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1986-11-27 第107回国会 参議院 日本国有鉄道改革に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十七日(木曜日)    午前九時三十分開会     ─────────────    委員の異動  十一月二十六日     辞任         補欠選任      梶原 敬義君     田渕 勲二君      渡辺 四郎君     久保  亘君      小笠原貞子君     市川 正一君      野末 陳平君     秋山  肇君  十一月二十七日     辞任         補欠選任      久保  亘君     渡辺 四郎君      秋山  肇君     野末 陳平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山内 一郎君     理 事                 伊江 朝雄君                 浦田  勝君                 江島  淳君                 亀長 友義君                 赤桐  操君                 安恒 良一君                 矢原 秀男君     委 員                 大島 友治君                 梶原  清君                 木村 睦男君                 倉田 寛之君                 坂元 親男君                 下条進一郎君                 田代由紀男君                 高平 公友君                 野沢 太三君                 真鍋 賢二君                 増岡 康治君                 森田 重郎君                 山崎 竜男君                 吉川 芳男君                 吉村 真事君                 青木 薪次君                 穐山  篤君                 久保  亘君                 田渕 勲二君                 渡辺 四郎君                 鶴岡  洋君                 中野  明君                 三木 忠雄君                 諫山  博君                 市川 正一君                 田渕 哲也君                 柳澤 錬造君                 秋山  肇君                 野末 陳平君        発  議  者  青木 薪次君    委員以外の議員        発  議  者  村沢  牧君    国務大臣        内閣総理大臣   中曽根康弘君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        農林水産大臣   加藤 六月君        運 輸 大 臣  橋本龍太郎君        労 働 大 臣  平井 卓志君        建 設 大 臣  天野 光晴君        自 治 大 臣  葉梨 信行君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  稲村 利幸君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  綿貫 民輔君    政府委員        内閣審議官    中島 眞二君        内閣法制局第四        部長       大出 峻郎君        日本国有鉄道再        建監理委員会事        務局次長     吉田 耕三君        環境庁大気保全        局長       長谷川慧重君        国土庁土地局長  田村 嘉朗君        大蔵大臣官房審        議官       大山 綱明君        大蔵省主計局次        長        角谷 正彦君        大蔵省主計局次        長        篠沢 恭助君        大蔵省理財局次        長        安原  正君        大蔵省理財局次        長        入江 敏行君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   佐々木喜之君        農林水産大臣官        房総務審議官   吉國  隆君        運輸政務次官   柿澤 弘治君        運輸大臣官房長  服部 経治君        運輸大臣官房審        議官       井山 嗣夫君        運輸大臣官房国        有鉄道再建総括        審議官      林  淳司君        運輸大臣官房国        有鉄道部長    丹羽  晟君        運輸省運輸政策        局長       棚橋  泰君        運輸省国際運        輸・観光局長   塩田 澄夫君        運輸省地域交通        局長       熊代  健君        気象庁長官    内田 英治君        労働大臣官房長  岡部 晃三君        労働大臣官房審        議官       佐藤 仁彦君        労働省労政局長  小粥 義朗君        労働省労働基準        局長       平賀 俊行君        労働省職業安定        局長       白井晋太郎君        建設大臣官房総        務審議官     渡辺  尚君        自治大臣官房審        議官       森  繁一君        自治省行政局公        務員部長     柳  克樹君        自治省税務局長  津田  正君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        日本国有鉄道総        裁        杉浦 喬也君        日本国有鉄道常        務理事      須田  寛君        日本国有鉄道常        務理事     山之内秀一郎君        日本国有鉄道常        務理事      澄田 信義君        日本国有鉄道常        務理事      山田  度君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○日本国有鉄道改革法案内閣提出衆議院送付) ○旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○新幹線鉄道保有機構法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道清算事業団法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案内閣提出衆議院送付) ○鉄道事業法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道改革法等施行法案内閣提出衆議院送付) ○地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○日本鉄道株式会社法案村沢牧君外五名発議) ○日本国有鉄道解散及び特定長期債務処理に関する法律案村沢牧君外五名発議) ○日本鉄道株式会社退職希望職員等雇用対策特別措置法案村沢牧君外五名発議)     ─────────────
  2. 山内一郎

  3. 安恒良一

    安恒良一君 私は、きょうは一つ資産承継、それから清算事業団における長期債務処理の問題並びにこれと非常に関連のある土地問題を質問したいと思いますが、まず最初に同僚の久保議員から資産承継問題について関連質問をいたしますので、その発言をお許し願いたいと思います。
  4. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 関連質疑を許します。久保君。
  5. 久保亘

    久保亘君 最初に、運輸大臣にお尋ねいたしますが、国鉄保有いたしております関連会社への出資株式等資産承継について、運輸大臣の基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  6. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 基本的に私ども考えております点の一点でありますが、事業範囲が一定のエリアの中に限定をされております関連事業あるいは特定分野、例えば貨物分野でありますとか通信あるいはシステムといった分野関連をするものでありますとか、これらは基本的にそれぞれの分割された企業承継をしていくことになろうと思います。また、複数旅客会社等にまたがる関連会社の場合、その出資株式の引き継ぎ方につきましては、現在国鉄及び関連会社の間において検討中であると聞いております。そんな状況にあることをとりあえず御報告を申し上げます。
  7. 久保亘

    久保亘君 とりわけ、分割された場合、複数会社にかかわってまいります関連会社出資株式等についてはいろいろと報道等もなされておりますけれども、一体今国鉄保有いたしております関連会社への出資株式等資産時価でどれぐらいになっているのか。  それから特に鉄道会社と密接に営業上のかかわりを持ちます旅行会社に対する出資株式保有率時価評価はどれぐらいになっているのか、その点についてお答えいただきたいと思います。
  8. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) これは、これから二社ばかり今設立を考えておりますが、それを含めまして出資株式額面総額が四百十五億円になっております。それを時価評価いたしますと九百五十九億円という数字になります。  それから旅行会社でございますが、交通公社日本旅行の株でございますが、それらのそれぞれ国鉄出資比率は、交通公社が全株十六億円に対しまして国鉄が六億出資しておりますので三七・五%の出資比率。それから日本旅行は、十億中五億を国鉄出資しておりますので五〇%の出資比率ということに相なります。  なおまた、これらの両会社時価金額でありますが、ほかの企業出資をいたしておりますので、そうしたことの関連上これらの時価を公表するということは差し控えたいと思います。
  9. 久保亘

    久保亘君 私が証券会社等から参考に意見を聞いておりますところでは、交通公社株式額面の大体四十倍程度評価ができる。日本旅行については十倍くらいの評価ができるのではないかということでありますが、大体そういうような見当をつけて間違いありませんか。
  10. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今申し上げましたように、他の株主との関係等もございまして問題がございますので、先生おっしゃいました数字につきましてお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  11. 久保亘

    久保亘君 運輸大臣、こういう現在の国鉄保有しております出資株式をもし分割されるという場合には、それぞれの分割された会社が今後公正に資産を分け合って、そして特に鉄道営業と深いかかわりを持つ旅行社等については、それぞれの会社がその会社に応じて旅行社等に対して出資の権利を保有するということで、その点については十分な配慮を加えて行われるものだと理解をしておいてよろしゅうございますか。
  12. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これらの株式引き継ぎ先につきましては、最終的にはこれは改革法による承継実施計画承継法人承継させる資産の一部として決定をされることになるわけでありまして、承継実施計画決定までの間に十分検討をさせていただきたいと考えております。しかし、その場合にただいま委員の御指摘になりましたような点も念頭に置いて検討をしてまいりたいと思います。
  13. 久保亘

    久保亘君 監理委員会答申の中にも、「事業範囲複数旅客鉄道会社にまたがるものは、各旅客鉄道会社の業務との関連度等を考慮し、国鉄出資関連会社等関係者協議して、政府においてその引継ぎ方を検討の上決定する。」ということで、最終的には運輸省承継についての考え方を決められるものと、こういうふうに答申からは理解せざるを得ないのでありますけれども、この「国鉄出資関連会社等関係者協議」というのは、既に行われておるのかどうか、いかがでしょうか。
  14. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先刻申し上げましたように、国鉄当該関連会社の間においては検討は進められておると承知をいたしておりますが、運輸省としては現在この法律案を御審議いただいておるさなかでもありますし、関係者等との話し合いといった状態には至っておりません。
  15. 久保亘

    久保亘君 国鉄出資関連会社等関係者との協議ということが既に行われていると私も聞いておるのでありますが、その協議内容に関して既に先月新聞等報道をされておりまして、交通公社に関しては東日本に三七・五%のうち三三・五%を保有させる、特に三島—九州四国北海道に関してはそれぞれ〇・三%の保有にする、それから日本旅行については西日本に五〇%のうち三三・五%を保有させておいて、そしてその残りの分を他の会社に持たせる、こういうようなことが報道されておりますが、両者の協議において国鉄側からそのような考え方が示されたということについては運輸大臣は御承知でしょうか。また、国鉄はそのような考え方関連会社との間の協議で示しているのかどうかお聞かせいただきたいと思います。
  16. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昨日、本委員会におきまして社会党の委員の方から三島という言葉は差別用語であるといっておしかりを受けましたので、北海道九州四国旅客鉄道会社と言いかえさせていただきますが、についての今委員が御指摘になりましたような内容については、私はまだ報告は受けておりません。
  17. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 全国的にまたがる会社でございますので、旅客会社は全国に関係がございますから、それぞれの会社が株を持つべきであるというふうに思いまして、それぞれ検討を続けておるところでございますが、各案がございまして現時点ではまだ集約されておりません。
  18. 久保亘

    久保亘君 集約されていないということは国鉄がまだ考え方を決めていないということですか。そうすると新聞報道されているような、それぞれ東日本西日本にそれぞれの会社の三分の一を超える株式保有させておくという考え方はこれは国鉄考えではないと、関連会社との協議においてそのようなことを国鉄が示したことはないと、こういうことでよろしゅうございますか。
  19. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) いろいろな案がございまして、その案の一つとしてそういう案も検討されております。
  20. 久保亘

    久保亘君 時間がございませんので最後総理に伺っておきたいのでございますが、とりわけ北海道九州四国地域におきましては、構造不況的な第一次、第二次産業を数多く抱えておりまして、地域活性化を図っていくために今後鉄道会社旅行社等々、特に関連の深い観光事業等にウエートを置いた施策が強調されているところだと思うのであります。また、雇用の拡大のためにもこのことが非常に重要となってくるのでございますが、この鉄道会社旅客営業を補完をし、支えております旅行社との密接な関係を維持していくことが、とりわけこれら北海道四国九州旅客鉄道会社にとっては経営の安定という面から見ても非常に重要な要素となってくるのだと思うのであります。その場合に、株の保有率営業というのは非常に深く関係を持つものだと思うのでありますが、そうなってまいりますと、今国鉄の側からもそのような考え方一つ考え方として示しているということでございますけれども新聞報道され、また国鉄側一つ考え方として持っているような特定一つ会社に大部分保有させるというやり方では、今私が述べてまいりましたような地域の立場、地域活性化というような問題、特に北海道四国九州の場合には営業見通しも非常に暗いのでありまして、そういう中で旅行社との関係において株の保有率で非常に不利なハンディを負わされるというようなことがあるとすれば極めて問題だと思うのでありまして、そういう点について総理としてどのようなお考えをお持ちになりますか。慎重な検討を要する問題だと思うのでありますけれども総理のお考えを承っておきたいと思うのであります。
  21. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 本州以外の旅客会社については旅行社等の動向というものは最大関心事一つであると、久保さんのおっしゃるとおりであると思います。特にこれらの地域は割合に不況地域と言われるところでございますから、やはり旅客会社に民活の軸になっていただく必要もありますし、大いにそれを奨励しなければならぬと思っております。そういう意味からいたしましても、観光リゾート地帯を豊富に持っておるこれらの地帯皆様方の要望にこたえて旅行社等が積極的に協力するということは望ましいことでありますし、またやらなきゃならぬことであると思います。そういうことを確保するためにも、株の配分という問題については我々も公正に行われるように、よくその点は運輸省において見届けて、また国鉄ともよく協議してこれらの本州以外の各旅客会社が納得できるような配分率を守るようにさせたいと思います。
  22. 安恒良一

    安恒良一君 私は、まず最初清算事業団における長期債務処理国民負担についてこれから質問をしていきたいと思います。  まず、論議に入る前に、監理委員会政府の計算では長期債務の額は若干違うようですから、議論の前提として確定値をひとつ述べてみてください。
  23. 林淳司

    政府委員林淳司君) 長期債務の額でございますが、監理委員会処理すべき長期債務として三十七兆三千億でございましたが、確定額は三十七兆五千億でございます。 それから新事業体に負担させるのがそのうち十一兆六千億でございます。確定額でございます。そして最終的に清算事業団において処理するものが二十五兆九千億でございまして、そのうち新幹線保有機構からの収入が二兆八千億、それから用地売却収入が七兆七千億、それから出資株式売却収入が七千億、それを差し引いた十四兆七千億、これが最終的に国民負担にお願いをしなきゃならない額ということで、これが確定額でございます。
  24. 安恒良一

    安恒良一君 確定額ははっきりしました。  そこで、今度は六十二年度予算概算要求における清算事業団予算措置、それから資金計画について説明をしてください。
  25. 林淳司

    政府委員林淳司君) 六十二年度清算事業団収支でございますが、概算要求ベースでございますけれども、支出全体で二兆八千二百三十億でございまして、そのうち償還・利子、これが一兆五千八百八十三億、それから雇用対策費三千七百二十九億、それから年金等負担金五千九百五十五億、その他がございまして、合計二兆八千二百三十億でございます。  それから収入といたしましては、新幹線保有機構からの収入、これが二千三百三十二億、それから土地売却収入を一応三千億と見込んでおります。 それから雑収入等ございまして、合計六千二百十六億、これがいわゆる自主財源でございまして、その残額につきましては、現在とりあえず財政投融資で一兆五百億、これをとりあえずの要求にしております。  そのほかに差し引きの不足額一兆円強でございますが、これについては、補助金それから民間借入金、それからさらに財投の上積みというふうなことで対応したいということで、現在補助金等の額については未定と、こういう要求をしておるところでございます。
  26. 安恒良一

    安恒良一君 今明らかになったように、一般会計から補助金もしくは民間借入金で、所要額のうちの穴があいているのが一兆千六百億程度あるわけです。ところがきょうはもう十一月の二十七日ですね、これは来年度の問題ですから穴があいたままではいけないんですが、運輸大臣大蔵大臣、この穴埋めはどういう方法でどうされますか。補助金を幾らお出しになるつもりですか。それから民間からの借入金をどの程度お借りになってこの一兆千六百億の穴を埋められますか。両大臣のお考えをお聞かせください。
  27. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今御指摘がありましたように、私ども財政投融資の当面の要求額一兆五百億のほか一兆一千五百十四億円を未定要求としておるわけでありますが、私どもとしては今後の予算編成過程において財源事情その他の各般の要素を総合的に勘案し、編成全体の中でぎりぎりの努力をいたしたいと考えておりますということを現時点では申し上げる以上にはならないと思います。これはあくまでも予算編成時、最後まで努力をしなければならない目標でありまして、現時点において確定をしたお返事は申し上げ切れません。
  28. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 運輸大臣がお考えをお決めになられましたら、それをまちまして予算編成過程で御協議をし決定してまいりたいと思っております。
  29. 安恒良一

    安恒良一君 総理運輸大臣、聞いてください。私はそんなことでは困ると思うんですね。百年以上続けてきた国鉄をいよいよ解体して民営・分割化をするんだと、それをこの国会でぜひ決めてくれと言われている。ところが六十二年度、この中の一つの大きい清算事業団収支の中で一兆千六百億もまだ穴があいている。穴があいているというのは用達をどうするかというのが決まってないということですね。少なくとも私はもうここまでくれば、この法案を成立させるに当たって、この一兆千六百億の中で一般会計から国として補助するものはこれだけなんだと、それから民間から借り入れるものはこれだけだと、だからこれは穴があきませんということを国民に言わないと、出発の当初から、そんなものは政府に任しておけ、十二月の二十日過ぎになったら決めるからいいだろうということで、これじゃ野党に対しても私は失礼だと思いますよ、審議する野党に対しても失礼だと思う。  そして、大蔵大臣運輸省考えがまだ決まってないから決まったらその段階で相談すると言うから、運輸省考えが決まっておるでしょう、少なくともこれだけは補助金で欲しい、これだけはひとつ借りたい。それを聞くのはこれからの話だということですが、それも決まってないようでは、とてもこの法案をこれからいよいよ大詰めの審議するのにまずそこで引っかからざるを得ませんので、考え方が決まっておるのなら考え方をきちっと言ってください。その上でどう処理するかということじゃないでしょうか。でないと、こんな大きい穴をあげたまま、それは後からおれたちがやるから信用せいというのはちょっとこれは無理だと思いますね。そこはどうですか。
  30. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 信用せいなどというおこがましいことを申し上げたわけではございません。ただ現実に、一方では概算要求要求枠として与えられております中にまだいわばすき間として未定要求部分に充当できる金額は千六百五十億円であります。一方で、現在六十二年度考えてみました場合に、棚上げ債務に係る一年分の利子三千四百五十七億円の全額が今度は国債費に移るわけでありますから、ここから支出されますから、本年度補助金ベースからこれは削減のできる金額でありましょう。 そしてまた、さらに旅客会社助成及び特定地方交通線交付金等を除きました残額というものが、本年度ベースからいきますと千六百五十億円が出てまいりまして、これが清算事業団未定要求に係る概算要求限度額でもございます。  ですから、先般も同じ数字をぎりぎりお答えをすればこういうことでありますと申し上げたわけでありますが、しかし私としては、今後の予算編成の過程においてこの千六百五十億円というものがさらに増額が可能であるかどうかということについてあらゆる面からぎりぎりの努力をさせていただきたいとも考えます。同時に、今後の長期債務等の処理あるいは清算事業団の運営に支障のないように努めていきますためにも、この千六百五十億円という概算要求の限度額、未定部分数字そのままでなしにもう一頑張りさせていただきたい。これは率直な気持ちまでを含めてお答えをさせていただきます。
  31. 安恒良一

    安恒良一君 余りそこのところ、頑張ろうという気持ちはわかりますが、私は金額的に納得できませんが、これで時間をとったらもったいないですから、じゃ私の方から。  今度国鉄を民営・分割するためには、物すごい長期累積債務がたまったんだ、赤字だと、このままでいくとますます国民に負担をかけるから分割し民営化しなきゃならぬ、こういうことになっているわけです。出発の当初においてそのことがまだ明らかになりませんので、少し私が私なりで計算をしました清算事業団収支についてこれから質問をしたいと思います。お手元に全部資料がいっていると思います。これはぜひひとつ見ていただきたいのであります。  まず、今六十二年度政府概算要求同様に、六十二年度二兆八千二百三十億円の必要経費に対して政府補助金はまだ未定だったんです。 そこで仮に五千億というふうに置きました。これはなぜかというと今までの実績をいろいろ見まして五千億入れたとしまして、それから用地の売却を、政府原案では三千億ですが、これは七兆七千億を十年間で売ってしまうということで、七千七百億毎年売れたというふうにします。極めて甘い収入予定です。それでも、この表を見ていただきますとわかりますように、全収入は一兆五千九百十億円にしかなりません。したがってその差が、まず一年目にここに書いてありますように一兆二千三百二十億、まず一年目にもう発生するわけであります。ですから、これは借金でこういうことをやっていますと借りかえていくことになります。これは借金が雪だるまになるわけであります。  いまひとつこの説明を観点を変えて説明いたしますと、清算事業団は二十五兆九千億の債務を負担するわけです。これが私の計算でどんどん減っていくのかというふうに見ますと、横の表の債務残高のところのf項とH項のところを見てください。これで見ますと、二十五兆九千億は毎年年収で減ります。これはfの項で減ります。しかし残高が残りますから、それには金利が毎年これかかります。ですから、年度末にまたこれがふえる。これはHの欄になります。その繰り返しで十年後に、総理大臣、これを見てください。債務残高が減っていますか。全然これは減らないんです。それはなぜかというと、政府が五千億ずつ負担をする、一般会計から負担をする、補助金をですね。その仮定計算であっても毎年一兆円から一兆五千億の赤字が出て、それに対する、借金に対するまた利子がかさんでまいりますから、このようにこれは雪だるま式になるわけであります。これは私がつくったのではなくて、a、b、c、d、この項は全部政府の資料をそのまま引用いたしまして、私の方で新幹線保有機構からどれだけ入ってくる、用地売却でどれだけのお金が、株が、後からこれは詰めますが、大臣のおっしゃるとおり売れたと仮定してこういうふうに収支を全部出してみましたら、このようになるわけであります。  でありますから、私がここのところで、入口でこのことを非常に強調しているのは、今おっしゃったように千六百五十億円のすき間、これからのシーリングの中では千六百五十億のすき間しかない、それから特定地方交通線の交付を含めて五千億程度の用立ても大変難しいのではないか、こういうふうな状況です。大臣はこれから努力すると言われる。しかし用地売却は、私がこういうことを入れていますが、五十六年度以降、大体千六百億毎年売っていますね。ですから三千億売るのが精いっぱいじゃないかというふうに専門家は言っています。それを私はわざと七千七百億ということで計算したんですが、それでも借金は減らないのであります。  こういうことを清算事業団は続けていきますと、後からだんだんお話をいたしますが、総理、第二の国鉄になりますよ、第二の国鉄に。この調子でやりますと、これは第二の国鉄になると思うのであります。ですから、この表を見られて、運輸大臣大蔵大臣総理、どのようにお考えになりますか。お考えを聞かせてください。
  32. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今とっさに拝見をさせていただきまして私なりに感じましたのは、初年度用地売却、従来の手法から見まして三千億と考えておりますものを七千七百億置かれる。しかし七千七百億、大変無理だと思いますよと、確かに私は初年度の場合、なかなか難しいと思いますけれども、これから清算事業団というものの事業を考えていきます場合に、従来の国鉄の用地売却の実績とこれからの清算事業団の売却の方向というものは、おのずから相当な私は開きが出てくるであろうと思います。そして、従来の国鉄は、鉄道輸送業務という本来業務のいわば傍ら、土地の処分を行っておったわけでありますが、清算事業団は職員の方々の再就職のお世話をしていくと同時に、これが三年間で終了をいたしました場合に、相当期間、今度は資産処分に専念をする時間帯というものが出てまいります。そういう中で付加価値を高めて、できるだけ早期の売却を計画したりしてまいりますと、この用地売却あたりの数字というものはある程度一定の時期に集約して前倒していけるのではないだろうかというような感じもいたします。  また、この株式売却等につきましても、委員、六十五年度以降一千億ずつの均等の売却益を計上しておられるわけでありますが、どの辺から売れるのか、またその場合の売り方等についてもいろいろな変化があろうと考えておりまして、今、委員の試算の数字そのものは私は恐らく正確なものであろうと思いますけれども、この前提条件については相当な変動があり得るのではなかろうか。今、とっさに拝見をしての感じでありますので、率直な感想を申し述べます。
  33. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今拝見しましたので、感想を述べると言われましても、ちょっとそれは急には申し上げられませんけれども、さしずめ感じますことを率直に申しますと、閣議決定におきましても用地の売却等についてひとつ大いに努力をしようということでございますと、この七千七百億を均等にこれ売却というふうに仮計算をしておられますけれども、これがずっと前の方、最初の何年かにまとまっていきますと、この計算はそれだけで非常に違ってくるだろうと思います。
  34. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃお互いに、私も当てっぽすでこの数字を当てているわけじゃないんですよ。現在、千六百億しか売ってないんですよ。それで、私は私なりに国鉄のあの七兆七千億を十年間で処分するということについて、いろんなことで、ただ売り出せばあしたからすぐぱっと売れるわけじゃないんですからね。所要の手続なりいろんなこと、整地なりいろんなことを、後から土地で聞きますが、要りますからね。そうすると、専門家に言わせると三千三百億程度かな、三千億程度かな、こう言っているんですよ。それを私はあえてもうその倍の七千七百億を一年目から売るというこれは組み立てにしてみたんですよ。そうしたら、あなたたちは、いや、そんなことはないよと、十年間で売らぬで、ばあっと前でもって売りゃいいじゃないかと。売りゃいいじゃないかということと売れるということは別なんですからね。それからそれだけの時間、手続、いろんなことが要るわけですから。  私が今ここで強調していることは、いわゆる第二の赤字会社をつくってはいけないという意味から言っている。それから株を三年ごろから一千億と言うとえらい不満そうに言われますけれども、株というのはもうけが出てこぬと買い手がないんですよ。私から言わせると、本当を言うともっと後ろですよ。それから、はっきり言いますけれども、赤字が出たら買いませんよ。九州とか北海道とか四国なんというところは赤字が出たらお買いになることありませんね。まあ大臣がお一人でお買いになれば別ですが、とてもお買いになれないと思うんですね。 そういうことになる。そうすると、この株の年一千億円ずつ売れるという仮定も僕は甘目にこれは見ているんです、甘目に。甘目に見ても、十年たっても全然借金は一つも減ってないじゃないか、むしろふえるんじゃないですかということを言っているんですね。ですから、何か大蔵大臣なんか気安う土地を前に売りゃこの表が変わってくるとか言われますけれども、この数字は私がつくった数字じゃなくて、政府清算事業団の六十二年度収支の表を出されていますから、その表に基づいてこれは作業をしておりますから、架空の数字でない。  ただ、私の仮定で置いたところは、土地を十年間で七兆七千億お売りになるというから、これを均等にしただけと、それから株の売却は七千億お売りになるというから、これも甘く見て三年、四年目ごろから売れるかなということでこれをこうしてあるわけでありまして、あとの数字は全部政府数字。 補助金のところだけはこれから論争していきますが、今までの実績の中で一番近年で新しいのが六十一年ですね。これをすべて入れると約五千億程度になりますから、利子負担分を入れてですよ。そういうことにこれしてある。  そこで、こんなことで論争してもしようがありませんから、運輸大臣、あなたは営業収益が一%確実に上がって、株は本当にいつごろから売れるとお考えになっているんですか。
  35. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、まずとにかく経営が安定した企業であることを国民が御理解いただくまでは売れるとは思っておらないということは過去も申し上げております。そしてまた、そういう状態に早く到達したいものだという希望も申し上げてきました。少なくとも二年や三年は売却ができる状態にならないであろうということも申し上げた記憶がございます。また、仮にこの株の売却ができる状況になりましたときに一体どういう売却方式をとるのかというたびたびの御質問にも、これは私どもとすれば現在NTTの株式の処分の方向というものが大変いい参考になると考えておりますということも申し上げてきておりまして、いつごろからどの程度の価格で売り出せるかというようなことを今到底申し上げられる状況にはございません。
  36. 安恒良一

    安恒良一君 いや、どの程度の価格ということじゃなくて、政府はこの収支の中で株の売却によって七千億ということはもう出してあるわけですよ、株の売却によって七千億。これは今、向こうが答えたとおりですから。ですから、幾らの価格で売るかなどということをここで聞いているわけじゃないんですよ。大体私は甘目に見て六十五年度からというふうにして見たんですが、橋本さんとしては株はいつごろから大体売れるというふうにお思いですかと聞いているんです。年度を聞いているんです、年度を。
  37. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ですから、これも先般来御答弁を申し続けておりますように、今はいつから売り出せるということを判断する状態にございません。
  38. 安恒良一

    安恒良一君 それでは少し観点を変えまして、清算事業団の要償還額、この利払い額をひとつ二十年間明らかにしてください。
  39. 林淳司

    政府委員林淳司君) 清算事業団の先ほど申し上げました債務額でございますが、一体何年でこれを完全に処理をするかということにつきましては、実は最終的な要処理額というものが現在まだ見通しが得られておりません。したがいまして、現在そういう状況の中で、何年で毎年どういう状況を設定してこれを完済するかということについての実は具体的な計画をまだつくっていないわけでございます。  ただ、現在、私どもが先ほど御説明しましたような形で額を仮に置きまして、したがって十四兆七千億というものが最終的に処理を要する額だと仮に置きますと、やはり毎年一兆円程度政府の助成というものを入れてやっと三十年ぐらいで完済するというような形になろうかというふうに思っております。
  40. 安恒良一

    安恒良一君 政府から入れてほしいものですから、私がまだ質問しないうちに欲しい金額を言われているんですが、私はこういう計算をしてみたんです。  二十年ということでちょっとやってみますと、ピーク時には六十七年度に大体一兆九千五百億のお金が要る。それから六十二年から七十一年度にかけては大体一兆五千億から一兆七千億の元利償還がこの計算では来るわけです。二十年で私は計算した。それから、あなたが言われたようにいわゆる一般会計からの補助金の繰り入れというのが今のところ幾らここで聞いてもはっきりしないわけですね。六十二年度ですらよう言わない。そこでこれを借金による借りかえで転がしていったらどうなるだろうか、こういうことを実は考えてみたんです。そうすると、清算事業団処理する債務は二十五兆九千億ですから、これ無対策でいきますと三年後には三十兆円を超えますよ。金利をこれずっと計算していくと十年後には五十兆円になりますね。もちろん、保有機構から補助金が入ってくるということで、実際は私の計算から少しは減ると思います。しかし、これ無対策でいきますと、何のことない、現在の国鉄の姿が全然改善されない、またぞろここで三十兆円からの借金をつくってしまうことにこれはなってしまうわけです。  そこで、私は用地売却を七兆七千億をどういうふうに売るのかというようなことを仮定を置いてやってみたわけです。ですから、もちろん後から質問しますが、土地が七兆七千億じゃとても安過ぎると、一説では三十兆でも売れると言われていますから、その売れるのが売れればそこで穴埋めがかなりできますね。しかし、これも一遍にとても全部を一年や二年で売ることは不可能なんです。これは口では言っても実際は不可能なことですから。そうすると、売る時期がおくれればおくれるほど債務が増大をするわけであります。  ですから、私はどうしてもここでは、すなわち、着実に債務を減らすためには、補助金として毎年、これはそれも税金から出すから国民負担になりますよ、一般会計から出すということですから税金になっておりますが、私はやはり一兆円台の繰り入れをやらない限り、この清算事業団というのは第二の赤字会社になってしまう。そして、こんなことをあいまいにして後送りすることは国民の負担をまた増すばかりです。だから、まず今十四兆七千億、三十年の元利均等償還は年に一兆一千七百億ですね。ですから、これはそれだけ返していっても三十年間の払い込み総額は三十五兆一千億なんですよ。これはあなたがおっしゃったように三十年の元利均等償還でやれば、これは実は国民には十四兆七千億という説明になっている、国民に持ってもらいますのは十四兆七千億と言いますが、三十年間の元利均等償還でいきますと、年に一兆一千七百億ずつ国民が持って、三十年たった後で総体で払い込んだ金額は幾らかというと三十五兆一千億払い込まなければならぬことになるわけです。  そこで、それをあれするためにも、まず一般財政から、あなたもおっしゃったように、一兆円台の繰り入れがないと、それでも私の言った計算の収支は合わないわけですから、大蔵大臣運輸大臣、そして総理、第二の国鉄をつくらないためにここのところ、この清算事業団収支のバランスをとるために、少なくとも一般財政から補助金をこれから年に最低一兆円ずつ入れていくと、こうことについての考え方を聞かせてください。これは国民にとって、いわゆる国民負担は単に十四兆七千億だということだけでは正確ではないわけですから、そこのところをひとつそれぞれ担当大臣から説明してください。
  41. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず、今委員が御指摘になりました数値、一定の仮定を置いた推計の十四兆七千億という数値、またその前提のもとに、仮に監理委員会の試算を参考にして、三十年で借りかえ等を行いながら長期債務等の処理を完了させるとした場合に、財源補てん額が確かに各年度定額で一兆円ぐらいになるものという推計はそのとおりであろうと思います。また、これを元利均等で償還をしていくという場合に、仮にその金利を、十四兆七千億と同等の債務について金利が七%程度と仮定をいたしますと、御指摘のとおり一兆一千七百億円余り、正確には何か一兆一千八百四十六億と聞きましたが——と計算をされております。またその累計額が三十五兆一千億円という御指摘も、その限りにおいて数値としては正しい数字であります。  ただそこで、一月二十八日の閣議において決定がされておりますし、その中で明らかにしておりますように、清算事業団として、自主財源を充ててもなお残る長期債務等については最終的に国で処理するということになるわけでありますが、本格的な処理のために必要な新たな財源措置につきましては、雇用対策あるいは用地売却等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入歳出の全般的見直しとあわせ検討することとなっているということでございます。
  42. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 安恒委員の言われますことは、早くたくさん金を出せば出すほど累積債務が小さくなると、こういうことを言っておられるわけで、それはもうそれに違いがございません。が、御質問の中でおっしゃいましたように、大事なことは、早く資産を処分すればするほどまた債務が小さくなりますので、そこで、そういうことに努めていただいて、ある程度土地の売却の見通し、あるいは雇用関係等々の見込みがつきましたところでそのときの国の財政、歳出歳入等も考えまして方針を決めると申しました意味は、閣議決定をしております意味はそういう意味でございます。
  43. 安恒良一

    安恒良一君 運輸大臣、間違えぬようにしておかなきゃいけませんよ。十四兆七千億というのは仮定でも何でもないんですから、おたくの方で答えられたことですからね。私が国民負担は幾らですかと聞いたら十四兆七千億でございますとおっしゃったんです。それを三十年間の元利で七%の利子でと。私は、七%は高過ぎるとおっしゃるなら、六%も六・五%も出してあります、これは。きょうは配っていませんが、今でもすぐ配れます。というのは、あなたたちも七%と言っておられるから七%に合わせただけですから、六・〇になった場合どうなるかと。それでもこの表は若干違うだけで、変わってきませんですね。  それから、さらに少し論議を深めますと、新幹線保有機構から、この表にも入っておりますように、二兆八千億ずつ入ってくるんですが、これ、果たして十年、二十年、三十年、長期に保証できるかということをひとつお聞きしたい。  私は逆に難しいだろうと思うのは、まず青函トンネルができ上がるとか、本四架橋ができ上がる、こういうことになると、二十年前と今日では交通事情が非常に変化しておりますね。それから羽田の今拡張が進んでおります。そうすると、羽田沖の拡張が完成しますのは六十七年ですが、空港のダイヤが大幅な改善になります。それから建設省の方は、依然としてやはり我が国の高速道路の新設、それから拡幅工事をどんどんお考えになっていますね。それからこのことはいろいろ議論があるところですが、さらに整備新幹線についても、きょうはそれを中身を細かく論議する気はありませんが、どうもいろいろ皆さんの言うことを聞いていると、法案が通ってことしの予算が決まるころになると、何かこれゴーのサインが出そうな感じもいろいろのやりとりでうかがえますね。きょうはそのことに中身深く突っ込む時間もありませんが。  そんなことをしてきますと、果たして新幹線保有機構から毎年これだけの金が今後十年、二十年、三十年にわたって入れられるかどうかということを考えると、私は大臣、今が精いっぱいと。むしろこの金は、新幹線保有機構から清算事業団に繰り入れるというのは、よほどの努力をしない限り逆に減るのではないかと思いますが、交通事情の変化はどうでしょう、そこのところ。
  44. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに私は委員の御指摘になるようなケースも想定し得ると思います。しかし、私どもが今回この計画を取りまとめ、各会社ごとの試算を行い、資料としても御提出をいたしておりますような中身と申しますものについては、現時点における空港整備計画あるいは高速自動車道の整備計画等をそれぞれの五カ年計画の遂行の状況というものを織り込んだ試算に一応いたしておることもまた事実でございます。  ただ、その場合に、例えばそれでは羽田沖の拡張が済んで一体便数をどれぐらいふやすんだとかということになりますと、これは現時点で私どもがまだ何ともお答えのできない部分もございますから、未確定要素が含まれておりますことは私も否定をいたしません。しかし、現時点において私どもとしては可能な限りの試算をいたしてまいりましたわけでありまして、確かにこれらの大プロジェクトが完成をしてまいりますと、その影響は出てくるわけでありますが、これらの環環の変化に対しても適切な対応の行われるような経営努力というものを私どもは期待をし、その中で健全経営が維持されることを期待しておるということでございます。
  45. 安恒良一

    安恒良一君 かなりあなたたちの計算はアバウトじゃないですか。私は、例えば十年後の日本の今言ったような交通事情の変化とか二十年後を含めてどうなるかと。計算しておるというならひとつ、例えば高速道路がこのように拡張されて、マイカーに今国鉄新幹線からどれだけの人が流れていくか、整備新幹線ができた場合に三島の経営がどういうふうに変わっていってお客はどうなると。羽田空港仲が完成したときに、今各地方ローカル空港から羽田空港へ対する乗り入れ希望便がどれだけあって、それに対してそれがどれだけの乗客の搭乗率になる等々。それから青函トンネルを貫通した場合の旅客の動きがどういうふうになってくる、交通事情がどう減るのか。本四架橋ができ上がったときにどう変わるのか。それが新幹線にどういう影響を与えるのかという計算があるなら事務局示してください。
  46. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いや、ですから今私がお答えを申し上げましたように、そういう御指摘を受ければこれには答えられませんということを申し上げております。そしてまた、現在各分野における整備計画というものも大体五カ年をめどとして立てられておるものですから、その先のものまで織り込んではおりませんということも正直に今申し上げたところであります。ですから、そのような例えば二十年先における航空需要の的確な数値をそれぞれの便数の増加まで含めてということは、これは私自身ができませんと申し上げておることでありまして、お許しをいただきたいと思います。
  47. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ、五年以内はできているそうですから、じゃ、五年以内を示してください。五年以内は大臣あるとおっしゃっている。私が十年、二十年と言ったら、大臣、私の言葉をとって二十年先はできないと、五年以内はあるよとおっしゃるから、じゃ、今僕が言ったやつ、五年以内のを全部見せてください。
  48. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いや委員、私はですから、例えば羽田の沖合い展開ができたとしまして、そのときにどれだけの便数がふえるかというような資料はございませんということを最初に申し上げておりますので、私は最初からそういう細かい数字、ですから道路の整備計画、空港の整備計画というものは織り込み済みでありますが、それにしても、例えば羽田の沖合い展開によってどれだけ便数がふえるかと言われれば、そういう数字はございませんと申し上げておるわけでありますから、その点は御理解をいただきたいと思います。
  49. 安恒良一

    安恒良一君 いや、私はなければないとおっしゃっていただきたいんです。例えば今あなたがおっしゃったように、道路の拡張とか空港の整備は織り込んであると言われますと、また完全に織り込んだのならその資料も欲しいんですよ。後から出していただくなら出して、そういうふうでないと時間がもったいないし、私は率直に言って非常に大変なこれは計算になりますし、仮定が大変要りますから、ないんだろうと思って聞いた。ところが大臣は、何かやっぱり大臣の立場が少しあるような格好をしないといかぬものですから、そう言われると次から次に議論がいく。あるならば、もうこれは説明が大変長くなると思いますから具体的な資料を出してください。いずれにしても、私の結論から言うと、とても今言ったようなことを私は五年先でも確実に見通すことは非常に不可能だと思います。ましてや、これ十年、二十年の話ですからね。なぜかというと、償却を五年でするというふうに法律は建前にこれはなっていないんですから。どうしても元利償却でいうと三十年ぐらいかかるかなということでこれはしておりますから。  そこで、この問題で余り時間をとれませんから、私は最後にこのことを大臣にお聞きして、政府考え方を聞かせてもらいたいと思うんですが、今申し上げたように、私の計算で、十年間補助金すなわち国民負担を、一年五千億ですから五兆円入れても、それからこれは三十年間でいうと十五兆円入れても、それでは借金はなくならないわけですよ。そこで、どうしても私は最低一兆円台、こういうことを言うわけですね。そうすると宮澤大蔵大臣は、いやいや土地を早く売ればいいじゃないか、人を早く雇わせればいい、早くすれば借金が減るからいいじゃないかと。そこでそれが確定したときと、こう出られるわけですね、確定したときと。そうすると、私が国民負担は今幾らですかと聞いたら十四兆七千億、という考え方は、極めて私は無責任だと思う。そういう数字は無責任だと思います。  だから私がここで要求したいのは、この償還計画、しかもそれは財源の手当てを伴った償還計画を早期に私は公表すべきだと思います。それから精算事業団の収支の見通しについても私は明らかにすべきだと思うんです。すなわち、額が確定をした段階で要処理額、返済方法についてはまず国会に報告をしてもらいたい。そして国民に明らかにしてもらいたい。そして私は、国会の承認を求める、こういう措置をとってもらいたい、このように思いますが、運輸大臣大蔵大臣どうでしょうか。  ここのところは非常に国民が、自分たちが幾ら負担するんだろうか、そしてそれはどういう方法で負担をしなきゃならないんだろうか。どういう方法——これは負担の方法はいろいろございますね。租税としてやる場合もありますし、国債を発行するというやり方も、いろいろあると思いますが、いずれにしても国民は今回のいわゆる民営・分割化に伴ってどれだけのものを持たなきゃならぬのだろうか、その持つ方法はどうなんだろうかと、これが非常に国民は疑問に思って、心配に思っています。ですから、今これを幾ら論争したってこれは出てこないんです。総理お聞きのとおりですね。  だから、ここで私がお聞きしておきたいことは、すなわち、額が確定した段階で要処理額、返済方法については国会に報告する、これは当然報告されると思いますが、そして国会の承認を求める、こういうことがぜひ必要だと思いますが、この点について運輸大臣総理のお考えを聞かせてください。
  50. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに御指摘の点は大変大切なポイントだとは思いますけれども、債務の額が確定した段階において要処理額、返済方法について国会への報告、承認と、大変急なというか、とっさの新しい御提案でもありますので、至急に政府部内で検討させていただきたいと思います。
  51. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、これは非常に重要なことですから、この法案が上がりますまでの間に、まだ総括質問はあしたも続きますから、総理を含めて今の点について御相談をしていただいて、改めてまたお聞かせを願うということで、この問題はきょうはペンディングにしておきます。
  52. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この総括質問の終了までの間に全力を挙げて結論を出して御答弁を申し上げたいと思います。
  53. 安恒良一

    安恒良一君 それでは総括質問が終わるまでにその点を明らかにしていただくということにいたしまして、次は土地問題に入っていきたいと思います。  これも資料をお手元に差し上げておりますから、どうぞ資料を。  今も議論しましたように、宮澤大蔵大臣からも、橋本運輸大臣からも、もう十四兆七千億という膨大な長期債務処理と深いかかわりあるものが、そしてこれは国民の負担に直接密接な関係、不可分な関係にありますのが土地の処理の方法であります。そこで、このことについて少し時間をとって議論をしてみたいと思いますが、土地の売却収入ですね。衆議院段階で修正されて八兆五千億ということですが、その算出根拠、私はここに議事録を持っています、十月九日の議事録を。林政府委員が答弁されておりますから、これを読み上げておったら時間かかりますから、これはこの議事録のとおりということで御了解いただけますか、説明を一々読み上げられると大変ですから。いいですね。
  54. 林淳司

    政府委員林淳司君) 先般御答弁申し上げたとおりでございます。
  55. 安恒良一

    安恒良一君 それで国土庁長官にお伺いいたしますが、ここに実物を持ってまいりました。六十一年の地価公示、これは国土庁長官、あなたのところで御発行になったんですね。
  56. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) そのとおりでございます。
  57. 安恒良一

    安恒良一君 そういたしますと、八兆五千億の数字は六十年度の公示価格に基づいて六十二年度首のものに積算をされ直した、こういうことにされていますが、間違いないでしょうか。そこを答弁してみてください。
  58. 林淳司

    政府委員林淳司君) そのとおりでございます。
  59. 安恒良一

    安恒良一君 そうしますと、この公示価格及び基準地価格ですが、国鉄がお売りになるところ六千八百八十四カ所、三千三百三十ヘクタールの土地を六十一年度地価公示価格に引き直して計算をしてみました。これで全部。大変でしたが、全部やってみました。全部計算をし直しました。  そうしましたら、実に何とこれ、六十一年度時価に公示価格だけで計算をし直しますと十四兆七千億になります。十四兆七千億と、政府が言っておられる八兆五千億の差、これは一体どこから出てくるんでしょうか。
  60. 林淳司

    政府委員林淳司君) 今回、私どもが御提出申し上げました八兆五千億の計算でございますが、これはあくまで仮定計算でございます。近傍類地の公示価格あるいは基準地価格、これを基礎としまして、大規模用地については基盤整備を行う。その後に最も有効に利用するというような前提で計算をしておりますので、当然その道路等のいわゆる減歩というものをかなり考慮しております。  それから地価の上昇につきましても、先ほど先生から御質問がございましたように六十年度、これの価格をとりまして、それを二年間引き伸ばしておるというふうなことでございまして、そういう時点の差あるいは減歩率というふうなものをどういうふうな計算をするか。それから公示価格も、これはいろいろその近傍類地と申しましても場所によって非常に大きな差がございますので、そういう公示価格のとった場所、あるいは取引事例の場所、そういうものによってもかなり差が出てくるであろうというふうに考えております。
  61. 安恒良一

    安恒良一君 それだけではわかりませんね。 減歩があるということはよくわかるんですが、減歩率をどのように見てどういうふうになったのか。というのは、私の方としては少なくとも六千八百八十四カ所、三千三百三十ヘクタールとおたくで示されたところを、今申し上げたように公示価格及び基準地価格で正確に計算してみたらこうなるわけですからね。ですから、何か知らぬけれども、おれたちがやったのは滅歩も入っているしいろんなことも入っているんだから八兆五千億は正しいんだということになると、その積算根拠を全部出してもらわなきゃならぬことになるんですね。例えば減歩率といっても、何割減歩かと。まさか一律に四割とか五割なんてそんなばかな計算はできないですね。その土地の大きさ、ある場所、用途によって減歩率は全部違ってきますからね。ですから私の方では、減歩率を機械的に見るのは危険だと思いましたから、とりあえずこういう計算をするとこれだけになるということを言っている。  そうすると、政府考えられたよりも、これから後からどんどん中身を追及していきますが、高く売れるんじゃないか、こういう感じを持っているから、衆議院のときにあなたたちはそれをやり直したということですから、そういう点について私の提起を受けて慎重に検討すべきところは検討してもらいたい。八兆五千億は正しいとおっしゃるならば詳細なデータを出してください。いや、実はこれだけ以上は高くは売れないんだというなら、少なくとも今言ったように、私の方で計算したこれに今度はその箇所の減歩率を入れるなり、おたくが見た価格を入れてもらえばこれはまたすぐ計算ができるわけです。どちらがあれか、そこらはどうですか。
  62. 林淳司

    政府委員林淳司君) 私どもが今回御提出申し上げました八兆五千億というのは、一定の仮定条件を置きまして、その仮定条件のもとで計算したものでございますので、決してこれは確定額という性質のものではございません。したがいまして、今後最終的な売却の段階におきまして、当然それぞれの用地につきましてはいろんな都市計画との整合性等を図りつつ具体的に設計をして、一体どういう道路をとるかというふうなことも具体的にやらなければ最終的な確定見込みは出ませんし、また現実にこれを売却しませんと実際の額というものはわからないわけでありまして、したがいまして、あくまで仮定の条件のもとでの仮試算というふうに御了解いただきたいと思います。したがって、政府の処分期待額であるとかあるいは確定額という性格のものではございません。
  63. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。一定の条件を置いての仮試算である、これからできるだけきちっとしてやっていこうということですから、あの数字というのは毎回言うように、一定の仮定を置いた仮試算である、確定額ではないということですね。  そこで、私はやたらに何でもかんでも土地を高く売ればいいということを言っているわけじゃありませんから、少し売却のあり方について申し上げ、さらにこういうところがこういうふうに計算が少し甘いんじゃないかということについて具体的な事例で指摘をしてみたいと思います。  まず、売り方についてでありますが、運輸大臣が信念のように思われています一般公開入札、これは高く売る、それからいろいろな不正を防止する方法だということで、答弁にもそれを貫き通されていますが、しかし同僚委員質問の中にもありましたように、例えば転売防止を含めて、どうしても都市開発のために地方自治体が欲しいという場合に、それも何も安く売る必要はないんですね、適正な価格で随意契約というのもあっていいんじゃないだろうかと思います。  それから私は実は国鉄の本社の土地をそっくり信託した場合の試算表もつくってみたんです。総理、聞いておってくださいよ、後のところを総理に聞きますから。試算表を持っていますが、きょうそれを出す時間がありません。そうすると、早く売れば早く入ってくるということにもなりますけれども、土地を全部失っちゃうんですね。ところが、信託方法でいきますと、二十年で計算すると、金利等を含めて土地を売ったと大体同じ金額が出てくるやり方が信託制度としてあるわけです。ですから、運輸大臣、一般公開入札、それから随契、それから信託制度などについても私はやっぱりお考えになってしかるべきではないかと思います。  この点は運輸大臣のお考え方、それから建設大臣のお考え方、それから国土庁長官のお考え方、そして最後総理の——それはなぜかというと、一つは、一般公開入札というのはいいんですが、そうでなくても大都市の価格を物すごく引き上げるおそれがありますから、これは国土庁長官としてはできるだけ土地の値上がりを抑えたいという御希望をお持ちだと思いますね。それから建設大臣は信託制度の検討などについてもかなりユニークなことを、いろいろなことを言われていますね。例えば、東京駅全体にふたをかぶせて、あの上に高いビルをつくったらどうかなんというお話も建設大臣はあるようであります。今申し上げたように、この土地の処理の仕方というのは国民負担に非常に重要な関係がある。だから、一方においては高く売らなきゃならぬという使命がある。しかし、一方においては土地の値上がりをむちゃくちゃに誘発してはいけない。そうすると、そこに私はいろんな知恵が働いていいと思うんですね。  そういう意味から、大変恐縮でありますが、それぞれ所管大臣のお考えを聞かせていただいて、最後総理の土地の処理の仕方についてのお考えを聞かせてください。まず運輸大臣からどうぞ。
  64. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、安恒委員からお話がありましたように、私どもは用地の売却に当たりまして、まず何よりも国民の負担をできるだけ軽くする、また公正を期し、国民からいたずらな疑惑を招かない。その基本線から、私どもは公開競争入札を基本とする処分の方式というものを基本的に譲るつもりはございません。ただ、地方公共団体が道路用地等のため公用に利用する場合などについては例外として随意契約による売却を認めることをも検討はいたしております。また、例えばそうした場合におきましても、これは適正な時価ということが前提でありますし、私は御指摘の信託による運用ということに対してその可能性までを否定はいたしておりません。ただ、現時点まででいろいろなお話が参りました中で、実は収支のバランスの相償わないようなケースしか出てまいりませんでしたので、私どもとしては、これについては現時点においてなお検討すべき問題が残されており、検討を続けてまいりたいと考えております。  また、もう一つの問題点としては土地の価格の高騰ということでありますが、これは委員がよく御承知のとおり、今東京を初めとした大都市部において新規の土地供給が全くない状況の中で取引が過熱化しておるわけでありますから、これは当然需給のバランスからいっても高騰いたすでありましょう。その場合に国鉄の用地、これだけの良質な大量の土地の売却というものが行われることは、逆に需給のバランスを回復し、全体の緩和の効果も出てくると私は考えております。
  65. 綿貫民輔

    国務大臣(綿貫民輔君) 国鉄の用地の問題で、国公有地の処分によりまして周辺の地価が上がるということは大変に問題視されておるわけでございますが、ただいま運輸大臣からもお話がございましたように、今回の国鉄用地等の大量の放出があれば地価の安定につながるという説のあることも事実でございます。運輸大臣のおっしゃるように、公平を期し、しかも適正な値段でこれが売れるようにということを目指しておられるわけでありまして、国土庁といたしましては、今後とも関係省庁と十分協議をし、また清算事業団等とも御相談をしながら、周辺の地価が上がらないような方向で、ぜひこれが適切な価格で、また適正な利用に供せられるように心から期待をしておるところでございます。
  66. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 今先生からもお触れになられましたが、一言申し上げたいと思います。  国鉄用地のうちで、売却予定地につきましては都市の再開発に関連する場所も多うございますので、その売却に当たりましては、町づくり計画あるいは土地利用計画等に支障がないように地方公共団体とも十分協議をしながら、地方公共団体への随意契約による譲渡を含め、適正に処理されるべきであろうと考えるところでございます。
  67. 天野光晴

    国務大臣(天野光晴君) 三大臣の答弁で全部尽きていると思いますが、私たちの方でも都市計画その他いろいろ考えてはおりますが、地主さんが国鉄ですから、この法律案が通って、処分の段階においていろいろ相談があると思います。  ただ問題は、公正妥当な処分方法はやっぱり公開入札でありますが、需要供給のバランスがとれて安くなるとはちょっと私は今考えにくいのでございまして、そういう観点から、これからの地価の扱いにつきまして、法外な値段が出るとちょっとやっぱり困るなという感じはいたしております。  いずれにしろ、法律案が通ってから担当大臣からお話し合いがあると思いますので、十二分にその善後措置は講じたいと思っております。
  68. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 各省とも固有の責任をしょっておるものですから、それぞれのお考えを持っておると思い、それは当然のことであると思います。しかし、この中で最も重視すべきは、やはり公正を確保するということ。そういう点から見ますと、一般競争入札ということが原則でなければならぬ。しかしもう一面において、やはり片方においては借金を早く返す、そのためにはできるだけ高く売りたいという考えもありますが、また他方において国鉄が地価の暴騰を誘発するということがあってはならない、これもまた大事なポイントであります。  そういう点を全部調和して考えるというのは、それらのことが具体化した場合にどれが一番適切であるかという判定を必要とする。その場合は清算事業団が審議会を設けていろいろ検討するということになっておりますが、政府としては、今言ったような諸点について重大な関心を持ちつつ、今のような条件が満たされる方法を探すように努力する。そういう意味において、私が今までここで御答弁申し上げた答弁を確認しておく次第であります。
  69. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。  そうすると、まず審議会の中で十分審議して、政府は適正に売る。そして橋本運輸大臣も言われたように、一般競争入札を原則としながらも、自治大臣は自治大臣でおっしゃいましたように、都市計画のために必要な場合には随契もあり得ると。それからまた、土地が値下がりするだろうという運輸大臣の見方は建設大臣も否定されましたし、私も値下がりすることはないと思う、今の大都市における実勢価格の高騰というのは少々国鉄がこれぐらいの土地をしてもね。  ですから、これはこの前既に国土庁長官と予算委員会のときに議論をし合いましたように、転がしに対しては重税を課すという制度を早く急いでやってもらわないと、もたもたされていますと、大体もう悪いやつがみんなもうけてしまったころに税制ができることになりかねませんから、早いところ総理、指導性を発掘していただいて——最近、短期の転がしが非常に目につくんですよ、短期の転がしが。だから、短期の転がしについては、私は五年なら五年の時間を設定して、その間に転がしたやつは、売買差益はほぼ一〇〇%税金で取るというぐらいの決断を持ったことをやらないと、今の東京、大阪を初めとする、特にこれはもう東京、大阪で土地がなくなりましたから最近は政令十大都市まで及んでいます、むちゃくちゃな値上がりが。例えば、私は福岡ですが、福岡でも最近駅周辺の土地が異常な値上がりをしています。こういうことになりますから、ひとつこの点は慎重にやってもらいたいと思います。  そこで、もう時間がありませんから、あなたたちができるだけ適正に高く売るという意味の問題点として、お手元に配付した資料で少し指摘をしておきたいと思います。  まず、お手元に配付しました資料の第一番目は、これは私が前段の質問で使いましたように、積算単価を昭和六十一年度の地価公示、地価公示価格が不適な件数については昭和六十一年度基準地を使用いたしまして都道府県別にこれを集約しました。そして、百万円未満をこれは切り捨ててありまして、それによる三千三百三十ヘクタール、六千八百八十四カ所、六十一年度公示価格で計算をいたしますと、私が今さっき申し上げたやつを、各部道府県ごとの内訳を御参考に資料の第一として出してあります。これは都道府県別になるとこういうことになるということであります。  そこで問題は、今度は通常の売買価格との関係をこの際お互いが明らかにしておかなきゃならぬ。すなわち、実勢価格と言われているものは、一、二年前までは国土庁の公示価格の二ないし三倍あるいは数倍の取引が行われてきておりました。ここのところ、国鉄の大量の土地が売り出されるという以降、少し公示価格に近づきつつあることは実情だろうというふうに思います。数年前のように数倍という、それでも私どもで調べてみますと公示価格の大体五割増しないし二倍では売れるというのが実情であります。  そこで、皆さんのお手元に地図、私はここにパネルを用意しました。(パネル掲示)これが錦糸町。お手元にパネルの小さいのが行っています。これはパネルです。それから、こちら側が渋谷であります。渋谷の中で、この青いところが国鉄がこれから売ろうという土地でございます。皆さんのお手元にパネルのかわりに地図を差し上げておりますから、地図を見ながらひとつ私のあれを聞いていただきたいと思います。  時間がありませんから一、二の例だけ指摘をして、十分御配慮願いたいと思うのでありますが、まず錦糸町であります。  地図にある土地で真ん中の青い地のある部分国鉄の売却の予定地であります。その上にグリーンを塗ってあります小さな部分、町名は錦糸町三の三の九。この周辺の基準地価格では一平方メートル当たり百九十七万円であります。また、右側の一番下にピンクの色を塗っておきました部分は江東橋三の八の十ですが、公示価格をとっている地点で百九十一万円となっています。そして、赤枠で数カ所囲んだ場所があります。これがここ一年間で取引された事例の土地であります。数カ所ありますね。その中で、売却予定地となっております駅の裏側がありますから、裏側の事例の方が適切だと思いますから、それで比べてみますと、駅の裏側、上部に赤く塗ってあるところがありますが、錦糸町二の十一の物件です。約六十坪でありますが、本年の三月十一日に売却されたのですが、この物件は一平方メートル当たり二百六十万円で売られています。ですから、駅裏側の基準地価格と比較いたしますと一・三倍高く売れていることになります。  次に、今度は渋谷の土地を見ていただきます。  真ん中に青で囲ってあるのが、同じくこれがいわゆる国鉄の売却予定地であります。そして、国鉄用地の斜め右にグリーンで塗ってある部分の町名は同じく渋谷三丁目九の十でありますが、この周辺地域の基準地価格となっておりますものは、一平方メートル当たり千二百万円であります。公示価格については、地価がはるか上の方で入り切れないということで、基準地価格との比較の方が望ましいというので、これを省きました。赤枠の囲みは同じ取引事例でございまして、これは大通りに面して赤く塗りつぶしてあります。本年四月十八日の取引の事例であります。この物件はいわゆる渋谷三の十にある四十八坪でありまして、一平方メートル当たりで千六百六十万円で取引されました、一平方メートル当たり。基準地価格にいたしますとこれは一・四倍であります。  こうした事例を述べましたように、実際の取引価格というのは総理、公示価格よりも高く売れている。これは具体的例です。この点について御認識をしていただきたいと思うわけであります。でありますから、例えば、今私が二カ所の事例を示しましたが、これは一・五倍ですね、大体一・五倍。そうしますと、私どもが計算いたしました十四兆七千億の一・五倍ということになると、実は二十二兆円、土地を売っただけでも出てくるわけであります。もちろんこれにはどれだけの換地が必要か、いわゆる道路をどうするとかという、広い土地の場合要りますから。全部が全部単純な計算をするわけにいきません、どれだけの用地が必要なのかということは。でありますから、これはわかりやすい例であります。  その他資料をここに用意しました。こういう点についても少し御検討をぜひお願いしたいと思うんですが、実を言いますと、こういうことを言いますと、いやそんなことを言ったって四十七都道府県にあるんだ、四十七都道府県にあるんだからこれを全部売ると田舎の方はとてもそんな価格で売れないんじゃないか、安恒君、君の言っているのは東京だけじゃないかと、こういう御指摘があると思いますので、その点についても私の考えをこの際申し上げておきたいと思うんです。  実は八兆五千億というのは余り固執されていないようでありますけれども、例えば東京、千葉、埼玉、神奈川、愛知、大阪、兵庫、この七都府県だけを今度は見てみます。そうしますと、実は八百七十九ヘクタールでありまして、全体の面積の四分の一ですね、国鉄が今売ろうとしている面積の四分の一はもうここにあるわけであります。そして、今言ったような方法で私どもが計算いたしますと十一兆五千億にここはなります。ここだけで十一兆五千億にこれはなるわけであります。ですからこの七部府県だけ見ても、政府がお考えになっている、この前提示をされたいわゆる八兆五千億、これを実は上回る数字になるわけであります。でありますから、ぜひとも今言ったようなことを考えて、ひとつもう一遍、あくまでも一定の仮定の上においての仮定の数字だと、こう言われているわけですから、ここのところを積算し直してみる、こういうお考えはございませんか。そこのところを聞かしてください。
  70. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員からいろいろ御指摘をいただいたわけでありますが、委員の御意見はまじめに拝聴いたしましたけれども、個別の売却対象用地の評価額というものについては、今後の取引に重要な影響を及ぼしますので、この場面におけるコメントは差し控えさせていただきたいと思います。  また、その八兆五千億という数値、これはたびたび申し上げておりますとおり、まさに衆議院におきましてお許しをいただいて仮定の試算ということでさせていただいた数値でございますので、これが将来を拘束するものではないことは先ほど政府委員も御答弁申し上げたとおりであります。ですから、これは試算としてお受け取りをいただきまして、この上の試算のやり直しというものについては御容赦を願いたいと思います。
  71. 安恒良一

    安恒良一君 私も、ここであなたの方から個別のものの売却価格を聞こうとは思っておりません。おりませんが、逆に、私の方で調べたもので少し言ってみたいんです。ぜひとも再計算をしてもらいたいなと。私の方で調べたことを言うのは自由でありますから。  国鉄の売却予定地となっています目黒青葉台二の十一の宿舎についてですが、ここの公示価格は幾らですかと言ってもなかなかおっしゃいません。私たちの調査によれば、六十一年度公示価格は青葉台一の四の十二で一平方メートル当たり百六万円であります。基準地価格は青葉台三の一の一では三百八十万円です。不動産業界ではこうした場合高い方を評価額としてとるのが鉄則になっております。ですから、私が調査したこの十四兆七千億の算出に当たって、どうも安い方を利用して計算をされているんじゃないかというふうに思います。  また、高田馬場四の二十二の宿舎ですが、基準地価格は高田馬場四の八の八で七百三十万円、あなたたちが計算に使われた。実勢価格は千二百万円となっています。この価格についても、ここで個別だから言えないと、こういうふうにおっしゃると思うんですね。今もあなたはおっしゃった。それなら、個別では言えないけれども、少なくともこの前衆議院で計算をし直されたように、総額として三千三百ヘクタールの総額をもう一遍、今私が言ったような形で計算をし直してみる、こういうことについてはぜひ考えてもらいたい。私はきょうは時間がもう、二十一分までですからありません。本来ならお手元に配付した資料を全部説明してみたいんですが、時間がありませんので、賢明な大臣や事務当局はひとつこの資料の中から私が何を言おうとしているのか、この点について十分に考えてもらいたい。  私は、やはりこれは国民の負担に直接関係する非常に重要な問題でありますし、私たちが調査をしただけでもいわゆる実勢価格というものと非常に食い違いがあるということを指摘しているわけです。橋本大臣総理も、できるだけこれは公正に売りたい、そしてそのことで、いわゆるこの国民負担を少なくしたい、こうおっしゃっているわけです。ですから、私がせっかくこれだけ言っているのに、それはそのままそっくり受け取れと、こう言われてもなかなか受け取りがたいんです、これは。受け取りがたいんです。だから私は、私がいろんな指摘をした、まだ時間があれば指摘をしたいんですが、もうこれより以上時間はわずかしかありませんのでかけられませんから、少なくとも私としましては、いわゆるこのところについて御検討をぜひひとつお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
  72. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今御答弁を申し上げましたように、今回の試算はまさに幾つかの前提を置いた仮定試算値でございます。ですから、将来、用地売却の見通しがついてまいりまして、売却計画がより確実なものになる時点で当然御指示のように試算の見通しは行うと、そういう御答弁にさせていただきたいと思います。
  73. 安恒良一

    安恒良一君 何もきょうあす中に見直せと言っているわけじゃないんですから、きょうあす中に。それならかたくなに間に合わぬということでお断りになってもいいけれども、私が指摘をしていることは、今私がわずかの時間の中で指摘をしただけでもこういう問題があるじゃないかということを言っておるんですから、それは謙虚に受けとめられて、あなたも言っているように公正に売りたいと、こういうことですから、公正に売りたいということは、今申し上げたように、私がわずかの間に試算をしても、公示価格、国土庁の価格と実際取引の間にこんなに差があるじゃないかということですね。ですから、そこのところをひとつ考えられて、やはり国民負担を軽くしていくという意味からいうと、私は率直に言ってこの売り方をきちっとしていけばかなりの国民負担がここで消せる。いわゆる十四兆七千億と言われているやつがもっともっと消せるとこう思います。  ですから、そういう意味からいって、ぜひ今申し上げたことについてひとつ十分、今後政府がこの法案成立後いろいろ土地の処分を清算事業団にやらせるんですが、監督として、所管大臣としておやりになると思いますし、また、これは総理もおっしゃったように内閣全体の問題ですね、大きい問題ですから。ですから、そういう角度でこれを積算し直すし、また売却に当たってもそういう点については十分留意をしてやるということについて、ひとつそういうお約束を大臣なり総理からいただきたいものだと思いますが、どうですか。決して無理なことを言っていると思いません、私は。
  74. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほど来御指摘をいただきました点も踏まえながら、私は今、用地売却の見通しがつき、売却計画がより確実なものになる時点で試算の見直しは行おうと申し上げました。そして、もちろんそれを受けまして、清算事業団に残される用地というものがいささかも国民の疑惑を受けないよう、公正かつ適切な処分をしてまいるつもりでございます。今委員が御指摘のように、用地処分収入清算事業団における長期債務等の処理の貴重な自主財源であることもそのとおりでありますので、御意見の趣旨も十分に考慮しながら、公正かつ適切な価格で用地処分を行いまして、国民負担の軽減に努めてまいりたいと思います。
  75. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 運輸大臣の答弁のとおりでございますが、ただいま安恒さんから具体的な事項を指摘されていろいろお示しをいただきましたが、これもぜひ参考にさせていただきます。
  76. 安恒良一

    安恒良一君 終わります。
  77. 中野明

    ○中野明君 私は、国鉄の問題に入る前に、運輸大臣の所管でもあります大島の三原山の問題で、大変連日全国の皆さん方も御心配になっていると思いますし、特に六千人に余る人たちが今なお不自由な避難生活をなさっているわけです。それで、いろいろ伝えられるわけなんですが、この状況ですね、何かまだ危険な状態というようなことも伝えられたり、あるいは世論調査なんかを見ますと、避難をしている人はもうすぐにでも帰りたい。あるいは一部安全だったら安全なところへでももう帰りたいというのが七〇%という、これ、わからぬことはありません。恐らくそういう心境だろうと私も思います。しかしながら、危険な状態であるということになりますと、これは大変な状態で、そう簡単にというわけにいきません。一時でも帰りたい、わずかの時間でも一遍帰って家の様子を見て、必要品は持ってきたいというような、そういう声もたくさんあるわけなんですが、気象庁から報告を受けておられると思いますが、現状はどうなんでしょう。ちょっとその辺を大臣から。
  78. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 実は、きょう午後柿澤運輸政務次官に現地へ飛んでいただき、政務次官御自身の報告もお願いをしようと思っておりますが、現時点における状況につきましては、気象庁長官の方から御説明をする方が私が申し上げるより正確でありますので、気象庁長官をもって答弁をさせます。
  79. 内田英治

    政府委員(内田英治君) お答え申し上げます。  先生御指摘の伊豆大島でございますけれども、御存じのように、二十一日の十六時十五分というときに新たに大きな割れ目が——割れ目噴火と申しておりますが、それが発生いたしました。それが急速に非常に拡大していったわけでございます。それで非常に大量の溶岩が流れ出した、こういうことがあったわけでございます。特に、その二十一日の夜でございますけれども、いわゆる溶岩流というものが谷筋に沿うて元町の市街地の方に延びていったわけでございます。それで、元町に接近するという非常に異常事態が起きたわけでございます。これは島のどちらかといえば北部の方の状況でございますが、ところが島の南東部におきましても、地割れであるとか、あるいは地震の回数であるとか、あるいは海の変色水であるとか、こういうような異変の兆候が生じました。それで、気象庁としましても非常に厳重な警戒を要するところの状況となったわけでございます。  それで、現在でございまするが、地震などは比較的鎮静化しております。しかし、海の変色水の状況もありますし、それからひずみのデータなどというものもいろいろ変化のあるものを示しているわけでございます。  それで、今後の火山の活動につきまして見通しなるものを申し上げたいと存じますが、現時点では明確な見通しというのが非常に難しい、困難な状況でございますけれども、火山噴火予知連絡会という一つのグループがございまして、これの統一見解というものがこの間発表になりました。この見解は非常に厳しいものでございますけれども、当面、島の南東部及び北西部でかなりの規模の噴火が起こることが懸念されるということでございます。また、もしそのようなことが起きますと、島の中で非常に広い地域にわたって危険が及ぶということも考えられるという、非常にきつい統一見解が示されました。そのために、今後とも関係機関と一層密接な連絡をとりまして、引き続き、観測者及び関係者の安全ということを考えながらも、厳重な監視に努めることにしているわけでございます。  以上でございます。
  80. 中野明

    ○中野明君 総理、今御報告があったんですが、地震とか火山とかいうのは、非常に予知が難しいということはわかります。ですから、どうも今のような状況でしたら避難が長期にわたるような感じもするわけなんですが、御承知のように広い体育館で何千人という人が避難生活を送っているということ、これにはやっぱり限界があるだろうと私も思います。ストレスもたまってくるでしょうしプライバシーの問題もありましょうし、限界が来るんじゃないだろうかということで非常に心配をしているわけなんですが、そういう点、長期にわたる場合には何か住宅、仮設住宅でもつくってやはり個人の、自分の家族だけで生活できるというんですか、そういう措置をしてあげないと、これから冬にも向かってまいりますし、いろいろのことで、避難しておられる場所でもし不測の事件でも起こるということになるとこれまた新たな問題が起こってくるわけなんでして、そういう点を一応よく考慮してもらいたいなと、そういう感じを今私しているわけですが、どうかひとつその辺を含めて。  もう一つは、それで国民全体でやっぱり、桜島もあるいは阿蘇山もやっていますし、カムチャッカの方の千島の方でも火山が爆発したというようなことで、何かしらこう今関心の高い東海大地震との関連というもの、これなんかもあるんじゃないだろうかと不安に思っている人もおられるようなんで、その辺総理として、連絡を受けておられると思いますので、東海地震との関連、それから今の避難をしておられる人が余りにも長期にわたるといろいろの問題が派生してくるということ、そういう点を含めてお考えをお聞きしたいと思います。
  81. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 長期と短期の両方の対策を今研究させております。科学者や予知連絡会の報告等を聞いてみますと、やはり予断を許さない状態がありまして、特に北西部及び南東部において変色水域が出てきたとか、そういう点は重視しなければならぬ点であります。そういう意味におきまして、やはり安全ということを第一義に考え、人命尊重という点をあくまで貫いてまいる考えでございます。しかし一方において、ゆうべのテレビでもアンケートが出ていましたが、おっしゃるように、約七割の方々がちょっとでも帰りたいと、そういうお気持ちをお持ちで、これは無理もないことなんです。そういう意味で短期と長期の対策が必要である。  それで短期的には、安全をよく見て、そして安全な地域と思われる地域に対して一家から一人ぐらい足腰の強いそういう方を選んで、そして短期にお帰ししてみると。情勢によっては船に乗せて、そして船に泊まっていただくということも考えられる。バスを用意しておいて、そして家へ行ってみて、一時間ぐらいでもいいから家の周りを見てきたいとか始末をしたいとか、そういうお気持ちが十分あると思うんです。あるいはこういう物をとってきたいとか、そういうので、情勢によっては船にお泊めをするということも考えて、そして機動的にいつでもすぐ撤収できる、事によれば船にエンジンをかけておいてもいい。  そういうことでもありますから、そういうようなやり方をひとつ研究してみて、今避難なさっている方々のお気持ちにおこたえできる方法を考えよと。それについてはやはり予知連絡会の皆さんや科学者の言うことをよく聞いて、本当にどの地区がどの程度安全度があるか、そういう点を見きわめなければなりませんし、また、どの地区にどういうふうにお帰しするかということについても、今避難なさっている方々のお考えも聞かなくちゃいけません。あるいは村当局や東京都のお考えも間かなきゃなりません。そういう意味において今早速相談をするようにとゆうべ実は指示したところです。  それから長期対策といたしましては、やはりまず子供の学校の問題がありまして、これは今やっていただいておりますが、今言った、いつまでも体育館におれるという状況でもないかもしれぬ。したがって、もしこれ本当に長期的に長引くという問題については、年末年始も控えていることですから早目に対策を講じた方がいい。どういういい対策があるか、今おっしゃったのも一つのお考えであります。そういう点も含めまして検討するようにと、そういうことで、きょう対策本部の各省の連絡会を開きまして、国土庁長官が中心になって、その点をいよいよ研究して検討するということにしてあります。  それから東海地震との関係については、連絡会及び気象庁の私に対する報告では、三原山の噴火自体が直接東海地震を引き起こすというそういう関連性は薄いと、そういう報告を受けております。  いずれにせよ、桜島の問題もありますし、全国的に警戒を要するということも考えなきゃなりませんので、そういう点については関係各省連絡をとりまして警戒については万全を期してまいりたいと思っております。
  82. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 一点だけ補足をさせていただきます。今、東海地震につきましては総理からお触れをいただきましたので、桜島についてだけ補足をしたいと思います。  実は大島の噴火以来、全国の各管区にありますヘリコプター搭載巡視船を全部大島に集中しておりました。しかし桜島の状況も決して私どもとして安心のできる状況ではありませんので、集めましたヘリコプター搭載巡視船のうち第十管区の「おおすみ」と申します船だけは現在現地鹿児島方向へ帰しております。
  83. 中野明

    ○中野明君 総理の御答弁はわかりました。どうぞ万全を期していただきたいと思います。  それでは本題に入りたいと思います。会期もいよいよ残すところ二日ということになってまいりました。かねてから運輸大臣はこの法案は十月末成立が必要なんだということをおっしゃっておりましたが、もう既に十一月末ということで、大幅に大臣のお考えからいうとおくれているわけです。それで、この国鉄の改革というのは海外からも大変注目をされております。どの国もやはり公営の鉄道というものが赤字で困っておるということは事実でございましょうし、これの日本における成否というものは関係者、海外からも注目をされている。こういうことで、ぜひ万全を期さなければなりません。とにかく大勢の人に職もかわっていただかなきゃなりませんし、あるいは新しい会社になってからの労使の関係もスムーズにいってもらわなければなりません。  いろいろそういうことを考えていきますと、今後のスケジュールですが、非常に私も心配をしておる一人なんですが、特に職員の振り分けといいますか、一人一人の人の希望を尊重してあげなきゃならぬでしょうし、また公平にやるということも基本原則でしょうから、ちょっとどうなんでしょう、スケジュールは本当に大丈夫なんでしょうか、その辺大臣としてどういう見通しをお持ちになっているか示していただきたい。
  84. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大丈夫にしなければなりません。私は当初、何とか十一月の第一週には通過成立をお願い申し上げたいと内外に申し上げてまいりました。その当時から比べて約三週間既に時間は経過をしておるわけでありまして、私どもとしては一日でも長い準備期間をいただきたいという気持ちは本当に切なものがございます。  これは法律案が成立いたしました後、主な手続としては、まず資産、債務などの振り分けを行う承継計画の作成、あるいは新会社の設立委員の選任もございますし、その設立委員等が行う職員の募集及び採用、新会社等の設立及び事業開始のための諸準備といった作業があるわけでありまして、これは運輸省としては、法案成立後の残された期間内に全力を挙げてこの手続を完了し、改革が無事実施されるよう、省全体を挙げて全力投球するつもりであります。一分一秒でも早い通過成立を願ってやみません。
  85. 中野明

    ○中野明君 そこでまず、先日もお尋ねをしたわけなんですが、マスコミに自民党首脳の言とか、そういうようなことで、新会社の設立委員や役員、こういうことが報じられるわけなんですけれども、ぜひこれ大臣考えを聞いておきたいんですが、天下りの人事とか、あるいは一部利益代表的な財界人はこれはなるたけこういうところへ、設立委員の中へ入れないようにお考えをお持ちなのかどうか、その辺をお聞きしておきます。
  86. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 設立委員に関しまして、天下りといったようなことはこれは考えられないと思います。むしろ、会社を設立するためのいわば時間を限られての委員の方々でありますし、当然それぞれの職を持たれている、あるいは職を持たれていない方もあるかもしれませんが、その方々にその期間内の仕事をお願いするわけでありまして、天下りといったような御批判を受けるものにはならぬと思います。  また、この委員の任命をしてまいります中に、私は今までのNTTでありますとかたばこ製造株式会社等々を参考にしながら人選を進めてまいりたいと考えておりますけれども、十分に御説明を申し上げれば人選の理由の御理解いただけるような人的構成にしてまいりたい、そのように思っております。
  87. 中野明

    ○中野明君 そうすると、役員も今と同じような考え方でよろしいですね。役員も天下り的な人が出るという心配、これどうでしょう。
  88. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは私は、その設立委員の方々がお考えをいただく中で決まっていくことでありますから、固定的な意見を申し述べるわけにはまいりませんが、私は、官庁から人を迎えた場合にそれが全部天下りといって批判の対象になるとは考えておりません。むしろ今私の頭にありますのは、それぞれの会社が最大に有能な働きをしてもらうための人材をどう集めるかでありまして、もちろん現在の国鉄の中から多くの方々を迎え入れるわけでありますけれども民間からであれ、官公庁からであれ、私はこの経営に対して識見を持ちしっかりとそこに生涯をかけていただける方であれば、えり好みをするつもりはございません。
  89. 中野明

    ○中野明君 それから新会社が発足するに当たりまして、組織はなるたけ早目に明らかになる方が好ましいと私も思っておりますが、この本社の設置場所ですね、これ名古屋は何か決まったように、そういうニュアンスで伝わってくるんですけれども九州はどうなるんだろうかということが巷間言われているわけですが、これは大体内部でどうなんでしょう、決まったんでしょうか。
  90. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 所管大臣として甚だ不見識でありますが、名古屋はいつ決まったのでありましょうか。
  91. 中野明

    ○中野明君 いや、そういううわさを聞くんですが。
  92. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) うわさはさまざまなものがございまして、私どもが決めておるものはどこもございませんし、これから設立委員の方々をお選びをいたしました後にその方々がお決めをいただけることになると思います。
  93. 中野明

    ○中野明君 わかりました。  それで、その次、新会社の組織は、なるたけ官僚的な制度を打破して、事業部別とかあるいは分社化にするとか、経営の活性化のプラスになるようにすべきじゃないかと私は思っておりますが、そういうことについて大臣としてはどういうお気持ちをお持ちになっていますか。
  94. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) やはり私は、今後の鉄道輸送事業というものが地域密着型であってほしいと思います。そのためにはできるだけ、出先という言い方が正確かどうかわかりません、どういう組織図になるかわからない状態でありますけれども、たまたま今委員は事業部とか分社とかいろいろな言葉をお使いになったわけでありますが、そうした部分にそれぞれの責任が最大限付与され、例えば本社機能に当たるような部分はまさに基本的な部分の権限を持ちながら、実態的にはできるだけそれぞれの分野の権限がより地域に近いところに存在をする形が望ましいであろうと思っております。
  95. 中野明

    ○中野明君 先日も広島に公聴会に行ったとき、公述人の方から、結局西日本会社になって本社が例えて言えば大阪にできたとした場合、従前だったら東京へ全部お伺いを立てておったのが、ただ今度は大阪に、広島からいえば電話が〇三から〇六に変わるだけでは困るんだと、やはりそれなりの広島で権限のある人がおってどんどんできるように、それを強く望んでおられた。全国そうだろうと思います。そういう面で今お尋ねをしたわけでございます。  そこで、この改革法の二十条で設置される評価審査会ですか、評価審査会が法案が通ったら発足するわけなんですが、これの役割、構成、人数、設置期間、設置場所等、どういうお考えをお持ちになっておりますか。
  96. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず評価審査会の役割につきましては、評価審査会は、新会社などが国鉄から承継いたします財産の価格を決定することを任務といたしております。  そして、その評価審査会の構成及び人数についてでありますけれども、これは委員法案の成立後任命することとなるわけでありまして、どのような方を何人委員としてお願いをするかにつきましては、過去の同様なケースにおける財産評価機関における例などを参考にして検討してまいりたいと思います。例えば日本航空が民間企業から特殊会社に変わりますとき、あるいはKDDが公社から民間に変わりますとき、あるいは日本ターミナル株式会社、これが民間会社から特殊会社になったときなど、何回か今までこうした機関をつくってまいりました。従来の例を見てみますと、メンバーはそれぞれの主管閣僚、関係の各省庁のそれぞれの部門の代表者、それに数名のいわば学識経験委員といったような方々を入れているケースが多いようでございます。  次に、設置の期間及び設置場所でありますが、これは財産の承継前にその評価を行うものでありますので、今年度中にその役割を終えていただき得ると思っております。また、組織としては運輸省に置くことになります。
  97. 中野明

    ○中野明君 それでは、第三者機関、こういうふうに言われている機関、まだ名前はついていないんでしょうけれども、この第三者機関というのはどういう役割をしようとしておるんですか。それをちょっと説明してください。
  98. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 第三者機関と申しておりますものは、売却可能な用地の生み出しなどのための機関でございまして、これは国鉄改革関連法案の成立後臨時に運輸省に置かれるものであります。運輸大臣は、新事業体承継される用地と清算事業団に残される用地の範囲を公正かつ適切に決定するためにこの機関の意見を聞くことといたしております。この機関の委員は学識経験を有する方々の中から選任をすることとしておりまして、その設置期間は法律案が成立をいたしました後から国鉄改革の実施時点までと考えております。
  99. 中野明

    ○中野明君 それではもう一つ、この今の第三者機関というのは別に法的根拠はないんですね。後ほどお尋ねしようと思っておる資産処分審議会というもの、あるいは今の評価審査会というのは法的に裏づけがあって根拠があるんですけれども、第三者機関というのはこれはどういう根拠でお考えになっていますか。
  100. 林淳司

    政府委員林淳司君) 御指摘のとおり評価審査会と清算事業団におきます資産処分審議会、これは今回御提案申し上げております法律案の中に規定がございます。それに対しまして第三者機関、これは今回の法律案の中には規定しておりませんで、これは一月の二十八日に長期債務等の処理に関する閣議決定がございました。そのときに、長期債務処理一つの大前提としましてできるだけ処分可能な用地をたくさん生み出す、そのために第三者機関をつくってその機関でもって十分な検討を行うと、こういう閣議決定を一月に行っておりまして、これに基づいて臨時に運輸省に設置しようというものでございます。
  101. 中野明

    ○中野明君 それでは大臣資産処分審議会、これの構成と人員、それから地方につくるのかどうか、それから運営のルールですね。これをちょっと説明してください。
  102. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 資産処分審議会は、これはよく委員承知のとおり清算事業団の中に置かれるものでありますが、清算事業団における資産の処分に関する基本方針、重要な資産の処分とその前提となる土地の利用に関する計画について検討することとなっております。この審議会は委員十名以内をもって組織をされまして、委員資産処分に関して学識経験を有する者の中から運輸大臣の認可を受けて清算事業団の理事長が任命することといたしております。  なお、清算事業団と取引上密接な利害関係を有する者、例えば土地の売買を業となす者でありますとか工事請負の関係でありますとか、こうした方々は法律委員となることはできないということで利害関係者を排除いたしております。  また、この審議会の中には、個別の大規模用地につきまして地域ブロックごとにその利用に関する計画について検討を行う部会を設けることを考えておりますが、その運営の方策等につきましては、これは私はこの資産処分審議会そのものの議事細則その他議事規則等によって運営されることになると思いますが、今の時点でこういうルールということを確定はいたしておりません。
  103. 中野明

    ○中野明君 それで、もう一点だけお尋ねをしておきますが、この三つの機関ですね、これ何か重複するところがないかという心配、それから委員の中に、ことしじゅうになくなるのもあるというようにおっしゃっているのですが、兼任といいますか重任といいますか、そういう人が出てくる心配はないかあるか、その辺もどうでしょう。
  104. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは重複はいたさないと思います。まず、いわば最初のスタートは法律の成立という時点になるわけでありますが、この時点におきまして、売却可能な用地の生み出し等のための第三者機関において、新事業体承継される資産清算事業団に残される資産の範囲について調査審議がなされる。次に、今度は新事業体承継される資産について評価審査会がその価格を決定される。そしてその後、国鉄から清算事業団へ改組されました後に清算事業団に置かれる資産処分審議会において資産処分業務に関する重要事項が審議されるということでありまして、委員の御指摘のような心配はなかろうと思います。また、それぞれの委員はそれぞれの機関の職務に適する方からこれは選任をするわけでありますので、理論的には同一人物が選任をされる可能性が絶無とは私も申しません。しかし、これは法律案が通過成立の後人選を進めることでありますが、私は委員相互間に特に関係はないだろうと思っております。
  105. 中野明

    ○中野明君 それでは次の問題に移りたいと思います。  まず国鉄総裁にお尋ねをするわけですが、国鉄の職員の皆さんの現在の年齢構成ですね、それで男女別、これがわかりましたら示していただきたいのであります。
  106. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 現在の年齢構成でございますが、本年度年度首二十七万七千人の内訳でございますが、二十歳台が八万四百七十人、パーセンテージで言いまして二九%であります。それから三十歳台が八万六千百四十名、パーセンテージで三一%を占めています。それから四十歳台が八万三千三百四十人、パーセンテージで三〇%でございまして、残り一〇%、二万七千五十人が五十歳以上の年齢でございます。  男女の別につきましては、女性は非常に国鉄は少ないわけでございますから、ちょっと今数字を持ち合わせておりませんが。
  107. 中野明

    ○中野明君 それで私、今の御報告を聞いて、これはいろいろ理由があったんでしょうけれども、五歳刻みで見てみますと二十四歳以下が非常に少ない、それから三十歳から三十四歳の間の人もこれまた少ない、これはいろいろ国鉄再建のための理由があったんでしょう。それはわかるんですが、大臣に一応所見をお聞きしておきたいのですが、新会社が発足するわけです。これは大臣の立場からは設立委員が決めることなんでしょうけれども、新会社の年齢構成ですね、これがどうあるべきか。余り極端に、私の心配しているのは、どうしても再就職をされる方は若い人が非常に希望が多い、そして若い人をなるたけ受け入れしたい、そういうことがもう全体の傾向としてあるわけですから、そうなりますと、極端な言い方をしたら、新会社へ移る人の年齢構成が若い人が非常に少なくなっていびつな出発にならないかということを一応心配してお尋ねをしておるわけなんです。  一番理想というのは、これは若い人から順番にお年寄りになだらかな傾斜があることが好ましいと思います。ですから、なるたけ新会社をしっかりしたものに、安定したものにしていくためには、採用のときにそれなりの年齢的な考慮というものも払わなければならないのじゃないだろうか、こういうふうに私としては思うわけですけれども、さて設立委員の方が年齢的に、極端な言い方をすると何歳の人が何名と、こういうわけにはなかなか難しいでしょうけれども、年齢構成についていかにあるべきがいいと大臣はお考えになっておりますか。
  108. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これはどこの社会でも同じだろうと思いますけれども、殊に新たに発足します企業体の場合に、その企業内における年齢構成はやはりバランスのとれたものであることが一番望ましいということは間違いかないと思います。そこで、今委員の御指摘になりましたような点、これは確かにいろいろな角度から私ども考えなければなりません。ただ、今再就職を進めてまいります中で、雇用先が希望される年齢層というものを考えてみますと、確かに公的部門では比較的若い年齢層に対する募集が多いということは事実であります。しかし、これは恐らく国鉄当局が大変な努力をしていただいているのだと思うんですが、関連企業部門においては中高年齢層の方々の募集を中心にしていただいておりまして、若年齢層の職員のみが大量に再就職してしまうというような状態にならないような求人状況にございます。したがって、設立委員の方々の雇用条件等々の設定の中身にもよりましょうけれども、私は新会社の年齢構成というものがこの再就職の問題の絡みでそうバランスを失したものにはならないと考えておりますが、なお留意をいたしたいと思います。
  109. 中野明

    ○中野明君 そうあってほしいと私も思います。  そこで、再び国鉄にお尋ねをするわけですが、人材活用センター、これは非常にいろいろと当委員会でも議論に出ているところでございますが、この人材活用センターの配属といいますか、設置場所と人員、もし年齢構成がわかればお示しいただきたいと思うんですが、わからなければこれはやむを得ません。教えてください。
  110. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 十一月の一日現在で人材活用センター、全国で千四百三十八カ所設置されております。その配置人員が一万八千五百十人ということになっております。  今お尋ねの年齢構成につきましては、特に数字で把握しておりませんので正確に申し上げられませんが、全体の年齢構成と比較いたしますと四十代が比較的少なく二十代が比較的多い、こんな感じではございます。
  111. 中野明

    ○中野明君 それで、こんなことは絶対ないと思いますが、人材活用センターに配属されている人がそっくりそのまま清算事業団に行くということは、もうそんな心配は一切ないと、そういうことですか。
  112. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 新会社なり清算事業団に行くであろう方の配属の問題は、これは設立委員のお示しされます採用条件に従いましてどういう方を選ばれるかということの結論になるわけでございます。したがいまして、人活センターの配属いかんというものと将来への配属とは全然関係がないというふうに申し上げたいと思います。
  113. 中野明

    ○中野明君 そこで、清算事業団のことでお尋ねをするわけですが、現在は人材活用センターが今おっしゃった全国で千四百三十八ですか、それだけの配属の設置場所ですか、あるんですけれども、恐らく清算事業団になりますとそれだけの設置場所はないと思われるんですが、清算事業団の設置場所というのは何カ所ぐらいと想定をしておられるんですか。
  114. 林淳司

    政府委員林淳司君) 現在まだ清算事業団の組織について確定的なものを持っているわけではございませんが、来年度概算要求ということとの関連で今考えておりますのは、全国に約二百五十カ所程度でございます。これは予算の段階で最終的に確定するものでございます。これは現在の状況から言いますと、各職員が通勤可能範囲にそれぞれ配置をされるということになろうかと思います。
  115. 中野明

    ○中野明君 私もそれがちょっと気になってお尋ねをしているわけなんですが、現在の人材活用センター、これの管理局別のあれを見ますと、かなりこれ、どういうんですか、設置場所が多いものですから今おっしゃったように通勤は可能だと思うんですけれども、この千四百三十八カ所から今の予算要求数字で言いますと二百五十ですか、そんなに少なくなってしまうと恐らくこれ通勤——東京のような便利なところはいいんですけれども、地方へ行きますとなかなかこれ大変なんですよね。東京なんかはもう神奈川県からでも埼玉県からでも千葉県からでもどんどん通勤可能ですけれども、地方へ行きますとこれは大変な、同じ県内でもなかなか、三時間もかかるとか、そういう状況で果たしてですね、私の心配しておりますのは、この清算事業団に配属になったというのか、そこで働く人たちが次の再就職の期間までの間単身赴任をせなきゃならぬような人が出てこないだろうかという心配をしているわけなんですが、その辺の心配はないでしょうか。
  116. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは委員、大変申しわけありませんが、現在の国鉄の組織内における人材活用センターとそれから清算事業団におけるいわば地方出先機関、これを同一でお考えをいただくことは私はいかがかと思います。殊に、清算事業団の地方機関と申しますものは、また清算事業団そのものが行う再就職のための役割と申しますものは、教育訓練とか職業指導、また職業紹介というものであります。そうなりますと、確かにこれは再就職を必要とする職員は全国に発生すると予想されますけれども、その場合の教育訓練等々を考えてみましても、職業訓練を考えてみましても、余り小さく分割した組織をつくることはかえって私は極めて効率の悪いものになると思います。  また、これは年末の予算折衝の中で決定することではありますけれども、私どもとすれば通勤可能な範囲ということを考え要求をいたしておるわけでありますし、同時にその清算事業団に移る職員は、私どもとしては、これは国等におきましてもそうでありますし、民間企業等に御採用願う場合にも、でき得れば一括採用内定をお願いし、いわばその年次計画で受け入れていただくまでの間それぞれの方向に向けての訓練、勉強等をしていただくわけでありますから、そうした点から考えましても余り細かい分散はできないと思うんです。その辺の事情は御理解をいただきまして、私どもも通勤可能な範囲でこれが対応できるように現在予算要求をしておるということを申し添えます。
  117. 中野明

    ○中野明君 今大臣のおっしゃったことは私も理解できるんです。それは現在の国鉄が人材活用センターを設置している場所と清算事業団とはこれはもう当然変わってきますし、清算事業団は、現在の国鉄が新会社になってしまうわけですから、ですから場所も清算事業団の所有している場所でないとぐあいが悪いでしょうし、それは同じというわけにはいかぬのですけれども、ただ心配しているのは、東京とか大阪とかそういうところはいいんですけれども、地方へ行くほど単身赴任ができてこないかなと。その配慮で設置するとおっしゃっているので了解いたしますけれども、単身で行くということになるとこれは大変だなと、そういう思いがあるものですからお尋ねをしているわけでございます。  それからもう一つ清算事業団のことでやはり私も一つだけひっかかるんですが、職員の処遇で、給料ですね。給料が一〇〇、九〇、八〇と、こうなっているということがたびたび議論もされております。それは確かに、大臣の答弁を聞いておりまして、一つ考え方だと思います。しかしながら、清算事業団に行く人は自分の都合じゃなしに、結局こういう状態になったから再就職の準備のために行くわけでしょう。ですから、そこで給料の差が出るというのは余りにも酷だ、気の毒だなという感じかするんです。  それは清算事業団の中での職務の違い、大臣のおっしゃっていることはわかります。わかりますけれども、何か別の方法で、本人が八〇になったり九〇になったりする人を救済する方法はないんだろうか。やはり本人としてはこれはつらいことですし、国の政策でやるわけですからね。そこのところの救済の方法というのを、清算事業団での給料は理屈として私大臣のおっしゃっていることはよくわかるんですが、しかしながら本人はこれはやっぱり大変です。ですから、何かの方法で、手当とかなんとか、そういう方法で手取りといいますか、いただく給料が余り変わらないようにしてあげるのがこれが一番いいんじゃないかという感じを私今なお持っているんですけれども、その辺のお考えはどうでしょうか。
  118. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、基本的にはこれは清算事業団移行後における労使交渉事項の問題になるだろうと思います。しかし、これは委員も御理解をいただぎながらなおかつという御質問でありますから私どももできるだけいろいろな考え方はしてみたいと思いますけれども、現在の国鉄の給与体系をそのままに移行させるということでありましたならば、私はこれはやはり国民的に見てなかなか御納得かいただけないのではなかろうかと思います。そして、一〇〇、九〇、八〇というのは私どもがまさに予算要求のいわば算定基礎として置いた数値でありますから、これについての御論議があることは私もそれなりに逆に委員の御主張がわからないわけではございませんけれども、やはり問題としては、現在のそれでは国鉄の給与体系をそのまま清算事業団に持ち込むことの合理性はあるのか。清算事業団清算事業団としての勤務の中における合理性のある給与体係というものが本来見出されるべきではなかろうか、そしてそれは労使交渉事項の大きな柱でもあらうと、私はそう考えております。
  119. 中野明

    ○中野明君 労使交渉はわかるんです、それは当然交渉されると思いますが、予算面で政府要求の段階でこれで制約をするということはやっぱり労使交渉にも大きな制約を与えるんじゃないだろうか、こう心配をして今お尋ねをしているわけです。  やはり新会社に行けないで清算事業団に行って次の就職をするということは、やっぱり精神的にもあるでしょうし、そういう点では非常に、本人たちも生活設計は国鉄のときにやっておるんですから、例えて言えば家のローンも払っているとか、子供の教育の問題とか、そういうことで大体の設計はできているんでしょうから、それが清算事業団に行くことによって二割も減ってしまうということになると影響が大きいだろう。その辺を何とか——一〇〇、九〇、八〇、これの大臣の答弁、説明は僕もずっと聞いておってわかるんですね。わかるけれども、本人にとってはこれはたまらぬということがありますので、労使交渉にまたなきゃならぬでしょうけれども、予算で制約をしたというのはちょっとこれ後に影響、尾を引かないかなという心配と、それから本人たちのことを考えれば何かの手当の方法がないだろうかなと、こういうふうに考えております。そのことだけ申し添えておきます。  次の問題として、国鉄が民営・分割後に発足をする通信会社、これの規模と内容説明してください。
  120. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 基幹通信会社は、現在国鉄保有をいたしておりますマイクロ無線網、光ファイバーケーブル、同軸ケーブルなどの基幹的通信設備を引き継ぎ、各旅客会社貨物会社相互間を結ぶ業務通信を行うことといたしております。  基幹通信会社の資本金は三十二億円、職員数は五百七十人程度考えておりまして、六十二年度における営業収入を百七十五億円、経常損益ベースで二億円の黒字を見込んだ計画をまとめております。
  121. 中野明

    ○中野明君 大臣、もう一つ考えておられるんじゃないんですか、システム会社、これはどうなるんですか。
  122. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) システム会社につきましては、国鉄が現在持っております例えば新幹線等の列車のお客さんに対する座席指定、乗車券販売等のためのコンピューターシステムがございます。あるいはまたコンテナ輸送のためのコンピューターシステム等々ございますが、そういうソフト面でのシステムを全部一括いたしまして新しい会社の要請に応じてそれを使用していただく、こういう仕組みの会社でございます。
  123. 中野明

    ○中野明君 それの資本金と人数はどうですか。
  124. 林淳司

    政府委員林淳司君) システム会社につきましては、ただいま国鉄総裁から御説明がございましたけれども、現在国鉄保有しておりますマルスあるいはエポックスといったような全国的な規模のコンピューターシステム、こういうものにかかわる情報の処理を行うということでございまして、この会社の資本金は十億円、職員数は二百八十人程度考えております。営業収入、先ほどの基幹通信会社と対比いたしまして、六十二年度営業収入でございますが百二十三億、それから経常損益ベースで一億円の黒字を見込んでおるということでございます。
  125. 中野明

    ○中野明君 それからもう一つ。 通信関係で、NTTが発足とともに電子通信分野に競争原理が導入されました。それで国鉄が主体となって日本テレコム株式会社というものをつくっておられます。去年の六月二十一日に許可になった、認可になったというんですか、それの概要をちょっと説明してください。
  126. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今先生おっしゃいましたように、通信事業の自由化に伴いまして、第一種電気通信事業、これを行うために昭和五十九年十月に設立をされたものでございまして、資本金が九十億円、そのうち国鉄が三十・一億円を出資いたしておるものでございます。事業内容は、新幹線の沿線に光ケーブルを敷設し通信サービスを提供するものでございますが、既にことしの八月に東京ー大阪間で専用サービスを開始いたしておるところでございます。
  127. 中野明

    ○中野明君 これは、職員は何人ぐらいおられますか。
  128. 山田度

    説明員(山田度君) 現在、日本テレコムの従業員数、まだ本格的に電話サービス等を開始しておりませんで専用線にとどまっておる段階でございますので、約二百二十名ということになっております。
  129. 中野明

    ○中野明君 それで、今大臣が御説明になりました基幹通信会社、それで今総裁から報告をしていただきました日本テレコム、基幹通信会社は発足してから結局郵政大臣に認可の申請をなさると思うんですが、これは第一種ということになります。日本テレコムも第一種なんです。そして同じような仕事の分野になるんじゃないかという点から、この日本テレコムと通信会社、これを合併するべきじゃないかという話を時々聞くのですけれども、この辺について大臣としてはどういうお考えを持っておられますか。
  130. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに、日本テレコムの一般通信サービスというものと、基幹通信会社がまさに民営化後の鉄道事業を運営するために必要な業務用の通信を行うという役割、その役割を踏まえながら考えてみますと、私どももこれは将来本当に一つにした方がいいのかなという気持ちを決して持たないわけではございません。  ただ、その合併ということになりますと、やはり両者の業務内容とかあるいは設備の効率利用といったところからそれぞれの経営者が判断をされることになるわけでありますけれども、効率利用といったことから考えられて結論を出されるとすれば、やっぱり合併という方向は本当に考えると  一つの方向として浮かんでくるものではなかろうかと思います。ただ、まだ基幹通信会社は国会でこの法律案を成立させていただいて後スタートをするわけでありますし、最終的にはやはりそれぞれの経営者が利害得失を判断されて決断を下される性格のものであろうと、そのように思います。
  131. 中野明

    ○中野明君 これは将来の課題だろうと思います。それぞれやはり考えがあることですから、ここで一概に今すぐというわけにはいかぬでしょう。  そこで、午前中のいただいている時間がもうちょっとありますので、もう一点だけ。  この日本テレコムの株ですね。三十・一億円ですか、一応出資は。この株、これは分割・民営後どういう取り扱いになるんでしょう、その辺を教えてください。
  132. 林淳司

    政府委員林淳司君) これも国鉄関連会社一つでございまして、関連会社の株をどう承継させるかということについては、基本的な考え方としましては、一つ会社事業範囲内にある、例えば駅ビルみたいなもの、これはその会社にずばり承継させるということで問題ないわけでございますが、先ほどちょっと御議論がありました旅行会社だとか、それから今のテレコムにつきましても、ある程度やはり複数会社をまたがるということになりますので、その業務の関連度というふうなものを考慮しながら、どう配分するかということについてはこれからの検討事項であろうかと思います。最終的には承継計画を決める段階で確定することになろうかと思います。
  133. 中野明

    ○中野明君 これは理論的に考えれば、やっぱり一つ会社承継する方でいいという考え方もできないことはないんですけれども、そうかといって、各分割した会社にまたがっておるし、あるいは今国鉄出資したんですから、国鉄出資ということになると六会社全部にも関連をさせないといかぬのじゃないだろうかと。私は四国ですから、四国関係ないからもうだめだという、北海道もだめだ、こういうことになるとこれまた不公平のそしりも出てくるんですが、その辺も含めて、まだ煮詰まっていないようですけれども検討をしていただいて、後でがたがた言うことのないようにお願いをしたいなとこう思うんですが、総裁どうでしょうか。
  134. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今国鉄が持っております株の承継の方法につきましては、先ほど来運輸大臣、林審議官がお話しになったとおりでございまして、こういう原則を踏まえ、また今先生がおっしゃいましたような全体の会社のあり方とも密接に関連があろうかと思いますので、その辺も踏まえながら省とも検討を重ねていきたいと思っております。
  135. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後一時二十分に委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  136. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 日本国有鉄道改革に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、各案について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  137. 中野明

    ○中野明君 最初に、国鉄総裁にお尋ねをいたしますが、今回の一一・一のダイヤ改正、いろいろ評価が出ておりますが、このダイヤ改正についての総裁の感想といいますか、所感をおっしゃってください。
  138. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今回の十一月一日のダイヤ改正は、従前に比べまして大変大きなダイヤ改正でございます。今後鉄道事業をしっかりと経営していくというために、何といいましても地域の、地元の方のいろいろな要望というものを十分に反映をさせなきゃいかぬ。そういう面でいろいろな御要望がありましたが、なかなか御要望に沿うことができない、そういう状態が長く続いたわけでございますが、今回思い切りまして、例えば毎日の昼間の、データイムの列車本数を思い切って増発をし、在来線を含めまして一日約二千本、列車距離にいたしまして十一万キロに及ぶ増発をいたしたわけでございます。こういうことによりまして新しいサービスというものを期待しておるわけでございますが、これがまた国鉄にとどまる段階のみでなしに、今後の、法律が通りました後におきます新しい旅客会社あるいは貨物会社のダイヤにそっくり引き継がれるわけでございます。こうした思い切ったダイヤによりまして、今後活力のあるサービスが期待できるものというふうに私どもは信じておるところでございます。
  139. 中野明

    ○中野明君 運輸大臣はどう思われますか。
  140. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 新ダイヤが発足をいたしましてから、その後の、まだ短期間でありますけれども、その輸送実績を申し上げることによってお答えにかえたいと思います。  まず第一に都市圏輸送、殊に大都市圏、東京、大阪、名古屋等では、昨年に比べまして、ダイヤ改正後二十日間の数字を見てみますと一〇一%ないし一一〇%とお客様が増加をいたしております。また地方主要都市圏、二十七都市圏をとってみますと、前年に比べまして多いところでは一二〇%、一〇〇%から一二〇%。この数字を見てみましてもおおむね良好な実績を上げておりまして、私は新ダイヤが国民の間に好評をもって迎えられている証左だと思っております。  ただ、新幹線は多少昨年に比べて減っておりますが、実は昨年御承知のように大きな航空機事故があり、その結果として、従来航空機を利用された方々が相当新幹線に行動のパターンを移され、航空関係の実績が相当落ち込んだのに比べて、昨年は新幹線が例年に比べてふえておりました。 それに比べての九六%比ということでありますから、これも私は、航空機に一方ではお客さんが戻りつつあるという中で、おおむねこれは評価のできる数字ではなかろうか。  これらの数字を見ましても、今回のダイヤ改正というものは、まだこれは二十日までの集計でありますけれども、私は国民に好評をもって迎えられている証左と喜んでおります。
  141. 中野明

    ○中野明君 大臣にそれではお尋ねするんですが、私もそうなんですけれども国民の皆さん方の素朴な疑問として、こんなに好評、今おっしゃっているように好評であることは私も認めますし、事実そのとおりです。ただ、先日議論しました特急の問題はあれはちょっと別にしまして、好評なんですが、こういうことが今までやればできるのにどうしてできなかったのか。それについて素朴な疑問といいますか、このダイヤ改正を評価した上でそういう疑問を呈する人が非常に多いんです。そういう点について大臣はどう認識をしておられるのか、なぜ今までできなかったのか、その辺どうでしょうか。
  142. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは、私もその正確な分析をしておるわけではございません。しかし、やはり一番大きなものは、いわば分割・民営化という方向が示され、その中でそれぞれの地域密着型の企業経営をすることによって鉄道線路を生かしていかなければならない、さもなければ自分たちの将来もないという、いわば非常に追い詰められた形の中でこうした努力が払われてきたということは、裏返して言えば、従来、いわば全国一社制というものの中で、しかも公共企業体という特異な位置づけの中で、国鉄当局自身も、またこれはそれを監督する立場におりました私どもも、いわば惰性に流れと言っては言い過ぎかもしれませんが、それだけの真剣な工夫を払う努力が足りなかったのではなかろうか。また、その努力を払わせるだけの私どもも指導を十分にしておらなかった点がありはしないか、私は率直にそのような感想を持っております。
  143. 中野明

    ○中野明君 今運輸大臣も触れられましたが、私もそう思います。  要するに、国民世論といいますか、国鉄はこのままじゃいかぬということで改革をしてもらいたいという国民の世論、これが背景にあって、しかも国鉄労使の皆さん方がそれにこたえて今回のあれができた。それにはいろいろ理由がございましょうけれども、基本的にはバックにそういう背景があったんじゃないか、こう思っておりますが、しかし今まだ国鉄は公社なんですからね。それで今できるのなら十年前にできなかったかな、五年前にできなかったかなということなんですが、この点については総理の御所見もちょっとお伺いしておきたいんです。
  144. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはり六分割というのが迫ってまいりまして、それに先駆けて地域密着型のダイヤ編成をやってみた、結果は非常によかった、こういうことで、これはダイヤ編成のみならず業務の運営全般についても何らかを暗示することであると考えております。
  145. 中野明

    ○中野明君 先ほど総裁もお述べになっておりましたように、地域密着、地域の要望、これはきのうやきょうじゃないんですけれども、それが今日ここでできたということ、それについて私は、時が来ているんじゃないかな、こういう感じを持っております。  そこで、十一月一日にダイヤ改正をされたわけなんですが、次のダイヤ改正、これはどのように実施されるというふうにお考えになっているのか、推測をしておられるのか、国鉄の方で。
  146. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 来年のことになろうかと思いますが、推定ではございますが、来年度いっぱいで青函トンネル、本四架橋というのは完成をいたしまして、これに伴いまして列車の運行体系を一部手直しする、列車ダイヤの改正ということが行われるであろうというふうに想定をするわけでございまして、新しい会社が発足しての初めてのダイヤ改正ということに相なろうかと思いますが、各会社ともによく連絡協調の上で、利用者のニーズに合うように立派なダイヤ改正にもっていけるものだというふうに思っておるところでございます。
  147. 中野明

    ○中野明君 今青函トンネルと本四架橋のお話が出ておりました。私も当然その時期に合わしてダイヤ改正は必要だろうと思いますが、そうなりますと、青函トンネルあるいは本四架橋ができることによって、要するに北海道から東京への直行といいますか、北海道から東京あるいは四国から東京、このブルートレーンなんかもできるんじゃないか、このように期待をしているんですけれども、その辺は国鉄としてどう考えておられますか。
  148. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) お客さんの流れなりあるいは御要望というものもこれからも十分によく踏まえまして、本州との間の直行列車、これはもう当然にあろうかと思いますが、なお具体的に今後の課題として詰めてまいりたいと思います。
  149. 中野明

    ○中野明君 そういう点、乗りかえをしないということが島国にとっては大変な魅力なんです。せっかく橋ができたわけですから、乗りかえなしに四国から岡山に直行する、あるいは大阪、そして四国は四県あるんですから、四県から集まってきてどこかで連結してそのままブルートレーンが出る、こういうことを我々は非常に期待をしているわけなんですが、大臣としてはどういう期待を持っておられますか。
  150. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私も同じような夢を持ちます。しかし同時に、一方では果たして、北海道から例えば東京までを直通の列車を運行した場合に、それだけの長時間を割いて列車の旅をエンジョイしてくださるお客様がどのぐらいあるだろうか。そこまで長距離になった場合に、果たして航空機と鉄道が対抗し切れるだろうか。仮に対抗していこうとすればまさにオリエントエクスプレスのような、その汽車に乗ること自体が一つの楽しみとなるようなものを工夫していくことを必要とするのではなかろうか、そんなことも夢見ております。
  151. 中野明

    ○中野明君 そこで、六十三年の春には本四架橋が開通をするわけです。これは併用橋ですから鉄道ももちろん海を渡って走るわけなんですが、この開通によりまして当然新しい会社ができているわけなんですが、乗客増の見通しといいますか見込みというんですか、現在それは国鉄としてどの程度と見込んでおられますか。もし見込んでおられたら数字を教えてください。
  152. 須田寛

    説明員(須田寛君) 本四の架橋の考え方でございますが、宇野—高松間の片道のお客様が今約六千名ぐらいいらっしゃいます。このお客様が一日大体六千八百ぐらいのお客様になるのではないかというふうに推計をいたしておりますが、いろいろお客様の誘発等もございますので、かれこれ一年間で一億人キロ近いお客様がこの本四の架橋によりまして誘発されるのではないか、こんなふうに見ております。
  153. 中野明

    ○中野明君 そこで、乗りかえをせずに行けるということになりますと、四国四県の県庁所在地から岡山までは時間的にどれぐらい短縮になるか、そして現在の運賃でどれぐらい安くなるのか、あるいは高くなるところもできるのか、その辺ちょっと。
  154. 須田寛

    説明員(須田寛君) まず、運賃につきましてお答え申し上げますが、高松—岡山間では現在宇高連絡線の運賃とレール運賃を合わせまして千四十円でございます。これは仮にでございますが、本四架橋の鉄道キロに応じまして幹線系の賃率を今のままとして適用いたしました場合には千六十円でございますので、ほぼ同額というふうな感じでございます。それから松山—岡山間におきましては現在四千二百円でございますが、これが三千四百円、運賃のみでございます。それから高知—岡山間につきましては三千六百円でございますものが二千八百円、こういった格好でございます。  次に、所要時間でございますが、現在松山から岡山まで、これは列車によって若干差がございますが、約五時間から五時間二十分ぐらいかかっております。それから高知—岡山間につきましては大体四時間半から五時間ぐらいかかっております。この辺は、ダイヤの詳細をこれから設定することになりますので、細かな数字は未定でございますが、大体一時間十分程度スピードアップできるのではないか、こんなふうに見ております。それから高松方面につきましては若干距離が迂回になりますが、現在の船車連絡、つまり船とそれから鉄道との連絡の待ち合わせ時間等がなくなりますので、この点につきましても三十分ぐらいのスピードアップが期待できるのではないか、こんなふうに考えております。
  155. 中野明

    ○中野明君 これはこの前申し上げたので、余りこれには時間を長く割きたくないんですけれども、ただ大臣一つ覚えておいていただきたいんですけれども、松山—岡山ですね、これは場合によっては急行で行った方が特急で行くよりも早く着くのがあるんです。これは非常に一生懸命に地元を中心に考えていただいたことはわかるんですけれども、特急で行くよりも急行で行った方が早く岡山に着くという、こういう矛盾もあるものですから、先日私申し上げましたように、新会社の経営者の方で十分その点は、ダイヤを変えいというんじゃないんですから、料金その他のことでお考えをいただけるようなことを含んでおいていただきたい、私はこう思います。  それからもう一つは、国鉄の現在の料金制度の問題でしょうけれども、予讃線は特急をたくさんふやしていただいたんですが、ふやしたのは乗客の多い高松—松山までなんです。そうすると、宇和島の方へ行く人は松山の駅で同じホームで別の反対側のところへ急行に乗りかえにゃいかぬ。そのときにまた急行料金を払わにゃいかぬわけですね。ですから、ホームから外へ出ないんですから、そういうのはもう急行料金は取らない、こういうことが好ましいんじゃないかと思いますよ。せっかくお客さんが利用しようと思っても、結局乗りかえてまた急行料金を払わなきゃいかぬ、そういう制度、これは現在の運賃の制度ではしようがないんだろうと私は思うんですけれども、新会社になったときにそういうことも考慮に入れておいてもらいたいと、こう考えております。  そこで、時刻表のことでお尋ねをしたいんですが、現在国鉄はみずから時刻表は発売しておられないことになっていますね。時刻表というのは、大臣、ベストセラーですね。それで、新会社になったら時刻表を作製する計画は新会社の経営陣が考えるんでしょうけれども、時刻表を作製する計画はあるのか。また、各会社ごとの時刻表というものは当然できるでしょうけれども、全国で今発売されているようないわゆる六会社を一括した時刻表、これも出さなければ乗客に対して非常に不便である、こういうことなんですが、国鉄はこういう点はどうお考えになっておりますか。
  156. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今先生がおっしゃいましたように、時刻表はベストセラーと言われております。現在全国版の時刻表が交通公社を初めとしまして三つの会社から出版されておりますが、そのほかに北海道とか九州とか、地域に限りまして地域版がつくられております。将来を考えますと、これはお客さんに長いこと親しまれました時刻表でございますし、また利便のためにもぜひとも必要であるというふうに考えておりまして、全国版、地方版ともにどういうふうにしたらいいかということを検討している段階でございます。
  157. 中野明

    ○中野明君 これは新会社になりますとそういう仕事もやろうと思ったらできないことはないんだろうと思います。ただ、これ前提にして時刻表をつくられておるんですからなんですけれども、今回の一一・一のダイヤ改正、今出ている時刻表というのはちゃんともう六分割した前提に立ってつくられているんですね。手回しがいいといえばいいんですけれども、そのまま新会社に移行すると総裁もさっきおっしゃっていましたが、それの前提のもとに組まれているのだろうと思います。そういうことで、時刻表の問題は、かなり現在つくっているところとの関係もありましょうしするんですが、新会社として分割されたからといって、自分のところだけじゃなしに、全国的なものをぜひこれは出版をしてもらわないと困るなと、こう考えております。  次に、関連専業の展開についてちょっとお尋ねしておきます。  四国には、現在国鉄出資会社がありません。そういうことから考えまして、ここでお尋ねをしたいことは、まず前段として、国鉄関連会社あるいは出資会社活性化と体質改善をこの際やっぱり民営・分割とともにやるべきじゃないかと、こういうふうに思います。  それから後段としては、四国に現在国鉄出資会社がない。そういう地域では今後どのような事業の展開が可能になるというふうに大臣はお考えになっているのでしょうか、ちょっとおっしゃってください。
  158. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私どもは新会社に対しましては、国鉄の分割・民営化の趣旨にかんがみまして、活力ある経営をしていただくためにも、会社法案におきましても鉄道事業の適切かつ健全な運営に支障を来さない限り、広範囲な事業分野への進出を認めております。これはもう委員が御承知のとおりであります。  確かに四国におきましては、六十年度に直営店舗、構内営業の承認等で関連事業約九億一千三百万円の収入を上げておりますが、これは毎年ここ何年かを見てみますと着実に、少ないとはいいながら伸びてまいりました。ですから、これから先も私は四国会社としても、現在行われておりますその関連事業を引き続き延長していかれる、そして拡大していかれる努力を当然払われるでありましょうし、今後とも他の新会社と同じように、経営安定化のためにさらに駅の高度利用、こういったものを進めていただきたいと思いますし、経営者の創意工夫によって積極的な関連事業の展開を図っていただきたいと思っております。  なお、たまたま調べてもらいました数字を見てみますと、四国の例えば昭和五十一年度関連事業収入というものは五億九百万でありましたものが六十年度は九億一千三百万と、倍近くまで少しずつとはいいながら伸びておりますわけですから、私はこうした努力を今後とも続けていただく。そして、その駅の高度利用等々の中で新しい事業もお考えをいただければと、そのように願っております。
  159. 中野明

    ○中野明君 それじゃ、ここで技術開発のことでお尋ねをします。  御承知のとおり、日本の国鉄の技術というのはこれはもう大変なものだと私も思います。ところが、今回の民営・分割によって鉄道に関する技術開発のレベルやテンポがダウンすることがないだらうかという心配なんですが、この点は国鉄でしょうか、大臣ですか。
  160. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この点は、国鉄の分割・民営という方針が出されましたときからさまざまな方からその御心配をいただいてまいりました。そして、これまで集積された鉄道技術を維持し、これを総合的に研究開発していくことが極めて将来にとっても大切なことは間違いありません。  ですから今回、今おのおのの旅客会社などとは独立した研究開発機構の存在が必要だということから、鉄道技術研究所、鉄道労働科学研究所、浮上式鉄道宮崎実験センターなどの研究開発部門を統合いたしまして国鉄出捐による財団法人を設立しようとしているところでありまして、ここに国鉄の持つ技術開発力を集中し、集積することによって今後とも私はその能力が低下をすることはない、そのように考えております。
  161. 中野明

    ○中野明君 そうしますと大臣、これからリニアモーター、これが非常に注目されてくることになりますが、これらの開発も今おっしゃったそういうところで十分できる、そういうふうに理解してよろしいですか。
  162. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) センターそのものを引き継いでもらい、その中で今後ともに努力をしてもらうつもりでおります。
  163. 中野明

    ○中野明君 それじゃ次の問題なんですが、優秀な技術、これが国際技術協力という面で、現在国鉄はどういうことを今までなさってきたか、国際技術協力についてお答えいただきたいと思います。
  164. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 現在やっております海外技術協力でございますが、原則といたしまして国際協力事業団、JICAでございます、また海外鉄道技術協力協会、JRTSでございます、こうした公益的な組織を通じまして実施をしておりまして、海外からは非常にこのことについて評価をされておるわけでございますが、内容といたしまして、六十年度の実績を申し上げますと、専門家の海外派遣ということで、六十年度では七十二件、延べ二百二十八名を二十六カ国に派遣をいたしておるところでございます。それから逆に海外から研修員の受け入れということで、二十二カ国、七十一名の研修員を受け入れしまして国鉄におきまして研修をしておる、こういう状況でございます。
  165. 中野明

    ○中野明君 そうしますと、これは民営・分割後はどのように実施されていくようになるとお考えなのか。これは大臣ですか。
  166. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 分割・民営化の後における専門家の派遣という場合には、これはやはり派遣要員の確保とか現場業務への精通などの観点から考えて、旅客会社などがその主たる派遣元になるであろうと考えられます。また、例えば開発計画策定のための調査団の派遣でありますとか、研修生の受け入れなどにつきましても、旅客会社のほか、今総裁の述べておられました海外鉄道技術協力協会などを活用しながら円滑に進めていきたいと考えております。
  167. 中野明

    ○中野明君 これは総理にもお答えをいただぎたいわけですが、やはり日本の国が今日の状況からはこういう国際技術協力というものは緩めてはいけないし、またどんどんやっていかなければならない立場だろうと思います。ところが、国際協力事業団というのがいろいろ問題もあったりして非常にこれは残念なことでございましたが、そういうことをきちっとしていただいて、今後やはり国鉄の持っている優秀な技術というものを国際技術協力という名のもとに大いに推進をしてもらいたい、こういうふうに私は考えておりますが、総理として御所見を伺っておきます。
  168. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国鉄新幹線を開発したり、あるいはリニアモーターカーに今挑戦してかなりの成績をおさめておりますが、これらの貴重な技術力をやはり一括してまとめておいて、そして国際協力あるいは国内の新しい研究開発に十分使えるようにしたいと希望しております。
  169. 中野明

    ○中野明君 それでは、新会社運輸省との間の認可、届け出、これの関係についてお尋ねをしたいわけですけれども、特にいわゆる北海道会社とか九州会社あるいは四国会社、こういうところは所管の運輸局、これとの間でもう済むようなそういう状態になるんでしょうか、それともやっぱり一々本省との関連になるんでしょうか、その辺はどう考えておられますか。
  170. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 新会社に対する認可あるいは届け出の受理などの事務を本省で行うのか、あるいは地方運輸局で行うのかにつきましては、改革関連の政省令の内容の一部として現在検討を進めているところでございます。しかし、やはり免許でありますとか工事の施行の認可でありますとか、あるいは運賃料金の設定などの認可、非常に基本的な事項はやはり私は本省で行うものになるであろうと思います。しかし、そうしたものを除いて、例えば高架化を進められるための工事、こうした鉄道施設の変更の認可でありますとか、運賃料金の割引の届け出の受理でありますとか、こうしたものについては、私はやはり地方運輸局限りで処理のできるようにしておくことが望ましい方向だと思います。また、本省において処理をする事案につきましても、私は、その申請というものは当該地方運輸局を経由していただけばよいことであり、東京から離れた地域の事業者の利便にできるだけ沿えるような流れを組み立てたいと今考えております。
  171. 中野明

    ○中野明君 今の大臣の答弁で大体理解をいたしましたが、せっかく六分割になったわけですから可能な限り地元の運輸局との間で事務が進むように、そういうふうに私たちは願っておるわけでございます。  それでは最後の問題にいたしたいと思いますが、この特別委員会でもいろいろ議論が重ねられまして、やはり答弁を聞いたり、あるいは質疑を聞いておって先送りにならざるを得ぬと、これは現時点ではやむを得ぬなと思うものもかなりありますし、またこれ百十四年間にわたった歴史の初めての切りかえで大改革でございます。ですから、ここで我々は先のことを心配していろいろ議論を可能な限り我々も考えてしておりますけれども、やはり実際に出発をいたしますといろいろの問題が出てくるのではないだろうかと思います。  これはNTTのときもそうでしたが、そのときにいわゆる政府の中に、役所の中に、運輸省なら運輸省にそういう問題が起こったときに処理をする窓口といいますか、電電のときにはこれは駆け込み寺というような言い方をいたしましたが、要するに中小業者とのトラブルとか、一例を挙げれば今大分指導してもらっておりますけれども、要するに電話機を売るにしても、いい番号をやるからおれのところの電話を買うようにというようなことで行き過ぎがあったりして大分悶着が起こったこともあります。  そういうことを考えますと、何もいざこざが起こることを望んでいるのではありませんけれども、不可抗力的に出てくることもあるでしょうし、想像している以上に実際にやってみたら出てくるかもしれません。そういうときにどこへ言っていったらいいんだということで、恐らくこの問題については林さんが随分御苦労なさって今日おられるわけでございますけれども、林さんが窓口になるかどうか知りませんけれども、その担当の部署をはっきり決めておいていただきたいなと、国会の問題は国会の問題としてまた受け皿のことは考えますけれども、その辺をひとつ大臣おっしゃっておいていただきたいと思います。
  172. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 総括審議官の苦労をお褒めをいただきまして、私からもお礼を申し上げます。  そこで、確かに分割・民営化の問題というのはこれから来年の三月三十一日までの間に最善を尽くして準備をいたしましても、四月一日以降さまざまな問題が新たに発生する可能性というものも否定できません。また、今委員が御指摘になりましたような事態以外にも、発足いたしますそれぞれの会社そのものが相談相手を必要とする場合もあろうかと思います。そうして、それは運輸省だけで対応できるもの、できないものもあるいはあるかもしれません。  私どもとしてはこうした状況を踏まえた上で将来の体制の整備は図ってまいるつもりでございまして、具体的には現在の総括審議官、今お褒めをいただきました林君の務めておりますポストでありますが、及び現在の国有鉄道部というものを、新たな民営化後の各会社並びにこの国鉄の分割・民営化に対応して出てくる諸問題に対する担当の事務処理体制というものに切りかえたいと考えております。そしてその体制を整備いたしました上で、関係各省庁とも十分連携を図りながら、運輸省のみで対応し切れない問題に対して各省庁の御協力をいただくような協力体制を組んでまいりたい。まず第一歩としては、運輸省自身の組織を分割・民営化後のそれぞれの会社の御相談等々に応じられるような、また新たに発生する問題に対して対応し得るような組織に改めたい、そのように考えております。
  173. 中野明

    ○中野明君 それじゃ終わります。
  174. 穐山篤

    ○穐山篤君 質問の通告がしてありました基幹通信、システム会社、それから研究所、この一般的な問題は資料が提出をされましたので質疑は省略をしたいと思います。  簡単にひとつ国鉄側にお伺いしますが、今海外に国鉄の事務所があるわけですが、これは民営会社になった後どういうふうに措置をされるのか、まずその点からお伺いします。
  175. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今御指摘のように、海外ではパリとニューヨークに事務所がございます。ここではそれぞれ日本の紹介なりあるいは外国の資料の収集等々あるいは海外技術協力の役割等を果たしておるわけでございまして、これからもそういう意味では、新しい会社ができましても海外の窓口といたしましてこの在外事務所はやはり必要であるというふうに考えております。これをどこに帰属させるか、これは検討中でございますが、一つの案としましては、一番大きい東日本旅客会社に帰属させるということも一つの案として検討しているところであります。
  176. 穐山篤

    ○穐山篤君 次に、リニアモーターカーについてお伺いしますが、四全総の中間答申案の中にも交通の分野でリニアモーターカーの位置づけが行われております。全体としては、集中と分散の調和というなかなか難しいタイトルがあるようですが、この四全総におきます交通のあり方については一日交通圏、こういう評価がされているわけです。そこで、このリニアモーターカーが持っております機能から考えてみまして、総合交通体系の中でどういう役割を占めさせようとしているのか。まず、その点からお伺いします。
  177. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 磁気浮上式リニアモーターカーというものにつきましては、高速、低公害などの一般的特性を有する交通機関として現在技術開発が進められております。そして、将来これらの特性が発揮できる形で実用化された場合には、私は大変有効な交通手段たり得るものと考えております。しかし、まだ現時点におきましては、輸送容量あるいは運行頻度、表定速度や建設コスト、運営コストなど旅客輸送システムとしての諸特性がまだ必ずしも明確につかめておりません。ですから、具体的な適応性につきましては、今後技術開発の進捗状況も踏まえて検討をしてまいりたい、また、まいることになろうと考えております。
  178. 穐山篤

    ○穐山篤君 従来からの宮崎におきます実験の進展ぐあいから見まして、いよいよ実用実験の段階に入るというふうに見えるわけです。  そこで、まず国鉄側に伺いますが、ことしなり来年、予定はどういうふうになっているのか。その点をお伺いしておきたいと思うんです。
  179. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) まず本年度中に新しい電源——電源が問題でございますが、電源装置を完成させまして、今までの開発成果を集大成いたしましたプロトタイプ、実用型ということでございますが、プロトタイプの車両を本年度いっぱいで完成をすべく現在製作を進めております。これができ上がりますと、このプロトタイプ車両の実験によりまして、三十キロから五十キロメートル程度の短距離での実用化、これについてなお一、二年のめどでこれが実用化されることになるであろうというふうに思っておるところでございまして、引き続きまして、それ以上の長距離用につきましてもなお研究を進めていきたいというふうに思っておるところでございます。
  180. 穐山篤

    ○穐山篤君 今お話がありますように、限定された地域交通機関としてのリニアモーターカー、それから全国的に機能をするであろう長距離のもの、こういうふうに区別をされると思うんです。  そこで、国鉄側に伺いますが、今各地で実験線の誘致なども行われておったり、それから国鉄側からもある種の専門家を地方の自治体にも派遣をしているわけです。言ってみますと、相当な期待感を持たしている格好になっているわけですね。私はたまたま山梨県出身でありますが、仄聞するところによると、東京から名古屋、大阪というふうに中央線沿いにリニアモーターカーを開発したい、そういう話も聞いているわけですが、この点について、将来的な問題でありますが、国鉄側考え方を明示してもらいたいと思うんです。
  181. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今までも各地からの大変御要望があるわけでございますが、一つは今の宮崎の実験線、非常に距離が短いものですから、これをさらに将来長距離にするのではないか、その場合に実験線としてそれぞれの地域に誘致をすべきである、こういう御希望と、さらにはまた、端的にそのまま実用化するようにという意味で、比較的短距離の区間におきまして国鉄の技術を生かすリニアモーターカーを実用化すべきであるという、こういう御要望と両方あろうかと思いますが、実験の段階におきましては、私ども現在宮崎の実験センターで行っておる、そういう短い区間ではございますが、これによりまして相当程度の実用化へ向けての実験が可能であるというふうに思っておるところでございます。  また、将来への実用化という現実の問題となりますと、これはなかなか将来の輸送需要がどうかということとか、あるいは費用がどうかということとか、あるいは経営主体がどうかとか、採算性がどうかとか、いろいろな問題が出てくると思います。そうした面では、今後の課題といたしまして十分に検討をしませんと、なかなか御要望にすぐに応ずるというわけにはまいらぬのではないか。これからも引き続き検討課題としまして取り組んでいきたいと思っております。
  182. 穐山篤

    ○穐山篤君 技術上の問題を完全に解決しなきゃならないし、それから建設費の問題もあるであろうし、あるいは安全確保の問題もありましょう。あるいはそれが整理整とんできたとしてみても必要な法律が整備されなきゃならぬ、そういう問題がありますので長期的になるのはやむを得ないと思いますけれども、やっぱりこれだけ開発をされつつある交通機関でありますので十分対応をしてほしい。運輸大臣、その点いかがですか。
  183. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今国鉄当局から御答弁を申し上げましたように、私どもはこのリニアモーターカーというものの将来にはそれなりの大きな夢をかけております。しかし、現実に今プロトタイプ車の建造が進められておる状況で、いわば研究開発の段階でありまして、宮崎実験線における引き続いての新しい試験車両による走行試験、あるいは高速用分岐器の開発等を続けるということで、現時点においてはこの実験を一日も早く終了するということに全力を傾けたい、そのように考えております。
  184. 穐山篤

    ○穐山篤君 次に、上部構造、下部構造の問題について伺いたいと思うんです。  分割をする、それから地域の特性を十分に生かすような努力をしていく、あるいは活性化を図る、そういういろいろなことが述べられまして分割・民営という、今審議に入っているわけです。そこで実際は、各株式会社なり事業体が事業計画をつくるということになるわけでありますけれども、この法律案を準備された当の総理大臣あるいは運輸大臣として、それぞれの会社の本社はどういう責任体制を持って、さらに、所掌事務というのはこういうものである、それから下部構造としてはこういうものを考えている、こういう仕事をさしたい、それによって活性化を図る、効率化を図る、こういうふうにならなければならぬと思うわけです。言ってみますと、本社とその次の中間機構ないしは現場の役割、責任というものを、まあ書き物にしてあるわけではありませんけれども、イメージといいますか、期待というものがあってこの旅客貨物株式会社法の第七条ですか、そういうものが出ているわけです。その点について運輸大臣考え方を示してもらいたいと思います。
  185. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは、鉄道事業というもの自身が地域に密着した事業であることから、新会社は当然地域密着型の経営を実現する必要があると考えますし、具体的には、列車ダイヤの設定とかあるいは駅の設置等に関して各地域の利用者のニーズを十分把握した上でこれに即応したサービスを提供することを可能とし、また地域経済の実態に即した事業経営が必要であることも間違いがありません。そうなりますと、これは地域の実情に詳しい地方組織の判断というものが十分に事業運営に反映されなければならないことも当然のことであります。  ただ、これはもちろん法律が通り、設立委員の方々がそれぞれの会社に応じてお考えをいただくことでありますし、また本社と地方組織の関係というのは新会社において内部組織のあり方の一環として検討をされるべきものだと考えておりますが、実は、考えてみましても、私は統一した形が大変つくりにくいのではないかなと思います。と申しますのは、それぞれの会社の受け持つ地域の状況の違いが相当あるわけでありますから、場合によっては総支社制をとる必要のある地域もありましょう。あるいは営業本部的なものが必要な場合もありましょう。 こうしたことを考えてみますと、私は、余りこだわった判断を私たちが示すことによってそれぞれの新会社の内部組織が弾力的に運営されないことの方を、機能されないことの方を恐れます。  ですから、原則としては、私は一番国民に、お客様に接する部分の受けとめる情報というものが反映されるような組織、そしてそのためには権限等々につきましても当然それぞれの委譲が行われる組織というものを前提に、それぞれの会社が受け持ちの地域、そしてお客様のニーズというものを踏まえた内部組織はおつくりになっていただきたい。基本としては、できるだけ地域に密着した、現場の声が吸収され、そしてそれぞれの末端にまで権限の委譲の及ぶような組織、そういうものを考えるべきであろうと思いますが、いずれにしてもこれはやはり新会社で真剣に御検討をいただくべきものと思います。
  186. 穐山篤

    ○穐山篤君 一般論としてはそういうことだろうと思うんです。しかし、分割をした以上、分割の意義が十分に生かされなければならないのが政府側の立場でありましょう。  それから私ども社会党案にも既に提示してありますけれども地域の実情に合ったような交通の対応をするという意味では、分権化がどうしても必要なんですね。また、分権をしなければ地域の需要にマッチしたような仕事にはならない、そういうふうに思うわけです。先ほども同僚議員から質問がありましたが、一々、今まで〇三を通して本社に聞いておったものが今度は西日本は〇六の番号をかけるというようなことでは、これは活性化には通じないと思うんです。したがって、本社の上部構造というのは基本的な問題である。具体的な問題は全部地方におろしていく、あるいは現場のところまで権限と責任をおろしていく、こういう立場でなければ、言うところの活性化にはならないと思う。  私が申し上げた理解を運輸大臣考えているかどうか、その点もう一度お伺いします。
  187. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) もちろん、委員がお述べになりましたような分権というものが必要なことを私は決して否定いたしません。ただ、私が今まで行革の責任者という立場から党でいろいろな機構の組織図をかいてみてまいりました。そうしてみますと、これらの今回成立をする各会社は、実は同じ権限の委譲体系の中でも機構図としては非常にさまざまなものがかけるわけであります。むしろ中間機構を飛ばして本社から例えば末端の営業所に直に線を引くような組織図もかけます。また、ある程度の広大な面積の一画をいわば本社からほとんどの権限を委譲した総支社制をしき、その地域内における総務、労務、営業といった活動を全部総支社に集めるような仕組みもつくれます。そうやってみますと、実は、同じ権限委譲と言い、分権化と言葉は同じでありますが、私はそれぞれの地域によってその描かれる機構図というものは全く違うものになるだろう、また違う部分が相当出てくるであろうと思います。ですから、私は委員と同様の考え方を持っておりますが、そのあらわれ方についてはさまざまな形態があろうということを申し上げたわけであります。
  188. 穐山篤

    ○穐山篤君 さてそこで、その点は意見なり認識が一致したと思います。とはいえ、先日からも議論がありますように、各会社間の連絡あるいは調整という問題が具体的にありますよね。独禁法に抵触するような話は別にいたしましても、例えば運賃の体系の問題であるとか、あるいは事故の場合の取り扱いであるとか、さらにはダイヤの調整の問題など、言ってみますと任意の連絡機関というものが必要になってくる。似たようなもので申し上げますと、分割をしたけれどもやっぱり中央でしかるべき連絡機構をつくったのが電力会社ですね。電事連という組織です。それから私鉄。民鉄はばらばらにあったものを不都合だから民鉄協会にしましょうと。これが代表的な例だと思うんです。そういう意味では、何らかの調整の連絡機関をつくるという程度ではこれは済まされないと思うんですね。もう少し深い研究をされていると思いますが、その点、運輸大臣どうお考えですか。
  189. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員は民鉄協会、また電気事業連合会という具体的な姿を例示で挙げられたわけでありますが、私は、今回発足をするそれぞれの会社が基本的にはそうした連合体を必要とするかどうか、その判断にまつべき事項であるとは思います。しかし同時に、会社間におけるさまざまな連絡体制というものは当然考えなければなりません。その場合に、例えば隣接する会社同士の連携についての事務組織、全国的な相互連絡調整を必要とする場合の組織、おのずから違いがありましょう。今御指摘になりました二つのケースをも頭に置きながら今後の推移を見守り、必要によっては助言もしたいと思います。
  190. 穐山篤

    ○穐山篤君 私は民鉄協会の定款その他持っているわけですが、共通した事項が非常に多いわけです。民鉄協会の中には、いろいろな専門的なこと、財政的なこともありますが、一つ労使関係安定の確立という項目もうたわれているわけです。これは、長年積み上げてきた私鉄の実績でありますので、こういうことが述べられているのが特徴であります。それから電気事業連合会の方は、そこまではいっておりませんけれども、連絡調整あるいは重要な政策の問題について特徴があるわけであります。  そこで、運輸大臣の御指導をいただかなければなりませんのは、この二つの事例を十分に研究をしていただいて、少なくとも中央におきます連絡調整機関の中に労使問題についての話し合いができるような場所ができるのも一つの考察ではないか、こう考えるわけですが、これは直ちに御返事は要りません。十分に検討をして、いずれかのときに態度をひとつ表明をいただきたいということを申し上げておきたいと思うんです。  次に、国鉄の労務対策について伺います。  私の記憶によりますと、総理大臣並びに運輸大臣国鉄総裁は、本会議におきましても当委員会におきましても、いわゆる不当労働行為は一切ないと信じます、こういうふうに公式に御答弁をされております。これは十分お調べになった上でそういう御答弁になったのか。それからさらに、今もその信念は変わらないのか。総理並びに労働大臣、それから国鉄総裁から御答弁をいただきたいと思います。
  191. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) 当委員会で、一連の改革の中で特に人活センター問題をとらえましての不当労働行為あるやなしやという御論議がございましたことは私は承知いたしております。ただいま、過剰人員と申しましょうか、余剰人員の問題につきましては、要員の運用上の問題といたしまして当局がいろいろ御苦労なさっておるところであろうかと思いますけれども、例えば人活センターの問題について申し上げますと、七月に国労から公労委に調停の申請がございまして、そして人活センターへの配置は余剰人員の特定化を目的とするものでないことを踏まえて対処するという調停がございまして、労使双方がそれを受諾したわけでございます。それからの経緯を申し上げて、私はたびたびの御答弁で不当労働行為はないものと繰り返し申し上げてきたわけでございます。  そしてまた、具体的な問題という御指摘になりますると、これはまた権限ある部署において具体的事実に即して御判断があってしかるべきものと。なお、これだけの大改革でございますので、いやしくも特定の組合に属する、または正当な組合運動を目的としての差別等々があってはならぬことは申すまでもないことでございまして、今後も引き続いて指導してまいりたい、労働省としてはそのように考えております。
  192. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 従来から不当労働行為にわたるようなことはもう絶対にないというように厳しく指導をしてまいったところでございますし、また現実いろいろと報告を聞いておりますが、そういうようなことはないというふうに私は信じております。  しかしながら、管理者の数も非常に多数でございます。一部におきまして誤解が生じているとするならばそれは大変残念なことでございますので、今後とも細心の注意を払い、絶対に不当労働行為にわたるようなことはないようにこれからも厳しく指導をしてまいります。
  193. 穐山篤

    ○穐山篤君 総理は後でまたまとめて聞きましょう。  ここに現場の「引継簿」があります。これは東北本線の、東北地方のある駅でありますが、この「引継簿」を一つ一つ点検をしていきますと、その中に「職員の指導」ということで、「(国労から他組合へ)」と、こういう文章が載っております。たくさん書かれておりますが、最後のところが非常におもしろいと言えば語弊がありますが、この引き継ぎ簿の一番後のところですが、「国労でテープを配付して録音して不当労働行為をねらっているので」「東部、西部、北部などでねらわれることもあるので、その種の話は職場内でしないように」。全体の引き継ぎが十分に説明をされた後にこういうふうに書かれているわけであります。この全部のテープを私は持っているんです。きょうここで一々お聞かせをする時間はありませんが、こういう事案が、日本じゅうとは言いませんけれども、現実にあるわけです。  それからもう一つ、私のところに手紙が来ました。これは助役さんたちの集まりからでありますが、長文のものでありますので、特別のところを御紹介をしてみます。   われわれ運転系統の現場管理者は、六十二年四月の国鉄改革にむけて、これが最後の機会だと思い、管理局の指導を受けながら、一生懸命に取り組んでおります。 まあこれは当然のことであろうと思います。   しかしながら、我々現場管理者が職員に日々接し、公正に判断し局へ上申したものが、最近差し戻しになる場合が次第に多くなり、職員管理とは何か考え込んでしまう毎日です。   七月はじめに人材活用センターを作るよう局から指示がありましたが、その内容は「人材活用センターは実質的な選別であるから国労組合員で組合役員や職員管理調書の評価の悪いものから順に入れること」というものでした。 以下、際どいところもたくさん書かれております。最後のところにこう書かれております。   いまや現場の管理者は部下を国労から何人脱退させたかが勤務評定となり、それをしない人は、「意識改革ができていない」と批判されています。局からはもちろんいまや動労も鉄労も我々現場管理者が不当労働行為をやることを当然と考え、実績が上がらないと局や本社に管理者はダメだといった通報をしています。   こんないわば組合管理の恐怖政治のもとで心ならずも違法行為を強いられており、日々苦悩しているのが大多数の管理者の現実です。   私共自身国労にも過去何回もいじめられていますので良い感情は持っていませんし国労の国鉄の現実を無視した考え方はダメだと思っていますが、最近の当局の労務政策を見ていますと常識を逸脱しており、長年国鉄を支えてきた真面目な職員の心を切りきざむばかりで、これでは内ゲバどころの騒ぎでなく新しい怨念を生み出すことは必至です。   職場では職員間に救い難いキ裂が生じており、このままでは不測の悲劇がおこりかねないこと、また、こんなことで国民の期待にそえる新しい鉄道の創造など不可能ではないかと思いペンをとった次第です。 こういう手紙もいただいているわけであります。  今まで公労委に三十何件不当労働行為についての申請が行われております。正常化を考えておりますそれぞれの組合あるいは組合の中の特別なグループがこの不当労働行為の申請を取り下げて労使の正常化を図ろうと。これは不当労働行為がないから下げるのでなくして、断腸の思いなんだけれども雇用の安定ということを考え、あるいは職場の不安をできるだけ解消しようという意味で取り下げようと、まあ必死な努力をしているわけです。だから、そこを間違えられては困ると思うんですね。  この不当労働行為というのは、先ほど労働大臣も答弁をされておりましたが、人材活用センターが発足する前にもたくさん発生をしていたわけであります。人材活用センターができてからも発生をしておりますし、今私が管理者の手紙を読みましたような事態も現実にあるわけです。私は一々これを取り上げてこの場で糾弾をするつもりはありません。これだけ申し上げれば、どういう状況になっているかということは総理大臣といえども推察が十分にできると思うわけであります。  今我々が考えなければなりませんのは、新しい飛躍に向かっております国鉄が、こういう問題をそのままにしておいて、整理整とんをしないままにさあしっかり頑張りましょうと言ってみても、労働者、職員というのはそうは簡単に手のひらを返すような状況にはならぬと思うんです。私もいろいろな職場に伺いましたが、情緒不安定な者が非常に多いんです。それから現場では人間関係が全く喪失をしているような状況の職場もあるわけです。朝会いましても、お互いにおはようのあいさつもしない、できない。お茶も一緒に飲まない、飲めないというふうな殺伐としたところもかなりあるわけであります。  そこで、これから不当労働行為なんということは絶対に考えられないわけでありますが、この際きちんと過去の問題について整理をしてもらいたいなと思うんです。もちろん、理屈の上からいえば、公労委に提訴をしているわけですから、争いが続いているわけです。政府なりあるいは国鉄側は認めることはできないという立場をおとりになるだろうと思いますが、私が申し上げた事例だけでも十分にお察し願えると思うんです。なお、私はたくさんきょう準備をしてまいりました。テープも持ってきましたけれども、それを皆さん方にお聞かせをすることだけが本旨ではないんです。したがって、ひとつこの辺で、今までの問題についてのけじめをきちっとつけてもらうと同時に、これからの労務対策のあり方について見解を述べてもらいたいと思うんです。  私は、少なくともこの機会に国鉄全体の労使が腹を割った話し合いができるような状況になってほしいし、職場で荒廃をしているような状況のままにしたくない、その気持ちが十分にありますので、その点を十分に踏まえて、総理運輸大臣並びに国鉄総裁の御答弁をいただきたいと思います。
  194. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) ただいま先生からいろいろな現場におきますいろいろな意味での御提言、御忠告をいただいたわけでございますが、私ども、そのような不当労働行為は絶対にあってはならないと。 そのことにより、かつての大変問題になりましたマル生運動のようなことはもう絶対にいかぬということで、終始一貫私は現場に指導をしてまいったところでございます。したがいまして、先ほどお話し申し上げましたように、現実にそういう行為はないというふうに確信をしておるわけではございますが、しかしながら現場の管理者それぞれいろいろな問題を抱え、悩みを抱える職員との対応もございまして、そうした面で万が一誤解を生ぜしめるようなことがあってはならぬというふうに思っておりますので、今後とも先生の御趣旨のとおり、これからも厳重に不当労働行為が一切ないように厳しく指導してまいる所存でございます。
  195. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今国鉄総裁から御答弁を申し上げましたが、私も同様に存じます。そして、やはり基本的に労使が本当に円満に話し合いをし、その状況を正常化し、そしてその中で新しい会社に向けてのステップを踏んでいってくれることを心から願っております。
  196. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 不当労働行為はないと私は信じております。しかし、これだけの大改革が進行中でありまして、労働者の側、従業員の側においても幾つかの流れもあり、因縁もあることであります。それがこういう大きな大改革に遭遇しておるわけでありますから、苦情とかあるいは紛争じみたものが絶無であるとはこれは言えないかもしれません。しかし、いよいよ新しい新生国鉄に出発するというときでございますから、願わくば労使間で十分胸襟を開いて話し合って、そして新しい使命に向かって邁進できるような職場環境をお互いの努力でつくり合っていってもらいたいと強く希望いたします。
  197. 穐山篤

    ○穐山篤君 私は二つの事柄だけしか紹介をしませんでしたけれども、そのほかにもたくさんきょうは持ってきております。  そこで、先ほど私が東京の運転職場の助役さんたちの手紙を読み上げた中に、国労から引き抜いていくことが君たちの勤務評定になるぞと、こういうふうに指示されている、こういう事態は見逃すことができないと思う。私は一つ一つをやっつけるつもりはありませんけれども、まとめて言えば、総裁、まことに遺憾な状態があった、あるいは現に続いている、一刻も早くこういう事態を解消したいという遺憾の意の表明と同時に、今後の決意をもっと明確にしてもらいませんとこれはうまくないなと、こう思いますが、いかがですか。
  198. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) たびたび申し上げておりますとおり、かかる不当労働行為は絶対ないというふうに私は確信をしております。ただ、多くの管理者の間におきまして万が一そうした誤解を招くようなことがありとせば、これはまことに残念でございます。したがいまして、今後ともこうした行動がないように厳重に指導をしてまいるつもりでございます。
  199. 穐山篤

    ○穐山篤君 くどくも辛くも言うつもりありませんが、残念であるというその心境もわからぬわけではありませんけれども、遺憾であるという意思の表明がなくてはこれはけじめがつかない、私はそう考えるわけであります。  そこで、あわせて申し上げますが、この特別委員会で審議をしている最中にも新しく人活センターへの発令が続々と行われているわけです。政府側も我々側も十分気持ちが乗って審議をしている最中になおかつ発令をするというのは異常な神経だと思う。これは直ちにやめさせるというふうな気持ちに転換をしていかなければ、この労使の安定というふうなことにはならない。 そのことを私は強く指摘をしておきたいと思いますが、改めて総裁の御答弁をいただきます。
  200. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 先般のダイヤ改正に伴いましてかなりの過員が生じておることも事実でございます。そうしたことに対応いたしまして、従来の人活センターの趣旨を本当に生かす意味におきまして若干の増員を図っておるところでございますが、なおよく人活センターのスペース、環境等も十分注意しながらこれから対応していきたいと思います。
  201. 穐山篤

    ○穐山篤君 この間から審議されているように、人活センターに入っている大部分の人を来年四月一日からそれぞれの株式会社に必要な戦力として配置をしなければ正常な列車の運行ができない状況にあるんですよ。そういう状況にありながら、優秀な機関士や電車運転士やあるいは検修係が人材センターに入って缶カラを磨いているわけです。来年四月一日すぐ戦力になる人をそういう格好に置いているというのは、これは国鉄、国家にとりまして一大損失であります。そして、この法案が審議をされている最中に人活センターに発令をするというのは全く非常識じゃないかというんです。大臣、その点どう考えますか。
  202. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、これは基本的に国鉄労使の話でありますから、横から口を出したくありません。ただ先日、先般の交代の後、初めて新しい国労の執行部の方々が私のところに訪ねてこられまして、そのときにも雇用の問題についていろいろなお話がございましたので、その席上で私から執行部の方々には、大変ぶしつけな言い方になるけれども、路線論争もいいが、現実に個々の組合員の幸せを考えた話し合いをしてもらいたい旨申し上げたところであります。
  203. 穐山篤

    ○穐山篤君 重要な問題について十分な御答弁がもらえませんでした。しかし、審議の状況からいきまして、私はここをストップするというふうなことはしたくないと思いますので、ここは理事会で十分に協議をしてもらいたい。いかがでしょうか。
  204. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 再度御答弁を申し上げますが、若干の表現の違いがありましたが、正確にお答えを申し上げたいと思います。  今まで、従来から不当労働行為にわたるようなことは絶対ないようにということで厳しく指導してまいったところでございまして、御指摘のようなことはないというふうに私は信じております。しかしながら、管理者の数が非常に多数ございますので、一部におきまして誤解が生じているとするならばそれは大変遺憾なことでございます。したがって、今後も細心の注意を払い、絶対に不当労働行為にわたることのないように厳しく指導してまいる所存でございます。
  205. 穐山篤

    ○穐山篤君 今の総裁答弁ですべて満足しているわけではありません。 それは公労委に提出をした組合員あるいは組合側の人にしてみますと、事実関係で争っているわけです。しかし、総裁の方はないという立場でこれまた争っているわけです。理屈からいうと、答えが出なければ、これは不当労働行為であったとかないとかというふうに法的に認定することは難しいことも理屈上私も承知はしています。しかし、二つの例でありますけれども、鮮明にどなたが聞いてもわかるような事例を先ほど読み上げたわけです。これが全く不当労働行為に当たらないというふうにお考えだとするならば、これはもう異常な神経をお持ちになっているというふうに言わなきゃならない。そこで私は、いよいよ重要な段階でありますからけじめをきちっとつけてほしい。それから、これからの問題についても労使が十分に話し合えるような、あるいは協力ができるような状況にいろんな分野で持っていってほしいということを言っているわけです。  かつての山崎執行部が取り下げをして正常化をしようと言ったことも私は承知をしておりますが、それは、先ほども指摘をしましたように、不当労働行為がないわけでなくして、断腸の思いで下げて、そして雇用の安定を図ろう、組織を守ろう、そういう悲痛な気持ちの中から出てきた話であるわけです。それをいいことにして、ないと断定するようなことだけはしてほしくない、このことを厳しく申し上げておきたいと思うんです。  総理、もう一度総括的にその点についてのお考えをいただきたいと思います。
  206. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたように、これは労使間で解決すべき問題で、政府が介入すべき問題ではないと思いますし、また不当労働行為のようなことはないと私は信じておりますが、しかし、いろいろ職員の中にも流れもありいきさつもあり、あるいはそれの誤解を受けるようなことがなきにしもあらずである、そういうことも考えられます。よって、労使双方が新しい国鉄へ前進するという大きな使命感に立って、お互いが信頼できるような職場環境を整えるように両方で努力し合って、そして国民の期待に沿うように今後とも努力するように、また政府としてもそういう気持ちで今後とも指導してまいりたいと思う次第であります。
  207. 穐山篤

    ○穐山篤君 前回大木委員質問で、来年三月三十一日になれば、これは物理的にそうなるわけですが、人活センターはなくなります。これは当然のことです。しかし、こういう大事な時期に人間を疎外するような人活センターの最近の発令というのは遺憾であるし、これはぜひお考えをいただきたいと思うんです。  一つだけ人間の異動の問題についてお伺いします。  きのうまでの質疑で、来年四月一日、君はどこどこ会社のどういうところでどういう職名で働け、こういうものが出るわけです。さて、そこでよくよく考えてみますと、今まで国鉄というのは全体的な視野で人事の異動が行われておったわけですね。具体的な例を申し上げますと、博多の新幹線の車両基地の皆さん方は、これも西日本九州から集めた検修員が大部分なんです。ところが、その会社は、新幹線会社というのは西日本鉄道株式会社に所属をする。ですから、最初、来年の四日一日、ボタンのかけ違いで十分に要望が入れられないことになりますと一生そこで終わってしまう、そういうことがあり得るわけです。  そこで、新会社が発足した後の会社間の人事の異勤という問題については、新しい設立委員なり株式会社考えるようなことでありましょうけれども、分割をすることによって人間的な分野でデメリットといいますか、問題点が生ずるのも予想にかたくないし、また皆さん方も想定していると思う。そのことについての考え方はいかがなものでしょうか。
  208. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 新会社設立に際しましては、設立委員のお示しの採用条件に従いまして、それぞれの会社に職員が採用になるということであります。したがいまして、当面そうした陣容によりまして健全な事業体が発足し、それに向けて皆さんが全力を挙げる、こういうことに相なるかと思いますが、その後にその会社相互間に異動がどのように行われるか、これは今のところ私どもなかなかお答えしにくい予想でございまして、場合によりましてはあるいはそういうことも例外としてあるかなという感じがいたしますが、しかしながら原則的には、やはり一度配属になりましたそれぞれの職員は、それぞれの会社におきまして働くというのが原則かと思います。
  209. 穐山篤

    ○穐山篤君 その点は以上で終わります。  前の委員会で私が要員の算定の問題について政府側に検討をお願いしておいた問題がありますが、それについての御答弁をまずいただきたいと思うんです。
  210. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先般御指摘を受け、事務当局に検討させました結果、監理委員会が適正要員規模を算出した回帰式につきましては、統計処理としては正しいものであるという報告を受けました。しかし、細部にわたりまして、こういう数学は私は苦手でありますので、事務方から補足の説明をしてもらいます。
  211. 吉田耕三

    政府委員(吉田耕三君) 監理委員会の事務局でございますが、御答弁申し上げます。  先日、監理委員会の回帰式において理論値と実績値に誤差が出る、その誤差要因を国鉄に引き直したらどうかという先生の御提案があったわけでございますが、先日も御答弁申し上げましたけれども、回帰式そのものの問題といたしましては、こういう分析におきましては回帰式のパラメーターを修正するということは通常行っておりませんので、適切ではないんじゃないかと考えております。  ただ、先日も申し上げましたように、この回帰式の国鉄会社への適用に当たりましては、誤差のほとんどない部分を使用している結果となっておりますので、新会社の適正要員算出に影響を与えていることはないと我々は思っております。
  212. 穐山篤

    ○穐山篤君 十八万三千人の算出の基礎というのが私鉄並み、回帰方式、こういうものをとられたわけです。私ども、皆さん方が使われました資料をもとにして、もう一度私鉄に当てはめてみたわけであります。そうなりますと、私鉄の理論値と私鉄の実際の員数との間には格差が生じていることが明白になったわけです。なかんずく上位六社の分ですね、例えば近鉄、名鉄などの大手六社の分がずば抜けて格差が生じているわけです。ですから、裏側から監理委員会が使いました回帰方式というのは、私鉄に当てはめるにしてみても十分ではなかったというふうに評価せざるを得ないということが一つ言えるわけであります。  私どもの方は、少なくともそこの誤差分ぐらいは国鉄に当てはめて回復をしたらどうかと、これが五千二百名であります。それを国鉄側にもう一遍職種ごとに引き直しをしますと、前回私が提案をいたしましたように約一万二千八百七十人になる、こういうことになるわけであります。監理委員会事務局は、この回帰方式をつくった後では修正は普通行われないというふうに言っておりますけれども、現実に私鉄に当てはめてみても誤差が生じているわけです。ましてや、それを国鉄の六つの職種に当てはめてみましても、数字の違いというものが三千八百名なり五千名出るわけですよ。それを引き直したのが前回提出をした資料になっているわけでありますので、当然そのことについて認めてもらえる、こういうふうに私ども自信を持っているわけです。  ところが、今までの委員会説明でいくと、回帰方式で十八万三千人であると、それが詰まってきますと十八万六千人という国鉄の積み上げ方式をよく説明をされるわけです。しかし、国鉄がっくりました積み上げ方式というのは日本全国で十八線区だけなんですよね、私どもがチェック可能な線区というのは。それ以外は果たして積み上げてあるのかないのかという合理性について評価ができないわけです。ですから、一番そういう意味では基本になります十八万三千人に私どもが焦点を当てた点については十分に理解をしてもらわなければならぬ、こう思いますが、いかがでしょうか。もう一度お答えをいただきたいと思うんです。
  213. 吉田耕三

    政府委員(吉田耕三君) 我々は、監理委員会といたしましては統計的に私鉄並みの生産性ということで処理したわけでございますが、政府国鉄の方ではこういう回帰式とは全く別のやり方で、全国を積み上げ計算で最大限の効率化を図るという観点から、各種実態に応じて積み上げ計算をやって、そして十八万六千人体制で現に十一月から列車が運行されているわけでございます。その際に、我々の監理委員会の意見書にも書いてございますように、適正要員は十八万三千人だけれども、しかし一挙にこういう私鉄並みに持っていくことは無理があるかもしれないという理由とか、あるいはいわゆる余剰人員が膨大でありますから、新会社にも経営の過重な負担とならない限度でいわゆる余剰人員の一部を吸収させることが適切であろうということで、三万二千人を十八万三千人に上乗せして、二十一万五千人で新事業体が発足するのが適切ではないかと提言したわけでございます。  したがいまして、国鉄政府の方で積み上げ計算で十八万六千人と三千人ふえた、その三千人は上乗せした余剰人員三万二千人から差し引いて二万九千人上乗せして新事業体発足の適正要員は二十一万五千人と、監理委員会数字と同じにしておるわけでございますが、先生がおっしゃいました誤差要因を国鉄に引き直すということについて、一万三千人弱を上乗せしたらどうかとおっしゃっておられますけれども、これは総体の二十一万五千に上乗せしておられる資料を先回御提出になりましたけれども、仮にそういうようなことをするとしましても、三万二千人から引いて上乗せするというようなことになる性格のものでございまして、二十一万五千というような数字が変わる性格のものではございません。
  214. 穐山篤

    ○穐山篤君 よく聞いていますと、理屈はわかっても嫌だというふうに聞こえるんですよ。  もう時間がありませんから私どもの主張だけ申し上げておきますけれども、計算上は四千五百十名でしたか、過小計算をしていると、我々は皆さん方が持っております数字で再計算をしたわけです。そのうちの二千八百名以上が上位六社に集中をしている。その集中をしている六社を再計算をしてみると三千七百六十五名分に当たると、こういうふうに私どもは計算をしたわけです。五十五社の小さいところにつきましても多少の理論値と実際値の違いを発見しました。しかし、そのことにつきましては、ごく微小でありましたので政治的に問題にしなかっただけなんです。一々細かく修正をするとするならば五十五社についても修正を求めるべきでありますけれども、ごく少々でありますので私どもの方も我慢をしたわけですが、約三千七百六十五名といいますと、上位六社の分というのは非常に影響力が大きいわけです。だから、そこの部分について十分な理解を示して要員問題についての再検討をお願いしたというのが前回のいきさつになっているわけであります。  十八万三千の問題について指摘をすれば、積み上げ方式の十八万六千が出てくる。私どもが具体的に問題の指摘をしますと、余剰人員というものを二万九千なりあるいは三万五千上積みしたという政治的な話でおさめようとする。土俵がみんな違うんですね。まことに残念だと思う。ここの部分は意見は一致をしませんので、私どもの主張だけを述べておきたいと思うんです。  それから最後でありますが、政府からいただきました参考資料の中で、省令あるいは政令の要綱案という分厚いものをいただいているわけです。一つ一つ検討して見ておりますが、やっぱりこの条文の精神が生かされているかどうか、あるいはこの特別委員会の議論を十分に踏まえて省令、政令がつくられようとしているのかどうかということは特別委員会の任務であろうというふうに思うんです。したがいまして、この政省令の原案ができる段階には当委員会なりあるいは運輸委員会にお示しをしてもらいたいなと、後になって公表されたものを見たら随分違っていたということになったのではうまくないというふうに思いますので、そこの点についての運輸大臣の御答弁をいただきたいと思うんです。
  215. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 改革関連法に基づきます政省令、私どもとしてはその概要、現時点において考えておりますことは資料としてお示しを申し上げたとおりであります。そして、これを取りまとめていきますについて、それぞれの法律の趣旨、また本委員会の御論議をも含めた国会における御審議というものを踏まえて内容を固めてまいるということは当然のことであろうと思います。  ただしかし、これは大変お言葉を返すようでありますけれども、制度の問題として申し上げるならば、政令とか省令というものは法律と異なりまして、法律の委任に基づき、またこれを実施するものとして内閣や各省にその決定がゆだねられているものでございますから、この案について国会にお諮りをするといった性格のものではなかろうと思います。しかし、御指摘のとおり、当委員会を含め、衆参両院における御審議の内容を踏まえて政省令を取りまとめるべきであることは言うまでもありませんし、そういうつもりで努力をいたすつもりであります。
  216. 市川正一

    市川正一君 私は、先般の本委員会におきまして、国鉄の赤字の真の原因と責任は、政府の経営を無視した間違った政策の押しつけによってもたらされたものであって、決して公社制度という経営形態によるものでないということを究明してまいりました。  国鉄百十四年の歴史とその国民経済、国民生活の中で果たしてきた役割を見たときに、今度の政府の分割・民営化法案というものはまさに国家百年の大計を誤るものであり、同時にそれはまた、鉄道のあり方をめぐって今進んでいる世界の大勢にも逆行するものであると言わなければなりません。  そこで、本日はその世界の大勢とその認識についてただしたいのでありますが、まず、鉄道の全部またはほとんどが国有あるいは公有になっている国はどことどこなのか、またそれはいつからなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  217. 林淳司

    政府委員林淳司君) ただいま手元に詳細な資料がございませんけれども、ヨーロッパ各国、これは鉄道については常に比較の対象になるわけでございますが、イギリスの場合は公共企業体でございます。それからフランス、同じく公共企業体でございます。イタリアも同様でございます。それから西ドイツは、これはどちらかというと政府直営というような形、国有国営と、政府直営に近い形でございます。  いずれも、例えばイギリスあるいはフランス等におきましても、非常に古い時代には民営でございましたけれども、それが次第にやはりいろんな情勢変化あるいはいろんな事情によりまして国営あるいは公共企業体という形に変化をしてきたということでございます。
  218. 市川正一

    市川正一君 いただいた資料などによりますと、例えばイギリスは一九四七年から、西ドイツは一九五一年から、フランスは一九三七年から、イタリアは一九〇五年からというふうに、林政府委員が今おっしゃったように、民営からずっと国営ないしは公有化の方向を今日たどってまいっております。南北アメリカや大洋州などもあるんですが、国鉄監査委員会が毎年の報告で取り上げておりますのが西ドイツ、フランス、イギリスでありますので、それを中心にお聞きしたいんですが、この三国における国の助成はどうなっているのか、営業収入に対する比率でお聞かせ願いたいと思います。
  219. 林淳司

    政府委員林淳司君) イギリスでございますが、これは一九八四年の数字でございますけれども、イギリスは収入が約一兆二千億でございます。
  220. 市川正一

    市川正一君 比率で結構でございます。
  221. 林淳司

    政府委員林淳司君) 比率はここにございませんけれども収入が約一兆二千億、それからそれに対する助成額が約四千四百億でございます。それから西ドイツ、これが収入は約二兆三千億、助成額は一兆一千億でございます。五〇%弱。それからフランスが、収入が約一兆八千億、それに対しまして助成が約一兆円ということになっております。
  222. 市川正一

    市川正一君 別に暗算しなくても、ここに資料をいただいているんです。西ドイツが七四・三%、フランスが八七・五%、イギリスが五四・六%です。これに対して日本の場合はじゃ幾らになるんですか、比率で結構です。
  223. 林淳司

    政府委員林淳司君) 日本の場合でございますけれども、これは同じ年度で申し上げますと、三兆五千億に対して約六千五百億の助成ということでございますので、二割弱ということになります。
  224. 市川正一

    市川正一君 一九・七%です。正確です。  しかも日本の場合は、過去の債務の棚上げ分の利子補給、言うならば後ろ向きの助成を除きますと実質九・二%ということに相なります。  そこで各国の、今の三国で結構ですが、この助成に対する考え方も極めて重要な意味を持ちます。ヨーロッパ諸国では国鉄への国の助成をどういうふうに位置づけているのか。例えば一つは、赤字路線や公共負担などに対する国鉄の経費に対する国の財政措置はどういう見地か。二つ、基礎施設など設備投資資金への国の負担はどういう立場か。三つ、国鉄の年金負担への助成はどうなっているのかについてお聞かせ願いたい。
  225. 山田度

    説明員(山田度君) ヨーロッパの助成は必ずしも国によって同じではございませんけれども、EECに加盟している諸国につきましておおむね共通した規則がございます。主なものは三つございまして、一つはEEC規則一一九一の六九、六九年につくられたものでございますけれども、これによりまして、運輸企業の公共サービス義務の履行に伴う企業負担の補償措置というのがございます。具体的には、例えば営業を継続しなさい、あるいは運送を引き受けなさい、あるいは運賃上このような値上げをしてはいけない、こういうような義務がございますから、その義務を課した場合にはそれぞれ補償する。また、赤字線の運営を国の政策として必要であると認めた場合その他身体障害者等に対する政策運賃を適用した場合の補償がございます。これが一一九一の六九というものでございます。  等二番目の規則といたしましては一一九二の六九というのがございまして、これはヨーロッパ各国、いろいろ各種の交通機関と競争場裏にありまして、各種の助成をばらばらに行いました場合には競争上の不均衡が生じる。国の介入によりまして鉄道だけが非常に手厚い助成が与えられるとかあるいは逆に薄くなるとかというような場合は不公平であるというような観点から一つの統一規則ができたわけでありまして、鉄道以外の企業で、例えば国が負担しているというような場合の住宅手当あるいは家族手当、それから大きなものといたしましては退職年金負担で他企業と異なる部分、あるいはまた鉄道と道路との交差施設、つまり踏み切りに関します助成、こういうのがございます。  三つ目が一一〇七の七〇というものでございまして、これは陸上交通機関に対するその他の助成措置、追加的なものでございまして、一つは追加的にそのような措置をとりましても収支が不均衡になるというケースが考えられますが、そういうものについては補償を認めてもいい。それから交通の基礎施設の負担の不公平の是正、例えば道路に対しまして特別の助成をしている場合に鉄道に対してもその範囲内である程度の助成をしようというようなもの、あるいはまた技術上の調査開発助成、こういうようなものがございまして、おおむね三つの規則を統一的に採用しようということで、その他は各国の予算事情等によりまして判断しているというような状態であろうと思います。
  226. 市川正一

    市川正一君 私は三つのテーマを出して具体的に聞いているんですよ。  ここに六十年度国鉄監査委員会報告があります。そこに今言った三つのテーマに即してずっと列記しています。第一に、国等の政策的要請ないし社会的必要性に応じたもの、例えばイギリスでは公共輸送義務に対する補償、西ドイツでは近距離旅客輸送、社会政策運賃などに対する補償、フランスでは強制運賃割引、地方旅客輸送などに対する補償があります。第二に、鉄道基礎施設の公的供給の考え方に基づくものということで、西ドイツでは設備投資補助金があります。フランスでは基礎施策費用に対する補償があります。さらに第三の、競争条件の調整、会計正常化のための補償として、イギリス、西ドイツ、またフランスともに年金負担金等の助成があるんです。  では、この点日本はどうかと考えてみますと、基礎施設の建設そのもの、それにかかる資金としては鉄建のAB線だけです。公共負担はといいますと、基本的にないんです。ただ、戦傷病者の割引だけは国が負担しております。年金負担はありません。また、赤字の単年度処理もいたしておりません。というふうに見てみると、同じ国鉄といっても根本的に国の姿勢が違うんです。日本の場合は、国鉄に設備投資を押しつけて、しかも利子付借金を国鉄にやらさせているんですね。雲泥の相違だと思うんです。運輸大臣、こういう世界の大勢についてどういう認識をお持ちでしょうか。
  227. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君)昨年の秋、私はイギリス政府から日本の行政改革の与党の担当者として招かれ、その際イギリスの鉄道関係者と再建監理委員会答申を踏まえた国鉄改革の方向についての論議もいたしました。そしてその中で、なるほど各国それぞれの状況の中で単純にお互いの比較というものはなかなかできないものだなということをそのときの論議で感じました。  私は、一つには、我が国の場合、欧米諸国に比べて都市への人口集積度が非常に高い、また狭隘な国土に都市が連鎖状に分布している、こういう地理的な特性があるために、大量の旅客を高速でかつ定時に輸送し得るというすぐれた特性を有する鉄道というものに大変適合した環境条件に置かれている、これは欧米と比較して日本の特色であろう。そしてその中で、なるほど外国と比較して我が国においては多くの私鉄が経営を維持していられる、この一つの背景にもなっている、そんな論議もイギリスの関係者との間に闘わしてきたところであります。  ですから、私は、今委員が御指摘になりましたような各国の助成のあり方を否定するつもりもありませんが、やはりそれぞれの国の全体の中でこうしたものは判断をされていくべきだというのが、そのとき、イギリス側と論議をしたときの結論でありました。
  228. 市川正一

    市川正一君 実は日本共産党は、一九六九年に発表いたしました政策の中で、緊急政策の一つとして、通勤通学輸送力増強のための設備投資資金は国の財政で賄うことを提案いたしました。また七三年には、五項目の改善提案の中で、公共交通機関にふさわしい費用負担を確立することも打ち出しております。私は、この政策提案はまさに世界の大勢に沿ったものであると今も確信をいたしておりますが、これに耳を傾けずに今日の国鉄の破綻を招いた歴代自民党政府の責任は重大であると思うのでありますが、大臣は衆議院で、この世界の趨勢、大勢に対する御答弁の中で、各国の交通体系はそれぞれの国の歴史と実態を踏まえて運営されるとおっしゃいました。そして今もそういう立場でおっしゃったんですが、同時に一つお認めになったように、日本のように非常なこういう地理的、国土的条件というもとでは、さらに言うならば、社会的、経済的条件のもとでは、国鉄というもの、要するに大量輸送の公共機関としての国鉄というものはどういう意味と位置を持つかということを改めて見直す、私はそういう時期にこそあると思うんです。  私は、国鉄の交通機関としての安全性を自動車あるいは航空機と対比して運輸省方面から示していただきたいと思います。
  229. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) お答えを申し上げます。  自動車交通、航空機、国鉄の比較でございますが、なかなか比較が難しいんですが、一応輸送人キロの総体とそれぞれの交通機関で亡くなられた方の数、この割合をとってまいりますと、仮に国鉄を一といたしまして航空機は三五、それから自動車は三二五三、こういうような割合になっております。
  230. 市川正一

    市川正一君 私もこれを持っておるんです。これは私の家にわざわざ国鉄から送ってきた資料ですが、今言われたように、事故による死亡率は自動車の約三千分の一、航空機の約三十五分の一です。ただ、その後の「民営・分割後も鉄道は安全です。」ということのくだり、これは問題がありますが、このところはこれは私、信憑性があると思っています。  第二に、エネルギー効率はどうですか。
  231. 棚橋泰

    政府委員(棚橋泰君) 昭和五十九年度の実績でお答えを申し上げますと、一人キロ当たりの消費エネルギーでございますが、国鉄が百二・〇キロカロリー、それに対しまして自家用自動車は六百六十八・一キロカロリー、バスが百七十・〇キロカロリー、こういうことになります。ただ、これは全国平均でございますので、当然のことながら、大変効率のいい都市周辺等では鉄道の効率はもっとよくなりますし、逆にローカル線のようなところでは悪くなる。乗用車についても同じようなことが言えるかと思います。
  232. 市川正一

    市川正一君 約七倍の効率であります。  自動車との対比で、土地利用率、これは最近国鉄の方が資料を発表されておりませんので、かなり古い国鉄が出しておられる「経営の現状と将来」の資料でありますが、通路幅一メートル当たりの輸送量は高速自動車に比べて旅客で三倍、貨物で一・八倍であります。  環境庁にわざわざお越しいただいたんですが、鉄道は自動車に比較して環境対策上もすぐれていると考えるのでありますが、いかがでしょうか。
  233. 稲村利幸

    国務大臣(稲村利幸君) 鉄道につきましては、騒音、振動の面からは問題が生じている地域も見られ、自動車に比べて一概に低公害の輸送機関とは言えないが、大気汚染の原因となる窒素酸化物等が排出されないこと等から、自動車排出ガスが問題となっている大都市地域などでは公害防止の観点から重要な役割を果たしていくべきであると考えております。
  234. 市川正一

    市川正一君 結論を聞きたかったんですが、もう一度お伺いします。  五月に発表された東京都の複合大気汚染にかかわる健康影響調査総合解析報告書によりますと、幹線道路からの距離に依存して呼吸器症状有症率の差が生じている、自動車排出ガスによる影響が示唆されたというふうに報告しておりますが、こうした状況は東京に限らずに、環境庁の調査でも大気汚染の大きな汚染源の一つが自動車にあるということは全国的にも明白だと思うんですが、いかがですか。
  235. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答えいたします。  ただいま先生からお話ございました東京都の調査につきましては、東京都の中に設けられました公害対策専門委員会というところが、先生が御指摘になりました調査につきましていろいろ評価いたしたところでございますが、その結果によりますと、東京都の調査は、いろいろやったということについては非常に有用であった、しかしながら、大気汚染と健康影響との因果関係につきましては未解明な分野が残されておるので、なお調査をし検討を加える必要があるというぐあいに公害対策専門委員会評価しているというぐあいに承知いたしているところでございます。
  236. 市川正一

    市川正一君 環境庁、お引き取り願って結構です。どうも御苦労さまでした。  私は、以上いろんな諸指標、メルクマールについて触れたんですが、中曽根総理にこの際お伺いいたします。  以上のような諸点から見て、全国的な公共交通網を持つ国鉄の果たす役割は、世界の大勢がそうであるように、日本においてこそますます大きくなってきていると思うのでありますが、その評価、その認識についてお伺いしたいと思います。
  237. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国鉄は過去におきまして日本の産業、文化に偉大な功績を果たしたと認識いたしております。しかし、最近におきましてはモータリゼーションの進行そのほかの急激な変化に対応する力を失っておって、それがために相当な財政負担を生じなければならなくなったということは甚だ残念な次第であります。
  238. 市川正一

    市川正一君 また初めからやらんならぬのですが、要するに国鉄の今の危機というものは、これはしがらみを除けばやっていけるんだということをこの間申し述べました。また同時に、モータリゼーションというのはこれは政府の対策の対応が誤っていたんだ、国鉄にそれを誤らしめたんだということも明らかにいたしました。そういうテープレコードみたいなお答えをいただくと前へ進みがたいんですが、しかし時間がありませんから前へ進みます。  磯崎叡前国鉄総裁は、その見解に私すべてくみするものではありませんけれども、朝日新聞のインタビューでこう述べています。「現に、ヨーロッパでは、バラバラだったのを一本にしたんだ。監理委員会の先生方も視察に行ったようだが、何を学んできたのかね」というふうに痛烈に述べております。八日十一日付の朝日新聞はヨーロッパの国鉄の状況を紹介しておりますが、フランス、西ドイツ、イタリアなど、各国ともに国鉄が時速三百キロを目指す高速列車を開発していることに触れながら、「わが国鉄と同じように赤字に悩みながら、これらの国々の国鉄マンが自信と希望を持っているのは、国家が国鉄の持つ公共性を認め、手を差しのべているからだろう」と、こう述べている。そして次のような西ドイツの国鉄幹部の言葉で結んでおります。「わが国では鉄道は文化の重要な構成要因の一つという考えがあるのです。赤字だから路線を廃止するといったら、自分たちの文化を破壊するのかって大騒ぎになります」というふうに結んでいるのであります。  では今、日本の国鉄国鉄マンはどうなんでしょう。過去の栄光を今総理はおっしゃったけれども、現在も未来もやはりその栄光を国家として国の文化として守ってやるべきです。日本の国鉄は労働者の骨身を削るような努力、その陰にある家族の人たちの涙ぐましい献身によって列車ダイヤの正確な運行、その安全性、これはせんだって総理御自身もおっしゃった、そういう世界でも誇る抜群の優秀さを持っているんです。  この際聞いておきたいのでありますが、日本の国鉄の生産性、職員一人当たりの輸送量というのは昭和六十年の国鉄監査報告ではこうなっております。イギリスが二十七・五万トンキロ、西ドイツが三十八・一万トンキロ、フランスが四十九・二万トンキロ、これに対して日本は実に六十七・五万トンキロです。——確認していますから、もう前へ進みますよ。文句があったら後で言ってください。ですから、国鉄労働者は人員不足の中で必死になって働いているんです。この誇るべきベテランの日本の国鉄労働者が今や収容所同然の人活センターに送り込まれて草むしりや文鎮づくりをやらされているんじゃないですか、総裁。私は重ねて人活センターの解体を要求いたします。  この機会に国鉄に対してただしたいんですが、十一月の一日からダイヤ改正が行われました。これは分割・民営を前提にした非人間的な殺人ダイヤが強行されております。ここに私、線引きを持ってまいりましたが、これは東日本旅客株式会社のモデルダイヤだと言うております。例えば田端運転所、ここでは前半は電車、後半は機関車に乗務するいわゆる混運用というのがいよいよ入り込んできました。今まで最高三百二十キロから三百三十キロだった運転キロが平均三百八十二キロ、最高四百九十八・八キロまでになっております。作業時間は十四時間あるいは十六時間です。出先での仮眠は二時間から三時間です。そういう状況になっているということを国鉄当局は御存じですか。
  239. 山之内秀一郎

    説明員山之内秀一郎君) 先ほど来から本委員会でも御議論がございますように、十一月一日から国鉄はかつてないほどの大規模なダイヤ改正を実施いたしました。最大のねらいは、国鉄の体質を強化いたしまして地域に密着をしたお客様に喜んでいただけるダイヤをつくることが一番の目的でございましたが、同時にやはり、これから新事業体へ向かって民間企業に比べても恥かしくない、特によく似た私鉄等に比べても劣らないような勤務体制も同時に施行したつもりでございます。  動力車乗務員の勤務につきましては、従来とかく所定の労働時間をかなり下回っておりまして、同じような条件の私鉄に比べても下回る例が多々ございましたので、最近一、二年前から新しい勤務制度を導入いたしまして勤務の充実を図ってまいりました。具体的には先生の御指摘した事実もございますが、全体といたしましては国鉄の乗務員の勤務の状況というのはほぼ今民間の私鉄並みというふうに考えております。
  240. 市川正一

    市川正一君 田端のこれはこのとおりですかと言っておるんです。
  241. 山之内秀一郎

    説明員山之内秀一郎君) 大体おっしゃるとおりだと認識しております。
  242. 市川正一

    市川正一君 もう一度聞きますが、同じ田端運転所では、上野四ダイヤというのがあります。御存じでしょう。これは黒磯まで五百六十六・四キロ、作業時間は十六時間五十三分です。拘束は二十三時間です。ほぼ一昼夜勤務です。今まで連続運転時間、いわゆるハンドルを握っている一系統ですね。これは長くても二時間だったのが二時間五十五分になりました。これも承知していますか、このとおりですか。
  243. 山之内秀一郎

    説明員山之内秀一郎君) 上野四ダイヤでございますが、労働時間の合計が十六時間五十三分でございます。拘束時間が二十二時間五十七分、総乗務キロ五百六十六・四キロでございます。
  244. 市川正一

    市川正一君 大井機関区があります。これは、東京ターミナルから東静岡まで約百八十キロ間を従来よりも十五分短縮で運転することになりました。そのために、時速七十キロという制限速度いっぱいで突っ走らないと間に合わぬのです。それでも、二分あるいは一分三十秒おくれても責任を追及されておるんです。これは別の、国府津運転所の問題でありますが、二分おくれて三日間の乗務停止です。二分おくれですよ。しかもそれは、その運転手の所属組合はどっちや、国労や、それならやってしまえ、こういうことになっておるんですよ。まさにそういう差別、そういう国労つぶしがこのダイヤとあわせてやられております。  ここに私、大井機関区の仕業表を持ってきました。小さいので見えにくいでしょうが、5と7、1と9、3と6という二日間連続の深夜勤務です。また、新鶴見機関区でも、今度のダイヤ改正で、深夜午前二時あるいは早朝午前六時に出勤して退勤は十八時あるいは二十時という、そういう仕業ばかりになったんです。一睡もできない仕業もあるんです。  こういう人間の生理を無視した仕業が組まれているということを国鉄総裁は知っているんですか。
  245. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今担当の常務が申し上げましたような乗務の時間その他の改正は行われております。これは、いわば私鉄並みに近寄った乗務時間というふうに私は承知しております。
  246. 市川正一

    市川正一君 私鉄のこともよく調べずに何ですか、これは。しかも、これは運転部門だけじゃないんですよ。国鉄には、旅客駅や構内で実施されている一昼夜交代制勤務という勤務種別があります。これは、朝八時半に出勤して翌朝の八時半までの二十四時間勤務です。したがって勤務の明け番、非番は二十四時間確保されております。そして一日置きに勤務するんです。  ところが、十一月のダイヤ改正で、国鉄当局はその非番の夜に出勤させ、夜勤をやらせております。青森駅もその一つです。非番の夜に二十一時半から出勤して、翌朝の六時五分まで夜勤する。つまり夜勤が二日間、二夜連続するんです。そういう中で列車の入れかえなどの危険な作業をやっておるんです。こういう一昼夜交代勤務と夜勤との組み合わせという重大な問題は、これは従来からも非常に慎重な扱いをしてきました。そうすると、これは現地の局の判断でやったんですか、どうですか。
  247. 澄田信義

    説明員(澄田信義君) 青森駅におきまして、六十一年十一月ダイヤ改正以降、航送入れかえに従事する操車の担当、それと連結担当に、一昼夜交代勤務の非番の当日に夜勤勤務、二十時四十五分から翌日の五時二十分でございますが、を指定しておる場合がございます。一昼夜交代勤務の非番につきましては、必ずしも今おっしゃいますように連続二十四時間解放しなければならないものではございませんで、次の勤務の仕業の開始時期につきまして、労働基準法上もまた労使間の協定、就業規則上も何ら制約はございません。また、非番の時間も疲労が回復できるだけの十分な間合いとなっておりまして、多くの場合、夜勤の非番日の翌日には、公休日とかあるいは非休等の休日を組み合わせた運用をしてございます。さらに、その勤務の指定回数も、一カ月に最高でも四回と極めて常識的な設定となってございまして、何ら問題はないと考えております。
  248. 市川正一

    市川正一君 本社の指示でやったんですか。
  249. 澄田信義

    説明員(澄田信義君) これは管理局長の判断においてやっております。
  250. 市川正一

    市川正一君 ますます問題ですよ。徹夜マージャンを二晩するのと違うんですよ。これは本当に命がけですよ。そして、そういう非人間的な非人道的なことをやってけろっとしておる。ここに私は今の国鉄当局の指導部の体質があらわれておると思うんです。私は関係労働組合との団体交渉をきちっとやるべきだということを強く要求いたします。  この十一日のダイヤ改正というのは乗客にサービスをするとかなんとか言うておりましたけれども、あべこべです。乗客にも大きな不満とまた不便を与えております。特に、各地で特急の増発と引きかえに急行が廃止された。そのために不満は集中しております。  ここに持ってきた写真は、これは福知山線の相野駅の写真です。ここで湊川相野学園という高校の生徒が乗れずに積み残しになっておるんです。この福知山線は、今度のダイヤ改正で急行が特急に格上げされ、料金は上がるが今までの停車駅は通過駅になります。しかも、普通列車は従来の六両編成が電化したといって二両になり、そのために十一月一日ダイヤ改正の日、土曜日、十三時発の電車が八百人積み残すという事態が起こったんです。それがこれです。学校当局や関係団体からも大鉄局に申し入れがあったと思いますが、国鉄当局はどうしましたか。
  251. 須田寛

    説明員(須田寛君) 御指摘の点は、福知山線の相野駅だと存じますが、確かに湊川相野学園という高校がございまして、下校時に大変列車が混雑したということを伺っております。  ただ、この日はたまたま土曜日でございましたが、連休の前の土曜日でございましたことと、それからダイヤ改正の初日でございまして、非常にお客様が多かったために御迷惑をかけたわけでございますが、八百名実はお客様が積み残しになったという事実は私ども承知いたしておりません。ただ、この列車が超満員状態でございまして、二両に四百六十名お客様がお乗りになったという事実は承知いたしております。  なお、学校当局から管理局の方に御要望をちょうだいしておりますので、今後も何かそういった非常に混雑をする場合には増結手配等を考えたいと考えておりますが、その後、土曜日が三回ございましたけれども、その三回の土曜につきましてはお客様の数が大体三百名程度でございますので、もう少し様子を見させていただきたい、こんなふうに考えております。
  252. 市川正一

    市川正一君 様子を見るといったって、あなた、積み残しが続出しておるんですよ。  私、以上明らかにいたしましたように、結局分割・民営を前提にした今回のダイヤ改正が、実は分割・民営というものがいかに重大な被害を国民国鉄労働者にもたらすか、それがひいては鉄道そのものを破滅に導く道であるということを集中的に示したものだと思うのであります。私ども共産党は、国民国鉄労働者の生活と権利及び国民の共有財産である国鉄を守るために闘い抜くことを改めて表明し、次の問題に入りたいと思うのでありますが、当委員会に正式に提出されております社会党案であります。  先日の総括質問におきましても、残念ながら時間がございませんでしたので、私はこの案が民営化という最も重要な点において政府案と共適しているなど、我が党の基本的な見解を述べるにとどまりました。本日は、政党間における理論上、政策上、また実践上の議論として若干の質問をさしていただきたいと存じます。  まず伺いたいのは、社会党案の立場は、国鉄の今日の事態をもたらしめた根本的な決定的な原因と責任はどこにあると考えていらっしゃるんでしょうか。
  253. 村沢牧

    委員以外の議員村沢牧君) お答えをいたします。  国鉄の経営危機を招いた原因と責任を明確に踏まえた上での対策であり改革でなくては真の国鉄改革にならないということは申すまでもありません。国鉄がなぜこのような危機的な状況になったのか、要約して申し上げますならば、国鉄に対して赤字体質のもとで借金による新幹線建設や輸送力増強等の膨大な設備投資を政府が行わせてきたこと、戦後の復員者の国鉄への受け入れに伴う年金や退職金負担などが国鉄財政を圧迫していること、また交通機関の変化に政府国鉄当局の経営が的確に対応できなかったこと、公社の経営が自主性が保障されなかったことなどが主たる原因として認識をいたしております。  このことは、本来政府の責任とすべきものを国鉄に押しつけてきた結果によるものであります。したがって、私は本院における社会党案の趣旨説明で、国鉄が経営、機能、雇用の三つの重大な危機に陥った経緯を見るとき歴代自民党政府の責任は免れない、このことの反省がなくしては真の国鉄改革にならないことを強調して申し上げているのであります。また、我が党議員は本委員会において政府国鉄当局の責任を厳しく追及しているのであります。  今申し上げたことで我が党の基本的な考え方や態度はおわかりになっていただけるものというふうに思います。
  254. 市川正一

    市川正一君 私も村沢委員の本委員会に対する趣旨説明に即しながらお伺いいたしたいのでありますが、その中で、「急激な交通と経済情勢の変化に適切な対応を欠いたこと、日本国有鉄道法を初め多くの経営上の制約があり、経営の自主性が保障されなかったこと、官僚的経営に終始し、政治の介入が絶えず、加えて、国が政策的に国鉄に建設させ、経営させた地方交通線などの経費について、国が必要な補償を行ってこなかったことなどに原因があることも国民周知のことであります。」というふうに、羅列といいますか、こう述べてありますが、一番最大の決定的な責任、原因というのはこれは政府にあるんだというふうに今の御答弁で理解していいんですか。
  255. 村沢牧

    委員以外の議員村沢牧君) 国鉄の経営危機を招いた原因はいろいろありますが、今私が申し上げましたように、その最大の原因は政府にあると、このように思っております。
  256. 市川正一

    市川正一君 だとしますと、この提案理由の中にある「急激な交通と経済情勢の変化に適切な対応を欠いた」というのは、これは政府の政策によってそうなったんだ、いわば公社形態に原因があるのではないんだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  257. 村沢牧

    委員以外の議員村沢牧君) 国鉄の経営危機を招いた原因については今申し上げたところでございますが、さりとて公社の経営形態にも問題がなかったとは申し上げません。それも問題があったというふうに思います。
  258. 市川正一

    市川正一君 そこがちょっとあいまいなんですね。だから私は政府に根本的な、決定的な責任があるんだということなのかどうかということを繰り返しお聞きしているんですが。  次に、提案理由の中に、「日本国有鉄道法を初め多くの経営上の制約があった」というのでありますが、日鉄法のどこのどういう制約を言っていらっしゃるんですか。
  259. 村沢牧

    委員以外の議員村沢牧君) その前に、私の答弁に対して御理解をいただけないという面もあると思いますので重ねて答弁をさせてもらいたいというふうに思いますが、しかし、政府に最大の責任があったことは申すまでもありませんけれども国鉄の再生、再建が、政府の責任であるということで言いっ放しで私はできるものではないというふうに思うんです。政府・自民党に厳しい反省を求めて、こうしたことを絶対に今後しない、そうして国民合意の再建法をつくることが肝要だというふうに思います。  そこで、公社についても御質問でありますけれども、現行の公社制度は、公社の形態あるいは中央集権的な問題がありますし、官僚的な組織運営になっているために当事者能力にも欠け、経営者としての責任は不明確であって、近代的な労使関係さえ確立できないような状態にあります。また、予算や人事など国が必要以上に介入することなど多くの制約のもとに置かれており、事業運営も管理面でも行き詰まっておるわけであります。この経営形態が、今日の国鉄の危機を招いたことと全く無関係であるというふうに私は思いません。したがって、社会党案をつくる際にも、公社にすべきか会社制にすべきかの議論があり、真剣に検討してまいりました。  この際念のために申し上げておきますけれども、私どもは公社制は絶対にだめだなんということは今日まで一言も言っておらないのであります。しかし、今日の経済社会の情勢、あるいは輸送需要がかつて国鉄が独占的立場にあった時代から大きく変化していることにかんがみまして、また国鉄の経営がこのような危機的状況になったことから、抜本的に改革すべきである、こういう判断をし、しかも現実的で将来に向かっての改善策を講ずべきこととしたのでありまして、そのためにこのような選択をしたところであります。  国鉄法との関係についても質問がございましたけれども、例えば経営の自主性についてでありますが、私たちは政治的な介入を排除する、現行国鉄法と異なるところであり、あるいは経営委員会についても、事業計画なんかは運輸大臣が認可をすることになっていますが、経営委員会の議決を要するというふうにしたところでありまして、私たちの案と現在の国鉄法とは随分違うわけであります。
  260. 市川正一

    市川正一君 私が御質問したのは、委員の提案理由説明の中に「日本国有鉄道法を初め多くの経営上の制約」があるんだけども、どういう制約があるのかということをお聞きしたんですが、それは私は当然今の日鉄法の第一条に公共の福祉の増進ということが経営目的にうたわれているわけでありますから、したがって予算、決算の国会決議の承認が規定されているという点は、これは当然の私は規制であるし、そしてこれを外せということは結局公共性の否定につながる議論になると思うんですね。そして今、委員のおっしゃった、政治的介入があるとこうおっしゃった、自主性を喪失するとおっしゃった。しかし、その介入、干渉というのは結局歴代の自民党政府がやってきたのであって、これをやめさせればいいんで、今まで私、社会党はその方向で、言いかえれば民営化という方向じゃなしに国鉄の民主化という方向で闘ってこられたと思うので、そういう立場と、今度株式会社すなわち民営化という方向とはどうしてそういうふうに結びつくのかと。  委員の方から先にお話がどんどん進んでいますので、むしろ逆に私の方から後を追っかける形になるんですが、例えば監理委員会がある、こうおっしゃった。そうすると、その監理委員会というのは一体利潤第一主義にならないという保障になり得るのか。また株式を七〇%政府保有するからということも恐らくおっしゃるのだろうと思うので先にお伺いしますが、そういうことは一体利潤第一主義に走らないという保障になるんだろうかということですね。ここをちょっと進んでお伺いしたいと思います。
  261. 村沢牧

    委員以外の議員村沢牧君) 別に進んだわけではありませんが、今主として利潤第一主義にならないかという御質問であろうというふうに思います。  そこで、社会党の法案はどんな法律か、これは日本鉄道株式会社法案を見ていただけば十分おわかりになるというふうに思います。つまり、その中の第二条として、「会社は、我が国における旅客及び貨物の基幹的輸送機関である鉄道の全国ネットワークによる輸送その他の公共的輸送を担う企業体として、経営の分権化及び関連事業の積極的な実施等による事業の活性化と効率化を図ることにより、国及び地方公共団体が中心となって進める総合交通体系の整備確立に寄与するとともに、あわせて関係労働者の雇用の安定に努め、もって公共の福祉の増進と国民経済の発展に寄与する責務を有する。」、このようにはっきり言っておるところでありまして、営利を目的とする、利潤を追求するなんということは我が党の法律案のどこを見ても一言も書いてはないわけです。そこが一般の株式会社と異なっているところであります。  しかし私は、公的企業体であるからといってコストを無視してよいということにはならないというふうに思うのであります。国民の負担をできる限り軽減する意味からも企業が経営の効率化等についても真剣に取り組むべきである、そのように考えております。このような考え方は、国と企業の責任の分野を明確に定め、経営の基本的事項について広く国民の各層の代表の意見が強く反映されるような経営委員会の設置もしているところでありまして、こうしたことから、私たちの案は利潤を追求する会社ではない、そのようにはっきり申し上げたいというように思うわけであります。
  262. 市川正一

    市川正一君 要するに株式会社にすれば、民営化すれば外部の干渉、介入はなくなるというのだったら、例えば全日空のあのロッキード事件はどう説明するのかとか、それから持ち株七〇%とおっしゃるけれども、例えば三五・五%の株を政府保有している日本航空が安全を無視した利潤第一主義に走ってあの大惨事を引き起こした事実もその一例でありますし、それからNTT、最近一部株は放出いたしましたけれども、ほとんど全株を握っているあのNTTが今やっていることは、もうからない赤電話の総撤去であり、そして引き続く番号案内の有料化などの問題を私は指摘しなければならぬのです。また経営委員会についても、内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命するのでありますが、今度の国鉄監理委員会の人事一つを見ても、結局財界や官僚が大手を振って乗り込み、そして学識経験者や利用者代表ということで結局総理大臣の意に沿った人選が行われているということも、あの国鉄監理委員会を見ればもう明白であります。  私はそういうことを見て、もう時間が参りましたが、やはり残念ながら社会党案が最も重要な基本点において、要するに民営化を容認するという点で、政府案と事実上同調するものになっているということを率直に指摘しなければならぬのであります。  青木さんが盛んに——時間をその分プラスアルファをお願いしまして、青木先生にちょっとお願いします。
  263. 青木薪次

    青木薪次君 私は、尊敬する市川委員質問でありますが、先日も共産党の機関紙の赤旗を見たのでありますが、共産党の赤旗によれば、社会党が分割には困るが株式会社は結構と言うのは自民党政府の責任を免罪してやるもので、中曽根自民党、財界等をたたえることだというような記事がありましたが、これはまた大変失礼な論評であり、我が党案を知らない人の言いがかりであって、中傷であると実は言わざるを得ないのであります。  したがって、市川さんはそのようなことは考えていらっしゃらないと思うのでありますが、あえて申し上げたいと思うのでありますが、今の国鉄の現状からいいますと、人事も自分で決められない、運賃も決められない、ましてや予算もそうでありまするけれども、そういったようなことでは大変問題が多い。したがって、これからあらゆるダイヤの運行に至るまで言われなき横波をかぶらないように、例えば今後における国鉄の運営等について真の国民の期待にこたえるには、嫌がる国鉄に無理やりに赤字の新幹線をつくらせる、あるいはまた赤字ローカル線をつくらせる、すぐさまそれの撤去を命じるというようなことの繰り返しというものはいかがなものだろうか、そこに民主的な全国一社制を持った鉄道というものに生まれ変わる必要があろうということでありますので、その点を誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  264. 市川正一

    市川正一君 青木委員の方からそういう御発言がありましたのできっちりしておきたいと思うんですが、我が党、したがって私も、この社会党案というのは政府・自民党の最も重要な基本点、すなわち民営化という点においてこれを容認するという点において中曽根自民党内閣を免罪するものであるという不動の論拠とまた確信を持っています。それは、先ほど来ずっと申しましたように、結局いろんな原因を複合論的にはおっしゃるけれども、そしてまたお聞きすれば、その根本的な責任は政府にあるとおっしゃるけれども、よって立つところ、国鉄に自主性がなかったとか、あるいは国鉄にいわば当事者能力がなかったとかいうふうなことに問題をやっぱりすりかえている。したがって原因と対策との間に大きな隔絶があり、結局のところは、私はこういうことは言いたくありませんけれども、例えばことしの三月十八日の本院予算委員会において小柳委員から、「日本社会党も日本鉄道株式会社法なるものを今つくりました。したがって、民営的手法を取り入れることは賛成であります。ただ、分割をされる、そのことについて問題があります」、要するに、分割は困るけれども民営は結構だというふうにおっしゃっているんです。  したがって、こういう問題を私はあいまいにはできない。やっぱり政党同士の議論としてはそういう政策上あるいはまた理念上の問題についてはきっちりしておく必要があるということで、せっかく我が法案について審議をやってくれという強い御要望もあったので御期待にこたえてやらさしていただいた次第であります。  そこで、時間も迫ってまいりまして、私は社会党との間の議論をこの私の質問の結びにしたくないんです。本来ならばこの最後に、当然のこととして国民の交通圏はいかにあるべきかという議論を実は用意しておるわけであります。しかし、山内委員長のお顔も眺めながら今物を言っているのでありますが、私は世界の大勢について申しました。そして同時に、それが国民の交通権、国民の足を守るという立場からすれば、今度の分割・民営化法案というのはローカル線や不採算性の幹線などに対して必ずや運賃の大幅値上げ、それが無理ならば線路そのものを切り捨てるという仕組みになっていく、まさに国民の交通権を無慈悲に切り捨てていくものだということをやはり言わざるを得ません。私は、こういう分割・民営化というのは世界の大勢に逆行するばかりか、時代の進歩、社会の発展にも逆行するものであり、断固として廃案すべきものであるということを主張いたします。  会期延長のたくらみとともに本法案は明二十八日にも採決されるやに伝えられておりますが、しかし考えてみますと、法案ごとの審議あるいはテーマ別の審議もやられておりません。また、国鉄債務の解消問題も、これも先送りになったままで、何一つ解明されておりません。私はさらに徹底した審議を尽くすことを強く主張し要求して、この質問を終わらさせていただきます。
  265. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 最初に、この前も総理運輸大臣から御答弁をいただいたんですけれども、もう最後の大詰めですから、十分納得できるような御説明をいただかなければと思うんです。  それは新幹線保有機構の問題なんです。新幹線の方は再調達価格を八兆四千六百億というまで算定をして、それに七・二三%の金利をつけて三十年間にわたってリース料を払え、三十年間で二十一兆三千七百二十億納めるわけです。それで、三十年間それだけのお金を納めさせても、まだ有償か無償かはそのときの国民感情で決めますと言う。その理由は何かといえば、総理の方から、それは国民の財産であるからという御答弁があったわけなんです。    〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕 それに対して在来線の方はどうかといえば、こちらの方は簿価でもって六兆二千九百億あるわけなんです。恐らく資産からいけば五十兆円か六十兆円になると思うんです。それだけの大きな資産があるにもかかわらず、こちらは六千三百九十四億の資本金でもって新会社に渡してしまう。そうすると、こちらの在来線のこれはその膨大な資産をわずか一%ぐらいでもって新会社に差し上げますというんですが、こっちは国民の財産という理解にならないのかどうなのか。その辺が、新幹線に対する考え方と在来線についての考え方というものが余りにもかけ離れておりますので、その辺をもう一度解明をしていただきたいと思うんです。
  266. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今回の国鉄の改革におきまして新会社承継する資産については、確かに六兆二千九百億円の価額で承継をさせることといたしております。また、六旅客会社の資本金の合計額が六千三百九十四億円であります。一方、新幹線にかかる資産については、高い収益力を有することから、再調達価格に相当する債務を機構に負担させることによって国民負担の軽減を図るものとしたものであります。これも前回来申し上げてまいりました。  そして、先般来どうしてもなかなか御理解がいただけなくて私も本当に困っておりますけれども、貸付期間終了後の新幹線鉄道の施設というものを旅客会社に譲渡することは、私どもは、その時点における旅客会社などの経営状況また新幹線鉄道の施設の状況等を勘案して判断すべきものであると考えております。そして、まさにその後においても、その施設が利用され、その上を新幹線が運行をされ、それはそれぞれの会社の利益になっていくものでありますだけに、委員が御指摘のように、その譲渡を無償にすべきであるかあるいは有償にすべきであるかということにつきましては、私はやはり現時点で具体的に確定することはできないと思います。そして、やはりその時点における国民のお考えというもので御判断を願うべきことではないだろうか。これは素直に私は実は先般来申し上げておるのでありますが……。
  267. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これはもう総理の方から答えていただかなけりゃならぬ。  運輸大臣が今、素直に言っているはずだけれどもと言うんですが、私がお聞きしたいのは、新幹線の方は再調達価格まではじき出したんです。それで、それを三十年間にわたってリース料という形でもって納めなさい、結果的には二十一兆円からのお金を納めなさいと言っている。それでもなお、有償か無償かはそのときになって決めますよ、それは国民の財産ですから、ということだ。だったら、在来線の方もどうしてその再調達価格をはじき出さないんですか。恐らくそれをやったならば莫大な金額になると思う。こちらの方はそういうことをやらないで、私のあれからいくならば、さっきも言ったとおり、わずかに資産の一%相当の六千三百九十四億で渡しちゃうというわけでしょう。それで、余りこれはこちらの方を高くすれば、この前の大臣の御答弁もそうだけれども、新会社に負担をかけると言う。新会社に負担をかけて大変だからこちらの方はこういうぐあいでもって、言うならば抑えたと言う。だから、私が今知りたいのは、新幹線保有機構までつくっての新幹線に対する政府考え方、お取り組みと、在来線に対する考え方、お取り組みが違うんですという、そのところを解明してくださいというのが私がお聞きしたいところなんですよ。
  268. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) リースという形を新幹線の場合にとった、独特の形をとったというそういう考えの中にはいろいろな考えがあると思いますが、結局、リースというのは、そのまま所有権を与えちゃうんじゃなくて、貸してあげる、使わしてあげる、で使用料を払いなさい、そういうようなことで、その使用料を払って使わしてもらう間に収益を十分上げていって、会社自体としてはもうかっていく、ある程度その中からリース料、使用料を払う、そういう考えに立っておるものですから、最終的には所有権はやはり清算事業団とか国が持っておる。したがって、仮にリース料で全部一応償却は終わるぐらい払ったとしても、旅客会社の方はもうかっておるわけですから、ですから、財産自体としてはやはりまだ国家が持っておりあるいは清算事業団が持っておる、そういう性格を持っておるわけですから、今ここで、じゃそれはもちろん旅客会社にやりますと言い切ることは行き過ぎだと私は思うんです。  これは旅客会社がもうからないなら別ですよ。しかし、もうかる計算ですべてできて、契約ができている、あるいは法律でそれができている、そういう形になっているんですから、私は非常に単純な国民的常識から考えて、そういう考えの方が素直じゃないかと、そう思います。
  269. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 総理、それでもまだ私が聞いていることの答弁にならないんですよ。  もしそういうことだったら、この趣旨説明のときののは、言うならば、何で新幹線保有機構をつくるかというのは、各社に持たしたならば東北新幹線、上越新幹線東日本が大変な負担になる、それで東海道新幹線を持つ東海の方はかなりの利益が出て、そのアンバランスがあるから一つにしておいてということだった。もうかっているからじゃないわけでしょう。  それで、そんなことばかり言っておったってなにですけれども、今度は運輸大臣、七・二三%といういわゆる金利をはじき出した根拠は何ですか。
  270. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 新幹線貸付料は新幹線保有機構の負担をいたします債務の償還利払いの財源となるものでありますので、その算定基礎となる利率につきましては、保有機構が実際に負担をすることになります債務八兆五千億円の加重平均利率七・二四%を採用することが適当であると判断をしたわけでございます。
  271. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これは大蔵大臣でなくて大蔵省の事務当局でいいですから、政府財政投融資でお金を貸す場合の金利が幾らですかということと、それから十年国債の利子は利回りの方でもって幾らになっているのかということ、お答えいただきたい。
  272. 安原正

    政府委員(安原正君) 御承知のとおり、現在低金利局面にございまして、運用部の七年以上の期間の預託金利は現在六・〇五%となっております。また、十年利付国債につきましては、十一月に発行した分でございますが、これが表面利率五・四%、応募者利回り五・五五五%となっております。
  273. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 運輸大臣、ここのところは大臣の御答弁をいただきたいんだけれども政府財政投融資でお金をいろいろ融資している、その利子が今言ったとおり六・〇五%、国債の方は五・五五五ともっと下がるわけですけれども政府がお金を貸したり国債を買ってもらったりする利子がそれだけです。何で新幹線のこちらの方だけそういう七・二三%なんて高い金利ではじき出さなきゃいけないんですか。
  274. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今も申し上げましたように、新幹線貸付料の基礎となりました利率の七・二四というのは、現在国鉄がしょっております負債のうち、新幹線保有機構が実際に負担することになります債務の利率そのものでございます。その加重平均をとったものであります。  ですから、仮に今委員の御質問お答えを申し上げると、大変これは失礼な答えになるかもしれないんですけれども、今現在の財政投融資の資金等の利率が低下をしていること、これは私も存じておりますけれども、それは今まで国有鉄道が借り入れた約定どおりの金利を払わないで済むという性格のものにはならないわけであります。ですから、これは既往の債務を新幹線保有機構承継する、その承継をいたします債務の利率の加重平均が七・二四でありますということを申し上げておるわけであります。
  275. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 在来線の方で先ほどのようなわずかな金額にしたことは、言うならば新会社に余り負担をかけると大変だということでもって配慮をしたというのが前回の大臣の御答弁なんです。そういう点から考えれば、このリース料をはじき出す金利というものも、新会社が余裕があって幾らでも納められるというならば別ですけれども、そうでないことはおわかりなんですから。だったならば、それは六%であり、六・二三%に下げることによって結果的には、この前もお話ししましたように、三十年なら三十年のものが二十五年でもって納めることができるわけなんですから、そういうぐあいでもって金利を下げるなり、三十年間という長い期間を短縮するなり、そういうことをおやりになるというお考えはないんですか。    〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕
  276. 林淳司

    政府委員林淳司君) 大臣のただいまの答弁を補足さしていただく形になりますけれども、今回八兆五千億という債務をリース機構の方に、現実に既に借りておるいわゆる財投あるいは鉄道債券というふうなものを新幹線保有機構承継してもらうわけでございます。現実の債務を承継してもらうわけでございます。その現実の債務、承継してもらう債務、これは国鉄から承継する長期債務、この平均の利率が七・二七%でございます。それから鉄建公団が上越新幹線をつくるために借りた財投あるいは鉄道債券、これも肩がわりしてもらうわけでございますが、その平均利率が七・二〇%でございます。それから再調達価額と簿価の差額、これについては七・二三%ということになるわけでありまして、これを加重平均いたしますと七・二四%になるということで、現実にその利率で約定どおりお金を借り金利を払っておるわけでございまして、そういう現実の債務を保有機構にしょってもらうわけでございますから、それに見合うリース料を設定しなければお金が返せないし、金利が払えないということになるわけでございます。
  277. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 もう時間がないから……。  しかし、林さん、新幹線に財投資金だって出しているでしょう。そのときは、じゃ、今のお話からいうと七・二四%取っていたということになるんですか。ほかへ出すときは六・〇五%で貸しておって、新幹線だけそれだけ高い融資をしていたということになりますか。
  278. 林淳司

    政府委員林淳司君) 六・〇五%というのは現在の財投の利率でございます。新幹線保有機構承継をしてもらう債務は、五年前あるいは十年前いろんな債務がございまして、それを平均すれば先ほど申し上げた利率になるわけでございます。
  279. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 だから、こんなことばかりやっていると時間がなくなるけど、大臣、この前も今度は民間会社になるんでしょうと私が盛んに言ったのもそこなんですよ。減価償却も、何も従来のような国鉄のときのような減価償却のやり方をやらなくてもやれるんですから、だから民間企業体にするのなら民間企業体にするよさというものをやっぱり発揮をしてそれで、高い金利の金を借りておったんでは、いつまでもそんなことをしておるならば、それは安い金利の金を借りてきてそっちと肩がわりさせれば済むことなんです。だからもう少し、これ以上は申し上げませんけれども、そういう点についてお知恵を働かして、そうして無用な負担はかけない形のことをお考えいただきたいと思うんです。  それから、次に設備投資の関係でちょっとお聞きをしておきたいのは、あれにずっと出ているのはどういう根拠でもってはじき出しているのか。例えば四国の場合だと五年間で三百十五億投資をするというんです。これは四国の資本金は五十五億なんですから、資本金の五・七倍からの投資をする。それは営業収入の二割に当たるんですよ。これは企業が成り立たないんです、こんなことをしたら。それは、増資をするというのなら話は別、借入金をするというのなら話は別。どういう根拠でもってそういうふうな、もうそれ一つでもって企業経営が成り立たない数字でもって組み立っているんですから。九州の場合も同じですけれども、五年間で九百五十二億、資本金が二百二十二億ですから四・三倍になる。営業収入の一六%です。こういう設備投資の金額を出したということは、企業がそこからもう破綻を来すようなことをやれということではじき出したのかどうか、その辺ちょっと説明してください。
  280. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 四国会社及び九州会社の設備投資につきましては、車両及び鉄道施設の状況、輸送量、線区の位置づけなどを勘案し、安全に直結する設備の更新を最重点とするなど、重点的かつ効率的に行うこととしております。また、今委員の御指摘ではありますが、その資金につきましては毎年の事業収益、減価償却費等によりまして十分調達できるものでございます。御指摘の設備投資の額によって経営の健全性が損なわれることはない、また企業経営として問題になることはないと考えておりますが、詳細の説明が必要でありましたなら政府委員から補足をさせます。
  281. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 運輸大臣、何も計数的なことよりかも、営業収入の二割も設備投資にして成り立つような企業はないんですよというんです。生産工場か何かで新しく工場を建てるとかなんかになればこれは話は別、鉄道事業のようなそういうものというのはそんなぐあいではいかないんですから、その辺のところ、どうしてそれで企業が成り立つというふうにお考えになるのか、そこの考え方だけ御答弁いただきたいんです。
  282. 林淳司

    政府委員林淳司君) 北海道四国九州の場合には、この維持更新投資につきましては、現在のそれぞれの地域の減価償却費相当額というものを維持更新のための投資として計上しております。それから輸送力整備、これはごくわずかでございますけれども、現在計画が確定しておるものあるいは現在進行中のものだけに限定をいたしまして輸送力の整備のための投資を計上しております。北海道四国九州の場合にはいずれもこれは債務を一切承継させないということになっておりますので、この減価償却費はこれは借入金ではなくて自己資金でもって充当できるということになるわけであります。したがいまして自己資金でこれらの維持更新をやっていくわけでございますので、債務が累増して経営を圧迫するということはこれは一切ない、こういう前提に立っているわけでございます。
  283. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 林さん、それも今までの国鉄のやり方が頭の中にあるからそういう答弁が出てくる。前から言っているように、やはり民間企業になったら民間企業体の応用動作のきくよさを発揮してやっていかないと、とてもじゃないけれども今度は私鉄と同じ、並みのことをやらにゃいかぬのですからなかなか大変なんですと私は言っているわけなんです。だからその辺の点はもう少し御検討いただく宿題にしておきたいと思うんです。  それで次に進みまして、鉄道事業法の中をちょっと説明していただきたいと思うのは、第一種と二種はわかるんです。この第三種というのが、いわゆる譲渡を目的として鉄道線路を敷設する事業ということになっている。鉄道線路を敷いてそれを第一種の事業をやっている会社の方に譲ると言っているんですから、それはもう鉄道事業ではなくて言うならば鉄道の建設工事をやる請負でないんですか、何でそれが鉄道事業の中に入るんですかということ。私から言わせるなら第三種はこれは削除しなきゃならないと思うんですが、その点はいかがですか。
  284. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この鉄道事業法案、確かに御指摘のように第三種鉄道事業を設けております。そしてその第三種事業というものは、単に鉄道事業者の指示に従って工事請負を行うものとは異なりまして、みずから鉄道敷設の計画を立て、その責任と計算においてこれを建設し、建設完了後は第二種鉄道事業者に使用させる、あるいは第一種鉄道事業者に譲渡させるものでありまして、最近の大都市圏などにおける鉄道整備を促進する効果が期待をされるものでございます。
  285. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 いえ、ですから大臣、この新会社、これからいけば新会社だと思うんだけれども、自分の会社で新しく線を敷こうと思ったらおやりになりゃいいわけでしょう、今の私鉄がそうなんですから。それから、もしなかなか今資金がないからどこかにというならば、それは別なところに頼んで、しかしそれもあくまでも、言うならばこの第三種に該当するところは営業するのじゃないわけなんだから、線路を敷くだけなんですから、そうなると鉄道事業をやる形にならないのであって、それをこの鉄道事業法の中に入れるということはどう考えたって理が通りませというんです。これは鉄道事業ではなくて線路を建設する請負工事をするだけのことでしょう。車両をつくるのと同じでしょう。それが鉄道事業法の中に入るということは、どう考えたってこれは理が通らないんじゃないですか。
  286. 熊代健

    政府委員熊代健君) 大臣が御答弁申し上げましたように、今度日本国有鉄道が民営化される、そして地方鉄道法というものがある、これを一体的に事業規制をする法律として鉄道事業法を考えたわけでございますが、最近の、特に地方鉄道を中心にいたしまして鉄道施設そのものが非常に大規模な投資を必要とする、あるいは懐妊期間が非常に長期にわたるということで、新線建設のような鉄道建設が、先生おっしゃるように在来の民営鉄道事業者だけでそういう敷設を進めるということが非常に困難な状況が片方であります。  それで最近では第三セクターによる鉄道建設を推進するというような形が出てまいっておるわけでございます。ただ第三セクターで資金調達あるいはその資金の長期的な供給といったようなものを考える場合の第三セクターというのが、必ずしも列車運行そのものを第三セクターでやるという意思はない。そういった意味から、従来の地方鉄道法の、先生おっしゃるように鉄道事業というのは施設を持ちその上に車両を運行して輸送を行うという一本の形態の事業として免許対象にしたわけでございますが、今申し上げたようなことから鉄道施設の所有とそれからその上を運行して運送を行う主体というものを分離して、今申し上げたように三種という、一種に建設後数十年という間にわたって分割譲渡する、あるいは二種に使用料を取って使用させるという形態も今後必要であるということで、一種、二種、三種と三つの事業種別を設けた次第でございまして、単に三種は施設を建設するだけのいわば請負事業ということにはならないことにしておるわけでございます。
  287. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 法律を見ていただいて、今のような答弁がどこから出てくるかということは、私から言えばそういう答弁は生まれてこないんです。第三種というのは鉄道の線路を敷いて、それを第一種なり二種なり、そちらの方に譲渡をすると言っている。むしろその「譲渡する」も、運輸大臣ね、このところも私には理解がいかない。どちらもこれは言うならば民間企業体でしょう。もう今度は全部新会社民間になっちゃうんだし、例えば今言う第三種というものをやるところも、民間企業体が鉄道の線路を引っ張って、それを第一種なら第一種の方の会社に譲渡をするということになっている。いわゆる私企業と私企業が商取引をしてこれは幾ら幾らということをおやりになればいいんであって、何でそのときの譲渡価格を、この十五条では運輸大臣の認可を受けなけりゃならないか。民間企業民間企業の間でもって商売をして、じゃこれだけのものを幾らでもってあなたの会社に譲りましょうということをやる、それを何で運輸大臣の認可が必要なんですか。
  288. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 鉄道線路を敷設する者とその鉄道線路を使用して運送を行う者とが別々の場合、利用者に良好かつ安定的な輸送サービスが提供されますためには、両者が適正な事業運営のもとに安定的な鉄道線路の使用関係を維持させるということが必要であると私どもは思います。  この観点からまいりますと、両者で鉄道線路の譲渡が行われる場合におきましても、支払い代金及びその支払い方法などが第一種鉄道事業者の運賃に直接影響を与えるものでありますから、その運賃水準というものを適正に維持していくために、譲渡価格などについて認可にかからしめることにしたわけでありまして、私はこのこと自体が過剰な行政介入になるというおしかりを受ける性格のものだとは思いません。
  289. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 どうも大臣、そういう考え方を発展させると、近鉄なり西鉄なり、何でも今ある私鉄の場合でも、その考え方というものが、近鉄なら近鉄が自分の企業でやればいいけれども、どこか別のところへ頼んで線路を敷かせたということになれば、その場合もわしの認可を得なけりゃいかぬぞということが言えるようなことになるんじゃないですか。それで、この点はこれ以上申し上げませんが、やはり民間の私企業と私企業の商取引であるのであって、そういうものにその売買の価格について所管大臣の認可を受けなけりゃならないというふうな考え方というものはやはり排除すべきだということの希望だけ申し上げて、後ほどまたお考えをいただきたいと思います。  それで、国鉄清算事業団関係について若干幾つかの点をお聞きしてまいりたいんですが、これは念のために確認の意味ですけれども、最終的には再就職をさせる四万一千人、若干減ると思うんですが、これは三年以内に間違いなく再就職をさせるということは確認してよろしいんですね。
  290. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは先般来何度もお答えを申し上げておるわけでありますが、私どもは再就職促進法に基づき再就職促進基本計画を作成し、これに基づき公的部門を初め各分野における再就職の機会の確保、また公共職業安定所による職業紹介、清算事業団による教育訓練の実施等の再就職の援助措置によりまして、六十五年四月一日までに職員全員の再就職が達成されるように全力を尽くすつもりであります。
  291. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 ぜひそういうふうにしていただきたいと思います。  それで、この清算事業団の二つ目の仕事というのは土地の売却処分の方なんですが、対象の三千三百三十万ヘクタールという大変な土地で、これは一般公開競争入札をしますということも、前回からたびたびここでもって質問があり、御答弁されているのは聞いておりましたんですが、ただ、この入札には法人だろうが個人だろうが外国人だろうが参加ができるのですかということ。  それから国民に疑惑を与えないように公正な処分をやりますということも再三御答弁あったんですから、その点もそういう理解をして、そのための規制条項は何かお示しになるのかどうなのか。その辺をお聞きしてまいりたいんですけれども
  292. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 公開競争入札に当たりましては、原則として参加資格の制限は行いません。ただし、薬治産者及び準禁治産者並びに破産者で復権を得ない者などの契約の能力がない方、また公正な競争の執行を妨げた者、または公正な価格を害しもしくは不正の利益を得るために連合した者などについては入札への参加を制限することになると考えております。これは具体的には資産処分審議会の意見も聞いて適切に対処してまいるべき事項でありましょう。  なお、非居住の外国人につきましては、これは私どもの立場と申しますよりも、外国為替及び外国貿易管理法によりまして、国内の不動産を取得する場合には大蔵大臣への届け出を必要とすることになるわけでありまして、これに対して大蔵省の方がどう御判断になるかという問題は別途ございます。  また、このチェックのやり方につきましては、現在まだ検討を続けておる最中でありますが、実は想定してみますといろいろなケースが出てくるわけであります。とにかく地価高騰の著しい地域においていわゆる土地転がしを防止するための措置として、例えば相当長期間にわたる、十年という数字が何回かここの委員会でも論議に出ておったわけでありますが、転売の禁止やあるいは又貸しの禁止であるとか、あるいは既に国有地等で採用されておりますように、一定期間内に落札目的に従った利用などの制限をきちんと行うといった方法も必要でありましょう。また、これは大変我々とすれば不幸なことであると考えておりますけれども、従来例えば随意契約で払い下げをいたしました土地が、業者との土地交換といった行為のために第三者に不当な利益をむさぼらせるようなケースが起こったこともございますし、随意契約で地方自治体等に売却をいたしましたものがその他に転売をされたりといったようなケースもありまして、今そうしたものすべてを網羅すべく、どういうふうなものにすればいいか検討を進めております。先般の御質問、本日御指摘を受けました点を含めて十分な対応を考えてまいりたいと思います。
  293. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これはもう大変なことですから、誤解といいますか、疑惑を与えないようにどういう基準というか、ルールをつくるか、これはぜひやっていただきたいと思います。  それから大蔵大臣には大蔵省の見解をお聞きしたいんですけれどもそれは後にして、もうちょっとほかの大臣の方にお聞きをしていきたいんですが、これは運輸大臣もお聞きになっておっていただきたいんです。  国土庁長官の方にお聞きしたいのは、この前地方公聴会に参りましたとき、ある公述人からこういう意見が出たんです。今、国会で論議しているのを見ていると、国鉄の損失というものをいかに減らすか、そういう意味でもって土地をいかに公開競争入札にして高く売って、言うならば債務を減らそうかというふうなことの議論ばかりしている、そんなことをやったらとんでもないことじゃないか、三千三百三十万ヘクタールというこの膨大な土地をそのようなことをしたならば全国的に土地の値上がりに拍車がかかる。結果的には企業にとっても個人にとっても大変な損害を受けることになる、そういうふうなことをあんたらは考えたことがあるのかと。国鉄の債務について国民が負担させられることも大変だけれども、むしろ国民の立場からいくならば、その債務を全部国民が負担してくれと言ってくれた方が国全体から考えたならば被害が少ない。国土庁長官、意味がおわかりになりましたですか。これは公述人が述べた意見であって、そういうことをお聞きになって長官どういう御判断をし、どういう御見解をお持ちになるかということをお聞きしたいんです。
  294. 綿貫民輔

    国務大臣(綿貫民輔君) 地価の問題は極めて重要な問題でございまして、かつて狂乱地価が出ましたときから国土政策といたしまして土地政策をずっと続けてまいりました。ちなみに申し上げますと、昭和三十年代、これは単純な算術的な平均でございますが、地価は、十年スパンで申し上げまして二三・一%、それが昭和四十年代は一四・九%、昭和五十年代は三・八%、この十月一日の地価調査によりましても全国的には二・七%の上昇ということで安定しておるわけであります。問題は、今全国的な中でも大都市、特に東京の地価の問題でございます。これはたびたび総理を初め皆さんからも御発言がありますように、最近の急激な国際化、情報化ということによりまして東京の地価が暴騰いたしておるわけであります。しかも、それに便乗した一部のやはり土地転がしというのがあるのも事実だと思います。それらに対応するために、さきに東京都におきまして小規模の取引の規制も行ってもらいました。また、短期の譲渡に対する重課税ということも目下検討というよりもむしろ実現すべく、今各省庁と協議しておるところでございます。したがいまして、土地の安定化ということは国の政策の最も大切な方針でございますし、今までもその方針でやってまいりました。  今回の国鉄の用地の売却に当たりましても、周辺の地価が高騰しないように各省庁と十分連絡するということはたびたび申し上げておるところでございますし、特に清算事業団の御方針等も承りながら十分協議をしてまいりたいと考えております。
  295. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 今度農林水産大臣、せっかくおいでいただいて……。  今国土庁長官からお話があったように東京とか大阪、特に東京が大きいんですけれども、大都市が異常な値上がりをしているわけなんで、大臣に御意見をお聞きしたいのは、農林水産省は減反政策をおとりになっている。前にも私は委員会に入っていって、お米が余るからといっておいしい米のとれるところもどこも画一的に減反政策をやるというのはおかしいじゃないですかと言ったことがあるんですが、そういう意味で、ササニシキだコシヒカリだというようなおいしいお米のとれるところはそのままつくらしておいたらいいじゃないですか。それで、減反政策をおやりになるならば、今も国土庁長官が言われたように、特に東京周辺なんというものが異常な値上がりをしているんですから、わかりやすく言えば、東京都の中でもって農地を持って、それで安い税金でもって本当にやっているかといえばやってないような、農地だというだけの形だけしかとっていないのがたくさんあるわけです。だったらこういうところをむしろ減反政策の中でというか、もう宅地に転換させて、それで宅地として供給をするということをやったならば土地の値上がりを抑制するのに役立つんじゃないかと思うんですが、農林水産大臣の御見解をお聞きしたいんです。
  296. 加藤六月

    国務大臣(加藤六月君) ポスト三期対策といいますか次期対策は、農政の最重要問題として今鋭意取り組み、各界、各方面の御意見を承っておるところでございます。そして、中間的にはいろいろな発表をいたしておりますが、先生がおっしゃったような一つの大きな線は出しております。それは食糧生産、農業、その中の稲作の担う地域、担う層というものを中心として米の大宗はそういう人によって今後つくってもらいたいという線は出しておるわけでございます。そして、まだ鋭意意見を聞いているところですから、先生が言われた特定地域を名指すものではありませんが、都市部などの市街化区域内の水田の取り扱いについても、今申し上げましたように鋭意詰めておるところでございますが、その場合は都市計画の線引き政策との整合性ということと、またもう一つは都市農業のあり方というものも配慮して決めていかなくてはならないと考えておるところでございます。
  297. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これはぜひ考えていい知恵を出して、土地の値上がりがしないように農林水産大臣やっていただきたいと思うんです。  それで、次に建設大臣にお聞きしたいのは、ここでこの前大臣が、東京駅のところをやったならば幾らでも土地の不足が解消するんじゃないかという御見解をお出しいただいておったので、私も大変いいアイデアだなと思っておったんですが、もうちょっとそこのところを具体性というか、コスト的に考えてもそんなにお金がかからないでやれるものなのかどうなのか、実現性も含めて大臣のアイデアをお聞かせいただきたいと思うんです。それが可能ならば、何も東京駅だけじゃなくて田町や品川もたくさんあるんですから、そういうところもやっていったならばこれはもう大変な、言うならば土地の緩和といいましょうか供給ができると思うので、その辺お聞かせいただきたいと思います。
  298. 天野光晴

    国務大臣(天野光晴君) この間も申し上げましたようにあくまでもまだ天野私案でございます。私の考えていることについては担当大臣である金丸副総理には申し入れをしてあります。そういう点でできれば早く実行の段階に移したいと思っておるのでありますが、現在気違い以上に狂った地価が出ておるわけでありまして、これが我が国の経済に及ぼす影響が非常に大きくなるのではないかという考え方をいたしておりますが、残念なことには需要供給のバランスをとるためには場所がありません。ほとんどありません。強いて言えば汐留なんでありますが、これは今法律にかかっておるわけでありますから、法律が過ぎないうちはこれはどうも着工の段階には至らないと思っておるのでありますが、そういう意味で、最も優秀な土地を使っておる、優秀な土地になったといいましょうか、鉄道線路の上を利用するという方法はどうかというのが私の考え方でございます。  そういう点で、大体東京駅を中心とした地域、国の土地でいえば国鉄会館も本社も入りますし、郵便局も入りますが、それで八重洲通りまでの間を使いようによっては霞が関ビル十二本建つという話でございます。そういう観点から、これがもし実現できるとするならば今土地の狂騰を演じておるその原因は鎮静できるのではないかという考え方でこの私案を出したわけでありますが、残念なことに金丸副総理が入院しているものですからちょっと困ってしまいまして、大したことはないような話ですから病院から帰ってきたらすぐにでも話し合いをして軌道に乗せようと。要するに私は技術者じゃありませんから、私の感じ取ったままでこの素案を出してありますから、そういう点で専門家によく検討してもらって、採算ベースについては私全然素人でわかりませんので、しかし十二分に採算が合うと思っております。相当高価な空中権を国鉄の方に支払いをしても十二分に採算が合うんじゃないかというような考え方をいたしております。目下検討中でございます。
  299. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 ありがとうございました。  土地の問題、まだいろいろお聞きしたいことがあるんですが、時間もございませんので。  これは運輸大臣なのか国鉄の総裁になるのか、清算事業団が投資ができるようにこの二十七条に書いてあるんですけれども、しかもその投資のできる事業というものは政令で定めることができるということになっているんですから、どんなことをお考えになっているんだろうか。私の見解を言わせていただくと、三年間は今再就職をやらにゃいけない、それからもう一つは土地の売却をやらなけりゃいけない、それは先ほども大臣が言っているように、十年以内にと。それがこの清算事業団の主たる任務であって、それが終わったらもう解散すべきであって、あと債務のことなんかは大蔵省でもどこへでも移せばいいことなんですから、そういう点で、この投資ということは何を考えているのか。それからもう一つは、土地の売却のめどがついたら、大体十年かその辺のところで、それが済んだところで、もう完了したら解散させるということをむしろ明確にできないかどうかです。
  300. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) その前に、大変申しわけありませんが、今の建設大臣のお話に一言だけ私もつけ加えさせていただきたいんです。  現在国鉄が所有している土地は国鉄のものでありまして、そしてそれは先ほどから伺っておりますと、何かどこかに御飯を食べにいって、自分が食べて、払うのは人の懐に手を突っ込んで払っている話みたいな気がしてしようがないんです。ですから、建設大臣の御構想を延長して、ついでに道路の上もやっていただいたらどうなんだろうという感じさえ私はいたしておりました。これは感想として一言つけさせていただきます。  また、清算事業団の投資事業として計画をしておりますものは、まさに清算事業団が行う宅地の造成並びにこれに関連する施設の整備についての調査、企画、広報を行う事業、また測量、設計、工事を行う事業などでありまして、清算事業団が土地の処分をしてまいります関係上、その付加価値を高めるために必要な事業を政令で定めるつもりでおります。これが投資事業として今私ども考えておるものであります。  それから第二点目に、まさに今委員が御指摘になりましたように、一つは職員の再就職促進でありますが、これは三年で完了する予定でございます。また、土地の処分計画等につきましても、三年かそこらはかかるでありましょうが、これをつくり、土地の処分についてはおおむね十年程度を目途に処分を進めていくつもりでありますが、この十年という、大体そのくらいの時間がたちますと、今度は年金負担の支払いを含めた、まさに長期債務等の償還業務に移っていくことになります。長期債務等の処理の方策及び清算事業団の役割と申しますものは、去る一月二十八日の閣議決定でお示しをしたとおりでありまして、清算事業団の業務について再検討をする必要が生じればこの時点で改めて御論議を願うことになろうかと思います。
  301. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大臣清算事業団としてやっていくのに必要なそういう事業というか、何かおやりになることはこれはあっていいと思うんです。ただ私が危惧するのは、何かそこでもって大きな事業を起こしちゃって、極端な言い方をすれば、清算事業団一つの公団みたいになって無制限にどこまででもいくような、そういうことだけはおやめになっていただきたい。言うならば、わかりやすく言って、やっぱり十年できちんとやってけじめをつける、あとの年金とか何かのそういうお金の方のことなんかだったら、これは大蔵省の方へ持っていってあとの始末をしてくれと言えば済むんですから、そういうふうにきちんとしておいていただきたい。  時間がなくて、これは総理にも答えていただけばいいんですけれども、お疲れのようだし、余り無理を言っても……。  国土庁長官ね、これは本当に土地の問題は考えて——今政府に土地政策はないと言っていいと思うんだ、私は。もしあるならば言ってほしいと思うんだけれども、ニューヨークのあのオフィスビルがある一番の一等地のところでもって坪千三百万円、それで東京の場合は、これはこの間もここでもってなにしたら、あれ七千万になるわけですよね、坪にすると。このごろは、もう七千万どころじゃない、一億のあれも出ておるような状態でしょう。それから今度は住宅地の場合になれば、ニューヨークの方は、もちろんこれは住宅地だから郊外にいくけれども、坪が三万五千円というんです。東京じゅう探したってそんな土地はどこにもありはせぬのですから。ですからそういう点でもって、土地が上がった上がったと言ってみんな何か住宅を持っておる人が自分の財産がふえたように思っているけれども、それはとんでもないことで、逆に固定資産税はかかってくるわ何はするで結果的には損なんですよ。だからそういう点に立って、この土地政策というものはよほど本気になって取り組んでいただかなきゃならないと思うんです。そういう点で、もし土地政策があるなら聞かしていただきたいし、そうでなければいいですけれども、何か一言ありますか。総理に聞いた方がいいのかな、ここは。
  302. 綿貫民輔

    国務大臣(綿貫民輔君) 国土利用計画法という法律によりましてやっておりますが、中身につきましてはまだまだいろいろと考えていかなきゃならぬ面があると思います。いずれにいたしましても、先生おっしゃるように、日本の経済が花見酒経済にならないように十分心してやらなきゃならぬと思っております。
  303. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 長官いいことをおっしゃった。花見酒経済にならないようにという、それは本当に真剣に考えてやっていただきたいと思います。  それから大蔵大臣、もう時間がなくなっちゃったのでちょっと聞いておっていただきたいと思うのは、設備投資の問題で、さっきちょっとここで触れておったんですが、民間企業というのは、戦前は設備投資をしようというときには、三分の二は自己資金で三分の一を借入金でというのが一般の状態であった。三分の二の自己資金ということは、言うならば増資をするという形。だから企業の業績が悪ければ増資ができない。したがって、企業の業績の悪いところは、設備を拡張しようと思っても増資ができないからそういうことがやれないということが一つのコントロールの役割を果たしておったわけです。  それが戦後の場合には、自己資金が三分の一でもって借入金が三分の二ということになった。ですから、高度成長のときなんかは、企業の状態が悪くても銀行が幾らでも金を貸してくれるからばかっと借りてきて、それでどかんどかんと工場を建てるようなこともできたわけなんです。何でそういうことになったかということは、私が申し上げなくても大蔵大臣はもう十分御存じのとおり、言うならば資金コストが借入金で賄った方がはるかに安くできる。増資をするということになったならば、一割の配当をしようとするならば、そこへ税金をかけて大変な資金コストがかかる。結局、借入金に頼った方が安上がりにいくということで、そういう形でずっと来ちゃった。  しかし、そのことは、資金の調達ではいいけれども企業の安定からいったら決していいことではないことなんです。だから、そういう点から立つならば、税制の方も、今もおやりになっているけれども、よほど思い切った改革もして、言うならば、企業というものは極力自己資金でもって賄って、そうして大きく拡張していくような、そういうふうな企業のあり方にしていかなければ、今のようなことをしておったならば、悪く言えば乗っ取りとかなんとかというような、ああいうことも可能になるんです。そういうことで税制も含めてお考えをいただきたいし、それについて大蔵大臣、何かお言葉があれば御答弁をお聞かせいただきたいと思うんですが、いかがですか。
  304. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 借入金利子が経費でありまして配当そのものは利益処分であるというのは商法から来ておりますので、やはりそういうことで、戦後四十年間我が国の企業借入金によって設備投資を伸ばしてきたということは、私はおっしゃるとおりであると思います。それがまたプラスにも働いておった面も実はあると思うのでございますけれども、今度の税制改正では、今おっしゃいましたようなこともありまして企業の支払い配当分について法人税を軽課するという、軽い税率を適用しております現在の制度、これは今おっしゃいましたようなことに何分かの配慮をした制度であると思いますが、それについての多少の議論がございましたけれども、どちらかといいますと、その配当支払い分に対する軽課措置というのはだんだんやめていった方がいいのではないかという議論の方が多かったように承知しております。  したがいまして、今の御意見に対しましてのこれという私なりの判断は正直に申しまして持っておりません、正直に申し上げます。
  305. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 終わります。
  306. 野末陳平

    野末陳平君 いよいよ審議も大詰めではありますが、一番今回困ったことは、これまで審議を尽くしてきているわけなんですが、この法案に関してはやってみなければわからないというところが多過ぎるわけで、しかも、お聞きしても今明快な答えが得られないという部分がまた多過ぎるわけですね。今後にまたなければいろいろな数字も出てこないという、そういう事情のもとで賛否を決めなきゃならないというのは非常につらいことなんですけれども、一番心配なのは、やってみなきゃわからないという部分が仮に多くても、やはりこの民営というのは時代の流れでして、これをやらないわけにいかない。しかし、この分割をこういう形にしちゃうと、果たしてみんなそれぞれやっていけるのかなという、素人目で見ていろんな点で疑問とか心配もある。  例えば貨物会社でも、果たしてこれからのいろいろな交通事情を考え貨物会社がやっていけるかなと、かなり厳しい見通しを立てざるを得ないんじゃないかと思うわけですね。もちろんしかし、頑張ってもらわなきゃならないんですが、運輸大臣にお聞きしますが、貨物会社を独立させたという理由、一番大きい理由はどういうところにあったんですかね。
  307. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先般、どなたにお答えしたか忘れましたけれども、同様の御質問をいただきましたときに、たしか私はこのようなお答えを申し上げたと思います。鉄道輸送の中で人の輸送の部分、これはまさに一方では自動車、一方では飛行機、この二つの間に挟まれて鉄道輸送の役割が大変大きく変化をした。そして大都市圏における通勤通学輸送というものと、もう一つは中距離都市間の人的移動、これが鉄道の特性から今非常に求められるニーズの高いものになっている。そういうことを申し上げたと思います。  と同時に、そのとき、人の移動の状況と貨物の流れの違いとして、これもトラック輸送その他に非常に大きく追い上げられて状況が変わってきたその結果であると思いますけれども鉄道貨物特性として残ってまいりましたものは大量定型輸送の商品がその中心になった。そしてそれは移動距離そのものが長い。例えば分割会社一つ会社の中でその輸送が完結するものよりも、二つの会社、三つの会社あるいは四つの会社がエリアを通り抜けて輸送されるものが非常に多い。そしてもう一つは、コンテナ輸送というものがやはり非常に輸送距離の長い商品として大変伸びてきている。  こうした状況を見ていきますと、貨物を分割し、旅客会社と同じような取り扱いをいたしますよりも、むしろその貨物の移動距離の長さというものを考え、また往復の荷物の配分といったようなものを考えると、一社で行った方が貨物に対しては実効が上がる、そのような判断をしたわけであります。
  308. 野末陳平

    野末陳平君 そういう見方からいえば、旅客会社に余業あるいは兼業としてやらせない、独立させたという、わかるんですが、しかし、それがまた裏目に出まして、今後十年、二十年、結果的に貨物会社は成り立たなくなりまして、旅客会社に吸収されるとかというようなことすらもあるんじゃないかと、そこまで考えてお聞きしたわけなんですが、そうすると、十年、二十年先もそれでやっていけるという判断をお持ちだったわけですね。
  309. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は鉄道輸送に依存をする貨物の種類は変わっていくと思います。そして、今回の貨物会社の試算につきましても、例えば石炭のようにその取扱量そのものも激減しておりますものは、当然見込みの中では極めてかたい見込みを立てました。しかし同時に、例えばコンテナ輸送というものは今大変伸びつつある商品だそうであります、という言い方は不見識でありますが、だそうであります。そうなりますと、これはいわゆるドア・ツー・ドアの貨物の流れの中で、他の運送事業者との提携その他いろいろな問題で努力はしてもらわなければならないわけでありますが、伸びていく要素を多分に持っておる商品ということでありまして、こういうものにはよりウエートをかけてまいりたいと思います。また、鉄道輸送としていわゆるトラックを荷物を載せたまま積み上げていくピギーバックといったような方式も取り入れていくことを考えてまいりました。  そういうふうに鉄道貨物のあり方もこれは変わってまいります。変わってまいりますけれども、その変わりを踏まえて将来を眺めておりますので、私どもとしては、当然これは努力が大変必要でありますけれども、その努力を払っていただくだけの価値のあるものと考えております。
  310. 野末陳平

    野末陳平君 私は旅客会社の余業の方がよかったんじゃないかなと思っているので、そういう立場からお聞きしているわけですね。  それで次に、共済年金、国鉄の共済年金ですね。これについて、これがまた非常にはっきりしていないというか、ここをはっきりさせなければいけないと思っているんですが、今でもよそからの援助を受けながらやっている。しかし、それでも相当な赤字を今後出していくというわけですが、まず六十四年までの見通しで、一体この不足分はどういうところの財源手当てで賄われていくんでしょうか。
  311. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それでは、便宜私からお答えを申し上げます。  これにつきましては、御承知のように政府の統一見解がございまして、まず昭和六十四年度までの分につきましては、「国鉄の経営形態等の動向を踏まえつつ国鉄の自助努力と国の負担を含め、諸般の検討を加え、支払いに支障のないようにいたします。」ということを昨年の暮れに申し上げまして、これにつきましては昭和六十一年度中に結論を得るということを申し上げたわけでございます。それに従いまして先般来運輸大臣、内閣官房長官、年金問題担当大臣、それと私の四閣僚で何回か会議を重ねて検討をいたしておりまして、いずれにいたしましてもこの年度の末までには結論を出しまして、支払いに支障のないようにいたさなければならないと考えております。
  312. 野末陳平

    野末陳平君 ですけれども、まだ結論が出ないと言われても、具体性が全然見えないんですね。ですから、そのお答えをそのままのむしかないんですけれども、しかし現実にここにも書いてあります、「国鉄の自助努力と国の負担を含め」とありますが、この「国鉄の自助努力」というものが一体あと何があるのかという、その辺のことをもうちょっと説明していただきたいと思うんです。それ、どうですか。
  313. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 端的に申しまして、掛金を引き上げるとか給付を引き下げるとかいう、現実にそういう努力をいろいろしていただいておるわけでございます、もう既に。その点はかなり国鉄当局にも現実にいろいろ努力をしてもらっておる。それをさらに強化するといったようなことはなかなか容易なことではなかろうなという感じを私といたしましては持っております。
  314. 野末陳平

    野末陳平君 大臣、ですからまさにそのところをはっきりしたかったわけなんですが、ここには「国鉄の自助努力」と、こういうふうに統一見解が出ておりましたから、あえてこれをもう一度聞きますけれども、今まで国鉄の方も、例えば負担の引き上げ、これはかなりのところまで来ていますからこれは多分限界だろうと。そうしますと、同時にじゃ給付の方も一体どうなるであろうと。そうすると、負担の引き上げは限界であろうが給付の方にはまだ引き下げる余地があるのかどうか。スライド停止などで、前に比べればかなりのレベルダウンになっているわけですけれども、この辺のことは考えられる余地があるのかどうか。自助努力の中にこういうのが含まれているのかどうか、それはどういうふうにお考えですか。
  315. 篠沢恭助

    政府委員(篠沢恭助君) ただいま概括的に大臣からお答えを申し上げたわけでございますが、ただいま先生からお尋ねがありました、特に給付面についてどうかということでございます。御承知のことかとは思いますけれども、既に既裁定年金につきましては、五十八年の改正の中でその既裁定年金につきましていわゆる三共済と申しますか、国家公務員共済、それから電信電話、たばこ、この三つの共済から援助を受けている状態にございますので、スライドは停止しようということが一つございました。それからまた新規裁定分、これから六十一年四月以降の新規裁定分と言っておりますが、これにつきましてもやはり財政調整を背景としておりますが、いわゆる三階部分と申しますか、職域年金部分と申します部分につきましての給付は行わないということで、そこは我慢をしていただくという形にいたしました。こういったことがございますので、国家公務員などの年金水準に比べますと給付がその分低い水準に確かになっておるという事実がございます。給付につきましてもそういうかなり厳しい状況に立ち至っておりますので、そのことを含めまして先ほど大臣のようなお答えになったということでございます。
  316. 野末陳平

    野末陳平君 ですから、私が言いましたように、給付の切り下げの方もこれ以上の余地が考えられるかどうかというのは、なかなか難しいというふうに考えているわけですね。そうなりますと、じゃここにある「国鉄の自助努力」というのは一体そのほかにどんなことがあるのかなとこう思いましたので、これはどういうふうになりますかね。とにかく負担の引き上げと給付の切り下げについてはもう限界だというのは私もわかっているんですよ。ですから、あと自助努力があるとすれば何ですかと、ここを聞きたい。
  317. 篠沢恭助

    政府委員(篠沢恭助君) 昨年秋に共済年金法を御審議いただきました段階でこの統一見解が出たわけでございますが、事柄の順序として、やはり国鉄の自助努力、特に国鉄の共済の中での自助努力といったようなものをまず念頭に置くべきであろうという一つの観念といたしましてこういう統一見解ができ上がってきていると思いますけれども、その段階でもろもろの自助努力ということを検討していかなければならないということであったわけでございますが、給付水準とか掛金の負担というものが個別的にどうであるかとおっしゃられますと、ただいま申し上げたようなことになろうかと思っておるわけでございます。これからなおどういう余地があるのか、四大臣の会議を中心といたしましてさらに諸般の検討をもろもろの項目について尽くしてまいりたいということでございます。
  318. 野末陳平

    野末陳平君 だから、一番肝心なことについて答えが進まないんですよね。 やむを得ない面もあるのはわかりますけれども、それにしてもこれはもう六十五年以降は実に厳しい大きな問題になりますから、何とか具体的なところがもうちょっとでも見えるのがいいと思っていますが。  大臣国鉄の用地売却のお金はこちらには全然救済のためには使わないと、こういうお答えでしたね。この原則はもう永久不変と思っていいわけですか。
  319. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 当面私どもとしては六十四年度までの答えを年度末までに出さなきゃならないわけでございますが、そこへ土地の売却代金云々ということを考えますのは無理であろうと思います。それは勘定に入れるべきでないだろうと思います。
  320. 野末陳平

    野末陳平君 あと国の負担というのがありますが、恐らくここが一番難しいところで、それからもう一つは七十年をめどとした年金の一元化、この問題がまだ残っていますけれども、この国の負担というのは大体どんなようなことがあと考えられるのですか。
  321. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そこらが実は非常に難しいところでございまして、諸般の検討と申しますことの中には、例えば積立金かないわけではないとかいろんな要素が入っておりまして、したがいましてその辺を四大臣で詰めなければならない、こういうふうに考えておるところでございまして、大変に微妙な部分でございます。
  322. 野末陳平

    野末陳平君 いや、微妙でもわかればいいんですけれども、わからないんですよね、余りこだわりませんけれども。問題は、六十四年よりも六十五年以降を含めた年金一元化のあたりが一番微妙過ぎるほど微妙なわけでして、どうなんでしょうね、きっと有効な手が余りないままに、あれこれ場つなぎで考えるとしても、財源手当てがいずれはこの年金一元化の七十年になだれ込んでしまうと、こういうことが考えられるのですね。ですから、この国鉄共済の見通しというものは七十年の一元化ということを踏まえたならば、大蔵大臣、これはどういうふうになるのですか。結論はおんぶするのですか、ほかへまた。
  323. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 実は六十五年から先のことになりますと、この不足額というのが現在のような四百億とか七百億とかいうことでございませんで、もう一けた多い不足額になるというふうに予測をされますので、問題は格段にさらに難しくなるということがほぼ予想がついておるわけでございます。そこで私どもとしましては、さしずめ六十四年度までをいたしまして、その後六十五年度から後の問題をどのような仕組みで検討するかということは、まだ一切私どもの間で触れておらない問題でございます。今年度末までに当面の問題を片づけまして、それから恐らくはまた関係閣僚等々でそれから先の問題をどうするかという協議に入らざるを得ないと思いますが、そういう仕組み等々は恐らく内閣官房長官が中心にお考えになられることになるであろうと予想をいたしておるわけでございます。  そこで、今おっしゃいましたことでございますが、これはしたがって私がお答えを申し上げるのは出過ぎでもありますし、私にそういうことを申し上げる権能がある意味でないと考えておりますが、この間この委員会で厚生大臣が、現在この問題のいわば座長であります厚生大臣お答えになられたことの中に、六十五年以降になりますとこの問題はさらに大きくなります、その段階でいろいろな年金の統合の問題がやはりいろんな意味で議論になってまいるということがそれ自身の問題として予想されております、それは国鉄共済のためというわけではございませんけれども、そういうふうに予想されますので、それらのことはやはり相関連して考えていくことにあるいはなるであろうかと思っておりますがという答弁を厚生大臣がしておられまして、それをそのまま御紹介を申し上げるということでひとつお許しをいただきたいと思います。
  324. 野末陳平

    野末陳平君 確かに大蔵大臣の守備範囲からちょっと出てしまうんですが。  では運輸大臣にお聞きしますが、やはり国鉄共済のしりぬぐいというものは、恐らくは七十年の年金一元化へ向けて民間サラリーマンの厚生年金がしりぬぐいせざるを得ないところまでいくんだろう、いわゆる全年金で支援するという形をとらざるを得ないんだろうと、こういうふうに常識的には思われるんですが、これはどうですか。多分そうなるであろうと思いますね。
  325. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは大蔵大臣が主管でないということで大変答えにくそうにしておられましたが、私はいよいよこれについて物を言う資格を持ちません。ただ、委員が想定されましたケースを個人として私が想像してみますと、それはまだなかなか大変な問題があろうかと思います。それは、例えば年金の算定の基礎になります期間のとり方でありますとか、いろいろな技術的問題をも包含することになりましょう。さらに、果たして一気に、この六十四年度までの対策を組んだ後年金統合一元化というところまで走るのか、あるいは中間の過程があり得るのか等々を考えますと、さまざまな対応があろうかと思います。そして、社労族の私として言いたいことはこの辺までございますけれども運輸大臣としては発言をする資格がありませんということでお許しをいただきたいと思います。
  326. 野末陳平

    野末陳平君 いずれにしてもこの問題は非常に大きいし、また難しいんで、ただ国鉄共済だけの問題としてはもう考えられないのはよくわかりますが、しかしこれも全くその見通しが具体的に立たずにこの法案の賛否を決めなきゃならないというのは残念だということだけをつけ加えておきたいと思います。  これでやめます。
  327. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三十五分散会