうかと思います。中国、韓国の教科書にも我が国に対して憎しみ丸出しに書かれている、そうした記述があることも知っております。それに対して日本としても言うべきことは言う。両国の主張を自由に出し合って議論をすることに意味があると思います。  さらに、政府においては、臨教審もあることですが、この際、歴史教育に絞った審議会を設けてこういうことについて検討していただくということはどうだろうと思います。いかがでしょうか。
  97. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) まず、最初お尋ねの民間レベルにおいて意見を言う、これは先生がおっしゃるように私たちもそういう機会をうんとつくっていただきたいと思うのであります。しかし、事教科書は、やはり国の自主的な判断において作成しなけりゃならないという大原則がございます。しかし、民間におきましていろいろと先ほどお話しのヨーロッパ等に行われておるということ等がございますし、私は日韓あるいは日中間においてそういう民間レベルにおける意見の交換を通じて我々が、つまり文部省として教科書を作成、検定する立場にある者がそれを参考にするということは、私は結構なことだと思っておるのでございます。  それから歴史書だけを対象にした審議会の設置についてでございますけれども、現在教育課程審議会というものがございまして、御存じのとおりでございますが、そこで各教科内容等につきましてつぶさに検討いたしております。したがいまして、私といたしましてはやはり教育課程審議会において歴史教科の問題の検討を続けさせていくべきだと思っております。
  98. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 文部大臣がお答えしたとおりであると思います。  歴史の教科書の問題は主権の範囲内の問題で、各国が独自にやるべきものでありますが、しかし隣国同士として、あるいはアジアに住む国々といたしまして友情を促進し、友好親善を促進するという観点からお互いがよく話し合う、お互いの国民感情を傷つけないように配慮し合いながら教育も行っていく、そういうようなことはやはり大事ではないかと思いまして、両方の民間人レベルでいろいろお話しを願うということは極めて有益ではないか、そう思います。  それから歴史教育についてはさっきお話がございましたが、やはり時代が人間をつくり、また人間が時代をつくっていく、そういう相互作用で歴史は進行しておると思います。しかしその場合に、人間にどの程度重点を置くか、時代にどの程度重点を置くかという点において執筆者の主観が入ってくると思いますが、これを両方とも無視するということは私は適当でない。今の教科書がそういう点においてどちらに重点が置かれているかというと、今までの経緯から見ると時代性や社会性に非常に重点が置かれて、人間の部分が割合に軽く扱われていたのではないかという気がいたします。そういう点については、私のこれは単なる私見でございますけれども、教科書をおつくりになる方や検定なさる方々がいろいろお考え願うことである、そう思っております。
  99. 村上正邦

    村上正邦君 教育に関連してもう一つこれはお願いでございますが、私はこの八月でしたか、そこにいらっしゃる井上計先生と一緒にフランスへ参りました。このフランスへ参りましたときに、フランスには子供たちがコンピューターを初め、ハイテクを応用した機械を自由にいじり、そして遊びながら高度の技術になじむ施設が国によってつくられている。列をずうっと子供が並んで待っている。四十分交代で入れかえをやっている。私はそれを見ましたときに、技術立国として子供たちに日本としてこれは必要なことではないかなあ、こう痛切に感じて帰ってまいりました。どうでしょうか、これは科学技術庁長官、また文部大臣、ひとつしっかり予算をとっていただいて、こういうことをやっていただくというわけにはまいりませんか。
  100. 三ツ林弥太郎

    国務大臣三ツ林弥太郎君) お答えいたします。  昨年日本では科学技術万博が茨城で行われまして、日本の国民も随分科学技術に対する認識というのか、理解というのが高まったようなわけでございまして、先生、フランスの方でそういうふうなというお話でございますので、私も本当にありがたいお話だというふうに実は考えておりまして、これは役所でやるかいろいろ検討してまいりたいと思っておりまするけれども、最近東京電力で渋谷の方に電力館というのを新しく四十億でつくりまして一般の方に公開をいたしているのでありますが、私もそれを参観いたしまして、非常に有益な施設でありますので、それらもお話しを申し上げておきたいと思っております。  今のお話、また検討してまいりたいと、かように考えております。
  101. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 学校教育の中でも仰せのようにコンピューター関係の教育を始めておりますが、先ほどお話しございましたヨーロッパのような情景にはまだ至っておらない、これからの努力しなきゃならぬ点だと思うております。  ただ、今学校教育の一環としてやっておりますのは、ソフトウェアの勉強に重点を置いておって、ハードの方はそれに伴うところの教育としてやっておるようなことでございます。しかし、仰せのように、そういう時代がもう直前に来ておるのでございますから、コンピューター関係の教育に十分な配慮をするよう今後予算要求等を通じて続けていきたい、こう思うております。
  102. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 私の直接の所管ではございませんが、私も諸外国へ参りまして、ただいまお話しのようにフランス等におきましては大変コンピューター教育について熱心でございます。また、アメリカにおいても、非常に熱心なダートマス大学等は非常に長い歴史を持っておることは御承知のとおりでございます。  ただ、私は、教育というのは基本的に人間の問題でございますから、文部大臣科学技術庁長官ともいろいろお話しを申し上げているところでございますけれども、余りに小さいときにコンピューターあるいはその他になれてしまうと、秋葉原に行きますと随分子供たちがそういうコンピューター等に熱中している、ゲームに熱中している状況を見かけますけれども、しかし、もしそういうものがなくなればもう全然何も思考する能力がなくなってくるということになると、これは大変な問題になるのじゃないかと思います。やはりその点の兼ね合い、教育の本質の問題を踏まえながらコンピューターの導入の教育というものは考えていくべきだと考えておる次第でございまして、これは私の直接の所管の問題でございません、しかし諸外国を回りながらそういうことを考えているということを一言申し伝えておきたいと思う次第でございます。
  103. 村上正邦

    村上正邦君 私が申し上げているのは、教育の中に取り入れるということじゃなくして、遊びながらなじんでいくということであります。今科学技術庁長官はどこどこで四十億ぐらいとおっしゃられましたが、民間がいろいろやっておられることは多といたしますが、民間に任せたってこれはだめです。やっぱり何百億ぐらいかけて国がそういう総合的な施設をつくるということを私は申し上げているわけであります。  次に、私が立つのだからあいつは靖国の問題を必ず出すだろう、こう思っておられる向きもあると思いますので、総理、靖国神社につきましては、国民の多くは総理がもう公式参拝しないのではないかなというそうした心配を持っておるわけでありますが、総理の、いやそうじゃないよというお答えをいただきたいのであります。
  104. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 靖国神社の問題につきましては、昨年公式参拝をいたしましたが、その際、一番注意したのは憲法違反にならないようにということでございました。そして我々の趣旨は、宗教的儀式にわたらないようにということを中心にして参拝をしたわけでございます。そのときの官房長官声明というものは今日も生きておるわけであります。また、ことしのことにつきましては、いろいろ検討もいたしまして、同じように官房長官談話を出しました。これはやはり靖国神社の参拝ということは、制度的に決まったことではないのでケース・バイ・ケースで今まで行ってきたし、今後も行わるべきことではございましょう。しかし、靖国神社に対する正式参拝というものを放棄したわけではないのです。官房長官談話の中にも書いておきましたけれども、この問題は関係各国ともお互いに了解し合って、そしてよりよく改善する事態を今後とも引き続き検討していく、そういうことを官房長官談話にも明記しておるところでありまして、引き続き事態を改善せしむるように、双方が満足しまた納得するような方法を引き続いて改善方として検討していく、そういう立場でおるということを申し上げる次第であります。
  105. 村上正邦

    村上正邦君 もう少しこれは突っ込みたいのですけれども、時間がございませんので。  次に、防衛庁長官防衛費の一%枠問題についてお尋ねいたします。これは、私は防衛政務次官をやっておりましたので重々承知しながらお尋ねをするわけであります。  五十一年十一月の三木内閣の決定ですが、当面一%を超えないことをめどとするとなっておりますね。この問題の「当面」というのは、普通、私どもの通常の意味では二、三年、せいぜい五年ぐらいという意味でしょう。これは五十一年の十一月の三木内閣ですから、その翌年の五十二年の三原防衛庁長官時代にも国会で答弁しておられます。  広辞苑には、「当面」というのは、「さしあたり」「いま直面していること」、こうあるんですね。長官、これは十年もたってまだ当面、当面ということで国会でこの問題が出ると国会がストップする。私は、長官は勇気ある長官でいらっしゃいますので、ここらあたりでもうやっぱりけりをつけたらどうかなと、こう思います。  「めど」というのは、何が何でも一という意味ではないと思いますね。大体一%の閣議決定が行われたときの状況と経済成長率にいたしましても随分違っていると思いますので、そこらあたりをひとつ御説明していただきながらこの一%問題についての長官のお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  106. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 防衛費の一%の問題でございますけれども、この「当面」というのは私も非常に重視をしておるんです。それで、今までの国会の記録を見ましても、大体当面というのはまあ四、五年だと。念のために元防衛庁長官をやりました坂田先生にもこの間お聞きをいたしました。これはあの方のときにつくられたわけでございますから。そしたらやはり四、五年というお話でございます。「めど」というのはやはりめどでございます。  どうしてああいうものができたかということにつきましては、先ほどお話しのとおり防衛政務次官をされておりましたのでもう十分に御承知だと思いますので、あえてお話をするとするならば政府委員の方からさせたいと思っております。ただ、政府委員でなくてもあなたはもう十分おわかりになっておると思いますが。
  107. 村上正邦

    村上正邦君 長官のあれを聞きたい。これは高度の政治的発言であって初めて意味がある。
  108. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 私の意見というならば、やはり閣議決定でございますから、この閣議決定の重さ、また、この一%が果たしてきた功績、メリットというものはこれは認めなきゃならぬと思います。  ただ、最近いろいろの議論がございまして、一%を何が何でも守らにゃならぬ、こういう強い主張がある。私はそれに対しては、いかがなものかということを言っている。一%は守っていくとこれは総理大臣も言われているとおりだけれども、防衛計画の大綱と一%がどうだというような場合、何が何でも一%だという御意見はいかがなものか。また、一%を超えると軍事大国である、一%を超えなければ軍事大国でない、そういうのもいかがなものかと考えておりまして、これは国会でもこの一%問題につきましては大いに論じていただいて、一%の持つ意味についてひとつお考えをいただきたい、そういうふうに考えております。
  109. 村上正邦

    村上正邦君 この問題は、国会対策上どこまで長官に食いついていけばいいのか、私もそこらあたりを非常に苦慮するところでございますが、しかし政治の第一義的な義務は、国の安全を保ち国民に安心、安定、充実した生活の保障を与えていくことにあります。そうしたときに長官は、この前の自民党の研修会においても、防衛大綱の達成こそ大事なんだ、こうおっしゃられました。そうしたことからいきますと私は、一%程度なら、一%程度ですよ、程度なら三木内閣の決定に反しないということではどうだろうかな、こう思いますがどうでしょう。
  110. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 私は、防衛計画の大綱水準を一刻も早く達成する、そのための五カ年計画でございました、それを着実にやっていくというのが防衛の基本だと思っております。変わっておりません。  一%程度その他の問題、そういう問題についても私どもは貴重な御意見として承っておる。先ほども申しましたとおり、この問題については国民的論議、国会においても十二分に御論議をいただきたいというのが私の真意でございます。
  111. 村上正邦

    村上正邦君 程度ということは、私は〇・一超えたってこれは程度だと思うんですね。だから、そこらあたりでやはりあれしていかないと、また通常国会が始まって予算委員会でここにいらっしゃる先生方がいろいろと突っ込まれる材料になるのかなと思いながらも、しかしこのくらいのことの国会のある程度の合意はとっておく必要があると思いますので、繰り返し繰り返し、こういう場をかりてやはり本当のことをこのことについてはおっしゃっていただくことが私は大事じゃないのかな、それが国民が防衛に対する認識を深めていくことだ。私は逃げちゃいかぬと思うんです、こういう問題については。そうした面で地ならしをしっかりやっていく必要がある、こう思っております。  そこで長官、三宅島のNLPの問題でございますが、これも衆議院において出されましたが、島の人たちはいろいろこれについては反対のお立場の方々がますます勢力を固めておるわけでありますけれども、防衛庁としては三宅島以外これは考えておりませんよということで理解してよろしゅうございますか。
  112. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 三宅島以外は考えておりません。
  113. 村上正邦

    村上正邦君 早期解決に向かって最善の努力をするということでよろしゅうございますか。
  114. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 当然のことでございます。
  115. 村上正邦

    村上正邦君 官房長官にお尋ねしますが、戦後処理の問題についてでございますけれども、これは同じように戦地で苦労しながら復員して、公務員になった者には恩給がつき、そうでない者には何も出ない。軍歴年数十二年以上の人には年間最低でも四十五万円以上の恩給がつく。十二年に一日欠けても一銭の支給もない。これはどう考えてもおかしいのじゃございませんか。軍人恩給欠格者問題、シベリア抑留者問題、在外財産問題等に対する対処は今どうなっておりましょうか。長官には、ことし三月の予算委員会で、戦後未処理問題は政治としては温かい血の通った処置をとるのが一番大切だと答弁なさっておられますが、その血の通った御答弁をお願い申し上げたいわけであります。
  116. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この問題は、村上さん既に御承知のとおり、二年半ばかり戦後処理懇で検討した結果、答申が出ておるわけですね。その答申の線に沿って、今一億数千万の調査費等も予算に計上して調査をしているさなかでございます。したがって私どもとしては、こういった調査の結果、あるいはその調査の過程において、今村上さんがおっしゃったような、我々政治の場にある者としては、こういった方々は大変お気の毒な立場にあることは間違いがないわけですから、したがってこういった方々に何らかの慰謝の念をあらわす具体的な方法はないのか、こういう点についてはお互いに今調査中でもございますから、さらに一層皆さん方のお知恵も拝借しまして、そして処理をいたしたい。  一方、ただ問題は大変これは複雑で、しかも影響するところの極めて大きい課題であるということも、これはもう御案内のとおりでございますから、そこらを両々考えながら結論を導き出したい、こう考えておりまするので、御理解を賜りたいと思います。
  117. 村上正邦

    村上正邦君 官房長官、どうか、お年を召された方が多いものですから、これが日の目を見ずに片隅に置かれたままでということは余りにもお気の毒にと思いますので、ぜひ早期にひとつこれは前向きで、そしてまたこの解決に当たっては、我が党と十分に協議し、党の我々の意向を尊重していただきたい、こう思います。いかがでしょうか。
  118. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今は言うまでもなく政党政治でございますから、与党の皆さん方の御意見は十分に承らなきゃならぬ、こう考えておりますが、しかし政府も与党の皆さん方がおつくりになって支えているものでございますから、与党でお決めになるときも政府の意見というものは十分にひとつお考えをいただきたい、かように思います。
  119. 村上正邦

    村上正邦君 どうも私より上手だものですから。どうかひとつ長官、本当に血の通った解決をお願い申し上げたい。  そこで総理、私は総理が進めておられます諸改革の中で、改革の路線でありますが、政治改革が最もおくれておると思います。政治改革は議会機能の効率化、そして議員定数の問題、そして議員特権の問題等々があるわけでありますが、本院では昨年の四月、木村前議長が衆議院に申し入れたことがあるわけであります。今からこうした問題について私は質疑をちょっと時間をかけてやってまいりますが、これは総理というお立場よりも自民党総裁としてこれからのやりとりをお聞き取りいただいて、推進方をお願い申し上げたいわけであります。  参議院事務総長は来ておられますか。——この四月、申し入れられました内容はどんなものになっておりますか。ちょっと説明していただきたいと思います。
  120. 加藤木理勝

    ○事務総長(加藤木理勝君) ただいまのお尋ねにつきましては、昨年の四月十九日に当時の木村議長から衆議院議長に申し入れを行いました、「常会の一月召集の問題を両院共通の問題として衆議院においても検討されるよう要請する」という申し入れのことであろうと存じます。  この問題は、かねて提起されていたものでございますが、当時の議長から参議院改革協議会に諮問がありまして、同協議会から次のような答申がございました。  その答申と申しますのは、「現行の常会は、十二月に召集され、その後約一ケ月間のいわゆる自然休会となつている。これは、総予算が財政法の規定にかかわらず、十二月中に提出されないためである。このことにより、会期制を採用している国会審議が大きく制約され、会期末においては、常に、参議院の審議日数の確保をめぐって会期延長問題が生じており、かねてより、これへの対応が求められていた。」。こういうようにございまして、その後、検討の経過を述べられた後、「この際、予算の提出時期を含め、常会の召集時期を検討すべきであるとの意見が大勢を占めた。  常会の一月召集問題は、参議院独自の問題ではなく、両院共通の重要問題であるので、議長においては、速やかに衆議院議長と協議されることを希望する。」、こう結んでございます。この答申を受けまして議長のさきの申し入れとなったものでございます。これが一月召集問題につきます内容、理由でございます。  この申し入れに対しまして、その後、衆議院におきましては議会制度協議会におきまして検討されていたようでございますが、本年の五月二十一日になりまして、議長の代理として衆議院議院運営委員長がお見えになりまして、参議院の申し入れの趣旨は十分承知している。衆議院においては会派間の意見が分かれて意見の一致を見るに至っていない。衆議院として今後もこの問題について検討を続けたいという旨の御回答がございました。これがその後の経過でございます。  以上でございます。
  121. 村上正邦

    村上正邦君 財政法二十七条は十二月中に予算の提出を義務づけておりますが、政府はもう七十年間もこれを守ったことがないんですね。どうしても守れないというならば、大蔵大臣、財政法の改正をなさったらどうでしょうか。
  122. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 調査をいたしてみますと、大正四年及び五年の二回、十二月に予算を提出いたしたことがあるそうでございますが、昭和に入りましてからはそういうことはないそうでございます。しかしこれは明らかに財政法に定めておるところに沿っていないということになります。事情といたしましては、なるべくその年の遅くまで諸般の翌年の状況を見きわめてという気持ちがあってのことと思いますが、事実としてはそのようなことになっておりまして、これはそれ自身はどうも弁解の余地の乏しいことと申し上げざるを得ません。
  123. 村上正邦

    村上正邦君 国会法第二条と財政法によって、十二月に召集されます。ところが、予算案は提出されない。年末年始にかかる。そうしますと、結局約一カ月間は自然休会でございます。通常国会は百五十日間と決められております。その五カ月間のうち、一カ月も何も審議しないんですね。こういう状況がずっと続いているということは、今の御説明でもおわかりのとおりであります。  事務総長、衆議院、参議院おのおのの一日当たりの国会の経費はどのくらいかかりますか。
  124. 加藤木理勝

    ○事務総長(加藤木理勝君) 国会の一日当たりの経費のとらえ方は大変難しいものでございまして、一概に申し上げにくい点もございますが、最も簡単に、国会の年間の総予算額を三百六十五日の日数で割ったもので申し上げたいと存じます。  六十一年度予算は、参議院では総予算が二百五十三億九千二百五十七万二千円でございます。その三百六十五分の一は約六千九百五十六万九千円となっております。なお、他院のことでございますが、衆議院の総予算は四百三十一億八千三百三万二千円でございます。同様にして計算いたしますと、三百六十五分の一は約一億一千八百三十万九千円でございまして、両院合わせまして約一億八千七百八十七万八千円となっております。  以上でございます。
  125. 村上正邦

    村上正邦君 そうしますと、私、今計算してみますと、一カ月間の国会の経費は約五十六億円になりますね。間違いありませんね。
  126. 加藤木理勝

    ○事務総長(加藤木理勝君) はい、そのとおりでございます。
  127. 村上正邦

    村上正邦君 そこで総理、国会法と財政法が改正されないためにこれだけの浪費がなされるのですね。国民が聞いたら何と言うでしょうね。一月召集は今すぐにでも私は決着したらどうだろう、こう思いますが、どうでしょうか。
  128. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 参議院側からの申し出を受けまして衆議院においてもいろいろ議論をしましたが、各党間必ずしも見解が一致しませんでした。しかし、こういう問題は引き続いて改善していく必要がありますし、ほかの問題も幾らでもございます。例えば、投票を今までのように名札を持って歩いていくのがいいのか、押しボタンでやるのがいいのか、そういうような問題もすぐ浮かんでくる問題でございます。そういうすべての問題を含めまして、自民党といたしましては今、渡部恒三君を長にする議会制度の改革の調査会を設置いたしまして、そして我が党の案をつくろう、こういうことで今スタートしたばかりです。衆議院におきましても、そういうものを基礎にしまして各党間で樽俎折衝して、そして最も合理的な、国民が納得するような行政改革に沿う国会改革もぜひやってみたいと考えておる次第であります。
  129. 村上正邦

    村上正邦君 国会改革についてはその他いろいろあると思います。そこで私は、すぐやれること、例えば総理の所信演説でございますけれども、これは衆参同じことを総理がおしゃべりになるんですね。私は、衆議院でしゃべられてまた参議院に来て同じことを、感激性がなくなるのじゃないか、同じことをおやりになるんですから。こういうことは衆参の独自の立場があるわけです。一字一句間違いのないように、一字飛ばしたら参議院軽視だなんて、そうなるわけでありますが、私はそれこそ参議院軽視だと思うんです。ですから、衆参別々の所信をおやりになられたらどうだ、こう思うんですね。  それからまた私は、参議院先議、このことはもう前々から参議院から要望しておるわけでありますが、やっぱりむだをなくすということ、これはすぐやれることですから、そういうことをも審議の効率化ということから、総理、ひとつ総裁として督励をしていただきたいと思います。
  130. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 参議院先議の問題は、これは前からの懸案でございまして、我々は全く同感でございますから、できるだけ参議院先議の案件をふやさせていただきたいと考えております。  それから施政方針演説、所信表明演説等に関する問題につきましては、いろいろ議論があるようです。やっぱり衆参同じことをやらなきゃいかぬ、そういう議論もございまして、今そういうことでありますが、参議院の皆さんのお考えを聞きますと、参議院は第二院であって衆議院のチェック・アンド・バランスをとるところだ、したがって参議院には参議院の個性があって、そういうチェック・アンド・バランスという機能に沿った趣旨の演説をやるべきだ、衆議院と同じ演説をやるのなら参議院を置いても意味がないじゃないか、国民の皆さんは一回既にもう聞いておると。参議院が置かれているゆえんの趣旨に沿った演説をやらなきゃ参議院軽視だ、そういう議論も参議院の方からお聞きする。  さて、どっちがいいかな、これは政府としてはなかなか判定に困ることで、議会で決めていただくのが適当であると思いますが、私は、衆議院と一字一句も違っちゃいかぬというのはちょっとかた過ぎやしないか、やっぱり蛇が棒をのんだようなことで政治がうまく動くことはないじゃないか、むしろ参議院には参議院に向いたようなそういう個性のある演説をする方が参議院の独立性を尊重するという形になるのじゃないか、場合によっては草稿なしに演説をやらせるということも大事じゃないだろうか。  同じ演説をやらなきゃならぬとなると、どうしても草稿を読まなきゃなりません。しかし、演説の中身が少し変わってもいい、必ずしも衆議院どおりやらなくてもいい、そういうことになると、両院で草稿なしに演説がやれるわけです。その方がもっと情熱を呼び起こす演説になるのではないか、やっていてそういう感じがしたことがあります。
  131. 村上正邦

    村上正邦君 そこで運輸大臣、あなたはこの言葉は余り好きじゃないとおっしゃっておられますが、余剰人員対策はどうなっておりましょうか。
  132. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 既に参議院の本会議でも一度お答えをいたしましたが、その後の状況をそれではこの機会に御報告をさせていただきます。  現在までの状況で約五万七千人の採用のお申し出をいただきました。その中で、実は国関係の三万人の部分がまだ充当をいたしておりません。これは、政府の各省庁に対する雇用率の設定が先般行われましたために、各省の要求が出そろっておらないという状況がございます。国鉄関連で採用をいただく約二万一千名につきましては満杯の要求をいただいております。また、民間で一万名以上の採用をお願い申し上げたいとお願いをしておりますが、既に一万九千七百名の採用の要望をいただいておりまして、まだ全部その採用条件等が詰まっておるわけではありませんが、そしてまだもっとたくさんの声をかけていただきたいと願っておりますが、国関係のおくれ、三万人に対して一万六千七百名というところがこれからの私どもの主たる努力目標になろうかと考えております。  以上です。
  133. 村上正邦

    村上正邦君 国鉄の雇用問題は官民挙げて取り組む問題であると考えますが、円高不況や海運不況の中でこれが確保できるかどうか、労働大臣どうですか、日本全体の雇用情勢もあわせてお答えをいただきたいと思います。
  134. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) お答えいたします。  ただいま日本全体と申されましたが、御案内のような景気の落ち込みでございまして、抜本的にはやはり景気拡大、内需の思い切った拡大によって総需要量をふやす、そして雇用の増加をふやさなければならぬというのが最も基本的な問題であろうかと考えております。  ただいまお尋ねの、国鉄の大改革問題につきましての民間部門を受けます労働省の対応はどうかということになりますると、これはもう私が申し上げるまでもなく、いささかの雇用不安も与えない、再就職、雇用の確保の問題はこの改革法案の成否を握る重大なるポイントであろうか、かように考えております。  当然のことながら公的部門、また関連企業等については、ただいま運輸大臣からも御答弁がございましたけれども、労働省といたしましては、既に沖縄県を除く各都道府県に再就職の連絡会議を設置いたしまして、関連経済団体に逐次お願いをしてまいった経過がございます。先ほど数字が出ましたけれども、既に産業界から約一万九千七百の採用の申し出もいただいております。私自身も私の地元である四国電力に対し、つい先般お願いをいたしたわけでございますが、御快諾をいただいた経過もございます。  今後の対応でございますけれども、やはり特に国鉄を初め関係諸官庁と連絡を密にいたしまして、例えば事業主説明会、さらには職業訓練、求人情報の提供、あっせん、紹介等を含めまして、無論これは既に予算要求もいたしておりまして、清算事業団からの交付金も合わせまして約十億の予算措置をもって今後雇用対策を総合的に、漏れなく積極的に万全を期してまいる考え方であります。  以上であります。
  135. 村上正邦

    村上正邦君 民間が目標の倍近くめどが立っておるのに、政府関係機関はまだ六割ちょっとだと。この三万人の採用を早急に決めないと、新会社と清算事業団の職員の振り分けに支障が起こるおそれがあります。総理、国鉄職員雇用対策本部長のお立場で各省庁に一層の督励をお願い申し上げたいわけであります。
  136. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国鉄職員の雇用対策問題は、今の政治の最大、重大課目の一つと心得まして今鋭意努力しておるところでございます。先般は、財界の皆さんに官邸においでをいただきまして、各閣僚ともども財界側の御協力もお願いいたしました。近く地方公共団体の皆さんにもお願いいたしたいと思います。政府はもとより率先してやらなければなりません。割合に政府関係のことがおくれております。これは行革で人員をぎりぎり、ぎりぎり減らしているという面もございます。それから特殊法人関係がやっぱりおくれておる。そういう点もよく着目いたしまして、政府関係のおくれを取り戻すように一生懸命やりたいと思っております。
  137. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後一時から再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  138. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 予算委員会を再開いたします。  予算執行状況に関する調査を議題とし、村上正邦君の質疑を続行いたします。村上君。
  139. 村上正邦

    村上正邦君 次に地価対策でありますが、汐留駅跡地周辺などは相当土地が買いあさられ、まさに狂乱地価の様相を呈しておるようでございますが、これは建設相、国土庁長官、何か対策がございますか。
  140. 綿貫民輔

    国務大臣(綿貫民輔君) 土地の問題は国民生活の安定あるいは経済社会の推進のために極めて重要な問題でございますが、十月一日、地価調査の結果が発表されたとおりでございまして、全国的には地価は安定いたしておりますけれども、東京を含む八都府県におきまして、特に市街地を中心に異常な高騰が見られておるところであります。これらの問題につきまして、東京都とも十分連絡をとりながら、特に東京では新しい条例の制定等もお願いしたわけでございますが、国土法の有効適切な運用を考えていかなければならないと考えておるところでございます。  特に、東京は国際化、情報化ということで土地が高騰しておるわけでございますが、これにつきましては規制と供給、この二つの面を推進していかなければならないと考えております。その意味におきまして、規制の面におきましてはただいま東京都がとっておりますような措置、あるいは投機的な土地の取引に対しましては重課税を課するというようなことで各省庁と今鋭意検討を進めておるところでございます。特に供給の面につきましては、今村上先生御指摘のような面で、供給面をふやすことによって地価の安定に処していきたいという考えでおります。  以上であります。
  141. 天野光晴

    国務大臣(天野光晴君) 国土庁長官が所管であります。国土庁長官の答弁で尽きていると思いますが、必要とするある種の調整をするということが一番重要だと思います。いわゆる需要供給のバランスをどうつくり上げるかということだと思いまして、具体的な問題については種々考えておりますが、できるだけの措置を講じたいと思っております。
  142. 村上正邦

    村上正邦君 土地が投機の対象になっているから、坪一億円だとか、小金井のあのゴルフ場なんか会員権は一億五千万、こう言うんですね。こういうことがサラリーマンのマイホームにはね返ってくるんじゃないかということを私は心配するわけであります。  そこで、この地価の上昇にストップをかけることを中心にした抜本的な都市政策を打ち出すために、総理どうでしょう、土地臨調というようなものを設けたらいかがでしょうか。
  143. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 地価の問題は、東京とかそのほかの大都市の、しかも市街地にできている突出した現象でありまして、非常に胸を痛めておるところでございます。先般、四全総をつくるに際しても、大都市の地価問題等も考えた対策を十分入れなさい、そう言って指示したところでもあります。当面の問題としては、やはり需給関係をどうするかということが大事で、うっかり法規や何かをいじくるというと、必ず脱法行為が出てきてそうしたアングラに入る、そういう危険性があります。  大事なことは、やっぱり供給をふやす、それが大原則であろう、そう思います。しかし、そういうような方法について特別のそういう調査会を設ける必要がありやなしやというと、私は今のところないと思うんです。それよりはもっと急に迫っておる問題であって、行政措置あるいは地方公共団体、地元の都なり区と相談して、そうして急速に手を打つべき問題でもある、今さら調査会をつくってどうこうというような問題ではない。できるだけ早く諸般の総合対策を講ずるようにしたい、そう考えます。
  144. 村上正邦

    村上正邦君 いずれにしてもこれはゆゆしき問題だと思います。  そこで、時間がありませんので次に移りますが、厚生大臣、これは「出生のコントロール」という水野肇さんがお書きになられた本でありますが、この本の中に人間とチンパンジーとのあいのこをつくろうという研究者の話が出ております。これは笑い事じゃありませんね。聞いただけでも背筋がぞっとする。研究者というのは、悪魔に魂を売ることだってあると書かれてありますが、そういう話を御存じですか。
  145. 斎藤十朗

    国務大臣(斎藤十朗君) ただいまの出版物につきましては私も読ませていただきました。私もそれを読ませていただきまして、本当にびっくりし、背筋の冷たくなる思いをいたしたところでございますが、科学者、医学研究者、それぞれ頭の中でいろいろな研究なりいろいろなテーマを見つけられることと思いまするけれども、その研究というものが倫理観や生命観、そういう考え方の中で、それぞれの皆さんの自制なりまた良心なりというものにおいてコントロールされていかなければいけないし、またそういうことを期待してやまないものでございます。
  146. 村上正邦

    村上正邦君 さらに厚生大臣、男女の産み分け問題ですが、これはもう生まれてくるのではなくして、親によって、男の子をつくろうと思ったら男の子をつくる、女の子が欲しいと思ったら女の子をつくる、これはもう人間の生命がつくられるということなんですね。あのバベルの塔も崩壊したように、人間がつくったものは必ず崩壊するんです。これは大変なことだと思うのでございますが、どういうふうにこの問題についてはお考えでございますか。
  147. 斎藤十朗

    国務大臣(斎藤十朗君) ただいまのお話も、科学者また医学研究者の研究開発の問題と、そして国民感情もしくは倫理、生命観または哲学、宗教観、こういったような問題との調和点をどのように見つけていくかという問題であろうというふうに考えております。行政なりまた政治権力というものが余り強くそれを一定の方向に導くということにも問題があると思いまするし、またそうかといいまして、野放しになって適当でない方向へ行くということに手をこまねいているということでもいけないわけでございます。でありますので、そういった調和点を、国民的なコンセンサスがどのようにつくり上げられていくかということを十分注視しながら、ケース・バイ・ケースで行政としてとっていく方法なり対応の内容なりというものを慎重に考えていかなければならない、こんなふうに私は考えております。
  148. 村上正邦

    村上正邦君 最近頻繁に、少年少女がいとも簡単に自殺をしております。また、新聞に保険金殺人が盛んに報道されておるわけでありますが、優生保護法の経済的理由によっていとも簡単に中絶が行われる、これは命を物としか見ない、こうした風潮がそこにあると私は思いますが、もう一度この優生保護法の検討をお考えになるおつもりはございませんか。
  149. 斎藤十朗

    国務大臣(斎藤十朗君) 人工妊娠中絶の件でございますが、最近における性風俗の状況、また若年層における中絶の増加等を考えますときに、いわゆる経済条項などを中心といたしましたこの制度の見直しというものを慎重に検討していかなければならないというふうに考えております。これまで厚生省におきましても、医学者を初め、また各界の専門家の方々にお集まりをいただき、いろいろ御意見を聞かしていただき、検討を進めてまいったところでございます。なかなかいろんな御意見がございまして、なおまだ結論を得ていないところでございまするが、同時にまた、この経済条項を改正すればすべてが済むかというとそうでない面もあるようでございまして、いろいろな問題に対処しながらこの問題を引き続き検討いたしてまいりたいと考えておりますが、今村上議員のおっしゃられましたように、まさに人生観そして宗教観に基づいた御意見、私も同様に思わしていただき、非常に重要な問題でありますので、なお引き続き検討をいたしてまいりたいと思います。
  150. 村上正邦

    村上正邦君 時間がありませんので、この問題は厚生大臣、また社労委員会等で論議をしてまいりたいと思っております。  次に、自然保護問題についてでございますが、環境庁長官、知床には貴重な動植物がたくさんあるようです。野生動物の最後の楽園とまで言われております知床の問題について、環境庁は一体どのような態度で臨んでおられますか。
  151. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) お答えいたします。  自然という貴重な遺産、私どもは原生自然環境保全地域、さらには国定、国立公園、こういう指定をいたしまして、後世に誇りを持って伝えられる遺産として今自然保護に一生懸命努めている。知床問題も問題になっておりますけれども、解決の方向で今話し合いが進んでおると承知しております。
  152. 村上正邦

    村上正邦君 私はちょうど四年前のこの予算委員会で屋久島の問題を取り上げました。そのときに、当時の田澤農水大臣でございましたが、早速屋久島へ飛んで行ってくれた。どうですか、加藤大臣、知床へ飛んで行って視察してみる気はございませんか。
  153. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私は数年前に斜里、羅臼、あのあたりを二日間いろいろ歩いております。
  154. 村上正邦

    村上正邦君 知床はどうですか。
  155. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 斜里町が知床の入口でありまして、知床半島の中にも随分入って行ってきております。  念のために申し上げますが、その際に、今回知床問題で斜里町にいろいろな問題が起こっておるようでございますが、この委員会におられる石本委員環境庁長官であられたとき、昭和六十年度税制改正におきまして、私が大いに骨を折っていろいろ処置したこともあるということもあわせて申さしておいていただきます。
  156. 村上正邦

    村上正邦君 私が申し上げますのは、今問題になっているあの現場へ農水大臣として行く気持ちはないか、こう聞いているんです。
  157. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 先ほど環境庁長官がお答えになりましたように、今、地元町が中へ入られまして一生懸命努力していただいております。もともと地元並びに関係団体は相当理解があったわけでございますが、先ほど御質問になりました鳥獣の問題があります。私もそこら辺の成り行きには最大の関心を持っておるということでございます。多くの関係の皆さん方と積極的に話をして一日も早い解決の方法が出てくればいいなと期待をいたしておるところでございます。
  158. 村上正邦

    村上正邦君 自然というのはまさに我々の大いなる文化遺産であります。環境庁長官がおっしゃられたとおりであります。我々自民党は、やはりこうした問題にも真剣に取り組む姿勢を打ち出すべきだと私は思います。総理、どう思われますか。
  159. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 自然保護は我々にとっても大事な政策でございまして、うかつにやれば取り返しのつかないことにもなります。そういう意味におきまして、知床の問題についてもあくまで慎重に地元の皆さん方の御意見もよく聞いて対処すべきであると考えております。
  160. 村上正邦

    村上正邦君 国有林野特別会計が第二の国鉄と言われるほどの赤字だと聞きます。そうですね、農水大臣。  そこで、私は国民にも協力を求めて自然保護基金、つまり緑の基金というようなものをつくってもいいんじゃないか、こう思いますが、どうでしょうか。
  161. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) まさに村上議員のお説のとおりで、自然環境の保全活動を推進するために、私も環境庁長官になりまして初めて気づいたんですが、ナショナルトラスト運動、国民環境基金、こういうものが既にもう始動しております。それで六十年度で法人税、所得税についての優遇措置、六十一年度で相続税についてもこの措置がとられている。これは税制上そういう特別優遇措置をとって自然環境を大切にしていこう。非常に国民の中に関心が高まってきておりますので、今の御提案をぜひとも国民の皆様の理解を得て実行していき、既に鎌倉では大佛次郎さんなんかが鎌倉風致保存会というのを二十年前につくっておられる、さらには天神崎市民地主運動、こういう運動が十年前にあるとおり、ただ地域でのボランティア、そういうとうとい保存の運動も、どうしても全国的な法人を組織してやって初めて先進国日本、文化国家日本として誇れるようになるだろうと思いますので、ぜひ実現したいと思います。
  162. 村上正邦

    村上正邦君 先般、国鉄改革に反対して国鉄の信号網をカットするという、いわゆる情報テロがありました。さらに先鋭化し、例えば原子力施設等を対象とする核ジャック等が起きることを私は心配をいたします。その対策について科学技術庁長官、通産大臣どうでしょうか。欧米諸国では厳重な警備体制がとられているようでありますけれども。
  163. 田村元

    国務大臣田村元君) おっしゃるとおりの懸念があります。そこで、例えば電気事業法あるいは原子炉等規制法というような法律がありますが、それによって非常に厳しいチェックをいたしております。IAEAというのが、御承知と思いますけれども、これのガイドラインを十分満足せしめる対応がとられております。ただ、どのようなことで、どのようにどこでチェックするかということはこれは言えないんです。言えば何にもならなくなるんです。私も実は知らないんです。それがまた当然の秘密だと思うんです。しかし、十分の対応がとられ、世界の先進国にあるいは原子炉を持っておる国々に比べて決して遜色はございません。
  164. 三ツ林弥太郎

    国務大臣三ツ林弥太郎君) 心配をしている大事なことでございますが、ただいま通産大臣の方から答弁がございましたが、科学技術庁といたしましても、核物質防護につきましては、原子力の開発、利用の進展に伴う核物質の取扱量、取扱施設の増大等を背景に近年殊に国際的な検討が進んでおります。すなわち、昭和五十二年には国際原子力機関の勧告が出され、昭和五十三年には、原子力資材供給国十五カ国により、核物質防護措置等を輸出の条件とする旨のガイドラインが合意されております。  我が国においては、原子力委員会においてこれらの国際的な基準を踏まえ、我が国の国情に即した核物質防護に関して検討が行われ、昭和五十六年三月、事業所等において講じられるべき核物質防護措置の指針等を内容とする原子力委員会決定がなされました。現在、これを受けて関係行政機関において所要の施策を講じ、核物質防護に努めてきているところであります。我が国における核物質防護対策は国際原子力機関の勧告を満たしていると考えております。政府といたしましては、核物質防護措置の重要性にかんがみ、今後とも社会的、国際的要請を見きわめつつ、所要の措置を講じてまいる所存でございます。
  165. 村上正邦

    村上正邦君 時間が参りましたが、最後に法務大臣、その場合の新規立法の際には、何と申しましょうか、罰則をひとつ強化していただきたいと思います。
  166. 遠藤要

    国務大臣(遠藤要君) なかなか出番の少ない法務大臣に御好意ありがとうございます。  先生のおっしゃるように、仮に関係省庁が新たに立法措置を講ずるという場合には、事案の重大性にかんがみ、厳正な罰則で臨むべきであると考えております。  以上であります。
  167. 村上正邦

    村上正邦君 どうもありがとうございました。  ちょっとお断りをいたしますが、質問の通告を申しておりまして、時間の関係で質問のできなかったことをお許しいただきたいと思います。  最後に総理総理のモットーでありますスピードと実行に加え、きめの細かな配慮をする政治を御要望申し上げておきます。
  168. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 以上で村上正邦君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  169. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 次に、峯山昭範君の質疑を行います。峯山君。
  170. 峯山昭範

    峯山昭範君 きょうは非常に短い時間でございますので、端的にお伺いをしたいと思います。  総理、法治国家といたしまして、法に基づきまして行政が行われるということは当然のことだと思います。そこで、この法に対する基本的な考え方、総理はどういうふうな御認識をお持ちか、初めにお伺いしたいと思います。
  171. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 民主主義国家においては、法のもとにおける平等というものがまず基本的原則として確立されてなければならぬと思います。あとは遵法精神というものがやはり民主主義を形づくっている大事な原則ではないかと思います。
  172. 峯山昭範

    峯山昭範君 官房長官にお伺いします。  先ほどの午前中の質疑の中でスパイ防止法の問題が出てまいりました。その際に、情報収集の問題の中で、特に法律を犯したりのりを越えて収集してはならないという御発言をされましたが、官房長官の法に対するお考えをお伺いしておきたいと思います。
  173. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 法に対する基本的な考え方は、今、総理がおっしゃったとおりだと思います。私は、やはり法というものは、社会生活を秩序を持って運営していく、やっていくという場合の最小限守らなければならない規範であると、かような認識でございます。
  174. 峯山昭範

    峯山昭範君 総理、先ほどからお話しがございましたが、私は、先般の予算委員会におきましても、特に国家行政組織法第八条に言う私的諮問機関の問題を質問してまいりました。  きょうは、実は総務庁長官がおいでになりませんので、これは官房長官にお答えいただいた方がいいんじゃないかと、こういうふうに思っておりますが、国家行政組織法の第八条で言ういわゆる「審議会等」というこの審議会とそれから私的諮問機関とのかかわりですね。この関係について官房長官総務庁長官のときに私にお答えいただいた答弁があるわけでありますが、そういうものも踏まえまして、いわゆる私的諮問機関と八条機関で言うこの審議会との区分、どうあるべきなのか、あるべき姿勢等とあわせまして官房長官からお答えいただきたいと思います。  そしてまた、場合によりましたら事務局の方から正確な御答弁をいただければと思います。
  175. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これはもうしばしば当委員会でもお答えをいたしておりますとおりに、第八条機関というのは、これは会議体として公の権威を持って、国家意思として決定をせられる。したがって、その答申があるならば、政府はそれを最大限尊重すべきものであろうと、これが私は八条機関で言う審議会の基本性格だと思います。  峯山さんが御質問なさっているもう一つのいわゆる私的懇談会というものは、これは行政運営上しばしば設けられておるものでございまして、私は基本的にはこういった懇談会というものを、政府、各省がいろんな施策を決める場合に、役人の頭、役所の窓からだけではなくて、やはりこういった専門的な学識経験のある人の意見を聞いて、それを参考にしながら役所としての意思を決定していくというためには、私はこれは一概に否定すべきものではない、かように考えているわけでございますが、仰せは、恐らくはこれを余りにも乱用し過ぎておるのではないかと。ことを私は八条機関とのけじめはしっかりとつけてやらなければならない。そして同時に、こういうものを利用することによって重要な意思決定の参考資料にするならばいいんだけれども、これが行政運営がいかにも適正にやっているんだといったような隠れみのになっては相ならぬ。ここらが一番私は重要な勘どころであろう。そういうような意味合いにおいて、いろいろ峯山さんから従来御批判はありますけれども、政府としてはできる限りこういう基本の考え方によって運営をしておる、かように私は御理解を賜りたいと思います。
  176. 峯山昭範

    峯山昭範君 大分、私が日ごろからこの問題を取り上げたゆえんのものは、国家行政組織法、法に基づいて国の行政が運用されているからには、やはりその法律に基づいてきちっとしたけじめもなくちゃいかぬ。そこで、国家行政組織法第八条に言う審議会というのは、私的諮問機関とは全く区別されている、私はそう思います。  そこで、これは事務方お見えになっていらっしゃると思いますが、時間もございませんから端的にきょうは御答弁いただきたいのでありますが、審議会と懇談会との違い、どこがどういうふうに違うのか、もう少し明確に御答弁いただきたいと思います。
  177. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) お答えを申し上げます。  端的に、「審議会等」ということにつきまして国家行政組織法第八条では、重要事項の調査審議、不服審査等、合議により処理すべき事務をつかさどるため、法律または政令で設置するものである、このように言われておるわけであります。そこで、今申しました重要事項の調査審議それから不服審査等、これを合議で行いますために委員につきまして数を定め、それから任命権者がこの委員を任命し、それから議事の手続につきましても厳正なる議事手続が定められておる、また委員につきましてはこれは守秘義務が課せられておる、このようなものが、これが審議会あるいは調査会あるいは協議会等、国家行政組織法第八条の機関でございます。  それに対しまして、懇談会と言われておりますのは、今、官房長官から御説明がありましたように、行政への専門的知識の導入等の観点から、大臣等が有識者の御意見を承るために設けるものでありまして、したがって名称も懇談会とか研究会といったような名称を使い、それからその会合の際には会合主宰者が会合開催の都度参集者に参集を御依頼申し上げる、またそういう事の性質で、例えば守秘義務等につきましては特段の定めがない、このような違い、それからまた議事の手続につきましても、これは原則的に厳密なる議事手続が定められておるものではない。このように、相当明確なる区分でもって今運用をいたしておるということでございます。
  178. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは、昭和三十八年三月十八日の通達がありますね、それの前段をわかりやすく説明してください。
  179. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) 今言われました三十八年三月十八日の行政管理庁行政管理局長の通達につきまして申し上げます。  これは名称は「審議会と懇談会との差異について」という名称でありまして、国家行政組織法第八条に言う審議会といわゆる懇談会との差異は、審議会にあっては、合議機関そのものの意見が公の権威をもって表示されますのに反しまして、いわゆる懇談会にあっては、合議機関としての意思が表明されることなく、出席者の意見が表明されるにとどまるところにあります。したがいまして、懇談会は出席者の意見の表明または意見の交換の場にすぎないのであります。
  180. 峯山昭範

    峯山昭範君 それで結構です。大臣、わかっていただいたと思います。  そこで、私はあのときに官房長官にも申し上げましたが、いろいろとあるんですが、まず国際協調のための経済構造調整研究会ですね、これは総理国家行政組織法第八条に違反をしておりませんか。
  181. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 違反をしているとは思いません。これは各委員が自由に意見を開陳して、そして開陳された意見の結果を最終的にまとめて文書にはいたしましたけれども、これはいわゆる建議とかあるいは政府に対する正式の意思表示と言うべき性格のものではないし、政府はまたそれを尊重するという法律上の義務もしょっておるものではない。皆さん方が自由にいろいろ述べた意見を集大成してまとめ上げた文書と、そういう意味であります。したがいまして、八条機関とは違う扱いもするし、運営もそのように行われてきておるのであります。
  182. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、私はそれでは総理、納得できません。少なくとも国家行政組織法の第八条で言う、まず一つは合議体としての結論を出すのがこれは八条機関の審議会、私的諮問機関というのは合議体として結論を出さない、各人の意見を述べるにとどまる、大臣が聞くにとどまると、そうなっているんです。しかも、この答申とか報告書とかいう名前でこれは出ること自体がおかしい。私は内容の問題を言っているんじゃないですよ。政治のあり方、法を遵守するあり方、それを言っているわけです。しかもそれだけじゃなくて、実際問題としてこういうことがひとり歩きをする、そういうふうになっては困りますね。ですから、そういう意味で先ほどの通達にも違反をいたしておりますし、あるいは行政に反映させる目的をこれは持っていないんですか。総理の少なくとも経構研の報告書を受けての談話の中身を見てみますと、反映させようという姿勢がありありじゃありませんか。私は今までのいろんな答弁の中から見ましても、明らかにこの国家行政組織法第八条に違反をしている、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  183. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 政府がいわゆる前川リポートというものを正式に認知して、そしてそれを採用するというような正式の意思表示をしたことはないと思います。ただ、国際経済に調和するような経済構造に日本経済を改革していく、そういう点は政府も考えが一致しております。その内容について我々が閣議決定しました際には、普通ならば第八条機関何々に基づく答申が出たので、それを最大限に尊重し云々と、行革の場合にはそういうようなことであったと思いますが、今回の五月一日に決定した部分は前川リポートというものは正面に出ない形でできている、私はそういう配慮をしたつもりでおります。
  184. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、配慮をしようとどうしようと、少なくとも今までは国家行政組織法第八条に違反しないためには、例えばこの報告書をもしどうしても大臣が忙しくてつくらなきゃならない場合でも、前川さんの御意見はこう、赤沢さんの御意見はこう、石原さんの御意見はこうと別々に記載をされておりました。そういう配慮なんて全くありません。この報告書は国家行政組織法の第八条で言う審議会とどこが違いますか。  しかも、あなたの談話の第三項目を見てください。「昨日、私は、国際協調のための経済構造調整研究会から、我が国の今後の経済社会の構造及び運営に関する中間的な施策の在り方について、報告を受けました。」云々というところから始まりまして、「誠に時宜を得た、適切かつ貴重な報告として高く評価するものであります。 政府は、この報告を参考として、与党とも十分な連携を図りつつ、」ということで、これをやはり参考にし、運営に生かそうという姿勢が出ているんじゃありませんか。私はこの報告書の中身を云々しているんじゃないんです。国家行政組織法が先般改正になりましたときに、今まではこれはすべて法律事項だったんです。ところが、法律事項から外して政令でもできるというふうに皆さん方は変えたんです。私たちは反対しましたけれども、政令に変えたんです。やるからにはやっぱり法律に違反しないようにきちっとやるというのが姿勢じゃありませんか。  これはちょっと方向を変えて質問いたしますが、先般金丸大臣は民活に関する私的諮問機関をつくられましたね、民間活力活用推進懇談会。これも全く法律的根拠のない、しかもそんな中でこれをつくってこれから答申が出た場合でも、やっぱり公的な審議会であるならばその答申を尊重しなくちゃならない。ところが、私的諮問機関の答申というのは、そういう権威を持ってひとり歩きしてはいかぬというわけです。少なくとも法律事項じゃなくて、政令でもできるようになっているわけですから、そういうふうな意味では私はきちっとすべきじゃないか。しかも、金丸大臣のこの懇談会は二十名の委員とは別に、関係官庁の局長クラスの担当者がオブザーバーとして参加する、こうなってくると、まさにこれは八条機関そのものでありまして、これが八条機関でないなんという理屈は全くない。これは中曽根総理、やっぱり総理の姿勢がこれからつくる審議会のあり方に全部影響するわけです。私は、やるからには法律に基づいたきちっとした審議会をつくるべきである、こういう姿勢で申し上げているわけでありますが、総理並びに副総理の御答弁をお伺いしたい。
  185. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そのような私的懇談会をつくるということは、行政の独善を排しまして、広く国民の皆さんの御意見を聞き、行政の参考にする、独善を排するということも一つはありますが、知恵の足りないところを補っていただくという面もございます。そういうことで行われるんですから、当然これは参考にすべきことであり、また御意見を言われる場合には、文化と教育に関する懇談会の場合でも、あるいは今のような前川さんの委員会の場合でも、ほとんど私は出席いたしまして一人一人の意見をみんなよく聞いたところなのであります。そして、大方みんなこういう意見であった、しかしこういう意見もあったと、そういうような趣旨の最終報告、意見書というものが提出されまして、そういうものをいただいた以上は我々は読んでみて、参考になる部分があればこれは参考にさしていただきます、そのために懇談会をつくっているわけでありますから。ただ、法的位置というものは正規の八条機関とは違います。それは先ほども申し上げたとおり格も違うし、中身も違うし、扱いも違う。そういう扱いは十分しておるので、我々といたしましては行政を行うについて民間の意見を広くお聞きもし、知恵もつけていただくためにそういう意味で活用さしていただいている。金丸総理がおつくりになった懇談会も、そういう趣旨で民間からもお知恵を大いに輸入しよう、そういうことでおつくりになったんだと私は解釈いたしております。
  186. 金丸信

    国務大臣金丸信君) お答えいたします。  民活、内需拡大、こういうようなことでいろいろ国民の中に大きく叫ばれておるわけでありますが、まことに音ばかりで、声ばかりでなかなか弾が出てこないというのが現状の内需拡大、民活という問題であろうと私は思うわけであります。それはなぜかというと、いわゆるいろいろの縄張りもありますし、壁もある、あるいは法規の改正もやらなくちゃならぬ、税金の問題も何とかしなくちゃならぬ、あるいは融資の問題も何とかしなくちゃならぬ。いろいろ問題を打破していくためには、私はいわゆる官民の懇談会というものを開いて、十分に各省の縄張りあるいはいろいろのセクト主義というふうなものを打破するためにも必要じゃないかということで、先ほど来からお話にあるように、私は答申を求めておるわけじゃない、こういうように御理解をいただきたいわけでありますが、私の仕事は、運輸省とか建設省、通産省とか農水省あるいは大蔵省、お互いに縄張りがあるものですから、規制を緩和するとか法律をつくるとかという問題につきましてもいろいろ抵抗があるということは今までの経験から思うわけであります。そういう意味でこの懇談会をつくり、いろいろなものを、これから内需を拡大していくというような場合、金丸信はいわばつくっていくということでなくて、解体屋というのがあるじゃないですか、まさに金丸信が解体屋でつぶして、平らにして、その上に新たなものをつくるための基盤づくりの役、これが懇談会の私の仕事だと、このように承知して懇談会をつくったわけであります。
  187. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、それは答弁になっておりません。これは非常に私は大事な問題だと思いますので法制局長官に御答弁いただいておきたいと思います。  それは総理、民間の皆さんの御意見を聞くとか知恵を多く集めていろいろやるということは、これは大事なことです、やらなくちゃいけないでしょう。しかしながら、それはすべて法律に基づいて、あるいは政令によって、あるいはそのしかるべき懇談会の範囲内でやることでありまして、ところが、そういうところを逸脱して、今までの法制局長官の答弁でもこういうふうな報告書なりこういうのが出るのはもう明らかに八条機関のいわゆる審議会に当たる、だからそういうことはしちゃいかぬ、あくまでも一人一人の御意見を聞くにとどめるべきだ、そういうような答弁がいっぱいあるわけです。にもかかわらず、きょうは非常に短い時間の中でこんなにたくさん時間を使ってしまって、私あとの質問ができなくなりますのでこれ以上は質問はしませんが、いずれにしましてもそういう点については十分僕は配慮をして、法治国家として法の抜け道を探してやるというんじゃなしに、いいことだからやればいいだろうというんじゃなしに、いいことだろうと何だろうと、やっぱり悪いことは悪いんだから、法律に違反している点は違反しているんだから、そういう点は明確にして行政を進めていかなくちゃいけないんじゃないか、こう思います。そういうような意味で、これは法制局長官のしかとした答弁をお伺いしておきたい。
  188. 味村治

    政府委員(味村治君) 審議会を設置いたしますためには、国家行政組織法に基づきまして法律または政令によってつくらなければならないということは法律上当然のことでございます。  これに対しまして、私的諮問機関というものは、ただいままでいろいろ御議論がございましたように、個々個々の学識経験者から御意見をお伺いするというために行政上の必要からしてお聞きするということでございまして、これは合議体としての審議会ではございません。複数の学識経験者の方にお集まりいただいて、そこでいろいろ議論をするということはあり得るわけでございますが、それは個々の学識経験者の御意見をいわば深めるために行うということでございまして、合議体としての意見を形成するというために行うわけではございません。  したがいまして、個々の学識経験者の御意見が個々の私人としての御意見として発表されるということになるわけでございます。そういう意味で、従前の内閣法制局長官も私的諮問機関と審議会とは異なるということを申し上げていたわけでございまして、私的諮問機関につきまして、法律または政令に基づかなければならないということはないわけでございます。
  189. 峯山昭範

    峯山昭範君 長官、今前川報告書がありますね、あなたがおっしゃったように、私的諮問機関というのは私人としての意見が発表されるわけだと、これを見てくださいよ、これはどれがどの人の意見なんですか、これは合議体としての意見になっておるじゃありませんか。
  190. 味村治

    政府委員(味村治君) 個々のいわゆる私的懇談会の運営の仕方につきましては、私、しかと承知いたしておりません。ただ、審議会の場合には必ず審議会としての意見が統一した形で出されるわけでございますが、私的諮問機関の場合には、先ほど申し上げましたように個々の学識経験者の御意見が出されるということになるわけでございます。ただ、学識経験者がお集まりになりましていろいろ議論を重ねました結果、皆様方が一致した結論をお出しになるということもあり得るわけでございまして、そういう場合に一致した結論を、それぞれの名前をお出しになるかわりに、私的諮問機関の一員として、私的諮問機関の意見と申しますか、そういう形でお出しになるということもあり得るかと存じます。
  191. 峯山昭範

    峯山昭範君 長官、そういうふうに意見をまとめているわけです。私的諮問機関というのは意見をまとめてはいかぬことになっているんですよね。どうなんですか、これ。
  192. 味村治

    政府委員(味村治君) 先ほどから申し上げますように、審議会におきましては、それは審議会という合議体の意見、これを形成しなければならない、そういう務めがあるわけでございます。私的諮問機関においてはそのようなことはございません。しかし、いろいろな議論を私的諮問機関の学識経験者の相互の間でなさいまして、その結果意見が一致するということはあり得ないわけではございません。そういう場合に全体の意見としてお出しになるということはあり得ることであろうかと存じます。
  193. 峯山昭範

    峯山昭範君 委員長、私こんな答弁では納得できませんね。——総理ね、これはたまたま意見が全部一致したんですか、これは。
  194. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは皆さん方がそれぞれの問題についていろいろ議論を出して、そして皆さん方の意見が大体平行線でいった。その平行線が最終的には一致しておった、一致した部分をそういうふうに報告として出した、一致しない部分は出てない、一致した部分はこうでありましたと、そういう点で出てきているものだと思います。
  195. 峯山昭範

    峯山昭範君 一致した部分だけ出したと、どこに書いてあります。一致していない部分は書いてない、そんなことありませんよ総理。そんなでたらめな答弁は困りますね。
  196. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私はその朝食会で、随分回数やったんですけれども、それへ出て全部ほとんど聞きましたけれども、いろいろの議論をして発言したときにはまだなまはんかな知識で発言した人もあるわけです。やっているうちにだんだん固まってきて、そして大体この辺で皆同じような意見になった、そういう部分が非常に多い。実際私全部出たからそういうことがわかるのであります。初めからこういう点でまとめようとか、初めからこういうリポートを出そうとか、そういう意図でやったものでは全くございません。
  197. 峯山昭範

    峯山昭範君 私、大臣ね、とても納得できません。これは国家行政組織法に明らかに違反をしておるわけですから、今後こういう点については自粛をするあるいは改める、そういう姿勢でなければ私納得できませんね。
  198. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いわゆる前川委員会をつくりいろいろ議論をするときに、私その点峯山さんから前から随分いろいろ御注意を受けているものですから、それは注意したつもりです。ですからこれを閣議決定するとかあるいは談話に出すとか、そういう場合の扱いについては特にその扱いも注意してやったつもりであります。ですから、五月一日でありましたか、閣議決定した際には前川リポートという表現は出さない、そういう形にして党は党、あるいは内閣は内閣として独自の政策をこれを参考にしてつくると、そういう形を強く打ち出したのでございます。しかし、いろいろ御注意もございますから、以後大いに慎重にやりたいと思います。
  199. 峯山昭範

    峯山昭範君 まあ総理、これは議論しておると切りがありませんからこの程度でやめておきますが、総理はそういう点を談話の中でも注意したとおっしゃっておりますけれども、実際はもう「政府は、この報告を参考として」と、きちっと談話の中に入っておりますよ。これは本当に私はよくないことだと思います。この点は、きょうは時間がございませんので、この程度にしたいと思います。  それから続きまして、先般からいろいろと問題になっております函南発言についてお伺いをしたいと思います。  総理、きょうも午前中からこの席で随分総理の御答弁をお伺いいたしておりました。総理の答弁の中では、憲法上の人権に注意しつつとか、人権を守り自由社会を守るためとか、あるいは憲法上の基本的人権を尊重しとか、いろいろな答弁がたくさん出てまいりました。そこで、総理はかねがね人権感覚にすぐれた人である、こういうふうに承っておりますが、総理の基本的人権に対するお考えをお伺いしたいと思います。
  200. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 基本的人権に関する部分は我が憲法の最大重要眼目である。したがって各条章について細心の注意を持ってこれに従っていかなければならない、そう考えております。
  201. 峯山昭範

    峯山昭範君 そのとおりだと思いますね。  そこで、それでは総理、現憲法第十四条の「法の下の平等」という項目がございますが、これは文部大臣にお伺いした方がいいですかね。文部大臣、法のもとの平等というのがあるわけでございますが、第十四条の基本的な考え方ですね、大臣のお考えで結構ですからお伺いしたいと思います。
  202. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 法のもとでの平等ということは、やはり法を受ける立場から見た問題であろうと思うのでございまして、その意味においてまさに法のもとにおいて憲法は個人の平等を主張しておることであろうと思っております。
  203. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや大臣、もう少し詳しくおっしゃってもらいたいと、こういうふうに思っておったわけでございますが、憲法第十四条は、「法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」、こういうふうになっているわけでございますから、特に人種、性別という項目もあるわけでございますし、総理はこの点についてどういうふうにお考えですか。
  204. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その条章に完全に従って政治を行わなければならぬと思っております。
  205. 峯山昭範

    峯山昭範君 日ごろからこの点は注意しておられるわけですね。
  206. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 注意をしております。
  207. 峯山昭範

    峯山昭範君 その割にはぽろっとこの間の発言が出られたわけですが、ああいうふうなときにぽろっと出るというのは、日ごろやはり考え方の根幹にそういうふうな問題があるということではないかと私は思うんですが、総理どうですか。
  208. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) あの演説を全部お読みいただきますとわかると思うんですが、あのところの趣旨は、要するに日本は高密激動社会になって、アメリカの半分ぐらいの人口がカリフォルニア州一州に集まってアメリカの生産力の半分を生産しているという高密激動社会で、しかも非常に情報量の多い社会になった。こういう社会にあっては、政治はテンポとリズムで先手先手でいかないとフラストレーションを起こす。それは注意しないといけない。これがあのところの主題であったのでございます。
  209. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから、要するに我が国の高学歴社会とか、そういうものを説明せんがためによその国のことをぽろっと出した。そういうふうなところにその人の持っている日ごろの本音というのがあるのであって、だからそういう点で総理の人権問題に対する考え方、やはり私は日ごろからそういうところが頭にあるんじゃないか。午前中の質疑の中でも総理がマイノリティーグループという発言をされましたですね。これは、こういう発言そのものが、我が国でやるのはいいにしても、やはり諸外国の皆さんがそれを受け取った場合にどういうふうに受け取るかという問題とも関連が私はあると思うんですよ。ですからそういうふうな意味ではもう少し人権感覚というのをきちっとしていただかなくちゃいけないのじゃないかなということを感じているわけであります。  そこで総理、午前中にもこの参議院におきましても遺憾の意を表明されました。また、アメリカに対しましても陳謝のメッセージを送られましたが、あれはどういうふうな意味で陳謝の意を表明されたんですか。
  210. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) あの講演は、自民党の党員研修会、いわば限られた人たちの間で、それで自民党総裁という立場でやったもので、講演自体は私の個人的な見解で、国家を代表するものでも何でもありません。そういう意味におきましてあの不穏当な部分があったと、外国からもいろいろ問題を起こされて報道も入ってきました。そういう点も考えまして、私の個人的なメッセージ、パーソナルメッセージ、そう言っておりますが、それで、申しわけなかった、そういう意思表示をしたわけであります。これは日本国民を代表して総理大臣としてやっている、そういうことではございません。
  211. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 関連質疑を許します。中西珠子君。
  212. 中西珠子

    中西珠子君 ただいまの自民党の全国研修会における総理の御発言の中で、衆議院においても問題になりましたし、また参議院の本委員会におきましてもけさほど取り上げられましたいわゆる総理のネクタイ発言、これについてお伺いしたいと思いますが、総理はあれはユーモアを交えて言ったまでだとお逃げになったわけですが、これはユーモア発言ということでは済まされない、やはり女性に対する総理のべっ視の念が本音として出てきたのではないかと思われるような発言でありまして、女性としてこれは聞き逃すことができないのでございます。  アメリカにおきましても、マイノリティーに関する知的レベル発言と同じぐらいにこの女性のネクタイ発言というのが取り上げられておりまして、アメリカの女性の中では、どうして日本の女性がこの総理のネクタイ発言を怒らないのか、どうして腹を立てないのか、こういう発言はアメリカでは政治生命を失うぐらいの発言だと思うというコメントがいろいろな新聞に報道されているわけでございます。日本でも、婦人はこんなことは総理がおっしゃっても平気だと思って、全然怒らないでいるとお思いになったら大間違いでございます。例えば、日本の全国組織を持っている五十一の婦人団体から成ります国際婦人年の決議を実現する連絡会議というのがございます。この五十一婦人団体の代表がこの総理のネクタイ発言を大変問題視いたしまして、国会でぜひ取り上げてほしいという要望をされたわけでございます。たびたびもう取り上げられておりますけれども、どうも総理の御答弁が納得がいかないものですからもう一度お尋ねするわけでございますが、この五十一婦人団体は、総理のネクタイ発言は女性の政治意識と投票行動を非常に低く見ている女性べっ視の発言であると受けとめているわけでございます。  総理は、女性はネクタイは見て覚えているかもしれないけれども、総理の発言内容は覚えていないらしいとおっしゃいましたけれども、らしいというのは肯定でありまして、過半数ぐらいそういう女性がいないと、らしいとは言えないのではないでしょうか。総理は同%ぐらいそういう女性がいるとお考えでいらっしゃいましょうか、それがまず一点でございます。  次に、女性有権者は男性より二百七十四万人も数において多いわけでございます。また、投票率も男性よりは高いわけでございます。総理は、女性有権者はすぐれた審美眼を持っているから総理のネクタイや服装が女性の審美眼にアピールしたから投票したとお考えでいらっしゃいましょうか。  また総理は、女性は発言内容を覚えていないらしいとおっしゃっていますので、選挙中総理が公約なさいましたマル優を廃止しませんとか、大型間接税は導入いたしませんなどの公約については、男性有権者よりもずっと数の多い女性有権者は覚えていないだろうからもうそんなものは無視してよろしい、守らなくてもいいとお考えでいらっしゃいましょうか。このようなことをお伺いしたいわけでございますが、いかがですか。
  213. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は、この間の選挙におきましても、女性が非常に大事である、女性の投票の帰趨によって勝敗は決まる、そう考えまして、そういう点にも非常に配慮して演説もいたしております。NHKのテレビで党首の演説をお聞きになったと思います。おたくさまでは竹入委員長が演説なさいました。あのときも私は女性というものを非常に頭に置いて発言をした次第です。  例えば、まず第一に言ったことは平和や核軍縮の問題です。それは日本の女性、世界の女性が一番大事な問題だととらえている問題だからであります。まずそれから始まって、平和の問題からも始めたわけです。それで演説の冒頭は、予供たちが再び戦場に行ってはならない。国会へ来た場合に、よく玄関で降りると国会見学の子供たちが手を挙げて歓声を与げてくれる。あの子供たちを見るたびに、自分は再びこの子供たちを戦場に送ってはならぬのだ、お父さんもお母さんもいる、そういうことで演説は始まっておるんです。それをお考えいただきましても、お母さん方、女性、平和という問題が一番大事であるということはおわかりいただけるだろうと思うんです。  それから、いろいろなことを言いましたけれども、例えば税の問題でも、今度は、家庭におる主婦でアルバイトや何かやっていらっしゃらない、内助の功の減税もやります、所得税の減税、特別減税もやります、そういうことも申し上げました。あるいは子供の教育についても、これはお母さんと受験生のための改革をやる必要があるんだ、今までは文部省とか大学の教授を中心にした見方で教育改革をやった、これもある程度は考えられることでもあるけれども、今大事なのはお母さん方や受験生の立場に立った改革で、それで臨教審をつくってやっているんです、そういうことも申し上げまして、申し上げれば幾つもそういう問題があるので、これは女性が非常に大事で、選挙の勝敗を握っているのは女性だ、そういう意味で女性を尊敬してああいう発言をしたんだと。  それから私が内閣をつくってからお考えいただいてもわかりますように、第一、婦人大臣をこの間久しぶりに、そこに石本先生がいらっしゃいますけれども、ああいう立派な女性がおられるんですから、ぜひなっていただきたいと思って石本先生にお願いいたしましたし、あるいはあなた様からも随分質問をいただきました男女雇用平等法の問題、あるいは婦人差別撤廃条約に参加する、批准する。これもいろいろ問題がありましたが、長い間の懸案を解決もしたわけでございます。  そういうようなわけで、婦人の地位の向上という問題については、私は政治家の中でも一番苦労もし、また努力もしている人間であると思っています。本会議でも申し上げましたように、毛沢東は天の半分は婦人が支えていると言っていましたが、私は三分の二は婦人が支えているのではないかとすら思うくらいなのであります。
  214. 中西珠子

    中西珠子君 総理、ただいまいろいろ婦人のためにこのようなことをやってきているとおっしゃって、また非常に婦人を重視しているということをおっしゃいましたけれども、それならば、せっかく総理が選挙中もおっしゃってきた、婦人のためにしようとおっしゃってくだすった、そういったことを婦人は覚えていないのではないかという、覚えていないらしいという発言はお取り消しになった方がよろしいのではございませんか。せっかく総理がそれだけのことを婦人のためにしていらっしゃるならば、お取り消しになった方がよろしいのではこざいませんでしょうかということと、婦人問題企画推進本部長としての総理がやはり婦人問題の解決の最高責任者でいらっしゃるわけでございますね。それで、これからの婦人問題の解決への取り組みについてどのような基本姿勢をお持ちでいらっしゃいますか。もう、大臣ができたことは大変すばらしいことですが、ことしは女の大臣は一人もいないわけですね。それから大使が、女の大使が一人いるということはすばらしいことですけれども、毎年毎年ふえているパートで働く主婦の人たちのパート減税への要望とか、賃金、労働条件の改善への要望とか、また婦人問題は老人問題でもある、老人問題は婦人問題でもあると言われるほど、老人介護をやっているのはほとんど九割以上が婦人という状況もあり、また老女の自殺率は世界で最高という日本の状況の中で老人対策をどのようにやっていらっしゃるのか、そういった山積した婦人問題に対する基本姿勢というものをお伺いしたいと思います。
  215. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私はユーモアのつもりで申し上げたのでございますが、もしそれが誤解であって、あるいは私の本旨に反しまして婦人に対して失礼な言葉であったと言われれば、その部分は遺憾の意を表する次第でございます。
  216. 中西珠子

    中西珠子君 もう一つお答えが——婦人問題推進企画本部長の御意見、基本姿勢を伺います。
  217. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) パートの女性の皆様方とか、ともかくいろんな問題が続出してきております。そういう意味において婦人問題を解決するための推進本部長として、私、責任者でございますので、いろいろな御指摘の問題については積極的に前向きに取り組んで解決に前進していきたいと思います。
  218. 中西珠子

    中西珠子君 老人問題もですか。
  219. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) もちろん、介護の状態を見ますと、寝たきり老人とかそのほかの大体寝ていらっしゃる老人の看病の八十数%は女性ですね。しかも、お嫁さんの場合が非常に多いんです。そういうこともよく知っております。そういう意味において大変御苦労をいただいておるわけでございますから、我々としても最善を尽くしてまいりたいと思う次第です。
  220. 峯山昭範

    峯山昭範君 日銀総裁にお伺いをいたします。  今回の一連の国際会議で、ドル相場の大幅な下落を避けながら貿易不均衡を改善するためには、米国においては財政赤字削減に努力することはもちろんでありますが、我が国としても財政面とともに金融面からの積極策がとらるべきであるということで参加国間のコンセンサスが得られたというふうな見方もあるというふうな報道があるわけでありますが、この点について、日銀総裁として現場に行かれたわけでございますので、そこら辺の感触をお伺いしたいと思います。
  221. 澄田智

    参考人澄田智君) アメリカの財政赤字の削減、これは広く対外不均衡問題是正の一つの重要な柱として言われました。また、アメリカ以外の国、中でも国際収支や物価等の点において余裕のある国、日本とか西独などがその筆頭である、こういうふうな論旨で、そういう国々においては内需の拡大に努力をすることが必要である、こういう議論は非常に多く聞かれたところでございます。内需の拡大の手段といたしまして、財政だけでなくて金融ということも当然含まれている、こういうような諭旨もございました。
  222. 峯山昭範

    峯山昭範君 そこで、先日のIMF総会の際に、アメリカのボルカー議長と総裁が会談された際に日本の公定歩合の第四次引き下げを要請されたというふうな報道があるわけでありますが、その辺の事情を御説明願いたいと思います。
  223. 澄田智

    参考人澄田智君) 金融政策は各国がそのときどきの情勢に応じ、独自の立場、自主的な立場において機動的に決定すべきものである、こういうことは各国広くコンセンサスのあるところでございます。各国の中央銀行のこれはひとしく認めているところでございます。そういう意味合いにおきまして、ボルカー議長との会談の中で、日本の内需の拡大に対する要望というものは確かにございましたが、公定歩合の引き下げそのものに具体的に触れての話というようなところは私はなかった、こういうふうに思っております。
  224. 峯山昭範

    峯山昭範君 日本が公定歩合を引き下げなかったならば一層のドル安・円高がある、そういうふうなベーカー財務長官の発言があるわけでありますが、この点については総裁としてはどういうふうに判断をしておられますか。
  225. 澄田智

    参考人澄田智君) 正確に私は発言を聞いてのことではございませんが、ベーカー財務長官日本の内需拡大を求める発言というようなものの中にあるいはそういった趣旨ととられるような字句があったのではないか、こういうふうに思う次第でございます。
  226. 峯山昭範

    峯山昭範君 総裁、午前中の質疑の中でワシントンにおける記者会見の話がありました。あの中で、公定歩合を引き下げないという合意が日・西ドイツ間でできたのではないか、そういう質疑があっての発言だというふうに総裁おっしゃいましたが、これは日本とドイツの間ではどういうふうなお話が実際はあったんですか。または、そういうふうないわゆる合意ができたんじゃないかという雰囲気の話がマスコミの間でも広がっていたのかどうかですね、そういう点も含めましてお伺いしておきたいと思います。
  227. 澄田智

    参考人澄田智君) 各国の中央銀行の当局者の間で、事があるときには、あるいは電話等もございますが、殊にああいう会合等の機会に各国集まるというような場合にはいろいろと連絡を取り合う、お互いの情勢を連絡し合う、こういうことは常に行われるものでございます。私もその一環といたしましてボルカー議長あるいは今お話しの西独のペール総裁その他の国々の中央銀行総裁とも個別的に会談をいたしました。しかし、これはいわば中央銀行同士の、内輪同士の会談、連絡でございまして、そこで先ほども申し上げましたような金融政策の独自性というようなものと相反するような密約をするとか、そういうようなことは絶対行われないものでございます。また、その内容につきましては、これは各国間のそれぞれの事情の連絡というようなことで御承知おきいただきたい、かように思う次第でございます。
  228. 峯山昭範

    峯山昭範君 もう一点お伺いしておきたいと思います。  最近株価とかあるいは都市の地価の高騰というものが見られるわけでありますが、これは金融緩和の行き過ぎと言う方もいらっしゃるわけでございますが、現在の景気の状況に対しまして総裁としてはどういうふうに考えていらっしゃるかお伺いしておきたいと思います。
  229. 澄田智

    参考人澄田智君) 景気一般といたしましては、昨年来の円高によるデフレ効果が輸出関連産業を中心にあらわれてきている、円高によるメリットよりも先行してあらわれている、そうして景気全体として減速傾向にあるということにつきましては、私どもも全くそういう状況であるというふうに判断をいたしておるところでございます。しかし、一方で個人消費や住宅投資等は着実に増加を示しておりますし、これを受けて非製造業の業況も総じては順調に推移している。また、今後につきましては、円高や原油価格の低下のプラス面あるいはこれまで三次にわたって公定歩合を引き下げてまいりましたそういった金利低下の効果、あるいは政府がおとりになった総合経済対策の効果等も期待できるもの、かように思うわけでございます。もちろん今後の景気の状況については十分に予断なく注意をしていくことが必要であるとは思いますが、以上のような情勢から、当面景気がどんどん落ち込んでいくというような状況にあるとは考えておりません。  今また御指摘の株高でございますとか、あるいは不動産価格の上昇でございますとか、そういう面は、これは必ずしも金融緩和だけの影響であるとは思われませんが、しかしやはり金融が緩和し、金利が十分に下がっているという状態のもとにおいてそういう現象には注意深くあらねばならない、かように考えております。
  230. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは、次に円高差益の問題についてお伺いをしたいと思います。  特に最近、電力、ガス業界に対する円高差益を再還元してほしい、こういうふうな要望がいろいろな業界から出ているようでありますが、実情はどうでございますか。
  231. 田村元

    国務大臣田村元君) 御承知のように、今大変思惑的な為替レートの変動が見られます。また、原油価格がどういうところで安定するか、その動向もしばらく見なきゃならぬ。御承知のように、六月から電力、ガス、一兆一千二百億円の料金引き下げという還元をいたしております。でございますから、暫定的な還元をしながら、為替レートの安定度あるいは原油価格の安定度、もちろんその他のエネルギーの問題もありますが、それをしばらく横にらみをしたいというふうに思っております。
  232. 峯山昭範

    峯山昭範君 前回の一兆一千億の場合、その一兆一千億のときのレートはどういうふうな基準になっていたのか、それもちょっとお伺いしておきたいと思います。
  233. 田村元

    国務大臣田村元君) 私の申し上げる数字が間違っておりましたら政府委員から訂正をさせますが、たしか百七十八円、それから十九ドルであったと思います。
  234. 峯山昭範

    峯山昭範君 現状は大体どういうふうになっておりましょうか。
  235. 野々内隆

    政府委員(野々内隆君) 為替レートにつきましては御承知のような状態でございますが、石油につきましては最近かなり下がってまいりまして、国際相場でまいりますと、七月末で十ドル割れまでまいりましたが、OPECの暫定合意を受けましてまた回復いたしまして、大体今のところ十四ドルから十五ドルぐらいのところに入っております。入着価格で申しますと、九月の上旬が最安値でございまして、これが十ドル割れになりましたが、九月の中旬にこれがまた十一ドルまで戻っております。したがいまして、ちょっとOPECの様子を見ないと、今のところ予想がつきがたい状態かと思います。  他方、LNGにつきましては二十三ドルで計算いたしておりますが、六月ごろにやっと二十三ドルになりまして、今若干それよりも下回った状態になりつつあるという状態でございます。
  236. 峯山昭範

    峯山昭範君 まず、どういう業界から要望が最近出ておりますか。
  237. 野々内隆

    政府委員(野々内隆君) まだ全部整理いたしておりませんが、私の記憶いたします範囲では素材関係、化学とか非鉄金属というような素材関係から出ているというふうに理解いたしております。
  238. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは、私の手元には全部出ておりますが、まずいつごろ大体再引き下げ、円高差益還元について判断をされるのか、このいつごろというのはわかりますか、大体。
  239. 田村元

    国務大臣田村元君) 実はまだいつごろというふうなめどはつけておりません。ただ、先ほども申し上げましたように、為替レート、原油、LNGの価格等々、いましばらく見きわめたいというのが本当の気持ちでございまして、還元を否定するという趣旨で申し上げておるわけじゃありません。いましばらく見きわめたい、こういうことでございます。
  240. 峯山昭範

    峯山昭範君 今回の総合経済対策にこれを盛り込まれなかった理由はどういうことでございますか。
  241. 野々内隆

    政府委員(野々内隆君) 大臣が先ほど御答弁申し上げましたように、まだ六月実施から日が浅いことと、現状で先行きの見通しをつけることが難しいという事情で見送ったわけでございます。
  242. 峯山昭範

    峯山昭範君 設備投資に回してもらいたいというあれが総合経済対策の中に盛り込まれていますね。これは実情どうですか。
  243. 野々内隆

    政府委員(野々内隆君) 本年度当初予定されておりましたものにさらに一千億の設備投資の追加を要請をし、また来年度に予定されております投資予定から二千億を前倒しで発注をするという二点につきまして電力業界に要請をし、御協力いただいております。
  244. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは大臣、ことし一千億の追加、そして二千億の前倒しでありますが、実際問題としてそういうことはもう無理なんじゃないかというふうな話も聞いておりますが、どうですか。
  245. 田村元

    国務大臣田村元君) 御承知のように、四月に一千億、これは設備投資、それから六月に一兆一千二百億円の差益還元、それから今度また一千億、第二次の設備投資の追加、そして六十二年度の発注を二千億前倒しをするということで話し合いがついておりますが、これは十分可能というふうに考えておりますし、また今何としても内需の拡大ということにすべての業界が全面協力をしてもらわなきゃならぬわけでございますから、これは何としてもしてもらいたいと思っております。
  246. 峯山昭範

    峯山昭範君 この電力、ガス以外の産業の円高差益ですね、これは相当いろんな分野にまたがっているわけでありますが、昨年の九月から現在までの円高差益は、いろんな報道、計算の仕方があるわけでございましょうが、円高差益分だけで約九兆円、それから石油の差益は四兆円、合計で十三兆円という話があるわけでございますが、これだけの還元を全部いたしますと少なくともGNPの四%に当たると、こういうふうに言われているわけでありますが、電力産業以外の円高差益の還元という問題についてどういうふうに取り組んでおられるのか、それから、これからの方向もあわせましてお伺いしておきたいと思います。
  247. 田村元

    国務大臣田村元君) 円高差益の還元の対象品目が必ずしも通産省の所管のみでございませんから、全般を申し上げることはちょっと私としても不可能でありますが、例えば先般も有名な百貨店、スーパーの社長さん方にお越しを願い、そして円高差益の還元、また輸入の促進等をお願いいたしました。同時にまた、単に小売商いじめというのじゃなくて、小売商に対して輸入品をどういうふうにして買うか、どのようにして売るかというノーハウを教えてあげて、そして共存共栄を図ってもらいたいということも強く要請をいたしました。  一昨日でありましたか昨日でしたか、輸入月間というので、体裁の悪い話でありましたが、青山通りをオープンカーでチアガールと一緒に、何とかという美しい女性歌手と一緒に行進をしたりして必死になっておりますが、それからまた峯山さんお群しいことと思いますが、並行輸入の問題があります。並行輸入の問題も、これはもう輸入チャンネルの競争という点で十分円高差益の還元に役立ち得るものと。でありますから、我々は好意的な理解を示して、これを阻害するということについて十分に監視をしていきたいというふうに考えたり、その他いろいろ打つことのできるあらゆる手を今検討いたしておるというところでございます。
  248. 峯山昭範

    峯山昭範君 特に大臣からも今お話がございましたので、並行輸入の問題についても二、三お伺いしておきたいと思います。  特に最近、この並行輸入という問題が大きな問題になっておりますが、私は輸入総代理店制というのがやはり輸入雑貨の値下がりしない大きな理由ではないか、こういうふうに思っております。この問題について通産としてはどういうふうに調査をしておられるか、具体的にお伺いしたいと思います。
  249. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 輸入総代理店制度につきましては、まず制度から申し上げますと、国際的な取引契約、国際的な契約の中の一定のカテゴリーといたしまして、独占禁止法第六条の規定によりまして公正取引委員会に届け出をされることになっております。私どももそのデータはちょうだいしておりまして、実態をそれによって把握している状況でございます。
  250. 峯山昭範

    峯山昭範君 特に最近、自動車に関する並行輸入の問題が大きく新聞等でも報道されておりますが、この輸入総代理店の利益というものが相当大幅なものになっているのではないか。例えば、ベンツにいたしましても六百万円、七百万円したものが並行輸入では三百万円後半でやっていける、そういうふうな話がこの間の新聞報道やテレビでもやっておりました。そういうようなのを見ておりますと、もっともっと政府が手を打てるところがあるんじゃないか。しかも、実はそういうふうな報道が一遍行われますと、その報道に基づきまして輸入総代理店が今度は値段をぱっと下げる、そういうふうな効果も実際あらわれてきているわけであります。私の手元にも、ここに新聞の広告があるわけでありますが、一遍そういうような報道が行われますと、あらゆる新聞のこういう一面の広告を使いまして、結局輸入総代理店が値段がこれだけ下がりましたという広告をするわけです。この広告代だけでもこれは何千万円もするんだそうですね。それだけやっぱり輸入総代理店がもうけているわけです。そういう点を考えますと、やはり公取だけではなくて、通産としても物価を引き下げるための努力というものをあらゆる角度からすべきじゃないか、こういうふうに思いますが、この点お伺いしておきたいと思います。
  251. 田村元

    国務大臣田村元君) 先ほども申し上げましたように、私どもの仕事の大半といってもいい分野は円高差益の還元、内需の拡大であります。あらゆる角度からもうそれこそ、通産省の役人にはかわいそうなぐらいに思いますけれども、むちを当てて努力をさしておる、あらゆる作業をさしております。確かに作業をさせればいろいろとまた知恵も出てくるわけであります。もう既に先ほど申し上げたように着手しておる問題もございます。相当いろいろな手を打っております。なお広く委員各位からも御意見がございましたならば、改めていずれかの機会にまたお伺いもいたしたいと思いますが、とにかくやっておるということだけはどうぞ御理解を願いたいと思います。
  252. 峯山昭範

    峯山昭範君 この円高差益の還元とはまた多少違うかもしれませんが、非常に我々国民として納得のいかない問題、これは農林水産大臣にお伺いしたいと思いますが、農産物の価格、これは非常に私は不合理じゃないかなという点があるわけです。  特に米ですね。これは国際価格と比較いたしまして現在どういうふうな実情にあるのか、一遍ちょっと教えていただきたいと思います。
  253. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 米は我が国民の主食でございます。そしてまた、我が国の農業の根幹をなすものであり、三分の一農家総所得の中に占めておるわけでございます。昭和十七年以来、食管制度をつくりまして、消費者に対しましても安定的にこれを供給するという一つの大きな機能を持っております。あるときには国際価格と一対二ということになったときもあります。またあるときには、最近の円高問題が発生しますと相当内外格差が開いてきておる、そういう実情にあります。  ただ、米の国際価格との比較検討をいたします場合に、いろいろな数字のとり方があります。したがいまして、タイ米と日本の国産米との比較が一対九・何ぼあるいは一対十である。あるいはまた、アメリカのカリフォルニア米と日本の国産米との比較が一対五・四であるとかあるいはまた数字のとり方によっては一対七になるとか、いろいろなとり方もございます。そして、そういう中で日本人の好む米の国際比較ということになりますと、またいろいろその種類あるいは供給能力等によって違いがあるケースはあります。
  254. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、いろいろと比較の仕方もありましょうけれども、最近はタイ米とかカリフォルニア米というのは案外日本人の嗜好に合うようになっておりませんか。
  255. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 御飯にして食べる場合と握り飯にして食べる場合とそれからチャーハンに使う場合と、いろいろあります。そういう中で長粒種あるいは中粒種、短粒種という表現あるいはジャポニカタイプという表現とか、いろいろありまして、口の肥えた日本の方々に合う米というのは、種類はたくさんありますが、相当限られた、限定されたものになっております。
  256. 峯山昭範

    峯山昭範君 何か難しいですね、もう少し易しく言ってほしいんですけれども。実際問題としては、私の手元にありますあなたの省の資料によりますと、日本米とタイ米とは大体価格の面で十一・〇三倍、それからECと比較いたしまして四・六一倍、アメリカのカリフォルニア米と比較いたしまして五・八九倍、こういうふうになっておりまして、どちらかというと大変高い米を食べているというような感じがするわけです。こういう点はやっぱり非常に大事な問題でございますし、そのほか牛肉の問題とか麦価の問題があるわけでありますが、きょうはもう時間がございませんので。そういう点、農産物価格にも市場原理をある程度導入するとか、何らかの政策見直しをしなきゃいけないのじゃないかと思うんですが、どうですか。
  257. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 農産物の大部分のものにつきましては、峯山委員御存じのとおり既に自由化いたしております。したがいまして、ただ私たちが国政を預かる者として考えなくてはならないのは、昭和四十八年の狂乱物価あるいは昭和五十三年の第二次石油ショック、そういうときにおきまして国民の主食である米が十分にあるということで民生が安定し、今日の世界で一番早く安定経済成長に達し、雇用不安を解消したという問題があるわけでございます。そしてまた、ある面で申し上げますと、四方海に囲まれた我が日本として国民の食糧の自給率をいかにしてやっていくかという点も考慮しながら国際協力、国際協調の立場、そしてまた、安くておいしくてうまい食糧を国民に安定的に供給するという立場から今後検討を進めていかなくてはならないと考えております。
  258. 峯山昭範

    峯山昭範君 時間がなくなりましたので、あと端的にお伺いしたいと思います。  自衛隊機の事故が最近いろいろ多発をいたしておりますが、最近の自衛隊機の事故の状況、原因、概要についてお伺いをしたい。
  259. 依田智治

    政府委員(依田智治君) お答えいたします。  六月に入りまして新田原基地のF4ファントムが燃料切れで落ちる、また九月に入りましてT2の訓練機が落ちて民間人も負傷するというような事故が、また航空関連事故としましてミサイルの不時作動というようなことがございましたわけでございます。  事故全体の傾向としましては、自衛隊ができた当時、昭和三十年代は年平均二十五件ぐらいの事故が発生しておったわけでございますが、安全対策等をいろいろ講じた結果、四十年代に至りましては年平均十件程度、さらに五十年代に入りまして年七件程度ということで、特に最近はぐっと減りまして二、三件ということで、いよいよ自衛隊の安全対策も徹底してきたというやさきに、このところしばらくなかった民間人に対する被害を生ずるようなことになりまして、しかもこのところ立て続けに起きておるというような状況でまことに申しわけないと思っておる次第でございます。  そこで、それぞれの事故に対しましては、事故調査委員会を航空幕僚監部に設けまして、徹底した事故の調査を実施しております。既に、これまで発生した事故では、六月十六日のF4ファントムの燃料切れについては事故原因を究明しまして、結局操縦者の操縦ミスというか、燃料管理に対する判断ミスということで、今後こういう面に対する指導を特に徹底する必要がある、また地上等における支援という面にも十分検討する必要があるということで考えております。  また、T2につきましては、エンジン故障ということでございますが、現在エンジン等を分解して鋭意調査を進めておりますが、当面の対策としまして、全航空機の飛行を停止してエンジンその他の特別点検を実施し、新田原基地については、一カ月間飛行等を控えまして徹底した点検をやり、この間から地元の了解を得て再開をした次第でございます。  また、不時作動でございますが、これにつきましても、一カ月間鋭意調査委員会調査した結果、先般原因がまとまりまして、機体とか操作上にはミスはなかった、結局ランチャーとミサイルをつなぐアンビリカルというへその緒のようなところに加工上ふぐあいがあったということで、これに関連する安全対策を講じまして、現在、地元に御説明し、徐々に搭載を再開さしていただこうということで努力しておる次第でございます。  なお、これらの状況にございますので、防衛庁といたしましても、事務次官を長とする自衛隊航空関係事故防止対策委員会というもので全庁を挙げて取り組んで事故防止の徹底を期しているという状況でございます。  以上、御報告いたします。
  260. 峯山昭範

    峯山昭範君 損害額は、ことしに入ってからの分だけで結構ですが、どの程度になっていますか。
  261. 鎌田吉郎

    政府委員(鎌田吉郎君) ことしに入りまして失われました航空機の調達価額の合計でございますが、六機で大体百億円ということになっております。
  262. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは、CIを昭和四十七年に購入した分では二十五億円ですけれども、現在購入すれば四十七億円以上かかるでしょう。それからHSSが五十五年で二十二億円、それからF4は十七億円になっていますけれども、五十二年購入では三十二億円でしょう。T2も五十四年には十八億円ですけれども、六十年は二十四億円、こういうふうに見てまいりますと相当な金額になりますね。  私は、特にこれは総理も聞いていただきたいのでありますが、F4の墜落の事故、これは私はまことにけしからぬと思うんです。これは一機三十二億円、現在でいえば。三十八億円もありますね。ですから非常に高い航空機であります。その航空機が判断のミスから燃料切れで墜落したというんですね。一般の庶民は、高速道路を走っておりまして燃料切れで事故でも起こしたら、これはお巡りさんからこっぴどく搾られますよ。目はどこへついているのだ、メーターがちゃんとついておるじゃないか、こう言って怒られますね。その点からしますと、燃料切れで落ちましたなんていうのは、もうこんな恥ずかしいことはないと私は思うんです。  そういうような意味では、先ほどの局長の答弁も、昔は事故がたくさんあった、二十五件、二十六件いろいろあったけれども最近は少なくなってきたと、そういうふうな考え方自体にもやっぱりたるみがあるんじゃないかなと私は思うんです。そういうような意味ではそういうところは厳格にもう少しやるべきじゃないかと思うんですが、これは総理のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  263. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 自衛隊に関する事故が頻発しておりましてまことに遺憾でございます。こういう連続を絶ちまして、一日も早く信用を回復するように努力したいと思います。先ほどのF4の燃料切れの事故は、非常にお粗末な事故で初歩的なミスではないかと思っておりますが、こういう事態を再び繰り返さないように、平素の訓練そのほかにおきまして充実したことをやらしたいと考えておる次第でございます。
  264. 峯山昭範

    峯山昭範君 いよいよもう時間がなくなりましたので最後の質問になりますが、GNP一%枠の問題について、これは総理並びに防衛庁長官にお伺いをしたいのでありますが、防衛庁長官、一%枠の問題は非常に大事な問題である、しかも三木内閣の時代からまた十年ぐらいさかのぼることですね。二十年ぐらいGNP一%以内で防衛費が保たれてきた事実があるわけですね。そういうふうなことを踏まえて三木内閣の閣議決定もあったんだろうと思います。そういうふうな意味では、大綱の達成という問題とそれからこの一%枠という問題は、両輪のようにして非常に大事な問題だと私は思いますね。したがって、そういうふうな意味ではこれからの予算編成の上で非常に大事な問題だと思うんです。  そこで、これは防衛庁長官、補正も含めましてやはり一%の枠は堅持する、そういう方針であっていただきたいと思うし、そういうふうな決意がなければいけないなと。防衛庁長官の話、新聞に出ているのを見ておりますと、一%枠は程度であって、いつでも突破してもいいような感じの新聞の見出しにいつもなっているわけです。この点は私は大変遺憾じゃないかなと思います。総理、そういうような意味も含めまして一 %枠はやっぱり非常に大事にする、そういう決意であっていただきたいと思うんですが、いかがでございましょう。
  265. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 私は、先ほども申し上げましたとおり、総理も言っておられますが、三木内閣の防衛費に関するGNP一%の問題は守ってまいりたい、こういうふうに言っているわけです。ただ、いろいろと新聞紙上で言われておりますことは、御案内のとおり一%の問題と防衛計画大綱の問題、それからそれが軍事大国になるならぬという議論になりますから、一%も大事であるけれどもその中身も非常に大切な問題である、そこら辺については国民的に大いに議論を出していただきたい、こう言っているわけでございます。
  266. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 栗原長官と同じ考えでございますが、一%枠は守ってまいりたいと念願いたしております。
  267. 峯山昭範

    峯山昭範君 どうもありがとうございました。
  268. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 峯山昭範君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  269. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 次に、上田耕一郎君の質疑を行います。上田君。
  270. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 まず首相の政治姿勢の問題について、午前中からありました靖国、教科書、藤尾罷免、それから人種差別発言など国際的批判の広がる異常な事件が続出しています。首相の戦後政治総決算路線に根源があるように思う。戦後政治を総決算してなくしてしまって戦前が出てきたというのではないかと思うんです。  藤尾発言を支持する緊急集会が九月十二日に開かれて、そこでの同志会の平沼さんの報告によると、首相はこの方々にあなた方と本質的な考えは同じだと述べたというんですが、事実ですか。
  271. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は、私なりの愛国心を持っておる、そして国家のことも心配しておる。そういう愛国心や国家のことを心配しているというところにおいては同じである。がしかし、思想とか論理とかという面になると必ずしも一致しているものではない点もあると思います。
  272. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 九月十八日に吉岡議員の代表質問がありました。首相はそのときの答弁で去年の軽井沢セミナーの一節を読み上げられた。勝っても国家、負けても国家、栄光と汚辱を一緒に浴びるのが国民だ、つまり国家の汚辱を国民は浴びろというわけですよ。これは戦前型の国家主義だと思うんですね。こういう国家主義は第二次大戦で人類は乗り越えたはずなんです。首相は戦後政治の国際政治の原点をどうお考えになっておられますか。
  273. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国家というものに対する考え方でございますが、私は、日本のような場合は契約国家というような形のものではなくして、むしろ歴史的な自然的な共同社会、文化的な共同社会、そういうものであろう。そういう意味において連続性というものに非常に大きな特色を持っておる。その連続性という面から見まして、長い歴史というものを俯瞰して常に考える必要はある。したがって、勝っても負けても国家国家としてあるのである。その国家をみんなが大事にして、国際社会において名誉ある地位を占める国家にしていこうではないか、そういう趣旨のことを言っておるのであります。
  274. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 戦前の侵略戦争や暗黒政治とは連続しちゃいかぬのです。断絶しなければいかぬのです。ファシズムとも、あの戦前の国家主義、人類はあれは断絶したはずなんです。ところがあなたは連続性ということで戦前につなげようというところに、あたかもフランケンシュタインの復活のように醜悪な戦前型国家主義が今復活しつつあって、世界で珍しい後進政治が問題になっているんです。これはよく考えなければいかぬ。これを根こそぎにすることが私は今の国民的課題になっていることを指摘しておきたいと思うんです。先ほど私的諮問機関問題などがいろいろ問題になりました、しかも首相は大統領的手法でしょう。それで一層問題になっておるわけです。  そこで私は、第四次全国総合開発計画、四全総、これについてまた首相が国土庁長官を呼んで指示された。その指示の内容と、それからその真意をまずお聞きしたいと思うんです。
  275. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 四全総の構想を私聞きまして、どうもそれを聞いた範囲では役人の文章みたいな物の流れが多過ぎる、もう少し政治的発想というものを考えたらどうか。特に今大事なのは大都市問題だ。ジャパンプロブレムという言葉があるけれども、東京プロブレム、大阪プロブレム、こういうような大問題が出てきている。その一番急所は地価の局所的急上昇である。こういう問題にメスを入れないで全国の国土計画というものも完全なものとは言えない。新しく急激に出てきているそういう問題にも目を注いで、いわゆる大都市問題と言われている問題についてもう少し検討してほしいと、そういうことを言ったわけです。
  276. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ここに大きな新聞記事もありますけれども、やはりどうも今度の首相の指示で地方優先から大都市優先に、つまり新全総が三全総に変わって定住構想が定着したかと思ったのに、どうも新全総的四全総になりかねないということが広く危惧が出されている。国土庁長官、この大都市優先、地方軽視、これが非常に憂えられているんだけれども、担当者としてどうですか。
  277. 綿貫民輔

    国務大臣(綿貫民輔君) この四全総の策定に当たりまして、総理がこの秋ごろまでに策定をしたいという御発言をされたということを聞きまして、これは時期的に秋までにやるなきゃいかぬのでしょうか、もうちょっと練って、時間をかけていいんでしょうかという御相談に行ったわけでありまして、よく御相談をしたわけであります、指示ということではございません。  私ども国土庁は国土の均衡ある発展を図るというのが大きな目的でございます。四全総におきましても、大都市圏あるいは地方圏、それぞれ果たしていく役割があると思うわけでございまして、それらの均衡を図りながら四全総の策定に当たっていきたいというふうに今一生懸命検討しておるところでございます。
  278. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 先ほど峯山議員が問題にしましたけれども、また首相好みの人選で懇談会をつくったのじゃないですか。
  279. 綿貫民輔

    国務大臣(綿貫民輔君) 国土懇談会というのは私の懇談会でございまして、総理の好みによって選んだ人選ではございません。
  280. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 自治大臣、どうですか、この問題。
  281. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 自治省といたしましては、国土政策につきまして、国土の均衡ある発展を図るために人口、都市機能の分散を進めていくべきであると考えているところでございます。全国総合開発計画におきましては、大都市問題に適切に対応するとともに、引き続き各部市あるいは各地域の特性を生かしながらそれぞれの成長、発展を図るための分散政策を進めていくべきであろう、またそのように努力をしていきたいと考えているところでございます。
  282. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 首相指示は綿貫さんに、新聞報道だと二十一世紀に向けた青写真だと言われたというんですね。これはやっぱり東京を中心にする首都圏、ここで情報産業その他が集中して、産業と人口が集中する危険が極めて大きいと思うんですね。  建設大臣は東京駅再開発に非常に熱心だそうですけれども、今東京は地価暴騰で大変です、底地買いから何から。この間地価動向が発表されましたけれども、建設大臣、この四全総について、首都圏の環境、地価が大変なことにならないという保証はあなたはあると思っておられますか。
  283. 天野光晴

    国務大臣(天野光晴君) 東京駅の再開発問題は、ただいま起きている地価暴騰を抑えるという基本的な考え方であれは考えております。  私は、今の総合開発問題、均衡ある都市の発展を図るという法律は、私が私の意見、意思で出した法律でございます。しかし、出してから相当年月もたっております。その間、均衡ある地方と首都圏との何といいますか並行した開発に持っていくことができなくて、御承知のように東京では地価、坪一億数千万という数字も出てきておるやに聞いております。本来なら東京から人口を地方の方へ分散をするというのが基本的な考え方で国土利用計画法というものはつくったわけでありますが、なかなか国の施策がおくれていると申しましょう、正直言って。そういう観点で、現在東京周辺が非常な地価の暴騰を起こしまして、経済的に相当大きな問題になる懸念が出てまいりました。その解消の一つの方途として、東京駅再開発というものは私が今考えている問題でございまして、まだ正式に政府がやるという方針は決まっておりません。
  284. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は東京選出の議員なんですけれども、三多摩の残された緑、美しい環境が、こういう方向が進むと大変なことになる。三多摩の自治体は次々とハイテクプランみたいなものをつくり始めているんですね。大変です。  そこで、環境庁長官にお伺いしたいんだが、私は三多摩の破壊の突破口が圏央道による高尾山問題になると思って重大視しているんです。御存じのように、高尾山圏央道の環境アセスメント案が公表されて今住民が大反発している。環境庁長官、新任の長官としてこの問題をどう認識しておられますか。
  285. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) 首都圏中央連絡道路につきましては現在所要の環境アセスメント手続が行われております。当然ながら公害防止、環境破壊をしないように所要の手続を慎重にやらなきゃならないこととは当然なことだと考えております。
  286. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それだけですか。長官、どうですか。高尾山は国定公園なんですね。直接現地に行かれる御意思はございませんか。行って見ていただきたいと思うんですが。自分で答えなさいよ、そう聞かないで。高尾山に行ってくれるかと聞いているんだから。
  287. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) もう一度。高尾山の圏央道の視察ですか。
  288. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 高尾山の現地、裏高尾、そこに行って見る御意思はないか。
  289. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) 当然、許せば行って見る用意はあります。
  290. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 許せばといっても、これは首相の許可が要るというわけじゃないんでしょう。
  291. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) これは東京都の管理の問題ですから、よく都の方とも相談して私の意思で行きたいと思います。
  292. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 次に、三宅島の環境保護問題をお伺いしたいと思うんです。あそこはアカコッコ、イイジマムシクイ、カラスバトなど天然記念物を含む鳥が二百種以上います。それから地球で一番北にあるサンゴ礁があそこにあります。生きた博物館、生きた実験場と言われているんですけれども、ことにNLP、ミッドウェー艦載機の訓練場ができそうというので大問題になっている。日本生態学会、日本鳥学会も重視して中止要望の決議をしています。環境庁長官、この問題の認識。今度は国立公園ですよ。
  293. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) 環境庁は自然環境の保護が大前提であることは、もうこれは当然常識のことでございます。  三宅島は、御案内のとおり、富士箱根伊豆国立公園に指定されておりますから、仮に計画が具体化して環境庁に判断を求められるとなれば、国立公園の風致景観の保護及び鳥獣の保護の観点から適切に対処しなければならないことは、これはもう当たり前のことだと思います。
  294. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あそこは大路池、新澪池、これは特別保護区域です。特に飛行場は新澪池の付近にできる。今まで特別保護区域に構造物、建築物を許可した例がありますか。
  295. 古賀章介

    政府委員(古賀章介君) お答えをいたします。  特別保護地区は特に厳重に景観の維持を図る必要のある地区でございますので、工作物の設置は原則として禁止をされております。
  296. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あそこの火山もまた世界的にも珍しいところです。火山学会も非常に重視しているんですが、飛行機が飛んだりすると火山の観測ができなくなるだろうと言われておりますが、気象庁どうですか。
  297. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 三宅島について、御指摘のとおり、常時監視を気象庁が行っております。そして、施設が建設をされた場合に、確かに多少観測に影響が出る可能性もあると考えられておりますが、それに対する適切な方途を講ずれば現行の監視水準は維持できると思います。
  298. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 防衛施設庁は、このNLP建設で環境保護ができるという根拠をお持ちですか。
  299. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 三宅島に私どもは米軍の艦載機着陸訓練場兼民間空港をつくりたいということで今努力をしているところでございますが、その三宅島に今予定しておりますところは——地図をちょっと持ってまいります。(地図を示す)このような島のここの部分でございます。全体の大きさは、これは五万分の一になっておりますが、この滑走路の部分は着陸帯で、この程度の部分でございまして、今先生がおっしゃいました大路池というのはこの辺でございます。かなり離れております。大路池の辺には手がつかないと思います。それから新澪池というのが出てまいりましたが、これは確かに噴火前までは他があったのでございますが、先生御承知のように、上田先生は何遍も島へ行っていらっしゃいますからよく御承知と思いますが、今はもう他がなくなって、水がなくなっております。でございますので、それだからいいというわけではございませんけれども、私どもこの地域につくる場合におきましては、いろいろ御指摘のあります環境問題につきまして、それぞれの担当の関係部局とよく相談をいたしまして、細心の注意を払ってまいりたいと思っております。
  300. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 専門家はこの三宅に飛行場をつくるのは尾瀬に軍用道路をつくるみたいなものだと言っている。三宅にジャック・モイヤーさんというアメリカの専門家がお住みですけれども、彼は三宅はガラパゴス島だと、そう言っているんですよ。  首相にお伺いしたいんですが、日本野鳥の会の呼びかけで国際的な自然保護団体御三家が三つとも三宅島に反対しまして、例のイギリスのエジンバラ公、フィリップ殿下が五月の末に首相に対して中止要請の手紙を送られた。どうお考えですか。返事は書かれましたか。
  301. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 手紙はいただいて、私も読みました。返事も出したと思います。返事の内容は、これは年じゅう使っている空港ではない、夜間発着訓練で年に何回か使うぐらいのものであって、そしてしかも大体夜間を中心にする、したがって鳥の生態やあるいは海の状態の保存等については十分注意をしてやる、それほど心配のことは起こらないと思うと、そういう趣旨のことを書いて送ったという記憶があります。
  302. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 首相も一度三宅島に行ってもらいたいし、村上議員が先ほど、北海道の自然保護問題をおやりになったけれども、自然保護の見地から三宅のNLPをつくるというのをやめていただきたい。村民の意思はこの間の補欠選挙でもう明らかであります。  次に、今国会の最大の問題である国鉄問題に移りたいと思います。  三十七兆三千億円、これは五割水増しのものですけれども、長期債務が二十五兆四千億という莫大なものなんですね。これについて、きのうのNHKの討論会でも、三塚前運輸相はこれは借金で設備投資をやらせた政府の責任であることを認めました。それから磯崎元国鉄総裁も、これは政府がやるべきことをやらなかったからだということを指摘しております。この赤字問題について、首相、自民党政治、政府の責任はどうお考えになっておられますか。
  303. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国鉄の問題には長い経緯がございます。たしか、オリンピックの年までは赤字はなかった、昭和三十九年から赤字が発生し始めたというように記憶しております。その後、いろいろ各党の御協力もいただいたりして努力をいたしました。しかし、結論は急激なモータリゼーションに追いつけない体制がやっぱり公社制度の中にもあった。これは労使関係にも出てきたし、経営が民間にどうしても太刀打ちできないという弱点も持っておった、そういう面もございましょう。そういうようないろいろな複合的な結果、何回か改革案をやろうと思ったけれども、しかしそれも挫折をして、ついに今回の大改革に至らざるを得なかった、こういう経緯でありまして、甚だ残念であります。
  304. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 最大の責任は田中内閣の日本列島改造論にあります。この本でも明らかに書いてありますけれども、日本はこれから毎年一〇%成長が可能だ、十五年でGNPは四倍になる、鉄道の貨物輸送四・六倍と書いてあるんですよ。それで、有名な話だけれども、十年間三兆七千億の国鉄の長期投資を何と三倍、十兆五千億にしちゃったんですよ。それで新幹線九千キロに取りかかったわけですね。  宮澤さん、あなたは国際政治、国際経済にお詳しいんだが、七一年がニクソン・ショックでしょう。七二年日本列島改造論、七三年石油ショックだ。当時世界の政権で超高度成長、一〇%成長が十五年も続くなんと言った政権がありますか、田中内閣以外に。
  305. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) どうも寡聞にして存じません。
  306. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 寡聞でなくてもないですよ。歴史的な大失政なんですね。その田中角榮元首相のめちゃくちゃな大失政を国鉄にかぶせたんだから、それが大赤字の根源なんだ。三塚さんも、田中角榮元首相の名前を挙げていないけれども、はっきり書いてある。磯崎さんは、田中さんを褒めながらも国の責任だと言っているんです。これがこの国鉄問題の原点なんだ。  さて、今度は運輸大臣、この大赤字をあなた方はいろいろ計算して十六兆七千億の国民負担だと。清算事業団に移してどうするんですか。
  307. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員いろいろお述べになりましたけれども、私どもとしては、去る一月二十八日の閣議決定において明らかにいたしましたとおり、最終的に残る長期債務等については、用地売却の上乗せ等により、その額を極力圧縮することと考えております。
  308. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 圧縮しても大変ですよ。用地売却は国会答弁じゃ十年かかるというんだから、十年間、どんどんどんどんかかる。どうなりますか。増税か鉄道債など債券か、あるいは歳出削減か、三つぐらいしか方法はないでしょう。どうですか、運輸大臣
  309. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 監理委員会の、当時約二千六百ヘクタールの売却対象用地があると言われておりました。現在国鉄当局の精査の中で、三千三百ヘクタールと数字が上乗せをされております。そうした一切の資産売却等の終了しました段階において一体どの程度の最終の債務が残るのか。また、これから先約六万一千の職員の方々に他に職を求めていただかなければならぬわけでありますけれども、これらの雇用対策等に必要な経費、その他もありますので、こうしたものの見通しのおおよそついた段階で歳入歳出の全般的な見直しとあわせて検討、決定することとしております。
  310. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大蔵大臣、増税か、鉄道債か、歳出削減か、それが全部できなければ全額借りかえ以外にないでしょう、どうですか。
  311. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいま運輸大臣がお答えになられましたように、いろいろな要素がございますので、最終的にどのぐらいのものになるのかということを、やはりかなり時間をかけてみませんと判断が立ちにくいことであろうと思います。
  312. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これが八つの法案ですけれども、この中には清算事業団法三十一条に償還基本方針を政府は定めるとか、三十五条に予算の範囲内で補助金その他、それしか書いてない。国民に十六兆七千億をかぶせるんですよ。それで全額借りかえでやっておけば、村上代表質問でもやったけれども、十年間に二十六兆円にもなりかねないんですよ。そういうことで、今大蔵大臣が言ったように、どうするかまだ時間をかけなきゃわからないという、それだけの負担を国民に浴びせる国鉄分割・民営化、何のための分割・民営化ですか。私はこれは欠陥法案だと思う。出し直しが必要だ。どうです首相、何かやれると言えますか。
  313. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) お答えを補足いたしますけれども、かなり先になりませんと最終的にどのぐらいの負担が生じるか、あるいは生じないかわからないということを申し上げましたが、その負担は実はこれから生じるのではなくて、今既に相当大きな国民負担が生じておるわけであります。それをこれ以上どうやって悪くしないで済ますかというのが御審議をお願いしようとしております国鉄再建案でございますから、再建案を、しなければ事は済んでしまうというようなわけではございません。
  314. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ことしの予算で三千七百億ですよ。これをやりますともっと物すごい負担になりかねないんで、私はこれは欠陥法案だと、出し直しですよ、こんなものをよく出したと、驚くべきことだと思います。  これは特別委員会でもっと追及しますけれども、そのために泣くのがまず国民と国鉄労働者。余剰人員九万三千人にした計算の根拠、運輸大臣述べてください。
  315. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 国鉄再建監理委員会の御意見によりますと、新事業体における適正要員規模は、私鉄並みの生産性を前提に推計すれば約十八万三千人とされております。一方、六十二年度当初における国鉄の在籍職員数が約二十七万六千人と推計されておりますので、両者の差の九万三千人が、私はどうも余剰人員という言葉は本当にいやなんですが、余剰人員と言われております。  しかし、国鉄における合理化の進捗状況、さらに新たに職を探していただかなければならない方の人数が非常に膨大であることにかんがみまして、経営の過重負担とならない限度として、その方々のうち約三万二千名を旅客会社に移籍をしていただくことといたしております。ですから、結果として再就職のお世話を私どもが一生懸命にやらなければならない職員数は六万一千であります。
  316. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私鉄並みの生産性を前提に計算して九万三千人の余剰人員と。共産党以外の政党は全部民営化、私鉄並みに賛成のようですけれども、実はもうけ本位の大手私鉄並みにするということそのものが、この大枠が大問題なんです。これが間違っているんです。  きょう私は全部やりませんので、矛盾の集中点が安全問題なので、安全問題をお聞きしたい。安全対策も私鉄並みが基準ですか、運輸大臣
  317. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 現在手元に資料を持っておりませんが、たしか私は民間鉄道と国有鉄道を対比した場合、事故の件数等は民間鉄道の方が少なかったように記憶をいたしております。
  318. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いやそうじゃなくて、この答申に書いてあるんですよ、安全対策も私鉄の制度に準じてやると。それであなたの答弁が今あるんだが、しかし安全対策も私鉄並みというと、例えば東京の国電を考えてごらんなさい。日本一込んでいる山手線、中央線、東京の国電と、山手線に郊外から真っすぐお客さんを運ぶだけという私鉄とは根本的に違うんですよ、安全対策の点で。例えば池袋の国電は、ラッシュ時ホームは五十人使っている。西武は十名ですよ。五倍いるんです、国鉄の駅というのは。列車の長さも大きさも違うんです。  そこで、どうも私鉄並みの考えのようだが、ことしの三月、ホーム要員の削減を国電はやったようですが、その状況を説明してください。
  319. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) ことしの三月にダイヤ改正に伴う合理化を実施しております。この合理化の結果、営業、運転系統、この両方で約一万五千名程度の人数の削減を実施したわけでございますが、それに含まれておりますホーム要員、これは東京の関係を申し上げますが、全国では約七百名、東京が三局で約三百名というようなホーム要員の合理化を実施しております。
  320. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ここに私、国電の地図を持ってきた。ここで、ホーム要員が削減されましてラッシュ時以外はいなくなった駅を赤くしてあるんです。山手線は西日暮里と鶯谷がラッシュ時以外はホーム要員がいないんです。中央線は三十二駅ありますが、このうち十九駅、四ツ谷とか荻窪とか吉祥寺とか国分寺とか、こういうところがラッシュ時以外はホーム要員がいなくなっちゃった。これは大変なんですね。この要員をなくしたところでは安全確認をどうやっていますか。
  321. 須田寛

    説明員(須田寛君) お答え申し上げます。  今、先生の御指摘がございましたホーム要員をなくしましたところにつきましては、駅のホームの事情等の要素を勘案いたしておりますけれども、工業用テレビを設置いたしまして、車掌がホームの見通しの悪いところをテレビで確認するということをやっております。それから同時に、列車がホームに近づきました際に、案内放送によりまして接近をお客様にお知らせして注意をしていただく。そういったようなことを物的な面でカバーいたしておりまして、安全の確保を期待しておるところでございます。
  322. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 山手線内回りで、これまで緊急ブレーキ一年間の回数、その中で駅ホーム要員の合図によって行ったパーセンテージ、答えてください。
  323. 須田寛

    説明員(須田寛君) 昭和五十九年度の数値でございますけれども、山手線の内回りで緊急停止件数、つまり車掌が車掌弁を引きました回数は百五十二件、私どもの方の車掌区に正規に報告されている数字でございますが、このうち車掌みずからが危険を発見いたしまして引きましたものが九十八件、六四%でございます。駅の職員の合図を受けまして車掌が取り扱いましたものが五十四件、三六%、こういった数字になっております。
  324. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 約四割です。別の年では五六%という数字もある。ホーム要員が発見してそれでブレーキを引いた回数が四割から六割あるんです。それがいなくなっちゃう。大変ですよ。  私これも持ってきたのは、これは飯田橋分会が十年間とった統計で、事故が一体何時に起きるか。夜中の十時が一番多いんです。まあ酔う人が多いんでしょうな。次が十二時。ラッシュ時というのは少ないんですよ。ラッシュ時だけつけたってこれは駅の事故は防げないんです。  それで、御存じですか。中央線の列車というのは二百メートルあるんですよ、十両、ドアが四十ある。これを車掌さんがテレビで見ているんですよ、一番端で。大変ですよ。私は車掌さんに聞きました。死角があり逆光がある。それから夕方は見えない。しかもドアの開閉ランプというのは赤でしょう。赤は消えるんです。白黒テレビだから見えないというんですよ。本当に怖い、勘でやっているんだ、怖くてしようがないというんです。どうです、国鉄、この状況を放置していいんですか。人身事故の件数、全国並びに中央線で言ってください。
  325. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 私ども合理化の徹底をどうしてもしなきゃならない。その場合に、一般論でございますが、安全問題はもう何よりも重要な事項でございます。あらゆる面で安全に支障のないように一生懸命努力をしているところでございます。  駅の業務の合理化、これもやっていかなければなりません。諸般の準備を整えながらホーム要員の削減というようなことで努力をいたしております。そうしたことによりお客さんに安全上の問題が起こらぬということを私ども確信を持っておるわけでございますが、数字的にも過去統計をとっております。全体の事故件数はむしろ減っておる、横ばいというような感じでございますが、そうしたことのないようにこれからも一生懸命やっていきたいというふうに思います。
  326. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ちょっと数字を言ってください。
  327. 須田寛

    説明員(須田寛君) 全国の数字と東京付近の主な線区で申し上げますが、全国の駅構内におきますお客様の負傷なされました事故の件数、昭和五十九年度が千六百五件、昭和六十年度が千五百五十七件でございます。なお六十一年度、これは四月から八月までの統計でございますが、六百四十二件でございますので、傾向としてはむしろ微減傾向にあろうかと存じます。  それから次に、東京付近の国電でございますが、まず中央線の東京—八王子間で申し上げますと、これは六十年度それから六十一年度、いずれも四月から八月までの統計で申し上げますが、六十年度が二十三件でございます。それから六十一生度は三十八件ということでこの区間はややふえておりますが、これはホーム、コンコースでのお客様が転倒された事故で、そういったものが日常にふえておるということが一つの原因でございます。  なお、山手線は同期間三十八件が三十件と逆に八件減っている、こういったような数字が出ております。
  328. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 時間がないので詰めませんけれども、全国の人身傷害、私が国鉄からもらった数字では去年九十四件、六十一年度百二十八件、三六%ふえている。それから中央線はこのホーム要員削減の矛盾の集中点なんです、全国の中でもね。三十二のうち十九駅、人がラッシュ時以外いなくなっちゃう。今も言いました。二十三件、去年の四月から八月、ことしは三十八件、六五%ふえているんですよ、人身事故が。偶然じゃないです。このうち死者はありませんか。
  329. 須田寛

    説明員(須田寛君) この期間中、昨年度は亡くなりました方がお一人ございます。本年度は、私どもの方の統計ではその事故の現場で亡くなった方だけを挙げておりますので、その場合はゼロでございますが、阿佐ケ谷駅でおけがをされた方が後ほど亡くなっておられますのでそれを検討いたしますと本年も一件と、こういうふうに聞いております。
  330. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いじめ問題は、中野の富士見中学の鹿川君の自殺が大問題になったあれがきっかけですね。今度も中央線でこの阿佐ケ谷の事故一週間後に亡くなられた。これはホーム要員削減が命にかかわるということを示した非常な事故です。そのほかにも、子供たちが駅から落ちて乗客が発見してようやく助かったというのが、私の知っているだけで中央線で三月からもう七件起きているんだから。阿佐ケ谷事故の詳細を言ってください。
  331. 須田寛

    説明員(須田寛君) この事故は、今年の七月二十八日の月曜日の朝の九時三十三分に阿佐ケ谷駅の快速線の下り線で起こった事故でございます。列車がドアを閉めまして発車をいたそうとしました際に、車掌が前方を監視いたしておりましたらば、ちょうど前の方の人影を発見いたしまして、たまたま上り電車の車掌もこれを発見して合図をいたしましたので緊急停止をいたしましたけれども、お客様がホームから線路へ落ちられましてすぐレスキュー隊の救助を得まして病院にお運びした、こういうケースでございます。警察のお調べを承りますと、若干お酒を召し上がっておったというふうに伺っておりますが、いずれにしても非常に残念な事故でございました。
  332. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これはホーム要員がいたら助かったんです。私は両親に会った。竹内守さんといいまして二十五歳の青年でした。両親は、酒は飲まなかった、そう言っているんです。御両親は、一週間後に亡くなったのに国鉄からはその後どうなったかという電話一本来ないと。これはもう大変ですよ。九万一千人これから人員がいなくなったらもっともっと大変なことになる。  私は、運輸大臣それから首相に、こういう状況をよくお調べになって、中央線を初め命の安全を守るために、要員の復活ですね、これはぜひ取り上げてほしいと思いますが、運輸大臣、首相、いかがでしょうか。
  333. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今のお話を伺っておりますと、コンコース等の転倒事故等も混線して数字を挙げられたように聞きました。しかし、いずれにしても安全は大切でありますから、その安全が守られる要員で実施をする、十分でき得ると思っております。
  334. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 運輸大臣と同じです。
  335. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 その程度の姿勢だから、これは大問題。
  336. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 関連質疑を許します。内藤功君。
  337. 内藤功

    内藤功君 今の安全問題に関連をいたしまして、国鉄の土地の問題についてお聞きしたいと思うんです。  まず、国鉄から民営の旅客鉄道会社にいわゆる事業用資産を引き継ぐときに、時価評価でなくて帳簿の価格を基準として引き継ぐ、非常にこれは納得できない問題なんですが、これはどういう理由でございますか。
  338. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 新会社に引き継ぎます事業用の資産は、会社の健全な経営の基盤を確立させるために与えるものでありまして、これが売却とか等々の対象の用地ではございませんので、帳簿価格で引き継ぐことといたしております。本来、あくまでもこれらの資産は保有して事業の用に供するものでありまして、売却または別の目的に利用するものではございません。
  339. 内藤功

    内藤功君 それでは聞きますが、東日本旅客鉄道会社に引き継がれる予定の東京駅の構内用地の面積、それから帳簿価格は幾らになっておりますか。
  340. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 六十年度末現在におきます東京駅の敷地面積は二十二・七ヘクタール、六万九千坪、簿価は五億六千万円と聞いております。
  341. 内藤功

    内藤功君 何とこれは坪当たりで計算しますと八千二百円ですね。驚くべき話であります。  もう一つお聞きいたしますが、東京山手線の用地の面積、帳簿価格は幾らになりますか。
  342. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) お答えいたします。  山手線の全体の数字が、線の区分によりましてちょっとはっきりいたしませんが、現在試算をいたしております数字でいきますと、山手線の全体の面積、九十八万四千平米、それの簿価が四十七億九千万円、こういう数字になっております。
  343. 内藤功

    内藤功君 これも坪数で計算してみますと、三・三平方メートル、坪当たり一万六千四百円、こういうのが簿価でございます。  次に、この帳簿価格は昭和三十一年の価格ですか、何年の価格と承っていいですか。
  344. 前田嘉代治

    説明員前田嘉代治君) 国鉄では資産の再評価をいたしまして、昭和三十年に評価いたしておりますので、それ以前に取得しましたものは三十年の価格になっておりますし、恐らくそれ以後は取得してないかと思いますが、三十年価格が大宗でございます。
  345. 内藤功

    内藤功君 驚くべき話です。三十一年前の価格であります。  次に、事業の継続云々と大臣は言われましたが、民間会社で債務が超過して、仕事を続けさせてやりたい、しかし大変だというときには、会社更生というのをやるんですよ。この会社更生法の手続では、資産全部について帳簿価格に関係なしに鑑定人を使って極めて綿密、慎重な法的手続をやって時価を評定することになっている、私はそう理解をしているんですが、法務省の民事局長、どうですか実務の扱いは。
  346. 千種秀夫

    政府委員(千種秀夫君) ただいま御指摘のとおり、会社更生法には、管財人は、更生手続開始後遅滞なく資産を評定するということは規定してございます。ただ、その評定につきましては、同じ条文でございますが、会社が事業を継続することを前提として評価しろということになっておりますので、この評価につきましては処分価額ではございませんで、いろいろな要素を勘案して評価するということになっております。
  347. 内藤功

    内藤功君 帳簿価格に拘泥しないで時価を算定する、こういうのはもう常識であります。帳簿価格でもし財産目録を裁判所の窓口に持っていったら、もうそこで、こんなものといって突っ返されるんですよ。これはもう常識であります。  国鉄の場合になぜこのような会社更生手続に見るような時価評定の方式をとらなかったのかと、私は不思議でなりません。特に、昭和三十年の簿価になぜ固執するのか、これは全く不思議でなりません。私、いろんなところで公認会計士、弁護士の万々に聞きましたが、常識に反するんですね。なぜこれをとらなかったかとお伺いしたい。
  348. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 御質問でありますが、私ども、公社という一つの形態から新たな民営に移行していこうとする過程を会社更生法と同等にはとらえておりません。
  349. 内藤功

    内藤功君 亀井監理委員長は前に、会社更生の手続に準ずるということをお話しになったことがありますよ。  時間が来ましたので、私は最後に、東京駅周辺は時価三・三平米当たり約一億円、あるいはそれ以上と言われております。みんな頭へきております。新会社が坪当たりで八千二百円で引き継ぐのはただ同然じゃないか、こういう批判、疑問にどうお答えになりますか。
  350. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 東京駅は、新たな民間企業となりました会社におきましても駅として国民が利用する場であります。その土地を売り飛ばして赤字を埋めようという対象ではございません。
  351. 内藤功

    内藤功君 この際、国鉄の全資産の内容と価格、特に土地についてはその帳簿価格、時価を具体的に公表することを強く要求しまして、関連質問を終わります。
  352. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今、内藤さんと二人で問題の一端を質問しましたけれども、特別委員会が衆参両院で始まりますので、我々徹底的に追及したい。これは、分割・民営化というのは国民の共有財産を解体して財界に売り渡そうというとんでもないものです。  山手線、五百億円一年にもうかるんですよ。それを時価で、もらって五年たてば土地は売れるんですよ。五年たたなくても空中権を利用してビルをどんどん建てる。東京駅だってもう設計図さえ発表されている。そういう莫大なもうけを財界に売り渡そうというもので、私は、この八法案を撤回して真の国鉄再建の道を国民合意のもとで新しく探求すべきときだということを指摘して、次の質問に移ります。  次は、安保問題なんですが、私、ことしの通常国会でアメリカの海軍の海洋戦略問題をやりました。その後六月に、アメリカ国務省のソロモン局長極東第二戦線論を発表して大きな反響を呼びました。  外務省、その中身と日本に対する影響をどう見ていますか。
  353. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) お答え申し上げます。  御指摘のソロモン国務省政策企画局長講演とは、ことしの六月十七日にアメリカ海軍大学校で行った講演と思いますが、この講演におきましてソロモン政策企画局長は、ソ連は伝統的に欧州中央部を最重視している。しかし、近年、ソ連のアジア・太平洋地域への関心、関与が非常に高まっている。そういう事実を踏まえて、アメリカとしても汎世界的なコンテクストで同地域、アジアでの抑止力の強化を図っていく重要性を論じている。その中で、いわゆる第二戦線論と言われておるわけでございますけれども、触れておりますことは、ソ連の軍事力増強について論ずる中で、ソ連は往々にして西欧に対する迅速なる攻撃、こういうことを最も好むシナリオとして伝統的に持ってきておるけれども、ソ連が仮に西欧を攻撃した場合に、それはアメリカを巻き込むものであるし、断固たる長期にわたる抵抗に遭遇するということを示す必要がある。したがって、アジアにおいても第二戦線を開くという用意がなければならない、こういうことを述べております。  それで、御質問の第二の点の、その影響でございますけれども、この講演は、いわゆるワトキンス前海軍作戦部長等の議会における証言等と考え方を一にしておりますけれども、これはあくまでアメリカのアジアを重視しておるという姿勢、それから最悪の場合にはアジアに第二戦線を開く用意があるということ、これを示すようにアジアにおける米軍のプレゼンスを強化していく。それはもちろんソ連のこの地域に対するプレゼンスの強化に対応するものでございますけれども、そういうことによって、ヨーロッパを初めとし、世界における紛争を未然に防止しようという抑止の理論に基づいているものでございまして、その限りにおいて、その抑止の理論ということにおいて全く従来のアメリカの政策と基本的に変わるものではない、こういうふうに考えます。
  354. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大変認識不足かあるいはごまかしです。三年前の新しい戦略だということをワトキンス論文その他レーマン論文、はっきり書いてある。極東第二戦線論というのは、ヨーロッパで戦争が始まったら、日本はどこからも攻められていないのに、極東でアメリカが戦って、自衛隊、同盟国の軍隊——日本のことですよ、一緒に戦うというんです。大変じゃありませんか。ワトキンス論文は、抑止力が破れることがあるんだとはっきり書いてあるんです。抑止力、それだけ強調しましたが、極めて一面的である。  首相、どうですか。この安保体制のもとで、アメリカの海洋戦略、極東第二戦線論で、日本がアメリカの戦争に巻き込まれる危険がますます大きくなっている。あなたの責任は非常に大きいと思いますが、どう感じておりますか。
  355. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本の自衛隊は、安保条約がありましても、日本本土が攻撃され、侵略されるという事態以外には動かない、そういうことでちゃんとしっかりしております。
  356. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そういうことを言っても、アメリカはこういう戦略を公表して、そのアメリカとの間で共同作戦計画を既に一つつくって、またことし一つ調印しようとしているじゃありませんか。ソロモン論文は、そのいわゆる抑止力、攻撃力として、アジアにおいては巡航ミサイル・トマホークの配備とF16の日本への配備決定、三沢のF16基地、これを非常に重視して挙げてあるんです。  私は、去年参議院の安保特で三沢にも行きました。この三沢のF16は、ソ連も戦略核五〇%の対象として名指しで挙げてあるんです。あなたはゴルバチョフと会談をやると、中曽根さん、この三沢のF16撤去を言われるかもしれませんよ、これは核基地が明らかなんだから。撤去したらどうですか。
  357. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) ソロモン講演において、確かにトマホークそれからF16の展開について述べておりますが、それはまず第一に、核の観点で論じておるわけではございません。アメリカのこの地域における戦力増強ということで論じております。  それからソ連がどのようなふうに三沢のF16について述べているかということはつまびらかにいたしません。昨年十月にゴルバチョフ書記長が訪仏した際にザミャーチン報道官が三沢のF16に言及したという事実は承知しております。しかし、それはソ連の言い分でございまして、あくまで三沢には核が持ち込まれていないということは、五十八年に三沢にF16を配置する際にも、当然のことでございますけれども、念には念を押して、当時の安倍外務大臣から我が国の事前協議制度についての確認を行っている次第でございます。
  358. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 日本原水協の東北ブロックが、この三沢の米軍基地のP3Cの作戦司令部のあると見られる建物、ネーバル・エアフォース・ファシリティー——海軍航空施設。ここに地図がありますが、この建物。この中にEWOシェルターを発見して写真を撮ってきました。EWOシェルター、核シェルターです。三沢のP3Cの作戦司令部の地下に核シェルターがあるんです。F16も当然あるのだと思うんですね。配付した資料にもその写真を入れてあります。  このEWOシェルターというのはエマージェンシー・ウオー・オペレーションズというので、八四年二月十五日衆議院予算委員会で不破委員長がアメリカ軍の教範に基づいて横田基地にあることを追及し、政府が調査を約束したんです。三沢基地にあることも明らかになった。調査してほしいと思いますがいかがですか。防衛施設庁、外務省、どうぞ両方お願いします。
  359. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) このEWOということにつきましては、ただいま委員御指摘のとおり、衆議院の予算委員会、昭和五十九年の二月二十五日でございますけれども、東中委員との間でいろいろお話があるわけでございます。その当時明らかにしておりますように……
  360. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 不破委員長
  361. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 東中委員でございます。
  362. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それは二番目だよ。調べが足りないよ。
  363. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 二度目の、後の方のことを申し上げております。  そのときに明らかにしておりますように、このEWOと申しますのは、七九年に廃止されましたアメリカの空軍のマニュアルでございますけれども、そのAFM355—1というものに基づいている、それに大きな関連があるようでございます。いずれにしましてもそれは七九年に廃止されておりますので、EWOということ自体も、これは横田の基地の司令部に書いてあったそうでございますけれども、廃止されるべきなんではないかということでございましたが、その点に関しましてまず明確に申し上げておきたいことは、EWOが、ただいま委員御指摘になりましたことは、核シェルターであるというふうにおっしゃいましたけれども、これは核シェルターということでは必ずしもございませんで、シェルターの一種でございますが、米軍が武力攻撃とか大規模な災害に際しましてみずからを守るシェルターを持っていること、これは当然でございます。    〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕  第二に、それがアメリカの内部のいかなる規則に基づいているかということ、これは米軍の自由でございまして、このようなEWOと書くのかそれとも別なことを書くのかということは、それは例えば地位協定三条一項に基づきまして、「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」ということからも明確でございます。問題は、したがいましてそれはアメリカの権限内でどのように表示を書くかということでございまして、それ自体私どもは先生が今御指摘になるような意味での何らか重大な意味を含んでいるというふうには受け取らないわけでございます。
  364. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は悲しいですね。ああいう答弁を平然とするんです。  EWOシェルターというのは、アメリカに四段階のシェルターがあって、その最高のもので、NBC、核、細菌、化学、これからのシェルターなんですよ。それで、しかも塩田さんはこう答えているんだな。五年前この教範が廃止されて、米軍の説明によれば、EWOシェルターの表示は、当然五年前に取り外されるべきものでありましたと。今度三沢で見つけたのは、七年前に取り外すべきものだということになるでしょう。米軍がそんなばかなことをしますか。三沢の米軍基地で臨戦体制なんです。そこに核シェルターがあって、七年間取り外すべき看板をそこにかけてあって、それを続けている、そんなことで国会や国民をだませるわけがないんですよ。明らかに三沢は、F伍、来年五十四機になるんです。核攻撃機ですよ。ソ連に近くて。そういうものを強化して、協力しておいて何が今の説明だ。  もう時間が参りましたので、私はもっと怒りたいけれどもまた次の機会にいたしますが、根源は安保条約、軍事同盟にあるんです。この軍事同盟を廃棄することを要求して、倉成さん、お答えをされたいようなので、お答えをいただいて終わります。
  365. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 一言お答えします。  リチャード・ソロモンの講演あるいはその他のるるお話がございましたけれども、日本は御承知のとおり非核三原則を堅持しております。また、事前協議制度を持っております。したがいまして、ただいま非常に大きな声でいろいろ上田さんがお話しになりましたけれども、私はあなたと見解を異にするということをはっきり申し上げておきます。    〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕
  366. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  367. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 以上で上田耕一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  368. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 次に、井上計君の質疑を行います。井上君。
  369. 井上計

    井上計君 総理は就任以来戦後政治の総決算を唱えてこられました。事実また、その後その総決算のために行財政改革等について大変努力をしておられることについては私ども一応評価をしております。しかし、行財政改革については、今国会で審議をされる国鉄改革法案、これが成立してもまだまだ十分とは言えません。いわば半ば程度であろう、私どもはこういう認識を持っておるわけであります。したがって、今後さらに税制の問題あるいは教育の問題等々多くの問題点が残されておるわけでありますが、総理の、今後戦後政治の総決算をさらに遂行していかれる御決意、具体的な方針等々についてまず冒頭お伺いをいたします。
  370. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は、施政方針演説で述べましたように、やはり戦後政治の総決算を目指しまして不退転の決意で努力をしていく考えでおります。
  371. 井上計

    井上計君 総理は先般の本院での所信表明演説の中でもさらにその決意を述べておられます。同時にまた、現在ある税制のゆがみあるいはひずみ等を除去して、公平、公正、簡素、選択、活力の基本理念に立脚した望ましい税制を確立するために一層努力をいたしたい、このような御所見を述べておられるわけでありますが、この総理の決意あるいは方針をさらに実行していくための保証といいますか、これらについては、まだまだ私ども実は疑念を持っておる点があるわけであります。その一つは、去る三月四日でありますが、与野党の幹事長・書記長会談において合意をされておりますところの所得減税あるいはその他の問題等についていまだ実施のめどが立っていないわけであります。先般、衆議院の予算委員会におきまして、当時の金丸幹事長、現副総理が、この中にあると言っておなかをたたいて約束をされたようでありますから、私きょうはこのことについてお伺いをいたしませんけれども、これらの問題についても、やはり総理の御所見であるところの、公正で公平で簡素、そうして活力の基本理念というふうなものを実行していくためにぜひお願いをいたしたい、こう思います。  そこで、具体的な問題等について触れてまいりたいと思いますが、四十年前、戦後と現在とはもうすべての状況が変わっております。したがって、当時は公平であっても現在では不公平になっておる、当時は正常であってもゆがんでおるというふうなものが当然できておるわけでありますけれども、その中で私は、一番大きなゆがみといいますか、現在大変な国民世論となっておりますものに農業、農政の問題がある、こう考えます。  私は、決して日本の農業を否定するものではありませんし、また農業に対して敵意を持っているものでは毛頭ありません。むしろ農業が大切であることについては人後に落ちない考え方を持っておるわけでありますけれども、端的に今大変な世論としてこれについての批判やあるいは問題点が巻き上がっておりますから、農水大臣を含め総理にもひとつお伺いをいたしたい、こう思うわけであります。  去る八月に、大蔵省やあるいは世論の反対を押し切って本年度の生産者米価が据え置きになりました。当時、実はこれについての大変な批判が起きました。時間がありませんから多く申し上げませんけれども、八月十日付の各新聞の社説は、すべて生産者米価の据え置きについての非難であります。それを契機として、それ以降もうマスコミはすべて、現在の我が国の農業政策あるいは食管法のあり方等々についての批判が、いわば燎原の火のごとくと申し上げていいと思いますけれども、高まっておるわけでありますけれども、これらの世論について総理は、またあるいは農水大臣はどのように受けとめておられますか、お伺いをいたしたい、こう思います。
  372. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 八月九日の夜のテレビあるいは八月十日の朝の新聞等における論説、厳粛に受けとめております。
  373. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはり現象的に見ますと、例えば米なら米に関する国際比価と国内価格との落差が余りにも大き過ぎる。けさもここにお話がありましたが、タイ米より十一倍日本の米の方が高い等々、これだけ落差が開いてくるということは何らかの欠陥があるのじゃないか。またこれをこのまま放置していいというものではない。そこで翕然とこういう世論も出てきたと思います。そのときに、米の値段の問題、八月、政府は何をしたか、そういう御質問であるのだろうと思うんです。私は、やはり農政もほかの諸般の行政、政治と同じようにいつも改革をし、そして変化に対する柔軟な対応力を持っていかなけりゃならぬと思います。そういう変化に対する柔軟な対応力を持たないで蛇が棒をのんだような格好にしているというと、ある時間がたつとがざっと大亀裂が起こる。これは現在労働組合その他においてそういう現象がなきにしもあらずであります。やはり変化に対しては常に常に点検を加え、反省を加え、自己改革をしていかなければいつまでももつものではない。そういう意味において農政に対して警鐘が発せられていると私は正直に言って思います。  食管制度の基本は我々は堅持してまいりたいと思っておりますけれども、やはりこれらの大きな変化に対する柔軟な対応力自体を、農村の方から、特に農政の指導者、農協の指導者の側からこの際出されることが一番望ましい。また、農水省や政府はそれに協力すべきである。そういう考えに立ちまして、農水大臣及び総務庁長官に対して、農協とよく接触をして、そして大きな亀裂がある日突然起こらないように今からお互いに努力し合い、むしろ農業団体の方から自己改革なり、農村の生産性向上、合理化のための運動、案を出してもらうように努力しなさいと、そう指示しておるところであります。
  374. 井上計

    井上計君 総理からかなり明確な御所見を承りました。農水大臣は、お立場上やむを得ないと思いますけれども、厳粛に受けとめておる、こういう御答弁でありますが、その厳粛という意味を私どもは十二分に曲解をしておりますので、これから特に、今総理のお話しのように、そういうふうないわば変化への対応力をどうつけるか、一番大切なところだと思います。現在、円高によって苦しんでおる輸出関連企業、特に中小企業等がいわばこれからの変化にどう対応していくか死に物狂いの実は努力を続けておるわけでありますから、当然やはり農業においても変化に対応する、いわば言われておりますような、今後国際競争力を身につけるような努力、そのためにはどんな困難があろうとも、日本の安定と食糧の安定のためには従来のではやっぱりいけないというふうな考え方を当然多くの農業者が実は持っておるわけであります。現在約三〇%を超える農業人口の人たちが、現在の食管法や現在の農業政策では自分たちの将来はだめになる、実はこういうふうなことさえ言われておる。いろいろな新聞報道等がありますけれども、それらを考えるときに、農水大臣、大変なことでありますけれども、ひとつ御努力をお願いいたしたい、こう思います。  そこで、時間もありませんから、この農業問題等については余り多くきょうはお尋ねすることはやめます。また、私自身の意見やあるいは提言等についてはきょうは差し控えをいたしますけれども、一つお聞きいたしたいのは自給率の問題であります。  よく言われておりますように、穀類の自給率は我が国は三二%ということが新聞報道等で出ます。国民は、だから日本の主食は三二%程度の自給率しかないのかという考え方を持っておるんです。ところが、これはいわば大豆その他飼料等を含めた穀類の自給率であって、主食の自給率は相当高い、こういうふうに聞いておりますが、農水相、今現在我が国の主食の自給率は幾らになっておりますか。
  375. 甕滋

    政府委員(甕滋君) ただいまお話がございましたように、我が国の穀物自給率は飼料用の穀物を含めた全体では三二%となっているわけでございますが、食用の穀物につきましては七割程度を維持しております。
  376. 井上計

    井上計君 私は、この数字をもっと新聞等々に発表してほしい、こういう感じかするんです。従来三二%、三二%という数字が国民の間に大変な不安を生じておるという事実がありますので、これは要望をしておきます。  もう一つ、次には円高差益の問題と関連をいたしますけれども、一番今、円高差益の還元がないという不満が多いのは食料品であろう、こう思います。事実、牛肉にしてもあるいは食パン等々にしても余り下がっておりません。安くならない理由はもう明確であります、きょうは時間がありませんから申し上げませんし、またお尋ねをいたしませんけれども。しかし、ここで問題が生じておるのは、原料の小麦は食管制度によっていわば縛られております。ところが、二次製品、そうめんであるとか、あるいは最近ラーメン、ビスケット、スパゲティ等々の二次製品の輸入は事実上ほとんど自由ですね。国内生産価格よりも安い原料を使った安い労賃の国から、日本にどんどん最近入っておる。輸入はもう激増しているという状態です。そのために、国内価格の二分の一、中には三分の一ぐらいのものがたくさん販売されつつある、され始めておる。これは絹織物も同じなんですね。二十年前から随分と絹織物業者から要望がありました。生糸が非常に高く抑えられておる。ところが、絹製品はどんどんほとんど自由化されておる。だから我々はやっていけないというふうな業者の声が随分あったわけでありますが、現在食品業界からそういうふうな声が非常に多く出ておるということであります。これは明らかな矛盾であろうと思いますけれども、農水大臣、何か御所見がございましたらお伺いをいたします。
  377. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 最近の傾向として、食品関係企業が原料高の製品安、あるいは製品輸入で困っておるという点につきまして、よく存じております。そして、食品産業というのは国民にさまざまな食料を安定的に供給するという点におきまして、農業、農政と並んで車の両輪とも言うものでございます。こういう点につきまして、海外原料をより自由により低廉に調達できるようにしてほしいという業界からの要請、そして一方、先ほども御質問になりましたが、食糧自給力強化という見地、この二つの間に立ちまして、国内農産物のマーケットの維持拡大を図ってくれという両方の要請がぶつかっております。この二つの立場の兼ね合いを図るという考え方に立ちまして、国内農業についてはその生産性の向上を図る、あるいは加工、需要に応じた供給の確保あるいは原料農産物の品質改善等を行っております。  なお、具体的に御質問になりましたパンという問題でございますが、パンは小麦からつくるわけでございますけれども、総理からもパンやうどんの円高差益の還元をやるようにという御指示がございまして、何とかこれを実現できないものかと思っていろいろやってみました。一斤四百グラムのパンが、円高によるものが二円三十銭です。これを一斤をトースト用に切りますと八枚とれます。そうすると、一枚がわすか三十銭にしかならない。しからば、この円高による小麦粉の原料費は幾らになるか、二四%でありました。あとは加工、流通、これに七十数%とられておるという問題があります。  また、小麦について申し上げますと、食管制度の中にあるわけでございますけれども、国民に常に安定的に安く供給しなくてはならないという任務がありますが、先生御存じのように、昭和四十七年から小麦の国際価格が暴騰したことがある。ちょっとした気象の条件で暴騰します。その間三年間、一般会計から二千五百億つぎ込んで安定にしたというケースもありました。  ついでに申させていただきますと、同じく総理からうどんを何とか安くするようにと言われましたので、これも徹底的に取り組みましたが、一玉が円高による影響が七十銭であります。これはどこにその理由があるかというと、やはり先ほど申し上げました材料代が、うどんの場合は一五%、あとの八五%は加工、流通ということになっております。そういう点を考慮しながら、円高の差益の還元ということと、食品産業というものと農政というものの両立を図って、片一方は自給度、片一方は国民に安くておいしくていい物を食べてもらう、二つの問題で一生懸命努力いたしておるところでございます。
  378. 井上計

    井上計君 加藤大臣からかなり詳細に御答弁いただきました。大臣の御努力はよくわかります。ただしかし、よくわかりますけれども、まだまだ御努力をいただかなくちゃいけない面が多く残されておるし、また事実問題がまだあるわけでありますから、一層の御努力をお願いいたしたい、こう思います。また時を改めて、私自身が持っておる資料と今大臣の御説明いただきましたことと若干の違いがありますが、別の機会に私は資料に基づいてお尋ねをいたしたい、こう思います。  総務庁長官にお伺いいたしますけれども、先ほど総理は御答弁の中で、現在の農協等、農協団体のあり方等につきましてもお触れいただきました。既に総務庁長官は先般衆議院の予算委員会でもこの問題等について御所見を発表になっておりますが、きょう発売になりましたある週刊誌に「玉置和郎総務庁長官が「伏魔殿・農協」にメスを入れる」という、大変な大見出しで記事が掲載をされて、実は拝見をいたしました。思い切った玉置総務庁長官の御決意ということでありますけれども、どのように現在の農協あるいは農協を含めた農政等々についてお考えでありますか、お伺いいたします。
  379. 玉置和郎

    国務大臣(玉置和郎君) その週刊誌を私けさ見まして、週刊誌というのはしゃべったら大きく書くものだなと思ってびっくりしておりますが、それはやはり週刊誌だからというのでなしに、国民世論の中に現在の系統農協に対する批判、それがやっぱり猛烈なものがあるという背景があって書いておるのだと私は思います。  そこで、私自身も、先ほど井上さんが言われましたように、農業を大切にしていきたい。殊に純農家の方、兼業農家の方、そういう方に対して系統農協の方は営農指導を真剣にやっておるのか、生活指導を本当にやっておるのかという原点から、私が十一年前に和歌山県の農協会館で系統農協の幹部を全部集めまして講演をしたのが「協同主義を見つめて」であります、先生もごらんになっていただいたと思いますが。  それだけに、今我々ここで一点考えたいのは、協同組合主義は、協同組合法に基づいて、一条から八条まで見てみますと、奉仕を目的とする、こう書いています。そして営利を求めてはならないと書いています。それなのに、現在やっておることは一体何だということになりますと、一番力を入れておりますものは、営農指導じゃない、生活指導じゃない。それは人員の配置から見てもわかります。今一番力を入れておるのは、信用業務、共済業務でありまして、これなんかは一般社会からしましたら、銀行は銀行、証券は証券——証券はやっていませんが、損保は損保、生保は生保、そこから出ていくわけにいきません。いかぬが、協同組合主義というもののために、協同組合法のためにこれを全部やれるとなっている。それだけに、お金を借りに行ったら、あんた生命保険に入ってくれよ、共済に入ってくれよ。借りたいばっかりですからこれは入る。これは普通なら独禁法の違反ですよ、こんなの。それを協同組合主義だからやれる。  そして協同組合主義は税金の面でも恩典を受けておる、二八%であります。中小企業は非常に円高で今苦労しておる。その中小企業が三三・三であります。そして中小企業の皆さん方が、中小商工業者が一生懸命働いてこの円高を克服して八百万の利益を上げたら、それは直ちに四三%の税率の中に入っていく。これを見たって私は、これでいいのか。そういうことをバックにしながら、そしてガソリンスタンドをやる、スーパーをやる、墓石までやる、最近は葬儀屋の下請までやっておる。  これで本当にいいのかということになりますと、私は、高度経済成長のときにはフィールドというのは、広くて、横へ跳んだり前へ跳んだりいいと思いますが、こんなに不況になってきました場合には、やっぱり活動する範囲というものが狭められてくる。そこでフィールドが小さくなったということになれば、おのずからそこに限度がある。そして、世の中で言われておるすみ分け理論というものがそこに適用されなければならない。動物の生態を見ましても、ワシは、この谷からこの山はわしのものじゃ、この谷からこっちの山はわしのものじゃといって、谷を越えてワシが来たらけんかをするんです。トラも同じです。自分の守る範囲を決めておる。  ところが、協同組合主義に基づく営利を目的としてならないというものが、いつまでもどこまでもやっていいのか。本当にそれが国民のためになるのか。民業圧迫にならないのか。そういう時間があったら、もっと営農指導に、生活指導に力点を入れるべきだということを申し上げておるわけでありまして、その他のことは大体そこの週刊ポストを見ていただきますとよくわかりますので、どうぞひとつよろしく。
  380. 井上計

    井上計君 玉置総務庁長官からまことに勇気ある思い切ったお答えをいただきまして、敬服をいたしております。今長官お答えになりましていろいろとお話しいただきましたけれども、それは現在国民の多くの人たちが持っておる疑問と不満であろう、こう思います。したがって、世論として十分ひとつ今後とも取り上げていただいて、長官が今後ともやはり勇気を奮っていろんな問題に御努力をいただくように要望をしておきます。  なお、今、独占禁止法云々というお話もありましたけれども、現在農業団体がやっておるいろんな販売事業等々について、独占禁止法に違反をしているじゃないか、あるいは独占禁止法の適用除外になっているのはおかしいというやはり不満も起きておりますので、ぜひひとつお考えいただきますようにお願いします。  時間がなくなりましたからもう一点、これは総務庁長官というよりも行監担当の総務庁にお伺いいたしますけれども、米の増産を必要とするときには各地で農業用地等々をつくるための干拓事業が積極的に行われました。しかし、現在では干拓の必要が果たしてあるのかどうかという疑問がありますが、依然として六十一年度予算に農用地開発事業、その中に干拓事業が含まれておりますが、千四百二十億円というものが計上されておる。果たして必要なのかどうか。特に、これは建設省との共同事業でありましょうけれども、島根県の中海それから宍道湖、これの干拓と淡水化事業等々については、もう何しろ計画から二十年たっておる。さらにこれからもう十年も続く。言えば、言い方は悪いですけれども、泥棒に追い銭みたいなそういうふうなことにもなっておるのではなかろうかと思いますが、この点もメスを入れる、あるいは決断をすべきであろうと思います。いかがお考えでありますか。
  381. 山本貞雄

    政府委員(山本貞雄君) 御指摘のとおり、国営干拓事業は食糧の安定あるいは地域農業の発展のために長期計画のもとに行われておるということでございまして、総務庁といたしましてもその事業効果につきましては関心を持っております。したがいまして、五十七年度の農業基盤整備事業監察の一環といたしましてこれを取り上げまして、例えば営農計画と事業の進捗に応じまして早期に見直すということなどを勧告いたしておりまして、したがいまして、当面この勧告事項の推進を図ってまいりたい、このように考えております。  なお、先生が御指摘の中海、これの干拓事業につきましては、調べてみますと、堤防等の基本的な工事は完了いたしております。それからまた、情勢の変化に応じまして、事業計画を水田造成から畑の造成に変更いたしております。また現在、淡水化をめぐります地元の意見対立につきましては、農水省が両県と連絡をとりながら対処をしておるということでございますので、この件につきましては当面その推移を見守ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  382. 井上計

    井上計君 これも時間がありませんから、あと重ねての質問は一点だけにします。  今、中海の問題がありましたが、稲作でなくて今度は畑作、酪農を目的に転換をしているという話でありますが、これから十年かけてさらにつぎ込んで、さて幾らで分譲するかというと、試算を聞きますと一アール約三百万円だそうであります。果たしてこれで農業が可能なのかどうか。それらを考えるときに、今検討をすべきであろうというふうに考えます。  次に、先ほどもいろいろと質問の中で宅地の供給を云々というのが総理大臣あるいは国土庁長官からもありました。確かに、宅地の供給を積極的にやらなければ内需振興も絵にかいたもちになります。そこで、時間がありませんので端的に申し上げますと、農地の相続税猶予二十年、農耕地を継続することによって猶予されておりますが、この制度に現在矛盾があって、この制度があるからなかなか宅地供給がされないというふうな隘路になっておるかとこう考えますけれども、これについて農水大臣いかがでありますか。  また同時に、これらをひとつ考えて、二十年以内であっても、これは宅地に転換あるいはこれを売却した場合でも、いろいろと制度上まだ問題があろうかと思いますけれども、相続税が猶予されておるそのものを、売れば一遍にかかるわけでありますけれども、そこに三年なら三年というふうな、あるいは五年という限定した中で相続税の減免をすることによって宅地供給が促進されるのではないかという考えを私は持ちますが、大蔵大臣、いかがでありますか、お伺いいたします。
  383. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) この制度は昭和五十年に設けられたと思っております。御存じのように、農地の細分化を防止するということと農業経営の継続ということを趣旨として設けられたと思います。市街化区域におきましては、農家が農地を宅地化したい場合には、転用は農業委員会へ届け出さえすればいいようになっておるわけでございます。そこで、都市地域においても農業を長期にわたり継続して行いたいという農家が相当数存続しておるわけで、これら農家が相続税の納付により農業の継続が困難となることのないよう、相続税納税猶予制度により調整が図られておるところでございます。その趣旨から見ますと、農業を継続して行う期間としての二十年間というのは適切なものではないかと考えております。
  384. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) おっしゃいました趣旨はわかりましたが、今農水大臣の言われましたような趣旨で、農業を二十年間継続するという、そういうことで納税猶予をしたのが趣旨でございますので、井上委員の言われますようなことは、よほど何か全体の問題としてどうしてもそれが必要であるというような事態ででもありませんと、ちょっと考えにくいのではないかと思います。
  385. 井上計

    井上計君 時間がありませんので、実はもっと詳しく私の意見を申し上げたかったんですが、要するに、宅地供給という今緊急の大きな課題の前に立ちふさがっておる問題は実はこの農地の問題がある、こういうふうなことで申し上げて、また場所を変えてもっとこのことを詳細に私の提言を申し上げますが、ぜひお考えをいただきたいということであります。  次に、円高対策について先般政府の総合経済対策が発表されまして、その中に十二項目にわたる中小企業の対策が発表されております。メニューとしては大変結構ですが、しかし問題は、裏づけになる金がつくのかどうかということであります。端的に申し上げます。金がなければ、この十二項目のメニューはほとんど絵にかいたもちであります。そこで私は、補正予算でぜひ必要な金をつけていただきたい。必要な金とは幾らと申し上げますと、私の試算では大体二千億円程度ぜひ必要であろう、こう思います。非常に大きいようでありますが、転作奨励金、六十一年度二千三百二十四億円と比較をして、現在の問題から見ると中小企業に対する補正二千億円は決して多くない、こういう所見を持っておりますが、大蔵大臣、いかがでありますか。
  386. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) この点は、特定地域中小企業対策、これはあるいは立法も必要かと思いますが、それらを含めまして通産省とよく協議をいたします。
  387. 井上計

    井上計君 委員長、もう一問。  よく協議を願いたいと思いますが、六十二年度の予算に先送りということになりますと事実上どうにもなりませんので、補正の中でぜひお願いをしたい、こう思います。  時間をお許しいただいて、最後にもう一問お尋ねいたしますけれども、建設省と農水省が六十二年度の税制要求で、またまたと申しますか、性懲りもなくと、こうあえて申し上げますけれども、水の税金という目的税の創設を考えておられるようであります。性懲りもなくと申し上げて失礼ですけれども、昨年、流水占用料の大幅引き上げあるいは農水省の水源税構想は世論の反対に遭って実は撤回された、こう私は承知しておりますが、しかし今回の森林河川緊急整備税という目的税、やはり私は、政治のますますの不公正、税の不公正を助長するものだという考え方を持っておりますが、そこで通産大臣、厚生大臣にお伺いいたします。  通産大臣はこの構想に対しては、治山治水事業は一般財源によるべきであってこの新税は反対だという発言をしておられる、こう聞いておりますが、御所見いかがでありますか。また厚生大臣も、水道料金の値上がりにつながる問題でありますが、どうお考えでありますか、これをお伺いいたします。
  388. 田村元

    国務大臣田村元君) まず最初に御理解いただきたいのは、我々閣僚というのはその赴任した組織と考え方の整合性を保たなきゃならぬ、これは当然のことであります。けれども、これから私が申し上げますことは、通産大臣になったからこういうことを言うのではない、私の持論であるということでお聞きを願いたいのであります。  私は、通産大臣になる直前まで、党の治水議員連盟の会長をしておりました。また、治山のお世話もいたしておりました。そういう立場で、しかもずっと公共族として今日に至っております。私は今もって、私が発言してまいりました一般財源論は間違っておるとは思いません。それは、治山治水というものは国民全体を守るものであります、特定のものを守るものではありません。でありますから、例えば水源の水を農業用水が、私の記憶が間違っておればお許しを願いたいが、農業用水が六六%、工業用水は一八%、上水が一六%ということになっておると思うんです。ところが、その六六%は横へ置いて、わずか三四%に、しかも約千二百億円の財源を求めて、そのうちの四分の一を地方に渡して残りを四対三で分けるというようなことは、これはまさに苦し紛れの措置というふうにしか考えられないんです。  昔、建設省は内務省にございました。内務省土木局時代、道路と治水は全く同格でございました。私が建設省の政務次官になりました昭和三十五年ごろにおいてもなお道路と治水の格差はそれほどございませんでした。ところがその後、経済の拡大というようなこと、それに伴っていわゆるポリューション対策というようなことになって、道路がどんどんと伸び、特定財源も持ちどんどんと伸び、しかも生活環境という公共事業が時代の脚光を浴びて何となく治水が取り残された、これは事実であります。そうして、災害が来るたびに治山治水の担当者は人災だといってののしられ、犠牲者の前に土下座をさせられて涙をこぼしお線香を上げてきた、その心中まことに察するに余りあるものがある。かつての道路、治水の地位の延長が今日なお続いておるとすれば、わずかに建設省で技官から事務次官に昇進できるのは道路と河川の分野だけである、技術屋では。そのあとは非常に大きな格差をつけられておる。  こういうことでございますから、私はわずかなそういうような苦し紛れの対策をやらないで一般財源で堂々と国民のためにやっていただきたい。ところが、それにはシーリングだ何だという制約がある、また同じ省内でもセクト主義もある、一遍持ったものは既得権で放すわけにいかない、しかも公開財源しか調整はできないというような状況でありますから、結局苦し紛れのことになっていくということでありまして、私はもっと財政当局と農水、建設両省が話し合って、堂々と一般会計で国民の生命、財産を守ってもらいたい、これが私の持論でございます。
  389. 斎藤十朗

    国務大臣(斎藤十朗君) 森林河川緊急整備税の構想につきましては、これが今の構想どおり実行されますと、水道水に対しても全体で二百億円の課税がなされるというようなことになります。私ども、水道用水を供給する立場から考えまして、国民ひとしく水道水は不可欠なものである、そういうことから考え、水道料金の増高につながるこの構想については遺憾ながら反対せざるを得ません。  また、ただいま通産大臣からもお話がございましたように、一般財源論、私も全く同様の考え方を持たせていただいております。これから税制の検討の一環の中で政府部内でいろいろ協議が行われると思いますが、私といたしましても反対の立場でこれに適切な結論を得たい、このように考えておるところでございます。
  390. 井上計

    井上計君 どうもありがとうございました。
  391. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 以上で井上計君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  392. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 次に、宇都宮徳馬君の質疑を行います。宇都宮君。
  393. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 私は七分しか私自身の発言時間がありませんから、SDI問題に絞って質問申し上げたいと思います。中曽根首相、こういう問題に対してはお得意ですから、首相から十分聞きたいと、こう思います。  SDI問題というのはアメリカの国家機密が主をなしていると思いますが、しかしそれに協力する以上はやはり相当知らなきゃいかぬと思いますが、現在私どもが知っていることは、要するに宇宙空間に人工衛星を打ち上げまして、そこにエックス線レーザーのような光線を出す装置をつくって、それで大陸間弾道弾、つまり別途ソ連にある、お互いに撃ち合う八千キロのあれを持つ大陸間弾道弾を撃ち落とす。つまり大砲の弾を鉄砲で撃ち落とすような計画ですね。場所は宇宙空間から発するのだし、なかなか難しい計画であります。ですから、これに対しては、これは不可能であるというような学者の意見も大分ありますね。アメリカのノーベル賞受賞者十五人を中心にする六千五百人の学者が、この計画は不可能である、非常になお危険である、こういうことを言って反対いたしておりますね。そういう状況の中で中曽根内閣はSDIに日本は積極的に参加しようということを決定されたということが報道として流れています。それは事実であるかどうか、私は承りたいと思うのです。
  394. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) お答えいたしたいと思います。  SDIは、ただいまお話がございましたが、一九九〇年代前半に米国の大統領及び議会が弾道弾防衛のための高度な防衛システムを開発し配備すべきか否かを決定するに当たって必要な技術的知識を供給することを目的とした研究計画でございまして、非核の手段によってこれをやりたい、こういう計画でございます。したがって、この計画に日本は参画したい、そういう交渉をこれから行う予定でございます。
  395. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 私は、これは軽率に参加してもらいたくない。なぜかと申しますと、そういう軍事的な計画の中に入り込みますと、なかなかこれは悪くても抜けられません。しかも、SDIはその対象が大陸間弾道弾ですね。ですから、ソ連とアメリカが相互につまり抑止力として持っているという道具であって、日本の安全とこれは全く関係がないのです。例えばSS20と言われるような、あるいはパーシングIIと言われるような戦域核兵器に対する抑止力が一つもない。だから、日本の安全に全く関係のないものですね。そういうものになぜ一体非常な危険を冒して参加するか、私はよくわからないのです。これは首相ひとつ説明してください、あなたが裁断するんだろうからね。
  396. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) SDIにつきましては、昨年の正月、ロサンゼルスでレーガン大統領と会談しましたときに初めて大統領から直接、これは新しい兵器体系への移行の夢である、非核兵器で核兵器を廃絶するためにこういう大きな研究計画を始める予定だ、ある程度研究はやっておる、それである程度確信も出つつある、しかし最終的にこれが使えるか使えないかというところまではいってない、使えるか使えないかということを見きわめるための研究に入りたい、そういう話でありまして、自来これがどういうふうに発展するか見ておったところであります。それで、その後調査団を三回派遣いたしましたし、また私はその後、ボン・サミットであったと思いますが、レーガン大統領に会いまして、五つの我々の条件を申し述べたことがあります。  これはソ連に対する一方的優位を求めるものではない。世界的な総合的安全保障の中でこれは考えらるべきものであり、大陸間弾道弾を廃止するということが絶対必要なことである、廃止するためのものである。そういうようなこととか、ABM条約の枠内でやる。それから、これを行うという場合に、配置するということが将来起こった場合にはソ連と協議をする。そして、情報については我々の方に供給をする。そういうようなことをレーガン大統領に申し入れしまして、大統領は承諾したと、こういう経緯がございます。  その後、いろいろ研究させてみたところでございますが、最終的な判断といたしましては、対米交渉をやろう。それで、やるという場合には、今までの既存の枠組みの範囲内においてこれはやるのがいい。それで、対米交渉をやって、日本側の要望はどの程度満たされるか満たされないか、それらの話をした上で最終結論を出そう、そういう状況でございます。
  397. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 いずれにいたしましても、要するに奇想天外といいますか、非常に難しい計画でありますね。ですから、アメリカの自然科学者も、非常に多数の自然科学者、ノーベル賞受賞者も十五人いますよ、反対者の中には。主として物理学者、そういう人が反対しているんです。こういうことはできない、不可能であるということを言っています。  それからマクナマラとかウォーンキとかいう、十人賢人なんて言いますけれども、これは安全保障問題の専門家ですね、ケナンなんかも入っていまして。そういう専門家たちもこれに反対しているわけですね。  ですから、そういう状況をよく見詰めまして日本が参加いたしませんと、こういうものに一度参加しますとなかなかこれは抜けられない。もはや国益にならないあるいは世界平和安定のためにならないという判断をしても、なかなか抜けられないから、だから首相及び外務大臣、これは極めて慎重に考慮していただきたいと思います。  大体、技術は非常に発展しましたよ、確かにね。だから、いろんなことができるかもしらぬけれども、まだできないことが随分あります。宇宙科学とかISDというのならば当然できなきゃならぬことが随分あるけれども、できていない。私はいつもお花見に中国の大使館の人を私のうちへ招待するんですよ。それからアラブの大使館の人も招待する。アルジェリア中心にアラブの大使を五、六人呼んだり、そういう会をやっているんですが、ちょうど厚木のそばにあるんです。厚木の夜間飛行場をとにかく今度は三宅島に移すというんでしょう、うるさくてしようがないから。ところが、夜間うるさいけれども、昼間もなかなかうるさい。私はたまたま中国の大使を呼んだ。去年でしたかおととしでしたか、大使以下二、三十人来てくれるんですよ、私は日中友好協会の会長もしていますしね。そのときに、ちょうど物すどい轟音です。あの戦闘機の轟音、F何だかしらぬけれども、物すごい轟音を立てて花見の席の上を通るわけだ。わざと通ったわけじゃもちろんないと思うけれども。そこで私はあいさつで言った。宇宙科学とかいろんなことを言っているけれども、飛行機の轟音一つ静かにできないで一体何が宇宙科学だと言ったら、中国の大使以下大拍手をしていましたよ。  それから、アラブの大使を呼んだときにちょうど雨が降ったんです。雨が降るとお花見の感興は大いにそがれますから、私はまたあいさつで謝った。とにかくもう非常に難しいんだ。あなた方の都合と天気とそれから花の見どころを合わすということは神わざみたいなもので難しいんだ。きょうは天気のつもりでいた。花は見どころだから天気のつもりでいたら、雨が降ってきた。それで、お国では雨がなくて困っているだろう、水がなくて。その余計な水を、日本に降るこの余計な雨をお国へ持っていくような技術というものを開発できないのか、こういうことで言ったことがあります。
  398. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 宇都宮君に申し上げます。予定の時間が参りました。
  399. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 そういうことですから、やっぱりアメリカなどにも、なお人生に役立つそういう開発すべき技術はたくさんあるんだから、軍事なんかに、むやみにできもしないことに使わぬという忠告くらいをロン・ヤス関係でひとつあなたやっていただけないかと私はお願い申し上げる次第でございます。本当ですよ。やっぱり率直に言い合わなきゃ本当の友達になれませんよ。びくびくしていたんじゃだめです。まあそうでもないだろうけれどもね。  もう時間が来ちゃったから、しようがないからこれでやめますけれども、とにかく御健闘を祈ります。どうも。
  400. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 以上で宇都宮徳馬君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  401. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 次に、下村泰君の質疑を行います。下村君。
  402. 下村泰

    下村泰君 私は、また障害者問題一つに絞ってお伺いをさせていただきます。  総理にお尋ねしますけれども、去る二月十五日の予算委員会で私は小規模作業所のことについて御説明申し上げました。何とかこういう人たちをお助け願いたいというふうにお願いをいたしましたところが、総理からお答えがございました。そのときのお答えを覚えていらっしゃいますでしょうか。
  403. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まず、実態をよく調べて、できる限りの配慮を持って対処いたしたいと思います、そういう趣旨のことを申し上げたと思います。
  404. 下村泰

    下村泰君 確かにそのとおりのお答えでございました。そしてその中で「きめ細かい配慮ができるだけやれるように努力をいたします。」、こういうお答えでございました。  この一言が大変な光明を与えました。そして、今も恐らくこの中継を見ていらっしゃる小規模作業所の方々がおられると思います。その一言が今度は厚生省の方を大変慌てさせました。厚生省側はてんてこ舞いをいたしたそうです。ある先輩議員、自民党の方ですが、こういう問題は余り総理に聞いてくれるなと言われました。今の総理は大蔵省の経験がないから金の出し入れにむとんちゃく、余り聞いてくれるなというような御忠告も受けました。けれども、この方たちにとっては大変な光明です。それこそ手の舞い足の踏むところを知らず、そこまではまだいきませんけれども、そういったような喜びを与えてくださいました。いろいろとこの委員会の中で聞いておりましても、総理はどちらかというとお口がお滑りになって、かつての私みたいなものですけれども、大分お小言をこうむっていらしたようですけれども、こういう方たちにとってはそれこそお小言どころの騒ぎじゃございません、大変喜んでいます。  では、厚生省に伺いたいんですけれども、厚生大臣、どのくらいまで進んでいるんでしょう、この話の内容が。
  405. 斎藤十朗

    国務大臣(斎藤十朗君) 下村議員のこの小規模作業所に対して助成措置をすべきであるという御意見は、大変長年にわたり、また非常に御熱心に、私も参議院の場で御一緒に審議をする中で常々お伺いをいたしておったことでございます。  総理のただいまのお話にもございましたように、実態を調査し前向きに検討してみろという御指示もいただき、また身体障害者の方々の就労やまた生きがいの場として非常に役に立っておるということなどを考えまして、来年の予算要求で、小規模作業所に対する助成措置をさせていただくような要求を今いたしておるところでございます。
  406. 下村泰

    下村泰君 実は、私も内密でその係の方にいろいろ伺いました。身体障害者関係で百カ所、精薄関係で新たに三十六カ所ふえておりまして百七十七カ所と聞いております。それから精神障害者関係で九十六カ所の概算要求を厚生省がお出しくださったそうです。何としてでもこれは通していただきたいと思います。  まだ本当はこういうことを申し上げる筋合いの段階ではないと思うんですけれども、これは大蔵大臣にいきなりお尋ねしてもよろしいでしょうかね、こういう予算を何とかひとつ面倒を見ていただきたい。
  407. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) これにつきましては、従来から、下村委員総理との間の質疑応答を私もよく速記録で承知をいたしております。結局、厚生大臣が厚生省全体の予算の中でこの問題にどのような優先度をお与えになるかということ、それからほかの制度とのバランスをどのようにお考えになるかといったようなことが私どもとしては関心のあるところでございます。私自身のところへ話が上がってまいっておる段階ではございませんけれども、十分御発言の趣旨を踏まえまして厚生省の要求について精査をいたしたいと思います。
  408. 下村泰

    下村泰君 ありがとうございました。本来の筋は違うというのはよくわかっておるんですけれども、まだ別に予算が出ているわけでもないのにそんないろいろなことを申し上げまして、もし感情を壊されてやめたなんて言われると困りますので余りこれ以上。でございますけれども、先ほども申し上げましたように、このことについて熱心に運動されていらっしゃる方々にとっては、恐らく今の大蔵大臣のお言葉は大変肝に銘じてすばらしいお答えだと私は思います。ありがとうございました。  それから、もう一つ総理伺います。  四月二十一日の補助金問題特別委員会で身体障害者福祉ホームに関するお話を私申し上げました。そのときの御答弁をやはり覚えていらっしゃいますでしょうか。
  409. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 福祉ホームの件につきましても、前向きに最善の努力をしたいという趣旨のことをたしか申し上げたろうと思います。
  410. 下村泰

    下村泰君 総理は、今大変短かったんですけれども、随分長いお答えをいただいたんですよ、このときは。   役所とか法律というものは画一的に物をやりたがるものでありますが、人間のためにやるものですから、特に身体障害者の場合は完全参加と平等という、そういう立派な目標があるわけでありますから、参加したいという方、自分でやりたいという方、これはありがたい話でありますから、政府としても積極的に協力して、できるだけ好意的にそれが成就するように協力してあげる、そういうことが法の趣旨でもある、行政の趣旨でもあると思います。今、社会局長も御相談に乗ってできるだけ協力するように答弁いたしましたが、政府としてもそういう趣旨に沿って努力をさせます。 こんなに長い、大変ありがたい御答弁をいただいておるんです。  それで、総理のこういったお答えがありましたものですから厚生省もやはり努力してくださったんですが、その経過をひとつ御報告願いたいと思います。
  411. 斎藤十朗

    国務大臣(斎藤十朗君) 身体障害者の福祉ホームにつきましては、重度の身体障害者の方で御家庭で生活が営みにくいと言われる方々に対してこのホームにおいて生活の拠点としていただくものでありまして、先ほど来お話のございましたような御意見もあり、これも来年度の予算要求の中に要求をいたしておるところでございます。厚生省の予算は、何兆円という医療保険や年金等の膨大な予算もございますとともに、ただいまのような予算、すなわち数千万円、数百万円という予算もございます。こういう細かい予算こそ、これに関係する方々については本当に血となり肉となる、そして喜んでいただける予算であるわけでございますので、まさにきめ細かくこの予算の計上について、予算編成へ向かって私も全力を傾けてまいるつもりでございます。
  412. 下村泰

    下村泰君 別に私は総理と厚生大臣をよいしょする気持ちはございませんけれども、とにかくそういったきめの細かいという言葉総理もよくお使いになりますし、厚生大臣もたしか所信の中でも申し述べられています。したがいまして、そのきめの細かさというのが問題になってくるわけで、必ずしも大きいところにきめ細かいんじゃなくて、一番手も足も出ない、あるいは口も出すことのできない、そういう方たちにきめ細かくしていただきたいと思います。  今度は労働省の方に伺いますけれども、ことしの七月十七日、身体障害者雇用審議会から精神薄弱者の雇用について意見書が出されたはずでございますけれども、その内容はどういうふうになっていましょうか。
  413. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 意見書の中身でございますので、私の方からお答えいたします。  先生御指摘のように、七月に意見書が出ましたが、精神薄弱者につきましては「職業的自立を促し、社会参加を保障していくことは、」「社会的な連帯により解決すべき国民的な課題である」ということを前文で述べまして、中身につきましては、まず「現在直ちに精神薄弱者の雇用を法的に義務づけることは困難であるが、」「雇用率制度上、実雇用率を算定する場合においては、精神薄弱者も身体障害者と同様にカウントできるようにすべきである。」、それから「納付金の減額、助成金の支給」に加え、「精神薄弱者を雇用する場合も調整金、報奨金の支給の対象」とすることとし、「経済的側面から精神薄弱者の雇用を促進していくべきである。」、その他、「身体障害者、精神薄弱者を含めた障害者全般の雇用を促進するため、今後とも総合的な障害者対策の強化、充実を図るよう検討すべきである。」が主な内容でございます。
  414. 下村泰

    下村泰君 その場合、今カウントが抜けていましたね。
  415. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) カウントは、二番目でお答え申し上げました。雇い入れた場合には実雇用率としてカウントすると。
  416. 下村泰

    下村泰君 この中の、問題が幾つかあるんですけれども、精神薄弱者の場合、健常者ともちろん同等にはいきませんけれども、なかなか雇用率が伸びない原因はこれこれこれこれこういうところであるというような項目がございますけれども、これに関しては今後どういうふうに対処なさいますか。
  417. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  意見書の中身にもございますように、「現在直ちに精神薄弱者の雇用を法的に義務づけることは困難であるが、」と申しますのは、精神薄弱者の実態、実数を把握することが困難な点とか、いろいろ判定の困難な点等がございますが、そういうことを指しているのだと思います。  それでなお、意見書ではなお書きとしまして、「法的な雇用の義務付け等については、今回の措置が障害者雇用に与える影響や障害者雇用対策全般の在り方をも勘案しつつ、将来、精神薄弱者の雇用に伴う諸問題が解決されていくこと等に対応しながら検討すべきである。」というふうに述べておりまして、ここにございますように、「将来、精神薄弱者の雇用に伴う諸問題」、先ほど申し上げましたような問題を解決していくことに努力しながら対応してまいりたいというふうに考えております。
  418. 下村泰

    下村泰君 実際に精神薄弱者いわゆる知恵おくれの方たちを雇用しているたしか中華料理屋さんがあります。それはもう厚生省の方も御存じだろうと思いますし、労働省の方も御存じだろうと思います。たしか代々木の駅のそばの「香蘭」とかいうところですが、ほとんどの方がもう知恵おくれの方です。最初は非常に困ったそうです、その御主人も。ところが、長い間辛抱強く訓練しますときちんと対応できるようになるんだそうです。そして単一の仕事をやっていれば、ほかのことは難しいかもわかりませんが、一つのことを覚えたらそれはそのまま実行できる。それで、最近はうまいことおつり銭も間違えないようになったそうです。最初のうちは、届けるのに、出前をしますと行ったきり帰ってこないというときもあったそうです。しかし、訓練の仕方である程度健常者にまさるともとはいきませんけれども劣らない程度に仕事ができる、こういう程度の方もいらっしゃるわけですね。  したがいまして、将来雇用率の義務づけをしてもいいのじゃないかというような考えを私は持っているんですけれども、労働大臣いかがでしょうか。
  419. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) お答えいたします。  先ほど安定局長から御答弁も申し上げましたように、この意見書の中でも述べておられますが、二、三複雑な問題がございまして、現在の身体障害者の方々の中でこの精神薄弱者の方々の雇用問題をどうとらえていくかということ、これから法案整備等もいたしますけれども、現在のところはすべてについて結論が出ておるわけでございませんので、いましばらく経過を見ながらこの問題を対策強化という面でとらえていきたいと考えております。
  420. 下村泰

    下村泰君 この精薄の問題なんですけれども、こういったお子さんを持っていらっしゃる親御さんたち関係者がもう二十六年間続けてきた運動なんです。それで、二十六年間続けてまいりましてやっと労働省が今度は身体障害者の方と同じようにカウントだけするという段階まで来た、二十六年間ですよ。ですから、もう一歩踏み込んで、今労働大臣がお答えくださいましたけれども、ぜひともこういうお子さん方を持っている親御さん方が安心できるように、またこの人たちも自分で生活ができるように何とかひとつ面倒を見ていただきたい、これは私のお願いでございます。  お願いをいたしまして、ちょうどお時間でございますからこれで終わらせていただきます。
  421. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 以上で下村泰君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  422. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 次に、青木茂君の質疑を行います。青木君。
  423. 青木茂

    青木茂君 都市サラリーマンの立場から、今度の米価決定のプロセス、それを御質問申し上げたいと思います。  農水省あるいは米価審議会でいろいろ苦労をされて出た数字が六・六%の引き下げであった。それじゃ少し変動幅がひど過ぎるからと三・八%、こういうことになった。総理はそれに対して据え置きという政治的決断をなさったわけですね。それの理由、根拠、それをまず総理にお伺いをしたいと思います。
  424. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 米審の答申をいただきまして、政府といたしましては答申の趣旨に沿うようにやりたいと思っておりました。しかし、急激な変動を避けたいという党の議員の皆さん方の大多数の非常に強い要望がございまして、それではやむを得ないから来年度から今までの算定方式でやる、そういうことをはっきり約束させようと。問題は農業団体の皆さんがすんなりそれを承知してくれるかどうかという問題なので、そういう意味では農水省も非常に努力しまして、また自民党の関係議員の皆さんも非常に努力していただいて農業団体の皆さんにも承知してもらう、それで来年度はそういう算定方式はすんなりいけるという、そういう考えを私たちは持っております。  ことしある程度のマイナスということも考えておったわけでございますが、多少の出入りはあるかもしれませんが来年度やっぱりすんなりさっといくという方が行政全体としては結論的にはあるいはそうマイナスはないんじゃないかと。もう一つは、減反政策につきまして、普通の商工業その他のものでしたらそういう問題は生産者が自分で努力すべきものなんです、市場マーケット原理によりまして。しかしこれは食管制度があるという今までの因縁もありまして政府が一生懸命実はやってきた、農業団体は協力するという形であったけれども、これはどうも主客転倒じゃないか、本当は農業団体が自分のことなんだから自分で一生懸命やるべきだ、政府もそれに対しては協力すべきではないか、そういうふうに物事の重心を変えたらどうかということで、農業団体が一緒になって減反政策については協力してやる、そういう二項目についての了解ができましたので、これである程度筋も通ったと思いまして了承した、そういう次第でございます。
  425. 青木茂

    青木茂君 その二項目の了解は当たり前のことであって、六・六%下がるものを据え置きにするという理由にはならない、もう少しほかに例えば選挙で世話になったお礼だとかいろいろ本当の理由はあるんじゃないかと思いますけれども、それはいいですわ。  しかし、総理がみずから信頼してお選びになった農林水産大臣ですね、農林水産大臣の何かメンツがつぶれた感じがあるんですよ。それについて農水大臣は御満足ですか。
  426. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 数値その他いろいろありますが、米審に対しまして三・八%の諮問案を出しました。そして米審も、附帯条件つきではありますが三・八%ということに対する諮問をいただいたわけであります。ところが、御存じのような諸般の情勢によりまして据え置きということになったわけでございます。私はこのことに対しては極めて残念であるということを八月九日の朝申し上げたことがあるわけでございます。しかし、ただいま総理が申されましたように、二項目の確認をいただいた。その二項目の確認は、一つは六十二年度生産者米価は現行どおりの基準でやっていく、これが一つですね。それからいま一つは、食管制度があるがゆえに、他の畜産物や農産物は生産者である団体が自主調整をやってもらっておるのでありますが、米に限り、減反政策をやっておりましても、団体が、何言っとるんだと。国だ、県だ、市町村という行政当局が大変苦労しております。もちろん協力していただく生産者団体もあるんですが、そこら辺における県、市町村の御苦労たるや大変なものがあるわけであります。これを二項目目に入れました。ポスト三期について自分のこととして自主的に今後は取っ組んでいくということです。  この二点をいただきましたということは、私はある面で申し上げますと、新しい農政の出発点が八月九日に決まった、ここに、農政改革元年が八月九日に行われるようになったという感じを持っております。
  427. 青木茂

    青木茂君 ちょっと細かいことになりますけれども、米価決定の算式は、例えば分母に過去三年間の平均単収をとる、そうすれば不作だった五十七年が落ちて豊作だった六十年が入ってくるんだから分母は大きくなる、それから分子に十アール当たりの平均生産費をとると、これはみんな下がる条件ばかりで太る条件はないわけですね。だから、ことしほど米価が下がる条件がそろい踏みをしたときはない。  にもかかわらず、据え置かれてしまった。これが都市に住んでいる消費者としては何とも不可思議であるわけです。特にこの算式の分子の中に地代が入っているんですよ。だって、自作農が圧倒的多数の中で地代まで分子の中に入れてしまう、人に貸したという計算をやっちゃうわけですよ。これは非常に分子が膨らむ条件、それでもなお六・六%下がったんだと。ここら辺のところはどうなんですかね、計算式そのものがおかしい中で下がっているんだから。
  428. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 米価算定方式につきまして青木委員から以前にも一度お尋ねがあった点かと思いますけれども、昭和三十五年以降、生産費及び所得補償方式ということで運用にはいろいろ変化はございますけれども大枠やってまいっておりますが、これは何といいましても我が国の農業と申しますのは家族経営の自作農ということでずっと来ているわけでございまして、やはり自作地地代というものを一つの土地資本利子としまして計上するということが再生産をずっと続けていくという場合に必要であろう。実際に労働力も資本も土地もかなりの部分自分が持ったものでやっておりますので、これを全部無視をするというわけにはなかなかまいらない。それからまた、私、専門でございませんけれども、ガス、電気等公共料金につきましてもいろいろそういう事業資産あるいは資本的なものについては一定の利潤を見るということはほかの分野の公共料金でもやられていることではないかというふうに思っております。  ただ、じゃどういう評価をするかということにつきましては、農林水産省のやっております生産費調査では一次生産費、二次生産費という概念がございまして、二次生産費の方には資本利子、地代というものを入れておりますが、この生産費を調べますときには、借入地につきましては実納小作料、それから自作地につきましては近傍類地の小作料をとっておりますが、私どもは税制との整合性ということも考えまして、水田の固定資産税の評価額に国債利回りを掛けるというような形で整合性をとってやっております。  それから本年米価が下がる要素が非常にいろいろあったわけでございます。単収につきまして申しますと、ことしの算定では豊作年が二年、不作年が一年ということでございます。九月の十五日現在ではことしの作況も一〇二というふうに今のところなっております。このままで参りますれば来年の米価算定は、単収につきましては三年間の豊作というもとで算定をされる、こういうふうに私ども考えております。
  429. 青木茂

    青木茂君 例えば経済常識でいって、自分の製品をつくらずに工場用地をほかに貸し出して賃借料を取るならいいですよ、自作農が自分の土地を貸したことにして地代まで分子の中に入れてしまうというのが私はどうしてもわからないですけれども、我々に与えられた時間は少ないですからそれはともかくといたしまして、とにかく下がるものが据え置きになったんです。農水省の予算に穴があくわけです。特に概算要求費に穴があく。その穴をどういう方法で埋めようとなさるのかということを農水大臣にまず伺いたいと思います。
  430. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 穴があくあかぬの問題でございますが、ことし八月末に出しました概算要求は三兆八百五十三億、対前年比五百七十六億減になっております。今まで厳しい財政事情のもとシーリングに従って農水省予算を組んできたところでございますが、毎年食管会計の節減合理化というところでマイナスの分を相当結果的に埋めてきたわけでございます。私たちとしましては、昭和六十二年度の概算要求を今出したばかりでありますが、単に食管関係だけでなしに内部もろもろの節減合理化を図りまして、ただいま申し上げました概算要求をまとめたわけでございます。そして、この限られた予算の中で最大限の効果を発揮しまして国民の負託にこたえ、そして安定的に食糧を供給し、健全な地域社会をつくり、自然環境の保全という農水省の三つの任務を最大限発揮するように頑張っていきたい、こう考えておるところでございます。
  431. 青木茂

    青木茂君 今農水大臣がおっしゃいましたもろもろの方法、その中に、ここではっきり確認をしておきたいのは、消費者米価の値上げは含まれておりませんね。
  432. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 政府の売り渡し価格の取り扱いにつきましては、まだ何も決めておりません。ただ、食糧管理法の規定に従いまして、家計費及び物価その他の経済事情に十分配慮しながら、消費者の家計の安定を旨として適正に対処してまいりたいと考えております。
  433. 青木茂

    青木茂君 よくわかりませんね。こういう形の中で決定された米価据え置きなんだから、そのしわを消費者米価の値上げで埋められたらたまったものではないというのが都市消費者の願いなんです、希望なんですよ。総理にひとつその御決断をお願いしたいんですが。
  434. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 青木委員の御意見を十分胸に抱きまして、今後諸般の情勢を見ながら決定してまいりたいと思います。
  435. 青木茂

    青木茂君 今度はどうしても総理伺いたい。据え置きを決断したあの勇気で、消費者米価の値上げはいたしませんと言っていただけないですかね。
  436. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 青木さんの今のお言葉をよく胸にとどめまして、よく検討いたします。
  437. 青木茂

    青木茂君 胸にとどめるとかよく検討するというのは、実は永田町の辞書にしかない言葉なんであって、それを伺うと、やはりこれは消費者米価の値上げをねらっていらっしゃるのじゃないかというちまたの解釈になってしまうんですよ。もう一度御決断をひとつお願いをしたい。
  438. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今申し上げたとおりでございますが、消費者米価というものはもうできるだけ上げないように努力するのが政治の今日の建前であろう、そう考えます。
  439. 青木茂

    青木茂君 それ、できるだけがないとまことにいいんですけれども。  今や農家の方は、都市サラリーマンより貯蓄の残高におきましては多いし、借金は少ないし、本当に豊かなんですよ。とにかく、サラリーマンは不公平な税制と健康保険料の値上げで四苦八苦している。中小企業は円高で骨身を削るような努力をしている。その中でひとり農業と申しますか農協と申しますか、米と申しますか、それだけが経済原則を無視しちゃってあぐらをかいていると言えば言い過ぎだけれども、経済原則の無視、税金を目いっぱい受けてのうのうとしていることが一体全国民的な視野において許されるかどうかということ。だから、せめて消費者米価の値上げだけはやらないということが僕は都市に対する最小限の償いだと思います。もう一回。
  440. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 来年度予算に関する問題は、概算要求が出たばかりでございまして、総合的にすべて考えなきゃならぬので、一つの問題だけに約束を与えてしまう、そういうことはやはり総合的な政策の観点から適当でない。じゃおれの方もやれ、おれの方もやれとみんな言い出すだろうと思います。しかし、こういういきさつもあったことでございますから、ただいま申し上げたように、できるだけあなたのお顔を胸にとどめましてそして努力いたしますと申し上げておる次第なのであります。
  441. 青木茂

    青木茂君 そこまででしょうね。どうも十分じゃないけれども、了承をいたします。  次の問題でございますけれども、これはちょっと比喩的な形になりまして申しわけございませんけれども、総理、例えば中曽根総理は男性であるという言葉と、中曽根総理は女性でないという言葉、その場合は同じでしょう。中曽根先生のファッショナブルなヘアスタイルというのか、国民を熱狂させる目鼻だちというのか、非常にお強い心臓というのか、それは全然変わっておりませんね。表現が違っているだけですね。そうですね。それと同じように、大型間接税というものと日本型間接税というものと一般消費税というものとEC型付加価値税というものと、表現を変えただけで全く同じなんですよ。だから私は、表現を変えただけで、いや選挙のときは大型間接税はやらぬと言ったけれども、日本型間接税はやると言ったんだというようなことでは、国民はやっぱり納得できないじゃないかと思うわけなんです。この点をひとつ明確に御答弁をいただきたいんですけれども。
  442. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は選挙中の公約を守りますとも申し上げ、また大型間接税とは何ぞやという御質問に対して矢野書記長及び大内書記長に対する御答弁を申し上げて、多段階、普遍的、網羅的云々ということを申し上げました。ああいう考えに沿って処理してまいりたい、こう申し上げておるのでございます。  では、定義の問題になりますが、これは物が出てきてみて、そしてこれは何だという判定をするまではなかなかできないと思うんです。なぜなれば、我々は既存の経験がないから、EC型付加価値税であるとかインボイスをやるとかやらぬとかいろいろ言われておりましたけれども、一般消費税ですらやったことがないわけです。しかしそれは、国会決議で言われたいわゆる一般消費税、そういう形で定義がされておる。しかし物を見た者はないんです、何が一般消費税であるかということは。ですから、今度税調の答申が出、それを我々政府・与党で検討を加え、そしてこういうものがいいのじゃないかとか幾つか案が出る。国民の皆さんに選択していただく。いろいろ出入り考えてみるとこの辺がまあまあというところだという点で、じゃこれでいこうかというときに初めてこれは何だという正確な認識が出てくるのであります。ですから、物が出てくるまでは余り抽象的な議論ばかり言ってもどうも益がないような気がします。しかし、国会でございますから、どういう性格のものかということで定性的な質問はうんと出ます。しかし、その定性的な御質問に対してはできる限り、こういうものではないというような思想で、あるいはこういうものらしいとか、あるいはこうであるとかないとかというそういう議論で大蔵大臣も御答弁申し上げている、そういう状態だろうと思います。
  443. 青木茂

    青木茂君 しかし総理は、選挙の中で、大型間接税なるものをまだ見たこともないのに、やりませんとおっしゃったんですから、お心の中には浮かんでいるのじゃないですか。
  444. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それには大変大事な定義がついておりまして、国民も反対し党員も反対するような大型間接税と称するものはやらない、そういう大事な定義がついておるわけであります。
  445. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 青木君、時間が参りました。
  446. 青木茂

    青木茂君 一言いいですか。  そうなってまいりますと、一体国民とは何ぞや、党内とは何ぞやという複雑な問題になりますけれども、やっぱり本質論においてお考えをいただきたいと思うわけです。  舌足らずですけれども、時間が参りましたからこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  447. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 以上で青木茂君の質疑は終了いたしました。  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。     ─────────────
  448. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 次に、派遣委員の報告を聴取いたします。  第一班の報告を佐藤栄佐久君からお願いいたします。佐藤君。
  449. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 第一班の調査の概要について御報告申し上げます。  第一班は、桧垣委員長村上野田峯山各理事、金丸増岡小西委員、そして私、佐藤の八名で編成され、九月二日から四日までの三日間、愛媛、広島両県の財政状況、四国、中国地域の産業経済動向につき調査を行うとともに、円高不況や農産物市場開放問題等を抱えている地元の造船、自動車産業及び農業関係者等から意見を聴取してまいりました。  まず、四国、中国地方の産業経済動向について申し上げますと、製造業では造船が従来からの海運不況に加え急激な円高の進行により一層厳しい状態となっているほか、自動車も輸出採算が大幅に悪化し、鉄鋼、繊維といった基礎素材産業も輸出の減少などから生産が大きく落ち込むなど、総じて停滞色が一段と濃くなっております。現在のような円高が今後も続いた場合、企業倒産の多発や雇用情勢の一段の悪化が懸念されるとのことであります。  円高の影響について、愛媛県商工会議所連合会の新野会頭は、貿易関連企業にとどまらず地域経済全体に波及しており、円高不況や失業問題は深刻化していると述べ、円相場の安定、中小企業への低利融資、事業転換への助成強化などを要望しておりました。  自動車産業への円高の影響については、山本マツダ社長は、一円の円高が三十億円の売り上げ減の要因となり、最近では業績が急速に悪化してきている。円高対策として、地元協力企業も含めグループを挙げて合理化、生産性の向上に取り組んでいると述べられ、下請企業組合の石崎東友会理事長も、マツダの支援を受け、企業体質の抜本的改善を行い、専門メーカーへの脱皮に努力していると述べられました。しかし、両者とも、今回の急激な円高は企業の経営努力による対応の限界を超えているとし、為替相場の是正、安定、総合的な内需拡大策の実施、円高メリット還元などをともに要望されました。  造船業の不況の実態と円高の影響については、石川島播磨重工業の簗事業所長は、円高により韓国などとの競争力が弱まっており、新造船建造の引き合い件数が激減している。海運造船合理化審議会における二〇%設備削減答申は円高百五十円をベースに考えておらず、この程度の削減では今回の不況を乗り切れるものではないと述べ、円相場の是正、過剰船舶買い上げや官公庁船などの前倒し発注による需要喚起などを要望されました。  また、檜垣今治造船社長及び神田造船の神田社長は、円高により受注量が著しく減少し工事量も急減、特に輸出船の新規受注は今後ほとんど期待できない。過当競争による船価の低落と企業業績の低迷、投資の停滞、雇用条件の悪化などにより、造船業界の活力は低下していると述べ、造船需要拡大のほか、特に神田君は中小造船の構造改善事業の推進に必要な予算措置を要望しておりました。  さらに、こうした造船不況の波をもろに受けた楠見因島市市長は、日立造船因島工場新造船部門の廃止は、雇用情勢の悪化を初めとし地域経済、市民生活に大きな影響を与えており、法人市民税の落ち込みなどにより市財政も深刻な状態に陥っていると述べ、雇用安定対策や造船不況地域に対する援助対策の実施などを要望しておりました。  次に、四国、中国地方の農業について申し上げますと、約七十一万戸の農家の経営耕地規模は一戸平均約〇・七ヘクタールと零細で、基幹的農業従事者のうち六十歳以上の割合は四七%に達し、農業労働力の高齢化が進み、農業所得も全国平均の約七割にすぎない状態であります。  さらに現状は、生産費の上昇、販売価格の低迷、加えて農産物の過剰基調による生産調整を余儀なくされており、米や果物など農産物の市場開放は、生産農家はもとより、地域経済にも深刻な影響を与えかねないということでした。  愛媛県農業協同組合中央会の矢野会長は、営農集団や中核農家の育成、構造改善事業などに努力しているものの、急傾斜地が多いことや労働力不足から統一的な農家指導ができない。畜産酪農経営は農家負債の急増などにより極めて深刻化しており、農協経営にも大きく影響している。今後、国の施策の充実強化と畜産振興と経営改善への特段の配慮を要望しておりました。  また、愛媛県青果農業協同組合連合会の西村専務理事は、円高により中近東向け加工ジュースやカナダ、アメリカ向け生ミカン輸出が減少し、苦慮している。生産者みずから、甘えを持たず、輸出の維持拡大に努めているが、アメリカ大陸と愛媛県の果樹農業では営農規模が比較にならず、市場開放自由化は死活問題であると述べられておりました。  最後に、愛媛、広島両県の財政状況でありますが、ともに職員定数の抑制、徹底した事務事業の見直しや補助金の整理合理化などに努めた結果、経常収支比率、公債費比率ともに全国平均を下回る水準となっております。  しかし、最近の財政状況は、両県とも、県単独事業の拡大など財政需要が増加する一方、歳入面では、脱収入が低迷、国庫支出金も補助金の一律削減などから減少しているため、一般財源の負担が増加するなど、非常に厳しい状況にあります。このため、今後一層苦しい財政運営を余儀なくされることへの憂慮を県財務当局は訴えており、地方財政の安定と財源の確保を求めておりました。  以上で第一班の口頭報告を終わります。  なお、委員長の手元に詳細な調査報告書を提出いたしますので、本日の会議録に載せていただくよう委員長においてお取り計らいをお願い申し上げます。(拍手)
  450. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 続いて、第二班の報告を原文兵衛君から聴取いたします。原君。
  451. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 予算委員会委員派遣第二班による調査の結果について報告いたします。  第二班のメンバーは、降矢吉川内藤の各理事、林、矢田部青木の各委員、それと私、原の計七名で、九月二日から四日まで、熊本、大分に赴き、両県の財政状況、九州地域の産業経済動向について調査を行うとともに、最近の円高や市場開放の問題が我が国各地の産業、経済に重大な影響を及ぼしていることにかんがみ、これらについて地元の農業関係者や中小企業者から意見を聴取してまいりました。  具体的には、九月二日、熊本において九州地域の産業経済動向及び熊本県の財政状況等の調査、円高、市場開放が農業に与える影響について関係者より意見聴取、バイオテクノロジー関係の博覧会であるグリーンピック会場視察、九月三日、産山村の上田尻牧野組合視察、大分において大分県の財政状況等の調査、円高が地元中小企業に与える影響について関係者より意見聴取、九月四日、先端技術関係企業である石井工作研究所、ホックス電子工業の視察と短い日程ながらも充実した調査を行ってまいりました。  まず、九州の産業構造について申し上げますと、全国に比較して第二次産業の占める割合がかなり低く、第一次産業、特に畜産に依存する割合が高くなっております。また、第二次産業においては素材型産業のウエートが高く機械工業のウエートが低いことから、今後付加価値の高い産業のウエートを高める必要があるとのことですが、我々が訪れました熊本、大分など南九州四県では近年産業基盤の整備に力を入れ、先端企業誘致に努めており、ICの生産量では全国の三割近くを占めるに至るなど、従来型の産業構造からの転換が進みつつあります。  最近の景気動向につきましては、輸出が米国や中国向けの減少から大幅に落ち込んでおり、また、内需も、個人消費が比較的堅調なものの、製造業の設備投資が大幅に落ち込み、住宅建設も低調であるなど盛り上がりに欠けることから、総じて停滞感が強まっております。  円高の影響について申し上げますと、農業関係では、生体牛の輸入増加など懸念材料はあるものの、飼料、肥料等が値下がりするなど円高がメリットとして働いており、現在のところ全体として大きな影響が出るに至っておりません。製造業関係につきましても、九州地域にはいわゆる輸出型産地はなく、他地域に比べ地域経済への直接的影響は軽微とのことでありました。しかし、鉄鋼、造船など輸出関連産業での円高の影響はかなり厳しく、また、舶用エンジンメーカーなど地元の輸出関連中小企業者からの意見聴取では、昨年来の急激な円高によって新規契約も結べず窮地に陥っているなど為替の安定を求める意見が相次ぎ、個々の企業にとって事態はかなり深刻化しており、一層の円高対策の必要性を痛感いたしました。  市場開放の関係で申し上げますと、九州におきましては、前述したように一次産業への依存度が高く、その中でも畜産、かんきつ類は重要な位置を占めていることから、オレンジ、牛肉などの市場開放は九州地域の農業と経済に甚大な影響を与えることが必至と見られます。意見聴取の際にも、地元農業関係者からは、これ以上の市場開放は行わぬようにと強く要望され、円高と同様、深刻な事態に直面しているとの認識を深めた次第であります。  地方財政の状況につきましては、熊本、大分県とも財政力指数が全国平均を下回るなど地方交付税や国庫支出金への依存度が高く、財政基盤は脆弱なものとなっております。  近年、地方税の伸び悩みや国庫支出金の削減などから歳入が制約される一方、公債費などの義務的経費が増加することにより財源不足を生じ、基金の取り崩しで収支を埋め合わせる状態が続いており、苦しい予算編成を強いられていることがうかがわれました。  今回の派遣では、円高、市場開放の問題が九州地域の産業経済動向に深刻な影を落とし始めており、また地方財政についても厳しい状況が続いていることが明らかとなるなど、全体として暗いという印象はぬぐえませんでした。  しかしながら、一村一品運動など地域の活性化に向けた施策が住民挙げての取り組みとして定着しつつあるなど、地域のエネルギーが感じられ、また日程の最終日に伺いましたホックス電子工業においては、他国にまねのできない日本独自の技術によって新製品を開発し、円高に対応していくとの自信に満ちた発言を聞くことができたなど、明るい面もあったことを申し添えておきます。  以上で口頭報告を終わります。  なお、委員長の手元に詳細な調査報告書を提出いたしますので、本日の会議録に掲載するよう委員長においてお取り計らいをお願い申し上げます。  以上です。(拍手)
  452. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) ただいま両君から要請のありました報告書につきましては、本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  453. 桧垣徳太郎

    委員長桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十五分散会