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1986-11-12 第107回国会 参議院 日本国有鉄道改革に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    第百七回国会参議院 日本国有鉄道改革に関する特別委員会会議録第三号 昭和六十一年十一月十二日(水曜日)    午前九時三十分開会     ─────────────    委員の異動  十一月十一日     辞任         補欠選任      高平 公友君     沓掛 哲男君      野末 陳平君     秋山  肇君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山内 一郎君     理 事                 伊江 朝雄君                 浦田  勝君                 江島  淳君                 亀長 友義君                 赤桐  操君                 安恒 良一君                 矢原 秀男君     委 員                 大島 友治君                 梶原  清君                 木村 睦男君                 沓掛 哲男君                 倉田 寛之君                 坂元 親男君                 下条進一郎君                 田代由紀男君                 野沢 太三君                 真鍋 賢二君                 増岡 康治君                 森田 重郎君                 山崎 竜男君                 吉川 芳男君                 吉村 真事君                 青木 薪次君                 穐山  篤君                 田渕 勲二君                 渡辺 四郎君                 鶴岡  洋君                 中野  明君                 三木 忠雄君                 内藤  功君                 田渕 哲也君                 柳澤 錬造君                 秋山  肇君    国務大臣        内閣総理大臣   中曽根康弘君        国 務 大 臣  金丸  信君        法 務 大 臣  遠藤  要君        外 務 大 臣  倉成  正君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        文 部 大 臣  塩川正十郎君        厚 生 大 臣  斎藤 十朗君        農林水産大臣   加藤 六月君        通商産業大臣   田村  元君        運 輸 大 臣  橋本龍太郎君        郵 政 大 臣  唐沢俊二郎君        労 働 大 臣  平井 卓志君        建 設 大 臣  天野 光晴君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    葉梨 信行君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  玉置 和郎君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)        (国土庁長官)  綿貫 民輔君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       近藤 鉄雄君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)      三ツ林弥太郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  稲村 利幸君    政府委員        内閣審議官    中島 眞二君        内閣法制局長官  味村  治君        内閣法制局第四        部長       大出 峻郎君        日本国有鉄道再        建監理委員会事        務局次長     吉田 耕三君        公正取引委員会        事務局経済部長  厚谷 襄児君        総務庁人事局長  手塚 康夫君        防衛庁参事官   古川 武温君        防衛庁参事官   筒井 良三君        防衛庁教育訓練        局長       依田 智治君        防衛施設庁総務        部長       平   晃君        防衛施設庁建設        部長       大原 舜世君        防衛施設庁労務        部長       西村 宣昭君        国土庁土地局長  田村 嘉朗君        大蔵省主計局次        長        角谷 正彦君        大蔵省主計局次        長        篠沢 恭助君        大蔵省証券局長  北村 恭二君        文部省初等中等        教育局長     西崎 清久君        農林水産大臣官        房長       甕   滋君        通商産業大臣官        房審議官     末木凰太郎君        運輸政務次官   柿澤 弘治君        運輸大臣官房審        議官       井山 嗣夫君        運輸大臣官房国        有鉄道再建総括        審議官      林  淳司君        運輸大臣官房国        有鉄道部長    丹羽  晟君        運輸省運輸政策        局長       棚橋  泰君        運輸省地域交通        局長       熊代  健君        運輸省貨物流通        局長       松村 義弘君        労働大臣官房審        議官       佐藤 仁彦君        労働省労政局長  小粥 義朗君        労働省労働基準        局長       平賀 俊行君        労働省職業安定        局長       白井晋太郎君        建設省都市局長  北村廣太郎君        建設省住宅局長  片山 正夫君        自治省行政局公        務員部長     柳  克樹君        自治省税務局長  津田  正君    事務局側        常任委員会専門        員        多田  稔君    説明員        日本国有鉄道総        裁        杉浦 喬也君        日本国有鉄道常        務理事      須田  寛君        日本国有鉄道常        務理事      澄田 信義君        日本国有鉄道常        務理事      山田  度君    参考人        日本国有鉄道再        建監理委員会委        員長       亀井 正夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本国有鉄道改革法案内閣提出衆議院送付) ○旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○新幹線鉄道保有機構法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道清算事業団法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案内閣提出衆議院送付) ○鉄道事業法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道改革法等施行法案内閣提出衆議院送付) ○地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○日本鉄道株式会社法案村沢牧君外五名発議) ○日本国有鉄道解散及び特定長期債務処理に関する法律案村沢牧君外五名発議) ○日本鉄道株式会社退職希望職員等雇用対策特別措置法案村沢牧君外五名発議)     ─────────────
  2. 山内一郎

  3. 山内一郎

    委員長山内一郎君) まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りします。  各案審査のため、本日、日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 各案につきましては、前回の委員会において既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 青木薪次

    青木薪次君 参議院特別委員会が本日ただいまから審議開始となりました。そこでまず中曽根総理にお伺いいたしたいと思うのでありますが、衆議院においていろいろと質疑が行われ、疑問点修正点が浮き彫りにされてまいりました。しかしながら、この国鉄改革の問題は、交通革命とも言うべき今日のあらゆる問題をまだまだ集中的に議論を出しているとは考えておりません。私は長い間国鉄の第一線で働くことができましたので、少しはこの問題点がわかると確信をいたしておる点でございます。特に我が参議院は、衆議院における行き過ぎ議論不足という問題については突っ込み不足をやはり修正しなきゃならぬ、補強しなきゃならぬというそういうチェック機能を持っていなきゃならぬというように私は考えておるのであります。  ところが、十月二十八日の衆議院会議におきまして法案が可決されますと、もはや国鉄改革法政府案どおり通ったのだと、こういう錯覚に陥りまして、新事業体設立委員人選に移ってみたり、あるいはまた旅客会社貨物会社本社をどこにつくるんだというようなことが新聞報道を毎日のようににぎわしておると思うのであります。こういう問題については、全く議論がまだ本日で半分である、こういうことを考えなきゃならぬときに私は驚くべき行き過ぎではないかと思うのでありますが、この風潮を総理どう考えますか。
  7. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 青木さんのおっしゃるとおりでございまして、まだ衆議院を通過しただけで、大事な参議院が残っております。したがって、本社がどうであるとか役員がどうであるとかということは行き過ぎであります。もちろん政府あるいは与党はそういうことに一切関知しておりません。私は運輸大臣にも、法案が成立してから人選は相談しよう、それ前までにいろいろ考えるというと顔に出るから考えない方がよろしいと、そういうことを言って、厳に二人でその点は戒めておるところでございます。私と運輸大臣がそういうことをしているのですから、新聞に出てくることは自由な憶測でございまして、そういう事実は政府与党にはないということをここで申し上げておきます。  我々としては、国鉄改革は大事業でございまして、いささかも間違いのないように細心、周密に議論もし、計画も立て、誠意を持って処理しなけりゃならぬことも多々あると思っております。家康じゃありませんが、百里行こうと思ったら九十九里までともかく一生懸命やらなきゃならない、それで初めて半分通過したと考えるというぐらいでやっていかなきゃならぬと思っております。
  8. 青木薪次

    青木薪次君 分割・民営化法案というものは国鉄百十四年の歴史の終えんでありましょう。私は、国鉄解体法案とも言われるべきこの法案について、対処しなければならない数々の実はデメリットが余りにもたくさん含まれていると思うのであります。私はその点をただしながら質問いたしてまいりまするけれども国民の前で謙虚に耳を傾け、よりよい意見については進んで修正に応ずるような御意思が総理にあるかどうか。また、運輸大臣にもお伺いいたしたいと思います。
  9. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今修正というところまで踏まえての御質問をちょうだいしたわけでありますが、私どもは、今総理お答えになりましたとおりにまだ道半ばにも到達をしておらない今回の国会の御審議と受けとめておりまして、全力を尽くして委員各位の御質問にもお答えをし、少しでも国民に御理解をいただく努力を払うつもりでおります。  ただ、その基本線を踏まえました上で、私ども衆議院でさまざまな角度から各党からの御意見をちょうだいしてまいりました。そして、その修正をも踏まえて今最善のものを御審議いただくことになっておると考えております。
  10. 青木薪次

    青木薪次君 そこで私は総理にお伺いいたしたいと思いますけれども総理国鉄経営破綻ということをいつも言っていらっしゃるわけでありまするけれども、もし破綻だと言うならば、原因はどこにおありかという点についてお伺いいたしたいと思います。
  11. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 破綻云々というのは、監理委員会意見書の中に破産同様の状態に来ているというように表現されておるのを受け取られたものであると考えます。こういうような事情になりましたのは甚だ残念でございますが、事情はいろいろな事情があると思いまして、単一一つ事情に帰すべきほど単純なものではないと思います。考えてみれば、やはり交通事情の大きな激変に対応する力が国鉄自体になかったということに帰せられると思いますが、そういうことになった、対応できなかったという一つ原因の中には、政府やあるいは与党のやり方が必ずしもそのときそのときにやるべきことをびしびしやっていなかったという面もありましょうし、あるいは経営者組合の側においてもそういう危機に対する意識が足りなかったという点もあるかもしれません。しかし、基本的にはやはり公社制度による全国単一制度、それから労使双方責任体制がなかった、したがって結局国に頼るという形にならざるを得ない。ものをやるにしても予算にしても、政府あるいは国にいろいろ依存してその判断を仰がなければできないというような点がかなりあったために、経営者の方も労働組合の方も自主的な責任体制で行うことができなかったと、そういう面も多分にあるように思います。そういうさまざまな理由から今日の事態ができたのでありまして、まことに遺憾な事態であり、そういう意味におきましても抜本的改正を今や必要としておると考えておる次第でございます。
  12. 青木薪次

    青木薪次君 総理の御見解は、激変に対応できなかった、それから単一公社制度でいわゆる知恵が回りかねた、管理が行き届かなかった、この二つに尽きるというように理解いたしますけれども、私は、この見解はこれはごく一部を見ているだけであって間違っていると思います。赤字累積債務というものは、政府の介入や総合交通体系など政策の立案について欠けておったし、経営対応の失敗もあるわけでありまするけれども、例えば新幹線など巨額資金借金で行ってきた、これが累積債務なのであります。したがって人件費も、戦後の復員された皆さんに対して、あの混乱期国鉄で全部抱えろというようなことで雇用吸収をさせられたというような点が人件費を膨大にふくらましてきたことにもなるわけでありますし、長期債務に対する利子負担国鉄財政危機に陥れたという点については、今総理がいみじくもおっしゃったように、私は政府・自民党の責任というものは大きいと実は思うのであります。今日、いわゆる経営破綻と言われるならば、そこが最も大きいという点を考えなければ議論が狂ってくるということを、総理、いかが考えますか。
  13. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま申し上げましたように、いろいろな原因が積み重なって今日の事態に至ったと思います。そういう事態に至ったその原因はどこにあるかといえば、ただいま申し上げましたように、これは政府あるいは国鉄当局、あるいは経営者労働組合、そういうような全般の積み重ねの上に今日の事態が結果したと、そのように考えざるを得ないのであります。
  14. 青木薪次

    青木薪次君 総理運輸大臣をやられたし、ここに運輸大臣の御経験のある皆さんがおいででありますが、特に私は塩川文部大臣運輸大臣のときにいろいろと議論をし合いました。その中で塩川文部大臣は当時の運輸大臣として、昭和五十五年から始まって今日まで実施されてまいりました経営改善計画を盛り込んだ特別措置法案を提案された大臣であります。したがって、当時の会議録を読んでまいりますると、こう書いてあるのであります。三十五万人体制を認めてくれれば責任を持って政府は助成しましょう、それをどんどんやりますと。それから、そうすれば国鉄は蘇生いたしますと。私の質問に対してこういう答弁を何回もされたのであります。個人的にもいろいろお話をいたしました。  ところが、このことについては、既に経営改善計画は要員の合理化が予定以上に進みまして、五十九年の五月には三十二万人体制計画目標を変更するまでになったのであります。一般営業損益におきましては二百億円の黒字ということを念頭に置きました。ところが、六十年度の決算では三千百八十九億円の黒字になっているのであります。だから、塩川さんのおっしゃった、あなたの言われた以上に国鉄内部努力を実はしたのであります。したがって、今総理に御質問いたしましたように、金が一銭もないにもかかわらず、何兆円という膨大な借金をして、利子のついた金を借りてきて、それが債務としてたまっているというものとは違って、一般営業損益を収入と支出を一緒にするのがこれが目的である、こういう立場でやってきたわけでありますが、その点について、塩川文部大臣、ひとつ当時の運輸大臣になったつもりでもって当時を回顧して答弁してください。
  15. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) あの当時、昭和五十五年に国鉄再建法案ということで提示いたしまして、御質問の中にございますように、政府が最大限の財政援助をするということ、すなわちその骨幹となりましたのは五兆六百億円だったと思うのでございますが、この長期債務の棚上げということを柱といたしまして財政措置を講じてきたところでございます。  そこで、あの当時といたしまして、私は国鉄がやはり再生の道はあったと思っております。しかしながら、ずっと過去から顧みまするならば、昭和五十年のスト権ストのときがございまして、あれで八日間のスト国鉄がとまったことがございます。あのときに、それでは日本経済が麻痺したかといえば麻痺しなくて何とかやりくりがついた。そのときがひとつの交通体系の根本的な見直しの時期になった、それを踏んまえての再建計画を立てなければならないということで我々も懸命の努力をしてまいりました。しかし、あの昭和五十年ごろをひとつの転機といたしまして、交通の主要なる機関が鉄道以外に移って、鉄道通勤客通勤を対象としたものに大きく変貌していった。それに対する的確な措置も私は十分とれなかったということは今にして残念に思うておるのでございますが、いずれにしても、時代が変わりまして、交通手段の大きい変革というものがこの国鉄再建を非常に難しくしてきておる原因ではなかろうかと思うております。
  16. 青木薪次

    青木薪次君 文部大臣、五兆六百億円の問題はそれ以前の問題でありまして、それ以前の問題で二回ほどやりました。それは私も知っているので、素人に言うようなことを言われてもこれは困るのであります。  総理にお伺いいたしたいと思いますが、私と文部大臣と今いろいろやり合っても、当時を思い出すだけで、答弁をはぐらかそうと思ってもそれはできないのであります。特に私にはできない。したがって、まず総理にお伺いいたしたいと思いますのは、私はやはり政府の怠慢で経営改善計画もうまくいかなかったと思っておりますし、毎年七千億円という助成も、五十六年度七千三百三十四億円をピークにいたしまして六十一年度には四千億円に減っているのであります。したがって、赤字前提東北上越新幹線建設も何の手当てもなく進められて、しかも年金の増高等についても手を打つことができなかった。  特に、青函トンネル一・一兆円、本四架橋についても将来新幹線を通すであろうという前提に立ちましてそうしてこれも国鉄借金青函トンネル鉄建公団でやったけれども、これも国鉄借金にしておけ。整備新幹線についても、これはもう時既に民間会社になってしまうんですから、そうするとこれは国でもってやる。しかし、国でもってやるといたしましても、北陸新幹線盛岡以北東北新幹線、あるいはまた鹿児島新幹線とか、将来は北海道新幹線、こういうものをやらなかったら自民党もちますか。私は今の政治機構が大変な問題点になってくると思うんです。そのときに手をつけ始めたら直ちに二十五兆円かかる。  こういう問題等についても私は相当問題点があると思うのでありますが、監理委員会の「意見」では、財源も考えずに東北上越成田新幹線青函トンネルや本四連絡架橋をやみくもに国鉄につくらせてきたその仕組みや実施にメスを入れて解決の方法を示すものは何も示しておらないのであります。したがって、明らかに赤字を増した仕組み、温存させた仕組みというものは国鉄名義借金政策であり、これが積もり積もって長期債務になったということについて非常に問題が多いと思うのでありますが、きょうは幸い亀井参考人が見えておりますので、この点について、あなたはこの意見書を書いた責任者といたしまして今の問題についてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  17. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 先生の御質問は、膨大ないろいろの投資を借金でやったというところに問題があると。私どももそのとおりに存じた次第でございますけれども、私どもは、あり姿の現在の国鉄全体を、再建を推進する案を出してくれということでございますので、そういう病状を全部診断いたしまして、過去からいろいろいきさつがありましたでしょうけれども、その借金というものの処理を整理する、そして新しい事業体には大きな負担をかけずに健全な体質でやる、こういう考え方でやったわけでございます。  前から予算委員会でもいろいろ御質問がございまして、例えば青函トンネルの問題あるいは本四架橋の問題、しかし今できつつあります、六十三年の春からいよいよ使えるようになるというものを雨ざらしにするわけにもいかぬでしょうと。何かやはりこれは二十一世紀に向かう日本民族の大きな資産として活用するという見地からこの借金の整理ということをせざるを得ないというふうな考え方で私どもの考えを整理いたしまして意見を出した次第でございます。
  18. 青木薪次

    青木薪次君 亀井委員長、御苦労だけれども大変苦しい御答弁をなさっている。同情はしますけれども意見は余り賛成できない。  そこで、あなたは昨年でしたか、我が党の丸谷委員質問いたしましたね、一体、監理委員会は七月二十六日に答申を出したけれども、何でもかんでも国鉄借金にこの際くっつけておけばいいんだという姿勢はこれは困る、しかも青函トンネルなんというのを国鉄借金にしておくというのはかわいそうじゃないかと、こう言ったところが、あなたは、「青函トンネルの問題についてはいろいろ問題がございますけれども、新発足をした場合に国鉄鉄建公団との関係の債権債務ということを明確にするということでこういう仕分けをしたわけでございまして、これは計算技術上の問題であって、まあ新しい事業体もとてもこれの資本費というものは負担していけない。しかし、青函トンネルは六十三年四月にできれば、これはせっかく国民のやっぱり要望でできたものを雨ざらしにするわけにはいかない」ということで今度国鉄借金にくっつけた、こういうことでありましたけれども、これを推進したのは国鉄当局じゃなくてやはり政府と土木業界、いわゆる政治家であったということを御記憶だと思うのでありますが、この点についてはどういうお考えですか。
  19. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 青函トンネルの問題につきまして決意をされたのは当時の政府であったと思います。しかし、北海道と本州とをトンネルでつなぐということは、一億の国民全体が、もしできれば望ましいということが私は当時の国民のやはり願望であったというふうに思います。しかも、経済情勢は当時は高度成長にこれから向かうという時期であって、国民全体がバラ色の夢を持っておった。しかもこの利用者は、当時三十九年ごろの想定によりますと青函連絡船の二千万を超える利用者があるであろうという想定もあった。ところが航空機の発達によって現在は青函連絡船を使う人は二百万ぐらいしかない。こういう状況の大きな変化があったわけでございまして、そういうことを今さら言ってもこれはしようがない。とにかく六十三年にトンネルができる、それがどういうふうに民族として活用できるかという観点から、そうするとそのお金の問題は、ルール上、完成すれば鉄建公団から国鉄に移される、そしてその借金国鉄が背負う、こういう一つのルール、取り決めになっておりますので、その前提において私どもはどういうふうにしたらいいかという案を具体的につくった、こういうことでございます。
  20. 青木薪次

    青木薪次君 亀井委員長は、今さら言ってもしようがないという議論はそれはちょっと困るんですよ。  今ここにこれだけ細かい字で書きまして、総理、あなたの国鉄に対する答弁集を私つくってみた。もう厚い、単行本にするぐらい実はあなたが答弁していらっしゃる。しかもこの答弁の内容というものはなかなか総理一流の名演説で、時々あっちへ飛んだりこっちへ飛んだりはぐらかしたりいろいろしてやっていらっしゃる。これをあなたもごらんになったらおもしろいと思う。そのときそのときで、そう言っちゃ何だけれども、風見鶏的答弁が非常に多いんですよ。まともに答えていないはぐらかし答弁が多いという点を私は申し上げなければならぬ。今はっきりしていることは何か。大量の国鉄労働者を要員削減する、人減らしをする、それから長期債務国民負担してもらう、これだけは明確です。ですからこれじゃ困る。  そこで、一番困難をきわめておりますのは国鉄労働者の給与費が極めて下がっているということです。それからやはり最大の犠牲者は国鉄労働者である。五年前に四十余万人あった人が、先ほど塩川大臣質問いたしましたようにこの九月で二十七万三千になってしまったんです、わずか五、六年の間に。そして北海道の先祖伝来墳墓の地から、ずっと東海道から山陽から東京周辺に泣く泣く家を背負って転勤をしてくる皆さんがもう泣きの涙で今来ている。こういうようなことで、来年の四月一日には基本的に十八万三千でいいんだ、こういうように言われているのであります。  私は、総理が十月二十九日の参議院会議における各党質問の中で、政府責任については、変化に対応する経営政策がおくれた、公共企業体という一元的運営が大き過ぎて管理が行き届かなかったということを言っていらっしゃるのでありますが、国民はもう何の責任もないのに十四兆七千億円、初めは十六兆七千億円だった、十四兆七千億円の借金を税金その他で負担してくれということになっておりまして、このことについては私は大変国民に対して申しわけないことであるというように思いますし、この点、国鉄労働者が半分以下に減ってしまう、本来ならもう社会不安が起きるということでありまするけれども、その辺はやっぱり良識で今じっと我慢しながら歯を食いしばっているということであるわけでありますが、この二つについて、総理、これから参議院審議する前提といたしまして、総理はこれらの皆さんにひとつ、申しわけなかった、政府もこれからも頑張るけれども、諸君、非常に申しわけないということをこの際テレビを通して謝罪をしていただきたいというようにお願いいたしたいと思うのでありますが、いかがですか。
  21. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国鉄が今日のような状態になった原因については冒頭申し上げたとおりでありまして、これはさまざまな複合的な原因があると申し上げたとおりでございます。 しかし基本的には、やはりこの大きな自動車化、いわゆるモータリゼーションというものに対応する力が欠けていた。それから競争相手であるトラックだとか、あるいはそのほかのもの、航空機であるとかそういうものがどんどん出てきたのに対応する国鉄政策のやり方がまた機動的でなかった。そういう面もございますし、またいろいろ民間の私鉄との対比等を見ますというと、経営その他において必ずしも能率的でなかったという面も見受けられる。さまざまな複合的な原因があります。  それらについて、ではそれがどこから来たかという面を見れば、もちろん政府あるいは与党政府与党一体でありますから、あるいはさらに経営当局、あるいは労働組合、全般がやはり対応する力を結集して思い切ってやるその努力に欠けていた、そういう点は認めざるを得ない。また、公社制度という制度自体が時代に適応しなくなって民間的な経営能率手法というものに欠けていた、そういうような面もないとは言えない。これらは国鉄監理委員会意見書に十分盛られておるところでございまして、私は、そういう意味において政府責任を必ずしも回避するものではございませんけれども、しかし結果的には今のような事態になったのには総合的な複合的な原因があるんだということを申し上げる次第であります。
  22. 青木薪次

    青木薪次君 私は今の総理答弁では納得することができません。公社制度というものの最大の特徴は、政策経営が分離しておったのであります。ある意味では、政策の決定権は国会政府において握って、国鉄は上から与えられた条件の範囲内で経営する仕組みになっておったのであります。その大きな点は投資でありましょう。これは国鉄には何もできません。上からの命令で投資が行われた。嫌々ながら投資もやってきたということもあるでしょう。それから賃金についても、まだ仲裁裁定が守られておりません。賃金の決定権もありません。運賃、これも国会で決め、政府で決めておるのであります。  どれ一つをとってみても国鉄に権限がないじゃありませんか。だから、無理な要求である新線の建設、例えば新幹線建設とか赤字ローカル線の建設等の問題についても、大赤字が出るということがわかっておっても反対できない。一方、新しく鉄道を敷設した政治家は一生選挙に落選することがないということが言われておる。私の在所の二俣線というのがある。これは廃止しますよと言ってから、一番、天竜という中心的な市から長野県、愛知県に通ずるいわゆる佐久間線の建設期成同盟もまだやられておる、こういうことなんですよ。そういうようなことは国鉄当局でどうともならない。したがって、せっかくつくれば相当利便に供するわけでありまするから、やはりこれを廃止すると言えば、生活のすべてでありまするから、ローカル線廃止反対という声が燎原の火のごとく全国に蔓延することは当たり前のことでありましょう。これを廃止するということは、乳飲み子を乳房から引き離すことであります。しかし、それをやったのであります。  ですから、そういう点に国鉄に権限がなかった。国鉄総裁はどこかの大会社の課長とか係長だなんてよく言われておりました。こういう点を考えたときに、いろんな問題はあるでしょう、しかし総理はあっちもこっちも全部責任があるんだということでありまするけれども、なぜ総理は謙虚に政府のやり方もよくなかったということをここで言えないんですか。私は言ってもらいたいと思います。
  23. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま申し上げましたように、長いいろいろないきさつがありまして、しかもモータリゼーションあるいは飛行機の非常に大きな発展、そういうようないろいろな情勢に対応することができなかった、そういう面がある。また、経営自体が、全国一元化運営というものが私鉄等の能率的経営等から比べるというとやはり欠陥があったのではないかと指摘されておる。あるいは経営者にしても、今申し上げた諸点の問題について自分で決められなかった。労使間の問題にいたしましても、一々政府や大蔵省にお伺いを立てなければ決められなかった。そういう面から経営者労働組合も自主性を欠いてきた。自己責任による思い切った仕事がやれない、そういう面もなくはない。そういう意味において、政府も必ずしも責任がないとは申し上げません。しかし、よって来た原因にはいろいろなものがあるということを申し上げて、さればこそ、ここで思い切った大改革をやって、抜本的に今挙げられたような欠陥を是正しようというのが今回の改革だと考えております。
  24. 青木薪次

    青木薪次君 十月二十八日に国鉄改革法案衆議院を通ったときに、各社一斉の意見というものを私は興味深く見てみた。   国鉄経営を、利子の支払いのため借金につぐ借金という自転車操業に追い込んでいる長期債務の大部分を、政府国民負担をお顔いするなどして責任をもって処理するという。この債務利子払いというしがらみさえなければ、すでに国鉄経営は一昨年から黒字に転じ、その額は昨年度は三千二百億円近くに達している。いまのままでやっていけるのなら、なぜ旅客会社を分割したりしなければならないのか。 こう書いている。しかも、   全国一社制では管理が行き届かず、旅客の移動状況からみて六分割が適切だとか、本州三分割は「経営状態の良い東海会社という暴れん坊をまん中に置き、東日本、西日本会社と競争させる」という説明だけでは、なお不十分だ。   政府は、特定地方交通線を除くローカル線は、すべて存続させるといっている。ヨーロッパ諸国の多くは、ローカル線の持つ公共的側面をとらえて赤字は国が補償しているが、今回の法案は分割会社の企業努力にすべてをゆだねている。果たして、北海道や四国、九州では、やっていけるのか。 そして、国鉄共済年金はどうなるのか、公平、厳正といったような問題等について、検討中、あれも責任、これも責任というのは総花的で、いかにも中曽根総理らしい答弁で、はぐらかし答弁と言わざるを得ないと書いているんです。  そういう点について私は総理が、いろいろな原因はある、しかし政府責任があるから政府も一生懸命やるから、ひとつぜひ国鉄労働者の皆さんよ、半分減って苦しかろう、家をしょって東京へ来なければならぬという悲しさもあるでしょう、先祖墳墓の地と離別をしてくることについても大変気の毒だ、国民に対しても十四兆七千億円の借金負担するなんということは法外なことだけれどもまことに申しわけない。なぜこれが言えないんですか。私はこれを言ってもらいたいと思う。
  25. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先ほど来申し上げているように、いろいろな複合的な原因があってこういうことになりましたと。しかし、考えてみればそのときそのときにおいて果断な改革案を断行できなかった、そういう点はやはり我々政府の一員としても責任を感ぜざるを得ない。今こういう思い切った改革案を持ってきたというのは時代的には遅過ぎるぐらいの感じがしているんです。国民皆さんもそうだと思われます。しかし、そのときそのときの事情によってできなかった面もあるのでありますが、そういう点については甚だ遺憾であります。
  26. 青木薪次

    青木薪次君 この問題でいつまでやっておりましても時間がたってまいりますけれども、私は、政府責任ということを中曽根総理が特に強調しながらひとつこの問題に対応していきたいということを、いろいろ言われておっても、そのことを重点として考えながら、今後の交通輸送体系の確立とかその他の問題に処していかなければならぬという決意を言われたというように理解してよろしゅうございますか。
  27. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今までやってきたいろいろな政策についてもよく検討を加え、また国鉄監理委員会意見書も十分尊重して、そしてその結果過去のことを反省し、そしてここで思い切った大改革をやらなければ国鉄は蘇生できないし、国民国鉄というものにはなり切れない。そういう意味で今度民営・分割案を断行して、今までのいわゆるできなかった問題を一挙に解決して、そして国民に利便な、そして時代のいろいろな問題に対応できる交通機関として再生させるべく強い決意で推進したいと思っております。
  28. 青木薪次

    青木薪次君 総理答弁は非常にはぐらかしが私は多いと思うのであります。皆さんにしっかり頑張ってくれということについては、総花的にあれもある、これもある、例えばいろんな変化に対応する能力に欠けていた、あるいはまた全国一社制の国鉄では知恵が回りかねるとか、そういったようなことというものは、じゃNTTは何で一社制でやったんだ。それから今日まで、さっき塩川運輸大臣に申し上げたように、一般損益で三千百八十億円も黒字を示したということは一体何か。これはやはり私は国鉄努力だということを言わざるを得ない。だから、このままやっていけば黒字がずっと続くんです。ですから、そういうようなことで政府責任ということをできるだけ言いたくないという点について、非常に私はその点に問題があると思いますけれども、これから以下問題点を詰めていきたいと考えております。  国鉄改革法の第一条で、国鉄による事業経営破綻しと明記されております。国鉄事業経営破綻した状態というのはいかなる状況を指しているのか、総理から御答弁ください。
  29. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 国鉄経営は、先ほどからお話が出ておりますように、一般営業損益のみの論議ではなく全体を見ました場合、昭和六十年度には一兆八千億円余の損失を生じております。国からの助成を除けば二兆四千億円余の損失となります。また、繰越欠損金は十四兆円を超えておりますし、長期負債は約二十三兆六千億円に達しております。このような経営のまま推移するとしたならば、最終的には国民の御負担というものをどこまで願っても切りのないような状態に陥るのではないか、私どもはそう心配をいたします。また、監理委員会の「意見」でも御指摘をされておりますとおりに、必要な資金の調達もそのような状態になれば困難になるでありましょうし、事業運営自体にも重大な支障が生じかねないと考えます。改革法案の第一条ではこのような事態破綻としてとらえ、これに対処するために早急に根本的な改革策、抜本策を実施することが必要である、これを規定したわけであります。
  30. 青木薪次

    青木薪次君 恐らく破綻とか破産とかという問題等については、いろいろ言われておりますけれども、支払い不能とか支払い停止とか、あるいはまた債務超過とか、こういうような問題が実はあると思うのでありますが、今運輸大臣からこういう点についていろいろ説明がありましたけれども、本当にうまくいかなくなったのかどうか。例えば、国鉄の総所有地は琵琶湖とほぼ同じ広さの六万六千八百五十ヘクタール、今回政府が売却しようとする用地はそのうちの五%の三千三百三十ヘクタールを売却するだけであります。この金は七兆七千億円の収入、すなわち時価になるわけでありますが、全資産を再評価すれば、その額は長期債務二十五兆円を優に上回って、まあ百兆ということを言う人もありますけれども、これはオーバーにいたしましても、六十兆円とか七十兆円とか言われているのであります。すなわち、借金過多の状況ではなくなることは明白だと思うのであります。ヨーロッパのように政府が出資金を投入していけばより一層事業経営は何らの支障なく継続していけるのではないでしょうか。この点についてはいかがでございますか。
  31. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員が御指摘になりましたようなさまざまな数字が世間を飛び交っておるという状況は私も承知をいたしております。しかし、国鉄資産というものの大半は鉄道事業の継続のために必要な事業資産でありますから、これを処分を行った場合の価格で再評価をしての議論と申しますのは、私ども鉄道事業の継続を図ろうとしておる限りにおいては全く意味のないことではなかろうかと考えております。仮にその資産価値を再評価して増加をさせてみましても、これによって収入の増加が図れるわけではありません。また、売却処分を前提としていない以上は債務も減少をいたしません。利子負担も減少しないわけであります。すなわち、毎年の大幅欠損の体質というものはこの再評価によって何ら変わるわけではありませんし、国鉄経営が困難な状況にあるということにも変わりは出てまいりません。  ただ、あるいは委員の御意見の中には、資産再評価とあわせて政府出資を行え、そうすればその分借入金負担が軽減されるから国鉄経営状態の改善に寄与するではないかという御指摘があるのかとも思います。これは確かに一つの御議論としては私も否定をいたしませんけれども昭和六十年度でも一兆七千億円もの債務増を相殺するような巨額の政府出資というものを従来からの政府助成に上乗せをして継続的に実施をすることについて、私は到底国民的な合意が得られるとは考えられないのであります。まして、こうした処置を講じましたとしても債務増及びこれによる利子負担の増大を防ぐというのみにとどまるわけでありまして、現行の経営形態を存続させるとすれば経営環境への変化の対応が適切に行われづらい現在の状況はそのままに継続をするわけでありますから、赤字はさらに拡大することすら想定をされるところでありまして、私は到底国民の支持していただけるところにはなり得ないと考えております。
  32. 青木薪次

    青木薪次君 そこで運輸大臣、私は、イギリス鉄道公社、ドイツ連邦、フランス、日本と同じような状態にあるところを調べてみた。そういたしますと、運輸収入に対する財政援助というものは、あなたもお調べになっていると思うのでありまするけれども、格段の相違ですね。これをいわゆるもうけという立場だけで考えていないで、国民に対する福祉という立場に立って交通弱者の問題を考えている。  今ここでもって説明してもいいわけでありまするけれども、例えばフランス国有鉄道は一兆七千九百七十五億円の収入に対して千七百二十億円の赤字に実はなるわけでありまするけれども、財政助成については一兆百八十六億円支出をいたしているのであります。それからドイツ連邦鉄道については、二兆三千百九十三億円の収入に対して財政援助は一兆一千二百五十八億円出しているのであります。それからイギリスにおきましては、一兆二千十四億円に対して四千四百四億円の助成をしている。日本国鉄の場合におきましては、今は昭和六十一年度は四千億足らずでありますが、収入は三兆五千六百八十六億に対してそういう状態ですね。  ですから、そのことを考えてみただけでも、いかに日本政府国鉄が、損益を度外視いたしました、度外視するというよりも、交通弱者の問題をモータリゼーションの世の中において何とかひとつ守ってあげよう、それと全国平準に交通を確保してやろうとする温情あふれる措置がないかという点は、私が今申し上げた数字だけでもわかるじゃありませんか。その点についていかがですか。
  33. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員御指摘の数字は、私も素人なりに調べてみました。ただ、同時に各国それぞれその国の交通体系の中、国民のそれぞれの交通機関に対する依存度の違いもあろうかと存じます。また、地形的な要因もありましょう。委員が御指摘になりますように、国土の均衡ある発展を担保する、また全国どこにおいても一定水準の国民の足が確保されるべきであるという基本の部分につきましては私も決して異論を申し述べるものではございません。しかし、それが国鉄という形ですべて担保されなければならないとも私は考えておりません。  大変失礼とは思いますが、ここで一つの数字を申し上げてみたいと思うのでありますが、これは衆議院でも何回か申し上げたところであります。  昭和七十五年という時点を想定しながら、国民交通機関に対する依存度というものを数字としてとってみました場合、今後におきましても、確かに鉄道輸送というものに対しましては百キロを超えます部分で二四・八%という依存度は示されております。しかし、百キロから三百キロの距離におきましては、実は自動車に対する依存度が七四%を占めておるわけであります。鉄道というものの特性を国民がどう評価をしておられるか。一つは都市圏における通勤通学輸送というものでありまして、百キロ未満のところにおきましてはその時点においても三九・一%の鉄道輸送というものはシェアを持っております。また、三百キロを超えて七百五十キロ、広げて千キロラインまでを考えてみましても、いわば中距離の都市間における人員輸送という視点からは、国民に依然として鉄道というものは極めて大きな期待を持っていただいておりますけれども、ラフな申し方をお許しいただけますならば、三百キロ以内の地域におきましては、都市における通勤通学輸送という需要を外しますと、圧倒的に国民の依存度は自動車輸送というものになっておるわけでありますし、また、殊に千キロを超えます場合にはこれまた圧倒的に航空輸送というものに重点が移っておるわけでありまして、その限りにおきまして、各国それぞれのいわば国民交通機関依存度の違いもあれば、制度、歴史の差異というものもあり、一概にその対比をするということはいかがかと私は思っております。
  34. 青木薪次

    青木薪次君 今運輸大臣のおっしゃったことについては、交通輸送体系の中において各交通機関の特性というものを考えながら、政府において国民に誘導政策でもって提示すべき問題であって、私もここに今、大臣のおっしゃったような詳しい資料を持っておりますけれども、時間的に間に合いませんので、次に移ります。  大蔵大臣、例えば、一般会計においても今国債に依存する財政に陥れられてしまっているわけでありますが、この中で、我が党が国債増発の危険を指摘いたしますと、国民総生産に対する国債残高の比率が持ち出し的で大丈夫だということをおっしゃってきたのが政府の今日の立場で、国民の支払い余力があるから、この程度の百四十兆前後というような支払い余力がこれに対しては符合できるので大丈夫だという議論を展開いたしてまいったわけであります。国鉄だって、確かに汐留とか国鉄本社の周りとか梅田とか、こういう超一流の場所ばかりあるわけじゃございませんけれども、しかし少なくともそういう点を考えてみた場合に、この程度の借金に対しては私はペイできるんじゃないか、むしろ政府の方が借金をして国民支払い能力というものを担保にされているけれども、その議論の方がちょっと大変な議論じゃないかというように私は考えるんですけれども、いかがですか。
  35. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 私自身は、百四十兆に及ぶ国の債務国民総生産に比べて大したことでないから心配する必要ないというようなことを大蔵大臣として申したことはございませんが、ただいまの引例で申しますと、国民総生産との比較で長期債務を申しますのは、国富との関係で言っているわけではございません。つまり、日本経済が毎年これだけの国民総生産を持っておる、そしてそれはなお成長していく、そういう経済との関連でどのぐらいの債務なら心配ないか心配あるかということであって、ただいま仰せになりましたのは、国鉄債務国鉄の持っている資産との関連をおっしゃっていらっしゃるわけでございますから、国鉄が営業力が非常に強くて毎年毎年大きな利益を上げていく、したがってこの程度の債務ならば心配ないとおっしゃるのではなくて、これだけの資産があるからそれとの関連でと言っておられますので、比較としては、もしそういうことであれば国の債務は国富と比較されるべきでありましょうし、国民総生産との関連で申すなら、国鉄債務国鉄の収益力との関連で議論せられるべきであろう、理屈を申せばそういうことではないかと私は思います。別途、しかし国鉄にこれだけの資産があるのであるから、債務云々ということであれば、それはその資産をどれだけ有効に債務返済に活用していただけるかということになろうと思います。
  36. 青木薪次

    青木薪次君 私は、収益力というものは、昭和六十年度に三千百八十億円の黒字を示したという点は高く評価しているんですよ。ですから、大臣、その点は深く今後検討していただきたいと思います。  それから公共性の問題について、我が党は一元的運営ということを言っているんです。何といっても、なぜ民営にしたかという点については、あの線路も敷け、ここも何をやれ、こういういろんな政治的圧力があってはいけないから、これは公共性を担保する意味合いにおきましてもむしろ民営にしなきゃいかぬということと同時に、六分割するといろんなデメリットが余りにも多過ぎるという点から一元的運営ということを言っているものであります。水かけ論になりがちでありますけれども政府改革では、公社と全国一元的運営をやめて民営・六分割を規定しているわけでありますが、公共性という点についてはいかがなものか、運輸大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。国鉄はもはや公共性はなくなった、非常に薄らいだというようにお考えになっていらっしゃるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  37. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、現在国鉄が行っております鉄道事業というものが、その輸送能力等々を考え、その特性を発揮できる分野を中心として国民生活に有用な輸送サービスを提供しているという点におきまして、依然として強い公共性を有しておると思っております。これは論をまちません。そして、このように有用な輸送サービスというものを将来にわたって安定的に提供していくためにこそ、現在御審議をいただいております分割・民営化を基本とした経営形態の根本的な改革というものを実施する必要があるという問題のとらえ方をいたしております。  なぜそうなるかと申しますと、私は、先ほど申し上げましたような数字等々も頭に置きました場合に、輸送サービスの性格というものは、現在の国鉄と私鉄、あるいは鉄道と航空との間に特段の質的な差異をもってとらえるということは少しおかしいのではなかろうか。むしろ鉄道事業一般に有する公益性以外に国鉄に特別の公共性を求める理由というものは乏しいと考えております。ですから、多様な交通機関が発達し、その中におきまして国鉄交通市場の中で独占的な地位を既に失ってしまっております今日、国鉄に採算性を度外視する特別の公共性を持つ、それを認めると言われるのでありましたならば、むしろそれは交通政策上必ずしも適当ではないと私は考えております。公共性を否定するものではございません。
  38. 青木薪次

    青木薪次君 国家目的で、国土の均衡ある発展とか、全国どこへ行っても一定水準の足が確保されるべきだという基本論において、運輸大臣と私とはそんなに意見は違いないと解釈してよろしゅうございますか。
  39. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まさに全国どこにおいても一定の水準の国民の足が確保されるべきである、また国土が均衡ある発展を遂げていくためにもそうしたものが必要であるという基本論におきましては、私は差異はあるとは考えておりません。  ただし、交通機関の発達が大変著しい、そして鉄道が独占的な地位を既に失っております今日、利用者の自由な選択においてその足というものは維持される、水準というものは維持される、選択されるべき性格のものであると考えております。ですから、そうした意味で基本的には私は委員と食い違いはないと思っておりますが、方法論においては多少の違いがあるかもしれません。
  40. 青木薪次

    青木薪次君 我が党案は、公社の企業の目的が経営を維持するよりも国や政治の要請によって振り回されちゃいけない、ここに民営化に踏み切った根拠があるわけでありますが、今運輸大臣がおっしゃったような立場でいきますと、株式保有というような問題につきまして、NTTは三割持っておるわけです。たばこも三割だと記憶いたしておりますけれども、六分割された旅客会社貨物会社等に対して政府は株式保有をする気持ちは全然ございませんか。
  41. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 実は、私は党におります時点でNTTの民営化の案をまとめました責任者の一人でありますが、たまたまNTTの場合は、何と申しましても国内通信の中枢的な役割を果たしておりますこと、また全国的に電話のサービスを提供すべき責務を負っておりますことから、政府が一定の株式を保有することが望ましいと考えて案の整理をいたしてまいりました。しかし、現在私ども国鉄を分割し民営化していこうとしておりますその方向の延長線におきましては、むしろ完全な民間会社として、先ほど来委員からも御指摘がありましたような、いわば政府あるいは国会からの横風というようなものを避けますためにも、経営に介入すべき足場を残すことは適切ではないと考えております。そうした視点から、むしろ経営の自主性の確保というものを考えます場合に、私は株式保有はなじまないものであると考えております。
  42. 青木薪次

    青木薪次君 公共性というものについては、個々の意見では若干の相違はあるかもしれないけれども、大体私と運輸大臣意見とは違いはない。しかし、地方の大都市と地方中核都市、地方の中小の都市と言った方がいいでしょうか、それと大都市との一体化というものを断って、経済効率性とか利潤追求だけを中心的にとらえて庶民に対する交通サービスに欠ける点が多いことを私は心配しているし、現に多くなると思うのでありますが、この点について全く国による株式保有ということは考えないというように考えることは無理があると思うのでありますが、総理、いかがですか。
  43. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この点は、監理委員会意見にもありますように、最終的には全部民間に肩がわりさせる、時期は適当な時期にやっていく必要がある、そう考えております。
  44. 青木薪次

    青木薪次君 監理委員長、公共性というものは依然として大きくある、この点は私も大臣も同じだと思う。あなたは民間出身の委員長といたしまして、この点は将来全くもって民間にするというようにお考えかどうか。政府が株式を少しは持っていくということが正しいと私は思うんだけれども、いかがですか。
  45. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 公共性という事業はいろいろな分野でございます。例えば電力、ガスとかいろいろあるわけでございまして、公共性が高いから国営にしなければいかぬという議論はこれはない。これは社会党さんも民営化だという方角でお認めになっておられる。  それから、ただいま先生からお話ございました、庶民の足としていろいろ確保する。私は、関西に長らく住んでおりますと、関西では私鉄というものが非常に発達をしておりまして、そして十分庶民の足としての活用をされている、むしろ残念ながら国鉄の方の地位が低下してきておるというふうな状況もございますので、民営においてもその経営者が民間企業というものを、少なくとも国家社会の中で公共性というものを意識して仕事をしておると思いますから、そういう意味では全部国民に株を分けて、国民のものとして株式会社ができるということで十分ではないかというふうに私は考えております。
  46. 青木薪次

    青木薪次君 私は、大部分というものは民間に放出して、民間で持ってよろしいということだと思う。しかし、一部は公共性を担保するという意味において政府が持つということは、決してこれは無理な議論じゃないし、当然な議論たと思うのであります。  監理委員長にこの際お伺いいたしたいと思うのでありますが、あなたは去年の七月二十六日に監理委員会の答申を出される前に各地方の財界その他皆さんのところを歩かれたときに、実は現行でもって国鉄再建ということを考えろというように総理から言われると思ったら、分割・民営ということを言われたので、そういう方向で書くにはあれしかないというように言われているのでありまするけれども、当時の気持ちはどういう気持ちだったのですか。
  47. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 一年以上前のことでございますので記憶ございませんが、私は総理から分割・民営をやれと言われたようなことは毛頭ございません。これは何回も運輸委員会とか予算委員会で御審議をいただきましたときにもはっきり申し上げましたが、私どもの与えられた命題は、現在の国鉄再建するために効率的な経営形態を考えてくれ、しかもそれが適正な運用を確保する制度、こういうことが命題でございまして、臨調の答申は分割・民営でございましたけれども、五十八年にできました臨時措置法では効率的な経営形態を勉強しろということでございましたので、一年間、白紙に戻して、現在の国鉄というものを効率的な経営形態にし、そして適正な運用を確保するためにはどうするかということで議論をして、結局民営・分割の方向で具体案をつくるよりほかなしということで、一年後に総理にその答申を出しまして、その方角でやってくれ、こういうことになったのでございまして、決して当初から分割・民営化ありきということで私どもは検討したわけではない、慎重に改めて国民的立場から勉強して結論を出した、こういうことでございます。
  48. 青木薪次

    青木薪次君 私は財界のある特定された人から聞いたのですから。あなたは一年前のことは忘れたと言っているけれども、あなたは聡明な人でありますから、一年前と言わず十年前のことでも覚えているというように理解しておりますから、今の言葉はちょっと詭弁じゃないかと思うのでありまするけれども、これは後で申し上げたいと思います。  私たちの社会党案というのは、一点、長期債務負担を織り込んでいるんですよ。要員を政府案のように急減しないで、別法人の清算事業団にぶち込んで処理することもしませんから、六十四年度までは若干の赤字が出るけれども、六十五年度には立派な黒字になる、そして黒字基調が続く、こういう仕組みになっているわけであります。償還計画も安易にならないように明確にいたしておるわけであります。  運輸大臣も認めるように、全国一社で採算性が維持でき得るかどうかという点は大変心配な点があるかもしれませんけれども、複雑に組織を細分化しないで、しかも新聞によりますと百人からの重役が来るそうですね。そうすると、これまた頭でっかちになる可能性があるというように考えますから、この点については私は非常に実は逆に心配をいたしておるところであります。全国一社体制で自主権限を保障すればできるんだというように解釈をいたしておりますし、考えております。現在の国鉄では巨大企業だからもう全部だめなんだというような考え方には立っておりません。  そういう点に立っておりますし、何回も申し上げるように、今は収入と支出というもので、収入の方が三千百八十億円。確かに今までの大借金ですよ、新幹線をつくったり何かした大借金利子も元金も返していかなければなりませんから、それを別にすれは黒字になっているということは何かといったら、私が今申し上げたことをやっていけば黒字になるんだ、六つに分割しなくてもいいんだということを私はちゃんと裏づけいたしていると思うのであります。  NTTは国の持ち株三分の一など、今運輸大臣がおっしゃったようにいろいろと御苦心なさってつくられて立派にやっていらっしゃる。全国一社制である。公共事業なるがために法的規制を加えていますけれども旅客会社並びに貨物会社と同じように公共性が強くて、総合政策における中心的な役割を担っていく。これからのいわゆる鉄道について、どうしても政府の補助というものはやはりこれは避けて通ることは私はできないと思うのであります。したがってそういう点から、先ほど大臣もおっしゃったように、これでもって政府とは全然縁が切れてしまったんだということでなくて、相当重大な関心を持ってこれを見守って援助していく、こういう立場に立っておられるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  49. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今の委員の御質問のポイントを二つに分けてお答えさせていただきたいと思います。  全国一社制でもいけるではないかというお話でありますが、電気通信事業鉄道事業の一番の大きな違いというものは、これから新たな企業は存立をしてくるようでありますけれども、少なくとも現在、電話という一つの、国民のいわば耳と口に当たる部分をNTTは全国一社で運営をいたしております。そうすれば、これは完全な独占体制でありまして、私はここに政府の関与が働くことは当然であろうと思います。  しかし、鉄道国鉄というものの場合、これは航空機との競争、自動車との競争、ある場合には船による競争もありましょう、また民間鉄道との競争もありましょう。まさに、地域密着型の事業運営を確保しなければ、同じ交通という分野において多数の競争相手を持つ事業でありまして、私はそうした場合に確かに権限を地方におろすと言われるのは一つのお考えではあろうと思います。これを全面的に否定はいたしません。しかし、全国一元的な経営であります場合、少なくともその運賃あるいは労働条件、人事あるいは設備投資などの経営の重要事項というものは本社に当然留保をされることになるでありましょうし、また、これらを留保しない本社機構というものは存立をし得ないと思います。そうなりますと、やはり私は各地域において真に自主自立の経営を実施することになかなか問題が生じるのではなかろうかと考えております。  また、もう一点御指摘のありました、今後ともに新会社に対して旅客、貨物等々国は関心を払い続けるべきであるという御指摘につきましては、私どもはもちろん関心は払い続けます。しかしあくまでも、先ほどから申し上げておりますように、横風を受けない民間企業として発足させ、経営させ、存続させていこうとしておるわけでありますから、他の民間鉄道に対する以上の助成の対象としてとらえることはいかがか、そのように考えております。
  50. 青木薪次

    青木薪次君 大臣、その点は後で申し上げますけれども、北海道、四国、九州なんかの関係については数字をもって大臣に御説明を申し上げたいと思っておりますから、この議論は一応おきます。  それで今度、六十二年になったらもう全部一%ずつ、六つの旅客会社も、それから貨物会社も全部もうかるんだという経営見通しをしておりますね。これはもうそろばんではじいたようになっているのでありまするけれども、この点について大変心配いたしているわけでありますが、この点はいかがですか。
  51. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今回の改革におきまして、国鉄事業を効率的な、真に国民の期待にこたえられる姿のものにできる鉄道として再生を図るわけであります。その再生を図るための事業運営の最大限の効率化を前提として、過大な債務負担の軽減、また今、後ほど御論議をいただくと言われました三島の会社についての経営安定基金の設立など、そうした措置を講ずることによりまして新会社の安定的な経営基盤の確保を図るといたしておるわけであります。同時に、新会社の健全経営を確保すると同時に国民負担の軽減にも配慮をいたす必要がございましょう。ですから、確かに御指摘のように、新会社につきましては初年度において、いずれも営業収入の一%程度の黒字を確保できる状態で発足をさせることにしておるわけであります。  もし細部にわたりましての数字等、御説明の必要がありましたならば政府委員から補足をいたさせます。
  52. 青木薪次

    青木薪次君 そこで政府の計算で、一%と今申し上げたように、旅客会社全体で金額にして三百二十二億円です、これだけもうかると。一%分の利益を出すために数字をいじったことはこれはだれが見てもわかるわけでありまするけれども、これは旅客会社だけじゃないですね、貨物会社もそうです、それからおまけに通信会社もシステム会社もみんな一%ずつぴたっと判こを押したように利益が出るようになっている。これはこのテレビをごらんの皆さんがそういうように、まず一%利益ありきというようにお思いになるだろうということを考えて、ひとつ政府提出の資料によって旅客会社全体の営業収入を見てまいりますると三兆二千九十億円になっているんですね。国鉄再建監理委員会の数値は幾らですか。
  53. 山田度

    説明員(山田度君) お答えいたします。  監理委員会の想定によります営業収入は三兆九百五十四億円となっております。
  54. 青木薪次

    青木薪次君 営業経費は幾らですか。政府のと監理委員会のを説明してください。
  55. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 営業経費についての数字を申し上げます。  政府の収支見通しにおきましては、営業費用は全体で二兆九千三百四十三億でございます。それから国鉄再建監理委員会の営業費用の合計は二兆八千三百四十九億でございます。
  56. 青木薪次

    青木薪次君 営業費のうちの修繕費についてお伺いいたしたいと思うのでありますが、監理委員会の分と政府の分を説明をしてみてください。時間の関係があるから四国と北海道だけでよろしゅうございます。
  57. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 四国の修繕費でございますが、これは政府試算によりますと、昭和六十二年度でございますが、六十億であります。それから監理委員会は同じく六十二年度で三十六億でございます。  それから北海道の修繕費でありますが、政府の試算が百五十三億、監理委員会が九十四億ということになっております。
  58. 青木薪次

    青木薪次君 修繕費については、我が党の衆議院の井上普方議員が一〇四国会質問したところによりますと、余りにも違いが実は多いのでありますが、修繕費について監理委員会政府の数字が違い過ぎていろいろ問題になりました。我が党は、さきの一〇四国会で四国などの例を挙げて、四国における五十八年度が百六十億円です。それから六十二年度が二十八億円、余りにも違い過ぎるではないかと追及したところが、答弁は私鉄並みとすればそうなると答えたのであります。私鉄並みが六カ月後の今日、北海道と四国では倍以上に変わってきているのでありますが、監理委員会が二年かかってつくった資料がわずか半年で猫の目のように変わってくるということは、信頼できないということになるわけであります。修繕費だけでもこのように違いがあるわけでありますから、ほかのものについては、ましておいてをやということになるのであります。時間がありませんから、その点について答弁をしてください。
  59. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 監理委員会におきましては、この修繕費等いわゆる修繕費、動力費等物件費でございますが、これにつきましては私鉄の実績というものを勘案いたしまして、それから一定の方式によって推定計算をしたということでございます。それに対しまして、その後昨年の七月二十六日に答申をいただいてから、政府サイドの方では国鉄と共同いたしまして具体的な現地での積み上げ計算というものをいたしまして、その結果、最終的に先ほど申し上げましたような数字の修繕費というものを計上したわけでございます。  そこで、ただいま先生御指摘の北海道と四国の修繕費、これは実は一番開きが大きいものでございまして、その他についてはそれほど大きな差があるわけではございません。一番開きが大きいわけでございますが、特に北海道の場合は雪の影響というふうなことがございますので、そういう面で、やはり修繕費というものがかなり現実に積み上げてみると、理論計算よりはふえておるという結果になっておるわけでございます。
  60. 青木薪次

    青木薪次君 そういう中で、何とか一%というものははじき出したいという苦労はわかりますけれども、判でついたように初めから一%、六つの会社と貨物会社とシステム会社とか、全部そういうようになっているということについては、これはおかしいとお思いになりませんか、今まで大赤字だったんですから。
  61. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) むしろおかしいのではありませんで、スタートを切る時点から赤字が残るような状態でスタートをさせるわけにはまいりません。ですから、現国鉄が持っております長期債務等につきましても、例えば御指摘の北海道あるいは四国、また九州の三つの会社には、なかなか条件の厳しい中でありますから承継をさせない、ほかに経営安定基金もつくる。本州の三会社等につきましては、その承継し得る範囲内においての長期債務を承継してもらい、その他のものは全部清算事業団に一括し、用地の売却等によってその債務を少しでも減らす努力を一方で行うと同時に、それぞれの会社が企業として存立し得るような設計をしたわけでありますから、まさに我々とすれば企業として存続ができる形をつくるということでそういう案をまとめておるということであります。
  62. 青木薪次

    青木薪次君 この際聞いておきたいのでありますが、新津の車両所というところで、まだ新品の貯蔵品とかその他を一定量の部品を残して他を処分したために、一部では予備品の振り回しができず現物加修の残業が出ている、こういうようなことで大変現在の作業に支障を来しているというようなことが新聞で大きく載って問題になっている、こういうことがあるわけでありまするけれども、こういう点はありますか。
  63. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 新潟の局で資材管理の厳正のためのいろいろな調査を行っておるわけでありますが、その過程におきまして、今先生御指摘のような新津の車両所で一部資材につきまして帳簿台帳とそれから現物との乖離があったということで、そのために職員が材料を泥の中に埋めて隠したということが事実であるというふうに私どもの調査でわかったわけであります。こうしたことは、資材管理を厳正に行うべき国鉄の現場におきまして大変好ましくないというふうに思います。厳正に対処しまして今後十分注意をしてまいるつもりでございます。
  64. 青木薪次

    青木薪次君 世間に疑惑の起こるような問題等については厳に慎まなきゃいけない、こう思います。  それから貨物会社の関係等については、時間がありませんから先に行きますけれども、この旅客会社の線路を、運輸大臣ね、貨物が走るわけですよね。それから、ここの発駅から到着駅まで、この時間帯でひとつ鮮魚とか、あるいはまたその他のものを送ってもらいたいとか言ったときに、なに旅客会社の線路だからそれだめだよと言われたらそれはだめなんですよね。したがってそういった点について、大赤字貨物会社が分離経営となったんですけれども鉄道線路内には一本しか線路はないわけですから、直行列車を頻繁に運行することができないと思うわけです。したがって、経費とかダイヤとか、こういうものを明確にしていきませんとやれないし、またこの経営を、民間会社ですから自由にやれるというようにしないとできないと思うんです。  現に、旅客会社には行くけれども貨物会社に行くのは嫌だという人がほとんどですよ。そういう問題について、貨物会社は職員に宿舎をつくってやるとか、あるいはまた北海道だって、北海道会社にはいわゆる借金は持たせない。それからいろいろと特典は、例えば一兆一千八百億の金を持たしてやるわけですから、それもない。四国も九州も走るんですからね。そういう点から、貨物会社は安楽死論というのがあったんだけれども、私はどうもそういう気持ちがあるんじゃないかということを考えますけれども、いかがですか、これは。
  65. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私ども貨物会社を安楽死させるなどという考え方は毛頭ありません。むしろ、貨物会社の将来を考えます場合に、現在行われております業務の中で、例えばコンテナ業務等将来に多くの期待を持たせられる分野というものがございます。そして、荷主あるいは通運業者の方々との連係プレーによって、私ども貨物会社というものは立派に立っていけるものだと考えております。また、これはお届けしております試算のとおりであります。  この旅客会社貨物会社のダイヤの調整というものは随分衆議院でも御論議をいただいたわけでありますが、あらかじめ関係会社間におきましてダイヤ設定の優先度あるいは調整ルールなどについての協定を結ばせることとしておりまして、その協定に基づいたダイヤ調整会議等の場で十分調整を行わせる所存であります。また、会社間の調整が円滑を欠き、これを放置しておくことが利用者の利便その他公共の利益を阻害していると認められる場合には、御審議をいただいております事業法案の第二十三条に基づいて、列車運行計画の変更について運輸大臣は命令を発することができるようになっておりまして、最終的にはこの事業改善命令によりまして利用者の利便を担保することになっております。ですから、私どもとしては、貨物会社のダイヤ設定は円滑に行われるものと考えており、これが原因貨物会社が衰退していくことは考えておりません。  なお、現在レベルワンからレベルファイブに至る列車ダイヤの優先度の検討をいたしておりますが、例えば高速貨物列車等につきましてはレベルツーといったようなランクでのダイヤ編成を考えるということでありまして、私はそうした御心配はいただかなくて済むようにいたしたいと考えております。
  66. 青木薪次

    青木薪次君 回避可能経費、アボイダブルコストとなっていますけれども、どうしてもよくわからない点は経費計算の方法でありまして、「国有鉄道」という国鉄月刊広報誌の五十七年十二月号に回避可能経費の計算方式が説明されているのでありますが、中でも旅客との共通費の区別については困難な分があるようであります。  六十年十一月に貨物に対する政府の方針が出されたのでありますが、そのときの新聞社説に回避可能経費の計算は問題点もあることも書いてあるのでありますが、貨物会社の間の経費計算の方式に旅客会社の恣意が入りがちだと、旅客会社は自分の経営が悪化すると貨物会社のコストに転嫁さしてくるのじゃないかということが言われているわけでありまして、しっかりしたルールをつくらないと、旅客会社の恣意に任しておいてはやる気がなくなってしまうのではないか。経営が非常に困ってしまう。こういう点について、単なる両方の力関係で物事を判断しろなんということになったらこれはもう貨物会社をつくる必要がなくなってしまうということになりますので、そういう点についてはどうお考えですか。
  67. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 経費の積算の仕方で、アボイダブルコストあるいはフルコストと、いろいろ計算の仕方がございますが、今回の旅客、貨物というものを考えた場合に、それぞれの置かれた地位から見て、これはやはりアボイダブルコストというものをベースに計算をした方がよかろうというふうに考えたわけでございます。  その場合に、アボイダブルコストによりまして共通費の配分を決めて、そしてそれをベースにして貨物会社旅客会社に対して支払う使用料というものを計算するわけでございますけれども、使用料というものにつきましては、これは今回の、ただいま御提案を申し上げております法律によりまして、使用料は政府がこれはチェックをすることになっております。したがいまして、その具体的な計算方法、具体的な内容について政府がこれをチェックいたしますので、決して旅客会社の恣意によってこれが決められるということはないということでございます。
  68. 青木薪次

    青木薪次君 私の最も申し上げたい点は、もっと貨物会社に自主的にやらせるということを考えないといけないんじゃないかということであります。例えば保管とか、また荷づくりとか、あるいはまた横持ちとか、いろんなことをやっておりますね、貨物会社、運送会社がですね。そういったようなことも考えなければいけないんじゃないか。それから他の地方の運送会社等とも連携をうまくやらなきゃいけないんじゃないかというように実は考えておりますので、そういう方向でひとつやっていただくというように要請をいたしたいと思っておるわけであります。  それから関連事業の関係で、旅客会社の関連事業でありますけれども、各社別に、または全体でどのように見込んでいらっしゃるのか、営業収入に対する関連事業収入の占める割合について、ひとつ各会社別にパーセンテージだけで結構だから教えてください。
  69. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 会社別で申し上げますと、新しい会社がスタートをした当初でございます六十二年度、北海道につきましては五・三%、これは収入全体に対する関連事業収入の比率でございますが五・三%、東日本が五・八%、東海が一・六%、西日本が四・二、それから四国が四・七、九州が五・九。平均しまして大体四%程度ということでございます。  それから五年後の六十六年度におきましては、北海道が九・七%、東日本が八・四、東海が二・七、西日本が六・八、四国が一〇・七、それから九州が九・一ということで、平均いたしますと大体七%程度ということになるわけでございます。
  70. 青木薪次

    青木薪次君 全体で四・三%で、最も関連事業の比率の高いところは東日本会社ですか、一七・三%でありますけれども、これはそうすると五年後はどうなりますか。
  71. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 新しい会社がスタートをした六十二年度、先ほど四%程度と申し上げましたが、正確には四・三%でございますが、これは全体の平均であります。ただいま先生がおっしゃいました東日本は、六十二年度は五・八%と先ほど申し上げたわけでございますが、その五・八%が五年後の六十六年度には八・四%にウエートが上がるというふうに考えております。
  72. 青木薪次

    青木薪次君 旅客収入が一定の率で伸びないことが先ほどの質問で明らかになっているわけでありますが、新幹線が飛行機に比べてある一定の評価があることは安全性と利便性だと私は思っているんです。今後幾らふえるにしても、運輸収入が加速度的に上がることは不可能じゃないだろうか。在来線と地方交通線は減っているんですからね。経営採算上、関連事業収入への依存は避けられないと思うのでありまして、私鉄の関連事業収入への依存率は大体どのくらいか、大手十四社で答えていただきたいと思います。
  73. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、林審議官の方から御答弁を申し上げました点を補足しつつ申し上げたいと思いますが、先ほど申し上げました試算と申しますものは、現在の国鉄自身が既に経営をいたしております関連事業のみに限定をし、その延長線上の事業がこの程度伸びるという試算でありまして、今後他の事業分野に新しい会社が進出をしてまいりますであろう数字というものは今御説明をした中には入っておりません。この点をまず一点補足をさせていただきます。  そこで、私鉄事業者五十九社の六十年度の関連事業収入は、自動車業収入を除いて、大手十四社におきましては三四%であります。なお、補足して申し上げるなら、大都市の中小五社、いわゆる準大手と言われますところにおきましては四七%、地方の中小民鉄四十社におきましては二九%になっております。
  74. 青木薪次

    青木薪次君 旅客、貨物会社には事業に直接関係ない用地は承継しませんね。
  75. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 事業に必要な必要最小限度の用地を承継させることにしております。
  76. 青木薪次

    青木薪次君 そうしますと、東京の池袋にあるメトロポリタンとか、そのほか各駅ビルとかいろいろありますけれども、こういう点の扱いはどうなりますか。
  77. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 私どもが新しい旅客会社あるいは貨物会社というところに承継をさせる資産、特に土地でございますが、これにつきましてはいわゆる鉄道事業に最小限必要な土地というものはこれは当然でございます。そのほかに、現在国鉄が出資会社である駅ビル会社等に貸しておる土地、あるいはホテルもございますが、そういうところに貸しておる土地、これにつきましては、その上の構造物を取り壊して土地を売却してしまうということは困難でございますので、そういう土地についてはそれぞれ関係の会社に承継をさせる。ただその場合、鉄道事業に要する用地はこれは簿価を基準にするということでございますけれども、そういう関連事業用地については時価で評価をしてこれを承継させるという形にしたいというふうに考えております。
  78. 青木薪次

    青木薪次君 今、大都市を初めといたしまして地方中核都市は、人口の都市集中によって、交通アクセスの問題とか公害とか、上下水道とか、ごみ、駐車場、安全、こういったような問題で都市機能が麻痺していると思うのであります。広大な国鉄用地という空間は、新しい都市形成のために、居住性の高い文化都市とか消費都市のイメージに合致していると思うのでありますが、民営化された国鉄はその附帯事業の中心となって推進する気持ちがあるかないか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  79. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 一般的に申しまして、御指摘のように都市に空間地が極めて少なくなり、それが一方では地価の高騰につながり、また都市の再開発等に大きな影響をもたらしておるという点は、委員の御質問を否定するものではございません。ただ、膨大な国鉄のと言われますが、今申しましたとおり、新会社には必要最小限の用地のみを残して発足をさせるわけでありまして、今よくマスコミ等をにぎわわせるような例えば汐留を初めとした地域と申しますものは、私どもは、既にお示しをしております資料のとおり、国鉄長期債務を返済し、最終的に残る国民の御負担を少しでも減らすために売却をしていく方針でございます。そういたしますと、今御指摘のような一般論とは別に、新たに発足をいたします各会社がその中において果たし得る機能というものはおのずから限定をされたものであろうと思います。
  80. 青木薪次

    青木薪次君 そういたしますと、今の大臣の説明だと、必要最低限のものは新事業体が持っていくのだけれども、いわゆる今直ちに使うもの以外の土地については清算事業団に残しておくと。そういたしますと、私のところで東静岡の駅というのがある。操車場でありますが、二十一ヘクタールある。こういうようなところについては、ひとつ新しい町づくりをしようじゃないかといった場合には大きな道路を四通八達させなきゃいかぬ。そこに今度は逆に学校とかあるいはまたいろんなスポーツ施設とかというものがつくられてくる。そういうものについてはどういうような値段で売っていくのかどうなのか。あるいはまた清算事業団で持っているものについては、それをどういうように清算事業団自身が、新旅客会社事業をしなくても何か使い道があるのかどうなのか。あるいはまた新しく事業を起こそうとするのかどうなのか、清算事業団の対応についてお伺いいたしたいと思います。
  81. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一点として申し上げておかなければなりませんのは、各旅客会社また貨物会社等が引き継ぎます用地を含めた資産というものは、これは売却の対象にいたす予定は全くございません。むしろ本来の鉄道業務を遂行していくために必要な資産として承継をさせるわけであります。  また、清算事業団におきます用地の処分につきましては、法律上にも担保いたしておりますとおり、国民のいやしくも疑惑を招くことのないように、公開競争入札を原則として私どもは用地の処分をしてまいるわけであります。ただ、その中におきまして、例えば地方自治体等が完全な公共用の目的を持って用地を取得されたいというような場合、今例示で挙げられました道路といったような場合には、これは私どもとして随意契約で対応することもありましょう。しかし、その場合においても、これはやはり適正な地価はお支払いをいただくというのが私どもの基本原則であります。そして、今例示で挙げられました特定のプロジェクトにつきましては私は詳細を存じませんけれども、むしろ地方公共団体だからといってこれを随意契約等で販売をすることを私どもは好んでおりません。何となれば、先般来、実は衆議院特別委員会の御審議の最中に、複数の地域におきまして国鉄の用地を随意契約で地方自治体に譲渡をいたしましたものが、極めて短い期間に他に転売をされ、他の目的に転用をされたというケースがありまして、地方自治体が譲渡を希望される場合におきましても、私どもとしてはより厳正な態勢をとらざるを得ないというのが今私の心境であります。
  82. 青木薪次

    青木薪次君 次に総理にお伺いいたしますが、雇用対策の問題であります。  私が五年前に国鉄再建議論運輸大臣との間で行ったことがあったわけでありますけれども、ちょうど四十二万四千人であったのであります。今考えてみますると、現在の人員が二十七万三千人であります。したがって、わずか五、六年の間に十五万一千人の人が心ならずも国鉄を去っていったのであります。そして、これよりわずか半年足らずの間に、これから来年の四月一日までに六万一千人の人が、余剰人員と名のつく清算事業団に四万一千人、希望退職に二万人という振り分けが行われることに実はなるのであります。国鉄改革の最も重要なことは、私は犠牲になる国鉄職員の雇用問題だと思うのでありまするけれども総理いかが考えますか。
  83. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まさに御指摘のとおり、雇用問題は今次改革の最大重大問題の一つでございます。政府といたしましてもこの問題については早期から手当てをいたしておりまして、大体六万一千人の人々の就職先の問題について、政府あるいは政府関係機関、地方公共団体あるいは経済界等々にもいろいろ手を回しまして努力をいたしました。大体六万一千人という予定が、六万七千数百人ぐらいまでの申し出のめどがついてきました。しかし、実際その人をその場所に適応させるという場合には、子供の教育の問題であるとか住居の問題であるとか、いろんな問題が出てまいりまして、そううまく吻合するというわけにはまいらない。そういう意味におきまして、最終的に見届けるまで我々は今後とも労働問題、労務問題については、就職問題につきましては努力してまいるつもりでおります。
  84. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、再就職を必要とする職員数の見込みについてただしたいと思いますが、今年度の特別退職者数の見込みは何人であるか、それからことしの希望退職者数の見込みは何人であるか、それから再就職を必要とする職員数は最終的に何人になるのか、お答えをいただきたいと思います。
  85. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 本年度の退職者数は、現在進行中でございまして、まだ現時点で何名というふうに確定的に申し上げる時期に至っておりません。もう少し様子を見たいと思いますが、希望退職者の申し出は現時点で一万八千人を超えております。したがいまして、年度末におきましては十分にこれは達成できるであろうというふうに思っております。その他、年度間あるいは年度末までに退職者が何千名か出るという予想ができておるわけでございます。  そうした数字を勘案いたしますと、現時点では、いわば退職者、本年度中の退職者の傾向は少しずつふえておる。したがいまして、六万一千人に若干の数字の変動があるであろうとは思いますけれども、しかしながら、監理委員会で目標をつくりました六万一千人という数字、これはやはり現時点で明確に目標としては立てていきたいというふうに考え、各界にお願いをしてまいりたいと思っておるところでございます。
  86. 青木薪次

    青木薪次君 再就職先の確保の状況でありますけれども、現在までの再就職先の確保の状況はどうなっているか、あるいはまた政府及び国鉄がこれまでとってきた再就職先の確保対策というものはどんなものになっているかお伺いいたしたいと思うのであります。特にこの点は、再就職先を確保する上での問題点というものがあるわけでありますが、これは——総理はいませんな、雇用対策本部の方にお伺いいたします。
  87. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 総理にかわるほどの資格はございませんけれども、数字の点につきましては私から御報告をさせていただきたいと思います。  今、委員国鉄総裁の御論議の中にもありましたように、希望退職者の数はふえつつありますけれども、私どもとしてはあくまでも六万一千名の方々に対してその職を準備するという姿勢を変えるつもりはございません。そしてその中におきまして、昨日の夕刻時点におきまして、国の関係で八千七百五十名、特殊法人等におきまして五千名、そして地方公共団体におきまして一万二百名、一般産業界におきまして約二万三千六百名、ほかに国鉄関連企業グループにおきまして二万一千名。重複部分がございますので、トータルとしては六万七千九百名のお申し出をいただいております。  なお、一般産業界におきましては、既に受け入れ条件が具体的に煮詰まっておりますものが一万五千三百名でありまして、受け入れ条件について折衝中のものが八千三百件ございます。  なお、私どもとしては一層の努力をしてまいりたいと考えておるところでありますが、この際、特にこの場を拝借し、民間において一万の雇用を確保したいと考えておりましたところにこれだけの求人をいただけたということについては、お礼を申し上げたいと思います。  しかし同時に、今日まで国鉄に勤務をしておりました職員の方々の気持ちを考えますとき、そのちょうだいをしております求人というものと本人の希望が必ずしも合致するときばかりではございませんだけに、なお一層の求人の窓をあけていただきたい、心から願っておることを申し添えます。
  88. 青木薪次

    青木薪次君 運輸大臣から今お話のあったその数字そのものについては、マクロ的に努力を多とするものではありますけれども、これから細かく詰めていきます。  そこで、公的部門における対策について聞きたいと思いますけれども、公的部門は三万人というように理解したいんだけれども、この点については国家公務員、特殊法人、地方公務員の別に目標数と確保数を述べてください。
  89. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) 内閣の雇用対策本部事務局でございます。  公的部門につきまして全体で三万人の目標でございますが、その内訳といたしましては、国、各省庁でございますが、これが一万三千人でございます。それから特殊法人と認可法人、この中には清算事業団を含みます。清算事業団におきまして、引き継ぎました土地についての基盤整備事業を行ったり、あるいは債務処理を行いますが、これに要する要員を約二千五百人と見込んでおりますので、これも入れますと特殊法人等ということで五千五百人の目標ということになります。それから地方公共団体が都道府県、市町村を合わせまして全体で一万一千五百人の目標でございます。  それに対して、今日までの申し出の状況につきましては先ほど運輸大臣からお話のあったとおりでございます。
  90. 青木薪次

    青木薪次君 公的部門がおくれているようだけれども、理由は何ですか。
  91. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 実は各省の雇用率、雇用目標数の確定がおくれておりましたために、しばらくの間時間がずれました。しかし九月十二日の閣議におきまして目標数の設定を終わりまして、今改めてお願いを申し上げておるところでございます。  例えば、運輸省は現在千四百七十九名の採用を申し出ておるわけでありますが、実は昨年度採用数の一〇%という目標を設定をしておりましたときには、たしか千二百七十九名であったと記憶をいたします。今回一四%以上というラインを引きまして新たな採用数を詰めてまいったわけでありますが、その結果千四百七十九名を六十年度から六十五年度初にかけて採用いたすことにいたしました。これは、この期間に運輸省で、たしか三〇%、三二、三%ですか、たしか三二、三%を国鉄から迎えるということでありまして、私どものこの数字もついせんだって確定したばかりでありますが、実はその雇用率の設定以降作業の時間を要しておったということでございます。
  92. 青木薪次

    青木薪次君 運輸大臣のおっしゃったことはわかるんですけれども、私の各省庁を調査した結果によると、あなたのおっしゃった運輸省の数字とは違うんですよ。その点で私は、総務庁はこの各省庁の割り振りがどうなっているか説明してください。
  93. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) これは国家公務員の場合の仕組みを少しお考えいただきたいと思うんですが、現在厳しい定員削減をしいております。その中で各省庁いわゆる新陳代謝を図っていかなければいけないということで、採用を行っているわけです。それで、六十二年度以降につきましては最低一四%は国鉄職員にそれを振り向けよという政府の方針として閣議決定を行ったわけです。ただ、正直申しまして六十五年度首までに各省庁で何名退職するか。定員削減もございますから、どのくらい採用できるのかということはなかなか各省庁としても計算できません。人事局といたしましては、マクロとして推計を行いまして、それで最低一四%という数字を設定したわけでございます。したがって、各省庁今後のその退職状況等、これなかなか各省の計算、渋い点がございます。それから現実に各年度が終わってこれだけの採用をした、その中で除外職種を除いて一四%以上ちゃんといっているか、さらに一層の協力も求めておりますから、何%になっているかと、そういうチェックをやっていくという仕組みになっているわけです。  ただ、それだけでは問題がありますので、やはり国鉄の職員のことを考え、また各省の立場からも、いい人を早く採らないといけないということで、一括選抜の方式をなるべくとりなさいと。一括採用は残念ながら定員規制がございますのでできません。一括選抜を行って、一種の予約を行うということをやれという申し合わせもやっております。それで、各省目下いろいろな計算をやって作業を進めているというところでございます。
  94. 青木薪次

    青木薪次君 今の答弁は甚だ遺憾な答弁であります。各省庁別の割り振りをまだやっておらない。先ほどの御答弁によりますと、もうすべて六万一千人全部終わっちゃったんだというような答弁でありましたけれども、今運輸大臣の運輸省関係の前向きな答弁は聞きました。しかし問題は、国家公務員関係というのは、総務庁の人事局長答弁で、今これ代表した答弁だと思うのでありまして、これ何にもやってない。したがって、この採用数もまた決定してない。省庁の採用数には今言ったいろんな問題点はあると思います。思ったにいたしましても、総理大臣以下目を皿にして今努力しようというように言われておる中で、当の国家公務員関係の割り振りが何にもなってない。この点については私は大変不満であって、今までの答弁は全部詭弁にすぎない、こういうように思うのであります。直ちにこの答弁の、議論している内容について各省庁別に数字を出していただきたい。これができなければ私は質問することはできません。
  95. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 詭弁と仰せられますと、これは私として大変心外であります。現在公的部門として既に申し出がありました主な事例を私から申し上げますならば、総務庁からは六十一年度から六十五年度初四十八名、北海道開発庁からは同じく九十名、防衛庁からは四百五十四名、外務省から九十六名、文部省から四百八十六名、それから労働省七百五十七名、自治省四十名。それから六十二年度から六十五年度初で国税庁六百名など、既に具体的に申し出を受けているわけでありまして、全く詰まっておらないというおしかりは大変私としては心外であります。  ただ確かに、先ほど申しました一万三千という国家公務員の総体目標に対しまして現時点において八千七百五十名しか申し出が出ておらないという事実は、これは否定しようのないことでありまして、私からも関係各省庁にお願いをし、できるだけ早く数字を確定していただくように努力をいたします。
  96. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄改革法の問題は、この雇用対策の問題で一人たりとも路頭に迷わすことはできないというのが政府答弁であります。ですから運輸相は、私が詭弁と言ったら、詭弁じゃない、詭弁は遺憾だと言っているけれども、運輸省のやったことについて私がだめだと言っているわけじゃないんです、その点を今総務庁に聞いたわけですから。総務庁はまだ今もって何にもやっていない。これでは、私は一番の最大の課題である雇用対策について質疑をするわけにいかないじゃありませんか。私はこの点について直ちに割り振りをしてもらいたいと思います。
  97. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) 運輸大臣からも答弁がございましたが、何もやっていないわけじゃございません。現に六十一年度は一〇%ということで閣議決定をし、実際にはその目標は千二百でございますが、千六百を上回る申し出が現に各省からあったわけでございます。問題は、六十二年度から六十五度首までというかなり長期にわたっての問題でございます。  それから運輸省はもちろんですが、私ども総務庁も副本部長の立場にあります。自治省、労働省もさようです。そこは一四%などではなく、大きく既に申し出を行っているところでございます。その他の省庁についてもいろいろな問題ございます。例えば組合がなかなか協力してくれないということで消極的な省庁もございます。そういうところは組合にも協力要請を私ども申し入れてやっているところでございます。
  98. 青木薪次

    青木薪次君 私が数字を出せと言っているにもかかわらず、努力している努力しているということでありまするけれども、それなら直ちに数字を出していただきたいということを要請いたします。
  99. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) 六十一年度はもう既にございますから出します。それから六十二年度以降につきましては、現在途中段階ですが、各省庁から出ているものがございます。それをトータルしたものが八千七百五十名ということになるわけですが、それをお出しいたします。
  100. 青木薪次

    青木薪次君 そんな状態で、もう既に法案が上がろうとしているときに、努力している努力している、八千七百五十名が既に申し出があるとか何とかと言われているけれども、私の調査によりますると、今の人事局長答弁は全く詭弁にすぎないということを私は先ほど申し上げたわけであります。ここでどこの省庁が何人という点についてひとつ総務庁の見解、それが出されない限り、私は一番重要な問題でありまするから質問を続けるわけにはまいりません。
  101. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 手塚人事局長、再答弁を求めます。
  102. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) それでは、六十一年度分も含めた形で各省庁の申し出、登録数ですが、申し上げます。総理府本府九名でございます。警察庁八十二名、宮内庁十五名、総務庁四十八名、北海道開発庁九十名、防衛庁四百五十四名、経済企画庁三名、科学技術庁十四名、環境庁五名、沖縄開発庁二名、国土庁一名、法務省二百八十四名、外務省九十六名、大蔵省八百九十二名、文部省四百八十六名、厚生省六十三名、農林水産省百十三名、通産省百四十五名、運輸省千四百七十九名、郵政省三千四十名、労働省七百五十七名、建設省三百二十二名、自治省四十名、人事院十名、会計検査院十三名。  それから私どものところとちょっと離れたところになりますが、最高裁判所が二百七十五名、衆議院が四名、参議院四名、国会図書館二名、こういうことになっております。
  103. 青木薪次

    青木薪次君 締めて何人ですか。
  104. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) 八千七百四十八名でございます。
  105. 青木薪次

    青木薪次君 その数字では現時点で納得できない。  これほどまでに重要な問題だとしていろいろ来たけれども、八千七百四十八名ですか、その数字以外に、ここの省庁とここの省庁に割り当てる、こういう数字を私は出してもらいたいと思います。
  106. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) これはおかしなことになりまして、各省に割り当てますと、六十五年度首までにその省庁は場合によっては勧奨退職でもさせて欠員をつくれということになってしまうわけです。したがって、精緻な計算をして各省庁ともやっていくということでございますので、現に閣議決定、一四%以上というふうに義務づけているわけです。こちらはそれをなるべく前倒しで、一括選抜で早目に国鉄の職員の方向を決めてやってくれというお願いをしているところでございまして、各省別に割り当てるという方式にはなじまないものと我々考えております。
  107. 青木薪次

    青木薪次君 そういうことをやっておったら、この問題については、各省庁とも国鉄職員を割り当てるということであれほど鳴り物入りに宣伝して、その窓口が国家公務員関係においては総務庁であったはずであります。それが、割り当てにはなじまないとするならば、この際、院の決議としてひとつ各省庁に割り当てるということをしなければ、この余剰人員対策というものはできないというように考えますので、そういう点で、本委員会において今まで努力してきた数字の目標をここで説明をして出していただきたい、こう思います。
  108. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは私が御答弁を申し上げるのが適切かどうか。総務庁長官御不在でありますので、改めて私から申し上げたいと思います。  今、人事局長から御説明をいたしましたのは、職員定数の決定のいわばルールを御説明申し上げたと私は理解をいたしております。  そして、その毎年の定員の査定の中におきまして目標率を設定するわけでありますから、確かに私は、割り当てというやり方がなかなかなじみにくい性格を持つものであろうとも思います。それだけに、鋭意——きょうこれは総理も聞いておられるわけでありますから、政府部内におきまして私も各省庁の閣僚にお願いを申し上げ、それぞれの省庁における定員の状況をにらみながら、できるだけ早くそのお申し出の数をまとめていただきますように全力を尽くしたいということで、ゆとりの時間をお与えをいただきたいと私からお願いを申し上げます。
  109. 青木薪次

    青木薪次君 各省庁とも定員もあるんです、現在員もあるんです、そういう中で、私もこうして質問するからには各省庁の状態というものを全部実は調べてまいったのでありますが、総務庁の方でそのような努力をしているとは思えない。果たせるかな、ここへ来て質問をいたしますると、そのように答弁が裏打ちされたようなことでありますので、本総括審議中に、きょうとあしたありまするから、ひとつその割り当てをここで説明して出していただきたいということを要請します。
  110. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  111. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 速記を起こして。
  112. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) 舌足らずの点があったようで、その辺訂正いたします。  八千七百五十名は、この数字につきましては、各省庁に対して一括選抜で前倒しでやってほしいという要請にこたえて出てきたものでございます。各省庁はもちろんこの後、二次、三次と計画を持っているわけでございます。ただ、こちらの立場では、なるべく一括選抜をもっと多くしてほしいということで、これをさらにふやすように各省に対して働きかけも行っているところでございまして、一万三千名という目標を六十五年度首までに達成するように努力してまいるつもりでございます。
  113. 青木薪次

    青木薪次君 私の申し上げたのは、この辺が一番のやはり雇用対策の中心であるということで、さっきはあなたの答弁は、一括割り当てなんていうのはなじまないと言われました。そんなことでは私は大変な問題だと言わなきゃなりません。民間企業においても関連企業においても、地方公共団体といえども特殊法人といえども、今並み並みならぬ努力でもってやっておるけれども、当の責任官庁である総務庁がそんな態度では、私は、大変問題だ、怪しいと思うからいろいろ聞いてみた。聞いてみたら、何ら要請が来ていない。来ていても電話でちょっとあった程度だ。こういうことでは、総理、私は大変問題だと思うのでありますが、総理から答弁してください。
  114. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 離職者対策の問題については、私自体が責任者にもなりまして、一生懸命各省庁を督励しておるところでございます。ただいまの答弁の中には舌足らずの点もございましたが、要するに彼が言わんとしておるところは、各省庁で年度年度の数字を決める場合に、大体各省庁でどれぐらいの退職が出るか、その数字を見きわめてそれに対応する数字を各省庁がはめ込んで努力していく、さもないと強制的に人をやめさせなければならぬと。今、政府は五年五%削減計画というものを一応持ってやっておりますが、その中におきまして、各省庁の退職に応ずる数字をやっていく、そういう形でおりますから、年次ごとに各省庁で何人ずつ退職人が出るかという数字がまだ不確定であるわけです。それで彼はそういう御答弁を申し上げたのでございます。  しかし、政府としては一万三千人という数字をちゃんと持っておるわけでございますから、その数字に合うようにはどうしてもある程度保証を見ましても一四%はやれと、そういうことで基準数字を示しておるわけです。その基準数字の中におきまして各省庁は懸命の努力をしておりますし、今後もさせるつもりでおりまして、いずれ各年次別にどの程度のものが出るかという予想は確実になりましたら、その数字をお出しすることはできるだろうと、そう思っております。
  115. 青木薪次

    青木薪次君 一万三千人の各省庁別の割り当てについては、これがいわゆる基本であり、このことがなされなければ各事業体、公団、地方公務員、関連企業、一般企業というものに対しても要請する根拠が非常に薄くなってくると思うのであります。もちろん、国鉄職員を採用するから現在の人を強制的にやめさせる、こんなことを私は言っているわけじゃありません。要員需給計画というものは各省庁とも——私もやったことがあるけれども、それはもう目算がついているはずである。問題はリーダーシップをどうとるかという点でありまするから、各省庁別に、これだけある各省庁において一つの割り当てをするということができない以上、当然私はできたと思っておったんだけれども、できない以上私はこの問題が前へ進めない、こういう状態であります。
  116. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  117. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 速記を始めて。  ただいまの青木君の件につきましては、その取り扱いを後刻理事会において協議することにいたしたいと存じます。  午前の質疑はこれまでとし、午後一時委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ─────・─────    午後一時四分開会
  118. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 日本国有鉄道改革に関する特別委員会を再開いたします。  この際、委員長から申し上げます。  午前中の青木君の件につきまして、理事会において協議の結果、本委員会といたしましては、各省別の昭和六十二年度から六十五年度首までの採用計画についての資料の提出を政府に求めます。    ─────────────
  119. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 休憩前に引き続き、各案について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  120. 青木薪次

    青木薪次君 私は、地方公務員関係のことについていろいろ御努力願っているわけでありますが、地方公共団体の目標数及び確保に対するこの数については大体どうなっているか、お答えいただきたいと思います。
  121. 柳克樹

    政府委員(柳克樹君) 地方公務員につきましては、計画数は一万一千五百でございまして、現在のところ約一万二百人の採用予定数というものを出していただいております。
  122. 青木薪次

    青木薪次君 地方公共団体も国に準じて、午前中に説明がありましたように採用率は一〇%並びに一四%と理解してよろしゅうございますか。
  123. 柳克樹

    政府委員(柳克樹君) 地方公共団体につきましても国に準じて扱っていただくように要請しておるところでございます。
  124. 青木薪次

    青木薪次君 そこで私はちょっと疑問点があるわけでありますが、地方公共団体に採用される者は、一たん国鉄または清算事業団を退職いたしまして、そして退職金の支給を受けなければ採用しないということを聞いているのであります。国家公務員の場合とは違うのでありまするけれども、この点の理由はどんなものでしょう。
  125. 柳克樹

    政府委員(柳克樹君) 地方公共団体において採用していただく場合に、その退職手当の件でございますが、地方公共団体をやめます場合に、その退職手当の計算基礎として、地方公共団体の勤務期間だけを計算の基礎にしていただくようにということを考えております。と申しますのは、それ以前の国鉄の職員の期間までも退職手当の期間に算入するということになりますと、それだけ地方公共団体として雇用の場を提供しにくいということもございまして、そこのところは、できるだけ雇用の場を確保するという観点からそういうような取り扱いにいたしておるところでございます。
  126. 青木薪次

    青木薪次君 同じ公的部門における採用についてこれだけ違うというのはいかがなものかというように私は考えているのでありまするけれども総理、その辺はどうお考えですか。
  127. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは、委員の御指摘でありますが、私はやはり国と地方との立場の違いというものを御考慮に入れていただきたいものだと思います。国は確かに、国鉄を新たな姿に発足をさせていくための雇用の問題に真剣に取り組まなければならない責務がございます。しかし、これは地方公共団体とすれば、一義的には自分たちのことではないと言われるかもしれません。しかし、それに対して御協力をいただき、国鉄を去らなければならない諸君をできるだけ受け入れていただく、本当に今積極的な御協力をいただいておるわけでありますが、その場合にいわば国鉄の職員として過ごした期間までを通算して、将来におけるその自治体を退職する時点での退職金等を支払っていただかなければならなくなるということになりましたならば、地方自治体には過剰な財政負担をお願いすると言われてもいたし方がないんではないでしょうか。そういうことを考えてみますと、一度すっきりした形で自治体に採用を願うということの方が現実性がよりありますし、職員も新たな気持ちを持って私は働いてくれることができると思いますし、受け入れていただく地方自治体においてもすっきりした気持ちで受け入れていただけるのではなかろうか、よりその方が現実性が高いと考えております。
  128. 青木薪次

    青木薪次君 わからないわけじゃございませんけれども、中曽根さんが再建監理委員会の方針を全部受け入れると言わなければこういうことはなかったんですよね、総理。したがって、国家公務員はそのまま引き継ぐ、地方公共団体はやめて出直してこい、こういうことなんですよ。ですから、その点で、今演説のうまい橋本大臣の説明ではありますが、どうもこれはいただけない議論だ。  そこで、地方公共団体の勤続期間を通算してやらないと本人は非常に不利になるんですから、ですからその点ではやはり年代別にも差があるとは思うし、あえて言うならば地方公共団体の負担増になる。その場合には地方交付税とか、特別交付税とかということを過去にやらないことはなかったんですから、大蔵大臣いかがでしょうか、特別の事情ですから。
  129. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大蔵大臣に係る部分は私から答弁を申し上げる気はありませんけれども、そのほかにも、例えば委員お考えをいただきたいと思いますのは、今国鉄の職員の諸君の共済は、御承知のような財政状況の中で国家公務員共済あるいはNTT、たばこ産業の諸君から手助けを受け、いわば一体的に位置づけられております。しかし、地方公務員共済は今日この国鉄共済とは関連を持っておりません。仮に一体的な勤務体系の継続といったような考え方をとりました場合には、この共済の問題の取り扱いにも差異を生じてくるわけでありまして、今日までの論議とまたおのずから別途の論議をしなければならなくなるという問題も生ずることは御理解をいただきたいと思います。
  130. 青木薪次

    青木薪次君 共済制度改革の問題は、制度改革というような問題が将来あることもよくわかっておりますけれども、そこで労働大臣、労働省どうですか、余り熱心でないんですな。例えば民間産業でひとつこれぐらい欲しいというと、これくらい欲しいそうだよという電話で国鉄につなぐ程度なんですよ。それはあなた御存じかどうか知りませんけれども、私はその点を全国的にあちらこちら調査いたしてきておりますから、その点ひとつ明確に答弁してもらいたいと思います。
  131. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) 全般的に総括して御答弁申し上げますが、午前中総理からも運輸大臣からも御答弁ございましたように、まさしく国家的な大改革でございまして、国民的課題とまで言われておりますので、一人も雇用不安を残すようなことがあってはならぬ。その場合、午前中委員御指摘のように、国が先頭に立ってやるべきだという御指摘はそのとおりであろうと思います。したがって、国鉄職員の再就職促進のためには公的部門、ただいま話の出ましたまた関連企業関係、同時に一般産業界においても幅広く雇用の場を確保するというのは一つの重要な柱であろうということであります。したがって、御指摘がございましたけれども、労働省としましては、沖縄を除く各都道府県に再就職促進の連絡会議を開催いたしまして、関係経済団体に対しまして協力要請を行っておるわけでございます。運輸大臣からも御答弁ございましたが、現在、一般産業界からは総計で二万三千六百、受け入れ条件が詰まっておるものが一万五千三百、こういうことでございます。  ただ、総理からもお話ございましたように、産業界約一万と見込んだ場合に条件が詰まる詰まらない、内容差がございますけれども、二万三千六百で果たしてよろしいかということになりますると、やはり広域異動の問題もございまするし、また御本人の選択の幅もございまするし、職種のミスマッチということも当然ございまするし、大変な民間の方の御協力をいただいておるわけでございますが、今後さらに一層の御協力をいただかなければならぬ。今後国鉄と密接な連携をとりまして、事業主説明会の開催、また求人開拓の実施等によりまして関係方面の協力を得ながら雇用の場に努めてまいりたい、こういうことであります。  細部にわたりましては政府委員より答弁させます。
  132. 青木薪次

    青木薪次君 労働大臣はすらすらと答弁されましたけれども、実際にそんなにやっていないわけです。あなたの心を心としてやっているとは思いません。その点でひとつしかるべく対策を進めてもらいたい。この問題が片づきませんと、今度はその次に造船不況の問題があるでしょう、炭鉱離職者問題があるでしょう、円高不況に伴う離職者があるでしょう、そういう問題もあるわけでありますから、労働大臣その点についてはひとつ、他人事とは思っていないと思いますけれども、しっかりやってもらいたいというようにお願いいたしたいと思います。  それから国鉄関連企業に対して二万一千人ということをお願いすることになるわけでありますが、一番心配なのはやっぱり玉突き衝突という点だろうと思うのでありますが、この点国鉄総裁どういうふうに考えていますか。
  133. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 関連企業の皆さんとは国鉄はいわば兄弟、縁戚というような感じでございます。今、親元が大変でありますので、関連企業の皆さん方も苦楽をともにしてくださいということでかなり無理な中身も含んだ上でいろいろとお願いをしておるところでございまして、その中で今先生御指摘の玉突き現象というような問題があるかどうかという点でございますが、私どもお願いをしておりますのは、一つは毎年の欠員補充についてはこれは国鉄職員で埋めてくださいということと、もう一つは定年の問題がございます。国鉄は定年制ございませんが、大体五十五というような年齢が一つの目安になっておりますが、国鉄の関連企業におきましてはかなり高い年齢の定年制がとられておるのが実態でございます。したがいまして、お願いする場合に、ひとつ定年の仕組みについても六十歳定年というふうにダウンをしていただいて、そのすき間にひとつ国鉄のOBを採ってくださいというようなお願いも含めまして、各社別それぞれに積み上げました数字が二万一千人ということでございまして、いろいろな事情をそれぞれ了解の上各会社ごとに理解を求め、理解を得られた数字であるわけでございます。
  134. 青木薪次

    青木薪次君 昭和六十二年四月一日時点の島別の要員の状況を聞きたいわけでありますが、希望退職の分を含めて六万一千人分の北海道と九州の関係について余剰人員は幾らか。それから広域異動をやりましたね、一次、二次、その分は幾ら。現在余剰人員は幾らか。そして現地で雇用を確保された人たちは幾らか。不足分については幾らあるのかという点について説明を求めます。
  135. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 北海道と九州は大変新たに雇用の場を求める人がたくさん出る反面、これを受け入れる北海道、九州それぞれの産業界、経済界がなかなか大変な場所でございまして、雇用問題の一つの大きな問題であることは間違いございません。したがいまして、先般来広域異動を二陣にわたりまして実施をいたしたところでございますが、私どもの予想を下回る数字に終わっているということもこの問題の難しさをあらわしておるところでございます。  今御指摘の数字でございますが、北海道につきましては新たな雇用を求める数字が六十二年四月現在におきまして一万三千人の雇用の場を求める必要がございます。広域異動、第一次、第二次で合わせまして千九百人が実施をされております。それに対しまして、現場におきます雇用の場、北海道におきます雇用の場の確保状況は三千五百人ということでございます。  一方、九州におきましては、新たな雇用を求める数が一万一千人、それに対しまして、先般実施しました広域異動は一次、二次合わせまして約千人ということになっておりまして、そのほか、民間、公的部門等の雇用の場の確保の状況は五千八百五十人、こういう状況になっております。
  136. 青木薪次

    青木薪次君 そうしますと、私は、北海道と九州、四国もそうでありますけれども、地域バランスの点において相当なアンバランスを生じているというように理解できるわけであります。私の仄聞するところによりますと、現に北海道は一万数千人の人が三千人しかないというように聞いているわけでありますが、この点はそのように理解してよろしゅうございますか。
  137. 澄田信義

    説明員(澄田信義君) ただいま総裁が申し上げましたとおり、北海道では約一万三千人の過員という推定でございまして、それに対しまして雇用の場が約三千五百と今推定されておりますので、約七千六百人程度が何とかしなきゃいかぬ人たちの数であるというぐあいに考えております。
  138. 青木薪次

    青木薪次君 住みなれた北海道や九州を捨てて、私は先ほど総理質問のときに申し上げたわけでありまするけれども、一家そろって新しい未知のところへ出かけていくということだけでも深刻でありまするけれども、その問題をいろいろ困難ならしめている点にはやはり住宅の問題がある。それからもう一つは子弟の高校への入学の問題がある。  住宅の問題については建設省どういうふうにお考えになっておられますか。  それから文部大臣、今度は文部大臣として聞きますけれども、子弟の編入試験その他について頭がいいものだから案外公立高校へみんな行っているんです。その点について、いろんな問題でハンディは少しはしょうんですよ、そういう点についてどういうふうにお考えになっていますか。
  139. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 住宅の確保につきましては、一義的には雇用主において対応すべく御努力いただくことが必要と考えております。しかしながら、国鉄職員の再就職に伴います住宅の確保は生活の安定のためにも大変重要なことでありますので、今後の移転等の具体的な実態、これに応じまして誠意を持って取り組んでまいりたいと考えております。
  140. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 子弟の転入学でございますが、これは親御さんとしては一番頭の痛い問題だと思うております。そこで、こういうことの事前の用意といたしまして、本年の七月に各都道府県の教育委員会に対しまして文部大臣から、国鉄の転入学に対する者の受け入れは万全を期せということで準備をいたしておきました。そして第一次異動がございまして、その方々につきましては、数字で申しますと、第一次は二千五百八十二人の方が異動されたのでございますが、その中で高校へ転入学を要する生徒が八十六名でございまして、その八十六名のうち八十名は全部合格をいたしましてこの九月から入学するようにしております。問題は、第二次広域異動がそろそろ始まっておりますので、この受け入れにつきましては来年の一月早々、つまり三学期の始まるときにこれを受け入れるように万全の措置をとらしておるところでございます。  そこで、教育委員会に対して文部省が言っておりますのは、今までは欠員のないところは転入学をとらないというのが原則でございましたが、国鉄職員の家庭の方でそういう申し入れがあった場合、定数に関係なく希望する者はテストしなさい、こういうことを言っておりますこと、それと従来は転入学は年に一回しかやらなかったのでございますが、今は四月、九月、一月というふうに年に三回ぐらいテストして受け入れるようにする、こういう具体的なこともそれぞれ各県の教育委員会に対して指示いたしておりまして、ほぼこれで受け入れができると思うのでございます。  ただ、その中で高校へ希望されない人も中には出てくる、その分についてどうするかということ、これはそれぞれの御家庭の問題でございますが、高校を希望する方は公私を問わずそれぞれに全員入学できるようにさらに一層強硬な指導をしてまいりたいと思うております。
  141. 青木薪次

    青木薪次君 文部大臣、編入試験についてはいろんな配慮をしてもらう、あなたが都道府県教育委員会に指示したようにそれは配慮してもらう。それから定員を超えて何とかというお話があったわけですが、二度三度チャンスもいろいろ考えてもらいたい。法規令達もいろいろあるわけですけれども、それを超えた問題でもあるので、そういう立場で考えてもらうということでよろしゅうございますね。  それから住宅局長、今の答弁はこれはここでやる答弁じゃありませんね。私の聞きたいのは、例えば炭鉱離職者が以前おりましたような、いわゆる住宅がまだ少しあいていると聞いています。それから住宅・都市整備公団の住宅もまだあいているということも聞いています。それから自治省では公営住宅もまだ空き家があるということも聞いておりますので、それらの点についてこう対処しておりますということがなければ、それは雇い主のやるべき問題だなんということだけで本委員会における答弁としては全くこれはいただけない、そう思うのでありますが、いかがですか。
  142. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 先ほど申し上げましたのは基本的な考え方を一応申し上げました。  しかしながら、住宅の問題というのは、住宅とそれから勤務地の立地の関係、あるいはまた家族構成等非常に具体、個別の問題を考慮しなければなりません。したがいまして、そういう具体の事情を考慮しながらこれから進めさしていただく、こういうことであります。  現在御相談が来ておりますのは、広域異動に伴うものは住・都公団の御相談が来ておりまして、これにつきましては百三十三戸既に住宅が決定しております。しかしながら、その他の再就職関係はまだ一つの御相談も来ておりません。しかしながら、確かに御指摘のとおりでありますので、そういう問題が出ましたならば、公団住宅あるいは公営住宅あるいは公社住宅等がございますので、そういうものの優先入居の制度がございますので、それの活用を図るべく具体の実態に応じまして検討いたしたい、こういうわけであります。
  143. 青木薪次

    青木薪次君 それから改革法二十三条問題があるわけでありますが、これは営業譲渡と考えられるので、職員も資産債務も包括的承継が普通だと思うのであります。現に電電もたばこもそういうことでやっておるのでありますが、そういう立場に立って考えますのはこれは普通の常識でありますけれども、これがそうでないということになりますと、組合活動家を排除するとか、組合によって、この組合はこうだけれどもこの組合はこうだなんということを考えているんじゃないかというように考えられがちでありまするけれども、この点はいかがですか。
  144. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員NTTと対比をされて御論議をいただきましたが、国鉄は、先刻来御質問をいただいておりますように、電電公社の場合とは異なりまして、業務量に照らして著しく過剰な要員体制となっております。しかし、新会社が今後厳しい交通市場の中で企業性を発揮し、活力ある経営を行っていかなければならない状況の中で、できるだけ身軽な体制で出発させることが必要であると考えております。また、新会社の職員につきましては、新会社がみずからの経営方針を定めて発足することが必要でありまして、そのため新会社が必要な職員を採用する方式をとることとしたわけであります。  なお、残念ながら非常に多くの職員に、清算事業団において雇用の機会の確保、再就職の援助等の各種の対応の中で計画的な全員の再就職を図る、その機会を待っていただくわけでありますが、こうした状況の中に、今委員からお話のありましたような、所属する労働組合による選別というようなものが行われるとは私は考えておりません。また、あってはならないことだと思います。
  145. 青木薪次

    青木薪次君 そこで大臣、私は先取り採用ということを考えていかなきゃいかぬと思うのでありますが、再就職をする職員の気持ちを考えますと、正式採用は当然といたしましても、あらかじめ採用者を内定しておく。清算事業団において研修を受ける場合、そういう場合であったにいたしましても、清算事業団において研修をしながら一括して採用することを内定しておくということが実は可能だと思うんです。もっと詳しく言うならば、清算事業団に行く人であってもあらかじめ採用を内定しておいて、給料は清算事業団で、九千億持っているんですからね、内定しておいて、仕事場は内定先とすればいいと、そうすれば全体が間違いなく、心配なく採用されていくと、こういうように考えているんですが、いかがですか。
  146. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに今委員が御指摘になられましたように、私どももでき得る限り一括採用内定という形があらゆる場合にとられることが望ましいと考えております。そしてまた、そういう方向で努力をいたしております。現に運輸省として千四百七十九名の申し出をいたしておりますが、これらの職員につきましても採用を内定しておき、あなたは済まないけれども来年まで待ってちょうだいと、あなたは再来年に運輸省に来ていただきますということをあらかじめ御本人に理解をしていただくことにより、研修等におきましても、それぞれ赴く先に応じた研修等が受けられることを私どもは考えております。  ただ、今委員がお話しになりましたように、内定しておいて、給与は清算事業団で払って仕事はそれぞれのところに行ってやればという、そこまではちょっと私は難しいと思うんです。それはスペースの関係もありましょう、いろんな関係もありますから、内定してその研修を受けていただきながらその日に備えていただくという点では、私は委員のお気持ちと同様のものを持っており、その方向で努力をするつもりであります。
  147. 青木薪次

    青木薪次君 先取り採用の点については、私の考えていることの精神は了解していただけました。あと細かな点については、私もいろいろ相談をいたしまして、また改めて相談に乗っていただくようにしてまいりたいと思いますが、よろしゅうございますね。
  148. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 何かすごい怖いお話ですけれども、承ります。
  149. 青木薪次

    青木薪次君 次に移ります。  三島の鉄道の維持の点で非常に心配いたしているわけでありますが、三つの鉄道政府の案で維持できるだろうかどうだろうかという点が大変心配であります。国民の間では、特にこの三島の旅客会社について、将来的に鉄道は維持できなくなるんじゃないかというような問題があるわけであります。  まず第一に、政府は、三島の旅客会社は本当にやっていけるかどうかという点について、確信を持って言えますか、どうですか。大臣いかがですか。
  150. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私どもは、再建監理委員会からちょうだいをいたしましたお考えを精査の上、既に委員が御承知のように、三島における経営状況の厳しさというものを十分計算に置き、経営安定基金の積み増し等もいたしております。また、先ほど委員の御指摘そのものでございましたが、例えば修繕費等の見積もりにつきましても、所要の試算のし直しをし、その数字を補正して現在この計画を御審議いただいておるところでありまして、私どもはもちろん、その三島の会社の経営に当たる方々を初め、全員が一生懸命に努力をしていただかなければなりませんけれども、その限りにおいて私ども経営を安定せしめ得ると考えております。
  151. 青木薪次

    青木薪次君 大蔵大臣、今度で四回目でしたね、公定歩合の引き下げをやりましたのは。それで、銀行で今定期性の預金の金利は大体幾らですか、市中金利。
  152. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 現在一年定期で四・一三でございます。公定歩合が下がりました結果、いろいろ金利関係の調整が行われておりますが、その状況、まだ決まっておりません。
  153. 青木薪次

    青木薪次君 四・一三。そういたしますと角谷さん、三島に総額一兆一千八百億円の基金を設けて、七・五%の運用益で年間トータルで九百億円弱を生み出して赤字補てんに充てれば将来的にも十分やっていけるからということでありますが、政府は基金なし、補助金なしでは三島の鉄道経営は成り立たないと考えていると、そういうように理解してよろしゅうございますか。大蔵大臣、いかがですか。
  154. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに御指摘のとおり、現在の国鉄債務を引き継がず、また経営安定基金が適正に運営されることを前提にしてこの計画は組み上げておりまして、経営安定基金がない状態で経営が成り立つとは申せません。経営安定基金がなくて成立し得るとは申し上げられません。
  155. 青木薪次

    青木薪次君 いや、経営安定基金がなければやっていけないことは、これはよくわかる。経営安定基金がありましても、例えば北海道鉄道会社の経営見通しの分析によりますと、五十九年度の損益は、収入が一千一百九億ですよ。経費が四千百三十七億、損失が三千二十八億円ということでありまして、この三千二十八億円から特定人件費七百五十六億円を引きますと、一般損失が二千二百七十二億円になる。この中で回避可能経費が、例えば人件費が一万三千人でやれということですから、そうなりますと、四百八十二億円でやらなきゃならぬということになるわけです。それから利子が三百二十二億円、これは清算事業団で負担するわけでありますけれども、貨物と地方交通線で八百二億円浮いてくる。合計して一千六百六億。三島基金で、今言ったとらぬタヌキの皮算用、四百十一億円。この二千二百七十二億円から一千六百六億円ですか引いて、それから四百十一億円を引いていきますと、まだ未解消額が二百五十五億円になる。  私は北海道新聞を見たわけでありますが、基金積み増しに全力を注いでいるけれども、「前途いぜん厳しい北海道新会社」、赤字、なおそれであっても二百七十億円不足いたしますよというのが出ているわけでございます。この点どうお考えになりますか。
  156. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私はその北海道の地方紙で行われました試算というものの根拠を存じておりませんけれども政府としては精査の上、三島会社のそれぞれの経理の状況について御報告を申し上げておるわけでありまして、北海道会社につきましても、私どもはそれなりにこの試算というものを十分根拠のあるものとして御審議を願っておるつもりであります。
  157. 青木薪次

    青木薪次君 いや、これは北海道新聞で見たのは、二百七十億円足りませんよというだけなんですよ。私の今申し上げたのは、これは資料要求をしておたくの方からいただいた資料をもとにいたしましてやっているわけでありますから、大臣、誤解のないようにしていただきたいと思うのであります。
  158. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま先生から御指摘ありました数字は昭和五十九年度の国鉄の実績だと思うのでございますけれども、五十九年度の時点では、要員体制あるいはいろんな作業の体制その他が我々が六十二年度から想定しておりますところの新しい会社の状態とかなり違っておるわけでございます。したがいまして、そういう違いというものが反映しておりますので、その数字を単純に比較するということはなかなかやはり無理があろうかというふうに思います。  現在の国鉄体制というものについて、先ほど来ございますように、まず過剰な要員体制を改める。それからさらに必要な経費等についても、さらに積み上げ計算をいたしまして必要な額を計上するというふうなことをやりまして、それから今後の輸送見通しというものも立てる。さらにその結果に基づきまして、その収支がとれないということでありますので、債務は全額これを免除する。それからさらに必要な基金を積むということで、積み上げ計算をした結果が黒字が出るという計算をしているわけでございますので、五十九年度の国鉄の実績というものと単純に比較するというのはやはり問題があろうかというふうに考えております。
  159. 青木薪次

    青木薪次君 回避可能経費を除きまして、そして予想される監理委員会で考えました収入その他のものを入れまして、しかも、三島基金における四百十一億を入れている。私が大蔵大臣に四百十一億円という数字は利回り何%ですかということを聞いたのはそこにあるわけですよ。ですから大蔵大臣、いわゆる砂上の楼閣のような議論をすることは今日大変問題があると思うのでありますが、北海道は別に共和国じゃありませんから、日本の国土ですから、ですから北海道の皆さんが心配しないように、これからひとつ三島基金でもって全部事足れりとするのじゃなくて、これからも面倒を見ますよということを言わないと北海道の皆さんは納得しませんけれども総理、お疲れのようだけれどもいかがですか。
  160. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) よく聞いております。  北海道の問題は前からあなたが御力説になっておりまして、北洋漁業の問題あるいは石炭の問題、あるいは鉄鋼業の問題、いろんな問題が山積しておる折から我々も全力を尽くすつもりでおります。
  161. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄時代と同様に、ほとんどこれから借金の借りかえ以外にはないということになったら、また、せっかく一兆一千八百億円の持参金を持っていったけれども、この利回りだけではとても赤字の穴埋めはできないということになりますと、これは後で大蔵大臣質問いたしますが、この一兆一千八百億円の内容だってこれもなかなか怪しいものですよ。ですから、そういう点から考えて、本当に確信を持って三島経営については政府としても責任を持ちますということを、運輸大臣、ひとつ答弁してください。
  162. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私どもは本委員会に資料として御提出を申し上げておりますような内容で試算をいたしてみまして、また政府委員から御説明を申し上げましたような内容を含めて、これに対しての運営は万全であると考えております。
  163. 青木薪次

    青木薪次君 旅客、貨物、通信システム保有機構の新会社は結局十四兆五千億円の債務をどの程度かかって返済していこうとするのか、またそれは可能なのか。大丈夫、いけるということであれば、その償還と返済計画を各会社別に明示すべきだと思うのでありますが、今の三島問題と符合いたしましてどういうようにお考えになっていますか。
  164. 林淳司

    政府委員(林淳司君) それぞれの会社に引き継ぎますところの債務というものについては、これは会社については鉄道債券が主体でございますし、それから新幹線保有機構とか清算事業団に残すものについては資金運用部資金その他のお金でございますけれども、これらについてはそれぞれの約定に従って元利を払っていくということで私どもは計算をしております。したがいまして、それぞれの会社別の債務の償還というものが現実にどういうふうに元利が償還されていくかということについては、これは資料としてお出しをすることは可能でございますので、提出をさせていただきたいと思います。
  165. 青木薪次

    青木薪次君 これはまた後で、審議官、会社別に資料を出してください。  次に、清算事業団の二十五兆九千億の巨額の債務が最も国民の関心の的であると思います。今の審議官答弁の中には直接金額は触れておりませんでしたけれども、十四兆七千億円でありますが、ことしの閣議の一月二十八日の決定で国民負担を極力抑えるというために用地売却の五・八兆円が七・七兆円に、三千三百三十ヘクタール売却するということに決まったわけでありますが、今後これらの関係等については上乗せはありませんね。
  166. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 監理委員会から処分対象用地として指摘をされましたものを国鉄自身の作業の中から積み増して三千三百三十ヘクタールという用地を生み出したということは御指摘のとおりであります。また、衆議院において審議が開始をされました時点では、私ども再建監理委員会試算の数字をお答えいたしておりました。ところが、衆議院の御審議の中で各党から一定の仮定を置いたものでよいからその三千三百三十ヘクタールの総額を示せという御指摘がありまして、お許しをいただいて一定の仮定の中で試算をいたした結果、先ほど引用されました八兆五千億、整備等にかかる経費を除きまして七兆七千億という数字を提出いたしました。これはあくまでも仮定のお許しを得て置いた数字でありますから、これを売却いたします場合にはこのとおりの金額ということではないことは御理解をいただきたいと思いますが、その限りにおいてこれを修正するつもりはございません。
  167. 青木薪次

    青木薪次君 十四兆七千億でいいんですか。
  168. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) はい。ですから、その数字そのものは、私どもとしてはこの三千三百三十ヘクタールの処分用地というものをできるだけ効果的に売却をしていき、少しでも上積みを図ることによって最終的に国民に御負担をいただく金額を圧縮したいと考えておりますから、十四兆七千億を少しでも減らしたいと考えておりますが、仮定値を置いた上での論議としては今十四兆七千億という数字が最終的に国民に御負担を願う数字ということになります。  ただ、先ほどから繰り返して申し上げておりますように、私どもはこの用地処分というものを最も効果的に行いたい、しかも国民に疑惑を受けることのないように一般公開入札を前提としてできるだけ高く売ってまいりたい、それによって最終的に国民に御負担をいただく金額はできるだけ縮減をしたいと考えております。
  169. 青木薪次

    青木薪次君 十四兆七千億円が今日の国民負担の額だということでありますが、監理委員会は二兆多い十六兆七千億円ということであったんですが、今の大臣のお話のように三千三百三十ヘクタールに売却土地がふえたという関係で二兆円少なくなった。そうすると、十六兆七千億円、三十年間元利均等で償還すると一兆三千億円の負担が毎年必要としていましたけれども、十四兆七千億円になるとすると一年幾らの負担になりますか。
  170. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 十四兆七千億の最終的に国民負担をすべき債務につきましては、これはこの一月二十八日の閣議決定がございますけれども、最終的な処理につきましては、一つは雇用対策についてのめどが立つという時点、それからもう一つは土地につきまして、用地につきまして、これも最終的に具体的にどういう設計をして、どういうふうな形にして最終的にどういうふうな処分ができるかというふうなめどが、計画がある程度固まる時点、現在の時点から見ますと六十二年度四月以降大体三年程度というふうに考えておりますけれども、その時点におきまして最終的な財源措置も含めてその償還の計画を決めたいというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、監理委員会の段階におきましては、単純に三十年間で均等にやれば、十六兆七千億ならば年間一兆三千億程度であろうということでございましたけれども、これは現実にこれから私どもとしては債務処理していくということになりますと、やはり具体的な、現実に即した物の考え方をしていかなきゃなりませんので、先ほど申しましたように、この一月二十八日の閣議決定に従いまして、三年程度の間にめどをつけて、その時点で具体的な財源も固めまして、そしてその最終的な処理の仕方を決定していきたいというふうに考えているわけでございます。
  171. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、清算事業団の一般会計予算の関係、いわゆる収入とそれから支出の関係でありますが、二兆八千三百三億円の支出が決定している。それから収入も二兆八千三百三億。当たり前のことですわね。その中で、補助金の項は法律で決まっているんです。それから民間借入金というのは余り喜ぶべきことではないけれどもこれも仕方がないということで、これもしかし未定になっている。この点については私は、一年分しか出していない点にも問題はあるけれども、なぜこれが未定になっているのか、これは断じて了解できないんですが、大蔵大臣、いかがですか。
  172. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それは私、財政当局の事情と申しますよりは、運輸省の方におきまして、この要求についてはいろいろ未確定な要素があるのでもうしばらく待ちたいということであったわけでございます。  ただいま仰せられましたように、民間借入金の額、それから補助金の額あるいは財政投融資の確定額等々おのおのにいろいろ関連がございます点もありまして、民間借入金額も未定、それから財投は一応暫定の数字かと思います。補助金につきまして、したがって運輸省でさらに御検討の上で予算要求があろう、こういうふうな了解になっております。
  173. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄改革議論がもう半分を過ぎた段階において、資金計画については、これは国家で言うならばある意味では一般会計予算案にも等しいというように私は考えているわけでありますが、支出は二兆八千三百三億ですよ。収入も二兆八千三百三億円ですよ。ところが、その中の内容がまだ決まってない。そのうちにということで我々が審議できますか、これは。この点は大変問題があると思いますよ。私はその点ははっきり明示をしていただきたいというように思います。
  174. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは、委員の御指摘でありますけれども、私、就任直後に、来年度予算編成のための概算要求を取りまとめます段階で、省内でも随分いろいろな論議をいたしました。そしてその中で、やはり現時点において、清算事業団の今後の財政収支を考えます中で、これは収入、支出の総額は確定をしなければなりません。しかし、財投要求は一応仮置きの数字を提出いたしましたけれども、これも変動の可能性ありということで要求をいたしたわけでありますし、借入金そして補助金、これが相互に関連をいたしますためになお決定をすることができなかったという点はおわびを申し上げます。今後、予算編成の段階までに十分論議を煮詰め、また財政当局にも所要の要求を提出し確定をさせていきたいと考えております。
  175. 青木薪次

    青木薪次君 要するに、二十三兆一千億、これがいわゆる清算事業団で何とかしなきゃならぬ金だ。それには利子がつくんですよ。その利子を三十年間切り刻むんですよ。それで十四兆七千億、二兆減らして、その分を計算してまいりますと一年間一兆一千七百億になる。ところが、おたくで出した国鉄清算事業団の長期債務償還年次計画によりますると、昭和六十二年には一兆四千六百億円のいわゆる元利の返済を予算として組まなきゃならない。その中には九百億円の三島基金は入ってないんですよ。こんな予算の分け方で権威ある国鉄特別委員会にかけるなんということについては言語道断である、私はもっとはっきりとまじめな予算を出すべきであるというように考えますが、答弁してください。
  176. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま先生から御指摘ありましたように、来年度の清算事業団の発生する経費というものについては、これは綿密に積み上げをしたわけでございまして、例えば国鉄の清算事業団に残しますところの長期債務の元利合計というものは一兆四千六十六億という数字でありますとか、あるいは三島基金の債務利子、これが八百八十八億でありますとか、あるいは雇用対策費、これも一般人件費、退職手当等含めまして三千七百二十九億でありますとか、あるいは年金の負担金その他についての経費をすべて積み上げをいたしまして、その結果が二兆八千二百三十億ということになったわけでございます。  それに対しまして、収入の方につきましては、一つ見込めますのは自主財源でございますけれども、これは新幹線の保有機構から入ってまいります収入が二千三百三十二億ある。そのほかに土地売却につきましても、これは毎年現在約千五百億円ぐらいずつ国鉄では売却をしておりますが、来年度以降清算事業団の段階ではこれを促進いたしまして、まあ倍程度は可能であろうということで約三千億見込んでおるとか、その他の収入ございまして、いわゆる自主財源と申しますか、収入が六千二百十六億ございます。それに対しまして不足額が先ほど御議論になっております約二兆二千億になるわけでございますけれども、これにつきましては、先ほど来御議論ございますように、八月の概算要求の段階では、いわゆる国鉄改革全体につきまして新会社の収支あるいはその他の新幹線保有機構についての具体的な債務額等について精査をいたしておりまして、九月からの国会に向けて具体的な精査をしておったわけでございます。  したがって、その段階では六十年度決算をベースにしたいわゆる最終的な精査をした結果の数字は出ていなかったというような事情もございましたし、それからさらに助成のあり方につきましても、先ほど来一月二十八日の閣議決定にありますような趣旨を踏まえて、最終的にはどういう姿になるかは三年後に決定するとしても、それまでの間はどういう助成の仕方にしていったらいいだろうかということについて、これについての助成のあり方、内容といったものについてもさらに詰めなきゃならぬということがございまして、この暮れの予算編成までに財政当局の方とその辺について十分相談をして最終的な結論を得たい、こういう考え方のもとに助成金については未定、それから財政投融資については、これはいずれにしても相当額必要でございますので、国鉄関係全体について六十一年度程度の財投は出していただこうと、こういうことで一兆五百億というものを仮に置いたわけでございますが、これは増加することあり得べしという注をつけてございます。  そういうことで、二兆二千億のうち大体一兆円がとりあえずベースとしての財投を要求しておる。あとの一兆円強につきまして補助金と財投と民間借入金、この三つの関係についてこの暮れまでに財政当局と十分相談をして、適切ないわゆる清算事業予算を作成したいというふうに考えておるわけでございます。
  177. 青木薪次

    青木薪次君 やはり権威ある国鉄改革特別委員会に提案するんだったら、もっとまじめに出さなければいけないというように私は思います。  収入の方の、保有機構のリース料二千三百二十六億円、土地売却収入三千億円、雑収入、関連事業の一部として六百四十三億円、特定地方交通線交付金二百四十一億円、締めて六千二百十億円。補助金が未定で民間借入金が未定で、しかも二十三兆一千億円にカウントされる分として償還利子一兆五千九百六十八億円。この中には三島基金が入っているんですよ、基金の利子が。そういうような関係もこれあり、こういうようなはっきりとした支出をしなければならぬ問題がありながら、収入はわかりません。この関係について、これ、はっきりさせてください。はっきりさせなかったら、質問が次に進めないじゃありませんか。
  178. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今政府委員から御説明を申し上げましたように、実は、現時点で詰めていかなければならない要素がまだ多々残っておりましたために未定要求をいたしております。ただこれを、今私ども自身が作業中であります段階で、それこそ権威のない数字を入れることもできません。そして、財投につきましては大体従来実績からの必要額と思われるものを仮置きをしたわけでありまして、御理解をいただきたいと思います。
  179. 青木薪次

    青木薪次君 このままいったら、また借金をたらい回しで先送りするだけですよ。ですから、あえて二十三兆一千億円を十年後とか三十年後とか、そういうことになったときに元利は幾らになるかなんということを今ここで出す時間的余裕はありませんけれども、その取り扱いについてはっきりしなければ、私は遺憾ながらここで質問を続けるわけにはまいりません。
  180. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 最終的に国民に御負担をお願いしなくてはならない十四兆七千億でございますが、これにつきましては、取り扱いが不明確ということでは決してございませんで、先ほど申しましたように、この一月二十八日に明確な閣議決定をしております。そして、その処理方針というものを明確に定めております。すなわち、最終的には雇用対策というものが完全に完了する。それからもう一つは、土地の売却についてのめどが立つという時点で、歳入歳出全般とあわせまして最終的な財源措置というものを決定する。それまでの間については、財政事情の許す範囲内におきまして財政助成をしていく。それから資金繰りには困らないようにしていく。いずれにしても最終的には国がこれを処理するということを明確に閣議決定をいたしております。  したがって、その閣議決定に基づいて来年度の単年度の清算事業団の概算要求について先ほどのような要求をしているわけでございまして、これは全体については既に一月の閣議決定で国の責任において処理をするという明確な方針を決めておるわけでございます。
  181. 青木薪次

    青木薪次君 だから、それは私もわかっているというんですよ。わかっているけれども、ここへ出してくる数字について、その取り扱いについて、現実的にこの支出から収入、足りない点を調べていけばおのずから出てくるものについて、まだ方針が決まらないなんということについては納得できないということでありますので、取り扱いを協議してください。
  182. 山内一郎

    委員長山内一郎君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  183. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 速記を起こして。
  184. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 実は、今概算要求で運輸省に認められております枠の中で、天井までのすき間は千六百五十億円であります。そして、もし現在の時点で補助金の部分に数字を当てはめるとすれば、この数字がはまる数字になるわけであります。しかし実は、私自身の立場から申し上げますならば、補助金の総額が千六百五十億円では到底運営に自信が持てる状況にまだなりません。そしてこの金額は、私からすれば大蔵省にもっと大きな金額を補助金としていただきたい、また要求したい性格のものであります。しかし、これは他の予算にも連動することでありまして、その辺の運輸省の他の施策との関連の中で概算要求をくみ上げてまいります中に、最終的に未定要求をせざるを得なかったという事情を率直に申し上げます。
  185. 青木薪次

    青木薪次君 千六百五十億円ではちょっと自信がないという点について、今後積み上げの問題を含めて、大蔵大臣、その点はいいんですか。例えば、どんどん借金が雪だるまのようになってきたところに今日の国鉄破綻があったわけですから、その点については、私の申し上げた点と今運輸大臣の言った点に補強いたしまして、そういう方向で理解してよろしゅうございますか。
  186. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 運輸省の概算要求限度額というものがございます。それは八千三百六億円でございますが、そこで今運輸大臣の言われましたのは、その他の概算要求とこのシーリングとの差が今おっしゃった数字になる。しかし、そういう予算要求をしてしまうとそれは既成事実になりますから、その千六百何がしではなかなかこれはうまくやっていけないように思うというお話ということになります。そこで、これから年末にかけましての予算編成の段階の中でシーリングを変えるというわけにはまいりませんから、運輸省が出しておられますもろもろの予算要求とこの問題とをどのように調整していけばいいかということを運輸省にもお考えいただき、私どもも検討して、両省の間で話をしていきまして予算編成にまとめると、こういうことであろうかと思います。
  187. 青木薪次

    青木薪次君 今後、私どもも重大な関心を持っておりますので、そういうように対応していただきたいということを要請いたしておきます。  時間が切迫いたしてまいりましたので、共済組合のことについてちょっと申し上げたいと思いますので、結論だけひとつ答えていただきたいと思います。  国鉄共済は、昭和五十一年度で初めて赤字を計上して以来、その財政危機が表面化してきたわけでありますが、昭和六十年度から実施された財政調整五カ年計画によって、国家公務員やNTT、日本たばこから財政援助を受けて五カ年計画は収支が均衡することとなっていたはずでありますが、この財調計画前提として職員数を三十二万人としていたために、今回の国鉄改革の実施で十万人以上職員数が減少すること等の理由で今後も不足額が生ずると聞いているのだけれども、これはそもそも財政調整計画がずさんであったのではないかと思いますけれども、総裁、結論だけ答弁してください。
  188. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 当時の合理化計画等を含めまして、目標の数字としまして三十二万人という数字があったわけであります。そうしたことを前提にいたしまして、関係の各省庁で大変お骨折りをいただきまして、国鉄の共済に対しましてお力添えをいただくと、こういうような結論になったのが財政調整計画でございます。その後、おっしゃいますように、三十二万人体制というものがもっと合理化を進展をさせる必要があるということで、相当な数の合理化がプラスされておる。そこにやはり前提になる数字が変動してまいりましたので、そのために既につくりました財政調整計画の数字が変化を来しておるというのが実態でございます。
  189. 青木薪次

    青木薪次君 五カ年計画では、国鉄共済の昭和六十年度決算を見ると、収入七千三百六十七億円に対して支出は七千五百五十二億円で百八十五億円の赤字となって、財調計画の初年度から大きな狂いを生じたのであります。したがって、大きな不足額が発生すると思われるこの六十一年度以降はどうなるのか、この点について大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。
  190. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 財政調整をいたしましてもなおそういう赤字が出ると、そしてそれは、これからの退職者の年齢構成等々にもよることでございますけれども、六十一年度で六百億円程度、六十四年ごろまでに至りますと八百億から千百億円ぐらいの赤字になろうかということでございます。  そこで、これは昨年の末に政府が統一見解を申し上げまして、それによりますと、昭和六十四年度までの分につきましては、国鉄の自助努力と国の負担を含めまして諸般の検討を加えて支払いに支障のありませんように、これは昭和六十一年度中に結論を得ることにいたしますと、こう申し上げてございまして、既に関係の四閣僚が何度かこれにつきましては協議をいたしておるところでございます。  先ほど申し上げましたように、退職者の年齢構成がどうなるか、また実際の国鉄の人員がどうなるかということ等々いろいろ不確定要素がございますので、なお閣僚間で話をいたしておりますが、これは今年度中に結論を出しまして、支払いに支障のないようにいたします。それで、六十四年度より後の六十五年度以降の分につきましては、その後引き続きましてどのように対策をして支払いの維持ができるかを関係閣僚間で検討をいたさなければならないと思っております。
  191. 青木薪次

    青木薪次君 総裁にお伺いいたしますけれども、自助努力という点について労働者にばかり掛金の引き上げをやってきたと、この点についてその結論を説明してください。
  192. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 自助努力のやり方は二つございますが、一つは、国鉄自身が共済組合に対して現在追加費用、大変膨大なお金でございますが、こういうものを収入源として繰り入れをしておりますが、それにさらにプラスアルファが可能かどうかというそういう問題。それからもう一つは共済組合自体の財政上の問題。これは現在非常に高い掛金率になっておりますが、さらに掛金率を高めることができるかどうか。あるいはまた、共済組合の共済給付金自体がかなり抑制された形になっております。それがこれ以上できるかどうかという観点からの検討が必要かと思います。  いずれにいたしましても、共済年金財政は私どもの方はお願いをする立場でございまして、大変いろんな制約上の問題はあろうかと思いますが、自助努力の限界までやはり私どもとしては努力をする必要があろうかというふうに思っております。
  193. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄共済の掛金は全公的年金の中で一番高くて、国家公務員共済や厚生年金に比べて四割も高いんですよ。この点について、自助努力としてこれ以上組合員の掛金引き上げを求めるにはもう限界に来ていると思うんだけれども、この点大蔵大臣いかがですか。どう考えますか。
  194. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 私も正確には存じませんけれども、電電、たばこ等々ょそからいわば援助を得て財政調整をしておるようなことでございますので、そこに至ります間に国鉄としてもいろいろ苦労をされたということは私どももわかっております。
  195. 青木薪次

    青木薪次君 一方で国鉄共済の給付水準を見ますと、過去の既に決まった裁定の年金はスライドは停止され、新規の裁定年金は職域部分をカットされているんです。それで、国家公務員共済金に比べて掛金は四割も高い、給付はぐんと低いという状態でありまして、自助努力といってもこれ以上切り下げはもう行うべきでないと考えますけれども、この点大臣いかがお考えですか。
  196. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 私から正確には申し上げかねますけれども、大変に給付の面においても負担の面においてもいろいろ努力をされておるということは認識をいたしております。
  197. 青木薪次

    青木薪次君 今年度中に六十四年度までの対策は統一見解に基づいて結論を出すと。その後、六十五年度以降の対策のことについては、六十四年度までの対策を少しでも早く解決することが六十五年度以降の問題に対する対策となるわけでありますけれども、この点については、準備の期間その他があるわけでありますが、どうお考えになっていますか。
  198. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 実は、それは私が勝手にお答えをしていい問題ではございませんで、この四閣僚による六十四年度までの対策が済みました後、その後どういう仕組みでその後の六十五年度以降の問題を処理するかということは、それを含めまして、その段階で決めなければならない問題だと思っております。  と申しますのは、六十五年度以降の問題はさらに深刻になるということがもうほとんど間違いなく予想されますので、この六十四年度までは御承知のように財政調整をしておりますけれども、その程度の規模で問題が先々、六十五年度以降片づけられるとも思えない、もう少し問題の規模が大きいということはほぼ明らかでございますから、したがいまして、今年度、六十四年度までの処理をいたしましたら、それから後のことは改めてそういうさらにもっと大きな問題として関係閣僚等々において検討をしなければならないということを考えております。
  199. 青木薪次

    青木薪次君 それはひとつ大蔵大臣、前向きに検討をしていただきたいと思います。  次に、要員査定の関係で、監理委員会は五十七年度実績の私鉄六十一社の要員数をもとにして新会社の適正要員の算定基準をつくったと繰り返し主張してきたのでありますが、ところがこの算定基準の式、すなわち回帰式を用いると、私鉄の実際人員が五万四千七百十一人であるのに対して、計算値が五万二百九人となってしまうので、実に四千五百二人、約八・二%もの過小計算となってしまう。これは見逃すことのできない重大な誤差であると思うのでありますが、監理委員会では当然六職種ごとについて実際値と計算値とその差、誤差を計算していることだろうと思うのでありまするけれども、これを読み上げていただきたいと思います。
  200. 吉田耕三

    政府委員(吉田耕三君) 国鉄再建監理委員会の事務局でございます。  私ども国鉄の在来線につきまして昭和六十二年度の国鉄の適正要員数というものを算定するのに当たりまして、私鉄の在来線の現状を調べて、そして一定の回帰式をつくりまして、それに六十二年度の国鉄の業務量を代入して国鉄の適正要員数を出したわけでございます。  今先生のお尋ねは、その私鉄六十一社の実態からつくりました回帰式に私鉄の実績値とそれからこの回帰式に代入して得られる理論値とに差がある、それを六種類ごとに述べるようにということでございますが、まず駅職員につきましては実績値が二万三百八十三人に対しまして理論値が一万七千五百九十五人、差が二千七百八十八。それから運転士につきましては実績値が九千三百四十三、理論値が九千二百五十四、差が八十九。車掌につきましては実績値が七千七百八十一、理論値が七千七百五十四、差が二十七。施設保守部門につきましては実績値が四千七百三十六、理論値が四千三百四十七、差が三百八十九。それから電気保守につきましては実績値が四千五百六十八、理論値が四千三百四十一、差が二百二十七。車両保守につきましては実績値が七千九百、理論値が六千九百五十八、差が九百四十二。合計いたしますと、実績値が五万四千七百十一、理論値が五万二百四十九、差が四千四百六十二というぐあいになっております。
  201. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 関連質疑を許します。穐山君。
  202. 穐山篤

    ○穐山篤君 数字が述べられましたけれども、私が作成をしてお分けをしました数字とは若干の食い違いがありますけれども、大筋四千五百、こういうふうに理解をして話を進めたいと思うんです。  この変形対数の回帰式で計算をしているわけですが、結果としてこれほど大きい誤差が生じているわけですね。その誤差の原因というのはどこに具体的にあるかという点をまずお伺いしたいと思います。
  203. 吉田耕三

    政府委員(吉田耕三君) この回帰式のもとになりました私鉄六十一社のサンプル数の実態を見ますと、例えて言いますと、駅での乗降人員、これが倍になったからといって駅の職員が必ずしも倍必要ではないというような関係になっております。つまり、単純にグラフに書きますと、徐々に勾配が緩くなっていくというような曲線の関係になっているのが実態でございます。こういうような実態の場合には、今回のように対数を利用して線形回帰により推計モデルを求めるというようなことが交通経済学とかあるいは計量経済学の分野でごく一般的に行われているものでございます。このようにごく一般的に行われております手法を用いて理論式を求める場合には、これは理論的に理論値の合計が実績値の合計を今回のようにたまたま下回る場合もありますれば、逆に上回る場合もあるというのが通常であります。今回の統計的な誤差、私鉄の実態が非常にばらついているということにも起因しております。先ほどの対数回帰式でやったということのほかに、非常に私鉄の実態がばらついているということにも起因しておりますけれども、御指摘のように誤差が四千五百人程度出るということにつきましては、この程度の誤差は通常あり得る話でありまして、統計上問題になる誤差ではないというぐあいに思っております。  問題は、それではこのような回帰式によって推計した場合に、六十二年度の新会社の適正要員数が過小に算出される結果にならないか、おそれがないかということでございますが、次に申し上げますような理由によりましてそのようなことにはならないんじゃないか、ならないと考えております。  つまり、今この回帰式を実際に適用しようとしております国鉄経済計算単位、この経済計算単位におきましては、この回帰式のうち誤差の大きい部分ではなくて、誤差の小さい私鉄の実績値と理論値とがほぼ一致しているような部分を使用しているということからでございます。  ちょっと詳しく申し上げさせていただきますと、まず第一に、個々の私鉄について見ますと、回帰式に使用しました六十一社の実績値が先ほど申し上げましたように非常にばらついております。私鉄会社の規模の大きい順にとっていきまして、会社の職員数が約二千八百人以上というような規模の大手六社、これだけで既に理論値の合計が実績値の合計を三千八百人弱下回ってしまっている。つまり、この六社だけで先ほどの誤差四千五百人のうち三千八百人弱の誤差を出してしまっているということでございまして、ということは、つまり残りのより規模の小さい五十五社、この中には残りの大手八社とか準大手とか中小がございますけれども、そういうものについての回帰式の部分は、理論値の合計値と実績値の合計値とが余り差がなくて、ほぼ一致しているということになるわけでございます。  他方、二番目でございますが、今度この回帰式を利用して国鉄の在来線の適正要員数を推計するという場合に、全国には在来線が一次、二次を外しまして百六十七線区ございますけれども、これをもっと細かく分割しまして、一次、二次を除いて三百六十三の経済計算単位に分割して算出しております。これは監理委員会におきまして、いろいろ小さな分割案から大きな分割案まで、あらゆる分割案を検討したわけでございますが、そういうあらゆる分割案に対処し得るように、東海道本線であっても各管理局別、東京西局とか静岡鉄道管理局とか、名古屋鉄道管理局、大阪鉄道管理局というような管理局境で一本の線を切ったりして計算しておりまして、三百六十三の経済計算単位に分割して算出している。したがいまして、先ほど申し上げましたような規模の大きい大手六社並みの、つまり二千八百人以上にもなるような大きな規模の経済計算単位というのは、全体の三百六十三のうちわずか二つにしかなっておりません。つまり、ほとんどの在来線の経済計算単位は、規模の大きい大手六社以下の、二千八百人以下の規模になっているということでございます。ということで、今回この回帰式を実際に適用しているという経済計算単位におきましては、誤差のほとんどない部分を使っているということで、新会社全体の適正要員数の算定に与える影響はほとんどないと考えております。
  204. 穐山篤

    ○穐山篤君 質問をしない部分まで答弁をしていただいているわけですが、私鉄並みあるいは私鉄の生産性を確保する、そういう意味でこの共通をする部分を回帰方式でやることは私も理論的に適切だというふうに思うわけです。ところが、スケールメリットの線を具体的に調べていきますと、それからはみ出す部分は全部上位六社に集中をしているわけですね。今お話がありましたように、私どもの計算でいきますと三千七百六十五名の誤差が生じているわけです。ですから理屈からいえば、その分を国鉄に引き直して回復をさせる、そういう計算がなければ私鉄並みあるいは私鉄並みの生産性を確保するという理屈にはならないと思う。  それからもう一つ、この計算を行えば数値は上がったり下がったりする、こういうふうに言われておりますけれども、私ども全部数字は当たってみましたが、途中の部分までについては確かに上がったり下がったり、近似値であります。ところが上位の部分は全部私鉄の側の方が高くなっているわけです。私鉄六社の方が高くなっているわけです。ですから、もう一度申し上げますと、高くなったり低くなったりしているのではなくして、全部低く計算を意図的にしている、こういうふうに言わざるを得ないんですよ。これは具体的にグラフで計算をしてみればわかるわけです。今お話がありましたように、上位六社の誤差数三千七百六十五名というものを素直に国鉄に引き直しをするということによって初めて私鉄並みという、そういう話になると思いますが、その点はどうお考えですか。
  205. 吉田耕三

    政府委員(吉田耕三君) まず第一に、誤差分だけ修正したらどうかというお話でございますが、一般論といたしまして、将来予測をする際に、過去の時系列データに基づきまして回帰式を作成したようなケースにつきましては、その時系列データの中の最新時点、最新年度の実績値に当該年度の理論値が一致するように回帰式に修正を加えるという場合がございます。これをいわゆる常数項調整ということで、例えば yイコールaxプラスb でございましたら、そのbにもう一つプラスcというのをつけ加える、bをb′がにするというようなことでございますが、こういうようなことをやります。これは過去からその時点までに起こった環境条件の変化が将来も持続することが明白な場合に例外的に用いる指標でございます。それが時系列データに基づいて将来を予測する場合のやり方でございます。そういう場合には今のような修正を行う場合もある。  しかし、今回の回帰式と申しますのはこのような時系列データの分析ではございませんで、五十七年度という断面における私鉄の生産性の分析を行うというような意味で、いわゆるクロスセクション分析、断面分析と言われておりますが、そういうクロスセクションでございます。このような場合には、得られた回帰式を実績値との比較で修正するということは通常統計学上行いません。これは、やや詳しくなりますが、なぜ行わないのかと申しますと、回帰式のパラメーターの推計に当たりましては、推計に用いたサンプルの実績値と理論値の差、これはもちろんプラスの場合もマイナスの場合もありますので、それをそれぞれ自乗して合計したものを最小にするといういわゆる最小自乗法というのを用いておりますが、この手法によって得られる回帰式のパラメーターはおのおの一つだけ一義的に決定されてしまいます。これを修正するということは、クロスセクションの場合には統計学上行わないというのが通常でございます。そういうようなことでございまして、先生今回帰式につきまして誤差部分を修正したらどうかということは、これはクロスセクションでございますので適当でないと考えております。  それから第二番目に、上位六社に大きく理論値より実績値が上回っているというようなことがあって、その他はほぼ合っているというようなことでございますが、例えば大手の上位六社の次に小田急あたりが来ると思いますが、これは極めて生産性が高うございまして、こういう大手六社を除いた七社、そういうものもかなり回帰式の下に来ております。そういうものが引っ張りましてそれの平均のところを通っているということでございます。
  206. 穐山篤

    ○穐山篤君 時間がありませんからまとめますが、この特別委員会答弁にふさわしくない答弁をしているんです。私が言いますのは、政治的とは言いませんけれども、もう少し広い視野を持って眺めてもらいたいという意味で問題の提起をしているわけです。  と言いますのは、十八万三千にしろ二十一万五千にしろ、これで果たして国鉄がやっていけるだろうか、そういう心配を内外するわけですね。あるいは安全性が担保できるだろうか、サービスの提供はいいだろうか、そういうことを総合的に考えて要員の規模の議論をするわけです。その場合に、この要員問題のスタートというのは、私鉄並み及び私鉄の生産性並みというところから要員の計算が始まっているわけです。その理念をもし今も堅持するとするならば、私の提案という方が正しいんです。だから、私はこれ以上論争しませんけれども、今私が投げかけた問題について政府部内で十分に検討してほしいということをまず第一に提案しておきます。  それから第二の、検討の方向としては、かつて小柳先生が二十四万人という全体の規模のお話をしましたが、私は、この表に求めておりますように、最低限二十一万五千人プラス一万二千八百七十人、合計二十二万七千八百七十人が少なくとも私鉄並みの数字である、こういうふうに確信をするわけです。したがって運輸大臣、具体的に私は職種について国鉄に引き直しをすればどういう職種が何名必要かという計算も出しているわけです。したがって二つ目には、具体的に職種別に検討をしてほしい、次回一般質問の中で要員問題については完結をしたい、こう思いますので、私の提案について御意見を伺いたいと思うんです。
  207. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は今のこの回帰式あるいは変形回帰式による数理計算というものをとても理解をするだけの数学の素養がございませんけれども、事務当局の専門家に十分検討させたいと思います。
  208. 青木薪次

    青木薪次君 大分今の答弁並びに質問の中の専門用語にかかわる部分で時間をとってしまいましたけれども、私は最後に土地売却に伴う問題について質問をいたしたいと思いますが、総理、このごろ新聞に出てくる地上げ屋ということを聞いたことがありますか。
  209. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) けさもたしか新聞で見たと思います。
  210. 青木薪次

    青木薪次君 例えば汐留などの売却を見込んでこれらの地上げ屋と称する人が周辺土地を買いまくって、そして地価をつり上げているということだと思います。国鉄用地がこうした中で売却されれば、さらに地価の高騰をあおることは必至です。国土庁長官、あなたはこの問題についてどういうように考えていますか。
  211. 綿貫民輔

    国務大臣(綿貫民輔君) 国鉄が用地を売却されるということは国民負担を軽減するということで十分理解をいたしておりますが、周辺の地価騰貴の引き金にならないように、今後清算事業団の中に設けられます審議会やあるいは関係省庁とも十分その辺は相談をしながら地価対策をやっていかなければならないと考えております。
  212. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄用地は国民負担を軽減するという中でも考えなきゃならぬ。しかし、狂乱的な地価をあおっていくということについても相当考えなきゃならぬので、そこに適正価格という問題があろうかと思うのであります。そういうことから考えて土地転売に関する規制をしなきゃいかぬ。新聞にも、ここにありますように、ついせんだっての十一月六日に、国鉄用地が半年で二度転売された、入札後大手同士が取引した、こういうようなことで、これは王子の宿舎の跡でありまして、国鉄も困惑している、こう書いてあります。そういうような土地転がしの点から考えて、十年間は転売禁止というようなことについて制度的に考えてもらいたいと思うんですけれども、いかがですか。
  213. 綿貫民輔

    国務大臣(綿貫民輔君) 先日の六本木の林野庁の用地の売却に当たりましても公告をいたしましたが、今後もそれにはいろいろ条件を付すようなことも考えられております。従来からも、国公有地の売却につきましては、地方の公共団体の利用構想等の調整あるいは高騰が考えられる場合には、計画を含めましての条件設定、また高騰地区におきましてはいろいろの条件等も今までつけてまいった経緯もございますので、今後とも十分そういうことは必要があれば考えてまいりたいと思っております。
  214. 青木薪次

    青木薪次君 私は最後に、最後の締めといいますか、時間が参りましたので、例えばまだ新幹線保有機構の問題、それから財源の確定もなくやみくもに実施しようとする整備新幹線の問題などについても実は触れたかったのでありますが、後日の一般質問に譲りたいと思います。  私は、国鉄の大改革に当たって、大切な公共性について我が党の考え方を引き合いに出しながら政府問題点をただしてまいったのであります。国鉄を六分割いたしまして、もうけ本位の経済合理性の追求だけで鉄道を維持することは、早晩日本列島から多くの鉄道をなくすことになるのではないかということを大変心配いたしておるのであります。国土の開発と居住性の確保のために、どこに住んでも一定の交通サービスを受けられるということを日本国民であるならば担保してもらうべきだと思うのでありますし、そういう点を保障することが政府政策であり、行政の立場でなければならぬと実は思っているわけでございます。  やがて、無理をして二十五兆円という新幹線投資をすることになるでしょう。そのときには、今までのように国鉄持てということは言えませんよ。旅客会社は持つ能力はありません。新幹線保有機構はこれは将来いつまでも存在価値を持っているということではなくて、いずれは店をたたまなきゃならぬということになるでありましょう。ローカル線の廃止された中で、総合交通体系を立てようとしてもなかなか立てられるものではないと思います。国鉄改革法審議と同じような審議がどういうように展開されるかということは、私は交通問題等に携わってまいりましたから、確かな経験から言いましても、やはり全国一元化の必要性という問題は私は早晩到来すると思うのであります。  その点について、将来とも衣食住と交通という問題はこれはやはり私たち基本的な生活権だと思うのであります。この点について最後に総理運輸大臣の御意見をお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  215. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 御指摘にありましたさまざまな点、これから先私どもも十分注意をしながら努力をしてまいりたいと考えます。
  216. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 青木さんのただいまおっしゃいましたことも一つの御見識であると思います。我々はまた我々としての別の考えを持っておりますが、御意見はよく参考にいたしまして誤りなきを期したいと思います。
  217. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 さっき質問を終わった青木委員も、関連質問いたしました穐山委員も、続いて質問いたします私も国有鉄道では同僚の議員でございます。いささか国鉄づいた質問が続きますが、私は青木委員あるいは穐山委員質問とはちょっと角度を変えた質疑になろうかと思うのであります。したがいまして、その質疑に入ります前に、少し前置きが長くなりますけれども、私見を交えながら申し上げてみたいと思うのであります。  私は三十年間国鉄に勤務をいたしました。退職する十年前から、残念ながら国鉄経営危機が逐年大きく重圧になってまいり、監理委員会の御指摘のようないろんな制約はあったにしましても、それを解決し得なかったという、あるいは対処し得なかったということについては責任を感じている一人であります。その私が国会議員の立場で国鉄改革法審議をし、そして今日代表質問をさせていただくこの立場に立ったことに、非常に私は宿命的な因縁を感じます。しかしさはさりながら、日本国有鉄道という経営形態が消滅するにしても、独占性を失った鉄道であるにしても、鉄道事業というものが日本の陸上輸送にとっては欠かせない事業であるというところからこれを活性化し、効率的な運営に持っていこうというこの改革法案は、私どもにとってみれば非常に救いのと申しますよりも、責任逃れとは申しませんけれども、これに肩がわりして、私ども一生懸命一日も早い成立を祈ることが私の今日の立場であろうということでこれから私は質問をしてまいりたいと思うのでございます。  総理、先月の十月十四日は鉄道記念日だったんです。鉄道記念日は、御承知のとおり今から百十四年前の明治五年になるわけでありますけれども、新橋と横浜の間に鉄道が呱々の声を上げた記念すべき日なのでございますが、この日は、国鉄本社を初め、全国の鉄道管理局でいろいろと永年勤続の表彰式やらあるいは功績者の表彰など多彩な記念行事が行われるわけでございますが、東京の国鉄本社におきましても、これは例年恒例でございますけれども国鉄のOBが発起人になりまして、これが主催いたします鉄道記念日のパーティーがあるわけでございます。ことしは国有鉄道として最後の鉄道記念日だということで、集う者ひとしく感無量な集まりでございました。しかしながら、集まった連中はじめじめした空気ではございませんで、雰囲気は、現職の今日取っ組んでいる新しい鉄道、新生に向かっての努力に対して、その労を多とし激励をする声が非常に多うございました。これは偽らざる私の印象として申し上げるわけです。非常に明るい雰囲気でございました。恐らくこれは集まったOBの皆さん方の気持ちを率直にあらわしていることであろうと思います。自分たちにはできなかった、現在の後輩の連中に迷惑をかけている、だから諸君しっかりやってくれという激励のことであったと私は思っているのでございます。  ここに持ってまいりましたのは、総理、これは私の国鉄時代に同じ職場で勤務していた連中あるいはかかわりのあった連中、それが立派な、優秀な成績で現場長を務め、そして管理職を務めて卒業した連中の、一部の連中からのこれは手紙であります。中身はいろいろございますけれども、ひとしく今私が申しましたように、新生鉄道に向かって頑張ってほしい、もう暗い鉄道からは抜けたい、これをひしひしと訴えているんです。そのうちの一つを私は御披露申し上げたい、前置きはやめますけれども。  「国鉄改革も正念場を迎えましたが、過日、二日間」、これは衆議院のことでございます。「特別委員会各党総括質問のテレビ放映には異常な関心を持って注視した一人でございます。私は、戦前、新潟駅の駅手が振り出しで兵隊の五年間を含め通算三十八年国鉄に在職」いたしました。——後ちょっと除きます。その間、各駅長、運輸長などを勤めて「国鉄に対する愛着は人後に落ちないと自負しております。また国鉄経営破局の責任の一端も自覚いたしております。世の識者の中に国鉄改革は十年間遅過ぎたとの指摘もありますが、私も同感であります。」中略いたしまして、「明治の初めの文明開化から戦後の経済大国に至るまで国の大動脈として貢献した輝やかしい歴史には限りない郷愁があり、分割・民営化には、特に国鉄で働いた者として万感胸に迫るものがあります。だが、将来にわたって鉄道国民に愛され栄えていくためには、国鉄改革は避けて通れない道であると思っております。」、こういうふうになっています。  これは私が言ってつくらせた私に対する激励文でもございません。あの衆議院の総括質疑を見たOBの感激の余りのこれは手紙でございます。したがって、全国の国鉄のOBが新しい鉄道に出発するこの改革法案の成立に大変に情熱を傾け、そして熱い目をもって参議院審議を見守っているんだと私は感動を覚える一人でございます。  昭和六十年の七月二十六日、国鉄監理委員会が、先ほどもいろいろお話がございましたように、答申を出されました。そしてこれが総理に報告され、そしてまた自民党交通部会に報告されました際に、その部会におきまして私は、私の所感と要望というものを読み上げました。ここで皆様に御披露申し上げておきます。   監理委員会の答申内容は、言ってみれば、国有鉄道という構造物を解体して全く新らしい構造物を作る設計図であると思う。   設計図通り行われ々ば、「鉄道国有法」が施行されて以来八〇有余年の歴史をもつ全国統一体としての国有鉄道はその歴史を閉じることになる。これに対して、恐らく各方面からいろいろな意見や批判が出されるであろう。   国鉄出身の私自身、誠に感無量なものがあり同時にこの設計図にはいろいろの意見疑問点、卒直に云って期待外れの不満な点を持ち又相当無理な設計もあるなと思っている。しかしながら今日まで我々が解決し得なかった、長期累積債務処理の仕方をはじめとして財政の再建の手法、合理化に伴う余剰人員の円滑な処理や退職者の増大に伴って生ずる共済年金財政のピンチ等々難問題がこの答申を受けた政府が挙げて解決に当ることの約束が行われるならば、又当事者である運輸省、国鉄が答申の線に添って努力するというのなら私は、基本的には、監理委員会の設計図通り進められることに異存はない。特に分割といっても答申によるとメカニズムが地域的に独立した事業部制に近い姿であるのでこの点今後の推移を注目していく。だが、しかし、個々具体的な問題の処理に当っては、たとえば、債務の返済に充てる国鉄用地の売却額が答申の予定通り確保出来るのかどうか、つまり過大に過ぎないかどうか、分割された新会社の収支の見とおしは答申通り安定するのか、試算ではいずれも黒字計上されている。特に三島基金の構想通りに三島の新会社は経営的に成り立つのか、特殊法人であっても民鉄並みの経営の自主性が新会社に広汎に保証されるか、又貨物新会社の経営基盤は心配ないのか。後二年しかない短期間に果たして予定通り民営分割が発足出来るのかどうか等々、答申に添って進めていく過程において実務専門家の国鉄サイド、或いは政府各省サイドから答申の設計変更をしなければ実施不可能、或いは相当無理な設計という判断が出るとすれば、運輸省において法案化の段階でこの点を十分配慮し対処されるよう強く要望しておく。次に今回特に答申に盛られた改革の諸点は運輸省に限らず、大蔵、自治、労働、厚生等々各省のほか政府全体が責任をもって取組まなければ解決し得ない内容のものばかりである。運輸、国鉄のみの責任において実行を求めるのには荷が重すぎ不可能な内容である。答申の案は解決すべき諸点が有機的につながり、いずれもかタイトロープになっている。その一つが崩れればすべてが瓦解してしまう危険性がある。われわれは答申が単なる診断、処方箋に終わった苦い経験を繰り返さないよう強く要望する。 これが私が監理委員会において精いっぱい述べ得た私の国有鉄道出身者としての意見であります。  幸いなことに、今日までの衆議院の段階におけるところの御質疑の過程を通じまして政府から御答弁いただいたことなどを拝見すると、私が疑問に思っていたことも大分解決されてまいりました。そしてまた、監理委員会の御指摘の線は法案の実用化の段階で大分修正もされてきている。これは非常にありがたいことだと思うと同時に、まず政府責任を持ってこれに取り組まれたことに私は多大の敬意を表する。まず、国鉄改革に関する関係閣僚会議の設置を初めといたしまして、余剰人員の雇用対策の本部の設定あるいは余剰人員の雇用対策の基本方針を推進するためのいろんな手だて、国鉄長期債務処理の方針等、確かに政府は挙げて閣議を中心としてこれにお取り組みいただいて今日までやってきているし、またこれからもぜひやってもらわなければならない問題がたくさんございますわけでございます。  そこで、私はここにおいていろいろと申し上げたいこともありますけれども質問する前の前置きとしていささかお耳にさわることがあるかと存じまずけれどもお許しいただくことにいたしまして、先立って申し上げておかなければならないことがあるわけであります。  それは何かと申しますと、今日までの国鉄についてのいろいろの議論は、国鉄が今日の経営危機に陥ったことに対する経済合理的な立場からの御判断が余りにも強過ぎたんじゃなかろうか。なるほど、国鉄を今日に陥らせたいろんな功罪の罪の面はたくさんございます。先ほどもいろいろと青木委員も指摘されましたけれども、私は青木委員と違った角度からの問題点としては、我々自身が一番よくわかっておる問題点がございます。それは、なるほど四十数万人の職員を抱える社会集団としては大きな集団でございますから、社会現象はやはり国有鉄道にもある。そういうことでこれは職員に非を求めなきゃならない、ひんしゅくしなければならぬ行為もたくさんあった。率直にこれは認めざるを得ない。そしてまた、国有鉄道の性格ではございましても、取り組みにおくれをとった、経済の動きに対してついていけなかった、反応が遅かった、職員に親方日の丸の意識がなかったとは言えない、そういう反省は労使やらなければならぬと思います。お互いに確かに甘えがあった、これは反省しなければならない。しかし、亀井監理委員長がいみじくも言われたのは、経営を今日の危機に陥れた諸原因一つ一つ挙げれば一つ一つの諸原因は挙げられるけれども、これは複合的な原因だと。いみじくもこれは国鉄症候群という言葉を使われた。まさに国鉄症候群だと私は思うのであります。けだし適評であるわけであります。  しかしながら、今日まで国有鉄道の百十四年間の運営を支えてきたその陰では、国鉄自体のいわゆる役割、国有鉄道を支えてきた職員の努力というものを私は大きく見直さなきゃならぬじゃないかと、この際に。功罪の罪の面は確かに我々は反省しなければならぬ。であるがゆえに今日の国鉄になった。それを改めて新生する鉄道事業については、それはもう恐らく皆さんそれを反省しながら出発を誓うでありましょうが、その今まで支えてきた大方の善良なる職員の努力というものに私は功の面から光を当ててあげなければ、これはやられっ放し、残念であるわけでございます。したがって、これを懐古的とあるいは言われるかもしらぬし、あるいはまた身びいきだというふうにおっしゃるかもしれない。おっしゃるかもしれないけれども、私は身内と言われても、この問題についてはぜひこの際国民の皆様に国鉄が今までやってまいった役割についていささか古い話を交えながら御披露申し上げたいと思うのであります。  昭和二十二年の八月発行の「国有鉄道の現状」という運輸省発行の報告書、今で言う白書ですね、これに終戦のときの国鉄努力が書かれております。ちょっと読んでみます。   国鉄は、全くへトへトになって終戦を迎えたのである。しかし終戦によって国鉄の使命は終ったのではなかった。一般産業界は仮死状態に入り、すべての生産は、敗戦を境として一時殆んど停止してしまったのであるが、国民の足といわれ国家の動脈といわれる国鉄は、一瞬たりとも休止することを許されない。敗戦という未曾有の事態に逢着して国民均しく呆然たる中に、国鉄従事員は、一時の休息をも與えられず疲れ切った車両や施設にむちうち、新らしい使命を以つて再出発しなければならなかつたのである。   終戦直後「汽車が動いている。」とは安堵の吐息と共に到る処で聞かれた言葉であつた。たとえ旅客輸送の極度の混乱はあつたにしても、あの混沌とした世情の中にあつて、とにもかくにも輸送が止らなかったことは如何に国民に安心を與たえ、治安の維持にひいては占領軍の無血進駐に大きな役割を果したことか。 というのが書き出しであります。  京都大学教授の会田雄次先生がある本に思い出を書いておられる。その思い出は、あの人が復員列車に乗って帰られたときに、   敗戦の混乱の中で国鉄が動いていることがどれほど私達を励まし、復興の支えになったことか。……私達は京都駅で下車したとき列車に向かって——つまり国鉄職員さん達に対して——脱帽敬礼、感謝を表明してから解散したのである。 こうなんです。  国鉄の当時の使命感といいますか、これは今でも脈々と続いていると私は思う。総理は、この終戦のときのあの輸送の状態は生々しく御記憶だと思うんです。大臣は御幼少でございましたから余り御存じないかもしれない。したがいまして、今日まで今話を申し上げたようにやりましたその敢闘精神というのは、残念ながら今日は薄められているかもしれない。失なわれているかもしれないけれども、しかしまだ、薄くはなったけれども連綿として生きている、そういうふうに私は確信をいたします。私はその敢闘精神が生きていることを証明するのがこの時刻表だと思うんです。どういうことかこれから証明をいたします。  総裁、今一日当たり延べ何万本の列車が走っていて、そして一日どのぐらいの旅客、貨物を運んでいるか、ちょっと言ってみてください。
  218. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 旅客関係では、一日の走っておる列車の本数が約一万九千本、それから走っておる距離約百四十万キロ、それから運んでおるお客さんの輸送量でございますが、一日約千九百万人でございます。  貨物関係では、一日の走っておる列車本数約千四百本、走っておる距離が二十七万キロ、貨物の輸送量は約十九万トンであります。
  219. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 実にたくさんの列車が走っているけれども、今運転事故は大体減ってきたというふうに聞いておりますけれども、この四、五年の傾向をちょっと言ってみてください。
  220. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 最近の事故の傾向は、昭和五十一年度と昭和六十年度と比べてみますと、運転事故は、昭和五十一年度が千七百四十五件、これに対しまして昭和六十年度が九百四十五件ということで、相当な減少でございます。これを列車走行キロ百万キロ当たりで見ますと、二・四九件から一・五一件ということで、非常に着実に減少しているということが言えると思います。
  221. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 それから一日当たりの遅延列車、遅延時分を新幹線と在来線、現在線と分けて。
  222. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 平均の遅延時分が、本年度の上半期で見た場合に、新幹線では〇・五分、在来線では〇・八分ということであります。
  223. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 総理、お聞きのとおりですよ。本当にこれは私は世界に誇るべき姿だと思うんです。経営はまずかったけれども、ただし運行そのもの、それを支える敢闘精神はここにまだ生きていると思う。  国鉄の第一線の職場は、毎日列車が走っていますから、夜も昼も朝も、一歩誤れば命を失う職場なんですよ。大変な危険と背中合わせの職場だと私は思うんです。最近は、承るところによると、事故、殉職事故やら傷害事故は大変に少なくなっているというふうに聞いておりますが、私どもが入った当時は毎日一人殉職者が出ると言われた。一年三百六十五人というのが殉職者の数だと言われていた。それが減ってきていると思う。総裁どうなっていますか、今。
  224. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) おっしゃるように、ここのところ殉職あるいは職員の傷害、けがでございますけれども、そういう数字はずっと減ってきておりまして、ごく最近の昭和六十年度では、殉職の数が六件、傷害の数が三百六十七件ということでございまして、ここ最近の中で一番少ない数字になっております。
  225. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 職場環境がそういうふうに非常に配慮されて事故が減ってきたということはうれしいことだと思うのでありますけれども、本当に危ない職場であるわけであります。しかも、先ほど総裁が申しましたように、一日二万本近い列車が全国で走っているということは、北は北海道の奥地から南は鹿児島県の南端まで、残念ながら沖縄県にはございませんけれども、列車が毎日走っているわけです。そして厳冬の寒い中でも真夏の暑い中でも、夜といわず昼といわず列車がずっと走っておる。走っておるということは、一日じゅうそこに張りついている、責任の部署を持った職員がいるということです。私はそう思います。  だからこそ、どこどこの駅から何時何分に列車が発車して何時何分にどこどこの駅に着きますよということを国民にお約束できるというのがこの時刻表なんです。これが発行できている限りは、国有鉄道の職員はたるみっ放し、怠けっ放しという批評は返上したい。それは一部の連中には悪いのはいます。ところが、大部分の職員が連係動作をもって有機的に、責任を持って職場を守っているがゆえにこの時刻表が毎月発行できる。その姿が、先ほど申し上げた、敢闘精神は薄れた面があったにしても一生懸命頑張って支えておる職員がおります、その証拠ですよと申し上げたゆえんです。いかがですか、総理
  226. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 伊江さんのお言葉を聞いて、特に先輩たちが行ったパーティーでそうじめじめした気持ちがなかったというのをお聞きして、非常に救われた思いが実はいたしました。  確かに国鉄は大きな仕事をやってきてくれたのであります。明治以来、日本の近代化のいわば機関車であり、そしてまた軌道であったわけで、この軌道とこの機関車によって日本は近代国家に発展したとすら言えるだろうと思います。そして、国鉄皆さん自体が非常に進取積極の精神を持って新しい技術を開拓された。あるいは日本国鉄の正確度というものは世界無比であって、こんなに予定時間どおり着く列車というものはない。これは私は、外国人から直接、外国の元首たちからも直接聞いたところでございます。そういういろいろな点を考えてみますと、国鉄は確かに大きな使命を果たしてくれたし、立派にやってくれたと思いますし、戦前においては実は国家財政を支えてくれたわけです。国鉄黒字によって財政が随分補われておった。そういうことまで実はやってくれておった。特に、今のお話のように、終戦直後の光景を思い出しますと、汽車が動いているということは全く救いであったのです。そして、舞鶴やあるいは長崎におりた復員軍人を故郷まで送ってくれた。また、東京から去る人は機関車に群がって乗った、あるいは屋根の上にも乗って国へ帰ったという人たちも多かった。私の目に残っております。  そういう点を考えてみますと、やはり国鉄はある意味においては日本の動きそのものを支えてきたとすら言えるのであります。しかし、その国鉄が今日のような状態になったのはまことに残念でありますけれども、これは時代の大きな変化に対して対応が遅かったと反省せざるを得ないのであります。考えようによっては先輩方に対してまことに申しわけない、そういう気がいたします。十河さんは昔、国鉄をまくらに討ち死にすると言っておったのがまだ私の耳の中に残っておりますが、言い方は古い言い方でしょうけれどもその魂はやはり百年続いてきた国鉄人の魂であったんだろうと、そう思います。  そういう意味におきまして、私は過去の先輩や職員の皆さんに心から感謝を申し上げ、国鉄の功績をたたえたいと思いますが、この段階に至りましては、立派な新しい形の鉄道体系に変えましてそれらの方々にお報いしたい、そういう気持ちでいっぱいであります。
  227. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 私は、そういう総理のお言葉をいただいて、本当にこれから一生懸命やっていこうという現職の職員やら、あるいはまた働いてきた、今日まで支えてきた先ほどこういったことを寄せてくれたOBたちは、きっと今の総理のお言葉でその苦労が報われたという満足感、あるいはまた、これから一生懸命やっていこうという現職の職員に励ましの言葉だったというふうに感謝を申し上げます。ありがとうございました。  それで、そういう国有鉄道経営赤字になるような始末に相なったにもかかわりませず、やはり新幹線という世界に冠たる鉄道を敷設して、なるほどいろんな世界の鉄道が斜陽であるとかということで大変に世界の鉄道が落ちこぼれていたときに新幹線ができたときに、新幹線のことをドーン・オブ・ザ・レールロード、鉄道の夜明けだ、こういった批評が出るぐらいに批評している外国人が多かったわけでございます。しかしながら、その新幹線をつくったために、——新幹線という、世界の鉄道技術に貢献し、また日本の都市間の時間、距離を非常に縮めたようなこの二十一世紀型と言われた鉄道輸送が実現したわけでございますけれども、そういう赤子を生み落とした親の国鉄は残念ながらその年から赤字に陥ってしまいまして、そしてやがて命を失うという格好に相なった、皮肉なことでございますけれども、輪廻はそういうふうなことに相なっているわけであります。しかしながら、財政の非常に苦しい中ではございますけれども、複線電化をやり、そしてまた先ほどもお話が出ましたけれども日本経済発展のバイタリティーを支える人たちの通勤輸送に大きな力を発揮したというこの姿。私は、本当に国有鉄道がそのバイタリティーをそのまま持って新しい鉄道に生まれ変わってほしいものだということを先輩の一人として心から祈っている次第でございます。  総理からは励ましとねぎらいのお言葉を賜りました。大臣、いかにお考えでいらっしゃいますか。これから新しい鉄道が発足するに当たって、今の職員たちが、一部の人たちは卒業していくわけでございますけれども、ほとんどの連中は新しい会社、機構に移っていくわけでございますので、励ましの意味も含めて、運輸大臣
  228. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 率直に申し過ぎてあるいはおしかりを受けるかもしれませんが、最後までお聞きをいただきたいと思うのです。  実は、委員御承知のとおり、私はこうした問題は完全な素人でありました。それだけに、昨年、党の行政改革責任者として、先ほど委員お読み上げになりましたお考えを述べられましたときには、随分無理を言われるなという感じを持ったことを今思い出しております。しかし、その後再建監理委員会の答申を受け、作業を進めておりますうちに次第に私の考え方も変わってまいりました。先日、衆議院特別委員会の際に、ある場所で私がお話をした言葉の中から、君がつらいと言った意味はどういう意味かという御質問を社会党の嶋崎委員からちょうだいをいたしました。そして私はその自分の気持ちの変わりを率直に申し上げると同時に、この鉄路というものを生き延びさせそして新しい発展を期待していく中に、六万一千の職員の方々に職場を去っていただかなければならない、これは本当につらいという気持ちをそのときに率直に申し上げました。今もその言葉を私は申し上げたいと思います。  同時に、実は運輸大臣を拝命するとは全く思わない時期にたまたまある地方交通線で、あなたは行革をやっている方ですねという車掌さんの問いかけがあり、そうですがと答えましたところ、私は国労の職員だけれども少し話を聞かせてくれないかと言われ、列車の中でいわば公開セミナーのような光景を呈したことがあります。そのとき私が一番答えに窮しましたのは、だけどあなたが言うとおり分割・民営になるとすればおれのかぶっているこの帽子のマークは変わるのか、つらいんだよな、おれ、ずっとこのマークのまんま生きてきたんだ、おれ、どうせ来年定年だけれど、これ、つらいよな。本当に私は実は答弁に窮しました。恐らく私は、今、先刻来伊江委員の述べられましたような気持ちで現役の職員は国鉄のあすに向かっての努力をしてくれると信じております。また、OBの方々もそうした気持ちで見守っていただいておると思います。私としては、その期待に私自身がたがわないように全力を尽くしたい、ただそれだけであります。
  229. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 今度の改革に当たりまして、ある評論家がこういうことを言っておるんですよ。百年余り国家が経営してきた鉄道を一気に民営・分割する改革は壮大な実験という性質のものである。成功すれば二十一世紀に向けて鉄道が生き残り、揺るぎない位置を確保できることを証明する、鉄道事業が。失敗すれば鉄道の未来は険しく、容易ならざる事態と相なると、まことにそのとおりだと私は思うんです。ですから、これは失敗は許されない。そのために同僚の諸君、いろいろといろんな角度から御質問があったけれども、心の中では失敗させてはいけないという愛情があったと思うんですよ。いかがですか。僕はそう思います。  したがいまして、私はそういう観点から、みんなが心配して、危ないなあと思われる、思っていはしないかという問題も踏まえての質問をこれから始めていきます。  まず、その前に、監理委員長亀井さんが国鉄症候群と言った国鉄の病状を振り返ってみたいと思う。  それは、公社という自主性の欠如した体制を早く改めるということ、いろいろ手を縛られているから事業範囲を拡大して国鉄が生き残れるように頑張らせようじゃないかということが一つ。もう一つは、全国一元的な組織を改めようじゃないか、そしてそういうことによって職員に企業意識をうんと発揮させて、従来の日の丸意識を払拭しようじゃないか。大体こんなことだったと私は思うんです。  そういう観点から、症候群が今度の改革法によっていかにこれが改革されていくかという観点からまず私は質問をしていくのでありますけれども総理がよくおっしゃいます税制改革の眼目であるところの公平、公正、簡素、選択、活力、私はこれは今度の改革にそのままそっくり当てはまるのだと思うんですよ。それをこれから質問も兼ねて申し上げたいと思うんです。  まず、公平ということなんですが、今度は、先ほどもお話が出ましたように、六万一千人の職員がいろんな形で、異動をしたり生活設計の変更をさせられなきゃならない。もちろん、その人たちの今後のあり方について、また配置に当たって、一部は非常に不公正な扱いをしているじゃないか、不公平な取り扱いをしているのじゃないかという批判がありますけれども、これはそうでないならそうでないとはっきりおっしゃっていただかないとみんな不安に思う。ですから、まずその点において、これからの職員をどういうふうに配置していかれるのか、運輸大臣からお答え願います。
  230. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 職員の振り分け作業が公平に行われるようにと、そのとおりであります。そして、職員の承継法人における採用は次のような手順で行われるわけであります。  まず、承継法人の設立委員などが国鉄を通じ、国鉄職員に対し、各承継法人の労働条件及び採用基準を提示して職員の募集を行います。国鉄は承継法人の職員となることに関する職員の意思を確認し、承継法人別にその職員となる意思を表示した者の中から採用基準に従いその職員となるべき者を選定し、その名簿を作成して設立委員等に提出をするわけであります。名簿に記載をされました国鉄職員のうち、設立委員等から採用通知を受けた者であり改革の際現に国鉄職員である者は承継法人の職員として採用されるわけであります。また、新会社の職員として採用された職員以外は、国鉄が清算事業団に移行するに伴い清算事業団の職員となります。以上の手続のいずれの段階におきましても、職員が公平に取り扱われるべきことは当然であります。  ただそこで、私は今御質問を機に当委員会を通じ、本院に心からお願いを申し上げたいことがございます。  衆議院でも繰り返しお願いをしてまいったことでありますが、このいわば職員の振り分けが不公平という批判を受けました場合には、私は祝福されるべき新会社も決して祝福されない出発をしなければならなくなることを大変恐れております。そしてそのためには、職員一人一人がみずからの希望を十分考え、その意思を決定する時間を与えていただかなければなりません。そして、その希望を調書の形で受けました国鉄が、いわば承継法人の補助者の形でその方々を振り分けていかなければならぬわけでありますが、特定の会社等に御希望が偏れば、これはどうしても第二志望、第三志望ということを考えていただかなければならなくなります。これも個々の職員の方々には大変なことでありますから、その事情等も説明をし、十分な時間を持ってその振り分け作業を行わさせていただかなければなりません。今、私の頭に一番心配でありますのは、四月一日までにその作業を終わるための時間が極めて厳しくなっておるということでありまして、どうか慎重な御審議とともに一日も早い成立をお願い申し上げたい、そして作業に十分の時間をかけさせていただきたい、心からお願いを申し上げます。
  231. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 その公平という今のことのほかに、もう一つ公平の原則が実はあるんです。それは年金なんです。先ほど同僚議員が質問しましたからもう細かい質問はいたしません。私もわかりました、その質問の過程を通じて。  私の言う公平の原則の一つは、年金制度というのはこれは保険なんです。積立金制度です。したがって、同一条件であるならば同一給付をもらわなきゃならない、これが公平の原則だと思うんです。ですから、同一負担同一給付、こういったことが行われなきゃならない。残念ながら国鉄は今財政破綻で、先ほども話が出ましたように、財政調整という形で国家公務員やら専売、電電にお世話になっておる。その限りにおいては、なるほどスライドも停止しなきゃならないし、それから過日の改正によって、本当ならつくべき職域年金の問題も差し押さえられている。これはしばらく我慢しなきゃいかぬと思うんです。しかし、いつまでもこれを我慢させるということは私は公平の原則に反すると思う。これからたくさんまたOBが生まれてくるわけでございますから、その辺のところを考えながらいくならば、先ほど大蔵大臣も御答弁なさいましたが、やはり六十一年じゅうに六十四年までの事情の変化に伴うところの財政の裏づけというものに対する抜本的な御方向をお出しいただかなきゃならぬし、六十五年度以降についてはまたより一層大きな重圧が出てくるのでありますから、それに対する対処の仕方もお考えいただかなきゃならぬ。できるだけ早くその事情を改正していただきたい。  国共審の答申にございますように、財政調整もこれ以上はもう負担能力は無理です。と同時にまた、給付を受けている国有鉄道のOBの諸君の自助努力、これも限界に来ている。そうなれば、やはり抜本改正ということが必要だと思う。そういうことについて今日いろいろ取り組んでいらっしゃいますが、私はここで大蔵大臣並びに官房長官にお願いしたいのは、もうこれ以上の抑制というのはかわいそうだと思う。それは国有鉄道はなるほど参っているけれども、やはりこういったものは早く改正、改革して正常な姿に戻していただかなきゃならぬという立場から、七十年度を目標にしての一元化の方向をたどるにしましても、この問題だけは早く片づけなきゃいかぬのじゃないかと思うんです。  官房長官、私は各省庁にまたがるこの年金問題の今後の取り組み方について、一つのプロジェクトチームですかな、利害関係に余り直接関係のある連中じゃ困るので、利害関係に直接関係のない学識経験者でひとつそういう委員会をおつくりいただけませんか。いかがです。
  232. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 伊江さんおっしゃるように、この国鉄改革の中の一つの大きな解決しなきゃならぬ課題が国鉄共済の取り扱いの問題であろう、こう思うわけでございますが、これについては昨年の十一月でございましたが、官房長官が統一見解というものを国会お答えをいたしておるわけでございます。その線に沿って六十四年までの間の処置については六十一年度中に結論を検討した上で出していって、そしてそれに必要な具体的な立法措置までやりましょう、こうお約束をしておりますが、その線に沿って四閣僚の間で二回ばかりこの取り扱いの検討をいたしております。これは六十一年度中と、こういうことにはなっておりますけれども、当然のことながら、六十一年度中ということになれば、予算措置を必要とすれば六十一年中ぐらいに何らかの結論を出さないと間に合わぬ、こういうことでございますから、何らかの結論を出したい、こういう考え方でございます。  問題は六十五年以降をどうするか、こういうことであろう、こう思うわけですが、これは先ほど大蔵大臣お答えをいたしましたように、六十四年までの間であれば、今四百五十億、しかし大体六十四年までの平均でたしか七百億円ぐらい足りない。平均でですね。そうすると、基本の積立金もあるといったようなことで私はいろいろの打開策は見つけられるだろうと思いますが、六十五年度以降ということになると、さらにこれは難しいという問題があるわけでございます。  したがって、とりあえず六十四年度までの処置については、政府としては、統一見解でお約束しておるとおりの結論を出しまして、そしてその後引き続いて、六十五年度以降の問題をどうするかということについてその時点でさらに検討を進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  233. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 委員会をつくるつくらぬの御返事をいただかなくても結構でございますけれども、私はぜひその取り組み方をしていただきたい。  というのは、せっかく、国鉄改革のために一番の柱になるのはこれはやはり国鉄の余剰人員対策、それから債務の対策でしょう。それはもう閣議でちゃんと方針を御決定なさっている。ところが年金問題は、努力しなきゃ、検討しなきゃならぬなというだけなんです。方針がもちろんこれは大変な方針ですから簡単に片づかぬと思いますけれども、そういうことを踏まえて委員会などをつくって御検討いただきたい。もうそれ以上の御答弁は要りませんけれども、そういうふうにお願いしたいと思います。  それから次に参りたいのは、公正ということ。公正というのは、先ほどからも、衆議院の段階においてもいろいろと議論が出ておりますけれども、財産を売却するときの一般公開入札、私は一般公開入札というのはその法益を刑法でもカバーしているぐらいに、一番信頼のおける入札方式だと思うんです。ところが、こういうふうに地価が高くなってまいりますと、そして先ほどの話を引用するのもおかしな話ですけれども、地上げ屋などが横行いたしますと、ひょっとして談合などが行われますと——そういうことが行われないようなシステムだとは思うけれども、ひょっとしてそういうふうな悪知恵者が出てくるかもしれません。そういったときの歯どめをやはりやるべきじゃないか。例えば、契約解除をするとか、あるいはもう既に善意の第三者に渡って転々売々された場合の何らかの措置というものをやはりやるべきではないかと思うんですよ。それについてはいかがですか、大臣
  234. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私どもは、一般公開競争入札という方式は一番国民の目にも御理解のいただける、公正の担保しやすい制度であると考えております。しかし、確かに委員御指摘のようなことも考えなければなりません。まさに、万一公正な価格を害し、あるいは不正な利益を得る目的で談合した者は、これは刑事手続により処罰されるほかに、清算事業団としても談合した者の入札は当然無効といたしますと同時に、以降の入札には参加させないなどの法措置を講ずることとして厳正に対処したいと思います。
  235. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうあってほしいと思いますので、ぜひひとつ御善処願いたい。  それから簡素ということでございます。御質問申し上げるまでもなく、恐らくこれは会社が発足して後からの話になると思いますが、運輸省が御指導になるときにはこの点をやはり気をつけていただきたいという注文と要望を申し上げておきたいわけでございますが、今の国有鉄道の姿、組織は、全国一元的な組織でありますから、本社がある、それから支社あるいは総局がある、それから管理局があって現場がある、大体四段階制になっておるんですね。この四段階制も確かに機能的には非常によく機能している面もありますが、場合によっては非常に非能率な面があるということでありますので、今度の改革に当たっては、その簡素化の方向ということでやっていかなければもちろんなりません。  そこで一番問題になりますのは、組織よりもやはりいかに安全に列車を運行する体制に組織を持っていくかという機能面を考えてもらわなければならぬ。この点については、今日の国有鉄道の立場から、どういうふうに新会社を持っていった方が望ましいかということだけの御答弁を総裁に。
  236. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 安全問題は、どんな経営形態になりましても最も重要な対策の一つでございます。  今御指摘のとおり、こうした安全の運行管理あるいは事故の際の復旧の体制というものを考えますと、やはり管理部門を通じまして現場に直結するような極めて簡素化されたそういう仕組みというものがこれらの二つの点にぜひ必要ではないかというふうに思うところでございまして、これから設立委員によりましてお示しいただくそういう組織につきましても、特にこういう点は最も重視していただきたいというふうに思うところでございます。
  237. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 それから簡素の次は、総理がよくお使いになる選択ですね。この選択というのは私は、旅客会社貨物会社なべて共通だけれども、やはり自分の事業の選択を自主的にできるというのがこれが今回の改革のねらいだと思う。これがなければ改革の意味がない。したがいまして、この選択の範囲というのがうんと拡大するかどうかということがポイントだと思うんです。  先ほどの質問のやりとりを聞いておりますと、今の国鉄の関連事業の占めるシェアは非常にわずかであります。今後、鉄道事業だけで飯を食っていけるということは大変にいろいろな努力を必要といたします。やはり多角的に経営していくというのが経営の手法である限りにおいては、その自主性が許されなければならないと思うんです。選択の自由、これについて私は非常に関心を持っていろいろと伺いたいと思っていたんですが、余り時間もございませんしまた私に関連質問する同僚議員がおりますので、細かい中身まで突っ込みませんが、ただ一つ大事なことは、その自主性を確保してやるという立場からの観点で大臣に一言お答え願いたいのは、旅客会社貨物会社についても同じでございますけれども、第一条に、関連事業については本来の事業目的に違反しない限りこれを認可しなければならないと。  これは非常に僕は珍しい規定だと思うんですよ。運輸省の積極的な姿勢があらわれていると思う。ある意味ではこれは奨励的な認可制度というふうに考えてもいいのじゃないかと思うんですが、そういう意味においての自主性の拡大については、そういうふうに考えてよろしいんですか。
  238. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) そうお考えいただいて結構であります。
  239. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 その場合に心配されるのは、既存の関連、特に投資会社、それから国鉄の請負をやっている作業会社、こういったものがつぶされるんじゃないか、切り捨てられるんじゃないだろうかという心配があるわけです。つまり、国鉄がいかなる事業面にも出ていってそれを吸収していけばそれは拡大するわけですから、また、そうしなければ関連事業収入というのは拡大しないんですから。  そういう心配というものの歯どめを一体どうするのかということと、中小企業への配慮というのはよくわかりますけれども、分野調整法もあることなのでいろいろ限界もありましょうが、とにかく運輸省の御指導というものと、それから旅客会社貨物会社がやる意向との食い違い、そごのないように、自主性を育てていただくようにお願いしたいと思うんですが、その点いかがですか。
  240. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一点、関連事業をどうするかというのは、これは新会社の経営判断の問題でありますから、現在具体的想定をすることには多少無理がございますけれども、現在までの国鉄におきましても、部外の能力を活用した方が効率的だと思う事業について、関連企業に行わせられたと理解をしております。そうなれば、私はこの点について現国鉄と新会社との判断にそんな大きな食い違いが出てくるものとは考えておりません。したがって私は、現在の関連企業というものが何もかも切り捨てられてしまって直営になっていくんだというようなことにはならないと考えております。  また、新しい分野に新会社がどんどん関連事業を伸ばしていくことはもちろん好ましいことであり、先ほどの御質問お答えしたとおりであります。やはりこれはそれぞれの会社は大企業であります。そうして非常にたくさんの人々の集合する駅というものを持つ。いわば人を集める能力をスタートから持っておる企業でありますから、やはりその場合にそれぞれの地域における中小企業活動との調整というものは当然考えなければなりませんし、具体的な問題が起きたとき分野調整法等のお世話をいただくこともこれは私は当然のことであろうと思います。
  241. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 よくわかりました。  これはやはり関連事業といいますか、事業範囲の拡大の問題にも関連するんですけれども、具体的に私は一つ質問をしまた要望したいのは、経営手法で、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント、PPMという経営戦略があるという話なんです。  これはどういう戦略かといいますと、まず自分のやっている事業の製品あるいはその事業、それを成長率と競争力によって分類するわけです。四つに分類しておるんですが、これは直訳ですから言葉は日本語になじみませんけれども一つは花形製品というんです。読んで字のごとく、市場占有率が大きくてしかも将来とも伸びていく、高度成長していくというのが花形商品。それから二番目には、金のなる木というんですよ。今は確かに市場占有率が高くて金がなっているけれども、将来に不安がある。これが金のなる木というんだそうです。それからもう一つは負け犬。これも翻訳ですから、生で申し上げると負け犬。これは、市場占有率が小さくて将来も低成長だろうという、もうあかんやつですな。最後は、問題児というんです。問題児というのは、我々が常識的に言う範囲の問題児じゃなくて、占有率は小さいけれどもひょっとしたらこれは伸びるぞという問題を抱えているのが問題児。あるいは我々の息子でもそういうのがいるかもしれませんけれども。  この四つを並べますと、その経営手法はどういうことかというと、花形商品には重点的な投資を続けていきなさい。余力があったならば問題児を育てていきなさい。金のなる木は、今はいいけれども将来性がないというならば、これは余り投資するな、横ばいでいかせろ。そして負け犬は撤退させろ。こうなんですよ。  そうしますと、今世間の人は、国鉄が分割・民営化されたらきっと地方交通線は切ってくるであろう、こういうことを喧伝する人もいる、また逆に。それで不安をあおっておる。そういう不安というのは恐らくすぐに、発足して何年かの実績が立てば消えると私は思いますけれども、ここで関連事業を含めての一つ提案なんです。  それはどういうことかといいますと、場所によりますけれども、地方交通線の何かを不動産事業と一体の不動産会社にさせればいいんですよ、観光事業も兼ねて。そういうふうなことができますか。運輸大臣はそういったことを御認可になりますか、ある一つの地方交通線をとって。不動産事業もやらせる。今、不動産事業というのは、単にぽつんぽつんと飛び地がある不動産事業よりも、やはり沿線開発というふうにつながった、アクセスのついたものが不動産事業として成り立つわけです。そういう意味での発想ですけれども
  242. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これはもう委員がよく御承知のとおり、会社法第一条第三項に定めるところにより運輸大臣の認可を受けて鉄道事業以外のその他事業を営むことができるということでありまして、事業に対しての制約はございません。ですから、鉄道事業の適切かつ健全な運営に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合を除いて不動産事業を行うことも可能であります。  ただ、具体的にもしその認可申請が出てくるとすれば、やはりその事業の概況、業況、それから投資規模、果たしてそれを営むためのノーハウの蓄積等は十分にあるかとか、こういうものを当然判断をし、鉄道事業に悪影響を及ぼすおそれがあるかないかをチェックすることにはなりましょうが、議論としては可能であります。
  243. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そういたしますと、そういうふうな会社をつくる場合にはそれを分割しなきゃならぬ、あるいはまた分割してつくる場合も含まれる、あるいはまた異種の業種へ資本参加するということもあり得るんだろうと思う、こういった場合には。ですから、新会社が異種の業種へ資本参加すること、あるいは合併、そういったことは当然これに含まれるわけですね、今の御答弁の範囲内に。ただし、株主総会があるから株主総会の方針には従わなきゃならぬし、大臣に認可をもらわなきゃならぬという項目も法定されているから、それは当然クリアしなきゃいけませんけれども考え方としてはその辺はいいですな。簡単にお答えいただきたい。
  244. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いや、簡単にお答えと言われましても、相当難しい問題を含んだ話であります。そして、今幾つかのケースを系列的に並べて御議論になりましたけれども、その中には当然許されるものもありましょうし、また、例えば東日本会社と東海会社が合併をするとか、あるいは東海会社がどこか民間の鉄道と合併をするとかという申請が出てくることになれば、これは独禁法等々ももちろん対象として相当慎重な検討を必要とするケースになるだろうと私は思います。
  245. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 わかりました。個々のケースということになりますね、結論は。それはよくわかります。  それじゃ、ちょっとこれから話題を変えまして、清算事業団と新会社との関係についていささかお聞きしておかなきゃならぬ問題があります。  まずその前に、新しい会社が設立されるまでのスケジュール、法律を読めばよくわかることだけれども、それを簡単にちょっと言ってみてください。
  246. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 新会社設立までのスケジュールあるいは手順でございますが、旅客会社貨物会社、これの設立につきましては、改革法それから会社法、この二つの法律に基づきましてまず設立委員が選任されます。そして発行株式の価額でありますとか、資本金組み入れ額といったものを定める内容の定款の作成、それから全株式の国鉄への割り当てというふうなことをやりまして、そこで創立総会を招集いたします。そういう設立事務を設立委員によって行っていくことになります。それからまた、職員の採用手続につきましてですが、会社が成立のときに事業を円滑に開始するために必要な業務、今の職員の採用手続等も含めまして、これもすべて設立委員によって行われることになります。それから会社設立のための業務の中では職員の募集に最も時間を要するため、法案の成立後可及的速やかに設立委員を選定して、そして速やかに職員募集手続を開始するというふうにしたいというふうに思っております。それからまた、承継基本計画の策定、これの閣議決定、あるいは職員の希望調査の結果の集計、分析、調整あるいは承継実施計画の策定あるいは認可等にも相当な時間を要することになります。  これらの手続を経て、恐らく来年の三月ごろになろうと思いますが、創立総会が開催されて、最終的に四月に新会社へ移行する、こういうスケジュールあるいは手順を踏むことになろうかと思います。
  247. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 わかりました。  そうしますと、日本国有鉄道旅客会社貨物会社その他の財団あるいは機構が発足して、後はそのままの財産を承継して清算事業団になるわけですね。そして新しい会社ができていく。そのときに事業団が新しい会社の株主になる、そう見ていいわけですね。答弁はいいです。そうしますと、清算事業団というのは、六つの旅客会社一つ貨物会社の株を全部持っている、そういう関係にあるわけですね。そうしますと、これがもし清算事業団という特殊法人でないならば、これが会社だとすれば、持ち株会社ということで独禁法のコンツェルンの対象になると思うんですよ。これは清算事業団であるから独禁法の対象にならぬという確認をもらいたい。——公取は来ていますか。答えてください、今の点。
  248. 厚谷襄児

    政府委員厚谷襄児君) お答えいたします。  日本国有鉄道清算事業団法案によりますと、日本国有鉄道清算事業団は、特殊法人として設立されまして、六旅客鉄道会社と貨物会社の株式を一〇〇%所有するということになっております。  独占禁止法第九条によって禁止されております「持株会社」と申しますのは、「株式を所有することにより、国内の会社の事業活動を支配することを主たる事業とする会社」でございます。日本国有鉄道清算事業団の組織形態は会社形態ではございませんので、独占禁止法第九条による「持株会社」には該当しないと考えております。
  249. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 実質的にはコンツェルン行為であるけれども特殊法人であるから該当しない、実質的には支配会社である、こういうことになるわけですね。そういう確認をいただければそれで安心するわけですけれども、それに関連して、後で御質問しようと思ったけれども、ちょうどおられるから一緒に質問します。  今まで、一元化していた国有鉄道は一本でもって運賃も料金も決めていた。今度は六つに分かれるわけですね。そうしますと、この場合、今までと同じサービスを与えましょう、またお約束しましょうということを天下に公表している。それはそれで結構、そのとおりにしなきゃいけない。  その場合に、各社の相互乗り入れ協定とかあるいは共通切符による連絡運輸という協定があるわけです。あるいはまたブルートレーンなんという寝台列車。あれは国鉄ではアオダイショウという俗称があるんですけれども、青色に塗って走っていく夜間列車、寝台列車、こういったものの割引。そういった共通企画を一緒にやった場合、これは独禁法は大丈夫なんですか、その点ちょっと聞かしてもらいたい。
  250. 厚谷襄児

    政府委員厚谷襄児君) 国鉄の旅客鉄道事業部門が六つの鉄道会社に分割・民営化されました場合には、これらの旅客鉄道会社は独占禁止法の「事業者」として独占禁止法の適用を受けることになります。公正取引委員会はこれら六会社が事業者としての自己責任を確立し公正かつ自由な活動を行うことを期待しておるのでございますが、先生のただいま御指摘のありましたような協定につきましては、旅客に対する利便、サービスの維持向上のために行われるものであるというふうに考えておりまして、競争制限的な結果が特別に生じない限り独占禁止法上の問題は生じないと考えております。
  251. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 競争制限的なものでない限りはクリアされる、こういうことになるんですが、そうすると、競争制限的であるかどうかの判断をあらかじめ求めなければならぬという格好になるのでしょうか、その都度。
  252. 厚谷襄児

    政府委員厚谷襄児君) 私どもの方には、このような企画を行いますときには、現在におきましても会社が事前に任意に相談に来まして、その際に私どもは、そのようなことが違反であるか違反でないか、違反のおそれがあるとしましてもこのように直せば独占禁止法上の問題は解消しますよというようなお答えをしておりまして、事前に違反の生ずることのないように十分努めておるところでございます。
  253. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 わかりました。一番心配していた独禁法上の問題がある意味ではクリアされたということで、私はこれからの旅客会社の進み方に大きな激励を与えていただいたと思うんです。一生懸命旅客会社はやってもらわなきゃならぬし、貨物会社はやってもらわなきゃならぬ。  公取は結構です。ありがとうございました。  そこで伺いたいわけでございますけれども大臣お聞きのとおり、実質的には事業団が各旅客会社貨物会社に対して強力なる支配権を持っておるんですよ。しかも、株主総会の親玉は全部一カ所なんです、清算事業団。私は、別にそれについてどうのこうのと言うのじゃなくて、先ほど言った問題に戻りますと、やはり自主性を尊重する意味では株主総会からの余りきつい御支配をいただいては困ります、大臣もまたきつい監督権の御発動をなさっては困りますよ、しかし本来ならば独禁法にかかるような持ち株会社的な存在でございますよ。それだけは私は申し上げておきたいと思うのです。大臣お答えは要りませんよ、それは十分におわかりだろうから。そういうことでございますので、次の問題に入っていきたいと思うのです。  したがって、こういう集中的に株を持っている清算事業団のその株がどういう形で発売されていくのか、開放されていくのかという問題は、前例としてNTTがあるわけでございますけれども、これは見通しとしていつごろから配当できるような会社になるだろうかという問題にも関連してくるんですけれども、どういう形でこれを発売なさることになるんでしょうかね。これは推測ですよ、まだ会社じゃないんだから。大臣としては、例えばこういったものは前例に倣ってやっていっていただきたいというふうな御指導をなさるのかということ、その辺のところを聞かせていただきたいと思います。
  254. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この処分は、資産処分審議会の審議を経た上で公正かつ適切な方法で処分を行いたいと考えております。  まさに委員御指摘のとおり、私どもの頭にありますのは現在進められておりますNTTの株式処分の方法でありまして、やはりこれを資本市場に開放いたします段階では、公開競争入札により売却開始の際の価格を決定することが検討に値するものと考えております。  それだけでよろしいですか。
  255. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 結構です。  今、上場会社では従業員の持ち株制度を奨励しているんですよ、御承知のとおりだと思います。それは、まず第一に安定株主を確保するということと、従業員の貯蓄したものを自分たちの資本に繰り入れたい。また同時に、国鉄の場合は、もう御指摘で我々も顔を赤くするのでありますけれども、企業意欲がない、親方日の丸だ。ところが、持ち株制度になると従業員がみんな企業意欲を持つ、こういうことで最近非常にはやっているのだそうです。  その状況を大蔵省にお聞きしたいんですけれども、どんな状況になっているか、上場会社だけで結構です。
  256. 北村恭二

    政府委員北村恭二君) 従業員持ち株制度の普及状況の現状でございますけれども、全国証券取引所協議会というところで全国の上場会社の従業員持ち株制度の実施状況調査というのを行っておりますが、この調査結果によりますと、昭和六十年度でございますが、従業員持ち株制度の実施会社数は千六百三十社でございまして、全上場会社千八百三十四社に対する実施会社の比率というのは八八・九%となっております。また、同制度への加入の従業員数でございますが、百七十六万五千人でございまして、実施会社総従業員数四百四十一万八千人に対する比率というのはちょうど四〇%になってございます。  この数字を昭和五十六年度と比較いたしますと、実施会社比率は八二・三%から八八・九%、それから従業員加入比率が三八・六%から四〇%に上昇しておりまして、近年着実に普及してきているというふうな数字になっております。
  257. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 大臣、お聞きのとおりですよ。私は、これからの旅客会社は非常に企業参加意欲を持たなきゃならぬし、また電電の例を見ましても持ち株従業員会というふうなものをつくってやられたという話も聞いているし、非常に奨励すべきことじゃないかと私は思うんです。ただし、方法論はいろいろありますよ。そういったようなことについては、会社の重役としてではなく、社長としてではなくて、大臣としてのお立場からはどういうふうにこの問題は、一般論としてで結構ですけれどもお考えになりますか。
  258. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) かつて私は呉羽紡績株式会社の社員でありまして、まさに会社の株を買いました。そしてその後、その会社を去りまして二十数年たっておりますが、依然としてその株式を放すつもりはございません。私はそういうものであると考えておりまして、この制度を採用することは大変結構なことではないかと考えております。
  259. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 関連質疑を許します。江島君。
  260. 江島淳

    ○江島淳君 関連の質問を二、三させていただきたいと思うわけでございます。  朝から青木委員、穐山委員、それから伊江委員と続きまして私が四人目でございますが、きょうはくしくも四人とも皆国鉄にかつて職を奉じた職員でございまして、私も三十年間国鉄職員でございまして、本日の事態を招いた責任はおまえたち四人にもあるのじゃないかということをどこに行っても今院内で言われておるわけでございます。この批判は謙虚に私は受けとめなければならないと思うわけでございますけれども、私が思いますのは、それはそれとして、本日の国鉄の状態に至った主な原因一つとして、衆議院の段階でもいろいろ御議論いただきましたが、これはやはり公共企業体、こういうあいまいな位置づけが今日の国鉄を招いた非常に大きな一つの要因ではなかろうかと思う次第でございます。  あるときには公共性を非常に強調されますし、あるときには企業性を非常に強調されまして、今になってみますとおまえたちの企業努力が足りなかったんだということでよく言われておりますけれども、私たちは国鉄内部におりますときには、非常に企業努力をやろうと思っても公共企業体なるがゆえにできなかったということで切歯扼腕した事態が大変にあるわけでございます。そういう意味におきまして、公共企業体である限りにおいては、いいときには公共性とかいうことじゃなくて、悪いときには公共性を言われ、また悪いときには企業性を言われるということであるということで、先ほど申しましたように、この体質そのものについて非常に切歯扼腕をしておったものでございます。  それが、今回は抜本的に民営・分割化に踏み切っていただきまして、国の責任において国家的総力を挙げて鉄道再生に取り組んでいただくようになったということに対しまして、中曽根総理に対しましてそういう意味におきまして私は深甚の敬意を払うものでございます。  そこで、今せっかく抜本的な分割・民営化に踏み切っていただきましたからには、民営化を本当に効果的にならしめなくちゃいけないということと考えるわけでございますけれども、本日の議論でもいろいろございましたけれども、逆に地方一般の私鉄並みと違って今まではいろいろな制約があった。この制約を本当に取り除いて、イコールフッティングで競争させていただかなければならないんじゃないかということで、いろいろ二、三の事例を挙げさせていただきたいと思うわけでございます。そうして、運輸大臣に聞いていただきまして、これは御返答は要りません。ただ、最後に貨物のことに関しましての簡単なコメントはいただきたいと思うわけでございます。  朝からいろいろお話がございましたが、まず関連事業についても、私鉄の平均は鉄道全部の収入のうちの三四%が関連事業だということでありますけれども国鉄に至ってはそれは非常に少ないパーセンテージである。今度の新しい会社についても、試算によってもやはり一〇%を切るような関連事業であります。今の状態からまいりますと、ただ鉄道収入だけでなかなか会社の健全経営ということは難しいというのが常識でございますので、そういう意味におきまして、関連事業について、いろいろ先ほどからお話がございましたが、より一層今度の新しい会社は自由度を持たせるようにということをお願いいたしたいと思うわけであります。  それから自動車に関しましても、私、広島に三年半ほどおったわけでありますけれども、広島で例えば山口線のSLをやろうということで計画いたしました。小郡から津和野までSLで参りました。津和野というところから萩まで今度は、鉄道がございませんので、国鉄バスでお客さんを運びたいと思ったわけであります。ところがそこには私鉄のバスが走っております。そこで、そこのところに国鉄バスが走ることは民営圧迫であるということでこれは許可にならなくて非常に難しかった。そうして私たちがみすみす運んだお客が皆私鉄の方に持っていかれた。  それから夏と春の甲子園のときのいろいろ甲子園まで行く輸送でございますけれども新幹線で苦労して応援団、選手を送ります。ところが新神戸から甲子園まで乗り継いでいく車がない。これも私たちは国鉄バスで新神戸から甲子園まで一貫輸送したいということでやったわけでありますけれども、こういうことに関しては、民営圧迫である、民営のやらない赤字路線の補完のためにつくられたのが国鉄バスであるということでできなかった。  また、広島の駅なんかに参りますとたくさんの観光バスが駅前に所狭しと入っておりますけれども、これは新幹線で入ってきたお客をみんなかっさらいまして山口県内をぐるぐると回しておる。それを国鉄は手をこまねいて見ておる。こういう事態がたくさんあったわけでありまして、こういうことに対しましても、新しい会社がそういうふうな私鉄とイコールフッティングでできるようにするということに対するきめの細かい御配慮がいただきたいなと思うわけであります。  それから先ほどからも民営関連事業での話がありましたけれども整備新幹線の話がいろいろございます。これはいろいろの議論を読んでみますと、こういうことによって新しい会社の財政を圧迫するんじゃないかということで非常に反対であるという議論があるわけでありますけれども、先ほど申しましたように、関連事業を大きく取り上げるということになりますれば、地方の活性化と同時に、関連事業もやるということになれば決してそういうふうなことはないんじゃないかというのが私たち自民党の関連議員の一致した意見なのであるわけであります。  それから公共性であります。これもまた卑近な例で申しわけないと思うわけでありますけれども、広島の宮島のところに宮島航路という船がございます。ここには国鉄の船と松大という会社の船とが全く並行して走っております。同じ大きさの船で、一杯についての要員は同じでございます。運んでいるお客さんは大体国鉄の方が幾らか多いという状態でございます。ところがこれの経営状態を見ますと国鉄赤字であります。松大さんの方は黒字であります。  これはどうしてそういうふうになるかということを広島あたりでロータリークラブなどでいろいろ伺いますと、ロータリークラブの社長さん方が異口同音でおっしゃいますのは、それは国鉄職員の働き方が悪いからおまえたちのところは赤字になるんじゃろうというふうな話でございます。ところが実際は、国鉄の方は朝早くから、一番の列車から高校生その他の通学などにする運航体制をとっております。それから夜も、広島の歓楽街で夜遅くまで酒を飲んだ人たちが宮島に帰る、それを拾うまでの運航体制をとらされておるわけであります。私鉄の方は朝八時から夕方のある時間まで、一番いわばおいしいところだけをやっておるというのが実態でございまして、こういうふうな公共性をいろいろ強いられておるということが案外に知られておらない。そういうこともやはり対等な条件にしないとなかなか営業がこれからは難しいのじゃないかということで、これは釈迦に説法ではございますが、運輸大臣もぜひともその辺のことを考慮していただきたいと思うわけでございます。  それともう一つ、これはちょっとお答えをいただきたいと思うわけでありますけれども、貨物のことであります。  貨物もいろいろ皆さん方から議論されております。旅客会社はさておき、貨物会社は非常に苦しいであろうということは皆さんの一致した意見であるわけであります。私が思いますのは、貨物というものはやはりドア・ツー・ドアの一貫輸送をしなければなかなか貨物の業が成り立たないんじゃないか。ところが残念ながら国鉄は、そういうフィーダーサービスと申しますか、トラックを持っておらぬ。だれかお客さんが来ないかなといって駅に待っておって、そして駅から駅までの輸送しかできないというわけであります。そういうことで、今度の新しい法案ができまして、貨物会社が独立するということでありますが、これに対しまして一番問題になるのが通運事業等の関係じゃないかと思うわけであります。  今、通運事業法を改正して、ある程度その辺の自由化を図ろうという考えがあるやに聞いておるわけでありますけれども、例えば通運事業者数というのは約九百ございますけれども、全国でトラック事業者というのは三万三千あるわけであります。ところが、三万三千ありますが、国鉄の方の駅に入れるのはたった九百でありまして、ほかのほとんどのトラック業者は今はまだ入ってこれないというわけであります。ですから、その辺ももう少しオープンにして、そして鉄道利用を志向するトラック事業者が駅に自由に荷物を持ってこれるようにする、できれば鉄道会社がそういうトラックまで持っておるにこしたことはないと思うのでありますけれども、そこまではいかないにしても、もう少しオープンにしてトラック業者と鉄道との連携を図るということをしないとなかなか大変じゃないかと思うわけであります。  それで、衆議院での附帯決議事項を見ますと、「通運・トラック事業との協業化及び通運事業免許の運用の弾力化等が図られるよう努めること。」という附帯決議をいただいておりますけれども、私から言わせましたらこれではまだ足りなくて、もう少し一歩突っ込んだことをしないと、幾らコンテナ輸送をいたしますということを言いましても、荷主さんが入ってこれなければ空のコンテナ列車を運ぶようになるんじゃないかということでありますので、その点についての特段の御配慮をお願いしたいと思うわけであります。  それからまた、これからできる貨物会社旅客会社との関係でありますが、午前中も青木委員からいろいろお話がございました。やはり、同じように私も、ダイヤ設定とか、あるいは線路の使用料、その辺について極めて心配な者の一人であります。  それで、昨年の十一月運輸省がおつくりになりました貨物の考え方というパンフレットを読んでみますと、いろいろ線路使用料についてはルールづくりをいたします、そのルールづくりについては法的な担保措置を講じますということになっておるわけでありますが、今聞いてみますと、担保措置というものが省令、通達からだんだんトーンダウンされて、今では、そういうことも何も書かないで認可のときに指導をするという程度までトーンダウンされているような感じが私はするわけであります。旅客会社に比べてとにかくひ弱い貨物会社であって、一方は六つの旅客会社があってそれに対して一の貨物会社でありますから、やはりその辺について庇護すると申しますか保護する法的な措置を、せめて通達などくらいのことででもやらないとなかなか貨物会社は難しいんじゃないかなという感じを持っておる次第であります。  それからもう一つ貨物会社の要員の規模でありますけれども、今のところは一万二千五百人というふうになっておるわけでありますけれども、いろいろ私なりに勉強いたしましたら、やはり新会社は一万人ぐらいにしないとなかなか経営が難しいんじゃないかというふうな感じがするわけであります。そういうときには、今の清算事業団がこれから三年間ぐらいあるということなら、その辺からまたこの貨物会社に人間を派遣して、人件費貨物会社が持っても、そしてだんだん効率を上げていくに従って減らしていくというふうなことなども具体的な考え方として必要なんじゃないかと思うわけであります。  大変早口にしゃべりましたが、そういうことで関連事業を、要するにイコールフッティングでぜひとも新しい会社をやらせていただきたいということについて、ほかのことはおいて、特に貨物についてだけでもコメントをいただけたらと思います。
  261. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほどからの御指摘、イコールフッティングでなければ困る、私もそのとおりだと思います。総論としてそれに私は異論はございません。  特に貨物についていろいろな御論議がありましたが、委員御専門でありますので、事務方の答弁をそのまま読み上げることは差し控えて、私なりの感じを申し上げたいと思います。  やはり私どもはこの新貨物会社というものの中心をコンテナ輸送に置き将来の発展を考えておるわけでありますが、これが確かに発展の期待される分野でありますけれども、まさにこれが本当に発展をしていくためには、委員御指摘のとおりドア・ツー・ドアという円滑な輸送サービスが提供できるかどうかというところにかかっておると思います。ですから、国鉄と通運事業者などから成ります鉄道貨物協議会などを設けさせて、その円滑な輸送体制の整備を急がせておるところでございますし、行政の運用面におきましても、今御指摘の法改正等までを示唆されたわけでありますが、そうしたことも含みながら鉄道貨物輸送の発展を図るという観点での必要な措置を講ずる努力は続けてまいりたい、そのように思います。
  262. 江島淳

    ○江島淳君 ありがとうございました。  とにかく新入りの会社であるものですから、先ほどの貨物にいたしましても、それから先ほど申しました自動車にいたしましても、新しく入ろうとしますとやはり民間の既存の業者が団結をしてはじき出そうということが非常に強いのではないかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思うわけでございます。  それからちょっと観点を変えまして、これは建設大臣にお伺いいたしたいと思うわけでありますけれども、これも衆議院あるいはけさからの議論でもいろいろお話ございましたが、今地価が非常に、殊に東京近辺では高い、それで、その地価高騰対策でどうするんだという議論がどこでもされておるわけであります。天野建設大臣はもう常日ごろから地価を鎮静化しなくちゃならぬという情熱に非常に燃えていらっしゃいまして、その常なる学識には深甚の敬意を払っておる一人でありますけれども、今たまたま建設大臣をしておられまして、特に国鉄関係の東京駅だとかあるいは汐留とかに関して非常に御関心が多くて、そしてその辺に対する再開発をやると地価の高騰の解消策にもなるんじゃないかという御意見を持っていらっしゃるわけであります。  先日も、建設大臣室に伺いましたらば、東京駅の立派な模型がございまして、そしてその上に全部ふたをかぶせて立派なビルができておる模型を拝見いたしたわけでございまして、東京駅の構内が立派にあるものですから、私はこれは同じ合同庁舎でも運輸大臣室と建設大臣室を間違えて入ったのかなと一瞬錯覚をしたわけでありますけれども、そのように大変に熱心にやっていただくことに対してはありがたいわけでありますけれども、やはり鉄道は、東京駅にふたをかけるとかいうことも鉄道関係の意見をよく聞いていただいて、そして都市再開発と一緒になって効果あらしめるというふうなことをするのが本当にいいんじゃないかなという感じが強くするわけでございます。もちろんそういうことは当たり前だというふうにおっしゃると思いますけれども、その辺に関しまして建設大臣からのコメントをいただけましたらありがたいと思うわけであります。
  263. 天野光晴

    国務大臣(天野光晴君) お答えいたします。  まだその案それ自体は私が党におるころの民間活力の問題の一私案で、私の試みの案でございます。御承知のように東京の地価が暴騰しております。その原因は外国の事務所が足りない、少ないということで値上がりをしておる。その範囲は銀座から日本橋までだと言われておりますが、その中でこの土地の値上がりを抑えるために、その需要を完全に供給できる場所があるかと言えば、強いて言えば国鉄の土地ばかりになるわけでありますが、まだ会社が再編成を今やっておる最中でありますから、担当が決まった段階でその始末ができるかどうかわかりませんが、担当大臣は金丸副総理でありますから、担当大臣とよく相談してこれを決めたいと思っております。その一つの仕事が東京駅であります。  東京駅は御承知のように、国鉄関係者が非常に多いわけですから御認識願えると思うんですが、あの線路の上が、横断して百メーター以上もあいているわけですから本当にもったいないと思いまして、あの線路の上にふたをして、そしてその上の空間を利用するという考え方で高層建築物を建てる。日本の顔が東京ですから、その東京の中心の駅があのようなむさくるしい状態であってはいいものではないと思いますから、そういう点で、空中権が多額に国鉄に入るということにもなるわけでありますから、そういう観点でこの問題を推進すべきだと思っておりますが、ただいま江島先生のおっしゃったように、私とかくだれにも相談しないでやってしまう方の組ではあるんですが、そういう点十二分に踏まえて担当大臣と相談をして、当然国鉄並びに運輸省の御了承を得ないことにはこれはできないわけでありますから、十二分に配慮をしてやるつもりでございますので、その点御理解願えればありがたいと思います。
  264. 江島淳

    ○江島淳君 ありがとうございました。よく連絡していただきまして、立派な成果が結果的にできるようにぜひともお願いいたしたいと思うわけでございます。  時間がございませんので大変はしょるわけでありますけれども、もう一つだけ申し上げたいと思うわけであります。  国鉄は今の新幹線その他、いろいろ御批判はございますけれども、技術集団というものの評価が非常に高いということで、本会議でも中曽根総理もしばしば国鉄の技術力については言及していただきまして、私たちも国鉄出身の一員としましてそういう点では胸を張って歩けるなということを常々考えておったわけでありますけれども、今度いろいろ解体、再分割されまして、そういうことに対する技術的な水準がどうなるかということが余り議論されておらないのじゃないかという感じが私はするわけであります。  今までの状態から申しますと、各私鉄はございますけれども、これは現実的には国鉄の技術が中心となりまして、そしていろいろな新しいリニアモーターを初めとした研究開発を行って、それをもらって私鉄が使うというのが今までの実情でございました。それからもう一つは、今貿易摩擦その他が大変に言われておりますけれども、いろいろな海外に出向いて、そういう鉄道に対する技術のノーハウを教えてくれというニーズが非常に強いと私は思うわけであります。そういう貿易面の摩擦の解消に対しましても、そういうふうな技術面の輸出ということに大いに力を入れていくべきものじゃないかなという感じがするわけでありますが、いずれにいたしましても何らか、そういうふうなものを余りばらばらにしておくと全く雲散霧消するわけでありますので、そういうことに対しましてもまとめて、そしてそういうせっかくの今までの蓄積が無にならないような、これからの新しい二十一世紀に向けての日本の世界に対するいろいろな発言力のためにもなるし、日本の国土建設にもなるように、ぜひともその辺の対策をお願いいたしたいと思うわけでございます。これは総理並びに運輸大臣にぜひともお願いいたしたいと思うわけでございます。  それから最後でございますが、先ほどから伊江委員からもいろいろお話がございまして、国鉄の今までの百十四年に対する功績について総理から温かいお言葉をいただいたわけであります。私は今ここでぜひ総理に最後にお願いいたしたいのは、何といってもこれから新しい会社を発足するにつきましてこれが成功するかしないかというものは、企業は人なりと申しますけれども、やはりそこの職員の人がどれだけ熱心にこの新しい鉄道の新事業について取り組んでいくかということに一にかかっていると思うわけであります。幸いにいたしまして、私たちが地方に行きましても大部分の職員はそういう意気に非常に燃えておりまして、殊に若い職員の目の色が非常に輝いておるというのは私は頼もしく感じておる次第でございますけれども、せっかくのこの機会に総理からひとつ、国鉄の、鉄道再建に関して国も総力を挙げてバックアップするからおまえたちも一生懸命頑張れという励ましの言葉をいただけたら非常にありがたいと思います。  それをお願いいたしまして、私の関連質問にいたしたいと思います。
  265. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今の国鉄の技術力の低下を来さないようにという御注意は、私どもも非常に大切な御注意と受けとめます。そして、その研究所を将来運営していきますにつきましても、その技術能力の低下を来さないように万全の努力をいたしたいと思います。
  266. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 世界に誇る日本の国有鉄道の持っておった技術力をそのまま温存して国内及び国外のために大いに働いていただこうという気持ちは私も同じでございまして、この貴重な技術力を温存するためにいろいろ今後とも努力してまいります。  それから今回の国鉄改革の仕事を始めてみまして私は、国鉄の中枢部においても総裁を中心にして若手の皆さんが決起されて、そして、この現状ではいかんともすべからざることだ、何とか新しい体制国鉄の活路を見出し、また職員の皆さんの将来を築こう、国家のためにも役立とう、そういうふうな意気に燃えてそして懸命な努力をやっておられるのを見て非常にうれしく思っておりますし、ここに初めて国鉄の未来があると思いました。また、地方におかれましても、地方の各管理局あるいは職場職場の前線においてもそういう力がみなぎってまいりまして、そして、この際我々は一致団結して鉄道体系の中へ溶け込んで、自分たちで自分たちの未来を築こう。自分たちで自分たちの未来を築こうという力が出ない限りはだめです、これは。そういう意味において、近ごろそういう力が職場に組合にみなぎってきたということを非常に私は貴重に思いまして、この意気に感じて我々も全力を尽くすつもりでおります。
  267. 江島淳

    ○江島淳君 ありがとうございました。終わります。
  268. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 私の与えられた時間は四時五十四分までだそうでありますので、まだ若干の時間がございますので質問を続けさせていただきます。  先ほど、公平、公正、簡素、選択、そこまでのいろんな点についての御質問を申し上げたのですが、活力の点が抜けておりますので、これからその活力の問題をめぐって若干の御質問を申し上げていきたい。  これは事務当局に伺うんですが、現在までの債務の内訳をちょっと聞かせていただきたい。ということは、政府の財政上の振り分けをしておられる建設国債的なもの、それから財政法の第四条の赤字国債、そういったものの振り分けが、投資に対して向けられたものと、そうでないいわゆる運営のために向けられた借金とに分かれると思うんですが、まずその内訳を聞かせていただいて、そしてそれは一体どこから借りているのかという、具体的な固有名詞は必要ない、どこどこの何県の何銀行なんという必要はないんだけれども、どういう金融機関から借りているのかというその内訳をちょっと教えていただきたいと思うんです。
  269. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 昭和六十年度末の国鉄長期債務残高、これは二十三兆五千六百十億円でございますが、その借入先別の借入額でございます。  まず資金運用部それから簡易保険局、これからの借入金が棚上げ債務分も含めまして十二兆五千四百四十六億円でございます。それから一般会計からの借入金、これが財政再建借入金というものも含めまして三千三百八十億円でございます。それから金融機関からの民間借入金、これが五千八百五十一億円。それから鉄道債務の発行によるもの、これが十兆九百三十三億円でございます。  それから資金の貸し付けあるいは鉄道債券の引き受け、これを行っております金融機関、これは都市銀行あるいは地方銀行など全国の金融機関、非常に幅広く全国の金融機関に及んでおるということでございます。
  270. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 わかりました。  それで私が今活力の問題について御質問したいと言っているのは、これからいろいろな関連企業、関連事業を起こしていかなきゃならない。したがって、世にいう技術革新に基づくところのいろいろな事業の拡大、あるいはその事業に対する資本参加、あるいはよくいう川上志向型、川下志向型という原材料への目の向け方、あるいは市場拡大の問題、そういった問題を含めてこれから事業をやっていくのにはどうしても金が要ると思う。それで今度は旅客会社、あるいは貨物会社でもいいが、金を借りるときには、これは民間会社になるんだから必ず担保の提供を要求されると思う。あるいは抵当権を設定されるかもしらぬ。場合によっては連帯保証をよこせと言うかもしらぬ。どういうふうに考えますか、それは御指導なさるんですか。  例えば連帯保証というものを請求された場合に、だれが連帯保証するの、これ。例えばAという旅客会社がある事業のために金を借りようとする、連帯保証がなければ借りられないといった場合には、株主であるところの事業団が連帯保証に立つのかね。
  271. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 最初に、来年四月に新しい会社ができますときには、これは清算事業団、各会社、あるいは新幹線保有機構、いずれも鉄道債券については連帯債務という形をとるわけでございます。ただしかし、その後会社がスタートをしまして、それらの債務の償還の借換分ということのためにいろいろな資金調達が必要になってくると思いますが、それは通常の会社と同じでございまして、通常担保の提供を求められると思いますけれども、その担保を提供した上でそれぞれの会社が個別に金融機関と折衝して資金調達をしていくというのが通常の姿であろうというふうに思います。
  272. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 要するに、今普通銀行からの借り入れは鉄道債券という形で借り入れているわけですね。今度は普通銀行から金を借りる場合の話です。それは今のような普通の一般市場ルールによるというお答えのようだが、それでいいわけですな。担保を請求されたら担保を提供する、こういう格好になるわけですか。
  273. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 通常の会社の場合と同様に、担保がどういう形になるか、これは通常の私鉄あたりは財団抵当とかいろいろな形をとっておりますけれども、そういう形で資金を調達していくということになろうかと思います。ただ、先ほどちょっと申し落としましたが、借りかえにつきましては五年間政府保証がつけられるという形になっております。
  274. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 やはり仕事をするのにはどうしても金が要るわけですから、今の国鉄はいろいろな制度上の制約があってできないせいもありましたけれども、関連事業は。しかし制度上制約がなくても、金がなかった国鉄ですからこれは拡張しようにも拡大できなかった。しかしこれからは、金さえあれば自分の思う、先ほどの負け犬じゃないけれども、あるいは花形製品じゃないけれども、いろいろな区別でもって自分の投資先の選択は自分でできるわけですからね、そのためにはどうしても金が要る。その要る金のためには、銀行から借りるか、あるいは債券を発行するか社債を発行するか、そんなような道しかないと思うんですけれども。それについては運輸省もぜひバックアップをしていただかないと、やはりそういう仕事は拡大し多角経営ができるところに活気が出てくるし、収入は上がるし、そうすれば活力というものも出てくるんだと、こういうふうに私は思いますので、ぜひその方向で御指導願いたいと思います。  そこで、先ほど総括審議官からお話がございました銀行からの借り入れ、民間借入金ですけれども、これは驚いたことに全国の銀行のうちで四百四十金融機関から金を借りているんですよ。総理御存じなかったでしょう、これ。全国の金融機関、これはもちろん信金も入りますよ、全国四十七都道府県の全部。ただし例外が一つあった。調べてみたら、沖縄県でございましてね、沖縄県に鉄道がないものだから、沖縄には琉球銀行というのと沖縄銀行というのがあるんだけれども、この二つだけが例外で、あとどの県も全部何らかの形で国鉄に金を貸している。だから、債権者なんですよ。大変なことだと思うので、これからの改革が地域密着型といいますか、地域との接触というものを、これは監理委員会の御指摘にもありますけれども、地域型に直していかなきゃならない、こういうことになるだろうと思うんです。その地域型になるに従って列車ダイヤの編成やら運賃も地域型になっていくんです。  したがって、そうなるときは、またがり輸送というのが行われる。またがり輸送が行われるということは、結局またがり運賃をどう精算するかということになる。その問題について私は最後に御質問申し上げて、最後というか、事務的なお話としては最後の御質問になると思いますが、それをちょっとお答えいただきたい。
  275. 須田寛

    説明員(須田寛君) 今御質問のございました二つ以上の会社にまたがってお客様が御利用になります場合には、お客様からちょうだいいたします運賃のルールといたしましては、従来どおりのものを協定によりまして踏襲することにいたしておりますので、お客様からお乗りになりました距離を通算いたしまして運賃をちょうだいいたします。それを各会社に分割いたすわけでございますが、これはお客様のお乗りになりました距離によりましてコンピューター処理をいたしまして配分決済をする、このような格好にいたしたいと考えております。
  276. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 たまたまいい答弁者が来たからもう一遍。あなたの顔を見たから思い出したんだけれども。  その全国共通の企画商品をつくるときに、コンピューターがこれをはじき出すわけですね。それはどこがやるんですか。
  277. 須田寛

    説明員(須田寛君) コンピューターの機械その他の管理につきましては、新たにシステム会社が設立されますので、そのシステム会社に各旅客会社が業務を委託して処理する、このような格好に相なろうかと存じます。
  278. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 それは料金を払うわけですね。
  279. 須田寛

    説明員(須田寛君) しかるべき料金といいますか、使用料を支払ってやることになると思います。
  280. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 私は今度の改革で、先ほど冒頭にもお話ししましたように、やはり鉄道を再生させるための手だてというのは我々ができなかった。それが監理委員会がいろいろなノーハウを駆使してお出しになったその結論の答申に基づいて運輸省が、関係省庁がそれを法案化され、そして政府が全面的にバックアップされてこれを進めていかれるということのこの御労苦を非常に多とし、我々も、関係者も一日も早い成立と発足を願うわけでございます。しかし、いろいろな改革の手法の中に民営的な手法というのが、それをまたバックアップするという法律的な裏打ちがなされておりますが、この中で私は一つ非常に感心しましたことだけを最後に申し上げたいと思うのです。  それは、例の資本準備金なんですよ。商法上の特例を設けられたということは非常に大きな進歩だと私は思う。御承知のとおり、商法上は発行価額の二分の一を超えてはならぬというその資本準備金の用意でございますけれども、これが、二分の一を超えて資本準備金をセットできるという商法上の特例が設けられた。これは私は大前進だと思うんです。それは会社の資本の減少あるいはマイナスになっていくやつを補っていける。つまり配当の対象にならぬやつですからね。だから、資本は資本、資本準備金は資本準備金で、これは資本に入れないんだから配当の対象にならないから、これは会社にとっては非常に大きなメリットだと思うんですよ。  ですから、そういうことでバックアップしていただいているわけですから、先ほどもいろいろな質問がございましたけれども、早く配当のできるような会社になるように自主性を拡大して頑張っていただき、そして配当の暁には、配当ができてもう将来性について心配ないなというめどを早くつけていただいて、株を放出していただく。それで株を放出する際に、ぜひぜひ従業員にも企業参加の意欲を持たせるような持ち株制度について御指導を賜りたいということを最後にお願い申し上げまして、これは御答弁は要りませんから、要望だけいたしまして私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  281. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  明日は午前九時三十分に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会