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1986-12-04 第107回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十二月四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月二十八日     辞任         補欠選任      佐藤栄佐久君     桧垣徳太郎君  十二月三日     辞任         補欠選任      桧垣徳太郎君     斎藤 文夫君  十二月四日     辞任         補欠選任      小島 静馬君     永田 良雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩本 政光君     理 事                 大城 眞順君                 亀長 友義君                 久保田真苗君     委 員                 大島 友治君                 岡田  広君                 古賀雷四郎君                 斎藤 文夫君                 永田 良雄君                 永野 茂門君                 堀江 正夫君                 村上 正邦君                 小野  明君                 野田  哲君                 飯田 忠雄君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君    国務大臣        外 務 大 臣  倉成  正君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君    政府委員        内閣法制局第二        部長       大森 政輔君        防衛庁参事官   瀬木 博基君        防衛庁参事官   古川 武温君        防衛庁参事官   千秋  健君        防衛庁参事官   筒井 良三君        防衛庁長官官房        長        友藤 一隆君        防衛庁防衛局長  西廣 整輝君        防衛庁教育訓練        局長       依田 智治君        防衛庁人事局長  松本 宗和君        防衛庁経理局長  池田 久克君        防衛庁装備局長  鎌田 吉郎君        防衛施設庁長官  宍倉 宗夫君        防衛施設庁総務        部長       平   晃君        防衛施設庁施設        部長       岩見 秀男君        防衛施設庁労務        部長       西村 宣昭君        外務大臣官房審        議官       渡辺  允君        外務省アジア局        長        藤田 公郎君        外務省北米局長  藤井 宏昭君        外務省条約局長  小和田 恒君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        国土庁防災局防        災企画課長    竹本 直一君        外務大臣官房儀        典官       河村 悦孝君        外務省中近東ア        フリカ局審議官  久米 邦貞君        外務省国際連合        局審議官     林  貞行君        気象庁次長    平井  清君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 岩本政光

    委員長岩本政光君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月二十八日、佐藤栄佐久君が委員辞任され、その補欠として桧垣徳太郎君が選任されました。  また、昨十二月三日桧垣徳太郎君が委員辞任され、その補欠として斎藤文夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 久保田真苗

    久保田真苗君 私、きょう外務大臣の御都合があるということですから、先に外務大臣の必要なところをやらしていただきます。  まず、思いやり予算の件が非常に予算の焦点になってきそうでございますね。それで、私は大臣方々アメリカへ渡られると非常にその都度怖い思いをするんですね。初めに、レーガン政権になりましてから鈴木前総理が渡米されまして、非常にいろいろなシーレーンの防衛その他重荷をしょって帰っていらして、ついにその年の年末を待たずして、財政非常事態宣言が出されるという重荷をしょってきたそういう経験がありますし、また、最近ではG5が怖かったですね。やっぱりこれは大変な影響力を及ぼしております。私、日本のこの外交がどうしてこういうことになっていくのか、そこのところをひとつよく考えていただきたいと思うんですけれども、今回、栗原長官が渡米されまして、ブッシュ大統領にお会いになりました。そのときに、この思いやり予算関係でいろいろとお約束をしてこられたと思うのですけれども、ここで改めてもう一回、そのことについて御説明いただけますでしょうか。
  5. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 私が九月に参りまして、ワインバーガー長官のみならずブッシュ大統領と会ったことは事実でございます。そのときに、ブッシュさんから、議会の方からこういう要求が出ているということで、いわゆる思いやり予算についての言及があったことは事実であります。ただ、私の基本的な考え方といいますか、日本政府の基本的な考え方は、日米安保我が国防衛をやっていくわけでございますから、アメリカとの関係はできるだけスムーズにやっていきたい、これは当然のことでございます。ただし、アメリカさんの言うことを何でも聞くというものではない。アメリカさんの言い分の中で理にかなったものについてはこれは耳を傾けなければならぬけれども、理にかなわないものはこれはお断りをする、そういう方針できておるわけでございます。  ですから、少し余計になりますけれども円高で非常に防衛力をやりやすくなったじゃないか、だから、装備や何かでもどんどん買って防衛力の前倒しでやってくれないか、こういう要求もございました、議会の方の要求ということを前提にして。ただし、私はだめだと、防衛というものは継続的、計画的にやるんだと、円高だから、じゃあどんどんやります、円安ですからやりませんと、そういうものではないですよ、しかも、装備を買うということは、それに人がつくことだ、人を離れて装備だけ買えという、そういう買い物はできません、こういう話でお断りしたのです。  その思いやり予算ですね、これにつきましては、我が国米駐留軍に対して労務を提供している日本人労務者がいるわけですね。その月給というのは、円高でございますから、アメリカ軍からいたしますとたくさんなドルを余計持ってこなければ払えないわけですね。これは非常に苦しいというのが国会の方から強く出されていると、そういうことを聞くと、そんなべらぼうなことはないよとはこれは言えないわけです。しかも、そのアメリカ軍が支払うのは我々日本人労務者に対して払うわけです。ですから、これはただ単にアメリカとの関係というだけじゃなしに、日本労務者にも関係があることだ、そういうことで、お気持ちはよくわかります、しかし、今までの経過がございますので色よい返事はできませんが、自主的な判断でできるだけの努力は今後も続けてまいりましょう、そういうことを言ったのでありまして、アメリカさんの言いなりになるなんというつもりは毛頭ございません。  ただ、冒頭申し上げたとおり、日米安保というのは、野党の中の皆さんとは意見が違うかもしれないけれども、我々としては日米安保というのは非常に重要である、その上に立って理にかなったものについては、向こうが言ったとか言わないからという意味じゃなしに、やるべきものはやる、そういう姿勢でなければいけないんじゃないか、こういうふうに考えているわけであります。
  6. 久保田真苗

    久保田真苗君 現在の思いやり予算現状をおっしゃっていただきたいんです。
  7. 宍倉宗夫

    政府委員宍倉宗夫君) 昭和六十一年度で申しますと、一般にいわゆる思いやり予算と言っておりますその予算の中に二つございますが、労務費関係につきましては百九十一億円、それから施設関係につきましては六百二十六億円余ということでございます。
  8. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、合計して六十一年度が八百十八億円。六十二年度の要求幾らとおっしゃいましたですか。
  9. 宍倉宗夫

    政府委員宍倉宗夫君) 六十二年度ただいま予算要求しております数字が、両方合計いたしまして九百二十四億円でございます。
  10. 久保田真苗

    久保田真苗君 そして、円高によってアメリカ負担で大変だと言っている金額は幾らなんですか。
  11. 宍倉宗夫

    政府委員宍倉宗夫君) アメリカ負担で大変だという数字は、具体的に幾らだということは承知いたしておりません。  ただ、私どもが、アメリカが言っているということではございませんで、一般的にアメリカ負担をしております労務費お金、そのお金円レートで換算した額、これは幾らで計算したらいいのかよくわからないところもあるのでございますけれども、例えば一年前が二百四十円、ことしが百六十円ぐらいというようなことでごく大まかに計算してみますと、ドルで二億ドルを超える数字に出てくるということになろうかと思います。
  12. 久保田真苗

    久保田真苗君 これは一体どういう方法が可能なんですか。現在の地位協定範囲内でこれ以上日本側負担し得るものはないと、外務大臣はこれまで二十数回以上もこういう答えを国会でしていらっしゃるわけですね。この間決算委員会でも伺いましたところ、この見解に変わりはないということでございましたんですけれども、一体これはどういうことをなさるおつもりなんでしょうか、外務大臣にお伺いしたいんです。
  13. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 政府としましては、ただいま先生お話のように、現在まで米側負担とされている経費につきましては、地位協定範囲内でこれ以上日本側負担し得るものはないとしばしば御答弁しておるとおりでございます。ただ、御案内のとおり、今防衛庁長官からも、また政府委員からもお答えしましたとおりに、米側が一般的に在日米軍駐留支援の一層の充実について極めて強い期待を持っておることも御承知のとおり事実でございます。また一方、安保条約に基づく米軍我が国駐留日本安保体制の根幹でございます。在日米軍駐留支援は、在日米軍の円滑な活動の確保という観点から極めて重要なものと心得ておる次第でございます。  かかる観点から、政府といたしましては、従来から在日米軍駐留経費については施設整備費及び労務費の増額に努めてきておるところでございますが、ただいまも防衛庁長官お話のように、昨今の急激な円高傾向のもとにおいて、在日米軍基地従業員を解雇したり、あるいは雇用不安定化が生ずるというようなことがあることはぜひとも回避しなきゃならない。そうなると、どういう知恵があるものか。在日米軍駐留支援の強化については、今後とも自主的な判断によってできる範囲で努力する所存でございますけれども、どのような方法があり得るかは、これまでの政府考え方はしばしば御答弁申し上げておりますことも踏まえまして、今真剣に検討しておるところでございます。
  14. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、地位協定を改定されるということなんでしょうか。
  15. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 今までこれは地位協定範囲内では、これ以上日本側では負担できないということはもう御答弁申し上げたとおりでございまして、いかなる方法があり得るか、これまでの政府考え方、しばしば御答弁申し上げていることを踏まえまして、真剣にどういう方策があるかということを検討しておる。この問題が日米安保条約の円滑な遂行のためにも必要であるし、一方、在日米軍基地従業員が、日本方々が働いておられるということも事実でございますから、こういう方に解雇とか雇用不安定化が生ずることがないようにという、それをどうやって、どういう方法があり得るのかということを真剣に今検討して知恵を絞っているところでございます。
  16. 久保田真苗

    久保田真苗君 雇用の問題について御配慮いただくのは、まあ政府として急に何か仏様になられたような感じなんですね。もう今日本円高のおかげで大変なものです。石炭でございましょう、国鉄でございましょう、大変な余剰人員をどんどんと政府の手でお出しになっているわけです。そしてしかも、失業保険の受給がウナギ登りなんです。鉄鋼、機械、電機と、もう来春にかけて日本では恐らく今までの戦後の歴史の中で本当に一つの転換期を迎えるような、そういう雇用情勢に立ち至っているわけでございます。与党も野党も一緒になって心配しているわけです。  そういう中で、この駐留軍の方の雇用をそれほどに心配していただくのは結構なんですけれども、そもそも円高の問題というのは、G5で米国ノードでやったことなんです。その結果を受けているのは米国であるよりはむしろ日本なんです。それなのに、なぜわずかなことを、米国が自分の負担日本にこれを転嫁しようというのか。私はこれだけのお金があったら石炭労働者に分けてやりたいですね、これは。どうしてこういうことが聖域としてどこまでも、予算編成の上だけでなく、後々からまたツケが回ってくるのか、私にはその辺のことがさっぱり納得ができないんです。  防衛庁長官はそういうわけで安保は大事だと、こうおっしゃる。だけれども、そのことをおっしゃる一つ前に、今のこの経済情勢の中で日本に差し迫って必要なのは内需拡大、これはもう世界じゅうが認めているところで、減税でございますよ。アメリカは大変な財政赤字である。これが一つの大きな回転軸になって世界経済を混乱させているわけですからね、アメリカはむしろ大増税に踏み切るべきではないのか。そういう経済環境の問題を抜きにして、どうしてアメリカはこんなわずかなお金日本に押しつけて、そして平気でいるのか、私には理解できない。防衛庁長官はこの辺のことをちゃんと説明していただいているんでしょうか。
  17. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) アメリカが押しつけているという表現は、これは適当でないと思いますよ。私は何も向こうへ行ってオブリゲーションをしょってないんですよ。やりますなんて言ってないんです。向こうの切なる願いといいますか、それは身に受けた。それはアメリカアメリカなりの理屈ですから、それはわかるというわけです。そういう意味合いで、決してこれは押しつけられているものじゃないんです。  それから、今非常に円高で困っているのは日本じゃないかと、その点も私はアメリカに言ったんです。我が国は非常に円高不況で今困っているんだ、したがって税収も非常に減ってくる。その中で防衛費だけは継続的に計画的にやらなければいけないわけだから、これをやるということになったらえらいことだ。だから我々の苦しいところも承知してくれと、これも言ってあるんですよ。ただ、それ以上の、おまえの方がそれは責任だとかなんとかという問題になりますと、これはいろいろ議論が出まして、円高の原因はアメリカだけだ、日本にはないんだと、こうなかなか言い切れないとこれは思うんですよ。しかも理論と実際というのは間々違っているわけですよ。だから、そういうことは総合的に考えた上で判断をしないといけないんじゃないか、こう考えております。
  18. 久保田真苗

    久保田真苗君 アメリカの言っていることがわかると、私にはわからないんですよ。なぜなら円高メリットデメリット、それを円高メリットは受けるけれどもデメリットは受けない。そこのところはおまえの方でやれというのはこれはわからない。確かにアメリカが押しつけているわけじゃなくて、これは長官アメリカの苦しい立場を思いやってということなんですが、日本労働者も非常に苦しい立場にあるわけですね。職を失うということがどういうことか、それは長官もよくおわかりのはずなんです。でございますから、私はやっぱりこれはもうアメリカにこの円高分負担していただくという方針でいくべきだと思うんです。  そしてアメリカの苦しい立場を救済するのであれば、どこかでもっと筋の通ったやり方をやっていただきたいんですね。地位協定でもこの範囲内ではできない、円高メリットは受けるけれどもデメリットは受けないと、こういう筋の通らない話が二つも三つも重なるような、こういうことをごり押ししていただきたくないんです。どうでしょうか。
  19. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 御案内のとおり、今、日本だけで政治、経済やっていけるわけじゃないんですから、だからグローバルな意味で考えなきゃいかぬ。円高という問題についても、下手人はアメリカだけだ、日本には全然関係はないんだと、そう言い切れるかどうか、これはなかなか問題だと思いますよ。  私は、もう一つ、私事になりますけれども労働大臣を八年前にやったんです。あのときの労働情勢と今の労働情勢、随分違ってきていますよ。余り公式論をやっていますと、屈折した形で最後に困るのは日本労働者ということもあり得ると思うんです。そういう意味合いでも、私は総合的に考えていろいろな施策を講じなきゃならぬ、こう考えております。
  20. 久保田真苗

    久保田真苗君 非常に問題の多いこういうところで解決なさらず、もっと根本的解決をすべきでなかろうか。私は、円高の問題がアメリカに一方的に責任があると一言も言っているわけじゃないんですけれども、しかし、この為替の問題、通貨の問題を五カ国の蔵相会議でリードしたのはアメリカだと、そのことを申し上げているんですよ。それだったら、そういうところで筋を通したやり方をやるべきじゃないかと、こう言っているわけです。筋の通らない結果が外務省の方へ全部おっかぶさっていっているわけですよ。  外務大臣は、今真剣に考えていると言われたんですが、可能性としてどういう方法があるんですか。それはもう御検討していらっしゃることだから、幾つかの選択肢をおっしゃっていただけると思うんですけれども
  21. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいま先生から雇用問題についてお話をちょうだいいたしました。私のところも郷里に石炭産業高島炭鉱が三日前につぶれました。それから、造船業、水産と、雇用問題の重要性については、私もこれは超党派でこの問題には取り組まなければならないという点、まことに同感でございます。  それからまた、通貨の問題について、これは私直接——これは大蔵大臣が答えるべきことでございますが、円高メリットというのは、御案内のとおりアメリカ観光客が参りまして、アメリカだけじゃございません、やっぱり今円高になっているものですから、随分困っていることも事実なんです、観光客一つとりましても。だから、一方的に先方が円高メリットを受けているということはちょっといささか言えないと思います。その点はいろいろ議論がありますから、本質論でないものですから省略いたしたいと思います。  ただいまの問題につきましては、もう本当に我々は法律あるいは協定範囲内で、お互いに約束したことを忠実に守っていくという立場で、日米間の安保条約が円滑に運営されていくことをいたしておる次第でございますし、国会の御審議もそういう形でお願いしているわけでございますから、どういう方法があるのか、雇用不安を与えないように、しかも筋を通してどういう方法があるものか。また、アメリカとも防衛庁長官もいろいろお話をちょうだいしたと、そして連絡を取り合いながらやっておるわけでございます。今真剣にこの問題に取り組んでおると。相手のあることでもございますから、この場で今どういう選択肢があり、どういうことがあるかということを申し上げることはお許しをちょうだいしたいと思うわけでございます。すぐ、こういうことを言ったというようなことで表に出てまいりますと、これはやっぱり一波が万波を生むということになりますから、真剣に雇用問題を含めて、筋を通しながらやるには、どういう方法があるかということで取り組んでおるということでございますので、この点で御容赦賜れば幸せだと存ずるわけでございます。
  22. 久保田真苗

    久保田真苗君 外に出てというのは、もう外にさんざん出てまして、何も一社だけじゃなくて幾つかの新聞に出ておりまして、例えば特別協定を結ぶのだというようなことが出ておりますね。もし何でしたら、事務当局で結構ですけれども幾つかの選択肢についてどういう方法があり得るのか、また、この特別協定については皆さんの方ではこれでおやりになるつもりなのかどうか、お答えください。
  23. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) ただいま大臣からお答え申し上げましたように、現在、先ほど防衛庁長官外務大臣から御指摘のあったような状況を踏まえまして、どういう方策が可能であるかということを真剣に検討しておるわけでございまして、当然でございますけれども、いろいろな可能性というようなものを含めまして検討しておるわけでございますけれども、その中でどのような案が有力であるかというような状況になっておりません。  したがいまして、現段階におきまして、例えばこういうことがあるだろうとかあるいは、いや、この点はこうだというようなことを申し上げる段階にないということでございます。
  24. 久保田真苗

    久保田真苗君 今直ちにこの方法をやるとおっしゃるのは難しいでしょう。でも、外務当局でしたら、どういう可能な方法があるかということについてはおっしゃれると思うんです。それをおとりになるかならないかは、今、明言なさることはできないでしょう。でも、可能性というものはお答えになれるはずです。早い話が現在の地位協定を改定するのか、それともそれ以外の方法によるのか、それ以外の方法というと特別協定。そのほかにも何か方法があるのか。その点についてお答えください。
  25. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) 現在の地位協定範囲内でどのような方法があり得るのかということをまさに含めまして検討しておるところでございますので、それではその中で、ではどのような方法があるのかということについては、まだ具体的な案が浮上していないというのが現状でございます。
  26. 久保田真苗

    久保田真苗君 おかしいですね。現在の地位協定範囲内で可能性がないと、さんざん国会答弁なさってきたんですよ。しかも、それが円高だというような一つの経済的な通貨政策というものに絡んでのお話ですから、こういうことを認めていたのでは、私ども地位協定解釈というものに振り回されて奔命に疲れてしまいますよ。やっぱりこういうことはちゃんとしておいていただかなきゃいけないと私は思うんです。  それで、その問題も含んでとおっしゃるのは、一体どういうことなんですか。地位協定を改定なさるという、そういうことを考えていらっしゃるということですか。もうちょっとはっきり言っていただけますか。
  27. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) 先ほど来大臣が申し上げておりますように、現在の地位協定状況から、解釈からいたしまして、労務費についてはこれ以上負担をすることができないという趣旨の答弁をしてきておりまして、それにつきましては、その解釈を変えるということではございません。しかしながら、先ほど来御指摘のような状況の中で、現行の地位協定の中で何らかの措置を行えば何かができるのかとか、あるいはそれができないのか、できないとすれば、一体どういう方策があるのかということを含めまして、いろいろ検討しておるという段階でございますので、政府がこの段階におきましてA案B案C案があるというようなことを、こういう公の席で申し上げるということは、まだ困難なそういう状況にあるということを先ほどから申し上げておるわけでございます。
  28. 久保田真苗

    久保田真苗君 これは結局、特別協定で増額というふうに報道をされておりますが、この方法も検討なさっているわけですね。
  29. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) 先ほどから申し述べておりますように、恐縮でございますけれども、いろいろな方策を検討しておるというのが現状でございます。
  30. 久保田真苗

    久保田真苗君 それでは、そういうことをいつごろまでに検討をなさり、いつごろまでにこの方法を決着なさるという日程でございますか。
  31. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) 仮に六十二年度の予算ということとの関連があるとすれば、その関連でのおのずからタイミングというものがあると思います。しかし、六十二年度の予算との関連があるのかないのか、そういうことを含めまして現在検討中でございますので、ただいま申し上げましたことはあくまで仮定の話でございます。
  32. 久保田真苗

    久保田真苗君 もちろんこういう特別協定等を扱われる場合は、これは当然国会のマターになりますね。
  33. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) 先ほど来るる申し上げておりますように、いろいろな方策について検討中ということでございますので、委員ただいま御指摘特別協定というようなものはいかなるものであるのかということについて、いろんな前提もあると思いますし、そういうことがあり得るのかということをまさに検討中でございますので、それが国会承認を要するか要しないかというようなことについて、今日この段階でお答えする立場にないわけでございます。
  34. 久保田真苗

    久保田真苗君 でも政府は、現在の日米地位協定とは別に日米間で特別協定を締結、六十二年度から在日米軍駐留経費日本側負担である思いやり予算の増額に踏み切る方針を固めたと、あるんですね。もう一つの新聞にも同じように書いてございますよ。そうなりますと、国会にはもうぬらりくらりと答弁してらっしゃるけれども政府方針を固めたことは事実なんでしょう、これは。
  35. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) 私は、政府が特定の方針を固めたということは現段階で承知しておりません。いろいろな検討をしております。それから、新聞にそういうことが書かれてあることは私もよく存じておりますが、例えば私のところに参ります新聞記者の方に対して、全く検討中であるということを答えておるのみでございまして、新聞に何かを言い、国会に別なことを言っておるということではございません。さらに国会の場におきます答弁というものは、責任を持って答弁をしなければいけないわけでございます。したがいまして、公の立場で申し述べまして、先ほど来申し述べておりますように、現在いろんな方策を検討中ということでございます。
  36. 久保田真苗

    久保田真苗君 この問題につきましては、これは非常にGNP一%とも関連が出てきそうだ。そして、思いやり予算というものは過去何十回にわたって国会でもって議論されたことですよ。これは政治的な問題なんですね。この協定国会関係があるかないかわからないというような扱いでは大変困るんです。こういう政治的な、しかも今後どういう後を引いてくるかもわからない、そしてまさに私どもの重大関心事であるGNP一%、そのことに関連のあるようなことを政府限りで勝手に決めるというようなことは私は到底承服できない。まだ決めていらっしゃらない、検討中だと、こういうことですから、それじゃこの新聞は行き過ぎなんであって、政府は何も方針を固めていないというふうに受け取っておきますけれども、もし今後こういうようなことをお決めになるときには、私は当然これは国会に提出して承認を得るべき事項だと思うんです。  外務省当局とされましても、やっぱり外務省の地位を高からしめて、これだけ悩まされている案件についてはっきりと政治的な解決をとるべきだと思います。ぜひそのようにお願いしたいと私は思いますけれども大臣どうお考えでしょうか。
  37. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいま政府委員からお答え申しましたとおりに、現在真剣にいかなる方法があるかということを検討している段階でございますので、ただいまの先生の御質問でございますけれども、仮定のことでございますのでお答えすることは差し控えさしていただきたいと思います。
  38. 久保田真苗

    久保田真苗君 とにかくこういうことは非常に大きいことですから、ちゃんと国会での対応ができるようにお願いいたします。  次に、防衛関係費の六十一年度の節約、不用額についてちょっとお伺いしたいんですけれども、今の見通しを御説明ください。
  39. 池田久克

    政府委員(池田久克君) 先般、国会で承認をいただきました補正予算に節約が計上されておりますが、人件費の所要分が二百九十七億ございまして、それに対して節約と不用の総額が三百五十二億になっております。差し引き五十六億の減額になっておりまして、防衛費の補正段階の総額は三兆三千三百八十億円になっております。
  40. 久保田真苗

    久保田真苗君 この節約、不用額というものはいろいろの理由から出ていると思いますけれども、その理由及びそれにかかる金額をおっしゃってください。
  41. 池田久克

    政府委員(池田久克君) 節約額三百五十二億の中身でございますが、第一に、これは各省共通でございますけれども、旅費、庁費のたぐいで留保して節約いたしました分が五十三億でございます。それから電気・ガス代が下がりまして、その関係で十億でございます。それから暖房用の油、これも値下がりしておりまして二十三億ございます。それから訓練用に使います油の購入費、これで百五十三億。為替の不用で百八億、これは百五十九円でドルの場合は計算をいたしました。それから通常の不用、これはいろんな、専用通話料とかそういう不用残でございます。そういうものが五億、締めて三百五十二億になっております。
  42. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、内訳はわかりましたんですけれども、給与改善費と対比いたしまして当初の予算よりも大分減額になっておりますね、幾ら減になりますか。
  43. 池田久克

    政府委員(池田久克君) 先ほど申し上げましたように、五十六億円でございます。
  44. 久保田真苗

    久保田真苗君 どうも失礼しました。  そういたしますと、長官も努力をお約束になっておりますGNP一%枠というものについての見通しは、ぼつぼつこの段階でもう出てくると思いますけれども、どういうお見通しでございますか。
  45. 池田久克

    政府委員(池田久克君) 六十一年度の場合と理解いたしましてお答えいたしますと、六十一年度のGNPの名目成長率の見通しが、まだ実績見込みが出ておりません。したがいまして、当初のGNPの見通しによらざるを得ないわけでございますが、それでございますと〇・九九一になる計算になります。
  46. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、まあGNPの一%の問題はほぼクリアできそうだと、こういうふうに承ってよろしいわけですね。
  47. 池田久克

    政府委員(池田久克君) 先ほど申し上げましたように、六十一年度の実績、名目GNPの成長率がわかりませんのでしかとは申し上げられませんが、現在の当初の見通しに対しては〇・九九一と、これ以上現在の段階では申し上げられない状況であります。
  48. 久保田真苗

    久保田真苗君 ちょっと外務大臣の時間が押せ押せになってしまいました。おいでになるうちにちょっとSALTIIのことについてお伺いしておきたいんですが、最近アメリカがとうとう百三十一機目のB52戦略爆撃機を実地に配備するということになりまして、SALTIIはこれで実質的にも破られたということになります。各国もこれに対してぼつぼつ反応が出ておりまして、日本でもこれに対してどういう考えをお持ちになるか、あるいは米国との間に何かの対話をなさるおつもりか、そういうことにつきまして大臣のお考えを伺わせていただきます。
  49. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 久保田委員、大変大事な御質問でございますので、ちょっと経過から御報告申し上げさしていただきたいと思います。  御案内のとおり、SALTIIにつきましては、一九七二年の十一月から開始されまして、一九七九年の六月十八日に戦略攻撃兵器の制限に関する条約及び同議定書が調印されました。しかし、ソ連のアフガニスタンへの侵入が、軍事介入を契機といたしまして米国ではこれは批准が見送られておるわけでございまして、未発効となっておるわけでございます。しかし、一九八一年の二月にソ連が、また同三月にはアメリカも事実上これらの取り決めを遵守する旨を声明したと、批准はされてないけれども、事実上の合意というのがこの中身でございます。そしてそれと同時に、攻撃兵器の制限に関する条約は、条文上一九八五年末まで有効であるが、同議定書は一九八一年末に失効していると、こういう事実関係があることを前提の上でお話を申し上げたいと思います。  今、我が国といたしましては、SALTII協定は米ソ間の軍備管理の枠組みの一つとして一定の役割を果たしてきたと思っておる次第でございますが、ソ連の軍備管理協定違反の状況の改善が見られなかったとの判断に基づきまして、米側が西側の全体の抑止力維持の観点から今回の決定を行ったことについては、それなりに米側立場を理解しているつもりでございます。  いずれにしましても、軍備管理の枠組みが存在することは必要でございます。したがって、これは効果的な検証措置を伴う実効的な軍備管理協定が早期に締結されて、米ソの両国が戦略核兵器の大幅削減を達成することこそ、問題を根本的に解決するゆえんのものだと考えておるわけでございまして、現在ジュネーブで行われております米ソの交渉が早期に妥結することを強く希望しておる次第でございます。  なお、SALTIIに関する我が国の見解については、本年四月ロウニー大使が訪日いたしまして、私のところにも参りまして、この機会をとらえまして米側に伝達をいたしておるところでございます。
  50. 久保田真苗

    久保田真苗君 この問題は、例えばイギリスはもともとこのSALTIIを守っていくということを何回も表明してきて、今回アメリカとの間で話し合いに入ると、こういうことなんですが、これについてどういうふうなやりとりがあったのか、外務省では情報をお持ちでしょうか。
  51. 林貞行

    説明員(林貞行君) 英国につきましては、先生指摘のような話がイギリスの外務省スポークスマンからあったということは承知しております。イギリスとしましては、両国間に軍備管理の何らかの枠組みが引き続き必要であると、このためにも適切な検証措置を伴った新しい合意が引き続き達成されることにプライオリティーを置くであろう、こういう趣旨のスポークスマンの話があったということを承知しております。
  52. 久保田真苗

    久保田真苗君 新聞報道ですけれど、オランダも今回この破棄に踏み切ったということについては遺憾の意を表明しております。私は、やはり日本の世論も、SALTIIというもう数少ない米ソ間の信頼醸成措置が非常に簡単な格好で踏みにじられてしまったということについて、非常に遺憾に思っていると思うんですよ。  確かに、根本的にはもっとよりよいそういう条約ができるということが非常に大事でございます、大臣のおっしゃるように。しかし、今あってこれまで何年間かそれによって両方がともかく核軍拡というものに一定の歯どめをかけてきた、そういうものがここで崩れ去るということは、大臣は遺憾だとはお思いになりませんか。
  53. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 先ほど御説明申し上げましたとおりに、現在ジュネーブで行われております米ソの交渉が早期に妥結することを強く希望いたしておりまして、この点は米側にも我が方の立場をいろいろな機会をとらえて伝えているところでございまして、具体的にというのでロウニー大使の例を一つだけ出したような次第でございます。先生お話については精神的にはまことに同じ考えを持っている次第でございます。  問題は、やはり実質的な検証の問題であるとか相互の信頼関係であるとか、そういう問題についてやはり専門家同士が具体的に米ソ両国が納得がいくということが大切でございますから、大変相互のそういう問題についての対話が実質的に行われることを心から期待している次第でございます。
  54. 久保田真苗

    久保田真苗君 これは実際にこのSALTIIの問題については、ことしになってから確かにいろんな情勢で怪しくなってきておりましたですね。それについていわゆる同盟国と言われる国にはこのことは協議なり通報なりがあったんでしょうか。そのことについて、協議あるいは通報があったかお答えください。
  55. 林貞行

    説明員(林貞行君) 一般的な形で通報を受けております。
  56. 久保田真苗

    久保田真苗君 よくわからないんですが、一般的な形とはどういうことですか。どういうやり方なんですか。
  57. 林貞行

    説明員(林貞行君) 先生御承知のとおり、今回のアメリカの決定と申しますのは、本年五月二十七日のレーガン大統領の声明の骨子に従ったものでございます。したがって、この声明というのが重要なわけでございますが、そこにおきまして、アメリカが今後とも最大限の抑制を働かしていくということを述べると同時に、先生さっき御指摘の百三十一機目以降のB52の配備に際しては追加的な核システムという代償をとらない、これはソ連の違反に対する適切な対応ということを言うと同時に、もちろんこの間にソ連が現状の是正、SALT違反という現状を是正するならば、これも当然考慮にするということを言っているわけでございます。この声明を出す過程におきまして、アメリカはニッツを西欧諸国に派遣し、また、先ほど来大臣がおっしゃってますロウニー顧問が日本に来るという形で協議が行われている次第でございます。
  58. 久保田真苗

    久保田真苗君 ともかくSALTIIというのは、いわゆる同盟国にとっても、また先方にとっても非常に重大な関心事でございますね。これが一つの軸になってきたというような性格のものだと思うんです。それが一方的な声明でもってこういうことがどんどん行われるということについて、やはり私どもは一応の警告を発すべきじゃないんでしょうか。いわゆる同盟国だからということですね。分担の増強、あるいはいろいろな意味アメリカは国防総省もいろいろなアドバイスをなさいますね。それによって私どもはいろんな措置をとらなきゃならなくなる。時には、私どもとしてはもうこれはとてもついていけないと思うこともありますけれども、そういう関係政府は持ってこられたわけなんですね。だけれども、こういう重大なことが一方的に起こってしまって、後からああと思うということでは、これじゃとても同盟国と言われるものでもないと思うし、もしよその国には言ったけれども日本に言わないということであれば、日本立場というものは非常に困ったことだと思うんです。  その点、大臣はこれについて全体的にどういう感じを持っていらっしゃるんですか。こういうやり方で事が進められて、国際政治の中での非常に重大関心事である核戦略の問題というのが一方的に進められていっても、日本はなおかつアメリカの戦略につき合っていけるものなんでしょうか、いかがでしょうか。
  59. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 日米間には安保条約が厳然として存在しておることは委員御承知のとおりでございます。この運用に関しましては随時協議をいたしておるわけでございます。  SALTIIの協定の問題につきましては、もう先ほど委員にお答え申し上げましたとおり、米ソ間の軍備管理の枠組みの一つとして一定の役割を果たしてきた非常に重要なものであるということは、もう委員指摘のとおりでございます。ただ、ソ連の軍備管理協定違反の状況、改善が見られない、こういう判断に基づいて米国が西側全体の抑止力維持の観点から今回の決定を行ったと我々は承知しておるわけでございまして、それなりに理解をいたしておるというのが我が方の立場でございます。  いずれにしましても、この問題につきましては十分な、双方の専門家同士が、検証措置を含めて、納得のいく形でこれらの問題についてさらに安定した、批准はされておりませんけれども、この取り決めが守られていくように努力すべきであると考えておる次第でございまして、現在ジュネーブで行われている米ソ交渉が早期に妥結することを心から期待している、これはしばしば我々が機会をとらえて申し上げているとおりでございます。
  60. 久保田真苗

    久保田真苗君 確かに、ソ連が違反しているんだと、アメリカは言っております。ですけれども日本がそれをそのままうのみにして、ソ連は違反しているからアメリカを理解するって、本当にそういうふうに言い切られてよろしいんですか。
  61. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 日本アメリカとは、安保条約を結んでおりますいわゆる日米安保条約上の同盟国であることは御承知のとおりでございまして、我々はその信頼関係に基づいてこの条約の運用をいたして、また、日本防衛、これにはいろいろ御議論のある方もあると思いますけれども、我が方の日本政府としてはそういう立場をとっておるわけでございますから、アメリカの今度とった態度についてはそれなりに理解をしているというのが私ども立場でございます。  しかしいずれにしましても、米ソ両国が相互の信頼関係、それにはやはりこれは非常に技術的な専門的な問題でございますから、軍事専門家同士で検証の問題であるとかそういう問題について十分話し合いをしていくべきである。それはジュネーブで行われている米ソの交渉というのがその中心的な役割を果たすのではないかと思っておるわけでございます。もちろん、レイキャビクあるいはウィーン会談それぞれ行われましたけれども、現在の段階ではジュネーブにおける交渉というのが中心的な役割ではないかと考えている次第でございます。
  62. 久保田真苗

    久保田真苗君 大臣、私は日本外交イコール日米安保条約じゃないと思うんですよ。安保条約は確かにあります。でも、日本が独立国として日本外交を行う上において、安保条約があるから、だからアメリカの言っていることは信頼するんだというんでは、外務省はないも同然じゃないでしょうか。もし仮に、ソ連がそういう違反をしているということについてアメリカがそう言う、そしたら、それをまず第一に、こういうエスカレートを食いとめるということにおいて日本は何にも役割を果たせないんですか。例えばソ連に説明を求めるというようなことは、日本立場ではおできにならないんですか。
  63. 林貞行

    説明員(林貞行君) 日米それから日ソ、いろいろな協議の場があるわけでございますが、例えば日ソの話し合いにおきまして、SALT違反の問題をアメリカが非常に懸念しているということを私どもから伝えたことがありますが、それに対して、私の承知している限り、ソ連からは何ら返答をいただいておりません。そういう次第でございます。
  64. 久保田真苗

    久保田真苗君 もしこの問題について防衛庁長官の何か御意見がありましたら、どうぞおっしゃってください。
  65. 岩本政光

    委員長岩本政光君) ないそうです。
  66. 久保田真苗

    久保田真苗君 それじゃ外務大臣、端的に伺いますけれども、今百三十一機目ができたんですね、できちゃったんです。それで、破棄されたんです。そうしますと、根本的な将来的な願望はそれはもう伺いました、今さしあたり日本外務省はこの事態に対して何かをなさるんですか。私は何かやっていただきたいと思うんです。少なくともイギリスは協議を始めた、そういうことでございましょう。日本外務省も反対するなり、あるいは遺憾の意を表明するなり、そういうことがとてもおできになりそうもないですね。  それじゃ一体こういう状態をどうやっていくのか。要するに東西の両横綱が土俵に上がっていて、それをこちらは同盟国だからといって、ただやれやれと応援するだけじゃ困るんじゃないんですか。     〔委員長退席、理事亀長友義君着席〕 そういうことだったら、とても平和的な解決ということは望めないんじゃないんでしょうか。平和的解決をするのは外交なんじゃありませんか。その外交の役割というものがもう少し積極性がないことには、これはもう受け身でやっていく、結局冷たい戦争が激化するほど産軍複合体がありがたがるという、そういうコースをたどっていってしまうんじゃないんでしょうか。私はぜひここで、やっぱりこういうことがあったのをただ傍観しているというようなことではなく、これについて何か外務省は、これの歯どめを早くにかけていくような措置をとっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  67. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 私が申し上げておりますのは、今回のアメリカのとった立場はそれなりに理解しておると申し上げたわけでございまして、このSALTII、米ソ関係の軍備管理交渉につきましては、今後とも西側の安全保障という見地から米側と協議を随時続けてまいりたい。先生のおっしゃった趣旨を踏まえまして我々は当然そういう米側と話し合っていく、世界の平和を希求する日本として当然のことだと思いますから、今までもやっておりますが、さらにそういう精神で努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
  68. 久保田真苗

    久保田真苗君 それでは、これから協議しておいでになるというふうに承りまして、どういうふうにやっていただけるのかまた改めてお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。  それから次に、この間もちょっと伺いましたアメリカの対イラン秘密武器供与の件なんですが、これはその後大分発展がございまして、とうとう大変イランに高い物を売って、その上乗せ分がニカラグアの反政府ゲリラのコントラに流れていたというようなスキャンダルに発展しております。また議会でも、コントラに流れていたのは、実は議会で、レーガン大統領議会に対して増額を要求していたニカラグア反政府ゲリラへの援助の問題がさんざんもめているときにそういうことが行われていた。ところが、結局そのことに関連して大統領はそこまで御存じなかったというふうに報道はされているんです。  ただ、そういうことになりますと、実際これはアメリカ議会が自分で追及しておられますからそのうちに明らかになると思いますけれども、私ども日本の、あるいは外国の立場から見ますと、アメリカの外交というものは、一体だれが動かしているのかということについて非常な疑念が生じざるを得ないのですね。全体的にこの成り行きについて大臣はどうごらんになっていらっしゃいますか。
  69. 倉成正

    国務大臣倉成正君) アメリカの外交政策あるいは国内事情等について私がとかく批評を加える立場にはございません。したがいまして、これについての見解は、ただいまアメリカ国内でいろいろ検討されていることでございますから、私からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、日本といたしましては、さまざまの機会をとらえまして、イラン二国間の関係や国際情勢について意見交換を行ってきたことは事実でございます。このようなイランとの意見交換の際に、レバノンにおける米国人人質問題にも触れたことはございますけれども、これは、人質問題への言及は、我が国独自の立場からのイニシアチブによって人道的見地から行われたものでございまして、いわゆるアメリカ・イラン間の秘密交渉とは全く無関係でございます。  我が国はこの秘密交渉や米国の対イラン武器供与には全く関与しておりません。したがって、先般イラン及び米国より公表するまでは、この事実は全然知らなかったというのが事実でございます。(「じゃ、何で密使を送ったんだ」と呼ぶ者あり)
  70. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうなんですよね。この件は、この間決算委員会でお伺いしたんですが、結局全く関係がないとおっしゃる。そして全く人道的な見地からおやりになったんだけれども、その裏ではこういうことが行われていたわけですね。そうすると外務大臣としては、御自分の時代にやられたわけではないけれども、結果を見れば一抹の感慨なきにしもあらずだろうと思うんですね。それで、この密使を送られたということについて、この間、伺い漏れしたことをもうちょっと伺いたいと思うのです。  まず、二人の密使を送られましたね。その方のパスポートはどういう種類のパスポートだったのでしょうか。
  71. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) いずれの場合も外交パスポートでございます。
  72. 久保田真苗

    久保田真苗君 失礼、ちょっと……
  73. 亀長友義

    ○理事(亀長友義君) 明瞭に発言してください。
  74. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) いずれのケースについても外交旅券を発給しております。
  75. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、当然外交官になられたわけですね、お二人とも。その外交官としての官職名は何だったのでしょうか。
  76. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) 中山特使に対して外交旅券を発給いたしました理由は、外交官に任命したということではなくて、大使がちょうど九月にシリアで予定されておりました「日本週間」というのがございまして、その際に日本から派遣されます親善使節団の顧問に予定されていたこともありまして、あるいは中東調査会の理事長ということで、中東地域についても非常に造詣が深いということで、一つにはシリアの「日本週間」についての準備をしていただくということ、それからイランにつきましては、中東調査会の理事長としてあるいは中東問題に造詣も深いということから、先方の政府と種々な意見交換を行う上で非常に適任な方であるということで旅券を発給したと思います。
  77. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうすると、その方の肩書は大使ですか。
  78. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) 元大使であると思います。
  79. 久保田真苗

    久保田真苗君 外交旅券というものはどういう場合に発給されるんですか。
  80. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) 国際法の立場と国内法の立場とあると思いますが、国際法的に申しますと、外交旅券というのは、通常、外交的な任務あるいはその国の重要な立場にある方々に対して出されることを通例といたしますけれども、国際法上外交官でなければ外交パスポートを発給してはいけない、外交パスポートを持っている人間はすべて外交官であるというような規定はございません。  国内法の問題につきましては、突然のお尋ねでございますので私今関連法規を手元に持っておりませんけれども、それぞれの国内法上の規則、慣例等に従って我が国の独自の判断において発給する、こういうことになると思います。
  81. 久保田真苗

    久保田真苗君 でも、外交上の特定の任務を持っておられるわけですよね、外交旅券を使われるからには。そうでなければ、仮にその方の身分が公務員であっても、それは公用旅券になるはずですね。外交旅券で、そして旅費についてはどこから出たわけですか。
  82. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) ただいまおっしゃいました外交上の任務といいますのは、先ほどもちょっと触れましたけれども、シリアにつきましては、シリアの「日本週間」についての準備、打ち合わせをシリア政府との間で行うということでございまして、さらにイランにつきましては、その機会にイラン政府との間で二国間問題及び国際情勢について種々意見交換をしていただくという二つの任務でございます。それから、旅費につきましても外務省から支給しております。
  83. 久保田真苗

    久保田真苗君 藤尾前政調会長の場合は、これはどういうお扱いになっていましたですか、タイトルですね。タイトルとか、それから任命権者はどなただったのでしょうか。
  84. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) 藤尾会長の場合には、日本イラン議員友好連盟の会長としてイラン政府の招待に基づいて行かれたものでございます。
  85. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういう場合、外交旅券が発給されるのが通常ですか。
  86. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) これも、この機会にイラン政府との間に二国間問題及び国際情勢につきましてイラン政府のハイレベルと意見交換をしていただくということが、我が国の外交上非常に有意義であるということを認めた上で外交旅券を発給した次第でございます。
  87. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうすると、議員連盟の仕事というだけでなく、外務省からの特命事項があったというふうに見てよろしいわけですね、つまり。
  88. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) ただいま申し上げましたとおり、日本・イラン両国間の関係、特にこれはラフサンジャニ議長の訪日以来急速な発展を遂げておりまして、そういった問題についての意見交換及びイラン・イラク紛争を含めて国際情勢の広い問題について意見交換をしていただくということでございます。
  89. 久保田真苗

    久保田真苗君 その場合、外交旅券に関連して、例えば外務事務官にするとかそういうことがあるわけでしょう。そういう一種の辞令のようなもの、あるいはそれにかわるものが外交旅券の発給に伴ってあるのではありませんか。
  90. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) 外務事務官の併任等の任命行為は行っておりません。
  91. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうすると、その場合も外務省の旅費で行かれたと、こういうことですね。
  92. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) これは、先ほど申し上げましたとおり、日本・イラン関係及び国際情勢についてイラン政府の上層部との間に幅広い意見交換をしていただくということが日本の外交上非常に有意義であるとの判断に立ちまして、外交旅券の発給のみならず……  失礼しました。藤尾会長の場合には、旅費については外務省は支給しておりません。
  93. 久保田真苗

    久保田真苗君 私こんな細かいことを幾つも伺いたくはないんですけれども、どうもさっぱりわからないんです。なぜこういう非常に重要なことをなさるのに外務省の方がなさらなかったのか、そしてちゃんと公式の立場でおいでにならなかったのか。確かに外交旅券を発給されている、旅費も外務省予算負担している、こうなりますと、これは公式だと見てよろしいと思うんですがね。なかなかそこのところを、この前もなぜ外務省が公式にこれをおやりにならなかったのか、そのことがちっとも明らかにならなかったんですね。
  94. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) 日本・イラン関係の問題あるいはその他国際情勢につきましては、この二人の方のみならず外務省からも従来から、八三年の安倍外務大臣のイラン、イラク両国の訪問を初めといたしまして、外務審議官それから現在の局長も既にイランには三回ほど行っておりますし、極めて頻繁にイラン政府との間でいろいろなレベルで意見交換をいたしております。
  95. 久保田真苗

    久保田真苗君 要するに、これは余り表面に出てこずにおやりになったことなんですがね。どうして、それならばなおさらのこと、外務省の正規の外交官が対応なさらないで中山さんとか藤尾さんとかそういう方をお頼みになったのか、そこのところはどういうわけなんでしょうね。
  96. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) 中山元大使につきましては、先ほど申し上げましたとおり、去年の九月でございますけれども、その時点でシリアで「日本週間」が開催されることが予定されておりまして、それの顧問になっていただくことになったわけですけれども、それの準備のためにシリアに行かれるという機会を利用いたしまして、イランにも行って意見交換をしていただくということでございます。  藤尾会長につきましては、これも先ほど申し上げたのでございますけれども日本イラン友好議員連盟の会長ということでイランを訪問いただいたわけでございます。
  97. 久保田真苗

    久保田真苗君 橋渡しについて失敗したという評価が出ておりますけれども、これは外務省としてはどういうふうに評価なさるわけですか。
  98. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) 橋渡しという趣旨が必ずしもはっきりいたしませんけれども日本・イラン関係につきましてはこの二、三年非常に順調に発展しておりますし、いろいろな問題はございますけれども、そういう意味では、いずれの訪問も非常に意義があったものと考えております。
  99. 久保田真苗

    久保田真苗君 一般的な日本・イラン関係お話をしているんじゃございませんね、もちろん。アメリカの人質を解放するようにイラン政府影響力を行使するということを頼まれた、そのことについての結果はどういうことだったのかと伺っているわけです。
  100. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) 人質の解放につきましては、先ほど大臣からも御説明がありましたとおり、日本独自の立場から、かつ人道的な見地からレバノンのシーア派に対して影響力を有しているイラン政府に対して、人質の解放に向けての働きかけを要請したものでございまして、これについては特に失敗したという評価とは考えておりません。
  101. 久保田真苗

    久保田真苗君 失敗したということじゃなくて成功したということであると、例えば橋渡しの内容が、今結果的ですけれども、こうやって考えてみると、そうすると多分一定の条件を出せばそれは成功するんだというようなそういう橋渡しをしたんじゃないかという、そういう疑いが……。
  102. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) これはアメリカとイランの間を日本が仲介をしたとか、あるいは日本が人質問題をめぐってイランと交渉したということではなくて、あくまでも日本が人道的な見地から一方的な働きかけをやったということでございますので、その結果についてそれが失敗したとか成功したとかいうような性格のものではないと考えております。
  103. 久保田真苗

    久保田真苗君 お二人の密使はお帰りになって公式に外務大臣に報告をされたのですか。
  104. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) これは二人のイラン訪問につきましては外務省で種々準備、お手伝いをさしていただいておりますので、帰られた結果につきましては報告をいただいております。
  105. 久保田真苗

    久保田真苗君 私にはどうも、こういう重要な事柄に関して、そしてしかも秘密を要することに関連して、どうして外務当局が自分でもってはっきりとしたやり方外務省の方でおやりにならなかったのか、その辺がはっきりわからないんですね。しかも外交旅券ではあるんだけれども、いろいろな要務に兼ね合わせてそういうふうに行かれた、そして首相の親書をお持ちになったと、いろいろなことが重なっておりますので、そしてこれが今非常に国際世論の批判を浴びるような結果がアメリカで出ておりますので、私はこういうことはやはり余りあいまいな形でおやりになる筋のことじゃないんじゃないか、こう思うわけです。    〔理事亀長友義君退席、委員長着席〕
  106. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) 先ほどの繰り返しになりますけれども、人質解放問題につきましてのイラン側に対しての働きかけは、このお二人の方がイランを訪問されたときに限らず、いろいろなレベルで先ほどイランとの対話が行われているということを申し上げましたけれども、ほかのチャンネル、ほかの機会におきましてもイラン側に対して同様の働きかけをやっていたわけでございます。ただ、このお二人が行かれた機会にもこれは一つのいい機会だということで、その機会に同様の働きかけを繰り返したということは事実でございます。
  107. 久保田真苗

    久保田真苗君 今もうこれはあからさまになったことでございますから、外交旅券で行かれたからには、その方たちがどういうお仕事をしてこられたのかということを状況に応じて私はやっぱり説明していただく必要があると思う。もちろん外務省は御報告をお受けになっているでしょうけれども国会に対しても説明していただく必要が出てくるかもしれませんので、そのときはそういう対処をさしていただきます。  次に、簡単にお伺いしたいんですが、日朝漁業協定の問題なんです。これは民間ベースでやっていることなんですけれども外務省としてはこれどういうふうに関与なさり、また、どういう結果をもたらしたいと思っていらっしゃるのか、そこのところをちょっとお聞かせいただきます。
  108. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) ただいま御指摘の日朝民間漁業暫定合意でございますけれども、本年末をもって期限が到来いたします。昨晩、本件にも関連をいたしまして平壌を訪問されました議員連盟及び漁業関係方々日本に帰ってこられました。いろいろ北朝鮮側とお話し合いをなさってお帰りになりましたので、私どももその結果を伺わせていただこうと思っておりますけれども、まだ詳細伺う機会を得ておりません。私どもが承知しておりますところでは、今回の話し合いにおいては、この漁業問題につきましては合意を見るに至らず、さらに意見の調整の必要があり、双方が再延長のために引き続き努力することになったというふうに承知をいたしております。  委員が第二点で言及なさいました政府としてどういう態度かという御質問でございますが、政府といたしましては、本件につきまして国会におきましても御議論があった際に申し上げておりますところですが、民間レベルにおきまして円滑に話し合いがまとまりまして、我が国の漁船の当該水域におきます操業の継続と安全の確保が図られれば非常に結構なことだということで円満な妥結を期待をしているということでございます。  どのような関与をしているかという点につきましては、民間の関係の方から私どもあるいは水産庁等にいろいろ御相談を受けます場合に、私どもからいろいろ御助言を申し上げているというのが関与の態様でございます。
  109. 久保田真苗

    久保田真苗君 民間ベースだから政府としては助言をしていらっしゃる、こういうことですね。  それで実際問題として、短くやりますけれどもアメリカに対しては二百海里内四十七億円の入漁料を支払いましたですね。ソ連に対しても公海上のサケ・マスに漁業協力金というのを三十五億円支払っておりますね。こういう状態の世の中の中で北朝鮮の方から入漁料を支払ってもらいたい、そういう話が来たということも今の情勢から見るとまことに無理がないような感じを持つんですけれども外務省としては、この辺は助言のもとになる認識だろうと思いますのでお伺いしたいと思いますが、何らかの御認識をお持ちでしょうか。
  110. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) これは委員もよく御存じだと思いますが、北朝鮮との漁業暫定合意におきましてはこれまでは入漁料は支払っていないという状況が続いてまいりました。ただいま御指摘のとおり一カ月ぐらい前だったかと思いますけれども、貿易の関係で北朝鮮を訪問されました方のお話ということで、本邦紙におきまして今御指摘のような入漁料の問題が提起されたというような報道がございました。私どももその報道で承知をいたしまして、関係方々にもお話を伺ったりいたしました。  他方、今般、訪朝されまして昨晩お帰りになりました久野団長以下日朝議連の先生方は、この入漁料の問題について別のお考えをお持ちというふうに承知いたしておりますし、本件も関係者の方々が今回及び今後引き続いて先方とお話し合いになる内容のことかと思いますので、まだ今回のお話の模様の詳細も伺っておりませんし、実際に先方がどういう態度を示されたのかということもわかりませんものですから、今の段階では私どもから本件について発言を申し上げるのは適当ではないんじゃないかと思っております。
  111. 久保田真苗

    久保田真苗君 社会党はいつもこれは入漁料を取らない方で口ききしてきたのですけれども、最近累積債務が、朝鮮側の債務が非常に焦げつきまして、これが一つ日朝の経済関係について問題になっておりますね。そして、こういう情勢だもので、私どもとしても一体これをどういうふうに考えるべきかということを思っているわけでございます。朝鮮の方からこの累積債務の返済について、朝鮮がとったスケソウダラ、かまぼこ等の原料になるスケソウダラを輸出して、その代金で債務を弁済さしてほしいという申し入れがあったわけでございますね。その点はどういうふうにお聞きになっていらっしゃいますか。
  112. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) 本件も私ども直接に伺ったということではございませんで、委員が御指摘のような報道は承知いたしておりますし、それから、貿易の問題で北朝鮮を訪問された我が方の関係者との間で一つのアイデアみたいなことでそういうお話が出たということも間接的には伺っております。直接御相談を受けたということはございません。  本件スケソウダラ云々について政府としてはどうなのかという御質問でございますと、そういうことで正式に伺ったお話でもないものですから、私どももまだ水産庁その他関係の省と御相談をしているという状況にはございません。御承知のように本件については、輸入の問題もありますし、我が方の漁民の問題もございますので、いろんな検討しなきゃならない問題があるということだけを今の段階では申し上げておくのにとどめたいと思います。
  113. 久保田真苗

    久保田真苗君 わかりました。そうしますと、今の段階ではまだ情報が十分でないということだけれども、これはやっぱり日本の漁民にもそれから業界にも関係のあることでございますので、ひとつ関係者からよく事情をお聞きになっていただきまして御対処をお願いしたいと思います。  栗原長官、済みません、私こちらのことに時間を使っちゃって。国土庁等にちょっと午前中のお約束があるので、三原山をちょっとやらせていただきます。  三原山の件は、第一次の帰島がゆうべからけさにかけて行われまして、一段階踏み越えたんですけれども、私が国土庁にお伺いしたいのは、今度いろいろな経験を私どもいたしました。それで、今回の経験から全体的にどういうことを学んだかといいますか、そこのところをちょっと今の段階でお聞かせいただけますか。
  114. 竹本直一

    説明員(竹本直一君) 御説明申し上げます。  今回の災害は、現実にハードな面での被害というのは余り出ておりませんで、一万人という大勢の方が短時間のうちに避難されたということでございまして、これほど大勢の避難が短時間のうちに行われたということは極めてまれなことであろうと思っております。  ところが、島民の方はやはり生活もかかっておりますし、いつまでも長くおれない。しかし、島の安全について科学者の判断も待たなきゃいけないということで、今東京都の災害本部を初めとして、我々政府としても、一日も早い帰島を望んでいる皆様方にできるだけおこたえできるような方策はないものかと、いろいろ検討しておるところでございます。
  115. 久保田真苗

    久保田真苗君 一つは、大島現地の観測体制というものがこれで十分なのかどうかということなんですね。昔、大正三年に活火山である桜島が爆発しましたときに、大変現地の方はいろいろなことを学ばれたと。これは地鳴りとか鳴動、地割れなどが頻繁に起こって、噴火を心配した村長が鹿児島の気象台に事情を説明したけれども、噴火のおそれはないという回答だった。その結果が、大爆発が起こって人畜に被害が出た。そして、村長が村民に残した言葉、それが今石碑になっているということなんです。島民は科学を信じないでみずからの判断によって身を処すべし、という非常に貴重な教訓を残されたんです。  私がこういうことを申し上げますのは、今のデータ予知というものが、何か今ごろ病院に行っていろいろな検査をするけれども、どうも時間はかかるけれども余り直接的な納得のいく診断が出ないというようなのと同じで、データでもってやっているだけなんじゃないかなと、私はどうもそういう感じを受けているんです。私が間違ったら失礼いたしますけれども、現地の観測体制というのは多分もっと大事なんじゃないかと思いますが、その辺どういう認識をお持ちでしょうか。
  116. 平井清

    説明員(平井清君) お答えいたします。  伊豆大島におきましては、気象庁の大島測候所がございまして、現地で観測を行っております。また、火山情報も出すということになっておりますが、東京大学の火山観測所も現地にございます。そのほか防災センターでありますとかいろいろな機関もございます。こういう機関と非常に連絡を密にいたしまして、情報交換を行いつつ、今まで火山情報というものを出してまいったわけでございます。そういうことで、現地の情報というものを大変大事にいたしてやってまいったつもりでございます。
  117. 久保田真苗

    久保田真苗君 余り詳しくあれする時間なくなったんですけれども、例えば現地の測候所長さんが噴火を警告していたんじゃなかったかと思うんです。だけれど、そのときにはそれはローカル情報のような形で扱われてしまって表には出てこなかったと思うんですが、そういう意味で現地情報というのが本当にこれが真剣に取り上げられているのかどうか、そこのところを私ちょっと心配いたしますのですが、どうなのだとお思いでしょうか。
  118. 平井清

    説明員(平井清君) 実は気象庁が責任を持っております火山情報を出すということにつきましては、従来とも地元の測候所、この場合は大島測候所でございますが、そこが出すということになっておりまして、もちろん難しい点については本庁ともいろいろ相談をいたしますけれども、地元が出すという建前で今までやってまいったわけでございます。  ただ、現在におきましては、一時、測候所の引き揚げというようなものもございましたので、現在はもう全部現地に復帰いたしておりますけれども、一時的にそういう機能が停止いたしましたので、その段階で本庁が当分の間火山情報は出すということになっております。現地の態勢が整い次第また現地で出すということに戻すつもりでございますので、その点は御心配ないかと存じます。
  119. 久保田真苗

    久保田真苗君 新聞投書にもいろいろ出ていますね。例えば、海水が変色したのはそれこそフロッグマンでも雇って、実際にそれはただの割れ目なのか火山性なのか調べたらいいじゃないかというような投書がいっぱい出ていますので、私もその方たちとともにこれから実際そういうものがもう少し調べられないものかどうか、そのことをお伺いしたいんですけれども、今ちょっともう時間がなくなりましたから次の質問に移ります。  そうしまして、体育館なんかの状況を拝見しておりますと、あれじゃやっぱり何日もとてもいられませんですね。そこへ一万人からの方たちを一挙に持ってこられたわけなんですけれども、これについて例えば都営の空き家とか、そういうようなもうちょっとましな仮住まいの手当てというものはできないものなんでしょうかどうなんでしょうか。今からでもそのお考えはありますか。
  120. 竹本直一

    説明員(竹本直一君) 島民の方の帰島というのが長くなるのか、あるいは比較的短時日のうちに帰島できるのか、その辺まだ定かでございませんので、もし長くなる場合にも備えてそういった住宅の検討もいたしておりますが、仰せのとおり、都営住宅等も多少空き家等もあるように聞いております。
  121. 久保田真苗

    久保田真苗君 それから、例えば公的な宿泊施設とか、どのくらい収容できそうなんですか。
  122. 竹本直一

    説明員(竹本直一君) 公営住宅ですと千五百戸ぐらい利用できるものがあるというふうに聞いております。そのほか、民間の社宅とかいろいろ借りれば利用できるものもあるというふうなことも聞いております。
  123. 久保田真苗

    久保田真苗君 ともかく、ちょっと今の状態は無理ですね。本当に何日も過ごせない。特に、お年寄りなんかを連れてきていて本当に大丈夫なのかしらと、そんな感じがしますので、よろしくお願いします。  それから、緊急的な避難という体制はこれからもっと強化なさるおつもりでしょうか。つまり家畜のえさが非常に心配になってしまって、都庁の職員の方が慣れない手つきで家畜にえさをやっていらっしゃる。だけれど、地元の住民の方は、こっちへ指示でもってもう例外を除いて連れてこられたわけですね。そういたしますと、緊急避難の体制ができていれば何も住民の方でごくごく必要な方というのは家畜のために残るということがおできになるんじゃないか。その体制が必要なんじゃないかと思いますが、そこのところを一言。
  124. 竹本直一

    説明員(竹本直一君) 家畜の世話とか、あるいはハウス園芸等のいろいろな手当てとか、当然必要でございますので、そういったことを行うために東京都、大島町では基幹的要員を既に島へ一日に帰しておりまして、そういった人たちが島の生活に最も基本となるようなことについてのお世話を当面やる。加えまして、島へ帰って自分の家畜を自分で見てみたい、あるいは自分の家を見てみたいという方々のために、昨日から、けさお着きになりましたですか、一世帯に一人ずつ、四回に分けて約四千名の方でございますが、日帰りの一時帰島をされるように措置されつつございます。
  125. 久保田真苗

    久保田真苗君 何かあったときにそういう方たちが緊急に避難する手配、これはよろしいわけですか。それはできている、こういうことですか。
  126. 竹本直一

    説明員(竹本直一君) お答えいたします。  島の周辺に防衛庁あるいは海上保安庁等の船を待機させておりまして、いざというときには、現在島にいる方がすぐにでも船に避難できるような体制をとっております。
  127. 久保田真苗

    久保田真苗君 わかりました。それじゃどうぞよろしくお願いします。  次に、防衛二法の方に移ります。  初めに、自衛隊法の九十五条を先にやらしていただきますけれども、今回ここに「船舶」「有線電気通信設備、無線設備」こういうものが新たに追加になりましたけれども、実際問題としてこれは非常に範囲が広いんじゃないかと思うんです。それで、具体的にどういう設備が武器の使用できる防護の対象に加わったのか、主なものについて数字などを挙げながら御説明いただきたいと思います。
  128. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) それでは、私の方から最初に種類等を申し上げて、後ほど関係政府委員から数量等について申し上げたいと思います。  まず最初に「船舶」の方でございますが、これは当然のことながら自衛隊の使用する船舶でございまして、具体的には護衛艦、潜水艦、掃海艇、輸送艦、海洋観測艦等の自衛艦、それからこれら自衛艦の出入港の支援等を行います支援船等が「船舶」に含まれるわけでございます。  それから次に、「有線電気通信設備」でございますが、これは自衛隊の設置、管理、運用をいたします有線電気通信を行うための電気的設備でございまして、例えば有線電話機、電話交換機、それからケーブル等がございます。  それから自衛隊の「無線設備」でございますが、これは自衛隊の設置、管理、運用をいたします電波を送り、または受けるための電気的設備でございまして、例えばレーダー、無線送受信機、無線中継装置等がございます。  その他の具体的な数量については、他の政府委員から御答弁申し上げます。
  129. 鎌田吉郎

    政府委員(鎌田吉郎君) まず、船舶についてでございます。海上自衛隊が持っております自衛艦でございますが、現在百六十五隻ということになっております。このうち、護衛艦、潜水艦あるいは駆潜艇、魚雷艇、こういったものにつきましては、従来から武器に該当する船ということで「武器」と読んでおったわけでございます。したがいまして、それらを除いたものが今回防護対象に追加される、こういうことになるわけでございます。そのほかに、海上自衛隊の支援船その他ということでございますが、曳船、水船、油船、交通船等々約三百二十隻程度ございます。  次に、「有線電気通信設備」並びに「無線設備」でございます。自衛隊が持っております有線電気通信設備、無線設備は非常に膨大な数に上がるわけでございまして、正確に申し上げることはなかなか難しいのでございますけれども、主要なものといたしましては、防衛マイクロ回線の中継所といたしまして約六十カ所、航空自衛隊のレーダーサイト二十八カ所、OH通信用中継所が約三十カ所等がございます。また、各駐屯地、基地には多数の有線電気通信設備、無線設備があるのが現状でございます。
  130. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、九十五条で言うこの「船舶」ですが、もう一度おっしゃっていただきたいんですが、この「船舶」は何を指すんですか。
  131. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 先ほどもお答えをいたしましたように、自衛隊の使用する船舶ということでございまして、具体的には護衛艦、潜水艦、掃海艇、輸送艦、海洋観測艦等の自衛艦でございます。それから、その自衛艦の出入港の支援を行いますための支援船等がその「船舶」に入るわけでございます。
  132. 久保田真苗

    久保田真苗君 ありがとうございました。  そうすると、自衛艦を支援する船舶なんですが、これは今度新たにつけ加えられたので、これが改正になる前に、なかったときには、自衛艦については、これを「武器」の中にお読みになっておりましたですよね。そうじゃございませんか。
  133. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) ただいま御指摘ございましたように、武器を搭載いたしております例えば護衛艦、潜水艦等につきましては、従前「武器」で私どもの方としては読んでおるということでございます。
  134. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、今度の「船舶」は「武器」からこっちへ移ってきたというふうに理解するわけですか、自衛艦につきましては。
  135. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 論理的には両方に該当するというふうにお考えになってよろしいかと思いますが、種別には船舶。ただ、武器を搭載しておりますので、その限りにおいては「武器」としても読めるというふうに考えております。
  136. 久保田真苗

    久保田真苗君 私は、この「船舶」というのは、武器を搭載してない船舶のことかと思っていたんですよ。というのは、従来「武器」の中でお読みになっていたからなんです。そうじゃなくて、この「船舶」は、一切の艦船を含む、こういうふうにお変えになるわけですか。
  137. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 従前、船舶というような規定の仕方をこの九十五条ではいたしておりませんので、今回九十五条の改正によりまして「船舶」を加えていただくという内容としましては、ただいま御指摘がありましたような、従前「武器」で読んでおりました自衛艦、武器を搭載いたしました自衛艦は当然「船舶」でもございます。  ただ、今回特に「船舶」としてお願いする理由といたしましては、武器を搭載しない例えば海洋観測艦でございますとか潜水艦救難艦、こういった非常に重要な船種もございますし、あるいは後方支援等に携わります、出入港の支援を行います支援船等、これも非常に重要でございますので、私どもとしては「船舶」という範疇をこの中へ加えていただいて、そのようなものを防護の対象として防護できるようにしたい、こういうことで改正をお願いをしておる、こういうことでございます。
  138. 久保田真苗

    久保田真苗君 この有線、無線の方は、主なものはさっき箇所数をお挙げになったんですけれども、そのほかに、一般的な有線、無線設備というと大変範囲が広いように思うんです。それで、無線局とかそれから携帯用の無線というのもありますんでしょう。こういうものは一体数はどのくらいあるのか、ちょっと参考に教えていただきたいんですが。
  139. 鎌田吉郎

    政府委員(鎌田吉郎君) 自衛隊の持っております有線電気通信設備、無線設備でございますが、これはなかなか区分が難しいのでございますけれども、無線設備に一応該当するものというものの数を挙げてみますと、まず電波法の適用を受けまして郵政大臣から承認を受け開設いたしました無線局がございます。これは、例えば防クロ、防衛マイクロ回線のために開設いたしております固定局、あるいは地上から船舶への通信のために開設いたしております海岸局、さらにまた、地上から航空機への通信のために開局いたしております航空局等、約七百局あるわけでございます。  それから、防衛庁長官が郵政大臣から周波数の承認を受けまして開設したレーダーあるいは移動体の無線設備があるわけでございます。この中には、例えば船舶に開設いたします無線局、航空機に開設いたします無線局、それから、ただいま先生からお話がございました移動用のレシーバー等が含まれるわけでございますが、移動中または特定しない地点に停止中運用する無線局、あるいは各種レーダー等々ございまして、これが約三万局あるというのが実情でございます。  それから有線電気通信設備でございますが、自衛隊は全国に大小多数の基地、駐屯地を御案内のとおり配置しておるわけでございまして、そこには種々の部隊等が置かれまして、それぞれ外部等と連絡をとるために必要な有線電気通信設備が多数存在しておるわけでございます。一般に有線電気通信設備には、各種の交換機を初めといたしまして、卓上に置かれます個々の電話機やファクシミリ等の端末装置、さらにまた、そういったものを結ぶための多数のケーブル等が含まれ、かつ、これらが有機的に結合されておるわけでございまして、有線電気通信設備の数を一々挙げるのはなかなか困難でございます。ただ、例えば電話機について申し上げますと、現在自衛隊が専用に使っております電話機は約十万弱というような数字になるわけでございます。
  140. 久保田真苗

    久保田真苗君 電話機というと、どこにでもあるものなんですね。そうしますと、これが武器等の防護に入るということは、これはなかなか大変なことですね。おっしゃったように、何かもう途方もない数ですね。そしてこの電話機は、普通私たちの事務所にもあるようなああいうNTTの電話機、あれを自衛隊でもお持ちでしょう。そういうものもこれは勘定に入れるわけですか。
  141. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) NTTの電話機でございますが、先ほども申し上げましたように、今回お願いをしております有線電気通信設備は、あくまで自衛隊が設置、管理、運用するという前提でございまして、通常、市中の電話線として入っておりますNTTで管理いたしております電話機等については、入らないというふうに考えております。
  142. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  143. 岩本政光

    委員長岩本政光君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  午前の質疑に対し答弁が残っておりますので、まず答弁を求めます。
  144. 鎌田吉郎

    政府委員(鎌田吉郎君) 先ほど申し上げました電話機の数でございますが、あれは自衛隊がみずから設置、運用、管理しているものの数でございまして、そのほかにNTTの加入電話が外数といたしまして約千ございます。
  145. 久保田真苗

    久保田真苗君 午前中の九十五条の「船舶」の定義なんですけれども装備局長のさっきの御答弁では、たしか武器を有する船百六十五隻を除いた三百二十隻が船舶であるとお答えになったように記憶するんですが、この点を確認したいと思います。
  146. 鎌田吉郎

    政府委員(鎌田吉郎君) 実はそういうことではございませんで、もしそういうふうにお受け取りになったとしたらおわびを申し上げなければいかぬと思いますけれども、私が申し上げましたのは、自衛艦が百六十五隻ございます。その自衛艦の中に従来武器に該当する船舶とされていた護衛艦、潜水艦等が含まれているというふうに申し上げたわけでございます。そのほかに支援船等があるということでございます。
  147. 久保田真苗

    久保田真苗君 船舶の定義について、これはちょっと従来武器というふうに見てこられた自衛艦なんですけれども、今回、さっきお挙げになったものの中に、自衛艦を船舶の中に含めておいでになるわけです。この点について法制局はどういうふうにこれを解釈なさつていらっしゃるのか伺いたいと思います。
  148. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) 九十五条に規定しております「船舶」並びに「武器」の概念は、この用語の概念自体は別でございます。ただ、その特定の物件がそのいずれに当たるかということになりますと、先ほどから防衛庁からいろいろ答弁がありますように、特定の武器を搭載している自衛艦は「船舶」にも当たり、また「武器」にも当たる、こういう関係になる次第でございます。
  149. 久保田真苗

    久保田真苗君 私は、従来の御答弁は艦船を「武器」というふうに見ておいでになった、それは非常に苦しい解釈だったと思うんですよね。苦しい解釈であったし、なおかつ武器を搭載しない船舶もこの対象に入れたいということで「船舶」という項を設けられたわけでしょう。そうしますと、さっき官房長が船舶の内容としてお挙げになった自衛艦のところ、自衛艦がこの「船舶」の中に入ってくるというふうに見るのが一番自然だと思うんですね。そして、この従来の苦しい「武器」と言っていた概念からは、その自衛艦そのものは武器の範疇ではなくて船舶に移ったと見るのが私は正しいと思うんですね。  そういうふうに解釈いたしませんと、そのときそのときの御都合でどちらにでも解釈なさるというようなことでは、事がこれを防護するための武器の使用に関することでございますからそういう勝手な御解釈では甚だ困るんで、今私が述べましたような解釈になるのかどうか、それをちゃんとしていただきたいと思うんです。防衛庁どうでしょう。
  150. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 御指摘の点につきまして私どもも種々検討をいたしたわけでございますが、やはり九十五条の従来からの規定ぶり等を勘案しましてこのような規定の仕方をとったわけでございますし、船舶だけに限りませんで、例えば車両と武器の関係につきましても、戦車等は車両にも入るわけでございますし、一方、やはり武器を搭載しておるということで、武器という概念にも当然入ってくるというような態様のものもあるわけでございます。  したがいまして、こういった御指摘の点につきましては、重ねての答弁になりますけれども、私どもとしましては、護衛艦、潜水艦等を含みます自衛艦、それから自衛艦の出入港の支援を行います支援船等、従前に該当いたしておりませんでしたものを含めて総体的に船舶という概念でとらえるということでまいりたいというふうに解釈をいたしておりますので、御了承をいただきたいと思います。
  151. 久保田真苗

    久保田真苗君 船舶という概念がより包括的なものとしてそこに含まれれば、従来の苦しい、これは武器だ、艦船を武器だと言ってきたような解釈は、これによって清算されたと見るのが本当じゃございませんか。  ともかくそのときそのときでどちらにでもできるというようなあいまいな解釈でこういう条文をやっていただくということは甚だ困るんでして、これはどっちかに決着していただかないと困るわけですね。要するに武器を搭載していようといまいと、「船舶」という包括概念が設けられたわけですからそちらで扱う、そういう一つ解釈をちゃんと立てていただかないと、事柄が武器の使用に関することでございますから大変困るわけで、私はこのあいまいな解釈のままに、両方に該当するんだ、それはそのときそのときでやるんだというような御解釈ではちょっと御了承はできないと思います。
  152. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) たびたびのお答えになりますが、船舶につきましては、武器としての性格を持つものと武器としての性格を持たないものと確かに二種類あるわけでございますが、こういった関係につきましては、先ほど申し上げましたように車両あるいは航空機等についてもやはり同様の関係に立つものが内容としてあるわけでございまして、いろいろその点も検討させていただきましたけれども、私どもとしては、従来の規定ぶり等を勘案いたしまして、このような規定ぶりをすることが一番わかりやすく、かつ妥当であるというふうに解釈をいたしまして改正案をお持ちをいたしておるわけでございます。
  153. 久保田真苗

    久保田真苗君 別にどちらか一つに統一したからって困ることはないわけでしょう。それを両方に解釈できるなどという、何にでも広げて解釈していくというようなことは、こういう武器の使用という条文の場合にすべきことじゃないと思うんです。私はやっぱりこれはどっちかに整理していただかなきゃならないと思いますし、そのときどきそのときどきで、そちらが都合のいいように解釈されるというようなことでは甚だ困る、限定的に解釈していただきたいと、こう思うわけです。  そして、先ほどの有線、無線の電話の問題ですけれども、大変大きい数が挙がってまいりましたですね。これは至るところに防護の対象が発生したということでして、今までのある程度限られていたものから非常に大きく踏み出している。つまり施設とか基地とか、そういったところをこの言葉でもって全般をカバーするような、そういう形になってきたというふうに思うんです。  それでまず、ここに挙がっているいろいろな「武器、弾薬、火薬」等々、これについて、これが一つ一つを詰めていく必要がありますけれども、ここにあるものは、これ以外のものは武器の防護の対象にならないというふうな理解でよろしいわけですね。
  154. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 御案内のように、自衛隊法第九十五条は、武器等の警護に当たる自衛官に対して、警察権の行使として「武器等の防護のための武器の使用」を認めた規定でございます。このような規定の趣旨にかんがみますれば、九十五条により武器を使用して防護し得る対象と申しますのは、現在、お挙げになりましたように同条に規定されております「人又は武器、弾薬、火薬、航空機、車両若しくは液体燃料」、それから今回の改正によりまして追加をお願いをしております「船舶」「有線電気通信設備、無線設備」に限定されるべきものと解釈をいたしておりまして、こういったものは単なる例示ということでございませんで、限定的に取り扱われるべきであるというふうに考えております。
  155. 久保田真苗

    久保田真苗君 例示ではなく制限的列挙であるということでよろしゅうございますね。  それから「自衛官」という言葉なんですけれども、この「自衛官」はどういう人を指しますか。
  156. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) ちょっと質問の趣旨が、私はっきり聞き取れませんでしたが、自衛官の定義ということでございますれば……
  157. 久保田真苗

    久保田真苗君 ああ失礼、じゃあ言い直します、よろしいですか。九十五条に言う「自衛官」、つまりこれらの物体を職務上警護する、そして防護のために必要であると認めるときには、その事態に応じて武器を使用することができると。ここに言う九十五条の「自衛官」はどういう状態の人、どういう条件を持っている人を指すのかということをお答えください。
  158. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 失礼しました。  今挙げられました九十五条の防護対象に挙げられております「人」という意味であろうと思いますが、この意味でございますが、これは警護されております武器と不可分の関係を持つ、しかも、それらの破壊に伴って危険にさらされる者を指すものというふうに考えておりまして、具体的には武器等を警護しております自衛官、これは当然入るわけでございますが、そのほかに武器の操作員等、武器等と一体となってそれを操作しております者、こういった者が含まれるというふうに考えております。
  159. 久保田真苗

    久保田真苗君 今の質問は、それではなくて冒頭の「自衛官」だったんですけれども、お答えが「人」について出ましたから、そちらの方を先にいたします。  つまり、この「人」はこれこれのものを警備している人、または現に武器を操作している人、こういうふうに理解するわけでございますか。
  160. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 今先生の方で御指摘がございましたように、「人」というのは武器を警護している自衛官、それからそれらを操作しておる者というふうに考えております。
  161. 久保田真苗

    久保田真苗君 つまり平生武器を使用する、あるいは物体を警護している、警護に当たっていて、そしてこれらのものを今現に進行中で操作しているというふうに理解してよろしいですね。
  162. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) そのように解釈してよろしいかと思います。
  163. 久保田真苗

    久保田真苗君 冒頭の「自衛官」なんですけれども、これは自衛官一般を指すのではないんじゃないかというふうに思うわけです。つまりこの「自衛官」、武器を使用することができる自衛官には一定の要件があるんだろうと思うんです。それはどういう要件かと、私のさっきの質問はそれを伺ったわけです。
  164. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 今の御質問にお答えいたしますと、九十五条の冒頭にございます「自衛官は、」云々という自衛官であると思いますが、これにつきましては、そのくだりの途中にございますが、「自衛隊の武器、弾薬、火薬、船舶、」云々を「職務上警護するに当たり、」という言葉がございます。したがいまして、当然職務上、そういった警護対象の警護というものについて命令を受けておる者がそれを現に警護しておるという状況にある自衛官と、こういうふうに御解釈をいただいてよろしいかと思います。
  165. 久保田真苗

    久保田真苗君 警護する任務をあらかじめ命令によって与えられている、そして現に警護していると、その二つの要件でよろしいですか。
  166. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) そのように解釈をしていただいて結構でございます。
  167. 久保田真苗

    久保田真苗君 それから警護対象ですが、警護対象というものは、任務をあらかじめ与えられているその警護対象を変更することはできませんね。
  168. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) ちょっと質問を聞き漏らしましたんでございますけれども、失礼でございますが。
  169. 久保田真苗

    久保田真苗君 警護対象が武器なら武器、あるいは弾薬、それから例えば車両といったような、こういったものを警護の命令をあらかじめ与えられている自衛官ということになりますと、その警護対象として、警護すべき対象の物件が指定されているというふうに見てよろしいわけですね。
  170. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 警護のやり方の問題だと思いますが、通常は指定されておると思います。どういう形で警護の命令が出ておるかと、こういうことだと思いますが、複数のものについて警護しておるような場合もございましょうし、あるいは個別のものを警護しろと、こういう命令をいただいておる場合もあろうと思いますので、その辺は命令の出し方で特定の仕方というものは変わってくるんではないかと思いますが、いずれにいたしましても、漠然とした命令というわけではございません。
  171. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、例えば液体燃料の警護を命じられた自衛官がたまたま、何といいますか、他の設備等を防護するために、命令外のそういった物件に対して武器を使用するということはできないわけですね。つまり、与えられた任務その範囲内に限りますね。
  172. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 命令の範囲内ということでございますればそういうことでございます。  ただ、具体的にそういう状況に即して警護の責任者がどういう形で命令を出しておるかと、こういうことにもなろうかと思いますけれども、警護対象として指定されていないものについて九十五条でもって警護するということはできないわけでございます。
  173. 久保田真苗

    久保田真苗君 指定対象以外はこの自衛官が官としてやる、このことには該当できないということはわかりました。  それから、心配なのは、今度新たに加わりました有線、無線設備の件なんですよね。さっき官房長からNTTの電話はこの対象にはならないというお答えはいただいたんですけれども、具体的に言いますと、そうなりますと例えば基地の中ですね、基地の中に多分いろいろな有線電話なんかがあると思うんですが、それをここで言う有線、無線の設備、これにどういうものを考えていらっしゃるのか、ちょっともう一回お願いできますか。
  174. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 先ほど装備局長から御説明いたしましたように、通常の電話機それからファクシミリでございますが、そういったものの機器あるいはそのケーブル、こういったものが通常は典型的な例ではないかと思いますが。
  175. 久保田真苗

    久保田真苗君 それは通常、今ちょっと最後の方が聞き取れなかったんで、済みません、そういったファクシミリ等は。
  176. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) そういった電話機、ファクシミリ等がこういった有線電気通信設備に含まれるということを申し上げたわけでございます。
  177. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、さっきNTTの電話機はこれに入らないとおっしゃったんですけれども、ここに入る電話機というのはどういう性格のものですか。
  178. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 電話機の形は、同じ型、何というんですか、カタログ上のものを仮に使いましてもNTTの回線を使用いたしませんで、自衛隊独自で回線も持っておるものに接続されております電話機、そういったものが典型的な例ではなかろうかと思います。
  179. 久保田真苗

    久保田真苗君 それは一体どのくらいの台数があるものでしょうか。
  180. 鎌田吉郎

    政府委員(鎌田吉郎君) 先ほど申し上げましたわけでございますけれども、現在、自衛隊がみずから設置、管理、運用いたしております電話機の数、大体約十万弱ということでございます。そのほかに、NTTの加入電話が約千あるということでございます。
  181. 久保田真苗

    久保田真苗君 これだけの数でございますね。  それから、先ほど無線の、携帯用無線はどうだということでしたでしょうか。
  182. 鎌田吉郎

    政府委員(鎌田吉郎君) 携帯用の無線は、移動中に使用する無線局ということになるわけでございます。大体、自衛隊全体で約一万台保有をしている状況でございます。
  183. 久保田真苗

    久保田真苗君 こういう通信設備が入るということになりますと、実際は、限定的な制限的な列記といいながら、一つの建物あるいは基地そのものがもう全部この対象になっていくんじゃないか。したがって、実際問題としてどれだけ限定的だというその意味があるのか、その辺が非常に私不安なんですね。  それで、お伺いしたいのは、例えばあるゲートなんかの警護を命ぜられているという場合、この法文上だけを見た場合には、そのゲートそのものの場合は、これは武器使用ができないものだというふうに私は思いますけれども、そういう点はどういうふうに思っていらっしゃいますか。
  184. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 今御指摘のゲートというのがどういうところのゲートかがはっきりいたしませんが、一般的には、建物でございますとかそのほかの施設でございますね、そういったものにつきましては、九十五条の対象には直接は入らないというふうに考えております。
  185. 久保田真苗

    久保田真苗君 わかりました。  もう一つ、ある広い区域ですね、または基地全体というような、こういう場所の警護を命ぜられているというようなときには、無条件で武器使用はできないというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  186. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) その問題にお答えする場合には、その警護の命令の内容によるわけだと思います。先ほど申し上げましたように、具体的な警備対象として、武器使用が許されておるものを警護するようにというような形での命令でございますれば武器の使用は可能でございますけれども、一般的な基地警備という形でございますと、これは通常は武器の使用というものは認められないというふうに考えております。
  187. 久保田真苗

    久保田真苗君 一般的な基地警備の場合は、九十五条に該当しないということはわかりました。  次に、百条の五についてお伺いしたいんです。  これは、まず今考えていらっしゃるのはヘリコプターだと、東京サミットで使ったヘリコプターなんだというお答えをたびたびしておいでになるんですけれども、これは例えば大型機、こういうものを持つと、この目的のために持つということはないんでしょうね。
  188. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 今回改正をお願いしております自衛隊法百条の五の二項に言っております国賓、内閣総理大臣等の輸送の用に主として供するための航空機ということでございますれば、御指摘のスーパーピューマ、ヘリコプターでございますが、この三機以外に現在その他の航空機を保有する計画はございません。
  189. 久保田真苗

    久保田真苗君 それで、ここに「国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者」とあるんですね。この政令の内容をお答えください。
  190. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 政令につきましては、この法案の御審議状況をも踏まえながら関係各省庁と現在調整中でございまして、内容についてはまだお答えを申し上げることができませんけれども、一応の考え方としましては国賓及び内閣総理大臣に準ずる者ということでございますので、例えば公賓等については検討の対象になっておると、あるいは衆参両院議長、最高裁判所長官等、こういった者も検討の対象として現在関係省庁等と調整しながら検討いたしておると、こういう状況でございます。
  191. 久保田真苗

    久保田真苗君 外務省にお伺いしたいんですけれども、国賓というとどういう人になって、例えば公賓というのはどういう方のことを考えておられますか。
  192. 河村悦孝

    説明員(河村悦孝君) 国賓と公賓との範囲でございますけれども、これは過去若干の変遷はございますが、現在の制度におきましては、国賓については外国の元首及びこれに準ずる者、公賓については外国の皇族または行政府の長、これに準ずる者をそれぞれその範囲としております。
  193. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、この航空機は自衛隊が持つわけですけれども、その場合自衛隊は、例えば国賓の場合、公賓の場合、こういうのは自衛隊はどこかからの依頼を受けてこれを動かすということになるのか、国賓とか公賓とかのたぐいですとどこがそれを要請することになるのか、それを教えてください。
  194. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 私どもは、この法文にございますように、依頼を受けて実施をするということでございますので、国賓等の接遇を御所管になっておられる関係の省庁から依頼がありますれば、任務に支障がないという範囲内でこういった輸送を実施する、こういうことになると思います。
  195. 久保田真苗

    久保田真苗君 この運搬する、輸送する範囲ですが、これはあれでございますか、国内というふうに考えてよろしいわけでしょうか。
  196. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) これは依頼により実施をするわけでございますので、依頼されるところがどういう御判断をされるか、依頼をされるかということに専らかかわってくることでございます。ただ、能力的にはヘリコプターの場合、現在主としてそういった任務に携わると考えられておりますヘリコプターの場合はそう遠くに行くわけではございませんが、法文上百条の五の規定は地理的範囲を限っておりませんので、法的には、依頼があれば海外へ輸送するということも排除されないというふうに考えております。
  197. 久保田真苗

    久保田真苗君 要するに、輸送の範囲に特定がないわけなんですね。その特定がないという状況の中で、政令の内容が、さっき準ずる者として若干お挙げになりましたけれども、お答えになった者の範囲にとどめるということでよろしいでしょうか。つまり政令の中身というのは、私たち、法律が決まってしまえばそちらでお決めになるということになるわけですから、やっぱり範囲というのはこの際しっかり伺っておきたいと思いますので、今の範囲だということをはっきりしていただきたいと思います。
  198. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 先ほども御答弁申し上げましたように、輸送対象となります者は「国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者」ということになっておりまして、現在、国賓、内閣総理大臣に準ずる者ということで、この法案の御審議状況も踏まえながら検討中というふうに御答弁申し上げておるところでございます。したがいまして、そうむやみにこの範囲が拡大をされるということではないというふうに承知をいたしております。
  199. 久保田真苗

    久保田真苗君 こういうことをいろいろしつこくお伺いしておりますのは、先般自衛隊の飛行機が非常に私的と見られる目的に使われたということがあるわけでございます。これは雫石事故のときの自衛官が執行猶予が切れたときに皆さんが集まって祝賀会をなさった、その席へ全国から自衛隊機で、訓練あるいは要務と称して相当数の方が参加されたという事実がございますね。持てば役得というそういう観念がどうしても出てくるんでございますよね。そういたしますと、仮に航空機をこの目的のために持った場合、それが国内はもちろん、ここに決めてないということであれば海外へも自衛隊の方々が使われる、あるいは防衛庁長官にたくさんの方が付随していろいろと方々へ行かれる、そういうことになるのはこの条文の趣旨ではないと私は思いますけれども、その点御確認いただけますか。
  200. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 法律の規定をごらんいただきますと、そう広範囲に依頼によりまして何でもできるというような規定ぶりではございませんで、「国賓、内閣総理大臣」という列挙がございますように、御心配のような自衛隊において適当に使うというような形にはなっていかないものであると考えております。  ただ、今御指摘にございましたような航空機の使用そのものにつきましては、自衛隊機でございますので防衛庁長官判断によりまして自衛隊機としての使用というものも当然別途ございます。私どもとしては、この国賓の輸送というものは他の、国の機関から依頼があった場合に、その依頼に応じて自衛隊の任務遂行上支障がない場合においてこういった輸送を実施するということでございますので、おのずからそういった使用については十分な歯どめと申しますか、範囲というものについての枠組みというものが想定をされておるというふうに考えております。
  201. 久保田真苗

    久保田真苗君 法制局にお伺いしますけれども、ここに言う「国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者」というものについての解釈をお願いします。
  202. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) 先ほど防衛庁から答弁がございましたように、「その他政令で定める者」の内容はまさに政令で定めるわけではございますが、「国賓、内閣総理大臣」という例示、列挙がございます。したがいまして、この例示、列挙されたものとおよそかけ離れたものは予定してないという場合にこのような表現を使うわけでございます。  したがって、その範囲内で具体的にどのようなものを政令で定めるかということにつきましては、ただいま関係省庁の間で検討を始めておられるようでございますので、その案ができ上がりましたならば、私どもの方で法律で委任された範囲内であるかどうかということを慎重に審査さしていただく予定にしております。  以上でございます。     ─────────────
  203. 岩本政光

    委員長岩本政光君) この際、委員異動について御報告をいたします。  本日、小島静馬君が委員辞任され、その補欠として永田良雄君が選任されました。     ─────────────
  204. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 引き続き質疑を行います。
  205. 久保田真苗

    久保田真苗君 防衛庁設置法の方にまいります。  これは、先般来たくさんの質問がここに出ておるんでございますが、現在の定員内でやりくりができないというその明確な理由がどうも見当たらなかったんですが、その点については、欠員もあるし、どこでもそういうやりくりをやっているのに、なぜ相当の欠員がありながらこの定員内のやりくりというのができないんでしょうか。
  206. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) これは本委員会でも先般来御説明を申し上げていると思いますが、今回お願いをいたしております増員は、海上自衛官の増員、航空自衛官の増員並びに統合幕僚会議の定員の増であります。先般来申し上げているように海空の自衛隊は、例えば航空機が襲撃をしてくる、艦艇が襲撃をしてくる、そういったものに応じてそれぞれの艦艇なり、航空機を運用するためにどれだけの人間が要るかという積み上げによって必要な数字、さらには部隊等ができればそれに必要な人員というものを、ぎりぎりの人員というものを積み上げたものをその都度お願いをするという形でお願いをしておるわけであります。  今般の増員につきましても、各種の業務の省力化等を図って、減らすものは減らす。さらに当然のことながら、落ちいく航空機なり艦艇の定員は削減をしていく。そういったものを差し引いた上でぎりぎりどうしても必要なものの人員をお願いしておるわけでございまして、現在の陣容の中で、それをさらに定員増なしでやるということになりますと、先般も申し上げたように、ある船について三直交代を二直にしなくちゃいけないとか、あるいは既に任務につけなくちゃいけない航空部隊を引き続き教育段階にとどめておかなくちゃいけないとか、そういったふぐあいが出てまいりますのでお願いをしておるわけであります。  なお、統合幕僚会議については、やはり先般御説明申し上げたように、さきに完成をいたした中央指揮所を現在まだ昼間だけ運用いたしておりますが、これを二十四時間運用する態勢にもっていくための最小限の要員としてお願いをしておるというものでございます。
  207. 久保田真苗

    久保田真苗君 防衛大綱の別表には、陸上自衛官の定数というのは十八万と出ておりますね。しかし、海上、航空につきましてはそのような書き方はしていないんですけれども、これはどういうわけなんですか。
  208. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) これは各国ともそうであろうと思いますが、およそ陸海空のこういった自衛力、各国の場合軍隊が多いわけですが、これらの勢力を示す一つの基準といたしまして、陸軍あるいは我が方の場合の陸上自衛隊について言えば人員をもってその規模の枠組みと考えて、その人員の枠内で各種の部隊をつくり、必要な装備を持たせるという考え方が通常の形であります。  一方、海空につきましては、そういった人員を枠組みとして考えるのではなくて、主要な艦艇であるとか航空機の数とかというものを、戦力といいますか、防衛力の規模を示す大まかな枠組みとして考えるというのが列国、日本も含めてそういう慣習であるし、また、それが実態を最もあらわし得るものであるというふうに考えて、大綱においてもそのように決められておるわけでございます。
  209. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、海上と航空自衛隊の定員数は大綱のベースでは決まっていないと、こういうふうに理解するわけですか。
  210. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 大綱で海空自衛隊の量的な大枠を示す枠組みとしては、人員に頼っていないということであります。
  211. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、その都度その都度、こういうふうに出てまいりますね。それで、新しい装備に必要な人員だとおっしゃられても、その装備にどこがどういうふうな形で人員が必要なのかということを詳しく出していただけませんと、私ども全くこれは判断の根拠がないんですね。こういうふうにその都度主義でなし崩しのように増員していくということは大変不適当だと思うんですが、もう少し何か明確な根拠なり資料なりというものを御提出いただけるのと違いますか。
  212. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) その点につきましては、本委員会等でも御質問に応じてお答えをしておりますし、必要があればまた別途御説明もいたしたいと思いますが、増員要因、例えば先ほど来申し上げているように、新たに船が就役をする、それが何人である、あるいはこれこれの部隊が新たな理由によって必要な部隊が幾つありますと、それぞれが何人ずつ必要になりますといった増員要因がまず一方にあります。また一方で、除籍されていく艦艇の数、それに従来の乗っておった人員が幾ら削減されるか。それから、航空機等が耐用命数に達する、あるいは損耗をして廃止される、それに必要であった人員が幾ら不要になってくるか。そういったものをマイナスをいたしますし、さらに部隊等の増員等に関連をして、これはまあ財政当局等ともいろいろ詰めた結果、在来の部隊等でどれだけの人間がさらに省力化によって人員削減が可能であるか、そういった点から何人の人間が在来部隊から抽出できるかということでマイナスできるものを集めまして、その相殺をした結果の差額というものを増員が必要な場合にはお願いをしておるということになっております。  個々には非常にたくさんのものからやっておりますが、これはまた機会があれば別途御説明をさしていただきたいと思います。
  213. 久保田真苗

    久保田真苗君 機会と申しましても、もう今しかないんですね。もしこういうことが、この法案が成立するということでございましたら、やっぱりこの際そういう資料をいただいておきたいんですね。そして、一体この防衛大綱の、長官も非常に防衛大綱の達成に御熱心なんですけれども、この大綱を達成するためには、陸上、航空、一体どのくらいの見通しを持って臨んでいらっしゃるのか。そしてその結果として、今ここに海上自衛官そして航空自衛官の増員というのがそのうちのどの部分として出てくるのかと。まあ、私どももそのくらいのことははっきりとわかって、そして将来見通しというものの上に立って判断をさせていただきませんと、何かこうそのたんびに六百人とか三百人とかという数がぽんぽんと出てきて、ちょっと議論がかみ合わないような感じがするんですね。そういうことで、次の機会までに、次のこの委員会までに、今私が申し上げたような大綱に伴うこの海上と航空の兵員の見通し、それから、どれだけのものを節約できてきたのか、それから、新しく就役したもの等に絡む必要な人員がどうだったのか、今後はどのくらいのことを私どもは頭に置いて今の状況判断すべきなのか、そういう資料をお出しいただけますか。
  214. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 今先生御提案の資料、かなり出せるものもあると思いますが、申し上げておきたいのは、例えば艦艇でございますと、同じ二千トンなら二千トンの艦艇でも、十年前につくった艦艇と現在つくっておる艦艇ということになりますと、積んでおる装備なり機材が変わってくる。じゃ、変わってくるから人がふえるかというとそうではございませんで、いろいろな省力化を図っておりますので、かつて二百数十人乗っておったものが現在は百五、六十にまで減っておるというようなことで、非常に工夫を重ねて省力化をして、艦艇の乗組員等も大幅に減ってきておるわけでございます。  これらは結局、その都度つくっていく船がどの程度の装備を積み、かつ省力化なり自動化が図っていけるかということで逐次変遷をしていくということでありまして、これから大綱の全体が達成されるまでの間にどういう形でそれが変化をしていくかということについては、なかなか見通しにくい面もかなりあるということも御承知おきいただきたいと思いますので、その辺必ずしも明確なものが出せないものもあるということをお含みおきいただきたいと思います。
  215. 久保田真苗

    久保田真苗君 予測のできない先までのことではなく、今どういう考えに立っているかと、それでよろしいわけです。どうぞお願いいたします。  それから、先般来からいろいろ出ております予備自衛官の問題なんでございますけど、自衛隊法の方に戻りまして、予備自衛官の員数をふやしていらっしゃいますね。それで、同僚議員のいろいろ質問の中ではっきりしてまいりましたことは、これが自衛隊経験者、未経験者を含めて大々的な拡大をするという、そういうことを考えていらっしゃるというので私はびっくりしたんですけれども大臣、これは一体どのくらいの広がりをお考えになってこの予備自衛官制度を考えていらっしゃるんでしょうか。そこのところをひとつどうぞお願いいたします。
  216. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 実は本委員会でもそうでございましたが、私ども今回お願いをしております予備自衛官の増員、自衛隊法の改正をお願いしております千三百人、陸関係千人、航空関係三百人の増員は、従来の予備自衛官制度の中で、現状で、現在これだけはどうしてもふやしていただきたいというお願いをしておるわけであります。一方、実はこれは今回の法改正なりあるいはお願いとは全く異質のものとして、予備自衛官制度全般について見直そうという研究が始められていることは事実でございます。ただ、この両者はあくまで別物でございまして、若干その両方が混同されて御質問等を受けておるわけでございますが、我々が現在の制度、そして現在の必要性からお願いしておるのは、今回お願いしている千三百名ということでございます。  ちなみに、膨大なといいますか、より多くの予備自衛官を前提とした考え方が成り立つのかどうか、あるいはその場合に、予備自衛官というものが現在のような自衛官経験者からとっていくという制度以外の制度といったようなことを含めて研究はいたしておりますけれども、これは将来の自衛隊のあり方としてより効率的、より有効な自衛隊のあり方を追求するための一つの勉強としてやっておりまして、まだまだ結論が出るのは先の話でございますが、そういったものについて勉強しておるということは事実でございますが、それについてどの程度のものを持つか、あるいはどういう制度にするかということについてはすべて研究中ということで、現在まだお答えできる段階にないということを御了解いただきたいと思います。
  217. 久保田真苗

    久保田真苗君 でも、先般来からの御答弁を聞いておりますと、かなり具体的におっしゃっていますよ。例えば予備自衛官を自衛官の経験者だけに限ると非常に数も限られているし、第一、年とっていて余り使えないんだと、そういうことをおっしゃっている。だから仕事は後方勤務、そういったものしか、軽易な業務しか使えないんだ。だから、それを増強するためには未経験者のことを考えなくちゃならない、そういうお答えがこの間から出ているんですよ。で私は、これはちょっとただごとじゃないと思いましたんです。ですから大臣、この予備自衛官の制度というものを将来的にどのくらいの規模に持っていきたいと、そういうふうにお考えになっているのか、お考えをお聞かせいただけますか。
  218. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 今先生がおっしゃられた現予備自衛官制度のもとではおのずから採用し得る予備自衛官としての規模にも限界があるし、かつまた年齢その他からそのつけ得る職務なり、充て得る職域というものについて限界があるということはおっしゃるとおりであります。  しかしながら、一方で将来を考えますと、出生人口の減少とかそういったことをずっと考えていきますと、将来的に言えば、かなり自衛官として常時実員を抱えておくことが難しくなっていく傾向にあるということは、遠い将来のことでありますが、考えられるわけであります。また、自衛隊をできるだけ効率的に保持をしていくというために人間を省力化し、実員を少なく抱えておくということも、それが可能であれば望ましいわけであります。  そういったことを考えて、予備自衛官制度というものについて研究するということは我々いたしておりますけれども、それはもう相当先の話でありまして、我々が現在お願いしておりますのは、現在の予備自衛官制度を踏襲し、かつ現在、予備自衛官をもって充てたいと考えておる職域というものを考慮した上でお願いをいたしておるのが千三百人ということで、現状においては、我々がふやしていただきたい予備自衛官の数というのは千三百人であるというように御理解をいただきたいと思うわけであります。
  219. 久保田真苗

    久保田真苗君 それじゃ、まずこの千三百人でございますけれども、これは将来的にはこのいわゆる自衛官であった方たちを予備自衛官に任用するということは、これは現在この法律では四万四千九百人とするということになっておりますけれども、将来的にはどういう構図を描いての今度の千三百人でしょうか。
  220. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) これは実は逐年自衛官の定年が延びてきたとかいろんな問題がございまして、若干検討し直す点もございますが、我々としては現在の数ではまだ少し足りないと、しかも現在の制度のままでももう少し予備自衛官の枠は拡大し得ると。ただ、一遍にふやすことはできませんで、年々除隊をしていく人の中から採用していくわけでございますから、そう急にはふやせませんが、逐次ふやすことによって、まだ現行制度のもとでも予備自衛官の枠組みはもう少し大きくすることができるんではないかと考えております。  それがどのくらいであるかという限界ははっきり申し上げられませんが、一万人前後のものはふやし得るのではないかというように考えております。
  221. 久保田真苗

    久保田真苗君 さっきから大臣と申し上げているのですけれども。  それはともかく、確かに今この法律で扱っております予備自衛官であった方たち、これに関連して、この問題と、この間、民間からのというふうに大臣がおっしゃったあの件とは確かに別件であって、今の法体系の中で扱えるはずは当然ないと思います。ないと思いますけれども、これは非常に重大なことでございまして、やっぱり私どものこの平和憲法のもとで、あるいは現在の人権擁護の憲法のもとでこういった制度をお考えになっていくということについては、国民も非常に重大な関心を持つところでございますから、大臣が将来的に予備自衛官制度というのはどのくらいの規模、そういうものが望ましいと思っていらっしゃるのか。  例えばこの法律だってやっぱり防衛大綱、私どもは高齢化社会の大綱、あれを高齢化社会の基盤整備のための中期計画にしてくださいと幾ら言っても単年度予算しかつかないんですね。そういう中で、防衛庁の予算だけは聖域化されて、少なくとも中期計画的なものを持っていらっしゃる。非常に希有なことだと思うんです。であるからには、やはり長官の頭の中にはきっと予備自衛官制度についてもそのようなかくあるべしという構想がおありになると思うんですが、あればこの際どうぞお聞かせください。
  222. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 防衛というのは継続的、計画的にやらなきゃなりませんからね。そういう意味合いでは、今いろいろとそういう継続的、計画的にやることが極めて不思議というか、よろしくないようなニュアンスでございますけれども、元来、防衛というものは継続的かつ計画的にやらなければいかぬと思うんです。  それと、この自衛官との問題でございますけれども、予備自衛官というのは各国から比べてみて日本が非常に少ないということは、これは現実なんですよ。それから、人権を侵害するというのはどういうことを言われているのか知らぬけれども、徴兵制度じゃないわけですね、志願ですからね。私は、そういう意味合いからすると、国民の方々に理解を願って、OBの方々だけでなしに一般の国民の中でも防衛の問題について自分たちはひとつ協力しよう、そういう方々があれば大変ありがたい。今のような職業選択の自由の時代ですから、これは強制できないわけですね。本当にその趣旨にのっとって御協力いただくという方々があれば、これは大変ありがたいのじゃないか。したがって、あらかじめこれぐらい欲しいということを念頭に置いて今研究すべき段階ではないか。そういうことをお願いすることがいいか悪いか、いろいろそのデータを持ち寄って検討してみよう、そういう気持ちでございます。
  223. 久保田真苗

    久保田真苗君 私は、計画的なのが悪いなんて全然思いませんですよ。ただ、例えば高齢化社会みたいに先がはっきり見えている国民の重大事について何も中期計画も長期計画もないというこの国において、防衛だけが優遇されているということを申し上げているだけなんです。  それでともかく、この人権の問題は不思議だと言われますけれども、現在の予備自衛官の制度につきましても、これが、防衛招集があったときに、ここに三日のうちにきちんと集まってこないと懲役か禁錮だと、こういうわけでございましょう。そうなりますと、これは徴兵ではないとおっしゃるけれども、しかし、もしこれが防衛庁とそれから個人との契約であるならば、何がゆえにこういう契約を守らなかったといった理由だけでそういう体刑にならなければならないのか。こういう法体系のもとで、そのようなまた別のお話が出てくるということは、やっぱり私ども、この際そんなことは、この法体系のもとではとてもそういうような新しい構想は立たないんだということを申し上げたかったわけです。  どうぞ、そういうことも含めまして、ひとつ人権の侵害等のおそれのないように万般よろしくお願いいたします。
  224. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 きょう、今まで防衛の問題の論議を当内閣委員会でやらせていただくのは久しぶりであります。予算委員会でやりますと、すぐ時間がたっちゃうんです。そういうような意味では、きょうは少し時間をいただきましたので、いろいろと防衛の基本的な考え方についてお伺いをしたいと思います。  まず初めに、防衛庁長官のお考えをお伺いしたいのでありますが、国の防衛という場合、これは直接的に防衛力そのものをがっちり整備をしていくという問題がありますけれども、それとは別に安全保障というふうな考えからいきますと、外交だとか、あるいは文化の交流だとか、あるいは経済だとか、いろいろあるわけですね。そういうふうないろいろな要素がたくさんあるわけであります。  そういうふうな中にありまして、私は防衛で一番大事なことは何かというと、やはり国民の理解というのが一番大事じゃないか。国民の理解、協力、支持、こういうふうなものがなかったならば、どんなにすぐれた装備を持っておりましても、あるいは強力な自衛隊でありましても、防衛力そのものが真の力となり得ないことは、これはもう当然のことじゃないかと私思うんですけれども、そういうふうな意味防衛庁長官はどういうふうにお考えか。いわゆる国の防衛というふうな意味での基本的な考え方、その点についてのお考えを初めにお伺いしたいと思います。
  225. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 国の安全を守る、安全を保障するということは、これはひとり防衛力のみによってできるものではないということについては同感であります。政治、経済、外交、あるいは文化、教育、そういう各種の部面が整々としてお互いに連携をとり合っている。お互いが支え合っている。そういうところに本当の意味の国の安全保障というものがあると思うんです。そういう意味合いでは、防衛力だけが国を守る唯一のものでないということについては同感でございます。  ただ、現実には防衛力というのは、その中でやはり非常に重要な部面も持っておるということも否み得ない事実でございます。我が国では、平和憲法のもとに専守防衛と非核三原則といろいろの要件のもとに必要最小限度の防衛力を整備をする、こういうことで来ているわけであります。防衛力をやる場合には、やはり継続的、計画的にやらなきゃならないというようなことから防衛大綱というものもでき、それに基づいて現在中期防衛力の整備を行っているわけであります。  しかし同時に、国際社会における今日の日本からすると、国内的にそういうことをやると同時に、国際的にも日本はこういうことでやっていくんだ、そのことが世界の平和にも大きく貢献するんだという日本の良識というものをやはり外国の方にもよく認めてもらう、その努力が必要だ。自分だけがこれでいいんだと言っても外国が認めない。特に西側自由主義陣営が日本だけが少し勝手じゃないかと言うようなことのないように、やはり我々は自主的にこれでいく、これ以上のことはやらない、あなた方も不満かもしれぬけれども、それについては御理解いただきたい、それには精いっぱい自分の国は自分で守る、そういうところをきちっと持っていなきゃいけない、そのことが日本の平和と安全に大きく寄与するゆえんである、こういうふうに考えております。
  226. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣おっしゃることよくわかりますし、そのとおりだろうと思います。  そこで、大臣、私が言わんとすることは、国民の理解というか協力というか支持というか、そういうようなものが非常に大事じゃないかということを申し上げているわけです。  それで、その点に御異議はないと思いますので続けますが、これは防衛局長、前々から防衛白書も何回もつくっておられるわけですから、今回の防衛白書の中にも特に世論調査の部門を取り入れておられます。それで、「自衛隊の必要性」という項目がありますね。そこで国民の皆さん方は自衛隊は必要であるのかないのか、世論調査を載せておられます。自衛隊は「あった方がよい」、八二・六%、これは総理府の調査ですね、防衛白書に載っています。「ない方がよい」というのは七・五%、これは防衛局長として御答弁をいただきたいんですけれども、これは何でこういうことを載せてあるわけですか。
  227. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 私、白書の担当ではございませんが、我が国の場合、やはり、そもそも論、まだ残念なことに国防の必要性なり、またその一端といいますか、かなりの部分を担っておる防衛力の必要性というものから説き起こす必要があるということが現実であろうということだろうと思っております。またそのためには、世論調査等でもそういうことで八十数%というのは私は非常に高い支持といいますか御理解を得ていると思いますが、なおまだそういう自衛隊が必要でないという声も一〇%以下といえどもあるということ自身は、ある意味では非常に異常なことではないかというふうに考えておりますので、そういう意味でも、現在の白書のように、そもそも国の安全の必要性なりそれを守るための自衛隊の必要性というものから説き起こす必要はなおかつこれからもあるんではないかというふうに考えております。
  228. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、私は決してこんなの何で載せたんだ、こんなのけしからぬじゃないかと、そう言うつもり全然ないんですよ。僕は、ここへこれだけ載せたからにはそれだけの自信があって、現在の自衛隊というのは、先ほどから国民の信頼とか支持とかいうことを言っておりますように、要するに、現在の日本の自衛隊というのは昔と違ってやっぱり国民の大部分の皆さん方があった方がいい、こういうふうに思い出しているんだ、少なくとも自衛隊は国民の皆さんに御理解を受けるようになったと、余り変なことを後でつつかれるんじゃないかなと思って勘ぐらないで、率直に御答弁をいただきたいわけですよね。だから、皆さん方もこういう世論調査を、たくさんあった中の世論調査の幾つかを項目を抜いて載せておられるわけですから、やっぱりあった方がいいというのが八割も超えた、これはもう大分国民の皆さんに御理解を得るようになったなと、こういうふうに僕は純粋に感じて載せられたんじゃないかなと、そういうふうに思うんですけれどもね、大臣。  その次の項目、「防衛のあり方」の項目ですが、これも全部は読みませんけれども、「安保条約をやめ、自衛力を強化して、わが国の力だけで日本の安全を守る」というのが五%、それから「現状どおり日米の安全保障体制と自衛隊で日本の安全を守る」これが六九・二%、それから「安保条約をやめて、自衛隊も縮小または廃止する」が六・八%でありまして、大部分の人たちが現状を是認している、そういうことですね、これは。ですからそういうふうな意味では、私は日本の国民の皆さん方の世論の動きというものを防衛庁もそれなりに重視をし、かつこれは非常に大事なことだというふうにお考えになって、大臣、これやっぱり防衛白書に載せているんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  229. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 一応調査は調査として素直に受けとめる、その中でどうもおかしいと思うことについてはよく調査を、また点検をし直してみる、そういう態度が必要だと思います。
  230. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まあそれはこのぐらいにしておきます。  そこで、したがいまして、国の防衛という問題を考える場合に国民の支持、協力というのが非常に大事である、その点については防衛庁当局もそれなりに配慮をしていらっしゃる、しかも防衛白書の中にこれだけの項目を抜き出して載せておられるわけですから、私は非常に大事な問題だと思うんです。ところが、そういうふうなことを含めてこれを僕は予算委員会でやったんですよ。そうしたら、もう本当にけんもほろろ、もう中曽根総理大臣、一言のもとにぽんとこうはねられちゃった、そういうことがあるんですけれども、何ではねられたかというのは、これから私が言うことによってはねられるわけですけれどもね。  これは今の要するに世論調査、同じ世論調査ですが、これから言う分についてはこの防衛白書の中にも載っております。その次の項目でございまして、「防衛努力のあり方」というところですね。これは設問は同じですね。「日本防衛費の五十九年度予算は、約二兆九千億円で、わが国の予算に占める割合、おもな自由主義諸国との比較はこのとおりですが、日本の平和と安全を守るためには、防衛費をもっと増額した方がよいと思いますか、今の程度でよいと思いますか。それとも今より少なくてよいと思いますか。」という設問に対しまして、「増額した方がよい」という人が一四・二%、「今の程度でよい」というのが五四・一%、「今より少なくてよい」という人が一七・七%、「わからない」が一四%。これは現在の国民の皆さん方の約半分、そして七割方の人は今の程度でいい、こういうお考えでいるんじゃないかなと私は思うわけです。  そしてこれは、大臣、この問題につきましては実は総理府の調査、わざわざ防衛白書に載っていましたから、同じ時点の調査を取り出すことにいたしました。これはNHKの同じ時点の調査で設問が多少違います。これによりますと、これは二つありまして、NHKは、「このまま防衛費がふえ続けると、国民総生産の一%以内に抑えるという政府の方針がくずれることも予想されています。あなたはこれについてどう思いますか。リストの中からおっしゃってください。」と。「あくまで一%以内に抑えるべきだ」四三・二%、「一%以内の方針がくずれてもやむをえない」一六%、「一%以上にふやすべきだ」二・七%、「防衛予算は大幅に削減すべきだ」二二・八%と、こういう結果でありまして、NHKの調査によると、やっぱり一%以内に抑えるべきだと。大幅に削減というのは別にしましても、削減も抑えるべきの中に入れればこれは六六%以上になる。ふやせという方は二・七%、「くずれてもやむをえない」というのが一六%、こういう実情ですね。  それから、これはマスコミの皆さん方の三大紙の中の一つの世論調査、同じ時点であります。それによりますと、「政府は来年度予算の編成で、防衛費を特別扱いしてふやす方針です。あなたは、このことをどう思いますか。」と。ふやすことに「当然だ」という人が七%、「やむを得ない」というのが三九%、「好ましくない」というのが五〇%。それからもう一つ、「わが国の防衛費は、現在、GNPの一%以内の枠内におさめられています。今後の防衛費のあり方として、あなたは次の中でどれに賛成ですか。」と。「今後も一%の枠内を守る」七一%、「枠を一%より大きくする」一一%、「枠は撤廃する」一〇%、「その他・無回答」八%、こういう状況であります。  これをじっといろいろ見てみますと、国民の皆さんというのは非常によく見ておりまして、国の防衛費というものが今のベースで大体いいんじゃないか、これ以上急激にふえない方がいいんじゃないか、こういうふうに考えているというのがこの世論調査の中からよくわかるわけです。そういう意味では、やはり僕は防衛庁または自衛隊というものが国民の中に認識されてきたのと同時に、また、防衛費のふえぐあいについても、これは先ほどの「日本防衛」いわゆる防衛白書の中の防衛予算の項目に載っている分だけで申し上げますと、防衛予算は今の程度でよいというのがことし初めて五四%になったわけですが、それより前、昭和五十六年には四七%、その前は四二%というように少なかったわけです。ところが、「今の程度でよい」というのが年を追うごとに少しずつふえてきて、そしてことしが初めて五〇%を突破したわけですね。こういうような状況を見ておりますと、案外国民の皆さん方というのは、この防衛予算についてもよく見ている、こう思うんですよ。  そういうふうな意味では、私たちが今この防衛費の問題についていろんな角度で議論をいたしておりますけれども、私は防衛予算というのはそれなりに必要だと思います。必要だとは思いますが、今やっぱり非常に難しい時期ですね。世の中の景気も悪いし、また、日本経済情勢財政状態を見ましても非常に厳しい状態の中にある。そういう状態の中にあっては、やはり防衛費も、対外的な問題を全然無視せいなんて言うているわけじゃないんです、やっぱりそういうふうな国内のいろんな情勢を見てそれなりの対応をしていかなければいけない時期に入っているんじゃないかな、こういうふうに私は思うんですけれども、この点を踏まえて大臣のお考えをお伺いしておきたい。
  231. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) あの世論調査で、これは素直に見るべきだと、おかしなことがあったらそれはもう一回検討した方がよろしい、こういうふうに申し上げました。まさにあった方がいいということですね。それから、役立っているかというのも、これは役立っているという方が多いわけですね。ここら辺は感覚的ですよね。文字どおり国民の皆さんの感じで自衛隊はあった方がいい、役立っていると。ところが、一%というような、ある意味で政策問題を含んだものにつきましては、これは必ずしも政府の方のPRといいますか、説明が十分であったか、あるいはほかの方の宣伝がどうだったかというのがございますから、こういう政策問題については一概に直ちにそれがいいというようなことは私は言えないと思う。ただ、言えますことは、国民の常識を大きく離れたところでの防衛費というものはあり得ない、これだけは明瞭であります。
  232. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、大臣、僕は大臣がおっしゃることはわかるんですよ。ですから、私は何も一%にこだわるわけじゃないんです。この防衛白書の中のやつは一%じゃないんですよ。現在の防衛費がこれ以上ふえない方が、要するに、今の程度でいいという人たちがだんだんふえてきている。これは決してこの一%を国民が政策的に理解をしていないから、PR不足だからというんじゃなしに、やっぱり国民の中には一%という問題は非常に定着しつつある、本当にそう思うんですよ。国会の中でこれだけ議論しておるわけですから、これは新聞にもうしょっちゅう書いておるわけですから、案外みんなが思うよりよく理解しておる。だからそういうような意味では非常に大事な問題である、そういうふうに私は思っております。  そこでもう一つ、一%の問題が出ましたから一%の問題も少しだけ議論をしておきたいと思います。  大臣、一%の問題は、これは非常に大事な問題であります。私の手元の資料によりますと、これは皆さん方同じですけれども、決して一%という問題がきのう、きょう一%にしようというふうになったんじゃなしに、もちろん三木内閣のもう十年前からの一%であるわけです。三木内閣は何で一%を決めたかというふうに考えますと、当初予算ベースでは昭和四十二年からもう一%なんです。大体ずっとおさまっているわけです。それから、補正後のベースでいきますと、昭和三十五年からですからもう相当長い間、二十七年間ですか、大体一%以内におさまっているわけですね。そういうふうな意味では、当時三木内閣が一%を決めたゆえんというのはいろんな意味があったんだろうと思うんです。今言っていることとはまるっきり逆のこともあったのかもしれません。一%以内までもうちょっと上げいという話もあったのかもしれませんが、しかしこれは、両方の意味で私は非常に大事な問題だと思うんですね。  ですからそういうふうな意味で、やはりこの大綱とともに一%という問題はこれからも大事にしていく、そういうふうな見解でなければいけないなと思うんですけれども、この点のお考えを一遍お伺いしておきたいと思います。
  233. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 私はこの国会でも言っているとおり、具体的にどの程度の防衛費ということになってきますと、一%という問題が出てくるわけです。その一%の問題が出てくると、一%はもう絶対である、これを超えたら軍事大国である、この中ならよろしい、何がなんでも一%、防衛計画の大綱水準の達成よりも一%と、こういうような議論がいろいろ行われておる。それはおかしいんじゃないか。一%問題についてどういう意味を持っているのか、それが我が国の平和と安全のために、もっと言うと、西側全体からもなるほどな日本はと、そういうようなところでやらなきゃいかぬじゃないか。そういう意味合いで国民的な論議を高めてもらいたい。一%という問題は新聞やなんかで随分言われておりますから、国民の皆さんはそれは頭の中にあると思いますけれども、一%の意味するものは何かというと、これはなかなかそう深く入っておるとは私は言えない、そういう意味で申し上げているわけでございます。  ただ、繰り返して言いますけれども、私は国民の皆さんの意識から大きく離れたところで防衛費というものはこれはできない、これだけは言えると思います。
  234. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、私は当委員会で大臣に御就任直後お話しいたしましたときにも、大臣は今と同じ答弁をされるわけですよ。要するに、一%を突破したら軍事大国になる、そういうことがあるからと言いますけれども、それは仮定の話をしておられるわけですけれども、我々そこまでは、そんなことは言いません。そんなことは言いませんけれども、これは非常に大事な問題でありまして、これは大臣、少なくとも歴代の防衛庁長官並びに総理大臣は一%という問題で悩んできたんですよ、前から。いやほんまに。  例えばこれはある新聞の社説に載っているわけですけれども、「「一%を超えない」という閣議決定は厳存しており、閣僚はこれを順守しなければならない。だからこそ、歴代の防衛庁長官は「大綱」と「一%枠」の板ばさみになり、言動に苦心してきた。当然のことである。GNP一%枠がなぜ日本だけにあり、なぜ十年間も国民に支持されてきたか、そこのところを栗原長官によく考えてほしいと思う。」と、社説に大臣の名前が書いてありますよ、これ。これはお読みになったと思いますが、読んでませんか。「栗原長官」とわざわざ社説の中で書いてあります。いや、これはほんまですよ。これ一遍お考えいただきたいと思うんですけれどもね。  これは、決して一%というのがそう簡単な問題じゃなしに、僕は実はこの問題を質問するに当たって、一%というのも閣議決定だ、大綱も閣議決定だ、もちろん大綱があっての一%なんだと、けれども両方ともやっぱり守らなければいかぬ、片方は閣議決定で片方は違うんやったら、これは閣議決定の方が優先するから、それはそっちを守らなければいけません。両方とも閣議決定でいまだに両方ともきちっと厳存しておるわけですから、少なくとも両方とも、どっちが優先するというよりどっちも守らなきゃいかぬわけです。社説のとおり、これは両方ともその間で悩まなきゃいかぬというのが防衛庁長官の宿命的な問題なんですよね。  ところが、栗原長官のいろんな話を聞いていますと、一%より大綱が優先だ、一%を突破したらもう軍事大国になるというんだから、それはもう大綱の達成の方が大事であって、一%というのはもうすべて、栗原さんの答弁や記者会見やいろんなやつを全部見ますと、一%枠見直しの意向、見直しの必要、一%より大綱は優先、これはもう新聞記事は全部そうですね。それは大臣の思っているとおりに出ているわけでしょう、新聞は。違いますか。写真つきで見出しつきで全部各紙に出ていますね、これ。大臣の意思と違うんですか、これは。いかぬですな、違うことを書いてもらったら、ほんまに。我々はそうやと思うんで、それじゃやっぱりちょっと困るんで、同じ閣議決定したものなら同じようにちゃんと守ってほしいなと。あかんのやったら閣議できちっとこれは廃止する、きちっとしてちゃんとしていくんならこれは話わかるけれども、そうやなしに、やるならそれなりのやっぱりあれをもってこれからの運営をやっていただきたいなと。  僕は少なくとも一%枠というのはぜひとも守ってもらいたいし、国民が、大部分の人たちがこれは今の時代ではやっぱり守っていただきたいなということを希望しているんじゃないかなというふうな、いろんな世論調査を通して申し上げたわけであります。そういうような意味で、ぜひそこら辺のところの御決意のほどをお伺いしておきたいと思います。
  235. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 大変率直でかつ友好的な御発言、大変ありがとうございます。  私は今まででも、三木内閣の防衛費に対するあの決定を守ってまいりたいと、それはもう当然前提としてあり、また、それも言ってきたつもりでございます。ただ、一%という問題についてこれを、それに集中しちゃってもうにっちもさっちもいかないというようなことはこれはおかしいじゃないか、そもそもなぜ一%があるのか、そういう問題について論議を深める必要があるんじゃないかということで申し上げておるわけでございます。決して一%枠を突破することに生きがいを感じておるというわけじゃございませんので、どうぞその点は御理解を賜りたいと思います。
  236. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは次に、これはシーレーンの防衛の問題についてお伺いをしたいと思います。これは長官でなくて結構でございます。  海上自衛隊の整備という問題があるわけでありますが、海上自衛隊の整備の意味するところは、海上自衛隊の装備を整備するということですか。
  237. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 御承知のように、自衛隊の大きな任務というのは、国土、国民、国民の財産を直接守るということと、国民の生存にとって不可欠な海上交通の保護をするという二つ、大きく分ければ自衛隊の任務というのは二つあろうかと思いますが、海上自衛隊は主としてその後者、もちろん国土防衛について洋上なり水際で撃破をするといったような任務もございますけれども、そういった主として海上交通の保護関連の任務を持っておるわけであります。したがって、海上自衛隊が目的としておるところは、みずからの装備の増大なり近代化ということではなくて、今申し上げた任務を果たし得ることが目的であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  238. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一回私の言うことを聞いていただきたいと思うんですけれども。ちょっと私の言っていることと違うんです。西廣さん、よく聞いておいてくださいね。  海上防衛力の整備は、海上自衛隊の装備を整備するということかと、こう聞いておるわけです。
  239. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 私ども海上防衛力と言う場合には、海上自衛隊のみならず、例えば洋上防空等については当然のことながら航空自衛隊の任務、持ち分の中の範囲のものもございますし、そういったものを含めて海上防衛力と考えておりますし、さらに広義に考えますと、これは自衛隊の任務から外れてくるわけでありますが、例えばもろもろの主要な物資の備蓄をするとか、そういったことも含めて我々にとっては海上防衛力と関連のある分野であるというふうに考えておるわけであります。
  240. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 わかりました。  それではもう一つ、これは後の質問の前提になりますのでもう一つ、海上交通の安全確保の任務は、海上自衛隊が専ら行うものですか。
  241. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) たびたび申し上げるようですが、自衛隊の中でも海上交通安全確保の中の主として防空網、特に全般防空の覆域の中ででき得れば海上交通は行った方がより安全なわけでありますが、そういう分野は航空自衛隊が担当いたしますし、仮に海上交通についてある種の統制をするといいますか、運航等について統制をしたりあるいは情報を提供するということになれば、海上保安庁等も当然関与してくるということになろうかと思います。
  242. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 海上保安庁の分は別にいたしまして、空の分をもう一回言ってくれませんか。
  243. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 海上交通保護に際しまして、船舶等の運航を阻害する要因として我々主要なものとして考えておりますのは、敵方の潜水艦それから航空からの攻撃あるいは水上からの攻撃というものもたまにあろうかと思いますが、主として航空攻撃と潜水艦の攻撃というものが主体であろうと考えております。そのうち対潜作戦、潜水艦に対する防衛については大部分がもう海上自衛隊が先端的にやらなくちゃいけない分野だというふうに考えておりますし、航空からの攻撃については、洋上遠く離れた部分の、従来は艦艇等の防空等は海上自衛隊が分担しておりましたが、内航の上空等は全般防空という航空自衛隊が分担しておる分野、その覆城の中でできるだけ行動するということで、航空自衛隊が大きく貢献をしておるわけであります。  さらに将来のことを申しますと、洋上遠く離れた地域の、洋上防空というものが今検討の課題になっておりますが、これについて、これを航空自衛隊が分担するか、海上自衛隊が主としてこれを分担するかということについてはなお研究中でございます。
  244. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、今の二つの点を念頭に置きましてこれからお伺いをしていきたいと思います。  私は前に、栗原防衛庁長官が前の防衛庁長官の時代に、海上防衛力整備の前提となる海上作戦の地理的範囲について、ということで予算委員会で相当議論をいたしました。あのときには、要するに私が申し上げたかったのは、いろんなところで、いわゆる周辺数百海里、航路帯を設けた場合は千海里と、これが議論をされておりますけれども、この千海里というのは一体どこでだれが決めたんだと、こういう点を議論したわけです。  要するに、あのときには、随分統一見解や何かが私の手元にもいっぱいありますけれども、実際は決めたところはないわけですよ、国防会議でも防衛庁が説明しただけなんです。そういう考え方で、いわゆる大綱のあの装備を決めたというだけであって、千海里を決めたというその根拠は、私は、根拠はあるにしても、シーレーンであっても千海里をきちっと防衛するということを決めたところはないと、今でもそういうふうに思っているわけですが、この点はきょうの私の話の論点とは違いますので、違う点を防衛局長にお伺いしていきたいのであります。  そこで、今も防衛局長がおっしゃいましたように、洋上防空の必要性、いろんなところに出てまいります。また、新聞の記事もありますが、これは後にいたしますが、研究会の中にもそういう問題が出ております。いわゆる要撃ユニット、そういうふうな考え方のもとに、例えば南西諸島に設置しようとしておるOTHレーダーそれから早期警戒機、要撃戦闘機あるいは空中給油機、そしてエイジス艦というような名前がずっと挙がってきているわけですね。その一部については昨年の九月に策定をされました中期防衛力整備計画、そういうような中にも導入をしたらどうかというふうな意味で検討が行われているやに聞いているわけです。  そこで局長、今の洋上防空という問題、これはいろんな答弁を調べてみますと、従来から防衛庁は、目標としている海上交通の安全確保について、近年、航続距離が長く、それから速度も速い爆撃機、例えばバックファイアなどが出現をして、遠距離から撃ちっ放しのミサイルも出現したことによって経空脅威というのが増大したことを理由にこの洋上防空というのが必要だと、そういう答弁が実際現実にあるわけですし、そういう話が新聞等にも報道されているわけであります。  そこで、この洋上防空のために要撃戦闘機を任務につかせたとした場合に、これは、私が今言う問題と、先ほどのあなたの答弁の中にもあったわけですが、この大綱のどこかに少なくとも航空自衛隊の任務に海上交通の安全確保ということが明記されていなければいけないわけですね。わかりますか、言うていること。ところが、一生懸命私は調べたんですけれども、ないんですよ、これ。あなたは、先ほど全般防空とか何とかおっしゃいましたが、そういうことでごまかすんじゃなしに、やはりそういうふうな意味では、この航空自衛隊の任務のどこかにやっぱり海上交通の安全確保という問題が明記されていなければいけない。ところが、我が国防衛力整備、維持運用の基本的方針である防衛計画の大綱のどこに書かれているかということを私に教えていただきたいというのが質問であります。
  245. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 防空につきまして、洋上防空とかあるいは国土防空とかというような分け方は従来いたしておりませんので、具体的に洋上防空というような文言は全く出てまいりません。
  246. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、ですから、あなたは先ほども——少なくとも私は先ほど申し上げました。あなたの答弁だけとって申し上げてもいいわけですが、海上交通の安全確保の任務というのは海上自衛隊が専ら行うのかと私は言うたわけですよ。そうしたら、あなたの答弁は、いや、そうじゃないと。海上自衛隊が例えば潜水艦とかこういう対潜については九九%やります、しかし、航空機の問題、洋上遠く離れたところとか、あるいはシーレーン、千海里ですから、そういうところのいわゆる防空については、洋上防空とあなたが言ったんですよ、洋上防空の分野については航空自衛隊の分野もあると、こうあなたは今おっしゃったわけですよ。私が言うたのじゃなくて、あなたがおっしゃったことを言うているわけです。  そうすると、洋上防空、少なくともシーレーンの防衛という問題について航空自衛隊の任務の中にその点がうたわれていないといかぬわけですね、違いますか。どこにうたっていますかと言うているわけですよ。
  247. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 私の先ほどの答弁についての補足はまた申し上げますが、要するに防空という任務、これはまず網羅的に航空自衛隊に与えられておって、さらに陸上自衛隊等に、例えば自分の部隊の自隊防空であるとか、あるいは局地的な都市防空について、そういう任務が付加的に陸上自衛隊にも与えられておる。かつ海上自衛隊には自分の艦の自艦防空、これは陸上自衛隊で言えば部隊防空でございますが、自艦防空の任務が与えられておるし、さらに船団護衛等であればその辺のエリア防空といいますか、非常に狭い意味のエリア防空の任務が与えられておるということでございますので、防空についてはそもそも航空自衛隊に全般的に任務が与えられておるというふうに我々は理解をしておるわけであります。  そして、先ほどの答弁でありますが、現状で航空自衛隊がどこまで海上交通保護に関して、海上交通保護に貢献する任務を果たしておるかということでございましたので、私は、先ほど申し上げたように、航空自衛隊は全般防空という広い防空任務を持っておって、現在もレーダーサイト等によって及ぶ限りの範疇、日本及び日本周辺についての領空の防空を担当いたしておりますので、その傘の下を通る海上部隊あるいは船舶等については、それの上空からの、航空からの攻撃に対する保護任務を果たしておるというように申し上げたわけでございます。
  248. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、あなたのおっしゃるそれで言うと、少なくともシーレーン防衛という従来から言われております周辺数百海里についての、これはそう問題にならぬわけですよ。この間から私は海上自衛隊の地理的範囲とか言うて一生懸命やったのは、千海里なんて出てくるから問題になってくるわけです。これは要するに、海上交通の安全確保の任務というのは海上自衛隊が専らやるものですか。航空自衛隊は全くやらなくてもいいと。
  249. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) ちょっともう一遍言ってください。
  250. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは私はいろんな会議録を全部読みました、今までの分を。それで、しかもそんな中で、海上自衛隊の任務というのは、私も詳細読んだんです。大綱の中には、これは大臣も聞いておいてもらいたいんですけれども大臣ね、これはもうわざわざ釈迦に説法でしょうけれども局長ね、航空自衛隊の任務というのは——海上からいきましょうか、海上でもいいんですよ、海上自衛隊については、まず一番が、これは「海上における侵略等の事態に対応し得るよう機動的に運用する艦艇部隊として、常時少なくとも一個護衛隊群を即応の態勢で維持し得る一個護衛艦隊を有していること。」これは護衛艦隊ですね。その次の項目が、これは地方隊のあれですね、それが二項目。それから第三項目が、いわゆる潜水艦隊ですね。それから四番目が、初めてシーレーンにかかわり合いが強烈にある「周辺海域の監視哨戒及び海上護衛等の任務に当たり得る固定翼対潜機部隊」こういうようになってくると、これはP3Cだろうと思うんですけれどもね。実際問題これだけで、こんなものシーレーン防衛なんかできませんよ、これだけでは。やはり今局長が一番先におっしゃいましたように、対潜水艦についてはそれなりのあれができるにしても、航空機によるシーレーンで、周辺数百海里違いますよ、千海里に至る洋上防空という点を考えますと、海上自衛隊だけでは全くできないでしょう、実際問題。対応できなくなってくるんじゃないか。だからその点について、局長は、要するに洋上防空については、航空の分野もあるというふうに私は言ったんだろうと思って話を進めているわけですよ。ところが今、それは違うと。それで、航空自衛隊の方の任務を見ますと、第一項目が「わが国周辺のほぼ全空域を常続的に警戒監視できる航空警戒管制部隊を有していること。」、だからこれはあくまでもレーダーですね。それから二番目が「領空侵犯及び航空侵攻に対して即時適切な」「戦闘機部隊及び高空域防空用地対空誘導弾部隊を有していること。」これ第二項目ですわ、大綱の中にうたわれている。これはシーレーンと全然関係ないですよ、これ。それじゃ第三項目は「必要とする場合に、着上陸侵攻阻止及び対地支援、航空偵察、低空侵入」これはE2Cですね、「早期警戒監視並びに航空輸送の任務にそれぞれ当たり得る部隊を有していること。」これ全くシーレーンは関係ないでしょう。そうすると、航空自衛隊がやる中にはシーレーン防衛という項目は全くうたわれてないんじゃないかと、私は解釈をしたわけですよ。そうすると、航空自衛隊並びにそういうふうなものに対してシーレーン防衛というのは、この大綱の中でどこでうたっているのかと、それを具体的に教えてもらいたいと、こう言うているわけです。
  251. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先生の御指摘は、この五項目の「陸上、海上及び航空自衛隊の体制」というところを先生お読みになったわけでございますが、ここは何度も大綱作成当時御説明したように、防衛力整備の大綱の水準を決めるについて、小規模限定的な事態というものができるようになるということが前提でございますが、それの積み上げの体制としては、平時における各種の体制例えばここに書いてありますように、均衡のとれた配備をしておくとか、そういったことを含めて静的な体制というものでまず兵力量を出してみて、それを小規模侵攻対処というような事態にどれだけの力を発揮するかという検証をして別表を定めるという手順を踏んだというように当時御説明申し上げたと思いますが、そういったことで、これは防衛力の規模を決める体制として、少なくともこういったことができるものを持ちなさいということで、陸、海、空の自衛隊の任務をここにあらわしているものでないことは文章からもよく御理解いただけると思います。  それからなお、それはそれで結構でございますが、もう一点申し上げますと、私、先ほど洋上防空の話と周辺海域の防空といいますか、我が国周辺の全般防空の覆域内における航空自衛隊の任務等の話を申し上げましたが、もう一度正確に申し上げますと、現状において航空自衛隊が海上交通保護に貢献しておる分野としては、我が国周辺空域の、いわゆる全般防空覆域内を航行する船舶については、その航空自衛隊の全般防空の傘の下を通っておるわけだから当然のことながらそういう貢献をいたしておりますと、これは現状であります。  そしてなお、将来の問題、現在問題点として抱えておりますはるか洋上を離れた地域、先生の言われる千マイルというようなことも入ろうかと思いますが、はるか離れた洋上における空からの船舶に対する脅威、これにどう対抗するかというのが現在我々の課題でございますが、これについては先生指摘のように、現在は航空自衛隊も海上自衛隊もこれに対抗する手段を持っておらないわけであります。自分の船の上空に来れば別でございますが、離れた地域については持っておらない。これにどう対応するか、これに対処する措置を考えないと船舶の被害を食いとめることは難しいという認識に立っておるわけでありまして、その際に海、空がどういう形でこれを任務分担をするかということはなお検討中であり、未定であるというふうに申し上げておるわけでございます。
  252. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 わかりました。  ということは、これは今局長の答弁の中は全部詰めたいことがいっぱいあるわけです。例えば航空自衛隊の周辺空域という問題も、これはもちろん国会の中で何回もありますから、私はもうあえて言いませんけれども、航空自衛隊の周辺空域、いわゆる航空自衛隊が守っている範囲というのは、国会答弁の中ではレーダーが及ぶ範囲となっていますね。だから、千海里全然ないわけですよ、少なくともレーダーが及ぶ範囲が空域なんです。だから、周辺数百海里という海上自衛隊の範囲の方が広いですわ。それだけ考えても僕は大きな問題だと思うんですけれども、この大綱では少なくとも、あれ違いますか、そんなことは想定してなかったんでしょう、大綱は。これはあなた方首をかしげていらっしゃいますけれどもね。  これは航空自衛隊の元幕僚長をやっておられたんですか、竹田五郎さんという方は、あの方の国会におけるレクチャーがあったんですよね。それによりますと、その問題がちゃんとここへ出ているわけです。これはシーレーン防衛の問題でありまして、「シーレーンの防衛は、五十一年ごろはそういう考え方は、航空自衛隊としてはあのような非常に自衛力の整備の難しい時代でありましたし、また、ソ連の航空兵力もバックファイア等はない時代でありました。そういうこともありまして、シーレーン防衛については航空自衛隊はそれほど関心を持っていなかったというのが事実でございます。もちろん、日本周辺の四百キロぐらいのところは守るべきだという考えでありましたけれども、一千マイルというような構想はございませんでしたと言ってよろしいかと思います。」と、それでこれに対して、「今言われるような役割を課されるとすれば、大綱の範囲を超えなきゃいかぬかどうか。」と、こういうふうに質問をしましたら、竹田さんは、「当然そう思います。それだけの必要があると思います。」と、こういう答弁をしておられるわけですね。要するに、シーレーン防衛というのはこの今の大綱ではうたわれてない。だから、現在と将来と分けて局長は先ほど御答弁になりましたけれども、その将来の洋上防空という段階、そこのところはこれは少なくともこの大綱の中にはそういう考えは全く入ってなかったと、そうじゃありませんか。
  253. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) お答え申し上げます。  洋上防空というのに従来私お答えしておるように二つの分野があると思います。  一つは、遠く洋上離れた海域の防空というのが一つございます。それからもう一つは、個々の従来からありました自隊防空というか、艦艇が自分で自分の船を守る、あるいは自分の近くにいる船を守るといったような艦隊の防空の話がございます。さらに、先般ちょっと申し上げましたが、例えば本土防空の覆域内においても、北海道のような相手方が航空優勢をとっておるような地域、そういったところに増援部隊を送る、あるいは避難民を避難させる、そういったときに行う防空、いろんな防空の体系があるわけですが、そのうち先生が御指摘になっておりますのは、洋上遠く離れた地域、海域の防空ということであろうと思います。  その点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、大綱策定当時はもちろん、最近までそれらについて我々としてはそれほど脅威に感じておらなかった、つまり、艦艇の直上に来て攻撃するわずかの航空機というものに対応できればいいんではなかろうかというふうに考えておったわけでありまして、当然のことながら大綱策定当時には、それよりも自分のおる艦艇なり船舶の船団がおるところから数百キロも離れたところから洋上遠くで攻撃されるというようなことは想定しなくて済んだということで、大綱ではそういうものに対応する措置というものは考慮しておらなかったわけであります。したがって、そういったものが非常に脅威として増大してまいった現在、これを研究しなくちゃいけないということで洋上防空の研究ということをさせていただいておるのはそのうちの理由の一つであるわけです。したがって、先生の御指摘のように、大綱の中にはその種の任務なりに独立した部隊というものを充当してないということは事実でございます。  ただ、それではそういった任務を今後果たさなくちゃどうしても海上交通保護ができないということになってまいり、これから研究した結果でございますが、その結果新たな独立した部隊、しかも独立した相当な兵力量といいますか、防衛力の量を追加しなくちゃいけないかどうかという先ほどの竹田先生お話でありますが、当然のことながら何かふやさなくちゃいけないというようにすぐ物がふえるということになるのか。現在ある全般防空なり海上自衛隊の対潜航空機、そういったものを活用することによってできるのかできないのかということも研究の中でございますので、何か新しい機能ができたらそれなりにすぐ兵力、防衛力がふえていくというようにすぐ増強で考えていくということは、いかがなものであろうかというふうに我々としては考えております。
  254. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、そうすると局長ね、一つは、この大綱の中には少なくともこの洋上防空、今の前段の分ですね、これはどこかうたっているんですか、この大綱の、具体的に言葉として。私は先ほど「陸上、海上及び航空自衛隊の体制」というところの、陸上自衛隊はまああれとして、海上自衛隊とそれから航空自衛隊のいわゆる体制はこういう体制でやりますというところをその体制の中を私は説明をし、その中にいわゆるそのシーレーンのことが書いてないと、こういうふうに申し上げたんですが、どこかほかにあるんですか。
  255. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) どうも私の御説明が悪いせいか御理解いただけないんですが、従来は洋上防空というような一つの機能としてまとめる必要をさほど感じていなかった。例えば日本海に船が入る、あるいは内航航路を船舶が航行するというときの洋上防空について言えば、それは航空自衛隊が担当しておる全般防空の覆域内、その中で行動すればそこでカバーをされると考えておりましたし、洋上遠く離れた船舶等について言えば、それを護衛しておる艦艇、これが持っております自隊防空能力というもので防空は足りるというように考えておったわけであります。したがって、それぞれ船舶護衛なり海上交通の保護なりあるいは全般防空という任務の中で、当時考えておったいわゆる洋上における航空からの脅威には対抗し得ると考えておったわけであります。  ところが、最近の状況としては、そういった我が国周辺における相手航空機の洋上における脅威なり、あるいは洋上遠く離れて航行しておる船舶の直上の防空だけでない、もっと遠くから攻撃するものについての脅威というものが増大してきたので、洋上防空ということで新たな機能としてこれを取り上げて研究する必要が出てきたというように御理解をいただきたいというわけであります。
  256. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 わかりました。  ということは、従来の考え方ではもうカバーし切れなくなってきたということですね。逆に言えば、大綱の中にはまるっきりそんなことはうたってない、うたってない事態が出てきつつあると、こういうことですね。
  257. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 大綱の中でうたってないとおっしゃるのが、その種の防衛機能としてはうたってないんですが、船舶を守るなら守るという目的はうたってありまして、それはあくまで海上交通保護ということになるわけでございますが、そのために必要な手段というものを、より広げなくちゃならないという事態になっておるということを申し上げておるわけであります。
  258. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、そこがちょっと問題なんですよ、西廣さんね。だから僕は、この大綱策定のときは、この間僕は予算委員会で相当議論しましたのは、シーレーン防衛のその範囲というのが周辺数百海里であって、千海里という先までやるなんということはもともとなかったんだと。そんなことは、これは要するに国防会議でもどこでも閣議でも決めてないんですから、そんなことを言い出すから、もうこれは千海里ということになってくるとどうしてもこの大綱からはみ出してしまう。だから私は、この間のことと絡み合わせて、今あなた方がやろうとしている、また、洋上防空という問題を研究しようとしているこの問題は、これは要するに、例えばOTHレーダーにしても、早期警戒機あるいは要撃戦闘機、空中給油機の問題にしましても、あるいはエイジス艦の問題にしましても、何でこんなものが必要なんだということになれば、やっぱり千マイル先までちゃんとしようと思えば必要だということになるわけですから、そんなことはこれは大綱の中にどこにもないわけですから、そうすると今防衛庁がやろうとしていることは大綱をはみ出しておる、はみ出そうとしている、やっぱりそういうふうに受け取らざるを得ないんですけどね、これはどうですか。
  259. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) どうも御理解いただけないのは大変残念なんですが、何度も申し上げておるように、大綱で書いておりますのは、例えば海上交通の保護、いわゆるシーレーン防衛でございますが、そういう目的について、これが全うし得る能力を持つことというように我々は理解しておりますので、その際に、これも相手方の軍事技術の向上の一つであろうと思いますが、あるいは相手方の兵力の組成の変更ということで攻撃の態様が変わってきますれば、それに対応すべきこちらは機能というものを、質的な改変なり、あるいは場合によっては装備体系の変更ということで対応しなくちゃいけない、そういうものではなかろうかということを申し上げておるわけであります。  したがって、私が先ほどから申し上げておりますのは、日本の国民の生存を維持するための最小限の海上交通保護なり、あるいは日本が侵略されております事態における継戦能力を維持するための最小限の海上交通の確保、そういったものを果たすということが自衛隊に与えられた任務であり、かつまた大綱で定められておる我々が保有すべき能力であるというように理解をしておるわけであります。  そういった海上交通に対する阻害要因というものが、大綱策定当時考えておったものから逐次軍事技術の進歩なり周辺諸国の軍備の持ち方というものから変わってきている、それに我々としてはやはり対抗し得るようにしていくことが大綱で求められておる能力を維持することのゆえんであるわけでございますから、大綱に定めておる体制あるいは別表にある防衛力の量の質的改善によってそれが全うし得れば最もよろしいわけでありますし、それが困難になってくれば、場合によっては装備体系の変更ということも含めてこれに対応する手段を考慮しなくちゃいけない。そういったものを含めて現在研究中であるということを申し上げておるわけでございます。
  260. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 おっしゃることわかるんですよ、わかりますが、それは、海上交通の安全確保の任務というのは少なくともこれは航空自衛隊には全く与えられてなかったんですよ。大綱の中にも一言もうたっていませんね、局長。それじゃもう一回竹田さんの発言を、その前のところを私先ほど読みませんでしたが、一遍読んでみましょう。  防衛計画の大綱、日本の国を守る必要最小限の防衛力ということでございます。   この大綱作成当時の航空自衛隊は、シーレーンの防衛ということについてはそれほど関心を持っていなかったというふうに私は思います。したがって、シーレーンの防衛ということが任務として課せられるならば、ここにそれに応じただけの飛行機の増、さらには空中給油、早期警戒機と申しますか、空中から警戒管制する航空機といったようなものについても必要でありまして、今のままではシーレーンを空から守るだけの力は航空自衛隊にはないと言ってもいいと思います。 はっきりおっしゃっているわけですよね。だから私はそういうふうな点からいくと、少なくとも、今の局長がおっしゃっている意味がわからぬではないけれども、あくまでもここで言う海上交通の安全確保あるいは保護という意味は、これは航空自衛隊がとっておったいわゆる周辺数百海里をめどにした、海上自衛隊が従来専ら行うその点が対象であって、航空自衛隊にはそういう点は大綱の中でも全く言ってなかったと私は今解釈しているわけです。  それで、そういうような点からさらに、どこからそれじゃこういうふうに変わってきたのか、防衛庁の考え方なり日本防衛問題に対する考え方がどこから変わったのかということで私も随分調べてみました。それがはっきりしておりますのは、安全保障協議委員会、これは外務大臣お見えになりましたのでお伺いをしたいと思いますが、安全保障協議委員会というのがありますが、この安全保障協議委員会が了承した「日米防衛協力のための指針」、いわゆるガイドラインというやつについてお伺いをしたいわけでございます。  これは大臣でなくて結構でございます。まず、安全保障協議委員会の了承というのはどういうふうな権威があるのか、例えば日米両国をどの程度拘束するものなのか、これはどういうふうなあれがあるんですかね、一遍ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  261. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) お答え申し上げます。  「日米防衛協力のための指針」は、その中で各種の研究・協議事項等に合意したことを述べておりますが、その前提条件といたしまして、「研究・協議の結論は、日米安全保障協議委員会に報告し、その取扱いは、日米両国政府のそれぞれの判断に委ねられるものとする。この結論は、両国政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけるものではない。」というふうに述べております。
  262. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 今あなたがおっしゃったのは、これは「日本防衛」の中にも載っておるわけです。その前段のところをお読みになったわけですね。「この指針は、日米安保条約及びその関連取極に基づいて日米両国間が有している権利及び義務に何ら影響を与えるものと解されてはならない。」と、こう今おっしゃったわけでございますが、これは閣議決定ですか。これは何ですか、了承ですか。これは日本の国ではどういう力を持っておるんですか。
  263. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 「日米防衛協力のための指針」でございますが、これは自衛隊と米軍が緊急時において整合のとれた共同対処行動を確保するためにとるべき措置につきまして、その指針をこの防衛協力小委員会の研究・協議の結果をまとめて文書にしたものでございます。したがいまして、これは政府を拘束するというふうな協定といったようなものではございませんで、まさに指針という性質のものというふうに解しております。
  264. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは手続としては閣議にはどういうふうになっておるんですか。報告されておるんですか。
  265. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 本指針は、国防会議に報告し、かつ閣議に御報告して了承を得ております。
  266. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは白書に書いていますな。これは白書の百ページに「「日米防衛協力のための指針」が作成され、昭和五十三年十一月に開催された第十七回日米安全保障協議委員会は、「指針」の報告を受け、これを了承した。次いで、国防会議及び閣議に外務大臣及び防衛庁長官から報告されるとともに、防衛庁長官から「この指針に基づき自衛隊が米軍との間で実施することが予定されている共同作戦計画の研究その他の作業については、防衛庁長官責任をもって当たることとしたい」旨の発言があり、いずれも、了承された。」こうなっていますな、外務省さん。これは大臣、どういう権威があるんですか、このいわゆるガイドラインというやつは。
  267. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 本件につきましては、日米間で、特に制服同士でさまざまな共同訓練を行う、あるいはいろいろな研究なり作戦計画の研究なり、その他の研究を行うに際して一定の枠組みが必要であろうということで、日米安保協議委員会の下部組織であります小委員会におきましてガイドラインを作成しようということで日米が合意をし、作業の結果つくられたものでございます。
  268. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 つくられたものというのはわかっているわけですよ。そのつくられたものが、どの程度力を持っているのか。例えばこのしょっぱなにこういうことを書いていますよね。これは「日米安保条約及びその関連取極に基づいて日米両国間が有している権利及び義務に何ら影響を与えるものと解されてはならない。」と、こういうふうに前文にはあるけれども、実際は、防衛庁長官責任を持ってこの実施に当たると、こういうふうにうたっておりますし、しかもこのガイドラインの中身をよく読んでみますと、従来のいわゆる大綱に書いていたこととは多少変わってきていると、局長、私読んでまんねん。どこかといいますと、これは局長、例えば日本に対する武力攻撃がなされた場合は日本としては原則的にどういうふうな対応をするんですか、まず局長どうですか。
  269. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) これはたしか第II項に「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」というのがございます。そこで日本米側との作戦の機能分担のようなものが書かれてございまして、全部読みますと長うございますが、私読ましていただきますと、   日本に対する武力攻撃がなされた場合   日本は、原則として、限定的かつ小規模な侵略を独力で排除する。侵略の規模、態様等により独力で排除することが困難な場合には、米国の協力をまって、これを排除する。   自衛隊及び米軍日本防衛のための作戦を共同して実施する場合には、双方は、相互に緊密な調整を図り、それぞれの防衛力を適時かつ効果的に運用する。 ということが書かれておりまして、その後に「作戦構想」というのがありまして、例えば「陸上作戦」でございますが、   陸上自衛隊及び米陸上部隊は、日本防衛のための陸上作戦を共同して実施する。   陸上自衛隊は、阻止、持久及び反撃のための作戦を実施する。   米陸上部隊は、必要に応じ来援し、反撃のための作戦を中心に陸上自衛隊と共同して作戦を実施する。 こういったようなことが書いてございますし、海上自衛隊について言えば、   海上自衛隊及び米海軍は、周辺海域の防衛のための海上作戦及び海上交通の保護のための海上作戦を共同して実施する。   海上自衛隊は、日本の重要な港湾及び海峡の防備のための作戦並びに周辺海域における対潜作戦、船舶の保護のための作戦その他の作戦を主体となって実施する。   米海軍部隊は、海上自衛隊の行う作戦を支援し、及び機動打撃力を有する任務部隊の使用を伴うような作戦を含め、侵攻兵力を撃退するための作戦を実施する。 といったように、ちょっと長くなりますのでこの辺でやめさせていただきますが、枠組みが書かれておるわけでございます。
  270. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですから、それは局長、ガイドラインに書いておるやつを読み上げたわけ、今。初めからそんなつもりでいたんですか。ガイドラインというのは、僕読んでみますと、要するに日本の国は日本で守れと、ほとんどこれ一々言わないといかぬわけね、例えば海上自衛隊の今お読みになったところですけれども、「海上自衛隊及び米海軍は、周辺海域の防衛のための海上作戦及び海上交通の保護のための海上作戦を共同して実施する。」と、これは「共同して実施する。」そこまではいいわけですよ。そこで、「海上自衛隊は、日本の重要な港湾及び海峡の防備のための作戦並びに周辺海域における対潜作戦、船舶の保護のための作戦その他の作戦を主体となって実施する。」。だから、シーレーンにしても何にしても全部日本は主体となってそれを全部やる、日本がね。そしてアメリカは何をするかというと、「海上自衛隊の行う作戦を支援し、」、そして「機動打撃力を有する」これは空母ですか大体そんなものですね、「機動打撃力を有する任務部隊の使用を伴うような作戦を含め、侵攻兵力を撃退するための作戦を実施する。」。ということは逆に言えば、これは任務分担を明らかにしたわけですね、違いますか、そうでしょう。何か違うみたいな顔をしているから、ちょっと一遍。
  271. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 任務分担であると同時に、我が国防衛でございますから、まず我が国が主体的になって、ということは当然でございますが、今先生がお読みになったところに加えて、私が最初に申し上げたように、その初めに枠組みとして「日本は、原則として、限定的かつ小規模な侵略を独力で排除する。」云々とあり、それで及ばない部分については「米側の協力をまって、これを排除する。」という形で、日本が力の足らない部分は米側の支援に期待するという形がまず頭で書かれておりますので、先生が読まれた部分がすべて日本がやるということではないことも御理解をいただきたいと思います。
  272. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはわかります。そのとおりでしょう。全部じゃないけれども、少なくともこういうふうに防衛のあり方の具体的な問題についていわゆる運用の指針になってきているのも事実ですね。  そこで、これは大臣、大綱が定めているところの基盤的防衛力構想という考え方とか、あるいは限定的小規模侵攻対処という考え方、これがいわゆるガイドラインによりまして、実質的な日米の役割分担がこれできちっと明確になってきている。ということは、これはよく考えてみると、このガイドラインというのは日米防衛協力の指針のみならず、我が国防衛力整備やその運用の指針にもなっている、そういうふうに私は思うんですけれども、そうじゃありませんか。
  273. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) これは作業として順次につくられたものでございまして、先ほど来先生、例えば大綱について、任務範囲が大綱で定められたごとくおっしゃっておられますが、我々は任務については早くから法律その他で陸海空の任務配分はされておる、そして大綱においては、我が国が整備すべき防衛力整備のための指針というものを、大綱というものを定められておる。さらに今度はオペレーションの問題、運用について、日米日本有事の際の共同して有効な対処行動をするための運用指針というものをこの大綱で定めたということで、これらはそれぞれ目的は別でございますが、同じ物の考え方の系列の中でつくられておるというように私どもは理解をいたしております。
  274. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それではもうちょっとここを整理して言いますと、例えば日本に対する武力侵攻がなされた場合に、海上作戦では海上自衛隊と米海軍は共同して実施をする、そういうふうに書いてあるけれども、実際は「海上自衛隊は、日本の重要な港湾及び海峡の防備のための作戦並びに周辺海域における対潜作戦、船舶の保護のための作戦その他の作戦を主体となって実施する。」となっているんですよね、主体となって。「米海軍部隊は、海上自衛隊の行う作戦を支援し、及び機動打撃力を有する任務部隊の使用を伴うような作戦を含め、侵攻兵力を撃退するための作戦を実施する。」と、こういうふうになっているわけですね。だから、作戦の主体はあくまでも海上自衛隊ということです。  これは例えば従来から防衛庁は、周辺数百海里、航路帯を設ける場合はおおむね千海里程度の海域において有事の際、我が国の海上交通路の安全を確保することを目標に、海上防衛力の整備を行っていると、こういうふうに表明をしてきたわけですね。海上防衛力の整備を行っている、こういうふうに言っているわけですが、このガイドラインでは、その作戦は海上自衛隊が主体的に行うと、こういうふうに記述しているわけですからね。海上防衛力の整備の目標とされている海域、これが主体的任務を持った作戦海域にガイドラインでは格上げされた、そうじゃありませんか、これ。そんなことはない。
  275. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 御質問の趣旨を必ずしもよく理解しているかどうか疑わしいところがありますが、お答え申し上げますと、防衛計画の大綱の方では、防衛力整備を行うときのその算定基準といいますか、整備の基準として周辺海空域の監視、哨戒等ができるということ、それから船舶の護衛については、航路帯方式をとる場合には千マイルぐらいまでの航路帯防衛ができるだけの能力を持つことができることということで大綱別表の防衛力の量を算定する、そういった基準が示されておるわけであります。  一方、このガイドラインの方を見ますと、周辺海域の防衛力整備のその考え方をそのままとりまして、そういった海域なり、あるいは航路帯関係の船舶の保護については、その種の防衛については日本が主体的に行うという形で書かれておりまして、その点は防衛力整備の目標というものをそのまま持ち込んできておるということは事実でございまして、従来私どもはオペレーションに際しては必ずしも千マイルとか、あるいは距岸数百マイルという周辺海域というものがそれに固定されるものではないということを申し上げておりますが、ここでは準拠すべきものが余りそこが不動のままではよろしくなかろうということで、防衛力整備の際の防衛力算定の基準とされた物の考え方というものを取り入れて記述をされておるというように理解をいたしております。
  276. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大体その結果、大臣、これは簡単に言いますと、大臣は大綱というのを非常に大事にしておられるように私思いますね。ところが実際は、この大綱が大事なんじゃなくて、少なくとも日米のこのいろんな作戦の面からいきますと、このガイドラインが作戦の中核になってきつつある。しかも、今のこのシーレーン防衛の研究やこういうような問題を見てみましても、そのガイドラインに従っていろんなことをしている。したがってそういうふうな意味では、先ほど前段の質問で申し上げましたように、今のシーレーン防衛というのも、いわゆる地理的範囲で言えば千マイルにも及ぶわけです。しかも竹田さんの発言にもありますように、とても千マイルを防衛するような、空の面では特にこれはもうどうしょうもない、航空自衛隊の任務の中にもそういう点はうたわれていない。しかもそんな中で、今の防衛研究の中でたびたび今新聞等で出てくるような内容のことが本当にそのままでいいのか、具体的にあらわれてきたときじゃおそいんで、私はこれを申し上げているわけでありますけれども、そういうふうな心配があります。したがって、そこら辺のところにも十分配慮をしていただきたい、こういうふうに私は思うんです。  そこで、余り時間とっておりますと質問がたくさんできなくなってまいりましたんで、こういう問題に関連をいたしまして、この防衛行革ということでこれは昨年の秋ですか、初めは業務・運営自主監査委員会というのを官房長が主査か委員長でつくられて、その後今度は事務次官で防衛改革委員会というふうに名前を変更してやっておられますが、これはその中身には二つの委員会をつくっておられるようですけれども、これはどういうふうになっているのか具体的にお伺いをしたいと思います。
  277. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) お尋ねの防衛行革と申しますか、私どもでやっております防衛改革委員会に関することでございますが、そもそもは、御指摘がございましたように、昨年十月から業務・運営自主監査委員会を設置をいたしまして防衛庁、自衛隊の業務運営につきましての効率化、合理化といったものに取り組んでまいりまして、中間報告等も四月に取りまとめて三十二項目ばかり報告を申し上げたわけでございますが、その後本年五月に、合理化、効率化の対象範囲を一層徹底させると申しますか、一般の業務運営面ばかりでなくて、作戦運用機能面にまで広げまして徹底をさせるということで発展拡大をいたしまして防衛改革委員会というものを設置いたしまして、ただいま御指摘ございましたように、委員長に事務次官、委員に統幕議長、各幕僚長、関係局長等を加えまして設置いたしております。  現在、その委員会の組織でございますが、従前の業務・運営自主監査委員会の事業を引き継いでおります業務監査小委員会というものがございますほか、研究会といたしまして、これは効率的な防衛態勢等のあり方等の研究を行うものでございますが、これに、当初二つございました、現在三つになっておりますが、順序で申し上げますと洋上防空体制研究会と陸上防衛態勢研究会、それから追加になりましたのが自衛官人材育成・確保研究会、この三つの研究会でもって、それぞれ洋上防空体制問題あるいは陸上防衛態勢に関する諸問題あるいは人材確保の問題等について現在研究を行っております。  なお、業務監査小委員会の方も従前の業務・運営自主監査委員会で設定をされました検討目標等踏まえまして現在精力的に検討を実施いたしております。
  278. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは官房長、私は非常にびっくりしましたのは、防衛庁も当然行革をやらなくちゃいけないというのはこれはもう当然だろうと思うんですね、各省庁ともそれぞれの分野にわたって詳細に検討をするというのは当然だろうと思うんです。ところが、それがだんだんエスカレートしておりまして、今お話ございましたように、防衛庁は洋上防空体制研究会とそれから陸上防衛態勢研究会、これは時間がございませんからまとめて申し上げますが、これは新聞報道によりますと、洋上防空体制研究会では、例えばエイジス艦の導入やあるいはOTHレーダーあるいは空中給油機など、こういう問題についても検討しているようだと新聞報道があるわけです。結局こういうふうなものは少なくとも大綱の別表からもはみ出すような中身です、装備ですよね。そういういわゆる何というのかな、大綱にも載っていないようなことを一生懸命防衛構想として検討を始めたということは、逆に言えば実質的な大綱の見直し作業を始めたと、こういうふうに見られてもおかしくないような中身なんですよ。ですから私は、これは非常に重要な問題でもありますし、これはそういうような意味では、その検討状況とかあるいはその中身は、いや実はそんなことじゃないんだと、そのつもりじゃないんだと、こういうことなんです、ということならわかりやすく説明をしてもらいたいと思う。  また、私のこの何というのかな心配は、それはもうそういう心配は全くありませんというならそれでもいいんですが、私が少なくとも新聞報道やいろいろなところから見るところ、非常にきょうはまだ話そのものもがっちりかみ合っていないところもありましたけれども、少なくとも大綱というものを見た場合に、先般の予算委員会で千海里という問題については私もまだ納得ができておりませんし、また、米軍に対する説明と我々に対する説明も違うように私は思いますし、そんなことないとおっしゃるかもしれませんが、実際は違っているわけです、大臣ね。ですから、そういうような意味では私は納得できませんが、さらに航空自衛隊のシーレーン防衛という問題あるいは洋上防空という問題、そういうことになってまいりますと、明らかに大綱をはみ出すようなことも出てまいります。そういうような意味でまた非常に大事な問題でありますし、また、今の行革にかまけて、こういうふうなこの研究会の中身のいろいろなあれを見てみますと、これは新聞報道ですから正確かどうかわかりませんが、参加のメンバーも洋上防空体制研究会は防衛局長を座長に委員長の指名する書記官、内局の作業調整担当課長、統幕五室長、各幕防衛部長で構成と、これ中身を見てみますと明らかに大綱の中身を変更するような見直し作業を一々もう進めているような中身になっているわけでありますけれども、そういう点を含めて、これは担当の局長並びに長官の御答弁をお伺いしたいと思います。
  279. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 私が担当しております二つの研究会について申し上げますと、まず一つは洋上防空、きょうもいろいろ御審議いただきました洋上防空体制研究会でございますが、これは御案内のように、昨年閣議決定されました防衛力整備五カ年計画におきまして、例えばOTHの採用あるいは洋上における各種の防空手段、こういったものについて研究をするということが定められております。  それらを研究するについてどういう場がよろしいかと我々もいろいろ考えたわけでありますが、これらは陸海空にある程度重なることでもあり、かつ、場合によっては単にその機能を追加、付加するということでなくて省力化等も考えなくちゃいけないということであれば、防衛行革の委員会の中に下部機構として置くことがしかるべきであろうということで置かれたものであります。現在研究中でございますが、私どもといたしましては、昨年定められた五カ年計画というものが大綱水準を達成するためのものであり、その枠組みの中のものでありますので、その枠組みの中でいかなる措置がとり得るかという研究をいたしておるわけであります。  もう一点、陸上防衛態勢研究会の方でございますが、これは従来から、我が国陸上防衛に際してはでき得る限り国土戦というものを避け得るものであれば避けたいということで、洋上なり水際の撃破を追求していくという一つの目標がございます。一方、現在の画一的な師団編成というものについて、さきに定められた五カ年計画でも、これをより多様化した師団編成ということをとることによって、より効率的な防衛力整備ができないか、防衛力の配備ができないかということを追求いたしておるわけですが、それを五カ年間という今回決まった範囲内ではなく、将来方向として、どういう形で陸上防衛態勢というものを持っていったら最も効率的なしかも有効な陸上防衛態勢をつくることが可能かどうかを研究いたしたいということで研究をいたしておるものであります。  いずれにつきましても、先生の御指摘になったような大綱の枠組みを逸脱しておるということは毛頭考えておりませんし、大綱見直しを前提とした作業であるというようなことはございませんので、御理解を賜りたいと存じております。
  280. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 今政府委員から述べたとおりでございます。大綱の枠組みを外れて研究をするというのではない、大綱の枠の中でどう合理化をするか、効率化を図るか、そういうことでございます。
  281. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 外務大臣、せっかくお見えでございますので、お忙しいところまことに恐縮でございます、非核三原則の問題についてお伺いしたいと思います。  特に非核三原則の中の持ち込みという問題ですね。これは今までから国会における論争たくさんありますわ、とにかく。私も手元へ取り寄せまして随分読みました。読みましたが、大臣、やっぱりどうしてもこれは非常にわかりにくいし、納得できないことが多いわけであります。そこで大臣、きょうは、前段いらっしゃいませんでしたので、基本的な考え方大臣にもお伺いしたいと思います。  これは大臣、国の防衛というふうな場合非常に大事な問題でありますが、端的に全部申し上げてしまいますと、これは防衛庁長官にお伺いをしたわけでありますが、やっぱりただ防衛力装備だけがっちり整備しても、それよりもやっぱり国を守るというためには国民の協力、支持がどうしてもないといかぬ、そういうふうな意味で、最近は「日本防衛」という防衛白書にも、自衛隊というのは非常に国民から信頼をされるようになってきた。したがって、「自衛隊はあった方がよいと思いますか、ない方がよいと思いますか。」という世論調査をしましたら、「あった方がよい」というのが八二%もありましたと。そういうふうな意味で、国民の信頼という問題を私は取り上げたわけでございますが、これは多少担当は違いますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  282. 倉成正

    国務大臣倉成正君) お話のとおり、国民の信頼、支持が必要であるということは、先生と全く同じ意見でございます。
  283. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そこで大臣、もう一つ大臣外務大臣ですから、もう一つ違う意味で、世界の今の軍備の状況等を考えまして、日本の果たす役割というのはあると思うんですね。大臣はいつも、私たちが、世界で唯一の被爆国です、非核三原則を持っております、そこで、その問題についてどう取り組んでまいりますかと予算委員会等でお伺いをいたしますと、いや私も実は長崎の出身でございますのでと、いつもおっしゃいますね。そういうふうな意味で、私は、核という問題には非常に敏感でありますし、何とかそれをなくするために、あるいは国民の理解を得るために全力を挙げなくちゃいけない、こういうふうに思っているわけでございますが、これは中身何にもなしで申しわけありませんが、核に対するお考えを初めにお伺いしておきたいと思います。
  284. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 現在地球上に、米ソを含めまして人類を何回も皆殺しにするほどの核兵器が存在しているということは冷厳な現実でございます。しかし我々としましては、核兵器がこの地球上からなくなって一日も早く平和な世界というものが来なければならないというのが、私の基本的な考え方でございます。
  285. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そういうふうな基本的なお考えは私もわかりますし、我々も賛成であります。ところが、大臣、これは国会での論争をきょうは細かく言っている時間がございません、端的に申し上げますと、要するに、核を持ち込まず、持ち込ませずという、ここのところの、持ち込ませないという問題、いわゆる通過とか一時寄港、その問題がどうしてもこれもう国会の論争こんだけ見ても明らかでない。これはいろいろと問題がある。私も実はこれは資料も随分集めましたし、きょうは細かくやりたいと思っておりましたけれども政府の答弁というのはいつも決まっているわけです。同じ答弁です。しかしながら、少なくともこのイントロダクションという中に通過や一時寄港なんていうものもちゃんと含まれているんだと政府は一生懸命言うておるわけです。ところが、今まで一回も事前協議ないわけですから、二十何年間、日本の国に持ち込まれていないのかと言われると、本当にそうかという、それは疑問もあるわけですよ。そういうふうに一つずつ詰めていきますと、これは本当にアメリカ側が、その中に通過とか一時寄港という問題は含まれてないんじゃないか、事前協議がないということは。  これはね、大臣、これはまた世論調査です。この世論調査によりますと、核兵器の持ち込みを認めないというこの方針は守られていると思いますか、こういう世論調査によりますと、守られていないという人たちが八〇%もいるんですよ。これは一つの新聞と違いますよ、世論調査と。先ほどは三つ挙げたんですけれども、大部分の新聞やそういう世論調査では、国民は、守られていないと思っているわけですよ。守られていると思う人は八%です。これは何とかせないかぬわけです、本当に。これはやっぱり政府としても本当にアメリカに対してももっとはっきり、寄港とか領海通過という問題、これは事前協議の対象になっていないと、みんなそう思っているわけですよ。日本政府だけです、それを一生懸命言っているのは。そのこともちゃんと事前協議の対象になっておりますと、これは少なくともアメリカ側の責任ある人たちがきちっとどこかで言ったのか、いや、この人がこういうふうに具体的に言うておりますと、そういうふうなものをはっきりさせないと、これは国民は納得しないと私思うんですけれどもね。  これはいろいろな面を時間の関係ありまして申し上げましたが、御答弁を賜りたいと思います。
  286. 倉成正

    国務大臣倉成正君) まず一言申し上げておきますが、日米安保条約によって日本の安全が守られているという事実、そして世界の平和が、私は使いたくない言葉でありますが、核の均衡と申しますか、恐怖の均衡によって現在のところ守られている。そういう中で、日米安保条約の基本はやはり相互の信頼関係にあると思います。信頼関係がなければ、いかなる条約が結ばれておりましても、これは有効に働かないと思うわけでございます。したがって、事前協議につきましては、安保条約第六条に基づきまして岸・ハーター交換公文がございまして、これに基づいて事前協議の対象となるものがあることも、時間の関係上一々申し上げませんが、三つあることは御承知のとおりでございます。  したがって、その事前協議の本質と申しますのは、我が国にある米軍の行動に一定の制約を課するものでありますから、当然のことでございますけれども米国政府がかかる制約の解除を日本政府に求めたいと考える場合に協議を発議すべきものであるということでございます。したがって、発議権はアメリカ側にあると思っておるわけでございますし、ただいまお尋ねの寄港、通過も、当然その事前協議の対象に入っておるわけでございます。
  287. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、ですから大臣安保条約第六条に基づいて岸・ハーター交換公文があると。岸・ハーター交換公文もここにあります、これね。そんなことどこにも一言も書いてないんです。こんなの見たってわかりません。しかも、こういうものに基づいて出てきたいわゆる例の藤山・マッカーサー口頭了解という問題もここに、私の手元にあります。これは英文と両方あります。これ見ても、通過や一時寄港は事前協議の対象であります、なんてどこにも書いてない。  実は私の手元にありますこれは国会での議論、例えば質問主意書を含めまして相当な枚数ありますね。今までの分随分読みました、全部。読みましたが、そういうことを例えばここにも浅尾条約局長、当時アメリカ局長ですか、例えば寄港の問題について申し上げますということで、「安保条約改定の当時、事前協議制度ができ、さらに藤山・マッカーサー口頭了解によりまして、そこに言われている核の持ち込みというものは、核弾頭、中長距離ミサイルの持ち込み並びに基地の建設であるということが明白になっているわけでございます。したがって、日本側としては、事前協議制度ができた当初から、核の持ち込み、その中には寄港も入るというふうに理解しておりまして、その理解についてアメリカ日本側の理解と差はないというふうに考えております。」と、こういうふうになっているんですけれどもアメリカ側もこういうふうに考えておりますと言うけれども、いや、実際アメリカはこう考えておりますという具体的な文書は何もないんですよね。その後、例えば通過の問題でも、これは寄港の問題とはちょっと違いますというふうな意味で答弁をしておりますけれども、時間がありませんから余りできませんが、大臣、これ、こんなことをやってたら本当にあきまへんで。もうこれは本当にどの文書を見ても具体的に、アメリカもこういうふうに考えておりますと。例えばもっとわかりやすく言いますと、藤山・マッカーサー口頭了解をもう一歩進めて、この核弾頭の持ち込みのところをもう少しいわゆるイントロダクションの中に例えば通過とか寄港は、これもちゃんと含まれておりますと、明確にする、それだけですよ、大臣。それだけすれば、含まれていると私たちは考えておりますが、アメリカ政府はどうですかと、いや、アメリカ政府もそういうふうに考えておりますと、こういうふうに文書ができれば、それで明快なんですよ。大臣、これやっぱりそのくらいの手続をすれば、この従来から政府が言っている核持ち込みは事前協議の対象である、事前協議の申し込みや申し入れはない、だから、核持ち込みはないというふうな、これは何というのかな、政府の答弁、これは国民が世論調査や何やかやの中でもやっぱり核兵器持ち込みはあるんだと、それで非核三原則の中のこの点は守られていないと、こういうふうに国民が、八〇%の人ですからね、これは大部分の人ですわな、思っているわけですよ。やっぱり片っ方で国民の支持がなければ防衛はできない、日本の国はちゃんとできないと言いながら、国民の世論調査、世論の考えというものを無視する。これは絶対無視できないと私は思うんですよ。片っ方で世論が大事だと言いながら、それじゃその点はどうかと言われると、そのことは全く無視してという政治というのはないと私は思うんですよ。  そういうふうな意味では、きょうは時間もございませんから詳しくは言いませんが、そこのところだけはやっぱり、大臣、そんな難しい、外交上何というか目ん玉が飛び出るような話と違うわけですよ。お互いに信頼を裏切る話でもないと私は思うんですけれどもね。それだけやってもらえば、もうそれこそ今までやっていたいろいろな議論というものが明白になるわけですよ。アメリカは、そんなことは困ると言うか、いやと言うか、どう言うかわかりませんがね、これはやっぱりそのくらいのことは大臣としてやっていただいた方がいいんじゃないかなと私は思うわけですが、いかがですか。
  288. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 私が外務大臣に就任しまして、八月十六日に私とマンスフィールド大使との会談の際を初め、従来、先生がいろいろ御指摘のように、安保条約及び関連取り決めに基づく日本に対する義務を誠実に履行してきておる。今後とも誠実に履行する旨を米側は保証しているわけでございます。  政府として米国艦船が我が国に寄港する場合においても、米側から事前協議の申し入れがなければ、核の持ち込みがないと、何ら疑いを有していないわけでございまして、核持ち込みの中に寄港、通過という言葉は使っておりませんけれども、当然これは入るわけでございまして、合衆国軍隊の装備における重要な変更を事前協議の対象とすると、交換公文の規定及びいわゆるマッカーサー・藤山口頭了解から十分明らかでございまして、日米間には了解の違いはないと心得ている次第でございます。
  289. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、大臣ね、それはあきまへんね。僕の手元にありますね、これマッカーサー・藤山口頭了解、英文と両方あります。これ私が何ぼ読んだって寄港とかどうのこうのというのはわかりません、こんな。それは私はアメリカを信頼するななんて言うているのと違うんですよ。信頼するから言うてるわけですよ。これはやっぱりもう少しちゃんとやってもらわぬと。  例えばことしのこれ八月二十八日の新聞のアメリカのオズボーンさんという元駐日公使の新聞記事を見ましてもね、これはやっぱり「二十六年間にわたって米艦寄港に際して事前協議が行われていないことを指摘。これは、核搭載艦船の日本領海通過・寄港が事前協議の対象になっていないことを事実上、証明している、との見方を示した。」と、そういうことから始まっていっぱい書いてあるわけです。これ本当にもう読んでいると時間ありませんから読みませんけれどもね、そんなことがごちゃごちゃと後ろの方にまた外務省の談話も載っておりますけれどもね、それは今まで言うていることを言っているわけでございまして、そんな難しい手続をせいと言うとるのと違うんですよ。一時寄港とか通過というのも事前協議の対象でございますと。例えばこの交換公文の、口頭了解のこの持ち込みという中身はこれも含むんですよと、そういうふうに日本政府は理解しております、どうですかと。外務大臣、これは歴史に残りまっせ、これやったらほんまに。そのくらいのことをやっぱりやっていただかなければいかぬのと違うかなと思うのですけれども大臣どうですか。
  290. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) 峯山委員は既に御承知のことだと思いますけれども政府が岸・ハーター交換公文及び藤山・マッカーサー口頭了解との関係で極めて明確であるということを申し上げておりますのは、この岸・ハーター交換公文におきまして事前協議の対象になっております事柄の一つ、今の核持ち込みとの関係におきましては、合衆国軍隊の装備における重要な変更とこういうことで事前協議の対象になるということであって、表現上、この規定の内容上、ここで問題になっておりますのは常に合衆国軍隊であって、合衆国軍隊がどこにいるかということとはかかわりがない問題、つまり合衆国軍隊が日本国に配置をされる場合、あるいは合衆国軍隊の装備に重要な変更が行われる場合というようなことを指しているということは、この表現上極めて明確であるということを従来から申し上げているわけでございます。  したがって、理論的に申しますと、そこで言うところの合衆国軍隊が日米安保条約との関係において問題になりますのは、日本に配備されている軍隊というものもございますけれども、それ以外に我が国施設区域を一時的に使用する軍隊もございましょうし、あるいは我が国の領域、具体的に申しますと領海であるとか領空であるとかそういうところを通過することによって、我が国の領域にあるような軍隊というものも入るということはこの岸・ハーター交換公文の規定上極めて明確であって、そのことについて日米間に食い違いはないというふうに考えているということを申し上げているわけでございます。
  291. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 今あなたがおっしゃった中にも、それはそのとおりだろうと思うんですよ、それはそのとおりだけれども、その持ち込みという中に通過とか一時寄港というのが入らない、事前協議の対象になっているのかなってないのかというのが今問題なんであって、事前協議の対象外ではないかという疑いがもうこれ日本国じゅうにあふれているわけだ。国民もみんなそう思っているわけだ。だからその点はやはりきちっとせにゃいかぬと違うか。そんな簡単なことができませんのかな、外務省というのは。それだけはっきりさせればこんなもの明らかになることじゃないですか。  例えば藤山・マッカーサー口頭了解の中身を確認した文書がありますが、英文と両方、この中身の核持ち込みという中には、これは要するに通過とか寄港というのは私たちは入らないと考えておりますが、いかがですかと出しまんねん。大臣がいけなかったら局長でもいいわけです。向こうの方から、いや、そのとおりでございますと、それならそれでいいんですよ。それができないようではやっぱり国民が疑っているとおり持ち込みは行われているということになりますね。どうですか。
  292. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) 先ほどの私の御説明に若干補足して申し上げさせていただきたいと思いますが、さっきも申しましたように、我が国の領域に合衆国軍隊が入ってまいります場合には、これは当然に同軍隊の装備における重要な変更というものになるわけです。そこで、我が国の領域と申しますのは御承知のとおり、これは陸上だけに限られるわけではございませんで、港であるとか領海であるとか領空であるとかいうようなものも当然入ってくるわけで、その意味でこの領空、領海に入ってくるような合衆国軍隊が核を持ち込む場合には、それは当然にこの事前協議の対象になるということは、岸・ハーター交換公文の表現からいって極めて明確であるということを従来から申し上げているわけでございます。  御指摘のとおり、国民が日米安保体制というものに対して十分な信頼を置いてくれるということが安全保障の見地から非常に重要なことであるということは、私どももそのとおりであると考えておりますし、国民の一部に御指摘のような疑問が生ずるというようなことは大変残念なことでございますので、政府としては国民の理解をさらに求めていく必要があるということは私どももそのとおりであるというふうに考えております。  他方、今申し上げましたように安保条約上の考え方ないしは規定というものは極めて明確でございますし、米国はこの安保条約及び関連取り決めというものを誠実に従来も遵守してきたし、これからも遵守するということをはっきり言っているわけでございますから、結局基本は日米の信頼関係ということに戻ってくるわけでございまして、規定上極めて明確であってアメリカも遵守すると言っているものに対して、さらに確認を求めるとかあるいは疑惑を持っているのではないかというような感じになるようなことを米国に対してただすことは、信頼関係からいって適当ではないというのが従来から申し上げている政府立場でございます。
  293. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 何を言ってるの、ほんまに。そんな難しいところか外務省というのは。わかりにくいことを言うているな、本当に。時間ないから、もうちょっとわかりやすい言葉で言ってもらいたいな。例えば岸・ハーター交換公文でどこにそんなこと書いてあるの。どこにそんな通過とかそういうふうな問題が、事前協議の対象になっているということがどこに書いてあるの。そんなこと一言もないじゃない、ありますか。
  294. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) 繰り返しで恐縮でございますが、この交換公文は、合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更並びに日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用、これを事前協議の対象にしているわけでございます。  そこで、この二番目の同軍隊の装備における重要な変更というのは合衆国軍隊そのものを指しているわけでございまして、それが陸上に配備されたものであるかどうかということにはかかわりなしに、日本国の領域に米合衆国軍隊が入ったときにはこの安保条約の適用上合衆国軍隊になるわけです。したがってそういう意味で、この合衆国軍隊の装備における重要な変更、すなわち核を持ち込んだとき、領海、領空を含めまして我が国の領域に核を持ち込んだときには、ここに言うところの事前協議の対象になるということは規定上明確であるということを申し上げておるわけでございます。
  295. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう時間ありませんから、私……。
  296. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 簡潔にお願いいたします。
  297. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私、終わりますけれども大臣、こんないいかげんな論争ありませんよ、ほんまに。私は簡単なことを言っているわけです。交換公文にしたって、先ほどからこの交換公文に基づいて藤山・マッカーサー口頭了解があるわけです。口頭了解についても今言ったことが書いてあるわけです。だから、その中の核持ち込みというのは核弾頭及びいろいろあるんですよ、持ち込みというのはやっぱり通過とか一時寄港というのが国民の前に明らかでない、みんな心配しておる、八〇%もあると私は言っているじゃないですか。その疑惑なり心配を解消する責任があるじゃないですか。その責任に対してどういう努力をするかということですよ、大臣が。これだけ、国会会議録見てくださいよ、同じ議論ばっかり。条約局長のような答弁なんか聞きたくない。何回も何回も同じ答弁じゃないですか。そんな答弁じゃ納得できませんよ。時間を決められて私質問していますけれども、何時間やったって終わりませんよ。そんなことは何遍も聞いていると言っているじゃないですか、何遍も読んだと。読んだことを前提にして質問しているんじゃないですか、そんなことは。そうでしょう。だから大臣、そういうことはわかり切って質問しているわけです。この問題の持ち込みという問題についてはみんなが心配している。一時寄港とか通過という問題については事前協議の対象に入ってないんじゃないか、そういう人たちが日本人だけじゃないです、アメリカから日本に来るたびに大使や公使やいろんな人たちが言うじゃないですか、口に出して。その都度国会では問題になっているんじゃないですか。これはやっぱり一時寄港も通過も事前協議の対象ですねと、そう一言。聞けば済む問題じゃないですか。何がアメリカの信頼関係を裏切ることになるのですか。国民の八〇%の人たちが心配しているんじゃないですか。そのことをちゃんとできないのか。  私はこの問題についての質問はもうきょうはこれで終わりますけれども、本当に防衛問題で時間を決められて質問しているからオーバーしたくはない。ないから一生懸命はしょってやっているわけです。それに対してありきたりの答弁なんて納得できない、私は。そうでしょう、委員長。本当にきちっとした答弁をいただきたい。
  298. 倉成正

    国務大臣倉成正君) しばしば政府委員からも私からも申し上げているとおりでございます。安保条約に関する事前協議のもとにおいては、日本は非核三原則を持っているわけでございまして、安保条約に基づく事前協議のもとにおいては、いかなる艦船による核持ち込みを含め、核持ち込みに該当する場合はすべて事前協議の対象になる、これが日本政府の従来からの見解でございまして、事前協議がない限り核持ち込みはないというのは、信頼関係に基づいて当然我々が考えていることでございまして、政府の答弁は一貫しております。また、私も先生と同じく従来の質疑も詳しく読んだ上で御答弁申し上げているわけでございまして、この見解には変わりはございません。
  299. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そんな答弁違うやないか。委員長ね、ちゃんと僕の質問要旨わかっているんじゃないですか、ちゃんと答弁させてくださいよ、きちっと。そんな答弁じゃないでしょう。そんなことを聞いていません、そんなことは。私の言うている趣旨、明快じゃないですか。それに対して言うてくださいよ、答弁してくださいよ。
  300. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 時間が参りましたので。
  301. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 時間は時間ですけれども、それは申しわけないけれども、きちっと答弁してくださいよ、私の質問に対して。
  302. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 次回にさせていただきたいと思います。
  303. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あかん、あかん、そんなもの、きちっと今。冗談じゃない、私の趣旨がわからぬのやったらいいよ。
  304. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 外務大臣、それでは何か一言答弁してください。
  305. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そういうことじゃなくて、ちゃんと明確に。
  306. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 申し上げることは別にございません。日本は非核三原則を持っておるわけでございまして、いわゆる艦船による核持ち込みも当然核持ち込みに該当する。したがって、事前協議の対象になるということを明確に申し上げておるわけでございます。(発言する者多し)
  307. 岩本政光

    委員長岩本政光君) それでは、この件につきまして理事会で後刻協議をさせていただきます。
  308. 内藤功

    ○内藤功君 ことしの八月下旬から九月、十月にかけまして日本の周辺でアメリカの三つの艦隊による演習が相次いで行われたわけであります。まず一つが、ニュージャージーを旗艦とするいわゆるSAG、ロングビーチ、ビンセンス、メリル、これに洋上の弾薬補給艦、給油艦、戦闘補給艦を含めた部隊ですね。これが佐世保に八月二十四日に入ってきて九月二日に出て、それ以降、日本海においてウラジオストクの近くで演習を行う。さらにそれだけではなくて、カールビンソンを中心とする空母の機動部隊、これがフリゲート艦、ミサイル巡洋艦、駆逐艦、補給艦等を随伴して、八月二十五日から二十九日までベーリング海で演習を行い、引き続いて日本海に入ってそしてここで演習をする。さらに三つ目には、レンジャーという空母を中心とする空母機動部隊、これが九月四日に津軽海峡から日本海に入る。そして九月十日ごろ、さきに申しましたニュージャージーの機動部隊と一緒にウラジオストク沖の演習に参加する。そしてさらに九月二十一日からの海上自衛隊の演習にこのレンジャーは共同して参加をする。こういう動きがあらわれております。  この動きは今までになく日本の周辺で大規模な動きであるということ、それからアメリカ軍の機関紙でありますパシフィック・スターズ・アンド・ストライプスの八月三十一日付によりますと、第二次大戦後最大の演習である、こういうふうに評しております。報道によりましても、このアメリカ軍の動きに対してソ連の側から多数の航空機、艦艇が出向いてきて、これを迎撃するF14トムキャット艦上戦闘機との間で応酬があるということが報道をされておるところであります。しかもこの時期のこれらのアメリカ海軍の演習は、同時期にヨーロッパにおいては八月二十九日から九月十九日までノーザンウエディング演習というのが北大西洋でNATO軍を中心に、百五十四隻の艦船を中心に三万七千人が参加し、十カ国の軍隊が参加して行われる。九月九日にはノルウェー上陸作戦が行われる。我々の得た情報でもあらましこういうような動きが行われたわけであります。ことしの一月のいわゆるネーバル・インスティテュート・プロシーディングズ——アメリカ海軍協会会報の一月号、特集号でレーマン海軍長官、ワトキンズ作戦部長それからケリー海兵隊司令官、こういうアメリカ軍の最高首脳の論文が明らかに極東・西北太平洋における攻勢戦略、これを打ち出しておりますし、それから六月のソロモン・アメリカ国務省政策企画局長・国務次官補の講演におきましても、ヨーロッパ有事、中東有事のときに連動してアジア・太平洋における第二戦線づくりを言っておる。これは最近では大きく日本の言論界、報道界でもアメリカの大きな戦略の変化として論ぜられているところであります。アメリカでは、我々は演習をするときにはアメリカの戦略から外れた演習はしない、ということを高官はアメリカ議会においても明言をしております。このような状況がことしの八月から九月さらに十月にかけて日本の周辺に見られたわけでございます。  この点について私は、同時に中曽根内閣、中曽根・倉成外交と言っていいかどうかわかりませんが、倉成外相にお伺いしたいのは、一方においてこのような今核兵器の持ち込み、通過、一時寄港の問題がありましたが、それだけではなくて、日本の周辺で核攻撃能力を持った艦船部隊、航空部隊によるこういう訓練が文字どおり自由気ままになされておる、この問題について一方で対ソの友好対話外交を強調される、この関係は一体どういうふうに政府としてはとらえておられるのか。日本が被爆国であり、世界に向けて核兵器の完全禁止さらに核戦争に至るあらゆる動きをなくす先頭に立つのが私は日本政府の責務であると思いますがゆえに、被爆体験を常に強調される倉成外相がこの点についていかなる見識をお持ちであろうかという点を最初にお伺いをしたいと思うんであります。
  309. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 内藤委員御承知のとおり、現在の世界の平和が核の均衡で成り立っておるということについては、これはもう否定されないと思います。そういう意味から申しまして政府といたしましては、米国の国防政策は抑止を目的としたあくまで防衛的なものであり、米政府としては、ソ連の一貫した軍事力増強趨勢にかんがみて、抑止力の維持向上に努めておるものと承知しておるわけでございます。  したがって、今いろいろ内藤委員が御指摘のような米軍艦船の我が国周辺海域あるいはその他の行動についてその詳細を一々承知しているわけではございませんが、一般的に申しますと、米国が北太平洋、日本海等の公海上で行動することがあっても、これはあくまで武力紛争を未然に防止するための抑止力の維持向上の観点から行っておると認識している次第でございます。したがって、このような訓練が行われておるからといって、日ソ友好関係に悪い影響を及ぼすものではない、これはまたこの問題として、防衛上の問題として当然のことではないかと私は思うのでございます。
  310. 内藤功

    ○内藤功君 私は今の御見解に全く異論があります。もしその見解でいきますと、日本の近海でいかなる兵力、強大な兵力を持った艦隊、あるいはそれが核攻撃能力——艦載機による、あるいはトマホーク等のミサイルによる核攻撃能力を持った軍隊であっても訓練をやればやるほどよろしい、大々的にやればやるほど抑止になるということになりますね。それから、ウラジオストクの目と鼻の先ですよ。五十キロから百キロぐらいのところです。飛行機でもわずかな時間で行ける。そういうところで艦上機を発進させる、そして訓練をやるということは、幾ら相手国の鼻先へ行ってやってもよろしい、やればやるほど抑止になる、やればやるほど平和になる、こういう御見解の持ち主なんですか、あなたは。
  311. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 内藤委員少し誇大に私の発言の一部をとらえて御発言になっておりますけれども、一方において、ソ連が極東において、また、我が国の固有の領土である北方四島において軍事力の増強を図っておる、あるいは極東地域におけるいろいろな軍事力の増強、こういう事実をどう認識するかということもお考えになっていただきたいと思うわけでございます。やはり相手のあることでございますから、私は、そういうアメリカの演習もない方が一番いいに決まっているわけですけれども、やはり一方がそういうことであれば、それに応ずる対応があってもしかるべきじゃないかと思うわけでございまして、私は両方ともそういうことがないような日が一日も早く来ることを願っておる一人でございます。  したがって、そういう演習をやればやるほどいいとか、武力増強をやればいいとかいうようなことは全く私の基本的な精神に反することでございますので、どうぞ認識を改めていただきたいと思います。
  312. 内藤功

    ○内藤功君 ソ連に対しても私どもは当然そういうことがあれば言うべきだと思いますよ。  しかし、この演習は目と鼻の先ですね。相手の鼻の先でやっているんです。そして強力な核攻撃能力を持っている部隊がやっている。この演習を抑止の名のもとにあなたは肯定されましたが、それでは一体どのくらいまでいけば、これを容認しない限界をあなたは御見識としてお持ちなのかということを聞いたわけなんです。そういうような御見識があるのかないのかという点を伺いたいんです。
  313. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 私は軍事専門家でございませんけれども、御案内のとおり、ソ連の方でもかなりいろいろな軍事力の増強あるいは軍事演習等一々承知する立場でございません。内藤委員が御承知であればこの席で教えていただきたいと思いますけれども、そういうこともこれあり、これに対抗する意味においてのものでございまして、相対的なものだと思うわけでございますから、やはりこれは両国ともがそういう立場でそういうことをしなくてもよいような世界をつくっていく、それを具体的にどういう形でやっていくのができるかということが、我々のこれから取り組まなきゃならない課題ではないかと思うわけでございます。  したがって、内藤委員が、平和を求めるという意味において問題を御指摘いただいたとすれば、その点については私は全く同感でございますけれども、しかし、米軍のそういう演習についてのみこれは非常にけしからぬと、また、私がそれを抑止力のものであると言ったからといって、それを奨励するとか、それを何というか、一方的に是認するとか、そういうふうにおとりになることだけは、私の真意ではないということを御理解いただきたいと思います。
  314. 内藤功

    ○内藤功君 具体的なやはり事実を指摘をして、私が警告を発した趣旨の質問なんですが、大臣の方では問題をソ連の問題と同じように取り上げて、そしてこれについてどこの線まではいいのか、どのくらいの演習まではいいのかという具体的なお考えがあるのかどうかと、お聞きをしたのに対してお答えがいただけない。私が聞いているのはそういう点なんです。ですから、その考えを発展させていくと、アメリカのこの演習は強力に行われれば行われるほどいいということに論理的にはなっていくんじゃありませんかと、私はそういう質問をしたんです。お答えになっていませんが。
  315. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ここは何というか、論理の論争をやるところじゃないと思いますけれども、ソ連がどの程度の軍事的な増強、それから軍事的な演習、そういうものをやっておられるか、私ども一々承知しておる立場にはございません。また、アメリカがいろいろな演習をやっていることは承知しておりますけれども、その一々の細部について承知しているわけではございません。日米の共同演習をやる部分については承知しておるわけでございますが、したがって、その部分についてどの部分までいいか、どの部分まで悪いかというようなことは、これはちょっと私にお聞きになってもそれは無理じゃございませんでしょうか。だれもちょっと簡単にお答えできないのじゃないでしょうか。質問がちょっと無理な御質問だと思います。
  316. 内藤功

    ○内藤功君 碓かにあなたにお答え願うには非常に困難な難しい質問だったと思います。御自身がそうお答えなんですから、私はもうそれ以上答弁を強要いたしません。。  そこで、それでしたらお聞きいたしますが、具体的な日本をめぐる問題なんですが、最近の報道によりますと、シーレーンの防衛共同研究結果というのが十一月の三十日にまとまって、十二月の中旬に防衛庁長官に報告、了承を得て、一月中旬の第十七回日米安保事務レベル協議に報告をされるということが報道されております。  このシナリオも報道されておりまして、シーレーン攻撃と同時に着上陸侵攻、それからもう一つのケースは、長期間にわたりシーレーン攻撃の二つの場合に分けて、さらに相手国爆撃機が巡航ミサイルを使用する場合、しない場合、に分けて計四つのケースが想定されると、こういうふうに言われております。兵力量は、五十八年度予算で調達の認められた装備、自衛隊の装備ですね、それから米軍は二個空母機動部隊——ミッドウェー旗艦の一個ともう一個。それから自衛隊の任務は、対潜、船団護衛、海峡封鎖、米空母など米艦護衛という報道がございます。  今までいろいろとこのシーレーンの共同研究について、本年一月以来報道され、また、防衛庁OBの方々が恐らく御自身の体験に基づいて物を書き、講演をされた内容を拝見し、私自身も国会で自分の調査に基づいて質問した際に指摘したことと、基本的な骨組みは非常に共通しているという感を私は深くしたのでございます。  防衛庁に伺いますが、このような報道がなされております、この前十一月二十七日に、私この席で御質問したときには、極めて近い時期にこれが発表されるであろう、できるであろうというお答えでしたが、その後このような報道がございました。経過その他について防衛庁の御見解を伺いたいと思います。
  317. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) いわゆるシーレーン防衛の共同研究につきましては、現在、作業の取りまとめの段階にございます。まだ研究が終了したという状況ではございません。  なお、内容につきましては、たびたび申し上げているように、事柄の性質上申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じております。
  318. 内藤功

    ○内藤功君 十一月三十日にこれがまとまって、十二月中旬防衛庁長官に報告、了承を得ると、この点はいかがですか。
  319. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) ただいま申し上げたように、作業の取りまとめを行っている段階で、十一月にまとまっておるというか、終わっておればもう終わりましたと私は申し上げますので、まだ終わっておりません。まだ研究が終了したというわけではございませんので、御理解をいただきます。
  320. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、この記事は防衛庁として公式に否定をされるわけですか。
  321. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 私どの記事かよくわかりませんが、少なくとも防衛庁でそのようなことを申し上げたことはございません。
  322. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、現在なお研究は継続中であると、まだまとまっていないという状況ですか。
  323. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先ほど申し上げたように、まとめの段階にあるということでございます。
  324. 内藤功

    ○内藤功君 内容についてはいかがですか、私の今読み上げた内容については。
  325. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) これも先ほどお答え申し上げたとおり、内容については事柄の性質上申し上げられないということでございます。
  326. 内藤功

    ○内藤功君 肯定も否定もされないわけですか。
  327. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 内容については申し上げられません。
  328. 内藤功

    ○内藤功君 肯定も否定もなさらないようですから、この中身についてはかなり信憑性の高い報道記事と私はみなすことにいたします。  そこで、安保条約の第五条の適用のない事態で公海上で我が国の船舶が攻撃をされた場合、この問題が本年の二月、予算委員会での御質疑以来ずっと論議の対象の一つになっております。この二月の予算委員会の論議では意図的、組織的、計画的、多発的に攻撃をされ、かつまた引き続き攻撃され得る状況という前提つきで、そういう場合の日米共同対処はやれるのかやれないのかという諸問題が論議されたと私は議事録で理解をしております。  この点について、きょうは外務大臣おいででありますので外務大臣、あるいは細部の点について外務大臣の御答弁が御無理であれば政府委員から御答弁をいただきたいと思います。
  329. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) 内藤委員の御指摘の点につきましては、御指摘のように予算委員会におきまして質疑応答があったところでございます。基本的に問題は、我が国が個別的自衛権を行使し得るような事態であるかどうかということでございます。したがいまして、今御指摘になりましたような事態、すなわち公海上において日本国の施政のもとにある領域ではないところにおいて武力攻撃があったときというのは、安保条約の第五条の対象ではございませんけれども我が国として個別的自衛権の行使をし得るような事態であるかどうかということによって判断をするということになっております。
  330. 内藤功

    ○内藤功君 個別的自衛権の問題は、今のお答えは今までの答えのとおりですが、私の質問はもう一歩進んで、個別的自衛権の行使にとどまらず、さような場合に日米協議、あるいはさらに一歩越えて日米共同対処ということがあり得るのかあり得ないのか。これは理論上の問題と実際の政策上の問題、こういうふうにあり得ると思うんです。この点はいかがですか、そういう質問です。
  331. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) 私は理論上の問題、つまり条約及び一般国際法上の解釈の問題としてどういうことになるのか、ということについて一般論としてお答えを申し上げたいと思います。仮定の問題でございますので、そういう具体的な事態がどういう形で発生するかということいかんによって現実の状況というものはかなり区々であろうと思いますので、そのことについて一々立ち入ってお答えをすることは必ずしも適当ではないと思いますが、一般的に申し上げればどういうことになるかということに限ってお答え申し上げたいと思います。  日米共同対処ということを内藤委員がどういう意味でお使いになっているのか私には必ずしもはっきりいたしませんけれども、第五条に規定しておりますところの「自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処する」と、そういう意味で第五条のもとにおける共同対処があるのかと、こういう御質問でございますならば、先ほど来申し上げておりますように、今仮定されております事実は第五条のもとにおける事態ではないように思います。  他方、我が国が個別の自衛権、我が国としての個別的自衛権というものを行使し得る事態がどういう状況のもとに生ずるかということを申しますと、これは日本国に対する武力攻撃があったというような状況でございますが、その場合にそれが日本国の領域に対する攻撃でなくても、例えば我が国の艦船に対するような武力攻撃が意図的、多発的、計画的あるいは組織的に行われるというような状況において、それを守るための措置、みずからを守るための自衛の措置というものは認められる。これは公海上においても認められるということは、従来から政府が答弁してきているとおりでございます。  で、そういうような場合において、米軍の艦船がそういうふうに武力攻撃の対象になっております日本の艦船に対する攻撃の状況のもとで日本国を救援するためにその場に存在するというような状況において、我が国が自分自身の個別的自衛権の発動として、そういう状況の中で米軍艦船に対する救援の措置をとるというようなことは、理論的に一般的に考えればあり得るケースはあるであろうというふうに考えているわけでございます。
  332. 内藤功

    ○内藤功君 そうしますと、その場合に例えば安保条約四条で日米協議をして、そして日米共同対処と言うと、あなたが言葉をいろいろに深く考え過ぎるから日米共同作戦と言いましょうね、日米共同軍事行動でもいいですね、それをとるということはあり得るのかあり得ないのか。理論上の問題で結構です。
  333. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) 先ほど来申し上げておりますように、これは具体的に起こる状況がどういう状況であるかということが非常に多種多様でございますので、そういう状況について一般的に想定をして、一般的なお答えをすることは必ずしも適当ではないと思います。したがって、余りこの問題について立ち入ることは適当なことではないというふうに考えております。  ただ基準は、先ほど来申し上げておりますように、我が国我が国の個別的自衛権の行使として行う行動の中には、我が国の艦船が武力攻撃の対象になっているような状況において、それを救援するために来ている米軍艦船に対する攻撃に対して、その攻撃を排除するための最小限の措置というものはあり得るであろうということに限って申し上げているわけでございます。
  334. 内藤功

    ○内藤功君 そうしますと、今の局長の御見解は、これは外務省の御見解として承るわけですけれども、今言われたような場合に限定的に考えると、こういうことですね。
  335. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) 失礼いたしました。ちょっともう一度。
  336. 内藤功

    ○内藤功君 聞いていませんか、質問。
  337. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) 大変恐縮ですが。
  338. 内藤功

    ○内藤功君 今の場合に限定的に考えられるということですね。
  339. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) 繰り返し申し上げて恐縮でございますけれども、これは非常に具体的に起こる状況が区々でございますので、一般的な形で整理をして申し上げることは適当ではないと思います。具体的なその状況において判断をするということでございまして、その判断の基準はあくまでも我が国が個別的な自衛権の行使として行動するケースであるかどうかということで決められるということを申し上げているわけでございます。くどいようでございますけれども、この点は既に予算委員会における質問のときに政府が答弁をしたラインをそのまま申し上げているわけでございまして、そのときにも申し上げましたように、具体的な状況はそのときの状況状況によって異なるので、一々一般的な形でカバーするようなお答えをすることは非常に困難であるということを申し上げておきます。
  340. 内藤功

    ○内藤功君 局長、くどいようですが、今のような場合に安保条約五条は適用ない、しかし、安保条約四条に基づいて日米の協議によって共同の軍事行動ということは理論上考えられるのかどうか。
  341. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) 米軍の行動についてのお尋ねでございますならば、先ほども申し上げましたように、第五条は「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」の場合に、「共通の危険に対処するように行動する」義務というものを定めているわけでございます。ですから、具体的に申しますと、日本に対する、日本国の施政下にある領域に対する攻撃があったときには、米国がその共通の危険に対処するように行動することをこの安保条約によって義務づけられているわけでございます。  今議論になっておりますような状況は、第五条の規定の枠外の問題であるというふうに考えて仮定をいたしますと、米軍としては、そういう行動をとる義務というものは条約上はないということになります。ただ、その場合に米軍が、それにもかかわらず救援に、日米安保条約のような条約のもとにおいて存在しております関係というものを前提にいたしまして、米国というものが救援行動に参加をするということは、米国の意思の問題としてはあり得るであろうという、そういう状況の中で先ほど来申し上げているようなことをお答えしているわけでございます。
  342. 内藤功

    ○内藤功君 防衛庁長官の御見解は、これと同様とお考えになっておりますか。
  343. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 外務省の方から答えられたとおりであります。
  344. 内藤功

    ○内藤功君 さきの参議院の内閣委員会で、前の防衛庁長官、加藤防衛庁長官に私質問をしたことがあります、この問題。そのときには、第五条の適用のない事態でも安保条約四条等の協議と、そしてアメリカ日本の共同の軍事行動というものを肯定される趣旨の答弁を承ったと私は理解をしております。しかし、当時の加藤長官は、外務省の見解を聞かないと法制的、条約的には何とも確定的に言えないというニュアンスも残されたと思うんです。今、一応外務省の見解をお聞きしましたので、私はなおこの点については、前回の加藤長官の見解等との整合その他を改めて別の機会にこれは十分質問させていただきたいということを申し上げまして、次の問題に入ります。  次は、十一月二十七日の当委員会で行いました洋上防空についての質問の続きであります。実は洋上防空の防護対象というのがこの前の私の質問の中心でございました。西廣防衛局長は、あくまで我が国の生存を全うするための重要物資を輸送する船舶の海上交通の保護と、それから、いわゆる継戦能力のための重要物資を積載した船舶の保護というものであるというふうに言い切られたわけでありますが、これは去年の六月二十日に当委員会で、私が当時の防衛局長、矢崎新二局長からいただいた答弁と食い違うんです。ちょっと御紹介しましょう。去年の六月二十日、私の質問に対して矢崎防衛局長は、  保護の対象となるものとしては、日本にとって必要な物資を運搬している民間の船舶もあるでありましょうし、あるいはそれを護衛するために船団を組んでいる場合の船団護衛の海上部隊もあるでありましょうし、また対潜水艦作戦を実施しているときのその作戦部隊そのものの場合もあるでありましょうし、これはいろいろな形態があり得るわけでありまして、千差万別ではないかと思います。 と、あなたのは一元的に言われていますが、ここは食い違っているとまずいですな。
  345. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) それは、私のときに御質問があったのは、防衛力整備の対象としてどう考えるかという考え方の中の洋上防空でございますので、我が国の洋上防空というのは海上交通保護という考え、つまり国民の最小限の生存を確保するため、あるいは継戦能力を確保するための海上輸送というものを確保するために必要な海上交通保護、それのための機能として洋上防空機能が必要であると申し上げたわけでございます。したがいまして、いわゆるオペレーション、運用の際に具体的に何を守るかということになれば海上交通保護に関連をして、対潜作戦をしている部隊を守ることもあろうし、あるいは着上陸侵攻しようとするものを洋上で撃破しようとしている艦船部隊等の洋上防空をやるということもあろうと思いますから、運用についての考え方防衛力整備の際の物の考え方とは分けてお考えをいただきたいと思います。
  346. 内藤功

    ○内藤功君 私の質問は当然これは運用ですね、オペレーションを前提にしての質問をやって、あなたもそのつもりでお答えになったと思うんですね。そうすると、この間の答弁は結果的には今のように補足をされて、去年の六月二十日当時の矢崎防衛局長の答弁と同様と、こういうふうに修正されるわけですね。
  347. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先般、私に御質問されたときはオペレーションの話としてではなくて、昨年の五カ年計画で決められた洋上防空の研究、それを受けて行っておる洋上防空の研究についての私は御質問と受け取っておりますが、いずれにしましてもオペレーションの問題については、その状況によりまちまちな対応があるということは御理解をいただきたいと思います。
  348. 内藤功

    ○内藤功君 これはあくまで運用の問題として、私は矢崎さんにも西廣さんにも聞いております。ここでその食い違いというものがどこで出てきたかということははっきりした。私をして言わせればあなたの質問の取り違えだと、こういうふうに言わざるを得ない。  そこで、この洋上防空の装備体系の問題でひとつ聞きますが、報道によりますと、今洋上防空の体制をつくるために航空自衛隊側ではE3Aというものを早期空中警戒の飛行機として考えておる、それから海上自衛隊側では、この前私も質問の中で言ったP3にレーダーを載っけるP3AEWというものを考えておる。防衛庁としてはこの両方を比べてE3Aというものに傾きつつあるという報道がなされておりますが、このような装備体系の問題にまで話が進んできておるのかどうかという点、まずその点をお聞きしたい。
  349. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 洋上防空体制研究につきましては現在検討中でありますので、まだ具体的な案が出てきておるということはございませんが、まずお答えしておきたいのは、これは研究会でそれぞれ個人的な資格の有識者が集まって研究しておるものでありまして、防衛庁と海上自衛隊と航空自衛隊と三つがどうなっているかと、そういうような組織がばらばらになってやっておるものではございませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  350. 内藤功

    ○内藤功君 この空中警戒機の具体的な機種に触れた検討が既になされているのかどうかという点です。
  351. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 機種を云々ということではなくて、例えば長距離まで届くOTHレーダーのような警戒機能、それをさらに位置局限するためのAEWと申しますか、警戒監視のための航空機、そういった形でそれらのそれぞれの機能がどうあるべきか、それぞれが必要かどうかということを検討いたしております。
  352. 内藤功

    ○内藤功君 いずれにしても膨大なこれは単価であると思います。一機大体二百億円ということも報道をされております。しかも報道によりますと、E3Aというものが強く出てきているのはアメリカ海軍での運用実績、それから日米間の相互運用性、いわゆるインターオペラビリティーというような日米の兵器装備の共通性、相互運用性という点を理由にしているということは、私どもこの洋上防空というのがアメリカのやはり艦隊防空といいますか、アメリカ海軍の要望に沿って行われているという側面が非常に強いというふうに考えざるを得ないと思うんです。  次にイージス艦の導入について、もしイージス艦を導入した場合に、現在の八・八艦隊と言われている護衛艦八隻、ヘリコプター八機、この一個群の構成はどのように関係が出てくるのか。例えば八・八が九・九になったり十・九になったりという論議も行われておりますが、こういう点の検討はしているんですか。
  353. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) まず初めに、米海軍とのインターオペラビリティーのようなお話がありましたが、ちょっと私もその辺まで勉強はいたしておりませんけれども、E3Aが果たして米海軍が使用している航空機であるかどうか、私ども空軍が主体ではないかというふうに思っておりますけれども、その辺よく調べてからお答え申し上げます。  イージス艦につきましては、これは前々から申し上げているように、従来から艦艇のいわゆる船団防空といいますか、ある程度のエリアの防空のために、いわゆる高射砲のたぐいのものでは個艦防空しかできないということで、そのための機能としてターター艦等を逐次整備をしておるわけでありますが、ターターではミサイル攻撃に対して対応しにくいということで、ターターの後継というようなふうにお考えいただいた方がいいと思います。
  354. 内藤功

    ○内藤功君 次に、私のきょうお聞きしたいのは、法案にも関係しますが、統合幕僚会議の問題であります。  まず現行法令上、統合幕僚会議の議長はどういう権限を持っておりますか。
  355. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 統合幕僚会議議長は、統幕会議を主宰しておるということでございます。座長というような形になります。    〔委員長退席、理事亀長友義君着席〕
  356. 内藤功

    ○内藤功君 もう少し正確に言いますと、設置法二十七条二項によって「自衛官の最上位にある」、同条三項によって「統合幕僚会議の会務を総理する。」こういうふうになっておりますが、この「会務を総理」それから「最上位」という意味を説明してください。
  357. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) さらに追加していただくことになりますが、幕僚会議の「会務を総理する」ということになりますと、御承知のように防衛庁長官が指揮官でございますので、これを補佐する幕僚としては統幕会議の議長及び陸海空の幕僚長が、昔で言えば参謀、幕僚の立場を務めるわけであります。したがいまして、各種の指揮、命令につきましては、統幕会議長官が御決定をされるような指揮、命令の内容については統幕会議の議に上がって、そこで意見が述べられるということになります。そこで完全に意見が一致すれば当然のことながらそれが長官に上げてこられるということになるわけですが、仮に意見がまとまらない場合ということもあるわけであります。その際は統幕議長がその両者の意見を併記するとともに、統幕議長としての意見を添えて長官にそれを上げられる、そして長官が裁断をされるということになるわけでございます。
  358. 内藤功

    ○内藤功君 部隊に対する命令権、執行権、指揮権は持っているんですか持っていないんですか。
  359. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 長官の発する命令の伝達は各幕僚長を通じて行うことになっておりまして、統幕会議の議長は、統合部隊がつくられておった場合には統幕会議の議長を通じて命令が執行されるということになります。
  360. 内藤功

    ○内藤功君 統合部隊は、隊法の二十二条三項にあるわけですが、具体的に例えば陸の第何師団とか海の第何護衛隊群とかいうふうな形で統合するんですか。具体的にちょっと一言説明してもらいたい。  それから、統合部隊を自衛隊法が設けられてから設けた例はあるんですかないんですか。
  361. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 現在のところ設けたことはございませんので、どの種の統合部隊をつくるかということはやはり一にかかってそのときの状況なりによると思いますが、その際に、統合されるというか、その一つの部隊となるものについてどれとどれとどれということが当然のことながら長官の命令によって定められて統合部隊がつくられるわけであります。その際に陸海空のうちのどの部隊がそのうちの主体を占めるかということ等については、今申し上げたとおりそのときのまさに状況によるわけでありまして、具体的に申せと言われてもなかなか難しいわけでありますが、いずれにしましても、陸海空の二以上の部隊をもって編成するということになるわけでございます。
  362. 内藤功

    ○内藤功君 じゃ私の方から具体的に聞いてこれでいいかどうか。例えば陸の第一一師団と海の第二護衛隊群と空の第二航空団と、変な組み合わせですけれども、これでも一つの統合部隊ですか。
  363. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) おっしゃるような部隊を何らかの必要があってつくるということになればつくれないことはないと思いますが、その際にそのうちのどこかの部隊が仮にその隷下に置くという場合もありましょうし、この三つの部隊を集めてその上で統合的な司令部をつくるということも考えられるわけであります。
  364. 内藤功

    ○内藤功君 そこで、整理する意味ですが、統幕議長の権限でできることとできないことちょっと整理して言ってみてください。いろいろ言われたんですが、要するに、整理してこれはできるこれはできないというのを言ってみてください、そういう質問なんです。難しくはないでしょう。何はできるが何はできない、常識的でいいんですよ。
  365. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) ちょっと私なかなか一遍にお答えできないんですが、統幕議長の最も大事な仕事というのはやはり有事における長官の行われる指揮、命令、それについて陸海空それぞれ下される個別の全く独立した指揮、命令というものがあろうかと思いますが、それは陸海空の幕僚長が個別に責任を負いますが、多くの場合、長官の下される命令というのは陸海空三つの自衛隊に関連するものであろうと思います。そういったものの統合された命令を立案する最高の責任者であるということであろうと思います。
  366. 内藤功

    ○内藤功君 各国の統幕長と比べますと指揮権、命令権、執行権ないわけですが、なぜこういう設置法、隊法の体になったか、その趣旨を一言で言うとどうなりますか。
  367. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) これは陸海空の幕僚長も同様でございますが、陸海空の幕僚長及び統幕議長はあくまで長官の幕僚でございます。指揮官ではないわけです。長官直轄部隊の長というのは、陸で言えば方面総監が一番典型的な長官の直属の指揮、命令を持っておる部隊長であるわけであります。海上自衛隊について言えば地方総監、自衛艦隊司令官というものが長官の直轄の部隊指揮官でありますし、航空自衛隊で言えば航空総隊司令官というのが直轄の指揮官であって、陸海空の幕僚長なり統幕議長はいずれも長官の幕僚、昔で言えば参謀であって指揮官ではないというように御理解いただきたいと思います。    〔理事亀長友義君退席、委員長着席〕
  368. 内藤功

    ○内藤功君 さきの日米共同統合演習で、統裁官は日本側統幕議長が務めましたが、その権限はあるんですか。法令上の根拠はどこにあるんですか。
  369. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 内部の統合訓練に関する訓令というのをつくっておりまして、それに基づきまして訓練について統幕議長が大枠を決定しそれを統裁して執行するというような権限を与えております。
  370. 内藤功

    ○内藤功君 ちょっとよく聞こえませんね。  その訓令はいつできたんですか。それからもう一回その大もとのところを明瞭に大声で言ってください、私みたいに。
  371. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 六十一年五月三十一日、前加藤長官のときに自衛隊の統合訓練に関する訓令というのをつくってございます。それで、統裁官のところ……済みません、私がちょっと来る前でしたので。
  372. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 私も必ずしも正確じゃありませんが、統幕議長が統裁官になるということは、個々には従来は長官の命令でその都度統裁官をだれにするという形で定めておったわけでございますが、最近になって統幕といいますか統合的な演習等訓練がふえてまいりましたので、最近になって訓令によって統裁官に統幕議長がなり得るような形に恒常的に規範的命令で定めたというものであります。
  373. 内藤功

    ○内藤功君 それまではなかったわけなんですね、訓令がね。ことしの五月三十一日になってつくったと。私はこの問題取り上げるのは、武力を行使し武器を保有する武装組織、まあ長官は三軍と言われましたが、これは軍じゃないんですね。これはその指揮官あるいは統裁官あるいは上級の人間というのは、権限はやっぱり法令できちんと決められて、これは厳守しなきゃもう武装部隊の秩序も何も成り立たないわけですよ。これはもう異論のないところだと思うんですね。  そこで、ところが今までこういう訓令もなしに、指揮権、命令権、執行権がない、有事のときには部隊を指揮し命令する権限のないそういう統幕議長が統合演習の統裁官をやっておったということは、私はこれは権限の問題から言うと、権限の踰越という疑いを受けられてもいたし方がないんじゃないかという感じがするわけですよ。  これは昭和五十三年当時、当時の防衛庁長官は金丸信さんですよ、今の副総理ね。金丸信さんがはっきり言っているんですよ、現在の統幕議長の権限では、演習を実施することが全くできないと。これははっきり言っているんですね。私ここに持ってきましたが、金丸さんが経団連の防衛生産委員会で講演をされましてこういうふうに言っています。その前から言っています。「以前三矢研究の問題が国会で取りあげられたが、有事の対処策について日頃から研究しておくことはむしろ当然のことといえよう。例えば現在の統幕議長の権限では、有事に即応するために必要不可欠である平時の訓練・演習を実施することが全くできないというのが実情である。このような問題の解決策を探るため、統幕で研究するよう指示しており、国会に対する責任は自分が負う所存である。」と。要するに設置法や隊法の法の規定からは、全く統幕議長がその統裁官として演習を実施するという権限はないんだということを防衛庁長官をやっておられた金丸さんが当時言っておられるんですがね。  私は、そこで今さっきお聞きしてなるほどと思った。六十一年の、ことしの五月になってようやく訓令をつくった。その間四回やられていますよ、統合実動は。昭和五十四年、初めて時の統幕議長が統裁官になってやった。それから今まで四回たしかやられております。そのほかに共同統合がやられておる。これは一体どうなんですか。法律上の権限がないのに長官の命令でやれるという、そういう性質のものじゃないでしょう、長官は何でも命令できるというものじゃないですね。それは実際上やっていたんでしょうけれども、それは厳密に法律に基づいてやられていたかどうかということはやはりきちんと問題にされなきゃならぬ、その点いかがですか。
  374. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 自衛隊の場合は、防衛庁設置法六条十二号で所掌事務の遂行に必要な教育訓練は行えるわけでございます。それで、それをどういう形で行うか、これはもちろん自衛隊法なり何なりその権限の範囲でやるわけでございますが、この統裁官というのは具体的に部隊をつくり指揮命令するというようなものではございませんで、長官が、次はこういう訓練を実施せよ、ついてはそれの取りまとめ、調整というものは統幕議長が行えということで、その都度法令の範囲内において下命してやってきたわけでございます。  それで、これでまあやってきたわけでございますが、最近非常に訓練もある程度実質的にやられるようになってきておりましたし、本年二月には統合指揮所演習というのも日米間でもやれるようになった。こういう全体を踏まえて、やはりいろいろもっと、その都度命令してやるというようなことでは斉一に欠けるということで、これまでのいろいろ実施してまいりました実績等を踏まえましてことしこの訓令を定めたということでございまして、それ等に基づきます、また、附属通達等でこういう形で事前に年次計画等をつくりなさいというようなものをつくって計画的にするようにした。これによって権限を付与したというようなことでございません。法律範囲内において、従来もやってきたことを今後斉一にやるように訓令として定めたということでございます。
  375. 内藤功

    ○内藤功君 しかし時の防衛庁長官が、全く実施することができないというのが実情であると、「現在の統幕議長の権限では、有事に即応するために必要不可欠である平時の訓練・演習を実施することが全くできないというのが実情である。」と言っちゃっているんだからね。それはあなたが後でつけた理屈なんであって、権限があるのを訓令で確認したんじゃなくて、権限がないものをこれはやっぱり幾ら訓令つくったって訓令で生まれ出てこないんです、これは。訓令では生まれ出てこないんです。  私がかく重要なことを言うのは、これはまあそこにも専門家の御機嫌な方いらっしゃるからおわかりでしょう。これは厳格なやはり法律に基づく権限を部隊の指揮官は持たなきゃならぬですね。それから、それでなきゃ武装部隊にならないんですからね。統裁官だってそうですよ。これはやっぱり実地に基づいての演習訓練ですから。有事において指揮命令、執行権のない者が統裁官やれますか、これ法律的に。だけれども、実際上やったことは事実です。実際上はやってきたけれども法律に基づかないものだ。金丸さんが言っているんですよ。金丸長官のときに皆さん方も内局におられておわかりでしょう、これは。金丸さんだけ知っているわけじゃないと思う。どうですか、これは。
  376. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 古い話ですので私お答えいたしますが、二つの点をお答えしたいと思います。  まず、金丸長官のおっしゃっておることは今も事実でございまして、統幕議長が命令をして統合演習をできるというものじゃないわけであります。あくまで命令権者は防衛庁長官でありまして、統幕議長が命令をしてやるものではない、それは変わっておりません。  それからもう一つ、統裁官についてどうも誤解があるようでございますが、演習等をやります場合には統裁部という、まあいわば演習を円滑にかつ効果的に実施するための事務局みたいのをつくるわけでありますね。それの親玉が統裁官になるわけです。したがって、演習参加部隊の長とどうも誤解されているんじゃないかと思うんですが、実際に演習を実施する部隊長、それはまた別途おるわけでございまして、それに統幕議長がなるわけではない、指揮命令関係に立つわけでないということを御理解いただきたいと思います。
  377. 内藤功

    ○内藤功君 いずれにしても、この当時の防衛庁長官をやられた金丸さんが経団連の防衛生産委員会ですよ、この議事録で全く権限がない、こう言っておる。そうして、それまでは長官の命令でやってきたと言うけれども、その長官の命令は何ですか設置法の六条ですって。設置法の六条というのは、これは防衛庁の所掌事項であって、何も統裁官に任命するとかいうような具体的なことを書いているわけじゃないんですね、割合一般的な条項なんですよ。そんなことでこういうことができるものじゃないんですね。  私はこういう点で、これは再度言いますけれども、質問はこれで終わりますけれども、この権限、特に部隊の上級指揮者の権限、それが統裁官であろうと、これは演習のときの統裁官というのは実際の指揮権というものを行使するのじゃないというそのくらいのことはわかりますよ。しかし、こういう現実に法令上の指揮権のないものを、しかも金丸防衛庁長官指摘にもかかわらず長期間にわたってただ統裁官に任命してきた、これは非常にやっぱり不備だ。それで、ことしになって訓令をつくったわけでしょう。その間は訓令もなしにやったわけですからね。こういう点を私は指摘して、皆さん方の検討の一つの材料にここで提起をしておきたいと思うわけであります。  なお、ほかに質問事項が多数残っておりますけれども、これは次回の質問のときに譲りたいと思います。
  378. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 防衛庁長官、もう朝からだから大分お疲れだと思うんだけれども、もうしばらくおつき合いをしていただきたいと思います。  最初に私がお聞きをしておきたいことは、この前も若干取り上げられました、六月十六日、第五航空団三〇一飛行隊のF4戦闘機が燃料切れでもって墜落したという事件のことなんです。  この戦闘機は全天候型の戦闘機のはずだと思うんです。当日は、燃料を満タンに比較したならば何割ぐらい積んだのか、何ガロンと言われたってわからないから、それだけのガソリンで飛べば何時間ぐらい飛行ができるガソリンを積んだのかということ、それから、当日正常に、行って訓練をしてそれで帰ってくるということになると、それは何時に帰るような時間になっていたのかというその辺をまず御説明いただきたいと思うんです。
  379. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 補助タンクまで入れると一万八千ポンドは載るんですが、当日は一万三千ポンドということで、補助のタンクなしに積める最高の一万三千ポンドを積んで飛行をしております。訓練を想定した時間はおおむね一時間。一時間で訓練し、帰ってくるということで想定して実施しております。  なお、この燃料一万三千ポンドというのは、大体物理的に経済的な飛び方をした場合どのくらい時間がもつかということでございますが、まあ天候とか高度等でいろいろ違うわけでございますが、離陸後三万フィートに上昇し、巡航速度を約〇・七八マッハということで直進飛行したといたしますと、飛行時間はおおむね九十八分程度ということで、飛行距離約八百五十マイルぐらい飛べるということでございます。したがって、飛ぶだけですと九十八分飛べるんですが、訓練としては、雲もあることですし、視界はありましたが雲もありましたので、一万三千ポンド積んで一時間で帰ってくるという計画で訓練を実施したわけでございます。
  380. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 あの飛行機は二千九百キロぐらい航続距離はあるんでしょう。九十八分というそんな戦闘機は日本にあるの。それは九十八分ぐらいだったら役に立たないのであって、それ何か間違いじゃないかな。
  381. 依田智治

    政府委員(依田智治君) まず、補助タンクなしに一万三千ポンド積んだ場合が九十八分、経済速度で飛行して九十八分ということでございます。補助タンクをつけまして増槽しますと、三百七十ガロンが二つつきまして一万八千ポンドということになりますので、それだけまた距離が延びるということになるわけであります。
  382. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 いや、そういうことでなしに、今の御答弁では、正常に訓練をしてくればというのは、四国沖のあそこへ出ていって、それで一時間訓練をして帰ってくるということでしょう。そうしてくると、もうぎりぎりの燃料しか積んでないと。だからそんなはずはないことであって、その辺の点が、もしも訓練空域まで出ていって一時間そこで訓練をして帰るという正常な状態をやろうとするならば、こんな九十八分ぐらいの燃料だけ積んでいたのじゃいけないことであって、それこそ一万八千ポンド、満タンにしなけりゃならぬわけなんで、だからその辺の点がちょっと理解がいかない。
  383. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 一時間と申しましたのは、新田原基地を立ちましてから新田原基地に帰投するまでの間が一時間ということでございまして、当初の予定でございますと、八時九分に新田原基地を離陸いたしましてL空域におおむね十三分くらいで到着いたします。それから戦闘機の戦闘訓練等を三十二分程度実施し、それからL空域を八時五十四分に立って十五分くらい、九時九分くらいに帰投するという計画で訓練に行ったわけでございますが、この場合、ちょっと天候も大分急変してきそうだということで、むしろ着いて十数分程度訓練して、本来ならば向こうを八時五十四分に立つという予定を、八時三十五分に立って帰りに向かわせたということでございます。
  384. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私、そんなところまで聞こうとは思っていないんだけれども、せっかくだからもう少しやっぱりちゃんとしておいた方がいいと思うので、今八時九分に出発したと言いましたね、八時九分に出発をして、八時三十五分に気象状況が悪いから全機帰投せいと言って指揮官機が指示をしているわけですよ。そんな三十分もたたないうちに気象状況が悪くなるようなことだったら、新田原を出かける前に少なくともそういう気象状況なんというものは、陸上部隊と違って航空隊の場合には、綿密にその行き先の状況を把握して飛び立つのであって、ですから、全天候型のこの戦闘機がちょっとしたそんなことぐらいでおかしくなるようなことが私には理解がいかないことだし、そんなことだったら八時九分の出発前にちゃんと向こうの気象状況を把握して、やめるならやめると初めからやめておけばいいわけで、その辺のやはり指揮官の判断が私はおかしい。そう思わないですか。
  385. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 事故当日はこれが八時九分に出発したわけですが、訓練のためには既に六時ごろからいろんなブリーフィングをやっておるわけでございます。その中で気象についても専門の気象担当官の方からいろいろの当時の気圧配置、衛星写真、気象レーダー等の可能な限りの資料によりまして気象の状況、それから、その時点で気象が急変する可能性があるかどうかということも踏まえまして検討したわけでございます。  当時の訓練開始ごろは、新田原の天候は視程六キロ、雲高九百フィートというようなことで、一応その状況下では訓練は差し支えない、また多少の、この程度の訓練で飛べないようではいざというときには役に立ちませんので、それも十分計算に入れて出発したわけでございます。  なお、この出発に際しましても、どこまで、例えば安全に帰投するためにあるポイントを通過する、今回の場合は天候が多少曇っておりましたので場合によると計器飛行も予想されるという点も加味しまして、三十ノーチカルマイルのところにイーストゲートというのがあるんですが、そこのイーストゲートを通過するときに、通常ではこれは四千を持たして、四千ポンドを持って帰るようにということを命じているわけでございます。視界がある場合には十ノーチカルマイルの地点を三千ポンドで通過するということになっているわけでございますが、今回の場合には、指揮官は場合によると計器飛行もあり得べしということで、その上の程度でイーストゲート通過を四千ポンドというように指示して実は行っておりまして、そんなことで気象についての当時出発時における指揮官の判断というのは、私の方では誤りはなかったというように判断しておるわけでございます。
  386. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 依田局長、あなたは飛行機に乗ったこともなければ自分がなにしたこともないから、この前も言ったけれども、答弁しないでいいと言うものを、いや言わしてくれと言うから、またきょうもしようがないから、役人かだれかが書いたものを持ってきて読んだって、あなた自身がやっぱり航空隊におったり、そういうことの経験がないから今そういう人が書いたものを読んでいるだけなんだ。そんなこと考えられないことなんだ。もしもそんなような状態でもって各航空隊が訓練していると思ったら、これは防衛庁長官、本当に考えていただきたい。一時間の訓練をやるのに九十八分飛べるだけのガソリンしか積まないで出ていくなんということ自体も無謀なこと。それから今度のこの場合で言うならば、何も築城なんて言わぬで何で途中の大分なら大分へ緊急着陸の連絡をしてやらないかということも言えるわけなんだ。そういうことをいろいろやっていくとミスだらけで、まあミスだらけであったから早速それぞれみんな処分もなさったと思うんですけれども、もう少しやっぱりその辺の点を、こういう場合には綱紀の粛正という言葉じゃなくて、航空隊のあり方としてきちんとしていただきたいということだけ申し上げて、これでやっておると時間がなくなっちゃうから次に移ろうと思うんですけれども、ともかく依田局長、私も綿密にこの前のあれがあって調べましたけれども、私から言わせれば考えられないような事故です。少なくとも飛行機を知らない素人が飛行機に乗ったのかと思いたくなるような事故なんです。  それから次に、これはもう長官の方にお聞きしなきゃいけないんだけれども、二、三、国の防衛ということについての基本姿勢でお聞きしたいんだけれども、その第一は、専守防衛ということが言われるわけですけれども、この間も本会議で出ている。政府として専守防衛ということについての統一見解がおありになるのかどうなのか。おありになるならばそれについてお聞かせをいただきたい。
  387. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 従来政府で申し上げておりますのは、専守防衛と申しますのは相手から武力攻撃を受けたときに初めて武力を行使する、つまり自衛権の発動について専守防衛であるということでありますし、具体的な防衛力行使の態様、その際も自衛のための必要最小限度にとどめるんであろうというように、我々、いわゆる自衛権の発動に際し、あるいはそれを実際に行使する際、いずれも自衛の範囲の必要最小限度にとどめるべきものであるという、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢を専守防衛というように考えております。
  388. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 わかりませんから、もう一回説明してくれませんか。
  389. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) まず、我が国が自衛力をどういう際に発動するかという一つの発動の要件のような問題がございますが、この際相手から武力攻撃を受けて後初めて自衛力を行使するという受け身の形で自衛力の行使をするというのが第一点だと思います。それから第二点は、自衛力行使の限界でございますが、あくまで我が国防衛のための必要最小限度に限られなくちゃいけないという点。  いずれも受動的な日本防衛戦略というものを専守防衛というように言っておるというように私どもは考えております。
  390. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 まだわからない。今度一回、言葉でやりとりしたってしようがないから、文書でも書いてください。  長官ね、これはスウェーデンの政府は、あそこも専守防衛ですから、スウェーデンの政府はこう言って説明するんです。絶対こちらからは攻め込みません、外国から我が国が攻め込まれたならば、攻め込んでくることによって得るものよりか失うものの方が大きいだけの打撃を与えるだけのものを私たちは持ちます、それが私たちの専守防衛考え方です、だから、彼らが入ってきて得るものよりかそれ以上の打撃を与えてあげます、それだけの軍備は持ちますと。それが今の西廣局長お話を聞いていると、最小限の何とかかんとかと言って、この国会でとっちめられてばかりいるものだから、何か言いわけの、弁解の、防衛庁の答弁というのはみんなそうなんだよ。それだから幾ら聞いておったって、専守防衛という根本的な理念というか精神というものが少しもさっきのあれじゃわからない。だから文書で書いてくださいと言うんです。  それと、長官どうなんですか、今、スウェーデンが言ったのは、もう簡単明快にそういう一言で言ってそれはもう理解がつくんだけれども、それと違う専守防衛日本はあるのかどうなのかと思いたくなるんだが、その辺はどうなんですか。
  391. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 柳澤さんの方がわかりやすいですね、これ、明瞭です。専守防衛というのは今までの国会の答弁ずっとございますから、それに基づいて防衛局長は言ったものと思います。ただ、あえてつけ加えるならば、攻撃してきたら攻撃するよりもやられることの方が大きいぞと。というのは日米安保でつながっておる。だから専守防衛というのは、ただ単に必要最小限度というだけでなしに、それに日米安保、そういうものが加わらないと私はある意味での効果的なものは上がらない。しかし、我が国としては必要最小限度のものでいく、これが政府の一貫した態度だと思います。
  392. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 言葉のあやになっちゃうけれども、その必要最小限度という表現が、きょうも防衛白書を持ってきて、この間も読んでまたきょうも退屈だから読んでてなんだけれども、至るところにそういう意味の弁解や言いわけがましいことばっかり書いてあるわけだ。だから、やっぱり国民にわかっていただかなくちゃならぬことはきちんと言わなくちゃいかぬ。必要最小限なんという言葉の言い方が本当に適切なのかどうかというようなことはよくお考えいただきたいと思う。  次に、これはもう前内閣のときにも予算委員会でやっても時の総理の答弁というものが何とも納得がいかないので、これは本来ならば中曽根総理にお聞きしなきゃいかぬのだけれども防衛庁長官にお聞きして明快なお答えをいただければありがたいと思うんですけれども、他国に脅威を与えるような軍備は持たないと言うでしょう。もう何度もこれも、私なんか耳にたこができた。他国に脅威を与えるような軍備は持たないということは、これは長官どういうことですか。脅威を感じるか感じないかは相手の国なんです。こっちじゃないわけでしょう。何で日本が脅威を与えないような、脅威を感じるか感じないかは向こうさんなんだから、そういう他国に脅威を与えないような軍備は持たないという発想がどこから出てくるのか、どうしてそれが一国の総理がそういうことを堂々と本会議で述べるのか、これほど摩訶不思議なわからぬことはない。  だから、その辺の点がこの機会に防衛庁長官、御解明をしていただければ大変ありがたいと思うんです。そして、脅威を与えないような軍備ならば、こんなもの意味ないんだから持たない方がいい。脅威を与えることによっての一つの抑止力、戦争の抑止力の役割を果たすわけでしょう。あんなもの痛くもかゆくもない、脅威にも感じないと言って周囲の国が思うならば、もうそんなものいつ来るかもわからぬことだし、そんな軍備だったら初めから持たないで、そうしたら防衛予算も一%がどうとかで言われないで済むわけなんです。ただ、それが国の安全のためにいいかどうかは別問題だけれども、どれだけ聞いたかわからぬけれども、少なくともこれだけの経済大国の日本の内閣総理大臣が他国に脅威を与えるような軍備は持ちませんというそんな言葉がどこから出てくるのか、防衛庁長官としてはそこのところはどうなんですか、お答えいただきたい。
  393. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 私は総理とその点について話をしておりませんから、総理がどういう意味でどういうことを考えて言われたかはわかりません。ただ、私自身からするとすれば、他国に脅威を与えないというのは、これは今までの歴史からいいまして、外征軍を持ってまた日本が攻め込んでくるんじゃないか、外征軍を持って。そんなことは日本は全然考えてないし、またそういうことはできないんですと、私はそういうことはもういつでも言っているんです。  日本の場合は相手方が脅威を感ずるのは何かと言うと、日本日本として必要な最小限のものはやる、それに日米安保だと。だから向こうはそう簡単に出てこれない、こういうふうに私は見ますね。私はそういう説明をしているんです。
  394. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 だからそういうふうに、何も中曽根総理だけじゃないんです、その前の総理もその前の総理も、これは防衛庁で決めたのか政府で決めたのか、どっかでなにしているから、もう毎度その言葉が出てくる。それで、この辺はもうちょっと今度は総理には防衛庁は何するところですかと私は聞くつもりでいるんだから、そういう点で物の考え方判断の誤ったものは直して、そしてそういうことをきちんと総理にも言い、それからまた防衛庁の長官防衛庁長官でそういうことでやっていただかないと、それは、私はもう前からあれだしするんだけれども、何もタカ派でも何でもありませんし、だれ以上にも平和を望んでいる一人なんだけれども、それがゆえに、皆さん方が何か言われると逃げて、私なんかから黙ってここで見ていると、後ろ向きになって何か物をしゃべるようないつも答弁なんです。そうでなかったら今のような言葉が出てこないんです。それを一国の総理がやっぱり本会議や何かで、予算委員会で平気で言うところが私はわからない。この点はちゃんとなにして、今度はそういうことは二度と言わぬようにして御検討を賜りたい。どういう物の言い方をするのか、今ここでちょっと私言いませんから、改めてそれにかわる日本防衛という見地に立ったときの表現をお聞かせをいただきたいと思うんです。  それからもう一つ大事なことで、これは総理が言っていることだからなんですが、総理になってアメリカへ行って途端に、日本は不沈戦艦だか不沈空母だかと言って、それと一緒に三海峡封鎖という言葉をこれは向こうへ行って言われたんです。防衛庁としてはそういうお考えはお持ちなのかどうなのか、これを解明していただきたい。  ただ、先に私の考えだけでちょっと言っておきますけれども、私は、日本には三海峡を封鎖するだけの能力はないと思うんです。能力はないというよりも、それだけの機雷の数も持っていない。掃海艇は恐らくあれはまあ四十杯ぐらい持っているんでしょう、さらう方は。しかし、機雷の敷設艦というのはたった一杯あるだけでしょう、恐らくあれは。そんな敷設艦一杯ぐらいでもって三海峡封鎖なんてできることじゃないし、あれおやりになろうといったら生易しい機雷の数じゃできやせぬのです。だからそういう点に立って、私はそんなことはできやせぬと思うんだけれども防衛庁の皆さん方がその辺はどういうふうにお考えになっているかお答えいただきたいと思うんです。
  395. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 防衛庁部内では海峡封鎖という言葉は使ったことございませんが、海峡防備という言葉を使っております。なお、総理がかつてお使いになったのはどうも海峡のコントロールという言葉を使われたというように私どもは理解をいたしておりますが、我々の考えています海峡防備といいますのは、対馬水道にしろ津軽海峡にしろ、あるいは宗谷海峡でもそうでございますが、これらは我々の側から見ても非常に交通の要衝であり、あるいは防衛の要衝であり、非常に重要な海域であります。そういう点でぜひ守らなくちゃいけない。一方、攻める側からとっても、海峡というのは通らなくてはならない比較的狭い海域であるということで、相手が通らざるを得ないという点で、比較的敵を捕捉しやすい海域であるということは間違いないわけです。  したがって、我々はこの海峡防備といいますか、そういう機能の中でできるだけ我が国防衛に役立たせるために、ここには艦艇、これは対潜艦艇であるとか、あるいは潜水艦、対潜固定翼航空機、さらには水中の機器、ヘリコプター、そういった各種の装備を使った装備体系で海峡防備をできるだけ有効にやりたいと考えておりますし、そのまた一環として、今先生が言われました機雷の敷設ということももちろん考えております。  しかしながら、先生のおっしゃるとおり、海峡といってもかなり広いわけでありますし、ここでこれを完全に封鎖するというようなことはまさに不可能であります。特に機雷だけでどれだけのことができるかということになりますと、まあその後機雷が相当性能が上がってきたとはいえども、かつて二次大戦中、日本が宗谷海峡、対馬水道等を完全に我が領域に挟まれた海峡として、はかったように自由に機雷を敷設できた時期があるわけですが、その当時八千数百個のものを、対馬水道については六千個、宗谷海峡については二千個の機雷を敷設したわけであります。しかし、アメリカの潜水艦九隻が対馬水道を抜けて宗谷海峡から出ていったわけですけれども、全く無傷であったということで、当時のように非常にはかったような入れ方をしても無傷であったぐらいであるから、機雷の効果というものはおのずから限界があることも事実でありますし、また、海峡の地域によって、相手方の航空便勢があるところ、ないところによって十分な機雷が敷設できるかどうかということもありますので、機雷を若干敷設できたからといって、海峡が封鎖できるというものでは全くないということは御説のとおりであります。
  396. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 そこはよくわかりました。防備の方は、これは国土そのものもみんな防備するんですから当たり前のことで、だから海峡封鎖なんてことは簡単にやれることではないんだし、ましてや三海峡なんかになったら、私は今それは聞いても簡単に皆さんも言わぬと思うからあれだけれども、それだけの機雷が今日本になんかありゃせぬと思う。だから総理、余り簡単に三海峡封鎖なんて勇ましいような格好して物を言いなさるなと、今度言っておいてください。  それで次に、今度は法案の問題に入っていくんですが、定員増が今度の法案の中にあるんですが、このことは海上、航空、統幕で六百六人増員したいというんですから、これはよろしいと思うんですが、問題は陸上自衛隊の方、もう定員が十八万というのはずっと前から決まっておって、そして依然として二万五千からの欠員になっているわけなんです。十年間も二万五千の欠員でやれるならば、それでやれたんだから、じゃあ定員減らしてもいいじゃないですかと言いたくなる。これは充足ができないんですか。それともやりたくないからやらないんですか。どうしてもうずっと二万五千の欠員のまんまでこの十年以上も続くんですか。そこがどういうお考えでおられるのかお聞きをしたいんです。
  397. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 御指摘のように、陸上自衛隊につきましてはかなりの欠員、二万数千人の欠員があるわけでございます。この理由としましては、今先生幾つかの理由を挙げられましたが、それぞれが複合しているというようにお考えをいただきたいと思います。一時的に採ろうと思っても採れなかったという時代もあったわけであります。現在どうかといいますと、現在の充足以上に採ろうと思えば、私は採れると思いますが、さればといって、それじゃ一〇〇%すぐ採れるかということになると必ずしもそうではない面もあろうかと思います。  それと第二点は、陸上自衛隊、これは各国の陸軍の場合もそうでありますけれども、平時の持ち方の問題があろうと思います。現在欠員になっておりますものはその大部分が階級で言いますと士の階級であります。これらのものについて平時から一〇〇%充足をしていくということは、防衛を担当する私ども立場からすれば、それが望ましいことはもちろんでありますけれども、さればといって、これを常に充足することには相当な金がかかります。それが現在のような財政事情、防衛力の持ち方として一〇〇%持つことが必要かと言えば、やはりそれは中身を精査をして、有事緊急に補充し得るものについてはそこを欠にしておくということもある程度はやむを得ない面もあろうかと思います。  それから第三点については、やはり予算的な制約が非常に強く効いておりまして、人員の増というものは単年度としてはそれほど私は大きなものではないと思います。一〇〇%の充足をふやすのに数十億円、百億まではかからない金額であります。しかしながら、一度採ればこれはずっと抱えておく必要がある。その点、それらの金を毎年例えば五十億なら五十億というものを装備の改善等に充てたのがいいのかということになりますと、毎年五十億というものが新しく使えるか、人間を抱えておくかというジレンマが常にあるわけでありまして、その点、我々としては装備の改善も必要であるけれども、充足率についてもなお今よりは改善をいたしたいということは強い希望を持っており、予算で毎年要求をいたしておるところでありますが、残念ながらまだ実現をしていないということであります。  特に最近、陸上自衛隊の装備が逐次改編をされてきておりまして、いわゆるかつてで言う歩兵といいますか、そういうものから重装備がふえてまいりました。ということになると、それらを平時から運用し訓練をするためには、従来以上に人が要るという点は否めないわけでありまして、私どもはやはりそういった装備の改編に伴いまして、従来以上に充足というものは重視をしていかなくちゃいけないというように考えておる次第であります。
  398. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 長官もお聞きになっててお気づきになったと思うんだけれども、その辺はずっとお話の後段の方のところへ来てそこに一番の本音があるわけだけれども、だからさっき私が言ったように、だったら十八万とか十六万でもいいことになっちゃうですよということです。  そしてもう一つ西廣局長ね、これもきょうはもう宿題にしておきまして、どうせこの次にあわせて、今局長の御答弁からずっといくと、結論的には、定員を二万五千と言わないまでも二万人減らしてもよろしいことなんですという結論に到達してしまうんで、それをもう一回整理をしておいていただいて、それから現実に今、現役の人たちがもう六千から七千ぐらいずつ定年というか何というんですか、あれで退職するわけでしょう。そうすると、よほどのことをやって補充をしていかなければその現状維持もできなくなると思うんですよ。だからその辺も含めて、これはこの次のときにあわせてお答えをいただきたいと思います。  それから次には予備自衛官で、これは数をどうこうすることはとやかく私申し上げませんで、四万四千九百ですかにふやしてもそれほどの数じゃないのですから、問題は性格ですね。  それで、この前のときに局長がどなたかの質問の中に答えておる中で、スイスの例なんかちょっと取り上げてお話をなさっておったので、スイスのやっているようなああいうふうな性格のことを考えてこの予備自衛官をお考えになってやろうとしているのかどうか、その辺はどういうことになるのでしょうか。
  399. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 予備自衛官の将来のあり方についてはまさに検討中でありまして、どうなるかということを予測して私お答えすることはできないわけでありますが、私がスイスのことを申し上げましたのは、我が自衛隊、つまり、現役を中心に編成をされている我が自衛隊の対極にあるものとして、スイスのようなほとんど現役がいなくて予備兵、予備役に依存をしている体制というものがある一例として申し上げたのと、もう一つは、いずれにしましても我が国の予備自衛官制度、いわゆる予備兵力というものは各国の陸軍と比べてみますと極端に少ない。通常の大部分の国を見ますと、ほぼ現役と同数あるいはそれ以上の予備勢力というものを持っておりますが、それに対して我が国は非常に少ないということを申し上げた次第であります。  したがいまして、スイスのような大部分を予備勢力に依存するような体制ということになりますと、抜本的に考え方を変えなくちゃいけないし、現在の予備自衛官制度を前提にするわけじゃございませんが、そういったような訓練のレベルとかそういったことではとてもスイスのような制度は可能ではないし、すぐそういったものを我が方がねらっておるということでもございませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  400. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私が聞いているのはそういうことではなしに性格をお聞きしたんでして、私は、スイスはあれは予備自衛官だと思っていないんです。むしろあれは国民皆兵ですよ。兵隊なんか千五百人しかいないんです。あとはもう全部訓練を受けては鉄砲まで持って自分の家へ帰って、自分の家へ鉄砲を置いておくわけでしょう、いざとなったときは自分はどこへ行くかということまで全部決まっておるわけなんですから。だからあそこは、六百何十万のあの国でもってもう二十四時間で六十万ですか、四十八時間で百万が動員ができるというのもそういうことがあるのであって、だからこの法案のあれを読んだ限りでは、スイスのようなのとは全く違った存在だというふうに私は理解したんだけれども、前に西廣局長がスイスのようなと、今も言われたけれども、そういうふうな答弁の中に出てきたから、スイスがやっているようなことと同じようなことを考えて、この予備自衛官というものを日本も設けているんですかということが私は知りたかったわけです。スイスのことはあるいは私の方がよく知っているかもわかりませんから、スイスのことだったら御説明要らないです。  それから、この予備自衛官という人たちの訓練というものは、年間に何日ぐらいやろうと考えているのか。それから、やった日には訓練手当がこれを見ると四千七百円。四千七百円という手当の根拠はどこから出てきたんですか。それから同時に、この予算の中では五百万円しか人件費がとってない、予備自衛官の。そうすると、四千七百円の訓練手当ということから、それを五百万円でということなら何にもできないことになっちゃうんだけれども、その関係はどういうことになるんですか。それを説明していただきたい。
  401. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 前段の方だけお答えいたしますが、どうも御質問取り違えて申しわけありませんでしたが、私がほかの機会にスイスのことを申し上げたのは、現在検討中の将来の予備自衛官問題についての研究についてのお尋ねについて答えたんでありまして、今回御提案しております予備自衛官とは全く関係のないものであります。  現在お願いをしております予備自衛官は、御承知かとも思いますが、私ども考え方では、平時持っておる定員による編成では、平時むだになると考えられる部隊、例えば輸送部隊であるとか補給部隊等については欠編成になっておりますが、そういったものを編成をする。さらには、有事、主力の部隊、例えば師団等が前線に出ていく際に後が空き家になるわけでございますが、そういったものについての後方警備を行う部隊をつくる、さらに言えば、有事、損耗が出てまいるわけでございますが、それの若干の補充を考えておるといったようなことに充てるための要員として予備自衛官をお願いしておるわけでございます。
  402. 池田久克

    政府委員(池田久克君) 予算の問題がございましたので、御報告いたします。  六十一年度予算額を申し上げますと、今申し上げましたような、手当類が二十億四千三百万、その他帰郷、招集等の旅費だとか、いろんな関係の庁費、被服費、糧食費、それを全部合わせまして、総額で二十三億九千百万、今年度予算でいただいております。  手当の問題は後ほど。
  403. 松本宗和

    政府委員(松本宗和君) 訓練招集手当の基準と申しますか、算出根拠についてお尋ねがございました。これについてお答えいたします。  従来、これは五十二年まででございますけれども、これは雑費というような形で五百五十円ぐらい、具体的にはいわゆる旅費の日額、日当的なものが支給されておったわけでございますが、これでは非常に実態にそぐわないということから五十二年に改正されまして、そのときの考え方といいますのは、尉官から士に至るまでの諸号俸の平均値をとりまして、それの一日分を一日の日当と定めたわけでございます。五十二年にはその計算でまいりまして四千円ということで定めたわけでございますが、その後改正されまして、現在四千七百円ということになっておるわけでございます。
  404. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 最初の二十何億って、私が聞いているのは、この法案の中の予備自衛官の人件費、糧食費、物件費という中で、人件費が五百万、物件費七百万、合計千二百万円と載っかっているんです。だからそれが、恐らくこれは訓練手当や何か、ここから出ると思うんだが、それがどういう計算になるんですか。
  405. 池田久克

    政府委員(池田久克君) 失礼しました。それは増員の分でございます。
  406. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 何日訓練受けているの。
  407. 池田久克

    政府委員(池田久克君) 先ほど予算の総額を申し上げましたのは、六十一年度……。
  408. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 いや、訓練の日数、何日考えているか言えばすぐわかるんです。
  409. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 新規採用された者はやめて間もなくでございますので、恐らく訓練招集手当は入っていないというように考えております。
  410. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 今までだって予備自衛官はいるんでしょう。これもいいわ、もう時間がないから。  最後に、国賓輸送の航空機の使用、ヘリコプターの使用が出ているので、国賓の輸送に航空機を使ったりヘリコプターを使ったりということについては結構なことだと思うんだけれども、あわせて、この前の、例えばイランとイラクが戦争になって、そしてあのときの在外邦人が随分困って、それでバスでどこの国ですか、行って、そこで助けてもらってきたんだけれども、そういう飛行機をお持ちになるならば、そういう在外邦人なんかが緊急に引き揚げなくちゃいかぬとかなんとかというときにもこの飛行機をお使いになる、そういうお考えがあるんだろうか。そこのところをちょっとはっきりしておいてください。
  411. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 今回百条の五の改正をお願いをしておるわけでございますが、これは先生指摘のとおり、国賓等の輸送を依頼によって実施をするということでございますが、こういう改正を行うに至りました契機としましては、御案内のとおり、本年五月の東京サミットにおきます各国要人輸送のためのヘリを総理府において購入されまして、それをサミット後にどういうふうにして活用をしていくのかということが契機になりまして、こういった航空機の維持管理等につきましては自衛隊に能力がある、また、円滑に実施する上で自衛隊が適当であるというようなことで今回の改正をお願いをしておるわけでございまして、先ほど先生からございました緊急援助隊というような形のものを今回の改正において考慮したというようなことではございませんで、本条ではそういったものは対象にはされないわけでございます。  ただ、こういった在外邦人の救出というような問題については、非常に重要な問題ではございますけれども、私どもとしましては、現在自衛隊法上の任務として明記をされておりませんし、やはり政府部内において十分検討をまちまして、あるいはまた、国民の御支持をいただいて慎重に対処していかなければいけないものだと思っております。  そういった形で、これはぜひ自衛隊でやるべきであるというような形になりますれば、自衛隊法をまた改正をいたしまして明確にこういった任務を付与していただく、かような形になろうかと考えております。
  412. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それも宿題。終わり。
  413. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時五十七分散会