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赤桐操君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました
政府提出の
国鉄改革関連八法案につきまして、
反対の討論を行います。
明治以来、百十余年にわたって営々として築いてまいりました
国鉄は、まさに一億二千万
国民共有のかけがえのない
財産であり、未来永久に継承すべきものであります。その
国鉄の
分割・
民営化が、今日ただいま、極めて短時間かつ不十分な
審議をもちまして
決定されようといたしております。
私
ども日本社会党は、
政府が
分割・
民営化案を
国会に提出する以前において、全
国民にこの問題を真剣に考えていただくよう提起をいたし、三千五百万人の
反対署名を集約いたし、
政府に再考を促すとともに、
政府案提出後においては、社会党独自の
改革法案を
国会に提出いたしましたが、残念ながら今日を迎えることになりました。まことに遺憾にたえないところであります。
さて、私
どもが本案に
反対いたしておりますのは、第一には、国の
国民福祉、
国民経済に対する責務に照らし、
政府案が極めて安易かつ無
責任に国の任務を放棄し、
国鉄を
分割・
民営化しようとしている点であります。衆議院及び本院を通じての
政府の
答弁をもっていたしましては、真に
国民を納得せしむるものとなっておりません。
国鉄は巨大過ぎて適正な管理ができないと言われておりますが、むしろ全国ネットワークの機能をより一層充実させるという政策
目的のために、先進諸国におきましては統合の趨勢にあることを想起していただきたいと思うのであります。
また、全国画一的な
経営は地域のニーズに的確に対応できないと説明されましたが、それは、我が党が提案いたしておりまする分権化によってこそ実現できる課題であり、ばらばらに解体することがニーズに対応する必要条件であるという論理には極めて大きな飛躍があると言わなければなりません。
政府案では、地方交通線が住民の期待にこたえて存続されるか否か極めて危惧されるものであります。
さらに、膨大な
赤字を抱えているという問題でありますが、一体この
赤字の原因は何によるものでありましょうか。国策として押しつけた設備投資を
国鉄の借金として背負わせたこと、各年度において的確に財政補てんせず累積するがままにしてきたこと、本来、産業構造や交通環境の
変化に対し適切な政策対応を怠ってきたこと、これら
赤字の根幹的原因はすべて
政府みずからに
責任があることであります。しかも、
国民の基本的な福祉にかかわる交通は、当然、
政府の的確な財政
措置によって運営さるべきものであります。
第二に、私
たちは
国鉄における
雇用問題を問題にいたしますが、これは単に
国鉄のみならず、我が国全体の
雇用情勢をも左右する問題であります。国の政策によって
国鉄の
経営形態を強引に変更しようとするとき、極めて乱暴かつ我が国の労働法体系にも合致せず、悪例を残そうとしているのが
政府案であります。新
会社の要員規模、
採用方式、そして現状はおける人材活用センターなど、公共
企業体みずからが
国民の
雇用及び労働基本権を侵そうとしているにほかなりません。
今日、円高不況、構造不況に苦しむ石炭、鉄鋼、造船、海運、非鉄金属、さらには自動車、電機に至るあらゆる産業が
経営難、
雇用不安の
状況に置かれているもとで、
政府は、これに対し的確かつ強力な対策を推進するはおろか、追い打ちをかけようとしています。また、これは自治体、地域の経済社会を崩壊に追いやろうとしているものでもあります。
既に本
委員会におきましてこれらの問題につきましては詳細に
指摘してまいりましたが、現在に至るまで何ら
国民が納得し得る回答が示されなかったことをここに明らかにいたしたいと思います。
国会における
審議、とりわけ本院におきましては、地域公共交通、
雇用問題その他多くの問題につきまして前進も見られておりますが、しかし、ほとんどの問題が十分に決着されないまま今後に残されていることも事実であります。法案は成立されようとも、これら未解決の問題は、今後とも
政府に対し要求をし、追及を続ける決意であります。
審議の中で約束された事項、附帯決議を誠実に実行するか否かを厳格に監視してまいりたいと思います。
日本社会党・護憲共同は、以上、
政府の
国鉄分割・
民営化案に
反対をいたしまして、
反対討論を終わります。(拍手)