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1986-10-21 第107回国会 参議院 逓信委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十月二十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   委員氏名     委員長         高杉 廸忠君     理 事         岡野  裕君     理 事         竹山  裕君     理 事         宮田  輝君     理 事         大木 正吾君                 長田 裕二君                 志村 愛子君                 添田増太郎君                 永田 良雄君                 成相 善十君                 西村 尚治君                 福田 幸弘君                 山内 一郎君                 及川 一夫君                 鶴岡  洋君                 原田  立君                 山中 郁子君                 橋本孝一郎君                 青島 幸男君                 平野  清君     ─────────────    委員の異動  十月二十一日     辞任         補欠選任      橋本孝一郎君     井上  計君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高杉 廸忠君     理 事                 岡野  裕君                 竹山  裕君                 宮田  輝君                 大木 正吾君     委 員                 長田 裕二君                 志村 愛子君                 添田増太郎君                 永田 良雄君                 西村 尚治君                 福田 幸弘君                 山内 一郎君                 及川 一夫君                 鶴岡  洋君                 原田  立君                 山中 郁子君                 井上  計君                 青島 幸男君                 平野  清君    国務大臣        郵 政 大 臣  唐沢俊二郎君    政府委員        郵政政務次官   小澤  潔君        郵政大臣官房長  成川 富彦君        郵政省郵務局長  富田 徹郎君        郵政省貯金局長  中村 泰三君        郵政省通信政策        局長       塩谷  稔君        郵政省電気通信        局長       奥山 雄材君        郵政省放送行政        局長       森島 展一君    事務局側        常任委員会専門        員        大野 敏行君    説明員        経済企画庁調査        局内国調査第一        課長       加藤  雅君        大蔵大臣官房参        事官       黒田 東彦君        大蔵大臣官房参        事官       松川 隆志君        大蔵大臣官房企        画官       田谷 廣明君        大蔵省主税局税        制第二課長    薄井 信明君        大蔵省証券局流        通市場課長    西方 俊平君        国税庁直税部法        人税課長     瀧川 哲男君        運輸省地域交通        局自動車業務課        長        植村 武雄君        郵政大臣官房人        事部長      森本 哲夫君    参考人        日本電信電話株        式会社常務取締        役経営企画本部        長        草加 英資君        日本電信電話株        式会社電話企画        本部営業推進部        長        西脇 達也君        日本電信電話株        式会社労働部次        長        和田 紀夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国政調査に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査  (派遣委員報告)  (少額貯蓄非課税制度の存続に関する件)  (金融自由化郵便貯金資金自主運用に関する件)  (国際第一種電気通信事業への新規参入に関する件)  (NTT経営姿勢株式一般売出し価格に関する件)  (郵政省NTTにおけるVDT作業改善に関する件)  (郵便物需要促進方策に関する件)     ─────────────
  2. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、国政調査に関する件についてお諮りをいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のため、本日の委員会日本電信電話株式会社常務取締役経営企画本部長草加英資君、同じく電話企画本部営業推進部長西脇達也君、同じく労働部次長和田紀夫君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) この際、唐沢郵政大臣及び小澤郵政政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。唐沢郵政大臣
  7. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 去る七月二十二日、郵政大臣を拝命いたしました唐沢俊二郎でございます。  高杉委員長を初め逓信委員会の皆様には平素から郵政行政の適切な運営につきまして格別の御指導をいただき、心から御礼申し上げます。  私が所管いたしております郵政行政国民生活と極めて密接なかかわりを持つものでございます。私は、微力でございますが、当面の最大の課題である郵便貯金非課税制度を今後とも存続させるとともに、諸施策を推進し、さらに一層国民の期待にこたえてまいる所存でございます。引き続き先生方格別の御指導と御鞭撻をお願い申し上げる次第でございます。(拍手
  8. 高杉廸忠

  9. 小澤潔

    政府委員小澤潔君) 去る七月に郵政政務次官を拝命いたしました小澤でございます。  委員長初め委員先生方の御指導をいただきながら、微力ではありますが大臣を補佐してまいりたいと思います。全力を挙げて取り組む所存でありますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  10. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 次に、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  まず、派遣委員報告を聴取いたします。  最初は、北海道班の御報告をお願いいたします。竹山裕君。
  11. 竹山裕

    竹山裕君 私竹山裕は、高杉委員長添田及川の各委員とともに、去る九月一日から三日間、北海道地方における逓信関係業務実情調査してまいりました。  まず、網走市において、関係機関から、それぞれ所管業務実情を聴取した後、NHK網走放送所網走郵便局根室峯浜簡易郵便局NTT中標津電報電話局NHK帯広放送局及び帯広市のテレトピア関係施設である十勝地域農業情報システム帯広シティーケーブル等を視察いたしましたが、以下、調査概要を御報告いたします。  北海道は、御承知のとおり、地域が非常に広大でありまして、面積においては全国の約二二%を占めているにもかかわらず人口全国の約四・七%にすぎないという状況で、産業構造も第一次産業の比重が高く、我が国最大食糧供給基地となっておりますが、ことしは八月下旬の厳しい残暑でやや盛り返しはしているものの、冷夏による農作物の不作が懸念されているところであります。  では、まず郵便事業について申し上げます。  北海道地域が広大であることなどから、従来、郵便に対する依存度が高く、全国水準を上回る郵便利用を示しておりましたが、最近の傾向としては、石炭産業北洋漁業など道内産業の構造的な不振の影響などにより、郵便利用は低迷しており、昭和六十年度引受郵便物数は七億三千五百万通で前年度とほぼ横ばいであり、人口一人当たり年間利用数も百二十九通で全国平均の百四十一通を大きく下回っております。  このような現状を打開するため、職員全員セールスマン体制で強力な営業活動を展開し、郵便需要拡大に努力しておりますが、特に民間宅配便との厳しい競争にさらされている小包郵便分野において、ふるさと小包販売が大きな成果を上げているのが注目されます。すなわち、五十八年度から開始されたふるさと小包北海道の大自然が生み出す恵みの味覚に対する人気等を背景に年々大幅な伸びを示しており、六十年度では百品目で約二十五万個の実績を上げ、一般小包郵便の二%を占めるまでに成長しておりますが、本年度は七月末で既に十万個を突破しております。  また、電子郵便も当管内利用率が高く、六十年度では約十五万通で全国利用数の九・三%を占めておりまして、今後の成長が大いに期待されるところであります。  次に、郵便貯金事業について申し上げます。  管内における郵便貯金現在高は七月末現在四兆二千三百億円に達し、全国の四%を占めておりますが、最近における家計可処分所得伸び悩みや金融資産選択多様化などにより、各金融機関における預金獲得競争は一段と激化しており、郵便貯金は極めて厳しい環境に立たされております。  六十年度管内郵便貯金増額は一千二百六十億円で、本年二月及び三月の二度にわたる金利引き下げに伴う駆け込み預金等により、前年度実績の七百九十四億円よりは上回ったものの、過去五年間で三番目に低い実績であり、また本年度も、本格的な低金利時代に入ったことにより、営業環境は一層厳しくなり、七月末現在の定額貯金新規預入額は千五百七十億円で前年同期比七三・七%と、極めて低調な推移をたどっております。  当局においては、郵便貯金の不振を挽回するため、職員一人一人が創意と熱意を持って強力な営業活動を展開しておりますが、特に、新時代に対応するためにはオンライン商品普及が不可欠であるとして、その販売営業施策の柱として努力しております。その結果、公共料金等自動払い込みにおいては全国的に見ても高い水準にあり、北海道電力を初め一般ガス事業においては管内の全事業所を、また、水道料金についても管内の全市をその対象として獲得するなど、大きな成果を上げております。  次に、簡易保険郵便年金事業について申し上げます。  本年三月末における管内簡易保険保有契約状況件数二百三十万件、保険金額三兆八千億円となっておりますが、人口千人当たり加入件数は四百六件、住民一人当たり加入金額は六十七万円で、全国の四百六十一件、七十一万円をそれぞれ下回っております。  六十営業年度における新契約状況を見ますと、簡易保険では新契約件数は二十六万二千件、保険金額六千百七十七億円で、それぞれ全国の四・五%、四・八%を占め、郵便年金では新契約件数四千九百件、年金額十億二千九百万円で、それぞれ全国の四・二%、四・一%を占めております。  管内における簡易保険郵便年金普及は、依然として全国水準とかなりの格差がありますが、当局においては生活設計コンサルタント型セールスマンの育成など、活力に満ちた組織的な営業体制の確立に努めております。  なお、簡保年金資金運用状況でありますが、道内は従来から公的資金に対する依存度が高く、本年七月末現在における管内地方公共団体に対する簡保年金資金貸付額は四千九百億円で全国貸付額の七%を占めており、道内地方財政に大きく貢献しております。  次に簡易郵便局状況について申し上げます。  北海道人口過疎地が多いことから簡易局への依存度が高く、管内に三百四十七局が設置されており、僻地における郵政窓口機関として重要な役割を果たしております。私たちが視察いたしました根室峯浜簡易郵便局も、最寄りの局まで十一キロ以上も離れ、利用戸数も百戸足らずという僻地でありますが、商店の片隅に郵便局窓口を設け、郵便貯金保険国民年金厚生年金など広範多岐にわたる窓口業務を提供し、住民生活に寄与しております。  次に郵政監察業務についてでありますが、当管内は、札幌北海道郵政監察局のもとに、道内七カ所に監察室及び駐在が置かれ、職員九十二名によって郵政犯罪の捜査や業務考査を行っております。  六十年度郵政犯罪発覚件数は二百十三件で、最近数年間、減少傾向にあります。また検挙数は百二十五人でありますが、部内犯罪根絶を最重点に取り組んでいるにもかかわらず、部内検挙者を九名も出したことは遺憾であり、当局においては、各段階での防犯対策会議の頻繁な開催や恒常的な業務考査以外に、防犯を目的とした特別考査を随時実施するなど、郵政犯罪の撲滅に努力しております。  次に、電気通信概況について申し上げます。  地域社会における電気通信の総合的な施策としてテレトピア構想全国的に進められておりますが、管内においても札幌帯広紋別の三地区モデル都市に指定され、札幌の冬期道路交通情報システム全国一の大農業地帯である帯広農業情報システム紋別の漁・海況情報システムなど、北海道ならではのユニークなシステム構築が進められております。なお、すでに酪農経営情報システム運営している十勝農業協同組合連合会から、国家的規模でのデータベースの整備通信回線料金設定についての特段の配慮をお願いしたいとの要望がありました。  電気通信事業自由化に伴う新規参入事業者といたしましては、当管内では一般第二種電気通信事業者十四社が参入しており、量販店取引先卸売業者等との間の受発注データ伝送、音声・画像伝送等サービスを提供しております。  NTT管内状況につきましては、本年六月末における加入電話数は二百十九万加入全国の四・八%を占め、人口百人当たり普及率は三八・三で全国平均の三七・三を上回り、北海道通信依存度の高さを物語っております。  NTTにおいては、INSの基盤形成を図るため、通信網ディジタル化を推進しており、旭川—鹿児島間の日本縦貫光ファイバーケーブルルートが昨年二月に運用開始されたのに引き続き、本年度末までには札幌道外主要都市間を、さらに来年度末までに道内支社所在地級都市間をディジタル通信網によって結ぶ計画を進めております。  最後に、電波放送概要について申し上げます。  北海道は広大な地域都市が散在しているところから、例えばNTT市外伝送路の六四%は無線回線で占められており、民放一社当たり中継局の数も全国平均の二・五倍であるなど、電波を利用した通信手段の果たす役割は極めて大きくなっております。  また、四方を海に囲まれ、沿岸漁業沖合漁業が盛んなため、漁業用無線局全国の一五・七%を占めるなど、各分野において電波利用は活発であり、管内における無線局数は現在約三十万局に達しており、全国の七・七%を占めております。  管内放送事業NHK及び民放五社——うち一社はFM単営社——によって行われておりますが、本年二月、札幌地区に対し五局目の民放テレビ用周波数の割り当てが行われ、これに対し百七十六件の免許申請がなされております。当局としては道民の要望にこたえるため早急に審査を進め、早期開局を図る方針であります。  辺地難視聴につきましては、NHKは一万三千世帯にまで減少しておりますが、民放ではなお九万世帯が残されており、本年度も二十局の中継局設置計画されているなど、その解消に努力しております。  都市難視聴につきましては、郵政省は「高層建築物による受信障害解消についての指導要領」等を策定し、解消のための指導に当たっておりますが、管内においては道を初め道内三十二市のうち十九の市で条例等が制定されており、共同受信施設設置などによって円滑に解決されております。  CATV現状につきましては、都市型CATVとして帯広シティーケーブルが昨年九月から自主放送二チャンネルで業務開始し、現在拡張工事実施中であるのを初め、札幌ケーブルテレビが本年十月の業務開始を目指して準備を進めているほか、釧路市の時事タイムス放送社計画中であります。  郵政省としては、CATV普及促進を図るため、財政投融資資金活用、税制上の特例措置などの環境整備に努めているところでありますが、財投資金活用全国第一号として、北海道東北開発公庫から帯広シティーケーブルに対し二億一千万円の融資、また、札幌ケーブルテレビに対し三千万円の出資が行われております。今後テレトピア構想の進展と相まって、その発展が大いに期待されるところであります。  以上で御報告を終わります。
  12. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 次に、近畿班の御報告をお願いいたします。岡野裕君。
  13. 岡野裕

    岡野裕君 私は、大木理事長田志村鶴岡平野の各委員とともに、去る八月二十七日から三日間、近畿地方における逓信関係業務実情調査を行いました。  まず、大阪市において関係機関からそれぞれ所管業務説明を聴取した後、NHK大阪放送局NTT展示センター大阪港のテレトピア地域KDD谷町ビルナショナルニューメディアセンター及び日本テレコム株式会社を視察いたしましたが、以下、調査概要を御報告いたします。  初めに、郵便事業について申し上げます。  近畿管内大阪、京都、兵庫、和歌山、奈良、滋賀の二府四県を管轄区域としておりますが、京阪神を中心とした関西経済圏生活圏は、近畿各府県の独自性を超えて、一つの広域圏を形成しております。面積全国の七・二%にすぎませんが、人口は一六・五%を占め、引受郵便物数全国の一八%と、ほぼ人口全国比に見合っております。  最近における郵便利用動向を見ると、昭和五十六年一月の料金改定影響により五十六年度は対前年度比五%減となりましたが、その後五十七年度三・〇%、五十八年度五・一%、五十九年度一・八%、六十年度は四・八%とそれぞれ対前年度比で増加を示しており、ほぼ全国動向と同じ歩調で回復基調をたどっております。  小包郵便物は五十九年度にそれまでの減少傾向からようやく上昇傾向に転じ、六十年度も対前年度比九・五%増と好調に推移しました。民間宅配業者との熾烈な競争の中で上昇に転じることができたのは、需要拡大のための相次ぐサービス改善や、ふるさと小包の定着が大きな要因と考えられます。  また、当管内東京とともに全国に先駆けて郵便の新サービス実施されておりまして、昨年六月から実験サービス開始したコンピューター発信型郵便はその後順調に伸び、本年六月末現在の延べ通数は約六十一万通で、同時期にサービス開始した東京日本橋局取扱量を約十四万通超えております。また、昨年十月から開始した超特急郵便も、開始当初一カ月一千二百通前後の取り扱いにすぎなかったのでありますが、今年七月期では二千四百十二通と大幅な伸びを示しております。  次に、郵便貯金事業について申し上げます。  昭和六十一年七月末における管内郵便貯金現在高は十八兆七千六百五十三億円で全国の一八・〇%を占め、六十年度末における一人当たり貯金現在高は九十四万円で全国平均の八十五万円を上回っております。  六十年度管内郵便貯金増額は三千六百五十四億円で、極度の不振を示した前年度の二千三百七十七億円よりは上回ったものの、数年前の水準に遠く及ばない状況にあり、また、本年度も七月末現在で九百八億円、対前年同期比五〇・二%と、依然として不振を続けております。この不振の原因は、家計可処分所得伸び悩み、郵便貯金の三回の利下げ、預金者高金利指向の強まりとともに、中期国債ファンド株式投資信託等高利回り商品貯蓄が移行していることなどが挙げられます。  次に、簡易保険郵便年金事業について申し上げます。  管内簡易保険の今年六月末における保有契約件数は八百七十五万件で全国の一五・六%、保有契約高は十三兆八千六百六十七億円と全国の一五・九%を占めており、昨年九月から今年七月末までの増加状況は、件数で八十五万六千件、対前年比二・三%、保険料で八十五億四千七百万円、対前年比一〇・二%と、ほぼ順調な伸びを示しております。また、昨年九月から新発売した生存保険金つき養老保険、いわゆるナイスプラン販売件数を昨年度における各種商品別のシェアで見ると、全国一一・八%に対し、管内八・九%と下回り、青壮年層への販売が急務となっております。  郵便年金販売状況は、本年六月末現在、目標年金額三十三億四千万円に対する達成率は四九・三%で、全国第十二位となっております。  次に郵政監察業務についてでありますが、管内における昭和六十年度犯罪発覚件数は四百九十三件と、前年に比べ五十四件の増加、これに対する検挙件数は二百八十九件と、前年に比べ九十六件増加しており、部内者も二十人検挙されております。  当局郵政犯罪未然防止施策にかかわらず部内犯罪が後を絶たないことはまことに残念であり、郵政事業に対する国民の信頼をより高めるためにも、その根絶が強く望まれるところであります。  次に、電気通信概況について申し上げます。  地域社会における電気通信の総合的な施策としてテレトピア構想が提唱されておりますが、当管内ではテレトピア指定地域として全国五十三地域のうち六地域が指定され、他に二地域整備推進地域とされております。  このうち、大阪市は昨年十月に関連の一法人を設立し、また、今年十月には御坊、田辺広域圏で第三セクターを設立し、基盤技術促進センターからの出資希望を提出するなど、計画は着実に進められております。その他の四地域については運営主体の設立に向け地域内計画実施準備が進められ、また整備推進地域の二地域実行計画を十一月に提出するための検討が進められております。  電気通信事業への新規参入状況でありますが、第一種電気通信事業については日本テレコムが本年八月一日に業務開始し、また、他の地上系二社第二電電、日本高速通信も今秋には東京、名古屋、大阪の区間で営業開始することとなっております。  このほか、大阪メディアポート事業許可申請準備中であるほか、関西電力主体とする調査会社関西テレコムテクノロジー事業化のための調査開始しております。また、ポケットベルサービスについてはアドバンスネットワーク申請準備中であり、関西電力系参入の動きがあります。  第二種電気通信事業については、特別第二種電気通信事業者全国九社のうち一社、一般第二種電気通信事業者全国二百五十社のうち三十六社が管内に本社を置き事業を行っており、継続的に増加しております。  NTT管内状況につきましては、六十年度末における加入電話数は七百八十七万加入全国の一七・四%を占め、人口百人当たり普及率は三九・二で全国平均の三七・四を上回り、わが国第二の経済圏として旺盛な通信需要を示しております。  こうした通信需要を背景として、当管内では電気通信事業者新規参入の動きが活発でありますが、NTTは通信自由化時代に対応するため、新しい環境にたえうる経営体質を目指した諸施策を展開しております。  一方、関西の復権を目指した地域開発計画として関西国際空港、関西文化学術研究都市といったビッグプロジェクトが推進されており、今後ますます電気通信需要の増大が予想されることから、NTTとしては、大阪を中心とした重要地域へのINS普及のための投資、ディジタル交換機の積極的な導入等に努めるものとしております。  次に国際電気通信事業についてでありますが、近年、国際通信に対する需要は急増の一途をたどり、ますます多様化・高度化しつつあります。わが国の主要業務取扱量を東西の地域別対比で見ますと、昨年度西日本地域は、全国比で国際電話約二二%、テレックス約二一%、国際電報約三〇%となっております。  大阪のKDDは東日本地域東京及び小山に対し西日本全域と世界を結ぶ国際センターで、衛星通信、海底ケーブル通信、スキャター通信、短波通信により世界にネットワークを広げております。また、東日本災害時には直ちにバックアップできる機能を備え、国際通信が途絶えぬよう万全の体制を整えているところであります。  さらに、今後の国際通信需要の急激な増大に対応するため、現在、昭和六十三年の完成を目指し、大阪ビジネスパーク内に新しい国際通信センターを建設中であります。  次に、電波放送概況について申し上げます。  当管内放送NHK及び民放十七社によって行われており、地域文化の向上、社会経済の発展など、国民生活の向上に大きく寄与しております。また、文字放送は、昨年十一月から放送開始され、今年六月末現在でNHK及び民間放送六社により合計二百三十番組もの多彩な番組が放送されております。今後も普及促進のための活動が必要でありますが、特に受信機の低廉化が課題となっております。  民放FM放送免許申請などの状況につきましては、京都地区、神戸地区及び奈良地区に続いて、昨年九月、大阪地区に第二波目の周波数割り当てを行い、現在一本化調整が進められており、早期実現が望まれるところであります。  テレビの難視聴対策についてでありますが、今年三月末現在のNHKの残存難視聴世帯数は五万三千世帯民放の広域残存世帯数は二十一万三千世帯、県域残存世帯数は二十三万八千世帯となっております。このため、放送事業者及び地方公共団体との連携を密にし、実状を踏まえた効果的な置局をするよう指導しており、特に在阪四社については置局推進懇談会を設置して取り組んでいるところであり、早急な難視聴の解消が望まれるところであります。  最後に、管内の防災対策について申し上げます。  防災行政無線については、大阪府及び滋賀県が既に整備し、運用中で、奈良県は昭和六十二年度からの運用を目途に整備中であり、また、京都府及び和歌山県では調査費を計上し、六十四年度完成を目途とした整備計画を検討中であります。  緊急警報放送については、六十年度秋からNHK及び民放四社が運用を開始しており、六十二年度末までには、さらに三社が運用を開始する予定となっております。  以上、報告を終わります。
  14. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) これをもって派遣委員報告は終了いたしました。  次に、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  15. 及川一夫

    及川一夫君 及川一夫と申します。  国会議員の体験はもとより、逓信委員会で発言をさせていただきますのも初めてということになります。まさに素人そのものでございますので、発言要領あるいは議事進行に関しましてふなれな点もあろうかと思いますが、委員長を初め各政党を代表される先輩委員の皆さんに御指導をいただくことを心からお願いをしておきたいと存じます。  まず、私は最初に郵政大臣にお伺いしたいというふうに思うんですが、もちろんこのことは郵政大臣にお答えいただくことかどうかということもございますが、私の立場から見て、今後の問題としてやはりお互い注意をし合った方がいいというふうに思うものですから、あえて発言させていただきたいというふうに思うのであります。  それは、郵政事業電気通信事業は、とみに長期的観点から物を見て発想し、そして政策を決め、国民生活に寄与していかなければいけない、こういう性格を私は持っていると思うのであります。そうなりますと、郵政事業電気通信事業の監督という立場を含めまして、いずれにしても郵政大臣というポストというのは非常に重要視されるわけでありますけれども、果たして郵政大臣のポストをそれほど重視をしたものかどうかということを考えてみますと、郵政大臣の任期というものが非常に私は気になるんであります。  ちょっと手元に資料がありましたので調べてみたのでありますが、郵電に二省分割された後、昭和二十四年から今日まで三十七年たちますが、この間郵政大臣は何名かわられたというふうに思われますか。私が調べますと四十二名であります。 唐沢郵政大臣は四十三代目ということにそういう意味ではなるのかもしれません。三十七年間で割りますと、一郵政大臣のポストの任期は十・五カ月ということに実はなるのでありまして、果たしてこれは、長期的に物を見て発想し、そして国民生活に寄与するような電気通信政策や郵政事業というものを政治という立場から物を考えてやっていく任期なのかどうかということについては大変疑問があるわけであります。特に私は、これまでは国会の外におりましたし、郵政事業電気通信事業にもいささかなりともかかわってきた立場から見ますと非常に心もとない、こんな気がして実はならないのであります。ただ、郵政大臣を発令される方は総理大臣でありますから、中曽根総理に申し上げなければならないことなのかもしれません。しかし、郵政大臣の任期が十カ月余りでかわっていくということは、その人の能力にもよりますけれども、なかなかもって一つの自分の抱負あるいは政策というものを政治として生かしていくというのは非常に私は不可能じゃないか。前大臣の佐藤先生の発言を見られましても非常に興味ある発言をしているんですが、いつの間にかおかわりになっている。こういうことであっては私はならないんじゃないのかという気がしてならない。  したがって、その辺のことについて、御無理かもしれませんが、郵政大臣として感想なり所見なりを述べていただけたらというふうに思うんでありますが、いかがでしょうか。私としてはできるだけ、まあ長ければいいということじゃないんですけれども、やはり少なくとも一つ二つの問題を政治家として果たしていかれる、そういう任期を全うされることをむしろお願いをしたい、こういう気持ちで申し上げておりますので、所見なり感想なりありましたらお聞かせ願いたいというふうに思います。
  16. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) ただいま及川先生から郵政省郵政行政につきまして大変御激励をいただきまして心から御礼を申し上げる次第でございます。私も就任さしていただいて三カ月たちますけれども、郵政省の仕事は大きく分けて郵政事業とそれから電気通信行政でございますが、両方とも非常に国民の日常生活に密接にかかわっている大変大事なお仕事だと思っております。  よく温故知新というのがありますが、郵政省というのは古くて新しい省である。また、ある方によると、十九世紀と二十一世紀が混在している役所であるということをおっしゃるわけですが、確かに我が国の最初のネットワークは明治四年の郵便局でございます。また、二十一世紀は高度情報社会であって、その先導的、中核的な役割を果たすべきものは電気通信であるということでございまして、そういう意味でも大変重要な、長期的に物を見ていかなければならないということで、その点は全く先生のおっしゃるとおりでございます。前の佐藤文生郵政大臣も割合短かったのですが、意欲的に取り組まれまして、いろいろなアイデアを出しておられます。その中にはいろいろ逓信委員会先生方からの御発言や御示唆によるものもたくさんありまして、国際放送なんかその一つでございますが、私も、せっかく佐藤前郵政相の残されました、あるいはまた途上であるそういう問題を一層発展させるように今全力を挙げておるところでございます。
  17. 及川一夫

    及川一夫君 ありがとうございました。御期待を申し上げまして私もその気になって仕事をさしていただきますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  具体的な問題として、本日は一般質問でございますから、総合的な御意見なり御質問というよりは四つほどの課題について郵政当局のお考えなり、また私の意見を申し述べて今後生かしていただきたいということで申し上げたいと思うんですが、その第一の問題は、郵貯に関する問題が大変新聞紙上、テレビ、いろんなところでさまざまな論議を呼んでいるようであります。郵政大臣並びに関係局長、政務次官、事務次官はもとよりこの問題に対しては重大な決意を含めて制度を残すということに大変力を入れるということが実は述べられているわけでありまして、そういった点では私どもも郵貯の非課税制度というものは残すべきであるというふうに考えるものですから大賛成なんであります。したがって、ここでの論議は、しからばそれをいかにして実現をするかというところに力点を置いて意見を交換すべきであろう、こういうふうに思うのでありますけれども、最近の進んだ情勢としては、どうも中曽根総理大臣非課税制度というものを廃止する、マル優も郵貯もその対象にするという方向で進んでおられるように見える。政府税調もそのような方向で走っておられるのではないか。あるいはまた、自民党の先生方の中でニューリーダーと言われる方々もどうもそういう方向で走っておられるということになりますと、それこそ日本の政治に大変な影響力を持つ人たちがそういう方向に走っているということになりますと、郵政大臣の決意や、政務次官やあるいは各関係局長などの決意だけでは果たしてこれが実現するのだろうかどうだろうか非常に心配また不安でならないのであります。したがって、そういう事態に対して、郵政省として郵政大臣を筆頭としてどういう展望を持ちながらこの問題に対処されるのか、その辺のことについてまずお伺いしておきたい、こう思います。
  18. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 少額貯蓄非課税制度につきましては、あらゆるとき、あらゆる場所でいろいろ議論されておるようでございます。先生は郵政省と同じ考えで今御激励をいただきまして大変ありがたく思っておりますが、要は、少額貯蓄非課税制度を維持するかどうかというのは、貯蓄優遇といいますか預貯金優遇の歴史的使命は終わったかどうか、こういうことだろうと、そこに論点があるんだろうと思っておりますが、私どもは、もう先生方よく御存じのように、貯蓄というものは今後とも非常に重要であると。確かに昔に比べれば我が国の社会資本はかなり充実してまいりましたけれども、欧米主要国に比べまして道路の舗装率とか下水道の普及率ですとか、特に都市公園なんかは大分立ちおくれております。そういう意味で貯蓄は優遇だし、また国民一人一人にとりますと、だんだん長寿社会を迎えるわけでございまして、公助と互助のほかに自助努力というものが必要である、その自助努力による貯蓄の重要性というものはこれからますます増してくるわけでございます。こういうことを考えられたからでしょう、国民の皆さん、世論調査の結果によりますと国民の七割以上がその存続を希望しておられる。さらに八月に郵政審議会に諮問をいたしまして、「「今後為替貯金事業がその使命を達成するための対応」について」ということで御諮問を申し上げましたところ、十六日に「郵便貯金の利子非課税制度については断固これを堅持していく必要がある。」という答申をいただきまして、私どもも非常に意を強うしたわけです。  それからもう一つ、私どもが最近心配しておりますのは、ただいま両先生から御報告がありましたけれども、郵貯が伸び悩んでおる。特に最近は、定額貯金が四月以降純増額が前年同月を下回っておる。しかも六月と九月は純減になっている。竹山先生、岡野先生が言われたのはそれぞれ地域のお話でございますが、大体それに符合するわけでございまして、やはりこれから伸ばしていかなきゃいけない預貯金がそういう税制改正によって影響を受けるということはゆゆしいことであって、貯蓄というものは黙っていても伸びるんだ、預貯金というものは常に伸びるものだという我々の常識が果たして通用するかどうか。その神話が崩れることもあり得るのではないか。したがって、そういう意味もありまして我々は断固たる決意を持っておりますが、決意を持っているだけではいけないという先生の御指摘で、我々の考えはあらゆる場所で、いろんな先生方ですとか議員の皆さんに機会あるごとに我々の意図するところを御説明いたしております。
  19. 及川一夫

    及川一夫君 そうしますと、郵政大臣や、制度を残すべきだという方々に注文するだけではなしに、私たちももちろんいろんな行動を起こしていかなきゃならないだろうし、その行動の結果がや はり世論として大きく政府に注文する、あるいは税調に対してもそういう意味での批判が集中する、そういう行動になるようにしていかなければいけない、こういう気持ちを我々も持っておるわけですから、郵政大臣初め関係者の方々にはそういう意味でもさらに一層行動を強化してもらいたいということを申し上げると同時に、行動を強化するに当たりまして一つお聞きしておきたいのは、新聞というものをどの程度信用するかにもよるんですけれども、いろんな事務局とのお話をお伺いしながら、あるいは組合の皆さんともいろんなことをお伺いする中でちょっと感ずるんですけれども、何かもう非課税問題というのは先が見えていると、いかに頑張ってもそれこそ制度廃止になっていくのではないか、どうせ転ぶならただ転ぶのは嫌だという発想もあるのでしょうが、何かと取引するような、取引をしなければいけないようなそういうニュアンスに聞こえる新聞なりあるいは話というものが実は散見されるわけです。とりわけ資金の自主運用、こういった問題との兼ね合いで取引をするというか、ゼロではかなわぬからという意味合いでお話をされる、またそう聞こえるような発言が実はあるわけであります。これでは、廃止を主張する人からいえば、もっけの幸い、チャンスと、こう見るに違いない。逆に言えば、非課税制度を残しておけという意見と自主運用を主張する立場の人というのは、一方は預金者であり、一方はその預金されたものをどう運営をして預金者にどう有利にお計らいをしていくかという関係なんですね。しかし今大きな関心は、何といっても、預金者から見れば、課税されるのか課税されないのかということですから、もし自主運用非課税制度というものが取引されたというふうに国民やあるいはまた預金者に映ったら大変な不信を招くであろうし、またつけ入られるんではないか、実は私はこんな気がしてならないんであります。  したがって、郵政大臣を初め郵政当局としてはそのようなお考えに立つのか立たないのか、そしてまた、マル優と預貯金、郵貯ですね、これも一緒のものとして扱うというふうなやはりはっきりした強い態勢がなければ、なかなかもってこの事態を解決していくことができないんではないか、こんな気も実はするわけであります。したがって、その二点について大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  20. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 金利自由化への対応ということでは、前から我々もこの問題には的確に積極的に対処する、こういうふうにお答えをし、実際にそうやってまいったわけでございますが、その郵便貯金の資金運用につきましては、運用制度を改善すべきであるということを主張し、大蔵省とも折衝してきております。ですから、この資金運用制度の改善というのはまた別の話でございます。そして、少額貯蓄非課税制度についての考え方は先ほど申し上げたとおりでございます。それはそれで大蔵省に我々の主張を述べておるわけでございまして、いろいろ書かれておるようなことがあったら、そういうことは一切ないと私は考えておるわけでございますが、もし何でしたら、実際の交渉に当たっております局長初めおりますので、もしその実際の交渉の内容でございましたら、政府委員から御答弁いたさせます。
  21. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 先ほど大臣が御答弁なさいましたように、私どもは、少額貯蓄非課税制度役割といいますか、これからもますます重要になる状況を踏まえまして、あくまでも郵貯の非課税制度は堅持すべきであるという立場でお話をしているわけでございまして、一方、郵便貯金金融自由化に対処するためにいろいろと制度の改善を要求いたしておりますけれども、そういったものと取引をするというような立場では決してございません。
  22. 及川一夫

    及川一夫君 ありがとうございました。そういった点でひとつ頑張っていただきたいというふうに思います。  次に御質問申し上げたいのは、しからば現状打開のために今一番大事なことは何なんだろうかなということを考えさせられるわけであります。そうしますと、マル優なり郵貯の非課税制度を廃止するという大蔵省を初め税制調査会の考えの背景というか、根拠というのは一体どの辺にあるんだろうか。いろんなものを調べてみるんでありますけれども、減税に伴う財源の問題であるとか、あるいは税制全体を見直すと、もうこれは長年やってきた古い制度であるから時宜に適さないという意味合いの発言であるとかそういったものになるんですが、しかし、根本的には、むしろマル優なり郵貯の不正利用、脱税、こういったところに問題の焦点を据えて、こんなものは廃止をすべきだというのが基本的などうも問題の指摘であるような気がしてなりません。  その証拠といっては何ですけれども、この時期に国税庁がマル優の脱税問題について発表を実はされました。もうそれぞれ皆さん御存じのはずであります。五十六年から毎年毎年二千億ぐらいずつマル優の脱税という問題がふえていっている。去年とことしを比較すると九千五百億が一兆四千億ですから、それこそ約五千億ほど脱税の額が要するにふえていっている、こういうことが国税庁から発表されて、しかも郵貯の方については税金の対象、全く国税庁が入ることができない、したがってわからないが、郵貯にもそのようなことがあると断言されているニュアンスで国税庁が指摘をされているわけですね。もちろん郵貯の関係については、それこそ不正ができないように身分証明書などの証拠書を提出せしめて預金通帳をつくっていく方法をことしからとられておりますから、そういった点ではそれ以降はないものだろうというふうに思いますが、しかし、これまでのものはそのまま残っているということになりますと、やはり不正というのもは依然として存在をする。郵貯については絶対にそういったことはあり得ない、そういう意味合いの立証というものを国民に対してもそれから関係各庁に対しても私は郵政省として明確にしなければいけないんじゃないか。そうして堂々と少額預貯金の課税については、郵政省も主張されているように、増税と同じである、新しい税金をつくったと同じだという意味の主張というものを私はされるべきだというふうに思うのであります。  したがって、それを具体的に証明する方法というのが今現在出されているようには思えない。あると言えばないと、こう答えているだけでありまして、あとは、いかに非課税制度が低額所得者にとって大変な影響を持つか、大切な制度かということを強調されているだけに終わっているのが私は現状だと思うんですね。ですから、ここから何としても一歩進んで、郵貯関係についてはということで国税庁が指摘するようなものはないんだということを証明できる、またそれをやらねばいけないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  23. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 少額貯蓄非課税制度を維持していくための前提条件としましては、やはり不正利用があったんではだめだと思います。そういうことで、二年前に利子課税の問題が随分議論されましたときにも、最終的には限度額管理の厳正化を前提として少額非課税制度を存続していこうということになりまして、先生御指摘のとおり、ことしの一月一日からまず本人確認の厳正化が実施されている状況でございます。もちろん従来もそういった本人確認が行われていたわけでありますが、面接であるとかあるいは身分証明書であるとか、あるいは外務員が訪問をして確かめるといったようなことで徹底をされていたかといいますと、まだ不正確な面がございます。そこで、まず不正利用を防ぐためには、預金者が正当本人であるかどうかという本人確認をし、かつその本人が限度額であります三百万を超えているかどうかというこの二重のチェックが必要なわけでありますが、そのために、本人確認につきましては公的な書類を示してください、健康保険証であるとか住民票の写しであるとか、そういった公的書類を預入のときに示していただきたいということで、それがことしの一月一日から、これは郵貯に つきましてもそれから民間におきましても実施をされているところであります。したがって、そういう意味では架空の名義というものは今後はあり得ないというふうに考えております。  一方、本人につきまして三百万の限度を超えているかどうかということにつきましては非常に難しい問題がございまして、郵貯の場合には五十九年にオンラインが完成しておりますので、全国一本で名寄せをいたしまして限度額の管理をいたしているわけでありますが、それでも、例えば住所が違うといったようなものについては同一人であっても必ずしもその人が同一人であるという判定ができないわけでございます。まあそういった点で完璧が期せられてないという面がございますので、私どもとしましては、従来は住所と氏名で本人の名寄せを行っていたわけでありますが、それに、公的書面によりまして生年月日がわかるのでございますから、生年月日を入れまして、この三つの要素で限度額の管理をやるべく今新しい名寄せのシステムを開発中でございます。来年の春から実施したいというふうに考えております。
  24. 及川一夫

    及川一夫君 まあ今後のことにつきましては、今局長がお答えになられたような形で厳正を期すという点では、私も別に基本的にそれに異議を申し立てるというつもりはございません。  ただ、今現在やはり問題の焦点になっているのは、これまでのものとして、一億二千万の人口が三億人に数えられるという、預貯金の面から言うとそうなっているというお話が実はあるわけですね。もちろんすべてがすべて三百万という限度額でもって全部積み重ねているわけでありませんから、一億二千万の人口が一億五千万になったり一億七千万になることはあり得るんだろうと思うんですね。  例えば及川一夫というのが一万円ずつ口座を持って三百万積み立てれば三百名の口座ができたと同じ理屈に数字の上ではなってしまいますから、ですからそんなのは観念的だというふうに言えるんですけれども、しかし国税庁のマル優に対する指摘でも必ず出てくるのが大口利用者と金融機関のぐるになった脱税、こういう言葉が必ず出てくる。それから郵貯に対しては大口利用者という言葉で実は指摘をされているわけであります。したがって大口か小口か、少額か高額か、いずれにしてもこのことを証明しないことには、だれが悪者か、だれが本当の脱税者かということが明らかにならないわけですね。また逆に言えば、明らかにすることが、国税庁なりあるいはこの非課税制度廃止を主張する人たちの疑問あるいはその主張というのは極めて一部だと、だからこの制度は残しておくべきだというふうに私はつながっていかないんだろうと、こういうふうにも思うわけです。  ですから、私から言えば、素人の考えですけれども、せっかくコンピューターもあることだし、恐らく郵政省でもすべての口座についてコンピューターに入れられているんじゃないか、だから金額別に該当人員というものを発表するような方法でいけば、郵貯の百兆のうちそれこそ八十兆までは高額と言われるか大口と言われるか、そういう人たちの預貯金であって、あとの二十兆が要すれば少額預金者の郵貯なんですよと、それだけが非課税になっているんですよ、そしてその上の方も同じ非課税になるからそこに脱税あるいは不正利用ができているんじゃないかと、こういうようなことが郵政省としてできないのかどうかですね。これは、マル優の場合には銀行はばらばらになっておりますからなかなか難しいというような気もしますが、郵政省は幸い一本である。こういう点から言えば可能じゃないかという気がするんですが、局長、これはだめですか。
  25. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 何をもって小口であり何をもって大口預金者かというのは、民間の銀行ですと預入限度額がございませんから、一億積んでも二億積んでも結構です、ただ利子の非課税の恩典を受けようとすれば申告をして三百万円までということになっておりますので、同一人が、何千万、何億を預金している人が何名いるといえばこれは大口かなというのはわかりますが、郵便貯金の場合は、最高入れましても三百万円でございます。三百万円をもって大口と言えるかどうかは大変疑問のあるところでございまして、そういう意味では、郵便貯金というものは手軽に小口の貯蓄手段として従来から親しまれているところでございまして、預金高別の、貯金高別の人員を調べることによって大口か小口かと言うことは私はちょっと難しいというふうに考えております。
  26. 及川一夫

    及川一夫君 その他の項目もありますので、余りこれに時間をとるわけにいかないんですが、ぜひ郵政省としても考えていただきたいと思うんです。  とにかく、百兆のうち二十兆は口座が多いが預金の金額は小さいという人たちの集まりであり、あとの八十兆は、いわば人数は少ない、しかし預貯金の金額は非常に大きいというような意味合いで、何か証明するものがないかどうかというふうに考えたいわけですね。ただ、この問題はもう既に政府・税調も何か二十八日あたりに答申を出されるというお話も聞いておりますし、時間があるのかないのかということも実は私も心配なんです。  そういう意味では、実は提案なんですが、これは逓信委員の皆さんにも、何とか逓信委員会としてそういう行動を起こすべきじゃないかという意味合いで御提起申し上げたいというふうに思うのは、これまでの議論を総括しまして、どちらにしても、郵政省がとられている非課税制度を残すべきであるということについて逓信委員会として決議をする、これに基づいて、それぞれ国会議員たる資格においていろんな行動をし合って何とかその目的を達成するということが私はやはり大事じゃないかというふうに思うんです。  これは、決議をするということについて郵政大臣いかがかというふうにお聞きしてもなかなかお答えにくいかもしれませんけれども、ぜひそういったことをこの問題の締めくくりとして——じゃ、委員長にこれはお願いします。
  27. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  28. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 速記を起こして。  ただいまの及川君の提案につきましては、理事会において十分協議をし、その実現に向けて取り計らいたい、こういうふうに思います。
  29. 及川一夫

    及川一夫君 ありがとうございました。  ぜひ理事会で御検討いただきまして、郵政大臣を初めとした郵政省の立場をひとつ大いに押し上げる、また国会内外では、郵政大臣もお答えになったように賛成派が七〇%を超えているわけですから、何とかやはり物にしなければいけないというふうに思いますので、私もそういう立場で頑張りたいということを申し上げて、この問題の質疑を終わりたいと思います。  次に申し上げたいのは、議題にしますと、「第二KDDの発足と新規参入競争の限界」という表題になるのかというふうに思いますが、これもそう時間があるわけじゃありませんから、郵政省のお考えを聞いておきたいというふうに思うのでありますが、それは第二KDDが一社発足することについて郵政省が認可をされておられます。改めて、国際デジタル通信企画、日本国際通信企画ですか、こういった申請が行われているようでありますけれども、これについては、報道によりますと、郵政としては一社にまとめて認可をしたい、したがって新たなものについてはお受けにならない、認可をしない、こういう方針であるかのように言われております。しかもその理由は、あくまでも国際通信の市場をどう見るかということとの関係においてそのような御判断を持っておられるというふうに思うのでありますけれども、この辺について郵政省としてのお考え、私としては、当然法律行為にも過当競争であってはいけない、やったはいいが両方つぶれるというようなことであってはならないという意味合いだと思うんですが、そういう法律条文のあることも私も知っておりますので、そういった考え方は当然かと思うんですが、現状についてお伺いしたいというふうに思います。
  30. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 昨年四月の電気通信事業法等の施行によりまして、国内電気通信市場のみならず国際電気通信市場におきましても競争原理が導入されて、それまでのKDD一社独占体制が崩れたことは委員御承知のとおりでございます。  そのような電気通信改革に基づきまして、ただいま御指摘ございましたように、現在、KDD以外に二社のそれぞれのグループが国際電気市場に参入しようということで、さまざまなフィージビリティースタディー、いわゆる企画調査活動を行っているところでございます。これらにつきまして、今後これらの会社が、二グループがどのような動きをするか、あるいはどのような申請を出してくるかにつきましては、私どもまだ現時点では把握をしておりませんけれども、私どもの基本的な考え方といたしましては、国際電気通信事業といえども電気通信事業法第十条に規定されております許可の条件がございます。ただいま若干お触れになりましたけれども、例えば、電気通信役務が当該業務区域における需要に照らして適切なものであることとか、あるいは電気通信事業に係る電気通信回線設備が著しく供給過剰にならないこととかといったような条文がございます。これらの条文に照らして私どもとしては厳正に審査をするつもりでございます。  ただ、少なくとも言えますことは、現在の国際電気通信市場は六十年度で申しまして約二千二百億円の市場規模でございます。これに対しまして、国内の電気通信市場は委員御承知のとおり五兆一千億を超えておりますので、国際市場は国内市場の二十五分の一以下でございますので、こうした観点から考えますと、KDD以外の新規参入者がKDDに対して有効でかつ適切な競争状態を現出し得るような形でなければこれは認めるべきではないというふうに考えております。
  31. 及川一夫

    及川一夫君 これからの問題としては国際通信市場をどのぐらいの規模として判断をするかというのが大きな課題だろうというふうに思うんですね。それと、第一種、第二種を含めた場合に、一体その辺のことがどうなるのか、大きな私は課題だろうというふうに思っております。しかし、現状の立場に立てば、今局長がおっしゃられたようなことを慎重にやはり判断をしなければいけないだろうというふうに思っております。  そういった点で、それはよろしいのでありますが、ということになりますと、これは郵政大臣、ある意味では、対象となるものが大きいものですから、架空の論議になってはいけないなと思いながらお尋ねすることになるんですが、KDDというものをそういう立場から物を見ていくということになれば、NTT関係についても同じような物の見方、また同じような観点でそういう条件が実はあるわけですね。現在四社が新しく地上関係では申請を認可されている、NTTを含めれば五社、衛星関係が二社という格好になっているようでありますが、とりあえず地上関係を見ても、五社というのが既に新規参入NTTということで決められまして、もう既に競争が専用回線では始まっている、こういう現状にあるわけですね。  問題は、NTT関係の国内通信の市場というものを一体どう見るのか。これも私はKDDと同じような意味で大きな問題になってくるんだろうと思うんです。六十一年度の収入というものを見れば五兆五千億、こう言っておる。新規参入をして競争することによって、五兆五千億プラス六千億とか八千億ということになってくるならば別に問題はそう大きく起こらないと思うんですが、世の中というのはそんな簡単なものじゃない。恐らく、大きくはなるけれども五兆五千億の方にも食い入ってくるだろう、こんなことも想定されるものですから、そういう競争にたえられるような企業体質をどうするかということが大きな課題にNTT自体はなっているようなんですね。  一体、こういう関係について、それはどこまでも限界のないものかどうかということを考えますと、これはどこかで限界を引くことになるんじゃないか。それはKDD自体についても、今のKDDと第二KDDと、現状の市場関係からいえばそれが限界と、こういうふうに判断される一つの見解があるわけですから、その見解がある限りは国内通信についても同じような意味で私は存在するんじゃないか、こういうふうに思うんですが、今ここで答えることが大変難しい問題かもしれませんが、物の考え方としていかがなものでしょうか。
  32. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 物の考え方という御質問でございますので、私の方からも物の考え方として申し上げさせていただきたいと思います。  先ほど、第二KDD問題に関連いたしまして、国際電気通信分野について申し上げました電気通信事業法第十条の許可基準は、当然のことながら国内電気通信市場でも適用されるところでございますので、私どもはこれを許可の際の重要な判断基準に置いております。ただ、国際の場合と違いまして、先ほども申し上げましたように、国内では昭和六十年度ベースで既に五兆一千億円を超える事業規模があるということ、並びに、さらにこれから高度化、多様化する国民のニーズを考えますと、国内の電気通信市場はまだパイが膨らむ余地があるだろうというふうに見ております。  しかしながら、それではこれらは無制限に許可をするのかということでございますが、そこにはおのずからやはり限度があるわけでございまして、その限度を判断する際の着眼点といたしましては、それぞれの事業者の方々が申請される申請の中身、もっと具体的に申し上げますと、電気通信役務の種類とかあるいはその業務区域とか、あるいはその態様とか、それからその事業計画全般、そういったものを個別に審査をする必要があるというふうに考えております。  現に許可している各社につきましても、NTTを除きまして地上系の四社、それから衛星系二社でございますが、例えば地上系の四社のうち三社はいわゆる中継回線を中心とした中継系でございますし、残りの一社は広域圏を対象にしたものでございます。また衛星系二社は、御承知のとおり、これは全国を対象にしたものでございます。今、そのほかの動きといたしまして、先ほど派遣委員報告の中で岡野先生がお触れになりましたけれども、例えば大阪では大阪市域を中心とした中規模程度の、中域圏と言うんでしょうか、を対象にした申請も出ておりますし、あるいはまたもっと小さいコミュニティーを対象とした一種事業の申請も出ておりますので、これらはそれぞれの態様を子細に分析しないと判断が下せないところでございます。  しかしながら、例えば衛星系について申し上げますと、三社目につきましては、申請がありましたけれども、現時点で想定いたします限り、三社目を全国供給事業体として認めるには時期尚早であるということで処分を保留しておりますので、無制限に私どもは認めるつもりはございません。
  33. 及川一夫

    及川一夫君 これから先、そういった観点でさまざまな議論をしていかなければならないなというふうに思うんですが、きょうの段階におけるこの問題の締めくくりとして少し御意見を申し上げておきたい、また郵政省的にも物を判断する基本としてぜひ考慮していただかなければいけないなというふうに思っていますのは、要すれば国営事業が民間企業になって競争の原理が実は入れられたわけであります。これはもうそれなりに受けとめられて、大変な努力をKDDにしてもあるいはまたNTTにしても行われているというふうに私は思います。今のところは、新規参入、具体的に言えば一社ですから、今即座にぱっと影響があらわれてきているわけではありません。しかし、将来に対する不安ですね、どこまで頑張れば安んじて働けるのか、雇用というものに対して不安を持たずに働くことができるのかということがやはり私は職場の中にはあるというふうに見ているわけであります。  ですから、私流の言い方なんですが、一体競争とは何ぞやということについて、まず郵政省の方方が体で感ずる形で考えたことがあるんだろうかどうだろうかということをお考え願いたい。郵政 省の方々は、残念ながら民間企業を経営した人は一人もおらぬ。NTTでも、真藤社長一人は民間企業の経験者ですけれども、あとは元お役人という方々がほとんどなわけですね。そういう中で、民営企業とは何か、競争とは何か、いや社内取引だ、それ効率はどうだこうだというようなことでいろんな議論をしているんですから、大変な私は悩みだというふうに思うのでありますけれども、私はやはり競争というのは、競争すればするほど、お客様というか利用者というか、国民全体のサービスが向上していくというものでなければならないし、同時に、そのために努力をした職場の社員というか労働者の人たちにもそれ相応の生活条件の向上そして雇用の安定というものが期されていくものでなければいけないと思うんです。ところが、このままでいったら、競争すればするほど何か自分の首が絞められるんじゃないか、こんな感じの競争であってはならないという気がしてしようがないわけです。  そういう観点というものを持ちながら、例えばKDDに対する競争会社として一社なのか二社なのかということも判定基準の中に入っていいんじゃないかと——結果としては入ってくるような気がしますね。あるいはNTT問題でも同じような、つまり共存共栄ということがやはり成り立つ社会でないと、事業でないと、産業でないと、これはもう弱肉強食の論理だけでいったのでは必ず社会不安につながっていくわけでありますから、そういった点はぜひとも頭の中に置かれて、これからの起きてくる問題に対して対応してもらいたいということを特にお願いを申し上げておきたいと思います。  なお、大変な問題がこの中に入っているわけですから、これから来年に向けてというか、事業法見直し、会社法の見直しの問題ももう具体的に論じなければならない時期に来ているというふうに思いますので、私も真摯な気持ちでそういう問題を提起してまいりたいというふうに思いますから、郵政大臣以下郵政省の皆さんにそういった点でお考えいただいておくようにお願い申し上げてこの質問を終わりたいというふうに思います。——特にありますか。
  34. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 昨年四月に電気通信改革を行いまして、民間に電気通信市場を開放いたしました趣旨は、増大かつ多様化する国民のニーズに的確にこたえると同時に、良質でできるだけいいサービスをできるだけ低廉な料金で供給するというのが目的でございました。  このような観点から、電気通信市場の開放と同時に、あわせてNTTの民営化も行われたものでございますので、NTTは昨年四月一日を期して活力のある、かつまた当事者能力のある事業体に脱皮したところでございます。そういう意味におきまして、これまでのような強い規制から離れて、現在NTTは労使それぞれそのような法改革の趣旨を十分理解されて、努力しておられるというふうに考えております。  したがいまして、私どもといたしましても、今後過当な競争によりましてNTTの経営の健全性あるいは安定性が損なわれるということは本意ではございませんので、そのようなことのないように、ひいてはNTTの経営が危殆に頻することから国民に十全なサービスができなくなるようなことのないように、十分行政の立場からも目配りをしてまいりたいというふうに存ずる次第でございます。
  35. 及川一夫

    及川一夫君 では、次の三点目の課題について御質問並びに御意見を申し上げたいと思います。  それは個人タクシーと自動車電話の問題ということになるわけでありますが、運輸省の方にもおいでになっていただいているわけなんですが、実は新聞でも明らかになったんですが、私は新聞を見る前に直接実はこの問題で体験をいたしました。羽田から東京都内に入ってくるときに個人タクシーに乗ったんですが、その個人タクシーに自動車電話がついておりました。私も連絡するところがあったので、使えますか、使わしてくれますかと言ったら、どうぞと言う。使わしていただきました。終わった後で、料金は幾らですかと、こう聞いたら、いや、これはサービスですと、こう言われた。結構な話だと思いましてね。しかし、私も自動車電話をつけて乗りました体験も持っておりますものですから、今の自動車電話というものはそんな安いものじゃない、六秒に十円とか、十五秒に十円とかという形で運用されているんでから、まあやはり三十秒ぐらい使えば三十円、四十円ぐらいに実はなってしまう。運転手さん、そんな安いものじゃないじゃないかと、あなたそれで大丈夫と言うたら、いや、お客さん、大体みんな短いですからということでその話は終わったんですが、そこから初めて運転手さんがいわくには、実はこの電話を取り外さないと無線タクシーの組合から除名をされる、個人タクシーの組合から除名されると、こういうお話を実は聞いたわけです。なぜですかと言うたら、それは無線を利用しながら電話を持っているということは、我々流の言葉で言えば公正競争の原則にもとるということなんでしょうね。  私が体験した個人タクシーは、私はデンデンと言っている、カタツムリの方であります、ちょうちんじゃありません。それで、カタツムリの方は都内に約一万台ぐらい個人タクシーがあるそうでありますが、そのうちおおむね二百台ぐらい自動車電話をおつけになっている。したがって二百人対九千八百名の論争になりまして、それで、これはもう取り外せと、取り外さないと、お前たちはいい客だけとって、しかも無線まで利用している、おかしいじゃないかという提起があって、理事会で議論した結果、結論として十月の三十一日までとお聞きしておったんですが、取り外さなければ除名をすると、こういうふうになっている。したがって、除名される組合員から見れば、冗談じゃない、裁判に訴える、あるいは監督官庁である運輸大臣に直訴をしたいというようなことも大体決められているわけであります。ただし、そのままつけてますと除名になるものですから、最初はそれでもやろうとしたんですけれども、除名になったんじゃ発言をする場を失うということも含めて電話だけは取り外さざるを得ないと、取り外した形でとにかく争うんだということになっているようでありますけれども、一体これでいいのかなということを率直に言って感じました。同時に、この個人タクシーは中小企業協同組合法に基づいて事業協同組合ですか、こういうものがつくられるようになっているわけなんですが、労働組合にもよく除名ということがあるんですけれども、協同組合よりは労働組合の方がかなり拘束力といいますか、そういうものが強いという認識、逆に言えば協同組合の方がもっと緩やかなもの、そんなところで除名ができるのかなと、こう考えて法律を開いてみましたら、確かに除名という項目があるわけです。ただし、除名とはということで三項目載っているんですけれども、その三項目の中には今のようなことが該当することは書いてない。そして三項目目に、別途定款に定めるものと、こうあって、定款はどうなっているのかということで運輸省の皆さんにもお尋ねしたところが、定款の中に、この団体の事業を阻害したり、阻害するおそれのある者は除名してもよいと、こうなっているわけです。したがって、二百名の方方がこの事業を阻害すると、無線を使つての事業を阻害するという判断に立てば一応除名ということに実はなるわけです。成立するということになるわけです。  そこで、運輸省の方々にお伺いしたいのは、今現在の実態はどうなっているんだろうかということが一つと、協同組合法ですから私たちはその中に介入することはできないと思う、またすべきでないと思います。そういう前提には立っているんですが、定款が正しい、協同組合法に基づいている、それはいいんだが、もう一足飛びに除名になっていることについて一体どうなんだろうという感じを持つわけです。  つまり、除名とは一般法に倣えば死刑と同じですね。ちょっと行動がおかしかったからといって直ちに死刑ということになったらそれだけで頭に きちゃって、出る知恵も出ない。お互いに話し合って仲よく決めようという気持ちすらならないということになりやせぬかということを心配するわけです。私の体験からいっても警告であるとか、訓告であるとか、戒告であるとか、あるいは減給であるとか、いろんな段階があって、それでもなおかつということで死刑に等しい除名などということが行われるものだというふうに思うんですが、これは指導になるのか要請になるかどうか知りませんが、いずれにしても協同組合法から見て別に違反はしてないわけですから介入することはできないんですけれども、何かその辺のことで指導しながら何とかうまくまとまる方法というものはないのか。とりわけ利用者の立場から言えば便利なんでして、便利なものを外すということはサービスの低下になる。情報化社会になったら恐らくタクシーにはほとんど電話をつける時代が来るんじゃないか、あるいはタクシーの公衆電話なんというのが出ないとは限らない。もう既にそういうものが制度として決められても応じられるような技術開発までできているというふうに私は聞いていますから、一体その辺はどうなんだろうと。大変まとめて一括でお話しているんで答弁しにくいかもしれませんけれども、運輸省の皆さんの御見解をひとつ聞かしていただきたいというふうに思います。
  36. 植村武雄

    説明員(植村武雄君) 先生おっしゃいましたとおり、カタツムリマークをつけました東京都の個人タクシーの協同組合が、去る五月の総代会におきまして電話を取り外すべきだという決議をいたしました。さきの九月の理事会におきまして十月末までに取り外させようと、あるいは誓約書を出すならば——誓約書といいますのは、その電話を使って営業行為をしない、それによって協同組合の協同事業を妨害しないという意味での誓約書を出すならば年内いっぱいは取り外さなくてもいいが、それでも年内いっぱいには取り外してもらおう、こういうふうな決定をしたということを承知しております。  その理由は、協同組合の事業としていわゆる無線事業、またチケット事業、こういうものをやっておるわけでございます。先生御案内のとおり、協同組合は共通の経済的な目的でもって結束しているわけでございますから、そういった協同の事業につきまして妨害のある行為は排除しなければいけない。なぜ電話をつけていると妨害になるかということにつきましては、電話をつけている人たちが、全員が全員ではないと私は思いますけれども、上得意のいいお客さんをみずからの電話を使ってとっていく、電話を営業行為に使う、こういうことが妨害になるということでそういう決定をした、こういうふうに私ども承知しておるわけでございます。協同組合の性格というのは、先生まさにおっしゃいましたとおり、参加も自由でございますし、脱退も自由であるという、いわばそういう組織体であり、またこれも先生御指摘のとおり、協同組合法で意思決定の仕組みが決まっておりまして、総代会といういわば総会に当たるような制度がありまして、そこで決定されたということでございますから、私ども法的には内部問題、協同組合の自主決定を尊重せざるを得ない立場であって、それに介入するのはいかがなものかという感じはいたします。  しかしながら、これまた先生御指摘のとおりでございまして、利用者が使うという利用者の立場から立てば非常に便利なものでございまして、その限りにおきまして、私どもとして利用者の利便を確保するという見地から外せというところまで言うのはいかがなものかという気持ちも持っております。このため、担当の関東運輸局に命じまして事情を聴取させておるところでございますが、これも先生何度もおっしゃったとおり、協同組合法の建前からいきましてその決定はおかしいという形で私どもがいわば介入するということはなかなか困難でありますので、自主決定を前提とした上でできるだけ円満に解決するようにという指導になろうかと思うわけでございます。  それからさらに、先生が最後の方でおっしゃいました将来のことも含めまして、タクシーに電話をつけることについての展望でございますけれども、先生御指摘のとおり、お客様の利便という見地から、私どもタクシーに電話がついていくということは大いに結構なことであろうかと思います。特に昨今、タクシー需要が低迷しておりますので、サービス改善、お客様を確保するという意味においても大事なことだと、こう思っております。私ども聞いておるところでは、コンビニエンスですか、コンビニエンス・ラジオ・ホンというんでしょうか、発信専用で非常に軽便な自動車専用電話の開発の研究も郵政省さんが中心になってなさっているというふうに伺っておりますので、これなどができれば発信専門でありますから今の営業行為に使うというような問題も出てまいりませんし、また値段が安いということでタクシー事業者もその導入を前向きに検討しやすいということでございますから、こういったものの開発というものに私どもは大いに期待をしておるというところでございます。
  37. 及川一夫

    及川一夫君 わかりました。指導の面で十分ひとつ反映していただくようにお願いをしておきたいと思います。  いずれにしても、この自動車電話は使ってみるとやめられないくらい実は便利なものだというふうに私自身が体験をしているものですから、恐らく需要はふえるというふうに見なければならないだろうというふうに思います。  そういう観点で、今度は郵政省にちょっとお願いをしておきたい、またお聞きしたいんでありますけれども、一つには、この利用者がふえるかふえないかという問題の中にはやはり料金問題というのがあるような気がいたします。  現状、基本料は二万円、そして十五秒について十円というふうにお伺いしているわけですけれども、大変それ自体は決して安いものではないというふうに思う。かつて三万円のものを二万円に基本料を下げたという点ではNTT自体も相当努力をしているということは言えるんでありますが、この自動車電話の需要増加のためにはやはり料金問題、かつて電信電話公社時代には一世帯に二電話構想というものを打ち上げた経過が実はあるわけであります。しかし、今の日本の家族構成やあるいはその家屋の構造から見て、一つの世帯に二つの電話なんというようなことは到低できるものではないというふうに私は当時思っておりました。今もその気持ちは変わりません。しかし、電話はどんどん需要がふえるばかりですから、そういう意味では一体一世帯二電話というものをどういう意味で目的を達成するかということになれば、やはり自家用車といいますか、そういうものに電話をつけるという時代が来るはずだという気がしてなりません。それを達成するためにも料金問題はもう少し低廉なものにしなきゃいかぬじゃないか。少し乱暴なことを言えば五千円、それから三十秒に十円ぐらいの値段であったらもう自家用車の六〇%から七〇%はつけることになるんじゃないかというような勝手な想像を実はしているんであります。  そういったことに対して、今全く問題にならない、検討する余地なしというふうに郵政省自体が物の考え方としてそれこそ発想されているのかどうかということと同時に、そういう時代になると当然のこととして電波の問題が出てくるように思います。今現在でも満杯に近い。特に東京といいますか、大阪もそれに近いというふうに見ているんですけれども、大都市ではもう満杯。中小都市以下では余裕はあるということなんですが、それを中小都市から持ってくるなんというようなことにならないのが電波でありますから、そういった点では新たなコードの電波を発掘しなければいけない。それもそういう作業もされているというふうに聞いているんですけれども、電波の問題についての余裕をできるだけ早く郵政当局としても考えられるべきではないかと、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  38. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 及川先生御指摘になりましたとおり、最近における自動車電話の普及は 大変急ピッチでございまして、先月末、九月末現在で全国で約七万七千台に設置されております。今年度年度途中でございますので、六十年度以前三年さかのぼってみますと年率で四〇%ないし五〇%という非常に高い率で伸びております。したがいまして、ただいま御指摘ございましたように、今後も自動車電話というものがいわゆる車社会並びに生活の利便性とマッチいたしまして急速に伸びるであろうというふうに私どもも予見しているところでございます。さらにこれを国民生活により密着させ、あるいはもっと利用を普及させるためには確かに料金の問題がございます。  そうした観点から、ただいまお話しございましたように、基本料が三万円から二万円に下げられたところでございますが、これから先、現在の基本料なりあるいは通話料等々が下げられるかどうかということは、現時点では私どもまだ的確な予測を持つに至っておりません。しかしながら、自動車電話の世界にも当然のことながら昨年以来競争態勢に入っておりますので、今後はNTTによる現在のサービス以外に新規参入者も動きが逐次出てまいると思いますので、そうした新規参入者と既存のNTTによるサービスとのいい意味での競争関係の中で料金体系についても水準が下がってくることを私どもとしては期待しているところでございます。  そのような料金の低下を誘導するためにも、先生御指摘になりました周波数の逼迫というものが大きなネックになっておりましたので、先般、電気通信技術審議会に周波数の拡大について諮問をいたしまして、ことしの四月に答申を得ましたので、去る八月一日から今後十年間を見通して、かつまた首都圏の一番逼迫している波に不足を来さないだけのバンドを用意したつもりでございますので、私どもといたしましては、そのような周波数の割り当ての面からこのような自動車電話の普及について支援をしてまいってきたところでございます。
  39. 及川一夫

    及川一夫君 局長のお話と私どもが意図していることとはそう大きく違いないように思いますから、どうかそういう観点から、できるだけ早くこの問題に対する答えが出るようにひとつ努力をしていただきたいということをお願い申し上げまして、この問題に対する質問を終わり、私の与えられた時間内での質問ということでは最後になりますが、NTTの株価の決定問題について二、三お伺いし、また御意見を申し上げたいというふうに思います。  まず第一に、NTT株価の決定の現状と今後の作業日程について簡単にひとつ御答弁をお願いしたいというふうに思います。
  40. 松川隆志

    説明員(松川隆志君) 六十一年度における電電株式の売却問題でございますが、現在のスケジュールでございますが、十月から一部の株式につきまして一般競争入札を行っておりまして、その結果を参考として価格を定めて、残りの株式について売り出しを実施するということを考えております。それで、残りの株式についての売り出しにつきましては十月二十日から勧誘が開始されておりまして、正式な申し込みは十一月十七日から二十六日までということに予定しております。それで、このうち入札につきましては今月の一日から七日まで関東、近畿両財務局で実施いたしまして、それでその結果は現在コンピューターによりまして集計中でございます。二十四日に落札決定を行う予定でございます。それで、売り出し価格の決定につきましては、その落札結果の判明後、国有財産中央審議会に諮りまして、政府に対する答申をいただきまして、売り出し価格を定めた上、売り出しの方を実施したいというふうに考えております。
  41. 及川一夫

    及川一夫君 そこでお伺いしたいというふうに思うんですが、まずNTTの全株数は一千五百六十万株ということで確認してよろしいかどうかということと、政府持ち株としては将来三分の一ということになっておりますから、五百二十万株政府の持ち株になる、したがって残りの一千四十万株が市場に放出される株であるということでよろしいかどうかというのが二点。それから三つ目には、今回はそのうちの百九十五万株、これを売り出したいという前提で、競争入札を初めとして今お答えいただいた作業日程で対応しているということでよろしいかどうかということ。そして、その中で今回百九十五万株のうち二十五万株が競争入札の対象にされて、残りの百七十万株が要するに一般市場に放出される、こういうまず数字的なことについて確認しておきたいと思います。
  42. 松川隆志

    説明員(松川隆志君) 先生御指摘のとおり、発行済み株式総数は一千五百六十万株でございます。これはすべて五万円額面でございます。それで、全部これは政府に帰属しているわけでございますが、このうち国債整理基金特別会計に所属している株式、これは全体の三分の二の一千四十万株でございまして、これは将来売却することができるという株式でございます。それから、NTT法におきまして保有が義務づけられておりますのは、これは全体の三分の一の五百二十万株でございまして、これは産業投資特別会計に所属している株式でございます。  それで、このうち今回の百九十五万株の売却を決めるに当たりましては、一応郵政省と協議した結果、今後四年間に半分までは、七百八十万株でございますが、一応状況に応じて売却することができるという、逆に言いますと六十四年度までは五〇%以上の株式を保有することと、こういうことになっているわけでございます。それで、今回は七百八十万株の四分の一の百九十五万株が六十一年度の売却予定株式数となったわけでございますが、今回の売却では入札で二十万株を一応売却する。それで残りの百七十五万株のうち、ごく少数でございますが、冷やし玉という、あるいは値つけ株とも称しますが、その株式としてごく少数の株式を留保いたしまして、残りの大多数の株式を売却する、こういう予定であるわけでございます。
  43. 及川一夫

    及川一夫君 そこで、意見も含めてということになりますけれども、株価の決定というのは高ければ高いほど会社にとってはそれだけの信頼、信用性というバロメーターになるでありましょうし、企業の優劣というものを判断されて、いいから高いというふうに見られるものだというふうに私も考えます。しかし、だからといって天井知らずの、高ければ高いほどいいということでよろしいのかどうかということがどうしても私は問われるような気がするし、NTT事業というのは国民の財産だという前提に私は立っていますから、こんなところで変な投機的な形で株が売られるということについては、非常に将来に禍根を残すという気がしてならないわけですね。  私はちょっと勘違いしまして、百七十五万株を百七十万という計算で実はきたものですから、論議としてはお許し願いたいというふうにも思うんですが、その百七十万株というものを前提にして、世上言われている一体今日的な株価というのは、入札も発表されていないし決まっていませんからわかりませんけれども、幾らなんだろうということになるといろんなのが出ておりまして、しかし百万円以下というのはないんですな。甚だしいのは二百万円なんというのも小さい記事では出ているんですよ。そうして一番多いのが百二十万から百三十万円というのがどうも多いような気がするんですね。一体二百万円ということになったら、それこそ三十一兆二千億ぐらいに実はなっちゃうんです。一体NTTの資産というのは幾らあるんですかと。これは電電三法のときさんざんやられているわけでして、少なくとも二十兆以上なんというような話は出ているようには私は思わない。そうするともう資産以上のいわば株ということになりますから、それこそ投機の要素が物すごく強いということに実はなっちゃうんだろうと思うんですね。百五十万というふうに見ても二十三兆四千億です。百二十万円というふうに見ても十八兆七千二百億、もう資産と同等ぐらいに実はなっているわけなんであります。ですからどうしても、今日の株に対する新聞、週刊誌のいろんなものの発表というのは余りにもひど過ぎるじゃない かと、何だと思っているんだという気がして実はならないのであります。しかも私は、投機的要素があれば必ず下落することがあると、こう思いますね。その下落もそれこそ一万円とか二万円ぐらいならまあという人もいるかもしらぬけれども、それこそ百五十万円が七十万円になったとか八十万円になったということになったら、ある意味じゃ企業を殺すし人を殺すことになってしまう。しかも下がる理由の中に、NTTの経営のやり方とかそういう手法に対して非常に問題がある、経営手段がその原因であるというならば、値段が下がったことに対してNTTはそれは責任を持たにゃいけませんけれども、そうじゃないと、投機という要素があると。いろんな動かし方をして適当に下げたり上げたりすると。そのたびに不信が倍増されていくということになりますと、NTTを預かっておる人は私は大変だなという気がしてならないんですね。  したがって、この株価の決定に当たってはもちろん審議会というものにかけられてそれで決定されるんだというふうに思いますが、大蔵省あたりが一体その辺のことについて審議会任せなのかどうかということになると、これまでの委員会運営からすればそうはならない。したがって、大蔵の意向がどうかということが結論の問題。少なくとも七〇%ないしは八〇%支配をするという私は物の見方をするわけです。したがって、大蔵省自体がNTTの株価の問題について一体どういう観点で入札は入札として決めるのか。国鉄の用地売却じゃありませんけれども、これだって地価高騰につながるということで、今利用されている市場価格でやっていいのかどうかという一方の議論もあるわけですから、国鉄の用地と同じだとは言いませんけれども、やはり株価の決定に当たってはそういうNTTの将来というものを考え、国民の財産だということを考え、売り買いによって適当に利益を上げることのないようなものにある程度していかなければ、私は国民のための電気通信事業を守ることができないんじゃないかと、こんな気もするものですから、ぜひこの辺のことは、きょうの段階では御意見なんですが、大蔵省としてもお考えいただきたいものだというふうにお願い申し上げておきたいと思います。御意見あったらお伺いしたいと思います。
  44. 松川隆志

    説明員(松川隆志君) 先生の方の御指摘がございましたように、売却、売り出し価格は、今後落札結果を踏まえて審議会で検討していくということでございます。非常にこの問題難しいわけでございますが、いずれにしても大蔵省といたしましては、これは国有財産でございまして、国民共有の財産である、しかも国債の償還財源に充てるということで、国民のある意味では共有の負債を返済していく財源にするということでございますので、やはり適正な価格で売却していきたい。これは結果論でございますが、先生の御指摘のあった逆のお話もございまして、売った途端に逆に上がりまして、大蔵省は国損を招いたじゃないか、そういう議論もございますので、そういうところをバランスをとって考えていきたい、こういうふうに考えております。
  45. 及川一夫

    及川一夫君 ありがとうございました。いろいろ質問の仕方にも失礼な段あったかと思いますが、以上をもって私の質問を終わりたいと思います。委員長どうもありがとうございました。
  46. 大木正吾

    大木正吾君 本題に入ります前に今の及川委員の質問に関連して、これは竹下大臣に大蔵委員会でもう何度も申し上げたんですが、一般財源が非常に枯渇しているし、これ下手をすると返還財源の方から歳入欠陥も起きるという状況の中のことですから危ないわけで、僕もその辺のことを非常に注目しているし、同時に仮に御祝儀相場でもって買わされまして、後で三年、五年たったとき——やっぱりNTTは率直は申し上げて人が少し多いんですよ、それは東電と競争したら絶対負けますからね。そういう関係等も考えられて、今宮澤さんが一人株主でいるわけだけれども、やっぱり最終的に慎重に決めてもらいたいことを、また大臣関係ございますから、そういった意味合いでもって要望を申し上げさせていただきます。  さて質問でございますが、けさの新聞にも出ておるようですが、税調の答申の時期が近づいておりまして、その中でもって最も何か既成事実化されたような感じがいたしますのがマル優問題、こういう感じがするんでございますけれども、大蔵省来ておりますね。  まず伺いますが、これは中曽根総理の考え方が先行しているからかもしれませんが、所得税二兆七千億円、法人税一兆八千億円、相続税三千億円、合わせて四兆八千億円の減税はやるんですね。やると承っておいてよろしゅうございますか、やるんですね。
  47. 田谷廣明

    説明員(田谷廣明君) お答えいたします。  ただいまお尋ねの金額は、先般報道されました所得課税二兆七千億、法人課税一兆八千億、合わせました減税規模四兆五千億円のことと思いますけれども、この金額は、所得課税の二兆七千億円につきましては税制調査会におきまして、これまでの中間報告あるいは御審議を踏まえまして具体的な仕組みに関する検討を進めていただくに当たりまして、その手がかりとして想定された各種のタイプの改正像を念頭に置きまして概算された財源、この程度じゃなかろうかという数字でございます。  それから、法人課税の一兆八千億円につきましては、同じく中間報告で示されておりますように実効税率が五割を下回る水準というものを実現するために単純計算を行いますとその程度の財源を要するであろうという数字でございます。  いずれも税制調査会におきまして御審議を進めていただく際での一つの目安といった数字にとどまるものでございまして、減税規模として固まったという性格のものではございません。今後所得税、法人税を含めました税制全体の検討が取りまとめられるわけでございますが、こういった減税規模につきましても全体像との関係で今後流動的な数字だということは申し上げるまでもないところでございます。  いずれにしましても、政府としましては税制調査会の審議が最終的にまとめられまして、負担の軽減、合理化の方策とそのための財源措置を含む一体としての包括的な指針をいただきました上で適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  48. 大木正吾

    大木正吾君 答えがすっきりしませんけれども、大まかには新聞やテレビや国民に公表してしまったんですから、やっぱり四兆八千億程度の減税をする、こういうふうに私受けとめて、国民の大半がそう聞いているということは十分承知しておいてもらいたい、こう考えているわけです。財源をどこから持ってくるか、私は別に大蔵省の役人じゃありませんが、随分と心配している一人なんです。その中で、特にもう何か既定の事実化しているようなものが実はマル優の廃止、あるいは少額貯蓄に対する課税問題でございまして、これが大体一五%か二〇%、地方税を含めて大体二〇か二五ですか、これは相当な課税になるわけでございますけれども、大体そういう方向で、税調にも意見が二つか三つあるようですが、検討が進んでいると、税調の動向として把握してよろしゅうございますか。
  49. 田谷廣明

    説明員(田谷廣明君) お答えいたします。  ただいま御指摘ございました少額貯蓄の利子非課税制度、いわゆるマル優でございますが、御承知のように、貯蓄奨励の見地から多年にわたり継続されてきた政策税制でございます。この利子配当課税のあり方につきましては公平、公正といった今回の抜本見直しの基本的な考え方に基づきまして、その一環として御指摘のように、現在税制調査会において鋭意検討が進められてきておるところでございます。  ただいまお尋ねの検討の方向と申しますか、今後の推移といいますか、そういったことと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、ただいま最終的な取りまとめに入っている段階でございまして、ここでお答えするのが適当かどうかということがございますが、私どもの理解では現 在のところ非課税制度をそのまま存続させることは適当でなく、課税の方向で見直しを行うべきではないかというのが御意見の大勢であるように理解しております。
  50. 大木正吾

    大木正吾君 もうイギリス、フランスなど、アメリカでもそうですが、少額貯蓄に対する課税ということについてはある程度みんなこれ各国ともに先進国がやっています。税金かけないで、日本より多い三千万円なんというのをイギリスなんかやっているわけです。そういった中で、どういう観点からこの利子に対する、少額貯蓄に対するいわゆる課税の議論がこれほど高まったんでしょうかね。さっきもちょっとお話がありましたとおり、ちょうどこの税調の議論が白熱しているときに、国税庁がぼんと何か悪いことをしているんだというやつを発表するとか、僕ら見ていると実にタイミングよくやっているなと、こういう感じがするんでね。  これは大臣、にこにこされているけれども、実は竹下さんが大臣のときに、例えばみなし法人からお医者さんから、同時に——法人が日本でたしか百万ちょっとありますけれども、その中で税金を納めていないのが大体九割以上を占めている、そういった問題については去年もおととしもずっと国税庁は全体として脱税について相当な調査をしているんですよ。なぜ貯蓄問題だけを出さなきゃならなかったか、僕らは本当に心外でならないんです。極めて意図的な言えば発表でなかったか、こういうふうに考えますが、そういうふうに大蔵省考えておりませんか、どうですか。——大臣、答えてください。両方でひとつ。
  51. 田谷廣明

    説明員(田谷廣明君) お答えいたします。  ただいまお尋ねの問題は国税庁の問題かと存じますが、国税庁の方が来ておりませんので私から便宜お答えさせていただきます。  御指摘の調査につきましては、毎年発表いたしているものでございまして、たまたまその時期が御指摘の税調の審議の時期と重なったということではないかと思います。
  52. 大木正吾

    大木正吾君 大臣はどうですか。
  53. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 今の少額貯蓄の非課税につきましての不正利用の問題でございますが、確かに最近いろいろ報道がなされておりますし、いろいろ報告なされておりますが、必ずしも正確とは我々は言えない部分もございますので、ひとつ事務当局から報告をいたさせます。
  54. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 率直な感想を申し上げさせていただきますと、非常にタイミングがよ過ぎるなという感じがいたします。
  55. 大木正吾

    大木正吾君 ことほどさようなことでございまして、本当に困るんですが、ここには、本席に日本の税界の本当の権威者であります福田先生がいらっしゃいますので余り税金のことを議論したくないんですが、実は、これはあくまで算術計算の話なんですが、今目いっぱい、財形を別にしまして九百万をマル優でもって扱いますと、大体利息を五・五%と計算いたしまして四十七万五千円ぐらいの一年間の利子が入ってきますね。それに対して二〇%か二五%の課税をしますと、九万から十万の減収に、税金の分がなるわけです。これが一つの問題点です。  もう一つは、山中貞則さんがどういうふうにさばかれるのかわかりませんけれども、税調自身は三年ぐらい前に年金課税問題について答申しているんですよ。これは要するに、言えば五十五歳定年でやめた方にいたしましても減額でもって年金をもらっているんでしょう。そうすると、七十八万円というところが要するに給与所得者の基礎控除のところにあるんですが、要するに課税をしないでずっときたんですが、その分も含めて課税しようという話がありまして、これも竹下さんとやり合ったんだけれども、竹下さんも実は知らないでおりまして、そして、慎重に検討しましょうでもって、例ののらりくらり答弁で逃げられちゃった。  こういう経過がございまして、こういうことを考えていきますと、どう考えましても、ある新聞には、仮に今度のマル優廃止、あるいは大型か中型か小型か日本型か知りませんが、要するに新しい間接税を導入しました場合で例を挙げまして、五百万前後を境にして下の方が重たくなる、こういう話がありますが、中身をえぐっていきますと、ああいった計算以外に、実は七十八万プラスでもって二百四、五十万の年金生活者が新しく取られる税金の分が十六万になるんですね。ですから、九万から十万と十六万というものが減収になるということは、これは大変なことなんですよ。要するにボーナスがありません。自営業者は六十になっても六十五でも七十でも仕事はできますが、サラリーマンにとっては結局、老後生活が大変なことなんですよ。ですから、そういったことが内包されておることについて大臣は御承知かどうか、これちょっと聞いておきたいんですがね。
  56. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 税制調査会の答申ですが、包括的な指針をまだいただいておらない状態なものでございますので、今のところちょっと申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  57. 大木正吾

    大木正吾君 大臣非常に慎重にお答えになっておるんですが、私は、むしろ税制調査会の答申があるなしということの、出口ははっきりわかりませんけれども、大変な減税減税ということを言われるけれども、実を言うとこういった中身が問題なんであって、だからマル優問題についても、言えば税調の答申に対しまして一兆から一兆二千億ぐらいの税収がある、こういう話がございますが、さっき同僚委員の発言もございましたけれども、これはもう絶対に認めることはできない、こういう気持ちに立つわけなんですね。ですから、やるんだったらグリーンカードにまた話を返していただく、こういう話もしたい気持ちがいっぱいなんですよ。ですから、そういった状況だということをぜひこれは御認識をちょうだいいたしたいですね。  じゃ、今度は経済企画庁にちょっと伺いますが、ロン・ヤス会談でもって日本の貯蓄問題について、去年のこれは話題ですけれども、貯蓄率が高過ぎるから日本の方の黒字が多過ぎる、こういう話があったってことで、そのことについて合意をしたという記事があって、そのときにしなかった、したって議論したことがあるんですが、最近の統計資料等を見ていきますと——企画庁に聞きたいんですが、これは結果的にG5の後で、この目的というものはアメリカの輸出をふやすことが目的だったはずですけれども、貯蓄と経常収支ですか、貿易収支でもいいんですが、その相関関係は最近どうなってますか。
  58. 加藤雅

    説明員(加藤雅君) お答え申し上げます。  先生御存じのとおり、国内貯蓄投資差額というものは理論的には経常収支に等しいということでございまして、したがいまして、貯蓄がふえますと経常収支の黒字がふえるというふうに一応考えてよろしいわけでございます。  ただ、五十九年度の経済白書で分析いたしました結果を申し上げますと、一つは、先進国につきましては、「国内貯蓄率の変化と経常収支の変化との関係をみると、相互の間に統計的に有意な関係はみうけられない。」という結果が得られておりまして、つまり、貯蓄がふえても必ずしも経常収支の黒字がふえるとは言えない。また、日本につきましても、同じ五十九年度の経済白書の分析でございますと、「家計貯蓄率が経常収支に ”与える影響“ は無視しうる大きさである」。つまり、家計貯蓄率が上がりましても経常収支の黒字がふえるということはこのことだけからは言えないという、そういう結論が得られております。
  59. 大木正吾

    大木正吾君 これはさっき大臣も答弁でおっしゃられたんですけれども、貯蓄率はぐっとここで下がって、五十年ごろから見ますと大変な下がり方を示しておりますね。逆に、これを見ていますと、経常収支はぼんぼんふえているんですよね。ですから、これは表だけの話じゃないんで、むしろ意見を若干差し挟ませていただきますと、こういうことは、結果的には経常収支というもの、やっぱり日本の貿易黒字が生んだものが、その一部が、外国に工場を建てたり、あるいは外国の国債 を買ったり、あるいは金融収益を上げたり、こうしているわけでしょう。ですから、そういう関係でもって僕ら先行きの日本経済というものを考えてみた場合には、最近の失業者二百万を超えている、三%を超えている、そういった状態で、むしろこの貯蓄と、言えば経常収支の相関関係というものは産業にものすごい深い関係を持っているんだということを、同時に、これは労働省に聞くべきことなんだけれども、いずれにしても、私たちは、そういった欺瞞的なといいましょうか、アメリカ側の言い分に対するやっぱり返答というものは、従来から言われてきたんだけれども、そういった話はやっぱりはっきり政府としても言い返してもらいたい問題もあるし、同時に、三兆六千億程度の結局民活問題を中心とした景気政策をやったって、こういった状態でもってぼんぼん経常収支が伸びていきますと、これは結果的にはやっぱり日本の産業の空洞化というものを意味しているわけですよ。怖いのは失業問題が怖いですよ。  だから、そういったことまでやっぱり私たち食い込んで議論してみてもらいたい、こういったことがありましてあえて申し上げたんですが、ぜひ貯蓄問題については、そういったことでもって貿易の黒字がふえていることじゃないぞ、むしろ逆の心配がふえているんだ、こういうふうに大臣も認識してもらいたいし、企画庁せっかくそのような調査をされたんでしたら、アメリカと話があったときにはそういったことを私たち正式な日本の見解として述べてもらいたい、こういうふうに申し上げておきたいし、同時に、その次には経済政策全体について、予算委員会の問題だけれども、その中で私たちはむしろやっぱりこういった問題も考えまして、今後の日本の失業者の状態等についての考えをいわば含めて、産業構造のあり方、国内における内需の拡大の問題、総合的に議論していくべき問題が絡んでおる、こういうふうに申し上げておきたいと思うんです。  そこで、今度は質問の第三に入りますが、金融自由化現状という問題と国債の窓口販売あるいは自主運用、これについては郵政省は基本的にどういうふうにお考えになっていますか。
  60. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 金融自由化が大口を中心にして急速ほ始まっておりますけれども、この金融自由化金融システムの効率化、あるいは預貯金者の利益の増進といいますか、社会的な公正を実現するためにやはり必要だというふうに考えております。  いずれにしましても、大口から漸進的に始まっておりまして、特に金利の自由化につきましては、来年の春には金利規制の緩和ないし撤廃が行われる、それに引き続きまして小口の金利自由化が行われるだろうというふうに考えておりますので、そうした自由化郵便貯金としても適切に対応していかなければならぬ。そうしますと、ただ資金の調達面だけの金利の自由化ですと到底立派な商品をつくり出すことができませんので、運用の面におきましても市場金利を反映したようなシステムをつくるべきだという考えでおります。そうした考えで、現在は郵便貯金の資金というものは資金運用部に全額預託になっておりますけれども、一分でも有利な運用ができるように制度の改善はぜひ必要であるという考え方を持っております。
  61. 大木正吾

    大木正吾君 自由化問題を今度話をしていきますと、さっき大臣もちょっと触れた感じがいたしましたけれども、いわば郵政事業をばらんばらんにいたしまして、そして郵便貯金自由化するんだったら民営にしたらいいんだ、こういう議論も飛び出してくる話もあるんですがね。私は、そういったこと、ジョークとあえて申し上げておきたいんですが、相当多額なものを歴年ずっと明治以来やってきている財投資金の活用もありますからそう簡単にはできないわけで、むしろこれはバランスの問題でしょうけれども、ただ、郵便貯金の目的の方に私も見てみたんですけれども、やっぱり国民の自由意思でもって、郵政省からいわば頼まれたとか、税金みたいに義務づけられてこれははやったものじゃないんですよね。厚生年金と全部一緒にしてやっているでしょう、財投の場合には。厚生年金はある意味では税金に準じてよく計算されますよね、国民の税負担と合わせましてね。郵貯の金額は絶対そういうことありませんでしょう。性格の違うものを財投でもって一元化してしまって、そして何か国債を余ったら引き受けて、引き受け手がなかったら引き受けてくれないかと言って五兆円ぐらい持ってきて預けておくとか、そんなことを許しておいたんじゃこれどうにもならぬでしょうね。  だから、やっぱり貯金局長が今おっしゃったとおりですよね。やっぱり預かる方については金利がどんどん下がって魅力がなくなっていく。しかし、一般の市中銀行その他は信託銀行等を中心といたしまして新しい商品をどんどんどんどん開拓していく。そういった中でもって、結果的にはいわば郵貯を減らし、自分たちの方では結果的に税金のかからない品物をどんどんどんどんつくっていく、新しい商品を開拓していくと。私はそこまでも言わぬけれども、せめて国債も問題をある程度郵政省あるいは郵便貯金が直接運用できるこういった問題については、これはやっぱりもうちょっと大臣にも強気になってもらわないと困るし、同時に僕ら助っ人になってもいいですから、宮澤さんとけんかしてでも少しやっぱりここら辺の問題については考える時期じゃないかと、こう思うので、大臣の御決意についてこの問題について伺っておきたいと思うんですがね。
  62. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) ただいま大木先生からありがたい御激励また厳しい御叱責をいただいたわけでございますが、その前に先ほど貯蓄と、何といいますか、対外収支の問題の関係とか、国際経済、国内経済、いろいろな要素の関連、非常に高い次元からいろいろ議論されて、時間がなく、て残念だったんですが、本当に御高見として、私もかつて経済企画庁で勉強さしていただいたこともあるものですから、大変興味を持って拝聴さしていただいたわけであります。  実は金融自由化でございますか、これは今中村局長申しましたように、我々はできるだけ窓口のお客様の高度化し多様化するニーズにこたえて、できるだけのサービスをさしていただく。そのために金利自由化金融自由化につきましては前向きに的確に対処してまいりたい。しかし、その反面入り口の方だけ自由化して出口の方を自由化しないということは、これは大変筋の通らない話でございまして、そういう意味で郵便貯金の資金運用の改善、これは私は実は最も力を注いでおるところでございまして、何とか改善をやらしていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしく今後とも御指導、御協力をお願いする次第でございます。
  63. 大木正吾

    大木正吾君 これは念を押すために今申し上げておくんですが、さっき及川委員も申し上げたんですが、何かマル優を守るために取引という話、裏話、これは新聞ですから余り信用しませんけれどもね、ただ貯金というものは国民のものだということの観点を常に忘れてもらっちゃ困るわけですね。ですから、そういった意味合いでもって預かるときの問題は、これが金利の低下した中でもって預かりはすると。しかし、それに対してやっぱり有利に展開して、同時に特に定額なんかの場合長期になりますと相当の額になりますからね、そういうところについて対応できなかったら、郵貯のこれは完全な破綻ですよね。  そういうことを考えていただきたいし、同時に、やっぱりこの種の問題について、どうもやっぱり都市銀行を中心とするグループかもしれませんが、その辺との兼ね合いでいつも何か郵政省少し控え目に物をとらえがちと、こういう感じがいたしますので、窓販問題については最近は、新聞等で拝見いたしますと、六月ですか、何か今どうなったかわかりませんが、結局農協なんかでも始めるという話も出ているわけでしょう。農協がやっているのに郵便局がやらぬという法はないですよ。  それから同時に、庶民の感覚として、これは大臣にも聞いてもらいたいんだけれども、私は定額 貯金を二百万くらい持っていると。こっちの手でもって国債を買ったといたしますね。三方に手があったら株式カットしますよね。電電株の場合にはある程度信用が置けるからいいかもしれない。一般の株の場合にはやっぱり元本保証がありません、これは危ないですね。そこのところですよ、一番大事なところは。だから、定額貯金の証書と国債を持ったときに同質に私は信用を持って、自分がいわば国債も定額貯金と同じなんだという同質レベルでもって認識をする、こういうことなんですよね。そこのところ極めて大事な問題ですからね。だから、そういった観点を持ちながら、ぜひ私は自主運用、同時に窓口販売問題については法制化等も含めて、バランスの問題もちろんございますけれども、ぜひこの問題について大臣時代にもうちょっと大きな窓を、あなたの親分が総理がいるんだから、そういったことも含めてひとつ何とか考えてもらいたいことをお願いしたいわけでございます。  最後でございますが、時間の関係もございますから、こういう統計については御存じと思いますが、これは共同通信の調査ですけれども、非課税が廃止をされたら四七、八%の方々がどこか別の有利なものに移す、こういう答えが出ていますね。これは大臣、知っていますか。
  64. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) かつて共同通信の世論調査でそういったアンケート結果が出ているのを承知しております。
  65. 大木正吾

    大木正吾君 これは大変なことなんです。ですから、金融自由化問題で民間の金融機関がどんどんどんどんみんな商品を開拓していくわけですね。そういった中で、がんじがらめの郵便貯金の場合には、結局この統計どおりいけば、もう言えば今の百兆を若干超えている貯金が半分ぐらい減ってしまう、こういう計算に算術計算的になるわけですけれどもね。そうしたら、一体財投にほうり込んである金がどんどんあちこち使われていますけれども、あるいは日本の民活と言ったって、やっぱり政府が若干助成をするか、財投資金でもって幾ら援助をするか何かしなければとてもできませんからね。社会資本全体が立ちおくれている。  大臣も経験あるでしょう。ヨーロッパへ行ったときには、スイスなんかへ行ったときには、何かこう物すごい空気が場違いにおいしいですよね。そして、朝洗面所に行きましてたんを吐いたときなんか全然もう変わってないでしょう。東京なんかどうなっていますか。これはまあ東京都の関係で、その他公害関係ですから別に触れませんが、そういった環境の違いを考えますと、やっぱり上下水道、公園、そういった問題についてはもうちょっと私たちは財投資金等を中心としながらやる必要ありますから、その根源の一番大きな母体はやっぱり郵便貯金ですから、そういったことを含めて考えていただきたい。  同時に、私が最後に繰り返して申し上げますけれども、先ほど話もございました、要するにマル優廃止問題が今この委員会で議論されておりますけれども、政治的には頂点にだんだん乗ってきていますね。  山中貞則さんのところへ私自身も実はお邪魔してお願いに行こうかと思っている段階なんですけれども、この辺の問題について、ぜひこれはやっぱり私はこの委員会としては相当に意見を、若干の意見の違いがありましてもまとめまして、国民貯金を守る立場でもって問題のアプローチをしておきたい、こういうふうに考えて、こういうことを委員長にお願いしておきたいし、同時に大蔵省に伺いたいんですが、今出ています税体系は、ここに福田大先輩がいらっしゃるので議論しにくいんですけれども、私も知識ありませんから出しにくいんだけれども、要するに日本の税体系というものは、今度は仮に新しい形になったときにはどういう体系というふうに原則的に理解すればいいのか、私迷っているんですけれどもね。今まで一応シャウプがあってシャウプに対していろんな枝葉をつけてきたんだけれども、そういったものについて一体これはどういうふうに日本の税体系は称したらいいか。これは福田先生に聞いた方が早いかもしれませんけれども、大蔵省来ているから、どういう体系になってどういうポリシーなのか、ちょっと教えてくださいよ。
  66. 薄井信明

    説明員(薄井信明君) ただいま御質問の件につきましては、昨年九月から政府の税制調査会におきまして審議を始めている新しい税制の考え方を御質問いただいたのかと思います。  と申しますのは、シャウプのときに全般的な税制の見直しといいますか、が行われて以来、その時代その時代に合わせて改正、改革が行われてまいりましたが、経済社会が非常に近年大きく変わっておりまして、そういった中でどうも税制、あるいは税負担というのが重くのしかかっているというような御感触も国民の間にはございますので、これは税制と社会経済との間にギャップが出ているんではないかと、そんなことから税制のゆがみとかひずみという言葉を使っておりますが、それぞれの税制の問題点を洗い直していこうということで、去年九月から審議を始めております。その基本的な方向と申しますのは、非常に私どもの所得水準が上がってきております、それから私どもの所得の平準化という言葉もあるいは適切ではないかと思いますが、そういう差がだんだんなくなってきている中で新しい税制はどうあったらいいか、あるいは国民が何を求めているかということを考えますと、ある意味では幅広く薄く税負担を求めるという体系が求められているんではないかというような気がします。  ところで、長くなりますので簡単にいたしますが、所得税というのはその制度の仕組み上どうしてもふえていってしまう。間接税は、今の間接税ですとどうしても相対的に小さくなってしまう。そういうことで、シャウプの時代には直接税が五五%、間接税が四五%でしたが、現在直接税が七〇%を超えている。そういった中でどういう体系によって負担を求めたらいいのかということを考えていきますと、間接税につきましてもう少しその役割拡大していってもいいんではないかというようなところに考え方が来ているように思います。やや抽象的ですが、そんなトーンで政府の税制調査会で御議論が進んでいるということを御報告いたします。
  67. 大木正吾

    大木正吾君 黙ってそれをほうっておくわけにはいかない、一言言わせていただきます。  やっぱりシャウプはシャウプなりに筋を通してあれを答申したわけでしょう。それと法人擬制説問題も残しましたけれどもね。とにかく税制の中の一番根幹にあるのは、やっぱり一つは所得再配分機能というのがございますね。そういったことと同時に、アメリカ、今度やったみごとな——レーガンの軍事費の突出は余り気に食いませんけれども、税制問題についてはすぱっと法人関係に対する特別措置をほとんど取っ払っちゃったんですね。それを全部所得税減税財源に充てたと。アメリカの企業の方々は何と言ったか。所得税減税すれば自分の社の製品が売れるから、私たちは若干不満を残しながらも結構と、こう言っているんですよ。私は、やっぱりアメリカの方が税制のあり方についてはすっきりしていると思うんです。日本はこんな迷路に入っていきますと、何だかアメリカのことは何でも結構結構とやってきたんだけど、税金だけはフランス型か何かの方に入っていきますと、税体系というものについてやっぱり一定のポリシーがなかったらいかぬのですよ。だから、私は、今のように直間がちょっと狂ってきた、こうしましょう、ああしましょうという議論じゃ納得できませんので、これはこの委員会のものじゃありませんから別にいたしますけれども、大蔵委員会でやらしてもらいますけれども、いずれにいたしましても税の公平の見地、それと所得再配分の機能、そういったことについてもうちょっと筋の通ったことでもってやってもらいませんと、赤字財政、百五十兆超える赤字公債を背負った国民の立場から見たら大変なことなんです、この話は。そういったことをぜひ大蔵省は考えていただきまして、今度の、言えば自民党の山中さん、最終的にまとめるんでしょうけれども、いず れにしましてもポリシーということをはっきりしたものにしておかないと先行き大混乱が起きますので、一言私意見を申し上げまして終わります。
  68. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分より再開することとし、休憩をいたします。    午後零時二十八分休憩      ────・─────    午後一時二十三分開会
  69. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  70. 永田良雄

    永田良雄君 自由民主党の永田良雄でございます。きょうは郵政大臣政府委員の方々に郵政関係の行政について質問をさせていただきます。  私は、数カ月前まではお答えする立場におったわけでありまして、所を変えまして質問をすることになったわけでございますが、大変ふなれでございますのでいろいろ御迷惑をかけると思いますが、よろしくお願いいたします。かてて加えて、郵政省関係の仕事というのは私は全くの素人でございます。質問をするに当たりましていろいろ郵政省職員の皆さんから教えていただいたわけでございますが、なまはんかなところもありますし、ひとつ親切に教えてやるという気持ちで御答弁を賜りたいと思うわけでございます。  私なりに考えますが、今やはり郵政省の当面しておられる一番の問題は、何といってもけさほどから議論のございました少額貯蓄非課税制度の存廃にかかわる問題であろうと思うわけでございます。したがいまして、私もこの問題とそれから電気通信政策に関する若干の質問を申し上げたいと思うわけでございます。  午前中から議論がございましたが、政府税調で最近とみにやかましくなってまいりまして、少額貯蓄制度を廃止すると、こういう報道がなされております。だんだん山場へかかってきたということを聞いております。  これから世の中がだんだん老齢化してまいります。老人が多くなって働く能力のある方が少なくなるわけでございます。ということは老齢の、年をとってからの期間が非常に長いということでもあろうかと思います。普通はその間全部国家とかそういったところに、共同体におんぶしてやるというのも一つのやり方ではありましょうが、我が国の国民性からいってそれだけでは相済まない、やはり自分のことは自分でやる、こういう自助の精神があることは私は大変大事なことだと思うわけでございます。そのあらわれがいわゆる貯蓄率の高さということになってあらわれているわけであろうかと思うわけでございます。  それからさらにもう一つは、先ほど言いました老齢化しますと働く人間の数が少なくなるわけでございますから、それまでの間にいろんな社会資本等を整備しなきゃいかぬだろうという要請も一つあろうかと思うわけでございます。私も建設省に長くおりましたものですから、そういう社会資本の整備についてかねがね必要性を大変感じておるわけでございますが、その社会資本の整備の財源としても、いわゆる郵貯の資金は大変大切なものだと思っておるわけでございます。  したがいまして、そういう面からしてもやはり少額貯蓄制度、特に郵貯の問題は今ある非課税制度を廃止するというのは何かちょっと間違っちゃおらぬか、こういうふうに思うわけでございますが、そこら辺、先ほどからの議論で貯蓄率が減ってきたという話も聞きますし、果たしてこれでいいのかどうか。それからまた、貯蓄率の高いのが貿易収支の黒字を大きくしているという話もあったようでございます。それやあれや考えますと、私も多少迷うわけでございますが、先ほど申しましたように私はやはり貯蓄というのは投資の元でございますから、これから大変大事だし、貯蓄を大事に考えていかなくちゃいかぬと思うわけでございますが、そこら辺、郵政省当局はどのように考えておられるのか、お考えを伺いたいわけであります。
  71. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 先生御指摘のとおり貯蓄の重要性というのは従来も大変大切でございましたけれども、今後におきましても重要性がますます増してくるんじゃないかというふうに私ども考えております。やはり我が国の高い貯蓄率があったればこそ戦後の復興あるいはその後の高度成長を可能にしたことでもございますし、その間民間の資金需要を十分満たしつつ国づくり町づくりが立派にできたというふうに考えております。また、今後我が国の現状におきます社会資本の充実の度合い等、諸外国の例から見ましてもまだまだ整備すべき分野が残っておりますし、一方先生御指摘のとおり個人の立場に立ちましても急速に高齢化が進んでまいって、長い老後をいかに安心して暮らすかというためには、どうしても公的な援助ばかりに頼るというには限界があろうかと思います。やはり自助努力によって長い老後の生活に備えるということも大切なわけでございまして、そういう意味で、ミクロの面でもあるいはマクロの面から考えましても、貯金貯蓄の重要性というものがますます増大してくるというふうに私ども考えているところでございます。  それから、高い貯蓄率が貿易の経常収支の大幅な黒字を招いているんじゃないかといったような議論も一部にございますが、午前中経企庁の方からのお話もありましたように、貯蓄率と貿易収支の関係は、構学的にはそういった方式が成り立つわけですが、現状を見ますと、貯蓄率の高さと貿易収支には何ら有意性がないということでございます。最近の貿易収支の黒字の増大と、そうして家計貯蓄率は確実に下がってまいっておるわけでございまして、その辺の因果関係はないというのが一般の見方になっておるわけであります。  そういう意味で、私ども、今後におきましても、貯蓄の重要性にはいささかも変わることがないというふうに考えている次第でございます。
  72. 永田良雄

    永田良雄君 お話を伺いまして、私の考え方と同じなんで安心いたしました。  ところで、少額貯蓄非課税制度というのは、日本だけの制度かと思っておりましたら、欧米諸国にも厳然としてやはりあるというふうに聞いておるわけでございますが、欧米諸国の非課税制度というものはどういうものがあるのか、そしてどういう経緯でできているのかということについて教えていただきたいわけでございます。
  73. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 欧米諸国の税制の中に、日本と同じように利子に対しまして非課税にする国と、それから貯蓄をしましたものを所得から控除する方式等ございまして、前者の利子を非課税にしているというのは、フランスであるとかイギリスなんかがそういった利子非課税制度をとっております。アメリカは、どちらかといいますと、個人退職年金口座といいますか、IRAというものがあるんですが、これはその口座に貯蓄した額を所得から控除するという形で、実質上貯蓄を優遇しているというような制度になっております。  いずれもこれは、貯蓄の重要性に着目してそうした優遇措置がなされているというふうに考えております。
  74. 永田良雄

    永田良雄君 少額貯蓄非課税制度というのは、私も大変重要なことでありますし堅持しなきゃいかぬというふうに思っておるわけでございますが、けさほどからも議論がございましたように、その妨げている一つの原因としてマル優制度不正の問題があるわけでございますが、郵便貯金について、郵政省はその限度額管理というのを一体どのように行っておられるのか、不正というのはないのかどうか、そこら辺をはっきりお答えいただきたいわけでございます。
  75. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 先生御案内のように、郵便貯金は三百万円まで預入できることになっておりまして、それが全部非課税になっております。少額貯蓄非課税制度が創設された大正九年以降一貫して非課税が大原則になっているわけであ りますが、その限度額管理につきましては、まずその貯金者が正当本人であるかどうかと、架空の名義によって貯金がなされているかどうかというための本人確認というものが一つ必要だということと、それから、その正当な本人が郵便貯金の限度額であります三百万円の限度額を超えているかどうかと、それを次に調べなければならないわけでありまして、それを名寄せと言っておりますが、同一人物につきまして、その方の貯金の現在高を調べるという、この二つの要素がございます。  従来、本人確認は、職員が面識があるとかあるいは身分証明書等の提示を受けて本人確認をしっかりやりなさいという指導をしておりましたけれども、それだけでは十分でないというようなことから、本人確認につきましては本年の一月一日以降、公的書類を提示して本人確認をすることになっております。公的書類というのは、健康保険証であるとかあるいは運転免許証であるとか、国とか地方公共団体が発行しているものでございますが、そういったものを提示することによって架空名義による預入というものは根絶されることになっております。  一方、限度額の管理につきましては、名寄せと言っておりますけれども、同一人につきまして幾らの貯金があるかということにつきまして、現在のところ、郵便貯金としましては、本人の氏名とそれから住所によりまして、それでその人の、所轄しております九つの計算センターがあるわけでありますが、コンピューターに打ち込みまして名寄せを実施しているという現状でございます。その結果は、例えば六十年度を見ますと、残念ながら九万件ぐらい、額にして千二百十二億ぐらいの限度額オーバーがございまして、それを減額していただいておるという状況になっております。
  76. 永田良雄

    永田良雄君 先ほどの午前中の議論で、私もちょっと聞き落とした面もあるのかもしれませんが、郵便貯金は百兆円ぐらいあると、それで口座数があるいは定期預金証書の数が三億何千万とかといって、その数が問題になっておるんですが、非常に数が多いということが不正の原因ととられるように思われがちだと思うわけでございますが、一体郵便貯金の口座の数というのはどのぐらいあるものなのか、それから定額貯金証書の数ほどのぐらいあるものなのか、さらにそれらの数は、言われる不正を推測されるようなふうにとられがちなんでございますが、そこの関係はどのように考えたらいいのか教えていただきたいわけでございます。
  77. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 貯金の口座数といいますのは、一人の方が郵便貯金をされると、この場合に通常貯金で通帳をもらいますね。その通常貯金の口座を口座数と言っているわけでございまして、これは本年の三月末現在で六千六百四十二万口座ございます。それから、定額貯金貯金証書の枚数、これは例えばボーナス期ごとに三万とか五万とか十万とか定額貯金をなさるという方は一人で何枚でも持てるわけでありまして、最低預入単位が千円からでございますから、三百万円までは何枚も持てるということでございまして、定額貯金貯金証書枚数を見ますと、六十一年三月末現在で三億四千四百七十四万枚でございます。したがって、人口一億なのに証書の枚数が三億あるというのは物すごい不正じゃないかと言われますが、これは五億あっても六億あっても、私自身も三枚、五枚持っておりますが、それは十万円、五十万円預ければ限度額までは持てるという性格のものでございます。
  78. 永田良雄

    永田良雄君 ただいまのお話で、定額貯金証書の数とそれから不正利用というものとは必ずしも結びつかないんだということを聞いて安心したわけでございます。それからまた、限度額管理についても、ことしの一月から身分を証明する公的な書類を提出させて貯金通帳をつくる、こういうシステムが発足したから万々不正はないというふうに考えておるわけでございますが、五十九年の五役協定というので、限度額管理をさらに一層厳密にしていくという事項が入っておりまして、これは郵便貯金ばかりじゃなくて、市中銀行、信用金庫等のことも含むわけでございますが、それらについての協議をやられておると思うわけでございますが、大蔵省との協議の状況についてお知らせいただきたいと思うわけでございます。
  79. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 五十九年の十二月に五役協定が出まして、少額非課税制度につきましては、限度額管理の厳正化を前提にしてこれを存続するという形になったわけでございまして、その結果六十一年の一月一日以降まず本人確認の厳正化をやるということで、公的証明書類によって証明をするということになったわけでありますが、もう一つの要件であります限度額の管理につきましては大蔵、郵政の協議によりまして昨年来何回も協議をやりまして、おおむね、この氏名とそれから住所だけでは、例えば住所が変わったときにその移転届を正確に出していただいてないと、同姓同名でも住所が違うと異人として扱われる、同一人でないという形になるものですから、完全なチェックは保証できないということで、住所、氏名に加えまして、公的書類には必ず生年月日が入っておるものですから、この生年月日をその名寄せのための要件に加えまして、住所、氏名と生年月日、この三つを要素にして限度額管理をやろうということで、おおむね話し合いがそういう方向で進んでおります。大蔵の方でもそのための準備をされているということでありますが、郵便貯金につきましても現在プログラムを開発中でございますし、従来九つありました計算センターを東京の計算センター一カ所に集中しまして、来年の春から住所、氏名、それから生年月日を入れました名寄せキーを使いまして、限度額管理をやろうということで準備をいたしております。
  80. 永田良雄

    永田良雄君 いずれにしましても、少額貯蓄制度の非課税を存続させるためには、いわゆる厳正な限度額管理があって不正はないと、こういうふうに国民一般の人に信頼させることが絶対の必要条件だと思うわけでございます。ただいま、ことしの三月からの制度、さらに来年の三月から生年月日も加えたコンピューターによる限度額管理をやられるということでございますので、ぜひともそういうのを徹底していただいて、少なくとも郵便貯金については不正が今後一切ないという覚悟でやっていただきたいと思うわけでございます。それこそがやはり非課税制度を残す絶対の条件だろうと思うわけでございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思うわけでございます。  なお、この十六日だったですか、郵政審議会でこの問題についての答申があったやに聞いておるわけでございます。その答申も残せという趣旨であったというふうに聞いておるんですが、それの概略の内容をお伺いしたいわけでございます。
  81. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 十月の十六日に郵政審議会から答申をいただきまして、その答申の骨子は、やはり今後とも貯蓄の重要性というものを踏まえまして、少額貯蓄非課税制度の意義は寸分も変わることがないということで、とりわけ郵便貯金の利子非課税制度につきましては制度の根幹にかかわる問題でもございますので、これを断固堅持していく必要があるという御答申をいただいたところでございます。
  82. 永田良雄

    永田良雄君 私もこの間選挙で出てまいりまして、一週間に一遍くらいずつ田舎へ帰るわけでございますが、そのたびに、郵便局長さんはもちろんでございますが、市町村長さんとか市町村会議員さんからもかなりきつく言われております。ぜひ少額貯蓄非課税制度を守ってほしい、特に郵便局は全国に一万九千カ所ぐらいあって、どんな過疎の村々へ行っても昔からなじみの深い庶民に親しまれてきた制度であるので、ぜひともそういう制度を残すようにしてほしい、こう言われておるわけでございます。ただ、税制の問題が大変やかましくなってまいりまして、ここ山場にかかってきたというふうは聞いております。この問題は単に事務的な話ではなくて極めて大きな政治問題になってくるのは必定だと思うわけでございますが、唐沢郵政大臣、新進気鋭の郵政大臣、ひとつ大いに私どもは期待するところが大きいわけでご ざいますので、この非課税制度の存続に向けて大いに頑張っていただきたいと思うわけでございますが、決意のほどをよろしくお願いいたします。
  83. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) ただいま永田先生から非常に郵便貯金に理解ある御質問をいろいろいただいてありがたく思っております。  先生も今貯蓄の重要性を強調されましたが、やはり日本は社会資本が不足している。建設省におられましたから、道路の舗装率ですとか、特に下水道の普及率、また一人当たりの公園面積の少なさ、痛感しておられると思いますが、また同時に、言われましたように、これから長寿社会を迎えて、長寿社会は三助七秘訣といって、三助のうちの公助と互助のほかに自助努力が大事である。そういう意味から貯蓄の重要性は今後ますます増大していくわけで、やはり世論調査でも七割の国民がこの制度の存続を希望しておられるという理由もそこにあるし、先生方が選挙区へ帰られるたびにいろいろ御陳情や要望があるのもそのためだろうと思っております。  今お話しのように、十月十六日に郵政審議会から、「郵便貯金の利子非課税制度については断固これを堅持していく必要がある。」、このような御答申をいただきましたので、不敏ではありますが、郵政大臣といたしましてこの答申を踏まえ、郵便貯金の利子非課税制度を今後とも存続させるように一生懸命努力をしてまいりたいと考えております。と同時に、この郵便貯金の不正利用とか、そういう問題について国民の皆様に疑いを持たれるようなことがあっては大変でございますから、我我が主張を主張として述べる背後には、あくまでも名寄せ等本人確認を徹底いたしましてこの問題を厳正に徹底してまいりたい、このように考えております。
  84. 永田良雄

    永田良雄君 今大臣の力強い決意をお聞かせいただきまして安心したわけでございますが、まだ闘いはこれからだと思いますので、私どもも一生懸命頑張らなきゃいかぬと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  最後に、それにしても、郵便貯金非課税制度なりあるいは限度額管理なりについて国民によくよく理解していただくことが非常に大事だと思うわけでございますが、今も一生懸命郵政省はやっておられますが、どうも大蔵省の方が一歩先へPRが進んでいるような気がしてしようがないわけでございまして、PRも大変大事でございますので、その点また一段と御精進賜りまして国民に理解を求めていっていただくことをお願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  85. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 きょうはNTTの問題を最初に私お聞きしたいと思っておりますけれども、この質問の前に、ひとつはっきりしておいてもらいたい点がございますので最初にお伺いしますけれども、きょう参考人で来られた三人の方々の会社の役職名と、それからお名前と国会答弁今までおやりはなったかどうか、お教えください。
  86. 草加英資

    参考人(草加英資君) 日本電信電話株式会社常務取締役経営企画本部長草加英資でございます。  過去、電電公社時代営業局長といたしまして国会で答弁させていただきましたことがございます。
  87. 西脇達也

    参考人西脇達也君) 同じく日本電信電話株式会社電話企画本部営業推進部長の西脇達也でございます。  先国会から答弁をさせていただいております。
  88. 和田紀夫

    参考人和田紀夫君) 同じく日本電信電話株式会社労働部次長の和田でございます。  国会答弁はきょうが初めてでございます。よろしくお願いします。
  89. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 私は十年この方、国会議員やっておりますけれども、先ほど午前中に質問なさった及川先生、またきょうは特に初めての方も、永田先生も初めてなようですけれども、私もこの委員会で質問するのは初めてです。したがって、郵政関係については知識も薄いし、また暗いところもたくさんありますので愚問が出るかもしれない、こういうことできょうは原稿を書いて丁寧に質問するから丁寧にまた答弁をしてもらいたい、こういうつもりでおりました。ところが、きょうのきのうになって、午後五時過ぎですけれども、秘書を通して電電株式会社のあなたたちの部下の方がおいでになって、ここは話はしないでくれとか、ここは何とか勘弁してくれとか、それからこういうところは誤解を招くから質問に出さないでくれ、こういうことを言ってきた。  例えばNTTは巨大な会社です。これは日本国じゅうだれだってみんな認めている。従業員三十万人もいる、そして資産が十兆円もある、年間売り上げ五兆六百億もある日本一のマンモス企業です。このマンモス企業に対して私が心配するのは、後で質問出ますけれども、こういういわゆる資金力、力のあるNTT新規参入のいわゆる第二電電とかそういうところに公正競争をやるのに阻害要因とならないのか、こういう質問をしようと思っているんですけれども、それを巨大企業と言わないでくれと。そうかと思うと、NTTの株については、これはNTT関係ないとは言わなかったようですけれども、これは大蔵省が全部答えてもらうように、そういうふうにしてもらいたい。こういう制約をするのはどういうわけですか。  また、ことしの二月ですか、佐藤前郵政大臣が記者会見をやって、いわゆるNTTは独占体制の料金体制から民営化になったんで料金体制も変えなければならないという真藤社長の話があったようなんですけれども、そのときに、そういうことは簡単に決めるべきではない、こういう佐藤郵政大臣の反対表明というんですか、ありました。そういうことについて私も新しい唐沢郵政大臣ですから確認しようと思っていたら、そんなことはわかっているんだから確認しなくてもいいでしょう、そういう意味のことを言っている。この委員会をばかにしているのか、それとも国会を軽視しているのか、それとも私をほかにしているのか、なめているのか。それもきょうのきのうになって、午後五時過ぎにそれを言ってきた、そういうことがあっていいのかどうなのか。草加さんが代表らしいけれども、こういうことはあなたが指示したんですか。
  90. 草加英資

    参考人(草加英資君) 今先生がお話しになりましたようなことがあったことはまことに事実でございます。私どもも先生方にいろいろと実情を御説明する機会を持ちたいと常日ごろ思っているわけでございますが、つい疎遠になって申しわけなく思っております。  昨日、質問があるということでその状況並びに内容につきましてお話し申し上げたわけでございますが、その際、今先生がおっしゃったようなつもりではないんですが、ついそのように響くような言葉を使ってしまったということを帰って報告を受けまして、まことに申しわけなく思っております。先生のところに伺うように申しましたのは私でございますが、そういう意味でまことに申しわけなく深く重々おわび申し上げます。
  91. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 深くおわびするのもいいけれども、こういうことがあっていいのかどうなのか。国会というところは審議し、質問し、討論し、そして国民のいわゆる豊かな生活、それをつくる、いわゆる最高立法府でしょう。それを、それを言っちゃいけない、これは困る、審議なんかできないじゃないですか。これからのいわゆる逓信委員会の審議の問題にそういうことがあったら、これは重大な問題ですよ。  きのう来たのは二人、名前言うとあれだから言わないけれども、そういうことを言って、そして我々の発言、まあ大げさになるけれども、これは言論の封殺だよ。こういうことがあっていいのかどうなのか。あなたが行けと言ったけれども、説明不足のような話を今しているけれども、説明不足じゃないよ、私が通告したのはもう一週間も前なんだから。それをきょうのきのうになって、ましてや五時過ぎになってそんなことを言ってくる。それじゃあなたたちの怠慢じゃないか。こういうことは、私は非常に憤慨しています。こうい うことがあったのではこれからの審議はできないよ。どうだったのか、またどうするのか、もう一回答えてください。
  92. 草加英資

    参考人(草加英資君) ただいま申し上げましたように、決してそのような意図で申し上げたわけではございませんが、そのように先生にとられるような発言をしたことをまことに申しわけなく思っております。  私どもといたしましては前々から、電電公社時代、国会にいろいろと御説明ないし答弁に参っておったわけでございまして、そういうことを知らないわけではございませんが、ふなれな者が不十分な発言をしましたことをまことに恐縮に思っております。帰りまして、社長にも十分に話しまして今後の対策を講じたいと思いますので、ひとつお許しいただきたいと思います。
  93. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 しつこくなるけれども、大臣、今お話お聞きになったように、こういうわけなんです。こういう点については、大臣もお若く代議士になられて国会の委員会のあり方、運営の仕方、こういうことについてはよくご存じだと思いますけれども、こういうことがあっていいのか悪いのか、はっきり言ってください。
  94. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 今先生の御質問を伺い、また答弁を聞きまして、非常に驚いて非常に遺憾に思っておるわけでございます。もちろん国民の代表であられる議員、委員の皆さんがあらゆる問題について自由な立場でぜひ御討議されるのが国会であろうとこのように考えております。
  95. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 それでは質問に入ります。  一番最初に言いましたように、最近の話題といえばNTTの問題が非常に大きな話題になっております。脚光を浴びているというか、注目されているというか、昨年の四月に民営化されたわけでございますけれども、今、今国会では国鉄の民営化、まあ分割ということで、この民営化の問題についてもNTTの民営化とそれから国鉄の民営分割というのは中身は違いますけれども、そういったことを含めて昨年民営化になったこのNTT、非常に国民の注視の的でもございますし、またこれからどうあるべきか、またこの一年半どうだったのか、この一年半の今日までの経過、そして経営状態はどうだったのか、何もかも初めてで右往左往というか大変な面もあるということは、私は承知はしております。しかし、時代の流れで民営化がいいだろう、豊かな国民生活のためにこれがいいだろう、国民サービスのためにはこれがいいだろうと、こういうことで私は民営化になったとこういうように承知しておりますけれども、この一年半の経過についてお聞かせ願いたいと思います。また加えて、一年半やって、国鉄の民営化ということも今議題になっているときでございますから、これからどんな点を見直ししていったらいいのかという点も含めてお願いしたいと思います。
  96. 草加英資

    参考人(草加英資君) 先生御指摘のように、私ども民間会社になりまして約一年半たちました。昨年の四月に電気通信事業法の成立に伴って自由化されたわけでございます。その際、同じく日本電信電話株式会社法の成立によりまして株式会社として新たに発足いたしまして、高度化、多様化する電気通信のニーズに即したサービスの提供を行うため、従来以上の営業努力を重ねるとともに、競争環境に適応した企業体質づくりを目指し、全社一丸となってこの一年半、諸施策を推進してまいりました。  具体的に申し上げますと、例えばカエルコールなどの積極的な通話の利用促進、端末機器の積極販売、新規事業の展開など、一層お客様のニーズにおこたえするとともに、経営基盤の充実強化を図ってまいった次第でございます。  経営体制につきましては、お客様サービスの充実、経営の効率化のため、サービス別、地域事業部制を全面的に導入いたしまして、また研究所につきましても機能別に再編成するなど事業組織の大幅な改革を図ってまいりました。  以上のような販売努力、企業体質の改善及び業務運営の効率化に邁進した結果、民営化後初年度昭和六十年度決算におきましては、営業収益五兆九百十四億円、経常利益三千百六十一億円を計上いたしまして、おおむね良好な成果を上げることができたと思っております。これもひとえに国民の皆様の御理解と御支援のたまものと深く感謝しておる次第でございます。  また、本年度昭和六十一年度でございますが、新規参入事業者との競争が現実のものとなってまいりました。その中で、昨年度以上に全社一丸となった経営努力を重ねることによってお客様のサービスの向上と一層の経営の合理化、積極的な事業運営の展開による財務基盤の強化に努めているところでございまして、これにより弊社に寄せられた国民の皆様の御負託におこたえしてまいる所存でございます。  次に、先生御指摘の現時点における問題点について御説明させていただきたいと思います。  先ほども申し上げましたように、この八月から十一月にかけまして新規参入事業者による専用線サービスが既に開始されつつあります。また、引き続き来年秋にはいわゆる交換を伴う電話サービス開始される予定でございまして、電気通信事業分野における競争もいよいよ本格化してまいると思います。  また、我が社といたしましては、民営化以来全社を挙げた経営努力を重ねてまいりましたが、このような状況を踏まえ、今後ともなお一層のお客様サービスの向上と一層の経営の改善に努める必要があると考えております。  具体的に申し上げますと、例えば全部門にわたる効率化を徹底させ、一層のコストダウンを図るとともに、事業部制組織による運営を一層定着させるとともに、必要なリファインを図っていきたい。また、収入の大宗を占める大口ユーザーの方方のニーズに十分こたえる体制ができておりませんので、これを整備したい。また、一層デマンドに即応した商品開発を行ってお客様のニーズにこたえていく。こういうような諸課題に向けて今後努力していく覚悟でございます。よろしくお願いいたします。
  97. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 大体いいことの方が多いようだけれども、先ほどから言っているように、NTTは特殊法人として、また国民生活に多大な影響を持つ大企業体であります。公共性はもちろんですけれども、国民福祉という点については、これは大いに寄与をしなければならないと、こういうふうに思っております。したがって、NTTのやることについてはあらゆる面において気を使い、また、国民から民営化されて本当に誤解のないような、こういういわゆる姿勢でやっていただきたいと思います。  ところが、私の聞いている範囲では、民営化になれば、これは営利を主体とするわけですからそれはそうですけれども、ただもうければいい、ノルマを社員に言い渡して、そしてノルマを何とかやれ、こういうふうにハッパをかける、あれがNTTかと、今までのいわゆる公共性、国民福祉ということからまるっきり外れているようなそういうのを私はたくさん耳にするわけでございます。  そこでお尋ねしたいのは、現実に今、新規参入者の専用サービス、この秋からもございますし、また、電話サービスも来年の秋から、こういうことになっております。第二種電気通信事業者の立場からすると、先ほど問題にしましたNTTに関しては、三十万人の従業員がいる、そして資産は十兆円余りもある、年間売り上げが五兆六百億、まさしくこれは日本一の大企業だ。この巨大な企業の力、資本力、これが市場における公正競争、この実現化の阻害要因とならないかどうなのか、これは私は一つ心配なんです。  例えば、ことしの秋までにNTTのつくられたいわゆる子会社、一〇〇%の出資の会社もあるし、五〇%もある、二〇%もあるかもしれないけれども、数にすれば三十七社と私は聞いております。こういう会社がいわゆる第二種事業市場を圧迫しかねない、こういうふうに思いますけれども、この点についてはどういう態度で、どういう考え方でおられるのか。
  98. 草加英資

    参考人(草加英資君) 先生の御指摘のように、NTTは、いろいろな指標をとってみましても、日本で有数の巨大な会社であることは確かでございます。もちろん、いろいろな数字が大きいから巨大であって、巨大だから強いということには必ずしもならない面もございますが、また御指摘のような弊害も十分に考えて運営していかなければいけない、このように自戒しながら事業を進めておるところでございます。  今御指摘のように、競争が入ってまいりまして私どもが考えておりますのは、競争と協調をいかにして調和させながら運営していくかということでございまして、NTTが巨大なるがために世の中のサービスというものに悪影響を及ぼすということは絶対に許されない、このように考えているところでございます。  具体的に先生今御指摘のように、子会社を民営化後つくっておるわけでございますが、これらにつきましては、私どもといたしましては、NTTの今まで蓄積した人的、物的、技術的経営資源を利活用して、これを国民サービスに提供したいということで展開しているわけでございますが、これら新規事業を進めるに当たっても、地域社会、既存業界との関係にも十分配慮しながら進めており、また進めていきたい、このように考えているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
  99. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 公正競争をするということで民営化になった、また、国民サービスを十分にしなければいけない、こういうことで民営化になった、こういうNTTでございますけれども、これを監督する監督官庁、今NTTの方から答弁がございましたけれども、こういう点について郵政省としてはどういうふうに行政指導していくのか。
  100. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 先ほど来、NTT草加常務から御答弁がございましたように、電電公社法を民営化いたしました趣旨は、公正かつ適切な競争を通じて、増大かつ多様化する国民電気通信事業に的確に対応する、あわせてできるだけ多様なサービスをできるだけ低廉な価格であまねく供給するというのが趣旨でございます。そのような法の改正の趣旨からいたしますと、今日まで一年有半たちましたNTTにおかれましては、高度の経営の自主性を付与された中で、かつ労使の協調の中で、先ほど来数字が挙げられましたような成果を順調に上げてきておられるということだろうと思います。  しかしながら、他方でNTTは、公社時代から引き継ぎました長い年月にわたる豊富な設備、優秀な技術力、技術開発力、あるいは優秀な人材等を抱えておりますので、そういう意味で他の業種、業界に比べて、大きな圧倒的な地位を占めているのも現実の状態でございます。  したがって郵政省といたしましては、このようなNTTが、あるいはまた自主性を付与されたNTTが、こうしたNTT法の趣旨、目的に沿って、例えば先生が御指摘になりました第二種電気通信事業を圧迫することのないように、経営の責任においてこれにつきましては十全に、適切に対処をしていただく必要があるというふうに考えております。
  101. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 関連してNTTさんに聞きたいんだけれども、「電気通信事業分野における当面の競争政策上の問題について」、こういうことで提言がありますけれども、NTTの民営化に伴って、その分野の自由、公正な競争政策のあり方についてでございますけれども、その内容、何点かございますが、当面、新規参入が円滑に行われることが最も大切、こういう項目もございます。それからアクセスチャージ等、回線の接続にかかわる問題。さらに端末機器の販売にかかわる問題。それから、今申しましたように、NTTの関連事業分野への進出にかかわる問題。この提言に対してNTTはこれをどういうふうに受けとめているのか、この点、いかがですか。
  102. 草加英資

    参考人(草加英資君) 今先生の御指摘になりました幾つかの点につきましては、私どもも十分に心して対処しなければならないというふうに考えておるところでございます。  例えば端末機器の問題にいたしましても、私どもの販売が既存の業界との調和を保ちつつ公正競争でやるということでやっておるつもりでございますが、末端におきまして若干トラブルがあるというようなことがございまして、御指摘を受けた場合早速これを直すとか、今先生の御指摘の項目すべてにつきまして真摯な態度で取り組んでおるところでございます。  今後とも、このような方向で経営を進めてまいりたい、このように思っているところでございます。
  103. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 あなたは真摯な態度と言うけれども、どうも真摯な態度じゃないような話を私はたくさん聞くんです。  最初に、NTT職員数を教えてもらいたいと思います。五十六年から六十一年まで、年度末、その年度の現員数。また、少なくなった——いわゆる少なくなったということは退職した人がそれだけいるということですから、その退職理由、これを言ってください。
  104. 和田紀夫

    参考人和田紀夫君) お答え申し上げます。  NTTの五十六年からの従業員の数でございますが、それぞれ年度末でございます。五十六年が三十二万六千七百、五十七年が三十二万三千三百、五十八年が三十一万七千五百、五十九年が三十一万三千六百、六十年が三十万四千。  退職は、ここ最近約一万名前後で推移しております。確かに昨年度、六十年度は若干ふえてございます。  これの事由でございますが、動機は個人的ないろいろな理由が複合しておると考えられますのではっきりとは申しかねるんでございますが、六十一年四月、この四月から共済年金法の改正が予定されておりました。そういうことも一つの理由で六十年度の退職が例年よりふえておるというふうに考えております。  以上でございます。
  105. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 六十年は三十万四千人と言ったね。そうですね。そうすると、五十六年のいわゆる減員数というのは私が聞いているのは五百、これは間違いありませんか。五十六年、五十七年、五十八年、五十九年、六十年と、これ減員数だけ言ってください。
  106. 和田紀夫

    参考人和田紀夫君) 減員数は、五十六年から五十七年にかけまして三千四百、五十七年から五十八年にかけまして五千八百、五十八年から五十九年にかけまして三千九百、五十九年から六十年にかけまして九千六百でございます。
  107. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 はい、わかりました。  五十九年から六十年にかけて九千六百となっているけれども、この退職理由は大ざっぱに言ってどういうふうになるかわかりませんか。
  108. 和田紀夫

    参考人和田紀夫君) 退職理由、個々に把握はいたしておりませんが、この年が非常に多く出ておりますのは、いろんなことが複合しているんだろうと思いますけれども、一つ考えられますのは先ほど申し上げました共済年金の改正が六十一年の四月に予定されておりまして、したがいまして六十年度の三月三十一日まで、これが六十年度の退職になるわけでございますが、そこに響いてきておるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  109. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 それははっきり出せませんかね、九千六百人の人がどういう理由でやめたか。
  110. 和田紀夫

    参考人和田紀夫君) ちょっとそれは把握しておりません。申しわけございません。
  111. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 何で把握できないの、それ。おたくの会社のことでしょう。幾ら大きな会社だといったって、それぐらいはっきり人事管理しなければ会社の営業の問題にもかかわってくるんじゃないですか。なぜこれできないんですか、九千六百人ぐらい。何でやめたのか、どういう理由なのか。また、ことしだって採用しているでしょう。その採用はどこの穴埋めに採用したか。おたくの会社でやったことでしょう。退職理由があいまいなのをそんなの調べられないなんて、そんな理由はないよ。どうなんですか。
  112. 草加英資

    参考人(草加英資君) 今、和田から申し上げましたように、退職に当たって複合した理由、例えば家事都合ではあるけれども、やはりまだ勤めたいけれどもこういう理由だからここでやめた方が得だということとか、それからちょうどやめどきたと思っていたときにこれがあったというようなこととか、いろいろ複合した理由がございましで、私どもといたしましてはそれらの複合した理由も含めましての分析は行っていないと、こういうことを申し上げたわけでございます。  ただ、やめるに当たって家事都合とかそれから他へ転職のためとか、そういうものを書いて退職届を出しておるわけでございますから、それは集計すれば出ると思いますが、先ほど申し上げましたように、いろいろ複雑といいますか絡み合った理由でやめていかれますので、必ずしも正確なものではないということをお答えした次第でございます。
  113. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 合理化したり省力化したり、おたくの会社でもやっぱり民営化になったのだからスリム化して利益を上げなきゃいけないと、こういうことも私もわかります。だけれども、きちっと掌握してないというのは私はおかしい。いろいろな理由があって複合なら複合でも結構です。それだったらそれ一緒に並べればいいんだから。出してくれますか、この九千六百人。
  114. 草加英資

    参考人(草加英資君) 本人が退職した際に申し出た理由についての内容につきましては把握いたしたいと思っております。
  115. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 出してくれますか。
  116. 草加英資

    参考人(草加英資君) はい、把握して届けさせていただきたいと思います。
  117. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 私はなぜ聞くかというと、ここに「NTT残酷物語」というのがあるんですよ、これお読みになったと思いますけれども。この本を私一応読ませてもらいましたけれども、これはもう全部このとおりではないと私は思っております。それは、本は売れりゃいいんですから、おもしろおかしく書いてあるところもあるかもしれないけれども、これはまるっきりうそじゃないと思うんです。  この中から見ると、民営化になって、それこそ先ほど言ったようにノルマを与えて、もうけりゃいいと、こういうふうにNTTが走っているような感じがしてならないんです。それだけ働かなきゃならないということになると仕事が多くなる。だから、今まで残業時間がなかったのが、残業時間が五十時間になり百時間になりということで、いわゆるもうこんなところでやっていられない、大変だ、そういう理由でやめていった人もいるんじゃないかなと、こういうふうに私は思うから今聞いたわけなんです。それをはっきりしてください。そうじゃないと、はっきりしないということはそういう理由でやめた人もいるけれども言えない、こういうことになるわけだから、はっきりしてもらいたいと思うんですよ。  この残酷物語で、いろいろ書いてあります、もうけ本位に走った一年間とか、それからモラルなどかなぐり捨ててもうけりゃいいとか、それからテレホンカードは二十一世紀の最大のヒット商品だと。これは確かに最大のヒット商品かもわからない。それを売るのに上野駅でのぼりを立てて、そうして茨城県の人が上野まで来てそれを売りさばいている。そうしたら東京地区の人が、ここはテリトリーが違うじゃないかということでそのテレホンカードを売ることに関してトラブルを起こしたとか。まあこの中にも書いてありますけれども、売ってくるぞと勇ましく、号令かけられて、そうして出発したと。ひどいのになると、とにかく稼げばいいんだと、こういうことで、豊田商事に見習えと檄を飛ばしたと、こういうことも載ってるんです。檄を飛ばしたということはあなた知っていますか。
  118. 草加英資

    参考人(草加英資君) 今先生の御指摘の本も私もさっと読みましたが、かなり誇張してあると思っております。  それで、先生の御指摘の点につきまして幾つかお答えいたしますと、まず職員にノルマを課すことは全然いたしておりません。これは民間会社でございますから、収入を上げ、支出を切り詰める、そして適正な利益を出すことは当然でございますので、局単位の目標とか、そういうものは設定してございますが、個人にノルマを課すということは一切いたしておりません。  それから、販売の努力につきましても、もちろん基本的な販売の方法とかその他につきましては、それぞれ上部機関からの指示もございますが、それを受けまして、それをどのようにやるかはそれぞれ職員が民営化になった自覚のもとに創意工夫を生かしてやっておるという事実でございまして、決してのぼりを立てたり、はっぴを着たりということを強制している事実はないと思っております。  それから、冒頭に先生がお話しになりました退職でございますが、NTTになってからつらくてやめるということではないかと御指摘でございますが、本人からの届け出の理由にはもちろんそんなことは書いてございませんのでわかりませんが、やめた人たちの年齢も大体いわゆる五十五歳から五十八歳というところに集中いたしておりまして、若年層がひっきりなしにやめる、このような事態は生じてございませんので、その点私どもは、もちろん家事都合で若い方がたまたまやめた人もおりますが、そのような傾向はないであろうというふうに思っておるところでございます。
  119. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 豊田商事に見習えという檄を飛ばしたのかどうなのか、これは関東支社であったことなんだから、あなた知っているか知っていないか聞いているんだよ。
  120. 草加英資

    参考人(草加英資君) 私は把握しておりません。
  121. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 それじゃ、この本はうそだということだね。
  122. 草加英資

    参考人(草加英資君) 今、私答えましたのは、私が把握してないということでございますので、事実かどうかについては確認できません。ただ、先ほどから申し上げておりますように、そのような檄を飛ばすような管理者なり指導者はいないのではないかと私どもは思っているわけでございます。
  123. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 どっちが本当かうそかわからないけれども、私も最初からこの本を見て、それで最初に言ってあるわけだから、これは全部が本当じゃないと、私はそういうふうに思っていると最初に言ってあるんだから。だけど、まだまだあるんですよ。「女子大生おしゃべりダイヤル」とか、これは昨年の十二月の参議院の決算委員会で内容がよくないということで問題になった、これは承知しているでしょう。  しかし、逆にNTTが民営化されて、それこそ水を得た魚のごとく本当によかったということで張り切ってやっている社員もいるということも聞いております。そして、現場の人間もある部署においては生き生きとして、そしてNTTの発展のために、国民福祉のために頑張っていると、こういう話も聞いております。  初めてのことであるから、民営化ということについてはこれはいろいろあろうかと思います。しかし、私はその基本にはNTTというのはまだ現段階においてはやはり公共性というんですか、国民福祉というのがこれが基盤になって、これが基礎になって、それを忘れたでは何にもならなくなってしまう、こういうふうに思うわけです。そういった意味で、自覚を持ってやってもらいたいと。もう一遍念を押しますけれども、この点について御感想をお願いしたいと思います。
  124. 草加英資

    参考人(草加英資君) ただいま先生御指摘の御意見、まことに私も同感でございます。NTTになった日本電信電話株式会社法で当然あまねく電話のサービスを続けるということが規定されておるわけでございますので、私どもといたしましては公共性ということについては片時も頭を離れることなく、これを遵守していくという姿勢を続けておるわけでございますし、今後ともそれを続けていくということはお誓い申し上げるわけでございます。  ただ、先ほどから御指摘のような事例なり世間からのひんしゅくということにつきましては、まあ数多い職員の中で、またふなれなためにそういうことが起こったことも間々あるかと思いますが、これらにつきましては、そういうことを発見次第、また御指摘あり次第、即刻ちゅうちょなく改めるということを続けてまいりましたし、今後とも公共性の観点に立ってそのようにしていきたい、このように思っておるところでございますので、よろしくお願いいたします。
  125. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 私の後は原田先生が今待っておりますので、最後の質問に——まだたくさん私あるんです、会計検査院にも聞きたいし、それから公衆電話の件についても聞きたいし、大臣から高度情報社会に対する新大臣の決意もお伺いしたいと思いましたけれども、時間が来ましたので、最後にNTTの株の問題、先ほど及川委員の方からお話ございましたけれども、何点かございますけれども、一点だけに絞って、株がことしは百九十五万株ですか、二十万株が機関投資家、大口ということで二十四日に売り出され、来月には一般の人のいわゆる投資家に売り出されると、こういうことでございますけれども、これは大蔵省にお聞きするのが筋だと思いますけれども、なぜNTTが一部にぽんと上場されるのか。普通の会社だったら——これはNTTというのは国民みんなが認めるところの大きな会社だし、資産もある、優良会社だ、こういうことになっているかもしれませんけれども、普通の会社、企業だった場合には会社設立して五年なり六年なりいわゆる配当水準を見たり、それから営業成績を見たりして二部上場するわけでしょう。二部上場してさらにまたその様子を見て、それから一部上場するわけでしょう。それがNTTに関してはぽんと一部に上場してある。この理由は何なんですか。  しかも、もう一つ聞きたいのは、百九十五万株ことし売ります。これから四年続けて売るわけですね。そういうふうに細切れに百九十五万株を売らなきゃならない。私は大蔵省は今回のフィーバーによって、今そんなに高く売れるんなら、それこそ償還財源にこれは大いに寄与するわけですから、大蔵省は表では笑わないけれども裏に行ってにこにこにこにこしているんじゃないかと思うんですよ。それだったらフィーバーを抑えるような何か方法があるべきじゃないか。  大体証券会社というのはこれは監督官庁は大蔵でしょう。この間通達を出したようだけれども、あんな通達は私から言わせれば大蔵省のいわゆる言い逃れの通達だと思うんです。今五十万だとか七十万だとか、先ほどの話によると二百万もすると、こういう話も出てきているわけです。そういうことで私が聞きたいのは、それは株ですから下がる場合もある、もしこれが公正競争が始まって新規参入がどんどん入ってくる。ましてや百九十五万、百九十五万、百九十五万、こういうふうに売っていけば恐らく私の感じとしては二年、三年後にはこの株がまた落ちてくるんじゃないか、落ちた場合には、じゃ責任はだれがとるのか。この二点だけお聞きしたいと思います。
  126. 西方俊平

    説明員(西方俊平君) まず第一点の、いきなり一部上場することについてでございますけれども、現行制度では御承知のように新規上場というのは市場の第二部に選定いたしまして、一定の要件が整ったところで一部に上場するということになっておりますけれども、NTT株式につきましては政府保有の大量の株式国民に売り出されることによりまして株主の分布も相当広範囲にわたることが予想されます。それから、上場後も多数の投資者が売買に参加してくることが予想されるわけでございまして、こういった観点から証券取引所においては新規上場時から一部銘柄として指定することができるというふうにしようということでございます。  それから、株の問題で株価のことでございますけれども、御承知のように、私が申すまでもございませんけれども、株価は市場の需要と供給によって成り立つわけでございます。企業の業績の見込みとか、それだけじゃなくて経済とか金融情勢などのさまざまな要因に基づいて市場において投資家の需給によって価格が形成されるわけでございまして、私どもとしては株主になられる投資家の方々には機会あるごとに自己責任の原則ということを踏まえていただきたいということを呼びかけているわけでございます。それから、株を扱う証券会社に対しましては、NTT株式の投資勧誘に際しましては、そういった価格変動次第によっては投資者に損失をもたらす場合もあり得ることを十分説明してほしい、それからまた投資者の意向とか投資家の経験とか資力、こういったものにも十分配慮した投資勧誘を行うよう特にこのたび私どもの方から証券会社に指導を強く行っているところでございます。  以上でございます。
  127. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 すいません。時間がたって大変恐縮ですけれども、そういうふうに通達を出したり、また下がった場合には、これは一般投資家というのは大抵素人が多いわけですから、ましてや百九十五万株も売れば、東京のいわゆる一部上場、この取引というのは大体五兆円ですから、NTTが百九十五万株売れば約二兆円になるわけですよ。二兆円までもいかないけれども、恐らくいわゆる株式市場の金の流れも変わってくる。そういうことも考慮には入れているんだとは思うけれども、そういうことで株は下がるときもありますよということで、この間通達を出したようだけれども、あおっているのはこれは証券会社ですよ。あなたが監督官庁でしょう。この新聞、あなた十月十五日の新聞です。「東京・日本橋にある大手証券会社の支店。営業担当の女子社員たちはこのところ毎日、通常の仕事が終わる午後四時ごろから八時すぎまで電話にかかり切りになる。「NTT株が上場されるのをご存じですか。お買い求めになるお考えがありましたら、申し込みの予約をお願いします」。」、こうやってあおっているんだよ。  だから、私が言いたいのは、この間通達は出したけれども、もうちょっとわかりいいように、また懇切丁寧に株というもののいわゆるリスクもある、またこういうことで大蔵はNTT株を売り出す。こういうことで何とかフィーバーぶりを、異常なフィーバーですから、これを抑えるというか、認識さしてもらいたいと思うんですけれども、その手だては何かないですか。
  128. 西方俊平

    説明員(西方俊平君) 証券会社の勧誘について行き過ぎがあったのではないかというようなことにつきましては、私ども何度か注意を促してきているわけでございます。それから、今後いろいろ具体的に上場等も近づいてくるということになるわけでございますけれども、そういった段階でも投資家の方々に不測のいろんな問題が起こらないように適正な指導を証券会社にしていきたいと思います。  以上でございます。
  129. 原田立

    原田立君 少額貯蓄非課税制度についていろいろと議論がございましたが、私もこの問題は非常に重要であると思いますので、重複を省みず質問を申し上げる次第であります。  最近、政府・税調においていわゆるマル優制度の廃止の方向が打ち出されてからこれをめぐる国民世論が深まりつつありますが、少額貯蓄非課税制度実施されてきた意義等については、税制を担当する大蔵省、また郵便貯金を預かる郵政省として、それぞれその意議についてどういうように考えておられるのか、お伺いしたい。  委員長にお願いがあるんですけれども、逓信委員会局長大臣が来るのが当たり前ですけれども、他の省の人は課長さんぐらいしか来ないんですよね。課長だからいけないと言って軽べつして物を言うんじゃないけれども、局長もいれば審議官もいるはずなんですから、そういうような人が出てきて責任ある答弁をするように、今後の当委員会運営を考えていただきたいとお願いするんですが、いかがですか。課長がここへ来て無理して答弁していって、また本省へいっておどかされたなんていうようなことではかわいそうだと思うし、また非常に不愉快な審議の仕方になりますので、その点、委員長にお願いしておきたいんで す。
  130. 田谷廣明

    説明員(田谷廣明君) ただいまお尋ねの少額貯蓄の利子非課税制度についてでございますが、御承知のように、この制度は貯蓄奨励ということから設けられたものでございまして、現在まで多年にわたり継続されてきたものでございます。この利子配当課税のあり方につきましては公平、公正といった見地から税制の抜本的見直しの一環として現在税制調査会におきまして鋭意検討が進められているところでございます。  現在のところの検討状況では、非課税貯蓄制度をそのまま残すことは適当ではなく、課税の方向で見直しを行うべきではないかというのが御意見の大勢であろうかと思います。  その理由としましては、この非課税貯蓄制度はこれまで長年にわたりまして維持されてきたものでございますが、その制度が設けられました当時の社会経済情勢と現在とが大きく変わってきている。したがいまして、こういった社会経済情勢の変化に対応して、これに即応した見直しを行うべきであるというのが主な理由ではないかと理解しております。
  131. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 少額貯蓄非課税制度が生まれましたのは大正九年でございますが、その趣旨は、やはり貯蓄預金者生活にとりましても大変重要でありますし、同時に貯蓄の持つ経済的、社会的意義に着目して優遇税制として認められたものだというふうに理解しております。
  132. 原田立

    原田立君 マル優問題については、六十年度予算編成の際に、不正利用をなくすため限度額管理を強化し、制度は存続させるということで決着したはずであります。本年一月から新たな管理方式が発足し、今後一層管理強化が推進される方向にあるのではないかと思うのでありますが、管理強化の現状、それから今後の方針、これについて郵政省及び大蔵省両省から説明を受けたい。
  133. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 限度額の管理につきましては二つの重要な要素がありまして、一つは架空名義による貯金を防止するという趣旨から預入時に本人確認を行うということと、それからその預金者につきまして限度額であります三百万をオーバーしないように、この限度額オーバーを防止するための名寄せという作業が必要になってまいります。  まず本人確認の方でございますが、これは所得税法令の改正によりましてことしの一月一日以降新たに貯金をする預金者からいわゆる公的書類を提示していただきまして本人確認を行っている現状でございます。  次に名寄せにつきましては、郵便貯金の場合は現在、住所と氏名をキーにしまして、預金者の住所地を管理しております計算センターによりまして全国一本で名寄せを行っているわけでありますが、しかし、それもなかなか完璧を期し得ないということで、大蔵当局とも協議をしながら、今後は公的証明によって確認されますところの預金者の生年月日を本人の氏名、住所に加えまして、この生年月日を入れることによってより完全な限度額管理を実施したいということで準備中でございます。
  134. 瀧川哲男

    説明員(瀧川哲男君) 名寄せの趣旨、それから具体的な方式につきましては今郵政御当局の方から御説明ございましたので省かせていただきますけれども、我が方で今どういうことをやっているかということ、そして将来どういうことをやりたいかということについて御説明します。  まず、税務当局といたしましては、この制度の当事者である金融機関と、それから預金者あるいは貯蓄者、こういう方に対しまして、まず制度の内容を徹底して覚えていただくということで、まずその趣旨を徹底するように努めているところでございます。それから、実際に金融機関におきまして本人確認義務がちゃんと果たされているかどうかということにつきましては、金融機関等に実際に臨場いたしまして調査をするという形でその内容を調べているわけでございます。一方、税務署に提出されました非課税申告書というものにつきましては、実際事務量もございますけれども、いずれにせょ全般に対して波及効果のあるような方式によりまして、事務量の範囲内でサンプリングの方式によりまして住民台帳との照合を行うというような形で本人確認制度の厳正な運用に努めているという現状でございます。  また、将来のことになりますけれども、現在国税庁におきましては各種事務を電算化するという計画を強力に推進しておりまして、その一環としまして利子配当関連資料を含みまする法定資料等の名寄せシステムというものを開発中でございまして、本年度中に完了するよう現在鋭意努力しております。したがって、将来といたしましては、このシステムによっていくということになろうかと思います。  以上でございます。
  135. 原田立

    原田立君 中曽根首相はさきの衆参同日選挙期間中、マル優を悪用している連中は征伐をしなくてはならないが、老人、母子家庭など弱い立場の人は守っていく、こういうふうなことを言っているわけでありますが、この発言は直ちにマル優制度の廃止を意味するものではなく、限度額管理を強化すべきと、こういうふうに受けとめるのでありますけれども、大蔵省は一体どういうふうに受けとめたのか。当時の新聞によりますと、マル優を悪用している連中は征伐しなければならないが、老人、母子家庭など弱い立場の人は守っていくと、こう言っているわけだ。大蔵省はこのことをどういうふうな受けとめ方をしていますか。
  136. 田谷廣明

    説明員(田谷廣明君) お答えいたします。  ただいま御指摘のとおり、総理は先般の選挙の際、いわゆるマル優制度については、老人とか母子家庭とかの社会的に弱い人に対してはこれを維持していく、しかし不正を行っている者については是正しなければならない、と発言されたところでございまして、私ども大蔵省といたしましては、この御発言を文字どおり受けとめているところでございます。  なお、税制調査会におきましては、先ほども申し上げましたとおり現在審議中でございますが、この総理の御発言も十分念頭に置きつつ、幅広い観点から議論が行われているところでございます。  いずれにいたしましても、大蔵省としましては税制調査会の包括的指針を待ちまして適切に対処してまいりたい、かように考えております。
  137. 原田立

    原田立君 だから、マル優制度の廃止を意味しているわけではないでしょう。そこのところだけはっきりしてもらいたい。  要するに私が言いたいのは、限度額管理を強化すべきだということ、こっちの方に主眼があるのではないかと。これを半分だけ、都合のいいところを自分で利用しているような感じがしてならない。どうですか。
  138. 田谷廣明

    説明員(田谷廣明君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、総理の御発言につきましては私どもも文字どおり受けとめているところでございます。それから、先ほどの御答弁の際にもあるいはお答えすべきだったかもしれませんが、私ども今回抜本見直しの一環といたしましてマル優制度につきまして御審議をいただいておりますのは、単にその制度につきまして不正利用が行われているというわけではありませんで、そもそもこういった少額利子の非課税制度を通じまして相当多くの所得が、私どもで申し上げますところの所得税の課税ベースから落ちてしまっているという問題、あるいは先ほども申し上げましたが、当初設けられましたときと経済情勢が大きく異なってきておりまして、現在税金をいわばまけてでもこういった貯蓄を奨励しなければならないといったような経済情勢にないのではないか。あるいは、結果的に見ますると、この制度が高額所得者により大きな恩典を与えるものとなっているのではないか、といったようないろいろの点がございまして、現在御審議をいただいているわけでございます。
  139. 原田立

    原田立君 じゃ、総理が言うマル優を悪用しているとみなされる件数、金額、それから老人、母子家庭など、弱い立場の人は守っていくというが、その件数、金額等については掌握しています か。
  140. 田谷廣明

    説明員(田谷廣明君) 先に私の方から、後ほどお尋ねになりました老人あるいは母子家庭等の人数についてお答え申し上げます。  老人と申しましても何歳以上の方々をもって老人と言うか、数字が違ってくるわけでございますが、六十年の国勢調査でございますが、そのケースによりますと、総人口一億二千百万人のうち六十五歳以上が約千二百四十万人、七十歳以上ですと約八百二十一万人と相なります。  それから母子家庭につきましては、どのような方々を母子家庭と定義するかによってこれも大きく変わってくるわけでございますが、例えば現在ございます遺族厚生年金あるいは共済年金の受給者ということで数えますと、約百八十八万人、あるいは児童扶養手当の受給者というふうにとらえますと約六十三万人といったようなことになるわけでございます。ただ、こういった方々がどれだけの貯蓄を持っておられるかということにつきましてはデータがございませんので、申し上げる数字を持っておりません。
  141. 瀧川哲男

    説明員(瀧川哲男君) 大したお答えになりにくいので恐縮でございますけれども、私どもの方で、七月から六月までですが、六十事務年度というのがございます。そこで金融機関の全店舗の一一・五%に相当いたします四千七百八十二店に対しまして調査をいたしたわけでございます。大部分の店舗におきましてマル優等の不適正利用が把握されました。その結果金融機関の店舗から加算税を含めまして約四百二十一億円を追徴したわけでございます。  今申し上げたものを、例えばでございますけれども、預金金利を六%に置きまして、それから追徴の遡求期間を約二年ぐらいと置きまして、そして適用した税率を二五%ぐらいというように仮定いたしまして、その今追徴いたしました四百二十一億円を元本として推定いたしますと約一兆四千億円になるというのが事実でございます。  以上でございます。
  142. 原田立

    原田立君 大臣、さきにグリーンカード制を実施するということで法律をつくりながら実施されずに中止となり、今回また限度額管理強化を決めながらもそれがまだ実効を上げるに至らないうちにマル優制度そのものの廃止が取りざたされるということは、いわゆる朝令暮改も甚しく、政治に対する国民の不信を招くことになると思いますが、閣僚の一人として大臣は一体どうお考えになりますか。
  143. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 今限度額管理につきましては、中村局長が申しましたようなわけで、本人確認と名寄せの両面で今限度額管理をやっておりますが、さらに名寄せにつきましては、大蔵省、郵政省で協議をいたしまして、今度は生年月日まで入れました新しいキーでもって新しい限度管理システムを来年春からスタートさせることになっております。こういうふうにして限度額管理を厳正化する一方、少額貯蓄非課税制度は、これは先ほどからも各先生からお話がありましたように、貯蓄の重要性でありますとか、あるいは世論調査における国民の存続の希望とか、さらにもともと郵便貯金は当初から実質的には非課税でございまして、この制度を変えるということは財政投融資の原資である郵便貯金事業そのもののあり方にも大きく影響するわけでございますので、そこで郵政審議会に諮問を申し上げましたところ、郵政審議会からは相変わらず非課税制度は存続を断固堅持すべきであるという御答申をいただきましたので、私といたしましては、この趣旨を体しまして郵便貯金非課税制度存続に努めてまいりたい、このように考えております。
  144. 原田立

    原田立君 マル優問題の論議の中で、いわゆる外国の我が日本に対する見方でありますけれども、日本人は貯蓄し過ぎるから貯蓄を減らして消費させろというような議論がなされていると、こう聞いているわけでありますが、非常に暴論ではないかと実は私も思うんです。  政府・税制調査会の委員をやっている藤田さんという人の論文の中にも、三項目目に、「国際経済摩擦対策として、いわゆる貯蓄優遇税制をこの際廃止するのが賢明だという主張が強まってきた。」と、こういうふうなことが言われておりますが、我が国の家計貯蓄率は、昭和四十九年は二三・二%であったものが五十九年には一六・一%に下がってきており、高齢化社会の進展に伴ってさらに下降することは確実であると思うんであります。今後の貯蓄動向については大蔵、郵政両省はどのような見通しを持っているのか説明されたい。また、説明したっても、この貯金が財投や何かに使われているからこれは非常に重要なものだという、それは私もそういう確認を持っている、もちろん郵政大臣だってもそうだろうと思うけれども、その反面、大蔵省は一体、全然逆のことを考えているんじゃないかという心配をするんだけれども、大蔵省の方の答弁並びに郵政大臣のお考えをお聞きしたい。
  145. 黒田東彦

    説明員(黒田東彦君) お答えいたします。  我が国の貯蓄率は国際的に見ましても大変高い水準で推移しておりますけれども、この理由につきましてはさまざまな議論がございます。例えば、質素倹約をとうとぶ国民性であるとか、あるいは御指摘のありましたような人口構成の問題、つまり若い人口構成のために高いのではないかといった議論、さらには住宅取得、子女教育のための資金確保の必要性があるという議論、ボーナス比率が諸外国に比べて高い、さらには公的負担率が欧米諸国より低い、こういったことがさまざま要因として挙げられておりまして、必ずしも決定的な理論が成立しているわけではないようでございます。  いずれにいたしましても、御指摘のとおり、貯蓄率は四十年代に若干上昇いたしまして五十年代に入りまして若干低下してきておるわけでございますが、今後の貯蓄率の予測につきましては、今申し上げましたとおり、そもそも現在、欧米諸国に比べてかなり高い貯蓄率がいかなる理由によるものかということが必ずしも明確でございませんのでお答えすることは難しいわけですが、一方で金融資産がだんだん蓄積していくということで中長期的に低下するのではないかという可能性を指摘する向きもございますし、他方で、先ほど申し上げましたとおり、非常に根強い貯蓄意欲、国民性に基づく貯蓄意欲、さらには既に消費水準がかなりの高水準に達しておるということを考慮いたしますと、やはり当面ある程度高い水準を継続、維持するのではないかというふうに考えられます。
  146. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 日本の家計貯蓄率が近年着実に低下をしているという傾向は先生御指摘のとおりでございまして、これはやはり、我が国が急速に高齢化が進んでいるということと非常に関係があるのじゃないかというふうに見ております。特に、高齢化が進みますれば、いわば貯蓄の取り崩し世代がふえるということをも意味するわけでありまして、そういう意味から貯蓄率の一層の低下の可能性があるというふうに考えております。今年度の経済白書の中でも今後の人口高齢化のもとで家計貯蓄率が低下していく可能性があるというふうに指摘をされておりますが、大方の見方は、高齢化の進展に従って貯蓄率は低下をするというふうに予想されるところでございます。
  147. 原田立

    原田立君 局長の言っているのが僕は当たり前だと思うんです。さっきの大蔵省の参事官、あなた変なこと言ったね。貯蓄率は高い以上今後も維持していくでしょうなんて、何をのぼせ上がったこと言っているんですか。昭和四十九年に二三・二%だった。それが五十九年に一六・一%になった。これは日本の場合ですよ。それからアメリカの場合には、一九八四年は六・六%ですよ。イギリスは七・八%、こういうふうにだんだんだんだん高齢化社会が進んでいけば貯蓄率が減っていくのは当たり前じゃないですか。今の高水準を今後も維持していきますなんて、余りとぼけたこと言いなさんな。だれが言ったかな、しっかり答弁してもらいたい。
  148. 黒田東彦

    説明員(黒田東彦君) 先ほど申し上げましたとおり、貯蓄率の決定要因はさまざまな要因がござ いますので、それらの総合的な結果として貯蓄率の動向が出てくるわけでございまして、人口構成のみによって必ずしも決定されるわけではない。最初に申し上げましたとおり、人口構成が老齢化した場合に貯蓄率が低下するのではないかという議論も、先ほど申し上げましたとおり、現在の高い貯蓄率の一つの要因として人口構成が若いといったことが挙げられておるということの反面として、そういう議論があることはもちろん承知いたしております。  なお、ちなみに我が国の貯蓄率の動向を見ますと、先ほど御指摘のとおり、高度成長期から四十年代ずっと通じて五十年代の初めまで上昇いたしまして、その後低下しておるわけでございますが、もとより老齢化人口、いわゆる人口構成の老齢化はずっと続いておるわけでございまして、前半期におきましては老齢化が続いておる中でむしろ貯蓄率が上昇しておる、最近は老齢化が続いておる中で御指摘のとおり貯蓄率が低下しておると、すなわち貯蓄率はいろいろな要因で定まってくるものではないかというふうに考えております。
  149. 原田立

    原田立君 先日発表された貯蓄増強中央委員会の世論調査の結果を見ても、国民貯蓄する目的として挙げているのは、病気、災害の備えがいわゆる七五%、それから老後の生活費が四二・五%となっておりますが、余裕があって貯蓄をしたというのは全体のわずか五・七%にしかすぎません。大部分は生活を切り詰めながら貯蓄しているという国民生活の実態が浮き彫りになっているわけでありますが、このような国民貯蓄の実態を郵政、大蔵両省はどう受けとめているかお聞きしたい。
  150. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 貯蓄増強中央委員会調査をいたしました貯蓄目的は先生先ほどおっしゃったとおりでございますが、郵便貯金の利用者の貯蓄目的につきまして郵便貯金婦人モニターアンケートを見ますと、昭和六十年のアンケート調査の結果によりますと、やはり一番多いのは病気など不時の出費の備えが六〇・四%、子供の教育費というのが五三・九%、老後の生活費が四五・七%というふうになっておりまして、今の日銀の世論調査とほぼ同じ実態になっております。国民は、いわばこうした将来の不安に備えて真剣に貯蓄に励んでいるわけでありますから、私どもとしましてもこういった国民の自助努力に対する貯蓄手段を今後とも支援をしていかなければならないというふうに考えております。
  151. 黒田東彦

    説明員(黒田東彦君) 御指摘のとおり六十一年の貯蓄に関する世論調査によりますと、貯蓄に対する態度といたしまして余裕があったので貯蓄したという世帯は全体の八・六%ということになっております。  またそれでは貯蓄の目的としてどういったものが挙げられてあるかと申しますと、ただいま郵政省の方から御答弁がありましたのとほぼ同様でございまして、病気、災害の備え、それから子供の教育費、老後の生活費といったことが高位にあるということも事実でございます。したがいまして御指摘のことはそのとおりでございますが、ただ、先ほど申し上げましたとおり、我が国のマクロ的な貯蓄率が高いという理由につきましてはさまざまの理由が挙げられておりまして、勤倹貯蓄をとうとぶ国民性であるとか、あるいはボーナス比率が高いとか、あるいは公的負担率が欧米諸国より低いといったそういった要因もございまして、さまざまの要因がいわば複合してあるということでございますので、一概に生活を切り詰めて貯蓄しているということとは必ずしも言い切れないのではないか、非常にいろんな要因が複合しておるというふうに考えております。
  152. 原田立

    原田立君 私はここで言いたいのは、病気などの備えとか老後の生活安定のためとか、そういうようなことを目的にして営々として貯蓄に励んでいるという現状を正しく認識するならば、マル優制度を廃止するというような発想はとんでもない悪政であると、こういうふうに私は思うんです。で、非課税制度廃止問題に対する郵政大臣は、先ほどよりこれはもう絶対に遵守していくという決意の表明がありましたけれども、大蔵省は今の答弁を聞いていても複合の理由があってとかなんとか言って全然——全然と言っては言葉がひどいけれども、意味が不透明な答弁しか返ってきておりません。こういうマル優制度の廃止とか非課税制度廃止の問題等に対して郵政大臣の決意をお伺いしたい。
  153. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 今いろんな方面から原田先生が貯蓄の重要性ですか、また非課税は守るべしというお話を承りまして私も全く同じ考えを持っております。まあ、なぜ必要かというのは、けさからるる申し上げてきた理由がございますが、私のところにも陳情がありまして、特にお年寄りの方から多いわけですが、営々としてためた貯蓄に利息がある。それをもらうときは非常な喜びだというんです。この我々のささやかな喜びを奪わないでほしいというような陳情はよく私も受けておるわけでございます。したがいまして、それが何よりも反映されるのが世論調査国民の七割以上が非課税制度の存続を希望しておられるということである。さらに郵政審議会でいろいろな各委員先生方がいろいろ精力的に御審議をいただいて、そこで出た結論も「郵便貯金の利子非課税制度については断固これを堅持していく必要がある。」こういう答申をいただいておるわけでございますので、私としても大変意を強ういたしまして、また本日各先生からも御激励をいただきましたので、その御趣旨に沿って、微力ではございますが、郵便貯金の利子非課税制度を今後とも存続するように努力してまいる所存でございます。
  154. 原田立

    原田立君 ちょっと済みません。  実は郵政事業の問題についていろいろとお伺いしようと思って御通知申し上げておりましたけれども、時間がございませんから次回に譲るといたしまして、きょう関係の方おいでいただいたことに対しては感謝申し上げます。  以上です。
  155. 山中郁子

    山中郁子君 午前中から少額貯蓄非課税制度、いわゆるマル優の廃止問題について議論され、郵政大臣並びに郵政当局の現在のところのお考えは繰り返し承ったところであります。  それで、私はここでまずこの問題では我が党の基本的な見解を述べるにとどめておくということにしたいと思います。  一つは、当然のことながらマル優廃止は庶民の零細な貯蓄に対する大衆課税でありますので、絶対にこれを認めるわけにはいかないという立場であります。  それからまたけさほど来からの議論の中にもありましたけれども、いわゆる内需拡大、つまりマル優を廃止して消費をふやすなどという問題は余りにも見当違いの話である。これはいろいろの機会に国会でも私どもは議論もし主張もしてきておりますけれども、労働時間の短縮やあるいはまた大幅賃上げ、そういうものによってこそこれらの内需拡大が図られるし、またそういうところで解決をしていくのが正道であるということを改めて申し上げたいと思います。  それからまた税制の民主的改革という観点からするならば、これも繰り返し主張してきたところでありますけれども、例えば最近の財テクの利得に対する免減税などは目に余るものがあるわけですし、要するに大企業、大資産家優遇の不公正税制の改革が当面緊急の問題である。  それからまた同時に、歳出の改善ということも同じように重要な問題であり、とりわけ軍事費の削減ということは焦眉の課題であるということが私どもの見解であります。  それで、私ども日本共産党は既に大型間接税とともに多くの国民生活に深刻かつ重大な影響を与えるこのマル優廃止の問題について、絶対に行うべきではないという立場から一切の事務作業も直ちにやめるべきであるという趣旨の本会議決議を九月十二日に提出しているところであります。そのこともあわせて重ねて申し上げておきたいと思います。  先ほど来から郵政大臣一生懸命決意を繰り返し述べておられますが、私がここでやはり申し上げたいのは、単に郵便貯蓄を管掌する郵政大臣という立場、郵政省の枠の中で守るということではなく、やはり国民生活に大きな責任を持ち、そして切実な国民の要求に本当に耳を傾けなければならない政府の重要な閣僚の一員としてこうした悪政は断じてやるべきではないし、やらせないという立場に立った郵政大臣としての、中曽根内閣の一閣僚としてのお働きが重要であろうということを改めて主張もし、指摘もさせていただきたいと思います。  それで、次の問題といたしましては、先般の通常国会三日二十日の当委員会で私が取り上げました郵便局の非常勤職員の労働条件、特に年休の件につきまして再度明らかにし、また改善措置をお約束いただきたいと思います。そのときに指摘をいたしました問題についてその後御調査願ったと思うんですけれども、結果と具体的な改善策をどのようにとられているか、まずお示しをいただきたい。
  156. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 三月二十日の当逓信委員会で先生から御指摘ございました非常勤職員の問題につきまして御指摘の四局について調査しました結果、遺憾ながら年休についての発給漏れという事態がございましたので、早速に発給方を指導したという次第でございます。  なお、非常勤職員に対します今後の年休の取り扱い、そのことにつきまして全国的に調査する、そして全国的に指導をするという必要があろうかということで現在この内容について検討をいたしておるところでございます。
  157. 山中郁子

    山中郁子君 私は、その委員会で何局かを挙げて年休が付与されていないというふうに申し上げました。練馬、麹町、玉川などを挙げたと思いますけれども、具体的に何人の労働者が年休を付与されていなかったのか。どこの局の何人の労働者が付与されていなかったのか、お示しいただきたい。
  158. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 調査いたしました結果、付与すべきだと判断されますものは三局ございまして、豊島で四名、麹町で三名、玉川で三名と、こういう事態でございました。
  159. 山中郁子

    山中郁子君 それで、これはすぐに付与するという措置をおとりになっていらっしゃるわけですね。確認をお願いします。
  160. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) ただいま申し上げました非常勤職員に対しましては発給するよう指示済みでございます。
  161. 山中郁子

    山中郁子君 私が指摘した四局のうち三局までが、実際にやはりお調べになった結果、労基法に照らして違反の状態があったということなわけです。  それで、今全国には普通局だけでもほぼ千二百五十局でしょうか、ある。そして特定局を入れれば二万局以上というところですから、こういう事態が全国的にあるということは容易に考えなければならない問題だというふうに思いますけれども、調査、具体的な改善について具体的にお考えを伺いたい。
  162. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 私ども郵政事業はお客様相手の仕事でございますが、当然業務量は季節的にも時期的にも大変波動いたすわけでございます。そこで、いわゆる正規の定員以外にどうしても非常勤に業務を依存せざるを得ないということでございますが、この非常勤には雇用の理由といいますか、その発生理由が、年末であるとか、あるいは欠務が出てその後補充をしなければならぬとか、そういういろいろさまざまな欠務の発生理由がございます。そしてまた、時間的にもフルタイムでいくとかあるいはパートでお願いをするとか、そういうさまざまな事態がございますので、この年休の発給条件自体をその職員一人一人について明定していくのが非常に難しい事情にございます。  そうした点からこうした事態が生じたかと思いまして、現在、そういう意味で現場で余り迷いがないような形で年休が発給できるよう全国的な統一した基準で指導ができないか。もちろんこれは労働組合の問題もございますので、いろんな方面との調整の結果を経た上で、新しくこうした問題に対処できるような措置を講じたいということで目下取り組んでいるところでございます。
  163. 山中郁子

    山中郁子君 ちょっと具体的にはっきりさせておきたいというふうに思うんです。  一つは、私は、郵政省が、雇用理由がどうであれ、かなり大量のパート労働に依存しているという実態を問題なしとしているわけではありません。しかし、今はそのパート労働者に年休が付与されているのかいないのか、付与させなければいけないという問題に限って申し上げていますから、そのパート労働者の雇用実態自身が郵政省にとってやはり一つの大きな問題であろうということは指摘をしておくにとどめておきたいと思います。  それで、もう御承知のように、労基法は一年以上の継続雇用で八割出勤者には、つまり契約した労働日数のうち八割を出た人には、もちろんパートタイマーであろうと常雇いであろうと労基法に基づいて年休を支給する、こういうことになっています。そして、その後パート労働者の権利の問題がいろいろ国会でも論議になったりしている過程でパート労働者に対する要綱がつくられたということは、もちろん御承知のところだと思います。  しかし問題は、いろんなケースがあるんですけれども、私は、郵政省の場合に、この前問題にしたのもそういう部分も含めてあるわけですけれども、いわゆる二カ月の雇用契約で日々雇用という形をとって、それでその二カ月以内でやっておいて、また切れると間を少しあけて、まあ郵政省の場合七日間ぐらいあければ大体大丈夫だろうというふうに判断をしていらっしゃるような形跡があるんですけれども、まあ、七日間なら七日間、一定の期日をあけるでしょう。そうしてまた雇用するんですよ。これをいわゆる転がしと言っていますね、いやな言葉ですけれども。そういうふうにして、一年はもとより、もう何年もそうやって同じ人が同じ仕事で働いているというケースがたくさんあるんです。ひどい人は十年を超えて二十年近くそうやって働いている方がいるんですよ。そういう方はもちろん全部じゃないですけれども、何年も働いているというのはもうざらにあるんです。これは当然のことながら継続雇用ですよね。継続雇用で、そして契約のうち八割以上を勤務しているということで、当然年休の支給に該当するんですよね。このことは私も労働省からかなり詳しく聞きました。それで労働省の見解としてもそれは迷いはないということで、きょうは大変限られた時間でありますので労働省においでいただけなかったんですけれども、そのことはかなりはっきりしています。  それで、今おっしゃいました統一基準というのは、それらのことに関連していろいろ検討なさるのかどうかということも含めて——余りにもこそくだと思うのね。もう労働省の段階でもはっきりして、国としてもパートの要綱も出していらっしゃるのにもかかわらず、そこの一つの省庁である郵政省は、七日間だか十日間だか知らないけれども、間を置けば同じ人を何年も転がして雇っても、それは結局継続雇用を免れるというふうに判断なすって年休を与えてないというのは余りにもこそくだし、また法の精神に反しているし、脱法行為だというふうに私は考えますので、このことも含め、きちんと継続雇用だということをお認めになった上で、そして何らかの統一基準をつくられるということならばそのように承りたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  164. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 今御指摘ございましたとおり、郵政省の非常勤職員の雇用形態にはいろんなケースがございますわけでございますが、団地における郵便配達のためにお願いをするパートの非常勤の方、あるいは一日のうちで特定の朝だとか夕方だとか大変忙しい時間帯にお願いをする、そうしたパートタイマー等の方は二カ月間の予定雇用期間ということでお願いをして、中断もなく そのままお願いをするわけでございますが、これ以外の方は原則としては再雇用しないと。そうして、やむを得ない事由がある場合は原則として七日以上の中断期間を置いて再雇用をするケースもあるけれども、これは例外だということでこれまでずっと長くやってまいった次第でございます。  そういうことできたわけではございますが、実際のところこういうことで運用してまいるものの、中には非常勤の職員の方でぜひひとつ続けて働きたいとおっしゃる方、あるいは局側の方からも非常に雇用難でほかにいらっしゃらなければこの方にお願いしたいというような形で、現実には結果的に御指摘のように二カ月働いて七日のお休みをしてまたということが、まあ振り返ってみれば非常にある期間長くなってしまう。ちょっと今おっしゃった十年というようなことについては私ども把握できていないわけでございますけれども、そうしたケースはぜひひとつ労働省の言うような視点からして形式的な形で割り切れないということも考えられますので、こうした面を含めまして、この労基法の言う条件、継続勤務があること、そしてその期間中八割以上勤務したということを充足するようなそういう新しい基準について検討をしている、こういうことでございます。
  165. 山中郁子

    山中郁子君 いろんなケースがあって、統一した基準を模索するということは、それは必要なことだというふうに思います。  ただ大臣、今お答えになったけれども、全然違うんですよ。私やっぱりそらぞらしいことをおっしゃるなというふうに思いましたけれども、団地の配達の方とか、それから一日のうちの繁忙時に手当てをする意味でのパートタイマーの方たち、それは継続する。その方たちの中にも先ほど私が指摘したように年休が発給されていない方たちがいたんですね。そういうことで、それは発給するように指示をしたとおっしゃっている。だけど、もう一つ一番圧倒的に人数も多くてそして日常的に行われているのが、今私が申し上げましたいわゆる二カ月、そのことで法網をくぐるというか、やり方をして、それの方が圧倒的に多いんですよ。  私は、そういうふうにあなたおっしゃるんだったら、でもそれは機械的に間が中断しているからといって基準法の適用を受けないということではなくて、そういうことも考えられるから検討するとおっしゃるから、それはそれでぜひそうしてほしいと思いますけれども、じゃ、そういう二カ月単位の雇用をしている人たちが実際はどのくらいいて、どのくらいの人たちがたった二カ月で一回で仕事をやめましたか、出してほしいというのよ。一年以上、二年、三年、五年、十年まで勤めている人は、それは数は少ないかもしれませんけれども、十年ぐらい勤めている人もいるんですよ。そういうそらぞらしいことをおっしゃるなら、そういう人たちの数字をあなた方が責任を持って調べて出してほしいと思うの。例外的にもしかしたらそんなことがあるかもしれませんけれども、あったら善処しますけれども、基本的には二カ月であとはいいんです、そんなことが実際に行われていないんですよ。  幾ら大臣新しく御就任なすったとしても、そのことは実態として御存じだと思うので、私は政治家である大臣に期待をしてお伺いするんですけれども、そういうへ理屈じゃなくて、本当に郵政省が国が決めている労働基準法の精神をいささかもごまかしたり破ったりすることなく、働く者の立場に立ってきちんと対処するということをお約束していただきたい。
  166. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 年休発給要件は全労働日の八割以上勤務ということで一年間継続雇用ということですから、これは継続するのが当然で望ましいわけでございますが、私は余り詳しい個個のケースは存じません。また、今部長申しましたように、いろいろなケースもあろうかと思いますが、今お話しのように二カ月雇用して、そして七日ですか何日ですか……
  167. 山中郁子

    山中郁子君 そう、七日置くの。
  168. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 置いて実質継続しておるというような場合もあろうかと思いますが、それが七日間期間を置くということで、これが必ず中断であるというのもいかがかと存じますので、その点は十分検討さしていただきたいと思います。
  169. 山中郁子

    山中郁子君 人事部長も、さっきの御回答でよろしいんだと私は思いますけれども、それで、統一基準を設けるからにはやはり全国の実態がおのずと調査されるということになると思うんですけれども、先ほど私が申し上げた調査についてもそういうことで理解してよろしいですね。統一基準を設けるからには全国の実態がやはりおのずと調査されるわけですね。調査しなければ統一してはできませんよね。だから私は先ほど調査してほしいと申し上げましたけれども、それはそれでよろしいですね。
  170. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 御指摘ございました点について先ほど調査しまして、その結果を申し上げたわけでございますが、かねがね御指摘のような非常勤の雇用の仕方で年休のあり方をどうすべきか。正直申しまして職員一人一人がいわば雇った期間が毎日、皆違うわけでございます。そして、その人がこういう今申し上げましたような条件を満たした場合に、次の一年に何日発給するかということで、職員一人一人が毎日その条件を満たしているかどうかというそういう問題に逢着するものでございますので、そうした点について現場の管理者が、あるいは雇用する者が、あるいは事務に携わる者が間違いのないような形を研究したいということでございますので、いろんなケースはモデル的に調査した上で取り組むべきものだ。こういうことで、全国悉皆ということには、これ一日動いておりますものですから、なかなかこれは困難だろうと思いますが、そうした目的に照らして必要な調査を行いつつしかるべき基準を得たい、こう考えておるところでございます。
  171. 山中郁子

    山中郁子君 それはもちろん目的に照らして必要な調査をなきさなきゃいけない。  私がちょっとはっきりしておきたいのは、先ほど私がこういうところでは出てないよと指摘したところで実際に出ていなかったわけよね。だから、やはり出すようにしましたとおっしゃったわけでしょう。私の方だってそんな全部調べたわけじゃなくて、たまたま東京の一定の局について調べたらそうだったから指摘したのであって、その中でもうほとんどがそれはやっぱり出ていなかったわけですから、やっぱりそういう点で全国的に調査をしていただいて、それで今もしかしたら発給されていない人が、あの確率からいえば全国的に見ればたくさんいらっしゃる危険は大いにあると私は思うので御調査をしていただいて、もらうべき人がもらっていないという事態に対して対処していただきたいということを申し上げています。
  172. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 現行のやり方で指導が十分でないということは考えられますので、指導の徹底を図りたいと考えておるところでございます。
  173. 山中郁子

    山中郁子君 次に、同じく先般の通常国会の四月二十二日の当委員会で、私が提起をいたしましたVDT労働の労働条件改善についての問題であります。  その際私は、逓信病院の実態について指摘をしたわけですけれども、この点についてはどのように対処をされましたか、お示しいただきたい。
  174. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 東京逓信病院のVDT作業につきましては、六十一年の八月から労働省の出しておりますVDT作業のための労働衛生上の指針にのっとりまして、VDT作業を五十分間作業するごとに十分のVDT作業休止時間を設けるというような措置をいたしたところでございます。  なお、VDT作業のためのいすにつきましても御指摘ございましたわけですが、これは六月十二日の時点からいすの座高の高さをワンタッチと申しますか、そういう形で簡便に操作ができるようないすを、オペレーター用のいすでございますが、これを一部試行をしまして現在実施に移して いる、こういうところでございます。
  175. 山中郁子

    山中郁子君 私も、その後の職場でどういう状況改善されたのか、あるいはされないのかということを調査しまして実は驚いたんです。というのは、私がこの前委員会で指摘するまで、VDTが導入されていたにもかかわらず逓信病院では労働省のガイドラインの一時間で十分ないし十五分の休止ということが行われていなかったわけであります。したがって、そのことを指摘したわけですけれども、そうしたら今御返事がありましたように五十分で十分休止という措置をおとりになったそうなのですけれども、驚くことにその十分間を別な仕事、伝票を書くという仕事をさせているんですね。私は本当にびっくりしました、料金請求書を書かせているんですって。一体郵政省は何を考えているのだろうと私は思いましたけれども、これはもうおやめになりましたか。幾ら何でもこれはおやめにならなきゃいけないと思いますよ。
  176. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 労働省の申しておりますVDT作業に関するガイドラインというのがございますが、ここで先ほどから話の出ております五十分連続して打鍵をした後の十分の作業休止時間というのは、これはあくまでもVDT作業を中断する時間だということで、    〔委員長退席、理事大木正吾君着席〕 労働基準法に言う休憩時間のように、あらゆる作業をすべて休止させると、こういう時間だというふうになってはいないと理解をしておるところでございまして、これはこの指針にも載っておるところだというふうに理解をしておるところでございます。
  177. 山中郁子

    山中郁子君 だから、そうしたら、十分間休止時間をとるようにさせたけれども、その間料金請求書などをつくるという仕事はさせているということですか。そういうことをさせていらっしゃるわけですか。
  178. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 実際問題、作業の休止時間というのは正規の勤務時間でございますので、あくまで実態に応じて他の作業をさせることはあり得ると、こういう立場に立っております。個々の職員が具体的にどうだということまで、私は詳細までは把握できておりませんが、総じてこうしたものでございますから、実際問題といたしまして、時には伝票整理をしたり、あるいは窓口の応対をしたりということで、その連続して注視をする作業から、ほかの筋肉を使うあるいは別の作業形態をするということで休止ということになるのではないかということで、あくまでぜひさせるということでございませんが、そういう作業をする実態というのは労基法上も許されておるところだというふうに理解をしておるところでございます。
  179. 山中郁子

    山中郁子君 大臣、これもちょっと本当にお考えいただきたいと思うんですけれども、このVDT作業が新しく入るについて労働省がガイドラインを出しました。そして、その中で「次の連続作業までの間に十—十五分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において一—二回程度の小休止を設けること。」というふうになっているんですよね。そうしてこれの解説のところで、この休止は「眼又は手腕系等への負担による疲労を防止することを目的とする」と、そして「リラックスして遠くの景色を眺めたり、あるいは作業中ほとんど使用しなかった身体の各部を適度に動かすなどの運動を行うための時間であり」と、こうなっているんですよ。ほかの伝票を書きながら、あるいは窓口の応対しながらリラックスして遠くを見られますか。私は、余りにも郵政省は非常識だと思うの。そういうことだから、休憩じゃないんだからほかの仕事を場合によってはさせてもいいんだと。現実に伝票づくりさせているのよ。私、本当に驚きました。  この労働省に話を聞くと、このようなコメントになった経過というのは、三者構成ですから、三者構成の会議の議論でもってこういうものがつくられてきて、その中で使用者側がどうしても休憩ということに仕切ることについて非常に抵抗したと。今の段階では、いずれにしても、そこのところは休憩というふうにならなくても、こういう形で実質的に休憩を保障しつつこのガイドラインを出すことの方がVDT労働が非常に大きく広がってきている現実に照らして必要だと、こういう判断をしたというのが労働省の見解です。  先ほどの問題も同じですけれども、労働省が労働者の健康のためにそのようなガイドラインをつくり——これだって今すごい不十分で問題たくさん出ているの。それにしてもそれをつくり、しかもその中身が使用者側が主張したんで、しょうがなくて、時間的な関係もあるので、こういう表現にした。だけれども、その表現も結局、遠くを見て目の疲れを直したり、体を体操したりなんかして直すということなのよね。そのわずか十分ですよ。    〔理事大木正吾君退席、委員長着席〕 わずか十分の時間に何で伝票を書かせたり窓口の応対をさせなきゃいけないんですか。私は、それこそ大臣のお考えで、そういう非常識な恥ずかしいことを郵政省がするなんという状況は、一刻も早くなくしていただきたいと思います。
  180. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) VDTを使用する作業に従事する職員の健康管理につきましては、健康診断を実施するほか、職場環境改善など従来から配意してきたわけでございますが、特に昨年十二月、労働省の「VDT作業のための労働衛生上の指針」が出されましたのを受けまして、「指針」の内容を下部機関に周知徹底せしめておるところでございます。  今お話のありましたこの「指針」の中には確かに休止と書いてございますので、私も人事部長が申したのと同じように考えておりましたが、要はどの程度までがこの作業に従事する方の健康を考えて許されるのか、どの程度からいろいろ問題が生ずるのか、こういう点をこれからよく検討さしていただきたいと思っております。
  181. 山中郁子

    山中郁子君 労働省のガイドラインには、先ほど御紹介いたしましたように、リラックスして遠くの景色を眺めたり、作業中使わなかった筋肉を使って凝りをほぐしたりなんかするんだって書いてあるの。もちろんガイドラインを尊重なさるんでしょう。ガイドラインに違反することをなさるおつもりはないと思うので、直ちに休止時間だからといって別な仕事をさせるみたいな、そういう非常識なことはおやめいただきたい、こういうことです。
  182. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 御指摘のこのガイドラインでは、「いったんVDT作業を中止し、リラックスして遠くの景色を眺めたり、あるいは作業中ほとんど使用しなかった身体の各部を適度に動かすなどの運動を行うための時間であり、単なる休憩時間ではない。」という、これは御指摘のとおりでございますので、私どもも、決してこのVDT作業もどこの職場でも皆一律のものでは必ずしもなかろう。これは病院の場合は、窓口に座ってお客様と応対する際に、従前はカルテを出したりしたことをVDT作業で行うわけでございますので、そうした作業実態から見て単なる休憩時間ではないということで、作業の繁閑を見ながら必要なときにはそういうこともしていただくこともあり得ると、こういうスタンスでございますので、大臣申しましたように、要は職員の健康管理という問題が基本でございますので、そうした視点に立ちながらこの問題について今後とも検討を続けてまいりたいと考えておるところでございます。
  183. 山中郁子

    山中郁子君 少なくともそういう非常識なことはやめるという方向で検討なさるということはよろしいですね、大臣、それは約束してくださいよ。郵政省はそうしたら、休止をとるけれどもそこにほかの仕事をさせるということを今、国会で皆さんおっしゃるんですか。言い張るんですか。それならそれで私またしようがありますよ。
  184. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) VDT作業があくまでも健康を害さないようにという視点から、今後ともこの問題について研究をしながら対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  185. 山中郁子

    山中郁子君 ほかの仕事をさせるようなことし ないわね。いいかげんなこと言ってもらっちゃ困るのよね。だって、ガイドラインにちゃんと書いてあるじゃないの、ほかの仕事させていいなんて書いてないのよね。体をリラックスさせて遠くを見させたり体操させたりしなさいと書いてあるのよ。そして、ガイドラインを守るんでしょう。大臣ちゃんとけりつけてくださいよ。あんなこと言ったららち明かないもの。ガイドラインを尊重して対処なさいますね。当然、最低の義務ですね。
  186. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) いろいろ御心配をいただいておりますが、要はVDT作業に従事している職員の健康でございますね。ですから、ガイドラインはもちろん尊重はいたしますが、これはケース・バイ・ケースであって、どこかで健康管理で許されると。それはケース・バイ・ケースだと思うんですね。そういうことで、職員の健康管理には十分我々も意を用いてまいりたいと思います。
  187. 山中郁子

    山中郁子君 もちろんケース・バイ・ケースで十分じゃ足りないということだってありますし、その間はちゃんと休憩させなきゃいけないというケースだってあるんです。要は最低ここまでこぎつけてきているガイドラインを国の機関である郵政省が踏みにじるようなことはどうしてもおやりになってもらっては困るということです。またやれないはずであるということです。  VDT労働の問題に関連しまして、NTTにおけるVDT労働の問題をちょっと伺わせていただきたいと思います。  当然御承知のところでありましょうけれども、VDT労働がこういうふうにいろいろ大きな問題になってきているのは、今までの日本の労働者が経験してきたさまざまな労働と全く違った新しい労働の質が持ち込まれてきているわけです。これは一番大きいのは目の問題なんですね。ほかにもいろいろ問題ありますよ。だけれども、今までのさまざまな労働組合の取り組みの経過から見ても、あるいは学者、専門家の方たちの検討を見ても、それから実際に労働者が働いてきた経過の中から見ても目が一番やっぱり問題の大きいところになるんですよね。このことはガイドラインによる健康診断の第一の項目に眼科学的検査という項目を挙げていることによっても示されているわけですけれども、NTTが例えば一〇四番サービス——番号案内ですね、そういうものに全面的にVDT労働を導入して、最近東京サービスインしましたね、大阪はまだこれからのように伺っておりますけれども。そういう新しい質の労働が持ち込まれたわけですから、やはり今までの労働の実態に照らしてみても、労働条件をやはり十分考えなければならない問題だというふうに思うんです。  私は今細かいことをここでとやかく申し上げるつもりはありませんし、またその時間の余裕もないわけですけれども、実態を伺いますと、例えば休憩時間、一〇四番は全面的にVDTになったわけですから、VDT労働が入ったにもかかわらず休憩時間が今までと全く変わらないんですね。それで、それが今問題にしました労働省のガイドラインの制約に照らして今までの休憩時間を分割して、一時間なら一時間の中に入れられるようにするとか、今まで三十分で体操をしていたのを今度半分に分けて、そして二回するとか、これも随分こそくなやり方だと思いますけれども、こういうことをやってなるべくガイドラインに抵触しないようになすっているように見えますけれども、いずれにしても、新しく大変こういう過酷な労働が持ち込まれたのにふさわしい労働条件の改善というものがされていないと私は判断をいたしますけれども、今後この問題はやはり健康上大きな問題が生まれてくることは必至だと思うんですけれども、それに対する対応をNTTはどのように考えていらっしゃるか、お伺いをいたします。
  188. 和田紀夫

    参考人和田紀夫君) お答え申し上げます。  NTTにおきましては、この十月十日から東京において今おっしゃられましたVDTによる電子番号案内サービスを始めております。この電子番号案内台の導入に先立ちましてモデルルームを実用的に設置しまして、二年間にわたりまして労働医学の面とか人間工学の面での調査を行ってまいりました。その結果に基づきましてVDT機器及び作業環境改善を行ったり、作業者並びに管理者等に十分な労働衛生上の訓練、教育を行ってまいったところでございます。さらに、健康診断をVDTの導入前に行い、かつ導入後におきましても、今後半年後にまず第一回目のものを行おうというふうに考えております。  こういうようなことで処置いたしましておりますので、先ほど先生がおっしゃられました現行の労働条件の中で対処をしていけるのではないかというふうに思って、労働省の指針をも踏まえまして実施に移しておるわけでございます。
  189. 山中郁子

    山中郁子君 それは、病気になって目が悪くなってからじゃ遅いのよ、健康診断したって。私が申し上げたいのは、VDTになりましたでしょう、そして労働者の人たちから聞くと、私も昔仕事をしていたことがありますからよくわかるんですけれども、クロスバー台のときはいわゆる動作率というのはほぼ九〇%なんですよ。それがVDTになったらもう完全にこれは一〇〇%近いですね、話を聞いている限りでは。それは、またいずれ私、NTT調査の結果も伺いたいと思っているんですけれども。ですから、まず仕事の密度から言って上がっていることは確かです。  それからもう一つは、こういう新しいあれですから、今いろんなところで全国的にもまた国際的にも研究がされているんですが、御承知だと思いますが、アメリカのクレーグ・ブロードという人の著書がありますね、VDTの労働についてのかなり先進的な調査に基づく著書ですけれども。その中でもこれが非常に大きなストレスを生み出して、その結果が健康に大きな害を及ぼしているということもかなり明らかに示されていますし、今問題になっているのは休憩時間もそうだけれども、VDT労働に携わる一日の全体の労働時間を規制するという問題がもう大きな問題になっているんです。  私も幾つかの例を申し上げたいと思うんですけれども、日本でも、例えば地方自治体なんかでもVDT労働の場合には、具体例で申し上げますと、東京でも渋谷区とか立川市ですね、ここはVDT労働は二時間というふうに決めている。それから、これは「家の光」だと思いますけれども、労働組合としては農協労連ですけれども、ここでは三時間というふうに決めているんですね。それから社会保険庁では三時間二十分以内というふうに決めている。そういうふうに今、民間企業でも、公共企業体もそうですけれども、いわゆるVDT労働を今までと同じ感覚で六時間も七時間もずっとやらせるということはもう論外だというふうになっている、そのぐらい強力な疲労を労働者にもたらす労働だということがほぼ明らかになってきているんですね。  それで国際的にもそうです。例えばイギリスでは一日四時間以内というふうに決めていますし、それからカナダでも一日四時間以内というふうに決めているという状況で、国際的にもそういうふうになってきているんです。  私は、そういう点で今あなたと団体交渉しているわけじゃないから、少し大きな目で考えて、NTTとしても、それこそ大きな企業ですから、労働者の労働条件の問題についてはかなり重要な問題としてとらえていただかなきゃいけないので、将来問題としてもぜひまじめに考えていただきたいというふうに思うんだけれども、そういう考え方を持って検討されるべきではないか。つまり総労働時間の規制をしていく。一〇四番で言うならば、今まで交換台で普通にクロスバーで働いていましたね。その時間を文句なしに、何のあれもなしにそのまま引き継ぐ、しかも休憩時間もそのまま引き継ぐ。だからふえないわけですね、だから実労働時間は同じということになるわけだけれども、今までだって健康がいろいろ阻害されてきている面は多々あるわけですから、こういう新しい労働で世界的にも国内的にも大きな問題になっているから、やはりNTTは非常にまじめにこの問 題を将来展望として、休憩もそうですけれども、拘束時間を規制していくというふうに考えるべきではないかと思うんですけれども、その点について見解をお伺いしたいと思うんです。日本産業衛生学会でも一日四時間というのを超えてはならないだろうというふうに判断を下しているんですね。  それでもう一つ、私はNTTがそのことをよく考えなきゃならないと思うのは、電話局の場合は深夜労働があるんですよ。今までこういうふうにいろんな問題でVDT労働が問題になっているけれども、ほかはみんな昼間の労働ですよね。昼間の労働でも余り長い時間をすると健康に差しさわる、目を悪くする、しかも連続着席時間を長くしてはいけない、こうなっているのにもかかわらず、NTTの仕事は深夜もやるわけですね。普通の人間が昼間働く肉体的な生理はできているわけだけれども、それに逆らって深夜働くわけでしょう。その深夜にしかも過重な負担をかけるVDTの労働をするわけですから、そういう面からもやはりもう一歩進んだ対応が必要であろうと私は考えますので、ぜひともNTTがまじめにそれらのことについて対応していく見解をお示しいただきたいと思ってお伺いする次第です。
  190. 和田紀夫

    参考人和田紀夫君) お答え申し上げます。 先ほどもちょっと触れさせていただいたんですが、このVDTの導入に当たりましては過去二年間いろんな面から実験、調査をいたしておりまして、それに基づきまして現行の実施体制をとっておるわけでございますが、導入後のフォローアップといたしまして同じような観点から調査をフォローしていこうというふうに考えております。そういう調査の結果なども十分見きわめながらいろいろな判断をしてまいりたいと思っております。
  191. 山中郁子

    山中郁子君 これで最後です。  私は、NTTの労働者、つまり電話労働者ですね、電話労働者並びに労働組合もそうですけれども、この問題については、電話労働については大変苦い経験を歴史的に持っていると思うんです。それは、電話がずっと込んできて、そしてまた自動化が進んで機械化が進んできますでしょう、そうすると電話労働自体の密度がどんどん変わってきたんですよね。しかし、それでやっぱり五分の休憩ふやすのがどんなに大変だったかとか——まだに昼食時間が四十分しかないんですよ。これはほかの皆さん考えられないと思うんだけれども、そういう労働がずっと続いてきて、もう本当に私たち——私も経験者であるし及川先生もずっと経験していらっしゃったわけだけれども、その問題については長いことみんな苦労して取り組んできたんですよね。  今度また新しいこのVDT労働が入って、その点について労働者の健康の問題があいまいにされたまま、十分な保障がされないままにこの労働がばあっと入ってきちゃってそれが定着してしまうと、そこでまた病人が出てきた、健康破壊が出てきたというときに、もうこれ治すのが大変なんですよね。どの労働者にあってもそういうことはいろんな分野で言えると思いますけれども、少なくともNTTの電話の労働者に関して言うならば、そういう歴史を持っているのね。そこのところを私はよくお考えになっていただきたいというふうに思います。その結果が頸腕症候群だとか何だとかもう病人が続出して、そしてあなたたちもよく知っていらっしゃると思うけれども、あれは怠け病だの何だのと病人に対するさまざまな心ない仕打ちがありました。しかし、今それが職業病として大問題になってきているわけでしょう。  VDT労働が将来にそのような禍根を残す——このままいったら私は確実に残すと思います。だからそういう点で、やはり今フォローアップしてからというふうにおっしゃるけれども、フォローして改善すべきことを改善するのは当然のことですけれども、十分労働者の声に耳を傾ける、そしてこうしたさまざまなほかの分野での先進的な、もう既に始まっている実態やそれから国際的なそうした専門的な分野での発言などにも十分耳を傾けてこの轍を繰り返さないようにする責務がある、NTTの経営者にはその責務があるということを私は強く感じます。そのことを指摘いたしまして質問を終わります。
  192. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 答弁はいいんですか。大臣からの決意を聞かなくてもいいんですか。
  193. 山中郁子

    山中郁子君 せっかくの委員長のお言葉ですので、大臣の決意をそれではちょうだいをいたします。
  194. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 今先生挙げられました個々のケースにつきましては私熟知しておりませんのでコメントは差し控えさせていただきますが、電気通信分野というのは新しい分野でございますからいろいろ新しい職種や仕事が出てまいりますので、それに従事する職員の健康管理には十分意を用いていきたいと思っております。  特に関心をお持ちの目につきましては、私は乱視で近視で老眼でございまして、いろいろ本当に不便をいたしておりますので、よくその辺はわかっておるつもりでございます。
  195. 青島幸男

    青島幸男君 本日、開会当初から郵貯の非課税制度の問題についていろいろ論議が交わされておりまして、今やこの問題が大変重大事でございますので、重複することはあえて承知しておるわけですけれども、避けて通るわけにいきませんので、多少御意見を承ったり私の考えを申し述べたりしたいと思うんです。  本日の議論の経過からもわかりますように、脱税を目的として悪用する人を排除するためにそれにすがって老後を楽しみにしているという健全な方々の楽しみを排除してしまう。それはまさに本末転倒で、それはもう許すべからざることなんです。しかし、今までの経過を考えますと、歴史的な経緯なんかも含めて見ますと、今百兆あると言われておりますけれども、名寄せを徹底的に行えば、市中銀行などと違いまして、窓口を一本にすることは可能ですし、電算機あるいはコンピューターを通じまして住所と生年月日をあえて名寄せにお使いになるというお話ですけれども、もっと徹底してそれこそ背番号でもつけるような徹底した形で追求なされば、これは技術的には事実上できないことはないと思います。  しかし、今までのことから考えますと、市中銀行でもそうですけれども、今のうちでしたら余りかたいこと言いませんからどなたかのお名前で貯金なすったらどうですかというようなことを勧める実態もありましたし、郵便局なんかでも余り細かく言わなくて、それこそ飼い猫や犬の名前で判こだけそろえればいいじゃないかということで、一人の個人が手に余るほどの判こを持って通帳をつくったというような経緯も聞いております。そういうことを今即座にやれば混乱を起こすことは目に見えておりますし、徹底的にやれば百兆が三十兆になるか二十兆になるかそれはわかりませんけれどもね、そういう実態を恐れておりますね。しかも、もし徹底してやれば、それが個人の背番号制のような格好に通じてしまうことはこれはやむを得ないことなんですね。そのことの批判がマル優問題についても四、五年前になりますかね、グリーンカード制度にして徹底的にやれば、そういう悪用の実態は省けるから進めたらどうだろうという一部強力な意見がありまして、そのための専門のビルまで建てましたですね。あのビルが現在どうなっているのか私わかりませんけれども、かなり大きなスペースのビルをつくって、いざ発足という事態になりまして、そのときにこれはむしろ人道的な問題も含めるだろうし背番号制に通じるおそれもあるだろう、そのことまで冒して徹底的に個人の所有財産を明確にしていくことにそれほど意味があるだろうかというところがジレンマでして、究極法律の制定までいきながらうやむやのうちに現在に至ったということも承知しております。  しかし、このまま推移しますと、いつまでたってもそのことを恐れているために前進しません。それが、これをやめてしまおうという方々の意見に力を与えることになりまして、だからできもしないことだったら、いっそ全部やめにして老人と母子家庭だけ新たに保護をする手だてを講じてい く方がいいじゃないかなどというような見解も出てきまして、本末転倒の方へどんどん推し進められていってしまう傾向があると思います。  ですから、一挙にすべて背番号制にするぐらいの決意で、コンピューターに打ち込んで徹底的に究明してしまえということを申しませんが、そうなったときに百兆が三十兆、二十兆になるということを恐れる余り、逡巡し続けて年のたつのを放置しておきますと、そういう方々に勢いを与えて究極は本末転倒の結果を招いてしまうんではなかろうかという気がしますので、そこは恐れずに究明するものはするという格好で、ひそかにサンプルをつくって、どの程度が本当に悪用されているのか、どの程度が必要欠くべからざるものなのかということを、サンプルケースで結構ですから、実態を一応見きわめてみて、この程度だったらいけるんじゃないか、この程度だったらまたここに新たな考えが出てくるかもしれない——とにかく実態も把握しないまま恐れてさわらないという格好でいたのでは前進しませんので、少なくともサンプルケースぐらいのもので試算をしてみる、試案を立ててみるぐらいのところまで踏み込んで、これはもう公にやることじゃなくても結構ですけれども、そのくらいの勇気を持って事に当たるぐらいの決意がないとなかなか解決の糸口がつかめないと思いますので、そういう方向で御検討になったらいかがだろうということだけまず提言しましてこの問題から離れようと思いますけれども、この考えについて御感想がありましたら、一言でも二言でもお聞かせいただければ、先へ進みます。
  196. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 先生御提案の、一部の不正利用によって本来の制度がなくなってしまうというのは本末転倒だということは私もそのとおりだと思いますし、またそういった不正があってはだめだということで、グリーンカード以降の決着が昭和五十九年の十二月に今後限度額管理の徹底を官民とも徹底をして厳正化の措置をしようというふうに決めたのは先生御承知のとおりだと思います。そういう限度額管理の厳正化の方策としまして、私ども大蔵省と協議をいたした結果、ことしの一月一日以降まず本人確認の厳正化が現在実施されておりまして、その上に立ちまして名寄せのより正確なものをつくろうということで準備も着々といたしております。したがって、その税制法令の改正によりまして、ことしの一月一日以降のものにつきましてはそういう措置を行うということで進んでいるわけでありまして、その以前のものについてどうするかということにつきましては、いわば現状のままという状態を前提にして将来に向かっての厳正化が税制上も決定をされているところでございます。  現実にサンプルでもいいから何かそういった調査ができないかということでございますけれども、これはいわば大変難しいことでございまして、私は圧倒的に善意の人が多いと思うんですが、この名前の人が本当に住民票に照らしてみて現存しているのかどうかということを調査をするわけでございますから、大変これは困難なことだし、また預金者の理解も、五十九年に将来に向かってそういう格好で限度額管理の厳正化ということでやっているんではないか、決着のついた話ではないかという経緯もございますし、せっかくの御提案でございますが、事実上私は非常に困難だというふうに思います。
  197. 青島幸男

    青島幸男君 事を恐れずに現実を見きわめるという方向がまず何より真実に近づく道だと思いますので御提言申し上げたのですけれども、例えば払い戻しの際に改めて本人確認をしてまた別途課税をする方法でも考えるとか、いろいろ手だてはあると思うんですけれども、その辺は詳細にわたってはいろいろの手だてを具体的に考えていただくのは結構なんですけれども、現実問題として今私が申し上げたいのは、恐れを持っていてはだめだということだけまず提言申し上げたいと思います。  それから、話は変わるんですけれども、去年でしたかおととしでしたか、ジャンボ宝くじというのが出まして、前後賞を含めて当たると一等賞四千万とかなんとか、大変多額なものがありましたね。私も詳細はよく承知していないんですけれども、その際に宝くじファンの方が売り場へ殺到いたしまして、御老人の方が列の中で踏みつぶされるというようなことでけが人が出たりという不祥事がありまして、一斉に大勢のファンの方が小さな窓口に殺到するということは事故のもとだから何とかこれを事故のないようにしなきゃならぬだろうということも工夫されまして、郵便はがきによって希望者にお申し込みをいただいて——往復はがきでしたかね、あれは。それでくじを発売する方の当事者が適当に厳選をするなりして選んで、あるいは順位をつけてお買い上げをいただくようにして、この不祥事と申しますか事故は解消したというケースがありますね。  その際に、あれは第一勧銀かなんかなんでしょうか、順番なり申し込みなりをはがきでするようにという発想をしたのは主体はどっちなんですかね。郵政省なんですかね、それともくじを発売している主体なんでしょうか、どっちだったんでしょう。
  198. 富田徹郎

    政府委員(富田徹郎君) ただいまの件については、東京中央郵便局の職員であったかのような情報を得ております。
  199. 青島幸男

    青島幸男君 そうすると、それはその方の発案のおかげで混乱も解消したかわりにはがきの部数もふえましたですな。その事実はありますね。
  200. 富田徹郎

    政府委員(富田徹郎君) 結果的にはそうなるかとも思います。
  201. 青島幸男

    青島幸男君 今度私、ついせんだってですけれども、各金融機関の前に長蛇の列ができまして、御存じのように天皇在位六十年奉祝の金貨が出るというお話ですけれども、またその金貨にしてもテレホンカードにしても、最近は大変投機の対象になるようでしてね、いいことか悪いことか別といたしまして。一千万枚の発行と聞いておりますね。それで、どなたにも平等に御希望に沿えるようにということで、混乱を避けるために整理券のようなものをお出しになって、十枚に二枚当たる。それで混乱を避けるということで、各金融機関がそれぞれ担当の部署で整理券を渡したというふうに聞いております。  それが、金貨への投機の熱が非常にフィーバーしておりますので、伺うところによりますと、金貨を発行したら当然その日に十三万ぐらいの値がつくであろう。ましてや、十枚のうち二人当たるという、二番とか五番とか末尾番号できっと整理するんでしょうけれどもね。その当たりくじは、十万円持って金貨と交換すれば、その金貨が十三万になるとすれば、当然交換でき得る可能性を持ったくじと申しますか、その券が即座に万という金額の値になるだろう。ましてや、抽せんの前の番号札でも末尾がゼロから九までそろっていれば、それ自体で二枚当たる可能性があるわけだから、既にもうそういうルートに持っていけば数千円もしくは一万数千円の価値を生ずるようになっておるという実態がありますね。このことは余り出す方の大蔵省にしても好ましいことだとは思ってないでしょうし、テレホンカードについても、こうまでブームを呼んで収集の対象になったり投機の対象になったりするということはNTTも考えていなかったんだろうと思いますが、これは結果として当たり商品になったんですからいいんでしょうけれども、余り勧めた話ではないと思いますけれどもね。  しかし、出るのが一千万枚ですからね。そうすると、そういう欲得づくで、あるいはその金貨が欲しくてお買い求めになる方は、ただ単に整理番号を配るんじゃなくて、往復はがきでお申し込みくださいというふうにしたと仮定しますね。そうすると、往復はがきの料金分ぐらいは、本当に欲しいと思うマニアの方は余り問題にしないと思いますね。そうすると、一千万枚配るのに、五枚に一枚当たるんですから、整理券は五千万枚用意したことになりますね。そうすると、それをもし郵政省ではがきでお申し込みいただくようにと言いますと、おおむね五千万通とまでいかないけれど も、そのくらいの往復はがきの数が出たんじゃないかと思いますと、これ往復はがきで申し込みをするようにしてもらえれば、混乱は避ける上に郵政省にかなりその部数が伸びるという上で利益をもたらしたことになったんではなかろうかということも考えますので、この発売に関しては、その辺何かお考えになることはなかったんでしょうかね。
  202. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 大変正直なことを申し上げさしていただきますと、私、六月の末に貯金局長を拝命したのでありますが、その際に、天皇御在位六十周年の金貨の発売につきまして往復はがきでやるべきだということを申し上げたのであります。ところが、時既に遅しで、大蔵省を中心に各金融機関寄り集まりまして、こういう発売方法になりました、決定いたしておりますという話がありまして、私も恥をかいたのでありますが、私はそういったことを部内では提案をしたことがございます。まことにタイミングが悪かったので、不明を恥じております。
  203. 青島幸男

    青島幸男君 私はそれを全く知りませんで、局長のその意欲と先見の明には感服しまして、何ですか、今後また五百万枚ぐらいは増刷というんですか、余計に出すようなことも考えられておるようですから、その際にはひとつ大いに往復はがきを活用していただけるように進言なさって、郵政の基盤確立の上で大きな寄与をするんじゃないかと思いますので御提言申し上げます。  それはそれとしまして、郵政の各部門の方々の御努力によりまして累積赤字が減少しているということも拝見しておりまして、皆さん方の熱意と意欲にはかねがね敬服をしているんですけれども、ふるさと小包という大変いいアイデアがかなりの評判を呼んでいるようでございまして、北海道大阪へ御視察になられました方々もその辺のところは御報告いただきましたけれども、これがお中元期とかお歳暮期に大体集中するわけでしょう。そうすると、何かそのときに大量にそれを扱う人の恩典なんというようなことは考えたことはあるんでしょうか。
  204. 富田徹郎

    政府委員(富田徹郎君) 確かに、ふるさと小包は五十八年に開始いたしましてからおかげさまで好調に推移しておりまして、その販売促進方につきましては営業関係関係者、鋭意努力しておる最中であります。ただ、郵便小包でありまして、郵便小包の制度としましては大口差し出し、一回に同時に十個以上あるいは百個以上というような限度で割引制度はとっておりますが、商品そのものはこれは郵政省の商品というわけじゃなくて、そのふるさと小包を出しております商店と申しますか発売元がありまして、そこの商品でありますので、その商品そのものをたくさん買ったからといって奨励するような形の制度はちょっと郵政省としてはとり得にくいところだというふうに思っております。
  205. 青島幸男

    青島幸男君 それを郵政省が率先してやりますと、多少法改正だの何だの、いろいろまた厳しい問題も出てくるかもしれませんね。しかし、その営業主体が勝手にやる分には余り問題はないんじゃないかと思いますけれども。ですから、よく商店なんかでやるように、お歳暮とかお中元の大売り出しで何千円以上お買い上げの方にはどこどこの優待券を差し上げますとか、その程度のサービスで新たな需要を喚起するということは当然常常行われていることですね。ですから、その品物を提供なさる商社といいますか、農協さんだったり漁協さんだったり、あるいは商店だったりもしますけれども、そこがそういうことをお考えになって新たな需要を喚起するというケースが起こっても、法に抵触するとかあるいは運用上問題が残るとかということはないような気がしますけれども、いかがですか。
  206. 富田徹郎

    政府委員(富田徹郎君) 自治省系統の団体でございますが、地域活性化センターというようなところがございまして、そして各県の産物をいろいろ取りそろえまして、それを郵政省郵便小包のふるさと小包の中に取り入れまして、それでそのカタログを郵便局等に置くことによりましてその地域の産物の販売促進に資するようなことも考えております。  また、確かにお中元期、お歳暮期にはそういう種類の小包が出回るわけでありますので、部外の団体等を利用しまして、積極的な利用勧奨のために、例えばふるさと小包フェアでありますとかふるさと小包試食会といったようなものも、郵政省自身ではございませんが、そういう団体の手によって若干は行われておるところであります。
  207. 青島幸男

    青島幸男君 それを推し進めていただいて活力あるものにして、ますます御利用がいただけるようにということでお骨折りいただくことを希望いたしまして、あとの問題は重複しますので、この程度にとどめます。
  208. 平野清

    平野清君 サラリーマン新党の平野清でございます。  サラリーマン新党といたしましては、少額貯蓄非課税制度並びにマル優の撤廃につきましては断固反対する態度をとっております。まして、その理由が不正者が多いからというような本末転倒は許せないと思います。  また、大蔵省の説明によりますと、経済情勢が変わったからというようなお話がございますけれども、諸先生おっしゃいましたとおり、これから老齢化がどんどん進んでいく。むしろ老後のための貯蓄というものはこれからさらに重要性が増してくると思います。ただ諸先生、朝からずっとこのマル優問題でやっていらっしゃいますので、重複を避けましてただ一つだけ御指摘をさせていただいて、郵政大臣にハッパをかけるというか、御決意を聞きたいんです。  ここに二枚の新聞のコピーがございます。一枚は、去る九月十九日金曜日の夕刊の記事でございます。マル優悪用が一兆四千億円ある。これは金融機関のたった一割を調べただけで、記者会見で夕刊に間に合わすように大蔵省が資料を発表したものでございます。一夜明けて二十日の新聞でございます。やはりこれはほとんど各社が一面もしくは大きな見出しで取り上げております。政府税調特別部会がマル優の廃止で一致したというふうになっております。  先ほど来、郵政大臣もそれから郵政省のほかの方もこの制度を守るために一生懸命やるというふうにおっしゃっていますけれども、ただ一生懸命守る守るとおっしゃってもそれっきりになってしまうわけで、何らかの防衛策をとらなければおかしいと思います。これは大蔵省の役人さんがちゃんと政府税調の特別部会でそういうことをきめるその日に記者に資料を発表しているわけです。そうしますと、次の新聞にきちっと「マル優廃止で一致」ということが載ります。これははっきり言って、大蔵省が頭を使った世論操作であり、マスコミ操作だと思います。そういう点で郵政省の方もただ断固守るというのじゃなくて、もうちょっとこの制度を——例えば世論調査をもうさっき聞きましたら、国民の七〇%がこのマル優もしくは非課税制度貯蓄を断固守ってくれというふうに言っているようなんですね。国民の七〇%が支持しているんですから、もう少し毅然たる態度と同時に、もう少し国民にPRするとか政府の方にあれするとか、そういうことが必要じゃないかと思います。  それで、この連続して出た記事を郵政大臣としてはそのままに見逃されたのか、同じ閣内で大蔵省にいちゃもんをつけられたのか、それとも今後自分の方のPRとしては何らかの手を打たれようと思っていらっしゃるのか、そのところをちょっとお尋ねしたいと思います。
  209. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 我々が少額貯蓄非課税制度を何とかして存続させたいと主張するからには、それは不正利用があってはこれは絶対ならないと思っております。  けさほどから、るる申し上げているように名寄せと本人確認、これを徹底してこの厳正化を図ってまいりたいと思っております。  それにつきまして、いろいろな報道につきまして我々も若干腑に落ちない点等もございまして、政府委員からちょっと御説明をさせたいと思いま す。
  210. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 九月十九日、二十日に報道された件につきましては、確かに事実と同時に推定のようなのが非常にありまして、その後新聞でも一部報道されましたが、要するに税務調査にどの支店に入るかというには、入った場合に不正が多そうなところをサンプル調査と。大体毎年、一年ですから、十年に一回回ってくるというようなことで、その不正の事実が多そうなケースのところに入ると。したがって、そこで出たケースをただ十倍して、元本が十数兆だとかというような推計は非常に何というんですか、事実を誇張する可能性があると、こういった記事も新聞にも報道されたことがございますので、まあそういった点は確かにあろうかと思いますし、全銀協の方も単にその推計だけでそういった報道がなされることは非常に遺憾だといったようなお話も出ておりましたが、まあ私どもとしてもマスコミ等に対していろいろと御理解をいただくように今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。     ─────────────
  211. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、橋本孝一郎君が委員を辞任され、その補欠として井上計君が選任されました。     ─────────────
  212. 平野清

    平野清君 マル優の問題は朝から大変出てきておりますので、私はきょうは特定郵便局の問題についてちょっと御質問をさしていただきます。  特定郵便局、全国に一万九千以上あると言われておりますが、先ほどの、先般の簡易保険の七十周年、それから郵便年金の六十周年、そういう輝かしい実績を迎えたのも、全国に散らばっておりますこのような特定郵便局の人たちの大きな力があずかって十分あると思います。また、いろいろな地域で、その地域指導的な役割といいますか、核となってその発展に多大な貢献をしております特定郵便局の果たすべき今後の役割というようなことについて郵政大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  213. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 郵便局は郵政三事業郵便貯金保険などでもって国民生活に不可欠のサービスをあまねく提供いたしておるわけでございます。特に特定郵便局は、先生言われましたように一万九千余ございまして、郵政事業サービス地域の最先端において提供いたしておるわけで、国民の皆様に非常に親しまれている。村で局長さんと言うと、大体特定郵便局の局長さんを指すわけでございます。  それで、今後の役割と申しますか、これは二十一世紀に向けて長寿社会、高度情報社会を迎えるに当たりまして、特定郵便局もそのチェーン性を十分に発揮いたしまして地域社会の発展、地域住民福祉の向上に寄与することが期待されていると。先生御存じだと思いますが、その懇談会がありまして、今後の特定郵便局の役割というものでもう結論も出ておるわけでございまして、そういう面でさらに国民の皆様にサービスを徹底してまいりたいと考えております。
  214. 平野清

    平野清君 その特定郵便局のいわゆる局長さんがいらっしゃるわけですが、その役割をどう評価して、今後果たすべき役割大臣にお聞きしたいわけですが、最近の特定局見てますと、無集配特定局の昼の時間帯をお客のために開放したり、CDを初め機械化の稼働時間をさらに延長したり、それから不在者のとめ置き郵便物の引き渡しの方法など、最寄りの特定局で交付が受けられるようにするなど、大変な苦労が特定局にのしかかっているわけです。特に年金保険とか郵便年金の問題、簡易保険の問題、集配局の二十数人の保険要員が束にかかってもかなわないような特定郵便局長さんがいらっしゃって、一人で五十億、六十億というような年金の契約をなさるというような方もよくお見受けをするわけです。これにこたえていくためには、特定局長さんに対する待遇改善とか、そういう問題がたくさんあろうかと思いますので、ぜひその点をお聞かせ願いたいと思います。
  215. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 御指摘のとおり、最近の特定局は各事業を通じての、できるだけお客様に喜んでいただきたいということでサービスの中身が大変拡充をされ、そのためにいろんな努力が要るわけでございまして、この中で特定局長が現に果たしている役割というのは御指摘のとおり大変大きいものがある次第でございますが、御案内のとおり、この特定郵便局の処遇と申しますか、給与については、職員を含めまして、国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法というのがございまして、そうした法律の精神を踏まえつつ、これまでも待遇改善には努力をしてきたところでございますが、今後とも御指摘のとおり処遇改善については常に心がけて努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  216. 平野清

    平野清君 局長の待遇につきましてはいろいろな拘束があると思いますが、それだけ大きな力となって郵政事業を支えているわけですから、今後ともその待遇改善につきましては格段の配慮をお願いしておきたいと思います。  一方、国家公務員としての局員ですけれども、四週六休体制というものが近々試行されるわけですけれども、少人数のために特定局というのは非常に労働過重になっていると思うんです。そういう局員の今後の週休二日制といいますか、そういう現状と見通しをお聞かせいただければと思います。
  217. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 特定局職員の週休二日制については、これは御案内のとおりでございますが、この八月から金融機関が一斉に第二、第三の土曜日を休業するということに相なりました。したがいまして、窓口だけの郵便局、無集配特定郵便局は、職員はそれに従って週休二日制の実施が現に可能になっておるところでございますが、同じ特定局でも郵便を配達をする集配特定局は、職員貯金保険郵便、いろんな業務を兼ねております。その局では第二土曜日であれ第三土曜日であれ、郵便は平常に業務を行っておりますので、これは無集配のようには一斉に休むわけにいかないということで、まだ現にこうした集配特定局は、一部を除きまして大半はまだ実施に入るわけにはいかない次第でございます。  しかし、御案内のとおり、最近国家公務員につきまして閣議決定が出まして、四週六休制についての試行ということも始まる次第でございますので、これらの未実施の特定局についても、ぜひその閣議決定の精神にのっとりつつ、つまり服務の効率化ということを工夫をいたしながら、できるだけ早い機会に四週六休が可能になるように努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  218. 平野清

    平野清君 私ごとで大変申しわけないんですが、郵便局のすぐそばに生まれたのと、いろんな友人、それから息子の友達連中の親が郵便局へ勤めている。若いころからこの郵政というものに非常に興味を持っております。そういう意味で特定郵便局長さんというのは、先ほど大臣がおっしゃいましたとおり、土地の知名士でございましたけれども、だんだん世代交代が進んで、登用試験で入ってきた人とか、それから無理やり親に口説かれてほかの道から戻るような人、だんだん特定局の制度ががらっと色彩が変わってくるような気がいたします。そういう意味で、地域とあれだけ密着していた郵便局が国民から離れていってしまうのでは非常に残念でございますので、そういう労働待遇の面などでも格段の御配慮をお願いしたい。  それで、日ごろ郵便のことのサービスを見ておりますと、時々気になることがあります。まず一つは、これ、その郵便局の名前がわかってしまってほかわいそうなので、一応ここに紙を当ててまいりましたが、留守にした場合の郵便物を受け取りに来てもらいたいというはがきなんですが、大変細かくて、普通の今の老人ではなかなか読めない。この点を改善してほしいというふうに申し上 げようと思いましたら、何か十月からほぼ倍ぐらいの大きさの活字になりましたので、これはまあまあいいんですが、同じ郵便局から出た——これ三通あったんですが、最後の一通は物を受け取りに行っておりますので手元にございません。  一通目は「〇〇郵便郵便課御中」と書いてございます。「御中」とわざわざ書いて出したんだけれども、取りに来ない。じゃ今度は「行」なのかということになります。片一方は「○○郵便郵便課行」と書いでございます。郵便文化をしょっていらっしゃる郵便局ですから、「御中」の意味はよくおわかりだと思いますが、郵便局が出す郵便に、自分の方のあて名に「御中」と書くという神経が、幾らサービスがよくなって民営のまねをしておるとかなんとかおっしゃっても、これでは子供たちに郵便文化とかやれなんとかということを教えられないんじゃないか。  最近は、「○○方」なんて、「様」なんかをつけない若者が多うございます。手紙を書く世代もどんどん減ってまいります。そういうときに、郵便局の方できちっとした郵便のシステムなり文化なりをちゃんと示していただかないと困るんじゃないかというふうに思います。  それから、最近銀行のまねをいたしまして「キャッシュコーナー」が各特定郵便局にもございます。大きな銀行は単に「キャッシュコーナー」ということできちっと表示をしてございます。郵便局さんだけは小さな信用組合なんかと同じように「キャッシュ・サービス・コーナー」と書いてございます。省力化でもって人がいなくて、勝手に窓口へ来るよりそっちの方が早いんだからそっちで出してくれというところに何で「サービス」がついて——銀行の方はきちっと「キャッシュコーナー」でございますと、こちらの方が早いからこちらで御用を足してくださいというふうに意思表示しております。時間外もやるからサービスかもしれませんけれども、銀行の方が当たっているような気がいたします。  もう一つは、留守に郵便物がやってまいりますときに受け取れなくて、今の核家族時代が進んだり共稼ぎが進んだりして、なかなか不在者の郵便物というのは受け取りにくい。私、これを特定郵便局が預かってくれて、すぐそばの郵便局に行けば受け取れるようにしたらいいんじゃないかということを、きょう御提案しようと思ったら、先日送ってまいりました郵政のパンフレットに、十月一日から実施するとありましたので、それは大変残念だったんですけれども、大変いいことにお気づきになったので、その点はぜひ近くの特定局で受け取れるようにしていただきたいと思います。  その文字なんですが、こういうのを全部送ってきますと、「不在者留置郵便物の交付」というふうに書いてあるんです。ちょっとここに大きく書いてきましたんですが、中学生に読んでもらったら、不在者「リュウチ」郵便物だというんですね。要するにとめ置いた郵便物は、留守をしたのは悪者だからとめられちゃったと中学生は言うわけです。これは不在者保管郵便物で済むわけですね。不在者のいわゆる保管郵便物で済むと思うんです。それを何でこんな難しい言葉をつけて「不在者留置郵便物」中学生に「リュウチ」と読まれるような言葉をお使いになるのか。民間のまねする、まねするとおっしゃっていても、こちらと同じように何か難しい言葉をお使いになる。  それから、自分に来た郵便物郵便局に取りに行って、何で「交付」なのか、私にはちょっとわからないですね。加藤さんという人から平野のところへ来て、郵便局へ行くとその郵便物はおまえに交付する、「不在者留置郵便物の交付」とどこにも書いてある。もうちょっと何か神経使われて、せっかく民間に溶け込んで、民間に負けないふるさと小包その他やられるんだったら、官庁用語をどんどん廃止されて、客に親しまれる、お客さんにいつまでも利用されるということがないと、頭だけでお客さんお客さんと言ってもこういう始末になるんじゃないかと思います。  そういう意味で、これからも郵便行政というのは国民に大変親しまれて重要な機関だと思いますので、もっともっと民主化していただいて、国民に親しまれる機関にしていただきたいと思います。  それから、後で何か決議の取り扱いがあるそうなんでちょっと時間を短縮しますけれども、先ほど隣の青島先生からも、例の金貨の往復はがきの御提案があったら、さすがに郵政の方もお気づきになっていたというんですが、その前にエコーはがきその他青島先生がそのたびに御提案をなさって、それを郵政の方がお使いになって大変なもうけをしていらっしゃる。たまには大臣から青島先生に特許料を払うとか感謝状ぐらいは差し上げても罰が当たらないと思います。これはお答え要りません。  これで終わります。
  219. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  速記をとめてください。    〔午後四時四十六分速記中止〕    〔午後五時九分速記開始
  220. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 速記を起こして。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十分散会