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本岡昭次君 明快な御
答弁をいただきましてありがとうございます。
それでは次に、現在の国内におけるさまざまな分野で、
精神障害者が具体的にどのような差別を受けているのかということを一、二申し上げてみます。
今も
大臣、医療上の問題とおっしゃいましたが、それは主として
精神病、病気であります。だから、病気の治療という面に当たっての違いがあるという意味をおっしゃったんだと
考えます。そこで、医療法という
法律があるわけでありますが、医療法上も差別をされております。医療法では、入院
患者十六名に対して医師一人、入院
患者四人に対して看護者一人が必要である、こう定められております。にもかかわらず、
精神病院、これは
病院でありますから病気を治すところであります。
精神病院では、政令、通達でもって医療法がゆがめられて、医師はその基準の三分の一でいい、看護者はその基準の三分の二でよいとされています。しかし、実際にはこのように低められた基準を満たしているものもごくわずかで、ほとんどか基準の七〇%程度を充足するのに精いっぱいという
状況です。
かつて、宇都宮
事件というものが起こりましたけれ
ども、千人の
患者に対して一人の院長だけが診断をしていたというふうなことが起こるのであります。そして栃木県が実態
調査に入りますと、医師はおることになっているのでありますけれ
ども、全部それは医師の免許状の写しがあるだけでありまして、実態としての医者はいない。それでも
病院として通用するというふうな大変なことがあるのであります。ほかの
病院であれば
患者さんがまず
承知しませんね。そこで診てもらう
患者の周辺の者が
承知しない。しかし
精神病院はそういうことが堂々と白昼まかり通るという
状況があるんです。
なぜそういうことなのか。医療法の上で同じ
病院でありながら、今言いましたように医師、看護者は低くてもいい、こうなっている。これが差別でなくて何であるのかと私は言いたいのであります。
精神障害者は国によって十分な医療を受けなくてもいいということを明らかに言っている。同じ病気になっても、
精神病という病にかかった者は国によって十分な医療を受ける権利をここで拒否されているということになります。私は医者ではありませんから病気について詳しくありません。しかし、心の病というものがかなり難しい病であるということはわかるわけであります。手術をしたり薬を飲んだだけでは治らない。かなり長期にわたって十分な手厚い介護、看護が要る。そういうところが他よりも少なくていいということについては何としても理解ができない。
厚生省に対して、私
どもは再三何としても差別を撤廃すべきではないかと。ということは、これは
法務省に言われるまでもなく、直接の
省庁であります
厚生省には申し上げておるんです。ただ、ここで言っているのは、こういうものがありますよということを
法務大臣にもちゃんと知っておいていただきたいということで申し上げております。
それで、私は
厚生省には、ここに課長においでいただいておりますが、ここで長々と私の言うことに対する反論は時間の
関係で聞きたくないのでありまして、要するに、
法務省といたしまして、こういうものがあって、これは先ほど言いましたように、心身障害者という中に身体障害者、体に障害があるということと、
精神障害者、精神に障害を持つということがなぜこういうふうに分けられなければならぬのか、なぜ分けられているのかという問題についておかしいなと思う心を
法務省当局に持ってもらいたいと私は思うのであります。
厚生省は
一つの理屈があるからこういうことをやっているのだと思うのですが、しかし、
人権擁護を啓発し、
人権侵害をなくする
立場にある
法務省は、先ほど言いました障害者権利宣言とかあるいはまた
人権上の
立場からそこのところはおかしいという気持ちを持っていただきたいという願望を私は持っているんですが、いかがでございますか。