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1986-11-20 第107回国会 参議院 日本国有鉄道改革に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十日(木曜日)    午後一時十八分開会     ─────────────    委員の異動  十一月十四日     辞任         補欠選任      鈴木 貞敏君     高平 公友君  十一月十七日     辞任         補欠選任      市川 正一君     諫山  博君  十一月二十日     辞任         補欠選任      坂元 親男君     上杉 光弘君      山崎 竜男君     永田 良雄君      秋山  肇君     野末 陳平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山内 一郎君     理 事                 伊江 朝雄君                 浦田  勝君                 江島  淳君                 亀長 友義君                 赤桐  操君                 安恒 良一君                 矢原 秀男君     委 員                 上杉 光弘君                 大島 友治君                 梶原  清君                 木村 睦男君                 倉田 寛之君                 下条進一郎君                 田代由紀男君                 高平 公友君                 永田 良雄君                 野沢 太三君                 真鍋 賢二君                 増岡 康治君                 森田 重郎君                 吉川 芳男君                 吉村 真事君                 青木 薪次君                 穐山  篤君                 田渕 勲二君                 渡辺 四郎君                 鶴岡  洋君                 中野  明君                 三木 忠雄君                 諫山  博君                 内藤  功君                 田渕 哲也君                 柳澤 錬造君                 野末 陳平君    委員以外の議員        発  議  者  村沢  牧君    国務大臣        内閣総理大臣   中曽根康弘君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        文 部 大 臣  塩川正十郎君        厚 生 大 臣  斎藤 十朗君        運 輸 大 臣  橋本龍太郎君        労 働 大 臣  平井 卓志君        建 設 大 臣  天野 光晴君        自 治 大 臣  葉梨 信行君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       近藤 鉄雄君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  綿貫 民輔君    政府委員        内閣審議官    中島 眞二君        内閣法制局長官  味村  治君        内閣法制局第四        部長       大出 峻郎君        日本国有鉄道再        建監理委員会事        務局次長     吉田 耕三君        総務庁長官官房        審議官      百崎  英君        総務庁人事局長  手塚 康夫君        経済企画庁総合        計画局長     及川 昭伍君        経済企画庁総合        計画局審議官   冨金原俊二君        国土庁計画・調        整局長      星野 進保君        大蔵省主計局次        長        角谷 正彦君        大蔵省主計局次        長        篠沢 恭助君        文部省初等中等        教育局長     西崎 清久君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   佐々木喜之君        中小企業庁指導        部長       長瀬 要石君        運輸政務次官   柿澤 弘治君        運輸大臣官房審        議官       井山 嗣夫君        運輸大臣官房国        有鉄道再建総括        審議官      林  淳司君        運輸大臣官房国        有鉄道部長    丹羽  晟君        運輸省運輸政策        局長       棚橋  泰君        運輸省地域交通        局長       熊代  健君        運輸省地域交通        局陸上技術安全        部長       神戸  勉君        労働省労政局長  小粥 義朗君        労働省労働基準        局長       平賀 俊行君        労働省職業安定        局長       白井晋太郎君        建設省道路局長  萩原  浩君        自治大臣官房審        議官       森  繁一君        自治省行政局公        務員部長     柳  克樹君        自治省財政局長  矢野浩一郎君        自治省税務局長  津田  正君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        日本国有鉄道総        裁        杉浦 喬也君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○日本国有鉄道改革法案内閣提出衆議院送付) ○旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○新幹線鉄道保有機構法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道清算事業団法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案内閣提出衆議院送付) ○鉄道事業法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道改革法等施行法案内閣提出衆議院送付) ○地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○日本鉄道株式会社法案村沢牧君外五名発議) ○日本国有鉄道解散及び特定長期債務処理に関する法律案村沢牧君外五名発議) ○日本鉄道株式会社退職希望職員等雇用対策特別措置法案村沢牧君外五名発議) ○派遣委員の報告に関する件     ─────────────
  2. 山内一郎

  3. 穐山篤

    穐山篤君 最初運輸大臣にお伺いしますが、今回の改革法案の第一条、これは趣旨が書かれているわけであります。従来、私どもが経験をしましたこの種の法律というのは、昭和五十六年十二月に行われましたいわゆる行革法というのが手始めでありまして、それからたばこ法案あるいは電電法案、それから今回の国鉄法案ですが、この第一条のところがそれぞれ趣の異なった文章になっていることに気がついたわけですが、今回の改革法第一条の考え方にどういう見解をお持ちですか。
  4. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ただいま御指摘をいただきました改革法第一条につきましては、国鉄が現在の状態になりました経緯考えますと、先般来本院におきまして御指摘をいただいておりますようなさまざまな問題がありました。その状況を踏まえながら、国鉄というものが多様な輸送機関の発達に伴う輸送機構の変化に対応し切れず今日の破局的な状況を招いたわけであります。その根本的な部分につきましては、公社制というものによりまして自主的かつ弾力的な経営が困難でありましたことばかりではなく、全国一元の巨大組織のもとにおける画一的かつ競争意識の乏しい運営が行われてまいったために輸送需要へのきめ細かな対応ができなかったことによるものと私どもはとらえております。したがって、国鉄事業につきまして地域輸送需要に的確に対応し得る効率的な経営形態を実現し、その経営健全性を回復するために分割民営化基本とした今次改革を一日も早く実施したいと、ただいま御審議を願うに至りました。  そこで、改革法の第一条におきましては、このような国鉄改革実施に関する基本的な背景及び認識を示すことによって、同法案規定をいたしております各般施策意義を明らかにいたすとともに、国鉄改革実施に向けての強い決意を述べることとしたものでありまして、国鉄改革に関する各般施策を総合的に推進してまいります上で適切な規定であると考えておるところでございます。
  5. 穐山篤

    穐山篤君 総理にお伺いしますが、昭和五十六年十二月のいわゆる最初行革法正式名称は「行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時特例措置に関する法律」です。私もあの当時行革特別委員会委員でありました。同僚委員からこの第一条「目的」について総理に厳しく追及があったことを記憶しております。  それは、この法律の第一条「目的」によりますと、「この法律は、昭和五十六年七月十日に行われた臨時行政調査会答申趣旨にのつとり、行政改革を推進するため」以下云々、こう書いてあるわけです。問題になりましたのは、「臨時行政調査会答申趣旨にのつとり、」というのは第一条としては適当ではないじゃないか。当然、行政改革を推進するためにこの法律を準備したわけだから、前の「答申趣旨にのつとり、」というのは不必要な言葉である。これの長い議論をされました。その結果、法制局長官あるいは総理も、今後この種の問題については十分に検討したいということで政府預かりのことになっているわけです。  それで、その当時の議論からいたしますと、今回の国鉄改革法第一条の「趣旨」のところも、それ以上に背景説明をことごとく行っているわけです。今運輸大臣は、基本的な認識を明らかにしながら強い決意文章にしたと言っておりますけれども、この第一条の「趣旨」の大部分のところは提案理由説明部分なんですよ。例えば、電電株式会社の場合につきましては、いきなり「日本電信電話株式会社は、国内電気通信事業経営することを目的とする株式会社とする。」というふうに明瞭に株式会社の位置づけをしているわけですね。それからたばこ専売の場合におきましては、第一条「目的」「この法律は、たばこ専売制度廃止に伴い、」——確かに廃止になった。そこで「製造たばこに係る」云々というふうに、名が体をあらわすようにそのものずばりで法律が構成されているわけです。冷静に考えてみましても、この国鉄の第一条というのは余りにも悪文であるし、背景説明をなぜ本文にしなければならないのかという素朴な疑問がどうしても解けないわけです。  法制局長官にお伺いしますが、過去にこういう論争があったことを承知しながら、なおかつ今回の改革法の第一条について、認知をしたと言えば語弊がありますけれども、十分におさらいをしたんだと、法制局長官としてはこういうふうにお考えでしょうか。
  6. 味村治

    政府委員(味村治君) まず、一般論として申し上げますと、新規立法をいたします際には、一部の例外、例えば極めて簡単な法律といったようなものを除きまして、その法律を立法する目的なりあるいはその法律の要旨を記載いたします趣旨規定なり、そういうものを置くというのが普通でございます。  御質問にございました行革関連特例法案につきまして、当時、「臨時行政調査会答申趣旨にのつとり、」、こういう文言が入っておりまして、それを規定していることの当否ということが問題になっていることは承知いたしております。しかし、この問題は、当時の行政管理庁長官をされておりました中曽根総理が答弁されましたとおり、立法例としては珍しいことであるけれども臨調答申について政府は全面的に尊重してこれを断行するという決意をあらわす意味だというお答えをされたわけでございまして、私どももそのように考えている次第でございます。  今回の日本国有鉄道改革法案第一条は、先ほど申し上げましたような一般の例に倣いまして趣旨規定を設けたわけでございまして、これはこの法律案に定めております内容を一見して明らかにするために置いたものでございます。この法律案内容自体日本国有鉄道改革に関する基本的な事項でございますが、これについて定めるということを述べるだけではなくて、その改革がどのような基本的な認識に立ち、またどのような意義を有する改革であるかということを明らかにすることが適切であるという観点から定めたものでございまして、法律的には問題がないものと考えております。
  7. 穐山篤

    穐山篤君 この改革法第一条の冒頭に「日本国有鉄道による鉄道事業その他の事業経営が破綻し、現行の公共企業体による全国一元的経営体制の下においてはその事業の適切かつ健全な運営を確保することが困難となっている」と。私ども日本社会党提案をした社会党案についても今の国鉄でいいとは一言も言っていないし、また国民全体も今のままでよろしいとは言っているわけじゃないと思う。改革の必要は認めているわけです。しかし、この一元的な経営体制が決定的に悪いかどうかというのはお互いに論争のある点なんですよね。それから「事業経営が破綻し、」と書いてありますが、これも認識の違いが現実にあるわけです。そういうものをこの法律の第一条のところに持ってくるのは適切でない。改革のために云々というふうに入るならば了承できますけれども、この基本認識のところについても大いに議論があるものをそのまま第一条に持ってくるということは、法律体系上私は適切ではない、こういうふうに思うところでありまして、今まで長いこの種の論争の締めくくりとしてこういう国鉄の第一条が出てきたことを非常に残念に思うわけです。総理考え方をこの際お伺いをしておきたいと思います。
  8. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 穐山さんが指摘されました五十六年の行革法案の場合におきましても、臨調というものをつくりまして、そしてその臨調法律をもってつくられ、かつその委員の人選も国会同意を得て行う。非常に重い委員会として、また世間的にも大きな関心を呼んで、賛否両論ありましたが、我々の方からすれば国民の御支持をいただいたと考えておりますが、そういう関係でできた臨調答申を実行する。そういうような意味におきまして、重きを考えて第一条の中にそういう趣旨を盛り込んだ。しかも、割合に臨調答申全般を包括的にとらまえて行政改革趣旨というものをはっきりさせよう、そういう意味であの答申趣旨というものを入れておるわけでございます。ですから、法案体系全般からしますと、野党皆さんは、こんなものは中に入れぬでもいいじゃないかというような指摘をされた部分もあったことは事実でございます。その点はいろいろ御批判をいただきましたことも私よく覚えております。  今回の国鉄法案にいたしましても、百年間続いた国有鉄道廃止して新しい六分割という思い切った改革に出てくるものでございますから、そのためにも国鉄再建監理委員会法律でつくり、またその委員国会同意を得て任命し、そしてそれらの方々にこの再建監理委員会をつくった趣旨に基づきましていろいろ議論をしていただいて答申が出てきた。何しろ百年間続いた国鉄改革するという非常に大きな重い仕事でございますから、政府はどういう理念、どういう認識に基づいてこれを実行するかという点をやはりお示しをしないというと、これだけの大きな改革をやるについて態度は軽過ぎやしないか、そういう意識も私たちにはございました。そういう意識についてあるいはやり方について、野党皆さんとあるいは違っている点が多々あることも知っております。  しかし、この改革政府は確信を持って、また政府の責任において実行しようと考えておるところでございますから、そういう意味における政府側としての認識やら決意というものを国民皆さんにお示しして御判断をいただく、国会にもその考えについていろいろ御批判をいただく、そういうような立場で第一条というものを明定した次第でございます。
  9. 穐山篤

    穐山篤君 いずれにしても、提案理由趣旨説明に係るようなものをすべてこの法律第一条の中に込めるというのは、私は好ましいことではないというふうに今でも思っております。政府側立場からすれば、臨調答申というのは当然尊重する立場前提条件にならなきゃならぬわけですね。ですから、それを何も法律の中に入れる必要はないんですよ。それは提案理由背景説明に必要なものなんです。そういう意味で意見は一致をしませんけれども、今後この種の問題を提起する場合には十分に勉強をしてほしい問題だというふうに思います。  それからこの第一条、あえて申し上げますと、用語の小切りがないんですよね。最初から最後まで点だけの押さえで丸がない。この文章も非常に珍しいことなんです。これは法制局長官の方に係ることでしょうけれども、やはり法律というのは国民にわかるように、読みやすいようにするのが法律ではないかというふうに思うわけです。注文だけつけてこの問題は終わりたいと思います。  次に、鉄道事業法案に入りたいと思うんです。  運輸大臣提案説明を聞いておりました際に、こういうふうに言われておりました。国鉄が「分割民営化されることに伴い、現在日本国有鉄道の行っている鉄道事業民営鉄道事業となることから、地方鉄道法廃止し新たに鉄道事業に関する一元的な法制度整備することにより、」以下云々というふうに書かれているわけです。  そこで、問題にしたいのは、「一元的な法制度」ということに注目をするわけですが、現在の鉄道事業に関します法律というのはたくさんあるわけですね。そのうち今回は、統合をいたしましたのは日本国有鉄道法地方鉄道法だけなんですね。鉄道営業法軌道法は若干修正はしましたけれども、九九%はそのまま存続をしているわけです。その立場からいいますと、果たして「一元的な法制度」というふうに言い切れるかどうか、あるいはこれで整備をしたというふうな認識に立てるかどうか、これは問題にしなければならぬと思っているわけですが、運輸大臣その点はいかがでしょうか。
  10. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員が御指摘のように、確かに私は「一元的な」という言葉説明で用いました。しかし、よく御承知のように、鉄道営業法は主として鉄道営業に着目して利用者との関係などを定めている法律でありまして、その性格上は民法、商法あるいは刑法などの基本法と深くかかわっております。そのため、その改正にはやはり慎重な検討が必要でありますし、またその抜本的な整備というものは、今回の国鉄改革によりまして必ずしも必須のものではないこと、また拙速で措置すべきものではないこと、こうしたところから、従来の国鉄から分割されます鉄道会社をも含めまして、鉄道に関する事業規制を一元化した鉄道事業法というものを制定することとしたわけであります。  また、軌道もその意味では御指摘のような問題があるわけでありますけれども軌道は広い意味鉄道ではございますけれども原則として道路に敷設され、道路交通を補完するものでもありますし、通常の鉄道というものとは異質のものでありまして、この区分が一般的にも定着をしておるということから、軌道につきましても従前どおり軌道法体系で規律をする、そういう形をとらせていただいた次第であります。
  11. 穐山篤

    穐山篤君 この鉄道事業法というのは、言ってみますと新しいものだという認識に立つわけですね。これを今後の鉄道事業に関する基本的な法律存在にしようという気持ちも十分にわかります。しかし、考えてみますと鉄道事業に関するいろんな法律があって、それを整理整とんをする、整備をしたいという気持ちがあるとするならば、可能な限り一元的にすることが一番いいと思うんですよ。例えば、軌道法について言えば建設大臣運輸大臣の共管と、こういう意味でなかなかまとめづらいという気持ちはわかりますよ。わかりますけれども、せっかく地方鉄道法国有鉄道法を一緒にするというならば、軌道法についても統合する方法を考えてみた方がいいと私は思うんです。  それから鉄事営業法存在につきましては後ほど詳しく質問もいたしますけれども、この鉄道営業法は明治三十三年にできて以来、全く古色蒼然としているものですね。これだって今回のチャンスを逃がしますとなかなか手直しが難しいという内容を含んでいるわけです。ですからこのチャンスに、この機会に全部法的な整備をするという決意にどうしても立てなかったのかどうか、改めてもう一度お伺いすると同時に、建設大臣見解も伺っておきたいと思います。
  12. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員指摘のような御論議が十分成立する素地があることは私も否定をいたしません。ただ、例えばその軌道法一つをとってみましても、大阪の市営地下鉄というようなもの一つをとってみましても、過去の経緯、現状等々を考えてまいりますと、見てなかなか軽々に手のつけづらい部分がございます。また、今御指摘を受けました鉄道営業法にいたしましても、確かに御指摘のように法律に既に規定する必要の希薄な事項あるいは実態に必ずしも適合しない事項等があることは否定できないことも事実です。しかし、一方で鉄道営業法というものが国民権利義務に直接関係する内容を含んでおりますものでもあり、この改正というものはやはり慎重にすべきものでありましょう。  ですから、確かに今回は国鉄改革に伴い直ちに全面改定が必要とされるものではないことから必要最小限度規定整備にとどめましたが、やはり今後十分検討してまいる必要のものであることは間違いがありませんし、そういう努力はしてまいりたいと思います。
  13. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 軌道法適用を受ける軌道は、原則として道路に敷設され、道路交通を補完するものであり、地方鉄道法やこのたびの鉄道事業法案適用を受け専用敷に敷設される鉄道とは輸送機関として異質なものであって、この両者の区別は一般的に定着しておると考えられます。したがって、従前どおり軌道については軌道法体系で規律することとし、両者の一元化は必須のものではないと判断をいたしております。
  14. 穐山篤

    穐山篤君 縄張り的な気持ちはよくわかりますよ。わかりますけれども鉄道事業というもの全体からこれは整理をすべきものだと私は乙の際大いに主張をしておきます。  さてそこで、今お話が出ました鉄道営業法が残り、軌道法が残っている。鉄道営業法を全体的に読んでみますと、第一条が基本でありまして、あとは全部命令になっているわけですね。いわゆる重要な部分が省令、政令に全部委任をされているというのが特徴なんです。これは法律考えてみた場合に少し私は問題があると思うんです。少なくとも基本的な部分鉄道事業法に総括をして、それになじまない問題を営業法に移しかえる。これならばよくわかるんですよ。ところが、そうなっていないので私どもは常に異論を唱えているわけです。その点についてはいかがでしょうか。
  15. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは一般論として、法律条文でどこまでを規定し政省令にどこまでをゆだねるか、これは私は必ずしも確定はできないと思います。そして、場合によりましては、法律条文はできるだけ簡素なものにし、その授権を受けた政省令においてその実態に応じて弾力的な運用をされる方が効率的な場合もあるいはあろうかと思います。  ただ、今委員が御指摘になりました鉄道営業法の問題につきましては、先刻申し述べましたような理由で今回は必要最小限度規定整備に終えたわけでありますが、検討を要する点があることは御指摘のとおりでありまして、私どもとしても十分検討してまいりたいと考えております。
  16. 穐山篤

    穐山篤君 検討を約束されましたので余り厳しい追及は避けたいと思いますけれども、今営業法第一条を基本にして極めて重要な規則が九本あるわけですね。御案内のとおり。日本国有鉄道建設規程、新幹線鉄道構造規則、日本国有鉄道簡易線建設規程、地方鉄道建設規程それから国鉄の運転規則、新幹線の運転規則、地方鉄道の運転規則、運転の安全の確保に関する省令、それから軌道法の十四条の部分が第一条にかかって全部命令になっているわけです。ですから、これから部内で、この事業法の中で、事業法というのはもう基本の問題ですから、その中に基本的な部分を入れる、そうしながら検討を開始する、こういうふうにしてもらいたいものだと、こうまず第一に思うわけです。その点いかがでしょう。
  17. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今直ちに私がどういう方向でその検討をすると申し上げるだけ十分な知識を持っておりませんが、御指摘のような御意見も当然私は事務方の諸君が検討をいたします場合に参照させていただくべきものであろうと思います。
  18. 穐山篤

    穐山篤君 それから検討の中に鉄道営業法が入るという気持ちも述べられましたので一例だけ申し上げておきますと、現在の鉄道営業法というのはもう実情に全く合っていないんですよね。  例えば、第十五条「旅客ハ営業上別段ノ定アル場合ノ外運賃ヲ支払ヒ乗車券ヲ受クルニ非サレハ乗車スルコトヲ得ス」。今、乗車券がなくても乗って、中で乗車券を買っているわけですから。別に国鉄が奨励をしているわけではありませんけれども、実態はそうなっています。十五条の二項ですが、「乗車券ヲ有スル者ハ列車中座席ノ存在スル場合ニ限り乗車スルコトヲ得」と、こう書いてあるわけですね。今はしりをしっかり押して中に入れる。乗車率一八〇%、二〇〇%。しらばくれているわけです。  十五条を初めといたしまして、私の勉強の範囲内でも、二十四条、二十五条、二十九条、三十三条、三十七条、三十八条というふうに、もうほとんどの部分が実情に合っていないし、文体は明治式になっているわけですね。こういう法律は潔く整理整とんをすべきだと思うんです。そうしませんと、この営業法が正々堂々とまかり通っていることが日本の法律体系をゆがめている、反映をしているということになりかねないと思うんですね。そこで私は、直ちにこの鉄道営業法事業法の中に全部入れるかどうかの話は二の次にしてみても、営業法を直ちに改正するための作業を始めてもらいたい、こう思いますが、いかがですか。
  19. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 直ちにと言われましても、現実に現在国鉄改革の問題を抱えており、また時期的に予算編成も大変間近な状況にございます。ですから、今いつからということについてはお許しをいただきたいと思いますが、問題点があることは先刻私は認め、検討はお約束をいたしましたので、御了解を願いたいと思います。
  20. 穐山篤

    穐山篤君 あしたからというような気持ちはさらさらございませんけれども、これを残しておきますと罰則なり罰金を取らざるを得なくなるんですよ。そういう争いが当然発生をするわけです。ただ、お互いにばかばかしいから言わないし、やらないだけの話なんです。しかし、これをもし真剣に取り上げるとすれば、関係者は罰金とか科料とか、あるいは懲役何年とかというふうに適用されるような法律が残っているわけです。ですから、可及的速やかに検討をして国会に提出してもらう、このくらいのお約束はしてもらえぬでしょうか。
  21. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先刻来申し上げておりますように、この法律自身が民法、商法あるいは刑法等と極めて深くかかわりを持つ法律でありますだけに、やはり私は十分きちんとした検討をし、その対応を定める必要があろうと思います。ですから、十分検討し、御審議にたえられる内容のものとして完成されたものをいつの日かお目にかけたいと思っております。
  22. 穐山篤

    穐山篤君 速やかにとにかく検討を始めてください。知恵を出せといえば我々も協力するにやぶさかではないというふうに思います。そうしませんと、やはりこの法律が残っていますとトラブルが必ず起きます。罰則の規則が残っている以上は、それを適正に適用しなければならない義務が生じてくるわけです。そうなったときにだれが困るかということをお考えになっていただけるならば、これは直ちに検討してもらわなきゃならぬと思うんです。私の記憶では、国会でも以前に問題点が出されまして、昭和三十八年に二年間検討したわけです。ところが、その検討の結果が法律的に日の目を見ないままに今日に至っているという経緯も残っているわけです。したがって、私は早急に検討することを強調しておきたいというふうに思うところであります。  それから今回の事業法の特徴の中に規制緩和、手続の簡略化ということが言われているんですが、その特徴は何でしょうか。
  23. 熊代健

    政府委員熊代健君) お答え申し上げます。  今回の鉄道事業法案におきまして、業務的な規制につきましての緩和も図っておりますが、安全規制の関係で申し上げますと、現在の地方鉄道法に比べまして工事の施行の認可申請、車両の確認の申請等、安全規制の全般にわたりまして審査の対象項目あるいは提出書類の簡素化といったことを図ることにしております点が一点でございます。  それから第二点としまして、一定の資格を持って設計等に熟練している設計管理者という制度を設けまして、これが選任されてまいりました事業者につきましては、一定範囲の施設の変更認可等にかえてこれを届け出にする、あるいはその申請に伴います提出書類の省略を認める。さらに運行計画、いわゆるダイヤでございますが、これらにつきましても認可制から事前の届け出というようなことにする等の、総じて言いまして、手続等の簡素化あるいは規制の不必要なものについての緩和といったようなことを考えております。
  24. 穐山篤

    穐山篤君 例えば参入規制の緩和とか、それから運賃に代表されます価格規制の緩和であるとか、あるいは車両の安全規制の緩和であるとか、緩和がずっと出ています。  そこで伺いたいと思うんですが、今まで地方鉄道法にいたしましても何にいたしましても、鉄道事業というものを中心にして公共的交通機関の役割、責任という面が強調されてまいりました。例えば、運輸大臣が参入を認める認めないということになりましても、それは交通事業の本来の公益性といいますか、そういうものを常に念頭に入れながら認可をしたり認可をしなかったり、承認をしたりしなかったりしているわけですね。そこで私は申し上げるわけですが、少なくとも運輸交通事業というのは、輸送の一貫性というものが維持をされる、あるいは継続性というものが保障される、常にこれは念頭に置かなければならない問題点だと思う。それから二つ目には、輸送の責任の明確化が確保されなければならない。三つ目は、輸送の安全性、確実性が確保されること。欲を言えば、運賃、料金が適正廉価で安定的に長期間保障される、こういうものを国民はみんな期待をするわけです。運輸大臣が認可するしないの場合の基本的な認識というものはここにあると思うんです。特に、輸送の責任とか輸送の安全ということは最大担保しなきゃならぬ問題だと思うんです。  ところが、参入規制の緩和以下いろいろな問題の緩和がされているわけですが、どうしても我々が理解に苦しみますのは、安全性が本当に担保されるかどうかというその問題に焦点を当てて緩和の条項を見ますと非常に不安になるわけです。運輸大臣、その点についてはいかがでしょう。
  25. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は技術のことを決して存じておるわけではございませんので、必要があれば事務方の諸君から補足をしてもらいたいと考えておりますけれども、今委員から御指摘になりましたように、鉄道というものが大量高速の輸送機関であり、その性格上安全の確保というものが何よりも大切なものであることは御指摘のとおりであります。そして、今回の法律によってその安全が担保できるかということでありますが、鉄道の安全性というものを考えてみます場合に、例えば線路その他の地上の設備あるいは信号などの運転保安設備、また車両がやはりそれぞれに相互に融通性のとれた機能、構造というものを持っておることが必要でありますし、国はこれに関して当然準拠すべき技術基準を定めるわけであります。また、個別の施設あるいは車両につきましてもこの技術基準に照らして安全性の確認をしていくわけでありますし、今回の法律におきまして提出書類の省略でありますとか、あるいは手続の簡素化等を図ることにはいたしておりますけれども、それはいずれも鉄道というものをめぐる技術革新、また鉄道事業者が備えてきております技術力といったようなものを勘案しながら行ってくるべきものでありますして、鉄道事業基本的な使命である輸送の安全の確保というものがこれによって損なわれるようなものではないと私は信じております。
  26. 穐山篤

    穐山篤君 時間の関係上、細かくは指摘できないのは残念でありますけれども、例えば今回、各条項をよく読んでみて顕著にあらわれておりますのは、免許制というものを許可制に変える。この免許と許可の法的な解釈というのはなかなか微妙だと思いますけれども、それはそれとしてみても、段落としの格好をとるわけです。それから例えば車両の確認の問題で、第十三条で言えば、従来は認可になっていたわけです。これを確認というふうに段落としにする。今回の法律案全体を見てみますと、そういうふうに、今まで参入規制をやったり、どちらかといえば十分に整備されていなければだめですよと言って厳しいチェックをしてきたのが、手のひらを返したように全部段落としになっているというのが特徴なんですよ。そうなりますと、私が先ほど指摘をしましたように、輸送責任のあり方の問題と安全性という点でも不安を覚えざるを得ないんですよ、私の主張になりますけれども。  そこで、法制局長官、その免許制が許可制というのは私は段落としだと思います。それから許可制と確認も段落としだというふうに法律解釈をしているわけですが、専門的にはいかがでしょうか。
  27. 味村治

    政府委員(味村治君) 一般に、許可それから免許というものはいろいろ講学上議論されておりますが、現行法制上、それが講学上の意義に必ずしもマッチしていないということがあるわけでございます。例えば、許可と申しますと、これは禁止を解除する、こういうことでございます。免許と申しますと、特権を与えると申しますか、そういうようなことになっておるわけでございますが、しかし必ずしも現行法制上、そのような講学上の意義に用いられているとは限らないというふうになっております。  ただいま御質問の件につきまして一般論として申し上げますならば、免許ならば従前の免許の要件というのがございます。そして、それについての運輸大臣なら運輸大臣の裁量という幅がどれくらいかという問題がございます。これを仮に許可と、こういうふうに改めましても、その際に許可の条件なりあるいは運輸大臣の裁量の範囲というものが従前の、改正前の場合と同じということでございますれば、それは何といいますか、緩和したということにはならないわけでございます。あるいは、先ほどおっしゃいましたように、認可とそれから確認、こういうふうにおっしゃいましたが、認可というのは言ってみれば法律要件を補充する行為でございます。確認と申しますと、ある一定の要件を備えているかどうかを確かめると申しますか、そういう行為でございますが、この場合にも、認可の要件をどういうふうに設定してあるか、確認すべき事項は何かということで、その間を精細に比べてみませんと、一般的に申し上げまして、認可が確認より厳しいんだということは仮に言えるにしても、当該事案につきましては、その要件を詳細に比較しませんと一概には断定ができない、このようなことであろうかと存じます。
  28. 穐山篤

    穐山篤君 見解の相違になりますからこれ以上論争しませんが、私があえてここで注文をつけておきたいと思いますのは、各面について緩和されているわけです。これによって輸送の責任が不明確になったり、あるいは責任をとらなかったり、輸送の安全性が担保されなくなったりするようなことはないというふうに皆さん方の方は主張されるでしょうけれども、この事業法が発足した後でそういう事態になることを私は憂えます。したがって、ある一定の期間を経たときに十分これをチェックする、こういうことについて運輸大臣として検討はしてもらえましょうか。どうでしょうか。
  29. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これはもう委員よく御承知のことでありますが、先ほど申し上げましたように、その安全規制というものが大分簡略化されておることは事実でありますけれども、そのもとにあります地方鉄道そのものに対する免許行為は依然として法律上変えておりません。確かに索道事業につきましては許可制を導入いたしました。しかし、その根本のところで私どもはきちんとしたチェックを行える免許制というものを担保し、その個別事項をその延長線の上において事業者の責任をも十分に考慮しながら制度の緩和を図ってまいりましたことは、私は、一方では行政の簡素化という視点から、また事業者の自主的活力、行動の拡大という意味からも間違った手法だとは考えておりません。しかし、委員の御指摘等も踏まえながら、運営についてはよく注意をしてまいりたい、そのように考えております。
  30. 穐山篤

    穐山篤君 次に、動力車の操縦者の免許について伺いますが、現行の地方鉄道の操縦者、運転者は運輸局長の明示する試験を受け、合格した者に免許証が交付される、交付された後でなければ操縦してはならない、こういうふうに書いてあるわけです。民営化された国鉄の動力車あるいは電車などの乗務員の試験、免許というものはどういうふうに変わりましょうか。
  31. 熊代健

    政府委員熊代健君) お答え申し上げます。  国鉄民営化に伴いまして、御指摘のように旅客会社、貨物会社の動力車操縦者も運転免許を受けることが必要だという制度にいたすことにしております。現在の国鉄の動力車操縦者につきましては、国鉄が独自に地方鉄道あるいはそれ以上の形でこれに準じた資格制度をやっております。したがいまして、これにつきましては運転免許を受けたものとみなす、あるいは地方鉄道等にございます指定養成所という制度がございますが、これにつきましては鉄道学園についてその指定を行うといったような所要の措置を講ずることといたしております。
  32. 穐山篤

    穐山篤君 乗り物もたくさんあります。その中で、例えば自動車運転の免許というのは三年間で更新をするということで、免許の有効期間と更新という問題があるわけですね。ところが、法律的に言えば、動力車の操縦者でありますが、一度取りますと一生涯免許を取得した制度になっているわけです。航空機の場合におきましては、身体検査が一年間というふうに限定をされて更新をしているわけです。この大量の輸送に従事する運転者の免許のあり方という問題についてどういうふうに基本的に考えているか、その点をお伺いしたいと思います。
  33. 熊代健

    政府委員熊代健君) 先生御指摘のように、この動力車操縦者の運転免許制度は更新制度をとっておりません。これは、通常自動車等は一般のところで行われる操縦でございますが、動力車操縦者という者は、基本的に免許事業者である鉄道事業者の路線上において運転をするわけでございまして、ただ、そういう点で一般の自動車免許等とはかなり違ったものを持っております。  我々といたしましては、この動力車操縦者の資質の維持ということを図らせる必要がございますので、この点につきましては運転士登用後の適性検査、これは国鉄、民鉄におきましても、身体の機能検査は一年に一回以上、精神機能検査につきましては三年に一回以上というような適性検査を実施させるほか、必要な知識、技能を保有することにつきまして基本的に一年に一回以上確認をするというシステムによりましてこれを維持させるということにいたしております。その維持させるのは鉄道事業者でございますので、これらにつきましては事業法上のいろいろな措置も講じ得るということによって担保するということにいたしている次第でございます。
  34. 穐山篤

    穐山篤君 この動力車操縦者の免許の問題ですが、免許を持っていない者が操縦をしても罰則がないんですね。別な罪状をつくろうと思えばいろんな罪状もあるんだろうと思いますが、無免許の者は車を運転してはならぬ、これは道交法ですね。ところがこの法律に、免許がなくても動力車の運転ができる余地を残しているわけです。あるいは罰則がないということは、裏返しにして言えばそれも認めているというふうにも解釈できるわけです。これは私ども、公共交通を守れとか、あるいは生命、財産の輸送を安全に確保しなさい、こういう主張をする者にとりましては、無免許の者が汽車を、電車を、あるいは動力車を運転するということは絶対にあってはならぬ、こう考えるわけです。しかし、法律上は罰則がないわけですから、可能性として残っているわけです。言いかえてみますと、法律のこれは不備じゃないかと思うんですね。その点いかがでしょう。
  35. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員指摘でありますけれども、これはちょっとお言葉を返すような形になりますが、私は他の一般の操縦、運転の免許の問題と、この動力車操縦者の運転免許の問題とは大変大きな質的にも違いがあると思います。  例えば、自動車でありますとか単車でありますとか、これは民間の方々がどこでも不定期の場所において不定期に使用し得るチャンスを持つものでありますから、これはやはり本人の責任をきちんとこういう場合に問わなければならぬでありましょう。しかし、動力車操縦者の場合に、この方々が恣意的な行為として無免許の運転をなし得るケースがあるとはちょっと私どもとすれば想像はできません。もしそういうことがあり得るとすれば、それは事業者の何らかの意思に基づいて行動が起こされる場合ではないだろうか、私はそう思います。ですからこの場合には、無免許運転等に確かに直接の罰則規定はないわけでありますが、そのかわり、そういう方を企業の命令あるいは指示等々の行為に基づいて無免許のまま運転をさせるようなことがあった場合には、むしろその事業者、運転に携わった御本人ではなくて、事業者そのものが私は処分の対象になるべきだと思います。  そういうふうに考えてまいりますならば、これは事業改善命令の対象にもなりましょうし、またそういう行為が継続して行われ、改善の姿が見えないような状態であれば、これはむしろ事業の免許取り消しに至るような対応措置のとれる事犯ではなかろうか。むしろ私は、操縦に当たる個人ではなくて、その方々を無免許のまま操縦に従事させる事業体の方がその場合は処分の対象になるべきではなかろうか、そのように思います。
  36. 穐山篤

    穐山篤君 一言だけ言っておきますと、今の制度でいきますと、一度取ると一生涯免許をもらったことになっているわけですね。それから国有鉄道が民営鉄道に変わります。そうしますと、やるかやらないかはわかりませんけれども、経費節約という見地からいってみても、本チャンの専門の運転士でなくして、臨時で免許を持っている人をよそから連れてきて運転をさせるということがあり得るわけです。私の記憶では、かつて臨時人夫の人が国鉄の構内で入れかえ作業をやるやらないで大げんかしたことがあったんです。私どもは安全ということを非常に考えるものですから、そのところを厳正にいつも言っているわけです。  しかし、民間鉄道になりますとそういうことも予想にかたくないんですね。例えば本線上の運転ならばこれは本チャンにやってもらう、側線の入れかえはアルバイトで免許を持った人にやってもらうということだって理屈上あり得るんです。そのことを非常に私どもは警戒をするために厳しく追及をしているわけです。運輸大臣は御経験があるかないかわかりませんが、私どもそういう場面にぶつかったことがあるわけです。終身免許だけにその可能性が強いわけです。この点は、今直ちにらちが明かないとするならば、問題点として勉強してもらいたいと思うんです。いかがですか。
  37. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員の御指摘になりましたケースであれば、臨時であるかないかという問題を別にいたします限り、その方は有資格者であるはずであります、免許を持っておるわけであります。無資格の方を運転させればこれは問題でありますが、法的に見て有資格の方であれば、私は、それが業につくことを、その免許を有するという限りにおいては規制するものは何もないと思います。むしろ個々の企業内における労使のあり方、職場秩序の問題としてとらえるならば、これはおのずから別の論議はございますけれども、資格の有無という点から私は今の御意見には従いかねる感じを持っております。
  38. 穐山篤

    穐山篤君 私、先ほどこの法律の不備を申し上げたわけですが、免許を持っていなければ操縦はできないとは書いてあります。しかし逆に、免許を持っていない者が操縦をした場合の取り扱いは法律整備されていないんです。ですから、それは経営者の問題だと言いますけれども、これは経営者の問題のみならず、何とかジャックという問題にも波及する問題です。ですから私は、幅広い意味でここの不備のところを手直しした方がいいのではないでしょうかと、両方の問題を含めて提案をしたつもりなんですよ。いかがですか。
  39. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ただ、私はどうも今の御論議に関しては残念ながら委員の御見解に賛意を表しかねるわけであります。むしろ無免許者を、無資格者を企業者の恣意によって乗務等を命じ運転に当たらせたとするならば、その企業体そのものが改善命令の対象になり、場合によっては事業の免許取り消しにまで至る問題でありまして、私はそういうことがあるとは考えておりません。
  40. 穐山篤

    穐山篤君 かみ合わないけれども、また次のチャンスでいきましょう。  事業法の最後の問題として、この法律の第一条の最後のところに、「鉄道事業等の健全な発達を図り、もって公共の福祉を増進することを目的とする。」と。ここで言う「公共の福祉」という意味は、私が先ほどから申し上げておりますように、少なくともこの種の鉄道事業というのは公共の福祉の増進に当たる公益的な運輸交通事業であると、こういうふうに認識をして差し支えないんですか。
  41. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 御意見の部分に関する限りは私はそのとおりだと考えております。  ただ、衆議院の御論議等でよくございましたのが、この国鉄という現在の姿が変わった後の新たな旅客会社あるいは貨物会社等に他の民間鉄道等と異なった責任を負わせるべきだという御論議がございました。そういうことになりますと、私どもは質的な差異はないと考えておりますが、一般的な公共の福祉の増進という役割を鉄道事業者が担うということは私は当然だと思っております。
  42. 穐山篤

    穐山篤君 例えば、電電株式会社法の「目的」と「責務」のところで、公共の福祉というものが大いに議論をされて第一条、第二条がああいうふうに整備をされた経緯があるわけですね。この国鉄改革法の第一条の「趣旨」のところ、あるいはその後四条、五条なぞに、よく文章を読んでみましても公共の福祉というふうなものは一つも入ってないわけですね。ここが電電株式会社法との大いなる違いだと思うんです。  論争になるかもしれませんけれども、少なくともこの事業法の第一条で言っております「公共の福祉」というのは公益あるいは公共交通機関というものを意味している、私はそういうふうに認識をしているわけですが、先日同僚委員に対する答弁でも、私鉄以上の、それ以上の責任を持たせる公共性ではないと、こういうふうに説明がされたわけですが、輸送全体の量が大量である、密度も高い、常にそのために安全性が担保されなければならない。私鉄でも地下鉄でも、安全性を確保するという点についてはもちろんでありますけれども、高速鉄道も持っているという意味では、もう少し質的に高い役割を民営になった国鉄というものは相変わらず持っている、こういうふうに認識をしなければならぬと思うんです。もう一度その点を伺っておきたいと思います。
  43. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員よく御承知の上でお尋ねをいただいておりますのであえて議論を申し上げるつもりはございませんけれども、確かに私は、現在国鉄が行っております鉄道輸送というものが、経営形態が変わり、民営・分割の将来になりましたとしても、その交通特性を発揮できる分野を中心として国民生活の上に有用な輸送サービスを提供するという点におけるその強い公益性というものを決して否定するものではございません。  しかし同時に、その輸送サービスの性格というものは、私は民間の鉄道事業あるいは航空事業、輸送事業というものとの間に質的な差異があるものだとはとらえておりません。むしろ多様な交通手段が発達をし、そして国民がそれぞれのニーズに応じた交通機関を選択のできる時代になり、新たな鉄道事業というものが、既にもう国鉄が交通市場における独占的な地位を失っております今日において、今後なお引き続き国鉄分割・民営後の新しい姿になりましてから、他の交通機関、特に民間鉄道等と異なる特別の公共性を有し続けるということは、そのそれぞれの事業体の経営いたします鉄道輸送事業そのものの経営にも非常に大きな負担を課すばかりではなく、むしろ私は交通政策上も適切なものだとは考えません。この点は遺憾ながら委員の御論議と私はどうしても食い違ってくるところであります。そして、今回の鉄道事業法案の中におきまして、旅客会社及び貨物会社というものと従来の民間鉄道というものを一体として鉄道事業者としてとらえておりますのもこうした考え方によるものでございます。
  44. 穐山篤

    穐山篤君 ここは、論争になりますから、しばらく後回しにしておきたいと思います。  次に、三島の経営の問題、ローカル線のところに入りたいと思っております。  最初に、本四架橋線それから青函海峡線が昭和六十三年四月一日から営業開始をする、こういう予定になっているようですが、本四架橋線の場合にはどこから四国会社が担当するのか、それから青函海峡線の北海道株式会社が持ちます境界はどこからかというところをまず明示をしてもらいたいと思います。
  45. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 現在進行中の両案件につきましてでありますが、津軽海峡線につきましては、現在進行中の工事を遂行しております鉄建公団が所有をすることになっておるわけでありますが、完成後、北海道会社が借り受けて鉄道事業経営を行う予定であります。また、本四備讃線につきましては、現行どおり本四公団が所有することといたしまして、茶屋町—児島間は西日本会社、児島—宇多津間は四国会社がそれぞれ借り受けて鉄道事業経営を行う予定であります。  津軽海峡線の境界駅であります中小国駅、及び本四備讃線の境界駅であります児島駅につきましては、それぞれ東日本会社及び西日本会社が管理運営をする方向で検討をいたしております。
  46. 穐山篤

    穐山篤君 政府説明によりますと、これにかかわります資本費というのは全部清算事業団持ちの形をとる。営業開始になった場合の安全とか補修とか、そういうものについてそれぞれの株式会社の受け持ちと本四架橋公団なりあるいは鉄建公団の受け持ちはどういう関係になりましょうか。経費の面も含めてでございます。
  47. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 青函トンネルの通常の維持管理費でございますが、これにつきましては鉄建公団のその他の貸付線、これと同様でございまして、一般的にはこれを使用する北海道会社の側でこれを負担するということになります。それから管理費、これにつきましても北海道会社、これが支弁するべきものであるというふうに考えておるわけでございます。
  48. 穐山篤

    穐山篤君 さて、そこで表裏の関係になりますのが青函連絡船、宇高連絡船、こういうことになるわけですが、分割・民営は来年の四月一日からである。しかし、トンネルと本四架橋はその翌年の六十三年の四月一日になる。そうなりますと、一年間連絡船事業は継続をする、これは当然のことでありますが、確認をしておきたいと思います。  それから監理委員会答申によりますと、これは廃止をしなさい、トンネルなり架橋ができ上がった後は廃止をしなさい、こう書かれているわけですが、閣議の決定は、そこを慎重に、「原則として廃止する」というふうに手直しといいますか、「原則」が入ったのが違いであります。これはいろんな思惑があってのことだろうと思いますけれども、どういうふうに海峡線が運営されるかもわからない、あるいは本四架橋線がどういうふうに運営されるかもわからないという状況の中ですから私はあえて申し上げたいと思うんですが、一年間この連絡船事業のあり方の問題については引き続き検討してもらいたい、こういうふうに提案をするわけですが、その点はいかがでしょうか。
  49. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これはちょうど宇高が私の郷里でありますだけに大変答えにくい話なんでありますけれども、実は私は、委員と逆さに、再建監理委員会答申の方がむしろ「その利用の実態から見て競合することとなる場合には」ということで、競合しなければ将来の存続に可能性を残していたという意味ではゆとりを持っておったように思います。しかし、六十年十月十一日の閣議におきまして、むしろ本四連絡橋児島—坂出ルートの完成後あるいは青函トンネル完成後、原則として廃止ということが非常に明確に決まってしまいまして、その意味では大変私は選択の幅は閣議決定によって減少したという感じを持っております。  しかしまた、委員が御指摘になりましたように、トンネル及び連絡橋の完成までは、当然それぞれの会社にこの運航を継続してもらわなければなりません。その間におきまして、将来に向けてさまざまな構想は当然考えられると思いますけれども、確かにトンネル及び連絡橋の完成の後にも航路としてこれが残るということは、なかなか私どもとしても判断できないところであります。それだけに、その間においてさまざまな利用のあり方等十分検討をしていただくべきことだと考えておりますが、最終的な判断は、やはり私はそれぞれの新会社の経営者が行うべきものと、そのように考えております。
  50. 穐山篤

    穐山篤君 よって立つ立場の違いで多少ニュアンスの違いがあることに気がつきましたけれども、とにかく一年間検討してもらいたい。北海道株式会社なり四国株式会社の社長のこれからの施政方針にも大いに関係あるわけですから、一年間ひとつ検討してもらいたいと思っています。  そこで、次に大蔵大臣に伺いますが、経営安定基金の問題です。  先日も論争がありましたが、七・五%に利回りの計算をしておりますよね。それから旅客、貨物会社の方の長期債務の利子につきましては七・二%というふうに仮定計算をしたわけですが、この七・五と七・二の違いはどういう発想の違いからこういうふうに数字の置き方が変わったのか、そこを伺っておきたいと思うんです。
  51. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 借入金利子の問題につきましては、国鉄が現に負っております債券の利子の平均をとったものでございます。それから三島基金の七・五%につきましては、これは基金はこれを持ちまして中長期にわたりまして運営いたしまして、その果実をもって経営の補てんに充てる、こういった性格から、その運用利回りとして最もポピュラーでございますところの国債の十年間の長期利回りの平均をとったものでございます。
  52. 穐山篤

    穐山篤君 その議論は後でやりますけれども、これは一兆一千八百億円というのは金額で確定をしているかどうかという問題と、それから最初の二年間据え置きという意味は、利子相当分にかかわる八百八十八億か九百億かわかりませんけれども、それをあらかじめ三島に渡すのか、それとも年末段階でその九百億円近い金を預けるのか、それによっても基金の運用というのはかなり違いがあるわけですね。それが二つ目。  それから三つ目として、最初の二年間を九百億円前後支出をして、後は元利を八年間に分けて、おおむね千八百億か千九百億円のものを順に八年間落としていって、最終的に十年後に一兆一千八百億円という形を想定していいか悪いか、その問題。三つの問題について明示をしてもらいたいと思います。
  53. 林淳司

    政府委員(林淳司君) まず第一点の一兆一千八百億は確定額であるかどうかということでございますが、現段階で私ども再建監理委員会の試算というものをさらにレビューをいたしまして、政府及び国鉄におきまして諸般の収支についての見直しをした結果、三つの北海道、四国、九州につきまして、それぞれ六十二年度の収支というものを現段階では試算を確定しているわけでございます。それから考えまして、その赤字を七・五%の金利で逆算をいたしまして、そして必要な基金を算定いたしますと一兆一千八百億ということになるわけでありまして、これは現段階の試算における数字というふうにお考えいただきたいと思います。この後、新しい会社は来年の四月の一日にスタートをするわけでございますが、最終的に承継計画その他具体的な計画を固める段階におきまして、その直近の時点におきましてさらに精査をした結果で最終確定したいと思いますが、現段階の一兆一千八百億という数字がそう大きく変わることはないだろうというふうに考えております。  それから次にこの最初の二年間据え置き期間中でございますが、据え置き期間でございますから、まるまる一兆一千八百億に対応する七・五%分の金利分というものが清算事業団からそれぞれの三つの会社に交付をされるわけでございますけれども、これについては、その具体的な交付時期というものについては政令で今後具体的に決めたいと思っております。  いずれにしましても、例えば年度初に全額渡しますと、その運用益というものでかなりのいわば会社としては取り過ぎということにもなる可能性がございます。それから逆に言いますと、また年度末に一括してこれを交付するということにいたしますと、その年間の赤字借り入れの運転資金の金利というものがむしろ会社としては出し過ぎということになるわけでありまして、その交付時期以前の運転資金の借り入れ金利分と、それから交付した時期以後の期間中の交付された金額のいわば基金分、金利分でございますが、交付された金利分の運用益というものとが相殺されるような形で適切な時期にこれを交付するというふうなことを基本にしまして、具体的には政令でこれから定めていきたいというふうに考えております。
  54. 穐山篤

    穐山篤君 同僚委員が北海道を含めたローカル線の問題について後で問題の指摘をしますけれども政府の資料を見ておりますと、北海道、四国、九州の経営につきましては随分甘い見通しを持っているというふうに指摘せざるを得ません。しかし、そのことを今やっている時間がありませんのでそこは飛ばしますけれども、この安定基金の一兆一千八百億円が変更もあり得るということを言われましたので、どういう気持ちで個々を考えているかという意味も若干はわかりました。しかし、結果的に七・五%の計算では私どもは甘い、こういうふうに思うわけです。そうなりますと十年間というのは期間、スパンが長くなり、なおかつ絶対量の一兆一千八百億円というものがもっと膨らんでいく、こういうことを想定せざるを得ないわけであります。  そこで大蔵省に聞きますが、ことしの九月から過去一年間さかのぼった金利の計算をしました。これは十年物であります。そういたしますと、一年間の平均は表面利率で五・七八九、応募者利回りで五・九〇三になっているわけです。同じ計算で過去二年間トータルをしてみましたところ、表面利率は六・二四四、応募者利回りが六・四〇〇、こうなっているわけです。過去三年間同様にやりました。六・四八八、六・六八六、こういうふうに計算が出ます。それから過去十年間の平均を計算してみました。その結果、表面利率は七・〇一三、応募者利回りは七・二一九、こういう計算になるわけです。多分大蔵省の計算はことしの二月あたりの水準を頭にして過去十年間をとったものではないかと推定をされますが、それで計算をしますと応募者利回りは七・四三ということになるわけです。これは七・五にしろ七・二にいたしましても、余りにも実情にそぐわない七・五であるし七・二であるということをこの数字の上からも知ることができるわけです。  そこで、先ほど審議官は金額全体が変わることもあり得る、そういう想定をしておるわけです。その変わり得ることがあり得ると言ったのは、七・五で約束をしたんだから必ずその七・五で計算をしたものを当初の二年も後ほどの八年間もお渡しをします、そういう意味で言っているかどうかというのはまだ明瞭ではないんですね。その点はどうですか。
  55. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 先ほど私が御答弁申し上げましたのは、現段階での試算で一兆一千八百億という数字を出しておりますということでございまして、これは六十年度までの実績に基づいて、具体的には総需要あるいは一人当たりの運賃、料金支払い額、単価あるいはその他の経費の積み上げというものをやった結果、結果的に一兆一千八百億の基金が必要であるという数字を出しておるということでございまして、先ほど申しましたのは、現段階で、しかしこれは確定した額と申しましてもまだ法案審議中でございますし、最終的には法案を成立させていただきましたならば、諸般の準備の過程におきまして最終的に基本計画あるいは承継計画、実施計画というものを固めていくわけでありまして、その段階で最終的な数字のチェック、確認をいたしまして、そこで本当の意味での確定が行われるという趣旨で申し上げたわけでございます。したがいまして、六十年度までの実績に基づいた諸般の試算というものについては、来年の三月なり二月なりという時点におきましてもその実績そのものをベースにして計算することは変わりませんので、したがいましてそういう意味で最終的なチェックは行いますけれども、先ほど申しましたように、この一兆一千八百億という額が大きく変わることはあり得ないであろうということでございます。  それから前提条件である七・五%という金利で運用をしていくということについては、これは最終的にその方針でまいりたいというふうに考えているわけであります。  それから先ほど先生から御指摘ございましたように、二年据え置き、それから八年で元利均等償還というふうな形で、最終的に十年後には一兆一千八百億の基金ができ上がるということになるわけでありまして、一兆一千八百億というものについてその二年据え置き、八年元利均等償還という、こういう条件で逐次清算事業団が各会社に拠出をいたしまして、最終的に十年後に一兆一千八百億の基金ができ上がるという趣旨でございます。
  56. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、一兆一千八百億円というのは固定の金額ですか。先ほどは多少変わるかもしらぬということを想定を言われたわけですが、とどのつまりはどちらが本音と言っちゃ語弊がありますけれども、方針ですかね。その点明らかにしてください。
  57. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 変わることはあり得べしということではございませんで、先ほど申しましたように、最終的なチェック、確認をいたしまして額を確定するということでございます。したがいまして、この一兆一千八百億という数字を来年の二月、三月の時点で最終確認をいたしましたならばその数字はもう変わらないということでありまして、あくまでその一兆一千八百億の基金というものを一挙に一遍に拠出するのではなくて、二年据え置き、八年の元利均等償還という形で清算事業団から各会社にそれを逐次造成をしていくということでありまして、その額自体は変わらないわけでございます。
  58. 穐山篤

    穐山篤君 最初の二年間は七・五で計算をしたものをお渡しする、年度の初めか終わりか途中かは勉強させてもらう、こうなっているわけですね。しかし、三年目からは元利を含めて千八百か千九百ぐらいの数字になると思いますけれども、その場合に金利が下がっておりますと、まあ元金の方はいいとしても、金利を足す金額が少なくなっていく。それは少なくなりません、七・五で全部計算をいたします、そのものをお渡ししますというふうに確答ができますか。
  59. 林淳司

    政府委員(林淳司君) その点につきましては、基金の運用の利回りというものを七・五%というふうに確定をしていくわけでございますので、したがいましてそれの償還の仕方といたしまして、償還と申しますか、その造成の仕方として、それを一遍に基金の一兆一千八百億を拠出して、そして各会社がそれを運用して七・五%の運用益を得て赤字を埋めるということではなくて、あくまで二年間は据え置き、それから三年目から八年間にわたって元利均等償還方式で逐次清算事業団から各会社にこれを拠出していく、こういう方式でもって基金を造成していこうということでございます。  したがいまして、それはあくまで償還の方式の約定でございますけれども最初の段階で、清算事業団と申しますか、国鉄が各三つの会社に負います債務というものは一兆一千八百億なら一兆一千八百億という額、そしてそれを七・五%、こういう利回りでもって二年据え置き、八年償還でこれを最終的に造成いたします、拠出いたしますという約束と申しますか、債務を負うわけでありまして、その債務を清算事業団が引き継いで履行していくということでございますから、したがって当初の据置期間中は七・五%に相当するお金を当然これは清算事業団はその約定どおり拠出いたしますし、それから三年目以降八年間にかけまして元利均等償還方式、最初は利子が多くて元本分は少ないわけでございますけれども、その利子分については当然七・五%で計算をした、そういう金額というものを拠出する。最初の債務はそういう約定でもって債務を負いますから、それを最終的にはその約定どおり履行していくというわけでございます。したがいまして、いずれにしても十年間の金利分については七・五%で計算した金利が支払われるということでございます。
  60. 穐山篤

    穐山篤君 今言われたことをしっかり守っていただきたいと思うんです。これは金利が下がりますと、北海道の会社の立場からいいますと困った話になります。しかし、国民の負担という面からいいますと結構な話でございます、こういう関係になるわけですね。そこで、一たん方針を決めた七・五でありますので、変えないでいくということは約束をしておいてもらいたいと思うんです。  それから資料をひとつ配ってもらいましょうか。    〔資料配布〕
  61. 穐山篤

    穐山篤君 ローカル線の廃止の問題は、私ども考え方は既に法律案を出してありますからあえて述べるつもりはありませんが、分割という面で非常に意外な事態が起きております。  我が党案を提案しました村沢議員はたまたま長野県であります。今皆さん方にお渡しをしましたこの地図は、長野県の鉄道事業は三分割をされる、こういう絵です。それからもう一枚目は、それをもっと砕いていきますと、一つの村が二分割をされる。分割による大局的なデメリットの話はまた別にいたすにいたしましても、長野県の問題が非常に典型的でありますので、まず社会党の提案者であります村沢議員にお伺いしますと、今私が地図をお示しをしましたように、長野県としては非常に困った事態だというふうに思うわけですが、その点いかがですか。
  62. 村沢牧

    委員以外の議員(村沢牧君) お答えいたします。  政府案による分割民営化が新会社の経営、地方線の存続、接続ダイヤや運賃、雇用や安全性などに大きな不安を与えていることは、これまで各委員から指摘質問のあったところでありますが、政府はこの疑問に明確に答えておりません。特に、分割に対する不安は、ひとり三島問題に限らず、本州においても現実に存在しているのであります。  私は、社会党案提案者代表ではありますが、長野県の出身でもありますので、穐山委員から質問のあった具体的問題について問題点を指摘し、答弁を申し上げます。  今、穐山委員から適切な資料の配付をいただきました。ごらんになっていただきますように、長野県は東日本、東海、西日本の三社に分割され、文字どおり分割民営化の縮図であります。県内が三社に分割される、このことによる不便、不安ははかり知れないものがあるわけであります。この三分割のしわ寄せによりまして、次の資料にもありますけれども、新潟県境の小谷村、人口四千八百人の山村、過疎のこの村を走る大糸線は、図面を見ていただけばわかりますように、南小谷駅までは東日本会社、それから以北は西日本会社に分割されるのでありまして、現在は南小谷駅から十四・九キロ以北の県境の平岩駅までは長野鉄道管理局の管理で、それから以北は金沢鉄道管理局、つまり村内は同一管理局になっているのでありますが、政府案によって村内が二社に分割されることになるのであります。会社が異なるだけなら我慢のしようもありますけれども、新組織を見込んでの本年十一月のダイヤ改正では、南小谷駅までは特急も走りますけれども、それから以北は特急も急行も一本も走らない。純行の接続も順調でなく、村民及び新潟方面へ行く人は大変不便をこうむっておるのであります。このような県内三分割、村内二分割があっていいでしょうか。  中曽根総理は、分割民営化によって地域に密着した鉄道経営ができ、地域経済にも役立ち、国民の利益にもつながるという答弁をしておりますが、県内の鉄道が三つの会社に分割され、また一つの村が二つの会社に分割されて何が国民の利益につながるでありましょうか。また、国民の利益を考えるならば、県内は一つの会社として県内交通の一体性を確保すべきであります。このため長野県では、県議会が県内三分割に反対の意見書を全会一致で可決していることが示しておりますように、分割に県民を挙げて反対をしておるんです。社会党案のように、分割するのじゃなくて全国ネットワークによる一社制の再建案こそまさに国民の要望にこたえるものである、この事実が物語っているわけです。公共性を伴った、真に国民の利益につながる鉄道を再建できぬならば、私は分割してはならないというふうに思うのであります。したがって政府は、こうした分割の方針、そして今まで申し上げたような不当な線引きを撤回いたしまして再検討をすべきである、社会党の提案者として強く求める次第であります。
  63. 穐山篤

    穐山篤君 もう一問、村沢議員に伺いますが、私も国鉄の出身者でありますので、例えば運賃の問題であるとか、あるいは料金の問題、それからダイヤの編成、接続、それから村にしろ県当局にいたしましても、三つの会社の本社に一つ一つお伺いをしなければ何もできないという理屈になるわけで、その意味では相当不安を地域住民あるいは県民は持っていると思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  64. 村沢牧

    委員以外の議員(村沢牧君) お答えします。  長野県には新幹線もないし、また高速道路はもちろん幹線道路整備も大変におくれておりまして、私鉄の電車は三社しかありません。したがって交通機関は国鉄に頼らざるを得ないという現状であります。したがって、国鉄国民生活はもとより地域経済にとって大きな存在でありますので、三分割にされる不安は非常に強いのでありますが、時間の関係上、具体的問題を次の二つに絞って申し上げます。  第一は、ダイヤ編成、運賃の問題であります。  県内の各線を接続をよくして運賃格差を生じないようにするための御要請、今、穐山議員から指摘がありましたように、複線や電化、安全施設の整備促進の要請など、県当局や関係者はその都度三つの会社の本社に出向かなければならず、要請をしてもダイヤ編成がうまくいくという保証はありません。全国一社制で支社に大幅な権限を持たせる社会党案ならこのような心配はなくなります。長野県当局は、どうしても政府が三分割をするというのであるならば、ダイヤ編成などの調整機能を持った東日本会社の支社を長野市に設置をしてもらいたい、こういう切実な要求をいたしておるところでありますが、運輸省、国鉄当局はいまだ誠意ある回答を示しておりません。総理運輸大臣は、県内三分割という異例な措置を強行するならば、これくらいな要望にこたえて県民の理解を得るのが政府のとるべき姿勢ではありませんか。本委員会審議を通じて誠意を示してもらいたいというふうに思います。  不安の第二は、地方線の存続についてであります。  幹線の信越線や中央線を除き県内には営業係数八八九の飯山線、五九八の飯田線、五八二の小海線、三二一の大糸線、この四つの地方線があり、いずれも不採算路線であります。これがそれぞれ三つの会社に所属することになりますが、どの会社にとっても県内の路線は最も外れたところに位置をしますから、営利を目的とし採算性を第一とする私企業にあっては、こうした営業成績の悪い路線はやがて廃止の憂き目を見るのではないか。そこまでいかなくても間引き運転がされるのではないかという不安がつきまとっています。  今まで運輸大臣の答弁を聞いていましても、特定地方線を除いてその他の地方線については新会社の経営努力によって維持されるものと期待をする、あるいは廃止することのないように政府も努力するという期待感を述べているだけでありまして、地方線を存続させるという政府の確固たる方針が示されておりません。また、政府案ではそのような保証もありません。  地方線の維持の課題はひとり長野県の問題だけではありません。提案をされている政府案では、赤字を理由に地方線が廃止されることの不安が強いのでありますから、社会党案のように、政府が株式の一部を保有し公共性を確保し、会社が適切な経営努力をなされてもなおかつ収支の均衡の確保が困難な場合に限って国が補助する、こうした法律によってこそ地方線が維持ができるのであります。  以上、私は時間の関係上簡潔に、御質問に答えて、長野県の例を申し上げて答弁いたした次第であります。これは、政府案の分割民営化が真に国民のための国鉄の再建にならないという一例でありますが、私たちはこのほかにも全国的にも多くの問題点を把握しておりますし、基本的問題についても政府案と異なる見解を持つものであります。したがいまして、議員各位から逐次御質問いただきまして御答弁を申し上げますので、どうか我が党案についても御審議をいただき、我が党案に賛成をしていただきますようにお願いを申し上げまして答弁といたしたいというふうに思います。
  65. 穐山篤

    穐山篤君 総理もこれはきょう初めてごらんになったと思うんです。総理のような立場になりますと、分割というふうな意義についてはよくおわかりだと思うんですが、さて具体的に当てはめてみますとこういう問題点が起きるわけです。  そこで、今、村沢議員も私に対して答弁をしておりましたが、問題は、私ども分割を認めているわけではありませんが、政府案を長野県に当てはめるとこういう事態になる。非常に不満も多いし不安も多い。それから調整機能も欲しい。なおかつ、先ほど飯田線ほか幾つかの線区の名前が挙げられましたけれども、ローカル線の廃止をしないでくれという圧倒的な県民の意見があるわけです。これらについて、総理あるいは運輸大臣並びに国鉄、それぞれひとつ見解を述べてもらいたいと思います。
  66. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 総理が御答弁になります前に私から、私としての考え方を申し述べさせていただきたいと思います。  今、社会党案提案者から委員に対する御答弁がございました。たまたまこの地域は、私は大学卒業後紡績会社の社員として勤務し、しばらくの間住んだこともある地域でもありますし、また山登りの好きな私でありますから実はあの沿線はしばしば通った場所でもあり、地理的な基本的要件は頭の中に入れておるつもりであります。  そこで、今回の新会社の境界につきまして、現在の現実の旅客流動の実態、また列車体系等を考慮して、できるだけ旅客流動のまとまりに配慮したものとなっておることもこれまた事実でございます。それだけに地域の方々には、あるいは不安をお持ちかもしれませんけれども、私どもは新会社発足後に利用者の利便が損なわれることはありませんということを申し上げ、何とか御理解をいただきたいと考えております。行政区域の境界と旅客会社間の境界が必ずしも一致しておらないという御批判はそのとおりでありますが、綿区の実態等から考えてまいりますと私はこれは問題はないと考えております。
  67. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) ただいま運輸大臣からお話があったとおりでございますが、私の方からまた補足をさせていただきたいと思います。  分割につきまして、いろんなお客さんへの御不便が多くなるのではないかというような御心配、あるいは地方交通線の廃止につながっていくのじゃないかという御心配、いろいろと私どもは耳にいたしておるところでございますが、そうした点につきまして、現在の大手私鉄と国鉄との乗り入れ、あるいは営団との乗り入れ等々の実例から考えまして、多少距離は長くなるわけではございますが、そうした面での技術的な乗り入れについての心配は全然要りませんということ、あるいはローカル線の、単なる赤字であるからというだけの判断での廃止という問題については、これはもう経営者といたしまして簡単な廃止というものに踏み切るべきではない。やはりローカル線のお客さんの培養といいますか、そういうことがあって初めて幹線は育つものであるというふうに私ども考えておりますので、今後一層経営主体のきめの細かい、地域におきます旅客のニーズというものを的確にとらえることによって、かえってお客さんがふえるんじゃないかというふうにすら私ども考えておるところでございますので、そうした心配も要らないというふうに思うところでございます。  なおまた、先ほど来、南小谷の境界線につきまして問題があったわけでございますが、私ども、運輸省と御相談を申し上げましてこの南小谷を境界といたしましたのは、それ以北とその南との間にはお客さんの輸送量に段差がございますので、やはり列車の折り返し運転が多いというところに着目をいたしまして境界を南小谷に置いた次第でございます。
  68. 穐山篤

    穐山篤君 総理の前に自治大臣。
  69. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 国鉄分割民営化によりまして、長野県内の路線が三会社で経営されることになるわけでございます。その運営に当たりましては、各路線の接続についてよく各社が協力をしていただく、またダイヤ編成も合理的に行うなど、地域に密着したきめ細かい営業施策が展開されるものと期待しているところでございます。  また、旅客会社の運営につきましては、運輸省の各地方運輸局ごとに設けられます地方交通審議会の場などを通じまして、関係行政機関等との間でよく意見交換がなされ、地方公共団体の意見も十分に反映されるよう期待するものでございます。
  70. 穐山篤

    穐山篤君 時間の都合で私、意見だけ述べておきますが、分割をすることは私ども反対でありますけれども、最小限度にデメリットを少なくする、こういう意味で言いますと、将来展望を考えれば糸魚川まで電化をする、そして需要を喚起するという手も考えなければこれはまずいんですよ。南小谷以北は需要が少ないと言っているけれども、不便だから乗らないんですよ。もっと便利にすればたくさん誘致することができるわけで、そういう面についての配慮を至急に検討する必要がある。  総理、再三繰り返すようですが、私は、県民の不安や不満を最小限度にするためにいろいろな知恵があるだろうし、また私が申し上げました糸魚川までの電化工事の促進ということも一つのアイデアだと思うんです。そうやって誠心誠意努力しなければ、この分割というものは単に県民に不安を残したままスタートをしてしまう、そのことを強く主張をしておきたいと思うんです。総理の最終的な考え方をお伺いします。
  71. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 分割につきましては、旅客の流動性、その完結性とか、あるいは全体のバランス等も考えましてその分割点を専門的に決定したのであろうと思います。その分割された場所につきましては、なるほど御指摘のような御不便も多少は村当局等について自治体当局については起こる可能性も否定できないと思います。しかし、全般的なメリットを考えてみますと、そういうようなデメリットをできるだけ克服するような手だてをこれから我々努力して、その自治体の皆さんに御迷惑のかからぬようなできるだけの措置を講ずる必要があろう、そう思いまして、それらにつきましては今おっしゃった点等も含めてよく研究してみたいと思います。
  72. 穐山篤

    穐山篤君 よく県民、県当局の意見を聞いて必要なことはどんどんやってもらう、このことをひとつお約束をしてもらいたいと思うんです。  さて次に、共済組合の年金の問題です。いろんな角度から審議をされておりますから、私の質問は復習ないしは念押しという意味でお答えをいただきたいと思うんです。  六十四年度までの措置の問題でありますが、これは「国鉄の自助努力と国の負担」ということで統一見解が出されています。そこで大蔵大臣、運輸大臣あるいは厚生大臣の皆さん方から御返事をもらいたいのですが、結局、運用で賄えるとするならば立法の必要がないわけですね。運用で措置ができるならば、これはわざわざ立法の必要がないんです。しかし、この統一見解に、立法の措置を検討した結果必要ならば立法化もいたしましょうというふうになっているのは、どういうことを想定しながら必要ならば立法化をするというふうに統一見解をお述べになったんでしょうか。そこを伺っておきます。
  73. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 私の承知いたしておりますところでは、この六十年十一月二十八日の統一見解にございます「具体的立法措置」というのは、ただいままさに穐山委員がお尋ねになりましたように、要すればといったような意味でこういうことを書いておるように聞いております。例えばということになりますと、仮に国庫がこれについて支援をする、あるいはこの共済そのものが負担あるいは給付について何か特別のことをやる、そういうときに立法措置が必要であるかもしれないといったようなことを抽象的には考えておったのではないかと思いますが、基本的には、もし、要すればといった意味であったというふうに承知をしております。
  74. 穐山篤

    穐山篤君 くどいようですが、当然六十二年度の国の予算あるいは鉄道の予算を最終的に固めるのはこの年末になるわけですね。予算措置が必要だと、当然予算措置が必要になると思うんですよ。その場合に、国鉄の自助努力と国の負担と、こういう二つの角度があるわけです。しかし、運用でできる話ならば立法が必要ないと、そういうことになるわけです。立法が必要になるであろうということを想定して統一見解を出したわけですから、それはある一定のことを想定しながら統一見解が出たものと思うわけですね。今大蔵大臣が言われますように、国が出費をするというふうに年末段階で決まれば立法化の必要性が出るわけですね。あるいは国鉄の自助努力の中に、年金を半分しか上げませんよとか、あるいは三分の二に削りますとか、いろんなことがあれば、これは立法化の必要性が出てくるわけです。しかし、運用だけでできますというふうに自信をお持ちならば、逆に言えば立法化は必要がないんですが、それはどちらの方にウエートが大蔵大臣かかっているんですか。運用で六十二年度は乗り切れる、あるいは六十三年度以降については運用だけでは乗り切れないので立法が必要であると、こういうふうにお考えかどうか、その点もう一度念を押します。
  75. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) まず、当面の問題は六十四年度までのものというふうに問題を限りまして、そこで、先ほど申し上げましたことを繰り返すようでございますけれども、昨年の暮れの時点で、統一見解が出ました時点で、もし立法が必要であればということでこういうことを書いておるように聞いておるわけでございます。退職者の年齢構成等々がまだ動いてまいりますので、今年度末までに関係四閣僚で最終的に支払いに支障のないような措置を決めることになっておりまして、会議は既に何度か開かれておりますが、最終的な結論を得ておりません。もし予算措置が必要であるということでございますと、それは予算編成に間に合うように決定をする必要があるわけでございますけれども、ただいまのところ、それにつきまして結論をいまだ得ておりません。
  76. 穐山篤

    穐山篤君 いまだ結論は出ていないということなんですが、十二月末、六十二年度の本予算確定の際にはその考え方は発表する段階になりますかどうか。その点いかがですか。
  77. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 予算措置を必要とするということでございますと、それはそのときまでに決定をいたさなければならないことになると思います。
  78. 穐山篤

    穐山篤君 どうも先行き不透明のようですが、まあ残念ながらやむを得ないですな。  六十五年度以降の問題は六十四年度までの問題が片づいた後に引き続いて勉強したいと、こういうことを繰り返し答弁をされているわけですが、そこで、じゃ一つ一つお伺いをします。  六十五年度以降の国鉄共済年金制度、どういうふうに型が変わるかは別にいたしまして、年金受給権者には漏らさず支払いをする、そういう決意で勉強を始めるわけでしょうか。その点いかがですか。
  79. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 統一見解にございますように、支払いの維持ができるよう措置をいたす考えであります。
  80. 穐山篤

    穐山篤君 という意味は、いかなる形になろうとも年金受給権者には支払いをいたします、支障がないようでなくて、支払いますと、こういうふうに私は受け取ったわけですが、その認識でいいんですか。
  81. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それが統一見解趣旨でございます。
  82. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、厚生大臣、お伺いをしますが、国民年金の導入にかかわった法案の審査のときに、厚生大臣のこういう答弁を記憶しております。昭和七十年の一元化方針というのは、これは公的年金制度の一本化ではない。二つ目には、給付と負担のバランスを十分に調整していく、それが第一に考えなければならぬことだと、こういうふうに答弁したと記憶をするわけです。  さてそこで、その二つの答弁を軸にして六十五年度以降のことを考えた場合、どういうことが想定をされるでしょうか。厚生大臣、御答弁をいただきたいと思います。
  83. 斎藤十朗

    国務大臣(斎藤十朗君) 公的年金の一元化につきましては、七十年度をめどにその一元化のための検討を進めてまいるところでございますが、御承知のように、さきの国会で年金の大改革をお願いいたしまして、いわゆる基礎年金というものが創設をされました。その部分におきましては負担と給付の面における一元化がなされたと考えております。残ります報酬比例部分、いわゆる二階の部分につきまして、特に負担の面についての調整を行っていかなければならないと考えておりますし、また各年金制度間には給付開始年齢とか、または給付水準、財政方式のあり方等についてもそれぞれ特色のあるものがございまして、こういった問題の調整というものも大変難しいものだと考えておりますが、そういった点を調整して一元化へ向かって努力をいたしてまいるわけでございます。  そこで、今お尋ねの国鉄共済との問題はどうなるかと、こういうことでございますが、当然国鉄共済年金も公的年金の一つでありまして、そういう観点から、この一元化への検討の中で考えられる側面もあるというふうに認識をいたしております。
  84. 穐山篤

    穐山篤君 四大臣一人一人に伺えばいいわけですが、時間がありません。  そこで、歴史的な経過は私が先ほど言いましたね。一元化というのは全部を一本にすることでは絶対にありませんと政府考え方が述べられたわけです。それからもう一つは、給付と負担のバランスをとるんだと。そういう中に国鉄共済組合年金の問題が挟まっているわけです。そして財政調整も、ざっくばらんに言えば六十四年度で終わるというふうに関係者は承知をしているわけですね。それ以上の国家公務員等共済組合の財政調整というのはないということを信じて毎月千二百円ずつ出されているものと信じるわけです。そうなると、ざっくばらんに言えば壁にぶち当たっているという状況にあるんじゃないかと思うんです。  そこで、私はひとつ提案をしますが、四閣僚の皆さんがお忙しい中でいろいろ議論してもそう簡単に意見が一致するわけじゃないでしょうから、検討の手始めに懇談会の私的諮問機関あたりをつくって、それぞれの大臣の知恵を豊富にするという意味で、そういう作業、段取りを考えたらどうでしょう。そうしませんと時間的におくれる、こういう問題に逢着すると思うんです。その点はどなたが代表して御答弁願った方がいいんでしょうか。官房長官どうでしょう。
  85. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 突然の御提言でございますが、年金担当の国務大臣は厚生大臣と、こう決まっているわけでございますが、御質問の流れが国鉄共済の扱いに関連してのお話でございますから、国鉄共済については、六十四年度までについては六十一年度中に関係大臣の間で話を決めます。これについては、年金担当大臣が厚生大臣でございますから行司役をお願いをしようかということで関係大臣が集まっておるんですが、その言葉を使いましたのは私が使ったんですが、考えてみますと、なかなか関係大臣の意見が、おっしゃるようにそうスムーズにこういった問題が運ぶとは私も予測はできない面があるわけでございます。そうしますと、行司というのは相撲はとらない。大体勝ち負けを判定するということが行司でしょうが、厚生大臣は年金担当の大臣なんだけれども、相撲をとらなきゃならない大臣でもあるわけでございます。そういったことを考えますと、最後は各省庁の意見がなかなかまとまらぬということになれば、これは事のいかんを問わず官房長官がそういったお役目を引き受けなければならぬのかなと、私はそう考えておるわけでございます。  そこで、そういった際に、六十五年度以降はこれから先の話でございますが、今御提言のようなものを置いたらどうだと、こういう御意見でございましたが、これはひとつ参考にさしていただきたいと、できるだけ厄介なものはつくらないで、厄介な問題でございますけれども政府の中でうまく取り運び方ができるようにやらしていただきたいなと、こう念願いたしておるわけでございます。
  86. 穐山篤

    穐山篤君 速やかに検討に着手をしてもらうと。その着手の入り口の問題について、助け船と言えば語弊がありますけれども、問題の提起をしたわけです。ぜひ採用方をいただきたいと思うんです。  次に、要員の算定と雇用問題なんですが、時間の都合で二十一万五千人を膨らますかどうかという話は後に譲ります。前回、私の質問から言えば、今度は政府が答弁をすることになっていますが、非常に長くなりますから雇用問題にストレートに入ります。  私どもは二十三条の規定につきましては絶対に賛成するわけにはいきません。すべてのものについて承継をしながら職員、労働者については一たん解雇の形式をとって改めて再採用をするという方式をとっているわけです。これは前代未聞のことでありまして、賛成するわけにいかないというふうに思います。  そこで、以下質問をしますが、設立委員会ができて会社の定数を決める、採用の基準を決める。それを国鉄を通して戻してもらう。戻ったものを改めて設立委員会が最終的に、君は西日本になるのか東になるのか、設立委員がすべてその権能を持っているわけです。しかし、途中の作業があるわけですね。国鉄を経由して国鉄からもらう、その報告を受ける。で、前回も議論がありましたように、管理調書というものがほぼ基本になると思うんです。  ところが、御案内のとおり労働基準法の二十二条ですかの二項では、労働組合運動などにかかわるものについて符号をつけてはならないし記帳してはならない、こうなっているわけですが、設立委員が、この人は西がいいか東がいいか、西も東もわからぬ人が当たるんですよ、そうでしょう。顔もわからないし、性格もわからないし、能力もわからない。そういう方々が最終的な決定をするわけですから、一番重視をしますのは国鉄側のその調書です。で、その国鉄側の調書が、とるならば一番から五番までとってくださいと、こういうふうな符号をつけることも禁じられているわけですよ、法律上は。しかし、必然的につけなければ設立委員判断が下せないと、こういう問題が起きたときに国鉄はどうなされるんでしょうか。あるいは設立委員はそういうむちゃなことを国鉄には言わないと、こういうことになるんでしょうか。運輸大臣国鉄総裁、両方からお伺いします。
  87. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先般も一部御答弁を申し上げましたように、新事業体の職員を採用いたしますのに、設立委員が労働条件あるいは採用基準をお決めになるわけでありますが、それに基づいて個々の職員の方々に対し、国鉄がいわばその設立委員の補助者の立場でその条件等を知らせ、個々の方々の希望を聞き、集計し、そしてその中からそれぞれの会社のいわば条件に見合う方々を御推薦申し上げるという経緯をとることにつきましては、今の御指摘のとおりであります。  ただ、そこで労働条件として私が考えられるものは、就業の場所でありますとか従事すべき業務でありますとか、あるいは労働時間、賃金等の項目が当然考えられるわけでありますし、また採用基準として考えられるものは年齢、適性、健康状態、そういうものを考えておりました。衆議院における審議の中途において、国鉄総裁からそれにつけ加えて勤務成績という御答弁があったことも承知をいたしております。しかし、いずれにしてもこの具体的な内容というものは設立委員がお決めになることでありますが、その際に、現在国鉄が有しておる資料というものがそのままの形で新会社の設立委員に手渡されることがあったら、これは私は法的に問題を起こすことではなかろうかと考えております。
  88. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) ただいま運輸大臣から申し上げました後半の部分につきまして、勤務成績が仮に採用基準の中に示された場合におきましてどう対応するかということでございますが、先般も衆議院の段階でお答えを申し上げましたが、仮にそうした基準の中に勤務成績ということがあるとするならば、私ども、それに基づきまして判断をする材料といたしましては、現在私どもが持っております職員管理調書、この職員管理調書によりまして判断をしていくことになるであろうというふうに思うわけでございます。この調書のやり方、中身等は私ども客観、公正なものとして内部資料として持っておるものでございますので、そうした資料に基づきまして、適切な判断のもとにおきまして名簿の作成になることになるであろうというふうに思うわけでございまして、そうした後におきまして設立委員の御判断を仰ぐということに相なろうかと思います。
  89. 穐山篤

    穐山篤君 さて、そこで具体的にお伺いします。  私は今静岡にいるけれども東京で働きたいと、東日本に行きたいと、こういう要望を出した。入れられなかった場合も出るわけですね。いろいろな理由があると思う。その場合に、救済の方法、苦情の受け付けというものをどういう段取りでなされるのか、今まで全然明示がされていないんです。その問題が一つ。  それから清算事業団を除いて、四月一日からそれぞれ株式会社に配置をされた人は直ちに必要な人であって、それを確保しないと運行に影響があるから、これはしっかり戦力として置きたい人間だと、こう思われるのは当然であります。そうなりますと、それぞれの株式会社に入ってから、おれはあそこの官庁に行きたい、ここの官庁に行きたいと言うことはなかなか難しいということに必然的になるわけです。そうなりますと、官庁に行きたい、あるいは地方公共団体に行きたい、民間に行きたい、こういう方々が整理上清算事業団に行かざるを得ないということに物理的になるであろうと思うんです。  また、先日お示しをいただきました、政府にいたしましても優秀な人を欲しいと、こういうことになるわけです、優秀な人を欲しいと。ところが、今国鉄の職場ではこういうことが言われているんですね。選別の結果でありましょう、人材活用センターに行っていると。人材活用センターに行くときに、おまえは清算事業団に流れ作業で入るんですよと、こういうふうに指導を受けた職場も中にあるんです。そうしますと、その一面だけをとらえますと、いい子、悪い子、普通の子の中の悪い子を清算事業団にみんな持っていってしまうんじゃないかという印象が強いし、今マスコミもそういう方向で記事が書かれているうらみがあるわけです。  しかしながら、余剰人員対策で言えば、優秀な人を官庁なり民間で採りたいと、総理もいろいろ努力をしてもらっているわけです。しかし、そういうふうなレッテルを張って清算事業団に行くとするならば、これはもはや官庁でも民間でもあるいは関連企業でも採らないということが歴然としてくるわけであります。その延長線にいきますと、結局は三年後にそこの部分法律がなくなりますから、事実上どこへも行けずに失業をする、解雇をする、こういう変な事態が生じかねないわけです。  そこで伺うわけですが、この清算事業団というのは悪い子ばかりの集団ではないよと、当然土地問題あるいは負債の処理の問題、専門的な方々もおるでしょう。それ以外に言うところの余剰人員の人が入るわけですが、これは少なくとも優秀な人たちが入らなければ官庁では採ってもらえない組織である、こういう認識に立たなければ今までの皆さん方の答弁はうそになってくる、こう思いますが、いかがでしょうか。
  90. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員さまざまな報道を引用されて御質問をいただいたわけでありますが、例えば運輸省が今回政府として決定をいたした目標でありますと、約千八百七十名でありましたかを採用の目標といたしております。そして、そのうち千四百七十九名についてはまさに一活選抜の申し出をいたしております。そうなりますと、この試験に受かって来ていただく方々は、運輸省側の定員の事情でその方々をお迎えできる時点までは清算事業団に待機をしていただくわけでありまして、一たん旅客会社等に行かれてそれから来られるわけではございません。私どもは清算事業団というものを、まさに今運輸省の例で申し上げましたように、きちんとしたいわば再就職の雇用開始までの間待機をいただく場、場合によってはその職業訓練等を受けていただく場として位置づけておるわけでありまして、今委員がマスコミの報道等を引用されながらお話しになりましたような位置づけは考えておりません。
  91. 穐山篤

    穐山篤君 国鉄もそういう認識でいいですか。
  92. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 先ほどちょっと申し忘れましたが、採用条件の提示がございますと、私どもの方では直ちに全職員に対しまして本人の希望調査、意思確認の調査を開始いたします。その意思確認の中身につきまして今鋭意詰めておるところでございますが、やり方としましては、やはり希望を、順番を決めていただくというようなことに相なるかなというふうに思っております。そういう場合に、公的部門に行きたいということを第一に希望される方が出てくるものと思いますし、またその場合におきまして、今運輸大臣から御答弁ございましたように、なるべく一括の内定といいますか、そういうものを今お願いをいたしておるわけでございますので、当面採用されなくてもいずれ採用されるであろうということがそれぞれの人にとりましてわかるわけでございますので、こうした方々は清算事業団に行っていただくということに相なるわけでございますし、そこで十分な教育を受けながら待機をするということになるというふうに思うわけでございまして、運輸大臣の御答弁と同様でございます。
  93. 穐山篤

    穐山篤君 一括採用に向けて努力をしたいというのが前回の答弁でした。
  94. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 一括採用内定です。
  95. 穐山篤

    穐山篤君 きょうの段階では、一括採用内定は、政府はもちろん地方公共団体もそのことを確認しているわけですね。  それから政府関係機関あるいは関連事業、民間については、これは強制がなかなか難しいからお願いをする、要請をするということの認識に私は立ちたいと思うのですが、それいいですね。
  96. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 国家公務員につきましては一括選抜、すなわち一括採用内定を最大限進める努力を鋭意いたしてまいります。また、地方公務員につきましても、地方自治体に我々はこれを強制することはできません。ただ、我々として最大限の努力をし、お願いを申し上げるということでありまして、以下同様でございます。
  97. 穐山篤

    穐山篤君 自治大臣どうです。
  98. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 自治省といたしましては、九月十二日の国鉄等職員再就職計画につきましての閣議決定を受けまして、各地方公共団体に対して、できる限り早期に国鉄等職員の採用のための手続を進めることに努めていただきたいと要請しておるわけでございます。  各地方公共団体におきましては、それぞれの状況に応じて、昭和六十二年度以降昭和六十五年度当初までの間に採用する予定の者をできるだけ一括して選考する方向で努力をしておられると考えておるところでございます。  なお、一括選考の状況をちょっと御報告申し上げますと、十一月十一日現在で、都道府県並びに指定都市におきまして採用予定数は約八千九百人でございますが、一括選考予定数は約七千五百人でございます。
  99. 穐山篤

    穐山篤君 そういたしますと、世に言われている、清算事業団にやるぞというふうなことはない、優秀な人が清算事業団に大部分集まってもらわないと困る、こういうことに理屈上なっていくわけですね。ですから、いわゆるここの部分についての差別とか選別というふうなことはあり得ないと。私はもう一遍念を押しておきたいと思う。いかがですか。
  100. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) しかし、清算事業団にみんなすぐれた人が来て、新会社にはすぐれた人が行かぬなんということじゃございません。
  101. 穐山篤

    穐山篤君 いや、そういう意味じゃない。
  102. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 優秀な職員が皆おるわけでありますから、それぞれの方々が人生の岐路に立って、新会社を選ばれる方、またこの機会に国家公務員を目指される方、それぞれの進路によってそれは決まることでありますが、少なくとも清算事業団というものを、今運輸省の例を引いて私が申し上げましたとおり、私どもとしては、順次定員化できる方々を迎え入れる、その間待機していただく場所と考えております。
  103. 穐山篤

    穐山篤君 同僚議員の質問に対して、清算事業団に入る人の賃金は一〇〇分の一〇〇の人もある、九〇の者もある、八〇の者もあるというふうに、これは予算の概算要求でそういうことをしたという説明があったわけですが、今の話を正確に整理をしますと、全部一〇〇分の一〇〇の賃金を払わないと理屈に合わなくなる、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  104. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、清算事業団の職員の給与条件というものは、従事する勤務の実態を踏まえて、また管理委員会の意見にも指摘をされていたわけでありますけれども、職員の生活の安定にも十分配慮して今後適切な給与条件が設定されるべきものだと考えておりますし、むしろ具体的には、具体的な給与条件の設定というものについては、必要に応じて私は労使交渉の対象になるものであると考えております。  ただ、現在の国鉄の給与体系がそのまま清算事業団においても支給をされるべきであるかどうかとなりますと、これは私は多少議論の余地のあるところではなかろうかと思います。これは勤務の状態は全く違う体系になるわけであります。そうすると、私は、清算事業団における給与体系というものは、現在の国鉄の勤務の状況において、国鉄の給与体系の中で受ける給与とはおのずから違ったものがあり得ると考えておりますが、私は、本質的には労使交渉事項ではなかろうか。いずれにしても、今後関係者の間において適切な給与条件が設定されるべきものだと考えております。
  105. 穐山篤

    穐山篤君 清算事業団に入る人は、官庁から民間を含めて一括採用で出る人がほとんど大部分いるわけですね。土地の仕事、借金の清算もありますよ。ありますけれども、大部分そういうことになるわけです。内示を受けまして、実際に採用は二年後だけれども、今から来て仕事を覚えてもらいたいあるいは戦力に入ってもらいたい、こういうことももう現実にあるんですよ。私が知っている若い諸君なんかも、来年の一月からそういう仕組みになる人がいるわけですよ。ですから、これは八十、九十というふうなところに基本を置くのでなくして、百分の百のところに基本を置いて物を考える。それは、でき上がった後団交ということのお話もありましたけれども、百分の百のところに基本を置かなければ、また新しいトラブルを起こしてつまらぬ信用を落とすことになりかねない、私はそういうことを考えるものですから、概算要求のときは結構ですけれども、この年末の段階、来年四月一日以降の段階では私が申し上げたような方向をぜひとってもらいたい、強く要求をしておきます。もう一度お願いします。
  106. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 御意見は承りました。いずれにしても私は、職員の生活の安定にも十分配慮しながら設定すべきものであり、関係者間において適切な給与条件が設定されるべきである、そのように考えております。
  107. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、余剰人員という言葉はよくないんですが、政府からもらいました数字でも、あるいは私どもが退職見込みを、自然減も考えて見た数字でも相当いろいろな問題があるわけですが、特に北海道株式会社、これは一万余を超える人が発生するわけであります。それから九州についても同様に万という単位が余剰という形になるわけですね。御案内のように、北海道でも九州でも雇用の潜在力というのは非常に小さい。  さてそこで、君は優秀だから清算事業団に入ってくれ、東京の文部省に行ってちょうだいと。いい話ですけれども、非常に決断の難しい問題です。そのほかもいろいろありますけれども、典型的に私は北海道と九州を取り上げたんですが、これについての問題解消の展望というのはおありですか。その点をひとつ労働省あるいは運輸大臣総理もお考えを述べてもらいたいと思います。
  108. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは私の立場から申しますと、現在第二期の広域異動につきまして職員の方々の御理解を願いつつあるところでありますが、今御指摘のように、国鉄を離れるにしてもなるべく自分の住みなれた郷里で住みたいという御希望は大変強いものがあることも承知をいたしておりますし、また広域異動を決意していただきました場合にも、住宅あるいはお子さんの学校、殊に公立高等学校にお子さんを在学させておられる御家庭のケース、さらには特養等老人施設にお年寄りをお預けになっておられるようなケース、さまざまな問題がありまして、なかなか難渋いたしておることを承知いたしております。  しかし一方、北海道地区、九州地区というものを考えてみますと、この国鉄経営形態変更に伴い職場を去っていただかなければならない方の問題とは別個に、鉄鋼、造船、あるいは北洋漁業の減船による影響等々でまた大変雇用情勢の深刻なことも承知をいたしております。それだけに、できる限りこの広域異動に応じていただける条件を設定する努力をいたすとともに、その中でも地場における雇用を少しでも確保しようとして努力を続けていくつもりであります。
  109. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) たまたま北海道という地名を御指定になりましたけれども、本委員会でも、また予算委員会でも御答弁申し上げましたように、まさに円高等の関係がございまして、全国の不況業種の三分の一がまさしく北海道に集中をいたしております。その中でさらに過剰な人員が国鉄関係で出てまいるということで、対策に本当に頭を痛めておるところでございますが、やはり北海道のそういったような特性をどこまで勘案して対策を立てるかということに帰結いたしまするので、労働省といたしましては当然、御指摘のあった広域異動また職種の選択等、大変痛みを伴いますこのたびの改革についての異動でございますので、地域対策を、従来の発想を変えまして抜本的に通常国会でお願いいたしまして万全を期したい、かように考えております。
  110. 穐山篤

    穐山篤君 鉄道公安職員というのは約三千人近くいるわけですが、仄聞するところによると、警察関係のところに希望している人は約三百人しかいない、これはまだ時間があるんでしょうけれども。そこで一つ伺いたいのは、鉄道の警備のあり方の問題ですね、これはどういうふうにお考えになっているのか、ごく簡略にお願いをしたい。  それから総理に最後にお尋ねをしますが、総理も民間の団体に行ったり、いろんなところで国鉄の余剰人員の雇用問題について熱心に説かれています。結構な話だと思うんですが、三年後に、いわゆる就職先がなくて首になるということは絶対にないという保証をもらえるでしょうか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  111. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 鉄道の警備のあり方でございますが、現在は、先生御承知のとおり鉄道公安制度ということで鉄道公安官がこれを実施しておるということでございますが、来年の四月以降につきましては、鉄道の警備の業務は警察の方にこれを移管するということになっております。既に警察庁の方ではそのための定員措置も講じておられまして、警察の中に例えば鉄道警察隊というふうな形で、従来どおり警乗その他の警備業務が行われるということになっております。
  112. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 全力を挙げて、全員が第二の職場を得られるように努力をいたします。
  113. 穐山篤

    穐山篤君 いや、私の質問したのは、完全に実現をする、その意味では一人の失業者あるいは首切りもないでしょうな、それを保証してもらえますなと、そういうことの確認を求めたつもりなんです。
  114. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 既に六万一千の方々に職場を去っていただかなければならないという前提で、それこそ民間にも御協力をいただき、地方公共団体にも御協力をいただき、特殊法人等々、また国家公務員、その目標数を設定し求人をお願いしましたところ、その六万一線をはるかに超える求人をいただいておるところでありまして、私どもは十分に対応するつもりであります。
  115. 穐山篤

    穐山篤君 総理の責任ある答弁をひとつお伺いしましょう。
  116. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これだけの大改革をやっておるのでございますから、政府もそれ相応の責任を持っておるわけでございます。したがって、例えば健康のぐあいであるとかそのほかの欠格条件があるという場合はこれはやむを得ませんが、そうでない方に関しましては一人といえども心配をかけないような体制をつくり上げるために、政府も責任を持って全力を注ぐ決心でおります。
  117. 穐山篤

    穐山篤君 最後に、きょう質問を通告した中でできなかったのは、四全総と総合交通体系の問題、それから要員の算定の問題、不当労働行為問題、整備新幹線問題、関連企業の問題が残りました。これは、私どもは五時間の質問を要請したわけですが時間が切られたためにそういうことになりましたので、以上申し上げたことは次回にもう一度お願いをする、こういうことで、以上質問を終わります。    〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕
  118. 中野明

    ○中野明君 きょうから一般質疑に入ったわけですが、最初国鉄総裁に御所見をお伺いしておきたいんです。  百十四年の歴史を閉じる国鉄最後の総裁になられるということですが、この大改革というのはもう絶対に失敗は許されません。その改革、民営・分割を成功させるために総裁としてこの際どうしても言っておきたいこと、気にかかることあるいは要望したいこと、そういう点を率直に、総裁の立場として将来の新会社のことを御心配になっているのは当然ですから、お述べになっていただきたいなと、こう思うわけです。
  119. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 私は、今回の改革案が現在の国鉄の現状を打開する唯一の道であり、将来にわたりまして、新しい鉄道の明るい未来というものがこの案によりまして達成できるというふうに確信を持っておるところでございまして、政府の御指示を仰ぎながら今全力投球をしてその準備に邁進をし、また法案の御審議をいただいておるところでございます。  今先生から何か注文はないかというお話でございますが、私ども政府と一体となりまして諸般の行動を行っておるところでございますし、なかんずく私自身として最も気になり、また重要問題でありますのは、やはりたくさんの職員を抱えておる、その職員の将来の帰趨いかんということに相なるわけでございまして、一人たりとも路頭に迷わせることのないという基本的な考え方に立ちまして一生懸命努力をいたしてはおりますが、政府も挙げてそうした雇用対策につきましてこれを支援していただいておる状況でございまして、これからも雇用の確保につきましてぜひとも従来と変わらずに一層御支援を賜りまして、雇用の道に万全を期するようにお願いをしてまいるつもりでございます。
  120. 中野明

    ○中野明君 総理にお伺いをするわけですが、衆議院から参議院に審議が移っておりまして、いろいろ問題点も指摘をされたりしながら進んできているわけですが、私は、先送りをせなければこれはやむを得ないかなという問題は理解しておるつもりであります。しかしながら、可能な限りはっきりさせるところははっきりさせて、そして国鉄の現在の職員の皆さん方が不安に思っていることあるいは心配していること、そういうことにこたえてあげるべきじゃないだろうか、こう思うわけでして、すべてが何もかも先送りというのでは不安はなかなかなくならぬだろうということで、以下私の気になっていることを御質問していくわけなんですが、せめて基本的な考え方ぐらいは、具体的なこと、数字的なことは別として、こうしますという、こういう姿勢で運輸省も政府も臨んでいただきたい、こう思うわけでありますが、総理の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  121. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今までも関係各大臣あるいは我々も御答弁申し上げまして、今回の輪郭については申し上げてきておるつもりでございます。しかし、まだ足らざる点も多々あると思いますので、御質問をいただきまして、いろいろその点についてできるだけお答え申し上げたいと思っております。
  122. 中野明

    ○中野明君 それでは、先ほど総裁も申しておられましたように、やはり一番気にかかられるのはこの六万一千人に及ぶ方々の問題であろうと思いますが、まず現時点で希望退職者の状況、そして総裁として最終の見込み、どの程度まで希望退職者が出てこられるだろうという推定をしておられるのか、その辺をもう一度お尋ねします。
  123. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 希望退職の申し出がございました職員の数でございますが、今月の初めで一万八千七百十六人という数になっております。そのうちで、既に退職をしておる職員も出ておりまして、五千三百五十九人がそうした退職になっております。  将来の展望でございますが、本年度いっぱいで二万人の目標ということでございますが、現在の情勢を考えますと、最終的には二万人を超える応募があるのではないかというふうに私は考えております。
  124. 中野明

    ○中野明君 そこで、国鉄に重ねてお尋ねをするんですが、国鉄職員の再就職につきまして、国と地方そして特殊法人、関連企業、民間等の受け入れについて現在までの実績はどうなっておりますか、それをおっしゃってください。
  125. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 十月末現在で、いろいろと雇用の場の各方面からの御協力を仰ぎまして、現在転出済みあるいは内定をしているというところの数字が総計で一万四千三百二十二人でございます。この内訳を申し上げますと、公務員等の公的部門におきまして八千二百九十二人、それから国鉄の関連企業におきましては千七百八十六人、それからそれ以外の一般の民間企業におきまして四千二百四十四人ということになっております。
  126. 中野明

    ○中野明君 それは現在もう既に離職して再就職なさった数字ですか、それとも内定はしているけれどもまだ行ってないという数字なんでしょうか、その辺。
  127. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) これは、既に転出しておる者と内定しておってまだ転出していない者と、両方合わせた数字でございます。
  128. 中野明

    ○中野明君 それで、ぜひお教えいただきたいんですがね。今おっしゃったその数字はわかるのですが、それの年齢別といいますか、年齢別に分類すれば大体どういう比重になっているかということはお調べになっていますか。
  129. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 年齢別の数字はございますが、大体概括して申し上げますと、公的部門におきましては若い二十歳代の御希望が非常に多うございまして、先ほどの全体の数字の中の内訳を見ますと、二十歳代が六割ぐらいというふうになっております。  国鉄の関連企業でございますが、これは年金受給の資格のある人というようなことが一応の目安ということになるわけでございますので、五十歳代が七〇%以上を占めているということでございます。  それから民間企業におきましては、これは各年齢層に分かれてはおりますが、多いところはやはり二十歳代、一番若い方のところ、あるいは次に三十歳代というようなところが多くあるところでございます。
  130. 中野明

    ○中野明君 大体傾向はわかりました。後にこの問題は触れたいと思います。  次に、総務庁になりますか、お尋ねをしたいんです。過日の新聞等で報じられたところによりますと、今回の国家公務員に採用する一万三千人、この目標を設定されたわけなんです。新規採用者の一四%ということで閣議の決定もいただいて、そして新聞にはそれの内訳が発表されたわけです。要するに、職員の再雇用の問題で一四%以外に、運輸省とか総務庁、労働省、自治省、これの努力分とかあるいは協力分として一般省庁千百ですか、国会が八とか、こういうふうに数字が出されているわけなんですが、これはそのとおり受け取ってよろしいんでしょうか。
  131. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) 先般閣議決定いたす前に、昨年十二月十三日に基本方針を閣議決定しております。そのときには六十一年度について一〇%という目標を設定し、これはもう義務ですが、六十二年度以降についてはまた追って一〇%を上回る率で設定するということになっておりました。その作業を、全般公的部門の三万人のブレークダウンとあわせて、こちらの方はマクロの計算でいろいろ計算しておりました。要するに、どういう率にしたらいいかということで作業をしていたわけです。朝日新聞でしたか、何か出ておりましたが、それはそのときの幾つかの試算のうちの一つにすぎないということでございます。ただ、基本的な考え方は、あそこに示されたような考え方に沿って今回の九月十二日の閣議決定で一四%以上というふうに定めたところでございます。
  132. 中野明

    ○中野明君 そうしますと、先日の青木委員質問によりまして当委員会に提出されました一万三千三人ですか、この数字、これとの関連はもうなくなった、これが最終的な各省庁から出てきた数字と、このように考えてよろしいんですね。
  133. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) 必ずしもさようではございません。むしろ我々当初、各省別にそういう将来の退職動向等を分析して積み上げるということも考えました。ただ、それはひずみが出てくるものですから、むしろマクロでとらえて、それで一万三千人を割り出すときはどうなるかということをまずやったわけです。ただ、それに対して私どもは、そういうマクロ推計でいっても各省はそれでやっていただけると思っておりましたが、先般委員長からも各省別の推計見込みを出せという御示唆がございましたので、いわば同じような方式を各省の退職動向等も加味して各省別に分析し直したものがきょう委員会に提出した資料、そういうことになります。
  134. 中野明

    ○中野明君 わかりました。  それでは、先ほど総裁からお答えをいただきましたいわゆる年齢別の問題なんですが、総理、国の公務員というのは若い人がどうしても多いというのが総裁の先ほどの答弁でも出ておりました。また、各省庁もどうしても若い人を採りたい、こういう基本的なお考えがあるように思います。しかしながら、さてそうしてみると、年齢の高い人は関連企業へ全部押しつけていっていいかという問題にもなりますし、非常に私どもが心配しておりますのは、いざといったときに、年齢の壁で、これが大きなネックになって、結局、相手の求めている条件と年齢で合わないというようなことになって、せっかく求人者があるにかかわらないで本人の条件が合わないということで難渋するんじゃないかというような気がしてならぬわけです。ですから、今こうやってお示しになっておりますけれども、どうしても若い人たちは非常に採りがいいというんですか、受け入れ側にはいいんですけれども、中高年の人たちが非常に難しくなってきているんじゃないだろうか。そういう気がしてなりませんので、どうかある程度各省庁においてもこの一万三千人の受け入れの大体の年齢構成といいますか、そういうことはこういう考え方でいったらどうなんだろうかというものをお示しになった方がいいんじゃないだろうかなという気も私ちょっとしているんです。  総理どうでしょう、国家公務員とか地方公務員は二十歳、三十歳代しか採らぬ、あとはほかのところでやってくれというような、そういうこともいかがかと思いますので、その辺、一万三千人国家公務員で採られるわけですから、ある程度年齢構成はこの程度を目標として考えてほしいなというような、そういう指示といいますか、要望を出されるつもりはないでしょうか。
  135. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) この辺は、もう去年この問題が起きましたときからまず国鉄とも相談いたしました。国鉄も、公的部門、特に国などには多数引き受けていただきたい、そのときには、職員の将来のことを考えればむしろ若い人を大いに採っていただきたいというお話がまず国鉄からございました。それから、こちら、各省の状況をすべてヒアリングしまして聞きましたところ、各省としても、これはなかなか難しいんですが、特に一般事務の場合に例えば課長とか課長補佐へぽんと入ってきてというのは、これは本来勤まりません。そういった職場の中を乱すことのないようにという配慮もございまして、やはり各省としてもなるべく若い人が欲しいということで、これは当初から国鉄サイドと当方と考え方は一致しているものですから、現実に若い人が中心になっております。  ただ、もちろん年齢制限、若い人でなければいけないと言っているのではなくて、職種によっては、例えば三十五歳から四十五歳で募集するといったような場合もあるわけです。ただ、これを意識的にふやして国の場合にそういうのをたくさん採れといっても、我々考えられますのはいわば専門職的なものですね、そういった方が欠員を生じ、それにふさわしい方が国鉄にもおられるという前提になりますので、正直、先生のお気持ちはわかりますが、国の場合に中高年の数をふやすというのはなかなか難しいと思います。  ただ、そういった問題は、各省にも、いたずらに若い人だけではなくて職種によってはそういう人も採っていただきたいということはお願いしているところでございます。    〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕
  136. 中野明

    ○中野明君 ただ、総理、今おっしゃることも私わかるんですが、その点で、せっかく一万三千の枠をつくって、このように各省が努力目標をつくられて一生懸命にやっていただくのはよくわかるんですけれども、年齢の壁でひっかかってしまって、結局この枠が全部消化できないんじゃないかという心配もちょっとしているわけです。ですから、その辺も含めて、難しい問題かもしれませんけれども、年齢構成のある程度偏らないようなことはお考えの中にないものだろうか、こう思っているんですが、どうでしょう。
  137. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 問題は、すべての人を安心して消化させられるようにするということであると思います。しかし、こういう問題になりますと、求人側の要望というものがやはり第一になると思います。そうなるというと、お年寄りの向いているところもあるし、また若い人を非常に要望される向きもある。結局、全体的に入れかわり、いわゆるマッチングという作業をやっていかなければならぬので、これにつきましては、よほど注意深く、できるだけ御本人の要望に沿うように、第一志望、第二志望、第三志望をいろいろとって、そして合わしていくように、非常に大いなる努力を要する場面が御指摘のようにこの場所であるだろう。政府といたしましてもできるだけ、政府側立場から言えば、やめる方々の立場を中心にうまくやっていきたい、こういう立場に立って努力してまいりたいと思っておるところであります。
  138. 中野明

    ○中野明君 ただ私、本当にその点は心配をいたしております。  せっかく運輸大臣もたびたびおっしゃっているように求人の希望が出てきてありがたいことなんですけれども、民間の方としても、恐らく公務員としても、年齢的な条件で合わないというようなことになってくると、まだまだ、どう言ったらよろしいでしょうか、求人の数だけでは律し切れない。先ほどの議論にもありましたように、一人でもそんな人をなくそうということから考えますと、年齢の壁というのが相当大きなネックになってくるんじゃなかろうかと心配をしておるものですから申し上げているわけであります。  それで、いま一点お尋ねをしたいことは、穐山委員議論にもありましたが、大体、大臣、国鉄内の広域異動というのは、これ以上そうたくさん大幅に出てくるということはちょっと考えられないと私も思っております。出てくるかもしれませんけれども、今までほど出てこないんじゃないか。そうなりますと、要するに北海道、九州の再就職せなならぬ人たちは相当な数に上っておりますね。穐山委員もおっしゃっておりましたが、私どももお聞きするところ、やはり北海道で一万一千で九州で一万。いろいろ希望退職を引いても、約八千、九千ですか、九州が八千、北海道が九千、こういうような人たちは、地元ではとてもこれだけは消化できぬだろう。  そうなってまいりますと、先ほど労働大臣もおっしゃっておりましたように、北海道なんかの状況はこれはもう大変な厳しい環境にあるわけです。そういう中で本州に異動してきて再就職を求めなければならぬということになりますと、大臣もさっきおっしゃっておりましたように、公立の学校の転入学の問題、それから住宅の問題、これが一番大きなネックになるわけでして、文部大臣もきょうは出席をお願いいたしましたので、このことについて心配をいただいて万全をということになっておるわけですが、現在の転入学の手続ですね、現在本当に転入学を希望しておる人の手続は一体どういうことになっているのだろうか。なかなか厄介なようなんですが、その辺はどうでしょう。
  139. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 国鉄職員の方々の子弟の転入学の問題でございますが、公立高等学校につきましての入学許可権者は高等学校長でございます。ただ、転入学につきましては、定員の問題とか、定員を超えて転入学を許可するとか、情報の問題が大事でございます。したがいまして、私どもは七月に通達を出しまして、まず欠員なりあるいは定員を超えて転入学を受け入れる学校の情報を国鉄関係の子弟の問題として提供するようにというふうなことで、地方の管理局と教育委員会とよく連絡をとってもらうことにしております。その情報に基づきまして子弟が父兄等の転勤に伴って転入学願を出す。そして学校で、入学試験じゃございませんが、転入学許可に伴う学力検査等も行われますが、それによって入学許可をする、こういうふうなことの手続を万全にとるように指導しておるところでございます。
  140. 中野明

    ○中野明君 国鉄だけではありません。いわゆる転入学というのは非常に大きなネックになりまして、そのために単身赴任というのが民間でもかなり多いわけです。ところが、今回の国鉄の場合は、特に国の方針としてやって再就職をしてもちわなきゃならぬということで、お互いに受験生を持っておられる人はおわかりのとおり、今高校受験というのはこれまた大変な競争でありまして、自分の一生を左右するかもしれないような高校の試験ということになりますと、家族ぐるみで、家族も協力して、そして一生懸命に難関を突破して学校へ入っておる。それがかわらなきゃならぬという、こういうことですのでね。  ところが、かわるとすると、まず試験を受けなきゃなりません。同じようにまたもう一遍、二回というんですか、二回受験戦争に巻き込まれる、家族ぐるみ巻き込まれる。こういうことで、お父さんが例えば本州の会社へでも、あるいは本州の役所へでもということでお話があったとしても、まず家族の合意がなかったらなかなか踏み切れないでしょう。そのときに、おまえ一遍学校を受けてみるか、学校を受けてからの話やというようなことになって、その学校がまた試験があるということになると二の足を踏むのじゃないだろうか。そういうことで、私はぜひ文部省でも、今、推薦入学とかそういうこともある程度奨励するような方針と聞いておりますので、転入学の際に再度筆記試験を課すというのは余りにもかわいそうじゃないかという気がするわけです。それがまた広域異動のネックになるのじゃないか。  そういう意味で、できる限り内申書等書類で決定するようなそういう方法を考えるわけにいかぬだろうか。こういうことなんですが、大臣どうでしょう。
  141. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 先生の御指摘の点でございますが、公立高等学校等の入学試験は現在大変難しいわけでございます。国鉄職員の子弟の方々以外の問題としましても、転勤等が大変最近多うございまして、円滑な高校転学という問題は一つの課題でございますが、入学試験を受けて当該高等学校に入る者とのバランスとかいろいろございまして、入学許可に際して当該学校の方針としての入学許可の手続あるいは試験というものはやはり欠かせないと。しかし、今回の事態、国有鉄道関係子弟は大変多うございますので、やはりその点についてのいろいろな情報の提供とかあるいは願書の手続の簡略化とか、そういう点での便宜はぜひ図るべきであるという趣旨で、特に国鉄職員の子弟にかかわる局長通知を七月に出したわけでございますので、そういう点でできる限りの便宜は図ってまいりたいというふうな考え方でやっておる次第でございます。
  142. 中野明

    ○中野明君 もちろん私は、学校長がその権限を持っておられることを侵害しろと言っているんじゃないんですけれども、今、大臣、文部省の方針としても、なるたけ受験戦争というものを緩和していく上においては推薦入学制の制度も可能な限りとるような方針とも私承知しておりますので、こういう結局、総理もおっしゃっているように、一人の人も失業することのないように何とかみんなで考えているときに、やはり広域異動の一つのネックになっているのがことですから、通達をしています、教育委員会で協力をするように指導しておりますだけでは私はちょっと不安なんですよ。それで、同じ受験戦争を、一遍難関を突破してきた人にまたもう一遍同じような試験をさせるというのはいかがなものだろうか、こういうことで何とか知恵を働かせてもらいたいなということが一つ。  もう一つは、私学なんかにも協力を求めるというようなことになりますと、入学金とかいうようなことも出てきますので、そこら辺も考えてあげないと前へ進まぬのじゃないだろうか。特に九州、北海道は大量に広域異動をしなければ就職先はないと思います。そういう面で大臣のお考えをちょっとおっしゃっていただきたいのです。
  143. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 中野さんの御心配、私は本当に身にしみる思いでございまして、最近、何も国鉄だけではなくして、転勤される方の悩みは、皆そこに非常に大きい問題となってきております。そこで、おっしゃるようにまた試験かということではなくて、テストはやっぱり私は必要だと思うんです。それは試験というぎりぎりのそういう問題ではなくてですね。というのは、預かる方の高等学校の校長としても、ある程度の学力がついているかどうかというその学生に関する基礎的なデータをつかむためにはテストは必要だろうと思うんです。その結果はやはり事情参酌をしてやるということは必要だろうと、こう思います。  そこで、一つの方法として、実は六十一年度二学期から転入いたしました。というのは、先ほど局長が言いましたように、七月から第一次異動が起こったわけでございまして、そのために、局長が言っておりますように、国鉄職員の入学については特別の配慮をしろということで各県の教育委員会に指令を出したわけでございます。その結果、九月に入学いたしましたのが、八十名合格して入学しておるんです。受けましたのは八十六名でございますが、この八十六名の中で八十名が合格して、これで親も一安心しておる。あとの六名、この六名の方が実は、学校へ希望しなかったのか、あるいは受けても学校がどこも通らなかったのかという問題もあろうと思います。しかし、このことについては国鉄さんの方からも実は連絡を受けておりませんので、一応八十六名のうち八十名合格されたということは、まあまあ通達した効果はあったかなと思うております。しかし場合によれば、この六名の方がどうされたのかということを調査することも、中野さんがおっしゃっているような後追いをして検討することも一つの方法だろうと思うております。  最近、第二陣の広域異動がございます。これにつきましても各教育委員会に協力することを言っておりますけれども、こういう国会での御質問があったという趣旨、これは我々もよく気をつけまして今後の教育委員会の指導にいたしたいと、こう思うております。
  144. 中野明

    ○中野明君 今文部大臣がおっしゃいましたですけれども、第二次の異動の募集状況、これが発令者数を見ますと、千七百十一名、こういう応募があった中で六百六十九名の異動の発令が出ている、こういうことを承知しておりますが、この六百六十九名の中で、高校生の子弟がいる者は七十五名で、転入学の希望者はわずか三十名、こういう数字が報告されているわけです。ですからそうなりますと、これはおやじさんが単身赴任だなということになってくるわけです。なぜ三十名しか受けないんだ。結局そこら辺で試験の問題が私は大きく出てきているんじゃないだろうかと思うんです。  これは運輸大臣にも聞いておいていただきたいんですけれども、これ余りにも酷のような気がするんです。東京なんかの例を見ましても、三教科程度の筆記試験は課しておりますし、東京都の場合は、普通科では全校が筆記試験をということで、もう一度受験戦争に家族ぐるみまた巻き込まれるということなんです。そういう辺を、徹底はしておられることをお聞きしておりますけれども、私は試験を、今大臣がおっしゃったように、テストとか面接、あるいは内申書、こういうことで極力救っていってあげるようにすればまた広域異動に踏み切る人もできてくるんじゃないだろうかというふうに思います。ただ通達をして、教育委員会でなるたけ便宜を図ってやれということはわかりますけれども、それだけではなかなかうまくいかぬのじゃないかなという感じがしておるものですからお尋ねをしているわけなんですが、もう一度大臣、その辺のことをおっしゃっていただいて、次の問題に移ります。
  145. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 再度のお尋ねでございますので、今回の第二次異動で対象が三十人だとおっしゃっていますが、その対象は私ははっきり聞いておりませんが、こういう数字が実はございます。それは第一次広域異動いたしましたのが、発令者が二千五百八十二人なんであります。二千五百八十二人のうちに高等学校を移動する対象者が八十六人であったということでございます。ですから、今回第二陣の中で既に発令されましたのが六百六十九人と聞いておりまして、六百六十九人の中の三十人という意味なんでしょうか、それとも、第二次広域異動総数千七百十一人でございますが、その千七百十一人のうちの三十人なのか、これは私の方もちょっと調査をいたしてまいります。  それはともかくとしても、要するにさっきからお話しのように、受験勉強で再度悩むということのないようにという趣旨でございます。私は、先ほど申していますように、入学の手続をとる場合は、やっぱりテストして基礎データだけはつかんでおかなきゃならぬと思うんです。そのほかに個人の面接とかいうの、それは重点を置いていくだろうと思いますが、そういう趣旨は私も十分理解できますので、よく関係者と相談いたしまして、そういう措置にいくように努力はしてまいりたいと思うております。  それともう一つ、先ほど局長の答弁の中にもございましたように、各都道府県で受け入れる情報の交換が実はあります。受験を希望される方もその情報を正確に私は理解してもらいたい。ということはどういうことかといいましたら、地方から出てくる方は全部東京に集まってきておるんです。これが地方に分散するのならば、先生のおっしゃるように各都道府県細かい芸もできるんですけれども、全部東京に集まっちゃうんです。東京、大阪にほとんど集まってくる。そうしますと、東京、大阪での教育委員会が出します高校のランクづけと言ったら語弊がございますけれども、それぞれの学校の特徴というものをよくつかんで受験していただくように当該相手方の教育委員会の方にもお願いすべきだろう、こう思うております。一生懸命、子供にあるいは親に過重な負担がかからぬように努力をしてまいります。
  146. 中野明

    ○中野明君 せっかくの努力をお願いしておきます。  それで、次の問題なんですが、先ほど労働大臣もお答えになっておりましたが、北海道を初めとして、全国的に構造不況と円高ということで大変な影響をこうむっている産業があるわけですね。特に北海道なんかは、さっきおっしゃったように石炭あるいは造船、鉄鋼、北洋漁業、こうなってきますとこれは大変なことでありますし、北海道のみならず全国的にやはり失業者がふえて、そして一時帰休というようなことも伝えられております。働いている人の不安というのは高まっているわけですが、今までの状況から見て、時間がありませんので私の方から申し上げてみますと、先日労働省から数字をもらいましたが、五十八年度から六十年度にかけてのいわゆる特定不況業種離職者求職手帳の発給数字、これが五十八、五十九、六十ですから三年間で一万八千件、こういう数字をいただいているわけです。ところが、ことしの四月から七月まで、わずか四、五、六、七、四カ月でそれのもう三分の一近く発行されている。  こういうことで非常に私どもも心配をするわけですが、労働省としてこれからの、ここ半年ほどあるいは一年、円高が続くかどうかというような心配をしているわけですが、失業者とかあるいは一時帰休、そういう労働不安にさらされる人数というのは大体どういうふうにつかんでおられるでしょうか。その辺ちょっとおわかりでしたら。
  147. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) 委員指摘のように、雇用不安が顕在化いたしましてから特に構造不況業種、さらには特定地域、輸出関連、非常に雇用に対する不安がふえております。今後半年、一年の見通しはどうかということになりますると、これは御案内のように、世界における経済の中で相当のウエートを占めておりますので、やはり総合的にすべての景気政策、経済政策の中で判断するということになりますると、これはもう為替問題からひいては日米の貿易関係、非常に不確定な多くの要素がございますから明確なところがなかなか申し上げにくいわけでございますが、感じとして率直に申し上げますると、特定の地域、業種で行われております雇用調整というのがやはり今後さらに深刻化してまいる可能性が強いなという感触でございまして、このままではやはり三%台まで失業率が増加する、ここらあたりが非常に懸念されるところである、かように考えております。
  148. 中野明

    ○中野明君 大臣は非常に控え目におっしゃっていますけれども、事態は私は深刻であると思っております。  それで、国鉄の職員の再就職問題は、先ほど来私も心配をして議論しております。総理が本部長として最善を尽くすべく努力をされていることは私どもも非常に評価はしておるわけですが、しかし、今議論しておりますようにまだまだ心配な面もありますので対策を求めておるわけですけれども、今労働大臣もおっしゃっておりますように、一方、国鉄以外の人たちもこれは大変な波をかぶっているわけです。それで、個人の立場でいえば、勤め先がどこであろうと、中小企業でいえばつぶれたら、会社が倒産したら即失業です。失業ということになりますと、どこに勤めておろうと変わりはないわけでして、大変な労働不安というものが出てきておりますし、これからますます増大すると思うわけです。それで、やはり一般のそういう方々は、国鉄だけはちゃんと面倒を見てもらえるのに僕たちはという不満も時々耳にもいたします。  そういうことで、これは円高というのはデメリットだけじゃなしにメリットもあるわけですので、この円高のメリットを受けている業種、そこらの協力も得て、ぜひこれは雇用の場の確保、内需拡大に全力を挙げていただきたいと思うわけですが、労働省だけ、あるいは農林省だけ、あるいは通産省だけ、あるいは運輸省だけの対応ではこれはとても済まない、総合的な施策が必要であると思います。  国鉄問題は総理が責任者でやっておられるんですが、政府の部内に雇用創出に対する対策をする体制といいますか、横の連携がとれるような体制をやはりこの際つくる必要があるんじゃないか、こういう気がするんですけれども総理いかがでしょう。今のままでも各省がそれぞれ努力しておればよろしいというような生易しい状態じゃないんじゃないかという気がしますので、国鉄総理がなさっているわけですから、内閣の中に横の連携がとれるような体制をやはりこの際つくる必要があるんじゃないかなという気がするんですけれども、いかがお考えでしょう。
  149. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) ただいま御指摘の問題は、予算委員会等でも重ねての御指摘がございまして、まさしくおっしゃるとおり、ただいまの雇用不安に対処するには、従来の労働省の対策というのはそれなりに効果があったわけでございますが、やはり主眼ができるだけ失業者を出さないという雇用調整助成金等々の枠組みの中で対策をやってまいったわけでございます。しかしながら、このたびもこの為替の急激な切り上げということに重ねて構造不況業種を抱えておりまして、従来の労働対策と申しましょうか、労働省の対応だけではいかんとも効果の期待できない面もございます。そのようなことで、総理からも御指示がございましたし、委員も御案内のように既に通産省とは、やはり一連の産業政策の窓口でございますから、協議体を次官レベルでもう既に発足をいたしておりまするし、必要に応じて他の政策を行う、また事業官庁その他の諸官庁とも順次機動的に今後すべての政策について、雇用を中心にした、雇用に格段の配慮を払ったそういう政策を強力にやっていくということで既にお話を始めておるわけでございまして、今後さらに一層この点を強化いたしまして万全を期してまいりたい、かように考えております。
  150. 中野明

    ○中野明君 総理、今大臣がお答えになりましたんですけれども、僕は通産と労働だけということでは済まぬのじゃないかという気がしているんですけれども総理から考え方としてもう一度御答弁をいただいて次の問題に移りたいと思います。
  151. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 雇用の問題は私たちも一番今関心を抱き、要警戒という立場で対処しておるところでございます。そのために、まず先般来関係省に対しまして、特に労働省に対しまして、雇用問題の地図をまずつくりなさい、どの地帯にどういう職種がいつごろ、どういうふうに失業あるいは雇用問題として出てくるか、そういう雇用地図というものをまずつくる。それに対して起こってから立ち向かうのではもう遅い。むしろ、今からその出動準備を各省がしておって、いざというときにはもうすぐ出動できるという態勢、その勉強をしておいてもらいたいと、今それを指示しておるところでございます。そういう全般の状況を展望しつつ、これは結局は内閣全体で取り組まなきゃできない問題であると思っておりますから、それを内閣全体として取り組むについてどういうやり方が実効性があるか。その点については、今後研究してまいりたいと思っております。
  152. 中野明

    ○中野明君 済みません、運輸大臣。先ほどのことにちょっと戻りますけれども、いわゆる広域異動で問題になるのは学校と住宅なんです。それで、清算事業団が土地を管理しますね、その一部を住宅用地にお考えになったらどうだろうかと、なかなか家というのはとても大変なことですので、そういう点どうお考えになるか、それだけちょっとお答えしておいていただきたい。
  153. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに、清算事業団で相当数の職員の方々に再就職活動をしていただくためには、広域異動が必要になることは間違いありません。そして、その際必要となる住宅というのは、基本的には私は、再就職先での確保あるいはみずからの手配というものが望ましいとは考えております。しかし、やはり状況に応じて公的住宅を活用させていただいたり、あるいは先ほどから労働大臣が御答弁をいただいておりますけれども、雇用促進事業団などにも非常に御協力をいただくわけでありまして、その雇用促進住宅を拝借するとか、総合的な検討を行うことは本当に必要だと思っております。いずれにしても、私どもとしては広域再就職活動を促進するために必要な住宅の確保というものについてきめ細かい対応をしてまいりたいと考えております。
  154. 中野明

    ○中野明君 それでは、共済年金の問題に入りたいと思います。  まず大蔵大臣にお尋ねをするわけですが、この国鉄の共済年金というのは、せっかく調整をしてもらったにかかわらないで、初年度からもう収支の赤字が出ているということで、いただいた資料によりますと、六十年度で収支が二百億、六十一年度が六百億程度、六十二年度が六百億から九百億、六十三年度が七百億から千億、六十四年度で八百億から一千百億と、こういうふうにして平均をすると年平均七百億程度が不足と、こういう状況になっております。  それで、先ほど来問題になっておりますように、私申し上げたかったのは、このことも含まれておったわけですけれども、既にもう国鉄の職員で現在地方公務員なり国家公務員に異動をしている人がおりますね。地方なんかで見ますと、六十一年十月末で約千二百人の人がもう地方へかわっております。それから六十二年度の初めではその上に二千十七人という人が行くというふうに報告も受けておるわけです。こういう状況の中で、地方が全面的に協力をして国鉄就職者を受け入れしているという状況の中で、自分らの年金は一体これどうなるんだという不安を残したままでは、まことにこれは今後の人にも影響しますので、先ほど来大臣も、六十二年度の予算でどうしても措置しなければならぬということになれば予算編成までに結論を出さなきゃいかぬだろうと、こうお答えになったわけですが、ただ、そこで問題なのは、運輸大臣も衆議院で答弁を、私も議事録を見せていただきましたが、国鉄の職員あるいは受給者、これはもう自助努力と言っても限界が来ているんじゃないだろうかと、そういうお考えを述べておられるわけですが、これは大蔵大臣もその点は御理解をなさっておるんでしょうか、どうでしょうか。最初にそれ。
  155. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 給付の面あるいは負担の面でいろいろ努力をしておられるということは存じております。また、そういうこともありまして、いわゆる財政調整も行われておるということも存じております。
  156. 中野明

    ○中野明君 そうしますと、今私が申し上げました数字、これは大蔵大臣お認めになりますか。初年度二百億、六十一年度六百億、六十二年度六百億から九百億という見込み、これはお認めになりますか。
  157. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そういう試算を差し上げてございます。
  158. 中野明

    ○中野明君 そうしますと、これは当然手当てをせなければならぬ数字なんですが、この際基本的な考え方として、国鉄の共済組合の加入者並びに現在の受給者ですね、この方々に迷惑をかけない、これ以上の負担をかけないということでこの問題は解決をする、結論を出すと、こういうふうにおっしゃるわけにはいかぬのですか、もう目の前に来ておりますが。
  159. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) しばしば申し上げておりますとおり、統一見解趣旨に基づきまして関係の四大臣が何度か本件につきましては協議を重ねておるわけでございまして、一つは退職者の年齢構成等によりまして答えはかなり違ってまいりますので、その点にも推移を見ておるわけでございますが、いずれにしてもこれは本年度末までには結論を出さなければいけない問題でございます。したがいまして、協議の結果につきましてただいまのところ先走って申し上げるわけにはまいりませんけれども、いわゆる統一見解の中で述べております自助努力等々の問題は、既にかなり給付あるいは負担の面で御苦労をいただいておるということについては、私は私なりの認識を持っております。
  160. 中野明

    ○中野明君 そうすると、これはもう国の責任で解決する以外にないということを、やはり基本的な考え方といいますか、これだけはお示ししてあげないと、今のやっぱり国鉄の自助努力ということが残っていますと、また切り下げられるんじゃないかということで大変な不安が残っているわけです。ですからその辺、年末にならないとこの人数が、確かな年齢別がわからぬと言っておられますけれども、既にもう予算編成にはこれ当然手をつけなきゃならぬことですから、先ほど来御答弁になっているように、予算編成までには結論を出すといったってもう一カ月しかないんですから、ですから大蔵大臣は——私なぜ言うかといいますと、この国鉄共済の担当大臣なんですね、大蔵大臣が担当大臣なんですよ。  ですから、あなたがしっかり腹を決めなければこの問題は解決せぬと思うんです。ほかの厚生大臣もそれから官房長官もおりますけれども、あなたが担当大臣です、この国鉄共済というのは。その人が閣僚懇でこういうて人にもたれているような考え方を言われるものですから僕らはちょっと心配になるものですから、担当大臣ですから、私は実情はわかっております、国鉄の自助努力は限界でしょう、これは政府の責任で解決をすべきものと考えておりますと、こういうふうにおっしゃったらみんなが安心するんですね。そういうことですよ。それはなかなか言えないんでしょうかね。そうすると、何かほかの方法をお考えになっているんでしょうか。その辺どうなんでしょうか。
  161. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) その点は統一見解に注意深く述べておるとおりでございまして、その辺のところを関係各大臣で最終的な結論を年度末までには出さなければならない。いずれにいたしましても、「支払いに支障のないようにいたします。」という統一見解趣旨はたがわずに達成をいたさなければならないと思っております。
  162. 中野明

    ○中野明君 それでは、わかりました。今の段階ではそれ以上言われないということになりますと、これ以上押し問答しておってもしようがありません。  次の問題として積立金の移換問題、これをお尋ねするんですが、まず自治大臣ですね、昨年の年末にいわゆる年金法を審議しましたときに古屋自治大臣も答えておられるわけなんですが、私も質問をしたんですが、要するに国鉄職員を地方公共団体が受け入れた場合、国鉄職員期間、共済年金の期間があったその積立金をやはり地方へ移換してもらわなければ地方共済は困るということで、この地方公務員共済として最も適切な方法といいますか、一番いい方法を検討いたします、こういうふうに約束をなさっているんです、それから一年です。どうなりましたか、ちょっと。
  163. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 国鉄等の職員が地方公務員になった場合におきましては、年金が通算されることとなりますので、職員の国鉄在職期間にかかる積立金を地方公務員共済組合に移換する必要があるわけでございます。  具体的に申し上げますと、地方公務員共済組合の組合員となったときに、給付事由が生じたと仮定した場合におきます年金額等を基礎として算定した額を国鉄共済組合から地方公務員共済組合に移換することとしておりまして、このことに関する基本的な方法が、本年三月に改正されました国家公務員等共済組合法施行令で定められたところでございます。現在、この規定に従いまして細部の点につきまして大蔵省と自治省の間で検討を行っているところでございますが、いずれにいたしましても、昨年十二月十三日の閣議決定の趣旨に沿い、地方公共団体や地方公務員共済組合に負担をもたらすことのないように対処してまいりたいと考えております。
  164. 中野明

    ○中野明君 それで大蔵大臣、大蔵大臣のお考えはどうなんでしょう、この積立金をどうしようという考えですか。これは大蔵省が担当ですからね、それであえてお尋ねをしているんですが。
  165. 篠沢恭助

    政府委員(篠沢恭助君) 国鉄共済から地方公務員共済に移られます場合に積立金の移換が必要であるということでございますが、これは事務処理の都合上おおむね一年分をまとめて処理をしてまいりたいというふうに考えておりますので、実際の積立金の移換は最も早い場合で六十二年度に入ったところで行われるかというふうに現在考えておりまして、それまでの間に遺漏のないように具体的な移換の時期など移換方法の細目につきまして現在関係省の間で詰めておるところでございます。
  166. 中野明

    ○中野明君 そうすると、移換されるという方針ですね。いろいろの方法があると思うんですけれども、移換をする、こういう方針は大体固まっているんですか、大臣どうでしょうか。
  167. 篠沢恭助

    政府委員(篠沢恭助君) 移換をすることにつきましては間違いございません。
  168. 中野明

    ○中野明君 わかりました。この共済年金の閣僚懇の中へ自治大臣が入っていないものですから、自治大臣のおらぬところで適当に決められて、それでこう決まったと言われたら自治大臣は困ると思いまして、やはりこれ、こっちの方は困る人ですから、どうして入れられなかったのかなというふうに総理に聞いても始まりませんでしょうけれども関係大臣ということになると一番、地方公共団体は国から頼まれて受け入れるんですから、現在もう既に何千人かの人が行って、そうして地方公共団体の長はその使用者分は掛金を掛けているわけですから、まだ移換していないということになるとちょっと僕はいかがかと思ったのですけれども、今のことで大体方針がわかりましたので結構でございます。  それからもう一つは、この財政調整五カ年計画以降の、いわゆる六十五年度以降なんですが、これがいつも問題になるんですが、それの結論はこれいつまでに出さなければならないとお考えになっていますか。ぎりぎりになっては間に合わぬと私は思うんですが、タイムリミットは何年ぐらいとお考えになっておりますか、大蔵大臣。
  169. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) これは便宜私からお答えを申し上げることでございますけれども、今年度末までに六十四年度までの処理ができましたらば、引き続きまして、この統一見解に申しますように、六十五年度以降の検討を始めなければなりません。それをどのような仕組みでいたしますかといったようなことも実はこれから決めなければならないことでございますが、御承知のようにこの問題は、将来に向かえば向かうほど非常に難しい要素がたくさん出てまいりますのと、先ほど厚生大臣がお答えになっておられましたようなこととの関連が出てまいりましたりいたそうと思いますので、大変に難しい、かつかなり長い時間を検討に要する問題ではないかと考えておりまして、いつごろまでということを私限りでお答え申し上げるわけにまいりませんけれども、いずれにいたしましても統一見解に申しておりますように、支払いの維持に支障のないように、その時期に決定をいたさなければならないということは明らかであろうと存じます。
  170. 中野明

    ○中野明君 やっぱりそれでもタイムリミットというんですか、六十五年からすぐかからにゃいかぬのですから、六十四年のぎりぎりで解決してもなかなかこれは大変な問題だろうと思いますので、やはり政府が何かしようとしてもかなり準備期間もかかりましょうし、そういう点で何年をめどにという、その目標ぐらいはお持ちになっていないとずるずるいくんじゃないかなと、難しい問題ですからそういうふうに心配してお尋ねをしているわけなんですけれども、大蔵大臣単独での判断では難しいとおっしゃっておりますので「これはぜひそういうあれを示してやられないとその場になってからまた大騒ぎして余計な心配をかけるということになりますので、ぜひこれはスケジュールをお決めになってお願いしたいな、このようにこれは強く要望をしておきます。  それでは、次の問題に入りたいと思います。  次の問題に参ります。運輸大臣旅客鉄道株式会社貨物鉄道株式会社法の第十条、この十条でわざわざ「中小企業者への配慮」ということで一条お設けになりました。これの理由をおっしゃってください。
  171. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 国鉄改革に伴って設立をされます旅客会社及び貨物会社につきましては、その事業範囲を限定せず、鉄道事業以外の事業にも原則として自由に行い得るように措置したことは委員御承知のとおりであります。しかし、同時にこの旅客会社及び貨物会社はいずれも大変規模の大きい特殊会社として発足をするわけでありますし、しかも大量の利用者が集まり散ずる駅というものを持っているという一つの特色を持っておりますから、営もうとする事業の規模など、またそのいかんによりましては、周辺地域において同様な事業を営んでおります中小企業者に大きな影響を与えるおそれがあることは否定できません。そこで、このため、会社は「その地域において当該会社が営む事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動を不当に妨げ、又はその利益を不当に侵害することのないよう特に配慮しなければならない。旨を規定したわけであります。
  172. 中野明

    ○中野明君 通産省は見えていらっしゃいますか、中小企業庁おりますかね。——この点について何か中小企業者の団体の人たちが大変心配をしておるというふうに私どもも承知しているんですが、通産省としてはこういうことについての、いわゆる分野調整法というんですか、そういう法律もあるんですが、それとの関連はどういうふうにお考えになっておりますか。心配なことがあったらちょっとおっしゃってください。
  173. 長瀬要石

    政府委員(長瀬要石君) 新会社法第十条の趣旨につきましては、ただいま運輸大臣から御発言があったとおりと理解をいたしております。通産省といたしましては、運輸省の適切な御指導のもとに、民営化されます新会社が先生御指摘の会社法第十条の「中小企業者への配慮」の規定趣旨にのっとりまして事業を営むものと期待いたしております。  なお、仮に新会社の営みます関連事業等によりまして中小企業者の事業活動が不当に妨げられるということがございますとか、あるいはその利益が不当に侵害されるというような事態が発生いたしました場合には、新会社に対する適切な御指導方につきまして運輸省に要請することになるのではないかと考えております。さらに、ただいま先生からも御指摘がございましたが、新会社と中小企業者との間の摩擦、紛争につきましては分野調整法等既存の法律が新たに適用されることになるわけでありまして、中小企業分野等調整審議会の意見を聞く等によりまして調整を図ることとなっております。このような既存の調整システムを活用することによりまして適切に対応を図ってまいりたい、このように考えております。
  174. 中野明

    ○中野明君 せっかく新会社が発足するわけですので、いずれにしても新会社もなかなか大変な経営の中で努力をしていかなきゃなりません。しかしながら、至るところで紛争が起こるようなことだけはなるたけ避けるべきじゃないかと私も考えておる一人でありますので、いろいろ知恵を絞られてそういう紛争のないようなことに重点を置かれるように希望をしておきたいと思います。この十条の精神というもの、そして大臣の答弁で理解をいたします。  次の問題に移りたいと思いますが、三島会社の経営の問題についてちょっとお尋ねをしておきます。心配な面が私としてもございます。それで、まず前もって総理運輸大臣にお尋ねをしておきたいんですが、今回のこの改革、この法律を出された趣旨というのは、私は、もうこれ以上地方の交通線を廃止しない、今現在俎上にのっておるところでこれが最後だと。これ以上地方の鉄道廃止することのないための改革であり、それどころか、地元で強い要望があれば第三セクターででもやっていくという見通しがあるのならば建設もしていきますよという、鉄道の見直しと鉄道の足としての再生をかけた法律であるというふうに私自身は理解しているわけですが、総理は私のこの考えにどうお答えいただけましょうか。
  175. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、今委員が御指摘になりました方向というものはその限りにおいて私どもの目指すものであると思います。そして、現在まで既に決めております特定地方交通線につきましては、私どもはできるだけ早い機会にそれぞれの結論を得ていただきたいと願っておりますけれども、それ以外の地方交通線というものはまさにこの鉄路を残し、生き返らせ、国民の足として再生させるために当然残していくべきものであり、また残していけると考えております。
  176. 中野明

    ○中野明君 総理、どうでしょう。
  177. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 運輸大臣と同じ考えでおります。
  178. 中野明

    ○中野明君 よくわかりました。それで、私どももそういう観点から、今反対している人たちも反対の一番の理由はこれができたら地方交通線が切り捨てられるんだと、こういうことですから私はそれは逆だと、こう思っているわけです。鉄路を再生させ、蘇生させて国民の足として本当に生かすための法律だというふうに我々は理解をしております。どうかその点をもとにして私は——ただそういう立場からいきますと本州の会社は心配ないんですけれども、三島の会社がやはり経営基盤が非常に弱い。この経営基盤の弱い三島会社も本州と同じように大体営業収入の一%は利益が上がるというふうになっている。これは利益を合わされたんじゃないかという懸念。同時に今回は、三島会社の経営基盤が弱いということで運輸省が計算をし直し、国鉄が計算をし直して監理委員会よりも違った収支のあれが出てきているわけです。ところがそれも同じく一%、営業収入の一%になるように非常に固執しておられるような気がするんです。だからそこに私は無理があるのじゃないだろうか、積算に。そういう気がしてならないのですけれども、偶然そうなったのか、わざとそうしたのか、あるいはそんな作為的な気持ちはないのか、その辺運輸大臣どうでしょう。
  179. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは作為と言われますと何か大変悪いことをしているような感じを受けるのでありますけれども、そういう悪いイメージではなく、まさに私どもはそれぞれの会社のスタートにおいてほぼ同程度の収支のバランスがとれ、利益ができるような姿を考えたわけでありますから、その限りにおいては作為とおっしゃればその言葉は間違いはありません。なぜかと申しますと、私どもとすれば今般の改革においてやはり国鉄事業というものを本当に国民の期待にこたえることができるものとして再生をさせていくために、これは事業の最大限の効率化を図ることをもちろん前提にいたしますけれども、例えば三島の会社につきましては過大な債務負担を軽減する、むしろ負担をさせない。そして経営安定基金を設立するといった措置を講じて新会社が安定的な経営基盤を確保できるように組み上げてまいりました。そして、そういう視点からまた国民負担を将来ともにできるだけ軽減していくためにもそうした点を配慮いたしまして、営業収入の一%程度の黒字が確保できるような形でスタートさせることが望ましいと考え、そのように考えてきたわけであります。  今、たまたま委員はこの問題についていろいろな角度からお触れになったわけでありますが、この一%というものは、まさに私どもはその程度の収入を確保してあげた方がよい、利益を確保してあげた方がいいとくんで組み上げてきたものであります。そして、監理委員会で案を検討されましたときとまた政府が今回提出をいたしております数字との間で必ずしも一致していないにかかわらず一%は同じだと言われるわけですが、それは今申し上げたような理由でつくってきたわけでありますから、これはお認めをいただきたい。  ただ、再建監理委員会の数字と政府の提出いたしました試算というものの差というものは何かといえば、監理委員会は当時入手し得る一番新しい数字として五十八年度の実績をもとに推計をされました。政府は今回六十年度までの鉄道輸送実績というものを基礎値として計算をし、それに基づいて所要の数字の修正を行ったわけでありまして、これは悪い意味での作為では全くありませんが、それぞれの会社が健全に発足し得るその基本的な要件を備えるために私どもがこうした形につくり上げたということは事実であります。
  180. 中野明

    ○中野明君 そこでお尋ねをしたいんですが、運賃収入とか乗客の数とか、そういうところに少し甘さと無理があるんじゃないかというような気がしていかぬものですからお尋ねするわけですけれども、まず国鉄総裁、十一・一のダイヤ改正、このダイヤ改正で要員は何人体制ででき上がったんですか。
  181. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) ずっと合理化を続けてまいりましたが、最終的に十一月のダイヤ改正によりまして十八万六千人という当初の目標が達成できる見込みになったわけであります。
  182. 中野明

    ○中野明君 そこで、ダイヤ改正後の旅客数、お客さんの前年対比というものをちょっと。私も先日何の気なしにテレビをひねりましたら自分の住んでいる四国のことが出ていまして、それで前年対比も減っていますし、新ダイヤ編成で予想しておった七〇%だというようなことを、国鉄当局の人がテレビのインタビューに応じて、これはもう大変なショックですというニュアンスで物をおっしゃっておったわけです。このダイヤ改正で、一部は非常に評判がよろしいですね。新駅をつくっていただいて、非常に近距離の通勤、都市間の輸送がうまくいくということで喜んでいるのと同時に、反対に、四国の場合で申し上げると、なぜ私が運賃の見積もりなんかに疑問を持っているかといいますと、具体的な話をしなきゃわかりませんので申し上げますが、予讃線なんかは今まであった急行をほとんどなくしてしまって、全部特急に変えた、こういうことなんですね。  それで、特急と急行という区別はどこに基準があるんでしょうか。その辺ちょっと教えていただけますか。
  183. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 明確な厳密なものはございませんが、大体の基準として考えられるものは、一つはスピードでございます。それからもう一つは使う客車、列車の中のお客さんの利用の場合におきますアコモデーション、こういうような観点からしまして、当該地域におきまして総合的に考えて急行の特急化というものを検討いたしまして、四国におきましても全体のレベルアップということで四国の地域の御要望におこたえした、こういうつもりでございます。
  184. 中野明

    ○中野明君 大臣、今総裁がお答えになりましたように、特急と急行の違いというのはスピード、それから客車。わかります、客車は。だけれども、四国の場合は御承知のとおり単線ですね、電化もしていません。特急と急行とほとんどスピードは変わらぬのです。それで料金は倍になるわけです、千円が二千円ですか。スピードの比較を見ますと、これまた変なことになっているんですね。特急と急行とほとんど変わらない。地元の要望があったからとまる駅をふやしたということ。そうすると、結局は民営になったらこういう手法で収入をかさ上げしてくるんじゃないか、そういう不安というか疑問を住民に持たせるということは私はよくないと思うんです。いずれこれは、会社が発足すれば賢明な社長さんが生まれてきて、こんなばかなことは私はなさらないと思いますけれども。  スピードも変わらない、そして客車がただきれいになったというだけでしょう。とまる駅もふえたけれども、スピードは変わらぬということになると、これは急行でいいんじゃないだろうか。そうすると、評判がよくなるんですよ。民営になったことによってえらい車両もきれいになって、今までと同じ急行料金でいいのに乗せてくれるようになったということで、ずっと受け方が違ってくると私は思っているわけです。こういう点、国鉄どうなんでしょう。私も調べてみましたけれども、何かちょっとひどいですね。納得できないようなデータがいっぱい出てくるんです。ですから、速いのと遅いのとこういうふうに出してもらいましたが、それを見てみますと大変なんです。  結局、料金として最終的に急行と特急とを比べてみますと、こんなに違ってくるんですね。料金全体でやはり二四%値上がりしたことになってしまうわけです、松山—高松を比べてみましても。ですから、こういうことになってくると民営になっても不安だという人も出てくるわけですから、将来、私がここで議論をしておいたことは恐らく新会社の賢明な経営者は私はわかっていただけると思いますけれども、スピードが一緒で客車がきれいになっただけで特急にする。それでこれの収入がふえるように計算の基礎を置いたとしたならば、これは当てが外れてくるんじゃないかなと心配をするから言うのですが、大臣どうでしょう。
  185. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 実は、今委員指摘の問題は、衆議院の審議の際にもある委員の方から提起をされました。そして、素直にその御論議を聞いておりまして、感想を求められまして、実は私は一般的に準急より急行、急行より特急がスピードにおいてまさると思っておりましたので、同じ区間を同じ速度で同じ数の駅にとまって、箱だけが変わって急行が特急になるということは実は初めて聞きまして、もう少し御論議をお深めいただきたいということでそのまま質疑をお続けいただきました。ところが、国鉄当局からは四分間と大幅に短縮をしておるという答弁がありまして、満場爆笑の中でその論議は終わってしまったわけでありますが、私自身としても何となく解せない部分を残したまま今日に至っております。
  186. 中野明

    ○中野明君 それで、私心配しているのは、そういうことがこの運賃収入の見積もりの中に入っているとしたら、これは当てが外れてきますよということを申し上げたいわけでして、従前のダイヤでしたら、予讃線の松山—高松、これが四国ではメーンなんです。ここが急行が九本だったのです。特急が四本だった。それを急行を一本にしてしまった、九本を。そして、特急を一遍に十三本にしてしまった。だから、田舎の方は収入が少ないのにいい箱に乗せていただいたらそれはありがたいですけれども、高いのは悪いです、もう倍ですから。これは困ったなと思って私も大臣はどんな答弁をするだろうかと思って聞いておりましたが、やはり私と同じ意見のようでございます。これはいずれ会社が発足したら、私はこんなばかなことをしておったら会社は信用を失うと思っております。そういうことで、ぜひそういう点についても、いろいろのことを国鉄関係者も聞いておられるので恐らく直していただけるんじゃないかなと期待をいたしております。  それからその次には、財政面でも心配なのは、四国は今も申し上げておりますように電化はやっと多度津—高松間で、さあこの会社の状況で電化あるいは複線、そういうようなことが果たしてできるんだろうかという心配をするわけです。しかも経営基盤が弱い。ですから、大臣に重ねてお尋ねをするんですが、こういう北海道とか九州とか四国とかいうような経営基盤の弱い、四国なんかは高速道路はまだ全然ありませんからね、これから将来恐らくどんどんできてくると思います、同時に本四架橋に合わしてやっているものですから。そうなってくると、旅客の予想もある程度そっちに取られる可能性もある。その上に、今まで設備がおくれておったんですから、電化もしなきゃならぬでしょうし複線へもある程度考えていかなきゃならぬということになりますと、よほどこういうところは経営努力する余地を残しておいてあげないといけない。  そこで、売却用地の問題で私はお尋ねをしたいわけですけれども、監理委員会がお出しになった売却用地の面積の上に、北海道、四国、九州で千百九十三ヘクタール上積みしてきているんですね。本州は僕は今のところわかります。けれども、こういう経営基盤の弱いところこそ駅周辺の利用度の高い土地は置いておいてあげて、そして将来それを売るのじゃなしにその土地を活用して、信託方式とかあるいは民間と一緒になってプロジェクトをつくって何かするとか、そういうことをして収入を上げて、そして会社の経営一つの基盤にしてあげないと私はいかぬのじゃないか。もうこれ以上基金の積み立ては無理でしょうから、これ以上ふやせと言ったってそれは恐らく無理でしょうから、そうなりますとやはり新会社に余地を残しておいてあげないと、結局経営が苦しくなった、やっぱり廃止する路線を考え出すというようなところへいってしまったのじゃ困るということで、こういうところは一応挙がっておりますけれども、先日もちょっとお尋ねをしたら、清算事業団の方へ全部一応いって、必要だったら清算事業団から売りますよというような、そういう話も聞いたんですけれども、そんなとんでもない、それだったら初めから置いておいてあげたらどうだと、こういうことなんですが、大臣、この辺のお考えはどうでしょう、僕の者え方は違うでしょうかね。
  187. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これも幾つかの問題を含んだ御質問でありますけれども、将来の交通需要を予測するに当たりましては、鉄道のネットワークそのものはもちろんでありますけれども、高速道路あるいは空港等の整備の見込みもそれなりにみんな織り込んでおります。各五カ年計画等々を持っておられるものは一応全部織り込みで計算をいたしました。そのような需要予測の結果に基づいて新会社の収入を試算しておるわけでございまして、今委員が御指摘になりましたような四国のエリアにおいて高速道路整備が進むにつれての影響といったものは需給のバランスの中に織り込んでおります。まずこの点を最初にお答えを申し上げたいと思います。  確かに私どもは今、その三島の基金に対して増額をするというようなことは考えておりません。それはなぜかと申しますと、私どもは三島会社の経営環境というものが厳しいものであることは承知をいたしております。ですから国鉄時代の長期債務を最初から一切引き継がせないことにしておるわけでありまして、これだけでも実は新たにスタートする企業とすれば非常に有利な条件になります。そして同時にその経営の安定を図るための安定基金を設置するわけでありまして、私どもとすればこれで十分長期にわたって安定的な経営が行えると考えておるわけであります。  また、その場合に三島会社についてできるだけ不動産をたくさん附属させればという御指摘でありますけれども、やはり私は、それぞれの会社、新事業体というものは、将来の事業遂行上必要最小限の事業用地、また駅ビルなどの関連事業用用地のうち一定のもののみを引き継がせるという考え方整理をすべきだと考えておりますし、またその引き継ぎの資産内におきましても、関連事業と申しましても土地を利用しない関連事業も十分あるわけでありますし、また引き継いでおります資産の高度利用等によっての関連事業の充足も十分できると考えておりまして、今委員の御指摘のような考え方をとる考えはございません。
  188. 中野明

    ○中野明君 ただ大臣、私が申し上げているのは、監理委員会が出したそれ以外にこういうところからまだ国鉄が出してきている。監理委員会が出されたということはかなり私は監理委員会の数字というものは評価できるのですけれども、それ以外に、経営の弱いところ、だから基金の積み増しもしたんでしょう、それぐらいにしなきゃならぬ経営の弱いところへ、まだ監理委員会以外に国鉄がこれも出せあれも出せと来ているところにちょっと心配をして申し上げているわけで、何もかにも取ってしまって将来動く余地がないようなことにしてしまったら新会社もかわいそうじゃないかということで申し上げているのでありまして、他意はありません。そういう精神を私は申し上げたわけでございます。  それでは、次の問題に移らせていただきます。地方交通線の問題でございます。  第一次、第二次、第三次の特定地方交通線、これの転換の状況というものはどういうふうになっておりましょうか、ちょっと御説明をしていただきたいと思います。
  189. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 第一次から第三次までの特定地方交通線の進捗状況でございますけれども、対象となる線区は全部で八十三線ございますが、そのうち現在までに選定承認をしたものが七十五線でございます。これは六十一年、ことしの十一月十四日現在、これは刻々と変わっておりますが十四日現在で申し上げますと、七十五線のいわゆる選定承認済みの特定地方交通線でございますが、このうち四十一線が転換済みでございます。それから三十四線が未転換、こういうことになっております。  第一次、第二次、第三次別に申し上げますと、第一次線でございますが、これは全部で四十線ございます。そのうち既にバスあるいは鉄道に転換が済んだものが三十七線でございます。それで残り三線、これについてももう既に転換方向についての合意が済んでおりまして、そういう意味では第一次線は一応すべての協議が完了しておると申しますか、転換の方向についての方向づけがなされておるというものでございます。  それから第二次線が全部で三十一線ございまして、そのうちバスあるいは鉄道に転換したものが四線でございます。そのほかにもう既に転換方向は合意ができておるというものが十二線でございまして、合わせて十六線が転換済みあるいは合意済みということであります。そのほかの残りの十五線、これが現在協議中でございます。  それから第三次線でございますが、これは全部で十二線ございますが、うち四線だけについて既に選定承認がなされておるわけでありまして、そのうち転換方向についての合意が済んでおるものが一線、残り三線、これが協議中あるいは協議予定のものということになっております。  結局、第二次で協議中が十五線、それから第三次で協議中あるいは協議予定のものが三線、十八線というのが現在その方向についての協議を行っているわけでありまして、それでさらに先ほどの全部の八十三線のうち第三次の八線についてはまだ承認がなされていないという段階でございます。
  190. 中野明

    ○中野明君 それで、私の承知する限りでは、第三セクターとして地方鉄道あるいはバスに転換したところは経営状態というのはなかなか厳しいように承知をしているわけです。そのために、そうした厳しい経営状況に対処するために転換交付金の交付と運営費損失に対する補助が行われておるのでありますが、そのことにつきまして私はちょっとここで要望を兼ねてお願いしたいんです。  こういう転換の補助金が五年で終わりということになっておるわけですが、こういうことでいきなり五年で打ち切られたとした場合に運賃というものは一体どれぐらい上がるんだろうかと心配するわけです。ですから、そこまでなさっておるわけですから、補助が打ち切られた場合に恐らく大幅な運賃値上げにつながってくるんじゃないだろうかという心配をしますので、一遍に五年後ですぐ打ち切るのじゃなしに、段階的に補助率を落とすというようなことで、激変緩和というものをやはりこの際図っておくべきじゃないか、こういう強い感じを私持っているんですけれども、この辺はどうでしょう、お考えとして。運輸大臣、どうお考えになりますかね。
  191. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私どもは、代替輸送事業者は事業開始後五年間の補助を行えば経営基盤を確立して安定的な経営を行うことが可能になると考えてはおります。しかし、将来の見通しの論議になりますと、これは仮定の立て方によってさまざまなケースが出てくるわけでありまして、私はやはり五年間の補助を行うことによって経営基盤は確立されると信じておりますし、事業者の努力を強く期待いたしておりますけれども、いずれにしても代替輸送事業者の経営状況というものにつきましては、やはり地域の足でありますから、私どもとしては注視してまいりますし、適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
  192. 中野明

    ○中野明君 それでは次の問題なんですが、最初に私、総理運輸大臣にもお尋ねしましたように、この改革法というのは鉄道再生というそういうことでございますので、今地方へ行くと一番にやはり心配をしているのは、経営悪化のために地方交通線もやがては廃止されるんじゃないかという、そういう不安というものが先に立っているような気がしてならぬのですけれども、大臣は衆議院の議論でも、そういうことは、もう廃止考えてない、新会社によって健全に経営していけると確信を持って答弁をなさっているわけなんですが、廃止のことについてこの法律の中ではどこで担保されているんでしょうかね。ちょっとその辺を教えてください。廃止しないという担保。
  193. 熊代健

    政府委員熊代健君) 御提出しております鉄道事業法の中で、休廃止につきましては運輸大臣の許可を得なければ休廃止することができないということで、二十八条でその旨を規定しております。
  194. 中野明

    ○中野明君 そうしますと、この規定だけを素直に読みますと、これは維持をせよという規定にはなっていないように私は思うんですが、将来の話なんですが、新旅客会社から路線の休廃止が申請された場合に、大臣にこれお願いしておきたいのですが、経営というもの、利益というものを主体に考えるとどうしてもそれに走りがちですから、民営ということになりますと。その場合でも地元のある程度の合意、全員が合意ということはすべてありませんけれども、地元の大多数の人たちがやむを得ぬという合意のない限り廃止はしません、許可はしませんという、そういうことについて大臣、ここで御答弁はできませんかね。
  195. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これはある意味では大変微妙な問題点を含んでおるお尋ねだと思います。  私どもとして確かに地元、また殊にその地元の中核的な世論の集積の場としての地方公共団体というものの御意見というものは、こうした場合に当然十分配慮すべきものであると思います。しかし同時に、地元の同意がなければ休廃止を行うことができないとまですることは、私はこれは事業者にとっては余りに酷過ぎる話になる、そしてまた、場合によってはこれは不合理を生むことさえあり得るのではないか、理屈詰めで議論をいたしますとそういうこともあり得ると思います。ですから、やはり地元の同意というものまでを条件とすることは運用上適切を欠くのではないでしょうか。  ただ、公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあるかないか、その判断の場合に、輸送量の動向でありますとか代替交通機関の整備状況でありますとかと並んで、地方公共団体の御意向等というものは総合的に勘案する大切な柱であることは間違いがありません。
  196. 中野明

    ○中野明君 これは慎重にお願いをしたいと要望をしておきます。  そこで、先ほどもちょっと報告もしていただいたところでありますが、鉄建公団が建設をしている路線で、特定地方交通線対策との関係で工事を休止している路線名、これを示していただきたい。
  197. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま先生御指摘の路線は全部で二十二線ございます。樽見線でありますとか智頭線、あるいは宿毛線といったようなものでございますが、その他すべて合計いたしまして二十二線あるわけでございます。
  198. 中野明

    ○中野明君 そのうち、今お述べになりました樽見線、智頭線、宿毛線は今年度中に第三セクター線として工事再開という予定であるように私は承知をしておりますが、そのとおりでよろしいですか。
  199. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま先生御指摘の三線につきましては、地方鉄道業としての免許が取得できるというふうなことを前提といたしまして、今年度じゅうに第三セクター線として工事を再開するということを予定しております。そのうち、樽見線につきましては十一月十八日付で地方鉄道業の免許を既に行っております。
  200. 中野明

    ○中野明君 それで、具体的なことでございますが、宿毛線については、今お話しのように六十一年度の工事再開ということの見通しがはっきりしてきたわけなんです。大臣も御承知かと思いますが、この宿毛線を経営する土佐くろしお鉄道株式会社というのは阿佐線も含めて経営するということに会社の定款でなっております。そして、現実に阿佐線というのは、これは我々も大きな責任があるわけなんですが、宿毛線よりも早く工事を再開いたしまして、投資額も全然違います、阿佐線の方がすごく大きく投資されております。そしてもう一つ、ここに土佐電鉄というのが後免から安芸というところまで走っておったんですが、阿佐線がつくということで、我々も説得をして土佐電鉄の鉄路をはがした経緯もあるわけです。今、工事は、それこそ地元を通った人たちは皆驚いているんですけれども、あれは何ですかと言われて、ローマの遺跡みたいなのがあっちこっちにずっとできまして、これはどないなっているんだというのが実情でございます。  そういうことでございますので、私は、この阿佐線というものは建設を再開すべきだ、このように強く思います。そうしないと、これは政治不信をさらに助長するんじゃないかと心配をしているわけですが、この点について大臣のお考えをちょっと聞かせていただきたい。
  201. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは阿佐線と申し上げた方が正確なのか阿佐西線と申し上げた方が正確なのか、正確に私も存じませんが、便宜、私は実は阿佐西線と聞いておりましたので、その方がしゃべりやすいものですからそれでお答えをさせていただきます。  この阿佐西線につきましては、宿毛線とあわせて六十一年度に第三セクター線としての建設を再開してほしいという地元の強い御要望がございました。しかし、両線とも着工するというのは困難な実情でありましたので、高知県において御調整を願いましたところ、宿毛線の方を第三セクター線として新規着工を認める対象路線として内定をされ、去る十月二十二日に国鉄再建法第十四条一項の告示を行ったところでございまして、現在、関係者間で着工に向けて諸般の作業が進められているところであります。  残された阿佐西線の工事再開の見通しにつきましては、国の財政事情との関連もあり現段階で明確なことを申し上げることは困難でありますが、いずれにしても、この問題は来年度以降の検討課題として受けとめており、御指摘の事情も参考としながら、阿佐西線の地域開発上の必要性やら第三セクター線としての採算性等を検討の上、適切な結論が得られるように努めてまいりたいと考えております。
  202. 中野明

    ○中野明君 これはぜひ私は実現をしていただきたいということを重ねて要望しておきます。  それで、与えられた時間が近づいておりますので、最後に、これは既に政府が予定したよりもかなり時期はずれてきているように私は思っておりますが、この法案が通りますと成立後のスケジュール、これについてもう一度運輸大臣の方から改めて説明をしていただきたいと思います。
  203. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 細部のスケジュールにつきましては政府委員の方からお答えを申し上げることにさせていただきますが、私どもは、法律案が成立いたしますと直ちに設立委員の任命から順次作業を進めてまいらなければなりません。同時に、基本計画の策定も大切な作業でございます。  しかし、全体の中で今私自身が一番心配をいたしておりますのは、設立委員の方々が採用条件、労働条件等を国鉄当局にお示しになり、それを受けて国鉄が職員の方々に対して、その将来への希望を聞き、それを締め切り、そして振り分けの作業をする期間をいかにとり、その作業を公平に行うだけの実質の作業時間を担保するかということであります。これらの点につきましては、どうぞ本院におかれましても十分配慮の上御審議をお願い申し上げたいと考えております。  細部につきましては政府委員の方から御説明を申し上げさせます。
  204. 林淳司

    政府委員(林淳司君) この法案を通過させていただきましたとした場合のその後のスケジュールでございますけれども、法令の公布が行われました後に、まず設立委員運輸大臣が任命いたしまして設立委員会をスタートさせます。それからさらに、ほぼ同時に事業体の方に帰属させる土地、それから清算事業団に残置をする土地というものの土地の振り分け作業ということを客観的に行うために第三者機関を発足させるということを予定しております。それからさらに、法律案にも書いてございますが、新事業体に承継させる資産についての評価を行うための評価審査会というものを発足させます。それからさらに、基幹通信、それから情報システム、それから研究所といった会社あるいは団体というものを設立いたしまして、これを基本計画の内容に反映させていくという作業がございます。  このような一連の作業を行った上で、承継についての基本計画を政府が閣議決定を経まして決定をいたします。そこで承継するそれぞれの事業体ごとの承継職員数というものが決まってくる。さらに、ほぼ同時に、設立委員会におきまして新しい会社に採用する職員の労働条件それから採用基準というものを決定いたします。この会社ごとの職員数、それからただいまの労働条件、採用基準というものが国鉄に対して通知がなされるということでございまして、国鉄はその通知を受けて、そこから職員の配属希望調査を始めるということになります。そして、国鉄が職員の希望調査を行った上で、その職員の希望というものを勘案しながら、各事業体ごとのいわば職員候補者名簿というものを作成しまして、これを設立委員会の方に提出してくるわけであります。設立委員会でその名簿をもとに職員選考を行いまして、そして、それぞれの企業体の採用する職員予定者というものを内定し、最終的にこれを決定していく、これを受けまして事前に配属の検討を行いまして、国鉄の方で事前に配属をいたしまして、その配属計画に従って具体的な配転が行われる。その上で最終的に新会社になった場合の移行準備というものを、慣熟訓練等を含めて移行準備を行いまして、そして来年の四月に具体的に会社がスタートを切るということであります。  それから先ほど基本計画の決定と申し上げましたが、この基本計画、いわゆる新事業体に対します資産等の承継についての基本計画でありますが、これについては、政府が決定したものを受けまして国鉄においてその承継実施計画を作成し、そして運輸大臣の認可を受けるということで、ここで具体的にそれぞれの企業体に承継される資産あるいは債務等の確定が行われるということになるわけでございます。  以上でございます。
  205. 中野明

    ○中野明君 それで、これはここまで参りますと、やはり設立委員の任命とかあるいは評価審査会の発足ということになってくるわけなんですが、手回しよく、大臣、知らぬ間に新聞なんかで設立委員の新聞辞令がばかばか出るんですが、これはもしこういう人たちが事実と違ったら大変御迷惑なさると思うんですね。それはそれとして、これは新聞が書いているんですから、向こうは何かの取材の根拠はあるんでしょう。ただ、私思いますのは、大臣として、設立委員の名前はこれはまだとてもじゃないがそんな段階じゃないでしょうけれども、構成の人員は何人ぐらいで、そして各界代表がやっぱり入る方がいいと思うんですが、そういう大体の構想というのはもうこの時期が来たら固まっていなければ、法案が通った明くる日にぽっと発表というような、そんな器用なことは難しいんじゃないかと思うんですが、その辺の大体の構想というものは大臣、この際お示ししておかれる御必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  206. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昨日、実はある県の知事さんからお電話をいただきまして、新聞で自分は設立委員に内定をしているという報道をされて、むしろそれを前提として地域の方々からいろんな御要望が来て困っておる。それで、内緒でいいけれども私はその設立委員に入っているんだろうかというお問い合わせがございました。ただ、これは率直に申しまして、現在本院で御審議をいただいております法律案が通過成立した後に私は総理の御指示を受けて早急にその人選を進め、お願いを申し上げ、決定をするつもりでありまして、確かに時間的に極めて急がなければならない問題でありますが、現時点において申し上げるべき内容を何ら考えておりません。  ただ、例えば電電公社がNTTに変わってまいりますとき、また専売公社がたばこ産業株式会社に変わってまいりますとき、たまたま私は党の行政改革の担当者としてその作業の一翼を担っておりました。ですから、そうした当時のさまざまな検討と申しますものを今思い起こしておることはこれは事実であります。しかしこれも、全くある意味では性格の違う今回の国鉄分割民営化のプロセスというものを考えればあくまでも一つの参考でありまして、これがそのままに生きるものでもございません。現時点におきましてはむしろ、報道機関の方々からいろいろお問い合わせをいただきますけれども、私は皆さんがテレビの、あるいは新聞の上で報ぜられる方々もいい参考にさせていただきますというお答えしか申し上げておらないというのが事実でありまして、この点は御理解をいただきたいと思います。
  207. 中野明

    ○中野明君 今それをおっしゃることは無理かと私も思います。しかし、大体の構想は胸の中で何人ぐらいが適当か、どういう層から出てもらう方でいいかということはもうお考えになっているんじゃないかと思いますが、この席でそういうことを言えという方も無理だと思いますので、これ以上は申し上げません。  それで、新聞にこういうことが出るというのはやはりこれはちょっとどこかから漏れていると思うんですが、その辺も気をつけておいていただきたいなという気はいたします。  さて、最後になりますが、今回の改革というのは、これは国鉄がもう走りながらの、三十一日から一日とばっと変わるわけですから、一部では安全ということについて心配をされる向きもあります。衝突事故とか、そういう不測の事故が起こるという心配をされる向きもありますので、どうかひとつ、それのもとになるのは、今お尋ねをしましたこの法案が通ってからの後の、いわゆる国鉄職員の皆さん方の振り分けが納得がいくことだろうと私は思います。やはり人が汽車を動かしているわけですから、そういう面でぜひ可能な限り時間を割いて各人の意見をよく聞いてあげて、そして万遺憾のないようにお願いしたいなと私は心から思っておる次第でありますので、その辺を含めて、私これで質問を終わりたいと思いますが、大臣と総理に御所見を聞いて終わりたいと思います。
  208. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 御指摘をいただきましたように、非常に作業時間が少なくなっております状況でありますだけに、一日も早い通過成立をお願い申し上げますとともに、通過成立をいたしました段階で、私どもとしては万全の注意を払いながら、むろんその安全というものにも当然のこととして十分意を尽くし、最善の努力をしてまいりたいと考えております。どうぞよろしく御指導のほどお願いを申し上げます。
  209. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 安全の確保は、政府はもとより、国鉄当局、関係旅客会社のすべての大責任でございます。この過渡期においても万が一にもそういう事故のないように十分戒めてまいる決心でございます。
  210. 中野明

    ○中野明君 終わります。
  211. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  212. 山内一郎

    委員長山内一郎君) この際、派遣委員の報告に関する件についてお諮りをいたします。  去る十五日、当委員会が行いました各案審査のための委員派遣につきましては、各班からそれぞれ報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会します。    午後六時三分散会