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1986-11-26 第107回国会 参議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十六日(水曜日)    午後三時三十一分開会     ─────────────    委員異動  十一月二十六日     辞任         補欠選任      木宮 和彦君     海江田鶴造君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松浦  功君     理 事                 出口 廣光君                 増岡 康治君                 志苫  裕君                 抜山 映子君     委 員                 岩上 二郎君                 海江田鶴造君                 金丸 三郎君                 久世 公堯君                 沢田 一精君                 田辺 哲夫君                 高橋 清孝君                 山口 哲夫君                 渡辺 四郎君                 片上 公人君                 馬場  富君                 神谷信之助君                 秋山  肇君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    葉梨 信行君    政府委員        警察庁警務局長  大堀太千男君        自治省行政局公        務員部長     柳  克樹君        消防庁長官    関根 則之君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        文部省教育助成        局地方課長    奥田與志清君        文部省体育局学        校保健課長    下宮  進君        労働省労働基準        局安全衛生部長  福渡  靖君    参考人        地方公務員災害        補償基金理事長  柳澤 長治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 松浦功

    委員長松浦功君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、木宮和彦君が委員を辞任され、その補欠として海江田鶴造君が選任されました。     ─────────────
  3. 松浦功

    委員長松浦功君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案審査のため、参考人として、本日、地方公務員災害補償基金理事長柳澤長治君の出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松浦功

    委員長松浦功君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 松浦功

    委員長松浦功君) 地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。葉梨自治大臣
  6. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) ただいま議題となりました地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  政府は、既に、国家公務員災害補償制度につきまして、人事院意見の申し出に基づき、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を、今国会に提出いたしておりますが、地方公務員災害補償制度につきましても、これと同様の措置を講ずる必要があります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案概要につきまして御説明申し上げます。  まず第一に、年金たる補償に係る平均給与額改正であります。  年金たる補償の額の算定基礎となる平均給与額について、自治省令で定める年齢階層ごと最低限度額及び最高限度額を定め、年金たる補償を受ける者の平均給与額が、この最低限度額を下回り、または最高限度額を超える場合には、この最低限度額または最高限度額を、その者の平均給与額とすることとしております。  ただし、この法律施行の際、既に年金たる補償を受けている者であって、最高限度額を超えているものにつきましては、施行前の平均給与額を保障することとしております。  なお、この最低限度額及び最高限度額は、労働者災害補償保険制度において用いられる額を考慮して自治大臣が定めることとしております。  第二に、通勤定義に関する規定整備であります。  通勤災害の認められる通勤範囲について、規定整備を行い、自治省令によって具体的に定めることとしております。  第三に、監獄等に収容されている場合には、休業補償の支給を行わないこととするほか、所要規定整備を行うこととしております。  なお、以上の改正は、年金たる補償に係る平均給与額改正等につきましては昭和六十二年二月一日、通勤定義に関する規定整備及び収監中の場合の休業補償取り扱いについての改正につきましては昭和六十二年四月一日から施行することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決賜りますようお願い申し上げます。
  7. 松浦功

    委員長松浦功君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 山口哲夫

    山口哲夫君 質問に入る前に答弁に立たれる方にお願いをしておきたいと思いますけれども、きょう、所要時間四十分でございますので、問題たくさんありますので、ひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。  柳澤参考人、どうも御苦労さまでした。早速基金業務執行態度についてお尋ねしたいと思います。  この法律目的というのは、「地方公務員及びその遺族生活の安定と福祉の向上に寄与すること」と、こう書かれてあります。そういうことになりますと、基金は常に災害を受けた者の立場に立って業務を行うべきものと考えておりますけれども、いかがでしょう。
  9. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 公務災害は本来起こってはならないものでございますが、万一、このような災害に遭った職員またはその遺族に対しましては、公務災害補償制度によりまして迅速かつ公正な保護を及ぼし、これら職員またはその遺族福祉の増進を図ることとしているところでございます。地方公務員災害補償法目的が達成せられますよう、引き続き適切な運用を図ってまいりたいと考えます。
  10. 山口哲夫

    山口哲夫君 災害を受けた者の立場というものをできるだけ尊重していただきたいと思うわけでございますけれども、公務外として認定した場合、その場合には当然被災者が納得できるように文書をもって親切に、私はその理由を明らかにするべきものと思いますけれども、今後はこういった文書をもってきもっと理由を明らかにしていただけますか。
  11. 柳澤長治

    参考人柳澤長治君) 現在の認定の場合には文書通知は差し上げていますが、これは結果だけでございます。御指摘理由を付してということでございますが、一部の基金におきましては、文書理由を付して通知を差し上げております。なお、理由を付さない件におきましては、被災職員に直接お会いしまして、十分理由口頭で説明いたしまして御納得をいただく、こういう形にしております。  そこで、要は被災職員公務外理由を十分熟知するということが必要でございますので、支部の場合には被災職員と面識があるとか、現場の事情に詳しいのでございますので、一応どちらの方法をとるかにつきましては支部に一任したいと、こういうふうに考えております。
  12. 山口哲夫

    山口哲夫君 口頭で説明するのも結構だと思うんですけれども、なかなか口頭だけでは十分意思が伝わらないこともありますし、それから、後ほどその理由というものを明らかにしようと思ったときに、口頭で言えばそれがどういうふうに理解していいかわからないこともある。だから、やっぱり被災者がきちっと納得できるような理由というのは、これは文書をもってやるのが妥当だというふうに考えますので、ぜひ今後は文書を中心としてやるように各支部に対する御指導をいただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。
  13. 柳澤長治

    参考人柳澤長治君) 文書理由を書くということになりますと、どの程度の理由を書くか。例えば、裁決書のようなものであればかなりの部数が要るということで、支部作業量がふえるという問題が予想されます。そういう点で、御指摘趣旨を踏まえまして、一応支部と相談させていただきたいと思います。
  14. 山口哲夫

    山口哲夫君 口頭でお話しするのも文書にするのも、中身は変わるものじゃないと思うんですね。私はそんなに業務量がふえるなんというものではありませんと思います。ですから、ぜひひとつ文書をもってやるように考えていただきたい、お願いしておきます。  それから次に、循環器系疾患認定基準見直しについてお尋ねします。  過労による心筋梗塞、それから脳出血などの疾患公務との因果関係が非常に難しくて、申請が却下されるケースが多いわけです。ところが、これを今度審査請求をいたしますと、公務上として認められるケースもまた多いわけです。ということは、こういう場合には基金認定した仕方が間違っていたという否定につながってくると思うわけです。ですから、私は、やっぱりこういう問題というものは現場が認めたら、一番よく知っているのは現場なんですから、その現場で認めたものはそのまま公務上と認めるべきだというふうに思うんですけれども、現場意見をもう一〇〇%尊重するという立場に立てないでしょうか。
  15. 柳澤長治

    参考人柳澤長治君) 循環器疾患につきましては、御存じのとおり非常に事案が複雑でございまして、医学的にもいろんな意見の分かれるところでございます。そういう点で、まあ全国的な統一基準でこれを判断するということが、どこの地方団体職員であっても公正な補償を受けれるという観点に立ちますと、一応統一的な基準お願いするのがよかろうというふうに考える次第でございます。
  16. 山口哲夫

    山口哲夫君 基金というのは、これは自治体のいわば代行機関ですね。そうしますと、自治体判断したものというのは、これはもう全面的に認めるというのが筋じゃないでしょうか、いかがですか。
  17. 柳澤長治

    参考人柳澤長治君) 御指摘のように基金自治体代行機関でございます。したがいまして、任命権者意見を十分尊重するように心がけております。  ただ、公務災害につきましては、災害公務との因果関係が十分に認められなければならない、こういう問題がございます。そういう点で、その点につきましては、公務災害補償の基本的な考え方でございますので、この点は堅持してまいりたい、かように考えております。
  18. 山口哲夫

    山口哲夫君 私は、代行機関である以上は、当然その自治体判断したものについては、これは一〇〇%尊重するのが筋だというふうに思いますし、またどうしてもこれが納得できないという考え方がもしあるとするならば、そういう場合には例えば第三者機関としての人事委員会を使う。そういうやり方もあると思うわけですね。国の方ではたしかこれは人事院が行っていると思いますので、そういう方法もありますから、できるだけ第三者機関である人事委員会なりあるいは自治体判断したというものを、努めてひとつ尊重するようにしていただくことを強くお願いしておきたいと思います。  それで、基金支部長とそれから理事長の間に協議事項というのがありますね。この協議事項関係について、循環器系疾患については公務外とする場合を除き、当分の間理事長と協議する、こういうように指導をしているわけですね。どうして循環器系のみ当分の間協議をする必要があるのか、この辺いかがですか。
  19. 柳澤長治

    参考人柳澤長治君) 循環器疾患につきましては、先ほど申し上げましたように、疾病の態様としては非常に複雑なものがございます。特に問題になりますのは、素因または基礎疾患がある場合に、公務起因性があるかないかということで、かなり議論がございます。そういう点で支部でもなかなか判断がつきかねるだろう。こういう問題がございますので、医学的にもう少し解明できるまで、あるいは本部協議との先例が重なって、支部で自主的に判断ができるというまでの間は、一応本部に協議していただいて、補償の公正を確保するということに努めてまいりたい、かように考えております。
  20. 山口哲夫

    山口哲夫君 ということは、具体的にどのぐらいの期間のことを言っているんでしょうか。
  21. 柳澤長治

    参考人柳澤長治君) 現在のところ、当分の間という表現にしておりますが、これはいつまでも将来にわたって本部協議が必要ということではございませんので、医学の進歩によりまして、基礎疾患公務起因性との関係が、そう判断に苦労しなくてもわかるというふうなまでの期間、あるいはいろんな先例が積まれまして、それによって支部がわりかし容易に判断できる、これまでの期間を考えております。
  22. 山口哲夫

    山口哲夫君 どうも当分の間というのは、それぞれの都合のいいように使われる危険性が多分にあるので心配なんですけれども、とにかくこの循環器系というのは、どういうわけか公務災害として申請しても却下されるのが多い。しかし、それを不満として審査請求すると、今度そこでそれを公務災害として認められる例が多いということからいきますと、これは、基準をそんなに厳格にする必要はないんじゃないかなというふうにも思いますですね。  ですから、その辺について何らかの、やっぱりこれだけの多くの問題が起きているわけですから、しかも、本部として却下したものが逆にそれが審査請求でもってひっくり返される例が多いという、これはほかの病気よりも特に多いわけでしょう。ですから、何かここに問題があるんじゃないだろうか。そういうことから考えると、もう少し各支部で行っている判断というものを私は認めていってもいいんじゃないのかな、現場主義をもう少し貫いていってもいいんじゃないだろうかというような考え方もあるわけです。何か基金本部の方で、この問題に関しては少し締めつけが多過ぎるんじゃないだろうかというようなことを感じるわけです。この点、いかがでしょうか。
  23. 柳澤長治

    参考人柳澤長治君) 認定につきましてはおおむね支部に一任しております。支部が自主的に判断していただくということも本部としても期待しているわけでございます。ただ、全国的に統一を図らなきゃならぬというまず問題が、補償の公正の確保という点からございます。そういう点で、支部取り扱いが困難と判断した事項については本部に協議していただくという形で、御指摘のようにでき得る限り支部の意向を尊重するようにやっております。
  24. 山口哲夫

    山口哲夫君 全国的な統一を図ろうとしながら、そういうふうに審査請求でひっくり返るという問題が起きているわけですね。ですから、そういう統一を図ることによってかえって私は問題が複雑になってきているような感じもしてならないわけです。今理事長がおっしゃるように、できるだけ現場を尊重する、こういうようなお考えのようでございますので、ぜひひとつ、できるだけ現場尊重考え方に立って、こういう問題も取り扱っていただくようにしていただきたい、そんなふうに思います。  大変言いにくいことを一言申し上げておきたいと思うんですけれども、被災者というのは非常に弱い立場にあるわけですね。何とか災害として認めてもらいたいという、そういう要望を持っている弱い立場にあると思うんです。それでどうも、私も随分あちこち選挙の関係で歩きましたけれども、いろんな方々意見を聞きますと、何か基金方々というのは、災害補償をしてやるんだという、何か自分たちのものを与えてやるような、そういう考え方で接しられるという、そういう声が随分あるわけですね。だから、非常に恐ろしいというような声も聞くことがあるわけです。ですから、極めて弱い立場に立っている人が相手なんですから、もっと私は親切に、本当にそういう方方が心から納得できるように、たとえ公務外にされた場合であっても十分納得できるように、そこは親切に今後扱っていただきたい。このことを基金の方に特にお願いをしておきたいと思います。  それで、次の第二の問題は、法改正の具体的な問題に入りたいと思いますけれども、まず平均給与額限度額を設けるということについてお尋ねしたいと思います。  この限度額設定は、労働省賃金構造基本統計調査基準はなっているわけですね。この調査対象というのは民間企業賃金対象にしていると思うわけです。今のこの法改正というのは、これは地方公務員ですね。ですから、これは公務員災害補償なんですから、被災職員平均給与額を公平に反映するものとしては、当然これは公務員平均給与を用いるべきではないだろうかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  25. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) ただいま先生指摘のように、最低限度額最高限度額算定基礎には民間賃金を使うことにいたしております。これは、この制度自体のねらいといたしまして、平均給与日額算定する際は、現在御承知のとおり三月間の平均を使っておりますが、これが将来の年金たる補償ということになりますと相当長期間にわたるわけでございまして、そういう観点からいたしますと、その年金の中で不均衡と申しますか、が生じてまいります。そういうことからいたしますと、年金の不均衡を是正する、そういう基準から見まして、やはり一般勤労者賃金というものをもとにして算定する。要するに公務員だけではなくて、一般勤労者全体という広い目でこの限度額設定する、こういうねらいでございます。
  26. 山口哲夫

    山口哲夫君 対象がこれは地方公務員なわけですね。そういうことからいきますと、民間公務員では現実賃金とか労働条件、こういう内容がおのずから異なってくると思うわけです。ですから、そういうことから考えれば、賃金実態なんかについても相当の違いがあるだろうということを考えた場合には、これは、やはり公務員対象にしている以上は公務員賃金というものを、平均給与額というものを反映するようにするべきであろう、私はそういうふうに思っております。ここは意見の違いだと思いますので、私はそう考えるべきだということだけは強く申し上げておきたいと思います。  それから、最高限度額のピークというのは五十歳から五十五歳になっていますね。資料いただきましたらちょうど五十から五十五歳までが最高限度額ということになっているわけでして、五十五歳からずっと下がっていくわけです。ところが在職者について見ますと、五十五歳で下がるかというと給与は必ずしも下がらないわけです。そうすると、どうしても公務員給与実態というものが限度額に反映されていないんでないだろうか。五十五歳を過ぎれば逆に低くなっていくというやり方というのは、現実とちょっとかけ離れていやしないだろうかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  27. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 確かに先生おっしゃるように、最高限度額のカーブはそういうふうになっておりますが、これは今回の改正内容が、再々申し上げて恐縮でございますけれども、年金受給者との均衡、それから一般勤労者との均衡ということで、労災、国家公務員災害補償地方公務員災害補償を通じまして、すべて同じ基準でそういう均衡を図ろうという考え方でございますので、そういうような設定になっておるわけでございます。御理解いただきたいと存じます。
  28. 山口哲夫

    山口哲夫君 それから、次に危険な職種というのがありますね。例えば消防職員であるとか警察官であるとか、こういう危険な職種に従事している者が受けたときの災害補償というものは五割増しということです。ところが、これでも最高限度額が働きまして、従前より低水準の補償になることもある。これはちょっと今までの権利というかそういうものからいきますと、逆にダウンをするということになりはしないだろうかという不安があるんですけれども、その辺いかがでしょうか。
  29. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 特殊公務の場合には、一般的に先生おっしゃいますように五割増しということでございますが、これは確かに平均給与額自体が下がってまいりますと、それの五割増しということになりますので、先生のおっしゃるような限度額以上の平均日額の人には、そういう場合があろうかと存じます。
  30. 山口哲夫

    山口哲夫君 そういう点で、今までよりも逆にダウンするということについては、非常は問題があるというふうに思いますので、その点は十分ひとつ配慮をしていただかなければいけないんじゃないかと思います。  さて、次に通勤災害の問題について質問をいたします。  今回の見直しでは、学校職業訓練施設への通学あるいは人工透析に当たっての通院なんかは、今度は含まれるようになったわけですね。それは大変結構なことだと思うんですけれども、そのほかに、勤務する場合にはどうしてもこういうことをやっておかなければ勤務につけないという問題が幾つかあるわけです。例えば子供保育所に預ける場合、それから親御さんのところに預ける場合、あるいは最近老人施設が非常によくなりまして、出勤前にお年寄りを、親をそういう施設に預けていくという場合もあるわけです。それから、学校先生方家庭訪問ということもありますね。こういうような場合も、当然通勤災害範囲に含めるべきではないかなと思うんですけれども、どうでしょうか。
  31. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 日常的な行為を行うという場合に、短時間で用事が済むというような場合には通勤経路から逸脱をいたしましても、その前後の期間通勤期間にするという原則は一応ございます。そしてただいまおっしゃいました例の中では、すべてについてはお答え申し上げる準備ができておりませんけれども、例えば保育所の場合、共稼ぎの人が保育所に連れていくというような場合には、これを合理的な逸脱であるというふうに認めた事例もございまして、そういう日常生活上必要欠くべからざる行為ということの判断によって、先生おっしゃったものについても十分対象になり得る場合があろうかと存じます。
  32. 山口哲夫

    山口哲夫君 具体的に、そうしますと、子供保育所に預ける場合とかお年寄り老人施設に入れる場合、学校先生の帰りの途中に家庭訪問をする場合、これは全部含まれますね。
  33. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 失礼いたしました。ちょっと言い忘れましたが、家庭訪問の場合にはこれは公務でございますから、恐らく出張と同じような扱いとして考えられるのではなかろうかと思います。  それから、もう一つおっしゃいました老人ホームに寄るという場合ですと、これはかなり日常生活上ぜひどうしても必要なものかどうかということになりますと、かなり具体的な事例を見て判断しないと難しい問題があろうかと思いますので、これが直ちに該当するというふうにここで御結論を申し上げるわけにはいかないと思います。
  34. 山口哲夫

    山口哲夫君 学校先生家庭訪問というのはこれは出張扱いされておりませんので、この点は誤解のないようにひとつ。
  35. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 失礼いたしました。出張ということではちょっと言い間違いでございまして、公務の一環でございますので、そういう観点判断されるのではないか、こういう趣旨でございます。
  36. 山口哲夫

    山口哲夫君 ということは認められるということですね。  それで、ここで一つ問題になりますのは、せっかく人工透析とかいろいろ拡大して、子供保育所に預ける場合も一応認められるというんですけれども、どうも私納得できないのは、専門的には何というんですか、通常の往復の経路逸脱した場合。自宅から役所へ行く、途中で子供を預けにちょっと右の方に入るとかあるわけですね。人工透析のために病院に行くとか、道から外れて病院に行ったり保育所に行ったこの往路というのは、これは公務災害にならないんですか。
  37. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) その期間逸脱ということでございますものですから、対象になりません。  と申しますのは、公務災害の性質でございますが、公務災害と申しますのは、本来使用者の管理下にあるときに災害に遭ったという、そういうものについて補償しようというのが原則でございます。通勤というのはそれに非常に密接に関係があるということでありますものですから、その合理的な経路についてのみ通勤災害対象にする、こういう考え方でございます。
  38. 山口哲夫

    山口哲夫君 そうしますと、自宅から役所へ行く途中に病院があった、保育所があった、それは全然問題にならないわけですね。ところが、たまたま保育所が右に一町入ったところにあった、その一町の間で起きた場合にはこれは災害対象にはしない。極めて矛盾していると思うんです。せっかく保育所だとか老人を施設に預けるとかいろいろ認めるなら、そこまで認めなければ私は、これはちょっと矛盾しているんじゃないかと思うんです。これはぜひ再検討してほしいと思います、どうですか。
  39. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 確かに、先生のおっしゃるような御議論もあり得ると思いますけれども、実は例えば保育所の場合ですと、大体共稼ぎでありましょうから、先生おっしゃるように途中で立ち寄るということになると思いますが、そのほかに日常生活上必要だということで行うような行為といたしまして、例えば現在認められておりますのではクリーニング屋に寄るというようなのがございます。そういたしますと、クリーニング屋に寄る方法としてはうちからクリーニング屋に行く。例えば帰ってからクリーニング屋に行くという場合もありますし、帰りに寄るという場合もあるわけでございまして、帰りに寄った場合は通勤災害にするけれども、帰ってから行ったらそれはだめなのか。非常に俗な例を申し上げて恐縮でございますけれども、そういうような問題もございまして、やはりここは公務に密接に関係のある通勤経路ということで、厳格に解さざるを得ないのではないかと存じます。
  40. 山口哲夫

    山口哲夫君 どうも例が、これは普通の例にはならないものを取り上げられたように感じるんですけれども、これはせっかく認めるわけですから、通院だとかそれから保育所へ行くだとか、認めた以上はちょっとこう経路を外れて一町奥へ行った、この間で事故が起きたらそれはだめですということは、私はどう考えても理屈に合わない。これはぜひひとつ再検討してほしいと思うんです。ここだけで時間をとるわけにまいりませんので、ここは強く要望しておきます。  次に清掃事業についてお尋ねします。  六年間で九十六人も死亡災害が起きております。清掃労働者の死亡災害、この十年間でどのぐらいの人数になっておりますでしょうか。
  41. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 恐縮でございますが、十年間の数字ちょっと持ってまいっておりませんので、ちょっとお待ちいただきたいと思います。
  42. 山口哲夫

    山口哲夫君 それじゃいいです。じゃ後から教えてください。  それで、とにかく六年間で九十六人も死亡災害があるというのは、これは自治体の中では清掃の現場を除いてはないと思うんです。これは大変な問題だと思うんですけれども、この事故の多発について自治省と労働省では一体どういうふうにこれを見ているのか。またそれは対する対策はどう講じているのか、そこをお答えください。
  43. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 地方公務員の場合の清掃職員について、先生おっしゃいますように、かなりの方が事故に遭われてお亡くなりになっているというのは、非常につらいことでございますが、これは原因といたしましては、ごみ収集車のテールゲートの落下によるものでありますとか、回転板によるもの、あるいは処理施設に転落をしたというような事例でございます。清掃事業は御承知のように、当然ながら道路の上での作業が多うございますので、そういうようなことからもただいまおっしゃいましたような大きな死亡事故が出ておるのではないかと存じます。  私どもといたしましては、労働省等の関係省と相談をいたしまして、いろいろ研究をしていただいておりまして、死亡事故の事例等について全国的な収集等をするなどしてこれを各団体に送付する。今後の参考資料にしていただくというようなことを初めといたしまして、今後ともこれについては十分対応していかなければいけない問題だと考えております。
  44. 福渡靖

    説明員(福渡靖君) 労働省として把握をしております清掃事業における労働災害でございますけれども、先生指摘のようにここ数年の間にかなりの件数が見られております。その状況はごみ収集車等による挟まれ、巻き込まれる災害、それから酸素欠乏症等による災害、それから交通事故等の災害が多く発生しているというように承知をしておりますが、これらの労働災害防止というのは、労働安全衛生を進めていく上で極めて重要な問題という認識を持っております。このために労働省では従来から労働災害防止計画を立てておりますが、現在第六次労働災害防止計画を立てて、これに基づいて労働災害防止を進めているところでございますけれども、この第六次労働災害防止計画の中で、清掃事業を重点業種として取り上げまして監督、指導を実施するとともに、都道府県の環境衛生部局等と連携をいたしまして連絡、協議の場、集団指導等を通じて、昭和五十七年に改正をいたしました、「清掃事業における安全衛生管理要綱」の周知徹底などの指導を行ってきているところでございます。  しかしながら、昨年ごみ収集車のテールゲートに挟まれるなどの災害が多発をいたしましたために、先ほど自治省の方からも御説明がございましたが、労働省としてはごみ収集車のメーカーに対して指導を行うとともに、昨年十二月に、「清掃事業における労働災害防止の一層の推進について」という通達を各都道府県労働基準局長に出しまして、地方公共団体等の清掃事業者に対する安全な作業方法を周知徹底等について指示を行ったところでございます。また現在メーカー、ユーザー……
  45. 山口哲夫

    山口哲夫君 簡単にしてください。
  46. 福渡靖

    説明員(福渡靖君) はい。  及び関係省庁等による対策検討委員会を設置いたしまして、ごみ収集車の安全な行動等について検討を進めているところでございます。
  47. 山口哲夫

    山口哲夫君 第六次労働災害防止計画の中に清掃事業というものを重点に置いている。大変結構なことだと思うんですけれども、その中に厚生省の安全指導の中には、収集車については一台について三人の職員を置くべきだという指導をしているわけですけれども、労働省でもそういう指導をしておりますか。
  48. 福渡靖

    説明員(福渡靖君) 労働省としては、特に作業の進め方についての具体的な指導は行っておりません。それで災害防止の観点から必要な注意をするという指導にとどめております。その点は厚生省とも連絡をとりながら、どちらかが十分そういう指導効果が出るように行うという形で調整をいたしております。
  49. 山口哲夫

    山口哲夫君 ということは、労働省がそう考えておったとしても厚生省からやれば労働省と一緒にやったことになる、こういうことですか。例えば一台の車に三人配置させなければいけませんと厚生省がやっている。労働省はやらないけれども、常に協議しているから同じことですと、こういうふうに解釈していいわけですね。
  50. 福渡靖

    説明員(福渡靖君) そのようにお考えいただいて結構でございます。
  51. 山口哲夫

    山口哲夫君 それでは大臣にお聞きしますけれども、きのうも交付税の問題で質問をいたしました。一台について三人の配置人員というのが、この三年くらいの間にいつの間にか二・六人に減っているわけです。そのために各自治体は自治省が一一・六人でいいと言っている。金はそれしかよこさないんだから、職員は削ってもいいんだといって二名を乗車させるということが随分行われているわけです。そのために、実は事故が起きているんですよ。だから、厚生省や労働省が三人置きなさいという指導をしているのに、自治省はそれと全然逆な指導をしているわけですね。これは私はどうしても納得できないので、この交付税の単位費用の中の職員定数三・〇に戻してください、どうですか。
  52. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 交付税の単位費用の点で御指摘でございますが、これは昨日交付税調長からもお答えいたしましたように、交付税の単位費用を作成するに当たりまして実態調査の結果、その結果を反映さしている。それによって特に指導するとかしないとかということではなくて、実態の反映であるというふうに私どもは聞いております。
  53. 山口哲夫

    山口哲夫君 その実態の反映が、現実現場に行くと二名に落とされて公務災害が起きているという現実があるわけですよ。しかも、その実態というのは行政改革でもって職員の定数をどんどん減らす。現場の方からまずそれが行われていく。そういう職員の犠牲によって行政改革が進められている、その中で職員が事故を起こしている。こう考えたときに私は非常に矛盾していると思うのは、同じ政府の中で厚生省や労働省がこうしなさいというのに、自治省がこれは実態なんだから、計算上そういう数字を使っているんだからいいんだということにはならないと思うんですね。前だってちゃんと三人で使っていたんですから、私は、やっぱりどうしてもこれ直してもらいたいと思うんです。検討する余地はないですか。
  54. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) まことに恐縮でございますが、私御承知のように所管の問題ではございませんので、そういう強い御意見があったということを帰って申し伝えます。
  55. 山口哲夫

    山口哲夫君 大臣、ぜひひとつこれは検討をし直してください。どうですか。
  56. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 昨日でございましたか、委員会の審議で交付税課長から御答弁申し上げまして、私もそういうことではないかなと考えているところでございます。
  57. 山口哲夫

    山口哲夫君 自治省がやることというのは、自治体には非常に深刻な問題として出てくるんですよ。ですから、公務災害職員がひっかかっていくようなことを私は、やっぱりいかなることがあってもここで問題として起こすべきではないと思うんですね。そういう意味で交付税のたった一つの単位費用を二・六にしたこと自体が、こういう問題につながってくるとするならば、やっぱり単位費用の人数を決めるということに対しては、もう一度考え直す余地があってもしかるべきだと思うんです。自治体職員の命を守るという面からいったって当然私はそのことぐらいは、それは考えていいことだと思うんですけれども、考えてみてください。今直すと言えないんであれば検討してください。
  58. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) いろいろあると思いますが、災害は起こさないようにお互い危険な作業に従事している職場の方ほど注意をしていただかなければならない。同時にまた、地方における行政改革を進めなければならない。また、今申し上げましたように実態がそういうことになっている。こういうようなことを総合しまして、その勤務についている方々については、災害を起こさないよう危険なことに従事しているという認識を十分に持ってやってもらいたい。そういうことからしまして、きょう先生がまた重ねて御質問がありましたことは担当課長に伝えますけれども、私の感じといたしましては、そういうことで対応していったらいいのではないだろうかなと思う次第でございます。
  59. 山口哲夫

    山口哲夫君 それはちょっと甘いですね。この問題だけで、もうあと時間がなくなりましたのでやめますけれども、ぜひひとつ考え直していただきたいと思います。これは通常国会のときもう一回やりたいと思いますので、ぜひ検討し直してください。  それから自治体職場の安全衛生対策について、自治省の調査によりますと、当然置かなければならない衛生管理者の選任義務のある事業所で、置いているというのが全体で四六%であります、安全衛生委員会は六二%。置いているところが四六%、六二・一%。ということは、約半分以上は当然法律で置かなければならない。置かなければ罰則まであるわけですね、三十万円以下の罰金まで科せられるという。なぜこういう法律で決まったことまで自治体でやられていないのか。こういうことに対しての労働省、自治省の指導は一体どうなっているのか、ぜひこれは考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  60. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 確かに労働安全衛生法で定められた安全衛生管理体制について、御指摘のようにまだ完全に一〇〇%いっていないのはまことに残念なことでございます。ただ、年々若干ずつではございますけれども改善がされておるというのが実態でございまして、これからも、そういう法律で決まったことでございますので、ぜひ完全に整備されるように今後とも指導していきたいと存じております。ただ、ただいま先生指摘の衛生委員会、これについては非常に資格の問題等もございまして、一朝一夕にはなかなかいかないという事情も御理解いただきたいと思います。
  61. 福渡靖

    説明員(福渡靖君) 労働省といたしましては、自治省あるいは都道府県労働基準局レベルでは都道府県の主管部局とも連携をいたしまして、先ほども申し上げました連絡協議の場、あるいは集団指導等を通じてこの安全衛生管理体制の整備を図るように指導をしております。  それで、今自治省の方からもお話がございましたけれども、確かに衛生管理者については資格制度がございますので、そういう点でできるだけ早くそういう資格者が確保できるように、関係機関とも協議を進めながら指導に当たっているというところでございます。
  62. 山口哲夫

    山口哲夫君 なかなか衛生委員会の資格を持った人がいないということをよく言うんですけれども、私はそれは詭弁だと思うんです。指導すればいいじゃないですか。十分時間をとって、職員にそういう勉強させまして、積極的にやろうと思えばできないことはないですよ。司法試験通るような難しいものとは違うんですから、本当にやろうと思ったら取れる資格なんですから。そういう指導をきちっとやった上で、とにかく法律で決められていることなんですから、法違反を平気で許すようなことは、私はやっぱりやるべきではないと思うんです。もっと労働省、自治省、各自治体の中に衛生管理者を置くように、安全衛生委員会を置くように積極的な指導をやってください。通常国会でどのぐらいやられたか報告求めようと思っております。  そしてそれともう一つ関係する問題ですけれども、学校給食調理員の指曲がり症、これは非常に大きな社会問題になっておりますけれども、事前にいろいろとレクチャーしたところでは余りやってないようです。ぜひこれに対する対策、特に労働省では労働科学研究所でも調査をやっているようですから、そういう中で、この問題に対してどういうふうに対処していくかということを真剣にひとつ検討していただきたいと思います。  最後に、こういう災害を未然に防止していくためには、もう少し基金の方としても私はきちっとした統計をつくっておいてほしいと思うんです。今度質問するのに当たって随分レクチャーさしてもらいましたけれども、意外に資料の少ないのに私は実に驚いたわけですね。それで、四つほど申し上げますけれども、災害発生度の高い職種、これは小区分くらいはぜひ設けてください。自治体に対して定数管理調査をやったら、四十種類もつくれと自治省はやっているんですから、そういうことから考えたら、こういうものこそ小区分くらいつくっておいてもいいと思います。  それから申請件数。これは認定した件数は出てくるけれども、申請した件数は出てこないんですね。不思議でしようがないですね。どのぐらい申請してどのぐらい却下されたのかわからないんじゃ話にならないと思うので、申請件数もぜひ出すべきだと思います。それから特定の職業性疾病、災害発生度の高い職種、特殊な災害の発生する職種、そういうものについてぜひきちっとしたデータを出していただきたいし、それから消防職員災害、これは非常に重大な災害が多発しておりますので、災害内容、原因、時期的な発生率、そういうデータが一つもありませんでしたので、こういうものもぜひ今後つくっておいていただきたい。そういうことを基礎にして、どこに原因があるのか、どうしたら災害を未然に防止することができるのかということになると思いますので、ぜひそのことをお願いいたしまして、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  63. 片上公人

    ○片上公人君 当法案についてお伺いする前に、大臣に所見を伺いたいと思います。  林野庁六本木宿舎跡地の売却問題についてでございますけれども、林野庁が都や港区などの反対を押し切りまして一般競争入札による売却を決め、この十二月の一日には落札業者が決定されることになっておると聞いておりますが、恐らく実勢価格を相当上回った高値で落札することは間違いないと思います。その結果、周辺地価を押し上げることにもなって、そうなれば都政や区政に大きな影響を与えることは必定であります。それゆえに都や区は林野庁の方針に遺憾の意を表明して撤回を求めるという異例の働きかけを行っているわけでございます。  自治大臣は土地問題、地価問題については主管大臣ではないということで積極的な発言はされておりませんけれども、国公有地の売却方法、価格、利用計画が地方行政に大きなブレーキをかけることになっている現在におきまして、地方自治体立場に立って林野庁宿舎跡地の一般競争入札の撤回を閣内において積極的に発言していただくべきだと、こう考えますけれども、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  64. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) ただいま先生が仰せになりました六本木の林野庁宿舎跡地問題につきましては、関係地方公共団体の意見も踏まえて、所管省庁におきまして適切な対応がなされることを期待しているところでございます。
  65. 片上公人

    ○片上公人君 鈴木都知事はこの間、地価対策は国土法による規制だけではだめなので、郡に対して条例によって厳しく規制をしてもらいたいと国の方から言ってきた。国がみずから範を示さなければならないのに、こんなばかな話があるかと厳しく国の姿勢を批判しておりますけれども、もともと国有地や国鉄用地を国土利用計画法の届け出制度の適用対象外にしたのは、やはり国等は特に法律上規制を行わなくても、当然に国土法の精神を尊重して行動するであろう、こう期待しているからであろうと思います。  そうであるのに、国がみずから勝手なことをして地価の高騰をあおっておる。こういう状態は許されないことではないか、こう思います。したがって、国有地、国鉄用地の活用につきましては、地方自治体意見を尊重し、その利用方法については公共、公益優先の原則を貫くようにすべきだと考えますが、重ねてお伺いいたします。
  66. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 国有地や国鉄用地の売却予定地の中には、都市の再開発、町づくり等に関連するものも多うございます。このために、必要な土地の地方公共団体への随意契約によります優先譲渡を可能にするとともに、その他の土地の売却に当たりましても土地利用計画、町づくり計画等につきましては、それらが達成されますよう関係地方公共団体と十分に協議をした上、適切に処理されることを期待するものでございます。
  67. 片上公人

    ○片上公人君 今回のこの法案についてでございますが、まず最近の地方公務員公務災害の現状及びどのような傾向、特徴等を持っておるかということを説明お願いしたいと思います。
  68. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 昭和五十五年度から五十九年度までの五カ年間の状況を申し上げますと、公務上の災害として認定されましたのが三万一千ないし三万二千件台でございます。そのほかに、通勤災害といたしまして約三千件毎年ございますので、合計いたしますと結局三万四千ないし三万五千件というところで推移をしている。このうちの死亡の件数は、公務災害で年間九十件、通勤災害で四十件というような状況でございます。またこの認定の事由別を見ますと、公務上の災害のうち負傷によるものが年間約二万九千件で、おおむね横ばいでございまして、負傷の件数の事由別に見ますと、各年度とも自己の職務遂行中というものが、全体の約七割を占めておるような状況でございます。  それから、公務上の災害認定した件数のうち疾病に係るもの、これは昭和五十七年度までは二千八百件台、その後五十八年は二千五百件台、昭和五十九年度は二千三百件台というところでございます。この原因も、やはり公務上の負傷による疾病というものが一番多くて、疾病全体の約八割でございます。  それから次に、通勤災害でございますけれども、通勤災害については、通勤方法別に見ますと自動車の利用というものが最も多く、徒歩、自転車利用というものがこれに続いておるという状況でございます。それから公務災害通勤災害補償でございますが、昭和五十九年度の補償の件数は四万三千六百四十二件、額にいたしまして百三十七億九百万円で、前年に比べ金額の場合約九億六千八百万円の増加、七・六%の増加というような状況でございます。
  69. 片上公人

    ○片上公人君 大臣にお伺いいたしますが、先ほど話にありましたような状況に対しまして、これに対して公務災害補償内容が十分だと考えておられるかどうか、大臣の基本的認識をお伺いしたいと思います。
  70. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 公務災害でございますが、本来起こってはならないものでございます。万一しかし、このような災害に遭いましたときには、災害に遭いました職員またはその遺族に対しまして迅速かつ公正にその保護を及ぼし、これら職員または遺族福祉が増進されるようにならなければならないところでございます。これまで、数次の改正によりまして補償内容の改善を積み上げてまいりましたが、今回の改正におきましては、先ほど申し上げましたように最低限度額設定によりまして、若い被災者給与水準の低かった者の年金額を改善いたしましたし、また通勤災害対象となります通勤範囲を拡大いたしまして、一定の改善が図られたものと考えているところでございます。しかしながら、これでいいというものではございませんで、今後とも労災制度、国家公務員災害補償制度との均衡を図りながら、職員が安心して職場で働けるよう、引き続き制度の改善に向けまして努力をしてまいりたいと考えております。
  71. 片上公人

    ○片上公人君 公務災害の発生を未然に防止するということは非常に重要であると思いますが、公務災害の今までの件数、また公務災害認定の状況等、最近はどうなっているかということを簡単にお答え願います。
  72. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 昭和五十九年度の数字で申し上げますが、公務災害認定対象になった件数が三万一千四百六件でございまして、このうち公務上と認定されたものが九九%に当たります三万一千百六件でございます。したがって、公務外認定されましたものが一%に当たる三百件というような状況でございます。
  73. 片上公人

    ○片上公人君 職種ごとの認定状況の推移がどうなっているか、伺いたいと思います。
  74. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 昭和五十九年度の公務上の認定件数三万一千百六件、これを職員区分別に見ますと、最も多いのが一般行政職等でございまして七千六百三十九件で、以下警察職員六千五百八十二件、清掃事業職員五千五百七十五件、義務教育学校職員以外の教育職員四千四百十四件、義務教育学校職員二千八百十二件の順となっております。この順位というのは昭和五十六年度以来変わっておりませんが、それぞれの公務認定件数の推移を見ますと、一般行政職等については微増ないし横ばい、警察職員、清掃車事業職員については減少、義務教育学校職員以外の教育職員については横ばい、義務教育学校職員については微増という傾向にございます。  職員千人当たりに直してみますと、件数の最も多いものは清掃事業職員で、これは五十九年度の数字でございますが、五十九・八件、それから警察職員が二十六・六件、消防職員が十七・七件というような状況になっております。
  75. 片上公人

    ○片上公人君 認定件数の推移の中で、職員千人当たりで義務教育関係職員認定件数が増加しておると聞いておりますけれども、この辺何か理由がおありなんでしょうか。
  76. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 義務教育学校職員に係ります公務災害、これを五十五年度と五十九年度を比較いたしますと、認定件数で二千五百五十三件から二千八百十二件、職員千人当たりにいたしますと三・三件から三・五件ということで、この五年間で見ますと、わずかではありますがふえているというのは事実でございます。  ただ、その認定件数の増減の状況を見ますと、負傷は二百九十七件の増、疾病については三十八件の減、それからその認定の事由別に見ますと、負傷について自己の職務遂行中が三百三十件、レクリエーション参加中が三十四件の増でありますが、出張または赴任途上というものは四十五件の減というふうに増減がいろいろございまして、さらにこれらについて年度別の推移を見ますと、横ばいないしは若干の微増という、まあ年によって違いますが、そういうような状況でございます。したがいまして、これが何らかの特別の事情によってこういうようなものが出ているかどうかというところまで、統計的に分析できるほど大きな傾向というものは読み取れないというような状況でございます。
  77. 片上公人

    ○片上公人君 詳しく一度分析していただきたいと思いますけれども、校内暴力とか何かがあるのではないかという話も聞いておりましたもので。  次に、公務災害と認められない未処理の件数はどれくらいあるかということと、長いものでどれくらいそのままになっておるかということ。またそれはどういう理由認定されないことが多いのかということをお聞きしたいと思います。
  78. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 昭和五十九年度末の未処理件数で申しますと、公務災害が五百十四件で、受理件数三万一千五百件のうち一・六%、通勤災害が五十二件でございまして、受理件数三千二百七十一件の同じく一・六%を占めておりますが、これはそのほとんどが年度末に受理したものでございます。  認定に長期を要しているものという御質問でございますけれども、認定に二カ月以上要しているものの割合は、昭和五十九年度で受理件数の二・〇%程度でございます。一年以上要しているものの件数は昭和五十九年度末で七十五件となっております。長期を要しているものについての事由でございますが、そのほとんどが疾病の事案でございます。災害の発生状況の把握、調査に時間を要するというようなことでありますとか、医学的な判断が難しくて医師の意見を聴取するのに時間がかかるというようなものが大きな理由であろうかと存じます。しかし、こういった認定の困難なものにつきましても、被災職員立場に立って迅速かつ公正な認定が行われるよう、引き続き改善に努めるよう基金にもお願いをしてまいりたいというふうに考えております。
  79. 片上公人

    ○片上公人君 平均給与額限度額設定する件についてでございますけれども、年齢階層ごと最低限度額及び最高限度額設定した理由について、もう一度お伺いしたいと思います。
  80. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) まず、年金たる補償の額といいますのは、被災職員の事故発生日前の三カ月間の給与基礎として計算されます一日当たりの平均給与額に一定の日数を乗じて決定する、こういう仕掛けになっております。この平均給与がこういうふうに設定されておりますのは、結局公務災害といいますのは、そのときの被災職員の稼得能力を補てんするという観点から、できるだけ被災を受けた時点の稼得能力を表現させるためにこういうものをとっておるわけでございますが、この結果、例えば被災職員が若年で災害に遭ったという場合ですと、平均給与額が低いということになるわけでございます。それが同じ災害でも壮年時に受けますと、平均給与額が高くなってまいりますが、若年時に被災された職員については、平均給与額が若干のスライドはあるにいたしましても、壮年時の方と比べまして平均給与額に差があるという問題が一つございます。  それから、壮年時に被災された職員について考えますと、そこで、その額が補償されますものですから、非常に高齢になった場合でも、なおその額を基礎にした年金額が給付される。そういたしますと、これはまた被災されてない一般勤労者、引退されるような年齢になられた方と比べますと、この均衡がどうであろうかというような問題がございまして、そこで一般勤労者給与額との均衡を考えるために、何といいますか、一般勤労者の大多数の方が受けておられる給与をもとにいたしまして、その範囲内で給付をしよう、こういう考え方と言っていいかと存じます。具体的には、一般勤労者給与額の上五%と下五%をカットいたしまして、大多数の方が受け取っておられるであろう九〇%の範囲内で給付をしよう、こういう考え方でございます。
  81. 片上公人

    ○片上公人君 高額の年金受給者が存在するというのは、一つは被災時の業務がたまたま繁忙期であって、賃金が多かったという要素も高くなった理由であると聞いていますが、補償給付の計算の基礎となる平均給与額の被災直前の三カ月ということについては、若干問題がないかお伺いしたいと思います。
  82. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 三カ月が長いかあるいは短いかということについては、いろいろと御意見があろうかと存じますが、公務災害につきましては、先ほども申し上げましたように、その被災時の職員の稼得能力を補てんしよう、こういう考え方でできておるわけでございまして、その観点からいたしますとできるだけ被災されたときの給与が、生活給与と申しますか、被災されたときの手取り額、やっぱり給与でございましょうか、そういう蕨得されておった金額が正確に表現されるというものが必要なわけでございます。  そういたしますと、余り長いものをとりますと、随分以前のものまで反映してくるというような問題もございまして、また労働基準法上で平均賃金というものを三カ月というふうに出しておりますので、結局、今の三カ月間というものをとっておる。これによって、今先生指摘のような一時的な給与の増というものについてもある程度平均化されて、正確といいますか、納得できる額になっておるのではないかというふうに考えております。
  83. 片上公人

    ○片上公人君 負担金率が本年四月一日に改定されたと聞いておりますが、改定の内容と、改定する場合どのような考え方で行っているのか。当然、今後における各職種間の収支の状況とか、制度改正の推移とか、年金受給者の動向等を勘案して行うものと思われますが、その点について簡単に伺いたい。  またこの限度額の算入によりまして、地方公共団体の負担金率への影響がないのかどうか、将来にわたってどのような見通しを持っておるかということを伺いたいと思います。
  84. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 本年四月に負担金率の改正を行いましたが、これにつきましてはそれぞれの職種によりましてこれまでの状況、それから将来三年間ほどの見通しなどをもとにいたしまして、大部分の職種については引き上げを行っておるところでございます。若干の職種については逆に下がったところもございますが、これはただいま先生もおっしゃいましたように、これまでの実績のほかに、将来の動向等を勘案して算定をしたものでございます。  なお、今回の法改正が行われました場合に、年金たる補償の額の限度額の財政への影響でございますけれども、これはほとんど影響がないというふうに考えております。先ほど申しましたように、これは年金額の一般との均衡ということを主として考えております制度改正でございまして、ただいま申しましたように負担金率に大きな影響を及ぼすというようなことはなかろうかと存じます。
  85. 片上公人

    ○片上公人君 先ほども話がありましたが、今回、通勤災害補償対象となる通勤範囲を拡大して、専門学校等や人工透析その他生命維持に必要な医療行為を行う場合にも救済されることになりましたけれども、今後、これらの類似の行為自治省令で定めていくと考えてよいかどうか。どういうものを自治省令で加えていくか、お伺いしたいと思います。
  86. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 今回の法改正で、ただいまおっしゃいましたように、若干弾力性を持たせるために自治省令範囲を定めさせていただくような案を提案いたしておりますが、その内容につきましては、現在考えておりますのは、先生指摘の通学それから人工透析のための通院でございまして、現時点では今後加えることを検討しているものはまだ具体的にはございません。今後社会情勢の変化等にも対応いたしまして、また労災、国公災との均衡の問題もございますが、その辺のところを勘案しながら検討すべき問題であろうかと思います。
  87. 片上公人

    ○片上公人君 勤労者通勤実態は非常に多様化しておりますけれども、今単身赴任で土曜日に帰って月曜日にまた行くというケースも大変多くなっております。例えば土曜日に家族のいる自宅に帰省して自宅から勤務先に直行する、あるいは勤務先から自宅に帰省する。この勤務先から自宅への往復も通勤災害と認めた方がこれは実態に合っているのではないか。このように思いますけれども、この点につきましてどのように扱われているか、また今後の方針を伺いたいと思います。
  88. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 単身赴任中の職員のいわゆる土帰月来の御質問であろうかと存じますが、これは一つは、当該家族がおります自宅というものが、本人の勤務のための拠点として認められるかどうかという問題がございます。ただ、現在の社会情勢からいたしますと、こういう土帰月来のようなものを直ちに公務災害対象外というふうに考えるのは、実態に合わないのも先生のおっしゃるとおりであろうかと思います。いわゆる土帰月来のうちに往復に一般的な通勤手段が用いられておる、そして距離的、時間的に見ても通勤可能な範囲にある。二つ目に、住所を二カ所に置かなければならない合理的理由がある。三つ目に、土帰月来がほぼ毎週継続的に行われている。こういうような要件を満たしているような場合には、これは通勤の一形態であるというふうに考えるべきではなかろうかとされておるところでございます。  もちろんこの通勤災害、この通勤については個個の事情がございますから、それぞれ個々について判断をすべき問題であろうかと思いますが、現在までにおきましても、この土帰月来型通勤の場合に通勤災害として認定された事例もあります。今後ともこれについては適切に対処してまいらなければいけないというふうに考えております。
  89. 片上公人

    ○片上公人君 最後でございますが、公務災害を未然に防止するためにも日ごろの職員の健康管理も大変重要な問題であると思います。特に最近では、ワープロあるいはパソコンなどVDTの作業に従事する職員の健康管理が大変問題になっております。その実態を自治省としてはどう把握していらっしゃるか。公務災害対象になった事例はあるかどうか。またこのVDTなど新たな災害の発生に備えて、自治省としてはどのような指導地方団体職員に対して行っているか。またどのような考え方で対処をしようとするのか、お伺いしたいと思います。
  90. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 最近VDT等を入れまして、いわゆるOA化が進められておることは事実でございまして、そのためにいろいろと職員の身体上に問題が出るという場合もあろうかと存じます。これにつきましては労働省におきましても、いわゆるVDTによる視覚障害等が起こらないように研究会等も行われまして、また通達も出されております。そういう通達なども私どもといたしましても地方団体に送りまして、公務災害が発生しないようにいろいろと工夫、検討をしておるところでございます。  現在までのところ、VDTによる公務災害認定事例はございません。
  91. 片上公人

    ○片上公人君 以上です。
  92. 神谷信之助

    神谷信之助君 平均給与額に上限を設定した問題とかあるいは収監中の休業補償の支給問題とか、こういった問題は既に衆議院の地行委員会で我が党の経塚議員が追及をいたしましたので、重複を避けて私は審査制度のあり方の問題に集中して時間の関係でお伺いしたいと思うんです。  まず、文部省にお聞きをしたいんですが、文部省見えていますか。——見えていますね。  養護学校の教職員の疾病異常の率、これは文部省調査をなさっておられるんで、それを見ましても非常に高いんです。それで、その中でも滋賀県の場合は特に高いのではないかと思うんですが、腰痛それから頸肩腕症候群、これについて全国平均と比較してどうなっているか、まず報告をしてもらいたいと思います。
  93. 下宮進

    説明員(下宮進君) お答えいたします。  昨年七月に文部省では、養護学校職員の腰痛、頸肩腕症候群等の実態について都道府県教育委員会を通じて調査を行ったところでございます。その結果によりますと、昭和五十九年度における疾病異常の割合は全国では、腰痛は寮母が二一・九%、教員が一六・二%、頸肩腕症候群は寮母が一〇・五%、教員が四・八%であります。また滋賀県につきましては、腰痛は寮母が七一・〇%、教員が三八・六%、頸肩腕症候群は寮母が一九・四%、教員が七・七%でございました。
  94. 神谷信之助

    神谷信之助君 これを滋賀県の八幡養護学校で見てみますと、昭和六十年六月の腰痛検診結果では、検診を受けた者七十五名中異常ありとされた者が六十四名、八五・三%、それから精密検査を要する者というのが二十三名であります。六十年度に腰痛それから頸肩腕症候群、妊娠異常、これによる特休者は十九名に及んでいるわけです。こうした状況にもかかわらず、公務災害認定は一体どうなっているのか。非災害性の腰痛等の公務上の認定はまだ一件もないというように聞いているんですが、これはそのとおりでしょうか、お伺いしたいと思います。
  95. 柳澤長治

    参考人柳澤長治君) お答えいたします。  非災害性の腰痛についての認定はございます。
  96. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、八幡養護学校
  97. 柳澤長治

    参考人柳澤長治君) 滋賀県ではございません。
  98. 神谷信之助

    神谷信之助君 認定された者はないんですよ。  それで聞いてみますと大変な状況なんですね。実情はどうかといいますと、八幡養護学校で十四名、北大津養護学校で六名が申請をしたんです。早い人は昭和五十九年の十一月、遅い人はことしの八月。ところがこの八幡養護学校の分は、六人が県の教育委員会に、それから八人は校長のところでとまっているんですよ。だから、支部まで行ってない。本人は出したけれども行かない。北大津養護学校では今年度に入って新校長が金庫をあけたら、その書類がいっぱい詰まってその中に入っておった。金庫の中に詰まっておる。支部に届かぬのですよね。こういう状況がある。当時その前の校長には、まだですかと何遍も聞いたけれども、基金より何も言ってこぬと言うてそのままになって、金庫に保管されたままになっています。基金支部に申請書が出される前に、早い人ではもう既に二年を経過しているという状況がわかりました。  この人たちはそうなるとどうなるかというと、特休をとりますわね。しかし、六カ月間の期間は二〇%賃金ダウンだし、その次の六カ月間はさらに二〇%ダウンされますね。治療費は自分持ちだし、そのために無理して勤務したらどうなるか、また再発ですわね、こういう状態が続いているんです。こういう状態は私は放置されてはならぬと思うんで、果たして滋賀県だけの状況であるのか、あるいは全国的にそういう状況があるのかよくわかりませんが、問題は、そうなる原因は一体どこにあるのかという問題なんですよ。基金が求めている手続が複雑煩瑣なのか、あるいは教育委員会とか学校当局が災害補償の実務に欠けているのか、どうしたらこれは改善できるのか、これが問題だと思うんですが、この点について自治省、文部省、それぞれお答えをいただきたいと思います。校長のところにとまったり、教育委員会にとまったりしておりますからね。
  99. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 手続の問題といたしまして、公務災害認定請求の際に所属長の証明を受けた請求書、それから任命権者を通じた認定に必要な資料を添付の上基金に提出するということになっておりまして、これは結局、任命権者等の、あるいは所属長の意見を十分反映して、公務災害認定を円滑に行いたいということであろうかと存じますが、一般論はそれといたしまして、御質問の件につきまして所属部局で書類がとどまっている。そういう不必要に長く時間がかかっているということでございますれば、補償の迅速な実施という法の趣旨に沿いませんという問題でございまして、大変遺憾なことでございます。実情を調べるように指示をいたしまして、適切な措置を講じなければいけないと存じます。
  100. 奥田與志清

    説明員奥田與志清君) お答えを申し上げます。  滋賀県の方に照会をいたしましたところ、本件の場合におきましては、先ほど公務員部長さんおっしゃっていただきましたように、本人におきまして用意すべき書類がございます。そういうものを用意していただくように再三にわたって督促をしているというふうな状況でございまして、教育委員会も校長も、この制度の趣旨に沿ってできるだけ速やかに手続を進めたいというふうなことでございます。
  101. 神谷信之助

    神谷信之助君 本人に書類の不備を言って指導したけれども、出てこないからおくれたということでしょう。  実際はどうかというと、例えばある先生がここに実情報告をしているんですが、この先生は五十四年の四月に臨時講師として養護学校の高等部に勤務して、もう一人の女の先生と二人でストレッチャーで移動するという重度の生徒を、これを食事やトイレの介助をするという仕事をやっておった。七月ごろになって腰痛が起こり出した、これは五十四年ですね。五十六年度に正式採用になって、ちょうど妊娠をして育児休暇に入りました。育児休暇で休んでいる間は腰の痛みはいつの間にか忘れるような状況になった。勤務をいたしまして五十八年度に今度は小学部の低学年に変わった。抱きかかえる子供が多くなったんですね。それに伴って再び腰痛があらわれてくる。前屈姿勢で大変痛みを感ずるようになり、座った姿勢でも痛みを感ずる。それで家でだんだん仕事ができない状態になって、三月ごろにはもう子供のトイレ介助のときの姿勢で激痛を感ずる、子供を落としそうになったこともしばしばある。そして、車の運転中も痛みを感じ、しんどい状況が起こる。五十九年にクラス編成がえがあって、今度、また抱きかかえの子供ばかりのクラスになるんですよ。  そして、七月ごろからは運転中に激痛を感ずるようになって、学校まで運転ができるかどうか、そういう不安を感ずることがしばしばである。学校での勤務中は気持ちも張っているし、痛さはあるものの何とかやっていける。けれども夜になると大変痛みを感ずる、階段をはって歩かなきゃならぬ、自分の子供も抱いてやることができないようになっている。そういう状況が起こり出して、そして医者に行ったら、専門医に特休をとりなさいと言われて、五十九年の十一月から六十一年の一月まで特別休暇及び普通の休暇、これをやって治療に当たった。そして戻ってきているんですけれども、六十年の三月に申請用紙を学校長に出した。ところが、同じ職場の別の先生の申請がまだ通ってないこともあって、ずっと六十年の九月まで半年間校長の手元にあった。それから九月から十一月にかけて校医検診とか専門医の検診の結果特休者が先ほど言いましたように続出をいたしました。  そういう状況があって、みんながどんどん申請をするようになりました。このときに腰痛に至る経過説明をせよという指示があった。それでクラスの実態等を含む資料と経過説明を出した。その後全校児童生徒それぞれの体重とその平均値を出せ、こういう指示が出た。校長からクラスの実態を書けと指示があった。以前提出した資料にもクラスの実態を書いているので、書き直せということかと言うと、そうだと言ったけれども、しかし、前に出した書類は返してもらえない、こう言っています。だから、本当に何といいますか、てきぱきと処理を迅速にしてやる、そういう援助をしてやるという状況ではないんですね。こういうのが実態の姿なんですよ。  そこでお聞きをしたいんですけれども、同じ滋賀県に民間のびわこ学園という養護施設があります。同じような症状でここでは申請をすれば労災の認定が大体二、三カ月でおりてくるんです。だから、一般民間の労働者、そっちの方では同じ養護学校、養護施設で二、三カ月でどんどん労災の認定がおりる。ところが公務員の方は、書類が不備だとか何じゃかんじゃ言って出てこない。労災と地方公務員災害補償認定基準は差違があるのか、違いがあるのかといろいろ聞いてみましたが、違いはないという説明を受けています。事実、労働省基準局長の認定基準に関する通達及び補償課長の運用上の留意点についての説明書と、地公災の基金理事長通達による認定基準及び基金補償課長の支部事務長あての説明文書内容はさした違いではないんですが、この辺は一体こういう養護学校なんかの腰痛、頸肩腕症候群の認定についてはどういう状況になっているんでしょうか、基金の方にお願いしたいと思います。
  102. 柳澤長治

    参考人柳澤長治君) 認定基準の問題でございますが、今御指摘のございましたように、労災、国公災、地公災大体同じ認定基準でやっております。先生も御存じのとおり、大体公務災害認定の処理状況は二カ月以内に九八%までは処理されております。ただ、残りの二%にいろいろ問題があるわけでございます。病状が非常に複雑であるとか、あるいは関連の資料を収集しなきゃならぬというふうな関係でおくれておるのではなかろうかと思いますが、いずれにしましても職員にとっては非常に大事な問題でございますので、この前の委員会でも先生から御指摘されまして、昨年の九月に支部に通達を出しまして、認定業務を迅速にやれというふうな通達を出して、基金としても今後努力してまいりたいと思っております。
  103. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は地方公務員災害補償の場合、今もおっしゃったんだけれども、いろんな資料出せとおっしゃるんだが、これから後でその問題も取り上げますが、問題は安易な災害主義ではなしに、非災害性のそういう疾病ですね、これには何といいますか基本的に、やっぱり労働者に対する負担過重の蓄積といいますか、疲労の蓄積といいますか、こういったものの判断を避けているのではないだろうかという気がしてならぬのですよ。  そこでお伺いしますが、京都の南山城の養護学校の教諭の小谷美世子さん、この人が昭和六十年の五月七日に支部公務災害認定請求書を出しました。頸腕症、背痛症発生の要因については所属長である校長が事実証明を出しています。同じような職場ですから、「直接原因的な災害発生の事実としては」、昭和五十八年五月ごろに子供を、「二人で抱き上げようとしてよろけた時から右上腕部に徐々に痛みが出てくるようになった」ということですね。それから、五十九年の二月にもう一人の子供を、「一人で抱き上げベッドへ移動中」に今度は子供が、「急にからだをそらせた為抱き直した際右背から肩、首にかけて痛みが走った」、こういう事実を校長は確認しています。そしてそれが、  現在の疾病と日々の教育活動との因果関係の有無については、医学専門家の範疇であると考えている。しかし、本人が全面介助を必要とする重症心身障害児の教育に四年間たずさわって来たこと、重症心身障害児の教育現場においては、指導者の頸、頸腕、背、腰に継続して負担がかかっていることは事実である。肉体的負担がかかるのは、単に子どもの体重そのものの負荷のみでなく体の変形、拘縮、骨格・筋肉の弱さ、異常緊張や反射運動などにより、抱き上げる指導者の姿勢に無理が生じ、一層負荷がかかる実態にある。なお、精神的な緊張を持続しなければならないことも見逃すことのできない事実である。 という校長さんの事実認定に基づく意見書を出しておられます。ところが、これ現場の校長さんもそういうものをつけて出しておりながら、それが一年半経過をしている。まだ、いまだに結論は出ていないんです。まだ京都では、養護学校での非災害性の認定事例が一件もない。  そこで、基金支部の方は中央へ問い合わせ中だと言うんですよ。これは参与の委員がそう言っているのです。そうしますと、基金支部の方はこうした非災害性の判断に当たって、すべて中央と協議しなきゃならぬということになるのかどうか、この辺はどういうことなんでしょうか。
  104. 柳澤長治

    参考人柳澤長治君) 非災害性の腰痛につきましては支部に一任されております。ただ、支部でどうしても判断困難であるという場合には、本部に協議していただいても差し支えないと、こういう形になっております。
  105. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこのところが問題です。私もかつて京都支部審査会の参与をやったことがあります。あれも二年余りたしかかかったと思いますよ。大体審査会の委員さんなんかは、これはその事件が終わってそして数年してからの話ですけれども、支部審査会としては認定をしたいと思っているんだけれども、基金の中央に問い合わせたらなかなかうんと言ってくれぬと、それで長いこと暇がかかったよ。もうやいやいつつかれて往生したという話をしてくれたことがあります。  だから、認定が非常に微妙だ、あるいは困難だというからできない、その場合は中央へ相談をするということなのか。学校長自身もそう言って事実を認めているわけですね。この辺はひとつもっとてきぱきとやれるようにする必要があるのではないのか。こういう制度の趣旨を生かすこと、迅速公正に行うこと、この点から私は改善が必要だと思うし、認定基準のあり方、その運用について見直す必要があるのじゃないかと思うのです。  ちょうど私はここに、これは五十五年の六月に出た基金の京都支部審査会の裁決書ですけれども、城陽市の保母さんの同じような疾病です。頸腕症候群あるいは腰痛症の認定外に対して、これは認定外の決定を取り消して救済をしたわけです。その中にこういうのがあるんですね。「公務災害認定基準のあり方」について判断を出しています。それは、  公務災害認定基準は、公務災害補償制度目的と理念に見合って公務により災害を受けた労働者を正当に救済するものでなくてはならない。この場合、公務災害認定のために必要な要件としては、公務関連性があれば足りるものである。たとえ、公務と疾病との間に相当因果関係が必要であるという説に立つとしても、この因果関係内容は、労働者の生存権、労働基本権を保障するに値するものでなければならない。従ってこの因果関係判断は、一般の不法行為における因果関係判断より請求人にとって軽減された内容でなければならない。 こういう判断を示している。私は、これは至当な判断だというふうに思うんですが、参考人はどういうようにお考えでしょうか。
  106. 柳澤長治

    参考人柳澤長治君) 本部審査会でございますね、今のあれは。
  107. 神谷信之助

    神谷信之助君 京都支部審査会です。
  108. 柳澤長治

    参考人柳澤長治君) 審査会は、私の方は認定機関でございますが、支部審査会は一応第三者機関でございまして、客観的、専門的な立場で公正な判断をされると思います。そういう点で、今私も初めてそのお話を伺ったわけでございますが、そういう御意見はできる限り尊重しなければならないと、かように考えております。
  109. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、公務災害認定基準のあり方としては、いわゆる裁判、あるいは不法事件における因果関係ということではなしに、そういう判断が請求人にとって軽減される内容でないと、いわゆる労働権、生存権を保障するという、そういう見地に立って検討される判断基準の一つに入れなきゃならぬという意見については、非常に大事な考え方ではないかというように思うんです。  この問題についての最後にお伺いしたいのは、文部省にお願いしますが、今も言いましたように滋賀県だけではなしに京都養護学校実態も非常に厳しいわけです。障害児を抱きかかえたり、いろいろな介護をしたりしなければいかぬわけですから、そういうために無理な体形をとるというのはしばしば起こるわけで、こういう職場の公務災害の未然防止、予防というのが非常に大事だというように思うんです。その点で、関係者は一つは職員の定数増、当面の重度加配の措置をしてもらいたい。二つ目は、施設設備を子供実態に合ったものに改善をしてもらいたい。三つ目は健診の充実と発症の早期発見。こういったことが要望されているんですが、こういった養護学校のような、そういうとりわけ重度障害児を抱えているようなところでの労働条件あるいは環境の改善、これについての見解をお聞きしたいと思います。
  110. 下宮進

    説明員(下宮進君) お答えいたします。  養護学校も含めました学校の教職員の健康管理につきましては、学校の設置者は、学校保健法の規定等に基づきまして毎年度定期にまたは臨時に健康診断を実施いたしまして、その結果に基づき治療の指示や勤務の軽減等の措置を講じているところでございます。また、このような措置とあわせまして、先生指摘のような勤務環境の整備やあるいは養護学校の教職員の定数増につきましても改善に努めているところでございます。今後、こういった措置を充実いたしまして、教職員の健康管理が適切に行われますよう、文部省といたしましても指導あるいは努力してまいりたいというふうに考えております。
  111. 神谷信之助

    神谷信之助君 先ほど言った滋賀県の場合のように、校長が上から言われたら不備や不備やというようなことをやっているんじゃなしに、やっぱり片方山城の養護学校の方は、校長が意見書を出して勤務の特殊性も明らかにして、支部へちゃんと申請を出しているわけですから、そういう点は調査をして指導をぴちっとやってもらいたいということと、それから、私の家の近所にも養護学校があるんですが、確かに大変な状況なんで、こういった点についての教員の加配、重点加配とか施設整備等、これはぜひお願いしておきたいと思います。  次の問題は、先ほど参考人がおっしゃった京都府の事務職員の三木仁さんの問題ですが、残念ながらことしの六月二十五日に中央審査会で棄却の裁決が出ました。ただ、振り返ってみますと、基金支部に申請して以来満十四年と十七日かかっているんですよ。十四年と十七日です。この間、支部に申請して、そして公務外という認定が出るまでに八年半かかった。だから、支部のところで八年半かかった。それで、支部審査会へ出して三年九カ月かかって、中央審査会で一年五カ月ですよ。この間、私は二回当委員会でこの問題を取り上げて、そして個々の本人個人個人体質、作業態様等一律機械的ではないんだ。本人の条件や実態に即して判断する必要があるということと、非災害性のものについては発症の基礎となるものの蓄積形成を重視する必要があるということ。この点を強調したわけです。そうして積極的な判断を出してもらうように要望したのですけれども、残念ながら棄却をされました。  そこで、何というか、蓄積疲労のような疾病の公務災害認定、これが最終結論になるのは一般にはどれぐらいの年月を要するか。いわゆるいろんな事例があるものは簡単ですわれ。そういう新しい事案というか、確かに認定が難しいというような場合、どれぐらいの時間を必要としているわけですか。
  112. 柳澤長治

    参考人柳澤長治君) 私も医学的な知識が余りございませんのでよくわかりませんが、腰痛症の場合は、非災害性の腰痛症の場合で、職業病として認定されるためにはかなりの長期間基準では大体十年程度と考えておりますが、その程度の蓄積が必要であるという基準がございます。
  113. 神谷信之助

    神谷信之助君 この人の場合は頸肩腕症候群ですわね。だけれども、いずれにしても腰痛症の場合十年ばかり要るとなると、これちょっと大変なことになるわけです。これは中央の審査会の裁定、裁決が出て訴訟ができるということになっています。実際は審査会で却下もしくは棄却したもので訴訟提起されたのは一体どれぐらいあるか。これは自治省の方ですか、自治省の提出された資料によりますと、五十五年度で二十八件に対して二件ですね、訴訟を出したのが。五十六年度は二十件に対して五件が訴訟になっています。五十七年度は三十件に対して十件、五十八年度は二十件に対して五件、五十九年度は三十一件に対して九件訴訟提起がされているんです。  ところが三木さんの場合、訴訟を断念せざるを得なくなったのですよ。それでなぜかというと、争点となった字を書く作業ですね、これの量と質を判断する上で欠くことのできない証拠資料となるべき本人作成の文書が全部処分されて、ないんです。これは永久保存の文書も含めてなくなっています。それでその原因を調べてみたんですが、庁舎移転のときに行方不明になったということ。それからもう一つは、そんな裁判というか、訴訟あるいは審査請求したりするのに必要な重要な書類だということをそのときは気づいていなかったから、大切にしてなかったんです。だから、今度の審査請求をする場合でも全部京都府当局も推定の数字しか出せないし、本人の方も出せないんです。そういう何というか、事実を本人に提出を求めるというのは、これはいかがなものかということを感ずるんですよ。書類は皆当局が持っているんでしょう、実際上。それで、仕事をしている状況は職場の人が知っているんだし、当局はないから推定の数字を出してくる。それに基づいて判断を下すというのが今度の結果になりました。  こういうことになると、これは雇用者である京都府知事の責任だということになってくるんで、立証責任を本人に求めるのは酷な場合が非常に多いのではないか。挙証責任の転換という理論もありますけれども、挙証責任そのものを考え直してもらわないと、こういう新しい、一定の認定される幾つかの例が出てくると一定の基準ができてきて、それは早くなるでしょう。これからどんどん技術革新が進んでいる、先ほどからもちょいちょい出ている、そういう機械化が進んできますと、新たなストレスやらいろんな障害が起こってくるわけですね。だから、そういう場合に単に本人に立証責任を負わせていていいのかどうかというのは、私はこの問題を取り組む中で非常に問題だというように思うのです。この点ひとつ大臣、自治省としても検討してもらって、本当に公務災害を受けた人が速やかに迅速に公正に救済されるという、そういうようにするためには、この辺をひとつ検討してもらう必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
  114. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 先生のお話、ただいま伺っておりましたが、この審査会制度につきましても、職員立場に立って迅速公正に処理されるよう望むところでございます。
  115. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう一つ私は問題提起しておきたいと思うんですけれども、新しい事案なり判断の困難な事案について中央と相談をするということで、支部認定が非常におくれる。それから、今度はその次、これは先ほど理事長おっしゃったように、中央審査会と支部審査会それぞれみんな独立しているんだとおっしゃるんだけれども、私自身の経験からいうと、あのとき支部が積極的判断を出そうとして、それで中央審と支部と、実際の形態は支部同士の話ですよ。審査会それ自身が、ただ、審査委員がやっているわけじゃないんで、審査委員の人が支部の人を通じて中央の事務局と協議をする。それで中央の方は消極的な判断に立っている。これがなかなか一致をしなくて審査会としての判断が非常におくれたという経験をしているわけです。  こうなりますと、言うなら支部審査会の裁決、これは一審でしょう。中央審査会二審だけれども、裏で同じことをやったらなかなか中央審査会でひっくり返らぬ。実際またひっくり返るケースというのは件数も非常に少ないですね。年に一件とか二件とか、ゼロのときもありますわね。そうなると信頼性、いわゆる裁判の地裁、高裁よりももっとこの点では独立性が確保されていないんじゃないのか、そういう疑問を持つわけです。これではせっかく二審制を持ち、その上で訴訟提起ができるという今の仕組みから言ってむだなことになってくるので、これはあってはならないことだと思うんです。そういうような感じ、疑いを持たれるようなことがあってはならないと思うんで、この辺についての理事長の見解を最後にお聞きをしておきたいと思うんです。
  116. 柳澤長治

    参考人柳澤長治君) 実は、京都の今の先生の御経験のお話は初めてお伺いしたわけでございますが、私どもの立場では、支部審査会また本部審査会、これはそれぞれ独立の中立的な機関でございまして、支部なり本部の意向とは一切かかわりがないというふうに考えております。また我々のこうと思ったことが、支部審査会あるいは本部審査会で取り消されておる経緯もたくさんございます。そういう点で、十分支部審査会も本部審査会も独立性を持ってやっておられるんではなかろうか、そういうふうに思っております。
  117. 神谷信之助

    神谷信之助君 終わります。
  118. 秋山肇

    ○秋山肇君 先ほど来各委員先生方から、もう論議が尽くされておりますので、重複を避けまして二、三質問をいたしたいと思います。  先ほど大臣が、公務災害というのはやはりお互いが気をつけ合っていって、なるべく事故を未然に防いでいくのが筋であるということをおっしゃっておられましたが、それは当然のことだろうと思うわけです。ただし、いつ災害というのがあるかわからないということで、今度の地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案が上程をされているんだと思うわけです。この中で、先ほど山口先生から清掃の問題がありましたし、今神谷先生から教職員方々のお話がありました。私は重複を避けまして、公務災害の中で一番受給者が多いのは、清掃も数としては多いですが、警察、消防関係方々だというふうに思います。それで公務災害全体の中で警察、消防関係の占める割合はどの程度ありますか。
  119. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 昭和五十九年度の数字でございますが、公務災害認定された総数三万一千百六件中、警察職員は六千五百八十二件で二一・二%、消防職員は二千二百七十件で七・三%となっております。
  120. 秋山肇

    ○秋山肇君 かなりの率だと思うんですが、この公務災害の中に特殊公務災害という制度がありますけれども、その制度における特殊公務というのはどういうものなんでしょうか。
  121. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 特殊公務災害の件数でございますね。
  122. 秋山肇

    ○秋山肇君 いや、特殊公務という理念というか認定の……。
  123. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) はい。警察とか消防職員等で、危険を伴う職種につきまして特殊公務災害という制度がございますが、これはそういう特殊な職務内容職員が、生命または身体に対する高度の危険が予測される状況のもとにおきまして、犯罪の捜査、火災の鎮圧等の職務に従事した、それによって公務上の災害を受けた場合に五割増しというような制度、それが特殊公務災害制度でございます。
  124. 秋山肇

    ○秋山肇君 実情としてその内容がそれで十分なのか。五〇%増しということと、例えば具体的に言いますと、ゲリラ対策に従事している警察官、今大島の三原山の噴火で昨日も消防庁長官からお話があった、あの何というんですか、溶岩に水をかける、本当に危険なところで作業をされている消防官の人たち。そういう方々がおるわけですけれども、今おっしゃっておられるようなことだけで特殊公務災害という適用が十分なのかどうでしょう。いろいろその状況、きのうも私質問しましたけれども、災害というのはいつ起こるかわからないし、自治省で決められている基準というものとまた違ってくる面、この対応に、先ほども神谷先生のいろいろなお話も聞いていますと、そういう対応という問題、この特殊公務については特に重要だと思うんですが、この点についていかがでしょう。
  125. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 特殊公務災害は、先生御承知のとおり法律とそれから政令でその要件が定めてございまして、この要件に該当するということはぜひ必要であろうかと思いますが、ただ、いろいろの社会情勢によっていろいろな事案が出てまいります。その事案についてそれぞれその社会情勢等を見ながら、やはり何といいますか、しかるべき適切な判断ということは必要であろうかと思います。
  126. 秋山肇

    ○秋山肇君 特に昨日も、この問題とは関連するかもしれませんけれども、大島の噴火の問題等が、予期しないものが出てくる。今のお話というのを十分踏まえていただいてこれからの適用範囲ですか、運用範囲というものの拡大、解釈の問題等は余り狭義に解釈しないで、そのときそのときによって拡大解釈ができる対応というのは、ぜひひとつお願いをしたいというふうに思うわけですが、その点はいかがですか。
  127. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 結局、特殊公務災害の基本となりますのは、警察官であるとかそういう特別な職務でありますとか、それから犯罪の捜査等というような限定もございますけれども、結局基本的には生命、身体に高度の危険が予測される。そういう状態であるということが必要であろうかと思いますが、先生がおっしゃっておられるような事案、具体的にはいろいろ検討しなければいけないと思いますけれども、生命、身体に高度の危険が予測されるというようなことを前提としてお話をなさっておられると思いますので、十分特殊公務対象として検討されるべき事案であろうかと思います。
  128. 秋山肇

    ○秋山肇君 最後に大臣に、国家公安委員長としての立場も含めましてお考えをお聞きしたいと思うんです。世界一治安がいいのが日本であると言われているし、また東京であるというふうに言われているわけですけれども、これが治安がいいからといって安心をしていますと、一つ崩れてしまうと大変なことになる。この治安回復の問題というのは大変莫大な費用もかかってくるというふうに思うわけです。十月の十四日ですか、発射式の火炎瓶事件というのがありましたし、また先日は国鉄の幹部の課長のお宅に放火をするというような、一般の市民、都民を巻き込む大きな事件が起きているわけです。これらについての警備対策についてのお考え、そして東京が持つ特殊事情というものを踏まえて、どういうお考えをお持ちなのか、公安委員長としてのお考えをお聞かせいただきたいし、また専門的には専門の警察庁の方々から御回答をいただきたいと思います。
  129. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 最近の極左暴力集団の動向を見ますと、テロ、ゲリラ志向を一段と強めておりまして、公共施設や個人を対象とした無差別的な攻撃を行い、今先生おっしゃいましたように、先ごろは国鉄の秘書課長宅への放火などを行い、悪質狂暴化しておるところでございます。また最近では強力な爆発物を開発するなど、今後とも予断を許さない状況にあり、テロ、ゲリラ対策に従事している警察官の苦労は大変なものであると考えております。したがいまして、このような危険な状況下におきまして、テロ、ゲリラの未然防止を図るための警戒警備あるいは職務質問、検索あるいは被疑者の逮捕等に当たり、万一被災した場合には、当然特殊公務災害の適用があるものと理解をしております。  警察官は、このような危険な状況をあえて予知しながらも、国民の治安の維持のために職務に精励しているところでございまして、先生から御理解のあるお言葉を賜りまして、大変感謝を申し上げるところでございます。
  130. 秋山肇

    ○秋山肇君 消防庁長官にはきのうお聞きをしましたが、念のために言いますが、きのうの消防庁長官のお話の、大島の噴火の際に水をかけているような消防官の人たちに特殊公務災害というもの、事故があっちゃ困るわけですから、その辺が警察と消防というのは常に一体じゃないかという話をしたものですから。  今大臣にお答えをいただきましたが、警察庁の立場として治安が崩れたら困るという、一度崩すともとに戻すのは大変なことですから、その点を踏まえながら。またそれから、先ほどのそういう事故に、テロに遭ったときの警察官の公務災害ということを、公安委員長としては御理解ある御答弁をいただいたわけですけれども、それには、やっぱり装備の問題等もあろうと思いますから、その点も含めまして御回答を賜りたいと思います。
  131. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) 先生指摘のとおり最近の治安情勢というものは、極めて厳しいものがあるというふうに私ども理解をしております。世界的に見ますと、我が国の治安は先進諸国の中ではすぐれておるということで評価をいただいております。これはひとえに国民の方々が治安というものについて深い関心と理解を持って、警察官の活動にいろいろと御協力をいただいておるということのたまものであろうと思いますし、また一方では、警察官が大変第一線で苦労をしながら炎暑の中も、あるいは酷寒のときも、それにめげず勤務をしているということであろうかと思います。  しかし、最近のいろいろな治安指標というものを見てみますと、刑法犯も昨年は百六十万件を超える発生でもございました。また、相変わらず覚せい剤の密輸あるいはそれの使用というものに伴う犯罪というものも多発をしておりますし、暴力団というものの対立抗争も依然としてまだ根強いものがございます。また少年犯罪もまだまだ高い水準にあるというようなことで、いろんな意味で治安を支える環境というものが厳しくなっておる。特に先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、極左暴力集団が成田の二期工事反対とかあるいは皇室闘争とかいろんな闘争目標を掲げて、最近ではライフラインに、国鉄に対する攻撃であるとかあるいは個人宅への放火というような無差別なゲリラ、テロ行為を重ねておるということは非常にゆゆしき問題であります。  御指摘のとおり治安の問題というものは、一度下り坂に向かいますと、それへの回復というものは大変力といいますか、時間と経費等のかかる問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。そういった意味で極左の暴力集団のいろいろな過激な行動に対する警戒警備、あるいは彼らの起こした事案に対する捜査ということにつきましては鋭意努力をしておるところでございます。また不幸にして彼らの攻撃によって災害を受けた、被害を受けた、こういった警察官につきましては、特別公務災害を適用さしていただいて厚く処遇をしておるつもりでございますが、何といいましてもそういった災害、被害というものが起こらないようにするということも大切でございまして、いろいろと近代的な装備ということの開発につきましても、目下いろいろと知恵を絞っておる状況でございます。
  132. 抜山映子

    ○抜山映子君 公務員災害補償法、この補償の原則論、この原則論は、やはり給付責任を原則として是認する前提に立つのだろうと思うんです。ですから、その意味で、営利保険との間におのずからそこに差がなくちゃいけないと思うんですけれども、その割には割と厳しい給付制限を認めているような気がします。例えば心因性のノイローゼで、それが個人的な失恋とか家庭的な問題ならともかく、職場の環境条件に原因があると見られる場合において自殺、自傷なんかが起こった場合、どういうように処理するのが正しいと考えておられるのか、まずその基本的な姿勢をお伺いいたします。
  133. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 自殺、自傷の場合の取り扱いでございますが、自殺といいますのは、一般的には故意による行為であるということで、公務災害とはならないというのが原則でございます。しかし、自殺であるからすべて公務災害とならないというわけではございません。例えば反応性うつ病という、後天的な原因によるうつ病による自殺。反応性のうつ病と公務との間に因果関係があるという場合には、これは公務上の災害とされるということでございまして、またそういうようなことで認定をされた具体的な事例もございます。
  134. 抜山映子

    ○抜山映子君 最近の職場のME、ロボット化、それから派遣とか長時間労働化とかいろいろあると思いますけれども、そういうことを考慮した場合に、ただいまおっしゃったような労働者の故意の死傷だからということで、一刀両断的にこれを認めないというのは、私はおかしいと思うんです。  そこで、お伺いするんですけれども、昭和四十年七月三十一日基発第九百一号の、労働者の故意の死傷なるがゆえに因果関係は中断し業務外であるという、こういう行政解釈ですね。これはもう改める方針なんですか、改められているんですか。
  135. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) まことに恐縮でございますが、労働省の通達でございますものですから、ちょっとその詳細を現在準備いたしておりません。申しわけございません。
  136. 抜山映子

    ○抜山映子君 それでは、その一言一句を私問題にしているわけではなくて、故意の死傷であるから因果関係は中断するのだという一刀両断的な解釈はとらない、こういうように了解してよろしいですか。
  137. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 自殺であるからということで、直ちにそれが故意のものであるということではないということは、先ほど申し上げましたようなことでございまして、具体的には反応性うつ病のような場合が想定されておるということでございます。
  138. 抜山映子

    ○抜山映子君 今回の公務員災害補償法によりますと、既決になりまして監獄に入りますと、これはもらえないわけですね。衆議院の方で、バスの運転手なんかが業務上過失致死という事態を引き起こした場合に気の毒ではないかという、こういう質問が出ておりましたけれども、事例はこれのみにとどまらず、例えば業務上の過失で失火、要するに火を出して建造物を焼いてしまった、あるいは過失で激発物を破裂させてしまった。こういう場合、これが業務上必要な注意を怠ったことに起因した場合、あるいは重大な過失に出たときは三年以下の禁錮になるわけでございます。あるいはまた、最近はやっています過激派ですね。その過激派との乱闘中にちょっと過剰防衛で、警棒で阻止する意味で殴ったところ相手方が死んでしまった。これが業務上の過失致死だと、こういうようなことになりますと五年以下の懲役または禁錮、こういうことになるわけです。  こういう場合に、やはり公務員災害補償法の基本理念は、働く能力ができない場合にその人間につつがなく生活できるようにしよう、あるいは遺族生活保障を全うしよう、こういうところがねらいだと思うんです。そうしますと、これを一律に認めないということは大変かわいそうなことではないか。こういうふうに思うんですけれども、こういう場合についてどう対処されるおつもりでしょうか。
  139. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) この法律案におきましては、ただいま御指摘のように自治省令で定める場合については、これを休業補償対象にしないということになっておりまして、これは考え方といたしましては、確かに先生のおっしゃるように稼得能力の喪失に対する補てんという公務災害考え方ではございますけれども、本人の責任によって、本人の責任と申しますか、本人の行為によってそういう休業をせざるを得ないというような事態になった場合には、これを給付の対象にしないという考え方が基本でございます。したがいまして、現在考えられておりますものは既決の者ということに考えておりますけれども、ただ、具体的には、この範囲について、労災保険制度の労働省令で定めるというものも見ながら定めていかなければいけないと思います。その細部については、労災保険制度の検討状況を参考にさしていただきたいと存じます。
  140. 抜山映子

    ○抜山映子君 もう一度繰り返しますけれども、例えばもう血みどろになって、過激派から殴られて自分も瀕死の重傷を負った。ちょっとおどかすために発砲したというのが、誤って当たって死んでしまった。これも所得能力を失うわけですね、その警官は。そういう場合もみずからの責任において既決囚となって監獄に入ったんだから、これは補償しないんだというのでは、ちょっと余りにも冷た過ぎるんじゃないか。しかも、この公務員災害補償法は、要するに特殊な労働法上の損失補てんというのが基本だと思うんですよ。ですから、何らかそういうときに特別な基準を設けて何とか救済しなくちゃいけないんだと思うんですけれども、それは措置していただけないんですか、いただける可能性が残っているんでしょうか。
  141. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 先ほど申しましたように、基本的には既決の者については、これを休業補償対象にしないということでございますけれども、繰り返しになって恐縮でございますけれども、労災保険制度においても、実は細部については今後の検討課題になっております。したがいまして、労災保険制度の検討状況を今後見ながら細部について詰めていく、こういうことでございます。
  142. 抜山映子

    ○抜山映子君 細部について詰めていただくときに、救済される可能性もあり得る、こういうことですね。
  143. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 細部の検討事項としては、十分検討の対象として考えなければいけないというふうに思います。
  144. 抜山映子

    ○抜山映子君 それでは公務員の特勤手当ですが、特勤もこの算定基準の中に入るわけですね。そうしますと、特勤にもいろいろありまして、サンケイ新聞にも出ておりましたが、例えば東村山市の例でございますけれども、特勤手当の数が六十種類である。図書館の職員、これが月額二千五百円、運転手が月額千二百円、公民館の職員が月額千七百円。さらに栄養士、速記士、タイピストと何にでもつけてしまう。こういう本来現業の危険で不快な職種のみに出るはずの特殊勤務手当が、豪華庁舎にいる普通の事務職員にも出ている。こういうような事例があるわけなんですけれども、こういうものは現在どの程度改善されたのか、されていないのか、状況把握していらっしゃいますでしょうか。
  145. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 特殊勤務手当につきましては、言うまでもありませんが、著しく危険、不快、それから不健康または困難な業務に従事する職員に支給するというものでございまして、それは当たらない特殊勤務手当というものは不適正なものでございます。これにつきまして、私どもは次官通知等によりまして、適正な支給を行うように指導をしておるところでございまして、現在までのところ、これは五十六年から六十年までの五年間における是正状況でございますけれども、延べで千七十二団体で統廃合等の是正措置を行っております。
  146. 抜山映子

    ○抜山映子君 そうしますと、この東村山市のただいま申し上げたような例はいまだに残っているんでしょうか、いないんでしょうか。
  147. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 東村山市の具体の事例を現在持っておりませんが、一般的な問題といたしまして、なお特殊勤務手当としては好ましくないものが残っておるのは事実でございます。
  148. 抜山映子

    ○抜山映子君 先ほど通達で指導したとおっしゃいましたけれども、通達を流しっ放しではこれ意味がないと思うんです。通達を流して、その後に実情を把握する。そして直っていなければもう一度指導、勧告するというように、詰めを行わないといけないと思うんですが、そのような詰めは行われているんでしょうか。
  149. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 先ほど申しました団体において、是正状況が行われておるというものは、私どもとしてそういうものを捕捉した結果であるわけでございます。市町村につきましては、第一次的には都道府県の地方課において指導お願いしておるわけでございます。例えば都道府県におきましては、かなりの数に上る団体で特殊勤務手当の改善がなされておりまして、また昨年に決定をいたしました各部道府県における行革大綱等においても、特殊勤務手当の是正をその項目の中に挙げておる団体もございます。これからも各団体において鋭意改善がなされますように、私どもは引き続き指導をしなければいけないと考えております。
  150. 抜山映子

    ○抜山映子君 ところで、民間の方では御存じのように特別援護金といって、これが千三百万円出している企業が六五%もある。ころ言うんですが、官の方では法定外給付として三百万円という金額が出ていて、大変に見劣りがしている。これをひとつ民間並みに引き上げてほしいという、まあこれ直ちに民間並みにというわけにもいきませんかもしれませんけれども、もう少しこの格差を縮めてほしいという声があるんですけれども、この点について御所見をお伺いしたいと思います。
  151. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 確かに特別援護金の数字につきましては、ただいま先生おっしゃいましたような状況でございます。ただ、逆に申しますと、約三五%の企業におきまして法定外給付が実施されていない。そういうような実情でございますとか、あるいはその支給の仕方も年金の方式あるいは一時金の方式、給付事由についても、給付事由と申しますか、その性格についても、いろいろの性格づけがなされておるということで、非常に何と申しますか、私どもの特別援護金の方は持ってくるのにいろいろと難しい事情もございます。しかし、やはり民間の給付状況というものは、十分に私どもの場合にも参考にさしていただかなければいけないと考えますので、これからも民間の実施状況の推移を見守りながら、その故善に努めなければいけないと考えております。
  152. 抜山映子

    ○抜山映子君 衆議院の方の議事録を見ますと、認定の迅速化の要請に対して、まあ一年以上経過の未処理件数が八件あると、こういうような御回答がしてございました。この認定の迅速化についてどういうような努力をされておられるでしょうか。
  153. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 公務災害認定に当たりましては、不幸にして事故に遭いました被災職員立場に立って、できるだけ速やかに認定を行うことが肝要であると考えているところでございます。この観点に立ちまして、自治省としましては公務災害認定補償及び審査事務の円滑かつ確実な実施につきまして、今後とも基金指導してまいりたいと考えております。
  154. 抜山映子

    ○抜山映子君 この未処理件数の八件というのは、何が理由でおくれているわけですか。
  155. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) まず、この八件と申しますのは、五十九年度末に七十五件ございまして、衆議院におきましても、ここ一年以上経過しているものがこんなに多いのはおかしいではないかというおしかりがございました。その七十五件の処理状況でございますが、それが六十一年九月末で八件残っておる。したがいまして、そういう意味では、なお一年以上かかってまだ解決できないということで、非常に残念な案件であるわけでございます。ただこれは、先ほど来問題になっておりますように、疾病の発生状況についての資料が整わない問題がありますとか、あるいは公務との相当因果関係につきまして、医学的な判断がなお最終的に出ていない、そういうような事由によるものであらうかと存じます。
  156. 抜山映子

    ○抜山映子君 治癒認定を厳格にしなくてはいけないという問題なんですけれども、衆議院の議事録の方の御回答を読みますと、「一年六カ月かかったところで傷病がまだ治っていないといった場合には、その者から現状報告書を徴」すると、こういうように回答されておるわけです。この現状報告書というのはこちらから送付するのか、それとも向こうで作成して送付させるのか、手続的にはどうなっているんですか。‐
  157. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 支部から様式を本人に送付いたしまして、それをもとにといいますか、それに記入をしていただいて出してもらう、こういうことでございます。
  158. 抜山映子

    ○抜山映子君 送付してこなかった者に対する処罰規定はあるんでしょうか。
  159. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 処罰というような規定はございませんが、そういう出てこないというような場合には、一年六カ月のこの療養の現状報告書だけではございませんで、常にその療養の状況を捕捉するような努力をいたしておりまして、ただいまおっしゃいましたように、出てこないというような場合には、あるいはこちらから出向いてとりますとか、あるいは主治医に相談に行きますとか、しかるべき現状の確認の方法を講じておるところでございます。
  160. 抜山映子

    ○抜山映子君 治癒報告書を被災職員が出さない場合には、しかるべき方法によってと、しかるべき方法によって照会している、こういう御回答だったと思うんですけれども、その照会の方法は各自各様別々にと、こういうことですか。
  161. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 恐らく一番多いのは、主治医に照会をするということであろうかと思います。
  162. 抜山映子

    ○抜山映子君 主治医に照会するのは主治医に照会するよりほかにしようがないんですが、主治医の照会の方法なんですけれどもね。主治医の照会の方法は各人の判断によって出向いてみたり、電話であったり、あるいは人によっては照会もしなかったりと、こういうことですかというようにお尋ねしているわけです。
  163. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) 方法については、恐らく出向く場合もございましょうし、電話による場合等もあろうかと思いますが、そういうやり方で現状の確認をするということでございます。
  164. 抜山映子

    ○抜山映子君 ここらあたりを裁量にゆだねているのが私は、実際には治癒しているのに交付を受けている実情があるということになっていると思うんです。したがいまして、照会の方法とか照会しなければいけない義務を、もう少しはっきりとした通達でも出して指導するようにしていただきたいと、こういうように切望いたします。このあたり前向きに取り組んでいただけますでしょうか。
  165. 柳克樹

    政府委員柳克樹君) この療養の現状報告書のところを先生指摘でございますけれども、それ以前にもう、例えば療養補償の請求のときなどの機会を利用いたしまして、もう既に治っているのではないかというような場合が想定される場合も十分にあるわけでございます。そういうことで、すでに治癒しているのに治癒していないという状況がないように努力をいたしておりまして、なお、足りない面があるかどうか検討させていただきたいと存じます。
  166. 抜山映子

    ○抜山映子君 診療所によっては割とずさんに診断書を交付するところもございますので、ひとつこの点について治癒認定を厳しく今後ともしていただきたいことを切望しまして、私の質問を終わります。
  167. 松浦功

    委員長松浦功君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 松浦功

    委員長松浦功君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  169. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は日本共産党を代表して、地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  反対理由の第一は、年金たる補償額の基礎となる平均給与額最高限度額を設けることであります。  政府の答弁でも本改正により五年後の昭和六十七年度には基金の支出、つまり補償総額が約五千八百万円も縮減されると見込まれており、長期的に見て給付水準の低下をもたらす結果となることは明らかであります。  特に限度額設定賃金構造基本統計調査をもとに定められ、五十五歳を超えると平均給与額が下がり、六十歳以上は最高限度額が急低下する仕組みになっていることは、給付費削減のしわ寄せを働くことの困難な高齢の被災者に押しつけるものであり、断じて認めるわけにはまいりません。  反対理由の第二は、収監中などの場合に休業補償を行わないとすることであります。  被災職員監獄等に収容されたとしても、被災職員と家族の生活保障、保護の必要性、合理性は厳然と存在し、その場合に不支給とする合理的な理由はどこにもありません。  政府昭和二十三年の労働省通達以来、「業務上の事由によって災害を被った労働者が、監獄、留置所又は労役場に拘禁又は留置された場合でも、災害補償は原則として行うべきである」とし、「休業補償は苟くも負傷疾病が労働することができない程度のものであるときは、使用者において休業補償を行うべきものであって、補償を受くべき労働者が右の施設にあると否とは何ら影響を及ぼすものではない」、としてきました。このような従来からの運用を変更しなければならない合理的理由を何も示さずに、休業補償の不支給範囲を拡大する今回の措置について、到底容認することはできません。  以上二点が本改正案に対する反対の理由でありますが、最後に、地方公務員災害補償における公務上外の認定に当たっては、この制度の目的である地方公務員の保護、救済を主眼として積極的な運用を図るべきであることを強調して、私の反対討論を終わります。
  170. 松浦功

    委員長松浦功君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  171. 松浦功

    委員長松浦功君) 速記を起こして。  他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 松浦功

    委員長松浦功君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  173. 松浦功

    委員長松浦功君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、志苫君から発言を求められておりますので、これを許します。志苫君。
  174. 志苫裕

    志苫裕君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の諸点について善処すべきである。  一 職種の多様化等最近の状況にかんがみ、地方公務員公務災害実態等についてさらに調査の充実を図り、公務災害の未然防止対策の推進に努めること。  二 電子計算機接続の視覚表示装置による健康障害の予防対策の充実は努めるとともに、循環器系疾患について、判例等を十分勘案の上認定基準の検討を行うこと。  三 地方公務員災害補償基金の運営について、本部支部間の協議の簡素化等さらに改善を図り、事務処理の一層の促進に資するよう努めること。  四 年金額のスライドについては、引き続きその改善に努めること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ満場一致御賛同いただきますようお願い申し上げます。
  175. 松浦功

    委員長松浦功君) ただいま志苫君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  176. 松浦功

    委員長松浦功君) 全会一致と認めます。よって、志苫君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、葉梨自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。葉梨自治大臣
  177. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。
  178. 松浦功

    委員長松浦功君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 松浦功

    委員長松浦功君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十分散会