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1986-12-11 第107回国会 参議院 社会労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十二月十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十二月九日     辞任         補欠選任      勝木 健司君     田渕 哲也君  十二月十日     辞任         補欠選任      田渕 哲也君     抜山 映子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐々木 満君     理 事                 岩崎 純三君                 田代由紀男君                 糸久八重子君                 中西 珠子君     委 員                 石井 道子君                 石本  茂君                 遠藤 政夫君                 関口 恵造君                 曽根田郁夫君                 田中 正巳君                 前島英三郎君                 松浦 孝治君                 宮崎 秀樹君                 対馬 孝且君                 浜本 万三君                 沓脱タケ子君                 佐藤 昭夫君                 抜山 映子君    国務大臣        労 働 大 臣  平井 卓志君    政府委員        労働省労働基準        局長       平賀 俊行君        労働省職業安定        局長       白井晋太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        此村 友一君    説明員        法務大臣官房審        議官       佐藤 勲平君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○労働問題に関する調査  (雇用問題に関する件)  (労働時間の短縮に関する件)     ─────────────
  2. 佐々木満

    委員長佐々木満君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、田渕哲也君が委員辞任され、その補欠として抜山映子君が選任されました。     ─────────────
  3. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 労働問題に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 糸久八重子

    糸久八重子君 昨日、社会労働委員会委員長から、本会議で、委員長提案によります雇用の安定に関する決議がなされまして、それに対して大臣施策推進に努める旨のお約束があったわけでございます。たまたま中央労働基準審議会建議も出されたということもございますので、雇用問題、それから労基法の建議中身問題等につきましてきょうはただしていきたい、そのように思うわけでございます。  まず、MEを中心といたしまして技術革新進展している。そして産業職業構造変化もある。さらに高齢化社会への移行、そして女性の職場進出など、非常に経済的、社会的に大きな変化が進行しているわけでございます。そういう状況の中で雇用労働政策上の課題というのは非常に大きな問題になっているわけでありますし、加えて、国際摩擦などを背景にしまして昨年秋のG5以来、円高が急激に進展をしている。そして、それによって輸出産地中小企業が倒産や廃業に追い込まれているというケースが続発をしているわけでございます。また、鉄鋼造船非鉄金属、そういうところの構造不況業種とか、これに依存する地域雇用情勢は非常に悪化をしている。さらに第八次の石炭対策とか、それから国鉄の改革実施に伴う離職者問題もあるわけでございます。  そこで、お尋ねをしたいわけでありますけれども、最近の雇用情勢、つまり完全失業者及び完全失業率有効求人倍率等推移はどのようになっておりますでしょうか。
  5. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  先生御指摘のように、最近の雇用失業情勢は非常に厳しい情勢にございますが、数字の点で申し上げますと、昭和六十年が完全失業率二・六%たったわけでございますが、本年に入りまして四月に二・九、七月に二・九ということで、現在、十月は二・八ということで高目推移しているところでございます。また、有効求人倍率におきましても、六十年〇・六八倍でございましたが、現在、七月以降〇・六一倍ということで推移いたしております。
  6. 糸久八重子

    糸久八重子君 円高の急激な進展輸出産地中小企業とその労働者に及ぼしている影響については、労働省はどのように把握をされておりますか。
  7. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  円高進展によりまして輸出産地中小企業影響が出ておりますが、労働省といたしましては四十四地域を指定いたしまして、月一回ないし随時状況把握いたしてきております。  その把握状況は、円高に伴いましての影響を四つの段階に分けまして整理いたしておりますが、雇用影響の少ない産地は四産地、それから現在は雇用調整は見られないけれども今後新規成約減少等によって影響を受けるだろうという地域が十四地域、それから主に円高により雇用調整を実施しているケース十七産地、それから従来の構造不況要因の上に円高が加わりまして調整を実施している地域が九産地というようなことで分類いたしております。  雇用の実際の影響が見られるのは、そういうことで四十四のうち二十六産地でございますが、ここにおきます解雇者は六十年十月以降、本年十月末に約四千百人ということでございます。それからその他、残業規制を行っている事業所が百四十事業所、一時休業事業所が二百二十二事業所というような状況になっております。
  8. 糸久八重子

    糸久八重子君 ちょっと今聞き漏らしたのですが、残業規制を行っている企業数字をもう一度おっしゃってください。
  9. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 残業規制を行っている事業所は百四十事業所でございます。
  10. 糸久八重子

    糸久八重子君 中小企業輸出依存度というのは全業種平均二五%と言われているわけですけれども、この輸出比率の高さというのが中小企業技術水準を上げたり、それから活発な設備投資を支えてきたと言えると思います。しかし、円高によりまして輸出の低迷、そして採算の悪化のしわ寄せをもろにかぶっているのが中小企業なわけですけれども輸出偏重経済構造に深く組み込まれております下請の中小企業は、もう今さら逃れようもなく淘汰の試練に立たされているというのが現状なわけです。  この問題は中小企業庁にもお伺いしたいわけですが、きょうお呼びしてございませんから、これ らの問題に対して労働省としてどういう対策をお持ちなのか、お願いいたします。
  11. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  中小企業、特に先ほど申し上げました輸出比率の高い産地におきます中小企業の問題につきましては、今申し上げましたような調査をいたしておるところでございますが、これらに対する対策としまして、政府全体としまして先般、通産省中小企業庁がいわゆる城下町法を改正いたしまして、新たな施策を加えて、事業の転換その他についての融資制度を含めまして援助措置を行っていくということで現在対策を進めております。  労働省はこれに対応いたしまして、中小企業庁が指定いたしました地域について、雇用情勢の悪いところにつきましては新たに地域指定をいたしまして、一雇用調整助成金制度等の適用を図って、失業の予防それから失業者に対する失業給付延長等の諸措置をとって、これに対応していくという措置をとっているわけでございます。
  12. 糸久八重子

    糸久八重子君 鉄鋼とか造船などの業界で希望退職募集とか、それから休業を実施する企業がもう非常にたくさん相次いでおるわけですけれども労働省ではこれらの実態についてどのように把握していらっしゃいますか。主なものだけでも数字でお示しをいただきたいと思います。
  13. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  造船鉄鋼等におきましては、先ほどからの御指摘にもございますように、円高影響等によりまして雇用をめぐる状況が非常に厳しいものとなっております。出向、配転や希望退職募集等の一雇用調整動きが見られるところでございます。  まず造船業におきましては、本年に入りまして六千人を超える離職者が発生しておりますほか、現在二万人程度余剰人員を抱えていると見られております。今後の状況推移のいかんでは、希望退職募集等により多数の離職者が発生するということが懸念されております。それから鉄鋼業においても、大手高炉メーカーの一部がこの十二月に入りまして相当程度規模の一時休業に踏み切っております。  これらのそれぞれの個別の企業については一々申し上げませんが、現在、調査その他ヒアリングで把握いたしまして、大体人員削減が今のいろんな形の雇用調整を含めまして百人以上になるものについて十一月末までにまとめたところによりますと、造船、重機で十四社、二万五千五百七十人、そのうち造船業が約二万人、それから鉄鋼業につきましては三社で一万三千五百人の何らかの形の雇用調整が行われているという状況でございます。
  14. 糸久八重子

    糸久八重子君 大変な雇用不安が出てきてこれからも労働省対応は大変だろうと思いますけれども、最近三和銀行系三和総合研究所が発表したレポートによりますと、製造業全体で約九十万人の余剰人員を抱えており、これを雇用削減だけで解決すると、現在二・九%の完全失業率が四・二%に上がると言っております。また、今後国内生産の一割を海外に移転するとすると約百二十万人の雇用機会が喪失されると、そう指摘をしておるわけでございます。  政府の第五次雇用対策基本計画では昭和六十五年度の完全失業率二%程度を目安としておるわけでありますけれども現状では二%程度はおろか、政策的対応を誤れば我が国も今後高失業社会を迎えることになってしまうのではないかと大変心配をするわけでございます。この一年間に発表されました政府関係の各種の審議会とか研究会建議報告の中でもこの問題について触れられておりまして、内需拡大労働時間の短縮提言をされているわけでございます。  その内需拡大問題と労働時間短縮のかかわりについてお伺いをしたいわけでありますけれども景気対策それから経済政策観点から見てもこれらの問題を検討する必要があるのではないかと思いますが、労働時間短縮効果についてどのように見ていらっしゃるでしょうか。
  15. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) 御指摘のように、最近、政府関係閣僚会議あるいは審議会等内需拡大に関連をして労働時間短縮についての問題が提起をされているところでございます。  率直に申しまして、例えば労働時間を短縮したときにそれが内需にどう結びつくかということを正確に計算することはなかなか難しいと思いますが、私どもといたしましては、例えば休みをふやす等によって働く人たちの消費の態様が変わってくる、そういう変わってくることによって内需が振起し、それに伴ってさらにその波及効果があるということは、考え方としてはその方向にあるというふうに思っております。
  16. 糸久八重子

    糸久八重子君 労働時間短縮はいわゆるワークシェアリング効果もあるはずだろうと思いますけれども完全週休二日側が実現した場合に雇用創出効果はどのくらいとなりますか。
  17. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) これまた数字の上であらわすことはなかなか難しい問題であり、例えばヨーロッパなどでもそういう労働時間の短縮についてワークシェアリング効果雇用拡大効果があるかどうかについてかなり議論があるというふうに承知をしております。  ただ、長期的に見た場合、現在の週休制の実情から、将来例えば完全週休二日制になったときに全体としての労働時間が減るときに、全体として雇用の面で拡大をする効果は、もしそのときの失業される人員の量とかということがある程度一定であるとすれば、そこら辺のところにマクロ的にはそういうことがある程度期待できるというふうには考えられると思います。
  18. 糸久八重子

    糸久八重子君 先ほど紹介いたしましたけれども三和総合研究所レポートによりますと、完全週休二日制が実現した場合には雇用創出効果というのは三百八十万人に上る、そう発表しているわけでございます。労働省といたしましても、この労働時間短縮雇用創出効果を検討して政府部内を説得するようにもう積極的な姿勢が求められているのではないかと思いますけれども、いかがでしょう。
  19. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) 御指摘のその三和総合研究所レポートでは、確かに三百八十万人という数字をはじいておりますけれども、非常に大数的に計算をして、今の日本の総労働時間がイギリス並みの総労働時間になったものと計算をして、単純に割り算をして、それによって得た人員が三百八十万人という単純な推計をしているということでございます。したがって、その前提条件あるいはその間の過程、それから生産効率といいますか、それをどういうふうに企業が消化をするかとかいろいろな問題がありますので、この数字が単純に導けるものではございませんけれども、ただ、私ども労働時間を短縮するについて長期的に見て雇用創出の上で効果があるという考え方のもとにその施策を進めていきたいと、こう考えております。
  20. 糸久八重子

    糸久八重子君 最近数年間我が国労働時間の推移をお示しいただきたいと思いますが。
  21. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) 最近五年間状況年間労働時間として把握しているもので見ますと、昭和五十六年に二千百一時間、五十七年に二千九十六時間、五十八年が二千九十八時間、五十九年が二千百十六時間、六十年が二千百十時間、要するに大体二千百時間前後でほぼ横ばい推移していると把握しております。
  22. 糸久八重子

    糸久八重子君 毎度労働時間の問題になりますと、日本労働時間というのは欧米諸国に比べまして非常に長い、そしてそれが欧米諸国から批判されて経済摩擦要因となっている。毎度毎度言われていることでありますけれども日本労働時間と欧米諸国労働時間ではどのくらいの差がございますでしょうか。
  23. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) 欧米主要国、比較的人口あるいは労働力の多い先進諸国日本から見ますと英、米、独、仏、これらの国が労働力あるいは人口等から見て比較するのにあるいは適当である国と考えておりますが、私ども統計数字等によって、それぞれの国の統計の基礎などが違うので必ずしもその数字がはっきり日本と同じレベルで比較できるものとは考えておりませんけれども、できるだけそういう要素考えまして推計を し計算的に得られたもので比較しますと、日本先ほど申し上げましたように二千百時間台であるのに対して、英米両国ではほぼ千九百時間ぐらい、それから独仏になりますと千六百時間から千七百時間ぐらいのところというふうに把握しております。
  24. 糸久八重子

    糸久八重子君 今お示し数字によってもわかりますとおり、とにかく日本労働時間というのは大変長い。西ドイツと比べますと約五百三十時間、五百四十時間くらいですね。それからフランスと比べますと、これも四百九十五時間ぐらいですから大体年間約五百時間ぐらいですね。五百時間といいますと、これは三カ月なわけですから、そういう非常に長い労働時間である。  その長時間労働内容を見てみますと、先ほども申しましたとおり、完全週休二日制が欧米諸国のように確立しておらない、そして非常に休日が少ないということですね。それから、それと同じように年次有給休暇付与日数も非常に少ない。そしてまた、取得率も少ない。それから時間外労働が非常に多くなっている。そういうことが欧米諸国と比較した場合の問題点であると思うのですけれども労働省はどのようにお考えですか。
  25. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) 数字によって把握されたというか計算される要素の中に、御指摘のように、週休二日制の普及が進んでいないこと、超過勤務とされている時間、所定外の時間が長いこと、それから年次有給休暇付与日数といいますか、所定年次有給休暇として与えられる日数というよりも、現実に年次有給休暇をとっている日数が少ないことなどが挙げられておりますが、ただ、休日という点から言いますと、日本の場合は公の休日あるいは年末年始、盆等の慣行的な休日、これらを足したものは欧米諸国より多いという結果が出ております。  それからもう一つは、いろいろな関係から欠勤をする日数というのを把握されている国がございます。西ドイツなどそういうところは把握されておりますが、その日数日本に比べてかなり多いという結果も出ております。  以上、総合して、計算上、年間労働時間が日本の方が長いという結果が出ていることは事実でございます。
  26. 糸久八重子

    糸久八重子君 先ほど完全週休二日制にした場合に、どのくらいの雇用効果かというお話もありましたけれども完全週休二日制を実施している企業、それからそれに対する労働者は大体どのくらいございますか。
  27. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) 昭和六十年に労働省が行いました実態調査で、三十人以上の企業ですけれども企業数完全週休二日制を実施している割合は六・一%、それから労働者の数の割合になりますと二七%でございます。
  28. 糸久八重子

    糸久八重子君 年次有給休暇平均付与日数、それから収得率等についてはいかがでしょうか。
  29. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) ちょっとここに正確な数字は持ち合わしておりませんけれども付与義務といいますか、付与日数が最近の調査では大体十五・二日。それから、これに対して取得日数が七・八日、取得率は五二%、こういうことになっております。
  30. 糸久八重子

    糸久八重子君 労働時間の短縮は最近になってから問題になったというものではありませんね。いつもこれは委員会があるたびに話題になるわけですけれども高度経済成長期労働時間の短縮がある程度進んだわけですけれども石油ショックの後の経済情勢とか雇用情勢の中で、労働時間の短縮が国民的な論議の的になってきたわけです。  政府は、一九八〇年の十二月に週休二日制等労働時間対策推進計画を策定いたしまして、これに基づいて一九八五年には年間二千時間になるように行政指導を進めてまいりましたね。しかし、実際には、この間労働時間はもうほとんど短縮をされてきておりません。  労働省としてもいろいろ努力をされていらしただろうと思いますけれども、それでも労働時間が短縮をされなかったという理由は一体何であると把握していらっしゃいますか。
  31. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) 一九八〇年、昭和五十五年でございますが、やはり労働時間の短縮は、結論的には民間の各企業において労使が話し合いによって決める。その一番のファクターになりますのは、やはりその企業生産性の向上があって、それをどう配分するかということになろうかと思いますが、やはり御質問にありましたように、二度にわたる石油ショックを経まして、昭和五十年代になりますと、その前の高度成長の時期に比べて全体として生産性伸びが小さくなり、したがって、例えば賃金についても、賃上げはずっと着実に進んでおりますけれども、それ以前の賃上げに比べれば率にしては低いものになり、労働時間の短縮高度成長の時期に進みましたが、やはり五十年代になってからはずっと横ばい推移せざるを得なかったということは、基本的にはそこにあると思いますが、そのほかに高度成長の時期には比較的小さな企業でも人が足らないということで、若年労働力を確保するために労働時間短縮あるいは週休二日制を進めるというような動きが非常に多かったんでございますが、昭和五十年度以降、五十年代になりますと、労働市場需給関係も変わってきてそういう要素も期待できなくなったことなどもあると思います。  また、それまでのときに労働時間の短縮を進めたのは、やはり企業としても比較的伸びの多い規模の高いもの、それから、あるいは企業としての収益がだんだんと上がっていたところで労働時間の短縮が進んでいたんですが、最近においては、やはりどちらかというと中小企業中心労働時間の短縮のおくれているところというのは、なかなかこの時期になって、より労働時間の短縮が進めにくいものが残されていることなどもあると思います。  またもう一つは、大きな企業であっても、雇用を確保するという見地から見ますと、やはり雇用調整所定外などで行うといいますか、そういうことにして、今いる労働力について、できるだけその企業に確保するための措置としてそういう労働時間、特に所定外調整要因として使うと、こんな傾向が出てきたことも、やはりこの時期、全体としての労働時間の短縮がなかなか前に比べてテンポが遅くなったということに結びつくのではないかと考えております。
  32. 糸久八重子

    糸久八重子君 労働時間短縮を進めるためにどう対処していったらよろしいとお考えですか。
  33. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) 私ども労働基準局の立場では、一番古典的な手段かもしれませんけれども労働基準法規定がございますので、その規定をもとにして監督指導を図るという手段、これが労働基準局としては基本的な手段になると思いますが、そのほかに最近ではやはり労働時間の短縮につきましては、特にたくさんの数のある小さな企業にそういう問題を認識していただくということで、普及指導活動といいますか、そういうことが特に必要だと考えております。  そういう見地からの手段を進めておりますが、そういう労働省の枠の中の施策を超えて、例えば政府全体としてそういう問題が必要だという観点のもとに、最近でも先ほど指摘のあった各審議会でそういう問題についての御議論が行われ提言どもなされておりますけれども、具体的には、例えば金融機関について御協力をいただいて週休二日制を進める、週の開店時間についてだんだんと土曜日の休みをふやしていくとか、あるいは公務員の関係についてどうするとか、さらには通産省あるいは経済企画庁等産業官庁経済官庁等の御協力もいただきながら普及促進活動を進めていくということが必要だと考えております。
  34. 糸久八重子

    糸久八重子君 監督指導とか、それから普及指導とかいうような行政指導では本当に時間がかかるということは、もう今までの経過からおわかりだろうと思うのですけれども、やはり私は、労働時間短縮をするためには法的措置をきちんとしなければいけないのではないかなと、そのように考えておるわけでございます。  昨日、中央労働基準審議会労働基準法の改正 にかかわる建議労働大臣にあてて提出をしております。中身を拝見いたしまして大変御苦労があったということで感謝を申し上げたいと思いますけれども建議内容では大変私ども不満に思っておるわけです。  先ほど指摘いたしましたけれども欧米諸国並み労働時間を実現するためには、まず第一に完全週休二日制を実現すること、つまり一日八時間、そして週四十時間の労働体制を確立することがまず必要である。もちろんこれを急に実施するということは大変無理が生ずるだろうと思いますし、中小企業への配慮も必要だと思いますから、一定経過措置をしていかなければならないだろうと、それはそう思います。その一定期間、例えば三年間とか五年間とか、そういう一定期間を経たら我が国でもとにかくこれはきちんと確立をしていく、そうしなければならないのではないかと、そう考えます。しかしながら建議を見ますと、週四十時間労働制目標として法律には明記をするわけですけれども、いつまでその目標を実現するかということについてはまず明らかにはなっていないわけです。  それから次に二番目なんですが、年次有給休暇の問題です。ILO水準の二十日に引き上げる必要があるわけですが、建議労働基準法研究会報告のように十日程度としている点、これも大変不満でございます。  次に三番目に、時間外労働を規制しなければならないわけです。少なくとも女子労働者について年間百五十時間の規制があるのにも合わせて、男女とも年間百五十時間の上限を設けるべきではないかと思うわけですけれども建議は、この問題については従来どおり労使の自主的努力にゆだねると、そうしているわけです。  幾つかの問題点を今指摘させていただきましたけれども、こういうことから考えますと、この建議が多くの勤労国民大衆のまず期待に反している。そして、労働時間の短縮についても極めて慎重といいますか、消極的な態度を示していると思います。しかも、もう一つ見逃せないことは、その一方で労働時間に関する法的規制の大幅な弾力化を打ち出しているということです。  そこでお尋ねをするわけですけれども欧米諸国でも確かに労働時間規制の弾力化が問題になっているようですけれども、その内容はどういうものになっておりますでしょうか。いずれも一日八時間、週四十時間制の確立が前提条件としてありまして、これをさらに短縮しようとする場合においてその枠内で弾力化するというのが基本的だと私は思うのですけれども、その点についていかがでしょうか。
  35. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) 欧米諸国につきましては、労働時間についての決め方の考え方日本と大分違っているものがございます。  例えば、イギリスなどにつきまして言うと、原則として労働時間に関する法的な規制、最低基準というものが定められておりません。それは、すべてどのような決め方であれ労使が決定することにゆだねられておると、こういうことでございます。それから規制がある国でも、罰則によって担保しているというものばかりではないと思います。  アメリカなどにつきましては、やはり労働協約によって二十六週ですから半年ですね、これについて千四十時間、または五十二週、要するに年間二千八十時間以下の範囲内で一日十二時間、一週五十六時間というかなり大きな幅で変形制度を認められております。  それから、イタリアは四十八時間制でございますけれども、その範囲であれば一日の制限がございません。いかようにも決められるということでございます。  それから、西ドイツにつきましては、これまた四十八時間制になっておりますが、その中で事業の性質による二週間単位で一日十時間ということで弾力的な取り扱いが認められております。  それから、フランスは最近労働時間が三十九時間制になりましたけれども、これは一年を平均して週三十九時間であればいかようにでも決められると、こういうことになっているわけでございます。  ところで、審議会の方で御建議をいただきました弾力的な取り扱いにつきましては、一般的に、当面、例えば労働時間を四十六時間にするとしても、三カ月単位の変形制につきましては原則として週四十時間のもとでその弾力的なものを認める。中小規模のものにつきましては四十四時間ということでありますけれども、いずれにいたしましても労働時間短縮に役立つ方向で弾力的な取り扱いを認めるということで、そういう意味では弾力的な取り扱いが労働時間の短縮と矛盾するものではありませんし、むしろそういう方向に大きく前進するものだというふうに解釈をいたしております。
  36. 糸久八重子

    糸久八重子君 建議が三カ月単位の変形労働時間を設けるとしておりますけれども、その限度、つまり一日及び一週の最長労働時間を決めてないわけです。また、連日出勤の規制にも触れられておりません。さらに問題なのは、一週単位の非定型的変形労働時間制を設けるとしている点です。これにつきましては、一週四十四時間以下、一日十時間以下で労使協定によるということが要件とされております。  労働時間法制の基本的枠組み一日八時間、週四十時間労働制や、時間外休日労働の制限が確立していないような今の段階の中で、こうした労働時間規制の大幅な弾力化を実施しようというのは大変問題だと思います。このことは、経営効果を優先させて、人間の生活リズムや労働者の家庭や地域の一員としての生活条件を犠牲にしてしまうというようなものではないかと思います。建議のこのような場合、どのような影響が生ずると考えられますか。
  37. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) 先ほどお答えいたしましたように、新しく導入されました弾力的な取り扱いにつきましては、少なくとも現行の四十八時間あるいは新しい当面の四十六時間という基準に比較して、もしそういうものを新しく取り決めるとすれば、労働時間の短縮に結びつくものというふうに考えております。  それから、いずれにしても、先ほど各国の立法例などを申し上げましたけれども、やはり労働時間の決め方はそういう弾力的な運用も含めて労使が協定をして決めるということになるべきだと考えておりますし、このたびの建議につきましても労使の協定を要件にしている。言いかえれば、例えば四十時間を前提にして弾力性を認める。現在といいますか、現段階で四十時間制を実現しているようなところ、事業所企業におきましては、それなりに労使の労働時間に対する認識も進んでいるところというふうに考えられます。四十時間制を導入できるところというのは、そういう進んだ労使の感覚のもとに、適切に労使で協定をして運営するということになると思いますので、その業態、事業実態に応じた労使の間で適切な弾力的な取り扱いの取り決めもできるものというふうに私どもは確信しております。
  38. 糸久八重子

    糸久八重子君 建議につきましてはまだまだ多くの問題があるわけですけれども、もう一点だけ取り上げておきたいと思いますが、我が国労働時間を産業別に見た場合に、最も長いのはどんな職種でしょうか。
  39. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) 平均的に申しますと、年間労働時間が二千百時間程度でございますけれども産業別に見ますと、やはり建設業とそれから運輸通信業、これは非常に大くくりに見ますと、そういうところが二千二百時間を超えており、その大分類では長いという産業になっております。
  40. 糸久八重子

    糸久八重子君 道路運送、特にトラック輸送については実にさまざまな問題があるわけですが、大型の路線トラックの場合には年間三千時間を超えるという話でございます。しかし建議は、自動車運転者の労働時間等の規制にかかわる問題について、これはもう先送りになっております。トラック輸送労働者労働条件の改善というのは、 もう早急に実現しなければならない大きな課題だろうと思いますけれども労働省としては前向き、かつ積極的に対応していただきたいと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  41. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) 御指摘のトラックを運転する方々の労働時間、業態で言いますと、道路貨物運送業とか、そういう業態の平均的な労働時間は長いという実態も承知をしております。したがって、先生御指摘のように、これは放置できない問題であるという認識を私ども持っております。  したがいまして、既に昭和五十四年ですか、ILO条約が改定された時期に、今までの、その以前もトラック関係の業態につきまして、トラックばかりでない、自動車運転の業態につきまして特別の改善基準を設定し、それに基づいて単に労働基準法上の所定時間あるいは残業時間についての取り決めのみならず、それ以降は運転時間あるいは拘束時間も含めて総合的に自動車運転者の労働時間を改善するための強い指導を行っておるところでございます。
  42. 糸久八重子

    糸久八重子君 いずれにいたしましても、次の通常国会に予定されております労働基準法の改正は四十年ぶりの抜本改正でありまして、欧米諸国に向かっても胸を張れるようなもの、そして我が国の勤労国民大衆の要望や期待にこたえ得るようなものとしていっていただきたいと思いますけれども、この点につきまして、大臣、いかがでございましょうか。
  43. 平井卓志

    ○国務大臣(平井卓志君) 委員御案内のように、この労働時間の短縮につきましては、申すまでもなく今日的に申し上げて時代の要請で、もうとにかくやらなくちゃいかぬということでございます。  今いろいろ御論議がございましたけれども、なかなかこの十年間見てまいりますと短縮は進んでおらない。本来的に労使の間において労働条件の基本事項でございますので、自主的に話し合っていただくということが理想的な姿でございますが、国際協調と言われ、時代の要請とまで言われ、昨今の事情を考えてみますると、やはり労働時間法制まさしく新しい枠組みの中でやっていかなければならぬのじゃないかと。こういう中で、今お話のございました中基審において三月から御議論をいただきまして、このたび建議がなされたわけでございます。  中身につきましては私、十分にすべてを承知いたしておりませんが、労使各側の各委員の方々からもいろいろな御意見、御議論がございました結果、このたび、昨日でございますが、おまとめいただいたことに対しては敬意を表しますとともに感謝を申し上げておるところでございまして、それだけの重みがございまするので、やはりこの線に沿って十二分に検討さしていただきまして、やはり中長期的に見て時代の要請にこたえ得るものでなければならぬし、また現在の日本の内情といいますか、過去の経過でございますか、余り大きく実態からかけ離れるというわけにもまいりませんし、いずれにしましても、この御建議いただいた内容の線に沿って検討さしていただいて来通常国会にお諮りをいたしたい、かように考えております。
  44. 糸久八重子

    糸久八重子君 それでは、当面の雇用対策につきましてお伺いをさせていただきます。  冒頭にも出ましたけれども、とにかく輸出産地、それからいわゆる企業城下町等では、雇用問題にかかわらず大変な社会問題化しているという状況でございます。したがって、関係各省庁が密接な連絡をとりまして対処する必要があると思います。先ほど城下町法のお話もちょっと出ましたけれども労働省としては具体的にどのような対策を講じていくのか、お伺いをさせていただきます。
  45. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  先ほどもお答え申し上げましたが、御指摘のような輸出産地企業城下町の状況に対しまして、労働省としましては従来から産業政策との連携を図りながら施策を進めているわけでございますが、通産省とは大臣をトップにいたしまして協議会を設置いたしまして、順次協議を進めながら対策を進めているところでございます。  従来、特定不況業種、特定不況地域雇用安定法がございますが、これに基づきまして特定不況地域を指定し、雇用調整助成金の活用等を図りまして各般の施策を講じているところでございますけれども先ほども申し上げましたが、今回の中小企業庁の法律に基づきましては、十二月五日から雇用対策の面におきましても緊急雇用安定地域を新たに指定いたしまして、特に雇用情勢の悪い地域につきまして特定不況地域に準ずる施策を講じているところでございます。さらに、これら地域対策を含めまして、次の通常国会には総合的な地域雇用対策の整備を図るということで、立法も含めまして施策の検討を現在進めているところでございます。今後とも関係省庁と十分連携をとりながら適切な施策を進めてまいりたいというふうに思います。
  46. 糸久八重子

    糸久八重子君 けさのニュースを聞いておりましたところが、国鉄の職員に対しての振り分けが、方針が決まっていよいよ着手をするというようなニュース報道が流れたわけでございますけれども、この際特に触れておきたいわけですが、国鉄改革というのは国策として実施するものでございます。したがいまして、国鉄職員の雇用と生活の安定についてはやはりこれは国の責任で万全の施策を講ずるべきだと思います。いやしくも国みずからが失業者を生み出すことは絶対にないように全力を挙げていっていただきたいと思いますけれども、改めて労働大臣の御所見をお伺いさせてください。
  47. 平井卓志

    ○国務大臣(平井卓志君) もう御案内のように、先般、国鉄改革関連の八法案は成立させていただきまして、現在、再就職促進方針の策定を初め、再就職促進法に盛り込まれております施策の具体化の作業を進めておるわけでございます。特に今後は、今年度中におきまして再就職促進方針に従って国鉄退職希望職員の円滑な再就職のための諸般の措置を講じなくてはいかぬ。来年度におきましては、清算事業団職員の再就職促進対策としまして、一つには清算事業団における無料職業紹介事業、教育訓練、さらに雇い入れる事業主に対します助成等の再就職援助業務と申しましょうか、二つ目は雇用促進事業団における職業訓練、さらには職業生活相談等の援護業務等を行うことといたしております。  いずれにしても、委員も御案内のように、相当な職種のミスマッチもございましょうし、広域異動ということも限界がございましょうし、やはりいろいろ希望される方々にそれだけ選択の幅もお持ちいただかなくてはいかぬということで、現在、一般産業界からも相当の御協力をいただいておりますけれども、今申し上げたような観点から考えまするとさらに御無理も申し上げ、今後さらにそういう点についての努力もしていかなければならぬ。御指摘のように、いずれにいたしましてもこの再就職の促進に万全を期さなくちゃならぬわけでございますが、政府、国鉄、関係機関が一体となってきめの細かい対策を今後展開してまいって、雇用不安を起こさないようなことでやりたいと考えております。
  48. 糸久八重子

    糸久八重子君 政府雇用対策労働政策というのは他の諸政策、特に経済政策産業政策の中にしっかりと組み込んでいかなければならないと思うわけでございます。そうした観点から、来年度政府予算編成におきましても、雇用対策に必要な予算を確保するために政府全体としてこれに十分配慮をすべきだろうと思います。大臣といたしましても最大限の努力をお払いくださいますように要望をいたしますとともに、さまざまな観点から意義のあります労働時間の短縮、そのための労働基準法の改正についてもぜひ前向きに、そしてかつ積極的に取り組んでいただきたいことを重ねて要請をいたします。  その点の大臣の御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  49. 平井卓志

    ○国務大臣(平井卓志君) ただいま二、三御要望をいただきましたけれども、特に今後展開される雇用政策について経済政策産業政策、表裏一体でなければならぬという御指摘は、まさにそのとおりでございまして、そういう意味では一昨日、総理を本部長とする雇用対策推進本部というものが政府・与党首脳の間でつくられました。  これはどういうことかと申しますと、従来、労働省雇用対策と申しますのは、やはり残念ながらいささか受け身にならざるを得ないという点もございまするし、積極果敢に経済活動を展開してまいる事業官庁でもございませんし、そこのところが今後の雇用問題を考えました場合に、果たして労働省のみで対応でき得る程度雇用不安と考えていいのかどうかということになりますると、非常に難しい問題がございまして、閣僚間におきましてもやはりすべて一体で、今後大型の雇用不安を招いて社会不安につながるようなことはどうしても防止しなければならぬという観点から、このたび雇用対策推進本部がつくられたわけでございまして、私も今後この会議の司会役を仰せつかっておりまするので、労働省の立場のみならず全般の雇用問題について、さらには産業政策に立ち至ってまで雇用問題に特段の配慮を払うような施策推進について全面的にやってまいりたい。  特に、御指摘ございましたようにこの六十二年度の予算でございますが、これは非常に財政状態が厳しいことは御案内のとおりでありますが、円高構造不況業種、特に地域対策等々緊急を要する問題もございまするし、それだけで果たして雇用対策が万全かどうかということについては、これはなかなか疑問もございます。そういう意味で、この対策本部ということが労働省の政策の枠外において、さらに総合政策として雇用拡大、景気の浮揚、内需振興ということ、そこにさらには経済構造調整という非常に痛みを伴わなければならぬ側面がございまして、いずれにしても政府全体として総力を挙げてこの雇用問題については取り組んでいかなければならぬという認識に立っておるわけでございます。  また、ただいま御議論のございました時間短縮でございます。この問題も、これはもうぜひともやらなければいかぬということでございまするし、予定として、いろいろ検討の結果、成案を得ました上で、さらにまた審議会にお目通しもいただくということになろうかと思いますが、やはり時代の要請、さらには国民の方々の御期待に沿うものでなければならぬという反面、実態もよく把握した上で、それから大きく急激にかけ離れるということは難しい一面がございますが、いずれにしても一歩よりは二歩、二歩よりは三歩前進という形で、労働省としては時短問題に全力を挙げて今後取り組んでまいるという決意でございます。
  50. 糸久八重子

    糸久八重子君 ありがとうございました。終わります。
  51. 中西珠子

    ○中西珠子君 時間が非常に限定されておりますので、なるたけ重複を避けて質問させていただきたいと思います。  昨年来の円高進展で、輸出関連の中小企業が操業短縮をやったり休業をしたり、また倒産が非常にふえている。そういった状況がある中で、一方では国鉄の分割・民営化に伴う余剰人員対策、また石炭産業の閉山に伴う雇用対策とか、構造不況、円高不況のダブルパンチを受けている造船鉄鋼、機械産業などのレイオフとか人員整理、また北洋漁業縮小に伴う失業問題など、雇用失業情勢は大変深刻化している状況でございます。  雇用対策の緊急さにかんがみて、昨日、参議院の本会議雇用の安定に関する決議が採択されたわけでございますけれども雇用政策を担う労働省の役割は一層重要となっていると私は感じております。先ほども糸久委員の質問に答えて労働大臣が決意の表明をなさいましたけれども、経済・産業政策と一体となった総合的な雇用政策が絶対に必要だということはこれはもう皆が考えていることではございますが、現在労働省がやっていらっしゃる雇用調整、これの実態というものをお聞かせ願いたいわけでございます。  産業構造の調整に伴いまして雇用調整を行う労働省の諸施策というものは、ILOでも大変うまくやっているという定評がこれまであったわけでございますが、歴史上かつて見ないほどの失業率の高まりの中で大変御苦労なことと思いますけれども雇用調整助成金その他を使っていろいろ雇用調整をなさっていらっしゃるその実態について、まずお伺いしたいと思います。雇用調整助成金の対象業種は今どのくらいありますか。
  52. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  雇用調整助成金の対象業種は、本年十二月一日現在で百三十八業種となっております。
  53. 中西珠子

    ○中西珠子君 規模別には把握していらっしゃいますか。
  54. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 業種でございますので、規模別という指定ではございませんから把握いたしておりません。
  55. 中西珠子

    ○中西珠子君 それから支給対象ですね、それの年齢、階級別とか、性別による統計資料というものはお持ちでいらっしゃいますか。
  56. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 雇用調整助成金につきましては、休業とか職業訓練とか出向とかあるわけでございますが、対象者が例えば休業の場合は変化したりいろいろいたしておるわけでございまして、性別、年齢別等の調査は不可能でございます。
  57. 中西珠子

    ○中西珠子君 それでは、雇用調整助成金の休業、出向、教育訓練別、こういった仕分けは統計的になすっていますか。
  58. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 統計別とおっしゃいますとどういう統計別か、つまびらかではございませんが、支給金額等については休業、訓練、出向別にとっております。
  59. 中西珠子

    ○中西珠子君 後ほどで結構ですけれども、その資料をいただけますでしょうか。
  60. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 資料を整えてお手元にお届けいたします。
  61. 中西珠子

    ○中西珠子君 最近、労働省は十二月五日から一年間、百二十八市町村を緊急雇用安定地域に指定されましたけれども、どのような業種が含まれていますか。
  62. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  業種でなくて地域を指定したわけでございまして、その地域と申しますのは、最近の円高等の影響を受ける中で急速に雇用失業情勢悪化している地域、それを市町村単位で指定したものでございます。
  63. 中西珠子

    ○中西珠子君 市町村単位で緊急雇用安定地域として地域を指定なさったことはわかっているわけでございますが、その中にどのような業種が含まれているでしょうか、その地域にはどのような業種が多いでしょうかと伺っているわけです。
  64. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  地域によってその産地いろいろあるわけでございますが、例えば金属製品関係で三条、燕、関など、それから繊維関係で福井県の大野市など、それから陶磁器関係で岐阜県の多治見、愛知県の瀬戸市など、それから非鉄金属関係で宮城県の鶯沢町など、それから造船鉄鋼関係で岩手県の釜石等、そういう業種関連の集積している地域円高でやられている地域ということでございます。
  65. 中西珠子

    ○中西珠子君 金属製品関係とか繊維関係、陶磁器関係非鉄金属関係造船鉄鋼関係、業種としてはそういったものだけでしょうか。漁業関係とかそういうものはないんですか。
  66. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  漁業関係その他につきましては、特定不況地域ということで指定している地域はございますが、今回の緊急雇用安定地域としましては主として今申し上げたような業種でございます。
  67. 中西珠子

    ○中西珠子君 緊急雇用安定地域とそれから特定不況地域に対する施策はそれぞれ違っているのでしょうか。これから同じようになさるわけですか。
  68. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  特定不況地域の場合は、特定不況業種地域法に基づきまして地域指定いたしましてその法律に基づく対策を実施いたしているわけでございます が、今回の通産省地域指定に伴いまして、雇用情勢の悪いところにつきましてはこの特定不況業種指定でカバーできなかった地域につきまして特に選んで指定したわけでございまして、この地域につきましては特定不況地域に準ずる施策をこの地域において実施していく、こういうことにいたしている次第でございます。
  69. 中西珠子

    ○中西珠子君 その雇用対策の具体的内容を教えていただきたいんですが。
  70. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  この緊急雇用安定地域につきましては、今申し上げましたように特定不況地域に準ずる施策を講ずるわけでございますが、具体的には指定地域内に所在する事業所につきまして業種のいかんを問わず雇用調整助成金制度を適用すること。それから二番目には、同様に同地域内の事業所からの離職者に対しては業種のいかんを問わず特定求職者雇用開発助成金制度を適用すること。それから三番目には、雇用保険の個別延長給付六十日を行うこと等の施策を講ずることによりまして、失業の予防、再就職の促進を図っていくことといたしております。
  71. 中西珠子

    ○中西珠子君 円高関連地域につきましては、殊に緊急の雇用対策が必要だということで緊急特別求人開拓というものを実施なさるということになっておりますね。殊に大量の離職者の発生が予想されるときは特別求人開拓を実施するということを大綱の中にお書きになっているわけでございますが、それは具体的にどのようになさいますか。公共職業安定所をしてその開拓をさせるということでございましょうが、具体的にはどのようになさいますか。
  72. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 現在、雇用失業情勢が全般的に悪い状況の中で求人開拓には力を入れているわけでございますが、特に円高等の影響を受けまして大量の離職者の発生が予想される地域におきましては、離職者の早期かつ円滑な再就職の促進を図るために求職条件に適合する求人を確保することが必要でございます。このために安定所におきましては、雇用調整実施予定企業等からできるだけ詳細な求職情報等を早期に把握いたしまして求人開拓計画を樹立し、所長以下全所的な体制で個別企業や業界団体等に対し事業主訪問を中心にいろいろな手段を講じまして、積極的な求人勧奨を行うということをいたしているわけでございます。それからさらに、これらの地域におきましては関係市町村、各種事業主団体と連絡協議会を結成する等の措置をとっております。しかし、当該地域内では就職促進を図ることが困難な場合におきましては、さらに全国の公共職業安定所と連絡をとり広域的な求人開拓確保を強力に推進するということにいたしているわけでございます。
  73. 中西珠子

    ○中西珠子君 昨日、本会議で採択された決議も言っておりますように、現在、雇用失業情勢はまことに厳しいけれども今後も一層不況業種や一定地域中心情勢がさらに悪化することが懸念される、こう言っているわけでございますが、非常に経済的に不況の状況が続いている中で、労働省の方も産業経済政策と一体となった雇用対策というものをおとりにならなければならないということでございまして、雇用対策推進本部というものも発足したというふうに先ほども伺いましたし、そういった情報も入っておりますのでございます。  今度、殊に「地域雇用対策の整備、充実について」という十一月十日の中央職業安定審議会建議に基づいて、雇用開発を中心とした総合的な地域雇用対策の樹立ということのために法的整備も行うし、また概算要求の中でも拝見いたしますと非常に予算要求もなさっているわけでございますが、雇用開発促進地域、またひどい場合は特定雇用開発促進地域というものを指定なさるということでございますが、そういう指定をなさるときの基準というふうなものも既にお考えになっておりますか。
  74. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  現在、先生御指摘の中央職業安定審議会建議を受けまして次の通常国会に立法化を図るべく検討を進めているところでございまして、地域指定の基準等についてはまだ十分できてはおりません。ただ、現在までにいろいろな地域対策があるわけでございますけれども、これを総合的に実施するということで、現在いろいろ指定しております地域がその地域指定の中へ把握できるように、またその地域雇用の需給状況が非常にアンバランスになっておりますが、雇用機会の不足している地域についての新たないろんな施策に適合する地域とするために、それらの基準等も考えてまいりたいというふうに考えております。
  75. 中西珠子

    ○中西珠子君 雇用開発促進地域、これに対するいろいろの施策をお考えになっているらしくて予算要求もなさっているわけでございますけれども、その具体的な内容というものをお聞かせいただけませんでしょうか。予算の額ばかりでなく、これはまだ概算要求の段階で確定的じゃないと思いますので、大体地域求職者の雇い入れに対しては賃金の助成をお考えになっているとか、雇用促進融資制度をお考えになっているとか、そのように聞いているわけでございますけれども、また雇用促進事業団が広域異動円滑化の事業をやるとか、そういったことをお考えになっているらしく、また第三セクター方式による雇用開発への補助制度の新設というふうなことが書いてもございますし、特定不況地域等における能力開発対策の促進とか、そういったことをお考えになっているようでございますが、言葉だけで並べられているのはちょっと具体性に欠けていますので、もしお考えになっている今の段階のアイデアをお漏らし願えればと思うんですが、いかがでしょう。
  76. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  具体的内容については今検討を進めておりまして、成案を得れば中央職業安定審議会にかけまして次期国会へ提出するということでございますので、予算等につきましても大ざっぱな枠については要求いたしておりますが、中身の組みかえその他の要求も今後行っていかなければならないというふうに思っております。そういうことで、具体的に中身を御説明する段階にはございませんのでございますが、大体は先生先ほど指摘建議中身を具体化するべく検討いたしているというふうに御理解いただきたいと思います。
  77. 中西珠子

    ○中西珠子君 例えば、予算要求なさるのに、地域雇用開発助成金というものも一つの積算の基礎として、費目としてお入れになっているわけですね。そうすると、地域求職者の雇い入れに対してどの程度の賃金の助成をしようかと思っているというふうなラフなアイデアはあるんじゃないでしょうか。——ございませんか。でも予算要求を一応概算要求とはいえなさっているわけですから、どのくらいの賃金の助成をしようとお考えになっているか。私、大変これは結構だと思っているんですよ。それで促進して、必要であればどのようにでも応援させていただこうと思ってお聞きしているわけですから。
  78. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  それは今折衝中でございまして、どれぐらいの賃金の助成率でどれぐらい助成するかということについては、ちょっとお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  79. 中西珠子

    ○中西珠子君 いや、無理に言って困らせてもいけませんから、もうそれ以上聞きません。  それでは、法的整備をなさるということですが、これは一本の法律としてお出しになるんですか、それともそれぞれの関係法律を改正してなさるおつもりでしょうか。例えば、雇用促進融資制度、これを雇用促進事業団におさせになる、非常に低利で融資なさると。殊に新しいものをつくる場合、そしてそこで非常に雇用吸収力があるような場合は、特に低利の融資をおさせになるというふうなことにもなっているわけでございますが、これは事業団法の改正ということになりますですか。
  80. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  建議にもございますように、従来の地域対策を整備いたしまして新たな総合的な地域対策を実施 するようにということでございますので、我々としましては新たな形での総合的な対策の新規立法を行ってまいりたいというふうに考えております。  今、先生具体的に御指摘雇用促進事業団に融資制度を持たせるとする場合には、もちろん事業団法の改正が必要でございますけれども、その場合には新たな立法の中に盛り込んでいくということが現在の方針でございます。
  81. 中西珠子

    ○中西珠子君 私は、もう前から労働時間の短縮ということを盛んに叫んできたわけでございますが、やはり労働時間の短縮日本の長時間労働というものが大変世界的にも評判が悪く経済摩擦の一因ともなっているとも言われておりますし、また心身ともに日本労働者が疲労してストレスなども起こしやすい状況になっている。家庭生活もなかなか心身ともにゆとりのあるものにはならないというふうなこともありますし、また時間短縮をして生涯訓練、生涯教育というものにやはり余暇の時間を使わなければならないという、非常な技術進歩または経済、社会情勢変化というものもあるわけですし、労働時間は本当に早期に短縮していただきたいと考えているわけでございます。  先ほども基準局長からお答えが既にあったわけでございますので繰り返していろいろ申し上げませんけれども内需拡大に対しても労働時間の短縮は非常に効果があるであろうと考えられるし、また長期的に見た場合にはワークシェアリングという意味でマクロ的に雇用創出効果があると考えられるわけで、労働時間の短縮への労働省の御努力に対して大いに期待していたわけでございますが、昨日、中央労働基準審議会建議が出まして、ちょっと実はがっかりしたような感じなんですね。それでその中央労働基準審議会建議というものも、やはり労使の意見が非常に違ってなかなかまとまりにくかったのをやっとおまとめになったのではないかという感じもするわけでございますが、これに基づいて結局基準法の改正をなさるということでございますと承っておりますが、その基準法改正に踏み切る前に、この中央労働基準審議会建議だけに基づいてなさるのか、それとももっと広く一般の労使それから有識者の意見、殊に女性の意見というものをお聞きくださるのかどうか。そういうことはもう日程には上っていないのでしょうか、いかがでしょう。
  82. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) きのう御建議をいただいたわけでございますけれども、私ども労働基準法の改正案を検討するにつきましては、御建議をまず十分生かす形でまとめたいと思っておりますが、もちろん政府の立場で諸般の情勢その他総合的な考慮を払って立案をするつもりでございます。  それから、一般の方々、関係者の方々の御意見を聞くかどうかという問題でございますが、実は審議会の中でもそういう御意見がございまして、審議会としても関係者の御意見を聞く場を必要な場合に設けてはというようなお話もございましたし、私どもとしてもそういうようなことにつきましてさらに必要に応じて相談をしてまいりたいと思っております。
  83. 中西珠子

    ○中西珠子君 この審議会建議中身でございますが、法定労働時間については「週四十時間労働制を法定労働時間短縮目標として定める。」、これは法律の中に目標としてうたうわけですか。いつごろまでに達成するかということは全然触れないで法律の中にうたい込むという、こういうことでございますか。
  84. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) 具体的にどういう形で法律の規定を設定するか等につきましては、これから御建議を検討さしていただいて、私どもとしても関係各省あるいは特に法制的な審査などを経、さらにもう一度基準審議会にお諮りをしてそれで御提案をするという形になろうかと思いますが、ただ建議の中で私どもが非常に重要だと考えておりますのは、週四十時間を決定労働時間の目標として法律に明記しろ、こうなっております。これはやはり基準法の上で四十時間労働制を何らかの形で明確にするということだと理解しております。そういう意味で、この建議は非常に意味があり重要だと考えております。
  85. 中西珠子

    ○中西珠子君 欧米におきましては週四十時間がもう本当に普及しているわけでございますから、なるたけ早い時期にこれの達成を願いたいと思うわけでございますが、今基準局長がおっしゃったように、法律の中でうたうだけでもその目標に対して努力をするということになっていいのではないかということですが、次に「当面の法定労働時間は週四十六時間とし、なるべく早い時期に週四十四時間とする。」と。この「なるべく早い時期」というのも、これは段階的な実施という意味で「なるべく早い時期に」というふうに書いてあるのでございましょうが、これについても全然めどがないわけでございますね。
  86. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) 労働基準法の適用ということになりますと、御承知のように、一人でも労働者を雇う事業所について最低基準として罰則をもって強制するという形で施行されるわけでございます。そういう意味では、先ほどからも御論議になりました特に中小零細企業につきまして最も直接的にそれが響いてくるという形になるわけでございます。  そういう意味では、特に中小零細企業について、もちろんそういった企業でも労使の方々の御努力で既に四十時間制になっているところなどもございます。しかし、それは一割程度といいますか、ごくわずかで、その大部分は現行の四十八時間制をやっとカバーしているというようなことでございますので、そういう意味では四十六時間というのもなかなか大変だと思いますし、したがってそれを引き上げるにつきましてもそういう企業について罰則でその所定労働時間を強制できるかどうかということを十分に考えながら、法の運用といいますか法制の運用を図っていかなければいけない、かように考えておるわけでございます。
  87. 中西珠子

    ○中西珠子君 それから、建議の中に「労働時間についての法的規制の弾力化」というのがございますね。それで、「三カ月平均で一週四十時間以下(三百人以下の規模にあっては四十四時間以下)で、労使協定による。」、こう書いてあるんですね。これは大変結構なように見えるんですけれども、殊に「一週単位の非定型的変形制を設ける。一定の業種・規模事業について、一週四十四時間以下、一日十時間以下で、労使協定による。なお、労働者に対する事前通知を要する。」と。この変形労働時間というのは大変柔軟性があっていいようではありますけれども、殊に子供を抱えながら働いているような女性にとっては、ちょっとこれは生活のリズムを崩すということにもなるし、子供に御飯を食べさせなくちゃならない時間に帰ってこられなくて、そしていつまでも子供がおなかをすかして待ってなくちゃならないというふうなことになるという心配が、殊に非定型的変形制を設けた場合にどの程度の事前通知を必要とするかによって大分違ってきますので、この点はどのようにお考えになっているのでしょうか。  一日十時間以下といったら、十時間働いてもいいわけですね。そして週四十四時間以下であればいいといいますけれども、「労働者に対する事前通知を要する。」と書いてあるだけで、どのくらい前に通知するべきであるということはやっぱりきちっと書いておいていただかないと困ると思うんです。当日、朝言われて、そしてそれだって事前通知になりますからね。ですからこれは、何日ぐらい前にきちっと事前通知をしなければならないということを必ず法律の中に入れていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  88. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) いずれにいたしましても、この御建議内容等を法令にする場合にまた審議会等にお諮りして検討をするわけでございます。事前通知をするということが建議に書かれておりますので、それを具体化するにつきましては法律によるかあるいはその法律に基づく命令によるかは別にして、それは明確にすべきであると考えております。
  89. 中西珠子

    ○中西珠子君 もう時間も参りましたので詳しくは申し上げられませんけれども労働時間短縮に つきましてはたくさんの婦人も男性も要望している事項でございますので、慎重に建議に基づいてお諮りくださいまして、よい法律をつくっていただくように、基準法の改正をしていただくように心から要望いたしております。  最後に一つ大臣の御所見を伺いたいんでございますが、十二月一日に経済審議会経済構造調整特別小委員会ですか、それが中間報告を発表いたしましたね。産業の空洞化を恐れることなく産業構造調整をどんどん進めるべきである、そういうことを主張しておりまして、そして産業構造調整の段階で最も重要な問題というのは雇用の問題である、しかし円滑な雇用調整を行えばマクロ的には失業増大のおそれはない、こういうふうに言っているわけでございます。  ただそこに、その場合、経済成長率は四%ぐらいが望ましい、こう言っているわけですね。最近の、十二月五日ですか、経済企画庁が発表した本年七月から九月の経済成長率は年率に換算しますと二・六%にすぎないわけです。これから類推いたしますと、結局本年度は三%ぐらいにしかならないんじゃないか、四%の達成はとても無理じゃないかというふうに考えるわけでございますが、労働大臣はこういった経済不況の中で、経済成長率が落ちている中で、円滑な雇用調整だけを行えばマクロ的には失業増大のおそれはないなんと言われては、ちょっとお困りになるのじゃないかと思うんですね。本当にやはり経済政策産業政策と雇用対策とは一体となって、一丸となって推し進められなきゃならない。そしてまた、こういう深刻な経済情勢、また雇用失業情勢が深刻化している中で労働省の役割というものは非常に重要になっていると思うのでございます。  それで、雇用対策推進本部の座長も労働大臣がお務めになっているわけでございますから、これはもう労働省の立場を強力に主張していただきまして、そして雇用失業状況が好転していくように、そしてまた高齢化社会もどんどん急ピッチで進んでくるわけでございますから、緊急な雇用対策ばかりでなく、中長期的なやはり高齢者にも職を与えていくというそういう雇用創出の御努力も必要と思うし、緊急対策と中長期的な雇用対策と両方におきまして労働大臣の御奮闘を期待したいし、また予算要求なさるもので必要なものは、私どもがもしお力になるならばバックアップして頑張っていただきたいと思うわけでございますが、大臣の御決意のほどを最後にお伺いいたしまして私の質問を終えます。もう本当に時間がなくて残念なんでございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
  90. 平井卓志

    ○国務大臣(平井卓志君) 御指摘の点まさしく同感でございまして、特に今委員のおっしゃられました経済成長率がはかばかしくまいらない中での構造調整というのは非常に痛みを伴うわけでございまして、そういうことをできるだけ少なくしてまいらなければならぬというのがこれが労働省の立場でございますので、内需拡大ということがベースにございませんと、同じパイの中でやりくりいたしますとやはり犠牲のなすり合いというふうなこともございまして、基本的には景気浮揚策、なかんずく内需拡大策はこれは積極的にやってまいらなければならぬ、これがまず前提でございまして、その中でいろいろ今御指摘ございましたけれども、必然とは申しながら、今後これはどうしてもやらなくてはならぬのが高齢者対策でございましょうし、産業構造の転換その他は、今申し上げましたように、これはもう避けて通れない、そして経済がいささか低迷ということになりますと対応が極めて難しい。  労働省としてやるべきことは当然全力を挙げながらも、先ほど来申し上げておりますように、これはもう政府全般の経済運営の問題であり、また一本筋の通った産業政策というものを雇用中心にして展開していくこと、これはもう不可欠だというふうに考えておりますので、御趣旨の線に沿って私なりに全力を挙げたいと考えております。
  91. 中西珠子

    ○中西珠子君 ありがとうございました。終わります。
  92. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 雇用安定策に関して根本的な問題を二、三お尋ねをいたしたいと思います。  新聞の報道や企業の内部文書、そういうものを見ましても、鉄鋼造船、海運を初めとしてすべての産業の分野といっていい大規模人員削減計画が次々と進行をしております。もう逐一紹介をするまでもないと思いますが、新日本製鐵、五十九年度から六十一年度にかけて七千五百人の人員の削減、日本鋼管浦項製鉄所(POSCO)との労務費差、これに相当する総数ということで一万五千人の削減をする、あるいは造船、私の地元、京都の日立造船も大変なことになっていますけれども、ここで言えば一万七千人を一万五百人に、六千五百人、実にドラスチックな首切りをやるということでありますし、さらに従来国際競争力の強いと言っていた自動車とか電機とか、こういう分野にまで今日深刻な事態が進んできておるということはもう御存じのところだと思いますが、これが単に企業内の労働者にとって重大な問題であるだけじゃなく、下請産業労働者、ここにも深刻な雇用失業問題を波及さしておるということであります。  労働省は、来る通常国会に地域雇用開発促進法(仮称)、こういったものの制定を初めとして雇用対策を進めようとしておると聞いております。  伺いますけれども、この法案の中には都道府県知事が、今言いましたように単に企業の問題だけじゃない、一定地域社会に深刻な経済上の影響を及ぼすおそれのある企業閉鎖や大量の人員削減、こういった問題について労使協議を基本としながらも一定の勧告ができるような制度を、通常国会に出そうとする法律の中に盛り込むことを検討されているでしょうか。
  93. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  大量解雇等の問題につきましては、具体的には今、先生もおっしゃいましたが、労使当事者の話し合いにゆだねるのが適当な問題であるというふうに考えております。したがって、その規制を特に行うことは不適当であると思います。  現在、これも御存じと思いますけれども、一カ月に三十人以上の大量解雇を行われる場合には、雇用対策法第二十一条の規定に基づきまして、公共職業安定所長に届け出なければならないということになっておりまして、こういう届け出によりましてそれに対する対応等をなしていくということになっているわけでございますが、この雇用調整の問題は労使間で十分話し合いを尽くして、納得のいく解決が行われることが必要であるというふうに考えているわけでございます。
  94. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 労使間で十分話し合いを尽くすというそのことを何ら否定をしているものではないわけです。単に企業内だけの問題で済まないということを私、力説をしたはずであります。これは何も私が改めて言うまでもなく、よくよく御存じの、まさに町ぐるみの、住民のゆゆしい経済生活上の問題になっておるということで、例えば最近のリアルな例で言えば長崎の高島炭鉱のあのもう閉鎖ともいうべき大量の首切りですね。あすこの町長さんがテレビにも出ておったように、先頭に立って鉢巻き締めて、もうこのままでは我が町がつぶれるということでの大問題になっているというその例をもってしても、単に企業内の問題にとどまらない、地域社会そのものが成り立たなくなるというこういう問題でありますから、そういった労使の話し合いにこれを期待するということだけで、今までのそういう言い方で果たして事が済むという今日の事態だろうか、ここをよく考えてもらわなくちゃならぬわけですね。  今まで労働省政府がやってきたことといえば、失業が起こってから、さてその失業者に対して広域職業紹介などをどうするのかといういわば後追い策、こればっかりであります。肝心の、大量解雇を極力食いとめるためのそういう方策を強力にどのように講ずるかという、ここが全くない。そういった点で、企業人員削減計画について、一つ企業からの知事に対する届け出、これを義務づける。そして、本当にそれがやむを得ざる理由に基づくものなのか、もうけ本位から出て いるものなのかなどの、そういった知事の一定調査権、そして一定の勧告権、こういうふうになさったらどうかということについての勧告権、地域経済に責任を持っておる知事がせめてそのくらいの権限を持って、今日の深刻な雇用問題に住民の知恵と力を合わせて対応していく、こういうことを今こそ労働省として積極的に考えるべきじゃありませんか。今までのことは今までのことです。しかし、今のこれだけ深刻になってきたこの事態のもとでは、そういう問題をぼちぼち検討してもいいんじゃないでしょうか。大臣、どうでしょうか。
  95. 平井卓志

    ○国務大臣(平井卓志君) 委員指摘の、大きく申せば企業の社会的責任ということ、さらには地域に対する大型の雇用不安というのがこれが社会不安につながるというふうないろんな角度からの物の考え方がございますけれども、やはり現行制度の中で雇用調整問題というのはあくまでも労使間で話し合いを尽くして、納得のいく解決をしていただくということを労働省としてはあくまで期待せざるを得ないわけでございまして、地方自治体の首長等々に勧告なり何なりそういう権限を付与していささかの規制を行うということについては、私は過当でないというふうに考えております。
  96. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 大臣も御存じのはずだと思うんですけれども、言われるのは、資本主義体制のもとでは企業活動に制限を加えるようなそういうことはいかがかというふうなおつもりかもしれませんけれども、しかし、同じ資本主義国でも西ドイツなどは、既に一九五一年から解雇制限法ということで社会的に不安な解雇は無効だと、こういう内容の法律、フランスは一九七五年、同じく解雇制限法で、経済的理由による解雇の場合には行政当局の許可制、だから一方的にはできないという、こういう例だってあるわけでしょう。  今こそ日本でも、これだけ事が、雇用問題が深刻になってきておるこういうときに、せめて地域の経済、住民生活について責任を負う知事が、一定の権限を持って行動ができるようなことを検討を始める気もないですか。どうですか、大臣、もう一遍。
  97. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  今先生いろいろ御指摘のような社会的な情勢その他から申しまして、法的に規制するということについては、現在の日本の社会情勢の中ではいかがかというふうに考えているわけでございます。事業主が大量な解雇等を行うという場合には、また縮小を行うという場合には、その失業の予防、雇用の安定を図るための措置をできるだけ講ずるというのは社会的責務であると思いますし、地方公共団体の長がそういう企業に対しましていろんな要請をすることはもちろん当然なことだというふうに思いますが、しかしそれに基づいて解雇その他を法的規制に基づいて行うということは、社会情勢としていかがかというふうに思っております。    〔委員長退席、理事岩崎純三君着席〕  したがって、現在のところでは、職業安定機関に、事業主に対しましては特定不況業種や地域雇用安定法に基づきまして再就職援助等の計画の作成や雇用対策法に基づきます先ほど申し上げました大量雇用変動の届け出をさせることによりまして、事業主が実施しようとする雇用調整状況、再就職の援助計画等を把握して必要な場合には会社に対する協力または指導等をしていく、また助言をしていくということが、現在の社会情勢では我々が行っているものとしてはそれ以上のものはできないのではないかというふうに考えている次第でございます。
  98. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 雇用対策法に基づく届け出というのは全く事務的な届け出ですね。私が言うているようなものじゃない。本当に嘆かわしい答弁が繰り返されておると思うんです。    〔理事岩崎純三君退席、委員長着席〕  角度を変えましょう。この問題との関連で言いますと、同一大企業グループの中での相互援助、この問題も大量失業を防ぐという一つの方策になるのじゃないかということで、高島炭鉱、これはいわゆる三菱系でありますが、三菱グループといえば世界的にもビッグビジネスとしての名をはせております。こういうグループが、例えば高島炭鉱という問題が起こったときに、同一グループでお互いに相互援助をし合う、相互救済をし合う、こういうことを政府として積極的に提言をしていく気はないですか。
  99. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  三菱石炭鉱業の高島礦業所が閉山を行ったわけでございますが、それに関連いたしましては、閉山に伴う前から労働省としましては三菱鉱業に対しましてその成り行き、状況等をヒアリング等いたしますとともに、三菱鉱業がそのグループとして十分対応するように指導等も行ってきているところでございます。  炭鉱離職者の再就職に当たっては、第八次答申等でも、石炭企業及び親会社が関連企業協力を得つつ万全を期すべきであるという、まず事業主の自主的努力を要請いたしておるわけでございますが、今回の三菱鉱業の場合におきましても、そういうことで現在も要請を続けておりますけれども、三菱鉱業自体におきましては、関連会社で現在までのところ、十一年二十五日現在でございますが、八百十八人の離職者の求人を行うというような態勢をとっているところでございます。
  100. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 まだ端緒的な努力しか行われてない模様でありますけれども、ぜひこの点は大臣もひとつ先頭に立って、そういう同一グループ、いろいろ独立企業だということもありましょうけれども、当然相互連帯、相互救済というのがあってしかるべきじゃないかというふうに国民の常識は見ているわけです。ですから、そういった点で、大臣としてもひとつ先頭に立ってそういう方策を積極的に進めるという努力を一層強めてもらいたいと思いますが、どうですか。
  101. 平井卓志

    ○国務大臣(平井卓志君) 先ほど申し上げましたように、やはり企業の社会的責任という範囲で申し上げましても、それ相応の企業になりますと、やっぱりグループ内でのできるだけの吸収雇用ということをそのグループとしては最優先した雇用策としてやるべきであると考えておりますので、その方向で指導してまいりたいと考えております。
  102. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 次は、外国人労働者労働規制の問題について質問をいたします。  政府は、既に過去三回にわたって雇用対策基本計画、三次にわたる計画を閣議決定する際の閣議了解事項として、我が国労働者雇用安定を第一として、例外を除いては外国人が国内で就労をすることを認めない、こういうことを口頭了解として確認をしてきておるはずだと思いますけれども、間違いありませんね。
  103. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) そのとおりでございます。
  104. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ところが最近、円高というようなことも理由になりまして、外国人労働者、特に東南アジア人の単純労働といいますか現業労働、この分野に著しく外国人労働者が増加をしてきておるということは、この間NHKでも放映をされるなど、マスコミでもいろいろ問題になってきておるところであります。こういった外国人労働者の無秩序な増加は我が国労働者雇用労働条件に大きな影響を与える、こういった点で、一つは入国目的を偽って入ってきたり、雇用をしたり、こういう例もなしとしないわけでありますが、この規制策、侵入防止策、法務省と労働省、それぞれその対策を御説明願いたいと思います。
  105. 佐藤勲平

    説明員佐藤勲平君) 申し上げます。  御指摘のように、最近、周辺のアジア諸国などからの出稼ぎ目的で主として観光客を装って入国いたしまして単純労働に従事する者が増加しておるところでありまして、私ども入管当局はそれに対して資格外活動、それから不法残留者等として摘発をしておるところであります。  その数をちょっと申し上げますと、昭和五十六年が千四百三十四件であったものが、昨年は五千六百二十九件と四倍にまで増加して、本年も八月末で既に四千五百六十七件というふうに増加しておるところであります。  このような資格外活動の事犯と申しますのは、出入国管理行政の根幹をなします在留資格制度というものを乱すわけでありますし、今御指摘のように労働関係その他、風紀、公衆衛生等多方面にわたっていろいろの問題をはらんでおるところだというふうに認識しております。それらに適切に対処しなければならないわけでありまして、入国管理局におきましては、入国の際の審査、それから在留期間を更新する際などの在留資格審査等の適正を期するとともに、その取り締まりに積極的に取り組んでいるところであります。積極的能動的に取り締まりに従事できます入国警備官という者が比較的限られておるところでありますけれども、例えば期間を区切って集中的に摘発するとかいうことをしておりますけれども、そのような観点で十分な摘発をして対処してまいりたいと思っております。
  106. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  外国人の不法入国、不法残留等の問題につきましては、現在のところ我が国の法体制の中では、今法務省からお答えがございましたように、入管法上の問題として取り扱わざるを得ない問題になっているわけでございますが、労働省としましては、先ほど先生の御指摘もございましたように、労働条件や労働市場等の観点から適切に対応する必要があるというふうに考えております。したがって、法務省等関係省庁と相談しながら鋭意対応については検討を進めていかなければならないというふうに思っておりますが、現在、民間の職業紹介事業の指導または関係事業主団体等に対する協力要請など、例えば建設業におきます会議におきまして私もこの間要請をいたしたところでございますが、それらの要請を行っております。  さらに、個別の事業所の問題につきましては、職業安定法、労働者派遣法等に違反した形態につきまして、その摘発について協力をしている。また、この法違反に対しては厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。
  107. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 口先だけじゃなくて、本当に我が国労働者雇用労働条件を守る、そういう見地から強力な指導を大臣にもぜひひとつお願いをしておきたいと思います。  そこで、あと労働時間短縮の問題で、同僚委員からも少しありましたが、私からもお尋ねをいたしたいと思います。  我が社労委員会が発議をして、昨日の本会議雇用の安定に関する本会議決議、これは全会派一致の決議であります。一方、くしくも同じ日に、中央労働基準審議会から労働時間法制等の整備に関する建議というものが出た。この内容を見ますと、まことに憤慨すべき建議内容になっているわけですね。  週当たりの法定労働時間のお話がいろいろありました。もうそこの部分の繰り返しは避けますけれども、私、問題にしたいのは週休二日制問題です。きのうお互いに決議をしたあの第三項に、「長期的な雇用機会の維持、拡大見地にも立って、週休二日制の普及労働時間の短縮を促進すること。」以下海外投資による云々と。片やきのうの建議ですが、これは週四十六時間、四週五休制だとか、次いで週四十四時間(四週六休制に相当)、こういうところへ段階的に実施していくということで、幾ら丹念にずっと初めから終わりまで読んでいっても週休二日制という文言はついに出てこない、こういう建議になっているわけであります。  いわば、当分の間は週休二日制なんというものは無理なことだから、そんなことはやらぬでもよろしいというふうに読み取れるかのごときそういう今回の建議になっているんじゃないか。政府労働省として、労働大臣に出た建議ですけれども労働大臣として、まさかこんなものを真っ当に受けとめようということにはならぬでしょうね。
  108. 平井卓志

    ○国務大臣(平井卓志君) 委員から、せっかくちょうだいいたしましたこの建議について、こんなものとおっしゃられると、私もいささかこれは見解を異にするわけでございますが、御案内のように、今回の建議は週四十時間の労働制を法定労働時間短縮目標とするということから出発をいたしておりまして、当面の法定労働時間が四十六時間だ、早い時期に週四十四時間という、基本的には段階的に進めていこうということであります。  そして、その趣旨でございますが、労働時間の実態等を勘案して、順次段階的にやっていくということで、週四十六時間というのが世に言われます四週五休制に相当するわけで、週四十四時間というのが四週六休制に相当する。目標といたしております週四十時間というのが完全週休二日制に相当する、こういう理解をいたしておりますが、こういう形で労働時間の短縮推進してまいるというものでございますので、雇用の安定に関してちょうだいいたしました御決議の趣旨に私は反するものではない、沿うものである、こう理解をいたしております。
  109. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は、同僚委員からもありましたから、さっきも言いましたが、週当たりの法定労働時間の問題については時間の関係もあってあえて触れなかった。しかし、これはもう当然のこと週四十時間制、これを長い将来のかなたの課題に追いやるという形で、この文章を見ましても四十六時間、続いて四十四時間へと、こういうことになっておる。したがって、残業代も合法的に言われるということになりかねない内容になっている、ここの問題というのは厳然としてあるんですよ。同時に、週休二日制の問題について、あなた、四十六時間が四週五休に相当する、四十四時間が四週六休に相当するという、いわばそれは常識のことだ。だから四十時間が週休二日に相当する。しかし、片一方は括弧の中に明記している。片一方は括弧の中に明記もしていないじゃないですか。ということは、週休二日制の課題は一体どこへ行っているのかというふうに思わざるを得ない建議内容になっていることは明瞭でしょう。だから、こんな建議というのはとてもいただけない内容じゃないかということを言っているんです。  これは念のために聞きますけれども、まさか労働省の方から、週休二日制、そんなものは書かぬといてくれということでこういうことになったんじゃないでしょうね、局長
  110. 平賀俊行

    政府委員平賀俊行君) 週の所定労働時間の決め方、現在のように非常に産業あるいは就業の関係が複雑多様化しております。それについての決め方いろいろございますけれども、少なくとも世界各国共通して、私どももそうですけれども、週四十時間制というのは一日八時間、これまた基本的に一日の労働時間の常識的な線だとすれば、週四十時間労働制というのは完全週休二日制に相当する労働時間の制度であることは、常識的に確立していると私ども考えております。
  111. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 常識的に確実にそうだというのだったら、なぜ常識的に書かなかったんですか。ほかのところは常識的に書いたじゃないですか。だから、やっぱりこの審議会でどういう方向を出すかということをめぐって今日まで財界からいろんな形での働きかけがあったということは、もう天下周知の事実ですよ。週四十時間労働制、これは極力食いとめよう、週休二日制は食いとめようというさまざまなそういう策動の中の産物として、いわばそれに労働省も屈服するような形で今度のこういうものが出てきたんじゃないかということで、私は国際的趨勢にもう真っ向から反するこういう内容というのは断じていただけない。  ひとつ、こういうものには拘泥をされることなく、本当に労働者の要求と国際的な趨勢、その上に立った労働省労働大臣の責務に照らして、真の意味での労働基準法の改正に取り組んでもらうように強く要求をして、終わります。
  112. 抜山映子

    抜山映子君 円高不況の長期化により企業収益が大変に低下してまいりました。雇用情勢悪化が進んでいるわけですけれども、ひとつ雇用情勢変化について昨年度と比較してどうであるか、そして今後どのように推移していくように認識していらっしゃるか、その点を明らかにしてください。
  113. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  先生御指摘のように、最近の雇用情勢が非常に 厳しい情勢にあることはそのとおりでございまして、昨年との比較とおっしゃいますと、有効求人倍率につきましては昨年〇・六八倍で推移いたしていたわけでございますが、最近の情勢は〇・六一倍ということになっております。それから、完全失業率につきましては昨年が大体二・六から二・七で推移いたしてきたわけでございますが、昨年の十二月には二・九になりまして、その後本年に入りましては二・六から二・七、二・九という状況で、現在十月で二・八という水準でございます。
  114. 抜山映子

    抜山映子君 今後数カ月、どのように推移していくであろうと認識しておられますか。
  115. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 失礼しました。その答弁を外しましたが、今後の状況につきましては、先ほどからいろいろ御議論ございましたように、今、造船非鉄金属等不況業種、また円高産地等の雇用調整が今後実施されるということでございまして、雇用失業情勢もさらに厳しさを増すものというふうに考えております。  我々としては、失業者が増加しないように失業の予防その他の対策を打ってこれらに対応いたしているわけでございまして、今後どういうふうに推移していくかということにつきましては、状況によっては失業率が三%に達することもあり得るということを懸念いたしているわけでございます。
  116. 抜山映子

    抜山映子君 雇用情勢がさらに厳しさを増すことはこれはもう明々白々なわけです。今、失業率の数字だけから申しますとそれほど驚異的なものでないように思われますけれども雇用調整を行っている企業ですね、企業内でどのように失業者を出さないかということでいろいろ各企業において工夫を行っている、あるいは資産の売却をして赤字を糊塗してどうやら従業員を抱えている、こういう状況が大変多いわけですけれども、このような企業についてどのように実態把握しておられますか。
  117. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  先ほどもお答えいたしましたが、個別の企業等につきまして雇用調整状況等をヒアリングその他いたしているわけでございますが、大体百人以上についての休業その他雇用調整を行う企業状況をことしの十一月現在で掌握いたしましたところでは、各業種その他を通じまして五万人程度雇用調整がいろいろな形で行われるということが予想されております。
  118. 抜山映子

    抜山映子君 ただいまヒアリングとおっしゃいましたが、どのような形で、何カ月にわたって、どういうところに派遣されてヒアリングを行われましたか。
  119. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  ちょっと御質問の趣旨がよく理解できませんが、ヒアリング等も含めましていろいろな調整、例えば先ほど石炭のお話もございましたが、三菱鉱業が今後閉山その他で行う場合には、その閉山についてどの程度失業者が出てくるか、また鉄鋼等が一次休業等行う場合にはどういう形で行うのかというふうなことをお聞きしているわけでございます。
  120. 抜山映子

    抜山映子君 ヒアリングを行った企業は幾つですか。
  121. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 手元につまびらかな資料はございません。
  122. 抜山映子

    抜山映子君 細かな資料はなくても結構なんですけれども、大まかな数字はおわかりになるんじゃないですか。
  123. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) それは、先ほど申しましたように、大まかに集計いたしますと五万人ということでございます。これは先ほどの先生方にもお答え申し上げましたが、造船、重機で十四社、二万五千五百七十人、鉄鋼で一万三千五百人等を含んだものでございます。
  124. 抜山映子

    抜山映子君 私がヒアリングにこだわりましたのは、労働省数字の上では把握していらっしゃると思うんですが、現地の生の声の把握についてはもうひとつ手薄ではないかと懸念したからでございます。今、不況は、同僚委員指摘しましたように、鉄鋼造船、繊維、海運、非鉄金属輸出業者から、さらに広がって自動車、電機、金属と波及しつつあるわけでございまして、この各企業内は目下協力会社や取引先に頼んで従業員を出向させてもらったりして、もうぎりぎりいっぱいの対応をしているわけです。  そこで、行政の対応は、先ほど労働大臣労働省だけではもう対応できない事態になっている、このように言われました。そこで、従来の後追い的な縦割り行政型の狭い雇用行政の枠は超えなくちゃいけない、このように思うんですけれども大臣、例えば通産、大蔵、建設その他の各省庁と統合的な雇用対策を立てるお考えはございませんか。
  125. 平井卓志

    ○国務大臣(平井卓志君) 今御指摘の問題でございますが、いかように緊急的に、また中長期的にこの雇用問題に対処するか、まさしく総合政策で当たらねばならぬということで、総理を本部長とする雇用対策推進本部というものができたわけでございまして、先般、現状分析という形で第一回会合を開いたところでございますが、今後各省庁間の連絡を特に密にいたしまして、この推進本部において具体案を作成してまいりたい。 その中で、すべての政策に雇用問題を最優先としての施策を盛り込み、産業政策の実施に当たっても常に雇用の問題に優先的に配慮を払うというふうな形をどうしてもとらなければならぬわけですが、具体策につきましては政府・与党間で今後さらに各省庁間の連絡等も含めまして、できるだけ早い機会に有効適切な対策をまとめていきたいと考えております。
  126. 抜山映子

    抜山映子君 ひとつ大臣の若さとエネルギーでもって、イニシアチブをとって雇用対策を立てていただきたいと思います。  さて、円高が定着したことによりまして、市場確保、それから生産コストの引き下げを目指しまして、海外、現地で生産を行うという傾向が非常に顕著になってまいりました。この結果による雇用の喪失はどういうような現況になっておりますでしょうか。
  127. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  御質問の内容は、円高に伴っていわゆる海外への直接投資に伴います産業の空洞化の問題だというふうに理解いたしますが、従来から海外投資は進められているわけでございまして、現在までの状況では、貿易摩擦に伴います海外での製造または現地生産によります現地でのいろんな製品の販売等に対応したものでございまして、この数年間、電機とか自動車とか海外投資が進められた主な業種につきましても、国内におきますこれらに関連した従業員の数はむしろふえていたわけでございまして、必ずしもそれによって雇用の空洞化が行われたというふうには考えておりませんが、先生御指摘の、最近の円高に伴います直接投資が急速に進む段階になってまいりますと、いわゆる競争の関係から海外へ出ていくということで、海外の製品が逆輸入されたり、いろいろな問題が起こってくるわけでございまして、これに伴います雇用への影響につきましては今後急速に進む可能性もあるということで、我々としては懸念いたしている状況でございます。
  128. 抜山映子

    抜山映子君 私も、非常に今後失業率が大幅にアップするのではないかと大変に心配しておるわけでございます。現在も労働者産業間あるいはまた地域間のミスマッチというのが非常にあるわけでございまして、ひとつこの雇用の創出あるいは吸収につきまして広域的に対応するということが必要になってくると思うんですけれども、ちょっとその対応が、国鉄の場合は比較的政府を挙げて対応していただいておるわけですけれども、一般の民間産業の今の失業に対しましてドラスチックな対応はしていただいてない、このように思うんですけれども、これに対してひとつ御所見を大臣からお聞かせいただきたいと思います。
  129. 平井卓志

    ○国務大臣(平井卓志君) なかなかこの御指摘ございました点、今後非常に重要な点になってまいると思うわけでございますが、従来労働省がとっております対策以外の問題としましては、今御指摘になった、円滑な労働力産業間、企業間の移 動というのは、今後の非常に大きいウエートを占める問題じゃないかというふうに考えております。できるだけ失業を出さないというのが我が国雇用問題に対する労働省の基本的な考え方でございまして、そういう意味から申しますと、出向等の活用により、できる限り今申し上げた失業という形を経ずに次の雇用の場につかせることが、これはもう基本的に最も望ましいと考えておるわけでございます。  そのようなことで、今後こういう出向等についての情報収集、提供等を行うための仕組みとして、新たに公益法人として産業雇用安定センター、この設立に向けて関係者の方々の大変な御努力をいただいておるわけでございまして、できるだけ多くの産業界の方々にお集まりいただく、そういうことで、民間主導でございますが、積極的にその準備がただいま進められておるわけでございまして、労働省としても大変結構な構想であると考えておりまして、そのような法人が設立の運びと相なりましたときには、労働省挙げて、各安定局も総動員いたしまして、運営の面からもすべて積極的に援助してまいりたいというふうに考えております。
  130. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 抜山さん、もう時間ですから、まとめてください。
  131. 抜山映子

    抜山映子君 一問だけお願いします。  民社党は、雇用開発促進法案の要綱を発表しましたが、この趣旨を取り入れて政府案を国会に提出するおつもりはございませんか。
  132. 平井卓志

    ○国務大臣(平井卓志君) 構造不況と申しましょうか、円高の不況産業、及びこれらの産業を経済の核とする地域中心雇用情勢悪化しているという情勢にかんがみて、法律案要綱として対処方針を民社党においてまとめられたということに対しては、これは敬意を表する次第でございます。  労働省としましても、当然のことながら、この現下の厳しい雇用情勢に対処するために、総合的な地域雇用対策推進するための法律案を次の通常国会に提出をいたすこととしておりまして、所要の検討を進めておるところでございます。民社党の法案要綱につきましても今後十分に勉強させていただきたい、かように考えております。
  133. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  なお、次回の委員会は、十五日午前十時より第一委員会室において開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十二分散会