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1986-11-25 第107回国会 参議院 日本国有鉄道改革に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十五日(火曜日)    午前九時三十三分開会     ─────────────    委員の異動  十一月二十二日     辞任         補欠選任      小野 清子君     真鍋 賢二君      松浦 孝治君     高平 公友君      宮崎 秀樹君     田代由紀男君      守住 有信君     木村 睦男君      田渕 勲二君     大木 正吾君      渡辺 四郎君     山口 哲夫君      神谷信之助君     小笠原貞子君  十一月二十五日     辞任         補欠選任      寺内 弘子君     山崎 竜男君      菅野 久光君     青木 薪次君      大木 正吾君     梶原 敬義君      山口 哲夫君     渡辺 四郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山内 一郎君     理 事                 伊江 朝雄君                 浦田  勝君                 江島  淳君                 亀長 友義君                 赤桐  操君                 安恒 良一君                 矢原 秀男君     委 員                 大島 友治君                 梶原  清君                 木村 睦男君                 倉田 寛之君                 坂元 親男君                 下条進一郎君                 田代由紀男君                 高平 公友君                 野沢 太三君                 真鍋 賢二君                 増岡 康治君                 森田 重郎君                 山崎 竜男君                 吉川 芳男君                 吉村 真事君                 青木 薪次君                 穐山  篤君                 大木 正吾君                 梶原 敬義君                 山口 哲夫君                 渡辺 四郎君                 鶴岡  洋君                 中野  明君                 三木 忠雄君                 諫山  博君                 小笠原貞子君                 田渕 哲也君                 柳澤 錬造君                 野末 陳平君    国務大臣        内閣総理大臣   中曽根康弘君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        運 輸 大 臣  橋本龍太郎君        労 働 大 臣  平井 卓志君        建 設 大 臣  天野 光晴君        自 治 大 臣  葉梨 信行君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  玉置 和郎君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  綿貫 民輔君    政府委員        内閣審議官    中島 眞二君        内閣法制局長官  味村  治君        内閣法制局第四        部長       大出 峻郎君        総務庁人事局長  手塚 康夫君        国土庁土地局長  田村 嘉朗君        国土庁大都市圏        整備局長     柳   晃君        外務省欧亜局長  西山 健彦君        大蔵省主計局次        長        角谷 正彦君        大蔵省主計局次        長        斎藤 次郎君        大蔵省理財局次        長        入江 敏行君        大蔵省理財局た        ばこ塩事業審議        官        頼松 祥典君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   佐々木喜之君        資源エネルギー        庁長官      野々内 隆君        運輸大臣官房長  服部 経治君        運輸大臣官房審        議官       井山 嗣夫君        運輸大臣官房国        有鉄道再建総括        審議官      林  淳司君        運輸大臣官房国        有鉄道部長    丹羽  晟君        運輸省運輸政策        局長       棚橋  泰君        運輸省地域交通        局長       熊代  健君        運輸省地域交通        局陸上技術安全        部長       神戸  勉君        労働大臣官房長  岡部 晃三君        労働大臣官房審        議官       佐藤 仁彦君        労働省労政局長  小粥 義朗君        労働省労働基準        局長       平賀 俊行君        労働省職業安定        局長       白井晋太郎君        労働省職業能力        開発局長     野見山眞之君        建設大臣官房総        務審議官     渡辺  尚君        建設省都市局長  北村廣太郎君        自治省行政局公        務員部長     柳  克樹君        自治省財政局長  矢野浩一郎君        自治省税務局長  津田  正君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        日本国有鉄道総        裁        杉浦 喬也君        日本国有鉄道常        務理事      岡田  宏君        日本国有鉄道常        務理事      須田  寛君        日本国有鉄道常        務理事     山之内秀一郎君        日本国有鉄道常        務理事      澄田 信義君        日本国有鉄道常        務理事      前田嘉代治君        日本国有鉄道常        務理事      山田  度君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○日本国有鉄道改革法案内閣提出衆議院送付) ○旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○新幹線鉄道保有機構法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道清算事業団法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案内閣提出衆議院送付) ○鉄道事業法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道改革法等施行法案内閣提出衆議院送付) ○地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○日本鉄道株式会社法案村沢牧君外五名発議) ○日本国有鉄道解散及び特定長期債務処理に関する法律案村沢牧君外五名発議) ○日本鉄道株式会社退職希望職員等雇用対策特別措置法案村沢牧君外五名発議)     ─────────────
  2. 山内一郎

  3. 安恒良一

    安恒良一君 私は、本日この質問の中で雇用問題それから長期債務の問題、長期債務の方は土地の問題、清算事業団の問題、年金それから長野県における三分割問題等質問したいと思いますが、まず雇用問題に入る前に、雇用問題の前提として、この委員会でもしばしば話題になりました人活センターの問題について質問をしたいと思います。  実際に調査をした同僚の大木委員がこれを関連質問としてまずやりますので、委員長、お許しを願いたいと思います。
  4. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 関連質疑を許します。大木君。
  5. 大木正吾

    大木正吾君 十一月の十九日に当局とは話を幾つかやったんですが、やっと調査ができまして、若干その内容について総理並びに関係大臣に伺いたいと思います。  七月から人材活用センター発足いたしておりますが、これについては総理並びに運輸大臣は知っておられますか。
  6. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 人材活用センターの存在並びに各党から御調査の御要望等が出ておりました状況は聞いております。
  7. 大木正吾

    大木正吾君 目的は何のためにこれを設けたのか、何カ所全国にあるのか、同時に、ここに収容といいましょうか、配属されております人数は何人おられるか、これについて伺います。
  8. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 人材活用センターの設置の趣旨でございますが、近時いわゆる過員、現在員から所要員を引きました過員が非常に多くなってまいっております。このまま放置いたしますと、勤務の箇所におきまして勤務の緩みが生じ、それがひいては職場規律の乱れ、あるいは基本的な問題であります安全の問題等々に悪い影響が出るのではないかということを考えまして、鉄道の本来業務に従事すべき者以外の職員を一まとめにいたしまして、人材活用センターというところに所属をしていただき、そこで集中的な人材活用を図る。いろいろな増収活動なり、あるいは経費節減のための業務あるいは各種の教育等々を実施することによりまして、有効なる対策としたいというのがそのねらいでございます。  現在の段階におきまして人材活用センター配属をされました人数の総数が一万八千五百人余でございます。
  9. 大木正吾

    大木正吾君 教育とか安全とかという話も今あったんですが、これは安全の問題等については逆なんじゃないですか。かえって要員を減らしたために安全が危ないという問題も起きるし、同時に、内容について調べてみましたけれども、新しい仕事につくための教育というような仕事は全然中にありませんね。あそこで教育していますか。新しい職場に移るために教育をやっていますか。もう一遍答えてください。
  10. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 教育内容は、例えば動力車の操縦の関係でございますが、運転手関係では、他の車種に運転が可能なような、いわば多能化教育と言っておりますが、そういう教育、あるいはこれからの企業人にふさわしい考え方、行動力ということのための、鉄道学園での、そこから派遣された者が鉄道学園へ行って教育を受ける鉄道学園教育ということもやっております。あるいは、全国の百三十四カ所の人活センターにおきまして、いわゆるパソコン教育、今各企業におきまして大変活用されておりますパソコンの勉強をさせておるということ、あるいはまた、関連事業についての認識を深めるための関連事業教育というようなことをそれぞれの人活センターで独自に組みまして教育を実施しておるところであります。
  11. 大木正吾

    大木正吾君 何かわけのわからぬ話を長くしても困るんだけれども新宿中野を見た限りではこれは草取りから駅内の清掃電車クーラーの上に風が出てきます、あれを外して清掃ですね、等々の現場を見てきましたけれども、今お話があったようなパソコンの話も若干ありましたけれどもパソコンを日電からもらいまして、百何台かもらったそうですが、そんなものではこの一万八千人の人の教育になりませんからね。どうも話は逆だと、こういう感じがいたします。  そこで次に伺いますが、大臣、この人活センター配置をする基準ですね、こういう問題について聞いたことがございますか、どうでしょうか。
  12. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは国鉄自身の意思で遂行されておりますものでありますから、その配置基準等について私は熟知しておりません。
  13. 大木正吾

    大木正吾君 大臣、もちろんそういうことだろうと思っておりますが、手元にありますこれは新宿人活センター名簿の一部なんでありますが、全部でもってこの名簿に載っていますのは三十四名。全体で七十九名おりますが、そのうち約半数であります。そのうちの三十四名中二十六名がかって組合の分会長あるいは青年部長書記長ですね、こういった方が二十六名入っているということは一体どういうことを意味するか、これについて答えてくれませんか。
  14. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 人活センターにどういう職員配置するかという点でございますが、それぞれの所属長がその権限と責任におきまして、個個の職員能力意欲あるいは適性というような個々人の職員の様子を十分に総合的に判断をいたしまして、そこで適材適所にこれを活用するという意味合いにおきまして配属を決めておるところでございます。  今、先生新宿の例を例示で挙げられたわけでございますが、国労組合員が多いというのは、全体で数字を見ますと約八一%ぐらい国労組合員配属になっているという数字を受けております。これは別に特定組合所属しているからとか、あるいはまた組合活動歴がどうであるかというようなことを全然考慮をいたしておるものではございません。決してそういう差別をしたことでなしに、それぞれの職員の個々の適性能力に着目をいたしまして配属をしておるものでございます。
  15. 大木正吾

    大木正吾君 国労組合員がどうとか動労がどうとかと言うつもりは私は毛頭ないのでありまして、ただ、この三十四名中二十六名が組合役員であったということですね。これはどう考えましても、私もNTTの出身でございますけれども、大体こういったことはなかったことでございまして、新しい仕事にかわる場合には当然訓練が必要ですから、そういった意味訓練することは大事なことなのでありますけれども組合の幹部が約七割から八割を占めているということは余り聞いたことがないので、その中に何らかの恣意的な当局の意図が入っているんじゃないですか。どうですか、その辺は。
  16. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今申し上げましたように、組合によってどうこうというような差別は絶対に行っておりませんし、また今先生おっしゃいましたように、組合役員がどうであるかというようなことも全く考慮いたした上でのことではございません。そういう意味で、役員がどうであるか、何人ぐらいだというようなことすら私ども調査をいたしていない状況でございます。
  17. 大木正吾

    大木正吾君 それはお互いの売り言葉に買い言葉ですから余り言いませんけれども、この資料を見てもらいたいと思うんです。総裁、この資料を差し上げましょうか。要りませんか。——後でひとつ見てください。  その次の問題としまして私が申し上げたいことは環境の問題なんですが、大体、人材活用センター活用ですからね、活用ということは訓練等も含んだ意味合いで、パソコン訓練も結構でしょうし、新しい職場に向けての訓練も当然の問題として必要でしょうね。しかし、環境という問題でもって見ていきますと、大体において外から見えないところとか、手前に助役さん、三十何人その奥の方に言えば関係方々がたむろしているとかですね。とにかくかつての倉庫とかあるいは物置やそういったものを利用している、そういう傾向はございませんか。
  18. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 人活センター職員配属される詰所につきましては、既存の施設を有効に使っておるというところでございまして、特にどういう場所かということを全体的に把握はしておりませんが、この職場環境につきましては、やはり明るい職場にしなきゃならぬというのが私どものモットーでございますので、環境に当たりまして十分注意するようにということで、本社から現場には局長あるいは課長名での通達を発しまして、環境整備に心がけているところでございます。
  19. 大木正吾

    大木正吾君 私が行ったときは西管理局局長さんに立ち会っていただいたんですね。その中でもって見た限りでは、これはもうどう見ましても、従来使ってなかったところを整理して、どうやらロッカーを置ける程度のものになっていますね。机が三つぐらい並んでいますよね。どう見ても、あの中に入った方は新しい職場に行けるという気持ちにはなかなかなり得ない環境ですね。総裁、見たことがありますか、現場は。
  20. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 現場視察の際に若干の視察をしたこともございますが、最近の実態はまだ見ておりません。ただ、先生御指摘のような内容ではないと私は思っております。
  21. 大木正吾

    大木正吾君 一遍今度一緒に見る気はありませんか。この法案が上がる前にどうですか。捕虜収容所とは私は言わぬけれども、やっぱりタコ部屋ですよ、どう見たって。一遍ひとつ見てくださいよ、新宿中野、すぐですからね。見ていただきまして、そしてあそこにおる方々が本当に明るい気持ちでもって新しいものを覚えて、そうして新しい仕事につく意欲がわくかどうか、大事な問題ですからね。こういったことについてぜひ私は、通達じゃだめですよ、現場を見ていただいて、そしてそういった意欲がわくような環境にあるかどうかこれは見てもらいたいですね。  それから作業内容についてちょっと中野の場合の話で聞きたいんですが、実は電車の上を外しましてクーラー掃除をしておるんですよ。掃除はけを見せてもらったんですが、はけ掃除屋さんから掃除屋さんが要らなくなったものをもらってきてやっておるんですね。人活センターを監督する方々が買ってきて与えたんじゃないんですよ。入っておる方々がみんなでもって相談して、掃除をするような下請の方々がもう要らないから捨てようといったものをもらってきてやっておるんですよ。そういうことは知っていますか。
  22. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 先生現場を御視察になったときにそうした状態が見受けられたということは私報告を受けておりますが、なお現場実態でございますその実情につきまして、詳細は私承知しておりませんが、ただ、作業に支障のないような備品あるいは支給品というものはもう十分に備わっているというふうに私は思っております。
  23. 大木正吾

    大木正吾君 雇用問題ということは一番大事なもので、きょう安恒委員も大分質問するようでございます。  やはり二十代から五十歳前後の方々がおられて、私は東京で四十年杉並に住んでおるんですよ。前に荻窪の駅から切符を買いまして、私に切符を売ってくれた方が五十一歳なんです。その方がたまたまおったんですね。何とか大木さん助けてくれ、こう言うものですからね。助けてくれという話がちょっと出てくるのもおかしいんですけれどもね。本当に人活センターが新しい職場に対して訓練をして、そして持っていくということになると、そういったことは出てくるはずはないんですね。ですから、そういったことについて考えてもらい、私はここで一つ問題を理事の方に預けておきますよ。それは中野現場仕事をしている方々作業状態の、さっきのブラシの話ですね、これはぜひこの委員会が終わるまでに一遍総裁に見てもらいたいですね。  それから同時に、さっきここに差し上げてありますが、理事安恒さんに差し上げてございますけれども、三十四人中の二十何名、二十六名ですか、この組合役員名簿についても、これうそか本当か調べてみてもらいたいんですよ。私は電電という組合をもうずっと面倒を見てきましたからね、どんどんどんどん機械化していくたびに訓練は要るんですよ。訓練するときには、年寄りも若いのも全部殺到して訓練さしていく、こう扱っているんですよ。訓練場所はもっと明るくて、闊達ですよね。これはまさしく人材活用センターという名前が泣きます。遊ばしてはもったいないから何かでもって雑用をさしていく、こういうのだったらもっと名前を変えてもらったらいいんですよ。そういった意味合いで、ぜひこれは一つ問題を預けますが、ぜひこの委員会中に総裁なりあるいは関係の、橋本さんに言うのもちょっと失礼かもしれぬけれども、ぜひ総裁現場を見て相応の対処をしてもらいたい、こういうふうにお願いしておきたいんですが。  それから最後の質問でございますけれども人材活用センター、これは一体いつまでやるんですか。三月三十一日あるいは四月の一日に新しい国鉄が仮にスタートいたしたとしますれば、そのときになくすのですか、どうなんです、これは。
  24. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今御審議いただいております法律が成立いたしますと、来年の四月一日を目指しての新しい会社づくりということに相なるわけでございます。したがいまして、最大限人活センター活用の期間というものは、法律に従いますとこれは来年の四月一日以前ということになろうかと思いますが、ただ、その間にいろいろと職員の問題を解決していかなければなりません。したがいまして、その間の対応も十分に考慮しながら、人活センターをどうしたらいいか、これを考えてまいりたいと思っております。ちょっとまだいつまでにするかということを明確な日付として私ども考えておりません。
  25. 大木正吾

    大木正吾君 国労の方も動労の方も、その他の組合の方もいらっしゃるんだけれども、大体人活センターに入っている方々は、組織の帰属のいかんを問わず、全部が労働雇用不安におびえていますね。四月に新しい会社発足をする、そして人活センターが残る、そして結果的には清算事業団関連の中に入るかもしれない。最終的には行き場所がないですね。あっても、子供さんが大きいから行かれない場合も出てくる。そういった問題等が将来出てきますから、私はやっぱり三月三十一日あるいは四月一日、言えば新会社発足と合わせてこれは廃止をしてもらいたい。あいまいな返事は困ります。はっきりしてください。
  26. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今そういうつもりで御答弁申し上げたつもりでございますけれども、要するに来年の四月一日以前にこれはやめます。
  27. 大木正吾

    大木正吾君 終わります。
  28. 安恒良一

    安恒良一君 まず私は国鉄退職にかかわる諸条件について少しお聞きをしたいと思いますが、改革法の二十三条で政府答弁を聞いておりますと、新会社職員となる者は国鉄を一たん退職し、それぞれ新会社新規採用にされると、こういうことは間違いございませんか、大臣
  29. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) お答え申し上げます。  新経営形態への移行に当たりましては、新会社に採用される職員は、新会社が成立するときに国鉄退職すると同時に新会社職員として採用されるということで、委員質問のとおりであります。
  30. 安恒良一

    安恒良一君 時間がございませんので、間違いないやつは間違いないと答えてください。  一たん退職といいますと、一般の退職希望退職でも書かしております辞職願というものを新会社に行く職員には書かせることになるんでしょうか。
  31. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) そういうことになると思います。
  32. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、書かせるとしますと、その形式はどうなるんでしょうか。例えばまさか、一身上の都合によりなどということは書かせないと思いますが、どういうことを書かせるんですか。
  33. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 普通の形式でございますと、今先生おっしゃいましたように、一身上の都合によりというふうに書くのが慣行化しておるところでございますが、ただ今回のケースの場合、そうしたことに当てはまるということが言えるかどうか。先生の今の御疑問等も、御趣旨等も十分に踏まえまして検討してまいりたいと思っております。
  34. 安恒良一

    安恒良一君 検討と言われますけれども、すなわちこれはいわゆる日本国有鉄道法の就業規則第三十二条の退職の手続は書面による申し出と定めてありますが、今書かせると言いながら、書かせる中身がないわけですね。ですから、やはりこれは通常の退職であれば、もうこれはきちっとして書面によって申し出るようになっていますから、これは通常の退職とは異なるというふうにとっていいのでしょうか、どうでしょうか。
  35. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今回の退職に至る前提といいますか環境といいますか、そういうものは通常の退職の場合とは異なる。ただ、その要式行為等は大体従来の退職に従うものではないかというふうに思います。
  36. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。通常の退職とは異なるということで、その点は確認をしておきます。  そこで、今度は労働省にお聞きをしたいのでありますが、労働大臣に、退職にかかる諸条件は公労法八条の定める団体交渉事項に当たると思いますが、労働大臣、どうですか。
  37. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) 国鉄職員退職にかかる諸条件のうちで労働条件に該当するものは、他の法律によって定められている事項を除き、公労法第八条の団体交渉事項であります。
  38. 安恒良一

    安恒良一君 団体交渉であるということはわかるのですが、今の中身がちょっとわからないんですね。他の法律に定められている事項を除いてなどということ、私は今言ったように、通常の退職とは違うと、しかし一たんやめてもらっていわゆる新会社に行くということになると、そのことについて組合側が組合員の利益を代表して話し合いを、団体交渉を申し込むのは当たり前だと思いますから、それを今何かわけのわからぬことを言われていますが、その中身は何ですか。他の法律にかかわることを除いてというのは何かあるんですか、特別に。
  39. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) 御指摘の点でございますが、国鉄職員にかかわる退職金の額及びその支給要件については国家公務員等退職手当法が制定されておりまして、そういう点をとらまえて私は申し上げたわけであります。
  40. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、それ以外退職にかかわるいろいろな問題が出てくる場合は、やはり公労法に定められている団体交渉を行うことは当然ですね。——はい、結構です。  以上のようなことでございますから、運輸大臣、やはりこれだけの職員が大量に一時退職するわけですね。しかも、今言われたように、公労法に定められた退職金を支払う人もありますが、支払わない人もあるわけですからね。でありますから、現行制度だけで対処できないことは間違いないんです。今、法律の定めだけでは対処できないこと。でありますから、労働省の見解もありましたように、これだけの職員が大量に退職する、退職金を支払ったり支払わなかったり、期間を引き継いだり引き継がなかったりいろいろするわけですから、そういうことについては団体交渉が行われるのは私は当然だと思いますが、運輸大臣、どうですか。
  41. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、今労働大臣が御答弁になりましたような状況の中で、国鉄の内部において所要の話し合いが行われることは十分あり得ることだと思います。
  42. 安恒良一

    安恒良一君 総裁、よろしゅうございますね。今申し上げたようなことについての組合との退職にかかわる、退職金を払う場合もある、払わない場合もある、期間を引き継ぐ人もあれば引き継がない人もある等々いろいろの条件がありますから、そういうことについて組合との話し合い、団体交渉、よろしゅうございますね。
  43. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 退職にかかわる労働条件の問題につきましては、十分組合と協議をいたします。
  44. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、組合がたくさんございますから交渉は大変だと思いますが、ぜひ話し合い、交渉を続けていただくことをきちっと要求しておきます。  次には、雇用を承継する退職金の期間の通算を行う問題点について少し聞きたいと思いますが、新会社に移行する者については法的には一たん退職という形をとりながら退職金を支給しない、そして国鉄時代の在職期間を新会社退職金の支払時に通算することになっていますが、これはなぜこういうことをするんですか。
  45. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 一般に、複数の使用者に雇用された場合には、退職金は勤続期間に応じそれぞれの使用者から支払われるものでありますけれども、今回の国鉄改革におきましては、本人の利益を考慮して法律により在職期間を特別に通算することとしておるところでありまして、このような方法は、退職手当法におきましても国等を退職し引き続き地方公共団体に採用された場合において認められるところでありまして、こうした考え方を採用した次第であります。
  46. 安恒良一

    安恒良一君 本人の利益ということでありますが、そこで次にお聞きをしたいんですが、問題は、期間が通算されるということは、その勤めておった期間に得るべき退職金が保障されるということであって初めてこれは本人に有利ということになるわけですね。期間だけ通算しても退職金が下がったのでは意味がないわけです。でありますから、このことをお聞きしておきたいんですね。  三月三十一日で退職したとすると、そのとき当然得られる退職金は計算できます。その金額は、将来新会社から退職するときにも保障していただけますね。それはなぜそういうことを言うかというと、期間だけ通算して四月一日以降新会社に、そこで退職金規程が変わり得ることがあり得るわけです。その場合にそれを前にさかのぼるということも、同じ退職金規程が全部私は継承されると思いますが、これは長い将来のことですから、例えば私どもは九州なら九州の会社はうまくいかないんじゃないかと心配していますね。うまくいかなくなるとまず手をつけるのはどこかというと、そういうところを手をつけてくるわけです。そのときに、来年の三月三十一日までの分までさかのぼってその分の金額を減らされたんじゃ、この際はもう金額を全員に払ってもらって、そしてあなたがおっしゃったように四月一日以降の退職金は新しく計算してもらった方が、あなたがおっしゃる本人の利益になるんですよ。ところが今そんな金はないですね。全員に、二十一万人かに払う金はとてもないでしょう。あるなら払ってもらっても私はいいと思うんですが、それはできない。そうすると、少なくとも国鉄退職時に当然もらうべきであった金額というのはすぐわかるわけですから、それについては将来新会社退職の時期においても保障していただけますかどうですか。
  47. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 承継法人の退職手当の制度につきましては、基本的にはそれぞれの承継法人の経営者が分割・民営化の趣旨を踏まえて定めるものであります。今回の改革法では、新会社職員となるべき職員の利益に配慮して国鉄の在職期間を通算する制度にすべきと義務づけたところであります。  なるほど委員が御指摘のようなことも理論的には成立しないとは私も申しません。しかし同時に、新会社における退職手当につきましては退職手当引当金制度を設けさせておりまして、新会社退職する際の退職手当が結果として国鉄時代における退職手当を下回る制度となることのないように、この法の趣旨に沿って新会社を指導してまいりたいと思います。
  48. 安恒良一

    安恒良一君 ちょっとそこを正確にしておかないといかぬので、下回るというのは、来年の三月三十一日までもらうべき退職金、それから四月以降十年勤めたり五年勤めますからね、いわゆるこれをトータルして下回るということはあり得ないんですよ、長く勤めるから。問題は、来年の三月三十一日で退職したときもらうべき退職金の部分が、将来四月一日以降働いてもらう退職金と合算したとき、こちら側が下がったんじゃたまらないですよということを言っていますから、その趣旨をちゃんとして指導していただくことをお約束ください。
  49. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 新会社職員となるべき職員の利益を配慮してと申し上げておるわけでありますから、その点を御信頼いただきたいと思います。
  50. 安恒良一

    安恒良一君 それからNTTや日本たばこの民営化の場合には退職金の期間も通算されましたが、これは民営化と同時に公社職員としての雇用を承継したから、だからこれは何も問題が起こらなかったんです。身分も引き継ぐ、退職金も全部引き継ぐ。ですからこれは問題がなかったんですが、今回の場合も、国鉄退職して国家公務員に行く人は国家公務員等退職手当法の適用の範囲ですから問題がないんですね。ところが、今私が問題にしているのは、国鉄から新会社に行く人は、政府の説明では一たん退職新規採用、こうなっていますね。  ですから、これは法制局長官に聞きたいんですが、期間の通算と一たん退職というのが法の組み立てとして私はどうも一貫性がないと思うんですね、国家公務員等退職手当法その他いろんなところから考えて。期間は通算をする、しかし一たん退職、こういうことが法の組み立てとして私は一貫性がないと思いますが、法律の立場からどのようにお考えになりますか。
  51. 味村治

    政府委員(味村治君) NTTの場合、公社から新会社に移りましたが、その場合に公社の職員であった方は引き続いて新会社職員となるという規定がございます。したがいまして、雇用は継続していると言っても差し支えはないかと存じます。一方、今回の国鉄の場合は、先ほど運輸大臣が申されましたように、一たん国鉄退職いたしまして引き続いて新会社職員となるということでございます。いわば退職新規採用が引き続いて起こる、こういうことでございます。  その場合に、そういうふうになっているのに在職期間だけを通算するというのは一貫性がないじゃないかという委員の御質問だと存じますが、しかし、この点は、先ほども運輸大臣が申されましたように、一般的に申し上げまして、退職手当につきまして在職期間を通算する方が職員にとって有利でございますので、そういうことを考慮いたしまして在職期間の通算を規定したわけでございます。こういう規定は、国家公務員が任命権者の要請に応じまして退職して引き続いて公庫等職員となった場合、あるいは国家公務員が退職いたしまして引き続いて地方公務員になりましたというような場合には同じように退職手当は支給しない。この場合も一たん退職して新規採用ということに相なるわけでございますが、その場合にも退職手当は支給しないで在職期間を通算するという制度が既に国家公務員等退職手当法にあるわけでございまして、それと軌を一にしていると、似たような考えであろうかと存じます。
  52. 安恒良一

    安恒良一君 私が聞いているのは、有利とか不利とかいうのを長官、あなた答えてもらう必要はないんだ。それは大臣が答える。あなたに法律の解釈を私は聞いているんですからね、法律の解釈。今あなたが挙げられた事例は国家公務員が退職した場合ですね。ところが今の場合でも民間の会社へ行くんですよ、これは。民間の会社ですよ、この会社は。そのときに法律的に一貫性があるかどうかという法解釈。今あなたが後段で挙げられた事例とは事例が違うんですよ。事例が違う。国家公務員が一たん退職して、例えば私のところに、九州西日本鉄道に天下りしてくるときに退職金の期間なんか通算しませんよ。ちゃんともらってきますよ、民間会社に来るときに。その事例がありますか。国家公務員が退職するときにそのまま退職金の期間は通算して民間会社へ行きますか。それが法律的に一貫性があるかと、こう聞いている。そのことを答えてください。
  53. 味村治

    政府委員(味村治君) 私が先ほどお答えいたしましたのは、退職をして引き続いて新規採用になった場合にも、退職手当の支給につきまして在職期間を通算するという制度があるということを申し上げたわけでございます。  それで、委員の御指摘は、それは普通の会社じゃないんじゃないかという御指摘でございまして、確かにその点はそのとおりでございます。しかしながら、今回の新会社と申しますのは国鉄を分割いたしましてその事業をそれぞれが承継するわけでございますので、その点は普通の民間会社に行った場合とは違うと存じます。
  54. 安恒良一

    安恒良一君 私はこれ以上余り時間をとりたくないんですが、あなたは法律の番人ですから、法の一貫性ということで、いいですか、NTTの場合は事業も引き継いだんですよ。たばこも引き継いだんです、事業も。ですから職員も引き継いで退職金の期間もこれは一貫性がある。あなたが今言ったことは何ですか。あなたが言ったことは、いや、事業を引き継ぐんだから、一たん退職して採用するからこれは一貫性がある——ちょっと法制局の解釈としては苦しいんじゃないですか。まあいいでしょう。これは改めてまたやりましょう。きょうこれ以上こんなことであなたとやりとりしておったら時間がもったいない。よく考えておいてください。このままでは済ませませんよ、これは。  それでは次には、新規採用の方式について少し大臣その他に伺いたいと思います。  まず一つは、今度の旅客貨物会社法附則の第二条で、それから新幹線法の附則三条でも設立委員というものを運輸大臣が任命することになっておりますが、これはどのくらいの委員をお考えかということが一つであります。  それから国鉄事業という特殊性から、これを今後も運営していくためにはどうしても、新事業体に移行しましても私は設立の準備には国鉄や運輸省の協力、指導、援助が必要だと思います。そういう意味から言いまして、運輸大臣としては、設立委員の中に例えば国鉄の幹部や運輸省の幹部を加える必要があるんでしょうか。加えることをお考えにお持ちかどうか。  それと同時に、やはりこれを運営するためには労使が一体となって運営しなきゃなりません。そこで、国鉄の各労働組合の代表も設立委員の中に加えるというお考えをお持ちでしょうかどうか。設立委員の問題について、以上のことについて大臣の御見解を聞かせてください。
  55. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 設立委員につきましては、共通の委員とまたそれぞれの会社ごとに任命をする委員と二通りに分かれようかと思います。そしてまた、その人数を何人にするか、またどのような方々に設立委員をお願いをするかということになります。これは過去の特殊会社の例などを参考にしながら検討してまいりたいと考えております。  恐らく、その場合には学識経験を有する方々、あるいは地域の関係者、関係省庁の職員等を網羅することになるでありましょう。ただ、現時点におきまして、まだ御審議の進んでおります段階で、私は個人的に今こう思っておりますということは申し上げられますが、まだ政府としてこれを決定いたしておりません。  また、労働組合の代表という点につきましては、新たな会社を創設する段階で現在の国鉄の労働組合の代表者を入れる必要はないと考えております。
  56. 安恒良一

    安恒良一君 私はこの点もあれしておきたいと思いますが、これは、今回の人員整理に当たって、総裁以下役員の人事のあり方についても後で触れますから、問題にします。  私は、大臣、これは私の意見として聞いておっていただきたいんですが、本当に新会社を活力あるものとしてやるということになれば、もちろん設立委員は民間の人、学識経験者を中心でありましょうが、その事業に携わっておった者がやはり一番よくその事業のことも知っています。いい点も悪い点も知っています。そういう意味から言うと私は、これから任命されるということでありますから、任命される際に、私の申し上げたこともきちっと意にとめて設立委員をお選びくださることを申し上げておきます。これもこれより以上、きょうここでまた時間をかけてもあれですから、この程度にしておきます。  そこで、それでは改革法第十九条の中で、運輸大臣は、基本計画の中で国鉄職員のうち承継法人の職員となるものの総数及び承継法人ごとの数を定めることになっていますが、そこでお尋ねしたいんです。承継法人は国鉄職員以外の者を採用することはできないと考えますが、どうでしょうか。
  57. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 少なくともよほど特別の資格とか特別の能力を要求される職種を除いたら、基本的には私は現在の国鉄職員のうちから採用されるべきものであると思います。
  58. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。  そこで、改革法二十三条で、設立委員国鉄を通じてその職員を募集するということになっていますが、この募集の数は、先ほど運輸大臣が定められた職員と同数であることは間違いありませんね、募集の数。
  59. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) そのとおりであります。
  60. 安恒良一

    安恒良一君 それから次に、国鉄は、今度は承継法人の職員となるべき者を選定し、その名簿を設立委員に提出することになっています。これは同条の二項に書いてありますが、この名簿登載者は先ほど運輸大臣が定められた数と同数であること、これも間違いありませんね。
  61. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) そのとおりであります。
  62. 安恒良一

    安恒良一君 そうしますと、今度は名簿に登載された国鉄職員に対して設立委員が採用通知を出すことになります。この数も、先ほど運輸大臣が定められた数と同数であると考えてよろしゅうございますか。
  63. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これはぎりぎり考えていきますと、例えば名簿の作成後に特殊なケース、例えば採用基準に全く外れるような事態が生じた場合、あるいはそういう事実が判明した場合といったようなごく限定された例外は理論的にはあり得ると思います。しかし、そういうことを除けば私は当然そういうことになろうと思います。
  64. 安恒良一

    安恒良一君 そこで今度は、採用通知を受けた者の取り扱いですが、この採用通知を受けた者はすべて採用されるというふうに考えていいかどうか。というのは、すべての中には、例えば採用通知を受けた後不幸にして亡くなるという場合がありますね。それから破廉恥行為などで犯罪行為を犯して処罰された、これはどうにもなりません。そういうような理由に明確ないわゆる社会的合理性がある場合を除いて、全員は新事業体に採用されることになるというふうに考えて間違いないと思いますが、よろしゅうございますか。
  65. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員が例示をされましたようなケースなどを別にすれば、私はそうなると思います。
  66. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、新規採用方式と国鉄職員の権利について少しお聞きをしたいのでありますが、その前に、私は資料をいただきました、要求に応じて。それは、現在の定員と、私も余剰人員というのを使いたくないんですが、便宜皆使っておりますから、そういう意味でいわゆる定員をはみ出す人の詳細な資料はいただいたんです。ところが、私は民間出ですから、民間流で言いますと、会社が左前になりますとまず社長以下全重役が辞表を提出いたします。そして希望退職を募る場合には部課長、いわゆる職制といいますか、そういう人がこれだけやめる、だから組合員はこれだけ退職人員が足らぬのでやめてもらいたい、こういうふうに、普通の日本の民間の労使というのはすべてその線において運営されていると思います。  ところが、私が今度いただいた資料の中にはそれが全然ございません。ですから、恐らく私はこの法案が成立をしたときはは、杉浦総裁以下役員の方は一たん辞表を皆出されるだろうと思いますし、それから少なくとも余剰人員と言われている中に、いわゆる民間流でいう管理職、例えば民間でいえば課長以上が管理職のところもあれば係長以上のところもある、それはその業種によって違いますが、そういう方々がどれだけ入っているのか。また、次の新機構に入れないという方について、承継法人に入れないという場合に、そこへ行くところの非組合員はどのくらいの数になっているのか。私いただいた資料は持っておりますから、数だけをひとつ、これは詳しく島別とか局別とか職種別は要りません。大体の数をひとつ説明していただきたいと思います。
  67. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 管理職にかかわる数を申し上げておきます。  役員は二十四名でございます。これを除きまして、役員以外の一般の職員の幹部職員、これは本社の局長から大きな現場の駅長さんに至る、いわゆる指定職というふうに言われておりますが、この職員が約五千名でございます。それからそれ以外に、指定職以外の現場の一般管理職、これは普通の駅長さん、助役さんというようなところでありますが、これが約二万五千名、合わせまして約三万名が管理職というふうに言っていいかと思います。それ以外に、約五千名がいわば非現業で非組合員ということでございますので、非組合員の対象は約三万五千名というふうに言っていいかと思います。
  68. 安恒良一

    安恒良一君 いや、私が聞いたのは、その数の中で今回いわゆる余剰人員となって清算事業団に行かれる方ですね。これは、清算事業団の中で仕事をしに行くわけでないいわゆる余剰人員と言われる方々は、三万五千名の中でどの程度出るんでしょうか。
  69. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 現場の一般管理職の割合を見ますと、全体の約一三%ぐらいでございます。今、希望退職を募っておりますが、希望退職の申し出を受けている数が希望退職全体の一万八千人のうちの約一三%ということでございますので、現場の管理職といえども、一般の職員と同様にこれからも新しい会社に振り分けられていくというふうに私は思っております。  それからまた、先ほどいわゆる指定職に相当する者の約五千名というふうに申し上げましたが、そうした者が新会社に行きましてそれぞれ幹部管理職につくことになると思いますが、全体の職員の数を非常に効率的に数を切ってまいることになるわけでございますし、当然にこの幹部クラスも旅客会社、貨物会社等に行く者の人数としましては、これはなかなか今の段階で詳しく申し上げられませんが、私自身の大ざっぱな感触では約二分の一程度になるのではないか。清算事業団等を含めまして、先ほどの五千人の約三分の一程度はこれは他に行っていただくというふうなことになるのではないかというふうに私は思っております。
  70. 安恒良一

    安恒良一君 まあ三万人と五千人と、役員側の数はわかりましたから、役員の皆さんは恐らく常識のある方ですから、私がそんなことを言わないでも恐らく全員辞表を出されると思いますから、その数は聞いていないんです。  問題は、今おっしゃった三万と五千人。普通、民間の場合、たくさんの組合員にやめてもらわなきゃならぬときには、まず職制が何人やめると、だから組合員もひとつ大変長い間御苦労だったが、もうこれより以上この会社では定員オーバーだからやめてもらいたい、こういうのが民間の経営者の常識なんですよ。  そこで、杉浦さんに聞いているのは、この三万人中、また五千人中、いわゆる清算事業団に行くと、やめるというのは何も、総理が言っておるようにこれは組合員であろうと非組合員であろうと一人も路頭に迷わせぬと総理は言っておられるわけですから、そういう意味で言っているんですよ。その三万人と五千人の中で清算事業団に移る人はどのぐらいになるんですか、数は。
  71. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 清算事業団に行くべき職員と新事業体に行くべき職員との振り分けにつきましては、これから設立委員の採用条件というものを拝見しながら、個人の希望を聞きつつ分けていくわけでございますので、三万人の職員も当然にそうして一般職員と同様な扱いを受けるということに相なるかと思います。  それから五千名の幹部職員のあり方につきましては、先ほど申し上げましたようにかなり削減をすると、清算事業団に行くかどうかは話もはっきりいたしませんが、清算事業団に行く者も含めまして五千人のうち約三分の一は全く他の職種に転換をすることになるだろうというふうに私は思っております。
  72. 安恒良一

    安恒良一君 これもまあきょうはこれぐらいにしておきますから、次回質問に立つときには、私は今五千名の人は、三分の一は清算事業団に行ったり、もしくは場合によれば民間会社に行ったり、いろいろなところに行くだろうということはわかりましたが、いわゆる三万人についてはきょうはこれより以上、これでまた押し問答しておったら時間がもったいないですから、私は、後からで結構ですから、三万人の中で例えば清算事業団に行く人は幾ら、民間会社に新しい就職の道を求める人は幾ら、それから国家公務員やいわゆる公的部門というのは、組合員だけは六万何ぼあって、それが希望退職二万幾らつくって、四万何ぼをどうすると、こういうふうにちゃんとしているんですから、いわゆる三万人の中で新会社に残る人の数、それから新会社以外にどういうところへ行くか、このことをひとつ後からでいいですから、私の方に資料として出してもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  73. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 概数になると思いますが、私どもで一応仮定の上で計算をいたしまして資料としてお出しいたします。
  74. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、それは資料要求しておきます。  次に、この新規採用方式と国鉄職員の権利問題について少しお聞きをしたいと思いますが、まず改革法二十三条の一項で設立委員が採用基準を提示することになっていますね。この採用基準というのは、私は客観的でかつ公正なものでなければならないと思いますが、どうでしょうか。また、具体的にどのようなものを、運輸大臣はお考えをお持ちでしょうか、運輸大臣の見解を聞かしていただきたいと思います。
  75. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 新会社などの職員の採用基準は新会社の設立委員などがお決めになることでありますから、どのような内容になるか確定したことは申し上げられません。しかし、私が考えるとすれは、例えば年齢、適性、健康状態などというものが当然入ってくるであろうと思います。
  76. 安恒良一

    安恒良一君 そのとおりだと思いますが、客観的かつ公正なものでなければなりませんね。運輸大臣、その点よろしゅうございますか。
  77. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) はい。
  78. 安恒良一

    安恒良一君 いいですね。
  79. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いいです。
  80. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、問題は今度は、採用基準の中に労働組合に加入をしているとかしていないとか、どの労働組合所属しているか、こういうことを私は取り上げてはならないと思います。これは労働組合法第七条の規定からも明らかだと思いますが、どうでしょうか。また新規事業体は、これは民間企業ですから、このことを考慮いたしますと、国有鉄道法に基づく過去の労働処分の有無を基準とすること、こういうことは事実上所属労働組合との関係も明らかになってくるんですが、こういうものを私は基準としてはいけないというふうに考えますが、この点運輸大臣いかがでしょうか。
  81. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今申し上げましたように、あくまでもこの基準というものは設立委員などがお決めになるものでありますけれども、私はその内容について、所属する労働組合によって差別が行われるようなものであってはならないと思います。  ただ、今委員がもう一歩深めて御質問をいただきましたので申し上げるとすれば、その採用基準の中に例えば勤務成績というものを取り上げられることも、それは私はあり得ると思います。そして、その中における処分歴等も判断要素の一つになることも、それはあり得るかもしれません。しかし、仮にそうした場合でありましても、その職員の採用手続の過程におきまして、いわゆる労働処分というものを具体的に明示するような形で勤務成績をお示しをするようなことはあり得ないと思いますし、あってはならないと思います。
  82. 安恒良一

    安恒良一君 このところちょっと大切ですから、前提のところを大臣それから総理もちょっと聞いておいてください。  それで、どういうことかというと、後から評定表を言いますが、「きわめて良い。良い。普通である。悪い。きわめて悪い。」と、こういうふうにこれ格づけするというんですよね。受け取る側で、「普通」ぐらいまでならいいけれども、「悪い」とか「きわめて悪い」と書いて受け取る人がおるんでしょうか。総理としては一人でも多く、それぞれ新会社なり政府関係なり地方自治体なり、それから公庫、公団なり国鉄関連会社に送り出さにゃいけませんね。私は私鉄の出身ですが、私のところの会社に「悪い」とか「きわめて悪い」と書いた附せんがついてきたら頭から採りませんよ。  そんなことをどうして考えなきゃならぬか。今政府が考えなきゃならぬことは、全員一人も残さず、遅くとも三年以内に、みんな路頭に迷わせない、これは総理、もう大約束ですから。それなのに、ここのところちょっと総理聞いておいてください、後から総理の見解を求める。どうもこれを見ると、最後はこういうふうになっているんですよ、「きわめて良い。良い。普通である。悪い。きわめて悪い。」と書いてあるんですからね。その中に組合の労働処分その他も全部総合点数で入ってくるわけです。これだったら、私は地方自治体でももらわないと思いますよ。恐らく各省の大臣も、「きわめて悪い」と書いてあったのを建設大臣もらわれますか。労働大臣、あなたは「悪い」と書いてあった職員を労働省でお引き取りになりますか、ちょっと聞かしてください。そこのところ、労働大臣、建設大臣、いわゆるここに書いてあるように、「きわめて悪い」と書いて附せんがついて送ってこられたときにお受け取りになりますか、ちょっと労働大臣、建設大臣聞かしてみてください。
  83. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) ただいまのやりとりでございますけれども、基本的にこの職員勤務成績等を考慮に入れるということは、私は一般的に申し上げて、これはあり得るというふうに考えております。ただ、ずばり申し上げまして、特定の労働組合組合員であるとか、また労働組合の正当な行為をしたこと等を理由に新会社への採用を拒否されるというようなことは絶対にあってはならぬと考えておりますことが、これは私の理解がいま一つ。さらに、その御論議のありました採用基準なるものでございますが、これはあくまでも設立委員がお決めになることではありますけれども、やはり国民が納得する公正なものでなければならぬというふうに私は考えております。
  84. 安恒良一

    安恒良一君 いや大臣、おたくもたくさん採られる省ですから、「きわめて悪い」と書かれた附せんがついたものが来たら、労働大臣はお雇いになりますかと、そのことだけです。今解釈は聞いていないんですよ。建設大臣は、おたくにもうんと雇ってもらうんですが、これは「きわめて悪い」と書いてきたら雇いますかと聞いているんですよ。
  85. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) 常識の範囲内で処理をいたします。
  86. 天野光晴

    国務大臣(天野光晴君) 労働大臣と同じです。
  87. 安恒良一

    安恒良一君 総理、ああいう御答弁で常識の範囲内というのは、常識だったら、「きわめて悪い」とか「悪い」と来たら、これは雇わないのが常識なんですよ。成績が「きわめて悪い」「悪い」と書いてあって雇う人は一人もいない。特に民間の場合は、恐らく民間にも相当行きますが、みんな断ると思いますよ。民間の場合みんな断る、社長が、そんな者もらうかい、優秀なのをよこせと、こう言う。優秀なのよこせとなります、これは。そうすると、下手すると民間にも優秀なの、各省も地方公務員も公庫、公団も優秀なのを採る。そうしたら、残るのは何だろうかと、こうなるわけですね。これも大変な問題だと思います。ですから、私はまず冒頭にここのところを明らかにして、少し中身を聞いていこうと思います。  まず、今度は国鉄の立場ですが、改革法二十三条の二項によると、設立委員から採用の基準及び労働条件の提示を受けて国鉄は承継法人の職員となるべき者を選定することになっています。  そこでお尋ねするんですが、設立委員国鉄に選定を依頼する形になりますが、その理由は何でしょうか。また、この場合に国鉄法律上の立場、資格はどのようなものですか。
  88. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 承継法人の職員の具体的な選定作業は設立委員などの示す採用の基準に従って国鉄当局が行うわけでありますが、この国鉄当局の立場と申しますものは、設立委員などの採用事務を補助するものとしての立場でございます。法律上の考え方で申しますならば、民法に照らして言えば準委任に近いものでありますから、どちらかといえば代行と考えるべきではなかろうかと考えております。
  89. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、国鉄が設立委員の権限を代行する、こういうことだということですね。わかりました。  次に、選定に当たる国鉄の立場についてはわかりましたが、そこで質問を続けますが、まず、国鉄が選定する際の基準は当該設立委員等が提示する採用基準でなければならないと思いますが、これは運輸大臣、そのとおりですか。
  90. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 設立委員方々の決定される採用基準に従って行われることであります。
  91. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、今度は国鉄名簿をいよいよつくることになりますが、調整する必要が生じてきますね。その次には次のような問題が起こってくると思います。  まず第一にその調整の基準、第二にはその調整の結果についてでありますが、調整の基準はどのようなものが考えられるのか。私はこれも採用の基準と同様に客観的かつ公正なものでなければならないし、労働組合への加入の有無、所属労働組合あるいは国鉄法に基づく過去の労働処分等、事実上所属労働組合が問題となるようなことは含まれてならないというふうに思いますが、運輸大臣の御見解をお聞かせください。
  92. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 所属労働組合についての意見は先ほど申し上げたところでありますが、いずれにいたしましても、設立委員の補助者の立場で設立委員の定める採用基準に従って選定を行うわけでありますから、その採用基準の範囲を超えるような選定基準があってはならないということは私も当然のことであろうと思います。
  93. 安恒良一

    安恒良一君 次に、国鉄が選定の具体的作業に入るわけですが、設立委員が労働条件、採用基準国鉄に伝えたのを受けて国鉄がそれを国鉄職員に伝える、つまり国鉄が設立委員にかわって各承継法人の職員を募集すると思います。この募集は国鉄職員全員を対象に行われる、つまり公募されることになると思いますが、よろしゅうございますか。
  94. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今御指摘のとおり、就職する意思を示していない者は除きまして、全員に対して意思を確認していくということでございます。
  95. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、国鉄職員がそれを受けて応募することになるわけです。応募するに当たって特別の条件が必要となるのかどうか。つまり、一つ私が言いたいことは、北海道の国鉄職員が応募する場合、常識的に私は北海道旅客会社に入社を希望すると思います。入社希望者が多くてどうしても入社ができない場合は恐らく貨物鉄道の北海道勤務を応募する、こういうことになると思いますが、要するに募集、応募の要領についてどのようなものを考えられているのか、お答えください。
  96. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 職員の意思の確認に当たりましては、今先生おっしゃいましたように、第一番目はここだ、しかしそれがだめなら次だというふうに、いわば複数の希望、しかもそれを意思の順番をつけての希望というものが当然あろうかと思いますので、私どもの確認の仕方は、複数の承継法人を希望順位を示して申し出ることができるようにしたいというふうに考えております。
  97. 安恒良一

    安恒良一君 複数の希望というのは、一社だけでは無理が生じることも私はある程度わかるわけです。しかし一番難しいのは、余剰人員というのは新会社のすべての地域において発生するわけですよね。どこか全然足らないところがあればいいんですが、いただいた資料によるとすべての地域において発生します。そうしますと北海道、九州の余剰人員がより多く発生する地域の対策、それからこれはその地域の国鉄職員の再就職先の確保問題と密接に関係する非常にデリケートな問題でありますが、まず私は、採用基準に合致しているならば地元の国鉄職員を優先的に受け入れるべきである。具体的な例を言いますと、東日本会社の地域の国鉄職員を北海道の会社にやったり西日本会社に移籍させる、そういうのはあってはいけないと思うんですね、これはどこも余るんですから。そしてやっぱり地元優先ということで新会社に採用してもらわなきゃいけませんので、だから地元優先ということを採用の基本とするということが私は妥当だというふうに考えますが、その点はどうでしょうか。
  98. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 設立委員のお決めになる方針の一つとしてそういう問題があろうかと思いますが、私といたしましては、今先生おっしゃいましたように、基本的にはそれぞれの会社のエリアの中での現に働いている職員がその会社に採用されるということが一番穏当であろうというふうに思います。ただ、今先生ちょっとおっしゃいましたように、北海道とか九州などの特殊な、雇用状態の極めて難しい問題があるところがございますが、こうした点についてその面での全国的な配慮ということも例外的に考える必要があろうかと思います。
  99. 安恒良一

    安恒良一君 まず地元優先が筋だということで御確認いただきましたが、よくわかりました。どうぞ大臣、これはいろいろこれから御指導される際も、もちろん一部どうしても地元で就職できない場合もあると思いますが、やはり九州や北海道の人はできるだけ新会社、もしくは北海道のいわゆる公的部門、もしくは北海道の民間、こういうところに就職ができるようなことについて一段と御努力を願いたい。私の話の趣旨を理解いただいて受けとめていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  100. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今国鉄総裁からも答弁がありましたが、私も同様の努力をいたしたいと思います。ただ、例えば九州あるいは北海道という過員の数と雇用の場のバランスを非常に失している地域の職員方々で、例えば本州会社に行きたいというような希望を持っておられた方々があれば、これは私はむしろ多少優先をさせていただくというような考え方はとらせていただきたいと思います。
  101. 安恒良一

    安恒良一君 次に、今度は国鉄職員が応募する、つまり配属希望調査票に記入して提出することになっています。そしてこれを受けて国鉄当局は選定作業、調整作業を進める、こういうことになっていますが、そしてその結果が個々人の国鉄職員に伝わる、こういうふうに法律の組み立てはなっているわけです。そこで、改革法二十三条の第二項にある、国鉄はその配属について国鉄職員に受諾する意思を確認する、こういうふうな作業経過にこれはなっているわけですが、この点についてはそれでよろしゅうございますか。
  102. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 採用通知をした後におきまして、個々の職員から何らかの形で受諾の意思を確認したいと思います。
  103. 安恒良一

    安恒良一君 問題は受諾の意思の確認のときですよ、やり方は。というのは、国鉄職員は新会社に自分が行けるものか、それとも清算事業団職員になって三年先にいわゆる就職先を見つけなければならないか、非常に不安な心理状態にあるんですね。そのときに国鉄が、おまえさんは第一から第何まで希望を書いておったが実はこうだったということで、個人個人呼ばれて意思を確認されるということを言うと、下手なことを言うと、おまえ清算事業団行きだ、こう言われたんじゃこれはたまりませんからね、どうしてもやっぱり当局の指示どおりに従わざるを得ないという心理状態になるわけであります。  こういう状態では、私は自分が行きたいと思ったところに行けないということになると、気分を一新して一生懸命働くということにならぬと思う。ましてや、いわゆる第二、第三まで希望を出しておったけれどもそれも全部外されちゃう。そして、あなたは国鉄事業団の職員となって転職先を探しますと、こう言われたら、もうこれはいよいよがっかりしちゃうわけですね。ですから私は、この国鉄当局による選定、配属決定に当たっては、国鉄当局と個々の組合員の話し合いだけでは十分いかないと思います。少なくとも労働組合がこれに関与する、何らかの形で労働組合当局組合員の間に入って、組合員がその配属決定について納得し得るような事情説明が受けられるという配慮をしておかないと、いわゆる意思確認は押しつけになると思う。でありますから、私は労働組合が関与する、何らかの形で関与して円満に組合員がそれぞれに移行できるようにする。  例えば、実例を挙げますと、私は民間会社でありますが、本来、交通産業でありますから交通産業に残りたいと。一つの例を挙げますと、地下鉄が福岡市内を走り出した。そこで私どもの自動車運転手が余る場合があります。それを福岡市内からほかの同じ自動車運転手で出す場合は、そんなに余りトラブルはございません。しかし、他の職種に行ってもらわなければならぬ場合があるんですね。そういう場合に会社組合員を呼んで、あんたはここの例えばレストランに行きなさいなんて、そんなことをやらないのです、これは。何人の人員が余る、その人員については傍系にこういうふうに行ってもらいたい、労働組合どうだろうかと、まず労働組合に話がある。労働組合もその人員について、ああなるほどと、例えば一つの例ですが、百人は他の職種に持っていかなければならぬなという理解を示し、そしてその中から、組合も関与しながら、じゃあなたはレストランに行ってくれませんかと、こういうふうにきちっと順序を踏んでやるから、整然と民間の場合には行われるわけであります。私は国鉄の場合も、少なくとも今回そういうことがきちっと労使の間で行われるべきだと思います。この点はいかがでしょうか。  それからいま一つは、いろいろ苦情が出る。極端なことを言いますと、清算事業団にやられた人が、おれは新会社を望んだのだけれどもなぜやられたかということで裁判が起こり得ることもあるわけです。何万人という人の裁判が起こったらこれは大変なことになると私は思う、率直なことを言いまして。でありますから、例えば私の一つの提案でありますが、労使代表によるところの苦情処理委員会を設けて、その中でうまくこれ十分に納得ずくでやれるようなルールづくりをしたらどうだろうか。私はこのことについて、この法律が成立した後の措置として円満に新会社に移行する、円満に。残念なことですが、一時清算事業団に行って、次の再就職まで待機するとこれが円満に行われるかどうかということは極めて——この法律の、本当に新会社がうまく運営され、国民の足が確保できるかどうかという極めて重大なところだと思います、ここは。この点についての大臣、それから総裁、お考えをお聞かせください。
  104. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) たくさんの職員の行き先につきまして、これから具体的に大変な問題が起こるわけでございます。その場合に、まず我々幹部ももちろんでございますが、現場の管理者が十分に自分の掌握している職員全体を我が物といたしまして親身になりましていろんな面での手助けをする、これは自分自身も含めての話かと思いますが、そういう姿勢が必要であろうかと思いますし、またその際に、個々の職員組合に対しましていろいろと相談に乗ってほしいというような話も随分あろうかと思います。したがいまして私どもは、組合を通じましてできるだけそうした個々の職員の意見を我々吸収できるように組合からの意見の開陳があるものと思いますので、これを聞いてまいりたいというふうに思っておるところであります。  ただ、先生今御提案のその苦情処理委員会というような組織、そういうものをつくって対応したらどうかという点につきましては、仮にこれは個個の職員のそれぞれの苦情を処理するというような形になりますと、大変な数になります。なかなか一定の期限内にそうした処理ということが極めて困難であるというふうに思いますので、そういう意味での御提案につきましてはこれはかなり慎重に対応しなければならぬと思いますが、組合を通じての職員の個々の把握、指導、連絡等につきましては十分意を尽くしたいと思います。
  105. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは法律論と実態と二つに分けてお答えを申し上げたいと思いますが、法律論として申し上げるならば、国鉄当局が行う名簿の作成など新会社に移行する職員の選定というものは、設立委員の補助者として行う行為でありますから、国鉄当局国鉄組合と団体交渉をする立場にはない、これは御理解をいただきたいと思います。  しかし、現実に国鉄職員方々が新会社への移行についてそれぞれさまざまな不安を持たれる、そしてまた、その不安というものがわだかまりとなって民営化後の労使関係の安定を損なうような事態を招くことは決して望ましいことではありませんし、国鉄当局、政府、今国鉄改革の円滑な遂行を進めていく中で、そうした事態を回避するための努力が当然必要になってまいります。私はやはりそうした場合において、個々の組合員方々のそうした不安というものを吸い上げた組合の意向というものを国鉄当局が聞くための努力というものは当然求められるべき努力であろうと思います。ただ、今委員からお話の出ました苦情処理委員会というものにつきましては、私は実質的にはなかなか、残る作業の時間等を考えてまいりますと大変難しいと思いますし、むしろそうした形式的な対応よりも、まさに労働組合がその組合員である職員方々のさまざまな悩みというものの相談相手になりつつ、それを当局と話し合っていただくという形が一番現実的なものではなかろうかと思います。
  106. 安恒良一

    安恒良一君 これも余り時間をとってはいけませんので、この苦情処理委員会のところはペンディングにしておきますから、御研究願いたいと思う。というのは、私は、殊さらに話し合い、団体交渉とかいろんなことを分けられていますが、現実に何万名かの組合員が、どの組合所属しているかは別にしても、いわゆる清算事業団に残るわけですからね。そのときには国鉄当局と個人との話では話し合いはなかなかつかないんですよね、これは非常に。それは強権発動を押しつければ別ですね、押しつければ別。それはできません。私ども民間のやり方は、今申し上げたように、むしろ組合会社側が親身になってそこをきちっとルールを決めてやるから、何千名の希望退職ができたり何百名かの他職種への異動が円満にできているわけです。  ここのところだけはきちっと忘れなくやってもらわないと、何かしゃくし定規的に——というのは、清算事業団から委任をされてやるわけですからね、これは。清算事業団自身はやれないわけですから。何万名の組合員に会って意思を確かめたり、そんなことはできませんから、国鉄当局でやってもらいたいということで、いわゆるその代理をやるわけですね、これは。ですから、その代理を受け取った国鉄側は、やはり円満に四月一日からは清算事業団に行く人は行く、新会社で新しい希望に燃えて働く人は働ける、こういうふうにきちっとしていくことはこれはどうしても必要なんですね。  今まで一緒に一つの国鉄という職場の中においてともに働いてきた労使ですから。そのことだけは私は、これは総理、ここのところを聞いておって、ひとつ運輸大臣、労働大臣御指導いただけると思いますが、円満にみんなが移行できるように、ぜひその点は総理、御指導をいただきたいと思います。ちょっとそこのところについて総理のお考えを聞かせてください。
  107. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御趣旨に沿いまして、円満に移行ができるように全力で努めます。
  108. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、そこのところは総理も全力を尽くしていただけるということでありますから。  それで、ここで一つだけちょっと聞いておきたいんです。改革法でいわゆる新規採用方式をとる理由について聞きたいんですが、新規採用ということが強調されていますが、しかし今回の新規採用も、一般に広く設立会社が国民から公募して雇うといういわゆる新規採用とは全然違うわけですね。前段で私が大臣とまた総裁とやりとりしましたように、設立委員国鉄職員の中から公募するわけですね。ですから、その意味から言いますと、新規採用というのは大体、本当はおかしいんです。  ところが、なぜそうなったかというと、電電や専売公社の民営化に際しては公社の職員は全員新事業体に引き継がれたんですね。ところがなぜ今回引き継がないかというと、本来なら全員引き継がなくてはならないんです、またそのことが私は立法上でも行政上でも民営化する場合は公平だと思います。思いますが、今回の場合には、監理委員会の指摘もあるように、余剰人員問題を抱えている。そこで国鉄職員を全部新事業体に引き継がせることはできない。そうかといって、総理もおっしゃっているように、新事業体に引き継がれない者は一人も路頭に迷わせることはしないと、こうおっしゃっている。そこでやむを得ず新事業体に引き継がれなかった国鉄職員は、国鉄清算事業団に引き継がせて三年以内に就職させる、こういうことにこの法律の組み立てはなっている。  でありますから、そういうふうに考えると、雇用継承ではないというふうに言われるんですが、どうも私は、このように余剰人員があるということが理由で本来なら全員継承と言いたいところをできない、こういうふうになっているんですが、本来ならこれ、まず全員を継承する。そして継承して、新会社自体が余剰人員がこれだけある、そして希望退職を募る、こういうやり方が私ども民間で事業を継承する場合に、まず継承する前に整理してきてくれというのがまるっきりないとは言いません、これは。まるっきりないとは言いません。しかしほとんどが、大体事業を継承した人間が、自分が事業をやっていく上に当たって、どうもこれだけの人員ではちょっと多過ぎるから悪いけど何名かやめてくれぬかと希望退職を募って、そのかわり就職はあっせんをします、こういうことになるんです。ここのところが、こういうふうに新規採用がとられたことは私は大変残念です。残念ですが、何回も言うように、この新規採用というのは俗に民間でいうところの一般から公募する新規採用ではない、このことだけははっきりしておると思います、今までのやりとりで。その点はよろしゅうございますね。
  109. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに委員が言われますように、NTTやたばこ産業の場合は公社から新たに生まれる企業というものが一対一の関係で、いわば包括承継でやりました。しかし今回の国鉄は、まさに委員が言われましたような業務量に照らして著しく過剰な要員体制というものが現実にあり、しかも新たに生まれる会社の数も複数であります中で、職員数については発足当初からそれぞれの事業規模に応じた適正なものにする必要があり、また新会社職員構成、あるいは労働条件のいかんというものが新会社の将来を左右する重要な問題点でありますので、分割・民営化の趣旨を踏まえて、新会社発足当初から職員の構成あるいは労働条件についてはそれぞれの経営方針が反映されるようにする必要があり、こうした考え方をとったわけでありますが、私はこれはこれなりに十分合理性のあるものだと考えております。
  110. 安恒良一

    安恒良一君 十分合理性がある、ないの論議をここでしておったって余り建設的でありませんから、これはペンディングにしておきましょう。  そこで、今言ったように、いわゆる一般に言うような公募する新規採用でないことは間違いないわけですから、その上に立って設立委員が提示する労働条件について少し質問したいんです。時間があれば、これは当時の国鉄再建監理委員会の事務局次長であった林淳司再建総括審議官、現在そこで答弁の中心になっている林さんのいろいろお話しになった引例をずっと実は書いて、それで質問したかったんですが、時間がありませんから、そこのところはのけにしましょう。林さん、自分で書いていることを御承知だししゃべっていることを御承知だと思いますから、そこはここで読み上げることをのけますが、そこで端的に中身に入っていきたいと思います。  いわゆる国鉄が新会社に生まれ変わるといたしましても、国鉄が経営していた鉄道事業そのものは継続するわけですね。そうしますと、その中で払っておった賃金その他労働条件については基本的には改革実施の前と変わらないと。すなわち、例えば電電公社の場合も専売公社の場合も雇用継承措置が講じられ、基本的には改革実施前の賃金、労働条件が尊重されました。ですから国鉄の場合も本来ならば私は雇用継承措置を講ずるべきだと思いますが、いわゆるこの余剰人員の問題があってこういう極めて異例な特別の措置がとられたわけでありますから、新会社に本当ならば全部移籍してもらいたかったんですが、できないということになれば、新会社に移籍される国鉄職員についてはその賃金その他の労働条件は実質的に雇用継承の場合と同じようにすることが妥当だと考えますが、ここのところについて運輸大臣の見解を承りたいと思います。
  111. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは本来設立委員が判断をされることになるわけでありますから私がお答えする立場ではございませんが、確かに私は実態から考えて基本的な賃金あるいは労働時間といったようなものはできるだけ維持をされることの方が望ましいものであると考えております。  ただ、役職員になりますとこれは現在の水準がどう変わるかというのはこれはまた別の問題でありますが、少なくとも現場において現実に鉄道輸送業務そのものに従事している職員方々にとりましては、委員が言われますように、実態的にそう大きな変化が瞬間的に生ずるものではない。そうすると、その瞬間をとらえて基本的な賃金や労働時間が大きく変更されるということは望ましいものではなかろうと私も思います。
  112. 安恒良一

    安恒良一君 総理、これはちょっと聞いておっていただきたいんですが、夜行列車に乗って三月三十一日に、その運転それから専務車掌、ずっと行っているんですね。午前零時になると新会社になるわけですね。そして、やっている仕事はやっぱり同じことをきちっとやっていくわけですから、その場合に大臣、賃金や労働条件が四月一日になったら新会社になったから変わったなんて、そんなことはあり得ないと思うんですよ、鉄道業というのは。専務車掌はずっと通しで乗るんですから。  ですから、ここのところは、それは設立委員がお決めになることであるが、所管大臣としてはそういうふうになるように十分な御指導を願いたいし、また運輸大臣が設立委員を任命されるわけですから、任命される際にもそこのところは、新事業体に行ったら行った人が本当に希望、意欲を持って、これで今度は本当に再生するんだと、勤労意欲がわいて一生懸命頑張れるようにしてもらわぬと困る。賃金や労働条件というのはやっぱり継承されるということだと思うんですよね。新事業体へ行ったら途端に下がっちゃった、それでもおまえさん一生懸命頑張れと言っても、これはなかなか頑張るはずがないですね。余剰人員は、仲間が何万名か去っていっているんですから。去って、残りの人員でやるわけですから。その人たちが賃金や労働条件が下がったんじゃたまったものじゃありませんから、そこのところはしかと総理ひとつぜひ御指導を賜りたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  113. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 少なくとも鉄道輸送業務に直接従事している職員方々については私も同様に思います。
  114. 安恒良一

    安恒良一君 総理はいいですか。
  115. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 運輸大臣と同じ考えでおります。
  116. 安恒良一

    安恒良一君 鉄道輸送に従事しているということを言われたその範囲内について、じゃこの職種、この職種と挙げても橋本さんはまだ余り……
  117. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 偉い人は別ですよ。
  118. 安恒良一

    安恒良一君 偉い人は別ということですね。あとはということですね。それならわかりました。それじゃ、その点はそれぐらいにしておきます。  次に、今度は職員の管理調書問題について触れていきます。これも余り時間をとりたくないのであれしていただきたいと思うのですが、職員管理調書は衆議院でも私どもの村山富市さんが、この調書は客観性、公平性に欠けるということで疑問を指摘しています。  端的に私はすぱすぱと言っていきますから、やめるものはやめるというふうに言ってもらいたいんですが、例えば一つの例を挙げますと、時間外に行う増収活動というのがあるんです。私はこれが評定事項に入っているのが不思議でなりません。増収活動は、時間外に増収活動を行わせるということになると、労働基準法によるところの割り増し賃金を払わなきゃいかぬ。払っていないんですね。だから労働基準法違反の疑いがあるんですが、そこのところをきょうは議論しようとは思いませんが、時間外に賃金を支払わないで行う職員のいわゆる増収活動を評価の対象にすることは問題があると私は思います。  そこで、まず労働省に聞きますが、勤務時間外は労働者が何に使おうと自由な時間である、休憩時間ですら自由利用の原則が労働基準法で定められておりますが、こうした考えからいって、このことについて労働大臣としてはどうお考えになりますか。
  119. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) 労働者が使用者の指揮命令に服する義務を負いまするのは勤務時間内でございまして、ただいま御指摘の勤務時間外につきましては、使用者の指揮命令に服する義務を負わないものと理解しております。
  120. 安恒良一

    安恒良一君 そこで杉浦総裁、時間外に行う増収活動が勤務評定に入っているということは、調査評価の対象になることは問題があると私は思いますが、この点どういたしますか。
  121. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今まで職員の活動の一つといたしまして、時間外で自発的な増収活動という点に着目をいたしまして、これが前向きな企業に対する意欲あるいは姿勢であるというふうに、プラスということで評価をつけ加えてきたことは事実でございまして、私ども先生の今の御意見等いろいろとおありになると思いますけれども、今まではそういうことでプラス材料としての見方をしているところであります。
  122. 安恒良一

    安恒良一君 プラス材料と、そうしたら、やらなかった人に今度はプラスがつかないわけですからね。そうでしょう。今労働省からも言われましたように、時間外というのは労働者の自由時間で、何に使おうと自由なんで、たまたまその中で一部の人がおれは時間外に切符を売ってきたと言ったら、その人は成績の方にプラスがつく、売ってこなかった人はその項はないわけですね。それで総合点数が出るんですよ。そして、私が言ったように最後は、極めてよい、よい、一般である、悪い、こういうふうに全部なるんですよ。そういうものの中で、労働基準法の違反のおそれすらある時間外に切符を売らせたり団体募集をさせた人間を、プラスだからといって評価することは私は誤りだと思う。この点は了解できません。大臣どうしますか。総裁どうしますか、これは。そんな法を犯したようなことを、たとえプラス材料だからといって、プラスするからいいじゃないかと。じゃ、プラスされない人はどないになるんですか、プラスされない人は。私はこれを言ったんです。
  123. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 短期間でありますが、私もかつて民間の企業に勤め、そこの組合役員をしておった時期がございます。そして、確かに私ども所属しておりました会社でも、自発的な勤務時間外の活動というのはそれなりにその職員を評価する対象になっておった記憶がございます。そしてその当時、必ずしも私どもはその部分について余り議論をした覚えがありません。ただ、今安恒委員が御指摘になりましたように、基準法違反の疑いもある状況の中での判断となりますと、これはおのずから私は別な議論もあろうと思います。
  124. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、一般論の話をしているんじゃないんですよ。国鉄職員をはかさせなきゃならぬときの評価にこういうことを入れて雇うんですかというんですよ。あなたたちは雇ってもらわなきゃならぬ方でしょうが、雇ってもらわなきゃならぬ方が労働基準法違反の疑いのあることをやっておって、切符を売りに行ったから、いいことだからこの人だけは丸をつけておこう、そして最後はこれにずっと——この評価表をあなたも見ておられると思うが、こういうことになるんですよ。そんなことをして受け取るんですか。だから私は大前提を聞いたんです、あなたたちに。  こんなことに、今までの答弁があるからといってこだわることはないんですよ。おかしな点はおかしな点として、やっぱりできるだけ国鉄職員が一日も早くみんな新しい職場に入れるようにお互いが考えてやるべきじゃないですか。そのときに時間外の切符を売った人のことについてまでどうしてあなたたちはこだわるんですか。冗談じゃないよ。
  125. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いや、ですから、私はこだわっておりません。そういう角度で考えたことがありませんでしたと。ただ、基準法という問題の御指摘を受ければ、確かにそういうことだなと思いますと率直に委員の御質問を私は肯定したつもりなんですが。
  126. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。  それじゃ総裁どうですか。あなたもそうでしょう。一名でも早く再就職させなきゃならぬというときに、基準法の疑いすらあることについて、大臣はもうこだわらぬと、こうおっしゃったんですが、総裁どうですか。
  127. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 選定に当たりましての考え方としましては、先生が先ほどからおっしゃっているように、やはり客観的、公正な中身でなければならないというようなことは私十分理解いたします。そうした観点でこれからも評価をしていきたいと思います。
  128. 安恒良一

    安恒良一君 この点、大臣の答弁ははっきりしておりますが、きょうのところ総裁がはっきりしませんから、これは改めてまた詰めることにしましょう。大臣ははっきりしていますが、総裁の方が。私ははっきりしてもらいたいと思うんですよ、そのぐらいのところは。今言ったようなこと、これを総裁、のけられたことによってあなたのところの管理調書の総体が崩れるんですか。崩れるんじゃないでしょう。私は管理調書そのものがおかしいと思っているんです。思っていますが、その中で特におかしいところをあなたに今私は——大臣もそう言われているんですし、その点はどうですか、総裁、そんなこだわることはないでしょう。
  129. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 先ほど申しました基本的な考え方はそうでございますが、先生の御趣旨を体しまして対処したいと思います。
  130. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。それではこの問題は解決しました。  次に行きます。  同じこの調書の中に「勤務時間中の組合活動」というのがございます。最高裁の判例によりましても、勤務時間中の組合活動でも使用者が認めたものは正当となっております。そこで、調書にはまさか使用者が認めた組合活動は含まれていないと思いますが、どうでしょうか。
  131. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 職員組合活動に関する協約というのがございます。それで認めておるもの以外の組合活動、これは勤務時間中というふうに認識をしておるところでございます。
  132. 安恒良一

    安恒良一君 勤務時間中の組合活動に関する協定があることは私存じています。  そうしますと、それ以外ということになりますと、管理者は協約以外の組合活動を時間内に行っている者がいたならば注意等の処置はとっているはずだ、まさか黙認をしていることはないでしょうね。
  133. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 御指摘のように、勤務時間中の組合活動につきましては厳に戒めておるところでありますから、管理者は目の届く限り注意、指導を行っており、黙認している事実はないと思います。
  134. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。  それでは、この職務時間中の組合活動を行っていると評定された者についてはすべて記録がありますか。記録がすべて正確に全員にございますか。それをお聞かせください。
  135. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 個々の現場で若干のニュアンスの違いがあろうかと思いますが、できるだけきめ細かく職員管理台帳にそれぞれ記載をしているというふうに私は聞いております。
  136. 安恒良一

    安恒良一君 これもうそですね。すべて記録があるわけじゃありません、私ども調査では。記録されたところもありますよ、記録されていないところもあるわけです。記録がない場合には私はやっぱり恣意が入るおそれがある、客観性に欠けると思うんです。例えば、この調書を見ますと、「評定事項」のところに、しばしば行う、多い等々のたくさんの表現が用いられています。  それならお聞きしましょう。組合活動について、しばしば行うと行うことがあるとの差は、年に何回ぐらいはしばしば行うことになるんですか。それならその基準数字で示していただきたい。こういう評定の中に、しばしば行う、多い、何々することがあると。私から言わせれば記録がないからそれはできないと思うんですよ。記録なんかないからできないんです。しかしこれは、しばしば行う、行うことがある、こういうふうに書いてありますが、年に何回行う人をしばしば行うと言うんでしょうか。
  137. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 勤務時間内の組合活動といいましてもその態様は非常に多岐にわたっております。したがいましてそれは、一回一回というその回数そのものが客観的な基準であるというような基準を設けることはできません。やはりそれぞれの現場の責任者が自分で判断をするということに相なろうと思います。
  138. 安恒良一

    安恒良一君 これはまた大臣、大変なことですね、回数じゃないと言うんだから。しばしば行うとか多いとか云々と。それで、それは何で判断するかと聞いたら、回数じゃないんだ、現場の職制が判断する。現場の職制の数は今さっき言われましたね、三万人、それぞれが判断するんですよ。それで本当に客観的、公正なことになるんでしょうか。これは記録がきちっとあるなら私は別だと思いますよ、何回、何時から何時の間に勤務時間中にやったという記録かきちっとあるならば。それを評価の基準にしようと思えば、評価することの云々、いい悪いは別にして、できると私は思うんですね。ところが、記録がないところもたくさんあるんですね。それで回数じゃないと言うんです、回数じゃないと。何でやるのかといったら、現場の三万人の人が判断する。  私は、何回も言っているように、なぜ私がこんなことにこだわるかというのは、こういう客観性や公正さのないものによって、本人が新会社に採用されるかされないか、民間会社に行けるか行けないか、国家公務員になれるかなれないかの重要な採用基準の一つにこれがなるんですよ、判断に、管理調書というものが。ここのところを、そちらさんの記録が不正確な、もしくは恣意が入るもので評価して、結局新規採用を妨げたって余り意味がないんじゃないでしょうか。  私は、ここのところについて、いわゆる職員管理調書というものの扱いについてどういうふうにされるのですか。こんな問題点のあるものをそっくり雇い主のところに全部送って、これでございます、これでひとつ雇ってくださいとあなたたちはやるつもりなんですか。そこのところを聞かせてください。
  139. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今の勤務時間内の問題につきましては、私どもは私どもなりにこれはデータをとってその上で判断をしているというふうに思っておりますが、ただいま先生から問題を提起されたわけでございまして、私どももそういった点も含めましてよく検討をし、それから職員管理調書、設立委員との関連における判断材料というものをどうしたらいいかということにつきましても、これは生のものをそのまま出すということをせずに、御趣旨どおり客観的、公正になるような、そうしたことで判断をしてまいりたいと思っております。
  140. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、職員管理調書をそのまま新会社の設立委員に提出すると御答弁を申したこともありませんし、また、すべきだと申したこともございません。そして、その考え方を今も変えてはおりません。  ただ私は、協定外の勤務時間内の組合活動というものが評価の対象にならないというのはやはりおかしいと思います。そうして、国鉄当局がどこまで客観的に見て公平な事実関係を把握しそれを評価に反映させているか、細部にわたって私は存じておるわけではありません。しかし、理論的には協定外の勤務時間内における組合活動というものは評価の対象になるべきものだろうと思います。
  141. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、評価の対象になるならぬというのは、正確なやっぱり記録がないとできないんですよ、これ。三万人の職制の人が、記録がない——ある分はわかるんですが、記録がないのに、頭の中で覚えておったり、おれは日ごろあれがときどきやっているからということで、三万人がまちまちにやられたんじゃ全然客観性がなくなるわけですね。いわゆる時間中に組合活動をした者を評価する場合には、あくまでも公正と客観性、それは記録が正確にあるということにおいて初めてあなたが言われたことにこれはなるわけでありまして、ここのところは、これだけで時間をとるわけにいきませんから、私の趣旨をきちっと体して、いずれまた最後の総括のときの議論にこの問題はある程度譲りたいと思います。  私は、何回も言っているように、新しく雇ってもらう、一日も早く全員を再就職させる、それがために客観性に欠けるとか公平性に欠けるというものはやっぱり除いた方がいいんだ。大臣もおっしゃったように、健康、年齢、適性等、この中で私はやられてできるだけ、この人間はこういうことだと言ってレッテルを張ったら、レッテルを張った人はもらい手がないんですよ。そんな人がたくさん残ったらどうしますか。これからこの次の質問で、三年たって雇われなかった人はどうしますかと言ったら恐らく、三年以内に全部雇わせますとあなたは言いますよ。恐らくこれからこの次の問答ではそう言うでしょう。全部雇わせますと言いながら、一方においてはレッテルをこう張っていくんですね。官房長官、後ろで笑って聞いておられますよ。それはやっぱりレッテルを張ったらなかなか雇わないんです、総理、本当、レッテルを張りましたら。ですから、できるだけいわゆる適性等のところで公正、公平なものがないと、それはもうあなた、レッテルを張られたんじゃとてもたまったものじゃないんですわ、これは雇い手がありませんから。ここのところは重ねて私の趣旨をきちっと申し上げておきまして、まだほかのこともやらなきゃなりませんので完全には詰まりませんでした。詰まりませんでしたが、これは後で改めて議論することにいたしましょう。  そこで、次はいよいよ再就職先の確保についてであります。これが非常に重要であります。まず、このことはもう確認するまでもありませんが、総理にここだけお聞きしておきます。一人の職員も路頭に迷わせることがないように万全を期す、このことは総理が何回も言明されておりますが、その点はよろしゅうございますか、総理、聞かしてください。
  142. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そういう決心で努力いたしております。
  143. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、同僚議員の質問によりまして、各省が採用していただく数字については資料をいただきました。ところが、組合員の希望は非常にやはり公的部門が多いのであります。そこで、国の一万三千名についてはこの前同僚議員の質問で計画表をいただきましたのでこれは完全に守られるものだと私は信じ、またそうしていただかなきゃならぬと思います。また、その場合においてもいわゆる前倒し一括採用、そしてあとは欠員に応じてこの三年以内にできるだけ早い機会に各省に入っていく、一応一括採用していただいて、採用内定を決めていただいて、そして年次ごとにこれは入っていけるものだと、こういうふうは私は同僚議員の質問、その後の委員会理事会の詰めで、公的部門の中の国の一万三千名についてはそう考えます。  そこで、あと問題になるのは特殊法人五千五百、それから地方公共団体の一万一千五百、これについても自治大臣からこの前一括採用並びに数字を同僚議員のところで聞きました。ですからその中身をダブって聞く必要はありませんが、しかしまだ完全に目標に達していると思いません、率直に言って地方自治団体の場合、特殊法人の場合。でありますから、少なくともこのほかに民間にも採用してもらわなきゃなりません。民間は今非常に雇用不安が起こっております。そういう中において、まず公的部門についてこれがきちっと採用されるということが民間における雇用促進を私は促すことになると思いますから、この点が私はまだ不十分だと思います。そこで、特殊法人、これはもうきょうお集まりの各大臣全部に関係しますね。それぞれ特殊法人があります。それから地方自治体は自治大臣関係いたします。ここにおいては、今総理がおっしゃいましたように公的部門における採用をまず優先的にやる。そしてできれば前倒し一括採用する、この数は間違いなくやるんだ、このことについての考え方を御説明ください。官房長官が全体の特殊法人を代表してひとつ、それから地方自治体は自治大臣、どうぞひとつ。
  144. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) 特殊法人関係、便宜、我が人事局で取りまとめておりますので、私の方からちょっと御説明いたします。  特殊法人、先ほどの九月十二日の閣議決定で五千五百という目標数が設定されております。現在までのところ、新たな清算事業団も含めて五千という数がいわば申し出としてなされているわけでございます。残り五百でございますが、これは正直に申しまして私どもの立場でいきますと、各省に対するのと違いましてお願いすると、それも所管省を通じてお願いしていくというスタイルになっております。したがって、きちっとした数を算定してこれが目標だという方式には至りませんが、国の場合に準じてやっていただくようにということで各省に強くお願いしているところでございます。
  145. 玉置和郎

    国務大臣(玉置和郎君) 安恒先生ね、我々考えていかなきゃいかぬのは、これだけあなた方が一生懸命になって国鉄職員の再就職の問題を議論しておられる、しかも誠心誠意やっておられる。しかし、私があちこちでいろいろお話をしに行ったりまた聞かされたりする中で、これだけ真剣に与野党が一致して国鉄職員の再雇用、これを約束しておられる。それはなぜかといったら、国鉄の再建というものは行革の中で最大のものであるということで総務庁も、減らせ減らせという総務庁が今度一四%各省に振り充てるんですからね、大変なことですよ。その中で、いまだに赤旗を振ってそして実力行使をしようというふうなものが放送される、これは国民にとっては、民間では今減量体制をとっておる、非常に私は話を聞いてみて納得できるところがある、この辺をお互いがやはりよくそういう人たちは対して理解をしてもらって、そして国鉄再建に協力してもらわないとこれはなかなか難しいですよ。それは三年先とかなんとかいったって、最後はやっぱり採用する人の立場がある。  しかしその中で、総理が言われるように最大限の努力をするということでございますので、総務庁のやり方もひとつしっかり見守っていただきまして、私は最大限の努力をするように指示をいたしておりますので、御了承を願いたいと思います。
  146. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 本年九月十二日に閣議決定されました国鉄職員の再就職計画におきます地方公共団体分は、目標数としまして一万一千五百人でございますが、これに対しまして東京都が千二百五十人を初め、大阪府が四百五十人、北海道が三百八十人、愛知県が三百五十人、埼玉県、神奈川県、新潟県が各三百人など、各団体におきまして受け入れ表明が相次いでおりまして、十一月十日現在で、昭和六十一年から六十五年当初までの間で約一万二百人の受け入れの申し出が国鉄に対してなされているところでございまして、地方公共団体におきます国鉄職員の受け入れは非常に協力的な姿勢のもとで比較的順調に進んでいると考えているところでございます。今後とも地方公共団体におきます雇用の場の確保につきまして引き続き努力してまいりたいと思います。
  147. 安恒良一

    安恒良一君 それから、これは私の希望として申し上げておきますから。六十一年度以降の採用分についてはできるだけ一括採用方式をとってもらいたい。そして、採用が決定して清算事業団の中に待機するということにひとつ努力していただきたい、これが一つです。  それから公的部門には試験を受けたいという人が非常に多いんですよね。ところが、この前ちょっと聞きましたら、自治大臣は地方自治体は五倍で限定しているということのやりとりございましたね。私はやっぱりこれ五倍で限定するのは間違いだと思うんです。原則として希望者全員が受けられる、その中でそちらさん側がこの人を採りたいとしないと、これはこの前言われていますからここのところはきょうはペンディングにしておきますから、いわゆる最後の詰めのときの議論になりますから、その二つの点についてはぜひ御努力を願いたいということで、両大臣とも答弁は要りません。御努力を願いたいということで答弁は要りません。私の気持ちを伝えておきます。  そこで、今度は民間企業の場合ですが、これは非常に大変なんです、民間企業は。というのは、今のところ民間企業で不況産業は、運輸大臣所管に基づく造船もありますね、それから通産大臣の鉄鋼ですね、それからもう自動車、電機、それからいわゆる地下鉱山ですね、石炭、金属鉱山。だだけれども、北海道なんかはそのほかにいわゆる漁業関係がございますね。しかし、そういうところでも全部雇ってもらわなきゃならぬということになりますね。それからこの前同僚議員の質問にもありましたが、雇ってもらうのはいいんですが、賃金が極端に下がったんじゃこれもまた困っちゃうわけですよね、労働条件が。だから賃金等は、地場賃金というのがありますが、できるだけ国鉄時代の賃金との関係を持つ、こういうふうに保障ができるということで雇ってほしいという希望を一方は持つわけです。  そこで、どうしても再就職促進するためにはいわゆる国鉄等の職員雇用助成金ですね、これは私は民間の再就職を促すために雇い入れ事業主に対する助成措置が必要だと思う。こうした観点から、再就職促進するために、例えば国鉄職員雇用助成金を設定すべきであるというふうに私は考えますが、この点は労働大臣運輸大臣、大蔵大臣、御答弁をお願いいたします。
  148. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) ただいま御指摘の問題は、清算事業団職員を雇い入れる事業主に対していかような助成、援助をするかと、こういう御趣旨でございますが、現在雇用奨励等のための措置について急いで検討をいたしております。その具体的な内容ということになりますると、各種雇用対策上の給付金等もございますので、それらを参考にいたしながら御趣旨の方向で進めておるということであります。
  149. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員が御指摘になりましたような心配を私ども持っております。そこで、国鉄清算事業団の来年度予算概算要求の中に、私どもは同種のものを今大蔵省に要求をいたしております。
  150. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 関係省の間の意見をいろいろ伺いまして、要すれば予算編成の過程で考えてまいります。
  151. 安恒良一

    安恒良一君 それぞれ大臣答弁がございましたから、やはり民間が受け入れやすいように何らかの法対策をぜひ総理の御指導のもとに、今それぞれ関係大臣が、労働省は労働省なりに準備している、運輸大臣運輸大臣なりにやっておられますから、総理、その点は御指導いただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  152. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御趣旨はよく理解できますから、十分検討いたしたいと思います。
  153. 安恒良一

    安恒良一君 次に、これは労働大臣運輸大臣にちょっとお聞きしたいんですが、北海道、九州の特別対策ですね。今言ったことは、北海道、九州以外でも民間の経営者が雇うわけですから。ところが北海道、九州は、地域的において雇用情勢が極めて悪いわけですよ、極めて悪い。ところが、残念なことに北海道、九州が一番これまた国鉄職員は余剰になると、こうなるわけですよね。加えて、例えば石炭なら石炭は北海道、九州に。これはこっちにはないわけですから。それから漁業関係、北海道と、こう来ますね。鉄鋼と、こういうふうに。だから、これは北海道、九州の再就職というのは大変なことだと思います。  そこで、この地域については特別な配慮が必要ではないだろうかと考えますが、この点についてひとつ。私はここのところは、例えば一つの例を挙げると、三年というのを五年になだらかにするということもありますが、このことについては、いや、三年以内に全部雇わせると、こうおっしゃると思いますから、そうなるとやっぱり特別的な配慮をするということだけはここでお約束を願っておかないと、私は北海道、九州はさばけないと思う、これは。非常に、何も国鉄だけじゃなくて民間のほかの方も全部余ってきますから。そうすると、今でもいわゆる失業率は高いし、それから求人率は非常に低いんですね。そういうところにこれだけ大量が余っていくわけですから、その意味においてはこの二地域についてはやはり特別な何か対策を立てなきゃならぬと思いますが、その点どうでしょうか。
  154. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは私とすれば大変ありがたい御指摘でありまして、実は今国鉄を去っていただかなければならない方々の対応に追われておりますけれども、私自身の所管からいきましても、造船もありますし、内航海運、近航海運、海運全体の雇用問題もございます。そして北海道、九州地区において苦慮いたしておることも事実でありまして、むしろ国鉄の雇用対策というものを離れて総合的な対応ができれば本当に私としても幸せであります。
  155. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) ただいま御指摘ございました、これは私も順次業種をあげつらうのはつらいのでございますけれども、造船、石炭、鉄鋼、非鉄、漁業その他、当委員会でも申し上げましたように、大体特定不況地域指定では三分の二が集中しておるような状況でございまして、そういう意味では既に委員会安恒委員も全般の不況対況の中で御指摘ございましたように、もうとにかく北海道、九州というものを念頭に置きましてこの地域対策、通常国会に向けて総合的な雇用開発総合政策を今検討いたしておりますので、その方向で御理解をいただきたいと思っております。
  156. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ、この前の予算委員会の私の質問にも、その後総理からも各省に御指示がいろいろあっているようですから、次の通常国会には北海道、九州等を含めた特に失業状態の多いところにおける特別対策、特別立法的なものが提案をされ、私たちが審議できるものだと、こういうふうに思いますから、ぜひ特別対策をお考え願いたいと思います。  それから、それを御相談願うときにその中で一つ考えておってほしいことを私の意見として申し上げておきますが、国鉄職員の雇用助成金を全般的に出すやつについては御検討願っていますが、その場合に地域的に雇用の特に悪いところにはさらに特別助成金を支給するというのも一つの方法だと思います。いま一つの方法は、国鉄職員を雇い入れる事業主に対して、その事業主が雇い入れをふやすことによって事業をある程度拡大をする、雇用を拡大するために。それのためには必要なお金が要る、資金が要る。そういう場合の資金の補助とかあっせん、こういうことについても、雇用拡大のためにいわゆる民間の事業主が国鉄職員を引き受けて、今までの自分のところの事業規模ではとても引き受けられぬ、少し新しい事業にも手を出してやっていこうという場合にはそれなりに資金が要るわけですから、だからこれの資金の補助、あっせん等の措置を講ずるなど多角的に考えて再就職の道を考えないと、私は、総理がたびたび言明されている、一人も路頭に迷わせない、どんなに遅くても三年以内にはすべて再就職の道を講ずるということはなかなか困難だろうと思いますので、そういう点についても御検討をしていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。検討していただきたい。
  157. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、特に雇用率の低い地域における特別な雇用給付金というのは必ずしもいい形ではないように思います。ただ、二点目の御指摘につきましては、これは私今まで考えたことがありませんでしたので、なるほどと思いますし、勉強させていただきたいと思います。
  158. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、もう私の質問時間が少なくなりましたので、ちょっと順序を変えまして、前回同僚議員から指摘をされましたいわゆる長野県県内三分割と支社設置問題について聞きたいと思いますが、前回同僚議員から長野県が三つに分割をされる。それで調整機能を有する支社の問題について、調整機能が必要というところまでいきましたが、時間が切れて十分な質問ができませんでした。そこで、重ねて前回の質問に引き継ぐものとして聞いていただきたい。  私は端的に言いますが、県内三分割についてはどうしても調整機能が要る、そこで調整機能を有する支社を設置してもらいたい、こういうふうに思いますが、運輸省側の答弁を聞かせてください。
  159. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先日御論議を伺っておりまして、私もなるほどな、ただ、その場合に、東日本会社の支社という御論議がありましたが、東日本がいいのかどこがいいのかというのはちょっと私も今判断がつきませんけれども、なるほど新会社が設立されました段階でこういうことは考えなければいけないポイントの一つだと思います。御指摘の点を十分認識した上で今後私どもも十分検討させていただきますと同時に、設立委員についても本日並びに先日の御論議の趣旨を十分伝えてまいりたいと、そのように思います。
  160. 安恒良一

    安恒良一君 それからいよいよ長期債務土地処分に入って、私は率直に言ってこういうパネルまで用意してじっくりやろうと思ったんですが、もう持ち時間が十二時十五分までしかございません。そこで、私はまた改めた機会に長期債務処理土地問題、清算事業団における長期債務のあり方については触れたいと思いますので、先に関連として土地問題についての関連がございますから、委員長関連をお許し願いたいと思います。
  161. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 関連質疑を許します。山口君。
  162. 山口哲夫

    山口哲夫君 地方自治体が行う都市の再開発の問題と国鉄用地の払い下げについて運輸大臣質問いたします。  今国土庁では首都圏の基本計画というのをつくっております。それから建設省では新都市拠点整備事業というのを進めております。これは国家の大変な大きな事業だと思いますけれども、こういう二つの計画に対してそれぞれ調査地区あるいは事業地区が指定をされております。この指定された計画の中に国鉄用地が相当含まれておるわけでありますけれども、この国鉄用地を、それぞれの事業を進める自治体に対して適正価格で随意契約によって優先的に払い下げるべきである、かように考えております。もしこれが公開入札で仮に民間に売却されるということになりますと、せっかくのこの計画が実行できないという事態も生じてまいると思います。そうしますと、政府として計画して自治体にやらせておるものが政府の考えでそれを実際に進められなくなって計画が御破算になってしまうという、そういう矛盾が出てくると思うわけであります。  これらの事業というのは、まさに百年に一度あるかないかの地域にとっては大変大きな事業、計画でございまして、その地域の文化や経済を高めるために行われているところでございます。そういう考え方に立つならば、運輸省として、運輸大臣としてこれはぜひ、そういう政府が指定している事業に対しては優先的に土地を随意契約で払い下げするということについてお考えを示していただきたいと思います。
  163. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員が例示で挙げられました以外にも、各省庁さまざまな形で国鉄用地をも含む作業を検討しておられる事実は存じております。また、私の立場から申しますならば、殊に清算事業団において売却を予定するそれぞれの国鉄用地につきまして、関係各省庁が大変付加価値を高めていただいているという意味で、これらの事業についても大変結構なことだと思います。  ただ同時に、これは委員に申し上げるまでもないことでありますが、この用地を処分いたしますのは国民に最終的に御負担を願う金額を少しでも減らそうとして売却をしていくわけでありますから、こうした点も十分頭に入れていただかなければなりません。また、地方自治体が御計画になっておるというお話の中、私も幾つかの例を存じておりますけれども、民間の開発業者と地方自治体が提携をして計画をお組みになっておられるようなものは、私は、今委員がお話しになりましたような形で処分をいたしました場合には、むしろ国民からは不公正のそしりを受ける可能性すら大きいものだと思います。現に地方自治体が公正な理由を持って国鉄用地を随意契約で払い下げを受けながら、旬日を経ずして転売をしたようなケースも何回かマスコミの紙面をにぎわし、また院における御論議の中でも厳しい御指摘をいただいておるわけであります。  私どもからすれば、この用地処分と申しますものについては、まず第一に将来国民に御負担を願わなければならなくなる金額を少しでも減らすということが大前提でありますし、またこの用地処分というものについては、国民から公平公正という視点で見て毫も疑いを持たれるようなことがあってはなりません。その場合に、今委員の御指摘ではありますけれども、私は地方公共団体といえども、例えば民間企業と提携をしその力をかりて開発を予定するようなものに対して随意契約をすることは、国民に喜ばれる処分方法だとは考えておりません。  何度も申し上げておりますように、私どもはあくまでも公開競争入札というものを前提にし、その入札の姿が国民の目に明らかな姿でこれを処分していくことを原則にいたしております。そして地方自治体の御要望の中で例えば道路敷地とか、はっきりした目標のものについて随意契約で処分することはありましょうけれども、これも最終的に国民の御負担を考えれば適正な時価で購入をいただくことが当然であると考えております。
  164. 山口哲夫

    山口哲夫君 国民の負担を減らすために適正な価格で処分をする、当然であります。だから、私も適正な価格でこれは処分をするべきだと、こう言っているわけであります。それで、民間と組んで事業を進めることに対する売却が何か国民の目から見るならば納得できない点があるのじゃないか、こういうことをお答えしておりますけれども、私はそれはおかしいと思う。なぜならば、冒頭に申し上げたように、国土庁や建設省が国家的な事業として計画をしている、それに自治体が乗って地域の文化や経済を進めるために百年の大計としてやろうとする、まさに地域住民の納得の上でやっている事業であります。それを国鉄用地を払い下げなかったために百年の大計を誤らせるようなことを政府自体が行うことがおかしいではないかと言っているわけであります。ですから、これは運輸大臣がよくお答えになっているように、極めて公共的な、最も公共的なものであろうと思うわけであります。もう一度答えてください。
  165. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ですから、私が今申し上げておりますように、国民が本当に納得をされるものであればそういうこともそれは考えられるのかもしれないと思います。しかし、今まで衆議院並びに本院におきまして、むしろそうした点に対しては私どもは厳しい御指摘を受けてきたわけであります。そして地方公共団体の転売された、地方公共団体が随意契約として地方公共団体の用にまさに地域住民のためにといって払い下げを受けられたものを転売をされて、地方自治体が不当な利益を上げられたケースを追及されてきているわけであります。そういう事実も私は踏まえなければなりません。  しかし、具体的な処分は清算事業団に設けられます資産処分審議会において検討されることになりますが、地元の土地の利用計画等々につきましても、私は具体的にはその調整というものがその場で行われるとは思います。しかし原則としては私はきちんとすべきルールはきちんとしておきたいと考えておりまして、これはやはり国民がどなたがごらんになっても納得のいけるという形のものであることがベストであると思っております。
  166. 山口哲夫

    山口哲夫君 自治体に売却したものが別なところに転売されている、こういう事実は確かにありますね。これは国鉄の売却のときに問題があると思うんです。なぜ禁止事項をきちっとつけておかないんですか。そういうことをきちっとやっておけば、自治体が転売したときにはそれを当然取り上げればいいじゃないですか。そういうことぐらいはこれは事務的にできるはずです。だから、私たちはそういうことのないようにきちっと契約条項の中に入れる中で、一番大事なことは、百年に一度あるかないかのようなこういう公共的なものに対しては政府全体として考えるべきだ、こういうふうに言っているわけです。  総理にお聞きしますけれども、あなたは十月の九日の衆議院の特別委員会でこうおっしゃっております。「地方公共団体のような公共性、公益性を持っているものについてはこれは指名ということも、随意契約ということもあり得る」、全く私はこれは正しいと思うんです、この方針は。こういう政府の部内において進めている、国土庁、建設省が指定してやっている事業というものは、これは公共性の中の最も公共性ある性格のものだと思うんです。だから、総理がおっしゃっているように、この公共性、公益性を持つものに対しては当然随意契約を考えていくということをお答えになっておりますので、そういう総理のお答えの中には今言ったような国土庁、建設省が進めているようなこういう事業地域についても当然含まれるというふうに解釈してよろしいですね。
  167. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 運輸大臣が申しておられるのは公正ということなんですね。やはり国民の財産ですから、これが公正に処分されるということは我々当局としては最大限考えなきゃならぬことで、まず公正一本やりと。公正ということを確保する一番身近な方法は競争入札をやらせるということなんで、これはもうガラス張りで国民の見ている前でやれるわけですから、疑惑の生まれる余地はない。ですから、それを原則として、それを基本として考えているということは当然のことで、私は正しいと思っておるんです。  ただ、例外的に公共団体、地方公共団体がやるような場合で、そして政府もなるほどこれはそうだなと考えるようなものがないとは限らない。今おっしゃったような百年に一遍というようなものもあるいは場所によってはあるかもしれぬ。そういう問題につきましてはいずれこれは清算事業団の審議会で全部審査することでございますけれども、そういう、物によっては今のような公共性を考えて例外をつくるということもなきにしもあらずである、そういう余地は私は残しておこうと。しかし、原則は運輸大臣が言ったような原則で公正にやらなけりゃならぬ、そう思っておるんです。  今のような例外的にやるという場合でも、これはいろいろ条件をつけなきゃならぬですね。それはもうあなたがおっしゃったようなのも一つの条件、そのほか幾つかの条件があり得ると思います。そういうようなちゃんとした歯どめをかけてその場合にはやる必要はある、そういうこともこの際申し添えておきたいと思います。
  168. 山口哲夫

    山口哲夫君 どうもはっきりしないんですけれどもね。建設大臣と国土庁の長官にそれじゃお聞きします。  建設省の方として、今新都市拠点整備事業というのを進めていますね。これは大変いい事業だと私は思っているんです。この事業を進めるために、国鉄用地を確保しないで進められますか。私はできないと思うんです。そういう点について、どうですか。
  169. 天野光晴

    国務大臣(天野光晴君) お答えしますが、進められるものも進められないものもあります。そういう点で、地主さんの方のやっぱり御意見がしっかりしないと私たちの計画が完全にそれに乗り切っていくということはちょっと難しいんじゃないかと思っております。私の土地に対する心配は、そのことよりも、国有地を処分するのが地価暴騰につながるようであっては困るということだけを心配しております。
  170. 山口哲夫

    山口哲夫君 国土庁長官どうですか。
  171. 綿貫民輔

    国務大臣(綿貫民輔君) 国鉄の用地処分につきましては、国民の負担を軽減するという運輸大臣の御方針は理解できるところでございます。我々といたしましては、残されたこの国鉄の用地というものは非常に貴重な空間でございまして、各地域において最も適切に、また適正な価格でこれが処分されることを望んでおる次第でございまして、関係省庁と十分協議をしてまいりたいと考えています。
  172. 山口哲夫

    山口哲夫君 そういうことをお聞きしているのでないんです。首都圏基本計画という大変大きな計画を持っておりますね。これを実際に進めるために、国鉄用地を全然手に入れないでできるんですかということを聞いているんです。
  173. 柳晃

    政府委員(柳晃君) 本年の六月に策定いたしました首都圏の基本計画は首都圏全体を扱っておりますので、その中にはいろんな国鉄用地で売却の対象になっているものもございます。それぞれの地域につきましていろいろな意味合いがございますので首都圏基本計画と国鉄用地とが一律にこうだということを申し上げることはできませんが、その中の特に都市の拠点的あるいは重要な空間となるものにつきましては、その有効活用を図るため、国鉄改革の方向とよく調整を図りながら、例えば私ども国土庁で持っております国土総合開発事業調整費を使いまして調査をして、関係省庁あるいは地方自治体あるいは国鉄等との間で協議をして望ましい利用計画をつくっていくというのも一つの方法かということで、汐留とか新宿とか幾つか実例を持っておる次第でございます。
  174. 山口哲夫

    山口哲夫君 それじゃ具体的に聞きますけれども、汐留とかあるいは大宮の操車場とか、ほとんどが国鉄用地を中心にして計画している事業があるわけでしょう。これは国鉄用地が手に入らないで指定した事業が進められますかと言っている。どうですか、具体的に答えてくださいよ、ほとんど一〇〇%国鉄用地でないんですか。
  175. 天野光晴

    国務大臣(天野光晴君) 建設に国鉄が放出する土地を利用するということは一番重要でありますし、その点については各省庁話し合いをしておる最中でありまして、まだ法律化はしていないのであります。そうですから、この法案が通った暁において、この問題は各省庁とも連携をとりまして、少なくとも国民から指弾を受けるようなことはしないつもりでございますから、よろしく御了承を願いたいと思います。
  176. 山口哲夫

    山口哲夫君 時間が参りましたので残念ながら最後に要望しておきたいと思います。  総理大臣に特にお願いしておきたいんですけれども、今大臣が答えたように、国鉄用地を大部分使って今建設省や国土庁が指定している事業を自治体が進めようとしているわけです。だから、これが手に入らないとすると、せっかく政府の部内で計画したことが全然進まないということになるわけです。私はこれは極めて公共性の高い事業だと思うんです。そういうことからいけば当然こういうところには優先的に、総理のおっしゃっているように、払い下げを随意契約で適正価格でするべきである、こういうふうに考えておりますので、ぜひそういう方法を今後閣内で統一してとっていただきたい、そう思いますし、今総理がおっしゃった公正という言葉は、これは私は、公開入札をやって民間に高いところに落としたから公正だなんて、そういうことはおかしいと思う。  国全体として今どういうことを、日本の経済、文化を高めるためにやろうかとするこの一大事業を進めるためほ、価格が適正であったならば、ちょっと高いところに落ちたからといって公正なんということにはならないと思うんです。私は、やっぱりこれは政府全体として、日本のこの狭い国土をどう利用を高めていくか、経済、文化を高めるために使っていくかということは政府全体の問題だと思うんです。そういうことを考えたら、総理がおっしゃっているようにこれほど公共性、公益性を持っているものはないと思いますので、ぜひひとつそういう配慮をそれぞれの事業を進める自治体に対してとっていただきたい、このことを強く要望して終わります。
  177. 安恒良一

    安恒良一君 もう私の持ち時間が五分になりました。  そこで、締めくくり的にいずれまた時間をとって私は長期債務問題、土地問題、清算事業団問題をやりたいと思います。  ただ、それに当たって御検討をぜひお願いしておきたいことだけ申し上げておきたいと思いますが、今も同僚議員から話がありましたように、国鉄は公共交通機関としての通勤通学の足を守ってきたと同時に、今日までの日本の文化を私は支えてきたと思います、率直に言って。このことは今までの同僚議員に対する総理等のいろいろな答弁の中にもそれがにじみ出ています。そこで、そういう状況の中でこの国鉄を再建するに当たってこの十四兆六千億という膨大な長期債務処理と深いかかわりを持つのが、そしてそのことは国民負担とも深いかかわりを持つのが、土地の処分の仕方なんであります。でありますから、私はこの土地の処分をするときに公正な競争入札で、橋本運輸大臣はできるだけ高くとおっしゃいませんが、できるだけやっぱり高く売りたいということだろうと思いますね。その一面は私はそれは一つ重要な側面だと思います。しかしその反面、一方大都市における地価の高騰に拍車をかけてはいけないという一面も重要な、建設大臣、国土庁が言われたこともあるわけで、そうなりますと橋本大臣、少し御研究賜りたいのは、やはり総理もある程度言われていますところの、例えば本当に公共のために必要なものは随意契約もあり得るじゃないか、もしくはこの前衆議院の中で信託制という問題もありました。  私はこの次、信託制でどれだけメリットがあるかというのを具体例を出してしたいと思いますが、そんな問題をやはり含めて私はそこのところはお考えくださることがいいんじゃないか。公正ということで公開入札で入札にかければ高く売れることは間違いありません、それは、入札だから競り合いますから。しかしそれだけで、今日の国鉄が国民の文化を支えてきた、しかもその土地を処分する、その土地の処分の仕方いかんによれば国民の負担がどうなるかという極めてこれは難しいところですね。しかし一面においては、今申し上げたようにこれより以上土地がどんどん高騰したら国民は勤労意欲を失いますよ、国民全体が勤労意欲を。ばかげた話で、百坪が二十億や三十億で今日売れるのですよ。たまたま資産相続を百坪したら二十億で売れたという話、最近幾らでもあるわけですね。これでは私はやっぱり問題があると思います。  ですから、ここのところは、私は政府として全体でもう一回今国鉄土地の処分の仕方についてはお考えくださることが必要だということを申し上げて、きょうは終わりにいたします。
  178. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後一時十分に委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時十三分休憩      ─────・─────    午後一時十一分開会
  179. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 日本国有鉄道改革に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、各案について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  180. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 分割・民営というこの問題に対しましていろいろの心配がございますけれども、何といっても、うちの地方から鉄道が消えちゃうんじゃないかというような深刻な心配がございます。まず最初に私、路線問題について伺ってまいりたいと思います。  分割・民営化に当たりまして、監理委員会の答申は、鉄道事業の特性分野としての大都市圏輸送、そして地方主要都市圏、そして中距離の都市間輸送と、こういうふうに三つの分野があるとおっしゃったわけでございますけれども、この三つの分野に入る線区はどこどこで、そしてその営業キロはどれくらいになるのかと、まず最初にお伺いしたいと思います。
  181. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 大都市圏輸送でございますが、線区名は省略いたしますが、首都圏、関西圏、中京圏内の各線区の輸送、これが該当すると。それから二番目に地方主要都市圏輸送でございます。これはおおむね県庁所在都市及びその周辺地域におきます輸送がこれであろうと。それから三番目に中距離都市間旅客輸送。これは主要都市間を結ぶ輸送で、大体新幹線を含みます特急、急行列車の運転線区における輸送がこれは該当するであろうというふうに思います。
  182. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それ、わかって聞いたのよね。それをどの線で、大体合わせますと営業キロはどれくらいになりますかと。今おっしゃったのは私の質問を繰り返しただけじゃないですか。
  183. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 正確にこれを何キロというふうに把握はできませんが、概数で申し上げますと、第一番目の大都市圏輸送、これが約千七百キロ、それから第二番目の地方主要都市圏輸送、これが二千五百キロ、それから三番目の中距離都市間旅客輸送、これが一万八千キロというふうになるであろうと思います。
  184. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 わかりました。なるであろうということで伺っておきます。  それでは、別の角度から伺っていきたいと思いますけれども、この鉄道特性分野の対象というものは当然幹線は入ると思いますが、いかがでございますか。
  185. 須田寛

    説明員(須田寛君) 先生御指摘のように、当然幹線はほとんど入りますが、そのほかにも地方交通線におきましても、幹線への培養効果のございますものとか、培養効果——幹線を育てるための機能という意味でございます。それからあと特急や急行の動いているところもございますので、そういったものも入ろうかと存じます。
  186. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 では、恐れ入ります。その一部は入るというふうに、培養のためにとおっしゃったけれども、それは具体的にはどういうふうに考えたらいいんでしょうか。具体的に中身を教えてください。
  187. 須田寛

    説明員(須田寛君) お答え申し上げます。  例えば、地方交通線におきましても特急や急行列車の運転されている地域がございます。例えば、北海道でございますと約六百四十二キロ、それから東日本、東海、西日本の大体本州関係におきまして約千六百キロ程度、四国で百八十三キロ、九州で五百七十三キロ、こういった線区が地方交通線におきましてもこれからの都市間輸送としての機能を果たすべき線区と存じます。
  188. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ具体的に伺いますけれども、輸送密度でまいりますと、四千人未満の路線はどうなるというふうに考えたらよろしいでしょうか。
  189. 須田寛

    説明員(須田寛君) 四千人未満の路線におきましては、大部分が特定地方交通線ということでございますので、これからバス転換その他をお願いすることになると存じますが、四千人未満の線区におきましても非常に長距離のお客様の多いような線区につきましては今の概念は入るものもあろうかと存じます。
  190. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 特定地交線というものを除きますと、地交線は九十二線、約七千キロございます。そのうち四千人未満の地交線は五十一線、四千四百五十キロがございます。これは鉄道特性の範囲から外されるというふうになるのではないかと思います。いかがですか。
  191. 須田寛

    説明員(須田寛君) 線区の性格ないしはその果たしております役割等を個々に検討いたしまして、今先生のおっしゃったような線区になるものもあろうと思いますし、いわゆる転換対象になるものもあろうと存じます。これから新しい会社でそのまま育てて経営していくものにも分かれてまいると思います。
  192. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いろいろおっしゃいました。しかし、今までの御答弁を伺ってまいりますと、特性分野の範囲に入らないと、概念としては、ということになっていくと思うんです。  例えば、林政府委員がおっしゃっていましたけれども、約七千キロの地方交通線につきましては新会社がこれを抱えていくと。要するに新会社の事業範囲として将来にわたって鉄道事業を経営していく、維持していくという考え方であるというふうにお答えになっています。そうしますと、そのとおりみんな残るというふうに考えられるわけでございますけれども、今おっしゃったようないろいろな事情というものが出てまいります。鉄道事業法二十八条でいきますと、「運輸大臣は、当該休止又は廃止によって公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認められる場合を除き、」と、その場合を除いて休廃止の認可をしなければならないというふうに書かれているわけでございます。そういうバス等の代替輸送、また雪などのときのそういう事情というふうなことが解決すれば当然これは休廃止、バス転換の方がよろしい、地交線として残していくという考え方はないというふうに言われていると思うんですが、どうでしょうか。
  193. 林淳司

    政府委員(林淳司君) まず基本的に、今度の改革法案の第六条におきまして、先ほどから御議論になっております三つの特性分野があるわけでございますが、その三つの特性分野以外に「その他の地域輸送の分野において果たすべき役割にかんがみ、」と、こういうことで特性分野以外についても果たすべき役割があるという前提でこの改革法案はできておるわけでございます。  先ほど御議論のございました特定地方交通線以外の四千人未満の路線でございますが、これについては、まさにこの地域輸送の分野というのが非常に多いんじゃないかと思います。中には確かに地方主要都市圏の輸送を担うもの、あるいは場合によってはいわゆる都市間の輸送を担うもの、こういうものもあると思いますけれども、かなりの部分についてはいわゆるその他の地域輸送の分野を担うものであろうと思います。これについて四千人未満であるにもかかわらず特定地交線から除外しましたのは、まさに御指摘のように代替輸送道路がないとか、あるいはその他いろんな事情によって廃止が困難であるということでこれは残しているわけでございまして、これは新会社がそれを育成して抱えていこうという考え方に立っているわけでございます。  それで、将来代替輸送道路ができた、あるいはそういう障害要件と申しますか、そういうものがなくなった場合にはすべていわゆる廃止対象になるのかということでありますけれども、先ほど申しましたように、四千人未満でありましても、地方主要都市の輸送を担うものあるいは都市間の輸送を担うもの、あるいは地域輸送の分野においてそれぞれ重要な役割を担う線区もあると思います。したがいまして、それはケース・バイ・ケースでやはり判断をされる事項であろうというふうに思います。
  194. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ケース・バイ・ケースということは、非常にわかったようで具体的には客観的な基準というものがない。だから、やっぱり不安が残るということを言わざるを得ないと思うんです。  それじゃ、いろいろな例があるんだけれども、例えば一つの例を挙げてまいりますと、北海道に日高本線というのがございます。日高本線、百四十六・五キロ、苫小牧から様似—えりもに続くところですけれども、様似までこれは輸送密度が千百二十七人でした。これは地方交通線なんですが、廃止対象路線ではございません。ところで、今度の十一月ダイヤ改正を見ましたときに、急行でございますが、上下とも三本あったものが全廃、ゼロになってしまったわけです。そうしますと、さっき須田さんがおっしゃったけれども、おおむね急行などが走っているという線とおっしゃったけれども、こういうふうに十一月ダイヤ改正で切られてしまったということをはっきりさせたい。これは日高線だけではございませんで、留萌線、釧網線、それから参宮線、飯山、飯田線と、六つの線がございます。それで、分割・民営というものを予定した六十年三月で急行が停車していたのが除外されたというのを比べますと、この六線のほかに十二線あるわけですね。そうしますと、素直に考えますと、明らかに分割・民営の前に、今おっしゃった急行がとまっているという特性分野から外すというその準備がなされているのではないかと言わざるを得ないわけなんですよね。  そうしますと、国鉄だったから今まで急行もとまって残っていたのが、分割・民営のためにこういう急行も何もとまらないというようにして特性分野から外していくということが、この分割・民営というものの具体的な事例を示しているのではないかと言わざるを得ないんだけれども、いかがでございますか。
  195. 須田寛

    説明員(須田寛君) 先ほど総裁もお断り申し上げましたように、特急、急行が走っておりますということは、都市間輸送線区としての一応の基準でございます。したがいまして、今先生御指摘がございましたように、日高本線は確かに急行列車をやめさしていただきまして、バスとの連絡調整等を図りまして今運営しているわけでございますが、必ずしもそれを廃止線区にするためにそういうふうにしたものではございませんで、やはりその線区のお客様の実態としてそのようにしたわけでございます。今も平均乗車キロが五十五キロもあるという非常に長い距離のお客様の多い線区でございますので、そういったものは急行のあるなしにかかわらず、今後どのようにその線区の使命を考えるか、お客様の動きがどうかということを考えて将来の動きを判断すべきものと存じます。今やめております他の線区につきましても、そのような地交線を廃止するために急行をやめたといったものではございません。
  196. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だれもこれやりますよなんて本音を出さないんですわ。本音を出さないから、これややこしくなってしまっているわけなんですね。  ところで、大臣にも伺いたいんだけれども、私たち住民と接していますと、本当に心配だと深刻に思っている問題で、大臣よく生き返らせるんだとおっしゃっていましたね。本当に分割・民営によってこういうところが切られるのじゃなくて、生き返らせるのだというふうにいろいろ今までおっしゃっていたけれども、今日、今の時点でも本当にそう思っていらっしゃるか、腹の底を割って本当のところ。
  197. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私どもは、特定地方交通線として今までに各地域でお願いを申し上げておりますものについては、これはできるだけ早く本当に転換をしていただきたいと思います。しかし、その他の線区においては、私どもはそれぞれを本当に存続させていきたいと考えておりますし、その努力を払うつもりです。
  198. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ、生き返らせたいと今も思っていらっしゃるということでございます。  さて、この分割・民営という、これは何によって推し進めているかといったら、監理委員会の答申に沿ってということになりますね。それはそうですね。
  199. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 監理委員会の答申によってと申し上げてもよろしいかもしれません。しかし、それ以前に、従来から国鉄の経営状態というものについてさまざきな論議が行われておりました。そして、それと並行した形で、ちょうど今、総理が隣席におられるわけでありますが、総理が行政管理庁長官の時代に行財政改革のために臨時行政調査会を発足させ、その基本答申の中で国鉄問題の改革というものが指摘をされ、それを受けて国鉄再建監理委員会がつくられる。そういう意味では、その発祥はあるいは臨時行政調査会をつくらざるを得なかった当時の状況というところまでさかのぼれるのかもしれません。直接には再建監理委員会の答申です。
  200. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 特性分野ということから考えまして、既に言われておりますように、五十一線、営業キロにして四千四百五十キロの地方交通線というのは、これは特性分野から外されるという危険がある、こういうことに対して監理委員会が今までどういうことを提言してきたか。それに基づいて今は進められているんだけれども、それを見ますと、第一次もそうなんだけれども、第二次緊急提言、五十九年八月の十日でございますか、ここで地方交通線の問題を見ますと、「地方交通線は、輸送密度すなわち一日当たりの平均輸送人員が八千人未満と少なく、鉄道としての特性を発揮することのできない路線である。」ということをおっしゃっています。そしてまた、「バスへの転換等が予定されている路線以外の」約七千キロございますが、この「約七千キロメートル弱の地方交通線についても、第一次提言の方向に沿って国鉄からの分離を積極的に推進すべきであり、」と、こう指摘されているわけです。  また、「運輸と経済」という中で林さんがいろいろおっしゃっておりますけれども、ここでも、特性論を徹底していく、地方交通は分離すべきだ、分割・民営化という困難な大作業をやっていく場合に、同時にローカル線まで全部切り離して今一挙にやることが可能だろうか、分割・民営化された企業の中でまず徹底した努力を一遍やってもらうと。それから先のことは国鉄関係ないわけですわね。新会社になっていくんだから、あとは知りませんよと、こういうことになっていくというふうになりますと、こうやってローカル線は生かすとおっしゃるけれども、言葉だけで生かしていただくわけにはいかないということで、大変心配される、そのとおりだと思うわけなんです。  そういうことで、美しい言葉じゃなくて、本当に生かすという根拠は一体どういうところにあるかというところが問題になるわけなんですけれども、生かすと言ったのは大臣本人なんだから、大臣、生かすためにどういう調剤をして、どういうふうにしようとしているか。
  201. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 私ども今回提案申し上げておりますこの法律案というのは、国鉄の現在行っておる事業をとにかく将来に向けて活性化することによってこれを再生させていくというのが基本理念でございます。  そこで、先ほど改革法六条を申し上げましたけれども、いわゆる特性分野だけでなくて、その他の地域輸送の分野におきましても現在それなりの役割を果たしておりますので、これについてやはりその重要性というものを認識しておるということが改革法六条に述べられておるわけでありまして、そういう考え方のもとに、でき得る範囲、現在の私どもの試算等によりますと、特定地方交通線は別でございますけれども、それ以外の地方交通線は、これを抱えても会社は活力ある効率的な経営をやれば十分将来にわたって企業経営ができる、こういう確信を持っておりますので、それであるならばぜひこれを生かして地域輸送の役に立てていただくというのが望ましいと、こういう考え方で御提案を申し上げておるわけでございます。
  202. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 考え方はわかるのね。そうあってほしいということもわかるわけですよね。だけれども、おまえ生き返るんだよ、生き返るんだよなんて言われたって、ちゃんとした具体的な治療と方法がなかったら生き返るわけないんですからね。その辺を今伺ってみると、こうありたい、こうあるべきだ、こうなるであろうということであってもさっぱり具体的でないということがわかったと言わざるを得ません。  先ほどもおっしゃったように、大臣は生かすんだと、だから分割・民営化することによって廃止予定の特定地方交通線以外の交通線というものも生き返ると、こういうふうにおっしゃるわけですよね。特定地方交通線の廃止が決まったのは別にして、そのあとも生き返るとおっしゃるわけです。ところが、先ほど言いました五十一線四千四百五十キロというのは、廃止が決められた特定地方交通線の輸送密度、これと四千人未満の輸送密度も大体同じなんですね。そうしますと、政府や監理委員会の言う鉄道特性分野から外れている線区なんですよ、ここも。そうしますと、それを生き返らせる、本当にそれを生き返らせるというなら、なぜ同じ密度であった特定地方交通線を無理やりに廃止するというふうに追い込んでいったのかというのがまた一つの疑問として出てくるわけですけれども大臣いかがですか。
  203. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私の就任前のことでありますので事務方から答弁をさせます。
  204. 林淳司

    政府委員(林淳司君) この点につきましては、本来四千人未満というのは、基本的にはやはり鉄道輸送、いわゆる鉄道特性と申しますか、これを発揮するのが非常に難しい線区であろうというふうなことで、それを五十五年の再建特別措置法のときに、これについてはいわゆるバスあるいはその他の輸送手段に転換していくという方針で進めてきたわけでございます。ただしかし、先ほど申しましたように、代替輸送道路だとかあるいはピーク時千人以上とか、こういういろんな政令で除外する要件があるものについては、これは廃止をするといっても無理でございますから、やはり鉄道としてこれを残して、残す以上はそれを生かしていくということでいかないとうまくないと、こういうことで区別をしておるわけでありまして、基本的には鉄道特性を発揮しがたいものであるけれども、しかし地域輸送手段としてこれを廃止したらほかに方法がない場合には鉄道としてこれを生かす努力をしていかざるを得ない、こういう考え方でございます。
  205. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大臣、就任前のことだから知らないと言われればそれっきりだけれども、この問題はずっとつながっての問題ですから、やっぱり大臣の責任において私はお答えをいただきたいと思うわけなんです。  特定地方交通線というのは廃止ということになりました。しかし、それと同じ輸送密度、そして採算もやっぱり赤字だと。だけれども、その五十一線四千四百五十キロは生かしますと、こうおっしゃったわけですね。そこまでそうですね。そうしたら、輸送密度も同じ、採算性も同じというような中で、何で特定地方交通線を切ってしまったかということなんですよ。切らなきゃならなかったかということにも言えると思うの。結局、特性論ということがいろいろと言われる中でこういう結果になったということなんで、大臣の口からその辺のところをちょっとひとつお答えをいただきたいと思います。
  206. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 過去の経緯につきましては、正確を期すために事務方から御答弁を申し上げさせたわけでありますが、今私どもが地方交通線を残したい、また残す努力を尽くすのだと申し上げておりますのは、本年の十一月の国鉄のダイヤ改正をごらんいただけば、それが一つの答えであります。従来の国鉄のダイヤと申しますものと今回は有意の違いがあるはずであります。  例えば、私の郷里はやはり地方交通線のある線に面した町でありますが、従来、鉄道のお客様はだんだん減り続けておった地域の一つでもあります。そうして、それは自家用車に依存率は偏って進んでおりました。そして、その大きな原因の一つは、列車の運行間隔が非常に広いこと、しかもそれが一定していないこと、そして初め、終わりの時間というものが必ずしも地域の利用者の利便にこたえていなかったこと等々があったと思います。今回十一月のダイヤ改正以降、この状況は変わりつつあります。  それはまず第一に、定時、例えば一時間に一本なら一時間に一本というものがきちんと確保されたこと、同時に、朝夕の通勤通学のラッシュ帯には従来どおりの長い編成の車両が走っておりますけれども、そのかわりに利用度の少ない時間帯はそれが両数を減らし、そのかわり回数をふやし、地域の方々が利用しやすい形になったこと。これは一方では、自家用車依存率が高まり、駐車場等に難渋をするケースがふえたために鉄道への依存度を取り返したとも考えられますが、この一つを見ていただきましても、国鉄のこれら地方交通線を生かそうという意気込みというものは地域の住民に評価をいただいております。  さらに、これでこの法律が無事通過成立をし、諸般の準備を整え、要員数も一定の規模にまで縮小した形で合理的な運営がなされることになれば、私は経営的にも従来とはるかに変わった状況を生んでくると思っております。そうした中で私どもは地方交通線を生かしていくことができるであろうし、またその基本は何かといえば、地域の住民の方々鉄道というものをもう一度見直していただき、利用する気持ちはなっていただくことでありますから、その点については既に、このしばらくの間で国鉄職員の態度が大きく変わったという評価もいただいておりますし、今度のダイヤというものが地域の利用しやすい形になったというものも事実として見せていただいておるわけでありますし、そして現実に自動車の過剰状態の中で駐車場等々を考えると鉄道の方が楽だという空気を生んできたことも事実でありますから、こうした空気の中で鉄道というものを見直していただき、そして利用していただき、生き返らせることができる、私はそう思っております。
  207. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 生き返らせることができるというお気持ちはもう十分にわかった。私がここで伺っているのは、大変具体的なんですよ。特定地交線の方は廃止する、それと全く同じ輸送密度、そして採算性も変わらない、そっちの方は生かすとおっしゃるわけですよね。こっちの方は切らなきゃならない、こっちの方は生かすと。これ全く同じような条件の中で生かすとおっしゃる。そうすると、こっちが生かせるのならなぜ特定地方交通線も生かせないのかと、非常に単純なわけですよ。大臣、生かす生かすとおっしゃるから本当に生かされるかなと期待はするけれども、生かせるくらいだったら、そうしたらこれだって同じじゃないか、輸送密度も採算性もそう変わらないと。だからその辺がやっぱり分割・民営化する中で自己矛盾として私は出てくると思う。片一方は切らなきゃならない、同じなのに何で片一方は生かすということができるかということは、まさに何とおっしゃってもこれは矛盾と認めなきゃならないと思う。どうですか。
  208. 林淳司

    政府委員(林淳司君) その点につきましては、これからの鉄道というのは経営が非常に厳しいということがまず前提としてございます。したがいまして、いろんな意味でやはりできるだけ過重な負担は軽減していく必要がある。そういう点からいいますと、著しく鉄道特性を欠くいわゆる四千人未満の線区というのは、これは基本的にはバスに転換していくのが地域の交通体系から見ても望ましいわけでありますし、これから鉄道というものを再生していく上にとっても必要であろうと思うわけでございます。ただしかし、先ほど申しましたように、これを廃止してしまうとかわりの輸送手段がない、こういうものについては、これはやめてしまうわけにまいりませんから、やはり新会社がこれを抱えていかざるを得ない。また、試算上もそれを抱えても十分会社がやっていける、こういうことであるならば、新会社の分野としてこれは残さざるを得ないんじゃないか。残す以上は、これをできるだけ地域に密着さして生かしていくような努力をしていくということが筋ではなかろうか、こういうような考え方でございます。
  209. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 同じことを繰り返すことになるから時間の関係で次に移りたいと思いますけれども、確実な保障、確実な根拠というものもないわけね。同じ基準なんだけれども、片方は殺しちゃう、片方は生かす。生かすのなら、こっちも殺さないで生かしたらいいじゃないか。どうしてもこれは自己矛盾と言わざるを得ないわけでございます。新会社になってやっていければ残る。だけれども、新会社になったら海のものとも山のものともわからないということは、今殺さないけれども、行く行くは自然に死んでいただくというふうに言わざるを得ない、そう思うわけなんです。  特に私は特定地方交通線の問題を申し上げましたけれども、御承知かどうかわかりませんけれども、例えば北海道で今大きな問題になっています長大四線というのがございます。この長大四線と申しますと、天北線は百四十九キロなんです。そして、その沿線を抱えているところは佐賀県と同じだということなんです。それから名寄本線というのは百四十三キロでございますね。ここはまた積雪、寒いところ、マイナス三十度からになりますよ。それから池北線、池田と北見というところがございます。ここも、北海道は広うございますから、これが外されるということは地域経済にとっては大変だということなんです。それから標津線というのも百十七キロございます。これも六市町村の広さを考えますと福岡県と同じだ。そういう北海道の非常に広い地域を抱えて、積雪寒冷というまた厳しい条件を抱えて、これを切らなければならない、切ってしまおうということになりますと、それは車のある人はいいですよ、車のある人は車で行くでしょう。だけれども、車がない、運転できないといえば、お年寄り、そして御病気の方の通院するというような場合を考えても問題です。  それからまた、これを利用している今までのいろんな方を調べてみましても、せんだってもここで御論議があったと思いますけれども、まず高校生の通学の問題なんですね。北海道の高校生十八万人中、国鉄通学生は二万八千九百三十四人いる。そのうち、この長大路線での国鉄を使っている通学生は二千五百四十三人という数がいるんです。そして、それが確かに転換交付金を出した、その中から在学生には補助してやるよと言われても、卒業した後どうなんだ。そして、その後補助した残ったのでうまく活用してやっていきゃいいとおっしゃるけれども、こういうところでどういう活用をしてこれを補っていくことができるかというのもまた一つの大きな問題だと思うんです。やっぱり私は、子供たちが教育を受ける権利も脅かされる。例えば池田と本別というところを考えてみますと、国鉄だったら四十二分で行けました。一カ月定期六千八百二十円でした。それがバスに転換されますと約三・五倍、二万三千四十円、そして時間は六十分。相生線の例をとりますと、相生と美幌というところが七千七百四十円で済んだのが四・五倍になるわけですよね。三万五千百六十円、こういうことになるわけです。  そういうようなことを考えて、いかにこれらの線を切っていくということが住民にとって、弱者を痛めつけることになるか。そして、学生たちの教育権やお年寄りが病院に行くこともできない、生きる権利もなくなってしまう。そして、外されてバスに転換しても、バス会社がいつまでも続くというわけではない。部落が消えてしまったというような、そういう問題も具体的には起きているわけですよね。  そういう問題まで考えて——総理ちょっと寝ていらっしゃるけれども、目を覚ましてください。こういう地域住民にとっては生きるというそのことも脅かされる、教育権も脅かされる、まさに交通権そのものがここで否定されていくというような、こういう問題について一体どういうふうなお考えを持っていらっしゃるか。そういうところへいらしたことないと思いますけれども、今申し上げたところでちょっと総理の御見解を伺いたいと思います。
  210. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今度の民営六分割案というものは、それぞれの鉄道特性に応じた新しい地方交通体系、全国交通体系の再編を目指してやっておるものでございまして、今御関心を持っておられる北海道の問題につきましても、特定地方交通線を除いてはできるだけ温存して、住民の皆さんの利便に立てるように我々も積極的に協力してまいりたいと思っておるところでございます。みんなそれぞれ地域地域の事情によりましてその交通体系の特色を発揮して、できるだけ維持していくようにすべきものであると考えております。
  211. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 お答えは大変美しい言葉でおっしゃいましたけれども、具体的に何にも根拠がないんですわ。本当に生かしていくとか、それを発展させるという何にも具体的な根拠もない、新しい会社になったらそれっきりよということになる。だから、その辺のところ、そういうところへいらしたこともない、汽車なんてほとんどお乗りになったことないでしょう、大体飛行機やヘリコプターでおいでになるんだから。本当に住民が今どんなに生きるというそのことを考えているかということ、やっぱりそういう立場に立たない総理だったら失格ですよ。その辺のところをしっかり考えて、次に移らせていただきたいと思うんです。  今、私は地方交通線の問題を申し上げました。今度、幹線の問題もずっと調べていったら出てきたわけなんです。地方交通線だけではない、幹線までこれは大変なことになるなと思って急に私は一生懸命調べたんですけれども、民営になる、分割化されるというと採算性の乏しい幹線にまで当然及ぶと言わざるを得ないわけです。国鉄だから、A駅からB、C、Dと通って、そしてZまであったとしたら、この駅からこの駅までは幹線ですというふうに御承知のように区別されておりますね。そして、幹線のところと地方交通線と、鉄道を大きく今旅客の方は分けられていますけれども、民営化された新しい会社ということになれば、幹線とか地方交通線というような区別は国鉄だったからやったけれども、民営の会社になったら区別なくなりますね。どうでしょうか。
  212. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 今までの国鉄で幹線あるいは地方交通線という区分をしておりましたのは、一つの収支管理と申しますか、会社の経営状況というものを分析するための一つの手法だったと思います。したがいまして、今後新しい会社になった場合にそういう形での収支管理をしていくのか、あるいはまた会社の判断で別の考え方で路線というものを再編成してみるのか、これは会社の経営判断の問題になってくると思いますので、一概にそれがそのまま新しい会社でもその考え方が引き継がれていくということには必ずしもならないというふうに思います。
  213. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 当然、今の幹線なんというのは引き継いで何々線というふうにはなっていかない、そうする必要がないと言わざるを得ない、そういうふうになるかもしれないとおっしゃった。そうなりますと、またここで新たな問題が起きてきたわけです。ある幹線は、今この駅からこの駅までを幹線といたしますというわけです。これが崩れて、一つの今幹線という概念であったその線区を幾つかに分けるということも考えられるわけですね、一本にして何線という幹線ではない。  そこで一つの問題なんだけれども、これはおたくの方でおまとめになったんだけれども、運輸別輸送諸元、大変難しい、運輸別の輸送諸元という膨大な資料があるわけです。こういう資料を拝見してみますと、幹線だと言われても、この幹線は幾つもに区切られているわけなんですね。  地方交通線、幹線といきましょうか。ちょっと私はこれからは数字や線区を言いますから、お疲れになっているだろうからちょっとこれお貸ししますから、これ差し上げるという資料ではございませんけれども総理も眠気覚ましにちょっと。(資料を手渡す)これ後でお返しいただきますから。総裁の方も差し上げましょうか。総裁はみんな頭に入っているから要らない、欲しい——それじゃどうぞ。これもお貸しいたします。  そういたしますと、ここで言いますと幹線ですね、三枚目になりますか、初めが地交線が二枚ありまして、それから幹線というのがございます。この幹線の中でも、例えば私は北海道が一番頭に入っていますから、北海道根室本線というのが四番という丸がついていると思います。北海道根室本線というものを考えますと、この運輸別輸送諸元という難しいおたくの方の資料の、これ全部分析して分けてみたのでございます。そうしますと、幹線における輸送密度四千人未満の区間別一覧、こう書いてあるわけですけれども、根室本線の中でも滝川—富良野間、それから富良野—落合間、落合—上落合間、上落合—新得、釧路—根室、こういうふうに分けているわけです。それで、函館本線を見ましても、長万部から熱郛、それから熱郛から小樽というふうに、一つの今まで幹線という概念から区間別に取り上げてあるわけです、これを見ますと。一つの線区を三つ四つに区分して、詳細なデータをこうやって集めていらっしゃいます。  そのうち幹線だけを拾い上げてみますと、各区分されたうち輸送密度四千人未満、ここに四番の資料ですけれども、四千人未満というのが実に千二百二十五キロというのがあるわけですね、四千人未満というのが。それから今度その次、四千人から八千人未満というところをごらんいただきましても、ここのところでも区分してみるとはっきり出てくるわけなんです。ということはどういうことかといいますと、その一番上に書いてありますけれども、一番問題は、外されるかもしれないなといって心配しているのが地方交通線だ、うちは幹線だから大丈夫だと安心をしているけれども、その幹線も切って、そして区間を限ったところで見れば、これは四千人未満だというようなことで外されていってしまう。  そういうものをつなげてみますと、いろいろ生かすとさっきもおっしゃったけれども国鉄網全体で二百四十五線、二万三千三百二十キロあります。そのうち地方交通線、第一次特定地方交通線というように、第二次、第三次とこれで外されます八十三線三千百六十キロ。それから四千人未満の地交線、これも先ほど言いましたように五十一線四千四百五十キロ、これも外される。それから四千人から八千人未満でも、これは後で申し上げますけれども、地方交通線でもまたこれが切られていくわけです。そして、今幹線を申し上げましたけれども、幹線でも四千人未満の区域というのは千二百二十五キロという数になってくるわけなんですね。こういうことになって、そして生き返ると言われても、地交線どころか幹線までも切られてしまうというこのこと、これは私は大変な問題だと思いますが、その辺のところをどうお考えになりますか。
  214. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 現在の特定地方交通線対策は、昭和五十五年の法律に基づきまして、いわば鉄道特性が著しく低い、こういうところにつきましてこれをバス等へ転換する、こういう対策を講じたわけでございますが、これは来年の四月の新しい体制のスタートまでには本来なら完了しておくべきことであったわけでございますけれども、これについては諸般の事情でおくれているものもございますので、今度の法律で二年ないし二年半の経過期間を設けまして、その間に対策を完了する、こういうことで進めているわけであります。  これは既定方針どおり今後新しい会社のいわば過重負担を軽減する、こういう意味で既定方針どおり進めようということでございますけれども、それ以外の線区については、むしろこれが将来にわたって廃止という事態に追い込まれないように、むしろこれが活性化、効率化によって鉄道として利用されていくように今回分割・民営、こういう施策を講じようとしているわけでありまして、そういう新しい会社になってからどんどん路線を切り捨てていくということは本来考えてないわけであります。  今回の収支試算におきましても、そういう線区を生かしながら十分経営が成り立つということを検証しておるわけでありまして、そういう前提で物を考えておるということを御理解いただきたいと思います。
  215. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 将来生かしたいとか、新しい会社になって、そしていろいろ努力して、そしてこれが残るようにしたいといろいろおっしゃるけれども、それはさっきから言っているように根拠がないんです、将来のことと願望的発言だと言わざるを得ないわけです。  そこで、私が今言ったように、地方交通線、特定地方交通線で三千百六十キロ、それから四千人未満の地交線五十一線で四千四百五十キロでしょう。それから四千人から八千人未満の地交線でも、これも先ほど申しましたように、幹線と同じように区分されてくるわけです。そこのところで、ここは密度が少ないよということで間を抜いて、そして合理化されていくというのを計算いたしますと、これおたくの資料で全部分析したんだから間違ってないの、小計しますと、地方交通線で八千八百十・五キロというものが四千人未満の数字ということになってしまうわけです。それだけじゃありません、幹線もそうですと今問題を出しました。この幹線でも四千人未満の区間が一千二百二十四・七キロございます。こうなりますと、合計したら一体どれだけが、いろいろおっしゃったのは希望的お言葉。私が言っているのは具体的数字から見て、特性分野から外されるという、そういう具体的な数字でもって言っているわけです。私たちはどうしてもこういうことをしないでほしいという立場から言っている。  そうしますと、今言ったような幹線、地方交通線、それの区間の四千人未満というところを、みんな落とせるところを落としちゃおうとするならば、実に合計一万三十五キロ、こうなるわけです。そうすると、全体の二万三千三百二十キロ、もう半分以上と言ってもいいくらいこれ全部落とせるんです。落とすためにこういう資料と諸元だとかいうので全部区分していると言わざるを得ないんです。あなたがおっしゃるのは、そして大臣がおっしゃるのは、あくまでこうあってほしい、新しい会社かこうなるであろうという基本的な願望です、はっきり言って。基本的なお気持ちはわかるけれども、私が言ったのは願望ではなくて、おたくからとった資料数字でもって言えばこれだけの一万三十五キロという、これが廃止対象になっていくんです。    〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕 あなた方がお書きになっている、今この分割・民営の大変なときはこういう地交線だの何だのなんというのはしょっていけるか、だから今一応新会社に持たしちゃって、あとは新会社の御自由でございます、こういう形にならざるを得ないわけですよね。首かしげたってだめなんだわ。もう目に見えているんだから。私たちはそうなってほしくない。だから国鉄を本当に生かすということから考えれば、分割・民営なんていうことがこれがそもそも大きな問題ですよ。何回も言っているように、赤字がどうしたとかこうしたとか、みんな政府の責任をほっぽらかしちゃって、そして大変だ大変だと切っていく。切っていく準備が着々できている。数字も具体的にできている。だからこういう分割・民営というようなことは全く矛盾を起こすし、将来、願望はおっしゃったけれども、何にも具体的なそういう保障はないということをはっきり申し上げたいと思います。そうだとは言えないだろうけれども。私の言ったことについてちょっと考えるくらいはありますか。
  216. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) それより前に、貴重な資料をありがとうございました。
  217. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まだ後使うから、私のが終わるまで持っていてください。
  218. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) それじゃ資料は拝借いたします。  なるほど、そういう御議論もあるんだなということを感じました。
  219. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 なるほど、そういう御議論があるななんというのは素人だよ、大臣。本当、素人だよね。大臣、だめだわ。
  220. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私、素人なんです。
  221. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、それわかっていればいいわ。  それじゃまた……
  222. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 玄人だなんて一遍も言ってない。
  223. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だけど大臣でしょう。
  224. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 素人は素人。
  225. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 素人大臣、みんな素人大臣だ。中曽根さんも素人総理。——じゃ国民の生活もう頼れないね、今の中曽根さんにも。いや本当、私はもうちょっとまじめに考えてもらいたい、そう思うわけです。  そういうことで、そういう御議論もありますではなくて、具体的な数字でもって私るる申し上げましたから、その辺のところをもう一つ考えていただきたいと思います。わかるでしょう、私の言うこと。  次に、それじゃ労働者の問題を私伺っていきたいと思うんです。路線も心配だけれども、その安全ということを考えたときに、やっぱり一番心配ですよね。よく電車に乗って居眠りしているななんて言われることがあるけれども、とにかく労働強化というのは大変なもの、十一月ダイヤ改正ということで要員合理化、国鉄労働者の労働条件というのは非常に厳しくなっています。運転乗務員の具体的な事例で私質問させていただきたいと思います。  私も運輸委員でずっとやってまいりましてもう何年にもなります。そして北海道、さっき例で取り上げたけれども、北海道だけではなくて全国各地からいろいろな要望や具体的な資料というものをお送りいただきましたが、いろいろなところをみんな言うわけにはいきませんので、一つここで申し上げたいと思いますのは、静岡運転所の労働者の方々から実に生々しい実態の報告を受けました。その労働条件の実態というのが先ほど差し上げました資料についているわけなんです。その中で後ろの方ですね。後ろの方でどういうふうな運転士が勤務しているかということでございます。線を引いてあるのありますね。乗っているところね。そこのところを見て私は本当にびっくりしちゃったわけなんです。  と申しますのは、どういう運転をしているか。ほかをみんないろいろとっても同じなんだけれども、そのEL、DL組というのをちょっととってみたんです。そうしますと、この人はここに書いてありますように、まず第一日目、午前十一時八分に出勤するわけです。そして夜中ずっと乗っていまして、翌日の朝五時四十二分に終わるわけですね。夜ずっと乗っていますよ。そしてその日、夜また出かけていくんです。夜出かけていく。そして夜の九時五十三分に出勤する。そしてまたずっと夜乗って、翌日の午後一時十分に帰ることがやっとできるということ。そして四日目を見ますと、午後三時二十八分に出勤して、また翌日の朝三時十三分まで乗っているわけです、夜通して。そしてまた朝方帰ってきて、その日の午後十時十四分に出勤して、翌日の午後の一時五十分に終わる。これでまとめて言いますと、二十二日のうち十二日は夜勤を含んだ勤務だ、こういうことになってくるわけなんですね。  そうすると、人間というのは、時間があるから、はい寝なさいと、すっと寝られるものじゃないですね。夜勤、夜勤というのがずっと続いてくれば体もおかしくなるわけです。そういうことを御存じかどうか、中曽根さん、さっきから素人総理とおっしゃったけれども、まあ本当にそういう大変な、これ線で引いてみますとみんな夜かかってやっているわけでしょう。夜乗っているんですよ。乗っていて眠っちゃいけないわけでしょう。眠らないで目をみはって、一生懸命やって緊張しておりる。はい、時間だから寝なさいといったって緊張していますものね、ぱっと寝られるものでない。これは私は安全という問題から考えて本当にひどいと言わざるを得ないわけです。    〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕  さて、そこで四国管内からもまたいろいろ資料を送っていただきました。その資料をまた見せていただきますと、これも労働時間が非常に延びているわけなんです。その労働時間がどれくらい延びているかといいますと、ダイヤの改正のたびに延びていくわけです。そしてどれくらい延びたかというと、実にもう今五十分近くダイヤ改正のたびにここのところ延ばされた、こういう実態が報告されているわけなんです。そうしますと、そこでどういうことが起きるかといいますと、例えばこういうふうに夜だとか不規則だから、食事時間というのがきちっととれないというのはもう当然のことなんですね。食事時間はとれない。それから今度電車運転をしておりますと、そしてノッチというのは手で握ったまま押しつけておかないと、手を放すとノッチが戻ってスピードが落ちてしまう。だからずっと押さえて持っていなきゃならない。そして時速は十キロアップされちゃった、だから大変疲れたという意見が、意見というか感想が出てくるわけです。それからまた、御承知のように、長距離の完全一人乗務ということになりますから、一人で運転しているとなれば、この汽車に何人乗っているか、何百人、何千人という命を一人で預かっているんだから、その精神的な疲労というのが大変多いというのは私はそのとおりだと思う。そしてまた一つの車でないんですね。同じ車でないんだ。  そこでちょっとまた中曽根総理に伺いたいんだけれども、大体運転する車というのはどれくらいの種類があるかということ、どれくらいだとお思いになりますか。——いや、そっちはいいの。常識、総理として、国鉄に命をかけていると言われる総理としての常識の質問なんです。いや常識でいいの。間違ったっていいんだから、ちょっと言ってごらんなさい。
  226. 山之内秀一郎

    説明員山之内秀一郎君) 担当する車両の種類というのは非常に現場によって違っておりまして、例えば山手線を例にとりますと今一〇三型という電車と二〇五型という電車の二種類が入ってございますが、大体国電ではそういった程度の問題でありますし、今御指摘のありました機関区につきましても、大体数種類から十種類程度以内の場合が多いと思っております。
  227. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 本当にそんなにあるとお思いにならなかったでしょう。十種類からあるんですよね。色が違う、格好が違うというんだったらそれはいいと思うんですよ。だけれども、私はいろいろ聞いてみましたら、なぜ疲れると言われるのかなと思ったら、例えばディーゼル機関車それから電気機関車というのを見てみると、そうするとノッチ、これは右側なんです。そしてこれは右側だから当然右で扱う。ブレーキは左側にあって左手で使うと、こうなっているんです。これがディーゼル、電気機関車ね。ところが電車と気動車になりますと、ノッチは今度右側じゃなくて左側なんです。そしてブレーキが今度逆に右側になってくるわけですね。それをしょっちゅう乗っていればすっと自然に手は行くだろうけれども、このごろみんなどれでも乗らなきゃならないということになりますと、よくやりますね、アクセルとブレーキと間違ったなんてね。間違うのも無理ないくらい右と左と全く逆だと、こういうことになるわけです。  だから、そういうふうな種類が十種類からあるという中で労働者が物すごく疲れると言うのは私はこれはもう当然だと、これは見解の相違ではない。当然だと思う。今度のダイヤ改正前は、一勤務大体こういうふうな混用がされていなかったというんですね。今度しゃにむに減らそうというようなことでこうまでなってしまったというと、労働者が疲れると言うのは私は無理ないと思うけれどもどうですか、無理ないとお思いになりませんか。
  228. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 素人でありまして過去の勤務状況を存じませんので比較ができませんから、専門家にちょっと答えてもらいます。
  229. 山之内秀一郎

    説明員山之内秀一郎君) 先ほどハンドルの位置が右左というお話がございましたけれども、例えば電気機関車にとれば、すべてこれは多少の構造の違いはありましても右左一定をしておりますので、そういった事実はないと思います。  乗務員の勤務につきましては、実は従来かなり勤務状態が低くなっておりまして、私鉄からも比べても大変低いという実態にもありますし御批判も受けました。したがいまして最近それを私鉄に近づけるべく努力をしておりまして、現在ほぼ私鉄に近い水準になっているかと思っております。
  230. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、実際運転している人がそういうふうに大変だと言われるのを無視されるのかと、そういうことで私は実態を知ってもらいたいと思っているわけです。  そういうことになるのも、先ほど言ったように、四国で見れば五十九年、六十年、そして六十一年十一月とダイヤを比べて実に四十三分という労働時間の延長になっちゃったわけですね。今度大阪の方からいろいろ聞いてみると、例えば大阪の環状線、これは東京も同じなんですけれども運転士は一日の平均労働時間がやっぱり五十分延びて、そして連続今まで二周だったのに三周にノルマアップになりました。不規則勤務、トイレにも行けない、長時間乗務で頭がぼうっとすると。  これはこの人が弱いというんじゃなくて、今国鉄の労働者は非常にくたびれている。そういうくたびれることをなぜするのか。労働時間短縮と言われる時代じゃないですか。この大量の過員だ過員だというのを持っていて、なぜこれほどまでにして労働条件を悪くしてしわ寄せしていくのかということが私はどうしても疑問なんです。簡単に答えてください、なぜこんなに労働強化させるんですか。
  231. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) お尋ねの運転の乗務に関する問題だけでなしに、国鉄全体にわたりまして効率化ということを各般にわたって実施する必要がございます。その一環としまして運転の乗務時間につきましても先般来合理化を進めてまいったわけでありまして、比較にするものは私鉄の乗務時間というような点を頭に置くわけでありますが、その過程におきましては労働組合と十分に交渉を経、その結論を待って実施をしておるものでございまして、安全面におきましても十分に配意をいたしたところであります。
  232. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私鉄並みの効率化、働き度ということから要員体制というものをここまで削り込んだということを今おっしゃったわけですけれども、私鉄並みよりもっとひどいんですね、調べてみたら。国鉄さんの公休日、祝日、休日の日数は何日になっていますか。
  233. 澄田信義

    説明員(澄田信義君) 国鉄における休日には、公休日、それから国民の祝日、年末年始の休日、それから年次有給休暇などがございます。公休日、国民の祝日及び年末年始の休日は当然のことながら完全に与えております。年次有給休暇につきましては、二十日の付与日数に対しまして六十年度の実績で十九・一日の消化実績となっております。
  234. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、何日あるかと言っているの、休日とかそれから祝日、いろいろ。何日休めるかと聞いたの。
  235. 澄田信義

    説明員(澄田信義君) 公休日、それから今の国民の祝日、年末年始の休日、それから年次有給休暇は二十日ございます。
  236. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、年次有給休暇を除いた休日。
  237. 澄田信義

    説明員(澄田信義君) 今計算してまいります。
  238. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ちゃんとそれ言ってあったのよね。国鉄の場合、祝日、公休日数は九十三日になっているわけですよね。  乗務員の拘束時間はどうなっていますか。時間がないから早く言って。乗務員の拘束時間、国鉄、何時間になっていますか。
  239. 山之内秀一郎

    説明員山之内秀一郎君) 乗務員の基準となる労働時間は一週間に四十時間でございます。
  240. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 拘束時間。
  241. 山之内秀一郎

    説明員山之内秀一郎君) 乗務員の勤務は非常に不規則でございますから仕業ごとに決めております。一勤務単位ごとに全部違いますので、個々に指定をいたしております。
  242. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 拘束時間というものが無制限に拘束されるということなんですよ。そしてさっき国鉄の場合九十三日と。私鉄並みにと言われるけれども、私鉄を見たら年間休日は百十三日ですよ。私鉄の労働者よりこんなにたくさん働かされているのかと国鉄労働者は自分でこれ見てびっくりしているわけですよ。ぎりぎりに働いているということが言えるわけです。  労働時間の内容を見ていただきたい。さっきの線を引きましたけれども国鉄はずっと夜勤、夜勤というのが続きますよね。私鉄の場合には夜勤もないですよ。ちゃんと帰って休めるわけでしょう。お休みも多い。だから私鉄並みどころか大変な労働強化がされているということ。時間がないから言えませんけれども、各地からの資料、報告というものが出されているわけなんです。  例えばこの一年北海道で、これは私の地元だから、北海道で健康調査をやったわけです。六十年の一月とことしの十一月と比べてみたときに、「運転開始時からいつも疲労感がある」というのが前はゼロだったけれども今八・九%だと。いろいろありますが、「運転後にいつも疲れきってしまう」というのが一三・四%たったのが今四一・一%と激増ですよね。「運転中に操作レバーが重く感じてくる」という人がこれまた二倍以上ですわ。いろいろこれ項目全部を言う時間がありませんけれども、というようなことで、具体的に運転中に出血したとか、そういう事故もありましたよね。  だから労働者、人間というのは生身の体なんですよ。いつこういう事故が起こるかわからないということを考えたときに、私はこれを無視するわけにはいかない。八月の十三日に意識がなくなっちゃったというような事件があったわけでしょう、そしてかわりがやっと運転した、それから吐血したというような。こんな例をいっぱい出していったらもう時間がないからやめますけれども、大変な労働強化になっているわけです。だから、こういうことで、労働者も大変だけれども、乗っている者は不安なんですね。乗っている者は不安、事故が起きないという保障がない。人間が余っているんだったらもっと使って、そして事故がないように安全をしっかり確保して労働者の命を守っていただきたいと思うんだけれども、いかがですか、大臣——いや、そんなことくらい大臣わかるでしょう。
  243. 山之内秀一郎

    説明員山之内秀一郎君) ただいま乗務員の勤務についていろいろ御指摘がございましたけれども、例えば一例を挙げますと、山手線を走っております品川運転区の乗務員の六十一年十一月以降の平均の一日の乗務キロは百二十七キロでございます。これに対しまして、私ども調査によりますと、小田急は一日百五十八キロ、阪神は百二十七キロというように、決して私鉄に比べまして過重な勤務状態になっておりませんし、勤務時間をとりますと、公休を除いた日の平均で、大体乗務時間、ハンドルを持つ時間は四時間程度でございます。  それから勤務基準につきましても、いろいろ労働組合との協定の中に細部も決めておりまして、例えば先ほど御指摘のございました深夜勤務についても、三十日間に十回以下とする等いろいろなルールを決めておりますので、そういった点についても配慮はしているつもりでございます。
  244. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いろいろ配慮されると言うけれども、吐血したり意識がなくなったりという事故が今まで起きているじゃないですか。実際問題、具体的な問題、あなた、ないと言えるんですか。労働者がうそを言っていると言うんですか。私は労働者はうそを言ってないと思う。くたびれ切っていますよ。だから、もしも事故が起こったらどうですか。安全だというのは、事故が起こるまで安全なんです。そこで、事故が起こったときに責任をとりますなんと言われたって、事故が起こった責任なんというのは後じゃとれないわけね、そのうちもう橋本さんも大臣じゃなくなるだろうし。そうなりますと、本当に私は命を守るということから考えても、やっぱり考えてもらわなきゃならない。また時間があったら、今いろいろおっしゃったけれども、具体的な事実ではっきりさせていきたいと思います。  ただ、大臣に申し上げたいのは、自動車の場合なんかはもう過労な中で運転させたといったら、これ使用者が罰則を受けますね、使用者が働かせた。ということになれば、国鉄の労働者に対して、こういう過労でもって事故が起きるというようなことはもう直接大臣の責任になるということを自覚して、そして労働者が——責任ないと言われるの。
  245. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 直接ではない、直接は国鉄総裁です。
  246. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、そういうふうな逃げ方を何ぼでもなさるわけでね、だけれども……
  247. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 発言は許可を求めてからしてください。
  248. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だけれども、やはりそこのところは、運輸大臣として国鉄を指導し、監督していく立場だということを私は強調したいと思う。  こういうことがなぜ起こるかといったら、やっぱりもうぎりぎり要員規模を切り詰めたからあっちこっち無理が出ているということを言わざるを得ないんですね。そこで、要員規模を何で十八万三千だの六千だということをしなければならないかという問題に入るわけですけれども、例えば昭和五十七年、実人員は三十八万七千人でございました。そこで、輸送量はどれくらいあったかというと、二千二百十億トンキロだとこういうわけですね。それから職員一人当たりの輸送量というのが、輸送、千人トンキロでいいますから、五十七万二千トンキロになるんです、職員一人当たりの輸送量。これが五十七年のことです。そして六十年、これも後ろの方に表がついていますから、それをごらんになればわかると思います。六十年、このときはもう過員だと言われる三万八千人が含まれているんだけれども、五十七年には三十八万七千人だった。そして六十年度は二十七万七千人ということになりまして、輸送量のトンキロでいいますと五十七年二千二百十億トンキロだったのが六十年には二千百九十一億トンキロになっております。そして、職員一人当たりの輸送のトンキロでいいますと、五十七万二千人トンキロから七十九万二千人トンキロと、実に一三八%になっているわけですね。  経営改善計画というのでその目標はどうなっているかということでございます。それ、すぐ出ますか。
  249. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) ちょっと、今先生おっしゃいました数字につきまして私の方で調べますと、六十年度の実績、職員一人当たりの人トンキロでいいますと七十万五千人という数字であります。それで、経営改善計画上の目標に対しましては二五%程度の伸びを示しておりますが、ただこれは私鉄——私、先ほどから私鉄私鉄と申し上げますが、私鉄の方はこれは大手私鉄の数字でありますからなかなか端的に比較にはなりませんが、大手私鉄の職員一人当たりの人トンキロは百七十五万五千人ということでありまして、まだまだかなりの開きがあるというふうに思います。
  250. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まだ私鉄まで言ってないのに答えられたんだけれども、私が言っているのは、監査報告書の中から数字を出しているんですよ。そうすると、この六十年度目標というのは六十七万八千人トンキロとこうなっているわけですよね。そうしますと、月標が六十八万何ぼでしょう。私がさっき言ったのは、もう既に七十九万二千というふうに物すごく超過達成しているわけ。今あなたは七十万何ぼと言われたけれども、それを考えたって目標を達成しているということですよ。それはもう数字だから、目標は既に達成していますよと、三十八万のときよりも、二十七万になったにもかかわらず経営改善計画の目標を達成しているということです。何で削減しなきゃならないんですか。  私鉄並みの生産性と比較すればと今おっしゃったわけ。そうしますと、結局過員の大前提にされているのは、これは国鉄で目標は達成した、そんなのだめだ、私鉄並みと、こういうふうにおっしゃるわけですよね。私鉄並みの生産性というものを比較してみますとどういうふうなことが出てくるかということ、いかがでございますか。
  251. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今申し上げましたように、生産性といいますか、能率性からいいますと、大手私鉄十四社の五十九年度の数字でありますが、職員一人当たり人トンキロは百七十五万五千人トンキロということでありました。これに対比できますのは、昭和五十九年度で比較いたしますと、五十九年度は国鉄が六十三万七千人トンキロということでございます。かなり開きがあるということであります。
  252. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私鉄並みの話が出たけれども、もう一つ、私は国鉄自身として比較してみたい、そう思うわけです。そうすると、さっき言ったように経営改善計画の目標も達成しましたということになりますよね。としますと、もう目標を達成したんだよと、そうすると、私鉄並みでやらなければならないということになりますと、その辺のところ、業務量ということで生産性というものを比較していらしたと思うんですけれども、その比較というのはどういう比較をなさるんですか、私鉄並みの生産性ということをおっしゃる場合。
  253. 山田度

    説明員(山田度君) 私鉄並みという場合にはいろんな指標があり得ると存じております。一番普遍的なものは、一つは何といっても収入があって初めて経営が成り立つということでございますので、収入に対する人件費というものが全体としてどのようになっているかということが一つの大きな指標であると存じます。またしかし、その場合に収入の中の構造というものはいろいろ違っておりまして、例えば特急、急行料金のウエートが大変高い場合、この場合にはむしろ設備のウエートが大変高くなってまいりますので、そういう点も配慮しなければならない。したがいまして、別途の指標といたしましては、そのような収入に対する生産性とあわせまして、物的生産性と申しますか、一人当たりの輸送量というようなもので見ていく必要があろうと思われます。このような指標をいろいろ重ね合わせまして私鉄との生産性の比較をするものだというふうに考えております。
  254. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私鉄並みとどういうふうに比べるかといいますと、いろいろおっしゃっているわけですよね、今までの議事録などを見ますと。職員一人当たりの輸送人キロ、それから職員一人当たりの車両走行キロ、また一人当たりの列車キロ、こういう業務量というものが比較の大きな対象になっている、こう言われるわけなんです。しかし、国鉄と私鉄、そして私鉄の中でも各会社によって違いますと。今度分割・民営会社の比較ということになりますと、これも調べてみたらばらばらなんですね。そろうというものでないですね。だから、輸送人キロだとか車両走行キロだとか列車なんというものも、これ調べたのをおたくからいただいたんだけれども、大手の場合と中小の場合と違ってきますし、それから今度、職員数一つとってみましても、一人当たりの輸送人キロでいいますと北海道は二十七万八千人キロ年と、こうなるわけですよ。そうすると、東海なんというのはこれは百五十二万八千人、こういうふうに出てくるわけですね、おたくから出していただいた資料を見ますと。そうすると、北海道の国鉄労働者は東海会社の五分の一しか働いていないことになるということで、私鉄並みといろいろおっしゃるそのものが具体的にはばらばらで、比較できないということがはっきりしたんです。  そこで、それじゃ私鉄並みというもので比較できるのは残るのは何だといったら営業収入、これが私鉄並みと比べられるというふうにおっしゃると思ったんです。そして、これは営業収入の問題として伺いますけれども、昭和六十年度の目標は、経営改善計画による営業収入に対する一般人件費、これが五五%というふうになっていたんですけれども、今新しいところでは何%になっていますか。
  255. 山田度

    説明員(山田度君) 六十年度の実績では五〇%となっております。
  256. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だから、営業収入に対する一般人件費も目標五五%だったのに五〇%に努力して改善されてきているということを言わなければならないと思います。大幅達成どころか超過達成しているじゃないか。  それから今度、私鉄の問題との比較が出てまいりますけれども、私鉄の比較というのは、これを見せていただいたんです。「数字でみる民鉄」という資料がございますね。これは運輸経済研究センター、運輸省が監修をしていらっしゃるというからインチキじゃないはずなんです。これで、今度は営業収入じゃなくて運賃収入に対する人件費の割合、大手それから中小、公営交通で結構ですから、六十年度は何%になっていますか。
  257. 熊代健

    政府委員熊代健君) 六十年度の運賃収入に対する人件費の比率は、大手民鉄が四四・二、営団が三七・五、中小民鉄が五八・六、公営が五四・四という数字になっております。
  258. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 国鉄特定人件費、これは特別だからこれを除いた人件費の割合、運賃収入、これは何%になっていますか。
  259. 前田嘉代治

    説明員前田嘉代治君) 五三%でございます。
  260. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そこで、先ほど私鉄の場合は言われました。四四%だとか、それから中小へいくと五八%、公営交通五四・四%、国鉄は五三%なんですよ。大手の私鉄なんというのは非常に人口が多いところ。これは非常に営業を上げやすいところ。国鉄は先ほど言ったように、全国でいろいろな大きな問題、たくさんの問題を抱えているわけなんです。そうしますと、ここでも運賃収入に対する人件費の割合も私鉄よりいいと私は言わなければならないと思うんです。  先ほど申し上げましたように、経営改善計画の目標、営業収入、今は運賃収入だけれども、先ほど言った営業収入でも目標を超過達成しているわけでしょう。そして、この運賃収入に対する人件費の割合というのも、これは私鉄に比べて悪いなんということはないわけですよ。こういうことを考えた場合に、また戻るけれども、なぜそんなに切り込まなければならないのかということなんです。私鉄とそれから国鉄というものを具体的にいろいろ考えてみますと、非常に違った問題が出されてくるわけなんです。  そこで、職員一人当たりの収入というのが最後に残ってくるわけですけれども職員一人当たりの収入をおたくからいただいた資料を整理してみてわかったんです。それは、例えば営業収入、北海道鉄道会社は営業収入が八百三十一億、それに三島基金の一千三百九億というのが加わっているわけですよ。北海道、四国、九州というのは、営業収入は一人当たりにすれば非常に少ない。だから三島基金というものを出してお足しになったわけなんです。そうしますと、これで見ますと、一番いいところが、これは東海というのが非常に多いんです、三千九百万円ですか、という数になるわけですね。これは突出しているわけですよ。これが突出しているというのは、リース会社として払わなきゃならないというお金を差し引くわけですよ。そうしますと、東海とか西日本、それから東日本というのが大体同じ、大手私鉄並みというふうになってくるわけです。  しかし、北海道、四国、九州というのは、これはとてもじゃないけれども出せないということで、基金を入れてやっている。だから、つまり私鉄並みの生産性といっているけれども、最大の基準になっているのは職員一人当たりの収入だということなんですね。そういうことで三島基金を上乗せして三島会社は中小私鉄並みにした、こういうことになるわけですよね。つまるところ、結果的には、いろいろこういう計算をやりました、どうとかとおっしゃるけれども、やっぱりこういうふうに、基準になっているのは職員一人当たりの収入でもってやらせようということになるわけです。  そこで、最後にもう一つ聞きたいんだけれども国鉄と私鉄の条件というのは、さっき言ったようにいろいろ違いますね、夜運転していないとか。それから私鉄の場合には自動集改札機というのが非常に多いですよね、民鉄なんかもう千八百八十五台も入っていました。それから警手の配置されている踏切というのも国鉄は多いですね。それから車両の種類もさっき言ったように莫大だ。それからまた、車両が違うことによって車両の検修量というのも非常に違ってきますね、国鉄は多くなってきます。それから改札口の数というのも国鉄はずっと多い。それから路線が交差したり乗りかえる駅がいっぱいある、ホームが多くなるというような、こういう私鉄と国鉄の具体的な違いというものを本当に勘案されて十八万六千という数字を出されたのかどうかということですよね。非常に抽象的なことでこういうふうに言われるだけだということなんですね。その辺のところ、今言ったような具体的な私鉄との違いというものはどう勘案されているんですか。
  261. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 先生今おっしゃいましたように、私鉄と比較する場合にいろんな指標があり得る。しかし、例えば一人当たりの収入というのをとってみましても、これは輸送密度が違えばそれだけで大きく変わるわけです。それからさらに国鉄の例えば東海会社のように、いわゆる新幹線の収入が非常に大きなウエートを占めておるというふうな場合には、新幹線というのは非常な装置産業でございますので、少人数で、しかも特急料金も非常に高いということで一人当たりの収入が大きくなるのはこれは当然でございます。  そこで、そういう一人当たりの収入とか、あるいは職員一人当たりの輸送量とか、あるいはいろんな指標があるわけですけれども、それをただ単に単純な比較をしても、それで相互の生産性を比較するのはなかなか難しいということでありまして、したがいまして、例えば監理委員会で計算したときには、これは輸送密度別に似たような条件に私鉄をグループ分けしまして、しかもそのような形で国鉄と私鉄の同じ条件下で生産性指標が一体どうなるか。これを運転とかあるいは駅業務とかいろんな種類別に、職種別に回帰分析をして、そして私鉄の生産性というものとできるだけ同じ条件で比較をしたわけでございます。さらにそのほかに、今先生も御指摘ありましたけれども、例えばみどりの窓口でありますとか、大都市の私鉄の場合にはいわゆる自動販売機が非常に多いわけでありますが、やはり長距離になりますとどうしても手売りの窓口が必要だということになります。あるいは精算窓口が必要だということになる。そういうふうな特殊事情というものも加味いたしましてそれで監理委員会では十八万三千人、こういう数字を私鉄並みの生産性ということではじき出したわけであります。  その後、政府及び国鉄におきまして、さらに具体的な現場に即しまして、現在の実際の勤務条件のもとで具体的に各系統別に積み上げ計算をしたらどうなるかということで計算をした結果が、十八万六千人という結果が現在出ておるわけでありまして、これによって既にその体制で十一月一日以降業務が行われているわけであります。  したがいまして、私どもとしましては、監理委員会の十八万三千という数字と、それから現場で積み上げた十八万六千、非常に近似した数字でございますけれども、これが大体私鉄並みの生産性ということになるのじゃないか。それによって初めて競争条件が等しくなるわけでありまして、これからの競争にたえていける、こういうふうな体制になるというふうに考えているわけでございます。
  262. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 もう時間でございますので最後に申し上げたいと思います。  今、いろいろ具体的条件も加味いたしまして勘案いたしましてとおっしゃるけれども、そして積み上げられたと言うけれども、具体的にどういうふうに積み上げられてきたということまでわからないわけですよ。結論的にこうなるんですと、こうおっしゃるだけなんですよね。つまり民営にする、分割にするということは専門家に任してくれ、あともうそういうことを言ったってどうせわからないだろうというようなことで、全く私は何というのでしょうか、残念です。残念というよりも腹立たしいわけですよね。例えば資料一つ見ても私は、中曽根さん、立場は違いますよ、おたくと。立場は違うけれども、フェアな立場で質疑したいわけですよ。ところが資料を出せと言ったって出してこないわけですよ。出してこないでいて、そしてその場になっていろいろ言われるなんて、これはもう本当に私はやり方がひきょうだと思いますよ。  例えば、具体的に言えば第三セクター、これは国民のお金でもって建設したということでしょう。そしていろいろお金も出している。当然国策会社でしょう。その第三セクターの問題について、収入はどうなっているのだ、そして人件費はどうなってどうなってと、いろいろ教えてほしいと言ったってついに出さないんですよ。出さないで来て、そしてお聞きになったら答えますと、こんなばかにしたやり方があるかということですよ。今まで全部見て、それを言わざるを得ないわけですわ。  だから、私は結論として言うことは、労働者はくたびれている、あなたたちが机上で計算して大丈夫だなんて言われるけれども、くたびれている本人たちが——実際見てごらんなさい、そういうことの中で安心して私たちは乗っていけますかというような問題ですよ。そしてまた財政的な負担もさせられる。国鉄が出した目標自体もう超過達成しているじゃないですか。三十二万のとき二十七万で、それだけでもう超過達成しているんだ、何でこれ以上いじめるんだ。よりもっと働かせてよりもっと利益を上げなきゃならないという、分割・民営というそのものがはっきりとここに、利潤追求のためにこの際切り込んでいけということにしかならない。こういう分割・民営のこの法案によってどれだけ国民や労働者が痛められるかということをこの際真剣に考えていただきたいということを私は最後に申し上げて、まさに天下の悪法だと言わざるを得ないということを申し上げて、終わりたいと思います。
  263. 野末陳平

    ○野末陳平君 私は、国鉄売却用地と、それから三陸鉄道、時間があれば整備新幹線まで質問したいと思います。  まず、売却用地のリストに挙がっておりますけれども、あそこには随分地方の土地がありますが、地方の土地はなかなか思うように売れないんじゃないかと思うんですね。ですから、全部そちらの思惑どおりにこれを売れるのかどうか、その辺の事情をどうお考えですか。
  264. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 先生御指摘のように、地方ではなかなかやはり売りにくい土地もございます。しかし、今回リストアップしました中で著しく売却が困難であるというものについてはこれは七兆七千億の計算から除外してございまして、一応現在の段階で売却が可能であろうという見当のついたものについてのみこれを計上しているわけでございます。
  265. 野末陳平

    ○野末陳平君 不幸にして売れなくても、都心などの一等地が思ったより高く売れればその辺でバランスはとれると思うものの、問題は前回でも質問しました仮定計算の七兆七千億のあの根拠なんですが、そちらのお答えを議事録をとって検討してみますと一つどうもよくわからないところがあったんですが、あくまでもそちらは今回の計算では根拠に時価を参考にしたというんですが、それは間違いないですか。時価という場合には、いろいろな見方がありますが、実勢価格というか最近の取引事例といいますか、少なくとも私は最近の取引事例というようなことを考えていたんですが、どうですか、それは。
  266. 林淳司

    政府委員(林淳司君) できるだけ試算に当たりましては時価に近いものを出したい、こういうことで計算をしておりまして、基本としましては公示価格あるいは基準地価格というものを基礎にしまして推定いたしておりますけれども、例えば都心部の大規模用地、こういうものにつきましては近傍類地の取引価格というふうなものについてもこれを加味して試算をいたしております。
  267. 野末陳平

    ○野末陳平君 今、時価に近い、あるいは近傍価格というのが、取引実例というのが出ましたが、それはいつの時点のことを言っているんですか。
  268. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 近傍類地の取引事例、これは実は昭和六十年の四月の時点を基準にしまして計算をいたしておりましたので、それを二年延ばしまして六十二年現在の数字を出したわけでございますが、基礎は六十年の四月でございますので、したがいまして取引事例価格の調査もその時点の数値でございます。
  269. 野末陳平

    ○野末陳平君 六十年四月というのは一年半前ということになりましてかなり古いわけですね。本来地価が安定しているときは古くないんですけれども、ここのところ特に東京都心の一等地は異常な高騰をしましたので、私が七兆七千億じゃどうも少ないんじゃないか、もうちょっとあると言ったときには、最近の、つまり直近のこの夏ぐらいまでの取引事例を頭に置いていたからそういうふうにお聞きをしたわけですね。ですけれども今聞きますと六十年四月、となるとこれはかなりその後値上がりしていますから、一部の一等地についてはちょっとずれがあり過ぎるのじゃないかなと、こう見ますが、それについてはどういうふうに修正をなさっているんですか。
  270. 林淳司

    政府委員(林淳司君) これは現在具体的な土地についてそれぞれ個別に試算をするのは非常に難しゅうございますので、一定の前提を置きまして試算をしたわけでございます。したがいまして、先ほど申しましたように六十年四月の公示価格というもの、それからさらに大規模用地等については取引事例というものを加味しまして、その後六十一年の四月にさらに新しい公示価格が出ておりますので、それとのいわば変動率というふうなもので修正をいたしました。さらに六十二年の四月、もう一年これを過去の公示価格の趨勢等から延ばして、そして六十二年の四月時点での数字というものを想定したわけでございます。したがいまして、おっしゃいますように具体的な個々の土地をとってみますと確かに、公示価格についてもこれはある程度のものについての平均的なものをとっておりますので、個々具体的にとってみればその変動率がもっと大きいもの、こういうものもあろうかと思います。したがいまして、将来これについては具体的に売却する時点で初めて額は確定するわけでありまして、あくまで現段階では一定の仮定条件を置いた推計値というふうに御理解をいただきたいと思います。
  271. 野末陳平

    ○野末陳平君 もちろん仮定計算ですから、この数字について今、これを確定しろ、これは低過ぎる、もっと高いと言っているわけじゃありませんで、今の説明でもどうやら全国的な傾向で何となく六十二年四月の時価を推定しているような感じを受けますね。となるとばらつきがありますから、そういう数字を当てはめて果たして的確な計算ができるのかどうか、そこが非常に疑問だったんですね。  つまり、そちらは公示価格と簡単におっしゃいますが、公示価格は去年とことしとそれから最近のでもうつかまえるポイントがずれていますから、一年間で公示価格の伸びがこれだけあったというようなことはできないんですよね。ましてや売却用地に近いところがうまくあるかどうかもわかりませんから、どうやらその機械的な計算というのは非常に乱暴で、実勢を反映するというところまでなかなかいかないんですね、特にこの一等地に関する限り。しかも七兆七千億のかなりの部分がこの一等地で占められているような感じも持ちますので、その辺をそちらがどう考えているか、そこが聞きたくて前回からくどく聞いているんですよ。実勢を反映してないでしょう、結論としては。
  272. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) そういう御指摘が実はあろうかと思いまして、私どもこの審議が始まりました時点で実は再建監理委員会試算数値で当初お答えを申し上げたわけです。ところが、仮定でよろしい、とにかく総額の目安を示せと。その仮定をする数値というものは実勢を必ずしも反映しないかもしれない、その御了承の上でお許しがいただけるならということで実はこの試算をいたしましたわけでありまして、現実の売却価格と変動があることはもちろん、実勢を必ずしも十分に反映したとは言い切れないかもしれません。しかしそれなりに努力をして修正いたしてまいりまして、たまたま基準値として全国的に一番とりやすかったといいますか、各種の資料がそろいましたのが六十年四月でありましたので、これを推計で延ばした点につきましては、あるいは狂いの要素があるかもしれませんが我々としてはその中で最大限実勢に近い数字を出す努力はしたつもりであります。
  273. 野末陳平

    ○野末陳平君 いや、ですからそこまでおっしゃればこだわらないんです、あくまで仮定計算ですから。ところが前回私の質問に対してほとんど時価に近いんだと言いますから、じゃ取引事例は一体どれを参考にしたんだと聞いているわけですから、あくまで目安だとか、あるいは実勢を必ずしも反映してないかもしれぬが仮定計算だからと、こういうふうに言っていただかないと、現実を調べもしないで物理的に機械的にただ伸び率を当てはめたりして推計値を出している。ところがそんなものではここ一、二年の都心の急騰はつかまえられないんですね。しかも今後この都心を高く売らなければいけないわけですから、それをお聞きしたんですよ。それでいいんですか。そういうふうにとりますよ。だから、実勢を必ずしも反映していない、目安だと、こういうことでいいんでしょう。
  274. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま先生おっしゃるとおりでございまして、前回私答弁申し上げましたときに、時価に近いという言い方が若干語弊があったと思います。どちらかといいますと、そうラフな計算をしたわけではございませんけれども、確かに二年間のぶれがございますし、そういう意味であくまで推計値でございまして、そういう前提で時価にできるだけ近いものを算定してみましたという意味でございまして、決して時価にごく近いというか、非常に近いというものではないわけでございます。  それから先ほどのをちょっと補足させていただきますと、六十年の四月から二年間変動率で延ばしたと申し上げました。この延ばし方としましては、全国一律でやったわけでございませんで、例えば東京でありますと区別、区単位に、それぞれの実際の六十年四月から六十一年四月にかけての公示価格の伸び率、それからその後一年間の過去の平均に基づく変動率というものを用いておりまして、その点だけちょっと補足さしていただきたいと思います。
  275. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこで、例の七兆七千億円という額ですが、あくまで仮定計算で結構ですが、私がこれを直近の取引事例などを参考にして何となく、これは全く漠然と考えたわけですが、特に汐留とか都心の一等地などこれは月ごとに異常な高騰をまだ続けておりましてしばらくとまる様子はないですが、いずれはもちろん天井を打つと思いますけれども、そういう一番目玉になるようなところの直近の取引事例などを参考にして仮に計算し直すとすれば、一兆や二兆軽く違っちゃうんですね、計算し直せば。ですからあの七兆七千億というのは、地方のが仮に売れ残りがあったとしても、いいところがうまく売れれば十兆やそこらに軽くいくだろう、こういうふうに私は思うんです。それについてはどうですか。いずれ売る時点でそういう答えは出るんですから今は出なくて当たり前ですが、どう思います、感じとして。
  276. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに現在大変な勢いで大都市、殊に東京の中心部分において地価が上がっておることは私も承知しておりますし、その限りにおいて、私は委員の御質問のような形になってくれれば最終の国民負担をそれだけ減らすことができると、祈るような気持ちであります。
  277. 野末陳平

    ○野末陳平君 結論は国民の負担が軽くなるということが一番大事なわけですから、今後の売るタイミングなどをきちっと考えてうまくやってほしい。それはお願いなんで、仮定計算が間違っているとか、これは根拠が違うと言っているんじゃないんですよ。ただあの仮定計算は疑問があるといういろいろな声があるから、さらに根拠を明らかにしてほしいとお願いしたら余りしないから、ちょっとそちらのずさんなところをただしただけですよ。  もう一つまたあるんですね、この売却用地で言うと。これも前回の総裁の答えがかなりあいまいだったんで、時間がなくなっちゃったから、もう一回確認しておきますよ。  三鷹—立川間の中央線の複々線計画ですか、あれはいつごろを実現のめどとして土地の取得などの面でこれまで準備をしてきたのか、その経緯をちょっと説明してください。
  278. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 中央線三鷹—立川間複々線高架計画につきましては、都市計画事業として施行される、と同時に、旅客鉄道会社といたしましては複々線化ということで輸送力増強工事というものがあわさって計画をされるということになるわけでございますけれども、これにつきましては昭和五十年代の当初から、いわゆる事業調査ということで、都市計画事業をする事業調査が行われている段階でございます。都市計画事業といたしましては、その後引き続き事業採択あるいは都市計画決定ということになるわけでございますし、一方鉄道国鉄といたしましての輸送力増強、複複線化という問題につきましては運輸大臣の認可ということになるわけでございますが、そういった事務手続はいまだにとられていないということでございます。  先生からお話のございました三鷹—立川間の用地等につきましては、駅改良あるいはほかの意味での輸送力増強ということに必要な用地を取得する場合に、将来の複々線化計画も頭の中に入れながら昭和四十年代当初から確保してきたという用地でございます。
  279. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうすると、広い意味の用地手当てを、いろんな事業計画があったようですけれども、二十年ぐらいやっているわけですね。それで、そういうための用地の手当ては今はほとんど終わったわけですか。
  280. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 複々線化、高架化に必要な用地のうちのごく一部のものしか終わっていないということでございます。全部が終わっているということでは到底ないわけでございます。
  281. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこで、手当ての終わった用地については今回の売却用のリストに入れているんですか。
  282. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今国鉄から説明がありましたように、確かに都市交通部会の意見が複複線化を主張された時点から当局として営々とその用地の買収にかかったようでありまして、このケースだけではなく、あと二カ所ほど中央線の沿線で部分的に購入を図った場所はあるようであります。先日御指示をいただいたのでその後調べてみました。そうすると、結局事業計画が提出をされる前に設備投資の抑制がかかって、それ以来用地取得そのものも進行がとまっておるという状況のようであります。そして、現時点では複々線化の事業を実施することが確定していないということから、原則にのっとって清算事業団に残すという整理をしたという説明を受けました。私どもは個々の用地の区分については、法案の成立後、第三者機関の意見も聞いて決定をすることにしておりますけれども、いずれにしても改革後において新会社が複々線化の工事を行う場合に支障が生じないような十分な配慮をしていかなければならぬと思います。  そこで、御指摘の用地の処分というものは、原則として清算事業団に移しますけれども、複々線化事業との調整を図った上で処置をするように清算事業団に対しては指導していきたいというのが先日御指摘を受けました後私なりに検討した結論でありますので、御報告を申し上げます。
  283. 野末陳平

    ○野末陳平君 要するに、事業団に行って売却用地に一応なっているけれども、しかしこの計画に支障がないようにしなきゃということが大臣の今のお答えだったんです。その場合にもうちょっと具体的にどうしても気になるわけですね。これは通勤事情などを考えますと絶対に必要な事業だと思いますけれども、もしこの土地が事業団から売却されるときに、先ほども議論がありましたけれども、原則として公開競争入札という形になりますとこれは問題が多くなるなと思うので、大臣、その点どうですか。
  284. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは実は内部で議論をしておりましたが、まだ結論は出ておりません。しかし、例えば随意契約の例として私は道路等他に転用のできないケースを想定して先般来御答弁を申し上げておりますけれども、これが複々線化に確実に使われる状態でありましたならばそうしたことも考慮の対象になるのではなかろうか、そんなことも考えながら内部で今議論調整をいたしておりまして、結論をまだ出すに至っておりませんが、中間としてはそういう意見も検討されております。
  285. 野末陳平

    ○野末陳平君 これは常識的に考えても公開入札というのは無理だと思いますね。一括して新会社の手に渡らなければ複々線はできないわけですから、大臣の今のお答えの中にもちょっとありましたけれども、随契のような形が、しかも適正な価格でまとめて新会社に買ってもらうということが恐らく一番好ましいだろうと思うんですね。いずれにしても、この事業が支障を来すということになってはいけないというのが私の質問の趣旨だったわけですから、事業団から新会社に行くに当たって用地代には今まで国鉄がかなり安く取得したであろうよりもはるかに大きな金がかかるとは思いますけれども、それはそれとしても、事業ができないことはもっとマイナスなわけですから、その点だけは絶対に間違いのないような大臣の指導それから当局の、事業団の配慮をしておいてもらわないと困ると思うんですが、重ねてお答えしてください。
  286. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ただ、この議論がきょうの御質問までに決着がつきませんでした理由は、複々線化の用地として手当てをしております部分が実は全体の中で本当にごくわずかなんです。そうなりますと、仮にこれをそのまま複々線化のための事業用地として適正価格でお渡しをしても、果たしてその残りの部分が買い足せるのかというような議論も実は出てきまして、結論がなかなか出ませんでした。ただしかし、今委員が御指摘になりましたようなことは私どもとしても十分考慮の対象にすべきことであると考えて論議をいたしておりますので、十分に私どもは注意した結論を出したいと思います。
  287. 野末陳平

    ○野末陳平君 私は、もうかなり土地が手当てされているというように聞いていたのでそうお聞きしているんです。
  288. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 先ほど御答弁申し上げましたように、手当てしております土地は複々線化のために必要な用地のごく一部でございます。  それから先ほど四十年代前半からというふうに御答弁を申し上げたかと思いますが、四十年代の後半からおおむね十年間にわたってということでございまして、まことに失礼をいたしました。謹んで訂正をさせていただきます。
  289. 野末陳平

    ○野末陳平君 いずれにしても、総理、整備新幹線だけが希望の灯じゃないわけでして、こちらもお願いしておきます。  それから三陸鉄道についてちょっと聞きますけれども、三陸鉄道は民営のモデルのように言われてかなり成功しているように聞いております。この三陸鉄道の旅客運輸収入と乗客数、ここ二年の推移がどうなっているか、それをちょっと答えてください。
  290. 熊代健

    政府委員熊代健君) 三陸鉄道は御承知のように五十九年の四月に開業いたしました。この鉄道は、御承知だとは思いますが、国鉄が営業しておりました三つの線と鉄道建設公団が新たに二つの線を建設いたしまして、それを通して北リアス、南リアスということでやっているところでございます。  収入等の実績でございますが、営業収入が五十九年度は七億八千万、それから営業外収入が千四百万、合わせまして七億九千四百万、六十年度の実績が営業収入が六億八千三百万、営業外が二千二百万で七億五百万。それから輸送乗客数でございますが、五十九年度は定期外、定期合わせまして二百六十八万九千人、六十年度はちょっと減少いたしまして二百六十六万六千人という状況でございます。
  291. 野末陳平

    ○野末陳平君 営業収入などが一億円ばかり減っているのは、値上げによる乗客離れとかそういうこともかなり大きな原因ですか、それとも特別大きな原因があったんですか。
  292. 熊代健

    政府委員熊代健君) 今申し上げました数字が少し減少しておりますのは、運賃改定は五十九年四月に設定して以降ことしの十月までやっておりません。したがいまして、六十年度は天候のかげんもございましたでしょうし、五十九年度は開業ブームといったようなこともございまして、落ちついた時期に多少、観光路線的な性格を持っておりますので、六十年度がやや落ちたということでございます。
  293. 野末陳平

    ○野末陳平君 民営化になりまして黒字経営のためには値上げというものはこれはもうやむを得ざるものがあるというのは今後の見通しでも、特に三島の場合でも想像されるんですが、この三陸鉄道ですね、値上げをした結果、今国鉄と比べて運賃体系でどのくらいの高いところにいるものか、それを簡単に説明してくれますか。
  294. 熊代健

    政府委員熊代健君) 国鉄の場合には御承知のように対キロ制をとっておりますので、私鉄の場合は割合全体的に距離が短いものですからそういう意味で区間制的にやっておりますので、五キロ、十キロ、十五キロというところで十月一日改定後の数字を申し上げたいと思います。  五キロで三陸鉄道が百八十円、これは国鉄の地方交通線も百八十円で同額でございます。十キロでこれは二百三十円と百九十円。それから十五キロになりますと、三陸鉄道が三百二十円の国鉄が二百二十円というような状態に現在なっております。
  295. 野末陳平

    ○野末陳平君 二十キロは。
  296. 熊代健

    政府委員熊代健君) 二十キロは四百四十円と三百円、国鉄が三百円でございます。
  297. 野末陳平

    ○野末陳平君 ある程度の値上げはやむを得ないと思うものの、今ので見ますと十五キロでもって百円違う、二十キロになると五割増しになっている、こういうふうになりますね。ですから、値上げというのは、結果的に経営のために考えれば客離れもしそうだし、国鉄時代と比べて非常に高くなってくるし、この辺非常に今後新会社に値上げは慎重にしてもらわなきゃならないと思うんですよ。私心配なのは、大臣にもお聞きするんですが、この三島が基金だけで、その他幾つかの補助、助成はあるでしょうが果たしてやっていけるかどうか。やっぱり最後は値上げにおんぶする、そうすると値上げが客離れをまた呼ぶ、こういうイタチごっこになるんじゃないかというところがどうしても心配なので、その辺は本当に安心なのかどうか、そういうことをもう一度大臣にお聞きしたいと思いますね。
  298. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、三陸鉄道を例にして御質問がありましたが、実はこの三陸鉄道状況につきましても、開業後五年間にわたりまして欠損補助を組んでおったわけでありますけれども、むしろ五十九年四月開業以来黒字計上を行っておりますので、その欠損補助を必要としておらないという状況もございます。そしてまた、欠損補てん等を行うため転換交付金の一部を活用して運営助成基金を岩手県に設定しておりますが、基金利息を使用する必要がないということから、開業以来二年間、その利息が基金に繰り入れられているという状況が続いております。しかし、そういうこの三陸鉄道状況から逆に考えてまいりましても、確かに三島会社の経営環境というものが大変厳しいものがあるわけでありますから、そのために、国鉄時代の長期債務を一切引き継がないということと同時に経営安定基金を設置しておるわけでありますけれども、この条件というものは、むしろ私は三陸鉄道株式会社に与えられている条件よりははるかにむしろ手厚い中身であると思います。  それだけに私は、状況は厳しいということは確かに各委員から今までも御指摘を受けてきたことでありますが、三島の旅客会社も努力をしていただけば十分に対応できるものであるという気持ちは持っておりまして、なお十分な注意、指導はいたしますけれども、私どもとしては、殊にこの状況の中で一応見直しまして、再建監理委員会の御指摘よりも経営安定基金の積み増し等を図りましたことによりましても、十分にたえて太刀打ちできる会社であると考えております。
  299. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうあってほしいと思いますね。  それから整備新幹線のこともお聞きするつもりでしたけれども、時間ですから次回に譲ります。  終わります。
  300. 梶原敬義

    梶原敬義君 最初に、二つだけ具体的な問題をお尋ねいたします。  一つは、理事会を通じまして今写真が手元にあると思いますが、長野県の地方交通線の問題です。県内を三分割される長野県で、同一路線が東日本と西日本会社に分割される大糸線について、社会党の調査によれば、今配付させていただきました写真のように崩れ落ちたホーム、崩れかかったホームの土台、危険な階段、列車とホームの間の広いすき間、高さなど、安全施設の整備を怠った各駅があります。安全の確保を国鉄当局に何回も要請してまいりましたが、一向に改善をされず逆に無人駅にされ、不安を高めております。このような問題は全国各地に存在をしております。私は九州ですが、九州の特に東海岸のローカル線あるいは日豊線、こういうところにも大なり小なり出ておる現象でございます。分割・民営化によって新会社の経営安定、国民の利益を図ろうというのであれば、このようなものは国鉄において改修をし新会社に引き渡すべきだと考えますが、この点いかがでしょうか。
  301. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今長野県の例をお示しになったわけでございますが、私ども安全に関しましてはこれを最重点の経営項目というふうに常日ごろ考えておるところでございまして、予算面での配賦も、非常に最近工事等金額が総体として減少している中で安全投資の面では今までとほぼ横ばいのような形でこれを維持しようといたしておるところでございまして、先生御指摘のような、地域によりまして若干のそうした面での実行がなされていないところがあるかもしれませんが、全体といたしまして私どもは乏しい予算の中からできるだけ重点的に投じていっているつもりでございます。
  302. 梶原敬義

    梶原敬義君 写真まで十枚こうして見ていただきましたから、この点についてはもうやりますと、できるだけ努力をすると、こういうことをひとつ。
  303. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今写真も拝見をいたしまして、もうこういうような状態、大変一般の方にも御迷惑をかけているかもしれません。よく実態を調べまして、なるべく速やかに改善を図っていきたいとこう思っております。
  304. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に、またこれもどうも心配だからということで、質問をするということになりましたら、ひとつ質問をし何とか実現してほしいという要請、強い希望がありまして聞くのであります。  総理大臣が行革を打ち出して、特に福祉がどんどん後退をする、こういう状況の中でございますが、一つは国鉄利用者の中で戦傷病者、この人たちは今すべて免除でございますが、これが一体どうなるのか。  それから身体障害者。運賃、急行、これは五割引きでございますが、これが一体どうなるのか、この二点。  それから、これは大臣にこの二点をお尋ねしますが、保護世帯については今三割引きでございますが、これについては国鉄当局としても私はやっぱりぜひこれを維持していただきたい。  我々はこの法案に反対をしておるわけでございますが、もし要するにこの法案が決まって施行される段階になって一体どうなるか、これを前提に聞いておるわけですが、この二点お願いします。
  305. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 現在、先生今おっしゃいましたような戦傷病者割引あるいは身体障害者割引、なおまた生活保護世帯を対象としております特定者用定期割引、こういうような制度を今国鉄で実施しておるところでございます。移行時に際しましては、こうした制度はもうそのまま次の会社に引き継がれるということであるわけでありますが、将来にわたりまして各会社がどう判断するか、これはいろいろと自主的な判断があろうかと思いますが、私どもの今の気持ちでは、やはり将来の新会社におきましてもこれらの割引制度はそのまま維持されるものというふうに考えております。
  306. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今総裁の答弁がありまして、将来はという話もつきましたけれども、現在既に私鉄が行っておりますサービスに比べて、より以上のサービスを私は新会社に要求することはできないと思います。  しかし、例えば身体障害者の方々に対する割引等々、こうしたものは私は新しい会社の経営能力を超える負担とは考えておりませんし、こうしたものは当然将来にわたって存続をさせると思っております。
  307. 梶原敬義

    梶原敬義君 さて、私は国鉄を根本から変えてしまう六分割、この政府案には反対であります。国土の均衡ある発展を考えた場合には、少なくともNTT並みの公共性を残した企業として存続をさせなければならない、こう考えます。この観点から今から順次質問をしてまいります。  最初に運輸省にお尋ねしますが、鉄道輸送は道路輸送に比べまして、貨物あるいは人を輸送する場合にエネルギーの観点からは私は船輸送に続いて二番目に有利だと。数字も持っておりますが、この点について運輸省の見解を最初にお尋ねします。
  308. 棚橋泰

    政府委員(棚橋泰君) お答えを申し上げます。  まず旅客輸送でございますけれども、一人キロ当たりの単位輸送量、国鉄でございますと百二・〇キロカロリー、それから営業用バス、乗り合い自動車でございますが、これが百七十・〇キロカロリー、それから自家用自動車は六百六十八・一キロカロリー、それから航空機は一人キロ当たり五百十一・一キロカロリーでございまして、おっしゃいますように、国鉄ないしは鉄道というのは大変エネルギー的には効率的な輸送になっております。  ただ、これはあくまでも全体の平均でございまして、例えば非常に輸送効率の高い都市交通等ではもっと鉄道が高くなります。また、ローカル線等非常に利用者の少ないところでは逆に鉄道の効率は落ちる、こういう形になると思います。  なお、貨物につきましては、一トンキロ当たりが、国鉄は百七十二・五キロカロリー、トラックが千百十七・四キロカロリー、海運が百十七・九キロカロリーということになっております。
  309. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に、総理大臣は前に通産大臣もなさったことがあるんですが、石油資源の世界の埋蔵量について、一体どのくらいあるんだろうか。そして可採、石油の使える年数というのは一体どのくらいあるんだろうか。これは当然、若干頭の中に入っておられると思うんですが、今急に言ったって無理だろうと思いますので、資源エネルギー庁長官にこの点について最初にお尋ねをします。
  310. 野々内隆

    政府委員(野々内隆君) 現在までに確認されております石油の可採埋蔵量は大体七千億バレル程度と言われておりまして、昨年の生産量が世界で百九十五億バレルでございましたので、今後約三十六年分ぐらいに相当すると思われます。  今後発見されるのがどのくらいかということでございますが、究極可採埋蔵量は理論的に約二兆バレルと言われておりまして、既に現在までに人類が六千億バレルぐらい消費いたしておりますから、今後新たに発見されるものは大体七千から八千億バレルぐらい、今現在存在するぐらいの埋蔵量が発見されるのではないかというふうに考えられております。
  311. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうしますと、これから、今現在の見通しとしての可採年数というのは約三十六年。三十六年で石油はなくなるというような数字だろうと思うんです。しかし、新しく発見をしていって、あるいは今発見されておる石油をもう少しうまくくみ上げることができた場合には一体三十六年がどのぐらい延びるんだろうか、この点についてお尋ねします。
  312. 野々内隆

    政府委員(野々内隆君) これはなかなか推定が難しゅうございますが、私ども最近まとめました「二十一世紀エネルギービジョン」によりますと、もし石油の需要が今後毎年二%程度ずつ伸びるという前提に立ちますと、二十一世紀の初めごろに石油の生産量のピークが来るのではないか、全く石油の需要が増加しない、今のままでいくと仮定をしますと、二十一世紀の中ごろかちょっと前ぐらいのところでピークが来るのではないかというのがおおよその推定でございまして、これは確たることを申し上げるのは国際的にもなかなか難しいかと思っております。
  313. 梶原敬義

    梶原敬義君 一九九〇年代に入りますと、大体開発途上国がどんどん今消費量がふえておりますから、今だぶついております石油需給というのは非常に逼迫をしてくるだろう、こう言われておりますし、また今長官からお話がありましたように、二十一世紀になりますと、これはもう消費量が二%で試算して非常にふえてくる。そして、三十六年ぐらいたつと計算上はなくなる。しかし、新しいのを掘ればもう少し延びるだろう、こういうことです。私も今資料を持っておりますが、アメリカの一番権威があると言われておりますオイルコンサルタントのジョン・D・ムーディーさん、ムーディーという人とミッチェルディー・ハルブーティーという人が予測をしておるのですが、要するにいろいろ手を尽くしてもやっぱり九十年ぐらいではないだろうか、もうなくなってしまうだろう。こういう有限の石油を今我が国は消費をどんどん、資源を持っていなくてしているわけです。  こういうような状態の中で、私は中長期の鉄道輸送のあり方というのを考えた場合には、今は確かにいろいろ問題があるかもしれないけれども、戦後、そして昭和三十年代の初めぐらいまでというのはこんなに自動車が普及をしておりませんでしたから、そのような状況にやっぱり三十年か五十年かあるいはもうちょっと先かわかりませんが、いずれ近い将来にそういう方向に行き着くだろう。違うエネルギーを開発したとしても、そうガソリンにかわってどんどん消費するようなエネルギーというのはそんなに考えられるものではない。だから、私は今総理が行おうとしております、国鉄を分割して、しかも六つに小さく刻んで、長野県のごときは三つの会社が存在するわけです、そういうふうな形じゃなくて、エネルギーの観点から見てもこれは最小限NTT並みの、北海道から九州まで路線を確保して、そして一つの会社で、例えば九州なら九州に代表権を持った重役を置けばいいわけですから、そういうような形で、六つに分割するんじゃなくて、将来鉄道輸送が見直されなければならない時期が必ず来るだろう。  だから、そういう意味では、今目先でこれを六つに分割するというようなやり方についてはどうしても納得できぬのです。総理いかがでしょうか。——いや、総理です。
  314. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員長から指名を受けましたので、私から一応お答えをさせていただき、もし不足いたしましたら総理からお答えをいただきたいと思います。  私は、実は人キロ当たりの使用カロリーというものを今初めて頭の中に入れた次第であります。しかし同時に、現在我が国の生産しております電力の約四〇%が石油で発電をされておること、また鉄道と申しましてもローカル線におきましてはもっぱら軽油によって走行する気動車が用いられているということから考えますと、ローカル線の鉄道のエネルギー源もまたやはり石油に依存をしておるということであります。そうなりますと、その石油の供給が逼迫する状態に備えて鉄道をという御議論は私はちょっと納得のいきかねる部分がございます。むしろ、委員は今、NTT方式ではなぜいけないかという御指摘をされたわけでありますが、それはたびたび当委員会でも御論議をいただいておりますように、やはり新たな経営形態を目指すそれぞれの会社が地域におけるそれぞれの交通機関との競争を行いながら地域に密着した経営をしていくという視点からすれば、我々はむしろ分割・民営によるべきであり、委員の御指摘のように全国一社制の中でというお話は、私は一つの御論議ではあると思いますけれども、しかしやはりそれは今の全国一社制の国鉄の持つ欠陥を将来に残すことになるのではないか、そのように考えておることも事実でございます。
  315. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一社制と六社制との間でエネルギーの消費量がそれほど変化があると私思いません。
  316. 梶原敬義

    梶原敬義君 私は何にもそんなことを言っていないんです。今のようにトラックによる貨物輸送やあるいは自家用車でどんどん油を消費されるような時代というのはやがて近い将来に変わらざるを得ないような、エネルギーの、石油の事情からそういう状況が来る場合に、やはり線路の上を走れば電気を送電してそしてどんどん走れるわけですから、だからそういう時代になった場合、そういうことを考えながらエネルギーの観点からもやはり今の鉄道のあり方というのをきちっと長期に備えて、しかも小さく区切らぬで一本で温存をしていく必要があるのではないか、人の問題は別ですよ、そう思います。  それから、運輸大臣、丁寧な答弁をいただきましたが、確かに電気もそれは今重油で発電をしている部分はたくさんある。しかし、油がなくなった場合にはこれは水力あるいは石炭、原子力、こういうところで発電を補っていかざるを得ない。だから、私が言っているのは、油がなくなれば一緒じゃないかという議論と違うんです。やっぱり発電は別な代替の可能な資源というのがあるわけです。だから、私先ほどからこう言っているのは、もっと長期に立って考えてほしい、こういうことです。この点についてはもう答弁は要りません。おわかりだと思います。だから、大臣の今の答弁は的を外れておるんです。  次に、国土の均衡ある発展という、そういう観点から見た場合にも、非常に今度の国鉄改革法案の扱い方、それは確かにいいところはいいかもしれないけれども、九州や北海道、こういう非常に厳しいところはこれは分割・民営化されたらもう大変なんです。だからそういう意味で、総理大臣はよく国土の均衡ある発展という表現をお使いになりますが、総理の考えておる国土の均衡ある発展というのはどういうことを意味しておるのか、この点について九州やあるいは北海道のことを頭に置いていただいて御答弁をお願いします。
  317. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはり地域地域の特色と個性を生かしてそして国土全体がバランスのとれた発展を行う、そういう考えに立って申し上げておるので、北海道には北海道の特性があり九州には九州の特性がございますが、それらの特性を十分に生かし得るような開発なりあるいは国土政策というものが必要であると思います。
  318. 梶原敬義

    梶原敬義君 順次そういうことにならないということを私は質問の中で申し上げていきます。  その前に、これは総理大臣でもあるいは運輸大臣でもいいんですが、三島基金という表現、三島会社、三島基金という表現が出てしようがない。私はどういうことかよくわからないんです、三島というのは。三島とは一体何なのか。この点について最初にお尋ねします。
  319. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 経営安定基金と申し上げておりましたものが、これは国会審議になりまして、衆議院の審議以来、委員方々からも三島という言葉が使われ、また報道の方々からも三島という言葉がよく使われておりますうちに、私もいつの間にかそういう感じになって三島基金ということを時々使うようになりましたが、これは、北海道旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社の経営を安定させるための経営安定基金を意味するものでございます。
  320. 梶原敬義

    梶原敬義君 私は九州ですがね、九州が島だと言われたことはこれまで聞いたことはない。いつからこの三島という言葉が——北海道と九州と四国。本州は島じゃないのか。これはいつから出たんですか。
  321. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私もいつからと言われますとよくわかりませんが、必要でありましたら衆議院時の議事録を調べてみますけれども、当初私は経営安定基金と申し上げておりましたが、御質問の中に三島という言葉が続出しておりますうちにいつの間にか私もつられてそういう言葉を使うようになりました。
  322. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは監理委員会、運輸省は知っておると思うんですが、いつから最初に顔を出したんですか。
  323. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 私も確たる時期というものについては承知をしないわけでございますけれども、確かに、先生おっしゃるように監理委員会の意見書にはそういう言葉が使ってございます。そういうことで、監理委員会時代にもそういう言葉が既にもう使われていたということかと思います。
  324. 梶原敬義

    梶原敬義君 総理大臣のアメリカに対する、メキシカンとか、差別があるとかないとかという表現と非常に似ている。中曽根内閣の体質をあらわした言葉だと思うんです。——いや笑い事じゃないんです。これはいつから一体こういうような、明治の時期から使ったことのない言葉が出てきたのか。非常にこれは最初に聞いた瞬間に、私は九州ですからね、ばかにするなと、こう思ったんです。総理大臣はこれを聞いて非常に快い感触を得たんだろうと思う、総理大臣の体質からしますとね。九州や北海道や四国はまあどうでもいい、三島だと。  この点について総理大臣総理大臣差別体質、口ではいろいろ言うけれども差別体質がやっぱりこういうところにあらわれていると思うんですが、いかがでしょうか。
  325. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は三島という言葉は余り使ってないです。それで三島という言葉が出てきたときに非常に、おやっと違和感を感じました。正直に言って、九州が島かなと。しかし後で自分で反問してみて、大八洲とか日本列島と言うんだから本州もある意味においては島になっているのかな、そういう意味においては九州も島だろうけれども、我々が通俗的に今まで考えていた考え方では九州は島であるとは考えていなかった。ですから非常に違和感を感じた次第です。
  326. 梶原敬義

    梶原敬義君 いや、それは本当に総理の勘は、フィーリングというんですかね、僕は正常だと思います。だから、そういうわけならこれから一切三島という表現はやめていただきたいんです。いかがですか。
  327. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) わかりました。
  328. 梶原敬義

    梶原敬義君 いや、わかりましたというか、それは今までいろいろなところに三島という印刷がどんどん出ておりますが、私ども九州ですが、沖縄を島なんて言いませんよ。九州七県と沖縄と。ですから、これからやっぱり文章を、三島なんというのは——私はむしろ北海道を地下のトンネルを掘って本州とつなげ、そして九州と本州をつないで、そして四国と九州をつなぎ九州と本州をつなぐ。もっと一体に考えるような交通政策、運輸政策があっていい。それを今のやつはばらばらにするような方向にずっと持ってきているのがこの改革案なんです。この点についてはどうしても納得をすることができません。三島という表現はこれから消えるわけですが、ぜひ反省をしながらこういう差別的な体質の表現については消していただきたい、こう思います。  次に、先ほど総理大臣が、地域の均衡ある発展ということはそれぞれの地域の特徴を生かしてと、こういうことになりますが、例えば、ちょっとここに地図がありますが、これは九州の地図です。特に我々は東海岸におるんですが、これは小倉からずっと下りまして日豊線というのが走っているんです。それで日豊線はやっと最近になりまして複線化がほとんど大分までできました。しかし、まだ一部国東半島の根っこにあります山香町と杵築市の間は工事中なんです。それから大分市から鹿児島に抜ける道路というのは全部単線なんです。我々が汽車に乗ってあっちこっちに行く場合は、絶えず、次の汽車を待ち合わせるというアナウンスで何分かとまって行くわけです。そう長い距離じゃないんですが、大変な時間がかかるんですよ。そういう状況なんです。  ところが、今度のこの分割・民営化の九州旅客鉄道株式会社の中身、あるいは九経連の皆さんが試算した内容等を見ますと、ここからこっちの複線化なんかはもう計画に入っていない。減価償却なんかを見たら、全部維持更新のための減価償却費になっているじゃないですか。したがって、こういうところを新たに複線化するとかあるいはよくするとかというような計画はもう全然ないんです。だから、ここからこっちなんかは今のままでもうそれはいいじゃないか。ましてや新幹線は、これは地域の人たちは国鉄分割・民営化、特に中小企業の社長さんたちと話していろいろ言うが、しかし将来こういうような形になると永久にこの東海岸には新幹線は走らないようになるのではないか。だって、九州旅客鉄道株式会社は民間の会社ですから、ここで採算をとってやるとするなら、そんな設備投資をするような余力はない。その前のこの複線化の問題を見てもわかりますように、こういうような状況です。しかも一本も高速道路は走っていない、こういうような状況です。これで何で地域の均衡ある発展が達成できるのですか。そして特色をどう生かすのですか。  この点についてもう一度総理大臣に、たくさん言いたいことがあるんですが、時間の関係で、総理どうですか。
  329. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 発展の度合いが各地域によって違うのは甚だ残念でありますが、東九州のみならず、本州においても日本海沿岸というものは同じようにおくれておる。そういうものをできるだけ取り返しながら国土全体をバランスのとれたものにしたい、そう考えておる次第であります。
  330. 梶原敬義

    梶原敬義君 総理大臣、ということになりますと、九州旅客鉄道株式会社になりますと、これは計画書を中身をごらんになったと思いますが、これは私は北海道も九州も同じだろうと思うんですが、こういうようなところは永久に、その会社からの計画はもう消えてしまうわけですね。この点について、いやそうじゃない、均衡ある発展を何とかやれると言うのなら、どうしてやるのか。その点についてこれはみんな、一部の人を除いて大勢の人が、この地域の人たちはどうなるのか、こういう心配です。それから久大線、豊肥線がありますが、全然電化しておりません。ディーゼルでごとごと今行っているんですよ。こういうような状況についてもう一度私の胸に落ちるように、新しい会社ができてもこういうところも均衡ある発展ができるんだ、こういうことをひとつ言ってください。
  331. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今の状態が続けばもっと絶望的な状態が続くのでありまして、これだけの累積債務をしょって、これだけの人員を抱えてやっていくという状態ではさらに将来の見通しはないと思うんです。それで今のような分割をやって、そして経営安定基金もこっちから出して、債務も免除して、そしてできるだけ九州の独立採算制をやれるような体制を今一生懸命つくろうとしているわけです。それによって経営が安定していけば、資本力も出てまいりまして、そして国民の皆さんが要望しておる東海岸であるとかあるいはそのほかの地域においても次第に力を伸ばしていけるようになると私確信いたしております。ともかく今の状態ではもう何にもできぬ、借金が累積するばかりだ、このような借金地獄の状態から一日も早く脱却することが建設のためには必要だ、そう考えておる次第です。
  332. 梶原敬義

    梶原敬義君 私は総理大臣のそういう答弁を予測しておりました。これはそういう網をかぶせたような形で抑え込むような物の発想あるいは答弁には、もう前から聞いておりまして私はどうしても納得ができません。  NTTが民営化になるときに私も審議に立ち会ったんですが、総理大臣、NTTの関東局とかいろんな局がありますが、あの民営化するときに一体九州のそんな我々のところの会社がもうかっておったか。NTTの大分なら大分、九州のNTTの局ですね、もうかっておったのか。もうかっておったのは関東の三つとそれから関西、四つじゃないですか。それで分割しないで今やっているじゃないですか。この点についていかがですか。
  333. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは橋本大臣に聞いてもらった方が、当時党の行財政調査会の会長をしていましたから手がけてもらったわけでありますが、NTTの場合と国鉄の場合は性格が違うと思うんです。NTTの場合は電波ないし電気通信という形で瞬時にして全国一元的に物が動く、電波が動く、そういう状況であるわけです。したがいまして、あのときの思想でもいわゆる幹線システムというものはそのまま保全すべきである、そういう考えに立ちまして経営も技術的な結集もあるいは現実の施設も一体となって幹線施設は維持する、そういう基本方針が決められてやっておるわけです。国鉄の場合とは条件が違うと思います。
  334. 梶原敬義

    梶原敬義君 それが違うのですよ。国鉄の場合は、だから、エネルギーの観点からいいましても、将来石油もなくなるような時期にそう代替エネルギーをどんどん車に積んで走れるようなことにはならない。そうしますと、三十年あるいは五十年のそういう中長期の見通しに立った場合に、これは線路の上を電気で走るという方法は非常にやっぱり有利になってくる。だから基幹という意味からしますとむしろNTTよりももっと大事な面があるのではないんですか。  要するに私は、NTTがもし九州とかばらばらにあった場合にはそれは非常に地方はまたおくれてくると思う。NTTが今地方でいろんなことがやれるというのは、やはり首都圏でたくさん、国鉄もそうなんですが、もうかるところでもうかって、そしてごく一部を地方に少し回してそして地方の整備をしていく、そういう観点はやっぱり国鉄の場合もNTTの場合も同じじゃないかと思う。だから、国鉄の場合は東海道新幹線がもうかるでしょう、あるいは首都圏がもうかる、そのもうかったごく一部は、みんな田舎から出てきているんです、北海道や九州の人たちがみんな家元を離れてきてここで生活しているんです。その人たちが九州へ帰ったとき、九州の国鉄ももう少しやっぱり整備された方がいいだろう、こう願うでしょう。しかし、今政府が出しておりますこの分割・民営化法案では一体九州が、特に九州や北海道やあるいはそういうおくれた地域は全くよくならぬじゃないですか。今まで以下になる、今までの方がよかった、私はこう思いますよ。この点についてもう一度答弁してください。
  335. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) NTTの場合はあれだけの大きな三千億円ぐらいの黒字が出ておるわけで、経営的にも非常に安定しておると思うんです。国鉄の場合はこれだけの赤字が出て、この赤字をどうするかということも行財政の大きな対象であり国民の大きな関心であったわけでございます。そういう意味においてNTTの場合と国鉄の場合は条件が全く違う、そのように思う次第でございます。
  336. 梶原敬義

    梶原敬義君 私はもう全く違わぬと思うんだけれども総理大臣は本当に真剣に物を考えようという姿勢がないから幾ら話をしてももう、ですから結論から先に言うんです。  国鉄を六つに分割する必要性は私はないと思う。だから、あるとすればなぜそれじゃ六つに分割をするんですか。人もそれなら二十一万五千なら五千に減ったときに、じゃなぜ分割する必要があるんですか。分割する必要性の問題について、こういうことが分割をする必要があるんだということを言ってください。
  337. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほどから総理にいろいろ御答弁をいただいておりますので、補足する意味で申し上げたいと思います。  先ほどからの御論議の中で補足をいたしたいと思いますのは、一つは、この十一月ダイヤ改正による地域密着型のダイヤ編成というものを、いわば民営・分割という方向を先取りした形で今回国鉄当局が初めて組んでくれました。しかし、そのもとにありますものは何かといえば、やはり旅客流動のそれぞれのエリアにおける完結度であると思います。そういたしますと、例えば北海道の場合、北海道旅客鉄道株式会社のエリア内における旅客流動完結度は九九%であります。四国会社の場合には九六%であり、九州会社の場合には、旅客流動の社内完結度は九八%であります。また、例えば九州旅客鉄道株式会社の管内から北海道への御利用と申しますものは、六十年度における旅客流動の実態からまいりますと年間二千人程度でありました。九州旅客鉄道会社管内から四国への御利用というものが年間約二万人であります。九州会社の管内から本州への御利用というものが約二百七十五万人でありました。そして九八%の方方は九州会社のエリアの中で旅客流動を完結しておられるわけであります。とすれば、私どもはやはり地域に密着した経営形態の方が実態にふさわしい形である、先刻来の総理の御答弁にこの点を補足させていただきたいと思います。
  338. 梶原敬義

    梶原敬義君 私は、それはいつも大臣が言われておりますからそういう答弁になるだろう、こう思っておりました。  都留重人さんが「世界」の六十一年の十一月号に書いております。「初めに分割・民営化ありき国鉄再建の問題点」、ちょっとこれ、元国鉄総裁磯崎さんの一部書いたことを読ませていただきますと、「百年余の歴史ある国鉄をつぶそうというのに、自動車、飛行機、船と鉄道との関係を今後どうするのかという総合交通体系の哲学がない。哲学なくしてやれば、必ずや朝令暮改になり、数年を経ずして手直しをしなければならなくなる。」、これが磯崎さん。それから西ドイツの国鉄の幹部ですが、「わが国では、鉄道は文化の重要な構成要因の一つという考えがあるのです。赤字だから路線を廃止するといったら、自分たちの文化を破壊するのかって大騒ぎになります。」、これはこの都留さんの論文の巻頭にある言葉です。  そこで、今地域完結型、地域密着型だから九州は九州、北海道は北海道、四国は四国でやってもいいではないか、そういう大臣のお話がありましたが、都留さんが書いているのは私はもっともだと思う。私はよく国鉄を利用して行き来しておりますからよく状況はわかっておるんですが、例えば都留さんはこう言っている。「私のような門外漢でも、公表されている統計をもとにするだけで、たとえば西日本旅客会社の九七%と言われる域内流動性が、料金計算では六〇%程度になるだろうことが推計できる。また、新幹線、特急、急行の乗客は、全乗客のわずか三・四%にすぎないが、人キロでは四四%、鉄道収入では六〇%になっているのである。」、こういうことを書かれている。  だから私は、地域完結型だということで押してくるのは前の運輸大臣もあなたもそうでしたが、では都留さんが言っているように、九州なら九州の売り上げに対して外に出る者のパーセント、九州から外に出る人のパーセントは一体どうなるのか、金額でパーセントを出してほしいということを、運輸省の私に質問をとりに来た人に、それを出してくれ、あるいは調査室を通じてその数字を出してくれと言うたが、いいところばっかり、九九%、九四とか九七とかいう、そういう地域完結型だと。確かに人は通勤やなんかで行ったり来たりしますから、数でいくとそういうパーセントになる。しかしやっぱり金額で見なければ片手落ちではないか。資料を出してくれということで何回も言うけれども出してこない。この点についてはいかがですか。地域完結型だと言いますが、料金は一体どのようになるのか、域外に出る料金の割合はどうですか、大臣大臣が答弁したんですから大臣
  339. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今総合交通体系から説き起こされたわけでありますが、私どもは、各種の交通機関の発達しております今日、望ましい交通体系と申しますものは、各種の交通機関がそれぞれ極力効率的な経営を前提としておのおのその特性を生かすことによって国民生活や地域のニーズに対応し、安全性、快適性、迅速性を備えた質の高いサービスを提供するのが望ましい姿だと思います。そして、そうした視点からまいりますならば、鉄道については、委員御自身も指摘をされましたように、大量性、高速性、定時性等の特性を有するわけでありますから、これらの特性を発揮し得る主要都市を連絡する中距離の幹線旅客輸送、また大都市圏及び地方主要都市圏における旅客輸送、あるいは長距離、大量の貨物輸送などの分野において引き続き大きな役割を果たしていくものであると思います。しかし、それでは現在の国鉄状況が果たしてその中でその役割を果たしているかと言われますならば、残念ながら私は必ずしもそうではない、とは思っておりません。委員が御指摘をされたこれは前段階の問題へのお答えであります。  また、またがり運賃の問題につきましては、確かに御指摘を受けましたような問題はございます。しかし、例えばその一番典型的なものは、既にほとんど償却が終わろうとしている、利用度も高い東海道・山陽新幹線、これを地域におろした場合の例えば東北あるいは上越新幹線を抱える地域会社とのバランスといったようなものも出てくるわけでありまして、例えばそれについて新幹線リース機構でバランスをとるような工夫もしておりますし、またがり運賃については関係会社間における協議の中で定めていけるものと思います。
  340. 梶原敬義

    梶原敬義君 私が聞いておりますのは、人で言うと確かに地域完結型だというのは、九州でいうと九七、あるいは北海道が九九ですか、四国が九四と、こう言われたんだから、じゃ今度は運賃でいうと、域外に出たもの、売り上げに占める域外の運賃は何%なのか、これを聞いたんですよ。
  341. 須田寛

    説明員(須田寛君) 今先生の御指摘がございましたお客様の数で推計をいたします場合には、乗車券の発売統計等から比較的とれるのでございますが、実はまたがりの収入を分析いたしますのにはかなり膨大なシステム計算を要しますので、現時点において正確な数値を実は持っておりません。把握していないという状況でございます。
  342. 梶原敬義

    梶原敬義君 おかしいじゃないですか。地域完結型だというような言い方でこれは押しまくってきているんですよ。地域で九十何%乗っかるからいいじゃないかと。ところが、私も調べておりますが、時間がないですから全部言いませんが、とにかく特急に乗って新幹線に乗りかえて、あるいは彗星に乗って新幹線に乗りかえて新大阪から、たくさんおりますよ、来る人は。たくさんおるんです。九州の人も利用しているんですよ。だから、数だけでいうと確かに少ないかもしれないけれども、九州の管内での売り上げのパーセントはしかし一方ではこうなんですよと判断をする場合に、人数だけようけ利用しよるからいいじゃないか、金額はあんた関係ないじゃないか、これで判断を迫るというやり方は一方的じゃないですか。だめですよ、質問を続けられないですよ。
  343. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 各旅客会社エリアをまたがる人キロあるいは旅客収入の割合でございますが、今須田常務が言いましたように、厳密な意味での計算をやりますのはなかなか大変でございますが、大ざっぱな感覚で申し上げますと、約十数%それぞれまたがりの人キロなり収入があるという状況だと思います。
  344. 梶原敬義

    梶原敬義君 じゃ、今私が言いました、都留さんが言っておる、料金では六〇%云々という、これは違っているということですか。とにかく違っているなら違っているように資料を出してください、この委員会が終わるまでに。早く出してください、できるだけ早い方がいい。いいですか。
  345. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今申し上げましたように、厳密な計算はなかなか難しくてすぐ出すことはできません。大ざっぱな感触で今申し上げたところであります。
  346. 梶原敬義

    梶原敬義君 十数%じゃない、もっとたくさんになるだろうというのが私の判断です。あんたたちが今言っておるように、九七%の人が乗るからそれで地域完結だったらいいじゃないか、そうじゃないんだ。たくさん料金を使って大阪や東京に来る人だっておるんだ、九州あるいは北海道から。そういう九州域内でのそういう人たちの売り上げもこれは大変貢献しておるわけです。これの判断を抜きにしてただ人数だけで言うということは、これでは質問が続けられませんから、だから今私は大体勘どころでもっと高いパーセントであると、こう見ておるんですが、これを納得できるような資料提供をしていただくように委員長取り計らってください。
  347. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 大変恐縮でございますが、時間的にかなり時間を要するものでございますので、先ほど私申し上げました大づかみの数字で御勘弁願いたいと思います。
  348. 梶原敬義

    梶原敬義君 見通しが違うよ、それは。
  349. 山内一郎

    委員長山内一郎君) ただいまの梶原君の件につきましては、その取り扱いを後刻理事会において協議することにいたしたいと存じます。
  350. 梶原敬義

    梶原敬義君 それでは続けますが、早急に出していただきたい。  総理大臣ね、勝手過ぎるんですよ。いい材料ばっかりあなたは出して、だからこうこうこうなんだって言ったって、それは悪いところも出して、どうしましょうかと、こういうことにならぬとこれは何のことかわかりませんからね。あと、分割・民営化する必要性というのはほかにはもうないんですか、これはなぜ六つに分割するかという理由づけはですね。
  351. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは、経常の効率性というような面から見まして、やはり六分割しておのおの独立採算制へ持っていく。そして、各旅客会社の間で競争をやってもらうとサービスもよくなるだろうし、お互いが刺激し合う。そういう形で民間的手法を大いに入れて持っていこう、そういう点が大いにあるわけであります。
  352. 梶原敬義

    梶原敬義君 私もそういう答弁が返ってくるだろうと思っている。ただ、総理大伍、民間の手法を取り入れるというんならなぜ分割をする必要——せぬでも、本社を東京に置いておって、そしてそれぞれ六つのところに代表取締役の権限を持たしたやつを置いておけば、これは分割をせぬでもいいじゃないですか。新日鉄という巨大企業、私のところに新日鉄の会社がありますが、これは一々六つに会社を分けますと重役は何人できるんですか。それぞれ今度は管理部門が要ります。それぞれの会社で決算をやらなきゃならない、あるいは税務対策をやらなきゃならない。一切この会社は、六つプラス貨物会社、七つで全部やらなきゃならない。これこそ効率が悪いじゃないですか。それからアメリカのGEですか、大きな会社、あるいはIBM、これは五十万人を超えてやっているじゃないですか、五十万人を。NTTが三十万、西ドイツの連邦鉄道が三十万人を超えているというじゃないですか。こういう状況から見て、今コンピューターも発達して、経営学者も、多くの経営学者はこの一つの本社を、どんどんいっぱい会社をつくるよりは、中央に本社を置いてそして地域に独立採算でぴちっとした権限を持たせて、そしてやればこれが一番効率がいいと、こう言っているんです。世の中はそういう方向にどんどん進んでいる。それをなぜ六つに切って、しかも北海道と四国と九州はまさにこれは、後からやりますが、全然採算がとれるような見込みじゃないですよ、私は計算しておりますけれどもね。  この点ではどうしても納得ができません。一体重役の数なんか、あるいは管理部門なんかはどうするのか、会計処理やなんか。どうして総理大臣が六つに分けた方が経営効率がいいとか、あるいは管理上いいと言うのか、その辺についてもう少し……。ひょっとすると電力会社を頭に置いて考えておるのではないかと思うんですが、それも結構ですが、ひとつお答え願います。
  353. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 五十六年に臨時行政調査会が発足をいたしまして、その基本答申の中で行財政改革の大きなポイントの一つとして国鉄の改革を打ち出したことは御記憶のとおりであります。そして、それを受けて国鉄再建監理委員会が設立をされ、再建監理委員会の中の御論議から六分割という考え方が出てまいりました。そして分割を、その答申を受けました中で私どももこれが至当なものと考えて受けとめてきたわけでありますが、例えば確かに、今海外の例等をお引きになりましたけれども、現在全国一社制の国鉄がうまく機能しておらないという事実を踏まえるとき、その効率性、地域密着性、経営効率等々を考えてまいりますと、分割の方がより再生を期しやすいという判断をいたしたことも事実であります。また、北海道、四国、九州の三地域において、経営が通常でなかなか難しいということも御指摘のとおりであります。でありますから、現在の国鉄の抱えております長期債務はこれらの会社には承継をさせておりませんし、再建監理委員会の試算を改めて検討し、その額をふやして経営安定基金をも設けたわけであります。
  354. 梶原敬義

    梶原敬義君 幾つかのことを言われましたけれどもね、ひっかかるんですが。では、四国や九州や北海道はいろいろ負債を承継せぬならせぬで、そして国鉄一本にすれば同じことじゃないですか。それが一つですね。同じことですよ。  それから国鉄監理委員会が出したからといって、国鉄監理委員会がそんなに私は権威があるとも思っておりませんし、亀井さんは、あれは電線をつくる会社の出身の方です。何年か、数年前に電線業界が非常に不況に立ち至った。そのときに法律で今度はああいう業界を救ったんです。産構法といいましてね、産業構造改善臨時措置法か何かですね。用意ドンで設備を廃棄して、供給力を抑えて、そして需給の関係で売り値を上げるような、これは政府が介入したカルテルです。そのカルテルでその後の亀井さんの出身の住友電工なんというのは経営がよくなって、今よくなっているんです。ですから、何でも亀井さん、じゃ亀井さんにはそんなにお世話にならぬで、いいですか、監理委員会の言うことが正しいと言うなら、お世話にならぬで、住友電工やあるいは電線業界がよくなったのなら、企業努力でそれぞれがやってよくなったのならそれは確かにそうかもしれないけれども、それは政府が介在をして、国が介在して、そして供給力を抑えた、これは民間の手法だけじゃないじゃないですか。民間の手法だけでやっているんじゃないじゃないですか。亀井さんたちが出したその答申案を、だから答申案がこうだからこうだという、一律に物を考える。そこにもう既に都留さんが言いましたように、最初に分割・民営化ありき、そこから逆に結論を導き出して、例えば九州だったら一%の利益が出るような、逆に計算をしているじゃないですか、北海道も。どうしてもこの点は私は言っておかなきゃならない問題です。  最後に、九州旅客鉄道株式会社、この採算の問題についてあっちこっちから検討してみました。それで、九州・山口経済連合会の試算によりますと、最初の年から、来年から基金を食いつぶしていかなければどうしても累積赤字が消えないから基金を食いつぶさしてほしいと、こう言っているんです。この点についてどうなんですか。
  355. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 九経連で確かに一つの収支見通しをしておられます。それで、私どもの試算と同様に営業面で相当の赤字が出ます。その赤字の処理の仕方につきまして私どもは、その赤字が恒久的に補てんできるような基金を設定する、こういう手法をとっております。それに対しまして九経連の方は、十七年間で基金を取り崩して、その運用益と取り崩しの額、これでもって赤字を消していく。そして最終的には黒字経営に、基金がなくても黒字経営に持っていく、こういう手法を使っておられるわけでありまして、いわば私どもと九経連とはその辺の考え方、手法が全く異なるということでございます。
  356. 梶原敬義

    梶原敬義君 もう終わりますが、九経連の、総理大臣、試算の仕方というのは、今政府が出しているローカル線をもう六つ廃止するというんです。そして三千五百人さらに人数を減らして、それでも赤字がどんどん続くから、基金の利息で補っても足らぬから基金そのものを返してくれと、こう言っているんですよ。非常に厳しく見ているんですよ。これが政府案だったら、九経連式で考えたらもっと悪くなる。だからこれは絵にかいたもちですよ。こういうものをつくって国民をごまかすようなこういう法案は私は即刻、総理大臣ね、先ほどちょっといい答弁もしていただいたことは一、二あるんですが、よく今晩考えて、やはりNTT方式ぐらいには最終的にやる。これは名が残りますよ、総理。本当にそうしてください。  終わります。
  357. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十一分散会