運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1986-11-13 第107回国会 参議院 日本国有鉄道改革に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月十三日(木曜日)    午前九時三十一分開会     ─────────────    委員の異動  十一月十二日     辞任         補欠選任      沓掛 哲男君     木宮 和彦君      山崎 竜男君     宮崎 秀樹君  十一月十三日     辞任         補欠選任      秋山  肇君     野末 陳平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山内 一郎君     理 事                 伊江 朝雄君                 浦田  勝君                 江島  淳君                 亀長 友義君                 赤桐  操君                 安恒 良一君                 矢原 秀男君     委 員                 大島 友治君                 梶原  清君                 木宮 和彦君                 木村 睦男君                 倉田 寛之君                 坂元 親男君                 下条進一郎君                 田代由紀男君                 野沢 太三君                 真鍋 賢二君                 増岡 康治君                 宮崎 秀樹君                 森田 重郎君                 吉川 芳男君                 吉村 真事君                 青木 薪次君                 穐山  篤君                 田渕 勲二君                 渡辺 四郎君                 鶴岡  洋君                 中野  明君                 三木 忠雄君                 市川 正一君                 内藤  功君                 田渕 哲也君                 柳澤 錬造君                 野末 陳平君    国務大臣        内閣総理大臣   中曽根康弘君        国 務 大 臣  金丸  信君        法 務 大 臣  遠藤  要君        外 務 大 臣  倉成  正君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        文 部 大 臣  塩川正十郎君        厚 生 大 臣  斎藤 十朗君        農林水産大臣   加藤 六月君        通商産業大臣   田村  元君        運 輸 大 臣  橋本龍太郎君        郵 政 大 臣  唐沢俊二郎君        労 働 大 臣  平井 卓志君        建 設 大 臣  天野 光晴君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    葉梨 信行君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  玉置 和郎君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)        (国土庁長官)  綿貫 民輔君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       近藤 鉄雄君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)      三ツ林弥太郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  稲村 利幸君    政府委員        内閣審議官    中島 眞二君        内閣法制局長官  味村  治君        内閣法制局第四        部長       大出 峻郎君        日本国有鉄道再        建監理委員会事        務局次長     吉田 耕三君        総務庁人事局長  手塚 康夫君        総務庁行政管理        局長       佐々木晴夫君        防衛庁参事官   瀬木 博基君        防衛庁参事官   千秋  健君        防衛庁装備局長  鎌田 吉郎君        防衛施設庁総務        部長       平   晃君        防衛施設庁建設        部長       大原 舜世君        防衛施設庁労務        部長       西村 宣昭君        国土庁土地局長  田村 嘉朗君        大蔵省主計局次        長        角谷 正彦君        大蔵省主計局次        長        篠沢 恭助君        大蔵省理財局次        長        入江 敏行君        大蔵省理財局た        ばこ塩事業審議        官        頼松 祥典君        文部大臣官房長  古村 澄一君        文部省初等中等        教育局長     西崎 清久君        文部省高等教育        局長       阿部 充夫君        厚生大臣官房総        務審議官     長尾 立子君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   佐々木喜之君        厚生省社会局長  小林 功典君        農林水産大臣官        房長       甕   滋君        運輸政務次官   柿澤 弘治君        運輸大臣官房審        議官       井山 嗣夫君        運輸大臣官房国        有鉄道再建総括        審議官      林  淳司君        運輸大臣官房国        有鉄道部長    丹羽  晟君        運輸省運輸政策        局長       棚橋  泰君        運輸省地域交通        局長       熊代  健君        運輸省地域交通        局陸上技術安全        部長       神戸  勉君        運輸省貨物流通        局長       松村 義弘君        運輸省航空局長  山田 隆英君        郵政省電気通信        局長       奥山 雄材君        労働大臣官房審        議官       佐藤 仁彦君        労働省労政局長  小粥 義朗君        労働省労働基準        局長       平賀 俊行君        建設大臣官房総        務審議官     渡辺  尚君        建設省都市局長  北村廣太郎君        建設省住宅局長  片山 正夫君        自治省財政局長  矢野浩一郎君        自治省税務局長  津田  正君    事務局側        常任委員会専門        員        多田  稔君    説明員        日本国有鉄道総        裁        杉浦 喬也君        日本国有鉄道常        務理事      岡田  宏君        日本国有鉄道常        務理事      前田嘉代治君    参考人        日本国有鉄道再        建監理委員会委        員長       亀井 正夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本国有鉄道改革法案内閣提出衆議院送付) ○旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○新幹線鉄道保有機構法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道清算事業団法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案内閣提出衆議院送付) ○鉄道事業法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道改革法等施行法案内閣提出衆議院送付) ○地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○日本鉄道株式会社法案村沢牧君外五名発議) ○日本国有鉄道解散及び特定長期債務処理に関する法律案村沢牧君外五名発議) ○日本鉄道株式会社退職希望職員等雇用対策特別措置法案村沢牧君外五名発議)     ─────────────
  2. 山内一郎

  3. 山内一郎

    委員長山内一郎君) まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山内一郎

    委員長山内一郎君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 三木忠雄

    三木忠雄君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、提案をされております法律案に対して総理並びに関係閣僚に若干の質問を申し上げたいと思うわけであります。  国鉄が百十四年の歴史を閉じようとしているわけでありまして、私も昭和四十三年に国会に出まして以来、ちょうど国鉄財政再建計画、第一次から四次まで、あるいは運賃法等のいろんな審議もしてまいりました。いろんな問題点指摘もしてまいりましたけれども、残念ながらここに至りました。私たち国会審議をした一人として責任一端を感ずるわけでありますが、監査委員長松澤さんの話でありますが、もう少し十年早ければこの問題は国民に多くの負担をかけなくて済んだであろう、こういうふうな発言を述べられた。昭和六十年の、国有鉄道としての恐らく最後監査報告書になるのではないかと私は思うんです。まさしく私は素直な発言であろうと思っております。  私は昭和五十二、三年ごろに、国鉄長期累積債務あるいは公共負担、また年金負担であるとか地方ローカル線公共負担に耐えられないようないろんな問題点を数多く指摘をしまして、このままの状態では一閣僚だけでは解決できない問題であろう、これは総理が英断を持ってやらなきゃならないということを歴代総理に向かってもこの問題をいろいろ提言してきました。しかしながら、残念ながらここに至りました。しかし、もうここに至ってはこういう姿しかないだろう。民営であり、分割には私はいろんな異論を持っておりますけれども、しかし国民にこれ以上負担をかけてはならない。昨日は労使の代表の方々が質問されたような感じになりましたが、私は素直に国民の立場からこれ以上国民負担をかけてはならない。したがって、これからの鉄道が本当に再生し国民の足となって本当に確保されるようないろんな問題点、特に民営分割化に伴ってメリットもあるだろうけれどもデメリットもあるだろう。そういうデメリットの問題をどういうふうにして政治の力で、あるいは行政の力でできる範囲のことで支えて立派な鉄道として再生させていくかということは、私は政治家に与えられた一つの大きな役割であろうと思っているわけであります。  まず最初に、私は総理に伺います。  昨日も総理は素直に責任一端を述べられました。確かに、過去債務の問題、公共負担の問題あるいはまた年金負担問題等について早く手を打っておけばよかったなという松澤さんの素直な意見監査委員長の素直な意見に対して総理はどのようにお考えになっておるか、また運輸大臣の所感を伺いたいと思うのです。
  7. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員から御指摘のありましたように、私も監査委員長報告を受け取った瞬間、これが国鉄の名のもとに出される最後監査報告になると思った瞬間に、さまざまなことを感じた一人であります。そして、ここまで参ります過程で何か方法はなかったものかという気持ちも脳裏をよぎりました。そして、その中において政府を含め政治責任もまた大きかったと考えております。それだけに、この長い歴史を築く過程における多くの先人の御労苦に思いをはすと同時に、これから新たな形態に向かって進まなければならない職員方々の胸の内というものもさぞ思い多きものと考えております。それだけに、今回の御審議を通じ、また一日も早く法律案の通過、成立をお願い申し上げ、明年四月一日の発足の時点において本当に祝福される姿でそれぞれの新しい会社がスタートできるように全力を尽くしたい、そのように考えております。
  8. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私も運輸大臣と同じ心境におります。また、松澤さんが提出されました監査報告指摘されたことも正しいのではないかと思います。何回か国鉄に対する改革政策というものは出されました。しかし、不幸にしていずれも中途半端に終わりました。その原因にはいろいろな複合的な原因がございますけれども、一番大きな大事な点は、やはり国鉄労使あるいは政府あるいは関係政党、それに関係するすべての者たちがこのような非常事態に至るというそういう緊迫感がやはり足りなかったのではないかと思います。そういう意味におきましても、政府においても責任の一半はあると考えます。私たちも逃げるものではございません。しかし、ともかく今日のこの事態をいかに立派な鉄道体系に蘇生するか、国民の御期待に沿う運輸交通体系に転換させるかということが今や我々の重大責任でありまして、これについては真剣に努力してまいるつもりでおります。
  9. 三木忠雄

    三木忠雄君 今回、後で審議をしますけれども、借金等の問題が清算事業団で棚上げをされて借金のない会社でスタートする、こういう形でありますけれども、この案をつくられるまでの間に再建監理委員会はいろいろな苦労があったと私は思うんです。いろんな意見もあっただろうし、いろんな圧力もあっただろうと私はいろいろ拝察をするわけでありますが、きょうはお忙しい中、監理委員長に御出席をいただいておりますので、この監理委員会分割民営化に至るまでにいろんな問題点があったと思いますが、こういう成案になったいきさつ、特に本州をどうしても三分割をしなければならなかった、こういう理由政府もそのまま採用されて三分割になっているわけでありますけれども、なぜ三分割がベストなんだろうかという点について、国民にはなかなかわかりづらい問題がいろいろあろうと思うんです。そこらの経緯についてちょっと御説明願いたいと思うんです。
  10. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) お答え申し上げます。  ただいま三木先生から監理委員会がいろいろ苦労したという評価をいただいて、本当に感謝を申し上げる次第でございます。  そこで、この民営化ということは、もうこれは大体現在国民的なコンセンサスを得ていると。しかも、私どもは民営をする場合に、鉄道の場合には分割をしなければ民営の実が上がらないということで、それではいかなる分割の仕方をするかということに相当苦労して検討をいたしました。鉄道事業特性といいますものは、現在の交通状況から、近いところはモータリゼーション、遠距離は飛行機、こういうものがどんどん発達してまいりますと、やはりどういたしましても通勤通学という足、それから新幹線等を中心にした中距離都市間輸送、こういうところに大量、高速、安全という特性が発揮できると。  そうすると、その特性を発揮させるためにはできるだけ地域密着型の一つ経営規模ということが望ましいのではないかということと、もう一つは、鉄道事業というのは、これは電話と違いまして非常にすぐれて労働集約型産業でございますので、労働集約型産業の場合にはやはり形がコンパクトなほどやりやすい。そういうことで、本州だけではございませんで、全部やりますと、例えば三十の鉄道管理局がございますから、三十に割ってみたらどうかというふうなこともいろいろ検討いたしました。  そうしますと、結局そこに旅客流動というものがその地域完結に近い形になることがひとつ望ましいということがあります。それからもう一つは、昨日も御議論ございましたけれども、やはりでき上がった会社がとにかく努力をすれば黒字が出て利益ができ、その従業員も幸福になれると、こういう体制のスタートでなければだれもやり手がない。こういうことも総合勘案をいたしまして、今申し上げたように、一つは数が多いという議論と、それから旅客流動とか経営基盤ということから考えてのまとめで、結局ぎりぎり本州につきましては三つという結論にこの考え方の筋としてなりました。  この三つに割りました形で日本本州の地図をごらんいただきますと、これから二十一世紀に向けて恐らく新幹線というものが日本本州の背骨として活用されるといたしますと、東北新幹線、それから東海道新幹線山陽新幹線というそれぞれの機能を発揮する一つの骨格があるわけでございますね。それから上越新幹線は、むしろ東北新幹線横骨と考えていただいてもいいと、そういう一つの分け方がございまして、それから経済的、歴史的、文化的に考えましても、この東北新幹線上越新幹線首都圏交通体系を合わせた一つの形、それから東海道新幹線並び中京圏交通網、そういうものを合わせた一つの形、山陽新幹線、北陸線、それから近畿圏交通体系と、こういうものをまとめた形が一番妥当であり、またその地区地区の人々がアワーレールウェーという感じを本当に持てる感じではなかろうかと、こういうことであえて本州三つに分ける、こういう結論になった次第でございます。
  11. 三木忠雄

    三木忠雄君 この監理委員会報告を受けまして、運輸大臣、当時運輸大臣でなかったので余り細かく詰めるつもりはないんですけれども、実際に三分割がいいのか二分割がいいのか、本州は一本でいいのか、こういう問題はいろいろ議論の分かれるところだと思うんです。どれをとっても私はメリットもあればデメリットもあると思うんです。したがって、国民に今、最小限のデメリットでいけるような民営分割というのが一番私は理想だと思うんですね。  そういう意味で考えたときに、政府がやはり監理委員会答申どおり意見どおりに三分割に固執した理由というのは何ですか。
  12. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 監理委員会答申をいただきましてから法律案を取りまとめますまでの間に政府部内においてそれなりの検討をいたしてまいりました。その中において、二分割という御意見があったことも承知をいたしております。そして、ただ単に旅客流動性のみを考えますと、二分割というものは一つ考え方として成り立ち得る有力な案であったと思います。ただ、その場合には、経済圏としての中京経済圏というものがいわば阪神経済圏一つグループに入ってしまうのではないか、あるいは分断をされるのではないか、地域経済圏とのバランス、そして旅客流動性、将来のそれぞれの地域経済圏の発達の方向、こういうものを考えていきます場合に、最終的にはやはり中京経済圏というものを一つ経済単位としてとらえて将来に向けての対応を考えるべきではなかろうか。この場合には、確かに東日本会社あるいは西日本会社に比べまして自己完結度は多少低くなるわけでありますが、しかしその東海会社が低くなったといいましても、九〇%に近い自己完結率を持つ流動性一つグループ化ができる。そうしたところから三分割案というものを最終的に監理委員会の御報告どおり採用をさせたと考えております。
  13. 三木忠雄

    三木忠雄君 私は、この旅客流動率から考えますと、運輸大臣指摘のとおり二分割の方がいいわけですよね。わざわざ県を、例えば北陸を西日本東海に分けるみたいな、あるいは三重県を分けるような感じね。こういう問題で東海会社を、中部経済圏をいろいろつくらなきゃならないといういろんな意見はわかりますけれども、後で議論をしたいと思っておりますが、このために無理をしてやはり新幹線保有機構というものをつくらざるを得ないような、そこで調整をしなきゃならないというような屋上屋を重ねるような機構をつくってしまっているという、そこで調整弁を持っているというようなことになったんじゃないかと。これは私は監理委員会でもいろいろ議論があったと思います。新機構についてのこのリース機構の問題が過去にもいろいろ話題になっておりまして、私はそういう点でむしろ三分制よりも二分割の方が、人員構成からいっても、将来の収益の問題から考えても、それから一部反対意見の方方の国民考え方の中に私は三点疑問に思っている問題があるんです。  第一点は、この民営、特に分割をいたしますと運賃が高くなっていくんだろうかという、これの歯どめは何だろうかと、私たちも後で議論を詰めたいと思っておる。あるいは二番目に、地方交通線が、ローカル線が必ず民営分割化されると廃止されてくるであろう。特に三島の問題、北海道や四国、九州は、赤字が厳しい状態になってローカル線の廃止という問題が早晩問題になってくるであろう。私は後で具体的な指摘をしたいと思っておりますけれども、第一次、第二次、第三次の特定交通線よりも経営がもっと悪い路線が出てきているわけです。そういう問題を考えたときに、さらに経営悪化してまいりますと、これはこの地方ローカル線の廃止される問題あるいはまたダイヤの編成問題が非常に難しい問題だろうと、こういう意見もあるわけです。  早速でありますけれども、昨晩新幹線が立ち往生いたしました。今、西日本東日本の二社であれば、これは連携が非常にうまくいくと思うんですね。しかし、あの問題が、東海道新幹線東海会社になるわけです、東京へ着いたときにだれが今度は山手線中央線を運ぶかというと、東日本会社になってくるわけですね。こうなってくると、やはり民営ですから損なことは余りやりたくない。こういう問題になってくると私は、ダイヤ編成等の問題でいろいろ協定をしっかりさせておかなければ、どういう体制をつくるかというものを明確にしておかなければ、一番被害を受けるのはだれかといえば国民だと思うんです。こういう点、やはり民営分割に対するいろんな疑問点があると思うんです。  もう一つは、やはり事故の問題が大きな問題になってこようと思うんですね。事故があった場合どういうふうな処理の仕方をするだろうか、こういう問題が、一部反対人たち意見の中にそういう声があるということも、これは国民の声として、私はなくしていく方向にどう歯どめをかけていくか、どうやっていくかということについてのやはり明快な答弁を私は運輸大臣からしておいた方がいいんじゃないか、あるいは私は答弁をしてもらいたいと思うんです。運賃は高くならない、列車ダイヤ国民に不便を来さない、事故の問題は今まで以上に迅速にやります、安全投資はしっかりやりますと、こういうことが明確にできる体制がしけるのかどうか。この点について御答弁願いたいと思います。
  14. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員の御指摘になりましたそれぞれの具体的な問題点、個別にお答えを申し上げるとすれば大変長くなりますけれども、基本的に私ども御指摘を受けた問題点はそのとおりだと考えております。そして、殊に昨日ダイヤの乱れにより相当多くの乗客に御迷惑をかけた点、大変心苦しく思っております。  ただ一点、今の委員のお話の中で、東西二分割の方が新幹線の保有の上で便利だという御指摘がありましたけれども、この点は実はやはり現在の四つの新幹線、建設の時期、工法の違い等からそれぞれその資本費に相当な格差が生じております一方で、輸送量についてもそれぞれの新幹線の成熟度によってかなりの隔たりが出ておるところであります。こういう資本費と輸送量に格差のあります新幹線をそれぞれの旅客会社に持たせたといたしますと、これはやはり相当経営的に有利なところ不利なところを生じるわけでありまして、私は今まで行政改革の責任者という立場でありました関係上特殊法人の新設というものを決して好むわけではございませんけれども、この場合には、私は新幹線保有機構という機構を設けることによってバランスを図るという考え方は、決して国民から御納得のいただけない形のものではないと考えてまいりました。しかし今、事故あるいはその他の問題につき、例えばダイヤ編成等々御指摘をいただきました問題点につきましては、それぞれ個別の御論議で事務方の補足も得て御答弁を申し上げたいと思いますが、国民に御心配をかけるようなことにならないよう全力を尽くすつもりであります。
  15. 三木忠雄

    三木忠雄君 一つの例ですけれども、新幹線保有機構運輸大臣いろいろ苦労されて答弁されていると思いますけれども、公明党としては二分割の方がいいだろうという意見を私たちは提案をしました。もうこれは衆議院でいろいろ議論しましたので私は蒸し返すつもりはありませんけれども、やはり三分割にした以上いろんな歯どめはしっかりしておいてもらいたいという強い要望があるわけです。なぜかといえば、先ほどのダイヤ問題等を含めた、監理委員会からのいろいろこの三分割に対する協定をしっかりさせろというような意見も、監理委員会報告の中に私は読んだことがございます。こういう点について監理委員長は、三分割にしたときに協定をしっかりさせておかなきゃならない、民間会社ですから政府がいつまでも監督するというふうな立場ではなしに、やはり自主的に民間会社同士が協定を結んで、そして国民に迷惑をかけない、こういう点は、どういう問題点を協定としてつくっておいた方がベターとお考えになったんでしょうか。
  16. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 分割という今までにないことをやりますので、国民方々からいろいろな不安点が出ておるというのは御指摘のとおりでございまして、例えば運賃というものが通算制でなくなるのではないか、そのために高くなるのではないかというような話がある。あるいは会社が違うごとに、乗りかえをするのに乗りかえ度数が多くなるのではないか。あるいは今御指摘のように、事故があった場合の事故対策はどうか。あるいは安全対策はどうか、こういういろいろ御指摘国民の世論からも私どもの委員会にもございました。  そういう点につきまして、具体的にこれは現在の国鉄当局の専門家の方の御意見も聞きましたし、今度は分かれた場合にはいろいろそこで話し合いをし、協定をしということが非常に必要ではないか。そういう面では旅客会社六社、貨物会社の間で、例えば電気事業連合会、電力会社では分かれましたがやはり連合会というところでいろいろ協定なり調整措置をとっておられる、そういうことをやることが望ましい、またそういうことで十分担保できると、こういうふうに私ども確信をいたしましてこの案をつくったという次第でございます。
  17. 三木忠雄

    三木忠雄君 具体的な担保の問題は各項目でいろいろお聞きしたいと思っております。  もう一つ具体例を申し上げておきたいと思いますが、私は東京に住んでいる関係で、あるいは大阪の方も同じだと思うんですけれども、三つ分割したために、例えば東京駅ですね。新幹線のホームはこれは東海会社の所属になるんです。駅のコンコースからずっと営業の範囲は大体東日本会社の所属になってくるんです。総理が東京駅で駅長から誘導される場合、私はいろいろ考えてみたんです、だれが案内するんだろうかと。東日本会社の駅長が案内するのか、新幹線を持っているところの、運営しているところの東海会社の駅長さんが案内するんだろうかと。まあこれは一つのあれでありますけれども。そういうような区分の問題が非常に実は三分割というのはややこしい。事務方にも、仕事をされる国鉄職員の新しい民間会社に移られる方にも、非常に複雑な問題を、あるいは運賃の清算機構だとかいろんな問題点があるわけですね。こういう点の区分の明確な所有形態といいますか、どこでどういうふうな形に分割をするか、こういう問題で、これからこの法案が通った後、きょうの友はあすの敵という形に職員同士が場合によってはなるんじゃないか、こういう点が私は非常に実は心配なんですよ。そういう点は、運輸省で第三者機関をつくるとかなんとか言っておりますけれども、この評価をして承継法人に分けるのかどうか。これらの問題点も含めて御答弁を願いたいと思うんです。
  18. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私も、東京駅で総理を一体だれが案内するんだろうというのは、ちょっとこの質問には答弁の能力を持ちませんのでこの点は控えさせていただきますけれども、法律案を成立させていただきました後、運輸省の中に審議会を設けましてきちんと整理をいたします。
  19. 三木忠雄

    三木忠雄君 そういう具体例を挙げれば切りがないんですけれども、そういう分割に伴う、特に三分割東海会社をつくったために出てくる財産の分与の問題とかダイヤの問題とか、清算機構をつくるとか事務の煩雑の問題、いろんな問題点が出てくると思うんです。後で二分割の方がよかったなというようなことのないように問題点をこれからも具体的に各一般の委員会でいろいろ詰めてみたいと思っておりますけれども、そういう点をひとつそごのないようにしていただきたいと思うんです。  私は、あえて言いますけれども、北海道や四国、九州は単独ではこれはどうにもならないだろうという、この分割ということは賛成なんです。しかし、本州をなるべく複雑にしない、またローカル線を廃止しないためにもやはりできるだけ二分割を主張した方がいいだろうというのが私の持論でありますので、この点をつけ加えて、今後の運営あるいは協定、国民に迷惑をかけないような調整をしっかりやっていただきたいということを強く要望しておきたいと思うんです。  それから新幹線保有機構の問題でありますけれども、私は、新幹線保有機構をつくったということ、これは行政改革を推進する中曽根内閣としてはちょっと珍しいことじゃないかというような感じを受けているんです。総理、この保有機構、具体的に検討された結果、総理も納得をされて保有機構をつくられたのですか。
  20. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 再建監理委員会答申を子細に検討いたしまして、私もこれが適切だと、そう思いました。一番のポイントは、やはり本州における三会社のバランスをとる、そういう面が非常に大事になってくると、そう考えておるからであります。
  21. 三木忠雄

    三木忠雄君 バランスをとるのであれば、何も保有機構をつくって、管理機構までつくって人件費をかけて――管理するのは東日本会社であろうと西日本会社だって管理は十分できるわけです。  そこで、せっかくお見えになっているから総務庁長官どうでしょうか。行政改革をやる立場からいったら、この新幹線保有機構というのは私はなかなか納得できないような機構のように思うんです。この点について私はいずれ見直さなきゃならない時期が来るだろうと思いますけれども、この点についての御所見を伺っておきたいと思います。
  22. 玉置和郎

    国務大臣(玉置和郎君) 新幹線保有機構については、これは東北・上越、それぞれやはり巨額な投資をしておるわけであります。しかし、投資とこの上がってくる運賃というもの、そういうものと、それから本線を走っておる、東海道線を走っておるそういうものを考えていきますと、ここでひとつ合わせて考えていくということもこれはやっぱりやむを得ぬじゃないかな、私はこう思うんです。  将来の問題どうするんだということについては、私より総理が、衆議院の段階において、あなたの意見は貴重だと言ったかな、貴重だとは言わなかったかな、参考にさしていただいてと言って、ふわふわっとした答弁がありましたよ。この辺がいいところじゃないですか。まあよろしくひとつ頼みます。
  23. 三木忠雄

    三木忠雄君 お体のぐあいが悪いですから私も余り長く総務庁長官に質問をするつもりはありませんけれども、実際にこの保有機構総理もふわふわっと認めざるを得ないような状態が――私は衆議院の議事録あるいは衆議院のいろいろやっておったやりとりを聞いておりまして、私も当初からこの新幹線保有機構というのはどうも何で出てきたんだろう、やはり東海会社をつくるための一つの歯どめとして、おかしいんですよ、これは。リース料の算定がまず第一に問題なんです。それから一生懸命に働けば働くほどそこからピンはねが多くなってくるような、こういうシステムになっているというんじゃ働きがいがないですよ、正直言えば。こういうシステムをやはり直さなければならないんじゃないか、私はこう思っているんです。このリース料の算定についてどういうふうにやりておりますか。
  24. 林淳司

    政府委員(林淳司君) リース料の算定の積算の仕方でございますけれども、まず、今回の改革によりまして新幹線につきましては総計約八兆五千億、これだけの確定的な債務を承継していただくということにしております。したがいまして、このまず八兆五千億という債務をある一定の期間内にこれを元利を償還していくということがあるわけでございます。その期間はどうするかと申しますと、これは現在の四つの新幹線の平均耐用年数、これを勘案して決めることにしております。現在、大体計算いたしますと三十年程度というふうに平均耐用年数は見込まれますので、三十年間にわたりましてこの八兆五千億の債務の元利を償還していくということで、まず各年のいわゆる年間のリース料、借料というものが決まるわけでございます。それにプラスしまして毎年の管理費あるいは租税公課等がございますから、そういうものを加算した額がこれが一年間の貸付料ということになるわけであります。  次に、一番問題は、その確定した貸付料というものを各会社にどう配分するかということになるわけでありますけれども、この配分の仕方といたしましては、それぞれの新幹線の輸送人キロ、それからもう一つは、それぞれの新幹線が建設の時期が相当違います。非常に古い時期に建設された東海道新幹線、あるいはごく最近の東北・上越新幹線というふうに、建設費がその建設の時期によって大幅に違うということ。それからもう一つは、その建設の構造、それぞれの新幹線の構造もまた違います。したがいまして、現時点でのそれぞれの四つの新幹線の再調達価格というものを計算いたしまして、そのキロ当たりの単価、再調達単価というものを出しまして、これによってこれと輸送人キロというものを掛け合わせるということで、そのウエートによって各それぞれの四つの新幹線に一年間のトータル借料を配分していくということにするわけでございます。  これは結局、新幹線が非常に輸送需要の多いところ、少ないところございますし、それから非常に古い施設、新しい施設、あるいは立派、立派でないものと、そういうものがございますから、そういう差というものをそれぞれ反映させまして、いわば利用されるお客さんがそれぞれ同じような便益に対して同じような費用を払う、こういうことができるようは調整をするということでございます。すなわち利用者の負担の適正化という観点があるわけでございますが、そういうことによりましてそれぞれの新幹線は年間のトータル額を配分するということになるわけでございます。  しかも、これらの配分基準というものは政省令によりましてきちっとその計算方式をつくりまして、二年ごとの見直しはいたしますが、これは新幹線がやはり東北、上越の場合と東海道の場合で将来の成長性が違いますので、やはり二年程度の期間で見直していく方が公平であるということがございましてそのような見直しはいたしますけれども、いずれにしてもその積算の仕方は、これは政省令によってきちっと客観的に決めていくということでございます。それからさらに、先ほど申しましたように、八兆五千億という債務はこれは確定債務でございますから、したがってこれが今後ふえることはないわけでありまして、したがってそれを三十年元利均等で割った場合にそれがふえるということはないわけであります。  それから、これはちょっと余計なことでございますけれども、先ほど先生御指摘の二分割という場合に、分割の仕方にもよると思いますが、仮に東海道と西日本一つ会社とし、それから東日本一つ会社とするとした場合には、やはり東海道新幹線山陽新幹線とそれからもう一つ東の方にあります上越新幹線東北新幹線というのは非常にこれ格差がございますので、やはり新幹線の間の格差是正というものは、仮に二分割案でも東海西日本を一本にした場合には現在の三分割と同様の調整が必要になってくるということがございますので、その点を御理解いただきたいと思います。
  25. 三木忠雄

    三木忠雄君 最後の段の答弁は私はなかなか納得しないんです、しかしそれ議論しても始まりませんので。  調整はちゃんとできるんですよ、あなたの言うような方向にはならないんです。そのために私は一例を挙げますよ。減価償却費あるいは借入金が東海会社というのは非常に大変になってくるんですよ。減価償却で落とさない、落とせないんですよ、リース料だから。したがって設備投資、三十年間払い続けても自分のものじゃないんです。例えば新幹線事故が起こった。これは変な話でありますけれども、例えばどこかの橋がひとつ手直しをしなきゃならない、工事をしなきゃならないといった場合には、これは東海会社がやらなきゃならないわけですね。ところが、その問題については、財産は東海会社のものになるんです。ところが、リース料は毎年ずっと払っていって三十年間払っても、東海道線そのものは東海会社のものにならないんですよ。そういう形になっているわけですね。絶対に無償提供するようになってないわけです。ただリース料を取っているわけです。したがって、設備投資のための、あるいは減価償却をずっと落としてないわけですよ。  したがって、事故が起こった場合、あるいは工事をしなきゃならないものは全部民間からの借入資金、政府からの財投の借入資金で賄っていかなきゃならない、こういう非常に問題点があるんです。したがって、この減価償却費やあるいは設備投資額というものがほかの会社と比べて随分違ってきているわけですね。収入の五〇%を新幹線保有機構に取られるというこういうシステム、これはこれ一つへ余り時間かけても二時間、三時間論議しなきゃならない問題ですから私はこれ以上進めませんけれども、この問題、どこから考えてもちょっと監理委員長、不思議じゃないでしょうか。
  26. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) この保有機構というものをつくるときに非常にいろいろ苦労して、議論の結果、やはり国鉄を再建するためにはこういう制度をとり、しかもこれが最も国民に均衡ある運賃ということでできるということも担保されるという点から結論を得られました。本来、民間会社の場合でございますと、例えば電力の場合ですと資産を膨らましてそれからこちらは縮めてと、こういうことでやるのも一つの方法でございましたけれども、今の法制上、国有財産というものをある時点の利益率だけでやるということは非常に疑義があるということになりましたので、結局、苦労の末こういう案をつくり出したということで御理解をいただきたいと思います。
  27. 三木忠雄

    三木忠雄君 ここで総理か大蔵大臣に、国有財産の問題ですね。やはり完全に民営化になった場合に、株も放出し清算事業団からもう手の届かないところになったといいますか、株を全部売却をした、そうなったときにこの保有機構だけいつまでもこういう形で経営上監督しているということは私は非常に不自然だと思うのですよ。したがってこの問題はある程度、清算事業団も後で論議したいと思っておりますけれども、十年後を目途にしているらしいのですね。そういう点を考えたときに、いずれの時点で私はこの問題は、今までの東日本会社西日本会社東海会社は、やはりリース料に見合うものを払っているわけですから、そこらの問題はやはり財産の問題を設備投資と兼ねて無償で渡すような形にしていかないと非常に不合理になって、東海道新幹線、これから三十年したらこれは大変な問題になってくると思うのです。そのときに東海道新幹線やろうと言ったって東海会社だけできなくなっちゃいますよ。完全に譲渡されたときに設備投資ができなくなってしまうというような、非常に危険にさらされてくるような問題があろうと思うのです。  その点について運輸大臣、やはり二年か四年というわけにはいかないと思います、つくった以上。私はできればこれは修正してもらいたいとは思うのですけれども、そういうふうにはいかないと思うのです、現実的に。したがって、何年かたった後にこの制度は見直すべきだ。そしてこの譲渡の問題もやはり無償でこの会社に、リース料をもらっている以上は今後も無償提供するのだという考え方に立つべきじゃないかと思いますが、どうでしょう。
  28. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは衆議院でも随分この点について御論議をいただきまして、御説明を申し上げたわけでありますけれども、貸付期間の終了後においては法律上も新幹線の施設の譲渡をいたすわけでありますが、これを有償とするのかあるいは無償とするのかという点については、貸付期間自身も大変長期に及ぶことから、貸付期間終了後の旅客会社等の状況も勘案しながら、私はその時点における政策判断にゆだねることの方が適当であると考えております。そのため、条文上も二十一条四項におきまして、譲渡の方式については貸付期間終了段階における立法措置を考えておるわけであります。  と申しますのは、確かに今の委員の御質問のような考え方は、私は一つ考え方として成立することを否定するわけではありません。しかし同時に、その新幹線の姿、そしてそれから続く営業というものは当然それぞれの旅客会社で行われるわけでありまして、果たしてその時点の国民世論というものがこれを無償譲渡することを認めるようなものであるのかどうか。これは、私は考えてみないといけない問題をたくさん含んでおると思っております。ですから、委員のお考えを私は決して否定をするものではございません。しかし、やはりあくまでもその時点における政策判断にゆだねるべきものだと考えております。
  29. 三木忠雄

    三木忠雄君 きょう、ここで細かく論議しましても結論のつかない問題でしょうけれども、いずれの日や必ず私は、この政策判断によって国民が納得するような姿、そして健全な旅客会社が運営できるような姿に戻すべきではないかと、こういう点を強く主張しておきます。  それから当面この保有機構は四つの新幹線と限定していいのかどうか。この点について事務当局でも結構です。
  30. 林淳司

    政府委員(林淳司君) この点につきましては、御提案申し上げております法律の中で、東海道、山陽、それから東北、上越、この四つの新幹線に限定をいたしております。
  31. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、上野―東京間、これから工事を始めようというわけですね。この上野―東京新幹線の問題については、これはどの会社に了解を得てやるような形になるのですか。
  32. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 東北新幹線の上野―東京間は、これはいわゆる東北新幹線の一部でございまして、しかも現在既にもう工事が半分ほど進んでおります。そういう状況も勘案しまして、これについては引き続き建設を行うということで、具体的には今度の法律によりまして新幹線保有機構がいわば臨時的、暫定的な仕事としてこれを行う。その工事を新幹線保有機構が行うに際しましては、これは東日本会社意見を聞いて行うというふうに今度の法律には規定をさしていただいております。
  33. 三木忠雄

    三木忠雄君 しかし、実際に開通しまして、料金を保有機構は取るわけでしょう。そうしますと、保有機構の収入から計算しますと、西日本会社とか東海会社意見もやはり聞かなければこれはならないんじゃないですか。法律からいったら建前上どうでしょう。
  34. 林淳司

    政府委員(林淳司君) これはやはり機能的に見まして、東北新幹線がいわゆる東京と上野間で接続をするという機能面を重視しまして、その辺の機能、それからさらに東北新幹線の上野からの営業と東京からの営業の場合のいわば今後の経営にかかわるいろいろな問題というものが一番重要であろうということで、この点については東日本会社意見を聞くというふうにさしていただいたわけでございまして、おっしゃるとおり、これはそこの区間が開通いたしますと四新幹線全体について影響を及ぼすことは事実でございます。それほど大きな額ではございませんが、確かに貸付料にはね返ることは事実でございますけれども、これは今回の法律案におきまして、それを予定した上で新会社をスタートさせる、それを前提として設立委員もいろいろなことを考えていくという構成にしておりますので、その点は今後の経営問題に絞って東日本会社意見を聞くということにさしていただいたらいいのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  35. 三木忠雄

    三木忠雄君 これはちょっと意見がね。私は決して上野―東京間をつくっちゃいけないと言っているわけじゃないんです。法律から読みますと、非常におかしな話なんですよ。リース料で取るんですから、それで西日本会社東海会社から意見を聞かないというのは独走じゃないですか。やはり何百億かの投資をするわけでしょう。それで、保有機構、割り当てをしてリース料を取るわけですから、やはり旅客会社意見を聞かなきゃならない、こういう点からいえば、私は、当然これはちょっと独走ぎみな問題じゃないかと、こういう点は指摘しておきたいと思うんです。  もう一つ、大規模災害を保有機構で工事をするという形になっているんですけれども、大規模災害というのはどこまでの金額をこの法律の中で大規模災害と規定をしているんですか。
  36. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 大規模災害につきましては、結局、ある一会社負担では非常に大きな経営負担になるというふうに考えられるような相当程度の大きな災害というものを念頭に置いておるわけでございまして、通常の中規模程度、大きいか小さいかといろいろ御議論ございましょうと思いますけれども、会社として通常当然負担できるような、そういうたぐいのものについてはそれぞれの会社が自分でやっていくということでございます。したがいまして、その辺の具体的な金額、あるいはどの程度の定性的なものであるかということについては、これはさらに省令段階で詳細な検討をして詰めていきたいと思っておりますけれども、いずれにしてもこれは他の会社に影響を及ぼすようなことでございますので、相当限定的にこれは考えていきたいというふうに考えております。
  37. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは非常に大規模の額をどういう程度にするかということによって東日本会社あるいは東海会社西日本会社経営に大きな影響が私は出てくると思うんですよ。  したがってこの問題は、監理委員長、これは立場じゃないんですけれども、こういう問題を公正に判断する人がなかなかいないと思うんです。したがって、大規模災害の問題は大体どの程度の問題とするか。災害が起こった、これは例えば東日本会社の問題だから東日本会社だけでやっちゃえとなると、これは私は大変な問題になってくると思う。東海会社は特にリース料だけで五〇%でやっていくわけですから、これは大変な問題になってくると思うんです。ここらの問題の感触をちょっと聞かしていただきたいと思うんです。
  38. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) その点について私どもも議論いたしまして、例えば東海大震災あるいは六十年前の関東大震災、こういうものが起こったときは、その一つ会社でどうにもしようがない。したがって、こういう場合に保険制度あるいは積み立てをするとか、いろいろそういうことが必要ではなかろうか。その点について具体的に政府で御検討いただきたいというふうに私どもの意見は出した次第でございます。
  39. 三木忠雄

    三木忠雄君 きょうはそう細かなことまで私は詰める予定はありませんけれども、やはりこれは東日本会社西日本会社あるいは東海会社経営が成り立つように、大規模災害をどうすべきかということ、あっちゃならないけれども、あったときにこうだああだというようなことでいろいろ議論し合っているのでは話は始まらないと思いますので、省令をつくる段階で、これはもう法案が通ってしまいますと私たちは口を挟むところないんですよ。したがって、こういう問題は私たちも納得さしてもらいたい。意見もある。したがって、そういう点についてやはりこの省令、政令という問題、時間があればもっと細かく詰めたいと思いますけれども、こういう問題点を明確にしておいていただきたい。民営会社になりますと私は非常に操作が難しくなってくるという点を疑念を持っているわけでございますので、つけ加えておきたいと思うんです。  次に整備新幹線の問題を聞きたいと思うんですけれども、整備新幹線、私も個人的につくることは反対ではないんです。しかし、今国鉄分割をし、民営化をして新しくスタートをしよう、相当国民負担をしてもらわなきゃならない長期債務の問題もある、改革のめどはどういう姿になってくるかわからない。今までの答弁ですと、三年ぐらいになると株を売却するだとか、就職の問題がどうだとかいっていろんな意見は出ておりますけれども、実際に新たな国民負担になってくることは間違いないと思うんです。したがって、整備新幹線のこの五線について政府としてどういうふうな取り組みを考えているのか、その点についてまずお聞きしておきたいと思うんです。
  40. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 整備新幹線の財源問題につきましては、整備新幹線財源問題等検討委員会におきまして、国鉄分割民営化の後における建設主体、運営主体のあり方、並行在来線廃止の具体的内容などとあわせまして、着工の前提条件としての検討を行っております。官房長官を座長としてこの検討を行っておるわけでありますが、私どもとしてはこの結論を得た上で対処することといたしておるのが現状であります。
  41. 三木忠雄

    三木忠雄君 この財源問題等検討委員会の問題はちょっと後で聞きたいと思うんですけれども、監理委員長、時間がたって申しわけないんですけれども、監理委員会報告によって四項目を挙げられて、やはり新幹線建設については慎重にすべきであるというようなお考えを述べていらっしゃいます。ここに至ったいろいろな経緯があろうと思うんです。その点について御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  42. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 私どもの委員会の任務は、現在ある姿のままの特定地方交通線を除いた線の再建をやるということが任務でございまして、これからつくる整備新幹線という問題については一応枠外の問題でございました。  ただ、いろいろ現地調査とかいろいろ回って地元の方のお話を伺いますと、例えば青森とか富山とかへ行きますと、燃え上がった非常に強い御意見がある、そして日本人が開発したすぐれた制度というのを二十一世紀に向けて希望の星としてはやはりつないでいかなきゃいかぬ、こういう感じがございましたので、あえて、私どもの枠外のことでございましたが、意見を出した次第でございます。  そこで、地元の地域方々の要望が非常に強い、しかし、これの設備投資というのは非常に膨大な投資が要る。数年前の試算で五兆三、四千億ということも聞いておりますけれども、それから物価も上がりましたし、借金でやるとすると大変な金が要るのではないか。そして、検討していくポイントといたしまして、一つ旅客需要とそれからその投資とのバランス、これが非常に大きな経営という点から言えるわけでございます。  具体的に申し上げますと、東北新幹線においても仙台まではまあまあ乗っております。仙台から盛岡になるとお客が半分に減っている。盛岡から青森というともう少しというか、あるいは相当旅客数は減ってくるという傾向にもなるのではないか。そうした場合に、今のような東海道のベルト地帯を走っておるようなシステムというものとは別の、やはり二百キロ以上を走るようなシステムというものを考える可能性があるんじゃないだろうか。それからもう一つは、そういうものができました場合には、例えば上越新幹線ができれば上越線の方はもう閑古鳥が鳴く、こういうふうな収支に及ぼす影響もございます。それから膨大な金が要りますので、現在の国の財政事情から考えてそういう余裕があるのかどうかという非常に大きな問題がある。  それから新幹線東海道にできましてからもう二十年以上たっております。その間のいろいろな世界的な高速鉄道の技術発達というのが大変ございまして、例えばフランスのTGV、これは二百六十キロで走っておりますが、これは非常にコンパクトの形で、コストは大体日本の半分でやっておるというほどのいろいろ工夫ができておりますので、そういうことも勘案して慎重に御判断をしたらどうかということを一応そういう意見として出したということで、あくまでこれは政府の御方針にゆだねた、こういうことでございます。
  43. 三木忠雄

    三木忠雄君 整備新幹線ができるとなりますと、この新会社の収支見通しというのはやはり幾分違ってくるわけですね。これは運輸大臣、整備新幹線の問題についてどうお考えになっていますか。
  44. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 実は、衆議院でも私お答えを申し上げたのでありますが、私の立場とじてこの問題についてとやかくを申し上げづらい状況にございます。少なくともこの検討委員会というものの給論を得た上でなければ何とも今の時点では申し上げようがない、検討委員会の結論をできるだけ早く得るように努力してまいりたいと言うのみにとどめさせていただきたいと思います。
  45. 三木忠雄

    三木忠雄君 検討委員会という問題ですが、後藤田官房長官にちょっと伺っておきたいんですけれども、検討委員会の座長なのかどうか知りませんけれども、この十二月の予算編成で当然これ、六十二年度からやるとなれば早晩予算問題を解決しなきゃならない。したがって、この整備新幹線の問題はいつ決着をつけるのか。財源問題等検討委員会ということで政府・自民党の方にキャッチボール、逃げているんですけれども、法律では第百三十二条で承継できるような形に、建設主体あるいは営業主体を指名して継続してやれるような形になって、来年の四月までに決めればいいような形で、施行法の第百三十二条、みなし規定までつくってやっているわけですね。そうなると、もうこれは当然やる、そういう姿で進めている、あるいはこの法案が通るまでは静かに与党議員待っておれ、必ずこれは法案を通すから、通った後は必ずやるから、こういう口封じのための財源問題等検討委員会なのかもしれませんけれども、後藤田官房長官、これはどういう問題の処理の仕方をするんですか。
  46. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 整備新幹線の扱いの問題でございますが、率直に言って大変頭の痛い問題でございます。といいますのは、やはり関係の地域国民の皆さん方の新幹線に寄せる非常な期待感、そして同時にまた、与野党通じての国会議員の皆さん方の非常な新幹線整備をやるべしといったような強い御要望、これらを考えますと、先だって総理がどこかでおっしゃったように、この希望の灯を消すというのはやはり政治の場としては不適当だ、こう思いますね。しかしさればといって、これにいよいよ踏み切るということになれば、やはり投下資本と需要の問題、つまりは将来の経営が一体どうなるんだろうかといったようなことを真剣に考えておかないと、これまた再び取り返しのつかぬことになる。こういうようなことを考えますと、一応官房長官が座長ということで、関係大臣、それと党の重役の方々の間で、やはり経営の主体なり将来の見通し、あるいは建設主体、財源問題、これらについての一応のしっかりした見通しを立てた上でないと、何ともこれ今どうこうするというわけにはこの席で私は申し上げるわけにはまいらないと。  ただそれも、そういうことを言いながら、いつまでも引っ張るというわけにもいかないと。やはり予算の編成の時期も迫っておりますから、そこらを頭に置いて、第一、これは在来線の問題がありますからね、これは並行在来線の廃止ということが前提になっておりますから、果たしてそれらが一体できるのかできないのかといったようなことも私あろうかと思いますし、これは大変厳しい論議をして、その上で何とか結論を出したいと。しかし、その結論を出す際には、今の時点で何が言えるかといえば、やはり私は先ほど言ったように、希望の灯を消すということでなしに何らかの打開の道はないのかと。その一つのあり方としては、今、はしなくも亀井委員長がおっしゃったようなやり方だって一つの方法として検討に値するんじゃないかという気がいたしますけれども、今はいずれにせよ、ここで三木さんのお尋ねにこうしたいということは私としてはお答えができないと、御了承を得ておきたいと、こう思います。
  47. 三木忠雄

    三木忠雄君 決定は何もかも大体先送りで法案だけ通せということですから、なかなかこれ非常に決着の難しい問題点が幾つかあるわけです。  これ自民党の、私、他党のことで余り失礼で申し上げたくないんですけれども、この六十二年度に全額公共事業方式としてやるという方法ですね。それから新たに公団に限りなく近い性格でという、そういう新しい機構をつくるという。何だかわからないんですけれども、公団に限りなく近い性格と、こういうんです。恐らく公共事業費を受けるとなれば、私はやっぱり特殊法人かなんかでなけりゃ公共事業なんというのはできないと思うんですよ。それから、はしなくも今、後藤田官房長官が言われたように、在来線を廃止してという決議を自民党ではされているわけですね。こういう問題で果たして新幹線の、総理の言う希望の光を消さない――総理もお疲れのようですけれども、希望の光を消さないためにいろいろ苦労されているんだろうと思うけれども、確かにつくりたい、やりたいというのは、これは国民全体の願望かもしれません。しかし、国鉄をここまで追い込んだ原因は何かというと、私も長年審議をした中で、上越新幹線東北新幹線、これは単独でやれば赤字でどうにもなりませんよ、これが最終的に長期債務になって国鉄の赤字の大きな原因になってまいりますよと、あの五十年前後随分指摘をしました。東北新幹線は八千億でできるところが二兆八千億かかったわけです。これから整備新幹線五線をつくるとなると大変な問題がある。  私は時間がないからこの問題ばかりやっておれませんので言いませんけれども、過去に政治路線と言われた、言葉が悪いかもしれませんけれども、AB線が四十数線つくられた。しかし第一次交通線、第二次特定交通線、あるいは第三次として廃止になっているものがもう二十二線あるわけです。つくって、むだ金をやっているわけです。それはやはり地域の要望があったかもしれないけれども、政治として余りにも能がなかったんじゃないか、こう言わざるを得ない問題がある。あるいは成田新幹線が凍結をしているわけです。約六百億むだになっちゃうわけです。京葉線もそうでしょう。いろんな点でそういうむだが非常に出てくるということ、これは何かといえば、結局は国民負担がかかってくるわけですね。  したがって、この財源の見通しがつかない、あるいはこの改革法がうまく軌道に乗るまではやはり歯どめをかけるというか、良識ある自民党の人たち国民のコンセンサスを得るように努めるべきじゃないか。ただつくれ、ハードは大事だと思いますよ。新幹線つくった、おれがつくったんだと言いたい人もいるかもしれないけれども、やはり国民的な立場に立った場合に、清算事業団で十数兆円返さなきゃならない。あるいはこれから論議しますけれども、年金負担が相当なこれは最終的に国民負担になってくると思う。清算事業団が開店するときにも借入資金を借りなきゃならないわけでしょう。これの利子負担がまた孫利子になってくるわけでしょう。こういうことをいつまでもやっておっていいのか。  したがって私は、つくることはやはりコンセンサスを得て、在来線の問題も考え、新会社がまずスタートをして、安定してこれは新幹線ができるぞというところへ、どこかの歯どめはしっかりすべきじゃないかと、こういう点を考えるわけでありますけれども、総理あるいは官房長官にこの問題の意見を聞いておきたいと思います。
  48. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私も三木さんの今の御意見を聞きながら、まさにそういうことを考えてやるのが本当の意味での政治責任であると私自身は考えております。いずれにいたしましても非常に重要な、しかもデリケートな問題を含んでおりまするので、三木さんのような御意見も十分ひとつ考えさしていただいて、党、政府の間で何とかひとつ結論を見出すように最大限の努力をいたしたい、こう考えております。
  49. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 高速時代に入りますと、新幹線というものの機能はやはり無視できない時代に入ると思います。世界的なそういう傾向に対して日本はおくれをとってはならぬと思いますし、また新幹線を望んでおられる地方に対しても希望の灯を消してはならぬと私は言っておるんです。政治は希望でもあります。ただ、やはり財政との問題というものは重大問題でございまして、これが後代の国民負担にかかってくるわけですから、無責任なことを我々はやるわけにまいりません。そこで、新幹線問題に関する検討閣僚協を開いてもらいまして、財政負担をどうするか、在来線との関係をどうするか、地方の負担区分というものはどのように行うべきか、運営はどうすべきか、そういうさまざまな問題についてよく詰めてもらって検討しておるという状態です。
  50. 三木忠雄

    三木忠雄君 私はくれぐれも言っておきます。上越新幹線あるいは東北新幹線と同じようなシステムで新会社負担になって最終的に国民負担になるというような感じで、問題のわだかまりがないような姿にこの新幹線問題は決着つけてもらいたい。  亀井参考人からも言われたように、私はやはり技術進歩は相当進んでいると思うんですね。したがって、総理が希望の灯を消すなというのであれば、むしろ私は、例えば福岡から鹿児島まで今の新幹線じゃなしに、リニアモーターがもう三年か四年すれば実現できるわけですよ、財源が整えばむしろそういうところの方に早くリニアモーターでやる。リニアモーターは二、三年すればもう人を乗せて大分走れるという、こういう状況まで開発が進んでいるわけです。これは世界に冠たる技術陣と言われている国鉄の優秀な技術陣ででき上がりつつあるわけですね。公害の問題にしろ振動の問題にしろエネルギーの問題にしろ、あるいはまた建設コストもリニアモーターの方が安いとまで言われているわけですね。  こういう点を考えたら、やはりこういう問題も専門的に研究をし――私はアメリカから帰ってきた人たちから聞きました、アメリカでもこのリニアモーターを何とか輸入できないかと。貿易のインベランスがこんなにあるんですから、フロリダとかニューヨークの北東回廊だとか、サンフランシスコ、ロスとサンジエゴの間にリニアモーターを敷きたいというふうな声があって、いろいろ国鉄も努力をしたという話も私は聞いております。こういう問題等も含めて、整備新幹線の問題に決着をつけるときに、新しい技術開発という問題もやはり相当に頭に入れられて、八千億が二兆八千億かかった、公害や振動の問題等の手当てが物すごかったわけです。そういう問題等も含めた新しい交通システム、二十一世紀に夢のあるような、希望の光のあるような、そういう点も考慮していただきたいということを私は強く運輸大臣を初め関係者に要望しておきたいと思うんです。  次に、三島分割、北海道、特に四国、九州、こちらの地域人たち分割されることによって非常に私は不安を持っていると思うのです。なぜかといえば、やはり最終的には切り捨てられるだろう、またその前提として運賃値上げが相当されるであろう、こういうふうな見積もりで収支見積もりをいろいろ検討しましても、本州は三%ぐらい、あるいは三島は六%程度の運賃値上げを見込んでいるという、こういうような話も聞いておりますけれども、この三島の収支見積もりの中で運賃値上げをどの程度の見込みをしているのか、まず御説明願いたいと思うのです。
  51. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 運賃改定の見込みと申しますよりは、要するに一人キロ当たりの単価、これがどの程度の変化をするかということでとらえているわけでございますが、現在のところ、北海道については六十二年度から六十六年度にかけまして、年率にして大体六%程度、それから四国につきましても同様に六%程度、それから九州につきましては五%程度、この程度の人キロ当たりの単価のアップになるのではなかろうかというふうに、むしろそれを前提とした試算をしておるということでございます。
  52. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは各地域にとってみますと非常なアップになってくるわけですね。今まで以上にアップ率が毎年毎年重なってくる。こういう問題を考えますと、三島は最終的には自動車に大半が奪われてしまうんじゃないか。また、幹線自動車道が五年、十年たってくると相当整備をされてくる、こういう問題になってきますと、この三島の経営というのは、このまま経営安定基金七・五%の利子を回すといっても、これは財テクのやり方もいろいろ難しい問題があると思いますよ。こういう点で、果たしてこの三島の収支は提出されているような経路をたどるのかどうか、問題点は何が出てくるんだろうかという点について私はいろいろ考えてみますと、最終的にはローカル線の切り捨てではないかなと、こういうふうに感じるわけですよ。この点は運輸大臣、いかが考えていますか。
  53. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私どもは、この十一月の国鉄ダイヤ改正をもって、いわば特定地方交通線を除きます地方交通線再生への夢をかけております。ごらんをいただきますとおわかりのように、さまざまな工夫を国鉄職員が凝らしてくれまして、それぞれの地域のいわば足として再生ができるような姿を考えてくれました。私は、委員が御指摘になりましたように、三島の経営が決して楽なものではないということは否定をいたしません。しかし、同時にやはり地域方々鉄道というものを見直し、新たな姿でスタートをいたします鉄道が自分たちの利用の利便にたえるものであると認めていただくことが何よりもの基本だと考えております。  また、経営安定基金は、今御議論がございましたけれども、監理委員会から試算をちょうだいいたしましたものを改めて精査をいたしました結果、それでは多少少ないであろうということを考え、積み増しもいたしております。そうしたことを考え、また今後におけるそれぞれの地域地域交通の度合い等々も考えながらこの経営収支というものは組み上げたものでありまして、もちろん職員方々の非常な努力を要することは間違いがありませんし、地域方々鉄道というものを見直していただくということが一つの前提でありますけれども、私どもは三島会社というものは十分存立していき、国民に喜んでいただける存在になり得ると信じております。
  54. 三木忠雄

    三木忠雄君 十一月のダイヤ改正で小さな駅をたくさんつくって増収計画に励もうとする国鉄当局のいろいろな努力はわかるんです。しかし、どう見てもこの三島は厳しい、設立委員になられる方も非常に御苦労されるんじゃないかという感じが私はしているわけです。  安定基金の問題がちょっと少ないんじゃないかというふうな意見もいろいろ論議の中で出てきました。いろいろ議論してみました。ここらの問題は議論しても、限りありますので、一点だけ運賃の問題で事務当局に聞いておきたいんですが、輸送密度別の運賃制というのが導入されるような形になってくるのか、これは非常に難しい問題であろうと思いますけれども。例えば、東日本鉄道を例にとったときに、限りなく私鉄に近づいていくんだと、私鉄運賃に。例えばもうそういう問題点が、東京では非常に私鉄と国鉄の並行線のところにはいろんな問題点があるわけです。ここらの問題が、やはり輸送密度別運賃制が導入されてくることになってきますと、幹線と地方線というか、東日本鉄道会社の中にも、東京のような非常に幹線区間を持っているところと、秋田やあるいは東北の方の地方閑散線を持っている方、地交線を持っている方とでは運賃が同じ三%値上げでも首都圏の方は三%より下げてくる、秋田方面の方は三%より上げてくる、ならして三%の値上げ、こういう形になってくるんじゃないか、こう思うんですけれども、この点はいかがでございますか。
  55. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 今回の試算におきますところの運賃と申しますか、人キロ当たりの収入単価のアップ率の計算の仕方でございますけれども、これにつきましては現在の私鉄を輸送密度別に四つのランクに分けまして、そしてそれぞれのランクに当てはまる現在の国鉄線の各線区というものを昭和六十五年に大体同程度の運賃水準になるようにすりつけを行っていく。ただし、その場合に非常にアップ率が高くなる可能性があるところがございますので、そういうところは上限を六・五%で切りまして、それ以上のアップにはしない、年率六・五%以上にはしない、そういう前提で計算をいたしました。そうして得られたものを加重計算しまして、その会社全体の平均的なアップ率として先ほど申し上げましたように北海道、四国であれば六%とか、本州であれば二ないし三%というふうな形のいわば単価のアップ率というものを前提に試算をしたわけでございます。したがいまして、これは具体的にどういう線区についてどういうアップをするかというところまでは見込んでおりませんで、ただいまのような平均的な増収率というふうにお考えいただきたいと思います。  今後の新会社になってからの運賃のあり方というものは、これはもうそれこそ新会社経営判断というものになってくるわけでございますが、現在国鉄におきましても地方交通線、いわゆる八千人未満の地方交通線につきましては大体一割程度幹線系よりは運賃水準が高いということはございますが、それを維持していくのか、さらに若干の格差をつけるのか、あるいはそういう格差をつけないのかということについては、これはまさにその新会社経営判断という問題になってこようかというふうに思っております。
  56. 三木忠雄

    三木忠雄君 新会社経営判断という問題、これは確かに民営化になるわけですから私は経営判断の問題になってこようと思いますけれども、ここは一つの大きなこれからのネックになる問題だと思うんですね。やはり私鉄に近づけようとすれば地方交通線は上げなきゃならない、上げればお客は乗らない、切らなきゃならないという形になって問題が出てくるのではないか。現にもう、輸送密度別からいきますと、地方交通線の廃止線の第一次、第二次、第三次よりも輸送密度の悪い線区が大分出てきているわけです。もう時間がないから細かなことは言いませんけれども、いろんな地域で出てきているわけです。これは対象線区よりもっと輸送密度が悪いというところが大分あるわけですよ。  こういう点から考えますと、やはり運賃値上げ、特に東京方面では私鉄に近づけるというわけですから、どこまで経営努力されるか知りませんけれども、これは東京都民にとっては私たちは非常に朗報だと思っているんです。しかし、東日本会社というマンモスを抱えているところは、やはりあちらの方は随分上がるなという感じがせざるを得ないわけですね。こういうところの問題について、運輸省は認可料金でありますからこれからいろいろ算定はされるんでしょうけれども、特に私は配慮をしなければ、地方のローカル線はやはり民営分割化したために廃止の憂き目になっていくという、この歯どめは全然なくなってしまうんじゃないか。  こういう点を運輸大臣に、ローカル線廃止の歯どめは何なんだ、これを聞いておきたいことと、運賃が三社にまたがりますと、運賃逓減制になっていますね、しかしこれ民営会社になったら必ずしもその逓減制が、アップ率が各社によって違ってくるわけですから、これ同じように続くと私は何を担保にするのかという一つ考え方があるんですよ。この二点、どうお答えになりますか。
  57. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 第二点のお尋ねにつきましては、技術的な問題を含みますので事務当局から答弁をしてもらいます。  しかし、第一点につきましては、仮にその地域において鉄道が廃止をされるような事態と申しますのは、これは最終的に運輸大臣の権限としてそれの廃止を認可するかどうかという判断にかかわる問題であります。これが地域住民に著しく影響を及ぼすような場合には、そういう申請そのものを私は却下しなければなりません。その範囲において最終的には運輸大臣の権限として担保されると私は考えております。
  58. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 将来各社別に運賃水準が変わってきた場合ということでございますけれども、その場合におきましても私どもとしては通算制というものを堅持していきたいというふうに考えております。  その場合の通算制の計算の仕方としましてはいろいろな方式があるわけでございますが、現段階での検討では通算加算方式というのが一番いいのではなかろうかというふうに思っております。これは一番低いところの運賃、これをベースにいたしまして、それでそのベースの運賃表をつくりまして、それからさらにもう一つ加算表というのをつくりまして、それで利用者もすぐそれを見ればわかるという、両者にとっても便利でありますし、それからいろいろなその後の収入配分にとっても非常に便利であるということで、通算加算方式という形で運賃水準が違った場合の通算をやっていきたいというふうに現段階では考えております。
  59. 三木忠雄

    三木忠雄君 その加算方式ですね。やはり民営会社はおのおの経営努力をするわけでしょう。そこらを認可するときに一つの方程式を明確にしておかないと、どこでどういうふうになってくるかというようなことは非常に不安ですね。その問題はどうお考えになっていますか。
  60. 林淳司

    政府委員(林淳司君) これは基本的には各会社の利害に関連する問題でございますから、各会社の間でまず十分調整をしていただくということが前提になろうかと思います。その上で当然、計算方式あるいは収入配分方式というものについて両社あるいは複数の会社間で協定を結ぶことになろうかと思います。いわゆる運輸に関する協定でございますが、これが運輸大臣に届け出られるということになろうかと思います。その上でさらに、運賃そのものにつきましてはこれは運輸大臣の認可事項でございますから、その段階で十分公正さが保てるようなチェックをしていく、こういうことで、いわば公正さが十分確保できるような措置を十分とっていきたいというふうに考えております。
  61. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 関連質疑を許します。矢原君。
  62. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 今三木委員からお話がございますように、今回の六十二年四月末で三十七兆以上の累積の赤字という問題の中でこの国鉄の再建、改革というものが今進められているわけでございます。その中で、国民の立場から見て、家庭の人たち国鉄が改革されることによって我々はプラスになるのかどうか、そういうことを非常に考えられております。私もこういう問題の中で、例えば教育を受ける子供たちの定期はどうなるのか、そういう問題、それからお体の悪い身障者の方々が喜んで社会活動に参加ができるかどうか、その他もございますけれども、この二点について、政治に温かいものがあるのかどうか、そういう観点の中から質疑をしてまいりたいと思います。  まず伺いますのは通学定期の負担増に対する問題でございます。文部大臣ちょっと聞いていただきたいんですけれども、今小学校は五十八年五月一日段階で二万五千四十四の学校がございます。児童数も千百七十三万九千四百五十六人、中学校も一万九百五十校ですね。生徒数は五百七十万六千八百十一。高校にいたしましても、定時制をきょうは除かせていただきますけれども、五千三百六十八の高校、生徒数は四百七十一万五千百六十二となっております。これらに対する中で、全国各府県の、教育関係で、家庭に占める教育費の中で交通費はどれだけかかるかという平均の数字が出ております。やはりある程度高校は遠距離になりますから、その点を見ますと一年間に七万七千百七十一円という数字が出ております。中学校の場合は一万二百五十九円というのが一年間にわたるその中での交通費の問題でございます。  そういう中から私が申し上げたいことは、今回の特定の地方交通線が今全国で八十三線ほど候補に上りました。そのうち七十五線は決定をしたわけでございます。その七十五線のうち四十一が転換をいたしました。こういう中で転換の交付金というものがここで設けられたわけでございます。私は、この問題については非常にきめの細かい温かいやはり手を差し伸べていらっしゃるなと、こう思うわけでございますけれども、反面これらに該当する通学生徒の定期というものが負担増になったわけでございます。  先ほど申し上げましたのは全国の平均値の交通費でございますけれども、この関係のところで負担増になりますのは、一、二を抜粋しますけれども、会津関係でございますと日中線というところがバスに転換をいたしました。現在まで三千八百七十円の一カ月の通学の定期が、文部大臣、三倍以上の一万五千八百四十円になるわけでございます。宮原線というところでは、一カ月六千九十円の定期が実に二万一千円の倍増になっております。そのほかにも一カ月七千四百二十円のところが二万二千九百二十円の一カ月の定期になってくると。御家庭でもし二人中学や高校に通う方が該当の方でいらっしゃいますと、実に四万五千円に近いものが一カ月の出費になっていく。まだ多いところでは富内線というところがございますが、今でも一万八千百八十円で高い。ところが、転換になりますと三万四千四百四十円の一カ月の定期になってくる。  こういうことになりますと、私が先ほど文部省の保護者が支出した教育費調査の中で一年間の交通費の平均を申し上げましたけれども、私があと申し上げましたのは、一カ月の定期の増額でございます。こういう中で、日本の将来を背負っていく、また家庭の希望でございます子供さんに対して、教育の環境というものがこれでいいのかどうかという問題を私は思うわけでございます。  そういう意味でございますので、運輸大臣、この問題について、やはり中期とそして長期的な問題、こういういろんな見通しの中で、私は二段階ぐらいで対処しなければ大変だと思うわけですけれども、いかがでございますか。
  63. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員から数字を挙げられ、改めて私も見直してみて、なるほどという気持ちを持つぐらい大切な問題の御指摘をいただいたと受けとめております。  確かに、特定地方交通線がバスなどに転換をされた場合におきましても、通学者の運賃負担というものが過度なものにわたらず適正なものになるようにすることは重要なことだと私も認識をいたします。そこで、今特定地方交通線の転換に際しまして、御承知のように営業キロ当たり三千万円の転換交付金が交付をされておるわけでありますが、この使途はまず定期の差額補助、続いて初期投資、また転換促進関連事業ということでありまして、定期差額補助の場合は、国鉄と新事業者との定期の額の差額がその当該路線の廃止時に利用しておられた通学者の御本人の卒業の時点まで交付をされることになっております。また、転換交付金の額は特定地方交通線平均をいたしますと約十二億円でありますから、転換交付金の活用によりまして、必要な場合は、例えば転入学等の方々に対しましてもその通学者の運賃負担の軽減を図っていただきたいと考えております。  これはもう申し上げるまでもありませんが、転換交付金の用途につきましては、沿線地方公共団体を中心に構成されております特定地方交通線対策協議会で協議をされるわけでありますので、ここにおいて今御指摘のような点を踏まえた論議が行われることを私も期待をいたしたい、またそう努力もいたしたいと思います。
  64. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 今運輸大臣から御答弁をいただきました。転換交付金の初期の目的、私は第一期、第二期と解決方途というものを考えているわけでございますが、今運輸大臣が言われたとおりで、差額については、卒業までの子供たち、生徒については、増額分は転換交付金の三つの項目の中の一つとしてこれは果たせるわけでございます。ところが、子供さんたちは、在学している人たちだけではなしに、家庭から幼稚園、小学校から順次上の学校に行かれるわけでございますから、絶えないわけでございます。卒業する方たち、言うなれば在校生の人たちはこれで解決をする。しかし、それ以外の下の子供たちが成長をしてこの関係になるときには、この転換交付金の三つの、一つは初期の投資、転換時の子供さんの卒業まで、そして三番目には転換の促進事業三つに分かれておりますが、学生の定期については、卒業された後続々と子供たちは学校に学びに来る。その第二期的な、後のそういう補足というものはどうするのか。ここに大きな問題があるわけでございます。私は、その点を特にどうされようとしているのか、伺いたいと思います。
  65. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今具体的に御指摘をいただきましたので改めて申し上げたいと思うのでありますが、申し上げるまでもなく、この転換交付金の用途につきましては、その沿線の地方公共団体を中心に構成される特定地方交通線対策協議会において協議をされるわけでありまして、これを私どもが拘束するわけにまいりません。  しかし、私自身の今の考え方を率直に申し上げますならば、まさに今御指摘をいただきました転換促進関連事業というものを地域方々がどうとらえていただくかということにこの解決はかかるのではなかろうかと考えております。いわばこの転換促進の関連事業として、今お述べになりましたように、次々に入ってくる子供さんたちといわば現役の生徒さんたちとの格差を埋めることが地域の対策として必要な対応であると仮に協議会の皆さんがお考えをいただくとするならば、私は転換交付金をそうした考え方で活用していただけるのではなかろうか、まさにそのような気持ちを持っておりますが、これは協議会を私どもが拘束するわけにまいりません。それだけにこうした気持ちを申し述べ、そうした方向に動いていただけるように期待も努力もいたしたいと申し上げさせていだきます。
  66. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 この点が一番懸念になる問題でございまして、この点を明確にしていただかなければもう審議が進められないと思います。これは子供の教育に対して本当に一番手抜かりの問題でございます。
  67. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今申し上げましたように、私は転換促進関連事業というものを有効に活用していただくことにより対応ができると思いますが、協議会を拘束するわけにはいかないということを申し上げました。しかし、なお具体的に検討を進めるという御指示でありますならば、一生懸命に工夫をしてみたいと思います。
  68. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 今お尋ねの国鉄赤字ローカル線廃止線でございますが、昭和五十七年度までに廃止決定をいたしましたのは四十線、そして六十年までに廃止いたしますのが三十六線、合計で七十六線ございまして、その間におきます学校の数で見ますと、高等学校は二百二十四と二百九十二、合わせまして五百十六校でございます。そして生徒の数をと申しますと、通学をしておる生徒の数でございます、鉄道によって通学をしておる者、鉄道に依存しておる者が一万三人と二万一千八百三十一人、合わせまして約三万一千九百人ほどになるわけでございます。ところが、今後予想されます残余の地方交通線として九十九線、この在校生を見ますと、対象が十五万三千となってくるのでございます。したがいまして、とりあえず五十七年、六十年に廃止を決定いたしました約三万一千九百人足らずの学生、この者が一番当面の問題となってきております。  そこで、文部省としましてこの問題を放置するわけにまいりません。ところが、この問題こそまさに地域交通の問題でございまして、今運輸省の方でも盛んにおっしゃっておられます地域交通問題として取り上げる。これの中で大事なことは、国鉄の料金はやはり全国平均でございますので、そういう廃止対象の国鉄線のありますところの私鉄の料金と比べますと、約三分の一ぐらいなんでございます。そうすると、私鉄はその地域では三倍ぐらいしておる、国鉄はその三分の一の運賃であった、こういうところがたくさんございます。そこで、こういう地域におきます料金は大体どのぐらいに設定されるのがいいのかという、この問題から起こってくると思うのでございますし、同時にこれに対する、先ほど運輸大臣が答弁しておりますように、転換資金の実質的な、学生に効力のある運用をしてもらいたいというこの要望、我我教育委員会を通じまして非常に強く働きかけておるところでございます。  それともう一つ、転換に際しまして地方の声を集約してまいりますと、現在の国鉄ローカル線ダイヤの編成についての希望が実に多いのでございます。すなわち、どういうことかと申しますと、通学用にダイヤを組んでほしいと。そうならば、高等学校の生徒が下宿あるいは寮に入らなくても十分通学の可能な者がある。これは下宿するのと通学をするというのは、父兄にとりましては負担も全く違いますし、また家庭としての管理のあり方、学校での教育のあり方も相当変わってまいります。地元の親の希望しておりますのは、通学可能なダイヤに編成してほしい。そうすると、ダイヤの編成の問題あるいは料金の問題、そしてどの程度今後入学していく子は対する負担の軽減を図っていくかという問題、これはまさに地方自治体とそれから鉄道関係、こういうものとの競合の中で考えなきゃならぬ。その意味におきまして、転換されると同時に地域交通全体を考えたそういうことを私はぜひ希望するのでございまして、その点につきまして今後各都道府県の教育委員会に対しまして強くこの点を要望し、できるだけ学生の負担が少のうなるように一層の努力をしてまいりたいと思うております。
  69. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 総理大臣、子供さんの教育環境という中の一つの定期の増額、この問題、聞かれておりまして、在校生以外の後から来る人たちに大きな問題があるわけでございます。総理の所感というものを、今質疑応答しておりますけれども、一言伺いたいと思います。
  70. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 通学の問題は非常に大事な問題であると思います。今文部大臣からも父兄側の要望が述べられました。また運輸大臣からも、この点についてはいろいろ配慮をしたい、そういう希望も述べられて、私の記憶では、今までの条件より悪くすることは考えない、たとえ民間会社になっても今までの条件は維持するようにしたい、そういうような趣旨の話があったと記憶しております。民間会社の場合には政府から強制するわけにはまいりませんけれども、しかし公共性を持っておるということは否定できないものでございますから、政府としてもそういう方向に努力してまいりたいと思っております。
  71. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  関連でございますので、あと一問簡単に申し上げまして終わりたいと思います。  もう一点は、身体障害者の方々のいわゆる割引運賃のことでございますけれども、衆参でいろいろの関係場所で質疑も交わされております。私自身も三塚運輸大臣のときに、ことしの六月、身体障害者の運賃等割引範囲についての申し入れや懇談をいたしたところでございますけれども、今度の鉄道事業法案というものは、法律が変わってくるわけなんですが、一挙に法文がすべてなくなってしまう。歯どめがどうしようもなくなっている。そういう中で、重ねて運輸大臣にお願いをしたいわけでございますが、現在、六十年で身体障害者の方々が割引で利用されましたのが三百二十万人、五十九年は三百六万人、これ延べでございますけれども、社会参加のために、非常に今までの国の温かい行政に対してやはり身障者の方々も感謝をされながら利用されていたと思うんです。それが国有鉄道が全部会社になる、会社は六つに分割をする、だからこういう問題はそれぞれの会社がみんな解釈をしてやるんだというふうな形のこともあるわけでございます。そういう中で、法文では明記されないけれどももし後退をするようなことがあればどうなるのかという懸念を私は持つわけでございます。その点について運輸大臣の御見解を伺いたい。
  72. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私どもは今、旅客会社経営見通しをつくります段階におきまして、現在国鉄が行っております程度の割引の実施は不可能と考えておりませんで、また他の事業者がとっておられる同種の措置の内容に比べてもそれほどの差のないものであります。したがって、運輸省としても現行割引制度の維持は当然可能であると考えておりますし、運賃制度の運用上適切な配慮を払いながら現行割引制度が維持されるように努力をしてまいりたいと思います。個人としても、私も障害者の父親を持った子供でありますから、こういう問題を忘れるつもりはありません。
  73. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 法文がすべてなくなったわけでございますので、関係閣僚の御答弁をもって私はやはり一つの証拠に、歯どめにしたい、こういうことでございますが、ついでに厚生大臣、この件についての見解、一言伺いたいと思います。
  74. 斎藤十朗

    国務大臣(斎藤十朗君) 運賃割引制度は、身体障害者の自立また社会参加という面において、身体障害者が移動をする場合に非常に有効に役立っておるというふうに考えております。今回のこの国鉄の改革に伴いましても、これまでの運賃割引の水準が引き下がらないということを私ども確信をいたしておりますし、また今後ともこの向上のために私ども各方面にお願いをいたしてまいりたいと考えております。
  75. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 では、最後総理大臣の御所見を伺いまして終わりたいと思っております。よろしくお願いします。
  76. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 身体障害者の処遇につきましても、ただいまいろいろ各大臣から申し上げましたように、我々としても全面的に努力してまいります。
  77. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 どうもありがとうございました。
  78. 三木忠雄

    三木忠雄君 大分時間もたってきましたので、私も予定しておった質問が数多くあるんですけれども、特に雇用と年金の問題を先に時間の許される範囲でやっておきたいと思うんです。  昨日も雇用の問題については同僚委員から、国の採用問題でいろいろ理事会で検討されるそうであります。私もこの問題はしっかり結論を出していただきたい、こう思っているんです。それで、私もきょうはこの問題は明確にしなきゃならない点ではないかと、こうも思っておりました。  国鉄当局に聞きたいんですけれども、希望退職者が非常にふえてきている、順調に進んでいるというか、こういう点が言われているわけでありますが、この点も問題はどうか。それが第一点。  もう一つあわせて、国鉄職員のアンケートをとったところ、公的部門の採用というか、そちらの方に希望する人が非常に多いという、こういうアンケートが出ている。その実態はどうなっているのか、まずそれをお聞かせ願いたいと思うんです。
  79. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 希望退職の現状でございますが、希望退職の申し出を受けました人数が現在時点で一万八千人を超えた数字になっております。目標が二万人でございますので、何とか二万人が達成できるのではないかという見込みでございます。  それから希望アンケート調査の際におきます公的部門の職員の希望、先生おっしゃいますように大変希望が強うございまして、アンケートで優先順位を一番から三番までつけておりますが、優先順位の一番目に公的部門に行きたいという職員が四万三千人を超えておりますし、それから優先順位を二位、三位に落とした数字になりますともっと多くなりまして、二位の場合は十二万六千人を超え、それから三位の場合は十一万七千人というような職員が公的部門に行きたいというふうに表明をいたしておるところでございます。また、今までに公的部門で既に採用試験を受けたところの実績でございますと、例えば運輸省の気象庁の応募に対しましては二六・六倍の職員の申し込みがございますし、あるいは国税庁、NTT、東京都等々公的部門に対する応募の実態は大変な倍率である。これを見ましても非常に強い志向があるということが言えると思います。
  80. 三木忠雄

    三木忠雄君 総理、このように公務員志向が非常に多いわけです。三万人の公的部門という中で国が一万三千人、閣議決定でいろいろ余剰人員対策としてやっているわけでありますけれども、この一万三千人が昨日来の論議の中でまだ八千七百人というこういう実態、これは国会で今審議をしているわけでありますけれども、聞くところによりますと六万七千人の採用希望が出てきたと。これは民間がふえてきたから六万七千人になってきたわけでありまして、本来からいえば、国鉄職員の希望というものはやはり公的部門に採用してもらいたい、こういうのが私は希望だと思うんですよ。  したがって、民間部門が幾らふえてきても、極端に言えばトラックの運転手だとかタクシーの運転手だとか、そういう職種も大分あるそうなんです、私もいろいろ細かなことを聞いているわけですけれども。数が六万七千にふえたから六万一千の余剰対策が完全に行えると思ったら、これは大きな間違いだと思う。本来ならばいろいろ希望があるだろう。しかし私は、民間企業から比べてみれば、造船や鉄鋼やあるいは石炭、こういう方々も大変な苦労をされているわけですよ。決して国鉄職員だけではない。しかし、国鉄行政改革を政府責任を持ってやると決めたことなんです。したがって、公務員の採用の問題については私は、民間が幾らふえても一万三千人は守る、この問題を明確はしておいていただきたいことと、それからこの一万三千人を省庁別に、どういう基準で何を算定基礎として出したのか、この二点についてお伺いしたいと思うんです。
  81. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) 後段の方、私どもの作業しているところでございますので、その辺お答えさせていただきます。  公務員は確かにいろいろ採用していますが、監理委員会意見にもございましたように、すべてが国鉄職員の職場としてなじむものではございません。これは我々除外職種と言っておりますが、その除外職種を除きまして、監理委員会意見書におきましても、公的部門、国等の年々の採用数の一定割合を国鉄職員の採用に振り向けていただければ相当程度の受け皿ができるのではないか、そういう御指示があったわけでございます。そういう意味で我々各省の何年かの採用状況、これを分析いたしまして、その中から除外職種等、例えばお医者さんみたいな人ですね、こういったものは除きまして、それを基礎に六十一年度の場合には一〇%ということを閣議決定いたしたわけでございます。正直言いますと、そのときには五十九年度の実績をもとにしてやったために六十一年度は採用は減っておりました。したがって、千二百と期待したところが千百六十というのが実績でございます。ただ、各省には大いに協力していただくように呼びかけておりましたので、実際には千六百を超える申し出が出ているわけでございます。それで六十二年度以降につきましては、やはり五十九年度だけではだめだというので、むしろ三年間の実績をとりましてそれをもとにして推計をいたしました。  それからもう一つ問題なのは、こういうふうに長期にわたりますので、各省の職員の退職状況の変化がございます。これを個別に各省にやらせょうかとも思ったんですが、これはなかなか難しい、誤差が出てくるおそれがありまして、むしろマクロ推計で国家公務員全体でもって、もちろん除外職種等は除いたもので将来推計をやってみました。それでその中では、いわゆる行革で定削も推し進めております。そういった点も若干配慮しながら推計をいたしまして、それをもとに一万三千名に達するために最低一四%という基準を設けまして、九月十二日に閣議決定をいたしたということでございます。ただ、正直に申しまして私どもは、私自身各省に申しておりますが、一四%は最低である、それ以上の協力、六十一年度についても協力していただいたわけですが、それを協力していますというのは全省庁に申し上げているところでございます。
  82. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 総務庁長官が退席をしておられますので、私からお答えをすることをお許しいただきたいと思います。  昨日、本委員会の御意思として委員長から御指示を受けました国の責任を持って採用すべき各省の目標数一万三千という数字を守るという点と、それに基づきましての各省のいわば採用見込みの数字の試算は、本日の夕刻までに委員会に提出をできるように目下鋭意努力をいたしておりまして、必ず提出をさせていただくつもりであります。
  83. 三木忠雄

    三木忠雄君 総理、この一万三千人は守りますね。
  84. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) もちろん守るべく全力を尽くします。
  85. 三木忠雄

    三木忠雄君 この各省庁の一方三千人の割り当てが一四%、こうなっているんですけれども、これだけではちょっと、各省庁合計して一万三千にならないそうなんですね。それで特に各省庁に協力を求めていると言う。どの省庁に求めているんですか。そしてそれは大体了解をされているんですか。
  86. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) 各省庁平たくではございません。総理を本部長とし、そのもとに副本部長が四人ついております。その副本部長が所管しております運輸省、労働省、自治省それから私どもの方、これは一四%ではなくて二八%以上とか、あるいは三〇%を超える数値でもってお願いしているところでございます。これは当然その職務があるということで各省とも協力する姿勢を示しております。  それからほかの省庁につきましても、端的に私は人事管理運営協議会でお願いしているのは、一六%をお願いしているところでございます。これは六十一年度の実績等も見ながら最低線を設け、それでその上に協力する、やはり各省に押しつけるよりは各省が積極的に協力するということでやっていただくことが必要だということでそういう方式をとっております。
  87. 三木忠雄

    三木忠雄君 省庁の協力はわかるんですけれども、やはりこれはなかなか難しい問題だと思うんですね、協力要請だけでは。したがって、これは本部長総理がなっているわけでありますけれども、私が聞くところによると、協力した省庁については定員削減計画を見直すという、こういう話し合いになっているんですか。この点について。
  88. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) 定員削減計画を見直すということではございません。ただ、受け入れるに当たって、例えば調整定員などは国鉄職員のために特に振り向けるといったような措置をやっております。それから新規増員の場合も、国鉄職員に適するものであればなるべく国鉄職員を当ててほしいということ。これは局が違いますので私直接の答弁はできませんが、そういう措置はとっております。
  89. 三木忠雄

    三木忠雄君 私が聞くところによると、定員削減計画を少し変更してでも増員するところは認めると。これは官房長官は関係ないだろうけれども、総理は忙しいですから実際上は官房長官がやるんでしょうから、ここらの問題を責任を持ってやはり遂行してもらいたい。役所に一番にらみがきくのは後藤田官房長官だと思います。これを責任を持って、――やはり大改革をやるわけで、長期債務、余剰人員対策、これは非常に大きな二本の柱ですよね。これが解決しなくて、国鉄改革を見事にやったとは言えないと思うんです。確かに受け入れる省庁もいろんな点で私は御苦労だと思うんですよ。いろいろあろうと思いますけれども、この際大改革をやるという、本来からいえば満鉄から引き揚げてきた人たちまで国鉄は請け負わされた、こういう逆な意味もあるわけですから、私はどちらにも味方をするわけじゃないけれども、公平に見てやはりこの問題は解決をしなきゃならないんじゃないか、こう思いますので、官房長官、一言お願いします。
  90. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 先ほど国鉄総裁が答えておりましたように、他の職場に移らなきゃならぬという人の一番の希望はやはり公務員志望が多いという事実。もう一つは、民間それから地方団体にお願いをする以上は何といったって政府が率先してこれに取り組まなきゃならぬことはもう当たり前の話でございますから、一万三千名ということは閣議で決定をいたしておりますから、それの実現に向けて最大限の努力をいたしたい、かように思います。
  91. 三木忠雄

    三木忠雄君 時間があれば各省庁いろいろ聞きたいと思ったんですけれども、特に現業官庁の例えば田村通産大臣の通産省、あるいは加藤農林大臣のところですね、あるいは出ていない各省庁がいっぱいある。建設省、こういうところは余り出ていないんですね、――出ていますか。こういうところ、いろいろ私の手元にはまだ届いていないわけです。そういう点で、出ていない省庁、また採用計画どおりにいっていない省庁、こういうところについてはひとつ積極的に協力体制をしいていただきたい。一つ一つ詰めるわけにもいきませんけれども、理事会に資料が出てまいるそうでありますので、どうかそのとおり採用される、こういう想定のもとで次の質問にしたいと思うんです。  広域異動職員、あるいはまた派遣職員ですね、今国鉄にいないけれども国鉄の指示によって派遣をしている職員が大分いるんです。こういう人たちは優先的にといいますか、新会社の採用という、こういう問題は決定づけられるのかどうか。この点について総裁に意見を伺っておきたいと思います。
  92. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 広域異動の場合におきましては、長年住みなれた故郷を離れるという大変なことでございますので、やはり成績優秀な方であり、また将来の希望もなるべく考えてあげたいというふうに、いわば条件つきで募集をいたしております。  それから派遣の場合におきましても、これも国鉄の仕事と離れまして別な仕事をやるということもあり、派遣をする場合におきましては、もとの職場に戻しますという条件をつけまして派遣に応じさせるようにいたしております。
  93. 三木忠雄

    三木忠雄君 これはもう十分考慮していただきたいと思うんです。派遣をさせたり広域異動をさせているわけですから、この人たちの苦労というのは大変だと私は思うんです。この点については御意見を申し上げておきたいと思います。  それから年金の問題に移りたいと思うんですけれども、国家公務員に就職をされる、あるいは再就職方々の年金の問題なんです。特に地方公務員あるいは国家公務員に就職をされる、再就職される方々の年金問題はどのような解決をしていこうと考えていらっしゃるのか。これは新たな問題で、全然論議をされていないんです。したがって、これが新たな問題として国民負担になってくるんじゃないか。国鉄が払おうとしても払い切れないような年金財政の中で、新しく就職をされる方の国家公務員あるいは地方公務員の方々は共通制になるわけですから、これらの問題はどうなるか。それから一般企業に就職をされる三万一千の方々の年金の問題、これはどういうふうに適用されるのか、まず伺っておきたいと思います。
  94. 篠沢恭助

    政府委員(篠沢恭助君) お答え申し上げます。  ひとつかいつまんで申しますと、それぞれ再就職先の年金制度が適用されるということになるわけでございますが、国鉄から再就職をされました場合、例えば民間企業へ再就職されますとこれは厚生年金が適用になります。それから国家公務員あるいは電電、たばこも含めてでございますが、国家公務員等共済組合と言っておりますが、これのまとまりの中に再就職されます場合にはその国家公務員等共済組合の年金が適用になります。そして、御質問の地方公務員へ再就職されます場合には地方公務員の年金が適用されるということになるわけでございます。  特に国家公務員等の共済組合それから地方公務員の共済組合、ここからこの年金が適用されます場合には、国鉄共済組合の期間を通算いたしましてまとめて一本で年金が出されることになります。それから厚生年金が将来適用になるような再就職をされました場合には、国鉄の期間は国鉄共済組合から年金が出ます。そして、民間に就職をされました後の分につきましては厚生年金が出されるということで、加入期間に基づいて別々の年金がそれぞれ出される、このように整理がなされております。
  95. 三木忠雄

    三木忠雄君 これはなかなか難しい問題なんですよね。国家公務員は期間が通算をされる、それから地方公務員はこれもやはり通算される、こういう形になるわけですね。そうしますと、この年金問題はなかなか意見が合っていないそうですから、訂正があったら訂正してください。通算をされますと、財源は国鉄共済から持ち込まなきゃならないんでしょう。これは大体どのぐらいの金額というか、どのぐらいのものになるんですか、この点についてはどういうふうな調整が行われているのか。
  96. 篠沢恭助

    政府委員(篠沢恭助君) 御質問の、国鉄職員が地方公務員になる、あるいは国家公務員になる場合もそうでございますが、年金が通算されることになりました場合には、先生御質問のとおり国鉄共済の方から、その持っております積立金の中からその職員に係ります積立金というものを再就職先の共済組合に移しかえる作業が要るわけでございますが、この移しかえるべき積立金の額の算定につきましては既に政令が定まっておりますけれども、具体的な移しかえの金額と申しますと、その再就職者ごとにこれが相当違ってまいります。再就職者が、どういう年齢の方がいつどの段階で再就職をするかということがまだ特定されておりませんので、そのような現状のもとで具体的な金額を申し上げることはちょっと難しいというふうに考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  97. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは非常に難しい問題なんです。したがって、まだ就職が決まっていないわけですから、今細かく金額を幾ら出せと言ったって議論にならないと思うんです。私はそんなことでストップしたりするのはしませんけれどもね。大体国鉄共済年金が今四千二百億ぐらいですか、あと債券を買ったりいろんなことをしているからお金がないわけでしょう。それをまた移換をするとなるとこれはなかなか大変なことで、新たな財源を生み出さなきゃならないんじゃないかという感じを私は持っているわけですよ。今のお金から恐らく積み出せないだろう。  それからもう一つ、あわせて厚生年金にかわる三万一千人の一時金は必要ないのかどうか。あるいはどの期間で必要になってくるのか。こういう問題が就職の状況によって違ってくると思いますけれども、アバウトやはり要るんじゃないかと思うのですよ。この点どうでしょうか。
  98. 篠沢恭助

    政府委員(篠沢恭助君) お答えいたします。  厚生年金の適用を受けて厚生年金をもらわれる方でございますが、これは当該厚生年金から所定の要件を満たしたときに年金が出るということでございますが、その方に対して国鉄の年金が出されますのもその当該時期になろうかと思います。その時期に国鉄共済というものが存在を続けておるわけでございますからそこから支払われるということになろうかと思います。  それから御質問の地方共済に対する移しかえの財源はどこから出てくるのかということでございますが、これはやはりそのために積立金を積み立ててきたという状況がございますので、その積立金の中から恐らく支払われるという処理になろうかと思います。
  99. 三木忠雄

    三木忠雄君 この財源探しは非常に大変な問題だ――大蔵大臣もうなずいていらっしゃいますけれども、これは財政調整で六十四年までは何とか統一見解を出してやるんだ、こう言っているのですけれども、これも私は検討課題の一つじゃないかと思っているんです。したがって、例えば、民間団体に行く三万一千人も、清算事業団国鉄共済を引き継ぐわけですから、これも新たなやはり財政負担の問題になってくるんじゃないか、どういう形で統一されるかわかりませんけれども。これらの問題が一点あろうと思いますし、地方公務員あるいは国家公務員のこの期間を通算されたときの年金移換の問題について、きょうは金額を幾らだとかいうことは私は言いませんけれども、この問題は重要な課題であるということを大蔵大臣、認識をしておいていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  100. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) その点は私ども四人の関係閣僚がただいま検討しております中の一つの重要な項目と考えております。
  101. 三木忠雄

    三木忠雄君 したがって、この年金問題の結論を六十一年度末までに閣僚懇で出すというわけでありますけれども、もう六十二年度の予算がこの十二月に編成されるわけですね。あらましの見通しは三百億から七百億にふえてきた、希望退職者あるいは退職者がふえますから。こうなってきますと年金問題は非常に大きな問題だと思うんです。国鉄の自助努力も、衆議院の段階でいろいろ議論されたのを私も聞きましたけれども、もう限界だと思うんです。そうすると、閣僚の統一見解というものを早く出す。年金の問題を解決しなければならないのは、それよりももっと大きな問題は六十五年以降の問題だ、こう思っているんです。  したがって六十五年以降の問題を解決する問題は後でまた論議しますけれども、六十一年の末までに解決をするということがどの程度まで進んでいるのかということは非常に疑問なんですね、やらなきゃならないでしょうけれども。したがって、この法案の審議中に何か詰論は出ませんか。いつ通るか果てしないかもしれませんよ。この法律案が通るまでの間にいろんな結論を出してもしかるべきだと私は思うんですけれども、いつもハードルを先送り先送りして解決できない、四人がそろって御相談すれば早く統一見解も解決できるんじゃないか、こう思うんですけれども、官房長官いかがでしょうか。
  102. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これは、仕組みをまず最初にお答えいたします。  政府は、閣僚任命の際に年金担当大臣という辞令を特に出している。それは厚生大臣ということになっておりますので、四閣僚の懇談会も行司役は厚生大臣、こういうことになっておりますから、厚生大臣からお答えするのが適当だと思いますけれども、お名指しでございますし、官房長官が統一見解を出しておりますから、そういう意味合いでお答えをいたしますと、やはり六十四年までのことをまず結論を出さなきゃなりません。それは六十一年度中ということでございますが、御質問の中に予算等を伴うものがあるならば云々、こういうお話がございましたが、当然六十二年度の予算に関連するようなものがあるとするならばそれは、昨日私がお答えしたように、これはどうしたって十二月までには何らかのめどをつけなきゃならぬ、こう思います。  しかし、六十二年度の予算には関連しないで何とかめどがつくのだということになれば、お約束どおりに六十一年度中、こうなるわけでございます。その話し合いはもう既に始めております。しかし、今のお尋ねのこの法律案が上がるまでに結論を出せぬか、こういうお話ですけれども、これはいつ上げていただけますかな。ちょっと私はこれは無理だろう。だからそれはひとつお許しをいただきたい、こう思います。  それから六十五年度以降の分をどうするのかということ、これまたさらに厄介な問題がございます。これは御案内のように、七十年までに年金統一という政府の大きな方針がございます。それとの絡みも出てくるのではなかろうか、私はこう思いますし、議論がさらに一層複雑でしかも難しい課題があろうと思います。いずれにせよ、これはまたその時点に私どもとしてはできるだけ早く何らかの結論を出したい、かように考えておるわけでございます。
  103. 三木忠雄

    三木忠雄君 なかなか先送りが非常に多いわけですね。やむを得ないいろんな問題点も、難しい問題もあろうと私は思いますけれども、いずれ結論を出さなきゃならないわけですから、我々が審議しているこの土俵である程度わかる目鼻はつけてもらいたいというのが強い要望でございます。  それから六十五年以降の問題は、例えば六十五年の年金負担は一年間で三千億だと言われているわけですね。今まで七百億だったのが六十五年以降三千億ぐらい要るだろう、こう言われているわけですよ。したがって、年金統一の問題もあるでしょうけれども、財政調整までの経過が、財政調整委員会で六十一年から六十四年までの支払いの問題についていろいろ議論を重ねてきたのが七年から八年かかっているわけですよ。いろんな諮問機関を通し、基本問題の委員会を通し、あるいはまた国家公務員共済組合の審議会だとか、年金統合法案だとかいろいろ手続を経ていきますと、逆算して、やはり六十二年の当初からスタートしていかなければ六十五年の問題は解決できないんじゃないだろうか。やる気になれば早くやるんでしょうけれども、なかなかやる気が起こっていないような感じなんです。したがって、私は六十五年からの問題は逆算すれば六十四年度の予算までに結論を出していなきゃならない。こういう点から考えるとスケジュール的には非常に厳しい問題があろうと思います、逆算をしていきますと。  この問題について、今度は厚生大臣に聞きましょうか。厚生大臣、どうお考えになっていますか。
  104. 斎藤十朗

    国務大臣(斎藤十朗君) 年金担当大臣としてお答えをいたしますと、ただいま官房長官からお話しをいただきましたように、六十四年度までの分については六十一年度中に結論を出す、それが終わった段階で速やかに六十五年度以降の問題について検討し、そして共済年金が確実に支払われるよう措置するということになっておりますので、六十一年度末におけるこの問題の解決をした後に協議に入っていくということにほかならないわけでありますが、今先生がおっしゃられますように、非常に難しい問題、また複雑な問題もたくさんございますので、できるだけ速やかに取りかかり、そしてまたできるだけ速やかに結論を得る必要があるというふうに考えております。
  105. 三木忠雄

    三木忠雄君 もう時間が来ましたので午前の部は終わりたいと思いますが、速やかに、できるだけ、いつもこの答弁でありますけれども、やはりある程度のスケジュール、事務当局も大変苦しんでいる、どうなるんだろうかと、こういう問題があるわけでありますので、私はスケジュールぐらい早く、六十二年から、六十五年以降の問題でありますけれども、スタートの時点を明確にしてあげて、早くスタートにしてこの問題の解決に当たる、こういう努力をしていただきたいということを強く要請をして、この問題は終わりたいと思います。
  106. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 午前の質疑はこれまでとし、午後一時に委員会を再開することとし、これにて休憩します。    午前十一時五十一分休憩      ─────・─────    午後一時三分開会
  107. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 日本国有鉄道改革に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、各案について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  108. 三木忠雄

    三木忠雄君 それでは、午前中に続きまして、あと私に残された時間が二十二分だそうでございますので、要点を絞りまして質問をしたいと思います。  まず最初に、用地問題について一点お伺いしておきたいと思うんです。  国鉄用地の売却というのは非常に重要な問題でありまして、七兆七千億と申し上げますか、あるいは三千三百ヘクタールと、こういう売却予定になっておるわけでございまして、この用地の売却というものは、特にやはり周辺地価の高騰等の問題もありまして非常に大きな問題になろうかと思いますし、一面またこの用地の売却にいささかの疑惑があってはならない、これはもうもちろんでありますが、この問題について運輸大臣として、いろんな歯どめがかけられていると思いますけれども、この用地売却に対する対応についてまず伺っておきたいと思います。
  109. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員指摘のとおり、この三千三百三十ヘクタールに上ります用地の処分というものが国民の疑惑を招くことのない公正な手法で行われるということは、何よりも私どもとして大切なことであると考えております。そこで、この法律案が成立いたしました後、それぞれの段階におきまして審議会等を設けまして、公正な売却ができるように私どもとしては考えております。  まず最初に、売却可能な用地の生み出し等のための第三者機関を法案成立後臨時に運輸省に置くこととし、運輸大臣が新事業体に継承される用地と清算事業団に残される用地の範囲を決定するためにこの機関の意見を聞くことといたしております。続いて、その評価審査会が同時にやはり法案が成立後臨時に運輸省に置かれるものでありまして、承継法人が国鉄から承継する財産の価格を決定する仕組みを同時にとっております。そして、清算事業団に改組されました後、この中に資産処分審議会を置くことといたしておりまして、清算事業団における用地の処分に関する基本方針、重要な資産の処分とその前提となります土地の利用に関する計画についての検討をいたすようにいたします。  この第三者機関の委員としては学識経験を有する方々の中から選任をするわけでありますが、特にこの資産処分に直接かかわる資産処分審議会には、土地の売買を業とする方であり、清算事業団と取引上密接な利害関係を有する方々法律委員となることができないようにいたしております。また、その用地の処分方法としては、あくまでも一番国民に御理解の得やすい一般公開競争入札の形を原則といたしておりまして、ごく特殊なケースとしては、地方公共団体等が例えば道路敷地のような形でこの提供を求められる場合には随意契約も考えるわけでありますけれども、これらも適正な時価を当然判断の材料とするものと考えております。
  110. 三木忠雄

    三木忠雄君 この一般競争入札、それで国土庁長官と自治大臣に伺っておきたいんですけれども、国民の共有の財産といいますか、国鉄の財産でありますから、国民負担をなくするためになるべく運輸省側、清算事業団側は高く売りたい、これは当然だと私思うんですね。ところが、もう既に開発プロジェクトを組んで、国鉄や建設省、自治省、地方団体、学識経験者が入って、梅田の駅であるとか、隅田の駅前の土地であるとか汐留であるとか新宿の駅は、もう土地区画整理組合ができ上がって、いろいろプロジェクトが進んでいるわけです。この問題と第三者機関、これは運輸大臣の答弁になるかもしれませんけれども、あるいは資産処分審議会、用地利用委員会とか、こういう第三者機関との関係がまずどうなっていくのか、これが第一点。  それから国土庁長官としては、この土地の問題に対する対応はどういうふうに考えているのか。国有地あるいは国鉄の用地、林野庁の用地をも含めてこの問題の考え方。それは、地方自治団体からいろいろ土地を買いたい、こういう要望がありますけれども、財源問題がまず大変だと思うんですね。そこらの問題の対応はどのように考えているのか、その点について伺いたい。
  111. 綿貫民輔

    国務大臣(綿貫民輔君) 国有地あるいは公有地の処分につきましては、従来からも周辺の地方自治体等の開発の構想などとの調整とか、あるいは高騰のおそれがある場合にはいろいろの条件を付していただくとか、そういうことをやってきております。今回の国鉄の用地処分に当たりましても、先ほど運輸大臣からお話がございましたように、独自の資産処分に対します審議会が設けられるということでありまして、それらの機関ともよく話し合いをしながら、周辺の地価が高騰しないように、しかも国鉄用地の処分によりまして国民負担が軽減されるような、その両方が合うような方法を研究してまいりたいと考えております。
  112. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 一般的に申しまして、地方公共団体が公共の用に供するために土地を取得する場合にありましては、その取得の必要性、緊急性など一定の要件に該当する場合には地方債による財源措置を講じているところでございます。国鉄用地を活用いたしまして都市の開発整備あるいは町づくり等を行う場合につきましては、この地方団体の先行取得につきまして、今後は起債の要件の緩和等を図りまして弾力的な運用を行っていきたい、こう考えております。
  113. 三木忠雄

    三木忠雄君 弾力的な運用はいいんですけれども、大体一般競争入札というような形あるいは随意契約のようになってまいりますね、地方公共団体が。そうしますと、地方自治体としてはもう財源が対応できなくなってしまうと思う。その特別枠は地方自治体に設けるんですか。
  114. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 地方公共団体が都市の開発あるいは町づくり等のために国鉄用地をぜひ買いたいという場合におきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、地方債の中の特に用地先行取得債という種類のものでございますが、これは現在一定の要件がございますけれども、できるだけその要件を緩和して弾力的活用を図ってまいりたいということでございます。もちろん土地の価格について、地方公共団体自身としてもやはり土地を買うその財源は借金でございますから、その土地を買うこと自身が地方団体自身の財政負担の将来の償還をも含めての能力を超えるというような場合には、これは地方団体としてもそういうことはなかなかできにくいと思うわけでございますが、その辺の価格の問題については、地方団体自身として、その公共性に照らしてできるだけこれに見合った適正な価格で譲渡を受けるようにいろいろとまた交渉も重ねられることと思いますので、それに対応して地方債の措置を弾力的にやってまいりたい、こういうことでございます。
  115. 三木忠雄

    三木忠雄君 地方団体といっても、東京都は特に大きな問題だと思うんです。この点について、やはり東京都の総合開発計画の中にいろんな問題点が含まれておりますので、この点についてはいろいろ配慮もしてもらいたいと思っております。  特に、大蔵大臣に伺っておきたいんですけれども、土地の転売禁止の問題ですね。ある新聞で報道されておりますけれども、十二月から何か千平米以上転売を十年間国有地に関して禁止をする、こういう通達を出すという話を伺っておりますけれども、この点の内容はどういうようになっておりますか。
  116. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) どうも投機的な動きがいろいろに見られるようになってまいりましたので、国有財産につきましていろいろ入札条件等を厳しくする必要があるのではないかということで、ただいま各省庁と検討をいたしておりますが、ただいまの状況を政府委員から御説明をいたします。
  117. 入江敏行

    政府委員(入江敏行君) 若干詳細に御説明を申し上げたいと思います。  御承知のとおり、民間への国有地の処分というのは、疑惑を排し、公正を期するということで一般競争入札に付しておりますが、国有地が投機的な取引の対象になるということは非常に困ることでございまして、取引秩序に悪影響を及ぼさないように、今大臣から御説明がございましたように、条件を付しております。今の状況で言いますと、例えば市街化区域ですと二千平米以上のものにつきましては五年間の転売禁止、そのほかにさらに必要があれば、工事の着工、完成条件といいまして、二年以内に着工しなさい、五年以内に建物を完成しなさいというような条件を付しておるわけでございます。ところが、最近東京を中心とした都心部の土地の価格高騰ということがございますので、今申し上げましたように、特に地価の高騰の著しい地域についての入札につきましては、入札条件をさらに拡充強化いたしまして、実需取引をさらに確保するということで今各省庁と検討を進めております。  検討を進めておる最中でございますので詳細は御勘弁いただきたいと思いますが、例えば面積条件で言いますと、千平米以上のものについては十年の転売禁止特約を付す、しかもそれは違反した場合には転売差益は全額徴収させていただく、あるいは千平米以下のものについても何らかの実需確保のための条件を検討する、そういう方向で現在検討中でございます。
  118. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは検討で、例えば運輸省とかそれから林野庁、建設省、各省庁との連携をとりながらこの通達を出すというのですか。あるいはいつごろをめどにして通達を出す予定ですか。各省庁との話し合いはいつごろからやって、どうなっているんですか。
  119. 入江敏行

    政府委員(入江敏行君) お答えいたします。  各省庁との調整は、先般都道府県の地価動向調査の結果がわかりかけてきたころから検討を開始いたしておりまして、私ども大蔵省だけが財産を処分するわけじゃございませんので、大きな財産を持っておりますところとは当然詳細に打ち合わせをしております。調整のことでございますので、いつとはっきりは申し上げられませんが、年内には調整を終えて、通達といいますか、新たな条件に基づく処分というものに踏み切っていきたいと思っております。
  120. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうするとこの問題は、年内に通達を出して、各省にまたがった国有地についての通知を出す、こういう解釈でよろしいですね。  それでは最後の問題です。清算事業団の問題をいろいろやりたいと思ったんですけれども、同僚議員もやりましたし、後一般質疑でいろいろまた細かく質疑が行われると思いますが、長期債務を返済するのに一点だけお聞きしておきたいと思うんです。  毎年一兆二千億から三千億の返済をしていかなきゃならない。それから新会社また新幹線保有機構清算事業団、通信会社あるいはまた鉄道研究所等を含めたこういう新しくできる会社等が民間から相当な借入資金をやらなければ、当面これ回転しないんじゃないか、あるいは財投の金を相当使わなきゃならないだろう、こう思うんですね。当初から土地を三千億しか一年間売らないわけですから、恐らく管理費とかを含めて相当に資金運用部から借りなきゃならない、民間から借りなきゃならない。その資金繰りというか、あるいは六十二年度スタートにおいてどの程度の民間からの借り受けあるいは財投からの借り受け、こういう問題があるのかどうか、この点を総合的に聞かせていただきたいと思います。
  121. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 資金繰りの問題でございますけれども、これはいろいろ会社によって定性的に違う面がございまして、一つは北海道、四国、九州のような会社でございます。この三つ会社の資金繰りにつきましては、営業収入それから基金の運用益、こういうふうなものによりまして、人件費、物件費といったような運営費、それから設備の維持更新等のための投資資金というものを賄うことができるというふうに見込まれておりますので、特に外部からの資金を導入するという必要はないであろうというふうに考えております。  それから貨物会社の資金繰りでございますが、これにつきましては、将来にわたりまして安定的に相当の自己資金を確保することができるというふうに見込んでおります。それから当面政府保証債の発行が認められておりますので、その面から当面につきましても支障を来すということはないであろうというふうに見込んでおります。  それから通信とかあるいはシステム会社の関係でございますけれども、これにつきましても貨物会社と同様でございますが、将来にわたりましてかなり安定的に自己資金を確保することが可能だというふうに見込んでおりますので、資金繰りの点について各事業体とも特に支障を来すことはないのではないかというふうに考えております。
  122. 三木忠雄

    三木忠雄君 もう時間が来ましたので、最後に一点。  衆議院で修正が行われましたけれども、今回の改革法案を含めたいろいろな問題点が数多く浮き彫りにされて、実は先送りされている問題が非常に多いわけです。この法案が通ってからも、いろいろこれから改革が行われ、また問題点が浮き彫りになってこようと思うんです。したがって日本国有鉄道としては、国鉄審議は恐らく今回が終わりにしましても、いろんなこれは国会として対応しなきゃならない問題があろうという意味で、この国有鉄道改革法の一部を修正しまして、「(国会に対する報告)」というのが一部つけ加えられた。この問題について一点伺いたいんですけれども、「政府は、国会に対し、昭和六十二年度以降五箇年間の各年度における日本国有鉄道の改革に関する施策の実施の状況を報告しなければならない。」と、こういう形になっている。この「日本国有鉄道の改革に関する施策の実施」の「施策」というのは、これはどういうふうに解釈をしているのか、まず答弁願いたい。
  123. 林淳司

    政府委員(林淳司君) これは、今回の改革法に基づきまして諸般の改革を行うわけでございますが、その全体、すなわち各六つの旅客会社にそれぞれ分けていく、それから貨物会社をつくる、それからそのほかに新幹線保有機構をつくっていく、それから最終的に残ったものについては清算事業団に移行をするという形になるわけでございますが、それぞれの事業主体の業務の状況等につきまして、この改革法に定めております施策全体についてこの規定によって御報告を申し上げるというふうな形で考えております。
  124. 三木忠雄

    三木忠雄君 例えば清算事業団一つの例にとりますと、清算事業団の中でこれから土地が売却されるわけです。一番国民が関心を持っているのは国民負担が少なくなればということで、例えば東京駅の周辺の土地、汐留の土地がどうなるか、あるいは国鉄本社の土地がどうなるか、新宿の駅がどうなるかということは一番見守っているわけです。いろいろ公開競争入札が行われるだろうけれども、一部嫌な話も聞こえるわけですよ。きのうも質問がありましたけれども、談合が行われたりなんかしたり、あってはならない。また、私はないと思いますけれども、いろんな疑惑、あるいはどういう形になったかということが国会でチェックする機関がないわけですよ。したがって、この清算事業団の例えば一定規模以上の、一定金額以上の処理をした問題については翌年必ず報告するとか、何かこういう問題を義務づけて報告資料として提出するのかどうか、この点についてはいかがですか。
  125. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま先生がおっしゃいましたとおり、清算事業団におきます土地の売却というのは非常にやはり国民的な関心事でございます。それからまた、清算事業団には余剰人員の再就職対策というものもあるわけでございます。したがいまして、そういう重要問題、あるいは国民が非常に関心をお持ちの問題について、やはり一定のものについてはこれはすべて国会の方に御報告を申し上げるというふうなことにしたいというふうに考えております。
  126. 三木忠雄

    三木忠雄君 この年次報告の仕方ですね、これは事務的にもなりますけれども、ここの委員会はこれが終われば解散しちゃうわけですから、参議院では各党で話し合って、運輸委員会等でいろいろ議論をしてもらいたいと、こう私は思っておりますけれども、やはりこの年次報告の中にいつごろこういうまとめたものを、どういう種類でどういう報告内容になるのか、いつごろ毎年定期的に報告するのか、こういうものについて具体的にこれを示していただきたい、こう思うんですけれども、いかがですか。
  127. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 今の段階でちょっと具体的に報告事項というのを特定するというのはなかなか難しゅうございますけれども、先生の今の御趣旨は十分わかりますので、私どもとしても十分その点は検討して、一つのきちっとした基準をつくって、その基準に基づいて御報告申し上げていきたいと思います。
  128. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは運輸大臣ね、私は時間がもうございませんので、報告の内容とか、いつ報告をして、どういう形態をとるかということを提出をしていただいて、いろいろ各党も意見があろうと思いますし要求もあろうと思いますので、この問題は理事会で検討させていただきたいと思っているんです。そして、この国鉄改革法案にいろいろ疑惑があったり、あるいは最後のチェック機関がないとか、そのままやってしまって後でこうだったとかいう、修正きかないような、取り返しのつかないようなことのない方向国会はやはり歯どめをかけるべきじゃないか、あるいは検討すべきじゃないかと、こう考えますので、報告様式等については理事会に資料を提出していただいて検討させていただきたいと、このことをつけ加えて私の質問を終わりたいと思うんです。どうもありがとうございました。  運輸大臣、答弁いいですか。
  129. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 衆議院の審議の経過の中から、院の御意思として修正を受けた点でありますから、私どもも十分その意を体して努力をいたしたいと思います。
  130. 市川正一

    ○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、世紀の大悪政とも言うべき国鉄民営分割に断固として反対する立場から、総理並びに関係閣僚に以下の質問を行うものであります。  まず私は、国鉄経営破綻の真の原因、真の責任はどこにあるのかということをはっきりさせなければならぬと思います。政府は、全国一元の公社制度というものは外部からの干渉を受けやすい、変化に対応できない、だから国鉄は赤字になったんだ、だから経営形態に問題があるんだと、こう繰り返しております。だが、果たしてそうなんでしょうか。  そこで、国鉄に莫大な借金を押しつけている鉄建公団について伺いたいのでありますが、国鉄新幹線を初め新線をつくる能力も技術もスタッフも、今でも、また今までも立派にそれをやってきたし、十分に備えております。なぜ国鉄とは別に鉄建公団というのをつくったのか、まず伺いたい。
  131. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 鉄建公団は昭和三十九年の三月に鉄建公団法に基づいてつくられたものでございますが、この法案の第一条にもございますように、鉄道新線、この建設を推進することによりまして鉄道交通網の整備を図る、そしてもって経済基盤の強化と地域格差の是正に寄与するということが目的でございます。その後、大都市あるいはその周辺における通勤通学輸送というふうなものの需要が非常に増大してまいりましたので、これに対処するために民鉄線の建設業務が追加されました。そこで、その関係で、鉄建公団の目的としまして「大都市の機能の維持及び増進に資する」ということも追加をされたということで、今申し上げたようなことが鉄建公団のいわば設立目的ということでございます。
  132. 市川正一

    ○市川正一君 そんなきれいごとではないんです。ここに私持ってきました、国鉄発行によるところの「国鉄百年史」の一部でありますが、その中で、鉄建公団設立の発端となった昭和三十七年の鉄道建設審議会での田中角榮小委員長意見が紹介されています。要するに、赤字など気にせずに新線を引けというものであります。これに基づいて進められたんですが、現に鉄建公団発足七周年に当たる昭和四十六年の三月に、交通新聞紙上での座談会で田中角榮元首相が「今だから申し上げる」と言って、当時の池田勇人総理や川島正次郎副総裁あるいは佐藤榮作氏など政府・与党の首脳も、これは国鉄分割するものだと言って反対いたしました。それを当時の大蔵大臣であった田中角榮氏がうまく煙に巻いて設立に持っていった、その電話のやりとりまで詳しく裏話を披露している。「以上は公式発言でございます」と語っておりますが、国鉄とは別個に新線を建設する特殊法人をつくる、まことに奇怪きわまるものであります。こうして、もともと採算は度外視し、赤字の政治路線をどんどんつくっていく、そういうものであったことは今や明白であります。  そこで聞きますが、鉄建公団がつくった新線は、六十年度の監査報告書によれば七十二線ありますが、そのうち黒字線はどこですか。
  133. 前田嘉代治

    説明員前田嘉代治君) 三十四線ございますが、そのうち根岸線が黒字でございます。
  134. 市川正一

    ○市川正一君 根岸線だけだと、こう言いなさい。  さらに私どもの調査では、鉄建公団が手がけて現在工事が凍結しているローカル線が二十二線あります。現時点において事業上使用の見込みが立っていないのは何線ありますか。
  135. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 現在鉄建公団が建設を休止しておる、これは昭和五十五年の地方交通線対策との整合性の観点から工事を休止しておるのは二十二線ございますが、そのうち三線については近々第三セクターが経営するという前提で鉄建公団が工事を再開する予定でございます。  あと十九線ございますけれども、十九線についてもこれから地域の状況等によりまして十分地元と御相談をして第三セクターにより建設するものもあろうかと思われますので、残り十九線すべてがどうなるかということではないわけでありまして、現時点ではまだ確定できないという状況でございます。
  136. 市川正一

    ○市川正一君 だから、現時点でどうなっているかと聞いているんです。三線は、これは第三セクターであるということを除外しても、八割の十九線は廃線という事態であります。  個別的に伺いますが、成田新幹線には幾ら建設費がかかったのか。そして、この線はどうなるんですか。
  137. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 成田新幹線につきましては、五百四十五億円の建設費を投入しております。そして、成田新幹線は、当初決めた時点から客観的な情勢が相当変わってまいりましたので、現時点ではこれが新幹線として使用されるという見込みは立たないと、こういうことで、今回の改革に際しましては、これは清算事業団の方に資産、債務とも承継をさせるということで処理をしたいというふうに考えております。
  138. 市川正一

    ○市川正一君 五百四十五億の建設費のほかに利払い額が二百五十三億あります。そうですね。そして、要するに廃線ですよ。使い道にならぬじゃないですか。そのほかにも六百七十一億円もかけた京葉線などもありますが。  次に、青函トンネルにかかわる債務は幾らですか。
  139. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 青函トンネルでございますが、これは昭和六十二年度末に完成する予定でございますが、その時点で建設費及びその後の建仮利子というふうなものを含めた債務の額は約一兆八百億円程度というふうに計上しております。
  140. 市川正一

    ○市川正一君 債務は一兆八百億、これは既に明らかにされているように、清算事業団、すなわち国鉄にかぶせる、保有は鉄建公団が握る、全く虫のいい話であります。このような鉄建公団の債務は総額幾らになるんですか。
  141. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 今回の国鉄改革に伴いまして処理される鉄建公団全体の債務でございますが、これにつきましては全体で約四兆五千億でございます。
  142. 市川正一

    ○市川正一君 四兆五千億、そのほかにも、これは鉄建公団とは別でありますが、本四架橋公団分の七千億も国鉄の長期債務と一体になります。  この鉄建公団については、昭和三十八年の衆議院運輸委員会におきまして、当時の田中角榮大蔵大臣は次のように言明しております。「他の政策目的で、政府のより高い立場で新線が建設せられる場合もあるわけです。そういうものに対しては国鉄責任はないのです。」「最後のしりはどうなるか、これは政策目的の責任を負わなければならぬのは政府です。」、こう言っております。  ところが、そのしりは国鉄に押しつけているじゃないですか。監理委員会政府は、公社制度は外部干渉が避けがたい体質だ、そのために非採算的な路線が各地に建設される、それが国鉄の赤字の原因だと言うのでありますが、今鉄建公団に見てきたように、鉄建公団に赤字線をどんどんつくらせ、そのツケを国鉄に押しつける。そういう外部干渉をやってきたのは政府自身じゃないですか。  総理いいですか、お聞きしますが、どうして外部干渉した方は免罪され、干渉された方が責任を問われなければならないんですか、筋が通らぬじゃないですか。
  143. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国鉄が今日になりましたのにはいろいろな複合的な原因が長い年月ありまして、それにつきましては午前中申し上げたとおりであります。この際は、総力を挙げてこの国鉄国民交通体系に再建すべく努力すべきであると考えております。
  144. 市川正一

    ○市川正一君 今のは私の質問に対する答弁に、うつらうつらだったか知りませんが、答えていらっしゃらない。私が聞いたのは、外部干渉した方は免罪され、干渉された方が責任を問われるというのは一体どういうことなのかということを聞いているんです。あなたは複合的な云々とおっしゃった、これについては後で一つ一つ解明しましょう。  今ここで明らかなことは、昭和五十七年十月三十一日付の朝日新聞によりますと、十河元国鉄総裁は、「オレが総裁だった三十年から三十八年まで、赤字は出さなかったぞ。赤字線は一本も作らなかったからな。」と語っていたと報じております。私はもとより十河元総裁の立場をすべて肯定するものではありませんが、少なくともこういう国鉄に対して業を煮やし、国鉄とは別に赤字の政治路線を引く鉄建公団をつくったという背景の一端を示していると思うんです。  この際、私申し上げておきたいのは、我が党は国鉄の設備投資そのものが悪いなどとは言っておりません。国民の要望ほこたえ、また技術の開発、進歩に伴って、新幹線はもちろん、改良工事を含む必要な設備投資を行うことは当然のことであると考えております。問題は、その国鉄における設備投資は本来国の政策方針に基づいて、まさに公共的立場で行われるものでありますから、道路がそうであります、また港湾がそうであるように、費用分担の原則を明確にして、少なくとも基礎施設については国がその資金の面倒を見る、財政的手当てをするというのはまたこれ当然であります。ところが、政府はそれはやらない、その資金のほとんどを国鉄に利子つき借金でやらす、そこに問題の核心があります。  とすれば、もう一度お聞きします。政府が外部からこういう形でやらせた。田中角榮当時大蔵大臣の言葉をかりれば、そのしりをふくのは一体だれなんですか、国鉄なんですか、政府なんですか、そこをはっきりしてほしいと思います。
  145. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、今御指摘の三十七年時点と申しますのは、まだ国会に出ておりませんので、当時のいきさつ等については存じません。(「なぜ調べなかったのか」と呼ぶ者あり)国会に出ていなかったから存じませんと申し上げております。しかし、私が今伺っておりまして、仮にすべての論点を――私は委員の御指摘どおりとは思いませんけれども、すべての論点をそのとおりと肯定したとしても、それはまさに公社が横風等に弱かったというその事実を立証するものではないでしょうか。しかも、公社形態というものが持ち、全国一元化経営というものが持ちますその欠陥というものがモータリゼーションの転換等についていけなかった、そしていわば交通事情の変化に対応し切れなかった、また経営の効率化が不徹底であったという中で今日の状況を迎えており、その解決の方策として、私どもは今御審議をいただいておりますような方向が至当であると判断をし、御審議を願っているということであります。
  146. 市川正一

    ○市川正一君 いみじくも今運輸大臣が申しました。総花的におっしゃったんで、私はその各論を今ここで細かくすぐにやろうとは思いません。ただ、総論的には触れておかなければならぬのですが、まず、あなたは運輸大臣なんですから、事さように鉄建公団がどういういきさつで生まれたのか、あなたとは最も親しい、最も近い間柄であろう田中角榮、当時の大蔵大臣の言動についてはやっぱりお調べになるべきです。  そこで、モータリゼーション云々おっしゃった。モータリゼーションに対応できなかったというふうに国鉄責任を負わせますけれども、しかし、そういう過激なモータリゼーションをやらせたのは一体だれですか。資料を調べてみました。昭和三十五年から五十年の十六年間で道路投資は八一%を国が支出しています。ところが国鉄投資は、国は六・六%しか出していないんです。九三・四%も国鉄に利子つきの借金をさしているんです。そういうことをやっておいて、モータリゼーションに対応できなかった、何ですか。さらに、変化に対応できなかったと言いますけれども、後で申しますあの日本列島改造論に基づいて閣議で決定をしました、貨物需要が四倍になるという見通しのもとに設備投資、国鉄に三倍押しつけたじゃないですか。そして見通しは全く狂ったんです。後でやります。そうしておいて、変化に対応できなかった。変化に対応できなかったのは政府自身じゃないですか。風通しがよくなった、公社制は外圧に弱い、そうおっしゃった。しかし、その外圧を加えたのは政府じゃないかと私は言っているんです。私はこれは例え話としては、言葉は悪いけれども、空き巣に入った者が、空き巣に入ったのは入られた家の方が悪いんだと言うような開き直りだとしか聞こえないんです。  そこで、議論を進めますが、十月二十六日付の毎日新聞の社説があります。「なぜか低調な国鉄改革論議」、これは衆議院のことのようでありますが、「国鉄借金をだれが背負うべきか、これは明らかである。「我田引鉄」を進めたすべての人人に責任がある。なかでも政治家責任が最も重い。」、こう述べている。「国鉄がなぜこのような状態になったか、これは自民党に最も大きな責任がある。鉄建公団が五十二、三年につくった鉄道の四〇%が、いま廃止路線という運命をたどろうとしている。」、こう論じておりますが、私はこれは世論の常識だと思うのであります。歴史的事実は、国鉄が言うことを聞かぬので、国鉄とは別に鉄建公団をつくって赤字の政治線を建設し、その借金国鉄に押しつける、そういう外部干渉をやったのは、この毎日新聞の社説のとおり自民党政府であり、そして公社という国鉄経営形態とは関係がないんだということを私は重ねて指摘しておきたいと思うのであります。  時間が限られておりますので議論を進めたいと思うんですが、国鉄が赤字になったのはいつからですか。
  147. 前田嘉代治

    説明員前田嘉代治君) 昭和三十九年でございます。
  148. 市川正一

    ○市川正一君 三十九年から国鉄は赤字に転落いたしました。そのことは、国鉄歴史は百十四年であります。戦後の一時期を除いて国鉄は国有あるいは公社制のもとで昭和三十八年までは基本的に黒字であったということであります。言いかえれば、経営形態にはかかわりなく黒字であったということであります。  そこで、三十九年以降こうした事態に直面しまして、国鉄財政再建推進会議昭和四十三年十一月に意見書を提出し、政府もまたこれを受けて翌四十四年の九月に閣議決定を行いました。その内容は、国鉄財政が破局寸前になったので設備投資を抑え、十カ年計画の総枠を三兆七千億に抑制するというものでありました。この国鉄財政再建推進会議意見書を受理した、時の運輸大臣がほかならぬ中曽根総理、あなたでした。総理はこの点鮮明に記憶なすっていらっしゃると思うんですが、間違いございませんか。
  149. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 多分受け取ったろうと思います。
  150. 市川正一

    ○市川正一君 私は、もっとまじめに、誠実に答弁されることをはっきり指摘しておきたい。  あなた受け取ったんです。運輸大臣だったんです。そのときに。その意見書を。そしてまた、閣議決定を私ここに持ってきました。こういうふうに述べています。「再建期間中に日本国有鉄道が行なう設備投資の規模は、おおむね三兆七千億円を限度」とする。さらに国会の議事録がある。これは昭和四十三年三月の衆議院運輸委員会での当時の中曽根運輸大臣の答弁であります。ひとつ記憶を呼び覚ましていただきたいんですが、「国鉄財政が苦しくなっておりまする理由は幾つかございますが、」「一番大きいものは、何といっても通勤輸送のために国鉄がかなりの犠牲をしいられて、いろいろ設備改善や増強をやらされているという面にも理由があるのでありまして、この面は国家がかなり肩がわりしてやらなければできない要素であろうと思っております。」、こうあなたは述べていられる。既に昭和四十三年当時において、国鉄財政が苦しくなっている理由の一番大きいものは設備投資であるということ、しかも国家が、政府がかなり肩がわりしてやらなければできないものであるということをあなたは明確に述べておられるんです。そして実際にも昭和四十五年、四十六年の設備投資額はそれぞれ三千億円台に抑えられ、軌道に乗るかに見えたんです。  ところが、これが昭和四十七年、田中内閣によってめちゃくちゃにされてしまった。あの日本列島改造論であります。それによりますと、昭和四十四年度三千五百億トンキロだった貨物輸送が、昭和六十年度には一兆三千二百億トンキロ、約四倍に伸びる、そういう想定をいたしましたし、新幹線は九千キロになるというものでありました。こうしてせっかく国鉄財政再建のために設備投資を十年間三兆七千億円に抑えるという昭和四十四年の閣議決定の方針は田中内閣によって御破算にされてしまい、昭和四十八年の二月に、ここにも私持ってまいりましたが、経済社会基本計画、そしてそれに基づくところの閣議決定によって三倍の十兆五千億円にふやしてしまいました。このときの通産大臣がこれまたほかならぬ中曽根総理でありました。御記憶でしょう。  前へ進みます。この実態を私ただしたいのでありますが、この田中内閣の設備投資の押しつけはまことに異常きわまるものでありました。昭和四十八年に設備投資計画の三倍化を決定いたしましたが、その翌年の四十九年度は六千八百四十七億円、鉄建公団分を含めると八千八百九十一億円、翌々年の五十年度は七千六十六億円、鉄建公団を含めると九千四百八十億円です。四十四年度と比べて二倍半以上にはね上がっているのでありますが、国鉄、間違いありませんね。
  151. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 国鉄の設備投資額については、ただいま先生おっしゃいました数字で間違いございません。
  152. 市川正一

    ○市川正一君 鉄建公団を含めて、以上の数字であることも間違いないという国鉄の確認を得ております。当局の確認を得ております。問題はそれだけではないんです。両年度とも収支の損益を見ますと国鉄は単年度赤字になっております。また、自前で減価償却もできない、維持、更新もできない、いわゆる償却前の赤字の状態に陥っております。そういう中で、運輸収入全体の七割、これを設備投資に投入させる、しかも足らず部分は当然出てまいります。国鉄にそれを利子つきの借金を持たせて無理やりにやらせる、こういう異常なものでありました。まさにこういうことをやれば経営が破綻するのは、公社制であるとかどうとかという以前の問題ではありませんか。  私、総理にお伺いします。変えるべきは国鉄経営形態ではなしに、こういう政府の政策をこそ変えるべきではないんですか。
  153. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) なるほど地方交通線、いわゆるAB線というものの建設が負担を及ぼしたという点もありますが、私は、それらのものもさることながら、ある一定の時限以降、たしか五十年代、四十年代の後半ぐらいからは幹線、動脈であるものも赤字になってきている。奥羽線あるいは北陸線、中央線、場合によっては山陽線もそうであったと思います、九州の各線。黒字だったのは山手線と高崎線と東海道線ぐらいのものだった。あとは大部分が赤字に転じた。それらはどうしてそういうことになったかといえば、経営、人員、能率、そういうような問題が私鉄に比べて著しく落ちてきた。そういう点があるので、今言った諸線がいつから赤字はなったか、運輸省の方からひとつ説明させます。
  154. 市川正一

    ○市川正一君 私が聞いているのは、変えるべきものは経営形態ではなしに政府の政策ではなかったのかということを聞いているんです。  それからこの機会にはっきり言っておきますが、あなたは前にも衆議院で高崎線が黒字だとおっしゃったけれども、あれは赤字に転落しているんですよ。そうして何ぼ地元のことをそういう我田引鉄なさるか知らぬけれども、これは後で国鉄にはっきり聞きましょう。高崎線は残念ながら赤字なんです。
  155. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今はそう、昔は大黒字。
  156. 市川正一

    ○市川正一君 それは上越新幹線の関係やいろいろあるんですよ。もう少し地元のこともよく調べてください。  それで、私がもう一度そこの、何か運輸大臣盛んに手を挙げていらっしゃるので、変えるべきは政府の政策でなかったのかという問題について、総理にかわって何か答弁なさりたいんですか。それがあったらやっていいですよ。
  157. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 別に総理にかわって答弁をするほど大それた気持ちはございません。しかし、政府国民の要望にこたえて施策として進行させたものが結果的に国鉄経営を悪化させたとするならば、やはり公社制というものは見直す必要があろうと思っただけであります。
  158. 市川正一

    ○市川正一君 私が繰り返して言っているのをあなたは聞いているのですか。そういう国民の要望、ニーズにこたえて国鉄が新しい線を引く、言いかえれば設備投資をやるというのは当然のことだと。  私自身国鉄におりました。私は昭和十六年から昭和二十四年まで、二十四年のあの定員法によって、レッドパージによって私は、共産党員である、国鉄の組合の幹部であるということだけで首を切られたんです。十万人の労働者と一緒に首を切られました。私の職場は、当時大阪地方施設部と言っておりました。今は大阪の工事局です。ですから、私自身そういう改良工事を含む国鉄の設備投資の重大性ということを体でもって知っております。  問題の核心は、やるならばその金は当然公共的なものだから国が面倒を見るべきだ。道路や港湾がそうです。国鉄の基礎的な設備も当然国がしりをふく。用語は汚いですが、田中さんがそう言うんだから、面倒見る、手当てをするというのがこれが政府の政策でなければならぬと、こう言っておるのです。  それからさっき私鉄云々ということを総理はおっしゃいましたけれども、国鉄と私鉄の経営形態は本質的に違うんですよ。私鉄というのはもともとは利潤追求。もうからぬところにだれか線を引きますか。国鉄は仮にもうからなくても国民の交通権を守るために線を引かなければならぬのです。国鉄国民の足を守らなければならぬのです。しかし、私鉄はもうからぬところには線を引かぬのです。戦後、集計しますと、私鉄は約三千五百キロ、営業キロの約半分を廃止しています。もうからぬからです。しかも機能的に国鉄と私鉄は違います。私鉄はターミナルへ人を運び込む、お客さんを運び込む。朝はラッシュだけれども、私鉄のターミナルは帰りまではあいておるのです。国鉄は新宿を見てください、池袋、渋谷を見てください。私鉄でずっと来られたお客さんを、それをまた運ぶんです。全然形態が違うんです。また貨物を私鉄はほとんど扱っていません。全部国鉄任せです。そうすると、私鉄と国鉄経営を同じようなレベルで、次元で比較することは決定的な間違いなんです。そのことを私は言いつつ前へ進みますが、いいですか。  今申し上げたように、無謀な設備投資の前提になった貨物需要の見通しというのはどうなったんですか。聞きたいのは、四十八年度の経済社会基本計画の見通しでは五十七年度に幾らになるか、またその実績はどうたったのか、これをひとつ示していただきたい。
  159. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 国鉄の第二次再建計画のこの時点で見込みました数値でございますが、昭和五十七年度、これは四十八年の時点で見込んだ数字ですが、五十七年度で約千四百二十億トンキロでございます。それに対して実際に五十七年度に運んだ実績は三百二億トンキロでございます。
  160. 市川正一

    ○市川正一君 今のごとく、借金して設備投資は三倍にいたしました。貨物は見通しの五分の一、これでは経営が破綻するのは当たり前です。磯崎元国鉄総裁は、昭和四十八年四月二十四日の衆議院運輸委員会でこう述べています。「五十七年度の貨物輸送量が今度の再建計画」、第二次再建計画ですが、「のポイントである」。まさに極めて重大な政策だったんです。ところが、政府の政策決定の誤りが再建のポイントを狂わせたことは明白であります。それをほおかむりして、経営形態に原因責任がある、あるいはまた対応できなかったというような議論は明らかにすりかえじゃないですか。総理でも運輸大臣でもいいです。
  161. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) どうも先ほどから御論議をいただいております点、私どもの感覚とかみ合わないところを感じております。
  162. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そもそも吉田内閣において公社制度にした。電電公社をつくったり専売公社をつくったり国鉄の公社制度をつくったというのは、民間の能率性とそれから役所の公共性と両方をうまく合わせて能率のいい新しい経営形態をつくろう、そして独立採算制をやらせよう、国が全部負担して、国営で今までのような鉄道省がやるというやり方では能率が悪いという、吉田さんあるいはその筋のマッカーサー司令部のお考え等もあったのかもしれません。ともかくそういう官と民のいいところを出し合って、そして公社制度で独立採算制をやらせようというのでやって、昭和三十九年までは黒字でいったわけです。これはある意味においては独立採算制がとれたわけです。  では、その後なぜ赤字になったかといえば、これは自動車がずっと普及してきた。それから貨物はどうかといえば、船やトラックにとられた。あるいはクロネコヤマトとかペリカンにもとられてしまった。そういうような要素で国鉄事業量は急激に減ってきた。そういう面に対する手当てや改革がおくれた。それが今日を来しておるのであって、別に過重な設備投資をしたばかりが今日の赤字の原因ではない。むしろさっき申し上げましたように、奥羽線とか山陽線まで含めて、あるいは北陸線……
  163. 市川正一

    ○市川正一君 高崎線。
  164. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 高崎線も最近です。山手線は黒字でしょう、まだ。わずか山手線ぐらいですよ、黒字は。そうなっているのはどういうことかといえば、やはりそれは設備投資じゃなくて経営形態自体に問題があった。だからこそここで経営を直さなきゃならぬと申し上げている。
  165. 市川正一

    ○市川正一君 それは全く事実に反するんです。経営形態の問題ではなしに、なぜ赤字なのか、それは再建監理委員会自身の報告答申ほあるじゃないですか。七割の長期債務、それに基づくところの利子、これによってサラ金ですよ、雪だるま式に借金と利息がどんどんふえる。その重圧に、三塚前運輸大臣の表現をかりれば、しがらみです。このしがらみで国鉄は参ってしまっているんです。じゃそれをだれがやらせたのか。政府じゃないですか。  今クロネコヤマトとおっしゃった。じゃ聞きましょう。一体日本の貨物輸送の需要は四倍になるとさっき言ったじゃないですか。ところが、その見通しは五分の一に終わったんです、国鉄の場合ですよ。じゃ全国的にその貨物の需要はどうだったんですか。これはその伸びは四十五年から六十年までの十五年間にわずかに一・三倍じゃないですか。あの日本列島改造論によってどんどんどんどんああいう、宮澤大蔵大臣の表現をかりれば、世界の政府で寡聞にして知らないというようなそういう高度成長をいわば打ち上げて、それで完全に破綻した結果がこれじゃないですか。したがって貨物全体のいわば伸びはこの十五年間に一・三倍なんです。  そこで、その貨物を中心にした設備投資を国鉄はどんどんやりました。じゃ、それは一体今どうなっている。貨物ヤードは全廃です。  聞きたいんですが、コンピューターを備えた東洋一を誇るあの武蔵野操車場あるいは北上操車場、ここへ幾らつぎ込んだんですか。そして、これはどうなるんですか。
  166. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 武蔵野操車場の建設に要した費用が二百九十六億円であります。北上操車場は二百三億円。  現在この操車場の今後のあり方につきまして検討いたしておりますが、両操車場ともに現在の貨物運営上の観点からこれを廃止いたしまして、債務償還対象用地として区分をしようとしております。
  167. 市川正一

    ○市川正一君 合わせて五百億を上回りますね、二つだけで。汽車は出て行く赤字は残るです。完全なむだ遣いじゃないですか。政府国鉄が公社制だから輸送構造の変化は対応できなかったと言うんですが、政府の言うとおり国鉄は設備投資をやった。対応できなかったのは国鉄ではなしに政府だったということは、もはや明白であります。  そこで私、問題を進めたいのでありますが、そういう中で国鉄は自助努力を重ねてまいりました。衆議院の論戦を通じて、六十年度の一般営業損益は三千二百億円の黒字であるということが明白になりました。私はこのことは極めて重大な意義を持つと思うのであります。現在の国鉄再建法に基づく経営改善計画は六十年度が最終年度であります。政府国鉄は、この経営改善計画が後のない計画、こういうふうに位置づけて、一般営業損益と幹線損益とを収支均衡を図るということを目的にしてまいりました。六十年度実績は黒字になったと思うのでありますが、結論だけ聞かせていただきたい。
  168. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 結論だけと言われますが、誤解を生ずると困りますので、前提から申し上げたいと思います。  まず、一般営業損益または幹線損益という指標は、御理解を得るため申し上げますと、事業経営の全体の姿を把握するためのものではございません。国鉄収支改善の目標を達成するまでの間における中間的な状況把握のものであります。このため、例えば一般営業損益につきましては、増収効果をもたらすような設備投資に伴う利子負担を含め利子は全く計上いたしておりませんし、東北・上越新幹線につきましても、営業収入は計上いたしますが、費用については人件費などの運営経費のみを計上して、利子負担はもちろん減価償却費も計上していないという、通常の企業経営の判断指標とはおよそ異なる計算方式であります。  このように、一般営業損益または幹線損益というものが事業の収支を把握する点で極めて特異なものでありまして、あくまでも中間的な目標の達成度の判断のための指標にすぎないということを御理解いただきました上で数字を申し上げますならば、六十年度における一般営業損益の目標値は二百億円の黒字でありましたが、決算額は三千百八十九億円の黒字でありました。また、六十年度におきます幹線損益の目標値は二百億の黒字であるのに対しまして、決算額は三千四百六億円の黒字となっております。  念のため申し添えさせていただきますが、国鉄経営全体の状況でまいりますと、六十年度も一兆八千億円余の膨大な赤字を残しておる状況であります。
  169. 市川正一

    ○市川正一君 私は結論だけ聞かせてくれと言っているのに、その前提から枝葉まで。恐らくそう言うだろうと思った。あなたは衆議院で、大臣、「大変嫌なところにポイントを絞られたと感じております。」と言ってこの答弁をなさっている。それほど痛いんですよ。  それで、今の答弁は全く的外れです。第一にあなたは国鉄再建法というのをよく読んでおらぬ。その第二条は、国鉄の「経営の再建の目標は、」「昭和六十年度までにその経営の健全性を確保するための基盤を確立し、引き続き、速やかにその事業の収支の均衡の回復を図ることに置くものとする。」、こう述べております。引き続き再建のために施策を実施するということはこれは当然のことなんです。問題は、この改善計画のポイントは、六十年度までに経営の健全性を確保するための基盤を確立するということにあるんです。その六十年度の目標は、これは超過達成したんですよ。ここがポイントなんです。  さらに第二に、利子などは除いているということをわざとらしくおっしゃるけれども、私が勝手にその利子を除いているわけじゃないんですよ。これは再建法という法律に基づいてつくられた経営改善計画、第四条そのものの目標です。すなわち六十年度には、いわゆる利子等を除いた一般営業損益を二百億円の黒字にするというのが閣議決定もした目標そのものです。こういういわば計算方法、こういう数値を目標にして、「後のない計画」としてやろうじゃないかというのが政府自身も決めた計画じゃないですか。  第三に、その目標を十六倍も上回ったわけです。それがたとえ仮にまだ端緒的なものであったとしても、国鉄の自助努力で再建が可能であるという展望が見えてきた。だとすれば、大臣は大いにこれを評価し、激励すべきなのに、「大変嫌なところにポイントを絞られたと感じております。」というように、水を差すがごとき答弁というのは全くけしからぬと思うんです。  私はそこで、この六十年度黒字というものが持つ意味ですね、これが大事だということについては、三塚前運輸大臣が本年二月十日の衆議院予算委員会でこう答弁しております。新会社が「この際新しい鉄道として再生をしてまいりますためには、過去の債務のしがらみから完全に遮断をいたしましてスタートをしていただく、それがいわゆる長期債務を免除し、さらに三島基金一兆円を付与いたしましたゆえんがそこにございます。」、こう三塚前運輸大臣が述べております。私は、国鉄にも同じようにこのしがらみを取り除けば再建できるということを、この六十年度決算は意味するのであると思うのでありますが、何も分割民営する必要はないじゃないですか、どうですか。
  170. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) しかし委員のお話とは別に、昭和五十六年の三月に臨時行政調査会が国会の承認を得て発足をいたしまして、我が国の行財政改革についての基本的な検討を加えてまいりました。そして、その中の基本答申において、他の諸問題とともに国鉄の将来に対して根本的な検討を加えるべき提言がなされ、それを受けて、これも国会において法律を通過、成立せしめました後に国鉄再建監理委員会が発足をし、その国鉄再建監理委員会答申の中で、民営分割しか将来の国鉄を本当に生かしていく方法はないという方向が打ち出されてきたわけであります。それを踏まえて精査の上、現在法律案の形で御審議をいただいておるわけでありまして、過去のしがらみを本当に振り切る新しい姿だと私は思います。
  171. 市川正一

    ○市川正一君 今橋本大臣が言われた、分割民営を打ち出したいわゆる臨調答申ですね。その臨調が根拠にしているというのは、国鉄経営改善計画の達成は極めて困難だ、だから公社制を改めるというふうに言っているんです。あなた首をひねっておられるからそのとおり読んでみましょう。「「後のない計画」といわれる現行経営改善計画も、」「その進捗状況をみると、計画の達成は極めて困難と考えざるを得ない。」、だから「公社制度そのものを抜本的に改め、」云々と、こうなっている。ところが、その目標は超過達成したんです。とすれば、臨調の見通しは完全に崩れているんです。とすれば、なぜこれに固執しなければならぬのですか。なぜ分割民営をやらなければならぬのですか。どうですか。
  172. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 現実にどれだけの長期債務があるかをお考えいただけば、将来に向けての発足の姿を新たな体系をもって対応しようとする我々の気持ちは御理解をいただけるはずであります。
  173. 市川正一

    ○市川正一君 どれだけの長期債務、額は知っています。問題はその中身です。  では、その長期債務というのは一体だれがつくったんですか。国鉄じゃないですよ。第一に、今言った膨大な、年間一兆円というようなそういう設備投資をどんどん押しつけたのは、国鉄の利子つき借金でやらせたのは政府じゃないですか。  それから特定人件費というのがあります。これはもともと国鉄には責任のない問題です。私自身、国鉄に戦前、戦後おったわけです。あの戦後、旧満鉄その他から引き揚げてきた人たち国鉄が国の政策としてお引き受けしたんです。私も戦後の国鉄の復興にこれらの人たちと一緒になって頑張ってきたんです。ですから、この人たちが退職した年金や退職金、これは本来国が持つべきものです。いわば長期債務の中で圧倒的な比重を持つこの設備投資の借金、その利子、そしてこの特定人件費、これが問題なんです。私が勝手にそう言うているだけじゃないんです。国鉄の監査委員会も、昭和五十二年以来、九年間にわたって繰り返し繰り返し政府に重要なそういう意見を提起しております。例えば六十七年度の、これは昭和五十二年でありますが、監査報告書では、債務国鉄経営を圧迫する要因となるのは必至である、また特定人件費も政策遂行上生じた要因であるということを指摘して、国の政策の補完または代行として国鉄が肩がわりしている、緊急に解消さるべき課題である、こういうふうに述べております。  この報告書は歴代の運輸大臣がいずれも承認している公式文書です。あなたは、その当時運輸大臣でなかったとまたおっしゃるかもしらぬけれども、これはやはりちゃんと政府として継承しなければならぬのです。それにもかかわらず、政府はこの報告書、意見に対して抜本的な対策を何もとってないんです。私はこの点からも政府責任は二重、三重に重大であると思いますが、いかがですか。
  174. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ですから、先ほどからいろいろな角度から御論議がございますけれども、総理も先ほど触れられましたように、政府責任が全くないと私どもは一度も申しておりません。しかし同時に、そういう問題点を解決していくためにも、あなたの御議論に百歩譲ったとしても、やはりこの分割民営という方向をとっていくことが答えとして正しいということも申し上げております。
  175. 市川正一

    ○市川正一君 政府責任だということを認められた。だとすれば私は……
  176. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いや、認めたとしても。
  177. 市川正一

    ○市川正一君 百歩じゃないですよ。今までの議論を通じて、あなたは政府責任だというふうにおっしゃったんだから、だから……
  178. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いや、認めたとしても。
  179. 市川正一

    ○市川正一君 ということは、実質上認めているんです。
  180. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) でないと会話が成立しないんです。
  181. 市川正一

    ○市川正一君 だから、私はこの機会に政府が法案を撤回すべきだということをはっきり申し上げたいと思うのであります。  そこで私は、こういういわば黒字基調というのは、六十一年度の今の趨勢から見ればずっと広がっているんです。言いかえれば、六十年度のこの黒字基調というものは国鉄の労働者の血のにじむような努力によって今築かれている。これをそのまま放置しておくと、ますます分割民営の論拠がなくなる。そこで強行しようとしているのが今の政府の姿勢です。  私は、そうまでして強行しようとするねらいは、本質的に二つあると思うんです。一つは、国民の共有財産である国鉄を解体処分して、財界、大企業にそれを分け取りさせてやる。もう一つは、日本の労働運動で大きな役割を果たしている国鉄労働組合をぶっつぶしていく、この二つにあると思うんです。  前者の問題について言えば、国鉄用地七千カ所、三千三百ヘクタール、これを七兆七千億円で財界、大企業に売り飛ばそうとしている。しかも算出基礎を出さぬ。財界へはこういう大盤振る舞いをする反面、国民には何がもたらされるか。私は四つあると思う。  その第一点は、政府がつくり出した赤字のツケ、国民負担にして十四兆七千億、一人当たり十三万円を押しつける。二つは、毎年三ないし六%の運賃値上げです。第三は、ローカル線や一部幹線を含めた不採算路線の切り捨てであります。第四は、国民の命にかかわる安全問題であります。私はこの四つを申し述べる時間がもうなくなってまいりました。  一つだけ言いたいのは安全問題です。  先ほど昼のテレビを見ました。ゆうべ東海道新幹線が架線故障して二十四本、二万一千人の乗客が足どめになりました。ところが、原因は何ですか。十月二十五日の定期検査で架線が基準の八・五ミリを下回っている、すり減っているということが発見されているにもかかわらずそれが放置されたことじゃないですか。同様のことはいろんな部門で各地にあります。  私がここに持ってきたのは大阪の吹田機関区で、これを見てください。(資料を示す)これは動輪、車輪です。ここにフランジというのがあるんです。このフランジがすり減って下の図のようにこうなっておるんです。そのために五月九日、五月二十二日、同じく二十五日、十月一日、同じく七日に安全基準に違反してすり減っているということを職場の労働者が指摘しました。しかし、それが放置されていたんです。ようやく最初発見したときから十日後にこれを修理いたしましたが、現在この転削作業が十八件も行われております。  これは東京にある山手電車区、昔の品川電車区、あそこの車輪、これを路面といいますが、レールとすり合うところです。この路面がめくれてひび割れが入っておるんです。そして、品川電車区では九月末現在で、本年度既に二百十四面、例年の三倍ないし四倍の数字です。こういう事態が起こっております。  なぜこういうことが続出しているのか。一つは、人減らし合理化で車輪や線路の検修の周期が延ばされているんです。加えてベテランの労働者が国労の組合員だというだけで広域配転組によって玉突き人事で余剰人員にされて、それが人材活用センター、いわゆる人活センターに送り込まれているんです。  国鉄に聞きますが、この人活センターというのは、ここに送り込まれた人たちは一体どんなことをしているんですか。
  182. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 国鉄の答弁の前に、私から先ほどの御論議の後にちょっとつけ加えて申し上げたいと思います。  最初、私はなかなか議論がかみ合いませんと申し上げたらしかられました。ですから、議論をかみ合わせるために、百歩譲ってと政府責任を申しましたところ、百歩譲った部分をとられるのであれば、私は政府責任という言葉を撤回いたします。
  183. 市川正一

    ○市川正一君 この点はきのうの社会党の青木薪次委員の質問に対しても、総理は、政府にも責任がある、こういうことをおっしゃっていました。ですから、そういう意味では、何も百歩譲って政府責任があるということは、総理は言っておられません。そうでしょう、青木委員
  184. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いや、私が先ほども申し上げておりますように、青木委員にきちんと御答弁を申し上げたときには、これほど青木委員は興奮した御論議をしておられませんでした。そして、その中で私は認めるべき責任は認めてまいりました。ところが、大変私の御答弁申し上げております部分のみを強調されますと全体の様子が変わります。ですから私は、今あなたとの論議の先刻申し上げた部分のみを取り消させていただいておるわけであります。青木委員に対する答弁を取り消しておりません。
  185. 市川正一

    ○市川正一君 じゃ、議事進行してください。
  186. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 人活センターで何をやっているかというお尋ねでございますが、今までの国鉄のノーハウを全部ここに出しまして各種の仕事をしておる、本来業務以外のものであることは間違いございませんが、例えば増収施策といたしまして、各種の団体旅行等の募集、いわばセールスマンとして活動をし、あるいは国鉄が直接経営いたします直営売店での従事を行い、あるいは直営売店での販売品の製作を行うというような点、あるいは経費の節減政策といたしまして、外注業務を暫定的にこれは直営化いたしまして、そうした仕事をやらせているということ、あるいはまた教育等の関係では各種の転換教育、多能化教育あるいはパソコン教育等々の教育を実施しているところでございまして、本来業務と何ら変わりのない重要な仕事であるというふうに我々は認識しております。
  187. 市川正一

    ○市川正一君 まじめに総裁答えてください。ここに持ってきたのは、「国鉄収容所からの告発」という人活センターに入っている人たちがどういう仕事をやっているかということを写真で告発しているんですよ。見てください。(資料を示す)これは文鎮づくりです。これは床掃除です。これは草むしりです。草むしりや文鎮づくりや床についているチューインガムのはがしがどうして人材活用ですか。しかも、自殺者が出た、組合と遺族の方がその追悼集会をやろうとしたら国鉄当局は弾圧したじゃないですか。まさに人間のやることじゃないです。しかも、この人活センターに送り込まれている人は圧倒的に国労と全動労の組合員です。まさに国労つぶしじゃないですか。国労を脱退すれば人活送りを許してやる、そういう脅迫は枚挙にいとまがありません。資料を、委員長、配付いたしたいんです。    〔資料配付〕
  188. 市川正一

    ○市川正一君 国鉄に伺いますが、十月十六日にブロック別の総務部長会議が開かれているはずでありますが、間違いありませんか。
  189. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) おっしゃるとおりの会議を行っております。
  190. 市川正一

    ○市川正一君 今お配りしました資料の中にその十六日の文書がありますが、その二枚目の四項の「人材活用センター」という中に、後から六行目でありますが、「(更正者も含む)と、こうあります。この「更正者」というのは一体何を指しているんですか。
  191. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 今の市川先生から提出されました資料の二枚目につきましては、私は全然見たことがございません。また、中身につきましてお答えをすることもできません。
  192. 市川正一

    ○市川正一君 あなたはその部長会議があったと言うんじゃないですか。その部長会議のこういう「更正者」という表現、こういう文言、これは国鉄用語ですか。
  193. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) この資料に書かれてある「更正者」という表現も私知りません。国鉄用語ではないと思います。
  194. 市川正一

    ○市川正一君 これは公式の文書です。更正者というのは、辞書などによっても、犯罪を犯した者で反省の成果が上がった者という意味であります。いつから国鉄は監獄になったのか、分割民営反対する労働者を犯罪者扱いにして、分割民営に賛成すれば、国労から脱退すれば人活センターから出してやる、そういう思想も信条も人権も無視した脅迫じゃないですか。何が人材活用ですか。これは思想や信条の転向を強要する収容所じゃないですか。私はこういう更生者呼ばわりはやめて人活センターを直ちに廃止せよということを要求します。  そこで聞きますが、この法案では国鉄が今やっている鉄道事業を新会社が引き継ぐことになっておりますが、その際に、今国鉄で働いている職員、労働者も引き継ぐことになるのかならないのかはっきりしてほしい。
  195. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 今回の改革法案によりますと、新会社、新しい承継法人は国鉄職員の中から募集をするという形で新規採用をすることになっております。
  196. 市川正一

    ○市川正一君 国鉄職員の中から募集するということは、じゃ一たん国鉄職員としての身分は喪失するということですね。
  197. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 新規採用方式でございますので新しい会社に行くときにはこれはもちろん国鉄職員ではない、一たん国鉄職員は三月三十一日に職員としての身分を失って、そして四月一日に承継法人の場合には新しい承継法人に採用されるという形になります。承継法人に行かない職員、これはそのまま身分を存続したまま清算事業団職員となるわけでございます。
  198. 市川正一

    ○市川正一君 鉄道事業というのは線路や列車などの施設とか資産だけじゃやれぬのです。汽車は動かぬのです。労働者がおらなければ列車は動きません。ところが、職員、労働者は引き継ぐんですか、引き継がないんですか。
  199. 林淳司

    政府委員(林淳司君) いわゆる電電公社がNTTになった場合、あるいはたばこ産業の場合のように承継という形ではなくて、現在の国鉄職員の中から新しい承継法人が新しく職員を採用する、新規採用するということでございます。
  200. 市川正一

    ○市川正一君 そういう詭弁は通らぬですよ。新会社は二十三条によって新たに労働条件を示して、そして新しい職員を募集し、採用する、こういうわけでしょう。新たに募集し、新たに採用するということは、一たん国鉄はやめるということじゃないですか。それ以外の者は一体またどうなるんですか。ですから、私が聞きたいのは、新たに募集し、新たに採用するということは国鉄職員としての身分を失う、言いかえれば解雇されるということを意味するんでしょう。
  201. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 解雇ではございませんで、現在の国鉄職員の希望を調べまして、その希望に基づいて新規にその希望する者の中から新しい新会社に採用をされていくということでございますので、いわゆる強制解雇ということではないわけであります。
  202. 市川正一

    ○市川正一君 強制であるとか強制でないかということは今おきましょう。身分を失うということは国鉄職員でなくなるということでしょう。ということは、国鉄からの職員としての身分を失う、すなわち職を失う、首を切られるということですから、やめるということじゃないですか。そこをあなたごまかしたらだめですよ。どうなんですか。
  203. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 新しい会社に新規に採用されるわけでありますから、したがってその直前の時点で国鉄職員の身分を失うことはそれは当然でございます。
  204. 市川正一

    ○市川正一君 そう早く言いなさい。だから国鉄の身分を失うわけです。やめるんです。  そうすると、新会社に行く以外の者はどうなるんですか。鉄道事業を全くやらない清算事業団に移行する。この場合も事実上国鉄職員としての身分を失うわけでしょう。
  205. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 先ほど申し上げましたように、承継法人に行く職員以外の職員はそのまま清算事業団に残るわけでありまして、清算事業団はこれは現在の国鉄の法人格をそのまま引き継ぎますので、したがいまして清算事業団職員は現在の国鉄職員の身分というものをそのまま持って清算事業団に行くわけであります。いわゆる労働契約その他についてはそのままの形で清算事業団職員になっていくわけであります。
  206. 市川正一

    ○市川正一君 清算事業団というのはこれは鉄道事業は引き継がぬのです。国鉄の今やっている仕事はやらぬのです。ということは、今現に鉄道事業に従事している職員、それは鉄道事業から切り離されるということです。ということは、事実上の解雇じゃないですか。鉄道事業から離す、切り離してしまわれる、清算事業団にそれを移行すると言ったって、じゃ国鉄の仕事も一緒に行くんですか。行かぬじゃないですか。これも解雇じゃないですか。
  207. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 当然現在の国鉄清算事業団では仕事の内容は変わってまいります。しかし、清算事業団は現在の国鉄がそのまま法人格を、同一法人格のまま清算事業団になるわけでありますので、したがって職員もその身分というものはそのままの状態で、すなわち労働契約は切れずにそのままの労働契約の状態清算事業団職員になっていくわけであります。
  208. 市川正一

    ○市川正一君 三年先にはこれはもう完全に首切られます。しかし、その瞬間においても一たんは全員解雇されてしまうんです。特に清算事業団に行く人たちは、鉄道事業をやらないというんですから、現に鉄道事業に参加している職員、労働者、これはそこから離されるんですから、これは実質上の解雇じゃないですか。また、新会社に行く人たちも、新たに労働条件を提示して、募集し、新規採用するというんですから、これもあなたがさっき言ったようにその身分を失う。言いかえれば解雇です。そうすると、今の国鉄職員というのは文字どおり全員解雇されるということです。今までこういう前例はないんです。  しかも三月末をもって国鉄職員の身分を失うことになる国鉄労働者は、実質上のこういう全員解雇というその身分において、その労働条件において重大な変更があるのに、団体交渉すらできない、そういう状態に置かれております。まさにこれは憲法の第二十七条労働権、第二十八条労働基本権に根本的に反するものです。総理、こういう事態、憲法違反でないとあくまでも強弁されますか。
  209. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 憲法違反でないと思います。もし御疑問があれば、法制局長官から答弁させますが。  先ほど私が御答弁申し上げた赤字の問題ですが、赤字に転落した年度を調べさしてみましたら、奥羽本線は昭和四十年から赤字、それから中央線昭和五十五年、それから東北本線は昭和四十八年、東海道線は昭和四十五年、山陽線は昭和四十七年、鹿児島線は昭和四十年、高崎線が昭和六十年、こういうふうに大体昭和四十年のいわゆるモータリゼーション、長距離トラックがどんどん発達してきたこのころから、動脈である東北線から奥羽線から東海道線から山陽線から中央線から鹿児島線まで、日本の大動脈が全部赤字に転じたんですよ。いわゆる田中内閣が鉄建公団でAB線、地方線をつくらしたと言うが、あれはひげ線と我々は呼んでいましたけれども、あれの赤字というのは大したものじゃないんです。大きな赤字というのは、この大きな大動脈からくる赤字が大きいのです。つまりそれは長距離トラックが発達したとか、つまりそういうような時代に適合しない経営、あるいは私鉄に比べて不能率ないろいろな勤務状況、あるいは経営の拙劣さ、そういうものが原因でこれだけの大赤字が出てきたんだと。おわかりになっていただけると思うんです。
  210. 市川正一

    ○市川正一君 私は今憲法問題をお聞きしているんです。先ほどの議論の何かあなたが失地挽回のために、また時間が限定される状況を見計らってそしてやるというのはまことに卑劣きわまるんです。委員長、もう少し時間をいただけるならば、先ほど答えられなかったことをまたここで蒸し返すことは私はフェアではないということ申し述べて議論を進めざるを得ないんですが、しかも政府は……
  211. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 市川君、法制局……
  212. 市川正一

    ○市川正一君 いいんです、これはもう言うことはわかっていますから。  しかも政府は、新会社職員採用はこの法律が成立した後、新会社の設立委員が決定する採用基準及び労働条件を提示して募集することになっているのでそれまでは選別の作業はできないし、やってない、こう答えた。しかし他方では、新会社の発足に当たって長期債務はどうする、三島には基金を上積みする等々の骨格は、設立委員がまだできてないのにどんどん進んでおるんです。ところが職員については、労働条件の骨格をどうするか、そういうことも答えない。そして結局団結権、団体交渉権も奪い取って実質上の全員解雇という前代未聞のファッショ的な手口で首を切った上で、労働条件は白紙委任、当局の言いなりになる者は新会社に採用し、それ以外の者は余剰人員ということで清算会社に送り込んでいく、鉄道事業から切り離してしまう。事実上の指名解雇までやろうとしておるのであります。  実際に国鉄再建監理委員会亀井委員長は、読売新聞が報道しておりますのでは、組合対策には分割民営化しかない、頑張りましょうやと語っております。したがって、雇用対策と称して分割民営反対の立場をあいまいにするような一部の傾向は、これは私は労働者、労働組合員にとってもまさに自殺行為と言わざるを得ぬと思うのでありますが、現に国労つぶしのための振り分け、組合所属や思想、信条、分割民営に対する考え方などによる言語道断の差別、選別が行われております。  その一つが衆議院で我が党の東中議員が取り上げました東京電気工事局電力課の問題であります。この点、東中議員もあのときに調査を要求いたしました。私もこの質問に先立って調査を要求いたしましたが、総裁、その結果はどうでありましたか。
  213. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 衆議院の東中先生からの資料を拝見いたしました中身といたしまして、人の名前がたくさん書いてございます。やはりこれが実在の人物であるとすれば、勤務評価等が書かれておる文書というものが非常にやはりプライバシーに関係があるということで、私はその場でこれはお答えすることができないというふうに申し上げたわけでございますし、また事実私どもは振り分けについての作業を本社から地方へ向けて指令を発したことは一遍もございませんし、また地方におきましてそういう行動はとられておりません。したがいまして、かかる資料、文書につきましての調査の必要はないというふうに判断をいたしております。現在まだ調査をしておりません。
  214. 市川正一

    ○市川正一君 こういう態度で、委員長、私は審議はできぬと思うんです。責任あるまじめな答弁をさしていただきたいと思うのであります。  具体的に聞きますが、あの資料に記載されておりました職員は実在していたんですか、していなかったんですか。
  215. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) あの資料に関するお答えは私は差し控えさしていただきたいと思いますが、その後の起こりました事態といたしまして、東電工の職員の十一名の諸君が東中先生に対しまして抗議文書を渡したということを聞いております。
  216. 市川正一

    ○市川正一君 語るに落ちるだ。そういうことをあなたどうして知っているんですか。
  217. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) そういう事実が耳に入ったということでございます。
  218. 市川正一

    ○市川正一君 そういうことが耳に入って、正式に国会に提出した資料に対しては何ら調査もしてないじゃないですか。(国務大臣中曽根康弘君「資料がインチキなんだ」と述ぶ)インチキならインチキだということで、事実に反するというふうに答えればいいじゃないですか。総理、そうじゃないですか。(国務大臣中曽根康弘君「資料がないと言っているんだ。実在してないと言うんだ。答える必要ない」と述ぶ)美空ひばりの歌に「柔」というのがあるんです。勝つと思うな思えば負けよという。あなたは、あると思うな思えば負けよです。厳然としてあるのに、ないないと言っているのはあなただけじゃないですか。  そこで、このお配りしました資料の(B)というのが「職員管理調書の作成について」という文書なんです。今総裁が、本社としてこういう調査、振り分けは指示してないと言ったけれども、ここにちゃんと書いてあるじゃないですか。この(B)以下の資料に基づいて全国各地でやっているんですよ。総裁、どうですか。
  219. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) (B)以下の資料は、これは国鉄として各個人個人、職員の勤務状態を正確に調べるという必要があるための職員管理調書の中身でございます。これは現実やっております。
  220. 市川正一

    ○市川正一君 東電工の資料は全くこれと符節一致するんです。二十一項目の調査項目、それに従ってこのとおりにやっておるんです。言いかえれば、現にこれがやられているというその大もとが、国鉄が裁判所にも出し、そして我々にも提示したこの資料です。総裁、あなたはじっとそこで黙っておれば済むというものじゃないんですよ。テレビでずっと国民はあなたを、何ぼしら切っても何が真実かということを国民は皆知っているんです。少しは恥を知りなさい。  私、総理にお伺いしますけれども、ある駅の職員のことでありますが、「老夫婦が大きな荷物を持ち困っていたのでホーム乗車口まで荷物を運び感謝された。」「旅客がホームで気分が悪くうずくまり歩行も困難であるため、休憩室まで手を添えて歩き休まして帰した。翌日、親切にしていただいたお礼にと花が部屋に届いた。」「室内を整理、手待ち時間を利用して帽子かけ、はさみかけなどをつくり室内の美化に努めた。」「当日一交代勤務の森職員が急病のため、本人は非番であったが代務に快く応じた。」、こういうふうな報告が出ておりますが、こういう人はまさに模範的な駅員さんだと思うんですが、いかがでしょうか。
  221. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いや、そういう心根のやさしい駅員さんも随分多いです。私は恐らく大部分の駅員さんがそういう心根のやさしい方々であると思っています。駅なんかに行きますと駅長室にいい絵がかけてありますね。この絵はだれがかいたんですかと言うと、職員がかいたんですと言う。そういう趣味も豊かな、立派ないい職員も多いと思う。元来国鉄というのは地方でも昔エリートが入る場所であったんですよ。ですから今でもそういう立派な職員が非常に多いと思うんですが、何がそういう職員をスポイルしたかという点は我々はまた研究しなければならぬ問題がある。
  222. 市川正一

    ○市川正一君 ところがその駅員さんが、これは御本人の了解も得てここで申し上げますが、この人が分割民営反対なんです。そうしますと、一方ではこういう立派な駅員さんだということを報告しながら、他方ではこの人が分割民営反対だということで最低の⑤という評価になっているんです。松山駅のことです。松山駅の資料も既に東中議員が衆議院で出しております。そして、駅長の綾田さんという人の判こが全く公印と一緒だということもその資料でお見せしたかったのでありますが、時間が参ったようであります。  私は、なぜこういうふうな見え透いたうそを言うのか。結局憲法違反の全員解雇、国労つぶし、これを追及されるのが怖いからです。私は、昭和二十四年から二十五年にかけての定員法、レッドパージによって十万人の労働者とともに、国鉄労働組合の幹部である、共産党員であるということで、それだけで不当に首を切られた一人であります。断じてその再現を許してはならぬと思っております。私は、そのときの体験からしても、最後日本鉄道株式会社法案なる社会党案について一言触れておく必要があると思うのであります。  今政府が、今日の国鉄経営破綻の原因が公社制という経営形態にあるということを分割民営論の論拠としているときに、社会党案は、現在の公共企業体という経営形態にかえて民営化、株式会社にしようとしているものであります。これでは公共企業体放棄という点で政府と同じ立場に立つものと言わなければなりません。  社会党案は、利潤第一主義の民営とは違った民営であるかのように、例えば株式の七〇%以上を政府が保有するとか、経営委員会を設置するなどと規定しておりますが、これは何の歯どめにもならぬことは、現に三五・五%の株を政府が持っている日航で、あの惨事を引き起こしたこと一つをとっても明らかであります。  また、社会党案は、非分割全国一社体制を掲げておりますが、本来財界、大企業にとっては分割抜きの民営化というのはあり得ないし、土台は民営化にある。その土台に賛成して分割だけに反対しても、それは無力であると言わざるを得ません。  私は、国会の論戦を通じて、また国鉄労働者を初め国民の世論と運動を通じて、国鉄の赤字の真の原因責任が歴代の自民党政府にあることが明らかになっているときに、今こそ分割民営反対国民の共有財産である国鉄を守れという旗印を堅持して闘うときであるということを強調し、私の質問を終わるものであります。(拍手)
  223. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、この国鉄改革関連八法案についての質問をしてまいります。  まず、この百十四年からの歴史をつづってきた国鉄が、事実上において倒産というような形になって分割民営化をされるわけなんですが、なぜこういうことになったのか。その辺の解明から私はまずしてまいりたいと思うんです。  私なりの見方から言うならば、最後の十五年間に問題があった。先ほどからお話が出ているように、昭和三十九年、国鉄は赤字に転落したけれども、問題の発端というのはむしろ昭和四十六年のあの償却前赤字になったあのころからではないかというのが私の見方なんです。民間であるならば、償却前赤字といえば、これはもう会社更生法の適用を申請しなければならないという赤信号なんです。必死になって合理化をやって、そこから脱出しようとするわけだけれども、国鉄はその辺が十分に行われてなかった。  それから二つ目のポイントとしては、昭和五十年の秋、十月から十一月にかけて、総評系の国労が八日間にわたって全国の列車を約十八万本から全部とめたんです。このときに国鉄当局が何をしたかといえば、賃金カットをしたのはわずかに四%。九六%の人たちには全部給料を払っておったんです。そして赤字がかさんできたならば、今度は政府は二兆五千四百四億というものを棚上げをしてあげましょうという大変温情ある措置をとられたんです。  第三のポイントとして私が申し上げたいのは、あの昭和五十二年に国鉄運賃の法定制緩和をつくった。これは別に私は問題ないと思う。当時国鉄運賃だけが国会の議決を経なければ変えられないというふうなことだったんですから、この法案そのものはよろしいんだけれども、その後における国鉄運賃の値上げのやり方というものは、この法律をつくるときにかなり厳しい制限条項があったんです。ところが国鉄はそれを守らない。いつかだれかが気がついて改めると思ってじっと見ておったんですが、いつまでたっても直しませんから、五年ほどたったときに、私は予算委員会で、今国鉄がやっている運賃の値上げ、あれは全部違法なんですよ、何でそういうことを続けるんですかと。ところが、運輸省の幹部も国鉄の幹部も、そのことの意味がちんぷんかんぷんでわからない。最後国鉄総裁が出てきて、御指摘のとおりでございます。つい惰性でもってそういうことをやってきてしまいまして申しわけございませんと言って謝られた。  私は、そのとき、ですから本来ならこれ全部さかのぼって計算をし直して国鉄運賃を下げなくちゃいけないんだけれども、それをやるといったらこれはもう大変なことになるからそこまでは責めません。しかし、決まったことはちゃんと守ってくださいと、しかし、国鉄総裁からはおわびの言葉を聞いたけれども、その違法の運賃値上げを認可しておった運輸大臣からはとうとう今日に至るもただの一言もその言葉を聞いておりませんです。  それから四番目のポイントというのは、あの五十五年の国鉄再建法、いわゆるローカル線をばたばたみんなぶった切ろうという、このときも、先ほどのこれは総理の御答弁の中でも出てくるんですが、そうなんです。国鉄の赤字はローカル線じゃありません。それであのときも私は申し上げたんですが、ローカル線四千キロの赤字と山陽本線のわずか五百四十キロの赤字とがちょうど同じなんですよ。だから、今の国鉄の赤字というのはローカル線ではなくて幹線なんです。幹線に問題があるということは、それだけ労使関係が乱れており、信賞必罰のけじめがきちんとついておらぬことで、いかに職場がそういう点でもって乱れておるか。  それで、最後の締めくくり総括のときに当時の鈴木総理が参りましたので、私は言ったんです。三年前国鉄法案をここで審議して、今おられるのは国鉄総裁がただ一人、あと運輸省の幹部も国鉄の幹部も全部もうかわっているんです。そんなことでどうして国鉄の再建ができますか。今度は、この再建法ができたら、今おられる方にある程度のめどがつくまでやらしてあげてください。それである程度のめどがついたら、そのときにその人たちは二階級特進でも何でもさせてあげたらいいじゃないですか。そう言ったのが、それからわずか三週間もしたら、運輸省の中の一番のかなめの鉄監局長が運輸省から総理府に転出をしてしまった。運輸省というところはこれで国鉄再建を本気でおやりになる気があるんだろうかと思ったんです。事実、そのことをやって三年後には、また赤字が営業収入の五割を超えるようなそういう状態になって、そして国鉄再建監理委員会ができる。  したがって、五番目のポイントとしては、私は五十九年に再建監理委員会分割民営化という基本的な方向を打ち出したときだと思うんです。このときに国鉄の幹部は、言葉が適切じゃないかわかりませんけれども、素人に何がわかるかと言わんばかりにしてその再建監理委員会の基本方向に対して猛然と反発をしたんです。何であのときに、本来ならば自分らがやらなきゃならないのを再建監理委員会ができて、再建監理委員会のお世話になるということすらも恥ずかしいことだと私は思うんですよ。  結局がたがたして、やっと今この国鉄の再建について分割民営化の法案の審議をしている。二年おくれました。それで、このがたがたして二年おくれた間に何が残ったかというならば、約五兆円からの借金がふえただけなんですよ。ですから私は、そういう意味では、この分割民営化の法案の審議というものが遅きに失した。それだけ借金を膨らましただけでした。  そして、ぜひおわかりをいただきたいのは、先ほども議論されておりましたけれども、私も国鉄の法案を何回もやってまいりましたが、本会議でも言いましたし、この委員会の場でも言いましたが、国鉄をこういう状態にしたのはだれなんですか。それは国鉄の当事者にも大きな責任がある。しかし、政府にも責任があるんですよ。同時に我我国会責任があるんですよ。その認識に立たなければあの大きな国鉄の再建なんかできるものじゃありません。  そして、ここでもって、そういう意味でもって総理運輸大臣にぜひお答えをしていただきたいと思いますことは、先ほど総理も言われました。昔は国鉄職員といったらみんなエリートだった、自分が国鉄マンだということについて誇りを持って、そして、そこに生涯国鉄でもって自分は働くんだということに生きがいを感じて、国鉄を愛し、国鉄を守ってきたわけです。それがあのとおり一分も狂わずに列車を走らせる。雨が降って線路が危なくなるといえば、どしゃ降りの中へ出ていって、そして線路を守って列車を通したわけでしょう。そういう自分が生涯をかけて国鉄マンであったということに誇りを感じ、生きがいを感じておったこの人たちが今国鉄OBになっているんだけれども、その自分たちが愛し、守り抜いてきた国鉄が、今こうして消えてなくなっていくということについてどんな気持ちでいるだろうか。  そういう点について私は、総理がこの国会の冒頭、所信表明演説をなさるときも一言そういうことをお触れいただいたならばと思ったんですが、あのときにもお聞きする機会がございませんでしたので、この機会にそういう点について総理並びに運輸大臣からまず御心境のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  224. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員るるお述べになりましたそれぞれの事項につきまして、私どももそれなりの感懐を持ちながら伺っていたところであります。そして、その長い歴史を、今回の法律案審議が終了し、成立をし、その改革が進められた結果、閉じて、新しい姿に変わっていくわけでありますが、今日までの国鉄の持っておりましたよりよきポイントというものは、私どもは新会社にも伝えられていくべきであると考えておりますし、また伝えられていくでありましょう。よりよき新会社の発足を迎えることができるように全力を尽くしてまいりたいと思います。
  225. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は、きのうもここで申し上げましたように、国鉄日本の経済及び文化に貢献してきた歴史をたたえまして、本当に御苦労さんでありましたと心から思っております。  特に、私の生涯から見まして、あの終戦直後に列車を動かしていてくれたということ、復員の軍人たちが舞鶴へ帰り、長崎より田辺に入って列車が動いているのを見て、自分の故郷へ帰れるという喜びを味わった。あれはもう実に偉大な力であり、貢献であったと思うのです。あの窮乏の中でよくぞ動かしていてくれたと思います。その後も満鉄の方々やその他大勢の人を収容してくれて、日本のある意味における危機を救ってくれたと思うんですね。しかし、その後いろいろな社会経済条件の変化等を経まして今日の事態に至ったということは、今まで鉄道を建設し守ってくれた先輩に甚だ申しわけないと思う次第でございます。  しかし、今そう過去を悔やむときではない。もう職員、組合員一致団結して新しい交通体系の中に国鉄の活路を見出さなければならぬときでありまして、政府としてはいろいろ知恵を傾け、審議会におきましても御審議を願いまして、この道以外にないと確信した最後の案を今回提出したのでありまして、慎重御審議の上、ぜひとも早く実現できるようにお願いいたしたいと思う次第であります。
  226. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 何としてでもこの法案の成立ということは成功させなければいけないと私は思うんです。ただ、いろいろ非常に問題がありますし、それからもう一つ、これも今国鉄OBのことを私言いましたけれども、今の職員の中にも本当にみんなまじめに一生懸命やっている方がいらっしゃるんです。  私、車掌さんからこういうものをもらったんです。「ご乗車記念 昭和六十一年八月二十九日 本日、あなたはしらさぎ一号で名古屋から金沢に御乗車されました。ありがとうございました」。車掌さんはこれを私のところへ持ってきまして、そして、上司から言われているんじゃありません、自分のアイデアで少しでも国鉄を利用していただきたい、そういう気持ちでこういうことをやっているんですと。  先ほど総理も同僚の委員の質問の中にお答えになっておりましたけれども、総理がおっしゃったとおり、私もそう思うんですよ。大多数の職員の皆さん方は一生懸命働く気があるけれども、その上に立つ人たちが、別に私は今の国鉄の幹部にとやかく言うつもりはないけれども、しかし過去においてどちらかというと、これも私は国会の場で言ってきたこともあることですけれども、国鉄には重役はいるけれども経営者がいない。ですから、そういう点で上に立つ人たちがきちんとしていなかったことがこういう羽目になったんですということで、今やっている職員人たちも一生懸命苦労して頑張っているんですということを理解しておっていただいて、それで次にはこれは運輸大臣にお聞きをするんです。  今までの国鉄ではだめだといってこの改革法をおつくりになったわけでしょう。それで、六つの旅客会社一つの貨物会社分割をして民間企業体にしますと。ところが、この改革法のこれを見ますと、何でそれを新株の発行から社債の募集、長期借入金から代表取締役の選任、解任からごたごたごたごたと言って運輸大臣の認可事項になさるんですか。今までのやり方ではだめでした、民間企業体にしてそうして活性化してやっていただくんですというならば、やっぱりお任せしたらよろしいと思うんです。  ただ、そうはいっても、これだけの百年からの歴史のあるものの大改革をやるんですから、なかなかうまくいくかいかないか、これはもう大変なことだと思うので、三年間なら三年間ぐらい経過措置で、これこれの点については政府でもって行政指導でチェックいたしますよと言っておけばいい。長期借入金なんというものまでも大臣の認可事項にしておったならば、逆に政府がそれに今度は責任を負わされることになるんじゃないのですか。もう民間企業体にしたら、その重役が銀行へ行ってお金を借りようがどこへ行って借りようが、お金を貸してくれなかったならば自分が一生懸命になって企業努力をして金を貸してくれるような企業体にしなきゃならないといって重役の人たちは頑張ると思うんです。  だから、せっかくここまでおやりになるんだから余り政府が介入をしない方がよろしいと思うんですが、その点はいかがですか。
  227. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は委員のお話に基本的に異議を申し述べるものではございません。むしろ、分割し民間企業となっていっていただく以上、介入する部分が少ないにこしたことはありません。  今御指摘になりました人事についての規制、これはまさに役員に適材を確保するための努力を私どもが払わなければならぬ、これは会社経営を左右する大変重要な事項でありますし、代表権を行使する代表取締役と監査権を持つ監査役に限定した上で認可にかからしめております。これはNTTとかあるいはたばこ製造とか類似のケースに比べても、また他の特殊法人のケースをごらんいただきましても、政府とすれば従来にない軽い関与であることはお認めがいただけると思います。  そしてまた、新株の発行というものが会社の資金調達の一つの方法として行われるわけでありますし、また資本の増加を来す会社経営上特に大事な事項でありますこと、また社債の募集及び長期借入金の借り入れというものが財務内容の健全性を維持していく上で特に重要な事項であることなど、いずれの規制についても、発足後の会社の適切な事業運営を確保するための最小限度の規制でありまして、むしろこうした規制をなるべく早くなくすることができ、当初清算事業団に保有させます株式というものを民間に放出することができ、完全な民間会社になり得る日が一日も早いことを私も願っております。
  228. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それでは大臣、法律の改正をせいとは申し上げませんけれども、先ほど私が言いましたように、言うならば、移行する経過措置としてそういうことについては政府としてもチェックしなきゃいけないしという気持ちからいくならば、そういうことでやるんです、できるならば、時期が来たならば早くそういうものは取っ外して、そして本当の民間企業体にしたいんですという、そういう理解をしておきたいと思います。  次には、重役の人事のことなんですが、これは総理にもお願いしておきますが、最近ちらほら新聞に新会社のあれはだれがと出るんですけれども、だれがなられるかということをこの場でもって議論することはよくないし、そういうことが新聞に出るのもよくないと私は思うんです。今度法律ができ上がってからこれはいろいろ皆さん方が人選なさることだから、そういう意味で、この法案審議過程でそういう名前が出るということがないようにぜひ、これはむしろ官房長官にでもお願いしておかなきゃいかぬけれども、やっぱり大事なことだと思うんです。  それで、この重役の人選というかそういうことについては、企業は人なりというようにいい人を選んでいただいて、その会長なり社長なりそういう重役さんにあらゆる権限を持たしてやらせるという、そういうことでお考えをいただきたい。  あえて私が一つ御注文をつけておきたいと思うことは、かつて国鉄の重役であった人たちのように、あれだけの赤字を抱えてそうしてにっちもさっちもいかないような状態にありながら職員と同じにボーナスをもらっている。重役からそういう親方日の丸意識ではその企業というものはもう成り立ちはせぬのですから、そういうふうな気持ちや考え方をお持ちになる人はなるべく避けていただきたい。そして本当に、なるほど政府はいい人選をしたというふうな、そういうことでもってやっていただきたいと思いますけれども、その辺についていかがでしょうか。
  229. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 非常に重要なことをおっしゃっていただきましたので、その趣旨に沿って実行いたしたいと思います。
  230. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 よろしくお願いしたいと思います。  それから今度は新しい旅客会社の資本金の問題なんですけれども、六つの旅客会社の資本金を合計すると六千三百九十四億円という。東京電力一社の資本金が六千五百億なんです。あれだけ全国に張りめぐらしておった国鉄を分けて、それが東京電力一社の資本金よりかも少ないということは、これはどういうことですか。何を根拠にしてこういう資本金の額をお決めになったのですか。資産の合計も調べると六兆二千九百億と出てくるんですけれども、これも簿価だと思うんです。ですから、その辺でこの資本金をお決めになった根拠は何だったんでしょうかということをお答えいただきたい。
  231. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは監査委員会の御意見にもありますように、他の民営鉄道における実情等を拝見いたしますと、大体営業収入の二割というのが鉄道事業を営む会社として適当な線ということでありまして、これをベースとして試算をいたしたものでございます。もし詳細が必要がありましたならば事務方から補足をさせるわけであります。  また、資産の価額につきましては、私どもは、今回の国鉄の改革というものは、清算事業団に移しかえ売却を予定しております三千三百三十ヘクタールの土地とは違い、それぞれの会社に継承していきます財産というものはあくまでも鉄道事業の継続を図っていくことを目的とするものであります以上、その大半を占める事業用資産についてその処分を行った場合と同じ価額で再評価するということは意味がない。むしろ場合によっては固定資産税等が高くなってしまって新会社の足を引っ張る可能性もある。そういうことも考えまして、実は事業用資産につきましては簿価で引き継いだわけであります。ただ、その他の一部関連として引き継ぐものにつきましては、これは再評価して引き継いでおります。  詳細につきまして事務方から補足をさせます。
  232. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 まあ、いいですよ。  大臣、私も計算してみたら全部営業収入の二〇%という数字が出てくるんだけれども、資産から計算していくと、北海道なんかは資産の五・六%しかない。四国も五・五%しかない。九州でいうならば二百二十二億でしょう。私鉄の近鉄が一社で七百十五億なんです。近鉄の資本金の三分の一以下でもってあの九州全部を今度やることになるわけなんです。  ですから、簿価で話をしておってもしようがないんで、国土庁長官、東京駅の周辺のどこでもいいですから、あの辺のところはその土地の評価をなさるのにどのくらいの評価をしているか。そして今度は、これは国鉄の方ですか、その東京駅の周辺のところを今の簿価でどれだけの評価をしているか、これ両方お答えをいただきたいと思うんです。
  233. 田村嘉朗

    政府委員田村嘉朗君) 先生御案内のように、土地の価格を推定するに当たりまして、基準とすべき基準地の選定あるいは基準地からの比準作業、現地調査等が必要でございますので、地価調査価格を単純に対象地の推定額とすることは誤解を招いて適当ではないと思いますけれども、御参考までに東京駅付近の本年七月一日現在の商業地の地価調査価格を申し上げます。  千代田区大手町一の二の四でございますが、ここは平方メートル当たり二千百万円でございます。ちなみに、これは千代田区の中で最高の価格でございます。それからやはり大手町一の七の二が千七百八十万円。それから中央区日本橋三の二の十六、これが九百三十五万円。そんなところでございます。
  234. 前田嘉代治

    説明員前田嘉代治君) 東京駅の簿価の平米当たり単価でございますが、二千四百七十三円でございます。
  235. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 総理大臣、お聞きになりましたか。これで画一的に見るのは適当じゃないけれども、それでも資産の合計は、六兆二千九百億という簿価の合計がある。その中における東京駅周辺のあそこというものは二千四百七十三円です。今の国土庁が毎年発表しておるそれからいくならば、あそこは二千百万。これは二千百万でも売れはせぬのですよね、もう今は大手町のあの辺は一億から出ているんだから。もちろんさっき大臣が言われましたように、余り資本金が大き過ぎるのも企業が安定する上において果たしていかがなものかという心配もわかるのですが、私は余りにも過小資本過ぎませんかと。  それで、私なりに勘ぐって言えば、いよいよこれ一段落ついて、三年ぐらい先になって今度はその株を放出するときに、この間NTT株があんなに高い値になったからあれと同じようなことでもってまたここで株で一もうけしようというふうなことを考えて、今そういう安い値段にしているんじゃないかと思うんですよ。ですから、これは幾ら何でも、先ほども言うように、四国にしてもそうだけれども、簿価の資産で一千億ある。当然、今のあれからいくならば一兆円超えると思う。それがわずか五十五億でしょう。それは五十五億のお金を持ってきたからといって四国の鉄道を全部買えるわけにはいかない。株は政府が握っているからあれだけれども、しかしそれにしても少しお粗末過ぎませんか。お直しになる気持ちはございませんか、大臣。
  236. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は委員の御指摘に決して反論をいたすつもりはありませんけれども、私どもはやはり、スタートをした会社というものが円滑にその業をなし、国民に本当に喜ばれる姿でスタートをしていけるようにと願います。その場合に、例えば事業用資産というものを売却する時点の価格を想定して引き継ぐことは、私は新会社の発足に対して決して素直な形だとはむしろ考えておりません。そして、これらの事業用資産を引き継ぎ、それを鉄道の業に供して、会社がますます国民に愛され親しまれる存在に育っていってくれることを願うのみであります。  また、委員指摘のように確かに、含み資産と委員がおっしゃるような言い方をされれば、これは株式を放出いたしますときに株価にそれだけ反映するであろうことは私も決して否定をするものではございません。しかし、先ほどの御質問に戻るようでありますけれども、政府がすべての株式を放出し完全な民間企業として手を離せる状態が早く来れば本当にそれは望ましいことでありまして、私はその点をむしろ御勘案いただきたいと思います。
  237. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これ以上資本金の問題で議論しておったってしようがないし、本当を言えば大蔵大臣にも私お答えいただきたいと思っているんですが、後で設備投資の問題でまた大蔵大臣にお聞きしようと思うんだけれども、今は新会社をどうやって来年四月一日で発足させるかということが大変なことだと思うんです。それまでに準備ができるかどうか。ですから、そのことについてこだわりませんけれども、果たして民間企業としてこれからやっていってもらうについての資本金として今のこれが適当なものかという、営業収入からはじき出すというふうなことでもって資本金の決め方がよろしいのかどうなのか、折を見て御検討いただきたいと思うんです。  次に、新幹線の問題で触れていきたいと思いますのは、これも今までにも御質問が出て御答弁がなされておるんですけれども、新幹線保有機構、衆議院でもかなりこれは議論があったはずなんですけれども、私もどう考えてもこれは大臣納得がいかない。  何のためにおつくりにならにゃいかぬのか。全国一元化でやってきたがゆえにだめになっちゃったといって分割をして、民間企業体にしようというわけでしょう。それで、きょう午前のあれでも、林さんかどなたかが出てきて答弁の中で言っているのは、新幹線利用者の負担を均等化するためにと、こういうわけでしょう。全国一元化でやってきて、だめだったんですという判断を下したから分割民営化にするという、歴然とそこには格差が出るわけです。それを今度は、利用者の負担を均等化するために新幹線保有機構をつくって、それも運輸大臣が指揮監督しようと。だったら、国鉄全部を分割して六つ、七つに分ける必要はないのであって、全部一元化にしておいて均等化しておけばいい。それはだめだったということの判断を下されたんだから、そうしてくると新幹線保有機構をつくってなんというのはこれはどう考えたって矛盾をしているんですが、そこはどうなんですか。
  238. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは衆議院の御審議以来たびたび同様の御疑問を受けております。しかし、現在運行しておりますこの四つの新幹線、これは委員がよく御承知のように建設の時期、工法等の違いからそれぞれの資本費に相当な格差が生じておる一方で、輸送量についてもそれぞれの新幹線の成熟度からかなりの隔たりが出ていることも御承知のとおりであります。こういう資本費及び輸送量に格差のあります新幹線経営する旅客会社間の経営基盤というものを、仮に例えば東日本会社にあるいは東海会社西日本会社にという形で振り分けていきますと、これは相当それぞれの会社の状況に変化が生じます。あるいはその変化が生じたままでスタートさせればいいではないかというお考えも成り立つかもしれませんが、しかしやはり利用者の利便というものを考えます場合、少なくとも大体同じような内容になっていき、それぞれの会社経営のバランスもとれることが私どもとしては望ましいことだと考えております。  そうなりますと、やはり新幹線保有機構というものをつくりまして、これらの施設を一括して保有して、輸送量に応じた貸付料を徴収し、それによってバランスをとるということは私は決して間違った手法であるとは考えておりません。
  239. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 細かい数字を並べて説明されると時間がもったいないからあれだけれども、それでも東日本は再調達価額が四兆六千五百三十億でリース料は二千五億、東海の方は二兆四千百億の調達価額でリース料はその倍の四千百八十四億、西日本は一兆三千九百七十億の調達価額でリース料が九百三十五億、これはそれぞれの新幹線の売上高からはじき出した数字だと思うんです。しかし、そのこと自体がお考えとして妥当ではないとお感じにならないんですか。  デパートで言うならば、Aのデパートは大変サービスがよくてお客さんがたくさん来て売り上げが非常に上がった、利益も出た。ところが、Bのデパートの方はなかなか売り上げがよくなくてそして利益も少ない。じゃAのデパート、おまえさん方大分利益を上げているんだから、そこから少し分けてBのデパートへやってやれよというのがこのリース料の算式の基礎ですよ、考え方の。そういうことが成り立つんでしょうかどうでしょうか。今まで国鉄会社日本国有鉄道という公社でもってやっておったのがなかなか経営が大変だから六つ、七つに割ったんだというなら、これはあり得る。今度はそれぞれ民間会社になさるわけなんでしょう。売り上げが余計出たからおまえのところは少しリース代を余計出して少ない方になにしてやれ。どう考えてもそれは理屈が通らないんですけれども、そこはどうなんですか。
  240. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 年間トータルリース料の各三会社への配分の考え方でございますが、これは売上高とかあるいは運賃水準とは関係ございませんで、それぞれの四つの新幹線のそれぞれの人キロと、それからもう一つ新幹線ごとに新しさ、古さあるいは立派さ、そうでないものというような違いがございますので、その新幹線の再調達価額のキロ当たり単価、このキロ当たり単価とそれから人キロ、いわゆる輸送量でございますね、これを掛け合わしたものを指標にいたしまして四つの新幹線にトータルを配分しておるということでございます。したがって、売上高あるいは運賃水準というものは関係ないわけでございます。
  241. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 林さん、そんな答弁していていいの。何のためにリース料を二年ごとに変えるという、こんなことをやっているんですか。再調達価額はもう決まったんですよ、八兆四千六百億。それで年間のリース料の合計も毎年七千百二十四億ずつ三十年間。それを二年ごとに変えるというのは、言うならば今度は東北なら東北の新幹線の方がお客さんがふえて収入がふえてきた、そうしたら今度は東北新幹線東日本のリース料を上げる、そうするとその分だけ東海なり西が下がるということで、そういう答弁を林さんがなさっておったのでは、とてもじゃないけれども、これは改めて私もう一回大臣に。  だけれども、建設大臣、体がなんで申しわけないんですが、私は一度だけ出てきて建設大臣にお答えいただきたいんだけれども、住宅公団はたくさん住宅を持っているわけだ、新しいのから古いのから。新しいところはかなり高い家賃を取る、古いのはもう安い家賃にしているわけです。それをプールにして全体として、住宅公団は全体で月これだけの家賃が入ればいいんですと言って、高いところは大変だから少し下げてやりましょう、低いところはおまえら安い、安いんだからもっと上げると、そういうことをなさりますか。それぞれそのときの建設価格から割り出して家賃を決めているはずなんですから、その辺は一度だけそこへ大臣出てきてそのことにお答えいただきたい。――いや、大臣からお聞きしたい。
  242. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 最初、局長からどうですか。
  243. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 いや、考え方を聞いているんだから、そんな数字のことなんか私聞こうと思わない。
  244. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 住宅・都市整備公団の新規に供給される住宅の家賃算定は、原則的に原価主義であります。そして、具体的には建物を基準にいたしまして、個々の団地ごとに建設原価をもとにしまして算定をいたします。そして、その部分的修正としまして、既存賃貸住宅の家賃改定に伴う増収分の一部を新規に供給される一部住宅の高家賃抑制に充てて修正をいたします。したがいまして、全体としては原価主義にのっとってやっております。
  245. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 林さん、わかりましたか。住宅公団で家賃を決めるのは原価主義です。今の新幹線のリース料を決めるのは原価主義ではないんだ、全くそれと相反しているのですということだけまず理解をしておっていただいて、そしてこれは大臣にお答えしていただかなければいかぬけれども、いわゆる再調達価額八兆四千六百億というものを計算してはじき出して、それを毎年七千百二十四億ずつ三十年間リース代としてくれよと。三十年間七千百二十四億ずつ納めていったならば、言うならば七・二三%の利子をつけての再調達価額を納めることになる。それが済んだときには、そうすると新幹線はそれぞれの旅客会社の所有物になるということ、はっきりしていただけますか。
  246. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 旅客会社の所有物になるという点では間違いはございません。ただし、それが有償で譲渡をされるのか無償で譲渡をされるのか、それはそのときの判断によるものと私は思います。これも何回か御議論がありまして、当然無償でそれぞれの会社に渡すべきだという御論議もございました。しかし同時に、そのときの国民世論として、その後も継続して利用しその業をなすことのできる財産というものを無償で譲渡することを果たして国民感情として許すかどうかも私どもとしては予断を許さないものだと思います。これはやはりその時期に判断をすべきことではないでしょうか。
  247. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 再調達価額というのは何なんですか。これは建設費じゃないわけでしょう。もう東海道新幹線なんか二十年も超えているから、それを今の時期に合わせて修正して、言うならばかさ上げをして、今ならば幾らかかるんだといってそうしてはじき出したのがこれでしょう。それを一遍によこせと言ったんじゃ大変だから三十年でと、こう言っているわけだから、七・二三%の利子を取ってと。  だから私が言いたいのは、年七千百二十四億を三十年間返済を続ければ総額で二十一兆三千七百二十億も納めることになるんです。私が経営者ならば、今度は民間会社になるのですから、それこそ先ほど言ったように、重役の経営者の才能でもって当面は減価償却は三分の一ぐらいにして後へ繰り延べておいて、そしてこの七千百二十四億というのを九千六百億ずつ返済するようにやれば、十五年間で返済といいますか、それだけのものは納められるんですよ。そうすると、総額でも十四兆四千億で済むんです。七兆円から余分な金を納めなくて済むんです。その間はしばらくそれは苦労はするだろうけれども、有能な経営者ならばそういう形でやって早くそういうお金を返してしまって自前の姿になりたいと思うんだけれども、それだけの再調達価額を納めて、そのときにやるのは有償か無償かそのときのと、何でこういう言葉が出てくるんでしょうか。今の新幹線以外のものはみんなやってしまうわけでしょう、さっきも言ったとおり。  四国の場合で言うならば資本金五十五億で簿価一千億、時価なら一兆円ぐらいあるでしょう。それを資本金五十五億でやりましょうといってやるのにもかかわらず、何でこの新幹線だけそういうふうながめついことをやろうとするんですか。少なくとも、計算して八兆四千六百億が再調達価額とはじき出したんだから、それだけのものを納めてくれたならばもうそれは新会社のものにするよということをどうして明確に言えないんですか。
  248. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、例えば年九千六百億円で十五年払いとすれば大変早く済むという御意見がございました。しかし、仮に貸付期間を十五年といたしました場合には貸付料負担額が私どもから考えればこれは過大なものになるという感じがいたしますし、その支払いのための収支の悪化というものも適当ではない状況を生むのではないかという感じがいたします。  また、もう一つの問題としては、それは料金にもはね返って利用率の低下等々を招く危険性もないとは思いません。  また、これは新幹線保有機構というものを考えていきます限りにおいて、この計画的かつ効率的な業務運営という視点から考えました場合にも、返済期間あるいは貸付年額の決定というものを旅客会社それぞれの意思にゆだねるということは業務運営上好ましいものではないと考えております。  また、最後に強調されました点につきましては、この保有機構法案の二十一条の四項で書いておりますように、「貸付期間が終了したときは、」「当該新幹線鉄道に係る鉄道施設を当該旅客鉄道株式会社に譲渡するもの」でありますけれども、「別に法律で定めるところにより、」という文字を入れておりますように、私は、やはりその時期において、これでもって使えなくなってしまうものであれば無償ということもそれは皆さん何も言われないかもしれません。しかしやはり、それから引き継いで引き続き業の用に充てていく資産でありますから、私は、そのときの国民世論というものが無償で譲渡をすべきであるということでありましたならばそれもよろしいでありましょう。しかし、なかなか今からそれを予断するべきではないと考えておりまして、その時点のやはり私は政策判断というものを求めるべきであろうと思っております。
  249. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大臣、過大になることは事実だけれども、だから、今度は民間会社になるんですよと言っているのはそこなんですよ。  今までは公社だったから、減価償却を赤字だろうが何だろうがやっておかなきゃいけなかった。今度はその点について若干の修正はやれるんですから、繰り延べして。それで利益が出てきたときにやればいいのであって、もしも九千六百億というのが無理ならば年間八千三百五億ずつということになれば二十年で済むんです。それは有能な経営者ならばその道をとりますと私は言っているんですよ。そして、そのことについて、今も大臣の御答弁を聞いていると、有償にするか無償にするかそれはそのときの国民のと言うんだけれども、さっきの資本金のことをもう一回思い起こしていただきたいんです。  簿価でもって今の国鉄の資産というものを六兆二千九百億とはじき出したんでしょう。恐らく今の時価だったら五十兆ぐらいになるでしょう。それを六千三百九十四億という資本金でもって渡すんです。その六千三百九十四億の株を持って、それで各新会社に渡してしまうわけでしょう。既存の国鉄についてはそういうやり方をして、新幹線だけ何でそういう、ただやるのではなくて再調達価額が幾らになるということを計算して出したんですから、それだけのものを納めればそれはそういうことにいたしましょうということをなぜ言えないんですか。
  250. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 同じ答弁をたびたび繰り返して恐縮でありますけれども、ですから私は、委員のお考えのような考え方が全く成立しないものだなどと申し上げておるわけではありません。しかし私は、果たしてその三十年という長期を見通して、その時点の国民世論がどう動くかを判断することはやはり今すべきではないと思うんです。そして、その時点において私は政策判断というものはゆだねる方が至当であると考えておるということであります。
  251. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 もうこれ以上そこのところは……。  ただ、今皆さん方がお考えになって、この程度ならば妥当だろうといって三十年という計算をはじき出したわけでしょう。私から言わせるならば、それは新会社の重役が御判断をなさって、今の経営状態からいくならばこれでやれる、極端な言い方をすれば、十年でこうするというならば十年でやったっていいことだ。三十年でもとてもじゃないけれども返し切れないからもう少し延ばしてもらって四十年ということもあり得るかもわからない。  それは政府がとやかく言うのじゃなくて、自分たちがやってきてだめだったということになって今度は民間企業体にして民間の経営の方式でやってくださいよというのだから、そうすると、民間の企業体になったときにそういう点についてのいろいろの応用動作がとれるのですよ。才能のある経営者ならそういうことをするんですよと言っているんです。何もそれを三十年とこだわってやることはないじゃないですか。  それはそれぐらいにして、きょう午前中も出ておりましたけれども、整備新幹線の問題です。これは、十月二十九日に本会議で我が党の田例議員が質問したのですけれども、私も聞いておって、どうも答弁が余り明確でなかったのでもう一回お聞きをするんです。  自民党では、本年の八月に整備新幹線の建設促進のプロジェクトチームをつくって、一つとして、六十二年度予算に整備新幹線着工初年度として必要な額を公共事業として確保すること。二つとして、公団に近い性格の特殊法人として鉄道総合開発整備機構を新設すること。三つとして、鉄道総合開発整備機構の法案は早急に準備し、可及的速やかに成立を図ること。これを決定なさったことは事実なんですか。その辺、まずお答えいただきたいのです。
  252. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 本年の八月、自由民主党の交通部会、国鉄基本問題調査会、整備新幹線建設促進特別委員会等で御指摘のような決定がなされたことは承知をいたしております。しかし、整備新幹線の取り扱いにつきましては、昨年の八月に政府・与党間に設置をされております整備新幹線財源問題等検討委員会において、財源問題、国鉄分割民営化後における建設主体、運営主体のあり方、並行在来線廃止の具体的内容等、着工の前提条件についての検討を進めておるところでありまして、この結論を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
  253. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 総理、お疲れのようですが、総理が言われるように希望の灯を消すなということは私どもも同感なんですよ。やはりその地域人たちのことを考えれば、それは早くやってあげたいなと私は思うんだけれども、その金がどこから今出てくるんですか。  それで今度は、総理は後から話していただいて、杉浦総裁にお聞きするんだけれども、国鉄が東北と北陸と九州の新幹線の工事実施計画の認可を運輸大臣に申請なさったというのは、これは事実ですか。
  254. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 東北新幹線の工事実施計画につきましては、昭和六十年、昨年の十二月四日、それから九州新幹線につきましては、ことしの八月二十九日に運輸大臣に認可申請を行っております。
  255. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 杉浦総裁、今の国鉄というのは、言うならばもう死に体でしょう。いかにしてスムーズに明年四月一日の新会社発足に全力を挙げるかということなんです。これから何かしようなんてそんなおこがましいことを考えることは必要ないのであって、そこが整備新幹線の工事実施計画を認可してくださいと運輸大臣に出した。まさか運輸大臣、それを認可することはないと思うんですが、どうなんですか。今の国鉄はそういうことを申請する資格はもうないんです。今までのいろいろあったことを後始末して、そうしていかにして明年四月一日にその新しい会社がスムーズに発足するかという、そこに全力を注がなければならない。いささかもって杉浦総裁おこがましいですよ。よもや大臣、認可する気はないでしょうね。
  256. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほど御答弁を申し上げましたように、官房長官を長とする検討委員会の結論を待って対処いたします。
  257. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 では官房長官から。
  258. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これは、午前中お答えしましたように、党と政府の首脳の間での申し合わせが昨年の八月にできておりますから、先ほど運輸大臣がお答えしたように、財源問題であるとか在来並行線の扱いであるとか、建設主体あるいは運営主体といったようないろんな条件を政府・与党の間で検討をした上で、その結果を見て初めて新幹線の着工をする、そういうことになっておりますから、まだその話をこれから先やらなきゃならない。今、だからどうこうと言うわけにはまいらない。
  259. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大蔵大臣、ちょっとやそっとのお金じゃないわけでしょう、何兆円ものそんな金が今すぐ出てくるわけもないことだし。整備新幹線をやれるならば一日も早くやった方がいいと思うのは私もそう思うんです。しかし、こういう格好になって新旅客会社をつくるんだからその新会社にそういうことについても任せたらよろしいんだし、そしてあとは金をどうやって調達して援助というか、融資をしてやるかということになると思うんですけれども、今自民党がお決めになる――まだ決めたわけではないと言うけれども、そういうことについて大蔵大臣としては、それが決まったらお金をどうして調達するつもりでおられるんですか。
  260. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどから関係閣僚からお答えがございましたように、財源問題等検討委員会におきまして、今御指摘の財源の問題、事業主体、運営主体の問題、並行在来線をどうするかといったような問題の結論を出さなければならないということになりつつあるわけでありまして、私もその検討委員会のメンバーの一人でございますから、大変に難しい決断をやがてしなければならないことであります。これにつきましては、けさほど三木委員からもお尋ねがありましてそのときに官房長官がお答えになられましたが、これは私伺っておって、実際、情も理も兼ね備わったお答えであった。実際そういう意味で、私ども非常にこの問題には苦しんでおるわけでございます。  おっしゃいますように、財源は一体どうするのかということでありますけれども、他方でしかし、これから短い期間でも何十年までの国民の将来のことなどを考えていきますと、先ほど亀井委員長がおっしゃいましたように、いろいろなやり方はそれはあるだろうと思うのでございますけれども、こういうことは全くもう必要がない、だめだと言い切ってしまっていいとも思えない。しかし、国民負担になることもわかっておりますから、その辺のところをどういうふうに考えていくべきかということは、結局そういうことをけさほども官房長官が言われまして、私は伺っておってまさに私自身もそういう気持ちであって、苦しみつつ、ともかくこの財源問題等検討委員会で結論を出さなければならない。今それに先立ちましてどうこうということを申し上げられないのは、実際どう申し上げていいか私自身も実は考えを決めかねている、こういうことでございます。
  261. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 時間も余りないから細かいことを突っ込んでいられないので、総理、整備新幹線の問題は、それは希望の灯を消すなという意味では私も理解をいたします。しかし今、政府にとっても国鉄にとってもこれだけの、百年に一遍の大改革をどうやってやるかということが大変だと思う。同時に、最終的に今の状態であれば十四、五兆からのお金というものは国民負担をしていただきますということになっちゃう。これをいかにして少なくして、国民の皆さん方の御負担になるのを極端に言えばゼロにするかということが関係者の私は努力だと思うんです。ですから、そういう点でもって、総理がよほど御決意を持って内閣の皆さん方を指導していただいて、国民に対する負担というものはもう極力かからないで済むような方向で皆さん方努力せいと言って督励をしていただきたいと思うんですけれども、その辺についての総理の御見解をお聞きしておきたいと思います。
  262. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 前にも御答弁申し上げたとおりでございますが、ともかく慎重に検討を続けさせていただきます。
  263. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 運輸大臣の方にももう重ねて答弁をお聞きしませんけれども、やはり国民負担というものが今の状態ではゼロにはなりそうもないけれども、いかにゼロに向かって努力をするか、そして来年の四月一日にこの新会社がいかにスムーズに発足するかということの御努力を賜りたいということを要望申し上げて、次に職員の身分の問題について若干お聞きをしてまいりたいと思うんです。  これは機械や車両と違って人間なんですから、そういう点でもってよほど慎重に扱っていただかなきゃならない。そういう点に立って、本年度中に希望退職をと言っている二万人というのは、大体今の状況だと総裁、どのくらいのところにいって、そして六十一年度中にどのくらいまでにいきそうだというふうに御判断なさっているか、その見通しをお聞かせいただきたいんです。
  264. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 現在時点で希望退職の申し出を受けましたのは一万八千人を超えております。こうした状況で今年度いっぱいまでには二万人の達成は可能であるというふうに思っております。
  265. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これは運輸大臣にお聞きするんでしょうか。改革法の二十三条で、新会社の設立委員が労働条件、職員の採用基準を提示して職員の募集を行う、こうあるわけだが、この設立委員というのはいつごろ決まるんですか。それから労働条件とか採用基準なんというのは具体的にどういう手続をとって進められるのか。そして、それらはいつごろ提示をされるような見通しで進んでおりますか。
  266. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私どもとしては、本委員会において御審議をいただいております各法律案の通過、成立後直ちに設立委員の人選等に入りたいと考えております。ただ、今の時点においてまだその委員の人選等を行える状況まで参っておりませんので、成立後できるだけ早くということしか申し上げられないと思います。  そこで、これらの設立委員方々がそれぞれの新会社における雇用条件等を設定されるわけでありますが、恐らくその中に含まれてくるものとしては、就業の場所、従事すべき業務、あるいは労働時間、賃金等の項目が考えられるわけでありますし、また採用基準として示されるであろうと私どもが予測をいたしますのは、例えば年齢でありますとか、適性でありますとか、健康状態、また勤務の成績等も考えられるものであります。しかしこれらは、いずれにしてもその具体的内容は設立委員等がお決めになることでありまして、設立委員の人選すらまだ着手のできない法案審議中の状況でありますので、それ以上の具体的な内容についてはお答えする資格を持っておりません。
  267. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 設立委員のことはもう先ほども申し上げましたように、極力慎重に扱っていただきたいと思います。  それで、よもやそういうことが、法案も成立しない前に新聞で、あの会社はだれが、この会社はと、ああいうことになることは決して好ましいことじゃないですから。だから法案が成立した後に、それこそ最高の立派な経営者をお探しいただくということをしていただかなきゃいけないと思うんです。  それで大臣、これは極端な言い方をすれば、旅客会社が六つ、貨物会社一つで、七つの労働条件のそういうものができ上がるということを理解してよろしいんですか。それから、それぞれ設立委員がおやりになることだと今言われましたけれども、実際にその人たちがなかなかやれるわけじゃないから、それぞれの地方の私鉄の労働条件なんかも参考にしてお決めになるというようなこともおやりになるんですか。
  268. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、基本的にはそれぞれが鉄道事業という共通項目の中での新会社の設立において、そう極端な、またばらばらなものが出てくるとは必ずしも思いません。しかし、やはり私は、設立委員方々が労働条件を決定される場合には、会社経営の見通しというものを踏まえながら、同種産業の労働条件等を当然参考にしてお決めになることになると思いますので、その場合、私鉄の労働条件等も当然参考にされるであろうとは思います。
  269. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それで、これは総裁の方へお聞きをしていくんだけれども、国鉄は新会社職員となる意思を表明した者の中から新会社職員となるべき者を選定し、名簿を設立委員に提出をする、こうなっているわけです。そうするとこれは、今の国鉄でもって今の職員の皆さん方にそういう意思をお聞きになっておやりになるんだと思うんです。その場合に、言うならば各職員の気持ちを十分お聞きになってあげていただきたいと思いますけれども、その辺については各管理局などに徹底させて、それぞれの職員の気持ちを十分聞いてやれよというようなことをおやりになっているのかどうか、お聞かせをいただきたい。
  270. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) これはあくまで、法律が通りまして、設立委員が労働条件と採用条件を提示いただきますと、国鉄の方でそうした条件を職員に周知を図りながら、一方ではどの会社に行きたいかということの意思確認を行い、そうした過程の中で職員を選定いたしまして名簿を作成するということになるわけでございまして、これは今からちょっとできないことでございます。当然にそうした過程におきましては職員の希望は十分に参酌されるものというふうに私どもは考えております。
  271. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 総裁、もう一つ。  そうすると、設立委員ができて労働条件が提示されたのを見てからその作業に入るということですね。  それから関連してお聞きをしておきたいんだけれども、こういうことはどうなんですか、例えば今東京なら東京に勤務しておる、それで私は北海道に行って勤務したいとか、あるいは西日本会社へ行って勤務したいとかと言って、今いる勤務地とは別なところへ行って勤務したいという、そういう希望も出ると思うんだけれども、そういうのもお聞きになってあげるんですか、その辺はどうですか。
  272. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 法律成立後の設立委員のお決めになる基準に従う行動でございますので、お答えがなかなか難しいのでございますが、やはり全国各地にそれぞれ職場がございます。各会社もそれぞれ分かれております。したがいまして、希望の中には勤務地というものが入ってくるのは至当ではないかというふうに私は思っております。
  273. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 至当ではないか……
  274. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 至当、当然のことじゃないかというふうに思っております。
  275. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これからなさる作業ですけれども、それは杉浦総裁、この国鉄の今の職員にとれば大変なことだと思うんですよ。だから、それけに十分職員の皆さん方の意思をお聞きにないただいて、そして、全員が全員満足するというふうな形にはとてもじゃないけれども落ちつくことは難しいと思いますけれども、それでも、多少不満があってもやっぱり、幹部の皆さん方がここまで自分たちのことも聞いてくれた、そして自分たちの意向も尊重してできるだけのことをしてくれたと言ってそういう点で納得ができるように、やはり職員の気持ちを酌んで人事の扱いということはぜひともおとりをいただきたいと思います。  それから国鉄に残っていわゆる清算事業団のメンバーになる人たち、これは三年間の雇用保障ははっきりしているわけだけれども、三年の間に再就職の職を見つけるということについての見通しはどうなんですか。大丈夫だと言って太鼓判を押していただけるんですか。そうでないと、再就職促進に関する特別措置法というのが六十五年の四月一日でもう切れらゃうんですから、それについては間違いなく三年間で私たち責任を持って全部再就職の道を見つけますと、こう言っていただかなきゃいけないんだけれども、その点はいかがですか。
  276. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員から希望退職者が二万人を超える場合を想定した御質問が先ほどございましたけれども、そういう状況が事実あることもそのとおりであります。しかし私どもは、それも含め六万一千の方々に職を去っていただかなければならない以上、新しい職を提供し、就職していただくチャンスをつくるのが私どもの責任だと考えております。現在、全力を尽くして努力中でありまして、数だけを申し上げますならば、六万一千を超える求人を既にいただいておるわけでありますが、昨日本院の委員会において御指摘をいただきましたとおり、例えば国家公務員において一万三千名という目標に対し、本日の委員会終了後までに政府としての試算を委員長から命ぜられ総務庁が今努力中でありますが、あるいは地方公務員につきましても目標数にまだわずか到達をしておらないといった点がありますので、こうした点も含めて全力を尽くすつもりであります。
  277. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 時間がわずかで、あと一、二の点だけお聞きしておきたいと思いますが、今の見通しからいくならば、国民負担をしていただかなきゃならないであろうと推定される借金はどのくらいになる見通しですか、そして一人当たり幾らぐらいになるんですか。
  278. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 長期債務につきましては、私どもは用地の処分等を通じまして最大限、最終的に国民に御負担を願わなければならない金額というものを縮小すべく今鋭意努力をいたしておるところでございます。  確かに、今御指摘になりました十四兆七千億円程度という数字は、先般衆議院に提出をいたしました三千三百三十ヘクタールの用地の試算値から出てくる数字になるわけでありますが、私どもは最大限の努力をしてまいりまして、最終的に雇用対策あるいは用地売却等の見通しのつく段階において歳入歳出の全般的な見直しとあわせて検討、決定をすることにいたしておりまして、現在、最終的な御負担をどれだけ願わなければならないか、それが国民お一人につきどれぐらいの金額に上るかという数字をお示しできるところまで参っておりません。
  279. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それから大臣、土地の問題で、今言われた三千三百三十万平方キロの処分をしていくわけですけれども、大体十年間ぐらいかかるんじゃないかというふうなことを衆議院の方でお答えになっていたように私は思うんですけれども、先ほども一般公開競争入札で疑惑を招かないようにおやりになると言われましたので、それに基づいて、言うならば十年間は転売の禁止とか又貸しの禁止とか、三年以内に購入の目的を実行しろとか、そういうふうなことできちんと条件をおつけになるかどうか。  さらには、再雇用の方は三年間で終わるわけですよ。ですから、あとは土地の処分だけなんですから、そういう点からいくならばほぼ十年程度をめどに土地の処分をして、それが済めば清算事業団の仕事は完了して終わりになり、そのときは解散をするんですというふうな、そういう理解をしてよろしいかどうか、その辺お答えをいただきたい。
  280. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 第一点として御指摘を受けました用地売却に当たって注意すべき事項、いわば土地転がし等を防止するための手法というものにつきましては、御指摘のような点をも含めまして私どもとしては厳しく対処してまいりたいと考えております。  また、この土地処分につきましては、私も十年ぐらいを目途に処分を進められるというふうに考えておりました。ですから、これがそのとおりにまいりますと、清算事業団の業務の主力というものは大体十年ぐらいたちました段階では年金負担の支払いを含めた長期債務などの償還業務に移っていくと理解をいたしております。  ですから、この長期債務等の処理の方策、また清算事業団の役割というものにつきましては一月二十八日の閣議決定で明らかにしておるところでありますけれども、今申し上げましたような状況の中で、十年ぐらいを経過した時点で清算事業団の業務について再検討をする必要が出てまいりましたならば、その時点において改めて御論議をいただくことになろうかと思います。
  281. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 申しわけございませんが、総理最後にお答えいただきたいんですが、国鉄分割民営化というのはこれは大変な仕事だと思うんです。それこそ本当に何十年に一回ぐらいのような大事業だと思いますし、それだけに来年の四月一日にそれぞれの新会社が本当は、言うならばスムーズに国民からも祝福されて発足するということにならなきゃいけない。それにするためには、何といっても、その中で働いていただける職員の皆さん方が本当に喜んで新会社職員として、自分たちがまたもう一度国鉄マンのそういう誇りを持ってやるような気持ちで取り組んでいたたかなきゃならない。と同時に、これからまだ、きょうも十分じゃないんで、この法案の中にもいろいろ問題点がありますし、ですからそういう点で私たちもいろいろ審議をしていきたいと思うんですが、いろいろ聞いてなるほどなと思ったら、法律を改正するかしないかはさておいて、そういういい意見は実際に取り入れて、そしてこの法が成立するときに実際にはそういうものが生かされて運用されるようなことをお考えいただかなきゃならないと思うんです。  そういうふうな応用動作というか、幅を持ってできるだけ皆さん方の意見も聞き、よりベターなものとして発足するようにしたい、この法律の成立を図りたいというふうにお考えいただけるかどうか、最後総理のそういう御見解をお聞きして終わりたいと思うんです。
  282. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これからもいろいろ貴重な意見があると思いますから、できるだけ幅の広い応用動作ができるように適切な意見はどしどし採用させていただきたいと考えております。
  283. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 終わります。(拍手)
  284. 野末陳平

    野末陳平君 私はまず用地の売却に関することで質問します。  これは、方法としては当然不正、疑惑が一切ないようにというそのお考えはよくわかりますし、またそれで知恵を絞っていただくと。当然だと思いますが、気になるのは、それと同じぐらい重要な例の処分の収入ですね。これは、今の質問でもありましたとおり、国民負担分が十四兆七千億という場合には、この処分収入を七兆七千億と試算しているわけですから、これが確定ではないのはわかります、今後の時期あるいは期間、そういうものはよって変わってくるのはわかりますが、それにしてもこの試算の七兆七千億は低過ぎるんじゃないか、もっとあるのではないか、こういう声もあるし私もそう思うんですが、何しろ全国にまたがるたくさんの広い土地ですから、一々調べてこの試算が大体妥当かどうかなんて全然わからないんですね。  そこで、まずお聞きしますが、この試算に使われた根拠、どういう数字に基づいてこれを計算したのかというこの辺のことをもう一度お願いしたいんですが。
  285. 林淳司

    政府委員(林淳司君) この処分用地の金額の算定の仕方でございますけれども、これは衆議院段階で、一定の仮定条件を置いて計算をしてみろと、こういう御指示でございました。そこで私どもといたしましては、監理委員会が推計をしたその手法というものに準じて計算をしたわけでございます。  具体的に申し上げますと、評価の時点としましては六十年四月一日の時点の価格を基準として評価をしたわけでございます。その後の地価の上昇につきましては、六十二年度首までの二年間ございますので、その二年間につきまして実際の公示価格の変動率等から伸び率を推定いたしまして、そして六十二年の四月、来年の四月一日時点での地価を推定したわけでございます。それから、それぞれの土地につきまして基準といたしましたのは近傍類地の公示価格、それから基準地価格、この中には大都市につきましては取引事例というものも加味しておりますが、基本的には近傍類地の公示価格、基準地価格というものを基礎に推定をしたわけでございます。さらに、大規模用地につきましてはこれは非常に大きな部分を構成するわけですが、大規模用地につきましては再有効利用、現状ではなくて再有効利用という状態を考えまして、その用途変更が行われたとするならばという条件で推計をした。それからさらに公共減歩、これは大体平均しまして四〇%という程度でございますが、公共減歩も考慮をいたしております。  そのようにして八兆五千億を推計しまして、さらに基盤整備費と申しますか、撤去費等でございますが、そういうものを約八千億見込みまして、これを差し引いた残り七兆七千億が純粋な受取額というふうに考えておるわけでございます。したがいまして、このような形でございますから、現時点におきましては来年の四月時点における時価というものにかなり近いものであろうというふうに私どもは考えております。  ただ、現実にこれを売却する時点におきまして、当然地価の変動もございますし、それからさらに、先ほど公共減歩四割程度というふうに申し上げましたけれども、実際にやはりそれぞれの大規模用地につきまして周辺の状況、都市計画、いろんなものを考えていろんな計画をやってみますと、実際には道路をどうとるか、そういう設計の仕方によって現実には相当変わってくるだろう。そういうことで、やはり売却の時点、その時点における周辺の利用の状況、それから実際の減歩等の設計、それからそのときの時価というものによりましてかなり変動があるであろうというふうに考えておりますが、先ほど申しましたように、現時点で推定した来年四月の価格としてはまあ時価に近いものであるというふうに考えているわけでございます。
  286. 野末陳平

    野末陳平君 いろいろな土地の性格がありますから、いろんな根拠があるのはわかりました。今聞いていても、自分の知っているところはどれに当てはまるかと考えただけで混乱してしまうぐらい難しそうですが、少なくも時価に近いということははっきりおっしゃいましたので。そうしますと、試算をやり直した結果何か一兆何千億急にふえましたね。あれの理由は主にどういうところにあったわけですか。
  287. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 二つございますが、一つは面積がかなりふえたわけでございます。監理委員会の時点では二千六百ヘクタール、これが今回は三千三百三十ヘクタールということでございますが、その点と、それからもう一つは評価の時点でございますけれども、評価の時点が監理委員会の時点では五十九年三月三十一日、今回は六十年四月一日、いずれも六十二年度首に引き直しておりますけれども、その間、監理委員会は三年間の推定をしておる、それから私どもは今回二年間の推定をしておる、その一年間の実績の違いというものがかなり効いてきておるということでございます。
  288. 野末陳平

    野末陳平君 わかりました。  さてそこで、それは何しろ全体でしたので、それだけでやはり今の七兆七千億について私たちはこれが果たして今の試算として適正かどうかと判断するのはなかなか難しいんです。具体的に幾つかの、特に都心の一等地を例にとりましてもう少し検討してみたいと思うんです。何といったって、取引実例も参考になさっている、それからもう一つ、ほとんど来年の四月の時点における時価に近いだろう、こういうお答えでしたので。  それで、国鉄総裁の公館がありますね、千代田区一番町、(地図を示す)ここなんですけれども、これがそちらからいただいている資料によりますと、当然のことながらかなり広いわけです。三千平米ありますね。さあそこで、この千代田区一番町十二という国鉄総裁の公館の付近の公示価格ですね、これは何点挙げていただいても結構ですが、どのぐらいになっておりますか。
  289. 田村嘉朗

    政府委員田村嘉朗君) 国鉄総裁公邸の付近の地価を示せと、こういうことでございますが、御参考までに公邸のある千代田区の本年七月一日現在の住居地域の地価調査価格を申し上げますと、四地点全部でございますが、最高が三番町で平方メートル当たり七百六十万円、最低が富士見町でございますが三百三万円でございます。総裁公邸から一番近いところにある住宅地の地価調査価格といたしましては、四番町二の五の地点で五百五万円でございます。
  290. 野末陳平

    野末陳平君 平米五百五万円、坪という言葉は余り使っちゃいけないんですけれども、一千六百万円。それからちょっと離れていますが、麹町二丁目ですね、二丁目のは平米八百十万なんですね。これ公示価格です。御承知のとおりこの公示価格というのは時価に比べればもう相当低いことになっております、ここ一、二年の値上がりはもう異常でございますから。となりますと、このあたり今、総裁公館のこの周辺の地価ですが、そちらで参考になさった取引実例、これも参考にして試算をはじいたとおっしゃいましたが、その取引実例はどの程度だったんですか。
  291. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 取引実例はいろいろ参考にいたしておりますが、それの具体的な実際にその土地を評価するに当たって用いた取引実例等の価格を申し上げますのは当該地の予定価格そのものを申し上げるようなことになりますので、それを申し上げることについては御容赦をいただきたいというふうに考えます。
  292. 野末陳平

    野末陳平君 いやいや、ですから、全体が七兆七千億というのじゃ余りにも膨大で見当がつきませんから、一、二の例ですから参考にした例を答えてほしいわけで、別にこれを、この総裁公館を幾らで売れとか、入札のためにそれが影響があってということではないと思うんですがね、付近の取引実例を言ってもらえればいいんですから。
  293. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 個々の用地の単価の問題につきましては、衆議院の委員会でもたびたび申し上げておりますけれども、いずれ公開競争入札によって売却をされるということが予定されているわけでございまして、これらの価格につきましては、公開競争入札のときの予定価格を予想されるような一つの値をお示しすることになるということから、公開は申し上げないということで御了解をいただいております。そういった意味で、今先生からお話がございました当該土地を比準する、比準すると申しますか、評価するに当たって使った取引事例ということになりますと大変予定価格に近くなってまいりますので、申し上げることを遠慮させていただきたいというふうに思います。
  294. 野末陳平

    野末陳平君 大臣、今のはおかしいと思いませんか。だって、いつ売るかまだ決めてないんですから入札といったってこれは何年後になるかわからない、それまでに地価がこれ以上上がるかあるいは横ばいか、ひょっとして下がるかまだわからないわけですね。しかも、入札する人たちというのは業者ですから、欲しいとなったらば周辺取引事例の上を指すのは決まっているわけですから。ですからそちらが試算をなさった根拠になるような事例、これは周辺ですから、地形も違うんですから、それは参考までに答えていただいても全然困らないと思うんですね。ちょっと秘密主義に過ぎるんじゃないですか。
  295. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 実は私どもは、これは決してこの御答弁で委員に対して失礼なことを申し上げる気はないんですけれども、この地価を知らせるというさまざまな角度からの問い合わせにほとほと困惑をいたしております。そしてそれは、私どもとしては、本当にそれぞれの用地を処分してまいります場合に、いわば予断を与える形になるからということで全部避けてお許しをいただいてまいりました。それで、衆議院におきましても当初私どもが再建監理委員会のいわば試算をされました総額の数字でお答えをさせていただいておりましたのもそのゆえからでありますが、院としての御指示を受けましたので、一定の仮定を置いた試算でお許しをいただくということでその総額を試算してみたわけであります。  ですから、委員が御指摘のとおり、この七兆七千億という数字そのものが処分の方法あるいは時期等によって変動する可能性を秘めておるものでありますし、いわば個別の地域について同様なお答えをしなければならないことは私どもとしては大変つろうございます。衆議院の御審議におきましても、各党から特定の地域についての御質問については全部お許しをいただいてまいりました。私どもはあくまでも、公正な公開入札というものをしていくためにも予断を与えたくないという点について、極めて厳しい考え方をとっておりますことを御理解いただきたいと思います。
  296. 野末陳平

    野末陳平君 そちらの立場はそうでしょうが、しかしこれは、この処分収入がどうなるかということは、この時点でも国民負担が幾らなんだということになります。ですから、今後もっと国民負担が減ることが一番望ましいわけですから、あくまで試算について、確定値でないのですからあれこれこだわりたくないですけれども、しかし国民負担は幾らだという点から考えればこだわらざるを得ないわけですね。  どうしてもおっしゃらないといいますけれども、もうこれは素人でもわかるんですよ。僕ここに持ってきていますけれども、この周辺でもってことしになってから取引があった例、素人の私の知る限りですから、これをもって問題の総裁の公館の土地が幾らと言っているんじゃないですよ。これは大臣、こうやってピンクでやってあるのはみんなそうなんです。空色のところは総裁の公館。そこで、ことしになって、八月前ですが、これは一番近いところが四千六百万なんですね、坪当たりですよ、三・三平米四千六百万。それからちょっと離れているのが四千万ですね、それから四千三百万というのもあるんですね。これははっきり言って地形とかそれから売り買いの条件がいろいろありますから、別にこれを国鉄用地に当てはめるんじゃないんです。  つまり、公示価格は五百万、八百万、これは平米当たりですが、坪にして千六百万から二千六百万ぐらいの土地なんですが、付近の取引の実例は既にして四千万円から五千万円、三・三平米、こういう事実はもうわかっているわけですよ。そうすると目ざとい業者が欲しいと思えば当然もうその上を指す。だから、予断を与えるとおっしゃるけれども、そちらが使った例よりもはるかに上に今や地価はいっているわけでしょう。これは、近所の不動産業者から手に入れたのは千代田区一番町十七、総裁公館が十二ですから、近いでしょう。こちらの方がちょっと土地の位置が悪いんですけれども、坪単価四千二百万円、約百七坪、四十五億円、こういうふうにもう幾らもある。  ですから、私は別にこれは幾らで評価したんだ、試算したんだと追及しているわけじゃありませんで、こういうある程度のその後の地価上昇なぞを含めて今後のことを考えると幾らになるかはっきり言ってわかりませんよ。わかりませんが、試算をそちらがお出しになった以上は、これが国民負担と関係があるわけですから、どうしてもその試算の根拠をもうちょっと納得できるように話してほしいと、こういうふうにお願いした。どうしてもだめだとおっしゃるんでこれ以上は言いませんがね。  それだったら、こういうのはどうでしょうね、六十二年の四月ごろの地価であると胸を張ってお答えになりましたから、それはそのままでいいとしまして、しかしそちらで評価なさった時点から既にして今までかなりあちこち、特に都心の一等地は、周辺にいろんな業者もはびこったりする関係もありまして、さらに値上がりしているわけですよ。そうなると、こういう都心のいいところはなるべく早い時期に売った方がいいだろう、もちろんそれによっていたずらなる地価上昇を招くようなことは避けるにしても、早く売った方がいいだろうと思います。  そうすると、ここ数年のうちにこれらを売却するという前提で、言うなればもうちょっとそちらが試算なさったよりも都心の一等地に関しては、この売却リストに入っているのは相当ありますからね、ですから、この一等地に関してはもっと上がるに違いないから、そこだけをもう一度試算をやり直してみたらどうか。そしたらこれは七兆七千億ぐらいは、当然八兆円を上回るのはもうわかりきったぐらいなんです。これはやり直してみるというような気持ちはありませんか。そんなに難しい作業じゃないですよ。
  297. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私どもは、先ほども申し上げましたように、こうした試算を院の御命令を受けましてその仮定値を置いてあくまでも試算ということで御了承願って行ったわけでありまして、これ以上試算をするという考え方は現時点において持っておりません。
  298. 野末陳平

    野末陳平君 そういうお答えは当然予想はしていますが、それにこだわればこだわるほど何かうさん臭いところがあるんじゃないかなと、何でこんなに低いんだろうということはみんな疑問を持つんですね。ですから、私は全部を言えと言っているわけじゃないんで、一、二の例ぐらいははっきりさせた方がむしろフェアじゃないかと、これは国民に理解を求めるためにも。自分の負担にかかっているわけですから、十四兆幾らかの。それをもっと減らすかどうかという話をしているわけですから、何かフランクに言ってほしいという気がしますね。まあお立場もありますから、これ以上は言いません。できるだけいい時期に高く売って国民負担を減じていただきたい、こういうお願いだけしておくことにしましょう。  それから各委員指摘されております北海道と四国と九州のこの例の三島の旅客会社の将来についてですが、これがまた、そちらからいただいております資料を見ますと、これも実に単純なことなんですけれども、お客さんは減っていく、しかしながら収入はふえていく、当然これは値上げとそれによる客離れということも意味しているだろうと思うんです。そうなると値上げと客離れのイタチごっこになりますから、このままでいくと、民間常識で考えれば、これだけ客が減っていけばどう見てもいろいろ経営努力をしたって最後はパンクするだろう。この推移と書いてありますが、三島に関しては経営破綻するのは当然じゃないか、こういう気がしますが、素人が見て。この辺については何度かお答えがありましたけれども、もう一度お願いします。
  299. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに私ども、三島の成り行きというものに大変厳しい目を配ってまいりました。そうして再建監理委員会の試算に比べ改めて試算をやり直し、例えば経営安定基金の積み増しを行う、あるいは三島会社に対しては債務を引き継がないといった手法を講じながら現在の案を御提示申し上げておるわけであります。もとより、三島のみならず他の会社も当然のことでありますけれども、従業員が一生懸命努力をしてくれることが前提でありますけれども、その限りにおいて私どもは試算でお示しをしたようにそれなりの経営は成立をし得ると考えております。
  300. 野末陳平

    野末陳平君 もちろん私も、大改革をしてこういう分割をする以上はうまくいってほしいと思いますよ。しかし、どう考えてもうまくいきそうもないというような分割であっちゃまずいわけですね。少なくともこの三島については、仮に経営安定基金なぞがあったとしてもこれだけで安定するとは思えない。いずれその基金も食いつぶしてアウトになるんじゃないか、もっとも経営安定基金なんというのはあること自体が公社制の名残で、まだそういう部分を引きずっているということは本当の民営じゃないということがわかりますが、これはやむを得ないとして、それにしてもいずれ、もしお手上げと、こういう事態になったときに政府の助成なり自治体の助けを当てにすると思うのですが、そういうときでも、これだけもう面倒を見て分割したんだから今後お手上げになっても一切面倒を見ないと、こういうことですか。総理
  301. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員大変厳しい御質問でありますけれども、私どもは逆に、その御提示をしております試算でも御理解がいただけますように、大変厳しい経営環境であることを否定しておるものではございません。しかし、そういう状況でありますから、効率的な事業運営を前提として、国鉄時代の長期債務を一切引き継がせないこととすると同時に、多額の経営安定基金を設定することなどにより経営基盤の確立を図るわけであります。そしてまた、当然新商品を開発したり関連事業を伸ばしたりという努力は三島会社それぞれにしてまいるでありましょう。  こうした措置によって私どもは会社の安定的な経営が可能になるということをお示ししておるわけでありまして、また民営化の趣旨から見ましても、むしろ国に依存する体質というものを早く脱却することから考えましても、会社の発足後に新たな助成措置を講ずる必要はないものと考えております。
  302. 野末陳平

    野末陳平君 いろいろな措置を講じておられるのはわかりますが、しかし、その措置にしてもいろいろと問題があるんですよ。  経営安定基金ですけれども、この運用利回りを七・五%に見ているんですね。この時代に七・五%の運用利回りをどういうふうにしてはじき出したかというのもわかりませんが、じゃ、まずこの七・五%という運用利回りをはじき出した根拠と、それからこの低金利時代ですから一体どうやってこれを確保していくのか、その当てがどういう方法で、そちらに自信があるのか。もうとても考えられませんから、それをちょっと説明してください。
  303. 林淳司

    政府委員(林淳司君) まず、安定基金の運用利回り七・五%でございますが、これは過去の長期国債の平均利回りというものを目安にとっております。
  304. 野末陳平

    野末陳平君 ちょっと。過去というのは。
  305. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 過去の長期国債のです。
  306. 野末陳平

    野末陳平君 いや、過去ってどのくらい。
  307. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 過去十年間でございます。過去十年間の長期国債の平均利回りというものをとっております。  それで、これだけのものが実際に確保できるかということでございますが、金利の動向というのは山あり谷ありということで必ずしも低いままに定着するというわけでもございませんし、それからもう一つは、今回の法律によりましてこの基金の運用については確実かつ有利ということだけで具体的な運用方法については制限をいたしておりません。通常こういう特殊法人等でございますと余裕金等の運用についてはかなり厳しい制限があるわけでございますが、今回は確実かつ有利と、こういうことで経営者の判断によりましていろいろな運用が可能である。例えば元本を法律上保証されたそういうもの、債券というものだけではなくて、場合によったら、非常に確実なものであるならば株式投資ということもあり得ましょうし、いろいろな運用の仕方があり得るということでございます。  それからもう一つは、今回、短期的な現在の金利状況も勘案しまして、実は十年間で基金を造成するわけでありますけれども、とりあえずこの二年間は据え置きにいたしまして、すなわち七・五%の金利分はそっくり清算事業団から各会社にいく。それから三年目から逐次元利均等償還方式でこれを八年間にわたって償還していく。最初のうちは、元利均等償還方式でありますから元本部分は非常に少ないわけでありまして、逐次会社責任によってその元本の運用がなされていく、こういう形の配慮をしておるという点も申し上げておきたいと思います。
  308. 野末陳平

    野末陳平君 大蔵大臣、今のを聞いていてちょっと怖くなりませんか。高金利時代がずうっと前半続いていたこの十年間の国債の利回りを根拠にして七・五%。それはいいですよ、それだって本当は甘いからおかしいと言いたいですけれども、それはいいとして、その利回りを確保するために何をやるかというと財テクをやるというのでしょう。しかも確実なものであるならば株もいいと。どういう神経ですか、これ。こんなことで経営安定基金を運用する、考えているだけでもう愚かですよ。こんな甘い経営見通しでもって大蔵大臣、これが成り立つと思いますか。大事なんですよ。どうですか。
  309. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいま政府委員が説明をしておられましたように、最初の二年間は現実に七・五で計算をして利子をお渡ししますからこれは問題がございません。そういう形で債務を返していく。それから後の八年でございますね。結局、七・五という計算は今のお話で過去十年間の国債の利回りの平均である。こういうことで、今は超低金利でございますからいかにも七・五というのは大変な金利だという感じをお持ちになりましょうけれども、私もちょっと見てみますと、ちょうど今から二年ぐらい前の国債十年物の金利が七・六ぐらいになっておりますか、間違いなければそんなことになっておりますが、そうだとしますとまあまあ、もちろん甘いとは思いませんがそうきつくもないのではないかなと十年ということでございますので思いますが、いかがでございましょうか。
  310. 野末陳平

    野末陳平君 だから、それはもう今後の金利情勢の見通しにも絡みますからね。先ほどのお答えは、低めの金利が、今は低いけれどもこれが定着するとも限らないと。それは限りませんよ、五年十年先どうなるかわかりません。しかし、常識的には今の金利情勢がこれから上昇していくという場面じゃありませんから、しばらくはこの超低金利が続くであろう、こう考えているわけですから、どうなんですかね、そこは。しばらくはと言っているんですが。
  311. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 十年でございますので、過去の平均をとったという、そういうことも一つのやり方じゃないか、そうでなければどういうことかという別の答えもまた出しにくいかと思いますので、まあまあかと思いますが。
  312. 野末陳平

    野末陳平君 これは要するに、せっかくこの経営安定基金というものがつくられまして、これが非常に三島の今後の経営を支えるわけですから、あんまり甘く考えられて、後でお手上げになって、何とかしてくれじゃそれこそ困る。そういうふうに考えているわけで、その何とかしてくれが、ローカル線の廃止になったりとか、国民に迷惑をかけることにもなりがちですからね。それで、今の金利は先のことでわかりませんから、大蔵省なんぞも知恵を出すわけじゃないんでしょうから、新しい基金の運用は専門家がやるんでしょうけれども、一つだけ総理に疑問を呈しておきたいんですよ。  要するに、さっき運輸大臣は、依存体質から一日も早く抜けてもらわなきゃ困る、それから何かあっても政府が助けるなんということのないようにしたい、こういうお答えですが、それならばやはりこの際、民営にしたんですからもう一切政府も助成しないんだ、どんな事情があってもというような厳しい決断をそちらがお持ちであるならば、法案の中にも明記するのが当然だと思うんですね。法案を読ましてもらいますと、助けるとも書いてないし助けないとも書いてないし。そうなると、ここまで厳しくなれば最後は、今までの国鉄を見てわかるとおり、公社体質から抜けられなくて助けてくれとなりますね。公的助成を当てにするという、そういう感じがしてならないですね。ですから、どうなるのかと。もし一切助けないというならそのように法律に書いてなぜ悪い、それが本当の民営じゃないんですか、そういうふうに思いますね。どうでしょうか。
  313. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 総理のお答えの前に私から申し上げたいと思いますのは、確かに委員の御指摘のような考え方も成り立つかと思います。しかし、法律を見ておりまして、例えば助成をしなければならないとか補助をしなければならないとかいう規定は私どもよく見ることがありますが、例えば補助しないこととするとか助成をしないこととするというふうに法律に書き込んだケースというのを実は私は存じません。
  314. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはり民営分割という趣旨、精神を徹底してやる必要はあると思うんです。そういう意味もありまして、この出発に際しては嫁入り道具も持参金も十分持たしてある、そう我々は考えて十分配慮もしてあるわけであります。ですから、もう嫁に行った以上は自力で、本家を顧みるなと、こういう気持ちでやらせる。もちろん一般の私鉄並みの諸般の面倒を見る、公益事業でもありますから。そういう点は当然ですけれども、今度の分割会社なるがゆえに特権を得るとかなんとかという、そういう女々しい根性は一切捨てて新しく、新生でスタートしてもらいたい、そう私は考えております。  もとより、衆議院段階において附帯決議がつけられておりました。これはいろいろ公益上配慮を要する点について附帯決議がつけられておるのでありますが、これはスタート早々の国会側の配慮でありますが、その点については守る考え方でおります。
  315. 野末陳平

    野末陳平君 よくわかりましたので、別に法文に明記しなくても、その覚悟で新会社が臨んで、政府もそういう姿勢を崩さなければいいと思うわけなんです。  それで次ですが、時間が五、六分ですから、じゃ短い問題にします。  国鉄にお聞きしますが、中央線の三鷹―立川間の複々線の計画というのがありましたけれども、あれのために用地を相当買収していたという事実は知っていますが、これらの用地は今度の売却用地の中に全部入っているんですか。相当数があるので見ていても一部しかわからなかったんですけれども。
  316. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 三鷹―立川間複々線化のための買収した用地につきましては、将来行う予定の工事という範疇に入るために、やはりこれは清算事業団の方に帰属させるということでございます。
  317. 野末陳平

    野末陳平君 そうすると清算事業団では、将来行う事業としてこれをどういうふうに今後なさるんですか。つまり、この計画というのはどこがこのまま引き継いで実現させるということになるんですか。
  318. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 清算事業団に引き継ぎました用地は、原則としましては、これはもう売却しまして債務の償還に充てるというのが原則でございます。ただ、今までのいきさつ等もある物件等につきまして、例えば旅客会社の判断というのがその時点で加えられる余地があるかどうか、この辺はその時点で会社の判断が必要かと思います。
  319. 野末陳平

    野末陳平君 とすると今のお答えは、そちらが売却用地リストに挙げた中にほとんど複々線用のための買収した土地は入っているということですね。
  320. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) ほとんど清算事業団の方に渡る、こういうことでございます。
  321. 野末陳平

    野末陳平君 そうするとちょっと困るんです。要するに、だれがその土地を買うやらそれは知りませんけれども、結果的には、せっかく一度買収した土地を、複々線を今後つくるに当たってはまたそれを高い金で買い取らなきゃならない、こういうことになるんでしょう。
  322. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) その時点におきます旅客鉄道会社、これがどういうふうに将来の構想をとるかどうかということにかかっているわけでございまして、原則的には、清算事業団に渡りました土地というものは、当該時価によりまして売却するという原則は変えられないと思います。
  323. 野末陳平

    野末陳平君 わかりました。つまり、複々線の工事はもうこれは絶対必要なわけです、今の通勤事情を見ますと。しかし、そのために手当てした土地がまたこれは事業団から売却されるわけですから、そうすると、新会社がそれを全部うまく買えれば恐らく複々線はできると思いますが、もしこれを再手当てするのが非常に難しい事態が起こると、高いとかあるいは今度はだれかがそれを買ってごねて売らないとか、そうすると結果的に、せっかく計画が進んできたこの三鷹―立川間の複複線の工事ができなくなっちゃうんじゃないかというそういう不安があるわけなんですよ、全部土地を出しちゃっているから。だから、売りに出すということは、さっきの、処分収入がふえて国民のプラスにはなるけれども、しかし今度は、その結果、せっかく実現が近づいてきた複々線ができなくなるというと、こちらでマイナスになるという、この辺が心配なんですね。これはどうなるでしょうかね。
  324. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは実は事実的に、事実関係としてのその状況を私は熟知しておりませんので、国鉄当局にもう一度答えてもらいたいと思います。
  325. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 今までお答えしましたとおり、清算事業団に渡りましたものは、やはり売却時におきます時価によって売却されるということでございます。その際に旅客会社の判断というものがどの程度入るか。どうしてもやるべきであるということでございますならば時価で買い取る。そうでない、それができないということでございますれば他に売却される、こういうことになろうかと思います。
  326. 野末陳平

    野末陳平君 いや、だから、よくわからないのは、要するに新会社はつくらざるを得ないわけですよ、今。だからつくると思いますよ。しかし、その土地がすんなり新会社に入ればいいけれども、事業団が売却する。高くなるのはやむを得ないとしても、つくれなくなるように、土地手当てができなくなることだってあるでしょう。だから、複々線工事ができることを考えてほしい、その配慮をしてほしいというのがこちらのお願いなんですよ。ですからそれを言っていただければいいんで、端的に答えてもらえばわかるんで、最後になりましたけれども、ひとつ複々線工事はもうつくらざるを得ない。ですから、その土地を売却しないで直接引き継いでもよかったろうし、売却して収入を得てもいいけれども、線ができなきゃ困る。できないような事態の起きるような、単なるやたらに売るということだけはやめた方がいいんで、そこをはっきりさしておいていただきたいわけですよ。それならわかるでしょう、大臣。
  327. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 今、先生の御趣旨は十分承知いたしております。なかなか今端的にお答えできませんが、将来にわたりまして支障が起こらないように私なりに努力したいと思います。
  328. 野末陳平

    野末陳平君 じゃ大臣。
  329. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今伺っておりまして、どうも総裁の説明よりも委員の御質問の方に私も納得すべき点が多いような感じがいたします。恐縮でありますが、これは調べてみたいと思います。
  330. 野末陳平

    野末陳平君 わかりました。  終わります。
  331. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  明日は午前十時に公聴会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会