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1986-11-28 第107回国会 参議院 本会議 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十八日(金曜日)    午後一時二分開議     ━━━━━━━━━━━━━ ○議事日程 第十一号   昭和六十一年十一月二十八日    午後一時開議  第一 地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)  第二 昭和六十年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)  第三 地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第四 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(鉄道労働組合関係)(第百六回国会内閣提出、第百七回国会衆議院送付)  第五 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全国鉄施設労働組合関係)(第百六回国会内閣提出、第百七回国会衆議院送付)  第六 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(国鉄労働組合関係)(第百六回国会内閣提出、第百七回国会衆議院送付)  第七 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(国鉄動力車労働組合関係)(第百六回国会内閣提出、第百七回国会衆議院送付)  第八 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全国鉄動力車労働組合連合会関係)(第百六回国会内閣提出、第百七回国会衆議院送付)  第九 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(国鉄千葉動力車労働組合関係)(第百六回国会内閣提出、第百七回国会衆議院送付)  第一〇 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(日本林業労働組合関係定員内職員及び常勤作業員常勤作業員処遇を受ける常用作業員を含む。)」)(第百六回国会内閣提出、第百七回国会衆議院送付)  第一一 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(日本林業労働組合関係基幹作業職員常用作業員常勤作業員処遇を受ける者を除く。)及び定期作業員」)(第百六回国会内閣提出、第百七回国会衆議院送付)  第一二 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全林野労働組合関係定員内職員及び常勤作業員常勤作業員処遇を受ける常用作業員を含む。)」)(第百六回国会内閣提出、第百七回国会衆議院送付)  第一三 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(全林野労働組合関係基幹作業職員常用作業員常勤作業員処遇を受ける者を除く。)及び定期作業員」)(第百六回国会内閣提出、第百七回国会衆議院送付)     ───────────── ○本日の会議に付した案件  一、日程第一より第一三まで  一、日本国有鉄道改革法案内閣提出衆議院送付)  一、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案内閣提出衆議院送付)  一、新幹線鉄道保有機構法案内閣提出衆議院送付)  一、日本国有鉄道清算事業団法案内閣提出衆議院送付)  一、日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案内閣提出衆議院送付)  一、鉄道事業法案内閣提出衆議院送付)  一、日本国有鉄道改革法等施行法案内閣提出衆議院送付)  一、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)      ─────・─────
  2. 藤田正明

    議長藤田正明君) これより会議を開きます。  日程第一 地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。選挙制度に関する特別委員長岩上二郎君。    〔岩上二郎登壇拍手
  3. 岩上二郎

    岩上二郎君 ただいま議題となりました法律案について、選挙制度に関する特別委員会における審査経過及び結果を御報告いたします。  本法律案は、昭和六十二年三月から五月にかけて任期が満了することとなる地方公共団体議員または長に係る任期満了による選挙を三月以降に行う場合等について、これらの選挙期日を、都道府県及び指定都市議会議員及び長の選挙昭和六十二年四月十二日、指定都市以外の市、町村及び特別区の議会議員及び長の選挙は四月二十六日に統一することとし、それに伴う所要規定整備を行おうとするものであります。  委員会におきましては、政府より趣旨説明を聴取した後、質疑を行い、採決の結果、本法律案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  4. 藤田正明

    議長藤田正明君) これより採決をいたします。  本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  5. 藤田正明

    議長藤田正明君) 総員起立と認めます。  よって、本案全会一致をもって可決されました。      ─────・─────
  6. 藤田正明

    議長藤田正明君) 日程第二 昭和六十年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。大蔵委員長井上裕君。    〔井上裕登壇拍手
  7. 井上裕

    井上裕君 ただいま議題となりました昭和六十年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案につきまして、委員会における審査経過と結果を御報告申し上げます。  昭和六十一年度におきましては、給与改善費を初めとする追加財政需要相当程度に上る一方、税収は当初予算をかなり下回り、補正予算編成において既定経費の節減を行ってもなお財源不足状況にあります。  本法律案は、このような厳しい財政事情のもとで特例公債追加発行を回避するため、昭和六十年度歳入歳出決算上の剰余金の全額を六十一年度補正予算不足財源に充当することができるよう、財政法第六条第一項の特例を定めようとするものであります。  委員会におきましては、特例公債発行下において減債基金制度を維持することの意義、国債の金利負担軽減を重視する必要性税制改革における税収中立性考え方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して近藤忠孝委員より、本法律案反対する旨の意見が述べられました。  討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  8. 藤田正明

    議長藤田正明君) これより採決をいたします。  本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  9. 藤田正明

    議長藤田正明君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。      ─────・─────
  10. 藤田正明

    議長藤田正明君) 日程第三 地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。地方行政委員長松浦功君。    〔松浦功登壇拍手
  11. 松浦功

    松浦功君 地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案について御報告申し上げます。  本法律案は、国家公務員災害補償制度が改正されることに伴い、地方公務員災害補償制度についても同様の措置を講じようとするものでございまして、年金たる補償に係る平均給与額について年齢階層ごと最低限度額及び最高限度額を設けること、通勤災害における通勤の定義及び収監中の職員に対する休業補償の取り扱いについて所要規定整備を行うことを主な内容とするものでご ざいます。  委員会におきましては、政府より趣旨説明を聴取した後、基金業務運営改善通勤災害に対する保護の拡大等の問題について熱心な質疑を行いました。  質疑を終局し、討論の後、採決を行いましたところ、本法律案賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対し、公務災害防止対策推進等に関する附帯決議を行いました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  12. 藤田正明

    議長藤田正明君) これより採決をいたします。  本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  13. 藤田正明

    議長藤田正明君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。      ─────・─────
  14. 藤田正明

    議長藤田正明君) 日程第四より第一三までの公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件十件(いずれも第百六回国会内閣提出、第百七回国会衆議院送付)を一括して議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。社会労働委員長佐々木満君。    〔佐々木満登壇拍手
  15. 佐々木満

    佐々木満君 ただいま議題となりました公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件(鉄道労働組合関係)外九件につきまして、社会労働委員会における審査経過と結果を御報告申し上げます。  各件は、日本国有鉄道及び林野庁所属公共企業体等労働関係法上の職員について、その基準内賃金を、本年四月一日以降、一人当たり、基準内賃金の一・四二%相当額に千三百十円を加えた額の原資をもって引き上げること等を内容とする本年六月三日の仲裁裁定実施につき、国会議決を求めるものであります。  委員会におきましては、採決の結果、各件はいずれも全会一致をもって、仲裁裁定のとおり実施することを承認すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  16. 藤田正明

    議長藤田正明君) これより十件を一括して採決いたします。  委員長報告は、いずれも公共企業体等労働委員会裁定のとおり実施することを承認すべきものとすることであります。  十件は、いずれも委員長報告のとおり決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  17. 藤田正明

    議長藤田正明君) 総員起立と認めます。  よって、十件は全会一致をもって委員長報告のとおり議決されました。      ─────・─────
  18. 藤田正明

    議長藤田正明君) この際、日程に追加して、  日本国有鉄道改革法案  旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案  新幹線鉄道保有機構法案  日本国有鉄道清算事業団法案  日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案  鉄道事業法案  日本国有鉄道改革法等施行法案  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上八案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 藤田正明

    議長藤田正明君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。日本国有鉄道改革に関する特別委員長山内一郎君。    〔山内一郎登壇拍手
  20. 山内一郎

    山内一郎君 ただいま議題となりました八法案につきまして、日本国有鉄道改革に関する特別委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  これら八法案につきましては、既に本会議において趣旨説明を行っておりますので、簡単にその内容について申し上げます。  まず、日本国有鉄道改革法案は、国鉄経営している鉄道事業等に関し、分割民営化基本とした抜本的な改革実施するため、その基本的事項を定めるものでありまして、六つの旅客鉄道株式会社日本貨物鉄道株式会社新幹線鉄道保有機構及び日本国有鉄道清算事業団について、その事務の引き継ぎ、経営安定基金の創設及び新経営形態への移行昭和六十二年四月一日とすること等所要規定を設けようとするものであります。  次に、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案は、北海道東日本東海西日本四国九州の各旅客鉄道株式会社並びに日本貨物鉄道株式会社を設立し、鉄道事業に関し、輸送需要の動向に的確に対応し得る適切かつ健全な運営体制を実現するため、所要規定を設けようとするものであります。  次に、新幹線鉄道保有機構法案は、新幹線鉄道保有機構を設立し、東日本東海及び西日本の各旅客鉄道株式会社経営基盤均衡化及びこれら の施設に係る利用者負担適正化を図るため、新幹線鉄道を一括して保有し、貸し付ける等の制度を創設しようとするものであります。  次に、日本国有鉄道清算事業団法案は、日本国有鉄道清算事業団移行させ、その資産債務等処理を行わせるとともに、臨時にその職員の再就職促進業務を行わせるため、所要規定を設けようとするものであります。  次に、日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案は、国鉄改革実施に伴い、再就職を必要とする職員に対し、雇用確保を図るため、特別の措置を緊急に講ずるとともに、清算事業団職員になった者についても、就職及び援助等について特別の措置を講じようとするものであります。  次に、鉄道事業法案は、国鉄分割民営化に伴い、地方鉄道法を廃止し、新たに鉄道事業に関する一元的な法制度整備することにより、鉄道利用者の利益を保護するとともに、鉄道事業等の健全な発達を図るため、関係規定整備しようとするものであります。  次に、日本国有鉄道改革法等施行法案は、以上の国鉄改革法律施行に関し必要な事項を定めるとともに、関係法律整備等を行おうとするものであります。  最後に、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案は、国鉄経営形態改革等に伴い、日本国有鉄道所在市町村納付金制度を廃止し、地方税の適用に関し、各事業形態に応じ、所要措置を講じようとするものであります。  以上の八法案は、去る九月十一日、国会提出、十月二十八日に衆議院から送付され、本会議において趣旨説明の聴取が行われました。  委員会におきましては、政府提出の八法案及び日本社会党議員発議国鉄改革法案を一括して審議することとしました。  最初に、橋本運輸大臣及び葉梨自治大臣並びに村沢議員より関係法案趣旨説明を聴取した後、総括質疑を行ったほか、総理大臣及び関係大臣並びに発議議員参考人などの出席を求めて質疑を行いました。  この間、公聴会を開き、また新潟、静岡及び広島の各県に委員を派遣し地方公聴会を行ったほか、現地調査を行いました。  まず、委員会における質疑についてでありますが、今回の政府提出国鉄改革法案は、公共企業体による全国一元的経営体制を抜本的に改め、分割民営化を図ろうとするものでありますので、国民的関心が強く、各委員質疑も終始熱心に行われ、またその対象広範多岐に及び、かつ詳細にわたり論議が展開されました。  以下、委員会における質疑のうち、主な事項について申し上げますと、国鉄経営破綻原因長期債務償還及び資産処分方法旅客及び貨物鉄道株式会社経営民営移行後の運賃料金の抑制、トラック事業等公正競争確保雇用機会拡大及び採用方法国鉄共済に対する財源措置用地売却地価対策地方財政健全化並びに新幹線鉄道保有機構整備新幹線着工問題等の諸問題が取り上げられました。  国鉄改革は、その実施に伴い、一時に多数の再就職を必要とする職員を生じます。雇用機会確保し、公平公正な採用を行い、かつ生活不安の解消に努めることは、委員会においても特に関心の寄せられたところであります。  政府は、これらの指摘に対し、全力を挙げて遺憾のないよう善処したい旨の決意を表明いたしました。  次いで、政府提出の八法案について質疑の終局を決定し、討論に入りましたところ、政府案に対し、日本社会党護憲共同を代表して赤桐理事反対自由民主党を代表して江島理事賛成日本共産党を代表して市川委員反対公明党国民会議を代表して鶴岡委員賛成民社党国民連合を代表して柳澤委員賛成意見が述べられました。  討論を終わり、次いで採決の結果、政府提出の八法案賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、八法案に対し、安恒理事より、自由民主党日本社会党護憲共同公明党国民会議民社党国民連合新政クラブ共同提案に係る本法案実施に当たり配慮すべき事項に関する附帯決議案提出され、多数をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  21. 藤田正明

    議長藤田正明君) 八案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。安恒良一君。    〔安恒良一登壇拍手
  22. 安恒良一

    安恒良一君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、ただいま報告されました日本国有鉄道改革法案等政府提出国鉄改革関連八案に対し、反対討論を行うものであります。  国鉄改革問題は、言うまでもなく、今国会最大のテーマであり、多くの国民がその帰趨を見守っています。  一八七二年、明治五年に我が国鉄道が開通して以来百十余年、我が国の経済の発展国民生活の向上、さらに文化の発展に大きな役割を果たしてきました。その国鉄が、現在、危機に瀕し、すべての国民が納得し得る改革方向がまさに問われているにもかかわらず、政府案に多くの疑問を残したまま、本日、採決されることは極めて残念であります。その責任政府・与党にあることをまず指摘して、以下、本法案に対し反対意見を申し述べます。  まず第一に、国鉄改革基本的な方向誤りがあると言わざるを得ません。  もとより鉄道は、長期的な視点に立って国民にすぐれた鉄道輸送サービスを提供し得るよう計画的に整備されなければなりません。これは国の国民に対する基本的な責務であり、放棄することは許されないものであります。しかしながら、政府採算性を過度に強調し、市場競争にすべての問題の解決をゆだね、交通における国の責任を放棄し、利用者国民負担を転嫁しようとしているのであります。  第二に、政府分割民営化案には、それを正当化する合理的な理由はないのであります。  まず、政府案民営化の重大な誤りは、完全な民間企業移行させようとしていることであります。新会社営利追求を最優先する余り、鉄道輸送の担うべき公共性が損なわれるのではないかと危惧されています。  次に、国鉄を多くの事業体にずたずたに解体す る分割論には、鉄道の未来はないのであります。  政府は、分割根拠として幾つかの理由を示しました。まず、国鉄は巨大過ぎて管理能力を超えているというものです。しかし、NTTやIBMなどの巨大企業が現に存在し、しかも、分権化によって効率的に運営されているという事実がこれを端的に否定しているのであります。世界の鉄道は、統合によって全国的な鉄道網を形成してきたという鉄道の歴史から見ても、政府の言う管理限界論分割根拠とならないことは明白であります。  第二の論拠は、全国画一的経営の弊害でありました。  しかし、全国組織でも地域に密着した経営を行うことは可能であります。我が党の主張する分権化導入こそ、真にこれを実現し得るものであります。  第三の論拠は、全国組織巨大企業では競争意識が働かないというものでありました。  しかし、この意識改革のねらいは、鉄道事業の健全な発展ということよりも、実は国鉄労働組合の解体をねらった極めて政治的なものであるという疑念さえ生じるものであります。このように政府案を支える根拠は、いずれも議論に耐えないものであることは明白であります。  第三に、国鉄赤字原因についてであります。  国鉄財政状態とは無関係に、国策として押しつけてきた膨大な設備投資の大部分を国鉄の借金で賄わせ、赤字を単年度処理せず、毎年累積させてきたこと、またヨーロッパでは国が負担している鉄道基礎施設建設費ばかりか、政治路線や不要な設備投資まで国鉄に押しつけてきたことなどに今日の赤字は起因するのであります。政府分割民営化の断行により、これらの責任を全く不問に付そうとしているのであり、断じて許すわけにはまいりません。  第四は、雇用の問題であります。  新会社要員規模算定方法には大いに疑問があるのみならず、国鉄職員の身分の承継が従来の労働慣行に照らして極めて異例であると言わざるを得ません。何ゆえに新会社職員新規採用の形をとるのか。さきの電電公社民営化の例に比べても不可解であります。いわば国家レベルで強行される人減らし合理化の最たるものと言っても過言ではありません。  第五は、長期債務償還に伴う国鉄資産売却、とりわけ土地売却国民負担あり方等についてであります。  そもそも、国鉄の有する資産の総額は幾らなのか、債務償還に充当する国鉄用地売却に当たってはどのように選定、評価、売却するのかについて、必ずしも国民の前に明らかにされず、一部大企業、財界の利権の対象にされるのではないかという疑惑は払拭されません。  第六は、新会社の将来の見通しについてであります。  政府は、分割会社はすべて黒字に転ずるという経営見通しに立っていますが、その試算根拠は十分とは言えません。例えば、貨物会社トラック輸送との分担、連携をどのように図りながら輸送需要にこたえていくのか、あるいは北海道四国九州の各会社経営は、果たして経営安定基金の運用で維持し得るのかどうかなど、多くの疑問点を残したままであります。  確かに我が党の追及により雇用問題や長期債務処理、土地問題などについて一定の歯どめは講じられることになりました。しかし、政府案には国鉄改革基本的な方向に重大な誤りがあり、具体的な点についても多くの矛盾、欠陥があることに変わりはありません。このような政府案による国鉄改革実施は遠からず矛盾を顕在化させ、行き詰まるのは必至であると言わなければなりません。我が党は、政府案が成立しようとも、引き続きこれらの問題点を追及するとともに、国民のための総合交通体系の確立に全力を挙げる決意であります。  最後に、三千五百万の署名者の意向を踏まえ、広範な国民的合意の形成が可能な案として責任を持って提出した我が党対案の正しさが、近い将来に証明されるであろうということを指摘して、私の反対討論を終わります。(拍手
  23. 藤田正明

    議長藤田正明君) 亀長友義君。    〔亀長友義登壇拍手
  24. 亀長友義

    亀長友義君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました内閣提出国鉄改革法案について、賛成討論を行うものであります。  この一連の国鉄改革法案は、これまでの公社制度を大改革し、民営分割という経営形態導入して、危機的状況にある国鉄事業の再生を図ろうとするものであります。  御案内のように、我が党政府は、これまで行政改革を政策の最優先課題として取り上げ、各般の施策を講じてきたところであります。特に、国鉄改革はその中の最大のものとして、電電公社専売公社改革に続くものであり、民営化による規制の緩和や競争原理導入によって国鉄事業効率化活性化を図ろうという時代の要請に沿った改革として高く評価できるものであります。中曽根総理を初めとして、政府が総力を挙げて数年来の課題であった国鉄改革に真剣に取り組まれたその決断に、ここに深く敬意を表するものであります。  申すまでもなく、鉄道は、今後の国内輸送においても重要な役割を担い、とりわけ大都市圏地方中核都市圏における通勤通学輸送、そして中距離都市間輸送などの面では大量、高速、安全という鉄道特性を発揮し得る分野として大きな使命を有し得るものであります。  しかし、国鉄経営は、既に昭和六十年度において政府助成を含まない場合でも二兆四千億円もの単年度赤字を発生しております。さらに、長期債務残高は二十三兆六千億円にも上っております。まさに破綻に瀕しており、このままではやがて列車の運行そのものまでも支障を来しかねない事態に立ち至っておるのが現実であります。早急に抜本的改革を断行し、鉄道の再生、活性化を実現することは、現下の政治に課せられた最大の責務と言わなければなりません。  国鉄経営の破綻の原因には多くの複合的な原因がありましょう。しかし、この際、公社制による全国一元の巨大組織に抜本的検討を加え、その改革を行うことこそ必要なのであります。そうした意味合いから、政府国鉄改革案は、今日考え得る現実性のある施策であり、これにより国民のニーズにかなった鉄道として、その未来を開き得るものと確信するものであります。  以下、賛成の主な理由を申し述べます。  賛成理由の第一は、政府改革案における国鉄分割民営化であります。  政府原案は、旅客の流動範囲や経済ブロック、収支の均衡などに配慮して適切な経営規模による地域密着のきめ細かい経営を可能とするものであります。かつまた、新しい会社に対する規制を民間鉄道並みにとどめ、自由にして活力ある民間経営のよさを取り入れることが可能となるよう工夫されているのであります。  また、新幹線保有機構による新幹線の一括保有貸付方式により、本州の三旅客会社経営基盤の均衡と債務償還を同時並行的に行わせるという手法を講じております。またあわせて、経営上厳しさが予想される北海道四国九州の三旅客会社に対しては、債務負担を一斉に免除し、その上、一兆一千八百億円の経営安定基金を用意するなど、経営の自主性を担保したものとなっておるのであります。  賛成理由の第二は、国鉄改革の重要課題であります国鉄職員の再就職対策が着実に推進されているということであります。  分割民営による新会社は徹底した合理化、効率化が必要であり、そのためには六万人有余の職員国鉄の職場から去らなければならないのであります。この重大事態を真剣に受けとめ、鉄路とともに生きてきた多くの職員を一人たりとも路頭に迷わせないための再就職対策が強く求められていることは当然でありますが、政府雇用対策についての特別立法案提出され、さらにまた、内閣に国鉄職員雇用対策本部を設置し、率先して再就職対策に努力されております。既に国や地方公共団体、そして一般産業界の協力を得て、採用申し出数は現在、六万八千八百名に上るなど、着実にその成果を上げつつあります。  賛成理由の第三は、長期債務処理についての配慮であります。  国鉄長期債務と、その他国鉄負担すべき債務の総計は三十七兆五千億円という巨額に上っておるのであります。政府改革案では、債務の一部をその経営を阻害しない範囲内で本州関係三会社負担とする一方、残る債務清算事業団において処理することとし、清算事業団においては、用地売却その他の手段により可能な限り残債務の圧縮に努め、なお残る債務についてのみ国民負担を求めることといたしております。こうした政府措置は、新会社負担を適正にし、国民負担の軽減を図る、両面兼ね備えた唯一の方策と信ずるものであります。  以上が賛成理由であります。  百十四年の歴史を有する国鉄分割民営化するという大事業だけに、本法案成立後の実施過程には幾多の困難が残されております。総合的交通体系を追求する中で、鉄道特性を生かしながら鉄道事業の適正な位置づけを行うことが必要でありますが、言うはやすく、その実行は容易なことではありません。  また、本法案の意図するところが正しく実現できるかどうかは、政府の指導監督のあり方、新会社経営姿勢のいかんに大きく依存する面が存在することを忘れてはならないのであります。  政府並びに国鉄当局のたゆまざる勉励を強く要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手
  25. 藤田正明

    議長藤田正明君) 内藤功君。    〔内藤功君登壇拍手
  26. 内藤功

    ○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、世紀の大悪法と言うべき国鉄分割民営化関連八法案に対し、反対討論を行います。  まず、百十余年にわたって国民生活と経済の動脈としてかけがえのない大きな役割を果たしてきた日本国有鉄道を解体し、私的営利企業に変質させる、こういう重大な八法案を本院でもわずか四十六時間の審議で、しかも従来の質問時間均等配分の慣例さえも無視して、日本共産党の質問要求を不当に制限して委員会採決を強行したことに対し、憤りを込めて抗議するものであります。  次に、反対理由を述べます。  第一に、国鉄赤字原因責任は、歴代自民党政府の無責任きわまる政策にあることは余りにも明白であります。にもかかわらず、本法案はこれを全くすりかえ、事もあろうに、公社制度と全国一元的運営という国鉄経営形態責任を押しつけ、分割民営化最大の口実としているのであります。  政府は、公社制度が外部干渉を避けがたい体質だと言います。しかし、鉄建公団の例に典型的に見られますように、外部干渉をしたのは実は政府・自民党であること、しかも、干渉した加害者の側は免罪され、干渉された被害者の側が責任を問われる、こういう本末転倒の論理であります。我が党の追及によって、日本列島改造計画に基づいて借金による設備投資三倍化という異常な政策を押しつけ、今日の国鉄財政破綻を決定的にしたことが浮き彫りになったのであります。  さらに、七%成長に基づく福田内閣の年間一兆円投資の強要、四兆二千億に及ぶ特定人件費に対する政府責任の放棄など、どれをとりましても、自民党政府国鉄政策は他の資本主義諸国には例を見ない異常きわまるものであります。そして、政府が答弁不能に陥ったことは、赤字責任政府にあるという我が党の主張こそが唯一の真実であることを国民の前に明白にしたものであります。  しかも、国鉄は、過去のしがらみを取り除くならば再建の展望は十分存在することも明らかになりました。すなわち、政府が立てた経営改善計画の目標である一般営業損益は、昭和六十年度におきまして三千二百億円の黒字を達成しているのであります。経営改善計画の目標が達成されないから公社制度を抜本的に改めるという臨調答申の論拠が崩れて、同時に政府分割民営化根拠もまた一挙に崩壊したことを証明するものであります。  第二に、国鉄分割民営化は、国民に対する安全性、公共性国民へのサービスという国の責任を放棄し、全国的公共鉄道網の寸断と国民生活へのはかり知れない打撃をもたらすからであります。  国民は、いつでも、だれでも、どこへでも自由に移動する権利を持つ、いわゆる交通権の保障は現代社会における重大な課題であります。ところが本法案は、ローカル線はもとより、幹線を含む不採算路線をすべて廃線の運命にさらすものであります。さらに、分割民営化によって、運賃料金は路線ごとに原価を償い適正な利潤を含むように決定できるため、地方交通線や採算性の乏しい幹線は大幅な運賃値上げに走ることは極めて明白であります。  安全面から見れば、国民交通権は甚だしく脅かされざるを得ません。現在でも民営化を既定方針とした安全無視の鉄道事業の実態を我が党は指摘し、追及をいたしました。東海道新幹線の架線切れの事故、すり減った車輪を使用した列車の連行、車両や線路の検査周期の延伸など枚挙にいとまありません。これらの事態は、すべて余剰人員なるものをつくり出し人活センターへ送り込み、人減らし合理化を強行した結果であり、利潤第一主義の分割民営会社の土台づくりのためであります。  第三に、本法案が憲法でも保障された勤労の権利や団体交渉権をじゅうりんし、国鉄職員の事実上の全員解雇と不法不当な選別差別を強行するための極めて反動的な違憲立法であり、そのねらいは、戦後の我が国労働組合運動の中心的役割を果たしてきた国鉄労働組合を分断解体するところにあります。  現に、全国鉄労働者の身分、労働条件にかかわる重大な事項につきまして団体交渉を拒否し、さらに我が党が資料を示して追及したいわゆる強制収容所と言うべき人材活用センター、東電工、松山駅、川崎駅、小田原、平塚、熱海の電力区、新潟鉄道管理局等々において差別選別の不当労働行為を、政府国鉄当局が憲法、労働組合法、労働基準法に違反して露骨に推し進めているのであります。政府国鉄当局は、我が党が具体的な多くの実例を示すと、周章ろうばいして、存在を認めないとか不当労働行為はないと信じているなどとしたことは、その一つでも認めれば彼らの計画が崩れ去るからでありました。許すべからざる事態であります。  また、現在進められている人減らし合理化は、すべての国鉄職員に対し非人間的な労働強化を押しつけ、その結果、輸送の安全さえ脅かしているのであります。  第四に、国民の共有財産である莫大な国鉄資産が財界、大企業の利潤追求の手段にされることであります。  財界、大企業は今までも国鉄を食い物にし、巨額の利益を上げてきたのであります。今度は、もうかる路線はただ同然の帳簿価格で手に入れる、もうからない路線は切り捨てて顧みない、しかも、都会の超一等地を格安で手中におさめようとしているのであります。一方でこのような巨利をおさめる者があり、他方で労働者と利用者国民大衆にははかり知れない犠牲を押しつける、これほど社会正義に反する天下の大悪政があるでありましょうか。断じて認めることはできません。  第五に、世界の大勢にも逆行することであります。  審議を通じて明らかにしたごとく、国鉄がなくなるというのは世界の先進資本主義国では日本だけであります。ヨーロッパ諸国では、国民の足、公共サービスは国が責任を負う立場を明確にしています。したがって、当然のこととして、基礎施設や公的負担、不採算部門に対する国の補償義務、赤字の単年度処理など財政的措置をとっているのであります。政府がこの立場を貫くならば、分割民営の必要は全くありません。  以上が本法案反対する基本理由であります。  国鉄分割民営化は、国民の望む速くて安全、安くて便利な交通機関という願いに真っ向から反するものであります。これまで分割民営化賛成していた人々も含めて、広範な国民政府、財界との矛盾を一層激化させずにはおかないでありましょう。このような暴挙は必ず遠からぬ時期に破綻を迎えるでありましょう。  今後とも我が党は、国鉄分割民営反対の立場を断固堅持し、公共性と安全性を基本として国民交通権を守るために、国鉄労働者の雇用と権利を守るために、広範な国民、労働者と連帯して闘い抜くことを表明して、反対討論を終わるものであります。(拍手
  27. 藤田正明

    議長藤田正明君) 矢原秀男君。    〔矢原秀男君登壇拍手
  28. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私は、公明党国民会議を代表し、日本国有鉄道改革法案など国鉄改革関連法案について、衆議院における修正部分を含め、賛成討論を行います。  明治五年、我が国に初めての官営鉄道が開通してより一世紀余、全国に張りめぐらされた鉄道網は、国民の足として、文字どおり日本経済の牽引力として我が国の近代化に大きな役割を果たし、戦後は公共性企業性の調和を目指した公共企業体日本国有鉄道として新たな出発をし、陸上輸送の大動脈として、戦後の荒廃した国土の復興と発展に多大な貢献をしてきたのであります。  昭和三十年以降の高度成長期を通じ、自動車、航空機等他の交通機関の急速な発達に伴い、それまでの国鉄中心の輸送構造は大きく変化し、国民の輸送機関に対する選択肢は広がり、競争の激しい交通市場が形成される中で、国鉄が他の交通機関に対して持っていた優位性と交通市場における高いシェアは次第に低下した。この輸送構造の大きな変化に対して、国鉄ではこれに即応した経営の変革や生産性の向上が立ちおくれ、時代への的確な対応がなされないままに、輸送需要に合わない地域、路線への過大投資が継続され、経営形態そのものに内在する構造的な問題は、やがて累積赤字という形で露呈したのであります。  昭和三十九年に赤字に転じて以来、国鉄経営は悪化の一途をたどり、単年度二兆円にも及ぶ膨大な赤字を計上し、昭和六十年度末の累積長期債務は実に二十三兆五千億円の巨額に達しております。  今日、国鉄経営がこのような危機的状況に陥った主なる原因は、経営の自主性を欠いた公社制度のもとで事業の制約を受け、巨大組織で運営されてきた経営形態にあることは明らかであります。なお国鉄経営の破綻については、その要因となった構造的問題の解決を怠るのみならず、国鉄に対する過度の政治的、行政的な介入をする一方で、対症療法的な再建計画しか進めてこなかった歴代政府・与党の責任は極めて重いものでございます。  しかしながら、国鉄のこの破綻した経営状態をこのままに放置すれば、その膨大な赤字は、やがて利用者国民に過大な負担と不利益をもたらすのは必至でございます。国鉄の事業運営の継続も極めて困難な事態に陥っていくことは明らかであります。そして、サラ金地獄とまで言われるこの国鉄赤字経営と、巨額に達した累積長期債務が今後の国民生活や国の財政に与える影響を考えるならば、国鉄改革はこれ以上の先送りが許されない緊急の国民課題であります。国民の多くもまた、速やかなる国鉄改革の推進を実施し、未来に展望を持つ鉄道事業の再生を願っており、今日ま での国鉄の体質を改善し、鉄道事業を再生させる道は民営分割以外にないというのもまた国民の大多数の意見であります。  我が党は、かねてより経営破綻原因となった公社制を改め、民営化することを基本とし、企業効率化が図られるように、経営規模を適正にする分割国鉄改革案を提示してまいりました。我が党案は、本州二分割旅客、貨物の一体経営という点で政府案とは異なるのでありますが、民営分割による改革を断行する以外に国鉄再生の道はないという点においては、政府案と本質的に大きく異なるものではありません。国民の大多数は、国鉄改革の早急な実施と再生を望んでおり、今日、この改革機会を失することは国民の期待にこたえる道ではないと判断し、一部修正の部分を含め本法律案に対し、大局的見地から賛成することとした次第であります。  国鉄は、長い歴史を持ち巨大な事業体であるがゆえに、その一大改革には多くの課題が伴います。またこれらの課題は、国鉄国民の生活に直接かかわる存在であるがゆえに、国民の理解なくしては実施し得ない問題ばかりであります。例えば、長期債務処理のあり方、離職者の雇用対策、用地処分のあり方、新会社経営見通し、安全、防災に対する投資の確保等々、国鉄改革が審議される今国会国民は注視してまいりました。我が党も、全国民的な立場から、本院における審議に際して、これらの一つ一つの課題を指摘し、明らかにする中で、解決のための対策の確立とその推進を強く政府に求めてきたところであります。  その結果、既に衆議院段階において、我が党が主張してきた用地利用計画を検討する機関が、国鉄清算事業団資産処分委員会の中に設置されることとなり、また新会社が行う安全、防災のための投資についても、国が政府補助その他の措置により必要資金を確保することを明らかにしております。さらに、我が党の強い要求により、国鉄改革に関し、その施策の実施状況、すなわち旅客貨物会社の収支の状況並びに清算事業団資産の処分、長期債務処理、離職者の再就職状況について、昭和六十二年度以降五カ年間、国会報告する旨の法案修正が行われたところであります。  国鉄改革は、国民の理解と協力なくしてはなし得ない一大改革であり、その意味で、今後の改革の推移いかんによっては、国会において改めて審議をする道が開かれたものと理解いたしております。また本院における審議においても、地方交通線が改革後も原則として存続されていくこと、身障者割引や学生の通学定期運賃が現行水準で維持されていくこと等々、国民生活に直結する多くの点が明らかにされました。  我々は、国鉄がこの法案に基づく改革実施によって、国民が真に求める輸送機関としての国鉄の再生がなされ、その役割と特性が十分に発揮されることを強く望み、また期待をしております。  最後に、政府に対し、長期債務処理については国民負担の縮減に最大限の努力をすること、またその償還財源となる用地の処分については、公平公正を期し、いやしくも国民に疑念を抱かせることのないように実施すること、さらに、国鉄離職者の雇用についてはきめ細やかな配慮をし、職員の人間性や家族を含めた生活が尊重されるよう強く要望し、賛成討論を終わります。(拍手
  29. 藤田正明

    議長藤田正明君) 橋本孝一郎君。    〔橋本孝一郎君登壇拍手
  30. 橋本孝一郎

    ○橋本孝一郎君 私は、民社党国民連合を代表して、日本国有鉄道改革法案並びにその関連法案及び修正案に対し、賛成討論を行います。  国鉄は、長年にわたり、我が国の輸送機関の大動脈として経済復興の礎となり、経済社会を支え、その発展に大きな貢献をいたしてまいりました。しかし、昭和三十年度において全国旅客輸送量の五五%を占め、基幹的輸送機関としてその地位を誇っていた国鉄は、高速道路綱の整備に伴うモータリゼーションの進展と空港整備による航空機輸送の飛躍的な発達の中で、年々そのシェアは低下し、六十年度は二二%まで落ち込み、今後この傾向は続くものと予想され、六十五年度におけるシェアは二一・一%と、全輸送機関における相対的地位は一層低下するものと予想されております。  こうした経過の中で、国鉄は、昭和四十四年に財政再建計画を策定して以来、数次にわたり経営健全化に取り組んでさましたが、その障害が克服できず、いずれも収支均衡の目標は果たせず、中途挫折を繰り返してきました。そのために、今や国鉄財政は、昭和六十年度の累積赤字は十四兆円にも達し、長期債務は二十四兆円と巨額なものになっております。その上、現在でも一日六十三億円、年間二兆円を超える赤字を生み出す最悪の状態になりました。  このような国鉄経営の破綻は、輸送構造の変化に即応した変革や生産性の向上が立ちおくれるなど、時代の変化に的確に対応できなかったことにあります。またそれができなかった原因は、現行の経営形態そのものに内在する構造的な問題、すなわち、公社制度のもとで巨大組織による全国一元的な運営を行ってきたことにあります。したがって、国鉄経営を再生するためには、現行制度に内在する構造的欠陥を克服し、効率的で責任ある経営を可能にするように、事業を分割民営化する以外にないと思うのであります。  しかし、これまでの審議を通じて明らかなように、改革に伴う課題は数多くあることもまた事実であります。したがって、我々は賛成するに当たり、数点の重要な問題について指摘し、政府の的確かつ迅速な対応を促すものであります。  その第一は、土地売却、株式売却等に伴う長期債務処理についてであります。  土地等の売却に当たっては、厳に公正公平に行い、いささかの疑念も生じることなく行われること、また政府責任において処理すべき債務に対する財源について、でき得る限り早い時期において国民の前に提示しなければならないということであります。  第二は、余剰人員対策について政府の対応が比較的おくれていることにかんがみ、一層の努力を傾注しなければならないということであります。  余剰人員対策の成否は、この国鉄改革を成功に導くかどうかの重要なポイントの一つであります。公的部門における三万人採用は絶対に達成しなければなりません。協力をしている民間企業に影響するからであります。政府における公約実現に向けての努力を促すものであります。  第三は、貨物鉄道会社についてであります。  貨物鉄道においても、名神、東名高速等から始まり、次々と道路網の整備がされるに伴ってト ラック輸送との競争に敗れ、国内貨物輸送量に占める国鉄のシェアは、四十年度の三〇%から六十年度の五%にまで急低下いたしました。このような歴史を顧みるとき、利用者にとって便利な鉄道でなければ貨物会社が成り立たないことは明白であります。通運事業法の原則自由化、旅客会社とのダイヤ調整など工夫を凝らさねばなりません。  第四は、整備新幹線についてであります。  我々も国土の均衡ある発展国民がひとしく新技術の恩恵を享受できるという観点から考えますと、必ずしも反対するものではありません。しかし、政府・自民党のやり方は余りにも強引であり、慎重さに欠けるのではないかと思います。現在、財源問題等検討委員会において、財源、建設主体、運営主体等について検討が行われているところであると聞いておりますが、結論を余りにも急ぐばかりに新会社経営の自主性を妨げてはならない、二十一世紀に向かって新しい交通の総合体系を見詰めた対応をしていただく必要があると思います。  第五は、新幹線リース機構についてであります。  既に審議の段階において我が党が主張した、四、五年後に機構の存廃について決定を下すのかという事項に対して、政府の見解は検討をするということでありましたので、そのための努力を鋭意進めていただきたいということであります。  以上、法案が成立した後に早急に検討がなされなければならない幾つかの課題について述べてまいりましたが、百十四年の伝統ある国鉄の歴史に終止符を打ち、国鉄民営分割化をするのであります。整然と、しかもスムーズに目的に向かって移行するために、これらの諸点について政府における慎重かつ迅速なる対応を促すとともに、我が党としても、この改革国民の期待するよき鉄道となるように今後においても積極的に取り組みを続けていくことを表明し、私の賛成討論を終わります。(拍手
  31. 藤田正明

    議長藤田正明君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  32. 藤田正明

    議長藤田正明君) これより八案を一括して採決いたします。  八案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  33. 藤田正明

    議長藤田正明君) 過半数と認めます。  よって、八案は可決されました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後二時十分散会